海を駆ける傭兵 (スフィラ)
しおりを挟む

第一話

頭に浮かんだので描きました







アーマードコア 通称AC

 

だいたい5から7メートルほどの人型兵器(四脚だったりキャタピラだったりもするが)で、何百年前もの昔から使われているらしい

 

俺はそれを駆り依頼を受けて生計を立てる傭兵だ

 

《作戦エリア到達!準備はいいですか?》

 

インカムから明るく可愛らしい女の子の声が聞こえて来る

いつ始まったかわからないほど長く戦争が続くこんなクソみたいな世界ではあまり聞けない声だ

 

「あぁバッチリだ」 

 

コクピットの壁に貼り付けていたラジカセから流れる音楽を止め操縦桿を握る

 

《今回の依頼はシリウス領に現れた「GREY LOTUS」の撃破です》

 

「またフレンチクルーラーか」

 

少し前に三大勢力が運用する無人機AC、UNACが暴走した事件を発端とした大騒ぎ

UNACの暴走自体は沈静化したが主犯の財団という組織が「タワー」と呼ばれる大昔の建造物から引っ張り出してきた謎の無人兵器が世界中で暴れ回っている

 

「GREY LOTUS」は板を円形に並べたような見た目をしていて空に浮かんでレーザーやら子機で攻撃を仕掛けて来る

装甲自体は薄いが頑丈で高速で回転し攻撃を弾くなんて芸当をやって来る

 

特にレーザーに関しては俺の機体はレーザー系の攻撃に弱く喰らえば致命傷になる

 

そのため短期決戦が好ましいのだが空に飛び続けるため攻撃がしにくい

 

《目標を捕捉!》

 

地上を見下ろすと眼下に小さくフレンチクルーラーが見える

無理矢理短期決戦にするため俺が編み出した戦術は

 

《機体を投下します!》

 

ロックが外れて輸送ヘリから機体が離れ、フレンチクルーラーへ向かって落ちていく

 

[メインシステム、戦闘モードを起動します]

 

ハイブーストで加速、物理ブレードを展開する

 

「おんどりゃぁぁぁぁあああああ!!!」

 

フレンチクルーラーの中心部をブレードで切りつける

速度が乗り威力が増した斬撃は一撃でコアを切り裂いた

 

そのまま逆関節の脚部の跳躍力を活かして離脱する

 

フレンチクルーラーは小爆発を繰り返しながら地上へ落下した

 

[作戦目標をクリア、システム通常モードに移行します]

 

《敵の機能停止を確認!やりましたね!》

 

モニター越しにフレンチクルーラーの爆発を見届ける

回収地点に移動しようとしたら異常に気付いた

 

「やべっ」

 

機体状態を確認すると右腕にエラー表示が出ていた

どうやら衝撃で破損したらしい

 

《どうしました!?どこか怪我をしましたか!?》

 

「いや、機体の右腕を壊してしまっただけだ」

 

そう返すと無線から安心したような声が聞こえて来る

彼女とは組んでからそれなりに経つが心配性は相変わらずである

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

フレンチクルーラー撃破の報酬をたんまり貰い、大海原を進むヘリに吊り下げられた機体の中で音楽を聴く

依頼によっては海を跨ぐ為、かなりの時間ACに乗りっぱなこともある

その為コクピットの中には長いこと居られるよう冷蔵庫やらラジオやらを持ち込んだ

あとはもう少しスペースがあれば完璧なのだが

 

《なぜ?前方に高エネルギー反応!》

 

その報告に前方を警戒するも目視には何も見えない

スキャンモードに切り替えると異変がハッキリと分かった

 

水色に染まった視界の正面にに真っ白な巨大な光がある

 

「なんだありゃ…」

 

《分かりません、でもとても嫌な予感がします》

 

「そうだな…迂回した方がいいだろ」

 

その指示は既に遅かった

 

光がさらに大きくなり視界を覆う

それと同時に強烈な衝撃が襲ってきた

 

そしてどこかに頭でもぶつけたのか意識は途切れた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…、…!、…ッ!、…ーッ!、ピーッ!

 

「っ!」

 

コクピット内に鳴り響く被弾警告音で跳ね起き、操縦桿を握りしめて倒れている機体を起こす

 

「どこからだ?」

 

周辺を見回すがどこにも敵がいない

曇った空と、どす黒い海がどこまでも続いている

自分が今立っているのはその海に浮かぶ小さい孤島らしい

 

とりあえず攻撃の正体を確認して周りの安全を確保しよう

機体がヘリから切り離されているということは近くに不時着しているかもしれない

 

[メインシステム、戦闘モードを起動します]

 

グライドブーストを起動しその場から離れる

今まで立っていた所に複数の爆発が起きた 

 

「危なっ…!」

 

ACの攻撃にしては威力がない、盗賊か?

そう思い上を見上げるとそこに大量のラジコンぐらいの大きさの黒い物体が空を覆っていた

長いこと戦場にいるがあんなものは見たことがない、タワーから新しく出てきたものだろうか

 

大昔の文献に載ってた生き物っぽいから仮にカブトガニとでも呼ぼうか

 

考え事をしているとカブトガニの群れがこちらへ向かって砲撃をしてきた

 

回避機動を取るが相手の量が多い為何発か被弾してしまう

 

しかし

 

「痛くも痒くもなんともねぇ…」

 

一切ダメージを受ける気配がない

当たった銃弾は全て装甲に弾かれている

試しにその場に立ち止まると大量の銃弾が飛んでくるがAPが減る気配はない

 

「だったら怖くないな」

 

ハンガーからライフルを取り射撃を開始する

カブトガニ共は弾丸が掠ったものですら機体を粉々に砕かれ黒い煙の尾を引き海へと落下していく

強度も見た目通りの柔らかさだ

 

肩のCIWSを起動し撃墜のペースを上げる

正直これの撃破は依頼でもなんでもないのでいくら倒したところで収入は無いので無視したいが

ここがどこかもわからず航続距離的に帰還できる確証がなくこの近くにヘリが不時着しているならそれを助けないといけない

 

立ち止まったまま撃ち続けるのもあれなので島の周りをぐるっと回りヘリを探しながら敵を撃墜していく

 

「こいつで最後だ」

 

たった一機になっても襲いかかってきたカブトガニを撃ち抜く

とりあえず周りの安全は確保できたがヘリが見当たらなかった

海へと沈んでしまったか俺を見捨てて逃げたか

 

「後者はないな」

 

弾切れの状態で強敵に囲まれたとき機首の機関砲だけで助けにこようとした奴だ、たかだかこのカブトガニの群れだけで逃げるとは思えない

 

だとしたら海へと沈んでしまったのだろう、今までで1番気が合うパートナーだったから、かなりショックだ

 

「とりあえず誰かが通りかかるのを待つか…」

 

無線の全周波数を開き誰かが通りかかるのを待つ

ここは有名な航路なのでよくヘリが通る、たまにパートナーのACを失ったヘリが通ることもあるのでそういうやつに連れてってもらおう

 

最初にいた島へと戻る

もしあいつが脱出できているならこの島にいれば見つけられると思いそこで待つことにした

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

何時間経っただろうか、一向にヘリが通る気配がない

偶にリコンを飛ばしてなにかがいないか調べるが反応は全くなかった

 

いくらなんでもおかしい

普段ならいくら天候が荒れていても通れば何機かとすれ違う

そもそもあの光はなんなのだろうか気絶してしまったことが悔やまれる

 

「これで最後にするか」

 

リコンを飛ばし反応がなかったらガレージのある西へと進む

飛んでいた時間的にかなり近いはずだ

 

飛んでいくリコンを眺めるこれで反応が出なかったら海に沈むか陸に着くかの2択だ

 

「きた!」

 

6個の反応をリコンが送ってきた

ブースターを起動しその場へ向かう

もう敵対ACでもなんでもいい、家に帰る燃料にしてやる

 

リコンの元へと向う

すると無線から声が聞こえてきた

 

《な…なんなんだこれは…》

《深海棲艦…かな…》

《こ…怖い…》

《とりあえずみんなは下がって》

《え?赤城さんあれと喋るつもりなの?》

《きゃーっ!なにあれ!分解して隅々まで調べたい!》

 

リコンの元へたどり着くとそこには6人の少女が水面に立っていた

 

 

 

 




どうでしたか?
相変わらずのクソ文章で書いていきます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話

続いた


こんなの想定の範囲外です


なんだこの娘達は…

目の前で少女達が海の上に立っている

ACのようにブースターが付いているわけでもない

 

何やらでっかい機械を背負っているがそれで水面に立っているのだろうか

 

《あの!聞こえますか?》

 

少女達の1人が話しかけてくる

この子に関しては機械すら背負っていない、肩に装甲板のような物がついてるだけ

 

「ああ、聞こえている、所で一つ聞きたいのだがここから陸まではどれくらいの距離がある?」

 

そう言うと少女達はこちらを訝しむような顔をする

 

《…やっぱり深海棲艦じゃないのかな?ここ敵地のど真ん中だし…こんな生き物見たことないですし…》

 

《深海棲艦だったら私たちはもう死んでると思います》

 

《だったらアレは何?艦娘でもないでしょう》

 

《人間でもなさそうな気もするが》

 

《なら陸を目指す理由はなんでしょう?》

 

《そんな事どうでもいいでしょう!早くアレを調べたくてたまらないの!》

 

6人が輪になって何か話している

俺に聞こえないようこそこそ話してるみたいだが無線から筒抜けだ

 

ていうかこの子達ACを知らないのか?

初めて聞いたぞACのことを知らない奴なんて

 

そもそも深海棲艦とやらは何だ?

 

「なあ、深海棲艦とって何のこと…」

 

ドゴォン!!

 

謎の存在について質問しようとした瞬間激しい衝撃が機体を揺らす

さっきのカブトガニの攻撃とは比にならない威力、APが200ほど削られた

 

「なっ…なんだ!!?」

 

《深海棲艦!みんな!戦闘態勢!》

 

《そんな…もう弾もないのに…》

 

少女達が慌ただしく動き始める、どうやら深海棲艦とやらが来たらしい

 

無線からは弾がないだとか艤装の調子がおかしいだとか戦うにはかなり絶望的な声がきこえてくる…が

 

ちょうどいい、助けてあげてそのお礼に陸までの距離を教えてもらおう

 

リコンを少女達が向いている方向に飛ばす

知り合いに作ってもらった水に浸かっても機能し探知できる優れもの、その代わり馬鹿みたいに高価 

 

居た

反応が出る、数はかなり多い、20なんて数字は大量の目ん玉を相手した時以来だ

 

《何をするつもりなんですか?》

 

少女が問いかけてくる

 

「君達を助けてさっさと陸までの距離を教えてもらうだけさ」

 

グライドブーストで敵までの距離を一気に詰める

そこにはそこそこ大きい黒い魚みたいなものとさっきの彼女達と同じく、どうやって水面立っているのかわからない少女達がいた

 

しかし目の前の少女達からは生気が全く感じられない

深海のような冷たい感じがする

 

深海棲艦とやらはこちらに怯むことなく砲撃してくる、カブトガニよりも威力が強く次々と海面に大きな水柱を立てていく

 

もちろんこちらも撃たれっぱなしではなくライフルで反撃、カブトガニよりも硬そうではあるが、それでも当たれば一撃で敵は青い血を撒き散らし木っ端微塵になる

 

少女も魚と同じく青い血を出して砕け散る、人間じゃないのか?

 

薄々思っていたが、ここはそもそも俺の知っている世界ではないのかもしれない

水面に立つ人間、ACにダメージを与える砲弾を人間が扱えるサイズの砲で連続で撃ちだす技術

そして深海棲艦と艦娘という単語

そんなもの聞いたことがない

 

ただ今は大きな陸に行きたいあの孤島で暮らすのも海で沈むのもゴメンだ

 

砲撃を躱し、弾を敵に叩き込む相手が人だろうと躊躇いはしない

戦場では躊躇した奴から死んでいく

 

大胆かつ精密に

 

魚には人の3分の2くらいの大きさしかない奴もいたが、そういうやつは真上でハイブーストを吹かしてやれば吹き飛ぶ、音速を超え、噴き出す炎は魚を焼く前に衝撃波によって、その命を刈り取る

 

ライフル弾を弾く盾を持った奴がいたのでそいつは蹴り飛ばす

身体があらぬ方向に捻じ曲がり青い血をまるでそれを推進力として飛んでいるかのような勢いで噴き出しながら空を舞う

 

「お前で最後だ」

 

目の前で仲間が爆散したり千切れたり焼かれたりしたにも関わらずまだ砲撃してくる盾持ちをムラクモで切り裂く

 

上半身と下半身がサヨナラした

 

殲滅

綺麗だった青い海が血とオイルで濁っている

 

それにしても機械みたいな奴らだった、恐怖や戸惑いがまるで感じられかった

俺があっち側だったらションベン撒き散らして逃げるぞ

 

《大丈夫ですか!》

 

《すごい…この数をたった1人で…》

 

少女達がこちらへ近づいてくる

 

「怪我はないか?」

 

《はい、あなたのおかげでみんな無事です、ありがとうございます》

 

最初に喋りかけてきた子…確か赤城と呼ばれていた子が深々と頭を下げてくる

 

「別に大したことはないさ、ただ…代わりに…」

 

《陸までの距離、ですね、それなら私たちの鎮守府へ案内します、お礼もしたいですし》

 

「そうか、ありがとう」

 

《では、ついてきてください》

 

その後長い銀髪の子からの機体についての質問攻めを受けながら、海を進み、赤煉瓦で出来た大きな建物のある港に着いた

 

かなり近かったグライドブーストを蒸しながらでも余裕で届く距離だった

だが陸にこんな近いところに島なんてあっただろうか?

 

「此処は?」

 

《私たち艦娘の家、鎮守府です》

 

「ほぅ…」

 

なかなかに立派だ、三大勢力のお偉いさんとかが住む家みたいだな

 

「何処かこいつが置いとける場所はあるか?」

 

《それなら私たちの倉庫の近くにスペースがありますのでそこに…》

 

「了解した」

 

近くの砂浜から陸に上がり、言われた広場にACを駐機する

システムを切り、PDAを引っこ抜きコクピットから出る

 

「何時間ぶりの外だ?空気が美味いな」

 

煙やら油やら果てはそこら辺でのたれ死んでる人間の腐敗臭が漂い澱んだ空気は何処へやら、ここまで澄んだ空気は吸ったことがない

 

ACの上に立つと荒れた土地など一切なく、見ることすら珍しい緑があたり一面に見え、遠くにはビルらしき建築物が建っているのが見えた

 

「こんな場所があるんだな…」

 

あの世界もあんな風に崩壊する前は、こんな感じだったんだろうか

 

「あのっ!」

 

「ん?」

 

下から聞き覚えのある声がする

顔を出すとそこには赤城がいた

 

「やっ、ありがとうな、こんなでっかいの置かせてもらって」

 

「いえ、貴方は命の恩人ですから」

 

「そんなたいそうなこと言われる程のことはやってないさ、こっちこそ君たちがいなければ、よくわからんところを彷徨うことになってたんだ」

 

「貴方はどこからきたんですか?」

 

「多分…というか絶対別の世界からだな」

 

「別の世界…?」

 

「ああ…少なくともこんないい場所は見たことも聞いたこともないからな」

 

「私たちはもう見飽きた景色ですけど…そんなに大変な世界なんですか?」

 

「まぁな…君たちも戦争やってるみたいだが、俺たちの世界なんて、いつから始まって、その理由すらわからない戦いのせいで、荒れ果ててるからな、見渡せばそこらへんに死体が転がってる、みんなその日を生き残るために必死だったな」

 

「そう…ですか…」

 

「悪いな、変な話しちまって」

 

「いえ…」

 

2人の間に気まずい空気が流れる

そんな空気に耐えられずACから飛び降りるが、雨でも降った後だったのだろうか着地時に滑って転ぶ

 

「いってぇ…!」

 

激しく腰を打ちつけ悶絶する傭兵を見て赤城は心配そうに近寄る

 

「だ…大丈夫ですか?」

 

「ああ…なんとか…」

 

「そうですか…よかったです」

 

赤城のほっとしたような顔を見て、傭兵は優しい子だなと思う

 

「貴方が死んでしまったら、この兵器の扱い方が分からなかくなってしまいますから」

 

「は?」

 

赤城の発言に傭兵はどういう事だと顔を顰めた瞬間、周りの草むらから海の上で出会った少女達が傭兵に向かって砲を向けながら出てきた

 

「申し訳ありません、私たちが生き残るためなんです」

 

その言葉を最後に傭兵は後頭部を殴られ意識を失った

 

 

 

 

 

 




登場人物紹介

傭兵

本名:エドガー

そこそこの腕前を持つAC乗り、死神部隊と交戦したことがある
容姿は堀の深いイケメン、黒いTシャツの上にカーキ色のジャケットを羽織っている
使用ACは知り合いの傭兵が引退する際に譲ってもらったもの、依頼をこなし、新たに買ったパーツでアセンブリしていく内に元の機体とは全くの別物になった

使用AC

機体名:ボルバクローリク

アセンブリ

頭部:HF-227

コア:CB-402

腕部:Ar-M-E34/L(改造)

脚部:SAWARABI mdl.1(改造)

ブースター:BA-309

ジェネレーター:SUZUMUSHI mdl.1

FCS:Fs-L-F03

リコン:オリジナル

両手:MURAKUMO mdl.1(300)

両ハンガー:AM/RFA-130(300)

肩:SL/CWA-243

カラーリングは暗い灰色、UNACとの共闘を前提に相手の撹乱に特化した機体
改造パーツは知り合いのVD主人公から売ってもらったもの



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話

3話目

ちなみに傭兵のACのコアをCB-402に変更
自分のアセンまんまになりました

そのAP、26864





「…ここは…どこだ?」

 

固いベットの上で目を覚ます

殴られたため後頭部がズキズキと痛むが、幸い意識も記憶もはっきりしていた

 

周りを見渡すと、辺り一面の灰色の壁、そして頑丈で重そうな鉄の扉が目に入る

 

どうやら監禁されているようだ

 

(それにしても、俺に死なれたらACを動かせなくなる、と…)

 

気絶させられる前、赤城が言っていた言葉を思い返す

大方ACを深海棲艦に使うつもりだろう、彼女達にとってはかなり強力な兵器らしい

傭兵に赤城達を助ける気は無いが

 

「最悪、操縦に関して拷問されるかもな」

 

持っていたものは気絶している間に全て取られてしまっていたらしく、PDAはもちろん、間食にでもといつもジャケット裏に入れていた携行食すら無くなっていた

 

PDAにもAC自体にもロックはあるし、起動できたとしてもまともに動かせないと思うが

 

「まぁ、動かして事故ったりすればそれはそれでスッキリけど」

 

ACの操縦はかなり難しい

傭兵もシュミレーターで訓練していた時は何回建物に衝突したかわからない

ましてやACすら見たことない人間だ、おそらく似たような兵器も存在しないのだろう、歩くことすらできないかもしれない

 

そうなれば傭兵を頼るしかないだろう、その時に逃げ出してやろうか

なんならここを占拠するのも悪くない、行く当てが無いなら作れば良い

あの娘らが下っ端でまともに補給や整備を受けさせてもらえないとして、より完璧な状態の奴らがいたとしても、ACなら負けることはない

 

「まぁここから出してもらえないことには、何もできないが…」

 

呼ばれるまで待っていようと壁にもたれかかり、ジャケット裏に手を伸ばすが

 

「…全部…取られてるんだったな…」

 

携行食がないことを思い出し肩を落とす、この部屋には暇を潰せるようなものは何も無く途方に暮れかけたその時

 

ギィィィイイイイイ

 

「む?」

 

扉が耳障りな音を立てながら開き、2人組の女の子が部屋に入ってくる

 

1人は短髪の黒髪の子、髪飾りが似合っている

もう1人は犬耳みたいに髪が跳ねた金髪の子、頭のリボンはどうやって巻いているのだろうか

どちらも顔にガーゼやら湿布を貼っている

 

2人とも機械を身につけているので赤城達と同類なのだろう

 

両者共に俺のことを警戒心と恐怖の入り混じった顔で砲をこっちに向けくる

 

…いや、俺はごく普通の人間なのだがな、砲で撃たれたら死ぬぞ

 

「何か用か?まぁ大方AC…ロボットのことだろ?」

 

「…そう、提督に貴方を連れてくるようにと言われた」

 

黒髪の方が答える

提督ね…多分ここの指揮官だろう、さっそく大物の登場だ

 

「断ったらどうする?」

 

「無理矢理にでも、連れて行くっぽい」

 

今度は金髪の方が答えた

断る選択肢は無い様子、まぁ断るつもりなど無いのだが

 

「わかった、行こう」

 

1人が先導し、もう1人が後ろから砲で俺を警戒するという形で外に出る

 

部屋の外は狭い廊下で圧迫感がすごい、壁はひび割れ今にも崩れそうだ、所々にある鉄の扉は錆びきっていて、下にはそんな扉を動かしていたのか赤い鉄粉が落ちている、ぱっと見血にしか見えない

そんな不気味な廊下の奥にある長い階段を登り、登り切ったところにある鉄の扉を開くと山の斜面に出た

 

木漏れ日が結構眩しい、光の方向的ににそこまで時間が経ってないか、それとも何日か経った後か

 

「こっちだよ」

 

言われるがままについて行く

森の出口にはレンガの壁が見える、おそらく鎮守府施設の建物だろう

 

「こっち…」

 

「心配するな言われなくてもついて行くぞ」

 

「そう…」

 

「……」

そんなやり取りを繰り返しながら歩みを進めていると、ACを駐機していた広場へ着いた

ACの周りを人型のナニカが飛び回り、開いたコックピットには作業している銀髪とピンク髪の2人の少女が見える、片方は確か夕張と呼ばれていた子か

下にはもう黒く長い髪の1人の少女が立っている

 

「提督、捕虜を連れてきました」

 

「ありがとう、時雨ちゃん夕立ちゃん、ごめんね?無理させちゃって…」

 

「いえ、これが私達の仕事ですから」

 

「…もう戻って休んできていいよ、ありがとう」

 

「はい…」

 

時雨と夕立と呼ばれた子が何処かへ行く、その姿を少女は心配そうに見送った後こっちへ寄ってきて

 

「誠に申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁあああああああああ!!!」

 

土下座をかました

それはそれは綺麗な土下座だった、あんだけ激しく動いたはずなのに髪も服装も一切乱れていない、プラスチックで出来てんのか?

 

「この度は私の監督不行き届きで多大なご迷惑をおかけいたことをお詫び申し上げ……」

 

傭兵は少女の謝罪を途中から余り聞いていなかった

なんとなく理解したのはこの鎮守府が元はクソみたいな提督が運営していたという事

そして目の前の少女がそのクソの代わりに着任したばかりの提督だという事

そのため彼女は一部の艦娘以外からは信用されていないこと

そして今回の赤城らの行動はその一部以外の艦娘によるものだということだった

 

「…罰するならこの私を」

 

「ストップ、事情はわかった」

 

「煮るなり焼くなり好きにしてください、でもあの子達にh」

 

「ストップつっただろ」

 

土下座したまま永遠に謝罪の言葉を並べる少女の頭を掴み持ち上げる

 

「あいたたたたたたたたた!!!」

 

苦痛の声を上げるが抵抗はしない、あくまでされるがままという事だろう

 

それにしても軽い、その常人離れした胸には空気でも詰まっているのだろうか

 

「新人とは言え一つの基地のトップなんだから、ちょっとは堂々としろよ」

 

アイアンクローを解除すると、少女は地面に頭を押さえながら崩れ落ちた

 

「申し…訳…ありま…せんでした…」

 

今にも死にそうな声で彼女はまた謝罪の言葉を述べる

このまま謝り続けられても話が進まないので、こっちから質問をする

 

「で?赤城達が俺を襲った理由は?」

 

「……前任のせいです、前任は戦果を上げることができなかった艦娘に暴力を振るったり、夜迦の相手をさせたり、補給すらさせずに出撃させて主力の盾にさせたりしてたんです、それがあの子達のトラウマになって、何か提督の役に立てば酷いことはされないと、そう考えるようになってしまったんです」

 

「成る程ね、俺はお前への貢ぎ物にされたってわけか」

 

弾がない、艤装の調子が悪いとか騒いでいたのも無理をしていたからか

と、そこまでのトラウマを植え付けた前任の所業を想像する

 

だんだんと目の前で震える少女が不憫に思えてきた傭兵は一つの考えを思いつく

 

「ふざけるな、何を考えてると言いたいところだな」

 

「本当に申し訳ありません…」

 

「だが俺には行く当てがない、この世界での繋がりはこの鎮守府だけ、そこでだ」

 

「?」

 

「俺を雇わないか?」

 

 

 

 

 

 

 




初見でどうやってマギーさんに勝ったのかがわからない

登場人物紹介

提督

本名:白崎 楓

年齢19歳

身長163cm

キャンパスライフを楽しんでいたが提督適性があると言うことで最低限の知識を叩き込まれただけで鎮守府に着任した
性格は聖人、艦娘をちゃんと人として対等に扱う数少ない提督の1人
見た目はストレートの黒髪を背中の中程まで伸ばしていて、艦娘並みに可愛いのと乳がでかいので有名


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話

島風と雪風引いた


「貴方を雇う?」

 

「あぁ俺は自分の武力を商品にする傭兵だ、赤城達も俺が戦力になると思って捕まえたんだろ?なら丁度いいじゃないか」  

 

「ですが…私達は貴方に…」

 

「だったらその詫びに俺を雇え」

 

「あぅ…わかりました…」

 

「決まりだ」

 

いささか無理矢理だがこれで仕事は見つかった、しばらくはACで寝泊まりすることになるだろうが金が貯まれば街で部屋を借りよう

 

「俺の名前はエドガーだ、君の名前は?」

 

「白崎 楓です」

 

「わかった、これからよろしく頼むシラサキ提督」

 

エドガーか握手を求め白崎がそれに応えようとしたその時

 

ウ〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そんなに大きくなくても充分鎮守府内に聞こえるであろう大音量でサイレンが鳴り響く

 

「なっなに!?」

 

《敵襲!敵襲!哨戒中の第二艦隊が姫級を含めた大艦隊と接敵、現在交戦中!》

 

アナウンスが入り哨戒中の部隊が戦闘を始めたという事が伝えられる

エドガーがチラッと白崎を見るとその顔は青ざめていた

 

「そんな…姫級なんて今のこの鎮守府じゃ勝てるわけない…どうしよう…どうすればいいの?」

 

一人で頭を抱えて何かを呟いている、強敵の出現に白崎は完全にパニックになっていた

 

「皆んな!急いで!第二艦隊を助けに行くよ!」

 

その時波止場の方から声が聞こえてくる

どうやら他の艦娘たちが第二艦隊の援護に行こうとしているらしい

 

その中にいた夕立を白崎が掴む

 

「行っちゃダメ!そんな状態で行っても皆んな沈んじゃう!」

 

「離して!もうお前らに指図されたくない!お前らのせいで仲間を失いたくない!」

 

「夕立ちゃ……」

 

夕立は白崎の手を振り払うと先に行った艦娘たちを追いかけていく

それを見た白崎は膝から崩れ落ちた

その顔は絶望に染まっている

 

ふとACを見るとピンクの髪の子と夕張もいつのまにかいなくなっていた

 

「シラサキ提督」

 

「みんな沈んじゃう、みんな死んじゃう…私のせいだ、私がみんなを救ってあげられなかったから…」

 

「シラサキ提督諦めるな、俺がなんとかする」

 

「貴方に何ができるんですか!貴方は艦娘じゃない!私も貴方もっ!ただの人間に何ができるっていうんですか!!」

 

「落ち着け…たしかに俺はただの人間だが、俺はあいつらを救える力を持っている」

 

立ちあがりACの方へ向かう

 

「お願いします、あの子たちを助けてください…っ!」

 

「わかった、お財布握りしめて待ってろよ」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

圧倒的だった

姫級は何もしていない

周りの随伴艦に艦娘たちは全員大破に追い込まれてしまった

 

動ける者は誰一人としていない

夕立は隣で倒れている姉を見る、沈んではいないからまだ生きているのだろうが、もはや時間の問題である

 

(もうダメ…)

 

頭をあげたのが目に留まったのだろう戦艦ル級の砲身が夕立へ向けられる

 

(時雨…皆んな…また会えるかな…)

 

死を覚悟して目を閉じる

耳がやられて音が聞こえない状態の夕立は迫ってくる死に恐怖する

 

しかしいつまで経っても砲弾が着弾する気配はない

 

恐る恐る目を開くと、そこには膝から上を失くした足が2本海面にあった

 

「なっなんで…」

 

深海棲艦が騒ぎ出し陣形を整え始めるが、その間にも次々と血煙に変えられてゆく

そしてあれだけいた深海棲艦は、ものの数分で全滅させられた

 

その様子に唖然としていた夕立の後ろから熱い突風が吹き、さらに上から謎の液体が降り注ぐ

 

「わぷっ⁉︎」

 

かかった液体は夕立の身体へ染み込み、あっという間に全ての傷を癒した

 

「大丈夫か?お嬢ちゃんたち」

 

戻った聴力が誰かの声を捉える

 

振り返るとそこには鋼鉄の巨人がいた

 

「それにしても凄いなこれ艤装まで直るのか、何が入ってんだ」

 

その肩には、先程自分と姉が独房から提督の元へ連れていった男が空になったバケツを覗いている

 

「…ここは?」

 

「時雨っ!!」

 

海水に溶けた修復材によって中破状態まで回復した時雨が目を覚まし、それを見た夕立が時雨を抱きしめる

 

「あっ…貴方は」

 

時雨にくっ付いて離れない夕立の代わりに時雨が問う

 

「提督にお前らの救出を依頼された傭兵さんだ」

 

それだけ言うとエドガーは肩コンテナからバケツを取り出すと時雨達にに投げつける

 

「数が少ないから力持ちな奴らを優先的に起こして残ったやつを運ばせろ俺は周辺の警戒をしてくる」

 

時雨達が何か言う前にエドガーはコックピットに戻って周囲の警戒に行ってしまった

 

それを見ていた時雨達は我に帰ると散らばっていたバケツを集め戦艦と空母を優先して起こし始めた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ナニアレ⁉︎アンナノ知ラナイ!!」

 

配下の深海棲艦を全滅させられた防空棲姫は全速で海域を離脱しようとしていた

 

防空棲姫の艦隊はいくつもの鎮守府を潰してきた、緻密な戦略を立て、部下が沈まないようにしてきた為、その実力も士気も深海棲艦の中ではトップクラスだった

今回だって援軍が来るのが想像以上に早かったがこちらは被害を出す事なく無力化することができた

 

今回も勝てるはずだった

急に現れたACを相手にするまでは

 

「アグッ⁉︎」

 

艤装に強い衝撃が走り、バランスを崩して海面を転がる

 

正体はわかってる、奴がもう追い付いてきた

 

「ヤッタナァ…オマエモ イタクシテヤル……!!」

 

生きている砲門を斉射するが相手には1発も掠りもしない

 

「ハヤスギル!」

 

自分と砲塔の旋回速度を足しても追いつけない、だからといって予測位置に合わせても急加速や急旋回で狙いを外される

 

「キャッ!!」

 

敵の弾が残っていた砲塔を貫き爆発を起こす

もう武器がない…

 

「クソッ…」

 

だが相手には容赦がなかった

ACのブレードが振られ防空棲姫の体を切り裂く

 

防空棲姫が最後に見たのは斜めに斬られた自分の身体だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




毎日眠い

登場人物紹介

防空棲姫

深海棲艦の中でも最初期からいる「オリジナル」の1人
対空と装甲が自慢だったがACの兵器の前では紙同然だった


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話

低評価、罵詈雑言なんでもこい
来たら泣く


エドガーが敵を全滅させ、しばらく辺りを哨戒し散発的な戦闘をしたあと鎮守府へ戻るやいなや艦娘達に囲まれて感謝の言葉を浴びせられた

白崎が艦娘達との仲直りに成功したらしく一部の艦娘は白崎に抱きついて泣いていた

どうすればいいか分からない白崎の助けを求めるような視線にエドガーは諦めろという笑みで返した

 

そんなエドガー達から少し離れた場所で4人の艦娘がエドガー達を見ていた

赤城、木曽、霞、吹雪の最初にエドガーに会い、そして自らの保身の為にエドガーを利用しようとした艦娘達である

 

それに気づいたエドガーは艦娘達の囲いを抜け赤城達の元へ来た

 

「あ…あの…申し訳ありませs」

 

赤城が言い切る前にエドガーは順番に4人の頬を両手でつねっていく

困惑する赤城達にエドガーはこう言った

 

「これでチャラだ、提督から話は聞いたお前らも大変だったなクソ前任の元で戦わされて、だけどもう大丈夫だ今の提督はそんなことしない、君達を大切にしてくれるさ」

 

それを聞いた赤城達はその場で泣き出した

 

時間は夜の11時、泣き疲れて眠ってしまった3人の軽巡と駆逐艦をそれぞれの部屋に運んだ後エドガーと赤城は2人でACの下で話していた

 

「本当に申し訳ありませんでした」

 

「もう謝罪は提督から飽きるほど聞いた、それにクソみたいな上の下で戦う気持ちはよくわかる」

 

一度三大勢力の紛争で一時的にとあるE.G.F部隊の指揮下に入ったことがあった

 

その司令官が無能+クズでその部隊の士気は最悪だった覚えがある

最終的にその司令官は味方から撃たれて死んだ

ちなみに司令官の部屋に見物に行ったらキモい事の書いてある日記があった、とにかくキモかった、日記というより妄想を書き連ねたナニカだった、即刻燃やした

 

結局その部隊は死神部隊と呼ばれる正体不明のACに全滅させられた

俺は相手の弾切れで生き延びることができたが

 

「悔いしかないだろうな」

 

「え?」

 

「いや、こっちの話だ」

 

「そうですか…」

 

「もう遅いし寝るか、お前も疲れてるだろ?これからはゆっくり休めるんだから」

 

そう言ってACのハッチを開いて中に入ろうとすると「待ってください」と赤城に呼び止められる

 

「まさかそのロボットの中で寝るんですか?」 

 

「そうだが、何か問題が?」

 

「だったら鎮守府の空き部屋を使ってください、部屋も布団もボロボロですが、ロボットの中で寝るよりかはいいと思います」

 

「いいのか?」

 

「はい、それに本館には前提督が作らせた提督用の大きなお風呂もありますし」

 

「風呂があるのか?」

 

風呂と聞いてエドガーの目が光る

 

「成る程、それじゃあお言葉に甘えて」

 

赤城の案内で風呂まで連れて行ってもらう

エドガーのガレージがあった地域はでは温泉が有名で、それを目当てに遠くから数多くの傭兵がそこに訪れていた

エドガーも例外ではなく温泉に入り、そこにガレージを持とうと決めた

 

「ここです、今の時間なら誰もいないはずです、ではごゆっくり」

 

「あぁ、ありがとう」

 

赤城が去った後全裸になったエドガーは思い切り浴室への大きな扉を開ける

GREY LOTUS撃墜の依頼から数えて3日ほど風呂に入っていないということと赤城の今の時間なら誰もいないという言葉がエドガーの警戒心を解いていた

 

そして事件は起きる

 

「えっ?」

 

バターン!!

 

なんと先客がいたのだ

一糸纏わぬ状態で扉に手をかけようとしていた白崎、そしてその奥から戦艦、空母組がついてきていた

 

「やってしまった…」

 

振り返るとエドガーの使った棚の丁度死角になる場所に先客達の服が置いてあった

それを見たエドガーは1人で使うはずなのにこんな構造にした前提督を恨んだ

 

「あの…エドガーさん?」

 

「すまない…誰かが入っていないかしっかりと確認するべきだった…」

 

「いえ!大丈夫です!それにエドガーさんになら…

 

「すまない…本当にすまなかった…」

 

服を着直し、外で白崎達が出てくるのを待つ

しばらくして出てきた白崎の顔は赤く、その他はニヤニヤしながら白崎を突いていた

 

                       

 

「はぁ…」

 

水温が高めの湯に浸かると自然と口からため息が出る、3日で溜まった疲れがじわじわと抜けていくのを感じた

 

「さてと、これからどうするかね」

 

これからはここで傭兵として活動していくが問題はACの補給と整備である

別世界のここにAC用のパーツも燃料も弾薬もあるわけがない

 

明石と夕張の話では「私達と妖精さんがいま頑張っています!」とのことだったが果たしてうまくいくのだろうか

 

「まぁ任せよう」

 

肩まで湯船に沈める

かなり熱いがこうしてから100秒耐えるのが伝統らしい

 

そして事件は起きる

 

「はぁ〜哨戒任務はつかれるわね」

 

「でも、敵はいなかった」

 

「きっとあのエドガーって人が姫級の艦隊をやっつけてくれたからよ!また今度お礼をしなくちゃ」

 

「なのです!」

 

-第六駆逐隊IN-

 

「は?」

 

「あっ!エドガーさんだ!」

 

「「「「わーっ!」」」」

 

「ちょっ!お前らまぼぼぼぼぼ!?」

 

白崎達とは違い幼い彼女らには恥じらいが無い、そしてためらいも容赦もない

 

結局エドガーは第六駆逐隊と風呂に入り、更には寝床まで共にすることになった

 

「それにしても、よく今日知り合ったばかりの男と寝れる気になれるなお前らは」

 

「提督があなたは優しい人って言っていたもの!」

 

「優しい…ね」

 

「貴方こそ見ず知らずの私たちのことを助けてくれた」

 

「確かにそうかもしれんが俺は優しくなんかないぞ、大勢の人間を殺してきた、その中には仲が良かった奴だっている、でも殺した躊躇いなくな」

 

「…そう…なの?」

 

エドガーの言葉に場が重くなる

まずかったかと思ったが既に手遅れで、取り繕う気も無かったのでさっさと寝ようとした時電が口を開いた

 

「やっぱり、エドガーさんは優しいのです」

 

「は?」

 

「じゃあ、優しいのね!電は目を見ただけでその人がどんな人なのかすぐにわかるのよ!」

 

「へぇ…」

 

「響はいつも冷静で危ない時とかは皆んなに教えてくれるのよ!」

 

「雷は私たちが落ち込んでる時に元気付けてくれるの!雷のなでなでは司令官のなでなでに匹敵するわ!」

 

「じゃあ暁のいいところはなんだ?」

 

「ふぇっ!?私?」

 

姉妹のことは嬉しそうに語る暁だが、自分のことになると急にまごまごしはじめた

 

「えっと、私は…」

 

「暁は私たち姉妹を繋いでくれる、暁がいてくれたから私たちはみんな揃ってここにいる」

 

「どんな時も私たちを1番に考えてくれるわ!でもかなり無理しちゃう時があって心配だけど」

 

「そんな暁お姉ちゃんが電達は大好きなのです」

 

「響ぃ…雷ぃ…電ぁ…」

 

「いい妹達を持ったな」

 

そう言いうと暁は「ええ!」と満面の笑みで返してきた

 

「エドガーさんのいいところはなんだい?」

 

「俺か?」

 

いつのまにかエドガーの左腕にくっついている響が質問し、聞いてばかりじゃ不平等かとエドガーは答えを考える

 

「お前らの言う通り、俺は優しいのかもな」

 

思えばパートナーの少女は傭兵の溜まり場で姉と共に実績も信頼もない新人ストーカーということから誰とも契約出来ずにいたところを、姉妹揃ってエドガーが拾ったのだ

そこから依頼の報酬で2機もA-448/Cまで購入してやっていたので相当なお人好しと言える

 

「さて、もう12時過ぎだ、さっさと寝るぞ」

 

「「「「お休みなさい」」」」

 

電気を消し布団に入ると両隣に暁達がくっつき、余程疲れていたのだろうか直ぐに眠ってしまった

 

「身動きできん…」

 

腕をガッチリホールドされたエドガーはさらに寝相で暁達に怪我をさせてしまうかもしれないという不安に駆られ、眠れぬ夜を過ごした

 

 




駆逐艦の中では時雨が1番好き、次点で初月、春雨も可愛い

え?第六駆逐隊?
殿堂入りです

登場人物紹介

エドガーのパートナー

本名:姉フェル
妹フェリ

物心ついた時からとあるストーカーの元で過ごしていた双子の姉妹、そのストーカーが死亡した後教えてもらった知識を生かしてストーカーとして活動しようとするが、そもそもストーカーの需要が少なかったこと、使用するヘリが旧式だったこと、実績も信頼も無かった事により誰にも相手にされず途方に暮れていたところをエドガーに拾われた

その操縦技術はかなりのもので砲弾の飛び交う戦場に臆せず飛び込み必ず目標地点にACを投下する、特に姉の迫り来るミサイルをバレルロールで躱したという話はヘリパイの間で伝説となっている

姉はUNACを妹はエドガーをそれぞれ運ぶ、使用する機体は姉はミサイルポッド、オートキャノンで武装し、妹は武装は機首の機関砲のみで両側のコンテナにACの弾薬などの補給物資を搭載している

容姿は2人とも灰色のロングのストレートの髪の美少女服装はズボンがスカートに変わっている以外はエドガーとほぼ同じ、性格は姉は大人しく妹は活発、黙って立っていれば見分けがつかないほど似ているが胸の大きさで判別可能

2人ともエドガー以外、特に輸送に関する依頼を出しにきた他人にはかなり冷淡に接する、逆にエドガーにはべったり




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話

最近ACfAやってるんですけど
カラードもORCAもMG2丁でゴリ押せるね(フラジールを除く)
特にラインアーク守ってフラジールのチェーンガン手に入れてからまーヌルゲーですわ
「その程度かテルミドールよ!」って言いたくなりました
お前よりよっぽどフラジールの方が苦戦したわ!
あと月輪さん強い、コジマこわい





暁達に抱き枕にされてから何時間経ったのだろうか、すでに窓から見える空は明るみ始めていた

 

眠れないのは慣れているため特に辛くはないのだが、両腕が塞がっているので何もできないのが辛い

 

「5時か…そろそろ起きたい時間だが…」

 

「ん…」

 

起きあがろうとすると力を込めて離れないよう抱きついてくる、剥がそうにも反対の腕も同じような事になっているためどうにもならない

 

「気持ちよく寝てるところを申し訳ないが…」

 

腕に張り付いてる暁と雷を起こそうと腕を強めに振りながら呼びかける

 

「暁、雷すまないが起きてくれないか」

 

「ん〜雷ぃ〜あと5分〜」

 

「ハッ!おはようございます!エドガーさん!」

 

「おはよう雷、ほら暁俺は雷じゃないぞ」

 

雷はスッと起きてくれたが、暁は中々起きない

 

「…おりゃ」

 

「あうっ!?」

 

かなり手加減したデコピン

 

「目ぇ覚めたか」

 

「ええ、ごめんなさいエドガーさん…いたたた…」

 

効果は抜群だ、少し赤くなったでこを抑えながら暁も渋々起きる

 

「悪いな、ちょっと行きたいところがあるんだ」

 

「そうなの?じゃあ響達も起こすわね」

 

「いや両手が空けば十分だ」

 

腰辺りに引っ付いている響と電を引っ剥がし立ち上がる

 

「数時間ぶりの自由だな」

 

伸びをすると身体中からミシミシと音が鳴る、やはり動けないのは辛かった

 

「ところで今から何処へ行くの?」

 

「ACのところにな、色々とやりたいことがある」

 

エドガーは海上に浮かぶために、いつもより高出力でブースターを運用していたのが気になっていた

ハイブーストやグライドブーストに長時間耐えれるためそのくらいの運用でどうということは無いだろうが、ACを失ってしまったらエドガーは何もできなくなってしまう、できることなら長期間運用できるように状態を把握しておきたかった

 

「さて、行ってくる」

 

「「行ってらしゃい!」」

 

暁と雷に見送られ部屋を出る、目指す先はガレージ、といってもAC用ではないが

 


 

「行っちゃったわね」

 

「そうね…」

 

暁と雷はエドガーが出て行った扉を眺め続ける

絶望的なあの状況から救い出してくれたエドガーが出て行った扉を

 

「エドガーさんあったかかったなぁ…」

 

「そうね、今日も一緒に寝てもらえるかしら」

 

「…あれ?暁?こんな時間に起きてるなんて珍しいね」

 

「早起きはレディーの嗜みだもの!」

 

「いつも雷に起こされてるくせに」

 

「うっ…」

 

「ふぁ…」

 

「電も飽きたわね、そろそろ総員起こしの時間だから着替えましょう」

 


 

艦娘達を生み出したり、装備を開発するための施設「工廠」

側には先の大戦の名残りである使われてない人間用の基地航空隊の設備がある、その中の航空機用のハンガーにACが駐機されていた

 

「さてと…まずは燃料弾薬の確認からだな」

 

機体の側面を器用によじ登り、ハッチが開きっぱなしのコックピットの中を覗くと

 

「「…」」

 

「うおっ!?」

 

死んだ顔をした夕張と何故か頭から突っ込み腰から下しか見えない明石が狭いコックピットにぎゅうぎゅう詰めになっていた

2人でACを解析していたことは知っているが、何をどうしたらこんな状況になるのか分からない

 

「おい、大丈夫か?」

 

「あっ!エドガーさんおはようございます!」

 

「ああおはよう、ところでなんでそんなことになってるんだ?」

 

「それがですね…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーー

 

夕張はエドガーに教えてもらった手順でACのテストモードを起動しようとしていた

 

[メインシステム、テストモードを起動します]

 

「やった!できた!」

 

ディスプレイに機体の様々な情報が映し出され、エドガーから貸し出されたチェックリストを順番に確認していく

 

「どうでしたかー?」

 

ACの足元にいる明石が、夕張に向かって作業状況を聞く

 

「すごいですよ!簡単なチェックリストですが技術者として興味をそそられるような内容ばかりです!」

 

「本当ですか!どれどれ…」

 

明石はACをするする登り夕張の作業を眺める

 

「へぇ…こんな小さいジェネレーターでこんな鉄の塊を動かせるほどのエネルギーが得られるなんて…」

 

「出力を急激に上げることができるブースターに戦艦の砲撃すら弾く装甲…一回全部バラして調べたいです」

 

「命の恩人の機体なんですからそんなことできませんよ」 

 

「そうですよね〜…ん?右腕破損?」

 

「壊れてるってことですよね?見た感じなんともなさそうですが」

 

「明石さんちょっと調べてきてくれません?」

 

「了解です」

 

そう言って明石が立ち上がろうと足に力を入れた時

 

ズルッ

 

「あっ」

 

「へ?」

 

「「きゃー⁉︎」」 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「というわけなんです」

 

「なるほど…とりあえず明石を引き摺り出すか」

 

明石の足を掴み引っ張りだす

 

「プハッ!ありがとうございます…」

 

引き上げた明石の顔は何かに挟まれていたのか赤くなっていた

 

「夕張ちゃんのふくらはぎです」

 

「聞いてねぇよ」

 

「柔らかかったです」

 

「聞いてねぇよ」

 

「気持ちよかっ」

 

「もう一回落としてやろうか」

 

「ちょっ!それ私にも被害が!」

 

3人で騒いだ後ACから降りる

 

「で?どうだったんだ?」

 

夕張と明石に解析の結果を尋ねる

夕張がエドガーの問いに答えた

 

「補給と整備ですか?それなら可能でした!」

 

「そうか!」 

 

これでエドガーの最大の不安が解消された

これが可能ならば機体自体のガタが来るまで使い続けられる

 

「しかし一つ問題があって…」

 

「ん?なんかあったのか」

 

「それが…燃料や弾薬、つまり資源の消費量がものすごいんです」

 

「?弾薬のはわかるがこの機体はそこまで高燃費なわけじゃないと思うんだが」

 

「説明させていただくと私たちが使う資源は普通の資源とは違い、燃料、弾薬、銅材、ボーキサイトが各一種類ずつあります、普通の兵器でしたらそれぞれにあったものを用意しなければなりませんが私たちはこの4つの資源だけで補給も修復もでき、戦うことができます」

 

「そりゃ便利だな」

 

「はい私たちが使う資源は使い分ける必要がない代わりに艦娘によって消費量が違ってきます、駆逐艦と戦艦だったら戦艦の方が断然消費量は多いです」

 

「なるほど…てことはつまり…」

 

「はい、武器の威力も装甲の硬さも規格外であるこのACの資源消費量は尋常じゃないことになっています、先の3回戦闘での弾薬と銅材の消費が約一万2千、燃料の消費が2万5千ほどです」

 

「わーお…」

 

エドガーにはこの数値が多いのか少ないのか分からなかったが2人の表情からして決して痛くはない消費ではないことが伺えた

 

「ですがボーキサイトは何故か正規空母と同等です、むしろ安いぐらいですよ」

 

「まぁアルミはACにはあまり使ってないからな」

 

「幸いにも前提督が大和型を建造するために大量に溜め込んでた資源があったので対応はできましたが次出撃したら鎮守府の資源は火の車です」

 

「そうか、ありがとう夕張、明石」

 

そう言うとエドガーは2人の頭を撫で始めた

元はパートナーの姉妹の願いから始めたことで、いつのまにか女の子に対して感謝を伝えるときは撫でるのをセットにすることがエドガーの普通になっていた

姉妹がこうすると女の子は喜ぶと女性経験皆無のエドガーに入れ知恵したからである

実際明石は少し恥ずかしがっていたが夕張は蕩けた顔になっていた

 

「でゅへへ〜」

 

「いえ、命の恩人の貴方の為です、ロボットを調べてみたいという下心もありますが」

 

「そういえば、機体の整備はどうしたんだ?」

 

なでなでに夢中な夕張の代わりに今度は明石が答える

 

「それはですね、この機体に妖精さんがいてなんと艤装判定になっていたんですが、私たちがコックピットから抜け出せなくなっていたときに急に妖精さんが集まってきて直したんです」

 

「妖精さんってこのぬいぐるみみたいなやつか」

 

近くにいた妖精達に目をやると、その妖精達がウィンクしながら親指を立てた

よくACを見てみると、腕の破損どころかそこらじゅうに刻まれていた傷や弾痕が全て無くなり新品同然になっていた

 

「…そういえばACにいた妖精ってどんなやつなんだ?」

 

「あれ?そういえばエドガーさんがくる直前までACの肩にいたんですが…」

 

明石が言い切る前に嫌な予感がしたエドガーはその場でしゃがむと、頭のすぐ上で縄が空を切る

 

「やっと会えた…初めましてパイロット」

 

「おう、てことはお前がACの妖精か」

 

「そう、貴方の愛機バロッツァクローリクです」

 

エドガーが後ろを向くと、そこには少女が縄を持って立っていた

身長は150㎝程、短い黒に近い灰色の髪をした頭にはウサギの耳が生え、足は膝から下がウサギの脚になっている

 

そして赤色の瞳には光がなかった

 

「ところでそのロープは何だ?」

 

「これですか?そこらへんに落ちていたものですけど、パイロットを捕まえるのにはちょうどいいかなと」

 

「なんで俺を捕まえようと?」

 

「大好きだからです」

 

「なるほどわからん」

 

「じゃあ直接教えてあげます!」

 

クローリクがエドガーに飛びかかる

ウサギの脚の為か、かなり勢いがあったがエドガーは避けようとせずに構えをとった

エドガーの間合いにクローリクが入った瞬間、首と腕を掴み背負い投げを決めた

それは柔道のように相手に怪我をさせないようにするような技はなく、ただただ相手を無力化するためだけの背負い投げだった

 

「きゅう……」

 

コンクリートの床に思い切り叩きつけられたクローリクは気の抜けるような声を漏らして気絶した

 

「お見事…」

 

側で見ていた明石が賞賛の声を送る

 

「ありがとう、…さて」

 

大の字に伸びているクローリクに目をやる

 

「悩み事が減ったと思ったら…面倒事が増えたな…」

 

 

 

 

 

 

 

 




最初クローリクはボクっ娘にする予定でしたがタイタンフォール2 のモナークに恋したのでこうなりました

脱出の時に「いつまでも。」と言われたのがトドメです

すまんモナーク…外だと思ったら室内だったんだ…
まさか敵陣営のど真ん中に落とされるとは思わなかったんだ…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話

そういえば艦これ自体はあんまり進んでないんですよね
時雨と夕立と吹雪と朝潮が改ニになったぐらいか


気絶したクローリクはエドガーが入っていた独房に入れられた

もちろんクローリクはここから出ようとしたが、脱走したら機体を自爆させるとエドガーが言ったため抵抗をやめた

 

エドガーはやると言ったらやると言うことは、長い間一緒に戦ってきたためわかっているらしい

 

『物にも魂が宿るから大切にしろ、そうすればいつか応えてくれる』

このエドガーの師匠の言葉通り魂は宿っていたが、これでいいのかと思うエドガーであった

 

「大変でしたね…」

 

「ああ…朝からとんでもない目にあった」

 

今エドガーは白崎と共に執務室という名の会議室でコーヒーを飲んでいた

エドガーはコーヒーを苦いだけの黒い水だと思っていたが、この世界の物は違う

しっかりと香りがあれば味もある

 

「それでエドガーさん、報酬のことなんですが…」

 

「おう」

 

「エドガーさんの世界の傭兵の相場はわからないのでこれで十分かどうかは分かりませんが…」

 

白崎が席を立ちおもむろに壁をいじると、その部分がガチャガチャと動き扉を壊された大きな隠し金庫が現れた

 

「すごい開け方をしたな…」

 

「長門さんがやってくれたんです、素手で」

 

「へぇ〜素手で……素手⁉︎」

 

「はい…前提督の部屋を掃除してたら出てきたんですけど鍵がなくて困ってたら何故か艤装を付けた長門さんが来て「任せろ」って言って、鍵の部分を殴って壊したんです」

 

改めて金庫を見る

蓋はそこそこ分厚いが、確かに拳の痕があり、もう少しで貫通というところまで来ていた

 

「ハハ…冗談だろ…」

 

「そしてこの中にあったのがお金でした、おそらく一生遊んで暮らせる金額があります」

 

中には紙であろうものがぎっしりと詰まっている

紙が金になるのかとアッシュは思った

 

「ほう…じゃあそこから俺が使った資材の費用を抜いたらどれだけ残る?」

 

「と言いますと?」

 

「使った弾薬やACの整備、修理費は基本傭兵負担だ、そしてその金は報酬から天引きされるんだよ」

 

「そのことを黙ってればよかったんじゃ…」

 

「…確かに」

 

「エドガーさんも、ちょっと抜けてるところがあるんですね」

 

「抜けてなきゃ女性が入ってる風呂場の扉を開くことなんてないさ」

 

「あはは…それじゃあ計算してきますので終わったらお呼びします、それまで鎮守府で自由にしていただいて構いません」

 

そういうと白崎は提督用の机へと戻り、エドガーは会議室を後にした

 

「さて、これからどうするか」

 

鎮守府で自由にしていいと言われても、特にやることはなく、一応先の出来事で艦娘達との一通りの面識はあるがそんな暇だから会いに行くという仲ではない

 

しょうがないからクローリクの様子でも見に行くかと考えたその時

 

『ぐぅ〜』

 

「むっ」

 

エドガーの腹の虫がなった

考えてみれば、まだコーヒーしか腹の中に入れていない

 

「食堂にでも行くか」

 

食堂

 

人の姿形をしている艦娘には燃料や弾薬の補給だけではなく普通の食事を取ることも必要である

しかし、前任は艦娘には粗悪なレーションしか支給しておらず食堂は長らく使われていなかったが提督が白崎になった事で、間宮と鳳翔が食堂を運営することになり初日から大勢の艦娘が訪れていた

 

「あら、エドガーさんじゃないですか、おはようございます」

 

食堂に入ると厨房にいる美人な女性から挨拶される

 

「おはよう、君は…」

 

「給糧艦 間宮です」

 

何故か安心する微笑みで答えてくれた、給糧艦ということは彼女も艦娘なのだろう

 

「間宮か、ところでなぜ俺の名前を?」

 

「もちろんこの鎮守府を救ってくれた恩人なのですから当然です、それに艦娘達の間で話題になってますから」

 

「そういうことか、通りで食堂に入った瞬間からずっと目線を感じるわけだ」

 

「ふふっ…さぁ食堂に来たということはお腹が空いてるんですよね?今用意しますから少し待っていてください」

 

間宮が厨房の奥へと入り何か話し声と物音がする、この大人数の食事を1人で作っているわけがないかとエドガーが考えていると間宮が食事を乗せたトレイを持って戻ってきた

 

「お待たせいたしました」

 

「ありがとう」

 

メニューは白米と味噌汁、エドガーはなんなのかわからないが小松菜のおひたしと焼き鮭だった

 

適当に空いている席を探して座り、使ったことのない箸を近くの艦娘の見様見真似で使って食べ始める

 

「こんなに真っ白な米は見たことないな…パサパサしてないしうまい」

 

「このスープもあったかいし、具材が色々入っていてうまい」

 

「ん、うまいなこの赤い何か、肉かと思ったが違うな」

 

「この緑色の草もうまい、すごいなこの世界の飯は」

 

グルメ番組で食リポさせたら二度と呼ばれなさそうな感想を言いながら食べ進めているとエドガーの元にその体躯には似合わない量の食事をお盆に乗せた2人の艦娘が近づいて来た

 

「エドガーさん」

 

「ん?時雨と夕立か」

 

「隣、いいっぽい?」

 

「別にいいが」

 

そう言うと2人はエドガーの両側に座り、もって来ていた食事を黙々と食べ始める

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「俺に話があるんじゃないのか?」

 

気まずさにエドガーが口を開く

 

「…うん、エドガーさんにお願いがあるんだ」

 

「お願い?」

 

「そうっぽい」

 

エドガーの食べた量を優に超える食事を既に済ませた時雨と夕立がエドガーを見据える

 

「エドガーさん!僕たちを鍛えてください!」

 

「お願いしますっぽい!」

 

「は?」

 

2人が頭を下げると同時に周囲からの視線が突き刺さる感覚がする

 

「鍛えるっつったてなぁ…俺とお前らじゃ使う物も技術も違うからな…」

 

ACと艤装、共通してできることといえば海を滑るように動けることと砲撃ができる事ぐらい

 

「アドバイスしようにもお前らの戦い方は知らないし」

 

自分の戦い方というものは大事だ、それに無理に他人の戦い方を組み込めばそれが命取りになる

 

「なら一度私たちの演習を見てもらったらどうでしょう」

 

「それはいいかも!」

 

「ねーねー、それ私も混ぜてよ」

 

「私も!」

 

「じゃあ編成はどうする?」 

 

「私、提督に許可もらってくるね!」

 

エドガーをほったらかしてどんどん話が進んでいく

いつのまにか静かだった食堂は騒がしくなっていった

 

「俺はいいとは一言も言ってないんだが…」

 

そんなエドガーの声は届かず朝食後の作戦会議の後、昼食後に始まった演習

所属していた艦娘が自分で考えた編成、作戦でこの演習に望んだ

 

白崎は「私が考えようか?」と言ったが断られて、いま執務室で沈んでいる

 

演習が終わり帰ってきた艦娘たちは、「いい戦いができた」だとか「もう少しこうすればよかった」と各々感想を言いながらエドガーの元へやってきた

 

「どうだったかな?僕たちの演習は」

 

「そうだな…お前らはなんの戦い方をしている?」

 

「なんのって…艦だった頃の戦い方だけど…」

 

「そう艦の戦い方だ、敵を探し、砲を撃ち、回避行動を取る、別にそれは悪くないが…問題は近距離戦だ」

 

「近距離戦?」

 

「ああ、何回か拳が届くような距離でも砲で撃ち合っているシーンがあったからな、そういう時は砲は取り回しが悪いし、狙いが読まれやすいだろ?そこに天龍と龍田だったか?そいつらが持ってる刀と薙刀みたいな近接武器や体術が有れば戦術の幅が広がるし、弾薬の無駄な消費も抑えられる、俺がACにブレードを装備してるのもそれが理由だ」

 

「艦の戦い方に人の戦い方を混ぜるのか…」

 

「ああ、お前らは今艦じゃない艦娘だ、艦の戦い方でも十分強いと思うが、人の形をしていることを生かした艦娘の戦い方を生み出すのがいいかもな」

 

「ありがとうエドガーさん、これで僕たちはもっと強くなれるかもしれない」

 

「そりゃ良かった」

 

時雨が感謝の言葉に続き色々な艦娘からお礼の言葉が飛んでくる

 

その多さに対応能力が飽和したエドガーは報酬の件を口実にその場から撤退した

 

「大変でしたね…」

 

「ああ…昼もとんでもない目にあった」

 

「それでエドガーさん、報酬のことなんですが…」

 

白崎が手元の紙に視線を落として内容を述べ始める

 

「エドガーさんのACの整備、修理、そして補給代、そしてその資源を運んできた艦娘達への特別手当などを引いて…」

 

「いくらだ?」

 

「約2300万円です、簡単に調べてみたら普通の会社員の平均年収5年分ぐらいですね」

 

エドガーの前に銀色のアタッシュケースが置かれる、その中には金が詰まっていた

 

「わかった、すまなかったな忙しいだろうな無駄な仕事増やしてしまって」

 

「全然大丈夫です、書類仕事は得意なので!」

 

「ならよかった」

 

笑顔でガッツポーズしながら答える白崎の目の下にはクマが見えるが、3日ほど寝ずにぶっ通しで戦い続けたことのあるエドガーは本人が大丈夫と言うならいいかと特に何も言わないことにした

 

「それで、エドガーさんはこれからどうするんですか?」

 

「そうだな…しばらくはこの金を切り崩しながらまた新しい仕事を見つけようと思う」

 

「ならここで働きませんか?」

 

「ここでか?」

 

「はい、前提督の汚職がバレた際にここの憲兵もそれに加担していたということで、今ここには憲兵がいないんです、そして艦娘達も今は多くの子が元気ですがまだトラウマを持ってる子もいますが私1人だけでは力不足です、なのでエドガーさんにはこの鎮守府の警備や艦娘達のメンタルケアをしてもらいたいんです」

 

「成る程、たしかにアテもないしそれがいいかもな」

 

「なら!」

 

「ああ、その話喜んで受けさせてもらう」

 

「では詳細を説明します!」

 

こうしてエドガーはこの鎮守府に住み込みで働くことになった

説明や詳しい部分の調整が終わった後、限界を迎えた白崎が倒れエドガーが白崎の部屋へ運び、ベットに乗せた瞬間をエドガーを探しにきた暁に見つかり

 

「エドガーさん…あなたならっ…信用できると思ってたのにぃ…」

 

「まて、誤解だ」

 

こんなやりとりがあったとか

 

少なくともエドガーはまた暁達の部屋で寝ることになった

 

 

 

 

 

 




エスコンのDLCが楽しみでしょうがない

最近APEXの武器構成が近接戦にセンチネル、中遠距離にロングボウとかいう意味がわからない構成になった

8キルした


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話

プロジェクトウィングマンばっかやってたらエスコン7が出来なくなった


「動けん…」

 

再び暁達と寝ることになったエドガーはまた抱き枕にされていた

 

前回と違うのは二の腕を枕にする形で響と電が胴体に抱きついており、その2人がいた場所に姉2人が移動している

 

男の体なんて固くて寝にくいと思うのだが

どちらにせよ動くことも寝ることもできなかった

 

「大変でしたね…」

 

「一言一句同じことを提督に昨日言われたよ」

 

暁達が目覚めた後エドガーは明石と夕張と共にACの点検をしていた

 

「それにしてもすごいな妖精とやらは、中身も新品同然だ」

 

「よほど妖精さんにに好かれてるんですね、普通は壊れたところの修理してくれませんよ」

 

「そうなのか?」

 

横でエドガーの手元を見ている妖精に目をやる

いかにもえっへんといった感じで胸を張っていた

 

「ありがとうな」

 

そんな妖精の頭を人差し指でぐりぐりすると今度はきゃーっといった感じでエドガーの指を抑えようとしていた

 

『ヤメテヨー』

 

「ん?そうかすまなかった」

 

妖精の抗議により頭から指を離す

まるっこいの顔がさらに膨らんでいた

 

「さて、ここらへんでいいか」

 

作業を切り上げACから降りる

妖精達の働きにより、AC自体のガタがくると言う心配も取り除かれた為、もう何も心配することはないが

 

「面倒事が残ってるな」

 

最初に入れられていた独房へ足を運ぶ

相変わらず鉄とカビ臭い通路を抜け目的の部屋へと辿り着く

 

「来たんですね、パイロット」

 

扉越しにクローリクの声が聞こえる

足音だけで誰なのかを判断したのだろうか

 

「ああ、頭は冷えたか?」

 

「はい、申し訳ありませんでした、あの時はパイロットに会えた喜びであまり物事が考えられなかったんです、もうあのような事はしません」

 

「どうだか」

 

鍵を開け扉を開く

中ではクローリクが正座をしてこちらを向いていたが、顔は俯けて耳は垂れ下がっていることから反省はしているのだろうと考えた

 

「まぁお前がそう言うならいいか、ほら出てこい」

 

そうエドガーが促すとクローリクは立ち上がり独房から出る

 

「さて、俺はこれからこの鎮守府で過ごすがお前はどうする?」

 

「どうするも私はパイロットのACです、AC(わたし)が壊れない限り、パイロットが(AC)を捨てない限り、どこまでもいつまでも一緒にパイロットと共に」

 

「そりゃそうか、それじゃあこれに着替えろ」

 

背負っていたカバンの中から白崎に借りた服を取り出しクローリクに渡す

 

「そんな格好でうろつかれても困るからな」

 

クローリクの服装は典型的なバニーガールの格好である、特にエドガーはなんとも思わないのだが、明石がぼそっと「趣味…?」とつぶやいたのを聞き逃さなかった

 

「ありがとうございます」

 

「俺はACのところで待ってるから、着替えたらこい」

 

クローリクが再び独房に戻りエドガーはACのところへ戻る

再び暴れようものならもう一度独房に突っ込むつもりでいたが、あの時の勢いはどこへやら、すっかり大人しくなっていたので少しホッとしていた

 


 

最初にあった時、パイロットが他の雌の匂いをつけていた

 

恨めしい、妬ましい、せっかくあのハエがいなくなってくれたと思ったのに

 

急いでその匂いを上書きしようとしたけどパイロットに断られてしまった上にこの独房に入れられた、出ようとしたらACを自爆させると言ってきたから本気で怒ってるんだなと思った

 

でもパイロットは(AC)を必要としているし、深海棲艦にダメージを与えられるのは私という妖精がいるから、だから不安はなかった

 

独房に入れられている間に計画を立てておこう、今の私ならACに戻れば好きなように動かせる、あいつらなんて簡単に殺せる

 

そして遠隔操作できないか試すと、なんとか起動とモードの切り替えはできたがそれ以上は負担が大きすぎて出来なかった

 

まずはこれでパイロットのことでも見ていようと思い、スキャンモードを起動した瞬間、そこにはパイロットと楽しく談笑する雌が目に入った

 

『あれ?今ロボット目が光りませんでしたか?』

 

『ん?そうか?、壊れてたら嫌なんだが…しばらくは使う予定もないし一回しっかり点検しとくか』

 

『大切にしてるんですね』

 

『そうだな、ずっとコイツで戦ってきたから愛着も湧くし、コイツはいつまでも必要な存在だからな』

 

他の雌と話しているのは嫌だが、パイロットに大切だと言ってくれたおかげで私は幸せに包まれる

 

『そういえば、あの妖精はどこへ?』

 

『独房の中だ、補給とか整備とかの心配事が減ったと思ったら、あの面倒事が…』

 

ACとのリンクを切断する

 

聞いていない私はなにも聞こえなかった

そう思ってもその言葉は私の頭の中にこびりつく

パイロットは私じゃなくてAC()を必要としているんだ

 

私が1番わかっているはずだ、パイロットはいらないと思ったものを容赦なく切り捨てていくことを

 

気づけば私は床に倒れていた、あまりのショックで気絶したんだろうか

 

コツコツとこちらに近づいてくる足音を私の大きな耳が捉える

 

パイロットだ

 

まだ私を必要としてくれるのだろうか、ならもう二度とパイロットの気に入らないことはしない、自分勝手なことはしない、パイロットが私がいないとダメだと思ってくれるまで、私のことを愛してくれるまでこの衝動はしまっておこう

 

でも、もし私を捨てるんだったら

 

「私はウサギではないので、寂しくても死にはしませんが…何をするかはわかりませんよ…?」

 

パイロットに私以外何も無くなるまで全部壊してやる

 

 

 




シューティングとしてはプロジェクトウィングマンが
フライトシューティングとしてはエースコンバットが好きです

DLCが微妙に金額足りなくて買えなくて泣いてます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九話

感想、高評価お待ちしております


エドガーの請け負ったカウンセリングの仕事は意外と早く回ってきた

 

とある艦娘から相談を受けたことや、まだ無事が確認できていない艦娘のデータをまとめ終わった白崎立案の『鎮守府の皆んな元気になろう大作戦(命名、夕立)』によりエドガーも艦娘のカウンセリングに行くことになったのだ

 

「急すぎないか?」

 

「そうですね…でもずっと放っておくわけにもいかないですし、それに…」

 

「まぁ士気に関わるな」

 

いまエドガーに第六駆逐隊が抱きついて泣いている

理由はドックで幽霊を見たからだそうだ

 

なんでもいきなり資材置き場から出てきて第六駆逐隊を一瞥した後すぐに海に出ていったらしい

 

こんな鎮守府だったら怨念とか未練とかであり得ない話ではない

 

普段クールな響ですら目に涙を溜めているのだからの迫力は凄まじいものだったのだろう

 

「で、アテはついてるのか?」

 

「はい、おそらくこの鎮守府でまだちゃんと確認が取れてない子のうちの1人伊58ちゃんかと」

 

「了解、でその伊58はなんで海に?」

 

「資材集めだと思います、聞いた事があるんです、オリョール海へ潜水艦を出撃させ資材を集めてくるという方法を、伊58ちゃんはそれを永遠に繰り返しているんだと思います」

 

「永遠にか…そりゃかなりまずいな」

 

そんなことをしていれば身体も精神もズタボロになっているだろう、そりゃ幽霊にも間違われる

 

「しかもその海域はそれなりに危険です、もう制海権も取り返されているような場所、いまの艦娘達の状況ではまず到達すら不可能でしょう」

 

「そこで俺の出番か、わかったすぐに行こう」

 

「伊58ちゃんをよろしくお願いします」

 

執務室から出てガレージへ向かうそこにはすでにクローリクが待っていた

 

「出撃ですか」

 

「そうだ、無茶してる艦娘の捜索救難、できるか?」

 

「勿論です」

 

「よし、行くぞ」

 

ACに乗り込み、海へ出た瞬間

 

「ハッ!クローリクは!」

 

クローリクを乗せてないことに気づく、深海棲艦にダメージを与えられるのはクローリクの力によるもの、そのクローリクがいなければこっちがやられてしまう

 

『ACの中ですパイロット』

 

COMがエドガーの問いに応える

 

「もしかしてクローリクか?」

 

『はい、私はACの魂のようなものです、私がいなければそもそもACは動きません』

 

誇らしげにしゃべるCOMに少し違和感を覚えるが、戦えるのなら問題はない

 

進路を伊58が向かう海域へと向け直す

 

「伊58の位置を予測できるか?」

 

『出撃した時間が分からないので詳しい位置は分かりませんが、体調が万全じゃないのであれば…』

 

「そう遠くまでは行けないか…」

 

『大雑把な予測範囲を出します、時間をかければ範囲は広がっていくので急いだ方がいいかと』

 

「そうだな…リコン用意、しらみつぶしに行くぞ」

 

『了解』

 

グライドブーストを起動しクローリクの出した円状の予測位置をリコンを撒き続ける

 

「どうだ」

 

『反応ありません、リコン残弾30%』

 

「鎮守府に戻って、待った方がいいかもしれないが…それで今回とうとう沈みましたじゃ嫌だしなっ!!」

 

遠くで爆炎が見え反射的にハイブーストで横に移動する

次の瞬間元いた場所には大きな水柱が立った

 

『リコン07に反応あり、数17、深海棲艦です』

 

「おいでなすったか」

 

『敵勢力、駆逐5、軽巡2、重巡3、戦艦5、空母2、うち戦艦3隻、空母2隻、重巡1隻がフラグシップ、他はエリートです、撤退を推奨します』

 

数はそこまでじゃないが一個体の性能がかなり高い

いくらACとはいえ、いくらかの損傷は確実だろう

 

「そうしたいが、ここが58の目的地だ、尻尾巻いて逃げてみろ、確実に沈められるぞ」

 

『お人好し…システム戦闘モード』

 

「こちらエドガー、オリョール海にて敵勢力と遭遇、交戦する、増援はいらない」

 

『了解、貴機の幸運を祈ります』

 

鎮守府への報告は終えた

 

「やるか」

 

そう呟くと同時に敵が一斉射を放つ

頭がいい、さっきのハイブーストを見たからか一点を狙うのではなくACの周囲を囲むように撃ってくる

 

「舐めるなよ」

 

ハイブーストを2回連続で行う、エネルギーは大量に消費するがジェネレータの出力が高いので問題はない

ACの回避方向に対応して攻撃してくる艦載機はCIWSで対応

そして避けると同時にライフルで射撃、クローリクが意図を汲んでくれたかのようにロックを様々な敵に変更し、この一瞬で多くの敵へ攻撃する

 

『ACの操縦の補助である神経接続の応用です、パイロットの思考を読むなんて造作もありません』

 

「ほう、便利だなっ!」

 

ライフルの榴弾の煙の中から戦艦の徹甲弾が飛んでくるのを間一髪で避ける

重巡までは撃破可能だが、やはり戦艦には弾かれる

もう戦艦には撃たない方がいいだろう

 

『リコン03及び05に反応、個数それぞれ12と11』

 

「増援か!」

 

囲まれるのは流石にまずい、タンクと同じだ、いくら重装甲だったとしても複数に囲まれたらひとたまりもない

 

「チッ!」

 

埒があかないと一気に距離を詰めブレードを振るが

 

「避けた⁉︎」

 

戦艦はその場でかがみブレードを回避する

切られた片方の盾の破片が宙を舞った

 

「クソッ‼︎」

 

すぐさまハイブーストで反撃を回避する

駆逐から重巡そして空母は撃破したが強靭な装甲を持つ戦艦が厄介だった

 

「ライフル撃ち込み続けるか?そうすりゃ鎮守府の弾薬すっからかんだな」

 

もう一度ブレードで攻撃を仕掛ける

今度は海ごと切るように上から振り下ろす、今度は回避できない悟った戦艦は2枚の盾を重ねるが意味をなさずバターのように盾ごと切断される

 

『敵機直上‼︎』

 

「援軍の奴か!」

 

もう一隻もやろうとした瞬間、とうとう敵の援軍の艦載機が到着した為ブレードではなくハイブーストで突進、爆撃を回避しつつ戦艦を蹴り飛ばす

 

「数が多い…面倒だ」

 

こうしている間にも敵の増援はこちらに迫ってくる

 

潮時かと思った瞬間リコンから反応がひとつ消える

さらに2つ3つと反応が消えていく

 

『敵グループB撤退を開始、グルーCもです』

 

「なにが起きてんだ?」

 

いつのまにか艦載機も引き上げている、さっきまでの騒がしさが嘘のように静かだ

 

「もしかして58か?」

 

『補給も整備もできてないのに敵の撃沈ができるんですか?』

 

「聞けばわかるさ」

 

無線をオープンにして呼びかける

 

「助力してくれた所属不明の艦、私は…、ぁー…鎮守府所属の戦闘員だ、聞こえていたら返事をしてほしい」

 

エドガーは自分の所属する鎮守府の名前を知らない、正確には白崎は説明していたがエドガーが聞いていなかったのである

 

そんな怪しさ全開の呼びかけに相手は答えてくれた

 

《なんでこんなところに人がいるでちか》

 

「提督のお願いで君を助けにきた、まぁこっちが助けられたがな」

 

《あの提督がそんなこと言うとは思えないでち》

 

「あの提督ってのは趣味悪いおっさんのことか?そのことなら安心していい、もうそいつはいない」

 

《そうでちか》

 

足元でざぱっという音がする

 

下を見れば魚雷を抱えた伊58と思われる艦娘がこちらを見ていた

資料で見た58とは随分違う、髪が伸び放題でもはや前が見えているのか不安になる

セーラ服はところどころ破れていて黒く染まっているところがある、おそらく固まった血だろう

 

「なら早く帰りたいでち、イムヤ達が待ってるから」 

 

「ああ、そうしよう」

 

58をACに乗せる

 

「ところでイムヤって誰だ?」

 

「伊168の事でち、ゴーヤの大切な仲間の1人でち、伊8も伊19も」

 

「そうか…」

 

この時エドガーは疑問を抱いていた

白崎がまとめた書類には伊168、伊8、伊19の名前はかった

 

無事が確認できているのか、それとも

 

疑問が嫌な予感に変わっていく

 

「チッ、俺の嫌な予感は当たりやすいのにな…」

 

「え?」

 

「なんでもない、鎮守府へ戻ろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




低評価、罵詈雑言、受け付けております


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十話

これ何ヶ月放置してたんだ? 
お久しぶりです


「このロボットはなんでちか?」

 

「詳しいことは省くが、まぁ別世界の兵器だ、俺はこいつと一緒にこの世界へ飛ばされたのさ」

 

「不思議なこともあるもんでち」

 

「まったくだ」

 

そんな雑談を繰り返していたらあっという間に鎮守府へ到着する

 

「58」

 

「ゴーヤでいいでち」

 

「そうか、とりあえず入渠してこい、そしたら白崎提督のとこ行くぞ」

 

「じゃあイムヤ達も連れてくるでち」

 

ACから降りたゴーヤは艦娘寮へと向かう、かなりフラフラしているが大丈夫そうだとエドガーは思う

 

「それじゃ、白崎のとこにでもいくか、お前の部屋をあてがってもらわなくちゃな」

 

「了解です」

 

58の事を報告しに本館へ入ると目当ての人物はすぐに見つかった

 

「おーい、白崎…うおっ⁉︎」

 

呼び止めた白崎は少女の死体を抱いていた

身体中は血に塗れ、ところどころ肉が抉られそこから腐敗が進んでいるのか紫色の染みが広がっている

 

「エドガーさんこの子達を運ぶのを手伝ってください‼︎」

 

「運ぶったって何処に?」

 

「入渠施設です早く!まだ地下にいますから!」

 

「おい!ちょっとま…」

 

呼び止める間も無く、白崎は工廠の方へ走り去っていった

 

「なんだってんだ…」

 

運べと言われたがそもそも地下の場所がわからないため、どうしたものかと立ち尽くしていると白崎が走って行った方向から1人の艦娘が走ってくる

 

「エドガーさん!いいところに!」

 

「君は確か古鷹だったか、提督から話は聞いてるから案内してくれ」

 

「はい!こっちです!」

 

古鷹について、艦娘寮から本館へと向かう

 

そこに向かうまでに戦艦や空母などの艦娘が白崎と同じようにボロボロの少女を抱いて走っていった

 

「ここです!」

 

「執務室か?」

 

目的地は本館と艦娘寮を繋ぐ通路のすぐ横にある掃除が終わっておらず使われていない本来の執務室だった

 

「はい!ここに地下に通じる隠し扉があって、そこに…」

 

「わかった、急ごう」

 

執務室に入ると豪華な家具が大量に目に入った

エドガーはそういったものに疎いが、どれもこれも相当値が張るものだということはわかった

 

そしてその豪華な部屋の壁に、人が1人余裕で通れそうな程の穴が空いていることに気づく

 

「この先だな」

 

穴の中には階段があり所々で照明が明るく光っている

奥からは嫌な事にエドガーが一番嗅いだことのある臭いが漂ってきた

 

「肉が腐る臭い…戦場はどこも似たような匂いがするな」

 

階段を降り地下へ向かう

クローリクは途中まで着いてきたが、感覚が鋭いため臭いにやられて離脱した

 

「ここです」

 

そして正面に見える吹き飛んだであろうドアがあった場所をくぐると、階段よりは広い通路に出た

そこはエドガーが最初入れられていた監獄のような両隣にドアが並び、その大半は開け放たれている

 

試しに一つの部屋を覗いてみると

 

「これはまた…前任は艦娘を虐げるために提督にでもなったのか?」

 

部屋なの中には拷問器具が散乱しており、そのどれもに血がこびりついている

壁から垂れ下がった鎖の下は汚物と血が混ざり合った物が溜まり、壁には真っ赤な文字で『助けて』と書いてある

ここで艦娘達に対して何が行われていたかは知るまでもなかった 

 

「エドガーさん、早く!この部屋で最後ですッ!」

 

通路の奥にいた古鷹が固く閉ざされた鉄の扉を蹴破り中に入る、それに続き中に入るとそこにはそこには鎖に繋がれたままの艦娘が3人床に横たわっていた

 

「まさかお前らイムヤにイク、それとハチか?」

 

血だらけ傷だらけではあるが、その特徴的な髪色とスク水という服装はゴーヤから聞いた通りだった

 

「知ってるんですか?」

 

「いや、さっき58から話を聞いただけだ、さっさと運ぶぞ」

 

古鷹がイムヤを抱え、エドガーがイクとハチを担ぎ入渠施設へ急ぐ

ゴミ箱に顔を突っ込んで嗚咽するクローリクには今は構っていられなかった

 

「どっちだ!」

 

「こっちです!」

 

古鷹に先導され着いた入渠施設は大混乱だった

資材を運ぶ者、バケツを運ぶ者、浴槽の横で仲間の名前を呼び続ける者

 

「そりゃ死にかけの艦娘が十数人も来たらこうなるか」

 

「古鷹さん!エドガーさん!重傷者はこちらへ!」

 

明石が艦娘の修理を行うドックである浴槽の横でこちらを呼んでいる

 

「ここにイムヤちゃん達を」

 

「分かった」

 

イムヤ達を浴槽に入れる

いくらか顔が穏やかになった気がした

 

「あとは任せてください、入渠さえしてしまえばもう大丈夫です」

 

「ああ、それにしてもすごいな艦娘ってのは、こんな大怪我負っても死なない程頑丈で入渠すれば元通り、そりゃ無茶な進撃も、こんな扱いも生まれるわけだ」

 

そのエドガーの言葉に明石が不機嫌な声で反応する

 

「じゃあ、貴方はこの扱いが妥当だとでもいうんですか」

 

「かもしれないな、それに真っ当な理由があるなら」

 

「理由…ですか?」

 

「戦争ってのは勝つためにするんだろ?そのために俺やお前らみたいな一兵士がいろんな形で犠牲にならないといけない、その犠牲が勝利に繋がれば報われる…犠牲なった理由ができると思う、だが、こんな前任の一個人の私利私欲のためにお前らが犠牲になるのは違うと思うよ、俺は」

 

「そう…ですか、申し訳ありません、さっきは嫌味ったらしく…」

 

「いや、あれは俺が悪い、お前達の前で言うような事ではなかった、すまなかった」

 

これ以降2人は言葉を交わすことなく黙々と艦娘の手当てを続けた

怪我を負っている艦娘は地下にいた12人、「伊168」「伊19」「伊8」「如月」「菊月」「鹿島」「阿賀野」「瑞鳳」「熊野」「羽黒」「摩耶」、「山城」だけではない

 

一部の艦娘達も動けているというだけであって第三者から見れば九割が重症だというだろう、そういった子達らは応急手当てでその場を凌ぐ

 

なにしろ動かせるドックは2つしかないのだ

バケツを使えば傷はすぐに治るが、それも前回使ったことにより地下にいた艦娘達の分しかない

艦娘の修復をまともに行うことはなかったのになぜこんなに貯蔵量が少ないのか、もちろん前任がせっせっと他の鎮守府に売り捌いていたからである

 

「ありがとうございます…」

 

「しばらく安静にしておくんだ」

 

今手当てしていたのは朝潮という艦娘、傷口を見るに塞がりかけていたのがまた開いてしまっていた、恐らく防空棲姫の時だろう

 

「エドガーさん」

 

「なんだ?朝潮」

 

いつのまにかそばに来ていた朝潮がエドガーに問いかける

 

「なんで皆んなはこんな目に遭わなくちゃいけなかったんでしょうか」

 

声自体はとてもか細かったが、確かな怒気をはらんでいた

 

「さぁな…人間ってのは欲深くて自分勝手なもんだ、自分が望むものの為に他人を不幸にする奴なんていくらでもいる」

 

「私達が命をかけて守ってきたのはそんな奴等だったんでしょうか」

 

真面目な朝潮の口調が少し荒れる

 

「まぁそうだろうな、お前が守ってきた人間の中にはそうい奴らがいるだろうな、でも…結構良い奴だっているさ、白崎みたいにな」

 

艦娘の手当てを続ける白崎を見る

真っ白だった提督の制服は今では血で赤黒く染まっていた

 

「人間はだいたい3つに分けられる、白崎みたいな良い奴、前任みたいなクソみたいな奴、そしてそのどちらでもない奴、割合で言え1.7.2ぐらいだ」

 

「そんな、たった1の為に私達は戦うんでしょうか」

 

「あー…いや、これは俺の世界の感覚だな、こっちの世界のことは知らんからな、まぁどちらにせよ人を守らなきゃこの鎮守府を支援してくれる人達も居なくなっちまうからな…そうだ、俺が何のために戦ってるかわかるか?」

 

「お金のため…でしょうか」

 

「そうだ、正確には生きるためだが…お前らが戦う理由ってのは何だ?」

 

「それは…提督からの命令で…」

 

「提督からの命令でお前らは戦っている、そしてそれは何のためだ?」

 

「姉妹や鎮守府の皆んな…大切な物のためです」

 

「なら答えは出たな」

 

「何でしょうか?」

 

少し屈み朝潮と目を合わせる

 

「お前が守るものは人間じゃない、仲間を守る為に戦え、仲間が…そして自分自身が死ぬことがないように、この戦争を生き延びれるように、そうすりゃ勝手に人間も守れるさ最前線に、そして最終防衛線にいるのはお前らなんだから」

 

朝潮の頭をわしゃわしゃと撫でる

 

「…エドガーさんはいい人です」

 

「そうか?俺はクズだと思うぞ、これだって金の為だからな」

 

「それでもです」

 

「そうか」

 

朝潮が頭の上にあるエドガーの手を取り、それを頬のところへ持っていく

 

「本当にひどい人はこんなに温かくありません、私…頑張ります、訓練も実戦も、仲間を守れるように、2度とこんな悲劇が起こらないように…今は守ってもらってもばかりだけど…貴方の事も守れるように」

 

「言うじゃないか、楽しみにしてるよ」

 

そう言うと朝潮は声を上げて泣き始めた、抑えていたものが溢れ出したんだろう

 

「霞、頼めるか?」

 

すぐ後ろにいた朝潮の妹である霞に、朝潮のことを任せる

 

「…ありがとう」

 

去り際にそう言って、霞は朝潮の手を引いて寮へと戻っていった

 

「…仲間か」

 

以前自分が殺した戦友を思い出す

 

「報酬のために殺しておいて、友なんて思うのはおこがましいか」

 

エドガーにとって唯一友と呼べた存在は今の言葉を聞いてどう思うのだろうか

 

「まぁ、今更どう思ったって遅いか」

 

反省はしても後悔はするな、エドガーの師匠が最後に言った言葉を思い出し、立ち上がる

 

とりあえずゲロ塗れであろうクローリクを回収しにエドガーは入渠施設を去った

 

 

 

 




次回みんな大好きフレンチクルーラー


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話

タイタンフォール2楽しい


地下の一件からやく一週間、囚われていた艦娘達は姉妹艦や白崎の努力により少しずつだが立ち直り始めていた

 

他の艦娘達もようやく全員の修復が完了し、鎮守府としての体制が整ってきたと思えたが

 

「弾が…ない」

 

弾薬がかなり少なくなっていた

その原因はもちろんACである、鋼鉄の消費量は今まで長い間修理されてなかった細かい部分も前回修理されたため大幅に減少し、燃料はACをシャットダウンした際にジェネレーターに残っていたエネルギーは空っぽになるのだが、それを妖精さんが満タンにしたためとんでもない消費量が生まれていたということが判明し、ジェネレーターを動かすための燃料分だけで良くなったのでこちらも大幅に減少したが弾薬だけはそうはいかなかった

 

前回の戦いでライフル2丁を合計で200発消費し、その消費は約4000、このことからだいたいライフル1発で20の弾薬を消費することが判明した

 

現在弾薬の量は主力部隊が2回運用できるほどしか残っておらず、動ける部隊のほとんどは遠征もしくはこちらへ弾薬を運ぶ輸送船の護衛へと向かい、鎮守府の防衛と哨戒は空母の艦載機が行なっていた

 

では出撃を制限された戦艦や重巡などの遠征に行くには資源の消費量が多すぎる艦娘達は何をしているのか、大抵は各々暇を持て余しつつ、自由に過ごしている

それは現在鎮守府最高戦力である長門も例外ではなく

 

「エドガー殿、手合わせを願えるか?」

 

「別にいいぞ」

 

こうして始まったエドガーと長門の柔道の手合わせ、結果は言うまでもないが、力で勝っても技量で大幅に劣るエドガーが惨敗して終わった

 

ちなみに艦娘は艤装がなければ見た目相応の力しか出すことができない

リミッターか何かだろうかとエドガーは長門に背負い投げを決められ、宙を舞いながら考えていた

 

「ふぅ…ありがとうエドガー殿、楽しかったよ」

 

「そりゃよかった」

 

長門の感謝の言葉にエドガーは仰向けになりながら答える

1時間ぶっ通しで投げられていたため、三半規管に少なくないダメージが入っていた

 

「立てるか?」

 

「ああ、少し待てば大丈夫さ」

 

「すまないな、つい夢中になって…」

 

「何かに夢中になれるのは良いことさ、ただ今度からは程々にな」

 

「肝に銘じておく」

 

長門から差し出された手を取り立ち上がるが、まだ回復しきっていなかったのか、ふらふらとバランスを崩し、近くの壁に頭をぶつける

 

「痛っ」

 

「フッ…」

 

「笑うな笑うな、頭だけじゃなくて心も痛くなる」

 

「すっ…すまない」

 

そんな2人の様子をクローリクが禍々しいオーラを放ちながらドス黒い瞳で眺めていたのだが、それに気づいたのはエドガーを探しに来た暁と電だけである

 

「で?何でそんな不機嫌なんだ?」

 

「別に…何でもありません」

 

「あっそう、調子悪いなら休んどけ」

 

長門と別れた後は、ACの整備をしていたのだが、手合わせの後どころか地下の一件からずっとクローリクが不機嫌なことに疑問を覚えていた

エドガーはあまり関わらない方がいいかと思い深掘りしなかったが、むしろこれは原因がエドガーにあるため関わってやった方がいい問題である

 

「さて、終わったな」

 

機体の最終チェックを終え、外部点検用のアクセスドアを閉じる

異常は一切見られず、妖精の頑張りがうかがえる

妖精は甘味を好むため、また今度間宮のところで何か買ってこようとエドガーは考えた

 

「お疲れ様です」

 

「ああ、というかお前がやった方がいいんじゃないか?自分の身体だからどこがおかしいかわかるだろ」

 

「私ができるのは自己診断プログラムを走らせることぐらいです、細かいところは知識のある方に診てもらわないと分かりません」

 

「そうか、確かに自分の身体だからって何でもわかるわけじゃないか」

 

「それよりも、作業開始から既に6時間が経過、食事を摂ったほうがよろしいかと」

 

クローリクに言われ時計を見れば針は夜の9時を指していた

ハンガーの外に見える港は夜の暗闇に包まれ、クレーンと到着したのであろう輸送船の赤色灯がポツポツと光っている

 

「待たせて悪かったな、食堂はまだ空いてるのか?」

 

「食堂が開いているのは8時50分までです、それ以降は各自で自作とのことです」

 

「なるほど惜しかったな、お前は何か食うか?」

 

「パイロットが何か食べるのなら」

 

「そうか」

 

後始末を終えて食堂に行こうとハンガーを出ようとした時、目の前の扉が大きな音を立てて開いて白崎が現れた

 

「エドガーさん!!」

 

「なんだいきなり、ゴキブリでも出たか?」

 

「違います!そんなことじゃありません!大変なんです、5時間前に前線の八丈島鎮守府が正体不明の敵に襲われて壊滅しそうだということで周辺の鎮守府に出撃命令が出たんです!」

 

「大変だな、だがなんで今頃?」

 

「それが…さっき送られてきた敵の写真なのですが、これってエドガーさんの世界の兵器じゃ…」

 

「なんだって⁉︎」

 

白崎が持っていた写真を奪うようにして取る

その写真はピンボケしまくっていたが巨大な敵を識別するには十分だった

 

「コイツは…また面倒なものが…」

 

写真に写っていたのは、この世界に来る前にも撃墜したフレンチクルーラーこと「GLAY LOTUS」だった

 

「白崎、目的の鎮守府までは何キロだ?あと、艦隊は出てるのか?」

 

「約300キロ、第一艦隊が向かっています」

 

「そうか…、到底間に合うとは思えないが…俺も出る、出撃中の艦隊も借りるぞ」

 

「わかりました、でも作戦とかは…」

 

「道中で説明する、行くぞクローリク」

 

「了解」

 

ACを起動させ海岸に移動する

今回は使い所のなさそうな左手のブレードを装備せず、機体を少しでも軽くして速度が出るようにしていた

 

しばらく待っていると通信が入る

 

《こちら第一艦隊長門だ、エドガー殿聞こえるか?》

 

「ああ聞こえるよ、」

 

《提督から話は聞いている、これより第一艦隊はエドガー殿の指揮下に入る》

 

「わかった、長門編成は?」

 

《私をを旗艦に陸奥、比叡、霧島、赤城、瑞鶴だ》

 

「なるほど…赤城、瑞鶴、艦載機は?」

 

《こちら赤城です、零戦五二型、彗星、零戦六三型を装備しています》

 

《瑞鶴よ、こっちも同じ装備》

 

「了解した、これからお前らにやってもらいたい動きを目的地に向かいながら説明するから聞いてくれ」

 

《わかりました》

 

グライドブーストを起動し、常闇の海に出る

 

「まず、敵の情報からだが、呼称はGLAY LOTUS、8枚の板を樽にくっ付けたみたいな物が空を飛んでる…俺らの間ではフレンチクルーラーなんて呼ばれたりしてるな」

 

《なんか…美味しそうな名前ですねぇ》

 

「だが実際はかなり厄介な代物だ、まず攻撃手段だが無数のビット…まぁレーザーを放ってくる小さな飛行物体が大量に出てきて四方八方から撃たれて穴だらけにされる、これがメインだな」

 

《なにそれ怖っ》

 

瑞鶴がビビるがエドガーは構わず続ける

 

「そして直下の敵に撃つレーザー砲、これはレーザー対策をしてきた機体でも喰らえばタダじゃ済まない、次に防御力だが、装甲はそこまで厚くないが8枚の板についたブーストで高速回転してどんな攻撃でも弾いてくる」

 

《そんなのに私たち勝てるんでしょうか…》

 

ACがいるとはいえ、どう考えても自分達だけでは勝てなさそうな敵の情報を聞き、比叡が不安そうにつぶやいた

 

「そこでさっき言ってたお前らにやってもらいたい動きなんだが、まず俺が先行して囮になる、そして出てきたビットを空母の艦載機で墜としつつ、爆弾を持ってる奴はロータスを攻撃して欲しい、攻撃のタイミングだが、奴はちょくちょく回転と動きが止まる、その時がチャンスだ、長門達もその時にありったけの砲弾を喰らわせろ」

 

《了解》

 

「よし、赤城、瑞鶴、艦載機を飛ばしておけ、行くぞ」

 

出力を上げ、作戦区域へと急ぐ

約400キロのACの速度ならば1時間ほどで辿り着ける

 

『パイロット1人でも十分では?』

 

「アホか、鎮守府の資源が弾薬だけじゃなく銅材も吹っ飛ぶぞ」

 

『申し訳ありません…』

 

「まぁいいさ」

 

そして40分ほど海上を進み続けていると、目の前でポツポツと閃光が見えた、まだ交戦は続いているらしい

他の鎮守府の増援が間に合ったのだろうか

 

『パイロット、前方に複数の艦娘のシグナルを確認』

 

明石と夕張が取り付けた電探が艦娘の反応を拾ったとクローリクが報告する

 

「なんだ?他の艦隊か?」

 

『それにしてはかなりバラけています』

 

急に現れた艦娘のシグナルを疑問に思うが、その答えはすぐに出ることになった

 

『やはり…』

 

「そりゃ…こうなるよな」

 

シグナルの正体は海面に浮いている艦娘達だった

生死は分からないが、ほぼ全員レーザーにより体の一部が欠損するか穴が空いており、傷口は焼け焦げている

酷いものは直上から食らったのか体の右側を失っているものもあった

 

戦闘モードに切り替え、外の景色の色がしっかり映し出されると海が赤色に染まっていることもわかった

 

「長門、聞こえるか?」

 

《どうした?》

 

「俺がいる海域に大勢の艦娘達が浮いてる、大丈夫な奴だけ生存者を探しにきて欲しい」

 

《……了解》

 

「はぁぁぁ…」

 

長門との通信が切れたのを確認したあと、深いため息をつく

 

「こういう事がある分、こっちの戦争の方が嫌になりそうだ」

 

海面に浮く、下半身を失った暁を見ながらそう思う

別人とはいえ同じ姿、性格まで一緒なのかは分からないが、大人に憧れて背伸びをしていた幼いこの少女ですら戦場に出て、こうして散っていくのを見ると心が痛む

 

「不思議なもんだ、少年兵が死んでるところなんざ、いくらでも見てきたってのに」

 

再び目的地に向けて移動を開始する

その道中も、生死不明の多くの艦娘が海面を漂っている

目的地に近づくにつれて煙を上げていたり、燃えていたりするのも現れた

 

『パイロット、無線を起動して到着したことを知らせた方がいいかと、この見た目では敵と誤認される危険があります』

 

「確かにそうだな…こちら増援の浜松鎮守府所属の傭兵だ、誰か聞こえるか?あと数分で戦闘区域に突入するから撃たないでくれよ」

 

呼びかけてから10秒ほどで返答が入る

 

《こちら八丈島鎮守府所属の神通です!支援感謝します‼︎》

 

「神通、現在交戦している敵はお前らじゃどうにもならない、今すぐ撤退して後ろにいる俺の艦隊と合流しろ」

 

やっと上空に浮かぶロータスを捉える

ブースターの炎を撒き散らしながら回転し飛んでくる砲弾を全て弾いていた

 

《どういうことですかいきなり…私たちに鎮守府を捨てろというんですか⁉︎》

 

「捨てさせはしないさ、だがこれ以上無駄死にを増やすな」

 

グライドブーストの推力を下方に集中させ、それに加えて脚部のブースターも起動する

エネルギーの大半を消費して大ジャンプを行い、一気にロータスよりも上に上昇しブレードの刃を展開する

 

《なっ⁉︎》

 

「墜ちろ」

 

なんて言っているがエドガーは一切これで墜ちるとは思っていない

その予想通り、ロータスは横にハイブーストを行いエドガーの攻撃を躱した

 

目的はACに注意を向け、交戦していた艦娘を撤退させるためである

 

《貴方…もしかして…》

 

「まだいたのか、早く下がれ!レーザーに焼かれたくなきゃな!」

 

《…了解、私たちの鎮守府をお願いします、総員撤退‼︎》

 

神通の命令で艦娘達の反応がレーダーの範囲外に次々と消え、目論見通りロータスは撤退した艦娘への攻撃をやめ、こちらに大量のビットを飛ばしてくる

 

「さて、ダンスの時間だ」

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話

なんだかんだ生きてます、はい

Armored Core Ⅵ発売決定ヤッタァァァァァアアアアアアアア!!!!


リコン発射機に詰めていた照明弾を打ち上げる

パンッという破裂する音が聞こえると同時に辺り一帯が白く照らされた

 

「赤城、瑞鶴!出番だ!」

 

基本的に夜間は艦載機が戦闘できない

なので照明弾で敵を照らす、それでも見にくくはあるだろうが

 

「想像以上に墜としたな、いい腕だ」

 

雲の上から急降下してきた零戦隊は複雑に動き回るビットを的確に墜としていく

これによりビットは大きく数を減らし、かつ一部が零戦隊の対処に回った為、エドガーに向かってくるビットの数は最初の三分の一程度になっていた

 

これならそうそうレーザーに当たることはない

 

グライドブーストを起動しつつハイブーストで不規則に進路を変えながら回避行動をとり続ける

とにかく弾薬の消費だけは抑える為に反撃はせずに、ロータスの息切れを待つ

 

『こちら長門、配置についたぞ、八丈島所属の艦娘も何人かが砲撃に参加する』 

 

「了解!もう少し待ってろ!」

 

『ロータスより高エネルギー反応』

 

ビットの攻撃を躱し続けるACに痺れを切らしたのか、ロータスが機体下部の主砲を光らせながらACに向かって飛んでくる

 

「根比べはお前の負けだな!」

 

主砲が発射された瞬間、ハイブーストで射線から出る

発射されたレーザーが海面に到達すると、急速に水分が蒸発し大規模な水蒸気爆発が発生し巨大な水柱を生みだす

 

水柱により周りの状況が確認できなくなり、エネルギーを使い果たしたロータスは、エネルギーの回復のため回転を緩めた

 

「今だ!」

 

エドガーの合図と共に上空から彗星が降下してくる

それにロータスが気づいた時にはすでに遅く、命中した爆弾がブースターを吹き飛ばす

 

《推進器を破壊しました!》

 

『砲艦に敵座標を転送』

 

クローリクが動きを止めたロータスの座標を砲撃を担当する艦娘に送信する

 

《座標確認!、全砲門斉射、撃てーッ‼︎》

 

爆音と共に、様々な口径の数十発の徹甲弾が夜空を飛翔する

 

《榴弾装填!続いて撃て!》

 

再び爆音が鳴り響き、今度は榴弾が発射された

その間に徹甲弾がロータスに着弾、装甲に多数の大穴を開ける

 

この時点でもかなりのダメージが入ったが、ダメ押しと言わんばかりに大穴の空いた部分に榴弾が飛び込み爆発

大量の爆煙がロータスを覆った

 

『敵反応、感知できません』

 

《やったか⁉︎》

 

「おいバカ!」

 

誰かが戦場においてタブーとされる言葉を放ち、エドガーの長年の経験が警鐘を鳴らす

 

《こちら長門!後方より敵艦隊が奇襲をかけてきた!戦闘を開始する!》

 

「わかった、俺もすぐそっちに行く」

 

今の長門達は八丈島所属も含めてかなりの戦力となっているが、奇襲となれば連携がめちゃくちゃになって数の優位は意味を成していないだろう

誰かに沈まれても面倒なので救援に向かおうとした時

 

『後方より高エネルギー反応!』

 

「なっ⁉︎」

 

反射的にハイブーストを連発して複雑な回避機動をとる

その後を追いかけるように何本ものレーザーが降り注いでくる

 

「まだ残ってたのか!」

 

『ビットだけじゃありませんパイロット!ロータスがまだ生きてます!』

 

「なんだって⁉︎」

 

ロータスは横に倒れながら海面に墜落していた

そのため下を向いている主砲も横を向き海面の敵を狙える状態になっている

 

「しまっ…!」

 

誘導されていたと気づいた時にはもう遅かった

ジェネレーター内のエネルギーは枯渇しハイブーストができず回避行動が取れない

主砲の輝きがさらに増しレーザーが発射されようとした瞬間

 

《やらせるかぁぁぁぁあああああ‼︎》

 

無線から聞き覚えのある声が聞こえ、後方から飛んできた火線がロータスの主砲を穴だらけにする

 

これにより主砲は不発に終わり、行き場を失ったエネルギーが暴走、ロータスは青い炎を噴き出しながら木っ端微塵に吹き飛ぶ

それと同時にビットは制御を失い海に墜ちていった

 

《良かった…生きててくれた…》

 

「こっちこそ、お前のことは海に沈んだと思ってたよ」

 

《ひどい…》

 

「悪かった、助かったよフェリ」

 

ACのすぐ上を2枚のプロペラを持ったヘリが飛んでいく

角張ったキャノピーに、プロペラのついた五角形のコンテナを両側につけた大型機

コンテナ全面には檻の中に入れられた兎のエンブレムが見える

 

それはエドガー専属のストーカーである姉妹、その妹であるフェリが使用するA-448だった

 

「1週間ぶりか?」

 

《10日だよ、なだから会えなかった10日分しっかりと甘えさせてもらうからね!》

 

「なんだそりゃ…とにかく、ロータスが死んだなら長門達の支援に…」

 

《こちら長門、敵艦隊を撃破、損害は出たが轟沈艦は出ていない、これ以上の増援もなさそうだ》

 

「そうか…やっと終わったな…」

 

一気に力が抜け、シートにもたれかかる

正直、幾らかの被害は覚悟していたが、被弾無しでロータスを撃破したのは嬉しい誤算だった

 

『周囲に敵反応なし、作戦目標をクリア、システム通常モードに移行します』

 

最後のリコンからの反応が消える、警戒は怠らないが、幾らか気は抜いていいだろう

 

《エドガー…》

 

「何だ?フェリ」

 

さっきとは打って変わって申し訳なさそうな声で通信を入れてくる

 

《ごめんね、あの島に置き去りにしちゃって…》

 

「別にいいさ、お前も無事で、俺も無事だ、それに謝る暇があったら負傷者と遺体の収容を手伝ってこい」

 

《…了解!》

 

ヘリが沖へと離れていくのを見届ける

 

「…それにしても、なんでロータスがここにいるんだ」

 

『私たちが出会った謎の光、もしかしたら複数箇所で発生していたのかもしれません』

 

「だとしたら相当厄介だぞ、あの黒い機体でもこっちに来てみろ、世界が終わる」

 

黒い機体とは財団による騒ぎで、とある傭兵が相対し撃破した大型の機体、その後はロータス等の機体と同じようにタワーからさらに出現し、各地で破壊活動を行なっている

 

『しかし可能性はあります、対策を練っておくべきかと』

 

この世界に来る際遭遇した、あの巨大なエネルギーを思い出す

時間どころか世界すら繋げるほどの現象がそんなに起こるかどうか怪しいが、現にロータスがこの世界に出現している以上クローリクの言う通り、その可能性は捨てきれない

 

「はぁ…厄介なことになった」

 

『しかし、別の傭兵もこちらの世界に来ている可能性もあります、そういった奴らを味方に加えることができれば』

 

「都合よくお人好しが来てくれればいいんだがな、シリウス辺りの」

 

『自己紹介ですか?』

 

「うるせぇ俺らも行くぞ」

 

レーダーに映る反応を元に鎮守府周辺海域を周り生存者を探す

 

しかしそのほとんどは焼け焦げたり欠損していたりしてとても生きているとは思えなかった

 

しかし

 

『嘘…』

 

「どうした?」

 

『レーダー切り替え、受信したシグナルだけを表示します』

 

切り替えられたレーダーには今まで表示されていた破片や瓦礫の反応が消え、ポツポツと友軍のシグナルのみになる

 

「おい、これじゃ艤装しか映らないぞ、死体の位置が…」

 

『艦娘にとって艤装は体の一部です、その艤装が身体から離れるのはその艦娘が轟沈した時のみ、そして発信機は艦娘が轟沈した際、自動的にシグナルを停止します、つまりこのシグナルは生存者の位置です』

 

「なんだって⁉︎」

 

エドガーはレーダーと目の前に浮いている全身が焼かれ、もはや誰かも判別できない艦娘を見る

どこからどう見ても死体にしか見えないが確かにその背中には艤装が付いており、シグナルを発していた

 

「冗談だろ…?」

 


 

八丈島鎮守府のドックはまさに地獄絵図だった

高速修復材を使っても次から次へと負傷者が運び込まれる

その中には八丈島鎮守府の艦娘だけでなく他の鎮守府から増援にきた艦娘たちも含まれ、もはや手足の欠損ぐらいなら後回しという状況になっていた

 

「おい!コイツ等はどうすりゃいい!」

 

その中に回収した艦娘達を抱えたエドガーとクローリクも飛び込む

 

「その艤装…まさか春雨ちゃん⁉︎」

 

焼け焦げた艦娘を見てドックにいた艦娘が悲鳴をあげる

 

「空いてるドックは!」

 

「こっちです!」

 

床中に転がされた負傷者の間を通って空いているドックを探す

 

「ここにお願いします!」

 

「まだまだいるぞ!」

 

この救助活動が落ち着きを見せたのは、日が昇り始めた早朝のことだった

 

「なんとか山は越えたか…」

 

残りの負傷者は中から小破から中破の艦娘を残すのみとなり、叫び声や怒鳴り声の響いていたドックはすっかり静かになっていた

 

現在エドガーは外に駐機してあるACの上でカロリーメイトを食べながら海を眺めている

 

「パイロット、フェリからの通信です、「提督が意識を取り戻した」とのこと」

 

「そうか、それ俺じゃなくて艦娘の奴らに言ってやればいいだろ」

 

「まぁ、臨時とはいえ現在パイロットがここの指揮官ですから」

 

現在本土の病院で治療中の提督に代わりエドガーがこの鎮守府の指揮をとっている

理由は艦娘は指揮を取るものがいなければ本来の力を発揮することができないため、形だけではあるがこの鎮守府の提督として着任した

 

艦娘が力を発揮できない原理は解明されていないが、戦死や離職等で長期間提督不在の鎮守府が少数の敵艦隊に壊滅させられたという事例は多い

 

モノは使う人がいなければ意味がないという事なのだろうか、どちらにせよ、この事も汚職を働く提督をなかなか裁くことができない原因のひとつである

 

「容体は」

 

「腕を片方切断したぐらいで済んだそうです」

 

「運が良かったな、初手で執務室にレーザー喰らってよく生きてたもんだ、それで復帰はしてくれそうなのか?」

 

「するそうですよ、退院でき次第戻ってくるそうです」

 

「すごいな、そいつも白崎と同じタイプだな、しかも度胸もある」

 

「白崎提督もかなり度胸のある人かと」

 

「まぁ…そうか」

 

シートにもたれかかってハッチの隙間から見える青空を眺める

そよ風が心地よく、いい感じに眠気を誘ってくる

 

「パイロット」

 

「なんだ?」

 

「私も隣で寝てもいいですか?」

 

「あー…何もしないならな」

 

「ありがとうございます!」

 

コクピットにクローリクが飛び込んでくる

2人も入れるように作られていないためだいぶ狭いが、眠気に敗北していたエドガーはそのまま目を閉じた

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。