ドラゴンボールアフター 襲来!地球の魔人アース!! 前編 (ねこづき)
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ドラゴンボールアフター 襲来!地球の魔人アース!!前編

初めまして。初投稿となります!
舞台は邪悪龍との戦いから数年後の世界。ベジータは悟空が居なくても地球を守れるための力を身につけるため、悟空との別れの日からずっと修行をしてきました。

また、悟空は悟空で神龍や邪悪龍の住む神龍世界(しんりゅうせかい)というところで修行をしています。

本作品は前編、中編、後編の三部作となっています。

GT以外の作品との繋がりに関してですが、ドラゴンボール超や映画、『神と神』との繋がりはありません。その他Zの映画とは基本的には繋がっていません。

独自の設定がありますので、苦手な方はご控えください。
誠に図々しいですが、漫画や動画化など、待ってます笑

拙い文章ではありますが、お楽しみください。


はるか昔、太陽系にひとつの星が産まれた。その名を、「地球」。

 

これまで、地球では幾多の激しい戦いが繰り広げられてきた。ピッコロ大魔王との戦い、サイヤ人の襲来、セルや魔人ブウの出現。更には、ベビーや邪悪龍の誕生により、地球は何度も窮地に陥ってきた。

 

そんな地球を救ってきたのは、孫悟空を初めとする、多くの戦士達である。

 

邪悪龍との戦いが終わり、孫悟空は行方不明になっていた。一方で、地球ではしばらく平和が続いていた。

 

「はぁぁぁぁっ!!!」

 

50倍の重力がかかるトレーニング室で、男がトレーニングをしている。ベジータだ。昔から変わらない、ぴっちりとした青い戦闘服には汗が染み込んでいる。

 

「はぁっ、はぁっ…今日はこんなものだな…」

 

ベジータの脳裏には、消えたライバル、孫悟空の顔が浮かび上がる。

気のせいなのか、最近は悟空に似た気を感じることがある。そのせいで、悟空のことを思い出してしまうのだ。

 

「カカロット…貴様を超える…貴様がいなくてもいいようにな。はぁっっ!!」

 

ベジータは気を貯めて放出する。髪の毛が金色に変化し、稲妻を放つ。

 

「俺はサイヤ人の王子だ…!!」

 

ベジータは変身を解き、重力室から出ていく。

ちょうど部屋の前には、息子のトランクスがいた。どうやら孫悟空の息子、孫悟天を連れているようだ。

 

「あ、父さん。また修行ですか?」

 

「ベジータさんも物好きだよな〜。こんなに平和なのに。」

 

悟天は窓を開けて晴天の空を見ながら言う。

 

「お前たち…邪悪龍との戦いを忘れたのか。」

 

ベジータは拳に力を込める。

トランクスはベジータの感情を察し、悟天の頭を殴る。

 

「悟天!余計なことを言うな!」

 

「イチチ…冗談ですよ!」

 

「ちっ。まあいい。オレは寝てくる。」

 

寝室に向かったベジータに手を振りながら、悟天はトランクスに耳打ちする。

 

「ベジータさん、機嫌悪いの?」

 

「最近はいつもこうだよ。邪悪龍との戦いが終わってから、ずっと特訓してるぜ。」

 

「うひゃー。すごいね。ま、うちとは違って働かなくていいもんな〜。」

 

「…おまえ、それ馬鹿にしてるだろ。」

 

 

 

寝室に向かったベジータ。毎日の特訓の疲れが響いたのか、ウトウトと眠ってしまう。

 

「…はっ!」

 

夢の中で突然目が開く。ベジータがいるこの夢の中は、白く、何も無い。精神と時の部屋に似ている。

 

「どこだここは…」

 

「久しぶりだなぁ。ベジータ!」

 

懐かしい声。振り返るとそこには、孫悟空がいた。

 

「カ、カカロット…!フン、まさか貴様を夢にまで見るとはな。」

 

「ははは。ベジータおめぇ、夢だと思ってんな?夢じゃねえぞ。」

 

悟空が笑いながらそう言うと、向かい合う2人の間に、地球が現れる。

 

「これは、地球?なんのつもりだ。カカロット。」

 

「実はな、おめぇに話があるんだ。」

 

「なんだ?くだらない話だったらぶっ飛ばすぞ。」

 

久しぶりの会話だったが、ベジータの言葉使いは変わらない。

 

「また地球がやべぇんだ。」

 

「何?」

 

「地球の中心から、とてつもない気が発生してる。何者なのかはわかんねぇけんど、とにかく危ない気なんだ。」

 

悟空の話に合わせて、真ん中の地球が半分に割れ、その中心から禍々しいオーラが発せられている。

ベジータは腕を組みながら質問する。

 

「…この気の主は誰なんだ?」

 

「よくわかんねえんだけんど、神龍が言うにはな。地球には、記憶があるらしいんだ。地球上で起こった出来事を記憶しているんだと。もしかすっと、この気は地球の気なのかもしんねえ。」

 

「なるほどな。だからセルやブウ、それに貴様や悟飯の気も感じるのか。」

 

2人が感じた気には、これまで戦ってきた強敵達や、自分たち自信の気に似た物を含んでいた。

 

「こいつが起きちまったらやべえ。少なくとも一ヶ月後には目を覚ますらしい。でもよ、オラは今神龍と一緒に神龍世界(しんりゅうせかい)っちゅうとこにいんだ。そこには邪悪龍やポルンガもいる。ちょっと不思議なとこでよ、オラはすぐにはそっちには向かえねぇし、行けたとしても倒せねぇんかもしんねえ。」

 

「なんだと?!そこまで強いやつなのか…」

 

「…けんどな。おめぇがずっと修行をしてたのは知ってっぞ。へへ。随分強くなったみてぇじゃねぇか。」

 

悟空は嬉しそうに笑顔を見せる。

 

「フン。貴様が出る幕はないぞ。大人しくしてるんだな。」

 

「そりゃどうかな?…頼んだぜ…ベジータ。正直言って、今回のはチャンスだと思ってんだ。悟天やトランクスが成長するためのな…」

 

「…さっさとこの空間から出しやがれ。貴様が心配しなくとも、奴らは俺がしごいてやる。」

 

ベジータがニヤリと笑うのに応じ、悟空が笑う。悟空は右手を握って前に出し、親指を立てる。それと同時にベジータの目が覚めた。

 

「…やってやる。」

 

ベジータはすぐさま飛び立ち、気を探ってトランクスと悟天の居場所へ向かった。

 

「なんか…物凄い勢いで父さんの気が近づいて来る気がんだけど…」

 

「気のせいじゃないよ…来てるよ!!」

 

「うわあああ!!」

 

逃げる2人を一瞬で捕まえ、神殿へ向かうベジータ。神殿には、先に呼んでいた悟飯がやってきていた。

 

「ベジータさん、一体急にどうしたんです?」

 

「一ヶ月後、また脅威が現れる。だからお前たちを鍛えてやるんだ。」

 

「脅威って…ほ、ホントなんですか?」

 

トランクスと悟天は、疑いの目を向ける。ベジータは呆れたようにため息を吐く。

 

「…気を大地に集中させろ。」

 

「え?」

 

「いいからやれ!」

 

「は、はい。………!この気は!」

 

「…お父さんに似てる…しかも兄ちゃんにも…!」

 

「それだけじゃない。うっすらだが、フリーザや邪悪龍、それにピッコロさんの気も感じる…でも、どこか懐かしい…」

 

「これは、地球の気、らしい。地球は、ここ数十年間で成長しすぎたらしい。もっとも、その原因はオレたちのせいだがな。」

 

「ど、どういうことですか?」

 

「俺たちがこの地球で起こしてきた激しい戦いが、長い期間をかけて地球を育てて来てしまったんだろう。」

 

「そ、そんな話誰から…?!」

 

悟飯の質問に、ベジータは即答。

 

「カカロットだ。精神世界で話してきた。」

 

「父さんと!?ほ、ほんとかなぁ…」

 

「でも、父さんのあの顔は本気だ。」

 

「これからはお前たちが地球を守る番なんだ。平和に甘えるな。」

 

「は、はい…」

 

半信半疑のまま、悟飯たちは道着に着替える。

 

すると、どこからか声が聞こえてきた。

 

「おーい、ベジータ。悟空とその話をしたというのは本当かー?」

 

「この声は…界王か。」

 

声の主は、元気玉や界王拳などの技を悟空に教えた界王だった。特徴的な喋り方をするため、ベジータにはすぐに分かった。

 

「何か知ってるのか?」

 

「とーぜんじゃ。忘れてるかもしれんが、わしはすごーい人なんじゃぞ。」

 

「いいから簡単に教えろ。」

 

「…全く、相変わらず偉そうなやつじゃな。いいか?ここ数年で、地球は凄まじい負担がかかりすぎたんじゃ。自然の摂理をねじ曲げてしまうドラゴンボールの力を初め、お前たちサイヤ人やお前たちと戦ってきた敵達の、宇宙を揺るがす程の強大な力によって、地球に存在する記憶は急成長を遂げた。そしてついに、邪悪龍との戦いでマイナスエネルギーに触れた記憶は邪悪龍と同じように具現化し、魔人が生まれてしまったんじゃ。地球の魔人、アースってところかのう。」

 

そのマイナスエネルギーは地球の記憶を黒く、邪悪に染めていった。

地球だけに限らず、他の星でも同じようなことはよくあると、界王が言う。

 

「もっとも、そうなる前に星を破壊するためのに偉い偉い神様がいるんじゃが…また寝ておるのかのぅ。」

 

「神様?まだそんなすごい神様が?」

 

悟飯は見たことの無い神様に少し興味を抱いている。

 

「破壊神っちゅーわしよりもっとえらーーーいえらい神様じゃ。ちとお寝坊さんじゃが。」

 

「おーい界王!そんなこと言ってたらお前さんも消されちまうぞ!」

 

割って入るように、界王よりもっと老いた声が聞こえてくる。この声の主は老界王神だ。

 

「また面倒なことが起きてるようじゃのう。」

 

「老界王神さま!ご無沙汰しています!」

 

悟飯は空に向かって直角にお辞儀する。

 

「お久しぶりです。皆さん。」

 

続けてキビト神の声が聞こえてくる。

 

「地球がまた大変なことになりそうですね。…地球はとんでもなく成長しています。あの魔人ブウや、邪悪龍以上に。放っておけば、宇宙が大変なことになってしまう。出来れば、あなた達に倒して欲しいのです。」

 

「フン。任せておけ。使えない神共に代わってやってやる。」

 

「相変わらず偉そうじゃのう。そんなことを言って、悟空がいない今お前さんたちだけでどうにかなるとは思えんわい!」

 

「!なんだと!!カカロットなど必要ない!」

 

「父さん、落ち着いて!」

 

「ちっ。」

 

「ま、まぁ任せたぞ〜い。」

 

界王の締めの言葉を最後に、3人の声が聞こえなくなる。

 

「地球の記憶…ベジータさん。修行をしましょう!」

 

悟飯は危機感を感じているのか、修行を急かす。

 

「…よし。まずは組手だ。来いトランクス、悟天。」

 

4人は何も無い荒野に向かい、ウォーミングアップを始める。

 

「さぁ。俺を殺すつもりで来い。」

 

「ちぇー。こうなったら、全力で行きますよー!」

 

「悟天、行くぞ!!」

 

「うん!だりゃあっ!!」

 

悟天とトランクスはスーパーサイヤ人に変身し、同時に飛びかかる。

 

「まだまだだな!こんなもんじゃ俺は殺せんぞ!だあっ!!」

 

トランクスの拳を受け止め、悟天の腹に蹴りを入れる。そして、トランクスの腕を引っ張り、頭突きをする。

 

「がはっ!!」

 

「ぐっ!!さすがは父さんだ…スーパーサイヤ人にならなくとも俺たちを軽々といなしている!」

 

「ちくしょー!まだまだァ!」

 

悟天は高速で飛び立ちベジータに殴りかかる。何度も何度も連続でパンチするが、ベジータはそれをすべて受け流し、一回転してハイキックする。

 

「ぐぁっっ!!」

 

「はぁぁぁっ!」

 

隙をついてトランクスの拳が、ベジータの腹部に打ち込まれる。

 

「ぐはあっ!!!」

 

「ギャリック砲!!!!」

 

そのまま腹部にゼロ距離でギャリック砲を撃ち込む。ベジータは吹き飛び、岩に叩きつけられる。

 

「良し!ぶっ飛ばしたぞ!」

 

「だぁっ!!!」

 

ギュインギュインと激しい気が流れる音が鳴り響く。瓦礫の中からジャンプし、空中に浮くベジータの髪は金色に染まっている。

 

「もっと全力で来やがれ!」

 

カッと目を見開き、トランクスの懐に一気に入り込む。

お返しと言わんばかりのアッパーをみぞおちに打ち込み、更にパンチで吹き飛ばす。

 

「ふぅんッッッ!!」

 

「ぐぁぁぁぁっ!!!」

 

「こんなもんじゃ勝てんぞ!!もっと本気でこい!」

 

「スパルタすぎるよ…ベジータさん…」

 

悟天は目をぐるぐると回し、瓦礫の中から這い出てくる。

 

「おい悟飯。おまえも来い。お前も随分と鈍っているみたいだしな。」

 

「は、はい!お願いします!!」

 

1ヶ月後…

 

ベジータによる激しい修行は1ヶ月間休みなく続き、戦士たちの実力は全盛期を上回る程のパワーを取り戻していた。

 

ベジータの招集によって悟飯、悟天、トランクス、ピッコロ、パン、クリリン、そしてブルマやビーデル、18号、チチ、サタンなど、懐かしい顔ぶれが神殿に集まった。

 

「突然地獄から呼び出したと思えば…随分と地上は静かだな。」

 

突然ベジータに呼び出されたピッコロの頭上には、天使の輪が浮いている。

悟飯や悟天達に見せるのが恥ずかしいのか、ずっと気にしている。

 

「ちょ、ちょっとベジータ。あんたが言ってたような化け物、ほんとにでてくるの?」

 

危機と聞かされていたブルマたちは、いつもと変わらない地球の様子とベジータの様子のギャップに困惑していた。

 

「嵐の前の静けさと言うやつだ。」

 

ベジータは腕を組みながら地上を見下ろしている。

 

「ベジータ。お前たちを信頼していない訳では無いが…大丈夫なのか?」

 

ピッコロは何か言いたげな様子だ。

 

「さぁな。貴様も来るか?」

 

「…いや、俺が行ったところで無駄死にするだけだ。俺は遠慮しておこう。」

 

「でもあれから1ヶ月修行して、オレたちだいぶ強くなりましたよ。父さん。」

 

「敵の実力はまだわからないんだ。自惚れるんじゃない。」

 

トランクスのハキハキしていた表情が苦笑いに変わってしまう。

 

一方地球のマントル付近では、一体の魔人が目を覚ました。

 

「…うおおおおお!!」

 

マグマの中で眠る魔人は、目を覚ました。マグマから出て、一気に気を解放する。

呼応するように、ゴゴゴゴと大地が揺れる。

 

「?!」

 

地下から湧き上がる巨大な気に、ベジータだけでなく、悟飯、悟天、トランクス、そして他の仲間たちは一瞬で気付いた。

 

「来るぞ!」

 

大地からマグマが吹き上がり、大爆発を起こす。憎悪にまみれた咆哮が、爆発音と共に響き渡る。

 

マグマの中から魔人が現れるのを見て、ベジータは行くぞと声をかける。

魔人の姿は魔人ブウに似ており、白い髪の毛が生えている。フリーザのような尻尾もついているようだ。

 

「うおおおおおおお!!!!!」

 

ベジータ、トランクス、悟天、悟飯の4人は地上に降り立ち、魔人の目の前に立ち塞がる。

 

「…お前たちは…ベジータ、トランクス、悟天、悟飯…だな?」

 

「俺たちを知ってるのかっ?!」

 

自分たちの名前を指さしながら言う魔人に、悟天は驚く。

 

「こいつは地球の記憶から生まれた魔人だ。当然だろう。」

 

ベジータがそう言うと、魔人は話し始める。

 

「我が名は魔人アース。地球の法則を崩し、俺を生み出したのはお前ら自身だ。だが感謝しているぞ。ここまでの力を俺に与えてくれた事にはな。これで宇宙を支配できる。」

 

「くだらん。俺達が貴様を宇宙のチリにしてやる。行くぞ!!」

 

「はい!父さん!」

 

「はぁぁっ!!!」

 

4人は同時に気を解放し、金色のスーパーサイヤ人へと変身する。

 

「ほう。なかなかのパワーだな。かかってこい。」

 

「舐めやがって。だぁぁぁっ!!!」

 

ベジータは正面から殴ると見せかけ、後ろに高速で回り込む。

 

「はぁぁっ!!」

 

「遅いな。ベジータ。」

 

ベジータの腕をしっぽで掴み、顔面に裏拳を入れる。

 

「ぐぁっ!!」

 

間髪入れず回転しながらキックでぶっ飛ばすと、ベジータは岩盤に激突し、衝撃で岩盤は砕け散った、

 

「父さん!!このォッ!!」

 

トランクスは全力で剣を振りおろし、何度も攻撃するが、その斬撃を全て軽々とかわされてしまう。

 

「当然だが、未来から来たトランクスによく似ているな。面白い。」

 

アースは人差し指に気を込め、トランクスの剣を受け止める。

 

剣と気を纏った指が衝突し、金属と金属がぶつかるような音を何度も鳴らす。

 

「やぁぁぁっ!!」

 

トランクスの渾身の斬撃を弾き返し、手を手刀のような形にしてトランクスに攻撃する。

 

「うわぁぁぁぁっ!!」

 

何とか剣で防御するも、吹き飛ばされてしまう。

 

「兄ちゃん!いくよ!」

 

「悟天!まて!」

 

「だりゃあーッ!!」

 

悟天の激しい攻撃も、アースは簡単にいなす。

 

「悟天。もっと特訓した方がいいぜ。消えた孫悟空も悲しむだろうな。」

 

「なっ?!きさまぁっ!!」

 

舐められた怒った悟天は更に気を高め、パンチのスピードをあげる。悟天の気は稲妻のような気に変わる。

 

「…!力が上がり始めた…!」

 

「スーパーサイヤ人2?!悟天…!強くなったな!よーし!」

 

悟飯は悟天の成長に驚きながら、安心して加勢する。

 

「だりゃりゃりゃりゃ!!!」

 

悟天の強烈な一撃がアースの顔面に入る。

 

「なっ?!」

 

「やぁーっ!!」

 

そのままサマーソルトで吹っ飛ばす。上空には悟飯が待ち構える。

 

「そりゃぁっ!!」

 

両手を握り、ハンマーのようにして殴る。

 

「ぐおおおっ!!!」

 

空に浮く悟飯の隣に、悟天が飛んでくる。

 

「行くぞ悟天!」

 

「うん!か〜め〜は〜め〜…」

 

「波ァッ!!!!!」

 

兄弟は大地に叩きつけられたアースに向けて、2人同時にかめはめ波を撃ち込む。

青い波動がアースに直撃する。

 

かめはめ波は直撃し、爆発する。

 

辺りにはふよふよと、アースの欠片が浮いている。

 

「やった!!」

 

「いや、まだだ!」

 

欠片はひとつにまとまり、人型になる。

 

「やはりな。魔人なだけあって、ブウと同じように完全に消滅させなければならんようだな。」

 

ベジータは瓦礫をはらいながら言う。

 

「ご名答。…さぁ。学習は完了した。そろそろ本気で行くぞ。はぁぁぁぁぁぁ…!」

 

「奴の気がどんどん上がってきやがる…!」

 

「なっ、なんて気だ…!!」

 

「はぁぁぁぁっ!!!」

 

気が解放され、爆風が起きる。

 

「ちいっ!」

 

「はぁっ!!」

 

瞬間移動でご飯の懐に入り、腹に連続で攻撃してから肘打ちで吹き飛ばす。

 

「ぐぁぁぁっ!!」

 

「兄ちゃん!!!」

 

「フンッ!!」

 

アースは続けて悟天の顔面にキックし、悟天を吹き飛ばした。

 

「お返しだ。かめはめ…波ッ!!!」

 

「…ッ?!」

 

爆発による強風が辺りの岩や木を吹き飛ばしていく。

 

「アース!貴様は俺が倒す。はあああああ〜…!!!」

 

ベジータが力を貯めると、比例して気はどんどんと上昇していく。

 

「ほう。まさかお前までその姿になるとはな…」

 

気は限界まで上がった。金髪は腰辺りまで伸び、目付きが悪くなる。

 

「それが一番スーパーサイヤ人3か…!!」

 

「さぁ。行くぞ…!!」

 

「こい!!」

 

超スピードで攻撃し合う2人は上空へ飛んでいき、目にも見えないスピードで戦闘する。

拳がぶつかり合う度に衝撃波が現れ、風が吹くり

 

ベジータのパンチ。それを手のひらで受け止めて腹に気弾を撃ち込むアース。ベジータは気弾をものともせずキックで吹っ飛ばす。

2人の戦いは互角に見える。

 

「悟天!大丈夫か!」

 

「う、うん…いちちち。あー!クソーッ!トランクス君!フュージョンだ!」

 

「ああ、分かった!行くぞ!」

 

「「フュージョン!はっ!!」」

 

独特なポーズをすることで2人は合体し、ゴテンクスへと変化する。

ゴテンクスはさらにスーパーサイヤ人へ変身した。

 

「じゃじゃーん!!ゴテンクス様、久しぶりに再誕だぜ〜!!」

 

「僕も負けてられないな…よし!はぁぁっ!!」

 

悟飯も立ち上がり、意識を集中させる。悟飯はこの1ヶ月間ベジータにしごかれ、潜在能力を解放した姿である、アルティメット状態へと変身できるようになっていた。

 

普段と姿とさほど違いはないが、その力は上昇している。

 

「よーし行くぜ!!だりゃぁーっ!!」

 

「はあっ!!」

 

「フン。フュージョンにアルティメットか。」

 

3人はアースを取り囲み、同時に攻撃を仕掛ける。

 

「だりゃりゃりゃりゃりゃ!!」

 

「オラオラオラオラ!!!」

 

「その程度の攻撃なんぞ効かん!はぁっ!!」

 

アースの放つ覇気がベジータ達を吹き飛ばす。

 

「ぐぁぁっ!!」

 

「クソーッ!!だったらこれはどうだ!!スーパーゴーストカミカゼアタック!!!」

 

ゴテンクスがフーっと息を吐くと、幽霊のような分身体が複数体現れる。

 

「成長しないな、ゴテンクス。お前たちのその技は魔人ブウにすら通用しなかったハズだ。」

 

「ムッ!言ったなーッ!!だったら避けずに食らってみやがれーッ!!いけーっ!突撃だ!!!」

 

「!!」

 

分身はすぐさま飛び立ち、アースにまとわりつく。アースは言われた通り無抵抗で分身を受け止める。

分身達はアースの体に触れた瞬間に爆発し、爆発による煙がアースを包む。

 

煙がはれ、アースの姿が見える。少しの埃が付いているが、ダメージは全く食らっていないようだ。

 

「ちっ、全然効いてないじゃねぇか…」

 

舌打ちするベジータの額には、汗が流れる。

 

「やはりこんなもんか。所詮お前たちは父親の力を無駄に受け継いだだけの雑魚だったということだ。」

 

「なッ…!」

 

「つまらん!!さっさと消えやがれ!!はぁっ!!」

 

アースは一瞬にしてゴテンクスの目の前に移動し、回し蹴りで吹き飛ばす。

重い打撃音が鳴り響く。

 

「うぁぁぁっ!!!」

 

「喰らえ!!!」

 

吹っ飛ばされた先で、アースの手のひらから放たれた光弾がゴテンクスに直撃し、爆発。ゴテンクスへの変身は解除され、悟天とトランクスの2人は気絶してしまった。

 

「悟天!トランクス!!」

 

2人を心配し、悟飯はアースを睨みつける。

 

「貴様ッ…!許さん!!だぁっ!!」

 

気を解放し、天高く飛び上がった悟飯。その気は白く激しい。

 

「まて!悟飯!!」

 

ベジータの制止が聞こえていないのか、構わず突撃していく。

 

「だりゃりゃりゃりゃ!!」

 

激しい攻撃を続ける悟飯。その攻撃はアースに全て直撃している。

 

「やぁっ!!」

 

アッパーでガードを崩してから、両手をハンマーのようにして振り下ろす。

 

落下し、地面に叩きつけられたアースに対し、気弾で追い打ちをかける。

気弾が直撃し、爆発する。

 

しばらくすると、煙の中からアースが出てきた。

 

「ククク…やはり強いな。だが、もう学習は終わりだ…!!」

 

「くっ…!やっぱり倒せないか…!」

 

「はあっ!!」

 

「なっ?!ぐぁぁ!」

 

アースの腕が伸び、悟飯の首を絞める。ギチギチと音を鳴らしながら、その力はどんどんと強くなっていく。

 

「がっ…ぎ、ぎぎぎ…!!」

 

悟飯の声にならない悲鳴。構わず、腕は締め付けていく。

 

「ははは!!!苦しむがいい!!」

 

「はあっっ!!」

 

どこからともなく気弾が飛んできて、伸びていた腕を切り裂いた。

首を締め付けていた腕はするりと悟飯の首から外れ、悟飯は血が混じった咳をしている。

 

「がはっ、ごほっ…!」

 

「そんな腑抜けとやるより、俺とやった方が楽しめるぜ。アース!」

 

「随分な自身だなベジータ。そうだ…見せてもらおうか。貴様の本気を。」

 

アースは波動をベジータに送る。

 

「!?この波動は…ブルーツ波?!」

 

ベジータの腰の下からしっぽが生えてくる。アースの思惑を察したベジータは舌打ちし、睨みつける。

舐めたようにニヤニヤと笑うアース。その表情はかつてベジータをを苦しめた純粋魔人ブウを彷彿とさせる。

 

「舐めやがって…!!だが、これで貴様を倒す手段は思いついた。はぁぁぁぁぁ…!!」

 

目を見開き、力をじわじわと上昇させていく。

 

「はぁーっ!!!」

 

ベジータは熱い気を放ちながら、猿のような体毛が全身を覆う、スーパーサイヤ人4 へと変身した。

 

「それがスーパーサイヤ人4か…お目にかかるのは初めてだぜ。」

 

「一瞬で貴様を倒してやる。」

 

「まあ待てよベジータ。オレを倒す方法とやらを見せてもらいたいな。」

 

「…いいだろう。かつてカカロットがベビーを倒した時、サイヤ人の持つ『サイヤパワー』とやらを集めてこのスーパーサイヤ人4を超えていたんだ…」

 

「ほう。その変身がしたいというわけか。だが見てみろ。他の奴らはみな動けないみたいだぜ?」

 

「フン。俺はサイヤ人の王子だ。集めなくとも俺一人の力で十分なんだよ!!あぁぁぁぁ…!!!」

 

大地がゆれ、周りの空気が熱くなる。ベジータを覆う気は少しずつ収縮していき、体の表面を覆った。

 

「これが俺のフルパワーだ。」

 

ベジータは親指で自分を指さし、ニヤリと笑う。自信と気合いに満ちた笑みだ。

 

「さあ行くぜ。ぶっ殺してやる。だぁーッ!!!」

 

「!?速い…ッ!!ぐはあっ!!」

 

とてつもない威力の一撃が、アースの顔面を吹き飛ばす。刹那、ドロップキックで岩盤に叩きつけ、右手に気を貯める。

 

「ファイナルシャイン…アターック!!」

 

緑色の気弾が、アースめがけて放たれる。

顔が無くなったアースは躱すことが出来ず、直撃してしまう。

 

「フン。俺を舐めすぎていたようだな。」

 

倒したと思われたアースだったが、先程切られた腕を中心にふよふよとバラバラになった肉体が集まっていき、元の姿に再生してしまった。

 

「ぐっ…くっ、クソォッ!!」

 

「…まだ生きていたか。だったら早く続きをしようぜ。この姿になると闘争本能が抑えられなくなっちまいそうだ。貴様をぶっ飛ばしたくてウズウズするぜ。」

 

「チィッ!!なめるな!!はぁっ!!」

 

アースは気弾で牽制しながら突撃する。対するベジータは手刀で気弾を弾き返す。突撃してくるアースを上体を逸らして躱し、顎を蹴りあげて上空へぶっ飛ばす。

 

「ぐぉぉぉぉっ!!!」

 

「だぁっ!!」

 

両手から無数の気弾を放ち、再びアースの体をバラバラにする。

しかしやはり体の一部を残され、完全に消し去ることが出来ない。アースは肉体を再生させ、懲りずに突撃してくる。

 

「ウラァァっっ!!」

 

「諦めの悪い奴だ!やぁぁっ!!」

 

全力のパンチが腹部にまともに入り、穴が空く。後ろの大地はえぐれている。

 

「ぐ…ぐおぉぉ…」

 

「ギャリックブレイザー!!!」

 

両手をかざし、進化したギャリック砲でを放って上半身を吹っ飛ばす。

 

全力の必殺技を放ったことで、ベジータはフルパワーの変身を解いてしまう。

 

「はぁ、はぁ、やったぞ…」

 

「ふ…ふははは!!ご苦労だったなベジータ。」

 

「なッ…!!」

 

頭上からの声に反応し、空を見上げる。そこには、アースがいた。

 

「お前のおかげで、オレはまた強くなれた。」

 

「ちっ…クソッタレ…!」

 

「さぁ、見せてやろう。お前自身の力をな。だりゃぁ!!」

 

体力を失い、為す術のないベジータを、容赦なく殴り続ける。痛々しい打撃音と、ベジータの悲鳴だけが荒野に響く。

 

殴られ続け、地面に落ちるベジータ。アースは空からベジータに手をかざし、気を貯める。

 

「さらばだ。ベジータ。」

 

アースは緑色の光弾をベジータに向けて放つ。ベジータは体力を使い果たし、動けない。

 

(すまん…カカロット。やはり俺では地球を守れない…ッ!!)

 

目をつぶり、死を覚悟する。

 

その時だった。

 

ベジータに向けて放たれた光弾が、何者かによって弾かれた。

その時ベジータは強大な気を感じた。初めて地球で対峙した時と変わらない、熱く、優しい気を。

 

光弾が弾き返された音と、それが遠くで着弾したことによる音と振動が響く。

 

静まり返った荒野。

 

痛みでぼやけるベジータの視界には、誰かが見える。オレンジ色の服を着た男。それが誰なのか、ベジータには一瞬で分かった。

 

その男は振り返り、ベジータに手を差し伸べる。

 

「へへへ。ワリぃなベジータ。随分と待たせちまったみてぇだ。」

 

「フン、遅いぞ…カカロット…!!」

 

ついに、あの孫悟空が帰ってきたのだ…!!

 

続く。

 




次回は中編、悟空が神龍世界で何をしていたのか、明かされます…!


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ドラゴンボールアフター 襲来!地球の魔人アース!! 中編

中編です。悟天の一人称、トランクスへの呼び方がGTとちがいますが、ミスです笑
ご了承ください笑

ちなみにアースの見た目ですが、身体の色はピンク色で、髪の毛は白いです。ゴジータのような髪型をしており、目は純粋ブウのような目です。目の下にはセルと同じような線が入っています。Zのボス達と悟空、ベジータがひとつになった、と考えればわかりやすいと思います。

ついに誕生した魔人アース。アースに対抗するためにベジータ、悟飯、悟天、トランクスは奮闘する。
しかしアースの学習能力や戦闘力に苦戦してしまう。
ベジータのフルパワーでさえも倒しきることが出来ず、ベジータは危機一髪。

ベジータの危機を救うため、救世主が地球に帰還する!!


数ヶ月前…

 

神龍世界で過ごす孫悟空は、地面に寝転がっている。

この世界は現世とは違う不思議な世界で、神龍やポルンガ、一星龍やその他の邪悪龍達が住んでいる。

 

「なぁ、神龍。宇宙にはオラや邪悪龍よりもっともっと強え奴がいるんか?」

 

「当然だ。」

 

「ほんとか?!そいつって、どんなやつなんか教えてくれよ〜。」

 

にしし、と笑う悟空の顔を見て、神龍はゆっくりと口を開く。

 

「その名を、破壊神ビルス様という。」

 

「破壊神!すっげぇ名前だな。」

 

「その名の通り、ビルス様は宇宙そのものを破壊するほどの力を持ち、宇宙のバランスを保つため、そして星々に存在する『記憶』を破壊することよって管理している。…が、ここ数千年はずっと眠っているようでな。」

 

「星々の記憶?そんなもんまであんのか。もしかして地球にもあんのかな!」

 

悟空は体を起こして神龍に笑顔を向ける。

 

「もちろんだ。」

 

「へぇ〜。ははっ。宇宙にはまだまだ知らねえことばっかだ〜。」

 

「フン。我々のような神でさえ、知らぬことは多い。」

 

「そのビルスっちゅう奴にもあってみてぇな!神龍、そいつんとこには行けねぇのか?」

 

「コ、コラッ!ビルス様にそんな生意気な口を聞くなっ!き、聞かれてるかもしれないんだぞ…!」

 

神龍はこれまでにないくらいにビビっている。

 

神龍でさえビビるほどの神様。悟空の好奇心はふつふつと湧き上がってくる。

 

「やぁ。神龍。」

 

「はっ!この声は…ビルス様!!」

 

神龍がおどおどと後ろを振り向く。悟空も一緒に後ろを向くと、そこには紫色でガリガリな、猫のような者が立っていた。

その隣には独特な服装をした、青い顔で白髪の人が居る。

 

「珍しいね。こんなとこに人間がいるなんて。」

 

「は、はい!この男は孫悟空と言いまして…ドラゴンボールを使いすぎた償いとしてここに居させております。」

 

(こんな神龍見たことねえぞ…)

 

「へぇ〜。てことは君、強いんだな?」

 

気だるげで、ガリガリに痩せた猫のような目の前の人物。本当にこいつが強いのか。悟空の好奇心はさらに高まる。

 

「あんたがビルスっちゅう奴か!!なあ!オラと戦ってくんねぇか!」

 

「お、おい悟空!!言葉遣いに気をつけろ!!」

 

悟空の頭を殴り、口を塞ぐ。

 

「むごご…び、ビルス様!オラと…じゃなくて、わたくしと、戦ってくんね…ください!!」

 

なれない敬語を使いながら、ギクシャクと体を曲げる。

 

「…いいけど…僕はひとつ聞きたいことがあってここに来たんだ。君は、スーパーサイヤ人ゴッド、という存在を知っているか?」

 

「スーパーサイヤ人…ゴッド…?」

 

 

 

場面変わって、現在…

 

「悟空だ!!悟空が帰ってきた!!」

 

ピッコロの歓喜と驚愕が混じった声を聞き、仲間たちは驚いた。

 

「孫君!!全く、遅いのよ!」

 

「ほんとだか?!悟空さがやっと帰ってきたんか?!」

 

「おじいちゃーん!!頑張ってー!」

 

「この気は間違いなく悟空だ!!」

 

ブルマ、チチ、パン、クリリンは、特に悟空の帰還を喜んだ。

 

「やれやれ、やっとこさ救世主の登場じゃな。」

 

「ええ!悟空さんがいれば、必ず勝てますよ!」

 

界王神界から見ていた界王神たちも、悟空の姿を見て安心していた。

悟空の姿は、子どもの姿ではなく元の姿に戻っており、彼を見た全員が懐かしさを覚えた。

 

「孫悟空!!やっと現れたな。」

 

アースは喜んでいるのか、ニヤリと笑みを浮かべている。

 

「おめえ、随分と好き勝手やってるみてぇじゃねぇか。」

 

「好き勝手だと?はははは!!地球はオレのものだ。当然だろう?」

 

「あ、それもそっか。」

 

キョトンと目を点にして納得する悟空。

ダメージを負って声が出せないベジータは、心の中で悟空はバカだと言うことを思い出した。

 

(こっ、このバカがッ…!!)

 

「まぁ、そんなこたどうでもいいんだ。ほらベジータ。仙豆だ。」

 

小さな袋から仙豆を取り出し、ベジータに食べさせる。

 

「…ふぅ。結局貴様に頼ることになってしまったな…」

 

「はは。そんなことたぁねえさ。おめえがフルパワーになって戦ってくれたおかげで、神殿から仙豆を盗んで、そんで悟飯たちに仙豆をやることが出来たしな。」

 

悟空が遠くの岩場を指さし、ベジータはその方向を見る。

 

岩の影から3人はひょっこりと顔を出してこちらを見ている。

 

「ちっ、俺が殴られている間にか!」

 

「わりいわりい。さぁ、いくぜベジータ。」

 

にししと笑い、表情を変えて独特のポーズをとる。悟空のファイティングポーズだ。その顔にベジータはイラつきながら、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

「フン。さっさとぶっ飛ばすぞ!だぁっ!!」

 

「はぁぁっ!!!」

 

2人は同時に気を解放し、スーパーサイヤ人4へ変身する。

 

「フフフ。孫悟空、随分強くなったようだな。」

 

「行くぜぇ!!」

 

悟空が特攻し、後ろからベジータが気弾で牽制する。アースはその気弾を弾き返すが、その隙に悟空の強烈なパンチがアースの頬に直撃した。

 

バコン、と強烈な音をならす。間髪入れずにベジータの蹴りが腹部に入り、アースは吹っ飛ぶ。

 

吹っ飛んで怯むアース。怯んだ隙を狙って再び激しい攻撃を繰り出す。

 

「だぁっ!!」

 

「ぐぁぁぁっ!!」

 

続けて2人は攻撃を仕掛けるが、既に学習が追いつき、互角の戦いとなる。

2人の攻撃をかわし、受け流し、カウンター攻撃を入れる。

 

「だりゃりゃりゃりゃりゃ!!」

 

「やっ!!」

 

悟空のパンチを左手で受け止め、右手を握って顔面にパンチする。

 

「ぐぁっ!!」

 

「だあっ!!」

 

ベジータが背後から、後頭部目掛けて気を込めたパンチを撃ち込む。

 

「ベジータ。お前の動きは既に超えた。」

 

「あ…!がが…!」

 

パンチを首を傾けてかわし、腹に肘打ちする。ベジータはそのまま落下していき、地面に倒れる。

 

「ベジータ!!クソォッ!」

 

額に指を当て、気を探る。悟空の瞬間移動の構えだ。

 

「喰らえ!!はぁっ!!」

 

強力な気弾を、悟空に標準を合わせて放つ。それと同時に、悟空はアースの背後をとらえ、瞬間移動する。

 

「だりゃあーッ!!」

 

ドロップキックでアースをぶっ飛ばす。

 

どんっ、と重い音が大地を揺らし、土煙が上がる。

 

「ベジータ!でぇじょぶか!」

 

「な、舐めるな…!この程度どうってことない…!」

 

「べ、ベジータおめえ、痩せ我慢してやがんな〜?」

 

「何?!くだらんことを言いやがって!ぶっ飛ばすぞ!!」

 

ベジータが悟空のに対して怒鳴る。悟空はわりいわりいと、ベジータをなだめている。

 

「そんなものじゃないだろう!!孫悟空!!」

 

岩をぶっ飛ばし、アースは煙の中から現れる。

 

「やっぱしあの程度じゃ倒せねぇか…」

 

「カカロット、本気でやりやがれ!」

 

「あぁ!着いてこいよ!」

 

「ちっ!だぁぁぁっ!!!」

 

拳と拳がぶつかり合う。巨大な気が大地を揺らし、空気を燃やす。

 

「お父さん…!やっぱりあの二人は凄い!」

 

「アースに追いついてる!悟空さんと父さんの二人の力が、アースの学習能力をもっともっと上回ってるんだ!」

 

悟飯とトランクスは、父たちを応援している。2人に希望を持っているのだ。

 

「…くっ!」

 

悟天は拳をぎゅっと握る。

 

ついに均衡が崩される。

ベジータの攻撃がアースに通ったのだ。

 

「何っ?!」

 

「フン!俺様の実力は貴様の成長など簡単に超えるんだ!だりゃあっ!!」

 

顔面を殴り飛ばし、30メートルほど吹っ飛ばす。

 

「ぐぁぁっ!!」

 

「いいぞベジータ!!気円斬!!やぁっ!!」

 

気円斬を操り、アースの両腕を切り裂く。

 

「ぎゃぁぁっ!」

 

「消えやがれ!!はぁぁぁっ!」

 

「はぁぁっ!10倍、かめはめ…!」

 

「ビックバン…!」

 

悟空とベジータは気を手のひらに込める。2人の同時必殺技だ。

 

「波ァッ!!!」

 

「アタァーック!!」

 

2つの光線はぐるぐると回転しながらひとつに合体し、さらに威力を増す。

 

「ぐぁぁぁぁっ!!!」

 

「はぁ…はぁ…!」

 

「やったか…!」

 

悟飯は思わずガッツポーズする。

神殿で見ていたピッコロは、顔をしかめる。

 

「…まだだ…まだアースの気は消えていない…」

 

地上ではふよふよとアースの欠片が浮いている。そして、地球に新たな記憶が刻まれた。

 

「まだ、死んでねぇみてえだな…」

 

「ちっ、厄介なやつだぜ…!」

 

欠片はひとつの塊になる。塊は形になっていき、それはアースの顔になる。

 

「感謝するぞ、孫悟空。貴様が帰還したおかげで、オレはさらに成長することが出来た…」

 

「なに?」

 

「はあぁぁ…!!!」

 

アースの額に血管が浮かび上がる。大地が揺れ、マグマが溢れる。

アースは体を再生させ、地中に潜っていく。

 

「がぁぁぁぁっ!!!!」

 

「な、なんだこれ…!アースの、いや、地球の気がでたらめに上がってきやがる!!」

 

「ふざけやがって…まだ進化しやがるのか…!!」

 

「うおおおおおお!!!!」

 

嵐が巻き起こり、雷が鳴り響く。

アースはマグマ、岩石、台風、雷、そして悟空たちの放った必殺技の記憶を吸収し、姿を変化させる。

 

「ふははははは!!!!これが俺の第二形態だ…」

 

髪の毛は真っ白になり、スーパーサイヤ人2のように稲妻を纏っている。肉体はさらに引き締まり、圧倒的な気を放っている。

 

「どんだけしぶてぇんだ、おめえ…!そうだ!ベジータ!界王神様んとこ行くぞ!オレに掴まれ!」

 

「だめだ!ポタラを考えてやがんだろう…?ベジットになっても、それは結局貴様に頼りきってしまうことになる…!それじゃあ本当に地球を守れたとは言えない…」

 

「そんなこと言ってもよ!このままじゃ負けちまうぞ!!」

 

「その時はその時だ。それが運命だったということだろう。」

 

「フフフ…お前たちがどれだけ成長しようと、お前たちの記憶が少しでもオレにあれば、学習は完了する。ポタラで合体しても、フュージョンしても、ベジットやゴジータの記憶がある以上、お前たちに勝ち目はない…」

 

「ベジットやゴジータの記憶…」

 

「ベジータ。結局オレがでしゃばっちまうけんど、頼む。ここは一旦オレに任せてくんねえか?おめえだって、大切な家族がいるだろ?」

 

手を合わせて、真剣な顔でベジータに頼む。

 

「…ちっ、勝手にしやがれ…」

 

「安心してくれ…倒せやしねえ。けんどな、時間を稼ぐことはできる!」

 

「フン。何か策があるのか?孫悟空。」

 

悟空は変身を解除し、普段の姿に戻る。激しい戦いを象徴するように、オレンジ色の道着はボロボロにはだけてしまっている。

 

「オラが神龍世界にいた時に、おめえみてえな、暴走した星の記憶を破壊するための、神様に出会ったんだ。破壊神っちゅう神様にな。」

 

 

再び、数ヶ月前…

 

「スーパーサイヤ人ゴッド??わりいけんど、聞いたことないぜ。」

 

「なーんだ。つまらないね。」

 

「やっぱり、ビルス様の夢は予知夢なんかでは無かったのではないですか?何十年も前にアラームもつけて、叩き起こそうとしましたのに…」

 

「ウイス!まだそんなことを言うのか?!あの予言魚だってこの僕に強敵が現れるって言ってたんだ!」

 

「全く。ビルス様のわがままには懲り懲りですねぇ。」

 

「わがままなんかじゃなーーい!!おい神龍!お前はなんか知らんのか!?」

 

「す、少しだけなら知っております…スーパーサイヤ人ゴッド…正しい心を持ったサイヤ人から一時的に作り出される神です。その昔、悪行を繰り返すサイヤ人に疑問を持ち、反旗を翻したひと握りのサイヤ人達が、偶然作りだした救世主です。」

 

「ええっ?!ってことはオラ達以外にもサイヤ人がいるってことか?」

 

「いや、もうそのサイヤ人は存在しない。その戦いの中で力を使い果たし、死んでしまったのだ。」

 

「なーんだ。つまんないな。」

 

「ほら。やっぱりビルス様が寝ぼけていただけですよ。」

 

「なんだとーッ?!イライラするなあ!もうここを破壊して帰るぞ!!」

 

「えぇっ!!?」

 

悟空と神龍は声を揃えて驚愕する。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれよビルス様!!神龍!どうにか出来ねえんか?」

 

「5つの正しい心を持つサイヤ人の光を、もう1人のサイヤ人に注ぎ込むことで、スーパーサイヤ人ゴッドは完成します。ですが、ここは現世との繋がりが非常に薄いのです。現世へは、ドラゴンボールを使わなければ繋がれませんから…」

 

「なんだ。ここですぐ作れるわけじゃないんですねえ。」

 

「神龍の力を使う訳にも行かねぇしな。」

 

「神龍!お前はなんでも願いを叶えられるんだろ!平行世界かなんかから連れて来るんだ!」

 

「で、ですがそんなことをしたらマイナスエネルギーが…」

 

「僕が責任をもって破壊してやる!!早くやれ!」

 

「は、はい…!」

 

「ビルス様。無闇に世界を移動させたりするのは、怒られてしまいますよ。」

 

「その時は…みんなで一緒に謝るんだ。」

 

「ええっ!オラ達もか?!」

 

「仕方ありませんねぇ。」

 

その後、神龍の力で平行世界のベジータ、悟飯、トランクス、悟天、パンを呼び出し、神龍の言う通りの儀式を行った。

 

 

場面変わって、再び現在…

 

「そのビルス様のおかげでオラは新しい力を手に入れた。それがスーパーサイヤ人ゴッドだ。」

 

「スーパーサイヤ人…ゴッド…!」

 

な聞いたことの無い名前を聞き、ベジータは困惑する。

 

深呼吸をする悟空。木枯らしが悟空の髪の毛を揺らす。

 

「見せてもらおうか。その、ゴッドとやらを。」

 

アースはニヤリと笑い、腕を組む。

 

「スーッ…はぁー…」

 

目をゆっくりと閉じる。あたりは静寂に包まれ、風の音だけが聞こえる。

 

少し経つと、悟空の髪の毛が少しずつ逆立ち始めた。

 

「…なんだ?気を感じないぞ…?!」

 

悟空の異変に、地上にいた全員が気づく。

 

悟空は、ゆっくりと目を開く。

 

「…これが…スーパーサイヤ人ゴッドだ。」

 

その姿は、スーパーサイヤ人のような金髪ではなく赤髪で、3や4のように大きな見た目の変化はない。

むしろ、先程までよりも痩せ、若返っているように見える。

 

「ふ…ふははは!拍子抜けだなぁ、孫悟空。貴様からは強大な気も感じないし、オーラも感じない!むしろ弱くなったみたいだな!!」

 

「…それはどうかな?」

 

「つまらん。消えやがれ!!」

 

巨大で、禍々しい気弾を作り出し、悟空に向けて放つ。

 

「カカロット!!」

 

「お父さん!!」

 

「フッ。」

 

悟空は右手で気弾を受け止める。一歩も後ずさりせず、余裕な表情をしている。

 

「これが神の次元だ。はぁっ!!」

 

気弾を跳ね返し、小さな気弾を放つ。悟空が放った気弾は一瞬でアースの右腕に辿り着き、腕を破壊する。

 

「なッ!!?」

 

「さあ行くぜ。」

 

とてつもないスピードで接近し、腹にアッパーを入れる。

 

「がはっ…!!」

 

アースは初めて口から血を吐き出す。片手で腹を抑えながら離れるアース。

一瞬の隙も作らず再び接近して、連続で攻撃する。

 

「だぁっ!!やぁっ!」

 

「ぐっ!!がはぁッ!!うおおおおっ!!」

 

アースは遠く吹き飛ばされ、地面を抉りながら遠くへ飛んでいく。

 

「ちぃっ!!何故だ…!学習が出来ない!!」

 

「おめえじゃ辿り着けねぇ次元だからだ。気を感じることも出来ねぇだろ?神の気は、普通の奴じゃあ感じ取れないんだ。」

 

「くっ!!黙れッ!!」

 

悟空はアースの攻撃を軽くかわしながら、話を続ける、

 

「多分だけど、おめえは気を読み取って学習してんじゃねえかな。相手に全力を出させて、早く学習できるようにしてんだろ?」

 

「うおおおお!!!死ね死ね死ねッ!!」

 

アースの攻撃を全て軽々とガードしながら悟空は喋る。アースは焦っているのか、さらに気を上昇させる。

 

「自分の力を持たねぇおめぇに、オラは負けない。だぁっ!!」

 

瞬間移動しながらアースを連続的に攻撃する。

 

「ぐはッ!!うぉぉっ!!」

 

ボロボロになっていくアース。アースの肉体は少しづつ消滅していた。

 

「か…め…は…め…波ァァ!!」

 

空気圧だけでアースをぶっとばし、かめはめ波を撃ち込んで半身を消し飛ばす。

 

「勝てる…!やっぱりお父さんは凄い!!」

 

「だりゃりゃりゃりゃ!!」

 

順調に体を消し飛ばしていく悟空。勝利は確実かと思われた。

 

「ッ?!ぐがぁーっ!!!」

 

突然悟空の神の気が荒ぶり、黒い稲妻が悟空の全身に走る。

 

「はぁ、はぁ、はぁ…へへ、そろそろ時間がやべえみてえだな…」

 

「カカロット!な、なにが起こってるんだ!」

 

「わ、悪ぃな…ベジータ。この力を使うには、相当体力が必要なんだ…1度現世でゴッドになっちまったら…もうこの力は使えねぇ…!」

 

「なっ、なんだと…!?」

 

「は、はーっはっはっは!!ということは、もう限界なんじゃないのか?!孫悟空!!オレの肉体はまだまだ残っている!オレの勝ちだ!!」

 

アースはこの瞬間に体を元通りに再生している。

 

「あぁ…ちっとばかしやべえかもしんねぇ…」

 

額にかく汗を腕で拭き取り、悟空は深呼吸をする。

 

「…けんどな、言ったろ…?倒すことは出来ねぇかもしんねぇが、時間を稼ぐことは出来る!はぁぁぁ…!!!」

 

「なっ、何…?」

 

ベジータやアースには読み取れない気が、辺りの空気を静かに、それでいて荒々しく揺らす。

読み取れなくても分かるほどに、悟空のパワーが上がっているのは見て取れた。

 

「だりゃぁーーーっ!!!」

 

宙に浮いて、アースに向けて両手をかざし、神の気を発する。

赤いオーラはアースを包み込み、その動きを封じる。

 

「なッ、なんだこれはッ!!」

 

「地球ごとおめえを封印する!!ベジータ!みんな!神殿へ向かっててくれ!」

 

「わ、分かった!!」

 

悟空とアースを除く3人は空へ飛び立ち、神殿へ向かった。

 

「やぁっ!!」

 

「ぐっ、ぐぐぐぐ…!!おのれーッ!!」

 

「はぁ…はぁ…」

 

地球は赤い神の気によって封印された。悟空は力を使い果たし、地面に落ちる。

地面にうつ伏せになって倒れる悟空は、残された力を使って額にに手を当て、ベジータの気を探る。

 

「ベジータ!無事だったのね!良かった…!」

 

「ブルマ…悔しいが、あれもこれも、カカロットのおかげだ。」

 

「ええ、ほんとに。」

 

「ご、悟空さはどこだ?!」

 

チチが大声でそういうのと同時に、シュンッと音がする。

 

「ここにいるぜ…チチ…」

 

ベジータの隣に瞬間移動してきた悟空は、ボロボロで、傷だらけだった。

 

「悟空さーっ!!大丈夫だったか?!」

 

悟空に飛びつき、力強くハグする悟空。

 

「いてっ!!いてぇよチチ!!へへ、ちょっと疲れちまっただけさ。」

 

「僕が治療します!」

 

デンデがすぐさま悟空の体に手を当て、回復させる。

 

「ふぅー。サンキューな、デンデ!」

 

「おじいちゃん!!もう!来るなら先にこっちに来てよ!」

 

「パン!随分でっかくなったじゃねぇかー!」

 

「当たり前でしょ!私だってもう大人なんだから!」

 

「それはちょっと早いんじゃないかな、パンちゃん。」

 

まだまだ子供なパンに、トランクスが小声でツッコミを入れる。

久しぶりの悟空の姿に、みんなはとても喜んでいる様子だ。

 

「…ところでカカロット。あの封印は何日続くんだ。」

 

「長くても3日…短くて2日くれえかな。」

 

「うん、十分だ。トランクス、悟天。精神と時の部屋へ行くぞ。」

 

「ええっ!悟天ちゃん達がか?!」

 

チチは明らかに反対的な声を出す。それはブルマも同じだ。

 

「ベジータと孫君が入った方がいいんじゃないの?」

 

「ブルマ、俺とカカロットが地球を守る時代は終わったんだ。俺はもう老いてしまった。カカロットはずっと地球にいることが出来ない。もう俺たちが前線にいても地球を守ることは出来ない。今度は新たな世代が地球を守るべきだ。」

 

「フン。ベジータがそんなことを言うようになるとはな…」

 

「ちっ、黙りやがれ。」

 

ピッコロはベジータを冷やかすように言う。

 

「オラも賛成だ。このままオラ達がアースと戦っても、オラ達の手がわかってる以上、限界が来ちまうしな。」

 

「修行をサボっていたこいつらのことは、絶対に度外視しているはずだ。それに、トランクス達には、悟飯以上の潜在能力があるだろう。俺達が死ぬ気で戦って完成させたスーパーサイヤ人を幼い頃から完成させ、フュージョンすることでスーパーサイヤ人3への変身も遂げた。潜在能力は誰よりも高いはずだ。」

 

「ああ。あいつが予測できねえ程のパワーがあると思うぜ。」

 

「そ、それでも…!」

 

「お母さん。ボク、やるよ。」

 

悟天はチチの肩をぽんと叩き、悟空たちの前に出てくる。

 

「あいつにぶっ飛ばされた時、今までにないくらい悔しかったんだ。あの孫悟空の息子なのに、ボクは何も出来なかった…だから、ボクはあいつを倒したい!強くなって、お父さんたちを超えたいんだ!」

 

「悟天…!」

 

「俺もです、父さん、悟空さん。あんな奴に負けてられない!それに、悟天にもね。」

 

2人は目を合わせて笑い合う。

 

「よーし、よく言った!そんじゃあ早速、精神と時の部屋に入っぞ!」

 

「待て、悟空。お前は確か2年以上部屋に入っていなかったか?それに、悟天とトランクスもブウとの戦いの時に入ったはずだ。」

 

ピッコロの言葉を聞き、悟空はハッと思い出す。

 

「あ〜っ!!そうだった!やべえ!」

 

「そこは大丈夫ですよ!」

 

悟空の隣にいたデンデが、ひょっこりと前に出てくる。

 

「入っていられる上限を5年に伸ばしたんです!それに、もしものことがあっても、ブウがやったように無理やり出てくればいいですから!」

 

「そ、それもそうだな。今のこいつらなら、あの程度余裕だろうしな…」

 

ピッコロは汗をかきながら言う。

 

「ほんとか!サンキューデンデ!!悟天、トランクス!準備はいいか?」

 

「うんっ!」

 

「はい!」

 

「待てカカロット。お前は回復したとは言えあれだけパワーを使ったんだ。全快ではないだろう。初めの1年半は俺が入る。」

 

「は、はは。バレちまってたか…頼んだぜ。」

 

「貴様はそのうちに家族サービスでもしておくんだな。」

 

「ベジータったら、あんな気まで遣えるようになるなんて…」

 

ブルマはにやにやと嬉しそうな笑顔を漏らす。

 

「ピッコロ。お前はせっかく地獄から来たんだ。戻る前に悟飯に修行でもつけてやれ。」

 

「あぁ。地獄を守り続けてきた見返りとして、今回は特別に5日間の猶予を貰ってきた。みっちりと鍛えてやるぜ、悟飯。」

 

「はい!よろしくお願いします!!」

 

懐かしい師匠との修行ができることになり、悟飯はにっこりと笑い、返事をする。

 

「おまえたち。こっち、こい。」

 

3人はミスターポポの案内で部屋まで向かった。

 

「頑張るんだぞ〜!悟天ちゃん!!」

 

「トランクスもね!!」

 

パンとチチは去っていく悟天とトランクスに激励の言葉を送る。

チチはまだまだ心配しているようだ。

 

「大丈夫ですよ、お母さん。あいつらはもう、立派な戦士です。」

 

「…そうだべか…?」

 

「ええ、本当に。」

 

2人の姿は、競い合う悟空とベジータによく似ていた。

 

 

「ここ、精神と時の部屋。お前たち、頑張れ。」

 

ミスターポポは部屋に案内すると、ドアを開けてくれた。

ベジータに続いて部屋に入っていく。

 

「やっぱりここは、息苦しくなるなぁ…」

 

「さぁ、修行を始めるぞ。準備をしろ。」

 

「はい!」

 

悟天とトランクスは声を揃えて返事をする。

 

「さぁやるぞ。時間がない。まずは組手だ。表に出れば更に過酷な環境となる。」

 

先に表へ出ていくベジータ。常に戦闘服なため、すでに準備は万全だった。

 

「悟天、お前は俺たちで勝てると思うか?」

 

「…正直わかんないや。けど、お父さんやベジータさん、みんながボク達に託してくれたんだ。勝ってみせるよ!」

 

「…ははっ、だな!」

 

2人は道着に着替え、居住区から出ていく。

 

「さぁ行くぞ。まずは2人同時にかかってこい。」

 

「この前のリベンジです!!行くぞ悟天!」

 

「あぁっ!!だぁーっ!!」

 

トランクスと悟天のコンビネーションだけは、ベジータと悟空以上だ。

 

「まだまだ甘いぞ!相手の気を感じ取れ!!予測するんだ!」

 

「くっ!はぁっ!!」

 

ベジータはトランクスの攻撃を弾き、バク転しながら距離をとる。

 

「全て避けてみろ!だぁっ!!」

 

ベジータは両手から無数の気弾を発射させ、弾幕のようにして攻撃する。

 

「ふっ!はあっ!だりゃぁっ!!」

 

気弾をかわしながら距離を詰めていく悟天。トランクスは手刀で気弾をベジータに返す。

 

「なっ!ぐっ!!」

 

弾かれた気弾をかわした隙に、悟天は一気に距離を詰め、ベジータの懐に入り込む。

 

「そこだぁーっ!!」

 

「ぐぁぁっ!!!」

 

ベジータの腹部に強烈な一撃を入れる。ベジータは吹っ飛び、倒れる。

 

「なかなかやるな…だがその程度じゃ俺は倒せんッ!!はぁっ!!」

 

ベジータは気を解放し、スーパーサイヤ人2へ変身する。稲妻が走る気が、悟天達を寄せ付けない。

 

「さぁ。第2ラウンドだ。お前たちはスーパーサイヤ人に変身するな。潜在能力が解放されれば、悟飯のように強くなれるはずだ。」

 

「わ、わかりました!!はあっ!!」

 

「よーし!だぁっ!!」

 

今の2人とベジータには、相当な差がある。しかし、この差を埋めることが出来れば、2人の進化は爆発的に促進される。そして、サイヤ人特有のあの性質を利用すれば…

ベジータはそう考えていた。

 

 

一方、現世では悟空はこれまで神龍世界に居た時の出来事についてみんなに話していた。

 

「破壊神ビルス…そんな神様がいたなんてな。」

 

ピッコロは、自分の知らない神がまだこの宇宙に存在していた事を知り驚いている。

 

「あぁ。とんでもなく強かったさ。ゴッドになったオラでも、本気を出させることすら出来なかった。」

 

「あれより強いんですね…」

 

「あぁ!宇宙にはまだまだ強えやつがいっぺえいるみてえだ。オラはそんな奴らよりも強くなりてえ!」

 

「その前に、早く帰ってきて働いてけろ!!」

 

相変わらずのチチに皆が笑う。

 

 

一方、部屋の中では6時間が経っていた。この間、3人はぶっ続けで組手をしており、疲労が溜まっていた。

 

「はぁ、はぁ…カカロットと悟飯は20時間の組手をしていたらしいぞ…こんなもんでへばるな!」

 

「はぁ…くっ!はいっ!」

 

「まだまだぁっ!!やあっ!」

 

(こいつら…少しずつ戦闘力が上昇している…本気は出していないとはいえ、僅かに俺の動きに着いてきている…!!)

 

ベジータは2人の成長に驚く。

 

「いいぞ!もっと来い!!はぁっ!!」

 

激しい気と拳のぶつかり合いは、次元を超えて現世へも響いていた。

 

「すげぇ気だ…やっぱりあいつらはすげえ…!」

 

「悟空、お前も既に追いつかれているかもな。」

 

「そんなことねえぞ!よーし、この戦えが終わったらあいつらと組手だ!!」

 

「悟空さ、その前にいなかった分働いてけろ。」

 

「なっ?!そりゃねえぜチチ…」

 

他愛もない話をする悟空。悟空は懐かしさを覚えた。

 

 

「だりゃぁぁぁっ!」

 

「かっ…は…!!」

 

トランクスの拳がベジータの腹に直撃した。しかし痛みをこらえて腕を掴み、トランクスの腹に強烈な一撃を放つ。

 

「ぐはっ…!!」

 

「まだまだ甘いな…トランクス。!」

 

トランクスはばたりと倒れ、気を失う。

 

「さあ、次はお前だ、悟天。」

 

「ベジータさんは、僕とトランクス君、どっちが強いと思いますか?」

 

「カカロットの息子より俺の息子の方が強いに決まってるだろう…!」

 

「へへへ…だったら全力、出しちゃいますよ…!!」

 

「はぁぁっ!!!」

 

「ぐふっ!!」

 

ベジータは一瞬で間合いを詰め、腹にパンチを入れた。遠く離れていく意識を何とか保ち、ベジータの顔面にカウンターパンチする。

 

「ぐっ…!ちっ、よく耐えたじゃないか。」

 

「はぁ…はぁっ…正直、死にそうです…」

 

そういったまま倒れ、悟天も気を失った。持ってきていた仙豆を半分に割り食べさせると、2人の意識はすぐに戻った。

 

ベジータは起きた2人にこれからの修行の内容を伝える。

 

「いいか。今日からの修行はスーパーサイヤ人を禁止する。基礎的な実力をあげるんだ。」

 

「は、はい!」

 

「スーパーサイヤ人になったベジータさんに勝てるかなぁ…」

 

「勝てるように努力しろ。時間は少ない。トレーニングを怠るな。」

 

そう言うと、ベジータは寝室に向かっていった。

 

「ひゃー厳しそうだ…あんなこと言ったけど、僕に耐え切れるかな?」

 

「お前…真面目にやる気あんのかよ…」

 

悟天のヘタレさに、トランクスは呆れる。とはいえ、トランクス自身もそう思っていたが、父親譲りのプライドが邪魔をして言えなかった。

 

「…でも、なんか凄く力がついた気がする。修行のおかげかな?」

 

「それにしても物凄い成長だ…よし悟天、ちょっと気を解放してみてくれ。」

 

「うん、わかった。はぁぁ…はあっ!!」

 

悟天は言われた通り気を解放する。すると、2人の想像以上のパワーが出てしまい、トランクスは気によって起こされた風に吹っ飛ばされた。

 

「お、お前こんなに強かったっけ…??」

 

「わ、わかんない…けど、スーパーサイヤ人になった時よりすごい気がする…」

 

悟天の凄まじい気は、もちろんベジータも気づいていた。

 

「…死にかけたことで成長する…それがサイヤ人だ…」

 

 

 

 

それから、部屋の中では長い間修行が続けられた。厳しく、激しいベジータの修行は、悟天とトランクスの身体を痛めつけ、成長させて行った。

 

そして部屋の中で1年半が経ち、ついにベジータの修行が終わった。

 

「…今日で俺との修行は終わりだ。お前たちは以前と比べ物にならないくらい強くなった。…よ、よく頑張った。」

 

ベジータは褒めるのが恥ずかしいのか、後ろを振り向いてしまった。

そんな様子を見て微笑み、2人は礼を言う。

 

「ありがとうこざいます、父さん。」

 

「ほんとに!ありがとうこざいます!!」

 

深々と礼をすると、何も言わずベジータは部屋から出ていく。

ゆっくりと扉が開き、扉の外へ消えていく。

 

「おっ、ベジータ!帰ってきたな。」

 

「さぁ、次はお前だ、カカロット。」

 

「おめえ自身もすげえ強くなってるな。へへ、あいつらと戦うのがもっと楽しみになってきたぜ。」

 

完全に体力が回復した悟空は、ぴょんぴょんと飛んだり、屈伸したりしてウォーミングアップをする。

 

「悟空さ、無理するでねえぞ。そうだ、飯をいっぺぇ作ったんだ持ってってやってくれ。」

 

チチはビーデル、パン、ブルマと共に大量の食べ物を渡す。

 

「すっげぇ〜!!こんなにいっぺえつくったんか?」

 

「ここ、カミサマいるとこ。食べ物、いっぱい。」

 

ミスターポポが自慢げにそう言う。

 

「ほら、ベジータにもあるわよ。」

 

ブルマはベジータの元に寄り添う。

 

「あぁ。スマン。」

 

「ふふ。アンタも成長したのかしらね。」

 

「なっ、なんの事だ!!」

 

頬を赤らめるベジータをからかうように腕を組む。

 

「あんがとな、みんな!じゃ、行ってくる!」

 

タタタッと軽快に走っていき、部屋に向かう。

 

 

「悟空さん、どんな修行なんだろうな。」

 

「そういえば兄ちゃんからも聞いたことないや。」

 

「そっか、セルとか言うやつと戦う時、悟飯さんはここで物凄い特訓をしてたんだもんな。20時間組手したって父さんも言ってたし…もしかしたら、めちゃくちゃ厳しいのかも…」

 

ギィィ…と扉がゆっくりと開く。入ってきたのは、噂の孫悟空だ。

 

「お久しぶりです!悟空さん!」

 

「お?そんな久しぶりか?…そっか、こっちでは1年半経ってんだっけ?」

 

きょとんとした顔で頭を搔く。悟空は巨大な風呂敷を背負っている。

 

「お、お父さん、そんなにでっかい荷物…どうしたの?」

 

「そうそう!チチ達がめちゃくちゃ作ってくれたんだ!ここの飯はマジいだろ?先ずは腹いっぱい食え!」

 

「おーっ!久しぶりの母さんのご飯!!やったーっ!」

 

ドスンと風呂敷をおろし、豪勢な食べ物を広げる。

 

「悟空さん、机で食べましょう…」

 

「もう!いい子ぶっちゃって!トランクスくん!」

 

「そうだぜ!おめえも早く食いてえだろ!?」

 

我慢していたのか、ヨダレを垂らしながらわがままを言う悟天と悟空。

 

「そりゃあ食べたいですけど、ゆっくり食べましょう?食べ物は逃げませんから。」

 

「ちぇー。」

 

渋々机を出し、その上に並べる。

 

「いっただっきまーーす!!」

 

3人は勢いよく広げられた食事を食べる。トランクスもガツガツと食べている。

 

「やっぱり上手いなーっ!母さんの料理は!!」

 

「ああっ!!上手い!!」

 

「おーう!たんと食えよーっ!」

 

サイヤ人特有の爆食によって、沢山あった食べ物は一気に減ってしまった。

 

「ふぅー食った食った!!」

 

「少し残しておきました。これは保存しておきましょう。」

 

残った食事を冷蔵庫に入れ、続いて悟空に問う。

 

「で、修行はどんな内容なんでしょう?」

 

「えーっ、食べたばっかりなのにもう修行するのー?」

 

今まで厳しいベジータの修行を受けていたせいか、悟天のわがままが酷くなった気がする。

 

「お前なぁ…」

 

「そうだぜトランクスー。亀仙人のじっちゃんはよく食べ、よく休むってのをモットーにしてたしな。」

 

目を閉じ、寝る姿勢で言う悟空。

 

「いや、もっとあったでしょう他に…」

 

「ひたすら動くだけが修行じゃねーぞ。休息も必要だ。」

 

「そうそう。」

 

そう言うと、いびきをかいてねる悟空と悟天。トランクスもつられてあくびが出てしまう。

 

「ご、悟空さんが言うなら…」

 

3人はゆっくりと睡眠を取り、悟天は数時間後に目を覚ました。

 

「ふぁあ…よく寝た。あれ、お父さんが居ない。先に修行してるのかな?」

 

表に出ると、既に悟空はウォーミングアップをしていた。

 

「お父さん。早起きですね。」

 

「お、悟天。起きたか?」

 

「うん。」

 

「おめえ達に会って、すぐに分かった。」

 

「え?何が?」

 

「おめえ達がものすげえ強くなってる事さ。オラ、負けらんねぇ!と思ってさ。」

 

にっこりと笑う悟空。数年ぶりに父親の姿を見た悟天。なんだか感慨深い。遅れて起きてきたトランクスが、急いでやってくる。

 

「す、すみません!!寝坊しました…!」

 

「でぇじょぶだ!よく休めたか?」

 

「はい!」

 

2人は声を揃えて言う。

 

「よーし!じゃあ始めっか!オラとの修行を!!」

 

ついに悟空との修行が始まる。果たして、2人はどこまで強くなれるのか。そして、魔人アースを倒すことができるのか…

 

後編に続く。

 

界王星では、老界王神とキビト神が水晶玉を通して地球の様子を見ていた。

 

「全く。あいつらは面倒なことを何度も起こしよるわい。」

 

「は、ははは。でも、彼らのおかげで何度も宇宙が救われたことは確かです。」

 

「何を言っとるんじゃ。大体アイツらのせいで面倒なことが怒っとるんじゃ。セルの時だってブウの時だって、邪悪龍のときだって…ガミガミ」

 

「まぁまぁ。私達も手助けくらいはしてあげましょうよ。」

 

「お主も甘いのう…」

 

未熟なキビト神を見て、呆れる老界王神。その背後に、とある人物が訪れる。

 

「やぁ。界王神。」

 

「はっ!!あっ、あなたは?!」

 

老界王神の苦悩も…続く。




後編ではついに魔人アースとの決着がつく…!!
進化する魔人アース。果たして、悟天とトランクスはアースを倒すことができるのか?

次回もお楽しみに!


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