愛ある海賊生活 (Keisan)
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愛ある海賊生活
” ちょっとしたヤボ用だ。アンジェラ、お前にも留守を頼む ”
いつ帰って来るんだ? と、聞いた事はない。
神経質で人相の悪いウチのアゴ髭(完全なる悪口)は、私たちに船を預けて留守をしてた。
彼が私をいつも置いていくのには理由があって
体弱い→足ひっぱる→気を使うのが面倒くさい・・・とまぁ、大よその理解はしているが
つい・・・昔と比較してしまうんだ。ソコソコ、自由でいられたあの頃と・・・。
______________
( ____ もうかれこれ、1週間は経ったわ。この状況で;;)
現実と向き合う日はとうに過ぎてる。
場末の酒場にて
私は今、ゲヘゲヘと笑うキモハゲなオサンに肩を抱かれながらテーブルに付いてる。
オサンは両手に花束でご満悦でラムを煽ってたんだが
突然、目がくわッと見開き怒りだしたんだ。
酔っぱらいのよくあるパターンだ。
ずっと腹に据えかねてる事を突然ワーワー云いだすアレ。
「オイ、オメーラ!聞いたか?死の外科医が七武海いりしたってのは!」
(トラファルガー・ロー!? まじか!やっぱりココってリアル・ワンピか!?)
ちょっとトキメキを覚えていると、
キモハゲなウチの船長は酒臭い息吐きながら肩をグイと引き寄せやがった。
「ゲヘゲヘ、オイ、ハルト。お前、聞いたコトあるか?ヤツのこと!」
「小耳程度なら・・・・。」
もーイチイチめんどくさいなw; このぐらいでいーだろ。
「アイツは脱落者を待つハイエナやろうだ!ションベンくせえ、最悪のルーキーの成り上りだ!
オレのダチの心臓まで献上しやがった、クソやろうなんだぜ!」
「ヘー、まじっスか(棒読)」
「いい気になりやがって、
最近じゃ超ぉ~~カワイコちゃん船に攫って乗っけてるって噂じゃね~か!」
ケッ、ネタミかい!
まったく、アホくさい・・・・ん!?
おおおお!?
真向かいのテーブルに頬づえ付いてこっちを見てるカワイコちゃん!
目だけを微笑ませて、吠えてたウチのキモハゲを眺めてる。
(ナニあれ!!!? マジ天使wwww)
春島だけど、まるで黒猫モデルなワンピ!絶対領域がタマラン!!!
オンナのアタシがズギュン! されたぐらいだから
他のヤツラが目をハァトにしないわけがないだろ。
ウチのズルムケ(完全なる軽蔑)も、その彼女の佇まいにポwとキモく頬を赤らめた。
「お嬢ちゃん、1人かい? 」
かなわんなw オサンのトキメキはぶっちゃけ要らん!
顔を見ればあからさまにドキドキしてやがるのが解るんだもんな。
『 そうだな、1人だ 』
「!?」
他の連中はヨッパらい過ぎて気付いてないのか?この声の響き方に。
それとも、そんなコトが気にならんぐらい、彼女に釘づけってか?
「そうか、じゃぁ、一杯なにか奢らせてくれ。」
『 ウチのキャプテンから、知らないオジさんと
ハゲには奢って貰うなってキツク云われてるからダメだ❤』
ストレートすぐるぅうう!!!
シー!!! ソコは触れちゃいかんとトコだよ、アンターーー!
いあ、あの!
そんな、首、コキっと45度に曲げたぐらいじゃウチのハゲは許さんと思うよ!??
ハラハラしてっと云わんこっちゃない、
ガタンとオサンとその仲間が席を立ったじゃないか;
「気に入った、お嬢ちゃん・・・お名前は?」
『 アンジェラスだ 』
「そうか~、いい名だな~。
じゃぁ・・今日はその名前を呼びながらゲヘヘ・・タンと可愛がってやるぜ・・・?」
『 なにか気に障ったか? 』
えー!解ってねーーーーーとか!!?
「おれはどうせハゲてるし!」
ちょw スネてんのかオサンw ウケル
後ろ向いてコッソリ目をこすってやんの。
『 気にしてたのか?そんなオープンなのに?? 』
指さしたらアカーーーーーーーーーーーン!!
あんた死ぬで!! 殺されるでぇええ!!!!
「テメェ、どこの女かは知らねえが・・・無事にココを出られるとは思うなよ?」
『 ・・・・・・。 』
ほらぁ・・・・、コイツこんなんでも一応どっかの船長だからね?
手下がぐるり、取り囲んじゃったじゃない・・・。どいつもこいつも
立ち上がった彼女のイデタチを下から上まで舐める様に見てニヤニヤしてる。
「ボコって、身ぐるみ剥がして・・・ココで・・・げヘw さー、俺に捧げろ、野郎ども!」
奴の手下だって、この新世界って呼ばれるココでまだ生き残ってるんだ。
それなりの戦闘力はある。
あんな2本の小太刀携えただけのロリッ子に適うはずがない・・・。
彼女が一斉に獲りかかられて、ギュと目を閉じる。
「・・・・え!?」
タンタンタン!床を蹴るような音がして目をのぞかせる。
囲んだ奴らは胸に小柄を受け、まさかの”床うめェ!”状態
「このクソアマ!」
速い・・・・!
他の連中は獲物をけたたましい足音で追っていった。
つい、ハゲとアタシを含む女たちも追って出て行く。
追撃組はお供10名はいたから”もしかしたら”って期待も薄いけどな。
「!?」
見れば追撃組は彼女を取り囲む配置のまま、膝立ちで座ってるんだ。
『 見たくなきゃ3秒で立ち去れ 』
無表情に彼女はそう云いながら両手の小太刀を手の平でクルクル、
まるでガンマンみたいに回転させてからチャ!腰の鞘に納めて歩き出す。
・・・3秒? えらく短いけど、こいつらに催眠術かなんか掛けたっての?
「キャァアアアアアアアア!!」
「!?」
1人の女が悲鳴を上げた。
「ウワアアアアアアァ!?」
聞いたことないハゲの叫びに振り向いて後悔;
気絶してるだけと思ってた手下の首がズルり、ガクン!一斉に滑り落ちたのだ。
プシ!と 血の噴水が湧き起った・・・・!
「げッ・・・・・・・・・・・!」
仕事はマジオニ・・・・!
地獄絵図・・・皮一枚でぶら下がる、目をむいたそれぞれの首が揺れて
尚も、血は吹き出したまんま・・・・。
船長は気絶、周りの女たちもさんざ吐いてから気を失った。
( そいや、キャプテンって・・・あの子、海賊!? )
そう思った瞬間にはもうその背中を追いかけてた。
________________
『 なんで着いて来る。あの”キモ可愛くない船長”は生かしておいただろ 』
娘に殺気などは感じないから、振り向かないまま背後に声を飛ばす。
歳のころは・・・そうだな、私と同い年位かもしれない。
身長約168cm、体重約49キロ、色の抜けた髪にちょっと濃いめのメイク。
女の右手のこぶしには妙なタコが出来てた。・・・おもしろい。
他の女たちよりは胆が据わってる訳だ。
「いあ、あの・・・なんてゆーか・・・海でアップアプしてるとこを
アイツに救われたってだけで特にソレ以上のことは・・・・。」
『 ほう、恩も愛もないと云うのか? 』
「イヤイヤイヤイヤイヤ!愛とか米粒ほどもないから!!!」
『 で、なんで海でおぼれたんだ 』
足音が止んだので振り返った。
は!と我に帰ったかと思うと今度はうな垂れてる。
何か事情がありそうなのは解るんだが・・・・。
『 ・・・・そういえば、変わった服だな 』
「ええっ! 今気がついたんスか!!?;」
女はサラシは巻いても普通、隠すからな。
白くて長いコートの背中に大きな刺繍《唖怒玲奈燐 雀鬼唯》?(イミ不明だ)
そしてダボダボすぎるんじゃないかと思うパンツ
ワノ国の衣装? それにしては何となく品がない。
『 話は戻るが・・行くところがないなら戻ればいいじゃないか? 』
「いや・・・そうじゃなくて!なんていうかソノ・・・!」
『 ・・・・?』
「アタシを・・・で、弟子にしてください!!!」
予想外すぎて次の言葉が発せず、その場で土下座する娘を突っ立って見てた。
「________いたぞ、あんなトコでなにやってやがる?」
「あぁ・・・、しかし相変わらず・・・。」
「オイ、その先は云うんじゃねエ。いや、聞きたくねェ!」
その様子を遠くで見ていた、2つの影にも気付かずに・・・。
(つづく・・・のか?)
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愛ある海賊生活②
「んでー、お前、名前は?」
「春の都と書いてハルトっす!お見知りおきを!アニキ!」
「アニ・・・俺はペンギン・・まぁいいや、てか男みたいな名前だな。」
「押忍!よく言われるッス!ペンギンアニキ!」
「ちょっとー!モーそれ、やめてくんない!?」
買い物に出たアンジーがが変わったヤツを連れて帰ってきた
キャプテンの留守中なんで、取りあえず”新入り”として処理しようと思う。
とゆーわけで今、ペンギンが面接中だ。
「弟子ねぇ・・・?」
『 ”未熟者に弟子など取れるか”とは言ったんだが 』
俺とアンジーは船縁に並んでもたれながら、その様子を遠巻きに見てる。
キンパツのロングポニー、物怖じしなそうな話方、威勢もいい。
まー、戦闘員として育てるにはいいかもな。
「アイツなら男部屋でもいーだろうし、
適当に雑用させて剣術の基礎でも教えてやったら?」
『 私の剣術よりシャチ達の拳法の方が向いてそうな気がするな 』
「オイオイ!あの変わったのを俺に押しつける気かよ!?」
『 右手の拳に喧嘩ダコが出来てる、だから云うんだ 』
「マジか!」
『 マジだ。 』
腕を組んだままシレっとそう云うアンジー。
『 向いてそうなものを本人に選ばせるといいだろ 』
「あー、ね・・・。」
しかしさぁ・・・、なんでウチには変わった女しか来ねえんだ?
________________________________________
アタシはツイてる!!!!!!!
だって先輩(アンジェラ)ってばローの船に乗ってたなんて!!
本人は今、留守だけどそのうち帰ってるらしい!
って・・・アタシが来てから3日は経つんだけどね。
あ~早く会いてぇ~!
「こら!新入り!ちゃんと働け!」
朝のモップ掛け、ちょっと止まって妄想してたら。
先輩とやたら仲がいいベポがアタシを指さしで注意だよ。
「ハイハイ、うっせーな非常食。」
「誰が非常食だ!おれ、ここの航海士なんだぞ!?」
「ヘー。」
『 喧嘩はダメだぞ、2人とも。 夕食はビーフシチューなんだから仲良くな 』
「 「 え!?ホント!?「 マジすか!? 」 」
声が重なったんで横目で睨み合う。
なんでビーフシチューだとベポと仲良くならんといかんのかは不明だが・・・。
『 ローがいない時ぐらい和食じゃなくたっていいだろ 』
「おれ、シチュー大好きだー!」
「ケ!クマが牛食うのかよ!」
「なんだよ!ダメなのかよ!」
『 ・・・・・・・、仲良くできないなら肉抜きだぞ 』
「 「 えーーーーーーーーーーー! 」 」
あとで目撃した者に報告させるからな、と先輩は後ろ手で去っていく。
ふん!とベポと別れてまた作業に戻った。
いつかベア・シチューにしてやる・・・・! ギラ
「おーい、新入りー!」
「ハルトっすよ!もーいい加減覚えやがれです、ペンギンアニキ!」
「キレてんじゃね~よ!!!!
あー、じゃーもーハルト。ハーブ屋行ってこれ買ってきてくれ。」
ハーブ???
縁のない単語に首をひねりながらメモと金を受け取る。
「バジル、フェンネル、ローリエ、キャラウェイ?なーんでアタシに、」
「アンジーの注文だぞ。買うの忘れたらしい」
「即効行ってきます!」
それを早く言えってんだ。 待ってて先輩~♪
___________ その頃。
その島の市場を通り抜けた路地の一角では。
レンガの壁に貼ってある数々の手配書は雨にも濡れず、日焼けもせず、状態はいい。
その中に紛れたMISSINGの文字。
仮面の男が静かにそれに近づいたかと思うと、片手の自慢の刃を翳してる。
「・・・・・!!」 ガッ・・・・!!!
カリカリカリ・・・・慎重にそれを剥がし始めた・・・!
「オイテメー!一体何枚アイツの手配書集めりゃ気が済むんだ!!前のと同じのじゃねーか!」
「確かに・・・。だがキッド、あれは保存用だ・・・!」
(マジつづくのか不明)
ヤベ、こっちの方書くのが楽しくなってきたwww
あ、でもアレの4話は12日の、12:00に公開予定です。
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愛ある海賊生活③
「チワーッす! コレ、こんだけ下さーい!」
ハーブ屋ってとこの看板が下がってるトコに人ヅテで辿りついた。
カランコロン・・・♪
おお、ドアのカウベルがレトロじゃん。
店に入るとヨボヨボなバーサンが出てきてアタシの差し出したメモを受け取った。
ここ、マジでハーブ屋かよ?
カウンターには気味悪い、ヘビとかヤモリの漬けたのとか瓶詰にされてる。
「ハイハイ、ただ今・・・そこに座って待ってな、オメー!」
「ちょ!横柄だな!ババァ!」
「アァ!?誰にもの云ってんだい!あたしゃロジャー船長御用達のウィッチ・ドクターだ!
まだオタマジャクシだった様な小娘がエラソーにほざいてんじゃねーよ!」
「生々しいなオイ!チッ、いいからとっと出してくれやがれ、待ってっから!」
アタシは先輩のお使いに来てんだからな、待たすワケにいかねーんだっつの!
暫くすっと、こんな寂れた店にまた客が入って来た。
___ん? どっかで見たような・・・?
「バーさん、フィバーフューを頼む・・・。」
「あいよ、そこにソコに座って待ってな、小僧!」
小僧って!!まー推定100は超えてるんじゃねーか?と思われる皺クチャババァだ。
アタシより大人であろう、仮面野郎なんざ小僧に過ぎないんだろう。
しかし・・・どこで見たかな???
「・・・お前、L・ロゼッタと一緒にいた・・・!」
「ハ?ナニロゼッタ?」
「以前、お前が酒場で追い掛けた女だ・・・。」
「アンジーいや、アンジェラス先輩っすか?あ、お知り合いで?」
やべェ!先輩の知り合いかよ!!
ビシ!と姿勢を正し立ちあがるとアタマ45度にした。
「ハートの海賊団の新参モノ、ハルトと申しあげるです!お見知りおきを!」
「アンジェラス・・・それが本名か・・・!?良い名だ、彼女に相応しい・・・!」
ん?知り合いのクセに名前知らんとか?
けどまぁ、この、どことなくアメリカンな仮面の男は先輩に対して好意的な
言い方してるんで敵ではなさそうだと弱冠安心はした。
「新入りか・・・、普段の彼女はどんなカンジだ?」
「え、先輩っスか?
どんなって聞かれてもナー・・・。んー・・・あんま思いつかないけど、案外ヤクザっすね!」
この三日での感想はそれに尽きる。
二日目の夜、船長のルス中に船に忍び込んだ賞金首狙いの奴らを
≪Divine judgment≫って呟きでポン刀を振りかざしたと思ったら
そこにいたクルー含む全員を丸コゲにしちゃってペンギンアニキにキレられてた。
「__ソーなんすよ、先輩イワく『だって・・・面倒だったから・・・ダメだったか?』って、
またアノ仕草で首をコキン!と曲げるモンだからモー、誰も怒れるワケねーし!ってワケで;」
「・・・解るぞ、俺でもダダ許しだ・・・!」
「でっしょーw」
その時、勢いよくカウベルが鳴る、乱暴にドアが開いたせいで
ババァがイラっとした目付で訪問者を睨んでやがった。
「オイ、キラー!まだか!」
「ア!!」
「落ち着け、キッド。もうじきだ。」
おおお!コイツは知ってる!!
てか・・・なんか、前よりずっとヤサグレてね?腕、そんなゴツかったけか?
あ、じゃぁ! どっかで見たと思った、このアメリカン仮面は仲間だったか!
ポン!とひとり拳を掌で叩いてたら、そうユースタス屋!が、アタシに目を止めた。
「___お前は・・・」
「ああ、トラファルガーんとこの新人だそうだ・・・。」
「ハルトっす、夜露死苦!」
仮面くんとはなんか気が合いそうだが、ちょっとこの野郎はどうかと。
やたら唇赤いし、如何にも先輩が嫌いそうなタイプだしな。
「オイ、お前。前にも思ったんだが、アイツなんであんなにハゲに厳しいんだ?」
「あ~、先輩はなぜか”ハゲは大罪”と思ってるフシが・・・。」
「・・・・!!!」
何を思ったか、仮面くんは急に立ち上がり
フィバーフューとやらが出てくるのをソワソワ待ちだした。
「そういや前って・・・一体ナニが?」
「あぁ、どっかの飲み屋でお前ントコとたまたまかち合った時だ。
身内に絡んで来たハゲ野郎をアノ調子でトコトン小馬鹿にした挙句・・・。」
ニヤニヤしたまま、うちの船長はその様子をずっと眺めていたらしいが
相手が本気になり出すと彼女の肩をグイと引き寄せこう云ったとか。
”この女を・・・どう許さねェツモリだ? 生きたまんま名を上げたきゃヨソを当たれ。”
”テメーは・・・! クソ!ん!?わァ!痛えええ!?”
”育毛促進のツボだ、サービスしとく。ボーボーになるといいな”
”チクショー! おい、誰かコレ抜いてくれェ!!”
「・・・何処までもムゴたらしい女だぜ。
いつの間にかヤツの後ろハゲ頭に三本、でけェ針が突き刺さってた。」
針・・・!そか、先輩の副業は鍼師だ。確かにそれは恨みとか持ってそうだな!
それにしても、ロー船長カッコ良すぎじゃね???
あー・・・早く帰ってこねーかなぁ・・・。
ガラゴロ!!!
乱暴っちゅードコロじゃねェ、ドアが殆ど破壊されちまってた。
「 「 「 !? 」 」 」
ぬぅ!と埃を纏い入って来たのはこれまた見るからに海賊で。
あらら、なんてタイムリーw 今丁度、ハゲの話してたっつーの!
「オイ!ババァ!このフィバーフュー、全然効かネェじゃねぇか!一体イツ生えてくるんだ!」
「ハーブ使って三日如きでフッサフサになったらアタシゃ今頃、大金持ちじゃボケ!」
「アァ!?ダレがボケじゃ!クソばば!!」
バーサンが危ない!
カウンター越しに首根っこ掴まれてブランブランしてる。
「オイ、テメー!文句云うなら順番待てや!ゴルァ!!」
「あ・・・!?だれだお前?」
「関東レディースチーム
ドン!! ・・・だろ、ここで!
「 「「 イヤ、よく解らん; 」」 」
「う、うっせェ!とにかくBBAを放せよ!こっちは急いでんだから!!」
し、しまった、ツイいつものクセが出ちまった;
んがしかし、コレ以上長引いたら先輩に申し訳が・・・!
『 スゴイ埃っぽいな・・・酷い 』
「 「「 ・・・・!! 」」 」
なんて思ってたソバからアンジー先輩が黒いスカーフを口元に巻きながら入ってきたではないか。
無表情にこの様子を見渡したあと、彼女がハゲにロックオンしたのは言うまでもない。
目立ち過ぎるあの2人を差し置いてだ・・・スルースキル高ッ・・・。
「せ、先輩、すませんっ!!」
『 帰りが遅いと思ったら・・・遊ぶ相手を選べ、ヨリによってあんなハゲ散らかしゴリラと 』
センパイィイイイ! 始まった。ぐいぐい来たよ、ハゲイジリが・・・!
「オイイ!黙って聞いてりゃ俺がナニ散らかしてるだと!? アア゛!?」
『いあ、そうは言ってない。
ズルムケ・ゴリマッチョだけどまァ、いろいろダメそうな男と・・・アレ?いつの間に?」
自分で言っててもう訳わかんなくなったとか、どんだけ云いたいコト・ギフトセットだよ。
傾げた首、???がアタマの上に並んどる;
「なんか更にヒドくなってなくね!!? そのまァ、いろいろダメそうっての何!?」
『 お年寄りイジメする以外、"何の役にも立ちませんから"的なオーラが出てる。ほら・・・ 』
「え・・・・!?」
『 そこの・・・てっぺんから。 』
「指さすな!! そこは触れちゃいけないトコ!! フツー、誰もが避けて通るっつーんだよ!!」
カンカンになってるハゲ男と、小汗かいてるキッド、仮面くんはジっとヤツを見てるぽい。
我先輩だけはまだヘーゼンとハゲ頭を指さしてる。
「オネーちゃん・・・、云いたい事云ってくれたなぁ?
男がみんな、女に手ェあげないとでも思ってんのかい!?」
ヤツはストンと手からババアを放し、ゆっくり先輩の方へ・・・!
ギュイーン!!
ヤツが動き出すと仮面くんがその手の刃を回転させるが人の気配に振り向いてる。
「 「「 !! 」」 」
「じゃァ・・・、上げて見たらどうだ? 俺の目の前で・・・!」
「ァ・・・!」
ココぉ~!!! ココでドン!!!だわな!!
眼光鋭いまま、へらりと笑って店に入って来た男は。
お馴染な風貌の”ワンピイチ、イケてる”(アタシ的にココ重要)死の外科医だ~!!
「せ・・・!ロー船長!!」
「「 「 トラファルガー・・・! 」」」
案外背が高いんだなぁ・・・、ドキ!今、アタシをチラっと見た!
『 お帰り、キャプテン 』
「フ、珍しいコト云うじゃねぇか・・・?」
チッ!と舌打つ音が3ツ鳴ったかと思えば、ずっと振り向かない先輩が左腕を揚げる。
小指だけを立てた・・・?すると、ザッ!いきなり船長が抜刀しだしたのだ。
キン・・・!先輩の、あまり色気のないピンキーリングが音を立てて転がり落ちた。
・・・チン!静かに船長が刃を納めたと同時に
先輩はハゲ男にコツコツ、ゆっくり近づきながらスカーフを外してる。
「な、なんだよ!色仕掛けでも・・・ウぐ!!!!」
「 「「 !? 」」 」
あッ? 今一体何したんだ?
先輩を見降ろしてたヤツは急に胸を鷲掴み、ドスグロくした顔を歪めだした。
ガクガクと体を痙攣させて口から泡・・・!??
「行くぞ」
「へ、・・・あ、ハイっ!」
ロー船長は踵を返し、アタシは慌ててその後ろ姿を追って行く。
『 ・・・あ!しまった、ゴメン 』
先輩の声が背後で聞こえたが振り向くともう追いついてきてた。
何を謝ってたんだろ?
それにピンで止めていた髪を降ろしちゃって、あの魅惑の瞳がすっかり隠れてしまってる。
片腕には注文してたハーブをぶら下げ、後ろから船長のシャツをツンツン引っ張てた。
「問題あるか・・・?ほっときゃいい。」
___え?
船長の独り言のイミに首を傾げちまう。
『 ハルト。紹介するまでもないだろうけど、コレがアクド過ぎて有名なウチの船長だ 』
「説明がヘンだろ・・・!」
「ハ・・・ハルトっす!どうぞ末長くよろしゅうに!!!」
「あァ、まぁ仕方ネェ・・・。ヨロシクな。」
____その頃、ハーブ・ショップに取り残された約2名は。
「クソ!あの女・・・!ハァハァ・・・ちょっとだけ許さネェ!!いいか!?ちょっとダケだからな↑?」
「当たり前だ・・・!だがキッド・・・俺ならマルっと許す!!! イイ、L・ロゼッタ・・・❤ ハァハァ」
顔を真っ赤にして床に膝を付き、
胸を片手で押えては息を荒げたまま悪態?をついていたと云う・・・。
+ end +
後半の、細部のナゾは本編読んで貰えると解るかと。
※こんなん読んでるヒトいるのかなと不安w
果たして続けていーのだろーかwww
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愛ある海賊生活④
「ビーフ・シチューだと・・・?!俺にパンでも食わせる気か・・・!?」
『 ・・・了解 』
帰ってきて、夕食のメニューを聞いたロー船長はピキ怒って先輩にそう云った。
彼女は特に文句も言わず、厨房めざして歩いてく。
エー?意外だー! もしかしてベジタリアン・・・いあ、ご飯派かぁwww
まー、確かに米ガツガツ食ってるほうが男らしいっちゃー男らしいもんな!
アタシはニク食えればどっちでもイイけど。
ここの海賊はコック以外、全員でご飯を食べる。
その夕食時、クルミ入りのパンとメインのビーフシチューが配られたんだが・・・。
船長のだけ、遅れて出てきたんだ___
それを見た時の、心中察することが出来ない顔ときたら!
「・・・・・・・・・・!!」
かなりの衝撃を受けたのは間違いない。
ベポが持ってきた皿の上には・・・、
様々なポーズでワラワラと戯れるベビーパンダのおにぎり!??
殆どキャラ弁ワールドじゃねぇッスかぁあああ!?
ちょーカワイイ・・・!!! てかもうあれ、一皿のアートだわ!!!
「キャプテン、これアンジーが作ったんだよ!」
「・・・・・・・、中身はなんだ。」
「シャケ、ツナマヨ、明太子、こんぶにオカカだって。」
「・・・・・・・ならいい。」
せ、センパイが!?めっちゃ芸が細けぇ!!
アスパラガス細工の竹とか!アンタどんだけ器用なんだぃ!!?
バクバクとそれを次々、頬張りだした船長。ビーフシチューそっちのけじゃん・・・;
あ、でも。ちゃんと最後にはメインであるそれは食ってた。
ん・・・!?
船長が食い終わって席を立って行った後、皿を下げに来たアンジー先輩が
皿の上に残った、たった一個の子パンダを黙視して・・・チッ!と舌打ちカマした!?
『 気付かれたか 』
一体ナニを盛ったぁああ!??
似合わなさスグるから、そーゆーのダメ!!アンタほどの美少女が!;
てゆーか、自分トコのせんちょーだろ!?お、恐ろしい・・・センパイに逆らうことなかれ。
「センパーイ、お邪魔しやがっていいすか!?」
下っ端としての激務を終えたアタシはそんなコトすっかり忘れて、先輩の部屋をノックしてた。
女部屋のお風呂を使っていいと云われてるので、すっかりソレに甘えていたのだ。
『 おつかれ。いいぞ、入って 』
ガチャ、とドアを開けてくれた先輩もたった今フロから上ったとこらしい。
テレビなんかで良く流れる、
”ワーォ♪”って云うエッチな効果音が聞こえても良さそうなイデタチw
バスタオル一枚身に纏い、濡れ髪をタオルで巻きあげてた後ろ姿。
いつも見とれちまう、あの肩から細ェ腰にまで流れる様な・・・彼岸花そっくりの花模様。
最初はかなりビビったが、俗に云う”モンモン”ではなくアザなのだそうだ。
どうやったら、あんなキレイなアザになるんだ・・・・?
『 サイズが合えばいいが・・・新品じゃ、そんなものしかなくてな 』
「・・・・・・・・・!」
フロから上がると、先輩が着換えを用意してくれていた。
だが毎回、その着換えの下着とか寝巻的なものに関しちゃ・・・なんてゆーか・・・。
そのソレを手にするまで・・・ドキドキ、ハラハラするっちゅーか・・・。
身ヒトツで来たもんだからアタシには特攻服しかなかったわけで、
贅沢言える身分じゃない事位、解ってはいるんだが。
昨日はかされたのはタンガだったな。おかげさんで今日は何か一日もぞ痒かった。
(今日は何だ、エエイ、バッチコイだ!)
覚悟を決め、折り畳まれたパジャマの上に置かれたぱんつを手に取り、バッと広げた・・・!
アレッ・・・案外フツーだな、今日のは。とか思いつつ足を通し、はいて見た。
鏡を見て後ろ姿に絶句する。
(オィイイイ!ケツワレがスッケ透けじゃねえかぁあああ!!!?)
ゴーン!!
ある意味、タンガとタメ張れるぐらいイヤラシイ; なんでこのセレクト!?
「いあー・・・大丈夫ッスー。ゼンゼン問題ないッスよぉ・・・。」
センパイがアタシ如きに気を使われておられるのだ、言えねーよ;
チョット小さいカモとか、このエロ下着は一体ダレの趣味だゴルァ!とか(忍)
『 私も体1つ来たからな。お陰でローが好みじゃ無い物を色々買って来るんで困ってた 』
エエエ!!ってコトは、
今までアタシに提供されたイヤラシすぐる下着は・・・まさかの船長セレクト!?
『 ぱんつでさえ、あのマークを入れさせるんだ・・・着る気がしない 』
ナニ・・・・!?
アッ・・・、確かに!良く見ると、腿近くにウチの旗印がプリントされてる・・・!
そうとなれば、ハナシはベツだ。アタシはもうココの一員になったンだからな!
「そういやセンパイ、マークの着いた服とか着たの見たことないっスね。」
『 身に付けるとすればワッチぐらいだな・・・ハルト、服は自分で選べばいい 』
「え!?」
『 明日着る服だ、好きなのをいくつか持って行け 』
あ、特攻服が汚れてきたからか。
アタシがパジャマを着て出てくれば、センパイは壁一面のクローゼットを開け放つ。
恐る恐る覗けば、ロー船長が買って来たであろう服はだいたいの見当が付いた。
ゴシック・パンク調のセクシー&キュートが好みか。ミニワンピが多いな;
さすがにアレはキャラ的に無理だ。無難に、サロペやシャツを借りといた。
「あれ、これってまだ一回も着てないんじゃ・・・?」
『 ぱんつならまだいい、よく見ろ 』
「アウ!ホントだ!見過ごすとこだった!!」
どこかしらにウチのマークがさりげなーく、入ってんだもんな。
どんだけ彼女に印を着けときたいんじゃ、船長・・・・。
______
「・・・・・・・・・それ、アイツのか。」
「あ、おはようございます!ハイ、先輩からお借りしてるです!」
翌朝、アンジェラスの服を着て朝の甲板掃除をしてるハルトに声を掛けた。
アイツめ、がんとしてウチのマークを背負う気がないらしい。
「お前。スキでそれを選んだのか?」
「え・・・、そりゃもう!だってこれー、ウチのマーク入りじゃないっすかー。デヘヘ」
他の船員はだいだいそうだ。だがアイツは・・・
心はまだ____赤髪ンとこに残してやがるんだ
「せ、船長?」
背中で聞いたハルトの声も霞む。
何とも思わねェと云えば嘘になる。
腹が立つと云うより・・・・認めたくない気持ちが俺に溜息をつかせた。
女々しいこった、そんな事はアイツを攫って来た時から覚悟してた筈だ。
薄い感情で有りながらアンジェラスは俺を憎んでいるんだ___
2度目の破損を招いた俺を・・・。
その命を掬い拾った後も、海軍を寄せ付けない為に外部への連絡を一切禁じてる。
本人も火の子を被らせまいと俺達を気遣い、そこは我慢しているんだろう。
昨夜の握り飯だってそうだ・・・俺が死ぬほどアレが嫌いだと知っていながら
”梅干し”を仕込んでやがった・・・・!!!
『 ロー 』
「・・・! なんだ。」
不意に現れたアンジェラスは俺の買って来た黒のゴシックパンク調のミニ、
それに合わせたタイツ、ブーツを履いてる。着替えてきて出かけるツモリか・・・?
『 ハルトを連れて買い物に行く。少し抜けてもいいか 』
「・・・何を買う気だ。」
『 身の回りのものだ。間にあわせるにも限度があるだろ 』
「・・・・・・そうか。じゃぁ、アイツにも用意させとけ。」
女の買い物に付き合うガラでもねぇが、女2人だけで出すと云うのもアレだ。
それに下っ端如きのことでアイツに金を出させる訳にも行かねェしな・・・。
手短に済ます事を条件にベポと云う荷物係を連れて4人で街へ出た。
「なんかスマセン、いろいろ買って貰っちゃって・・・。」
「しれている、気にすンな。」
ハルトは特に体型にも問題がないお陰で店をあちこち回らずに済んだ。
腹も減った事だし、少し早い目のランチを取ろうとオープンカフェに立ち寄る。
「トロトロ・オムライスのLっす!」
『 同じく 』
「おれ、ハンバーグプレート!」
「じゃぁ・・・トロトロ・オムライスのL1つ、M2つ、ハンバーグプレートを頼む。」
「エ・・・!」
パン!と無慈悲にメニューを閉じ、店員を行かせた。
「ハルトはLを食え。アンジェラと俺はMだ。」
「エー、そんなぁ・・・!アタシの買い物でお金使いすぎちゃったとか???;」
「違う!・・・アンジェラ、理由は解ってんだろ・・・?」
『 カロリーオーバーなのか? 』
彼女を見遣ると首だけを傾げてる。俺はまた溜息だ。
構わねェ、どうせ憎まれついでだしな。
「お前の体に必要なホルモン・バランスは普通の人とは違う。
正確なデータを取るのに、出来れば血糖値や他の数値も同じに保って貰わねェと困る。」
「な、なんだかセンパイの体って小難しくできてんですね;」
毎朝の診察で食べたものをイチイチ白状させてるのはそれも理由の1つ。
アドレナリンだけが必要だって訳じゃねぇんだ。
『 たまにはお腹いっぱい食べたい 』
「我慢しろ」
「でもキャプテン、朝ごは」
「うるせェ・・・!黙ってろ。」
ベポが余計な事を云う前に遮っといた。そして俺はまた
アイツの”あのトラップ”に引っかからない様、腕を組み目を閉じて置く事も忘れない。
「お待たせ致しました。」
「ワーイ! イタダキまーす!」
ウェイトレスがやっと全員の食事を運んでくると3人共がガツつくのに対し、
アイツはお祈り中でまだスプーンにも手を出していない。
こんなアンジェラスを見ていると、ミホークの教育の仕方をいつも謎に思う・・・。
「オイ!テメェ!虫が入ってんじゃねーか!!責任者呼んで来い!!」
それは、俺達が完食し、猫舌の彼女がやっと半分を食べた頃だった。
見たくれで解る、どこかの古臭い海賊の風体の男達。
呼ばれた店長らしき男が、あり得ないデカさの虫を突き付けられてボコられ始めた。
金ぐらい持ってやがるだろうに。アソビのつもりか?・・・下衆め。
「オイオイ! あんな虫、皿に入ンのかよ!?」
『 ・・・・・・・・・・ 』
「・・・・、!!?」
食事の手を止めたアンジェラスの左手を見ていた俺に衝撃が走る。
テーブルから落ちた右手が俺の左手をギュ・・・!と握ったのだ。
彼女がする、その行為の意味を知っていたが・・・俺が選ばれたのか・・・!?
迷わず、その小さな手に指を通して握り返したのは言うまでもない。
「≪ROOM・・・!≫ お前、そこから出ろ・・・!」
「ひィッ!」
「・・・・・なんだ?この膜・・・・!?」
「ウアアアッ!?」
俺は空いた右手を浮かすとその場で空間を作った、ベポが刀を用意する。
店長を逃がすのも、座ったまま一閃を放つのも、
分解した奴らを端っこのプランターと入れ替えるのも右手だけで十分だ・・・・!
「今、一体何が・・・!? とにかく、有難うございましたァアア・・・!」
そいつらはショックだったのか絶句し、他の客は悲鳴を上げて一斉に逃げた。
ハルトはあんぐり口を開けたまま呑もうとしてたコップの水を膝に零し続けてる。
覗き見るウェイトレス達、・・・・店長は腰を抜かしつつも大声で礼を云ってた。
「アンジェラ、ゆっくりでいいから残さず食べろ。言っとくがオヤツはねェんだからな。」
『 外食するといつもこうだ・・・・ 』
「フ、贅沢いってんじゃねぇ。」
俺は頬杖をついて、無表情の中にも微妙にスネたかの様な眼の色を見せる
彼女のその手を何気にテーブルの上に置いてやってた。
あの時・・・、アンジェラスには迷いがあったんだ。
こんな場所で、旗印も背負わない自分が俺達を巻き込んで良いものかと。
そして、それが軽いストレスを覚えさせ・・・思わず俺の手を握った。
___その方法を彼女に教えたのはあの男だ。
”ストレスを少しでも感じたなら___俺がいない時でも誰か、一番信用できそうなヤツの手を
握るんだ。その手をちゃんと握り返す様なヤツなら、ソイツはお前を裏切りはしねェ・・・!”
ロロノア・ゾロの手を握っていたのもそう。
聞けば、あの時は逆にゾロ屋を心配して彼女がソレをやった様だ。
『 なぁ、ロー? 』
「ん」
『 たまには梅干し、食べないとダメだ。疲労回復にはいいんだからな 』
「・・・・・・・・・、あァ。」
その帰り道、隣でそう言い俺を見上げてるアンジェラス。
人知れず深刻すぎた己の被害妄想を鼻で笑っていた・・・。
その夜_______ダレもいなくなった食堂で。
「オエェエエエエ!!!」
と、船長の悲鳴に似た叫びが聞こえたとか・・・・。
+end+
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愛ある海賊生活⑤
『 まったく・・・治療するたんびに傷が増えて行くな 』
「・・・・・・・・・気のせいだ」
貫通した弾の後・・・、背中のタトゥに余計ハクが着いてしまう。
何があったかなんて聞くだけ無駄だ。
昼下がりの午後、カモメの声が時々聞こえる位の静穏な海の上
潜水艦らしからぬ船医室にて、
診察台に全裸で寝そべる男の後ろ姿にただ黙々と鍼を刺して行くだけなのだ。
____”次の島に着く迄に鍼を打ってくれ”
ローがそう云いだす事は何も珍しい事じゃない。
かと云っていつも、触診すればドコが悪いと云う訳でもないのだが・・・。
『 電気を通す、暫くそのままに 』
「あァ・・・。」
疲労回復程度に頭から足まで、全身に鍼を打ち終えた。
タイマースイッチを入れてから形だけのカルテに記入する。
「コレが終わったら次はお前の番だ___」
『 ? ・・・・・・朝の検診は受けただろ 』
「特殊ファンデを塗る・・・アザを隠さねェとな・・・・。」
・・・・私も連れて行く気か?どうせ泳げないのに。
アザを隠すのは水着を着る時、そして露肩の服が用意されている時だ。
ペンギンとシャチがさっき、妙に浮かれていたのは知ってる。
ローがまた気紛れでリゾートホテルの予約をしたとかしないとか。
『 誰か見張りをつけた方がいいんじゃないのか 』
何より不安があるのは、そのファンデを塗る”作業中の事故”だ。
悪魔の実のデメリットがこんな形で姿を現すとは2人とも思いもよらなかった訳だが。
「息を止めてりゃ大丈夫だろう」
『 止めてられるのか?腰まであるんだぞ 』
暫くしてタイマーが終わり、鍼を抜かなきゃならなくなった。
あと頭部分だけ抜こうかという頃にはもうタオルを腰に巻き台から足を降ろしてる。
寝ていてくれた方がラクに取れると云うのに・・・。
手にしてたトレイを置くと「座れ」と促す。
彼に背中を向けて座るとミニワンピのジッパーを降ろし、背中のホックを外した。
髪を左側に寄せさせ、小瓶を手に取る。まずは鎖骨に伸びるツタから消すらしい。
そして肩に移動していく冷たい感触_____ふと思い出すのだ、あの時の事を
_______ 右肩後ろ、濃紺のシルクの上にツ・・・と滑り出した彼のヒトサシ指は
アザの花びらをなぞっている様だった
たった一度だけ見たものを服の上から・・・?私が知る限り、彼はとても正確になぞっていた。
顔を動かさないように視線を上げれば
首ヒトツ分以上、私より背が高いローの顔は左に傾いていて戸棚のガラスに映ってる。
変わらない私の表情を時々盗み見て、イタズラ書きでもするかに楽しそうだった。
【オレはお前の主治医であって敵じゃねえ・・・解るな?____ 】
忘れもしないあの一件で関わり、シャンクスがスカウトした臨時の船医・・・
あの頃のローは今よりももっと高慢で___、・・・!?
『 ロー!? や、め・・・ウ・・・! 』
云わんこっちゃない、性格上、丁寧に塗り過ぎて息が持たなかったのか?
それとも、息止めててもダメだったって事なのか???
肩甲骨辺りにある模様に、まるで齧り付くかの激しい”雄の行為”。
拙い、背中にぴったりと添う様に後ろに座られた・・・
あっという間に片方の腕が腰に回り切り、もう片方はがっちり左肩へ。逃げられない状態に。
「駄目だ、止まらねェ・・・・・・・・!」
『 ・・・・! 』
耳元で苦しげに云ったついでか、美味そうに耳まで食んで行く。
時々首筋に髭が擦れるのも手伝い、丸まりそうだった体をビク!と揺らしてしまった。
いよいよ拙い。
それがスイッチになったか、切なそうな息を吐きながらその行為を一層エスカレートさせる。
『 イ、ヤ・・・・・だっ!!! 』
「ツ・・・・・・・・!!」
キーンンンン!! 私の発したノイズが耳鳴りとなり、オカシクなったローの鼓膜を震わせた。
それが鳴り止むと、呼吸を整えながらお腹に巻いてた腕を肩に移し替え、首を抱いてる。
戻ったらしい・・・正常に。
「あと、少しだ・・・・!もう少しで塗り終わる・・・・!我慢しろ。」
『 出来るか!モー自分で塗る! 』
よくもヌケヌケとそんな事が云えたもんだ。ホント、微妙に天然だな・・・;
もう少し我慢したら今度は確実に押し倒されてアンナコト・コンナコトされるに決ってる。
だからローは・・・そんな意味も含めて、アザは絶対見せるな(特に異性)と云うんだ。
___________________________
サブリミナル効果みたいなものか___?
だが、前にも増してフェロモンが濃くなってやがる・・・・。
服を着た状態でも、女でさえドキドキさせられたってヤツが今ウチにいやがるんだ。
俺は何度もアイツのカラダを診てきてるが・・・・・・・。まァ・・・昔の話はさておき。
悪魔の実の能力がこんな形で出てこようとは・・・俺はとんでもない事をしたのかもな。
アンジェラスの体は隠語で云う所の”ハーブ”に値する。
さっきもそうだ、気が付いたらもうあの痣にむしゃぶり付いてた。
いや_______これはヤツの言葉のせいだ。
【あの痣に噛り付いた者は・・・あの男然り皆、完全にその毒にやられる】
若かりし日の俺は、その言葉に誘発・・・いや、だからもうその話は止めとこう。
とにかく、実を食わせる前からアイツにその要素が有り過ぎたのが原因と言わざるを得ない。
【 _________かの大剣豪が思わず手を引いて屋敷に連れ帰り、
あの大海賊がウッカリ船で連れて行こうとした、”魔性のロリータ”とはアイツの事だ 】
【それ・・・両方とも誘拐って云うンじゃねえのか?】
【まー、そうとも云う。】
そしてヤツは__当時、別の船に乗っていたアンジェラスを船長に賭けさせた・・・
彼女が任務遂行中だったとは知らずに___
『 ロー? 』
「・・・ぁ?」
『 着いたらどこか、娼館でも探して行った方がいいんじゃないのか 』
「・・・・・!!!?」
____何を言い出すかと思えば!!! あまりの衝撃で言葉を失った。
俺の腕からスルリと抜けて、アンジェラスは服を整えるとドアに立つのだ。
『 ツラそうだしな、___ソレ 』
俺の顔も見ず、人差し指を2度↓に向けてから出て行きやがった。
____ ハッ・・・・!
あぁ、ソレって俺のコレか・・・チッ、光栄に思え、女名利に尽きるってな。
たったアレしきの行為でこの俺を・・・・! 全く・・・ムカツク女だぜ。
フフ、だがアンジェラ。
右胸から波打つ鼓動がイヤに弾んでたじゃねーか・・・・?
お前にアレさえあれば___俺には、なんの罪悪感も無くなるだろうにな__。
______________
「お、アンジー!いいとこに来たな!」
・・・と、甲板に出て来たアンジェラに声を掛けたのはいいが。
(何だ、シャチ。私はたった今、ローにえっちサレ掛って機嫌が宜しくない。)
「エーーーーーーッ!?? マジか___!!!?」
『 まだ何も云ってないだろ 』
「いや・・・すまん、お前の目がナンカ、危ないコトを俺に訴えてた気がしたから;」
気のせいか・・・・。俺は最近になってようやく彼女の目の表情を読めるようになってた。
仲間内ではベポでもまだそれが出来ないらしく、俺にとってはちょっと自慢だったのに。
「ア・・・、いやあのな。今、下に行商が来てんだ。お前もなんか買うかなーっと思ってさ。」
『 こんな海域にも来るのか 』
「ごく稀だから云うんだって!ハルトも行って見てるぞ?」
『 ・・・・解った 』
そう言って彼女はハシゴを降りて行った。
確かにこの海域での小船で商売しに来るなんてのは命がけだ。
だけど彼らはそれでもやって来る。
アンジェラの事だ___あまり欲しく無い物でもお買い上げするだろうな。
アイツのイイトコって云うのはそう云う所で
行商が、例え遊郭の女を連れて来ても彼女はけして悪くは言わない。
” ご苦労様___、行儀の悪かったクルーがいたら私に言ってくれ。アトでブッコロス ”
船に上げた女達にそう声を掛けるぐらいなんだからな・・・。 ブルッ
マァ・・・戦闘用クローンなんて言う割には案外優しい。
「行商か・・・。」
「あ、今下に___』
「・・・・・あぁ。」
そんなタイミングで現れる船長。特に変わった様子はないものの
さっきの”読み”が気になって俺は慌てなくてもいいのに、後に着いて行った。
丸い救命用の大き目のボートに群がる小舟。
買い手にお目当てのものが無ければ諦めて去って行く。
『 ハルト、いいじゃないかソレ 』
「ウーン、でも自分、こんなん着た事ないしー・・・。」
パレオ付きの水着を手にとるハルト。確かに似合いそうだ。
ん・・・・?
船長が降りて行った途端、行商達が何か現地語で言い合い何隻が近づいた。
「え!?女ァ!??」
初めて見る光景にハルトが素っ頓狂な声を上げる。
あまりキレイとは言えない小舟のそれぞれには着飾った女が1人ずつ乗せられてた。
『 ハルト。こう云う時、女は黙ってこうしとくんだ 』
「は!?エ?こうっスか!?」
両手を前に突き出しハルトの目を隠すアンジェラ、ハルトも同じマネをしてる;
露骨にイラっとした視線で互いに目を隠し合った彼女らを横目に見てる船長。
アンジー・・・・?言いたいコトは解るけどさぁ・・・・。
「_____________ 。」
「ヒ!!!?」
刀を抜いた?と思いきや、ソコに居た行商の舟をブった斬った船長オォ__!!?
女達の乗った小舟は現地語の悲鳴を上げ、他の舟に慌てて泳いで行ってる。
「___それは侮辱か?
俺は海賊だぞ__ましてガキでもねェ。金で買えるもンに興味はねェんだよ・・・!」
せ、船長!!! か・・・・カッケェエエエよ!!
ア・・・、じゃ、俺も反省しなきゃ; ←買った事のある人。
「奪えるものは何でも奪う・・・!」
「・・・・・・!?」
今・・・納刀しながら戻ろうとする船長は
少し歩を止め、アンジェラを悪党丸出しの悪い
アイツは今ハルトとあんな感じなんで、気付かなかっただろうけど・・・。
「お前らの世話にはならねェよ・・・!・・・・シャチ」
「ラ、ラジャー!」
そして背後に居る俺の名を呼んだ。追い払えと云う事だ。
俺はその意を酌み、ゼスチャー込みで奴らを追っ払った。
”ナニが気に障ったんだ?”
”アンジー、仕方ねぇ。奴ら、船長のキゲンを損ねたんだからな。”
アー;そりゃシャーねェわな。
こっそり声を飛ばして来た彼女には一応言ったがコイツには多分、理解しがたいだろう。
船長は・・・・かなり、本気だってな・・・・。
+ end +
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愛ある海賊生活⑥
「おおおおおお!!?」
___夢かっ?これは!?
うぁーーーこれは凄い・・・・・。
船長がたまに気紛れを起こして
陸のホテルを予約することがあるって、シャチ兄ィが云ってたが・・・。
洗練された黒くて薄い石畳、そしてキャンドルがゆらり足場を照らしてる。
エントランスまで続くそれは道以外の浅い水面に反射されてすげぇキレイだぁ~・・・。
ちゅ~~か!!!ココってリゾートホテルじゃん!! うちらカナリ場違いじゃね???
服装なんて船長とセンパイ、そしてアタシ以外、みんなツナギだからネ!?
”お客様、ドレスダウンにもホドがありやがりますので・・・・”なんて、追い払われないか!?
「いらっしゃいませ____お待ちしておりました。」
「あァ・・・。」
「???」
相手の女は意外と若い。
優雅な立ち振る舞いで一礼をすると船長を見て恥じらう笑みを浮かべた。
え?センチョ?そのカンジってもしや知り合い???
「大変差し出がましゅうございますが、
ほんの一時ご職業をお忘れになって心ゆくまで御寛ぎ頂けましたら幸いでございます。」
「・・・あァ。そのツモリだ。」
「ありがとうございます、ではお部屋の方にご案内を・・・。」
部屋は3つ、全部大部屋を取ってあるらしい。
「 ・・・・・!? 」
フツー、女は女同士かと思われたが・・・船長から渡された部屋割表には気のせいか、悪意が!!?
【501号室・俺、アンジェラ、ハルト。他・自由】
ちょ、いい加減すぎますぜ、センチョー!? 他は好きにしろやってか!
てか、もうコレ部屋割表でもなんでもね~よ;タダのメモにすぎん・・・。
案内される船長の後ろで、コソっと彼女に聞いて見る。
「せ、センパイ、コレって・・・・・!」
『 自分の身を守るコトだけを考えるんだ 』
「まさか・・・・!ハーレムってことッスか!?」
『 忠告しとく、夜の酒は控えることだ・・・ 』
って、センパイ!?アンタこんな状況に慣れちゃってるカンジ!???
そう云う彼女の細い背中、なんだか戦場に向かう様な緊張感があるんだし!ハルト、コワイ!
待ってくれ・・・・まさかの3《ピー♪》(←イミねェ隠し音;)
とか、そんな初体験なんてエロすぎだろ!!
どっかのオマセな携帯小説かっての!マァ、一対一ならイイとしてだな・・・。(ドキドキ❤)
「こちら、オーシャンビューになってございます・・・、どうぞ」
女の声にハッとなる。
おー・・・部屋もすげェ。。。
プールあるどころか、その中央にバー!?ほんで屋根の下にフカフカそうなマットの休憩場!?
どんだけバブリーなお部屋なんだい!?
バスはなんでだか壁がガラスだし、花が浮いてっし・・・・
ベッドは天蓋ついてて・・・キングサイズどころじゃね~し!!!;
大体、ひっつきすぐるだろコレェエエエ@@
『 どうしたハルト、鼻から血が出てる 』
「ゴフッ・・・いあ、ナンカあつくて・・・・;」
2泊3日・・・・どうか、ハッピーなままであります様に・・・・・・・!!!;
_____________________
ハルトの具合が悪い?
青くなったと思ったら、目はぐるぐる、顔を真っ赤にしたりして。
「カット・フルーツとショコラはこちらに。後でお飲み物をお持ち致します」
そう言って女将?は腰を深く折ってから部屋を出て行った。
「アンジェラ、俺はちょっと出かける。お前はシャチ達と行動しろ。」
『 ああ、そうしよう 』
よくこんな宿が取れたなとは思ったんだ。
あの若過ぎる女将に昔、恩を売って以来の仲だそうだ。
まぁ・・・彼らしい。そう言い残すとまた出て行った。
ドアのすぐ傍にはまだ気配が残ってる。待っていたのだろう。
女はローに好意の眼差しを向けており、それは最初の笑みでピンときた。
”ほんの一時ご職業をお忘れになって”とは・・・また苦しい言い方を・・・・・。
つまり、海賊って事を此処では忘れて、大人しーく過ごしなさいってコトだ。
そして場の雰囲気を壊さぬ様、適当にドレスアップしとけと貸衣装まで用意されている。
これだけクオリティ高いホテルだ。ツナギなどでウロつかれちゃ流石にな;
女将の一存だけでは従業員や客も納得すまい・・・。
____コンコン!
『 お入り 』
「アレ___船長は?」
『 あぁ。ここの女将と密会しに行った。シャチ、ここだけの話だぞ 』
ひょっこりドアから現れたシャチ。シャワーを浴びて来たかにサッパリしてる。
彼は女将の言った事をどう読んだかは謎だがチノパンとシャツを選んで着てた。
「てか、お前にバレてんじゃ、密会と言えるのかァ?ソレ;」
ウェルカムフルーツのキウイをツマミながら私は頷く。
彼は同じソファーに腰掛けるとモンキーバナナを剥いて頬張りだした。
『 まーそう云う事だ、だから島に着くまでに鍼を打たせたんじゃないか? 』
その後の情事を、私の”手”に悟られない為かな。
良く考えたらあの神経質だ、玄人ではソノ気になれないのかもしれない。
「せせせ、先輩、シャワーがダブルヘッドってコレ!」
『 ・・・・? 』
なにコーフンしてるんだ・・・; 一応スウィートだろ、ココ・・・・。
そんなコト解説させんなよ?とばかりにシャチは肩をすくめてる。
「ま・・・お前はできるだけハルトとくっついとけよ。」
『 私に500でも賭けとくんだな 』
「ウグ!!!!」
『 これは私の分だ、山分けと行こうじゃないか 』
お金を出してそう云った途端、口に入れたブドウを喉に詰まらせてる。
ローが部屋割を決めた時点でクルー達のささやかな賭け事が始まったのは予想ずみで。
シャチにもたまには借金返済のチャンスを与えてやらねば。
この男、すこぶるギャンブルに弱いんだ。
________________
念の為のコトはしておいた___
俺の気持ちが負けて、どうなろうとイイ様に。
「なんのツモリだ・・・・?」
リゾートホテルの、プライベート・スパで。
彼女直々にマッサージを受けていた最中、妙な事になった。
背中を解してた手はいつの間にか女のやわ肌の感触にすり変わっている。
「・・・・・・お礼をさせて下さい・・・、お願い・・・・」
「・・・・・・。」
あれも縁と云えばそうだ。
どこの島だったか荒くれた海賊数人に路地裏で服をひん剥かれそうになってた。
義理もねェが、この女を助けたのは・・・以前、
アイツを傷着けた海賊を殺しても殺し足りなかった___怨念を蘇らせた所為だ。
そのアイツ、・・・・俺とアンジェラスと出会ったのは___色気もねぇ牢屋だった。
アイツも当時の仲間を庇って捕まり、その様はズブ濡れで脚に傷を負ってた。
傷の着いた場所といい、背中の汚れ具合、平手を食らったか紅くなった右の頬・・・
”だけどアニキ・・・足をケガさせたのはマズかったンじゃねえか?”
”うるせェ!コイツはアライブ・オンリー、生きてりゃ文句ねえのさ”
みっちりと張り付く服が体をいやらしく見せたんだろう・・・何があったか一目で解った。
衣服の乱れはない・・・・抵抗され、あれだけ出血させる傷を負わせて我に返ったか。
(もし私に何かあった時には・・・彼女を船に送り届けてくれないか)
見た事のない氷の様な薄い碧の目を向け、条件を飛ばして来た女に俺は疑問を抱いた。
心を読んだようにアイツは針一本で海楼石の錠を外し、自由になった俺は奴らを切り刻んだが・・・
(彼女はこういう事に慣れてないんだ)
更に興味が湧いた。”お前は慣れているのか?”と。
どう見たってアイツの方が年下だ・・・だが熱っぽい視線、幼い顔なのにどこか色香を纏ってた。
なかなか肝の据わった、変わった小娘だとは思っていたが
最年少の・・・世界政府公認の委託暗殺者だった過去を持ってるなんてな・・・・。
「う・・・・・・!」
「!?」
「誰か・・・・、別のお人でも・・・・?」
俺は泣きだした女の声にハッとなる。
確かにキモチは良いんだが・・・・、仕方ない。何だかソノ気にならねェんだから。
こんな特別サービスを受けておいて、うつ伏せのまま考え事している男は俺ぐらいだろう;
良く考えたら、まだ彼女の体も見てもいなかった。
「あァ・・・・、いなくはねェか・・・・。」
「・・・・・申し訳ございません・・・、出過ぎたマネを・・・・!!」
女はアレコレ頑張ってくれたが、それも相性ってもんだろう。
さっと身を整え、彼女は瞬く間に”ホテルの主”である女の顔に戻ったのだ。
『 ____ディナーの時間に間に合ったか 』
部屋に戻って来た俺に愛想なく、そう声を飛ばす後ろ姿。
背中のジッパーを鏡の前で上げてた所だ。
コイツは俺の情事に一切の興味を示さない。
以前、聞いた話によると赤髪や副船長が寄った港街には必ず女の影があり___
”女達だってソレが仕事だ___暫く私が彼らに触れさえしなければ良い事・・・・。”
俺はそう云うコイツを解っているからこそ__いつか、あの船から連れ出してやりたかった
自分の事はいつだって・・・二の次なンだからな。
「そういう事か・・・・・・。」
『 ________? 』
鏡越しに、不思議そうな眼で俺を見てるアンジェラス。たった今気が付いた。
似合い過ぎる、その露肩のシースルーのアオザイはライラック・カラー。
俺は無意識のうち、初めて会った時と同じ色の物を彼女に着せていたとは・・・。
「いや・・・・・・、・・・・・・・何が食いたい。」
ジッパーを上げきってやると、その後ろから遠慮なく首に抱きついた。
今は姿を消している、男にとっちゃ猛毒の華を___恨みながら。
『 ロー・・・? 』
自ら、そう云う行動に出た俺に彼女は悟ったんだ。___まだ読んでもいない。
一体俺は何処まで毒されたんだか・・・・。
『 ペキンダックだ、まだハルトは食べた事ないって・・・・あッ 』
そう云い掛けたアンジェラスが急に、俺の腕からモガくかに脱しようとしたのは
頭の隅っこでウッカリそう思っちまった所為か・・・・・・・!? 間が悪すぎる。
”シメがお前ならアトは何だって構わねェ”
ククッ、_______油断した・・・・・。
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愛ある海賊生活⑦
「_______________ ベポ? ちゃんと野菜も食わないとさー。」
「ペンギンだって肉系ばっか食べてるだろ!」
「ところでさァ、あの真ん中で踊ってるコ、さっきから俺と目が合うんだけど。」
「あんなかわいい子が? よくある勘違いだと思うよ?」
「いやいや、あの子ゼッタイ俺に気があるって。」
「「あーあるある。」」
「ちぇっ、あしらうなよなー・・・あッ、それ俺のカニ!」
色気のない俺達が待ち望んでいたディナーは
棟の真下にある野外レストランでのエスニック料理だった。
少し水が張ってある床の下、アチコチに大きなローソクの炎が揺らめき
さざ波の音に混じるBGMと踊り子のオネーチャン達が民族衣装で踊ってたりする様な?
正直な所、船長以外の男連中じゃ浮くってぐらい高級なレストランなんだろう。
だって何食べても美味いんだから。
「うまッ!!!!シャチ兄ィ!このペキンダックっての最高っすよ!!!!美味し!!!!」
「おぉ、そりゃ良かったな・・・・。」
「一度は着てみたかった」と云う青い、セクシーなチャイナドレスに身を包み
ハルトは俺に、”コレコレ!”と指差してはフィンガー・フードになってるソレにガツついてる。
ドレスが似合ってるんだからそれなりに振るまえよな。と、俺は言いたい;
まー・・・衣装は船長の”女の差別は良くない”的な、気遣いだろーと思われ。
そう遠くない過去で、クルー同士の諍いゴトを避ける術をあの人は身に付けたんだろう。
早い話、赤髪の船で___その時からアンジェラにツバ・・・イヤ、手・・・イヤイヤ、目をつけてたのか。
『 エビチリも凄く美味しいな・・・。隠し味はなんだろうか 』
「・・・ん?お前、作ったことあんの?」
『 W7で一時世話になってた船大工に作ってやって以来だな 』
「・・・・・・船大工?・・・・ガレーラか」
あ!!!バカお前!!!
船長が反応したじゃね~~か!!!
あの顔!!!待ってる、待ってるぞぉおぉお!?
アンジェラ!船長が、お前の口からそれ以上のコトを聞けるのをな!??
『 風の噂じゃ、今はG・Cの社長になったそうだが・・・懐かしいな 』
”考え事か?冷めると困る・・・ほら、アァ~ンして”
”ちょっと待て!! アァ~ンとか!!!どゅこでそんな破廉恥な事を覚えてきやがった!! ムグムグ”
”パウリー、食べるか怒るか赤くなるか、どれかにしないとダメだ ”
『____とか、云ったもんだ・・・・。』
シーン・・・・。ハルト以外のクルーは船長の様子を見るのが恐ろしくて目を反らさなかった。
イヤイヤイヤ!どーゆう経緯でそんな新婚さんゴッコみたいなシチュになってたんだよ!!?
「・・・・・・・・・・・・・・。」
横目に俺はチラッ・・・うああ!あのヒトは帽子の下、もう陰すぎて殆ど人相塗り潰されてるし!!?
エ、俺の見間違い?いや、でも・・・怒ってる?それとも憎悪!??アレじゃ読み取れね~~よ;
「つまり・・・・、一緒に住んでたってこと?」
煽るなよベポ・・・・頼むから。ツッコミ様によっちゃお前、首だけ船長室に飾られるからな。
『 一週間ほど世話になっただけだ。その時はいろいろあって、
CP9の連中にクスリを飲まされた上に催眠術でオカシクなってたんだ 』
「ナニ、そのヤバ気なお話は!!?センパイの過去ってどれほどディープなんスか;」
それを聞いたせいか、間もなく船長の顔の影も引いていた。(ホッ;)
大体いつも話をカットし過ぎるんだ、アンジェラは・・・・。
「ハルト、海賊の過去なんて大体はイビツなもんだ・・・コイツの場合、少々特殊だがな。」
船長がそう云うと説得力あんな、やっぱ。
特殊ちゃァ、そうだ。アンジェラスは政府機関を裏切って海賊になったんだし。
それでまだMISSINGでいられる方がキナ臭い。
聞けば、ベガパンクが彼女の存在に気付いたのはこの2、3年の事だと云うし、
それまで赤髪んとこに居た間は、海軍を通して政府だけが探してたって事になる。
(まぁ・・・相手が相手だけに、政府側も手出ししなかったのかもな・・・・。)
_______________
「そいや、ハルト。お前、以前はナニやってたんだ?」
「え、前って・・・・フツーに女子高生でレディース・・・・・。」
「じょしこーせい?なにそれ?」
『 ・・・・・・・・!! 』
「あら!?センパイ?何を・・・・?」
急にセンパイがアタシのオデコに触れたんだ。
『 いや・・・顔が赤いので熱でもあるのかと思ってな 』
え;アタシそんな焦ってたんかナ???
それともジュース代わりにチマチマ飲んでたお酒が効いたか。
だってさー・・・・、「実は違う世界から来ました~(・ω≦)テヘペロ!」
とか、万が一ヤラカシちゃったら完全に”キてる”扱いされるだろ?
やっと馴染んできたってのに・・・そんなん絶対イヤだし!!!
「まァ、ウチでせいぜい楽しめ。現実の、海賊の苦楽をな___」
「!?」
・・・・え?船長? まるで、見透かした様なヒトコトだったな・・・・今の。
マー、此処まで来た中でも苦はあったよな;
嵐に見舞われてエライ目にあったり、海軍に砲撃されたり、同業者に出くわしたりとか。
けど過ぎてしまえば、それもなんて事ないんだよなー。
それも、船長やセンパイ、他のクルーが頼りになるお陰なんだケドねw
『 ハルトは最近、シャチ達の指導のおかげで腕を上げてる 』
「 「 え~、よせやい❤ 」 」
両アニキがなぜか同時に照れてる。あからさまに赤くなって頬を押さえるなってのw
「物足りなくなったら、アンジェラにも習えばいい。刃物、棒、銃、毒も扱える」
『 まるでヒトを暗殺者みたいに云うな 』
「そうだったじゃねェか。政府お抱えの。」
『 そんなコト、まだ覚えてたのか?コレだから頭のイイ奴は困る 』
「 「「「 イヤ‼?皆、覚えてるし!?? 」」」 」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
なに、そんなコト、軽~~く会話してんスか・・・・!?
(アンジーセンパイが、政府お抱えの元・殺し屋ぁあああアアア!???)
ゴーン・・・・・!!!
どうりで、最初出会った時・・・慣れ過ぎてる感はあったけど・・・・;;;
「センパイ。なのに・・・なんで、海賊になっちゃったんスか?」
『 ・・・・フフ、何でだろうな。切っ掛けはシャンクスの悪ふざけか・・・ 』
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____悪ふざけねェ・・・・。
昔、酒の席でその話を聞いた時はヤツも酔狂だなとは思ったが・・・・。
__とある船の船長が仲間を連れ、町の酒場に入って来た。
互いにある程度、名の知れた船長同士だ。そんなトコで小競り合いもヤボだろう。
その船長が連れていた不釣り合いな少女に目が留まる。
そこでヤツは船長をポーカーに誘ったのだ。
”くそっ・・・もう俺は降りる”
”おいおい、今降りるのか? 負けを取り戻すんだろう? ところで・・・
なあ、船長さんよ。その、後ろに立ってる娘、アンタのなンなんだぃ?”
”いや・・この子は・・・・”
”まさか愛人ってんじゃねえだろうなァ?”
ヤツは彼女の服装が、この男の趣味である事を見抜いていた。
”ボ、ボディーガードだ”
一瞬シーンとなったが、テーブルのヤソップが真っ先にプッと吹き出したのを合図に
赤髪もバカ笑いしながらテーブルをバンバン叩いた
”だーっはっはっ! おい、もうちょっとマシな嘘つけよ。・・・よし決めた。
この子を掛けてもうひと勝負! 掛け金は3倍だ。どうする・・・?”
”おい、お頭・・・!”
”この娘は止した方がいい、他の女だったらいくらでも・・・3人ぐらいなら”
代わりに"5人でどうだ?"と食い下がる船長。
”いいや、その娘限定で、だ。”
ベックマンの制止も気に留めず、ヤツは言い切るとまんまと彼女を賭けさせた。
結果・・・哀れ、船長は最後まで勝てず、ご自慢だったボディガードを手放すハメに。
そして彼女はヤツに引き取られる間際、そこの船長の首を掻っ切ったという訳だ。
つまりアンジェラは暗殺の為、あの船に潜伏していたのだ。
予想外の事で、彼女はやむえず急ぎ働きをせざるを得なかった___
”ヤツにはもったいねェとは思ったんだが___まさかな”
(その時の、ショッキングな光景を思い出すと今でも身震いする位・・・綺麗な殺し方でな)
酒が入っていたとはいえ、心酔するかにそう語った赤髪を俺は忘れもしねぇ___
だがヤツも、よもや嘗てのライバルの育てた娘だったとは思いもよらず。
『 あの頃は酷く体調が悪くてな__常に寿命と云うものを覚悟してた 』
「・・・・・・・!」
「 「 「 ・・・・・!!! 」 」 」
『 半ば自暴自棄になっていた私にあの男が”生きる覚悟を決めろ”と云うんだ。
で・・・・気が付いたらウッカリ海賊に混じってたという訳だ・・・・転職の大した理由はない 』
何となくってか・・・お前らしい。
コイツは解ってないんだ、赤髪と云う男を信じ過ぎた自分を・・・・・。
____あの時、そう。麦わら屋に云った言葉だ
”悪口?本当の事だ、オマケに大嘘つきだ”
アレだけは、コイツの本心だと____俺は知っている。
裏切られたって感情は理解はしていないが、形のない感情として残ってるんだ。
痛む心なんか無いと___自ら信じてやがる
俺でさえ切なくなる・・・
今触れれば、”同情で抱こうなんて考えるな”と勘違いされるのは目に見えてるから
その細い肩にも手を伸ばす事はしない・・・・・。
「センパイ、・・・・・・・・・!?」
俺はその声にはっとなる__ハルトが何か聞こうとして表情を固まらせた。
想像は着いた。アンジェラスは俺の前でその質問はするなと声を飛ばしたのだろう。
_______________
”その質問には答えられない、すまんな”
私は察して____ハルトだけに声を飛ばした。
ハートの海賊団のマークを・・・・未だ背負う踏ん切りのつかない__その理由だ。
to be continued
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