もろびとこぞりて (クソザコぎつね)
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乃木若葉の章
郡千景は巨人である 嘘予告


初投稿です ゆるして



 

ーーーーーーーーーーーー

西暦の時代、勇者が守りたかったもの

 

初陣直前 高嶋友奈

 

不安なヒト

 

それは神樹と、皆との約束

 

「皆で仲良く勇者になーる!」

 

少女達は誓う

 

だが 彼女達の運命は それを許さなかった

 

宇宙から降り注ぐ情報

 

それはある種の頂点

 

もしも 

 

最悪なこの二つが重なればどうなる?

 

 

 

「あのバーテックス、、おかしい」

 

事件

 

少女達の心を折るように次ぐ戦死

 

誰も救われない

 

「次に生まれて来る時も杏と一緒に居たい。本当の姉妹だったらいいな…… 」

 

 

諦めない時 ギリギリの時 届く手

 

最初でありながらネクスト

 

 

「こいつ本当にバーテックスか?」

 

イレギュラー

 

変化

 

「いずれ私もバーテックスになるのか?、私は違う!私はただの人間だ!!」

 

彼女の中に居るモノ

 

それはあって良い力なのか

 

緊迫

 

一つ狂えば全て狂う

 

「樹海化が起こらない、、、このままでは!!」

 

「必ず奴を抹殺しなくては」

 

「奴は、私を、、、、」

 

平和を乱す悪意

 

人々を喰らうバケモノ

 

「郡千景 貴女は選ばれた、なんらかの意思によって奴に対抗しうる何かしらの力を」

 

光の、中 出逢う

 

壊されたモノ

 

「私はもう勇者じゃない...」

 

「神樹に見捨てられた、ただのそこら辺にゴロゴロいる普通の人間なのよ!!」

 

「それなのに何で、私が奴と戦わなきゃいけないのよ!」

 

宇宙の、獣

 

少女は嘆く、救いはないのかと

 

少女は憎む、大事な人達を殺した奴らを

 

少女だけでなく皆が叫ぶ、助けて、と

 

少女は憧れていた、憎んでいた相手を

 

少女は願う、助けてあげて、と

 

少女の方が救われるべきなのに

 

しかし少女は自分の手で助けた

 

諦めずに

 

諦めない事を良しとする光は彼女を選ぶ

 

少女はらしくもなく雄叫びを挙げる

 

少女は光に包まれ

 

血管の様な模様が浮かぶ

 

小さな手は大きな腕と共に届いた

 

「私はあんたを....許さない」

 

宿命の闘いが 今 始まる

 

舞い上がる粉塵

 

飛び散るガレキ

 

降り立つ巨人

 

蔓延る悪意

 

それは全てと同化するモノ

 

恐怖心

 

諦めない心

 

神とヒト

 

辺一面の炎

 

受け継がれる光

 

飛び立て英雄

 

行け、選ばれた翼で

 

その手で幸せな未来を掴め

 

越えられない壁はない

 

全てを照らせ

 

かつて少女の心には悪意や憎悪があった

 

でもそれだけではなかった。少女の心から善意や優しさが消え去る事はなかったのだ。

 

それがたった一人を除いた全ての神の誤算

 

それがどういう方向に向くのか誰も知らずに

 

「飛べる、私はもう一度、、この空を飛べる!!」

 

「ワタシには、、守らなくてはいけない約束がある」

 

「奴を倒す、それが私の最後の役目!!」

 

 

郡千景は巨人である

 

 12月18日(土)

   復活

 

 

 

 

 

 

 

 

 




感想、オナシャスセンセンシャル! 

ほぼ尺稼ぎ。 ゆるして

気が向いたら続きます(投げやり)


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襲来 バーテックス

今回はネクスト成分少ないのと、知ってる方も多いような始まり方なので見なくてもokです。後、次回の投稿はかなり開きます。


宇宙の片隅

 

そこでは二つの光が瞬いていた。

片方は狂おしい青い光

片方は優しさを感じる赤い光

どうやら青い光を赤い光が追いかけているようだった。

しかし、赤い光は疲れているのだろうか青い光に置いていかれている。

その後青い光は青い惑星へと向かった。

赤い光も、それを追うように青い惑星へと向かった。

 

 

 

その時、狂気に侵されたのか天の神は一つの行動をとった

 

 

西暦2015年

 

『島根県をはじめ、全国的に強い地震が発生しています』

『今後も余震には十分警戒してくださいーーーー)

ラジオがノイズの混じった声で伝える。

少女 乃木若葉はそれを真剣に聴いていた。

その日彼女達は小学校の修学旅行で四国から来ていたのだ。

しかし今は地震の影響で神社に避難している。

「ついてないよねー」

「トランプでもする?」

反対に、呑気でいるものもいた。

 

注意するべきだろうか

 

真面目な性格の為か、乃木の頭に注意するかしないかの考えが浮かぶ。

考えていると少女の眉間に皺が寄り、睨む様な顔つきになる。

睨んでいると思われたのだろうか日頃の行いもあり、呑気でいるもの達はヒソヒソと喋るようにし、乃木に怒られないようにした。

別に乃木に睨んでいるつもりは無いのだ。

 

乃木若葉は落ち込む

 

「わーかーばちゃん」

そんな声が聞こえ、振り向くとパシャリとシャッターを切る音がする。

「落ち込む若葉ちゃんも絵になりますね〜」

ピロリン♪と端末の音がする。保存でもしたのだろうか。

「ひ〜な〜た〜」

乃木は困った顔をした。

保存されるのが嫌なのだろう、乃木は端末を取り上げようとするがひなたと呼ばれた少女はヒョイとかわす。

かわした後に、乃木の眉間を人差し指でぐりぐりと押すのは大親友の上里ひなたである。

「眉間のしわ、そんな顔してるから怖がられるんです」

「、、、見てたのか」

「さしずめ今のイメージは『生真面目優等生』『鉄の女』ですね」

上里はからかう様に言う。

 

図星だったのだろう、乃木は落ち込む。

 

だがひなたは彼女の手を引き、呑気でやっている少女達のグループに問いかける。

「こんばんはー、おしゃべりに入れてもらって良いですか?」

乃木が何かいいかけそうになるのをひなたは口で抑え説明する。

「さっき見てたのは怒ってたんじゃないんです、話しかけ方を悩んでたんです」

 

少女達のグループは笑いかける。

「もっと厳しくて怖い人かと思ってた」

説明を受けて、イメージが変わったのだろう。

「これからも仲良くしてあげてください」

ひなたがそう言うと

「よろしくね乃木さん」

どうやらうまくいった様だった。

 

数分後

 

乃木は神社の境内にひなたといた

「さっきはありがとう」

「さっき?」

「ひなたがいてくれなかったら同級生から距離を取られる所だった」

「若葉ちゃんが誤解されてるのが嫌だっただけです」

ひなたは微笑む

「一人で話しかけるのに気後れする時はいつでも手伝います」

乃木はひなたの手を掴みながら言う。

「私はその友情に報いたい!して欲しい事があったらなんでも言ってくれ!」

ひなたは考えながら言う

「なんでも、、、」

いくつか思いついたようだ。

「では私の若葉ちゃん秘蔵画像コレクションを増やす為にコスプレとか、しかもこの際だから過激な、、、」

しかし決まることは無かった。

「後でじっくり決めます」

乃木はひなたを、少し怖いと思ったが言う。

「ともかく、決まったら聞かせてくれ」

「『何事にも報いを』それが乃木家の生き様だからな」

「もう、、、真面目なんですから」

「でもクラスの人気者になったら、きっと私には構ってくれなくなるんですよね」

「そんな訳ないだろう!!」

「何があってもひなたは一番の友達だ!!」

「冗談ですよ、若葉ちゃんったらー」

 

その時だった

 

これまでよりも強く、激しい地震が、起きる。

まるで大地が雄叫びを挙げるように。

それは10分間ほど続いた。

一通り過ぎた頃

 

「ひなた!大丈夫か!?」

若葉は駆け寄る。

だがひなたは上の空で、、、

「怖い、、、何か、、、すごく、怖い事が、、、」

それは巫女と呼ばれる者だったから分かったのだろう。

巫女の能力は予言。つまり

 

白い異形が目の前に現れる

 

バーテックス 頂点の名を持つモノ

 

「、、、なんだ、、、こいつらは、、、」

「きゃああぁあ!!」 

悲鳴が聞こえる、沢山の

彼らが出てきたのは神社から、それを見て若葉の脳裏に良くない事がよぎる。

若葉は駆け出す

 

 

一足遅かったのだろうか、それとも無理だったのだろうか。

 

白い異形達の、口から血が吹き出し、筋肉の千切れる音と骨の折れる音がする。

中にいた者は全て白い異形達に食い尽くされていた。

先程グループで仲良くしてくれた者も。

 

乃木若葉は棒を拾い更に駆け出す、白い異形に報いを受けさせる為に。

若葉は白い異形に一撃叩き込むが、南無三効くはずもなく棒は折れ、白い異形に吹っ飛ばされる。

 

若葉は瞼が落ちそうになる。

吹っ飛ばされた衝撃で気絶する寸前。

 

「手を伸ばして下さい!」

「そこにあるはずです!!」

ひなたの声で目が覚める。

吹っ飛ばされた先で若葉が手を伸ばすと刀が

 

瞬間、刀の錆は消え少女に活力が満ちる

まるで息を吹き返したかの様に

 

それは祭壇に秘されていた古の神器

 

美しく比類なき殺傷力を持つ

 

冥府に由来する一本の刀

 

 

 

 

 

 

 

生太刀

 

 

 

若葉の一閃、白い異形達より一体が哀れ無惨に両断された。

 

切る

 

切る

 

切る

 

若葉は報いを受けさせる為に、中にいた白い異形達を全て切り捨てた。

まさに勇者であろう。

 

だがそこまで

 

白い異形達は合体し、進化していく

流石に無理があるだろう、何せ10mはあるのだから

 

「こんな奴ら、、どうすれば、、、‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

「こっちです!早く!!」

 

ひなたの声を聞き、若葉はひなたの、元へと向かう

 

ひなたと若葉達は生き残っていた者達を連れて進む

 

白い異形達の攻撃は緩んでいた。

 

「安全な道へ誘導します」

「安全、、、?」

「そんな物どうして分かるんだ?」

「なんとなくです、、、でも皆を絶対に死なせたりしません」

上里ひなたは巫女である

「、、、分かった、霞払いは任せろ!!」

「生きたい者達は私達について来い!!」

乃木若葉が空を見上げると、青い光が先程のバーテックスに向かっているのが見えた。

そして光が向かっていった方向を片隅に捉えると、ナニかがバーテックスを喰っているのが確認出来た。

乃木達は避難を優先していた為、そちらに近づく事は無かった。

 

 

あの日から三年  『バーテックス』と名付けられた異形は世界各地に出現した 為す術もなく人類は蹂躙され、私たちの世界は奪われてしまった

 

その蹂躙から逃れられたのはここ四国や長野の一部など、何故か限られた地域だった

 

そんな状況の中ごく僅かな少女達だけが特殊な力を発揮した

 

神の力を持つ『勇者』

神の声を聞く『巫女』

 

「バーテックスは罪の無い多くの人の命を奪った。私は必ずバーテックス達に報いを受けさせる。」

「私も若葉ちゃんについて行きます」

 

仲間の呼ぶ声が聞こえる

「おーい、何やってんだー、戦闘訓練始まるぞ」

「すまない今行く」

「私も、巫女の訓練に行かないと」

乃木は空を見上げてふと思う

『あの日見た青い光、、、何だったんだろう。』

 

その日、昼にも関わらず多くの人が流星を見たと言う話が飛び交い、噂になった。

 

 

 




・乃木若葉
皆知ってる原作の主人公。戦闘の疲れからか避難する時に謎の青い光を目撃してしまう。
・上里ひなた
スピンオフもあるスゲェ巫女さん。乃木若葉と仲がいい。

難しいですね。
最後の青い光、一体何ビースト何だ、、、
感想ご指摘お願いします!!


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邂逅 ネクスト

お久しぶりです。長い事おまたせしてすみませんでした。不定期更新といえどもこれでは、、、。そして今回も短くなってしまいましたが、皆さま方の想像力で補ってくれると幸いです。それではお楽しみください。


その夜、少女は夢を見ていた。なんとも幻想的だが同時に、実際に起こっているとも思えるようにリアルな夢。 

例えるなら胡蝶の夢

そう言ってもおかしくないほど不思議な夢だった。

 

少女は今日も夢の世界へ沈むように入っていく、、、

 

 

そこは光の中だった

緑色に色々な色が混ざってようにキテレツな色で、その色をした光が全身へ広がり、包み、中に入っていく。少女にとってそれはとてもとても暖かい心地よい光だった。

そんな中に一つの赤い光が少女を照らし、少女が眩しさのあまりに目を細め手をかざしながら赤い光を見ていると、赤い光から血管のような模様が浮かび上がり、ゆっくりと着実にヒトの様な形をとっているのが確認できた。

 

やがてその赤い光は巨大なヒトの形をとり、顔であろう部分には優しく美しい乳白色のような、それでも意思のある目が形どられ少女を見つめる。

 

「、、、だれ?」

 

少女はその巨大なヒトに畏れ多くも質問してみることにした。

返事がない。

 

「どこからきたの?」

 

しかし返事がない。

 

「名前はあるの?」

 

やはり返事がない。本当に聞こえているだろうか、そのヒトは全く動かなかった。

 

と思った矢先、ヒトが手を少女にかざし周りが眩しく包まれた。

眩しすぎる、まぶたの裏に入ってくるような眩しさが少女を照らす。

 

 

 

 

目覚めると、少女は自分のベッドにいた。

 

時は西暦2015年 夏 とあるとある小さな井戸の中の様な狭い村にて

「また同じ夢か、、、」

気怠げそうに少女が呟く

「あの夢は私に何か伝えようとしているのかしら、、、、」

起きたのはまだ夜中だった。

夜といっても今日は熱帯夜とのことなので、寝るにはいささか辛い夜である。

「なかなか眠れそうにないわね。」

そうボソボソ呟きながら少女はベッドに横になる。

まぶたを閉じると音が聞こえる。

自分の呼吸音に鼓動音 かけている毛布の擦れる音 ベッドの軋む音 鳥達の羽ばたく音 犬の鳴く音 色々と聞いていると、今日あったことそれまで起きたことなど思い出してしまう。彼女の場合、あまりいい思い出がない為この時間は苦手だった。

彼女はこの世に生を受けた時にはまだ良かった。だが次第に状況が悪くなってしまった、母親の浮気と蒸発にそれを起因とする言われのない罵詈雑言、更には父親からは慰めなど与えられず放置される日々。

普通それを知ればこう思う人は一定数いるだろう、

「誰かに相談すれば良いのに」

確かにそれは間違っていないし、素晴らしいことだ。

だが彼女の場合にはその誰かがいなかった、家族に相談するのはどうだろうか?答えはNO、こんなのが父親なんてやってける訳ないと思えるほど彼女の父親はガキだった。では村人には?これもNO、村人には彼女の母親が浮気して蒸発しただなんて知らない奴は居なかったなんせここは狭い村だ、噂はあっという間に広まる。浮気者の子は悪い奴だからいじめても良いなどと言うウジ虫の様な考えも。ならいっその事この村を出て行くか?難しいだろうな、まだ小学生で金もないし行くあても無い。

これを目の当たりにした人はきっと思うだろう、

「皆マトモじゃない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

、、、人の声が聞こえる。

 

「また隣の人喧嘩してるのかな、、、」

 

 

 

それは喧騒ではなく、悲鳴だった。

 

 

その音が聞こえた瞬間、少女は飛び起きた。

何かあったのかと思いカーテンを思い切り開けると、外は真っ暗だった。しかしただの真っ暗ではない、所々から星屑のようなものが降って来ている。その星屑は隕石のように燃え尽きたり衝突でクレーターを開けるでもなくゆっくりと地面に降りてゆく。

 

その光景に彼女は絶句する。

 

「何あれ、、、何が起きてるの、、?」

 

少女の住む家にも降りてくる。その星屑は彼女に向かって進んでいる。

何かおぞましい気配を感じた少女は玄関に行き、靴を履いて外に駆け出す。少女の住む村のあちこちに、それは降り注ぎ、人を食べている。獣ではなく機械のように。見るに耐えられない光景だった、まるで地獄を表したかの様な悪魔が始まったのだ。人類の文明を破壊する存在に人々は逃げ惑い、恐れ、殺される。燃えるように激しく文明を破壊する様は見る者全てに絶望を与え人々を凌駕する。家は壊れ、森は燃え、人は死に、その光景はまさに地獄。どれだけ武装していても所詮は人間、あっという間にやられ、世界中が混乱と恐怖の渦に巻き込まれていた。美しき終焉が始まったのだ。そんな存在に見つかってしまえばどうなるかぐらい誰にでも分かることだ。途中で星屑を見かけては身を隠し、バレないように必死で逃げ回る。バレれば自分も死ぬと彼女は直感的に理解していた。命の危機になれば生物は本能のままに動き、逃げ出す。だから彼女は必死で走った。

 

 

 

 

一息つこうと思った時、彼女は知らずのうちに神社についていた。

ここで一度戻った道と、村の様子を見てみることにする。

 

「もう、、、戻れない、、、」

すると突如に足元が揺れる。

地震だろうか。

建物は崩れ、瓦礫が飛び散り、燃えゆる炎は天を仰ぎ、人々の悲鳴が節々でこだましている。先程よりも大きく。

「あの白いのに、今の地震、、お父さんは無事かな、、、? でも別にいいか、、、」

ずっと父親にひどい行いをされ続けていた彼女の心には親を心配する事など出来なかった。でも少し気になった。

 

神社が崩れて中に奉納されていた物が姿を表す。

 

中からは鎌の刃が出てきた。

それを拾うと、少女は突然悲しくなる。

(この刃は誰にも見向きされず、ずっとここにいたんだ。こんな誰も来ない社に、ずっと放置されて、、、錆びついて、、、手入れしてくれる人なんていない。存在に気づいてくれる人さえもいない。)

「ずっと、、、一人で、、、私と同じだ、、、ずっと、一人で、打ち捨てられて、、、。」

少女がそんな事を思いながら前に目を向けると先程の星屑が近づいて来ていた。居場所がバレたのであろう、確実に自分を目指してきている。ここまで来ても追ってくるとは何という執念深さ、奴らに人の心は無いのか? あるはずも無かった。相手は天からの使い、人の決めた事など知らないし知る必要もない、それがバーテックスという生き物だった。

 

もし彼女にバーテックスに対抗できる力があればこの状況を切り抜けられるのだろうか。答えは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

YES

少女には力が足りなかった、でも彼女には勇気がある。

少女の持つ刃は神の持つ武器 神の鎌である

その刃が彼女に力を与える、人々を苦しめる災厄の星屑 バーテックスに対抗できる力を。

 

「キャッ!?」

 

だがその刃だけではなかった、遥か彼方より来た赤い光が彼女目掛けて飛び込んで来た。たった一瞬の出来事だった。一体何が起きているのか分からないまま彼女は身構えるが優しいその光に連れられ、彼女は星屑達から姿を消す。星屑達は探していた相手が消えた後も次の標的を探して進み続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女の意識が覚醒した。

目が覚めると、彼女の目の前には夢でみた巨大なヒトがいた。

 

「ここは何処、、、?それと、もしかして、、、」

 

「あなたは、、、、」

 

「夢の巨人、、、?」

 

巨人はゆっくりと頷いた。

周りを見ると、夢と同じキテレツな光が周りに流れている。

 

すると目の前の巨人が語りかけてきた。

 

 

「私は、、、君たちがいう別の宇宙からやってきた、、、」

 

エコーのかかったような、優しい声が聞こえる。

 

「どうして私を助けてくれたの、、、?」

 

少女は疑問に思った、目の前の巨人が何の為に自分を助けてくれたのかを知りたかったのだ。

 

巨人は答える

 

「私は、、、とあるモノを追ってここにやってきた、、、そして今この星に、、、危機が迫っている、、、」

 

「危機って何が来るの?」

 

「私が追っているモノと、、、天の神による人類の抹消だ、、、」

 

その言葉に少女は困惑するものの、今起こっている現状を見ると信じる事はできた。

 

 

「君と私が一心同体になる事で、、、私はこの地球で活動する事が出来る、、、君の力を貸して欲しい、、、」

 

その言葉に少女は頷く。

少女は心優しき者だった、だからこそ光は彼女が相応しいと感じたのだ。どれだけひどい扱いを受けようとも、彼女の心から優しい光は消えなかったのだ。だが一人ではその光も弱まってしまうだろう。

 

「後、、、変かもしれないけど、、、私と友達になってくれる、、、?」

少女のただ一つの願いだった。

その言葉に巨人、、、もとい大空からきた友達は頷いた。

光は彼女の願いを受けとり、彼女との最初の友達になった。

 

もしこの最初の友達と会えずに普通に育っていたら彼女がどうなっていたのか、分からないが大体予想はついてしまう。奇しくもこの何もかもを失う時に彼女は何よりも大事なものを得る事ができたのだ。友達というものを。

 

 

そして光は、これから会うであろう仲間を守る為の力を彼女に授ける。

 

 

「この暖かい光、、、あの夢の、、、」

 

「もしあなた以外に他友達に会えるのなら、せめてその友達を守れるのなら、、私はあなたの光が、力が欲しい、、、」

 

少女は光へと吸い込まれていく。

光が少女を包み、中へと入っていく。

 

 

 

バーテックスによって壊滅した村に、一筋の光の柱が立った。

暗雲を突き破り、宇宙からも見えそうなほどの激しく光が立ち昇った。

光は破裂し、周りが昼と思えるような明るさにまで照らされる。限界まで照らされた後に光のが破裂し、その村に降り注いでいた無数のバーテックス達を一匹残らず焼きつくしてしまった。中からシルエットが浮かび上がり、周りの光はそのシルエットに定着し、生き残った見る者全てにその存在を焼き写す。

 

『光の、、、巨人、、』

 

黒い筋肉にほとばしる血管を思わすような模様を浮かび上がらせ胸には心臓を思わせるようなエナジーコア。周りを皆照らす銀色の鎧を身に纏うその姿は、まさに絶望の中の希望。

 

ウルトラマン ザ ネクスト

 

のちにそう呼ばれる神の不完全体であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、生き残った村の人はその日について聞かれると彼らはそれぞれの記憶が曖昧ながらも皆口端揃えて一人残らず、光の巨人がバーテックス達を全て倒してくれたと話したらしい。




・郡千景
本作の主人公 環境がアレだったけれど優しい心をもつ勇者さん。ゲームが好きで絵を描くのが得意だそう。
・赤い光
ネクストさんその人 今作では千景とお友達に。何かを追ってきたらしいけれど千景を助けてくれた優しい宇宙人。千景と一心同体になり、巨人化できるようになったぞ。




んにゃぴ、むずいですね。
次回もかなり空いてしまうのでご容赦ください。感想やご指摘お待ちしております。それではまた。


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序章 スタート

こんにちは、今回は前回の直後になります。ネクストが結構喋ってしまいますがオニイサンユルシテ
短いですけど、はいよーいスタート(適当)


「ハッ‼︎」

よくある起き上がり方をしながら少女 郡千景は目を覚ます。

 

(ここは何処?私は誰?)

 

テンプレが頭に浮かんでくるが、幸い彼女は自分の事は忘れていなかった。

「だけど、本当にここ何処だろう、、、」

今彼女がいるのは何も無い真っ黒な空間だった。だがそれもすぐに終わり、周りに星が現れその間をとてつもないスピードで飛んでいるビジョンが目の前に現れる。

その中に二つ他とは違う光が見える。

「あの光は、、、さっきの、、、?」

彼女は先程出会った赤い光を思い浮かべる。

「郡、、、郡、、、」」

声が聞こえ、振り返ると先程の巨人が人間サイズで現れた。

少し驚くものの彼女は落ち着いていた。

「もしかしてだけどこれはあなたの記憶なの?」

そう尋ねると巨人はコクリと頷いてみせた。

「私はあの青い光 スペースビーストを追ってこの宇宙にやって来た。」

巨人が見せるビジョンの中で青い光を赤い光が追いかけている。

「それじゃあ、私達の倒したあの白い星屑もそのスペースビーストというわけ?。」

「いや違う、アレは天の神が人類を抹消する為に送り込んできたものだ。」

目の前に渋谷と、そこで暴れる怪物のビジョンが現れる。

「スペースビーストは最初は小さな細胞だが、色々な物を取り込んで進化する。」

ビジョンの中でスペースビーストが生物を吸収し、成長しているのが見えた。

「厄介な奴ね。」

「私はこれまで沢山のスペースビーストを倒してきた。だが途中でエネルギーを使い果たし、追っていたスペースビーストをこの星の何処かで見失ってしまった。」

巨人の語る話と共に彼がかつて戦っていたビジョンが現れてくる。

その中には黒い巨人の姿もあった。

「あの黒い巨人は?貴方と似ているけれど。」

巨人は、苦い思い出を話す。

「昔私が救った星があった。その後私がその星を離れ、後に彼らは襲われていた恐怖から自分達を守る為に私を模造した。」

「模造ねぇ、、、」

「その模造品はやがて意志を持ち、憎しみに囚われ全てを滅ぼした。」

ビジョンには、目の前の巨人とよく似た巨人が黒い巨人を打ち倒す場面が映っていた。

「それを貴方が倒した、、、」

巨人の話には続きがある様だ。

「しかし、奴の執念は凄まじい、、、もしかしたら生きているかもしれない。」

その言葉を聞いて彼女は心の底から思った。

(もし生きていたら、、、考えたくもないわね、、、)

「スペースビーストが何処にいるか分からない以上、まずはあの星屑をどうにか退けるのが先ね。」

「そうだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると彼女は病室にいた。

「スペースビースト、、、一体何処にいるのかしらね」

辺りを見渡すと、いろんな人達がベッドで寝ていた。

恐らくあの村での惨劇の後に回収されたのだろう。

そんな事を考えているとドアから白衣を纏った男性が入って来た。

「目が覚めた様ですね。」

医者だった。

「少し混乱しているかもしれませんが説明をさせて頂きます。あまり時間が無いので。」

「、、、はい」

それから色々と話をされた。自分たちの住んでいた村の惨状や、人類が天の神により絶滅しかかっていて残っているのは四国と諏訪、少しの場所しか無い事、そして勇者という名をつけられた、神から力を託された少女達の存在など。

更に、その少女達と共にいずれバーテックス達と戦う事になる事を告げられた。

少女 郡千景は、その少女達に会うのが少し楽しみに感じるのだった。

 

 

 




・郡千景 目が覚めると知らない天井 ネクストさんから色々教えてもらった。新しい友達ができそうで内心ワクワクしている。
可愛いね
・ネクストさん 宇宙一の苦労人 千景に過去の事を教えてくれたぞ。

キャラ崩壊してしまうかもしれませんが、もしあればご指摘くださるとありがたいです。それではまた


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初陣 ファーストバトル

久しぶりです。今回はネクストさんの出番はありませんが、今後増えていきます。楽しみにしててください。


2018年 丸亀城内にて

 

(あれから3年・・・私は中学三年生になっている。この改装されて学校になった丸亀城に通っているのは私を含めた勇者達5人と巫女1人だけ。

神樹様は何故もっと勇者の数を増やしてくれないのかしら?。

まぁいいか、私達の役目はバーテックスから四国の人々を守ること。)

 

そんな事を考えながら教室のドアを開ける。

 

「おはよう・・・皆」

 

「おはよう、郡さん」

 

挨拶を返してくれたのは勇者達のリーダーである乃木さん。

 

その後ろに見えるのは何故か取り押さえられている土居球子さんと、大人しい伊予島杏さん。

 

土居さんにもの凄い視線(主に胸に対して)を向けられているのが、巫女である上里さん。

 

「・・・貴方達何やってるの?」

 

バァン!(ドアの開く音)

 

「おはよーございまーす!高嶋友奈、到着しました!」

 

「おはよう高嶋さん」

 

「おっはよー、ぐんちゃん!」

 

この人は高嶋友奈さん。いつもフレンドリーに接してくれるからよく話している。

 

その後 放送室にて

 

「・・・諏訪より、白鳥です。勇者通信を始めます。」

 

「香川より、乃木だ。よろしくお願いする。」

 

(現在長野県諏訪湖東南には結界があり、四国同様に人々が暮らせる環境が残っている。今乃木さんが話している相手、白鳥さんはただ一人で諏訪の守護を担っている勇者だ。)

 

「白鳥さん、そちらの状況はどうだ?」

 

「芳しくありませんね。もっとも、三年前から状況が芳しかった事はありません。今は現状維持ができるだけ・・・、ザー・・・、でしょう。ノイズが・・・。最近、多くなっていますね。」

 

「そうだな。この通信もいつまで続けられるか・・・。」

 

(乃木さんの言う通り諏訪の方も限界かもしれない・・・時間が無さそうね)

 

その後食堂にて

 

「食事はみんなでまとまって摂るべきだ。チームワークを向上させる為にもな。」

 

「そういう理屈は置いとくとしても、ご飯はみんなで食べた方が美味しいよ!。」

 

「その通りね」

 

食堂はセルフサービス方式、彼女達はそれぞれ食事を取り分けひとつのテーブルにつく。

食堂には大人の姿も見える。彼らはバーテックス出現以降の対策において政府から全ての権限を委任された機関、『大社』の人たちだ。

 

(美味しい・・・)

 

何やら皆で話しているようだが、千景はそんな事を気にせずうどんを貪り食っていた。巨人と融合したせいか、彼女は普段よりも大食らいになっているのだ。ついに五杯目を食べ終わり一息つこうと箸を置くと、友奈はもう食べ終わらせていた。

 

「ごちそうさま!今日も美味しかった♪・・・どうしたの、みんな?深刻そうな顔して。」

 

「おい、高嶋・・・。さっきまでの話、聞いていなかったのか?」

 

「え、えっと・・・うどんが美味しすぎて、まわりのことが意識から飛んじゃって・・・」

 

「うどんは美味しいわよ、こんなに素晴らしい料理他にあるかしら?」

 

「郡さんはまず食い過ぎだ・・・」

 

「?」

 

その後

 

「今日の分の授業終わり、また食堂に・・・はぁ、忘れ物したわ・・・」

 

千景が忘れ物をとりに戻ろうとすると、通りがかった放送室からあまり良くない話が聞こえてきた。

 

「おかしい・・・。定期連絡はまだか?白鳥さん?聞こえるか? だめだ応答が無い・・・。」

 

「すみません・・・ザー・・・さん。少々こちら・・・ごたついておりまして。」

 

「おっと・・・!いや、構わない。何かあったのか?。」

 

「本日午後、バーテックスとの交戦がありました。」

 

「被害は?」

 

「問題ありません・・・ザー・・・敵は撃退。人的被害は無しです。」

 

「そうか・・・」

 

「四国の状況はどうですか?」

 

「変わりない。バーテックスの侵攻もなく、訓練と学習の一日だった。」

 

「そう・・・ザー・・・安心しました。」

 

「だが少しな・・・」

 

「どうしました?」

 

「彼女達には色々な個性がある。私はうまく統率できていない。まだまだ未熟だ・・・」

 

「そうですね・・・私も初めは似たような悩みを抱えていました。しかし、いずれその心配はなくなります・・・。」

 

「どういうことだ?」

 

「ザー・・・現実は想像よりも遥かに重く、私達に決断を迫る・・・ザー・・・。」

 

それを聞き届けた後に放送室の前を後にしようとしたところ、世界の時が停止し、周りは木の根っこが覆い、様々な色に彩られた。

いわゆる樹海化である。

 

その後樹海にて

 

「ここが樹海・・・神樹による人類守護の最終手段ね。」

 

「そうだ、だが樹海も完璧じゃない。私達が迅速にバーテックスを殲滅し、樹海化を終わらせる。」

 

「おお〜いっ!みんなー!悪い、遅くなったっ!」

 

「全員、揃ったな・・・これが私達の初陣だ。我々の手でバーテックスどもを打ち倒す!」

 

皆を確認すると、伊予島だけは足が震えており怯えているようだった。さすがにそのままでは無理そうなので、千景は伊予島を元気づけてみることにした。

 

「伊予島さん・・・怖がらなくても大丈夫よ。ピンチの時は必ず来てくれるわ。」

 

「来るって・・・誰がですか?」

 

「正義のヒーローよ」

 

その言葉を聞き、読者好きな伊予島は頭の中に物語の王子様を思い浮かべた。

 

「戦える?」

 

「・・・やってみます。」

 

どうやら成功したようだ。

 

「すまない郡さん・・・わざわざ」

 

「いいのよこれくらい。でもリーダーは貴方なんだから、今度からは頼むわよ。」

 

その言葉に若葉は苦笑いするのだった。

 

「よし、じゃあタマ達もそろそろ気合い入れるかっ!」

 

「皆で仲良く勇者になーる!」

 

その言葉と共に少女達は光に包まれ、神秘的な衣装を見に纏うのだった。

 

「こっちはタマに任せタマえ!全部倒してやるぜ!」

 

土居球子の使う武器は旋刃盤、盾としても使える飛び道具だ。

 

「よぉし!絶好調!・・・う!?手元に戻りきらない隙を狙われた・・・!」

 

バーテックス達がじわりじわりと近づいて来る、だが光の矢がそれらの侵攻を許さなかった。

 

「タマっち先輩・・・!」

 

「あんず・・・ありがとうな!タマが前に立つから、あんずは援護してくれ!」

 

(・・・二人とも大丈夫そうね。)

 

一方、そんなドラマを片目に見ながら千景は難なくバーテックス達を倒していった。

 

(そろそろバーテックス達も終わりかしらね・・・ん?)

 

明らかに異質なバーテックスが現れた。

 

「もしかしてあれが進化体・・・パッと見はただの棒だけど、百聞は一見にしかず。少し様子を見させて貰いましょう。」

 

少し観察していると、杏の矢が跳ね返されるのが見てとれた。

 

「ありゃ二人の道具じゃ無理そうね・・・、ちょっと高嶋さん!?」

 

加勢に行こうとすると、友奈が飛び出し進化体バーテックスに向けて何百回も拳を浴びせていた。友奈の武器は拳そのまま徒手空拳である。彼女の放つ、いわゆる勇者パンチが千回に達した頃進化体バーテックスは倒れた。

 

(流石高嶋さん・・・やる事が派手ね。)

 

それを見ていた千景と、もう一人若葉に残ったバーテックスが遅いかかるも哀れ無惨に細切れにされた。だがその細切れになったバーテックスを二人はあろうことか食べてしまった。

 

『不味い・・・』

 

 

 

初陣は勇者達の勝利で終わった。

 

「若葉ちゃん!変なものを食べちゃダメでしょう!」

 

「だが・・・かつて喰われた友達の仕返しをだな・・・」

 

「お腹を壊したらどうするんですか!」

 

巫女には勝てなかったようだ。

 

「ぐんちゃんぐんちゃん!バーテックスってどんな味がしたの?」

 

「美味しそうだったけど・・・味は無いに等しいわね、食感も最悪だったし。」

 

何気ない日常が帰ってきた。

 

 




郡千景 原作に比べて30%ポジティブに。優しいお姉ちゃんへと大変身。融合の影響で大食らいになってしまいますがネクストさんの方の原作では融合の影響は無いのでご都合主義です。多少はね?

乃木若葉 勇者達のリーダーではあるが千景にやって欲しいと少し思い、聞いてみた所断られてしまったよう。バーテックスを食べてしまいひなたにこっぴどく叱られる。

高嶋友奈 ムードメーカー 原作では千景の唯一の友達ではあるが今作では千景の友達が増えているのでそんな事はない。使うのは徒手空拳であり脳筋な一面もあるがそれも時には重要になる。戦いの疲れからかで黒塗りの検査入院送りにされてしまう。

土居球子 男勝りではあるがたまに女の子らしさも見せる。伊予島杏とは姉妹の様な関係である。

伊予島杏 読書好きで恋愛系の本をよく読んでおり、物語に出てくる王子様と球子を重ねて見ている節がある。気弱ではあるが千景のおかげで勇気を貰う。使う武器はクロスボウという見た目のマシンガン。戦場では知識と頭の回転を披露する。

上里ひなた 若葉の大親友であり保護者のような人。巫女の中でもかなりの力を持つらしい。



いかがでしたでしょうか。次回は肝試しです。感想ご指摘批判なんでもウェルカムなのでお願いします。それではまた。


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恐怖 スケアリー

こんにちは、今回は肝試しという事でホラー回にしたかったのですが上手くできず・・・。暖かく見守ってください。今回からキャラ崩壊が加速してしまいます。なんてこった


(何故わざわざこんな事を・・・)

時は午後10時、丸亀城の外。本来であれば自分たちの部屋にいるはずが彼女ら勇者達一同はこんな時間に集まっており郡千景は内心呆れていた。

時は今から少し遡り、昼飯を食べている時だった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんず。あまり食べてないみたいだけど、どうした?調子悪いのか?」

 

球子が杏の今食べている昼飯を見ていると、まだ半分しか減ってないのにも関わらず杏は箸を置いていた。

 

「体調は悪くないよ。ただ・・・ちょっと食欲がないだけ。」

 

「何か悩み事ですか?私で良ければ相談に乗りますよ?」

 

「うんうん、皆でアンちゃんの悩みをやっつけよう!ぐんちゃんもそう思わない?」

 

「いいわよ。ただ、それはそれとしてその残ってるハンバーグ貰って良いかしら?」

 

「もしかしたら杏の力になれるかもしれない。よかったら話してくれないか?」

 

果たして杏の悩みとは・・・?

 

「あぁ、ハンバーグはあげます。それで・・・悩みというかその・・・正直まだ少し怖いんです。バーテックス達と戦うのが。」

 

「みなさんの足手まといになってしまうかも。私も、勇者なのに・・・。

 

杏の悩みというのはバーテックス達への恐怖だった。たしかに彼らは人間を無差別に、残虐非道に殺し、人類滅亡まで後少しという所まで来ている連中だ。そんなのにたった5人で挑むのだから恐怖するのも無理は無いだろう。

 

「大丈夫、アンちゃん。怖いのはきっと皆も同じだよ。ね?」

 

「まぁ、あんな化け物を前にしたら普通はそうなるわよねぇ・・・」

 

「若葉と郡は平気そうだけどなー、バーテックスもガブってやっちゃうぐらいだし。」

 

「私も怖くない・・・わけではないぞ。だが私達がやらなばこの四国が守れないからな。」

 

「・・・私だけじゃなかったんですね。」

 

「星屑の悪魔を叩いて砕く。ユウシャーンがやらねば誰がやる?」

 

「ああ。だが、恐怖を克服しなければ身を危険に晒す。筋肉は全てを解決するからな、ここはやはり鍛錬を重ね、己に自信をつけるしか無いだろう」

 

若葉は意外にも脳筋だった。

 

「待て待て、訓練よりも良いアイデアがタマにあるっ!(コンボイ並感)。戦いが怖いのなら怖いものに慣れちゃえばいいんだよ。」

 

「なんだか・・・嫌な予感がする。」

 

「という事で、今夜ここで肝試しするぞ!(死刑宣告)」

 

そして今に至る

 

 

 

 

 

 

「肝試しにピッタリだろ。もうみんな揃ってるかー?」

 

「はーい!高嶋友奈います!」

 

「まるでおばけ屋敷に来たみたいね。テンション上がるわ。」

 

「それで球子。手順はどうするんだ?」

 

球子は喋らず、目のハイライトが消え天を仰いでいる。

 

「何も考えて無かったんですね。」

 

「そ、そんな事は無いぞ!・・・とりあえず2人1組で城の中を一周するってのはどうだ?」

 

「ペア・・・よし、若葉ちゃん。お願いしますね(強制)」

 

「あ・・・ああ任せてくれ(動揺)」

 

「ぐんちゃん、楽しそうだし一緒に周ろう!」

 

「お、おい・・・もう帰ろうぜ・・・(恐怖)」

 

「私はタマっち先輩とだね」

 

「任せタマえ。最初からそのつもりだぞ。」

 

「まぁ一周周るだけだし大した事は無いだろう。」

 

「いえいえ若葉ちゃん、侮ってはいけませんよ。なんでも噂によるとですね・・・」

 

 

 

それはもう遅い深夜の事でした・・・彼女はお手洗いから帰る途中に、食堂からかすかに光が漏れているのを見つけました。

電気の消し忘れかと思い彼女が近づくと物音がします。

更には光に浮かぶ人影が。

何事かと思い彼女が扉からこっそりと覗くとそこには、大量のご飯を貪り尽くす黒髪の女がいたのです・・・。

 

 

 

「そんな怪談があったとは・・・」

 

(((あの人だろうなぁ・・・)))

 

 

 

 

「んでまぁ盛り上がってきたし・・・。誰から行く?」

 

「ねぇ、ぐんちゃん。私達が1番に行ってみない?」

 

「早いとこ済ませて寝ましょう、高嶋さん」

 

少女2人は懐中電灯片手に夜の丸亀城へと歩みを進めるのだった・・・

 

 

 

 

 

ギシャァ・・・(床の軋む音)

丸亀城の中に潜入した彼女達は、床を軋ませながら歩いて行く。

 

「本来肝試しって涼む為にやるものでしょ。でも冷や汗かいてるから暑く感じるんだけど・・・」

 

汗を腕で拭き取りながら入り組んだ城の中を進む。

 

「ぐんちゃんも怖いものあるんだね♪」

 

「流石に怖いものくらいあるわよ・・・よし、後は問題の食堂ね。何もいないといいけど・・・」

 

その時、彼女達の持っていた懐中電灯の明かりが少しづつ弱くなり、ついには電池が切れてしまった。切れてしまった以上、真っ暗な中で進むしか無い。

 

「うへぇ・・・なんにもみえないよ〜ぐんちゃん」

 

「大丈夫、後少しよ」

 

角を曲がり、食堂の前に着くと何か物音がする。食器のぶつかるような音だ。耳をドアに近ずけると僅かばかり物音が聞こえるが確認するのに一人では心元ない、念の為にも友奈に聞いてみる事にした。

 

「・・・何か聞こえる?高嶋さん。」

 

ドアに片耳をくっつけたまま友奈に聞いてみるが何故か反応が無い。

 

「高嶋さん?」

 

不思議に思って後ろを振り返るとそこには何も在らずただ暗闇が立っていた。

ありえないほど静かであった。

千景の身の毛が逆立ち恐怖に震えるものの、声は出さずにじっと堪える。

 

(嘘でしょ・・・)

 

一息ついた所で、先程の物音を確認する為にドアを恐る恐る開ける事にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水の流れる音が聞こえる中

 

カーテンがなびき月明かりが目の前を照らす

 

そこには、蝉のような形をした謎の生命体が立っていた。

 

「・・・ッッ貴方何者?」

 

動揺はしたものの、冷静に相手を観察する事にした。

相手は腕であろう部位に二つのハサミがみられ、顔は蝉に似ており黄色い目がぐるぐると回っている。明らかに地球の生物では無い。

 

そしてその生命体は不敵に笑いながら目の前から消えるのだった・・・

 

「一体何が起きているの・・・?」

 

目の前で信じられない事が二度も起こった、それに追い討ちをかけるかのように次の出来事が舞い込んで来た。

 

コツ・・・コツ・・・

 

足音が聞こえる、よく聞き慣れている足音だ。少し安堵しながらその足音が聞こえる方向に目を向けると、さっきまでいなかった友奈が月明かりに照らされて棒立ちしている。その目は虚で意識が無いように見え、まるで別人のようだった。

 

「・・・高嶋さん・・・よね?」

 

友奈らしく思えない雰囲気に思わず質問をする。

 

「・・・私はその高嶋さんという人間ではない・・・」

 

「じゃあ誰だっていうの?」

 

「私は、この女の脳髄を借りて君達の言葉を使う。私が君達が地球と呼ぶm240惑星に来た目的は・・・」

 

彼の星バルタンは、ある発狂した科学者の核実験が元で爆発し、消滅してしまったのだ。宇宙旅行中だった彼は帰る場所を失い、仕方なく彼の生存できる天体を求めて、地球の近くまで来たのだ。生憎宇宙船に故障が生じ、地球に墜落してきたというのだ。

 

「私の旅はここで終わった。地球は私にとって住み良い所になるだろう。私は地球に住みたい。」

 

「私にそんな事言われても・・・」

 

「あまりこの星の住民に存在を知られたくはない・・・その為にはこの星の代表として君にに許可を貰いたい」

 

改めて目の前の高嶋友奈を観察するが、どう見ても嘘とは思えなかった。

少し考えて千景は答える。

 

「・・・まぁいいわよ。何も問題を起こさず貴方がこの地球の風俗習慣に馴染み、地球の法律を守ってくれるなら、不可能じゃないもの。ところで貴方以外にはいるの?」

 

そう聞くと、目の前の高嶋友奈(バルタン星人)は少し悲しそうに人差し指を立てた。

 

「・・・ごめんなさい、聞かない方が良かったわよね。」

 

「気にしなくていい。それでは君達に迷惑をかけないように人のいない所に住む事にしよう。」

 

「えぇ・・・それじゃ気をつけてね、・・・ようこそ地球へ。」

 

可哀想な一人宇宙人に対してのせめてもの言葉。

その言葉を聞くと目の前の高嶋友奈(バルタン星人)は微笑み、仰向けに倒れた。

恐らく彼が友奈を操るのを止めたのだろう。

次第に友奈は意識を取り戻し、起き上がった。

 

「ぐんちゃん!私寝てた!?」

 

「・・・えぇ、そりゃもうグッスリと。さぁ、早く帰りましょう。」

 

少女二人は仲良く廊下を歩き始めた。

 

「二人共遅いぞ、何やってたんだ。」

 

その後肝試しは無事に終わり、作戦は成功となった。

 

 

 

 

 

 

数日後、街ではとある都市伝説が流行っていた。

 

「ねぇねぇ知ってる!?あそこの山にはセミ人間が出るらしいよ!」

 

 

 

                  終

 

 




郡千景 以外とビビり。気絶していた友奈の顔を目に焼き付けたらしい。

乃木若葉 脳筋 ひなたとの肝試しでは以外といい雰囲気になったそうな。

土居球子 企画の発案者 杏との肝試しで良い所を見せるのに成功しただろうか・・・

伊予島杏 肝試しは大成功 今度千景にホラーゲームを借してもらおうとしているようだ。

高嶋友奈 被害者 勇気の量が無限大な為お化け自体は怖くないが、何も見えないと少し不安になるそうな。

上里ひなた 確信犯 肝試しを上手く使い若葉との距離を縮める事に成功したらしい。

バルタン星人 食堂で食べた後に食器を流したいた所を見つかる。山の中に住んでおり迷子になった子供に飴ちゃんをあげて家まで返してくれるようで、都市伝説として語られている。原作に比べて優しい。


今回のモチーフはウルトラマン第ニ話のバルタン星人登場回です。ホラー、書いてて楽しいのですが文章力の無さにびっくり。今回も感想やご指摘、評価などお願いします!


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憎悪 ヘイト

う〜ん、長く書くのが難しいねんな。あっさりしすぎてると感じてるのでもっと表現を意識したい所。今回は千景ちゃんの帰省回です。原作よりポジティブだしなんとかなるやろ!(適当)


「あっ、若葉ちゃん見て見て!この雑誌と新聞にインタビュー載ってるよ!」

 

そう言って友奈が出したのは、この前の初陣が終わった後に出された優勝達へのインタビュー雑誌だった。表紙は若葉が真ん中に写っており、周りに皆んなが円の様に配置されている。華々しい初陣であったから、多くの出版社がここぞとばかりに勇者を褒め称えている。

 

「こんなに多くの雑誌に載るんですねぇ〜」

 

「うむ、初陣の前まではまだ勇者としての力を証明できなくて勇者不要論とかいうのもあったからな。その反動もあってこんなに多くの本に出ているのだろう。だが私としてはあまりこういうのは性に合わない。すこし持ち上げすぎだと思うがな。」

 

若葉は昔から剣の道を教わっていた。まさに鎌倉武士、気高き和の心を持つ彼女には称賛はむず痒いものだった。

 

「むむむ・・・何ですかこのアングルは!この写真も、あの写真も若葉ちゃんの魅力を全く表現できていない!こうなったら、私の選ぶベストショットを各社に直接・・・!」

 

「するなよ!絶対にするなよ!」

 

「振りということですね!?」

 

そんなダチョウ倶楽部じみた夫婦漫才を横目に、杏と球子は友奈の持ってきた雑誌を読んでいた。

 

「それにしても・・・どいつもこいつも勝手なことばっかり書いてるよなー」

 

球子が見ていたのは、『勇者達は無条件でバーテックスから自分達守ってくれる』と書かれている一面だった。

 

「タマ達は平気でも希望でも盾でも、ましてや機械でもない。ただの人間だってのにさ!」

 

「うん・・・そうだね、なんか祭り上げられているみたいでちょっとプレッシャー・・・」

 

「・・・!この本のここ見てみろよ。三年前に村を救った光の巨人の目撃者へのインタビューだってさ!」

 

「でも、こういうのって都市伝説なんじゃ・・・」

 

「あれ!そういえばぐんちゃん今日は見てないね。変なものでも食べちゃったのかな?」

 

「ああ、千景さんは2、3日お休みです。なんでもご実家に帰っているそうで・・・」

 

 

 

 

その日千景は実家方面行きのバスに乗っていた。

千景はおもむろにカバンからスマホを取り出し、電源を入れる。

 

(ゲームが私の趣味だった。数少ない父親からの贈り物で、初めて貰った時はワクワクしたものだ)

 

千景の脳裏にまだ優しかった頃の両親の姿が思い浮かぶ。

千景は乗客のいないバスの中で一人、イヤホンをつけてゲームをしていた。

 

(イヤホンをつければバスの音も、他人の声も聞こえなくなる。画面に集中すれば周りの光景も見えなくなり、自分だけの世界に入ることが出来た。まるで世界から自分を守ってくれるような感じが私の心を繋ぎとめてくれていた)

 

だが、それまで自分を守ってくれていたゲームを終わりにした。

千景にとってゲームはもう自分を守る為のものではなく、他人との仲を深める為のものへと変わっていった。

 

(今度、伊予島さんにやらせてみようかしら)

 

ゲームが終わった後に、千景は大手の情報サイトを見る事にする。そこのトップページには『天空恐怖症候群』の患者への密着ドキュメンタリーが、何かを訴えかけるかのようにネットの海を流れている。

 

『天空恐怖症候群』とはバーテックス襲来の日以降に多くの人々が発症した病気でありその名の通り、バーテックスが飛来してきた天空に恐怖を覚える病気だ。

その症状には4段階のステージがある。

ステージ2以降では精神不安定となり日常生活にも支障が出る。

千景の母はステージ2だったが、先日ステージ3に悪化してしまった。

治療の為に千景の母は専門の病院に入院する事になる。その前に顔を見せて欲しいと、千景の父がここに呼び出したのだ。

 

「私が勇者になった事、父さんや母さんだけでなく四国中の人が知っているのよね・・・、でも私のもう一つの秘密は知られてはいけないわね」

 

彼女の握るスマートフォンの中では、三年前に村の人々を救った英雄の映像が流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千景はバスを降りて徒歩で自分の実家へ向かう前に寄り道をした。

高台につき、村を見渡してみると中々に復興している。この高台は千景が幼い頃からずっと来ていた所で、ここからずっと村を見渡しては物思いに耽っていた。

その時の景色の記憶を思い出しながら今の光景をみると、あちこちにはまだプレハブ小屋や荒れた大地、足跡の形に変形したたかいなどがあちこちに見られるものの、3年前に神社からみた景色に比べれば大きな変化だった。

幼い頃と同じように物思いに耽ると、これから両親に会うという事のハードルが上がった様な気がする。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ただいま」

 

千景の家は伝統的な日本家屋らしく和風の見た目をしている。一階建ての小さな借家だ。

三年前に家を飛び出して以降戻ってきていなかったが、昔に比べて家の周りの石壁は崩れ、庭も雑草が生い茂り、廃墟のような雰囲気を感じるほどにまで荒れ果ててしまっていた。

 

たてつけの悪い玄関を開けて靴を見ると二人分ある。

片方はあの子どものような父親の靴

もう片方は千景を捨てた人の靴

二人分あるのはいつぶりだろうか。

 

居間に入ると千景の母親が布団に伏せっている、どうやら薬を飲んで眠っているようだ。久しぶりに会うその姿に、不倫のきっかけとなったある出来事が脳裏をよぎった。

 

ある夜、彼女の母親が突然高熱を出して倒れてしまった。本来であれば救急車を呼んだりすればよいのだろうが、その時家に居たのは千景ただ一人だった。

まだ幼い千景はどうしたらいいか分からず、どうにかならないか助けを求めて父親に電話をかけたのだ。

 

「薬でも飲ませて寝かせていろ」

 

泥酔していた父親が放った言葉はたったそれだけだった。

その後父親が帰って来た時刻、なんと午前二時頃。

それ以来、千景は失望する事になる。

 

 

 

 

 

「千景、帰ってきてたのか!久しぶりだな、元気にしてたか?。ん?それは・・・勇者の武器か。大変だっただろう?」

 

父が帰ってきたようだ。

 

「それより父さん・・・掃除くらいちゃんとして。玄関にも廊下にもゴミが溜まってる。」

 

誰も掃除していない家の中はゴミ屋敷だった。

 

「あ、ああ。母さんの看病で忙しくて、つい。すまんな千景。母さんがこんなことになって」

 

「・・・いや、ちょうど休暇貰えたし」

 

「千景、昼飯は食べてきたか?お腹が空いてるんじゃないか?今から出前でも・・・」

 

「いいよ別に・・・ちょっと出掛けてくる」

 

「どこに行くんだ?」

 

その質問には何もいいたくなかった。

答えないまま実家を後にする。

 

 

 

 

 

 

千景はあてもなくそこら辺をぶらぶらしていた。

友達もおらず、たった一人内に篭って生きていたこの村に長居するのは正直居心地が悪く、香川に戻りたくなっていた。

 

(帰りたい・・・さっさと香川に帰って皆とゲームしよう・・・)

 

「あなた・・・郡さん?どうしてこんな所にいるの?みんなもう、あなたの家へ行っているわよ。」

 

「は?・・・私の家?」

 

その後街に出ると、自分を群衆が取り囲み様々な人間が

(千景が勇者だから)

そんな理由で媚びへつらっていた。かつて自分をいじめていたクラスメイト、何も売ってくれなかった店、さらには何も聞き入れてくれなかった無能な市長までも。

その手のひら返しに千景はかなり不快感を覚えた。

 

 

 

 

 

何とか群衆を抜けて畑の方に出ると、小さな人だかりが見えた。

あまり厄介事に関わりたくは無いがその光景に見覚えのあった千景は、群がる人々の隙間からそれを覗く。

 

「さっさと消えろよ!」

 

「よくもそんな目で見やがって!」

 

「お前に生きてる価値なんて無いんだよ!」

 

そこでは少年がうずくまって転がっていた。それを子供達が足で何度も踏みつけている。立派なイジメだった。

その光景を目の当たりにすると、千景の体が勝手に動く。

その苦しさを誰よりも知っている彼女にとってそれは許されない事だった。

 

「貴方達!何してるの!?」

 

「あっ!勇者様。早くこの怪物を倒して下さい!」

 

その時だった、少年をいじめていた子ども達の体が風船のように宙に飛び始めた。

ある程度の高さまで飛ぶと突然止まり、子ども達の頭が地面に叩きつけられる。

そして木々が波打ち、大地が揺れる。

地震だ。

混乱に乗じたまままま、千景は少年の手を引いて逃げる。

 

「とにかく、ついてきて。」

 

人目のつかない路地裏に逃げるとさっきまで黙っていた少年が口を開いた。

 

「・・・どうして助けてくれたんですか?」

 

「どうしても何も・・・貴方が助けを求めているように見えたからよ。」

 

「・・・優しいんですね。」

 

「まぁ・・・一応勇者やってるし」

 

「あの・・・一つ聞いてもいいですか?」

 

「ええ、何でもいいわよ」

 

「僕って価値のある存在なんでしょうか・・・」

 

その質問に千景は過去の自分を重ね合わせた。そして、あの時自分が言って欲しかった言葉を自分に言い聞かせるように答えた。

 

「・・・自分の価値は自分で決める物、でも私は貴方に価値がないとは思わない。それは、この星に住む人間もよ。」

 

すると、少年の顔が少し笑顔になる。

 

「・・・ありがとうございます」

 

「どういたしまして」

 

少年にとってそれは素晴らしい一言で、千景にとっては何気なく守りたいと思える様な一言だった。

 

「・・・ところで貴方、家族はいるの?」

 

「いえ・・・今はいません。事故で亡くなってしまって・・・」

 

少年は天涯孤独の身だった。

そんな姿に、誰一人味方がいなかったあの頃の自分を重ね合わせてしまう。

 

「そう・・・ならウチくる?」

 

「・・・え?」

 

 




郡千景 久しぶりに帰ったけどわりぃやっぱつれぇわだった人。何を血迷ったのか少年を誘拐しようとする優しいおねぇさん。原作と違い、自分の価値は自分で決めると考えている。

少年 イジメのターゲットにされてしまっていた人。(地震とは何の関係も)ないです。名前はある。



これ書くのすっげぇキツかったゾ〜
怪獣出そうと思ったけど無理矢理かなと思いましたね、はい。
今回のモチーフは怪獣使いと少年です、あまり要素無いですけどね。
さて、ついに登場したオリキャラの少年君。彼がこれから何を為すのでしょうかね?
私にも分からない()
感想ご指摘オナシャス!


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価値 ワース

戦闘描写が短く、適当なのは私の責任だ。だが私は謝らない。
マジすみません(土下座)
改めて、戦闘描写の書ける人ってスゲェなって思いましたね。
いつもより更新早いと思ったそこの貴方!褒めて。
まぁこれガチガチのじゃなくて頭ハッピーみたいな小説だし多少はね?


「じゃそういうことでお邪魔しました」

 

それからの千景の行動は早かった。相手は身寄りのない子どもだ、誰に連絡するでもなくさっさと丸亀城に連れ帰ってきてしまったのだ。

誘拐である。

 

「あ!(唐突)そういえば名前を聞いてなかったわね、というわけで貴方の名前はなんて言うの?」

 

「いやちょっと待って下さい、いくら何でも早すぎでは・・・流石に市長とかに何か言った方がいいんじゃないんですか?」

 

「嫌よめんどくさい」

 

「そうなんですね・・・」

 

少年は、目の前の人の態度の変わりように驚いた。

 

「それより、貴方の名前は?」

 

「・・・えっと・・・継夢です・・・」

 

「継ぐ夢か・・・いい名前ね。苗字は?」

 

継夢は少し照れくさそうに教えてくれた。

 

 

 

 

 

 

「それで・・・?その子を連れ帰ってしまったと・・・」

 

「私の趣味だ、いいだろう?」

 

「いいわけあるか!犯罪だ犯罪!」

 

「バレなきゃ犯罪じゃないのよ、それに、この子は拾ったみたいなもんだし」

 

「あのなぁ・・・」

 

継夢を丸亀市に連れ帰った翌日、勇者達一同は頭を悩ませていた。なにせ仲間の一人が犯罪紛いの事をしたのだ、まだ中学の彼女達にはどうしたらいいかも分からない。

 

「まぁまぁ、若葉ちゃん落ち着いて。何も悪気がある訳じゃないのよ」

 

「つーかコイツ、タマより身長低いのな」

 

「タマっち先輩、当たり前ですよ。相手はまだ小学生なんですから」

 

その後流石に大社に隠し続けるのは無理だと言う事で意見が一致し、彼女達は黒服達に報告する事にした。

 

「と言うわけでこの子をうちで預かりたいと思うんだけど」

 

「ええ・・・(困惑)」「やべぇよ・・・やべぇよ・・・」「身長がナオキですね(錯乱)」「勇者様!?まずいですよ!」「覚悟の準備をしておいて下さい!」「すっげぇ動揺してる、はっきりわかんだね」「まぁ・・・部長に聞いてみるか・・・(諦め)」

 

トゥルルルルルル(着信音)

部長が電話に応じる。

 

「残業外から失礼するゾ〜(謝罪)、今月ノルマ多スギィ!何か勇者様が独り身の子ども拾ってきたらしいんですけど、保護いいっすか?」

 

「あ、いいっすよ(承諾)」

 

部長の鶴の一声により、継夢は無事保護される事になった。

が、その時世界が光に包まれ、周りには木の根がそこらじゅうを駆け巡っている。先程の黒服達もマネキンのように静止している。

樹海化だ。

 

「まったく、タイミングが悪いわね」

 

「それより敵の量だ。前回の侵攻よりも遥かに多いぞ」

 

「へへっ、タマに任せタマえ!」

 

「少し不安ですね・・・」

 

前回に比べ今回は友奈がいない。それで敵の数が多いのだから、厳しい戦いになるだろう。

彼女達は端末を操作し、光を身に纏った。

 

「ハァァッ‼︎」

 

千景が切る、切る、更に切る。空を自由に飛び回り、目につくバーテックスに凄まじい速さで接近し、相手が反撃する間も無く斬り伏せる。それを何度も何度も繰り返し、いつの間にか周囲のバーテックスは消え失せていた。

赤いその姿も合わさり、その姿はまるで流星の様。

 

(流石に量が多い・・・でも、負けられない!)

 

若葉達も負けじと応戦する。

 

「郡さん、流石だな」

 

「ムムム・・・タマも負けられない・・・」

 

「もう、タマっち先輩はそうやっていつも対抗を・・・」

 

「闘争心を失ったら負けかなと思ってるっ!」

 

流星が舞う中、若葉は刀を握りしめ負けじと最高速度でバーテックスに肉薄する。バーテックスの口に刀を突き刺し、内側から切り刻む。まず一体斬り伏せた後また別のバーテックスに接近する。その合間に見える鈍色の刀は鬼神の様な近寄り難い恐ろしさを表した。

 

若葉が憎しみをぶつけている中、球子はバーテックスの大群に向けて旋刃盤を振りかぶり、まず一体に突き刺す。突き刺したバーテックスごと自分を回転させ、大きな円を描く。その円の内に入ったバーテックスはたちまちバーテックスというオマケ付きの旋刃盤にミンチにされる。重くなってきたらワイヤーで引き寄せる、が前回と同じようにその隙を狙ってバーテックスが後ろから噛み付かんとする。

 

「同じ手は食うかっての!」

 

即座に後ろへ下がり、戻ってきた旋刃盤を口に押し当て捩じ伏せる。

 

球子が無双ゲーよろしく薙ぎ倒していくなかで、杏もクロスボウで援護をする。このクロスボウはリロードも無く、マシンガンの様な連射速度の為、隙は無かった。少数で奇襲を仕掛けてくるバーテックス達を撃ち抜き辺を見回し、若葉達のカバーを続ける。

 

前回より不利な状況ながらも、彼女達は善戦していた。

 

(私が一番多く倒して・・・皆んなを守る・・・!)

 

バーテックスの集団が一つ、また一つと消えていく。

 

(私の価値が、ヒトの価値がどのぐらいか・・・それは誰かに決められるものではない。でも私はヒトの価値を守る為に、ヒトが無価値ではないと証明する為に・・・何があっても守ってみせる・・・!)

 

残ったバーテックス達が集まり、巨大な人型実体へと変貌していく。

進化体のその先へと変貌していく。

そして融合が終わった後、そこには元の白いバーテックスは影も形もなかった。

あるのは40mほどの巨体に、オウムの様な顔と嘴。手には爪を持ち、目の周りにはミカンのヘタの様なマークが見える。

それは別の世界で真紅のパワーファイターに暗殺を仕掛け、見事打ち破った無敵の宇宙人。

その名は分身宇宙人ガッツ星人。

 

千景が斬りかかるものの、ガッツ星人は分身してみせる。

 

「くそっ!」

 

後ろに下がるとガッツ星人は分身をやめ、目の前から姿を消す。その後背後から、千景を殺さんとガッツ星人が襲いかかる。

 

「上等よ・・・ッ!超人ではなく、ヒトとして戦ってやるわ!」

 

体の内側に意識を集中させ、神樹の持つさまざまな概念的記録にアクセスする。そこから力を抽出し、自らの体に宿す。千景の体に神のエネルギーが満ち、それは完了する。

精霊 七人御先だ。

その力を纏った千景の能力は、千景が7人に分裂し同時に倒されなければ死なないというもの。ガッツ星人に対抗して分身対決だ。

 

「勝負よ!」

 

ガッツ星人に向かい七人の千景が斬りかかる。だがそのガッツ星人は幻、また背後からガッツ星人が拳を振り上げるものの仕留めた標的は一人。

残った六人が一斉に斬りかかり、ガッツ星人はまた分裂。今度は挟み撃ちの形となる。

そして千景達は半分に分かれて分裂したガッツ星人へと刃を向ける。

しかしこれも幻、消えた後本体のガッツ星人が現れた。

 

「忘れて貰っては困るわよ」

 

時間差で復活した千景が本体のガッツの首元に鎌を突き刺し、動きを止める。

 

「私の武器は鎌・・・大葉刈。死ぬにはまぁ、相応しいわね」

 

そこへ集まった千景達が一斉に鎌を振り下ろし、ガッツ星人は細切れのサイコロステーキへと調理され、哀れ無惨にも爆発四散した。

郡千景はヒトとして勝った。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いの後、樹海化が終わった後千景は継夢を探していた。

 

「あ!千景さん!」

 

「見つけた。ごめんなさい、突然居なくなって・・・。」

 

「いえ、良いんですよ。それが役目ですし」

 

その言葉に、千景が持っていた罪悪感は消えるのだった。

 

プルルルルルル(電話)ピッ(電話を取る音)大社からの電話だ。

 

「はい、えっあぁ(承諾)はい分かりました(適当)」

 

千景は電話を切りポッケに突っ込む。

 

「今、貴方の住む場所が決まったってことが電話で来たわ」

 

「それで、何処なんです?」

 

「・・・私の部屋よ」

 

「・・・えっ?」

 

少年の顔がみるみる赤くなるのが見てとれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後千景は一人道場にて大鎌を振るい、訓練をしていた。

 

「私は、強くならなくてはいけない。皆んなを守る為に・・・。」

 

「ぐんちゃーん!」

 

「高嶋さん!?病院はどうしたの?」

 

「今日ようやく退院出来たんだ。退屈だったけど、この前の戦い、病室から見てたけどカッコよかったよ!タマちゃん達が見過ごしてたバーテックスも、ぐんちゃんが全部倒してた!」

 

「・・・ありがとう」

 

千景の頬が少し赤くなる。

 

「ところでぐんちゃんは自主訓練中?」

 

「えぇ・・・そうだ!(ひらめき)、高嶋さん」

 

「何?」

 

「私に貴方の戦い方を教えてくれるかしら?」

 

「いいけど、どうして?ぐんちゃんは鎌を使うはずだけど・・・」

 

「もしも鎌が使えなくなった時用にね・・・」

 

「なるほど、んじゃみっちり叩き込むよ!」

 

 

 

 

 

訓練の後、千景は新たな同居人の待つ自分の部屋に来た。

 

「ただいま〜。疲れたわ・・・」

 

「お疲れ様です」

 

千景の心が癒される。

 

「早速だけど私は寝るわ、おやすみ。」

 

「おやすみなさい」

 

 

 

 

 

 

突如、何かに気が付いたかのように彼女は覚醒した。

 

(さてと・・・とうとうこの時が来たわね。事前に沢山寝といてよかったわ。訓練もある程度したし、後はやる事やるだけね)

 

同居人に気付かれないように足音を立てず部屋を出る。

 

(必ず帰ってくるから、良い子にしてるのよ・・・」

 

彼女の足取りは重く、これから赴く戦いへの覚悟が滲み出ていた。

 

 




郡千景 どいて!私はお姉さまよ!状態な人。年下の少年と一つ屋根の下、何も起こらないはずが・・・。原作と比べて戦う目的が全く違う。

継夢 お姉さまに拾われた小学生。年は・・・ナオキですね(決まってない)。当小説の最初で最後のオリキャラ君、苗字はその内分かる。

大社の人達 ユーモア溢れる人達。
や さ い せ い か つ な感じの社畜。部長は竹刀をよく持ってるってよ。


戦闘描写GOMI☆今回もすっげえ疲れたンゴねぇ。今更だけどUA1200感謝します、後お気に入りも。
感想とか色々くれると内容が濃くなるかも!(当社比)




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猛獣 ビースト

久々にネクストさんが登場してきます!正直短えわ。許してクレメンス。気合い全開!インド人を右に!


「遅かったわね」

 

コツコツと足音が鳴り目の前の扉が開かれる。ここは大社施設の地下、かなり巨大な空間で、高さは10m程だ。

元々は訓練用に作られた施設だったが現在は使われていない。誘き寄せるにはちょうどよかった。

 

「・・・想像してたよりグロい・・・」

 

扉から光が差し込み、今入ってきたモノを逆光がシルエットになり、施設の光がその姿を照らす。皮膚はケロイドのように爛れ、歩くたびに内臓を踏み躙るような音を発し、触手が身体を突き破っているその姿はこの世のモノとは思えない程に悍ましかった。

 

「・・・・・・」

 

モノは喋らない、だがその意志を行動で現す。

 

モノが咆哮を発すると体に無数のトカゲが群がり、その身体は肉の塊になるほど質量を肥大化させる。それが爆発四散すると、血の雨が降る中で新しい姿へと変化していた。

 

体色は青と茶、身の丈は10m前後、大きな口から牙を覗かせ、獣の様な眼光が千景を睨む。

 

その名はスペースビースト ザ ワン

 

最初に地球に来たスペースビーストだ。

 

 

千景が意を決し、瞼を閉じる。次に開眼した時その目つきは少女のそれでなくなり、その瞳孔は赤色の輝きを発する。千景の胸に力が集められる。

その力は光となり、胸から身体中に血管の様に張り巡らされ、体内を駆け巡る。

 

次第にその光が溢れ、千景の身体を包み込む。すると彼女の体は大きくなり、一層大きな光が彼女の姿を包んだ時、そこには彼女は居なかった。

 

あるのは黒い筋肉質な身体に銀色の岩の様な鎧を纏った姿、胸には赤い心臓の様な器官が燦然と輝き、乳白色の目がその先の敵を見つめる。

全体的に冷え固まった溶岩を彷彿とさせるその存在は

 

ウルトラマン ザ ネクスト アンファンス

 

二番目に地球に降り立った、光の巨人である。

 

二つの巨体が地面を蹴り共に駆け出し、互いに衝突すると体の奥から爆発する様な音が聞こえる。その音が現在の体の質量が如何程かを教える。

 

相手の肩へと腕を回そうとするものの届かず、力をぶつけ合う体制へと移行する。

ジリジリと地面を鳴らし互いに一歩も譲らず、その差は互角だ。

 

「ハァッ!」

 

若干人間味の残った掛け声と共に、ネクストは少し後ろへ間合いを取る。力をぶつけるだけでは駄目だと考え、ここはヒトの技で攻めて行くことにした。

こんな事もあろうかと、彼女は格闘の訓練を受けていたのだ。

 

 

両腕を前に突き出し、少し腰を曲げて手を自然体に広げて腰を落とす。これは彼女の知識では無くネクストの知識。ネクストから逆流した経験によるモノがそうさせたのだった。

 

ガ"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"‼︎

 

目の前の獣が自分目掛けて猪の様に獰猛に襲いかかってくる。それを足で横にかわし、手を流水の様に流して突進のエネルギーをいなす。

 

横に回った事で相手には隙ができた。そこへ右フックを一発、続け様に左手で上から振りかぶる。

 

一発目は顔面にヒットし、頭蓋骨の割れる様な音が辺りに響き渡り、肉をぐちゃぐちゃにする感触が伝わってくる。だが二発目は器用に首を曲げて回避されてしまう。

 

「ヘアッ!」

 

その二発目の振りかぶった勢いを保ったまま身体を右に捻らせ、脚ごと回転する。勢いを保ったままの流れる様な回し蹴りが獣の腹部を粉砕し、その巨体は数m程吹き飛ばされていく。

 

「フッッ!?」

 

その吹き飛ばされた肉体から触手が伸びて首に巻き付いて来た。首元を押さえ必死に抵抗する。

すると右腕が光り出し、光の刃がその姿を表した。

 

「シェアッ!」

 

その刃を振り下ろすと触手が一瞬で切り裂かれる。アンファンスでの唯一の技、ラムダスラッシャーだ。

 

ドクンドクンドクンドクン

 

胸にある赤いY字の物体が心臓の様な音と共に鼓動を奏でる。それと同時に全身から力が抜け、膝をついてしまう。

ネクストには時間制限は無い、が生命エネルギーが限界に近づくと胸のエナジーコアが危険を知らせる。ネクストに残された時間は僅かだ。

 

「デュワッ!」

 

ザ ワンに肉薄し、懐へと潜り込んだところで巨大な顎を掴みこじ開けようとする。だがザ ワンの口は固く、そう簡単にはこじ開けられそうには無い。

 

そこで顎を掴んだままザ ワンを横へ大きくなぎ倒した。地響きが辺りを支配する。

 

倒れて無防備になったザ ワンの脚を掴み遠心力に身を任せて思い切って振り回す。四回程回して勢いがついた所で手を離すと、地響きの様な音を鳴らしながらザ ワンが地面に叩きつけられる。

 

叩きつけられた先をみるとクレーターが出来ており、その重さを表していた。

 

更にダメ押し。倒れたままのザ ワンをバーベルの様に天高く持ち上げ、再度地面へと叩きつける。

建物が崩れる様な音が聞こえる。

 

牽制として放って来た触手を手でそのまま掴み、大根の様に引っこ抜く。するとブチブチと音をたてながら一部の皮膚ごと触手が引き抜かれる。

 

「ギャ"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ア"‼︎」

 

触手を引き抜かれた痛みから、ザ ワンが低いのか高いのかよく分からない奇妙な叫び声を発する。

 

二度も地面に叩きつけられたザ ワンが動きを止めた今がチャンス。少し後ろに下がり右手に光を集め、刃の形を形成する。

 

「シュワッ!」

 

今ある全ての光を集め、手がその力を押さえきれなくなった所でザ ワンに向かってラムダスラッシャーを解き放つ。

 

ブーメランの様な形をした刃が立ち上がったザ ワンの頭部目掛けて突き進む。火花と爆発と共にヒットし、辺りには煙が舞い起きる。

 

 

 

 

煙が晴れるとそこには、頭部だけ切り落とされたザ ワンが佇んでいた。その姿はえらく不気味で、嗚咽が出る程だった。

しかもそれでまだ生きていた。腕も、脚も、まだ動く。

この生命力こそ、ザ ワンをスペースビーストたらしめるもの。

原子レベルにまで分解しなければ生き続ける。

 

 

 

 

 

 

エナジーコアの点滅が早まる

 

ネクストにエネルギーはもう指先を動かす程にも残っていない。地面へと倒れ伏し、後はザ ワンの動向を伺う事しか出来ない。

 

幸いここでは二つ幸運が起きた。

 

一つはザ ワンがネクストにトドメを刺さずにそのまま逃げ帰った事。

 

もう一つは、ザ ワンが丸亀城などの都市部へ向かわなかった事だ。

 

千景の意識は闇に溺れ、深く深く潜っていく。

 

人々から遠ざけるために行われたウルトラマンと怪獣との初戦は、ウルトラマンの勝利で幕を閉じたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・帰・・・らな・・・きゃ」

 

千景は起き上がり、朧げな意識の中自分の部屋へと帰ろうと壁伝いに脚を引きずりながら歩く。最近出来た同居人にいらぬ心配をさせない為に。大社に、皆んなを巻き込まない為に。

 




千景(ネクスト) 自分を狙ってやってきたザ ワンへ人知れず立ち向かった。ザ ワンを追い払うのが目的だったので無問題。

ザ ワン 久しぶりに登場したスペースビースト。大ダメージを負ったので逃げた。


UA1400ありがとうございます!
感想ご指摘お願いします。


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