Fate/Transmigrater (Othuyeg)
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キャラまとめ、或いは備忘録


タイトルが全てです。ネタバレが嫌い、アレルギーなどの方は先にほんへ読んで、どうぞ。

まあそういう人はもうタイトルの時点で作品本編に行くでしょうけどね。


というわけで、見たけりゃ見せてやるよ(震え声)


サーヴァント①

真名:沖田総司

 

クラス:セイバー(フォーリナー)

性別:女性

身長/体重:158cm/47kg(本来より2kg増)

スリーサイズ:断固秘匿

出典:史実(当然この世界での)

地域:日本

属性:中立・中庸

隠し属性:(ことわり)

好きな物:甘味

嫌いな物:たくあん(本人曰く「吐くほど食って食べ飽きた」)

天敵:岡田以蔵、織田信長(?)

 

クラス適性:セイバー、アサシン、フォーリナー*1

 

クラス筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具
B++D+EXA+D-EX
C+E++EXBC-EX
A+C+EXEXC-EX

 

 

 聚積魂(ユング)最後の異世界周航者(ワールドトリッパー)。今までの異世界周航者達の経験が全て内包されており、完全な状態なら神話級の英霊でも単体では鎧袖一触にされてしまう程の強さ。その為、通常の聖杯戦争(そんなものが存在するか分からないが)では、本来の実力を大きく下回る状態で召喚される。今回もかなりデチューンされた状態。

 

 脳内掲示板では「アインズ様と牛女(源頼光)ちゃん辺りでワンチャンぐらい」(クレマンティーヌ)「魔神王でトントンぐらい」(ジナコ=カリギリ)「シェム・ハさんとワルプルギスの夜とBBさんでやっとぐらい」(アルティメットまどか達)などと言われていたが、実際のところ、完全体沖田さんと互角に戦うなら最低一人は三騎士を含むグランドクラス二人以上が必要。ぶっちゃけただのクソチートである。まさしく『ぼくのかんがえたさいきょうのおきたさん』。つよい(確信)

 

 剣霊基と殺霊基で筋力と耐久のプラスの数が逆転しているが、これは自分の魔術・魔力を攻撃側に振っているか防御側に振っているかの違い。殺霊基は耐久力味噌ッカスだからね、仕方ないね() なお(フォーリナー)霊基はほぼ完全体なので召喚されることはまず無い。

 

 

クラススキル

 

剣:対魔力B--- 騎乗D- 領域外の生命A 神性C(気配遮断D-

 

殺:気配遮断A 領域外の生命A 神性C

 

臨:領域外の生命EX 神性A++ (対魔力A-- 騎乗C- 気配遮断C+) 

 

保有スキル

 

共通:縮地EX 黄金律(美&声)B- 中国拳法A*2 病弱A*3 二重召喚(ダブルサモン)三重召喚(トリプルサモン)) 心眼(偽)A

 

剣:魔力放出D 根源接続(偽)A 魔術C 呪術C

 

殺:幻影の刃EX

 

臨:根源接続(偽)EX 魔術A 呪術B

 

宝具

 

誓いの羽織

ランク:C 種別:対人(自身)宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人

 袖口にダンダラ模様を白く染め抜いた浅葱色の羽織。サーヴァントとして行動する際の戦闘服と呼べるもので、装備する事によりパラメータを向上させる。また通常時のセイバーの武装は『乞食清光』だが、この宝具を装備している間、後年に『沖田総司の愛刀』とされた『菊一文字則宗』へと位階を上げる。

 一目で素性がバレかねないあまりにも目立つ装束のため、普段はマスターが用意した袴を着用している。何気に特徴的な外見でバレてしまう点では珍しいトラブルのある宝具と言っていいのかもしれない。

 

 因みにダンダラ模様は近藤がデザインしたが、土方達には派手だと余り着用されなかった。

 

誠の旗

ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:1~200人

 沖田の最終宝具。「よりぶっ飛んでる魔剣の方じゃないの?」と思いがちだが、沖田は断固としてこちらが最終宝具であるというスタンスを崩さない。

 新選組隊士の生きた証であり、彼らが心に刻み込んだ「誠」の字を表す一振りの旗。カラーでは赤地に黒字だが、モノクロでは字の部分がトーンになっている。

 

 一度発動すると、かつてこの旗の元に集い共に時代を駆け抜けた近藤勇を始めとする新選組隊士達が一定範囲内の空間に召喚される。

 各隊士は全員が独立したサーヴァントで、宝具は持たないが全員がE-相当の「単独行動」スキルを有しており、短時間であればマスター不在でも活動が可能。また、魔剣の域に達した剣術を使える隊士も居り、総合的な攻撃力は高い。

 

 因みにこの宝具は新選組の隊長格は全員保有しており、効果は変わらないが発動者の心象によって召喚される隊士の面子や性格が多少変化するという非常に特殊な性質を持つ。

 例として挙げると、土方歳三が使用すると「拷問などの汚れ仕事を行ってきた悪い新選組」、近藤勇が使用すると「規律に五月蝿いお堅い新選組」として召喚される。また、召喚者との仲が悪いとそもそも召喚に応じない者もいる。沖田が召喚するのは「世間的に良く知られたメンバーで構成された、ポピュラーな新選組」である。なお、()()()()()()()()()

 

 沖田の場合この宝具はセイバークラスでしか使用できないらしく、他クラスで召喚された際は「持ってはいるが使用はできない」という微妙な状態になるという。

 

無明三段突き(むみょうさんだんづき)

ランク:ー 種別:対人魔剣 レンジ:1 最大捕捉:1人

 稀代の天才剣士・沖田総司が得意としていた秘剣「三段突き」。超絶的な技巧と速さが生み出した、必殺の「魔剣」。

 

 「平晴眼」の構えから“ほぼ同時”ではなく“全く同時”に放たれる平突きで、放たれた「壱の突き」「弐の突き」「参の突き」を内包する。

 放たれた三つの突きが“同じ位置”に“同時に存在”しており、この『壱の突きを防いでも同じ位置を弐の突き、参の突きが貫いている』という矛盾によって、剣先は局所的に事象飽和を引き起こす。

 

 事実上防御不能の剣戟であり、結果から来る事象飽和を利用しての対物破壊にも優れる。効果範囲こそ狭いものの命中個所は「破壊」を通り越して(えぐ)()いたように「消滅」するほど。

 なお、本来はスキル扱い。

 

 ――――――ここまでは型月正史の沖田総司と同じ。しかし、この沖田にはその先が存在する。

 

無窮三段突き(むきゅうさんだんづき)

ランク:ー 種別:対人魔剣 レンジ:1~22 最大捕捉:15人

 異世界周航者(ワールドトリッパー)として生き抜いた沖田が独自に生み出した、()()()()()()()()()()()「三段突き」。

 自らがその体内に内包する第二・第三魔法、固有結界(転生の副産物)()()を用いて、あらゆる並行世界の「自分の放つ剣撃の可能性」を全て収斂して放つ平突き。『無明三段突き』が引き起こす事象飽和に加えて多重次元屈折現象(キシュア・ゼルレッチ)を発生させ、対象のみならずその周囲までもズタズタに斬り裂き、蜂の巣にしてしまう。

 

 雑に言うと、より有り得ない方法で再現された「ジェット三段突き」。

 

 ――――だがこれでもなお、この沖田の能力のほんの氷山の一角に過ぎない。

 

絕劔・无竆斂-派-(りゅうは・むきゅうれん)

ランク:A++ 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:100人

 前述の『無窮三段突き』の真の姿。沖田が創り上げた我流の剣術で、「絶剣・無窮斂*4」と名付けられた技全てを総称した宝具。

 使用すると刃は虹色に(かがや)き、剣の軌跡の周囲を空間ごと削り取ったように破壊する。最大出力で放つと虹色の光を放ちながら前方をズタズタに斬り裂き塵にする、「なんか凄いビーム」ならぬ「なんか凄いスラッシュ」と化す。

 

 もちろんこれも完全体でなければ最大出力は出せず、普段は無明三段突きの上位互換程度の威力しかない。

 

外法天生、幽世を見ず(エクセプション・トランスミグレイター)

ランク:EX 種別:対人(自身)/対軍/対界宝具 レンジ:??? 最大捕捉:5000人

 げほうてんせい、かくりよをみず。異世界周航者(ワールドトリッパー)達の生きた証、生涯そのものにして、彼女達の魂の始まりと終わりの世界。全ての魂の発着駅(ターミナル)

 その本来の目的は抑止力や世界の修正力によって異世界周航者(ワールドトリッパー)がその世界から排斥されないようにすること。すなわち、世界(転生先)に強引に存在を捩じ込む力を持っている。

 

 だが、その世界の力を応用し、瞬間的に結界内に逃避することで、避けようのない攻撃を避けたり、体内に展開することで絶対に致命傷を受けないようにしたり、他者の人生経験を憑依させ、他の異世界周航者(ワールドトリッパー)の力を使ったりといったことができ、彼女の力の全ての源と言える。

 

 

 

 

真名:藤丸六華

 

性別:女性

身長/体重:ご想像にお任せします

誕生日:4月16日

スリーサイズ:ご想像に(ry)

地域:日本

属性:中立・善

隠し属性:人

好きな物:沖田、及びその他英雄伝承、スイーツ

嫌いな物:基本無し

魔術回路・質:C

魔術回路・量:D

魔術回路・編成:正常

 

 驚異のレイシフト適性100%をたたき出し、あれよあれよという間にカルデアに拉致されてきた一応一般人。沖田に関する伝承・伝説は全て覚えている超弩級の沖田オタクで、聞かれれば立て板に水もかくやの勢いで芋づる式に知識が出てくる。

 別に知識が沖田のみに特化しているわけではなく、『アーサー王伝説』『ニーベルンゲンの歌』などの有名な伝承についてもある程度の知識はある。

 そして、この世界の「藤丸六華」という存在は、()()()()()()()()()()()()。時計塔の高位の魔術師から見れば味噌ッカスもいいとこだが、一般人基準なら十分すぎるほど。

 

 

 

オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィア

 

身長/体重:162cm/53kg

誕生日:不明

スリーサイズ:同上

地域:イギリス

属性:中立・悪

隠し属性:人

好きなもの:理路整然とした筋書き、父親、冒険小説

嫌いなもの:初対面なのに目の前で寝る人

魔術系統:天体魔術。アトラスの錬金術の素質もあり

魔術回路・質:EX

魔術回路・量:E-

魔術回路・編成:正常

 

 愛称は「マリー」または「オルガ」であるが、そう呼ぶ者は少ない。

高飛車でヒステリックな態度が目立ち、プライドも高いが根は寂しがり屋で小心者。

 

 マシュ曰く「悪党ではない悪人」。ただし、この「悪人」とは「性格が悪い」という意味であり、特異点Fにてマスターとなった主人公に対し(渋々ながら)労いの言葉をかける等、一般的に言うところの悪党ではない。

 神経質かつややネガティブながら、自身の欠点や負い目から決して目を背けない美点もある。

 それでも小うるさく気難しい性格に加えて、父とその弟子*5との比較も相まって当時の職員間での評判はあまりよくはなかった様子。

 

 「時計塔」の名門魔術師にしては、珍しく物言いが真っ直ぐで感情を露わにしやすいタイプ。生真面目で仕事熱心な性質(タチ)

 「スパルタだが懇切丁寧に指導してくれる(要約)」と紹介されており、上から指示を飛ばす頭領よりも、人に物事を教える講師のほうが向いているのかもしれない。

 なんとなく、かの時計塔の名物講師(ロード・エルメロイⅡ世)に近いものを感じる。

 

 この世界では早々に精神体であることが暴露されたが…………?

 

 

サーヴァント②(?)

鹿目まどか/円環の理/(マドカ)(タマキ)

 

身長/体重:黙秘しますっ!

誕生日:10月3日

血液型:A型

地域:見滝ヶ原

属性:中立・中庸

隠し属性:理

好きなもの:沢山あった

嫌いなもの:考えたことなかった

 心優しく、芯が強い性格。一見大人しく気弱そうに見えるが、遠慮がちになりながらも自分の思う所は相手にはっきりと伝えようとする。クラスでは保健委員を務める。

 家族構成はキャリアウーマンの母(鹿目詢子)・専業主夫の父(鹿目知久)・3歳児の弟(鹿目タツヤ)の4人家族。

 美樹さやか・志筑仁美とはクラスメイトで大の仲良し。

 この世界の彼女は「魔法少女になるだけでノルマは十二分に達成できる」「彼女が魔法少女になれば現在地球上にいる全ての魔女を消し去るのも不可能ではない」と言われたほど。

 

 ―――――それにはもちろん原作以上の理由があるが、今はこれ以上は敢えて語るまい。

*1
フォーリナーはスキル二重召喚(ダブルサモン)により常に付随。セイバー、フォーリナー時はマスターに依存するものの、三重召喚(トリプルサモン)により、他適性クラスのスキルを全て保持する場合あり。ただし、基本的に本来のランクからは大きく下がる(臨霊基の場合はその限りではない)。

*2
転生者としての性質・立花響に拠る。

*3
知らないのか? 病弱からは逃げられない

*4
かつて創り上げた時に沖田が調子に乗ってつけた名前だが、仕方ないので今も普通に使っている。ただし、名前ネタでからかわれると羞恥で林檎みたいな顔色になる

*5
キリシュタリアの事である。




今の所できてるやつだけです。また増えます。


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プロローグ、または特異点F
世界を巡る者(ワールドトリッパー):オリジン


こんにちは。ただの思いつきなのでほぼ確実に投稿が遅れます。(決してエタるとは言わないスタイル)
…………誰か同じネタで書いてもいいのよ?いいのよ?チラッ(´・ω三|柱|三ω・`)チラッ


?」

 

 辺りを見渡して、呟く。(ワタシ)に、何が―――?

 

「―――!?」

 

 そう考えて、気付く。自分は―――一体、()()

 自分が何者なのか、思い出せない。自分は、どこから来たのか。いや―――最初からここにいた?分からない、解らない、判らない、わからない。どうして、何故―――!

 

「気がついたかい?」

 

 (こえ)。どこから――一体誰だ?

 

「僕?僕は、そうだな……神。君達()()が言うところの、神だ」

 

 にん、げん――?? あぁ……そうか、■達(アタシ)は…………人間。そうだ、人間だ。

 

「それでだが、あんた、神って言ってたな。(オレ)は喋っていないはずですが、思考でも読んだんですか?

 

 疑問を――有るかも分からないが――にする。目の前の、理解の及ばない存在に対して。

 

「そうだよ。まぁ神とは言っても、人間に『神』という概念を押し付けられた名ばかりの存在だけどねぇ」

 

 なるほど、(彼女)/彼女()は『人造の神』らしい。そういうのもいるのか。

 

「そうなのね……それで、あの、(ぼく)は一体(だれ)で、ここはどこなのですか?

 

「あぁ、此処は…………うぅん、【何処にでもあって、何処にも繋がっていない場所】……かな?沢山名前があって、僕にも何と形容するのが正しいのかは分からないけれど。

 ただ、()()が『何か』なら、ハッキリと判る」

 

 コイツでも、この場所を正しく形容する術を持たないんだ。でも、この神なる者は、(オイラ)の正体を知ってるみたい。

 

「曲がりなりにも僕は全能の神を押し付けられた者だからね。

 君達は、誕生する(生まれる)ことも無く――いや、全員が全員そうではないが――現世を去った生命。

 ――其の聚合だ。」

 

 そんな……!?ならば我々(拙ども)は、世界へと生まれ出ることも許されなかったと……!?

 

……つまり、ぼくら()水子の集合体、ということですね?」

 

(しか)りだ。現世に時折生まれる、五感のみならず第六感までもが鋭敏な者達。更に言えば、君達は、其の優れた六感に加え、人の業、人の呪い(想い)を受容する力が強く、人の負の側面に敏感だった。そういうヤツは、バランサーとして時折世界に生み出される。

だから、君達は其の身に許容量を遥かに上回る悪意を吸収し、魂を砕いて死に、此処に居る。

 まぁ、少しは現世で生きることが出来た者も居たようだけどね」

 

 まぁ、そんな事はさしたる問題じゃあない。と神は言い、話を続ける。だが、その【現世で生きることが出来た者】がいなければ、果たして我等(ウチ)は自らの存在に疑問を抱けただろうか?

 

「ふふっ、確かにそうだね。とりあえず話を続けるよ。そういうワケで、君達は人生を謳歌する事無く、その生命を喪った。世界のバランスの為とはいえ、そんなのはあんまりじゃないか。だから、君達全員に新たな人生を与えようと思うんだ」

 

 そんなことが……いや、出来るのだろう。一応は全能の神だ。 しかし、そんなことをしても大丈夫なのか?

 

「声出てるよ。結論から言うと、可能だし問題も無い。この『2.633次元と4.188次元のフラクタル境界』は実在する空間では無く、また、(あら)ゆる生命の通り道でもある。

 (しか)(なが)ら、輪廻を運営したり、英霊の座が存在したり、真理が詰まってたりするワケではない。つまり僕の独壇場。――まー、ハッキリ言ってさ、こんななーんも無い世界でグータラしてるのも飽きたんだよ。何か仕事がある訳でもなし。

 ……其処に緊密且つ絶妙に融合した名も無き魂達(君達)が迷い込んできた。こんな絶好のチャンス、逃す筈無いだろう?」

 

 あぁ、(彼女)/彼女()は、ここから出ようとしているのか。確かに、こんなところで何をするでもなく永劫に存在し続けるなんて、僕等(おれ)なら狂ってしまう。

 

「おや、人格がハッキリしてきたみたいだね。まあそういう事だよ。君達の魂はさっきも言った通り緊密且つ絶妙に融合しているから、切り離してそれぞれを転生させるのは不可能だ。だが、僕にとっては其の方が都合が良い」

 

「……『都合が良い』?それはどういう……」

 

「文字……(いや)、言葉通りの意味さ。君達は其のままじゃ転生させられない。かといって完全に切り離してやる事も出来ない。

 だから、『それぞれの魂が状態・情報を共有できる結界』を作り、其の結界を介して君達全員が繋がる。即ち、『個にして群、全にして一』の状態で転生させるんだ。

 そしてそれは、僕の存在を丸ごと使えば可能。これなら、僕は其の結界の管理人としてこの世界から脱出出来る。どうだい?win-winだろう?」

 

 なるほど、自分を俺たち(われ)の内部に詰めて転生させることで脱出するのか。

 

わかりました。新たな生命を与えてくれるというなら是非もありません。お願いします。

 

「そう言ってくれると信じてたよ。――元々君達はこのフラクタル境界に迷い込んだ時点で膨大な数の世界を無秩序、無作為に飛び回り続ける異世界漂流者(ワールドキャスタウェイ)と化していた。其れを利用して、『魂一つ分につき其の世界で一回の人生』を与える。」

 

 そう言う間にも、意識が薄れてゆく。あぁこれが―――。

 

「準備はいいね?いくよ―――。

 君達の人生に、幸多からんことを。さぁ、()きなさい!僕は何時でも()を見守って居る!」

 

 その言葉を最後に、私の意識は途切れた。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 そして、彼等……否、()()()は様々な世界を巡った。

 天才でアイドルなボンバーガールになった。バナナ好きのアホの子になった。腐り目の兄を持つブラコン妹として生きた。特機装束を纏い特異災害と戦い抜いた。『蛙』の個性を操りヒーローとなった。念動力を操るS級ヒーローとなり、怪人と戦った。重桜の艦船としてセイレーンと戦った。巨人族の女王となり、七大罪の騎士団員としてその世界を団長と共に守りきった。一番の親友と共に、世界中の魔女を生まれる前に消し去った。

 

 生きた。生きた。生きた。生きた。生きた。美しいものを見た。醜いものを見た。地獄を見た。強い、強い意志を見た。絶望から立ち上がる、折れない心を見た。逆境にこそ燃える、烈火の如き闘志を見た。恐ろしき敵にも立ち向かう、気高き魂を見た。

 楽しかった。沢山の友と競い合い、切磋琢磨することが。

 嬉しかった。こんなにも豊かな人生を送れたことが。

 悲しかった。どんな世界にも、醜い心を持つ者がいることが。

 淋しかった。一度過ごした世界には、もう戻ってこられない――即ち、その世界の友とは二度と会えない――ことが。

 だけど、こんなにも沢山の人生を謳歌することが出来た。最早未練は無いだろう。

 

 そして。数多の世界を生き抜いた彼女達の最後の世界。流れ着いた最期の世界で、彼女達は―――――

 

「サーヴァント、セイバー。或いはフォーリナー。その真名(まな)の一つを()()()()。貴女が、私達のマスターですか?」

 

―――二度目の生と、世界を救う使命を与えられた。




もしかして:趣味の全部乗せ
投稿直後に気づいた。フォント機能が機能してねぇ……。


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冠位指定:最後の、そして始まり

遅くなってしまい申し訳ありませんでしたぁ!!!!!


「―――!? 何、ここ……!?」

 

 それが、目を醒ました少女の第一声だった。

 少女が気付いたとき、そこは、白く広大な人類の未来を語る資料館でも、自らの故郷でもなく、燃え盛る荒廃した都市であった。見渡しても、少女の周囲に生有る者の姿は見受けられない。

 どこをどう見ても、廃屋や廃ビル以外で目に入るものは、炎、焔、焱ばかり。

 

「何があったんだろう……。人もいないし、声も聞こえない……」

 

 見回していてもしょうがない、と少女は歩きだす。もしかしたら、声が上げられないだけで生存者がいるかもしれない。

 

「だ、誰かいませんか〜? 生きてたら返事をしてくださ〜い……。……!」

 

 赤銅(しゃくどう)の髪を揺らしながら、少女が声を上げれば――カタリ、と近くで音がした。あぁ、良かった、生存者が―――

 

「あ! 今行きます! 大丈夫です、か……?」

 

 ――しかして、それは生存者ではなかった。その体には、最早肉など何処にもついておらず、その眼窩には、虚ろな空洞だけが炯々(けいけい)と。

 ……即ち。

 

「……が、がガっガががッ、骸骨ぅぅぅうゥゥぅぅ!!?!???!!

「gGi、巍ギガがGAgAAあァァaaA亜阿ぁ悪亞……!!!」

 

 みぎゃぁあぁあああーーーー!!!!と叫んで駆け出す少女。錆び朽ちた剣を振り回しながら追う骸骨。少女の声に誘われたのか、追う骸骨の数は増える一方。

 

「はぁっ、はぁ、はっァ、はぁっ、はぁっ……はっう!! いたた……あぅっ、ぅわあぁぁぁぁ!!!」

 

 走って、走って、走って……瓦礫に躓き、転倒してしまう少女。

 あァ、駄目―――避け――無理――受け止―否。

 ――

 もう、駄目か――? 少女が諦めかけた、瞬間。

 

先輩!! ご無事ですか!?」

「!? マ、マシュ!?」

 

 紫紺の清流が、少女の敵を蹂躙した。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 骸骨を粉砕した後、紫紺の少女――マシュ・キリエライトが、赤銅髪の少女と共に炎上する都市の中を進む。

 

「先輩。あと少しでドクターに指定されたポイントに到着します。

 しかし……見渡す限りの炎ですね。資料にあるフユキとは全く違います。

 資料では平均的な地方都市であり、2004年にこのような災害が起きた事は無い筈ですが……」

 

 この世界は、ゼロへと到る物語(Fate/Zero)とは時間軸が違う。従って、2004年の冬木市で聖杯から泥が溢れ出た事実は無い。

 

「大気中の魔力(マナ)濃度も異常です。これではまるで、古代の地球のような……」

 

 そう。なによりも、現代、それもあと約30年程度で大気中の魔力が枯渇し、魔術師(メイガス)魔術師(ウィザード)へと姿を変えるような時代に、あたかも神代の如き濃度の魔力が大気中に存在するのは明らかにおかしいのだ。

 

キャアーーーー!!

 

 しかし、マシュが言葉を言い切る寸前、二人の元に悲鳴が響き渡った。

 

「えっ!?今の悲鳴は……!?」

 

「どう聞いても女性の悲鳴です。急ぎましょう、先輩!」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 襲われていたのは、カルデアの所長たるオルガマリー・アニムスフィアであった。

 彼女を怪物と化した骸の襲撃から救い出した後、マシュと少女は彼女の若干の誤解を解き、現在に至るまでの経緯を説明したのだった。

 

「――以上です。私達はレイシフトに巻き込まれ、ここ冬木に転移してしまいました。

 他に転移したマスター適性者はいません。所長がこちらで合流できた唯一の人間です」

 

 今の今まで、マシュも少女も他の意思疎通のできる人間には一人も会っていない。彼女達がこの都市で見たものは蠢く焱と骸骨ばかり。

 

「でも、希望が持てました。所長がいらっしゃるのなら、他に転移が成功している適性者も……」

「いないわよ。それはここまでで確認しているわ。

 ……認めたくないけど、どうしてわたしとそいつが冬木にシフトしたのかわかったわ」

 

 オルガマリーが自らの気づきについて口にする。

 

「生き残った理由に説明がつくのですか?」

「消去法……いえ、共通項ね。わたしも貴方もそいつも、()()()()()()()()()()()()()。生身のままのレイシフトは成功率は激減するけど、ゼロにはならない。一方、コフィンにはブレーカーがあるの。シフトの成功率が95%を下回ると電源が落ちるのよ」

 

 つまり、管制室に存在し、且つコフィンに入っていなかった者達だけ――奇跡的にもその全員――がレイシフトに成功した。

 

「だから彼らはレイシフトそのものを行っていない。ここにいるのはわたし達だけよ」

 

「なるほど……さすがです、所長」

「すごい! 落ち着けば頼りになる人なんですね!」

 

「それどういう意味!? 普段は落ち着いてないって言いたいワケ!?

 ……フン、まあいいでしょう。状況は理解しました。貴方……そういえば名前を聞いていなかったわ。名前を聞かせてもらえるかしら」

 

 オルガマリーが少女に名を訊ねる。数合わせの一般枠は重要性が低いと思っていたのか、名前の確認がおざなりだったようだ。

 

「えっと……私は、藤丸……藤丸六華です。所長さん。よ、よろしくお願いします。六華には『六波羅蜜と六神通の会得』を願う意味が……」

 

 少女――藤丸六華は改めて自らの名を明かす。彼女と、心を(つな)ぐ為に。

 

「そう。藤丸六華ね。随分御大層な意味が込められているようだけど、貴方の名前の由来なんて別にわたしは興味無いわ」

 

 ……バッサリ切って捨てられたが。

 

「とにかく、藤丸。緊急事態という事で、あなたとキリエライトの契約を認めます。ここからは、わたしの指示に従ってもらいます。……まずはベースキャンプの作成ね。いい? こういう時は霊脈のターミナル、魔力が収束する場所を探すのよ」

 

「ははは、バッサリだ……。名前負けしてるのは否定しようが無いけど……」

 

 ショックを受ける藤丸、指揮をとるオルガマリー。

 

「ちゃんと聞いてくれないかしら? ……その場所なら、カルデアと連絡が取れるわ。この街の場合は……」

 

 藤丸に説明を聞かせようとするオルガマリー。……だが。

 

「このポイントです、所長。レイポイントは所長の足下だと報告します。」

 

 二人はポイントを既にドクターから教えられているし、既にポイントにもいる。

 

「うぇ!? あ……そ、そうね、そうみたい。わかってる、わかってたわよ、そんな事は!」

 

 かわいい(迫真)*1

 

「マシュ。貴方の盾を地面に置きなさい。宝具を触媒に召喚サークルを設置するから」

 

 気を取り直し、指示を再開するオルガマリー。

 

 ―――若干ポンコツかも知れない。

 ……などと藤丸は関係ないことを考えていた。

 

「……だ、そうです。構いませんか? 先輩」

 

 マシュに問われ、意識を戻す藤丸。ここで変なことを考えていたと思われたら、また所長に怒られてしまう。

 

「いいよ。武器を離すのは怖いけど。やっちゃって。」

 

「……了解しました。それでは始めます」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 ベースキャンプが設置され、カルデアとの通信は戻ったが、ロマニが通信を仕切っていることに納得がいかない所長。だが、ロマニが通達したカルデアの残酷な現状は、所長に多大なダメージを与えるのに十分なものだった。

 

『―――現在、生き残ったカルデアの正規スタッフは僕を含めて20人に満たない。僕が作戦指揮を任されているのは、僕より上の階級の生存者がいないためです』

 

 今のカルデアに、Dr.ロマン――ロマニ・アーキマン――以上の階級の人間がいない。更には、スタッフそのものの数が20人に満たない。はっきり言って――否、言葉にするまでもなく――、非常に厳しい状況である。

 

『レフ教授は管制室でレイシフトの指揮をとっていた。()()()()()()()()()()()()、生存は絶望的だ』

 

 ……それは依存レベルで頼りにしていた人間への死刑宣告。所長にしてみれば、足元が崩れてゆくような感覚だろう。

 

「そんな―――レフ、が……? いえ。そんな事より、待って、待ちなさいよ、生き残ったのが20人に満たない? じゃあマスター適性者は? コフィンはどうなったの!?」

 

『――47人、全員が危篤状態です。医療器具も足りません。何名かは助けられても、全員は……』

 

「ふざけないで! 今すぐ冷凍保存に移行なさい! 蘇生方法なんて後回し、死なせないのが最優先よ!」

 

「ああ、コフィンにはその機能がありました! 至急手配します!」

 

 すぐに冷凍保存(コールドスリープ)しろと怒鳴る所長。……しかしそれは犯罪行為だ。所長としての責任と人命を天秤にかけ、すぐさま人命をとった英断と言えるだろう。だがマシュがそう所長に言えば、

 

「馬鹿言わないで! 死んでなければあとでいくらでも弁明できるからに決まってるでしょう!? だいたい47人分の命なんてわたしに背負えるワケないじゃないの……! 死なないでよ、頼むから……! ああ、こんな時レフがいてくれたら……!」

 

 そう、所長はそんな高尚な思考から冷凍保存に踏み切ったわけではなかった。ただ、自らの身を守るのに最も有効で、最も苦しまずに済む手をとったまでの事だった。

 ……それでも。真っ先に人命を優先した事には変わりなく。

 

「所長さん! すごいですよ、どんな理由でも、人の命を全てをおいて優先したんですから!」

 

「……へっ!? そ、そう。貴方に褒められても違和感しか感じないのだけど……。……ありがとう

 

「えぇー!? そんなー!」

 

 藤丸には、そんな所長が、なんだかとてもすごい人に見えていた。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

『報告は以上です。現在、カルデアはその機能の八割を失っています。残されたスタッフでは出来る事に限りがあります。

 なので、こちらの判断で人材はレイシフトの修理、カルデアス、シバの現状維持に割いています。

 外部との通信が回復次第、補給を要請してカルデア全体の立て直し……というところですね』

 

 ロマニの報告を聴き、カルデアの状況を改めて確認する所長。下した命令は……。

 

「結構よ。わたしがそちらにいても同じ方針をとったでしょう。

 ……はぁ。ロマニ・アーキマン。納得いかないけれど、わたしが戻るまでカルデアを任せます。レイシフトの修理を最優先に行いなさい。わたし達はこのままこの街……特異点Fの調査を続行します。」

 

『うぇ!? 所長、そんな爆心地みたいな現場怖くないんですか!? チキンのくせに!?』

 

「ほんっとに一言多いわね貴方は!」

 

 所長の性格を知るロマニは驚愕を露わにするが、それを声に出したが為に所長に怒鳴られてしまう。

 

「今すぐ戻りたいのは山々だけど、レイシフトの修理が終わるまでは時間があるんでしょ。この街にいるのは低級な怪物だけだと分かったし、デミ・サーヴァント化したマシュがいれば安全よ。

 事故というトラブルはどうあれ、与えられた状況で最善を尽くすのがアニムスフィアの誇りです。

 これより藤丸六華、マシュ・キリエライト両名を探索員として特異点Fの調査を開始します。……どうしたのかしら、ロマニ。言いたい事があるなら早く言ってちょうだい」

 

 所長はこれからの方針をロマニに伝えるが、当のロマニはモジモジと何かを言いづらそうにしている。所長に促されたロマニは言い渋ったが、おずおずと話し始める。

 

『あの、キメてる最中に悪いのですが所長……その事に関してですが、マシュと融合しているのは防御特化の英霊です。万が一という事も考えられるので、可能なら前衛を任せられる英霊を召喚した方がよろしいかと……』

 

「っそ、そうね、その方が良いわよね。分かってたわよ! でも、カルデアの英霊召喚システムじゃあ召喚には聖晶石が必要になるじゃない! そう簡単に入手できるものじゃないし、今ここには私が持ってる一つしか―――」「あ、あのぉ……」

 

 意見を提示したロマニに怒鳴り返す所長。しかしそれを遮って六華が発言する。

 

「何かしら!? まさか貴方が持ってるとでも――」

「ひぅ! いえ、あの、もしかしてその『聖晶石』っていうのは、これ、でしょうか……」

 

 六華は懐から虹に煌めく八つ角結晶を取り出す。(いわ)く、骸骨を倒したらドロップアイテムの如く出現したのだと言う。

 

「……そ」

『…………所長?』

それを早く言いなさいよぉぉーーーー!!!

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「お、落ち着きました? 所長」

 

「――えぇ、何とかね……」

 

「『めっちゃくちゃ吃驚(びっくり)した……』」

 

 所長が絶叫してしばらく、果たして所長を(なだ)(すか)す事ができた3人。結局召喚を行う事になったため、所長から召喚の方法と詠唱を教えて貰う事になった。

 

「あ、えーっと、よろしくお願いします、所長……」

 

「はあ、分かったわよ、やればいいんでしょ」

 

 

 

···少女勉強中

 

 

 


 

 

「詠唱は憶えたわね? じゃあ召喚するわよ。早く準備なさい」

「うう、所長の当たりが強い……」

 

「バカな事言ってない! ほら、サークルに聖晶石を投げ入れて詠唱をしなさい。時間がないのよ」

 

 所長に急かされながら召喚の準備を行う六華。勉強中に所長が胸から聖晶石を取り出し若干騒ぎになった一幕もあったが、ここでは割愛することにする。

 

「分かりましたよぉ……。んん゙っ――――

 素に金と鉄。 礎に石と契約の大公。祖には我が大師アニムスフィア。

 降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国へと至る三叉路を循環せよ。

 閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

 繰り返すつどに五度。

 ただ、満たされる刻を破却する。

 ――――告げる(set)

 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。

 誓いを此処に。

 我は常世総ての善と成る者、

 我は常世総ての悪を敷く者。

 汝三大の言霊を纏う七天、

 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!*2

 

「ちょ、貴方、詠唱が微妙にちが……!!」

 

『何だこの異常な霊基反応!? 尋常な英霊(サーヴァント)ならここまで膨大な反応は―――! 六華ちゃん、気をつけて!』

 

 果たしてその警告は功を奏した。その眼前の膨大な魔力反応によって、六華は吹き飛ばされそうになっていた。

 そして、その魔力の奔流が収斂し、極光の激流が収束する。太陽が如き光が消失した時、そこに立っていたのは――――

 

 

「サーヴァント、セイバー。或いは()()()()()()真名(まな)の一つを『沖田総司』と申す者。貴方が、私のマスターですか?」

*1
作者の趣味とは関係ありません。作者の本心が漏れたわけでは決してありません。イイネ?

*2
若干間違っています。正しくは、 素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。(遠坂家はここに「祖には我が大師シュヴァインオーグ」が入る) 降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。 閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する。 ――――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。(『狂化』を付与する場合、ここに「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。 汝、狂乱の(おり)に囚れし者。 我はその鎖を手繰る者――。」が入る) 誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。 汝、三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!




昨日(2021/3/19)は急いで投稿したのでまるで後書きが書けずじまいでした。書きたいこと色々あったんですけどね。何とか春休みに入ったので若干更新スピードは上がると思います。

とりあえず、今回は毎日投稿している作者様の偉大さを知りました。その上100話以上も書いてる長編作家ともなると…………もはや人外ですね(笑)


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其は『幻影(げんよう)の刃』、或いは『姿無き暗殺者』

キャラクターに言わせたいセリフはボロボロ湧き出してくるのにそこに至るまでの地の文が湧いてこない作者です。ぼすけて
書きたくないもの(シーン)をなんで書かにゃならんのか……。えぇ、分かってますとも。書きたいシーンに至るために必要だから書いてるってのは俺にも分かってんだよ!(血涙)

ちなみにオリ主タグは保険金詐欺まがいの保険です。それぞれがそれぞれと知識、思考回路、人生を共有しているので、全員若干性格が変化しているためです。

掲示板形式が登場するのでタグに『掲示板形式』を追加しました。描写に割り込んでくるタイプは色で囲んでいます。


 盈盈(えいえい)にして婉転(えんてん)*1そしてその偉容は勇壮さと(たお)やかさを湛え、瞳は百折不撓の意思と八面玲瓏なる精神を顕す。桜色の髪には佳麗な爽やかさを感じさせ――。

 

「サーヴァント、セイバー。或いは()()()()()()真名(まな)の一つを『沖田総司』と申す者。貴方が私のマスターですか?」

 

31:くもですよろしくおねがいします

ファッ!? なにこれ!?また転生?

 

32:オーバースペックニート

>>31英霊召喚ってやつッスよー蜘蛛子さん

 

33:伊吹大明神お姉さん

何気に初めてじゃないかしらこれ(英霊召喚)

 

34:黎き新星

わー!!すっごーい!周りすっごい燃えてるー!!

 

35:くもですよろしくおねがいします

>>32蜘蛛子言うな

>>34そんな悠長な事態じゃないでしょこれ!?

 

 

 ……更には声すら深みと爛漫さを感じさせる澄みようときた。枯れていようが死んでいようが、これに見惚れぬ者はそういないだろう。精神内での会話は見ないフリをすることにして。

 

「―――ぉ」

「―――ぅゑ」

「―――ヰ」

『』

 

 ……事実、六華もマシュも、(ロマニはともかく)所長すら見惚れていた。

 

「あの、どうかしましたか? 私ではお気に召しませんでしたか?」

 

「ぉ、お」

 

 気まずくなった沖田が会話の口火を切るが、全員反応が薄い。唯一六華だけが身体を激しく震わせているが―――

 

沖田総司だぁぁぁあーー!!!!!

「うぇぇ!!?」

『「「六華(ちゃん)!?/先輩!?」」』

 

 それは感動のためであった。……つまりは、六華は重度の沖田総司オタクだったということだ。

 

『えっとぉ……六華ちゃんは沖田総司の事が好きなんだっけか?』

「好きなんてもんじゃないよドクター!! 好き超えて推し、推し超えて神だよ!! 沖田総司が目の前で動いてるだけで……無理、尊い……」

 

 ……訂正。重度のオタクではなく限界オタクだ。

 

「沖田さんの逸話教えようか!? 沢山あるんだよ、例えば『戦った相手は一人として沖田総司の姿を捉えられなかった』とか『あまりにも速すぎて、ついた通称が鎌鼬』とか、沢山の通称があって、『【姿無き暗殺者】とか【幻影の刃】』なんていうのもあるとか、あとは肺結核の研究をしていて、『工房には大量の薬学書があり、医師や薬剤師としての能力があった』とか、『工房の地下には隠された場所が存在する』とか、他にも『齋藤一の日記には沖田総司を指すと思われる()()という人称代名詞があり、そこから沖田総司女性説が展開された』とか――」

「先輩ストップです。それ以上は長くなりそうなので後でお願いします……」

 

 暴走する六華にブレーキを掛けるマシュ。止めなければ何時間でも話していた(おそれ)があるので、賢明な判断と言えよう。

 

「むー……不承不承ながら了承しましょう。(ただ)し、マシュは後で沖田さん談義強制参加だかんね! 拒否権はナシ!」

 

「…………了解しました」

 

 沖田としてはそんな事をされても困るのだが。過激派沖田信者と化した六華(先輩)を見ながら、沖田は脳内の掲示板に潜り、皆と六華についての印象や意見の擦り合わせを行う事にした。

 

 

 


脳内掲示板side

 

 

36:病弱剣豪

……これ、どう思います?皆さん

 

37:撃槍の戦姫

とっても総司さんのことが好きなんですね!なんだかシンパシーを感じます!!

 

38:疾風走破の漆黒聖典

別にどう思うも何も、ただの一般人じゃない?

この子なーんにも力とか感じないし、悪党って感じでもなくない?

 

39:伊吹大明神お姉さん

良くも悪くも普通……って領域じゃあないわね

普通過ぎることが一種の個性と化している感じ

アラインメントは中立・中庸、或いは中立・善ってところかしら

 

40:くもですよろしくおねがいします

信用しても大丈夫じゃない?

私のこの目が言っている(`・ω・´)キリッ

 

41:リトルデビルシスター

>>40うわww

 

42:ドラゴニックガール

>>40えぇ……

 

43:自称戦場(いくさば)の小悪魔

茶番劇はそこまでにしておけ。まとめるぞ。

・マスターはどう考えても善性の一般人。信用出来る

・戦闘能力は無いものと考えられる。庇護対象

・現在の状況は不明。把握出来る事は都市全体が炎上している事

 

→分からない事だらけだが、知識・意識の擦り合わせを行いつつ異変解決に全面的に協力

これで良いな?

 

44:サイレントポンコツアビス

異議はありませんわ

 

45:Sパーヒロイン

私も無いわ

 

46:オーバースペックニート

おkッス

 

47:アルティメット魔法少女s

私も大丈夫です!

 

48:アルティメットレズデビル

まどかがないなら私も無いわ

 

49:アルティメット魔法少女s

ほむらちゃん!??

 

 

 

side out


 

 

 

「では改めて。私……は沖田総司。セイバーです。名前をお聞かせ願えますか? 皆さん」

 

「フェァ!? えっ、うぇと、ふ、ふふ藤丸六華です!! どうぞ今後ともよろしくして頂ければばばば」

 

「マシュ・キリエライト、シールダーです。よろしくお願いします、沖田さん」

 

「アニムスフィア家当主、《人理継続保障機関フィニス・カルデア》現所長のオルガマリー・アースミレイト・アニムスフィアよ」

 

 脳内会議を終え、一行に自己紹介する沖田。それに自己紹介を返す一行。……若干一名おかしくなっているが。

 

『僕はロマニ・アーキマン。よろしく沖田ちゃん!』

 

「あ、軽薄そうな貴方は別に求めていませんので。オルガマリーさんは見るからに西洋人のようですが、そちらにも私の名は届いているのですか?」

 

『僕の扱い酷くない!?』

 

 ロマニの自己紹介を一蹴し、所長へと質問を投げかける沖田。ロマニが喚いているが、気にする様子はまるでない。

 

「えぇ。日本の英霊を聞かれれば、織田信長か沖田総司のどちらかを答える程度にはね」

 

「ははは……。これは困りましたね……これ程に有名だと、沖田さんも期待に応えられるように気張らないといけないかも知れませんね」

 

 

50:Sパーヒロイン

逆にあんたが期待に応えられない場合ってあんの?

 

51:疾風走破の漆黒聖典

アインズ様と牛女(源頼光)ちゃん辺りでワンチャンぐらいじゃない?

 

52:オーバースペックニート

魔神王でトントンぐらいッスかね

 

53:アルティメット魔法少女s

シェム・ハさんとワルプルギスの夜とBBさんでやっとぐらいかなぁ……?

 

54:天魔王を堕としたお嬢

なんなのよその地獄絵図

 

55:ハイスペックヲタク

想像したら勝てる気がしなさ過ぎて草生え散らかしましたwww

 

56:世界を(とざ)すOPPAI

草に草を生やしてはいけません

 

57:リトルデビルシスター

この人外!――魔剣の域に到達した沖田さんが負けるハズねぇ〜んですよ!!

 

58:疾風走破の漆黒聖典

ちょ、小町ちゃーん!それあたしのセリフゥ!

 

59:病弱剣豪

>>57私のセリフを勝手に捏造しないでください……

 

60:アルティメット魔法少女s

あれ?この人……

 

 

 

「んん゙っ! とにかく! これより、わたし、藤丸六華、マシュ・キリエライトにセイバー(沖田総司)を加えた4名で特異点Fの調査を開始します。とはいえ、現場のスタッフが未熟なのでミッションはこの異常事態の原因、その発見に留めます。

 解析・排除はカルデア復興後、第二陣を送り込んでからの話になります。藤丸もそれでいいわね?」

 

「発見だけでいいんですか?」

「えぇ。貴方に解決できるとは思っていないから、そのつもりでいてちょうだい」

 

『了解です。健闘を祈ります、所長。これからは短時間ですが通信も可能ですよ。緊急事態になったら遠慮なくご連絡を』

 

フン……SOSなんて送ったところで、誰も助けてくれないクセに

 

『所長?』

 

「なんでもありません。通信を切ります。そちらはそちらの仕事をこなしなさい」

 

 所長が溜息と共に小声で呟いた一言は、ロマニの耳には届きはしなかった。だが、沖田はその一言を聞き逃さなかった。聞き逃さず、しかし聞き逃したフリをした。彼女には、どうしようもない事だったから。

 

「……一体どうしたんですか? 貴方は……なんだか、焦っているように見えます」

 

「えっ?」

 

 ――それでも、余計なお節介を焼かずにはいられない性分からか、彼女は敢えて、そう口にした。どうしようもなくても、少なくとも彼女(オルガマリー)の状況ぐらいは知っておきたいと。

 

「……私には、大きな手柄が必要なのよ。カルデアに戻った後、次のチームの選抜、編成にどれだけ時間がかかるか……。人材集めも資金繰りも1ヶ月じゃあきかない。その間にも協会からは抗議の嵐よ。最悪、今回の責任を糾弾されて、カルデアが連中に取り上げられる。」

 

 彼女はどうやら、カルデアを協会に奪われる事を、所長でいられなくなる事を恐れているらしい。

 自身のマスター適性に起因する中傷、スポンサーからの非難など、各方面からの突き上げを食らい、彼女の精神はとっくにキャパオーバーしている。「認めてもらいたい」彼女は、「人理の崩壊を未然に防止した」という功績が得られない事が、今は一番怖いのだろう。

 

「そんな事になったら破滅よ。手ぶらでは帰れない」

「だから魔術協会を黙らせる成果が必要、と……」

 

「――その通りよ」

 

「そうですか。では、目的を果たしに行きましょう。指揮をお願いします」

 

「……何も言わないのね?」

 

「言ったところでどうにもなりませんからね。貴方の問題は、貴方にしか解決出来ない。私達に出来るのは手助けだけです」

 

 それは、一見すれば冷淡なセリフ。だが、彼女に、「見捨てる」という選択肢が存在した事はない。

 

67:Sパーヒロイン

当たり前の事だけどね

そいつの問題を他者が横から干渉して無理やり解決したって、それは解決した気になってるだけなのよ

根本的な問題は全然解決出来てないっていう

 

68:くもですよろしくおねがいします

その通りだよ、その通りだけどさ……

自分以外頼るものが無かった私への当てつけかァ?てめぇ……

 

69:Sパーヒロイン

何?やんの?あんた

 

70:アルティメット魔法少女s

((((;゚Д゚)))))))アワワワ

ケンカはやめましょうよ!

 

71:撃槍の戦姫

そうですよ!ここで喧嘩したっていい事ありませんよ!!

 

72:疾風走破の漆黒聖典

沖ちが手助けするって言ってんだからそれでいーじゃない

不毛な事はあたしもしたくなーいしー

 

73:予見する決闘者(デュエリスト)

そうよ!ミエルの占いにも『この後からさらに過酷な運命が待ち受けている』って出てるのよ!

 

74:嫉妬の地母神

ミエルの占いがそれってボクすごく不安になってきたよ……

 

 

「……そう。じゃあ、もし、もし私だけじゃどうにもならない状況に陥ったら、その時は……た、助けて、くれる……?

 

 もじもじと。あるいはおずおずと。そのプライドの高さからか、決して大きな声ではなく、(むし)ろか細いと言えるほどに小さな声ではあったが……しかし確かに、彼女は沖田に助けを求めた。

 

「当然です。寧ろそうなったら嫌と言っても助けますよ。全力で」

 

 そして、助けを求められたなら、見捨てられない彼女が断るはずがないのだ。

 

「―――感謝します。英霊沖田総司。……よし、それじゃあ付き合って貰うわよ、3人共。この街を探索するわ。どこかにある、この狂った歴史の原因を見つけ出すのよ」

*1
端的に言うとめっちゃ綺麗




 3話まで書くとモチベーション消える病に罹っているのではないかと勘ぐってしまう今日この頃。前書いてて今はもう消してしまったガッシュベルの二次も3話でモチベが消失して書けなくなっちゃったし……。
 それに呪術廻戦×東方Projectの二次やらオリジナル小説やら鬱マシマシのシンフォギア二次やら色々プロットを作らねばならん……。しかもオリジナルは既に3作品も(!)構想が出来ている……


やることが……やることが多い……!






さくしゃ(ねこ)です。かんそう、こうひょうかなど、よろしくおねがいします。さくしゃ(ねこ)でした。


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特異点F探索、或いは邂逅

 やっぱり3話でモチベ消える病にかかっt すまんかった。そろそろ昇天するかもしれません。
 それと序章は登場人物紹介的側面があるので、沖田さん以外が主人公に見えたらそういうことにしといてください()
 あまりに序章が長いので諦めて先にほんへに平沢進むかもしれませんが見捨てないでください。


「ストップよ、藤丸。都市探索の前に、わたしに何か言うことはないかしら?」

 

 そのような事を言われても六華には覚えがない。特になにも、と返すしか無かった。

 

「はぁ、どうも本気で覚えが悪いようね? 貴方は。思い出しなさい。管制室での事よ!」

 

「ここに来る前に何かあったんですか?」

 

 事情を知らない沖田がマシュに問う。

 

「え、えーっと……あ、多分あれですよ先輩。管制室でレムレムしてた時の事です。

 沖田さん、先輩は管制室で立ったまま寝てしまって……」

 

「え、立ったまま、ですか……?」

 

「ええ、立ったままです。先輩、集中すれば思い出せます」

 

 うむむ、と唸って記憶を辿る六華。しばらく考え込んだ後、思い当たったようで苦笑いを浮かべる。

 

「思い……出した!」

 

「思い出せたようで良かったです。先輩」

 

「思い出したって……やっぱり貴方まともに聞いてなかったのね!!?」

 

「面目次第もございません……」

 

 そんな茶番を目の前で繰り広げられこちらも苦笑いを浮かべる沖田。―――と、何に気づいたか、明後日の方向に顔を向ける。

 

80:撃槍の戦姫

……4時の方向。敵対的な気配を感じました。

 

81:自称戦場(いくさば)の小悪魔

臨戦態勢。出撃準備完了。何時でも来るがいい。

 

82:世界を(とざ)すOPPAI

終末捕食は準備中です

 

83:オーバースペックニート

ラケル博士は座っててくださいっス

 

 

「あぁもう、そこに直りなさい! 事態も使命も知らないで特異点に来るなんて……! 仕方ないからもう一度いちから説明してあげます! いいかしら、私達カルデアは―――」

 

「すみません所長さん。そのような説明をしている暇は無さそうです」

 

「え? それは一体どういうこ―――」

 

 しかし、所長がセリフを言い切ることは無かった。湾曲した軌道を描き弾丸のごとき速度で飛来した何かが、沖田に弾かれて肩辺りを抜けていったからだ。

 

「―――!?? 一体何――」

 

 鎖だ。所長の肩辺りを飛んでいき、地面に深く突き刺さっていたのは、その鎖の先端の刃だった。

 

「こ、これ、敵―――」

 

「えぇ。……そこに隠れているのでしょう? 出てきてはいかがです?」

 

 沖田は物陰に鋭い視線を向け、そこに隠れているであろう敵に呼びかける。

 

「―――バレていましたか。纏めて一息に殺して差し上げようと思いましたが……。そう簡単には行きませんか」

 

86:オーバースペックニート

……有り得るクラスの場合は何っスか?

 

87:伊吹大明神お姉さん

本来の得物を隠しているかもだから一応全部有り得るけど……

こうして堂々と目の前に出てきているってことはアサシンは無いでしょうね

工房に引きこもるタイプのキャスターも同様になし

バーサーカーは怪しいとこだけど可能性は低いと思うわ

 

88:アルティメット魔法少女s

とりあえずカマをかけてみてはどうでしょう?

 

 

「……ふぅッ!」

 

 現れた女サーヴァントは、深く突き刺さった鎖を瞬時に回収し、今度はそれを複数(ふる)い攻撃を仕掛ける。飛びかかる蛇を思わせるその鎖は、今度は過たず沖田を捉える。

 しかし、沖田も同じような攻撃を食らうわけもない。刀で再び鎖を弾く。――が。

 

「はッ!」

 

 もちろん、女サーヴァントの方も、馬鹿の一つ覚えで鎖を放ったわけではない。弾かれた鎖を操作し、すぐさまその矛先を下に向ける。螺旋を(えが)き急降下する鎖は、自らを絡ませ合い槍のように姿を変える。複数の鎖が敵を穿(うが)たんと槍をなす姿は、さながらミサイルか隕石のごとき(さま)だ。

 沖田は眉一つ動かすことなく、その質量の暴力を振り払わんと刀を振る。――しかし。

 

 ――バァッ!!

 

「っ!!」

 

 果たして、その目論見は外れることになる。ドリル状になっていた鎖は、沖田の目の前で散開した。

 

「ヤアァァァッッ!」

 

「そちらが本命ですか……っ!」

 

 散開した鎖は沖田とその周囲を捉え、どこからか大鎌を取り出した女サーヴァントは上空へと飛び上がっていた。突き刺さった鎖を引き、その勢いでドロップキックを放つ。

 

「んぅっ……!!」

「沖田さん!」

 

90:Sパーヒロイン

何してんの!

油断しすぎよ!

 

91:アルティメットレズデビル

実力差があるからって舐めすぎたわね

 

92:アルティメット魔法少女s

ほむらちゃん!?

だからなんでここにいるの!?

 

 

 

 吹っ飛びながら鎖を引き千切り、体勢を立て直す沖田。しかし、眼前には既に女サーヴァントの大鎌が迫っている。

 

「ふ……ッッ!」

 

 ガュギィィィイン!!

 

「らァッ!!」

 

 鎌と刀が交差し、嫌な金属音を奏でる。沖田はすぐに鎌を振り払い、続く回し蹴りを飛び退いて(かわ)す。

 

「やはり……そう上手く事は運びませんね」

 

「上手くいくも何も……あなたが勝つ道理など、もはやどこにもありませんよ? ランサー」

 

 瞬間、女サーヴァントの表情がわずかに歪む。

 

93:伊吹大明神お姉さん

あの反応はランサーで確定かしらね

 

94:疾風走破の漆黒聖典

あーららw

見事に引っかかっちゃってやがんのーww

 

 

「ほぉ、やはりそうですか。反応を隠すのが下手ですね」

 

「――!! 貴様……!」

 

 しかし、彼女もサーヴァント。驚きこそすれ、すぐ気を取り直し攻撃に戻る。

 

「ヤアァッ!!」

 

「――ッ! マスター! マシュさんの後ろに!」

 

「っ、うん!」

 

 避けられない。マスターたる六華が背後にいたからだ。

 迫り来るその膨大な質量に、沖田は真正面からの対峙を余儀なくされた。

 

 

 ――ガュィイン!! ズォドォォン!!!

 

 

「ッく……。沖田さん、無事ですか!?」

 

「ッ! 沖田さん!!!」

 

「沖田総司……!?」

 

「…………」

 

 カルデア陣営が三者三様の反応を見せる中、ランサーは鋭い目を土煙の中へと向ける。

 

(あまりに手応えがない……)

 

 ランサーが舞い上がった土煙を油断無く見詰めていると―――。

 

 

 ヒュッ

 

 

 何かが土煙を切り裂き飛来する。ランサーは無表情でそれを弾く。一体何が――。

 

(―――短刀(ダーク)? いや――)

 

 飛来したそれは、投げナイフ(スローイングナイフ)だった。一体どこから、誰が投げたというのか。

 

(――あのサーヴァント? 否、武装を隠し持っていた気配は無かった。アサシンやキャスターには見えない。*1あの盾の少女? どう見てもそれはない。ならば、マスターらしき少女か、あの魔術師。)

 

95:自称戦場(いくさば)の小悪魔

……などと考えているのだろうな

 

 

―――背中がガラ空きですね?

 

「!! っ、ガはっッ……!!」

 

(見えなかった! 気づかなかった! 一体どこから―――!?)

 

 数瞬思考に沈んだランサーを後ろから袈裟斬りにしようとしたのは、【姿無き暗殺者】の異名をとるセイバーであった。攻撃される一瞬、その気配を察知したランサーはすぐさま飛び退くが完全には避けきれない。浅くない傷を負い、続くヤクザキックで吹き飛ばされる。

 

「ネタばらしをしてあげましょうか? あれは投影魔術で創り出した紛い物です。キャスター以外には魔術が使えないなんてルールはないでしょう?」

 

 見れば、地面に突き刺さっている先程のスローイングナイフは、柄の先から消失していっている。

 

「バカな……!! そんな事が……」

「起きてるじゃないですか。今、あなたの目の前で。」

 

 信じられないものを見るような顔のランサーに対し、沖田は当然のようにさらりと言ってのける。忌々しげな顔で飛び退き、ランサーは再び体勢を立て直す。それを尻目に、沖田は(にわ)かに騒がしくなった精神世界へと潜った。

 

 

 


 

 

 

96:無垢なる癒師

あの……話し合う余地はないのかな?

対話は成立してるみたいだし、この異変の解決に協力してくれれば心強い?と思うんだけどなぁ、って

 

97:病弱剣豪

無理でしょうね

完全に敵対的です

 

98:疾風走破の漆黒聖典

見てて分かったんだけどぉ、あれはなんか思考の方向性が1つに固められてるっぽいわよ?

 

99:嫉妬の地母神

ボクもあいつはこっちに来るとは思えないよ

 

100:アルティメット魔法少女s

おそらく無理ですね

あれは「意識が残ったまま魔女化している」ようなものです

 

101:無垢なる癒師

…………そっか

わかったよ

 

102:病弱剣豪

……理解して頂けたようで何よりです

 

 

 


 

 

「どうしました? 隙だらけですよ!」

 

 ――死角。常人ならば反応しようがない位置からランサーは奇襲をかけた。……が。

 

「―――!!?」

 

「隙などありません。その四角い瞳は節穴ですか? それとも飾り?」

 

 ―――有り得ない動きだった。彼女は()()()()()()()()1()8()0()°()()()()()()()ランサーの攻撃を防いだ。更に煽りまで加えて。

 

 

103:護法少女鬼救阿

そろそろ遊びすぎなんやない?

はよう終わらせたってぇな

 

104:病弱剣豪

……そうですね

わかりました

 

 

 

 

「……さて、流石に遊びすぎました。無駄に甚振(いたぶ)られてあなたも不愉快でしょう? そろそろ終わりと致しましょう」

 

「…………えぇ、早く終わらせようというのには賛成です」

 

 突撃体勢に入るランサー。その眼光は先程より鋭く。

 

「―――そして、私の魔眼()が飾りや節穴では無いことを教えてあげましょう」

 

「……マシュさん。引き続きマスターをお願いします」

 

「は、はい!!」

 

 ―――そして、更に鋭く。次の瞬間には、彼女の石化の魔眼(キュベレイ)は起動していた。

 

「ぐっ……!?」

 

 

105:神堕としの絶劔

重圧……?!

 

106:伊吹大明神お姉さん

石化の魔眼ね

相手はメドゥーサかしら

 

 

 

「優しく殺してなど、あげませんから……!」

 

 懐に潜り込むように迫るランサー。対し、横に重心をずらし、低く突撃するような体勢で構える沖田。それぞれの(まなこ)にお互いの姿を見る程に接近し――。

 次の瞬間、彼女は()()()()()()()()()()()()ランサーの側面に回り込んだ。

 

『我は汝。全にして一。個にして群。無窮を束ねて一と為す。空位を(えっ)して零に至らず、なれど刃は総てに届こう。流派(るは)()は――』

 

「―――絶剣・無窮斂(无竆斂ー派ー)

 

『三日月』

 

 

 沖田の呟きと共に、その手に持つ刃が虹に煌めく。*2

 放たれた斬り上げはランサーを真芯に捉え……否、()()()()()()()()()()、その身体を吹き飛ばす。

 

「がぁッ……!!!」

(これが、全力……?! ならば、今までは完全に遊ばれていたというの)

「絶剣・無窮斂――『払』!」

 

「ふぁ……っ……ぐぅぅ!」

 

 思考すら完結できない。斬撃が幾つにも分裂し、それらが幾重にも重なって飛来する。

 

「無窮斂――『突――

 っ!」

 

 これでとどめ……と、しかし、沖田は何かに気づき飛び退(すさ)る。

 

「……どうも言ってやる必要は無かったみてぇだな。アンサズ!!」

 

 どこからか聞こえる声。詠唱らしき掛け声*3と共に炎が吹き荒れ、ランサーを灼く。

 

「ぐぅァッ!! ぅ゙がぁぁぁぁ! ……っは、っ…ぁ…ァ…っっ……! キャス、ター……! っ、…こ、こま…で、ですか…」

 

 ランサーは怨嗟のようにクラス名を呼んだ後、うつ伏せに倒れて消滅していく。紫色の粒子となって、魔力で編まれた身体が解けてゆく。

 

「うまいところをかすめ取ったみてぇですまねぇな」

 

「……いえ、助太刀感謝します。それで、あなたは何の御用向きでしょうか?」

 

 沖田は得体の知れないキャスターに向け、警戒を解くことなく言葉を放つ。

 

「そう警戒しないでくれや。俺はアンタらと戦うために来たんじゃねえよ。むしろその逆だ」

 

「ならば姿を現してはいかがです? 暴れん坊のキャスターさん?」

 

「…………なんもかんもお見通しってわけかい? まあいい、確かにアンタの言う通りだ」

 

 キャスターはそういうと、すぐに姿を現した。ついでに被ったフードも脱ぎながら。

 

「さてと、改めて自己紹介させて貰うぜ。俺はこの聖杯戦争(ここ)で呼ばれたサーヴァントで、知っての通りキャスターだ。真名はまたおいおい明かさせてもらうぜ」

 

*1
この槍メドゥーサは知りようがないが、この沖田さんにもしっかりアサシン適正はある。大きな得物を持ったアサシンならサンソンやじいじ(初代山の翁)がいるし、キャスターのくせにゴリゴリの武闘派な三蔵ちゃんもいるため、これは早合点である。

*2
イメージはリゼロのアル・クラリスタ。ユリウスがペテ公に放った技と言えばわかりやすいかな?

*3
???「ルーンに詠唱なんざいらねぇんだよ!」




 そろそろ「捏造設定」「独自解釈」タグを入れた方がいい気がしてきた。


 感想、評価よろしくお願いいたします。以下、現在制作中の話です。
・花寺のどか
・立花響
・鹿目まどか(予定)
・マリベル(予定)
・方中ミエル(予定)


 それはそれとして、妖精騎士ランスロット(ラン子)可愛い、可愛くない? 厨二病ロリ可愛くない?


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衝撃、或いは真実

ガンバッテマス。トウコウシマス。ドウゾ。
0(:3 )〜 _('、3」 ∠ )_
今回そこそこ長めです(5500字超)


「俺はここで呼ばれたサーヴァントで、知っての通りキャスターだ。真名(しんめい)はまたおいおい明かさせてもらうぜ」

 

 気さくに自己紹介をするキャスター。しかし、刀こそ下ろしたものの、沖田は警戒を解かない。

 

「なんか随分警戒されてんじゃねーの? まあ当然っちゃあ当然か。知らねー土地で知らねーサーヴァントに『味方だから警戒すんな』なんて言われても『はいそうですか』って信用できるわきゃねーわな」

 

 そんな事を言いながら頭を()くキャスター。

 

「当然です。戦闘の間、ずっと見ていたのでしょう? 割って入るタイミングは幾つもあったはず。なのに貴方は今の今まで出てこようとはしなかった」

 

「言われてみりゃ確かにそうだな。弁明のしようがねーわ。こればっかりは『信じてくれ』って言うしかねーんだよな……」

 

 痛いところをつかれたような顔をするキャスター。だが沖田は追撃を止めない。

 

「加えて、もし仮に得体の知れない貴方を信用したとしてもです。私達が後ろ(だま)を喰らう可能性があるのに、真名を教えようとしない相手と協力するのは―――」

 

 ところが、沖田の口撃を止める者があった。マスターの藤丸六華である。

 

「やめてよ沖田さん。『戦うつもりはない』って言ってるんだから信用してあげようよ」

 

「しかしですね……」

 

「それに、もし裏切ったとしても、沖田さんなら対処できるし、してくれるでしょ?」

 

 痛い程純粋で強固な信頼。むず痒さでなんだか居た堪れなくなった沖田は、「……はい」と肯定するしかなかった。

 

 

 

 


 

 

115:撃槍の戦姫

凄い信頼されてるんですね!

ちょっと羨ましいです

 

116:リトルデビルシスター

これは小町的にポイント激高ですねぇー?www

 

117:IQ100億アイドル

パイにゃんは憧憬を向けられても信頼される事は少ないから羨ましいにゃ〜♪

そうですよね〜総ちゃんさん?ww

 

118:護法少女鬼救阿

こないな信頼されとるとうちもなんか妬けてまうなぁ?

なぁ沖田はん?

 

119:疾風走破の漆黒聖典

モジモジしちゃってんのーwww

嬉しいんでしょー?

うれしーんでしょー?wwwwww

 

120:病弱剣豪

嫌がらせですか?

それとも冷やかしですか?

とにかくやめてください

本当に!!

 

 

 


 

 

 

 精神内で散々に煽られ、顔を朱くした沖田。何事もなかったかのようにすました顔で咳払いをし、話を戻した。

 

「仕方ありません。マスターがそこまで言うならば信用も協力もしましょう。但し、裏切った時は地獄の業火に焼かれるよりも惨たらしく絶命して*1頂きます*2

 

「お、おう……。そのつもりはねぇから安心してくれや」

 

 あまりに酷い言われようにたじろぐキャスター。さもありなん。

 

『まあまあ……じゃあ契約をお願い、六華ちゃん』

 

 いつの間にか存在を忘れられていそうなロマニが六華にキャスターとの仮契約を促す。

 

「どうやるの?」

 

『「「え?」」』

 

「仮契約ってどうやるの?」

 

 お忘れではないだろうと思うが、彼女は数合わせの一般人。魔術については完全にズブの素人である。サーヴァントとの契約の方法など知るはずもない。

 

「……(・ー・)」

「…………じぃっ」

『……所長…………』

 

 皆が一様に所長を見詰める。それは期待のこもった目で。

 

「……え? 私?」

 

「んじゃ頼むわ。しっかり教えてやってくれ」

 

「んぬぐむぬぬぬぬぬ……。わかった、わかったわよ! やればいいんでしょう!? みっちり教えてあげるから覚悟なさい!」

 

 このあとめちゃくちゃ講義をうけた。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 なんやかんやで契約にはしっかり成功したカルデア一行。

 

「全く……。なんで私がこんなことしないといけないのよ……」

 

「この中で一番実力のある魔術師は所長ですから……」

 

「まあまあ、それだけ頼りにされてると思って……」

 

サーヴァントも含めたらキャスターが上だけど

 

「そこ余計なこと言わない!」

 

『すみませんでした!』

 

「何やってんだアンタら……」

 

 拗ねてしまった所長を六華とマシュで宥めすかす。二人に(おだ)てられているうちに、満更でもないのか自然と口角が上がっている。まさしくチョロイン。豚もおだてりゃ木に登るとはこのことか。……約一名余計なことを言って沖田に怒られているが。

 しかし、先程からマシュに元気がない。何かを気にしている様子だ。

 

「ちょっと藤丸、見るからにキリエライトが落ち込んでるわよ。あなた、一応マスターなんでしょ? 何かケアしてあげなさいよ」

 

「何かと言われても……。あっ。マシュ、もしかして……あれ?」

 

「…………はい。私から宣言するのは情けないのですが……。私は未だに宝具が使えません。先輩の下、試運転には十分な経験を積んだはずなのに……」

 

 宝具が使えない。サーヴァントとしては重大な欠陥だ。ロマニは「一朝一夕で使えたらサーヴァントの面目が立たないのでは?」とフォローするが、キャスターはすぐさま否定した。

 

「あ? んなもんすぐに使えるに決まってるじゃねえか、英霊と宝具は同じもんなんだから。嬢ちゃんがサーヴァントとして戦えてるんならその時点で宝具は使えるんだよ。なのに使えないってコトぁ、単に魔力が詰まってるだけだ。」

 

 なんつーの? やる気? 弾け具合? とにかく、大声を出す練習をしてないみてーなもんだ。と、キャスターは言う。

 

「そうなんですか!? そーうーなーんーでーすーかー!!?」

 

「きゃあっ!? 突然大声を出さないでちょうだい! 鼓膜が破れるかと思ったわ……」

 

「すみません、大声を出せばいいと言われたので……」

 

「モノの喩えだったんだが……。まあいい、こういうのは習うより慣れろだ」

 

 そう言って所長に厄寄せのルーンを刻むキャスター。

 

「え?! ちょっと、何するのよ!」

 

「何って、特訓だよ。お嬢ちゃんが宝具を使えるようになるためのな。宝具ってのは英霊の本能だからな。なまじっか理性があると使いずれぇんだよ。だからまずお嬢ちゃんには精も根も尽き果てて貰おうって寸法よ! 冴えてるなぁ、オレ!」

 

「ねえ私は!? 私の危険は考えてくれないワケ!?」

 

「ん? アンタなら襲われても対処できるだろ」

 

 所長の必死の抵抗も、キャスターはさらりと受け流す。

 

「Grrrrrruu……!!」

「GyghalrrrrraaA!!!」

「Zuaaaaaaa!!!」

 

「そら、来たぞ」

 

「イミワカンナインデスケドー!!!?」

 

 合掌。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 キャスターの雑な荒療治の甲斐あって、宝具の展開に成功したマシュ。宝具の真名が分からないということで、所長に『ロード・カルデアス』というスペルを与えられ、マシュの宝具はめでたく『疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)』と相成った。

 

 そしてその後、移動した一行は、柳洞寺までやってきていた。

 

「大聖杯はこの先だ。ちぃとばかり入り組んでるんではぐれないようにな」

 

「天然の洞窟……のように見えます。これも冬木に元々あったものですか?」

 

「でしょうね。これは半分天然、半分人工よ。魔術師が長い年月をかけて拡げた地下工房です」

 

 マシュの疑問に答えたのは所長だった。曲がりなりにも実力派の魔術師。そういったことには詳しいようだ。

 

「そういえば、キャスターのサーヴァント。大切なことを確認していなかったのだけど」

 

「おお、そういや俺もそこのセイバーに聞きてえことがあったんだ」

 

 

120:アルティメット魔法少女s

そうだ!

戦闘が始まっちゃったから言えなかったけど私も言いたいことがあったんです!

 

121:病弱剣豪

そうなんですか?

 

 

 

「あの妙な挙動はなんだ? いきなり相手の背後に回ったり、ノーモーションで身体を反転させたり、転移魔術の応用に見えないこともないが、そういうのが使えそうにはちょいと見えねぇな」

 

「なんで私の扱いはこんなにひどいのかしら!? ねえ、私の話は聞いてくれないの!?」

 

「どうどう、後で聞いてやっから。それで? どういうことなんだ?」

 

 沖田は意味深長に黙り込み、それから口を開いた。

 

「…………そうですね。丁度いいですし、全部お話しましょう」

 

 

122:撃槍の戦姫

教えちゃって良いんですか?

 

123:病弱剣豪

別に隠そうと思っていたわけじゃありませんし

知りたいと聞いてくるのなら教えてもいいかと

 

124:天魔王を堕としたお嬢

アンタがそう思うならいいんじゃない?

あたし達に決定権無いし

 

 

 

「まず、私は()()()()()()()()()()()います。それも、その(ほとん)どを()()()()()()()

 

「「「「は???」」」」

 

 四人共が全く同じ言葉を口にする。

 

「私はその存在に、膨大な数の魂を内包しています。それらは全て、一つ一つが自我を持ち、自分の人生を生きたモノ。そしてまたその殆どが、何かしらの偉業・伝説を残しています。私がそのような状態にあるのは――――――」

 

「ちょちょちょちょっと待ってよ待ちなさい! 何!? あなたが『輪廻の渡り人(トランスミグレイター)』!? しかも複数の魂を内包!? ツッコミが追いつかないのだけど!!?!??」

 

 話を遮り、頭を整理するように今までのセリフを反復する所長。(グルグル目)と後ろにつけても違和感がないほどの混乱具合だ。

 

「ええ。……輪廻の渡り人(トランスミグレイター)、それは私のような存在のこの世界での呼び名ですね?」

 

「サラッと流したわね? ……ええ、そうよ。数百年に一度、極(まれ)に現れる、前世の記憶を持った特異体質者。発覚すれば一発で封印指定直行の存在よ。有史以来今までに2人しか確認されていない、超稀少存在よ」

 

 輪廻の渡り人(トランスミグレイター)の異常性を説明する所長。

 

「まあ当然ですね。生まれつき第三魔法を内包しているような存在ですから」

 

 そう言って、沖田は話を続ける。

 

異世界周航者(ワールドトリッパー)特異生命体(シンギュラリティ)最果てより来たりし者(フォーリナー・オブ・ジ・エンド)転生者(リインカーネイター)外よりの者(ウルトラソウル)。まあ好きなようにお呼びください。それは肩書き。飽くまでも称号にすぎませんから。

 

 しかし、私がそうなったのには当然理由があります。私……否。()()の原初は、緊密かつ絶妙なバランスで融合した『生まれることを許されなかった魂』の集合体――今は聚積魂(ユング)と呼ばれるモノ――でした。

 

 そしてもう一人、私達が漂っていた場所には『人として生きることを許されなかった神霊』がいました。その場所から出たい神様と、真っ当な生命を得て生きたい私達。お互いの利害が一致し、それぞれが一つの命として様々な世界へと順次旅立ちました。

 

 そして、最後まで残っていたのが私です。我々の転生の大トリとして、しっかり『沖田総司』を生き抜いた私は、他の私と共に、晴れて英霊の座に召し上げられた、というわけです。

 

 因みに、背後に瞬間移動したのはスキルの『縮地EX』で、ノーモーション反転はその転生の副産物で宝具の応用です」

 

「「「「……!」」」」

 

 唖然とする四人に、全ての種明かしをする沖田。「開いた口が塞がらない」を地で行くような表情をしていたが、真っ先に動いたのはやはり沖田限界オタクの藤丸六華だった。

 

「すっっっっ…………ごい!!!!!!! 沖田さんにそんな秘密が!! じゃあさじゃあさ、沖田さんの家に秘密の部屋があるってホントなの!? さっき魔術使ってたし、やっぱり魔術工房っていうやつ? さっき宝具の応用って言ってたけど他にはなにができるの!?」

 

 ブラフマーストラ(目からビーム)を放てそうな程に目を輝かせ、オタク特有の早口で捲し立てる六華。だが、皆流石に慣れた。またかというような顔で苦笑い。

 

「あー、えーっと……。では、こんなのはいかがでしょう」

 

125:病弱剣豪

響さん

まどかさん

ターニャさん

お願い出来ますか?

 

126:撃槍の戦姫

おkです!

 

127:アルティメット魔法少女s

いいですよ!

 

128:自称戦場(いくさば)の小悪魔

いいだろう

 

 

 相変わらずのやべーやつ加減にたじろぎつつも、しっかり要望に応えようとする沖田。手を構え、指を鳴らす。

 

我が意、我が理に応え、此処に顕現せよ、『撃槍の戦姫』『勝利の死神』『円環の理』

 

 沖田の言霊と共に、三人が召喚される。

 

ここが……。ん゛ん゛ッッ、本当に2004年とは思えnaいほど濃i魔力……。1860年代でAんなに薄かったのni……。まるで伊吹童子さんの時代Miたい……

 

「ほう、ここが……。確かに随分と豊潤な魔力を感じる」

 

「私はそういうの全然分からないんですけど……。なんか力が漲ってる感じはします!」

 

 アルティメットまどか、ターニャ、響が周囲に三者三様の反応を見せる。

 

「え……? これ……もしかして……!?」

 

「はい。()()()です。まだほんの一部の方ですけど」

 

 流石の六華も、これほどポン☆と英霊を召喚されては言葉が出ないようだ。

 そして、他の面々もその異常な力に驚愕し、興奮と関心を露わにしている。

 

『なんてこった……。沖田総司にそんな力が……』

 

「そりゃ公表するワケありませんから。知ってる方がおかしいですよ」

 

「すげぇなお前さん! こんな状況じゃなきゃ、すぐにでも()りたいとこだぜ!」

 

「ありがとうございます。それはまた別の機会に」

 

「…………もうあなただけでいいんじゃないかしら。驚くのも疲れたわ……」

 

「それは……まあ、なんかすみません……」

 

 そうして和気藹々(わきあいあい)(?)としていると、アルティメットまどかは何か言いたそうに所長に近づき口を開いた。

 

あの……少々よろしiでしょうか?

 

「ええ、いいけれど? えー……」

 

あっ、そっか。えーっと、まどかと呼んでくだSAい。他にも名前はaりますけど、それが一番慣れてます

 

「そう。それで、なんの用かしら」

 

あの……大変申し上げにくいのですが…………あなたは、その……

 

「何? 早く言いなさい」

 

……いいNnですね? わかりました。聞いても動揺したり錯乱したりしnAIで頂きたいのですが……

 

 言い淀むアルティメットまどかの口から語られたのは――――

 

 

 

 

 

 

あなたは、()()()()()()()()()()()います

 

「―――は?」

 

 到底受け入れられようもない真実だった。

*1
???「地獄の業火に焼かれてもらうぜ」???「惨たらしく絶命しろ!!!

*2
※⚠非常に動転しています。




前回の沖田さんが若干ヤなムーブをしてたのは、「興味無い事は徹底的に興味無い」性質と、パインのメスガキ的気質が合わさった上に、ひどいナーフを食らっており調整の必要があったためです。

 因みに書ける話の中で最も難しく、重要度もそこそこ高いのがまどかの世界の話です。書ける気がしねぇマヂ死にそう_(´ཫ`* _)⌒)_



8/10執筆再開。今度は序章だよ。


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死の続き、あるいは目前

 はい、お待たせいたしました。Othuyeg破滅を歩むものです。
 ヴェノムの短編なんか書いてる場合じゃないのは知ってます。思いついたんだから仕方ない()

 ギャグに持ってって強引に進めてやろうか悩むところです。

 この作品、実はタイトル案がいくつかありました。【声真似転生:悠木碧編】【外法天生、幽世を見ず 悠木碧ver.】などですが、いかがでしょうか?


あなたは、()()()()()()()()()()()います

 

「―――は?」

 

 既に死んでいる。その受け入れ(がた)い言葉に、所長の思考は瞬間的に停止した。

 

「―――え? ちょっと、待って、待ってよ、……え…? はっ?! どう…いう、こと……?」

 

そのMAまの意味です。貴方の肉体は、既に存在してiません。本来なら、ここにレイシフトでKiていること自体がOかしいのではないですか?

 

『そうだ……!! 所長にレイシフト適正はないはず……! なのに今、所長はレイシフト先(そっち)にいる……!』

 

やはりそうですか。私達は魂を扱う「概念」なので、あなたを視た瞬間に違和感を感じたんdeす。あなたからは、生きた人間なら必ず感じられるはzuの感覚がなかった。

 

 そうだ。所長は思い出していた。カルデアを襲った爆発。それは、確かに自分の足元で起きていた。

 信じがたい、信じたくない。だが、それが真実であると、あの一瞬の記憶が彼女の主張を否定する。

 一瞬の出来事だったが、確かにその目に焼きついた、自らの足下から放たれる烈光。どう足掻いても否定しようのない事実に、所長は嫌が応でも自覚せざるを得なかった……自分は、もう死んでいるのだと。

 

(いや)……嫌、いや、嘘よ。私を騙そうとしてる……! そんなはずは……! そんなわけない! そんなはずないのよ! いやよ、嫌、否嫌イヤ嫌厭いや否いやイヤ!!」

 

 呪詛のように否定を並べ、泣き声のような叫び声をあげる所長。あまりにも強いショックのせいで、完全に錯乱してしまっている。

 

 

 

135:白玉楼の庭師QUEEN

ドレミーさん

落ち着かせられますか?

 

136:夢世界の支配人(ドレミー・スイート)

おkです

出してくれますか?

 

137:病弱剣豪

すみません

お願いします

 

 

 

 

 所長を鎮静化するため、即座に召喚者を選別する沖田。―――教えるのが早かっただろうか。

 

顕現せよ、『夢の支配者』

 

「はいはーい。じゃ、おやすみなさい。大丈夫。今は眠りなさい……」

 

「あ……」

 

 そんなことを考えたとて仕方ない。沖田は気持ちを切り替え、驚いている六華達にドレミーを紹介する。

 

「この方はドレミー・スイートさん。『夢を喰い、夢を創る程度の能力』を持つ、(ばく)の妖怪です」

 

「貘って……あの貘?」

 

「そうですよ~。というか、他にどの貘がいるんです?」

 

「へぇ……。そんなヤツもいるんだな。ますます興味が湧いたぜ」

 

 一通り紹介と質問が終わると、ドレミーは「元の仕事に戻ります」と言って消えた。

 

「う…ん……うああ……」

 

 と、その直後、先程眠らせた所長が起き上がる。

 

「気持ちは落ち着きましたか?」

 

「そうね、落ち着いたわ。落ち着かざるを得ないわよ、こんなの。そうね、お笑いね。まさか死んでるのに気付かないなんて。笑えるわ。爆笑モノね?」

 

 全く落ち着いてない。

 

「あの、本当に大丈……」

 

―――いよ

 

「へ?」

 

「笑いなさいよ!! いっそのこと笑え! 『落ち着いて考えてみたら私レイシフトできてる! あの爆発で眠ってた力が開花したのかもしれない!』なんて密かに喜んでたバカな私を笑いなさいよ! そんなわけないのに! 突然レイシフト適正が跳ね上がるなんてトンチキなこと有り得るわけないのに無邪気に喜んでた愚昧な私をいっそ笑いなさいよぉぉぉぉぉッ!」

 

 全く落ち着いてない(2回目)

 完全に錯乱のベクトルが変わってやけっぱちになっているだけだった。―――まあ、先程までの状態でいられるよりはマシだが。

 

「あの、大丈夫ですから。かなり強引ですが蘇生する方法が無いわけでは―――」

 

「改めて落ち着け」

 

「へゔぇぐッっっ」

 

 キャスターに杖で殴られ珍妙な声をあげる所長。相変わらず処置が雑である。

 

「そんで? さっきなんか聞きてぇことがあるみてぇなこと言ってたじゃねーか」

 

「あぁ……。そう、そうよ! あなた、特訓の最中に『そんなんじゃセイバーには勝てない』みたいなことを言っていた*1けど、あなたセイバーのサーヴァントの真名を知ってるの?」

 

「ああ、それか。知ってるっつーか……まあ何度か()ったし、ヤツの宝具を喰らえば誰だってその正体に突きあたる。他のサーヴァントが倒されたのも、ヤツの宝具が強力すぎたからだ」

 

138:自称戦場(いくさば)の小悪魔

……一応聞くが気づいているな?

 

139:病弱剣豪

勿論です

偵察でしょうか?

 

140:Sパーヒロイン

なんにせよ警戒するに越したことはないでしょ

 

 

「強力な宝具……ですか。それは一体―――」

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)。キミ達の時代において最も有名な聖剣。騎士の王と名高い、アーサー王の持つ剣だ」

 

「「「!!!!」」」

 

「そら、噂をすれば信奉者のお出ましだぜ。相も変わらず聖剣使いの護衛係やってんのか、てめぇは」

 

「フン。信奉者になったつもりはないのだがね。つまらん来客を追い返すくらいの仕事はするさ」

 

「要するに門番じゃねーか。何からセイバーを守ってんのか知らねーが、ここらで決着をつけようや。永遠に終わらねぇゲームなんざ退屈だろ? 良きにつけ悪しきにつけ、駒を先に進めねぇとな」

 

 キャスターのセリフを聞き、ほう? とアーチャーは眉を上げる。

 

「その口ぶりでは事のあらましは把握済みか。大局を知りながらも自身の欲望に熱中する……。魔術師になってもその性根は変わらないと見える。文字通り、この剣で叩き直してやろう」

 

 そう言って虚空から剣を生み出し構えるアーチャー。同時にキャスターも杖を構える。

 

「投影魔術……だっけ?」

 

 六華の呟きを聞いたアーチャーはピクリとわずかに反応を返す。

 

「ほう、漂流者のマスターか。ズブの素人と見えたが、そこそこの知識はあるようだな」

 

「あ、いやちょっと見たことが……」

 

「なに悠長に敵と話してんだマスター。おい嬢ちゃん、なにぼんやりしてんだ。相手はアーチャーだ。あんたの盾がなきゃ俺はまともに詠唱できねぇんだが」

 

「あ、はい! 何故か気が抜けていました。ガードなら―――」

 

「いえ、キャスター。マシュさんの代わりに防御に長けた()を展開しますので、すみませんが先に行かせていただけませんか?」

 

「あー……まあ、いいか。いいぜ、行ってきな」

 

「感謝します。顕現せよ、『勇者・竜征七章』

 

「やっと出番? 遅いわよ」

 

「なるほど。見れば見るほど厄介さが分かる。ほぼ一小節の詠唱でこれほどの英霊を苦も無く……。だが、それを理由に引き下がるわけにもいかないのでね。悪いが、ここは通行止めとさせて頂こう」

 

 そう言い終わるや否や、六華に向けて投影した剣を放つアーチャー。だが、マリベルがすぐさま間に割って入り、その剣を弾く。

 

「全く……様子見ならやめときなさい、茶色。こっちは余計なデチューン食らってイライラしてんだから。勢い余って洞窟ごと吹き飛ばすかもしれないじゃない」

 

「敵を前に軽口とは随分な余裕だ!」

 

 機嫌悪げに忠告するマリベル。しかしアーチャーは知ったこっちゃないとばかりに干将・莫耶を投影。微妙な雰囲気を切り裂くように襲いかかる。

 

「あんたごときが敵に値するとでも?」

 

「!! っく……!」

 

 だが、その瞬間、彼女から緩い雰囲気は一瞬で消え去り、獲物を屠る戦士の目に変わっていた。アーチャーの攻撃は容易く弾かれ、腕の一撃で強引に退けられる。

 

「何見てんのよ。さっさと行きなさい! 特異点修復するんでしょ?」

 

「あっ! じゃあここはお願いね!」

 

「あ……は、はい! ここは任せます! えっと……」

 

「マリベルよ。覚えときなさい」

 

「はい!」

 

 マリベルに促され、弾かれたように駆け出す六華達。マシュも発破をかけられ、アーチャーを任せて後を追う。

 

「ぐっ、すまないセイバー。せめてこの2人はここで止めておかねば……!」

 

「出来たらいいわね! そこのキャスター! ちゃんと援護頼むわよ!」

 

「……もうこれ俺いるか?」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 さて。アーチャーを2人に任せ、セイバーの下へ向かったメンバーはというと。

 

「先輩、大丈夫ですか? 顔色が優れませんが」

 

『多分、急な契約だったから、普段使われない魔術回路(神経)がフル稼働して脳に負担をかけてるんだ。休んだ方が……』

 

「大丈夫。キャスターさん達がせっかく作ってくれた時間を無駄になんてできないよ」

 

 青い顔をして、誰から見ても無理をしているのがわかる。しかし、六華は決して止まろうとはしない。今、マスターは自分しかいないから。マスターがどれほど重要であるかは知らないが、サーヴァントとともに戦える(サーヴァントを使役できる)存在が、今は自分しかいないことの重大さは分かっている。

 

「ならば、なおさら休んでください。気を急いて特異点が修復できなかったのでは元も子もありません。それと、彼らを死んだように扱うのは失礼ですよ」

 

「あ、そっか。なんか死亡フラグみたいな展開だったから、つい……」

 

 そう、他愛もない話をしながら英気を養う。そして、沖田はまた、精神世界へと潜って行った。

 

 


 

 

145:病弱剣豪

さて

所長さんをどうやって蘇生するかを考えましょう

 

146:Sパーヒロイン

あたしパス

超能力じゃ死者蘇生なんてできるわけないでしょ

 

147:自称戦場(いくさば)の小悪魔

私も無理だ

私の世界の魔導技術は全て軍事関連で

かつ物理法則に真っ向から勝負を挑むようなものは存在していない

せいぜい物理法則を無視した力で物理法則の範囲内の事象を発生させられる程度だ

 

148:インド・a・ゲーマー

コテハン変えたっス

ボクの世界も神秘が出涸らしだから無理っスね

幻想郷世界のヒトなら何とかなるんじゃないっスかね?

 

149:病弱剣豪

それもそうですね

どう思います?

 

150:白玉楼の庭師QUEEN

幽々子様や私では無理でしょうね

紫様や永琳様なら

 

151:夢世界の支配人(ドレミー・スイート)

確かに永琳なら蘇生薬くらい作れそうですねー

紫+アリスがダメだった時の保険として永琳で行けますかね

アリスは紫経由で呼べばワンチャン?

 

152:病弱剣豪

そうですね

ではその方針で

 

153:原初の創生母神

3kあの……a9zseetdoちょっといいかしら?

 

154:病弱剣豪

はい?

なんでしょうか?

 

155:原初の創生母神

c;、0qdw@p@y2@s@4itu.s6m4yq@:s@それ、私で全部どうにかなると思うんだけど……

 

156:Sパーヒロイン

 

 

157:インド・a・ゲーマー

 

 

158:白玉楼の庭師QUEEN

 

 

159:原初の創生母神

……0qd、jquitda7zqtdo私、また何かしちゃったかしら?

 

160:夢世界の支配人(ドレミー・スイート)

この女神……なんと自覚無しッッッ!

 

161:病弱剣豪

そういうところですよ……

 

 

 


 

 

「どうしたの? 行こう、沖田さん」

 

「え、ええ。そうですね。すみません」

 

 折角出そうになっていた結論を一息にブチ壊していった駄女神に放心している場合ではない。特異点修復に集中しなければ。そう気を引き締め直し、先に進むべく立ち上がる。

 

「それで、なのですが。大聖杯に向かう前に、一つだけ言いたいことがあります」

 

「いいけど……何?」

 

「私のスキル、『病弱A』についてです」

 

 そう切り出して、沖田は自身のスキルの説明を行った。曰く、()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだと。

 

「えーっと、つまり……」

 

「はい。次の戦闘、この特異点最大の正念場となるでしょう。その途中で私が戦線を離脱する可能性があるということです」

 

「そんな……!! き、きっと大丈夫だよ! 私、運良いもん!」

 

「ふふふ、ありがとうございます。そうと決まれば、行きましょう。特異点を修復しに」

 

「うん!!」

*1
⚠特訓の描写はオールカットしたので参照できる部分はありません。ご容赦ください




強引に進めました。


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騎士王、或いは大聖杯

色々あって遅くなりました(説明放棄)実に1年と10ヶ月ぶりの投稿です。

ユルシテ……ユルシテ……

ギャグとシリアスがシームレスに切り替わる文章って読みづらいんですね。
やっぱ文章書くのって難しいわ。


 そして、彼女達カルデア一行は、ついに大聖杯の目前へと辿り着いた。

 

 

「これが……大聖杯……!! 何よこれ……超抜級の魔術炉心じゃない……!! なんで、なんで極東の島国にこんなものがあるのよ!!」

 

『資料によると、制作はアインツベルンという錬金術の大家だそうです。魔術協会に属さない、人造人間(ホムンクルス)のみで構成された一族のようですが』

 

「……!!」

 

 

 しかし、そこで話を遮るように沖田の雰囲気が変化する。左足を後ろに引き、愛刀に手を添え、鋭い視線は真っ直ぐ前に。完全な臨戦体勢である。

 

 

「っ!」

「……!?」

「ん?」

『え? なになに何があったの!?』

 

 

170:Sパーヒロイン

―――来たわね

 

171:インド・a・ゲーマー

ラスボスのお出ましっスか?

 

172:自称戦場(いくさば)の小悪魔

すぐに姿を見せないのは慎重故かはたまた臆by―――

 

173:疾風走破の漆黒聖典

はぁ!? 何この暴力的な反応―――

 

 

 

 

 ―――――ヅギョァォォォォオオオオオオッッ!!!!!!!

 

 

 轟音。(くろ)い烈光が空を吞み、突き刺す絶叫のように唸り空気を千切り裂いて飛来する。

 

 

「ッッ!!! 顕現せよ、『勝利の死神』ッ!!

 

 

 それに対し、すぐさまターニャを召喚し防御する沖田。―――呼ばれたターニャの方は、とんでもない場面に呼ばれて怒り心頭であるが。

 

 

「貴様過重労働だぞ貴様ァ!!」

 

「ホントにすみません!!」

 

 

 ――――ヴヂィィイジジジヅヅヅヅヅ!!! ヴァヂチチチチチチチチッッッ!!!

 

 

 痺れる衝突が放電音のように弾け、凄まじい衝撃を生む。

 (くら)き極光と無機質な光の防壁が互いを喰らい合うその様子は(まさ)しく終わりの始まりをこの場に顕現させたようで、しかし3秒にも満たぬ束の間の終末だった。

 

 ターニャが防壁の角度を調整し、避弾経始*1の原理で魔力砲撃を空へと弾き飛ばしたのだ。

 

 

「ふん、まぁこの程度の不意打ちで仕留められるとは思っていなかったが……まさかかすり傷ひとつ無いとはな。驚いたぞ」

 

「御褒めに預かり光栄の至り、とでも言えば満足ですか? 天下にその名を轟かすアーサー王陛下?」

 

「ふん……まあいい。構えろ。そこの妙なサーヴァント共々かかって来るがいい」

 

 

 興味薄げなアーサー王に対し、軽く皮肉で返す沖田。しかし、マシュはあまりに乱暴な歓迎に、相手がかの王とは信じきれない様子だ。

 

 

「…………なんて魔力放出……。あんな暴力的な……あれが本当にかのアーサー王なのですか……!?」

 

『ああ、間違いないよ。何か変質しているようだけど、彼女がブリテンの王、聖剣の担い手アーサーだ。伝説とは性別が違うけど何らかの事情でキャメロットでは男装をしていたんだろう』

 

 

 それに「間違いない」と保証と考察を返すのはロマニ。若干個人的な感情が混じっている気がする口調だが、気のせいだという事にしておこう。

 

 

『ほら、ブーディカなんて例外もあるけど、基本的に王位は男性しか継げないだろう? マーリンの入れ知恵じゃないかな。ほんとに趣味がわr―――』

 

「黙ってくれません!!? 戦闘中に、悠長にッ、私怨交じりのぉッ! 考察を垂れ流すのはっ、止めて貰いたい、っんですけど?!」

 

『うわわわ、ごめん!!』

 

 

 ロマニ、怒られる。残当である。

 しかし、戦局は膠着状態にあった。大技で突き崩そうとすればその隙に反撃を差し込まれるのは明白。となればお互いに小技で削り合うしかないが、その隙すら見せないのが達人同士の戦い(陣取り合戦)であり、畢竟、剣と刀を叩きつけあって相手の体力を削るより他になかった。

 

 

 

174:自称戦場(いくさば)の小悪魔

あと一手足りない、か

しかしマスターへの負担を鑑みるに

無闇矢鱈な我々の召喚は避けたい、といったところか?

 

175:病弱剣豪

そうですね

マシュさんが割り込む隙を作れさえすれば

割と何とかなるんですけど

 

176:インド・a・ゲーマー

ボクがガンドバラ撒けばいけるっスかね……?

 

177:嫉妬の地母神

やめた方がいいと思うなぁ……

 

 

 

「ッ!? がふッ……! ……くそ、こんな時に……!」

 

「沖田さん!」

 

 

 『病弱A』、ついに発動。喀血し、ガクリと膝をつく。

 

 

「……終わりか。…………そうだな、そこの妙なサーヴァントにチャンスをくれてやるとしようか。さあ、今一度構えるがいい。その盾を持つのなら、この一撃、見事防ぎきって見せろ!!」

 

「マス、ター……! 令呪を……!」

 

「っ! わかった! マシュ! 令呪を以て命ずる! 何としても踏ん張って!!」

 

「承りました! シールダー、踏ん張ります!!」

 

「卑王鉄槌、極光は反転する……!」

 

「真名、偽装登録……行けます!」

 

 

 お互いに、宝具を展開する。護る(殺す)べき者を、必ず護る(殺す)ために。

 

 

「光を呑め! 『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)』!!」

 

「宝具、展開します! 『疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)』!!」

 

 

 ────ズドン!! ズギャァアアアアァァアァアアァッ!!

 

 

 宝具と宝具がぶつかり合う。黎い砲撃を、澄んだ碧の防壁が受け止める。

 

 

「ハァァァァァァアアァァァアアッ!!!!」

 

「う゛ぅぅうぅうううぅううぅ!」

 

 

 無限にも思えたその時間は、やがて終わりを迎える。

 

 そして────。

*1
避弾経始(ひだんけいし)は、戦車などの装甲を傾斜させる事により、徹甲弾などの対戦車砲弾の運動エネルギーを分散させ、逸らして弾くという概念である。装甲厚や重量は同一のままでも、装甲を傾斜させることで垂直の装甲より高い防御力を得ることができる。これを実装したものが傾斜装甲である。




とりあえず次回か次次回で序章は終わりです。

現在、これらの作品をメインに活動しておりますので、よろしければ感想・評価よろしくお願いいたします。

ホロライブラバーズ×ダークソウル

ホロライブラバーズ×ペルソナ


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ここからほんへ
戦姫、そして英雄(立花響)


 序章の進みが悪いんで先にほんへ進めちゃいましょう。


 ―――――…………こんばんは。はい、みんな大好き沖田さんですよー。

 え? 『ここはどこ?』ですか? ここは私の夢の世界。固有結界(ターミナル)()側です。はい、そうです。「内側」ではなく「裏側」です。

 

 まあ細かい説明なんてされても、何がなんやらさっぱりでしょう。ですから、私達の記憶を追体験するための扉だとでも思っておいてください。よろしいですか?

 

 はい。では扉を選んでください。我々のツギハギの人生を、どうぞ御照覧あれ…………。


 

 

 

 

 

 こんばんはマスターさん! いやー、お噂はかねがね……え? 『沖田さんの中から一緒に見てたんじゃないの?』って? ウェヒヒ、おっしゃる通りでございます……。

 まあそんな事はその辺に置いといて、今回は私の世界の話なんですよね。まあまあ、観てもそんなに楽しいもんじゃあありませんけど……というかむしろ胸糞悪くなるような話かもしれませんよ? それでもいいよっていうなら、いくらでもご覧になってってくださいね―――――。

 

 

 

――――――――――縺薙l縺ッ縲√≠繧句ー大・ウ縺ョ隧ア縲り。?繧貞瑞縺阪↑縺後i縲√◎繧後〒繧らオカ蜚ア縺??∽ク也阜繧剃コ泌コヲ謨代▲縺ヲ縺ソ縺帙◆縲∬恭髮??隧ア縲これは、ある少女の話。血を吐きながら、それでも絶唱(うた)い、世界を五度救ってみせた、英雄の話。

――――――――――――――――――――――――

 

 

 始まりは、行き場のない赫怒と憎悪だった。

 

「なんであの人が死んで、アンタが生きてるのよ! なんでアンタがあの人の代わりに死ななかったのよ! 死ね! 死ね、クソッタレ! この人殺し!!」

 

 自分へと向けられる半ば泣き声のような怨嗟。それを引き金に、周囲の者達も同調し、そうだそうだと罵詈讒謗(ばりざんぼう)を飛ばす。

 

「テメェみてーな人殺しは俺が成敗してやらぁ!!」

 

「やっ、やめてよ! 殺してなんかない! 私は殺してない!」

 

「うるさい! 知ってんだよ、あのライブの死者の3分の2は逃げようとした人間に殺されてんだってな!」

 

 約2年前。 ツヴァイウィングの公演中に認定特異災害ノイズが大量発生した『双翼の惨劇*1』。

 

 その場には、観客、関係者あわせて10万を超える人間が居合わせており、死者、行方不明者の総数が、12874人にのぼる大惨事であった。

 

 これだけでも他に例を見ない規模の事故であったが、悲劇はここで終わらず、さらに連鎖していく。

 

 被害者の総数12874人のうち、ノイズによる被災で亡くなったのは、

 

全体の約3分の1

 

「俺は詳しいからな、知ってんだよ。そういうのって『緊急避難*2』って言って法じゃあ裁けねーんだろ?

 だから、被害者、遺族の! 気持ちを! 代弁して 俺が! そういう、人殺しに! 制裁を! 加えてやってんだよ!!!

 

「ガっ! ッぁ! ………ッが!が…ゔァぁ………っは! あ゙ッ! ゔは…ぁ! っ…あぁ…っ……!」

 

 死者の大半が人の手によるものであることから、生存者に向けられた心無い悪辣なバッシングが展開された。

 更に、被災者や遺族に国庫からの補償金が支払われたことから、苛烈な自己責任論が展開されていく。

 

仕方なかったのか? 『双翼の惨劇』の事実に迫る!

 

 週刊誌の記事内容は取材に基づいた正確なものではあったが、人々は感情を煽る華美な修飾、悪意的な表現に踊らされた。そういう人間は正しさを振りかざし、主にインターネット上に持論――大抵の場合は暴論――を繰り広げる。

 それはやがて、この事件に関係もなければ興味もない人間までも巻き込み、ある種の憂さ晴らしとして狂熱的に扱われることとなる。

 

「だ、大丈夫……!?」

 

「近づかないでよ! あんたと関わってたらあたしまで標的にされるじゃない!!」

 

「ッ…………!!」

 

 心ない中傷も、非道な暴力も、多数意見(マジョリティ)という後ろ盾(大義名分)に支えられることで正論と化した。

 

クズ死ね人間の屑』『ゴミ女』『お前だけ生き残った人殺し

 

「お父さん……大丈夫?」

 

「……っ! あぁ。ちゃんと帰ってくるよ。平気、へっちゃらだ……」

 

 自分の意見でなく、「他のみんなも言ってるから」という正体を失った主張がまかり通ると、それはもはや中世の魔女狩りやナチスの蛮行にも等しい、『正義を名乗る暴力』として吹き荒れるのであった。正当性など何処にも無い。たった一つの怨恨を起点に、ただ、連鎖的に関係の無い鬱憤までも爆発させ続ける。

 

「平気、へっちゃら……平気、へっちゃら……」

 

 

446:名無しの未転生者

……ちゃんと相談しなさいよ?

味方も被害者もあんただけってワケじゃないんだから

 

447:名無しの未転生者

私達で力になれることがあればなんでもするわ

 

448:H・tachibana

………………うん

 

 

 だが、

 

人殺し。その一言は、凡百(あらゆる)悪意の免罪符となった。

 

「やめて、やめてよ……!! 未来(みく)は関係ない!!」

 

「黙れクズ! 人殺しに発言権なんかあると思ってんのか!?」

 

 善良な民衆が(いだ)く市民感情は、どこまでもねじれ肥大化し、ただ「生き残ったから」という理由だけで、惨劇の生存者たちを追い詰めていく。

 もちろん、一連のムーブメントに対する反対派も存在していた。しかし、付和雷同という大多数の民衆が持つ本質によって封殺され、しばらくは大きなうねりの中に埋没することを余儀なくされていた。

 

 そうして、嬲られ、甚振(いたぶ)られ、擦れて擦り切れた心は、ある日―――

 

「……逃げよう。ここにいたらいずれ殺される。」

 

 ――――切れた。

 

 そうして、彼女は日本国から抜け出した。誰にも告げず、【立花響】などという人物は初めから存在しなかったかのように、全ての痕跡を消し去って。

 その後、彼女は様々な国を巡った。ヨーロッパからアフリカ、南北アメリカや南極大陸、果ては北極海まで。

 

「次はどこへ行くの? 響」

 

 …………この人(未来)が着いてきてしまったのは予想外だったが。

 

「……帰ろう。日本へ」

 

 日本にいるよりは若干マシな生活だった。

 

「え?」

 

 幾つもの苦難はあれど、充実していた。

 

「未来を返さなきゃ。お母さん達も心配してるはずだよ。それに――」

 

 しかし、

 

「それに?」

 

 それでも、

 

「どれほど汚れていようと、(たと)え辛い思い出があったとしても、あそこには、私達の『帰る場所』がある」

 

 それが響の決断だった。

 

 

 

 

 

 

 


 

 ―――――おや? まだ時間がありそうですし、このまま先に進めちゃいましょうか。

 あれま、『あんな迫害を受けて、よく日本に戻る気になったね』、ですか? …………そうですね。普通は戻ろうとは思わないですよね。

 でも、あの「世界」には、辛いことばかりじゃなかった。楽しい思い出も、いっぱいあった。やっぱり、長いこと旅をしてると、辛い思い出よりも楽しい思い出の方が鮮明になってくるもんなんですよ。

 

 まぁ、そんなことは置いといて、この物語()続けますか?それとも終わりますか?

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ほらよ、日本だ。もう密航はごめんだぞ。さっさと出てけ」

 

「「ありがとうございました!!」」

 

「貰っても嬉しくねー感謝だぜ。ほら、とっとと消えた消えた!」

 

 それから少しして。響と未来は、裏稼業の船舶に乗って日本へ密航していた。

 

「気のいい人だよね。無愛想だけど」

 

「そうだね響。ヤクザ屋さんだし無愛想だけど」

 

テメェらしっかり全部聴こえてっからな!!?

 

 2人はその凄まじい剣幕から逃げるように下船し、夜の港に降り立った。

 

「テメェらの顔なんざ二度と見たくねぇ! さっさと帰るべき所へ帰れ!!」

 

照れ隠しだね

そうだろうね

 

ぶっ殺すぞ!」

 

「ごめんなさ〜い!」

 

「ごめんで済んだらチャカは要らねんだよォ!!」

 

 二人で裏側の男を煽り散らして笑う。長い逃避旅行は、二人を十分に(したた)かにした。事実、彼が未だに銃を抜いていないのも、彼が裏稼業としては優しすぎる性質(タチ)であること以上に、響と戦っても勝てないことを知っていたからだった。

 

「あ゙ー腹立つ!! 長居したら見つかっから、オレはもう行くぞ! 二度とその(ツラ)見せんじゃねーぞ!」

 

「さようならー!」

 

「本当にありがとうございました!」

 

「おう!! 次がねーことを祈ってるぜ!」

 

 身軽な小型船が夜闇に溶けて見えなくなるまで、二人は手を振り続けた。あの船を、旅との別れに重ねて。

 

 ――――そして。

 

 

 2042年、春。立花響、私立リディアン音楽院入学(物語の歯車が廻りだす)

 

*1
  作者が独自に考案した名称です。公式サイトには『ライブ会場の惨劇』としか表記されていません

*2
刑法第37条(緊急避難):自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、 その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。 2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。






 ―――じゃあ、今回はこの辺りにしておきましょうか。
 ではまた、次の夢見で会いましょう。


  ____
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 ┃   ┃
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