青き航路と夢の守人 (ダンちゃん1号)
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プロローグ

無事にREAL×TIME公開された記念に。
なんだかんだ言われてるけどぼくはゼロワンが好き。
いつも書いてる遊戯王の息抜きに。


JUMP!

少年は手元にあるバッタが描かれた「ライジングホッパープログライズキー」を腰に装着されたゼロワンドライバーに翳す。

認証システムである「オーソライザー」によってライジングホッパープログライズキーのロックが解除される。

それと同時に空に浮かぶ衛星からバッタのライダモデルが射出され、海上へと降り立つ。

海上を巨大なバッタが跳ねる。

少年はキーを展開する。

そして、ゼロワンドライバーに装填する。

覚悟の言葉とともに

 

「────変身ッ!」

 

プログライズ!

飛び上がライズ!

ライジングホッパー!

A jump to the sky turn to the Riderkick(空への跳躍はライダーキックに変わる).

 

「セイレーン…!お前達を止められるのはただ一人…!俺だ!」

 

少年は今日も戦う。

海を取り戻すために。

仮面ライダーゼロワンとして。

────誰かの夢を守るために。誰かの笑顔を守るために。

 

 

 

セイレーンと呼ばれる謎の勢力によって人類は揉め事を一旦おいて巨大な軍事連合である「アズールレーン」を設立。セイレーンを辛くも退けることに成功する。

しかし、対セイレーン戦略の在り方から「アズールレーン」は、「レッドアクシズ」と「アズールレーン」に分裂。セイレーンそっちのけで人類同士で争い始めた。

───そして、謎の存在である「ゼロワン」がセイレーンを駆逐し始めたのはこの時からである。

 

「全く…ここ数年は頭が痛かったな。。重桜がレッドアクシズについたりセイレーンのみを駆逐する謎の存在──ゼロワンだったり。なあ?或斗?」

「お前分かって聞いてるだろ!?」

 

エンタープライズは目の前に居る自分の指揮官に対して問いかけた。

それに指揮官は苦い顔をして返す。

 

「そもそも貴方が戦場に出ようとするのがおかしいんだ。五航戦の二人も嘆いてたぞ?「或斗は自分の身体を大切にしない」と。」

「…全くお前も、あの二人も出会った頃から変わってないな。…最初に出会った時から既に5、6年経つんだぜ?ちったぁ、俺を戦力に加えてもいいんだぞ?今なら漏れ無く2兆通りの予測もついてくるが…。」

「人はそれを過剰戦力というんだ。」

「そりゃ、残念。こりゃ、暫くゼロワンもゼロツーも出番無いかなぁ…。」

「こっちとしては出番があったら困る。」

「…だよなぁ。」

 

二人は穏やかに談笑する。

最近はセイレーンの襲撃も、二陣営からの使者も来ない、平和な時間が続いていた。

だが、彼等にこんな平穏が訪れたのはついこの間のことだ。

そうこう言っている内に五航戦の瑞鶴がやってくる。

 

「グレイゴースト?何抜け駆けしてるの?」

「第一声がそれかい。全く、瑞鶴姉、エンター姉と仲良くしなよ…。で、瑞鶴姉が来たってことは翔鶴姉もすぐ来るのか?」

「翔鶴姉もすぐに来るよ。で、二人で何話してたの?或斗。」

「もう、あれから数年経つんだ話さ。」

「ああ。もう、そんなに経つのね…。」

 

三人は笑い合う。いまこの時の平和を謳歌する。

そして、翔鶴が執務室にやってくる。

 

「すみません。遅くなりました。さ、執務を始めましょう。三人とも。」

「ああ。」

 

この四人が笑いあえるようになったのはつい、最近の事だ。

 

 

この物語は孤独に戦う少年が仲間ととも戦い抜いた証で、少年の生きた証だ。

 

そして、孤独な少年が英雄になるまでの苦難の証だ。

 

後世の誰かの笑顔を守った少年の物語は、いつも、苦難と悲しみで溢れていた。

 

 

 




見切り発車。
そして、次回更新は未定です…。


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地獄からの始まり
【悲報】ワイ、自害用フォームしかないショタに転生させられる【ゼアあんの?】


掲示板形式初挑戦です!
色々と宜しくお願いします!


1:名無しの転生指揮官

あかん、助けて。俺知ってる。このキーあかんやつって。

 

(赤と黒のグリップがついたプログライズキーの写真)

 

2:名無しの転生指揮官

あかん。

 

3:名無しの転生指揮官

あかん。

 

4:名無しの転生指揮官

あかん。

 

5:名無しの転生指揮官

セイレーンが狙いに来るぞぉ!

 

6:名無しの転生指揮官

なぁんでヘルライズプログライズキーなんですかねぇ…

 

7:名無しの転生指揮官

取り敢えずなんでイッチアズレンに転生したん?いつ記憶が戻ったん?

 

8:名無しの転生指揮官

安心と信頼の転生トラックや。記憶が戻ったのはセイレーンの実験の被験者にされたときやな。

 

9:名無しの転生指揮官

はえー。

 

10:名無しの転生指揮官

…え?じゃあ、イッチ今どんな状況か分からんの?

 

11:名無しの転生指揮官

>>10

いや、一回ヘルライズキー使って脱出してん。今は無事に漂流中や。

 

12:名無しの転生指揮官

いや、全然無事じゃなくて草も生えんわ。

 

13:名無しの転生指揮官

…というかイッチヘルライズキー使って大丈夫なん?

 

14:名無しの転生指揮官

>>13

無事な訳ないやろ。ただでさえ白髪ロングのおねーさんと茶髪ポニテのおねーさんに襲われてたんやぞこっちは。

 

15:名無しの転生指揮官

>>14

それって瑞鶴とエンタープライズやろ?なんで襲われてたんや。

 

16:名無しの転生指揮官

>>15

ヒント:暴走

 

17:名無しの転生指揮官

あっ…

 

18:名無しの転生指揮官

あっ…

 

19:名無しの転生指揮官

あっ…

 

20:名無しの転生指揮官

あっ…

 

21:名無しの転生指揮官

あっ…

 

22:名無しの転生指揮官

イッチのアズレン世界は平和っぽそうですね…(必死の話題転換)

 

23:名無しの転生指揮官

取り敢えずイッチコテハンつけたら?

 

24:ヘルライジング転生指揮官

おk。

 

25:名無しの転生指揮官

名前だけでヤバさがひしひしと伝わってくるなぁ…

 

26:名無しの転生指揮官

ちなみにイッチって自分がどんな見た目とか分かってるん?

 

27:ヘルライジング転生指揮官

見た目は幼少期の或人社長にそっくりやな。

なんか首に掛けられたドッグタグに或斗って書いてあるわ。

 

28:名無しの転生指揮官

>>27

じゃあ、あれかね。ヘルライジングに変身したってことは或人社長の孫か何かかね?

 

29:名無しの転生指揮官

いや…それだと似すぎなんよ。

 

30:名無しの転生指揮官

あっ…

 

31:ヘルライジング転生指揮官

っていうかここの掲示板見てる暇があったら助けて下さい。

 

32:名無しの転生指揮官

>>31

残念なんやけどな、基本的にこの掲示板はアズレンの平行世界の人達としか繋がれんのや…。

 

33:ヘルライジング転生指揮官

…えぇ…?じゃあ、暫くは漂流確定じゃないですかー!やだー!

 

34:名無しの転生指揮官

>>33

アキラメロン!

 

35:名無しの転生指揮官

>>34

イッチ…お前はいいやつだったよ…。

 

36:ヘルライジング転生指揮官

>>34 >>35

ヤメロー!シニタクナーイ!シニタクナーイ!

 

37:名無しの転生指揮官

…真面目な話さ。今セイレーン現れたら詰むんじゃね?

 

38:名無しの転生指揮官

あっ…

 

39:名無しの転生指揮官

あっ…

 

40:名無しの転生指揮官

あっ…

 

41:名無しの転生指揮官

あかんそれフラグゥ!

 

42:名無しの転生指揮官

>>37

その話題はフラグになるからヤメルルォ!

 

43:名無しの転生指揮官

でもさぁ…こういうときに限って…

 

44:ヘルライジング転生指揮官

[実況を開始します]

 

45:名無しの転生指揮官

ほらー!やっぱりこうなるー!

 

46:名無しの転生指揮官

逃げろ!

 

47:ヘルライジング転生指揮官

無理や…!もう囲まれてる…!…暫くは実況垂れ流すわ…!

 

 

『実験体のくせしてよくも逃げ出してくれたねぇ!』

「……」

『ヘルライジングの使い方は教えてやったでしょ?ねぇなんで変身しないの?』

 

48:名無しの転生指揮官

げえ!爆発オチ担当(ピュリファイアー)

 

49:名無しの転生指揮官

さすがに不味い!イッチ!変身しろ!

 

50:名無しの転生指揮官

いや…今変身したら…!

 

51:名無しの転生指揮官

くそ…だめだ…!どうあっても無理だ…!

 

52:名無しの転生指揮官

…せめてヘルライジングを止めれそうなやつさえいれば…!

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

『ヘルライズ…!』

 

「そうだよねぇ…!やっぱり使うよねぇ…!その"ヘルライズプログライズキー"…!」

 

血塗れになった少年はこの世に生きる全ての敵───セイレーンを睨み付ける。

そして、少年が手に持つものはかつて"世界を60分間で滅ぼす"という全世界同時多発テロの裏側で生成された"世界を滅ぼすキー"───ヘルライズプログライズキーだ。しかし、このキーはあの時二人の仮面ライダーによって破壊されたはずだった。しかし、何故そのキーが存在しているのか。

それはセイレーンが再びこのおぞましいキーを生成したからに他ならない。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!」

 

声にならない悲鳴を上げる少年は実かつての英雄の証である飛電ゼロワンドライバーを装着していた。これもまたセイレーンの技術によって再現された代物である。そして、既にヘルライズプログライズキーの起動は完了している。後はゼロワンドライバーの前面に取り付けられたオーソライザーでキーのロックを解除して、ベルトに叩き込めばいい。

 

『オーソライズ!』

 

「変…身…!」

 

弱々しくも覚悟を込めて発せられたその言葉は少年に闘う力を与える。しかし、その力は同時に少年を破滅に向かわせる物でもあった。それでも少年はキーをベルトに叩き込む。

 

『プログライズ!』

『Hells energy as destroy the world

HELL RISINGHOPPER!』

 

ノイズがかかったような、バグに犯されたような、そんな音声が流れてくる。

変身するだけで世界を滅ぼすキーの力が体に多大な負荷を与えるのだ。

 

「あ゛ッ…ぎぃ…ッ!」

HEAVEN or HELL it doesn't matter(天国も地獄も関係ない).』

 

今ここに居るのは最早殺されるのを待つ一般人ではない。ここに居るのは地獄の名を冠するかつての怪物──"仮面ライダーゼロワン ヘルライジングホッパー"だ。

 

「こぉ゛ぉ゛ぉ゛わぁ゛ぁ゛ぁ゛れぇ゛ぇ゛ろぉ゛ぉ゛!」

 

ヘルライズプログライズキーの多大な力を散らせるために変身者は辺り構わず周りの物を破壊しようとする。例えそれが人だったとしてもそれは変わらない。

 

「あっははは!いいねぇ!」

 

自身を殺すに足るエネルギーが込められた一撃を避けながら悦に入るセイレーン───ピュリファイアー。

しかし、そんな事はお構い無しにヘルライジングホッパーはピュリファイアーに攻撃を加える。

そこに少年の正常な意思はなく、破壊衝動だけがあった。

 

「ヘルライズ空間を作れないけど…!スペックは十分に再現してあるからね!好きなだけ暴れなよ!あっはははははははは!」

 

セイレーンはその様を見て愉快そうに笑う。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!」

 

それでも少年の破壊衝動は止まらない。

少しずつ赤熱していく装甲を確認したかと思えば少年は思い切りピュリファイアーを掴んだ。

 

「お゛お゛お゛あ゛あ゛あ゛ッ!」

 

そして、装甲が一際大きな輝きを放つと爆発を起こした。

さすがのピュリファイアーもこれには対応出来ない。

爆発に巻き込まれて大きなダメージを負った。

 

「ちぃッ…」

 

そして、手傷を負ったということは隙が出来たということ。その一瞬を逃すほど少年の破壊衝動は温くはない。

 

『ヘルライズチャージ…!』

 

ヘルライズプログライズキーの上部ボタンを叩き付けるようにして押し込む。

 

「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!」

 

そして、ゼロワンドライバーに装填されたキーを再び押し込んだ。。

その瞬間右腕をかけ上っていく赤く禍々しいエネルギー。

 

「こぉ゛ぉ゛わぁ゛ぁ゛れぇ゛ぇ゛ろぉ゛ぉ゛!」

 

『ヘルライジングインパクト!』

 

その豪腕がピュリファイアーの腹部にクリーンヒット。

 

「…ッはぁ!」

 

その衝撃にピュリファイアーの腹部が耐えきれず、ゼロワンの拳がピュリファイアーの腹部を消し飛ばした。

そのままピュリファイアーは爆発四散。

しかし、少年の破壊衝動はそう簡単には止まらない。

 

「…君は…!」

 

その無機質な眼は目の前に現れた新たな獲物───多くのKAN-SEN達に向けられていた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

この世界ではかつて仮面ライダーゼロワンという戦士がいたという。

仮面ライダーゼロワンは悪意に満ちた人工知能アークを倒し、人と人工知能搭載人形ロボット───通称ヒューマギアとの共存に向けての一歩を進めた英雄であり、その名を知らない者は居なかった。

しかし、ある時人類共通の敵であるセイレーンが突如出現。国宝とされていた飛電ゼロワンドライバーを奪い、侵略を開始した。

 

そして、セイレーンに対抗するための兵器としてKAN-SENが誕生してから数年。

歪な姿をした仮面ライダーゼロワンが現れたのだ。

しかし、その姿は最早幽鬼と言ったほうが正しく、本当にゼロワンなのかは確かではないが。

 

ただ、少なくともゼロワンのお陰でアズールレーンの内部分裂は避けられた。

暫くはこの仲間とともに戦えるだろう。

 

そして、今。

目の前にゼロワンのような何かが居る。

 

「…君は…!」

 

エンタープライズは既に弓を構えていた。

どんな動きをするか分からないからだ。

しかし、その少年は予想外の行動に移る。

 

「あぁぁぁぁぁああぁぁぁぁああ!」

 

なんと少年は自分で自分を───正確にいうと、ゼロワンドライバーに装填されたキーを攻撃し始めた。

その腕が振るわれる度に体からはパキパキと乾いた音が鳴っている。

 

「エンタープライズ!キーを取り外すよ…!」

「勿論だ…!」

 

その瞬間、二人の少女はやるべき事を見定めた。

そして、二人の少女と一人の仮面ライダーがぶつかり合い───

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

243:ヘルライジング転生指揮官

【朗報】ワイ、美しい姉さん達と共同生活が始まる【悲報?】

 

244:ヘルライジング転生指揮官

ついでにこんなキーも渡されたっぴ!

 

(ライジングホッパープログライズキーの写真)

 

245:名無しの転生指揮官

転生特典出番終了www

 

246:名無しの転生指揮官

良かったねー。

 

247:ヘルライジング転生指揮官

…あれ?起動しない?

 

248:名無しの転生指揮官

あっ…

 

249:名無しの転生指揮官

あっ…

 

250:名無しの転生指揮官

あっ…

 

251:名無しの転生指揮官

なんでや!

 

252:名無しの転生指揮官

もうあのショタ絶叫は勘弁してよ…

 

 

 




イッチ:ヘルライジング転生指揮官

不幸にも赤黒の自害用フォームだけに変身できるショタ。このイッチのアズレン世界はゼロワンプラスクロスウェーブな感じ。


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少年の名は

453:ヘルライジング転生指揮官

【朗報】ワイ、飛電或人と同性だった。【社長】

 

454:名無しの転生指揮官

え…?何?つまりこの前のドッグタグと合わせると名前は"飛電或斗"?

 

455:ヘルライジング転生指揮官

>>454

せや。なんか二年前にセイレーンに船が襲撃されて多数の死者を出したらしいねん。で、そんときの唯一の行方不明者がワイやった。そんときワイ7歳や。

 

456:名無しの転生指揮官

え…?じゃあ実質9歳でヘルライジングに変身したと?

 

457:名無しの転生指揮官

>>456

え、何その覚悟ガン決まりのショタ。

 

458:名無しの転生指揮官

>>456

((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

 

459:名無しの転生指揮官

>>456

そこに気付くとは…

 

460:名無しの転生指揮官

>>456

やはり天才か…!

 

461:名無しの転生指揮官

それはそうと今イッチどうなってるん?

 

462:ヘルライジング転生指揮官

>>462

瑞鶴姉──瑞鶴ちゃんととエンター姉──

エンタープライズちゃんにめっちゃお世話されてる。

 

463:名無しの転生指揮官

>>462

なにそれ羨ましい

 

464:名無しの転生指揮官

>>462

もげろ

 

465:名無しの転生指揮官

>>462

おねショタハーレムかよぉ!?

 

466:名無しの転生指揮官

>>462

そもそも姉ってなんだよ姉って

 

467:ヘルライジング転生指揮官

>>466

それはワイが行方不明になった船の護衛をしてたんや。

そんときにワイと仲良くなった。

二年ぶりの再開がヘルライジングやで?

 

468:名無しの転生指揮官

>>467

ああ、全身が骨折する自害用フォーム…。

 

469:名無しの転生指揮官

>>467

行方不明だった弟分との再会で弟分が全身血塗れ複雑骨折とか姉の二人には相当トラウマだったよな…。

 

470:ヘルライジング転生指揮官

>>469

その事はメイド長とヴェスタルさんからきっちりと説教を頂きました。翔鶴さんには怖い笑顔で迫られた。

 

471:名無しの転生指揮官

>>470

(^U^)<だめですよ?

 

472:名無しの転生指揮官

>>471

ニーサン!?ニーサンじゃないか!

 

473:名無しの転生指揮官

>>472

ネーサンなんだよなぁ

 

474:名無しの転生指揮官

>>471

くっそこんなのでwww

 

475:名無しの転生指揮官

>>471

翔鶴見る度にあのマジキチスマイル思い出すだろうが!

 

476:名無しの転生指揮官

>>471

俺の妻を馬鹿にしてくれたな…!オレァクサマヲムッコロス!

 

477:名無しの転生指揮官

>>476

ジョーカーはお帰り下さい

 

478:ヘルライジング転生指揮官

さてと、ここから本題。

安価します!

 

479:名無しの転生指揮官

ウェイ!?

 

480:名無しの転生指揮官

なんでぇ?

 

481:ヘルライジング転生指揮官

お題は二人と何を話すか

 

>>495

 

482:名無しの転生指揮官

おおー。なんかまともだー。

 

483:名無しの転生指揮官

そもそもイッチ喋れるん?

 

484:ヘルライジング転生指揮官

>>483

(喋れなかったら変身とか言って)ないです

 

485:名無しの転生指揮官

>>484

そりゃそうだな

 

486:名無しの転生指揮官

>>484

おっ、そうだな

 

487:名無しの転生指揮官

>>484

そうだな(便乗)

 

488:名無しの転生指揮官

>>486

>>487

申し訳ないが淫夢厨はお帰り下さい

 

489:名無しの転生指揮官

っていうかそろそろ安価だぞ?

 

490:名無しの転生指揮官

過去話

 

491:名無しの転生指揮官

クトゥルフ神話

 

492:名無しの転生指揮官

過去話

 

493:名無しの転生指揮官

過去話

 

494:名無しの転生指揮官

性癖

 

495:名無しの転生指揮官

ヘルライジングホッパーの感想

 

496:名無しの転生指揮官

性癖

 

497:名無しの転生指揮官

過去話

 

498:名無しの転生指揮官

過去話

 

499:名無しの転生指揮官

>>495

なんでや。

 

500:名無しの転生指揮官

>>499

安価は絶対なんやで。

 

501:名無しの転生指揮官

>>495

血も涙も無いのか…?

 

502:名無しの転生指揮官

イッチ一応確認するけどさ。安価は…?

 

503:ヘルライジング転生指揮官

>>502

絶…対…!

 

504:名無しの転生指揮官

いや、全身の骨が砕けて再生する感覚をどう説明しろと…?

 

505:名無しの転生指揮官

>>504

そのまんまだろ。

 

506:名無しの転生指揮官

>>504

ああ、これエンタープライズと瑞鶴にSANチェック入るなこれ…

 

507:名無しの転生指揮官

>>506

いやー普通に発狂からのキャラロスじゃあないんですかね?

 

508:名無しの転生指揮官

>>507

大丈夫だぞ。滅茶苦茶曇って依存させに来るだけだゾ。

(実体験)

 

509:名無しの転生指揮官

>>508

何やらかしたんだあんた…。

 

510:名無しの転生指揮官

>>508

ああ…。重桜のやべーやつら?

 

511:名無しの転生指揮官

>>509

セイレーンに一人で突撃。(特典なし)

>>510

いんや?信濃と長門と三笠おばあちゃん。

 

512:ヘルライジング転生指揮官

>>511

組織ぐるみで依存させにかかってんのか…。

あ、実況垂れ流すでー。

 

[実況を開始します]

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「全く…なんであんな力に手を出したの!?」

「全くだ。そもそもあの力は一体何処で──?」

 

エンタープライズと瑞鶴は少年───飛電或斗に詰め寄った。それもかなり近い距離に。

 

「…飛電ゼロワンドライバーはセイレーンの複製品を、ヘルライズプログライズキーはセイレーンに実験された時に掠め取ったんだ…。」

「…掠め取ったって…。いや、それよりも!」

 

瑞鶴は或斗の肩を掴むと思い切り叫んだ。

 

「実験されてたって…二年前のあの日からずっと!?」

 

二年前───つまりは彼が行方不明になってからずっとセイレーンの実験のモルモットとして扱われていたことになる。

 

「そんなのって…!」

「…でもね、良いこともあった。瑞鶴姉とエンター姉があのセイレーン───ピュリファイアーだっけ?アイツと戦わせず済んだんだ。あの時だけは本当にこんな力を僕にくれたセイレーンに本気で感謝したよ。」

 

ここまででも相当酷い話である。

痩せこけている所から必要最低限の食事しか与えられていなかった事が予測できるし、なんなら、人類の敵であるセイレーンに体を弄くり回されているかもしれない。

そんな過酷な二年間を彼は孤独に戦い抜いたのだ。

 

「……そもそもなんであの時自分を攻撃したんだ?」

「あの力──ヘルライジングホッパーって言うんだけど…あの力は余りにも大きすぎるんだ。…僕はあの時全身の骨が砕けては有り余るエネルギーで再生してた。もしかしたらどっかで一度死んで、有り余るエネルギーで蘇生してたかもしれない。…僕は早くその地獄から逃れたかったんだ…。」

「だから自分を攻撃したのか…?」

「うん。…それしか逃れられる方法が無かったから…。」

「そんなのって…あんまりだよ…。」

 

少年は静かに微笑んだ。

しかし、その笑顔には一切の喜びはなく、そこにあるのはただ苦しみと悲しみだけ。ようやくセイレーンを倒せると思って手に入れた力も蓋を開けてみればただ自滅するしかないものだった。

救いがない、なんてレベルではない。

世界は少年に対して余りにも残酷過ぎた。

 

「…たった一人で頑張ったんだな……」

「そうだね…或斗(キミ)は強いんだね。」

 

だからこそ、彼の全てを受け入れる。

それが姉たる自分達の役目であるのだ。

 

「もう、いいんだ。もう、或斗はなにもしなくて──」

「あの時みたいに、私達に甘えて、いいんだよ──?」

 

それがどれだけ歪んだ愛であるか、二人は気づかない。そして、その囁きに乗ることがどれだけ危険か或斗は気付かない。

そして、愛情は少年に受け入れられた。───受け入れられて、しまった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

515:ヘルライジング転生指揮官

[実況を終了します。]

 

516:名無しの転生指揮官

……イッチェ…。

 

517:名無しの転生指揮官

…これは、やらかしたな。

 

518:名無しの転生指揮官

…共依存ルート確定かね…。

 

519:ヘルライジング転生指揮官

…これは、あかん。確実に再安価しとくべきだった。

 

520:名無しの転生指揮官

>>495

息してるかー?

 

521:名無しの転生指揮官

>>495

大戦犯すぎる…。

 

522:名無しの転生指揮官

この二人がイッチへ爛れた愛情を向けるなんて…

 

523:名無しの転生指揮官

まあ、要素は揃っていたと言えるな

 

524:名無しの転生指揮官

救いはないんですか!?

 

525:名無しの転生指揮官

これ、相当ヤバイな。

 

526:名無しの転生指揮官

誰か早くイッチに誓いの指輪を…!

 

527:名無しの転生指揮官

>>526

即持ち帰られて監禁ルートにならない?それ…。

 

528:名無しの転生指揮官

というかこれから先、ちょっとでも判断ミスったらダメだぞ。

 

529:名無しの転生指揮官

平和な世界を返して

 

530:名無しの転生指揮官

イッチの周り以外は、平和なんだよなぁ…。

 

531:ヘルライジング転生指揮官

…はぁ。もうこれはしゃーない。

 

532:名無しの転生指揮官

>>531

イッチ。覚悟きめたんか?

 

533:名無しの転生指揮官

俺らは二人が元に戻るまで助けるで。

 

534:ヘルライジング転生指揮官

…こいつはまずい。

 

535:名無しの転生指揮官

…どうした?

 

536:名無しの転生指揮官

まさか。

 

537:ヘルライジング転生指揮官

そのまさかや。

あの二人が皆に今の話をしよった。

ああ!ゼロワンドライバーを返して!

 

538:名無しの転生指揮官

……。

 

539:名無しの転生指揮官

……。

 

540:名無しの転生指揮官

大丈夫か…?

 

541:名無しの転生指揮官

少なくとも大丈夫じゃないだろ。

 

542:ヘルライジング転生指揮官

やめて!皆でなでなでしないで!

 

543:名無しの転生指揮官

…大丈夫そうやな。

 

544:名無しの転生指揮官

…爛れた愛情(なでなで)

 

545:ヘルライジング転生指揮官

依存ニキの二の舞は演じない!

 

546:依存転生指揮官

おーう。多分それはまだ引き返せるからなー。

 

547:名無しの転生指揮官

……でもおかしくないか?なんで急に爛れた愛情を向けるように…?

 

548:名無しの転生指揮官

もしかしなくても…アーク?…いや、違うか…?

 

549:名無しの転生指揮官

…こいつはヤバイな…。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

エンタープライズと瑞鶴はどうしたら或斗に幸せが訪れるのか考えていた。

 

愛情はとは最高の善意だ。

しかし、それはそのまま最高の悪意にもなりうる。

かつてのテロリスト集団のトップがそうだったように。

 

二人の心の中の歪んだ愛情は少年以外に対しての悪意となった。

 

災厄の方舟が再び動き出す日はそう、遠くない。

 




コテハン紹介:依存指揮官

KAN-SENを逃がすために母港に襲来したセイレーンに対して単身で特攻した指揮官。
その事が未だに響いているのかヤンデレと化した三笠、信濃、長門の三人に依存させられていて、辛うじて正気を保てているのは掲示板位。


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地獄を冠する鍵

623:名無しの転生指揮官

ところでイッチ。さっき名前が判明とか言ってたけどそれってどういう意味?憑依じゃないんでしょ?

624:ヘルライジング転生指揮官

>>623

せやな…あぁ、これ話してなかったか。ワイ、親族とか一部の記憶セイレーンに消されとんねん。なんとか、二人の義姉の記憶は消されなかったって感じや。

 

625:名無しの転生指揮官

>>624

さらりと重大情報を言うんじゃない。

 

626:名無しの転生指揮官

>>624

今明かされる衝撃の真実ぅ~!

 

627:名無しの転生指揮官

>>624

ていうかもうイッチの中で二人は姉なんやな。

 

628:名無しの転生指揮官

>>624

美人な姉が二人もいていいなぁ…!こちとらオサナナジミに拘束されとるんやぞ…

 

629:名無しの転生指揮官

>>628

ほう…ロイヤルメイド隊に文字通りなにもさせてもらえずに「お世話」され続けている俺とどっちがマシかな?

 

630:依存転生指揮官

>>629

組織で依存しにかかられた俺とどちらがましかな?

 

631:名無しの転生指揮官

このスレにはまともな奴が居ないのか…!?

ちなみにワイは無理矢理愛宕の所有物にされたで。

 

632:名無しの転生指揮官

>>631

もうヤダこのスレ…

 

633:名無しの転生指揮官

まともな恋愛をしている奴がほとんどいねぇwww

 

634:名無しの転生指揮官

いやー、やっぱ天城さんは最高やなって

 

635:名無しの転生指揮官

>>634

いやー、やっぱりドイッチュラント様の椅子になるのは気分がいいなぁ…

 

636:名無しの転生指揮官

>>635

なんだコイツ危ないぞ!?

 

637:名無しの転生指揮官

>>635

もうこの人はダメみたいですね…

 

638:名無しの転生指揮官

>>635

ダメだコイツ…早く何とかしないと…

 

639:依存転生指揮官

…あれ?これ俺ましな方?

 

640:名無しの転生指揮官

>>639

それはない

 

641:名無しの転生指揮官

>>639

それはない

 

642:名無しの転生指揮官

>>639

それはない

 

643:名無しの転生指揮官

>>639

それはない

 

644:名無しの転生指揮官

>>639

それはない

 

645:ヘルライジング転生指揮官

>>639

それはない

 

646:名無しの転生指揮官

イッチにまで言われてるwww

 

647:依存転生指揮官

>>645

貴様だけには言われとうない

 

648:名無しの転生指揮官

>>645

>>647

これがブーメラン合戦ですか…

 

649:ヘルライジング転生指揮官

それはそれとして、ゼロワンドライバーどうしよう…

 

650:名無しの転生指揮官

ああ…そうか。ゼロワンドライバー取られたんだっけ。

 

651:ヘルライジング転生指揮官

>>650

せや。ついでにヘルライズプログライズキーも持ってかれた

 

652:名無しの転生指揮官

これ、やばいんじゃないか?

 

653:名無しの転生指揮官

…主に科学部の調査機械とか、ビスマルクとか…

 

654:名無しの転生指揮官

ああ。あかんな。

 

655:名無しの転生指揮官

あんなん解析しようとしたらあかんわ

 

656:名無しの転生指揮官

多分控え目に言って大惨事。

 

657:名無しの転生指揮官

死人出るんとちゃう?

 

658:ヘルライジング転生指揮官

……あ。

 

(黒い煙が噴出する建物の写真)

 

659:名無しの転生指揮官

…あ。

 

660:名無しの転生指揮官

手遅れだったか…

 

661:名無しの転生指揮官

あーあ。だめだこりゃ…

 

662:ヘルライジング転生指揮官

…え?ちょっと?ビスマルクさん?

 

663:名無しの転生指揮官

ん?

 

664:名無しの転生指揮官

え?

 

665:名無しの転生指揮官

おま…

 

666:ヘルライジング転生指揮官

無言で担ぎ上げないで!

 

667:名無しの転生指揮官

あー…これは。

 

668:名無しの転生指揮官

あーあ。

 

669:名無しの転生指揮官

これは…説教やな

 

670:名無しの転生指揮官

イッチ…いいやつだったよ。

 

671:名無しの転生指揮官

まぁた一人増えるのか…

 

672:ヘルライジング転生指揮官

俺は悪くねぇ!

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

鉄血の艦隊を率い、またセイレーンの技術にも造詣が深いKAN-SEN───ビスマルクは少年が持っていたキー───ヘルライズプログライズキーを解析してみる事にした。しかし、その結果は不明。研究するための機器がことごとく爆散したからだ。辛うじて分かったのはライダモデルが存在しないことだけだ。

 

「なんて力…!?これが"世界を滅ぼす"と謳われたプログライズキー…。」

 

ビスマルクはある程度ゼロワンの事について知っていた。重桜がまだ「日本」と呼ばれていたころの話だっただろうか。

ゼロワンとは、少年と同姓の青年―――飛電或人が変身する悪意に満ちた人工知能アークとその配下「滅亡迅雷.net」と戦った戦士のことだ。最終的にアークは配下であったはずの「滅亡迅雷.net」に反旗を翻されて滅亡したはずだ。そして、滅亡迅雷を動かしたのはゼロワンだと言われている。

 

「…本来プログライズキーには生物のデータが詰まった"ライダモデル"が存在するはず…」

 

だからこそ、このヘルライズプログライズキーは異常だとも言えた。

このキーにはプログライズキーに本来存在するはずの生物のデータが内包されていないのだ。

かといってかつて、滅亡迅雷が用いた兵器であるゼツメライズキーのように絶滅種のデータが内包されているわけでもない。

言ってしまえばこのキーはただの膨大なエネルギーの塊だ。

そこに存在するべきものがなく、それゆえにとても不安定キーなでもあった。

 

「…おそらく、これは、人体に多大な負荷を強制するキー…。いや、本来は()()()()()使()()()()()()…!」

 

ビスマルクは一人でこの恐るべき結論に達していた。

このキーは世界を簡単に壊しうる悪魔のキーなのだ。

つまり、このキーは「破壊しなくてはならない」プログライズキー。あの少年は知ってか知らずか、「本来の用途」ではない「変身」というプロセスを踏んで、このプログライズキーを破壊するつもりだったのだ。

プログライズキーだって精密な機械だ。

間違った使い方をしてキーに負担をかければ破壊できるかもしれない。

だがしかし。

それは、少年が負うには余りにも酷すぎるものだ。このキーの負担は少なくとも一回はあの少年を殺している。そして、有り余るエネルギーで無理矢理蘇生させられている。

 

「とにもかくにもこれはこっちで預からないと…!」

 

このままでは無垢な少年の命が危ない。

どんな手段を使ってでもこのキーは使わせてはならない。

 

「まずは、彼と話さないと…。」

 

まずは、彼がやったことの重大さをしっかりと理解させなければ。

つまるところ――――お説教である。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

思い返せばあの男を始末してもう数年。

その時に奪った、誰も知らない「真の英雄」が用いたベルトを持ち、それを眺める。

後ろから自らに声をかける者が居た。中間管理職のピュリファイアーである。

 

「オブザーバー…またそれ見てるのぉ?」

「ええ。かつて人類を救った力が人類に牙を剥くとしたらどうするのかって考えるとね。」

「…あいつかぁ。量産型も、人型も、駒も全部使ってようやく勝てたあいつ。」

 

そういうと、ピュリファイアーもそのベルトを眺め始める。

それは、飛電ゼロワンドライバーによく似ていた。

しかしながら、オーソライザーは数字の「2」を思わせるようなパーツが前面についていた。

 

「ふふふっ…さて、人類の進化を始めましょう…。」

 

オブザーバーはそのベルトを取り外すと装着した。

それは、かつての英雄の夢が、希望が、絶望へと変わった瞬間であった。

 

 

 

 

 




イッチ:セイレーンの実験によって記憶を一部失っている。
 
イッチのスレは色々と残念な人が多い。

オブザーバー:2に関連するベルトを所持している


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姉弟の時間

870:ヘルライジング転生指揮官

安価するでー。

 

871:名無しの転生指揮官

>>870

あんなことになったばっかなのにwww

 

872:名無しの転生指揮官

>>870

やっぱこのイッチ馬鹿だろwww

 

873:名無しの転生指揮官

>>870

嫌な予感しかしないからやめとけやめとけ…

 

874:名無しの転生指揮官

>>870

やっぱ馬鹿だな

 

875:ヘルライジング転生指揮官

うるせー!やるったらやるんじゃ!瑞鶴姉とエンター姉と何しよう

 

>>890

 

876:名無しの転生指揮官

おおう…

 

877:名無しの転生指揮官

なんでその二人なんだよwww

 

878:名無しの転生指揮官

行動によってはさらに病むぞ…

 

879:名無しの転生指揮官

なぁんでこのイッチはすぐ病ませる方向に行くんですかね…

 

880:名無しの転生指揮官

ぐう畜すぎてもう…

 

881:名無しの転生指揮官

イッチには人の心がないのか…

 

882:名無しの転生指揮官

さてはイッチ曇らせ好きだな?

 

883:ヘルライジング転生指揮官

>>882

…そうかも。

ってちゃうわい!ていうかもう安価ちけぇぞ!

 

884:名無しの転生指揮官

あ、ほんとだ。

じゃあ、一旦イッチの性癖は置いておくか。

 

885:名無しの転生指揮官

>>884

そうだな。「一旦」置いておこうか。

 

886:名無しの転生指揮官

昔話

 

887:名無しの転生指揮官

覚えている限りでゼロワンの話する

 

888:名無しの転生指揮官

令ジェネについて話す

 

889:名無しの転生指揮官

「やっぱ夜は焼肉っしょー!ふっふぅぅぅぅぅぅ!」って奇声あげながら二人を焼肉に誘う

 

890:依存転生指揮官

二人に目一杯甘える

 

891:名無しの転生指揮官

檀黎斗構文で話す

 

892:名無しの転生指揮官

決闘する

 

893:名無しの転生指揮官

アクセルシンクロする。

 

894:名無しの転生指揮官

三人でオーバーレイネットワークを構築する

 

895:名無しの転生指揮官

>>893

>>894

おい、決闘しろよ

 

896:名無しの転生指揮官

>>895

蟹!?アクセルシンクロに到達した蟹!?

 

897:決闘蟹転生指揮官

>>896

言い方ってものがだな…

 

898:名無しの転生指揮官

ちょwコテハンwwガチの遊星さんじゃないかwww

 

899:名無しの転生指揮官

っていうか誰も安価の結果気にしてねぇwww

 

900:ヘルライジング転生指揮官

そりゃ蟹さんが居たらねwww

>>890

依存ニキさぁ…

 

901:名無しの転生指揮官

>>890

これ依存ニキかよ…。さてはお前、同類作るつもりじゃねぇだろうな!?

 

902:依存転生指揮官

>>901

俺は誓って狙ってやってはいません!

 

903:名無しの転生指揮官

依存ニキ嘘は良くないぞ。

 

904:決闘蟹転生指揮官

>>902

嘘を付かないでくれないか?

 

905:名無しの転生指揮官

>>902

ヘルライジングの感想にしたのお前だろ!?

 

906:ヘルライジング転生指揮官

>>902

依存ニキぜってぇ許さねぇ!

 

907:依存転生指揮官

俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇ!

 

908:名無しの転生指揮官

>>907

ちょっwww

 

909:名無しの転生指揮官

>>907

お前ハイスラでボコるわ…

 

910:ヘルライジング転生指揮官

おお。丁度二人が来た。

 

911:名無しの転生指揮官

>>910

安価は絶対だぞ!逝け!

 

912:名無しの転生指揮官

行けー!

 

913:名無しの転生指揮官

逝けーっ!

 

914:名無しの転生指揮官

抱けーっ!

 

915:名無しの転生指揮官

スリスリしろーっ!

 

916:名無しの転生指揮官

クンカしろーっ!

 

917:ヘルライジング転生指揮官

>>914

>>915

>>916

おk。

「ヘルライズチャージ…!」

 

918:名無しの転生指揮官

イッチ、キレた!

 

919:名無しの転生指揮官

おいおいおい死んだなあいつら…

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「なにか欲しいものがあったら言ってくれ。」

 

最近保護できた弟分が愛しくて堪らない。

その小さな身長も。

ぷにぷにとしたほっぺたも。

まだ男の子にしては甲高いその声も。

全てが愛しいのだ。

二年前、目の前にいながらにして、彼を守れず、みすみすセイレーンの実験台にされてしまった。

その過去はどれだけセイレーンを討とうとも変わることはない。

だからこそ、今だけは一緒に居たい。

エンタープライズは痛烈にそう思う。

 

「足りないものは何もないよ。」

 

そう言うと彼は笑った。 彼は時折年不相応の姿を見せる事が多い。

セイレーンの実験で記憶とかを弄られているのかもしれない。

それでも、大切な弟分であることには変わりないのだ。

 

「…大丈夫。次は失わない。」

 

そう言うとエンタープライズは瑞鶴より先に或斗を抱き締める。彼は一瞬驚いていたがすぐに抱きしめ返してくれた。

 

「大丈夫。もう、僕は何処にも行かない。……大丈夫だよ、エンター姉。……そろそろ苦しくなってきたんだけど…」

「あっ…すまない…。」

 

気付けば或斗を締め上げる形になってしまっていた。

急いで彼から離れると名残惜しそうに或斗を見つめる自分に気づいた。

 

「…そろそろ行かなければな。それじゃあ、また今度。」

「行ってらっしゃい。エンター姉。」

 

これから先、重桜や鉄血、ロイヤルといった面々と共にセイレーン攻略戦が始まる。この戦闘で確実にセイレーンを倒すのだ。そうしなければ彼に平穏は訪れない。胸に渦巻くドス黒い感情を抑えて、エンタープライズは母港のドッグへと向かう。

 

「…奴らを、セイレーンを…"()()させる"。」

 

自ら災厄の方舟の燃料になっていることに彼女が気付く事はなかった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ふへへへへ…」

「瑞鶴姉…顔がだらけ切ってるよ…」

 

瑞鶴は或斗の姿を見て、文字通りふにゃふにゃになっていた。

少年自身にも理由は分かっているのだ。

目の前のふやけた姉は自分のせいで出来上がってしまっているのだと。

 

「いやー、だって、ね?」

「…そうだね。二年間行方不明の弟分を保護できたんだもんね…」

「…ごめんね。あの時守り切れなくて…」

「それ、エンター姉も言ってた。」

 

そう言って或斗は苦笑する。

姉二人はいつも張り合っているくせに妙な所では気が合うのだ。

だからこそ二人はライバルなのだろうが。

 

「ああ、そうだ。ちょっと、ごめんね?」

「え―――――むぐっ」

 

そんな事を考えていると、急に瑞鶴が抱き着いてきた。

暖かくて、とても落ち着く匂いがする。

なんというか、そこは二年前から変わりのないところだ。

だが、二年前から変わった点もある。

それは、或斗を抱きしめる強さである。

なんというか、彼女の抱擁からは「もう絶対に離さない」という鋼の意思を感じられた。

いくら見てくれはショタであっても中の精神は完熟しているのだ。

言ってしまえば股間に悪い。

 

「ちょ…瑞鶴姉…苦しい…」

「あわわわ!ご、ごめん!」

 

ただ、姉二人は苦しいと言えばやめてくれるし、たぶんある程度の行為は黙認してくれるだろう。

といっても、或斗本人にそれ以上を考える脳はない。

 

「行くんでしょ?セイレーン攻略戦。」

「うん。」

 

何故なら、これから彼女は戦いに出るから。

彼女はもう会えなくなるかもしれない自分を焼き付けているのだ。

 

「…よし!お姉ちゃん、たくさんセイレーンを倒してくるからね!」

「エンター姉に負けないように頑張れ。…絶対、帰ってきてね。僕は、ここに居るから。」

「うん。分かってる。それじゃあ、行ってきま―――」

 

その言葉は最後まで続くことは無かった。

 

『各員戦闘態勢!()()()()()が母港周辺海域に出現!』

 

――何故なら先制攻撃をされたからである。

 

「狙いは――――僕と、ヘルライズプログライズキー…!」

 

そして、セイレーンが血眼になって探す存在はただ一つ。

セイレーンの実験体にして、セイレーンからの逃亡者―――「飛電或斗」。

即ち、自分だ。

 

「…絶対動いちゃダメだよ…!」

「…分かった。」

 

それを知ってか知らずか、瑞鶴は或斗を残してセイレーンと相まみえようと飛び出し―――そして、吹き飛ばされた。

 

「…見つけたわよ?…実験体一号?」

 

瑞鶴を吹き飛ばした存在が姿を現す。

胸元には「02」と見ることができる特徴的な部分がある。

そして、黄緑と赤を主体とし、所々に銀の装甲が入っている。

 

「―――――な、んで。」

「凄いわね…。この"ゼロツー"。あなたの行動が手に取るように分かるわ。」

「な、んで、オマエがそれを持ってるんだ…!」

 

その者の名は「仮面ライダーゼロツー」。

最強にして、最高の「夢の証」だったものである。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

952:ヘルライジング転生指揮官

…全部、思い出した。

 

953:名無しの転生指揮官

>>952

イッチ…ついに記憶が。今世での記憶が戻ったんやな…。

 

954:ヘルライジング転生指揮官

飛電或人は―――僕の父親だ。

 

955:名無しの転生指揮官

は?

 

956:名無しの転生指揮官

は?

 

957:名無しの転生指揮官

は?

 

958:ヘルライジング転生指揮官

そういうのもわかる。でも父さんは、ゼロツーキーとゼロツードライバーを装着して、最後に僕に「逃げろ」って…!

 

959:名無しの転生指揮官

じゃあ、或人社長はもう…?

 

960:ヘルライジング転生指揮官

恐らくセイレーンの飽和攻撃を受けてゼロツーの予測でも避けきれずに…

 

961:名無しの転生指揮官

…ベルト剝がれたんやな

 

962:名無しの転生指揮官

エデンと同じパターンか…。

 

963:ヘルライジング転生指揮官

イズさんが「ゼロツーは誰でも変身できる」って証明したけどこんな形で裏目に出るなんて…!

 

(仮面ライダーゼロツーがセイレーンを率いている画像)

 

964:名無しの転生指揮官

>>963

こいつはさすがに笑えねえぞ…

 

965:名無しの転生指揮官

どうする…。

 

966:ヘルライジング転生指揮官

どうするもこうも…ここで取り返す。

この体がぶっ壊れてでも。

あれは、父さん達の夢の証、人と人工知能がともに歩む未来を導くものだから…!

 

967:決闘蟹転生指揮官

そうか。…なら行って来い。勝算はあるんだろう?

 

968:ヘルライジング転生指揮官

もちろん!それは秘密だけどね!相手はゼロツーの力に酔いしれているから、そこを叩く…!

 

969:依存転生指揮官

負けたら死だぞ。…覚悟はいいのか?

 

970:ヘルライジング転生指揮官

勿論。覚悟はできてる。…ほな、行ってくるわ

 

[実況が開始されました]

 

971:名無しの転生指揮官

行って来い!イッチ!

 

972:名無しの転生指揮官

応援してるぞー!

 

973:名無しの転生指揮官

行って来い!イッチ!!

 

974:繧ュ≹「dhfh繧ォ

…頼んだ。或―――イッチ。

 

975:名無しの転生指揮官

…ん?

 

 




コテハン紹介

・決闘蟹転生指揮官
見た目が完全な「不動遊星」。性格もよく喋るという点に関して以外は「不動遊星」。
言ってしまえば転生特典に「不動遊星」そのものを選んだ男。
前世でも決闘者であり、使用デッキは【シューティング・クェーサー・ドラゴン】。
毎日のようにハーミーズと決闘している。
アクセルシンクロ、そしてリミットオーバーアクセルシンクロの境地に達している。



というわけで、ゼロツーが敵サイドとして登場しました。
さあ、この状況、イッチもとい或人社長の息子はどう切り抜けるのか。
次回をお楽しみに!


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思いは、テクノロジーを越える

「っつぅ~!」

 

瑞鶴は辛うじて生きていた。

ただ、壁を壊された衝撃だけでこんな大怪我を負うとは思っていなかったが。

 

「…あの声…。オブザーバーのものだった…!」

 

あの怪物は一体なんだ。

どうやって或斗の場所を知った。

 

「…或斗君…!」

 

瑞鶴は痛む体に鞭をうち、無理矢理立ち上がる。

それは、意地だ。

もう二度と大切な弟分を喪うまいとする想いだ。

 

「今…行く…!」

 

そう言うとぐっと足に力を込めて立ち上がる。

その手には使わせたくない二つのアイテムを持って。

 

「…ごめん、これしか方法思い浮かばなかった…!」

 

瑞鶴は奇跡的にヘルライズプログライズキーと飛電ゼロワンドライバーが保管されている研究室に居た。

このまま手をこまねいていても或斗は連れ去られ、まだモルモットに逆戻りだ。

だから、これに賭ける。

勿論、賭けるのは自分の命もだ。

 

「…本当に、ごめん…!」

 

瑞鶴は彼を傷つける事でしか、彼を救えない自分に腹が立っていた。

最早、憤怒していたといってに過言ではないだろう。

彼女もまた、災厄の方舟の燃料となっていることに気づかなかった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「…或斗君!」

「瑞鶴姉!?大丈夫なの!?」

「…なんとかね!それよりも!」

 

瑞鶴は或斗に二つのアイテムを投げ渡す。

それは、今、この状況を打開できる唯一の希望だった。

 

「ヘルライジングプログライズキー…!」

「うん。グレイゴースト―――エンタープライズには私から話しておくから。思いっきりやっちゃって!」

「りょーかい!」

『ゼロワンドライバー!』

『ヘルライズ…!』

 

或斗は飛電ゼロワンドライバーを装着。

そして、ヘルライズプログライズキーのライズスターターを押し込み、キーを起動。

奇妙なカウントダウン音とともに黒い火花が或斗の体を駆け巡った。

そして、キーをベルトに叩きこんだ。

 

「っつぅ…!やっぱりまだ慣れないなぁ…!」

 

『オーソライズ』

 

ヘルライズキーの負荷にぼやきながらもセロワンドライバー前面にあるオーソライザーにヘルライズキーを認証。

そして、ロックが解除されたヘルライズキーを展開。

そして、キーコネクタを上部へとむける。

瞬間、天上を突き破り紅い光がキーに降り注いだ。

そして、空に光のゲートが作られる。

或斗はヘルライズキーを持つ手を捻り、光のゲートを解錠。

ゲートからは赤黒いバッタが飛び出した。

 

『プログライズ!』

『Hells energy as destroy the wolrd HELL RISING HOPPER!!』

HEAVEN or HELL it doesn't matter(天国も地獄も関係ない)

 

そして、アンダースーツが形成されバッタが吸い込まれるように装甲が形成される。

 

全身の骨が砕ける感覚が一気に襲い掛かる。

強烈な破壊衝動が全身に駆け巡る。

しかし、そのすべてを強靭な意思の力でねじ伏せる。

 

「セイレーン…!お前を止められるのはただ一人…!俺だ!!」

 

そして、震える声でそう宣言した。

 

「へぇ…面白いこと言ってくれるじゃない。」

「余裕こいていられるのも…今のうちだ!」

 

確かに勝ち目は薄いかもしれない。

それでも、ゼロワンはゼロツーに対して立ち向かわなければならない。

そう。

ゼロツーを止められるのは、ただ一人。

自分だけだからだ。

 

「ふふっ…。まさか湧き上がる破壊衝動を意志の力だけで抑え込むなんて…。やはり、あなたは"特別製"ね。」

「…何を言って…。」

「まだ知る時ではないわ。」

「そうか。…ゼロツーは返してもらう…。」

 

或斗はゼロツーに飛び掛かった。

フォームも何もあったもんじゃないただの乱雑なパンチ。

 

「…流石に戦闘技能は発展途上ね…」

 

難なくその一撃はゼロツーに抑え込まれてしまう。

蹴りも、拳も全てが初動ではたき落されてしまう。ゼロツーに攻撃を届かせることができない。だが、それでいい。

攻撃が届かないということは"油断"するという事でもある。

その油断を積み重ねて、一瞬の勝機を作りだす。

 

「ああぁぁあぁぁぁああ!」

 

一撃一撃全てを乗せた打撃を放つ。

勿論堅牢なゼロツーのアーマーを貫通するには至らない。むしろ殴り合えば不利になっていくのは自分の方だ。

それを理解していながらもゼロワンはゼロツーに立ち向かっていく。

その一瞬をつくるために。

その一瞬を逃がさないために。

或斗は絶叫する。

全てを守るという意思が、圧倒的な破壊衝動に呑まれない様に塗りつぶされぬよう、叫ぶ。

 

「…或斗君…。」

 

瑞鶴はその背中を誇らしげに見つめていた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

エンタープライズが戦場に着いたとき、或斗は既に変身し終わっていた。

なんで、と思う。

それでも、エンタープライズは或斗の決断を尊重していた。

勿論納得なんてしていない。この変身に関しては後できっちりと問い詰める。

ただ、それはそれだ。

ここで勝てなければそもそも次がないのだから。

 

「…がんばれ…!」

 

今の自分では或斗が対峙している相手を斃すなんて到底無理だ。

だから、或斗に賭ける。

出来る事なら今すぐに助けに入りたい。

ただ、それは、五航戦(瑞鶴)も同じだ。

それでも彼女が静観を決めている以上、ここで自分が乱入しても状況を悪化させるだけだろうからだ。

助けに行ける距離なのに、余りにも遠い。

手が届く距離なのに、掴める気がしない。

この二年間で彼はどれほど「先」へ進んだのだろう。

今、この場に居る自分は「ユニオンの英雄」などではない。

守られる側のただのか弱い一般人だ。

だからこそ誓う。

次は、必ず傍で支えると。

 

だから、今は或斗の勝利を信じることがエンタープライズに唯一できることだ。

 

「…行って来い。…帰ったら説教だからな。」

 

優しく、力強い声で、或斗に呼びかけた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「うああぁぁぁあぁああぁああ!」

 

叫ぶ。

声の限り叫ぶ。

自分を保つために叫ぶ。

或斗はただひたすらに耐えていた。

ヘルライジングの負荷で意識が飛ばないように、「その一瞬」を狙い続ける。

 

「無駄よ。ゼロツーの予測能力の前にはどんな攻撃も無力ということに気づかない?」

「…生憎、僕は諦めが悪いんでね…!」

 

一方のゼロツーはこの余りにも一方的な戦いに嫌気が差してきていた。

例え、人類がどんなに技術を結集させても、この「ゼロツー」を超える事があり得ないと分かってしまったからだ。

 

「…なら、必殺技でも試していいわよ?ゼロツーなら簡単に受け止められるでしょうしね。」

 

そして、ついにその瞬間は訪れた。

絶対に届かないという余裕と油断。

それが、ゼロツーの油断に繋がった。

 

「…じゃあ、お言葉に、甘えて…!」

 

『ヘルライズチャージ…!』

『ヘルライジングインパクト!』

 

或斗はヘルライズキーを再び押し込む。

そして、全てのエネルギーを集めて殴りにかかった。

 

爆発が起きる。

爆炎に二人が消える。

爆炎が晴れたとき、そこに居たのは、攻撃を難なく受け止めているゼロツーと微動だにしないゼロワンだった。

 

「…やっぱりこんなものなのね。もういいわ。ここで死になさい。」

 

ゼロツーは無慈悲にそう言い放つ。

そして、ゼロツープログライズキーを押し込もうとした。

しかし、押せない。

 

「…体を入れて…ッ!?」

 

しかし、或斗は体を寄せることでその体を以て、ゼロツーの必殺を封じた。

 

『ギガライズ!』

 

そして既に必殺のチャージは完了している。

起動しなかったライジングホッパープログライズキーでもオーソライザーへの読み取りによるチャージには対応していたのだ。

 

「…返してもらう…!父さんたちの、夢の、証をぉぉおおぉぉぉぉおおぉぉ!」

 

『ヘルライズチャージ…!』

『ヘルライジング!』

『ギガ!インパクト!』

 

その一撃は正に「不可避」。

ゼロツーの予測全てが告げる「回避不能」にさすがのセイレーンも悲鳴を上げた。

 

「なっ――――!」

「おぉぉおおぉぉぉぉおおぉぉあああぁぁぁぁあぁぁぁぁっ!」

 

ゼロ距離で放たれたライダーパンチはゼロツーの装甲は砕くには至らない。

しかし。

ベルトを剥ぎ取るにはあまりにも十分な威力を持っていた。

 

「うあっ…!」

「…はぁ…はぁ…」

 

セイレーンは床を転がり、這いつくばる。

一方の或斗も辛うじて生きているという言葉がぴったりだった。

口からは血を吐き、全身が赤く染まっている。

それでも、或斗の手にはゼロツードライバーとゼロツーキーが握られていた。

 

「返しなさい!それは…!"人類の進化"に必要なモノよ!」

「違う!ゼロツーは…人と人工知能が、共に歩む証だ!決して人間を進化させるための舞台装置なんかじゃない!」

『ゼロツードライバー!』

 

そういうと、或斗はゼロツードライバーを装着。

 

「…もう、セイレーンを倒したんだ!変身する必要は―――!」

「ううん。まだ周辺海域の掃討がまだ終わってない。だから…後少し、やってくる。」

 

やはり、この少年はそこが窺い知れない。

だが、そもそもの話、9歳にしてあの自害用ともいえる形態に変身していたのだ。

その精神力は推して知るべしだろう。

或斗はゼロツーリベレーターを展開する。

 

『―――――Let's give you power !――――』

 

その瞬間究極の力を与えるとベルトが力強く宣言してくれる。

或斗はその事を心強く思う。

このドライバーを作った父親がすぐそばに居る気がするからだ。

 

『ZERO-TWO JUMP !』

 

ライズスターターを押し込めば自動でゼロツーキーが展開される。

そして、少年たちを守るように二匹のバッタが或斗達の周辺を飛び回る。

或斗がゆっくりと腕を回せばそれに呼応するようにかつて存在していた衛星ゼアを模したエネルギーが現れる。

 

「…行くよ、父さん。一緒に戦ってほしいんだ」

 

ゼロツーキーから「任せろ」とかつての父親の優しい声が聞こえた気がした。

 

「―――変身ッ!」

 

全ての思いを込めて叫ぶ。

そして、万感の思いを込めてゼロツーキーをゼロツードライバーに装填した。

 

『ZERO-TWO RISE!』

 

衛星ゼアのエネルギーが或斗を包む。

その瞬間或斗にアンダースーツが装着される。

 

『Road to glory has to!』

『Lead to grouwin' path to change! one to two!』

 

二匹のバッタが分割し、赤と黄色、そして銀の装甲を形成していく。

そこにあるのは確かについさっきまで、セイレーンの手に渡っていた戦士の姿だ。

 

『KAMEN RIDER ZERO-TWO…!』

『It's never over …!』

 

このゼロツーがある限り人類に、この世界に終わりなど無い。

そう思わせる姿だった。

 

「…一瞬で終わらせるよ。」

 

瞬間、ゼロツーが閃光となり、搔き消えた。

エンタープライズと瑞鶴が正気に戻った時には全てが終わっていた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

990:ヘルライジング転生指揮官

終わったで。Vやねん!

 

991:名無しの転生指揮官

油断させてから最大級の必殺技かぁ…。相手がセイレーン以外だったら成り立たなかったな。

 

992:名無しの転生指揮官

まぁ勝ったんでいいでしょ。

 

993:名無しの転生指揮官

無事にゼロツー取り戻せたことだしな。

 

994:依存転生指揮官

よし!これで後は霊の二人のケアだな!

 

995:決闘蟹転生指揮官

そうだな。心のケアは大切だぞ。

 

996:名無しの転生指揮官

そうだな。特に依存ニキ。

 

997:名無しの転生指揮官

全く、依存ニキが言うと説得力が違うなぁ!

 

998:繧ュ≹「dhfh繧ォ

ありがとな、或―――イッチ。

 

999:名無しの転生指揮官

>>998

貴方ってやっぱり―――

 

1000:ヘルライジング転生指揮官

>>998

どういたしまして。―――父さん。

 

 




飛電或斗はゼロツーを手に入れた!

コテハン紹介

・繧ュ≹「dhfh繧ォ
この世界における「初代」のゼロワンで、飛電或人本人。既に故人。或斗の前世は分からないけれど、確かにどこかに魂は残っている。


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パーフェクトコミュニケーション

何とかゼロツーに変身してセイレーンを退けた或斗達。

しかし、やっぱりというか案の定というか。

 

姉二人は揉めた。

 

エンタープライズは瑞鶴に"何故変身させた"と詰め寄るが瑞鶴は「それしかなかった」と反論。互いに或斗を愛しているからこそぶつかり合う。ちなみに或斗は困惑するばかりで二人の喧嘩を止めようともしない。

否。

止めることができない。

一応和解させようとしたのだが二人が同時に「君は黙ってて!」と声を荒げたのだ。

あんまりである。

それからというもの、或斗は二人の喧嘩を眺める事しかできなかった。

そしていつの間にか演習で決着をつけることになってしまったのだった。

で、この二人は或斗のいる母港のKAN-SENでも屈指の実力者である。

そんな二人が本気で演習すればいくら演習とはいえ大けがになってしまう可能性だってある。

結局或斗がゼロツーで乱入して二人を鎮圧。

ゼロツーの力を目の当たりにした二人は「もう全部或斗君一人でいいんじゃないかな」と思ったほどだった。

それほどまでにゼロツーは強力だった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ああもう!」

 

或斗は姉二人の大喧嘩のスケールを超えた演習を見かねてゼロツーに変身。

二人の演習に乱入した。

 

「二人ともこれ以上はけがじゃ済まなくなるよ!?」

「…でも…!」

「…だが…!」

 

喧嘩してる原因である本人が言ったところで何も意味を為さないであろう。

だから、無理矢理鎮めることにする。そうしなければ二人は止まらない。

 

「だったら、僕を倒してから喧嘩の続きをするんだね!」

「いや、君が原因なんだけどな!?」

「或斗君が原因なんだってぇ!」

 

勿論原因である或斗が何言ったって止まりはしない。

だが、この母港にはもう或斗しか二人を止められる力を持つものが居ない。

 

「さあ、行くよ!」

 

『アタッシュカリバー!』

『プログライズホッパーブレード!』

 

ゼロツーに変身した状態で演習に割り込んだ或斗はいきなり武具を二つ生成。この二つの武具もかつて或斗の父―――飛電或人が使っていたものだ。

飛電或人がゼロワンとして戦い始めた初期からずっと使っていた『アタッシュカリバー』。

そして、悪意の檻に囚われた或人を救うためにヒューマギアの善意が作り出した奇跡である『プログライズホッパーブレード』。

二人の喧嘩を止めるのには自分が最も得意な武器で挑む必要があるだろう。

というわけで、この二刀流である。

しかもアタッシュカリバーに関して言えば完全に見た目は鞄だ。

それがいきなり刀身をむき出しにしたのだから完全に瑞鶴達は白目を向いた。

そしたら後は蹂躙劇である。

0.01秒で二兆通りの予測を行うゼロツーに二人はなすすべなく蹂躙された。

全ての動きを予測され、まともな攻撃を行うことも許されない瑞鶴とエンタープライズはそのまま押されに押されフィニッシュに必殺技を叩き込まれた。

 

『ライジングカバンストラッシュ!』

 

『プログライジングストラッシュ!』

 

その後暫く或斗は説教されたという。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

121:ヘルライジング転生指揮官

っていう事があったんや

 

122:名無しの転生指揮官

おまw暫く来てないとおもったらwww

 

123:名無しの転生指揮官

安定の二人で安心したよ

 

124:名無しの転生指揮官

いやー良かった良かった

 

125:名無しの転生指揮官

心のケアはできてないけどな

 

126:ヘルライジング転生指揮官

俺たちは戦うことでしかわかりあえない!

 

127:依存転生指揮官

まぁ、大丈夫ってことが伝わったからいいんじゃね?

 

128:決闘蟹転生指揮官

そうだな。

 

129:名無しの転生指揮官

そうかぁ?

 

130:名無しの転生指揮官

そうだよ。

 

131:名無しの転生指揮官

そういうもんか

 

132:名無しの転生指揮官

まぁ、後でちゃんと話しなよ?

 

133:名無しの転生指揮官

それがベストだな

 

134:ヘルライジング転生指揮官

そういえばさ。皆はμ兵装って知ってる?

 

135:名無しの転生指揮官

……あ。

 

136:名無しの転生指揮官

あっ(察し)

 

137:依存転生指揮官

はーいアイマス入りまーす!

 

138:名無しの転生指揮官

ええ…?

 

139:名無しの転生指揮官

うらやましいなぁ…

 

140:ヘルライジング転生指揮官

え?何々?どうしたの?

 

141:決闘蟹転生指揮官

そうかそうか…μ兵装か…。

 

142:名無しの転生指揮官

その世界はな…アイマスキャラがやってくるんだよ!

 

143:ヘルライジング転生指揮官

なっ…なんだってー!?

 

144:名無しの転生指揮官

…あれ?イッチもしかしてご存知ない?

 

145:ヘルライジング転生指揮官

生放送当日…!

 

146:名無しの転生指揮官

あっ…。

 

147:名無しの転生指揮官

あー、だめ!この話し暗くなるから駄目!

 

148:名無しの転生指揮官

取り敢えずちゃんと姉二人と話しとけよ!

 

149:名無しの転生指揮官

そうだな!後アイマスキャラに手ぇ出したら許さねぇからな!もし病ませたらわかってんだろうなぁ…!?

 

150:ヘルライジング転生指揮官

あーそういうことね。完全に理解したわ(分かってない)んじゃ。

 

151:名無しの転生指揮官

>>150

てめぇぜってぇ分かってねぇだろ!許さねぇ!逃げるな!まてぇぇええぇぇ!

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「二人とも…何やってんのさ…。」

「いや、元は君が原因でしょ…。」

「全く…変身なんてするから…。」

 

或斗、瑞鶴、エンタープライズの三人は並んで正座していた。未だにこの母港には指揮官が着任しておらず、各陣営のトップが母港の通常業務をこなしている。

で、この三人、先の演習でやらかしすぎたというわけで全員仲良く正座中なのである。

一応或斗は二人を止めようとしたというやむを得ない理由があったがために必要最低限の罰である正座一時間で許されていた。

しかし、当然ながら姉二人の罰は3時間正座の後に後日行われるμ兵装のライブにおける裏方担当としてこき使われるというものだった。

ある意味では良心的な罰だろう。

そのライブを楽しむためにもまずは二人の心配を解かなければ。

そう意気込む或斗に不意にエンタープライズが問いかけた。

 

「…なぁ、なんで君は戦うんだ?」

 

と。

それに対しての或斗の答えは余りにも単純で簡単だった。

 

「…一人でヘルライジングに変身してたときはさ。ただただこの苦しみを誰かに味合わせたくないってだけだったんだ。でも今は違う。今はさ…何て言うのかな。皆の笑顔を守れると嬉しくてくしゃってなるんだ。」

「"くしゃっ"て…。そうか。君は嬉しいんだ。。でも、その影では悲しむ人が居るんだよ?それこそ私たちみたいな。」

 

瑞鶴はどうやら或斗が戦うということ事態が悲しいことだという。

 

「君はさ、普通に学校に行って、普通に恋して、そして幸せな家庭を持って…っていう人生に憧れないの?」

 

そして、どうして普通の人生を送らないのか、と聞いてきた。確かに言われるまで考えて来なかった。

だが、或斗は"考えようとしなかった"ではなく、かといって、"考えなかった"訳でもない。

自分ががゼロワンとして、ゼロツーとして戦う理由がはっきりしているから戦うだけなのだ。

 

「僕はさ。あの時、二人にまもってもらったんだ。だからこそ今度はこっちの番。支えたいんだよ、二人を。」

 

それが一番の理由だ。

二人を支えたいという想いが或斗を突き動かしている。

 

「僕はさ。二人の隣で戦えるんならどんな困難だって乗り越えられる。そんな気がするんだ。……そろそろ時間だ。先に上がるね。…μ兵装のライブ、頑張れ。」

 

それだけ言って或斗は去っていった。

 

「…そうか。君は…。」

「全く…或斗君は…。」

 

そう言うと姉二人は笑った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

173:ヘルライジング転生指揮官

成し遂げたぜ

 

174:名無しの転生指揮官

パーフェクトコミュニケーションじゃねーか!

 

175:名無しの転生指揮官

あの二人を説き伏せやがったwww

 

176:名無しの転生指揮官

すっげぇwww

 

177:名無しの転生指揮官

何気にかっけぇwww

 

178:名無しの転生指揮官

やっぱこのショタ覚悟バッチリじゃねぇかwww

 

179:名無しの転生指揮官

おばあちゃんが言っていた…覚悟を決めたショタほど強いやつはいないと…。

 

180:名無しの転生指揮官

こどものちからって、すげー!

 

181:名無しの転生指揮官

>>180

色々とあぶねぇな!?

 

182:名無しの転生指揮官

>>180

くぉれはライダーキックグォレンダァ!ですわ…

 

183:名無しの転生指揮官

>>180

ショタコンホモは罪が深いですねぇ…まぁいいでしょう。

 

184:依存転生指揮官

>>183

小物は帰って、どうぞ。

 

185:ヘルライジング転生指揮官

>>183

ヘルライジングインパクトかゼロツービッグバン。好きな方を選ばせてやるよ。どっちがいい?

 

186:名無しの転生指揮官

イッチのマスロゴへの憎悪が凄いww

 

187:名無しの転生指揮官

マスロゴ一体なにやったんだwww

 

188:名無しの転生指揮官

ところでμ兵装のライブっていつや。

 

189:ヘルライジング転生指揮官

>>188

明日や

 

190:名無しの転生指揮官

>>189

大丈夫?量産艦暴走してない?

 

191:ヘルライジング転生指揮官

>>190

(今の所は)大丈夫だ。問題ない。

 

192:名無しの転生指揮官

フラグ乙

 

 




次回、アイマスコラボ編、開幕…!?



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幕間:継承の時間

今回は掲示板形式がありません。
テスト勉強で忙しいのです。


μ兵装のライブの前日の夜、或斗は白い電脳空間に立っていた。

寝ようと思い、、その前にゼロツーキーに触れたらいつの間にか立っていたのだ。

白い空間に青い0と1が浮かんでは消える。

 

「ここは…」

「…久しぶりだな、或斗。」

 

ここがどこか、その結論に行きつく前に男は現れた。

赤いパーカーの上に黒い服をきたその男は或斗にゆっくり近づいていく。

そして、ゆっくりと笑いかけた。

 

「ありがとう。俺達の希望を、夢の証を…取り戻してくれて。」

「どういたしまして、父さん。」

 

或斗は男に対して笑顔を返す。

男の名は飛電或人。この世界における「本来」のゼロワンの変身者である。

或人はアークとの戦いに終止符を打ち、そして、セイレーンに敗北し、死んだ。

 

「そして、ごめんな。あの時から、ずっとお前に重荷を背負わせてばかりで…。」

「ううん。大丈夫。だって、僕は父さんの息子だぜ?」

「ああ。そうだな。お前は、俺の息子だ。…俺もさ、父さんに庇ってもらったんだ。いつだったか、話したろ?デイブレイクの話。…だからあいつ等…セイレーンだったっけか。そいつらが襲ってきたとき、今度は俺の番だって思った。お前はさ、俺の希望なんだ。」

 

そういうと、父はは自らの子供の頭に手を乗せた。

慈しむように、本来与えられた愛情を今、まとめて与えるように。

 

「とう、さん…」

「俺、立派な父親になる前に死んでしまったんだ。今の俺はゼロツーキーの中にあるただのデータでしかない。…けど、お前に触れられてとても嬉しい。でも、だからこそ聞きたいんだ。…或斗。お前は何のために、戦うんだ?」

 

父は息子に問う。

戦う理由は何なのかと。

 

「そんなのは決まってる。皆の笑顔を、二人の笑顔を守りたいから。ずっと守られてばかりだった僕でも、彼女たちに少しでも返せる物があるなら返したい。…ま、僕のエゴだよ。セイレーンからみんなの笑顔を守るっていうね。」

 

その理由は英雄の在り方としては正しいものだ。

しかし、その在り方は常に大きな重圧が圧し掛かる。

だが、だからこそ、少年は笑うのだ。

 

「そうか…。良かったよ。あの時、お前に出会えて。」

「そうだね…。あの時、僕も父さんに出会えて良かった。」

 

そう、少年は飛電或人に拾われていた。

そして、短い間であったが二人はたしかに親子として過ごした。

或人は飛電インテリジェンスの社長業務で中々親子の時間が取れなかったが、それでも、休日はなるべく或斗との時間を取るようにしていた。

だから、或斗は父親を慕っていたし、或人も或斗を我が子のように可愛がった。

短い時間でも確かにそこには親子の「愛情」があったのだ。

 

「…或斗。おまえに飛電ゼロワンドライバー(コイツ)を託す。そして、ライジングホッパープログライズキー(これ)もな。頼んだぜ、仮面ライダーゼロワン。」

 

だから、父は、息子に全てを託す。

今、この場において行われるのは―――継承。

飛電或人から始まる「ゼロワンの正義の系譜」を受け継ぎ、新たな「ゼロワン」が生まれる瞬間。

今、この時を以て、飛電或斗は新たなゼロワンとなったのだ。

 

「…任せて。」

「…ああ。任せた。…或斗。しばらくゼロワンで戦ってくれるか?お前の戦闘データをもとに、ゼロツーをアジャストしたいんだ。」

「ん。…分かった。じゃあ、ゼロツーキーやゼロツードライバーはどうする?」

「小型のシャインシステムががっちり覆うさ。」

「なら、安心だね。…っと。そろそろ行くよ。このままじゃ、瑞鶴姉とエンター姉にどやされちゃう。」

「おう」

 

そして、或斗の意識が現実に引き戻される。

 

「…ありがとう。」

 

気づけば、或斗の目の前にはゼロワンドライバーとライジングホッパープログライズキーが浮かんでいた。

それは、父からの贈り物だ。

 

「夢に向かって飛んでみせるよ。」

 

或斗は、空にゆっくりとほほ笑んだ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

或人はまた一人、ゼロツーキーの中のゼアに留まっていた。

実のところ、或斗には、ゼロツーよりもゼロワンを使って欲しい。

いきなり、ゼロツーなんて使われたらゼロワンの立つ瀬がなくなってしまう。

だが、ゼロツーのアジャストはちゃんとした目的だ。

もし、或斗のためだけにゼロツーをアジャスト出来れば、ゼロツーは更なる力を得る。

それは彼の夢を追いかけるのに役に立つ初田。

 

「或斗…。お前が作る誰かの心からの笑顔を、俺に見せてくれ。」

 

そうして、飛電或人はゼアの中にとけるように消えていった。

 

「…この反応は…」

 

最後に何かに気づいたが、そのことを伝えられない悔しさに歯噛みした。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ここは…」

「一体…?」

 

気づけば、何処かよくわからない場所に立っていた。

今まで、自分たちは映画用の写真撮影を行っていたはずだ。

目の前にはいわゆる特撮のおもちゃを持った子供が不思議そうに首を傾げている。

しかも、少年は何を考えたのか分からないがそのベルトを腰にセット。

 

「…ねぇ…これって敵視されてない…?」

 

誰からともなくそう言った。

もしかしたらここ、大分バイオレンスな世界なのでは…?

飛ばされた七人は同じことを考え、そして、目の前に居る敵意ガンガンの少年の説得をし始めるのだった―――。

 

 




いおりんとはるかとあみまみとりっちゃんとあずささんは初日に入手できたのに…なんで7…千早さんは出ないんだ…。

次回、アイマスコラボ編開幕!


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アイドルと仮面ライダー、青き海へと臨む
海とアイドルと仮面ライダー


435:ヘルライジング転生指揮官

なんか異世界からおねーさんたちがやってきた。

 

(七人のアイドルの写真)

 

436:名無しの転生指揮官

いいなー。このショタに成り代わりてー

 

437:名無しの転生指揮官

>>436

イッチのお父さん!コイツやばいです!

 

438:名無しの転生指揮官

>>436

なんだこいつやべー奴じゃねぇか!

 

439:ヘルライジング転生指揮官

>>437

>>436と赤城姉を同列に語ってんじゃねーぞ?

 

440:名無しの転生指揮官

ああ、指揮官絡まなければ良識人だもんなあの人…って!そうじゃない!

とうとうアイマス勢がやってきたか!

 

441:決闘蟹転生指揮官

なんで、この七人はイッチの世界にやってきたんだ?

 

442:ヘルライジング転生指揮官

>>441

なんでも、「無尽合体キサラギ」っちゅう映画の宣伝のための写真とか映像をとってたら急に銀の幕が現れてこの世界に飛ばされたらしい。

なんか一緒にプロデューサーも別地に飛ばされたらしくて合流してきたわ。

 

(トイカメラを首に提げたマゼンタのシャツをきこなす男の写真)

 

443:名無しの転生指揮官

おのれディケイドォォォォ!

 

444:名無しの転生指揮官

メガロドンゲノムの大元がこれですか…

 

445:名無しの転生指揮官

おのれディケイドォォォ!

 

446:依存転生指揮官

おいまて、まだディケイドと決まったわけじゃ…

 

447:ヘルライジング転生指揮官

プロデューサーの名前は「門矢士」です。

…おのれディケイドォォォォ!

 

448:依存転生指揮官

>>447

通りすがる世界の破壊者…おのれディケイドォォォォ!

 

449:名無しの転生指揮官

なんででもかんでもディケイドのせいにしないであげなさいよ…

 

おのれディケイドォォォォ!

 

450:名無しの転生指揮官

通りすがる世界巡るおのれディケイドぉ~

 

451:名無しの転生指揮官

通りすがりのカカカ仮面ライダー!

 

452:名無しの転生指揮官

>>452

混ざってる、混ざってるゥ!

 

453:ヘルライジング転生指揮官

……やっぱこの7人がアイマス勢なのね。

 

セイレーンかと思っちまったよ…

 

454:名無しの転生指揮官

>>453

死にたいんだってなぁ…?

 

455:名無しの転生指揮官

>>453

一発で沈めてやるよ…覚悟はできたかぁ?

 

456:決闘蟹転生指揮官

>>453

何故そう思った?

 

457:ヘルライジング転生指揮官

俺…アイマスしらんねん…。

急に虚空から現れたから…光学迷装かと思ったんや…

 

458:名無しの転生指揮官

>>457

なんだと…?

まさか、アイマスというジャンルそのもの知らない…わけないよな?

 

459:ヘルライジング転生指揮官

知ってるのデレステやねん。

無印勢はほとんど知らんて…。

 

460:名無しの転生指揮官

ええ…。

 

461:名無しの転生指揮官

ちなみに聞くけど前世の趣味は?

 

462:ヘルライジング転生指揮官

音ゲー(バンドリ)と仮面ライダー、アズレン。

それとバディファイトとデュエル。

コスモドラグーンはいいぞ。頑張れば竜牙雷帝ワンキルできるからなぁ。

…アーケードはま、ウニをの怒槌をSSS位かなぁ…。

 

463:名無しの転生指揮官

むしろそこまでやってなんでアイマスやってないん?

それはそれとして今度俺のカオスと勝負しようぜ?

 

464:ヘルライジング転生指揮官

手を出そうとした矢先の事故やったんや…!(血涙)

>>463

じゃあガルパ☆ピコ使うわ(Roselia)

 

465:プリズム★アトラ転生指揮官

>>464

へぇ。じゃあ、逆天しちゃうよ?

 

466:名無しの転生指揮官

なんだ!?このコテハン!?

 

467:名無しの転生指揮官

まるで意味が分からんぞ!

 

468:プリズム★アトラ転生指揮官

…いや、なんか、バディファイトでプリズムドラゴン使ってたせいかなんかアトラの能力を"魔法"として扱える訳のわからん状態になってんねん…。

カナタ君ごめんやで…。

 

469:名無しの転生指揮官

擬人化の犠牲者であらせられましたか…。

 

470:名無しの転生指揮官

それでも…ないわー。

 

471:プリズム★アトラ転生指揮官

自分だってないわー。って思ってるくらいだし…。

 

472:名無しの転生指揮官

やっぱ神様って糞だわ。

 

473:ヘルライジング転生指揮官

なんか量産艦が暴走してるって。

ゼロツーじゃ過剰戦力だし、ちょいとゼロワンになるわ。

ゼロツーアジャスト中だし。

 

474:プリズム★アトラ転生指揮官

調整中?

そりゃまたなんで?

 

475:ヘルライジング転生指揮官

>>474

ゼロツープログライズキーの中の人工知能ゼアに父さんの人格データがあったんだよ。

めっちゃいい人だったよ…。

ゼロワンドライバーも貰ったし、取り敢えず強化キー以外は貰った。ワイの戦闘データでゼロツーのアジャストを行うんや。

というわけで初陣なんにしよ。ヘルライジングは無しで。

 

>>482

 

476:名無しの転生指揮官

フライングファルコン

 

477:名無しの転生指揮官

シューティングウルフ

 

478:依存転生指揮官

ブレイキングマンモス

 

479:プリズム★アトラ転生指揮官

フリージングベアー

 

480:名無しの転生指揮官

ライトニングホーネット

 

481:名無しの転生指揮官

アメイジングヘラクレス

 

482:決闘蟹転生指揮官

ライジングホッパー

 

483:名無しの転生指揮官

バイティングシャーク

 

484:名無しの転生指揮官

ラッシングチーター

 

484:ヘルライジング転生指揮官

>>482

王道やな。

父さんも喜んでくれるやろ。

 

485:名無しの転生指揮官

さすが遊星だぜ!

やっぱチームサティスファクションは違うなぁ!

 

486:決闘蟹転生指揮官

>>485

や め ろ

 

487:名無しの転生指揮官

そっかー。イッチもデビューかぁ。

 

488:依存転生指揮官

俺の二の舞だけは演じるなよ?

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「アイツがこの世界の仮面ライダーゼロワンか…。」

「…プロデューサー?どうかしたんですか?」

 

門矢士は飛電或斗の戦いを遠くから眺めていた。

 

「天海、如月。この世界をどう思う?」

「…理不尽だな、とは思いますよ。」

 

天海春香は自身のプロデューサーでもある士の問いかけに答えることは出来ない。

だが、如月千早は士の問いかけに簡単に答える事ができた。何故、少女達が世界の脅威に立ち向かわなければならないか分からないからだ。

 

「だが、アイツらはそれを望んでいる。敵と戦い、人が人の営みを送れるように生み出された存在だからな。だが、この世界にはたった一人例外がいる。」

「或斗君、ですか…。」

「ああ。アイツはこの世界の敵によって無理矢理"仮面ライダーゼロワン"という存在にさせられたんだ。……お前達ならどうする?」

「どうする?ってそれは…。」

 

春香と千早は士の問いかけの意味が分からない。

 

「お前達だったら"そいつ"を戦わせるのか?と聞いているんだ。」

「…それは。」

 

今度は千早が言葉に詰まってしまう。

だが、今度は春香が答えた。

 

「…私は、その人の意思に委ねますよ。だって、その人が自分の意思で戦っているなら、私は支えてあげたいですから。」

「そうか…。」

 

士はその答えに満足そうに頷くと声をあげた。

 

「……俺にも俺の戦いってもんがある。…ま、助けてやるのも先輩の役目ってやつか。」

「何を言って…。」

「いいか、天海、如月。今から俺がお前達に"俺の秘密"をみせてやる。」

「え…?」

 

そう言えば、初めてこの「門矢士」という人物にスカウトされたときこの男はこう言っていた。

 

『こんな、秘密まみれのやつのスカウトを受けるなんてな。』

 

と。

ただ、なんやかんやで自分達は成功できた。

そこにはいつもこのプロデューサーの力があった。

 

「…大丈夫ですよ。貴方はずっと私達のプロデューサーであってくれました。…だから、私達もプロデューサーのアイドルでありたい。だから、見せてください。プロデューサーの秘密を。」

「春香…。」

「なら、お言葉に甘えて。」

 

士は言葉を言い切ることなくある1つのものを取り出した。それは、マゼンタ色で周りに19個ほどのマークが小さく描かれている。

 

「……それは、カメラですか?」

「残念、ハズレだ。」

 

千早の問いに少しばかりにやけた顔で答える士。

そのまま士はそれを腰にあてがった。

それは、ベルトとなって士の腰に巻かれた。

 

「…え?」

 

何をするつもりなのか。

そういえば、あの少年も同じようにベルトを腰に巻いていた。

 

「まさか…プロデューサーも、なんですかぁ!?」

「正解だ。」

 

思わず大声を上げてしまう春香。

その声を聴きながら士は腰にあるベルトの両脇を引っ張りベルトの向きを変えると、ベルト脇のカードホルダーからカードを一枚取り出した。

 

「俺の名は門屋士。お前たちのプロデューサーにして、通りすがりの仮面ライダーだ。…覚えておけ。変身!」

 

『KAMEN-RIDE』

 

『DECADE!』

 

士はカードを装填してバックルを閉じる。

その瞬間、二十の幻影が士を覆い、士の姿を変える。

全身がマゼンタ色であり、複眼は緑色。

そして何よりも目を引くのは頭部にある、バーコードのような模様。

 

「じゃあ、行ってくるか。…お前らは後で明石あたりにμ兵装でも作ってもらえ。」

 

そういうとディケイドというらしい、士が変身したライダーは海面へと消える。

 

「え、ええ…?」

 

さすがに二人は困惑を隠す事などできるわけが無かった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「ああもう!ヒッパー姉なんでこんなことに!?」

「そんなのワタシに言われたって分からないわよ!」

「そりゃ、そうだね!」

「っていうか、アンタゼロツーあるでしょ!?」

「調整中!だから今は慣らしの意味も込めてライジングホッパー!」

 

或斗とアドミラル・ヒッパーはギャーギャー言い合いながらも暴走した量産艦の鎮圧に当たっていた。

なんてことはない会話だ。

ただ訳の分からない現実に対するいら立ちを解決したいだけ。

 

しかし、いかんせん数が多い。

このままではμ兵装のテストを行う前にこちらが先に力尽きてしまう。

 

「うう…せめてファルコンキーくらいは持ってくるんだったぁ…!」

 

或斗はぼやきながらもアタッシュカリバーを振るう。

このままでは数の暴力で抑え込まれてしまいそうだ。

 

だが。

ヒーローは一人じゃない。

 

「お前ら、頭を下げろ!」

 

『Final-Atack-RiDE!D-D-D-DECADE!』

 

 

声に従って頭を下げれば暴走した量産艦に向かって太い光線が飛んでいく。

 

「その声…士さんか!あなたも仮面ライダーなのか…!」

「"通りすがり"の、な。…行くぞ!」

 

流石に仮面ライダーが二人も居れば戦力としては頭がおかしいことになる。

結論からいうと。

その後は門屋士によって暴走した量産艦は全滅した。

ありとあらゆる仮面ライダーに変身した士にとって、ただの量産艦は敵ですら無かったのである―――。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

527:ヘルライジング転生指揮官

いやー、強いっす。

さすが士さんっすわー。

 

528:名無しの転生指揮官

頭おかしい。

 

529:名無しの転生指揮官

なんかディケジオより相当強化されてない?

 

530:名無しの転生指揮官

やっぱディケイドって世界の破壊者だわ。

 

531:名無しの転生指揮官

っていうか、これ隠してたんかな。

 

532:名無しの転生指揮官

いやー、そうやろ。

 

533:名無しの転生指揮官

でもまさかカメンライドなしであんなにやるとは…。

 

534:名無しの転生指揮官

でも多分カメンライドできますよね…

 

535:プリズム★アトラ転生指揮官

穏やかじゃないですね

 

536:決闘蟹転生指揮官

…これイッチの出番ないんじゃないか?

 

537:依存転生指揮官

イッチもう帰っていいよ!

 

538:名無しの転生指揮官

皆酷いや…

 

 

 




コテハン紹介

・プリズム★アトラ転生指揮官
何故か「ウィッチクラフトマスター・ヴェール」に転生した指揮官。ただし、本人は重度のバディファイトプレイヤーだったのでガラスや結晶を作り出せる力を"結晶竜アトラ"のものと勘違いしている。
ちなみに遊戯王は11期から入った新参者で使用デッキは安心と信頼の"ヴァレット"。そもそも"ウィッチクラフト"なんてカテゴリも知らない。
バディファイトはスタドラ+ロストであるが大体スタドラだけで決着がつく。
ちなみにイッチのバディファイトのデッキは【コスモドラグーン】から【Roselia】に変更。工夫と神引きでタイムドラゴンに対して後攻ワンキルを決めている。



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【悲報】ワイ、アイドル達に紛れて歌うことに【おのれディケイド】

「…歌えと!?士さん、僕に歌えと!?」

「ああ、そうだ。お前にはポラリスと組んでステージで歌ってもらう。…今この場に居る担当のアイドル達とポラリス後はソロのル・マランと…後はASTRUMとVERHEERENDERだけじゃ微妙に足りなくてな。この世界がセイレーンに侵攻される前には色々な曲があったそうだ。…どうやらこの母港のアーカイブにその曲が残っているらしくてな。聞いてみると良い。」

 

唐突に士に告げられた「歌え」という命令。

あまりに唐突すぎるその言葉に或斗は固まってしまう。

訳が分からない。

何故μ兵装どころかただの子供である自分も歌わねばならないのか。

おまけに今回は異世界のアイドルまでいるというではないか。

 

「…すみません、士さん。訳が分からないです。」

「だろうな…。だが、これはKAN-SENと家のアイドルの両方が言っていることだ。残念ながらこっちとしても受けた話を断るのはなんか人情に欠ける気がしてな。」

「それ、遠回しに受けろって言ってるのと同じじゃないですか、やだー!」

「ギャーギャー喚くな。…もう決まったことだ。」

 

それだけ言うと士はその場から去ってしまう。

 

「え、ええ…。」

 

余りの展開に或斗は思考を放棄していた。

その姿を春香と千早に見られて恥ずかしい思いをしたのはまた別の話である。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1:ヘルライジング転生指揮官

【悲報】ワイ、アイドル達に紛れて歌うことに【おのれディケイド】

 

2:ヘルライジング転生指揮官

これまでの登場人物紹介

 

・ワイ

何故かヘルライジングにしか変身できなかったショタで或人社長の息子

最近或人社長からゼロワンの力を正式に受け継いだ。

・エンター姉

ワイの姉一人目

なんか最近はあずささんと仲良くなっている。

なんでや。

 

・瑞鶴姉

ワイの姉二人目

なんか最近千早さんと仲良くなっている。

ワイが戦わなきゃいけない理由を知ってから、妙に構うようになった

 

・ポラリスの皆さん

なんかワイが協力してライブすることになった皆さん。

総じて面倒見がいい傾向にある。

 

・門矢プロデューサー

世界の破壊者ディケイドにして765プロの現P。

おのれディケイドォ!

 

・あみさんまみさん

なんか仲良くなった。

すごくうりうりされる

 

・千早さん

今、ワイのボイトレになってくれている。

身の上話を聞きたいけれどなんかやばいかほりがする。

なんかスランプに陥っちゃったらしい。

 

・春香さん

凄くこける。

物凄くこける

大体巻き込まれるのはワイ。

なんでや。

 

・あずささん

物凄い迷子になる。

門矢Pがオーロラカーテンで連れ帰ってくることが多い。

皆のおねーさん役になってる。

 

・いおりん

くぎゅうううううううう!

 

・律っちゃん

千早さんとワイの時間調整を行ってくれる。

なんか最近ニーミちゃんと仲良くなっている。

 

 

3:ヘルライジング転生指揮官

ワイ前世だとセカオワの大ファン。…特に好きなのは「虹色の戦争」でした!

なんとか頑張っていきたい

 

4:名無しの転生指揮官

いおりんの説明が手遅れすぎるwww

 

5:名無しの転生指揮官

釘宮病に罹患しておったか…

 

6:名無しの転生指揮官

>>3

確かに名曲であることは認めるけれども!

…あれは、アイドルの合同ライブでやっていい曲じゃねぇ…(一敗)

 

7:名無しの転生指揮官

っていうかその世界どんな楽曲があるよ。

 

8:ヘルライジング転生指揮官

セイレーンが襲来する前に作られた音楽は大体前世と一緒や。

平成統括ソングもあるで。

 

9:名無しの転生指揮官

まじかwww

そっちはOver"Quatzer"放送されたんか…

平成アンチが湧きそうですね

 

10:プリズム★アトラ転生指揮官

お前たちの平成って醜くないか?

 

11:名無しの転生指揮官

瞬  瞬  必  生

 

12:名無しの転生指揮官

平成ライダース!

 

13:ヘルライジング転生指揮官

始まったなぁ~!

 

14:決闘蟹転生指揮官

…そろそろ話を戻さないか。

早くハーミーズが決闘しようと言ってきていてな…

 

15:ヘルライジング転生指揮官

せやせや。

じゃあ、どんな曲歌おう?

ちなみに歌うのは三曲や。

ゼロワン系統の曲は存在していないから悪しからず

 

>>25

>>30

>>35

 

16:名無しの転生指揮官

三曲っすかー…はえー。

 

17:依存転生指揮官

今北産業

 

18:ヘルライジング転生指揮官

なんかディケイドから歌えって言われた

       ↓

ワイ、大のセカオワファン。推しは「虹色の戦争」

       ↓

せや!安価とったろ! ←今ココ

 

19:依存転生指揮官

大体わかった。で、安価は>>25>>30>>35なんやな?

 

20:名無しの転生指揮官

そうですね。

 

21:名無しの転生指揮官

おっ…安価が近くなってきたな

 

22:名無しの転生指揮官

えーと、じゃあ、「真夏の果実」

 

23:名無しの転生指揮官

サヨナラ!フラッシュバック

 

24:名無しの転生指揮官

Be the one

 

25:依存転生指揮官

真赤な誓い

 

26:名無しの転生指揮官

キミノヨゾラ哨戒班

 

27:名無しの転生指揮官

あつすぎのうた

 

28:名無しの転生指揮官

孤独月

 

29:名無しの転生指揮官

P.A.R.T.Y~ユニバース・フェスティバル~

 

30:名無しの転生指揮官

READY STEDY GO

 

31:名無しの転生指揮官

Anything goes!

 

32:名無しの転生指揮官

紅蓮の弓矢

 

33:名無しの転生指揮官

すろぉもぉしょん

 

34:名無しの転生指揮官

ときめきエクスペリエンス

 

35:名無しの転生指揮官

4分33秒

 

36:名無しの転生指揮官

ELEMENTS

 

37:名無しの転生指揮官

私の中の幻想的世界観及びその顕現を想起させたある現実での出来事に対する一考察

 

38:名無しの転生指揮官

…あのさぁ。

 

39:名無しの転生指揮官

>>35

名曲…?なんだけどなぁ…今じゃないんだよなぁ…(3敗)

 

40:ヘルライジング転生指揮官

>>35

好きな曲…?の一つではあった。

だが今じゃない。お前は今じゃないんだ…ッ!

 

41:名無しの転生指揮官

しかも他の二つが普通に盛り上がる曲なだけに…

 

42:名無しの転生指揮官

今聞いてきた。

確かに名曲…?だな。

今じゃないが。

 

43:名無しの転生指揮官

なんでこのイッチは安価するとろくでもないことになるの…?

 

44:ヘルライジング転生指揮官

流石にこれは再安価やな。

 

>>50

 

45:名無しの転生指揮官

まぁ流石に4分33秒の無音は、ねぇ… 

 

46:名無しの転生指揮官

そりゃそうだwww

 

47:名無しの転生指揮官

あたりまえ体操

 

48:名無しの転生指揮官

アルゴリズム行進

 

49:名無しの転生指揮官

Place to try

 

50:名無しの転生指揮官

Fight music

 

51:名無しの転生指揮官

カラフルボンバーズ

 

52:名無しの転生指揮官

チルノのパーフェクトさんすう教室

 

53:名無しの転生指揮官

あっぶねぇな!?あっぶねぇなぁ!?

 

54:名無しの転生指揮官

あっぶねぇなぁwww

 

55:名無しの転生指揮官

危うく駆逐艦達が左側に寄るところだったぜ…

 

56:名無しの転生指揮官

ロシアちゃんをばかにするな!

 

57:ヘルライジング転生指揮官

よし!これできまったな!

 

58:名無しの転生指揮官

これで解決だな!

 

59:名無しの転生指揮官

そうだな!

 

60:ヘルライジング転生指揮官

よし!

千早姉に伝えてこよー!

 

61:名無しの転生指揮官

…ん?

 

62:名無しの転生指揮官

ヲイ…!

 

63:名無しの転生指揮官

いや、勝手にイッチが姉ってつけてるだけだから…!(震え声)

 

64:名無しの転生指揮官

ヤメロー!(建前)ヤメロー!(本音)

 

65:名無しの転生指揮官

っていうかイッチの「姉」なんというか近所の「お姉ちゃん」の姉であって決して「身内」の姉じゃないのでは…?

 

66:名無しの転生指揮官

それだ…!

 

67:名無しの転生指揮官

それだ…!

 

68:名無しの転生指揮官

きっとそうだよな?

 

69:ヘルライジング転生指揮官

千早姉の「姉」はそういう意味や。

 

70:名無しの転生指揮官

良かった…

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「あーいたいた。千早姉。…ごめんね。ボイトレに付き合わせちゃって。」

「別に大丈夫よ。…歌う曲は決まったの?」

「そうだね。とりあえずこの三曲にしようかなって。」

 

或斗は一枚のCDを千早に差し出す。

千早はそのCDを受け取ると、すぐに聞き始めた。

どうやら異世界でも同じ曲が多いらしい。

もしかしたらこの世界はあり得たかもしれない自分たちの世界の未来なのかもしれない。

そんな事を考えながら三曲を聞いてみたところ、確かにどの曲もいい曲だし、盛り上がることは間違いない。

間違いはないのだが。

選曲が絶望的にまで声と合っていない。

確かに"Fight Music"は元々の歌っているボーカリストの声も高くて変声期に入っていない或斗にとっては普通に歌える曲だろう。

問題は残りの二曲。

圧倒的なまでに声が低い。

今の彼の声と比べても余りにも低い。

 

「一オクターブくらい上げたらいけないかな?」

「…行けそうだけど…。…悩みどころね…」

 

原曲の雰囲気はどちらもいわゆる「燃え」る曲なのだ。

或斗のまだ幼さが残る声でどこまでやれるか。

 

「うーん。プロデューサーに言われて試しにやってみたけれど…やっぱ他人に教えるのって難しいのね…」

「そういうものなの?」

「ええ。多分貴方が思ってるよりもずっと難しいと思うわ。…でもそこから学ぶことも多いんだけどね。」

 

そういうと千早は或斗の頭を撫でた。

或斗は嬉しそうに目を細める。

 

「…貴方にとって私ってどんな存在なのかしらね…」

 

無意識にボソッと呟いた言葉。

千早の言葉に或斗は苦笑しながら答えた。

 

「…僕にとっては…"よく遊んでくれる近所のおねーさん"って感じかなぁ。」

「確かにそれが一番近いのかもしれないわね。」

 

彼はこの関係を一言で言い表す。

確かに、ただの知り合いや友人というには近すぎるし、家族というには互いの事を知らなさすぎる。

"近所のおねーさん"という評価は確かに最も合っているのだろう。

 

「はぁ…なんかこの世界って色々と大変なのね…」

「…まぁ、こっちは一回死にかけてるしねぇ…」

「…それは笑いながら話す事なの…?」

 

どうやらこの少年はなんというか、すごく型破りな少年らしい。

普通その年で戦場に立つなんてできるだろうか。

だからこそ、千早はそんな少年の生き方をかわいそうだと思えた。

 

「さ、練習しましょう。あまり時間もないしね」

「ん。」

 

そして、千早と或斗はゆっくりと練習を行う。

その姿は正に姉弟といっても過言ではないだろう。

 

その後しばらく母港には二つの歌声が響いていたという。

 

 




うーん…悩む。
アイマスキャラをアークの復活材料にしていいものか否か…。
でもアークの影響受けると病むしなぁ…。
キャラ崩壊する気がするんだよなぁ…。
うーん…でも多分千早の「絶望」は相当なものだっただろうし…。

というわけでアンケートします。


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護衛任務と、その本気

「…護衛任務ですか。分かりましたよ、女王様。」

「…まぁ、そうなるだろうとは思っていたがな。…っていうかお前が王女だって…?」

「うわ、不敬にもほどがありません?…まぁ、分からないでもないですが…

「そこ、聞こえてるわよ?」

 

今、或斗と士はこの母港に居る「一般人」ではなく「仮面ライダー」として、ロイヤルの寮舎へと訪れていた。

理由は簡単で、単純に暴走する量産艦からμ兵装を装備したKAN-SENと異世界から来たアイドル達を護衛するためだ。

途中とんでもない不敬があったが、さすがに世界の破壊者にはそんなことは意味がないと理解している模様だった。そしてもう片方は未だ9歳。敬意を求める方が酷である。つまり、この二人を責めようにも、責める理由が見当たらなかった。

ため息をついて、ロイヤルの女王―――クイーン・エリザベスは話を続ける。

 

「本当にこの二人といると調子が狂うわ…。」

「そいつは、御苦労様です。女王陛下?」

 

士がそのようにしていえば、エリザベスはさらに頭を抱える。

この門矢士という人間はどうやら自分を弄って楽しんでいるようだった。

本当につかみどころが無くて嫌になる。

 

「まあ、いいわ。貴方たち二人に改めて依頼させて頂戴。…μ兵装と765プロのアイドルの合同ライブにおける護衛と、或斗には参加を、士にはプロデュースを、ロイヤルの国から依頼するわ。」

「了解した。…あいつらの魅力を思う存分に発揮させるためにも、余り消耗させるのは得策じゃなさそうだ。」

「分かったよ…。取り敢えず、フライングファルコン(鳥ちゃん)持ってくかぁ。」

 

そうして各人の準備は進む。

新たなる輝きがその場に降誕することになるのだが、それはまた別の話である。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

213:ヘルライジング転生指揮官

ちょっと護衛について聞きたいんや。

あ、ファイナルフェイズで「新たなる聖戦への衣装」キャストしますねー。

Roseliaの五人で再度連携。全員貫通もちなんで14点。で、リサ姉の効果で1ドローしつつりんりんの効果で1ダメージ。

 

214:カードゲーマー転生指揮官

護衛…?あー…なるほど。

…ギアゴッドの逆天殺封じるのやめてもらっていいですか?

今のライフが10なんで4点のオーバーキルです。

 

215:プリズム★アトラ転生指揮官

なんなのさ…あのデッキ…。

それはそうと護衛か…。

 

216:決闘蟹転生指揮官

なんかひどい虐殺を見た気がするが、気のせいだろうな。

…ちゃんとどの艦隊を護衛するのか、とか、護衛戦力はどのくらいなのかは分かっているのか?

 

217:名無しの転生指揮官

>>216

理解してなきゃ始まらないで。護衛するのは四艦隊。護衛戦力は会場のスタッフと兼任で、大体三十人ってところや。

千早姉たちの目の前で変身することになりそう。

 

218:名無しの転生指揮官

www

 

219:名無しの転生指揮官

ええ…?

 

220:名無しの転生指揮官

絶対弟関係で全力で止めにきそう

 

221:依存転生指揮官

そういや、イッチの世界にアークって存在するの?

 

222:ヘルライジング転生指揮官

んー。

なんか士さんが言うにはありそうなんだよね。

アーク。

 

223:決闘蟹転生指揮官

恐らくセイレーンが復活させたんだろうな。

ゼロツーが奪われたときのもう一つの手段として。

 

224:名無しの転生指揮官

ええ…?

じゃあ、あの時の爛れた愛情ってまさか…。

 

225:依存転生指揮官

恐らく、アークだろうな。

…いよいよまずいんじゃないか?

 

226:名無しの転生指揮官

…アーク、か。なんか嫌な予感がするな。

 

227:名無しの転生指揮官

ま、いまはうだうだ考えてもしゃーない

 

228:名無しの転生指揮官

せやな。

 

229:名無しの転生指揮官

といってもどこまで護衛すればいいとか分かってんなら話は早いな。

 

230:名無しの転生指揮官

せやね。

フライングファルコンとバイティングシャークで守り切れ。

 

231:ヘルライジング転生指揮官

ま、そうなるよね。

 

232:名無しの転生指揮官

おう。あずささんにケガさせたら許さねぇからな?

 

233:名無しの転生指揮官

分かってる。

お前、絶対千早さんをアーク堕ちさせんじゃねぇぞ

 

234:名無しの転生指揮官

あみまみも堕としたらぜってぇ許さねぇかんな!?

 

235:名無しの転生指揮官

いおりんは俺の嫁だぞ!?忘れんなよ!?

 

236:名無しの転生指揮官

はるかちゃんをアーク堕ちさせたら…分かってるな?

 

237:ヘルライジング転生指揮官

いや。

異世界だし大丈夫でしょ。

 

238:名無しの転生指揮官

>>237

神がアーク経由で天津に感染しててだな…。

 

239:名無しの転生指揮官

ああ…まじか。

 

240:神

私を呼んだかァ!

モルモットどもぉ!

 

241:名無しの転生指揮官

うわでた

 

242:名無しの転生指揮官

…まあいいか。多分しばらくは復活しないだろうしな

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「よし、皆準備はできたな?」

「もちろんだよ。エンター姉。瑞鶴姉も大丈夫?」

「うん。もちろん大丈夫!」

 

或斗は割とそそっかしいところがある瑞鶴に確認を取る。

しかし、瑞鶴姉はサムズアップして「大丈夫」だと答えた。

ならば大丈夫だろうと判断する。

既に変身している士は「お前も早くしろ」といわんばかりに首を動かした。

 

「お前も、早くしろ。…そろそろこっちの精神が持たなくなる。」

「はいはい。分かりましたよっと。」

 

或斗はそうぼやくとゼロワンドライバーを取り出した。

如何せん、異世界からの客人の前で変身するのは初めての事だ。

いつも通りの行為のはずなのに、なぜか緊張してしまう。

そういえば、ゼロツーとしての姿は見せたことがあってもゼロワンとして戦う姿を余り見せていないからなのかもしれない。

 

「さて、と。」

 

『ゼロワンドライバー!』

 

或斗はどこからともなくゼロワンドライバーを取り出した。

その光景に辺りが一瞬ざわつく。

本来、この品は科学部にて解析にかけられているはずのものだったからだ。

といっても、今、解析にかけてあるのはセイレーンが複製し手を加えた「ヘルライジングホッパー専用」の飛電ゼロワンドライバーとでも呼ぶべき粗悪品だった。今、或斗が手にしているゼロワンドライバーこそが真のゼロワンドライバーであるのだ。

恐らく、瑞鶴達重桜のKAN-SENから受け取った起動しなかったキーもなにかしらの技術による複製品だったのだろう。

だが、もう、キーが起動しないなんて憂き目にあう心配はない。

何故ならこれは父親から託された父親の「希望」であり、今の或斗の「夢」だからだ。

だから、仮面ライダーに変身する。

世界中の笑顔を守るために。

 

『JUMP!』

 

或斗はライジングホッパープログライズキーの起動スイッチであるライズスターターを押し込む。

キーからは、そのキーが持つ生物のアビリティ名が読み上げられた。

そして、プログライズキーは認証(オーソライズ)待機状態へと移行。

 

「危ないからちょっとどいててね?まだ踏みつぶされたくはないでしょ?」

「え?それってどういう―――」

「それはね、こういう事だよ!」

 

『オーソライズ』

 

瞬間、空からバッタが降ってきた。

バッタは或斗の眼前に降り立つと、大きく嘶いき、周りを縦横無尽に飛び跳ねる。

 

「わわわわ…」

 

巻き込まれないような位置に退避していた亜美はともかく割と近くに居た真美は大きく砂を被ってしまう。一応警告はしたのだから、一言で言ってしまえば「近くに居たお前(真美)が悪い」ということになる。

それはともかく、或斗はキーを認証装置(オーソライザー)に認証させて、キーのロックを解除、腕を大きく回しながらキーを持つ右手を下に、左手を上にして交差させ、前へと突き出したような恰好をとる。

そして、親指でプログライズキーを展開。

顔の横に持ってくると大きな声で宣言した。

 

「変身ッ!」

 

これからの戦いへの覚悟を全てこの一言に乗せ、そしてゼロワンドライバーにプログライズキーを装填した。

 

『プログライズ!』

『飛び上がライズ!RISING HOPPER!』

『A jump to the sky turn to the Riderkick .』

 

量子成型機である「ビームエクイッパー」により、アンダースーツであるライズアーキテクターが生成され、その上に先ほどのバッタが割れ、データを流し込むことで装甲を纏う。

そして、遂に異世界からの客人の前に「仮面ライダーゼロワン」が姿を現した。

この世界の夢の守り人たる証であり、飛電或斗のみの専用武装。

それがゼロワンなのだ。

その変身のプロセスを見た春香たちは物凄く興奮していた。

士が言うには春香たちの世界では「仮面ライダー」というのは創作物であるらしい。

だからこそ、彼女たちはここまで興奮しているのだ。

本来は、空想上の存在である仮面ライダーが今、目の前に居るのだから。

だが、ここで話していては埒が明かない。

 

「さあ、行こう、皆!」

 

或斗はそういうと、いの一番に海面へと飛び込む。

父親が何かしらの改良を施してくれたのか、ゼロワンは、地上でも水上でも変わらぬ機動力を発揮できる。

 

「全く…元気だな…あの子は…さあ、行こう!私達が貴女方を護衛する!」

 

こうして、飛電或斗の初の護衛任務が幕を開けた。

その先に何が待っているのか、なんてことは予測できない。

ただ、これから先、多くの物が待っているだろうと或斗は思うことができた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

門矢士は護衛任務の受託直後に、或斗にある懸念を伝えていた。

それが、悪意の方舟―――アークだ。

かつて、アークという人工知能は仮面ライダーゼロワンに滅ぼされた。

しかしそのかつてアークだったものの「概念」は未だにこの世界に満ちている。

「アークの概念」とは悪意だ。

この世界はセイレーンによてもたらされた戦争で数多くの人間が悪意を抱いている。

そのすべてがそのすべてがアークと成りえるのだ。

 

「…千早辺りに影響がなければいいが…」

 

そうは言うが、どこかで安心している自分が居るのも確かだ。

千早は過去の大きな絶望を仲間という希望を以て乗り越えている。

むしろ、絶望という点で心配なのは、ゼロワンの姉を名乗る者たちだ。

あの二人が、目の前でゼロワンを失えばどうなるか。

恐らくは、アークに堕ちてしまう。

飛電或斗にはこの懸念を伝えた上で、このように言っておいた。

 

『なにがなんでも生きて帰れ…』

 

と。

そうしなければ、この世界は滅亡する。

確かに春香たちがこの世界に迷い込んでしまったこと。

それは大きな誤算だった。

だが。

門矢士個人にはこの世界でやるべきことがあるのだ。

 

「…来てくれたのね。門矢士。」

 

その背後には少し寂し気な笑顔を浮かべた少女が立っていた。

 

「話はあとで、な。」

「…ええ。」

 

それだけ言うと少女は姿を消す。

どうやらこの世界は思ったよりもずっと()()()()()()()()()()()世界なのかもしれない。

 

「…悪いが、前らがこの世界に残るというならいずれ、対立しなけりゃいけないかもしれないな…。…春香。」

 

門矢士の目的。

それは、この世界を破壊するか否か、見極めることだ。




コテハン紹介
・カードゲーマー指揮官
争いごとがあったら言葉巧みにカードで決着をつけさせるようにした指揮官。彼自身には転生特典はない。
・神
某神。
なんか最近セイレーンにむかって「ゥ!」構文を披露したらしい。

登場人物紹介

・門矢士
この世界を破壊すべきかどうか確認しに来た。
本来は765プロの面々は連れてこさせる気は無かったが、協力者の少女が一緒に連れてきてしまった模様。

・謎の少女
この世界の破壊を士に依頼した人物。


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やっぱ夜は焼き肉っしょー!

「せりゃ!」

 

刃が閃けばそれだけで量産艦は爆発して、動きを止める。ゼロワンにとっては息を吐くように繰り出される一撃だったとしてもそれはその他の存在にとっては恐怖その物でしかない。

現に暴走した量産艦もゼロワンに恐れをなしたのか逃げ惑い散り散りに散っていく始末だ。

しかし、一度暴走した量産艦はスクラップにしろと上からお達しを頂いている。

ゼロワンが仕留めきれなかった量産艦はディケイドやエンタープライズ、瑞鶴をはじめとした面々にいともあっさり駆逐され、量産艦の数は始めの3割程度まで減少していた。

 

「…俺の出番を余り奪わないで貰おうか?或斗。」

「士さんこそ鈍ってるんじゃないんですかっ!?」

「言ってくれる!」

 

この二人、全く以て正反対の性格をしているのに、とてつもなく息がぴったりだった。

仮面ライダーという考え付く限りの最大戦力である二人が息を合わせて攻めていくものだから、その戦いに辛うじて付いていくことが出来ているエンタープライズと瑞鶴を除きほぼ全員が護衛される側になっている。

というか自分達のプロデューサーが本来創作物であるはずの仮面ライダーに変身して、KAN-SENとしての力を手に入れたはずの自分達を守っているという状況に765プロの面々は完全に思考を放棄してしまっていた。

 

「……ったく。きつい要求をしてくれる…!」

「やっぱプロデュースばっかしてたから鈍ってるんじゃないんですか!?」

「…仕方が無い。…少し解放するか…!」

 

そういうとディケイドは一枚のカードを取り出す。

そのカードは、未だかつて見たことが無いライダーのカードであった。

 

「…お披露目だ!」

 

『KAMEN-RIDE!』

『BUILD!』

 

「…へ!?」

 

『鋼のムーンサルト!』

『ラビット!タンク!』

『イエーイ!』

 

瞬間、士の変身するディケイドの姿が変わり、何かに挟み込まれるような形で新たな形態に変身した。

その変りようはもはや「別の仮面ライダー」といったほうが正しいだろう。

今まではマゼンタのボディに所々黒いラインが走っていたのだが、今の姿は赤と青のボディにウサギの耳と戦車の砲塔を模したような複眼となっている。

 

「この姿は"仮面ライダービルド"…作る、創造するって意味の"bulid"だ。以後お見知りおきを…てな。…フンッ!」

 

近づいてきた量産艦をキャタピラが付いている方の足で文字通り「削る」。

そのまま燃料に火花が引火したのか、大爆発を起こし、また一隻海の底に沈んでいく。

やはり、このディケイドという仮面ライダーは底が知れない。

 

「こいつで…終わりだ…!」

 

『Final-Atack-RIDE!』

『B-B-B-BUILD!』

 

「ハァァアアァァァア―――――!」

 

更にディケイドが一枚のカードを装填する。

そして、()()()()()()()()ディケイド―――もといビルド。

敵前逃亡かと疑ったが、さすがに仮面ライダー。

敵を前にしても逃げる事無く、五歩ほど走った所で()()()()()()()()

 

「…どういうことなの…?」

 

もはや、瑞鶴やエンタープライスもついていけていないようだ。

一方のディケイドビルドはそんなことは知ったこっちゃないとばかりにせりあがってきた水柱の上に乗っている。

気づけば、直線状に存在する暴走した量産艦全てがいつの間にか現れたグラフに拘束されていた。

ほぼすべてのアイドルとKAN-SENが思考を放棄して、その様子を見守っている。

だが。

ディケイドビルドの必殺技にいち早く勘づいた者―――或斗は行動を起こしていた。

グラフの上を滑るディケイドに背中を預け、ベルトに装填されているライジングホッパープログライズキーを押し込む。

 

 

『ライジングインパクト!』

 

そして、戦場は幾何学的な線を描き縦横無尽に駆け回るゼロワンとグラフの上を滑るディケイドビルドによって完全に蹂躙され尽くしたのである。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

433:ヘルライジング転生指揮官

やっぱりディケイドってあたまおかしいわ。

 

434:名無しの転生指揮官

これラビタンの形したスパークリングだろww

 

435:名無しの転生指揮官

やっぱディケイドって世界の破壊者だわ。

 

436:プリズム★アトラ転生指揮官

穏やかじゃないですね

 

437:名無しの転生指揮官

やっぱディケイド本家越えてるって!

 

438:カードゲーマー転生指揮官

おのれディケイドォォォォ!

 

439:依存転生指揮官

や、やべー!さすがはディケ―――。

 

[実況を開始します]

 

440:名無しの転生指揮官

…ん?

 

441:名無しの転生指揮官

あっ…

 

442:名無しの転生指揮官

あーあ。

 

443:依存転生指揮官

『さては御主…どこかへと報告したか?』

『余り…(わたし)の側から離れないで…。』

『指揮官は我らの希望だからな…。』

 

[実況を終了します]

 

444:決闘蟹転生指揮官

……確か実況の開始条件って………。3個あった気がするが…

 

445:名無しの転生指揮官

殺気に等しい感情を向けられるか、戦闘に突入するか、自発的に始めるか…だったな。

 

446:名無しの転生指揮官

まぁもう依存ニキは来れないだろうな。

 

447:名無しの転生指揮官

いいやつだったよ…。

 

 

448:依存転生指揮官

勝手に殺すな!

 

449:名無しの転生指揮官

あ、生きてた

 

450:名無しの転生指揮官

……つまんねーなぁ

 

451:依存転生指揮官

死ねと!?

 

452:名無しの転生指揮官

ああもう…カオスだな…。

 

453:ヘルライジング転生指揮官

せや。

晩飯何が食べたいか聞かれました。

安価します。

 

454:名無しの転生指揮官

唐突な安価はNG

 

455:名無しの転生指揮官

……まぁいいじゃん。

 

456:名無しの転生指揮官

で?安価の内容は?

 

457:名無しの転生指揮官

あーそうだな。

安価の内容はどうする?イッチ。

 

458:ヘルライジング転生指揮官

勿論、晩飯とそれをどう提案するかや。

 

>>465 晩飯

>>475 提案

 

459:名無しの転生指揮官

なるほど

 

460:名無しの転生指揮官

マルゲリータ

 

461:名無しの転生指揮官

アバ茶

 

462:名無しの転生指揮官

子羊のソテー

 

463:名無しの転生指揮官

鯖味噌

 

464:名無しの転生指揮官

辛味噌

 

465:名無しの転生指揮官

焼き肉

 

466:名無しの転生指揮官

あんかけ風焼きそば

 

467:名無しの転生指揮官

…焼き肉か。

 

468:名無しの転生指揮官

こりゃ…決まったな。

 

469:名無しの転生指揮官

分かってるよな?>>475

 

470:名無しの転生指揮官

佐藤太郎

 

471:名無しの転生指揮官

佐藤太郎

 

472:名無しの転生指揮官

佐藤太郎

 

473:名無しの転生指揮官

佐藤太郎

 

474:名無しの転生指揮官

万丈構文

 

475:名無しの転生指揮官

佐藤太郎

 

476:名無しの転生指揮官

佐藤太郎

 

477:名無しの転生指揮官

…知ってた。

 

478:名無しの転生指揮官

やっぱね。焼き肉はこうじゃないとね。

 

479:名無しの転生指揮官

皆さんでせーの

 

480:名無しの転生指揮官

夜は焼き肉っしょー!

 

481:ヘルライジング転生指揮官

>>475

分かった。やってくるわ。

 

482:名無しの転生指揮官

行ってこい、イッチ!

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

無事にライブ会場に着いた或斗達一行。

異世界のアイドル達と親交を深めるために一緒に晩御飯を食べようと言う話になったのだが。

 

「カレー!」

「ピザ!」

「和食!」

 

夕飯のメニューの決定権は誰にもなく、和食、カレー、ピザの派閥に分かれ混沌を極めていた。

互いに譲れないものがあるようで火花を散らせている。

だが。

この混沌を極めた状態に第四の勢力が現れればどうなるか。

答えは簡単だ。

より混沌を極めるだけだ。

ただし、その発言者によってはその状況を収める事が可能だったりする。

 

「或斗は何がいいんだ!?ピザか!?カレーか!?」

「いや、君が一番食べたいのは和食だよね!?」

 

瑞鶴とエンタープライズは鼻息を荒くして或斗に詰め寄った。

だが、ここで或斗は二人が予測しないような言動を始めた。

二人の間を抜け、冷蔵庫や、冷凍室の中身を確認。

そして、自分がもっとも食べたい夕飯を思い浮かべると、思いっきり叫んだ。

 

「やっぱ夜は焼き肉っしょー!フッフゥゥゥゥゥッ!」

 

と。

声高に夜は焼き肉と宣言したのだ。

思わずこれにはエンタープライズも瑞鶴もその他の面々も呆気に取られた。

まさか、第四の選択肢を出してくるとは思いもしなかったからだ。

 

「ぷっ…。ふふっ。そうですね。なら、夜は焼き肉で構いませんか?」

 

誰がそう言ったか。

だが、確実に言えるのは、今この場で最も強い影響力を持った発言者は或斗であるということ。

そして、夜は焼き肉に決定したということくらいである―――。

 




登場人物紹介

・飛電或斗
夜は焼き肉派の人。

・門矢士
実は或斗の提案に賛成している。
ディケイドビルドを披露した。


今回は諸々の事情があって少し遅れてしまいました。
許して下さいなんでもしますから!

後、次回でアンケートは終了です。


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お前らw千早姉達のライブやべえぞw

「きれーだなー…」

 

ステージ上でアイドル達が歌い、踊る。

きらびやかな演出はそのパフォーマンスの価値をさらに高める。

飛電或斗は今、異世界のアイドルのライブを特等席で観賞していた。

前世でも何度かライブに行ったことはあった。

しかし、そのライブとはまた別物であると思うようになっている。

歌やダンスはさながら美しい宝石であり、演出はその価値を高めるメレーと言ったところか。

素晴らしいという言葉ではもう言い表せないのだ。

一言でいうならば「芸術」。

それがこのステージに対する純粋で単純な感想だった。しかもこの後に自分達がパフォーマンスするというのだから質が悪い。

もうなんというか自分と彼女たちのパフォーマンスは比べるべくもないのだ。

というか自分がいるせいで"ポラリス"のパフォーマンスの質が低下しているのではないかと思うほどに。

 

「はぁ…もう、本当に嫌になっちゃうなぁ…。」

 

或斗はここにおいて今、この場だけは自分が異物なんじゃないかと思うようになっていた。

だってそうだろう。

眉目秀麗な少女たちが今まで練り上げてきた全てをぶつけるのがステージなのだ。

たった一週間やそこらボイトレをしたところで圧倒的に格下なのは間違いない。

だからこそ、自分はあの場所に―――ステージに立つ資格がない。

それは、このステージの「格」を下げるという行動と同義なのだから。

 

「あぁ…お腹痛い…。」

 

ここまで圧倒的なステージを見せられてしまっては闘争心も何もかも文字通りの意味で萎んでしまう。

果たして今の或斗の輝きは彼女たちの輝きに勝てるのだろうか。

絶対あの二人が共謀した計画に千早姉達が乗ったに違いない。

 

「…僕は今、初めて千早姉や瑞鶴姉たちに殺意を覚えたんだけど。」

「お、なんだ?そいつはもしかして我がプロダクションへの犯行予告か?」

「なんでやねん」

 

もはや示し合わせたとしか思えないようなこの状況。

或斗には戦う事しか能がないというのにこの仕打ちである。

まぁ若干9歳の少年が戦うしか能がないという時点でおかしいということに少年はさっぱり気づかないのだが。

 

「うーん、心臓がバクバクしてるや…。助けて父さん…。」

 

そうして或斗は今頃はゼロツーのアジャストを行っているであろう自らの父―――飛電或人に助けを請うた。

だが、今の或人は人格こそ残っているが電子の世界に居るわけで。

 

もちろん或斗のSOSは或人に届くことなどなかったのである。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

776:ヘルライジング転生指揮官

千早姉達のライブがやっべぇぞwww

 

777:名無しの転生指揮官

この後にイッチやるんだよな…?

 

778:依存転生指揮官

もうイッチ帰ってOK!

 

779:ヘルライジング転生指揮官

俺も帰りたい 

 

780:名無しの転生指揮官

初めて「帰りたい」なんてレスを見たww

 

781:名無しの転生指揮官

どんだけ嫌なんだよ?

 

782:ヘルライジング転生指揮官

え…?

シュールストレミングってあるじゃん?

あれを至近距離で開封しろって言われたときくらい。

 

783:決闘蟹転生指揮官

どういう…ことだ…

 

784:名無しの転生指揮官

まるで意味が分からんぞ!?

 

785:名無しの転生指揮官

そもそもおかしい。

 

786:プリズム★アトラ転生指揮官

でもやらなきゃいけないんでしょう?

 

787:ヘルライジング転生指揮官

結論:おのれディケイドォォォォ!

 

788:名無しの転生指揮官

確かにこれはディケイドのせいだな。

 

789:名無しの転生指揮官

ステージの破壊者ディケイド…か。

 

790:ヘルライジング転生指揮官

余りにも下手すぎて千早姉にも申し訳ないねん…。

 

791:名無しの転生指揮官

あー…。

 

792:名無しの転生指揮官

あー…。

 

793:カードゲーマー転生指揮官

でもやるしかなかろ?

 

794:名無しの転生指揮官

せや!

 

795:名無しの転生指揮官

せやなー。

 

796:名無しの転生指揮官

頑張れイッチー。

 

797:名無しの転生指揮官

ファイトだイッチー。

 

798:名無しの転生指揮官

負けるなイッチー。

 

799:ヘルライジング転生指揮官

…黙って聞いてりゃ他人事だからって好き勝手言いやがって…!

『ヘルライズチャージ…!』

 

800:名無しの転生指揮官

や め ろ 。

 

801:名無しの転生指揮官

ごめんなさい

 

802:名無しの転生指揮官

許して

 

803:ヘルライジング転生指揮官

ゆ゛ る゛ さ゛ ん゛ !

 

804:名無しの転生指揮官

あっ…あっ…

 

805:名無しの転生指揮官

リボルクラッシュは勘弁を…!

 

806:名無しの転生指揮官

すいませんした

 

807:名無しの転生指揮官

圧倒的掌ドリルww

イッチー。負けるなイッチー。頑張れイッチー。

 

808:ヘルライジング転生指揮官

>>807

一発で沈めてやるよ…!覚悟はできたかぁ…?

 

809:依存転生指揮官

その後…>>807を見たものは居なかった…。

 

810:名無しの転生指揮官

>>807?

ああ。良いやつだったよ…。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「飛電或斗の緊張を感知。提案――「アンシン」を得られるように会話を試みます。」

「…ガスコーニュさん…。」

 

ガスコーニュは未だに目覚めぬ感情の中、飛電或斗の緊張をほぐすために会話を試みていた。

 

「今の貴方は完璧です。何を恐れてるのですか?」

「…あそこに自分が居るのが怖いというかなんというか…。」

「――理解。今の貴方に足りないものは"自信"です。」

「自信…か。」

 

ガスコーニュは情け容赦なく、或斗に足りないものを指摘した。

それは自分がここに居ても「格」を下げることがないという自信だ。

自分が信じられなければいつまでたっても自信なんてものはつかない。

仲間を、そして、自分を信じること。

それをポラリスの仲間から教わったのだ。

 

「…ガスコーニュさんは強いよね…。」

「否定。―――ガスコーニュは"強くなった"んです。」

「―――"強くなった"?」

「―――ガスコーニュはまだ、(メートル)が何を望んでいるのかは理解できない。でも…ポラリスの皆がいたからガスコーニュは強くなれた。だから今度はガスコーニュの番。ガスコーニュが貴方に自信をあげる。」

 

そう言って、ガスコーニュは優しく微笑んだ。

その笑顔を見ているとなんか自分が悩んでいたのが馬鹿らしい事に思えてきた。

 

「―――大丈夫。ガスコーニュ達は、強い、から。」

「そう、ですね。」

 

一瞬、感情を見せたガスコーニュは慌てて感情を隠す。

 

「…さて、そろそろ時間ですわ。―――或斗、準備はできているのかしら?」

「もちろん。赤城姉。緊張はしてるけどね。」

 

そもそもの話、自分がポラリスに居ること自体おかしいのだが。

そんな事を言ったらもれなくシェフィールドから実弾が飛んできそうなので黙っておくことにする。

 

そして、飛電或斗とポラリスの一夜限りのステージが幕を開けた

 

 




登場人物紹介

・飛電或斗
ガッチガチに緊張していた。

・ガスコーニュ
或斗の緊張をほぐした

・765プロの面々
やばいまでのパフォーマンスをした。


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終幕

「っかぁ~!」

 

麦茶が、旨い。

ただひたすらに麦茶が旨い。

 

それが飛電或斗の感想だった。

無事にライブも終わり、その打ち上げの最中唐突にそう思った。

今までの緊張もあっただろう。

だが、それ以上にうまく行ったことの安堵が彼をそうさせていた。

或斗は千早と練習した三曲だけではなく、一曲追加でこっそり練習していた。

このことはポラリスのメンバーにしか知らせていない。

まず、隠し通すのが大変であった。

このサプライズは誰にも知られたくないものだった。もちろんポラリスのメンバーには知らせてあるが、逆に言えばポラリス以外は知ってはならないものなのだ。だからポラリスのメンバーにも厳重に注意してもらいながらこの一週間を過ごしてもらった。

もちろんこのことはボイトレであった千早もしらないことだ。

 

「全く…普通そういうのはちゃんと事前に連絡しないと…」

 

肝心の千早は頭を抱えて唸っていたが。

だが、なにはともあれライブは大成功だったのだ。

それは揺るぎようのない事実。

今はその事と―――異世界のアイドルの護衛に全神経を注いでおけばいい。

量産艦の暴走も収束し、知らないところで起こっていた千早達のホログラム(偽物)騒動も解決したらしい。

なんと、ボイトレの一週間の間に偽物を大体排除していたんだとか。

 

「…なんでさ。」

 

ただ、その偽物はμ兵装を用いたライブで消滅したらしい。

おそらくはライブ中も"狩り"を行っていたディケイド―――門矢士が消滅させたのだろうが。

 

(…まだ、僕が見ていない力―――Wとかオーズとか隠し持ってんだろうなぁ…。)

 

打ち上げ会場の端っこでそんなことを考えながら麦茶を呷る。

確かにライブは成功したがまだクイーン・エリザベスに依頼された「護衛」は完了していないのだ。

いつでもセイレーンが襲来してもいいようにゼロワンドライバーと新たなキーを隠し持っている。

千早やエンタープライズ、瑞鶴に見つかったら没収のうえに無理矢理打ち上げ会場に連れていかれるだろう。

だが、外見は少年でも中身はすでに習熟しているのだ。

つまるところこの男、たくさんの異性に囲まれることに慣れていないのである。

ぶっちゃけ、母港ではほとんど自室に籠っていた。

同じお籠り族であるロング・アイランドやル・マラン、綾波とは仲良くなったが、そこまで交友関係が広いわけではない。

そんな男が少女たちが楽し気に語り合う打ち上げに混ざるなど夢のまた夢なのである。

 

「…おい、お前そんな所で何やってんだ?」

「…あはは…その…物凄く輪に入りにくいというかなんというか…」

「…まぁな。少なくともおれはあんなところでキャピキャピした中に入る自信なんてない。」

 

そんなところに士がやってきた。

どうやら士もあの雰囲気にいたたまれなくなって打ち上げ会場の端っこにやってきたようだ。

士は片手に持った瓶を開けると持ってきた紙コップに注いでいく。

 

「…無事にライブは終了したんだ。今くらいは気を抜いたって許されるさ。」

「そういうもんなんですか?」

「ああ。」

 

士はどこからともなく自分の紙コップを取り出すとまたその紙コップに注いでいく。

 

そうしたときだった。

 

「あー!或斗ちゃん居たー!」

「…亜美さん!?真美さん!?どうしてここがッ…!」

「…見張りは交代の時間だ。楽しんで逝って来い。」

「か…漢字が違うッ!これ、僕生きて帰れるんですかーっ!?」

 

いつの間にか接近していた双海姉妹に捕獲されてしまう。

そのまま麻袋を被せられると担がれてそのまま誘拐されてしまった。

そんなわちゃわちゃした様子を見て、士は微かに微笑んでいた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「あ、ようやく見つかったんだね!」

「全く…打ち上げを楽しまないなんて…。」

 

麻袋から解放された或斗の目の前には異世界からやってきたアイドル達が勢揃いしていた。

よかったと言った感じで微笑む春香と呆れたように見下す伊織の顔が目の前にある。

さらに、ポラリスの面々も、優しい顔で或斗を見つめていた。

が、その顔は往々にして険しい物であった。

 

「…なんなんですか…?」

「……聞いたわ。貴方の()()()()

「…これは克服しないといけないわね…?」

 

ずいっと顔を近づけるあずさと律子。

一体誰が自分がお籠り族だと嘯いたのか。

 

「まさか…。千早姉…?」

 

ばつが悪そうに視線を逸らす千早。

これはもう確定した。

 

「……よし、逃げよう!」

「あ!」

 

アイドル達の隙間をするりと抜けると一気に会場外にむけて駆け出す或斗。

少なくとも今はまずい。

今捕まったら確実に耐性が出来るまで付き合わせられる。恐らくそんなことになったら掲示板の住人が漏れなく煽り倒しに来るだろう。

少年は外で遊べなんていう言葉があるが、ここでは色々と目に悪い。

性癖が歪みそうになってしまう。

――だから捕まることは少年の精神が死ぬことを示すのだ。

しかし、のんべんだらりとした生活を求めた或斗の逃走は意外な人物の裏切りで幕を閉じる事になる。

 

「…いた!確かに千早の言う通り逃げてきたな!」

「流石に生身でKAN-SENである私達には勝てないこと…分かっているよね!」

「エンター姉に瑞鶴姉!?」

 

そう、二人の姉はどうやら千早側についたようだった。

これは―――詰んだ。

どうあっても飛電或斗のお籠り生活は幕を閉じ―――そして、慣れない少女たちとの関係を持たざるを得なかったのである。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

879:ヘルライジング転生指揮官

【悲報】ワイ、しばらくZ23(ニーミ)ちゃんと同棲する事に【引き籠り終了】

 

880:名無しの転生指揮官

は?

 

881:名無しの転生指揮官

は?

 

882:名無しの転生指揮官

よし、殺そう。

取り敢えず我王砲でも撃っとくー?

 

883:カードゲーマー転生指揮官

千早達はどうしたの?

 

884:ヘルライジング転生指揮官

帰った。

オーロラカーテンですうっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

でもあみまみとかちょくちょく遊びに来てるんですけど…?

(オーロラカーテンで帰るアイドルたちの画像)

(アルバコアに不意打ちサプライズを実行する亜美と真美の画像)

 

885:決闘蟹転生指揮官

どういう…ことだ…?

 

886:依存転生指揮官

確かに二枚目の日付が後だ…。

 

887:プリズム★アトラ転生指揮官

あれー?

 

888:名無しの転生指揮官

えっと…?

 

889:ヘルライジング転生指揮官

俺が引き籠ってないか確認するために毎日千早姉共々様子を見に来るようになりましたぁ!

おのれディケイドォォォォ!

 

890:名無しの転生指揮官

どんだけ引き籠りたいんだよイッチは…

 

891:ヘルライジング転生指揮官

だってブレマートンさんやボルチモアさん達はめっちゃ距離が近いしなんなら当たってるしリノ姉はめっちゃ新作ガジェットを俺に使わせようとしてくるし長門はコミュ障だし愛宕さんは拘束しようとしてくるし隼鷹はめっちゃ「オサナナジミ」連呼してくるしジャベリンはスキンシップが物凄いしウォースパイトさんは物凄い目で見てくるし龍驤に至っては毎日変身してくれとせがんでくるしと思ったら今度はビスマルクさんには非常時以外に変身を禁止されるしシュトラッサ―さんは管理しようとしてくるし…。

 

892:名無しの転生指揮官

これがアークの影響ですか…。

 

893:名無しの転生指揮官

…これ多分皆良心で動いているよね…?

 

894:名無しの転生指揮官

やはりディケイドの仕業か…。

 

895:名無しの転生指揮官

ええ…?

 

896:名無しの転生指揮官

…でもこれは引き籠りたくもなるわwww

 

897:名無しの転生指揮官

要するにイッチはあれなんやな。

 

ここのKAN-SENは距離感を謝っていると言いたいんだな?

 

898:名無しの転生指揮官

あぁ…そっか外面ショタだけど内面おっさんだもんな…。

 

899:名無しの転生指揮官

イッチもしかして前世童貞だった?

 

900:ヘルライジング転生指揮官

35年間童貞は守ったが自分の命は守れなかったよ…。

 

901:プリズム★アトラ転生指揮官

世知辛い…。

 

902:名無しの転生指揮官

まぁそれはイッチが克服するしかない…www

 

903:名無しの転生指揮官

身も心も少年に戻るんだ!

 

904:名無しの転生指揮官

がんばれイッチ!

 

905:名無しの転生指揮官

負けるなイッチ!

 

906:名無しの転生指揮官

負けそうになったら言え!

 

907:名無しの転生指揮官

でもやっぱり女の子に囲まれて生活できてつらいだなんて…さてはイッチホモだな?

 

908:ヘルライジング転生指揮官

俺はホモじゃねぇ!

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

打ち上げが終わり、もろもろの処理も終了したのはライブが終わった一週間後だった。

そして、それが終わるという事は千早達がこの世界に居る理由が無くなったというのと同義である。

そしてついに別れの時がやってきた。

 

「…()()()。或斗君。」

「うん。()()()。千早姉」

 

だが、別に会えなくなってしまうわけではない。

またどこか、きっとどこかでまた出会えるだろう。

この世界で前を向いて生きる限り、きっといつかまた出会える。

そんな希望があるから湿っぽい別れの言葉は不要だった。

 

一人は大切な事を教えてくれた者に感謝を込めて。

一人は大切な事を思い出させてくれた者に感謝を込めて。

 

そして異世界のアイドル達は彼女たちが居るべき場所へと帰っていった。

 

そして数日後―――。

 

 

 

 

「こんなものじゃこのアルバコアは驚かせられないよー!」

「「そんなー!?」」

 

双海姉妹の「サプライズ」をアルバコアが「サプライズ」し返すという謎の光景が繰り広げられていた。

 

「…まるで意味が分からんぞ!?」

「まぁ、そういう反応するよな…。」

 

何故、異世界に帰ったはずの双海姉妹がこの母港に居るのか。

何故、門矢士がこの世界に居るのか。

その答えは至極簡単で単純だ。

 

「…オーロラカーテンがこの世界にしか移動できなくなった。」

「…あぁ。あの銀の幕…。」

「やれやれ…。オーロラカーテンの移動先の決定権は俺にあるはずなんだがな…。」

 

そうぼやく士。

とにもかくにもオーロラカーテンがこの様では帰るに帰れないらしい。

 

「…こういうわけだ。これからもちょくちょく様子を見に来る。ま、ちゃんと克服しとけよその引き籠り癖。」

「…おのれ士さん。」

 

こうして或斗達の母港に新たな仲間が加わった。

彼女たちはこれからも或斗のよい隣人であり、友人となるだろう。

既に母港になじんだアイドル達を見て、士はふっと笑う。

 

(…もしかしたらこの世界は…破壊せずに済むかもな。)

 

そして、一人海岸へと足を向けるのだった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

930:ヘルライジング転生指揮官

【悲報】オーロラカーテン壊れる【おバカディケイド】

 

931:名無しの転生指揮官

ど…どういうことなの…?

 

932:名無しの転生指揮官

まるで意味が分からんぞ!

 

933:決闘蟹転生指揮官

もしかしたら鏡面海域が一枚噛んでるかもしれないな

 

934:名無しの転生指揮官

ああ。あれも異空間を作り出すものだからか。

いや、どういうこと?

 

935:名無しの転生指揮官

とりあえずセイレーンのせいにしとけばOK?

 

936:名無しの転生指揮官

>>935

OK!(ズドン!)

 

937:名無しの転生指揮官

ええ…?

 

938:名無しの転生指揮官

…待てよ?これ、アイマスキャラがアークの影響受けるんじゃ…?

 

939:プリズム★アトラ転生指揮官

あっ…(察し)

 

940:名無しの転生指揮官

あっ…(察し)

 

941:ヘルライジング転生指揮官

そこは士さんが大丈夫って言ってたから大丈夫でしょ。

 

942:名無しの転生指揮官

ええ…?

 

943:名無しの転生指揮官

どういうことなの…?

 

944:名無しの転生指揮官

さあ…?

 

 

 




登場人物紹介
・士
オーロラカーテンが逝かれた。
内心めっちゃ焦ってる。主にあの怪盗が来ないかどうかとか。

・765プロの面々
よく遊びに来るようになった。
もしかしたら他のキャラも出るかもしれない。

・或斗
実はお籠り族だった。

アイマスキャラの準レギュラー入り。
この回でとりあえずアイマス編は終了です。


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夢守る飛蝗、怒りの狼、夢持つ隼、怪盗
世界の破壊者と怪盗と「ゼロワン」


今章は、新たに仮面ライダーに変身するキャラは今回登場する新キャラ含めて三人います。
誰がどんなライダーに変身するかはお楽しみってわけで。


その男は母港を見下ろしていた。

その男は目的の男を探していて―――この世界で見つけた。

そしてこの世界には少女を「生み出す」キューブが存在していると聞く。

 

「さて、と。この世界の"お宝"は何処にあるかな?ねえ、そこの君?」

「…貴方はお呼びじゃないのだけれど…。まあいいわ。あと…お宝とやらはSGで探す気は無いわよ?せいぜい自分で探しなさい?」

「連れないね。…まぁいいか。君、気を付けなよ?」

 

男が振り返った時には既に声の主は消えていた。

 

「…士。この世界のお宝も独り占めにはさせないよ?」

 

だが、男はそんな事はどうでもよかったようで彼もまた行動を始める。

世界の破壊者を追いかけるのは世界を股に掛ける怪盗。

夢の守人と怪盗が出会うとき、新たな運命が始まりを告げる。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「どうしたんですか?プロデューサー。」

「ああ、春香か…。…いや、何。少し知り合いと会ってくるだけだ。」

「知り合い…ですか?」

「…まぁ、な。」

 

知り合いと言いながら物憂げな表情を浮かべるプロデューサーに春香は少しだけ首を傾げた。

 

「…なんでそんな物憂げな表情浮かべてるんですか…?」

「アイツは厄介事しか持ち込まないからな…。」

「ええ…?」

 

ぼそりと呟かれたその言葉は春香を不安にさせるには十分なものだった。

というか「厄介事しか持ち込まない」とはどういうことなのか。

余りにも気になった春香は士にこっそりと聞くことにした。

 

「…厄介事ってなんなんですか…?」

「ああ。主にアイツのせいで本来()()()()()()()()()()()()()()に仮面ライダーが生まれちまったんだよ…。()()()()の、な。」

「でも、プロデューサーさんも仮面ライダーですよね…?」

 

それをいうなら士だって本来春香たちの世界には存在しないはずの「仮面ライダー」だ。

まぁ、この世界には飛電或斗というゼロワンに変身する少年がいるが。

 

「ああ、ここに居ましたか。士様。春香様。」

「…ベルファストか。どうしたんだ?まさか海東の奴がやってきたのか?」

 

そんな事を春香と話しているとぬっとベルファストが現れた。

彼女はこの母港において、財政管理を一任されている。

なおかつ彼女はメイド長として客への対応なども行っている。

一言で言えば彼女は激務をこなしながら戦闘にも参加するという完璧超人なのだ。

 

「で、そいつはなんて言ってた?」

「"ここに士が居るのは知ってるよ"と。―――貴方のストーカーか何かですか?」

「違いない。」

 

そう言うが早いか士はさっさとオーロラカーテンを開き元の世界に退散しようとする。

が、そのカーテンは何者かの干渉―――もとい銃撃によって簡単にかき消されてしまった。

 

「…海東。何か用か?」

「全く酷いじゃないか士。せっかくこの僕が来てあげたってのにさ。」

「お前はお呼びじゃないんだ。…やれやれ。」

 

その男は見るからに「イケメン」と呼べる風貌をしていた。

だがその体からはどこか胡散臭い雰囲気もにじみ出ている。

この場にエンタープライズや妙高、その他KAN-SENが居たら間違いなくとっ捕まえているだろう。

かくいうベルファストもこの男が変な気を起こしたら速攻制圧して営巣にでも送るつもりだ。

 

「…士。少し場所を変えよう。」

「分かった。」

 

だが、いつになく真剣な様子で語り掛ける海東に士は何か思う事があったのかすぐに同意。

そして、ベルファストと春香を残し士と海東という男はこの世界から消え去った。

 

「…置いてかれたー!?」

「多分帰ってくると思いますよ…?」

 

そして春香は一人置いてかれたかと慌てるのだった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「士。…君は『衛星アーク』について知っているだろう?」

「…まあな。そうじゃなかったらこの世界には足をはこんでない。」

「…なら、士。あの世界の敵の事は知っているかい?」

「『セイレーン』の事か?」

 

士と海東。

二人は人気のないビルの屋上で話していた。

下を見れば人に紛れて耳にモジュールを装着した人影がちらほらと見かけられた。

 

「士。これが本来、()()()()()()()()()()()()()()()()世界だ。」

「そうだな。たしかにこの世界にはゼロワンが必要だ。」

「でも今の士が居る世界にヒューマギアは…、いや、仮面ライダーゼロワンが守るべき存在は居るのかい?」

「…なるほどな。つまりあの世界は――――」

「ああ。本来ならばあの世界に()()()()()()()()()()は居ないはずなんだよ。―――正確に言うとゼロワンの変身資格を持つものが居ないはずというのが正しいんだけどね。」

 

そう。本来ならあの世界に"仮面ライダーゼロワン"は存在しないはずだ。

例え過去に存在していたとしても今の飛電或斗に「ゼロワン」に変身できる資格は無い。

だってゼロワンには「飛電の社長」―――さらにいうならば「ヒューマギアの特許を持ち、なおかつ飛電の関連会社の社長である」ことが変身条件なのだから。

或斗は飛電の社長でもなければ「飛電或人」本人でもない。

 

「…まさか、海東。お前の言うあの世界のお宝っていうのは―――」

「そう。彼の事さ。」

 

海東はそう言うと一枚のカードを取り出した。

それを士に投げつけると用が済んだと言わんばかりに姿を消す。

 

「厄介なことになってきたな…」

 

士はそう独り言ちた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

【帰ってくれ】厄介事がやってきた【ヤンホモ】

 

1:ヘルライジング転生指揮官

あかん、どうしよ。やばいやばい…!

 

2:ヘルライジング転生指揮官

これまでの登場人物紹介

 

・ワイ

仮面ライダーゼロワン。最近はショタなのに稽古つける側になっている。

 

・瑞鶴姉

ワイの姉の内の一人。

最近アタッシュカリバーをエンチャントできるようになった。

 

・エンター姉

ワイの二人目の姉

最近アタッシュアローで艦載機飛ばせるようになった。

 

・門矢士

仮面ライダーディケイドにして765プロの現P

なんか海東に付きまとわれてるっぽい

 

・海東さん

多分仮面ライダー。

そもそも士さんの知り合いな時点でお察し。

一部KAN-SENの間でひそかにやべー奴疑惑が上がっている

 

・綾波

マイベストフレンド。

最近アタッシュカリバーとプログライズホッパーブレードを使いこなした

 

・ジャベリン

マイフレンド

最近綾波のアタッシュウェポンを物欲しげにみている

 

・ラフィー

マイフレンド

いつも寝ている。

最近のお気に入りは信濃さんの腹上。

 

・Z23

マイフレンドにして同居人

最近ラフィーを起こすのにアタッシュショットガンを使うようになった

 

3:ヘルライジング転生指揮官

海東さんがキューブを何個か持ち去った模様

 

4:名無しの転生指揮官

ええ…?

 

5:名無しの転生指揮官

何やってんの…?

 

6:名無しの転生指揮官

おバカ…。

 

7:名無しの転生指揮官

あれ割と危険物だからなァ…

 

8:決闘蟹転生指揮官

そもそもメンタルキューブってセイレーン産なんじゃなかったか…?

 

9:名無しの転生指揮官

嫌な予感しかしない。

 

10:名無しの転生指揮官

アナザーライダー生まれそう。

 

11:名無しの転生指揮官

おのれディエンドォォォ!

 

12:プリズム★アトラ転生指揮官

…うん。

 

13:名無しの転生指揮官

あかん。

 

14:カードゲーマー転生指揮官

穏やかじゃないですね

 

15:ヘルライジング転生指揮官

そもそもこの世界のセイレーンってゼロワンドライバーを複製できるんですよね…。

 

 

 

 

海東さんが行く世界によっては新たなアークが生まれるぞコレェ!

 

16:名無しの転生指揮官

/(^o^)\ナンテコッタイ

 

17:名無しの転生指揮官

\(^o^)/オワタ…

 

18:名無しの転生指揮官

チノナマの時と言いさぁ…。

 

19:依存転生指揮官

なんでディエンドはそう厄介事ばかり…

 

20:名無しの転生指揮官

アナザーの時もそうだったし…!

 

21:ヘルライジング転生指揮官

というわけでさっさとディエンドを捕獲しないと不味いことになります。

 

22:名無しの転生指揮官

別の世界にアークなんて作られたら最悪すぎるわ!

 

23:名無しの転生指揮官

でもメンタルキューブって基本的にはKAN-SENだったりその艤装くらいにしか使われないんじゃ

 

24:名無しの転生指揮官

でもさぁ…。

黒いメンタルキューブもあるじゃん?

 

25:名無しの転生指揮官

ちなみに聞くけど盗まれたメンタルキューブの色ってわかる?

 

26:ヘルライジング転生指揮官

そりゃただのメンタルキューブだったらこんな大騒ぎになってない。

「黒いヘドロ」を垂れ流す「赤黒の」メンタルキューブなんだよなぁ…。

 

27:名無しの転生指揮官

どう見てもそのキューブさぁアークに接続してるよね…。

 

28:名無しの転生指揮官

それで建造したら滅亡迅雷が生まれそうだな…

 

29:名無しの転生指揮官

そもそもアークゼロになるじゃね(絶望)

 

30:名無しの転生指揮官

今、ゼロツーも使えないしこれ、イッチ詰んだんじゃ…?

 

31:名無しの転生指揮官

世界滅亡待ったなしじゃねぇか…

 

32:名無しの転生指揮官

絶望しかねぇ…

 

33:名無しの転生指揮官

でもこれ、この世界から脅威が一つ消えたと考えられるんじゃ…

 

34:名無しの転生指揮官

持ち込まれた世界にアークが生まれるだルルォ!

 

35:ヘルライジング転生指揮官

どうしよ…

 

36:名無しの転生指揮官

さらば

 

37:名無しの転生指揮官

いい奴だったよ

 

38:名無しの転生指揮官

海東とセイレーンが結託してたりしてな…

 

39:名無しの転生指揮官

>>38

あかん。

 

40:名無しの転生指揮官

もうだめだぁ…おしまいだぁ…

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「すいません、それを返してもらえませんか…?」

「嫌だね。これは既に僕の"お宝"だよ…。まぁ本命じゃないけどさ」

 

少年―――飛電或斗は目の前にいる海東と名乗る男と向き合っていた。

その男の手に収まっているのは赤黒く染まった立方体―――本来のものとは異質な"メンタルキューブ"が握られていた。

このキューブは以前或斗がセイレーンからゼロツーを奪取した際に入手したものだ。

だが、セイレーンが持っていたものが碌なものであるはずもなく。

以前の量産艦暴走の原因の一端を担っていたのがこのメンタルキューブだ。

それ以降、このキューブに関する研究プロジェクトは凍結され厳重に管理されることとなったはずだ。

だが。

何故目の前の男がそのヤバいキューブを持ち出せたのかは未だに謎である。

 

が、それをそのまま持ち去ろうというのなら或斗も黙ってはいない。

 

『ゼロワンドライバー!』

「…ここで貴方を止めさせてもらう…!」

「面白い…やってみたまえ。僕も全力で応えようじゃないか。」

 

海東はまた特殊な形の銃を用意。銃身を伸ばしそこに一枚のカードを挿入した。

 

『KAMEN-RIDE』

 

海東は銃を空に向ける。

一方の或斗はオーソライズを完了させたライジングホッパープログライズキーを展開。

そして、互いの意地を通すため、覚悟を込めた言葉を叫ぶ。

 

「「変身!」」

 

 

『RISING HOPPER!』

『DI! END!』

 

天に向けられた銃口から二十の幻影が海東に重なり新たなライダーの姿を作り上げる。

一方の或斗もまたいつものようにゼロワンへと変身を果たした。

 

「さあ、かかってきたまえ。―――飛電或斗。」

「それはこっちのセリフですよ…この盗人!」

 

海東が変身した仮面ライダー―――もといディエンドは自らの変身アイテムでもある銃をゼロワンにむけ。

或斗もまたアタッシュカリバーの切っ先をディエンドに向け。

そして、同時に互いに飛び掛かった。




登場人物紹介

・海東大樹
飛電或斗の正体にを掴んでいる。
或斗本人がその真実を知る時はいつか来る。
取り敢えず誘い出すためにやべーキューブを盗んだ。

・飛電或斗
この世界において非常にイレギュラーな存在らしい。
少なくとも本来ならば「仮面ライダーゼロワン」には変身できないようだが…?


・門矢士
或斗の正体を何となく察してはいた。
だがそれは彼自身が彼自身の手で知るべきだと思い放置。
少なくともこの世界のゼロワンは彼しかいないと思っている。

・春香
海東やべー奴説を上げた張本人。


さて少しばかり話がややこしくなってきましたが単純にまとめますと
「本来なら或人しか変身できないはずのゼロワンに或斗が変身している」というのが返上です。
さてところで皆さんはヒデンリンカーを覚えていますか…?


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炎の隼と新たなライダー

「でりゃ!」

「ふっ…甘いよ。もう少し攻撃は小振りにしたまえ!」

 

ゼロワンとディエンドが互いに得物をぶつけ合う。

しかしながら、優劣関係ははっきりとしていて、ゼロワンよりディエンドのほうが二枚、否、三枚も上手だった。

 

「全く…!物を盗むなんて…!なんと良識の無い…!」

「良識…か。それだけで満たされるのなら盗みなど働かないさ。」

 

ゼロワンは既に進退窮まっている。

なら、ここでこの勝手に持ち出したプログライズキーを使うしかないだろう。

覚悟を決めて、ヘルライズキーを起動しようとしたとき―――。

 

 

バーニングレイン!

 

炎の斬撃がディエンドを怯ませた。

 

「これは…この必殺技は…!」

 

仮面ライダーゼロワンは―――否、飛電或斗はこの必殺技を撃つ仮面ライダーを()()()()()

その仮面ライダーの名は―――。

 

「仮面ライダー…迅!?」

 

かつて、滅亡迅雷.netの一員であり、最も早くアークに反旗を翻した仮面ライダー―――迅のものであった。

しかし、もうこの世界には仮面ライダー迅、バーニングファルコンに変身するためのスラッシュライザーもバーニングファルコンプログライズキーも存在しないはずだ。

もしかしたら何らかの形でスラッシュライザーを提供してくれた人が居るのかもしれないが。

 

「…スラッシュライザーはもう…この世から消え去ったはずじゃ…!?」

 

だが少なくとも或斗の知る限りではそんな人物は思い浮かばない。

故にその存在が敵か味方かなんて判別する方法が無かった。

固まるゼロワン―――或斗を尻目に仮面ライダー迅はディエンドへと向かって行く。

その動きは刀剣類を扱いなれている者のそれだった。

そう例えば―――刀身が長い日本刀とかを扱いなれているような感じだろうか。

 

「君、なかなかやるね。名前は?」

「…。」

「おや、無視かい。全くマナーはきちんとしたまえ。」

 

ディエンドは名も知らぬライダーの名を聞いた。

だが、仮面ライダー迅はディエンドの問いかけには答えない。

それとも答えるつもりが無いのだろうか。

だが、少なくとも状況が呑み込めずに固まっているゼロワンに危害を加えるつもりはないようだった。

 

「全く…。さすがに二体一…なんかにはさせないよ。」

 

ディエンドは一旦大きく距離を取ると一枚のカードを銃に装填した。

そして、引き金を引く。

 

「…!!」

 

迷わず仮面ライダー迅はディエンドへと向かうが―――。

 

「君の相手は彼―――仮面ライダークローズだ。精々頑張りたまえよ。」

 

クローズというらしい仮面ライダーに無理矢理引き離されてしまう。

どうやらディエンドには他のライダーを召喚する特殊能力があるらしい。

或斗にはその戦法が盗人らしい、小賢しく面倒くさい戦術だと思えた。

だってそうだろう。

自身が召喚したライダーが気を引いているうちに自身はとっとと逃げてしまえばいいのだから。

つまるところこのディエンドというライダーは―――

 

「せこーっ!姑息!怪盗の"怪"の字もない!どこで買えるのその図太さ!」

 

或斗からしてみれば余りにも卑劣に見えてしまったのである。

というかこの母港に迷惑を掛けた時点で或斗の評価は最底辺なのだが。

その暴言を聞いたディエンドと言えば―――完全に機能停止してしまっていた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

228:ヘルライジング転生指揮官

せこっせこっせこっせこっせこっせこっせこっせこっせこっせこっ!

 

229:名無しの転生指揮官

イッチェ…

 

230:名無しの転生指揮官

ディエンドへのヘイトが高すぎるwww

 

231:名無しの転生指揮官

藤原書記じゃねぇかwww

 

232:名無しの転生指揮官

余りの言い草にディエンドすら固まっているぞwww

 

233:名無しの転生指揮官

これには海東さんに同情するわwww

 

234:名無しの転生指揮官

これは酷いwww

 

235:名無しの転生指揮官

誰もバーニングファルコンにふれてねぇじゃねぇかwww

 

236:名無しの転生指揮官

確かにwwwでもイッチの暴言がひどすぎてwww

 

237:名無しの転生指揮官

確かにwww

 

238:名無しの転生指揮官

せこッ!姑息!恥知らず!どこで買えるのその図太さ!

 

239:名無しの転生指揮官

なつみかんの命を吸ったパーフェクターを盗ったときとかwww

 

240:名無しの転生指揮官

烏賊折神のときも!

 

241:名無しの転生指揮官

グランドジオウウォッチも!

 

242:名無しの転生指揮官

なんなら自分の力を取り戻すためにゲイツを利用したときのことも!

 

243:名無しの転生指揮官

ヘルヘイムの森が広がったのも!

 

244:名無しの転生指揮官

全部せこくて姑息で図太いディエンドってやつの仕業なんだ!

 

245:カードゲーマー指揮官

>>244

何だって!?それは本当かい!?

 

246:名無しの転生指揮官

>>244

ディエンドカワイソスwwwm9(^Д^)プギャー

 

247:名無しの転生指揮官

最高だぜ最高wwwギャッハハハハハハ!

 

248:決闘蟹転生指揮官

…そろそろちゃんと考察した方がいいだろう。スラッシュライザーの出どころとかな。

 

249:依存転生指揮官

せやな。

ところでゼロワンの登場人物どれくらい生きてる?

 

250:ヘルライジング転生指揮官

取り敢えず確定しているのは天津さんくらいかなぁ…。

いまだにサウザンインテリオンを経営してるみたい

 

251:プリズム★アトラ転生指揮官

ええい!天津のバカはなぜ戦わん!?

 

252:ヘルライジング転生指揮官

生きてりゃ御年75やで。

流石に戦うのはきついやろ。

 

253:名無しの転生指揮官

オーマジオウを見習え

 

254:名無しの転生指揮官

天津垓も75まで生きたのか…。

 

255:ヘルライジング転生指揮官

後なんかサウザンインテリオンの専務に与田垣ウィリアムソンさんの名前もたしかあったわ。

 

256:名無しの転生指揮官

与田垣さん生きとったんかワレェ!

 

257:名無しの転生指揮官

出  処  確  定

 

258:名無しの転生指揮官

議  論  終  了

 

259:名無しの転生指揮官

あー、こりゃ、ゼロツーキーにスラッシュライザーのデータをインプットして作らせたな?

 

260:名無しの転生指揮官

少しでもセイレーンに対抗できる「仮面ライダー」を増やすためにね。

261:名無しの転生指揮官

あー、なるほど。

人類側の切り札はKAN-SENだけじゃねぇってことね。

 

262:名無しの転生指揮官

むしろ仮面ライダーの方がメインまである。

 

263:名無しの転生指揮官

でも圧倒的に頭数不足だし…アバドライザーのデータは無いから量産はできないし…多分ゼロツーの技術引っこ抜かれてるだろうしで…。というか最後のが厄ネタ過ぎてもう…。

 

264:名無しの転生指揮官

ちなみにイッチは仮面ライダー迅の変身者分かってるん?

 

265:ヘルライジング転生指揮官

え?瑞鶴姉じゃねぇの?

動きの節々が日本刀持ってる時の瑞鶴姉と同じだもん。

 

266:名無しの転生指揮官

ええ…。

なんでそんなん見分けられるん…?

 

267:名無しの転生指揮官

そりゃ信頼感ですよ…

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「でりゃあぁあぁぁぁああ!」

「だからもう少し攻撃を小振りにしたまえ。」

「…黙ってろこの姑息!玉無しヘタレチキン盗人!」

「君…どんどん暴言のレベルが上がっていないかい?」

 

或斗は今、一対一でディエンドと向かい合っている。

もちろん仮面ライダー迅の方へディエンドの意識を向けないためだ。

ディエンドが持つ仮面ライダーの召喚能力は非常に厄介な代物だ。

今は一体しか召喚していないがいつ二体目、三体目の仮面ライダーが出てきてもおかしくはない。

 

故に。

飛電或斗はわざとディエンドの気を引き続けなければならない。

せめて、仮面ライダー迅がクローズと呼ばれる仮面ライダーを粉砕するまでは。

と、ちょうどその時―――

 

バーニングレイン!ラッシュ!

 

仮面ライダー迅のライダーキックがクローズを貫いた。

そのまま悲鳴を上げる事無く消滅していくクローズにはやはり自意識が無かったのだと思う。

そうでなければもう少し仮面ライダー迅も苦戦していたはずだ。

 

「さあ、これで二体一だ。それを渡せ。―――新たなアークを生み出させないために。」

「全く君は本当に九歳児かい?35歳位に感じるけど。――まぁ流石に今は分が悪いね。今回は大人しく引いてあげるよ。」

 

ディエンドはゼロワンに赤黒いメンタルキューブを投げ渡すとそのまま一歩引きさがる。

 

「逃がすか!」

 

ゼロワンは一気にディエンドとの距離を詰めようとして―――

 

「いいや。ここは退かせてもらうよ!」

 

しかし、ディエンドはその姿を消し、ゼロワンの腕は虚しく宙を切る。

今、いえることは仮面ライダーディエンドに逃げられたという事だけ。

それがたまらなく悔しかった。

 

だが。

或斗にはもう一つ片づけなければならない疑問がある。

 

「―――で?なんで黙ってるの、瑞鶴姉?」

「なんでわかったの!?」

 

そう、仮面ライダー迅の変身者―――瑞鶴がずっと黙っているという事実についてだ。

もしかして無言で颯爽と助けるヒーローでも演じているつもりなのだろうか。

だとしたら詰めが甘いとしか言いようがない。

 

「だってスラッシュライザーを使っているときの動きが瑞鶴姉のそれだったんだもん。」

「それだけでわかるものなの!?」

「うん。一体何回共闘したと思ってんの?」

「うぐ…」

 

動きがまんま瑞鶴だったのだ。もしこれで瑞鶴以外の誰かが変身者だったら恐ろしいことである。

何はともあれ、新たな「仮面ライダー」がこの世界に生まれた瞬間だった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

280:超次元蹴球指揮官

『天空…落としぃぃぃぃ!』

 

ふう…。どう結局イッチの予想は合ってた?

 

281:名無しの転生指揮官

超次元ニキ戦闘(超次元)しながらレスすんなやwww

 

282:名無しの転生指揮官

合ってたよwww

 

283:名無しの転生指揮官

エイリアボールで天空落としは止めたげてよぉ!

 

284:名無しの転生指揮官

多分このスレで一番強いのイッチじゃなくて超次元ニキだろwww

 

285:名無しの転生指揮官

超次元ニキんとこはKAN-SENも技使うからなwww

例を挙げると赤城がシキガミラインズ使ったりオーディンがグングニル(ダン戦)使ったりグロリアスレイ使ったり…

 

286:名無しの転生指揮官

セイレーンもびっくりの進化だろそんなんwww

 

287:超次元蹴球指揮官

それはそうとやっぱイッチの予想が合ってた…という事はその内バルカンもでるかな?

 

『流星ブレェェェード!V2!』

 

288:名無しの転生指揮官

だから超次元ニキはさぁ…。

 

289:ヘルライジング転生指揮官

多分その内。

適合者がどうのこうのって瑞鶴姉は言ってたから。

 

290:名無しの転生指揮官

というかだれが変身するんやろ

 

291:名無しの転生指揮官

エンタープライズじゃね?

 

292:名無しの転生指揮官

それな。

 

293:名無しの転生指揮官

意外とZ23だったり。

 

294:名無しの転生指揮官

意外とありそう。

 

295:名無しの転生指揮官

本命:エンタープライズ

時点:翔鶴

 

大穴:ラフィー

 

296:超次元蹴球指揮官

ラフィーは無いんじゃないかな…?

 

『ビッグバン!』

 

297:名無しの転生指揮官

だから超次元ニキはさぁ…

 

298:名無しの転生指揮官

なんでビッグバン撃ってるのwww

 

299:超次元蹴球指揮官

『スペースペンギン!』

 

だって撃てるんだもん…仕方ないじゃん

 

 




登場人物紹介

・飛電或斗/仮面ライダーゼロワン

既に瑞鶴がどのような動きをするのか完全に理解している。
故に戦闘では息ぴったりというレベルを超えている。

・瑞鶴/仮面ライダー迅

とある方法でスラッシュライザーとバーニングファルコンプログライズキーを手に入れた。

登場コテハン紹介

・超次元蹴球指揮官

実は最古参。
すくなくともイッチ達とセイレーンの戦いを見守っている。
コテハンを付けたのはつい最近。
彼は弾薬の代わりに超次元なボールと技を利用してセイレーンを駆逐する。
主な使用技は「流星ブレード」と「天空落とし」
また、一部のKAN-SENも技を使える。
最近綾波、ジャベリン、ラフィーの三人で皇帝ペンギン2号を撃てるように指導した



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鶴と隼が交わったとき

今回は掲示板形式がありません。


「ここは…。」

 

瑞鶴はただっ広い真っ白な空間に一人で立っていた。

呆然と立ち尽くす瑞鶴だったが、すぐにあることに気づく。

 

「…ゼロツープログライズキー…?」

 

その空間の中心と思われるところにゼロツープログライズキーが浮いていた。

 

「なんでこんなところに…?」

 

瑞鶴の疑問も最もだ。今、ゼロツーキーは小型の「シャインシステム」に覆われて使用不可能だったはずだ。

ならばどうやってこの空間に存在しているのか。

いくら考えても答えは得られず、とりあえずこの空間からの脱出を目標とすることにした。

まずは、この真っ白い空間を歩いて端を探してみる。

しかしながら端は見つからず、気づけばゼロツープログライズキーのある場所まで戻ってきてしまっていた。

 

「…じゃあ、触るしかないのかな…。」

 

ならばこの空間を形作っているであろうゼロツープログライズキーに触れて確かめるしかない。

そう、決意してゼロツーキーに触れた。

その瞬間だった。

辺りが一瞬で0と1で満たされたのは。

 

(罠…!?)

 

瑞鶴は日本刀に手を掛けあたりの気配を探る。

近づいたものが居たら寸止めしてから情報を吐かせてこの空間から脱出する。

もし情報を吐かなければ叩き切って自身だけで被害を抑える。

それができなくてはこの怪現象にまた誰かが巻き込まれるだろうから。

 

(…気配!)

 

そして背後に感じた気配に向かって刀を振るう。

 

 

「うぉおおぉぉいえ!?」

 

そしてその存在は素っ頓狂な声を上げながらその一閃を躱した。

その身のこなしからただものではないことは容易に窺い知れた。

というか、この男の顔は何処かで見たことがあるような気がする。

 

「…貴方…もしかして…。飛電…或人…?」

「正解。俺って大分有名人なんだなぁ~。」

 

目の前の男―――飛電或人という男は人が良さそうな笑みを浮かべた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

それからというもの、ここがゼロツープログライズキー内部にある"人工知能ゼア"の内部であること。

先ほどのは外部の者がゼアの内部に入り込めないような生体認証の場であること。

瑞鶴がKAN-SENであることを活かし、"リュウコツ"を生体認証代わりに使った事などを或人から教えられた。

 

「まぁ、ざっとそんなものかな。今の俺は現実には干渉できない。だからここに君を呼んだんだ、瑞鶴。」

「私を?」

「そ。…こんなダメな父親の願い事だけどな。」

 

自虐するように或人は笑う。

そこには最後まで父親としての責務を果たせなかった自分に対する怒り、悲しみ、軽蔑といった負の感情全てが詰め込まれているような顔をしていた。

 

「…大丈夫。或人さんの息子は立派に仮面ライダーをやってるよ。或斗君は貴方を尊敬してるって言ってた。―――だから、自分がダメな奴、だなんて思わないで。」

「そうか…。良かった…。」

 

瑞鶴は或人の肩を叩く。

いつも或斗にしているように。

 

「ふぅ…すっきりしたよ。ありがとう、瑞鶴。」

「それは良かった。」

 

その後、或人に直近に何があったのか話した。

まぁ、或人は或斗がお籠り族であったことに何一つ驚いていなかったようだったが。

 

「9歳の男子の前でプリンツ・オイゲン…だっけ?あの格好は―――色々と不味いでしょ!?」

「あー…。そっか。或斗君も男の子だもんね。性癖がねじ曲がっちゃうか。」

 

最後の心残りであった或斗の事を知れたのが嬉しかったのかは分からないが或人は饒舌になったようだった。

 

「ゼロワン。いい加減に本題に入ってよ。」

 

と、唐突に二人の会話を遮るものが居た。

いや、性癖がねじ曲がってしまうのも相当な本題なのでは?と瑞鶴は思っているが目の前の高級そうなスーツを着た男にとっては些細な問題らしい

 

「そうだな…迅。」

「迅って…ええ!?滅亡迅雷.netの迅!?」

「まぁ、僕とゼロワンは個人的な協力関係にあるから。」

 

そういえば確かに最初にアークに反旗を翻した滅亡迅雷は迅だったはずだ。

そこにゼロワンが一枚噛んでいるという話はあったがまさか本当だったとは。

 

「…で、さっそく本題なんだけど。―――瑞鶴だっけ?君、僕と戦ってよ。」

「…え?」

 

迅からのお願い。

それは迅自身と手合わせをするというものであった。

 

「まぁ、それがお望みならいいんだけど。」

「あ、そうだ。今回はゼロワンが武器を用意してくれたからそれで戦ってね。僕も使うからさ。」

 

瑞鶴は迅の要求を満たすことがこの人工知能ゼアの見せる夢から覚める条件だと感じた。

だが。

まあ、仮面ライダー変身者の生身の実力を知りたかったところだ。

 

「さて、と。じゃあ、胸を借りますか!」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

結論から言おう。

瑞鶴は迅に惜敗した。

理由としてはおそらく()()()()()()()()()()()()()である。

彼ら仮面ライダーはおおよそ人型の敵と戦ってきた。

それに比べて瑞鶴達KAN-SENは基本的にはセイレーンの「駒」やセイレーンの人型個体と戦う時以外は海上で、尚且つ人間よりもよっぽど巨大な相手と戦っているのだ。サイズ感がまるで違い当たると思って振るった攻撃が当たらなかったことも多かった。

 

「まぁ…懸念点は何個かあるけど…まぁ、()()、かな?」

 

ぼそりと迅がつぶやいた「合格」という単語が妙にはっきりと聞こえた。

まさか、試されていたとでもいうのだろうか。

この短時間で。

 

「瑞鶴。僕は君を"仮面ライダー迅"として相応しいか試してたんだ…って言ってもそれは分かってるか。」

「…全力で向かったのにこの軽くいなされた感はなんなのよ…」

 

なんというかこの勝負に勝って試合に負けた感はなんなのだろうか。

 

「まぁそれが迅の実力ってやつさ。」

「と言っても僕はゼロワンの人格データに保存されている"仮面ライダー迅"の記憶から作られた"迅というヒューマギアの一部分"でしかないんだけどね。」

 

そう言って迅は笑う。

 

「…本来の迅のデータはもう、この世に存在してないから。でも、これで安心してコレを瑞鶴に託せるよ。」

「これは…?」

 

瑞鶴が迅から見せられたのは剣型の変身デバイスらしきものと、燃えるように赤いプログライズキー。

それはかつて、仮面ライダー迅が変身に使用したものと同型の物だ。

 

「これは僕から君へのプレゼント。スラッシュライザーとバーニングファルコンプログライズキーだよ。これで君は今から"仮面ライダー迅"だ。」

 

そういうと迅はスラッシュライザーとバーニングファルコンプログライズキーを瑞鶴に投げ渡した。

それを落とさない様にしっかりと抱きかかえると瑞鶴は叫んだ。

 

「本当にありがとう!迅さん!!」

「…呼び捨てでいいよ。」

 

こうして、瑞鶴は仮面ライダー迅という存在となった。

夢をみた炎の隼は幸運の鶴へと引き継がれたのだ。

こうしてまた一つ、ライダーの力が継承される。

 

「…ってこれどうやって使うのー!?」

「それは俺が今から解説するからぁ~!」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

瑞鶴が人工知能ゼアから去った後、一人の男が現れる。

先ほどの迅と同じようにスーツ姿ではあったが前のボタンを付けずに着崩しており、どこか粗野な印象を与えた。

 

「不破さん…。」

「全く、ショットライザーもスラッシュライザーもゼロツーキーにデータは無かったはずだろ?」

「うん…。でも唯阿さんが入れてくれたみたい。」

「刃がか…。そうか、アイツは生き残れたんだな…。」

 

二人はこのゼロツーキーにデータを入れてくれた人物の顔を思い浮かべる。

なんというか「私を置いていきやがって」と悪態を付く姿が浮かんで二人で苦笑した。

 

「でも唯阿さんには悪い事しちゃったかなぁ…。」

「アイツもそれなりに理解してただろ戦うってことは、死と隣り合わせだって事くれぇは。」

 

だからこそ、罪悪感が物凄いのだが。

 

「さて、俺はショットライザーを扱う資格があるやつが来るまで待ってるとするか。」

「不破さん、仮にも相手は女の子だよ?だから、あんな脳筋な方法でプログライズキーをこじ開けるやり方なんて教えちゃダメだからね!?」

「いいだろ。別にどんな教え方をしようとも、俺がルールだからな。」

 

そして、二人は笑い合った。




登場人物紹介

・瑞鶴/仮面ライダー迅
正式に名前と夢と覚悟を受け継いだ。
これからも或斗の姉として、頼りになる仲間になってくれるだろう

・飛電或人
父親失格なんじゃないかと悩みまくっていた。
いい父親はそういう悩みを本人の前では出さないものなのだ。

・迅/仮面ライダー迅
瑞鶴にスラッシュライザーとバーニングファルコンキーを託した。
飛電或人の記憶から作り出された所謂劣化コピー


今回からアンケートを開始します。
今回の章が終わったら番外編として或斗の世界以外の世界の物語をちょっとだけ書きます。
というわけでどの人の物が見たいかぜひ投票してください。


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怒りの狼、蒼海に立つ

母港に新たな仮面ライダーが生まれた。

その変身者は瑞鶴である。

 

そんな情報が母港に駆け巡った。

といっても或斗と違ってある程度の戦闘能力を持ったKAN-SENがライダーとなったのだ。

或斗が戦うときは全力で止めようとするKAN-SEN達も今回ばかりはなにも言わなかった。

ただ、焦りを感じ始めるKAN-SENが居るのは確かだ。瑞鶴と共に或斗の姉を名乗るエンタープライズはそんなKAN-SEN達の筆頭であると言えるだろう。

瑞鶴が仮面ライダーの力を手に入れてからというもの瑞鶴と或斗がバディとして行動することが増えた。

瑞鶴の実力は心配していないがかといってあんなにべったりくっつかれると妬けるというか。

 

なんか瑞鶴にマウントを取られている気しかしないのだ。

もちろん瑞鶴にそんな意図は無いのだが。

なんかこう、悔しい。

このまま或斗が取られるんじゃないかと不安になってしまう。

ただでさえこの母港にはケッコン的な意味で或斗を狙う者が多い。

そうすれば専属艦になるとはいえそれ以上に"仮面ライダーゼロワン"という戦力が得られるのだ。

あり得ないことだが、もしこの"アズールレーン"という陣営の中で戦争が起きたりすれば或斗を得た陣営が有利になる。多分ダンケルクや姉―――ヨークタウン、それに五航戦辺りは恐らく戦場に出さないための"保護"の意味を持つケッコンだろうが。

 

「はあ…。」

 

そんな事を考えても仕方ないのは分かっている。

彼が誰を選ぶかなんてそんなの分からないし。少なくとももう10年は向こうの話だ。

だが、なんなのだろうか。

この胸に蟠る感情は。

 

「むぅ…。」

 

今は考え込んでも仕方が無い。

そんな時、ふと視界にゼロツープログライズキーを見つけた。

 

(何故こんなところに…?)

 

考えても仕方ないと感じたエンタープライズはゼロツーキーに触れる。

その瞬間世界が白く染まり―――。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

785:ヘルライジング転生指揮官

あかん。

 

786:超次元蹴球指揮官

何があったのさ

 

787:ヘルライジング転生指揮官

なんか蒼龍さんっぽいKAN-SENが大暴走かましてるんですけど。

 

[辺り一面に艦載機やら斬撃やらが飛び交う地獄絵図]

 

788:名無しの転生指揮官

うわぁ…。しかもこれ蒼龍さんのMETAじゃん。

…ライダー二人っきりで勝てるかこれ…。

 

789:名無しの転生指揮官

しかも片っぽはライダーとしての交戦経験が少ない瑞鶴…もとい仮面ライダー迅。

も片っぽは戦術もクソもあったもんじゃないゼロワン。

 

…じゃあな!イッチは良い奴だったよ!

 

790:決闘蟹転生指揮官

というかなんでこんなことになってしまったんだ…?

 

791:名無しの転生指揮官

今北産業

 

792:ヘルライジング転生指揮官

謎の鏡面海域が発生したから調査に向かう

一緒にきたニュージャージャーさん達と別れて別個に調査

そしたらなんか出てきた

 

793:名無しの転生指揮官

なんかってwww

流石にライダーの装甲でもきついのか…?

 

794:ヘルライジング転生指揮官

うん。さすがに単発なら安いけどあそこまでド派手に暴走してると、ねぇ。

 

795:名無しの転生指揮官

そーか…。

詰んでんじゃん。

 

796:名無しの転生指揮官

そうだなー。イベントみたいにヘレナ(META)が力貸してくれりゃいいけど…。

 

797:依存転生指揮官

無理だな。

少なくともこの世界のヘレナ(META)とイッチは面識ないからな。

 

798:名無しの転生指揮官

あー。

 

799:名無しの転生指揮官

じゃあ、もうこれダメじゃん。

 

800:名無しの転生指揮官

一応こんな時にバルカンが居ればなぁ…

 

801:依存転生指揮官

バーニングレインで届かねぇの?

 

802:ヘルライジング転生指揮官

届くには届くけど全く効いてない。

 

距離が遠すぎてどうにもならんわ。

 

803:名無しの転生指揮官

ふぁーwww

 

804:名無しの転生指揮官

これはガチで笑うしかないやつ…

 

805:名無しの転生指揮官

バーニングレインって距離で威力が減衰するんすね。

 

終わりじゃん

 

806:ヘルライジング転生指揮官

人生がフィニッシュしそうです。

 

807:名無しの転生指揮官

っていうか他のアタッシュウェポンは無いのか…?

 

808:ヘルライジング転生指揮官

アタッシュアロ―:エイム力0

アタッシュショットガン:ワイ、ゴリラやない。

無理

 

809:名無しの転生指揮官

あーあ、終わった。

 

810:名無しの転生指揮官

瑞鶴がMETAればまだしも…。

 

811:プリズム★アトラ転生指揮官

あれこれ終わってない…?

 

812:カードゲーマー転生指揮官

そうだよ…

 

813:名無しの転生指揮官

ありがとういいスレだったよイッチ…

 

814:名無しの転生指揮官

イッチェ…

 

815:名無しの転生指揮官

さらば。

 

816:名無しの転生指揮官

また次の転生先で会えたら会おう。

 

817:名無しの転生指揮官

これは完全に敗北ムード

 

818:ヘルライジング転生指揮官

…んぁ?

 

 

オーロラカーテン?

え、士さん?ここに千早姉とか連れてくるつもり?

ちょっとー?ダメですよ!千早姉や春香さん連れてきたら!

いや、割とガチで!

 

819:名無しの転生指揮官

げぇ…さすがにKAN-SENの力を得ているとはいえ…なぁ。

 

820:名無しの転生指揮官

頼むぞ…士!

 

821:名無しの転生指揮官

登場したのは誰だ!?

 

822:名無しの転生指揮官

…ショットライザー持ってる。

 

823:名無しの転生指揮官

右手にはシューティングウルフ!

 

仮面ライダーバルカンだ!勝ったッ!

…で、え?まさかバルカンの変身者って…!?

 

824:名無しの転生指揮官

―――エンター姉!?ちょっ…ええ!?

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

蒼龍と思われるKAN-SENの暴走に巻き込まれていったいどれほどの時間がたったのだろうか。

1日くらいたった気もするし全く持って時間だ立ってない気もする。

ただ一つだけ言えることは或斗と瑞鶴―――二人の仮面ライダーにはこの状況を打破する手段が何一つないという事だけだった。

 

「ああもう!あんなにド派手に暴走するんならシャイニングホッパー持ってくりゃ良かった!」

「もう!ごちゃごちゃ言っても始まんないよ!なんとかして暴走する蒼龍らしきKAN-SENを止めないと…。」

「でも攻撃届かないじゃん!?」

 

そう。そうなのだ。

別に艦載機の機銃が多少当たった程度では仮面ライダーの装甲が削れることはない。

ないのだが。

どうあってもこちらの攻撃が届かない。

それに―――

 

「流石にあの量はきついっしょ…。」

「あー…確かに。」

 

いくら堅牢な仮面ライダーの装甲といえども機銃掃射をまともに受けてしまえば大ダメージは避けられない。当たり方によってはそのまま蜂の巣にされてしまうだろう。

故に近づくことが出来なかった。

ならばと、瑞鶴がKAN-SENの力を試してみても圧倒的な波状攻撃の前に全艦載機が撃墜された。

 

つまりは、どうしようもない。

そんな時にオーロラカーテンが現れれば流石に焦る。

さすがにこんな状況で千早や春香が来てもどうにもならない。

が、オーロラカーテンから現れたのは予想外のアイテムを持った予想外の相手だった。

 

「待たせたな、二人とも!」

 

そう、その人物はエイムズショットライザーとシューティングウルフプログライズキーを持ったエンタープライズだったのだ。

二人が近距離戦が最も得意な戦闘スタイルを執る。

なるほど、確かにこの状況は切り抜けにくい。

ならばこれは自分の出番だろう。

 

「ふぐっ…おおぉぉおおぉぉぉおおぉぉおおおぉ!」

 

そしてエンタープライズは()()()()()()()プログライズキーをこじ開け始めた。

プログライズキーからは火花が散り、流石の瑞鶴も焦り始める。

 

「あれって大丈夫なの!?」

「さあ…。」

 

少なくとも少女がやっていい変身方法ではないのは確かだが。

その膂力でプログライズキーをこじ開けたエンタープライズは流れるようにショットライザーにキーをセット。

そして腰のバックルからショットライザーを引き抜いた。

 

『KAMEN…RIDER…KAMEN…RIDER…』

 

エンタープライズはしっかり前を向いてショットライザーを構える。

 

「変身ッ!」

『ショットライズ!』

 

そして引き鉄を引いた。

弾丸を打ち出した反動で少しばかり後ろに下がったが何一つ問題は無い。

大きく曲がって、エンタープライズの下に戻った弾丸をそのまま殴る。

そして、その弾丸―――SRダンガーからアーマーが装着される。

 

『シューティングウルフ!』

The elevation increases as the bullet is fired.(撃てば撃つほど猛りだす。)

 

そして、蒼海に新たなる仮面ライダーである仮面ライダーバルカンが復活した。

復讐するためではなく、夢を探すために、自ら悪に喰らい付く狼となった仮面ライダーが今、鏡面海域で復活の狼煙を上げる。

 

「…一撃で決める。」

 

『バレット!』

 

ここはショットライザーの基本性能を試したかったが今は、二人の安全が優先。

故に最大火力で一撃で葬ることとした。

故にバルカンは装填されているプログライズキーのライズスターターを押し込み必殺技シークエンスと入る。

そして再び引き金を引いた。

 

『シューティング!ブラスト!』

 

その一撃は艦載機を軒並み吹き飛ばしたうえで暴走するKAN-SENに多大なダメージを与えた。

 

「二人とも!今だッ!」

「了解ッ!」

 

そしてそれは暴走するKAN-SENにとっては余りにも致命的な隙で。

黄金の飛蝗と灼熱の鶴の手によって、その身は海へと還された―――。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

870:ヘルライジング転生指揮官

【悲報】ワイの姉、ゴリライズ習得【脳筋】

 

871:名無しの転生指揮官

不破さーん!

 

872:名無しの転生指揮官

ちょっwww

 

873:名無しの転生指揮官

あっちゃーwww

 

874:名無しの転生指揮官

どうしましょwww

 

875:名無しの転生指揮官

助かったんだしいーじゃねーかwww

 

876:名無しの転生指揮官

なんで…美少女が脳筋な方法でこじ開けるなんて…ッ

 

877:名無しの転生指揮官

不破さんさぁ…(歓喜)

 

878:名無しの転生指揮官

何はともあれこれでライダーが3人だな!

 

879:名無しの転生指揮官

ベルトの奪い合いでもするかい?

 

880:名無しの転生指揮官

www

 

881:名無しの転生指揮官

これは笑うってwww

 

882:名無しの転生指揮官

エンタープライズェ…

 

883:超次元蹴球指揮官

不破さん…

 

884:名無しの転生指揮官

あっちゃー…

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

人工知能ゼアの中。

飛電或人は一人の男を正座させていた。

何を隠そうこの男、エンタープライズに脳筋な変身法を教えた張本人―――不破諫である。

 

「不破さん?相手は女の子なんだよ?」

「いいじゃねぇかよ、別に。」

 

飛電或人はあきれたように額に手を置いた。

不破も或人の人格データ内の記憶からこの電脳世界に復活させたのだが、如何せん脳筋が過ぎた。

せめて刃唯阿の変身方法を教えればいいものを、こともあろうかこの男はゴリラの如くその膂力で以て変身する方法を教えたのだ。

これには不破に絶大な信頼を置いている或人も流石にキレるというものである。

 

「別に男だろうと女だろうと関係ねぇ。仮面ライダーバルカンは邪魔するものはぶっ潰すのがモットーだからな。」

「うわぁ…不破さん。あの時イズがなんでゴリラって言ったか分かった気がしたよ…。」

「誰がゴリラだアァアァァアァ!?」

 

とうとう正座を解いて或人に詰め寄る不破。

別に殴るとかそういうわけではないが、なんかむかつく。

 

「だからゴリラって言われるんだよ、バルカン。」

「迅。お前喧嘩売ってんのか!?」

 

或人と不破の口論。

そこに迅までもが乱入してきてカオスな光景が繰り広げられる。

かつて世界の夢を守った戦士たちは今、仮初の平和を享受していた。

 




登場人物紹介

・飛電或斗/仮面ライダーゼロワン
いいとこなし

・瑞鶴/仮面ライダー迅
いいとこなし

・エンタープライズ/仮面ライダーバルカン
今回の主役にして今作のゴr―――もとい不破さん枠。
ゴリライズを習得してしまった。

・飛電或人
正座させた人。父親は強い。

・不破諫
今回の最大の戦犯にして功労者。
無事ゴリライズを受け継いだ。

・迅
なんやかんやで或人と仲のいいヒューマギア

今回は番外編は無し。
迅→瑞鶴と似たような流れですからね。
というわけで余りにも超次元と蟹が強すぎたので第三の選択肢を加えて決選投票します。
どしどし回答してくださいねー!


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開戦!ゼロワンVSディエンド!

太陽が青空を照らし、白い雲が浮かぶ中―――

 

「やあ。」

 

海東大樹は先日の一件が無かったかのように母港に現れた。

しかしながら過去の遺恨というのは中々に消えないのだ。

 

「何をしに来た。」

「…今回は飛電或斗に用があって来たんだ。君たちを害するつもりはないから下がり給え。」

「それで『はい、そうですか』と引き下がれる程アンタを許したつもりはないんだ。」

「それもそうだね。ならばここで待つとしよう。君が見張りとしていても構わないよ。」

 

結果ボルチモアは海東大樹を見張ることになった。

この時間なら飛電或斗がここに来るまでそうそう時間はかからない。

業務に多少の遅れは出るが先の一件からこの男を放置する方が危険だと確証を得ることができた。

 

「ところで君は―――いつまで飛電或斗の事を信じていられるのかな?」

「どういうことだ?」

「―――彼には彼自身さえ知らない秘密があるってことさ。」

 

急に違う話題を振り始める海東に警戒心を露わにするボルチモア。

しかしながら、既に我慢の限界は来ていた。

それこそ、次、目の前の男が飛電或斗の話題を出したら全力で殴りかかる。

そんな確信がボルチモアにはあった。

 

「―――何が言いたい。」

「だからさ、()()()()()()()()()()()()()()()()()―――」

「黙れ。」

「…おっと。失礼。」

 

或斗の事を疑わせるような発言にとうとうボルチモアはキレた。

鋭い殺気を漂わせ自身の胸倉を掴んだボルチモアを見て海東は小手を上げて抵抗の意は無いことを示す。

それでボルチモアの気が収まるかと言われれば別だが。

 

「どうやら彼は相当愛されているようだね。」

「それはそうさ。…彼は私達の恩人さ。だから―――。」

「許さないってわけか。」

 

一体この男は―――海東大樹は何を考えているのか。

ボルチモアというKAN-SENは既にこの男の事がさっぱり分からなくなっていた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

1:ヘルライジング転生指揮官

【おのれ】ライダーウォーズ開戦【ディエンド】

 

2:ヘルライジング転生指揮官

あのせこくて姑息で図太い海東某が決闘を申し込んできた。

 

3:ヘルライジング転生指揮官

場合によっては(ゼロツー使えないんで)ヘルライジングを解放する予定です。

 

4:名無しの転生指揮官

マスロゴ以上にディエンドへのヘイトが高いwww

いいぞもっとやれ

 

5:名無しの転生指揮官

母港に迷惑かけたんだから当たり前だよなぁ!?

 

6:名無しの転生指揮官

そうだそうだ!

取り敢えず様子見でシャイニングホッパー…使える?

 

7:ヘルライジング転生指揮官

なんやかんやで今まで使う機会が無かったけど行けるで。

 

8:名無しの転生指揮官

!?

 

9:名無しの転生指揮官

なん…だと…?

 

10:ヘルライジング転生指揮官

なんならあれやで。

 

千早姉の一件の時点で実は持ってた。

 

11:名無しの転生指揮官

じゃあ使えよ!?

 

12:ヘルライジング転生指揮官

>>11

貴方は全身筋肉痛でライブができるというのですか?

 

13:名無しの転生指揮官

確かにキツイわ…

 

14:名無しの転生指揮官

正直言ってすまんかった

 

15:名無しの転生指揮官

そこは気合でどうにかしろよぉ!

 

16:名無しの転生指揮官

シャイニングホッパー使えないんで許してくださいってかぁ!?

 

許してやるよォ!

 

17:名無しの転生指揮官

なんでここにはこんな上から目線が湧くんだ…!?

 

18:名無しの転生指揮官

意味が分からないよ…

 

19:名無しの転生指揮官

ところでなんでディエンドがライダーウォーズ申し込んできたんだ?

 

20:ヘルライジング転生指揮官

知らん。俺の管轄外だ。

あの母港に迷惑を掛けた盗人の事などな!

 

21:名無しの転生指揮官

あーあ。イッチ怒ってるよ…。

 

22:名無しの転生指揮官

イッチはあれだしな。

母港第一の人間だしな。

 

23:決闘蟹転生指揮官

そんな反応するのも分かるが。

 

24:依存転生指揮官

今回ばかりはディエンドが悪い。

 

25:超次元蹴球指揮官

そうだね。

よし、イッチ!ヘルライジングを解禁しよう!

 

26:名無しの転生指揮官

知ってた

 

27:名無しの転生指揮官

ふふふ…いっそのことゼロツー使えば…?

 

28:ヘルライジング転生指揮官

ゼロツードライバーアジャスト中だっつてんだろ!

 

29:名無しの転生指揮官

しゃーないな

超次元ニキ!超次元の必殺技を教えておやり!

 

30:超次元蹴球指揮官

いいよ!

取り敢えず僕が教えられるのは

・天空落とし

・流星ブレード

・アストロゲート

・ビッグバン

・スペースペンギン

・ネオ・ギャラクシー

位かな。あ、後はラスト・デスゾーンがあったわ。

 

31:ヘルライジング転生指揮官

じゃあ流星ブレードで。

 

32:名無しの転生指揮官

キック力40t越えの脚力から放たれる流星ブレード…!?

 

33:名無しの転生指揮官

タマシイ・ザ・ハンドはタマシイが逝きそう。

 

34:超次元蹴球指揮官

まぁそれなりの特訓は必要だから対ディエンドには間に合わないんだけどね!

 

35:名無しの転生指揮官

ダメじゃん。

 

36:名無しの転生指揮官

もうだめだ…

 

37:名無しの転生指揮官

せめて…皇帝ペンギンを…

 

38:名無しの転生指揮官

流星ブレードで…皆に…笑顔を…

 

39:超次元蹴球指揮官

取り敢えずコツを紹介するための動画上げとくから。

 

40:名無しの転生指揮官

まさかの通信教育スタイルwww

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

飛電或斗に申し込まれた演習。

その相手は他の何物でもないディエンド―――海東大樹であった。

その事を告げられた或斗の目の光は死んだ。

当たり前である。

この男のせいで二人の姉や母港の皆が多大な迷惑を被ったのだから。

或斗にとって最も大切なのは自分の命ではなくこの母港の仲間だ。

だからいくらでも自分に迷惑を掛けてもらっても構わないが、母港に迷惑を掛けた人間はもれなくぶっ潰す。

それが間違いだろうと何だろうと()()()()()()()()()()()

だから或斗は海東大樹という人間が大嫌いであった。

というか或斗のいる母港の全KAN-SENが海東の事を嫌っている。

なんやかんやで胡散臭い士は受け入れられているが、それは行動の差だろう。

 

「というわけでシャイニングホッパーを解禁したいんだ。」

「どういう訳か分からないけど既に使えるぞ?」

「うん。知ってた。」

 

人工知能ゼアの中で現実から逃げたい一心で溜め息を吐く。

もちろん逃げることは許されないし、逃げてしまえばこの母港でいいように海東大樹が暴れることになってしまう。

それは、ダメだ。

そんな事は絶対に許されてはならない。

この母港には例の"黒いメンタルキューブ"や、ヘルライズプログライズキーなど危険物がたくさんあるのだ。

それをあの性根がねじ曲がっている海東が使えばどうなるのか分からない。

碌な事は起きないだろうという事は簡単に予測できるが。

 

「そもそも一対一という申し込みもどれだけ信頼していい物やら。」

 

どうせあのこすい盗人はライダー召喚能力を用いて多数対一の狡い戦術を仕掛けてくるだろう。

そんな狡い戦法を取っておきながら徒手空拳の実力も高い。

どこかのTCGにおける手札誘発以上に厄介な相手を前にシャイニングホッパーだけで足りるのかと思う。

もっぱら或斗が心配しているのはシャイニングホッパーで戦闘後の筋肉痛だ。

 

「ごちゃごちゃ考えんなって。或斗。」

「父さん…。」

「お前はその"ディエンド"ってライダーよりも強いさ。―――心で負けたら勝てる戦いも勝てなくなるぞ?」

「そう、だね。―――父さん!俺と模擬戦してよ!」

「よし来た!」

 

ここは人工知能ゼア内部。

模擬戦を行うには現実で傷がつかない、疲労しない、同じプログライズキーを使えるなどやりたい放題だ。

 

「俺の全てを、お前に伝えるよ。」

「分かった。見てて―――今の俺を!」

 

そして二人は互いに変身して向き直りライジングホッパープログライズキーを展開。

ゼロワンドライバーへと叩き込んでその姿を変え―――

 

「行くぜ!或斗ォッ!」

「うおおぉぉぉおおぉぉぉ!」

 

二人のゼロワンがド派手にぶつかり合った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「待っていたよ飛電或斗。」

「…一対一の正々堂々とした勝負、ですよ。」

 

そして決戦の日。

或斗と海東は互いに向き合い互いの得物をその手に持っていた。

海東大樹はネオディエンドライバーというらしい変身デバイスを。

或人は()()()()()()()()()()()()()()()()()()を。

 

示し合わせたかのように二人は互いの変身シークエンスに突入する。

海東はネオディエンドライバーに自身のライダーカードを挿入。銃口を天に向ける。

一方の或斗はシャイニングホッパーキーをいつもの如くオーソライズ。

その後、シャイニングホッパーキーを展開するとそのキーを空へと掲げた。

瞬間光の柱がシャイニングホッパーキーに降り注ぎ光のゲートを生成。

鍵を開けるように捻ればライジングホッパーのライダモデルを乗せたシャイニングホッパーが現れる。

 

「変身ッ!」

『プログライズ!』

 

ネオディエンドライバーから幻影が射出されるのと或斗がシャイニングホッパーキーをゼロワンドライバーに叩き込んだのはほぼ同時だった。

データネットが2匹の飛蝗を捉えて或斗の身に更なる力を宿す。

 

The rider kick increases the power by adding to brightness!(ライダーキックは輝くことでその力を増す!)

『SHINING HOPPER!』

When I shine,darkness fades.(俺が輝くとき、闇は晴れる)

 

「あれが…シャイニングホッパー…!」

「凄い…!すごいよ…!」

 

そこに居たのは仮面ライダーゼロワン シャイニングホッパー。

黒を基調とし、所々に蛍光イエローの装甲が付き、どこか鋭利な印象を与えるそれは、しかしながらゼロワンの強化形態にふさわしいと言えた。

 

「お前を超えられるのはただ一人―――僕だ!」

「面白い。試してあげよう。君の力を!」

 

或斗は新たな武装であるオーソライズバスターをアックスモードにして構えディエンドへと飛び掛かった。

 

 

 

 

 

 




登場人物紹介
・飛電或斗/仮面ライダーゼロワン
シャイニングホッパーへと強化。
或斗と模擬戦した。
その内流星ブレードを覚えるかもしれない。

・海東大樹/仮面ライダーディエンド
ヤンホモ

・ボルチモア
珍しくキレた。
まぁ命がけで戦っている少年の事をバカにされたら誰でもキレる。
普段は陽気なお姉ちゃん。


次回でこの章は完結!というわけでアンケート結果ですがどっちもが一番多かったのでどっちも書きます!
取り敢えず細かい設定とか練らなきゃいけないので今回でアンケートを終了。
得票数が多かった
①蟹
②超次元
の順番となります。


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大いなる輝き、空へと昇る

「でぇやあぁぁぁぁぁああぁぁぁッ!」

 

ゼロワンとディエンドは母港の一角にある演習場でその火花を散らしていた。

本来なら仮面ライダー同士の戦いには使えないはずのそこはあっさりと改装が施され、陸海共用の演習場となり果てていた。

この技術力には流石の転生者である或斗も感服するばかりである。

というかこの世界、饅頭たちが有能すぎるのだ。

 

閑話休題。

 

或斗は今、ディエンドと対峙していた。

なんてことはないただの演習―――ならどれほど良かったか。

この演習には二つの物がかかっている。

一つは海東大樹がこの母港で行う一切を黙認するという条件。

もう一つは海東大樹という戦力だ。

もしこの演習に或斗が勝てば海東大樹は本格的にこの母港の戦力となる。

その条件を海東自身が提示し、その発言を録音、録画し、更には契約書を書いてみせるという形で今回の特別演習が開催されたのだ。

 

「…ふむ。これがシャイニングホッパーか。素のスペックだけでもここまで差があるとはね…。予定変更だ。少しばかり本気を出すとしよう。」

 

ゼロワンとの数度の肉弾戦を経て自身が肉弾戦において不利と悟ると、ディエンドは牽制として銃撃を放ち、大きく距離を取った。

そして、おもむろに腰部分にあるカードケースから一枚のカードを取り出す。

しかしそれは今までのライダーが描かれたカードではなくディエンド自身が描かれたカードだった。

 

「やらせない…ッ!」

「少し遅いね。残念ながら…これは使わせてもらうよ。」

 

ディエンドはそのカードをネオディエンドライバーに叩き込むとトリガーを引く。

 

『ATACK RIDE…』

『NEO-Ilusion!』

 

その瞬間ディエンドが()()()

分身。

それがディエンドがとった戦略であった。

 

「一対一、だろ?何も約定と違えてはいないからどうこう言われる筋合いはないね。」

「そうだね…。何一つ関係ない。一撃で全員KOすりゃいいんだから!」

 

『FANG!』

『Progrize key comfirmed. Ready for buster.』

 

オーソライズバスターにバイティングシャークプログライズキーを装填する。

それだけでも斧状態のオーソライズバスターはとてつもない破壊力を誇る。

しかしながらオーソライズバスターにはもう一段先がある。

 

「まだまだッ!」

 

或斗はオーソライズバスターをゼロワンドライバーのオーソライザーに認証。

そうすることでオーソライズバスターの必殺技は破壊力をさらに増す。

 

『ゼロワンオーソライズ!』

 

この時点で既に大気を震わせるほどのエネルギーをオーソライズバスターは宿している。

これを解放すればディエンドは容赦なく消し飛ぶのではないか―――。

まぁそれならそれでいいか。

少なくともこの時点ではディエンドにこの必殺技を凌ぐ術はないと誰もが確信していた。

 

「終わりだァあぁぁぁああぁあぁッ!」 

 

この一撃は正に必殺の一撃。

オーソライズバスターはディエンドの群れを確実に捉えそのエネルギーを解放した。

 

『ゼロワンバスターボンバー!』

 

バイティングシャークに内包されるサメのデータから、無数の刃を作り上げディエンドを切り刻む。

刃の嵐が止んだ時、同時に複数の爆発が発生。

誰もが或斗の勝利を確信して止まないなか、ただ一人この演習はまだ終わっていないことを悟った人物がいる。

他でもないゼロワン―――或斗本人だ。

 

「一人逃がした―――!」

 

ディエンドが分身したのは5人。

したがってディエンド本人を含めて六人。

しかし、オーソライズバスターから伝わった衝撃は五人分―――。

つまり一人に逃げられてしまったのだ。

これは単純に脱帽ものだ。

 

「ああくそ、強いなぁ…!?」

 

これは認めないといけない。

仮面ライダーディエンドの強さを認めなくてはならない。

非常に屈辱的ではあるが、今の或斗よりディエンドの方が強いという事を認めなくてはならない。

だがそれは当たり前の事だった。

或斗はただライダー召喚能力に頼るしか能が無い惰弱なライダーとしてしかディエンドを見ていなかった。

だがそれは多いなる過ちであったのだ。

考えてみれば仮にもあのディケイド―――門矢士と顔見知りだという時点でそれなりの視線は潜ってきたはずなのだ。それを「あり得ない事」だと断じたのは他でもない自分自身の「海東を見る」目だ。

あんな狡い男が尊敬する父や、なんやかんや言いながら手助けしてくれるディケイドと同列だと信じたくなかっただけ。

そんな事では目の前の相手を倒せないと分かっていたのに。

 

「ああ…もう!」

 

今はその事を後悔する時間は無い。

なりふり構わずに勝ちにいかなければいくらスペックで勝っていても負けてしまう。

 

「明石!ごめん!僕―――」

 

だからせめて一言。

この演習において一番の立役者であるこの演習場に改修したKAN-SEN―――明石に一言謝罪しておく。

 

「―――この演習場を()()!」

「―――に゛ゃッ!?」

 

この場所はいつもKAN-SENが使用する演習場に急ピッチで床を張ったに過ぎない。

つまりは床の下には水面が広がっている。

 

「それだけは勘弁―――いや、思いっきりやるにゃ!」

 

何と意外な事にこの演習場の作成者である明石からの許可が出た。

どうせこの演習で負けた方にここの修復を行わせるつもりだろう。

―――実費で。

だがそれはそれ、これはこれだ。

 

「この床を―――ぶっ潰す!」

 

『GUN-RIZE!』

『ゼロワンオーソライズ』

 

オーソライズバスターをアックスモードからガンモードに変形させる。

確かにアックスモードの方が或斗にとっては取り回しやすいが、広範囲を破壊するという単純な目的ならガンモードの方が適切だ。

そのままオーソライザーにオーソライズバスターを認証させると隙をさらさぬように一瞬で銃口を地面へとつける。

 

「悪いね。僕は―――敵に手加減できるほど甘くはないよ!」

『ゼロワン!ダスト!』

 

或斗は自分が巻き込まれることも厭わずに引き金を引く。

バッタの形をしたエネルギーが床を突き抜け演習場に大きな水柱を立てる。

 

「見つけた―――」

 

水柱だったものが降り注ぐ中不自然な形で水が避けていく場所が一つ。

 

「まさか容赦なく母港の施設を破壊するとはね。今、この場では士よりも君の方がよっぽど破壊者してるんじゃないかな?」

「すべてを破壊し、全てを繋げってね!少なくともお前の居場所を炙り出せたんだ。―――これでもう光学迷彩的なソレは意味ないんじゃない?」

 

ゆっくりと空間がぼやけその男が姿を現す。

シアン色のベーススーツにバーコードのような線が何本も走っているそのライダーの名は―――。

 

「仮面ライダーディエンド!ここが最終ラウンドだッ!」

 

ライジングホッパープログライズキーを腰についているプログライズキーホルダーから取り外す。

素早く五回、オーソライザーに認証させた。

一方のディエンドも今までのカードとは違う金色の絵柄が描かれたカードを取り出し、ネオディエンドライバーに装填する。

 

『GIGA-RIZE!』

『Final-Atack-Ride…!』

 

既に互いの全力の一撃は放てる状態にある。

しかし或斗は近づかなければ最大級の一撃を喰らわせることができない。

だがディエンドは或斗に向けてその銃口を向ける。

これは射程距離の問題だ。

あともう少し。

あともう少しなのだ。あともう少しなのに届かない。

 

「最後の炙り出しは認めてあげよう。だけど―――」

 

ディエンドはかちり、と引き金を引いた。

 

「ゲームオーバーだ。飛電或斗。」

 

『DI・DI・DI・DIEND!』

 

ネオディエンドライバーから放たれる極太の光線は簡単にゼロワンの全身を飲み込み―――

光線が止んだ時、そこには一片たりとも飛電或斗は存在していなかった。

ゼロワンの装甲片すらも残っていない。

 

「…跡形もなく消し飛んだようだね。」

 

飛電或斗はこの世から肉片一つ残らず掻き消えた。

それが海東が見た世界。

だが。

 

「誰が跡形もなく消し飛んだって?」

「何!?」

 

飛電或斗は生きていた。

既にゼロ距離にまで近づかれている。

それは正に不可避の速攻。

誰にも止められない閃光の本気。

その一撃はゼロワンドライバーに装填されたシャイニングホッパーキーを押し込むことで発動する。

 

「これでも喰らえ!」

 

ディエンドの必殺をはるかに超えるゼロワンの一撃がディエンドを大きく吹っ飛ばした。

しかしながらそれでは終わらない。

シャイニングホッパーは0.01秒という短い間におよそ二万五千通りの予測を行う。

それを以てすれば次にディエンドが何処に吹っ飛ぶかを予測することは朝飯前だ。

つまりは()()()()()()()()()()()()()()がディエンドに襲い掛かる。

 

それを二度、三度と繰り返せばディエンドは既に遥か上空にまで打ち上げられていた。

 

「これで、ど、う、だァアアァァアぁあぁぁあッ!」

 

『シャイニング!ギガ!インパクト!』

 

その一撃はディエンドを海面に叩きつけた。

衝撃に耐えられなかったのか水柱と共に爆炎が上がる。

海面には満身創痍の海東大樹が浮かんでいた。

流石に死なせるわけにはいかないので、手早く大きなヒヨコの見た目をした機械―――通称饅頭が操作するボードで海東を引っ張り揚げる。

 

「終わったな…。」

 

こうして母港の今後を賭けた一戦は無事に或斗の勝利で幕を閉じた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

100:ヘルライジング転生指揮官

ッシャオラァ!

海東がなんぼのもんじゃい!

 

101:名無しの転生指揮官

それにしても最後の回避は痺れたよなぁ…。

 

102:名無しの転生指揮官

なんとなくゴンさん味を感じた

 

103:名無しの転生指揮官

This way...

 

104:名無しの転生指揮官

First is Rock...

 

105:名無しの転生指揮官

それにしても人間相手に容赦なくシャイニングギガインパクト叩き込んだな

 

106:ヘルライジング転生指揮官

まぁいいでしょ。

 

 

 

 

どうせ海東さんは暫く皆に好き勝手使われるし。

 

107:名無しの転生指揮官

どういう…ことだ…?

 

108:名無しの転生指揮官

まるで意味が分からんぞ!?

 

109:決闘蟹転生指揮官

おい、経緯を説明しろよ

 

110:超次元蹴球指揮官

どういうことだってばよ!?

 

111:カードゲーマー指揮官

大体わかった。(分かってない)

 

112:名無しの転生指揮官

はよ説明しろやww

 

113:ヘルライジング転生指揮官

えっとね。

まずなんかこの演習で負けたらこの母港の一員になるんだって契約があって。

それで俺に負けたんだよねあの人。

だから母港の仲間入りが決まったんだけど―――なんか罰がないと納得できないでしょ?

というわけでしばらくは反省の意味を込めて睡眠時間8時間、食事、トイレ、風呂以外休憩なしで働くことになったんや。

もちろん監視付きだからサボれないよ!

 

114:名無しの転生指揮官

うわぁブラック。

 

115:名無しの転生指揮官

うんまぁ…これ多分あれだよね?

 

だいぶ譲歩してるよね?衛星アークを異世界に持ち出しそうになったって時点で極刑ものだもんね?

 

116:名無しの転生指揮官

ちなみに期間はどれくらいなん?

 

117:ヘルライジング転生指揮官

>>116

聞いて驚け。

無  期  限  だ(反省するまで)

 

118:名無しの転生指揮官

あかん。

過労で死ぬんじゃね?

 

119:ヘルライジング転生指揮官

まぁ監視付きとはいえ週休二日あるんですけどね!

 

120:名無しの転生指揮官

は?

 

121:名無しの転生指揮官

は?

 

122:名無しの転生指揮官

は?

 

123:名無しの転生指揮官

は?

 

124:名無しの転生指揮官

許さねぇぞディエンドォォォォ!

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「ざまぁないな、海東。世界を巡る怪盗様が下働きとは。」

「静かにしたまえ、士。そもそもなんで君と僕とでここまで扱いに差があるのか理解しかねるね。」

「まぁ第一印象、だろうな。」

 

 

海東は怪盗と言っていた割には割と真面目に奉仕活動を行っていた。

その様子を士にからかわれるがそもそもこの男も異世界からやってきたはずだ。

それなのにこの扱いの差は何なのか。

 

「まさかお宝を盗もうとしただけでこんなことになるなんてね。しばらくは大人しくしてるさ。」

「ならいい。―――次は…なんだこの依頼は。」

 

海東の監視役でもあり、仕事の斡旋人でもある士が困惑した声を上げる。

どうやら次の仕事は彼にすら理解できないようだ、

 

「ロイヤル寮の食堂にて未知の生物が誕生…?至急応援求む…だと?行くぞ、海東。」

「…全くこの母港は…」

 

そう言って二人は並んで歩きだす。

しばらく歩いていると青い髪を揺らす少女から怪訝な目で見られてしまう。

 

「ちょっと。プロデューサーさんから離れて下さい。胡散臭いのが移ってしまいそうですから。」

「如月。今日は俺がコイツの子守だって言っただろ?」

「でもその人がこの母港に迷惑かけたのは変わらないじゃないですか?」

「だな。」

 

好き勝手言われるがこれも飛電或斗を侮った自分への戒めとして我慢しよう。

 

桜舞う母港に印象最悪な人物が加わった。

その男の名は海東大樹。

元・世界を巡る怪盗で現・小間使い。

そして今の仮面ライダーディエンドでもあり、仮面ライダーディケイドの知り合いでもある。

そして何よりも門矢士という人間を追う者といて、彼との腐れ縁はこの世界でも続いていく。

この男は少年少女たちの母港に何をもたらすのか。

それはまだ誰も知らない未来の話である。

 

 




登場人物紹介

・飛電或斗/仮面ライダーゼロワン
海東大樹を倒した。
シャイニングホッパーの性能の限界を最後の最後に大きく超えた。

・海東大樹/仮面ライダーディエンド
飛電或斗に敗北。
怪盗から小間使いにジョブチェンジした。

・門矢士/仮面ライダーディケイド
海東の監視役になった。
永遠の11歳曰く「適任」なんだそうで。

・明石
身銭切って作った演習場を破壊される。

・如月千早
海東への好感度は「失望」な模様


今回この章は完結します。
というわけで次回から並行世界【遊星】編が始まります。
あのメ蟹ックがアズレン世界でどんな活躍をするのか乞うご期待!


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Across the Duelists
決闘(デュエル)から始まる異世界見聞録


【遊星】編始まります。


その男は多数の少女たちに見守られてその場に立っていた。

その男の顔には特徴的なペイントが施されている。

本来ならそれは犯罪者の証だ。

だがその男のソレは英雄の証であった。

この世界の未来を守った英雄にしてこの世界の中核を()()()()()もの―――決闘(デュエル)において最強とも言われる男。

 

「皆揃ったな。改めて()()()の不動遊星だ。よろしく頼む。」

 

その男の名は不動遊星。この世界において数少ない指揮官であり、初代WRGPの覇者でもある。

 

「今回の作戦目標はネオ童実野シティ近海に生まれた鏡面海域の調査、制圧だ。出撃するメンバーは――――」

 

遊星は手元にタブレットを持ち、プロジェクターを用いて少女たちに作戦の概要を説明していく。少女たちに意見が無いかを確認するもいつもの通り反論が上がらない。

これは自分への信頼の現れとしていいかは少々悩むところではあるのだが。

 

「今回は鏡面海域での任務のために現地に俺もついていく。従ってこの母港には代理の指揮官を立てることになるが―――」

 

遊星は扉の方をみやる。

そこには一組の男女が立っていた。

一人の男はかつて世界の強豪チーム相手に連勝を重ねたというクロウ・ホーガン。

もう一人は赤い髪が特徴的な、そして世界でも有数の腕を持つ医者として有名な十六夜アキその人であった。

 

「今回はこの二人だけだ。―――まぁ、二人の紹介はもう必要ないな?」

 

その言葉にうなずきで返答する少女達。

その様子を一通り確認すると遊星はアキとクロウの二人に目を向けた。

二人はその視線にうなずきで返すと、遊星は満足したように話を切り上げた。

 

「…ところで指揮官様。一つ質問しても?」

「どうしたフッド。任務に対する質問か?」

「いえ…。いつも十六夜様とクロウ様と一緒にいらっしゃるジャック様と鬼柳様の姿が見当たらないのですが。」

 

そういえば言ってなかったかと遊星は思い返した。

あの二人が行った場所は―――と資料を見て苦笑した。

 

「ジャックはこの作戦に参加しないKAN-SENを連れて満足町(サティスファクションタウン)に行っている。鬼柳はジャック待ちだな。」

 

満足町(サティスファクションタウン)。かつては決闘が支配する無法者の町だった場所だ。

今は鬼柳京介が治めている町だ。

ジャックはこの世界が平和だった頃は名うての決闘者(デュエリスト)だった。

今ではこの母港の委託組の引率として遊星を支えていた。

といっても、彼女たちがピンチになればすぐにDホイールで駆け付ける辺りはさすがジャックと言ったところだが。

 

「というわけだ。皆、準備はいいな?作戦の開始は本日15時。参加するメンバーは遅れないようにしてくれ。」

 

その号令を最後にこのブリーフィングは終了。

少女たちが揃って退出していく中、一人の少女が遊星に話しかける。

 

(わたし)が見た夢では其方(あなた)と…飛蝗の少年が…邂逅するであろう…。」

「何だって…?」

 

「飛蝗の少年」―――遊星はその言葉を心にとめて作戦へと向かう。

その脳内にはある少年の顔が浮かんでいた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

『ここまできたら隠し事は無しだ。俺は今から突飛もないことを言うぞ。―――俺には()()の記憶が残ってるんだ…。』

 

WRGP決勝戦の前日。

不動遊星は仲間たちにこの事を暴露した。

冗談というには余りに真剣な表情で話すその姿勢にジャックも、クロウも、自分も、メカニックのブルーノも真剣な面持ちで遊星の次の言葉を待った。

 

『前世ではな、俺達の物語が普通にテレビでやっていてな。俺はこの世界で何が起こるか、ある程度把握はしていた。―――だが、迂闊に行動すればこの世界を崩壊させかねなかった。もしかしたら鬼柳をダークシグナーにせずに済んだのかもしれない。なんならここに居る皆はもっと別の道を歩んでいたかもしれない。』

『何が言いたい?遊星。』

『もし、この話を聞いて俺に失望したり、このチーム5D'sを離脱したいと思ったのなら止めはしない。俺はそれだけ大きな事を隠していたわけだからな。』

 

この話をした遊星の顔は寂しげながらも、決然とした表情だった。

もし本当に離脱しても文句の一言もないだろう。

べつに自分は離脱するつもりはないが、ジャックやクロウが何というか。

 

案の定クロウとジャックは遊星に近づいていった。

もしかしたらこれは―――と思ったところだったが、二人の顔が笑っていたのを見て、制止するのをやめた。

 

『なーに言ってんだ、遊星。』

『そもそもお前が未来を知っていたとしてもオレ達が変わらなければ意味が無いだろう。それに、そんな話誰が信じる?お前は「不動遊星」。それでいいだろう!だから―――』

 

ジャックの一撃が遊星のボディに直撃する。

遊星は衝撃に蹲るが何も反撃も、反論もしない。

 

『これで手打ちだ。―――そんな眉唾物の話でオレ達をこの戦いから遠ざけようとしたお前に対してのな!』

『…すまなかったな。ジャック。』

 

なぜあの一撃を喰らってサムズアップが返せるのだろうか。

やはり自分に男同士の友情は理解できない。

 

十六夜アキは目の前の状況にただ一人ついていくことができずに呆然とするのみだった。

 

 

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「よし、皆準備できたな。行くぞ!」

 

遊星は己のDホイールに改造を施し陸海を走破できるモンスターマシンを完成させていた。

その名も遊星号(セカンド)

特に海上を走破するという面では非常に困難したのだがそこは指揮官。

科学部所属の少女達の協力もあって簡単に改造することができた。

遊星の先導に従って海上を走る少女達。

 

そのまま暫く海上を走行していると辺りに霧が漂い始める。

 

「電波途絶…。指揮官、鏡面海域に到達したようだ。」

「ああ。そうみたいだな…。」

 

この鏡面海域という海域は往々にして世界の敵であるセイレーンの痕跡が残っている場合が多い。

否、セイレーンの実験場と言った方が正しいか。

そんな中一人の少女が手を上げた。

 

「何か戦闘音が聞こえてくる気がしない?」

「…ホーネットの言う通りだな。この海域の何処かで戦闘が行われている―――そんな気配がする。」

 

遊星は正直に彼女の警告に耳を傾けていた。

今回の作戦では軍上層部が満足する結果を出さなくてはならない。

特に鏡面海域では何が起こるか分からないのだ。

 

「もしかしたら余燼が既に行動しているかもしれない。皆、気を引き締めてくれ!」

 

全員が頷くとともに速度を落とす。

そのままゆっくりと戦闘音のなる方へと向かって行った。

 

 

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「ハァッ!」

「そりゃ!」

「そこだ!」

 

三人のライダーは鏡面海域で戦闘を行っていた。

本来はここに門矢士と海東大樹を加えた五人で戦闘を行っているはずだった。しかし余りのセイレーンの多さに二人と分断されてしまい、或斗、瑞鶴、エンタープライズの三人のみで戦闘を行う羽目になってしまった。

全くもって不本意な戦いは三人に()()()()()()()事すら気づかせなかったのだ。

 

「…この感じ…まさかとは思うけど…。」

 

最初に違和感に気づいたのは或斗。

シャイニングホッパーのデメリット(きんにくつう)を恐れてライジングホッパーへとフォームチェンジを敢行しようとする。

しかしながら起動状態のキーを読み込んでも中々ライジングホッパーはやってこなかった。

やってきたのはオーソライズ完了から数分後。空間を突き破ってやってきたのである。

 

「…おい、お届け物だ。」

「感謝したまえよ。」

 

ライジングホッパーが空間を破ると同時に二人のライダーが飛び出してくる。

マゼンタ色のディケイドとシアン色のディエンド。

どうやらその手にはシャインシステムで覆われたゼロツーキーとゼロツードライバーがあった。

 

「…異世界宅急便…?」

「…気づいていたのか…。」

「珍しいね。僕たち以外で世界の移動に気づけるなんて。」

 

だってほら―――と曖昧な言葉でごまかす或斗。

 

「―――バッタちゃん中々来なかったし?」

「…なるほど。そのままの世界なら鏡面海域であろうとすぐにライダモデルはやってくる。そこに目を付けたというわけか。なるほどな。こいつは一本取られた。」

 

結局は世界の移動を感知できた理由をゲロった訳だが。

 

「それにしても…この世界。俺達の異物感がすごいな。」

「そうだね。世界が僕たちを認めていないというか。」

「俺達は恐らくこの鏡面海域外には出れないだろう。…何が起こるか分からないからな。」

 

或斗はここで、はて、と疑問を抱く。

オーロラカーテンは自分たちの世界と千早達の世界以外には繋がらなくなったのではなかったのか、と。

 

「…そこに関しては"鏡面海域"というものが持つ特異性だな。」

「…特異性?」

「セイレーンの実験場みたいなだろ?おかげで次元の壁があやふやなんだ。だから空間が割れたりするし、何かの弾みで異世界に飛ばされることだってある。俺の場合はセイレーンの実験場の機能に無理矢理"指向性"を持たせた感じになっているな。」

「…なるほど。つまり二人は―――」

「ああ。この世界の異物。この世界は俺達の存在を否定する。ここから一歩でも外に出たらそれこそ「余燼」とやらに目を付けられて終わりなんじゃないか?この世界では色々と制限されるみたいだしな。…逆にお前たちはこの世界に"取り込まれた"から多分そう簡単には帰れないぞ。」

 

恐らくは暫くはこちらの世界で過ごすことになる。

それが門矢士の出した結論だった。

それと同時に士たちの実体がぶれ始める。

 

「どうやらお別れのようだな。―――ちゃんと生きろよ。」

 

士と海東の存在が、消えた。

それと同時に現れる無数の自我の薄い人型セイレーン達。

 

「皆、始めるよ!」

 

或斗―――仮面ライダーゼロワンはオーソライズバスターを。

瑞鶴―――仮面ライダー迅はスラッシュライザーを。

エンタープライズ―――仮面ライダーバルカンはショットライザーを構える。

 

「一人で100体位斃せばいけるか…?」

「上等!斬りまくってやるわよ!」

「ああ。何体でも行けるぞ!」

 

そして三人はそれぞれの得物を構えてセイレーンの群れへと突入した。

 

 

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不動遊星が率いる艦隊が戦場に着いたとき、そこはまさに地獄絵図であった。

ただし、その地獄はセイレーンのものであったが。

閃光が駆け、炎の斬撃が飛び、銃弾が敵を喰らう。

その光景に思わず遊星は呟いてしまった。

 

「どういう…ことだ…?」

 

きっとこれは誰だって困惑するパターンのものだ。

流石の遊星も理解が何一つ追いつかない。

何故、斬撃が飛ぶのか、何故、銃口から狼が射出されるのか、何故、あんな瞬間移動じみた行動ができるのか。

きっとそれはこの場に誰が居ても変わらなかったものだろう。

それほどまでにこの状況は混沌としたものだった。

だが、一つだけ分かるのはリーダーと思わしき、斧を振るう者が遊星の方をちらりと見た事。

その後、少しづつ戦線を押し上げ、自分達に危険が舞いこまない様に振舞い始めた。

 

少なくとも味方。

 

その判断を下した遊星は加勢するべく少女たちに指示を出し始めた。

今自分は動くことはできない。

それは自分の攻撃は少なくともあそこにいる彼らを巻き込んでしまうから。

その事を知っている少女たちは何一つ疑うことなくその指示に従う。

あの苛烈な猛攻の中に自分の身を晒したくないというのが真実だろうが。

 

そして、ついにセイレーンの群れは駆逐された。

およそ一時間。

300体近くものセイレーンを屠るのにかかった時間である。

 

「ふう…。こんな状態ですみません…。すこしばかりこのままでいてもよろしいでしょうか?」

「ああ。ここは鏡面海域だ。何が起こるか分からない―――。だが、お前たちが何者なのか俺は知らない。だから、一旦俺に付いてきてもらいたいが…いいか?」

「ええ。今はゼロワンとでも。」

「ああ。分かった。これからゼロワンとともに母港へ帰還する!」

 

その後、鏡面海域で合流した者達と共に遊星は母港へ帰還した。

遊星の中に一つの疑問を残しながらも帰りには何も起きなかったのだった。

 

 

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「初めまして、飛電或斗です。セイレーンのせいで仮面ライダーゼロワンにならざるを得なくなった九歳児です。父の夢と、僕の夢を追い掛けるため、そしてセイレーンをぶっ潰すためにゼロワンの力は必要なので他の二人を責めないであげてください。」

 

母港につくや否や、ゼロワンは少年へと姿を変える。

その腰部にはゼロワンの時と同じベルトが付いており、彼がゼロワンの正体であると看破するのは余りにも簡単だった。

続けて、他の二人も変身解除するが、その姿は遊星もよく知っている存在だった。

 

「瑞鶴に…エンタープライズ、か。」

 

実の所、遊星は或斗が戦っているという事はそんなに驚かなかった。

見た目だけで言えば睦月や三日月といった或斗よりも幼い物も多いからだ。

 

「…三人とも、事情は後で聞く。今はゆっくり体を休めると良い。」

「…ああ。そうさせてもらおう。色々あって混乱しているから考えを纏める時間も欲しかったしな。」

 

そう言うと、二人は他の少女たちの後についていく。

軽い案内の後に、空いている部屋があてがわれることになるだろう。

 

そしてそれを見送った遊星は一人、残った或斗の方を見る。

 

「…貴方が"決闘蟹"さんでいいですかね…?」

「蟹呼びはやめてくれないか…?」

 

この発言で確信を持てた。

この少年は何が起こったかは分からないがひょんなことからこの世界に迷い込んだらしい。

 

「…ここで会ったのも何かの縁だ。まずは母港を案内しよう。或斗の世界とは色々違っているだろうしな。」

「お気遣い、感謝します。」

 

こうして、決闘者と仮面ライダーは交わった。

それは新たな混沌とした日々の幕開けの始まりに過ぎなかったのである。




登場人物紹介

・飛電或斗/仮面ライダーゼロワン
セイレーン+何かで並行世界へと転移した。
持っているキーはホッパー系統とバイティングシャーク

・瑞鶴/仮面ライダー迅
或斗と共に並行世界に転移

・エンタープライズ/仮面ライダーバルカン
或斗と共に並行世界へ転移

・不動遊星/決闘蟹転生指揮官
転生者であり、決闘者でもあり、指揮官。
一応遊戯王5D'sの戦いは乗り越えていて「オーバー・トップ・クリア・マインド」の境地に至っている。



というわけで並行世界【遊星】編始まりです。
あくまで主人公たちは出さないといけないので主要人物だけを転移させました。
転生者なので遊星君はほんの少し口が良かったり悪かったりしますが気にしないでください。


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Rebootする社長

話が死ぬほど思いつかなかったところに神復活の知らせ。
ゼロワン世界と地続きになっているのがこのアズレンの世界なので当然社長(ヒューマギア)も登場する。
じゃあ社長も登場させるしかないな、と。というわけで。
社長(ヒューマギア)の登場です!




 

「或斗が行方不明…?どういうことだ!?」

 

ボルチモアは開口一番にそう叫んだ。なんやかんやで或斗と仲の良かった彼女はこの場に居る誰よりも或斗の事を心配していた。

一緒に行方不明になったエンタープライズや瑞鶴の強さは知っているし、よしんば変身できなくてもセイレーンの下位端末程度ならば二人なら簡単に沈められるだろう。

だが、飛電或斗という一人の少年は別だ。

彼は変身できなければ何の能力も持たないただの一般人。

そんな彼がもし変身を解除されてそれで変身できなければどうなってしまうのか。それは言うまでもなく「死」を意味する。

 

「…鏡面海域というのはいつも()()なのか?」

「私達もセイレーンの実験場であるという事しか知りません。」

「…そうね。機能を司る場所を抑えれば私達でも使えないことは無いけれど…。」

「それは難しいんだな?」

 

士の問いに頷いたのは鉄血所属のプリンツ・オイゲン。彼女は、そのまま鉄血が今まで調べえた全てを話した。

 

「詳細を知れたのは鏡面海域に放置された実験場があったからよ。それが仕組まれたものなのか、本当に偶然なのかは分からないけど。」

「…じゃあ放置されていない実験場は…。」

「確実にセイレーンの個体―――オブザーバーとかならましな方で、アビータとかエンプレスとかいるかもしれないわね。」

 

さらりと言ってのけるオイゲンにそれを黙って聞く士。

結局の所、重要なのは或斗が何処へ行ったか、だ。士や海東のオーロラカーテンではごく限られた世界にしか移動できなくなってしまったし、飛電或人に或斗の居場所を探って乗らう事しかできない。

 

「…俺達にできるのはアイツのいる場所を守る事だけか…。」

「歯痒い、ですね…。」

 

仮面ライダーの力は苦しむ誰かを救うためにあるのではないのか。今、飛電或斗は苦しんでいるのではないのか。

 

『―――緊急事態だ!見張りをしていた子から連絡があって…何か機械の軍勢が大挙して押し寄せているみたいだぞ!?』

 

しかし、そんな思考に耽っていた士を現実に引き戻したのは、スピーカーから響き渡るクリーブランドの焦った声だった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「あいつらは…トリバロイドマギアに…バトルレイダー…だと?」

 

海の果てから文字通り波となってやってくる機械の群れ。その大半はトリバロイドマギアという無辜のヒューマギアが無理矢理改変された姿である。滅亡迅雷が滅びていてもその技術までは失われなかったのか、はたまた何かしらの手段でトリバロイドマギアを作ったのかは分からない。いずれにせよ或人が見たら激昂しそうな光景ではある。

しかし問題はそこではない。人間が変身するはずのバトルレイダーがその群れの中にぽつぽつと混じっているのが問題なのだ。

 

「どうやってプログライズキーを生成したか、が問題だな。人工知能アークはセイレーンの手に堕ちたとみるべきか…?」

 

とにかく、状況は分からないが、そこまで良い物でもないのは確かだ。むしろ最悪と言って過言ではないだろう。

 

「やるしかないか…海東、行くぞ!―――変身!」

「…任せたまえよ。」

 

『KAMEN-RIDE』

 

『DECADE!』

 

「…変身。」

 

『KAMEN-RIDE』

 

『DI! END!』

 

士はディケイドへとその姿を変え、海東はディエンドにその姿を変える。今、マギアとレイダーの群れに対抗できるのディケイドとディエンドのただ二人だけ。

 

「おおおお!」

「はぁっ!」

 

ディケイドがライドブッカーで切り込み、ディエンドが銃でそれを援護する。しかしながら如何せん数が多い。数多くのバトルマギアとバトルレイダーはKAN-SEN達目掛けて一斉に牙を剥いた。

 

「数が…多すぎる…!」

「セイレーンはここまでの技術力を保持していたのか…?」

 

それどころか数が多くなっているようにも見える。このままではジリ貧もいいところだ。最悪の場合母港の内の一つが陥落してしまうかもしれない。

それは仮面ライダーたる二人にとっては避けたい事実ではある。

 

「くそっ…!」

 

これならば最初から21になっておくべきだったかと自身の判断を誤ったが故の苦境にディケイドは歯噛みをしてしまう。

 

「せめてこんな時に仮面ライダーが居ればな…。」

「流石に三人も行方不明はダメだと思うけど…ね!」

「口動かしてる暇もない…か!」

 

二人の仮面ライダーは戦い続ける。果ての無い戦いは何処まで続くのか、それは誰にも分からない。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「貴方は…。」

「私は天津垓。今となっては大した肩書ではないがサウザンインテリオンの社長だ。」

 

大量のレイダー襲来から少し前、ビスマルクは母港の外でとある人物と出会っていた。今ではすっかり年を取ってしまったがそのトレードマークの白いスーツはよく見覚えのある物だ。

その男の名は天津垓。かつて飛電インテリジェンスの愛ゆえに暴走し、飛電或人と対立、その後は和解し飛電或人らとともに人工知能アークやシンクネットと戦った男だ。

 

「…どうやらセイレーンにレイドライザーやゼツメライザー。それに一部のプログライズキーやゼツメライズキーのでデータが盗まれたみたいでね…。私は既に変身して戦える体ではないから、君二つほど託しに来た。」

「この二つは…。」

「そう。サウザンドライバーと、後はあるヒューマギアのデータが保存されたプログライズキーだ。」

「…それはいいとして、あるヒューマギア、とは?」

「親愛なる社長さ。…歴史の裏に葬られた、ね。」

 

机に置かれたアタッシュケースの中身を見せながら天津垓は語る。特に慎重に扱っていたのは自身の使っていたサウザンドライバーや二つのキーではなく、天津垓曰く「親愛なる社長」のデータが入ったプログライズキーであった。それだけ天津垓がその人物の事を大切に思っているか、それとも相当目覚めさせたくない人物か。

後者ならば相当な皮肉であるが。

 

「とりあえず、渡すべきものは渡した。…私も時折顔を出すよ。或人社長の忘れ形見の事もあるしね。…ところで或斗君は今どこに…?」

「…消えた。鏡面海域でどこかに飛ばされた、と思うわ。」

 

天津垓はなんとはなしに或斗に話題を振ってみた。セイレーンが現れてから早数十年。ミズホの神秘と呼ばれるものの影響を受けて日本―――重桜(じゅうおう)は変わった。それでも変わらないものだってある。それは人としての弱さだったり、心の強さだったり、と人としての本質は何ら変わっていない。

それはきっとKAN-SENである彼女達も同じだろう。ヒューマギアに心があるように、彼女たちは兵器だのなんだのと言われても、大切な友人である或斗を心配する一人の少女だ。

流石に行方不明なのは聞いていなかったので、天津垓は沈む彼女に謝罪をする。

 

「ああ、そうだったのか…すまない。」

「貴方に悪気が無いことは分かっているわ。…或人社長と貴方と或斗が笑ってる画像があったもの。」

「…そうか。私は行くよ。…ああでも最後に。」

 

天津垓は去り際にあることを言い残した。それはビスマルクにとって衝撃的で、世界の根幹からひっくり返るような言葉だった。

 

「人工知能ゼイン―――善意には気を付けるんだ。もちろん悪意にも。どちらも振り切れれば人間にとって害になるからね。」

 

そうして、天津垓は母港から去っていった。善意が害になる―――その言葉を頭の中で繰り返すビスマルクの前にはヒューマギアの素体が残されていた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

『FINAL-ATACK-RIDE』

 

『DE-DE-DE-DECADE!』

 

「ぜりゃぁぁぁ!」

 

裂帛の気合と共にライドブッカーを振り回す士。勿論闇雲に振るっているわけではなく相手の弱点を読んで斬っているわけだが。足元には物言わぬ骸が転がっている。これは共に迎撃に出ている赤城によればエクゼキューターシリーズと呼ばれる人型だが人格のない、いわば肉人形みたいな存在であるらしい。無論セイレーンなので撃滅対象ではあるのだが人を守る仮面ライダーである士にとって光を失った少女の骸がそこら辺に転がっているというのは何とも耐え難いものがある。

 

「気にしていても仕方が無い、か!」

 

だがそれも人類の敵というのなら我慢は出来る。何せここは戦場だ。弱かったら命を奪われてしまうのだから。

だがいくら強くともひっくり返せないものもある。―――それは人数差だ。

余りの長時間の戦闘により手中が切れてしまい、その一瞬の隙を突かれて防衛線を突破。複数のマギアとバトルレイダーが母港に襲い掛かる。

 

「応戦…しなきゃ…!」

 

明らかに人外のものと戦う事は初めてなのか、それともここまで攻め込まれる恐怖か。応戦するために艤装を構える事を忘れてしまったかのようなKAN-SENがそこには居た。流石に徒手空拳では流石に勝てないだろう。

 

「…シュペー!」

 

バトルレイダーの進路を遮るようにして一人の少女が立つ。それは大きなかぎ爪が印象的なアドミラル・グラーフ・シュペーという名のKAN-SENだった。彼女の姉であるドイッチュラントはこれから少女に襲い掛かる悲劇を防ごうとして二人の間に割って入ろうとする。

 

『ゲンム!クリティカルフィナーレ!』

『THOUSAND DESTRACTION!』

©ZAIAエンタープライズ

 

だが、シュペーに死は襲い掛かることは無かった。何故なら黄金と紫のニ条の流星が瞬く間に敵を殲滅したから。黄金の流星―――仮面ライダーサウザーはもう一人のシュペーに向かって声を掛ける。

 

「シュペー、大丈夫か?」

「うん…。ありがとうビスマルクさん。」

「…どういたしまして。…来るわよ!」

 

だがビスマルクが構えた眼前でいきなり敵が吹っ飛んだ。その中心には自身のドライバーに手を掛けているライダーが居る。

 

「あの人は…?」

「ああ、彼は…。」

「私の名前か…?私の名前は壇、黎斗。幻夢コーポレーションの社長にして…(くぁみ)だァ!」

「…は?」

 

戦場の時間が一瞬停止した気がした。




登場人物紹介

・ビスマルク/仮面ライダーサウザー
登場。色々と研究してるしちょうどいいかなって。

・壇黎斗(ヒューマギア)
今作ではゲンムズの黎斗ではなく数あるバックアップの内の一体がオリジナルの記憶を受け継いで現れた形になった。幻夢無双がシャットも所持してる『エグゼイド』本編の黎斗と考えてもらったほうが良いかも。オリジナルの顛末は知ってるけどなんでそうなったん?って感じ。

ストーリーが全く思い付きませんでした。いい加減或斗側も進めないと…


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