隣には反骨メッシュ (外道堕落)
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席替え

暇だから書きました。



「んじゃ今日の1限目は予定どうり席替えだ〜。順番にくじ引け〜。」

 

今日は羽丘に入学して初めての席替えだ。周りのクラスメイトははしゃいでいるが俺はあまり乗り気じゃない。なぜなら今座っている席が窓側の1番後ろというベストポジションだからだ。まじスマホいじり放題なこの席とお別れするとかほんとだるい、せめて真ん中から後ろの席にしてくれほんとまzi「おい渡辺〜次お前の番だぞ〜諦めてくじを引け〜」うるせぇハゲ…

 

担任に呼ばれ仕方なくくじを引き自分の席を確認しに行く。

 

 

 

 

 

結果、扉から2列目の前から2番目、、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁうん。1番前の列にならなかっただけでも良しとするか…何だこの微妙な位置は、

周りが結果を見てぎゃいぎゃいさわぐ。うるさいよ…

 

萎えながら決まった席へ向かう。さて隣は誰なんでしょうかね?

先に着いて待っているとショートヘアで片方の髪に赤いメッシュの入った女子が隣に座った。

……今日は厄日だ。俺はこの女を知っている。

美竹蘭。普段から誰とも口をきかず目つきも悪く授業をサボるのもしばしば。見た目も派手だし不良にしか見えない。てか不良だろ。

そんな奴が俺の隣か、なるべく関わらないよう過ごすか。

こうして1限目の席替えの時間は過ぎていった。ちなみに「よろしく」とかそんな挨拶はしていない。なんなら目も合わせてない。

 

そんなこんなで昼休み。美竹とは一言も喋らぬまま飯の時間だ。

 

「おーい蓮食堂行こーぜ」

 

「はいよー」

 

やな事は飯を食って忘れようと仲のいいクラスメイト達と共に食堂へ向かう。

 

「そういや蓮、美竹とはなんか話せたか?w」

 

「お前知ってて聞いてるだろ!一言も話してねぇよ!なんなら目も合わせてないわ!」

 

「HAHAwざまぁw」

 

「前の席でスマホイジってた分頑張りたまえww」

 

「こいつらァ」

 

海に沈めてやりたいこの2人。

 

「でもいいだろなんだかんだ言って美竹可愛い方だし」

 

「この機会に仲良くなってみろよw」

 

「何その無理ゲー、てかお前らも噂知ってるだろ」

 

「んじゃその噂が本当か蓮が確かめてくれよw」

 

何んでこいつはヘラヘラしながら無理ゲー押し付けてくるのかしら?

 

「まぁ確証もない噂を鵜呑みにしてその人を評価すんのも良くないよな」

 

「そんなに言うならお前ら2人でやってくれよ、気になんだろ?」

 

「「そんな勇気俺にはない」」

 

「あーそー。」

 

こいつらほんといい性格してんな。まぁでも、、こいつらの言うことも一理あるかもしれんしなぁ、

 

「まぁ機会があれば話してみるか…」

 

「お、いいねぇ」

 

「まぁなんか分かったら教えてくれw」

 

「へいへい」

 

 

 

 

はい、話してみるとか言ったけど午後の授業になっても会話出来ません。誰か話すネタください。こんな気まずい時間これからもおくるなんて嫌なんすけどぉ。

悩んでいると隣の美竹がなんかそわそわし始めた。大方消しゴムかなんか落として見つからないのだろう。そしてふと自分の机の下を見ると見知らぬ消しゴムが落ちている。その瞬間ある作戦を閃いた。

 

1、消しゴムを拾う

2、「これ落ちてたけど美竹の?」とさりげなく聞く

3、そこから上手いこと会話を広げる

よし(適当)これで行こう、、、

 

「あの〜」

 

「何??」

 

「イヤ、アウェ、ウ、スー、ン''ン''」

 

いやごめん目つき鋭すぎて思ったように口が動かない。

 

「?何?」

 

「いや、消しゴム落ちてたからこれ美竹のかなぁって、、、」

 

「…ほんとだ、あ、ありがと。」

 

「イヤ、ゼンゼン、スー、大丈夫、 」

 

はい、会話終了。対戦ありがとうございました。所詮勇気出してもこんなもんだよ。この先この席でやって行けるのだろうか。

 




主人公
渡辺蓮
好きな物アニメ、ゲーム、猫 (ゲーム中は精神年齢5歳下がる)
勇気を出したけどやりきれなかった男子高校生
見た目は簡単に言えば一方通行の髪と目を黒にした感じのイメージで


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慣れ始め???

暇なんすよ


席替えから数日、消しゴム事件からもう美竹とはコミュニケーション放棄してます。どうも渡辺です。まぁ向こうも俺にそんないい印象もってないと思うしな。世界一ビビり散らかしてた自信あるぞあん時の俺。まぁ無理に関わるよりかは今のままでいいだろ、、現状維持決めとこ。

 

そんなこと思ってたら隣の美竹がすごくそわそわしてるんだが、なんからちらちらこっち見てきてるような…いや、俺は話しかけないからな。俺はもう前回の経験から学んだんだよ、同じ過ちを繰り返さないのが渡辺。

 

「ねぇ………」

 

まさかの向こうから話しかけてくるパティーン。

 

「…何か?」

さすがにもうビビらんよ?

 

「プリントのこの問題なんだけど…」

 

どうやら分からない問題があるらしいな。あぁ今は現代文の授業で課題としてプリントを2枚ほどやらされてます。なんでもこの時間に終わらせないと宿題にするとか何とか。ちなみに俺は終わしてプリ〇ネやってますた。意外とこの席でもバレないもんだ。

 

「ねえ、聞いてる?」

 

「あぁ、うん、どこの問題?」

 

「これ」

 

「ああこれはね……」

 

なるべく分かりやすく説明する。「この時の心情を〇字以内で表せ」とか

「この表現はこの場面においてどのような効果があるか」とか一見面倒くさそうだが慣れてしまえばどうということはない。文系は得意なんだ、任せて欲しい。

 

「こんなもんかな。」

 

「なるほど…じゃあこの問題も同じような考えで解ける?」

 

「ん、大丈夫だとおも、、ゥ」

 

いや、今気付いたけどこんな距離近かったっけ?また変な口調になったんじゃが……?まぁ人に教える時ってこうなるよね……なるよね?

 

「?そっか…ありがと。」

 

「いや、全然、」

 

それから美竹はプリントに集中した。じゃあ俺もプリ〇ネの続きをやりますかね。もうちょいでペ〇リーヌ星6なんだよ。

 

 

 

 

しばらくして

 

「終わった…」

 

どうやら美竹がプリントを終わらせる事ができたようだ。ちなみにこっちも星6まであげることができますた。

 

「ねぇ、プリントもう提出した?」

 

「ん?いや、俺は授業の終わりに出すよ。」

 

「最後だと混みそうだから今出しに行かない?」

 

まぁ確かにまだ他の奴らは終わって無さそうだし最後だと混みそうだな。

 

「んじゃ行きますか、」

 

……あれ?なんか普通に会話できてるくない?

 

「…どうしたの?」

 

「あぁいや、なんでも。」

 

席をたち彼女と共に担任の元へ向かう。

 

「なんだお前ら早いな。んじゃ確認するから残りの時間は自習してなさい。」

 

隣でちっちゃくガッツポーズ決めないでもろて、バレバレだからね?

席へ戻りスマホをいじると

 

「あのさ…」

 

謎にまた話しかけてきた。課題はもう無いはずだが…

 

「今更かもしれないけど…名前聞いても良い?」

 

おっと、、そう来たか、

 

「……渡辺蓮だ、まぁ何だ…これからよろしくってことで、」

 

最初の自己紹介の時何してたんでしょうかね……

 

「うん、、、よろしく」

 

最初の消しゴム事件から始まり1度はコミュニケーション取るのも放棄してたが、、案外悪いやつではないのかもしれない。もし仮に美竹が本当に不良なら分からないところを聞くだけ聞いて礼も言わず提出しに行くだろうし…さっきのガッツポーズとか本気で嬉しそうにしてたしなぁ。実は素直になれないだけで本当は良いやつna「ごめん、そんな見られると少しキモイかも…」

 

……すみませんやっぱそんなことないかも☆

無意識にガン見してたのは謝るが、面と向かって「キモイ」とか言うな…最近の男子はデリケートなんだ。

 




渡辺蓮
文系は大得意だが理系はオワコン


美竹蘭
初めて蓮とまともな会話をした。最初はキョドってて変な人だと思っていたが分かりやすく丁寧に問題を教えてくれたことから悪い人ではないかもと思い始めている。でも最後のガン見はキモかったらしい。ちなみにクラスで最初に行われた自己紹介ではほとんど寝てた。




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ゲーム一緒にすると仲良くなる説

1話で登場してたクラスメイト2人の名前決めるの忘れてたんで鈴木と佐藤にしときます。(適当)


かったるい授業が終わり現在は放課後。今日は教員たちの会議があり5限で終了した。そんなわけで時間もあるし、久々にゲーセンにでも行こうかねぇ。

ついでにあの二人も誘うか。

 

「鈴木〜、佐藤〜ゲーセン行こーぜぇ」

 

「わり、急遽部活が入った」

 

「左に同じ」

 

「それはしゃーなしかな…」

 

「行きたいのは山々なんだけどすまねぇな」

 

「俺もマウンテンマウンテンなんだがよ…」

 

普通に''山々''って行った方楽じゃない?佐藤さんよぉ…

 

「了解まぁ、また今度行こうぜ」

 

「「はいよ〜」」

 

2人が来れないのは少しあれだかまぁ1人で行くのも悪くない。

さっさと荷物をまとめてゲーセンへ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

※ただいまゲーム中です。そして、設定通り主人公はゲーム中は精神年齢5歳下がります。その辺を踏まえてご覧下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいあのエピ〇ン今シャゲダンしやがったな!!絶対56す!」

 

現在稼働したばかりのE〇VSシリーズのク〇スブーストをプレイ中。

そんでなぜキレてるかと言うと対戦相手から目の前でシャゲダン(自分の操作する機体を細く左右に揺らし相手を挑発するマナー違反の行為)をされ、ここまでキレています。

ちなみに使ってる機体はエク〇ア。覚醒もF覚醒でキマってます。

 

「ほらほら!!シャゲダンしてこの実力ですかぁ???きみ、弱いねぇ??www」

 

エク〇アの覚醒コンで忌まわしきエピ〇ンを消し去る。

 

「はい!舐めプザコ乙www」

しかし、相手を消し去った事で気持ちよくなりそのせいでもう1人の相手に気付かずその相手、マ〇ターガン〇厶の新武装の後ろ特格(人の動体視力ではかわすことができない理不尽な武装)に轢き殺されました。

 

「あ''ん''な''の''どう''や''っ''て''避''け''ろ''っ''て''ん''だよ''!!」

 

まじで判定と伸びが気色悪いわ。F覚醒中だとなおさらキショイ、とっとと下方しろバ〇ナム…

 

 

 

 

 

 

 

SAN値チェック入ります…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しチンパンしてたけど落ち着きました。気持ち悪っとか、民度低っとか思うかもしれないけど所詮ガン〇厶勢はこんなもんだ。しかもこれは運営も認めてる事だからな。さて、少し休憩したらチュ〇ニズムでもしますか。そう思い近くのベンチに座るとクレーンゲームのところで見覚えのある人を見つけた。

 

「あれは…美竹か?」

 

美竹蘭、現代文の授業以来少しづつ話せるようになり今では普通に会話ができちゃうレベル。周りからは不良疑惑が持たれているが多分違うだろう。そんな美竹が1人でゲーセン来るなんて意外だ。

あ、今目が合った。あ、どっか行った。

 

まぁ会話ができるようになっただけで仲良くなったとは言ってないからな。しょうがないよなとか思ってたら飲み物を持った美竹がこっちのベンチに向かってきた。

 

「美竹も1人か?」

 

適当に話しかける。

 

「まぁ、うん、」

 

なんかぎこちなくない?

 

「どうかしたか?」

 

「いや、、その、間違ってたら悪いんだけど、さっきロボットのゲームしてたのって渡辺…?」

 

え???まさか、見られた???

 

「スー,,え〜、ちなみにいつから?」

 

「なんか、シャゲダン?がどうとか言ってたあたり?」

 

いやほぼ全部やん、

 

「いるなら声かけてくれよ…」

 

「いや、あれに話しかけるのはちょっと…」

 

( ॑꒳ ॑ )デスヨネ

 

「ああ、すまん、ゲームに熱中するとたまにああなるんだ,,」

 

「ほんと、教室でもゲームしてるから好きなのかなって思ってたけどここまでとは思ってなくて、驚いた。」

 

「それを言えば美竹こそ1人で来てることに俺は驚きだが。」

 

これ以上触れないでくださいと言わんばかりに話題をそらす。

 

「あたしは家に帰っても暇だし、たまにはいいかなって」

 

「あーそー、まぁ何だ、なんかゲームやるか?」

 

「またあんなふうに荒ぶらないなら…」

 

「気をつけます…」

 

その後は太鼓を叩いたりチュ〇ニズムやったりと音ゲーを中心に遊んだ。

やはり音ゲーは良い。フルコンした時の達成感がたまらん。

美竹の方から「オールパーフェクトって…」とか聞こえたけどまぁ、

プロですから。

 

そして今は帰り、家の方向が同じということが発覚し途中まで一緒に歩くことに。すると…

 

「ミャー」

 

子猫と遭遇

 

「おや?こんなところで何をしてるんだいぼくちゃぁん(´-ω-`)۶"ナデナデ」

 

「ミャー♪」

 

あらヤダこの猫ったらその場で横になりもっと撫でろと言わんばかりにお腹を広げるという猫好きの心をわしずかみにする仕草を既に習得しているわ、おそろい子!

 

「oh、ここがいいのかい?どれどれ(´-ω-`)۶"ナデナデ」

 

「ゴロゴロゴロ」

 

「…渡辺って、猫も好きなんだね、」

 

「あぁ、まじで好きだな。」

 

なんなら好きすぎてたまに猫の動画鑑賞とかしちゃうまである。

 

「もしかして、飼ってたりしてんの?」

 

「弟がアレルギー持ってて,,」

 

「弟いるんだ…」

 

そうなんだよなぁなんであいつアレルギー持ってんねん…

 

「なんか今日は渡辺の意外な面ばっかり見てるような…」

 

「まぁ、確かに、でも美竹も意外とゲームできるのな。その辺は俺も驚いてたな。」

 

「まぁたまに友達と来てたし何回かやった事もあるし。」

 

ん?友達?

 

「美竹って、友達いたんだな、」

 

やべ、口にでた。

 

「はぁ?何言ってんの?いるし。クラスが違うだけだから!」

 

「わ、わかった!すまん!今のは俺が悪かった!」

 

やっぱり怒った時の目つき鋭すぎて怖い…

 

「まぁ、別にいいけど、」

 

「ミャァ〜」

 

あぁ美竹の威嚇で猫が逃げてしまった。もうちょいモフりたかった…

 

「はぁ〜猫も逃げたしもう帰ろうぜ。」

 

「……」

 

「美竹?」

 

何だ?そんなに空を見て、ラ〇ュタでもあった?

 

「あぁ、いや、なんでも。」

 

「もしかして夕焼けか?」

 

「…うん、綺麗だったから。」

 

「ほーん、好きなのか?」

 

「うん。」

 

これまた意外。てか美竹もそんな穏やかな顔するんだな。普段からその表情でいりゃいいのに。

それにしても夕焼けをこんなまじまじと見るのも久しぶりだな。なんつーか普通にいいじゃん。悪くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




渡辺蓮
音ゲーから格ゲーまでなんでもござれ。猫は飼いたいけど弟がアレルギーもち…

美竹蘭
蓮の意外な面を見て驚いている。というかチンパンしてる所を見た時は普通にドン引きしてた。

今回ガン〇厶知らない人分かりにくいかも、その点ご容赦ください。


あ〜、猫が欲しい。




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テスト勉強①

暇だ、かまえ。


「それでは来週からはテスト期間になりますので、各自しっかり学習しておくように。以上。」

 

担任からの話が終わり、本日の学校が終わる。今日は金曜日。本来なら明日明後日の土日をどう過ごすか胸をはずませ様々な計画を立てるところだが、残念ながらそうとも行かない。まぁ担任も言ってたが中間テストが来週に控えているからだ。なんでまぁ格ゲーしたり音ゲーしたりギャルゲーしたりする事が中々出来なくなるわけである。文系だけ受けるならまだいい。だが理系が本当に理解にできない。特に数学。中学の時から苦手なんだよ。なんであんな将来微塵も役に立たん数式を覚えにゃならんのだ。なんで点Pは動くんだ、止まってくれ。問題に出てくるAさん、急に走り出すんじゃない。そのまま歩いててくれ。

 

 

 

 

そんなこんなでテスト当日までは数学を赤点が回避できるぐらいまで勉強し、その後に他の教科を勉強していく流れで行こうと思う。まぁ、万が一赤点取っても補習受けりゃいい話だしな。

今後の予定を決めたので荷物をまとめ帰宅の準備をする。

ふと、隣の席に視線を移す。

そこにはテストが相当嫌なのか、机に突っ伏しうなだれている美竹の姿が、、、どした〜ん?話聞こか〜〜?

 

 

ゲーセンで荒ぶっている姿を見られた時は正直終わったと思っていたが最初と比べるとだいぶ気軽に話せるようになってきたような気がする。向こうも前ほど警戒心むき出しではないと思うしな。

 

 

「美竹、お前帰んねーの?」

 

「…」

 

し、死んでないよね?

 

「……渡辺は来週テストって知ってた?」

 

どうやら忘れていたようですね,,

 

「まぁ知ってたし、土日で追い込みかける感じだな。」

 

「……そう……」

 

現実は残酷なもんだな。なんまんだぶなんまんだぶ。

 

「んじゃ俺は帰る。まぁ、時間はまだあるし詰め込めば何とかなんだろ。」

 

それじゃ、と未だに机に突っ伏してる美竹を放置し帰宅する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たで〜ま〜。」

 

「おかり〜。」

 

帰宅すると弟がグダグダとリビングのソファの上で横になりゲームをしていた。ちなみに名前は翔。こいつは楽でいいよなぁ。弟のいる中学は1学期の中間テストないし、問題も簡単だし。まじ中間ないのは甘えだろ、ありえねぇわ。まぁ俺もちょっと前までその中学通ってたけど。

 

「ただいま〜。」

 

部屋に戻り着替えてリビングに戻ってくると母親が帰ってきた。

 

「おかえり〜」

 

「ウェーイ」

 

どうやら弟はだらけすぎて日本語を忘れたようだ。

 

「あーそういえば蓮。」

 

「ん?」

 

「来週テストでしょ?」

 

「まぁ、そうだけど。」

 

「また数学赤点取ってきたら小遣い永久に渡さないからそのつもりでよろしく。」

 

……なんか唐突に訳分からんこと言い出したんだけど(´・ω・`)

 

「…ま?」

 

「まじで。ちなみにお父さんからそう言われてるの。」

 

親父の差し金か…

 

「いやまて、高校生にその条件はきついだろ、」

 

「頑張れ渡辺蓮〜お前ならできるはずだ渡辺蓮〜。」

 

この弟海に沈めていいかな?

 

「まぁ、そういう事だからー。」

 

「えぇ,,」

 

これは本格的に数学何とかしないとまずい。

 

 

 

 

 

翌日、数学の理解不能な数式と格闘を繰り広げるが、、

 

「やべぇゲームしたい、格闘振りたい、銃乱射したい、フルコン決めたい、ヒロイン攻略したい、ダンジョン潜りたい」

 

もうゲームの誘惑に落とされかけてます。どうも、渡辺です。

 

「ゲームしてぇけどこのままだと赤点とるのは目に見えてるし…」

 

頭を抱えベットの上でうずくまり、誘惑に耐える。

 

「兄貴勉ky、、うわきも、何してだよ、」

 

「うるせえ、今自分と戦ってんだよ。」

 

「はいはい、厨二乙〜。そんなに誘惑に負けそうならどっかのカフェとか行って勉強すりゃいんじゃねーの?」

 

あ〜まぁ、確かに。ゲームという誘惑してくるものがなく、しかも休憩がてら美味い飲み物とか飲めちゃうし、今の俺にはピッタリかもしれん。

 

「お前はたまにいいことを言うな、褒めて遣わす。」

 

「おー、そんじゃ兄貴がどっか行ってる間ゲーム借りるぞ。」

 

それが目的だったか…まぁいいかと思い勉強道具をまとめ家を後にした。

 

 

 

 

「どっかにいい感じのカフェねぇかな。」

 

家を出てからしばらく、ブラブラと歩く。今頃弟は楽しくゲームしてんのかねぇ、なんか気に食わないから今度あいつのデータでも消してやるか。

密かに嫌がらせを計画しているとある店を見つけた。

 

「羽沢珈琲店?もうここでいいか。歩くのも疲れるし。」

 

体力的な問題もあり店内へ入る。

 

「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」

 

「…!は、はい。」

 

いや店員さん元気ありすぎません?思わずビビったわ…

 

「では、お好きな席へどうぞ!」

 

あらやだ綺麗な笑顔だこと。どっかの目付きの鋭い女子とは違い、シンプルに可愛いと思える笑顔がそこにはありました。こう言う人を男子は『天使』と呼ぶのでしょうか?

そんなことを思いながら奥の方の席へ向かう。

「さて、そんじゃやりますかね。」

 

ノートを開きシャーペンを握る。こっちは今後の小遣いかかってんだ。本気でやらせてもらう。再び数学との格闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だいぶ集中してたな。というかやってて思ったけどこの店で勉強するとまじで捗るな。誘惑してくるものがないのもあるがこの落ち着いた雰囲気が

大きいのかもしれない。こんなに集中したのは初めてだ。こりゃ明日もここに来てやるしかないな。

少し休憩がてらコーヒーでも飲もうかねぇ。店員さんを呼ぼうとするとふと、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「あ、蘭ちゃん、いらっしゃい。」

 

「ねぇつぐみ、少しここで勉強させてもらってもいい?」

 

「うん!いいよ!」

 

俺の記憶が間違ってなければこの声は美竹か…あの店員さんと知り合いなのか。いーな、サービスとかして貰えそう。

 

「え…なんで渡辺がいんの?」

 

?????????

 

横を見ると私服姿の美竹。

 

なんで…( 。ω。)?

 

「…家だと集中できねぇからいい感じの店で勉強しようと思ってたまたまこの店見つけたから入った。美竹は?…」

 

「あたしもだいたいそんな感じ、、いつもの席で勉強しようとしてたら渡辺がいた。」

 

常連さんですかそうですか。

 

「でもちょうど良いかも。」

 

「???」

 

そう言い向かいの席に座る。

 

「渡辺勉強得意でしょ?また教えてよ。」

 

まぁ休憩がてら教えるのも良いか。

 

「ああ、ちょうど休憩中だしいいぞ。」

 

「…!ありがと。それじゃ、ここの問題なんだけど…」

 

今一瞬すげぇ嬉しそうな顔したような…?なんつーか,,グッと来ないこともないですね、はい。……やりゃ出来んじゃねぇか。

そして美竹の言う問題に目を向けると、そこにはたった今苦戦している数学の問題が、、、

 

「…すまん、やっぱ、無理かも、」

 

「え?…なんで?」

 

「美竹には言ってなかったが、俺は文系なら大得意だが数学は壊滅的なんだ。ちなみにその問題はムズすぎたから休憩してからやる予定だった。」

 

本当に、申し訳ない(´・_・`)

 

「そうなんだ,,じ、じゃあ一緒にやんない?」

 

「え?どうした、急に?」

 

「いや、その、ほ、ほら一緒にやったらその、解けるかもしれないし…」

 

こんなあたふたしてる姿は見たことないな。これまたいいものを見た。

 

「まぁ確かにその方が覚えられるかもしれないし、やってみるか。」

 

「う、うん。えっと…この問題ってこの公式じゃダメなのかな?」

 

「あー、俺もさっきその方法でやってみたんだが……」

 

 

お互い分からないなりに意見を出し合い、勉強を始めた。その光景をつぐみは穏やかな笑顔で見守っていたことは知る由もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




渡辺蓮
数学とかやる意味あるん?あと今日の美竹どしたん?

美竹蘭
店に蓮がいた事に驚いていたが勉強するには心強いと思いまた教えてもらおうとするが数学ができないことにまた驚く。
蓮に一緒にやろうと気がついたら提案していた。自分でもなぜそういったのかわからず少し焦った模様。




渡辺家の設定

家族4人暮し
両親は共働き、父親は他県に単身赴任

渡辺翔
蓮の弟。ゲーム好きは兄譲り。特にソシャゲが好き。家でダラダラしているが、基本的に礼儀正しく大人しい性格。兄同様ゲーム中は小学生。









最後にこんな作品に評価してくださった方、ありがとうございます。



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テスト勉強②

セツナトリップのSPECIAL出来ません。


「「で、出来たあ……」」

 

美竹と共に数学の問題を始めてから十数分、何とか回答までたどりつくことができた。本当、なんでこう言う応用問題ってこんなめんどくさいんだ。美竹と一緒にやって正解だったな…1人じゃ確実に詰んでた。

 

「疲れたし、なんか頼むか?」

 

「うん。あたしコーヒーで……」

 

「んじゃ俺も。すいませーん。」

 

店員を呼び注文を済ませる。一旦勉強道具を片付け、スマホを取り出しLet's 休憩た〜イム。

 

「またゲーム?」

 

「いや、Twitter見てる。ゲームは1回やりだすとやめらんなくなるからテスト終わるまで封印してんだよ。」

 

「へぇ、意外。」

 

まぁそうでもしないと数学赤点取って永久に小遣いが貰えない生活が始まってしまうからな。

 

「まぁ色々あるんだよ…」

 

「お待たせしました。こちらコーヒーになります。」

 

そうこうしてたら頼んだコーヒーが来た。どれどれお味は。

 

「…美味いな。」

 

「うん、いつも通り美味しい。」

 

さすが常連様。ていうかほんと美味い。俺も今日からここの常連になっちゃおうかしら。

 

 

 

 

 

感動しつつコーヒーを飲み、疲れた脳を癒していると、

 

「お〜い蘭〜、来たよ〜♪」

 

唐突に後ろから声が聞こえた。美竹の知り合いっぽいな。えらくほわほわした口調だ。

 

「え、、、なんでモカたちがいるの?……」

 

俺も後ろを振り向くとそこには3人ほどの女子達が、、、よし、コーヒー飲んだら早く帰宅するかぁ…

 

「いやぁさっきつぐから蘭が男の人と楽しそうにテスト勉強してるって聞いてねぇ〜。」

 

なるほど、つぐってのはさっきの店員さんか?チラッと本人の方を見てみると「あはは…」と少し申し訳なさそうに苦笑している。

 

「そうそう!前蘭が話してた『渡辺くん』だと思ってみんなで来たんだよ〜!」

 

何を話したんですか?美竹さん?まさかゲーセンでの事じゃないですよネ???

 

「ひまりはここに来るまでずっとわくわくしてたもんなぁ」

 

「だってあの蘭がまともに話せる男子だよ!?気にならないわけないじゃん!」

 

おーい美竹さん?あのピンクの人少し失礼なこと言ったような気がするけど大丈夫ですか?、、ダメだ、相当驚いているのか、固まっちゃってるよ。

 

「それでそこにいるのが噂の渡辺くんかなぁ〜?蘭と仲良さそ〜に勉強してたよね〜?」

 

「は、はぁ」

 

いかにも、私が噂の渡辺くんです。なんだその見てたような言い草は。

 

「え?ちょっと待って、モカたちっていつからいたの?…」

 

「え〜?蘭たちが勉強終わる数分前ぐらい?かな。」

 

まじか、全然気づかなかった。

 

ん〜これは、めんどくさくなる前に帰った方がいいパターンだな。

 

「スー、、あ〜、そんじゃ美竹、コーヒーも飲み終わったし俺そろそろ帰るわ。また学校でな。そんなわけで失礼。」

 

帰る以外の選択肢なし。速攻荷物をまとめ家へ帰還しようとするが…

 

「待ちたまえよぉ〜。今からあたし達も勉強会やるからもう少しやっていかないか〜い?」

 

ガシッとふわふわ女子にカバンを掴まれる。

 

「蘭とどんな関係なのか聞かせてよー!」

 

元気なピンク女子がたたみかけてくる。

 

「あたしも少し気になるな!」

 

長身女子もかかってくる。

…美竹、次は俺、どうすればいい?、、、

 

「…渡辺、もう少しいたら?」

 

「大丈夫なのか?」

 

「さすがにこうなったらもう無理…」

 

あれはもう諦めた表情だな。

 

「…りょーかい、」

 

じゃ、俺も諦めますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃあらためて、渡辺蓮です。え〜好きなものはアニメとかゲームとか漫画とか。美竹とはクラスメイトでたまたま席が隣になっただけです。…こんな感じでいい?」

 

現在は席に座り直し自己紹介をしています。どうやらこの女子達は美竹の幼馴染らしい。さっきのほわほわ女子は青葉モカ、ピンク女子が上原ひまり、長身女子が宇田川巴、そんで店内で接客をしていた女子が羽沢つぐみと言うらしい。ちなみに席は何故か俺が美竹の隣に座らされ、残り3人が正面に座っている。

 

「えー普通すぎるよー。」

 

上原は何を求めてたんだよ。

 

「てか俺数学やんねぇといけないんだけど…」

 

「おや〜?それならこの天才美少女モカちゃんが教えてしんぜよ〜う。」

 

え?こいつ人に教えられんのか?

 

「渡辺、モカはこう見えてこの中で1番頭良いから大丈夫だよ。」

 

まじかよ。そんな風には見えんのだが。

 

「も〜、れー君は失礼だなぁ。」

 

「まて、そんな名前のやつはここにいないはずだが、」

 

「ま〜ま〜そう言わずに〜」

 

いきなりよく分からんあだ名を頂きました。渡辺れー君です。どうぞよろしく。

 

「まぁ、もう何でもいいや。そんじゃ青葉、ここの問題おしえてくれ。」

 

「モカ、あたしにも教えて。」

 

「もちろ〜ん。」

 

「あたし達もやるか!」

 

「巴〜!ここわかんな〜い!」

 

そんなこんなで勉強再開しやす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言います。青葉さんまじパネーっす。説明丁寧すぎて俺でも簡単に理解出来てしまった。数学教わるなら青葉しか勝たんすわ!!

 

「みんなお疲れ様ー」

 

「わーつぐありがとー!」

 

しばらく勉強していると羽沢さんが差し入れとしてコーヒーを持ってきてくれた。

 

「どうも…」

 

俺も1つ頂く。本日2杯目だがほんとに美味いと思う。ふと、時計を見ると16時をすぎていた。

 

「ぼちぼちいい時間だし、そろそろ終わんないか?さすがに疲れた。」

 

「あたしも、ちょっと限界かも…」

 

「じゃー今日はここまでにしよっか!蓮くんとも知り合えたし!」

 

よく会って初日なのに下の名前で呼べるよなぁコミュ力ありすぎでは。

 

「そうだな!」

 

「さんせ〜い。」

 

各々帰る準備をし、会計をすませ店を後にする。

 

「つぐ〜ばいば〜い、」

 

「うん!またねー!」

 

羽沢さんとは全く話せなかったけどまぁ、いつか話せるだろう。

 

「蘭〜明日もここで勉強会やるでしょ〜?」

 

「うん。」

 

ほーん、明日もやんのか。まぁ美竹はほんとに急いで詰め込まないとやばそうだしな…俺も明日ここでやりたかったけどどうしたもんかなぁ…

 

「ねぇ、…渡辺?」

 

「ん〜?」

 

「えっと…明日って空いてる?」

 

「まぁ特に予定はない。明日も勉強するだけだが…」

 

「ラン~ガンバレ~」

 

なんか3人とも応援しとる…保護者??

 

「う、うるさい,,!…その、もし良かったら明日もみんなと一緒に勉強しない?」

 

「え?俺居てもいいのか?」

 

「う、うん、その、ほら、また現代文とか教えて欲しぃ…っていうか,,//」

 

その顔は反則なんじゃないですか?断れるはずねーだろそんな表情で頼まれたら!

 

「あぁ、お、おうそういう事なら、まぁ、任せろ…//」

 

俺の顔赤くなってないよね?大丈夫だよね?

 

「う、うん、ありがと…」

 

「ら〜ん〜♪やればできるじゃ〜ん♪」

 

「ちょっとモカ!//…もう!あたし先帰る!!///」

 

「あ!蘭ー待ってよー!」

 

「あははは…」

 

美竹が先に歩いていき、上原、宇田川が追いかける。

 

俺も帰りますか…

 

「ねー、れー君。」

 

「ん?」

 

青葉のやつ急にどうした?

 

「蘭のこと、これからもよろしくね。」

 

「いや、いきなりだな…」

 

「蘭はね?あたし達とクラスが別になってからすごく寂しそうだったんだ〜。でもれー君のおかげで前よりも楽しそうに見えるから。」

 

「いや、俺は特に何もしてねぇよ。」

 

「れー君はそうでも蘭からしたら、れー君の存在って結構大きいのかもしれないよ〜?」

 

「ははっ、それは大袈裟だな。」

 

「でも現にさっきれー君が明日も行くって行った時蘭すっごく嬉しそうな顔してたじゃ〜ん。」

 

「……」

「だから、これからも蘭のこと、よろしくね〜?」

 

「お前は美竹の保護者か…、まあ、なんだ、いつも通りにやっていくわ。」

 

「うむ、それでよろし〜。」

 

こうして俺達も帰路に着くのであった。

 

翌日、つぐみを加えた6人で勉強会が行われた。

そして、この土日の勉強会のおかげで蓮は数学の赤点回避に成功し、蘭も無事に乗り越えることが出来きたのだった。

 

 

 




渡辺蓮(れー君)
モカに数学を教えてもらったおかげで何とか数学の赤点を回避した。しかも今までで1番点数が良かったとか。ちなみに現代文だけ100点だった。

美竹蘭
土日の勉強会のおかげで何とかテストを乗り越えた。蓮に教えてもらった現代文の点数の伸びがとんでもなく幼馴染全員からは「蓮くん補正」と言われたらしい。蓮が次の日も参加してくれた時はものすごく嬉しかった模様。



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Afterglow

眠い


とある日の昼休み、例の如く佐藤と鈴木と飯を食いながら話していると、

 

「なぁ蓮、今週の日曜なんか予定ある?」

 

隣の佐藤がこんなことを聞いてきた。

 

「?まぁ特にねーけど、どっかいくの?」

 

「蓮も最近周りで『ガールズバンド』なるものが流行ってきている事は知ってるよな?」

 

「まぁな。俺も少しなら知ってる。」

 

最近教室でもちょいちょい聞こえてくるしな。

 

「それのライブが日曜にあって俺と鈴木で行くんだけど、蓮も一緒にどうよ?」

 

ライブか〜、そんな興味ないし人混みあんま得意じゃないから断っとくか…

 

「あ〜俺あんまり人混み得意じゃないから遠慮しとくわ。」

 

休日は家でゲームしてるのが至高。

 

「いや!!お前は絶対に来た方がいい!!」

 

んぁびっくりしたァ!いきなりどうした鈴木くん。

 

「いや、なぜ、」

 

「理由はいえん。言えはしないが断言する!今回のライブ、絶対にお前は見るべきだ!!」

 

「えぇ、いいよ行かなくて…」

 

「いいから、来てみろって!」

 

「来てみな?飛ぶぞ!」

 

さてはヤッてんなこいつ?

 

「絶対にお前は来て後悔しないから!」

 

「頼む来てくれ!来てください、お願いします!」

 

いや、なんでこんな必死なん???誰かに脅されてんのか?

……さすがにこんなに頼まれたら断ろうにも断れんか,,

 

「(´Д`)ハァ……わ〜ったよ行きゃいんだろ行きゃ?」

 

「よし!よく言った!」

 

「んじゃ日曜絶対空けとけよ!?」

 

「りょ〜、なんもなかったらお前らの奢りで飯な〜」

 

「「そんな未来は絶対に来ない!」」

 

シンクロ率200%。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、てなわけでやってきました日曜日。とっとと指定された集合場所に向かう。

 

「おー蓮、来たか!」

 

「よし、揃ったことだし、いざゆかん!」

 

ほんとテンション高ぇ。そんなに今回のライブはすごいもんなのか?

 

 

しばらく歩くとそれらしい建物が見えた。

 

「ここのライブハウスだ。」

 

「CIRCLE ?」

 

「そ。」

 

こんな所にライブハウスなんてあったんだな。知らんかった。

 

「んじゃ早速中はいろーぜ!」

 

 

チケットを買い、中に入る。

 

「どこの席で見る?」

 

「やっぱり前の方だろ!」

 

「賛成!」

 

「えぇ後ろでダメなのかよ…」

 

できれば人があんまり密集してないところが良いんだが、

 

「前の方がはっきり見えて良いだろ!」

 

「ちょうど空いてるし早く行くぞ!」

 

「…モウドウニデモナレェ」

 

それにしても、女性客がやたらと多いな。男なんて俺ら含めても数えるほどしかいない。ガールズバンドだからなのか?

しばらくして周りの明かりが消え暗くなった。そろそろ始まるのか。

 

「デュふふw早く蓮殿の驚く姿がみたいでござるよw」

 

「まぁ落ち着くでござるよw佐藤殿wみっともないでござるよww」

 

「いやぁw落ち着いてぇいられないでござりんちょふw」

 

控えめに言って気持ち悪い。

 

 

 

 

どうやら今回のライブは3つのグループのバントによる合同ライブらしい。1組目はものすごく元気のあるバンドだった。特にボーカルの人が凄かったな。あと猫耳っぽい髪型してたのは猫好きとしてポイント高かったです。観客の盛り上がりも凄く、人混みがあまり得意ではなかったけど曲が始まると思っていたより気にならず普通に楽しいと思った。

2組目は1組目と違って俺のような素人が見ても明らかにレベルが高かった。プロ顔負けなんじゃないか?おそらく2人がしつこく誘ってきた理由もこれだろう。隣でバカ騒ぎしてたし。俺も結構テンション上がってたし。

 

そして、次で最後グループ。一体どんなバンドなのか、楽しみに待っているとステージの袖から5人組が出てきた。そのメンバーを見た瞬間、俺は自分の目を疑った。

 

「は?????????」

 

そこには美竹の姿とその幼馴染達の姿があった。

 

???????????????

 

そんなことってあんのか?

 

隣を見ると

( •´∀•` )bドヤァの顔が2つ。

 

「この顔が見たかったのでござるよ鈴木殿w( ´͈౪`͈)」

 

「最高でござるな佐藤殿w(≖‿≖)」

 

……こいつはしてやられた。

 

「Afterglowです、じゃあ早速1曲目!」

 

そして美竹達のバンド、Afterglowの演奏が始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言おう。曲を聴いてる内にもうファンになってました。今日聴いたバンドの中で1番心に残ったし、歌声がかっこよすぎた。演奏が終わった今でも鳥肌がたっている。

 

「どうだった?ステージでの美竹は?w」

 

「…ホント、冗談抜きでかっこよかった。」

 

「おっと、これはマジなやつだな。」

 

「予想以上のリアクション。」

 

まじで、あんな生き生きした姿見た事ねぇ。学校にいる時とはまるで別人だった。

 

「な?来て後悔しなかっただろ?」

 

「…ああ、てか普通に美竹の事言ってたら俺も素直に来てたと思うんだが…」

 

「それを言ったら面白くないでしょ〜」

 

まじでいい性格してるよなァこいつら。

そんな会話をしながら俺たちは帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

翌日、学校へ行き教室へ向かうと、

 

「あ、渡辺。」

 

「おお、おはよう。」

 

美竹と遭遇。

 

「ん、おはよう。」

 

お互い挨拶をし、席に着く。

 

「そういやさ、」

 

「?」

 

「美竹って、青葉達とバンドやってんのな。」

 

「え!?」

 

うわぁすげー驚いてる。そりゃそうか。

 

「…なんで知ってんの?」

 

「まぁ昨日のライブ見てたからな。」

 

「あそこにいたの?」

 

「ああ、友達にどうしても来いって言われて。」

 

「なるほどね…その、どうだった?」

 

恐る恐る昨日の演奏について聞いてくる。

 

「ああ、冗談抜きでかっこよかった。なんだったらもうファンになったまである。」

 

正直に、思っていたことを伝える。

 

「//あ、ありがと。//」

 

そんな顔赤くして照れながら言わないでくれ、頭撫でたくなるから…

 

「まぁなんだ、またライブある時教えてくれ//予定が合えばまた見に行きたいし//」

 

「いや、恥ずかしいから来なくていいよ。」

 

……( ´ • ω • ` )シュン…。

 

「フフw何その顔w、冗談だよ。」

 

危ねー、うっかり手首でも切るとこだったわ。心臓に悪いからほどほどにしてくれ美竹さんよ…

当の本人は穏やかに笑っていた。その笑顔を見ると自然と頬が緩むのであった。

 

 

 

守りたい。てぇてぇこの笑顔。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




渡辺蓮
蘭達の演奏を聴いて速攻でファンになった。



美竹蘭
ライブに蓮が来ていたことに驚いたが感想を聞いて内心とても喜んでいた。そのせいでついつい蓮をからかってしまった。


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side蘭

ヒロイン視点ムズすぎ問題。


放課後、あたし達はいつも通りcircleで練習をしていた。

それにしても、この前のライブで渡辺が来てたなんてびっくりした。みんなとバンドをやってることは言ってなかったからいきなり言われた時は混乱したけど渡辺の感想聞いた時はホッとしたし嬉しかったかも…

次のライブ決まったらまた見に来てくれるのかな…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、今日はここまでにしよっか!」

 

「さんせ〜い。」

 

「うん。そうだね。」

 

「みんなお疲れ様。」

 

「かぁ〜!今日も疲れたな!」

 

バンドの練習を終え、各自片付けを始める。

 

「そういえば蘭〜、今日すごく調子良かったけどなんかいい事でもあった〜?」

 

片付けの途中にモカが変な事聞いてきた。

 

「いや…別にそんなこと、」

 

「確かに!私もいつもより気合い入ってるなぁって思ってた。」

 

ひまりまで…

 

「もしかして〜、れー君となんかあった〜?」

 

「いや…それは…」

 

ないない、別にライブを見てファンになった渡辺のためにもっといいライブを見せたいって思って練習を張り切ってたとかそういうのじゃないから!

 

「これは絶対になんかあったやつだよ〜。」

 

「いや、だから、その、」

 

「なぁ蘭、さすがにその顔はわかりやすいと言うか…」

 

「う、うん、ばればれだね…」

 

巴とつぐみまで…

 

「ほら〜正直に話してごら〜ん?」

 

「……( ¯−︎¯ )……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へ〜前のライブにれー君来てたんだ〜」

 

「しかもファンになってくれるなんてね!」

 

「うん、いきなり言われてさ…」

 

「そりゃあ蘭も気合い入るよな!」

 

「私達も頑張らないとね!」

 

結局朝のこと話しちゃった…

もう、こうなったのは全部渡辺のせいなんだから。

 

「そろそろ出ようよ時間過ぎちゃってるし。」

 

「ああ!忘れてた!」

 

「あたしはお腹すいたぁ〜」

 

「じゃあ帰りになんか食べてくか。」

 

「うん。賛成!」

 

そうしてようやく話が終わり、ライブハウスを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくして、あたし達は晩ご飯を食べようとファミレスに来ていた。

 

「あ、そういえばあたし気になってたんだけどさ〜」

 

「「「「???」」」」

 

席に座り注文をすませるとモカがまたなんか言ってきた。

 

「蘭とれー君でどうやって仲良くなったの〜?」

 

「え?」

 

「あーそれあたしも気になってた!」

 

さっきと同じ流れだ…

 

「別に、たまたま席が隣になっただけ。」

 

「そこからどんな感じで仲良くなっのかってこと♪」

 

ひまり、近い…

 

「え、えーっと…」

 

そういえばあたしって渡辺といつから話すようになったんだっけ?

 

「……たしか現代文の授業であたしが分からない問題を渡辺から教えてもらって、そこから少しずつ話せるようになったような、」

 

あの時の説明はほんと分かりやすかったな。おかげであたしも現代文得意になったし。

 

「へ〜そ〜なんだ〜。」

 

「蓮君文系得意だったもんね!」

 

「あたし達も勉強会の時助けられたよな〜。」

 

ほかにはなんかあったかな…あ、

 

「あと、1回だけゲーセンで渡辺と遭遇したかも。」

 

「え!?」

 

「そうなのか!?」

 

「それは気になりますな〜」

 

「蓮君ってゲーム好きなの?」

 

「うん。相当好きな方だと思う。ゲーセンにいた時も子供みたいにはしゃいでやってたし。」

 

「意外だね…」

 

「本人曰くゲーム中は精神年齢5歳下がるらしいよ、」

 

「そ、そんなにか…」

 

あれはあたしもほんとびっくりした。小学生が騒いでんのかなって思ってたから。

 

「それにプロみたいに上手かったし。」

 

「どのくらい?」

 

「全部のゲームの最高記録を塗り替えるぐらい上手かった。」

 

「それはやばすぎだろ…」

 

「前に巴が太鼓のゲームでクリア出来なかったやつあったでしょ?あれ、何食わぬ顔でフルコンボしてたし,,あと全良?ってやつもしてた。」

「…マジか…」

 

ゲームに関しては渡辺の右に出るものはいないんじゃないかな?

「お待たせしましたー。ご注文の―――」

 

頼んだ料理が届き、その後も食べながら渡辺の話で盛り上がった。

 

 

 

「じゃあモカ、蘭、また明日ねー。」

 

「ばいば〜い」

 

「うん。また明日。」

 

今はひまり達と別れてモカと一緒に帰っている。

 

「それにしても、れー君のこと話してる時の蘭すっごく楽しそうだったねえ〜。」

 

「いや、そんなことないし、、」

 

「そんなことあるし〜♪」

 

「…ないし、」

 

まぁ…話して面白いし退屈しないしまた一緒にゲームしてみたいとか思ったりした時もあったけど,,,,そんなんじゃないし。

 

「またライブ見に来た時に満足して貰えるようにもっと練習頑張ろ〜ね。」

 

「…うん…!」

 

また喜んで貰えるように頑張らないと。

 

 

 

朝の出来事をおもいだし、少し頬が緩む蘭であった。

 

 

「あ、今れー君の事考えてたでしょ〜♪」

 

「かっ、考えてない!!」

 

 

 

 




美竹蘭

またライブで蓮に喜んで貰えるように練習を頑張っていたらほかのメンバーに嗅ぎつけられた。
密かに蓮とまたゲームとかやってみたいと思ってたり…


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アルバイトと不穏

今年から社会の歯車としてこき使われます。


ある休日、普段なら家でゲーム三昧のはずなのだがそうとも行かない事情があり、ある場所へ向かっている。

 

「確かこの辺だったような…お、あったあった。」

 

到着した場所はこの前美竹達のライブを見た『circle』と言うライブハウスだ

 

 

「いらっしゃいませ!予約された方ですか?」

 

「いえ、バイトの面接に来たんですけど…」

 

「ああ!渡辺君だね!ちょっと待ってて。」

 

「はい。」

 

そう、わざわざここに来た理由はバイトの面接のためである。

 

「はぁーー、、働きたくねぇな。」

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあそこ座って」

 

「どうも。」

 

「担当の月島まりなです。よろしくね。」

 

「よろしくお願い致します。」

 

「えーっと渡辺蓮君、高校1年生、へー羽丘に通ってるんだ。」

 

「まぁ近かったし共学なってましたし。」

 

「なるほどねー、それじゃあどうしてバイトをしようと思ったの?」

 

「………えーっと」

 

「ああ、全然軽い理由でもいいよ。」

 

(まぁこの時期は色々買いたいものとかありそうだしね〜)

 

「…父の会社が倒産しまして。」

 

「( ゚ー゚)???」

 

まぁ…そんな顔なるわな…

こうなったのはあのクソ親父のせいなんだよな…

 

―――回想―――

 

 

「たでーまー。」

 

「おー、おかえり〜」

 

「え?なんで親父がいんの?」

 

家に帰ってくると珍しく親父が帰って来ていた。単身赴任のはずだがなんかあったのか?

 

「なんか俺らに話あるらしくて帰って来たんだってさ〜」

 

2階から弟が降りて来た。

なるほどな〜。

 

「んで話って何?」

 

「ああ、母さんにはもう言ってるんだかな?」

 

「おー」

 

「俺いた会社、倒産しちゃった★★★★★」

 

「「ああ?(ꐦ°᷄д°᷅)」」

 

この親父まじか?まじで言ってんのか?

 

「まぁ待て、そんな殺し屋みたいな目で実の父親を睨むんじゃない。」

 

「いや、割とガチでどうすんだよ…」

 

「安心しろ、もう次の転職先も決まってるから。また他県に単身赴任だがな」

 

「なんだよ、」

 

「おどかすな、」

 

「ただ収入が少し悪くなることだけ伝えておきたくてな」

 

まぁ、それはしゃーなしと言うか…

 

「それでだ、蓮。」

 

「?」

 

「来月から翔の学費とか塾とかで手一杯になってお前の小遣いとか携帯代出せなくなるからバイトでもしなさい。」

 

リストラは俺か。

 

 

翌日、学校にて

 

「バイトって言っても学校の許可おりんだろ…」

 

「お、渡辺!」

 

ん?担任?

 

「お前は立派だなあ!お父さんから聞いたぞ!」

 

「はい?」

 

「家計を助けるために自分からアルバイトするって言い出すなんてなぁ!見直したぞ!」

 

「え?え??」

 

そんな事一言も言ってねぇ!!あのクソ野郎の仕業か!!!!

 

「てなわけで許可出たから。頑張れよ〜‪( ^_^)/」

 

「せ、先生ーーーー!!」

 

 

―――回想終わり♡―――

 

「なんか勝手にこんな流れになってて…本当は成績下がるから働きたくないけど…小遣いなきゃゲーム買えないし…携帯代出せなくなったら終わりだし…もうここしか募集してなくて…もう…俺…(涙)」

 

「わ、わかったから!採用するから!泣かないで!!」

 

同情するなら金をくれ…

 

 

 

 

 

「そ、それじゃあ今日からよろしくね。」

 

「はい、よろしくお願いします。」

 

「えーっと、渡辺君には受付の方やってもらおうかな。マニュアル通りにやれば大丈夫だから。なにか困ったら遠慮なく聞いてね。」

 

「はい。」

 

おぉ、このマニュアルわかりやっス。ちゃんとしたところで良かった…

 

 

さて、次に予約が入ってるのは,,

 

「こんにちはー!」

 

「え、渡辺。なんでここにいんの?」

 

「お〜れー君ではないか〜。バイト〜?」

 

なんとAfterglowの面々がやってきた。なんというか、美竹以外は久々な気がする。

 

「まぁな、色々あってバイトをしなくちゃならん状況に追い込まれた。助けてくれ。」

 

「あはは、頑張って。」

 

「そういえば蘭から聞いたぞ!ライブ見に来てくれてありがとな!」

 

「ちょ//巴!」

 

「ライブ決まったら教えるから見に来てね!」

 

「それはありがたい。絶対予定空けとくわ。」

 

学校サボってでも行くわ

 

「だってさ〜、蘭〜」

 

「う、うん、ありがと//」

 

え〜ちょっと何この展開、勘違いしそうなんですけど。バイト初日から結構クライマックス迎えてんですけど。採用してくださった月島さんまじ感謝。

 

「//ん''ん''っ、えっと、んじゃこれ部屋の鍵な。練習頑張って。」

 

「おや〜?顔が赤いようだけどどうしたんだい?」

 

「うるせぇ、早く部屋いけ…」

 

「さっせ〜ん♪」

 

青葉は危険、、覚えておこう。

 

鍵を受け取り、指定された部屋へとむかった。途中美竹がちらっとこちらを向いていたので小さく手を振ってやったら向こうも若干驚いたが顔を赤くしながら小さく振り返してきた。

 

「ほんと、勘違いしそう。」

 

間違っても『え?あいつ俺の事好きなんじゃね?』とか思ってはいかんぞ。男子諸君。まじで、やっちまうから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、こんなもんか。」

 

あれからしばらくして今は店内の掃除をしている。だって受付もう今日の予約ないんだもん。

あらかた終え掃除道具を片付けようとすると、

 

「だから!お父さんには関係ないって言ってるでしょ!!!!」

 

「!?」

 

なんだ?この声は…美竹なのか?

声のする方に行くとやはり美竹の姿が

 

「どしたー。」

 

「!?あ、渡辺、なんでもない…」

 

これは訳ありって感じだな…無駄な詮索はしない方がいいな。触らぬ神に祟りなしつって。

 

「今は休憩中か?」

 

「…うん。…もしかして聞いてた?」

 

「聞こえたのは美竹の怒鳴り声だけだな。」

 

「…そう。じゃあそろそろ戻るね」

 

「お、おう。練習頑張れよ。」

 

「うん。」

 

 

まぁ美竹にはあの幼馴染が付いてるし大丈夫だとは思うが…なんというか、少し不安だな。

 

 

「あ、渡辺君、そろそろ上がっていいよ。」

 

「はーい、お疲れ様でしたー。」

 

 

そんなこんなで今日のバイトは終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




渡辺蓮
リストラされた高校1年生。



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話聞きますよ?

ノリでAfterglowの1章来てみたけどムズすぎて少し後悔してる俺ガイル。


最近美竹の様子がおかしい気がする。授業中もなんかぼーっとしてるし、サボる回数も前より増えた。と言うか現在進行形でサボってるわけだが…

 

「それじゃ、今日はここまで。お前らノートしっかり写せよー。」

 

本日最後の授業が終わった。

 

「すげぇな美竹のやつ、午後の授業全部ぶっちしやがった。」

 

そんなことを呟きながら帰る準備をしていると、

 

「……」

 

当の本人が帰ってきた。何食わぬ顔で。まじで何があったんだよ…

そんで2時間もどこにいたんだよ。

 

「お前もよくサボるよなァ。」

 

「…別にいいでしょ。」

 

「あそー、ほい、これ」

 

「?なんでノートなんか渡すの?」

 

「いや、なに?さっきの授業で期末の前にノート集めるって言われてな、そんで美竹は授業サボってたから必要だと思ってだな…」

 

これでいらないとか言われたら俺も明日から授業サボろっかな。

 

「……ありがと、」

 

なんとか受け取って貰えたな、変な間が少しあったけども

 

「おう、まぁあれだ、そっちにも色々あるんだろうけどなるべく授業は参加してくれ。」

 

「…うん」

 

「おーけ、そんじゃまた明日な〜」

 

そう言い残し教室を後にした。

 

「お〜、れー君ではないか〜。」

 

突然声をかけられ振り向くと青葉がいた。

 

「なんだ青葉か。どした?」

 

「ちょっと聞きたい事があって〜、午後の授業って蘭教室にいた〜?」

 

「いや、2時間ぶっちしてどっか行ってたけど?」

 

「あ〜、やっぱりか〜」

 

「最近様子がおかしいけどなんかあったのか?」

 

「ま〜色々あるのだよ〜」

 

「あいつ2時間もどこで何をしてるのやら…」

 

「あ〜蘭はサボる時は屋上に行くんだよ〜。」

 

本当に大丈夫なのか?なんか心配になってきた…

 

「れー君はこの後バイト〜?」

 

「今日と明日は休みだな、家でのんびりしてるよ。そっちは今日練習?」

 

「そ〜、今からあるよ〜」

 

「そーかい、んじゃ頑張れよ〜」

 

「う〜ん。またね〜」

 

青葉ともわかれ、学校を後にし帰路にたった。

 

 

 

 

翌日…

 

 

 

 

「おっす〜、なぁ蓮聞いたか?」

 

学校に到着した瞬間唐突に佐藤に話しかけられた。

 

「いや、びっくりしたなぁ…なにを?」

 

「昨日生徒会の人が倒れて救急車で運ばれたって話。」

 

いや思ってたよりスケールでかくて草。

 

「まじかよ…昨日は終わり次第速攻で帰ったから知らなかったわ。」

 

俺がゲームしてる間にそんな事があったとは…

 

「蓮も気をつけろよ〜?」

 

「いや俺は倒れるほど無理はしないからな?」

 

「お前の場合ゲームは例外だろ?」

 

…当たってやがる。

 

 

教室に入ると既に美竹は席に座っていた。

 

「おっす」

 

とりあえずあいさつをして席に座る。

 

「…おはよ、」

 

なんか昨日より元気なさそうなんだけど…なに?友達でも倒れたの?

 

「そ、そういや昨日生徒会の人が倒れたの知ってるか?」

 

「うん、大丈夫かな…つぐみ…」

 

ん?

 

「え?昨日倒れたのって、、もしかして羽沢なのか?」

 

「うん、昨日巴から連絡あって…」

 

「ま、まじかよ。」

 

本当に友達倒れてたんだけど!本当にこいつら大丈夫なのかよ!?てかこの空気どうすりゃいんだよ!?

 

こうして世界一気まずい中、今日と言う学校生活がスタートした。

 

 

 

そして現在昼休み

 

「はぁーー(クソデカため息)」

 

「えっ、元気なっ、どした?」

 

「珍しいな蓮。また爆死か?」

 

例の如く鈴木と佐藤で昼食をとっていた。

 

「別に爆死じゃねぇよ、まぁちょっとなぁ」

 

「悩みか?」

 

「どうせ美竹の事だろ」

 

なんでわかんだよ。

 

「そーいや美竹って最近結構授業サボってるよなー?」

 

「あー、なんかバンドの件で色々トラブってんじゃないのかって思っててな…」

 

「何でトラブってるのかは分かんないのか?」

 

「まぁそこは聞いてないから分かんないな、、」

 

「いやなんで聞いてねーんだよ、お前ら結構仲良さげじゃん」

 

「待て待て、蓮のことだ、どうせ聞く勇気なくて聞けなかったんだろ。」

 

友人達が最近心見透かしてきて怖い。

 

「とりあえずそこは思い切って聞くべきだと思うぞ俺は。」

 

「いや、俺が聞いても何か出来るわけじゃないし…」

 

「でも気になんだろ?心配なんだろ?」

 

「ま、まぁ…」

 

「じゃあ聞いて来い!このたこすけが!!」

 

「ま、たまには当たって砕けて氏ね。」

 

「いや、氏なねーから、はぁーー分かったよ、聞いてくるよ!(ヤケクソ)」

 

「それで良んだよ、おっ、そろそろ休み終わるぞ。」

 

「そんじゃ教室戻るか。」

 

なんだかんだ悩んでいたが2人の後押もあったし、放課後にでも聞いてみるか、

 

 

 

 

放課後…

 

話を聞こうと美竹を探しているが中々見つからない。

 

「そういや昨日青葉が屋上がどうのこうの言ってたような?」

 

青葉の言葉を思い出し、屋上へ向かうとそこには美竹の姿が

 

「え?どうしたの渡辺?」

 

「いや別に、ちょっと野暮用。」

 

夕焼け見てたのか…そういや美竹好きだったもんな。

 

「野暮用って?」

 

「あー、その、最近美竹の様子がおかしいからなんかあったのかなぁと思って…」

 

「……」

 

「バンドの事でなんかあったのか?」

 

「…別に、渡辺には関係ないでしょ。」

 

うん、俺もそう言われると思ってました。どうしましょ…

 

「…関係ない事もないだろ、その…美竹達とはそれなりに仲良くなったと思ってるし…」

 

これで『え?』見たいな顔されたら無言で飛び降りる自信あるわ

 

「…」

 

うつむいて何も言わなくなったんじゃが…

 

「俺としても美竹達のバンドは好きだから少しでも力になりたいっつーか…」

 

「……」

 

こりゃ無理っぽいな…

 

「…少し長くなるけど、いい?」

 

「!?、、お、おう、大丈夫だ。」

 

 

 

無理かと諦めていたが話してくれる気になったらしい。いったい美竹達に何があったんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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明日は晴れますよ

むーずーかーしーいー。


 

話の内容はこうだった。

 

美竹の家はもともと美竹流と言う華道の家元であり、その当主である親父さんは後継である美竹にもっと華道に触れるべきだと言い、一方の美竹はバンドに集中したいし華道も継ぐ気もないと対立しているとのこと。

「なるほど…美竹の親父さんとそんな事が、、」

 

と言うか美竹流って結構有名だよな?華道全く知らん俺でも名前ぐらいは聞いたことあるし、んで、今の当主が美竹の親父さんと。そんなびっくらパパだったとは予想つかなかったわ…

 

「…昨日バンドの事、ごっこ遊びみたいだって言われた。ごっこ遊び程度のものなら辞めろって」

 

「ごっこ遊び…か」

 

「あたしはバンドのことごっこ遊びだなんて思ってない。バンドを辞めるつもりもないし、華道だって継ぐ気もない…!そう言ってるのに……」

 

「……その件はみんなに言ったのか?」

 

「…モカには伝えたけど、」

 

「多分これは青葉だけじゃなくてみんなで話し合った方がいいと思うぞ。」

 

「でも、みんなに迷惑はかけたくないし、」

 

「いや、迷惑だなんて思うやつはいないと思うぞ。ましてや幼馴染だ、逆に美竹から話してくれるのを待ってるかもしれない。」

 

「そう…なのかな、」

 

鈴木と佐藤でさえそうだったんだ。それが幼馴染と言う友達よりワンランク上の関係だったらなおさら大丈夫なはずだ。

 

「ああ。」

 

「……うん、わかった、みんなに言ってみる。」

 

どうやら気持ちが決まったらしい。

 

「じゃああたし練習あるから」

 

「りょーかい、じゃあまたな。」

 

「うん。」

 

 

そうして美竹は屋上を後にした。

俺は美竹が少しでもいい方向に進めれば良いなと、夕焼けを見ながらそう思った。

 

 

 

翌日、

 

「美竹のやつ上手く行ってりゃ良いんだかなぁ〜、」

 

そんな事を呟きながら学校に到着し教室に向かった。

ドアを開けると既に美竹は席に座っていた。

 

「うっす、どうだった、昨日は?」

 

「……」

 

「美竹?」

 

これはまさか…

 

「…ごめん、昨日はちょっと、」

 

どうやら上手く行かなかったらしい。

 

「そうか…まぁまだ次があるし、その、切りかえて行こうって言うか…」

 

いや、励ますの下手すぎんか我、何?『切りかえていこう』って?スポーツちゃいますけど?

再び気まずい中今日と言う学校生活が始まった。

 

 

 

 

放課後…

 

(美竹のやつ、また屋上いたりすんのかな?)

 

ふと、そう思い再び屋上へ向かった。仮にいたとして、俺に何ができるか分からないが。

 

屋上のドアをそっと開けて見ると案の定美竹の姿があり、さらにもう1人一緒にいる人がいた。

 

「あれは青葉か?」

 

昨日と違い、2人で夕焼けを見ながら話しているようだ。

これなら俺がいる必要はないと思い屋上を後にしようとすると、

 

「お、れー君ではないか〜。どしたの〜?覗き?」

 

青葉の索敵能力怖すぎわろた。

 

「誤解を生むようなこと言うんじゃない。」

 

諦めて2人の所へ向かう。さて、どう言い訳いてやろうか。

 

「渡辺…、今日も来たんだ。」

 

「ほ〜う?今日もということは昨日も来て話してたってことかな〜?」

 

「いや//ちがう、事も…ない、けど/」

 

美竹〜余計なことを言うんじゃあないよ〜

 

「まぁ、昨日俺も話を聞いてな、ぶっちゃけ、今日も来てるんじゃないかと思って来たらいたってだけだ。」

 

「お〜、いいとこありますな〜。」

 

「はいはい、。…昨日は何があったんだ?」

 

「昨日はその、相談する前に巴と喧嘩みたいになっちゃって…」

 

「そうだったのか…」

 

そりゃあんなに落ち込むわ…

 

「昨日、渡辺と巴に言われて気づいたんだ。あたし、父さんから、華道から逃げてたんだって。知らないうちに、バンドを逃げ道にしてた。」

 

「なるほど、その辺を宇田川につつかれたと、、」

 

「うん。ほんと、鋭いやつ。だから今度巴には謝らないとね。もちろんひまりにもつぐみにも、それから…父さんにも。」

 

「うん」

 

「…2人の前ならこんなふうに言えるのにね。なんでいざってなると言えないんだろう。」

 

「もしかしてあたし達のこと、じゃがいもとかだと思ってない〜?」

 

「いや、そこはかぼちゃだろw」

 

「あははっ、そうかも。」

 

「も〜、ひどいなぁ〜。」

 

「そーかー俺らはかぼちゃとじゃがいもだったのか〜。いつ収穫されんのかな〜。」

 

「冗談だから。渡辺も変なこと言わないで。…ありがとう。その、隣にいてくれて。」

 

「いやぁ〜あんまり褒めないでよ〜。照れちゃうなぁ〜。」

 

「じゃあもうモカは一切褒めない。」

 

「え〜、あたしは褒められて伸びるタイプなのに〜。」

 

「俺の場合は席が隣なだけなんだよな〜。」

 

「…そんなことない、渡辺にだってその、色々助けて貰ってるし/」

 

「お、おう。そうか/」

 

シンプルに照れるからやめてもろて…。顔赤くなってないよね?

 

「ヒューヒュー、いい感じじゃ〜ん♪」

 

「「茶化すな!(さないで!)」」

 

「さっせ〜ん♪」

 

ほんとにこいつは…

 

「まったく。…ねぇ、明日つぐみのお見舞い行こうよ。つぐみとも話、したい。」

 

「うん。い〜よ。」

 

「渡辺もその、どう?」

 

「え?いいのか?」

 

「うん、来てくれると…嬉しい…かな//」

 

「おう、んじゃまぁ、邪魔にならないなら行きたい…かな。」

 

あんな顔で誘われて断れる男は男じゃない。トカゲだ。イグアナ野郎に違いない。冬眠して二度と目覚めるんじゃないぞ。(錯乱中)

 

(いい感じですな〜(⸝⸝⸝´ꇴ`⸝⸝⸝))

 

青葉よ、なんだその顔は。

 

「ん、じゃあ約束。」

 

「オッケ〜。ん〜、それにしてもでっかい夕日だなぁ〜。」

 

「確かにな。」

 

「うん、綺麗。」

 

「今思い出したんだけどさ、夕焼けの次の日って晴れやすいんだって〜。」

 

そうなのか、知らなかったな。

 

「だから、明日はきっと、いいことあるよ〜蘭。」

 

「…うん。」

 

 

 

 

 

さすが幼馴染だな。そう思いながらでかく綺麗な夕焼けを3人で眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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喧嘩するほど仲がいいらしい

仕事休みだ〜


今日は美竹と青葉で羽沢のお見舞いに行く日だ。学校が終わったあと1度家に帰り羽沢のいる病院え向かう。

 

「あ、渡辺、こっち。」

 

「れー君おそ〜い。」

 

病院の前に来ると既に2人は到着していた。

 

「すまん、少し迷った。」

 

こんな病院普段行かないから迷うんだよ。

 

「じゃ、そろったし行こうよ。」

 

「おう。」

 

3人で羽沢のいる病室に向かう。

 

 

「つぐ〜、来たよ〜。」

 

「モカちゃんに蘭ちゃん!それに蓮君も来てくれたんだ!」

 

「え!?蓮君も?」

 

「ああ、美竹に誘われてな。倒れたって聞いた時は本当驚いたぞ。」

 

「あはは、もう無理はしないから。」

 

「おう、」

 

さて、問題のお2人は…

 

「蘭…」

 

「巴…」

 

「「……」」

 

そう簡単には行かんか…

 

「な、なんだかみんなで揃うの、久しぶりだね?」

 

「いやぁ〜、何年振りかなぁ〜。ひーちゃんもトモちんもこんなに大きくなっちゃって…」

 

「いや、2日しか経ってないだろ。」

 

「3人とも、来てくれてありがと。」

 

「……」

 

美竹さんもなんか喋ってくれませんかね…緊張してんのか?顔が怖いですよ?

 

「体調は大丈夫なのか?」

 

「うん、もうだいぶ良くなったよ。ありがと。」

 

「そっか〜。よかったねぇ〜。つぐのことが心配で夜も寝れなかったんだよ〜。」

 

それは大げさじゃない?

 

「まぁ、夜寝ない代わりに授業中寝てたけどね〜。」

 

こいつやってんねェ…

 

「…モカって、何でこうなのに成績いいんだろ?」

 

「ま、モカちゃんは天才だからね〜。」

 

「はいはい、すごいすごい。(棒)」

 

「超棒読みだな…」

 

「……」

 

美竹さん、一生のお願い、なんか喋って…。なんかもう見てられない…

 

「それで〜?蘭とトモちん達の仲直りは〜?」

 

ナーイス、青葉ナーイス。

 

「…あ、あの」

 

「つぐ、その話はあたしからする。」

 

?、話ってなんだ?

 

「まず…蘭。この間は悪かった。蘭のことを心配だったとはいえ言い過ぎた。その…ごめん。」

 

「あ、あたしも…ご、めん…」

 

これで仲直りってことでいいのか?…良んだよな?よし、

 

「…巴」

 

何か言いたげな上原だ。何を話してたんだ?

 

「…それで、さっきみんなで蘭のことを話してたんだ。最近の蘭、ずっと辛そうだって。元々このバンドはみんなで一緒にいられるようにって始めたものだろ?」

 

そうだったのか。ほんと、良い奴らしかいないな。

 

「なのに、そのバンドに参加してる時の蘭はすごく苦しそうに見えて、」

「それは…!」

 

「蘭はきっと今、家の事で大変なんだと思う。それはあたしから見てもわかる。もし、バンドが蘭を、家と板挟みで苦しめてるのだとしたら、アタシらもすごく辛い。」

 

これはまずい、嫌な予感がする。この流れだと…

 

「アタシらは蘭を苦しめてまでバンドをしたいとは思わない。だから…

しばらくバンドを休止させないか?」

 

やはりこうなったか…

 

「…!」

 

美竹も明らかにおどいている。

 

「蘭がまた落ち着いたらまた活動再開させようよ。…ね?」

 

上原もこう続いた。

 

「……やだ。」

 

「美竹?」

 

「いやだ!!!あたしはバンド、やめたくない!」

 

「蘭…」

 

「…」

 

「…やめたく、ない…っ」

 

「!?おい、美竹!?ちょ、待て!」

 

あいつどこ行くきだよ!

 

「蘭!!」

 

すると青葉が飛び出しそうになった美竹の腕を掴んだ。

 

「離して…!」

 

「…離さない、」

 

「青葉?」

 

「えっと…」

 

何を考えてんだ青葉のやつ…

 

「…?」

 

「…蘭の、腰抜け、」

 

「…は?」

 

ゑ???

 

「言いたいことあるんだったら言えば〜?それもしないでまた飛び出していこうとしてさぁ。それって腰抜けなんじゃないの〜?」

 

「うるさい…っもう、ほっといてよ!」

 

「うるさくないで〜す。ほら、れー君もなんか言いたいらしいよ〜?」

 

は?え?は?

 

(ほら、れー君も適当に煽って!)

 

(お前何言ってくれてんの!?バカなの?ホントは天才的なバカなの?)

 

(いいからー、大丈夫だからー、)

 

「何?渡辺もなんかあんの?」

 

「え?いや…」

 

「そうそう、あたしと同じで言いたいことあるらしいよー?」

 

(じゃ、頑張って〜)

 

こいつ……ええい、もう知ったことかぁ!どうにでもなれ!!

 

「ああ、そうだな、宇田川達とも向き合えないやつが親父さんと向き合えるわけねぇだろ。いやぁ〜ここまでバカだったとは思わなかった〜チラ」

 

「ちょっ…バカって何!?意味わかんないんだけど。…渡辺だってゲームしか取り柄ないしバカじゃん!テキトーな事言わないで!」

 

おお?言ってくれるねぇ?

 

「テキトー??美竹が言いたいこと言わないくせに俺にそれを求めるのか?お前が国語苦手なのは知ってたけどここまでキてたとは知らなかったわ〜。まぁ、また今度教えてやるか(^^)?」

 

「はぁ…!?何言ってんの、お断りだし、サイテー。渡辺のバカ、もういい、」

 

「ちょっと、ふ、2人ともやめなよー!」

 

「何?」

 

「上原、おそらくお前に喧嘩の仲裁なんてできない。やめとけ。」

 

「わぁーん!つぐ〜!!」

 

「おい、ちょっと待てよ。ひまりはお前らの事…」

 

「巴、いい加減そのカッコつけるのやめたら?」

 

「別にカッコつけてないだろ。アタシは2人の心配を…」

 

「またそうやってカッコつけてる。そうやってあたしらの上に立ってるつもりなわけ?」

 

「( 厂˙ω˙ )厂うぇーい宇田川さんカックイイー!」(ノリノリ)

 

「…お前ら…いい加減に!!」

 

「ちょっとみんな…落ち着いて、ここ病院…ダメだ、聞こえてない。」

 

「カッコつけマンなのは蘭もトモちんも一緒じゃん。限界が来たらいきなり爆発してさ〜。似た者同士だよ〜。」

 

「一緒にしないで」

 

「こっちだってお断りだ」

 

 

 

あの〜、すみません。ノリノリで煽ってたけどさ、これ、どうやって止めるの?

 

(なぁ青葉、まだ煽ってないとダメ?)

 

(大丈夫だよ〜、そろそろ…)

 

「あなた達、うるさいわよ!!!ここは病室なんだから静かに!!!」

 

「「「「「「……すみません。」」」」」」

 

忘れてたンゴ。

 

 

 

………

 

…やばい、なんか一周まわって面白く感じてきた。 ダメだ。この雰囲気で笑ってはダメだ…

 

「フフw」

 

「「「「「「あはははははは!」」」」」」

 

どうやら全員同じだったらしい。柄にもなく大笑いしてしまった。

 

 

「ははははっ。…で、アタシらなんの話してたんだっけ?」

 

「さぁ?なんだっけ?」

 

「忘れちゃったね〜。でもめっちゃスッキリした〜。」

 

それはちょっと分かりみかもw

 

「たしかになw。…なぁ蘭。」

 

「…ん、」

 

「改めて言わせてくれ。ほんと、あの時は悪かった。ごめん。」

 

「あ…あたしもごめん。急に飛び出したりとかして。でもバンドを続けたいって気持ちはほんとだから。やめたりなんかしたくない。」

 

初めから素直にそういえば良かったのに……

 

「何?渡辺?ギロ」

 

「ナンニモ」

 

速報、美竹も心を見透かすエスパーでした。てかまさか俺の煽りだけ許してない?言い過ぎました?

 

「そんなに怯えないでよ…、大丈夫だから。」

 

「な、なら良い。」

 

大丈夫でした。

 

「うん。それでさ、あたしはまたみんなでライブがしたい。これからもずっと。だから…決めた。バンドを続けられるように父さんと話してみる。」

 

「蘭…!」

 

「素直でよろし〜。」

 

「ほら、からかうなって。蘭の気持ちはわかった。話してくれてありがとな。」

 

「私達、お互い大事すぎて今まで言いたい事が言えなかったのかもね?」

 

ほんと、仲良すぎだろAfterglow。

 

「だな。」

 

「ふぁー、なんか喧嘩したらお腹空いちゃった〜。帰りパン屋よってこーよ。」

 

「なんだこのマイペースさは。」

 

「はは。それじゃ行くか。今日からまた『いつも通り』だ。」

 

「わ、私は…ッ!?」

 

「つぐはもうちょーっとだけガマン!」

 

「はーい…」

 

そして俺達は病室を後にした。

 

 

「んじゃ、問題も解決したし俺はそろそろ帰るかな」

 

「え?渡辺も一緒に来ないの?」

 

「え?俺カウントされてたの?」

 

「いや…当たり前じゃん」

 

「寂し〜こと言うなぁれー君は〜。」

 

「てか今の流れで誘われてないって思うのがすごいけどな…」

 

「あはは……」

 

「ほら、行くよ。」

 

「…そんじゃ、行きますか。」

 

「じゃ、今日は渡辺の奢りで。」

 

ん??

 

「ナイスアイデア蘭〜。」

 

「おいまて、何それ聞いてない。」

 

「散々言われた分奢ってもらうから。」

 

「いやいや、お前も結構散々な言い草だったからな!」

 

「???ごめん。覚えてない。」

 

この女ァ!!

 

 

 

 

 

こうして全員分のパンを奢らされ財布の中身が消えた。てか青葉も美竹も買いすぎだろ。……今度からシフト増やすか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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認めさせるために

病院での喧嘩から数日、今日も今日とて学校です。最近は美竹も授業に参加するようになってきたし、いやぁよかったよかった。と、言ってもまだラスボスが控えてんだけどな。てか美竹の親父さんてどんな人なんだ?少し気になるな。

 

「まぁどうせ美竹と同じで目付き悪くて怖いんだろうなぁ…」

 

「え?誰の目付きが悪いの?」

 

(^^;???

 

お分かりいただけただろうか?登校中、学校の校門前でひとりごとをボヤいていたら後ろにその本人がたっていたことに…

 

「え?何その顔…」

 

「……その後、彼の姿を見たものはいないという…。」

 

「いや、いるけど?大丈夫?頭とか」

 

うるせえ。具体的な部分を言うな。

 

「…なんでもない。少し混乱してただけだ。」

 

「そう、で?誰の目付きが悪いの?」

 

「いやぁ、別に、ッスー…誰だろな?私にもわからん。んな事よりとっとと行くぞ遅刻する。」

 

「え、ちょっと…!」

 

そこそこ全力で走り教室へ逃げる。あとは何食わぬ顔で知らんぷり決めてりゃ聞かれることはない。…あ、ダメだ席隣やん。

 

「つかまえた、ガシ」

 

「……お前って意外と足早かったりする?」

 

「?そこそこ。」

 

ハイスペックで何よりですはい。

 

「で?なんか用か?」

 

「いや、用っていうか、ただ見かけたから一緒に教室行こうとしただけじゃん…」

 

「そう、だったのか…すまん、」

 

「ん、別にいい。」

 

それを先にいえい、

 

「てか青葉達とは一緒じゃないのか?」

 

「えっと…さっきまでは一緒だったけど、、」

 

さっきまで?

 

「おーい蘭ー!やっと追いついたー!」

 

「速すぎだよ蘭〜。」

 

「あっ、蓮君もおはよう。」

 

「おはよー!」

 

後ろから声が聞こえ振り向くとAfterglow勢ぞろい。

 

「おっす。なんで一緒じゃないんだ?」

 

「ふっふっふ〜それはね〜。」

 

「蘭ってば蓮君見つけた瞬間『あ、渡辺だ…!』って言って走って行っちゃったんだもん〜。」

 

「いや、ちが、別に走ってなんか、、」

 

「あれを走ってないってのはちょっとねぇ〜。」

 

「無理があるよな〜。」

 

「あははは…」

 

「別にそんなんじゃないから!」

 

「蘭ってば可愛んだから〜。」

 

「……モカ、嫌い…」

 

「ガーン」

 

今日もAfterglowは平和であった。

 

「相変わらずの仲の良さで。…そういえばもう親父さんには話したのか?」

 

「ああ、まだ。明日話そうと思ってる。」

 

「そーだ!明日みんなで蘭の家に付き添って行こうと思うんだけど、蓮君もどうかな?」

 

「い〜ね〜。れー君かもーん。」

 

明日か…確かに心配ではあるが、

 

「すまん、明日は1日バイトだ。」

 

「そう、なんだ…」

 

「あ、蘭がへこんだ〜。」

 

「別にへこんでないし!」

 

「ははは…そんなわけで、俺の分も応援頼むわ。」

 

「任せなさ〜い。」

 

そして、学校に入り青葉達と別れの教室へ向かう。

 

「……」

 

「ま、ちゃんと自分の思ってることぶつければなんとかなるって。…多分。」

 

「…そこは言いきらないんだ…」

 

「絶対成功する保証なんてどこにもないからなぁ。ま、だからこそ成功できるように応援するんだけどな。つーわけで、明日は応援行けないが頑張れよ。」

 

「素直にそういえばいいのに…。うん。ありがとう。」

 

「おう、」

 

こうして今日と言う学校生活がまた始まった。

 

 

 

 

翌日…

 

 

 

「働きたくね〜。」

 

「いや、来てそうそう何言ってんの!?」

 

すみませんくせです。

 

「あ、まりなさんおはようございま〜す。」

 

「おはよう。全くもう、今日も受付よろしくね。」

 

「はーい。」

 

控え室で着替え受け付けへ向かう。

 

「ハァァァーーーーー、今日も一日頑張るぞい。」

 

「そんなに大変ならシフト減らそうか?」

 

「いえ、むしろ増やしたいんですけど。」

 

「え!?今までの発言と態度からはそんな風には思えないんだけど!」

 

「まぁ、いろいろあるんすよこっちにも。」

 

この前パン屋でほとんど金消えたし…あと携帯代が思ってたより高いんだよなぁ。

 

「ふーん、さては彼女でもできたかな?」

 

「は?舐めてんすか?」

 

「こわっ!冗談だよもう〜。」

 

まりなさんは逃げ出した。あぶね〜うっかりキレるとこだった。

 

「さて、社会の歯車A、まわりまーす。」

 

 

 

 

しばらくして…

 

 

 

「おーっす、れー君社会の歯車として頑張っているかな〜?」

 

「ああ、所々壊れかけてるけどギリギリやってるぞー。」

 

「いや、それは嘘でしょ。めっちゃいつも通りじゃん…」

 

Afterglowの面々が入ってきた。と、言うことはつまり…

 

「親父さんにちゃんと言えたんだな。」

 

「うん、次のライブで納得させる。それから色んなことに向き合っていこうと思ってる。」

 

「そうかい、んじゃ、練習頑張んないとな!」

 

「うん…!」

 

((((いい感じだなぁ〜。))))

 

なんなんだそのあたたかい目は…

 

「ほい、これスタジオの鍵な、時間しっかり守れよ〜。」

 

「んじゃ〜行きますか〜。」

 

「渡辺、また後で。」

 

「おう、頑張れよー。」

 

いや〜よかったよかった。親父さん納得させることがまだ残ってるけどあいつらなら問題ないだろう。

 

「いい雰囲気だったじゃ〜ん。渡辺君。」

 

「何がですか?」

 

「いや誤魔化さなくてもいいのに〜蘭ちゃんといい雰囲気だったじゃ〜ん」

 

「助走つけて殴られるのと助走つけて蹴られるのどっちがいいですか?」

 

「……最近なんか私に対しての当たり強くない?」

 

「ははは、いつも通りっすよw」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、疲れた、だるい、眠い、しんどい、帰りたい、お金欲しい。」

 

ただいま午後の休憩時間。

 

「何そのオンパレード…。あ、そういえば蘭ちゃん渡辺くんのこと探してたよ。行ってあげたら?」

 

「美竹がですか?」

 

なんか用あったのか?

そう思い控え室から出る。

 

 

「あ、渡辺。」

 

「おう、おつかれ。今は休憩中か?」

 

「うん。そっちもおつかれ。」

 

「おう。…そんでなんか用か?」

 

「いや、その、まだ渡辺にはちゃんとお礼言えてなかったから…」

 

「別に俺今回何もしてないような気がするんだが…」

 

「…そんなことない。みんなで話し合った方がいいって教えてくれたし、あたしが逃げ出そうとした時渡辺も止めてくれたし。…言い方は少しムカついたけど。」

 

「いやあれは青葉からの無茶ぶりだったんだよ。許せ、俺は悪くない青葉が悪い。」

 

「何それ。変なのw。…渡辺には席が変わってから色々助けられてるし、ほんとありがとね。」

 

な、え?あの素直でないで有名な美竹がこうもすらすらと自分の気持ちを言うなんて…それは反則だろ…

 

「なんだよいきなり…//びっくりしたわ//」

 

「もしかして、照れてる?」

 

「美竹じゃあるまえし照れてねぇよ。」

 

「いや、なんであたしが出てくんの!」

 

「さ〜、なんでだろーな。さて、そろそろ休憩終わりだし俺は行くぞ。」

 

「あ、ちょっと待って!」

 

「?」

 

「はい、これ。」

 

なんだこれ?チケット?

 

「ガールズバンドジャム?」

 

「そ。あたし達がでるライブ。渡辺も予定無かったら見に来て欲しい。」

 

「お前なぁ…」

 

「?」

 

「行くに決まってんだろ。他の予定すっぽかしてでも行くわ。」

 

「…!」

 

ん?この日は確か佐藤とカラオケ行こうって言ってた日だな。すまん佐藤。お前とカラオケはいつでも行けるからライブを優先させてもらうぞ。

 

「フフ…ありがと。じゃあたしもそろそろ行くね。バイト、頑張ってね。」

 

「おう!ライブ楽しみにしてるからな!」

 

「うん…!」

 

 

 

こうして休憩時間も終わり美竹と別れて仕事に戻る。

 

「いやぁ〜いい雰囲気だったねぇ〜。」

 

「フン!!!ドゴォ」

 

「グエェ!!!!?!!バタン」

 

「さて、もうちょい仕事頑張りますか〜!」

 

ライブまであと少し、楽しみで仕方がねぇよ全く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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思いを歌に。

我ながらテキトーだと思う。


「会場到着っと。」

 

今日はガールズバンドジャムと言うライブがある。このライブで美竹の親父さんを認めさせることが出来ればいいのだが…

 

「ぶっちゃけあいつらのレベルなら余裕だと思ってしまう俺。」

 

美竹いわく今日のライブでは新曲も披露するらしいしな。はぁ〜。佐藤とのカラオケブッチしてきて正解だったな。

 

 

会場に入るとどこを見ても人、人、人。

 

「…多すぎだろ。」

 

席もそんなに空いていない。

 

「こりゃ後ろで見た方が良いな。」

 

控えめに言ってちょっと気持ち悪い。

 

「お、いい感じのポジション発見。」

 

後ろの方で少し空いている所を発見し早速向かった。ステージ全体を見れるしなかなかいいところだ。

 

「まだ少し時間あるな、」

 

始まりまでしばらくあるのでしスマホをいじり時間をつぶす。

 

「すみません。」

 

「…はい?」

 

突然声をかけられた。

 

「隣、よろしいですか?」

 

声のした方を見るとそこに居たのは和服を着た目つきの鋭い中年ぐらいの男性だった。

いや、この会場で和服ってどうなんでしょうね?おじさん。

 

「隣っすか…」

 

他に空いてる席は…なし。仕方ない。

 

「別に大丈夫ですよ。他に席も空いてないですし。」

 

「ありがとうございます。」

 

一言お礼を言い隣へ座った和服おじさん。

 

「……」

 

「……」

 

 

いや、何?この空気。どうしてくれんのおっさん?え?ライブ始まるまでこの空気なの?軽く地獄なんすけど。

え?スマホゲーしてればいいって?

じゃあ聞くけど、目付きの鋭い和服を着た中年のおじさんの隣で『うまぴょい伝説』の画面開く勇気ありますか?どうぞお答えください。

てか俺の隣に来る人ってなんで変な人ばっかなんだよ…

 

「あ、あの〜…」

 

「なにか?」

 

「イヤ、アゥエ…ッスー、ン''ン''」

 

「?」

 

何故だろうか…すごくデジャブを感じるのは。

 

「その…、ライブに来るのは今回が初めてだったりしますか?…」

 

「そうですね。たまたまライブのチケットを貰ったので1度来てみようよと思いまして。あなたもですか?」

 

「あー、いえ。俺はこれで2回目です。クラスメイトがこのライブに出るからってチケットくれたんですよ。」

 

「ほう、そうだったんですか。」

 

「はい。この『Afterglow』ってバンドの…あ、真ん中のメッシュを入れてるやつから貰ったんすよ。」

 

パンフレットに載っているバンドの説明欄を見せながら説明する。

 

「…ほう。」

 

?なんだ今の妙な間は。

 

「…その人とはいったい、どう言った関係で?」

 

「?ただの友達ですよ。まぁ最初は見た目派手だし目つきも悪いし授業もたまにサボってたから不良にしか見えなかったんですよねぇ〜。」

 

「そ、そうだったんですか…」

 

「でも話して見ると全然悪いやつじゃなくてむしろ普通に良い奴だったんですよ。ただ素直になれないだけで。話してて面白いし楽しいですよ。」

 

「なるほど…」

 

…というかなんで俺はこんな事を初対面のおじさんに話してんだ?話したところでこの人には関係ないだろうに…

 

「あー、すみません。なんかどうでもいいこと語っちゃって…」

 

「ははは。いえいえ、そんなことないですよ。」

 

「…そうですか。」

 

「…いい友人を持ったなボソ」

 

「え?、今なんて…?」

 

「いえ、なんでもないですよ。おっ、そろそろ始まるみたいですよ?」

 

「あ、そうですね…」

 

周りの照明が消え観客がざわめく。そして、ステージに照明が集まり最初のバンドの演奏が始まった。

 

「…ほう。こんな感じなんですね。」

 

「まだまだこれからっすよ。それに、『Afterglow』はもっとすごいですよ?」

 

「…それは楽しみですね。」

 

 

 

 

それからしばらくして、いよいよ美竹達の出番がやってきた。

 

「Afterglowです!それじゃ早速1曲目!!」

 

そして、演奏が始まった。前のライブとは比べ物にならないぐらい力強い歌声が会場に響き、観客もかなり盛り上がっていた。

 

「すっげぇ…」

 

ちなみに俺は圧倒されていた。前よりも格段にレベルが上がっていると素人目で見てもわかる。

 

そして数曲後…

 

「次で最後の曲です!あたしが今、ここにたっていられるのは、道に迷った時助けてくれた5人のおかげ。もうどんなに迷っても、絶対逃げたりしない!…この気持ちを、歌にして届けたい!」

 

最後の曲で新曲を披露した。その曲には美竹の思いと決意が込められていたと俺は思った。

 

 

 

ライブ後…

俺はと言うと謎の虚無感に襲われていた。あれだ、アニメ1作品見た後に襲ってくるやつ。あれと似たような感じた。

 

「はぁ〜。なんか、あっという間だったな…。これで美竹の親父さんも認めてくれるといんだがなぁ。」

 

と言うかこれだけのライブを披露してなおごっこ遊びとか言うのなら割と本気で殴っても俺はいいと思うぞ。

 

「さて、ぼちぼち帰りますかね…」

 

席を立ち会場を後にしようとすると…

 

「ああ、すまないが少しいいかい?」

 

「?はい?」

 

また和服おじさんに声をかけられた。てかいるの忘れてました。ひとりごと絶対聞かれてたなこりゃ。

 

「少し着いてきて欲しいところがあるんですが、この後何か予定あったりしますか?」

 

「いえ、特にありませんが…どこに行くんですか?」

 

「はは、すぐにわかりますよ。」

 

ええ、知らないおじさんにはついて行くなってママンに言われてるんですけど…

そんなことを思いながら仕方なくおじさんについて行く。

 

 

しばらく行くとバンドグループの控え室らしきものが見えてきた。

 

「えっと…ここ控え室ですよね?入ったらダメな気がするんですが…」

 

「大丈夫ですよ。許可は貰ってますから。」

 

いや誰の?とか思っている間に扉を開け中に入った。全く怒られても知らないですよ?おっさん。

 

 

 

「…蘭。」

 

「…!父さん、、それになんで渡辺も!?」

 

いやちょっとまて。

 

「………え?は?まて、誰が???誰の?????」

 

「わぁ〜''蘭の''パパだあ。お久しぶで〜す。」

 

「こんにちは、モカちゃん。みなさんも…いつも蘭がお世話になってます。」

 

「お世話してま〜す。」

 

「お、おいっ…!」

 

「いいんですよ。本当のことでしょうから。」

 

いや、ちょい待てや。

 

「ちょっと待ってください。…え?もしかして美竹の親父さんだったりします?」

 

「え〜?れー君知らないで一緒にいたの〜?」

 

「ははは、騙すような形になって申し訳ないね。」

 

いやははは〜ちゃうくてさ、え?まじなの?あぁ、まじなんですね…あははは、

 

俺が混乱している間に美竹の親父さんは5人と話していた。

 

「さて、まず、皆さんの演奏聴かせてもらいました。…正直高校生がやっているバンドなんてたかが知れていると…そう思っていました。しかし非常に感動したよ。私が忘れていた前のめりな感情を思い出させてくれたよ。……蘭。」

 

「…」

 

「お前の情熱や思いはしっかりと伝わった。これ程まで真剣にバンドに打ち込んでいたのだな。そして、一緒に作りあげてくれる仲間を大切にしなさい。」

 

「…! それじゃあ…」

 

「バンド活動を認めよう。…お前はいい仲間に恵まれたな。」

 

「…っ!ありがとう、ございます…!」

 

「それと、確か…渡辺君だったかな?」

 

「は、はい…」

 

「これからも娘と仲良くしてやってください。」

 

「は、はぁ。こ、こちらこそ?」

 

「え〜、れー君まだ混乱してるの〜?」

 

「そうね、現在進行形で混乱中なんよね。えと、すみません。なんで俺のことご存知なのか聞いてもよろしいでしょうか。」

 

「急に丁寧な口調になったね…蓮君。」

 

「なんでって、蘭が話したんじゃないのか?」

 

「いや、喋れる人ができたみたいなことしか言ってないけど…」

 

それもそれだな…

 

「ははは、実はですね…」

 

 

 

 

 

 

 

数日前…

 

 

 

美竹家リビングにて、

 

『む?これは蘭の携帯だな?』

 

リビングに来た蘭パパはテーブルに置かれている''電源の入ったまま''の携帯を発見。画面には写真のアプリが表示されていた。

表示されているものは主に幼馴染みとの写真だったが、1枚だけ違うものがそこにあった。

 

『…これは?』

 

その写真はゲーセンで子供のようにはしゃぎながらクロ〇ブーストをプレイしている蓮を撮ったものだった。

 

『話せるようになった人ができたと言っていたが、まさか男子だったとわな。』

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「…と、いうことがあってね。」

 

「「「「………」」」」

 

「ほーう……チラ」

 

「……/////プルプル」

 

「そして今日たまたまその本人とあったものだから、話をしてみたくなったんですよ。」

 

あーもー無茶苦茶だよ…どうしてくれんだよ…もう帰っていい俺?

 

「へ〜蘭、可愛いとこあるじゃ〜ん♪」

 

「う、うるさい…!///うるさい…!////」

 

やめてやれ青葉。美竹のライフはとっくにゼロだ。しかもなんか爆発しそうになってる。

 

「では、私はそろそろ行くとするよ。皆さん、これからも頑張ってくださいね。」

 

そして美竹パピーはとんでもない爆弾を投下したのち帰宅した。え〜何この空気、さっきまでの感動の雰囲気どこに行った。

 

「ねぇ蘭〜その写真見せてよ〜」

 

「あー!あたしも見たーい!」

 

「絶っっっっ対に嫌!!!」

 

何だこのグダグダ感…

 

「はぁ〜……」

 

「え、えっと…渡、辺?」

 

「なぁ美竹。」

 

「……はい」

 

「この際隠し撮りしてたことは別にいいけど、携帯の管理とかはしっかりしててくれ…」

 

「うん、その……ごめん…」

 

ほんと、まじ恥ずかしい。

 

「お〜、この写真は消せないねぇ〜」

 

「フフ、そうだね!」

 

おい、言ってるそばからもう強奪されてんじゃねぇか。しかもロック解除されてるし。どんだけセキュリティがばがばなんだよ!

 

「ちょっ!!////勝手に見ないでってば!!てか、なんでパスワード分かんの!?」

 

 

 

 

 

無事美竹達の問題は解決し、バンドの活動も認められハッピーエンドと思いきや最後の最後に黒歴史ができてしまう始末。ははっ。もういんじゃないっすか?こんな感じで。これもいつも通り(?)なんじゃないっすか?知んないけど。

 

「渡辺もモカたち止めるの手伝って!!!」

 

「あーもー、帰りてぇぇえええ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




1章書いて見て思ったんすけどムズ過ぎたんで2章は書かないとおもいます。


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LINEをください。

side蘭

 

 

「わぁー!この人すごい!!」

 

「え〜?ひーちゃんどうしたの〜?」

 

今は学校の昼休み。いつも通り屋上でみんなと弁当を食べてるとひまりが携帯を見ながらすごく驚いていた。どうしたんだろ?

 

「この『ベン』って人のツイートなんだけどさー、、」

 

「あ〜、この人あたしも知ってる〜。ゲームがすっごく上手くて大会とかもけっこう優勝してる人だよね〜。」

 

「うん!最近有名になってきててフォロワーも沢山いるんだよ!ほら!みんなも見てよこの昨日のツイート!」

 

そう言ってあたし達の前に画面を見せてきた。見てみるとそこにはひまりが最近始めたプ〇セカという音ゲーが写っていた。けっこう難易度が高いゲームらしいけどその人はほとんどの曲の最高難易度をフルコンボしていた。

 

「うわー!すごいなこれ。」

 

「こんなことできる人っているんだ…」

 

「うん…。すごすぎ…」

 

「あ〜、あたしももっと上手くなりたいな〜。」

 

「ひーちゃんには無理だよ〜」

 

「えぇ〜!」

 

「渡辺みたいに騒ぎながらやれば上手くなるんじゃない?」

 

「あ〜、この前の写真みたいに〜?w」

 

「あれはもう忘れて…」

 

もうほんとあの時のことは思い出したくない…

忌まわしい黒歴史から逃げるべく、あたしもスマホをいじる。ついでにひまりの言ってる人も一応フォローした。…もしかしたら渡辺も知ってるかもしれないし……

あ、そういえば渡辺もTwitterやってたような…

ふと、そう思いTwitterを開きワードを打ち込んだ。

しかし、『渡辺』と入力仕掛けたところで我に返り入力をキャンセルした。

 

(何やってんだろ、あたし。変なの、)

 

「蘭〜?どしたの〜?」

 

「え?何が?」

 

「いや〜スマホの画面を見るなりコロコロ表情を変えてたからさ〜。」

 

「…あたしそんな顔してた?」

 

「してた〜。」

 

「まぁまぁ。多分蓮くんとLINEでもしてたんだよー。」

 

「あ〜なるほどね〜。」

 

「いや、してないし!それに渡辺のLINEなんて持ってないし!」

 

「「「「…え?」」」」

 

「え?」

 

なに?なんかあたしまずいこと言った…?

 

「蘭…それはホントなの?」

 

「え、?うん。持ってないよ?」

 

「これは問題ですな〜。」

 

「なんで!?あんなに仲良いのに!」

 

「そんなの良くないよ!蘭ちゃん!」

 

「クラスで唯一できた友達だろ!」

 

え…ちょっと、急にみんなどうしたの…。ていうか巴さりげなく酷いこと言ってない?あたしの気のせい?

 

「いや、別にそれで困る事なんてないでしょ…」

 

「蘭はさ〜、れー君とLINEしたくないの〜?」

 

「…別にしたくないって訳じゃないけど、その…交換するタイミングがなかったというか…」

 

「れー君とLINE交換すれば学校以外でも話せるんだよ?」

 

「それは…まぁ。」

 

「毎日楽しくゲームとかしながら通話したりもできるんだよ?」

 

渡辺と通話……、ゲームしながら…

 

「もしかしたらもっと仲良くなれるかも〜?」

 

「……、」

 

「蘭〜?れー君とLINEしたい〜?したくない〜?」

 

「………してみたい…かも……ボソ」

 

「え〜?小さくて分からな〜い(煽り)」

 

「…だから//してみたいって言ったの!!//」

 

「うむ、素直でよろしい〜。じゃあ、頑張ってねぇ〜。」

 

「応援してるよ!蘭!」

 

「気合いだぞ!」

 

「が、頑張ってね!」

 

「だから!//そんなんじゃないってば!!//」

 

こうして昼休みは過ぎていった。

 

 

そして放課後……

 

 

「なぁ美竹?昼休みあけからなんか変だけど大丈夫か?」

 

「い、いや、大丈夫だから……」

 

「まぁ、ならいいけど。具合悪いなら無理すんなよ?」

 

「…うん。」

 

もう、みんなのせいで変に意識しちゃって上手く話せなくなっちゃったし…

渡辺もなんでそんなに優しくするの!いつもそんなんじゃないじゃん!そんなに今のあたしって変なの!?

 

(こいつ…ほんと大丈夫か?)

 

ピロン♪

 

「?LINE、ひまりから?」

 

今度は何?……

 

『あたし達は先帰ってるから、しっかり蓮くんとLINE交換するんだよ!』

 

「……もう、ほんとに……」

 

なんでこんなことになったんだっけ……?

 

「…なぁ美竹?そろそろ帰る時間だけど、今日も青葉達と帰んのか?」

 

「いや、なんかみんな用事があるみたいで先に帰っちゃった……」

 

「そうなのか…」

 

はぁ〜、これからどうやってLINEの話に持ち込めばいんだろ…

 

「あー、俺今から1人でゲーセン行こうと思ってんだけど…良かったら美竹も来るか?」

 

「……え?」

 

「まぁ、なに?嫌だったら別にいいんだけどよ…」

 

 

これは…もしかしたらチャンスかもしれない。

 

「いや、あたしも暇だったし、行きたい…かな…。」

 

まさか渡辺の方から来てくれるなんて…

 

「お、おう。そんじゃ、行きますか。」

 

「うん…!」

 

こうしてあたし達は前のゲーセンに行った。本当は行く途中にLINEを交換できると思ってたけど上手く言えなくて結局ダメだった。素直になれない自分に失望している内にゲーセンに着いてしまった。

 

「よし、入るか…戦場へ…!」

 

渡辺もスイッチ入っちゃったし…もういいや。この際LINEとかどうでもいいからあたしも楽しもっかな…

 

「お!あのゲームやっと実装されたのか!待ちくたびれたぞほんと!」

 

中に入ってしばらく歩くと渡辺がはしゃぎながら新しいゲームの方に走っていった。

 

「ほんと…好きだよねぇ。」

 

子供にしか見えない…

 

「これは早速ツイートしなければ!」

 

そしてスマホで写真を撮りTwitterにあげていた。どんな感じなのかあたしも横から覗いてみるとそこには見覚えのあるアカウントがあった。

 

「…え、渡辺…その『ベン』っていうアカウント……」

 

「ん?ああ、俺のゲーム用のアカウントだけど?」

 

「…うそ…それ渡辺だったの!?」

 

「…?どゆこと?」

 

「実は今日の昼休みにひまりがそれのツイート見せてきてさ…あたしも気になってフォローしたし。」

 

渡辺も知ってるかもしれないと思ってたのにまさか本人だったなんて…

 

「え?マジでか?…あ、ほんとだ。これ美竹のアカウントだったのか。…フォローしとこボソ」

 

「ていうかなんで『ベン』っていう名前なの?」

 

「ああ、適当に苗字と名前の最後の文字をくっつけただけだから特に意味とか理由とかないぞ?」

 

「そ、そうなんだ。」

 

まぁ、そこが渡辺らしいとこなんだろうけど。

 

「よし、そんじゃ早速やりますか。美竹もやり方教えるからやろうぜ!」

 

「…うん…!それじゃやってみようかな。」

 

それからは前みたいに色んなゲームをやった。やっぱり渡辺とゲームをすると楽しいな。みんなといる時とはまた違う感じがする。

 

 

 

 

 

 

「さて、もういい時間だし、そろそろ帰るか。」

 

「…ほんとだ。もうこんな時間。」

 

あっという間に時間がすぎていた事に驚いた。あーあ、結局LINE交換出来なかった……でも楽しかったし別にいいかな。

 

「あ、そうだ。なぁ美竹。」

 

「何?」

 

「まぁなんだ、その、」

 

急にぎこちなくなってる…どうしたんだろ?

 

「ら、LINE、交換しないか?」

 

「…え?」

 

「いやほら、その方がいつライブがあんのか聞けるし、なんつーの?色々楽だと思し……」

 

まさか、渡辺から言ってくるなんて…

 

「ああ、嫌なら全然いいんだけどよ…」

 

……嫌なわけないじゃん。

 

「うん…!いいよ!ちょっとまってて!」

 

「お、おう。」

 

それからお互いにLINEを交換しゲーセンを後にした。

 

 

 

 

 

「ニャーン♪」

 

「あら〜。こんにちわ〜。(´^ω^`)」

 

「渡辺、表情筋が仕事してないよ……」

 

ゲーセンの帰り道、また猫と遭遇した。

 

「ボクちゃん今何歳???おばさんはねぇ〜、82歳♪(^^)ノナデナデ」

 

「ゴロゴロ」

 

「でれでれしすぎてもう意味不明な事口走ってるし…」

 

あまりにもでれでれしてるもんだからスマホを取りだしパシャリと写真に収めた。すると音にびっくりしたのか、猫がどこかへ逃げてしまった。

 

「ちょ、何撮ってんだよ…」

 

「ごめん、あまりにもでれでれしてたからつい…」

 

「はぁ〜、まぁいいか。また会おうな…サカモト……」

 

いやいつの間に名前つけてたの…ていうかネーミングセンス無さすぎない?

 

「ほら、もう帰ろ。暗くなっちゃう。」

 

「それもそうだな…」

 

「それと…今日はありがとう…誘ってくれて。」

 

「え?ちょ、なに?どうした急に?」

 

「…//な、なんでもない、//」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから色々あったけど目的のLINE交換はできたし、まぁいっか…

自室の布団の上でLINEを開く。そこには今日登録したばかりの新しいアイコンが…

 

「いや、めっちゃ猫推しじゃん…」

 

何故かホーム画像は横になってお腹を見せてる猫の画像だった。絶対ゲームのなんかだと思ったのに。

そしてトーク画面を開いた。交換したばかりだからまだ何もメッセージは無い。

 

「やっぱりよろしく、とか送った方良いのかな…」

悩んでいるとピロン♪と音がなり画面には『よろしくな(・o・)』と表示された。

 

「…フフッ何それ…」

 

初っ端からこれはどうなんだろうって思ったけど変にこった文章より全然いいかもって思った。

 

「『こっちこそよろしくね』っと」

 

無難な返信をする。すると数秒後に返信が帰ってきた。

 

『また一緒にゲームしような(^^)v』

 

「フフッだから何その顔文字w」

 

 

 

まったく…こんなくだらない会話なのにどうして楽しく感じるんだろ…

イミワカンナイ。

 

 

 

 

 

 

 




この後ベンの正体が渡辺だったことを5人に伝え、案の定全員が驚いていた。


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LINEの通知はONにしとこう

会社からLINEでメッセージ何件か来てたけど通知オフだったんで気づいたの次の日でした。


とある休日…

 

午前中から蓮は佐藤と鈴木とエーペッ〇スレジェンズをプレイしていた。

ちなみにキャラは蓮がオク〇ン、鈴木がレ〇ス、佐藤がパ〇ファインダー

 

蓮「おい2人とも、そこになんか居るぞ!」

 

蓮が敵を発見。エイムを上手く合わせ瀕死まで追い込む。

 

佐「てかそこ狙われてね?」

 

蓮「は?スドン、バタ…」

 

佐藤が気づいたが既に遅く、狙撃され蓮がダウン。

 

蓮「ちょっ…、ポータル!ポータル!!ポータル!!!引きポータル早く早く!!!」

 

鈴「今引いてる!」

 

鈴木のレ〇スがポータルを引き蓮を回収する。

 

蓮「早くしろぉ!!!!!!死ぬだろ!!!?!!?(ꐦ°᷄д°᷅)(元気)」

 

鈴「うるせぇ!」

 

蓮「蘇生蘇生!!!」

 

鈴「今やるからwww」

 

佐「やばw声でかww」

 

死にかけの奴の態度では無いな。

 

蓮「レ〇ス使ってんだから早く!」

 

鈴「うるせぇなwww」

 

グチグチ言いながら回復した蓮。

 

佐「おい、おーっ、敵来たよぉ、敵ィ!」

 

再び敵を発見した佐藤。

 

佐「キタキタキタヨ〜テキィ〜!」

 

鈴「分かった、今行くから!」

 

佐「おい敵きたっつってんだろォォ(キ゚Д゚)!!!」

 

鈴「撃ってる撃ってる!!」

 

佐「撃つなぁ!!!許可なくゥ(ꐦ°᷄д°᷅)!!!?!」

 

理不尽な佐藤。

 

蓮「おい別パーティーに狙われてるぞ後ろ!!!」

 

別パーティーの存在に気づき乱射する。

 

蓮「敵瀕死瀕死!!!逃げてんぞ!!!詰めろ詰めろーーー!!!」

 

鈴「オーケー!!!」

 

佐「ここ56せるーー!!!」

 

もう作戦も陣形もなしのゴリ押し状態に…

 

蓮「パ〇ファ!?スピード!なんのための機動力だよ!?」

 

鈴「…」

 

佐「オーケー!!!全弾外したァ!!!!!!」

 

蓮「引くな引くな!!!押せ押せ!!押せーー!!!」

 

佐「あ〜!!全弾、全弾外したァ…」

 

蓮「おぉい…全然詰めれてねぇじゃねぇかよ!!!!!!??!!!?!# ゚Д゚)・;’.」

 

佐「あぁ!?おっせんだよ!!!おめぇオク〇ン使ってんならもっと走れやぁ!!!」

 

鈴「…」

 

蓮「るっせぇ!!!確キルもってけよとっととォ!!!!!」

 

鈴「うるせぇ!!!!!!(゚Д゚)」

 

「「……はい、、、」」

 

とうとう耐えられなくなった鈴木。

 

鈴「仲良くしよ〜?俺ら、チームじゃん(ꐦ ´͈ ᗨ `͈ )??」

 

「「…す、すみませんでした」」

 

その後、鈴木が爆発し無事にチャンピオンを取った後解散した。

 

 

 

 

 

 

SAN値チェック入ります。

 

 

 

 

 

 

「あ〜、疲れた〜」

 

久々にプレイしたけどやっぱり楽しんだよなこのゲーム。まぁ色々とハプニングはあったが…

 

「次までにもう少しエイム良くしたいな…」

 

そんなことをぼやきながらスマホをいじる。

 

「ん?まじ?美竹から大量にLINEきてたんだけど…」

 

美竹蘭、最近勇気をだしてLINEを交換し、たまにメッセージのやり取りをするようになった。いや、別に佐藤と鈴木にやれって言われた訳じゃないからね?勘違いすんなよ?たまたまだからな?

 

「…2、3時間ぐらいスマホ触ってなかったから気づかなかったな…」

 

画面を見るとメッセージが5件、通話が3件来ていた。

うん。ごめん。今後からは気をつけるよ!

 

「『すまん、ゲームに夢中だった(^^)どうかしたか?』っと。」

 

すると5秒もせずに既読が着き、返信が来た。

 

「なに?『今すぐ羽沢珈琲店にきて』…なんか機嫌悪そうな雰囲気…」

 

『今すぐ』っていう言葉がもうそれを強調してるんだよなぁ

 

「『了解。LINE見てなかったのは悪かった。』っと。」

 

念のため繰り返し謝っておく。こうすることでこちらの申し訳なさが伝わり相手も許してくれる確率が上がるらしい。情報の出どころ忘れたけどね。なぜ機嫌が悪そうなのかは知らんがまぁ行ってみればわかんだろ。

 

「ついでにコーヒー飲ませてもらおっと…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side蘭

 

数時間前……

 

あたし達は今、つぐみの店に集合していた。その理由は…

 

「「「「「暇すぎる……」」」」」

 

今日はバンドの練習も休みだし何もすることがないので、とりあえず今日の計画を立てるためにつぐみの店に集まっていた。

 

「ね〜蘭〜。なんか面白いことない〜?」

 

「え…、あたしに言われても…。」

 

何も思いつかない…。まぁ強いて言うなら、、

 

「ゲーム……とか、、かな」

 

「も〜、蘭ってばれー君の影響うけすぎ〜。」

 

「いや、別にそんなことないし…」

 

「最近の蘭って前と比べて結構ゲームするようになったよねー。」

 

そんなにやってるかな?あたし…

 

「前も蓮と一緒にゲーセン行ってたしな。」

 

「あ!じゃあ蓮くんもよんでみんなでゲームするのはどうかな?」

 

「おっ、つぐナイスアイデア〜。」

 

「でもどこでゲームするの?」

 

「結構人数いるし、ゲーセンとかが妥当じゃないの〜?」

 

それもそうかも…あ、そういえば前渡辺が…

 

「この前渡辺が自分の家に色んな種類のゲームがあるって自慢してたような…」

 

「お〜、じゃあれー君の家に凸らせて貰いますか〜。」

 

渡辺の家でみんなでゲーム…ちょっと楽しそうかも…

 

「蘭も行きたそうにしてるしね〜?」

 

「別にそんなんじゃないって!」

 

「え?じゃあ蘭は行きたくないの〜?」

 

「……行けるなら…行きたい、けど」

 

あたしだって行ったことないし……

 

「じゃあ決定〜。」

 

「それじゃあ蘭、蓮くんに連絡よろしく!」

 

「蘭しか蓮の連絡先知らないからな!」

 

あれ?前貰った時みんなにも送ったような気がするんだけど?

 

「いや、みんなももってr「じゃあ蘭〜よろしく〜。」…」

 

なんかみんなからの圧が伝わってくる。仕方なくLINEを開き渡辺に連絡する。渡辺は既読するのが早い方だから多分すぐ返信は来ると思うけど……

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「蘭〜。まだれー君から返信来ないの〜?」

 

「…うん。」

 

通話も3回ぐらいやったけど未だに既読もつかない。

 

「まだ寝てんのか?」

 

「もう10時すぎてるけど、、さすがに寝すぎじゃないかな?」

 

「あれ?蓮くん、ゲームアカウントでツイートしてるからもう起きてるんじゃないの?」

 

…じゃあどうして既読がつかないんだろ…

 

「ね〜蘭〜。れー君て既読するのいつもこんな感じで遅いの〜?」

 

「いや、いつもならもっと早かった気がするけど…」

 

不安な気持ちがどんどん強くなってくる。

 

「もしかして〜無視されてたりして〜?」

 

「いや、蓮くんに限ってそれは…」

 

「でもこんなにメッセージとばしたり通話もかけてるのに既読もつかないんだよ〜?」

 

「確かに不自然ではあるな。Twitterの返信はちゃんとしてるのに…」

 

「「「「……」」」」

 

「あたしって、実は渡辺に嫌われてるのかな……」

 

「ら、蘭ちゃん!?しっかりして!」

 

「そうだよね…こんな愛想悪くてめんどくさい性格のあたしが…ほんと、何を勘違いしてたんだろ…」

 

「やばい!蘭がとんでもなくネガティブになった!」

 

「もう!モカが変な事言うから!」

 

「え〜、あたしのせい〜?」

 

「おい蘭!しっかりしろ!蓮がそんなやつじゃないのはお前が1番知ってるだろ!?」

 

「そうだよ!この前の喧嘩した時だって相談してくれたしライブにも来てくれたじゃん!」

 

「蘭ちゃんのこと嫌いだったら普通そんなことしてくれないよ!」

 

「……そうなのかな…」

 

「蘭〜、パン食べる〜?」

 

「……食べる…」

 

((((こんな蘭(ちゃん)初めて見た……))))

 

「と、とりあえずもう少し待ってみようよ!蓮くんもきっと何か用事があったんだよ!」

 

「うん…」

 

 

そしてさらに1時間後…時刻は11時過ぎ頃。

 

 

ピロン♪

 

「あ!返信来たよ蘭!」

 

「う、うん。」

 

恐る恐る渡辺の返信を開いて見ると、そこには…!

 

『すまん、ゲームに夢中だった(^^)どうかしたか?』

 

「「「「「………」」」」」

 

『今すぐ羽沢珈琲店に来て』とあたしは無言で送った。

 

「蘭〜……その、落ち着いて?ね?」

 

「気持ちはわかるけど…その、ね?」

 

「え?なに?別に、落ち着いてるけど??ギロ」

 

「ひっ!!」

 

「いや〜、そんな殺し屋みたいな目で言われても〜」

 

ピロン♪

すると渡辺から返信が帰ってきた。

 

『了解。LINE見てなかったのは悪かった。』

 

「ほ、ほら、蓮くんも謝ってるし…」

 

「な?あたし達の、勘違いだったってことで…」

 

「れー君なむあみ〜。」

 

「あははは…」

 

「…あたしの不安返してよ!!!」

 

 

 

でも嫌われてる訳じゃなくて良かったかも、とか思っちゃう蘭であった。

 

 

 




エーペッ〇ス久々にやると結構おもろいんですよね…

・オク〇ン
ウルトで漁夫取れるし逃げれる。移動速度が速い。強ポジも取れる。

・レ〇ス
戦術ウルトは唯一無二。ポータルで安全な奇襲や離脱が可能。立ち回りの幅を広げられる。

・パ〇ファインダー
ウルトで強ポジを取れる。次の縮小エリアの把握が協力。逃げ&追い性能が高い。


このご時世なんで外なんか出ないで家でゲームでもやりましょう。





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第1回ゲーム大会

美竹にら呼ばれしばらく歩き、羽沢珈琲店に到着した。したはいいんだけどさ…

 

「な、なぁ美竹?なんでそんなに機嫌悪いんだ?」

 

「はぁ?別に?悪くないけど?」

 

いや、めっちゃ悪いですやん…俺なんか悪いことしたか?

 

(れー君、ちょっとこっち来て〜)

 

(え?なに、)

 

ご機嫌ななめな美竹に困っていると青葉から呼ばれてついて行く。ついて行った先には青葉だけじゃなくて美竹以外のメンバーが全員いた。

 

「蓮くん、なんで蘭が怒ってるかわかる?」

 

腕を組んで何故か説教モードの上原。いや、なんでって言われても。こっちが聞きてぇよ…

 

「さっぱり分からん。どしたのあいつ?」

 

「蓮、蘭からのLINE、いつから来てたか分かるか?」

 

美竹からのLINE?…それは確か、

 

「えーと、9時すぎぐらいか?」

 

「じゃあ蘭ちゃんのメッセージに既読つけたのは何時ぐらいかな?」

 

「え〜、ついさっき確認したから…11時半ぐらいか?」

 

それがなんの関係が?

 

「つまり、蓮くんは2時間半蘭からのLINEを無視してたことになるんだよ!」

 

「まぁ…そうなるの、かな?……え?それだけであんな機嫌悪いの?」

 

LINE見てなくてメッセージに気づかないなんてよくあるだろ。

 

「も〜、れー君は分かってないな〜。」

 

「……どういうこと?」

 

「蘭がクラスでれー君以外と話してるところ、見た事ある〜?」

 

「いや、ないね。美竹も話そうとしないし他の奴らも怖がって近づいて来ないね。」

 

(((…あぁ、やっぱりないんだ、、)))

 

「つまり、クラスで唯一の話せる友達はれー君だけってことになるよねぇ?」

 

「まぁ…そうなんのかな?」

 

「そんなれー君とは最近LINEを交換してそっちでも少しずつ会話をするようになりました〜。」

 

「おう。」

 

「それがある日、いつもなら早く既読が着くのにその日はこっちから何回LINEを送っても一向に既読が着きませ〜ん。」

 

「お、おう。」

 

「もしれー君がその立場だったらどう思う?」

 

どう思う、か…

 

「そりゃまぁ、多少は不安になるかもな…。あぁ、なるほどね…」

 

「そ〜なのです。蘭はれー君に実は嫌われてるんじゃないかって思ってとてもとても不安だったのです〜。」

 

「あんな絶望的な蘭初めて見たんだからね!」

 

「そんなにかよ…」

 

そう考えると確かに美竹には悪いことをしたかもな…

 

「だかられー君はちゃんと蘭に謝って来なければいけないので〜す。」

 

「…了解。そんじゃちょっくら行ってきますわ。」

 

「うむ、健闘を祈ってるよ〜。」

 

そして美竹の元へ向かう。ちょっとは機嫌戻ってるかなとか思ってたけどバリバリ今も悪いっすね、あれは。

 

「なぁ美竹?」

 

「…何?」

 

「その、LINEの件なんだけど…」

 

「…うん、」

 

「なんだ、…ずっと無視してたみたいなことになってて悪かった。俺も他のゲームしてたし、ヘッドホンもしてたから気づかなかったんだよ…」

 

「……」

 

「別に美竹の事が嫌いで無視してたって訳じゃないかな?むしろちゃんと良い奴だって思ってるし、その、何?まぁそこらへんは心配しなくていいっつーか…」

 

「……う、うん。…//」

 

「まぁ…今後はゲーム中もマメにスマホ確認するようにするから…どうか許してはくれないでしょうか…」ペコリ

 

正面の席に座り、頭を下げる。

 

「蘭〜。れー君もこうして反省してるし、もういいんじゃない?」

 

「……うん、その、あたしも少し考えすぎてたところもあるし、ごめん…」

 

「お、おう。」

 

(((何この付き合いたてのカップル見たいなやり取り……)))

 

「これで一件落着〜。」

 

「はぁー、ほんと焦ったわマジで。……そんで?そろそろ俺が呼ばれた理由聞いてもおk?」

 

「あー!忘れてた!」

 

忘れないで?俺ただ謝りに来ただけになるとこだったじゃん。

 

「前に渡辺が自分の家に色んな種類のゲームがあるって言ってたよね?」

 

「あー、言ったな。そんなこと。」

 

「それで今日みんなでれー君の家におじゃましてゲームでもしたいな〜って事になってね〜?」

 

「あー、そゆこと。まぁ別にウチなら大丈夫だぞ?」

 

「え?行ってもいいの!?」

 

「ああ、弟が家にいるけどそれでもいいか?」

 

「全然!じゃあそうと決まれば早速行こー!」

 

そう言ってハイテンション上原は店から出ていった。俺の案内なしにどうやってたどり着く気なんですかね?バカ原さん。

 

「そんじゃ、案内するから行くか。」

 

「ひまりの事はスルーなんだね…」

 

「…まぁそのうち合流出来んだろ、」

 

そして案の定1人で困っていたバカ原を回収し、俺の家にみんなを案内した。あ、コーヒー飲ませてもらうの忘れてた。

 

 

 

 

 

 

「ここだな。」

 

我が家に無事到着。

 

「お〜、以外とご近所ですな〜。」

 

「うん、あたしの家と方向が同じなのは知ってたけどこんなに近いとは思わなかった…」

 

そう、俺の家は美竹の家からしばらく道なりに歩いたところにある。

 

「ちょっと弟に一声かけてくるから待っててくれ。」

 

「りよーかーい」

 

そしてとりあえず俺だけ家に入り弟の部屋へ向かう。

 

「おーい翔。」

 

「ああ?なに?」

 

翔、俺の1つ下の弟。今年受験生だと言うのに俺と同じで年がら年中ゲームをしているヤバいやつ。(ブーメラン)

 

「ちょっと今から俺の友達きてゲームするからそのへんよろしくな〜。」

 

「はいよ〜。大人しくしてますよーっと。」

 

弟にも言ったし、みんなを呼びに行きますか。

 

 

「おーい、みんな入っていいぞー。って、何やってんだ?」

 

「べっ、別に!ほら、みんなもはやく入ろうよ!」

 

そうして美竹は先に行ってしまった。まったく…今度はどうした、、

 

「も〜蘭ってば〜。」

 

「まぁもうなんでもいいや。んじゃ、みんなも入ってくれ。」

 

「「「「おじゃましま〜す。」」」」

 

 

 

 

 

 

ここからは蘭視点

 

蓮が先に家に入ってる間のAfterglow

 

 

初めて男子の家に入るから少し緊張するかも…

 

「良かったね〜蘭。これでいつでもれー君の家に遊びに来れるよ〜。」

 

「そんなことしないし…」

 

でも……たまになら遊びに来てみたいかも、、」

 

「蘭ー、心の声漏れてるよー?」

 

えっ、ウソ!?

 

「っ!?、ちがっ、今のはっ…」

 

「正直に行ってみたまえよ〜♪」

 

「いやっ、ほんとに違くて//!」

 

「おーい、入っていいぞー。って何やってんだ?」

 

ナイスタイミング渡辺!

 

「べっ、別に!ほら、みんなも早く入ろうよ!」

 

そしてあたしは逃げるように玄関に向かった。

少し玄関で待っていると渡辺達が入ってきた。

 

「俺の部屋2階だから早速行来ますか。」

 

「お〜、女の子5人を部屋に入れるなんてれー君大胆〜。」

 

「しょうがねぇだろほとんどのゲーム機は俺の部屋にあるんだから…」

 

そして渡辺の部屋の前まで案内される。

 

「先入ってくつろいでてくれ。お茶とか持ってくるから。」

 

そう言って渡辺は1度下に戻って行った。

 

「おじゃましま〜す。」

 

「わぁ!すごい!ひろーい!」

 

「モニターが沢山…」

 

「あ!このゲームあこもやってたやつだ!」

 

みんな渡辺の部屋を色々見て回ってた。それにしても広い…少し羨ましいかも。

 

「ねぇねぇみんな〜、せっかく男子の部屋に入れたんだし、あれを探してみようよ〜。」

 

あれって?

 

「あー!わかった!男子の部屋に絶対あるっていうHな本でしょ!」

 

「ひーちゃん正解〜。」

 

「いや、そんなのあるわけないじゃん…」

 

「というか、仮に見つけたとしてもどうしたらいいのか分からないぞ…」

 

「見つけたられー君の好みのタイプがわかるかも知れないじゃ〜ん。」

 

「蘭も気にならない?蓮くんがどういう人が好みなのか?」

 

渡辺の好み……考えた事ない…

 

「別に…気にならない…こともないかも…」

 

「それじゃみんな!探索開始!」

 

「まったく…怒られても知らないからな?」

 

そしていざ探そうとしていた時、

 

「飲み物持ってきたぞ〜。っておい、くつろいでてとは言ったがなにやってんの?Afterglow特有のくつろぎ方なのそれ?」

 

ちょうどいい所で渡辺が飲み物を持って戻ってきた。

 

「も〜蓮くんタイミング考えてよ〜。」

 

「いや、そっちこそ人の部屋でなに漁ってんだよ…」

 

「それはあたし達の口からは言えないかな…。」

 

「なんだそりゃ…」

 

するとモカがストレートにこんな質問をした。

 

「ね〜、れー君はどんな女の子が好き〜?」

 

「は?いきなりどした…怖っ。」

 

「まぁまぁいいからいいから〜。」

 

よくこんなにストレートに質問できるよね…あたしも少し気になるけどさ…

 

「いや、特に考えたことないから分からん…」

 

「なんでも良いんだよ〜。例えば性格とか髪型とか〜。」

 

「ん〜、そうだな…話してて楽しいやつとか?かな?あと髪型とかはよくわかんないけど少し長めの方がいいかもな。」

 

「なるほどなるほど〜カキカキ」

 

「そんなことメモ帳に記すな…てかどこから出したそれ。」

 

(髪は長い方が良いんだって〜蘭♪)

 

(ふーん…そうなんだ……)

 

少しだけ髪伸ばしてみようかな……なんて…

 

「そんなことよりゲームするんだろ?結構人数いるし、ス〇ブラなんてどうだ?」

 

「あっ、これモカの家でやった事あるよ!」

 

「ならちょうどいいな。今準備するわ。」

 

そしてみんなにコントローラーを配り、ゲームを起動させた。

 

「さて、5人ともボコボコにしてやりますか……」

 

「あっ、スイッチ入った。」

 

ほんとゲームの時だけ目が変わるんだよね…

 

「のぞむところだー!」

 

「天才モカちゃんの腕前を披露してやりますか〜。」

 

「が、頑張ろう!」

 

「それじゃあ!ゲーム大会スタートォ!」

 

 

 

こんな感じで色々あったけど楽しくゲームが始まった。それにしてもいつから大会になったんだろう…

 

 

 

 

 

 

 

 



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AfterglowVS蓮

最近モンハンライズ始めました。


現在、我が家にはAfterglowの面々がゲームをしに来ている。ちなみに今やっているゲームは『大乱闘ス〇ッシュブラザーズ』。このゲームは大人数でやると非常に盛り上がり、現に今も5人で楽しくプレイしている。

 

「あぁああああ!!蓮くんストップ!死んじゃう、死んじゃうからァ!!」

 

「だからなんだってんだ♪ドゴォ」

 

「あぁああああ!!(死亡ボイス)」

 

上原撃墜。

 

「ちょっ!渡辺!こっち来ないで!」

 

「ははは!怖かろう怖かろう???ドゴォ」

 

「もう…最悪…」

 

美竹撃墜。

 

「あとは宇田川と羽沢だけだなぁ?ドゴォバキィ」

 

 

「「いやああああああああ!!」」

 

宇田川&羽沢撃墜。

 

 

 

あ''あ''ーーー↑↑↑楽しーーなーー!!神ゲーだな!!ス〇ッシュブラザーズ!!

 

 

え?楽しんでるのはお前だけだろって?……こまけぇこたぁいいんだよ。

 

「トゥーー!!4対1でも余裕すぎるんだなこれがァ!!」

 

「もう!蓮くん強すぎ!!」

 

「少しは手加減しろー!」

 

「…渡辺のバカ…」

 

「蘭〜、それはもうただの悪口〜。」

 

「あはは…確かに勝てる気がしないね…」

 

ちなみになぜ青葉が参加していないかと言うと『最初は様子見〜。』と言って俺たちがやっている様子をずっと見ていたからである。

 

「そろそろあたしも参加しよっかな〜。つぐー、コントローラー貸して〜。」

 

「おっ、ようやく青葉も参戦か。」

 

「ふっふっふ〜。天才モカちゃんの華麗なプレイを見るがいい〜。」

 

「はーっw、ぶっ飛ばしたてまつるw」

 

そして羽沢に変わり青葉が参戦して次の対戦が始まった。

 

 

「もう!なんで渡辺はあたしばっかり狙うの!?」

 

「まぁ、近くにいた美竹が悪いってことでェ(^^)」

 

「も〜。れー君やっぱり蘭のこと嫌ってるでしょ〜?」

 

「ちょっ!?モカ!?」

 

甘いな青葉、そんな精神攻撃が俺に効くわけないだろ、

 

「いや?全然嫌いじゃないけど?むしろ好きな方なんだけどね〜???」

 

「ちょっ、、//渡辺も何言ってんの!?//」

 

「あ、蘭が固まった〜。」

 

「嫌いではないんだけどさ?これ、戦いだからァ!?ドゴォ」

 

そのまま固まっている美竹を場外に吹き飛ばす。

 

「悲しいけどこれ、戦争なのよね??」

 

美竹撃墜。

 

(良かったね〜?れー君蘭のこと嫌いじゃないって〜♪むしろ好きなんだって〜♪)

 

(//それはもういいから!!//)

 

 

なぜか顔が赤い美竹はほっといて、上原と宇田川を追い詰め綺麗にスマッシュで場外に吹き飛ばす。

 

「また負けたーー!!」

 

「もうお手上げだ…」

 

「さて、あとは青葉だけだな?」

 

「モカー!負けるなー!」

 

「任せなさ〜い。ドゴォ」

 

「何!?」

 

青葉の動きが急に変わりやがった!……さてはこいつ、実力隠してやがったな!?まったく攻撃が当たらない!

 

「あれ〜?れー君どうしたの〜?まったく当たらないけど〜?」

 

「てめぇちょろちょろしてんじゃねぇよォ!!」

 

「は〜い、これでおしま〜い♪」

 

一方的にダメージを受け最後にスマッシュで決められてしまった…

 

「おー!さっすがモカー!」

 

「モカってこんなに上手かったっけ…?」

 

「まぁモカちゃんは天才だからね〜ドヤァ。」

 

「…まて、今のはあれだ、スキを突かれてびっくりしただけだ。俺の実力はまだ半分も出てなかったから。」

 

「あれ〜?もしかして、言い訳してる〜?」

 

「はぁ?言い訳じゃねぇし。ほんとに、マジで………ガキがァ…」

 

「なんか唐突に煽り始めたんだけど…」

 

「それじゃあ、3回勝負でもする〜?負けたらあたしにパン奢りね〜♪」

 

「のった!このパン野郎絶対泣かす!!」

 

そして俺と青葉のガチ対決が始まった。

 

「…これ絶対前のゲーセンみたいにうるさくなるやつだ…」

 

 

 

 

 

 

 

ここからは蘭視点…

 

そんなこんなで渡辺とモカの対決が始まった。そして、案の定渡辺がうるさくなった…もう慣れてるからいいけどね、、

 

1試合目はお互いほとんど互角の対戦だったけど後半モカが渡辺の動きを読んで場外に飛ばし試合を決めた。

 

2試合目はなんか渡辺が無駄にバーサークしてたけどそんなことは関係ないと言わんばかりにモカが一方的に殴り飛ばして勝利。

 

3試合目はメンタルが限界だった渡辺がもう何もさせて貰えずモカの勝利。と言うか最後に関しては少し渡辺が可哀想に見えてきたりした…

 

「は〜い、れー君パン奢りね〜♪」

 

「なぜだ…なぜやつに勝てない…」

 

「…モカって実は渡辺よりゲーム上手かったりして…」

 

「ふっふっふ〜。ざっとこんなもんよ〜。」

 

「は〜、、これ俺に何が足りてないの……?」

 

結構本気で落ち込んでるし…

 

「え〜?''頭''???(笑)」

 

「っあーーーー???????言うねぇ!?!?!?!?」

 

「「「「wwwwwwww」」」」

 

「おいゴラア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙(怒゚Д゚)ノ 」

 

とうとう爆発した渡辺に、

 

「おいこら〜〜〜〜(*゚▽゚)ノ♪」

 

乗っかるモカ

 

 

ドアガチャ「あの〜、すみません、うるさすぎるんですけども?」

 

すると急に部屋のドアが開き、渡辺にそっくりな人が入ってきた。

 

「なんだ翔か、そんなにうるさかったか?」

 

「家中にお前の声が響いてたね、」

 

「まじかよ。俺だけ?」

 

「お前だけ。ていうか友達って女子だったのかよ…しかも5人も、」

 

その人はすごい驚いた表情でこっちを見ていた。

 

「ね〜れー君、この人がさっき言ってた弟くん?」

 

「ああ、歳は1つ下で名前は翔。」

 

「どーも、愚兄がお世話になってます。弟の渡辺翔です。」

 

「誰が愚兄だはっ倒すぞ。」

 

「お〜、れー君と違って礼儀正しいですな〜。」

 

確かにすごい真面目そう。

 

「あ、そういえば兄貴、母さんが車の荷物下ろすの手伝えってよ。」

 

「はぁ?何それめんどくさ…んじゃ、少し行ってくるからみんなでやっててくれ。」

 

「うん、行ってらっしゃい。」

 

そう言って、渡辺は一旦部屋から出ていった。

 

「それじゃああたし達は弟くんとお話でもしますか〜。」

 

「いいですよ。俺も皆さんに聞きたいことがありますし。」

 

そして渡辺が帰ってくるまで渡辺弟と話しながらゲームをしていた。

クラスの事とかあとはバンドの事とか色々みんなで話した。

 

「なるほど、美竹さんが兄とクラスが一緒なんですね〜、どうでした?兄の印象は?」

 

最初の印象…

 

「ゲームと文系の教科が得意な人。かな…」

 

「学校でもゲームしてんのかあいつは…」

 

「でも、話してて面白いし、いい人だよ渡辺は。」

 

「お〜、蘭が珍しく素直〜。」

 

「いや、普通だから…」

 

「確かに蓮くんはいい人だと思うよ。前喧嘩した時も蘭の相談聞いてくれたもんねー。」

 

「ライブにもいつも来てくれるし。」

 

「ゲームしか取り柄がない兄がそんなことを…」

 

「蘭なんてクラスで話せる人れー君しかいないしね〜?」

 

「え、そうなんですか…?」

 

「いや、まぁ…その、、」

 

「美竹さん……」

 

そんな哀れんだ目で見ないで…

 

「兄がなんかやらかしたら言ってくださいね?二度とゲームできないようにするんで。」

 

「そこまでしなくてもいいんじゃないかな……」

 

「弟くんはれー君は蘭のことどう思ってるか分かる〜?」

 

「ちょっモカ、変なこと聞かないでよ!」

 

「そうですね〜、兄は特別仲がいい人としか話さないし遊ばないので全然心配しなくて大丈夫っすよ?美竹さん。」

 

「そ、そうなんだ…」

 

「それにあいつ美竹さんの事たまに家で話してたんですけど、それはそれは楽しそうに語ってるもんですから。」

 

「ふ、ふーん/」

 

「LINE交換した時なんて満更でもない顔してましたよ〜。」

 

「そ、そう//」

 

(渡辺も、嬉しかったのかな…//)

 

 

(青葉さん、まさか美竹さんて兄のこと思ってたりします?ヒソヒソ)

 

(ん〜、まだ気になってるぐらいの段階かな〜。でもいい感じの雰囲気の時もあるからね〜。ヒソヒソ)

 

2人ともなに話してんだろ…

 

「は〜、やっと解放された。」

 

すると渡辺が部屋に戻ってきた。

 

「おー、おかえり。だいぶ時間かかったな。」

 

「荷物多すぎるんだよあのバカ…。ていうかお前まざってたのかよ…」

 

「いやー、色々話し聞かせて貰って楽しかったわ〜。」

 

「美竹達に余計な事言ってねぇだろうな?」

 

「言うわけねぇだろ(嘘)」

 

「それじゃあれー君も来た事だしゲーム再開しますか〜。」

 

それから夕方までみんなでゲームをしていた。こんなにゲームしたのって初めてかも。ていうか弟の方もゲーム中は結構うるさくなるんだね…渡辺ほどじゃないけど。やっぱり兄弟なんだなぁ。

 

「あっ、もうこんな時間!」

 

「時間たつの早いね〜。」

 

「これ以上いるのも迷惑になっちゃうしそろそろ帰ろっか。」

 

「そうだなー。」

 

「結局青葉に1回も勝てなかった…」

 

「天才ってほんとにいたんだな…」

 

ちなみに兄弟2人でモカに挑んでも1回も勝てな勝てなかったみたい…

 

 

 

渡辺家玄関……

 

「それじゃ〜またね〜。あっ、れー君パン奢るの忘れないでね〜。」

 

「たくっ、しょーがない、今回だけはお前の勝ちにしといてやるよ…」

 

「負けたヤツの言い草か?それ、」

 

「じゃあ、渡辺また学校でね。」

 

「おう、気をつけて帰れよ〜。まぁ言うて近所だし大丈夫か。」

 

 

こうしてあたし達は渡辺の家を後にした。初めて来たけど楽しかったしまた遊びに来たいかも。

 

 

 

 

side蓮

 

「にしても珍しいな。兄貴があんなに人呼ぶなんて。」

 

アイツらが帰った後、ゲームを片付けていたら翔がいきなりこんなことを言ってきた。

 

「なんだよ急に、」

 

「いやだって今までなかっただろこんな多人呼ぶなんて。」

 

まぁたしかになかったけどさ……

 

「…別にいいだろ。お前も楽しめただろ?」

 

「まぁ色々聞けたしな!てかあの中で誰か気になってる人とかいないの?」

 

これまた唐突に変なことを…

 

「そんなやつはいない。」

 

「え?美竹さんとかどうなの?」

 

「あいつはただクラスが一緒で席も隣だから仲良くなっただけだよ…」

 

「LINE交換した時は満更でもない顔してたのに?」

 

「はぁ?そんな顔してねぇし?お前1回眼科行って目見てもらった方がいいぞ?手術とか受けてきたら?」

 

「いや、ボロくそ言うやん…まぁいいや。んじゃちょっとス〇ブラでタイマンしようぜ」

 

「いや、片付けてんの見えない?」

 

「まぁ青葉さんに勝てるようになりたいやん?」

 

「……よし、やるか。」

 

 

 

 

 

 

それから渡辺兄弟は打倒モカを目標に割と本気で練習していた。

 

 

 

 

 

 




ス〇ブラ久しぶりにやりたいな〜。ちなみに自分はガノ〇ドロフ愛用してました。


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ラブレター事件

中学の頃、下駄箱を開けたら手紙のようなものが入っていて『まさか!?』って思って見てみたら担任の文字でしっかりと『課題未提出のため今すぐ職員室に来なさい。』と書かれていた事を俺は決して忘れはしない。





もし学生の方がいらっしゃいましたら課題はしっかりと出しましょう。あいつら(教員)は何してくるか分かりませんから。


「暑っつい…」

 

はい、今日も今日とて学校へ向かっております。渡辺蓮です。最近は気温がどんどん高くなり俺の1番嫌いな季節、夏が近ずいて来ていると嫌でも思ってしまう。ほんと、夏のいい所ってなんだろうな、お盆休みにばあちゃんから小遣い貰うぐらいしか思いつかねぇよ。

 

「あ、おはよう。渡辺。」

「おう、おはよう。」

 

学校の校門近くで美竹と遭遇した。

 

「にしても暑くなってきたなぁ最近。」

「うん。もうすぐ夏だしね…、早く夏休みとかなってくれると良いんだけど…」

「ああそうだな。エアコン効いた涼しい部屋でアイスでも食いながらグダグダとゲームがしたいもんだよ。まぁその前に期末テストとの対戦あるけどな?」

「…そうだった、しかも今回って結構範囲広かったよね…?」

「中間の時よりは広かった気がするな。今回も数学青葉に聞かねぇとな。あいつの説明は分かりやすくて助かる。」

「同感。…あと、渡辺にもまた教えてもらいたいかも…」

「数学以外なら任せろ。」

「ん。任せる。」

 

そうこう話している間に学校に到着。

 

「ん?なにこれ?」

 

生徒用玄関で靴を履き替えてると美竹があるものを発見した。

 

「何だそれ?手紙か?」

 

見てみると小さな手紙のようなものが入っていた。

 

「えーっと、『今日の放課後話したいことがあるので屋上まで来てください。』……これってまさか、、」

「そのまさかで多分当たってると思うぞ…」

 

俗に言うラブレターだろうな。今どきこんなことするやついるんだな。おじさんびっくりだよ。まぁ、美竹はパッと見怖そうだけど裏では意外とモテてたりするんだろうな。

 

「これ、どうしよう…」

「いや、どうしようと言われても…答えてやるしかないんじゃないの?知らんけど…」

「え?//付き合わないといけないの!?//」

「いや、ちゃうくてね??付き合う付き合わないにしても何かしらの返事はしないとだめなんじゃないのってことでね?置いといた奴も多分勇気出してやったことだと思うしね?」

「そ、そうだよね…、うん。とりあえず放課後までに返事考えとく。」

「おう、そーしとき。いや〜これで美竹も彼氏もちk「ドゴォ」痛っ!?暴力はやめろ!」

「…渡辺のバカ…」

 

割と強めなローキック頂きました。むやみに美竹をからかうのはやめよう。何されるかわからん。

 

そんな反省をしつつ教室に向かった。さて、これからどうなる事やら。

 

 

 

 

昼休み…

 

俺は例のごとく佐藤と鈴木で昼食をとっていた。

 

「なんかさ、今日の蓮変じゃないか?」

「それは俺も思った。」

「唐突になんだよ。何も変わってねぇよ。」

「いや、なんつーかな?朝から少しぼーっとしてるって言うかな?」

「心ここに在らずって感じだな。」

「んなことねぇよ。俺はいたっていつもどおりだよ。」

「いつも通りのお前なら授業中絶対ゲームしてるはずなんだよォ!」

「それが今日はゲームどころかスマホすら触ってなかったろォ!」

「「何があったんだァ!!!?」」

「あーもう急に怒るな…。そんなに今日の俺はおかしかったのか?」

「クラスの奴らみんな言ってたから。」

 

いやまじかよ。ゲームしない俺ってそんなに不自然?

 

「とりあえず、今日の朝のことから事細かに説明せよ。」

「分かりやすく簡潔にな。」

「何そのめっちゃめんどくさい文章問題…。え〜っと、まず登校中にたまたま美竹と遭遇してー、」

「おう、」

「テキトーに喋りながら学校に入ってー、」

「なるほど、」

「履き替えてる時に美竹の下駄箱からラブレターが見つかってー、」

「「おめぇ確実にそれじゃねぇかあぁぁぁあ!!!!!?(ꐦ°᷄д°᷅)」」

「あー、もう!だから急に怒るな!」

「んで?相手って誰だったん?」

「いや、急に冷静になるな。名前とかは書いてなかったな。放課後屋上に来てくださいとしかなかったぞ。」

「オーケー。大体はわかった。そんで?蓮はその時どう思った?」

 

「どうとは?」

「あーもうじれったい、そんじゃ1回イメージしてみろ?」

「常に最強の自分を?」

「斬り56すぞ?まず、美竹がそのラブレターを送って来たやつと屋上に2人きりだとする。」

「おう。」

「そしてその送ってきたヤツが美竹に告白して、美竹がYesと答えました!」

「お、おう。」

「放課後の屋上で夕暮れをバックに抱き合う2人!さぁ!お前はどう思った!?」

 

「なぁそれなんて言うギャルゲー?(・u ・)ŧ‹”ŧ‹”」

「よし、こいつ1回屋上から突き落とすぞ。」

「異議なし、おい、お前放課後屋上で待ってるからな?」

「まて、冗談だからな?やめてくれ、ラブレターに見せかけたただの殺害予告はやめてくれ。」

 

俺の周りにいるやつ冗談通じなすぎだろ…

 

「ったく、んで?正直どう思った?」

「なんつーかな…仮にそうなったらめでたい事なんだろうけども、なんか引っかかるって言うかな〜、複雑な気分だ…」

「つまり、今日お前が変だったのはそれが原因ってことなんだよ。」

「まぁほとんど無意識なんだろうけどな。」

「2人はなんでこうなるのかわかんのか?」

「「それは俺らの口からは言えないかな?」」

 

こいつらたまにシンクロ率神がかってるよな…。打ち合わせでもしてんのかね?

 

 

 

そんな感じで昼休みが過ぎていった。

 

 

 

 

そして放課後…

 

 

「そういや美竹、返事はどうするんだ?」

 

屋上に向かう前の美竹に聞いてみる。

 

「いや、普通に断るつもりだけど…」

「そ、そうか…」

 

その返事に俺は少しばかり ''安堵'' した。

 

「うん。それじゃ、行ってくる。」

「おーう。行ってら〜。」

 

そして美竹は屋上へと向かった。さて、俺も帰りますか。

そう思い荷物をまとめていると一通のLINEが来た。

 

「ん?上原?」

 

何故か上原からLINEが…急にどうしたよ。

 

「『どうしよう!?蘭が告白されちゃうよォ!』ってそんな事お前より先に知ってるわこちとら。」

 

すると『というわけで今すぐ屋上に行く階段のところまで来て!!』と通知が来た。

 

「え〜、『行かなきゃダメ?』っと。」

 

適当に、返信をすると『相手がもし乱暴な人だったらどうするの!?』と割と本気で焦ってる感じの返信が来た。

 

「はぁ〜、行くかぁ〜。」

 

てな訳で呼ばれた場所まで向かいま〜す。

 

 

そうしてそこに着くと美竹を除いたAfterglowの面々がそろっていた。

 

「あ〜れー君やっと来た〜。」

「よし!そろったことだし早速行こう!」

「いや、行くってどこに…」

「決まってるだろ!蘭の様子を見に行くんだよ!」

「まじか、告白シーン覗きに行くってまじか。」

 

正気の沙汰ではねぇよ…

 

「見つかったら面倒だし帰っていいかな…?」

「れー君は気にならなな〜い?」

「いや、別に…」

 

正直少し気になるけどさ…なんか見たくないって言うか…

 

「ほら〜イメージしてごら〜ん?蘭がそのラブレター送ってきた人と屋上で〜、」

「そのくだり昼休みにやったからもういいわ。」

「ガ〜ン。放課後まで取っといてよ〜。あたしの楽しみが〜、」

「いや、知らないよ。」

 

「ほら!2人とも早く行くよ!」

 

青葉の相手をしてたらいつの間にか他の奴らは屋上に向かっていた。

 

「ったく…。もし見つかったら迷うことなく上原のせいにするからな…」

「え!?なんで私!?」

「いや、おまえに呼ばれたからだろ…」

 

そんなやり取りをしながら屋上のドアをそっと開け美竹の状況を確認する。

 

「お〜、あの人が蘭にラブレターを送った人か〜。」

「高身長だし結構イケメンだね…」

「これは蘭もコロッと行く可能性あるぞ」

「ど、どうなっちゃうんだろ…!?」

 

なに覗きを楽しんでんだよこの4人は…。

 

「てかあいつクラス同じなんだけど…」

「え!?そうなの!?」

「ああ、1年でサッカー部のレギュラー貰ってそこそこ女子に人気あるやつだな。」

 

話したことはあんまりないけどな♪

 

「あっ!そろそろ言うみたいだよ!!」

「どうなっちまうんだー!いったい!」

「巴!声が大きいよ!」

 

確かにな、かくいう俺も多少ドキドキしながらその様子を見守っていた。

 

 

 

side蘭…

 

 

放課後、あたしは手紙にあったように屋上に来ていた。ほんとに今から告白されるのかな…。一応断る気ではいるけどやっぱり少し緊張するかも…

 

「あっ!美竹さん。ごめん急に呼び出して。」

「ううん、大丈夫だよ。それでその、話って?」

 

この人って確かクラス一緒だったような…名前は…ごめん、わかんないや。

 

「その、俺最近ガールズバンドにハマっててさ、ライブにも何回か行ってて…」

「うん。」

「そして、たまたまライブで美竹さんが歌ってるのを見てその、最初はファンだったんだけど、聞いてるうちにどんどん惹かれていって…気がついたら、美竹さんの事が好きになってました!」

「う、うん」

 

「み、美竹さん!もしよろしければ俺と付き合ってください!」

 

やっぱり告白するためにあたしを呼んだんだ。ライブを見てくれてたのはすごく嬉しい。でも…あたしは……

 

「…まずライブ見てくれてたのは嬉しかった。その、ありがとう。でもあたしは今はバンドに集中したいから…」

 

本当は誰とも付き合う気はないって言うつもりだったのに…言葉にしようとしたら頭の中で何故か'' 渡辺の顔'' が浮かんで来て言い出せなかった。

 

「そう…ですか…。わかりました。あの、最後に1つ聞いていいかな?」

「な、何?」

「美竹さんってやっぱり渡辺君の事が好きなのかな?」

「え!?//いやなんでそこで渡辺が出てくるの!?//」

「いや、クラスでよく話してるし、仲もいいからひょっとしてと思って。」

「渡辺はそんなんじゃないって!!//ただのクラスメイトだから!//」

「(わ、わかりやすい…)そうなんだ。ごめん変な事聞いて。」

「いや、別に…」

「それじゃ、俺はこれで…あ!バンドのことは応援してるから頑張って!」

「うん。ありがと。」

 

そう言って彼は屋上を後にした。

 

そしてあたしも帰ろうと屋上のドアを開けると、

 

「え!?渡辺!?それにみんなも!?」

「あ、えーっとその、違うんだ俺は上原に呼ばれて仕方なくだな…」

「え〜?そんな事言ってれー君もすごい気になってたじゃ〜ん。」

 

モカたちはともかくまさか渡辺もいるなんて…!

 

「…ずっと見てたの?」

「まぁ、うん。そんでさっき告白した奴ががこっちに来るのが見えたから急いで避難してまた戻ってきたって感じだな…」

「もしかして、内容聞こえてたりしてないよね…?」

「まぁさすがに距離があったから聞こえなかったかな…」

「そう、ならいいけど。」

 

渡辺の言葉を聞いてほっとする。

 

「え〜?なんか聞かれたらまずいことでも話してたの〜?」

「そんな事話してないから//もう、早く帰ろうよ//」

 

みんなに感ずかれる前に先に屋上の階段を降りる。

 

「おーそうだな。とっとと帰るぞもう疲れた。」

「…渡辺、帰りにパン奢って。」

「エエ??なんでだよ…??」

「覗いてた罰。」

「だったら全員同罪だろ!なぜ俺だけ…」

「れー君、ここで奢るのがかっこいい男ってもんだよ〜。ついでにあたしにもちょ〜だ〜い。」

「ざけんな。青葉にはこの前財布が軽くなるほど奢ったろ…」

「あれはれー君が弱かったのが悪いんじゃ〜ん♪」

「悲報、俺Afterglowの財布になる。」

 

 

この後なんだかんだ言って結局パンを奢ってくれた。渡辺って意外とこういうとこ優しいよね…

 

 

『美竹さんって渡辺君の事…』

 

ああもうあいつが変な事言うからなんか渡辺の事直視できない…

 

「?美竹さっきからどうした?」

「なっ、なんでもないから//」

 

 

 

 

帰り道はずっとこんな調子だった。ほんと、どうしちゃったんだろあたし…

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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そうだ、映画に行こう。

昨日るろうに剣心の映画見に行ってきました。実写とは思えないアクションシーンだったし胸熱展開も多くて『さすがファイナル!!』って感じでした(笑)


side蘭

 

「蘭ー、ちょっといい?」

「?どうしたの、母さん。」

 

今日は土曜日ということでバンドの練習もなく、自分の部屋でゆっくりしていると急にドアが開き、母さんが入ってきた。

 

「実はね、明日母さんの友達と映画を見に行く予定だんだけどお互い急用が入って行けなくなっちゃって。」

「うん。」

「それで映画のチケットなんだけど捨てるのももったいないし、蘭もこの映画気になってるって言ってたからモカちゃん達でも誘って見に行ってきたらと思ってね。」

「え?いいの?」

「ええ。母さん達の代わりに楽しんできてね。それじゃ。」

 

そう言って母さんは2人分のチケットを置いて部屋から出ていった。確かに母さんが言ってた映画はあたしも見たいと思ってたし正直ありがたい。

 

「…とりあえず誰か誘って見ようかな。」

 

 

AfterglowLINEグループ…

 

蘭『母さんから映画のチケット貰ったんだけど、明日誰か見に行かない?2人分しかないけど。』

モカ『2人分しかないの〜?』

蘭『うん。』

モカ『モカちゃんは明日はバイトなので他の人に譲りま〜す。』

ひまり『ごめん!あたしも明日は予定が…』

巴『あたしもあこと出かけるんだよ〜。すまん!』

つぐ『あたしもお店の手伝いが…』

蘭『そうなんだ…』

 

どうしよう、まさか誰も来れないなんて…

 

モカ『れー君を誘えば万事解決だと思うよ〜?』

 

渡辺か…、この前の1件以来変に意識しちゃってあんまり話せてないんだよね…。でも、このままだと渡辺にも申し訳ないし、あたし自身もモヤモヤしたままだし…。

 

蘭『…わかった。じゃあ渡辺誘うよ。』

モカ『おー、それじゃあ頑張ってね〜。』

ひまり『きっと蓮君も喜ぶよー!』

巴『自信持って行けよ!』

つぐ『蘭ちゃん、ファイト!』

 

なんで渡辺誘うだけなのにあたしこんなに応援されてんの…はじめてのおつかいの子供みたいじゃん…

 

そんな事を思いながら渡辺にLINEを送る。

 

『渡辺、ちょっといい?』

 

するとすぐに既読がつき、返信が来た。

 

『すまん、今はバイト中だから後にしてくれ

m(_ _)m』

 

今日、渡辺バイトなんだ…

 

『そうなんだ、了解。バイト頑張って。』

返事を返したけど既読が一向につかない。多分仕事で忙しいからかな。

いつ終わるかもわかんないし、かと言って明日言うのも急すぎると思うし…

 

「どうしよっかな…」

 

 

 

 

 

 

 

side蓮

 

はい、今日は土曜日で学校は休みだけどバイトがあるんで実質休みではないよ♪あ〜、なんだろうな〜。とりあえずなんか壊したいな〜。何かに八つ当たりがしたいな〜。

 

「渡辺君…、なに笑顔で物騒な事考えてるの?ほら、この機材運ばないといけないんだから手伝って。」

「了解でーす。」

 

はぁ〜、今頃他の奴らは自分のやりたい事やってんだろ〜な〜。そんでもってもうすぐ夏休みだし、色んな計画立ててんだろうな〜。例えば恋人と海に行ったりとか。BBQしたりとか…。

 

「…よいしょっと。よし、それじゃあ渡辺君は受付の方に戻っていいよ。」

「うーっす。」

 

そういえば、恋人といやぁ翔のやつ、いつの間にか彼女とか作ってやがったな…。たく兄貴より先にそんなもん作るんじゃあないよ。親父達でさえ付き合い始めたのは高校からだと言うのによ。

 

……ん?まてよ?て事はもう親たちは俺ぐらいの歳には恋愛してたってわけか。で、翔も既に彼女持ち。対する俺、そんなものとは無縁で暇があればこうしてアルバイトの日々……。

 

あれ??…渡辺家の恥かな??俺は……

 

………

 

 

 

いっけなーい♪邪念邪念♪うっかりメンヘラっちゃうとこだったわ、危ない危ない。

 

ピロン♪

 

するとスマホからLINEの通知音が聞こえ、確認してみると美竹からだった。というか最近なんか美竹から避けられてるような気がするんだよな。

俺なんか悪いことでもしたかな?

そんな事を考えながら内容を見てみる。

 

『渡辺、ちょっといい?』

 

何か言いたげな雰囲気だがあいにくこっちは忙しくて今は答えてやれんかもな…

 

『すまん、今はバイト中だから後にしてくれ

m(_ _)m』

 

と、返信をしてスマホをしまった。そしてしまったタイミングで客が来たので無理やり作った営業スマイルで対応する。あ〜、早く帰りたいと切実に思う。

 

 

 

それからしばらくして…現在休憩時間中。

 

 

「渡辺くーん、休憩中なんだけどちょっといいかな?」

「なんすか?とうとう休憩時間削ってでも働かなきゃいけなくなったんすか?泣いていいすか?」

「いや、うちはそんなにブラックじゃないからね?だからそんな希望の見えない腐りきった目で見ないで…。それがね?今渡辺君に用があるって人が来てね〜♪」

「なるほど、俺宛のクレーム処理ですね?」

「なんで今日の君はそんなにネガティブなんだい…。とりあえず行ってみれば分かるよ。」

「はぁ〜。それじゃあ行ってきまーす。」

 

そして特になんの期待もせず、その人がいるであろう受付のところまで向かう。すると、そこには意外な人物が…

 

「え!?美竹じゃん。」

「あ、渡辺…、その、バイトお疲れ…。」

 

こんな俺を労ってくれるなんて…。涙チョチョギレるわ…。

 

「お、おう。ありがとうな。…あれ?今日Afterglow予約入ってたっけ?」

「いや、そうじゃなくて、渡辺にちょっと用があってさ…。」

「俺に?」

 

いったいなんなんだ?

 

「渡辺って明日何か予定ある?」

「いや、特にないけど…。」

「そう…。じゃあさ、その、よかったらこの映画一緒に見に行かない?/モカたちも明日は予定あって来れなくて。//捨てるのももったいないし//」

 

そう言ってその映画のチケットを見せてきた。ん?てかこの映画…

 

「あ!これ俺も見に行きたかった映画なんだよ!」

「え!?そうなの!?」

「そうそう!マジか!ありがとな美竹、誘ってくれて!もちろん観に行くわ!!」

「…フフっ。また子供みたいになってるよ?渡辺。」

「しょーがねーだろ!嬉しいんだから!ニコッ」

「…!?、ふ、ふーん//そうなんだ…//」

(嬉しい…。嬉しいんだ…//)

「そんで?何時にどこへ行けばいい?」

「…//」

「?美竹?」

「あっ!ごめん!えっと、11時に上映だから、10時半ぐらいに映画館に集合でいい?」

「了解!」

 

シャアアアアア!!明日の予定決まったァァァァ!そしたらなんかバイトのやる気も出てきたァ!上げてくかぁあ!!

 

「渡辺くーん、そろそろ休憩時間終わるよー。」

「了解でーす。そんじゃ美竹、俺そろそろバイト再開するから。」

「うん。それじゃまた明日ね。…遅刻したら映画代渡辺の奢りね♪」

「するわけねぇし!時間ピッタリに行ってやんよ!」

「フフっ。期待してる。バイト、頑張ってね。」

「おう。また明日なー!」

 

こうして、美竹はcircle後にした。

 

「あ〜やばい、モチベバカ上がりだわ。フルスロットルすぎて暴発しそう。」

「この短時間でいったいなにが…さっきまで死人の顔だったのに。」

「何言ってんすか!失礼ですよ!……死人に。」

 

(自己評価ひっく!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side蘭…

 

 

 

良かった、上手く誘えて。あんなに喜んでくれるとは思わなかったけど。

まさか渡辺もこの映画見たかったなんて思わなかった。チケット見た瞬間にまた子供みたいになってたし…。少しかわいいとか思ったりしたかも……。

いやいや//何考えてんのあたし/渡辺は前からあんな感じでしょ//

 

『しょーがねーだろ!嬉しいんだから!ニコッ』

 

「〜///」

 

もう、あんな笑顔向けられたらこっちだって調子狂うに決まってんじゃん!ていうかあたし自身も喜びすぎでしょ!

 

 

…なんか最近気がついたら渡辺の事ばっかり考えてる…

 

 

「もう、渡辺のバカ//」

 

 

こんな悪態をついても明日2人で出かけることを考えるととても嬉しくってワクワクしてしまう。本当にイミワカンナイ。

 

 

「明日、どんな格好でいこうかな…/」

 

 

 

 

 

 

 

 



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休日は楽しんでなんぼ

なんか書いとこ。

















「いや、暑すぎんか今日…」

 

今日は美竹と映画に行く約束をした日だ。てなわけで昨日の宣言通りに時間ピッタリに集合場所に到着して待っている。が、未だに美竹の姿が見えない。

 

「まぁ、気長に待つとするか。」

 

適当にスマホをいじり美竹が来るのを待つ。あっ、ウ〇娘ログインせねば…

 

 

「ごめん渡辺!遅れた!」

 

ウ〇娘を割と真剣にやっていると美竹の声が聞こえた。どうやら今到着したらしい。

 

「おー、全然いいよ。気にすん……な…。」

 

「…?どうしたの?」

 

「いやぁ、別に…」

 

スマホを閉じて声のする方を見ると私服姿の美竹がいたが、思わず視線を逸らしてしまった。

いや、ちょっと露出度たかくないっすか?いくら暑くてもそれはちょっと目のやり場に困ると言いますか…でも普通に似合ってるしかわいいと思うのでまぁなんつーか、いい感じだと思います……。」

 

「ちょっ//い、いきなり何言ってんの!?//」

 

「え!?声出てた!?」

 

「普通に聞こえてたから!//」

 

「まじか|д゚)!?」

 

これは、はい、やらかしました。本当に申し訳ない。…お口にチャックでもつけよっかな…

 

「……でも、その…、ありがと//ボソ」

 

「……え?」

 

普通に怒られると思ったらボソボソと小さな声で何か言ったような?

 

「ほ、ほら//早く中入ろうよ/映画始まっちゃうし//」

 

そう言って美竹は早歩きで映画館の中に入っていった。なんと言っていたのかは聞き取れなかったが無駄に詮索するのはやめておこう。

 

そして俺も美竹の後を追い、中へ入っていった。

 

 

受付をすませ飲み物を買い、席に座る。

 

そろそろ始まる時間だ。さて、どんな仕上がりなのか楽しみだ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side蘭

 

もう少しで映画が始まる時間だけど、ちょっと待って欲しい…。映画の席の間隔ってもう少し距離なかったっけ?//隣の席ってこんなに近く感じたっけ?//

 

もう、さっきだって渡辺が急に変な事言うし。それも相まって変に意識しちゃう…。ていうかこれってあたしだけなの?いや、こんなに距離が近いんだし渡辺だって多少は意識してるはず…!

 

そう思いちらっと横目で渡辺の様子を見る。

 

 

「ソワソワ( ゚∀ ゚)ワクワク」

 

 

 

……全然じゃん。何あれ、また純粋無垢な子供みたいになってるし…。

 

え?ちょっと待って、本当に少しも意識してない感じなの?それはそれでなんかちょっと複雑…。なんであたしだけこんなに意識してるんだろ…。

 

 

そんなことを考えていると照明が消え、映画が始まった。まぁ、一旦この事は忘れて今は映画を楽しもう。気になってた作品だし。

 

そして何となく肘置きに手を置こうとしたら先に置いていた渡辺の手と重なってしまい思わずビクッとなってしまった。

 

「!!?ご、ごめん…//」

 

「?お、おう。…美竹が使っていいよ。」

 

「い、いや、渡辺でいいよ…/」

 

「あ〜、んじゃどっちも使えるように半分ぐらいスペース空けとくわ。」

 

「それなら、まぁ//」

 

 

 

こんなこともあって映画に集中したかったけど全然出来なかった…。

 

ちなみに渡辺は全く気にせず映画に夢中だった。たまに『は〜』とか、『おー、』とか『なるほど〜』とか隣から聞こえてきたし、

少しでも手を動かせば当たる距離なのに、ていうかちょこちょこ当たってたんだけど…。一切気にせず映画を楽しむってどうなんだろ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや〜!面白かったなぁ!」

 

「…うん。そうだね…。」

 

最初は全く内容入ってこなかったけどね。でも後半は少し慣れてきて、なんて言うか…楽しかったかも。

 

 

「なぁ美竹、昼はその辺で食べてくか?」

 

「うん。そうしよっかな。」

 

「よし、そんじゃ、この辺で美味いラーメン屋があるからそこ行こう。」

 

「え?こんなとこにラーメン屋なんてあったっけ?」

 

「実はこの前見つけたんだよ。案内する。」

 

 

そしてあたしは渡辺の言うラーメン屋について行った。

 

 

 

「ここだな。」

 

「へぇ…、こんなところにあったんだ。」

 

巴が行くところとはまた違う雰囲気のお店だ。店内に入ると少し古い感じがするけどお客さんが沢山いて賑わっている。

 

あたし達はカウンターの席に座った。

 

「ここの鶏ガラ醤油があっさりしてて美味いんだよなぁ。」

 

「ふーん。じゃあ、あたしもそれでいこうかな。」

 

「了解。すみませーん!」

 

店員さんを呼んで注文をすませる。

 

 

「それにしてもよくこんな店知ってるよね。」

 

「まぁたまに1人でその辺出歩いたりするからなぁ〜。」

 

「…、渡辺ってずっと部屋に引きこもってゲームしてるイメージなのに意外とそうでもないよね。」

 

「何その引きこもりみたいなイメージ…。たまには外の空気も吸いたくなるんだよ…。映画だって1人で見に来たりするんだぞ?」

 

「そうなんだ…。ていうか映画見てる時の渡辺って独り言けっこう言うよね。」

 

「え?うそ?」

 

「うん。『おー、』とか『なるほど〜』ってずっと隣から聞こえてきたし。」

 

まさか無意識だったなんて…。

 

「本当にお口にチャック必要かもしれん…」

 

なんかよくわかんないこと言ってるけど……。

 

それから映画の感想とかを話していると注文したラーメンが来た。パッと見はどの店でもありそうな見た目だけどどうなんだろ…。

 

「えっ?美味い…!」

 

「だろ^^?」

 

それからあたし達は無言でラーメンを食べていた。こんなに美味いラーメン食べたのは初めてかも。今度巴にも教えようかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、この後どうする?」

 

「…どうしよっか。」

 

正直映画を見た後の事は全く考えていなかった…。このまま解散って言うのもなんか違う気がするし、、

 

 

「お、近くにいい感じのゲーセンあるらしいぞ!」

 

そう言ってスマホの地図を見せてくる渡辺。ちなみにすごいウキウキしながら。

 

「じゃあ、そこ行こっか。」

 

まぁ渡辺とゲーセン行くのは全然いいんだけどね。

 

そしてあたし達はゲーセンに向かった。

 

 

 

 

 

「おお、結構でかいな。」

 

中に入ると学校帰りによるところとは比べ物にならないぐらい広く、色んな設備があった。

 

「あ、渡辺。上の階で卓球とかダーツとかできるみたい。」

 

「ほーん。」

 

「ゲームはまた今度で今日はこっち行ってみない?」

 

「え〜、久々にガン〇ムやってチンパンしたかったのにィ…」

 

「たまには体動かすのも大事だよ?」

 

「でもな〜、」

 

「もしかして、卓球とか出来ない?」

 

「な、は?何言っちゃってんの?出来るし、ただやった事ないだけだし。」

 

「やった事ないんだ…」

 

その自信はどこから来てんだろ…。

 

「…Wiiスポーツ〇ゾートの卓球はノーカン??」

 

「……ノーカン、かな…」

 

「( `ᾥ´ )」

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでこの日はゲームは休みで卓球やダーツをした。

渡辺も最初は上手く出来てなかったけどだんだん上達してきてたし。

もしかして結構才能マンだったりするのかな?

あっ、ちなみに試合は全部あたしが勝ったからね?

 

 

 

 

 

 

 

帰り道…

 

 

 

「あ〜、もう筋肉痛がやっばい…」

 

「運動不足にも程があるでしょ…。スポーツとかやってみたら?」

 

「eスポーツなら喜んで!」

 

「いや、そういうのじゃなくて…」

 

 

ふと、スポーツをしている渡辺の姿を想像してみる。

 

…うん、すっっっごい違和感。ごめん、やっぱりさっきのなしで。

 

 

 

 

「あ、そうだ。美竹、」

 

「?」

 

「その、今日は誘ってくれてサンキューな…。」

 

「え、いきなりどうしたの。」

 

「いや、美竹が誘ってくれたおかげで今日は楽しめたから…、その、なに?お礼的なあれだ。」

 

「…別に言わなくてもいいのに…。」

 

「るせ〜、そういうの気分だったんだよ。あっ、卓球に関しては今日だけは美竹の勝ちにしといてやるが、次は俺が勝つんでそこんとこよろしく。」

 

「ふーん?ま、渡辺には負ける気しないしいつでも相手になるよ。」

 

「かー、この野郎。首洗って待っとけよ?」

 

 

そんなやり取りをしているといつの間にかあたしの家に着いていた。

 

 

「そんじゃ、またな美竹。」

 

「うん。また。」

 

 

そして渡辺も自分の家へ向かった。それを見送ったあたしは部屋に戻り、ベッドに横になって今日の事を振り返っていた。

 

 

 

最初は渡辺の変な発言とか映画館の席が思ってたより近かったりとかして少し緊張してたけどいつの間にかそんなのはなくなってて、いつも通りに振る舞えるようになってた。

 

いや、もしかしたら今日はいつも以上に自然に振舞ってたかもしれない。

 

ラーメンを一緒に食べた時も、ゲーセンで遊んだ時も、帰り道だってそうだ。

 

まるでモカたちといる時みたいな感じで自然にいられた。

 

それでいて、すごく楽しかった。

 

今日の事を思い出すだけで頬が緩んでいくのが分かる。

 

 

 

 

「…あたしだって、渡辺のおかげ楽しかったんだから…バカ//」

 

 

 

 

 

帰り道、彼に言えなかった言葉を今更になって呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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学生の夏休みは青春しろぉ!!

俺も1ヶ月ぐらい休み欲しいなぁ〜
















夏休み、それは学生にのみ与えられた約1ヶ月程の長期休暇である。

 

既に1週間が経過したこの休みだが、各々の学生諸君は友達と何らかの予定を立てこの夏休みを謳歌するのだう。例えば海に行ったり、キャンプに行ったり、BBQしたり、様々である。

 

かく言う俺もこういった事がしたくない訳でもない。なんなら陽キャみたいにウェイウェイしてみたいまである。

 

だがあいにく、そのような事に誘ってくれる友人がいない!

 

え?佐藤と鈴木は誘ってくれないのかだって?だってあいつら運動部なんだもん(・ε・` )。

あいつらの夏休みの予定表見せてもらったけど休みなんてほぼなかったもん。2人もなんか絶望してたし。部活に差し入れでも持ってってやろうか?

 

あと俺はあいつら以外だと美竹ぐらいしかクラスで仲良いやつあんまいないしな。その美竹だって青葉達と遊ぶんだろう。

 

よってこれらの事から俺を遊びに誘ってくれる友達はゼロ!

かっこよく言うと『Friend/Zero』である。

登場人物少ないから作画担当絶対楽だな。

令呪をもって命ずる。陽キャとか全員聖杯の泥浴びてオルタ化して病んでしまえこのアホすけが。

 

 

 

あ〜もういいよ、いつも通り引きこもってゲーム三昧の夏休みにしてやんよ。てかこの一週間ゲーム漬けだったけどな。思い切って外出ても熱中症になって搬送されんのがオチだ。

 

そして俺はSwitchを起動させモン〇ンを始めた。だって『火竜の宝玉』が欲しいんだもん。

 

 

しばらく空の王者を痛めつけていると急にスマホが鳴った。

 

 

「ん?美竹?」

 

誰かと思えば美竹からの着信だった。片手でコントローラーを操作し、通話ボタンを押す。

 

『もしもし渡辺?今大丈夫?』

 

「おー、今ちょうど空の王者地面に叩きつけてるところだ。」

 

『…空の…なに?わかんない。』

 

まぁ伝わるわけないよね♪

 

「まァ、いつも通りゲーム中ってことだよ。それよりどうしたんだ?」

 

『あ、うん。明日さ、良かったらあたし達と夏祭りに行かない?』

 

 

「…ッスーー、え?」

 

 

こうして、俺の夏休みは加速してゆく…………

 

 

 

 

翌日…

 

俺は美竹達と夏祭りに行くため、集合場所である羽沢珈琲店へと向かっていた。何故か弟の翔も一緒に…

 

「なんでお前も来てんだよ…」

 

「いや、俺も祭りに行く予定だったし途中までならいいだろ。」

 

なるほど、どうせ彼女と回る予定なんだろうな。そんな調子で受験は大丈夫なんですかね?僕ちゃぁん?

 

「あ、渡辺、やっと来た。」

 

「いや、時間ピッタリだっつーの。」

 

「女の子を待たせるなんて、れー君は分かってないね〜。」

 

店の前まで来ると既に6人揃っていた。ん?6人?1人多くね?

 

「あれ?あこじゃん!なんでここに?」

 

「え!?翔くんこそなんで!?」

 

何?どういう事?まさかの2人は知り合いなのか?

 

「おい弟、説明求む。」

 

「いや、説明も何も…、付き合ってる彼女なんすけど…。」

 

「「「「「え?????」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや〜まさか蓮の弟があこと付き合ってたなんてなー!」

 

「ほんとびっくりだよ。てか宇田川に妹なんていたんだな…。」

 

 

もうお分かりだと思うが弟の翔は宇田川の妹である宇田川あこと付き合っているらしい。きっかけはネトゲで知り合い、同い年ってこともあり意気投合してその結果交際まで来たらしい。

いやどんなラノベだよ。うちの弟はいつからラノベ主人公になっちまったんだよ。しかもネトゲのネカマ率は結構高いしそこから彼女引き当てるとか引き運やばすぎだろ。お兄ちゃんにもその引き運よこせよ。FGOとかいうクソゲーで有効活用してやるからよ。

 

「れー君、弟君に先を越されちゃったね〜?ねぇ今どんな気持ち〜?(煽)」

 

「今の俺を煽るんじゃねぇよ。うっかり手首とか切っちゃったらどうすんだよ。」

 

「さっせ〜ん。」

 

「渡辺、大丈夫…?」

 

「いや、弟が俺より青春してるもんだから色々思うところがたくさんある…。」

 

「……渡辺も、その、彼女とか欲しかったりする、の?」

 

「え?急にどした??」

 

「///いや、やっぱりなんでもない///」

 

 

 

 

 

 

夏祭り会場…

 

 

「たこ焼きうま〜♪」

 

「かき氷も美味し〜!」

 

「あ、渡辺、射的勝負しない?」

 

「ほう、いいぜ。FPSで鍛えた俺のAIMを見せてやるよ!」

 

こんな感じで現在はenjoyしております。どうも渡辺です。最初は弟の件で調子狂ってたけどまぁこまけぇこたぁいいんだよ!!

そんで今美竹と射的で勝負中。まぁ結果は言うまでもないが俺の圧勝でした(ドヤ顔)

 

「ゲームじゃなきゃ渡辺に勝てると思ったのに……」

 

「まぁ美竹もいい腕してたじゃん。ほいっ、」

 

と、貰った景品を少し美竹に渡す。

 

「…ありがと…、来年は勝つから…。」

 

「おう。いつでも相手になってやるよ。」

 

 

さて、そろそろ青葉達と合流するか。と、思ったが青葉達の姿が全く見当たらない。

 

「なぁ、美竹、青葉達ってどこいるか分かる?」

 

「え?…あれ?どこいったんだろ??」

 

これはめんどくさい事に…。この人混みだから探すのは結構しんどいぞ。

 

「あたしLINEしてみる。」

 

「おk。頼むわ。」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

AfterglowグループLINEにて、

 

蘭『みんな今どこいるの?』

 

モカ『ごめ〜ん。適当に買い食いしてたらはぐれちゃった〜。』

 

ひまり『人が多すぎてどこだかわかんないよー!』

 

つぐ『あっ!じゃあ近くに神社があるからそこに集合するのはどうかな?』

 

巴『あたしはそれでいいと思うぞ!』

 

蘭『分かった。それじゃその神社に集合ってことで。』

 

モカ『りょ〜か〜い。』

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「なんかみんなはぐれちゃったみたい。」

 

「まじか、どうする?」

 

「近くに神社があるでしょ?一旦そこに集合するって。」

 

「なるほど。そういう事なら早速向かうか。」

 

と、その時俺のスマホが鳴り確認してみると翔からの電話だった。

 

「すまん。翔から電話来たから少し待っててくれ。」

 

「うん。」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「おう。何の用だ?」

 

『いや〜ちょっとお願いしたいことがあって。』

 

「なんだお願いって?」

 

『お守りとか売ってる屋台あるだろ?そこで''恋結び''のお守り買うの忘れてさ〜。買っててもらえるとありがたい。』

 

「えぇクソめんどくさいんだが…。」

 

『本当にお願いしますお兄様。』

 

「は〜ったく、わーったよ買っといてやるよこのクソ弟がよぉ。」

 

『ありがてぇ〜(*_*)』

 

 

 

そんなこんなでクソめんどくさい用事を引き受けてしまいました。まぁ神社の近くにあるらしいからパッと買って行きゃ問題ないだろ。

 

「すまん美竹、神社行く前に少し寄り道してっていいか?」

 

「うん。大丈夫。」

 

「よし、そんじゃ行きますか。」

 

 

人ごみをよけながら目的地へと向かう。しばらく歩くと翔の言っていた屋台が見えてきた。

何故かその屋台だけめちゃくちゃ混んでるし…、もしかしてみんな恋結び目的なのか?

 

「悪い、結構時間かかりそうだ…」

 

「大丈夫だって、モカたちにも少し遅れるって伝えてあるから。」

 

美竹が有能過ぎる件。いや、本当にありがとうございます。

 

 

しばらく並びようやく順番が回ってきた。

 

 

「お、これか?」

 

それらしきものを見つけ会計をすませる。するとお守りと一緒に紙キレを渡された。なに?説明書とかなんか?

 

 

(恋結び?…渡辺もこう言うの買ったりするんだ…。えっと?''持ってるだけでも恋愛運が上がり、片思いが実る。また、好きな相手に渡すとそれは求婚を意味する''…へぇ、そんな意味があるんだ…。)

 

「よし、用事も済ませたし青葉達のとこ向かうか。」

 

「うん。…そうだね。」

 

(もしかして渡辺…、好きな人でもいるのかな…?)

 

 

そして俺たちは青葉達のいる神社へ向かった。

 

 

ふと、先程買ったお守りを見る。ていうかよくよく考えてみるとなんで俺がこんなん買ってんだ?どうせあれだろ?翔が宇田川妹ともっとイチャイチャしたくてそのきっかけを作るためにこのお守りが欲しかったんだろ?

 

なんであいつの恋愛のために俺のバイトで稼いだ金が犠牲にならなくちゃいかんのだ?

 

やばい、これを翔に渡すのがめちゃくちゃ嫌になってきた。かと言って俺が持ってるのも意味ない。…捨てるのはもったいなすぎるし…。

 

チラッと美竹の方に視線を向ける。

 

「?どうしたの渡辺?」

 

だいたいこんなもんは男子より女子が持つもんなんじゃねーの?

いや、知らないけどさ?

 

「渡辺?」

 

「なぁ美竹、」

 

「?」

 

「…これ、やるよ。」

 

そう言った結論を出し、美竹にこのお守りを渡した。

 

 

「あ、うん。ありがと。………………………………、はぁ!!!??/////////」

 

「?んだよそのリアクション…。」

 

え?どうした急に。なんでこんなに動揺してる?顔も赤いし、風邪?

 

「ちょっ、いやいやいやいや///、え?どっ、どういうつもり!?////」

 

「どういうつもりとは??」

 

「ほっ、本気なの!?/////」

 

なんだ遠慮してんのか?実は欲しかったり?

 

「いや、本気だよ。」

 

「えぇ!?!?!?!?/////」

 

(そ、そんなっ///ほっ本気って事はつまり…、プ、、プロポーズって事!?//じ、じゃあ渡辺はあたしの事…!?//////)

 

 

何をそんなに動揺する事があるんだ?そんなに恋結び欲しかったのか?

なるほどね〜、美竹もこんなんだけどちゃんと女の子なんだなぁ〜^^

(違います)

 

 

「い、いつからその、、そう思ってたの?///」

 

いつからって今欲しいって気づいんたんだし、、

 

「そりゃ今に決まってんだろ。」

 

「えぇ!?!?!?//今!?!?!?//」

 

「お、おう…。」

 

(そ、そんな…///じゃあ渡辺はついさっきあたしの事が好きって思ったってこと!?///それでいきなりプロポーズとかする!?//)

 

 

なんか変だなこいつ( ˙࿁˙ )ポケー

 

 

「えと、その、//いきなりそういうのはまだ早いというか…もっと順をおってそのォ///」ボソボソボソ

 

急に声ちっさくなったんやけど…。なんて言いました?難聴キャラじゃないけどほんとに分からんぞ?

 

「あ、あと一応一緒に貰ったこの紙も渡すわ。」

 

ていうかこの紙全く確認しなかったけどなんて書いてあんだ?ペラ

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

恋結び効能

 

・片思いが実る

・この恋結びを相手に渡す事は''求婚''を意味する

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「…………………………………」カタカタカタカタカタカタ

 

「わ、渡辺…?」

 

 

 

「……ちげーからなぁ!?!?!?!?!?!?!?!?お、お、おお俺はべべべべ別に変な意味で渡したんじゃなくてだなぁ!?!?!?!?」

 

「わ、渡辺!?落ち着いて!?」

 

やばいやばいやばいやらかした俺のバカバカカスカスチリチリダニダニノミクソゴミカスバカカスチリダニクソゴミやろぉーーーー!!!

 

 

「おや〜?お二人共何をしてるのかな〜?」

 

「あ、モカ!みんなも!」

 

「もー!2人とも全然来ないから探したんだよー!」

 

「ご、ごめん。」

 

「あれ〜?蘭顔赤くない〜?それにれー君は何してんの〜?」

 

「バカバカカスチリゴミダニクソゴミチリダニカスチリ」ブツブツブツ

 

「れ、蓮くんが壊れた!?」

 

「れー君オンパレードすぎ〜。」

 

 

 

その後、青葉達にこの事はバレなかったが美竹の誤解をとくのが大変だった。いやほんと、うちの蓮くんがお騒がせしました………。

誤解は解けたのはいいけどやっぱりめちゃ気まずい…。

 

 

そして現在帰り道、青葉、羽沢、上原、宇田川達と別れ2人で帰っている。だってしょうがないだろ!?家の方角が同じなんだから!?

 

「「……………」」

 

「し、しりとりでもする?(ヤケクソ)」

 

「……」

 

「すみません。冗談です。w」

 

いや、笑えねぇよ。

 

「…猫…」

 

やるのぉ( ゚∀ ゚)!?!?!?

 

 

「あ〜その、さっきはみんなもいたからあんまり言えなかったけど…。勘違いさせるようなこと言って悪かった。本当に効能を知らなかっただけなんだ。」

 

「べ、別に大丈夫だって!そんなに何度も謝んなくても…。」

 

み、美竹ェ…、お前ってやつァ…なんて良い奴なんだ…(;_;)

 

「あたしはなんとも思ってないからさ、いつも通りいこうよ。」

 

やばい、泣きそう…

 

「そう、か。…ありがとな。」

 

「うん。」

 

「んで…、その、お守りの話になるんだけどさ?」

 

「うん。」

 

「俺が持ってても意味ないし捨てるのももったいないから、美竹さえ良ければ貰ってくれないか?あ、変な意味はないからな?」

 

「え?いいの?渡辺が買ったのに…。」

 

「その辺は気にしなくていいよ。」

 

本当は翔にやんなきゃいけないんだろうけどあんな愚弟にやるぐるいなら俺は美竹を選ぶね。

 

「うん、それじゃあ、ありがたく貰うね。」

 

「おう。そうしてくれ。」

 

そしてそれからしばらく歩き、美竹家に到着した。

 

「んじゃまたな、美竹。」

 

「…あのさ渡辺。」

 

「ん?」

 

「今日はその、色々あったけど…楽しかった。来年も一緒に行こうね」ニコッ

 

「っ!?、、お、おう。…そうだな、、また、来年もな。」

 

「うん。それじゃあね。」

 

 

そう言って美竹は家に入っていった。それを見送り俺も自分の家へと向かった。

 

 

 

家に着いても、風呂に入っても、部屋でゲームをしていても、その日、あの美竹の笑顔が頭から離れることは無かった。

 

 

 

 

 

 




ちなみに、翔には「お守り売り切れてた\(^^)/」と嘘を着いて誤魔化しました。


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海辺にて

今年は海行きたいな〜。


「夏だ!!!」

 

「海だ〜。」

 

「女ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」

 

 

開始早々酷すぎワロタ。

 

 

あ、今日は俺と佐藤と鈴木の3人で海に来ております。どうも渡辺です。

いや〜ゲーム三昧の夏休みになると思ってたらまさかのどんでん返しが来てしまいましたよ皆さん。なんだよ、ちゃんと青春してんじゃん俺。まぁ誘ってくれた佐藤と鈴木のおかげなんだけどね?

 

「にしても2人とも休みもらえてかったな。」

 

「部員全員で抗議してやったんだよ。」

 

「『休みを増やせこのブラック企業がァ!!!』って言ってなw」

 

企業ではない気がするけどまぁ結果オーライなんでいいでしょう。

 

「それにしても俺、海なんて久しぶりに来たな。」

 

泳ぐだけかなと思ってたらビーチバレーするとことかあるんだなぁ。

おじさん知らなかったよ。既に何人かがキャッキャ騒いでるし。

 

「そんじゃあ今日は遊び倒すぞォー!」

 

「「うぇーーーい」」

 

 

 

 

 

 

20分後……

 

 

「わりぃ、もう……、限界…。」

 

「えぇ……。(困惑)」

 

「おま、体力無さすぎやろ…。数分前の『うぇーい』はなんだったん?」

 

いやね?俺だってこんなに早く疲れるとは思わなかったよ。まさか少し泳いだだけで全ての体力を持っていかれることになるとは…。

 

「わりぃ、俺少し休んでから行くわ…。」

 

「おー。そーしとき。」

 

「んじゃ俺らはナンパでもしますか?」

 

「あ〜。いいねぇ。」

 

「通報されない程度でな…。」

 

 

こうして俺はテントの中で休憩。2人は無謀なナンパに行きましたとさ。

 

……、

 

それにしても、テントの中も割りと快適なんだな。海の景色を見ながら冷たい飲み物を飲んで一息つく。…うむ、悪くない。

しばらくボーッとしているとコロコロと目の前にボールが転がってきた。これは拾ってやった方が良いのだろうか?しかしボールがあるのはテントの影が届いていない場所。少し動けば容易にとどくが今の俺は1ミリも動きたくない。

かと言って放置しててもボールを取りに来た人から

『は?なんで取ってくれないのこの人?』

的な視線を向けられる事は目に見えている。

 

「…、、しょーがねえーなァ…。」

 

仕方なく、残り少ない体力を使いボールを拾う。

 

するとそのタイミングで持ち主であろう人が近づいてきた。

 

「あ、ありがとうございます…。」

 

「はいよ〜。」

 

ろくに顔もみずポイ、とボールを渡しテントへ戻ろうとする。が…、

 

「え?もしかして…、渡辺??」

 

「…ふぁ??」

 

聞き覚えのある声、その呼び方、いやそんなことないよねと思いながら振り返ると…、

 

 

「…こ、こんなところで奇遇だな…。美竹。」

 

そこには水着姿でボールを大事そうに持っている美竹がおりました…。

 

「う、うん。渡辺も海来てたんだ…。」

 

「まぁ…。ちょっと誘われてなぁ…。」

 

 

「「………。」」

 

 

(/´Д`)/ヘルプミぃぃぃぃぃぃぃぃ!メチャクチャ kimazui!!

 

祭りの時美竹は気にしてないって言ってたけどそれでもなおメチャクチャkimazui!!

 

「お〜い蘭〜。ボールあった〜?」

 

するとまた聞き覚えのある声が近づいてきた。

 

「モカ…、うん。あったけど…。」

 

「おや〜??そこにいるのはもしかしなくてもれー君ではないか〜♪」

 

相変わらずフワフワした声で話しかけてくる青葉である。

 

「お、おう。青葉もいるってことは他のみんなもいるってことか?」

 

「モチのロンよ〜。今はみんなでビーチバレーをしてるんだよ〜。」

 

「そーかい。」

 

「あっ!れー君も一緒にやる〜?あたし達5人だから人数合わないんだよね〜。」

 

「いや、俺絶賛休憩中だから、、」

 

「そんなこと言わずに〜。ほら、蘭もやりたそうな顔してるよ〜?」

 

「ちょっ//そんな顔してないから!//」

 

「でもやりたいでしょ〜??」

 

「………ち、ちょっとだけ…//」

 

「ほら〜、蘭もこう言ってるわけだし〜。」

 

どうしたものか…。正直クタクタでやりたくないがこれは美竹との気まずい雰囲気を解消できるいい機会かもしれないし…。

 

「しゃーねえなぁ〜。少しだけだからな?」

 

「お〜!それじゃあ早速向かお〜。」

 

こうして俺は美竹達とビーチバレーをすることになりましたとさ。

 

「おっと、その前に〜。」

 

「?どうした?」

 

そういうと青葉はいきなり目の前で止まり、クルクル回り始める。何、怖い。

 

「美少女モカちゃんの水着姿を見た感想は〜?」

 

「ん?あ〜なるほどね。セカイイチカワイイトオモイマスヨーアオバサーン。」

 

「うわ〜適当〜。…それじゃあ、蘭の水着は〜?」グイ

 

と、青葉はずいっと美竹を俺の方に押して近づけてきた。

 

「ちょっ、モカ//」

 

ちょっと近い近い近い近い。

 

「ほら〜感想は〜?」

 

「いや、感想と言われてもなァ…//」

 

「……渡辺、ど、どう…かな?//」

 

「いやァ、ぅぇ、ッスーー、まぁなんと言いますかぁ…か、かわィィトオモイマス。//ハイ。」

 

「ッ!?///…あ、アリガト//」

 

「は〜い、よく出来ました〜♪」

 

何楽しんでんだこいつぁ…。こちとら顔が熱くて色々ヤバいってのによォ…。

 

 

(カワイイ、あたしが…カ、カワイイ…//)

 

 

 

「あっ!モカー!蘭ー!遅いよー!ってあれ!?なんで蓮くんもいるのー!?」

 

「いや〜たまたま発見してね〜。」

 

 

いつの間にか上原達の所に着いてたし…。ていうか、上原の奴…、でかいな…。いや何とは言わないけどな?やばい意識しなくても目が謎の力によって自動的にそれの方に吸い寄せられる。

 

「渡辺?何を見てるの?」ギロ

 

「ェ?なんのことかわかんないな〜…、」

 

声ひっく!!!こっわァ!?

 

「……」ジー

 

「き、綺麗な海だなぁ〜〜……」ガクブル

 

「…変態…」

 

「おい、美竹誤解だ。違うんだ、やめろそんな目で見るな…!少しずつ距離を開けるなァ!!」

 

 

「モカ、あの2人何やってるんだ…?」

 

「え〜?痴話喧嘩〜?w」

 

「だといいんだけどね…」アハハ

 

「みんなー!そろそろバレーやろーよー!」

 

 

そんなこんなで美竹との気まずい雰囲気を解消するはずがむしろ悪化したところで3対3のビーチバレーが始まった。ちくしょう。こんな事になるならテントで寝てりゃ良かった…。

ただでさえクタクタだって言うのにみんな割と本気でやってるし余計疲れる(;_;)

美竹に関してはずっとサーブとスパイクで狙われるし!

 

 

「お''い''美竹〜…、いくらなんでも、、俺の事、、狙いすぎじゃあねぇかぁ…?」ゼェゼェ

 

「変態…。」

 

2文字、通称塩対応…。ていうかあんなにでかかったら普通気にしないようにしてても目行くだろがァ!!だって男の子だもん!!

 

その後も美竹による渡辺潰しは止まらなかった…。

 

 

 

 

 

 

「も''う''、無理ィ……。」グッタリ

 

「も〜れー君しっかりしてよ〜。まだ始まったばっかりだよ〜?」

 

「うるせぇ、もう俺の体はボドボドダァ…。」

 

腕痛い、前腕部分がヒリヒリする、足も砂に取られて余計に負担が溜まる。何が言いたいかというともう1歩も動けません。

 

あ、いい事を思いついた。

 

俺はおもむろにスマホを取り出した。

 

「?蓮くん何してんの?」

 

「ああ、今から援軍を呼ぶ。」

 

 

 

数分後…。

 

 

 

「「私がきた!!!」」

 

「いや、要らんところでシンクロしなくていいから。」

 

「あ、渡辺がいつも話してる人達…。」

 

そう、援軍ていうのは佐藤、鈴木の事である。多分ナンパも惨敗してただろうしちょうどいいだろ。運動部で体力もある2人だ、さぁ、俺の代わりにしっかりと働いてくれたまえ。あと美竹、いい加減クラスの奴の名前ぐらい覚えろ…。

 

「ていうか蓮、俺たちが惨敗してる間に何お前だけこんな楽しそうな事に混ざってんだよ!?」

 

「いや、たまたまだよ。それとやっぱり惨敗してたのかよ。」

 

 

「れー君、この人達がその援軍?」

 

「おう、俺と違って運動部だし体力もあるからちょうどいいだろ?」

 

「これで8人、という事は4対4でできるじゃ〜ん♪」

 

…あれ?、思ってたんと違う…。

 

「ジ、ジョウダンジャナイ…、オレハヤスムゾ。」

 

「渡辺、やらないとさっきのみんなに言うからね?」

 

どうやら今日が俺の命日らしい。

 

「よし、それじゃあ始めるかー!」

 

蓮以外「おぉーーー!!」

 

 

それから先はもう地獄だった。特に地獄だったのは4対4だったはずが何故か途中からAfterglowVS男子みたいになったところだな。

 

「おい!カバーカバーカバー!!!」

 

「おせーって味方ァ!!!」

 

「う、うるせぇ…。」

 

「ナマケモノとプレイしてんのかぁ!?俺らは!?」

 

酷い言われようだよ…。学校からたまに渡される『いじめアンケート』に今度書き込んでやろ…。

 

ちなみに、この地獄の試合を制したのはAfterglowだった。

 

 

 

 

 

 

「はー、疲れたー!」

 

「でも楽しかったねー!」

 

「青葉さん運動神経良すぎない?」

 

「それな。」

 

「いや〜モカちゃんは天才だからね〜。」

 

向こうの方では佐藤達と青葉達が楽しそうに話している。え?俺?テントで横になってるに決まってんだろ。

 

「疲れすぎてなんか感覚がおかしい…。」

 

「渡辺、」

 

「ん?」

 

「はい、これ。」ヒョイ

 

休んでいると美竹が近ずてきて飲み物を渡してきた。

 

「おぉ、サンキュ。」

 

「ん。」

 

そして何故か隣にストンと腰を下ろした。

 

「さっきはその、少しやりすぎた…。ごめん。」

 

「いや、ほんとそれな。少しは手加減しろよ…。まぁ別にいいけどさ。てかあんなに怒る必要あったか?」

 

「それは…、渡辺が大きな胸にデレデレしてて気持ち悪かったから…。」

 

おっと、ストレートに言うねぇ。おじさんちょっと傷ついちゃったかも〜。

 

「でも、」

 

「?」

 

「デレデレして気持ち悪い渡辺だったけど…、またこうやって一緒に遊んだりできて楽しかった…かも。」

 

「いや、最初の部分いらなくない?」

 

「そんなことない、重要。」

 

「あっそーですか…。まぁなに?なんだかんだ俺も楽しかったよ。死ぬほど疲れたけどな。」

 

「…渡辺だって余計な部分あるじゃん。」

 

「るせー、お互い様だろーが。」

 

「…」

 

「…」

 

「ッフフ」

 

「ッハハ」

 

 

 

「それじゃ、そろそろみんなのとこ戻ろうっか。」

 

「そーするか。あ、飲み物いくらだった?」

 

「いや、別にいいって…」

 

「いやいやそういう訳にもいかんだろ…。」

 

「いいって気にしなくて…、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初は気まずい雰囲気だったけどいつの間にかそんなものは無くなり、いつも通りに、いや、いつも以上に自然に話せるようになったかもしれない。ただ、佐藤達とふざけながら話したりするのとは少し違う。 なんて言葉にしたらいいのか分からないが、一緒にいて心地のいい何かがそこにはあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、翌日。海に行ったことを後悔してしまうほど凄まじい筋肉痛と日焼けによる痛みが襲いかかってきた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




気がついたらお気に入りが100を超えておりました。このようなよく分からん作品を読んでくださっている皆様、誠にありがとうございます。

今後も暇な時ダラダラと投稿するかもしれないのでよろしくお願いします。m(_ _)m


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夏休みの課題は夏休み前に終わせ

ウチの高校は夏休みの5日前ぐらいに課題を渡されるんでみんな渡された瞬間答え丸写しして終わしてましたねwちなみに自分もその1人でしたww

え?さすがに答えの丸写しはありえない?

いやいや、あんなものは答え写そうが友達から見せてもらおうが最終的に提出してしまえばこっちのもんなんすよ。


祭りに行ったり海に行ったりと今までとは大分違った夏休みだったがそれももう後半まで来てしまっていた。まぁ課題に関しては数学が少し残ってるぐらいだし全然余裕で終わるだろう。

 

と、いう事で現在俺はゲーセンに来ていつも通りチンパンしております。

 

 

「ウッキー!!!今年は申年ィィ!!!!速いぞぉ!?!!!やったぁ!!!ブッパア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」

 

このセリフ言ってるから絶対スパローガン○ム使ってると思っただろ?残念、使ってるのはドア○ザクでしたァ!!ニチャア

 

量産機のザクでユニ○ーンやバ○ルに殴りかかれる!!(殴れるとは言っていない)クロ○ブースト!!やるしかない!!

 

 

 

あーあ、今日で登校日も終わりだしもう残りの休みはこのゲーセンに入り浸ってやろうかァ??

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

SAN値チェック入りやす。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「あ〜、久々のブッパはたまんねぇな。これだからやめられない。」

 

大分長い事ゲーセンにいたもんだ。もう外が暗くなってしまった。まぁたまにはこんな日があっても悪くないだろう。さて、帰ったらモン○ンでもやるか。

 

 

と、思った矢先。スマホがなり確認してみると上原からだった。

 

「ん?なんだいきなり、『緊急事態!今すぐつぐの店に来て!!』えぇだる。え〜っと、『今から素材集めに行くから却下。』っと。」

 

これでよし。すまんな上原、俺は早く帰ってモンスターにライズしたい気分なんだ、お前のよく分からん事情に付き合うほど暇ではないんだよ。HAHAHA〜!何人もこの俺を止めることはできなぁーい!

 

 

すると、再びスマホが鳴り、今度は美竹からだった。

 

「『来ないと海での事を全員にばらす。』…、え〜っとォ…w『あ〜、そういえば羽沢珈琲店のコーヒーが飲みたくなってたの忘れてたぁ、、今すぐ向かうわァ、、。お願いだから静かにしててねぇ、、』っと。」

 

アカン、速攻で行動封じられた。美竹に完全に弱み握られてもうた。しゃーねえなぁ〜。…美竹に免じて向かってやるよちきしょー…。

 

渋々美竹達の元へ向かう事を決めた。

 

 

 

 

 

羽沢珈琲店にて…

 

 

「んで?俺がゲームしたいのを止めてまで呼んだ理由って何??」

 

「えぇっと実は…数学の参考書を学校に忘れてきたみたいでぇ、、」

 

「ほうほう、それで??」

 

「今からみんなで一緒に取りに行くんだけど…、その、もうこの時間だと暗くて危険じゃない…?」

 

「OK察した。夜の学校に忘れ物を取りに行く?はーっ、正気の沙汰じゃない。絶対に嫌だ。お断りします。」

 

クルリと方向転換し自宅へ帰ろうとするが上原に止められる…。

 

「そんなこと言わないでぇ!!こんな暗い中女の子だけで行くんだよ!?絶対危険だってぇ!!お願いだから一緒に来てぇ!!」

 

「おいっ!こら、近ずくな!」

 

「一生のお願いだから〜!!」

 

ええい鬱陶しい邪魔くさい恥ずかしあとなんかちょっといい匂い。

 

「え〜?もしかしてれー君、怖がってるの〜?(煽)」

 

「は?何に?俺はただめんどくさいから行きたくないってだけでだなァ?」

 

「やっぱり怖いんじゃ〜ん。れー君、弱いね〜??w」

 

「え?ちょっ、は?おまっ、……壊すよ??」

 

 

((((何を……?))))

 

 

「怖くないなら来てもいいんじゃな〜い?お礼にひーちゃんなんか奢ってくれるらしいよ〜?」

 

「いや、だとしてもだなぁ…」

 

「渡辺…?もちろん、来てくれるよね…?」

 

 

言っている、これ以上抵抗すれば全員にバラしてやるぞと目が言っている…。どの道詰みじゃねぇかよ…。

 

「…はぁ〜…。わっーたよ。行くよ、行きゃいんだろ…。」

 

「れ、蓮神さまぁ〜…!」

 

そんなこんなで強制的に美竹達と学校に行くはめになりました。あー、もうヤダ。今すぐ帰りたい。

 

 

 

 

移動中…

 

 

「っツーか、上原もそんなに宿題溜め込んでんじゃねぇよ…。」

 

「うぅ、ごめんて〜…。」

 

「そういう渡辺もどうせ終わってないでしょ?」

 

「いやいや、ほとんど終わってるから…。どこかのアホピンクと違って終わってるから。」

 

「うぅ〜、蓮くんがいじめてくるゥ〜(;_;)」

 

「渡辺ェ…、」

 

いやいや、弱み握られて挙句それを利用され強制的に連れてこられた俺の方がいじめられてる気がするんだけどそのへんどうですか美竹さん??

 

「あっ、着いたよ。」

 

「うわ〜、真っ暗…。」

 

「鍵空いてんのか?」

 

「だいじょーぶ。まだ鍵は空いてるっぽいし、中には入れそうだよ〜。」

 

ッチ、もっと早く鍵閉めろよ…。警備員もっと仕事早くして!

 

「よし、早く取りに行こう!」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

教室にて…

 

 

「ひーちゃんどこに置いたか覚えてる〜?」

 

「え〜っと確か机の中に…。」

 

「……、」

 

「……、」

 

「…?蘭〜、れー君〜?」

 

「「うわぁっ!?(゚Д゚)」」ビクッ!!

 

「うわぁ!ど、どうした!?」

 

「モカが急に後ろから声掛けて来るから…っ!」

 

「青葉てめぇ…、まじで、ぶち56すぞ…っ!」

 

あ〜びっくりしたァ、びっくりしすぎてなんか心臓辺りがキュッ!!ってなったわ。

 

「モカそういうのやめろよなぁ…!」

 

「いやいや、あたしは怖がってる2人をリラックスさせようと思っただけだよ〜。」

 

「「べ、別に怖がってなんかないし!!」」

 

「あはは、蘭ちゃんは知ってたけど、蓮くんもこういうの苦手なんだね…。」

 

「「だからそれは誤解だってば!」」

 

(((シンクロ率が高い…。)))

 

「あっ!あったよ!」

 

そうこうしてる内にどうやらアホのピンクが参考書を見つけたようだ。

 

「みんなありがと〜。これで宿題が進められるよ〜。」

 

「よし、見つけたな?ほら行くぞ、とっとと行くぞ。今すぐ出るぞ。こんなところ1秒も長くいられるか。」

 

「うん。一刻も早く出よう。」

 

((((やっぱり怖いんじゃん……。))))

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

昇降口前…

 

「さーて、ひまりには何を奢ってもらおうかな〜。」

 

「あたしはつぐみん家のコーヒーがいいな。」

 

「美竹に同じく、あ、ケーキも追加しとこう。」

 

「ええ、蓮くん多くない!?」

 

こちとら強制的に連れてこられてんだぞぉ!?少しぐらい贅沢させろォ!?

 

「…あれ?」

 

扉に手をかけた美竹がなにかに気づいた。

 

「ん?どうした?」

 

「ここ、鍵掛かってる、、」

 

「はァ?……ほかの扉は?」

 

そして全員でほかの扉も試してみたが結果は皆同じだった。

 

「という事はつまり、閉じ込められたって事で良いんだよなァ?」

 

「「「「……」」」」

 

「ど、どうしようッ!?私達このまま始業式までここで過ごすのッ!?」

 

「そ、そんなの絶対やだ…。」

 

「お、落ち着け蘭!大丈夫!きっとまだ出口はあるさ!」

 

「あぁそうさ、大丈夫だ美竹ェ、みんなきっと帰れるさ…。」

 

「渡辺…。」

 

「おー、れー君頼もし〜じゃ〜ん。」

 

「あ〜そうさ、上原の持ってる参考書も、俺たちの怯えきったこの真っ青な顔もぉ…、み〜んなこの暗い闇に吸い込まれて真っ黒になるんだよォ…。全ては無に帰るんだァアア、(゜∀。)ハハハ!!」

 

「いや、全然頼もしくなかった!?むしろ誰よりも先に諦めてた!?」

 

「いや、諦めたって言うより…、これは壊れたって感じじゃ…。」

 

夜の校舎に閉じ込められたんだぞ!?冷静でいられるわけねぇだろぉ!?HAHAHAHAHAww

 

 

「いや〜おもしろくなってきましたなぁ〜。」

 

「こんなの、面白いわけないじゃん…!?」

 

「あ、もしかすると体育館の非常口が空いてるかもしれないぞ!部活で帰りが遅くなった生徒のためにいつも開けてくれてるんだ!」

 

「でも、、ここから体育館まで結構距離あるよね…?」

 

「…けど、ここにいたって、閉じ込められて干からびるだけだよ…。」

 

5人「……」

 

「あ、ちゃんと遺書書かなくちゃ……。誰か紙とペン持ってない?」

 

「少し落ち着いたと思ったらまだ壊れてんの!?」

 

「蓮、あたし達は別に死ぬわけじゃないからな…?と、とりあえず体育館に向かおう…。みんな準備はいいな?」

 

「「「「うん…!」」」」

 

「よし、行こう…!」

 

「な、なぁせめて遺書を書いてから…」

 

「もう!いつまで頭ショートしてんの!渡辺も行くよ!」グイッ

 

「グエッ、ちょっ、わ、わかった!行くから!ついてくから首を引っ張るなァ!マジ死ぬってェ!」

 

なんちゅー握力してやがるんだ美竹のやつァ…。

 

 

 

 

こうして俺達は夜の学校から脱出するべく体育館の非常口へと向かった。

しかし、この時の俺達はこの後、恐怖のどん底に叩き落とされることなど知る由もなかった。

 

 

…とりま上原許すまじ…。

 

 

 

 







なんか評価のところが赤くなっている…。前回に続きほんとにありがとうございます!
まさかこのように評価されるとは思ってもいなかったので感激です!!









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みんなの学校って七不思議とかあった?



自分が通ってた高校はめちゃくちゃ古い作りだったんで夜になるとめちゃくちゃ不気味でしたね。先生いわく夏になると普通に黒い影とか見たり、使われなくなったプールの管理室から電話がかかってきたりと色々あったそうです……。その学校に3年間通った乗ってやばくないすか?





現在Afterglow+‪俺の6人は夜の学校に閉じ込められており、そこから脱出すべく体育館の非常口へと向かっている。

 

 

「うう、夜の学校って、思ったてた以上に怖い…。」

 

まぁこうなった原因だいたいお前だけどな?

 

「けど、非常用の懐中電灯あって良かったね…。」

 

それ、勝手に借りてきたやつだけどな??

 

「うひゃあッ!?」

 

「うわあああっ!?な、なんだ!?」

 

「今、窓に顔が映らなかった…!?」

 

「ひーちゃんよく見てよ〜。映ってるのつぐだよ〜?」

 

「…あ、ほ、ホントだ…。」

 

「も〜ひーちゃんが大きな声出すかられー君がびっくりして壁にめり込んじゃったじゃ〜ん。」

 

「……、渡辺の回避行動独特すぎない…?」

 

「いや、べ、別にびびびってねぇし…。」

 

「いや、ガクガクなんだけど…」

 

びびってない。びびってないっつったらびびってない。

 

「それじゃあびびってないれー君にいい事を教えてしんぜよ〜う。」

 

「どうせろくでもない事なんだろうけど何?」

 

「ウチの学校の音楽室って、夜な夜なピアノの音がなるらしい〜よ〜?」

 

「…お前よくこの流れでその話題ぶち込んできたな…。」

 

脳みその代わりに賞味期限5年ぐらい切れたパンでも入ってんのかね?せめて焼きたてのパン入れろやコノヤロウ。

 

「羽丘学園に伝わる七不思議ってやつ〜?聞いたことない?」

 

聞きたくないし知りたくないしそもそも信じてないし。てか信じたくない。

 

「その話、聞いたことあるかも。人体模型が動き出したりとか、鏡に知らない人が移るとか…。」

 

「そうそう!他には〜、階段が1段増えてるとか〜、体育館からドリブルの音がするとか〜。」

 

「た、体育館!?」

 

おい青葉てめぇなんでそれを今言うんだ。絶対行きたくなくなったんだけど。なんならこっから進みたくないまである。もうその辺の窓ぶち破って帰ってダメかな?ねぇダメ?ダメだね。

 

「青葉、それ以上余計な事を言ったら割と強めに叩く…。」

 

「わ、渡辺がマジになってる…。」

 

「あはは〜ごめんて〜。ほんのモカちゃんジョークだよ〜。…あれ?7つ目のウワサってなんだっけ〜?つぐ〜、何だか分かる〜?」

 

「うーん、確かに思い出せないなぁ…。」

 

「いや、思い出さなくていいから。なんなら一生記憶のそこに埋めてそのまま墓まで持ってけ。んな事より今はさっさと脱出だろ。別に俺達は七不思議を確かめに来た訳じゃないんだし。」

 

「うん、渡辺の言うとうり、早く脱出しなきゃ。」

 

「よ、よしそれじゃ、体育館を目指すぞ〜!!」

 

「「「「「……。」」」」」

 

張り切って声を出したがそれに続くものはおらず、また、誰も自分から前に進もうとは思わなかった。

 

「ど、どなたか先頭どうぞ〜?蘭〜?」

 

「あ、あたし!?」

 

「蘭はいつも1人で先に歩いてるじゃ〜ん。だから先頭どうぞ〜?」

 

「うっ、そう、だけど…。」

 

どうやら生贄は美竹に決まったらしい。

 

「頑張れ美竹〜。お前ならできるはずだ美竹〜。」マルナゲ

 

「いや、だったらここは男子の渡辺が行くべきでしょ!」

 

「あ〜そういう選択肢もあったねぇ〜。」

 

「おい待てふざけんな今の流れは完全に美竹だっだろ。俺は副班長としてみんなの後ろをついてくから先頭は美竹に任せた。以上。」

 

「そんな通学班みたいなシステムなんてないから!!てか男でしょ?渡辺が先頭行きなよ!」

 

「え?もしかして美竹ってあれか?都合がいい時は『レディーファースト』と言い、都合が悪かったら『男の癖に〜』とか言っちゃう実はめんどくさいタイプの女だったのかァ??うわ〜引くわ〜。」

 

「はぁ!?何言ってんの!?ゲームしすぎて脳みそ溶けてんじゃないの?」

 

「俺の脳みそは深夜にならないと液状化しないんですぅ〜!!」 (?)

 

 

「「ギャーギャーワーワーギャーギャー!!」」

 

 

((((また痴話喧嘩が始まった……。))))

 

行きたくない。こんな暗いところ先陣切って進むとか正気じゃない。

 

「そ、それなら私が先頭を行くよっ!」

 

すると突然、羽沢が自ら先頭を志願した。えっ?勇者やん…。

 

「お〜、さすがつぐ〜。」

 

「つぐの背中、めちゃくちゃ頼もしく見えるよ…。」

 

「シビあこ…。」

 

「…、渡辺、それ何語?」

 

は?『そこにシビれる!あこがれるゥ!!』の略ですけど?ご存知ない??

 

「こ、怖いからみんなくっついて歩こうよ!そうすればきっと怖くない!…多分。」

 

「そ〜しよ〜。ぎゅ〜。」

 

「モカ、苦しいよ…。」

 

「えへへ〜♪」

 

おいおいみんな見てくれよ。今隣でめちゃくちゃ自然な流れで百合が展開されてるんだが?いやね、目の保養にはなるんだけどさ?それだと俺だけハブになるって気づかないのかねぇ?あ、上原だから気づくわけないか…。

いーなー、俺もくっつきたいな〜。まぁそしたら脱出する前に通報されるんだけどね〜。

 

 

案の定俺だけめちゃくちゃ孤立してしまったがこの際気にしないでおこう。そんな事より早く体育館に行かなくては。

 

ここから体育館を目指すとなると2階から渡り廊下を通り、実習棟へ向かうのが最短なので俺達はそのルートを進んだ。

 

そしてしばらく歩くと階段が見えてきた。

 

「この階段から上に上がるのが1番近そうだな。」

 

「うう、」

 

「ひーちゃんどうしたのー?」

 

「モカが言ってた七不思議、思い出しちゃって…、」

 

「おい上原なんでそれを口に出してしまったんだ。おかげで俺まで思いだしたじゃねぇかよ。いったい1人で何回やらかせば気がすむんだ…!」

 

「…あたしも、思い出しちゃった…。」

 

「だってぇ〜!!」

 

「あ〜、段数が増えてるって話のことか〜。」

 

自分でこの話ばらまいておいて忘れている始末…。

 

「も〜、突然階段が増えるなんてあるわけないじゃ〜ん。そもそも階段の段数なんて知らないし、増えてても分かんないよ〜。」

 

「た、確かに。」

 

「せ、せやな。せやせや…。」

 

「モカもたまにはいい事言うじゃん…。」

 

よし、これで気にすることなく先に進める。また誰かが余計なことを言う前に階段を登ろうとした矢先、、

 

「学校の階段、確か12段だったと思う。あたし生徒会の仕事で校内の掃除をよくするんだけど、掃除してるうちに階段の段数覚えちゃって。」

 

ここに来てまさかの羽沢がやらかす…!なんなんだい?なんでそんな今知りたくない情報をドンピシャで教えてくれるのこの人達、実はわざとやってる?

 

「階段の段数、、知ってしまった…、」

 

「はっ、ご、ごめん!!」

 

「…階段は12段、じゃあさ、段数を数えながら登ってみて、ちゃんと12段だったら七不思議は嘘だって証明できない?」

 

美竹からまさかの提案。

 

「お前、それでもし違ってたらどうすんだよ…。」

 

「そ、その時はその時!…ていうか段数が変わってても別にあたし達に何かが起こるわけじゃないし。」

 

「まぁたしかにそうだな…。」

 

「と、という訳で渡辺、GO。」

 

「…、お前なんか段々俺の扱い酷くなってきてない?……。」

 

何?俺の事モルモットかなんかだとお思いで??

 

「み、みんなで登ってみて見ようよ…。」

 

羽沢(女神)の提案により俺が生贄になることはなんとか回避できたようだ。ありがたやぁ。

 

「よし、そ、それじゃ行くぞ…、、」

 

全員「1.2.3…………10.11…」

 

順調に数えていき、最後の段のところで先に上原が渡り、その後に続く感じで俺達も渡りきった。

 

「12!やっぱり七不思議なんてうそ…『13!!』…え、、?」

 

「おい、宇田川まで何冗談言ってんだよ…。」

 

ったく、宇田川は味方だと思ってたのに…。

 

「え?あたしは何も言ってないぞ…?」

 

「…今、『13』って言ったよね?」

 

「いやいや、そんな事言ってないって、」

 

「あたしにもトモちんの声聞こえた〜。」

 

ちょっと待ってね?俺達全員は確かに宇田川の声で『13』と聞こえたはずだ。だが等の宇田川はそんな事は言っていないと言う…。嘘をついている様子にも見えない…。てことは〜…。

 

全員「………」

 

「…早く、進もう!!」

 

「そ、そうだネ!あはは〜、進もう進もう!レッツゴー!ゴーゴー!!」

 

「ついにひーちゃんまで壊れてしまった…。」

 

「おおおおおおいおまおまおまお前ら早く行くぞ!!」ガクガク

 

「れー君は生まれたてみたいになってるよ…?」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

学校、廊下にて……

 

 

「ねぇつぐ〜、あとどれくらいで着くの〜?」

 

「うーん、暗くてよくわかんない…。」

 

「そもそも方向はこっちであってんのか?」

 

これだけくらいと毎日通ってる学校でもわからなくなるもんだ…。

 

「あってるよ〜。ほら、聞こえない?『こっちこっち〜』って声…。」

 

「……」ギロ

 

「……」#^ω^)∩ミシミシ

 

「も、モカ!謝った方がいい!この2人ほんとに怒りそう!て言うか蓮くんに関してはなんか半笑いで拳握りしめてて怖い!」

 

「…もうしません。」

 

危なかった。俺の意志とは関係なく拳が暴発するところだったわ。良かったな青葉?上原が止めてくれて。もっかいやったら俺何やらかすか自分でもわかんないからな??

 

「そ、そうだ!みんなで歌でも歌ったら少しは怖さがまぎれるんじゃないかな?」

 

「た、確かに!歌にまぎれてほかの音もかき消そう!」

 

またしても羽沢が神提案を発動。こうしてその提案に従い、全員で歌を歌たいながら体育館を目指すことにした。

 

みんな「くらくらーいアウト♪くらくらーいアウト♪」

 

みんな「とにかくこの先を信じて♪」

 

俺はその曲うろ覚えだったけどまぁなんとか雰囲気で誤魔化した。全員で歌ったおかげか、さっきまでのような恐怖感は無くなった。

よし、この調子で歌いながら行こうぜ!次は俺が知ってる曲頼んます!

 

「…っ」

 

「ん?どうした、上原。」

 

「ねぇ、な、なんか聴こえない?」

 

「おい、まてふざけんな。お前までそうやって怖がらせに来るとは思わな…『♪〜〜♪♪』……ッスーーーー。」

 

「こ、この曲って……。」

 

「あたし達の曲…。」

 

「「「「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」」」」

 

「もう無理!無理無理無理!!あたしもう帰る!!」

 

いや、俺達帰るためにここまで来たんですけど!?

 

「ななななななななんだこのピアノの音は……。」

 

「ああもう、おい、ピアノ!止まれーっ!!」

 

しかし、それで止まってくれるほど優しくはなかった…。

 

「この音、聞きたくない…っ!怖い!!音がしない方に逃げよう!!!!」

 

「賛成!あっちか?あっちに行けばいいのか!?」

 

「私も行くーーーっ!!」

 

「お、ちょっ、まて!!この状況でバラバラになるのはまずいって!!って、速!?」

 

上原、美竹、宇田川の3人がパニック状態になり、音のしない方へちりじりに逃げて言ってしまった。

 

「行っちゃった〜。」

 

「どうすんだよあいつら…。懐中電灯持ってないのに…。」

 

「とりあえずあの3人を追いかけるしかないよね〜。」

 

は〜、やっぱりそうなんのね…。ったくあいつらァ、余計な仕事増やしやがって…。

 

 

「あたしとつぐでトモちんとひーちゃんを探すから、れー君は蘭のことよろしくね〜。」

 

「は?おいまて。なんで分ける必要がある。3人で探した方がいいだろ!」

 

「まぁまぁ、手分けして探した方が早く見つかるじゃ〜ん。という訳でつぐ、ダーッシュ。」ダダダ

 

「う、うん。」ダダダ

 

「おい待てーーー!!せめて、せめて懐中電灯だけでもーーー!!」

 

その声は虚しくも2人には届くことはなく、俺は1人ポツンと真っ暗な廊下に取り残されてしまった。

え、嘘、まじで…?こっからほんとに俺ひとりで美竹の事探すの??まじでなんて言うクソゲーだよこれ…。なんで俺がこんな目に…。

 

「く、暗すぎる…。なんか照らせる物はないか?……。あ、スマホあるやん……。」

 

てか今まで怖すぎて忘れてたけどスマホあるなら美竹に電話飛ばせば1発で見つかるやんけ!

 

そしてスマホを取り出し美竹に電話をかける、が……。

 

「……、繋がらない、だと…。」

 

まさかあいつスマホの通知切ってんのか?もしくは持ってきてないとかか…。どちらにしても結局探さなきゃいけないことに変わりは無くなったわけだ、、

 

「はぁーーー(クソデカため息)そんじゃ…、行きますか…。」

 

こうしてどこかに行ってしまった美竹を探すべく、まさかの俺一人での捜索が始まった。

 

もう……。夜の学校やだぁ。早く帰りだァい…(;_;)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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夜の学校は心霊スポットとなんら変わらん。

さー、盛り上がって参りましたァ!


 

 

 

 

「美竹のやつ…、どこ行きやがった…。」

 

現在俺は夜の学校でどこかへ行ってしまった美竹を捜索中。スマホにも何回か電話飛ばしてるが全く出る気配はない。こんだけかけても出ないということは多分持ってきてないですねあの人…。

 

方向はこっちであってると思うがなかなか見つからない。スマホの灯りをつけても暗すぎて先の方があまり確認できないから余計見つけにくい。

 

こんな真っ暗の中美竹のやつ灯りも持たずに1人でいると考えるとやたらと心配になってくる…。しかもあいつだって俺と同じでこういうのまじで無理っぽいしな…。

 

「ったく、はやく見つけてやんねぇと…!」

 

それから俺は少し急ぎ気味で捜索を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、しばらく探していると先の方から何やらすすり泣くような声が聴こえた…、、

 

暗闇の中、なにかに怯えながら…静かに泣く''女''の泣き声が…。

 

「おいおい待て待て冗談じゃねぇぞ……。この声美竹のだよね…、絶対そうだよね…?信じていいよね…?」

 

震える体を抑えながら恐る恐る声のする方へ進む。すると、とある教室にたどり着いた。

 

ここは普段生徒が使用することの無い、言わば物置状態に近い教室である。

 

「こ、ここからだよな、、?この声って…。」

 

俺は扉に手をかけ、そして、そっと開けた…。が、

 

(だ、誰も居ない…?)

 

扉を開け中に入ってみたが、そこには誰もいなかった。昼間同様、使わない机や椅子が規則正しく並び、端の方には大きめの箱が置かれているだけで、人らしい物は見られない。

 

しかし、聞こえるのだ。誰もいないはずのこの教室から今もなおすすり泣くような少女の声が聞が。

 

(……、HAHAHA!!バカげてやがる!?何ここ!?イカレてんねぇ!!?こんな場所1秒も長くいられるか!!)

 

そしてこの教室から一刻も早く出ていこうと扉の方へ振り向いた瞬間…、見てしまった…。

 

教室の扉のすぐ横でうずくまり、すすり泣く女の姿を……。

 

 

 

 

「ヴェア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!!!!?!?」

 

「うわあああああああああああ!!!」

 

(ふざけんなアアア!!なんでこんなところに''赤いメッシュ''の入った幽霊がいるんだよおおおおーーー!!!!)

 

 

 

 

……、、ん?赤いメッシュ??

 

なんか馴染みしかない単語なんですけど…?もしや…

 

 

 

「…って、あれ??お前、、美竹か!?」

 

「……えぇ…?もしかして、渡辺ェ??」

 

 

そこにうずくまってたのは幽霊ではなく、先程まで捜索していた美竹だった…。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

side蘭…

 

 

「もう、最悪…、」

 

ピアノの音が聴こえない所まで逃げて来れたけど、みんなとはぐれてしまった…。しかも暗すぎて自分が今どこにいるのか分からないし…。これって結構やばいかも…。

 

 

「と、とりあえず場所を把握しないと…。」

 

現在地を把握するため周りを確認する。幸い少し暗闇に目が慣れてきてある程度見えるようになってきた。

 

 

(…うん、だいたい分かった。ここから体育館の行き方も覚えてるし、ピアノの音とか変な声も聴こえない。…、行ける、大丈夫。あたし1人でも行ける…!)

 

そう自分を鼓舞し、単独で体育館を目指そうと歩き出した時……、後ろの方からカツン、カツン、と足音のような音が聞こえてきた…。

 

「…うそ、でしょ…。」

 

しかもその足音は明らかにこちらに向かってきていた。

 

(やばいやばいやばい!!)

 

あたしは反射的に近くの教室に入り、身を潜める。

 

なおもその足音はこっちに向かってきて段々と大きく校内に響いていた。

 

(なんで…!どうしてあたしがこんな目に…!!)

 

暗闇とこの不気味な足音から底知れない恐怖を感じ、耐えきれず涙が出てきてしまった。

 

(怖い…!誰か、助けて…!…渡辺…!!)

 

''何故か''頭の中で彼の事が浮かび、助けを求めていた。まぁそれで助けに来てくれるわけではないけど…。

 

やがて足音は教室の前で止まり、そしてゆっくりと扉が開いた…。

 

(お願い…!こっちには気づかないで…!)

 

恐ろしくて教室の中に入ってきたそれを確認することが出来ず、ただうずくまっていることしか出来なかった。

 

でもずっと目をつぶっていても状況が全く分からないという恐怖があると思い、あたしはほんの少しだけ目を開け教室内を確認した。

 

その瞬間、教室に入ってきたそれがこちらの方に振り向き、あたしと目があってしまった…。

 

 

「ヴェア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!!!!?!?」

 

「うわあああああああああああ!!!」

 

 

なんか変な声が聞こえたけどそれがどうでもいいと思えるぐらいパニックになり、もうダメだと確信したその時…、

 

 

「…って、あれ??お前、美竹か!?」

 

震えながらあたしの名前を呼ぶ声が聞こえてきた。そしてその声はとても聞き覚えがあり、聞き間違うはずがなかった。

 

「……えぇ?…もしかして、渡辺ェ??」

 

そこには先程まで頭の中であたしが助けを求めていた渡辺の姿が…、

 

「おい、お前…、びっくりさせんなよ…。思わず今まで出した事ない声g「渡辺ぇ!!」ヴェァァァ!?」

 

あたしは渡辺の言葉をさえぎって飛びついた。

 

「ちょっ!?美竹サン!?ど、どういったご要件でぇ!?」

 

「…怖かった…!」

 

「…み、美竹?」

 

「巴達とははぐれちゃうし!変な音はするし!グス…ずっと、ずっと怖かった…!」

 

今までの恐怖と渡辺が来てくれたことの安心感でついに我慢が出来ず泣きついてしまった。

 

「…そうか、、まぁなんだ、もう大丈夫だ。こうやってまた合流できたわけだし…。だからその、とりあえず落ち着け…。な?」

 

そう言って渡辺はあたしが落ち着けるよう背中をぽん、ぽんと軽く叩いてくれた。あたしは落ち着くまでしばらく渡辺に抱きついたままだった。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

side蓮

 

 

 

 

いやぁ…、ビッッッックリしたぁ……。

 

幽霊と目があって『あ、詰んだ(°д°)』って思ったらそれが美竹だったってことで安心してたらいきなり飛び着いてきて押し倒されるわ急に泣き出すわで…。

 

でもまぁ…、美竹はそれだけ追い詰められてたって事なんだろうな…。見つけられてよかったわ、、ほんと。

 

「美竹?もう大丈夫か?」

 

「……スン、うん。ありがと。ごめん急に…。」

 

「いや、気にしなくていい。それより早く青葉達と合流しよう。ほら、立てるか?」

 

何故か自然と美竹に手を差し出してしまった。

 

「うん…。」

 

「よし、そんじゃ向かうか。…美竹?」

 

移動しようと思い、手を離そうとしたら何故か美竹の方から握り返してきた。えちょ、何?柔らかいです。

 

「ど、どうした?」

 

「そ、その…、まだ怖いから……、握っててもいい…かな、?」

 

「お、おう、そういう事ね。まぁ別にいいけど…。」

 

「…ありがと。」

 

うん、まぁ…怖いならしょうがないよね?…俺手汗とか大丈夫かな?

 

そんな事を考えながら今度こそ移動しようと思いスマホの灯りをつける。

 

 

「………、」

 

「…?渡辺、どうしたの?」

 

「いや、あの〜…ちょっとあちらをご覧頂きたいんですが…、」

 

「あちら?」

 

スマホの灯りで照らした先、教室の扉のところだ、俺が違和感を感じたのは…。教室の扉って窓ガラスになってるところあるだろ?そこにさ、''小さな手形''みたいなのがあってさぁ、なんかこう、、なんて言うのかな…?黒い影みたいなのが扉の向こうに見えるんだよねぇ…。

 

 

これってさァ…つまり、あれですよね…。確定演出ってヤツですよね??

 

 

「…渡辺、何?、あれ、、」

 

「はは、こっちが聞きてぇ、、え、何?パッと見子供にも見えるんだけど、この時間帯に高校に忍び込む悪ガキなんていんのか?」

 

「い、いないはずだけど…。」

 

すると突然、教室の扉からドンッ!と叩かれたような音がなり、明らかに、子供の声でこう聞こえた…。

 

 

『アソボ〜、アソボ〜、』

 

 

「聞こえた、聞こえてしまった…。今完全に扉の向こうから聞こえてしまった。」

 

「今、『遊ぼ〜』って言ったよね…?」

 

ギュッと、美竹の手を掴む力が強くなった。

 

「は、ははは、まったく、何で遊ぶつもりなのかな?もしかして俺達の魂とかだったりする?だとしたら子供にしては遊びのレベル高すぎなんだけどwww」

 

 

(どうしよう、頼みの綱の渡辺が壊れてきた……、)

 

 

そして、再び扉を叩く音と子供の囁くような声が聞こえてくる…。

 

『ネェ…アソボ〜ヨ〜…』

 

 

「《゜Д゜》うぅぅうるっせェぞぉぉ!!ガキィ!?!?」

 

「渡辺!?」

 

隣から驚きの声が聞こえてきたが構うものか!もうここまで来たらヤケクソだ!どうせこのまま2人ともつれて逝かれるんだろ!?だったら最期まで生者の意地の抵抗見せてやんよ!!!!

 

「(ꐦ°᷄д°᷅)子供がァ!!!!こんな時間帯にうろついてんじゃないよォ!!!!??テメェ何時だと思ってんだァァ!!!!??」

 

アドレナリンと最近覚えた腹式呼吸で予想以上の声量が出た…。

 

『アソボ〜…、あs「(ꐦ°᷄д°᷅)体格差考えて物言えやぁあ''あ''!!!!??どんな教育受けたんだァァァ!!!!??ナメてんのかア゙ア゙ア゙!!!!??」…エェ??』

 

(すごい、唐突にキレだした渡辺に幽霊の方がなんか戸惑ってる…。て言うかこれってチャンスなんじゃ…。)

 

「バカガキゴラァ!!早く家帰れやぁ!!家族が待ってるだろぉ!!?」

 

「ねぇ渡辺、今ならこの教室から出れるかもしれない!」

 

「え、まじ??」ッス

 

「うん、渡辺が発狂してから扉を叩く音がしなくなったし!今のうちに早く行こう!」(切り替え早っ…!?)

 

そう言って美竹は俺の手を掴み、走り出す。

 

そして勢いよく扉を開け、そのまま廊下をダッシュで駆け抜けた。

 

「やっぱり!大丈夫だった!ナイス渡辺!!」ダダダ

 

「え?俺なの!?」ダダダ

 

それから俺達は体育館の所まで全力で走った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「や、やっと体育館ついた…。」ハァハァ

 

「……、」

 

「モカ達はまだ着いて無いみたいだね…」

 

「……、」

 

「?どうしたの?」

 

「……め、めっちゃ怖かった…(;_;)」

 

何も言葉を発しない俺に疑問を持った美竹が声をかける。俺はそのタイミングで先程まで強ばっていた体の力が抜けてしまい、とうとう弱音が零れてしまった。

 

「たしかに…、叫んでた時も手、震えてたしね…。」

 

「は、そうだよ。暗いとことか、幽霊とか、ほんと無理なんだよ。ごめんね、男らしくなくて。」

 

なんか自分で言ってて悲しくなってきた。

 

「…でも、渡辺がいなかったらあたしは何も出来なかったし…、あのままだとどうなってたか分かんなかった。」

 

「…?」

 

「ああやって渡辺が勇気出して叫んでくれたから、あたしも動く事ができた…。」

 

「…、」

 

「だ、だからその…なんて言うか、//渡辺は充分男らしいから、そんな風に思うのは違う…と、思う。//」

 

まさか、こんな俺に、美竹が優しい言葉を送ってくれるなんてな…。

 

「…、ップはははっ、」

 

「ちょっ、何笑ってんの!//」

 

「いや、まさか美竹からそんな励ましが来るとは思わなくてな」ハハハ

 

「もうっ、そんな事言う渡辺は知らない、!」プイ

 

「ハハハ、悪かったって。」

 

 

「おや〜、まさかの2人が先に来てるなんて〜。」

 

 

そうこうしているうちに青葉達も体育館に到着し、無事に合流することができた。

 

「2人ともどこ探しても見つからなくて心配したんだからね!」

 

「いや、元はと言えばお前らがバラバラに行動するから…、はぁ〜、もういいや、その他諸々の愚痴は外に出てからだ。」

 

「あはは…。」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

体育館

 

 

「やっと帰れる…。」

 

「ほんとに出られるんだよね…?」

 

(ねぇモカ!)

 

(何かな〜ひーちゃん?)

 

(蓮くんと蘭なんか距離近くない??)

 

(あ〜、それあたしも思った〜♪)

 

(2人でいた時絶対なにかあったよね!!)

 

(これはくっつくのも時間の問題なのでは〜?)

 

「おい、何話してんだ2人して、」

 

「「なんでもな〜い♪」」

 

こいつらのなんでもないって全然信用出来ないんだよなぁ。

 

 

「あ、あれ!?明かりが!」

 

すると突如、羽沢の持っていたライトが点滅し、その後つかなくなってしまった。

 

「ど、どうなってるの!?」

 

「か、懐中電灯が壊れちゃったみたい…!」

 

「嘘でしょ…、なんでこのタイミングで…」ギュ

 

美竹さん急に俺の服掴むのやめてもろていい!?めっっっっちゃ焦るから!!

 

「ちょっと待ってろ!今スマホの灯りを…!」

 

「おお!蓮ナイス!」

 

しかし、何故か俺のスマホの電源がつかない、

 

「はい、悲しいお知らせです。何らかの現象によりスマホの電源がつかなくなりました!」

 

「「「「なんでーーー!!」」」」

 

俺が聞きてぇよちくしょう…

 

「これじゃあ非常口の場所も分からないよ…」

 

「もう、あたし泣きそう…。」

 

「ひーちゃん泣かないで、よしよし。」

 

「おい青葉、それは俺の頭だぞ??」

 

「あれ?ごめん」

 

「うぅ、みんな、あたしのせいでごめんね…」

 

うーん、どうしよう、しっかりその通りなんだけどこの状況だと『それな!!』とか言えないよな…。

 

すると、美竹がある事に気づく。

 

「…あれ?風が吹いてる…、てことは開いてるドアがあるって事じゃない!?」

 

「美竹…お前って実は天才??」

 

「風が吹いてきたのってあっちの方だよね?行こう!みんな私につかまってついてきてっ、」

 

「やべぇ羽沢の頼もしさが桁違いでやべぇ。」

 

こうして俺達は羽沢の後を追う形でついて行った。

 

 

 

 

 

しかし、しばらく歩くと風が止んでしまい、どこから来ていたのかわからなくなってしまった。

 

「あれ、?たしかこっちからだったと思うんだけど…。」

 

『こっちこっち〜!こっちだよ〜、』

 

「あ?…こっち?」

 

「ちょ渡辺!急に動かないでよ!」

 

すると、パッと急に羽沢の持っていたライトの明かりがついた。

 

「あれ?急に直った…。接触が悪かったのかな…。」

 

「あ!非常口ってこれじゃない?」

 

「あ、ほんとだ…!ひまりちゃん教えてくれてありがとうっ!」

 

「よし、こんなところ早く出よう!…あれ?」

 

「は?もしかして…鍵…?」

 

「外側からかけられてるな、、」

 

はい、詰みです。対戦ありがとうございました。またのご来店お待ちしております(???)

 

「…蹴ったら開いたりしないかな…?」

 

「ちょ!ダメだって!」

 

「思考が脳筋すぎる…。」

 

「すみませーん!誰かいませんかーっ!!開けてくださーい!」

 

いや、それで開いたら苦労しないんだよ…。

 

ガチャ…

 

いや、なんやね〜ん。

 

「あ、開いた!?警備員さんが開けてくれたのかな?」

 

「た、助かったァ…」

 

「すみません、開けていただいて、ありがとうございます!」

 

羽沢が丁寧にお礼を言ったが、そこには誰もいなかった…。

 

「あれ?外、誰もいないよ〜?」

 

…てことはつまり…誰が開けたんだ…?

 

「ホントにもう、勘弁してよ…っ!」

 

ああもうやめてあげてェ!!美竹のライフはとっくにゼロよ!!

 

「…思い出した。七不思議の7つめ…。」

 

「…なに…?『非常口の鍵が勝手に開く〜』的なやつだったらまだ許すけど??」

 

「…夜な夜な生徒の幽霊がうろついてるんだって。遊び相手を探して、いろんなイタズラをしてくるって言う…」

 

「……、」

 

「あ、あれ?今、誰か通り過ぎたような感じしなかった…?」

 

全員「……、あああああああああああぁぁぁッ!!!!」

 

それから俺達はひたすらに走りさっていった。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

そして帰り道、みんなと別れ今は美竹と一緒に家に帰っている。

 

「クッッッッッソ酷い目にあった……。」

 

「うん、ひまりにはもう二度と忘れ物をしないで欲しい…。」

 

 

ほんとに今日はあいつのせいで酷い目にあった。特に教室での出来事なんて思い出すだけでゾッとする。

 

ん?待てよ?何か引っかかる…。

 

「……、、」

 

「渡辺、なんでそんな難しい顔してんの?」

 

「いや、さっき青葉が生徒の幽霊がどうのこうの言ってただろ?てことは最後のあれはウチの学校の生徒だった人、つまり俺らと同じぐらいの人だった、ってことになるよな?」

 

「うん、」

 

「そんでさ、俺達が教室で会ったやつは明らかに小学生みたいに幼かったよな?」

 

「…つまり教室のあれは七不思議の最後のやつとは違って、特に関係はなかったってこと…?」

 

「そ、そうなってしまう…。」

 

「え、じゃああれって一体…、どこから来たのかな…。」

 

「……よくわからんけどウチの学校みたいに変な事が起きる学校って、そういう奴らを引きそせるみたいな噂聞いたことあるわ…。」

 

「「……、、」」

 

 

 

「…こ、この話辞めましょぉ…。」

 

「……全面的に賛成。」

 

 

 

 

 

今日はもうあれだ、家に帰ってゆっっっっっっくり休もう。

 

そう決意し、俺も美竹も家へと帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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ふたたび…

今回は軽めに…。まぁいつも軽い気持ちで書いてますけど…。












夏休みが終わって今日で一週間。みんな徐々に2学期が始まったことを自覚し、夏休み気分から切り替えている中…

 

 

「なぜ終わってしまった…。夏休み(;_;)」

 

 

たった1人、現実を受け入れられていない人が隣で机に突っ伏していた…。

 

 

「もう、渡辺。それ言い始めて今日で一週間経つんだけど…。いい加減受け入れなって…。」

 

「はぁ〜…、大切な物って失って初めて気づくんだな…。」

 

「それもこの一週間ずっと聞いてんだけど…。ほら、そろそろホームルーム始まるんだしシャキッとしなよ。」

 

このセリフ言うのも何回目になるんだろ…。

 

 

ガラガラ「はーい、全員席に着け〜。そして渡辺はいい加減現実逃避をやめろ〜。」

 

それからすぐに担任の先生が教室に来て、朝のホームルームが始まった。

そしてあらかたの今日の予定を話した後、最後にこう言った。

 

「あと、1限目のLHRでは要望が凄かった席替えをするのでお楽しみに〜。」

 

その一言を聞いた瞬間教室内が一気に盛り上がった。

 

席替えを喜んでいる人がほとんどだったけど、あたしはあまり乗り気じゃなかった。

 

「席替え…か。春にやったばっかりじゃん…。」

 

そんなにコロコロ変える必要ないでしょと思い、チラッと隣の渡辺を確認してみる。

 

「後ろの席であれ後ろの席であれ後ろの席であれ後ろの席であれ後ろの席であれ」ブツブツブツ

 

あーもう、すごい。執念がすごい…。さっきまで絶望してたはずなのに…。切り替えの早さが相変わらず異常…。

 

 

まぁ、渡辺はあたしと違ってある程度喋れる人がいるし席替え自体にはあまり反対じゃないんだろうなぁ…。

 

 

それに比べてあたしは未だにクラスで渡辺以外の人とあまり話せないし…。と言うかあまり馴染めてない。ん?待てよ?この前海で渡辺と一緒にいた2人…えっと、名前なんだっけ…?

あの2人ならあたしでもギリギリ…、、うん。やっぱり微妙かも。

 

 

「はぁ〜、せめて、近くの席にならないかな…。」

 

 

そうして時間がすぎていき、いよいよLHRの時間になった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

席替えは前回同様くじ引きで行われた。全員順番にくじを引いて黒板にある番号を確認した。

 

「あたしは…、真ん中の列の1番後ろか…。」

 

渡辺が喜びそうな場所だなぁ。

 

「そういえば渡辺はどこなのかな?」

 

チラッと隣を見る。隣ではなんか負のオーラをまとった渡辺が…。あれ?こんな疫病神みたいなオーラあったっけ?

どうしようすごい話しかけずらい…。

 

「よーし、それじゃ各々の番号の席に移動しろ〜。」

 

それから渡辺に話しかけることができず、あたし達は自分の番号よ席に向かった。

 

「あっ!隣美竹さんじゃん!よろしくー!」

 

先に来ていた隣の人から急にあいさつされた…。あれ?ていうかこの人、海で渡辺と一緒にいた…

 

「よ、よろしく…。え〜っと…、た、田中、さん?」

 

「いや佐藤だよ!?俺の名前そんなに覚えにくい!?一応日本で1番多く使われてる苗字なはずなんだけどぉ!?」

 

あっ、思い出した、佐藤だった。

 

「…念の為聞くけど、この前海で遊んだもう1人のやつの名前は…??」

 

「ッスー、えっと…、、そっちが田中、?」

 

「美竹さん……。」

 

うん、これは絶対間違えてしまったやつだ…。

 

「一応俺らクラス同じなんだし、名前は覚えてもらえると嬉しいかな…。」

 

「ご、ごめん。もう、覚えたから…。」

 

「な、ならいいんだけどさ…。」

 

「「……。」」

 

 

やっぱりだめだ…。あーもう、こうなるんだったら海で遊んだ時もう少し話せるようになってれば良かった…。

 

 

「おい、渡辺!起きろ!」

 

 

気まずい雰囲気の中、前の席の方から担任の声が聞こえた。

 

「ったく、席替えそうそうそんなに堂々と寝るなんていい度胸してるなぁ…」

 

見てみると教卓の目の前の席で渡辺が机に突っ伏しているのを先生が注意していた。

 

ああ、だからさっきあんなに負のオーラを発してたんだ。

 

「お前、いい加減寝るのやめろぉ!」

 

「先生〜、渡辺君は寝てるんじゃなくてうなだれてるんだと思いま〜す。」

 

クラスの誰かがそう言い笑いが起こる。多分本人は相当ショックを受けてるだろうけど。

 

 

それにしても、結構遠くなっちゃったな…。

 

「蓮の隣じゃなくて寂しい感じ???」ニヤニヤ

 

この佐藤って人どことなくノリがモカみたい…

 

「い、いや、別に…。そんな事ないし…、」

 

 

嘘だ…。本当の事を言えば少し寂しい。あたしはまだこのクラスに全然馴染めてなくて渡辺以外にちゃんと話せる人なんていない…。

 

でもまぁ、席が変わっただけで別にクラスが変わるわけじゃないし、それに話したかったら渡辺のところに行けばいいだけだし…。

 

うん、そうだよ、別に寂しいがる必要なんてない…。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

それから2限目、3限目と今日の授業が始まった。

 

 

(なんか、物足りない…。)

 

2限目以降あたしはずっとこんな感じで授業に集中出来なかった。

授業の後の休み時間に渡辺の所に行こうとしたけど、渡辺は既に近くの席の人と仲良く話していてあたしが行けるような雰囲気じゃなくて断念した。

 

(この感じ…、1学期の最初の頃に戻ったみたい…。)

 

あの時は学校にいても退屈でつまらなかったな。でもあの席になってから、と言うか渡辺の隣になってからは退屈だった学校が少しずつそうじゃなくなってきてた。

正直に言えばずっとあの席のままでいたかった…。

渡辺の隣にいる時間はいつも楽しかったと、今まで過ごしてきて思ったから…。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

こんな憂鬱な気分のまま時間だけが過ぎていき、気がつけば5限目が終わっていた。

 

(確か次は担任の担当する授業だったような…。)

 

そんな事を思いながら次の授業の準備をしていると、まだ休憩時間だと言うのに担任が入ってきた。

 

「先生ー!ちょっといいっすかー?」

 

するといきなり隣の佐藤が手を挙げ先生に呼びかけた。

 

「ん?どうした佐藤?」

 

「いや〜実は今日1日この席で授業受けてたんすけど〜、最近視力が落ちてきて黒板の字が見えにくいんですよね〜〜。」

 

そう言いながらあたしの方をチラッと見てくる。

 

え、いきなり何言ってるの…?

 

「そうなのか。そういう事は席替えの前に言ってくれるとありがたかったんだがなぁ。」

 

「いや〜、俺とした事がうっかりしてましたァ〜!」

 

すっごいわざとらしい言い方…、何が目的なの…?

 

「いや〜困ったなぁ〜!誰か席交換してくれるh…「佐藤!!俺の席教卓の前で黒板見やすいから俺と交換してくれ!!」お前って本当思惑通り動いてくれるよな…。」

 

さっきまで机に突っ伏してた渡辺がありえない速さで反応した。

 

「よし、それじゃあ佐藤は渡辺と席を交換するって事で大丈夫か?」

 

「はーい、大丈夫でーす。」

 

いきなりすぎてよく分からないけど、どうやら佐藤と渡辺が席を交換するのが決定したみたい。、、、ん?それってつまり…。

 

「ねぇねぇ美竹さん」ヒソヒソ

 

「な、何…?」

 

渡辺が移動の準備を始めている時に、佐藤が小声で話しかけてきた。

 

「良かったねぇ!蓮が来てくれるってさ!」ヒソヒソ

 

「やっ、別にあたしは何も…」

 

「いやいや、今日ずっと蓮の方見て暗い表情だったのバレバレだったから!」ヒソヒソ

 

「そ、そんな事//」

 

「蓮も多分美竹さんが隣の方がいいと思ってるだろうし、これが1番でしょ!」

 

「…もしかして、これが目的であんなわざとらし演技を…?」

 

「…まぁ、ずっと隣であんな暗い顔されんのもあれだしさ…。美竹さんもこっちの方がいいでしょ?」

 

「でも、佐藤はいいの?…」

 

「ああ、俺は席なんて別にどこでもいいし、全く気にする必要なし!」

 

「おーい佐藤、こっち片付けたから荷物持ってきていいぞー!」

 

「はいよー!それじゃ美竹さん、頑張ってね!!応援してる!!」

 

「えっ、ちょ!な、何を!?//」

 

そう言うと佐藤は渡辺の席の方に行ってしまった。

 

「あれ?佐藤の隣って美竹だったのか?」

 

「う、うん。まぁね…」

 

「そっか、いや〜にしてもこんなにいい席を譲ってくれた佐藤には感謝だなぁ…。」

 

「そう、だね…。」

 

「しかもまた美竹の隣だしな〜。」

 

「うん、//」

 

「やっぱり話慣れてる奴が隣だと安心するな〜。」

 

それは本当に同感。

 

今度佐藤にはなんかの形でお礼しよう。

 

「ねぇ、渡辺…。」

 

「ん?」

 

「これからもよろしくね…、」ニコ

 

「おう!よろしく」ニッ

 

 

 

それからあたしは授業中でも関係なく、ずっと渡辺と話していた。また隣で過ごせる事が嬉しくてついつい話すぎたかもしれないけど、渡辺の方もすごく楽しそうだったし、別に今日くらいは良いよね…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





以上、今回のヒーローは佐藤君でした。


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いつの間にか…

ヽ(・∀・)ノヘイヘイヘーイ





ある日の休み時間、教室の前の席の方で渡辺、佐藤、鈴木(ちゃんと覚えた)のいつもの3人組がスマホゲームをしていた。

 

渡辺はともかくほか2人もそれなりにうるさくなるんだなぁ…。

 

佐「おい、敵来てんだろぉ!!」

 

鈴「ピンさせピン!!」

 

蓮「シャラくせぇさっさと詰めるぞ!!」

 

鈴「お前らマスティフ2丁もちって頭悪すぎんだろ!?考え直せぇー!!」

 

蓮「お願いマスティフ!めっちゃ当てた〜い♪」バァン

 

佐「お願いマスティフ!めっちゃ当てたいYes♪」バァン

 

「「お願いマスティフ!めっちゃ当てまくればウー!ハー!ダブハンに爪痕だ〜♪」」ブタイゲキハ

 

鈴「こんなにふざけててもこいつらまじで取るから怖いんだよなぁ…。」

 

 

 

 

 

渡辺のあのノリについて行く2人がすごいと思う……。その後もしばらくゲームを続けて次の授業の先生が来たら急いでスマホをしまい、各々席に戻って行った。

 

今の渡辺の顔、すごい必死で面白かったな…。

 

「フフッ」

 

「っぶね〜、見つかるとこだった。」

 

「さっきの渡辺顔見てて面白かったよ。」

 

「何笑ってんだよ…。あ、そういえば美竹、」

 

「?なに?」

 

「ゲームしてる時なんかずっとこっち見てたけど、なんか用あったか?」

 

「…え?、いや、別に、」

 

「そう、まぁならいいんだけど。」

 

 

 

渡辺の問いかけはなんでもない事のように思えたのに、ふと心のどこかに引っかかった。たしかに、どうしてあたしは渡辺の事を見ていたんだろ…。

 

 

 

「まぁ目立ってたから…かな…?」

 

「ああ、なるほどねぇ〜。」

 

渡辺は納得したみたいだけど、あたしはずっと引っかかったままだった。

 

「あ、そうだ美竹、ちょっとこのゲーム一緒にやってみないか?」

 

渡辺はスマホの画面を見せながらずいっと近ずいてきた。おそらくさっきまでやってたゲームだと思う。

 

「いや、あたしこういうゲームはあんまり……」

 

画面に向けていた視線を隣に移したとき、すぐ近くに渡辺の顔があって思わず言葉が詰まってしまった。

 

(いや、なんであたしはこんなにドキドキしてんの!さっきまで普通だったのに!)

 

隣で渡辺がゲームの説明をしてるけど全く頭に入ってこない。

 

(と、とりあえず落ち着こう。大丈夫、相手は渡辺だし、別にそんなに緊張する必要もない。いつも通りにしてれば大丈夫、、)

 

「美竹??」

 

「へっ、はい//」

 

「大丈夫か?なんか顔赤いし、具合でも悪いのか…?」

 

「いや、全然大丈夫//、そ、それよりもうすぐ授業始まるし準備しないと///」

 

「お、おう」

 

 

…やっぱり最近のあたしは変だ。映画見に行った時とか、夏祭りの時だってそうだった。

 

気がつけば彼の事を考えていて、同じ空間にいればついつい見てしまう。

 

ふと、机の脇にかけてある自分のカバンに視線を向ける。カバンの中には夏祭りでもらったあのお守りが入っている。

 

あの時はあたしは気にしてないって言ったけど本当はずっとドキドキしてて、お守りを貰った時なんかはすごくびっくりしたけど、心のどこかで''嬉しい''と感じていたところもあった。

 

 

 

……ん?''嬉しい''??どうして??、、相手が渡辺だったから??

 

 

 

(じ、じゃあ、もし仮に渡辺があのお守りの効能を知った上で渡してたらあたしは……、)

 

 

「…////」ズドンッ

 

 

そう考えるとだんだん顔があつくなっきて、思わず机に頭突きをするように机に突っ伏してしまった。

 

「み、美竹…さん?」

 

隣からは戸惑った渡辺の声が聞こえたけど今のあたしには反応する余裕がなかった…

 

 

 

多分それであのお守りを貰ってたら……、受け入れていたかもしれない…、

 

 

(ていうことは、あたしは、、渡辺の事が…、、)

 

 

 

……いやいや、落ち着こう。まだ結論を出すのは早い。だって渡辺だよ?ゲームしか取り柄なくて体力なくて引きこもり気味なあの渡辺だよ?…ゲームしか取り柄ないは言いすぎたかもしれないけど…。

 

 

蓮(なんだろう、なんか、すごいコケにされてる気がする…。)

 

 

と、とりあえず、冷静に考えないと…。

 

 

でも、その後もろくに渡辺と話す事が出来ず、授業にも全く集中出来なかった……。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

昼休み……。

 

 

 

「はぁ〜…」

 

「蘭〜、なんか今日元気なくない〜?」

 

「え…、そうかな…?」

 

「うん、見るからにないね。」

 

いつも通り屋上でみんなと昼食をとっていたらモカとひまりがこんな事を言ってきた。

 

「もしかして、クラスでなにかあった?」

 

「まさかいじめられてるのか!?」

 

2人に続きつぐみと巴も…。

 

「いや、別にそんなんじゃ…。」

 

「もしかして〜、なんか悩みとか?」

 

「……」

 

悩みって言った方がいいのかな…。

 

「まぁまぁ、このモカちゃんに話してみそ〜?」

 

「……、えっと、これはその、あたしの友達の話なんだけど…。」

 

(あ、これ絶対蘭の話だ〜)

 

(蘭って蓮くんとあたし達以外あんまり仲良い友達いないのに…)

 

(い、いったいどんな悩みが…)

 

(蘭ちゃん…)

 

 

「えと、、その人には最近気になる人がいて…今までは普通に話してたんだけど、なんか急に話せなくなっちゃって…。」

 

 

(あ、これれー君の事だ…)

 

(蓮くんだね。)

 

(蓮だな。)

 

(蓮くんに違いない…)

 

 

 

「ふ〜ん?ちなみにその人はどんな風に相手の事が気になってるのかわかったりする〜?」

 

「…えっと、、気がつけばその人の事を考えてて、あとは…同じ空間にいるとついつい目で追っちゃう…みたいな…。」

 

「そ、それでそれで??他には?」

 

「えと、、…話したいんだけど、いざ話そうとすると上手くできなくて、いつも通りに振る舞えなくて…すごくドキドキするけど、でも一緒にいたいって言うか……///うぅ//」

 

 

(いやそれって、)

 

(間違いない…)

 

(蘭ちゃんは…)

 

「いや〜、もうそれって''恋してる''って事で確定じゃ〜ん、」

 

 

…モカの一言を聞いた瞬間、大きな溝が綺麗に埋まったみたいにしっくりきた。

 

「…やっぱり、そうなのかな…//」

 

「うん、誰に聞いてもみんなそう答えると思うよ!」

 

「むしろ恋以外答えが見当たらないぞ…。」

 

「うん、あたしもそう思うよ!蘭ちゃん!」

 

 

「そっか…。」

 

 

なんか、不思議な感覚…。さっきまでこの気持ちが受け入れがたかったのに、今ではすごい胸に馴染んでいる。

 

 

 

 

そうなんだ…。今まで一緒に過ごしてきていつの間にかあたしは渡辺の事が…好きになってたんだ…。

 

 

 

 

 

「いや〜、それにしても、蘭がれー君に恋するなんてねぇ〜。」

 

 

「なんだかんだ言って蓮くんも優しいからね!この前学校に閉じ込められた時も蘭のこと助けてたし!」

 

「…、、!?!!?いや、//なんで!?…///あたし一言も、、、あ…」

 

 

しまったと口を抑えたけど既に遅かった…。

 

 

「え?もしかしてバレてないとでも思ったの!?」

 

 

「説明してる時の蘭ちゃん、完全に恋する乙女だったよ?」フフッ

 

 

「あたしは応援してるぞ!蘭!」

 

 

「…なっ、な、/////」プルプルプ

 

 

バレてた、最初から見抜かれてた…!

 

 

「おー、蘭の顔が真っ赤だ〜。」

 

 

「あははは、、そうだ蘭ちゃん、告白とかしないの?」

 

 

「こ、告白なんて…//まだ、絶対に無理…///」

 

 

 

それからあたしは皆から質問の嵐にあい、昼休みが終わった。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

うぅ、酷い目にあった…。でも、みんなに色々話したおかげで自分の気持ちと向き合えたし、良かったかも…。

 

 

「あ、美竹…。」

 

「渡辺…。」

 

教室に戻る途中、ばったり渡辺と遭遇した。

 

「ッスーえぇっとぉ…。」

 

「なにやってんの、早く教室行こ。」

 

「お、おう。」(あれ?いつも通りに戻ってる…)

 

なんか渡辺がよそよそしいような。

 

「…?どうかしたの?」

 

「いや、昼休み前までなんと言うか…俺のこと避けられてる気がして戸惑ってたんだけど…。今はいつも通りだなって…。」

 

「…え?あたし渡辺の事避けてた??」

 

「いやまず話しかけても応答なかったし、少し近ずくと何故か距離を取られるし…」

 

 

うそ、あたしそんな事してたの…?全く記憶にない…。どれだけ余裕がなかったんだろ…。

 

 

「ご、ごめん。ちょっとその、悩み事があって…」

 

「なるほどなぁ、今は変じゃないって事はもう解決したのか?」

 

「…うん。もう大丈夫。色々ごめんね。もういつも通りだから。」

 

「そっか。悩んでたなら相談してくれても良かったのになぁ。」

 

 

…言えるわけないじゃん本人に。でも、こういう優しいところがあるからあたしは好になったのかな…。

 

 

「ちなみに、どんな悩みだったか聞いてもいい?」

 

 

「あぁ、別に大したことじゃないんだけど…。ちょっと好きな人ができたってだけ。」

 

 

「ほーん、なるほどねぇ。…………………ヴェァ?」

( ゚∀゚)???

 

 

「ん?」

 

 

「え、ちょ、はぁ??まじでぇ???誰!?同じクラスの奴!?バンド関係の人!?」

 

 

「フフッ、それは言わない…。」

 

 

あたしは戸惑う渡辺をおいて先に教室に向かった。

 

 

「えぇっ!?まじなのかぁ!!?まじで言ってんのかああぁああああ!!?」

 

 

 

後ろから渡辺の驚きの声が聞こるけどおそらく本人は全然あたしの思いなんて気づいてない。

 

 

おそらく女の子の友達ぐらいの認識しかないと思う。今はまだそれでいい。でもいつか、あたしの口からこの思いを伝えられるように、振り向いて貰えるように頑張らないと…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




APEXのスマホ版ていつ来るんやろなぁ(´ ▽`).。o ボケ~


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混乱

(((((っ・ω・)っシュババビ!!









とある昼休み……

 

 

 

蓮「なぁおいてめぇら知ってたかぁ!!!??!!美竹のやつ好きな人がいるらしいんだ!!!!!!!!」(迫真)

 

 

鈴「ほ、ほう…」←何も知らない

 

 

佐「まぁ、とりあえず鈴木にも説明してやれや

( ‘ч’ )ŧ‹”ŧ‹”」←把握してる

 

 

 

 

だいたい説明中……

 

 

 

 

鈴「なるほど…、その流れで美竹に好きな人がいる、と知った…ね。なぁ佐藤…。」

 

佐「んん?」

 

鈴「こいつ、ほんっっっっっっとおもしれぇなwwwww」

 

佐「せやろぉ〜(^^)」

 

蓮「( •᷄ὤ•᷅)アアン???」

 

なんだコイツらの反応…。こんなビックニュースだと言うのに毛ほども驚いちゃいねぇ。

 

蓮「まさかてめぇら知ってるクチか…、おい相手は誰なんだ!?教えろぉ!?このままじゃ気になって夜しか寝れねぇ!」

 

佐「はははははははは。それは出来ねぇ相談だな!あと夜寝れるんなら問題は無い。」

 

鈴「まぁ、でも美竹の好きなやつはめちゃくちゃ身近にいるけどな

wwww」

 

蓮「身近ぁ!?ってことはクラスのやつなのか??あいつ全く話さねぇクセに…!」

 

温厚な性格の山田か?それともスポーツ万能の後藤か??それともガンダム勢の長田君か???(おっす!オラ長田〜!)ダメださっぱりわからん!!

 

佐「気になるのか?美竹の好きな相手の事が。」

 

蓮「いや、別に気になるって訳じゃなくて…、なんだ?意外っつーか驚きっつーか…。」

 

 

まぁ確かに聞いた時は驚いた。あの美竹がはっきりと好きな人がいると口にしたんだ。そりゃあ考えて見れば別にいてもおかしくはないかもしれない。むしろ俺らの年頃だとできて当たり前なのかもしれない。あいつにはバンドがあるからこんな事は考えた事もなかったけど。

 

 

いや待て、意外とか驚きとか以前に…何故俺はこんなにも''動揺''している…?

 

 

鈴「おやおや?うかない顔してますぜ旦那ァ。」

 

佐「誰なんだろ〜な〜美竹の好きな人って〜?めちゃくちゃ身近にいらっしゃるんだけどなぁ〜?」

 

 

蓮「身近ってことはバンド関係っていう線はないし…。クラスにもそれっぽいやつは皆無、、」

 

((どうしてこうも自分を可能性の中に入れないかなぁ…。))

 

佐「はぁ〜、そろそろ真面目に考えてみたらどうだ、蓮。」

 

鈴「考えればすぐ分かることだろ。」

 

 

 

…………

 

 

………この時俺の中である可能性を見つけた…。美竹が好きになるってことはその相手はありのままの自分を見ても受け入れてくれる、つまり変な気を使わず''いつも通り''にしていられるからなんじゃないかと…。

 

(あいつがいつも通りに振る舞える相手なんて限られてる…、真面目に考えればわかるじゃねぇかよ…。美竹が好きかもしれない相手…それは、、)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮「青葉…??」

 

・幼馴染だから変な気は使わないしいつも通りいられる。

 

・ある可能性=実はレズだった。

 

 

 

「「お前それまじで言ってる…????」」

 

 

 

真面目に考えたけど違ったみたい☆

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

(ちくしょう…なんなんだこのそわそわする感じ…。別に美竹に好きな人ができても俺には全く関係ないってのに…。どうして俺がこんな……)

 

 

「あ、渡辺〜。」

 

ッ!?こ、この声は…。

 

「お、おう美竹…。」

 

昼休みの帰り、飲み物を買いに行く途中で後ろから声をかけられて振り向くと、美竹が…。

 

「渡辺、朝飲み物買うの忘れたって言ってたよね?あたし今から自販機行くけど一緒に……、、、え、どうしたの…そんなに凝視して。あたしの顔になんかついてる?」

 

「え!?いやいやいや!べべべ別に!?」(やべぇさすがに見すぎた!)

 

「?まぁいいや。自販機行くけど渡辺も一緒行く?」

 

「あ、あ〜ね…、、、いや、実はさ、俺昼休みに飲み物買っちゃってさ、ていうか買いすぎて飲みすぎで困っちゃうぐらいでさぁ…、、」

 

「わ、渡辺…?」

 

「つ、つ〜訳で、1人で行ってきてくれぇ〜〜〜〜!!!」ダダダダ

 

「え、えぇ!?」

 

 

 

 

渡辺は逃げ出した!!!

 

 

(あたし、なんかしちゃったかな…?)

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

(ちくしょう何故俺がこんなにも美竹の事を意識しなければならんのだ…。)

 

現在教室で寝たフリをしながら悶絶中…。

 

(オーケーオーケー、ちょっと1回冷静になろう。……。よし、落ち着いた。まぁこれはあれだ''寂しい''ってやつなのかもしれない。美竹とはなんだかんだあったけどそれなりに仲良くなってライブにも見に行くようになったし、俺の中では佐藤達と同じぐらい気の許せる友達だと思ってる。そんな美竹が誰かのものになる事が寂しく思えて今みたいな感じになってるに違いない。)ウンウン

 

 

クラスメイトA(なぁ、あいつさっきから変じゃね?)

 

クラスメイトB(きっと悪夢にうなされてんだよ。ほっとき。)

 

 

1部クラスの人達から心配の眼差しを向けられているがそんな事に気づく余裕はなかった。

 

 

(そうさ!こんな時友達なら応援してやるべきだろ!あんな目付き悪くてパッと見不良で素直じゃない美竹だけど好きな人ができたんだ!まぁあいつの事だから上手くいかないかもしれないけど無事恋が実った時は祝福してやらんとな!)

 

 

 

……

 

…………

 

………………。

 

 

 

 

(なんなのこのモヤモヤ!!!!!!!!!)ズドン!!

 

 

A(おい、あいつ今度は机に頭突きしだしたぞ…。)

 

B(見るな、あれは見てはいけないものだ。)

 

 

 

「なぜ俺の心はこんなにも乱れてるんだ…。」

 

「大丈夫?渡辺…。」

 

っ!?いつの間に戻ってきた!?

 

「お、おう。え?いつから帰ってきた?」

 

「いや、今だけど…。」

 

「そ、そうか。良かった…。」

 

「…なんか変だよ?どうかしたの?」ズイ

 

「だ、ダイジョフデス…。」ススス

 

近い、お願い、やめて!今の俺に近ずかれるのは非常にまずい!

 

 

「ならいいんだけど…。」

 

(なんだろう…、なんか避けられてるみたい…、)

 

 

……そもそもだ、美竹は好きな人がいるなら俺なんかにかまわずそいつに猛アピールしてれば良くないか?さっきの自販機のくだりだって俺じゃなくてその人を誘えばよかろうに…。

 

まぁいいか…。とりあえず今日はもうひっそりとしてよう。このままだとどうにかなっちまう…。

 

 

 

その後もあまり美竹とは会話をしないように残りの授業をやり過ごした。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

放課後…

 

 

 

蓮「佐藤に鈴木、帰ろ〜ぜ、そしてゲーセン行くぞぉ。」

 

鈴「え〜っとぉ…。」

 

佐「……。」

 

授業が終わった瞬間、2人の元へ行ったのだがなんだものすごくよそよそしい…。

 

蓮「なに、どしたん??」

 

鈴「き、今日は遠慮しとこう…。」

 

蓮「はい?」

 

なんだ、明らかに雰囲気がおかしい…。

 

佐「貴様には分からんのか?あの視線が。」

 

そういい佐藤は後ろを指さす。視線とな?なんぞや?

 

佐藤の言う方向を見てみる。

 

 

 

「…………。」ジーーーーー

 

 

 

0.1秒。え?なんの時間かって?佐藤の言うそれを見てから目を逸らすまでの時間だよ。

 

簡潔に説明するとクソがつくほど機嫌が悪そうな美竹が頬ずえをしながらこちらを観察しておりました…。

 

 

鈴「……、やつは覇王色の覚醒者だったのか…。」

 

佐「シャ○クスが可愛く見えてくるな…。」

 

蓮「んなこたァどうでもいいわ!なんであんなにキレてんだよ美竹のやつ!?」

 

今までの中でいっちゃん怖い!

 

佐「いやだってお前明らかに美竹の事避けてたじゃん…。」

 

鈴「クラス中のヤツらが知ってるぞ?ちなみに。」

 

蓮「いや、そ、そんな事は…。」

 

ないこともないから否定できない…。

 

佐「お前に相手にされなかったから寂しいがってんだよきっと…。」

 

え?あれ寂しがってるように見える??明らかに違うよね?だってなんかこう…、後ろの方に『ゴゴゴゴゴゴ!!!』って見えるもん!よく少年漫画で強キャラの後ろに着いてるエフェクトみたいなの見えてるもん!!

 

 

「……。」ガタッ

 

すると今度は無言で立ち上がりゆっくりとこっちに向かってくる…。ちなみに強キャラのエフェクトはそのままで。

 

 

鈴「やっべ逃げるぞ佐藤!」ダダダダ

 

佐「強く生きろよ!蓮!」ダダダダ

 

蓮「や、ヤダ!!!俺まだ死にたくないよォォォオオ!!!!!!!!」

 

それを確認した2人はありえない速度で荷物をまとめ教室から出ていき、俺だけが取り残された…。

 

 

「渡辺。」

 

 

あ、もうすぐ後ろにいらっしゃるん♪

 

 

「お、おう!」

 

「ちょっと今日モカたち先に帰ったみたいだから一緒に帰ろ?」

 

「ぇエト、ソノアノ…」

 

「か、え、ろ?」(圧)

 

「はい。」

 

 

 

それしか言えなかったとだけ言っておこう。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

帰り道…

 

 

 

「……。」

 

「……。」

 

 

えーただいま2人で帰宅中でございますがお互いリアルでミュートの状態が続いております。''2人きりの帰り道''で、です。こんな事経験したことありますかぁ?しかも誘ったのは美竹なのに中々話題を振ってきてくれません。ちなみに私は振る勇気がありません。

 

「ねぇ渡辺。」

 

ようやく口を開いた美竹、

 

「な、なに…?」

 

「今日ずっとあたしの事避けてたでしょ…。」

 

「……、、」

 

(やばい、肯定も否定もしたくない話題が来てしもうた…。)

 

俺はなんと答えたらいいのか分からず、沈黙で答えることしか出来なかった…。

 

「…、あたし渡辺になんかしちゃったかな…?」

 

「み、美竹、?」

 

「…、もしあたしが渡辺に何かしちゃってたなら謝る…。でもずっと黙ったままだとあたしも分からない…。だから、何か言ってよ…。」

 

 

この時の美竹の顔を見た瞬間、ふと青葉が言ってた事を思い出した…。

 

 

『蘭はれー君に実は嫌われてるんじゃないかって思ってとてもとても不安だったので〜す。』

 

これはいつだったっけ…、確か俺が美竹のLINEを無視してしまった時だったような…?まぁその時は結果的にそうなってしまった感じだったけどな。

 

でも今回は、、違う…。俺は明確な意志を持って美竹の事を避けてた。…前回のやつより数倍タチが悪い…。

 

そうだよな…、美竹からしたらめちゃくちゃ意味わかんねぇよな、自分が何かしてしまったんじゃないかって不安になっても何もおかしくない。

 

全っっっ然何も学習できてない自分に嫌気がさす。なんだよ、俺めちゃくちゃ美竹に酷いことしてんじゃん…!

 

 

「渡辺…?」

 

「…美竹、悪かった…。美竹の言う通り、ずっと避けた…。」

 

「…、やっぱり、そうだったんだ…。」

 

「いや、でも美竹が何かしたって訳じゃない、なんなら今回美竹は何一つ悪くなくて、悪いのは全部俺で…。」

 

「…え?そう、なの?あたしが何かしたとかじゃなくて…?」

 

「ああ、そんな事全然これっぽっちもないからその辺は大丈夫だ。」

 

「じゃあ、なんであたしの事避けてたの…?」

 

 

…理由を言わないと納得なんてするわけないよな…。仕方ない…言うしかねぇのか……。

 

 

「…美竹さ、この前好きの人がいるって言ってただろ…?」

 

「う、うん…。」(ま、まさか、バレてたとか!?!!)

 

「それで、だ…、その事で何故か知らんけど俺、めちゃくちゃ動揺しててだな、いつもみたいに話せなくなってしまって…。それがだんだん酷くなりそして現在にいたる、、みたいな、、」

 

 

「……それがずっと避けてた理由…?」

 

「…」コク

 

「……、」

 

あああもういいよぉぉ。もういっそ56せよ!!こんなよく分からん理由で困らせたアホの俺を誰かブチ56してくれぇぇぇぇぇえ!!

 

 

「…フッフフ、アハハハハ。」

 

「み、美竹さん??」

 

「ご、ごめん…理由が思ってたのと全然ちがくて…」ハハハ

 

「お、俺はてっきり怒られるものだと…、」

 

「いや、その理由聞いた後に怒るとか、、無理、、」アハハハ

 

さっきとは打って変わって健やかに笑いやがって…、まぁもういいさ。それでいいならどうぞ、気が済むまでこのアホを笑ってくれ。

 

美竹がひとしきり笑い、それからは気まずい空気は消え俺もいつも通り話せるようになった。

 

「…でもよかった、また嫌われたかと思った。」(それに、''動揺''って事は少しはあたしの事も意識してるって事…だよね?)

 

「いや、そもそも嫌う理由が見つからん。」

 

「そ、そう//」(また渡辺はそういう事を…、)

 

あ、そういえば気になることが…、

 

「なぁ美竹。」

 

「何?」

 

「お前、好きな人いるのに俺なんかと帰ってて大丈夫なのか?自販機の時もそいつ誘えば良かっただろうに、もっとアピールとかしなくていいのか?」

 

こればかりは授業中も気になってた事だしな…。

 

「…、うーん。」

 

「???」

 

「まぁ、その辺は大丈夫かな…。」

 

「え、大丈夫なの!?もっとそいつにグイグイ行った方が効果的じゃない??」

 

「うん、大丈夫。…というか、これが1番''効果的''だから。」

 

 

 

??????また謎が深まった…。

 

「そ、それならいいか…。まぁなんだ、無事美竹の恋が実ったら祝福してやんよ。」

 

「フフ、それは無理かな…。」

 

「えぇ!?」

 

(だってその場合、渡辺は祝福する側じゃなくて''される側''だしね…//)

 

 

またまた謎が深まり、そして気がつけば美竹の家まで来ていた。道のことなんか頭になくてなんかワープした気分だ。

 

「それじゃあね、渡辺。……あ、そうだ。」

 

「ん?」

 

家に入る寸前で美竹がこちらに振り向いた。どうやらまだ何か話があるらしい。

 

「渡辺、確かにあたしには好きな人がいるけど、渡辺はそれに変に気を使わなくて良いから、いつも通りでいいから!それだけ!」

 

「お、おう…。」

 

それだけ言って美竹は家に入っていった。

 

「…とりあえず、帰るか…。我が家へ。」

 

それから俺も家を目指し歩いた。

 

今日は色々考えたりぶっちゃけたりと疲れた1日だった…。美竹の好きな相手も気になるし、何より、なんで俺はこんなにも動揺して頭ん中モヤモヤしてんのかも分かんねぇし…。

 

 

でもまぁ、美竹への誤解も解けたし本人もいつも通りに接していいと言ってたしな…。

 

 

 

 

「はぁ〜、ゴチャゴチャし過ぎて頭痛い…。帰って風呂はいろ…。まとめんのはそれからだ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




SSって難しぃねぇ〜。( ゚ρ゚ )





誤字とかあったら報告してくださると非常に助かります。


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文化祭やるってよ



閃光のハサウェイ見に行きたァーいヾ(.ω. ノ  )ノシ


 

「えー、いきなりですが、文化祭があります。」

 

「「「「「きちゃあああああ!!!」」」」」

 

その一言でクラス中が盛り上がった。

 

「いや、いきなり学校っぽいの来て笑うんだけど(笑)」

 

「文化祭…もうそんな時期なんだね…。」

 

そう、夏休みが終わり、しばらくダラダラと過ごしてたら知らぬ間に文化祭まで1ヶ月を切っていた。

 

「今日のホームルームでは文化祭で何をするか決めてもらう。そんなわけであとは文化祭委員に進行を任せる。」

 

文化祭委員?そんな委員あったか??

 

「はい!それでは進行を務めさせていただきます!文化祭委員の佐藤です!」キラ

 

いやお前かーい。

 

「ではまずクラスで何をしたいか聞きたいと思います!ちなみに俺はメイド喫茶なるものをやりたいです!!」

 

おい、進行役が意見言ってどうする…。

 

「あ、それいいかも!」

「私メイド服来てみた〜い!」

「演劇部から何着か借りれるよ〜!」

「喫茶店でバイトしてるから接客なら任せろー!」

 

しかしこれに賛成するヤツらが意外とたくさんいた…。というかクラスの大半が賛成してるまである。

 

「渡辺はメイド喫茶に賛成なの?」

 

あまり乗り気じゃないのか、それともそもそも興味ないのか、けだるそうな顔をした美竹が聞いてきた。

 

「まぁ正直にぶっちゃければなんでもいい。」

 

なぜなら俺はあんまこう言うのは関わらないからな!

 

「美竹は大丈夫なのか?このままだとメイド喫茶決定だけど。」

 

「あたしが意見を言ったところで変わるわけないし……、別にいいかな。」

 

ははは、さすが美竹。流れと言うものをよく理解していらっしゃる。

 

 

「よし、では我がクラスは『メイド喫茶』に決定ということで!!」

 

うわ〜めっちゃ嬉しそーやん。そんなに女子のメイド姿が見たいのかね彼は。別にそうでも無いだろメイド服なんて。あれは漫画とかのキャラがやるから可愛く見えんだよ。リアルの女子、ましてや同じクラスのやつがやってもなぁ…。

 

 

「それじゃあまず、メイド役から決めたいと思いまーす。やりたい女子は手を挙げて!!」

 

「あたしやってみた〜い。」

「ウチも〜。」

「メイド服きたーい!」

 

あらあらもうほとんどの女子が挙げてるじゃん。人気ですねぇ。

 

チラッと横目で美竹の方を確認してみる。ほとんどの女子が手を上げてる中、美竹だけが『かんけえねぇ』みたいな顔してただ時間がたつのを待っているようだった。

 

「美竹は着たくないのか?」

 

「メイド喫茶やるのはいいけど別にメイド服を着たいとは言ってない。」

 

あ、もうあの顔は絶対着ないと決めたお顔ですわ。

 

 

ん〜、美竹のメイド姿か〜。

 

 

『お、おかえりなさいませ///ご、ご主人様…////』カオマッカ+ウワメズカイ

 

 

「…」ドガァン!!

 

「!?なんで急に机に頭突きしてんの!?」

 

「…ッスー、、いや、ちょっととんでもないものが脳内に侵入してきたもんだから…。」

 

…あっぶねー、なんか色々持ってかれるとこだった…。なんつったら良いのかな〜、なんなのかな〜、なんかこう…、やっべぇな。(語彙力)

 

 

 

脳内が逝きそうになっている間にどうやらメイド役は決まったようだ。残りの係は看板作り、料理、教室の装飾などなど。

 

これらも佐藤の進行の元、スムーズに決まって行ったのだが料理の係を決める際、問題が起きた。

 

「え〜と、料理係なんですけども、渡辺は''確定''で入れるとして、やってみたい人いますか〜?」

 

「…おいちょっとまて、佐藤今お前なんつった???」

 

「お前は確定で入れると言った。」

 

「なぜ確定なんだ?なぜ俺の意思は尊重されないんだ?説明求む!」

 

「え?だってお前この前『家で普通に料理してる』って言ってただろ。」

 

「え!?ウソー!!」

「渡辺くんて料理できたのー!?」

「信じらんな〜い!」

「ギャップうけ狙ってんじゃねぇぞぉ〜!」

 

おい、こらとりあえず落ち着けこのチンパン共がぁ!

 

「おい佐藤、それは誤解だ。俺は普通になんて言ってない。『たまにやる』って言ったんだよ!」

 

「やってる事に変わりないから採用!」カキカキ

 

「表に出ろ貴様ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」

 

 

なんと強制的に料理係になってしまうという事件が起きてしまった。ちくしょう。装飾係にでもなって無難に文化祭を乗り切る俺の計画が…。

 

 

「…渡辺って料理やるんだ…。知らなかった…」

 

美竹までも驚きの目で見てくる始末。

 

「…まぁ、ウチは親が家を空けるのが多いからな。弟と交代で飯作ってたらそれなりに出来るようになっただけでだなぁ…。お前はいいよなぁ、無難に看板係できて…」

 

「う、うん。まぁね…。」

 

(…、あたしも料理できるようにならないと…!)

 

 

それからも佐藤の進行は続き、全ての係が決まった。あとは文化祭までにどれだけ準備ができるかという感じだ。いや、全然納得できてないんだけどね?

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

文化祭まで残りわずか。今日から本格的に準備が始まる。今は料理係でメニューの試作をするため調理室に来ている。

 

 

 

 

まぁ料理係の仕事はあれだろ?メニュー見てなんかいい感じにテキトーに作れば良いだけだろ?知らんけど。

 

 

 

「えーと、作って欲しいメニューは、『ナポリタン、オムライス、ホットケーキ。ソフトドリンクはテキトーに任せる』…、ソフトドリンクは良いとして、結構だりぃメニューだなおい。」

 

佐藤から渡されたメニューのリクエスト表を見てやる気がもう無くなりました。

 

料理係は俺を含めて10人。まぁこんだけいれば料理得意なやつらもいるだろうし、そいつらにめんどくさい料理を丸投げすれば良いだけだな!

 

「あ、あの佐藤君!」

 

「ん?」

 

唐突に係の1人の女子から声をかけられた。もしや、『料理の事なら渡辺に任せて!!』的な感じのやつ?それだったらもう『命の恩人感謝永遠に〜』みたいな感じになるんやけど。

 

「ここにいる人達は全っ然まったく料理が出来ないから!渡辺君だけが頼りだよ!!」

 

 

……、、この腐れ女今なんつった???

 

 

「……おい、確認のため聞くけどこの中で料理に自信ある人っている??」

 

 

シーン

 

「…逆に料理なんてやった事ないし上手くできないって人は?」

 

ババババ

 

「ッスー、、え?じゃあなんで料理係なんて選んだ!?」

 

「え、えと俺たちは本来やりたかった係になれなかった奴らの集まりみたいなもんだからな…。」

 

「そもそも料理係なんてやりたいって人あんまりいないよ…。」

 

「渡辺!お前が頼みの綱だ!俺達も可能な限り頑張るから!」

 

 

なにこれダッっっっる!!!?まじかよ、て事はこの中でそれなりに料理できるのは俺だけ!俺はこれから作り方を教えてながらメニューを全部完成させないといけないのかよ…。今更係の交換なんて出来るわけないしな…。

 

 

「…はぁ〜、、分かった。俺もできる限り教えながらやるから。まぁとりあえずやってみるか。」

 

 

「「「「おう!」」」」

 

 

こうなっては仕方がないので腹を括ってやるしかねぇな。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

あれから材料を揃え、最初に俺が料理を実際に作り、どんなものなのか見せる。それからそれぞれ作るメニューの担当を決め、あとはひたすら上手く作れるよう練習するという流れになった。

 

 

(はぁ〜…、疲れる。今頃美竹は看板作ってんだろうな〜。てかあいつ他の係のヤツらと上手く話せんのかな?ていうかなんで美竹は看板係なんて選んだんだ…?まさか、あの係の中にあいつの好きなやつがいたりして!?)

 

「おい渡辺〜、」

 

(もしそうだったらめちゃくちゃ気になる!まじでなんなのこのモヤモヤ!!後でこっそり抜け出して見に行ってやろうかな…。そんでそのままここに帰ってくんのもやめよっかな…。)

 

「渡辺〜!」

 

「っお!?悪い…ぼーっとしてた。どした?」

 

考え込みすぎて声をかけられた事に気づいていなかった…。

 

「この玉ねぎの切り方ってどんなんだっけ〜?」

 

「うん、まずね?切る前に洗って皮向いてからだね?」

 

「あ、やっべ!」

 

おいおい嘘だろ…。

 

「渡辺くーん!オムライス出来たよ〜!」

 

「どれどれ…。っておいこれケチャップライスの上に目玉焼き乗せただけじゃねぇか!?オムライスさっき作ったの見せたよな!?」

 

「あれ〜??」

 

記憶力あんのかこいつらァ!?

 

「頭を使おう。ね?人類には頭が付いてたはず…。」

 

「お!いい感じに玉ねぎ切れたァ!」

 

「切った玉ねぎを生ゴミ入れる袋に入れるなぁァァァ!!ボールに入れろぉぉぉぉ!!!?」

 

「へい!ホットケーキ2人前1丁!!」

 

「1丁じゃねぇんだよ!2人前は2丁なんだよバカがよォ!!!?」

 

「ちょっと!?麺係の人!?遅いよ!?頑張って!!」

 

「お前だよお前!自分で麺茹でてんのに何言ってんだ、二重人格かてめぇはァ!!」

 

「見て見て〜!卵いい感じじゃない??」

 

「おー。んで?米は?」

 

「…まだ炊けてな〜い!」

 

「おめぇなんで米の準備しないで先に卵焼いてんだよ!?」

 

「ナポリタンは私に任せて〜!」

 

「『ナポリタン任せて〜』言うてなんでお前はホットケーキ焼いてんだよ!薬打って幻覚でも見てんのかァ!!?!てかナポリタンから火出てんぞお前!!」

 

「ぎゃあああナポリタンが燃えたああああ!!!」

 

「バカー!!お前ッ!!」

 

「消化器消化器!!」ブォーー!!

 

「何焼いたらこんな炎上すんだよ!!!!そんでなんで米の準備はできねぇのに消化器の準備はできるんだこいつぁよォ!!!???!!」

 

「見て見て!!ダークマター✩.*˚」

 

「誰がそんなこの世に存在しない物質作れって言ったよ!!!!!!卵に何入れたら紫色になるんだよ!!!!?!!!」

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ホットケーキの粉が爆発したああああああああぁぁぁ!!」

 

 

「(ꐦ°᷄д°᷅)おいごらああああああああああ!!!!!!!!!!!!!??!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拝啓、この係を決めてくださった佐藤様……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おめぇ何やってくれてんだバカやろォ。



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準備中にこんな一幕




私たち某ウィルスのせいで高校最後の文化祭できなかったのぉ(; ;)
















「はぁ…、疲れる…。」

 

 

文化祭まで残りわずかとなり、クラスの準備も慌ただしくなってきた。看板係は一足先に出来上がってこれでゆっくりできると思ったら何故か教室の装飾を手伝わされる始末…。

 

なんでも装飾の方でどんな雰囲気の店にするか迷ってるらしい。そのせいであたし達まで仕事に駆り出されるなんて…。これじゃ係分けた意味ないじゃん…。

 

渡辺の方は大丈夫なのかな…?なんかあたし達のクラスが借りてる調理室から爆発音が聞こえるって聞いたんだけど…。後で覗きに行こうかな…。

 

 

「ねぇ〜美竹さ〜ん!なんかいいアイディアない〜?」

 

そう言ってすり寄って来たのは装飾係の女子だった。名前はえっと…。

 

「あ〜!さては美竹さんその顔は私の名前覚えてない顔でしょ〜!」

 

「え、えっと…、ご、ごめん。」(なんでバレるの…?)

 

「も〜、しょーがないなー、装飾係の安達です!改めてよろしくね!美竹さん!」

 

「…うん、よろしく、、」

 

 

美竹蘭は新たにクラスの人を覚えた!

 

 

「えと、それで…アイディアって何?」

 

「あ!そうそう!喫茶店の装飾なんだけどどんな風にするか迷ってるんだよねぇ。なんかいいアイディアない?美竹さん。」

 

「要はどんなに雰囲気にするかって事?」

 

「だいたいそんな感じ!」

 

 

う〜ん、どうしよう、、あたしもあんまりそういうの分からないし…。

 

 

喫茶店……、、あ、そうだ…!

 

 

「じゃあ、こう言うのはどうかな?」

 

「???」

 

あたしは店のデザインとかよく分からないけど、居心地の良い店なら知ってる。

 

「この飾りをこうして……、こんな感じだとどうかな?」

 

「わぁ…!すごい!これだとオシャレで落ち着いた雰囲気のお店になるよ!美竹さんすごいね!」

 

「いや別にそんな事、、」

 

そう、あたしはただつぐみの店の雰囲気を真似ただけだ。別にあたしのアイディアなんかじゃない。

 

「そんな事ある!ありがとうね、美竹さん!みんなー、装飾どうするか決まったよー!」

 

そう言って安達さんは装飾係を集めて作業を始めた。なんか見てるだけだとサボってるみたいになるからあたしも安達さんと一緒に手伝いや指示をすることにした。

 

「美竹さーん、この余った飾りどうしたらいいかな?」

 

「えっと、それじゃあ窓の所にお願い、」

 

「了解!」

 

「美竹さんちょっと提案なんだけど、ここの飾りもっと増やした方バランス良くない?」

 

「…うん、確かに。それじゃあそんな感じでよろしく。」

 

「おk。」

 

こんな感じで決まってからは順調に作業が進み、短時間で喫茶店の装飾が出来上がった。みんな予想以上の出来栄えに喜んでいる中、あたしはある事が気になっていた。

 

あたしはこのクラスでは不良みたいな噂が流れててみんなから少し避けられてたような気がしてたんだけど、今日はなんて言うか…、みんないつも通り話しかけてくれたし、頼ってくれた人もいた。

 

 

「う〜ん…。」

 

「あれ?美竹さんどうしたの?うかない顔だけど?」

 

少し考え込んでいると安達さんがこちらにきた。

 

「…いや、ちょっと気になる事があって、、」

 

「なになに?悩み事なら聞くよ??」

 

今度渡辺に聞いてみようと思ったけど…、安達さんなら大丈夫かな…。

 

「…その、あたしってさ、なんか不良みたいな噂流てたよね?」

 

「あ〜、うん。確かに新学期になったばかりの頃はそんなのもあったねぇ。」

 

まぁ授業抜け出したりしてたあたしも悪いんだけどね…。

 

「その噂もあってあたしってみんなから避けられてたはずだし、その、、安達さんともあんまり話した事ないよね?」

 

「まぁ、確かにそうだね。」

 

「でも今日はみんな普通に話しかけてくれたり頼ったりしてくれて…。どうしてなのかなって思って。」

 

あたしが特別いい事をした訳でもないのに…。

 

「う〜ん、やっぱり美竹さんは分からないよね…。」

 

「え?…、その言い方だと、安達さんは知ってるって事?」

 

「うん!それはね?美竹さんもよく知る''あの人''が頑張ってくれたおかげだよ!」

 

「あの人??」

 

誰だろう…。もしかしてモカ達だったりするのかな?いや、クラスが違うから可能性は低いと思うけど…。

 

「も〜、美竹さんも意外と鈍いな〜。''ある人''って言うのはね、渡辺君の事だよ!」

 

「……え?」

 

渡辺…?え、なんで?どうしてそこで渡辺が出てくるの??

 

「……なんで、渡辺がそうなの?」

 

「それはね〜、私一学期の時に友達と美竹さんの話をしたことがあってね?」

 

「う、うん、」

 

「ちょうどその友達が『美竹さんって怖いよね〜?』って言ったタイミングで渡辺君が現れてさ〜。『美竹はそんなやつじゃないよ!』って言ってきたの!」

 

「え!?、渡辺がそんな事を!?」

 

「うん。『根は良い奴なんだ!』とか『素直になれないだけ!』とか熱弁してたんだから!」

 

あたしの知らないところで何言ってんの渡辺…、、

 

「それで今日思いきって話しかけてみたらほんとにそうだった!」

 

「…//」

 

「それにね?わたしだけじゃなくて他の人にも言って回ってたらしいの!」

 

「ほ、ほんとに…?」

 

「ほんとほんと!だからみんな美竹さんにはそんな人じゃないって思って沢山話しかけたんじゃないかな?」

 

「そう…なのかな…?」

 

ほんと、渡辺ったら…。今度あったらお礼言わないと…。

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ美竹さん!」

 

「!?な、なに?」

 

安達さんと話しているとまた別のクラスメイトからいきなり話しかけられた。

この人って確かメイド役の人だったような…。

 

「美竹さん!メイドやって見ない!?」

 

「…はい?」

 

「だって美竹さん可愛いしスタイルもいいから絶対似合いそうなんだもん!」

 

そう言ってぐいっと腕を引っ張って連れて行かれる。

 

「え、ちょ、ちょっと!安達さん!何とかして!」

 

「行ってらっしゃ〜い!着替えたらわたしにも見せてね〜!」

 

助けを求めたはずが笑顔で見送られちゃった…。

 

「大丈夫!美竹さんなら絶対似合う!渡辺君の命をかけてもいい!」

 

「そこはもっと別のものをかけて…!」

 

もういいや、もう、好きにして…、、

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

あー、疲れたぁ!!しゃらくせェ!!バカヤロウちくしょうめが!!!!!!

 

ようやく解放された!

 

まじで調理室何回爆破すれば気が済むんだよ!!料理係じゃなくてもうただのテロリストじゃねぇか!!

 

そんな愚痴を心の中で吐きながら教室に戻った。どうやら装飾と看板は既に終わって今はメイド服の試着をしているらしい。

 

「お!蓮!やっと来たか!!」

 

「あ''あ''??」

 

教室に入った瞬間佐藤から声をかけられた。なんだこいつ?

 

「おーい!蓮が帰ってきたぞォ!」

 

なになに?なんか急にみんながざわめきだしたんだけど。

 

「なに?なんの騒ぎだよ佐藤。」

 

「よし、蓮。目をつぶれ。そして俺に着いてこい。」

 

「はぁ?なんで?」

 

「いいからいいからw」

 

めんどくせぇなこいつぁ。仕方がなく指示通りに目をつぶり佐藤の肩につかまり後をついて行く。

 

「よし!目を開けろ!」

 

「よっこらしょっと。何があるんだよいったい…。」

 

多少イライラしながら目を開けるとそこには…!

 

 

 

「え、えっと、おつかれ渡辺…/////」

 

「……ふぁあ???」

 

そこにはなんと、メイド服を着た美竹が…。OKOK。全然理解できない。何事よこれ?

 

「な、ちょっ、はぁ?///」

 

「そんなわけであとは2人でごゆっくり!!」

 

そう言って佐藤は仕事に戻って行った。いや、そんなことより!え?美竹って…こんなに可愛かったっけ…?

 

「えっと、、どうかな…?////」フリフリ

 

やめてぇ!フリフリしないでぇ!なんかこう…、、やばいから!!

 

「え、いや、、//ふ、普通にいい感じ、デス。//」

 

「えぇ〜!?渡辺君それだけ〜??もっと他にないの〜??」

 

すると美竹の隣からひょこっと女子が出てきて文句を言ってきた。てか安達さんやんけ!何してるんすか!

 

「男なんだからもっと褒めてあげないと〜。」

 

いやいや、じゃなんていえばよろしかったので?『はう〜!!かぁいいよおおお!!おんもちかえりぃ!!!!』とか言った方良かったっすか?言えるわけねぇだろ。

 

「あ!そうだ美竹さん!ちょっと耳貸して」コソコソ

 

「な、なに?…………え!?//そんな事出来るわけないじゃん!!//」

 

「大丈夫!絶対上手くいくから!」(それに美竹さん、渡辺君の事好きなんでしょ?)

 

(な、なんでそれを…!?、、あ、)

 

(やっぱり好きなんじゃん!ならなおさらやらないと!)

 

(……/////)プルプル

 

 

 

何やってんだこの2人は…、イチャイチャしやがって。

 

「わ、渡辺…//」

 

「おう、」

 

今度はなんすか…?

 

「…………、お、おかえりなさいませ///ご、ご主人様////な、なんて…////」カオマッカ+ウワメズカイ

 

 

「…………ガハッ(吐血)」バタン!!

 

「わ、渡辺!?」

 

「さ、佐藤くーーん!!渡辺君が鼻と口から血を噴き出して倒れたぁー!!」

 

「はぁ!?なんで!?おい蓮!起きろぉ!!」ダダダ

 

「さ、佐藤…、、も、もう思い残すことは何も無い…、俺の墓前には今限定のマックフルーリーチョコバナナ味を是非…」(ガクッ)

 

「バカヤロウ!!こんな時ぐらいもっとデケェもんねだりやがれ!!とりあえず保険室運ぶぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……安達さん、あたし、保険室までついて行く…。」

 

「…うん。その前に着替えてから行かないとね…。」

 

もう二度と蓮の前でメイド服を気ないと誓った蘭。着せないと誓った安達。蘭にメイド役をやらせてはいけないと思ったその他クラスメイトであった。

 

(喜ぶと思ったはずが死の1歩手前まで追い込むなんて…、実は渡辺君も美竹さんの事意識してたりして…。とりあえず美竹さん!ファイト!!)

 

 

その後、回復した蓮は『たとえ死んでたとしても本当に悔いはないぐらいやばかった。』とポカンとした顔で語ったと言う。

 




多分明日も書くかも………。


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文化祭始まるってよ。





なんか頭痛い。


今日は待ちに待った文化祭。ここまで来るのに調理室が何度も爆発したりメイドを見て逝きかけたりとまぁ色々あったがようやくここまで来ることが出来た…。

 

 

「渡辺君ー!ホットケーキ2つよろしく!」

 

「こっちオムライス追加で!」

 

「はいよー。よし、オムライス1つとホットケーキ2つだてめぇら!!」

 

「「「「Oui Chef!!《ウィ・シェフ》」」」」

 

 

あ〜(感動)、料理するだけで何かが爆散してたあの子達がこんなに立派になってぇ〜、、、大きくなったねぇ〜、おばちゃん今すっごい報われてるよォ(; ;)

 

 

「なに、このプロみたいな連携…。」

 

「蓮のやつこの短期間で何しやがったんだ…?」

 

「みんなに『食〇のソーマ』でも見せたんか???」

 

おいそこ、こっちが働いてんのにサボってんじゃないよ。仕事を見つけなさい仕事を。

 

「渡辺君、そろそろ休憩入っていいよー!」

 

「はいよー!」

 

 

あ〜疲れたぁ。てかうちの店賑わいすぎだろ。まぁメイドのレベルが高いからだろうけど。

 

少しダラっと休憩していると頬に何やら冷たいものが当たった。

 

「うおっ!何!?なんだ美竹かよ。」

 

「お疲れ。はい、これ」

 

冷たいもの正体は美竹が持ってきた飲み物でした。

 

「センキュー。いくらだった?」

 

「いや、別にこれくらいいいよ。」

 

「いやそう言う訳にも「いいの。」…はぁい。そんじゃ、ありがたく。」

 

飲み物を受け取ると美竹は隣に腰掛けた。ちょっと近くない?とか思ったけど気のせいだと信じて貰った飲み物を1口飲む。うむ、疲れた体に染み渡る…。

 

「なんか、渡辺とこうやって話すの久々な感じがする。」

 

「まぁ文化祭の準備で色々忙しかったからなァ。」

 

「渡辺の所は特に大変だったしね…。」

 

「やめろ、言わないでくれ…。」

 

うぅ、思い出すだけで、頭が、痛い!!

 

「ねぇ渡辺、休憩ってあとどれくらい?」

「ん?もうしばらくあるけど?」

 

「じゃあさ、文化祭一緒にまわらない?」

 

「…、俺は別にいいけどそっちはいいのかよ…?」

 

「??」

 

「いや、美竹の好きな人誘わなくていいのかなって思ってだな…。」

 

「…この前も言ったじゃん。渡辺は変に気を使わなくていいって…。」

 

いや、そうだけれどもさ…?え、いいの?好きな人そっちのけでこんなゲーオタと文化祭まわっちゃって…。

 

「…、それとも…行きたくなかったりするの……?」

 

、、そんな悲しそうな顔で見るな…。

 

「…んなこたぁ一言も言ってない。そんじゃあ行きますか?」

 

「うん…。(良かった…。)じゃあ最初はどこ行く?」

 

「どこに行こ〜かね〜?」

 

 

こうして休憩時間中に美竹と文化祭をまわることになりやした。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「え、何このクレープ、美味っ。」ŧ‹”ŧ‹”( ‘ч’ )ŧ‹”ŧ‹”

 

「文化祭のレベルじゃない…。」ŧ‹”ŧ‹”

 

現在美竹と一緒に文化祭をエンジョイしております。

 

「学年が上がるとクオリティも上がるんだな。」

 

「あ、渡辺。お化け屋敷だって。」

 

「ははw文化祭のお化け屋敷なら大した事ないし余裕だなww」

 

「ふーん、じゃ行ってみようよ。」

 

こうして偶然通りかかったお化け屋敷に入ってみることにした。

 

 

中に入ってみるとやはりそこまでクオリティは高くなく、少し不気味な装飾がされているだけのようだった。

 

「ははwまぁ学生が作るんだからこんなもんだよなぁww」

 

「…、ねぇ渡辺、」

 

「ん?」

 

ここで美竹がある事に気がつく。

 

「この教室、、なんか見覚えない…?」

 

「え?見覚え…?」

 

……、言われてみれば…なんか、、

 

「ほら、なんか…学校に閉じ込められた時の……、」

 

あっ、(察)

 

よみがえる忌まわしき記憶…。

 

「……、帰るぞ。」

 

「……、うん。」

 

とてつもなく嫌な予感がしたので急いで出口に向かう。が、出口に差し掛かった時、明らかに後ろに人の気配を感じた。

 

「わ、渡辺…、、うう、後ろ、、」

 

「ふ、ふ振り返るな…、さっさとここから出るぞ、、」

 

 

アソボー、アソボーヨー、

 

 

「「ああああああああああああ!!!」」

 

聞きたくもない声が聞こえ、俺と美竹は全力ダッシュで教室から出ていった。

 

はい、というわけでまさかの2度目の登場のクソガキ幽霊でした。あいつほんとに生前どんな教育受けてたんだよ…。もう場所覚えたから二度とここには近ずかないからな!!!!

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「まさか、あの教室だったなんて…。」

 

「なんで文化祭なのにこんな怖い思いしなきゃいけねんだよ…。てかもう幽霊のシーズン終わってるだろ…。」

 

「いや、あれにシーズンなんてあるの?」

 

「え?ないの?」

 

年中出てきてたらたまったもんじゃないんだけど。

 

とぼとぼと廊下を歩きながらそんな会話をしているとある掲示物が目に入った。

 

「なになに?『演劇部によるロミオとジュリエット、体育館にて公演!!』へぇ、こんなのあるのか。」

 

「うん。毎年演劇部の公演は大賑わいだってつぐみが言ってたよ。たしか、薫さんも演劇部だし出るんじゃないかな?」

 

「薫さんて誰??」

 

「ほら、ハロハピの。」

 

「ハロハピ??…、ああ!あの儚い人か!」

 

「うん、だいたいあってるかな…。どうする?見に行く?」

 

「いや、時間的に厳しいだろうな…。そろそろ休憩終わると思うし…。」

 

「え、もうそんなに時間経ってたの…!?」

 

美竹はスマホで時間を確認しておどろく。まぁ楽しんでれば時間の流れなんて早く感じるもんだしな。

 

「しゃーない、そろそろクラスに戻るか。」

 

「…うん、そうだね。」

 

 

プルルルル

 

「ん?誰だ?佐藤から?」

 

クラスに戻ろうと思った矢先、なぜか佐藤から電話が。なに?まさか料理係またなにか爆発させたか?

 

「悪い、ちょっと佐藤から電話きた。」

 

「うん。分かった。」

 

 

美竹にそう告げて電話に出る。

 

 

(あれ?安達さんからLINE来てる…。)

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

side蘭

 

 

渡辺が電話で話している時、あたしのスマホにもLINEが来ていた。確認するとどうやら安達さんからだった。

 

「どうしたんだろ?」

 

『美竹さん!こっちは人手全然足りてるから今日は渡辺君とデート楽しんでていいよ!!頑張って渡辺君を落としてね!!』

 

「っちょ//安達さんってば//」

 

そもそもデートじゃないし、まだ付き合えてないんだからデートなんかじゃないし…。

 

「『ありがとう。』っと。」

 

一応お礼を言ってスマホを閉じる。ちょうどそのタイミングで渡辺も電話が終わったらしい。

 

「電話、なんて?」

 

「いや、なんか『お前は今日は働かなくていい』って言われてさ…。え?俺クビになった?」

 

「…多分そうじゃないと思うよ。」

 

おそらくこれも安達さんの策略なのかな…?まさかここまでしてくれるなんて…。

 

「あたしもさ、似たようなことLINEで来てさ。」

 

「そうなのか…。」

 

「…お互い暇になったし、演劇、見にいかない?」

 

「…行きたいです。」

 

「それじゃ、体育館行こっか。」

 

 

こうして安達さんのおかげで今日はずっと渡辺と文化祭を回れるようになった。今日で少しでも進展出来ればいいんだけどな…。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「ん?あれは…?」

 

演劇を見ることが決まり、体育館に向かう途中、渡辺が何かを発見した。

 

「どうしたの?」

 

「いや、あれ…迷子じゃね?」

 

渡辺が言う方向を見ると幼い女の子が涙目で廊下を歩いているのが見えた。おそらく一般の人と一緒に来てはぐれてしまったのだろう。

 

「ほんとだ…。」

 

「ちょっと行ってくるわ。」

 

渡辺はそういうとその子の元へかけよった。あたしもそれについて行く。

 

「うぅ、、おかぁさぁん…」

 

「どうした〜?迷子か?」

 

「…ぅん…」グス

 

「美竹、悪いけど演劇行くのはこの子を何とかしてからでいいか?」

 

「うん。あたしもほっとけないしそうしよう。」

 

 

こうして体育館に行く前にこの子を何とかするべく、とりあえず職員室に連れて行って放送で呼びかけてもらうことにした。

 

「よーし、それじゃあ、お兄さん達が何とかしてあげるから安心してねぇ〜(´。・ω・)ノ゙」ヨシヨシ

 

「…ぅん。ありがとぉ…」

 

「お!偉いねぇ、ちゃんとお礼言えて。そんじゃ行こっか!」

 

「うん!」

 

渡辺の対応がすごい。…もしかして渡辺って年下好きだったりするのかな…。

 

「おい、美竹、そんな不審者を見る目で見ないでくれ…。」

 

「…渡辺って年下好きだったりするの…??」

 

「え?なに急に…?まぁ子供は嫌いじゃないけど…。」

 

渡辺ロリコン説が出てきそうな中、職員室に向かうべく出発した。

 

 

「わぁ!!」パァア

 

職員室に向かう途中、女の子がお店に並んでる食べ物を見て目を光らせていた。

 

「ん?何か食べたいものでもあるの?」

 

「んんっと…あれ!」

 

そう言って指さしたのはチョコバナナを売っている店だった。

 

「よし、ならお兄さんが買ってあげよう!」

 

「え!?いいの!?」

 

「もちろん!」

 

「でも、、ママにあんまり人にメイワクかけちゃダメって言われてて、、」

 

「あーもー、子供が気を使うんじゃないよ!好きなの買ってあげるから!」

 

「やったー!!」

 

そう言って渡辺は女の子にチョコバナナを買ってあげた。なんだろう。なんか、なごむ。

 

「んーっ!おいしぃー!」

 

渡辺から買ってもらったチョコバナナを美味しそうに頬張っているけど口の周りにチョコがすごいついてる…。

 

「…ちょっとこっち向いて。チョコ着いてるよ?」

 

「んー?」フキフキ

 

仕方なく、ティッシュでチョコを拭き取ってあげる。わぁ、すごい顔ぷにぷにする…!

 

「おねーちゃんありがとぉー。」ニコッ

 

え、笑顔が眩しい…

 

「…渡辺、あたし何かに目覚めそうかも…。」

 

「奇遇だな。俺もだよ…。」

 

「うーん…」

 

「ん?どした?」

 

「なんかパパとママといるみたい!!」

 

「パパ!?」

 

「ま、ママ!?//」

 

「うん!だってお兄ちゃん達すごくなかよしだもん!パパもママもなかよしなんだよ!」

 

「そ、そうなんだ//」

 

そんな会話をしながら職員室の前まで来ると…

 

「あ!ママだ!!」トテトテトテ

 

どうやら女の子の保護者さんは一足先に職員室に来ていたそうで、見つけた途端すごい勢いで走っていった。その後、あたし達は何度も女の子の保護者からお礼を言われた。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「良かったね。無事見つかって。」

 

「ああ、まさかチョコバナナのお代まで渡されるなんて思わなかったけどな。」

 

「それだけ感謝してたってことなんじゃない?」

 

「別にあれくらいどおってことないのにな…。あと、もうすぐで演劇終わっちゃうし、演劇が終われば文化祭ももう終わっちまうな…。」

 

そう、あたし達があの子と一緒にいる間にそれほどの時間がすぎていた。

 

「美竹は演劇見たかったか?」

 

「…正直見たかったけどあの子の方が心配だったし、別になんとも思ってないよ。」

 

「そっか、なら良かったわ。」

 

「…やっぱりさ、渡辺って優しいよね…。」

 

「いや、なんだよ急に…。」

 

「だってあの子を見つけた瞬間なんの躊躇もなく声をかけたじゃん。普通だったら『他の人が何とかしてくれる』みたいな感じになると思うし。」

 

「いやいや、あんなの普通ほっとけねェから。美竹だってそうだろ?」

 

「あたしは一瞬躊躇してたかもしれない。だから渡辺は他の人よりも優しいんだなって、」

 

「なんだよ全く…、そんなに褒めたところで何も出てこねぇぞ//」

 

「あれ?もしかして渡辺照れてる?顔赤いよ?」

 

「別に照れてねーし!ほらさっさとクラス戻って片付け手伝うぞ!」

 

「フフッ分かってるよ。あ、あとさ、」

 

「?今度は何?」

 

忘れる前にこれだけは言っておかないと…。

 

「あたしの噂のこと、その、ありがとね。」

 

「へぇ?、な、なんでそれを…?」

 

「安達さんから聞いた。あたしがクラスに馴染めるように頑張ってくれてたって。」

 

「……ま、まじかよ、」

 

「渡辺おかげでさ、あたしも少しずつクラスでも話せるようになってきて、安達さんとも仲良くなれた。だから、その、ほんとにありがとね。//」

 

「……ッ!?///」

 

「そ、それじゃ、クラス戻ろっか//」

 

 

顔があつい、多分赤くなってる。やっぱりお礼を言うのって苦手だな…。でも、渡辺が頑張ってくれてたって聞いた時、すごい嬉しかったしちゃんと言った方がいいよね。それが好きになった人ならなおさら…。

 

「…そりゃ、頑張るだろ…、」

 

「?渡辺…?」

 

「俺だって、お前の陰口聞いた時はいい気分しねぇんだから。頑張るに決まってんだろ、、」ボソボソ

 

「…ッ!?////」

 

 

彼はおそらく聞こえないようにボソボソと言ったつもりだろうけど、残念ながら全部聞こえてしまった。そして、さらに顔があつくなった…。

 

素直に嬉しかった。当たり前だ。好きな人が自分のためにあんな言葉を言ってくれたんだから。嬉しくないはずがない。

 

(…、あたし、どこまで好きになっちゃうんだろ…///)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

side蓮

 

 

文化祭も大成功に終わり、クラスの片付けも無事終了。今は何もかも終わり帰路に着いている。あ、ちなみに1人で帰ってます。

 

 

『ほんとにありがとね///』

 

 

「ッ~~~~~~~~////」

 

あっつい、もう全部あつい。あついしあの時の事が頭にこびりついて消えないしヤバい。

 

何がヤバいって、ただお礼を言われただけなのに俺''喜びすぎ''なんだよ。

心臓バクバクだったし。

 

「帰ってゲームして何とかしよう…。」

 

 

 

しかし、ゲームをしてもやっぱり忘れることができず、その時を思い出すとなんかこう、、叫びたくなって最終的に壁に頭突きする病にかかってしまった。

 

 

 

 

 

 







お気に入り200越えありがとうございます。いやほんと、びっくりしました。感謝しかないっす。


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これの正体




(゜∀。)( 。∀ ゚)??












文化祭が終わってしばらくし、涼しいと言うより少し寒いと感じる季節になってきた。あんなに暑かったと言うのに時間が経つのは早いもんだな。まぁこんくらいの気温の方が過ごしやすくて俺は嫌いじゃないんだけどね。

 

現在は昼休みで教室でいつもの3人としゃべりながらワイワイとしている。少し前までなら屋上とか行ってたけど今日は風が強くてさすがに寒かった…。

 

俺は自販機で買ってきたホットココアをちびちび飲みながら話している。

この時期のホットココアは格別だァ。体の芯まで暖まる。冬とかもうこいつ無しでは生きられない。

 

「蓮、お前それ今日も飲んでんのかよ。」

 

「ココア中毒者め。」

 

「うるへー。この時期だと俺の中でココアは大ブーム来てんだよ。もうこいつは俺の体の一部だ。あ、ちなみに今はホット飲んでるけどアイスでも可。」

 

「ほほう。こいつぁ重症だァ。」

 

お前らも飲めばわかるさ。この味の素晴らしさがな?

 

「あ、佐藤、俺ら昼休み部活の集まりあるんじゃないっけ?」

 

「…、そういや先輩そんな事言ってたような…。」

 

「いや〜、大変ですねぇ?運動部の皆さんは」ズズズ

 

大事な事を思い出した2人は急いで教室を出て部活の集まりに向かって行った。さて、2人の健闘を祈りつつ俺は自分の席に戻ってスマホゲーの周回でもしましょうかね。

 

そして俺は席に戻りスマホを開く。すると隣からちょんちょんと肩を叩かれる。

 

まぁ隣に座ってる人なんてもう分かりきってるんだけどね。

 

「ねぇ渡辺。」

 

美竹蘭。なんか最近すごい話しかけて来る回数が増えた気がする。それにLINEの通話も度々かかってくる。それに対し俺は何故か話す時少し緊張するんだよな。今までこんなふうになった事がないからこれが何なのか分からん。俺の最近の悩みだよまったく。

 

「(冷静に冷静に…)ど、どした?」

 

「渡辺って明日の休みなにか予定ある?」

 

「いや、別に。ただ時の流れに身を任せるのみである。」

 

「…暇ってことをなんでそんなにかっこよさげに言えるの…。じゃ、暇ならさ、明日どこか出かけない?」

 

「…お、おう。別にいいけど、どこ行くんだ?」

 

「ん〜、ま、色々…。」

 

なんかすごいふわっとした回答が来たな。まぁぶらぶらしながら行先を決めるのも嫌いじゃないし全然いいか。あとは俺が緊張しなければよし。

 

「りょーかい。時間とかはどうする?」

 

「それは後でLINE送るよ。そろそろ昼休み終わっちゃうし。」

 

「おk。」

 

こうして明日の休みの日は美竹と出かけることが決定した。まぁこの前の映画見に行った時みたいな感じだろうし気楽に楽しむとするか。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

翌日、

 

俺は指定された集合場所に一足先に来て美竹が来るのを待っていた。

 

「あ、渡辺。ごめん、まった?」

 

「いや、来てそんなに経ってないし大丈夫だ。」

 

「そっか、良かった。それじゃ行こっか。」

 

「うーい。」

 

 

それから俺たちは歩きながら今日どこに行くか話していた。

 

「渡辺って基本出かける時ってどこ行くの?」

 

「家、バイト、ゲーセン、ラーメン。」

 

「…、やり直し。」

 

うぐ、だってそんくらいしか外出しないっすもん!基本は家でゲーム三昧だもん!

 

「じ、じゃあとりあえず近くのショッピングモールにでも行くか?そこなら何かしらあんだろ。」

 

「…そうだね。あ、じゃあ服とか見てみようよ。もうすぐ寒くなるし。」

 

「ま、その辺は美竹に任せるよ。」

 

 

とりあえずショッピングモールで服を見ることに決めて早速向かった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「渡辺、ちょっとこれ着てみて。その後にこれとこれと、あ、あとこれも。」

 

「ちょいちょいちょい待て。落ち着け。そんなに着れるか!」

 

ショッピングモールの服屋に到着して数分。最初は美竹が色々見ていたはずなのに、いつの間にか俺の服を選び出してなんか止まんなくなった。てかちょっと楽しんでないっすかこの人…。

 

「それよか美竹は服見なくて良いのか?最初にちょこっと見ただけじゃねぇか。」

 

「いや、あんまり良い奴なかったし…。」

 

「そうなのか…。じゃあ服じゃなくて他のやつはどうだ?ほら、手袋とかマフラーとか。」

 

「うーん、確かにそっちはあんまり見てなかったかも。」

 

よし、これで俺が着せ替え人形になる事はなくなった!!

 

「そうだなー…、このマフラーとかいいんじゃないか?」

 

俺が手に取ったのは赤い生地のマフラーだ。美竹は何となく赤が似合いそうだしな。メッシュも赤いし。

 

「うん、ちょっと巻いてみる。……、ど、どうかな?」

 

「お〜、なんかいい感じだな。美竹らしくて。」

 

やはり予想通り似合う。この落ち着いた赤がなんやかんや美竹をいい感じにしてくれてる!(適当)

 

「そ、そう//じゃこれにする…//買ってくるから待ってて…。」

 

「はいよ。」

 

その後もショッピングモールの中を色々回った。アクセサリーショップとか行った時はちょっと意外だったな。美竹もこんなの付けんのかと。

 

そして昼も中ですまし、次に俺たちが向かった先は……。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「やっぱりここにたどりつくんだな…w」

 

「だって渡辺がそろそろゲームしたそうな顔してたから。」

 

「いやwどんな顔w」

 

そう、俺達が次に来た場所は大型ゲームセンター。映画見に行った時に来たところだな。

 

「知らないの?渡辺がゲームしたそうな時はだいたい眉間にシワよってるんだよ?」

 

初耳だよ。そんな『当たり前じゃん。』みたいな顔でみんな。

 

「てかよくそんな事に気がつくよな、何?日頃観察されてる?俺。」

 

「い、いやたまたまだし//」

 

そう言って美竹はスタスタと早歩きで店内へ入っていった。なんだかんだ言って美竹も多分ゲーム嫌いじゃないよね?大丈夫だ。焦らんでもゲームは逃げん。

 

 

「最初は何やる?」

 

「…、あれがいい、太鼓のやつ。」

 

「OK、」

 

 

それからは某太鼓のゲームから始まり、クレームゲーム、レースゲーム、ガン〇ム(美竹は見学)、そして謎にパンチングマシンとたくさんのゲームを楽しんだ。何回も来てんのに飽きずによく楽しめるよな俺たちは。

 

ちなみにちょっとショックだったのはパンチングマシンの結果で美竹に負けたことと、殴った時に手首をやってしまった事です。はい、筋トレしてきます。

 

「あ、そういえば渡辺、あたしになんかリベンジするべきものがあるんじゃない?」

 

「はい?」

 

はたしてそんなものあったか?

 

「ほら、」クイクイ

 

そう言って美竹は上の階を指さす。2階の事言ってんのか。2階にあるのは確か…

 

「…もしや、、卓球か…?」

 

「正解。どうする?やる?」

 

「いや、今回はここにゲームをしに来たわけでだな。卓球は目的に入っていない。」

 

あとあれ微妙に疲れるんだよ。

 

「…そっか。そうだよね、渡辺はこの前であたしに完膚なきまでにやられちゃったからきっと負けるのが怖いんだよね。ごめん、あたしの気がきかn「ああちょっと今からい行こぉぜぇ!!!?なんか急に玉打ちたくなったわァ!!!ぶっ飛ばしてやっから行こぉぜぇなぁ!!?!」最近渡辺の扱いがわかってきた気がする…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

そんなわけで卓球バトル

お互い1歩も譲らないガチバトルに…。

 

 

 

 

 

「み、美竹ェ。おまっ、中々やるじゃねぇの…。」ゼェゼェ

 

「わ、渡辺こそ、ちょっとは腕あげてきたじゃん…」ゼェゼェ

 

 

あれから数十分間凄まじいラリーが続き現在5回目のデュース。

 

「渡辺、、そろそろ降参しても良いんだよ、、?足とか、もうプルプルじゃん…」

 

「お、お前こそ、腕限界なんじゃねぇの?いいの?明日筋肉痛なるけどいいの?やめても良いんだよ?」クタクタ

 

「や、やめない…!このラリーで倒すから…!」

 

「上等じゃァ。かかってきなさぁい!!」

 

 

そしてこの瞬間、この長い戦いがついに終わりを迎える!!

 

 

 

 

店員「あなた達いつまでやってるんですか!もうとっくに使用時間過ぎてるんですよ!次の方詰まってるので早く片付けてください!!」

 

「「……」」

 

 

しゅーーーりょーーーーー。

 

 

「「……wwwwwww」」

 

予想外の決着に驚きを通り越して2人でその場で爆笑する

 

「こ、こんな事ってある…!?勝敗は決まらないしw怒られるしw」オナカイタイ…

 

「wwwwww延長はw延長は出来ないのか?ww」

 

「詰まってるって言ってたから無理でしょw待って、お腹痛いw」

 

 

その後しばらく笑って動けなくなった。

 

 

 

(……、今日はなんか、いつも通り話せてんな…。時々来るあの緊張はなんなんだろうな。)

 

正面で笑いながらも片付けをしている美竹を見て思った。

 

(なんだかんだ美竹といるとやっぱり楽しい…。美竹は俺といる時はどんな風に思ってんのかな…。)

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「だー、いい感じに疲れた。」

 

「…。」

 

「ん?どした?」

 

1階のゲームセンターに戻って少し休憩してると美竹が何かを発見した模様。

 

「ねぇ、次あれ行ってみない…?」

 

「あれって?」

 

美竹の言う方向を見てみるとそこには…。

 

「………『プリクラ』っすか、、美竹さん…。」

 

「…///」コクコク

 

「いや、急になんで…。恥ずいしそこまでとる必要なくないか?」

 

そんなに取りたきゃ青葉とかあとお前の好きなやつと取ればいいのになぁ…。

 

「……じ、女子はプリクラが好きなの…!ほら、行こう…!」グイ

 

「え!?マジでいくんかい!!」

 

 

 

プリクラ内…

 

 

初めて入ったこの中。

 

「てか、妙に手慣れてんな。何回か来てんのか?」

 

「まぁひまりがこういうの好きだから。あたしも少し覚えたって言うか。」

 

ああ、確かにあのピンクはこういうの好きそうだな。まぁそういうことならここは手馴れている美竹に操作全部任せよう。

 

「あ、間違えてカップルモードになっちゃった…。」

 

前言撤回。こいつ全然手慣れてなかった。俺と同じビギナーでした。

 

「おい…、どうすんだよ…。」

 

「…も、もったいないし撮っちゃおうよ…。」

 

「えぇ、」

 

『それじゃあ指示に従ってポーズを取ってね!』

 

「ほら、もう始まっちゃったし…。」

 

しょーがねぇ。すぐ終わるだろうしパッパと終わしてここから出よう。

 

『じゃあまずは、彼が彼女を後ろから抱きしめてね!』

 

「帰るわ。」

 

「ま、待って…!気持ちは分かるけど待って…!」

 

いや気持ちが分かるなら帰らせて!!何この機械!?ただのゲーオタに何させようとしてんだよ!二度と電源つかねぇようにしてやろうかぁ!?

 

「いや、美竹は嫌じゃねぇのかよ…。」

 

「…別に…、渡辺ならい、いいよ…//」

 

「ッ!?」

 

「それにこれやらなきゃシャッター切れないよ?(大嘘)」

 

「はぁ!?嘘やろ!?」

 

「ほんと。最近のプリクラ舐めない方がいいよ?」

 

そう言って美竹はなんかスタンバってるし。あーもう、分かったよ。やりゃいいんだろちくしょう。

 

「じ、じゃあ行くぞ…。///」

 

「う、うん。///」

 

そう言ってゆっくりと後ろから美竹に腕を回す。

 

「「ッ~~~~~~~~////」」

 

『はい、チーズ!!』パチャリ

 

「お、終わりか/」

 

「そうみたい…//」

 

『それじゃ次はー!』

 

「まだあんのかよ!!」

 

 

その後も俺達は音声の指示通りポーズをとり、写真を撮った。途中にあった『全力の変顔』っていうお題が出た時はもう辛かった。

そして今はプリクラで撮った写真を2人で見ている。

 

「ほー、綺麗に取れてるもんだな。」

 

「うん。思ってたよりずっと良い。」

 

「ブフッww美竹の変顔がヤバいww」

 

「あ、あんまり見ないで//ていうか渡辺も人の事言えないから!」

 

「はははw確かになww」

 

我ながら酷い面だw二度と見たくないな!後で葬ってやるw

 

「……。」

 

写真の消滅プランを計画していると隣からジッと視線を感じる。

 

「ん?何?」

 

「いや、元気になったみたいで良かったなって…。」

 

「…え?」

 

「なんか、最近また様子がおかしくなったと思って。」

 

…確かに文化祭の時から少し調子おかしくなったけど…、ていうか原因が目の前にいる!

 

「だからこうやって出かけたら元気になるんじゃないかって…。うん、いつもの渡辺に戻って良かった。」

 

「そ、そうか…。」

 

「うん。あ、あたし飲み物買ってくるけど渡辺何飲む?」

 

「いや、そういうことなら俺も…」

 

「渡辺疲れてるでしょ?あたし買ってくるからそこで休んでて。」ビシッ

 

「は、はぁい。」

 

そう言って美竹は自販機のところに向かった。どうもあの状態の美竹には逆らえないんだよなぁ…。

 

「よっこらせと…」

 

近くのベンチに座り、今日の事を考える。

 

(今日のこれは美竹が俺のために考えてくれたってことか…。まさか悩んでいた事がバレてたなんて…。知らない間に気を使わせてしまったな…。)

 

「…、俺って美竹の事どう思ってんだろ…。」

 

「渡辺〜、おまたせ。」

 

どうやら美竹が戻ってきたらしい。あ、どうせならココア頼んどきゃ良かったなぁ…。まぁこの際なんでもいいけど。

 

「はいこれ。」

 

そう言って美竹が俺にくれたのは''アイスココア''だった。

 

 

「…え?」

 

「?ホットの方が良かった?」

 

「え、いや違くて…。なんでこれ…。」

 

「…だって渡辺、最近ずっとココア飲んでたじゃん。この時期は大ブームなんでしょ?」

 

 

「ッ!?」

 

(まただ。この感じ…。文化祭の時と全く同じ。というか多分、その前からうっすらと感じていたかもしれない。祭りに行った時や海に行った時もそう。少しずつこれが鮮明になってきて今ではこんなに感じるようになってきてた…。)

 

 

「あ、もうこんな時間すぎてる…。渡辺、次のやつで最後にしない?」

 

「お、おう。」

 

「よし、これにしよう。」

 

美竹が最後に選んだのは俺と美竹が最初にゲーセンにきた時に遊んだチュ〇二ズムだった。

 

「これ渡辺とやった時からちょこちょこ練習してたんだよね。」

 

そう言ってお金を入れ早速プレイする。俺はそれを後ろからただ見ていた。

 

 

(不思議なもんだ。ただ席替えでたまたま隣になっただけだったのに今ではこうして一緒に過ごす事が増えて、それがなんつーか…、普通みたいになってきて…。)

 

目の前で一生懸命にプレイしている美竹を見ながらこんなことを考えてしまう。

 

 

「渡辺…!」

 

「ん?」

 

考え込みすぎたか、美竹が呼んでいるのに気づかなかった。

 

「見てよ、この難易度フルコン出来たよ…!」

 

「はぁ!?おま、まじかよ!俺でも結構しんどいやつだぞそれ!やるやん!」パン!

 

「フフっ」パン!

 

 

 

 

 

 

(あ……、分かったかもしれない…。)

 

 

 

 

 

 

この時、ハイタッチをした瞬間、わかってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

(素直にお礼を言われた時はたまらなく嬉しくなって、無意識にもっと一緒に居たいと思って、あいつに好きな人がいるってわかった時は心がすげぇざわつく。美竹と一緒にいる時だけこんなに感情がはっきりする。佐藤や青葉達とは全く違う感覚…。)

 

 

 

 

 

 

 

 

「??渡辺?」

 

 

 

 

 

 

 

 

(美竹と一緒にいる時だけ感じる''これ''……。そうか…、これが''好き''って事なんだ…。俺は美竹に''恋''をしているのか……。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








(*゚ロ゚)(*゚ロ゚)(*゚ロ゚)ォォォオオ!!!!!!!!


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迷いと決意








(゜∀。)







そうか…、俺は今、美竹に恋をしているんだ…。

 

 

「?どうしたの渡辺。」

 

「…え?//な、なにがァ??//」

 

「いや、なんか変な顔してるなって思って…。」

 

「いやいや//そんな顔してねぇし…//」フイ

 

「??なんで目をそらすの?」

 

「え?は?ぜ、全然そんな事ねぇけどぉ??」シュババババ

 

「いや、すごい泳いでるから…!」

 

 

自分の気持ちに気づいた瞬間、もう美竹の顔を直視できなくなってしまった…。

 

「もう、馬鹿なことしてないでそろそろ帰ろうよ。これ以上いると遅くなっちゃうし。」

 

「そ、そうだな…。」

 

全く、いつの間に俺はこんな風になってしまったんだ…。

 

ちくしょう、だから美竹が好きな人がいるって話した時あんなにモヤモヤして落ち着かなかったのか…。なんか美竹が遠くに行ってしまう気がして……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやそうだよ!!!!こいつ今好きな人いるんだよ!!!こんな事になるなら自分の思いなんて気づかない方がよかっただろうがァ!!!

 

「渡辺、さっきからなんか変…、特に顔が。」

 

顔は余計だろ顔は。

 

 

 

……美竹の好きな相手、気になるな…。

 

「……、なぁ美竹。」

 

「なに?」

 

「お前の好きな人って、どんな奴なんだ?」

 

「…え、な、何いきなり…!」

 

「いやぁ、まぁなんだ…!好きな人がいるってのは聞いたけどどんな奴かは知らなくてだな…?なんつーか、単純な興味でな??」

 

ほんとうはめちゃくちゃ気になってるんだけどな…。

 

「……、えっと…。そうだな…、あたしの好きな人は、とにかく優しい人…かな。」

 

「ほ、ほう。」

 

「あたしが悩んでた時に相談に乗ってくれたり、ピンチの時に助けてくれたり、あたしなんかのために頑張ってくれる、そんな人。あと━━━、」

 

美竹はその人の好きな所をたんたんと教えてくれた。その表情からは、その人の事を心から思ってる事が伝わってきた…。

 

「……そうかよ…。ずいぶん惚れてんだなそいつに…。」

 

「…うん。大好きだよ…!」

 

「ッ…、」

 

 

ああ、こりゃダメだ。たとえ俺が頑張って美竹に告白したとしても無理だろうな。応えてもらえるはずがない。なぜならもう美竹はその人しか見ていないから…。

 

(はぁ…。その人が羨ましいよ…。)

 

「そーかい。振り向いて貰えるといいな、その人に。」

 

「…うん。だから''今も頑張ってる''」

 

 

 

なんだよ…。こんな恋、ただの無理ゲーじゃねぇか…。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

━━━━━━━━━━━━━

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「おや〜?また随分と難しい顔をしているじゃないか蓮くんよォ。」

 

「……、うるせーよ…。」

 

「……佐藤、これ多分マジなやつだ…。」

 

「……、どうやらその様だな…。」

 

休み明けの学校、俺は週末のことで頭がぐちゃぐちゃになり、自分の席でうずくまっていた。そんな俺に佐藤と鈴木が話しかけてくる。

 

「どうした、何かあったのか?」

 

「こんなになるなんて珍しい。」

 

「……まぁ、、色々な…。」

 

「「……」」

 

(何!?あいつ今日なんなん!?)

 

(いや俺が聞きてぇよ。お前なんかこいつにしたんじゃねぇの?)

 

(はぁ!?なんもしてねぇよ!お前こそどうなんだよ!)

 

(俺も心当たりはない…。と、とりあえずなんか謝っとく?)

 

 

「……、なぁ2人とも。」

 

「「…お、おう…」」

 

「…昼休みちょっと良いか…?相談がある…。」

 

「…なんだよ、、そういう事かよ…。」ホッ

 

「?なに?」

 

「いや、なんでもない。昼休みだな?任せろ、なんでも聞いてやるよ。」

 

「おう、サンキューな…。」

 

自分だけではどうしていいかわからず、気がついたら2人を頼ってしまった。でもまぁいいか。こんな事話せるやつなんてこいつらぐらいだし。

 

((かつてこんな弱々しい蓮を見た事があるだろうか…。))

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

そして昼休み…3人はこの時期だと人が来ない屋上に来ていた。

 

 

 

 

「それで、相談とは一体?」

 

「…ちょっと、また美竹に関しての話になるんだけど良いか?…」

 

「まあ、だいたいそんな事だろうと思ってたけどな。」

 

「……はは、そうかい…。実は俺さ…、美竹の事が…その、好きになっちまってさ…。」

 

(ようやくかあああああああい!!)

 

(きたこれええええええええ!!)

 

表情を1ミリも崩さず、心の中ではしゃぐ。

 

「いや、そんな事かよ…。だったら思い切って告白してみれば良いだろ?」

 

「てかはよせい。」

 

「そんな簡単な事じゃねぇよ…!お前らにも話したろ、美竹は他に好きな人がいるってよ…!」

 

「「ああ…(察)」」

 

ここで全てを察してしまった2人、、

 

「だから告白したところで振り向いて貰えるわけねぇんだよ…。それに美竹にも迷惑だろ」

 

(いやその好きな人って120%お前なんだよ…!)

 

(告白したらもう200%振り向いて貰えるんだよなぁこれが…。)

 

だがその事を蓮が知る由もなく、自分の事を可能性から除外しているため気がつくはずもない。

 

かと言ってここでそれを教えてしまうのもなんか違う。それを理解している2人だからこそ、今とてつもなく歯がゆい心境になっている。

 

「なぁ蓮。」

 

だがここで佐藤が動く。

 

「…?」

 

「お前の気持ちはだいたい把握した。確かに好きな人が出来きたけどその人には既に思いを寄せている人がいるって言う状況は辛いだろうな。」

 

「……」

 

「でもな?それが告白しちゃいけない理由にはなんねーんだよ。確かに告白しても振り向いて貰えないかもしれない。でもそれだったら告白しないで後悔するより、告白して後悔した方いいんじゃないのか?」

 

「佐藤…。」

 

「ああ!佐藤の言う通りだと思うぞ!」

 

それに鈴木も続く。

 

「それにな?美竹だって迷惑だなんて思わねぇよきっと。あれだけ仲良くやってたんだから。そこは断言できるぞ!」

 

そう、2人がだした結論はただ友人として蓮の恋を応援し、背中を押してやるという事だった。今の蓮はかなりマイナスな事しか考えられなくなっている事からこれが1番効果的だと考えたのだ。

 

「お前ら……、なんで今日こんなに優しいんだよ…。」ジワァ

 

「お前がこんなに悩むことなんて中々ないからな。」

 

「俺達は応援してるぞ」ポンポン

 

「…ッスーあれ?おかしいな…。この時期は寒いはずの屋上なのに…、バカみてぇにあったけぇや……。」

 

「ははwいつもの調子戻ってきたじゃんw」

 

「まぁ告白をする、しないは今すぐ決める事はない。じっくり考えてから決めても良いだろ。」

 

「…ああ。分かったよ。…ありがとうな、話聞いてもらって。」

 

「何をいまさら〜。」

 

「お前のぶっちゃけトークなんて聞けるの俺らぐらいだしな〜。」

 

「…何これ、泣けるくらいあったけぇ。」

 

 

 

(まぁ、こうは言ったけど蓮から告るってのは少し微妙なところだな、)

 

(こうなったらもう美竹に頑張って貰うしかないな…。俺達は見てることしか出来ないが。)

 

 

((頼む美竹!早くあいつを楽にしてやってくれぇ!!))

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

同時刻、side蘭

 

昼休み、あたしはモカ達のクラスに行き昼食をとりながら話をしていた。

 

 

「ねぇ〜蘭〜。れー君とは今の所どんな感じなの〜?」

 

「ど、どんな感じって?」

 

「いや〜そろそろ告白した方がいいんじゃないかな〜って。」

 

「ゴフッ、ゲホゲホ!」

 

「ちょっと蘭!どうしたの急に!」

 

「いや、モカが急に変な事言うから…!」

 

モカの言葉を聞いて少し取り乱してしまった…。

 

「でも、確かに少し焦った方がいいかもよ?蘭ちゃん。」

 

「つぐみまで…、」

 

「だって蓮くん、文化祭が終わってからけっこう女子の間で人気出てきてるよ?」

 

「……え?」

 

そんな事ってあるの?だってあの渡辺だよ??

 

「あ〜あたしもよく女子が話してるの聞くなー。」

 

「え、え、?ど、どうして??」

 

「まず料理ができる、それを教えるのも上手い、あとは普段のイメージのギャップが良いんだって。」

 

「そ、そんなふうになってるんだ…。」

 

「それに蓮くん、以外と整った顔立ちだからそれもあいまって人気なんだよ!」

 

確かに…、渡辺は意外と整った方だと思う…。

 

「見た目も良くて料理もできる。それに蓮くんcircleでバイトもしてるからコミュ力だってあるはずだよね?意外と優良物件なのかも…。」

 

「いや〜とうとうれー君にモテ期が〜。このままじゃ誰かに取られちゃうかも〜〜??」

 

……ヤバい、話聞いてたらすごい焦ってきた…。でも、あたしだって文化祭一緒に回ったりとか週末には2人で遊びに行ったりしてアピールはしてるんだけどな…。

 

「もっと積極的に行くしかないよ!蘭!」

 

「いや、でも今までの行動を見ると蘭にしては積極的に行ってると思うぞ?」

 

「それはモカちゃんも思ってた〜。」

 

「じゃあどうするの?もっと蓮くんにアピールしないと誰かに取られちゃうかもしれないんだよ!」

 

「ひまり…、1回落ち着けって…。」

 

でも、ひまりの言う事も間違いじゃない…。何かいい方法ないかな…。

 

 

 

 

「……プレゼント、とかはどうかな?」

 

悩んでいる中、つぐみがある事を提案してきた。

 

「プレゼント…?」

 

「そう!それなら蓮くんにも良いアピールになるんじゃないかな?」

 

確かに…、渡辺には色々助けて貰ってるし、良いかもしれない。

 

「あ!じゃあプレゼント渡すんだったら''誕生日''とか良いんじゃない?その方が蓮くんも喜ぶよ!」

 

「おー!それ名案だな!」

 

「あたしもそれにさんせ〜い。そしてそれに便乗して告白すれば万事解決ってもんよ〜。」

 

「……」

 

つぐみとひまりの話を聞いてあたしもいい案だと思った。でも1つ問題が…。

 

「……あたし、渡辺の誕生日知らない……。」

 

「「「「ええ!?」」」」

 

やめて、そんな目で見ないで…。

 

「好きな人の誕生日も知らないなんて嘘でしょ!?」

 

「うぅ、」グサ

 

「そこはちゃんと把握しないとダメでしょ〜。」

 

「うぐ、」グサグサ

 

「ふ、2人とも!それ以上は蘭ちゃんがもたないよ!」

 

渡辺風に言えばもうあたしのライフはとっくに0…。

 

「あはは…、でもまぁ、誕生日ぐらい今から聞いても大丈夫だって。」

 

「…、これでもう誕生日がすぎてたらどうしよう…。」

 

「あーもう!そんな風に考えちゃダメ!とりあえず今日中に蘭は蓮くんの誕生日を聞くこと!分かった?」

 

「は、はい。」

 

「お〜、ひーちゃんがつぐってる〜。」

 

 

ひまりがつぐったところでチャイムが鳴り、あたしはモカ達の教室をあとにした。

 

 

 

クラスに戻るとあたしの隣の席には既に渡辺が座っていた。

 

 

「お、ずいぶん時間ギリギリまで青葉達のとこいたんだな。」

 

「うん。うっかり話しすぎちゃって…。」

 

「ははは、そっか。」

 

「渡辺は何してたの?昼休みなった途端いつもの2人連れてどこか行ってたけど。」

 

「あ〜、屋上行ってたんだよ。」

 

「え?この時期の屋上って寒くない??」

 

「いや、今日の屋上はとてつもなく暖かかった…。」

 

「そ、そうなんだ。」(今日そんなに天気良かったっけ?)

 

 

 

 

 

…………どうしよう。どのタイミングで誕生日を聞けば良いのか分かんない…。急に聞くのもなんか変だし…。

 

 

 

 

結局、この時に聞くことはできず、気がつけば放課後まで時間がすぎてしまった…。

 

 

 

 

 

(ヤバい、何か、何かいい方法は…。)

 

 

 

 

「よいしょっと。ん?美竹何やってんだ?みんなもう帰ってるぞ。」

 

「…うん。そ、そうだね。あたし達も帰ろう。」

 

「いや、俺今日このままバイトなんで。」

 

「あ、、そう、なんだ…。」

 

「うん。それじゃあお先。」

 

「うん……。バイト頑張って……。」

 

そして渡辺は教室を後にした。

 

「……どうしよう…、このままじゃダメだ…、」

 

教室に取り残されたあたしはどうしていいかわからず、ただ呆然としたままだった。

 

すると、いきなり教室の扉が開き、ある人が入ってきた。

 

「あれ?美竹さんまだ教室いたの!?そろそろ鍵閉めるよ?」

 

あの人は確か、、渡辺とよく一緒にいる…鈴木だっけ??

 

「ああ、うん。ごめん…。」

 

あたしは急いで荷物をまとめて外に出る。

 

「それにしても、1人で何やってたの?」

 

教室の施錠をした鈴木が聞いてきた。

 

「まぁちょっと色々…。」

 

「もしかして蓮の事で考え事?」

 

ギクッ

 

「図星だね。」

 

意外と鋭いなこの人…。

 

「何か悩み事でも??」

 

「えーっと…まぁ…、」

 

「まぁあいつに聞づらい事なら俺か佐藤にでも聞いてくれ。何かしら力になるぞ。」

 

 

渡辺に聞づらい事…、

 

 

あ!そうだ、別に渡辺から直接聞かなくても知ってそうな人に教えて貰えば良いんだ!

 

それに気づいたあたしは早速鈴木に聞いてみた。

 

「そ、それじゃあさ、1つ聞きたいんだけど…、」

 

「ふむふむ」

 

「えっと…、渡辺の誕生日って、、いつか分かる?」

 

「(なるほど、そういう事か…!)あー、誕生日ね!あいつの誕生日はクリスマスイブだよ。」

 

「え?て言うことは12月24日…。」

 

「そうそう!こんな日付けだからクリスマスに忘れられて友達からあんまり祝ってもらったことないって愚痴ってたわww」

 

ええ、なにそれ普通に可哀想…。あたしでさえ毎年みんなに祝ってもらってるのに…。

 

「だからさ、盛大に祝ってやってくれよ。その方があいつも喜ぶ。」

 

「…い、いや、別にあたしは…//ただ気になってただけで…//」

 

「はははwまぁそういう事にしとくよ。そんじゃ俺これから部活だから!美竹さんも色々頑張って!」

 

「…、うん、ありがと。」

 

そう言って鈴木は足早に部活に向かっていった。まさか鈴木にまで背中を押されるなんて…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(よし、決めた。プレゼントは12月24日に渡す。あと、誕生日なんだからモカ達も呼んで盛大に祝ってあげよう。そして、その後で……渡辺に、ちゃんと自分の思いを伝えよう…。)

 

 

そう決意した瞬間、一気に緊張感が出てきてしまった。上手く言えなかったりとか、プレゼントが喜んでもらえなかったりとか…、あとは振り向いてもらえなかったりとか、、色々考えてしまう。

 

 

でも、もう決めてしまった事だし、あとは全力でやるだけだ。

 

 

 

「…渡辺へのプレゼント…、何が良いかなぁ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








もうちょいで終わりの予感がしてきたような感じがしなくもない気がしたことも無い。(日本語)


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上げて上げて下げてからの???







めっちゃどおでもいいけど朝起きたら鼻の上にゴキブリおったwwww







「ハックション!!」

 

「ヴァックショォイ!!!」

 

「マイケルジャックショォイ!!!」

 

「いや、さすがにマイケル・ジャクソンはわざとだろ、」ズズズ

 

「あっー、さっぶ。」

 

「こ、ココアァ…」ガクガク

 

 

早めにクラスに来たというのに何故か暖房が着いていなく、氷河期とかした教室で俺達は凍えていた。

 

ちくしょう…、暖房なんでつけとかねんだよ担任ごらぁ。暖まるのに時間かかるんだからあらかじめつけとけよ、仕事サボんな…、

 

 

 

「もう、今日から12月だぞ…。」

 

「今月で今年おわんぞこら…。」

 

「来年もよろしく…。」

 

「「はやいわ。」」

 

 

そう、気がつけばもう12月になってしまった…。12月…期末テストが終われば冬休みに入り、クリスマス、年末とイベント盛り沢山の月だ…。

 

そんでもって…、俺がこの世に性を生した月でもある。まぁクリスマスイブとダダかぶりで友達に忘れ去られるんだけどね!!正確に言うとサンタが持ってくるプレゼントかな!?

 

 

忘れもしない、あれは小学生の時。友達に誕生日を聞かれ教えてやったら

 

『え!?クリスマスイブなの!?じゃあお前ん家行ってみんなでパーティーしよーぜ!』

 

的な事を言われ俺もウキウキしながら当日を迎えたわけだ。だがその友達は来ることは無かった!なんでか後日理由を聞いたら

 

『ごっめーんwプレゼントの事で頭ん中いっぱいで忘れてた〜ww』

 

って言われて当時の俺が受けたダメージは計り知れないものだった…。俺の誕生日があのサンタから貰えるプレゼントによって忘れ去られるんだよ!

 

みんなからしたらプレゼントを運んでくれる素晴らしいおじさんなんだろが、俺からしたらあんなの友達の記憶から俺の誕生日だけを消去する不法侵入のロリコンジジィでしかないんだよ、てめぇ二度とソリに乗れねぇようにしてやろうかぁ??当時脳内で何回刺し殺したか分かんねぇよ。唯一分かってんのは伊藤誠の比にならないくらい刺したって事ぐらいだわ。

 

 

 

「はぁ〜」

 

「おい、この寒い中その死んだ目はやめろ。」

 

「いきなりどうしたこいつ…。」

 

おっと、顔に出てたか……。

 

「いや、ちょっとな…、昔のトラウマを思い出しただけだ。」

 

「ああ、この前聞いた誕生日の悲劇か…。」

 

 

その通りだよ。あれ以降、中学とかになったらもう友達に誕生日教えるのやめてたもんなぁ…。他の人は

 

『誕生日友達に祝ってもらってぇ〜w』

 

とか言ってたけどそんな事経験いたことねぇよ。家族からしか祝ってもらってねぇよ。羨ましいかぎりですねぇ??

 

 

 

 

 

 

いや…待てよ?今年はもしかしたら、、ワンチャンあるんじゃないか?なぜならこの2人には誕生日も教えてるしあの悲劇も一応知ってる…。高校になって知り合ったが気が合いいつもつるんでてしまいには恋愛相談じみた事までした仲だ。可能性は低いがこの2人だったら祝ってくれるんじゃないのか???

 

 

 

…、少し探ってみるか…。

 

 

 

「……2人はあれか?クリスマスでも年末でもお構い無しに部活あったりすんのか?」

 

「あー、どうだろうな。年末はさすがに休みだろ。」

 

「てかクリスマスとか部活のヤツらとパーチーひらくやろw」

 

「あwそうだったわww」

 

あ、オワタァアア。

 

 

「……あぁ、そぉ。まぁ俺もバイト入ってるしなぁ〜…。」

 

 

まぁ、、うん。そうだよね…。こいつらは部活というコミュニティがありそこで集まるのは当然だろう。ましてやクリスマスなんて……。ま、まぁだいたい予想はしてたし…。別に全然…、落ち込んでなんかねぇし…。

 

 

 

 

それからしばらく3人でダラダラと時間を過ごしていた。教室にはちらほらとクラスメイトが入ってきてもうすぐ今日という学校生活が始まろうとしている。相変わらず教室は寒いままだが。ホームルームの時間が近くなると2人は自分の席に戻り各々準備を始めた。

 

俺も自分の準備をしようとするが、ふと、まだ空いている隣の席に視線を移す。

 

 

(そういや美竹のヤツ、今日おせーな…。)

 

 

そう、まだ美竹が来ていないのだ。このままだと遅刻になってしまうが大丈夫なのだろうか…?

 

 

 

 

ガラガラ「うわぁ…、寒っ、暖房ついてないの…?」

 

 

すると、ちょうどそう思ったタイミングで教室の扉が開き、本人が入ってきた。

 

 

「うっす。今日はずいぶんと遅かったな。寝坊?」

 

隣に座る美竹に話しかける。

 

「おはよ。寝坊したのはあたしじゃなくてモカね…。危うく遅刻するとこだった…。」

 

「あー、青葉なら納得だわ。」

 

驚くほどマイペース野郎だからなあいつは…。

 

「ていうか教室寒すぎ……。」

 

「担任が仕事をサボった結果だよ。暖まるまでしばしお待ちを。」

 

「もう、、こんなに寒いんだからサボんないでよ…。」

 

まぁまぁ、お前だって授業サボってた時あるんだからお互い様だろ。

 

 

 

 

 

 

 

(…美竹に誕生日を祝って貰えたら…、どんだけ幸せなんだろうな…。)

 

 

絶対にありえないことを想像してしまった。うん、無いね。可能性0%だ。なぜなら美竹は俺の誕生日を知らないし、それに分かっていたとしてもわざわざ祝いに来てくれるはずはない。

 

そんな事してる暇があるなら好きな人んとこ行ってるだろう。ましてやクリスマスなんだし。そんでそのまま結ばれてしまうまであるな。

 

 

oh..なんか自分で考えてて頭が痛くなった……。

 

 

 

「そう言えば渡辺、」

 

「ん??」

 

「冬休みってなんか予定あったりする?」

 

「…え??」

 

 

美竹さん???まさかだよね…?いや、ありえないと思うけど…

 

 

「…ほら、その…クリスマス、とか…、どうなの?」

 

 

みみみみみみみみ美竹さん!?!?!?!??

 

 

 

えっ!?なに!?キちゃいましたか!?!?!?!??

 

 

おおおおおお落ち着け、まだそう決まったわけじゃない……、勝手に勘違いすんじゃないぞ渡辺蓮、、

 

 

 

「ま、まぁ特にないかな…、普通に暇だと思うけど…。」

 

「…そっか、、…良かった…。」

 

 

 

美竹さん!?!?!?!??いいんですか!?!?期待しちゃいますよ自分!!!

 

 

「み、美竹はその、、なんかあったりすんの??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「、あ、あたし達は他のバンドの人達と集まってクリスマスパーティやるよ…。」

 

 

 

 

 

 

( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

 

 

 

 

 

なんだろうなぁwwwwwなんなんだろうwwwwww

 

 

 

なんかこうwwwwwなんか殺してぇなぁ☆

 

 

あげるだけあげて結局このザマだよね!!!まじかぁーーー!クリスマスって言う文明滅ぼしてぇーーーー!!

 

 

 

「そ、そうなのかぁ…。あははは、、」

 

何この乾ききった愛想笑い。今まで生きてきてこんな愛想笑いした事ないよ!

 

 

ていうか美竹も美竹で聞く必要あったんですかぁ!??

 

なに?トドメですか?この僕にトドメを刺しに来たわけですか??

 

 

 

 

 

ガラガラ「は〜い、ホームルーム始めるぞ〜。」

 

 

 

自分がキレてんのか悲しんでんのか訳分からなくなっていたらちょうど担任が現れ、そのまま今日という学校生活が始まるのだった…。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ「たでーま…。」

 

 

「おかりー。」

 

 

 

家につき自分の部屋に向かうと、だらんと横になる。なんかいつもより体が重たい…。あー、何もしたくない…。

 

 

ガチャ「やーやー、今年の誕生日は友達に祝ってもらえそうかい??」

 

「………」

 

「ッスー、ok、俺が悪かったからその顔やめて…?いやほんと、、マジで…ごめん…。」

 

 

ツギハネェカラナクソガキィ

 

 

 

「あー、こんな空気の中言いずらいんだけどさ、」

 

「ああ?」

 

「クリスマス…、まぁお前の誕生日なんだけど…、母さん仕事忙しくて帰って来れんらしぃ。」

 

「…そんなんいつもの事だろ…。」

 

「&俺も友達と遊ぶご予定がありまして…。」

 

「あーもー別にいいよ…。もう何も期待してねぇから。」

 

「…お、おう。じ、じゃあそんなわけでぇ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って翔は出ていき、この日、俺はクリスマスボッチが確定した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side蘭

 

 

 

放課後、バンドの練習中のある会話…

 

 

「…、渡辺、クリスマスは特に予定ないって。」

 

「おお!それなら大丈夫だな!」

 

「ふふっ、楽しみだね。」

 

「あたしも''手配''は済ませてあるよ〜。」

 

「よーし!それじゃあ当日までみんなバレないようにね!」

 

「「「「うん!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








( ᐛ ) パァ


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突然の…

12月24日…、とうとうこの日が来た。

 

「いや〜、楽しみだね〜。」

 

「蓮の喜ぶ顔が楽しみだなー!」

 

「ひーちゃん達買い出しまだかな〜?」

 

そう、今日は渡辺の誕生日だ。あたしはこの日を''みんな''で祝ってあげようとサプライズを計画し、今はつぐみの店で最後の打ち合わせをしている。

 

 

「みんなー!おまたせー!!」

 

「おー!きたきた!」

 

「おかえりひまり。…それに''佐藤''と''鈴木''も。」

 

「いやー、ちょっと買いすぎたかもなw」

 

「まぁこの人数だし食いきれるってw」

 

「わ〜…こんなにたくさん食べ物が〜」ジュルリ

 

 

 

そう、渡辺と特に仲がいい佐藤と鈴木も''みんな''の中に入っている。2人が言っていた部活の集まりなんてものはもともとなく、あたし達の計画に協力するためのウソだったらしい…。うん、頑張って誘って良かった…。

 

 

「食べ物よし、飲み物よし、そして…プレゼントよし!」

 

「すべての準備は整ったぞ、美竹さん。」

 

「うん…。それじゃ、あとは時間になったら渡辺の家に行くだけだね。」

 

 

今の時間は5時、渡辺の家に行くのは6時頃だから、まだ時間はある。

 

 

「あ''あ''ぁぁぁあ!!!」ドサッ

 

「うわぁ!びっくりしたァ!」

 

時間の確認をしていると突然、ひまりが悲鳴をあげその場に座り込んでしまった。

 

「ちょっとひーちゃん、なに急に猿が轢き殺されたみたいな声出してんの〜?」

 

「み、みんなぁ…、これ、見てみて…。」

 

そう言ってひまりはあたし達にスマホの画面を見せてくる。どうやらTwitterを見ていたらしい。

 

「え〜?別に変なやつなくな〜い?」

 

「こ、この蓮くんのツイートだよ…。」

 

「えっと…なになに?」

 

 

そこには渡辺のあるツイートがあった。

 

 

 

 

 

 

『なんだろう…。ちゃんと暖房ついてるはずなのに…、なんか、、寒い…。』

 

 

 

 

この文章と一緒に誰も写ってない殺風景な部屋の写真が投稿されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

みんな「「「「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」」」」

 

 

 

「こ、心がァァァ…」

 

「潰れる!潰れるってこんなの…!、」

 

「…そう言えばあいつ、この前『クリスマスボッチ確定…』って教室で1人呟いてたような…、」

 

「俺達もクリスマス予定があるってことになってたからな…。」

 

「まさかクリスマスに家族すらもいないなんて……、」

 

「あ〜、確かに前に弟くんに連絡したら『クリスマスは自分も予定あって〜』みたいな事言っていたな〜。」

 

「さ、サプライズってこんなに心痛めるものだったかな…。」

 

 

 

「…み、みんな、まだ予定の時間じゃないけど…もう渡辺の家に行かない…?」

 

「そ、そうだね!早く行ってあげないと!」

 

「あんなツイートしてるってことは多分相当心やられてるぞ…。」

 

「…あいつ家で1人泣いてんじゃねぇかな…」

 

 

予定よりだいぶ前の時間だけど、あんなツイート見たら待ってられなくなり全員荷物をもって渡辺の家に向かった。

 

(待ってて渡辺、今行くから…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

誰もいない家で、ゲーム音だけが響く。もう今日は起きてからずっとこんな感じな気がするような…なんか食べたっけ…?

 

 

「確か下にカロリーメイトあったような…。」

 

そう思い1階に降りて色々物色してみる。

 

「ああ、そう言えばカロリーメイト昨日でもう食い切ったのか…。」

 

何もないことがわかったところでどうしたものかと悩んでいると、

 

 

 

\ピンポーン/

 

 

突然インターホンが鳴る。ゲーム音しか聞いてないもんだからやたらとでかく聞こえるな…。

 

 

\ピンポーン/

 

 

「いませんよー!留守ですよー!」

 

出るのも面倒なので居留守を選択するが、、

 

 

 

\ピンポーン/

 

 

 

「…ったく、しょーがないな…」

 

 

しつこく鳴り響くので仕方なく出てやることに。

 

(ったく翔のやつなんか頼んだのか??)

 

 

ガチャ「はぁーい、なんd『誕生日おめでとーーーう!!!』……え?」

 

 

ドアを開けるとそこにはいるはずのない奴らが集まっていた。

 

「ていうか蓮!お前出んの遅いんだよ!」

 

「もしかしたらいないんじゃないかって心配したんだからな!」

 

「え、、ちょ、、はい??」

 

「あ〜寒〜い。れー君とりあえず入れてぇ〜」

 

そう言ってそそくさと入ってくる青葉、

 

「おじゃましまーす!」

 

「蓮君おじゃまするね!」

 

「あたしも入るぞー。」

 

続いて上原、羽沢、宇田川が入ってくる。

 

「そんじゃ俺らも!」

 

「じゃまするぞ〜蓮。」

 

鈴木に、佐藤まで…。

 

 

そして、最後に残っていたのは…1番可能性がないと思ってた美竹だった。

 

「な、なぁ美竹…、」

 

「?どうしたの?」

 

「こ、これって一体…、どういうことだ…??なんでみんなが家に来てんだ…?」

 

「なんでって…、それは渡辺の誕生日祝いに来たに決まってるじゃん。」

 

「いや、だって、、お前らみんなクリスマス予定あるって、、」

 

「はぁ〜、まだ自分がサプライズされたって事が分かんないの?」

 

「さ、サプライズ??」

 

「そ、あたしが言ったことも佐藤達が言ったことも全部この日のためのやつだったってこと。まぁそのせいで渡辺には少し寂しい思いさせたかもしれないけど…。」

 

「……ま、まじかよ…」

 

「ほら、あたし達もいこ、みんな待ってるよ?」

 

「お、おう…」

 

そう言われ、俺は美竹と一緒に家の中に入った。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「えーっと、それでは改めまして、」

 

 

『(渡辺、蓮、蓮くん!!!)お誕生日おめでとう!!!』パァン!!

 

1階のリビングにて、みんなからの祝いの言葉とクラッカーを頂きました。未だに混乱中の渡辺です。

 

「おいおい、主役がなにポケーっとしてんだよw」

 

「いや、未だに信じられなくてな…(; ;)」グス

 

「いやww今度は泣くんかいwww」

 

「うるせぇよ!こんなん、耐える方が無理だわ…」ボロボロ

 

 

ここに来てこんなにどんでん返しが来るなんて誰が予想出来たか…。

こちとらさっきまでメンヘラ1歩手前だったんだぞ!!そこからこの急展開だぞ!?しかも今までこんなに大人数で祝って貰ったことも無く!ましてやその中に自分が好きになった人まで来てくれたんやぞ!!おまっ、そりゃ泣くって!!!

 

 

「ま〜ま〜れー君や、今はみんなでご馳走を食べながら楽しも〜よ〜。」(・u ・)ŧ‹”ŧ‹”

 

「そうだよ!あ、ちゃんとケーキもあるからね!」

 

「あ、あったけぇ…、なんてあったかい空間なんだ…(; ;)」

 

「おーい、誰が蓮にハンカチを貸してやってくれ〜。」

 

 

 

それから先は、なんて言うか、、最高の時間だった。誕生日にみんなが家に来てくれて、美味いご馳走を食べて、笑い合いながら談笑して、幸せってこういう時間のことを言うんだろうなぁ…。

 

 

「あ、そうだ、ほいこれ俺と佐藤からのプレゼントな!」

 

「はぁ!?プレゼントまであんのぉ!?」

 

「当たり前だろーが。」

 

「とりあえず開けてみ。」

 

2人からのプレゼントを開けてみると中にはゲーム用のヘッドホンが入っていた。

 

「この前『ヘッドホンの調子が悪い』って言ってただろ?」

 

「そんなわけで買いました。はい感想は?」

 

「泣きそう。」

 

もうなんなの、こいつら……。こんな友達持ててもう最高だわ…。

 

「あ!もうプレゼント渡してるー!」

 

「お〜、それじゃ〜モカちゃんも渡そうかな〜。」

 

「え、青葉まで!?」

 

「あたしだけじゃなくてみんなあるよ〜。」

 

歓喜。

 

「はい、れー君おたおめ〜。」

 

そう言って青葉が渡してきたものは…

 

「ん?なんだこれ??」

 

「ふっふっふ〜、あたしが通ってる山吹ベーカリーのクーポン券だよ〜。」

 

「こ、こんなに…。」

 

「あそこのパンは格別だかね〜。れー君も行ったことないならそれを使ってたくさん買って食べてみてね〜。」

 

「あ、ありがとな。今度行ってみるよ。」

 

「うむ、よろし〜。」

 

まさか青葉からプレゼントを貰えるなんて…思っても見なかったよ…。

 

「よーし!じゃあ次は私ね!」

 

それから上原からは香水、宇田川からは俺がラーメン好きという事でラーメンの無料券、羽沢からは綺麗なデザインのマグカップを貰った。

 

そして、美竹からは…

 

「はい、これあたしから…。」

 

美竹からは紙袋を渡された。中身を確認してみると…、

 

「ん?これ、マフラー?」

 

「うん。渡辺に似合いそうなやつを選んだ。」

 

「そ、そっか…ありがとな。大事にする。」

 

 

あーくそ、ダメだ嬉しすぎて心臓が跳ねてる。仕方ねーよな。だって自分の好きな人からプレゼント貰えるんだ。たとえその人が別に好きな人がいたとしても…。

 

 

「えー!蓮くんそれだけー?」

 

「うお、びっくりした…。え、なに?」

 

いきなり上原が詰め寄ってくる。

 

「そのマフラー見てなにか気づかない?」

 

「ちょっ//ひまりっ//」

 

なぜか焦り出す美竹。俺は貰ったマフラーをもう一度見てみる。

うん、なんだろう…このマフラーの生地、見覚えが…、

 

「そのマフラー、蘭が持ってるやつの色違いなんだよ!」

 

「…え?」

 

「……///」

 

確かに…、言われて思い出した。上原達は知らないと思うが美竹が今使ってるマフラーは俺が良いと思って選んだものだ。だからこの生地に見覚えがあり、初めて見る感じがしなかったのか……。

 

「そっか…、美竹とお揃いだな…」

 

「う、うん。まぁたまたまだけどね…///」

 

「え〜?蘭ったらそれ見つけた瞬間『これが良い…!』って言ってすぐ会計に持っていったじゃーん。」

 

「ちょっ、、///余計なこと言わなくていいから!」

 

 

 

美竹達が騒いでいる中、俺はこのマフラーをずっと大切にしてようと心に決めた。

 

その後もみんなで楽しく話したり、ゲームをしたりして、楽しい時間が過ぎていった……

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「よっと、それじゃあ蓮くん、また今度ね〜!」

 

「おお、今日はありがとうな〜。」

 

 

気がつけば楽しい時間は終わってしまい、遅い時間帯になってしまった。みんなもこれ以上遅くなるとまずいと思い、そろそろ帰ってしまうそうだ。

 

「また年末集まろーな、蓮。」

 

「はは、そうだな。」

 

「そんじゃーなー!」

 

「おう。」

 

そう言ってみんなは帰ってしまった。

 

ただ1人を除いて…。

 

 

「それにしても良いのか?美竹、片付け手伝わせて…、」

 

「大丈夫、家すぐそこだし、それにあたしがしたいからやってるだけ。」

 

そう、なぜか美竹だけ家に残りあと片付けを手伝うと言い出したのだ。

 

「あと、家に帰っても誰もいないから…、もう少し居させて…。」

 

「お、おう。」

 

ブルータス、お前もか…。

 

 

そう言って俺達は片付けを済ませた。1人だと時間かかってたかもしれないが2人でやると案外早く終わるもんだな。

 

片付けを済ませた俺達はリビングのソファーに座り、今日の事を話していた。

 

 

「今日、渡辺はその、どうだった?」

 

「どうって…、最高の時間だったよ。まじでありがとな。あと、マフラーも。大切に使わせてもらうよ。」

 

「…そっか…、やっぱりサプライズにして正解だったかも…。」

 

「もしかして今回のこれは美竹が考えてくれたのか…?」

 

「うん、鈴木に誕生日聞いた時に思いついたんだ。」

 

「そうだったのか…」

 

 

まさか今回のサプライズは美竹が考えてくれたなんて…。しかもプレゼントまで……、

 

 

 

 

 

 

突然ですがここで問題、自分が好きになってしまった人から誕生日をサプライズで祝って貰ったらどうなってしまいますか?

 

A、嬉しくなってもっと好きになる。

 

 

 

 

 

 

実に単純で当たり前のことだ。

 

……正直俺は美竹に自分の思いを伝えるか迷っている。伝えたところでそれが実るわけないし、傷つくだけかもしれない。

だがここで佐藤の言葉を思い出す。

 

 

『告白しないで後悔するより、告白して後悔した方いいんじゃないのか?』

 

 

告白をしたところでただ傷つくだけ。でも告白をして、美竹からキッパリと断られることで俺も納得して諦められるんじゃないか?傷つきはするけどもうこんなにモヤモヤして悩まなくて済むし。今ここで言ってしまえば楽になれるんじゃないのか?

 

 

 

そう思ったら、俺の口は勝手に言葉を紡いでいた……。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

side蘭

 

 

さっきから心臓がうるさい…。顔赤くなってないかな…?

 

 

2人になってからずっとこればっかりだ…。それぐらい今のあたしは緊張していた。だって今日は渡辺の誕生日を祝うと同時に、あたしが渡辺に自分の思いを伝えようと決めた日だから…。

 

 

 

 

(や、やっぱり今日じゃなくても……、いや、もう決めたことだし、逃げちゃダメ…!)

 

 

こればっかりはあたしからちゃんと告白したい。

 

今思えば1番最初にあたしに話しかけてくれたのは渡辺だし、それからあたしがクラスに馴染めるようにしてくれたのも、あたしが父さんやみんなと喧嘩してた時に相談に乗ってくれたのも、LINEの時だって、全部渡辺が''先''に動いてくれてた。あたしはただそれにずっと助けられてただけ。

 

相談に乗ってくれた時なんて1度は関係ないって言って突っぱねたのに…。それでも渡辺はどかなかった。

 

 

だから今回こそは、あたしから''先''に行くんだ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッフーー、ねぇわt「美竹、俺、お前の事…、ずっと好きだった…。」……え…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはあまりにも突然の出来事で、あたしは何を言われたのか理解できず、石像みたいに固まった。

 

 

そして、そんなあたしの事は関係ないと言わんばかりに、彼はその後も言葉を紡いだ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





えーーーっと、次で終わりです…。


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ずっと隣で

 

「美竹、俺、お前の事…、ずっと好きだった…。」

 

「……え?」

 

気がつけば俺は言葉を発していた。今更取り消す事も時間を巻き戻すこともできない。でも不思議と今は心がスッキリしていた。おそらく結果が分かりきってるからだろう。前までモヤモヤして苦しかったのが嘘のようだ。

 

「……」

 

美竹は俺の言葉を聞いて固まっていた。そりゃそうだろう、いきなりこんな告白したんだから…。

 

 

「ま、美竹からしたらすげぇ迷惑かもしれないけど、でも言わないと後悔すると思ったから…、悪い、いきなりこんな事。遠慮なくフッてくれ、その方が俺も良い。」

 

 

 

 

…おい、いつまで固まってんだよ、頼むから早くフッてくれ、終わらせてくれよ。こういうのって結構じわじわ来るんだよ…

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

(え…?今、渡辺、なんて言った…?好き…?渡辺が…?あたしの事を??)

 

 

「…!?///////」

 

「み、美竹?」

 

「ご、ごめん////ちょっと、ちょっとだけ待って/////」

 

「お、おう。」

 

思わず渡辺と反対方向を向いてしまう。この状況に頭が追いついてこない。

 

そのせいで渡辺の後半の言葉が全然頭に入ってこなかった。

 

 

(うそ、今あたし……渡辺に告白されたの…!?)

 

 

あまりに予想外だ。不意打ちだ。こんなの混乱するに決まってる。夏祭りの時とは明らかに違う、今のは本当の告白だった…。

 

 

 

「……い、いつから、なの…?」

 

「…え?」

 

渡辺に背を向けたまま質問する。今はこれが精一杯だ…。

 

「だ、だから…いつからその、あたしの事……」

 

「…いつからだろうな…。俺もわからん。自分の気持ちに気づいたのは最近だけど、本当はもっと前から美竹に惹かれてたんだと思う。」

 

「……そ、そう、なんだ…////」

 

 

心臓が爆発しそう。嬉しいのか恥ずかしのか訳が分からない。こんなんじゃいつまでたっても渡辺の方を向けない…。

 

 

(ていうかなんで渡辺はそんなに平然としてられんの…////こっちはさっきまで立ててた計画崩されたあげくこんなになってるのに…////)

 

 

まさか渡辺がこんなに堂々と告白してくるなんて…。渡辺ってもっとモジモジする感じだったじゃん…!なんでこんな時だけ……。

 

 

 

どうしよう、どう返事をすれば良いのか分かんなくなった…、

 

 

 

 

 

 

「まぁでも、美竹は他に好きな人がいるんだし、俺の事は微塵も気にせずフッてくれ。」

 

「え?」

 

「ん?」

 

 

ああ、そっか…、渡辺は諦めてるんだ…。自分が応えて貰えないって。だからこんなに冷静でいられるんだ。

 

「…そっか、そういう事…。」

 

「み、美竹?」

 

あたしはくるりと渡辺の方を向く。

 

「…渡辺の気持ちはその、よく分かった…。ありがとね。」

 

「お、おう。」

 

 

今の渡辺はあたしが告白にこたえてくれるなんて微塵も思ってない。

 

「…少し、あたしの話し、聞いて貰ってもいいかな?」

 

「…おう。」

 

 

だったら今から、あたしの気持ちを伝えて分からせてやる…!

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっき渡辺はあたしに好きな人がいるって言ったよね?」

 

「あぁ、言ったな…。」

 

「その人の話になるんだけど…」

 

「いや、それこの前も聞いたような気が、」

 

「その時は言えなかった部分だから…」

 

 

なんなんだ一体、突然後ろの方を向いたと思ったら今度はやけに真剣な顔になって振り向いて…、そんで美竹の好きな人の話を聞かされる…、

 

どういうことだってばよ・・・?まるで意味がわからんぞ…!!

 

 

「まず、その人は文系の教科が得意で―」

 

 

軽く混乱してる間に美竹の話が始まった。へぇそいつも文系得意なのか。

 

 

「あと、ゲームもすごい得意。」

 

ほほう。

 

「でもゲーム中は精神年齢5歳下がってすごいやんちゃになるって言うね」フフッ

 

 

なんだよそいつもゲーム好きなのか、俺と気が合いそうだな。

 

「それに猫もすごい好き。どれくらい好きかって言うとLINEのアイコンにするぐらいかな。」

 

 

分かる〜。俺も好きすぎてアイコン猫だもんな〜。

 

 

「あと、すごい負けず嫌い。ゲームやってる時はもちろん、一緒に卓球やった時はすごい食いついて来てたかな。その後筋肉痛になって動けなくなってたけど。」

 

 

あ〜、俺も美竹と初めて卓球した時同じ目にあったな〜。

 

 

「…、一緒に夏祭りに行った時は色々あってドキドキしたけど、楽しかった…。」

 

 

うんうん、俺も美竹と行った時………………ん?待て、いつ美竹はその人と夏祭りに行ったんだ?あの祭りは2日目なんてなかったはずだし…、

 

 

「海に行った時はひまりの胸ばっかり見てたからビーチバレーでコテンパンにしてやった。」

 

 

いや、それ俺も全く同じ経験してるんすけど…、なんだったらさっきから言ってること全部身に覚えがあるって言うか…、

 

 

「……ひまりが学校に参考書忘れて取りに行った時もその人は来てくれたし、学校でみんなとはぐれた時、あたしを見つけてくれた…。」

 

 

いや、ちょっとまて…

 

 

 

「……まだ分からない?」

 

「……いや、だって、、そんな事、ありえないだろ…。」

 

「…じゃあもう直接行っちゃうね。」

 

「ッ、、、」

 

「ッフーー、あたしの好きな人は――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「渡辺……、あんただよ…。」

 

「……、」

 

 

 

信じられなかった、ありえないと思っていたから。

 

 

「…は?お、俺…?」

 

「…だからそうって言ってるじゃん…。バカ…。」

 

「だ、だっておま、あの時、好きな人いるって…」(混乱中)

 

「はぁ〜、だからそれが渡辺だって言ってるの///何度も言わせないでよ///」

 

ようやく頭の中で整理ができて来ると、突然、目頭が熱くなってきた…。

 

「…そ、そうだったのかよォ」ポロポロ

 

「ちょッ!?なんで泣いてんの!?」

 

「いや、わりぃ、だってお前、俺が自分の気持ちに気づいた時にはもう好きな人いるって言ってたから、、その時点でもう諦めてて……」グス

 

 

(…そっか、だからその時の渡辺の様子が少しおかしかったんだ…。)

 

 

「ごめん、渡辺にずっと辛い思いさせてた…。もっとあたしが早く言ってれば良かったね…。」

 

 

「○△□$☆°%#!!」

 

「…な、なんて?」

 

ごめん俺もなんて言ったかわからない。

 

 

それからしばらく俺の涙は止まらなかった。いや、ていうか泣くからこんな状況。普通に考えて。フラれると思ってたのにまさかのどんでん返し来るなんて思うわけないやろ!!

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ落ち着いた?」

 

「…おう、取り乱してすまなかった…。」

 

「別に、それくらい抱え込ませたのはあたしだし…。なんとも思ってないよ。」

 

「そっか…。」

 

「それにしても、サプライズの時から思ってたけど、渡辺って意外と涙脆いよね」クスクス

 

「いや、今回に限っては美竹達が悪い…。」

 

「フフッそういうことにしとく。」

 

今日は久しぶりに渡辺の意外な部分見つけられたかな…。

 

 

 

「それじゃ、改めて…。あたしは渡辺の事が好きです…。大好きです//よ、よろしければあたしと付き合ってください…////」

 

「…俺も美竹の事が好きだ。こんな俺で良ければよろしくお願いします。」

 

「ッ…////」ギュッ

 

思わず渡辺に抱きついてしまった。それくらい嬉しかったから。

 

「おっと…。み、美竹さん?」

 

「ごめん、もう少しこのまま…。」

 

「…おう…。」ギュッ

 

そう言って渡辺もあたしを抱きしめてくれた。

 

「つーか、普通告白って俺からするもんじゃないの??」

 

もう、さっきまで泣いてたくせに…。

 

「それはダメ、あたしから言うって決めてたから。」

 

「そ、そっすか…。あっ!でもよく考えたら先に好きだって言ったのは俺だしな。実質俺から告白したようなもんだな。」

 

「…言われてみれば確かに。」

 

そうだあたしが言おうとしたタイミングでいきなり渡辺が告白してきたんだ…。

 

「…あたしって全部渡辺に先越されちゃうんだよね…。」

 

「え?どゆこと?」

 

「席替えした時、1番最初に話しかけてくれたのは渡辺でしょ?」

 

「…そうだっけ?」

 

「そうだったの。あとあたしが父さんとかモカ達と上手くいってなかった時もLINEの時も、全部渡辺が先に動いてくれてたじゃん。だから告白だけはあたしから言おうって思ってたのに…。」

 

「ははは、また先を越してしまったようだな。」

 

「むぅ。」

 

このままじゃなんか負けた感じがする。なんでもいい、なにか渡辺よりも先に動きたい…。

 

 

(あ!そうだ…、まだ''あれ''を言ってない!!)

 

 

「渡辺、ちょっとここで待ってて。」

 

「ん?おう。」

 

あたしは一旦渡辺から離れてプレゼントを入れていた自分のリュックのある場所に向かう。

 

 

(''これ''をずっと持ってて正解だった。)

 

あるものを手にし、渡辺のところに戻る。

 

 

「いったい何を取ってきたんだ?」

 

「…一つだけ、渡辺よりも先に言えることがあるって思いついて…。」

 

「???」

 

「はい、これ。」

 

そしてあたしは取ってきたものを渡辺に渡す。

 

「…ッ!!おま、これって///夏祭ん時のお守りじゃねぇか///」

 

そう、あたしが渡したのは夏祭りに行った時、渡辺からもらった恋結びのお守りだ。それもただの恋結びじゃない、このお守りにはある効能がある。それはこのお守りを相手に渡すということは''求婚''を意味するという事だ。つまり、あたしは今、渡辺に''プロポーズ''をしていることになる。

 

 

 

「いやいやいや、ちょっとまて!!」

 

「…?なんで?最終的には''これ''に到達するでしょ?それともあたしとは遊びで付き合うつもりだったの?」

 

「…そんなわけねぇだろ…、」

 

良かった、少しホッとした…。

 

 

「…うん、あたしも渡辺とは遊びで付き合うつもりはない。これからもずっと、あたしの''隣''にいて欲しい…!その意味をこめてこのお守りを渡すの。」

 

「…ほんとに後悔しないんだな?」

 

「…後悔させるようなことするの?」

 

「するわけねぇだろボケ。お前こそ一緒の墓にぶち込まれるのを楽しみにしとくんだな…!」

 

「フフッ何それ、変なの。」クスクス

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、俺たちはお互いの思いを知った。しかも最後には美竹から''先に''プロポーズされるというね。

 

 

 

 

これからはただ席が隣って言うわけじゃない。これから先、俺はずっと美竹の隣に立ち続ける。美竹も俺の隣に立ち続ける。それがお互いの願いなのだから………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







おわたーーー。





という訳で今回で本編は最終回となります。今まで読んでくださった方々、評価や感想を書いてくださった方々、誠にありがとうございました。

今後はafterstoryとか書くつもりなのでもし良ければそちらもご覧下さい。

それでは。


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その後&思いついたネタの消化ストーリー
初詣の季節じゃないけど初詣に行きます





完結させて1週間も経ってないけどなんか書いとこ。


はい、新年あけましておめでとう。え?こっちは全然そんな時期じゃない?甲子園すら始まってないって?

え?今年甲子園やんの!?俺らの時はやんなかったのにぃ!?羨ましい限りですね。甲子園の砂くれよ。あ、去年貰ったわww

 

 

 

 

 

ま、こまけぇこたぁ置いといてだ。

 

 

 

冬休みに入ったと思えばあっという間に時間が経ち、気がつけば年が明けていた。

 

まったく、この1年色々あったもんだな。佐藤達と知り合って仲良くなったのも去年だし、美竹と付き合う事になったのも去年、…ていうか数日前。

 

 

12月24日、俺はフラれること前提で美竹に告白した。だがフラれるどころかそこで美竹の好きな人が俺だったと知り、実は両思いだったことが分かった。挙句の果てにプロポーズまでされる始末。

 

まぁ、泣いたよね。てか泣くよね、あんな事になったら。あの日が1年の中で1番心に残った日だよな。なんなら一生忘れないまである。墓に埋まるまでよろしくお願いします。

 

 

 

そして、そんな俺が今向かっているところは、

 

 

 

「あ、渡辺、あけましておめでとう、」

 

「お、おう。あけましておめでとう…。その振袖、似合ってるな…。」

 

「そ、そうかな//あ、ありがと。それじゃ、みんなのとこ行こっか。」

 

「おーけー。」

 

 

そう、俺は年明け早々、美竹の家に向かっていた。理由は今日はAfterglowのみんなで初詣に行くからだ。ほかのみんなは羽沢の店に集合してるらしい。俺達も早く合流しないとな。

 

「ね、ねぇ渡辺、」

 

「どした?」

 

これから向かう、といったところで美竹に呼び止められる。

 

「…ん、」ッス

 

そう言って手を差し伸べてきた。

 

「えっ?」

 

「いや、えっ?って何…。察してよ、バカ…//」

 

これは、俺の勘違いじゃなければ''手を繋いでいこう''って事?

 

「いや、おま、//」

 

「な、なに?嫌なの//?」

 

その返しは反則って言うんだぞ?

 

「…ったく、嫌なわけねぇだろ、」

 

そう言って俺は美竹の手を取った。

 

「…////」

 

「んじゃ、今度こそいくぞ///」

 

「…/////」コクコク

 

なんだかんだこうして手を繋ぐのは初めてなんだよなぁ…。だが、下を向いてよく表情がわかりにくいが、美竹のかすかに嬉しいそうな顔が確認できたし、俺としては全然良いんだけどね。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「あ!あれ、蘭と蓮君じゃない?」

 

「お〜、やっと来た〜。」

 

「あ、あれ?なんか…2人の距離近くない…?」

 

「いや、あたしにはちゃんとくっついてるように見えるぞ…?」

 

「ちょっと待って!?よく見たら手繋いでない!?」

 

 

「「「「……………」」」」

 

 

 

「いや、なに固まってんだよ…。とりまあけおめ〜、ことよろ〜。」

 

「渡辺、挨拶が雑になって来てるよ…。みんなも、あけましておめでとう。」

 

 

「「「「……………」」」」

 

え?何怖い。なんで目を見開いたまま固まってんの?

 

「?みんなどうしたの?」

 

さすがに美竹も変だと思ったのか、4人に問いかける。

 

「…ええっと、、その、、なんか、2人とも、いつの間にそんなふうに…」

 

最初に口を開いたのは上原だった。

 

「「そんなふう?……あっ。」」

 

そう言って俺達は同時に自分の手の方に視線を落とす。うむ。しっかり手は繋がっているままですね。

 

「これは〜?どういうことなのかな〜お2人とも〜?」

 

「も、もしかして2人って…!?」

 

「つ、ついに…!?」

 

あーもう分かったから、そんなに目を輝かせるな。

 

 

(つか美竹、俺らの事青葉達に言ってなかったのかよ…。)

 

(そ、そう言えばまだ誰にも言ってなかった…。)

 

(oh......、)

 

 

 

「あー、まぁお察しの通り、そういう事です…。」

 

「ええええええ!?」

 

うるさいぞ上原…。

 

「お〜!蘭〜、ついにやったじゃ〜ん!」

 

「おめでとう!蘭ちゃん!」

 

「やったな!蘭!」

 

「う、うん…//あ、ありがとう//」

 

 

みんなから祝福の言葉をもらう美竹。どうやら青葉達は美竹の気持ちを知っていたらしく、色々相談にのっていたようだ。

 

あ、俺も佐藤達に報告しとくか。なんて報告すりゃ良いんだ??

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

羽沢の店でみんなと合流し、それから話しながら神社に着いた。

 

 

 

「おー、結構人いるな。」

 

「うん。前の祭りみたいにはぐれないようにしないと。」

 

 

やっぱり人混みってあまり得意じゃないな…。

 

「ねー、みんなは今日神様にどんなお願い事する?」

 

参拝の列に並び順番を待っていると上原がこんな事を聞いてきた。

 

「あたしはとりあえずパンでしょ〜?あとバンドの事と〜、あと健康とか〜、それから…」

 

「いや多い多い、どれか1つにしぼれよ…、神様過労死するわ。」

 

「あはは…、モカちゃんらしいね。」

 

「あたしは今年も5人でバンドができるようにお願いするよ。」

 

「あたしもそんな感じかな。」

 

どうやらみんなはほぼほぼ願い事は決まっているらしい。え?俺?俺は世界平和で行くけど?

 

 

そうこうしてるうちに俺達の順番が来た。さて、ぱぱっと済ませますか。

 

 

 

 

 

(みんなと楽しくバンド活動出来ますように!あと!た、体重を、体重を何とかして下さい!!)

 

 

(今年もみんなと仲良く健康でいられますように。………普通過ぎるかな…?)

 

 

(今年も全員欠けることなくバンドが出来ますように!)

 

 

 

(パンをたくさん食べられますように〜。あと、蘭とれー君が幸せになりますよ〜に。)

 

 

(今年もみんなといつも通りにいられますように。それと…渡辺と、いつまでも一緒にいられますように…!)

 

 

 

(ゲームまみれの1年になりますように。あと、美竹の隣にずっといられますように…。ついでにしょうがないから世界平和とか祈っておこ。そんでもって…、)

 

 

((((((今年も良い年でありますように。))))))

 

 

 

こうして俺達は各々願い事を済ませたのだった。

 

 

 

「さて、終わった事だし、自由時間にしよーう!」

 

「さんせ〜い。あたしはおみくじ引きたーい。」

 

「あたしもー!」

 

「渡辺はどうする?」

 

「ん?ああちょっとトイレ行ってくるわ。後で合流するから青葉達といてくれ。」

 

「うん。分かった。」

 

 

そう美竹につげ、俺はトイレに向かった。

 

 

「それにしても寒いね〜。」

 

「なんか温かい飲み物でもあったらいいんだけど…、」

 

「あ!それなら向こうで無料で配ってたよ。」

 

「あ〜、『甘酒』だね〜。」

 

「え?お酒なの?」

 

「酒って書いてあるけど、お酒じゃないから私達で飲んでも大丈夫だよ、蘭ちゃん。」

 

「そうなんだ…。じゃあみんなで飲もうよ。」

 

「「「「さんせーい!」」」」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「ふー、スッキリ。」

 

さて、美竹達と合流しますか。確かおみくじ引きたいみたいなこと言ってたからそのへんにまだいると思うが…。

 

「お、いたいた。」

 

5人の姿が見えたのでそっちへ向かう。

 

「おーい、おみくじは引いたのかー?」

 

「あ、れー君、ちょうどいいところに〜。」

 

「え?なに?」

 

何やら少し様子が変だな。

 

「……渡辺、」

 

「ん?」

 

「渡辺、今までどこに居たの…?探してたんだからね…」フラフラ

 

「え?トイレに行くって一応声かけたはずなんだが……?」

 

 

 

 

 

「そんな事はどうだっていい!!!」

 

「はぁ!?」

 

「ずぅっとあたしの隣にいるぅって言ったじゃぁん!!」

 

「へぇ!!?///」

 

おいおいおいおいなに?どういうことなの!?なんなんだってばよぉ!?

 

 

「れー君や、こうなった原因はこれになるのだよ。」

 

「あ?」

 

そう言って青葉は紙コップを俺に見せてきた。

 

「あたし達さっき無料で配られてた甘酒を飲んでたんだけど…、」

 

「何故か蘭だけこんなに酔っ払ってしまってな…」

 

「それでさっきから『渡辺は??』って言ってて…」

 

「えーーーーー。」

 

甘酒で酔っ払うやつなんているのぉーーー?漫画でしか見た事ねぇよーーー。

 

 

「渡辺ェ〜〜、」ムギュー

 

「ちょっ///、美竹さぁん!?」

 

「ら、蘭がこんなにデレデレしてるところ初めて見た…。」

 

「写真撮っとこ〜。」パシャリ

 

「お前ら楽しんでないで助けろぉおおお!」

 

「渡辺ェ」スリスリ

 

 

やめてぇえええ!恥ずかしいからやめてぇえええ!………でもちょっと喜んでる俺ガイル。

 

 

「ねぇ渡辺ェ??」

 

「は、はい!」

 

「あたしってェ、これでも脱いだら結構すごいんだよォ???」

 

「おい、やめろ、なんで年明け早々できたばかりの彼女のトンデモ発言聞かなきゃいけねぇんだよ!」

 

「渡辺も触ってみたらわかりゅよォ??だからぁ、あたしの事もっとギュッてしてよォ!」

 

「いい加減目ェ覚ませやああああ」

 

「ヒューヒュー!蘭ったらだいた〜ん」

 

「あああもうやだああ!おうち帰るうううう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

それからは俺達はあのまま神社に留まるのは危険と判断し、美竹を連れて速攻場所を移動した。そして美竹もこんな状態だし、今日はこのまま解散することになった。

 

 

 

「それじゃあ蓮君!蘭の事任せたよ!」

 

「彼氏なんだからちゃんと面倒みろよ!」

 

「れ、蓮君!ファイト!」

 

「お持ち帰りしてもいいんだよ〜?」

 

1人だけ応援してくれないのなんなん??

 

「ほんと、綺麗に丸投げしてくれたな…。ったく、行くぞ美竹…。」

 

「ん〜??」

 

 

そう言って俺は美竹を連れ家に向かう。あ、俺の家じゃないからな?ちゃんと美竹の家だからな??

 

 

「おーい、美竹ー、大丈夫かー?」

 

「渡辺ェ〜、おんぶぅ〜、」

 

調子乗ってんじゃねぇぞ。

 

「はやくゥ〜、おんぶぅ〜、」

 

ええいガキか貴様は!!

 

「はぁ〜、しょうがねぇなぁ。」

 

動かない美竹を見て仕方なく、背中に美竹を乗せる。

 

「ん〜♪」スリスリ

 

おい、顔をスリスリするな、あと体もそんなに密着させるな、まじでお持ち帰りすんぞ。そんでそのあとは俺が刑務所にお持ち帰りされちゃう。

 

そんなつまらん事を考えながら俺は美竹を背負って歩き出した。

 

 

「渡辺はさぁ〜??」

 

「ん?」

 

「あたしの事好き〜???」

 

「あ?なんだよ突然、」

 

「どうなの〜???」スリスリ

 

こいつ…、酔っ払ってるとはいえさすがにやばいだろ…。俺は周りに人がいないことを確認し、質問に答える。

 

 

「好きに決まってるだろばーか。」

 

あー恥ずかし、さっさと帰って台パンしたいわ。

 

「エヘへェ〜、あたしも〜♪」スリスリムギュー

 

頑張れ、俺の理性、絶対に美竹の家を通り過ぎるんじゃないぞ?絶対に踏みとどまれよ?じゃなかったらもう止まれないからな??

 

 

そんな葛藤の中、ようやく美竹の家に着いた。

 

「ほら、着いたぞ美竹、」

 

「(´-﹃-`)Zz…」

 

 

Q.はっ倒していい??

 

A、ダメです。

 

 

なに幸せそうに寝てんだちくしょう。可愛い寝顔しやがって。

 

「はぁ〜。」

 

仕方なく俺は美竹の家のインターホンを押す。

 

 

ピンポーン、「はーい、」

 

これはおそらく美竹母かな?会うのは初めてだな、この状況どうやって説明したらええんや。

 

ガチャ「はーい、どちら様ですかー?」

 

「あー、えっと、美竹と一緒に初詣に行ってた者なんですけど、ちょっと色々あって美竹寝てしまってですねぇ…、」

 

我ながら変な説明だ。

 

「あ〜、モカちゃんから連絡あったから大丈夫ですよ〜。すみませんねぇ蘭がご迷惑をお掛けしまして。」

 

「あ、そうなんですか…、いえ別に俺は大丈夫っすよ…。」

 

 

ナーイス!青葉ナーイス!

 

 

「そ、それじゃあ俺はこの辺で、」

 

「あら、少しゆっくりして言っても良いんですよ?」

 

「ああいえ、美竹もこんな状態ですので」ハハハ

 

「そうですか…、それじゃまた今度ですね。」

 

今度、ねぇ、、次があるって事ですか…。

 

「あははは…それでは、」

 

「またいらしてくださいね?蘭の''彼氏''さん♪」

 

「ふぇ??」

 

ドアを閉める間際に確かにそう言われた。

 

「…あれ?美竹ってまだ俺の事誰にも言ってないはずなんだが…、」

 

さては青葉の奴連絡するついでに色々話やがったな!?

 

 

「はぁ〜、これからめんどくさくなりそうだ……。」

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

「……あれ?なんであたし、家にいるの??」

 

確か今日は渡辺とみんなで初詣に行ってたはず、なんであたしは今自分の部屋にいるの?いつ帰ってきたんだろう…、記憶が曖昧…。

 

「あら、もう起きたの?」

 

部屋のドアが開く、

 

「あ、母さん、あたしっていつ帰って来たの?」

 

「あらァ〜、覚えてないの??」

 

「え?」

 

「まぁ蘭はその方がいいかもしれないねぇ〜??」クスクス

 

「え?え!?」

 

そう言って母さんは戻って行った。

 

本当に何があったのあたし…

 

「そうだ、渡辺に聞けば分かるかもしれない!」

 

あたしは早速渡辺に通話をかける。

 

『も、もしもし…。』

 

「もしもし渡辺?あたし今気がついたんだけど、今日のこと『いや!別になんにも特別な事なんて起きてねぇぞぉ!?』…え?」

 

『うん、別になんにもおかしい事なんて無かったし!大丈夫だ!あー、俺ちょっとこの後用事あるからもう切るぞそんじゃあな!』

 

「え!?ちょっと『ブチ』えぇ、」

 

 

 

………あれ?本当に何があったの!?

 

 

「記憶がないって……なんか、コワイ……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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いざ、美竹家へ






特にないです。










「渡辺?準備は出来た?」

 

「ま、待って、、、あと3回ぐらい深呼吸させて…」

 

俺は今、美竹の家の前にいる。その理由は美竹の両親にあいさつをするためだ。

 

どうやら美竹と俺が付き合ってる事を知り、どんなやつなのか1度話したいと言われたらしい。

 

ていうか美竹両親多分俺の事知ってるだろ…。美竹父はライブであってるし、美竹母は初詣の帰りあったし、

 

「来る途中5回もしてたのにまだ足りないんだ…。大丈夫だよ、そんなに怖がんなくても。」

 

「そ、そうなのか…?」

 

「うん。それじゃ、行くよ。」

 

「は、はい…。」

 

 

美竹の背中にコソコソと隠れながら家の中に入る。

 

 

「ただいまー。」

 

「お、おじゃまします…。」

 

初めて美竹の家に入ったが…、なんかすごい『和』って感じ。さすが代々華道を着いでる家。

 

 

「あら、いらっしゃ〜い、蘭の彼氏さん♪」

 

出迎えてくれたのは美竹母だった。

 

「待ってたよ蓮くん。あの時のライブ以来かな?久しぶりだね。」

 

と思ったらすぐに美竹父も来てくれた。そんなに一気に来られると私キョドりちらかしちゃうんすけど…。

 

「ど、どうも…、」ガチガチ

 

「ははは、そんなに緊張しなくても良いんだよ、」

 

「そうそう♪ささ、上がってー。」

 

どうやら緊張してるのがバレバレのようだ。そんなに分かりやすく顔に出てたか…。

 

「ほら、渡辺、上がって。」

 

「お、おう。」

 

 

そして俺は奥の方へ上がって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「いやー、いきなり呼んでしまってすまないね、蓮君。」

 

「いえいえ…、俺もそこまで忙しく無かったので、、、」

 

 

 

 

 

えーっと、すみません。美竹の家に上がった瞬間美竹父の部屋に呼ばれ、いきなり一対一の状況になってしまいました…。

 

 

ぇぇぇぇンやだよォ…、怖いよぉ(; ;)

 

 

とりあえず美竹の部屋に入れてもらって休憩できると思ってたのに…、

 

 

「蓮君は将棋は出来るかな?」

 

「…?はぁ、多少嗜む程度ですが…。」

 

俺が座って待っていると美竹父は将棋を持って来た。どうやら将棋をしたながら話したいらしい。

 

良かったぁ、ガチガチの面接みたいな感じじゃなくて…。

 

「それは良かった。最近はやる相手が少なくなってきたものでね。」

 

そう言って手馴れた手つきで準備を終える。

 

「先行は譲るよ。」

 

「…では、」パチン

 

 

こうして、美竹父と将棋を打ちながらの会話が始まった。

 

 

「それにしても蘭に彼氏が出来るなんて、正直驚いたよ。」パチン

 

「そうですね、俺もまさか美竹と付き合えるなんて思ってませんでした…。」パチン

 

「おや?この家に『美竹』は3人いますが、一体誰のことなんでしょうね?」

 

 

ええーーーーー、この親父さんこんなことしてくんのーーー?

 

 

「……、ええっと…、美竹蘭さんと…「おや?蓮くんは普段フルネームで呼ぶようにしてるのかな?」……、ら、蘭さんと、「さん付けなんですか?」……蘭ねぇち「それは作品が違いますよ。」…ら、蘭//とこんなふうになるなんて思いませんでしたよ…!、、これで良いですか…?」パチン

 

「ははは、まだ慣れてないんですね。顔が赤いですよ?」

 

「そりゃまだ付き合って日が浅いですからね、親父さんの番ですよ?」

 

「おっと、すまないね。ちなみに、どっちから告白したのかな?」パチン

 

「…一応俺からっすね…。」パチン

 

「やっぱりそうか、蘭が自分から気持ちを言うなんて中々ないからね。」パチン

 

「でもみたk…蘭は自分から先に告白するつもりだったらしいっすよ?なんか俺に先越されて少し悔しがってました。あ、その飛車貰いますね。」パチン

 

「む、やるじゃないか。そうか…、蘭がそこまで積極的になるなんて…。相当君のことを思っていたんだろうね。」パチン

 

 

その後も蘭の親父さんからの質問は続いた。

 

 

「今のところ、蘭はなにか迷惑をかけてないかな?」パチン

 

「いや、迷惑だなんて感じたことはないですよ。逆に俺がかけてそうで不安ですね…。」パチン

 

「そうか…。蘭は人見知りで、自分の気持ちを伝えるのが不器用なものだから色々溜め込んでしまうところがある。蓮くんにはその辺を上手くカバーして貰えると、こちらとしても助かるよ。」パチン

 

「…そんなに上手くやれるか分からないですよ…。」

 

「蓮くんなら出来ると、私は思っているよ。」

 

「……。」

 

「今後とも、蘭のことをよろしく頼むよ。」

 

 

そう言って蘭の親父さんはニコッと笑いかけてくれた。

 

 

「……こちらこそ、こんな俺ですが、よろしくお願いします。」

 

「うむ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで蘭の親父さん。」

 

「ん?なんだい?」

 

「''王手''です。」パチン

 

「………」

 

「(^^)??」

 

 

え?さっきまでの雰囲気が台無し?いやいや勝負事で雰囲気とかカンケーねぇから(笑)

 

 

「…まっ「えぇ??まさか美竹家の当主ともあろうお方が高校生相手に『待った』を使うなんて事はないですよねぇ??」…い、良いだろう。この勝負は蓮くんの勝ちだ…。ではもうひと勝負どうだね?私もつい話しに夢中になって本来の実力を出せていなかったからね…」

 

「あ、全然良いっすよ?対戦よろしくお願いします」( ^ω^)ニコッ

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「…おそい…。」

 

渡辺が父さんに連れていかれてだいぶ時間が経ったけど一向に戻ってこない。連れていかれる渡辺が怯えた子犬にしか見えなかったし、大丈夫かな…?

 

「少し見に行こっかな…。」

 

さすがに心配になってきたし、様子を見に行くことにした。

 

 

「…?なんか騒がしいような…?」

 

2人がいる部屋の前に来ると中から騒いでいるような声が聞こえてきた。気になりそっとドアを開けて部屋を覗いてみると……

 

『蓮くん、あと1回、あと1回だけ頼むよ!』

 

『いやいや何回やれば気が済むんですか!俺親父さんと将棋しに来た訳じゃないんですけど!!』

 

『もう少しで勝てそうなところまで来てるんだよ!と言うか君はゲームが得意なはずだろう!なぜ将棋までできるんだ!』

 

『将棋だってゲームみたいなもんじゃないっすかぁ!!』

 

『『ギャーギャーギャーギャーギャーギャー!!』』

 

 

…………。

 

 

「……なにやってんの、あれ?」

 

心配してた自分がバカバカしい。すごい打ち解けてんじゃん…。

 

あたしは少し呆れながらドアを開けて部屋に入る。

 

「ちょっと父さん、まだ話してんの?」

 

「む、蘭か。もう少し待ってなさい。まだ蓮くんとの勝負が終わってない。」

 

「いやいやいや、もう終わってますからね?俺の圧勝で終わってますからね?なんで負けたか明日までに考えといてください。」

 

「ぐ、ぐぅ、」

 

あ、今のがトドメだったらしい。

 

「それじゃ!''蘭''も迎えに来てくれたことですし、俺は行きますね!」

 

「……え///」

 

渡辺、今あたしの事……//

 

「ん?どうした?」

 

「いや//な、なんでもない//じゃあ部屋案内するから着いてきて…//」

 

「おーけー。」

 

(き、聞き間違いとかじゃないよね…?)

 

 

少し混乱しながらもあたしは渡辺を自分の部屋まで案内した…。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「おー、ここが蘭の部屋か〜。」

 

初めて入るが、やっぱり家がでかいから中も広いな。てか女子の部屋に入ること自体初だからなんかまた緊張してきた、、

 

「と、とりあえずテキトーなとこに座ってて//飲み物取ってくるから…//」

 

「お、おう。」

 

そう言って蘭はそそくさと部屋を出ていった。なんか急に様子が変になったような…。俺の気のせいか?

 

 

「よっこらせと…」チョコン

 

部屋の真ん中にあるテーブルのそばに座る。

 

「お、あれ蘭が使ってるギターか?」

 

ふと、部屋の隅に置いてあるギターに目が止まる。

 

「こうやって近くで見てみると…ギターってなんかかっこいいよな…。」

 

そそそと近づき、まじまじと見てみる。

 

 

ドアガチャ「お、お待たせ…って何してんの?」

 

「えっ?いや?別に?」

 

ギターを眺めていると飲み物を持ってきた蘭が戻ってきた。

 

「ギター、気になるの?」

 

「…まぁ、気になったというか…、近くで見たら意外とかっこよかったって言うか、」

 

さっき座っていたところに戻り、飲み物をいただく。

 

「ふーん、少し弾いてみる?」

 

「え!?良いのか?」

 

「うん、ちょっとまってて」

 

そう言って蘭はギターを持ってきてくれた。

 

「はい、」

 

「おっ!?…意外と重いのね…、」

 

想像の数倍重い…こんなの持ちながら歌ってんの?すげぇな…。

 

「別にそんなに重くないでしょ…?」

 

「そ、そうなの…?」

 

これはギターが重いと言うより俺の筋力がないってことになるのかな?よし、筋トレしよ。

 

 

3日ももたなそうなな決意をしたところで適当にギターを弾いてみる。

 

ジャラ〜ン

 

おお、こんな感じなのか…。

 

「ここと、ここ抑えながら弾いてみて?」

 

隣に座った蘭から教えて貰いながら弾いてみる。

 

「…、これ、結構むずくない??」

 

「まぁ最初はね?慣れると結構楽しいよ。」

 

「そっか…。にしてもやっぱり蘭はすげぇな。これ弾きながらあんなに歌えるなんて、俺には到底出来ないわ…。」

 

「……//」

 

「?どうした?」

 

やっぱりさっきからなんか変なんだよな…どうしたんだ?

 

「い、いや、その、呼び方…、」

 

呼び方…?……っあ、、

 

俺は思わず自分の口を手で覆ってしまう。忘れていた。あの親父さんに呼び方を強制させられていたことを。

 

「えーっとだな…、違うんだ美竹、これはあの親父さんのせいでだな…。」

 

「………。」

 

あれ?もしかして、怒ていますか??

 

「……別に直さなくてもいいよ…//」フイ

 

「え、」

 

蘭は顔を背けたまま言葉を続けた。

 

「別に怒ってるわけじゃないし…。確かに驚いたけど…、名前呼びの方が良いって言うか…//」

 

「そ、そうか…、」

 

確かに、俺と美竹は一応付き合っているのにいつまでも苗字呼びなのは少し変なのかもな…。

 

「そ、それじゃ、今後はお互い名前で呼び合うってのはどうだ?」

 

「…うん。その方が良い//」

 

ようやく顔をこっちに向けてくれた。

 

「…ってなわけで、改めてよろしくな''蘭''。」

 

「うん、よろしく。……r、れ、蓮///」

 

「いやw、ぎこちなさすぎるww」

 

「う、うるさい//」

 

赤面しながらそんな事言っても意味ないんすよね〜蘭さん?

 

 

俺はギターを横に置き、飲み物を飲む。

 

「……」ススス…

 

「ん?何?」

 

隣に座っていた蘭が急に肩が当たるような距離まで詰めて来ていた。

 

「…別に」

 

そしておもむろに自分の頭を俺の肩に乗せて寄りかかってきた。

 

「ちょ//な、なんだよ急に//」

 

「…久しぶりに2人きりなんだし…いいじゃん//」

 

 

 

え…、あれ?、、、な、何これ…。なんか…可愛い…。何この生き物…。

あ、彼女か……。

 

 

「あっそ…。なら、俺も遠慮なく…//」

 

蘭がそうするなら俺だって出るとこ出るぞ?

 

そう思い俺も蘭の方には寄りかかり、蘭の頭の上に自分の顔を乗せる。

 

うん。端的に還元して……めちゃくちゃ恥ずかしい。

 

「…ッッッ!?/////」

 

どうやらそれは向こうも同じらしい…。ま、しばらくこうしてればお互い慣れるだろ…。

 

「そ、そう言えば//父さんとは何を話してたの?だいたい予想はつくけど//」

 

気を紛らわすためか、蘭の方から話かけてきた。めちゃくちゃ声震えてますけど、、

 

「ま、まぁその予想してる内容で間違ってないと思うぞ//…将棋しながらする話じゃなかったぞ全く…//」

 

俺の声も震えててわろたァ。

 

「ま、将棋の方は俺の圧勝だったけどな」ドヤァ

 

「…父さんって結構将棋強かったような気がするんだけど…」

 

「( -ω- `)フッ俺の方が強かったようだな…、」

 

「いやそんなにドヤ顔されても…。」

 

「こういう時しかドヤれないんだから許してくれよ…。」

 

「今度はゲーム以外でお願いね。」

 

「…前向きに検討した上で善処します…。」

 

 

 

その後も蘭との会話はしばらく続いた。バンド関係のこととか、circleのバイトが大変だとか、蘭の親父さんの愚痴とか色々話した。そのあとはまたギターを弾かせてもらったりして時間が過ぎていった。

 

蘭とこうやって過ごす時間は俺は嫌いじゃない。むしろ大好きなまである。これからもこの時間を大切にしていかなくちゃな…。シミジミ

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、あたし蓮の事送ってくるから。」

 

「別に大丈夫なのに…。」

 

「あたしがやりたいの。」

 

「はぁい^^」

 

「まぁ〜♪蘭ったらあんなに積極的に〜♪」

 

ほらなんか盛り上がっちゃってんじゃん蘭ママ…。

 

「ええっと、そんなわけで、今日はありがとうございました。色々ありましたけど楽しかったです。」

 

俺は玄関まで見送りに来てくれた蘭の両親に挨拶をする。

 

「こっちも色々話せて楽しかったよ蓮くん。またいつでも遊びに来なさい。あと、''次''は負けないからね?」

 

「…あ〜、あははは、はい。次''も''負けません♪」

 

「もう、2人ともその辺にして。それじゃ行こ、蓮。」

 

「はいよ〜。では、おじゃましましたー。」

 

「またね〜蓮くん〜♪」

 

 

こうして俺は美竹家を後にするのだった。

 

 

 

帰り道……

 

 

 

 

「今度はあたしが蓮の家に行く番だね?」

 

「ま、あのバカ親がいない時だったらいつでもウェルカムなんで。」

 

「いや、蓮の親いないと意味ないんだけど…。」

 

「……ま、そのうちな…。」

 

「うん。そのうち。」

 

 

そうこうしているうちに俺の家までついてしまった。ほんと、まじで近所だよなぁ。

 

「それじゃ、またな蘭。」

 

「うん。またね蓮。」

 

「やっと名前呼び慣れてきたなw」

 

「そ、それはもういいから…!」

 

 

別れ際にからかってやったが普通に言い返された。

 

 

 

 

最初は緊張してたけど、親父さんとも打ち解けられたし、蘭との距離も縮まったし、なんだかんだいい一日だったな。…また今度お邪魔させてもらおっかな……なんて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

ギターを引いてる時の蓮…

 

ジャラ〜ン♪

 

「うるっせぇぞほかの弦!…ほかの弦がうるさくてすみませんね…ちょっと6弦さんと5弦さんにはほんとご迷惑をおかけします、、はい、」

 

6弦「ギュイーン♪」

 

5弦「ギュイーン♪」

 

4弦「ギュイーン!」

 

3弦「……」

 

「うるっせぇよ3弦!!…あ、4弦か…、おま、ごめんな3弦、お前はなんも悪くないのにな?ごめんごめんw」

 

6弦「ギュオーンギギ」

 

「あぁおバカ!今はお前の番じゃねんだよ、でずっぱるな!!」

 

4弦「ギュイーン!」

 

3弦「……」

 

「うるっさいなおま、3弦!あっ、4弦だわ、またごめんなwいやほんとごめんwこの前もほんと俺が悪かったそれはホント、今度奢るわ、スタバとか行く??よし、」

 

 

 

 

「……いったい何と会話してるんだろ…?」

 

 

以上、ギターと対話する蓮くんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








最後のおまけの元ネタ知ってる人いたら同士。


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短期アルバイトとクソババア





時系列的に冬休みに入ったばかりの話なんでまだ蓮くんと蘭は付き合っておりません。


イチャイチャ回はないのでその辺にご了承ください。












 

 

 

 

短期アルバイト…、それは学生が夏休みや冬休みなどの長期休みに入った期間にのみアルバイトを行うことである。

 

 

 

 

 

「と、言うわけでこの冬休み期間、短期アルバイトを募集することにしました!」

 

「あ、そっすか。」

 

「…もうちょっとリアクションしてくれても良くない?渡辺君…」

 

「わーい、新人こき使えるわーい。」

 

 

現在、俺はバイトでcircleに来ている。色々と準備を終えてまりなさんのところに行ったらなんか急に短期アルバイトを募集したとか言ってるんですけど。

 

まぁぶっちゃけ短期間とはいえ人員が増えるのはいい事だろう。なぜならここ、circleは俺とまりなさんしか従業員いないからな!

 

今までバイトの話あんまりしてこなかったけど中々大変だったぜ。なんで2人しかいないんだよここのバイトは…。まぁその分給料貰えるから良いけど…。良いのか?まぁ良いか。

 

「ま、まぁとりあえず、今日からその短期の人が来てくれるから色々教えてあげてね?」

 

「あ、もう面接とか終わってるんすね。」

 

「うん、即採用したよ!元気な2人だったから!」

 

「2人も来るんすか…」

 

「そうそう。じゃあもうすぐ来るから教育係としてよろしく!」

 

そう言ってまりなさんは奥の方へ行ってしまった。しかし2人も短期で来るのか…。一体どんなヤツらが来るのやら…

 

 

「すみませーん!短期アルバイトで来た佐藤でーす!」

 

「同じく鈴木でーす!」

 

 

 

 

 

 

いやお前らかい。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「えーっと、そんなわけでてめぇらの教育係を押し付けられました。渡辺ですよろしくー。」

 

「えー、こんな上司嫌だ〜。」

 

「まりなさんよこせ〜。」

 

しばきあげるぞこいつら。

 

「はいはい、てかなんでお前らここ来たんだよ…。」

 

「いや〜短期アルバイト募集しるところここしかなくてな〜。」

 

「それに時給も良いし、短期で結構稼げるだろ!」

 

「なるほどね〜。」

 

こいつららしい理由だよまったく。

 

「あ、そういやまだほかの従業員さんに挨拶してなかったわ。」

 

「色々教えて貰うついでにやれば良いだろう。」

 

「あ?何言ってんだ?ここ俺とまりなさんしかいねぇぞ?」

 

「「………。」」

 

石像になりやがった。まぁ無理もないか…。普通に考えてありえないからな。

 

「ま、またまたご冗談を〜、、、」

 

「このライブハウスを、たった2人で回せるわけねぇだろ、、うそは良くねぇようそは…。」

 

「いや、残念ながらホントなんだよ。俺だって信じたくなかったよ最初は、そんじゃ色々教えながら案内するんでしっかり覚えろよ〜?」

 

 

「やべぇ、この先めちゃくちゃ不安になってきた…。」

 

「俺もぉ…。」

 

 

とてつもなく不安そうな2人に色々と教えながら店内を案内した。案内しているうちに本当に俺とまりなさんしかいなかったと言う現実を知る佐藤と鈴木であった。まるでかつての俺を見ているようだ。そして最後にマニュアルを渡して各々仕事に取り掛かった。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

「あ、蘭ちゃんにみんなも、いらっしゃーい。」

 

「あ、まりなさんこんにちはー。」

 

「こんにちは〜。」

 

あたし達はいつも通りバンドの練習のためにcircleにやってきた。

 

「あれ?今日は受付蓮くんじゃないんですね!」

 

「…確かに。」

 

ひまりの言う通り、いつもなら渡辺が受付をしてるはずなのに。なんかあったのかな…?

 

「実はね?今日から短期のアルバイトが2人も来ててね、渡辺君はその教育係として、色々教えてるんだよ!」

 

「お〜、ついにcircleにも新勢力が〜。」

 

「…今までよく2人で回してたよねここ…」

 

「…あの渡辺が教育係…。」

 

全然イメージできない…。ちゃんと教えられるのかな…。

 

「蘭ちゃん、少し心配そうな顔してるね〜?」

 

「え//、いや、別に//」

 

「大丈夫だよ、渡辺君ちゃんと熱心に教えてるんだから!ほらあそこ」

 

そう言ってまりなさんの言う方向を見てみると…。

 

 

 

 

 

蓮「おーい、ここ機材足りてないよォ〜??担当誰だっけ〜??」

 

佐「あーちょっ、待って!ここにあるから!ちょっと待ってて!」

 

蓮「あーもう今日あたし運んどくから、次からちゃんと自分で運んでねぇ〜??」

 

佐「なんだあいつうぜぇわ〜…」

 

鈴「教育係だからってなんなんだよあのババァ、うぜぇ…w」

 

蓮「はぁあ??何ちょっとなんかババァとか聞こえたんだけど〜??」

 

 

 

 

 

 

「……え?熱心??」

 

どこが??

 

「あれ〜よく見たら鈴木くんと佐藤くんだー!」

 

あ、言われてみればほんとだ。

 

「ひまりちゃん達知り合いなの?」

 

「あれはれー君の友達で〜す。」

 

「あーそうなんだ、だからあんなに仲が良いんだ〜。」

 

「…まりなさん、なんであれ見て仲良いって思えるんだよ…。」

 

「あ、あははは。喧嘩するほど〜みたいな?」

 

「バイト先によく居るめんどくさいおばさんみた〜い。」

 

その後もしばらく渡辺達を観察していた。

 

 

 

 

 

蓮「ちょっと業務態度悪いよぉ〜???」

 

佐「う、うるせぇ…」

 

鈴「ババァうるせぇなあいつ……」

 

佐「あのババアだって最近入ったばっかりじゃねぇかよ…」

 

蓮「(╬ ꒪Д꒪)おい誰だァ!?さっきからババァつってるやつ!!!!」

 

佐「ちょっと先に入ったからってよォ…」

 

鈴「ねぇ?まじで感じ悪いわ〜。」

 

蓮「はー、ちょっとこれ〜あれだね〜、えーっと''Cマイナス''っと…」カキカキ

 

佐「おい待て!?給料下がってる!?」

 

鈴「はぁ!?あのババアに給料の権限がァ!?」

 

蓮「あのねぇ?勤務態度悪いと減給対象だかんね〜??ちゃんと覚えといてねぇ〜??」

 

 

 

 

 

 

 

「…まりなさん、本当に渡辺に給料の権限あるんですか?」

 

「…いや、教育係をお願いしただけでそんな権限与えた覚えないんだけど…。」

 

 

もう渡辺やりたい放題になってんじゃん……。

 

 

「…そ、そろそろあたし達も練習行こっか…」ハハハ

 

「さんせ〜。」

 

見てて色々不安だけどこっちも練習の時間があるので、あたし達は部屋に向かった。

 

 

(ま、まぁあの3人は結構仲良いし、大丈夫……だよね、、多分。)

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後……

 

 

 

「ふー、少し休憩しよー!」

 

あたし達は一旦演奏をやめて休憩していた。

 

「あたし、ちょっと飲み物買ってくる。」

 

「あ〜モカちゃんも行く〜。」

 

そう言ってあたしとモカは部屋を出て自動販売機のところに向かう。

 

「いや〜、またれー君達騒がしかったら面白いね〜。」

 

「いや、さすがにもう落ち着いたでしょ…。」

 

あれから結構時間経ってるし…。さすがにね…。

 

 

そんな事を思いながら自動販売機のそばまで来ると……

 

 

 

蓮「ちょっと佐藤くん?これあなたの仕事だかんねぇ??」

 

佐「いや〜ちょっと、新人だからさー、分からないんだよ要領が…」

 

蓮「あのねぇ〜新人新人って言うけど俺も今年入ったばっかの新人だかんねぇ〜?」

 

鈴「ちょっと!蓮バイトリーダー!この機材運ぶのどこでしたっけ(^^;」

 

 

 

 

 

((まだやってたーーーー、))

 

 

 

「あ、蘭ちゃんにモカちゃん、休憩中?」

 

「あ、まりなさん。」

 

あたしとモカが3人の様子を見ているとまりなさんが声をかけてくれた。

 

「あの3人まだやってるんですね〜。」

 

「あはは、うん、ちょっと苦戦してるみたい…。」

 

あたし達が話してる間にも、3人の言い合いは止まらなかった。

 

 

 

 

 

 

蓮「2人とも甘えないで??人生観出てるからそう言う言動から〜。」

 

2人「「いや、だって……」」

 

蓮「1人でやってるんじゃないのぉ仕事ってぇ!!!!みんな繋がってるから仕事なのぉ!!!分かるう!?!!」

 

佐「だぁーーー!もう何か厄介なやついるんだけどぉ!!」

 

鈴「あーもうここやめよっかなぁー、もう、うるさいババァいるしさぁ!」

 

蓮「あのねぇー、辞めるとかそう簡単に出来ないのー!仕事ってのはー!3ヶ月前からちゃんと申請しないとダメなのぉ!つまりあなた達はこのバイト辞めること出来ないのぉ!分かるぅ???分かったら働けぇ!!!」

 

鈴「じゃあおめぇが働けよォーー!!!さっきから指示ばっかりしやがってぇー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、とうとう鈴木が爆発した。」

 

「あの手のめんどくさい人には感情的になっちゃいけないのにね〜。」

 

「だ、大丈夫かな…?」

 

いや、まりなさんそろそろ止めに入った方がいいと思うんですけど……。

 

 

 

 

 

 

 

 

佐「(╬ ꒪Д꒪)そーだそーだァ!!ババァばっかり楽しやがってぇ!!」

 

鈴「(╬ ꒪Д꒪)なんで俺達ばっかりこんなに働かなきゃいけねえんだよーー!!!」

 

蓮「(怒゚Д゚)ここ入ったのはあんた達でしょーー!!!」

 

 

 

 

 

 

あーあーあー、もう、この状況はちょっとまずいような…

 

 

 

 

 

鈴「じゃあこの機材なんすか!?俺こんなの知らないんすけど!!ほんとにこれ俺の担当っすか!?!!」

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あれ私の担当してるやつだ……。」

 

 

まりなさん!?!?

 

 

 

蓮「ちょっとこれよく見たらまりなさんの担当してるやつじゃないですかぁ!!」

 

 

「あ、バレた。」

 

「まりなさん、どんま〜い。」

 

「どどど、、どうしよう!!」

 

蓮「ちょっとまりなさんいいっすかぁ!?」

 

「ヒィっ!!」

 

近くにいるあたし達には目もくれず、まっすぐまりなさんのところに向かってくる渡辺…。完成になんか変なスイッチ入ってる…。

 

蓮「あのこの機材ちゃんと運んで下さいよ!と言うかさっきからどこにいたんですか?ここの仕事の大変さ1番わかってますよねぇ!?」

 

「は、はぃい」

 

蓮「ここのオーナーっていうそう言う権利に甘えてるんじゃないですか!?」

 

 

もう誰にでも喧嘩売るじゃん…。

 

 

「ご、ごめんなさいぃぃぃ!」

 

そしてまりなさんも急いで仕事に戻って行ってしまった。

 

 

蓮「ったくなんなんだよ!!ここの従業員はよォ!!…お、美竹に青葉じゃん。今日練習?(´・ω・)ス」

 

 

「いや、切り替えはやッ!!」

 

「まるで別人じゃ〜ん…。」

 

あのモカでも少し戸惑ってるのが分かる…。

 

 

「わ、渡辺もなんて言うか…、大変だね…。」

 

「ほんとそうだよ覚えが悪くてまったく、まりなさんもちゃんとして欲しいもんだよ。そんじゃ、練習頑張って!」

 

そう言って渡辺も仕事に戻って行った。

 

「う、うん。渡辺も、ね。」

 

おそらく聞こえてないだろうけど、一応言っておこう。

 

「あたし達もそろそろ戻ろっか。」

 

「だね〜。ひーちゃん達待ってるよ〜。」

 

 

そしてあたし達も練習に戻っていくのだった。ちなみに、あたし達が帰るまで3人の言い争いが止むことはなかったらしい…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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唐突に積極的になるのって全然嫌いじゃない



あれ?なんか今日長くね?




冬休みも過ぎ去り、再び学校生活が始まった。夏休みの時と同様蓮は休みが終わったことを隣で嘆いていた。まぁ今回は3日ぐらいで収まったからいい方かな。

 

そして今日は金曜日。今日という日を乗り越えたら明日明後日とまた休みという日に、それは突然起こった。

 

 

「なぁ蘭。」

 

「ん?何?」

 

「今日は待ちに待った金曜日ですが明日はどのように過ごされるご予定か?」

 

「えーっと、特に決まってないかな。日曜日は練習あるけど。どこか出かけるの?」

 

「まぁだいたいそんな感じ。」

 

あたしと蓮は恋人同士だけど付き合ってからあんまり2人で出かけたことないし…

 

「うん、良いよ。あたしも蓮とどこか行きたいと思ってたし、どこ行く?」

 

またゲーセンとかだったりして…。まぁあたしは一緒なら別にどこでも良いんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、今日俺ん家泊まりで。」

 

「…………え?」

 

予想外の言葉にあたしはフリーズした。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

昼休み……

 

 

あたしはさっきの蓮の言葉がずっと引っかかっていた…。

 

(え?『泊まり』ってことはそれはつまり…、え!?''そういう事''!?ちょっと待って!''そういう事''なの!?)

 

あの蓮がこんなに大胆で積極的なことを言うなんて思思わずとてつもなく混乱している…。

 

 

「美竹さーん?どうしたのー?なんかすごい顔してるけど?」

 

「あ、安達さん…。」

 

ふと、隣から声をかけられたので誰かと思い見てみると安達さんだった。

 

「なになに〜?悩み事〜?渡辺君がらみ〜?」

 

そう言って空いている蓮の席に座って話しかけてくる。

 

「ま、まぁそんな感じ…。」

 

安達さんに相談してみよっかな…?なんかどことなくこういうの詳しそうだし…。

 

「も〜、はやく渡辺君と付き合っちゃいなよ〜。そして教室でイチャイチャしてよ〜。」

 

「え?」

 

「ん?」

 

あっ、そっか、、安達さんはまだ知らないんだった。

 

「えぇっと安達さん?その…、実はもうあたし、蓮と付き合ってるんだ…。クリスマスの時に…色々あって//」

 

「…エエ!?そうなの!?おめでとーーー!!!」ギュウ

 

「ちょっ!あ、ありがと…。」

 

いきなり抱きついてきてびっくりした…。

 

「えー!じゃあ何にそんな悩んでたの??」

 

「えぇっと…それは…」

 

あたしは今日の蓮とのやり取りを安達さんに話した。

 

「…っていうことがあって、、これってやっぱり…そういう事なのかな…?」

 

「美竹さん…、」

 

「…はい。」

 

「それはもう間違いないよ!!!確定演出だよ!!!」

 

「や、やっぱり…そう思う、よね……//」

 

「今日お風呂に入ったら念入りに体洗うんだよ?分かった?あと、絶対勝負下着つけてくんだよ!?」

 

「…、、はい…。」(そんな下着持ってないけど…)

 

「あ!あと美竹さん!美竹さんも負けずに大胆に攻めた方が相手も多分喜ぶよ!!!例えばいきなりキスするとか!!!」

 

「ちょっと1回落ち着いて!声が大きいから!!///」

 

 

 

 

変なスイッチが入った安達さんを止めるのに昼休みの大半を費やした。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

放課後…

 

あたしは教室で蓮を待っていた。

 

「あれ?蘭、」

 

「…遅い、早く行こうよ…。」

 

「え?直で来るの?荷物とかどうすんの?」

 

……忘れてた。←めっちゃ緊張してる

 

 

それからあたしは一旦家に戻り、荷物をまとめて蓮の家に向かった。

ちなみに家を出る時、なぜか両親から暖かい目で見送られた…。

 

 

 

「お、おじゃまします…。」

 

「おー、きたきた。先に部屋行っててくれ。飲み物持ってくから〜。」

 

「う、うん。」

 

そしてあたしは一足先に蓮の部屋に向かい、テーブルの近くにちょこんと腰を下ろす。

 

「…相変わらず広い…。」

 

ドアガチャ「よっこらしょっと、おまた〜。ほい、ココア〜。」

 

「あ、ありがと。」ズズ

 

蓮からココアを貰う。うん、甘い。

 

「………………。」

 

(どうしよう…なんか、緊張してやばい…。何を喋れば…。)

 

「な、なんかさぁ…」

 

「ん?」

 

「その、蓮の部屋ってなんか落ち着く匂いするよね…」

(何言ってんのあたし……!?)

 

「え?そう?」スンスン

 

(ほら蓮もなんか困ってるじゃん!)

 

「な、なんて言うか…。ほら、友達の家とかに行くとたまにこういう匂いしない?いい匂いがする家ってあるじゃん?」(ひまり情報)

 

「そうなのか?…いや待てよ?俺そもそも高校来るまで仲良い友達あんま出来なかったからそういうの分かんないわ。友達の家なんて無縁だったわ。」

 

(やばい、初手から地雷踏み抜いた…。まだ来たばっかりなのに最悪…。)

 

「あ、ビターチョコあるけど食う?」

 

「う、うん…。食べる…。…あの、蓮、その、、」

 

「ん?いや別に気にしてないけど?ほい、どーぞ。」

 

「ありがと…」

(ダメだ…。緊張しすぎていつも通りの会話が出来ない…。て言うかいつも何の話してたっけ?)

 

「て言うか蘭さー、」

 

「?」

 

「脱がないの?」

 

「…え!!!??…も、もう?////」

 

そ、そんな//いくらなんでも//

 

「いや、上着着たままだと暑くない?さすがに。」

 

「…………。そうだね。」

 

(1回落ち着こう…。うん。大丈夫、相手は蓮だし。そんないきなり大胆なことが出来る男じゃないことは十分わかってるし。うん。蓮はヘタレだから大丈夫。)

 

「……」ズイ

 

「…え//」

 

と思っていたらいつの間にか隣に蓮が座っており、そしていきなり距離を詰めてきた。

 

「え//ちょ//ちょっと待って///」

 

「…。」

 

無言でどんどん近づいて、やがて距離がほぼゼロになる。

 

(待って//待って//待って//まだ心の準備とか全然出来てないから//て言うかなんでそんなに積極的なの//あーもうダメだ、もうきっとこのまま…///)

 

あたしは覚悟を決めて目を閉じ、その時を待った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっこらしょ。ん?なんで目なんか瞑ってんの??」

 

「…え?」

 

なんか思ってたのと違う気がして目を開けてみると、蓮の手にはゲームのコントローラーが…。

 

「…………。」

 

まさかと思って後ろを見てみるとそこにはゲームのコントローラーが沢山置いてある棚があった…。へー、普段ここに置いてるんだ…。

 

「…………、あ、ゲーム、やるの…?」

 

「え?しないの?」

 

「……やる」

 

「マリカーでおk?」

 

「…うん。」

 

 

あのさ……あたしの覚悟、、返してもらってもいい??

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「あれ?ここのコースこんなに難しかったか??」

 

「ちょっ!上からなんか降ってきたんだけど!」

 

最初はなんかあれだったけど今は2人でゲームをたのしんでる。いつの間にか緊張もしなくなったし、まぁいっか…。

 

 

ピロン「っお、そろそろ来るみたいだな。」

 

スマホを見ながらゲームをしている蓮がそうつぶやく。

 

「え?何が『ピンポーン』え?」

 

「お、きたきた。」

 

そう言って蓮は立ち上がって部屋を出る。なんだろうと思い、あたしもあとを付けていくと、、

 

 

「あ!蘭〜おまたせ〜。」

 

「おじゃましマース!」

 

そこにはなんと、モカとひまり、つぐみに巴の4人の姿が

 

「………え?」

 

「いやー、みんなでまたゲーム大会なんてなんかワクワクするな〜」

 

「フフッそうだね巴ちゃん。」

 

「もう俺と蘭で先マリカーやってるぞ〜?」

 

 

 

…………え?ちょっとまって???

 

 

「ゲーム、大会?」

 

「あれ?言ってなかったっけ??今日集まってゲームやるって、」

 

 

いや初耳なんだけど!?!?!?

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「ああああ!!誰!?アイテムボックスの前にバナナ置いたのー!!」

 

「ねーねーともちーん?どこ〜?今すぐ会いたーい。」

 

「やめろモカァ!!スター音聞こえてるんだよ!あっ、バカこっち来、あああああ!」

 

「あはは…じゃあみんなお先にゴールしてるね。」

 

 

 

 

すごい…、一気に賑やかになった…。

 

 

「ちょっとなんかお菓子とか持ってくるわ。」

 

「…あたしも行く。」

 

「え?いや、みんなといていいんだぞ?」

 

「ちょっと話したいこともあるし。」

 

少し軽めに説教でもしないと気が済まない…。

 

「り、りょ。」(え?なんか機嫌悪くね?)

 

 

そしてあたし達は部屋を後にする。

 

 

「いや〜にしても、やっぱりみんなでゲームすんのは良いな〜」

 

いや何が『良いな〜』なの…。こっちの気も知らないで…。どれだけあたしが緊張してたと思ってるの、、蓮のバカ。もう許さない。

 

「ふーん、そう?良かったね?」

 

「初めてみんなで集まってゲームした時も思ったけど、今まで友達が家に来てゲームするなんて経験無かったから…今すげー嬉しいし、楽しい。」

 

 

 

「…………許した……」ポロリ

 

 

「え?何を?」

 

「別に…なんでもない…。あたし達の事はいつでも呼んで良いから……寂しくなったらすぐ駆けつけるから……」

 

「ん?え?お、おう。ありがと…な…?うん。……で、話したいことって…?」

 

「もう無くなった…。」

 

「あ、そうなの?」(いったいなんだったんだ?)

 

 

あんなに喜んでる顔されて説教なんて出来るわけないじゃん……

 

 

この後適当なお菓子を持って部屋に戻り、あたし達もみんなと一緒にゲームを楽しんだ。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「あ!?もうこんなに時間経ってる!!!」

 

「お〜、時間が過ぎるのはあっという間ですなぁ〜。」

 

「確かにそうだね。」

 

この後はみんなどうする?と聞こうとした時だった。

 

 

 

 

「それじゃああたし達は''そろそろ帰るか''!」

 

 

………( 。ω。)ン????????

 

この巴は何を言ってるの???

 

 

「そっか、まぁそこそこ遅い時間帯だしな。」

 

いや蓮も何言ってんの???

 

疑問に思ってるあたしを他所に、モカたちは帰るために荷物をまとめ始めた。

 

いやいやいやちょっとまって?

 

「……れ、蓮?」ヒソヒソ

 

「ん?」

 

「その、モカたちは泊まりに来たわけじゃないの?」ヒソヒソ

 

「え?そんな事一言も言ってないぞ?''ゲーム''はみんながやりたいって言っただけで泊まりに誘ったのは蘭だけだ。そもそも女子5人を自分の家に泊まりに誘う方がおかしいだろ…?」

 

「……あ、へぇ〜…そう、なんだ…。」

 

今日何回蓮に振り回されるんだろうあたしは…。いい加減疲れたんだけど…。

 

「よいしょっと、ではではれー君、蘭の事は頼んだよ〜?」

 

「おーう。青葉達も気をつけてなぁ〜」( ・ω・)/

 

 

ちょっと軽くフリーズしてる間に蓮はモカたちを見送った。そして、再びあたしと蓮の2人きりになった…。

 

それから蓮はゲームやお菓子の片付けをし始める。

 

「あ、蘭。風呂はもう湧いてあるから、先に入っていいぞ〜?」

 

「……うん。じゃあちょっと行ってくる……。」

 

一旦心の休憩が必要だと思い、あたしはお言葉に甘えてお風呂に向かった…。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

一通り体を洗い、湯船に浸かる。

 

「……はぁ〜。」

 

思わず声が出てしまう。

 

「結局…蓮と2人きり…か。」

 

別に嫌という訳ではない。むしろ2人きりの方が良いんだろうけどまた緊張してきて上手く話せそうにないのが良くない…。

 

 

「まさかあの蓮が泊まりに誘うなんて…。今考えたらちょっとありえないかも…。」

 

 

多分…蓮はもっとあたしとの距離をつめたいって思ってたのかな…?冬休み中もあんまり2人で出かけられなかったし…。蓮だって男だし…。

 

ふと、今日で安達さんに言われた事を思い出す。

 

 

 

 

「も、もう1回…念入りに体洗っとこ…////」

 

 

その後もう一度体を洗い、あたしはお風呂を後にした。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「れ、蓮、上がったよ…?」

 

「おー、そんじゃ俺も入ってくる〜。」

 

そう言って蓮もお風呂に向かって行った。

 

 

今、あたしは蓮の部屋に1人でいる。

 

…何となく暇だし…少し部屋を物色してみよっかな…。怒られない程度で…。

 

最初にあたしはフィギュアが置いてある棚の方に行った。その棚にはゲームのキャラクターなのか、結構な数のフィギュアが並んでいた。そしてふと、あたしはあることに気がつく。

 

 

「……全員胸大きすぎでしょ…。」

 

そう、みんなもれなく巨乳なのだ。確かに蓮は海に行った時ひまりの大きすぎる胸をガン見してたけど…。やっぱり大きい方が好きなのかな…。

 

いや、あたしだって小さい方じゃないし…。むしろ平均より上…なはず。

 

でもひまりとかこのフィギュア達と比べるとやっぱり小さく見えちゃう……。

 

「……とりあえず、このフィギュア達は後ろを向かせておこう。」

 

嫌がらせと言っちゃあれだけど、なるべく比べられないように…。

 

「…さて、次は…」

 

ドアガチャ「ふー、さっぱり。」

 

「え!?早くない!?」

 

ついさっきお風呂に向かった蓮がもう帰ってきてしまった。

 

「いや俺シャワー派なんで。」

 

にしてもまだ10分ぐらいしかたってないんだけど!?あとそんなことで軽くドヤ顔になるのやめて!?

 

 

「さてと、それじゃ…そろそろ寝るか?」

 

「…も、もう寝るの?//」

 

「いや、結構いい時間帯だし、明日も出かけるんだからちょうどいいだろ。」

 

「そう…だね。そうしよう。」

 

ついに来てしまったと思い、あたしは心の準備を済ませる。

 

(だ、大丈夫。蓮が優しいのはあたしが1番理解してる…。乱暴なことは絶対してこない。)

 

 

 

「ほい、そんじゃ布団敷いたから。」

 

「あ、ありがと//」

 

「そんじゃおやすみ〜。」

 

「うん。おやすみ//」

 

そして蓮は電気を消して自分のベットに入った。

 

 

「…………。」

 

「…………。」

 

「…………。」Zz…

 

 

 

いやいやいやいやいやいやいやいや

 

 

「ちょっと待って!?」

 

「んぇ?どうした?トイレか?」

 

そうじゃなくて!

 

「え、何もしてこない感じなの!?」

 

思わず口に出てしまう心の声。こうなったらもうやけだ。

 

「……え?まさか俺が寝込みを襲うとでも…??」

 

「いや、だってそうでしょ!急に泊まりに誘うんだから!そういう事だって思うじゃん!」

 

ここに来て、今日溜まりに溜まっていたものが爆発する。

 

「あぁ、だからなんか今日少し変だったのか…。」

 

「そうだよ!こっちなんてずっと緊張しっぱなしだったのにモカたちが来て少し安心してでも実はただゲームしに遊びに来ただけで結局2人きりになる事に変わりないしそれでも蓮ともっと深い関係になりたいと思ってお風呂で覚悟決めてここまで来たのにもう普通に布団敷いて寝るってこんなオチある!?」

 

「いや、ちょっ、落ち着け蘭!なんかキャラがおかしくなってるぞ!」

 

「うるさい!バカ!もう知らない!!!」

 

そう言ってあたしはもう話は終わりだと言わんばかりに布団を頭から被る。

 

そしてしばらく部屋に沈黙が訪れる。

 

 

 

 

「…えっと…ら、蘭?」

 

「……。」

 

「蘭さん…?」

 

「…なに?」

 

沈黙に耐えられなかったのか、再び蓮が話しかけてくる。

 

「その…、振り返ってみると確かに俺が紛らわしいことしちゃってるし、そのせいで蘭を困らせたのは悪かったと思ってるよ…。ご、ごめん。」

 

その後も蓮の言葉は続く。

 

「えっとだな…。実は今日は普通に2人で過ごしたいって思ってただけなんだよ…。それにその、そういった事はまだ俺たちには早いと言いますか…。蘭にも負担かけるし、あとそんな度胸今の俺にはまだない…。」

 

「…ふーん、」

 

一応、あたしのことも考えてはいたんだ…。

 

「(やべぇ、許してくれそうにない…。)その、えぇっと…すまん。やっぱりダメだよな…。でも本当に悪かったと思ってる…。そこまで今日の俺が気に食わなかったら我慢しないで1発俺の事ぶん殴っても良いから…「分かった。」っえ?」

 

あたしは布団から出て蓮の隣に座り胸ぐらを割と強めに掴む。

 

ここまでされたんだ。あたしだってやり返したくなる。

 

「………………ッスーOKわかったよ…やるが良いよ…。し、しょせん蘭の一撃なんて蚊に刺される程度のもんだしな…、いやなんなら蚊の方が少し強いまであるし…」ガクブル

 

「ふーん、言うじゃん?」グィッ

 

この状況でも煽る蓮をグッと引き寄せ右手を振りかぶる。

 

「あっ!ちょっ!?っひ!!で、でもさぁ!?強く叩きすぎると自分の手も痛めるって言うしさ!?2割ぐらいの力でやった方いいんじゃないか!?バンドにも影響してくるだろうしさぁ!?「蓮?」はい!!!」

 

「口、閉じてた方良いよ?」

 

「はいっ!!!すみませんでしたァ!!!」

 

その言葉を最後に蓮は口だけでたく目も閉じ完全に覚悟を決めた表情になった。

 

 

そしてあたしは振りかぶった右手を思いっきり顔目掛けて━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叩くのではなく、そっと添えて、強ばってる蓮に優しく''キス''をした。

 

 

 

 

「…………え?」

 

「……殴るわけないじゃん。ホント、バカ////」

 

まさか本当にやられると思ったんて…。

 

「な、なんで///」

 

みるみる蓮の顔が赤くなってくる。予想外すぎたのかな?まぁ多分あたしも赤くなってると思うけど…。

 

「…今までのお返しって言うのと、さっきの蓮の話を聞くと蓮からはやってくれなそうだと思ったから…あたしから行こうと…思って///」

 

それに安達さんもこうした方が喜ぶって言ってたし…//

 

「……お前さぁーー////」

 

耐えられなくなったのか、顔を隠しベッドにゴロンと転がる蓮。すごい、こんなに照れるなんて…。…少し可愛いかも…。

 

「蘭ってたまに積極的になるよな…。いつもはそんなんじゃないくせに…。」

 

「その言葉そのまま返す。……蓮はさっき『まだはやい』って言ってたけど…その、き、キスぐらいなら…別にって言うか…//」

 

「…正直どのくらいまでなら許されるのか分かんなかったんだよ…。体目当てとか思われたくないし…。」

 

「……思うわけないじゃん…。蓮からだったら…別に…、て言うか蓮はき、キスとかしたいとか思わなかったの…?」

 

「…………こっちだって男だぞ…。そんくらい思うわ…。」

 

「……。」

 

じゃあ我慢しなくても良いのに…。

 

「どした?」

 

「別に。そーだよねー。大きな胸が大好きなんだもんねー?」

 

「は?ちょっと待て?それなんの話?…っあ、なんで俺のフィギュア達全員後ろ向いてんの?」

 

ぶっきらぼうな声で返答すると蓮が戸惑い、ついでにフィギュアの件もばれる。

 

「…お前ぇ…。」

 

「そ、そろそろ寝ようよ。なんか今日疲れたし」(ごまかし)

 

「…はぁ〜、まぁいいや。そんじゃそっちの布団戻ってもろて。」

 

「……。」

 

「蘭?」

 

「…一緒に寝ちゃ…ダメかな///」

 

「…もう好きにしてくれ///」

 

そう言って蓮は部屋の明かりを消した。あたしも蓮の布団に潜り込み、ほとんど密着した状態になる。

 

蓮はずっと背中を向けたままだ。でも手を当ててみると心臓が早く動いてるのが分かり、多分すごい緊張してるんだと思う。うん、なんだかんだいい感じに仕返しができてる気がする。

 

「…ねぇ蓮?」

 

「…なに//」

 

あたしは蓮の名前を呼び耳元まで顔を近づけて…

 

「おやすみ。」

 

と、告げて目を閉じた。

 

「…おやすみ//」

 

相変わらず背を向けたままだけどちゃんと返事をしてくれるあたしの彼氏だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

((ね、寝れない!!!))

しっかり明日仲良く寝坊しました。






今回なんか…適当な気が…


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猫になったんだような〜君は〜

 

 

 

 

 

 

見渡す限り猫、膝の上にも猫、肩の上には子猫、おっかかるとそこには大きな猫。俺は今大量の猫達に囲まれてる。その辺の猫カフェなんて比にならないくらいの。

 

 

頭を撫でてやると甘い鳴き声を出しながら近づけてくる。腹を撫でてやればもっと撫でろと言わんばかりにその場に転がりぐーっと伸びる。

 

 

…こんなにも心が満たされる空間があるだろうか?

 

 

『…まるで夢のようだ…』ニチャ〜

 

 

ずっとこの空間にいたい……。なんて幸せな時間なんだ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピピピピピ!!ピピピピピ!!ピピピピピ!!

 

 

 

 

「…………」ムクリ

 

ふと、目覚ましのアラームによって目が覚める。

 

「……夢かよ……。」

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

 

 

(でもいい夢見れたわァ…( ◜ω◝ ))ニコォ

 

 

 

はい、こんな感じで1日が始まります。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「あ、蓮だ。」

 

学校に登校している途中、蓮の背中を見つける。少し猫背で気だるそうに歩いているからすぐにわかってしまった。

 

「おはよ、蓮。」トコトコ

 

「…あぁ、蘭か。おはよ…。」

 

 

(……あれ?なんか元気なさそう…。)

 

 

隣まで来て声をかけたけどなんかいつもより元気がないように見える…。

 

「…どうしたの?なんか元気ないよ?」

 

「…別に、俺はいつも通りだよ…。」

 

 

(……やっぱり、おかしい。いつもはもっと明るいはずなんだけど…、)

 

本人はいつも通りだと言っているけど、あたしには全然そう見えなかった。何かに落ち込んでるようにも見えるし…。とにかく雰囲気が暗いのだ…。

 

 

(何か、悩み事でもあるのかな…、)

 

 

 

もし仮に何か悩んでいるなら抱え込まないで相談して欲しい。もっと頼って欲しい。…一応、あたし達は恋人同士なんだし。蓮の暗い顔なんて見てられない…。

 

 

(…じゃあ蓮から来ないならあたしから…!)

 

周りを見渡し、誰もいないことを確認する。

 

「…ねえ、蓮。」

 

「…ん?」

 

「…」ギュッ

 

「ちょ、え?」

 

あたしは蓮の名前を呼び、そして抱きしめる。

 

「……なんか嫌な事でもあったの?」

 

「…。」

 

「もし何かあって悩んでたりしたらさ、抱え込まないであたしの事頼って欲しい。あたしも蓮の力になるからさ…。」

 

抱きしめながら『何かあったら頼って欲しい』と言う気持ちを伝える。こうでもしないと蓮は自分から話さないと思ったから。

 

 

「……蘭。」

 

「…何?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず抱きつくなら1回猫になって出直してきてくんね??」

 

「……よく分かんないしなんかすごいムカつくんだけど…」

 

 

その後事情を聞いて心配した自分がバカバカしくなったのは言うまでもない。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

学校……

 

 

1限目

 

 

「ボケー……」

 

「……」

 

2限目

 

「ホゲー……」

 

「……」

 

3限目

 

「ポケー……」

 

「……」イライラ

 

4限目

 

「ホケー……」

 

「……」イライライライラ

 

昼休み

 

 

「‎(°ࡇ°)………「いつまで猫の夢引きずってんの!!!!」」

 

さっきからずっっっっっと‎(°ࡇ°)な顔して!隣に座るあたしの気持ちも考えてよ!!!!

 

 

 

「蘭〜みんなでお昼食べよ〜?」

 

「あ、モカ、」

 

隣の蓮に呆れているとモカが教室に来た。

 

「お、れー君もちょうど良いし一緒に……あれ?これ魂入ってる〜?おーい、」

 

「……モカ、多分何言っても無駄だよ…。」

 

蓮の顔の前で手を振っているモカにそう告げる。

 

「とりあえずれー君をこのまま放置するのもなんかあれだし〜、一緒に連れて行こっか〜。」

 

「…そうだね。ほら、蓮、行くよ!」グィッ

 

あたしは蓮を連れてひまり達がいる教室に向かった。

 

 

 

 

「あ、今日は蓮君も一緒なんだー。ってあれ?なんかぐでーってなってない?」

 

教室に着くと早速ひまりが蓮の異変に気づく。

 

「今日は朝からずっとこうなの…。」

 

モカ達と弁当を食べながら蓮がおかしくなった経緯をみんなに説明する。

 

「な、なるほど…。その夢を見たせいで猫に取り憑かれちゃったと…。」

 

「うん。今日何回か蓮に話しかけてたんだけどさ…。」

 

「……‎( ꒪﹃ ꒪)猫カフェに住みたァい……」

 

「しか言わないの。」

 

「じゅ、重症だな…。」

 

ほんと、なんでこんなになっちゃうかな…。

 

「なるほど〜それで今日れー君にかまって貰えなくて蘭もご機嫌ななめってことね〜。」

 

「いや//あたしは別にそんな//」

 

「まぁ彼氏に相手にされないって結構寂しいのかもねー。」ŧ‹”ŧ‹”

 

別に寂しいなんて思ってないし…。別に…、そんな事無いし…。

 

「でもさすがにこのままってのはな〜…。」

 

「なにか治す方法があれば良いんだけど…。」

 

多分これ1週間ぐらい時間置かないと治んないんじゃないの?

 

「あ、いい事思いついた〜。」

 

するとモカがある事を思いつく。

 

「いい事って、大丈夫なの?」

 

「まぁまぁ〜、これなられー君もきっと正気に戻るって〜。」

 

そう言いモカは蓮に近づくと、力の入っていない片腕を持ち、

 

「それじゃ〜蘭〜、ちょっとこっち来て〜。」

 

「……何?」

 

「よいしょっと。」

 

ッポン、とその手をあたしの頭の上に乗せた。そしてあたしの頭を撫でるように左右に動かす。

 

「ちょ、//モカ、なにっ///」

 

「おーい、れー君?今自分が何を撫でてるか分かる〜?」

 

焦るあたしを無視してモカは蓮に話しかける。

 

「猫」

 

ちょっと?その答えはさすがにあたしも怒るよ?

 

「よく見てごら〜ん?猫なんかじゃなくて蘭の頭だよ〜?」

 

「……蘭の、、頭、、、」ナデナデ

 

「……///」

 

「そうそう♪可愛い可愛いれー君の彼女の蘭だよ〜?」

 

「……可愛い…、、?」ナデナデ

 

「ほら〜、可愛いって思えるでしょう〜?猫より蘭の方が断然可愛いでしょ〜?」

 

「……可愛いって、思える、、…っは!?」ナデナデ

 

「お、ようやく戻ってきたね〜。」

 

「人間の素晴らしさを思い出させてくれた。ありがとな青葉。」

 

「いや〜この程度モカちゃんの手にかかれば朝飯前よ〜。」

 

どうやらようやく正気に戻ったみたい。戻ったみたいなんだけど……

 

「……ね、ねぇ蓮//」

 

「ん?」

 

「…その、、いつまで撫でてんの…///」

 

「……すみません///」ッス

 

蓮は慌ててあたしの頭から手をどかす。

 

「おやおや〜、他の教室に来てもイチャイチャしちゃって〜。」

 

「「し、してない!」」

 

「蘭ったら撫でられてる時すごい照れてたんだから〜。」

 

「照れてなんかないから///!!」

 

「蓮にかんしては実の彼女の頭を『猫』ってww」

 

「と、巴ちゃん、笑いすぎだよ」プルプル

 

「人の事言えないからな?羽沢だって笑ってるからな!」

 

 

その後もあたし達はモカ達にいじられ続け、昼休みを終えるのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

放課後……

 

 

 

なんか学校着いてから昼休み前までの記憶が曖昧なんだよな……。まぁ深く考えるのはやめておこう…。

 

「蘭〜、そろそろ帰ろうぜ〜。」

 

「…うん。」

 

どことなく不機嫌な蘭に声をかける。

 

 

 

 

「あ、そうだ!さっきスマホで調べたんだけど近くに新しい猫カフェが出来たらしいから今度行ってみようぜ!」

 

帰り道、蘭を先程スマホで見つけた猫カフェに誘ってみるが、

 

「絶対やだ。」

 

余裕で拒否られてしまう。

 

「えぇ!?なんで!」

 

「だって蓮どうせまた取り憑かれるでしょ。」

 

「それは無い!…………とも言いきれない!」

 

「今後蓮は猫と戯れるの禁止ね。」

 

「…………( ꒪﹃ ꒪)??????」

 

「そんな顔してもダメ。また今日みたいにずっと無視されるのも嫌だし。」

 

「……え、俺そんなに無視してた?」

 

「してたじゃん。ずっとあたしの事無視して猫のこと考えてたじゃん。どうせあたしとの会話なんて猫の二の次なんでしょ?」

 

 

「……」

 

 

拗ねちゃってるよ、、わかりやすく拗ねちゃってるよ……。

 

おい、日中の俺何やらかしてんだよ。どんだけ彼女の会話シカトしたらこんなになるんだよ……。

 

 

「……分かった、とりあえず今回は俺が悪かった。もう猫とはなるべく関わんないようにするから許してください……。」

 

我ながらおかしな謝罪文だ。でももうこんくらいしか言葉が出てこない(´;ω;`)

 

「……」

 

無言の『無』に無言の『言』と書いて無言。

 

「ど、どうしたら許してくれる……(^^;?」アセアセ

 

「自分で考えたら??」

 

分かるわけねぇえだろおおぉおお!!!?!?

 

(こ、こうなったら……)

 

俺はおもむろにスマホを出し救世主達にLINEでメッセージを送る。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

LINEグループ名《低俗ゲーマーズ》

 

蓮『色々あって蘭が拗ねてしまいました。誰か助けてください。』

 

佐『自分で考えたら??』

 

蓮『なんで全く同じセリフ言うの?見てたの?拗ねてるとこ見てたの?』

 

鈴『落ち着け。多分その拗ね方だと構って貰えなくて寂しがっていた可能性が高い。』

 

蓮『ほ、ほう……』

 

鈴『よって今日お前の家に連れ込んでめいっぱい構ってやれば機嫌が治るとみた。』

 

佐『お前天才すぎ。』

 

蓮『いや新手のバカだろ。そんな事で機嫌が治るわけねぇだろ!』

 

佐『何言ってんだ、これやれば120%治るって。』

 

鈴『そんじゃ頑張れよ〜(^q^)』

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

……まじか……。これしかないのか……。

 

「……」スタスタ

 

俺が悩んでいると、もうおしまいだと言わんばかりに蘭は先に歩いていってしまう。

 

ええい!もう、なりふり構ってられるか!こうなったらもうヤケクソじゃあ!

 

「ら、蘭!待ってくれ!」

 

「何?」

 

「え、っと、その、き、今日俺ん家来ないかっ?なんか今日家誰もいないし……」

 

「なんで?」ギロッ

 

「ェ、ィウェッスッーー、そ、そのまぁなんと言うか今日は全面的に俺が悪かったわけだし、何かちょっとでもお詫びが出来ればと思って考えたんすけど…」

 

「……。」

 

やはり、これではダメか……、

 

「……行く。」

 

「……え?」

 

「…だ、だから行くって言ったの!」

 

「お、そ、そうか、」

 

よかったああああああああああぁぁぁ……。

 

「ほら、そうと決まったなら早く行くよ!」

 

「分かったから、そんなに引っ張るなって!」

 

そう決まるやいなや早く帰るぞと言わんばかりに俺の手を引っ張る蘭。どうやら上手くいったらしい。

 

「…♪」

 

うわぉ。数秒前と表情が大違い…。

 

やれやれ…。俺もまた猫に取り憑かれないように気をつけなければ…。記憶がないって正直怖い。気がついたら蘭の頭をひたすらに撫でてたし…。て言うか蘭の頭サラサラすぎて猫を撫でてる時より心地よかったんだよな…。

 

ん?猫よりも?

 

「……。」

 

「?どうしたの?蓮。」

 

「…なぁ蘭、1回だけで良いから猫の鳴き真似してくれないか?」

 

「…は!?いきなり何言ってんの!?」

 

「いや、おかしい事を言ってるのは十分分かってるんだ!でも頼む!1回だけでいいから!」

 

 

だいぶ気持ち悪い事を言ってるのは承知の上だ。だがこの可能性を試さずにはいられない!

 

猫よりも触り心地が良かったなら!きっと鳴き声だって負けていないはず!なんなら蘭の方が可愛いまであるかもしれない!

 

 

 

 

 

「なんなの一体………、ンン……ニ、ニャァ、ン///こ、これで良いの?///」

 

「………………ゴフッ」吐血

 

「え!?ちょ、大丈夫!?」

 

「だ、大丈夫…、こ、これでもう俺が猫に取り憑かれることは二度とないだろう……」

 

 

人生で2度目の吐血。この日この瞬間、俺の中の''可愛い''で蘭の右に出るものは1人として、1匹として居なくなった。

 

しかも蘭の奴、顔の横に猫のように丸めた手を持って来てその状態で鳴き真似をするなんて…。

 

無意識であんなにあざとい仕草をされたらもう持たんわ……、

 

 

 

「……ら、蘭。お前がナンバーワンだぁ…」

 

 

 

 

 



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気づいて!!!

 

 

 

 

 

「う〜ん…。」

 

最近あたしには悩みがある。それは…

 

「唇が乾燥してすごいパサパサする…。」ゥー

 

教室にいるというのについつい口に出てしまう。このまま酷くなると歌う時とかにも影響してきそうだし…、どうしよっかな…。

 

「おやおや〜?美竹さーん、困っているようだねー?」

 

「っわ、安達さん。」

 

あたしの独り言を聞いていたのか、安達さんが空いている前の席に座り話しかけてくる。

 

「美竹さんって''リップ''とかあまり使わないかな?」

 

「リップ?」

 

「ちょっと待ってて!貸してあげるね!…じゃーん!こんな感じの奴だよ!」

 

そう言って安達さんはリップを取り出し、あたしに渡してくる。

 

「へぇ、こんなのあるんだ…。」

 

「そうそう!これを使えばもう唇はプルップルになるんだよ!さーさー、早速使ってみよう!」

 

「わわ、ちょっと!」

 

安達さんはいきなりそのリップをあたしの唇に塗ってきた。自分でやるとそうでもないんだけど他人からやってもらうとなぜか少しくすぐったい。

 

「出来た!おぉ〜!すっごい似合ってるよー!美竹さん今めちゃくちゃ可愛い〜!」

 

「そ、そうかな…//」

 

安達さんから鏡を借りて自分の顔を見てみる。すごい、さっきまでパサパサだったのにこれを塗っただけでかなり潤ってる。

 

「……。」

 

「気に入った?それ。」

 

「…うん。すごく。これってどこで売ってる?」

 

「あーそれもう美竹さんにあげるよ!」

 

「えっ!?さすがに申し訳ないよ…!」

 

「大丈夫大丈夫!私沢山持ってるから!」

 

「そ、そうなんだ…。……ありがと。」

 

「どういたしまして!いや〜こんな可愛い美竹さんを渡辺君が見たらもうメロメロになっちゃうんだろうな〜」

 

「いや、さすがにそこまでは…。」

 

「そんな事ないよ〜、絶対『可愛い』って言ってくれるって〜。」

 

 

''可愛い''か…。思えばあたし付き合ってから蓮にそんな事あまり言われてないような…。この前の猫に取り憑かれた時のやつは多分意味合いが違ってくるだろうし…。

 

 

※当の本人はものすごく思ってるけど口にはあまり出していない。

 

 

蓮は…あたしの事可愛いって言ってくれるかな…?

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

放課後…、

 

 

「蓮、今日ってバイト?」

 

「いや、休みだな。久々にゆっくりできる。」

 

「じゃあ一緒帰ろ?」

 

「はいよー。」

 

 

今のところはいつも通り…。まぁ蓮は少し鈍感なところもあるし、そんなにすぐ気づくなんて思ってない。想定内、想定内。

 

 

帰り道、、

 

さっきから普通に会話してるけどやっぱり気づかない。

 

「ん、んん、、」

 

「?」

 

軽く咳払い(フリ)をして少し自分からアピールをしてみる。

 

「そ、そう言えばこの時期って乾燥する季節だよねー。」

 

「…?お、おう。まぁそうだな。…どうしたいきなり?」

 

「…っ!い、いや、、最近その…、『唇』とかかわいてくるな〜、とか…。」

 

「……唇…?」

 

「(さ、さすがにここまで言えば気づくよね…)」ドキドキ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そーなんだよなー。俺もこの季節だと唇バッキバキになっちゃうんだよなー。しかもあれ中々治んないし。」

 

「…ッ」(ガクッ)

 

気づいてない…。それっぽい間はあったけど全く気がついていない…。

 

せっかく勇気だしてアピールしたのに…!そこは気づくところでしょ…蓮のバカ!鈍感!ゲーオタ!

 

 

 

(……こうなったら、、なんとしてでも気づかせてやる…!)

 

 

(……なんか今すごい罵倒されてるような気がする……、何で?)

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

その日の夜、家でシャワーを浴びている時……。

 

 

「気づかせると言ってもやっぱりリップだけじゃ分かりにくいのかな…?」

 

どうすれば蓮に気づいて貰えるか考えていると……

 

「…?このシャンプーって…。」

 

頭を洗おうと思ってシャンプーを取ろうとすると、見覚えのないシャンプーが置かれていた。多分母さんが新しいやつを買ってきたのかな?少し手に取ってみると…

 

「っ、すごい、いい匂い…。」

 

今まで使っていた物より断然いい匂いがした。

 

「…ッ!これならきっと蓮だって…!」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

翌日…

 

 

「おはよ、蓮。」

 

「おっす〜蘭。」

 

いつも通り2人で集合して学校に向かう。

 

「き、今日はなんて言うか、昨日より風が冷たくないような気がしない??」カミサラァ

 

早速昨日のリベンジと言うことでアピールをする。

 

(ど、どう…?リップにプラスしてシャンプーも変えたしさすがに気がつくでしょ?ちなみに昨日使ったシャンプーはいつものやつより値段が結構高かったって母さんも言ってたし、匂いだって強い!この甘い香りをかげば……)

 

 

「は、は、ブェックショイ!!!そうかぁ?俺は一段と冷たくなったと思うんだが…。」グズ

 

「…………」

 

シャンプーの匂い、くしゃみに一掃されたんだけど…。

 

(な、なんで気づかないの!?こんなに匂いが違うのに!こんなに近づいてるのに!)

 

「〜〜〜ッ、、」

 

彼氏の鈍感さに頭を抱えざる負えない…。

 

(……な、なんなんだ?昨日から……)

 

 

結局、放課後になっても蓮があたしの変化に気がつく事は無かった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

(1回落ち着こう。そう言えばこの前ひまりがリップやシャンプーくらい気づかない事があるって言ってたような気がするし…。……多分だけど…。と、とりあえずこれじぁ蓮が気づかないのも無理はない…。)

 

 

「こ、こうなったら…。」

 

「おーい蘭〜。そろそろ帰ろうぜ〜。」

 

「ごめん、今日ちょっと用事があるから先に帰るね!」

 

蓮の誘いを断り、あたしは先に教室を出る。

 

「お、おーう。そっかァ…」(俺なんか悪い事した〜?)

 

速攻で断られて少し落ち込む蓮をよそに、あたしはある人に電話をかける。

 

「もしもしひまり?ちょっと今日ひまりの家行ってもいい?」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

また翌日……

 

「おっす蘭。…なんか目がぎらついてんだけど、大丈夫か?昨日ちゃんと寝たのか?」

 

「大丈夫…!早く学校行こう…!」

 

(今日こそは絶対に気づかせる…!)

 

(……明らかに様子がおかしい……。なんなんだ全く…。)

 

 

昨日に引き続きリップとシャンプーのアピールもしたけど案の定蓮は全然反応しなかった。でも今日は昨日ひまりからやって貰った秘密兵器がある…!

 

 

教室に着き、席に座ると早速それを見せる。

 

 

「ね、ねぇ蓮。この前借り現国のプリント返すね。」

 

そしてあたしは指先の''爪''を強調させながらプリントを蓮に渡す。なぜ爪を強調しているのかと言うと、昨日ひまりにネイルをやって貰ったからである。急なお願いで悪いと思ったけどたまにひまりもやってたの見てたし、これなら分かりやすくて気づくはず!ひまりも『可愛く塗れた!』って言ってたし、大丈夫…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おう。」パシ

 

「……………………」

 

「ん?どした?」

 

無言で蓮の頬をつねる。

 

「いでででででで!!!!な、何すんのいきなり!?」

 

「感想は?<●><●>」ギギギギ

 

「痛いです!すっごく痛いのでやめてくるぇ!!!」

 

 

もうっ…!どうして気づいてくれないの…!?もしかして気づいてはいるけどリアクションするに値しないの…!?どっちにしてもムカつく…!

 

それともあたしなんかがこんな風にオシャレするのはやっぱり似合わないとか…!?良いじゃんあたしだってたまにはオシャレしたって…!!

 

 

(こうなったら…、こうなったら…!!)

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

週末の休みを挟み月曜日、

 

 

あたしは蓮より先に教室に着いて待っていた。

 

「あれー!?美竹さんの''メッシュ''の色が変わってるー!!」

 

いち早く変化に気づいた安達さんはあたしに話しかけてくる。

 

そう、あたしはこの週末を利用して自分のトレードマークと言っても過言ではないメッシュの色を赤色から明るいピンクに変えて来たのだ。

 

「なになにー?どうしたの美竹さん!イメチェン?」

 

「ま、まぁだいたいそんな感じ」(大嘘)

 

(さすがにここまで変えれば分かるでしょ…!こんなに大きな変化なら無視はできないはず…!)

 

ガラガラガラ「うぃーっす。」

 

安達さんと話していると蓮(ターゲット)が気だるそうに教室に入ってくる。

 

「おはよ、蓮。なんか今日は遅かったんじゃない?」

 

「いや〜、明日までの提出の数学の課題をやってたら遅くなっちまってなぁ」フワァ

 

「へぇ、そうなんだ…別に明日までならそんなに早くやる必要なくない?」

 

「まぁ早く終わらせるに越したことはないだろ?」

 

「それもそうだね。」

 

 

……

 

………

 

……………………

 

 

 

 

 

 

 

あれ?

 

(無視ッ!?嘘でしょ!?これでもダメなの!?)

 

「え、えっと…蓮?」

 

「??」

 

「き、今日のあたしについて何か言うことは…?」

 

「……はぇ??」( ・ ∇ ・ )ポカン

 

「な、なんでも良いから…」

 

「えぇ??…………喉の調子が良さそうで??」

 

何その答え…!?

 

 

結局このまま気づかれる事無く、昼休みに入る。最近あたしと蓮は偶にだけど昼休みに一緒にお昼を食べるようになった。今日も2人で昼休みを過ごす予定だ。

 

(う〜、メッシュって結構あたしのチャームポイントだと思ってたのに…)

 

弁当を食べながらそんな事を思っていると…

 

「あれ?蘭の弁当に入ってるウィンナー今日はタコさんウィンナーなんだな。先週までは普通のやつだったのに。いや〜久々に見たわそれ。」( ˙༥˙ )もぐもぐ

 

 

なんで弁当の変化にはそんなに敏感なの…!タコさんウィンナーなんてあたしも今初めて知ったんだけど!

 

なんなの!あたしの変化はタコさんウィンナー以下って事!?ムカつくーーー!!!

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

放課後、帰り道……

 

 

「……」ムカー

 

「……」スタスタ

 

「渡辺蓮さん…!」

 

「ッ!?!?!?!?は、はい!」

 

「いきなりだけど、か、彼氏としての蓮の力をテストするから!ここ最近であたしの変化したところをすべて答えて!」

 

「(いきなり何言っちゃんてんのこの子…)は、はぇ??」

 

 

そんな目で見ないで、自分でもこんなのおかしいって分かってる…。

 

(なんか、なんだろうこの気持ち…、蓮風に例えると…、消えてなくなりたい…)

 

「どっか変わったか?」

 

「はぁ?」

 

「いやいやいや!すごい、すごい変わったと思う最近!!うん!間違いないよ!えっと、えぇっと……あ!身長伸びた!?」

 

「そんなに急に伸びない。」

 

「最近ギターの調子がいい!」

 

「いつも通りだけど」

 

「か、髪を切った!」

 

「切ってない」

 

「あとは、あとはァ…、あ!最近ちょっと体じゅ「あぁ?」た、た、大樹を見つけたとか、かなぁ(^^;;;;」ガクガクガク

 

 

 

……もういいや。期待してたあたしがバカだった。

 

 

 

「……う〜、だって、先週からリップつけたのはちげぇだろ?」

 

「……え?」

 

「ん?」

 

「そう、だけど。」

 

「え!?変化ってそれの事言ってたの!?」

 

も、もしかして…

 

「……じゃあシャンプー変えたのは?」

 

「あ、あぁやっぱり変わってたのか…」

 

「……ね、ネイルは?」

 

「い、一応気づいてはいたけども…」

 

「じゃあなんでその時言ってくれなかったの!」

 

「えぇ!?そう言うのって言わなきゃダメなの!?」

 

なんと蓮はあたしが先週からやってた事に気づいていた。でもどうリアクションすれば良いのか分からず指摘しなかったらしい。

 

 

「俺今までこんな経験したこと無いんだからそんな分かるわけねぇだろ!!」

 

「だとしてもノーリアクションは無いでしょ!そっちからしたら些細な変化かもしれないけどこっちからしたら重要な事なの!それとも全然似合ってなかったの!?」

 

「……いや、そんな事は全然全くないよ…。ただこう、やっぱり直接口で伝えるのは恥ずかしいと言いますかハードルが高いと言いますか…」

 

「変なところでヘタレだよね、蓮って。」

 

まぁ蓮だし、別にもう良いけど。

 

「ぐっ、、ま、まぁあれだ。色々遅いんだろうけど、似合ってたし''可愛い''って思ったよ////」フイッ

 

「……ッ///そ、そう//それなら良い//許す…//」

 

「さいですか…。」

 

いきなりそんなこと言う蓮はずるいと思う…。

 

「じゃあこのメッシュにはとっくに気づいてたってこと?」

 

「…メッシュ?……あれ!?!?いつもと違う!?!?」

 

「…え?気づいてなかったの?」

 

そんなことってある???

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

 

 

 

 

 

あれからしばらくしてお互い落ち着きを取り戻す。

 

 

「て言うか蘭、なんでいきなりそんなオシャレに目覚めたんだ?」

 

「……だって蓮ってあまりそういう事口に出さないじゃん…。」

 

「……」

 

「それに、あたしから蓮に抱きついたりとかはするけど蓮からは1回もそういうのないし…。」

 

「……」

 

「こっちだって、少し不安になることもある…。」

 

「……」

 

「……蓮?話聞いて「ギュッ」……え?」

 

さっきから無言でいた蓮がいきなり抱きついてきた。

 

「ちょ//いきなり何//」

 

「…いや、何となく。」

 

「……//」

 

「別に蘭は今までのままで十分可愛いと思うぞ?」

 

「っな//」

 

「まぁオシャレした蘭も別に可愛くないって訳じゃないが、どっちにしても可愛い事に変わりはない。」

 

「…い、いきなりすぎ…」

 

「それについこの間俺の中の''可愛い''で蘭の右に出るものは誰一人としていなくなったから別にそんなに不安になる事はないぞ?」

 

「わ、分かったから//もう十分蓮の気持ちは伝わったから//」

 

 

さっきまでそれ言うのにすごい恥ずかしがってた癖に!反則でしょ!

 

 

「なんだよー、不安だっつーからそれが消えるまで言ってやろうと思ったのに〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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男はみんなスケベだ

ある日の放課後、羽丘学園のとあるクラスで1年のほとんどの男子達が集められていた。

 

 

 

「お集まりの諸君、わざわざこのご多忙の中この討論会に足を運んでくださり誠に感謝を申し上げます。」

 

 

集められた理由はなんの議題なのかは知らんが何かの討論会らしい。教室の中心に司会者の生徒が立ち、それを囲むように6つの机が並べられその机のそばに1人ずつ意見を述べる人達が立っている。

 

つまり今日はこの6人の意見がぶつかり合うわけだ。

 

 

……そして何故か……俺もその6人のうちの1人として机のそばに立たされている……、え、なんで?色々ツッコミたいんだけど?俺はただ佐藤達に連れてこられただけでそもそも何を話し合うのかさっぱり分かんねぇし…。バイトも今日は休みだったから蘭と帰れると思ってたのによぉ…。

 

 

「司会進行を務めさせていただく佐藤です。よろしくお願いします。」

 

 

お前が司会進行するんかい…。

 

「なぁ佐藤、こりゃ一体なんなんだ?なんで俺はこんなところに立たされてんだ?」

 

「おや?あなた、まさか今日なんの討論をするかも分からないでここにたっているのですか?あなたそれでも代表ですか!」

 

佐藤に質問したつもりが正面にいるメガネをかけた少し小太りの生徒に何故か怒られる

 

「いや急になんやねん…。てかあんた誰よ、なんでいきなり顔も名前も知らんやつから怒られなあかんねん…。」

 

「まぁまぁ豚原くん、そんなに熱くならないで。今から私が説明しますので。」

 

それを制止する佐藤。てか名前''ぶたばら''てwwそのままなんすね、ウケるww

 

「では渡辺君への説明も踏まえ改めて議題を発表致します。」

 

キャラ変わりすぎだろお前

 

「本日の議題は今年度から共学化を果たした我々の通う高校、羽丘学園で最も''エッチ''な女子生徒を決めようということだ…!今この場にいる6人は数少ない男子生徒の中から選ばれた代表と言う事だ!」

 

 

…………は?まじで何言ってんの?バカじゃねぇの?周りの人めちゃくちゃ真剣で真面目な雰囲気出してるからどんな議題だと思ってたら世界一しょうもなかったんすけど…。

 

「あの、俺帰っていいっすか?」

 

「では最初にトモユキ君、君の意見を聞かせてくれ。」

 

無視かよ、おい

 

「いや〜こんなのわざわざ討論会を開くまでもないだろう。実にくだらない時間と議題だ。」

 

そして、バカみたいな討論会が始まってしまった。くだらないというところにだけは賛成するよほんと。

 

「『この羽丘学園で最もエッチな女子生徒は誰か?』だって?そんなものはこの学園が設立された当初から決まっている!''湊友希那''さんだ!」

 

パチパチパチ!!!

 

うるせぇよ外野のクソ野郎共!何盛り上がってんだ!?

 

…て言うか湊さんて、あれか、確かRoseliaのボーカルの人だよな?

 

「まさかこの場であの湊友希那さんを知らねぇ人はいるのか?いるわけねぇよな?いたらぶっ〇ろしてやるぜぇ??まぁもし知らない人がいるのであれば今すぐだ。そのボロくそiPhoneで調べてそして彼女の魅力に取り憑かれるんだなこの虫けら共めがざまぁ見やがれってんだぁ!!」

 

 

やべぇ、やべぇって、もうこれ嫌な予感しかしないって…。

 

 

「それで友希那さんだな?頭の先からつま先にかけてまで全てがエッチだ!ライブ中に汗を流しながら素晴らしいパフォーマンスを見せてくれる彼女を見て股間が熱くならないやつは男じゃない!いや人間でもない!トカゲだ!イグアナ野郎に違いない!冬眠したまま二度と目覚めるんじゃないぞ!」

 

おーもうこいつ誰が止めろぉ!危険人物だ!この高校からツマミだせぇ!!

 

「透き通るような白い肌、白銀の美しい髪の毛、そして強い信念を抱く眼!音楽に全てを捧げているからその歌唱力もずば抜けている!傍から見ればクールで隙のない女性に見えるがテスト期間になるとテスト勉強から逃げだしたり、料理をする際にじゃがいもの皮むきをしたらじゃがいもがなくなってしまうと言う可愛らしくドジっ子な一面もある!もっと言ってしまえば猫好きを10数年隠しているらしいがここでその話はよしておこうか??」

 

 

もうこいつただのストーカーにしか見えないわ!なんで1年ちょっとでそこまで調べあげられるんだよ!

 

「とにかく最もエッチな女子生徒は湊友希那さんで決まりだ!反対するやつなんて生きてる価値ねぇ!俺が全員轢きこ〇してやりてぇレベルだ「トモユキ君、そろそろ落ち着きたまえ」うるせぇ!何が嘆かわしいってここに友希那さん以外の女子生徒を選んだ愚かなイグアナが5人もいるって事だ!信じられねぇ神すらも恐れる決断だ!下校中そのすっからかんの頭BLACK SHOUTで吹き飛ばされねぇように気をつけやがれ!体育の授業のバレーで汗を流しながら必死にボールを追いかけるが全部からぶってしまう所も最高に可愛くセクシー、最高にエッチだ!よーし決めたぞ、今夜は湊友希那でパーチーを開く!部屋中友希那さんのポスターにして両耳にイヤホンで常に友希那さんのボイスを聴きまくる!祭りだ!今回だけは騒いでいいぞ?」

 

 

 

すみません久々のSAN値チェック入ります。ほんとごめんなさい乗っけからこんなストーカーの話聞かせて…。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「えー、ん''ん''っ、色々取り乱した所もありましたが次に進みましょう。」

 

だいぶやらかしてたけどな?

 

「では豚原くん、君はどうだね?」

 

お、さっきつっかかかって来たやつだな。こいつは真面目そうだしさすがにさっきのやつみたいに取り乱さないよな?

 

「全く、『羽丘学園で最もエッチな女子生徒は誰か?』だって?片腹痛い質問だよ。僕は今まで色々なギャルゲーやスマホのゲームをやってきたけど、断然''氷川日菜''ちゃんを推すね。ああいう天真爛漫で元気のある娘は絶対に内面はエッチだって僕のサイドエフェクトがそう言ってるんだよ。」

 

ああ、なるほどなるほど。わかったわ。こいつももうダメだわ。ダメなやつなんだなぁってわかっちった。ああー、帰りてぇ〜

 

「この高校に入学してきて初めて日菜ちゃんを目にした時は確か全校集会の生徒会長が挨拶するときだったんだよ。でも僕はその時初対面だとは思わなかったんだよ不思議なことにね?純粋無垢な笑顔とは裏腹に強烈な個性が内包されていて、1目見た瞬間僕の人生は日菜ちゃんと出会うために存在したんだと直感したんだよ。だから僕はこの高校に入学して彼女に出会うよりも前から出会っていたんだ!(?????)意味が分からないような顔をしているけど日菜ちゃん推しならきっと理解してくれるよ!もっといえば「すみませんなんかもう既に気色悪いしそれ以上の発言は今後のあなたにひびいてくると思うので次の主張に移らせていただきます。」はぁ!?おいちょっと待ってくれよ!」

 

 

ナイス判断!よくやった佐藤、俺もそろそろ胃の中身をぶちまけるところだった。全く、正直いってさっきのストーカーより酷い主張だったな。

 

「懸命な判断だ佐藤くん。」

 

「私も同意見だ。」

 

どうやら他の奴らも気持ちは同じだったらしいな。見ろよ、めちゃくちゃ顔色悪くなってるよ。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「さて、それでは原井さん。あなたの意見は?」

 

「ああ、そうだな。まず言いたいのはみんな大切な何かを忘れてないか?という事だ。確かにトモユキ君やそこのブタさんが言っていた友希那さんや日菜さんもエッチではある。確実にな?だがね、それはあくまでその人達の性格や性質がそう思わせているだけなんじゃないのか?日菜さんが実はとても大人しく普通の女の子だったらエッチか?エッチじゃないだろ。同様に友希那さんが頭もよく、料理も出来きる普通の女の子ならエッチか?…いや、あれはやっぱエッチだな…。ごめん、この主張はやっぱり無しだ。」

 

何が言いてんだおめぇは?

 

「まぁつまりだ!最もエッチな女子に必要なのは最高級の''プロポーション''!分かりやすく言えば胸と尻だ!!」

 

パチパチパチ!!!

 

 

……頭痛くなってきた……。パチパチじゃねぇよ…。

 

 

「その点において羽丘学園で最高にエッチな体を持つのはそう!''上原ひまり''さんだ!」

 

「その意見には司会である私も賛成だ。」

 

お前言ったな?今度上原にチクってやるからな?

 

「ここでは敬意を表して''お嬢''と言っておこうか?Bクラスの生徒なら誰もが知っていると思うが昼休みに青葉さんとお嬢がじゃれあっていると思いきやその青葉さんがなんとお嬢の胸をふざけて揉みしだくという回があった!以来私は彼女の事を''魂の師匠''と勝手ながら呼ばせて貰ってるよ。」

 

昼休みに何してんだあいつらは…。少しは男の目を気にして下さいお嬢。

 

「つまりライブをしている最中でも全ての観客を魅了してしまうほどの素晴らしい肉体を持つのがお嬢なんだ!実際に生でライブをしているところを見た事があるかい?あの巨大な胸と尻がライブ中にブルンブルン震えてるんだ!そして最高の太もも、私の鑑定によるとあれはワンタッチ1000万の価値があるな!大きすぎずかつ小さすぎず素晴らしい「ちょっと待ちなさい、さっきから聞いていると外見ばかり話してないか?」そ、そうか?」

 

そうですね。ずっと体の話を聞かされてますね。控えめに言って最低かと…。

 

「だったら話を変えようか?おそらく知らない人が1目見ただけでも間違いなくエッチだと思わせる力をお嬢は持っているんだ。そう、例えば誰もが可愛と思えるあの声。そして不発の大号令。ぜひ私にもあの可愛い声で『えいえい、おー!』と振ってもらいたいもんだね。これでも足りないか?なら水着の話をしよう。去年の夏私は友人とプールに遊びに行ったんだがそこでたまたまお嬢の姿を目撃したんだよ!いや、私が最も驚いたのは目撃した事じゃない、''おっぱい''だ!素晴らしすぎる!それを見た瞬間鼻血の出血多量で救急車を呼ぶ羽目になったもんだよ。救急隊員もゲラゲラ笑っていたよwより詳しく語っていこう!」

 

「すみませんもう分かりましたので次に移らせていただきます。」

 

 

お前多分司会上手い方だと思うよ。いいタイミングで切ってくれるじゃんさっきから。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「正直、ここまでの皆さんの意見は全く理解不能だ。同じ地球上の生物の言葉なのかさえ分からなかった。」

 

パチパチパチ!!!

 

突然司会を無視して語り出したと思えばまた拍手が起こった。もういいわ。なんかもう慣れてきたわこの状況に。

 

「まぁ唯一認められたのは友希那さんもひまりさんも確かに好ましい女性ではある。だがそこまでだ。私にとって好ましいと言うだけで最もエッチであると言う言葉には程遠い。では私の思う最もエッチな女子生徒を教えよう''ババンボ様''だ。…冗談に決まってるだろ、笑うところだ何真顔でこっちを見てやがる。まぁあながち的はずれなジョークでは無い。そう、私が最もエッチだと思うのは''青葉モカ''さんだ。」

 

「なるほど、ではその理由を聞こうか?」

 

「ああいいだろう。そこのおっぱい星人も言っていたが、エッチな女性に必要な恵まれた肉体という点でこの青葉モカさんは消して負けてはいない。むしろあらゆる点で勝っている。彼女は着痩せするタイプなんだよ。きっと脱げばあのひまりさんにだって負けていない。そしてライブの衣装だってとてつもなく性的だ。しかもこの''性的''という言葉は今までのテメーらの物とは違い、上品なんだ。いやらしい要素がない。純粋に、エッチなんだ。それだけではない、彼女にはユーモアもある。あのホンワカした喋り方にマイペースな性格。大量にパンを食べても全く太らないし本人いわくひまりさんにカロリーを送っていると言う。これ程面白く信憑性のある事が他の女子に言えるか?」

 

「……ちょっと待ってください、この場は最もエッチな女子生徒を決める場です。ユーモアも大切かも知れませんがそれ以上に重要な事があるはずです。胸や尻も良いですが、あなた達ならもっと違う角度からエッチという言葉を深める事ができるはずです。」

 

いやもういいよ…。やめよぉ?何お前もまじになってんだよ。クソみてぇに真剣じゃねぇか…。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「えー、それでは次にテツヤさん。お願いします。」

 

 

 

「…ああ、…僕は羽沢つぐみちゃんが1番だと思うんだけど、みんなの意見を聞いていると『最もエッチ』と言う言葉の意味がわからなくなってくるんだ…、エッチってなんなんだっけかぁ…?」

 

なんでこの議題にそこまで真剣に考えられるんだ。ある意味お前ら天才だよ。

 

「まぁいい、だからこそここでは最も単純な意味でのエッチということはどういう事なのかを考えた上で話していこうと思う。プロポーションがいい事が果たしてエッチなのか?僕は違うと思う。もしそれだけで決まってしまうならわざわざこんな討論会を開くまでもないからな。たしかにエッチと言うことに恵まれた肉体は欠かせないと思うけどそれだけで決めて言い訳がないんだ。肉体だけで決まってしまうならダントツでひまりちゃんに決まってしまうからな、みんなそうだろ?」

 

 

パチパチパチパチパチパチ

 

 

賛成の拍手。

 

「だから…、だからそう言う事ではないんだきっと…!思い出して欲しい、まだ小学5年生ぐらいだった時の記憶を…!親のパソコンを勝手に使い初めて見たエ〇動画やエ〇同人誌を!みんな初めてそれらを見た時はそりゃ興奮したろ?『エッチだな』と、この世の神秘を覗いたような…そんな幸福感に包まれていたはずなんだ!これが原点なんだと思う。なぜそんな神秘を垣間見たような気分になるのかは、普段そういう事が隠され覆われ露出しないからなんだ。世界に隠されているものを見つけ出したからこそ『エッチ』だと思えるんだ!!だってそうだろ!?普段から男女共に全裸で歩いて過ごしていたらエッチと言う言葉や概念は芽生えないはずなんだから!その点から言えば神秘からの脱出、つまり隠されているものを見たくなる衝動、これこそがエッチだと思うことなんだ…。」

 

 

 

 

……なんだろう、こいつだけはなんかほんのちょっとだけまともな事言ってる気がしなくもない…。

 

 

 

「そしてその想いが強くなる女子生徒こそ、''羽沢つぐみ''ちゃんなんだ!つぐみちゃんは1年生でありながら生徒会に所属し学校の規則を最も準処しななくてはならなくて、さらには少し失敗をしてもめげずに前向きに頑張れる真面目な性格でなんとも清らで犯しがたい存在だ。そんな彼女がライブ中に時折見せる楽しそうで生き生きとした表情、思わず生唾を飲み込み手を伸ばしたくなる!どこか甘酸っぱく、どこかほろ苦い、これがエッチと言う言葉の味なんだ!だからこの『最もエッチ』と言う言葉を真に深く考えた時、肉体に対する欲情やその人に対する感情を全てを考慮すれば最もエッチなのは羽沢つぐみちゃん以外、この学園にいはないわけなんだ……。」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「えー、それでは最後に渡辺さんの意見を聞かせていただきたい。」

 

「…え、いやだ。無理だ。そもそも俺は常にエロい目で女子を見ているわけじゃないからこいつらみたいに語れるやつなんて1人もいない。早く帰らせろ。」

 

「何を言ってるんですか?いるでしょう、最愛の人が。」

 

……、は?まさかお前この場で蘭の事を語れって言ってんのか?

 

「ほほう、佐藤さん。この人にそんな人がいるんですか?」

 

「ええ、彼はAfterglowのギター兼ボーカル、美竹蘭さんと交際しています。」

 

おい何平然とばらしてんの?

 

「ほー、あの不良の噂と愛想が悪く可愛げのないで有名な!」

 

「…あ?」

 

いまなんつったこの豚野郎?

 

「いや〜失敬、まさかあの美竹さんと交際しているとは思ってもおらず。最もエッチと言う言葉から程遠いじゃないか。」

 

「なに1度も話した事がない癖に知ったような口聞いてんだ?あ、違うか話しかける勇気がないだけかこの豚野郎は。」

 

「っな!なんだと!?」

 

「まぁまぁ2人とも落ち着いてください。渡辺さん、今の私たちはあなたの最愛する美竹さんについてほとんど分からない状態だ。ここに立っている以上、君はそれをみなに伝えなくてはいけないんじゃないのか?」

 

「まさか自分の彼女をコケにされたまま帰る…、なんて事はしないだろうね?」

 

 

なんでこいつらいちいち洋画の吹き替えみてぇな話し方なんだ?

 

だがまぁ確かに、あの豚野郎やこいつらは蘭の魅力に1ミリも気づいちゃいない。それで知ったようにバカにされんのも黙ってられん、

 

「……良いだろう、お前ら今まで好き勝手言ってくれたよな?ならこっちも好き勝手言わせてもらうぞ?」

 

 

ここからずっと俺のターン。

 

 

「俺はここまでお前らの主張を聞いていたが、正直心底呆れているよ。俺も男だ。最初にこの議題を聞いた時はくだらないと思っていた反面、ほんの少し気になっている自分がいた。だがみんな揃いも揃って胸や尻に目が行き過ぎていている。唯一同意できたのは羽沢を推していたさっきの''エッチ哲学者''の意見だけだ。俺はこれまで蘭とは様々な日々を一緒に過ごしてきた。」

 

 

俺は今までを振り返りながら続ける。

 

 

「最初の出会いは席替え。正直に言おう、最初はすごく怖かった。目を合わせるだけで体が恐れ震えが止まらなかったもんだ。だが少しずつ、少しずつだが確実にお互いが仲良くなり、そしてついに去年のクリスマス、俺たちは付き合うことになった。そこに至るまで色々あった。ライブ会場で蘭の歌声を聞き魅了され、数日後に勇気をだしてLINEの交換に成功。2人で一緒に映画やゲームセンターで遊び、夏休みには祭りに海、夜の学校での恐怖体験をした。その後、自分は蘭の事をどう思っているのかわからなくなってしまう時が訪れ、その不安定な気持ちのまま文化祭と言うイベントを迎えた。その後に俺は自分の気持ちに気づいたんだ。俺は蘭の事が好きになっていたんだって!」

 

 

なんか段々熱が入ってきてしまったが気にしないでおこう。

 

 

「そして告白をするかしないか葛藤する中で迎えたクリスマス、その日は俺の誕生日でなんと蘭をはじめとした友達にサプライズで祝福をされた!思わず涙がこぼれたよ。想い人からこんな祝福をされたんだから。そしてその夜、俺はフラれる覚悟で告白をしたんだ。成功するなんて微塵も思っていなかった。だがその時に、蘭も実は俺の事をずっと好きだったことを知り両思いだった事が判明したわけだ!あの時の蘭からの告白を俺は忘れる事が出来ないな…。」

 

 

「ちょっとまてよ!さっきから聞いてればお前の色恋沙汰ずっと聞かされてるだけじゃねぇか?」

 

 

「違う、俺が言いたいのはここからだ。いいか?『最もエッチ』と言う事は『最も愛することが出来る』という意味にほかならないんだ!ずっと隣にいて欲しい、ずっと隣にいてやりたい。この愛情こそが何よりの証拠だ。それに先程のエッチ哲学者の意見を借りれば蘭だってこの世の神秘を覗いたような魅力だってある。蘭の家は代々伝わる伝統的な華道の家だ。伝統のある古き良き文化の中で得た礼儀作法、花を慈しむような手つきで詰まれたは花はどれも素晴らしい。振袖姿の蘭を見た時は美しすぎて直視できなかったくらいだ。伝統を重んじ、規律を重んじる。なんとも犯しがたい女性じゃないか…。」

 

 

ああ、今分かった……、俺も変態だったんだな、、と。

 

 

「不良の噂はあるが可愛げがないと言ったなそこの豚野郎。違うんだよ、あいつはただ不器用なだけなんだよ!素直になれないだけで心の中ではちゃんと他人を思うことが出来る優しいやつだ。確かに上原のような抜群の肉体では無いかもしれない、氷川さんや青葉のような強烈な個性なんてものもない、それでも俺はこの羽丘学園で最も愛することが出来るのは蘭しかいない。すなわち蘭こそ、この中で1番エッチだと言うことが出来るんだ…。」

 

 

 

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「ようやく終わった…。」

 

アホみたいな討論会がようやく幕を閉じた。あんなに長々と何かを語ったのは生まれて初めてかもしれない。

 

あー疲れた。さっさと荷物取って帰ろ。

 

俺はそう思い自分の荷物が置いてある教室へ向かう。

 

「あ、蓮。」

 

「あれ?蘭!帰ってなかったのかよ!」

 

なんと教室に向かう途中蘭と遭遇する。どうやらずっと待っててくれたらしい。

 

「先帰ってて良かったのに…。」

 

「まぁ、最初はそう思ってたんだけど、やっぱり一緒がいいかなって//」

 

天才的に可愛かった。

 

やっぱり俺は蘭しか愛せない…。

 

「な、何ニヤニヤしてんの…」

 

「いや、やっぱり好きだなぁ、って」

 

「っ//」

 

やべ、口に出た!

 

「……あ、」

 

「?」

 

「あたしも…//」ポフン

 

歩きながら肩に寄りかかってくる、その後俺達はお互い離れることなく帰路に着くのであった…。

 

 

 

 

 

 




後日、アホみたいな討論会が女子達にしっかりバレてしまい制裁を食らう男どもであった。










て言うか俺は長々と一体何を書いているんだ…?





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女子会と低俗ゲーマーズ

どうも、リアルAPEXでは一生ゴールド帯を這いずり回っている外道inです。


 

 

 

とある日の美竹家の一室。今日は蘭の部屋にAfterglowの全員が泊まりに来ており、それはそれは賑やかにわいわいと会話を弾ませていた。

 

 

 

 

 

 

 

「いや〜、なんか蘭の家にみんなで泊まりに来るのも久々な感じがするね〜。」

 

「最近バンドとかで忙しかったからね。」

 

「それに蘭には蓮君もいたしね〜?」

 

「そ、それは…まぁ、無いことも…ない//」

 

「この際だから今日はれー君と蘭がどこまで行ってるのか聞きまくるのもありかな〜?」

 

ニヤニヤとモカが蘭に詰め寄る。

 

「あー!いいなーそれー!あたしも気になるー!」

 

「…絶対教えない」

 

「あ、あはは…」

 

 

 

このように夜も更けた時間だと言うのに女子会トークに花を咲かせていた。なんとも微笑ましい光景だ。だがそれとほぼ同時刻、''彼ら''もまた微笑ましい会話をしていた……

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

低俗ディスコード内

 

 

佐『いやー、なんかこの面子でゲームすんのも久しぶりな気がする〜』

 

鈴『て言うか登場すら久々なまである〜。』

 

蓮「まぁまぁこまけぇこたァその辺に捨てといてだ、今日はひたすら限界までこの面子でAPEXをやりたいと思いまーーす。」

 

佐「今シーズンこそダイヤまで行きたいでーす。」

 

鈴「いい加減ダブハン爪痕取りたいデーす。」

 

蓮「はーい、それら終わるまで今日は寝ないでーす。」

 

「「うぇーーーい」」(脳死)

 

 

 

 

なんて微笑ましい(?)会話なのでしょう…。今宵、女子会トークの裏で低俗ゲーマーズの宴が始まろうとしていた!!!

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

side蘭

 

 

「それで〜?蘭はいったいれー君とどこまで行ったのかな〜??」

 

「だから別に普通だって…」

 

「キスとかってもうやったのー?」

 

「……ッ///そ、それは…」

 

「おっと〜?怪しい反応ですな〜?」ニヤニヤ

 

「キャーー!蘭ったらいつの間にか大人になっちゃってーー!」

 

「ひまり、うるさい…。」

 

もう、さっきからこんなのばっかり…。こういう質問って答えるとどれも恥ずかしいから嫌なんだよね…。

 

「あーあ、あたしも蘭みたいに優しい彼氏が欲しいなー。」

 

ゴロンと寝転がりながらひまりがそんなことを言う。

 

「たしかに蓮君ってすごく優しいイメージあるよね。」

 

「些細な変化にも気づいてフォローしてくれそうだよなー。」

 

たしかにつぐみの言う通りすごく優しい…。でも結構鈍感なところもあるんだよね、蓮って…。

 

この前だってメッシュの色変えてアピールしてたのに全然気づいてくれなかったし…。

(afterstory『気づいて!!』より)

 

 

「蘭はそのれー君の優しい所が大好きなんだもんね〜?」

 

…まぁ、それもだけど…、男のくせに涙脆いところとか、あと寝顔が意外と子供っぽいとことかも、そう言うのもひっくるめて全部好き、かな…」ボソボソ

 

「蘭ー?心の声が漏れてるよー?」

 

「…え//」

 

「ベタ惚れじゃないかー!蘭のやつー!」

 

「ヒューヒュー!蘭ってばかわいい〜!」

 

「も、もう!うるさい//別にいいでしょっ//」

 

 

うっかり口に出てしまったけど、本当のことだ…。特に蓮の優しいところにあたしはめっぽう弱い…。

 

 

 

 

 

 

 

 

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side優しいと思われてる人

 

 

 

佐『ねぇねぇ蓮様ァ!バッテリーと注射器くださいよォ!回復全然持ってないよォ!』

 

現在、3人ともフィールドに着地しアイテムを漁っている中、佐藤が全く回復アイテムを拾うことが出来ず蓮から少し分けてもらおうと助けを求めている。しかし…

 

蓮「え?え??え???それが人にものを頼む態度なんすか??」

 

佐『……、ただいま回復アイテムがございません、どうかお恵みください!』

 

蓮「あはははwwや☆だwww」

 

佐『はははww56すぞこの虫けら(^^♪』

 

鈴『優しさの欠片もないww』

 

困っている人に手を差し伸べる……どころか振り払った挙句嘲笑うこの外道。

 

佐『あーあ、こんな所を美竹が見たらドン引きするんだろーなー?』

 

蓮「蘭とお前らは違う。」キッパリ

 

鈴『え?どうでも良いって言いたいの?』

 

蓮「うん!どうでも良いや^^」

 

佐『酷い…』

 

鈴『アタシはこんなに真剣なのに…。あなたはあたしの事その程度にしか考えてくれないのね…。』

 

 

唐突に始まる鈴木の恋人ロールプレイにしばらくお付き合いください。

 

鈴『あなたはいつだってそう、初デートの時に食べに行ったご飯だって、たまにお出かけしに行く場所だって、いつもあたしが決めてる…。あたしだけがあなたのこと好きみたいこれじゃあ…。ねぇ、あたし達、本当に付き合ってるんだよね?信じて良いんだよね…?』

 

蓮「''恋人いもしねぇくせに''よくそんな会話思いつくね?」

 

鈴『おぉ今のはライン超えだろ(ꐦ°᷄д°᷅)!?自分は彼女いるからってふざけんな!!!?』

 

蓮「おぉ怖ww」

 

なんの躊躇いもなくラインを踏んずけていくスタイル。この男には心のノートを10冊ぐらい送ってやった方がいいのではないだろうか?

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

side蘭

 

 

 

「それじゃあモカちゃんは少し小腹がすいたので〜、さっきコンビニで買ってきたパンとお菓子を食べたいと思いま〜す」ŧ‹”ŧ‹”

 

そう言ってモカはコンビニの袋を持ってきて中に入っている菓子パンやお菓子を食べ始めた。

 

「え、…まさかその量1人で食べるの?」

 

「まさか〜。みんなもどーぞ〜。」ŧ‹”ŧ‹”

 

この時間帯に食べるのはどうかと思うけど…。少しだけ頂こっかな…。

 

「わぁーい、いただきまーす!」

 

「ひまり、また体重増えても知らないぞ?」

 

「大丈夫大丈夫!少しだけだから!」

 

そう言って何度も後悔してきた事はもう忘れてしまったのだろうか…。

 

「そ、それにしても結構買い込んだね、モカちゃん…。」

 

「まぁ元々みんなで食べるために買ったつもりだし〜?それにあたしはバイトもしてるからそんなに財布にはダメージないんだよ〜。」

 

「う〜ん、あたしもバイトとかしてお金貯めたいけど部活があるしな〜。」

 

「ひーちゃんは全部食べ物でお金がなくなりそうなイメージ〜。」

 

「そ、そんな事しないよ!……多分、」

 

「否定しきれてない…。」

 

「ま、まぁたしかにお金はあった方が良いかもね。貯金は大事だと思うし。」

 

「楽器が壊れた時も修理するのはタダじゃないしね。」

 

「なんならお金があればだいたいやりたい事できるしなー。」

 

「も〜、みんな世の中お金だけってわけじゃないんだよ〜?それ以外にも大事なものはあるよ〜。」

 

「フフっ、それもそうだよね。」

 

「友情はお金じゃ買えないからね!」ドヤァ

 

「何そのドヤ顔…。」

 

「まぁでも本当のことだよな〜。」ŧ‹”ŧ‹”

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

side低俗

 

 

 

 

蓮「世の中って金だと思うんだ?」

 

佐『うおびっくりしたぁ…。』

 

鈴『バカがまたクズ晒してらぁ。』

 

※本日の主人公はグズ度がやや高めです。

 

蓮「君らもバイトを続けてるとこうなるよ?」

 

佐『現実的すぎる…。所詮世の中お金なのね…。』

 

鈴『金!金!女!』

 

佐『お前も大概だな…。』

 

蓮「まぁもうこの歳で現実を知ってしまったからなぁ。世の中金なんだよ。ああ俺は金が好きだ。なぜなら金は全ての代わりになるからだ。物も買える、命も買える、人も買える、心も買える、幸せも買える、夢も買える。とても大切なものでそしてその上でかけがえのないものではないから好きだ。」

 

佐『なんかどこかの詐欺師を連想させるなぁ…。』

 

何物語なんだろうなぁ…ちょっと思い出せないなぁ…。

 

鈴『君も分かるだろうバ〇ージ君、世の中みんな金なんだよ…!』

 

蓮「ラ〇ァ!ちょっとパチンコを打ちたいから1万円貸してくれないか!」

 

佐『お前ら1回ガン〇ム勢と池田秀一さんに怒られてこい。』

 

 

 

 

※クズは伝染します。池田秀一さん、ごめんなさい。

 

 

蓮「いや俺パチンカスシャア結構好きだからw」

 

鈴『分かるw』

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

side蘭

 

 

 

モカが出したお菓子を食べながら会話を続けていると、話題は学校のクラスの方へと変わっていった。ここでひまりが日頃思っていることを打ち明ける。

 

「最近あたし達のクラスの男子がちょっとうるさいんだよね〜。」ŧ‹”ŧ‹”

 

「ま、まぁ賑やかなのはいいことだと思うけど…」

 

「それにしてももっと周りを見てほしいって言うかー、」

 

「まぁあたしも最近少し思うところはあるな…。」

 

どうやらひまり達のいるクラスの男子がやたらとうるさく、悩んでいるらしい。

 

「たまに下品な言葉も聞こえて来るしね〜。さすがのモカちゃんもちょっとね〜。」

 

「下品な言葉?」

 

「ま、まぁ俗に言う''下ネタ''ってやつだな…」

 

「あぁ、なるほどね…。」

 

男子ってそう言うの好きな人いるよね…、

 

「別に男子しかいない時だったらあたしだって別にいいと思うんだよ…?でも周りにあたし達がいる時も大声でそう言うのを話してる時もあって…。」

 

「男の子だししょうがないんじゃな〜い?蘭のクラスはそういうのないの〜?」

 

「うーん、特にそういうのは聞こえてこないかな…。男子もそんなにうるさく話してる人もいないし。普通に男女で仲良いと思うよ?」

 

「へぇー、羨ましい〜!」

 

「蓮君はもちろん、佐藤君たちもそういうのあんまり言わなそうだしね。」

 

「いいなー、蘭のクラスの男子はちゃんとその辺の常識があって。」

 

「まぁ共学になったからその辺にあたし達もちゃんと慣れないといけないのかもね〜?」

 

 

モカ達の会話を聞いてると少し男女で苦労してるところがあるらしい。

 

たしかにあたしはクラスにいてそういう単語が聞こえて来たことは1回もないし、改めてうちのクラスの男子はある程度の常識があって平和なんだなって思った。

 

まぁたまにゲーム音がうるさい時もあるけどね…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side常識があると思われている人達

 

 

 

 

佐『トリプルテイクでトリプルレ〇プしちゃったわぁ♡お''ォ19''!!』

通約(トリプルテイクで3タテしたァ!!まじで気持ちぃ!!)

 

鈴『トwリwプwルwレw〇wプw』

通約(3タテww)

 

…はい、現在の状況はと言うと…。まず初動で蓮と鈴木は武器を拾うことが出来ず相手に蜂の巣にされ先に死亡。生き残った佐藤は今シーズンエネルギー武器として復活を果たしたトリプルテイクで見事3タテに成功する。しかしそれによって得た快感により佐藤の脳みそが液状化してしまう。

 

蓮「例え方ぶっ壊れすぎだろwwお前さっきまで常識人ポジにいたのにwww」

 

鈴『多分佐藤も色々溜まってたものがあるんだよ…』

 

佐『あれ!?お前ら先にイっちゃったの??』

 

蓮「おー、すまんが回収に来てもらってもおk?」

 

佐『オーケェ!今行くからなこのチ〇カスども!!』

 

2人が死亡していることに今気づいた佐藤(オルタ)は2人のビーコンを回収に向かう。だが事態はそう上手くは行かなかった…

 

鈴『あ!やばい!後ろから別パ来てる!』

 

佐(オルタ)『え!?』

 

蓮「逃げろ!逃げるんだ佐藤ォォォ!!」

 

なんと回収に向かう途中、後方から別パーティーが乱入し、佐藤(オルタ)が目をつけられる。佐藤(オルタ)1人に対して相手は3人。到底勝てるはずもない…。

 

蓮「待ってw相手オクタンとパスファとレイスなんだけどww逃げれる訳ねぇこんなんww」

 

鈴『おいしかもオクタンバタフライナイフ持ってるしレイスもクナイ持ってるぞww強ぇ人達だこれww』

 

不幸にも相手は機動力に極振りしたパーティ編成をしていた…。じわじわと距離を詰められ、弾丸を浴びせられる佐藤。

 

佐(オルタ)『やばいwwイグゥ!イッちゃうwwンォオ''ドン〇ホーテ・ドフ〇ミンゴイグゥ''』

 

蓮「ドン〇ホーテ・ドフ〇ミンゴwwww」

 

例のネタを思い出し吹き出してしまう蓮。

 

ドンキホーテ・佐藤(41)『ンオオ''''イグゥ!イグゥ!!?ドンキホーテ・ドフラミンゴ41歳!!ゴミ共の前で!味方を早々に失った挙句!バタフライナイフとクナイで乳首こねくり回されながらケツア〇メ決めるぞぉおおおおお!!!?』

 

とてつもなく長く汚い遺言を残し、ドンキホーテ・佐藤オルタ(41)は散っていった……。

 

 

「「良かったぁここ学校じゃなくて^^;」」

 

 

 

文化祭では自分が中心となってクラスを引っ張り、周りの女子からも高評価な男子の化けの皮が剥がれ落ちた瞬間であった…。

 

 

 

 

 

 

 

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side蘭

 

 

「はー、もうすぐ1年終わっちゃうねー。」

 

「だなー。」

 

「時間が過ぎるのはあっという間だね〜。」

 

「でも来年はあこちゃんとか、あと翔くんも後輩になるわけだし、そう考えるとちょっと楽しみかもね。」

 

「お〜、翔くんも羽丘受けるんだ〜。」

 

「そういえば蓮もそれっぽいこと言ってたかも…。」

 

学校で兄弟喧嘩とかしないと良いんだけど…。まぁあの二人に限ってそれはないか…。

 

「来年はどのくらい男子が入ってくれるのかな〜?」

 

「うーん、まだ女子校のイメージが強いから少なめになっちゃうかもね…。やっぱり周りが女子ばっかりだと男子は不安になっちゃったりするのかな…?」

 

たしかに…。蓮の場合は佐藤とか鈴木とかがいたからあまり不安な気持ちはなかったのかもしれないけど、翔の場合はどうなんだろ…、

 

「その辺はやっぱり先輩であるあたし達の出番でしょ〜。」

 

みんなが少し心配な気持ちになっていたのを、モカの一言が打ち消した。

 

「だな!もしも上手く学校に馴染めてなかったらたまにあたし達でクラス覗きに行こうぜ!蓮達も連れてさ!」

 

「そうだね!せっかくの高校生活だもん!楽しまないと!」

 

…この調子だと大丈夫そうかな…。佐藤と鈴木も同じ男子としてちゃんと面倒見てくれると思うし…。なんだかんだあの2人っていい先輩になりそう…。

 

 

 

 

 

 

 

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sideいい先輩になると思われている人達

 

 

蓮「あ、ちょっとごめん、俺一旦離席する。」

 

ランクを回して数十分、蓮が深夜アニメの録画を忘れていたことに気がつき、一旦離席する事に…。

 

鈴『え?じゃあ2人でやんの?』

 

蓮「大丈夫、助っ人を呼んでくるから。」

 

「「助っ人?」」

 

そう言い残し、蓮は一旦通話から離席した。そして数分後…

 

?「…ッスーえ、えぇっと…」

 

佐『お?』

 

鈴『誰か来た?誰??』

 

佐『ボクちゃん誰ェ?挨拶できるぅ( ^ω^)?』

 

翔「え、えぇっと…、弟の渡辺翔です…。よ、よろしくお願いします…」

 

なんと蓮の言っていた助っ人とは弟である渡辺翔だったのだ。

 

佐『あー!噂の弟君ねー!よろしくお願いしま〜す。』

 

鈴『あれ?初めましてだよね?俺ら』

 

翔「スー、はい、そ、そっすね…。」

 

まさかのゲーム内での初顔合わせ。しかも翔の先輩になるかもしれない人達と…。当然多少の緊張はするだろう。

 

佐『そう言えば弟君確か羽丘受けるらしいんだよね?』

 

鈴『え?まじ?後輩なんの??』

 

翔「ま、まぁ、そうなるっすかねぇ…。あの〜、俺あんまりFPS得意じゃないんすけど…」

 

佐『あー、あー、そんなん良いから、別に気ィ使わなくていいよ?』

 

鈴『後輩が先輩に気を使うんじゃないよ(´-ω-)』

 

「(い、意外と優しい人達なのかな…?)り、了解っす。よろしくお願いします。」

 

 

こうして、新たに翔を加えた3人でゲームを再開させた。しかし先程も言っていたように翔はあまりFPSが得意ではなく、あまり試合でいい結果を残せない状況が続いてしまう…。

 

 

佐『あー!殺られた!』

 

鈴『どんま〜い。』

 

翔「(やっべぇまた俺のせいで全滅した…。)さ、サーセン……。」

 

鈴『…ちょっと飲み物取ってくるわ。』

 

佐『うーい。』

 

翔「了解っす…」

 

ここで一旦鈴木が離席する。

 

佐『……』

 

翔「……」

 

そして訪れる無言の空間

 

翔(これ、やばい…。気まずい…。もう兄貴呼んで変わって貰うしかない…。このままじゃ気まず過ぎて死ねる…。)

 

この場の雰囲気に耐えられず、翔はそんな事を考えてしまう。

 

翔「あのー、変わった方良いっすよね…?」

 

佐『いやいや、全然、後輩が気を使うんじゃないよ?』

 

翔「いやー、多分お二方的にも戻った方が絶対いいと思うんすけど…」

 

佐『良いから良いから、後輩が気を使うんじゃないよ!』

 

翔「いやでも俺のせいで『後輩がっ!』で、でも『気を使うんじゃないよ!?』…うす。」

 

変わってこようと考えていた翔だが先輩の圧に負け、その後も戻ってきた鈴木達とゲームを続行する。そしてまた自分のせいで負けてしまう試合が何度も繰り返される…。

 

 

佐『ちょっとトイレ行ってくるわ〜。』

 

鈴『おー、了解。』

 

今度は佐藤が一旦離席をする。

 

翔(よし、もういい加減変わってもらおう…。でも多分この人もそう言ったらどうせ止めに来るんだろうし…。飲み物取ってくるフリして変わってくるか…。)

 

翔「ちょっと自分も飲み物行ってk『いや待て後輩が気ィ使うんじゃないよぉ(ꐦ°᷄д°᷅)!!!!』っえ、『(ꐦ°᷄д°᷅)後輩がァ!!!!」』…、」

 

言葉を遮る怒号。

 

佐『すいませ〜ん、』

 

鈴『お、来たな。もう行っていい?』

 

佐『い〜よ〜( ◜ω◝ )』

 

鈴『OK行こうぜ』

 

そして何事もなかったかのように再開しようとする2人。

 

翔「え?いや飲み物…『気ィ使うなやゴラァ(ꐦ°᷄д°᷅)!!!』いや、……、分かりました、じゃあ兄貴とは変わってこないので本当に飲み物取りいかせてください。」

 

変わることを諦め、せめて飲み物を飲んで落ち着こうとするが…

 

佐『後輩が気ィ使ってんじゃねぇよ(怒゚Д゚)!!!』

 

鈴『あ〜、コーラうめぇ…。』

 

このザマである。

 

翔「いやいや、え、ずるくないっすか?そっちばっかりやりやすい感じで…」

 

佐『''ずるい''ってなんだ?』(圧)

 

鈴『''やりやすい''ってなんだよ?w』(圧)

 

佐『(ꐦ°᷄д°᷅)ガキィ!!!』

 

鈴『(怒゚Д゚)おぉガキィ!!!』

 

翔「ちょ、……」

 

佐『(ꐦ°᷄д°᷅)体格差考えて物言えやぁ!!!?』

 

鈴『(怒゚Д゚)後輩が気ィ使ってんじゃねぇよ!!?』

 

飲み物を飲みたい後輩と絶対にそうさせてくれない先輩。

 

翔「ま、マジでこのままはホントしんどいっす…。じゃあこの試合はちょ、頑張るっすけど…、次俺も飲み物いいっすか?」

 

佐『(ꐦ°᷄д°᷅)良いわけねぇだろ!!!!!?』

 

鈴『怒゚Д゚)飲みもん戦闘中に飲むんじゃねぇよぉ!!!!!?』

 

翔「……、」

 

佐『(ꐦ°᷄д°᷅)啜っていいのぁ敵の生き血だけだよァ!!!!!?』

 

翔「…………、」

 

『(ꐦ°᷄д°᷅)舐めてんのか戦場ォ!!!!!?』『(怒゚Д゚)どんな教育受けてんだよォあ!!!!!?』

 

翔「……、こんな高校生にゃなりたくねぇ」ボソ

 

佐『いずれなるんだよ……?』

 

鈴『そうそう、あと数ヶ月もすれば。』

 

 

羽丘男子の洗練を浴びる翔であった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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side蘭

 

「ふわぁ〜、なんか眠くなってきちゃった〜」

 

「うわ、もうこんな時間…。だいぶ話し込んじゃったみたいだね…。」

 

時計を確認すると時刻は夜中の2時をすぎていた。

 

「そろそろ寝よっか。あたしもさすがに眠い…。」

 

「さ〜んせ〜。」

 

「それじゃあさっさと片付けて布団しくか〜。」フワァ

 

こうしてあたし達は寝る準備を始めた。こんな深夜まで話し込んだのは久しぶりで改めて楽しかったと思った。

 

 

ピロン♪

 

「ん?LINE…。誰から?」

 

片付けの最中、スマホが振動する。こんな時間に誰だろうと確認すると…。

 

(あ、蓮からだ…)

 

さっきTwitterを確認したら佐藤と鈴木の3人でゲームをしてたっぽいけど、どうしたのかな?

 

LINEの内容を確認してみると…

 

蓮『女子会トークは楽しんでるか〜^^』

 

(…なんで蓮がその事を知ってるの…?あぁ、さっきひまりがSNSに上げてたから多分それを見たのか…。)

 

「『うん、久々に集まったから楽しかったよ。そっちはゲーム中じゃないの?』っと」

 

蓮『一旦翔に任せて俺は深夜アニメを見ていた( ¯꒳¯ )』

 

『翔って佐藤達と話すの初めてのはずじゃ…?』

 

蓮『初めてだけどあの2人なら大丈夫だろ〜。知らんけど。』

 

『適当…。今頃翔苦労してるかもよ?』

 

蓮『してるわけね〜だろ〜ww』

 

 

 

 

 

 

 

 

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sideこの話1番の苦労人

 

 

佐『ショーくんの兄ちゃんは彼女いるけど〜、もしかしてショーくんも彼女とかいたりするのかな(^ω^)?』

 

翔「スー、え〜、まぁ一応いるっすね…。」

 

佐『(ꐦ°᷄д°᷅)兄もろとも消し飛ばすぞ!!!!!?』ドォン!!

 

翔「wwwwさ、サーセン、、」(だ、台パン……)

 

鈴『あ〜そういえばショーくんの兄ちゃんて料理も結構できるんだよね〜。』

 

翔「は、はぁ…。」

 

鈴『文化祭の時も大活躍してたんだよ〜。ショーくんは〜料理できる?』

 

佐『ショーくんは料理できるかなぁ(^ω^)?』

 

翔「そ、そうっすね…、最近は全然できてないっすかねぇ…。」

 

佐『(ꐦ°᷄д°᷅)やれやァ!!!!!?』

 

翔「う、うす…。サーセン、」

 

鈴『まぁ子供の内から色んな物を学んでいかないとねぇ…』

 

翔「いや、彼女と一緒に美味しいものだけ食べ続けたいです…。」

 

鈴『…じゃあ色々なことを経験しないとねぇ…。』

 

翔「ちょっと美味しいもの奢ってくださいよ先輩だったら、」

 

鈴『''美味しいものを奢ってください''って事は…、先輩と''デート''に行きたいってことかい???先輩に浮気かなぁショーくん(^ω^)??』

 

翔「…、」

 

佐『きwもwすwぎw』

 

鈴『困っちゃうなぁ〜(^q^)』

 

佐『うぇはははははwwww』

 

翔「……、、」

 

鈴『先輩困っちゃうなぁ〜(^q^)』

 

佐『こんな高校生になるんだよ〜?ショーくん〜?』

 

鈴『そうだよ〜ん?(^q^)』

 

翔「…そっすね…。面白い高校生になりたいっす…。」

 

鈴『無理だよ。高校なんてどこいってもつまらない。(断言)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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side蘭

 

『それじゃ、あたしはそろそろ寝るね。』

 

蓮『そっか。そんじゃ、おやすみ〜。』

 

『うん、おやすみ。』

 

 

そう返信をしてスマホを閉じ、ベッドに横になる。

 

「れー君とのLINEは終わったのかな〜?」

 

「っ!モカっ、」

 

みんなもう横になってるから寝たんだと思ってたけど、モカだけは起きていたらしい…。しかもスマホ覗かれてた…。

 

「随分ニコニコしながらやり取りしてたじゃ〜ん?」

 

「別に…、良いでしょ。」

 

「れー君にちゃんと『おやすみ』って言った〜?」

 

「スマホ覗いてたんなら分かるでしょ//ほら、早く寝よっ、」

 

「も〜そんなに照れなくても〜。」

 

 

そう言ってモカも自分の布団のところに戻って行った。

 

ふと、さっきのLINEの画面をもう一度眺める。蓮はだいたいあたしとLINEする時は最初に文字と一緒に顔文字も付けてくる。理由は全然分かんないけど本人のルーティンみたいなやつなのかな?一通りの会話を眺め、少し頬が緩む。

 

 

「おやすみ、蓮…」ボソ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやすみ〜蘭〜♪」

 

「ッ!?」

 

 

……また、自爆しちゃった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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side蓮

 

 

 

 

蓮「キィィィィィヤエエァァァァアアアア!!!」ドガガガガ

 

鈴「ふぉおおおおおおおおおおああああああ!!!」ドドドド

 

佐「ア〇ロ感激ぃぃぃぃイイぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

 

※彼らはゲームをしているだけです。決してテロ活動や白い粉を吸っているわけではありません。

 

 

その後も深夜から朝方にかけてまでこの声量が響き渡り、各々の家にたくさんの苦情が舞い込んできたという。

 




あーあ、楽しかった〜♪


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何事もあいさつは丁寧に



別に忘れてた訳じゃないし…。この時のために温めて置いただけだし…。












本当だし…。


「ねぇ蓮。」

 

「ん?」

 

 

今日という学校生活が終わり家に帰っている途中、ある事を思い出した蘭。

 

 

「あたしってさ、まだ蓮の両親に挨拶して無くない?」

 

「……、言われてみれば確かに…。」

 

 

完全に忘れていた。確かに蘭の家に挨拶しに行った時の帰りにそんな話題が出ていたな…。

 

アルバイトでババァになったり頭の中猫でいっぱいになったり中々蘭の変化に気づけなかった回があったり性癖まみれの討論会に出席したり3人で脳汁撒き散らしながらゲームしてたりして忘れてたよまったく。

 

「……別に挨拶しなくても良いんじゃないか?ここまで来たら。」

 

「いや、そう言う訳にもいかないでしょ…。」

 

母親はともかくあの親父に会わせるのが何よりもだるいんだよなぁ…。

 

「そう言えば蓮の親ってあたし達のこと知ってるの?」

 

「いいや?微塵も教えてないよ?」

 

「だったら尚更行かないと。」ズイ

 

なんでそんなに積極的なんすかね…。

 

「ん〜、まぁ親父がいない時ならいいよ?」

 

「そこはいようよ…。確か単身赴任なんだっけ?」

 

「そ、いつ帰ってくるのか分からん。」

 

なんならもう帰ってこなくていいまである

 

「じゃあ蓮のお父さんが帰ってきた時教えてね。」

 

「は、はぁい。」

 

「それじゃ、また明日、蓮。」

 

「おー、またな。」

 

そこで蘭の家に到着し、別れる。

 

挨拶ねぇ…。別にそこまで気にしなくてもいいと思うんだよなぁ…。まぁあのクソ親父がそう簡単に帰ってくるとは思えないし、蘭もそのうち忘れるだろ。

 

そんな事を思いながら俺も自分の家に到着し、玄関のドアを開ける。

 

「たでーまー。」

 

父「遅かったな蓮!待ちくたびれたぞ!父ちゃん有休使って帰ってきちゃった☆」

 

「(ꐦ°᷄д°᷅)ふざけているのかぁああああああああああああああああああ!!!?」

 

 

 

渡辺家大黒柱、帰還!!!

 

 

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翌日…

 

 

 

 

「…まさか、話してた当日に帰ってくるとはね。」

 

「ったく…、来るんなら連絡の1つでも寄こせよなクソ親父…。」

 

翌日の学校帰り、なんの前触れもなく親父が帰ってきたということで昨日も言ったように蘭が親に挨拶に来ました…。

 

最初は『まぁ、帰ってきちゃったけど別に蘭にばらさなければ大丈夫なんじゃね?』とか思ってたんだけど翔の奴が蘭にLINEでばらしやがりました。あいつめ、俺に何かしら恨みでも持ってんのか…?

 

「は〜、そんじゃとりあえず玄関あたりで待っててくれ。親父達リビングに集めとくから。集まったらまた呼ぶ。」

 

「うん。わかった。」

 

そう言って一旦蘭を玄関に待たせ俺だけ家の奥に上がるのであった。

 

 

 

 

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side蘭

 

 

 

ふー、少し緊張してきたかも。何回か蓮の家には来てるけど1回も親には会ったことないし…、どんな人なのかな…?蓮と同じですごくゲーム好き?それともものすごく真面目そうな感じだったりするのかな…?

 

 

色々と予想をしていると家の奥の方から声が聞こえてくる。

 

『ほらとりあえずオカンも親父もここに座れ!ついでに翔もな!』

 

『なんなんだ蓮急に。』

 

『夕飯の支度まだなんだけど?』

 

『理由は聞くな。とりあえず黙って大人しくそこに座っていなさい。』

 

『まぁ俺はだいたい予想は着いてるけど。』

 

 

…、思ってたより集め方が雑だけどちゃんと家族全員揃ってるみたい…。

 

(ふー、とりあえず深呼吸…、大丈夫、蓮もいてくれるし、軽く挨拶するだけだから…)

 

『そんじゃー入ってきていいよ〜』

 

『『???』』

 

「…ッ!よ、よし…」

 

蓮からの合図だ…。それが聞こえてからあたしは少し間を置き、ゆっくりと蓮の家のリビングへと向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「し、失礼します…。」

 

「あ、美竹さんいらっしゃ〜い。」

 

初めに声をかけて迎えてくれたのは弟の翔だった。

 

「お、きたきた。何、緊張してんの?w」

 

「し、しかないでしょ…初めてなんだから。」

 

ていうか蓮だってあたしの家に来た時ものすごく緊張してたじゃん。よく人に言えるよホント…。

 

…で、肝心の蓮のお父さん達は……

 

「「‎(°ࡇ°)っ……………………????」」

 

固まってた…。空いた口が塞がらなくなるってこういう事を言うのかな…?

 

そんな両親の反応をほおって、蓮が話し始める。

 

「はい、え〜っと、こちら学校の同じクラスで付き合ってる彼女の美竹蘭さんです。」

 

「は、初めてまして。美竹蘭です…。よろしくお願いします…。」

 

「「‎(°ࡇ°)……………????」」

 

緊張で少しぎこちない挨拶になったけど…、未だに蓮の両親は固まったままだ…。

 

「はい!顔と名前と関係覚えたね?ちゃんと紹介したね?はい終わり!解散!蘭、家まで送るぞ?」

 

いくらなんでもそれは早い…。

 

「「まてまてまてまてまて!!!!!?」」

 

ここでようやく蓮の両親が再起動する。

 

父「おまっ、っはぁ!?彼女ォ!!!!!?」

 

母「嘘でしょッ!?!?あんたいつの間に!!?」

 

蓮「つい最近。」

 

翔「ちなみに俺は知ってました。」

 

「「マジでッ!!!!!?」」

 

再起動したのは良いけどやっぱり状況に頭が追いついてないみたい…。

 

 

 

 

 

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「えっと…改めまして、蓮とお付き合いさせて頂いてます、美竹蘭です…。」

 

「あぁ…はい。ご丁寧にどうも…。」

 

落ち着きを取り戻した蓮の両親に改めて挨拶をする。

 

「え、蓮、お前ホントにこの子と付き合ってんのか?」

 

「何度も同じこと言わせないでくれる?意外と恥ずいんだよ?これ、」

 

「…お前もとうとう彼女なんか持つようになったのか…。美竹さん。」

 

「は、はい、」

 

「こんなバカでアホでゲーム脳な息子ですが…どうぞよろしくお願いします。」

 

「あれなんか酷い言われ用じゃない?ゲーム脳は親父の遺伝だからね?人の事言えないからね?」

 

「『親父』と呼ぶなと前から言っているだろう!?『お父さん』と呼べ!!!!!このバカ息子!!」

 

「ッ!?そうだった!すまねぇ『親父ィ!!』」

 

「ばっかおめぇ!分かりゃあ良いんだよ!!!」

 

すみません、そこのバカ息子多分全然わかってないと思います。

 

「ごめんなさいね…。うちの男共はこんなのばっかりで…。無理に構わず無視していいからね、蘭ちゃん。」

 

「は、はぁ…。」

 

翔「ねぇまさかその『男共』の中に俺は入ってないよね?」

 

「あんたが入ってないとでもおもってるわけ?」

 

「oh......」

 

 

すごい、賑やかすぎる…。

 

 

「あ、そうだ蘭ちゃん。良かったら今日家で夕飯食べてかない?色々聞きたいこともあるし。ちょうど今から作るところだから!」

 

「え、えぇ!?」

 

「おーそれはいいな!」

 

いきなりの提案に驚きが隠せなくなる。

 

「いや、そんな御迷惑は…」

 

「迷惑だなんて思わないわよ〜。ぜひ食べてって♪」

 

蓮のお母さん…、すごいノリノリなんだけど…。あたしはどうしたらいいか分からず隣にいる蓮の方をちらっと見てしまう。

 

「…まぁ、蘭の親御さんにちゃんと連絡入れれば…大丈夫なんじゃないの?俺も迷惑だなんて思わんし。」

 

…蓮もこう言ってるし…い、良いのかな…?

 

「…分かりました。今日はご馳走になります。家には後で連絡入れときます。」

 

こうして、蓮の両親に挨拶に来たつもりが何故か夕飯をご馳走してもらうことに…。はぁ、父さんになんて言えばいいだろ…。

 

 

 

 

 

 

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「さて、それじゃあパパっと作っちゃうから待っててね〜。」

 

そう言って蓮のお母さんはキッチンへと向かう。

 

「あ、あの…!」

 

「ん?どうしたの?蘭ちゃん。」

 

「えぇっと、あたしも作るの手伝って良いですか…?」

 

「あら、別に大丈夫よ〜そんな気なんか使わないで〜。」

 

「いえ…その、さすがにご馳走だけしてもらうのはちょっと気が引けるので…。それに、その…。」

 

「?」

 

「れ、蓮の好物とか…聞きたいですし…//」ボソボソ

 

「(やだ…何この子、抱きしめたい…)分ったわ。それじゃお願いね、蘭ちゃん♪」

 

「は、はい…!」

 

こうしてあたしは蓮の好物とか好きな料理を知るため……、じゃなかった…、まぁそれも無いことも無いけど…、ご馳走だけしてもらう訳には行かないと思い夕飯の手伝いをさせて貰うことにした。

 

「あれ?蘭夕飯作んの手伝うの?だったら俺もやるけど?」

 

「いや、蓮はゆっくりしてて良いよ…//」

 

本人のいる前で聞けないし…//

 

「いやここは親父である俺が手伝おう!」

 

ここに来て新勢力…

 

「たまには俺も手伝おうか?」

 

翔まで…!?

 

「あーもう!そんなに来たら台所狭いでしょ!今日は私が蘭ちゃんと一緒に作るからあんたらはリビングで仲良くスマブラでもやってなさい!」

 

そ、それでこの3人どいてくれるかな…。

 

「「「レ(゚∀゚;)ヘわぁーいゲームだァァァァ!!!」」」ダダダダダダ

 

うわ〜、簡単にどいた…。

 

「それじゃまず蘭ちゃんには――」

 

あの3人はスルーなんですね…。

 

 

 

 

こうして、色々とあったけどあたしと蓮のお母さんは夕飯作りを開始した。

 

今日の夕飯は鍋にするらしいのでまず具材を適当な大きさに切る。

 

「さて、蘭ちゃんのお手並み拝見ね♪」

 

「お、お手柔らかにお願いします…。」

 

包丁で野菜やらキノコを切っている所をまじまじと見られる…。そ、そんなに見なくても…。

 

「もしかして蘭ちゃんって料理始めたの最近?」

 

「…、は、はい、そうです…。」

 

「やっぱりね〜♪」

 

切っている所を少し見られただけでバレてしまった…。

 

「料理始めたきっかけって…やっぱり蓮のため?」

 

「……、はい…//その、文化祭の時に蓮の作った料理がどれもクオリティ高くて、少し危機感を覚えまして…」

 

「そっか…。大丈夫!蘭ちゃんならきっと上手くなれるから!」

 

そう言ってニコッと優しく笑いかけてくれる蓮のお母さん。その顔が蓮と重なり、やっぱり親子なんだなと思った。

 

「…ありがとうございます。」

 

蓮の優しい性格はお母さん譲りなのかな…。

 

「蘭ちゃんって蓮のどこが好きになったの?」

 

「えっ//!?」

 

いきなりの質問に戸惑いを隠せず動揺してしまう。

 

「だって普通に考えてあいつに蘭ちゃん見たいな可愛い彼女ができるなんて思わないでしょ?」

 

もう少し自分の息子に希望を持ってもいいと思うんですけど…。

 

「……蓮とは春の席替えで隣になってから話すようになったんですけど…、最初はずっとスマホ触ってるゲーム好きの人だと思ってたんです。」

 

「…?間違ってないわよそれで。」

 

「…(お母さん…)で、でもそれだけじゃなかったって言うか…。あたし…その時ちょっと家の方で親と揉めてたり、クラスにもあんまり馴染めてなかったんです。その時に心配してくれた蓮が声をかけてくれて。」

 

「……あの蓮から?」

 

「はい。1度は『関係ない』って突っぱねたんですけど…、それでも引かなくて、それから色々相談に乗って貰ったりしてたんです。」

 

多分あの頃からあたしは蓮に少しずつ惹かれていったのかな…。

 

「…そっか。あいつもなんだかんだちゃんとしてるとこあったんだね…。」

 

そう言ってふと、リビングの方に視線を移す蓮のお母さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔「(^ω^)このおじさんのダメージゲージいい感じに真っ赤だにょ〜ん♪」

 

蓮「(^o^)ンじゃあもう56すにょ〜ん♪」

 

翔「(^ω^)二度と実家帰って来れないようにするにょ〜ん♪」

 

蓮「(^o^)生活費だけ置いて逝けにょ〜ん♪」

 

父「(^^)お前らさっきから一体誰に向かって口聞いてるつもりにょ〜ん?」

 

蓮「パパだにょ〜ん♡」

 

翔「パパみにょ〜ん♡」

 

父「ん〜〜♪気色悪ぃからぶち56すにょ〜ん♡(^q^)♡」

 

蓮「あ〜ん♡虫唾が走るにょ〜ん♡」

 

 

 

※念の為言いますが、この会話をしている人達は40代妻子持ちで立派な''社会人''の父親と、先程ちょっと母親の信頼を取り戻しつつあった主人公とその弟(今年受験生)の3人です。念の為確認致しました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…本当にあんなやつで良いの蘭ちゃん!?本当に後悔しない!?」

 

「大丈夫です。慣れてますから。」

 

ていうかだいたい予想はついてました。

 

(あれを見て全く動じることなく調理を続けている…!?)

 

 

荒れ狂う男性陣をよそに、あたし達は夕飯作りを再開させた。

 

 

 

 

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「蓮ー、出来たよ、早くテーブル片付けて。」

 

「お、りょーかーい。」

 

母&弟(なにこの同棲してるカップルみたいなやり取り…)

 

ゲームをしていた蓮に声をかける。テーブルが綺麗になったところで鍋を持っていきそれをみんなで囲む。

 

「それじゃあ早速…」

 

「「「「「いただきます」」」」」

 

そう言って各々箸を動かす。

 

「うめぇ〜^^」モグモグ

 

「ちょうどいい味付け〜。」

 

蓮達の味の感想を聞いて少し頬が緩む。我ながらいい感じに作れたと思う。ほとんど蓮のお母さんから教えてもらったけど…。

 

「ちなみにこの鍋のほとんどは蘭ちゃんが作ったからねとだけ言っておくわ。」

 

「え、まじで?」

 

「いや、あたしは言われた通りにやってただけなんですけど…。」

 

「言われた事をそのままやるって言うのは結構すごいことよ?しかも料理始めたのつい最近でしょ?」

 

「まじか、俺なんて慣れるまで結構かかったのに…。」

 

「兄貴美竹さんに頼んで毎日弁当作って貰えば?w」

 

「どこの少女マンガだッ!?そんなん無理に決まってんだろどう考えても!なぁ蘭!」

 

「……」

 

「蘭??」

 

「…ど、どうしてもって言うなら…考える…//」

 

「( ◜ω◝ )ッ!?」

 

「あら〜♪良いわね〜若いって〜♪」

 

「なぁ。俺たちの時ってこんなんならなかったよね?お前俺の弁当なんて作ろうとも思わなかったよね?」

 

「親父、皆まで言うな。」

 

 

こんな会話をしながらあっという間に時間は過ぎていった。最初は少し緊張してたけど、蓮のお父さんもお母さんも明るくて接しやすかったかな。

 

それと、、蓮の弁当…、どうしよっかな…。

 

 

 

 

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「ほら〜、料理中ゲームしてた分働け〜。さっさと食器を洗え〜。」

 

「ハイハイ…。」

 

「あれ?親父は?」

 

「バックれた。」

 

 

夕飯を食べ終えた後、蓮達は食器洗いをさせられ、あたしはまた蓮のお母さんとリビングで話していた。

 

「蘭ちゃん、これ、見てみる?」

 

「?なんですか、これ。」

 

ここで蓮のお母さんがあるものを持ってくる。

 

「これはね〜。蓮の幼少期のアルバムよ。」

 

蓮の…、幼少期…!?気になる…!

 

早速蓮のお母さんはアルバムの中身を見せてくれた。

 

「お、これは蓮が幼稚園の頃のやつね〜。この頃はまだ素直で純粋だったのよ〜。」

 

「蓮の…幼稚園時代…。…ッ!!!」

 

写真を見てみるとカメラに向かってシャベルを持ち、顔に泥をつけながらも楽しそうで無邪気な笑顔をこちらに向けているちっちゃい蓮の姿が…。しっかりとピースも忘れずにしている。

 

「か、可愛い…!」パァァ

 

「でしょ〜?今はあんなんだけどこんな時代もあったのよ〜♪」

 

「ちょっ!?オカン!!!?あんた一体蘭に何見せてんだ!!!?」

 

さすがに声で本人にバレてしまったようだ。

 

「あの!オカン!?お母さん!?いやお母様!!!ちょっとやめてもらっていいですかァ!?」

 

「あ!これとかどう?劇の発表会の時なんだけど――」

 

「これ…本当に蓮なんですか…!?」

 

「無視すんなよゴラァあああ!!!」

 

「悔しかったらさっさと食器洗いおわしなさい?まぁその頃にはだいたい見せ終わってるけど〜。」

 

「ちくしょうがあぁぁぁぁあ!!!」

 

「哀れだなぁ兄貴、、」

 

 

蓮の大声が聞こえるけど今はそれどころじゃない。他にも誕生日ケーキを思いっきり頬張ってる写真や、すやすやと気持ちよさそうに昼寝をしている写真など沢山あった。

 

蓮のお母さんもなんだかんだ言ってるけどちゃんと蓮の事が大好きなんだな…。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「そ、それじゃあ今日はありがとうございました。」

 

「いえいえ〜。私達も色々聞けて楽しかったわ〜。」

 

「またいつでも来るといい。まぁ多分そん時俺いないけど、」

 

「でしょうね。そんじゃ、俺は蘭送ってくるから。」

 

あ〜、疲れた。後であのアルバムは葬っておこう…。あんなん家にあっても恥をかくだけだ。

 

「お邪魔しました。」

 

 

蘭も挨拶を済ませ家を出発する。

 

 

「蓮のお母さんもお父さんも、いい人だったね。」

 

「…まぁ、蘭がそう思ってくれたなら俺は良いけど…。」

 

「ちっちゃい頃の蓮、可愛いかったよ?」

 

「やめろやめろ!今すぐ記憶から消せ!」

 

「消えないしちゃんとスマホにもあるから心配しなくて良いよ?」

 

抜かりねぇなちくしょう!!

 

「あ、そう言えばさっき父さんから連絡来たんだけどさ。」

 

「?」

 

「『蓮君も今度家で食べて行くと良い。ご馳走するよ。』だってさ?」

 

「……、」

 

「蓮?」

 

「絶対気まずくなるぞ?」

 

「大丈夫でしょ、この前も来たんだし。」

 

「そ、そうだよな…なんかあればまた将棋でマウント取れば大丈夫だよな?」

 

「ちなみにあの後父さん将棋の本見ながら割と本気で練習してたからね?」

 

あれ?華道のお人ですよねあの人。本業忘れてないよね?どんだけ悔しかったんだよ…。

 

そんな会話をしている内にあっという間に蘭の家に到着した。

 

「それじゃ、また学校でな、蘭。」

 

「うん。ありがとね、送ってくれて。」

 

そう言って蘭は家の中に入っていった。さて、俺も帰りますか〜。

 

「あ、そうだ、蓮…!」

 

「ん?」

 

家に入ったはずの蘭から呼び止められる。一体どうしたのやら。

 

「どした?」

 

「えっと…、あ、明日のお昼…!楽しみにしててよね…//」

 

「……ふえぁ?///」

 

「そ、それだけ…!」

 

そう言ってバタンと扉を閉める蘭。

 

……え?それってつまり……、、、え、期待しちゃいますよ?いやちょ、ま?え、はぁ!?マジなのかぁ!!?本気で言ってんのか!!?

 

 

今まで生きてきてここまで『嬉しい』という感情をはっきり感じたことがあるだろうか…。

 

そんな事を思いながらふわふわとした足取りで俺も帰路にたつのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――おまけ――

 

 

 

「蓮、あんた蘭ちゃんの事大切にしなさいよ?」

 

「そんな事言われるまでもないわ!」

 

「もしも蘭ちゃんを裏切るような事があればあんたとは縁切るからね?」

 

「…つまり俺が浮気でもしたとして、そこで蘭との関係が終わると同時に俺の人生もそこで終わってしまうって事ね?」

 

「そういうことよ。」

 

「…そんなはっきり言わなくてもいいじゃん…、万が一でも裏切るような事なんてしないけどさ…。母親が子にそんな事言うなよ…。」

 

 

 

 

 

 

 




翌日の昼休み…。人通りの少ない中庭のベンチで彼女からの愛情弁当を貰ったとか貰わなかったとか(^^)












蘭の新しいSS書こうか迷いに迷ってる…


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美竹が欲しい!!!









今回はまだ蘭と蓮君が付き合っていない時の話です。


蘭は自分の気持ちに気づいていますが、蓮はまださっぱりの状態で、時系列的に文化祭の前ぐらいですかね〜?






 

 

とある日の学校帰り、久々に俺は1人でゲーセンへと向かっていた。たまに1人で出かけるのも悪くないだろうと思い、行きつけのゲーセンにたどり着く。さて、今日は何をやろうか…、そんな事を思いながらふわふわとした足取りで店内へと入っていった。

 

 

 

ドアをくぐった瞬間ガヤガヤとゲーム音が鳴り響く。とりあえず初回は久々のガ〇ダムあたりから攻めるか。そう思い俺はクロ〇ブーストという名の動物園に向かおうと歩き出した。

 

 

しかしその動物園に入る途中、クレーンゲームのそばを通ったのだが…そこである物が目に止まる。

 

 

 

 

 

「…こいつは、、Afterglowのグッズか…?」

 

 

目に止まったものとはAfterglowのグッズが並べてある1台のクレーンゲーム。

 

 

「…なに…、『寝そべり』……だと、、、」

 

しかも中身はメンバー各々の寝そべりのぬいぐるみであった…。ちなみにサイズは小さめ。

 

「…心無しか美竹のぬいぐるみだけ表情がふてぶてしいような…。」

 

気のせいかな?……気のせいだな。うん、美竹って意外とこんな顔する時あるし…。

 

 

「…え〜…、良くないよ〜それは…。」ゴソゴソ

 

 

口ではそういうが手はしっかりと財布を開け100円を取り出し、それをなんの躊躇いもなくチャリン!と入れてしまっていた。

 

「…、なんか始めちゃったんだけど…。ま、まぁあれだ。1ファンとしてこういうグッズは持っておくべきだと思うんだ?うん。」

 

自分を説得するかのように言い聞かせる。よし、路線変更。今日はこのクレーンゲームを攻略する事にしよう。とっとと5人分全部取って写真撮って美竹に見せたろ。…とか思ったけどやっぱり本人には見せるの若干恥ずいのでTwitterにあげるだけにしよ…。

 

 

「さて、最初は青葉から行きますかと、、」

 

 

ボタンを押しアームを操作する。完璧な位置にアームを配置し、あとは降下するボタンを押して持ち上げるだけだ。

 

「ははは、ちょろいちょろい。」

 

早くも脳みそパン野郎青葉をゲット。今度ゲームする時はスマブラでボコボコにするので対戦よろしくお願いしますと。

 

「さて、どんどん行こ〜。」

 

次に狙いを定めたのは羽沢だ。また今度羽沢珈琲店にお邪魔します。新作メニュー楽しみにしてます。はい、無事1発で取らせていただきやしたと。

 

「まだまだ行くよ〜?」

 

続いて宇田川。この前紹介してもらったラーメン屋めっちゃ美味かったです。またおすすめの店教えてくださいっと。はい、こちらも無事1発ゲッツ!

 

我ながらなんてセンスなんだろうなぁ〜。さて、次は上原だな。お前は……え〜っと…。特に何も無いわ。

 

 

 

 

 

 

 

さて、残るは美竹ただ1人…。100円を入れてアームを動かす。

 

……この位置、頃合い…、この角度で…!

 

「ドン…!ピシャリ…!」ポチ…(`・ω・´)ノ凸

 

ウィーン、ストン…。

 

「…あれ?」

 

残念なことにぬいぐるみが持ち上がったように見えたが途中でストンと落ちてしまった…。

 

「…まぁまぁまぁ、そんな時もあるよね…!てかこれこそクレーンゲームの醍醐味だよね!」

 

仕切り直し再び100円を入れる。

 

「むしろ今までが簡単すぎたんだよな〜うん、はい、チュートリアル終わり!次でいただきますと!」

 

アームを動かし勢いよくボタンを押す。

 

ウィーン、グググ、ストン…、

 

「…あるぇ?」

 

また途中で落ちてしまう。

 

「…ちょっと待って?1000円崩すわww」

 

ここで100円を切らしてしまう。財布に入っている1000円を崩し、再び挑戦するが…またしても失敗。

 

「…おかしいな…。」

 

なぜ美竹だけが取れない…?まさか緊張しているのか…?この俺が?いや、そんなはずはない…。なんかさっきからボタン押す方の手がカタカタ震え始めてるけど絶対そんなはずはない…。

 

なんだ?今の俺には何が足りていない…?『想い』か?美竹の寝そべりグッズを絶対に手に入れたいという強固な想いが足りていないのか…?

 

「…美竹さんの寝そべりが欲しいです…!お願いします!」チャリン

 

ダメ元でそう唱えながら100円を入れアームを動かす。するとどうだろうか…、手の震えが弱まり完璧な位置にアームを持ってくることに成功したのだ。

 

「お!?これあるんじゃないか!?」

 

そしてそのままアームはぬいぐるみをしっかりつかみ…

 

グググ!…ストン…、

 

「だはぁああ!惜しいなぁああ!!!?」

 

あと少しのところで惜しくもアームから外れてしまう。

 

「いやでもこういう事なのか!?強い想いを持つ事が重要って事なのか!?」

 

再び財布から100円を取る。

 

「ちくしょう…、てかなんで俺こんな必死に美竹のグッズ取ろうとしてんの…?なんで、なんでこんな…。…いや『こんな』って言っちゃ失礼かさすがに…。あぁ…欲しい!美竹ェ!美竹が欲しい!!!大丈夫だ!あいつならきっと想いに答えてくれるはずだァ!」

 

なんか色々大変な事を言っちゃってるような気がしなくもないけどとりあえず100円を入れる。

 

 

……が、その時、急に方をぽんぽんと叩かれる。おそらく店員さんだろう。はしゃぎすぎて多分注意しに来たんだな。まぁいつもの事だから言いけども。

 

「サッセーン、ちょっとはしゃぎ過ぎました……、、か…?」

 

そんな軽い気持ちで振り返った自分を助走をつけてぶん殴りたいものだ。なぜなら目の前にいたのは店員などではなく……。

 

「やっほ〜れー君〜♪」

 

「奇遇だねー♪」

 

「おっすー蓮♪」

 

「どーも♪」

 

「ッ…///」

 

 

本人達だったのだから……。

 

 

「…ッスー、、えぇ????」

 

「いや〜、なんかね〜?聞こえてきちゃったね〜♪」

 

「な、何が…?」

 

「『美竹が欲しい!』って…ね〜♪」

 

1番嫌なところ聞かれちゃっちゃあ!!!(゜∀。)

 

「え?な、なんてなんてェ??」

 

「とぼけないでよ〜、『美竹が欲しい!』って言ってたじゃ〜ん♪」

 

「いやあのちょ…、違うんすよ…!?いやまぁ違くはないけど違うんすよ!!」

 

全力で誤解を解こうとするが、、

 

「いや、あたし達見ちゃったんだよ?蓮くんが必死にそう言ってるところ!『欲しい!』って言ってたじゃん!」

 

「『美竹ェ!美竹ェ!!』って!」

 

上原と宇田川も続いて言ってくる。なにこれ、助けて(´;ω;`)

 

「違っ、欲しい…ってか…、欲しくないことは無いんです!欲しくないことは無い…。って言うのも誤解になるんだけども違うんだよ…!」

 

「じゃあやっぱり蘭のことが欲しいってことなんだよつまり!!!」

 

なんで今日に限ってお前らはそんなにテンション高いんだよ!?

 

「いやその…、なんだろうな…?グッズだ!グッズだぞ?グッズの事だからな!?」

 

これ言えばもう勝ちっしょ??

 

「あー、なるほど?」

 

「つまりグッズが欲しくなるくらい蘭の事が欲しいってこと〜?」

 

「ちがうwちがうwちがうwちがうw」

 

※負けました

 

まじでどういう変換してんだこいつらァ…。てか美竹もなんか言えよ!おかしい事ぐらい分かってるだろお前なら!頼む!この流れをどうにかしてくれ!

 

「ッ…ェ、えと…//そ、そう…なの…?//」

 

なんで本気で捉えてんだよもう…!

 

「『そう…なの?』じゃねぇよ!ちげーんだよ!」

 

美竹なら分かってくれると思ったのに…。

 

「でも確かにそう聞こえたんだけどなー?」

 

「いやそのー、別に美竹が嫌いとかじゃないぞ?別にな?」

 

「え、好きじゃないってこと?」

 

「いや好きじゃなくはないよ?」

 

「じゃあ好きなんじゃん!」

 

「ッ…///ッェ!?」

 

「ちょっと待て頼む…」

 

「いやいや蓮くん!それは『好き』ってことなんだよきっと!!」

 

言葉の綾だろそんなもんは!あと美竹はいい加減おかしいことに気づけ!!

 

「1回落ち着こう…、別に好きじゃ無くはないよ…。でも好き…?まぁうん、それはでも、いや俺は美竹の事は好きだよ?普通に?」

 

「ッえ///」

 

「おや〜?」

 

「…………いや違いますよ!?違いますよ!!!?」

 

自分が落ち着いていなかった事件

 

「いや〜ほら、『好き』にも色々あんのはわかるでしょ?さすがに、」

 

さすがにこれは伝わるよね??

 

「あ〜、まだ''付き合いたて''の『好き』って言うこと〜?」

 

「ち!が!う!おま、、はぁ!?命知らずなのかお前はァ!!本人の目の前でぇ!!!」

 

「ん〜、なんか難しい話してない?」

 

「ね〜?」

 

「蓮、1回落ち着けって」

 

おかしい、なぜ俺が間違っている見たいな認識をされているんだ?

 

「……いや、そりゃあ美竹だけに限らず俺はAfterglowの事好きだよ?曲とか普通に聴くしね?ライブの雰囲気とか最高じゃん?そう言う『好き』だよ俺が言ってるのは!」

 

巴「でも?」

 

モ「本当は〜?」

 

つ「蘭ちゃんの事が〜?」

 

ひ「1番〜?」

 

この幼馴染み共なんなの?打ち合わせでもしてきてんの?俺を陥れるために作られた罠なのかこのクレーンゲームは?

 

「1回落ち着け?考えてみろ、たしかに美竹とは大分話すようにはなったけどお前らが期待してることなんて1ミリもないからな!?」

 

「これからだよ☆れー君…!」

 

やかましいわ!肩にポンって手ェ置くな!さりげなくイケボで話しかけんな!

 

てか青葉達も分かっててからかってるだろ…。

 

これ以上ここにいるとまた厄介な事になると思い、俺は荷物をまとめその場を去ろうとする。しかし…、

 

「あ、渡辺…!」

 

そこで美竹に声をかけられる。

 

「ん〜?」

 

「えっと…まだ…その、、残ってるじゃん…。」

 

「え、」

 

「あ、あたしが…、その…。」

 

おいおいおいまさかこの状況でもう1回やれってか?大分鬼畜な要求してるって自覚ありますか?あなた方分かんないかもしれないけど周りの客もちらほらこっちの事見てるんすよ!?騒がしすぎてね!?すみませんなんか!

 

「そーだそーだー!蘭の事だけ残すなー!」

 

「まさかここで逃げるなんてしないよね〜?」

 

「欲しいんだろ?なら絶対取らないとな!」

 

「蓮くん!ファイトだよ!」

 

急に応援し始めたよこの人らも…、今日のAfterglowはテンションが変…。

 

「いや、さすがにちょっと…、厳しいものがあるって言うか…」

 

こんな状況で俺がまた再開するとでも思ってんのか?それはちょっと俺の事わかって無さすぎだね〜?

 

「…そっか……、そう、なんだ…。」シュン

 

「とかなんとか言ってたけど全部嘘です。今からやろうと思ってました。任せろってまじで、次で決めっから。」

 

本当に俺が帰るとでも思ってたの?それはちょっと俺の事分かって無さすぎだね〜????www

 

「お〜、さすがれー君〜。言うことが違うね〜」

 

「いや、まじで任せて欲しい。美竹もしっかり見てろよ?次で絶対取ってやるからな!」

 

「…ッ、うん…!」

 

そして再び財布から100円を取り出す。

 

さて、美竹があまりにも落ち込んだ表情になってしまったから勢いでついあんな事言ってしまったが…、まぁもうやるしかないよなここまで来たら…。てかもとよりそのつもりでやってたわけだし…。美竹のためもいっちょ本気でやりますかぁ!

 

 

集中力を極限まで高め、100円を入れる。後ろからは美竹達の視線だけでなく周りの客のものも感じる。

 

不思議だ…。背中に多くの人の視線が刺さって緊張もしているのに…、思考はクリアだ。手の震えもほとんどない。自分のするべき行動がはっきりと分かる!(ボタン押すだけです)

 

ターゲットはふてぶてしい表情をしている寝そべり美竹。筐体の中の空間を完全に認知し、アームを動かす。

 

完璧な位置に置かれたアームはゆっくりと下へ降下し、しっかりと目標を掴む。

 

そして…、

 

ウィーン…、ガチャン!

 

「お〜!」

 

「やったー!」

 

「すごいよ蓮くん!」

 

「宣言通りだな!」

 

青葉達から歓喜の声が…。

 

 

「ほら、 美竹、ちゃんと取ったろ?」

 

景品を持ちながら美竹の方を向く。

 

「…うん…、ありがと…//」

 

なぜ美竹がお礼を言っているのか分かんないけどもすごく嬉しそうな顔をしてるから良しとしよう!

 

…パチパチパチ!!

 

周りで見ていた客も暖かい拍手を送ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっべぇくそ恥ずかしい……、、、え?冷静になったらクッッッソ恥ずいんですけど????

 

 

「蓮君それ大事に飾ってよね?せっかく取ったんだから!」

 

「…、と、当然だろ…、んじゃ、俺…、そろそろ帰るわ…。」

 

「そうだね、いい時間だしあたし達も帰んないと。」

 

「さ〜んせ〜。あれ〜?蘭〜、なんでそんな幸せそうな顔してるの〜?」

 

「べ、別にそんな顔してない!」

 

「してるよ〜♪」

 

そんな俺には気づくことも無く、美竹達は楽しそうに会話をしていた。出来れば1人で帰りたかったが…、ま、いっか…。

 

 

……多分結構騒いだし店員にも顔覚えられただろうな…。いやてか元々チンパンしすぎて既に覚えられてたか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、私の行きつけのゲーセンが1つ、無くなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









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暇つぶしのつもりが…

 

 

 

 

 

 

 

蓮「…、はぁ〜、暇だなぁ。」

 

佐「暇だねぇ〜。」

 

鈴「ね〜。」

 

 

ある日の昼休み、屋上でそんな事をつぶやく。

 

 

蓮「お前がさっきの授業でスマホバレなければこんな事にはならなかったのによ…。」

 

そう、いつもならスマホで時間を潰せたのだがあいにく今は手元にない。理由はさっきの授業でこっそり俺、佐藤、鈴木、そして最近仲良くなったクソゲー大好きからすま君の4人でゲームをしていたのだが佐藤が先生に見つかったせいで俺達全員没収されたわけだ…。

 

佐「はぁ?俺だけのせいじゃねぇだろ?てめぇらもうるさかったわ余裕で。」

 

鈴「うるさくなんかしてねぇだろ!」

 

蓮「そーだそーだぁ!」

 

佐「そんじゃあ1回授業中のこと思い出してみようぜ?その後で1番悪かったやつ袋叩きな?」

 

「「授業中…?」」

 

 

 

 

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佐『ま、まだ俺のターンは終了してないぜぇ!!!!はぁ!』

 

蓮『(゚Д゚)<それぇ!!!!ロン!!!!』

 

佐『ア"ア"ア"ア"ア"!!!!』

 

鈴『バカヤロォがあああああああ!!』ドン!!!!

 

か『石投げちゃおっと♪』

 

佐『もう何出して良いかわっかんねぇよぉぉぉ!!!!』

 

蓮『弱わいねぇぇぇぇ君ぃぃぃぃ!!!!』

 

佐『ざけんじゃねぇよクソがア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙』ドンドンドン!!!!

 

蓮『バカバカカスカスチリノミダニカスクズ弱クソチリノミダニカスクソゴミダニダニカスチリ』

 

鈴『暴言のエレクトリカルパレードやぁ!!!!』

 

 

 

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蓮「え、全員悪いじゃん。みんな袋叩きにされんぞ。」

 

佐「今の話はなかった事で。」

 

冷静に考えたらやばすぎた…。何あれ?『隠れて〜』とかそんなレベルじゃないじゃん。堂々とやってんじゃん。なんなら軽く授業妨害だろ、周りの人ドン引きしてたわ…。よくスマホ取られるだけで許されたな。担任やっさしー。

 

蓮「麻雀やってる人のテンションじゃなかったな…。」

 

鈴「からすま君に関してはあれ本当に石投げてきたからな。」

 

1番害児やん…。

 

蓮「なに?あいつ石好きなの?」

 

佐「正確には石を投げる緑色の機体が好きらしい。」

 

鈴「あと動画編集も好きだろアイツ。」

 

蓮「ゲーセン行ってこいコラ。」

 

 

今後は授業中に雀魂すんのはやめておこう。

 

 

蓮「はぁ〜、なんかない?このまま昼休みを無駄に過ごすのはさすがに嫌だ。」

 

ベンチの背もたれに力なくおっかかる3人…、まじで本当に暇だ。

 

佐「そりゃなんか駄弁るしかねぇだろ…。話題くれ話題。」

 

鈴「なるべく長続きしそうなやつ。」

 

話題…、話題ねぇ…、

 

蓮「あー、呪〇廻戦の映画見た?」

 

佐「見てない。」

 

鈴「俺も。」

 

蓮「うん、俺もなんだ。」

 

 

 

 

 

 

「………」

 

「………」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐「(ꐦ°᷄д°᷅)話が膨らまねぇじゃねぇかよ!!!!?なんにも膨らまねぇよ!!!!」

 

鈴「つーかなんで聞いた!!!!?」

 

蓮「気になったこと聞いて、、ぬぁにが悪いんだああああ!!!?ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」

 

 

 

 

 

※異常なのでSAN値チェック入ります

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

「「「…………」」」

 

 

 

ひとしきり揉めた後、俺達は無言で空を見上げ力なくダランとしていた。スマホが無くなるだけでここまで暇になるとは思わなかったぜまったく…。

 

 

佐「……」ゴソゴソ

 

蓮「?何してんだ佐藤…。」

 

佐「……、ここに、さっき自販機で買ってきた1本のファンタグレープがあります。」

 

唐突に購買の袋から先程買ってきたファンタグレープを取り出す佐藤。

 

鈴「だからなんだよ…。」

 

佐「ちょっとしたゲームをしよう。」

 

ゲーム?

 

佐「題して、『誰がこのファンタグレープを1番美味そうに商品紹介できるか選手権』」ドンドンパフパフ~

 

脳みそ溶けてね?こいつ。

 

鈴「…ま、どの道暇だし…良いんじゃね?」

 

そう言って起き上がる鈴木。

 

蓮「えー、やるのー?」

 

佐「いいか?俺達はスマホに依存しすぎてコミュニケーション能力や語彙力が低下してきている。だからこの商品紹介というYouTuberっぽい事ををすることによってそれらを鍛えようという目論みだよ。」

 

急に真面目になるのやめて、

 

鈴「まぁ要はそのファンタグレープがめちゃくちゃ美味そうに見えるように思わせればいいんだろ?」

 

佐「そゆこと。そんじゃあ最初俺から始めるからな?1番下手なやつは罰ゲームでうちの生徒会長の顔面をぶん殴る。」

 

蓮「お前アイドルに手ぇあげるつもり?社会的に消されるぞ。」

 

鈴「何より1番の被害者が生徒会長なのな……。」

 

 

そんなこんなで自分の持ちうるコミュニケーション力、語彙力、そしてトークセンスを競い合うゲームが始まった。まぁどの道なんもやる事ないから良いけど…。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「あ、ここにいたんだ…。」

 

昼休み、何となく屋上にやってくると渡辺達の姿を発見した。さっきの授業でスマホを没収されて何をしているのかと思ってたけど…なんか楽しそうに話してる…。

 

(何を話してんだろ…?)

 

そう思ったあたしはバレないように屋上の扉におっかかり、3人の会話を聞いてみる。

 

 

佐「やぁ皆さんこんにちは。今日ご紹介するのはこの飲み物です、何味だと思いますか?そう、''ぶどう''味です。珍しいことに''炭酸''が入っています。まさしくガキの飲み物ってやつですね。」

 

いきなりもう何を言ってるのか分からない…。

 

佐「さて、皆さんはファンタを飲む時、一体何に重点を起きますか?香りや舌触り、炭酸の強度、酸味、渋み、鈴木このみ。人それぞれだと思いますが、まぁ飲んでみましょう。」

 

こ、これは何をしてるところなの?ファンタの事を言ってるの?ファンタに渋みも鈴木このみもないと思うけど…。ていうか後者に関してはかすりもしないし…、てか誰…、

 

佐「良いファンタという物は濁りがありません、透き通っていて色が均一です。…、うん、いい香りです。」

 

そう言ってペットボトルのキャップを外し、香りを確かめる佐藤。

 

佐「なんと言うか…、ぶどうを皮ごと鍋に入れて中火で煮たような匂いがします。ちなみに煮ていた人は都内のライブハウスで働くオーナーの実家のおばあちゃんらしいですね。……そう考えてみるとぶどう以外の匂いがしないでもないのが不思議です…。」

 

謎の解説をした後に1口、そのファンタを口に入れる。

 

佐「…、なるほど。このファンタは甘みと炭酸のパンチが渾然一体となってその中に微かな気品を感じますね。例えるなら…、そう、誰よりも猫の事を愛しているのですが自分の『クールで凛々しい歌姫』という立場を守るために決して周りにそう言った姿を見せないという強い魂を感じさせるような…、そう言った味です。」

 

よく1口飲んだだけでそんな長々と話せるよね…。

 

佐「まぁ私個人としてはそう言った柔らかい表情をもっと表に見せた方が湊さんに対して様々な妄想や可能性を感じさせると言いますか…、まぁそんな感じのが良いです。」

 

知らないよ…。ていうかやっぱり湊さんの事言ってたし…。

 

て言うかこの3人は何をやってるの?ファンタ1つで何でこんなにハイレベルな事が出来るの…?

 

佐「よし、俺は以上だ。じゃあ次鈴木な?」

 

鈴「よし、任せな。」

 

そう言って今度は鈴木の手にファンタが渡る。

 

そして再び長々と語り始めた。

 

鈴「私はファンタを飲む時、舌ではなく脳でその味を感じ取ります。舌先で感じ取れるものには限界があります。目で見て鼻で嗅ぎ舌で味わい喉で刺激を感じ脳で喜ぶ。そう言った瞬間こそ我々は真にファンタを味わっていると言えるのです。今日ご紹介するのはそんな私が選んだ1本です。」

 

そんなドヤ顔で飲みかけのファンタ見せつけないでよ…。どうしよう、頭痛くなってきた…。

 

鈴「このファンタの素晴らしいところはなんと言っても想像性です。通常のファンタは飲んで浮かんで来るのはだいたい鉄臭い製造工場でしょう。このファンタは口に含んだ瞬間、とある情景をもたらします。それはある公園でまだ幼い4人の少女達が無邪気に遊んでいる光景、そしてそこに父親と共にやってくるもう1人の恥ずかしがり屋な少女。初めて会う人にたじろぎながらも挨拶をし、それを傍らで見守る父親、快く受け入れる少女達、BGMにはランブリングメモリー。『幼馴染』と言う言葉があれほどふさわしい物を私は他に知りません。つまりファンタも『幼馴染』、そう言う事です。」

 

ちょっと待って!!!!?なんで鈴木があの時のこと知ってるの!?見てたの!?なんなの!!!?怖いんだけど!!!

 

混乱するあたしには気づくはずもなく、そのままファンタの香りを確かめる鈴木。

 

鈴「…、香りは上原ひまりの匂いがします。風味豊かでエネルギッシュな勢いを感じます。……、最初に香るのが上原ひまり、それが過ぎ去ると今度は青葉モカの様なマイペースで重厚な香りが広がります。色も均一でこの宝石の様な深みのある赤は宇田川巴の艶のある髪の毛を連想させます。……うん、美しいです。」

 

そう言って後、ゆっくりとファンタを口に含む変態。

 

鈴「うん…、素晴らしい味わいです。ファンタの味と言うのは常に一定とは限りません。その時の…、温度や湿度、周りにいる存在によって味も変化してきます。ファンタも生き物なのです。私のおすすめは羽沢珈琲店に赴き、つぐみさんが一生懸命働いている姿を眺め、眩しく尊い笑顔を目に焼き付けながら飲むのが至高のひとときです。皆さんもぜひ試して見てください。」

 

 

つぐみへ、今度つぐみん家の店で鈴木を見かけたら、絶対に迷わず警察に通報してね、っと。

 

鈴「我ながら素晴らしい説明だったな!」

 

うん、あんたが実はとんでもない変態だったって事がよく分かったよ。

 

佐「な、中々やるじゃねぇか…。」

 

だから何処が!?てかファンタの話のはずなのになんであたし達のエピソードが出てきてたの!?なんで知ってるの!?どこで知ったの!?もう何から指摘すればいいのか分かんない!!!

 

蓮「お前らまだまだだな( -ω- `)フッ」

 

佐「な、何ッ!」

 

蓮「全然分かってねぇよ。そんないたずらに言葉を並べただけじゃあ全然理解できねぇ。つーかほぼ何言ってんのか分かんなかった。なんなんだお前ら、怖いんだけど。」

 

ど、どうやら渡辺も全然納得が行ってなかった見たい。そうだよね、なにもかもおかしいよね。

 

鈴「じゃあお前は俺達より上手く説明出来んのかよ!」

 

多分あんたよりはマシになると思う。そしてあんたはもう二度とAfterglowに関わんないで欲しい。

 

蓮「貸してみろ、お前らは最初のインパクトが全然足りてない。よく見とけ。」

 

そしていよいよ渡辺の番が始まる。多分あの2人よりはまともなはずだよね?まさか渡辺まで訳わかんないこと言うはずないよね…。

 

蓮「私はファンタから産まれました。母体ではなくペットボトルから。栄養もへその尾からではなくキャップから摂取していました、本物のファンタ星人です。人間社会的に溶け込んで1万年と2000年が経ちましたが、そんな長き人生において見つけた最も優れているファンタが今この手にある1本です。」

 

うん、だいたいそんな気はしてたよ。だって渡辺だもんね?分かってたよ。こうなる事くらい…、全然期待してなかったし、別に…、、はぁ〜…。

 

佐「こ、こいつ…、目の付け所が違いすぎる…!」

 

鈴「さ、さすがだぜ…!」

 

そうはならないでしょ!1番おかしな事言ってるってなんで分かんないの!?

 

そんな思いが届くはずもなく、渡辺はペットボトルのフタを開ける。

 

蓮「この、クルクル回るキャップの技術は……私が発明しました。」

 

はぁ??

 

蓮「……あ〜、、ファンタってこんな色だっけかぁ…」ボソボソ

 

大丈夫かなあのファンタ星人。

 

蓮「ファンタの炭酸の強度は自分の唾で調節できます。」

 

はぁ??

 

蓮「クンクン……、ヨダレくっさ…」ボソボソ

 

そりゃ何回か回し飲みした後だしね。

 

蓮「…あ、あ〜、なるほどなるほど…、このファンタの素晴らしいところはなんと言っても香りです。芳醇な香りはヨーロッパの山々を…凝縮した高貴です。」

 

ぎこちなく説明した後にファンタを1口飲む。

 

蓮「……、うん。よく分かりませんが、なんと言うか、躍動感を強く感じますね…。分かりやすく言えば舌の上で…、ぶどうたちが最高の演奏を奏でていると言ったところでしょうか…。舌の上で無事に武道館ライブを成功させた3つのバンドのグループ、夢の舞台で演奏ができたと言う余韻に浸っている中少女たちの前に謎の女性が現れます。そう、彼女達の音楽(ユメ)はまだまだ終わりなどではありません。武道館の次なるステージ…、世界に羽ばたく時が来たのです。彼女達のバンドは…いつだって私たちに夢を見させてくれます。そう言った強い酸味を感じますね。まぁ選り好みもあるかも知れませんが飲みやすく若い世代には大人気でしょう。ちなみにこのファンタの本当の名前は『劇場版BanG Dream!ぽっぴん'――』」

 

 

 

「……帰ろ。」

 

 

 

これ以上は聞いちゃいけないと思い、あたしは屋上を後にした。うん、3人もれなくほぼ何を言ってるのか分からなかった。

 

渡辺に関してはもうあからさまに違う話してたし…。

 

 

ほんと、この3人って知らないところで訳わかんないことやり出すよね…。スマホが無くなって精神が安定してないんだろうなきっと…。

 

 

「はぁ〜、ほんとにバカ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







いや〜、暇つぶしのつもりがもう50話目ですよ…。知らない間にお気に入り400超えてましたし…。評価してくださる人もいますし…

え〜、まじかァ…(語彙力)


感謝(´◠ω◠`)




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血のバレ…、ハッピーバレンタイン!!



あーあー忙し忙し( ^ω^)



ホントにギリギリだった……、


 

 

 

バレンタインという日がある。まぁ皆さんご存知女子からチョコが貰えるよ?っていう日ですはい。大分……と言うかとてつもなくふわっと説明致しました。

 

本日は2月14日月曜日…。つまりバレンタイン当日に当たります。世の中の男子諸君は『もしかしたら今年こそワンチャンあるのでは!?』などと思い込んでいるのかもしれません。今日だけやたらとソワソワと周りの女子の様子が気になってしまうのかも知れません。

 

 

 

そんな時期が私にもありました。

 

 

 

今年は違う。明らかに違う。今までは『貰えるかも…知れない?』だったが今回は『絶対に貰えます』という確信がある。理由は簡単、今の俺には蘭と言う完璧な彼女がいるからです!もはやこれだけでもう確定演出なまである!まじで、画面の下のペンライト虹色だったから。

 

 

そんな確信を得ている今回の渡辺蓮くんでありますが、現在は1人で登校中です。え?蘭は?と思う人が山ほど…、いや星の数ほどいると思うのですが、実は今日の朝、蘭からこんなLINEが来ておりました。その内容は……

 

『ちょっと今日少し遅れるから先行ってて。』

 

との事です。

 

 

これはつまりあれだよ。この完璧で緻密な計算を可能とする俺の脳みそが導き出した答えはまず今日蘭は絶対にチョコを渡したいと思ってるんですね?でも蘭の性格上真正面から渡してくる可能性は少し低い、だから蘭はきっと既に俺のロッカーか下駄箱辺りにチョコをセッティングしておいてあとは自分がその場に鉢合わせないようにわざと俺1人だけで登校させているわけでありんすよ。

 

 

あ〜もう完全に完璧に全てを理解した。文系だから大体の計算しかしてないけど完璧な証明ができてしまった。

 

 

 

※ちょっとウザイかもだけどもうすぐ終わるのでしばしお付き合い下さい。

 

 

 

「っお!蓮〜、ちーっす。」

 

「おお、佐藤、おっす〜。」

 

 

学校の近くまで来ると後ろから佐藤に声をかけられ、教室まで一緒に行くことに。

 

「……いや〜今日バレンタインじゃね〜かよ〜。」

 

「そーだなー。」

 

「俺貰えるか分かんねよ〜」

 

「そーだなー。」

 

「お前はいいよな〜、美竹がいるし〜」

 

「そwwうwwだwwなwww」

 

「はははは、うぜ〜。どつき回したろか?」

 

「暴力は良かぁねぇよぉ〜」

 

 

なんやかんや会話をしながら下駄箱の前まで到着する。

 

 

「……あ〜、やっぱりないか〜。」

 

下駄箱の中身を確認した佐藤からガッカリとした声が聞こえてくる。

 

「蓮の方はあったか〜?」

 

「まだ開けてねぇよ〜。」

 

わざと佐藤がこちらを見るタイミングを見計らって自分の下駄箱を開ける。すると予想どうり、上の段のところに紙袋が。

 

「うわー、やっぱりそうだよな〜。」

 

「HAHAHAなんかゴメンナサイネ!」

 

「お前気をつけろよ〜?帰り道とか。」

 

「いきなり声低くなんのやめて?」

 

後ろから軽く殺意を向けられてはいるが下駄箱から紙袋を取り出す。そして開ける前に心の中で蘭へ最大限の感謝をし、俺は袋を開けて中を確認する。もちろん中にはチョコレートが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『渡辺蓮、数学の課題未提出のため、今すぐに職員室に来なさい。

担任より』

 

 

「(ʘ言ʘ╬)」ビキビキビキ

 

「(゚∀゚)アヒャヒャヒャヒャヒゴッ!!!ゴホッ!ゴホッオエェー!!ェハハハハハハハハハッ!!」

 

 

……チョコが入っていると思ったらそこには担任の字でしっかりとそう書かれた紙切れが入っているだけであった。

 

「おまッwwwウェハハハハハハッwwwマジでwwwどんまァアハハハハハハwwww腹痛いww腹痛いww腹痛いよぉほほほほwww」

 

「……ちょっと、、職員室行って『血のバレンタイン』してくるわ…」

 

「職員室の規模じゃすまねぇってwwwww行ってらっしゃあははははははははwwwww」

 

 

 

この後職員室で軽く説教させられました。色々ムカついたので腹いせに教員達が休憩時間に食べる予定だったと思われるブラックサンダーを袋ごとパクってきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

「……」ムッスーー

 

「あ、蓮、おはよ…、あれ?なんでそんなに不機嫌そうなの…?」

 

自分の机で頬杖を着いていると蘭が教室に入ってきた。

 

「いや?ちょっと教員達から嫌がらせがあってな…」モグモグ

 

「そ、そうなんだ…。……ッ!?」

 

「……ん?なに?」モグモグ

 

「……蓮、、その食べてるチョコ……誰からなの……、、」

 

「へ?あぁ〜、ムカついてたから腹いせに職員室からかっさらってきた。袋ごと。」

 

「…そうなんだ…」

(よ、良かったぁ〜。)

 

一瞬蘭の顔見た時『俺殺されるんじゃないかな?』って思うぐらいやばい表情されたけど…、どうやら俺の見間違いらしい。

 

少し安心した様子で隣に座る蘭。すると今度は自分のカバンの中にゴソゴソと手を入れ始めた。

 

「…えっと…、蓮?」

 

「…ん?」

 

「今日ってその……バレンタイン、でしょ?」

 

「…あ、おう。」

 

教員からの嫌がらせのせいですっかり忘れていた。そうだ、今日は血のバレンタ……、、違う、バレンタインデーだった。

 

「……だから、その、こ、これ…、」

 

まさかの真正面から渡しに来るスタイルですか!予想とは少し違ったがこっちの方が俺的にもありがたい!

 

「おぉ、……、、ん?」

 

一体どんなチョコなのか?もしかして手作りだったりするのか?とワクワクしながら見ていると、蘭が中から取り出したのは……、、

 

 

 

 

市販で売ってる''板チョコ''であった。

 

「……えぇっとその、、ごめん…蓮。今日の事、あたしすっかり忘れてて何も準備できてなかったから……。」

 

そして申し訳無さそうにそう言ってくる蘭。

 

「お、おう。」

 

 

 

確かに正直に言えばもう少し良い物が来るかもしれないと期待していた部分もある。

 

だがここで間違えていけないのはチョコの値段や完成度だけでその気持ちを推し量ってはいけないという事だ。

 

『値段が安いから俺の事そこまで好きじゃないんだな』とか『手作りじゃないからどうでもいいのか〜』とか、そんな事を思う奴は論外だ。

 

100円のチョコだろうが10円のチョコだろうがそれがチョコである事に変わりはない。''この人にあげたい''という気持ちがこもっていればどんなものでも嬉しいはずなのだ。

 

だから俺はまず、貰う前にちゃんと目を見て言うべき言葉を言う。

 

「ありがとな!蘭!」

 

「……っ、、う、うん……」

 

帰ってきた返信はぎこちなく小さいものだったがきっと照れているんだろう。

 

(……あぁ、だから朝先に行っててとか言われたのか…。忘れてたなら別に良いのに…わざわざ買ってくれるなんて…。)

 

 

よく考えれば蘭は他の生徒と違いバンドや華道などがあるわけだから俺なんかとは比べものにならないくらい忙しい日々を送ってるはずだ。そりゃ忘れても別におかしくないよなぁ。それを俺は当然のように貰えるとか思ってたわけだ…。

 

舞い上がってんじゃねぇよバカが…。ちょっと考えれば分かんだろ。

 

 

(さて、とりあえずこのチョコはしまうか…。そろそろ授業始まるしなぁ〜。)

 

そうして、今日も今日とて1日の学校生活が始まるのであった。

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

放課後……

 

 

 

 

「…れ、蓮、」

 

「ん?」

 

「今日はバンドの練習休みだから、一緒に帰んない?」

 

「おう、もちろん。」

 

時間はあっという間に過ぎ去り時刻は放課後、蘭から声をかけられ一緒に帰ることになった。

 

 

「……」スタスタ

 

「……?」スタスタ

 

帰り道、なぜかずっと無言の蘭。いつもは何かしら話題を振ってくるのだが…、今日は少し様子がおかしい。

 

「…よし」ボソ

 

「…?」

 

「…ね、ねぇ蓮?」

 

「…お?」

 

「…い、今からあんたの家、行っても良い…かな…?」

 

「……?別に大丈夫だと思うけど…、なんか用事あったか?」

 

「それは……、蓮の家に着いたら言う…!とりあえず、行こう…!」

 

「えぇ?お、おーう。」

 

なぜか突然俺の家に行きたいと言い出す蘭。なんか家に忘れ物でもしてたっけ?

 

色々疑問に思いながらとりあえず俺は蘭を家にあげることにした。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

――渡辺家、リビング――

 

 

 

 

「んで?用事って?」

 

「……、、」

 

リビングのソファーに座り、無言でいるがどこかソワソワしている蘭。このままだと分からないのでとりあえず隣に座り話を聞いてみることに。

 

「…どうした?なんか悩み?」

 

「……」

 

「なんか喋らないとさすがにこっちもわk「こ、これ!」……ん?」

 

言葉を遮りられるが、蘭から何かを差し出される。

 

一体なんなのか?渡されたそれを見てみるとそれは小さく綺麗な袋に入った''クッキーのようなもの''だった。

 

なぜはっきりとクッキーと表現しなかったのか……?なぜかと言うとそれはクッキーと呼ぶには形は歪で大きさも一つ一つバラバラ、加えて少々焦げているようにも見え、ひと目でクッキーと判断するには難しかったからだ。

 

「……ら、蘭…、これ、どうしたんだよ…?」

 

「……実は…」

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

時間を少し遡り前日の日曜日……

 

 

「明日…、バレンタインか…」

 

自室のベッドで横になり何となくつぶやく。

 

「……蓮に渡すなら…、やっぱり手作りの方が良いのかな…?」

 

 

とりあえず明日は蓮にチョコを送るのは前提として、市販の売っているものをあげるか、自分で手作りした物をあげるかで少し迷ってる。

 

市販のものだと味は保証されてるけど…、どっちかと言うと手作りの方が貰った時の喜びって上なのかもしれない…。でももし上手く作れなかったらあまり喜んでくれなそうだし…。

 

「…少し調べてみよ…。」

 

スマホを起動し色々と調べてみる。そしてしばらく画面をスクロールしていると、あるものが目に止まった。

 

「……へぇ、、チョコクッキーか…、」

 

目に止まった記事は自宅でも簡単に作れるチョコクッキーの記事だった。サラッと見た感じあまり料理をしない人でも作れそうでそれでいて悪くないクオリティだった。

 

(材料さえあればあたしでも十分に作れそうな気がする…。)

 

「……作って見ようかな……」

 

こうして、あたしは手作りのチョコクッキーを蓮に送ることにした。

 

 

 

この日にいくつか試作を作って見たけど特に失敗する事もなく味もバッチリだった。

 

「…こんなに簡単なら今日作ったのを明日渡すより、明日朝早く起きて焼きたてをあげた方がいいんじゃないかな…?」

 

1時間もあればできる内容だったからあたしは迷うこと無くそうしようと決めていた。

 

 

でもその翌日、あたしは盛大にやってしまった…

 

 

「…!?やばい!?寝坊した!!」

 

 

枕元の目覚まし時計を見て飛び起きる。予定していた時間から30分近く寝坊してしまった…。

 

急いで蓮にLINEをして着替えてキッチンへと向かった。

 

それからは慌てて作り始めたから形は雑になっちゃったし大きさもバラバラ…、挙句の果てには時間を短縮するためにオーブンの温度を上げたけど計算が合わなくてせっかくのクッキーが少し焦げてしまった…。

 

「……どうしよう…、こんなの…渡せない…」

 

一応袋にいれラッピングをしたけど出来栄えは最悪…。けどもう1度作り直す時間なんてない…。

 

(蓮には悪いかもしれないけど…これしか渡せるのなんてないし…)

 

仕方がなくそれを持ってあたしは学校へと向かう。

 

 

足取りが重い…。

 

 

そしてついついこれを渡した時の蓮の表情を想像してしまう。多分蓮は優しいからちゃんとお礼を言って受け取ってくれると思う…。でも内心ではガッカリしてしまうかもしれない…。もしかしたらそれが表情に現れてしまうかもしれない。

 

 

そんな悪い事ばかり考えてしまったせいか、だんだんこれを渡すのが怖くなってきた。

 

そしてあたしは渋々、学校の近くのコンビニに足を運ぶのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「……なるほどな〜。」

 

「……ごめん、忘れてたなんて嘘言って…。本当は前々からどうしようか悩んでて…、やっぱりどうせ渡すなら蓮にも喜んで貰いたかったし……。」

 

「いや、別に全然怒ってはねぇよ…。」

 

俺は再度、渡されたクッキーに目を移す。

 

「…なぁ、これ、食べてみてもいいか?」

 

「え!?いや、話聞いてたの?失敗したって言ったじゃん!別に無理して食べなくても良いって…」

 

「ま、そんな事言われても食べるんですけどね(^^)」パクッ

 

「あっ…」

 

蘭の静止を無視して俺は1つ袋から少し黒すぎるクッキーを取り出し、口の中に入れる。

 

「……」モグモグ

 

「……っ、」

 

「……なぁ蘭?」

 

「…何、どうせ不味いでしょ…、分かってるよ…捨てて良いよそんなの。」

 

「…まぁ少し苦いけども、、ちゃんと食えるし美味いって。だからそんな捨てるだなんて言うなよ…。」

 

「……」

 

「ありがとな?バンドとか華道とか色々忙しいのに、わざわざ手作りで作ってくれてさ。」

 

「……本気で言ってるの?」

 

「えぇ…?嘘みたいに聞こえた…?」

 

「だって、こんな失敗したクッキー貰ったのにすごい喜んでるし…、意味わかんない…。」

 

「確かに出来栄えは少し悪いかもしれないけど、それでも蘭の渡したいって言う気持ちが伝わって来たから俺はそれだけでもすげぇ嬉しいよ。」

 

「…そっか…、ふふっ、変なの…。」

 

「変ではねぇよ!」

 

ここでようやく蘭の表情が柔らかくなった。今日1日なんか深刻な表情してたからな。良かった良かった。

 

 

「…あ、これ言うのも忘れるところだった。」

 

「…ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蓮、ハッピーバレンタイン。」

 

「…ッお、おう…//」

 

「…顔赤いけど?照れてる?」

 

「…蘭こそ人の事言えねぇからな!?」

 

最後の最後に最大火力をぶつけてきた蘭であった……。しょうがないじゃん。照れるに決まってるだろ、今年初なんだから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side蘭

 

 

(あぁもう、蓮があんな事言うからさっきから表情筋が言う事聞かなくなったじゃん…、)

 

隣で美味しそうにクッキーを頬張る蓮の横で必死ににやけてしまわないように耐える。

 

(て言うかよくあんな出来の悪いクッキー美味しそうに食べるよね…。それくらい、貰えたのが嬉しかったのかな…?あたしだって…、蓮がこんなに喜んでくれて、、嬉しいのに…。)

 

 

「ッ〜〜〜///」ゲシゲシ

 

「おい、食べてるんだからちょっかい出してくるな。」

 

うるさい…。バカ…。

 

「…あ、そういえば蘭、時間大丈夫か?」

 

「時間?……あ、」

 

そう言われて時計を確認してみると5時半を指していた。そろそろ帰らないといけない時間帯かも…。それにもうすぐ蓮のお母さんとか翔だって帰ってくるかもしれないし…。

 

「……、」

 

(なんだろう……、なんか、今日はもう少し2人で一緒にいたいな……。)

 

なんて思ってしまうけど、これ以上居ると蓮にも迷惑かけちゃうし…。

 

「……蓮、あたし、そろそろ……」

 

〜♪

 

「おっと、ごめん蘭、電話だ。」

 

「あ、うん。」

 

「もしも〜し、あぁ翔か?どしたー?」

 

言い出したタイミングで蓮のスマホが鳴る。聞いた感じだと相手は翔なのかな?

 

「…え?まじで?分かった分かった。おう。そんじゃな〜。」ブチ

 

「……なんて?」

 

「…いや〜、それが……、翔と母さんなんか2人で飯食い行く事になったらしくて…、帰んの遅くなるって電話が…。」

 

「……え?……それってどれくらい?」

 

「大体8時ぐらいまでだってさ。なんでそんなに具体的な数字を出してきたのかは分かんねぇけど…。」

 

「……そっか。」

 

……てことは8時まではこの家には蓮しか居ないって事になるんだよね?

 

「……なぁ蘭、」

 

「……なに?」

 

「もし良かったらなんだけど…、もう少しあれだ…、2人でそのぉ、、い、一緒に、、いませんかねぇ…」

 

「……プフッww」

 

「ちょ、なっ、、なに笑ってんだよ//」

 

「ごめん…、なんでそんなに緊張してんのかなって…ふふっ」

 

もしかして…、蓮もあたしと同じ事思ってたりしたりして…。

 

「あたしも、もう少し蓮といたい…かな。ちょっとまってて今母さんに連絡するから!」

 

「え!?お、おう!」

 

 

こうして、あたしはもう少し蓮の家にいることにした。2人で夕飯を一緒に作ったり、ゲームで盛り上がったり、楽しい時間が続いた。

 

 

 

 

 

「ねぇ蓮、」

 

「ん?」

 

「……来年はちゃんとしたの渡すから、期待しててね?」

 

「……そっか。そんじゃ、期待しとくよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

side???

 

 

 

「……、、」

 

今日は仕事が早く終ったので残業申請なんてする間もなく帰宅し、現在は家の玄関の前に立っている。なぜ早く帰宅したのに家に入らないんだと疑問に思うと思うけどそれは……

 

「……あれ?おかん何してんの?てか今日早いな。」

 

「……翔。」

 

ちょうどいいタイミングで次男が帰ってきた。

 

「……翔、あんたこれ、誰の靴か分かる?」

 

「……靴?」

 

そう、なぜ私が家に入らないかと言うと玄関に見覚えのない靴が置いてあるからだ。まぁでもだいたい予想はついてる。だけど念の為息子に確認させる。

 

「あーこれ美竹さんのだよ。」

 

「やっぱりね。」

 

私の予想は当たっていた。やはりそうだったか…。

 

「……今日は確かバレンタインだったわね…」

 

「……あ〜、なるほど」(察し)

 

どうやら息子も察したらしい。

 

「……翔、あんた蓮に電話して、母さんと2人でご飯食べに行ってくるって。そうね……、8時ぐらいまでは帰ってこないからって。」

 

「……はいはい、了解しましたよーだ。」

 

これで良い。息子の初バレンタインを邪魔するほど親として落ちてはいない。ようやくできた彼女さんなんだからゲームばっかりしてないでもっと青春しておいで!このバカ息子。

 

「終わったよ?」

 

「……それじゃ、行きましょうか?」

 

「へーい。」

 

 

 

 

渡辺家は気の使える家族なんです。

 

 






ちなみに最初にあった下駄箱の回ですが、あれは作者の体験談を元に書きました。ホントに職員室からブラックサンダーかっさらってきてクラスの友達と分けてました!楽しかったです。


あとこれからこの作品の投稿頻度が下がりますがご了承ください
m(_ _)m

誤字脱字あったらよろしくです☆


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ひと時の癒しを……





よォ…半年ぶりだなぁ…。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はぁ、今日も疲れた…。」

 

ため息を吐き、夕焼けに染った空を見上げて俺は帰路に経つ。フゥ、今日もよく働いた…。

 

首元のネクタイを緩めワイシャツの1番上のボタンを外す。それと同時に先程まで引き締めていた気持ちも緩み完全にオフモードへと変化する。

 

「今日の晩飯何かな…、、」

 

幸い家はそこまで遠くない。しばらく歩けば時期に我が家は見えてくる。1歩1歩踏み出す度に空腹と労働による疲労が増していくがあと少しの辛抱だ。

 

それまでもう少し頑張ろう…、

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「…ただいまぁ〜。」

 

玄関の扉を開けて家の中に入る。ようやくたどり着いた…、よくやった、と自分を労いながら靴を脱ぐ。

 

「…?誰もいないのか?」

 

ここで家の中が静かな事に少し違和感を覚える。いつもならそれなりに返事が帰ってくるはずなのに…、買い物にでも行っているのだろうか?

 

(ま、、いっか。)

 

居ないなら居ないで別に良いか…。そう思いリビングまで入っていくと…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っあ!おかえり、蓮…!」

 

「っ!?」

 

後方から聞き馴染みのある声。それに少し驚きながらも声のした方に振り返る。

 

 

 

 

 

 

 

「…なんだ、いたのかよ。ただいま……、蘭。」

 

そこには少し慌てた様子でリビングの入口にやってきた蘭の姿が…。

 

「『いたのかよ』って…、当たり前でしょ、ここ''あたし達''の家なんだから…。」

 

「ははは、返事が無かったもので…。」

 

「ちょっとお風呂場の掃除してたから。」

 

「なるほど。」

 

だからタオル片手に登場したのね…。

 

「……」ジー

 

「…?な、何」

 

「……なんか、いつもより疲れた顔してる。」

 

「え、うそ…。」

 

何故かじっと見つめられていると思いきやいきなりそんな事を言われる。確かに今日はやたらと仕事が舞い込んできて疲れてはいたがそれが顔に出てしまう程とは…。

 

「もうすぐお風呂沸くから先入ったら?」

 

「……そうさせてもらおうかな…。」

 

ここは蘭の言葉に甘えさせてもらおう。そう思い、俺はまっすぐ風呂場へと向かった。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「あぁ〜、生き返る〜、、」

 

 

肩まで湯船に浸かり、今日の疲れを癒す。やはりひと仕事終えたあとの風呂はたまらん…。

 

こうしていると職場でやってしまった失敗とか仕事の量とか納期とか…、あと憎たらしい上司の事とか…、ぜーんぶどうでもよくなって忘れてしまう。

 

体の汚れだけでなく日々溜まっていく心の疲れも洗い流す。

 

風呂に入るとはそういことだ…。

 

「…さて、そろそろ体洗って上がりますか…。」

 

そう言って俺は浴槽に手をかけて体を起こそうとする。……その時だった。

 

ガチャ……っと脱衣場の扉が突然開きその瞬間、扉の向こうの光景に俺は声を上げて驚く。

 

「…ッ!?ちょ!!蘭!?何してんの!?」

 

そこにはかすかに赤面した蘭がタオル1枚の姿で立っていたからだ。さすがにこれには驚くだろ…。

 

「…え、えと…っ、たまにはっ、背中でも流してあげようかなって…。」

 

そう言って蘭はゆっくりこちらの方に入ってくる。

 

「…ッ//」

 

「…ッ、さ、さすがに見すぎだからッ//」

 

身に纏うタオルをキュッと強く掴んでさらに赤面する。そんなに恥ずかしなら無理しなければいいのに…。

 

「…ていうか、あたし達''初めて''じゃないでしょ、一緒にお風呂に入るのなんて…。何そんな顔赤くしてんのッ、、」

 

「鏡見てから出直してこい…。」

 

よくもまぁそんな事言えたな…。

 

「と、とにかく!早くこっち座ってよ!体洗ってあげるから…!」

 

バンバンと、椅子を叩いて催促する。

 

「いや…その、我々もう大人ですよ?さすがにこの歳で体洗って貰うのはちょっとあれな気がするんだが…。」

 

「…ッ、ま、まぁ…。」

 

「……、」

 

「……、」

 

ここで生まれる静寂、少しの間蘭は目をそらす。

 

「…わかった、じゃあやっぱり上が「あーでも今日は疲れすぎて背中に手が届かないかもな〜。」……は?」

 

そして後ろを向いて出ていこうとした蘭だが俺の言葉に振り向く。

 

「……まぁ、そんなわけで…、背中に限りお願いしようかな〜、、つって?」

 

「……最初からそう言えばいいのに…。」

 

「渡辺蓮は混乱している!」

 

「ゲーム脳うるさい。」

 

 

と、こういった一連の流れで蘭に背中を流してもらう事に。正直未だに恥ずかしいのだが…、まぁいいか…。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「……、どう?痛くない?」ゴシゴシ

 

「おーう、苦しゅうな〜い。」

 

その後、早速俺は蘭に背中を洗って貰う。最初は少し恥ずかしかったのだが…、意外と快適なもんだな…。

 

「蓮って、背中広いよね…?」

 

「え、なに急に?」

 

蘭の何気ない言葉に思わず食いつく。

 

「別に、何となくそう思っただけ…。蓮ってもっとひ弱な体つきだったような気がしたから…。」

 

「本人の前でよく言うねぇ…。高校時代じゃある前し、俺だって成長するっての…。」

 

「ふーん。内面は全然だけどね。」

 

「お前もな?」

 

「……」ゴシゴシゴシゴシ!!

 

「いだだだだだだッ!!」

 

その後、一通り洗い終わったのでシャワーで泡を流す。なんか少し背中が赤くなってないか不安だがまぁ良いだろう…。今日のところは勘弁してやるよ…。

 

「…てか蘭?なんで今日はこんな事してくれたんだ?」

 

そして現在は一緒に湯船に浸かっている。少し狭いが別にあまり気にならない。

 

「……別に、ただの気まぐれ。」

 

「…ほーん。」

 

気になって質問してみたものの返ってきたのは素っ気ない答えだった。

 

「……、どうなの?最近の仕事は、」

 

「まぁぼちぼち、大変だけど何とかやってるよ。」

 

「そう……、」

 

「おう。」

 

もしかすると、蘭なりに気にかけてくれているのだろうか?社会人として働いているが俺もまだまだ新人。それにやたらと忙しい職場だからなかなかゆっくり休めない。蘭の前で愚痴を吐き続ける日も少なくない、むしろほぼ毎日な気がする…。

 

そんな俺のためにこうして不器用ながらも動いてくれたのだろうか…。

 

もしそうだとしたら…嬉しい限りなんだが…。

 

「……ねぇ蓮」

 

「ん?」

 

ここで正面に座る蘭がいきなりクイクイ…と人差し指を動かす。それを見て俺はなんとなく距離を縮める。すると……

 

 

 

蘭はいきなり俺の頭に手を回して、そっと自分の体に抱き寄せた。

 

 

 

「……え、、ドユコト?」

 

「……いつもお疲れ様、蓮…。」

 

そして混乱している俺の耳元で、蘭は優しくそう呟いた。

 

暖かく、そして柔らかい感触が体を覆う。蘭がこうして抱きしめてくれたのはいつぶりだろうか…。

 

「……な、何だよいきなり…、てか蘭の方こそ華道の集まりとか大変だろ…。別に俺だけがきついわけじゃ…」

 

「……あたしは別に平気…。でも蓮は最近ずっと疲れた顔して帰ってくるから…、昨日だって帰ってくるの遅かったし…。そんな姿見てたら不安で…。」

 

ギュッと抱きしめる力が強くなった気がする。どうやら俺が思っていたより…蘭は俺の事を心配してくれていたようだ。

 

「……ありがとな、蘭。」

 

「……ん。」

 

「……もうちょいこのままで……」

 

「分かった……。」

 

 

しばらく、俺達が離れることは無かった……。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「さて、じゃあそろそろ上がるか…。」

 

あれからしばらくして…。俺達はお互い満足するまで抱きしめ合ったのでそろそろ湯船から出る事に…。

 

しかしその時、ふと蘭は俺の手を掴む。

 

「……ん、どした?」

 

「……あたし、まだ体洗ってない。」

 

「あぁ、そう言えば…。んじゃあ俺先上がって夕飯の支度してるから蘭はゆっくり「洗って」ん〜?」

 

今なんか聞こえた気がしたな?なんだろな?

 

「蓮の背中洗ってあげたんだから…、良いでしょ。」

 

「え、いや、ぅぇ…、ぅぅ、そう言うもん?」

 

「……ダメなの?」

 

「……ダメとは言ってないが…。」

 

ま、まぁ背中を流すくらいなら別に問題は無いだろうな…。うん。

 

「んじゃ、背中だけな…。」

 

「……全部。」

 

「……、」

 

、、、全部とは一体……

 

「…まさか、2回も言わせる気?」

 

俺が硬直している間に蘭は立ち上がって大胆に距離を縮める。段々と間の空間は無くなり蘭はほぼ密着状態でこちらを見上げる。

 

 

 

「……昔はそんなに身長差無かったのに…。」

 

 

 

そして肩に手を添えて背伸びをし、ゆっくり、唇を重ねた…。

 

 

 

「……ッ//」

 

「……そ、そう言う事だから、はやく//」

 

その後、蘭は後ろを向いて椅子に座る。今蘭がどんな顔をしているのかは分からないが耳がかなり赤くなっている事から大体想像が着く…。

 

「……わかったよ。」

 

「……大体、明日仕事休みでしょ…?」

 

そういう事は言わなくて良いんだよ…。察しが悪くてすみませんね?

 

そんな事を思いながら俺はしゃがんでゆっくり蘭の体を抱きしめる。できる限り優しく…。

 

「んじゃ…、''念入りに''洗うからな…?」

 

「……うん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピピピピ!!ピピピピ!!ピピピピ!!

 

 

「……」

 

 

ピピピピ!!ピピピピ!!ピピピピ!!

 

 

「……(<●>ω<●>)」ムクリ

 

 

ピピピピ!!ピピピピ!!ピピピピ!!

 

 

無造作に、そして無慈悲に鳴り響く目覚ましの時計。……はて、ここは、どこだ?

 

「あ、ようやく起きたなクソ兄!遅刻すんぞはやく下来い!」

 

今、横から声を発しているのは…、あぁ、お前か……、という事は……そういうあれか……。

 

「……――だ?」

 

「あ?」

 

「だから、……いくらだ?」

 

「何が?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(ꐦ°᷄д°᷅)いくら払えばあの続きが見られるんだああああああああああああああ!!」

 

体の内から込み上げてく感情に任せて弟に襲いかかる。

 

「おわぁ!!何だよ人がせっかく''起こしてやった''って言うのに!!」

 

「56してやる!!56してやる!!!!56してやるぅ!!!!!!お前を56してやるぅ!!!!!!」

 

 

母「おい朝からうるせぇぞぉおおおお!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃……、美竹家では……

 

 

 

「……あたしったら///夢の中とはいえ……、なんて大胆な事を……////しかも蓮ってば…、''あんな格好''までさせて…////」プルプル

 

 

 

同じ夢の……ほんの少し''先''まで見てしまった美竹であった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 








休憩がてら書きますた♨︎








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詰め合わせ集
詰め合わせ






ちょっとお試し










 

 

 

 

 

 

 

――寝顔――

 

 

 

「zzz……」

 

現在隣の席で蘭のやつが爆睡中。何故かこちらの方を向いて寝ているので寝顔が丸見えだ。

 

 

「……」ジー

 

 

なんて穏やかな顔で寝ていらっしゃるのやら…。

 

(だいぶ表情柔らかくなったよな〜。最初なんて目付き悪すぎてめちゃくちゃ怖かったのに…。)ツンツン

 

「っんン……zzz」

 

……ッスーーあれ?

 

「……」ツンツン

 

「ん〜〜…」

 

さっきから顔ツンツンしてるんだけどさ……

 

(あらためて見ると…、まじで可愛いのな…///)

 

机にうずくまり体の内側からこみ上げてくるものに耐える。

 

(なんなんだこの異常な可愛さはッ!)

 

バンドや華道などでよほど疲れているのか、先程からツンツンしているが全く起きる気配がない。

 

「……」サラサラ

 

今度は頭に手を添えて軽く撫でてみる。前回も思ったがとてもさらさらして永遠に撫でていたくなる。

 

「……ンン…」スゥー

 

頭を撫でてやるとかすかに蘭の口角が上がり、幸せそうな寝顔になる。

 

(なにこれ……、あれ?なんなのこの可愛いが過ぎる生き物……??)

 

 

A、貴様の彼女です。

 

 

「……」ナデナデ

 

 

 

「……ン、、あの…さっきからくすぐったいんだけど…//」

 

「ッ!?」

 

頭を撫で続けていると突然蘭が目を覚ます。さすがに触りすぎたか、

 

「……もしかして、ずっと起きていらっしゃいましたか(^^;?」

 

「……まぁ、途中からね…。こんなに触られたらさすがに気づくよ…。」

 

ですよね…!

 

「……すみませn「……もっと触ってれば?」……っへ?」

 

思わず変な声が出てしまう。今なんと?

 

「別に、頭撫でられるのは嫌いじゃないし…//それに、蓮だったら良いよ…?//」

 

少し顔を赤くして照れながらそんな事を言ってくる。

 

これは、、お言葉に甘えて良い奴なのかな…?

 

 

「……え、っと、そ、それじゃ…失礼致します…?」

 

「ん//」

 

その後気が済むまで蘭の頭をモフりました。

 

 

 

 

 

――寝顔――蓮ver.

 

 

 

「。o○Zzz」

 

現在あたしの隣では蓮が昼寝をしている。昨日ゲームでもやりすぎたのかな?すごい爆睡。

 

しかもこっちの方を向いて寝ているから寝顔が丸見え。

 

「……」ジー

 

少し寝顔を覗き込む。

 

「……寝顔はもっと子供みたい…。」

 

 

ゲームしてる時だけじゃなくて寝顔までこんなに幼く見えるなんて…。

 

「……」プニ

 

「んにやぁ……」

 

ついつい頬を引っ張ってみる。

 

(……、ちょっと可愛いかも…。)

 

『んにやぁ』って、、寝てる時そんな声出る?何この生き物、、猫?

 

 

A、彼氏です。

 

 

(…蓮の頬ってぷにぷにしてて柔らかい…。と言うかよく見ると肌めちゃくちゃ綺麗だし…。)

 

蓮のくせに少し生意気…。ッグイ

 

「……ん"に''ゃ''…」

 

少し力が入ってしまう。さすがに蓮も痛かったのか、もっと変な声が出る。

 

「んん?リァん?ニァニヤッチェンダァ?」(蘭?何やってんだ?)

 

あ、起きた。

 

「おはよ、蓮。ちょっと触ってた。」

 

「ヒョロヒョロハニャヒテクンニャイ?」(そろそろ離してくんない?)

 

「ん〜、もう少しこのままがいい。」

 

「ニャンデェ」(なんでぇ?)

 

「なんでも……♪」

 

 

 

 

''もっと触れていたい''なんて恥ずかしくて言えるわけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

――暴発――

 

 

 

(あ、これって…蓮のパーカー?)

 

休日、バンドの練習もないあたしは蓮の家に遊びに来ていた。するとたまたま部屋で綺麗に畳まれたパーカーを見つける。

 

ちなみに当の本人はお菓子や飲み物を取りに行って部屋には居ない。

 

「……、」

 

なんとなく、そのパーカーを着てみる。少しサイズが大きくてブカブカになる。でも…

 

(洗濯したてって言うのもあるんだろうけど…いい匂い…//)

 

近くに蓮を感じてるみたいで、すごく落ち着く…。

 

「……♪」

 

 

 

 

ドアガチャ「おーい蘭、せっかくの休日だからどこか出かけ………」

 

「ッ……、、」ビクッ

 

突然ドアが開き、蓮が戻ってきた。バッチリ目が合い、そしてお互い固まってしまう…。

 

 

 

(ど、どうしよう、どう誤魔化せば…、『いいサイズのパーカーだね!』って違和感しかないし…、あっ!『蓮のこのパーカーすごく落ち着く匂いがするね。』だったら上手く切り抜けられそうな気がするっ!)

 

一瞬で脳内で作戦を立る

 

「れ、、//」

 

「れ?」

 

「…れ、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮のこのパーカー臭いんだけど!!?///」(あれ!?なんか思ってたのと違う!?)

 

「ッバキ」←心が折れた音

 

作戦を立てたけど焦りと照れと恥じらいが勝って暴発してしまい、ただただ罪のない彼氏の心を粉砕するだけとなった…。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「……そ、そっか…俺のパーカー、臭かったのか…」ポロポロ

 

「ッ!?」

 

「……新しいの、、買うか……」シュン

 

「ち、違う…っ、そうじゃなくて…、、」オドオド

(言いたいけど言えない)

 

 

P.S.誤解をとくのに1日かかりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――やっぱり無理――

 

 

 

 

 

昨夜、自宅でテレビを見ているとふと、カップルチャンネルが目に止まった蘭。

 

 

『私なんか彼氏と毎日一緒に――』ペラペラ

 

「……」ッピ

 

しばらく見た後無言でテレビを消す。

 

(恋人って毎日あんなに抱き合ったりキスしたりするの…?あたし達ってそんなにやってないのに…、、)

 

自分達と先程番組で出ていたカップルを比較してしまう。

 

(……て言うか蓮って全然そういうことして来ないし…、だから多分これが普通なのかと思ってたけど……)

 

 

「……、」

 

 

 

翌日……蓮宅にて

 

 

 

「れ、蓮…」

 

「ん?どした?」

 

「えっと…、」

 

「?」

 

「……し、」

 

「し?」

 

「しっ、しっ///」

 

「??」

 

「ッ〜……///」ボフン

 

耐えられず近くにあるクッションを蓮の顔に押し当ててしまう

 

「もがっ、ちょ?蘭?ま、前見えない!」モガモガ

 

「……///」グイグイ

 

(…し、''したい''なんて、やっぱり言えるわけない////)プシュー

 

 

 

 

その後蓮から一体なんだったのか聞かれたが全て『なんでもない』で突き通すのであった…。

 

 

 

 

 

 

――ドッキリ――

 

 

 

昼休み、

 

 

「なぁ鈴木よ、」

 

「どうした佐藤ドン。」

 

「暇じゃないか?」

 

「暇だなぁ。なんか面白いことない?」

 

屋上で暇を持て余す鈴木と佐藤。

 

「うーむ、最近蓮の事全然いじってねぇから久々にちょっかい出そうぜ。」

 

「いいね、あ!んじゃいっそドッキリとかどうよ?あいつ結構いいリアクションしそうじゃね!?」

 

「そのナイスなアイデアに乗っかってみる。」

 

 

……というわけでおもちゃ呼び出し中……

 

 

「んで?大事な話ってなんぞや?」←連れてこられた。

 

おもちゃを無理やり屋上に連れこみ先程適当に考えたドッキリを仕掛ける。

 

 

「ああ、実はな……」

 

「おう。」

 

「美竹の''浮気現場''を目撃しました!」

 

「何言ってんだこいつら。」

 

「これが証拠の写真です」(バリバリの合成写真)

 

先程作った写真を蓮の目の前まで持っていく。ちなみに制作時間は3分。

 

「……。」

 

 

 

「な?長身のイケメン男子と楽しそうに歩いてるだろ?」

 

「……ふーん、そう。」

 

だんだんと不安な表情になっていく蓮をみて面白がる。が……

 

 

 

 

カチカチカチ、スッ

 

 

 

 

 

2人の説明を聞いた瞬間、真顔でおもむろに''カッターナイフ''を取りだし、めいっぱい刃を出して自身の首に当てる。そしてその手を勢いよく……

 

 

「いやまてまてまてまて!!!!!?」

 

「お前何考えてんだ!!!!?」

 

全力でカッターナイフを持ってる手を押さえ込む2人。

 

「……え、え?だって…、俺本当は嫌われてたんだろ…??り、リセマラしなきゃ……、はは、はははは」カタカタカタカ

 

着信が来たスマホ並に震えるターゲット。

 

「人生にリセマラ機能は存在しない!目を覚ませ!て言うかそのカッターどっから出した!?」

 

「ふざけるな、ふざけるなぁ!ばかやろおおお!!!うあああああああああああああ!!!!」ジタバタ

 

「落ち着けこのやろぉ!」

 

「ドッキリだから!!これただのドッキリだから!!?ごめんね嘘ついて!!」

 

「ほら!この写真もただの合成だから!!俺達が悪かったからその手に持っている凶器をおさめてくれ!!」

 

「なんだ〜ドッキリかよwwびっくりさせやがって〜wwあれ?なんで俺カッターナイフなんて握ってんの、怖〜いwww(^^)」ポイッ

 

はやい、ドッキリと知ってから気持ちの切り替えと凶器を捨てる速度が早すぎる。と言うか凶器については記憶がない、、

 

((もうこいつにはドッキリとかするのやめよ……。何するか分かったもんじゃない…。))ゼェゼェ

 

 

 

あらためて蓮のやばさを知る2人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――LINEスルーカップル――

 

 

 

「2人ともっ!!」

 

「ん?」

 

「え、何ひまり…」

 

今日はAfterglow+俺で出かけるため羽沢の店に集合したのだが、俺と蘭が到着するとご機嫌ななめの上原が待ち構えていた。

 

「なんでLINE返してくれないの!」

 

「LINE?」

 

「そうだよ!既読も付けないでスルーなんておかしいでしょ!ちゃんと返信してよ!」

 

どうやら上原からのLINEに返信をしなかったことで怒っているらしい。

 

「特に蘭には何回も確認のLINE送ってるんだよ!」

 

「え、うそ…。あ、ほんとだ…。」

 

「どれどれ…。」

 

横から蘭のスマホを覗くと確かに何件ものLINEが上原から来ていた。

 

「……全然気づかなかった…」

 

「いや、さすがにこれはやべぇだろ…」

 

こんなに来てたら俺でも気づくぞ

 

「いや、今蓮君''やべぇ''って言ったよね?」

 

「………言ってないです。」

 

「言ってたじゃ〜ん」

 

「いってない、言ってないです。」

 

「見苦しいぞ、蓮。」

 

「''やべぇ''って言ったことは返信をしない事がやばいって言うことだよね!?」

 

「いやいやいや違う違うw」

 

「れー君何が違うの〜?」

 

青葉達が噛み付いてきたので説明をする。

 

「いいか?返信をしない事は悪くない!仲がいい友達に返信をしないのがやばいってこと!」

 

「あ、てことはれー君が返信をしないって言うことは仲良くないって思ってるからなんだ〜??」

 

「ちょっと、まてまてまてまてw語弊が、、」

 

「え、蓮君そういうことだったの…?」

 

上原が露骨にショックを受けた表情に……

 

「え、て事はこの前あたしのLINE無視してたのって、、やっぱり嫌いだったからなの…?」

※『第1回ゲーム大会』参照

 

蘭まで…!

 

「ちゃうちゃうちゃうwwやめろそんな顔するな!俺が言いたいのは『仲が良くないなら返信を返さないっていう手段もあるよ』って言う事よ。俺はちゃんと返信するけどね?」

 

 

 

「え?言ったね?蓮君?」

 

「………いや……言ってないよ??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…じゃあ今蓮は何を喋ったの?」

 

 

 

 

 

 

 

wwwwwwwwwww

 

 

 

「言ってないなら今何を話してたの?蓮は、」ジトー

 

「……あははは……、蓮君、さすがにちょっと…」

 

やめろ、そんな目で見るな。

 

「まあまあ、と言うかさっきから上原の『言ったね?』ってなんなの?ちなみに」

 

「いや、蓮がLINE返してないってことなんじゃない?」

 

「そう!」

 

「え?俺にも時間の確認のLINE来てたの?」

 

 

「違うよ!『この前貸した少女マンガ読んだ?』って昨日の夜送ったよ!」

 

思ってたより軽い内容じゃねぇかよ!!

 

「……いやこんっっっなもんは返さなくて良いんだよ!!」

 

「あ、とうとう開き直った〜。」

 

「いやいやそれは…「これを返そうが、返さまいが!俺の生きて行く道の小石でしかないからこんなものは!!」ええー!傷ついたんだけどー!?」

 

「え?蓮、これでもしひまりがその日の夜気になって寝れなくなってたらどうしてたの??」

 

「そーだそーだ!蘭もっと言ってやれー!」

 

「いやいやいやwおやすみ出来なかったらそれはもう上原の問題だろwほんとに寝れなかったらお医者さんにでも行ってきてくれ!」

 

「……えぇひまり、蓮が病院行けだってさ、」

 

「ウワアアアアアアア‪( ;ᯅ; )‬」

 

うるせえぞぉ!泣き声をあげるなぁ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………まぁでもそれは確かに小石だよね。」

 

「ええっ!?蘭!!???嘘でしょ!?!?」

 

ここでまさかの蘭が裏切る。これは俺も予想外ww

 

「うん。確認のLINEぐらい軽いかなって…。」

 

……まてこいつ、、俺の言い分に紛れて自分も逃れようとしてるだけなのでは?

 

「いや待て待て蘭、''時間の確認のLINE''は''大石''よ?無視できないからな??」

 

そうはさせまいと妨害に出る。

 

「…いやいや、蓮の''少女マンガ読んだ?''の方が大きいよ?」

 

負けじと蘭も反撃してくる。だがその言い分はだいぶ無理があると思うが…

 

「いや、やばwやばw明らかに確認のLINEの方だろ大石はw」

 

「そんな事ない、蓮の方が大きい。」

 

「いやいや少女マンガなんてもんはなぁ――」

 

「確認のLINEだって――」

 

「「ギャーギャーギャーギャーギャーギャー!!」」

 

何故か言い合いがエスカレートしてしまうLINE無視カップル。

 

「あーもう分かったから! もうやめて!2人の言い分はもう分かったからケンカしないで…!」

 

それに上原が間に入ってくる。

 

「もう分かったって…!2人は何も返さなくて良いから…もういいやめてぇ!もう2人には何も送らないし返信なんていらないもん、、、2人には何も送らない、、、、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「それが良いよ。」」

 

「ええええ!そんなぁ!!ちょ、ちょっと止めてよォ!『送っても良いよ』って言ってよぉ!」

 

 

 

お言葉に甘えさせてもらうわ(^^♪

 

 

 

「ひーちゃんどんま〜い。」

 

「蘭ちゃんがどんどん蓮君に影響されていってるような…。」

 

「主に悪い方向だけどな……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※なんだかだありましたが出かけたあとちゃんと返信しました。

 

 

 











たまにはこんなダラダラした感じのやつをね、、、


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詰め合わせpart2



バレてないバレてない…、実はこの前書いたやつしれっと消した事なんてバレてない…。


 

――昼寝――

 

 

 

休日の昼間、この時間帯で特にやることがないとだいたい眠くなって昼寝をしてしまうのが普通だろう。学校にいる時でもこの時間帯は1番眠くなるし、それが家だと尚更だ。

 

と、言うわけで先程から俺も自分のベッドで布団にくるまりダラダラと昼寝をしていたのだが…。

 

 

(…ん?なんだ?この…何かに抱きつかれているような感覚は…)

 

気持ちよく寝ていたはずがその感覚によって目が覚めてしまった。

 

 

(んん…、さっきからあついな…。なんなんだ一体…!)ガバッ

 

違和感に耐えられず飛び起きて自身の周りを確認すると…!

 

「スー、スー…」

 

「…なんだよ、蘭か…。あー、びっくりした…」

 

なんと自分のすぐ隣で蘭がすやすやと一緒に寝ていたのだ。

 

「ったく、可愛い寝顔しやがって…」

 

軽く頭を撫でながらそんな事を呟いてしまう。

 

「…んゆ…zzz」

 

『んゆ』って何さ…、ふだんの蘭からは絶対に聞くことの出来ない鳴き声を聞いたところで俺も布団に戻る。

 

 

 

 

 

「……」

 

「zzz…」

 

「……」

 

「zzz…」

 

「……………。」

 

「zzz…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ?なんで蘭は俺のベッドにいるんだ•́ω•̀)?

 

 

 

 

「…ンン、蓮ン…」ムニャムニャ

 

「…まぁ、、可愛いからいっか…」

 

 

そして蘭を抱き寄せ再び昼寝を再開するのであった…。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

(…あれ?あたし、いつの間にか寝ちゃった…?)

 

 

いつから寝てたっけ?たしか蓮の家に遊びに来たら誰もいなくて…、仕方なく部屋まで来てみたら蓮が気持ちよさそうに昼寝してて…、

 

(ああ、そうだ…蓮が気持ちよく寝てたからあたしも眠くなってそれで自然と…。あれ?さっきからなんか密着してるような…)

 

 

ふと顔を上に向けるとすぐ目の前に蓮の寝顔が…

 

 

「…ッ///」

 

あまりの近さに思わずびっくりしてしまう。反射的に距離を取ろうとしたけどそれは出来なかった。

 

なぜなら蓮はあたしの背中に手を回しギュッと抱きしめるようにして寝ていたから。今のあたしは蓮の胸にスッポリと埋まっている状態になっている。

 

「ちょ、蓮…///」

 

「(。´-д-)。o○Zzz」

 

当の本人は今も気持ちよさそうに寝ている…。

 

「はぁ…、まぁいっか…。」

 

「んん…、蘭ン…」スヤー

 

「…もう…//」

 

 

 

思わず蓮の胸にすりすりと頭を擦り寄せてしまう。今思えばこんなに蓮と密着してるのって初めてかもしれない…。トクトクと心音が伝わってくる。温もりが心地良い。

 

(もう少し…あたしも寝てよっかな…。)

 

まぶたが重くなり、目を瞑る。眠りに着くのにそんなに時間はかからなかった。

 

別にそうしようと思ったわけじゃないけど、あたしの手は自然と蓮の背中に回っていた。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「ただいま〜、あれ?靴が増えてる…。」

 

用事から帰ってきたのは蓮の弟である翔。(久々の登場)玄関に見覚えのある靴が置いてあることに気がつく。

 

「これはおそらく美竹さんか…。兄貴の部屋にでもいんのかな?」

 

軽く挨拶でもしようと思い部屋へと向かう。

 

「どもー、美竹さんこんにち…、ありゃ?」

 

部屋のドアを開けて挨拶をしようと思ったがその光景を見て言葉が途切れる。

 

なぜならそこには兄とその彼女である蘭がお互いを抱きしめ合いながら昼寝をしていたから。その寝顔はかすかに微笑んでおり、それはそれは幸せそうに眠っている。

 

見ているこっちも思わず微笑んでしまう。

 

「ふーん、いいじゃ〜ぁん(´◠ω◠`)」パシャ

 

あまりにも幸せそうだったのでその光景を写真に収めそのまま翔は立ち去った。ちなみにこの写真は後日AfterglowのグループLINEに送られて行ったという…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ほろ酔い――

 

 

 

 

「えへへ〜、蓮ン〜」ギュー

 

「…え、えぇ??」

 

「お〜、これは見事に出来上がってますな〜。」

 

「いや、関心してないで何とかしてくんない?」

 

「俺にそんな事ができると思うか?」

 

 

弟よ、もうちょっと頑張ってみてもいいんじゃないか?

 

 

まぁなぜこんな状況になってしまったかと言うとだな…。家に遊びに来た蘭が『喉乾いた…』と言ったので下の階にある冷蔵庫から適当に飲み物を取ってきても良いように言ったら何故か酔っ払って帰ってきた。

 

確認してみたら酒をジュースと間違えて飲んでしまったらしい。まぁ蘭が飲んだ酒はパッと見ジュースみたいなパッケージしてるけど下の方にアルコール度数も書いてるわけだから間違うはずはないと思うんだが…、どうやら間違えてしまったんですね…、、とほほ、、

 

 

それから蘭は見事に酔っ払ってしまいデロデロの状態に、、普段の凛とした姿は跡形もなく、こうして腕に抱きついてきては顔を擦り付けてきたり甘ったるい声で話しかけてきたりとまぁ大変。

 

まぁぶっちゃけされてる方としてはあまり悪い気はしないけども…!

 

 

「えへへ〜蓮〜何か面白いことしてよォ〜〜」

 

「ちょいちょいちょい…、さすがにくっつきすぎ…」

 

色々当たってんだよな…。いや、何とは言わないけどね?

 

「んじゃあとは2人でごゆっくり〜。」

 

そう言ってスタスタと自室に帰ってしまう弟。まったく、一体どうしたものやら…

 

 

「あ、そうだァ!蓮!写真撮ろーよ〜!」

 

「えっ?なにゆえ??」

 

 

もうなんか楽しくなってんじゃん…。まぁでも普段の蘭は少しつんつんしてる所があるし…ギャップがあってそこが可愛いところでもあるんだけど…。

 

 

「じゃ〜撮るよ〜!」

 

「へいへーい、」

 

 

いつの間にかスマホのカメラを起動させた蘭が隣によってくる。

 

 

「ちゃんとピースしてね〜?」

 

「へ〜い」

 

 

普段からこんくらい素直ならもっと可愛いと思うんだがなぁ…。

 

「はい、チ〜ズ♪」

 

そんな事を思いながら適当にピースをしてカメラに顔を向ける。

 

 

 

カシャッ

 

 

ちゅっ、

 

 

「………………へ?」

 

今…、シャッターが切られる瞬間に…なんか頬に柔らかいものが当たったような…。

 

視線を横にずらすと、すぐ近くに蘭の顔。酔っているせいか、少し顔は赤く、柔らかく微笑んでいる。

 

「ねぇ、蓮…。」

 

「…は、はい…?//」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「好きだよ♪」ヘニャ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

可愛いが過ぎる!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※この蘭が蓮の頬にキスをしている写真は今も厳重に保管されているという…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――呼び方――

 

 

 

 

 

「ね〜れー君〜。」

 

「ん?なに??」

 

今日は蘭と一緒に羽沢珈琲店にやってきたのだがそこでたまたま青葉、上原、宇田川の3人とばったりあってしまいせっかくだからみんなでゆっくりしようとコーヒーを飲んでいた。羽沢は店の手伝いがあり途中から参加するらしい。

 

そしていい感じにまったりとしていたら青葉がとある事を聞いてきた。

 

「あたし達って〜、知り合ってもう結構経つじゃ〜ん?」

 

「え?なにその言い出し方…、」

 

「ま〜ま〜、気にしない気にしな〜い。これはあたしだけが思ってるわけじゃないんだけどね〜?」

 

「お、おう…、」

 

という事は今から聞かれることは青葉だけじゃなくて上原とか宇田川も思ってることなのだろうか?一体なんなんだ?

 

「れー君はいつになったらあたし達の事名前で呼んでくれるのかな〜?って。」

 

「…、はい??」

 

いきなり何を言っておいでで??

 

少し疑問に思っていると静かにしてた上原が続けてくる。

 

「だって変じゃん!あたし達は普通に『蓮君』って呼んでるのにそっちだけ苗字で呼ぶなんて!」

 

「なんか他人って感じがするんだよなー、」

 

宇田川も上原に続く。

 

「そ、そんな事はないと思うが…」

 

「なになに〜?もしかして恥ずかしいの〜?」

 

「蘭の事は名前で呼んでるくせに。」

 

「いや、蘭は蘭だから良いんだよ。」

 

「変な理論だな…」

 

 

と言うかいきなり名前で呼べと言うのも少し無理があると思うんだよなぁ。蘭は例外として昔から女子を名前で呼ぶのって抵抗がある…。まぁ多分青葉の言う通り恥ずかしいからなのかもしれないけど…。

 

 

「あたし達はあって初日から名前で呼んでたのにねー?」

 

「ね〜?」

 

「それはお前らの距離感が近すぎるんだよ…、」

 

中々いないぞ?初対面の人をちゃんと名前で呼べる人なんて…。

 

「まぁでも今はよくこの面子で集まるようになったわけだし、蓮も恥ずかしがることないんじゃないか?」

 

…たしかに、今考えてみればなんだかんだ宇田川達とは仲良くなってよく集まるようになってきてるし…、

 

「ほらほら〜、トモちんもそう言って訳だし〜♪」

 

「試しに今名前で呼んでみてよー!まずは私から♪」

 

ええい押しが強いんじゃこの人ら…。

 

「はぁー、しょうがねぇなぁ〜、、、」

 

あまりにも押しが強いので仕方なく名前で呼ぼうとしたその時、俺の服の裾が僅かに引っ張られるのを感じる。

 

 

 

そう、隣に座る蘭の方から……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ヤダ」

 

 

 

 

それはとても小さな声ではあったが、俺だけではなくテーブルを挟んでいる青葉達の所までしっかりと聞こえていたのだろう…。俺含めみんな硬直した。

 

 

「え…、ら、蘭…??」

 

「ッ!?いや、ちがッ、違うから//」

 

「いやでも…その、、裾がまだ引っ張られてるままなんだけど…」

 

「ッ///こ、これはその…//」

 

おそらく無意識だったのだろう、自分が俺の服の裾を引っ張っていることに今気づいたようだ…。

 

 

「おっと〜?これは〜〜??」

 

「2人共ー、私達お邪魔みたいだね〜♪」

 

「そ、そうみたいだなぁ…」アハハ

 

「ち、違うからッ///今のはほんとにそんな事じゃなくてッ!!」

 

今更必死になる蘭だが…、もう遅いようだ。

 

「大丈夫大丈夫♪あたし達がちょっと無神経だったね〜♪」

 

「なんかずっと静かなだな〜って思ってたけど、そういう事だったんだ〜♪」

 

「まぁまぁ2人共その辺にしとけって♪それじゃあたし達はもう行くからな〜」

 

「あとは2人でごゆっくり〜♪」

 

「だ、だからほんとに違うんだってばッ///!!」

 

 

彼女のとてつもなく可愛いところに悶絶している俺をほおって店を出ようとする3人を追いかける蘭。

 

 

 

だから可愛いが過ぎるんだっつーの……。

 

 

 

 

 

 

 



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詰め合わせpart3





糖尿病




 

 

 

 

 

 

 

――冷えピタ――

 

 

 

「はぁ〜、1限目しゅーりょ〜…。」ガタガタ

 

揺り椅子をしながらめいっぱい体を伸ばす。関節から鈍い音が鳴り、体がほぐれたのを感じる。

 

やれやれ…、どうも朝イチの授業は苦手だな…。何もかもがだるく感じる。ノート開くのもだるい、シャーペン握るのもだるい、黒板を見るために視線を上げるのもだるい…、かと言って寝るにしても教員が目を光らせているので机に突っ伏そうものなら名前呼ばれて軽く怒られてトドメの『お前後で職員室な?』コース。

 

お前ら生徒に対する慈悲は持ち合わせていないのか?眠いんだから寝かせてくださいよまったく…。

 

あんたらだって正直眠いだろ?黒板に字書くのだるいだろ?袖にチョークの粉がついてはたいたら今度はそっちの手の方に粉が移る煩わしいことこの上ない現象に会うのも嫌だろ?だったらもういっそ一緒に寝てやろうぜ!?」

 

 

「…蓮、さっきからうるさい…。あと文字数が多い。」

 

口に出ててわろたァ〜。

 

「すまん、あまりにもだるかったのでついな…。」

 

隣の蘭から苦情が入る。まぁ今のは俺がうるさかったな…。

 

軽く反省をしつつ次の授業の確認をする。

 

「…、次移動教室じゃん…。」

 

『だっる〜』っと言いそうになったがまた苦情が来かねないのでグッと飲み込んだ。

 

「蘭ー、次移動教室だから早めに行ってようぜ〜。」

 

そう蘭に声をかけるが…

 

「…、、」ボー

 

(……え、無視?)

 

「蘭ー?」

 

「…ん?何…?」

 

「いや、ボーッとしてたもんだから…。大丈夫か?」

 

心做しか若干顔が赤いような気が…、

 

「…なんでもないしいつも通りだよ…。それよりさっきの現文のプリントで分かんないところあったから教えて…。」

 

そう言ってさっきの授業で貰ったプリントを見せてくるが…。

 

「…蘭、」

 

「…何?」

 

「さっきの授業は''数学''だ。そしてそれ、数学のプリントな?」

 

「…、、」

 

これはあきらかに蘭の様子がおかしい。

 

「…ちょっと失礼するぞ?」

 

「ンン、」

 

そっと蘭のおでこに手のひらを置き、熱がないか確認する。すると案の定、平熱とは思えない程の熱を感じた。

 

「…おま、めちゃくちゃ熱いじゃん…。風邪確定だぞ…」

 

「…別に、普通でしょ…」

 

蘭はそう言っているが顔も赤いしあきらかに風邪を引いている様子だ。日頃のバンド活動はもちろん、最近では華道の方も忙しくなってきてるし…、疲労が溜まってたんだろうな…。

 

「蘭、保健室行くぞ。」

 

今日のところは帰ってしっかり休むべきだ。そう思い、俺は蘭を保健室へ連れて行こうと立ち上がる。

 

が、中々俺の手を離してくれない…。おでこに置いていた手をずっと両手でふにふにしている。

 

「おい、何してんだよ…」

 

すると蘭は俺の声を無視し、掴んでいる手をそっと自分の顔に持ってくる。そしてピタッ、と自分頬に密着させた。

 

「…ッ!?///おま、本当になにしてんの//!?」

 

柔らかい、肌がぷにぷにしてる、すりすりと俺の手に擦り寄ってくる様がめちゃくちゃ可愛い…。

 

 

いやそんなことより!!!何してはるんですかこの人ォ!!!

 

「…ふ、ふざけてねぇで早はk「ねぇ、蓮…?」…へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あんたの手…、

 

 

 

 

冷たくて気持ちいいね…」ヘニャ

 

 

「………、」カアアアアアアアア

 

 

だらしなく緩みきった笑顔で放たれた言葉は、しばらく俺の脳みそをフリーズさせた。

 

その間、蘭はたっぷりと俺の手のひらを堪能していた…。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

保健室にて…

 

 

「じゃ、親御さん来るまでゆっくり休んでなさいね?」

 

「…はい。」

 

「あ、先生ちょっと職員室の方に用事があるから少し外すけど大丈夫?」

 

「…はい、そんなに大したことは無いので…」

 

そして保健室の先生は職員室へと行ってしまう。

 

 

 

「……、」

 

 

、、、

 

 

、、、、、

 

 

、、、、、、、

 

 

 

「明日からどんな顔して学校来れば良いの……///」

 

ぼふんっ、と枕に顔を埋め教室での愚行を激しく後悔する。

 

蓮の手が思っていたよりも気持ちよかったものだからここが学校である事を忘れていた…。しっかりと周りのクラスメイト達にも見られた。

 

 

 

「もう……、ホント、、サイアク…///」

 

 

 

 

後日死ぬほどクラスメイトからいじられた。(主に佐藤と鈴木)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――何事も練習――

 

 

 

 

ある日、俺は蘭の家に遊びに来ていた。

 

いや〜久々に来たらまさかの蘭パパが待ち構えてて早速将棋を挑まれてしまったよまったく…。どんだけ根に持ってるんすかねあの人…、まぁもちろん今回もボコボコにぶっ飛ばし奉ったんだけども?もしかしてこの行事毎回続く感じなのかな?……嫌だね〜、だとしたら。

 

そんな事を思いながら俺は蘭の部屋へと戻っていた。

 

部屋の前に立ち、ドアノブに手をかける。そしてゆっくりとドアを開こうとしたのだがその時、部屋の中からボソボソとなにか声が聞こえる。

 

それが蘭の声であることは間違いないのだが…、一体1人で何を言っているのだろうか?

 

少し気になってしまい、ドア越しにその声を聞いてみる。

 

『へぇ〜、そうなんだ…。』

 

ん?誰かと電話でもしてるのか?

 

『他にもあるの?……''クールでかっこいい所も大好き''…?ふふっ、そうなんだ…。』

 

……は?え?本当に誰と話してんだ蘭のやつ…、

 

『そっか…、''蓮''からそんなに素直に言われると…、あたしも嬉しい、かな。』

 

……(´◠ω◠`)ん〜?

 

おかしい、俺は蘭の部屋にいないはずなのに蘭は俺と話しているように振舞っている。俺はいつ影分身の術を使った?そんなチャクラ持ってなかったと思うんだけどなぁ…?一体部屋の中で何が起きているんだ?

 

そう思った俺はバレないようにゆっくりと部屋の扉を開け、中の状況を確認する。

 

最初に目に映ったのはテーブルの正面に座る蘭の姿。ちなみに向かい側には誰も座ってはいなかった。じゃあ蘭は一体何と話していたのか。

 

そして次に映ったのはテーブルの上に乗っかってる少し見た目が不気味なぬいぐるみ。あれは確か上原のお手製だっただろうか?そのぬいぐるみが蘭と向かい合うような形で置かれていた。

 

『あと''恥ずかしがったり照れてたりしてる時も可愛くて大好き''?別に照れてなんかないよ…。あたしがそんななるわけないじゃん。』

 

……話しかけてるよ…。あのぬいぐるみを俺だと見立てて話しかけてるよ…!

 

えっ?何事ッ!?

 

一体1人で何をしてるんですか蘭さん!?

 

『…''衣装に合わせてたまに髪型を変えてた時もすごく可愛いくて大好き''?…別にあたしなんて大して可愛くないのに…、ありがと。』

 

まさか、、練習してんのか…!?俺に好きって言う練習じゃなくて俺から好きって''言われた''時の練習してんのか!?

 

『ここまですれば…、顔に出なくて済むかな…』

 

確定やないかい!!

 

まぁ確かに蘭はとても照れやすい!それはもう何かしら褒めたりすればすぐ顔を赤くして『別に…//』とそっぽ向いてしまうくらい照れやすい!けど別にそこまでする事なのか!?

 

 

『…蓮の前ではちゃんと素直なあたしで居たいし…、もう少し練習しよう…!』

 

 

……、もしや蘭本人も少し気にしていたのだろうか…、せっかく褒めて貰ったり好きって言ってもらったのに照れ隠しで素っ気ない態度になってしまう自分の事を…。

 

(別にそんな事必要ないのに…。)

 

その後も蘭の高度なシュミレーションは続いた。

 

 

まさかこんな練習を密かにやっているなんて知らなかったな…。

 

 

 

「おっす〜、蘭」ガチャ

 

「あ、おかえり…。」

 

俺が部屋に入ると何事もなかったかのように振る舞う蘭。

 

「…」ジー

 

「な、何、急にそんなに見て…。」

 

「いや〜、それが…、ちょっと改めて思ったことがあって…」

 

「…何?」

 

「…俺やっぱり蘭のこと、めちゃくちゃ大好きだな〜って…」

 

「…ッえ?////」

 

※実際に好きって言ってみる。

 

「…そ、、そう///…ど、どの辺が…?///」

 

「クールでかっこいい所も大好きだし、あと恥ずかしがったり照れてたりする時も可愛くて大好きだな〜」

 

「ッ!?////ふ、ふーん?///」カアアアアアアアア

 

「あ、あとたまに衣装に合わせて髪型変わるだろ?あれもまた新鮮で好きだな〜。」

 

「ッ!?///…え?////あ、ウン///」アタフタ

 

 

本番に弱い……!

 

 

「あとさ、」

 

「…?///」

 

「自分の悪い所をちゃんと直そうと見えないところで頑張ってる蘭もめちゃくちゃかっこいいし可愛くて大好きだな…。」

 

そう言った瞬間、蘭は大きく目を見開き、驚いた表情に変わる。

 

「も、もしかして…///まさか…///、、」

 

「…すまん、だってなんか聞こえて来たからつい…、」

 

さっきまで蘭が話しかけていたぬいぐるみを片手に、そう答える。

 

「ッ〜〜〜〜///もうっ!最っ低!!信じらんない!!!」ズトン

 

耐えられなかったのか、テーブルに頭突きをするかのごとく突っ伏してしまう蘭。

 

そんな蘭の頭を軽く撫でてやる。

 

「〜〜〜〜ッ///もうっ、、バカァ//」カアアアアアアアア

 

「あははは…、まぁ確かに俺も驚いたけど…、別にそこまで蘭も気にしなくていいんじゃないか?周りの人も蘭のそういうとこはちゃんと理解してると思うし。」ナデナデ

 

もちろん俺も含めてだ。

 

「…、でも、あたしがもっと素直になれれば蓮だって変に気を使わなくて済むじゃん…。」

 

「…?」

 

「…せっかく自分の事を良く言ってもらっても…、上手く言葉を返せないのって嫌だし…。」

 

「…、」

 

「全員…、までは行かなくても、せめて蓮の前ではちゃんと素直になりたいし…、変に気も使わせたくない…。」

 

きっと今まで蘭なりに考えていたんだろうなぁ…。

 

「ありがとな、そう思ってくれて。」

 

「…、」

 

「まぁ、その…あれだな、そんな簡単に変わるような事じゃないし…、焦らずにな?」ナデナデ

 

「…うん…。」

 

 

 

 

 

……蘭が突っ伏したままで良かった…。まさか蘭がそこまで思っていたとは思わず…、話を聞いてくうちにどんどん顔の温度が高くなっていた…。

 

絶対今の俺も顔真っ赤だろうな…。

 

 

 

 

その後もしばらく顔の熱が引くことは無かった…。その間蘭にバレないようずっと頭を撫でてたことは秘密。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








はい、今年最後の投稿です…。今までこの作品を読んでくださった方々、誠にありがとうごさいました。

来年もどうせグダグダと投稿していくと思うので、まぁ気が向いた時とか、暇を潰したい時とか、ちょっとなんでもいいからSSに低評価入れたいな〜と思った時とか、そういった時に読んでくださると幸いです。


それではまた来年。


P.S.今年からお年玉貰えないですピエン(´;ω;`)








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詰め合わせpart4





ひっそりと……。


 

 

 

 

 

 

――充電――

 

 

 

「ぅぅぅぅううう……」

 

「…蘭?大丈夫かー?人前で出しちゃいけないような声出てるけど?」

 

ある日の休日、俺が昼までベッドで横になりぐ〜たらとソシャゲをしていると何の連絡も無しにいきなり蘭が我が家へとやって来た。なんでも新曲の歌詞を作っている最中だったのだがこれがかなり難航しておりその辺を徘徊していた結果、助けを求めるようにここへ足を運んだらしい。

 

まぁ、俺がヘルプに入れる所なんて1ミリも無いがせっかく来て貰って何も出さないのは流石に無いと思い蘭を自室に招いた後、下のキッチンで珈琲を入れてそれを適当な茶菓子と一緒に持って来たのだが…、部屋で待っていたのは負のオーラを全解放している倦怠赤メッシュさんだった。

 

「こんなに浮かばないのって…初めてかも…。」

 

「そっか…。とりあえず休憩しよう、ほら、コーヒーとなんか甘いお菓子。」

 

「…ありがと…。」

 

疲れ果てている瞳がちょっと刺さりますなぁ…。

 

「バンド関係の事で俺はとやかく言える立場じゃないけど、あんまりコン詰めすぎるのは良くないぞ?」

「…分かってる。でも最近華道の方も忙しくなって来てて…全然時間作れないし。」

 

「あぁ〜、そういえば最近忙しいって言ってたもんな〜。」

 

「…それに…、蓮とも一緒にいる時間減ってたし…。」

 

おっと、その発言は彼氏の心をグッと鷲掴みにしますよ?なんならそのまま握り潰して欲しいまであるかも。

 

まぁたしかに?最近は全然2人きりの時間取れてなかったし?俺もバイト三昧でちょっとメンタルヘラってたし?美竹成分枯渇気味だったし?

 

「…歌詞、一段落着いたらどっか出かけるか。…2人で」

 

「…うん。」

 

ほんの一瞬、蘭の顔がパァっと明るくなった気がする。よし、蘭が歌詞を考えている間俺も完璧なデートプランを考えなくてはな。俺は手伝いこそ出来ないが蘭の疲れた心を癒すことくらいは出来るだろう。……出来なかったら彼氏としてオワコンです、はい。

 

「…蓮、ちょっと。」

 

「ん?」

 

頭の中でできる限り最高のプランを考えていると蘭に名前を呼ばれる。見てみると何やら自分の隣の床をとんとんと手で叩きこっちに来いと催促してくる。…隣に座れって事か。まぁそれくらいなら全然…。

 

「なになに?急に人肌恋しくなったか?」

 

そんな事を呟きながらそそくさと蘭の隣に腰を下ろす。するとその瞬間、蘭が俺の体に手を回し…そのまま自身の体を密着させてきた。

 

「…おっと…?蘭さん?」

 

名前を呼んでも応答は無い。その代わりにこれでもかと体をくっつけて来る。胸におでこをあててグリグリと動かしてきたり、時折「ンンンン」となんかよく分からない可愛い唸り声もあげたりと…、どったのこの人…?

 

「…何やってるんですか蘭さん?」

 

「…充電…」

 

「あ、そう。…ちなみに今何パーセントぐらい?」

 

「……、5」

 

「…、んじゃあと1時間ぐらい必要か(◜ᴗ◝ )…。」

 

顔を埋めたまま答える蘭に思わず口角が上がってしまう。

 

「…蓮もやって。」

 

「はいはい、仰せのままに。」

 

言われるがまま、俺は蘭の背中に手を回わして優しく抱きしめる。その時の蘭の幸せそうな笑顔がどうしようも無く愛おしいく、ずっと見ていたいと思ってしまった。

 

「蓮、暖かい…。」

 

「…まぁついさっきまで布団に居たからな。暑かったら離れて良いぞ?」

 

「…まだ充電仕切ってない。」

 

 

 

結局1時間以上くっついたままだった。まぁ…その甲斐あってこの後の歌詞作りは鬼早だったけどな…。

 

さてさて…デートプラン、考えないとですなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

――通常→好きな人の前――

 

 

 

 

※学年上がって蘭ちゃん達は3年生の設定です

 

 

 

 

「あ、あの!美竹さん!」

 

「…?どうしたの?」

 

放課後、蘭は日直の仕事を終えて廊下を歩いていると突然後ろから声をかけられる。呼ばれた方に振り返るとそこには2人組の女子生徒が立っていた。その様子は少しオドオドしており、ネクタイの色からしておそらく1年生だと蘭は思った。しかし知り合いなどでは無く完全に初対面。一体なんの用があるのかと考え込んでいると片方の女子生徒が言葉を発した。

 

「こ、この前のライブ、すごいかっこよかったです!あ、あと…大ファンです!これからも応援してます!」

 

「えっ、」

 

「わ、私も!応援してます!これからも頑張ってください!」

 

「……、」

 

何を言われるのだろうと身構えていた蘭だったが予想外の展開に少々固まってしまう。

 

(……、こんなに正面切って言われるの…初めてかも…)

 

慣れていないせいか、少々照れくさい。

 

「…、ふふっ、ありがと。次のライブも最高の演奏するから。良かったらまた見に来てね。…それじゃ。」

 

「…!!はい!」

 

「絶対に絶対に行きます!!」

 

 

その言葉を聞いた蘭は少し微笑んだ後、再び歩き始めるのだった…。そしてその後ろ姿が見えなくなった頃、再び女子生徒の2人組は言葉を交わす。

 

 

「はあああ、やっと言えたあああ」

 

「緊張したあああ…」

 

「オーラが違うよ、オーラが…」

 

「あの凛とした表情がもう……好き…」

 

「声も…やばい…。一生聞いてたい…」

 

 

途端に始まる美竹オタクによる美竹談義。

 

 

「演奏中でもライブのトークでも…果ては私生活の時でもクールさを損なわないなんて…反則でしょ…推せる…!!」

 

「逆にクールじゃない美竹さんは全然想像出来ない…、家でもなんかしっかりしてそう…。家事とかバリバリやってそう!!」

 

「華道の名家なんでしょ?美竹さん家って、花を生ける美竹さんも見てみたい…!」

 

「弟子入りしてみれば?」

 

「ありかも!!憧れの先輩と花を生けたいです!!」

 

「いや、結構乗り気なのウケるw」

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

side憧れの先輩

 

 

 

 

「……」

 

「……」ギュー

 

「……あのー、蘭さん?」

 

「……なに」

 

「そんなに腕に抱き着かれると歩きにくいんですけど?」

 

「誰も見てないし…。良いじゃん。…それとも、いや?」

 

「あ、いえ、むしろずっとそのままで良いです。」

 

「うん。……そういえば、今日の昼休みあたしの事置いてどこ行ってたの?」

 

「えっ、」

 

「どこ…行ってたの…」

 

「……佐藤達に絡まれてました。」

 

「……」ズリズリズリ

 

「頭擦り付けないで…。髪乱れますよ?」

 

「屋上誰もいなかったからやっと2人きりで過ごせると思ってたのに…。」

 

「……え!まさか1人で待ってたとか!?」

 

「……連絡しても出なかったし」

 

「……すみませんでした」

 

「埋め合わせして。」

 

「……スゥ-、次の土曜日空いてる?」

 

「うん。」

 

「2人でどっか出かけよね?」

 

「…うん。」

 

 

 

 

クール→甘えand寂しがり屋

 

 

 

外道(……寂しがり屋はいつも通りか…?)

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

――フルコース――

 

 

 

 

※大学生設定です。それに伴い蓮くんは一人暮らし状態です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤「あああ…、バイト休んで飲む酒はうめぇぜェ…」

 

蓮「いや、働けよイキリ大学生。」

 

鈴木「こいつヤリサーとかに入ってたら縁切ろ。」

 

 

大学に入ってはや2年。ガラッと変わった環境にだいぶ慣れてきたと思ったら知らない間に酒を飲めるような年になり、こうして高校からの友人達と飲み歩くのも当たり前の日常になっていた。まさかこの2人と大学でも同じになるとは正直思ってなかったけどな。まぁ…ぶっちゃけ嬉しいっちゃ嬉しいですけどね!?(アルコール入ってやや素直)

 

 

佐藤「酒がねぇと世の中やって行けねぇよまったく…。なぁ…教えてくれよ…蓮、なんで俺には彼女が出来ねぇんだよ!!」

 

蓮「イキってタバコとか吸ってるから。あぁ、あとパチンカスになったから。」

 

佐藤「あ、すいませんビール追加で。」

 

鈴木「おいコラお前っ、」

 

現実逃避をする様に追加のビールを流し込む佐藤。君大学に来てからだいぶ属性増えたよね〜。『アル中』と『パチンカス』、トドメに『ヤニカス』か〜。廃れたな〜おい。

 

蓮「いや〜にしても、こいつがタバコ吸い始めたきっかけの話まじで面白かったぞ?」

 

鈴木「え、それ知らない。聞かせろ聞かせろ。」

 

蓮「実はね〜。去年辺りかな?こいつになんと好きな人が出来ましてね?もうどうにかして仲良くなりたい、会話したいってなってたのよ。でもなかなか踏み込めずにいてそのまま数ヶ月が経過して、そんでこいつ…ある日気づいたんだよ。『あ、あの子…タバコ吸ってるんだ…』って」

 

鈴木「ブォックククwww」

 

蓮「んでww、もう後は想像通りだと思うんだけどwその時にこいつの頭の中で『俺もタバコを吸えばそれをダシにあの子と話せるんじゃないのか!?』って頭になっちゃってwその時を境にもうブカブカ吸っちゃってるワケww」

 

鈴木「バカだなぁ〜こいつww」

 

佐藤「恋は盲目なんでね。」

 

蓮「ろくにタバコの種類も知らない癖にねw」

 

鈴木「ちなみにその子とはどうなったの?」

 

佐藤「なんの進展もなく1週間後にはテニスサークルのイケメン男に喰われてた。」

 

2人「(゚∀゚)アヒャヒャヒャヒャヒゴッ!!!ゴホッ!ゴホッオエェー!!ギャハハハハハwwww」

 

佐藤「結局俺の手に残ったのは…タバコ(こいつ)だけだったつー事。スゥ-、フゥ〜。」

 

2人「ギャハハハハハハハハハwwwwお前wやっぱり最高だze!!」

 

 

 

飲み屋に充満する汚い笑い声とタバコの煙。まったく…こいつらと話すと何故か柄にもなく大声で笑ってしまう。たとえそれが下らない話であっても…

 

佐藤も今はこんなになってしまったが、根っこの部分は高校の時のまんまだ。まぁ、それは鈴木にも言える事か…。自分の環境が変わっても変わらずにいる友人がいる事…、それがいかに幸福かを今しみじみと実感しているよ…。

 

 

蓮「それじゃ、またな〜。鈴木〜、佐藤の事頼むぞ〜。」

 

鈴木「正直嫌だけどわかった〜」

 

佐藤「オオオエエ''」

 

 

楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、現在は店を後にして帰路についている。あ〜帰ったらとりあえず風呂入って洗濯物わ回して〜、……うん。だるいから考えるのやめよ。

 

そうこうしている内に自宅のアパートに到着する。大学から一人暮らしに挑戦してみたもののまだまだ慣れない。誰か俺の為に毎日飯作って来れねぇかな〜。そんな事を思いながら、俺は玄関の扉を開けた――

 

 

「あ、帰ってきた。」

 

「ん?」

 

 

聴き馴染みのある声。……そう言えば合鍵渡してる人が1人居ましたね…。

 

愛してやまない赤メッシュのあの人が(アルコール入ってて表現ちょいキモ)

 

「あの、蘭さん?来るなら連絡入れて?」

 

「…したけど。」

 

「…まじ?」

 

素早くスマホを確認。えぇっと、蘭からの通知は〜?1、2〜、3、4……

 

「ごめんね?( o̴̶̷᷄ ·̭ o̴̶̷᷅ )」

 

「うん。分かったなら良いよ。思ってたより早く帰ってきたし。」

 

と、優しく微笑む蘭。可愛い(率直)。今日も世界は平和である。

 

「蓮は明日午後から?」

 

「ん?あぁ多分そうだな。」

 

「じゃ、泊まってても問題無いよね?」

 

「良いともー。」

 

「…♪じゃあ、一緒にお風呂入って一緒に寝よ?」

 

「うわぁ、凄いフルコース……。」

 

 

親友達と飲んだあとは家で彼女とお泊まりと……。

 

 

これで明日からも頑張れる。

 

 

 

 







というわけでお久しぶりです。果たして覚えてくださってる人はいるのかな?一応呼吸はしてます。最近はリアルが吐くほど忙しくSS書く時間が数秒も確保出来ませんでした。

ですので久々にこちらの作品の方でリハビリを兼ねて投稿させて貰ってます。多分今後も投稿頻度はナメクジ状態が続くと思いますがまぁ、気が向いたら読んでやって下さいm(_ _)m

誤字脱字あれば教えて下さると幸いです。



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