1級術士 猩影くん (ジョジョラー)
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大体こんな感じのお話ですよ〜的なやつ




続く気がしないけど、猩影くんが好きなので書きました。
ぬら孫と呪術廻戦、同じ和風ファンタジーなので、結構相性いいと思うんですよねぇ・・・



 

 

 

 俺の名は禪院猩影。

 

 この苗字で既に察している人もいるだろうが、あの救いのない大人気和風ファンタジーバトル漫画、『呪術廻戦』に登場するクズ一族、禪院家の人間に転生してしまった不運な男であり、東京都立呪術高等専門学校の現2年生。主人公、虎杖悠仁の1年先輩にあたる。

 それに加え……皆さん、どこかでこの「猩影」という名前に聞き覚えはないだろうか。そう、ジャンプにおいて呪術廻戦よりも先に連載し無事完結した和風ファンタジーの先輩、『ぬらりひょんの孫』の主人公である奴良リクオの幼なじみであり、父親の仇を打つため立ち上がった熱血漢、奴良組大幹部狒々様の息子で高身長イケメンと人気要素満載にも関わらず影の薄い、あの猩影くんである。みんなも「爆丸」と同じくらい、習字の時間にでふざけて書いた名前だと思う。前世での推しキャラであったためか、姿、能力まで全く同じ状態で呪術廻戦の世界に生きているのだ。

 

 

 

 さて、ひょんなことから20そこらで死んでしまった俺だが、何故か現在は呪術廻戦の世界で生きている。

 まあ、産まれた時から前世の自我を持っていたわけなんだが、自分の名前を知った時には興奮したね。なんてったって前世の推しキャラ、「猩影」の名が与えられた訳だ。それに、ぬら孫は大好きで完結までのストーリーもほぼ完璧に記憶しているし、ぬら孫を知っている人ならわかると思うが、そもそも影の薄い猩影くんはお父さんの敵討ち、宝船を止めるところ、とおりゃんせの怪、それから世代交代の話くらいしか目立つところがない。いや〜、デザインもかっこいいし、主人公と幼なじみのキャラなんてレギュラーだと思うじゃん。蓋を開けてみればギリ準レギュラーってところだった……。ほぼ同じ立場のゼン様と何が違うって言うんだよォ……! 京都の時も最終決戦の時も、幹部クラスのやつとの一騎打ちのシーンがないってどうなんだよ!! (泣)

 ……話がそれだが、要するに猩影というキャラは、少しのポイントさえ抑えれば原作崩壊を起こさずに済むということだ。読む側としては推しの出番が少ないのは悲しいことだが、演じる側としてはありがたい……。

 

 

 ──と、思ってた時期もありました! (号泣)

 

 なんだよぉおお、ここぬら孫の世界じゃねぇのかよぉおおおおお!!! 

 いや、確かに思ったよ! お家日本家屋だけど関東大猿会の猿妖怪たち居ないなとか、狒々様どこ〜? とか、「どんな術式を持っているのか……」とか噂されてるなって! 禪院家じゃん! ここ!! 呪術廻戦じゃん! 

 くそ、俺が何したって言うんだ……。なんてったって先の見えない難易度ルナティックの世界に転生しちまったって言うんだよォチキショウ……。俺は呪術廻戦面白そ〜って思った矢先に死んじまったんだよ! 友達から聞いた「禪院家」とか、「五条悟」とか、「両面宿儺」とかキャラのなんとなくの見た目、あらすじぐらいのふんわり知識しかないってのに! それだけの知識でここが呪術廻戦の世界だと気づけた自分凄いよほんと……。ありがとう大親友レイジくん。おれがんばる。

 

 とまあ、俺はこの世界を生き残るために頑張ろうと努力を続けた。だってせっかく猩影フェイスを手に入れたんだから、長く生きたいじゃん! おっさんになっても童顔だから若く見えそうだな〜、今から楽しみだ! (楽観的)

 いや、それにしても禪院家ヤバいって……スパルタすぎ……俺は精神年齢はとっくに成人だから耐えられたけど、これ虐待だよ。学校にも通わせて貰いないし……。集団生活しなきゃ情操教育できないぞっ!! 

 リアルに血反吐吐くまで鍛えさせられて、呪術に関する勉強も、それに御三家としての心構えなんかも施された(まあ、最後のやつに関してはまともな感性を持ってるから無視してやるつもりだ)。

 いや〜、マジで術式分かるまで生き残れるかしら……。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 はい! 5歳になりました! (唐突)

 いや〜、厳しかったよぅ……。前世の俺だったら完全にこの年齢まで生きていられなかったであろう過酷な毎日を過ごし、今日という日を迎えることができた。猩影くんの体はかなり頑丈で、将来は2m越えの巨人になるだけあって、身長も同年代の子と比べるとこの時点でかなり高い。オマケに、訓練で受けた傷なんかも寝たら全部消えていて、ゲームみたいに寝るだけでほぼ全回復しているのだ。さすが大幹部、狒々様の息子。当主からの覚えもめでたく、術式が判明するのを今か今かと待ちわびているようだった。

 ──そして、その時は唐突に訪れた。

 

 5歳の誕生日を迎えて数ヶ月たった頃、いつものように訓練の一環として4級〜3級の呪霊の退治を命じられ、呪具の短刀片手に戦っていた時のことだ。

 

「カジラセテェェエ」

「うるせぇ! この剣でもしゃぶってろ」

 

 思わずテンションが上がって厨二なセリフを吐いてしまったまさにその瞬間、楽勝だったはずの任務が一変した。

 

「ウルサァアアイ!!」

「っ! ──がっ……」

 

 なんと、戦っていた3級の呪霊とは別に、新たに推定2級程度の呪霊が割り込んできたのだ。

 呪霊の長い腕で凪払われて肋骨がピキリと嫌な音を立てたが、あまり気にせずに体制を立て直す。

 

「チッ……恐らく2級相当か……。今の俺には難しい相手だ、応援を──」

 

 携帯を取り出し連絡を取ろうとするが、再び呪霊の腕が伸びてきて地面に叩きつけられる。その反動で携帯電話は真っ二つに割れ、増援を呼ぶことは叶わなくなってしまった。

 

「──っ! クソッタレ……」

 

 呪霊は動けなくなった俺を見てニタニタと笑っている。そして、トドメだと言わんばかりに、大きく腕を振りかぶって、最後の攻撃の構えを取った。

 

 ──その時だった。俺の中で熱い何かが込み上げてくるような、そんな感覚がしたのは……。

 

 奇声を上げながら腕を振り下ろす呪霊のスピードが、やけにゆっくりに見えた。俺はその腕を両腕をクロスして難なく受け止めると、そのままその腕を駆け上がり、呪霊の首を爪の生えた手でへし折った。

 

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙

 

 呪霊は恨めしそうにこちらを見ながら消えていった。

 そんな呪霊の様子を気にすることも無く、俺は自分の鋭い爪と少し毛の生えた腕をみて、ニヤリと笑う。

 

 ──ついに……、ついに! 

 

 これが俺、禪院猩影が推しと同じ能力を手に入れた、忘れられない瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





術式『大猿変術』

名前のまんま。見たまんま。
そのうち禪院家の倉に眠ってた特級呪具『狒々の大太刀』を使うようになるとかならないとか・・・。





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大猿変術


続けてみました。



 

 

 

 俺の名は禪院猩影! 

 禪院家に3級呪霊相手の任務につかされたと思ったら……なんと調査不足のせいで準1級呪霊の相手をすることになってしまった! 

 

 ──まあ、既のところで術式が発現して、何とかなったけどな! 

 ほんとに笑えない。散々「将来有望だ!」「術式が分かるのが楽しみだ」とか言っといて、これはないんじゃないですかねぇ? 

 

 ……さて、命が助かったのは良かったとして、問題はこれからだ。

 死の淵に立たされたことで術式が発現したのはいい。そうじゃなかったら死んでたからな。困るのは、俺の術式が禪院家相伝、『十種影法術 』でなかったこと。

 俺は前世の親友、ちょいワル幼馴染のレイジくんから禪院家について色々聞いていた。そして自分の目でも見てきたことだが、この禪院家では、相伝を受け継がずに生まれてきた子供に対する扱いが目も当てられないような酷いものなのである。

 俺と同い年の異母兄弟で双子の真希と真依は俺よりも少し前に術式が判明したのだが、分かる前と後ではまるで扱いが違かった。

 前までは同い年なこともあり、よく3人で稽古をつけられていたのだが、2人は「これ以上鍛える価値はない」と見なされ、馬車馬のように働かされている。そして、男尊女卑の古い伝統が残るこの禪院家に女として産まれたこともあり、将来は新たな相伝を持つ子供を孕むための胎としてしか見られなくなった。

 俺は将来この2人が原作で活躍することも知っているのであまり心配しなくても大丈夫だろうとは思っているが、バレない程度に影でちょこちょこ手助けしてきた。

 ろくに食べ物を食べさせて貰えない2人のために、育ち盛りであることを利用してご飯を多く作ってもらい分け与えたり、こっそり部屋に呼んで俺の布団でゆっくり休んでもらったり。

 2人は最初は警戒していたようだが、俺が「一緒に訓練して育ってきた仲だろ。騙したりしねぇよ」と言うと、ご飯も残さず食べたし、俺の布団で2人くっついて眠った。俺は胡座をかいて柱にもたれかかって寝ていたが、朝目覚めると布団が掛けられていて、ますますあの双子に何かしてやりたいと思うようになった訳だが、それももう難しいかもしれない。

 

「相伝ではなかったようだな」

「……」

 

 俺は今、当主の前で俯き、正座している。

 俺の術式の名前はまだ分からないが、絶対に『十種影法術』ではないことは確かだ。それでも術式がないよりはマシだろうし、恐らくだが結構強い術式だと思う。めちゃくちゃ近接タイプだが、この頑丈で大きな体があれば俺は中々に使える駒のはずだ。完全なる役立たずだとは思っていないと思ったのだが……

 当主はどこか蔑んだような、それでいて忌まわしい物を見るような目で俺を見ている。

 

「……お前はこれから体も大きくなるだろうし、その歳であれだけの呪霊を払う才能を見込んで、例え相伝でなくても一族に貢献出来る力の持ち主だと確信していた」

「お言葉ですが、俺の術式に何か問題でもありましたでしょうか? 当主様のおっしゃる通り体もどんどん成長していますし、術式も俺の体に合っていると思うのですが……」

「確かに体と術式の相性は良いだろうな。だが、お前の術式が『大猿変術』であることが問題だ」

「だい……?」

 

 初めて聞く名前だった。

 恐らく漢字で書くと『大猿変術』。猩影くんのガワを持って産まれた訳だから、見た目が猿っぽくなるってことだろう。実際に使った時は漫画で見た猩影くんとか狒々様見たいに爪が伸びて手も毛深くなったし、さっき鏡で見たら歯もギザギザしてた。パワーもスピードも桁違いだ。

 ……で、分かんないんだけどそれの何がいけないの? 

 

「我々禪院家は、『大猿変術』を術式と言うよりも、『呪い』として認識している」

「呪い?」

「大昔、我ら禪院家の先祖は悪名高き特級呪霊、『大猿・狒々』を祓った。しかし、狒々は祓われる直前、我ら禪院の血筋に呪いをかけた。以来、数十〜数百年に1度、その呪いを受け、相伝に産まれるはずであった子供が、まるで狒々の様に姿を変える術……『大猿変術』を持って産まれてくる様になってしまったのだ」

 

 当主の言葉を理解するのに、俺は数秒間の時間を要した。

 つまり、俺は本当は『十種影法術』を持って産まれるはずだったのに、狒々様の呪いで『大猿変術』が発現しちゃったってこと?? 

 

「残念だが、お前は次期当主候補から外れてもらう。明日からは好きにしろ。任務を命じた時以外はな」

 

 え、ええ〜? (困惑)

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 その次の日から、俺はまるでいないかの様に扱われた。

 いや、ご飯は部屋の前にきちんと置かれているし、着替えもお風呂も何不自由なく暮らせている。

 そして、2日に1回くらいのペースで任務も入れられるのだが、怪我をしても大抵寝たら治るので、俺はここ数週間、禪院家にとって手のかからない、呪霊お掃除マシーンとして生きていた。

 まあ、真希&真依に比べたらいい生活を送れているのだろうが、如何せんつまらない。本当に。

 任務がない日は部屋でこっそり双子と話したりするのだが、前みたいに扱いが良いわけではないので2人にしてやれるのは、精々愚痴を聞いたり、暖かい布団で寝かせてやることぐらいになってしまった。まあ、2人はそれでも嬉しそうにしてくれている訳だが……。

 

 そんなこんなで双子と遊ぶ以外にはつまらない日々を送っていた俺だったが、衝撃の出会いを果たすことになる。

 

 ──それは10歳になった頃、とある任務で大怪我を負い、そのまま意識を失ってしまった冬の日の出来事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 





なんか、思ってたよりお気に入り登録してくれる方が多くてびっくりしてます。流行りのジャンルって凄いですね・・・。

実は1話短編で終わりにする予定だったのですが、続きが考えられたので投稿しました。今後も不定期にはなると思いますが、それでも良いという方は応援して頂ければ幸いです。

それと、あまりぬら孫や猩影くんについて詳しい説明をせずに続けてしまっているのですが、元からぬら孫、猩影くん知ってるよって人がどれくらいいるのか気になったので、アンケートにしました。
今後の参考にしたいので、御協力お願い致します。

よろしければ、感想、評価等よろしくお願いします!







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