魔法使いと歌姫達 (月乃白利)
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前日譚•魔女
前日譚 魔女


どうも作者です。シンフォギアの死亡キャラ達を転生なしで救おうとした結果生まれた作品でございます。
初投稿なので生暖かい目で見守ってくだせぇ


轟々と炎が周りを覆い尽くしていく

 

「■■■■■■■■■■■!!」

 

目の前には、暴走した聖遺物『ネフィリム』が研究所を破壊している。

 

「私が……止めなくちゃ……」

 

ペンダント状に加工された聖遺物『アガートラーム』を握りながら決意を決め、『アガートラーム』を纏うため唄おうとすると

 

「セレナァ!!」

 

マリア姉さんの声が炎の向こう側から聞こえてくる。

ごめんなさいと心の中で呟き、

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

聖詠を唄い、シンフォギアを纏う。

暴走したネフィリムを止める方法は一つ、シンフォギアに隠された奥義『絶唱』

アガートラームの絶唱は力のベクトル操作が出来る、この能力を使いネフィリムを沈静化させるのだ。

これでマリア姉さん達を救える。

 

「あら?救われるべき存在に貴女自身は入ってないの?」

 

「誰ですか!?」

 

背後から声を掛けられ、後ろに振り向く

そこには、黒いドレスを着た白色の髪の女性がいた。

 

「何をしてるんですか!?早く逃げてください!!」

 

「えぇ、逃げるわよ。あの聖遺物を止めた後でね?」

 

私が避難するように言っても女性は気にも止めず、ネフィリムの方へと歩いて行く。

 

「■■■■■■■■■■■■■!!」

 

ネフィリムも気付きその豪腕を振り上げ、女性目掛けて振り抜く!

が、

 

「ん~聖遺物を食らう聖遺物はどんな力を持ってるのかと思ったけど意外と芸が無いのね」

 

ネフィリムの一撃を女性は片腕で受け止めていたのだ。

それだけではなく

 

「えいっと」

 

軽い声でネフィリムを投げ飛ばしたのだ。

 

「さぁ~て、おねんねの時間よ?」

 

女性は()()から鞭を取り出し振るう。

余りに速すぎて目では視認出来ない程の速さで

 

「■■■■■■■■…………」

 

徐々にネフィリムの出力が落ちて行くこのままいけば停止させられるだろう。

 

「貴女……は…………」

 

「ん?私?私は魔女よ、宜しくね?」

 

魔女さんは鞭をネフィリムに振るいながら私に笑顔を向ける。

 

「■■■■■■■■■■■!!」

 

「流石に、鞭だけじゃ停止まで持ってけないか。」

 

「■■■■!!」

 

「逃げて!!」

 

ネフィリムが起き上がり、魔女さんに飛び掛かる。

 

「安心して、言ったでしょ?私は魔女だって」

 

そう言うと

 

「■■!?」

 

ネフィリムが空中で何かに弾かれた様に飛んで行く。

 

「えぇ!?」

 

「魔法はこんなものじゃないわよぉ~?」

 

魔女さんの周りに氷の結晶が生まれ、ネフィリムへと向かって行く。

更には、周りに燃え盛る炎が揺れ動き、ネフィリムを拘束する。

 

「これが……魔法………」

 

「まだほんの一部だけだけどね?」

 

先程、ネフィリムがいた場所を見るとネフィリムは完全に休眠状態に戻っていた。

 

「あっ、あの!有り難うございました!!」

 

私は直ぐに魔女さんに近づいてお礼を言う。

 

「良いのよ、私が勝手にやったこと………ッ!?」

 

「キャ!?」

 

突然魔女さんが私を抱え、突如現れた魔法陣へと飛び込んだ。

飛び込んだ先には……燃え盛る研究所の外だった。

 

「ふぅ……どうにか助かったわね」

 

「姉さん!姉さん!!」

 

私は一心不乱に姉さんを探す。

だが、

 

「恐らくだけど、お姉さんは別の所に連れてかれちゃったんじゃない?」

 

「…………………」

 

「……全く、ロクな組織じゃ無いわね…」

 

「…………………………………」

 

「……………………………………」

 

沈黙が続いてしまう。

 

「ねぇ、貴女名前は?」

 

先に言葉を発したのは魔女さんだった。

 

「セレナ……です」

 

「そう、セレナちゃんね。ねぇ、セレナちゃんもし良かったら私の家に来ない?」

 

「え………?」

 

それはとんでもない誘いだった。

 

「家に来るって?」

 

「もっと簡単に言うなら、私の家族にならない?ってことよ。」

 

「えぇっ!?」

 

「貴女のお姉さんや他の子達は研究所の奴等に連れて行かれちゃったし、貴女もアソコに戻るならさっきみたいに使い潰されるだけよ。だから私の家に来なかってこと。」

 

「………………でも、私…」

 

そんなことは分かっている、でもマリア姉さんを…

 

「お姉さんを守りたい、でしょ?」

 

「はい…だから……」

 

「だからこそ、よ。私が貴女を強くしてあげる、彼女達との関係を切れとは言わないわ、彼女達を守るための力をつけてあげる。」

 

「マリア姉さんを……他の子達を守る……」

 

答えは決まった、いやもう既に決まっていた。

 

「私を強くしてください!!魔女さん!!」

 

「んふふ、いい返事ね。それと、もう魔女さんじゃなくて名前で良いわよ?」

 

「えっと、魔女さんのお名前は?」

 

「あぁ、そうねごめんなさい。私の名前は月乃(つきの)シキ宜しくセレナちゃん」

 

「はい!お願いします!シキさん!!」

 

「お母さんって呼んでも良いのよ?」

 

「え…あっと………お母…さん?」

 

お母さんと呼んだ事が無かったのでどうしてもぎこちなくなってしまう。

 

「徐々に馴れれば良いわ。じゃ、行きましょうか。」

 

こうして、私の月乃家の生活が始まった。




読んでいただき感謝の限りでございます。どうも二度目の作者です。セレナの戸籍問題どうするの?とお思いだと思いますが魔女さんがどうにかしてくれたので安心して下さい。
まだ後2話位前日譚が続きます。
ではまた次回


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前日譚2 魔女はふらりと現れる

今後時系列がおかしくなる可能性がありますが目を瞑ってくださいなんでもしますから
というわけで前日譚2どうぞ


突然だが私、月乃シキはとある固有魔法を持っている。

それは、予知だ。私の《予知》は皆が思う予知とは少し違う。普通の予知はまぁまぁ先まで見透せる未来予知だが私の予知は数分後に起こる事を突如として予知する。

 

(しかも、予知に現れる人とかは特に世界を揺るがす程の影響力を持ってないことが大半だから何を基準に予知が発動しているのか分からないのよね。)

 

心の中でぼやいている私がいるのは《バルベルデ》と呼ばれる国だ。

周囲の人達にバレないように隠密魔法を掛け、予知に現れた人を探しに行く。

 

(いた!確か……………雪音夫妻だったかしら?テレビで観たことがあるから間違いないと思うけど………)

 

予知に現れた雪音夫妻を尾行する。

が、特に彼らを死に至らしめるモノは見つからない。

 

(あらら?まさかの予知が大ハズレ?…………ツ!?)

 

瞬間、予知が発動する。

 

(彼処の小屋に……ね。)

 

小屋の中に雪音夫妻は入っていった。

それと同時に気配を完全に消し、小屋に接近した。

 

【sideクリス】

おとーさんとおかーさんが小屋に入るのを見かけ、私は会いに行くために小屋へと向かう。

すると、

 

「危ない!クリス!!」

 

そう言うのと同時に、私のお姉ちゃんの様な存在のソーニャが私に覆い被さる。

 

ドオォーン!!

 

爆発音が聞こえた。

それも、おとーさんとおかーさんがいる小屋の方から。

見ると小屋が燃えている。轟々と炎に包まれている。

 

「そんな………」

 

「おとーさん!!おかーさん!!」

 

いくらおとーさんとおかーさんを呼んでも声が返ってこない。

信じられない、信じたくないこんなの嘘だ……

残酷な真実から目を背けようとしたとき

 

「はぁ~~あっぶなかったぁ~~~!!」

 

おとーさんとおかーさんを抱えた、黒いドレスを着た白い髪の毛の女の人が燃え盛る炎の中から現れた。

 

【sideシキ】

「ふぅ、救助完了っと」

 

地面に優しく雪音夫妻を横たわらせ、軽く伸びをする。

すると、視線を感じた。

見ると、小さな女の子がこちらをじっと見つめている。

 

「……おばちゃん、誰?」

 

「オバッ!?」

 

悪意の無い、無垢な少女の言葉が心を抉る。

だが、こんなことで声を荒らげるほどの人間ではない。

 

「ンンッ!!どうもお嬢ちゃん、私は魔女よ。宜しくね。」

 

「魔女?悪い人?」

 

絵本等では魔女は悪役ということが多い。彼女の疑問も当然だろう。

 

「いいえ、私は良い魔女よ。私がわるーい魔女だったら貴女のお父さんとお母さんを助けないわよ?」

 

そう言うと彼女は納得したのかキラキラした目で

 

「おとーさんとおかーさんを助けてくれてありがとう!!」

 

と言う。

うん、やはり感謝の言葉は嬉しいものだ。

 

「良かった良かった、お父さんとお母さんを大切にね?」

 

「うん!!」

 

「それじゃあ、お別れね。」

 

「え……」

 

別れを告げると少女が今にも泣きそうな顔でこちらを見つめている。

 

(心が痛い!痛すぎる!!でも、心を鬼にするのよ!!私!!)

 

「バイバイ、またいつか会いましょう。」

 

「約束…して?」

 

「……えぇ、約束するわ。」

 

少女と約束を交わし、バルベルデを去った。

 

 

 




というわけで、雪音夫妻救出回でした。
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます!
ではまた次回(@^^)/~~~


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前日譚3 友の気配

UA700越え……ウレシイ…ウレシイ……
前日譚3どうぞ


「………………」

今私は聖遺物発掘チームが滞在する発掘場にいる。

予知がここで発掘チームの人達が死ぬという未来を見せた。

と言うのはこの場所に着いた後の事、本当は懐かしい気配を感じたからだ。

 

「何処に居るのかしら………」

 

辺りを見回しても見つからない。

 

(また会えると思ったんだけど……ダメみたいね)

 

そんな事を考えながら、発掘チームを追うのだった。

 

 

 

【side奏】

洞窟内、少し進んだ辺りで突如としてノイズが現れた。

 

「な、何でノイズが!?アァァァァ!!」

 

「来るなぁぁぁぁぁ!!」

 

目の前で数人、発掘チームのメンバーが炭素と化していく。

 

 

「奏!早く逃げて!!」

 

「奏!早く逃げるんだ!!」

 

母さんと父さんが逃げように促してくる。

 

「でも!父さんと母さんが!!」

 

「父さん達の事は気にするな!!早く!!」

 

そう言う父さん達にノイズが迫る。

 

「父さん!!母さん!!」

 

ノイズが触れる瞬間

 

ビュン!!

 

と空を切る音が鳴り、ノイズが炭素化する。

 

「え…………?」

 

「大丈夫かしら?」

 

後ろから声がし、振り返るとそこには鞭を持ち黒いドレスを着た白色の髪の女性がいた。

 

「チッ、何人か間に合わなかったか。でも、残ってる人達は!!」

 

鞭を振るい、ノイズを炭素化させて行く。

 

「あ、あんたは……」

 

自然と声が出てしまう。

 

「ん?私?私は魔女、宜しくね。」

 

「ま、魔女?あんた、頭イカれてんのか?」

 

「まぁ、そうなるわよね。実際見てもらった方が良いか。」

 

そう言うと、自称魔女は鞭を振るうのを止め、()()にしまう。

そして、ノイズに掌を向け

 

ゴッ!!

 

と、風弾を放った。

 

「エェ!?」

 

風弾を喰らったノイズが炭素化し、すっとんきょうな声をあげてしまう。

 

「手……手から風が……」

 

それだけではなく、火弾、岩弾、更には重力に押し潰されるようにペチャンコになるノイズ、まさしく魔法でなきゃ出来ないような事が目の前で起きている。

 

「マ……マジで?」

 

「オーマジよ、私は本物の魔女、魔法使いよ。て、こんな雑談してる場合じゃ無いわね。ほら、生き残ってる人達!さっさと脱出するわよ!!」

 

「お、おう!!」

 

そうして、魔女に護衛されながら洞窟を脱出するのだった。

 

 

 

【sideシキ】

私が到着したときには何人か間に合わなかったが、予知で見た光景よりかは多くの人を救うことが出来た。

 

「おーい!魔女さーん!!」

 

「ん?」

 

先ほど別れたばかりの天羽(あもう)(かなで)ちゃんが此方に走ってくる。

 

「どうしたのかしら?」

 

「ハァ…ハァ…いや、お礼を言いたくてさ。」

 

「別にお礼なんか良いのに。」

 

全く、律儀な子だ。

 

「ありがとう、魔女さん!あたしもあんたみたいにノイズから人を守れるようになってみせるぜ!!」

 

「………そう、無茶はしないようにね?」

 

「あぁ!……っと、呼ばれちまった。じゃあ、また会おうぜ、魔女さん。」

 

「えぇ、バイバイ。」

 

奏ちゃんは走って生き残った発掘チームの元に戻ったのだろう。

私は、辺りを見渡す。

 

「一体何でこんなことを、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フィーネちゃん……」

 

消えた友の気配を感じながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【side奏】

「でさ!あたしはそこから魔女さんみたいに…………って、聞いてるのか?翼?」

 

「奏、その話はもう何百回と聞いたわ……」

 

あたしの友達の風鳴(かざなり)(つばさ)がジト目であたしを見てくる。

 

「え?!そんな話してたか!?」

 

「その反応も何回も見た。」

 

「でも、何回もあたしの話に付き合ってくれる翼は優しいなぁ~~!!」

 

「ちょ!?奏!?止め!?」

 

あたしは翼に抱き付き、体を撫で回す。

すると、

 

『翼!奏くん!至急、集まってくれ!ノイズが出現した!!』

 

弦十郎(げんじゅうろう)の旦那から連絡が入る。

良いところだったんだがなぁ…

なんて、雑念を捨て気持ちを切り替える。

 

「さぁて、一仕事行きますか!翼!!」

 

「えぇ、行きましょう!奏!!」

 

こうしてあたし達は戦場へと赴く。

人々の命を守るために。

 

 

 




てな訳で奏の親御さん救出回でした。
これにより、奏が復讐に囚われなくなりました。
多分次回で前日譚は終わりだと思います。まぁ、皆さんが思っている通り、例のライブです。

シキとフィーネの関係は……………

次回お楽しみに(@^^)/~~~


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前日譚4 運命の日

「この本によr「ストップ!ストーップ!!あんたの出番はこの世界じゃない!」失敬■■君。忘れていたよ。」

「全く……しっかりしてくれよ■■■………」

「では、前日譚をお楽しみください。」

「それ、俺の台詞ー!!」


魔女さん、もとい母さんに救われてから4年が経った。

月乃家に転がり込んでから、毎日母さんに特訓をしてもらいあの時より私は格段に強くなっていた。

 

だが、F.I.Sの足取りは掴めておらず、マリア姉さん達の生死は未だわからない。

 

「どうしたセレナ。暗い顔して。」

 

「!ごめんなさい、(ゆう)兄さん。」

 

「別に謝らなくてもいいさ。妹の事が心配になっちまっただけだ。」

 

この人は《月乃優》私の2つ上のお兄さんだ。

 

「大丈夫?セレナ姉さん?」

 

「大丈夫だよ、白利(はくり)。」

 

この子は《月乃白利》私の3つ下の弟だ。

 

「全く、二人ともセレナの事が大好きね。」 

 

「妹と弟を守るのが俺の使命だからな。」

 

「俺は単純にセレナ姉さんと優兄さんが好きだぞ。」

 

「ふ、二人とも………」

 

優兄さんと白利の言葉に照れてしまいソファーの上でうずくまる。

すると、

 

「ただいま~」

 

扉が開く音と共に、父さん《月乃(から)》が入ってくる。

 

「「お帰り。」」

 

「「お帰りなさい。」」

 

いつものように、父さんにお帰りを言う。

 

「ただいま、ただいま。って、それよりも………ジャーン!!」

 

父さんがカバンから、とある物を取り出す。

それは、ライブのチケットだった。

 

「エェェェェ!?ツヴァイウィングのライブチケットォ!?」

 

《ツヴァイウィング》天羽奏と風鳴翼の二人組の年齢を問わず大人気歌手である。

チケットは毎回入手困難のはずなのだか……

 

「父さん良くチケット人数分とれたね。」

 

「いや…まぁ…運が良かったんだよ。」

 

「どう手に入れたのかはともかく良いんじゃない?白利も念願のツヴァイウィングの生ライブに行けるものね。」

 

白利はツヴァイウィングの大ファンでグッズやCDを余さず集めているのである。

 

「ツヴァイウィングの生ライブ……はぁ~!楽しみ過ぎる~~!!」

 

「よーし!週末、家族皆でライブに行くぞー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【sideシキ】

人々の声が聞こえる、救いを乞う声、死に行く人の声、そんな声が入り交じり、混沌と化したライブ会場。

 

「私はここに残るわ。優、セレナ、白利とお父さんを連れて逃げなさい。」

 

そこには気絶した空と、呆然としている白利がいる。

 

「待ってくれ母さん。俺も行く。」

 

「良いの優?貴方も分かってない訳じゃないわよね?」

 

「勿論さ。」

 

「待って母さん!私も戦える!!」

 

優とセレナが共に行くと言う。

 

「優はついてきなさい。セレナは白利とお父さんを守って。」

 

「守るなら、母さんの方が適任じゃ!!」

 

「駄目よ。予知で見たの、私が行かなきゃ、多くの人が死んでしまう。」

 

「…………わかった、気を付けて、母さん、優兄さん…」

 

そう言うとセレナは気絶した空を担ぎ、白利を小脇に抱える。

こうしてみると、セレナはあの時より本当に強くなった。

彼女なら、必ず白利達を守ってくれるだろう。

 

「待ってくれセレナ姉さん!なんで!!優兄さんと母さんは!!セレナ姉さん!!!離してくれよ!!!セレナ姉さん!!!」

 

ごめんなさい…白利、貴方だけはどうか普通の人として生きて…………

 

 

 

 

 

「さて、行くわよ優!」

 

虚空より鞭を取り出す。

 

「あいよ!!」

 

優はその身体に強化魔法をかけ、拳を握る。

そうして、ライブ会場に突如出現したノイズ達の群れに飛び込んだ。

 

 

【side奏】

ライブの途中、最高の盛り上がりを見せた瞬間、会場が爆発し、大量のノイズが発生した。

 

「チッ!数が多すぎんだろ!」

 

この身に聖遺物である《ガングニール》を纏い、槍を手に持ちノイズを殲滅する。

 

「こいつを喰らえぇ!!」

 

穂先が回転し、竜巻を発生させノイズを蹴散らす。

 

LAST∞METEOR

 

「どうしてこんな急に!」

 

翼は身に聖遺物である《天羽ヶ斬(アメノハバキリ)》を纏い、手に持つ刀でノイズを切り伏せて行く。

 

「これならばどうだ!!」

 

刀の形状が変化し、大剣となりノイズに向かい振り下ろし剣擊を飛ばす。

 

蒼ノ一閃

 

いくら蹴散らしても、ノイズは一向に減らない。

そして、先に限界が来たのはあたしだった。

 

ピシッ

 

と、槍にヒビが入る。

 

本来、シンフォギアはその聖遺物の適合率が高ければ身に纏うことができる。

それが翼と天羽ヶ斬のことだ。

 

だがあたしは、この身に纏うガングニールとの適合率は低いのだ、その場合一時的に適合率を引き上げる《LINKER 》と呼ばれる薬剤を打ち込むことで適合率を高めている偽物の適合者だ。

 

今回はLINKER を投与していない。つまりは、ガングニールとの適合率が低く、ガングニールの出力が落ちてきているのだ。

 

「クソッ!!時限式はここまでだってのかよ!!」

 

そしてノイズの一撃を受け止め、槍が砕けた。

その破片は、不幸にも後ろにいた少女の胸に突き刺さる。

 

血が舞う。

倒れた少女に駆け寄る。

 

「あぁ、クソッ!!頼む!目を開けてくれ!!生きるのを諦めるな!!」

 

少女の事に夢中で、あたしは迫り来るノイズに気付かなかった。

 

「奏ぇ!!」

 

翼が叫び、振り向くが既に遅かった。

 

「ッ!!」

 

目を瞑り、衝撃に備えるが、何も感じなかった。

ゆっくりと目を開けると

 

「大丈夫か?」

 

「お久しぶりね、奏ちゃん。」

 

白色の短髪の男と数年前あたし達を助けてくれた魔女さんがいた。

 

「ま、魔女さん!?」

 

「貴女が……奏の言っていた、魔女さん?」

 

翼も此方に駆け寄って来た。

と、ここで少女の事を思い出す。

 

「そうだ!魔女さん!この子を助けてくれ!!このままじゃ!!」

 

「分かってるわ。…………かなり深い傷ね。優、治せる?」

 

「………心臓付近の欠片は取れんが、それ以外なら摘出して、傷を塞げる。」

 

魔女さんの隣にいた男が少女の傷を見る。

 

「魔女さん、こいつは?」

 

「私の息子よ。」

 

なるほどと頷いていると

 

「すみませんが魔女さんとやら、私達と協力してくれませんか?」

 

と翼が魔女さんに話し掛ける。

 

「元々、ライブ会場の人達を守るために戦ってるのよ?勿論じゃない。」

 

「感謝します。」

 

そう言うと翼は刀を持ち直し、ノイズの群れに突撃して行く。

 

「奏ちゃんはその女の子の近くにいてあげて。優は傷を治したら、戦闘に参加してちょうだい。」

 

「全く…俺が攻撃魔法を使()()()()ってこと忘れてないよな?武器も持ってきてないし……」

 

「それでも、よ。」

 

「ヘイヘイ……」

 

優と呼ばれた男は少女の傷口に手を翳す。すると、光が灯り、少女の傷口から破片が取り出され、傷が治って行く。

 

「スゲェ………」

 

「よし、こんなもんだな。じゃ、この子を頼んだ天羽さん。」

 

「お、おう!任せろ!!」

 

そう答えると、優とやらが頷き、ノイズ群れに飛び込んで行った。

 

 

【sideシキ】

鞭を振るい、ノイズを殲滅する。

 

「キリがないわね!!」

 

右足から氷魔法を発動させ、周りのノイズを凍てつかせ、凍りついたノイズを爆発魔法で砕いて行く。

 

「魔法……まさかこれ程とは…………」

 

「翼ちゃんも中々良い戦いっぷりじゃない。」

 

翼ちゃんとノイズを倒しても倒しても次がどんどん沸いてきてキリがない。

更に、巨大ノイズのおかわりもあるときた。

が、数体の巨大ノイズは突如現れた鎖で拘束され、そのまま絞め潰された。

 

「悪い!遅くなった!!」

 

「ナイスタイミングね。優、そっち側任せたわよ!」

 

「了解!」

 

優も戦闘に参加し、強化した肉体でノイズを殴り倒して行く。

だが、戦況は変わらない。

 

「このままでは………!」

 

「ジリ貧だぞ!」

 

「…………やるしかないわね。」

 

呟くと

 

「ッ!本気か…?」

 

優が反応する。

 

「私は本気よ。」

 

「………そうか、なら俺もお供するよ。」

 

「ッ!?正気なの!?」

 

共に行くと言うことは私と一緒に死ぬと云うことだ。

 

「母さんが本気で魔法撃ったら周りにも被害がでるだろ?それに、いずれ引き寄せられる死が早くなっただけだ。……バリア張っといたから、ブッパなしていいぞ。」

 

「………………全く、小さい頃はあんな泣き虫だったのにね。随分と逞しくなっちゃって。」

 

「待ってくれ!一体何をする気なんだあんた達!!」

 

奏ちゃんが慌てたように聞いてくる。

 

「簡単に言えば自爆よ。」

 

「なっ!?自爆!?あんた達がそんなことしなくても良いだろ!!なんならあたしが絶唱で……」

 

「奏ちゃん!!」

 

奏ちゃんに微笑み掛ける。

すると、奏はそれだけで全てを察したのか立ち尽くしてしまう。

そんな奏ちゃんに近寄り、おでこに人差し指を当てる。

 

「魔女さん何を………って、熱っ!?」

 

奏ちゃんが涙目になりながらおでこを押さえる。

 

「フフッ、私なりのおまじないよ。」

 

「どんなおまじないだよ……」

 

さて、そろそろお別れとしよう。

 

「じゃ、お別れね。」

 

「「………」」

 

奏ちゃんと翼ちゃんが黙りこくってしまう。

彼女達も私達の覚悟感じてくれたのだろう。

彼女達の足下に魔方陣が出現する。

 

「ごめんなさい………必ず貴女達の分まで!!」

 

「魔女さん!!あたし、あんた達の分まで絶対!!人を守って見せる!!」

 

そう言うと、魔方陣の光りに包まれ、翼ちゃん、奏ちゃん、怪我をしていた女の子がこの場から消えた。

 

「優、準備OK?」

 

「いつでもどうぞ。」

 

ライブ会場に淡い光が出現する。

どんどんと光が強くなり、やがて会場全体が包まれノイズは消え失せて行った。

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい…………約束…………………守れないね………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

消えゆく意識の中で、バルベルデで約束した少女を思い出す。

約束を守れない事を後悔しながら。

 

 




奏生存ルートでございました。
ですが、シキと優が犠牲に………

取り合えず月乃家説明です。
月乃シキ・魔女で原作死亡キャラ達を救った。魔法を使えるし、魔法釜で魔法錬金術もできる。
白色の髪で長髪、碧眼

月乃優・魔女の息子で魔法使い。道具を造るのが得意で様々な物を造っている。攻撃魔法は一切使えない。
白色の髪で短髪、碧眼

月乃白利・今作の主人公。この頃はまだ優兄さんや母さんが魔法使いであることや魔法が使えるとわかっていない。セレナ姉さんがシンフォギア装者ということも知らない。攻撃魔法しか使えない。優兄さんが遺した道具を使い戦っている。
白色の髪で長髪(だいたいまとめている。)、碧眼

月乃空・シキや優が魔法使いであることを知らず、セレナもシンフォギア装者であることも知らない普通のOTONA 。黒色の短髪。

月乃セレナ・シキに救われた少女。シキと優兄さんが魔法使いであることは知っている。月乃家に転がり込み、セレナからは鞭、優からは剣の戦闘技術を仕込まれた。
そのせいで、セレナはめっさ強くなった。

原作キャラの見た目は各々で調べてくだせぇ……(書く気力がないとは言えない……)

では、次回本編始動です



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戦姫絶唱シンフォギア
月乃


ようやく本番始動でございます。



夢を見る。

あの時のことを

夢を見る

夢を見る

夢を見る

 

 

 

 

 

 

 

「…………ちゃん!……義兄ちゃん!白利義兄ちゃん!」

 

「…………ぉあ、おはよう、(りつ)。」

 

律に揺さ振られ、目を覚ます。

 

「セレナ義姉ちゃんが朝ご飯作ってるから、早く降りてきてね〜」

 

そう言うと、律は俺の部屋から出て行く。

部屋から出たのを見届け、俺はクローゼットから制服を出し、着替える。

 

 

「おはよー白利君。」

 

「おはよう、白利。」

 

「おはよ、(めぐる)義姉さん、セレナ姉さん。」

 

部屋から出て、階段を降りると旋義姉さんとセレナ姉さんが朝メシを作っていた。

 

「……あれ?父さんと義母さんは?」

 

リビングに姿が見えない親のことを聞く。

 

「今日も仕事が早いらしいよ?」

 

「大変だよねぇ、2人共。」

 

セレナ姉さんが朝飯をテーブルに運びながら答え、律もイスに座る。

俺も律に続きイスに座る。

 

「「「「いただきます」」」」

 

皆が席につき、朝飯を食べる。

 

「そう言えば旋ちゃん、リディアンの寮の部屋、改修が終わったから荷物持って行かなきゃいけないんじゃなかったっけ?」

 

「あっ!そうだった!ありがとーセレナお義姉ちゃん!」

 

旋義姉さんは《リディアン》の2年で本来はリディアンの寮で過ごすのだが、部屋が改修工事されるため、一時的に自宅で過ごしているのだ。

 

ちなみに俺は、守谷高校の1年で、律は花北中学の3年だ。

 

「……って、あれ?父さんと義母さん、弁当忘れてね?」

 

「え?」

 

「あー……」

 

「どうしよう……」

 

皆が固まり、目を合わせる。

ちらと、時計を見ると後10分位家を出る時間より猶予がある。

 

「仕方ねぇ、俺が届けるよ。」

 

席を立ち、通学鞄を持つ。

 

「でも、私達誰もお義父さん達の会社知らなくない?」

 

そう、俺達の父さんと義母さんは職場が同じらしいのだが、律の言う通り肝心の会社を知らないのだ。

 

「まっ、電話すれば出るだろ。じゃ、行ってくる。」

 

「「「行ってらっしゃい」」」

 

背に皆の言葉を受けながら、父さんと義母さんの弁当を持ち、家を出る。

家の近くの公園に寄り、父さんに電話を掛ける。

数回のコールが鳴り、父さんが電話に出る。

 

 

『もしもし、どうした?白利?』

 

「父さんと義母さん、家に弁当忘れてんぞ。俺が今持ってるんだが、父さん何処だ?」

 

『あー……今、会社の上司の人と居てな………あっ、いいんですか?有難うございます!白利、何処にいるんだ?』

 

「あ?家の近くの公園だけど?」

 

『わかった、すぐ行く。』

 

そう言うと、電話が切れた。

 

【数分後】

 

公園のベンチに座っていると、公園の前に高そうな黒い車が止まる。

その車から、父さんが現れる。

 

「白利すまん、待たせたな。」

 

「別にいいさ、のんびりしてたし。はい、これ2人の弁当。」

 

「サンキューな。」

 

「じゃ、仕事頑張ってな。」

 

そうして、公園から立ち去り、学校へと向かった。

 

【side空】

 

「すみません、有難うございます、司令、緒川(おがわ)さん。」

 

白利から弁当を受け取り、車に戻る。

 

「構わんよ、何よりも家族手作りの弁当だからな。」

 

「たまたま、外に用事があって良かったです。」

 

司令と緒川さんが笑う。

 

「よし!サッサと本部に戻るとするか!」

 

車は本部に向かい走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【とある場所】

 

「ハァ…ハァ…」

 

女性が必死に息を切らしながら走っている。

女性を追うのは、カラフルな色彩の《ノイズ》。

逃げた先は不幸にも、行き止まり。

女性はうずくまり。

 

「誰か助けて!!」

 

ノイズが襲い掛かるその瞬間。

 

「させるかヨォ!!」

 

白いロングコートを着て、黒い仮面を付け、淡い桃色の髪の人が空から降ってくる。

着地の瞬間、()()から銀の剣を取り出し、ノイズを切り裂く。

 

「え…?」

 

うずくまっていた女性が顔を上げ、彼を見ている。

 

「そこで待ってな、お嬢さん。」 

 

そう言うと、ノイズに向かって走り出す。

まず1体目、剣で近くのノイズを叩っ斬る。

次に2体目、左手で握る銃を向け、風弾を撃ち込む。

そして3〜15体目、右手で握る剣を離し、電撃を放つ。

 

「ふぅ…あらかた片付いたかな?」

 

「ありがとうございます!!あの、貴方は?」

 

炭素と化したノイズを小瓶に回収していると、女性に話しかけられる。

 

「ん?俺?俺は魔法使い。宜しく!」

 

女性と談話していると、多くの黒い車やらがやって来る。

その中に、異質な姿をした2人が………

 

(………シンフォギア装者、ツヴァイウィングの2人か。今まで、遭遇しないようにしてたんだがな。)

 

姿を眩まそうとすると、

 

「ようやく、話せるな、魔法使い。」

 

「少し私達に、時間を割いてくれないだろうか?」

 

「なんだ?天羽奏、風鳴翼。」

 

振り向き話を聞く。

 

「知っていてくれてるとは嬉しいな。なぁ、魔法使い、魔女って奴と優って奴を知ってるか?」

 

「2年前のライブで私達を助けてくれた2人なのだ。」

 

2人の口から意外な言葉が飛び出す。

 

 

「……魔女って奴は白い髪で黒いドレスを着ていたか?」

 

「ッ!?あ、あぁ!その魔女だ!そいつの……」

 

「それなら、ソイツは俺の母さんと兄さんだ。」

 

「「ッ!?」」

 

2人が驚きの余り、固まってしまう。

周りの空気が一気に暗くなる。

 

「……そうか、あんたの母さんと兄さんだったのか。…悪かった。」

 

「……すまない。嫌な事を思い出させてしまったな。」

 

2人が謝罪の言葉と共に頭を下げる。

 

「おいおい、やめてくれよ。もう、過去の事だ、あんた達が気に病む必要はない。」

 

「いや!あの時、あたし達が未熟だったせいだ!」

 

「未熟だったせいで、命を落とすことになってしまったのだ!」

 

頭を掻きながら、頭を下げ続ける彼女達の前に屈み、顔を覗き見る。

 

「だったら、その謝罪の分だけ、しっかりと人を守ってくれ。俺はそれで十分だ。あんた達もあの時より、強くなったんだろ?」

 

「あぁ!あたしはlinker無しでガングニールを纏えるようになったぜ!」

 

「私も、技に更に磨きをかけたさ。」

 

「なら良いさ、お互い頑張ろうぜ。」

 

手を振りながら、去ろうとする。と、

 

「待ってくれ!魔法使い!」

 

風鳴翼に呼び止められる。

 

「何だ?まだ、何か用か?」

 

「私達と共に二課で戦わないか?」

 

「翼!?」

 

まさかの誘いに天羽奏がビックリする。

 

「…二課ってのは、政府の機関なんだろ?」

 

「あぁ…そうだが……」

 

「魔法ってのは、形無き力だ。何で魔法でノイズが倒せるのか、政府なら研究したいはずだ。悪いが、俺は、あんた達は信頼してるが、そのバックボーンが信頼出来んもんでな。」

 

「……余り肯定したく無いものだが、事実だろうしな…分かった。また、戦場(いくさば)で会おう。」

 

「あぁ、またな。」

 

そうして、装者達の前から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…流石、兄さんの道具だな。使いやすい。」

 

仮面を外した魔法使い、白利がとあるビルの屋上で手の中にある優兄さんが遺した道具を見ている。

攻撃魔法しか使えない白利にとって、魔力を流すだけで、魔法倉庫を使えるのは大変ありがたい。

因みに、髪の色を淡い桃色に変えているのも、優兄さんが遺した道具の一つである。

 

「ツヴァイウィング……まっさか、あんな近くで観れるとはなぁ!!はぁ〜マージで綺麗だったなぁ!!でも、頭下げられたし、気に病んでなければ良いんだけど……考えてても仕方ない、帰るか。」

 

そうして、白利は帰路へ着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




と、言うことで第一話でした。
奏は訓練の結果、linker無しでガングニールを纏えるようになりました。
魔女の息子と、魔女に助けられた者達の話がメインになっていきますので、お待ち下さい!
では、第二話でお会いしましょう!
さよなら〜\( 'ω')/


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魔女が遺したもの 

FGOイベント始まってしまった!!
周回しなきゃ……


「〜♪」

 

鼻歌を唄いながら、本のページを捲る。

俺が今、どこにいるかと言うと、母さんと優兄さんが遺した隠し部屋である。

家のドア全て、魔力を流した状態で開ければ隠し部屋に繋がるのである。

 

「魔法錬金…魔法錬金……お、あったあった。ふんふん、成程。」

 

ページを捲り、目的のページを見つける。

今、俺がやろうとしているのは、魔法錬金術だ。

この部屋に残された本に、魔法錬金術に関しての事が書いてあったので、ある物を創れるのではと思ったのだ。

 

「コンパスに〜地図に〜後は〜ノイズの炭〜!」

 

この前、小瓶に入れ回収したノイズの炭を持ち、部屋にある真ん中が長方形に窪んだ机に置く。

そして、机の窪みに水を入れ、方向の概念を持つコンパス、位置の概念を持つ地図、探知対象のノイズの炭を放り込む。

 

「さーて、問題はこれで錬金した探知概念をどう保存するかだが……スマホでいっか。」

 

仕上げにスマホを放り込む。

 

「後は、魔力を流せば……」

 

机に両手を付け、大量の魔力を流し錬金を開始する。

と、言っても、錬金してるのは俺じゃ無くてこの机の機能だが。

本来、魔法使いは錬金は魔法を使うだけで出来るが、俺は攻撃魔法しか使えないので、魔力を吸収して育った木を加工したこの机を使わなければ出来ないのだ。

そんなこんなで、完成した。

 

「これで、ノイズのハッキリした位置を知ることが出来るぜ。」

 

今までは、人の声や音を頼りに、探してたので余りにも効率が悪すぎたのだ。

 

「しっかし……本当に大量の本があるな。」

 

軽く伸びをしながら、部屋を見渡す。

何気なく近くの本を取る。

 

「これ……母さんの日記か?随分とボロボロだな…数年とかのレベルじゃない位のボロボロっぷりだぞ。」

 

本を開く。

 

 

【シキの日記】

 

⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎言⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。

フィー⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎は⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎だ。

⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎原因⬛︎⬛︎き⬛︎⬛︎⬛︎。

ど⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎月に⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎るよ⬛︎⬛︎⬛︎

私⬛︎⬛︎⬛︎の⬛︎⬛︎⬛︎使⬛︎⬛︎⬛︎を穿⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎り⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎

⬛︎⬛︎⬛︎ネ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎アウ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎ン⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎法⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎に⬛︎⬛︎て⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎

⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎は⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎残⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎し⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎束⬛︎⬛︎⬛︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから一体何百年の経ったのだろう。

かつて、月にある遺跡を破壊せんと試行錯誤し、フィーネちゃんの寿命が尽きる前に魂を後世の人に移し替えるという方法を編み出し、実行した。

もし、成功し思い出したら、また会おうと約束して。

フィーネちゃんは、成功したのだろうか…思い出したのだろうか…もしくは………月を穿つというある意味怨嗟に似た感情に囚われ、忘れてしまったのか……

今の私には、知る由もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

本を閉じた。

気になる事は山ほどある。

母さんは一体何年生きてるのか、とか。

だが、今は

 

「フィーネ……月の遺跡を、穿つ………」

 

月の遺跡とは何か、フィーネとは何者か、他の本に何か書かれてないか探すが見つからない。

 

「ダメか……」

 

と、その時、とある本から一枚の紙が落ちる。

みると、天に向かって聳え立つ塔が描かれていた。

 

「これ…どっかで見たような……」

 

少し思考し思い出す。

 

「これ、もしかしてバベルの塔か?」

 

神のいる天に辿り着かんとした人間が塔を建てたが、神は、人々の言葉を奪いそれを防いだと言う逸話がある。

だが、これが本当にバベルの塔だとしたら、一体何百年…いや、千年前の絵ということになる。

 

「でも、何でこんな絵がこの本に挟まってんだ?」

 

先程の絵が挟まれていた、本の表紙を見る。

 

【始源の魔法使い】

 

とある街に、始源の魔法使いが居ました。

街の人々は、最初は魔法使いを忌み嫌いましたが、魔法使いが街の人々を救う度に、魔法使いは街の人々に好かれていきました。

始源の魔法使いが街に馴染み、平和に過ごしている時、二人目の魔法使いが街にやって来ました。

その魔法使いは、とても残酷で、街の人々を襲いました。

始源の魔法使いは、街の人々を守る為に、邪悪な魔法使いと戦いました。

何日も、何十日も。

そして、決着が着きました。

始源の魔法使いは邪悪な魔法使いを倒しました。

邪悪な魔法使いは魂だけになり、始源の魔法使いはもう悪さ出来ないようにゴクンと魂を飲み込んでしまいました。

飲み込まれた魂は浄化され、魂を飲み込んだ始源の魔法使いは、魂が二つになり、長生きするようになりました。

後に、始源の魔法使いは結婚し、子を育み、街を離れ、魔法使いの里を作りました。

始源の魔法使いは何歳からか、老化が止まりました。

とある日、事故で始源の魔法使いは命を落としてしまいました。

ですが、命を落とした筈の魔法使いは緑色の炎に包まれながら、目を覚ましました。

それから、魔法使いは老化が進むようになりました。

魔法使いはあることに気が付きました。

私は、2つの魂の影響で、老化が止まり長生きしたのではないかと。

そして、死んだことにより、魂が一つに戻り、老化が進むようになったのではないかと。

そして、私の子供達の魂はどうなっているのかと。

子供達に、この事を説明して調べようとしましたが、ついに魔法使いの寿命が尽きてしまいました。

それから、遺された魔法使いの子供達は己らも家族をつくりながら、調べましたが何もわかりませんでした。

この魂の研究は、現在では解明され、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、肝心な所でページがなくなってるじゃねぇか…」

 

内容は、魔法使いには分かりやすいのか全く分からんものだったが。

 

「でも、この本はバベルの塔に関係はねぇみたいだな。」

 

頭を抱える。

 

「あー!!もう、わかんなぁい!!ヤメダヤメダ!!」

 

ゴロンと地面に寝転がると、机の下にとある封筒を見つけた。

地面を這いずり、近づき、手に取る。

 

 

 

 

 

 

 

【魔法製シンフォギア】

 

フィーネちゃんが創り上げたシステムを私なりに解釈、応用しシンフォギアなるものを創ってみた。

一つは《バルムンク》一つは《アロンダイト》

結局使う機会はなかったが、遺しておこうと思う。

 

《追記》

 

本来、シンフォギアは唄で纏うが、聖遺物もといシンフォギアは相応の魔力を流す事で起動できることが確認できた。

と、遺しても此れを読んでくれる人は居るのだろうか。

 

 

 

 

 

 

封筒を逆さにすると、2つの聖遺物が加工されたペンダントが出てきた。

 

「これが……」

 

手に持つだけで、不思議と熱を感じる。

 

「調べてみるか…」

 

いざ、起動しようとすると

 

ビービー

 

と、スマホがノイズの出現を知らせるアラームを鳴らす。

なんて、タイミングの悪い……

 

「ま、実戦で試せばいいか。」

 

2つの聖遺物を持ち、素早くロングコートを着て、仮面を着ける。

そうして、ノイズのもとへと向かった。




始源の魔法使いの物語は脳死で作ったので許してください………


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魔法製シンフォギア

タイトルを『魔法使いと歌姫』から『魔法使いと歌姫達』に変えました。


「こっちだな。」

 

上空に、人の影。

白いロングコートをはためかせ、飛んでいる。

その人物は、魔法使いだ。

 

「これあるだけで、到着時間が大幅に変わるなぁ。」

 

先程、家で完成させた、ノイズ探知を使い現場に向かう。

俺は、靴の裏に衝撃魔法を掛け、衝撃波を出し、空を飛ぶ。

 

「此処だな…っと、ノイズみーっけ!」

 

人を襲わんとしているノイズを発見し、一気に接近し、切り裂いた。

ノイズを薙ぎ倒していると

 

Croitzal ronzell gungnir zizzl

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

唄が聞こえ

 

「ラァ!!」

 

「ハァ!!」

 

ノイズを、槍と刀が消滅させてゆく。

 

「お久しぶりだな、お二人さん。」

 

「おう!久しぶりだな、魔法使い!」

 

「久しいな。」

 

二課のシンフォギア装者、天羽奏と風鳴翼と挨拶する。

彼女達も、ノイズ出現後、すぐに現場に来ていたようだ。

 

「よし、じゃ、さっさと残りのノイズを蹴散らすとしますか。」

 

剣を握り直す。

 

「私達は、向こうの相手しよう。いける?奏?」

 

「あぁ!イケるぜ、翼!」

 

「こっちは任せたぞ、魔法使い。」

 

「任された。」

 

答え、天羽奏と風鳴翼がノイズの大群に飛び込んだ。

さて、此方も此方で相手をするとしよう。

 

「じゃ、早速使ってみますか!」

 

ポケットから、母さんが遺した聖遺物《バルムンク》を取り出す。

バルムンクは、かの英雄《ジークフリート》が邪竜を討ち取る際、振るったとされる竜殺しの聖剣だ。

 

バルムンクに魔力を流し、起動しようとすると。

 

「アッツゥ!?」

 

手に、とてつもない熱が放たれた。

ビックリして、バルムンクを落としてしまう。

 

「ヒャァー……ビックリしたぁ……」

 

手を摩る。

取り敢えず、落としたバルムンクを拾い、剣を構え、ノイズに近づく。

 

「お命頂戴ぃ!!」

 

ノイズに向け、剣を振るう。

一体、また一体とノイズを炭素化させてゆく。

銃を抜き、撃つ。

 

「数が多いなぁ!!」

 

ノイズを倒しても倒しても一向に数が減らない。

ふと、唄が聞こえた。

 

「向こうから……唄が。」

 

ノイズの大群を相手にしている、2人が唄を唄っている。

これこそ、シンフォギアの最大の特徴なのだろう。

 

「……不思議と、力が湧いてくるな。」

 

剣を握り、振るうと同時に、剣から風魔法で斬撃波を飛ばす。

すると、本来より高い威力を発揮した。

 

「…張り切り過ぎたか?いや、もしくは唄に反応して?」

 

疑問を抱きながらノイズを殲滅した。

 

「よし、ノイズ全滅だ。かえろ。」

 

「おーい!魔法使いー!」

 

「お?」

 

天羽奏に呼び止められる。

 

「助かったよ、あんたがいなけりゃ、何人か救えなかった。」

 

「大したことじゃねぇよ。俺が人を救うのはただの自己満足に近いからな。」

 

「そう謙遜するな、魔法使い。貴方がいるといないで段違いだ。本当に、感謝する。」

 

天羽奏と風鳴翼から感謝の言葉を言われる。

 

「…魔法使い。まだ、二課には来てくれないのか?」

 

「悪いな風鳴翼、前に言ったと思うが俺は政府の奴等は信頼出来ねぇんだ。」

 

「…そうか、済まない、無駄な時間だったな。」

 

「別にいいさ、好きな歌手と話せるって、メチャクチャ嬉しいもんよ。」

 

「魔法使いアンタ、あたし達のファンだったのか!?」

 

天羽奏に驚かれる。

 

「そんなビックリするもんか?」

 

「いやー…、今までそんな素振り見た事無かったから…」

 

「ノイズやらの前ではしゃぐ訳にもいかないからな。次のCD楽しみにしてるぜ?」

 

「お、おう!」

 

「あぁ、楽しみにしていてくれ。」

 

そう言い、俺は家へと帰った。

 

 

 

 

【side奏】

「今戻ったぜ、弦十郎の旦那。」

 

「只今戻りました、叔父様。」

 

魔法使いと別れ、本部に戻ったあたし達が見たのは、頭を抱えた弦十郎の旦那だった。

 

「どうしたんだ?弦十郎の旦那。」

 

「あぁ、戻ったんだな奏君、翼。一課が、魔法使いの捕獲を計画している様でな。」

 

「魔法使いをですか!?」

 

弦十郎の旦那の言葉に、あたしと翼が驚く。

 

「魔法とやらを解明する為らしくてな。」

 

「魔法使いが言った通りに………」

 

「もしかすると今後、二課に魔法使いの捕獲命令が来るかもしれん。そうすれば、魔法使いを君達が相手取る可能性もある。」

 

「あたし達が、魔法使いを…」

 

まさしく、魔法使いの言った通りの事をする様だ。

それを、あたしも翼もはいそうですかで済ます人間では無かった。 

 

「あたしは、それ案には反対だな。」

 

「私も、奏と同意です。」

 

「あぁ、俺もそう思ったさ。だが、上の方から圧力が掛かる可能性が高い。」

 

「ですが、もし魔法使いが敵意を持ったとしたら!」

 

「解明する所の話じゃなくなるぜ!」

 

寧ろ、魔法使いを捕獲しようとした連中全員、魔法使いに殺される可能性もある。

 

「私は、魔法使いと戦いたくはありません。」

 

「あたしも、魔法使いと戦うのは嫌だぜ。最近ようやく、普通に魔法使いと話せる様になったんだしな。」

 

「分かった。もし、二課に命令が来ても俺が対処しよう。」

 

今は、魔法使いと戦う事がない様、願おう。

 

 

 

 

 

 

【side白利】

「ただいまー」

 

「お帰り、白利。」

 

家に帰ると、セレナ姉さんが出迎えてくれる。

 

「あれ?律は?」

 

「律ちゃんは、お友達とお出掛けだって。」

 

「そうなんだ。」

 

靴を脱ぎ、リビングに行く。

 

「セレナ姉さん、何か手伝う事ある?」

 

「今はとくにないかな。」

 

「そっか、なんか手伝う事あったら部屋にいるから呼んでくれ。」

 

「ありがと。」

 

そうして、俺は自分の部屋に行くフリをして、隠し部屋に向かった。

 

 

 

 

「結局、この聖遺物、失敗作なのか?」

 

手に持った、聖遺物《バルムンク》のペンダントを見ながら呟く。

もう一度、魔力を流してみるが

 

「アッツゥ!?」

 

やはり、熱を発する。

どうやら、あの時限りの失敗では無さそうだ。

 

「と、すると、コイツらを使うには、唄しかないって事かぁ?」

 

何か他に聖遺物の事が書いていないか、本を探す。

と、とある本を見つけた。

 

「これは…優兄さんの本か?」

 

開く

 

 

 

【魔法製シンフォギアについての改良】

母さんが創った、魔法製シンフォギアはそのままで使おうとすると、凄まじい熱を発して、マトモに使える様な物では無かった。

そこで、俺は改良案を思い付いた。

それは、銃身に聖遺物を装填し、魔力を流し、撃ち出すとゆう案だ。

早速、制作に取り掛かろう。

 

 

 

なんやかんや、完成した。

早速使ってみるとしよう。

 

 

 

聖遺物は熱を発する事なく、使用する事が出来た。

これで、俺も攻撃魔法が無くとも、戦う事が出来る。

 

 

 

 

 

 

 

「銃身に、聖遺物を装填する…」

 

銃を取り出す。

銃身を弄ってみると、ホッチキスの様に開いた。

 

「おぉ!そんで、此処に聖遺物をっと。」

 

開いた銃身に、聖遺物《バルムンク》を装填し、撃ち出した。

擊ち出された、聖遺物はそのまま真っ直ぐ飛んで行き、軌道を変え、俺の方に飛んで来る。

 

「こっちに来る!?」

 

俺は、右腕で身体を守る様に構える。

そうして、右腕に聖遺物が着弾すると。

 

「おぉ!?」

 

右腕が灰色のアーマーに包まれ、大剣が現れる。

 

「これが…魔法製シンフォギア……」

 

大剣を振り回してみる。

 

「スッゲェ…大剣を片腕で振り回せる。」

 

魔力を流すのを止め、シンフォギアを解除する。

次に、《アロンダイト》を取り出し、銃身にセットする。

 

アロンダイトとは、円卓の騎士の1人《ランスロット》が振るったとされる剣だ。

絶対に折れない、刃こぼれしないという逸話を持ってるが、聖遺物になってる時点でどうなんだとは思うが、気にしないことにした。

 

魔力を流し、アロンダイトを撃ち出し、右腕に纏う。

 

「此れが、アロンダイト…」

 

紺色のアーマーと、ロングブレードが現れる。

 

「今後、此れは結構使えるかもな。」

 

「白利ー!手伝って欲しい事があるのー!」

 

セレナ姉さんが呼ぶ声が聞こえる。

 

「今行くー!」

 

シンフォギアを解除し、部屋から出て、セレナ姉さんのもとに向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時の俺はまだ、魔法とシンフォギアが起こす奇跡を想像もしていなかった。




次回、遂に原作主人公登場です。
登場はもう少し先になりますが、クリスちゃんをどうするか凄い迷ってます……
次回をお楽しみに……


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3人目の装者

ようやく響登場……!!


「ハァ…ハァ…!」

 

息を切らしながら、走り続ける。

 

「なんで…!こんな事に…!」

 

確か、ツヴァイウィングのCDを買いに行って、その時ノイズ出現のサイレンがなって……

近くにいた女の子を連れて逃げたんだ。

 

「おねーちゃんだいじょうぶ?」 

 

「大丈夫!平気、へっちゃら!」

 

走って、走って、走り続ける。

だが、ノイズに追いつかれる。

 

(せめて、女の子だけでも!)

 

目を瞑った時

 

「であぁ!!」

 

男の人の声が聞こえ、目を開くとそこには、白いロングコートを着て黒い仮面をつけた人が立っていた。

 

「早く逃げな!」

 

「でも!」

 

「いいから!早く!その子を守れ!」

 

男の人がノイズを手に持った剣で切り裂きながら、叫ぶ。

なんでノイズを倒せているのか分からないが、逃げるべきなのだろう。

 

「ど、どうかご無事で!!」

 

「アンタもなぁ!」

 

そうして、再び無我夢中に走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

此処はいったい何処だろう。

無我夢中に走り続け、知らない場所に辿り着いてしまった。

 

「此処なら平気かな。」

 

「ありがとうおねーちゃん!」

 

この子も平気みたいだ。

本当に良かった。

 

だが、背後から一体のノイズが迫っていた。

 

「ッ!!」

 

ノイズに触れられるその時、胸に唄が浮かんだ。

 

Balwisyall nescell gungnir tron

 

無意識に拳をノイズに振るう。

私は炭素化する事なく、ノイズだけが炭素化していた。

 

「ほぇ?」

 

今のは、私がやったのだろうか。

自分の身体を見ると、リディアンの制服ではなく、ヒーローモノのアーマーの様なものを纏っていた。

 

「おねーちゃんカッコイイ!!」

 

女の子が目をキラキラさせて私を見ている。

別のノイズが私達に迫って来る。

迎え撃とうとするが

 

「うわ、うわわ!」

 

ヒールによって、体勢を崩してしまう。

 

(女の子が!?)

 

ノイズが女の子に触れる瞬間

 

「セァ!」

 

ノイズが一刀両断された。

 

 

 

 

 

 

【side弦十郎】

翼と奏君をノイズ出現地へと、向かわせ数分経った。

魔法使いもまた現れ、ノイズから人々を守ってくれている様だ。

すると、

 

「アウフヴァッヘン波形を感知!!このパターンは……!?」

 

アウフヴァッヘン、それは聖遺物が歌の力によって起動する際に発するエネルギー。そのエネルギーの波形をアウフヴァッヘン波形と言う。

シンフォギアを纏う際にも発せられていて、聖遺物ごとに、波形パターンは変わる。

また、パターンを照合する事によって、種別の特定も出来る。

 

モニターに映し出されたのは

 

《Gungnir》

 

「ガングニール…だとぉ!!?」

 

奏君が纏っているはずのガングニールだった。

 

 

 

【side翼】

ノイズが出現し、戦場に赴き奏と共にノイズを斬り倒して行く。

 

「フッ!ハッ!」

 

「ゼリャァ!!」

 

ふと、周りを見ると不自然にノイズが小道に集まっている。

小道に向かい走りながら、ノイズを薙いでゆく。

 

「セァ!」

 

ノイズを一刀両断した先に居たのは、少女とバランスを崩して倒れているシンフォギア装者だった。

 

「なっ!?そのギアは…!?」

 

『翼!奏君!聞こえるか!近くに、アウフヴァッヘン波形が確認された!』

 

ギアを通して、叔父様から連絡が来る。

 

『マジカッ!?』

 

「……叔父様、その装者を確認しました。」

 

『本当か!?その子を保護してくれ!』

 

「承知しました!!ヤァ!」

 

叔父様からの連絡を聞き、迫り来るノイズを斬り裂く。

 

「えっと…もしかしてツヴァイウィングの翼さんですか!?」

 

シンフォギア装者が聞いて来る。

 

「そんな事は後だ!此処を切り抜けるぞ!!」

 

「切り抜けるって……」

 

ノイズを殲滅していると、反対方向から、ノイズが迫り来る。

ノイズを倒そうにも、此方側にもノイズが残っている為、下手に動けない。

 

(このままでは、少女が!)

 

シンフォギア装者は平気だろうが、少女はノイズに触れられればひとたまりも無い。

シンフォギア装者は戦い慣れては居ない様で、ヒールにも足を取られている。

 

「ッ!?ダメェ!!」

 

シンフォギア装者が叫び、少女に手を伸ばすが後一歩届かない。

その瞬間

 

「間に合えぇ!!」

 

空より、幾つかの火炎弾が降り注いだ。

 

 

 

 

 

【side白利】

途中で、リディアンの制服を着た女の子とその女の子に連れられた少女を助け、周りのノイズを倒し別の現場に向かう途中

 

Balwisyall nescell gungnir tron

 

唄が聞こえた。

 

「これは…シンフォギアの唄?こっちか……」

 

方向を変え、飛んで行く。

そこには、ノイズに触れられる寸前の少女が居た。

すぐ様、銃と剣を抜きノイズに向け

 

「間に合えぇ!!」

 

火炎弾を放ち、残りのノイズを斬り裂く。

 

「ハァ…ハァ…危なかった〜」

 

ノイズに襲われていた少女を見ると、その他の情報をようやく視認した。

そこには、風鳴翼とシンフォギアを纏った先程助けたリディアンの女の子が居た。

 

「アンタ…さっきのリディアンの娘か!!」

 

「さっき私達を助けてくれた人!!」

 

お互い指差して近寄る。

 

「魔法使い、顔見知りか?」

 

ノイズを倒し切った風鳴翼も近づいて来る。

 

「魔法使い……?」

 

「おにーちゃん魔法使いなの!?」

 

少女が目をキラキラさせながら見て来る。

 

「おう!そうだぞ〜お兄ちゃんは魔法使いなんだ!!」

 

少女の頭を撫で、水弾を手に持ち投げてはキャッチしてを繰り返して見せる。

 

「すごーい!」

 

「触ってみる?」

 

「うん!!」

 

少女に水弾を渡し、遊ぶ様子を見る。

なにこの可愛い子。

 

「おーい!大丈夫かぁ!!」

 

向こうから、天羽奏が走って来る。

 

「奏さん!?」

 

「奏。」

 

「よっ、天羽奏。」

 

3人それぞれが反応する。

 

「魔法使い、来てたのか。って、それより!アンタか!弦十郎の旦那が言ってた奴は!!」

 

「えっと…私ですか?私は、立花(たちばな)(ひびき)って言います!よろしくお願いします!!」

 

何がよろしくなのかは分からないが、元気のある娘だ。

 

「あたしは天羽奏だ!宜しくな!」

 

「風鳴翼だ。」

 

二課の2人も挨拶をする。

 

「必要かは分からんが、俺は魔法使いだ宜しく立花響。」

 

「えっと…魔法使いさんって名前なんですか?」

 

「名前なわけないでしょーが!本名を隠してるんだよ。」

 

この娘……意外とアホの娘?

暫く彼女の事について聞いていると、周りに黒い車やらが集まって来た。

 

「はいこれ、あったかいモノどーぞ。」

 

「あったかいモノどーも…」

 

少し戸惑った様子で、二課の職員と思われる人物から飲み物を貰う立花響。

 

「魔法使いさんもどうですか?」

 

「ありがたくいただくよ。」

 

俺もその職員から、飲み物を貰い飲む。

あの少女は無事お母さんと合流できた様で、お母さんは職員から何かしらの説明を受けていた。

 

「あれ、何やってんの?」

 

「あぁ、アレはシンフォギアなどの公には公開されていない情報を誰にも話さない、と言う説明だ。彼女達やその周りの人々にも危害が及んでしまう可能性があるからな。」

 

「大変なんだなぁ。」

 

風鳴翼から説明を聞く。

どうやら、同じ説明を立花響も受けているのだろう。

立花響の様子を見ていると。

 

音もなく、立花響の背後に男性が現れた。

 

「ッ!?何にも無い所から人が急に出て来たぞ!?」

 

「緒川さんは忍者だからな。」

 

「あたし達にとっちゃぁ、見慣れた光景だけどな。」

 

いつの間に来ていた天羽奏と風鳴翼がさも当たり前かの様に言う。

二課って忍者いるの?

視線を立花響に戻すと、頑丈そうな手錠を掛けられていた。

 

「彼女は二課に連れていかれる様だな。」

 

「んじゃ、あたし達も行くか。じゃあな魔法使い、また会おうぜ。」

 

「んっ、あばよ。」

 

立花響を連れ、風鳴翼と天羽奏は去っていった。

 

「今後、忍者には気を付けよ……」




仮面ライダー滅亡迅雷見て来て遅れました。
放心状態が治らない……
次回は……どうしよ………


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