私の幸せ (たむろする猫)
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1話

幸せなんて、とても曖昧なものだと思う。

美味しい物を食べていると幸せだって人もいるし。

皆とワイワイ騒いだりするのが幸せだって人もいる。

人によって幸せの感じ方は違うし、その定義もちがう。

誰かにとっての幸せは、他の誰かにとっては

下らない事なのかもしれない。

それでも、それを幸せだと感じられる人にとっては

それは紛れもなく幸せな事なんだろう。

 

・・・・・・柄にも無く哲学的な事を考えてしまった。

むぅ、それもこれもネイトが悪い、幸せそうな顔しちゃって。

 

顔を見やすいように、サラサラとした黒髪を分ける。

私とネイトの姿勢的に横顔しか見れないけれど、

それでも、ネイトが可愛らしさすら感じる

寝顔をしているのはよく分かる。

 

暖かい春だとは言え、流石にこのままという訳にもいかないだろう。

時間はもうすぐ日暮れを迎える時間だ。

実際私達が居るベンチは丁度沈んで行く太陽に照らされる場所だ。

まぁ、今日は大変だったから疲れているのはしょうがない。

2年生になって、後輩が出来て。

ただでさえその後輩達よりもネイトは年下な上に、

彼は未だに異彩を放つ【夜色名詠】の使いてである。

珍しく奇妙であわや揉みくちゃにされるといった場面も一度や二度じゃなかった。

それでも、先輩としてしっかりしようと走り回っていたのだから、

疲れてしまうのも仕方がない。

何せ私の小さな恋人さんはとても頑張り屋さんなのだら。

だから、私の側でくらいゆっくりされてあげよう。

余り気を張り過ぎない様にもう少しの間は私がリードしてあげよう。

優しく頭を撫でるお疲れ様という気持ちをこめて。

 

「んっ、クルーエルさん」

「ふふっ、お疲れ様ネイト」

 

どんな夢を見ているんだろうか?

私の名前を呼んだって事は、

少なくとも私が側に居るってことなんだろうか?

うん、そうだと良いな。

この先の事なんて、まだまだ想像もつかない事ばかりだけれど。

それでも、ネイトの側に居たいと思う。

私がネイトの隣に居て、ネイトが私の隣に居る。

今はまだどっちかと言うと私がネイトを引っ張ってる感じもするけど、

いつかは隣に立って歩いていこう?

あぁでもいっそ、ネイトが私の手を引っ張ってくれても良いかな、

あの時みたいに。

 

 

そろそろ、起こさないといけないかな?

でもなんだか、ネイトの寝顔を見てたら私も眠たくなってきた。

少しだけ眠ろうかな。

最悪ミオあたりが探しに来るだろう。

そんな無責任な事を考えつつ瞼を閉じる。

 

ねぇ、アマリリス?

私は今、幸せだよ。

 




つまりは、膝枕です。

クルルの一人称っぽく書いたつもりなんですが、
どうでしょうかね?
あらすじにも書きましたが、
クルネイ成分の補給に成れば幸いです。


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if/家族

サブタイ通り。
もしも、こうだったらとそういう願望。


「ネイトー朝よ、おきなさい」

「ん〜」

 

扉の向こう、若干くぐもった母の声に

布団にくるまった黒髪の少年はモゾモゾと動き出す。

が、起き上がる気配は無い。

 

「ネイト起きなさいって、もうクルーエルさん来てるわよ」

「ふぇ? えっうわっわっわっ?!」

 

起きる気配が感じられなかったからだろうか、

部屋に入り少年....ネイトの身体を揺すりながら

掛けられた母の言葉にネイトの寝ぼけた頭は一瞬で覚醒し、

慌てて飛び起きる。

そのときにネイトの上に乗って眠っていた黒い羽根つきトカゲが

床に落ち文句の声を上げているが、母もネイトも気にしていない。

 

「お、お母さん?! なんでもっと早く起こしてくれないの!!

クルーエルさんが来てるってホント!?」

「何度も起こしたわよ、それよりさっさとしなさい?

そんなんじゃ、本当にクルーエルさん来ちゃうわよ?」

 

呆れた顔をして、時計を指差す母の指を追い時計を見てみると

 

-6:30-

 

年上の恋人、クルーエルがネイトを迎えにくる時間は毎朝

7時30分であるため、つまるところまだ1時間程時間があることになる。

 

「え?」

「時間が有るってわけじゃぁないでしょう?

一時間なんてあっという間よ、特にその寝癖じゃね」

 

そう言われて、頭に手をやってみるとそれはもう

見事に爆発していた。

 

 

 

 

「あはは、それで慌てて降りてきたんだね」

「もう、笑わないでよお父さん」

 

新聞紙をたたみ、テーブルの脇に置きながら笑うのは

ネイトの父であるカインツ・アーウィンケル。

まだ若くして世界随一と謳われる天才である(如何なる分野に置いて

そう言われているかは面倒なのでこの場では省く)が、

妻でネイトの母たるイブマリーに言わせれば唯の優男である。

ネイトの両親にしては若すぎると良く言われるが、

実際ネイトは元々捨て子でありカインツとイブマリーは

実の親では無いが、まぁなんだかんだと言って

実の親子以上に仲の良い3人であるため、事情を知らない人は

気付かないし、知っていてもそうとは見えない為に問題はないのだが。

 

「はいはい、ぶーぶー言ってないでさっさと食べなさい。

本当にクルーエルさんきちゃうわよ」

「いっいたただきます!!」

「あんまり急ぎ過ぎ無いようにね」

 

因みにさも自分が作ったかのように朝食をテーブルに

並べるイブマリーであったが、実はトーストを焼いた以外は

全てカインツ作だったりする。

兎にも角にも、これ(ネイトがイブマリーに騙されて起こされる所から)が

アーウィンケル家の毎朝の一コマであった。

 




最初から原作が息をしていない。
この作品はあくまでも、あくまでも(大事な事なので2回)
“if”であるために、キャラが若干ちがおーが
そんなことは気にしちゃのーなのです。


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