カードゲームで支配できるような世界の主人公になってしまったのでメタデッキを組みます (さすらいのひまじん)
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本編の補足-ゲームルール-

本編中で細かく描写したくないため、MoWの基本ルールを置いておきます。
本編中のガバ描写や、ルールとしての破綻、質問点などございましたらいつでもご指摘ください。

また、こちらで想定しているカードプールが少なすぎて基本的にその場その場で都合の良いカードを創造することになるため、読者兄貴達からのオリジナルカード案をいつでも募集しています。


マスターオブザワールド(MoW)

 

・基本ルール

マスターのライフが先に0になった方が負け

先に山札がなくなった方が負け

 

・ゲーム開始前の準備

お互いにメインデッキ40+マスター1枚の41枚を用意する。

 

・ゲーム開始時

メインデッキをシャッフルして山札にし、自身のマスターを公開する。

そのあと山札から5枚引き手札とする。

 

・マスター

マスターは20のライフとレベルによって変動するアタック/ガード値とレベルアップ時に発動する効果や、獲得できるスキルを持つ。

攻撃時に与えるダメージはアタック値を参照し、マスターが攻撃されて受けるダメージはガード値の分だけ減る。なお効果によるダメージはガード値によって減少されない。

基本的にマスターはアタックフェイズに一度攻撃できるが、先行の1ターン目には攻撃できない。

 

・レベル

マスターのレベル。チャージフェイズに手札を最大2枚まで経験値にする(マスターの下置く)ことができ、マスターの下敷きになっているカードの枚数によってそのマスターのレベルが変動する。基本は上限が3だが、特別のマスターであればその上限を超えることもある。

 

レベル | 経験値の枚数 | アタック/ガード値

0 | 0 | 0/0

1 | 2 | 1/1

2 | 4 | 2/2

3 | 8 | 3/3

 

・1ターンの流れ

 

ターン開始

ドローフェイズ

チャージフェイズ(スキップ可能)

メインフェイズ

アタックフェイズ(スキップ可能)

ターン終了

 

・アタック-交戦

攻撃するカードと攻撃対象のカードを選択することをアタックという。

アタック宣言したとき、そのカードの持つアタック分のダメージをライフ(タフネス)に与え、逆に相手のカードの持つアタック分のダメージをライフ(タフネス)に受ける。このダメージ処理を交戦といい、交戦が行われなかった場合ダメージはどちらも受けない。

 

・カードの配置、ゾーン

それぞれのマスターはフィールド(場)に

使役枠×現在のレベル

ウェポン枠×1

スペル枠×1

を持つ。

またそれ以外のゾーンとして、

山札、手札、経験値、廃棄場(墓地)がある。

 

使役枠の数だけモンスターカードを使役できる。

ウェポン枠の数だけウェポンカードを装備できる。

スペル枠の分だけスペルを詠唱できる。

 

・使役

使役枠の上限枚数まで、手札から、コストを必要とせず場に出すことができる。これを使役という。(所謂召喚)

ただしモンスターカードに条件が記入されているときはその条件を満たさない限り基本的には使役できない。

使役されたモンスターは、廃棄されるか場を離れる効果が適用されない限り場に残り続ける。

相手の場にモンスターがいる時、自身のマスター又はモンスターはその相手のモンスターを優先して攻撃しなければならない。

アタックフェイズには、基本的にマスターを含めて好きな順番で攻撃を行うことができるが、使役されたばかりのモンスターは次の自分のターンまで攻撃できない。(所謂召喚酔い)

 

・モンスターカード

使役によって場に出る。

アタック/タフネス値を持つ。

カードによっては使役のための条件を持つ。(主に【条件 レベルが2以上】など)

ダメージを受けるたびにその分タフネス値が減っていき、タフネスが0になると廃棄される。

 

・ギガントモンスターカード

特に強力なモンスターカードはギガントモンスターとして扱われ、一部のマスターの使用が制限される。また、使役のための条件を必ず持つ。

 

・ウェポンカード

マスターに装備させることで場に出る。

基本的にコストは必要ないが、装備する際に条件を持つカードもある。

(主に【条件 手札を一枚捨てる】など)

アタック/ガード値を持ち、装備することによってマスターのアタック/ガード値にその分追加される。

既に装備している時(ウェポン枠が埋まっている時)に、他のウェポンカードを使用しようとした場合、既に装備されていたウェポンは廃棄される。

 

・レジェンダリーウェポンカード

特に強力なウェポンカードはレジェンダリーウェポンとして扱われ、一部のマスターで使用が制限される。また、装備のための条件を必ず持つ。

 

・スペルカード

基本的には詠唱(スペル枠に裏向きで置く)の後、次のターンのはじめ(相手のターンも含む)の後に発動することができるカード。しかし基本的には自分のターンのメインフェイズにしか発動できない。詠唱が必要であるが、基本的に発動のための条件はない(一部例外あり)。発動したスペルカードは効果終了後直ちに廃棄される。

また、一部カードには高速や対抗といったキーワードを持つスペルがある。

高速は、1ターンに1枚だけ高速を持つスペルを詠唱なしで発動できる。

対抗は、相手がカードを使った時に発動してもいいスペルで、唯一相手のターンでも発動できる。

 

・エンシェントスペルカード

特に強力なスペルカードはエンシェントスペルとして扱われ、一部のマスターで使用が制限される。また、発動のために条件を必ず持つが、代わりに高速を持つことが多い。

 

・キーワード

 

up時 レベルアップした時に発動する効果

 

起動 メインフェイズに発動できる効果

 

ターンn

そのターン中にn回発動できる効果。同名カードが2枚ある時でも2nとはならず、n回。効果発動の後場を離れてもう一度出しても2nとはならずn回まで発動できる。

 

対抗

相手がカードを使った時、発動しても良い効果。

 

カードを使う

モンスターの使役、ウェポンの装備、スペル詠唱または発動のこと。

登場時を持つモンスターを対抗で廃棄するとき、順番的には使役→対抗廃棄→登場時の効果発動になる。

 

スキル 永続的に発動している効果。

 

条件 

そのカードを使うための条件。満たされていない時は使うことができない。

 

登場時

登場時に発動する効果。

 

攻撃時

そのカードが攻撃する時に発動する効果。

 

廃棄時

廃棄される時に発動する効果。

 

 

 




カードの配置イメージは以下のようになっています。

【挿絵表示】


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第0話「マスターズ・オブ・ザ・ワールド!一挙放送スペシャル」

・初投稿
・ガバデュエル
・ガバルール OK?

対戦よろしくお願いします。


 「Master of the World」通称MoW。

 プレイヤー自身をゲームの中の駒「マスター」として扱い、相手マスターのライフを0にするか相手の山札がなくなれば勝ち、という何処かで聞いたことあるようなルールのTCGであるが、細かいルールやカードプールが異なるため、しっかりと差別化は取れていると言えよう。まぁ細かいルールもいろんなTCGのごちゃ混ぜのようなもんなのだが、閑話休題。

 このMoWはTCG業界の中ではまだまだ新顔で、ついこの間まで販促のためのTVアニメを放映していた。それが今見ている「マスターズ・オブ・ザ・ワールド」なのだが……

 

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『エンシェント、レジェンダリー、ギガントのカード。その全てを集めたマスターにはこの世界が与えられる』

 

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 うん、まぁ、カードゲームアニメなんだすまない。

 カードゲームアニメの世界では、カードゲームによって人は死ぬし、世界の命運を分けられるし、隙あらばバトルをするのが当たり前、とは誰の言葉だったか。このマスターズ・オブ・ザ・ワールドも例外なくその一つであった。

 

 エンシェント・スペルカード、レジェンダリー・ウェポンカード、ギガント・モンスターカード。これは現実のMoWにも存在する所謂レアカードというやつで、それぞれが切り札級の効果を持つ強力なカードになっている。

 アニメではそのレアカードを全て集めたものが世界の支配者になれる、という設定で、偶然レアカードをゲットしちゃった主人公がその戦いに巻き込まれる、というシナリオだ。あるあるですね。

 

 しかし、そんなよくある展開のこのアニメであるが、視聴者には「これMoW販促する気ある?」とか「アニメ世界ではMoWをやらないのが正解」とか言われているのである。現行で視聴している俺も例外なくその感想を得ていた。

 どうしてそんなことになっちゃったの?ときっと未視聴者は思うだろう。俺は見るまではそう思っていたから間違いない。そして見た今なら分かる。「このゲーム、勝っても負けても損しかねぇ」と……

 

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『オーホッホッホ!! これで私の勝ちですわね!そのレジェンダリーと共に、貴方の全てをいただきますわ!! せいぜいレアキラ団の奴隷として役立ちなさいな!』

『う、嘘だろ!?俺の『完全耐魔障壁』が破られるなんて!?そんなはずは……!? ぐわぁ!』

『モクズさん! そんな!?』

『フフフッ…… これでレアキラ団の世界征服がまた一歩進みましたわね!』

 

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 まず負けるとどうなるのかをお話しよう。アニメにおいてそれぞれのレアカードは各1枚しかないとはいえ、世界中の人々の手に渡っている。その全てを集めるとなると普通はうまくいくはずもない。しかし、それを解決する手法としてこの世界には「マスターズ・ルール」というものが存在する。その内容は、

 

 ・エンシェント、レジェンダリー、ギガントのいずれかを1枚以上持つマスターを『候補者』と呼ぶ。

 ・候補者同士のバトルの敗者は、勝者に自らが持つ全てを捧げなければならない。

 ・候補者は、候補者に挑まれたバトルを拒否してはいけない。

 

 というものだ。簡単にいえば強制参加のバトルに負ければ相手の奴隷になるということ。クソルールすぎる。この世界のこのルール考えたやつの精神状況おかしいよ……

 

 とはいえ、この時点では負けなければ良いだけなので、「勝てば良いだけやんけ」と思うだろう。途中まで見ていた俺はそう思っていたから間違いない。なんなら「勝てば女の奴隷が手に入るとか最高か?MoW極めるわ」まで思っていた。俺はクズだった。閑話休題。

 しかし、その考えは終盤の展開によって覆されることになる。

 

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『これで全部、揃ったのか……?』

『……っ!凄い!何か、力漲ってくるぞ!これが『ワールド・マスター』!』

 

『……ククッ、この時を、待って、いたのだ……!』

 

『えっ、この声は…… うわっ!?』

『ワールド・マスターの、力! 貰い、受けるぞ、ユウッ!!』

『そんな、まさか、ワールド・エンド・ドラゴン!? うわぁぁぁぁ!!』

 

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 主人公が一番初めに偶然手に入れたギガント・モンスターカード「ワールド・エンド・ドラゴン」。当然主人公のデッキのキーカードとして活躍し、ピンチの時は新たなカードを創造する(!?)など他のレアカードと別格の力でその窮地を救ってきた相棒ポジションであったのだが、なんと最後の最後で離反。というか元々誰でも良いからカードを集め切ったやつを乗っ取って、その名に相応しく世界を終わらせるのが目的であったとのこと。これによって主人公はその力と身体全てをW・E・Dに奪われることになる。

 

 これが勝っても得がない理由である。全部集め切れるまで負けたら奴隷になるバトルを永遠と挑まれ、全てに勝ったらカードに全部を奪われる。つまり参加した時点で全てを奪われる。やらないのが正解とはまさにその通りなのであった。

 

 ちなみにこの後の展開としては、主人公の幼馴染であるヒロイン、切札 愛花がレアカードを一枚も持っていないのに候補者になれるマスター、『シン・マスター』として覚醒し、主人公をW・E・Dから奪い返す……だけに飽き足らず、「マスターズ・ルール」に則り主人公のその全てを自分の所有物として、『シン・マスター』の力と奪った『ワールド・マスター』の力を使って主人公と彼女2人っきりの世界を創造。やたらと規模のでかいヤンデレ監禁エンドとなるのであった。(ヒロインもスタッフも)頭おかしいよ。

 

 そして今、俺はちょうどその部分を視聴していたのだが……

 

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ザザ

 

 ザ

 

  ザザ

 

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 さっきからやけに画像に乱れが生じている。

 前見た時にはこんな演出は無かったはずだ。再放送特有の追加演出か?

 おいおい、展開まで変わるのか?

 なんでヒロインがこっち向いて……

 

ザザザ

 

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-----   ザ

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 ザザ

 

「『この世界はどうだった?」』

「『気に入った?ううん、つまんなそうにしてたもんね」』

「『でも、お陰でだんだんわかってきたよ」』

「『次こそ、気に入ってくれると嬉しいな」』

 

「『クリエイト: ニューワールド」』

 

ザ   ザ

 

 そして

 

ザザ   ザザザ

 

 世界は

 

ザザザザザザザザ

 

 作り直され___

 

「『ハロー、ニューワールドってね♪」』

「『またね、ユウ♡」』

 

ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ

 



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第1話「チュートリアル VSマナカ」

 

 拝啓、おふくろ様。桜咲き、新たな出会いの季節。季節の変わり目で風邪を引きやすいこの頃ですが、いかがお過ごしでしょうか?

 私は今、

 

「あうあ〜ばぶばぶ〜」

 

 赤ん坊となってまたあなたの乳を吸っております。

 

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--

 

 アニメを見ていたら世界が崩れていったあの日から、俺は何故か赤ん坊になっていた。

 しかも色々と世界がおかしかった。

 

 まず第一に両親の名字がおかしい。うちはまず間違いなく『勝鬨』なんて名字じゃ無かった。もっと普通の、どこにでもいるような名字だったはずだ。別に両親が別人だとかそういうわけじゃない。直近の記憶よりは随分と若々しいが流石にそこを間違えるほど家族仲が悪かったわけじゃない。つまり、何故か名字だけが変わってしまったのだ。しかも『勝鬨』か〜。珍しい名字ですね(棒)。

 

 次に、前の世界では俺が大人になるまで販売されていなかったMoWが既に販売されており、代わりに他のTCGが全滅しているのであった。なんでやろな〜(棒)。

 

 そしてそのMoWであるが、随分と大流行しているみたいで、世界中で知らない人どころか、プレイしたことない人なんて1人もいなくて、世界大会だって開かれてるんだって!はえ〜すっごい(棒)。

 

 ……いい加減、現実逃避はやめよう。

 つまりは、俺は前の世界で見ていたアニメ「マスターズ・オブ・ザ・ワールド」の世界の主人公、『勝鬨 遊』になってしまったようです。なんでさ。

 

「つまり俺がMoWをやるかどうかがかなり重要なんですよ」

「? なんで? ユウはMoWをやりたくないの?」

 

 この俺の前で可愛らしく首を傾げる女の子こそが、この物語におけるメインヒロイン兼幼馴染兼俺のご主人様となる『切札 愛花』その人である。俺の家のお隣に住んでおり、赤ん坊の頃にお互いの公園デビューで出会ってからこうして毎日遊ぶようになった。

 まだこの世界を理解していなかった頃は「こんな可愛い子と幼馴染とか人生勝ち組やんけ勝ったなガハハ」と笑っていたもんだが、理解した時「でもこの子ヤンデレになるんですよね」と冷や水をかけられたのは想像に難くない。でも可愛いんだよな〜。2人っきりの世界に監禁エンドだけ避けられれば、ヤンデレになってでも付き合うことを歓迎しても良いかもしれない。閑話休題。

 

 時は流れて、12年。中学1年生の今、ついに彼女からMoWの誘いを受ける。

 これはつまり、物語の始まりを意味するのだ。

 ここで俺がその誘いを快く受けてMoWを始めた帰り道、俺はW・E・Dを拾い、レアキラ団に狙われ、流れに流れて行くところまで行ってしまうのだ。

 正直なことを言えば、やりたくない。なんで俺がそんなこととも思う。思うのだが……

 

「も〜、さっきからどうしたの? いつものユウらしくないよ?」

「……」

 

 はっきり言う。レアキラ団はクズの集まりだ。世界征服を狙っているのもあるが、それ以前に、わざとレアカードを相手に拾わせ、相手がそれをデッキに入れたところを狙いバトルを挑むと言う最悪の手法を使ってくるのだ。

 この世界にMoWのデッキを持たない人なんて赤ん坊ぐらいしかおらず、レアキラ団なんて表舞台に出ていないし、レアカードは1枚でも十分に強いので、誰だってデッキに入れる。そうして知らずに候補者になった人は、レアキラ団に「マスターズ・ルール」での試合を挑まれ、レアカードを使いこなせずに全てを奪われるのだ。実際主人公がW・E・Dを拾うのもこの手法に巻き込まれた結果である。主人公は負けなかっただけなのだ。

 

 そんなクソコンボかましてくる相手がいるのに、主人公になってしまった俺が戦いを放棄しても良いのか?俺が放棄したら、この世界はどうなる?レアキラ団の被害はどこまでも大きくなり、目の前の少女だって彼らの奴隷に成り下がるだろう。そして最後にはW・E・Dの計略を誰も止められず、世界は終わるのだ。

 

 そんなの、俺は認められない。認められるはずがない。

 

「ユウ! ちょっと、聞いてるの? 本当におかしいよ? いつもなら___」

「聞いてる!聞いてるし、やるよ! MoWだろ?デッキはあるのか?」

「……もう。あるよ! はい、このデッキ」

「……あっ、いや、待ってくれ」

「?」

 

 このバトルの帰り道。この貰ったデッキにW・E・Dを入れた形でレアキラ団と戦うことになるのだが、正直言ってこのデッキはW・E・Dと相性が良くない。運が悪ければレアキラ団に負けることもあるだろう。ならば……

 

「これってマナカが組んだってことは、マナカはデッキの中身知ってるんだろ?」

「? うん。私のデッキとカードも枚数も全部一緒だよ」

「それじゃつまんないだろ? 俺自分でデッキ組みたいから、カードショップ行こうぜ」

「えぇ? まぁ良いけど……」

 

 せっかく今後の展開を知っているんだ、絶対に勝つためのメタデッキを俺は組む!

 

----------

-----

--

 

「デッキがでっきたよ」

「え? さむ……」

「え? つら……」

 

 カードショップにて。

 この世界のカードショップにはレアカードを売っていないことを確認し、それを踏まえてデッキを構築する。

 しかし___

 

「いくつか効果が違うな…これがアニメ版ってやつか」

「? あに? なんか言った?」

「いやなんでも。さて、やるか!」

 

 デッキをカットして山札にして、マスターを裏向きでセットする。

 このバトルは勝っても負けても問題ないお遊びだ。楽しむ、と同時に初心者っぽいムーブを心がけよう。

 あんまりマナカに疑われたくない。束縛が強くなる気がするし(恐怖)。

 

「マスター開示! ノーマル・マスター!」

「え?そんな大声出して表向きにするの?普通に表向きにすれば良くない?」

「何言ってるのユウ! カードの効果や名称を声に出して言うのはマナーだよ!」

「いや、それはそうなんですが……うん。マスター開示! ノーマル・マスター!」

 

 いきなり前の世界との違いに突っ込んでしまった……まぁ逆に初心者っぽいか。ヨシ!

 

==========

 

ノーマル・マスター 

 

スキル このマスターは全てのカードを利用できる

Lv.0 Attack 0/ Guard 0

Lv.1 up時 山札からカードを1枚引く 1/1

Lv.2 up時 山札からカードを1枚手札に加える  2/2

Lv.3 起動/対抗 ターン1 相手のマスター又はモンスターに3点のダメージ 3/3

 

LIFE 20

 

==========

 

 ノーマル・マスターは一番スタンダードなマスターで、アニメ世界じゃほとんどの人が使ってるのがこれ。と言うか他のマスターは基本的にこのノーマル・マスターを覚醒させることで手に入るらしく、他のマスターを使っていると言うことはそのプレイヤーがかなりの熟練者であることを示すとか。

 初心者である俺たちが使うのも当然これになる。効果はかなり無難だ。使いやすいとも言う。

 

「先攻後攻はどうやって決めるんだ?」

「え?ジャンケンとかコイントスとか… ユウは初めてだしターンの流れ覚えきれてないよね? 今日は私が先攻で見せるね」

「あ〜、そうだな。よろしくマナカ先生」

「任せて!」

 

 勿論、基本ルールなんて丸暗記しているが、今回は相手の言い分に乗っておこう。

 と言うか、今後先攻後攻なんて先に動いたもん勝ちになる。先攻が有利になるときは積極的に先攻を主張しないとな……

 

 初期手札5枚を準備して、いよいよゲームの開始になる。

 

「それじゃあ始めるよ! ドロー!」

「手札2枚を経験値にして、レベルアップ!効果でカードを1枚ドロー!」

「メインフェイズ! 手札からエンジェルを使役するよ!」

 

==========

 

エンジェル(モンスター)

 

Attack 2/ Toughness 3

 

==========

 

「スペルを一枚詠唱して、先攻はアタックできないからターンエンドだね!」

 

「俺のターンだな。ドロー」

「2枚経験値にしてレベルアップ。効果で1枚引く」

「メイン。手札を1枚捨てて、破壊槌を装備」

 

==========

 

破壊槌(ウェポン)

 

【条件 手札を一枚捨てる】

スキル 相手のモンスターが廃棄された時、カードを1枚引く

 

Attack +2/ Guard +0

 

==========

 

「さらに突撃ゴブリンを使役する」

 

==========

 

突撃ゴブリン(モンスター)

 

Attack 4/ Toughness 1

 

==========

 

「アタックフェイズ! Lv1でアタック値が1で破壊槌+2されて合計3のマスターでマナカにアタックだ!」

 

「ちょっと! 場にモンスターがいるときは相手マスターに攻撃できないよ!」

 

「あり?そうだっけははは(わざとだけど)」

「じゃあそのエンジェルにアタックだな」

「こっちはエンジェルのアタック値から俺のガード値を引いて1点のダメージで…」

 

「私のエンジェルはタフネスが0になったから廃棄されるね」

 

「破壊槌の効果で1ドロー!」

「よし!じゃあゴブリンで攻撃___」

 

「も、できないよ。出したばかりのモンスターは使役酔いがあるもん」

「ユウは全然ルール覚えてないんだね〜」

 

「しっ、知ってたし(本当に)」

「俺はこれでターンエンド!」

 

 初心者ムーブをしながら、感覚を思い出していく。何せ12年前に見たアニメだ。流石に序盤の雑魚が使うデッキを完璧に覚えているわけではない。

 

 しかしながら、マナカが今使っている、本来なら俺も使うはずのあのデッキはどちらかと言うと受けデッキで、回復と壁役モンスターが多いデッキだ。コントロールができるほどしっかりとした構築になっていないが、まぁ良くも悪くも初心者向けって感じだ。前の世界じゃスターターキットで販売されていた。

 それに対して今俺が使っているデッキは所謂アグロと呼ばれる超攻撃的なデッキだ。相手マスターにダメージを与えることが最優先で、それ以外を無視すると言ってもいい。このアグロデッキがW・E・Dと相性が頗るいいのだ。受けデッキとは相性が良くない理由もなんとなく察するだろう。

 このデッキならW・E・Dを普通に使いこなして、レアキラ団ともまともに戦えるはずだ。ギリギリの逆転劇なんていらんのですよ。相手のデッキをちゃんと覚えてないのが悔やまれるが…

 

 ちなみにマナカのデッキとの相性的には良くない。マナカが初心者的プレミをしてくれれば勝ち目があるが、まぁ負けてもいい試合だ。この後の負けられない試合のための犠牲ってやつだナ。

 

----------

-----

--

 

「俺のターン、ドロー……」

 

 現状を再確認しよう。

 マナカは残りライフ10でLv.3。場にはセイクリッド・エンジェルが1枚とジャスティス・ワンドを装備している。

 

==========

 

セイクリッド・エンジェル(モンスター)

 

【条件 自身のライフが5以下】

登場時 自信のマスターのライフを5回復

 

5/10

 

==========

 

==========

 

ジャスティス・ワンド(ウェポン)

 

【条件 相手リーダーのライフを5追加する】

攻撃時 交戦の後、自身のライフを3回復する。

 

+1/+1

 

==========

 

 そして俺は残りライフ8でLv3。場には大喰らいスライムが1枚と突撃ゴブリンが1枚。装備している破壊槌、そして発動待機状態のスペル、自爆大爆発が1枚だ。

 

==========

 

大喰らいスライム(モンスター)

 

【条件 モンスターを1枚以上使役している】

登場時 自身の使役しているモンスターを1枚、廃棄しても良い。

    そうした場合、相手はモンスターを1枚廃棄する。

 

5/5

 

==========

 

==========

 

自爆大爆発(スペル)

 

お互いのマスターに5点のダメージを与える

 

==========

 

 マナカはノーマル・マスターLv3のスキルで、対抗のタイミングで3点バーンを飛ばせる状況にある。そのためマナカが俺に向かって3点を飛ばした時点で、バーンダメージにガード値の軽減は適用されないため、俺は自爆大爆発を打てなくなる。残り10点を自爆大爆発なしで与えるのはかなり厳しいと言わざるを得ない。となると……

 

「……ヨシ! 俺は手札から侵食虫 ドリワームを使役するぜ!」

 

==========

 

侵食虫 ドリワーム

 

【条件 自身のマスターに2点のダメージを与える】

登場時 相手は自身のモンスターを1枚廃棄する

 

2/1

 

==========

 

「うぇ…… なんでユウってそう言うモンスターばっかり使うの?」

 

「なんでって、いいだろち○こ虫」

 

「ちっ!!?? もっ、もう!ユウはバカなんだから!」

 

「で?対抗は? 使うのか?」

 

「……いや、まだいいかな。そのスペルが気になるし」

「セイクリッド・エンジェルを廃棄するよ」

 

「じゃあノーマル・マスターの起動効果でマナカに3点と___」

 

 

「頼むマナカ。俺と一緒に死んでくれ」

 

 

「えっ!? そ、それって___」

 

「喰らえぇぇ!!自爆大爆発!!」

 

「…………はぁ。対抗でユウにバーンね」

 

「ひでぶ!?」

 

 普通に負けました☆




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