エイティシックス ~死の仮面~ (SIS)
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#0

気分転換をかねた思い付きなので、それを踏まえた上でお付き合いしていただけると嬉しいです。


 

 『知覚同調』。

 それはある血族の間でのみ伝えられていた、”異能”の力を再現したものだ。

 その原理を一言で伝えれば、人間の集合無意識……いうなれば意識の根源に接続する事で、同じくそれにつながった別の意識との繋がりを持つ、というものだ。

 いうまでもなく、集合無意識等というものに、人間は本来、接続する術を持たない。かつての異能を保有していた者達も、あくまで近しい者との接続に限られたものだったという。

 それが、対象を択ばず広範囲に、というのは、果たして技術力の高さ故なのか? それとも、無知故に成しえた偶然の産物なのか?

 それに答えを出せる存在は、もはや物理世界に存在しない。ただ言える事は、例えどちらであってでもその技術は極めて高い技術によって生み出された産物であり、そして間違いなく、その事象は完全に解明されていないという事だ。

 人間の集合無意識が、どこにあるのか。否、”在る”という概念が当てはまるものなのかすら、人類の認識は把握できないでいる。

 ”そこ”には、空間の広がりどころか、時間の流れさえ存在するのかどうかもわからない。量子学ですら、当てはまるかどうか。

 前置きが長くなった。

 つまり、何を語るべきかというと。

 何が起きてもおかしくはない、という事である。

 

 その日、共和国の知覚同研究所である事故が起きた。

 ある新人の配備に向けた簡単な、適正テスト。その最中に、機材が異様な反応を示したのだ。その結果、接続していた新人は、神経系に大きなダメージを受けた。

 重篤な事故である。常識的に考えれば、知覚同調の今後の運用に差し支えかねない。とても危険な、事故だった。

 だが、その事故は隠匿された。

 他ならぬ、その被害者の請願によって。それによって知覚同調は表向き何の問題もないまま、密かに原因の探求が行われる事となった。

 だから当事者達以外、その事を知る者はいない。

 それが意味する事を、理解する者はいない。

 

 死神の仮面をつけた、一人の少女を除いては。

 

「レーナ」

 誰かが、呼んでいる。

「レーナ」

 低くて、感情を抑えた……でも、とても優しい声。

 父ではない。だけど、愛情をこめて、私を呼ぶ誰か。

「レーナ」

 誰なの?

 私は、その声の方へと手を伸ばして……。

 

『レーナ』

 

 飛び起きるように、目を見開く。

 窓の外からは、薄く朝日が差してきている。早朝の、冷たい空気が嫌に肌に冷たかった。

 もはや慣れつつある、悪夢からの目覚め。毎夜毎夜、レーナを闇の向こうから呼ぶ声にこうしてベッドから飛び起きるのが、もはや日常となりつつある。

 街はまだ眠っていて、鳥の声が僅かに聞こえているだけ。なのに耳の奥に、冷たい機械仕掛けの呼び声が、まだこびりついているような気がする。

 知らない誰か。知らない声。なのに。

「……誰なの」

 涙は、とっくの昔に涸れ果て、一筋も流れなかった。それでも。

 顔を伏せて、ヴラディリーナ・ミリーゼは、知らない誰かを思って、悲しみを零した。

 



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#1 逃げた白ブタ

1000%思い付きで殴り書いてます。あしからず。


#1

 

 朝が来た。望んでない朝が。

 ハウリ・ユーディエントはベッドの中で蹲ったまま、憂鬱な気持ちで窓を見上げた。

 寝ても起きても朝は来る。時間は流れる。無情にも。

 どれだけ苦しんでものたうちまわっても、太陽はあがって沈んで、お腹もすくし喉もかわく。

 当然の摂理だ。

 かつて聞いた神話だと、自分の姿に見惚れてそのまま花になってしまった男がいたというが……いっそ、自分もそんな風に草木になり果ててしまえば、この無意味な懊悩から解放されるのだろうか?

 そんな事を考えながら、ハウリは仕方なく、身を起こす。

 そう、黄昏ていてもお腹はすく。そして食べていくには、お金が必要だ。

 貯蓄はそろそろ心もとない。今日こそ、何かしらの仕事を見つけてこなければ。

 ”彼ら”と違って、自分は。その自由が許されているのだから。

「…………」

 無意識に、首の後ろに手をやる。そこに、レイドデバイスの冷たい感触はない。

 家畜だ、と聞いていた。

 劣等種で、人間未満の存在だと。

 何を基準に??

「……誰が決めたんだよ、そんな事」

 吐き捨てて、起き上がる。

 そして流しに向かった所で……妙な音がした。

 それが何か月も鳴っていないチャイムの音だと理解したのは、数舜も呆けてからの事だった。

 

「ハウリ・ユーディエント元中尉ですね」

 一瞬、自分の生死を誤認した。

 自分はベッドの中で不摂生故に死に絶えて、その無様な魂を死神が刈り取りに来たのだと、ハウリは本気でそう思った。

 勿論、事実は違う。

 ハウリはさっきまで寝ていました、といわんばかりの格好で不用心にも来客を迎え、来客はそんな彼に気を害する事もなく、玄関口で佇んでいる。

 逆行の中、黒い影を纏う白銀の髪の少女。身に纏うのは共和国の藍色の軍服で……しかし、ハウリにはそれが漆黒の喪服のように見えた。

 美しい少女なのは間違いない。だが、それ以上に、陰鬱な……死の濃い影を纏う少女は、ただひたすら恐ろしかった。

 ありえない事だ。

 レギオンとの最前線を”無人機”にまかせている共和国内にあって。

 あの……顔も名前も知らない、”彼ら”と同じ……それ以上の、死を引き連れているなど。

「……はい、確かに私はハウリですが……」

「私は共和国軍少佐、ヴラディリーナ・ミリーゼ。貴方にお話があって参りました。あくまで、個人的な」

 そう告げて、少女は可憐な花がそよぐように微笑んだ。

 あきらかに作りものの、仮面のような笑顔だった。

 

「ええと。粗茶ですが……」

「ありがとうございます」

 散らかった室内をトラクターでなぎ倒すように片づけて(隅にやっただけともいう)、引っ張り出したテーブルに粗茶を注ぐ。

 いつ頃あけたかも覚えてないような茶葉だったが、ミリーゼと名乗った少佐は文句ひとつ言わず、静かに茶を啜った。その所作一つ一つが洗練されていて、なるほど、上流階級の人間らしいとハウリは見惚れるばかりだった。

 問題は、そのお嬢様が何故、自分のような退役軍人の元を十ずれたか、という事なのだが。

「……その。ミリーゼ少佐? 本日は、一体どのような用件で……」

「失礼ながら。貴方の”戦歴”を調べさせていただきました」

「っ!」

 思わず息を飲む。

 ……この10年。レギオンの攻勢に対し、防壁と”無人兵器”を配備して以降、共和国軍人が銃弾の前に立って戦ったことはない。表向きは、レギオンとの戦争による被害者も軽微な、平和の内にある共和国。

 そんな共和国において、”戦歴”とは、つまり。

「西部戦線第二戦区第三防衛戦隊……通称、”ティルフュング戦隊”。貴方が最後に管制していた部隊。その全滅を機に、貴方は軍を退役した。何か情報に違いはありませんか」

「……なんで、そんな事を」

「必要な事だからです、ハウリ元中尉」

 感情を伺わせぬ、硝子のような視線がハウリを射抜く。

「退役の理由は自身に軍人としての適性がなく、別の職に就きたい、というものでしたね。その程度の理由でも、共和国では退役を許される。……けど貴方は、三ヶ月もの間、職も探さず引きこもっているようですね」

「それが、何ですか」

 思わず声が硬くなる。そんなハウリの心境を知ってかしらずか、ミリーゼは淡々と告げた。

「虚しくなりましたか? それとも……同情した?」

 人ではない存在として使いつぶされる、エイティシックスに?

 一瞬激しかけ、しかしそのまま、ハウリは押し黙った。

 この共和国で、エイティシックスの肩を持つ愚を悟ったから、ではない。糾弾にしても嘲笑にしても、ミリーゼという少女の声があまりにも、硬く無機質だったから。

 それは冷徹さとも、悪辣さとも違う。そう、例えるならば、日に当たる事なく佇むコンクリートの塊のような、徹底的な無感情……。あるいは、歯車仕掛けの絡繰りのそれか。

 とうてい、同じ人間の放つ気配だとは思えなかった。一体、どんな地獄を、境遇に対すれば、ここまで削ぎ落されてしまうのか。あのエイティシックス達でさえ、どこか人間らしい感情を残していたというのに。

「ミリーゼ、少佐。貴方、一体、何を」

「……これを、見てください」

 ハウリの動揺など知らない風に、ミリーゼは鞄から何かしらの書類を取り出して見せる。渡された書類は、何らかのレポートのようだった。

 元がつくとはいえ、ハウリも教育を受けた士官だった。反射的に、その資料に目を通し。

 その内容に瞠目した。

「少佐、これ……っ!」

「私の権限で叶う限りの、各戦線におけるレギオンとエイティシックスのキルレシオ。わかっている限りのレギオン側の生産能力と、進行経路から予想される布陣と戦力。恐らくまだ現存しているであろう、連合王国や連邦の戦線を加味した、消費と生産のサイクル。それらから算出した、共和国の”現状”です」

 淡々と告げるミリーゼ。だが、資料の告げる数値は、その全てが絶望と破滅を示していた。戦線が保たれているのが可笑しいぐらいの、異常な数値の差。

 平和? 防衛線は今の所保たれている?

 酷い冗談だ。

 この数値が本当ならば、もしレギオンがその気になれば……共和国の防衛線など、一日足らずで突破される。

「こ、この資料の信用性は……?」

「貴方なら理解できるのではないですか? それでもだいぶん、楽観的な予想なのですけどね」

「軍上層部はこの事を」

「上奏はしました。上奏は」

 つまり、知っていて放置しているという事だろう。2年後の、レギオン中枢の寿命を顧みて。いや、それとも。

「けど、けど……ミリーゼ少佐。レギオンは、2年後には機能を停止するのでしょう? その影響で、こんな、グラフ通りになる訳じゃ」

「何故?」

「え」

「何故、そう思うのです? レギオンは確かに、無人で稼働する自律型兵器です。人間のように、高度な判断を下せるわけではない……ですが。判断能力がないわけでは、ないのですよ。すくなくとも、原型となったマリアーナ・モデルは資料によれば、ある程度の戦略的判断を下す能力はもっています。そんなレギオンが、自らを朽ちるがままに、まかせると?」

 ミリーゼはそう語りながら、別の資料を差し出した。ハウリの希望、否、楽観を叩き潰すために用意していたその資料を。

「なるほど、軍の想定通りにレギオンの生産数や活動が低減したとしましょう。ですがそれは、一日に破壊されるレギオンの総数を遥かに上回る。結局、レギオンは増え続けているのです。それとは対照的に、共和国の防衛線は、日に日に擦り減っていく。いや、擦り減らされているのですかね」

 もはやハウリは言葉もない。

 ここまで言われれば、ミリーゼの言いたいことはわかってきた。

 レギオン中枢の停止まであと2年。たった、2年。

 ではない。

 ”2年もあるのだ”。

 現状でも、力任せに共和国の防衛線を突破しかねない戦力が、まだ、あと2年。730日。そのうち、たった一日でもレギオンがその気になれば。

 ぐらり、とハウリは足元が崩れるような感覚を味わた。もちろん、錯覚だ。今はまだ。

「どうして、こんな……」

 言いがかりと分かっていて、ハウリは恨めし気にミリーゼを見た。そんな彼に、相変わらずの感情の無い目を向けるミリーゼ。

「私に。私にいったい何を求めているのですか、少佐? ええ、そうです。ご存じの通り、私はエイティシックス達を使いつぶす事に耐えられなかった、けどそれをどうにかしようとも思わず逃げ出した、ただの卑怯者です。そんな男に、こんな悪夢のような事実を突きつけて……あなたはいったい、何がしたいのですか」

「悪夢のような事実、ですか」

「そうでしょう。むしろ、何故です? 貴方はなぜ、こんな事実を目の当たりにして平気な顔が……」

「……なるほど。ハウリ元中尉。どうやら貴方とは、話ができるようですね」

「少佐?」

 話が通じてないようで、その実。ミリーゼは今度こそしかとハウリを見据えて、死刑宣告を告げる裁判官のように。

「軍に復帰してください、ハウリ元中尉。……これを悪夢というのなら、受け入れられない現実と分かるのならば。私達には抗う用意がある」

 

 一週間、時間を与えます。

 答えは、その時に。

 そうとだけ告げて、ミリーゼはハウリ元中尉の住居を後にした。若者向けの集合住宅の廊下を渡ると、階段の陰に控えていた護衛と合流する。

 顔に、一筋の深い傷を持つ壮年の男。彼もまたはぐれ者なのは、だらりと垂れ下がる中身のない左袖が物語っている。

 彼も、ミリーゼが見出した人物だ。やはり、退役軍人の。

 10年前のレギオンとの初戦において、精強にして勇敢たる真の共和国軍人は、その大半が戦死し。生き残った者も、戦場から目を逸らす事なく現地に残り、命を散らしていった。生き残ったのは整備員か、あるいは……戦えないほどの傷を負い、身を引かざるを得なかった者ばかりだ。そうした者の中には、現実から目を逸らすばかりに凶行に至った祖国を恥じるも、しかし何ができるわけでもなく暗澹と日々を過ごしている者もいる。

「少佐、お疲れ様です。しかし何も少佐自ら出向かずとも」

「”これ”は私の始めた戦争です、大尉。私一人が始めた、我儘のようなものです」

「だとしても。我々は、起きたままに見る悪夢から、救っていただいたのです」

「それは違いますよ。私は貴方達の弱みに付け込んで、夢で終わらせておけばよいものと直面させたのです。……ハウリ中尉には、念のため監視を。万が一が、無いように」

「了解いたしました、女王陛下」

 大尉と呼ばれた男の、ふざけているようでその実心からの敬意に、しかしミリーゼは僅かに瞳を揺らがせるだけで答えない。

 ミリーゼの見ている光景を、真に理解するものはいない。

 

 きっと。恐らくは。86区の”死神”さえも、彼女と同じ視点は……持てない。

 



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#2 ガラクタ弄りの白ブタ

シンレナのイチャイチャをかきたいが、私程度の妄想ではとうてい物足りないジレンマ。


#2

 

 白亜の街並み。白の人々。

 国旗とは裏腹に、偏執的なまでに白で彩られた共和国の街並み。

 かつて、様々な色で満たされていた共和国の姿を知る者は、今や少ない。

 そんなある種の狂気で満たされた平和の片隅、市民の憩いの場である噴水公園の傍らで、一人の若者がベンチで何をするでもなく黄昏ていた。

 街を行く人々は、そんな彼を気にも留めない。

 そんな中、一人の少女が人の流れから離れ、若者と同じベンチの反対側に腰掛ける。深窓の令嬢といった風の、風になびく長いスカートに、長く伸ばした銀色の髪。見る人誰もがつい目で追ってしまう美少女だったが、その朗らかな顔はどうにも作り物っぽい、どこか違和感のぬぐえない……不気味な少女。

 一つのベンチで、数人分の距離を開けて隣り合う、二人の若者。

 ややあって、世間話でもするかのように少女が口を開いた。

「バルク・アーラさんですね」

「ああ……。なんだよ、正規軍のスーパーエリート様が声かけてきたかと思ったら、とんだ美人さんじゃねーか。こんなベンチじゃなくて、オシャレな喫茶店とかで話しない?」

「申し訳ありませんが、盗聴等を考えるとここが一番ですので。貴方も、これ以上変に目立ちたくはないでしょう?」

「そりゃそうだが……」

 年下の少女の、大人びた……大人すぎる対応に出を挫かれる若者。そんな彼の様子に全く頓着する事もなく、時間が惜しい、とばかりにミリーゼは淡々と話を進める。

「貴方に声をかけたのは、ほかならぬ貴方が大学を負われた一件の話です」

「ああ……あの事かぁ……」

 うんざりした顔でアーラが呻く。彼自身、納得いっていない気持ちと飽き飽きとした気持ちで一杯の、ある出来事。

 彼は工業大学の出身だった。戦時下故、一応兵器産業ともかかわりがある中で、彼は仲間とちょっとした好奇心である者を組み立てたのだ。特に何の含みもなく。

 M1A4。表向きには”無人機”とされている、対レギオン用軍事フェルドレスを。

「いっみわかんねーよな。無人機にコクピット作ったからあんだけバッシングって。もともとコクピットがある代物だろうがよ。そりゃ原型になった設計図じゃコクピットの代わりに制御回路詰んでた訳だが」

「そうですね」

「俺は別に、”86”に対して政治的思考は持ってないよ。どうしようもねえし。ただ技術のそれとこれとは切り離して考えるべきだろうがよ」

 相当不満がたまっていたのだろう、口を尖らせて初対面の少女にグチグチと不平を告げる青年。

 聊か不適切な言動も混じっているが、彼の発言はあくまでも技術者、追求者としてはそうおかしなものではない。むしろ真っ当といえる。技術の発展において、人道とは時に切り離して考えるべきものだ。兵器ともなれば、猶更である。いかに味方の損害を抑えながら、相手の人道を踏みにじるか。兵器の発達は、一言でいえばそれに尽きる。

「ひとつ聞きたい」

「ああ?」

「貴方はもし、しかるべき施設があれば”有人仕様”のM1A4を製造できるのですか?」

「……ったりめえだろ」

 少女の言葉に含む意味合い。それを読み取ったうえで、アーラは太々しく鼻を鳴らした。

「むしろあんなガラクタよりずっとマシなもん作って見せるぜ。許可さえ貰えればな。ってか、何考えてるんだろうな軍上層部の連中。2年後にレギオンが停止するなら、そっから先は人と人の戦争だろうがよ。あんなガラクタで、ほかの国家と渡り合えると思ってるのかね?」

「アーラさん。共和国は独裁国家ではありませんが、軍をどうどうと批判するのは貴方の自由を損ねる恐れがありますよ」

「はっ。とっくに損なわれてるっての」

 M1A4を勝手に建造した件の責任を問われ、アーラは大学を自主退学させられた。その後も職にもつけず家にも戻れず、なんとか貯金を切り崩して生活している有様だ。今回、ミリーゼという十代の少佐などという怪しげな人物の接触を受けたのも、とにかく藁にもすがりたい気持ちだったからだ。

「で? あんたは、俺にドローンを作らせて、どうするんだ? 国家転覆でもするのか?」

「まさか。そんな事に何の意味が?」

 そんな事はしない、ではなく。そんな事に何の意味が、と。

 ”意味があればする”とでもいうのか。それとも……。

 アーラは、無軌道な所もあるが、本質的には聡明な人物だ。感情把握にも長けている。だから彼は、ミリーゼの鉄面皮の向こうにあるものを、僅かばかり感じ取る事ができた。

 この後に及んで理解する。目の前の少女は、自分が思っていたよりも別の意味であまりに危険だと。

「だったら……なんだってんだよ。俺に?」

「別におかしな事を頼むわけではありませんよ。安心してください。”戦後”を見据えて、共和国は独自に有人のフェルドレスを備えておく必要がある。ドローンではなくてね。その前準備として、M1A4を使って色々と実験したい、という話が私の元に来ているのですよ。その計画に、貴方を招集したい」

 カバーストーリーだな、とアーラは即座に看破した。

 今の軍上層部の腐敗ぶりは彼も理解している。まっとうな軍人は10年前の戦いでみんな死んで、死ぬべき戦いで生き残るようなクズか、心折れた奴ばかりが上層部に居座っている。

 そして連中は悪夢のような現実を見据えられずに楽観的な妄想に逃げて、いつしかそれが真実と思い込んでいる。

 何も知らないのは市民だけだ。

 それが分かっていて、どうするつもりもない自分も同罪で。……だが、この目の前の新米少佐は。

「招集うんたらは、まあわかった。どうせ金もなくてどんづまりだったからな。それはいい。その代わり一つ答えてくれ」

「なんでしょうか」

「アンタ、一体何を見た?」

 意味合いのはっきりしない曖昧な問いに、しかしミリーゼは確信を得たように、ひきつった笑みを浮かべた。

「地獄を」

 

 

 ミリーゼ少佐の言った言葉の通りに、アーラは軍の施設に招かれた。

 脱落者であるアーラを、しかし歓迎した同僚達は、やはりいずれもミリーゼ少佐を通してつながった者たちだった。

 どんだけ行動力あるんだよ、と呆れかえっていたアーラだったが、その彼も、”現状”を認識すれば流石に呆然とする他なかった。

「なんだこれは……」

 アーラの目の前に広がるのは、M1A4の自動工場から取り寄せた生産ラインの写真。そして一部の部品。

 出来の悪いスクラップのような。当初の設計よりも大幅に劣化したそれを見て。

「なんなんだこれは!?」

 ドローンフェルドレスとされるM1A4は、とにかく質より量、数をそろえるのが最優先。そのため各部は徹底的に省コストが図られ、一部部品においては民生品の流用だ。さらに導入時の混乱や急を要する事態もあり、少々設計が”雑”ではある。

 それでも、技術大国であるサンマグノリア共和国の名にかけて、半端なものは作っていない……そうアーラは当然のように考えていた。

 それがどうだ。

 目の前に転がっているのは、それこそガラクタそのものだ。最低限の基準すら満たしていない、到底製品として成り立たない不良品の山。

「いくら自分たちが使う訳じゃないからって……いくらなんでもねえだろよこれは……?! 技術を馬鹿にしてんのか……なあ、おっさん、マジでこんなの前線に送り込んでるのかよ?」

「耳が痛いね」

 愕然とするアーラの問いに答えるのは、中年の技術スタッフだ。彼もまた、憂いに満ちた目で部品を眺めながら、アーラに現実を伝える。

「残念ながらこれが事実だ。完全自動化された製造ラインといえば聞こえはいいが、その実最低限の管理しかされてない。不良品チェックや、選別工程もまともに行われていないんだ。コストの無駄だといってね。消耗する為に送り込むのだから、いちいち弾いたら資源の無駄だ、と」

 意味が、わからない。アーラは言葉を失う。

 それにしても、こんな部品でくみ上げられたのでは、M1A4が一体、想定スペックの何割の性能を発揮できているのか。

 そもそも、何故試作段階の設計がそのまま流用されているのだ? あくまでこの仕様は、急遽開発した戦闘用ドローンを、これまた急遽有人仕様に変更した、突貫につぐ突貫作業で作られたものだったはず。砲撃管制用CPUは機体後部とはいえむき出しのままだし、コクピットハッチも本来は頻繁な開閉を想定していないメンテナンスハッチの流用だから、頭上に砲身があってちょっとした事で開かなくなるという不具合だって抱えてる。機体強度が足りなくて搭載する火器も火力に乏しく、間違っても人間を載せて”レギオン”の超高性能機と戦わせていいものではない。

 アーラ自身は86区の差別とかそういうのはどうでもいい事だと思っている。正しくは、それを否定すしただすだけの正義も熱量も行動力も、彼は持つ事ができなかった。大衆に迎合したという意味では同罪だ。

 だが、技術者として、”無駄”は許せない。

「……いいぜ、やってやろうじゃねえか。おいおっさん、製造ラインの資料とかありったけくれ」

「どうするんだい?」

「まずはその”無駄”こそが”無駄”だって証明してやる。メンテナンス代金ケチって機械を回せば、かえってコストがかかるって事を馬鹿どもに教えてやる。それに設計もだ。できる限りの当時の資料が欲しい。この歩くガラクタが、本当はもっとまともなもんだって証明してやるさ」

「いいね、若いのは嫌いじゃない。サンマグノリア共和国がこんなものしか作れない、と後世に残されてはたまったものではないからね」

 技術者としてのプライドか、ごく僅かな時間でアーラと技術士官達は打ち解けていた。互いに寝食を忘れて、談義に没頭する。

 その日、研究棟から明かりが消えることはなかった。

 

 それからしばしの後、86区に届けられるM1A4ジャガーノートの部品精度が急激に上昇し、エイティシックスの整備員たちは首を傾げる事になる。



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#3 考えなしの白ブタ

#3

 

 その日、共和国の防衛線で一つのトラブルがあった。

 何度目になるか数えもしないレギオンの進行と、それに対処する86区の部隊。

 いつも通りで、しかし結果はいつもとは違っていた。

 ごく少数のレギオンが、86区の防衛線を突破してしまったのだ。

 レギオンの取る、アーマイゼを中心とした、数に物を言わせた浸透突破戦術。それに後方から対処するのが、指揮管制官(ハンドラー)の仕事だったが……それも形骸化して長いという事だろう。部隊の目となり耳となるはずの指揮官が適当に仕事をしていては、エイティシックス達も敵を見逃す。

 そうして浸透突破したアーマイゼ達は、後方の地雷原に到達。やむを得ず、要塞の迎撃砲が起動したのだが……馬鹿馬鹿しい事にも、数十の迎撃砲の砲撃をもってしても僅か十機ばかりのアーマイゼを撃破できなかったのだ。

 理由は単純。要塞砲のことごとくが、不発弾だったのである。もとより、まともに整備されていなかったようだ。ミサイルはただの重たい円筒と化し、砲撃はただ地雷原に爆発物を埋めただけ。もちろんそれらの質量によって、直撃を受けた不幸なアーマイゼは一たまりもなく撃破されたが、本来発揮するべき威力の数百分の一にも満たない。文字通りただの案山子、というわけだ。

 そうして地雷原を、高性能のセンサーで無人の荒野を進むがごとく駆け抜けたアーマイゼは、ついに共和国の防衛ラインを突破しようとし……その直前で、駆け付けた防衛地区とは別の戦隊の遠距離砲撃によって撃破された。

 流石にこの事は、大きな問題になった。

 いくら寝ぼけた共和国の軍上層部も、自らの喉元に刃が迫っていたというのを知れば対応もする。

 問題の不良管制官は更迭。迎撃砲の不発弾についても、スタッフを入れ替えた上で今後報告を上げるように処置。そのうえで、八つ当たりのように迎撃を担当したエイティシックス達の部隊を解散させて再編成した。

 逆に言うと、それでおしまい。

 更迭された管制官もすぐに別の場所に配備されるだろうし、報告を上げるように、とはいっても抜本的な対処にはならない。いつも通りの、場当たり的な、メンツを守るためだけの形だけの改善だ。

 

 だからこそ。”彼女”の付け入る隙があった。

 幽鬼のように囁く、死神の助言。少佐という立場と、ミリーゼ家の権益も容赦なく活用した。

 上層部の知らぬところで、迎撃砲の条件付き運用権限が一定階級以上のハンドラーに任され、迎撃砲の整備スタッフの中には彼女のシンパが潜り込む。

 思わぬ偶然を、彼女は存分に活用した。

 

 

 本当に??

 

 

 東部方面第九線区。

 そこが、ミリア・ハーヴィス少尉指揮管制官の新たな任地だ。

 ミリアは、共和国の中でも下層の生まれだ。王政を排し共和国となった事で表向き身分の差はないが、しかし貧富の差はなくならなかった。

 明日の食にも困るような、貧しい生活ではない。しかし多くを望むことはできなかった。職すらも。

 だから軍人になった。レギオン完全停止まであと2年といっても、だからといって軍人が不要なわけではない。少なくとも2年は食べていけるのだから。それに、軍に入れば相応の庇護は受けられる、ただの無職よりも今後に役立つだろう。

 それにもう一つの理由がある。

 その事を思い返しながら、ミリアは配属部署の上司と対面する。

「貴方が、ミリア・ハーヴィス少尉ですね。私はヴラディリーナ・ミリーゼ。階級は少佐ですが、見ての通り貴方より年下です。不必要に敬う必要はありません」

「はっ、少佐」

 やっぱ本物は違うなあ、とミリアは内心呟いた。

 ヴラディリーナ・ミリーゼ少佐。士官学校を飛び級で卒業した、超エリート。実家も元貴族の肩書を持つ資産家で、ミリアからすれば天上の人物だ。

 白銀に輝く髪と、真珠のような瞳。光の当たり方によって虹色に輝いて見えるのは、今や数少ない白銀種の純血中の純血だ。白系種を優遇する共和国でも、いわば血統書付きの貴種、その一人。本来ならば、いくら少佐階級とはいえ軍人などやっているような人間では、無いだろうに。

 しかし彼女がお飾りではない事を、ミリアは事前によく知っている。

 担当地区でのレギオン撃破率は堂々の一位。戦術指揮は苛烈にして大胆にして緻密、もし普通の戦場であっても、彼女ならばあるいは……そう思わせるだけのものがある。その分、僻みややっかみも多く、あらぬ噂や誹謗中傷も受けているようだが、彼女は一顧だにしていない。

「よろしい。早速ですが、貴方には開けた穴を埋めてもらいます。先日の顛末はご存じでしょうが、無能が遊び半分でレギオンを逃し、共和国の防衛線を脅かしました。それに伴い、部隊も再編を余儀なくされています。貴方には再編した部隊の指揮と管理をお願いします。まず最初に、部隊のメンバーや適性の確認を行い、私に報告してください」

「? 指揮管制官同士でそのようなやり取りを行っているのは聞いたことがありませんが……」

 そもそも、管制官室は個室だ。おずおずと尋ねると、白銀の少女は張り付けたような笑みでくすりと笑った。

「他所は他所。ここでは私のやり方に従ってもらいます……別に私一人でやってもいいのですが。多少の不便さは、ご愛嬌というものでしょう?」

 噂は案外、的を得ているのかもしれない。

 得体のしれない年下の少女の、不可解な威圧感にごくりとミリアは唾を飲んだ。

 ……本当の意味で戦場をミリアは知らない。だからこの時も、ミリーゼの纏う気配のそれも、理解していなかった。

 彼女の纏う、死の気配を。

 

 新任地での初任務はつつがなく終わった。

 いやむしろ、今までの任務の中で、一番簡単に終わったといえる。

 ミリーゼのもたらす、正確無比な戦術予報。見えない敵が見えているかのような、来るべき未来が見えているかのような。

 レギオンの戦闘力は強大だ。例え数に物を言わせて突撃してくるだけだとしても、だからこそ厄介極まりない。M1A4の火力では敵主力たるレーヴェの正面装甲を破る事も難しく、対応は基本伏撃と奇襲になる。だが、それを行おうにも周囲を警戒するアーマイゼとグラウヴォルフの群れが存在する。

 本来、戦術とは不利お補うものだ。圧倒的な質と量に物を言わせてせまりくるレギオン相手には、犠牲を承知であたるしかない。それがミリアの考えだった。

 だがミリーゼは全く違う。多少の性能差など関係ないといわんばかりに、性能の劣るエイティシックス達をチェスの駒のように巧みに操る。地形を巧みに利用しレギオンの行動を誘導し、誘い出し、無防備な側面を突く。恐ろしいのは彼女に見えているのは自分の担当する一地区だけでなく、管制室に詰めている複数の同僚の担当地区すら、完全に把握しているようだった。複数の地区が完全に連動してレギオンを迎え撃つ。犠牲者は限りなく少なく、そして死んだ者も本人ですら納得せざるを得ないほどに、完璧に計算された死の領域。攻めてくるはずのレギオンが、むしろ罠に踏み込む蟻の群れのようですらあった。

 そこまでくると、いっそ不気味ですらあった。

 業務を終え、引継ぎをすませたミリアは休憩室で代用コーヒーを飲みながら独り言ちる。ここの設備は質が良くないらしく、苦みと渋みばかりが強いコーヒーだった。

「お疲れ様」

「中尉。お疲れ様です」

 声をかけてきたのは、同じ管制室にいた年上の男性だった。階級が上の相手に、慌ててカップをおいて敬礼すると相手も敬礼を返してくる。厳めしいのはそれまでで、敬礼を崩した男性はふっと笑った。

「なかなか疲れただろう。ミリーゼ少佐殿は人使いが荒いからな」

「ええと……」

「正直にいって構わないよ。私もあの人も、そんな事を気にするほど暇ではないからな」

「はぁ……」

 年上の男性という事で内心少し身構えていたミリアだったが、その心配はなさそうだ。そう思うと、口も軽くなる。

「中尉は、ミリーゼ少佐の元では長いのですか?」

「おかしな事を聞くな。少佐はいうほど軍歴が長いわけではないぞ? 下手したら君より短いかもだ。……まあ、今いるメンバーの中では、一番の古株だが」

 だから、とひと段落置いて、中尉は続ける。

「ミリーゼ少佐のやり方は、きついだろう」

「……はい」

 それは。認めざるを得なかった。

「私も、戦域管制官として勤務してきましたから。エイティシックスが死ぬのは、珍しくないはずなんですが。今日の作戦では一人死んだだけなのに……それがちょっと、きつくて」

 その理由はわかっている。

 報告させられたからだ。知ってしまったからだ。

 コードネームで呼ぶ、エイテイィシックス達。その一人一人に、”名前”があるなんて当たり前の事を。

 たったそれだけの事で、死の意味が変わってしまった。

 人ではない獣から、この世界でたった一人の、人間に。

「……辛いなら、ミリーゼ少佐に掛け合おうか? あの人のやり方は、人として正しいのは間違いないが……正しすぎる。奇麗すぎる川に、魚が住めないように」

「いえ、大丈夫です。それにミリーゼ少佐の指揮は、勉強になりますし……」

「俺はとてもそうは思えないが」

 中尉の顔はしかめ面だ。忌まわしい者を思い返すような口調と表情。

「あの人には、多分俺たち凡人とは違う世界が見えてる。本当は管制室じゃなくて、最前線、エイティシックス達と肩を並べて戦っているんじゃないか、そう思える気がする。彼女にはみえてるんだ。最前線で侵攻するレギオンの足音が、とどろく砲声が、エイティシックス達の苦悶の声が。恐ろしい人だよ、彼女は。比べちゃいけない」

「……あの。中尉……?」

 てっきりこの人はミリーゼ少佐の腹心の部下か何かだと、そう思い込んでいたミリアは想像と違う反応に目を瞬かせる。中尉の言動はまるで、むしろミリーゼ少佐を恐れ、いぶかしんでいるようで……。

「ああ、すまない。そうだな、不思議に思ったかもしれないが……別に私は、ミリーゼ少佐のシンパでも部下でもないんだ。目はつけられているようだがね」

「他の人も……?」

「遠からず、といった所かな。ほぼ全員がミリーゼ少佐と面識があるが、彼女に心酔する者は一人もいないよ。なんなら恐れているのかもね」

 だからこそ、離れられない。中尉が言外に語った言葉を、ミリアは悟った。

「あまり魅入られない方がいい。まともでいたいならね」

「ええ、と、はい、じゃなくて。了解しました」

「はは。まあ、ミリーゼ少佐の元にいれば出世できるのは違いないよ。それだけは違いない」

 そういって、中尉は笑った。

 

 その数週間後に、ミリアは転属願いを人事に届けた。

 理解してしまったからだ。

 全てが、彼女の思惑で動いていた事を。

 偶然なんかじゃない、全てが。

 

 信仰阻止失敗は偶然じゃない。役に立たない管制官を後方に下げるため、そして迎撃砲を自由に使うための理由づくりとして、ミリーゼが仕組んだことだ。

 そして線区全体を管理するのも、レギオンを効率的に撃退するため、それだけじゃない。

 彼女は時としてミスをする。それが、ミスじゃなかったとしたら。戦果をあげすぎたエイティシックス達が、より危険な前線に配備されるのを防ぐために。最前線のエイティシックス達をすりつぶしてしまわないために。ミスを理由に、再編という形で戦力を再分配している。

 それが、理解できてしまった。理解できるほどに、ミリーゼ少佐を理解してしまった。そうなったらもう彼女の元にはいられない。

 そしてそれすらも、ミリーゼ少佐の思う通りなのだろう。彼女は、”有能”な管制官が広域に配備されるのを望んでいる。

 エイティシックスも、共和国軍人も、等しく。彼女にとって盤上の駒に過ぎない。もし彼女と対等に差しあえる存在がいたとしたら、悪魔と向かい合う事ができる存在がいるとしたら……それは悪霊だけだ。

 ”レギオン”だけが、彼女の敵で。それ以外のすべては、等しく。

「……戦乙女なんかじゃない。あの人は、悪魔だ……」

 そして、その悪魔と契約した私は。これからどうなるのだろう。

 手の中の書物。焚書によって失われたはずの、レイシャ・ノウゼンの著書。『次世代学習型AI論』。ミリーゼ一派の誘いに乗ったのは、普通の方法では手に入らないこれを、手にするための軽い気持ちだった。そのたった一冊の本が、あまりにも重い。

 愚か者は、一欠けらのパンの為に子を差し出したという。

 ならば、自分は。

 

 にわとりがさんどなくまでに。

 

 

 その理由をミリアが知るのは2年後の事。巨竜の咆哮が轟き、偽りの平和が破られてからだった。




次回あたりからシンが絡むかも。
基本的なストーリーラインはできてるけど、いかんせん思い付きで書いてる。


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