Fate/little nightmare (カリドーン)
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Fate/little nightmare

息抜きで書きました。
好評なら続き書きます。


 ーーごぢゅっ、ごりゅっ、ぐちゃっ、ごりゅん

 

 暗闇の中で何かを咀嚼する音が聞こえる。そこには人と思われるものが二人いた。一人は着物を着た女性で、床に横たわっている。もう一人は黄色のレインコートを着た女の子だ。黄色のレインコートの女の子ーーシックスーーは一心不乱に着物の女ーーレディーーを喰う。シックスの飢えが乾くまで、シックスは暴食を続けるのだ。

 

 やがてシックスがレディを食べ終えると、モウの入り口に向かって歩き出した。道中にいた肥えた肉塊、ゲストが次々と倒れゆく。レディを喰らったことでレディの力を得たのだ。もしくは自身の力を解放させたのかも知れないが。ゲストの魂を喰らいながら進むシックス。

 そしてシックスはモウの扉へ手を掛けた。シックスはモウの外へ去っていった。

 

 ーーーーーーーーーーー

 

 冬木市のとある夜。間桐邸の地下にある魔術工房、もしくは蟲蔵とも呼ばれる場所に一人の少女がいた。

 その名は間桐桜。幼い頃から醜い蟲によって人間の尊厳を奪われてきた哀れな少女である。

 彼女の側には醜い蟲がいる。その蟲が一箇所に集まると一人の老人へと変化した。

 老人の名は間桐臓硯。五百年近い年月を生きている間桐の当主でもある。

 

 「クククッ。桜よ、早速英霊召喚の儀を行え」

 「はい、お爺様」

 

 英霊召喚をして行われるもの、それは聖杯戦争である。聖杯戦争とは万能の願望機である聖杯を手に入れるための儀式。

 聖杯戦争へ挑む七人のマスターには令呪が刻み込まれる。そして、召喚した英霊をサーヴァントとし、最後の一組になるまで願望機を求めて殺し合うのだ。最後に残った一組には、自らの願いを叶えることができる。

 しかしながら桜には命を賭けて叶えたい願いなどなかった。それでも桜は聖杯戦争を勝ち抜かなければならない。

 

 「......素に銀と鉄を。礎に意志と契約と大公。降り立つ風には壁を...」

 

 薄汚い地下に少女の詠唱が響き渡る。桜は願う。強くて優しいサーヴァントを、自身を守ってくれるサーヴァントを。だが彼女の願いはどこか諦めげの多いものだった。今までの人生において自分を助けてくれた人などいない。だから、己の願いすら信じられずにいた。

 

 「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!!」

 

 詠唱が終わると桜の目の前には、

 

 黄色のレインコートを着た少女がいた。

 

 ーーーーーーーーーー

 

 シックスは少し困惑した。モウの外へ出たと思ったら地下にいたのだ。目の前には自分と同じくらいの年の女の子と心の醜さが外面に表れたような老人がいた。少女と老人は驚いている。何か自分がいることで不都合でもあったのだろうか?

 

 「馬鹿な!?あり得ん!!何故このサーヴァントには実体がある!?」

 

 一体この老人は何を言っているのだろうか?逆に聞くが実体が無いとはどう言うことなのだ?そんな事を考えていると、

 

 ーーぐぎゅるるるぅっ

 

 腹が鳴った。魂は喰らったがゲストの肉は食わなかった。今はお腹が空いている。目の前には丁度いい肉がいた。

 この老人を食べよう。

 

 「ぅごっ!?ば、馬鹿な!?魂を喰らっておる!?ヤ、ヤメロォォッ!!!!」

 

 魂を喰らった。さてこの老人の肉を食らおうとした瞬間、老人が蟲に変化した。折角なのでその蟲の一匹を掴み取り、食べてみる。

 まずい。あり得ないほどまずい。ノームの方が美味しかった。腹が立ったシックスは何匹かの蟲を踏み潰した。憂さ晴らしだ。

 

 「あの......」

 

 すると、女の子が話しかけてきた。

 

 「えっと、間桐、桜です。あの、私が今回の聖杯戦争の、その、あなたのマスター、です...」

 

 マスター?聖杯戦争?聞いたことのない単語を並び立てられる。だがこの女の子が自分を呼び、助けを求めていることは分かった。

 シックスは自身の名前を伝えた。

 

 「シックスさんですか...すみません聞いたこと無いです......」

 

 別に自分は有名でも何でも無いから知らなくても問題ないと思うが、桜はそうは思わないらしい。大変申し訳無さそうにしている。 

 自分に起こっている事象はこの桜が良く知っていそうだ。

 シックスは自分の手を差し出した。

 

 「へ?...あぁ!握手です、ね...これからよろしくお願いします...!」

 

 その日、この世界に暴食が迷い込んだ。




リトルナイトメア2衝撃的だったね。


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