STAR BEAT!~地球を撃ち抜く瞬間に~ (ナナバナナ)
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プロローグ この小説は実にありがちな転生物です

初投稿です。ノリで書きました。


 目が覚めると俺は知らない部屋にいた。……頭が凄く痛い。薄暗い部屋にポツンと明かりが一つ、俺を照らしている。寝起きから頭が回り始めて、思考がクリアになり、俺はやっと自分の身に何が起きたのかを思い出す。

 

 

「そうだ…!俺は誰かに襲われて―。」

 

 

学校の帰り道、いつもと同じ道を帰っていたら後ろから誰かに頭を殴られて気を失っていたんだ。どおりで頭が痛むわけだ。

 慌てて立ち上がろうとするものの、それはできなかった。それもそのはず、俺は何者かによって座らされていた椅子にロープで括りつけられていたからだ。

 

 

「くっそ、何で俺がこんな目に…誰かあああ助けてぇぇぇ!!」

 もう訳わかんなすぎて泣きそう。助けて!ライナァァァァァァ(混乱)

「やっと起きたか?」

「やった!助かった!」

「残念だったな、俺がお前を誘拐してきたんだよ☆」

「マジかよ…」

 現実は非情である。チクショウメー!!!!!!!!(総統閣下並感)

 

 声のするほうを見ると、全身に血を浴びたかのようなワインカラーのボディに、水色のクリスタルのような物でベネチアンマスクのように目を覆っていて、胸部にも同じ素材でコブラの装飾を施した男が壁に寄りかかっていた。

 

 

 そしてそいつのことを俺は知っていた。

 

 

「ブラッドスタークじゃん…」

 そう、そいつは仮面ライダービルドに登場するラスボスにして全ての黒幕、ブラッドスターク(本名エボルト)だったのだ!どっちで呼べばいいの俺?

 

 

「おっ、俺のこと知ってんのか。うれしいねぇ〜。」

「なにこれ、ドッキリ番組か何かか?」

「おいおい失礼しちゃうぜ。俺は本物のブラッドスタークだぜ?お前たちの知ってる『仮面ライダービルド』の世界からやってきた”ホンモノ”さ。」

「あぁ、そういう設定…」

 

パァン!

 

そこまで言いかけて、俺のつま先のほんの数センチ離れた床から煙がたった。どうやらやつの持っているトランスチームガンはおもちゃではないらしい。

 

 

「マジかよ…」

「ジョークでもフィクションでもない、現実さ。」

「ありえない…一体どうやって?」

「んー…”想いの力”ってやつかな?」

「オモイノチカラ?」

こいつってそんなロマンチストだっけ。そう思ったのも束の間、スタークは俺を指さしながら説明を続けた。

 

「お前たちこの世界の人間は『仮面ライダービルド』という物語を作り出した。それを見た人間が、ビルドの世界に行ってみたいだとか、もし自分がビルドの世界の住人だったら、なんて想像をして、その思いが蓄積されてビルドの世界ができちまったんだよ。」

「……つまり並行世界みたいなものか?」

「まぁそんなところだ。物語の数だけ、人の願いの数だけ世界は無数に存在するわけだ。そしてそこからまた更に並行世界が存在する。」

「?」

「言い方が悪かったか?簡単に言うと『仮面ライダービルド』の世界は何千もあるんだよ。」

「その感じだとお前は戦兎達との最終決戦の前にこの世界に逃げて来たエボルトってことか?」

俺が何となくそう聞いてみると、奴は興奮した口調でこう続けた。

 

「いいや違うね、俺は勝ったんだよ。」

「勝っただと……?」

「そう!俺は勝ったんだ!俺は他の世界の俺とは違う!俺は油断しなかった、慢心もしなかった!俺は何千もあるビルドの世界の中で唯一仮面ライダーたちに勝利した存在なのさ!」

「驚いた、戦兎達が負けた世界線も存在するのか……。」

「地球を吸収した後俺は多くの星を吸収した。そして惑星のエネルギーのほぼ全てを使ってこの『仮面ライダーがフィクションの世界線』にやって来たのさ。」

 

俺はスタークの話を一通り聞いて少し考えた。こいつが嘘を言っていて実はよく出来たスーツと銃を作った重度の特撮オタクの可能性や、ドッキリの企画なのかとも考えたが、なぜだかこいつの話は嘘じゃない気がした。いや、ほんとに直感的で言葉にはできないんだけど。

…だが一つだけわからない点がある。俺はそれをはっきりさせるための質問をしなければならない。

「…お前がこの世界に来た目的はこの『仮面ライダーがフィクションの世界線』の地球を吸収するってことかな?」

「いいや?違うね。まぁ最終的には此処の地球も吸収したいところではあるんだが…その前にやりたいことがある。」

「やりたい事?」

「そうさ。そのやりたい事にお前は必要不可欠なのさ。」

「わかった!家族ごっこ!」

「残念不正解。それはもうやったからもうやらん。…お前にやってもらいことがあるからわざわざ誘拐までして此処まで連れて来たんだよ。」

「お?もしかして聞けちゃう?俺がこんな酷い目にあってる訳。」

「聞けちゃう聞けちゃう。…まずはこれを見て欲しい。」

 

スタークはそう言うと、どこからともなくスマホを取り出してアプリを起動させた。

 

\ブ○モ!/

 

\クラフト○ッグ!/

 

\バンドリ!ガールズバンドパーティー!/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

 

……

 

 

 

はぁ?

 

え、何こいつまさかソシャゲを一緒にプレイするためだけに俺のこと攫って椅子に縛り上げてんの?後ろから俺の頭かち割ってまでやりたいことがソシャゲ??別の世界線にまで来てやりたい事がソシャゲ???なーにがバンドリ!ガールズバンドパーティー!(声真似)じゃい、てめぇら二度とバンド活動ができないようにしてやるぞ?(過激派)

スタークは脳内でキレ散らかしてる俺の事をお構い無しで説明を続けた。

 

「お前にはこの『バンドリ!』の世界に転生してもらう!」

「俺そのゲームやったことないんだけど…」

「マジかよ、音ゲーやらないタイプの人間か君?結構売れてるゲームのはずなんだけどなぁ…」

 

どうやら一緒にゲームしよ?という訳では無さそうだ。…それよりもヤバいワードが聞こえた気がするのは気のせいかな?転生しろとか言われた気がするけどさすがに聞き間違いか!(現実逃避)

 

「まぁ向こうでやって欲しいことはバンドリ!を知らなくてもできることから問題ないよ。」

「別の世界に転生までさせてさらにまだやって欲しいことまであるんすか…?」

「ああ、お前はこの俺様、ブラットスタークとして転生して『バンドリ!』の世界をぶち壊す。簡単なことだろ?」

「自分が簡単にできることはみんなも簡単にできるって考え方、やめた方がいいよ。」

 

スタークに今後役立つであろう知識を教えつつ、俺は言われたことを頭の中で整理する。ここまでの話をまとめるとこいつは並行世界からやってきた存在で、俺に別のゲームの世界に行って来て欲しいという。

 …だめだ、俺が今こんな目にあってる理由がわかるかと思ったらさらにわからんことが増えただけだった。…一応理由を聞けるだけ聞いておこうかな。

 

「なんで自分でやらないんだ…?めんどくさくなっちゃったとか?」

「あぁ、それは俺がこの世界から出られないように制限されているからだな。折角手に入れた『世界を旅する能力』も満足に使えないんだよ。まぁもし仮に使えたとしても今は力が残ってないからどっちみち無理なんだけどな。」

「移動を制限されてる…?一体誰に?」

「ん〜〜、一言で表すならこの世界の神様かな?」

 

なんと、この世界にも神様なんてスピリチュアルなものが存在するとは。今まで神とか幽霊とか信じてなかったけどこれを機にそういったものを信じることになりそうだな。…というか神様これ見てるんじゃないの?なんか天界みたいなとこから。神様お願いです、今俺たちを見てるなら目の前にいるこの世界への不法侵入者を聖なるパワー?で取り締まってくださいお願いします。カミサマァ……(懇願)

 

「あともう一個聞きたいことがあるんだけど。」

「言ってみな、答えれる範囲なら答えてやるよ。」

「なんで『バンドリ!』なの?他にも色々な物語はあるだろ?このチョイスは単なるお前の趣味なのか?」

「ああそれね。お前に『バンドリ!』の世界に行ってもらうのにはちゃんとした理由があるんだよ。」

「その理由とは〜?」

「それはな…そこから強大なエネルギーを感じとったからなんだよ。それこそ俺が今まで吸収してきた星なんか比べ物にならないほどのな。」

 

なるほど、だいたいわかった。(某破壊者)要はスタークのお使いって訳だ。俺はバンドリ!の世界に転生してスタークの代わりにその強大なエネルギーとやらを取って来ればいいわけだ。…あれそうしたらこの世界終わるんじゃ「あと向こうの世界に行ったら君帰って来れないからね。」あれま

 

「まぁ並行世界に移動できないなら、周りの適当な星を食べつつ誰かが地球を侵略するところを観戦でもしてみようかなって気まぐれよ。そういった楽しみ方も悪くないかなって思ってな。」

「極めて生命に対する冒涜のような何かを感じる。」

「お前達人間が虫かごの中のカマキリを観察するのと一緒さ。」

「まるで自由研究だな。」

「いいや、育成ゲームさ。」

「…そうゆうことにしとく。」

 

ゲーム感覚で俺を並行世界に飛ばすのは気に入らないが、まぁここで死ねぇ!とかされる訳じゃなさそうなのでそこは少し安心してる。いや安心はできないな。

 

「というわけで『バンドリ!』の世界の地球を君に吸収して欲しいんだ!あれほどのエネルギーだ…吸収したお前はきっと俺を超えた最強の地球外生命体になれるはずだ!」

「まだやりますって言ってないですよね、俺?」

「…え、何言ってんだ?転生確定だよ?」

「やだ。」

「ダメ。きまり。」

「……わかりましたよ!ここに縛られてる時点でなんとなく俺に拒否権ないのはわかってました!」

「そうか!君ならそう言ってくれると思ったよ!」

 くそ…俺に選択の余地はないのか…最悪だ。

 

「なら早速転生の準備だ。まずは1週間の拷問から始めよう!」

「何で?」

「何でって、こういった物語は不幸な目に合うところから始まる物なんだろ?ネットの小説でちゃんと勉強したんだぞ。ほらムカデもあるよ。」ムカデチャンウネウネ

「嫌だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~1週間後~

 

「拷問お疲れ様☆早速転生してもらうけど準備OK?」

「それじゃあこのコブラフルボトルを持って世界を移動してもらうぞ。」

 

 何でコイツがさっきから1人で喋ってるかわかる?正解は俺が拷問で体が半壊してて喋れないからでした(笑)まぁこれ以上はグロいからなしで。スタークが手をかざすと、目の前に銀色のオーロラのようなものが現れた。そして、俺はそのオーロラの中に無造作に放り込まれた。見下ろしているスタークを目に映していたが、残念ながら俺の意識は途絶えてしまった。

 

 

「クク…健闘を祈るよ…少年。」




誤字あったら教えてください。


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第一章 キラッキラドッキドキな中学校生活編
第1話 転生しちゃった!?



目が覚めると知らない天井。知らない部屋。 ……どこだ此処?俺は本当に異世界に来たのか………?疑問は尽きないが、考えていても仕方ない。とりあえず顔を洗おう。洗顔大事。

 

 

「……洗面所探すか。」

 

 

 今日初めてきた知らない家だからどこに何があるかもわからない。とにかく探すしかない。自分が寝ていた部屋のドアを開け、階段を降りる。どうやら俺がいた部屋は、この家の2階にあるらしい。程なくして俺は洗面所を見つける。しかし、俺はそこでとんでもないものを目にした。

 

 

「……は?誰だ……こいつ?」

 

 

 結論から言うと、俺の顔が違っていた。そういやスタークは煙みたいなので顔を変える能力を持ってたからなぁ。その力を使ったのなら俺の顔が違うのにも合点がいく。鏡に映る自分は、俺がよく知ってる俺ではなかった。新しい俺の顔は、世間一般ではおそらくイケメンの部類に入ると思う。10人に聞いたら7人はイケメンって言ってくれるはずだ。間違いない。顔のパーツが整っていて、黒髪は短髪で爽やかな感じがでてる。おまけに肌も綺麗で清潔感がある。

 

 ………でもねぇ、スタークさん。違うんすよ。確かにこっちのほうが顔がいい。誰だってそう思う。俺もそう思う。けどなぁ!たとえ俺の顔が中の下であっても!イケメンじゃなかったとしても!十数年連れ添ってきたマイフェイスに愛着がわかないわけないんだよなぁ!返してくれよぉ!俺の顔を!!

 

 

「人の顔を変えるなぁ!許可なくゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」

「おいおい、朝から元気だな、近所迷惑だろ。」

「やべっ、つい叫んじまったわ。」

 

 

 いかんいかん。取り乱してしまった。まだ寝てる人もいるかもしれないからな。素数を数えて落ち着こうか。

 

 …………ん?俺今誰と喋ってんだ……?

 

 鏡を見ると、さっきまでは誰もいなかったはずの俺の背後に、中年くらいの(目測)おっさんがいた。音もなく、気配なんて感じれなかった。まさか…

 

 

「ミラーワールドか!?」

「いや、普通に後ろにたってるだけだわ。」

 

 

 後ろを振り返ってみると、そこにおっさんはちゃんといた。てか普通に考えたら後ろにいるだけだよな。何がミラーワールドだ。耳鳴りしてないし、ありえんだろ。

 

 

 

 

 …スタークいたからありえんこともないか?

 


 

 ところ変わってリビング。俺はおっさんが作ってくれた朝食を食べていた。トーストと目玉焼き、そして簡単なサラダ。どうやらおっさんは朝メシはパン派らしい。俺は米派だ。トーストを齧り、咀嚼し、飲み込んだおっさんは、俺を見つめる。

 

 

「さて……何から話せばいいかな。とりあえず自己紹介をしよう、俺は石動優一。この世界ではお前の叔父っていう設定になっている。」

「設定とかあるんすか。」

「そして今日からお前の名前は石動響真だ。」

「はぁ?!俺名前変わるんすか?!聞いてないっすよ?!」

「まぁ、そう言うなって。ほら、響真ってかっこいいだろ?」

 

 いや、そうゆう問題じゃないと思うんだけどなぁ…。

 

「そして、響真には俺に色々と質問をする権利がある。」

 

 そうだな、聞きたいことは山ほどあるが…

 

「まずは確認、俺のやるべき事は、地球を滅亡させること、でいいんですよね?」

「そうだ。響真はスタークとして地球を破壊する、俺はそのサポートをするためにやってきたってわけ。」

「なるほど。俺は何からやればいいですか?」

「まぁそう先を急ぐな。地球滅亡作戦は時間をかけて慎重に行う。絶対に失敗はできないからな。」

 

 

 そうだ…失敗はできない。もし俺が失敗して、次の誰かにこの役割が回ってくるのなら…地球の滅亡が成功するまで繰り返すなら……………こんな思いをするのは俺だけで十分だ……!

 

 

「すみません。ちょっと焦ってたみたいです。」

「いいんだよ、熱意があるってことだろ?安心したよー。」

「いや、俺が此処にいるの、自分の意思じゃないすっよ?熱意なんて微塵もないない。スタークに無理矢理連れて来られた感じなんで。」

「ハハハッ!そりゃそーだ!地球をぶっ壊すのに乗り気なのは、狂人くらいだろうからな。ハハッハハハ……ハァ……。」

 

 

 え?何か優一さん急に落ち込んじゃったんだけど?情緒不安定なの?怖い怖い。

 

 

「俺さ…ブラットスタークに嫁さんと娘を殺すって脅されて、こっちに来たんだよ。あいつに出会わなければ、俺は……。」

「……奇遇ッスね…俺もそんな感じですよ。」

「マジ?あいつヤバすぎじゃない?」

「いや、ほんと歩く理不尽みたいな?」

 

 

 しばらくの間、俺と優一さんはスタークという男の極悪非道について語り合った。あの野郎傍からみてるぶんには、憎めない悪役でかっこいいんだけどなぁ…関わりたくはないんだよね、人生めちゃくちゃにされるし(現在進行形)、できれば出会いたくなかった。

 

 

「まぁ、あいつの話はこれくらいにして、他に聞きたいことは?」

「えっと、そうだな…俺は人間ですか?」

「あぁ、()()()。」

 

 

 …なるほど。これから地球外生命体になるって感じなのか?ずいぶんと回りくどいなぁ。

 

 

「本来だったら、響真がこの世界に来た時点で、スタークの力を使えるはずだったんだが…どうやら、俺たちのことをよく思ってないやつの妨害があったみたいでな…。」

「妨害?火星の王妃か?!」

「いや、俺たちの邪魔をする存在は…おそらく〈神〉とやらだ。」

「神?」

「神による異常事態(イレギュラー)によって、響真はかなり力を失った…。だから、まずは失ったスタークの力を取り戻すところから始めよう。」

「なるほど。」

「まさか、生命エネルギーまで奪われて身体が若返ってしまうなんてな…ほんと想定外だよ。スタークからは高校生だって聞いたけど、見たところ中学生くらいかな?」

「なるほど?」

「そうゆう訳だから、明日から中学校に行ってもらうから。これ、学校の資料ね。」

「なるほど??」

 

 

 いや、さっきから言ってること何一つわからないんだが?俺中学生なの?俺高2だったんだよ?えっ興味無い?そっか。

 

 

「まぁ、色々話したけど、俺はお前の味方だから。これからよろしくな、響真。」

 

 スっと右手を差し出す優一さん。それに応じて俺は握手をする。

 

「こちらこそ、色々とお世話になります。」

「あぁ、俺たちは運命共同体だ!ところでコーヒー飲む?」

「いただきます。」

 

 

 優一さんは2つのカップにコーヒーを注いで、片方を俺に渡す。俺はそのままコーヒーを啜る…

 

 

「!?ゴフッ!ゲホゲホ、ハァハァ…いやマッズ!!」

「あ、ブラック駄目だった?」

「いや、そうゆう次元の問題じゃねぇ!なんつーか、このコーヒー苦いっていうよりエグい!」

 

 

 いやこんなコーヒー飲んだことないんだけど!絶望的に不味いんだが。

 そういえば、エボルトはコーヒーを作るのが下手って設定だったっけ。優一さんマスターポジなのか?

 

 

「まぁブラックが飲めないってのはお子ちゃまってことだな!ハハハ!」

「絶対にあんたがおかしいよ…」

 

 

 いつか必ず優一さんが間違ってるって証明してやる。俺は、そう心に固く誓ったのだった。

 

 

 




???「撃つな!許可なくゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」


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第2話 星を統べる者

「普通のモブ高校生だった俺は、ある日地球外生命体エボルトによって別世界に出向することになってしまった!はたして石動響真に地球を滅ぼすことは出来るのか?!第2話始まりますよ!」


「満開の桜に雲一つない晴天、麗らかな春の日差しは―」

 

 

 どーも。石動響真です。俺は今中学の入学式に出席しているよ! いやー、みんな緊張してるのかな? なんというか初々しい感じ? こうやって子供たちは大人になっていくんだなぁって。感慨深いよ、まったく。

 え、俺? 俺は1ミクロンも緊張してねぇよ。2回目だから親目線で、入学式を楽しんでるのよ。いや、それにしても、校長先生の話って聞いてても、教室までの道のりでほぼほぼ忘れちゃうよね。えっ、お前だけだって? そんなわけあるか。

 

 

「以上で入学式を終了します。一同、起立」

 

 

 お、終わったみたい。いやー、入学式だったから中々に気合いの入ったスピーチだったね。よかったよ、校長。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ途中から聞いてないんだけどね。ごめんね。


 

 入学式も無事終わり、事前に知らされていた教室に到着。それぞれ自分の名前がある席に着席している。みんなソワソワしてるなぁ……同じ小学校のやつとか多いんだろうけど、やっぱ新しい環境に身を置くのってドキドキするもんな。

 さて、入学式が終わった後のHRといったらいったい何をするでしょう? そう、自己紹介! この自己紹介タイムの印象はこの先1年間の中学校生活を左右すると言っても過言! とっても大事なんです? 

 やべっ、どうでもいいこと考えてたら俺の前のやつの番になってたわ。出席番号4番だから、すぐに俺の番。どうしよ、言うことなんも考えてない……あ、前のやつ終わった。

 

「えっとー、石動響真です。僕は、最近この辺りに引越して来たので、この街のこととか教えてもらえると嬉しいです。1年間よろしくお願いします」

 

 当たり障りのないことを言って、席に座る。まぁ、普通でいい感じの自己紹介になったんじゃないかな? 

 あ、ボケると思った? 残念! しっかり陰キャなので、よく知らない人の前でそんなことできません! 

 

 クラス全員の自己紹介が終わって、担任の話を聞き、大量のプリントを受け取り、そんなこんなで、初日は解散。明日から本格的に授業が始まっていくらしい。

 ……シンプルにだるいな。何で高校生じゃないんだよー、転生物って高校の入学から始まるよね? (そんなことはない)まったく許せねぇよ、神とやら。

 そんなことを考えてたら、近くの席のやつらが話しかけてくれたので、少し喋ってから、俺は家に帰ることにした。

 


 

 さて、帰り道。俺は、この世界に来たばかりなので、当然友達なんて1人もいない。だから、1人寂しく下校をするはずだったのだが…俺は今同じクラスになった女子と一緒に、信号が赤から青に変わるのを待っている。

 そして、ここで一つ問題がある…そう、それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名前がわからん!!!

 

 やべぇって、どうしよう!クラスメイトの顔はだいたい覚えれたけど、名前がまだ一致してない!誰だったかなーこの人。同じクラスの女子ってことしかわからない!

 少なくとも俺より出席番号は後だったはず……いや、あんま参考にならないなぁ!4より後って…全然絞り込みできないじゃん!

 …大丈夫、まだ1日目。覚えきれてなくてもしかたない、しかたない。幸い、この場で彼女と会話しなければならないわけじゃないし…。

 

 俺は、顔を動かさないように、彼女をちらっと見る…。チラッ

 

 え…ちょっと待って……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

向こうもチラチラ見てるんだがァ!?

 

向こうチラチラ+俺チラチラ=…目ぇ合っちゃった!!やばい、もう気づいていないふりはできない!もしこのまま、何も無かったかのように振る舞えば、俺は彼女から感じ悪いやつ認定されてしまうのでは?!

 

 

 …いや?よく考えたら入学初日?なら、声とかかけれなくてもしかたないんじゃないか?

 …よかったー!初日から急激に距離を縮めすぎたらよくないよな!向こうびっくりしちゃうもん。だから、ここで無理に声をかける必要はない…

 

 

「同じクラスの石動響真君だよね?!」

 

 …

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ。(絶望)

 

 向こうから声かけてくるのかよ…まずいことになったな…別に彼女とお話することに問題はない。俺は女子とも会話ができるタイプの陰キャだからな!…まぁ、自分から話しかけたりはしないけど。

 でも、名前がわかんないのは、さすがに失礼!向こうが俺の名前知ってるならもっと失礼!!とりあえず返答しなきゃ。

 

 

「ソウデスネ。」

 

 

 どうする?もう名前聞いちゃおうかな?いや、ダメだ、よくない!…あれ?何か、一緒に信号待ってる親子めっちゃこっち見てない?…もしかしなくても、お母さん?!

 絶対そうだよ、あの格好は彼女の入学式を見に来た母親と妹!余計に名前聞きづらくなっちまった!あ、優一さんは仕事でいないよ。じゃなくて!やばいもう終わりだ…

 

 

「香澄、その子は友達?」

「うん!同じクラスなんだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…お母さん、ありがとう!!カスミ…そうだ思い出した、戸山香澄!よかったー、思い出せて。

 

 

「戸山さん、帰りこっちなの?」

 

 信号が青になったので、歩きながら聞いてみる。

 

「うん!ねぇ、響真君ってどの辺に引越してきたの?」

「あっち。」

「ホント?!私の家もあっちの方なんだ!途中まで一緒に帰らない?」

「俺は別にいいけど、戸山さんのお母さんたちは…」

「あら?それなら私たちは先に帰るわ。それじゃあ、響真君。香澄と仲良くしてあげてくださいね。」

 

 そう言って、戸山さんのお母さんと妹さんは、先に行ってしまった。それにしても、戸山さんの距離の詰め方は間違いなく陽キャだね(確信)。響真は一緒に帰る人を見つけた。やったね?

 


 

 戸山さんと喋りながら歩いてるわけだが、結構な時間が経っても、帰る道が別にならない。もしかしたらかなり近所なのかもしれん。

 

 

「それでね、小さい頃に家族でキャンプに行ってね!空いっぱいの星を見てね、”星の鼓動”が聞こえたの!」

「えっと…”星の鼓動”?」

「うん!キラキラドキドキするんだよ!」

 

 

 な、何言ってんだろ、全然理解できん。でも待って、”星の鼓動”…?もしかして戸山さん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星を滅ぼす才能あるのでは?!

 

 

 

 

 間違いねぇ、おそらく惑星には生命エネルギーみたいなものがあって、戸山さんはそれを感じ取ることができる…!うん、やっぱり星狩りの才能あるよ、君!なら、俺のすべきことはただ一つ、戸山さんから”星の鼓動”の情報を少しでも多く聞き出すこと!

 

 

「”星の鼓動”って今も聞こえてるの?」

「ううん、あの時だけ。でも、星を見るのは好きだよ!」

「へぇ…」

「でも、今はドキドキしてるかも!」

「どして?」

「なんか新しいことが始まる気がするから!」

 

 

 もしかして星の鼓動って、戸山さんの心音なんじゃないかな?話聞いてると、そうとしか思えなくなってきた。でも、星の鼓動か…ぶっ飛んでるようだけど、すごくいい感性してると思う。

 

 

「見つかるといいね、キラキラドキドキすること。」

「うん!」

「じゃあ、俺こっちだから。また明日、戸山さん。」

「うん!また明日!」

 

 

 

 戸山香澄か…人には無いなにかを持ってるのかもしれないな。ちなみに、戸山家と石動家は同じ町内で、通りが一つ違うだけらしい。近ェ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




とりあえずバンドリのキャラを1人出せてよかった。詐欺になっちゃうからね。


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第3話 迷子の海月姫

「前回のあらすじ!普通じゃない中学生、石動響真は同じクラスになった戸山香澄と仲良しになった!(この時、相手がどう思ってるかは考慮しないものとする)」
「…あれ?俺こっちの世界来てから侵略者っぽいことまったくしてないんだけどいいのかな?まぁ平和なのはいい事だよな。第3話どーぞー。」


「ただいまー。」

 

 俺は今朝貰った家の鍵を使って、玄関のドアを開けて、誰もいない家に入る。…なんか、帰ってきたって感じしないんだよなー。まだ他人の家におじゃましてる感覚だわ。でも挨拶大事だからね?それに、もしかしたら優一さん帰ってきてるかもしれないし。

 

 靴を脱いで、リビングに入るが、やっぱり優一さんは帰ってないらしい。とりあえず、自分の部屋に鞄を置いてきて、キッチンにある冷蔵庫を覗いてみる。

…すぐに腹を満たすことができる物がないことを確認して、冷蔵庫の扉をそっと閉じる。冷蔵庫の中身勝手に食べるのも悪い気がするしね。

 

 まぁ夜まで我慢するか。そう思って、リビングのソファに行こうとすると、テーブルの上に書き置きがあることに気づいた。

 

 

 

 

 

『ここにあるお金使ってショッピングモールまで来てねー

 フードコートで待ってるよー』

 

 

 

 

 書き置きの横には3000円が置いてあった。なるほど、これは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼飯代込みだな。

 


 

 はい、私は今電車に揺られています。書き置きの裏側に、道のりが記されてたので、それだけを頼りにショッピングモールを目指している。

 

 お、この駅で降りる…はず…うん、合ってた。まだ来たばっかりだから駅もよくわかってないんだよなー。

 

 電車を降りて、改札に切符を通して、駅を出る。すると、目の前に大きな時計があり、それを取り囲むようにベンチが置いてあったので、そこに座る。もう一度、ショッピングモールまでの道を確認したいのだ。

…なるほど、だいたい大通りに沿って行けばたどり着く感じだな。よし!行こうか「ふえぇ〜、ここどこ〜?」…え?

 

 いや、ふえぇって何?鳴き声か?俺は気になってしかたなかったので、ふえぇの正体を探すべく、声のした方を見る。あ、あの人かな?水色のロングヘアの女子が、スマホ片手にキョロキョロしてるのがここから見える。

 

 

「今、時計の前にいるから、ショッピングモールはこっち…?」

 

 

 水色の女子がそう呟きながら行こうとする方向は、俺の手元にある地図とは真逆の方向だった。

…いや、これどっちだ?!優一さんの地図が間違ってるのか、彼女が勘違いしてるのか、俺には判断がつかない。

…あの人スマホ持ってるし多分向こうが正しいな。優一さんには後で文句言ってやらんとな(決めつけ)

 

 なら本当の道を彼女から聞かないとな。めっちゃ恥ずいけど、仕方ない、声をかけて教えてもらうしかない…!

 

 

「あの…すみません、ショッピングモールまでの道のりを教えてもらいたいんですけど、お願い出来ますか?」

「ふぇ?!わ、私ですか?」

「ショッピングモールに行こうとしてるのなら道を教えてもらいたいなって思って…嫌なら断ってくれて大丈夫ですよ。」

「あっ、嫌とかじゃないんです…ただびっくりしただけで…」

「あっ、ごめんなさい。」

「こちらこそ。」

 

 

 2人で謝りだして、ごめんなさいが行き来する。うーん、この日本人たちめ。話が進まないので、本題を切り出す。

 

 

「実は、ショッピングモールに行きたくて、地図を貰ったんですけどね?なんか間違ってるみたいで…」

「そうなんですか…」

「この地図だとあっちに行くことになってるんですけど、スマホだとどうなってますか?」

「えっと…あっちです?」

「あぁ、なるほど、ありがとうござい…ちょっと待ってください、あっちじゃなくないですか?!」

「えっ?」

「…少しスマホ貸してもらえますか?」

 

 

 彼女からスマホを借りて、地図と見比べてみる。…うん、これ地図あってたわ。やっぱ優一さんなんだよなぁ(手のひらドリル)

 

 

「すみません、地図あってたみたいです。スマホありがとうございます。」

 

 

 俺は、スマホを返して最後に軽〜く会釈をして、その場を後にする。彼女には悪いが、迷ってたみたいだがショッピングモールまで案内する義理なんてないからな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや、別に誘う勇気がないとかじゃないから。決して「よかったらショッピングモールまで一緒に行きましょうか?」って言って、苦笑いを薄らと浮かべられながら断られるのが怖いとかじゃないから。もし一緒に行くとしても?到着するまで気まずいじゃん?だから誘わないんだよ(早口)

 

 まぁ俺も鬼ではない。俺がショッピングモールに行くことを知ってるなら、あの子は俺のあとをついてくればいい…いい感じの距離を保ってついてくるはず…誰だってそうする、俺もそ「あっ、あの!」

 

 突然声をかけられてびっくりしたが、振り返ってみると先程の水色の女子がすぐそこにいた。…なんで??

 

 

「えっと…ショッピングモールまでついて行かせてください。お願い…します…」

「あー、もちろん!いいですよ。」

 

 

…まさか向こうから声をかけてくるとは、予想外だよ。方向音痴ちゃん(仮名)に、なぜか顔を真っ赤にしながら頼まれたので、俺たちは一緒にショッピングモールに行くことになった。

 

 


 

 

 というわけでね、俺は今、方向音痴ちゃんと一緒に目的地を目指して歩いています。ショッピングモールは駅からかなり近いらしいからね。

 

 

 

テクテク…

テクテク…

 

 

 それにしても気まずい。隣に並んで歩いているのに会話は全くない!靴の音と、車の音、そして街の喧騒がやけにうるさく感じられる。変な緊張感があって、手が汗ばんでいるのが嫌でもわかる。

 

 こうゆうとき、なんか気を利かせて話題を振るべきなのだろうか。いやでも話しかけるのは迷惑か?あーもう何が正しいのかわかんなくなってきた。助けてライナー。

 

 チラと彼女の方を見てみると、しっかりと目が合う。すると、彼女は慌てて目を逸らした。あぁ…すごくデジャブ。なんかさっきもこんなことあった気がするんだけど。

 

 目があってしまったならもう話しかけるしかない。それこそこのままアクションを起こさないのは、気まずくなる一方だからな。奥の手、使っちゃいます。

 

 

「ッスーーーーー…天気いいっすね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天気デッキ!!

 

 天気デッキとは、初対面の相手や、あまり話したことない人との会話に困った時に用いられる会話デッキの一つである。天気デッキの歴史は古い。一説によると、とあるコミュ障の男がまだあまり親しくない女性に対して使ったことが起源だとされている。会話デッキには、他にも死生観デッキなどがあるが、あれは上級者向けなので素人が手を出していいものではない。

 

 天気デッキは話題性としては会話デッキの中でも最弱。しかし!その高い汎用性は数多の会話に困った人たちを救ってきたのであった!

 

 初対面の相手なら天気デッキはかなり強い!これが俺のゼンリョクだ!さて、方向音痴ちゃんの反応は…?

 

 

「……………………そ、そうですね。」

 

 

 

 あ、やべ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これ詰んだわ!

 あんま反応よろしくないです!というか俺がせっかく話せるような会話のパス出したのに…受けとめるだけじゃなくて返してよ!会話ってひとりじゃないの!!みんななの!!!まぁ、天気の話なんて話が広がらないか。それに、方向音痴ちゃん話したりする事苦手そうだからね、しょうがないかな。

 

 ふと、彼女の方を見てみると、かばんにストラップがついているのが見えた。なんだろ、あれ…

 

 

「うーん、宇宙人?それ?」

「ふぇ?こ、これですか?クラゲですよ。」

「あーなるほど、好きなんですか?クラゲ。」

「はい…。プカプカ泳いでるのが可愛くて…」

「あーなんかわかるかも。」

 

 

 突然、目を輝かせながらこちらを見る方向音痴ちゃん。何?その目、まるで同士を見つけたかのような…しばらく見つめ合っていると、彼女は顔を真っ赤にして目を逸らす。

 

 

「クラゲの可愛さ…友達に言ってもあまり理解してもらえなくて…あんなに可愛いのに…だから今、…えっとあなたにわかってもらえてつい嬉しくなって…」

「確かにクラゲは好き嫌い別れるかもなー。」

 

 

 少し笑いながら返して、俺は今がチャンスだと確信する。名前を知るチャンスだ。自己紹介しそびれてお互い不便だったからな。

 

 

「石動響真。」

「え?」

「俺の名前です、自己紹介しそびれて今更だけど…」

「えっ、えっと…松原花音です…」

「松原さんか。よかったら、俺にクラゲの良さを教えてくれない?」

 

 

 そこから方向音痴ちゃん改め、クラゲ大好き松原さんは、ショッピングモールに着くまでの間、クラゲについて語ってくれた。なんでも、クラゲの海を漂う姿は美しく、水族館のカラフルな照明に照らされた姿はとても綺麗なんだと。それを楽しそうに話す松原さんを見て、松原さんのクラゲへの愛がよく伝わってきた。本気で好きなんだな、クラゲ。

 

 

「あ、見えてきたな、ショッピングモール。」

「もうすぐかな?」

 

 

 気づけばショッピングモールまであと少しのところまで来ていた。いやー、最初はどうなるかと思ってたけど何とかなるもんだね。

 

 

「ほんとに助かっちゃったな、石動君がいなかったら私、ここまでたどり着けなかっただろうから…。」

「やっぱ方向音痴なんすか?」

「うん…昔からなんだ。1人で目的地まで行けなくてね…」

「なるほど…」

 

 

 思ったとおり、松原さんはリアル方向音痴だった。しかも筋金入りの。そのことを悩んでるみたいだけど、気にしないで!とでも言うべきか?考えているうちに、俺たちは入口の手前までたどり着いた。

 

 

「着きましたねー。」

「うん。石動君、今日は本当にありがとうございました。」

「いえいえ、このくらいどうってことないですよ。」

「石動君にとっては些細なことかもしれないけど、私はほんとに助かったんだよ。それじゃあありがとね。」

 

 

 そう言って、松原さんはショッピングモールに入ろうとする。

…迷ったけど、どうせもう会うことなんてないんだから、最後に言いたいこと言ってやろう。

 

 

「松原さん。」

 

 

 俺の突然の呼び掛けに、松原さんは振り向いてきょとんとする。

 

 

「俺、迷子なことって決して恥じるべきことではないと思うんです。だって目的地にたどり着いちゃえば、それは迷子じゃなくて寄り道って捉えることもできるじゃないですか。だから、迷子なことにそこまで負い目を感じなくてもいいと思うんですよ。あ、もちろん待ち合わせの時間に遅れない範囲でだけどね?」

 

 

 まぁ俺の考えとかじゃないんですけどね。100%受け売り。

 

 

「もっと気楽でいいんじゃないかな?人生、笑っていれば大抵のことは何とかなるから。それに、迷子の間に新しい発見とか出会いとかあるかもって考えると、ワクワクしてきませんか?」

 

 

 一瞬、彼女の瞳が大きく揺らいだ…気がする。

 

 

「ありがと…そんな風に考えた事、1度もなかったな…」

「そうですか?人生楽しんだもん勝ちですよ、笑顔でいきましょう。」

「ふふっ…うん、そうだね。石動君、今日はほんとにありがとね。」

「どういたしまして、それじゃあここら辺で。」

「うん。」

 

 

 俺と松原さんは、それぞれの目的を果たすため、別々の方向に向かった。それにしても、戸山さんといい、松原さんといい、この街の女子のレベル高いな。まじで美少女。

 

 色々考えつつ、俺は優一さんが居るであろうフードコートを目指す。わざわざ呼び出すくらいだ…きっと重大な話があるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「響真、お前にはこれから楽器の練習をしてもらう。」

 

 

 …まじで何しに来たんだろ、俺。

 

 




主人公、ライナーに助け求めがち。


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第4話 Lesson1「毒をもって毒を制す」

「ショッピングモールに向かうことになった石動響真。その道中でマジモンの方向音痴系女子、松原花音と出会う。無事にショッピングモールにたどり着いた俺たちだったが、最後に俺は松原さんに恥ずかしいこと言ってしまい、そのまま別れた。うーん、死にたい。あ、第4話始まるよー。」


 フードコートに来てハンバーガーとポテトのセットを頼んだ俺は、優一さんの前に座って話を聞いている。

 

「何がいいかな…ギターにベース、キーボード、ドラム…あ、ボーカルでもいいよ。」

「まてまてまてまて。」

 

 

 勝手に話を進める優一さんを俺は止める。

 

 

「なんで楽器の練習しなくちゃならないんだ?俺、地球を滅ぼしに来たんだよな?」

「そうだよ。」

 

 

 答えになってねえんだよ…しかも楽器のラインナップからするとロックバンドっぽいし。

 

 

「状況がかなりまずくなってきたんだよ。この世界の神の妨害があった以上、このまま作戦を実行するのはおそらく不可能だ。この先も神に邪魔されると考えたほうがいい。だからこっからは保険をかけていくんだ。」

 

 

 そう言う優一さんの顔はガチだった。こちらをまっすぐに見つめるその視線からは、とても冗談を言ってるようには思えない。でもさぁ…

 

 

「仮に保険をかけるにしても、楽器の練習で神とやらをどうにかできるとは思えないんだが。」

「この世界において音楽ができるかどうかはとても重要なんだよ。上手く演奏できれば最高…下手でも音楽に対する知識や関心はあったほうがいい。そういう風にできてるんだよ。」

「なんか胡散臭いんだよなぁ…」

 

 

 正直、言ってることは何一つわからないし、とてもじゃないが信じられない。でも…

 

 

「信じるしかないんだろうな…」

「おいおい、信じてくれよ。俺はお前の味方だぜ?」

 

 

 そう言って、優一さんはニッと笑って立ち上がる。

 

 

「早速買いに行くぞ、実際に見て選んだ方が絶対にいいからな。」

 

 

 俺は残っていたポテトを口に放り込み、優一さんの後に続いた。何にしようかな、楽器。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イラッシャイマセー、ナニカオサガシデショウカー

 

 アッ、ショシンシャナンデスケド…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はい、という訳で私はベースを買いました。正直ベース一択だった。前からちょっとやってみたかったんだよね。だってかっこよくね?ベース。

 俺が選んだのは、白いボディに黒のピックガードのやつ。性能とかはよくわからんかったから見た目で選んだ。初心者だからアンプとかチューナーとかケースとかも全部セットで買った。

 これだけ買ったから、まぁお値段もそれなり…だったけど、エボルトが資金を出してくれるので、お金のことは気にしなくていいらしい。優一さん曰く、エボルトから受け取った金額は、一等地に別荘をいくつか建てれるくらいのレベルらしい。

 …まともな金なのかあやしいところだと思います。はい。

 

 その後は今日の晩飯を買って、帰りは優一さんの車に乗って家に帰ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?ベースはどう?」

「まだなんとも…少し触った程度だし…」

「そりゃそうか。」

 

 

 家に帰って早速ベースを触ってみたが、これが難しい。初心者向けの動画を見てたどたどしくも弾いてみたが、指がイカれるかと思った。動け、左手。

 他愛もない話をしながら、優一さんと晩飯を食べる。今日のご飯はカレーじゃ。おいちぃおいちぃ。

 

 

「じゃあそっちは任せるかんじにして、今から響真に備わった能力について説明をしてもいいか?」

「俺の能力?エボルトの能力は大体わかってるけど…」

 

 

 流石にスペックまでは覚えていないけどね。あれでしょ、胸元の水色のとこからコブラだすやつとか。これはスタークの能力だけどね。まじアドベント。

 

 

「そうか。なら早速使い方の説明から入ろうかな。」

「使い方ぁ?」

 

「順を追って説明するわ。まず、響真はこっちの世界に来るときにコブラボトルを持たされただろ?あれ、今響真と融合してる状態なんだよね。」

 

「そういえばそんなのあったね。なくしたのかと思ってた。」

「そのコブラボトルを自在に生成できるようになるのが当分の間の目標だな。」

「え?出せるの俺?どうやって出すの?」

「エボルトが言うには、体中の力を開放して、それを手に集中させて、ボトルの形状を強くイメージする。そしたらフルボトルの生成ができるらしい。」

「"練"と"凝"かな?」

 

 

 俺は椅子から立ち上がり、早速言われたとおりに体にグッと力を入れて、ボトルの力を増幅させる。そしてそのまま力の流れを右手に収束させる…!

 しかしそこで、体からあふれ出していたオーラのようなものが途切れてしまった。その反動で思わず床に膝をついてしまう。

 

 

「ハァ、ハァ…体が動かねぇ。」

「まあ一発でできるもんじゃないよな。エボルトの予想だと一週間ぐらいでできるようになるらしいから、ベースと平行して練習しといてね。」

「りょ、了解でーす…」

 

 

 なるほど、ベースとフルボトルの生成の技術は一朝一夕では身につかないと。また一つ賢くなってしまったな…

 

 


 

 

 

 

 

 あれから一週間が経過した。優一さんの言っていた目安は今日だ。

 …しかし俺はいまだにフルボトルの生成ができていない!!力の集中まではできたんだよ…でもね、そこからフルボトルにできないんだよ。なんでだろうね。そんなに下手か?わしのボトル生成は。(そうだよ)

 やばいよどうしよう…!早くできるようにならんと!日を追うごとに優一さんの表情が険しくなってきてるんだよ!ごめんなさい、ほんとに!!

 

 

「うーん。これは思ってた以上にこの世界の神の力が強いみたいだな。」

「すみません、優一さん。俺、全然できなくて…」

「いや、いいんだ。響真は悪くないよ。ただ、どうしてもこのままだと計画に支障をきたすだろうからなぁ…」

「すみません…」

 

 

 

 しばらくの間沈黙が続いて、優一さんが口を開く。

 

 

 

「…響真、賭けに出てみる気はないか…?」

「賭け?」

「ああ。成功すればエボルトの能力を手に入れられる。」

「失敗すると?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…タヒぬ…」

「…どのくらいの確立でタヒぬの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……7割。」

「い、いやだ…」

 

 

 ふむ。ワシにしねというのかね!ぜっったいにいやだね。(鋼の意志)

 …いや、待てよ。もしその賭けとやらに成功して生き残ったとしても、俺は人外さんになって地球を滅ぼすことになるんだよな。まじアウトサイダー。逆に失敗して死ねば、この頭のいかれた計画から離脱することができる。まじ魂の救済。正直ここで生涯を終えるのもありなのかもしれない。こっちの世界に来た時点で俺は死んでしまったようなものだからな。ならばここは、賭けに出るの一択では?!(錯乱)

 

 

「やっぱりやるわ。」

「…ほんとにいいのか?」

「まあ、ソシャゲの闇深ガチャよりかはだいぶ良心的だから。」

「…ガチャは何度もできるだろ。」

「マジレスやめて。」

 

 

 なんとも言えない顔した優一さんは、ジャケットの内ポケットから液体の入った小瓶を取り出した。そっちから持ち出した話なのに。なんやその目はぁ…(王者の風格)

 

 

「こいつはエボルトの毒だ。少々荒療治にはなるが、こいつを飲んでもらう。」

「なるほど、まずそう。でもほんとにこれで力は手に入るのか?」

「体にショックを与えて無理矢理覚醒させるんだ。名付けて『毒を以て毒を制す作戦』。俺は、この世界の神は響真の力を奪ったのではなくロックをかけているんだと考えてる。」

「ほう。」

 

「そしてこの毒を飲めば、響真の中に眠っている九つの特殊能力《星狩りの転生特典(エボルスキル)》を解放することができるはずなんだ。」

「九つの能力?巨人の力かな?」

「いや、ディケイドを意識したんだろ。多分だけど。」

 

 

 九個もくれるのか。エボルトはいいやつだな(クソチョロ)

 

 

「それじゃあ早速いただきますかな。」

 

 

 毒と言われたそれを俺は躊躇なく飲み干す。…うん。無味無臭だね。もっとまずいものだと思ってたわ。これなら優一さんの淹れたコーヒーのほうが余裕でまずい。…ん?

 

 

「ガハッ?!ゴホッ、ゴホッ…!く、苦しい…!体が…焼ける…!」

 

 

 身体中から汗がどっと出て、その場にのたうち回る。上手く息が出来ない、これはほんとに死ぬかもな。俺は猛毒に襲われて、そのまま意識を失ってしまった。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぁ…」

 

 

 頭がガンガンする…。体は鉛のように重いのに空を飛んでいるみたいな高揚感がある。熱もあるみたいで死ぬほど気持ち悪い。でもこのかんじは…

 

 

「生きてるじゃん、俺」

 

 

 体がある、呼吸もしている、俺はまだ生きてる。生の実感を噛み締めつつ、ベッドに寝ていた俺は起き上がろうとする。ちょー喉乾いたわ。

 

 

「響真君…?」

「えっ、戸山さん?!どうしてここに??」

「ひっぐ…よかった…よかったよぉ…」

 

 

 なぜか俺の部屋にいた戸山さんが突然泣き出した。なんで戸山さん泣いてるの?やばい、女の子が泣いてるときってどうしたらいいんだ?わかんない、わかんないよぉ!!有識者、助けてくれ。

 

 

「えーっと、と、戸山さん?大丈夫?」

「ひっぐ…ごめんね、安心したらなんか涙出ちゃって。」

「えぇ…泣くほど?」

「だって!40度以上の熱が3日間ずっと続いてて、ずっとうなされてて、そうだと思ったら今日は静かで、死んじゃったのかと思ったんだもん!」

「ごめん、心配かけてごめん。」

 

 

 そんなにやばかったんか俺。そら泣くわ。つい先日まで普通に会話してたやつが死にかけになってたら、中学生は泣くよ。

 

 

「響真君もう熱大丈夫なの?」

「まだちっとだるいけど、大丈夫そうだな。」

「よかった…」

「というかわざわざお見舞いに来てくれたんだな。ありがと、戸山さん」

「どういたしまして!そうだ、プリント届けに来たんだった。はい、これ。」

「まじか、ありがとう。」

 

 

 戸山さんめちゃ優しいやんけぇ…陰キャは女子に優しくされると勘違いしちゃうんだぞ!まぁ俺は意識高い系の陰キャだから勘違いしたりしないけどな。

 というか会って間もない異性の家に1人で来るとかやばいだろ。いや?中学生ならギリセーフか?やっぱダメだな、アウトだろ。それにプリント届けるだけならポストに入れるとか、優一さんに渡しとくとかでもよかったと思うのに。意外と律儀なのかな。

 

 

「戸山さん今日はわざわざ来てくれてありがとね。風邪移しちゃうと悪いからそろそろ…」

「そうだね。響真君、明日は学校来れそう?」

「あー、多分行くかな。」

「じゃあ明日からは一緒に行こうよ、学校!」

「ウェッ」

「だめ?」

「いいよ、別に。これからお供いたします。」

「うん!じゃあまた明日ね!」

「あぁ、玄関まで見送るよ。」

 

 

 戸山さんまじいい子だなー。でも距離の詰め方ちょっとえぐかったな。陰キャに優しい陽キャ女子って存在するんだ…(遠い目)

 そんなことを考えながら、俺は戸山さんを見送るのであった。

 

 


 

 

 俺は部屋に戻ってからベッドに腰掛ける。やっぱりまだちょっと立ってられないわ。正直しんどい。…あれ?俺生きてるってことはフルボトル出せるんじゃない?

 一旦思考を止めて体中の力を解放させる。ギリギリまで放出したそれを今度右手に集中させる。そしたら力を一点にさらに集中させてフルボトルの形状を強くイメージする。すると不安定だったオーラが段々と質量を持ち始めて……

 

 

「できた…これがコブラフルボトル…」

 

 

 俺の右手には銀色のコブラの装飾が施されたフルボトルがしっかりと握られていたのであった。

 

 

 

 




ベースエアプなんです…許してくれぇ…(´・ω・`)
あと、響真君は仮面ライダーは知ってるけどバンドリは知らないです。


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第5話 想定外で最低な1日


「優一さんの指示でベースの練習をすることになった石動響真。日本一のベーシスト。俺、なります!その後なんやかんやあってエボルトの力を使えるようになりましたとさ。第5話も楽しんでってね。」



 俺がコブラフルボトルを生成できるようになった翌日、昨日の気だるさは全くなくすっきりとした目覚めだった。実に清々しい…まるで生まれかわったみたいだ。あれだね、一度生死を彷徨うレベルの地獄を味わうと、何の変哲もない日でも甘美なものに感じられるな。雀のさえずりでさえ美しく聞こえてしまう。なんてことを考えつつ、俺は部屋を出てリビングのドアを開ける。

 

 

「おはよう、響真。気分はどうだ?」

「おはよー、めっちゃいい感じだわ。」

 

 

 すでに起きて朝食を用意していた優一さんと軽く会話しながらテレビをつける。適当に星座占いをやっているニュース番組にチャンネルを変えて、キッチンに向かう。

 

 

「うわ、響真最下位じゃん。ドンマイ。」

「一瞬で気分下がったわ。」

 

 

 今日の最下位は双子座のあなた。やることなすこと全てうまくいきません。ラッキーアイテムはキヌガサダケのスープです。今日一日頑張ってください!

 なんてこと言うんだ、このアナウンサー。そんな占い初めて聞いたぞ。言い過ぎやろ。しかもラッキーアイテムが入手出来そうにないのですが。

 

 

「それで?ボトルの生成は?」

「完璧よぉ」

 

 

 俺は優一さんの目の前で、コブラフルボトルを出してみせる。昨日は精神を集中させないと出せなかったが、今は片手間で出せるくらいにはなった。特訓の成果ってやつだよ、これが。

 

 

「へぇ、やるじゃん。」

「まあな。慣れちまえばこっちのもんよ。」

「いやーよくやった。一時はどうなるかと思ったが、よかったよかった。待ってろ、今コーヒー淹れてやるからな。」

 

 

 俺は精一杯の笑顔でいらないと言ってやったのだった。

 


 

 

 さてこれから三日ぶりに学校に行くわけだが、その前に俺は戸山さんに会わなければならない。昨日一緒に行こうって言われちゃったからね。そりゃ行くしかないでしょ。それにしてもあんな美少女と一緒に登校できるなんて、ここはギャルゲーの世界か?

 そんなことより、集合時間とか決めておけばよかったなって、家出てから気づいたわ。戸山さんまだ家にいるかな?いるよね?…気長に待つか。

 

 

 

 

 

 10分後

 

 だ ま さ れ た(血涙)

 この時間になっても戸山さんが出てこないとなると、もう先に行ってるとしか考えられない。陰キャに優しい女子なんていなかったんだ。きっと教室に行ったら「ごめ~ん。陰キャ君、昨日の約束忘れてた~ww。許してwww。」されちゃうんだぁ。別に辛くなんかないもん!つらくないもん……はぁ、俺も行くか…

 

 

「大丈夫、走れば間に合うから!行ってきます!!」

 

 

 ちょうど俺が学校に行こうとしたとき、戸山さんが勢いよく玄関のドアを開けて飛び出してきた。ちゃんといました。っぶねー、待っててよかったー。

 

 

「え、響真君、待っててくれたの?!」

「昨日誘ってくれたから…もしかして迷惑だったか?」

「ううん、うれしい!一緒に行こっ!」

「ああ、急がないとな」

 

 

 昨日のあれが社交辞令だったらどうしようかと一瞬考えたが、どうやらそんなこともなさそうだ。俺と戸山さんは遅刻を免れるために、走ってで学校に向かうのであった。

 

 

 

 

 はい。というわけで帰宅フェーズでーす。いやー、三日も休んでたらクラス内でそれなりにグループができてたのは驚いたね。席が近い奴らが話やすい人たちばかりで助かったよ、ほんと。

 

 

「それでさ、響真君は何部にするの?」

「んー、陸上かな。」

 

 

 帰り道が一緒なので、俺はまた戸山さんと並んで歩いている。ちなみに俺たちが通ってる中学は必ずどこかの部活動に所属しなければならないので、今はそれ関連の話をしている。陸上は前の世界でやってたからね。適当でいいんだよ、どうせ全部壊しちゃうんだから。

 

 

「そっかー、私どうしよっかなー。」

「まだ決めてないの?部活動見学してきたじゃん。」

「いやー、どれも楽しそうで…」

「ふーん、まあ、まだ時間あるし気長にいけば?」

 

 

 戸山さんは陽キャ気質だから女テニとか女バレとかかな。ちょー偏見なんだけどね。ごめんなさい。

 

 

「でも部活が始まっちゃうとこうやって一緒に帰れなくなっちゃうねー。」

「朝一緒に行くからいいじゃん。」

「そうだね、あっ!今日はごめんね、朝遅れちゃって…」

「いや、間に合ったし別にいいよ。」

「ほんとにごめんね!」

 

 

 その後、どうでもいい会話をしていたら家に到着したので俺は戸山さんと別れて家に帰ったのだった。

 

 

 

「たでーま。」

「おう、おかえり。鞄置いたらリビングに来て。」

「了解でーす。」

 

 

 何事かと思い、俺は自分の部屋に鞄を放り出して、リビングに向かう。この前みたいに楽器やれとか言われるんかな。次はなんだろな。

 

 

「来たな、響真。まずはこれを見てほしい。」

 

 

 そう言う優一さんの目の前には、かなり厳重なカプセルに保存された、赤いアメーバのようなものが鎮座していた。

 

 

「え、なにこれ。」

「エボルトの細胞の一部だ。」

「なんでこんなものが?」

「まあ、実験の副産物ってとこかな。」

「実験?副産物?」

「≪世界を旅する力≫でエボルトはこっちの世界にどうにかして来れないか色々と実験をしていたんだよ。その結果、意思を持たないレベルのエボルトの細胞や血液はなんとか侵入できることが判明したんだよ。」

「なるほど。それで、俺はまたこれを食べればいいのか?」

「食べる必要はないよ。こいつは近くにいる人間の中で最もハザードレベルの高い者に入り込むようにプログラムされている。つまり開けたら響真に取りつくようになってるんだよ。」

「もし俺よりも優一さんのハザードレベルが高かったら?」

「そんなことあるわけないだろw。響真はもう半分化け物みたいなものだから。人間の俺が勝てるわけないんだよ。」

「へぇ…」

「こいつと融合することで、響真は完全な地球外生命体になれるんだ。」

 

 

 そうか、俺はもう半分人間じゃなかったのか。フルボトル出すくらいしかできないから全然実感わかないんだけど。

 

 

「じゃあ早速開けていくぞ。準備はいいか?」

「よっしゃこい!」

「言い忘れてたけど入り込むとき激痛で気絶しちゃうかも。」

「え、ちょま」

 

 

 カシュッという音を立ててカプセルの蓋が開かれ、深紅のそれは這い出てくる。べちゃりと机の上に落下して、こちらに近づいてくる。そして俺の目の前で停止する。

 数秒の間、俺はそいつを凝視する。そいつはプルプルと震えだした次の瞬間、俺に向かって勢いよく飛んできた!

 

 

 

 

 ヒュン、パリーン

 

 

 ………

 

 

 ……

 

 

 …

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 え?????????

 

 

 なんかあれ吹っ飛んでったんだが?俺を飛び越えて窓割ってgo awayしたんだが?話と違うんだが??

 

 

「「…」」

 

 

 二人でしばらくの間割れた窓ガラスを眺めてみる。時刻は午後5時。空も夕焼け色に染まり、カラスが飛び交う時間だ。今日の晩飯は何だろうなあ…

 

 

「やばい、やばい、やばいぞ、響真!」

「うん、そうですね。」

「今すぐ追いかけるぞ!」

 

 

 ぶっ飛んでったエボルトの細胞を見つけるべく、俺たちは家を出てそこらじゅうを探しまくる。

 最悪だ…うん、ほんとに最悪だ…。さっきの優一さんの話が本当だとすると、それはここら一帯に俺以上のハザードレベルの持ち主がいるということを意味する。俺よりも強いだなんて、絶対にこの近くにあいつがいるとしか考えられない…!

 埒が明かないと思った俺は一旦走るのをやめて、神経を集中させる。さっき見たエボルトの細胞の気配を探し出す。あんなに禍々しいオーラを持った物体だ…嫌でもすぐにわかる。

 見つけた…!ここから真っ直ぐ3㎞先!駅周辺か?

 俺はそこに向かって全速力で走りだす。奴にとられる前に何としてでもエボルトの細胞を取り戻す!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく走って、俺は目的地の駅にたどり着く。夕方の帰宅ラッシュの人混みをかき分けて、俺はそいつを見つける…が、

 

 

(チッ、遅かったか…)

 

 

 目の前にいる同年代の男は俺が元いた世界のフィクションでしか見たことはなかったが、こっちの世界でもあまり差はないんだなって思ってしまう。だって俺は一目でそいつが、

 

 

 

 

 万丈だってわかってしまったから。

 

 

 

 

 なぜこの世界にも万丈がいるんだ。そして万丈からは先ほどのエボルトの細胞の気配が…いや、それ以上のものだ。万丈の本来のスペックも相まってオーラがさらに禍々しく見えてきた。今はハザードレベルにさほど差はないが、きっと伸びしろは俺以上だ。嫌でもわかる。どうする?今ここで消すか?

 

 

「痛っった!何?!何だ?!」

 

 

 いや気絶しないのかよ!強いな!

 エボルトの細胞が入り込んだのに万丈はピンピンしている。そしてそのまま改札を通り抜けて駅のホームに向かっていった。

 

 

 …そういえば今日の占い最下位だったなー。そんなことを考えながら、呆けた顔で俺は駅の改札をただ眺め続けていたのであった。

 

 




響真→ハザードレベル2.5
万丈→ハザードレベル2.8
参考までに


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第6話 深まる謎と地下室


「万丈…どうしてここに…。半分人間、半分化物の石動響真は、エボルトの細胞、遺伝子を取り込むことで、完全体になる予定だった。しかし、エボルトの細胞はこの世界の万丈に取られてしまったのであった。果たしてどうなる石動響真?!第6話行ってみよー!」



「万丈龍也。中学一年生。格闘技を小学生のときからやっていて、その界隈だとそこそこ名の知れた選手らしい。生年月日は…」

 

 

 翌日、優一さんの調べで万丈の情報が手に入った。どうやって調べたのかわからないが、生まれた病院、生まれた時の体重まで調べあげられていた。そして名前が龍我じゃなくて龍也だった。名前が違うのはこの世界の万丈が本来のビルドの世界の万丈とは別物だからなのだろうか?

 

 

「これもイレギュラーなのか?」

「ああ。まさかこの時点で響真よりもハザードレベルの高い人間がいたなんて…。」

 

 

 地球滅亡が遠のいたことを喜ぶべきか、計画がうまくいってないことを嘆くべきか…。でも失敗したらエボルトが俺を消すために刺客を送ってくるかもしれないし、絶対後者なんだろうなぁ…。

 というか万丈、なんで人間やめた俺よりハザードレベル高いんや。あれか?お前も転生特典か?あ?

 そしてなりより神に一杯食わされたってのが気に食わない。…そりゃこっちは地球からしたら病原菌みたいなものだから妨害してくるのもわかるんだけどね。はい。今、石動菌とか思ったやつ、後でしめるからな。

 それでもやっぱり出し抜かれたかんじは悔しい。生憎、やられっぱなしは性にあわないんでね。正直なんかやり返したい。

 

 

「まぁ過ぎてしまったことは仕方ない。次に向けて行動しよう。」

「りょーかい。」

 

 

 このままだと計画が失敗して俺たちの敗北が決定してしまうので、早めに何とかしたいものだが。まぁ最終的に目標達成できればエボルトもよしにしてくれるでしょ。ダメ?

 

 

「エボルトの細胞を取り戻すため、俺たちは万丈のハザードレベルを融合可能レベルの5.0まであげなければならなくなった。」

「ふむ…やはりハザードレベルが低いと融合はできないのか…」

「ああ、だからまずはトランスチームシステムの開発を優先しようと思っている。」

「ん?トランスチームシステムはともかく、ライダーシステムって作れるの?ネビュラガスないじゃん。」

 

 

 そう、この世界にはスカイウォールがない。つまりネビュラガスも存在しないはずだ。だからトランスチームシステム一式が作れても、ライダーシステムは作れるわけがない、そう思っていたのだが、

 

 

「あるんだなそれが。ちょっと着いてきて。」

 

 

 そう言って席を立った優一さんの後に続き、冷蔵庫の前で止まった。そして冷蔵庫を開けると、

 

 

「ここから地下室に行けるようになっている。」

 

 

 なんと冷蔵庫の下半分が地下室への入口になっていました。

 …やばい、心がwktkしてきたわ。まるで秘密基地に来たみたいだぜ。テンション上がるなぁ〜。でもしょうがないよね?男の子だもん。

 早速中に入ってみると、入口は狭かったが中はかなり広くなっていて、壁と天井にはいくつかの配管が取り付けられていた。おそらくトランスチームシステムやライダーシステムの開発するための装置やコンピュータらしきものも置いてあった。

 

 

「ここら一帯の地下からは天然のネビュラガスが発生していて、取り放題なんだよ。それをこの管で回収して、ボンベに詰めて保存しているってわけ。」

「なるほど、これならライダーシステムシステムの開発も問題なく行えるな。」

「そういう訳だ。それじゃあ俺は書類とかデータとか持ってくるから、今日から開発がんばってね。」

「何だその言い方、まるで俺一人でやるみたいな…」

「うん、そうだよ。」

「ウェッ」

「自分で作ったほうが仕組みとかスペックをしっかりと理解できるだろ?だから響真一人で作り上げて欲しいんだよ。」

「わかったよ…ちなみにいつまでに?」

「夏休み入る前までには完成してて欲しいなー。」

 

 

 約3ヶ月か…いけるか?兵器の開発なんてしたことないからわかんないんだけど。

 

 

「まぁ最悪トランスチームガンだけでもいいよ。スチームブレードはできれば欲しいけど優先度は低いからな。とにかく夏までにブラッドスタークになれるようにだけはして欲しい。」

 

 

 必要なものは揃ってるみたいだし、図面もある。まぁこれなら何とかなるのかな?今日はもう夜遅いので寝るとして、俺は次の日から作業に取り掛かるのであった。あ、こっから長いので日記形式でいきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 4月15日

 

 今日からトランスチームシステムの開発を始める。まずは優一さんが出してくれた読み込むことから始めた。どうやらトランジェルソリッドを活性化させて、トランジェルスチームに変換させるスチーム生成ユニットの製造が一番難しいらしい。逆にいえばそれができてしまえば、他は比較的簡単なのだろう。足りない素材の注文をネットでして、今日は終わりにした。

 

 

 

 4月16日

 

 今日からしばらくの間は、スチーム生成ユニットの「ミスティックチャージャー」の制作をしていく。高温高圧流体技術を応用したもので、ソリッドを活性化させてガスに変換するための装置だ。プログラムは送ってもらったデータを打ち込むだけなので何とかできそうだ。これはフルボトルスロットのすぐ上に位置するので、それも一緒に作ることにした。

 

 

 

 5月2日

 

 ミスティックチャージャー並びにフルボトルスロットの製作が完了した。俺が生成したコブラフルボトルを使った簡易実験をして、規定値を超えるガスの検出が確認できた。これで一番めんどうなところは突破できた。この感じならもう少し製作のペースを下げてもいいのかもしれない。働きすぎはよくないと思うのだ。

 

 

 

 5月4日

 

 今日はミスティックチャージャーから生成したガスを一時的に溜めておくタンクの製作をした。それに伴い、ネビュラガスを貯めておくタンクも作っておいた。これがあるとどこでも人間をスマッシュにできるらしい。多分使わないと思うけど。買った部品をはんだごてでくっつけて終わりだったのですぐだった。

 

 

 

 5月11日

 

 最近はトランスチームガンの銃口である「ブレイジングスチーマー」の製作をしている。蒸気でできた高熱硬化弾であるスチームビュレットを撃ち出す衝撃に耐えれるように、強化素材を使用している。まぁ仮面ライダーとの戦闘を想定しているので、トランスチームガンのほとんどの部分が強化素材になっているんだけどね。

 

 

 

 5月22日

 

 今日からガスを弾丸に変換する装置を製作する作業に入る。ここも結構面倒で、「蒸血」を宣言してトリガーを引いた時は特殊パルスを発生させてトランジェルガスを武装して装着し。ただトリガーを引いた時は弾を発射。引きっぱなしにすると煙幕と3種類もあるのでとにかく時間がかかる。エボルトには文句しかない。とりあえず会ったら絶対一発殴ろうと思った。

 

 

 

 6月12日

 

 ガスの変換装置がついに完成した。トリガーと音声認識システムも必要だったので一緒に作った。これで中身はほとんどできたので次からは外側を作っていきたいと思う。…まぁ1週間は休むと思うけど。わしは疲れた。

 

 

 

 6月18日

 

 グリップの部分と銃の本体部分の加工ができた。ブレイジングスチーマーの時と同じで、アルミなどにトランジェルソリッドを混ぜた特殊な強化素材を使用している。これのおかげでトランスチームガンは軽いけど、仮面ライダー相手の戦闘でも通用する強度になっている。正直形になってきてかなりテンションが上がっている。しょうがないね、男の子だもん。

 

 

 

 6月21日

 

 ついに試運転。今日はスチームビュレットが正常に発射されるかどうかを記録するだけだった。結果は大成功。飛距離、威力ともに良好だったとだけここには書いておく。実にすばらしい。

 話は変わるが、もうすぐ期末テストがある。戸山さんが悲鳴をあげていた。我関せずという顔をしていたら、数学を教えろと言われた。まぁお見舞いの恩もあるったので了承する事にした。

 

 

 

 6月29日

 

 トランスチームガンが完成した。スピーカーを組み込んだのだが、まさか音声を自分でとらされるとは思わなかった。地下室にスタジオみたいなところがあってそこで、「コブラァ(ねっとり)」とか「ミストマァッチ」とかひたすらに発声してた。1人で。

 この時気づいたのだが、どうやら声帯をいじれるようになったみたいだ。がんばって声真似みたいな感じでやろうとしたらくっそ野太い声がでた。多分これが二つ目の転生特典なのだろう。

 

 しょぼくね?

 

 

 

 7月5日

 

 ついに最終段階、ブラッドスタークのスーツのデータを打ち込む作業に突入した。このデータをメモリに入れて、トランスチームガンに組み込むだけで、ブラッドスタークに変身できるらしい。ただこれもアホみたいなデータ量なのでめっちゃ時間がかかるんだが。

 そして期末テストが終わった。戸山さんもやりきったようだ。

 

 

 

 7月11日

 

 最後にトランスチームガンのペイントを施して終了。ペイントにはエアスプレーを使った。ほとんど黒とシルバーだったのであんまり大変ではなかった。これで完成。

 

 

 

 7月12日

 

 最終チェックをした。ブラッドスタークに変身してしまった。さすがにテンション上がった。身体能力の上昇、スーツの強度ともに問題なかった。あまり言いたくはないが、楽しくなってきてしまった。

 

 

 

 

 

 今日の日記を書き終えて、そのままベッドに身を投げる。

 長かった…。非常に長かった。途中、システムがうまく機能しなくて発狂し、めんどくさい作業に何度エボルトに殺意を抱いたことか。トランスチームガン向こうから送ってくれればいいのに。なんでダメなん?俺がシステムの理解とかする必要あるのか?いやっ、ないね(断言)

 

 

 コンコンッ

 

「響真、今ちょっといいか?」

「?、どーぞー。」

 

 

 天井見ながらポケ〜っとしてたら、ノックの音が聞こえたので返事をした。それにしても珍しいな。優一さんが部屋に来るなんて。

 

 

「これを見て欲しいんだけど…。」

 

 

 そう言いながら優一さんは、1枚のチラシを渡してくる。それを見ると、

 

 

「『この夏、期間限定!地球の神秘!パンドラボックス展示展!!』?」

「そう。この夏、都立の科学館で行われるイベントだ。普段研究されているパンドラボックスが公開されるんだ。」

 

 

 パンドラボックスもあったのか。そりゃ俺が来てる時点であってもおかしくはないし、何よりネビュラガスが発生してる時点でなんとなくあるんだろうなとは思っていた。

 

 

「パンドラボックスもパネルもボトルも全部研究所に厳重に保管されているんだよ。でも、科学館に移動するならどうしても外に運び出さなければならない。俺たちはそこを狙う。」

「運び出すなら、警備は厳しくなるんじゃないのか?だったら研究所に直接乗り込んだ方がよさそうだが…」

「あそこの研究所はかなり厄介な警備システムらしくてな。もし侵入して中に閉じ込められたりしたら、さすがに面倒だからな。」

「ふぅん…なるほどね。」

「それに、今の響真なら警備員がいくら束になっても敵わないだろうからな。」

 

 

 そういえば俺にはブラッドスタークの力があるんだった。俺は兵器を所持している。それも拳銃なんておもちゃに思えてしまうような代物だ。この力は簡単に多くの命を奪うこともできてしまうのだ。さすがに自衛隊とかが動いたら勝ち目はないと思うけど。

 

 

「というわけで、パンドラボックス強奪の算段を考えていこうと思う。」

「決行はいつ?」

「7月25日だ。」

「りょーかーい。」

 

 

 これが俺がこの世界に来てから初めての侵略行為だと思うと、心臓の鼓動が早くなり、うるさくなってくる。これが星の鼓動ってやつかぁ…(違う)

 

 っしゃー、そろそろちゃんと悪役やりますか!!

 優一さんとの会話を終えて、俺は電気を消し、眠りにつくのであった。作戦の決行日はすぐそこだ。

 

 

 

 





正直、トランスチームガン開発の部分は自分の想像の域を出てません。私がこんなかんじかな〜って思いながら書いたものなので、よくわからないという人もいるかもしれません。
ただ、自分で武器を作ることができるという設定が欲しくて書いただけなので、あまり深く考えないで読んでいただけると幸いです。


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