真剣で恋するかなんて知らない! (辻 京也)
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東西交流戦前日

導入と次回のためのステップの部分です。あるとこまで結構早足でいきたいとおもいますです。


_川神市島津寮 朝 直江

 

「・・うん・?」

 

頭の上から何か声がしたので開けてみる

 

「ん~~~~」

 

京がキスをしようとしていた。ローリング回避をする。

 

「おはよう大和。今日もかわらず好き」

「おはよう京。今日もかわらずお友達で」

「ちっ。朝ご飯できてるよ」

「ありがとう京。さきに行っといてくれ」

「ん」

 

と言って京は俺の部屋をでていく。

・・・いつもどうりの朝である。

 

_川原 朝 直江

 

今日の朝もいつもの九人・・一人いない八人でのんびりと登校する。

まずはこのいつものメンバー、風間ファミリーの紹介をしよう。

 

まず川神百代、武道の鍛錬所として有名な川神院の娘であり、最強と言われた川神鉄心の孫である。そしてその名に恥じぬ強さで武神と恐れられている。

見た目は一つ年上の美女であるが女漁りが大好き。昔の出来事により俺は舎弟となっている。よって呼び方は姐さん。武器は拳。

 

「どーした大和。美少女がなでなでしてやろーか?」

「もうちょいあとにしてください姐さん」

 

川神一子、彼女はポニテ&スポーティー&鍛錬大好きっこで、さらに付け加えると純粋単純快活少女である。行動が犬っぽいのでみんなからはワン子と呼ばれている。諸事情により川神院の養子となった。武器は薙刀。

 

「ワン子、いいこいいこ」(なでなで)

「えへへ、なにかわからないけど褒められたわ!」

 

見ての通りである。

 

そして今日の朝に俺を襲ってきた椎名京、昔いじめられていたところを助けたことにより懐かれてしまい、ずっと告白され続けている。もちろん断り続けてる。理性が持つかぎりは。弓の名手でもちろん武器は弓。

 

「私の弓は大和のハートを打ち抜く為にあるの」

「その弓じゃ物理的に打ち抜かれるからやめてくれ」

 

女子陣の残り二人はこの春から仲間に加わった新人だ。

クリスティアーネ・フリードリヒはドイツのリューベックからの金髪美人転校生で軍人系の娘だ。転校当初わかったことはよくいる日本を間違って覚えている外人ということだった。今も時々おかしいくて嘘をよくまに受ける。

ちなみに親は娘のためなら軍隊を投入してくる過保護。手を出す=SAN値低下である。武器はレイピアだ。

 

「というか大和は何をしているんだ?」

「画面の向こうのひとに自己紹介」

「???」

 

もうひとりは黛由紀江、国から帯刀許可をもらう剣聖十一段の娘で剣の腕は一級品。話によると姐さん達のような一線を越えた実力のある人間・・壁を越えた実力があるほどらしい。姿は凛としていて家事もできてスペックは高いのだが口下手で刀をいつも持ち歩いているため友達ができずにいる。武器は刀。まあ、当然か。

 

「おい、まゆっち。やっべーよ。大和が何もないとこに話しかけてるぜ。正気に戻してあげなYO!!」

「こら、松風。そんなことを言ってはなりませんよ」

「聞こえてるよまゆっち。」

 

川原を歩きながら女子陣が喜色の声で話をする。

 

「明日からが楽しみですねお姉さま!」

「そうだなワン子。そこそこわたしも楽しみだぞ」

「私はクラスのみなさんのちからになれるよう全力でがんばりたいと思います!」

「そうだぜまゆっち!これを機会に友達大量ゲットだZE!」

「クリはどうなのよ?」

「ふむ。犬ほどではないが私も楽しみだ!」

「しょーもない・・」

 

ワン子、姐さん、クリス、由紀が明日のことで盛り上がっている。

 

「いつも通りうちの女たちは闘うの好きだなーおい」

「こういうのって普通男の子が喜ぶもんじゃないのかな」

「ここに常識を持ち込んでも無意味だぞモロ」

「確かにそうだけどさ~」

「なんか貶された気がするからガクトを殴ろう。ほい」

「なんで俺様が!?グハッ」

 

今殴り飛ばされたのが島津岳人、ちいさい頃から力担当。筋肉質で長身。とてもいいやつで、バカでユニークで単純でバカである。

 

「おい!今説明短い上に超貶してただろ!?」

「いや、遠回しにイケメンっていっただけだ」

「まあ、それはこの筋肉と顔なら当然だな。見ろ!この鍛え上げられた・・」

 

あとはモロにまかせよう。

 

次にさっき名前をだした影の薄い師岡卓也、通称モロ。完璧なインドア派で、アニメ、マンガ、パソコン系統ならこの中で一番詳しいだろう。肌が白くて、男の俺もときどきドキッとさせられる。この前女装した時は男だとはまったく思えなかった。

 

「影が薄いは余計だよ!そんでもって女装の話はやめてよ!恥ずかしいじゃないか!!」

「安心しろモロ。あれなら絶対に男だってばれないぞ」

「それはそれでいやだよ!」

 

あとこの集団・・風間ファミリーのリーダーであり今ここにいないもう一人のメンバー、キャップこと風間瞬一、小さいころからなんでも器用にこなし、思うがまま感性のままに行動をする自由人。

強運の持ちに主でその個性さと顔により女子に人気が高いが本人が子供なので異性にまったく興味をしめさない。

そして今日もどこかに旅にでているのかここにはいない。

 

そして最後に俺、直江大和。わかりやすく言うと策略家。そのせいか仲間内からは参謀役とよくいわれる。人とのつながり大事だと親にいわれていたので知り合い程度だが色々なところに顔がきく。

 

この説明で大体予想はつくだろうが、女子陣は全員武道を嗜んでおり男子よりも強い。姐さんはその中でも群を抜いているためパワーバランスのトップは姐さんである。

 

こんなかんじで風間ファミリーの紹介も終わったところでさっき女子たちが話していた話題に移ろう。

 

 東西交流戦

 

数日前の全校朝礼で川神学園の学長、川神鉄心によって知らされたそれは天神館が川神に修学旅行のついでに学校ぐるみの決闘を申し込んできたというものだった。

天神館とはそれぞれの個性を重んじるための自由な校則とユニークな行事・授業が特徴と川神学園と似ており、バリバリ武闘派と有名である。西日本から人材を広く募集しており、各分野で好成績を残し、知名度を上げている。

特に今年の2年生に優秀な人間が集中し、黄金の世代やら奇跡の世代やらと言われているらしく、特に2年生の文武に優れた十人は「西方十勇士」と称されるほど凄いらしい。

 

「~♪」

 

姐さんが女漁りをしてないのに機嫌がいい。

二年ほどでないにしろ強い敵が出てきそうなので姐さんもたのしみなようだ。しかし二年は少しやばい。情報通りなら敵は強敵だ。自分も敵の情報収集やステージである川神市工業地帯の下見はしたが仕込みなどはまったくできていない。くわえて学年混合・・つまり2-Sと一緒に戦うのだ。・・みんな確実に嫌がるだろう。

 

はたしてどうなるのだろうか。

 

「さっきから大和はどうしたんだ?」

「なおっちが電波な人になったんじゃね?」

 

おいそこやめろ。断じてちがうから。

 

 

_天神館宿泊ホテル某所 夜 ????

 

「え~?俺も出なきゃだめか?」

「貴様も天神館の生徒なのだから当たり前であろう!!」

「だってお父さん。俺もう武術の類やってないしさ~」

「だれが貴様のお父さんか!我はなんども言うが同年代だ!!」

「わ~、お父さんがめっちゃ怒ってくるよ~(棒)」

「そんなことはいつものことだ。今はどうでも・「そんなことですと!?我にとっては大事な問題ですぞ!!」・・よくないが今はいい」

 

島の顔は老け顔すぎていつもネタにされている。初対面は確実に17とは思わないしわからない。

 

「話を逸らすな!・・大体俺はお前を西方十勇士にいれたかったのだぞ?それをお前がイヤだだのめんどくさそうだのと言うからだな!・・」

 

この流れはやばい。話が長くなる気がする。

 

「ああもうっ!わかった!わかったから!参加するから!」

「これで一看板増えましたな」

 

なにその言い方?おれは野球の抑えか。

 

「ふ、東の奴らに西方十勇士の力をみせてくれるわ!」

「(参加はするが、戦いに参加するとはいってないんだなーこれが)」

「おぬし。ちゃんと戦いに参加する気、ないだろ」

「ッ!?いや、大丈夫だって。面白そうならちゃんと参加するから!負けそうになっても動くから!」

「お前とゆうやつは・・」

「だっ、だいたいお前がいるんだから大丈夫だって」

「ふん。当たり前だ。出世街道を歩む俺がまけるはずなかろう」

 

あいてはあの川神の奴らなんだけどなー。絶対化け物いるよ。川神百代みたいなの・・まあ、マジで負けそうになってきたら出てやるか。どうせ最後なんだし・・

 

 

そして夜は更けていく・・

 

 

 

 




これだけで二日使った・・ムズイな書くの


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東西交流戦 二年の部 前編

すいません。自分で見てて気持ち悪くていきなり加筆修正とかしちゃいました。
5日掛かってこの程度ですみません。



もうちょっとの間は直江視点でいきます。

 

 

_川神工業地帯内 夜 川神学園側本陣付近 高台 直江視点

 

前の時からだいたい二日経った。今は二年の部が行われている。

この二日の間にあった一年の部と三年の部の結果は省略して伝えよう。

一年の部、川神学園側の大将がなぜか敵陣に突っ込み瞬殺。

天神館の一勝。

 

三年の部、川神百代に対して合体技で挑んだ天神館だが、レーザー的なもので瞬殺。

よって川神学園の一勝となり勝ち負けがついてない状況になった。

……省略するところないじゃん。

 

・・まあ、だいたいこんなかんじで今に至る。

二年の部ではついさっきまでこちら側がおされていたのだが、西方十勇士達を次々と敗走させ、大将である九鬼英雄の鼓舞により士気があがり、流れが確実に此方に向いてきている状況だ。

 

「さっきから大和君は何をぶつぶつ言っているのですか?」

「いや、なにかの衝動に駆られて」

「なるほど。ユキの行動と同じようなかんじですね」

「うぇーい。おーなじー♪」

 

こいつは俺を電波と言いたいのか。いや確かにこの行動については否定できないのだが。前よりはマシになってきてはいるからもう少しすれば治る・・だろう。

 

こいつの名前は葵冬馬、川神市の大病院である葵紋病院の一人息子であり、常に学年成績一位の優秀者である。俺と同じく相手の裏をかくのが得意でSクラスの参謀的な立ち位置にいる。俺はライバルは誰だと聞かれて答えるのなら間違いなくこいつだろう。ルックスもよく女子に大人気だ。実際に女の子を口説いたりしているのだが・・

 

「ん?どうしたのですか大和君。僕をじっとみつめて。もしかしてお誘いですか?」

「誘ってないから近寄るな」

「おや。つれませんね。でもそんなところも素敵です」

「他をあたってくれ」

 

どうやら男もいける口らしく気に入った男に対しても口説いてくる。見ての通り俺も気に入られた一人のようだ。

ちなみに葵の横にいる彼女は榊原小雪、アルビノの美少女でプロポーションもよくかわいいのだが、天然というより電波に近い行動により友達も少ない。いつも葵とロリコンハゲ井上と一緒にいる。マシュマロ好きで気に入っている相手にはこんなように・・

 

「ん~。マシュマロ食べる?」

「ああ。もらうよ。お返しにいちご味のマシュマロをあげるよ」

「わ~い。ありがと~」

 

とくれることがある。

彼女自身何も武道はやってないのだが脚力が高く、ついさっきも西方十勇士のひとりであるオイルレスラーを空高く蹴り上げて、そのまま海に蹴りこんでいた。

 

話が長くなったが向こう側に残っている西方十勇士は残り二人。

戦力も此方側が押し始めている。

 

「ふふふ。さて相手方はどう出てくるでしょうかね大和君」

「なんで毎回俺にに話しかけるんだよ」

「意味はありません。ただ話しかけたいだけですよ」

 

そういいながら急接近をしてくる葵。

 

「ついでに愛でるような手つきで俺に触ってくるな」

「これは無意識なので無理です」

 

姐さんとかより怖いんですが。

 

 

_川神工業地帯内 夜 天神館側本陣 ????視点

 

 

「クソッ。よもや長宗我部までやられるとは」

「・・なあ、石田。これってもしかしなくても負けてるよな?」

「ああ。認めたくはないがこちらが劣勢であることはたしかだ」

 

石田と島が眉間にしわを寄せて頭をつき合わせている。

ちなみにおれはパイプの上で寝転がっている。

 

「(いや、これは劣勢ってレベルじゃねーよ。西方十勇士ほぼ壊滅してんじゃん)」

「相手があれほど手練れ揃いとは予想外でしたな」

「いや、川神の奴ら相手なんだからある意味予想できただろ。逆に」

「阿呆どもには西方十勇士の名はふさわしくなかったようだな」

「おいおい、仲間に阿呆はないだろ三郎クン」

 

まあ、頭がいいバカとはよく思うが。こいつらはなぜ戦いの話になると相手を見下す癖がある。

 

「おい、その名で呼ぶな。イライラしてくる」

「いや、お前の名前だろ~」

「そんな平凡な名前など、出世街道を歩む俺にふさわしくないのだ」

「三男って長男が優秀だと大概落ちこぼれれるよな三郎クン」

「その名で呼ぶなと何度いえば気が済む!そして俺は一人っ子だ!」

「なんでお前の親がわざわざ三郎って名前付けたか考えないか?」

「今そんなことはどうでもいい!今重要なのはこれからどう行動するかだ」

 

あ、話を戻された。実際に気になってもいるのだが。

 

「御大将。いかがされる」

「とにかく総大将たる俺は身を隠そう。そう簡単にやられてやるつもりはない」

「ならそれがしも共に」

「じゃあ面白そうになってきたし俺も闘い行くか~」

「ついにお前が動くか・・ふ。頼んだぞ。恭介」

「オッケー。やれるだけやってやんよ三郎クーン」

「クソっ。いつか絶対改名してやるからな・・!」

 

ちゃんとおちょくるのも忘れない。

さて。どうしよっかな~・・?

 

 

_川神工業地帯内 夜 川神学園側本陣付近 高台

 

っとクリスからの電話だ。

 

「<大和。今、敵の最前線にいるんだが・・敵の大将らしき姿が見当たらないぞ!?>」

「状況不利とみて隠れたか。了解。そこらへんで暴れといて」

 

クリスとの電話を切り、自分が動く準備を始める。

 

「行くのですか?大和君」

「ああ、今回はあんまり効果的な作戦を立てたわけじゃないからな・・みんながんばってるんだ。俺もなにかしないとな」

 

ここが出番だと思い、俺は行動を起こした・・・

 

「大和君・・。ふふ、あなたも男の子ですね」

 

 

_川神工業地帯内 夜 某所

 

 

「時間稼ぎとは気にいらんがこれもいたしかたあるまい」

「恭介め・・奴がまともに動けば戦況も変わるものを・・・」

「奴は気ままな奴だ。指示を聞く玉ではない。放っておくしかあるまい」

「しかし、いつの間にこのような場所をお探しに?」

「勘だ・・・ふ。ここなら奴らも気づくまい。俺のように小狡い保身に長けた人間しか見つけられまいよ・・もっとも俺は他にも兼ね備えているがね」

「小狡い保身・・か的を射すぎて悲しくなるな。だがおかげで見つけたぜ」

 

「ッ!?なにやつ!」

「ほう。ここがわかるとはな。貴様・・何者だ」

 

 

_視点 直江

 

もし相手がピンチになったとき隠れるであろう場所は粗方下見のときに調べておいたんだ。

こんなにもうまく見つかるとは思っていなかったが・・

 

「俺は直江大和。大将を討ち取りにきたぜ」

「ここを見つけるとはいい読みだが1人で来るとは阿呆だな、直江!!」

「我は西方十勇士が一人、島!いざ尋常に・・」

 

島がおれに向かって構えをとってくるが・・

 

「いや、あんたの相手は俺じゃない」

「あんたの相手はわたしよ!」

 

犬笛で呼んでおいたワン子が島に切りかかる。

 

「くッ。援軍か!御大将!そちらは・・」

「安心しろ島。俺に1人で挑もうとは・・やはり阿呆だな」

 

石田が悠然とした立ち姿で俺に体を向けてくる。

その動きに応じて俺も戦闘態勢をとる。

 

「っ!?なに!・・その構えは・・!」

 

ふ・・さすがに気づいたか。

 

「ど素人じゃないか!!嘗め腐りおって!この阿呆めが!」

 

一瞬でバレた。

 

「貴様に本当の戦いの仕方を教えてやる・・!」

 

そういって石田は俺に日本刀を向けてきた。

だがそのとき

 

「おいおい、素人相手なら抜かんでもいけるだろ」

 

背後から声が聞こえた瞬間。俺の視界は真っ黒になった。

 

 

_??恭介視点

 

「ほい。一ぴき目~」

 

直江という男を学校から借りていた日本刀の柄で殴って気絶させる。

まったく。なんで二人しかいないの思ったのか理解に苦しむ。

 

「お前・・もしや俺を餌に・・?」

「当たり。さすが出世街道爆進中の石田。頭の回転速いなッ・・と」

 

石田に喋っているといきなり殺気に溢れた弓矢が飛んできた。

おそらくこの男を倒したせいだろう。

男の服から携帯を回収して物陰に飛び引く。

ちゃんと毛利が爆薬つきの弓矢でやられたことも考慮して隠れる。

石田もそれに気づき同じ場所に入ってくる。

 

「おい。あいつの携帯なんぞ取ってどうするつもりだ」

「簡単。隠れ場所もばれてるし、こちらが負けてる。ならもうここを相手に教えて来てもらおうという考え」

 

石田が頭に手を置きながら俺の案にゆっくりと頷く。

 

「たしかに勝つなら今からまた隠れるよりもその方がいいかもしれん。やれ」

「りょーかい。え~と、一番最近掛けたやつは~っと」

 

携帯履歴の一番上にあるクリスという名前に電話をかける。

 

「<ん?大和か。どうした?今、おまえの言う通り敵本陣であばれているが・・>」

「へぇ~。この携帯の持ち主の名前って大和なのか」

「<!?貴様は誰だ!なぜ大和の携帯を・・>」

「ちょいと拝借中。なんで持ってるかはわかるだろ」

「<ぐぬぬ。いったい何が要件なんだ!>」

「ここに大将いるんで倒したければこいって味方さん達に伝えてくれませんかね」

「<罠を仕掛けてるんじゃないのか>」

「来なければそれはそれで時間稼ぎにはなるしな。お好きなように」

「<・・・場所を教えてくれ>」

「宜しくお願いしま~す!」

 

場所を教えた後、電話を切って直江の体の上に携帯を投げておく。

殺気が全然止んでないので今出ると確実に弓が飛んでくるのがまるわかりだからだ。

石田と向き合ってやることを決める。

 

「石田は島の方の援護に行ってくれ。敵の本隊が来る前にこれ以上の戦力ダウンは避けておきたいし」

 

まったくもって島が戦ってたことを忘れてたなんてことはない。

 

「ふ。俺一人で阿呆どもを蹴散らすこともできるがな」

「光龍覚醒・・だったっけ?たしか体に負担あんだろ?どうでもいい時に使うなよ。いざって時に使え」

 

こいつは寿命が減るとかいうハイリスクな技をいつもポンポンだそうする。

「それもそうだな。では俺が直々にあの雑魚を屠ってやろう」

 

そういって二人の戦っている方向へ歩き出す。

 

「よろしく~」

 

では自分もできる範囲で戦いますか。

 

「お前はその間何をしておくつもりだ」

「じゃあ上から降下中のなんかの相手しとくわ」

 

すぐさま俺は後ろに跳躍する。

するとついさっき自分がいたところに上から高速な何かが通過した。

それは俺がいた場所を通過した後に止まってこちらに振り向いた。

それの正体は川神学園の制服に身を包んだ黒髪ポニーテールの女だった。手には俺と同じく日本刀。

彼女はこちらに顔を晴れやかにしながら喋りかけてきた。

 

「今のを避けるとは。義経はとても驚いた!」

「俺は上からいきなり襲ってきたことに驚いたよ」

「そ、それはすまなかった。戦と聞いてヘリで急いできたから投下されるしか方法がなくて」

 

急いでくるのになぜへりが必要なのかとは言わない。ついでに相手も謝ってはくるが構えはとかない。

 

「とにかく敵ってことで間違いないな」

「義経もそう思う」

「了解・・っと!?」

 

その言葉と同時に両方が躍り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キャラの性格軽く変わってたり、オリキャラとの会話でなにかおかしくなったり・・・なんか自分でもあんまり納得できてないんで指摘とか助言ほしいかもです。


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東西交流戦 二年の部 後編

戦闘シーン少しだけ書きました。ダイジョブですかねこんなんで。


_川神学園側本陣 

 

そのころ川神本陣では・・

 

電話で誰かと会話していたモロが携帯を片手に九鬼に近づく。

 

「あの~。九鬼君?」

「ん?貴様は確か一子殿と幼馴染の・・」

「あ、え~と、師岡です」

「そうかそんな名前であったか。してどうした庶民!」

「(あ、結局名前は言わないんだ)えっと、クリスからの電話で敵側からコンタクトがあったらしくて・・」

「ふむ。それで?」

「大和が敵にやられたらしくて・・」

「直江様がやられたくらいで英雄様に話しかけないで下さい☆」

「ちょっ」

 

モロの前に九鬼の専属メイドであるあずみが現れる。

九鬼から見ればにっこりとした顔で話しかけている。だが九鬼以外の人間には見えている。モロの腹に向かって小刀が突きつけられていることを。

 

「よい。あずみ、下がれ」

「失礼しました英雄様あぁぁ!!」

「ふははは。よい。それに直江は一子殿や弓兵を連れていたのにやられたのだ。相手はかなりの手練れであったのであろう。そいつには注意が必要だ」

「そうですね。英雄の言う通りです」

「おお、冬馬よ。戻ってきていたのか」

 

知らぬ間に戻ってきていた葵が話に加わってる。

確かに京が遠距離から援護していたのだ。そうそう簡単に大和がやられるようなことを許すはずがないのだ。

 

「して庶民よ。話がそれだけ・・ということはあるまい。他にもなにかあるのだろう?」

「あ、うん。敵のほうから大将の居場所を教えるから倒したかったら来いって言われたらしいんだけど」

「なるほど。このままでは勝ち目がない。敵はそうでてきましたか」

 

葵は納得したようにうなずく。

 

「ふははは!ならば相手の策にのってやろうではないか!」

 

九鬼はいつもの高笑いをして味方のあつまる方に体をむけ語りだす。

 

「聞け皆の衆よ!我々はこれまでの敵の攻撃に耐え、我が校の勇者達が敵将を討ち取ることで戦局はこちらに傾いた。そしてついに敵の大将の居場所が判明した。奴らは自らの位置をさらけだしこちらを挑発している。常ならば罠の可能性もすてきれまい。乗るべきではないだろう。しかし、お前たちは西の連中に嘗められたままでいいのか!我こそはと思う者よ!敵地に赴き大将を討ち取って見せよ!!」

 

九鬼の高らかに告げられた檄に呼応し敵大将に挑もうとする挑戦者達が立ち上がり始める。

 

「ちなみにクリスさんはその後なにか?」

「えっと、マルギッテさんといっしょに向かうって言ってたよ」

「うむ。我も一子殿の元へと駆けつけたいが、大将ゆえにここを離れるわけにはいかんからな」

「素晴らしい心がけです英雄様☆」

「うむ。皆の者。頼んだぞ」

 

そして彼らは敵地へと歩み始めた。

 

「そういえばその場所はどこなのだ?」

 

あ。

 

 

 

 

そのころ京は遥か遠くで戦いを繰り広げる敵に向かって一心不乱に弓を放っていた。

 

「くそッ!よくも大和を・・!」

 

自分の夫(←妄想)をやられて怒る京は敵の動きをよく見て放つがうまく当たらない。

 

「なんで当たらないんだ!」

 

 

_某所 ??恭介視点

 

その弓の向かう先では二人の男女が剣を重ねあいしのぎを削っていた。

彼女が袈裟斬りをしてくればその剣戟を横に流すように受け流す。

横に流されるとすぐさま刃を反して水平斬りを放ってくる。

刀を戻すのが追いつかないので、今度は身を低くして避けようとすると弓矢が正確無比に飛んでくる。

仕方なくその態勢から横にステップして避けるが、彼女は一瞬の遅れもなく目の前に移動して、もう一度水平斬りを放つ。

その斬撃を今度は斜め上の方向に受け流す。その態勢で一歩前に進み、攻撃を試みるがすぐさま垂直斬りで刀が返ってくる。そのまま後ろに一歩下がって回避をすると、今度は相手が一歩前に進み斬り上げを放ってくる。

それを避けるとまた弓矢。このような状態がかなり続いている気がする。

この言葉を読む限りはある程度、相手の攻撃に対応できているように思える。

だが実際のところはいっぱいいっぱいである。さっきの戦闘場面だけで一秒か二秒くらいしか経ってないのではないか。斬撃自体は見えるのだがそんなに体がはやく動く動くはずもない。相手の行動をある程度感覚で読んでなんとかっという状態。

弓矢も殺気でだいたいくるのはわかるのだが、ダメもとで発射してるのかと思うほど高速で放たれてくる。そのくせにめちゃくちゃに正確である。

 

速すぎるだろ。どうやって撃ってんだ。銃じゃないんだぞ。

 

電話で敵相手に向かって「かかってこいや!」的な啖呵を切っておきながらこのありさま。

 

なんなの?川神の奴らって全員こんなに速くて強いのか?それなら絶対に勝てないじゃん。不可能ジャン!いやいやしかし石田や島と戦ってるやつはすばしっこいけどこいつと比べたらあんまり速くないから大丈夫・・いや、わからんぞ。あいつだけちょっと遅いだけかもしれん。てゆうか弓兵さんあっち援護しろよ!あっちのほうがお仲間ピンチだろ!何!?どんだけキレてんの!あいつ気絶させただけジャン!!あれ~、なんだろ。ジャンって聞くとなんか四年後あたりに流行りそうな気が・・

 

追撃される可能性があるがとにかく結構限界なので思いっきり後方に向かって跳躍をする。

幸いにも相手も追撃をしてこなかったため息を整える。そうしていると彼女は笑顔をこちらにむけて話しかけてきた。

 

「あそこまで自分の攻撃を綺麗に受け流すとは!義経は素直に賞賛をおくる!」

「まあね・・当たると死にそうだし」

 

一応模造刀だから斬られたりはしないがあの速度だ・・もしかしたらマンガのように弾け飛ぶかもしれない。直撃を全力で避けるのは至極当然のことだろう。

 

「にしてもお前本当に人間?人の皮被ったヤサイ人じゃないよな?」

「違う。義経は過去の英雄を元にしたクローンだ」

「・・・は?・・てことはさっきから義経、義経って言ってるところを鑑みるに・・」

「自分は源義経のクローンだ」

「まじかよ・・というかクローン?それって国際条約とかに違反してないのか?」

「ん~。そういう詳しいことは九鬼の本社に聞いてほしい」

 

また九鬼か。国際条約で懸念されてることは回避してはいるが、だからといってまかりとうっていいのだろうか。どうせ金かなんかでごまかしてるにちがいない。

それに今、これについてはどうでもいい。問題は彼女が義経のクローンってところだ。

 

あれ~?義経って歴史上じゃあ奇襲ばっかでそんなに強かったイメージないんだけど。この人超強いよ。この人でも奇襲しなきゃ勝てない源平合戦ってどんだけカオスだったんだ。崖を駆け降りた話に信憑性がでてくるな。

 

「しかしいいのか?」

「?なにが?」

「お前の仲間たちがやられているぞ?」

「え?」

 

いままで弓矢の警戒や戦闘へ集中でまったく見ていなかった石田達の方向をみると・・

 

 

多くの川神学園の生徒たちによってほぼリンチ状態にされている石田達がいた。

 

「くそう貴様ら嘗めおって!力の差を思い知らせてやろう!光龍かく・・「おいおい、敵の前で待ってくれるのは戦隊ものだけだぜ」・ぐ!」

 

ハゲが石田の覚醒を殴ってとめたり・・

 

「お前か、大和をやったのは!覚悟しろ!!」

「いや、それはそれがしがしたのでは「問答無用!」・ぬふ!」

「?なんかこいつ私が聞いた声より渋くないか?しゃべり方もちがうし」

「いいんじゃない?このオジサンが敵なのは変わらないし」

「それもそうだな」

 

薙刀とレイピアを持った女子二人が島にコンビネーション攻撃をあたえ

 

「こいつが大将か!」「居場所を教えるとか嘗めやがって!」「お嬢様の命令です。おとなしくくらいなさい」「おい、なんでおっさんがいんだ~?」「や・ら・な・い・か、アー♂!!」

 

他も続々と攻撃(ヤバそうなのを含む)をくわえていく。ちゃっかり弓矢も放たれている。

 

俺は知らぬ間に結構石田達とはなれていたらしく、集まってくる川神学園の生徒は誰もこちらに気づかずに向こうへ殺到していく。

 

あの・・電話とか・作戦考えたの・・俺なんですけど・・

 

その後なぜかおれは義経に慰められた。

 

 

_川神駅 直江大和視点

 

どうやら川神側が勝ったらしい。

俺は気絶していたらしく目が覚めると京に抱きしめられた。

長い時間気絶していたわけではないから手加減されたのだろう。

目の前にいた西方十勇士の残り二人に気を取られすぎて他に誰かいることに気づかなかった。やはり安易に頭脳系が戦いにでるものじゃないのかもしれない。しかし、保険で連れて行ったワン子は島を相手にしていたからわかるが、京がおれの背後から迫る敵に気づかないはずがない。

聞いてみたところ、いつの間にかそこにいたらしい。

京は目が良くて注意力も高い。そんな京が気づかなかった。なにかの技なのかもしれないがなにより自分がやられたことが悔しかった。

他にも武士道プランの申し子という子が参戦していたらしい。九鬼に聞くと明日のテレビを見ろと言われたことからするとなにかでかい計画なのかもしれない。

戦いのあと天神館の人と喋ってみたが意外とさわやかなものだった。

互いの生徒同士で雑談や冗談などで話に花をさかせた。

 

見るとクリスが石田と話しをしていた。

 

「そういえばあの電話の主はだれだったんだ?」

「ああ、恭介のことか。実家に用事があるとかで先にホテルに帰ったな」

「その人が大和を気絶させたのか?」

「ああそうだ。名前は村上恭介という・・」

 

その名前に俺は聞き覚えがあった。俺は石田に質問をしてみた。

 

「俺、その名前聞いたことある気がするんだけど」

「ああ、一時期ニュースにもなったからな。聞き覚えもあるだろう」

「ってことはあの村上運輸の・・」

「社長の息子だ」

 

村上運輸。名前だけ見ればただの運送会社だがそれだけではない。日本にある船の八十パーセントはここが製造をしており、船に関しては世界でも有数のシェアを獲得している企業だ。その特徴は船関係以外には手を出さない。同じような始まりの九鬼のように色々な事業に挑戦することはなく、長年海運や船の製造のみを続ける古参である。

しかし、二・三年ほど前にまだ三十代だった社長が中国で急死したことが当時ニュースになっていた。テレビでは息子一人が死体を抱えて山から下りてきたことから息子が殺したのではないかと当時はもてはやされてたりしていた。いまはその妻が経営をしているそうである。

 

「さすがに今は落ち着いてるようにみえるんだがな・・で、あいつがどうかしたか?」

「いや、いるならメルアド貰えるかなっておもって」

「俺は持っているが・・あいつは知らない誰かに知られるのをいやがるからな」

「いや、また今度の機会にするさ」

 

下策ではあったが自分の読みを上回ってきた相手の連絡先はほしかったが大友さんやほかの何人かからも連絡先がもらえたので良しとしよう。

 

その後、天神館のメンバーはそのままホテルへと帰って行った。

 

 

 

 

 




次回でオリキャラを一体出すつもりです。


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主人公の家&編入生

シリアスっていうかディープっていうか・・から始まります。


_大阪 村上家 夜 

 

 

 

日が暮れて町に街灯や店の光が綺麗に灯り始めた頃。

 

俺は自分の少ない荷物をまとめて居間に向かう。

 

荷物はリュック一個におさまった。

我ながら少ないとは思うがパソコンなどの電子機器以外の必要なものは現地で買えばいい。思い出の品なんてものは持っていく意味がないしほとんど持ってない。金がなければこんなことはできないだろう。そこらへんは家の財力に感謝する。

 

廊下に出た後ゆっくりとした足取りで歩いていく。

 

自分の家はけっこう広い。造りは日本屋敷で廊下はぐるっと一周している。正直、使っている部屋が三部屋ぐらいしかなくて、空いてる部屋は時々親戚が泊まったりすこしの間居座ったりすることが可能なほどだ。中庭、庭園もあり、昔は庭で父さんによく武術を教えてもあった。今も庭師がきて整備されているが使うことはない。俺が武術をやめたからだ。

 

居間に着くといいにおいが漂ってくる。母さんが台所で晩御飯を作っているのだろう。

母さんの名前は村上美香。母さんと父さんは高校時代に両方が一目惚れをして付き合い始め、大学を卒業後すぐに結婚したらしい。

ここは父さんの実家で母さんのほうが嫁いできた形だ。俺は会ったことがないが、爺ちゃんや婆ちゃんももともとは住んでいたらしい。けれど、父さんに仕事を継がせるとすぐに海外へ飛び出していったそうだ。どこに行ったかは母さんも知らないらしい。

 

「あ、恭くんもう準備できたの?」

「うん。もとから持っていくものなんてほとんどなかったけどね」

 

母さんがお盆にご飯を載せて居間に戻ってくる。

母さんはまだ三十代前半で若くて綺麗だ。肩あたりまで伸びた日本人特有の黒髪と凛とした顔立ちでプロポーションもいい。自分の身近にいる美人は誰かと聞かれたら確実に母さんの名前を出すだろう。

俺の思春期のピークであった時はヤバかった。自分が暇になってボーっとしていると母親でエロイことを考えてしまうのだ。正直なところ、学校の女子とか下手なグラビアアイドルよりも興奮してしまうのだ。これに関しては母さんが魅力的過ぎなだけか自分の好みにほぼ一致しているからだと結論づけた。そして深く考えないようにした。

 

晩飯を食べながら母さんと会話する。

 

「ごめんな。全然家に帰ってこれなくて。家に一人やからさみしくない?」

「うん。たしかにちょっとさみしいけどさ。仕事の忙しさで紛れるし、ときどき恭介も帰ってきてくれるし大丈夫、大丈夫」

「夏休みとかには帰ってくるつもりやから」

「うん。ありがと。・・また、探しにいくの?」

「うん。それもあるし、もともと向こうに誘われてもいたし」

「そっか~。・・・じゃあ今度晩御飯を作るのもいつになるかな~」

「すぐに帰ってくるって」

 

母さんは父さんが死んでしまったとき人形のようだった。いつものように家事をこなしているのに感情が感じられなかった。そのとき思春期真っ盛りだったのも相まってよく母さんに対してセクハラまがいのことをして怒られていた。けれど、そのときは何をしても母さんは怒らなかった。一度、押し倒しかけたこともあった。けれど、母さんは「ダメだよ、恭くん」と言っただけだった。いつもは笑いながらもしっかり怒ってくれていたのに。まるで自分がどうなろうと気にしないように。そのとき、俺は思った。

 

母さんは俺が守らなきゃいけない。俺の責任なのだから。

 

そのあ、俺は色々な問題に直面した。テレビなどの報道による俺への疑惑と非難。それによって父さんが死んだことで出てきた会社の後継者問題で分家とのいざこざもあった。けれど、俺は母さんの負担にならないように頑張った。自分が優秀で素晴らしい人間であると周りに思われるために努力をした。その間、母方の親や母さんとの話相手になってくれる人を家に呼んだりして、母さんがはやく元気になれるように試行錯誤もした。そのおかげか母さんもある程度元気になって笑ってくれたりするようになったし、会社の問題もなんとか分家を黙らせることができた。さすがに中学生が後を継ぐわけにもいかないので会社については母さんがかわりにやってもらっている。忙しいながらも充実を感じると言ってくれる。

けれど、やはり元気になってからも父さんがいた頃より寂しそうな目をよくするようになった。

 

その目を見るとおれは罪悪感にさいなまれるのだ。

 

俺がいなければ父さんは死ななかった。母さんをこんな顔にさせているのは俺のせいだ。

 

食事が終わったあとも俺は母さんとお茶を飲みながら学校の事や友達の話、仕事の話なんかもする。

 

「へえ、鉢屋君が・・・なの。それは・・・ね」

「そのときに石田が・・・して・・・になったんだよ」

 

そのあと風呂に入って自分の部屋に戻る。荷物を確認し、あとは寝るだけとなったときに障子が開いた。

 

「ねえ、・・一緒に寝てもいい?」

 

寝間着姿の母さんがあの寂しそうな目で立っていた。

 

「あー、・・うん。いいよ」

 

ここで断ることができるはずもない。帰ってきた日の夜はいつもかこうやって部屋にやってくる。

母さんが寂しがってることはわかっている。だから、母方の親に一緒に住まないかと話を持ち掛けたこともあった。しかし、自分たちには都会の空気は合わないと言って断られてしまった。母さんの身近にいる心の支えは俺しかいないのだ。俺は安心して寝れるように母さんを抱きしめながら目を閉じる。

 

 

ごめん。母さん。もう少し待ってくれ。自分が。自分を知ることができるまで。

 

 

 

 

_川神学園 朝 全校朝礼 

 

その同日、川神学園のグラウンドでは多くの生徒たちが歓喜の声を上げていた。

昨日、九鬼が言っていた通り武士道プランはテレビや新聞などで大きく取り上げられていた。

過去の偉人、英雄たちの細胞を使ったクローンの作成。英雄そのものをもう一度生み出すという普通なら考えられないものだった。

 

・・・まあ、川神ならなにが起こっても不思議ではないのでそこまで驚くこともなかったが。

 

この全校朝礼で九鬼に関係のある六人の編入生が紹介された。もちろん武士道プランの申し子もこの中に当てはまる。

 

まず三年に編入された葉桜清楚。名前からしても清楚だが性格も見た目も予想以上に清楚だった。趣味は読書と動物の飼育。長い黒髪を背中に流していて、美人である。その姿からは趣味の読書や飼育が絵になりそうなほど似合うところが想像できる。自分がなんと言う英雄かはまだ聞かされていないそうで、二十五歳になった時に教えてもらえるらしい。姐さんはもはや口説きにかかっていた。

 

次に現れたのは武蔵坊弁慶。昔の武勇伝などを聞く限り、ゴツイ巨漢であると予想をつけていた。が、予想に反して細身のお姉さんのような美人であった。胸も大きく、ガクト達は登場寸前までの反応と打って変わって大興奮である。けっこう柔軟な考え方は自分と気が合いそうである。

 

そして昨日自分が会い損ねた源義経。京によると俺を気絶させた村上恭介と戦っていたのは彼女だそうだ。彼女はまじめであろうとしているが天然なところがあるかわいらしい美人だ。挨拶の後、マイクが切れてないままで戻っていくところなど和むしかない。一応清楚先輩を除く武士道プランの申し子の主にあたるようだ。

 

そして壇上には現れなかった那須与一。こいつものちのちわかるだろう。これだけ女子が美人しかいなかったのだ。きっとこいつも美形のイケメンに違いない。この四人は全員Sクラスらしい。まあ、当然といえば当然である。

 

さらに大量に並ぶ人の上を歩いて現れた人物は九鬼の妹にあたる九鬼紋白であった。登場の仕方といい額の傷といい喋り方まで九鬼英雄にそっくりである。彼女の見た目は小さいが歳はどうも年上らしい。自分より年上なのに英雄の妹とはこれはまたいかに。しかし、おれは見逃さなかった。2-Sのハゲが悟りを開いた顔をしていたところを。

 

そして最後の編入生として現れた人物が予想外だった。ヒューム・ヘルシング。武道において川神鉄心と同じく最強と謳われ、九鬼家従者部隊ナンバーゼロという永久欠番を持つ最強のじいさんである。そんな年齢の高校生なんかいないだろ。彼は英雄のそばにいるあずみと同じく紋白の護衛として編入されることになったらしい。それなら納得ができる。あれも年・・やめておこう。考えただけで殺しにきそうだ。

 

このような色物が六人も入ってきたのだ反応しないほうがおかしい。姐さんなんてほとんどが自分と戦いになりそうな人物なので超笑顔である。そしてみんなこれで終わりかと思い会話をはじめていたところ・・

 

「静まれえええい!まだ九鬼とは関係のない編入生がおるぞい!どうせだから一緒に紹介しておこうと思う上がってきなさい」

「はい。わかりました」

 

まだほかにもいたらしくみんな壇上の方向にむく。

そこには髪をサイドポニーにして束ねて、眼鏡のおくには切れ目の瞳が映る女性が檀上に上がっていた。

 

「わたしは天皇守護一族、近衛家の次期当主、近衛京香と申します。このたびは天皇様との様々なこれからの話の関係により、天皇様のお住いの東京に近くさらに武道などの経験の積むことのできる川神学園に編入させていただきました」

 

近衛一族。歴史の古くからある細かい資料にはこの名前が存在する。平安や戦国、長い日本の歴史の代名詞のように存在する天皇を幾多の危険から守護する一族。昔、本を読んだ時に気になって調べた記憶がある。そんな古くからある一族の次期当主に選ばれた彼女も姐さん達のように強いに違いない。

 

「これからよろしくお願いします」

 

お辞儀をする彼女をみてそう思った。

 

「おいおい、今回はかわいい子おおすぎないか~。やっべーよ。弁慶とかもろタイプだよ俺。はあ・はあ・・むね・・」

「欲望がダダ漏れになってるよガクト。僕は清楚先輩かな。なんか見てて心が落ち着くし」

「そんなこと言って。あの清楚な姿を俺色に汚したいとか思ってんだろ。モロ漏れだぜ」

「僕はそんなこと一言もいってないよ!あと、地味にぼくの名前を上手く使わないでよ!」

「俺の天才的な使い方には感動だろ」

「不愉快だよ!」

ガクトとモロが女子の話で盛り上がり・・

 

 

「私は義経とはやく戦ってみたいわ!前は敵の攻撃を避けるのに必死でよく見れなかったのよね」

「よし。順番待ちだろうが私も義経に決闘を申し込むぞ」

「どっちがさきに義経に勝つか競争よ!クリ」

「どっちも負ける気がするのだが」

「しょーもない・・」

クリスやワン子が決闘に燃え・・

 

「う~ん、あの子も強いな。ふふ、今年は退屈せずに済みそうだ」

 

こうして新しい物語が始まろうとしていた・・・

 

 




普通に大学の事でいろいろ忙しくなってきた。別に書くけどさ。


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編入生追加

これでやっと序章的な部分終了。これから遊び回とかメインストーリー編にオリジナル混ぜながら作りたいです。


_川神学園 昼

 

武士道プラン、義経達や九鬼紋白、近衛京香が編入してきて3日が経った。この3日間はめまぐるしいの一言に尽きていた。

例えば、義経達に対して血が騒いだのか世界各国の武道家達から決闘の申し込みが殺到した。「生きる英雄」という存在に挑まずにはいられなかったのだろう。もちろん武士の血を継ぐ者の多い川神学園内からも挑戦者は続出した。

武士道プランの目的から見ればこの状況は嬉しい結果だ。しかし、ほとんどの戦闘は義経が請け負っている。学校の内部と外部からの挑戦を全て受けることはかなりの手間になる。

そこで九鬼家からある案が提示された。

外部からの挑戦者達は川神百代と闘ってもらって選定を受けてもらい、許可が出た人が義経に挑戦できるという案だ。

この案は姐さんにとって願ってもないものだったのですぐに通った。姐さんはこの頃挑戦者がいなくて退屈していたのもあり、世界中の武道家と闘えることに喜んでいた。

 

そういえば以前紹介されてなかった那須与一がどんな人物かが判明した。深刻な事態だ。奴を見ているだけで俺の過去の傷が急激に痛むのだ。

そう、奴は・・中二病患者だったのだ。人が嫌いだとかお前は機関の人間かっとか・・言動とかが昔の俺に似すぎていて見ていて恥ずかしさしか湧いてこない。

おかげでファミリー内でからかわれる始末。こんなのヤドカリ以外であっただろうか?まあヤドカリについてはいくら何を言われようが気にしないのであるが。

明らかにこちらのほうがマシだが、奴も姉貴分に逆らえない立場のようだ。なんでここまで似ている。

そして彼の特筆すべきは何といっても弓の腕前だ。義経のカバンを盗んだスリを京も驚かせるほどの遠距離からの精密射撃を見せられた時は圧巻の一言だった。さすが那須与一のクローンといったところである。

 

 

その他にはあの有名なカラカル兄弟が学校の教師になったりした。

全米格闘王である兄のゲイルは1ーFの担任で英語を教え、コンピューター製作で若くから会社を立ち上げて成功をおさめた弟のゲイツは3ーFの担任で物理を教えている。どちらの教え方も分かりやすく生徒からの評判もいい。特にゲイツの話を聞くのは為になり自分的にもとても好きだ。なんというかゲイルの方も頭がいいとは思わなかった。

 

また注目の九鬼紋白は1ーSを牛耳ることに成功したらしい。Sクラスの生徒だけに皆プライドが高いのですぐに決闘が始まった。そして、その生徒たちは仕掛けていった得意競技で次々に返り討ちにされてしまったらしい。しかし、紋白は九鬼揚羽のように武闘派な訳ではないので、その手の闘いはヒュームさんが引き継つぐシステムらしく、1ーSの委員長である武蔵小杉・・略してムサコッスはヒュームさんの蹴りによって天井に突き刺しにされたそうだ。

 

また、同じクラスに編入した近衛も紋白同様に返り討ちにしたらしいが、彼女は家の名に恥じぬ武道の腕も持ち合わせていたようで、噂によると・・・

 

「も、紋様だけじゃなく近衛さんもこんなに強いなんて」

「みなさんお強いですね。正直、私は料理は感覚ですし、将棋は相手の考えそうなことを推測しただけだったのですが」

「自慢はいいわ!最後は私の番よ近衛さん」

「武蔵コッスイさんですか。次は何ですか?紋白さんの時と同じ戦闘ですか?」

「あなた見かけによらず口けっこう回るのね。あと明らかに悪意ある名前の言い方だったわね!だれがコッスイよ!」

「それはいいとして戦闘でよろしいのですね?」

「ええ、私のプレ~ミアムな技をみせてあげるわ」

「めんどくさいので見せなくて結構です」

「え?」

 

クラスの全員が武蔵の背後に移動したことを気づくまえに手刀を叩き込んだ。

 

というかんじだったそうだ。あ、なぜ自分が知ってるのかというと1-Sのクラスの子と知り合いで、話を聞いたからだ。

彼女は編入当初から早めに帰宅しているらしくその子が聞いたところ

 

「天皇の邸宅へ通っているのもありますが、ある探し物をしているもので」

 

と言っていたらしい。探し物とはなんだろう。とはおもうが、関係ないので気にしない。

 

そして今日も凄いことが発生した。

3-Fに西からの編入生が入った。名前は松永燕。容姿は一言で済む。美少女だ。それだけで男たちや姐さんは大喜びだった。だが、彼女からはさらに姐さんを喜ばせる事実が発覚した。彼女はなんと姐さんと互角に戦うことのできる武士娘だったのだ。

それが始まったのは朝のHRの時間だった。俺も見た当初は驚いた。昨日、屋上で見た鉄壁スカートの美少女が姐さんとグラウンドで相対していたのだ。なんとは姐さんの一撃目をかわしカウンターを仕掛けていったのだ。

いままでの大概の相手は姐さんの一撃目でノックアウトされてきたのだ。実際それで今まで勝っている姐さんがすごいのだが、ここで驚くべきはカウンターをきめて姐さんを後退させたことだ。歳が近くて姐さんを後退させて防ぐ行動をさせたのは九鬼揚羽さん以来だ。

そのあとも燕先輩は周りにおいてあるすべての武器を使って姐さんと戦ってみせた。

 

すべての武器をだ。

三節棍、薙刀、刀、槍、レイピア、弓矢etc.

全てをうまく使いこなして姐さんと美しい技の応酬を繰り広げていた。すべてのクラスの生徒が見入っていたに違いない。そう思えるほど苛烈で見るものを圧倒する戦いだった。

その戦いはHRの時間の終わりまで続いた。

 

戦いが終わると見物していた生徒達が惜しみないエールを送った。

姐さんも同じように戦える相手ができて喜色満面の様子で握手をしていた。

その後燕先輩はみんなの声援に応えたかと思いきや、いきなり納豆の宣伝を始めていた。

なんでもモロ達によると彼女は西では納豆小町として有名らしい。モロにポスターを見せてもらったがかわいいとしかいいようがない。ガクトにあたっては過呼吸になるほどだ。

他にも音楽なんかもあるらしくかなり本格的だった。

そういうのに限って不味いことがよくあるが、なんと食通のクマちゃんが認めるほどうまいらしい。ぜひ食べてみたいものだ。

 

こんなかんじで七月十一日の今日の昼に至るというわけだ。

三日間の振り返りをしてみただけでこれだけの出来事があったわけだ。東西交流戦を含めればこの一週間は実に濃い一週間だ。今の川神市は九鬼の従者たちが闊歩し、彼らの清掃作業によって、悪事が行われる様子はなくなっている。これからもさらに濃くなりそうだ。

 

大和はそう考えながらついさきほど燕先輩と遭遇したプールで空を見上げていた。

 

 

この数時間後、川神市がさらに濃くなることを想定できるはずもなかった。

 

 

_川神市 河原

 

昼も過ぎ、陽気に包まれる河原をひとりぽつんと歩いていく。

「くっそ、厄日だ。いや、三日続きだから”厄日”って言い方はおかしいのか」

 

独り言をつぶやきながら彼は川の流れに逆らうように歩いていく。

 

「なにが不審な船だ。プライベートクルーザーだっての!九鬼の野郎。我が物顔で検閲してきやがって!」

 

朝なら学生達が大勢通る変態橋を彼は渡らず横切っていく。

 

「エンジンは故障するわ。食い物積み込み忘れるわ。死ぬかと思ったぜ」

「おい、そこのにいちゃん!どこに行く気だ?」

「ん?」

 

彼が振り向くとそこには気ダルそうなおっさんが立っていた。どこかで見たことがあるような気がするが今の頭はどうも考えることを放棄しているようだ。

 

「その制服、川神学園だろ?なんで今こんなとこにいんだよ」

「ええ、それは・・いろいろあったんですよ。はあ・・ちなみに一つ聞いていいですか?」

「ん?そうだな・・暇だしな。一個だけおしえてやるよ」

「じゃあ遠慮なく、あの・・」

 

彼は疲れたようすで不気味な笑い方をするおっさんに聞く。

 

「川神学園ってどこですか?」

 

 

 

_川神学園 六限目 2-F

 

今日の最後の授業は小島先生の歴史。

いつもならみな静かに授業を聞いているのだが、いまだに冷めぬ燕先輩の話でこそこそ話をする人間が発生していた。

 

「しかし今週は美少女が大量に入ってきて最高だな」

「おうよ。これで俺の写真をとる甲斐があるってもんよ。ああ、やべえ立ってきた」

「どこに立つ要素があったのさ。でもたしかに入ってきた女の子全員かわいいよね」

「大丈夫だぞモロ。お前の女装も負けてないからな」

「毎回女装の話に持ってこうとするのやめてよ!」

「ん?女装ってなんの話だ?」

「おい、貴様ら!こそこそ話をするなと何度も言っているだろう!」

 

いつもエロ話で盛り上がる集団のこそこそ話に小島先生の鞭が飛んでいく。

 

「うおお、相変わらず痛てええ!」

「ああん、イクうううううう!」

 

猿にはご褒美にしかなっていなかった。いつからこうなったっけ。

 

「まったく、貴様らは授業の間ぐらい黙っていられんのか」

「まったくだ。三次元のどこがいいんだか」

「あー、いつものキモ男たちがいつも以上にキモイわね~。」

「でもたしかに皆さん美人でしたね千佳ちゃん」

「ん~。そうなのよね~。自信なくしちゃいそう」

「ま、あたいの女子力と互角系だし。かなりかわいい系じゃね?」

「羽黒の話は聞いてないから」

 

女子もなんだかんだで盛り上がりをみせていた。

また、京や源さんのように気にせず自分のやりたいことをしている人間もいる。

 

「私もはやく強くなって燕先輩のようにお姉さまのライバルになってやるわ!」

「だからといって授業で寝るな犬」

「今のうちに寝て放課後に鍛錬したいだけよ」

「だからそれをやめろと言ってるんだ!」

 

ワン子とクリスの会話も同じだ。

 

「しかし、今日くると聞いていたのだがな。なにかあったのだろうか」

「”今日くる”って誰かほかにも編入生が来る予定だったんですか?」

 

小島先生の意味深な言葉が気になり聞いてみると・・

 

「うむ。実はこのクラスにも一人編入予定の奴がいてな。そやつも松永燕と同じく今日来る予定だったのだ」

 

その言葉にクラスがさらに騒がしくなり始める。

 

「おいおい、まじかよ。これで何人目だよ。明らかに編入する時期おかしくねーか?」

「そんなことはどうでもいいんだよ!問題は男か女かどっちなのかってことだよ」

「それには賛成。先生!その編入生はイケメンですか?イケメンですか!?」

「千佳ちゃん。それじゃあ両方とも男ですよー」

「あ~、でも前回クリスだったから今度は男かもな。やべ、萎えてきた」

「キャップ可哀想に。こういうときにいないなんて」

「あー、たしかに」

 

おれは相槌を打ちながら答える。キャップは昼間に欲望のままあるものを買いに行ったっきり帰ってきていない。面白いことが大好きなキャップのことだ。絶対にこの話に食いついてくるだろう。

 

「静かにせんか!だが結局この時間になっても来ないということはやはり何かあったのかもしれんな。一応学園長に連絡をしておこう」

「その必要はないぞい小島先生。遅れとった編入生を連れてきた」

 

知らないうちに本人が扉の前にやってきていた。大体いつも知らないうちに現れる。

 

「学園長。今ちょうどその話をしていたところです。しかし、なぜ到着がここまで遅れたのですか?明らかに予定とちがっているようですが」

「あ~、なんか来る途中でいろいろあったらしくての。本人から聞いておくれ」

「なるほど。ならまず紹介をしてしまいましょうか」

 

周りの奴らの視線は全員先生の会話にくぎ付け状態に陥いっている。小島先生が壇上に上がり直し、教卓から外にいるであろう編入生に呼びかける。

 

「よし、いいぞ。入って来い」

 

その声とともにヘッドホンを首からさげて肩からも斜めがけのカバンを背負った男が入ってきた。てきとうに切りそろえられた髪の毛でありながら綺麗なストレートの髪の毛をしており日本人らしい顔つき、身長も175前後はあるだろう。世間一般でいわれる普通のイケメンといったところか。

目には疲れの色がみえている。さっき先生が言っていた”色々な出来事”のせいなのかもしれない。

 

「では村上。自己紹介をしなさい」

 

「はい」

 

そしてその編入生の口から言葉が発された。

 

 

 

 

 

 

 

「俺の名前は剛〇譲二、三年生だ!野球で全国制覇するためにこの学校へやってきた!小さいころからエースで四番!!(関〇一ボイス)」

「真面目に自己紹介しないか!このばか者め!!」

 

いきなりよくわからない自己紹介をしだしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後のネタは某ゲームのファンディスクのセリフです。「わかんねーよ」というかたは探してみてください。アージュという会社のゲームです。


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始まる日常・・?

読んでいただきありがとうごぜーます。すみません。書く意欲とか学校とパソコンが使えなかったり忙しかったり・・色々で超書いてませんでした。さらに内容も結構薄い気がする。

・・・うん!重ねてすみません!


_川神学園 学園長室

 

「去年は入学を断っておったのに今年になって来るとはおもわなかったわい」

「すみません。すこし事情があって天神館に入学したかったんですよ」

 

通りすがりのおっさんから場所を聞いた後、辿り着いた俺はさらに疲れる状況にあった。

 

「ひさしぶりじゃのお恭介。昔に比べて大きくなりおって」

「ご無沙汰してます。鉄心さん」

 

とか言っときながらまったく覚えていないけどね。

 

「ほほ。そうかしこまらんでもいいじゃよ」

「はは。そういう訳にはいきませんよ」

 

んなことできるか!と頭の中で叫ぶ俺。

 

学園に着いた後に連れてこられたのは学園長室。そこで相対している相手は気楽に話せといってくる。相手は超の付く年上。さらに過去に武道の頂点に立った人。あの川神鉄心だ。畏まらない奴は頭がおかしいとしか思えない。

 

「それにしても、よく覚えていましたね。一度だけしか会ってないのに」

 

そう。おれは実際のところ鉄心さんには一度しか会ったことはない。父さんが自分を川神院に連れて行ったのだ。父さんはまだ会社を継ぐ前の頃に川神院でお世話になったことがあったらしく、川神市に寄ったついでに挨拶をしに向かった。その時に連れられて鉄心さんに初めて会った。俺自身の記憶ではほとんど覚えてないが。それ以降、鉄心さんに会っていなかった。

 

「あの海人の息子を簡単に忘れはせんよ」

 

フルネームは村上海人、俺の父さんだ。父さんは棍を使った戦闘が得意で、実力はマスタークラス到達寸前だったらしく、昔は強かったと言ってよく自慢してきたことを思い出す。その当時の川神院に殴り込んで父さんが負けたのは釈迦堂さんと鉄心さんだけだったそうだ。しかし、会社を継ぐ関係で引退。それ以降は時々鍛練を行う程度になったそうだ。

 

 

「それにあの時、同年代で百代と良い勝負ができたのはお主だけだったからの」

「あー、そんなことありましたっけ?」

 

そう、俺は一度だけ武神と闘ったことがある。どういう経緯で闘うことになったかはまったく覚えていない。迫ってくる拳を全力で避けて隙を探し続けていたような気がする。結果は負けたはずだ。なぜなら俺がリアルに覚えているのが攻撃を避けきれずにくらって気絶したときの拳だったからだ。

 

「なに、あの頃でさえ修行僧のほとんどが相手にならん状態じゃったのだ。百代との対戦相手ができたと思って成長を楽しみにしておったのじゃが・・」

 

そこで鉄心さんは言葉を切り、こちらに心の内を探るような目を向けてきた。

 

「おぬしの気の質は良くなっておる。じゃが、大きさは昔と変わっておらん・・いや、むしろ小さくなっておる。伸びしろがなかっただけでは説明がつかん」

 

まず第一に”気”持っていない人間はいない。しかし、大多数の人間はどうやって使うかを知らない。その上に気の量はその人ごとに限界値が決まっており、過去にいる武で名を上げた者たちは必ずこの限界値が高い。武道において上を目指すなら必要不可欠なものである。なぜなら気を使った武術はなしの状態とは一線を駕するからだ。そしていくら極めても、気は体力などと同じく若いころのピークを過ぎると徐々に減っていくものだ。

 

鉄心さんの言いたいことはわかる。未だ体力などの伸びる可能性のあるこの時期に気がなぜ幼少期時代より減っているのかを聞きたいのだろう。いくら限界値に到達していたとしてもこの年で減ることはないからだ。

 

「おぬしの父も武道から離れたゆえに体の衰えが生まれたが気が小さくなってはおらんかった。・・・いったいなにがあったのじゃ?」

 

減っている原因も、いつこの状態になったかもわかっているが答えようとは思わない。

 

「まあ色々事情があるんですよ」

「それは天神館へ行きたかった事情とやらと関係ありかの?」

「それについては聞きたいこともあるのでまたの機会にしてください」

「ふむ。たしかに疲れておる相手にするはなしでもないの」

「はは、疲れてるってわかってるなら聞かないでくださいよ」

 

このひとが一番俺の知りたいことを知ってそうな人なんだ。今すぐにでも聞きたいがちゃんと意識があるときに聞きたい。

けっこう睡魔も襲ってきているし、ぼーっとするし、ちゃんと敬語を使えてるかもわからない。

 

「それに教室に顔を出すなら早めにいかないと授業も終わってしまいますし」

「おお、そうじゃな。ではさっそく向かうとしようかの」

「どこのクラスですか?」

「Fクラスじゃ。しかし、一応Sクラスの成績に届いておったのに拒否してよかったのかの?」

「そういう堅苦しそうしそうなの嫌いなんですよ」

 

これまでもそうだったし。

さて、自己紹介は重要なターニングポイントだ。印象に残るようなことしたほうがいいよな。なにをしようか?

 

 

 

この後錯乱して披露したネタは大多数に滑り、ギャルゲーをよくやる者たちからは反響があった。

 

 

 

 

2-Fのクラスに新しく一人編入してきた翌朝。

 

「おいおい、俺らのクラスにも新しく編入生入ったなんて聞いてないぞ!」

「そりゃあキャップは昨日いなかったんだから知らないにきまってるじゃん」

 

キャップはついさっき昨日の話を聞いて、予想通りのリアクションを起こしている。今日はいつもなら義経への挑戦者を朝から消化している姐さんも一緒に登校しており興味を示していて、みんながそれぞれの感想を漏らす。

 

「ふーん。その編入生はどんなやつなんだ?」

「よくわからんが自己紹介で盛大にすべっていたぞ」

「あのネタはネットでよく遊んでる人しかわからないよ」

 

「昨日は挨拶した後、すぐに帰っちゃったからなにも知らないよ。天神館から来たってことと村上運輸のとこの息子ってことは前に聞いたけど」

「結構ひと

「京はやけに嫌そうな顔してるな。あいつとなにかあったのか?」

「別に。交流戦のときに大和を気絶させたやつだったから」

「そんなことはどうでもいい。他にはないのか」

「っていうかモモ先輩のことだから闘いたいだけだろ?」

「なんだ、わかってるじゃないか」

 

やはりそっち系のことを聞いていたのか。ていうか俺の扱いひどくないですか姐さん。

 

「へー、モモ先輩は燕先輩がいるから当分は他の人に興味示さねーと思ったんだけどな」

「燕との組手は楽しかったんだけど、全力の戦いは断られたしなー。というか昨日頼みに行こうとしたらもういなかったし」

「たしかに、あのひとそういうの完璧に回避してそうだ」

 

全校生徒が注目しているのところで上手く納豆の宣伝をしたところからもなんとなく抜け目ない感じがしたし。

 

「というか!今燕の話はいいんだよ。で、そいつはどうだったんだ?」

「気に関していえばたぶん全然」

「それって大体どれくらいなんだ?」

「う~ん。初期のヤムチャぐらい?」

「わかりにくいなその例」

 

つまりはちょっと強いぐらいの一般人ぐらいといいたいのか?

 

「さすが大和。私の言いたいことは全部わかってくれる」

 

確実にいつもの告白に繋げたいんだろうが、ここでおれが反応したら「一言も言ってないのにその話を考えるなんて!」とかいいながら迫ってくるのでスルー。

 

「ん?というか気に関して?他に何か引っかかることがあるのか?」

「うん。実はねあいつ、この前の交流戦のときに私と義経の攻撃全部避けきったの」

 

それって普通に考えてかなり強いのでは?

 

自分は義経達の攻撃がほぼ見ることができていないが、実力はこの数日でなんとなくわかっている。義経の斬撃はとても速い。大概の挑戦者たちは瞬く間にで片づけられてしまう。いつものように鍛錬のためにここにいないワン子や同じくクリスも少しは粘ったが負けている。そんな攻撃に合わせて京の弓が援護していた攻撃を村上は全部避けたという。

 

「それで剣使ってたからもしかしたらまゆっちみたいなタイプなのかも」

「やべーよ、まゆっち。属性被りが発生するなんて一大事だぜ!」

「それは被っているとなにがまずいのですか松風?」

「友達作りにきまってるじゃねーかYO!まず友達作りで大切なのはどれだけ相手に覚えてもらえるような個性を魅せるかにかかってんだ。そこに同じような人が一人増えただけでももう一人の印象が薄れちまうもんなんだぜ。よって、属性被りはまゆっちの夢の障害になっちまうってわけよ!」

「なんと!それではまた友達100人計画から遠ざかってしまいます」

「これは今日も作戦会議しなくちゃいけねーな!」

 

学年も違うし明らかにまゆっちが変な方向へ突っ走ってるとは思ったが自己完結するとおもうので放置。

 

「で、交流戦で気になっていたワン子は決闘を申し込んだと・・」

「決闘するなんて俺きいてないぞ!」

「だからキャップ昨日いなかったじゃん。この会話二回目だよ!」

「聞いてれば昨日中に賭けの準備できたのによー」

「たしか決闘昼休みの予定だったし、その間につくればいいんじゃねーの?」

「おお、そいつはラッキー。よし!そうと決まれば学校に着いたら賭けのための券を作らなくちゃな!」

「姐さんはどう?こっちは全員見に行くと思うけど」

「うーん。燕も決闘の観戦なら捕まるだろうから捕まえ次第、見に行くとするか」

 

 

備考:今日は絶好の戦闘日和。

 

 




今度はワン子との決闘および主人公の強さがわかります。これからもっと変化ある・・はず・・?


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