ゾイドワイルドクロス アナザーZERO (ゼネラル・ターキン)
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第1話 「再星」

 ゾイド、それは銀河の彼方に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。


 とある銀河系、一隻の艦船が宇宙を航行していた。その船から乗組員と艦長の声がし、

 

 「反転ブースト展開、出力90%! どんどん引き寄せられていく。艦長! 限界です!」

 

 「ジェネレータ起動、カウント開始。」

 

 「よし、全速前進、ゲートに向かう!」

 

 「下層部脱出完了。ポッド残数ゼロです!」

 

 空間が歪み、ゲートのようなものが現れ、艦船はゲートを抜け、月の裏側に出た。 そして、その艦船から謎の光が放たれ、無数の光はコアとなって地球の上空に降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 地球、西暦2025年、アメリカ、ニューヨーク、上空から無数の光輝く種が流星のように降り注いだ。それと同時に巨大な機械の姿をしたブラキオサウルスが現れ、更に様々な動物の姿をしたメカが現れ、街を蹂躙していった。

 同時に世界各地に地殻変動と異常気象が起こった。そして世界のテレビもそれを中継し、人々は混乱に陥った。

 

 「世界の各地で頻発している大規模な地殻変動、そして未曾有の異常気象の原因は1週間前に宇宙から飛来した巨大な飛行物体の墜落と何か関連があるものとして、現在……」

 

 「怪物です! 地殻変動に続いて今度は奇怪な姿の怪物たちが都心部に出現しました! 生物なのかメカなのか未知の怪物たちが街を破壊していきます!」

 

 

 

 街を蹂躙し、破壊していく機械の身体を持った正体不明の生物は他の生物と争いながら暴れていった。

 ブラキオサウルス型が町を進み、タイガー、カブトムシ、クワガタ、ワニ、ゴリラ等、様々な動物の姿をしたメカのような怪物が次々と町を破壊していった。

 謎のメカ生命体の登場と共に発生した地殻変動や台風で海にある揺れる空母が突然両断され、海から巨大な鋸を持つ恐竜型メカが現れ、咆哮を上げ、同時に地殻変動で噴火した火山の下から緑色の光線が放たれ、周囲の都市や山脈をまるで核兵器のような威力で一瞬で壊滅させ、その中からは巨大なティラノサウルス型のメカが現れ、火山の噴火や雷がなると同時に目一杯咆哮を上げ、その咆哮が世界の滅亡を暗示するかのように世界各地は地殻変動によって全て壊滅した。

 

 

 突然現れた金属の肉体を持つ謎の巨大生物の正体は、地球から約6万光年離れた惑星Ziに住む金属生命体ゾイドだった。本来地球に存在するはずのないゾイドが謎の宇宙船とコアのような謎の物体の飛来によって突然現れ、大規模な地殻変動によって地球は一度滅んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから100年後、新地球暦30年、帝国領の旧ロンドンに巨大な亀裂と荒廃した街を走る1台の車があった。その車にはバズ・カニンガムと名乗る男とレオ・コンラッドという少年が乗っていて運び屋の仕事をしていた。

 その横を横切るかのようにカイコガ種ゾイドのキャタルガが現れ、そのコクピットに乗っているバズの知り合いは、

 

 「よう、バズ! 相変わらず、まだそんな時代遅れの車に乗っているのか? ゾイドに乗れば、そんな苦労は無くなるぜ。」

 

 「悪いな、俺はこう見えてオーソドックスなんでね。」

 

 「けど、いつかはそいつも無くなるぜ。」

 

 知り合いの乗るキャタルガがそのまま去ったのを見たバズは、

 

 「やれやれ、最近、元々地球にあった産物を使わずにどいつもこいつもゾイドを使うようになって来やがった。

 レオ、いい加減、お前も何かいいゾイド見つからんのか? お前さんの親父は優秀な考古学者だと聞いた。

 だとするなら、お前もゾイドのことはよく知っているはずだろ?」

 

 「そうは言っても、俺はまだ、父さん程ゾイドのことには詳しくなくて… 」

 

 「言っとくが、もしゾイド見付けられなかったら、今月の家賃全て払ってもらうぞ。」

 

 「家賃!? ちょっと待ってよ。バズ! 家賃なんて発生してたの!?」

 

 「あったり前だろ! 親がいなくて、独り身のお前を無償でお泊まりさせる程、俺はお人好しじゃないんでね。」

 

 

 家に着いたバズとレオは次の運び屋の準備をする中、レオはバズの車をいじっていた。

 

 「おいおい、何やってんだ? レオ。」

 

 「何って、もし、ゾイド見付けられなかった代わりにバズの車を飛行船に改造しようと思って。」

 

 「たく、俺の車を勝手に弄んないでくれよ。もし、これで壊れたりでもしたら、その修理代全部お前に払って貰うぞ。」

 

 「そんな……」

 

 「ま、ゾイドの知識はともかく、改造のセンスは中々だな。」

 

 「父さんから学んだからね。」

 

 「けど、何で俺の車を飛行船になんかしようとしているんだ?」

 

 「だってよ。今まではイージスバレーを迂回する行路を通ってきたけど、そのイージスバレーを飛び越えれば、最短ルートで行けるし、今よりずっと楽になるんだよ

!」

 

 「肝心の荷物はどうするんだよ?」

 

 「そ、それは、まだ考え中だよ。」

 

 「まあ、確かにあの厄介な亀裂のおかげで、いつも遠回りになるが、あれのおかげで、ジャミンガの連中は街に襲いかかって来ないから、助かっているけどね。

 あ、そうだ。レオ。 次の運び屋の仕事は夜からだから、その間にお宝探しに付き合ってくれないかね?」

 

 「お宝?」

 

 「レアメタルは高値で売りさばけるからな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バズとレオはイージスバレーを抜け、かつてゾイドクライシスで崩壊した街に入った。街はゾイドクライシスの規模を物語るかのように荒れ果てていた。バズとレオは車から降り、

 

 「いいタイミングだ! どうやら今日はジャミンガはお留守のようだ。」

 

 「急いで、レアメタルを回収しよう。」

 

 ビルの中に入るバズとレオ、そこには崩れた幾つもの古代生物の化石があちこちに散らかっていた。

 

 「ヒュー、どうやらここは博物館のようだな。」

 

 「レアメタルはここの発電機室にありそうだ。」

 

 「ここにゾイドの化石もありゃ、一石二鳥なんだがな。」

 

 「そう簡単に見つかるわけないよ。 ん?」

 

 突然、レオが立ち止まり、

 

 「いやいや、ここは博物館だぜ! もしかしたらゾイドの化石を集めているかもしれないぜ。 ん? おい、どうした? レオ。」

 

 レオの脳裏にライオン種のような骨格が浮かび上がり、その骨格の目が光り、徐々に姿が形成され、ライガーが現れ、レオに向かって吠えた。

 

 ガオ~!!

 

 「おい、レオ! レオ!」

 

 「は!」

 

 「どうした? 顔色が悪いぜ。」

 

 「あ、いや、何でもないよ。」

 

 「おや、ひょっとして何か良いもんでも見付けたのかな?」

 

 「そんなもんじゃないよ。」

 

 「とりあえず、レアメタル回収しようぜ!」

 

 「あ、待ってよ! バズ。」

 

 

 

 

 

 荒廃した街にマスクをした1人の少女が歩いていた。少女は周囲を徘徊している中、倒れたビルの下から全身が錆び付いたボーン形態のラプトールの群れがゾンビのような動きで少女に襲いかかってきた。ジャミンガだった。

 少女はジャミンガから必死に逃げようと走るが、あっという間にジャミンガに取り囲まれてしまった。少女はあっという間に逃げ場を失い、パニックになってしまった。

 

 「きゃあぁー!!」

 

 

 

 

 

 

 博物館から多数のレアメタルを回収したレオとバズ、レオは何か聞こえたかのような反応をした。

 

 「ん?」

 

 「どうした? レオ。」

 

 「いや、誰か声が聞こえたような…」

 

 「声? 冗談はよせ。第一こんなところに人がいるわけないだろ! ジャミンガがうようよいる街だぜ。

 さて、レアメタルも大量に手に入ったわけだし、ジャミンガの連中が来ない内にさっさとずらかろう。」

 

 「きゃあぁー!!」

 

 再び少女の悲鳴がし、それを聞いたレオは、

 

 「やっぱりだ! 誰かいるんだ。俺、ちょっと見てくる。」

 

 「おい、ジャミンガが来たら、どうするんだよ!?」

 

 「その時はバズだけでも逃げて!」

 

 走り去るレオを見たバズは呆れ果て、

 

 「たく、さっきも変だったし、とうとうあいつ、幻聴まで聞こえちまったのか?」

 

 

 

 

 

 

 ジャミンガは少女を喰らうように少々に襲いかかってきた。少女はジャミンガの口を避けるが、大量のジャミンガを全て避けきれずパニックになってしまう。少女が諦めかけたその時、少女を真っ先に喰らおうとした先頭のジャミンガにレオが突進し、他のジャミンガもワイヤーで動きを止め、ジャミンガたちを撹乱させた。レオは少女の側に立ち、

 

 「君、大丈夫?」

 

 「あ、ありがとう…」

 

 「こいつら、ジャミンガだ! 早く逃げよう。」

 

 しかし、その隙を狙うかのようにジャミンガは少女とレオに襲いかかってくる。レオは少女をなんとか守るが、ジャミンガの牙がレオの背中に刺さり、出血してしまう。同時に少女もその衝撃でマスクが取れ、素顔が現れた。少女は傷ついたレオを気遣うように、

 

 「だ、大丈夫ですか?」

 

 「大丈夫だよ! それより、君、怪我は…」

 

 素顔を見せた少女を見たレオは何か今までにない感情が表れた。ジャミンガは尚も襲いかかってきた。レオは少女の手を握り、ジャミンガの群れから逃げようとした。

 

 「早く、ここから離れよう。」

 

 「待って、呼吸器が!」

 

 「今は後だ! とにかく奴等から離れよう。」

 

 レオは少女の腕をしっかり握り、走って行った。しかし、ジャミンガの群れは尚もレオと少女を追いかけていった。

 

 「これじゃ、キリがない。」

 

 その時、レオはビルの隙間を見付けた。

 

 「こっちだ!」

 

 レオは少女と共にその隙間に入って行った。ジャミンガたちもそこに入ろうとするが、狭すぎて入れず、遂に諦めて向こうへ行った。ジャミンガが諦めたのを見たレオはほっとため息をつき、

 

 「ようやく、諦めたか。ここまで来れば、大丈夫だ。」

 

 しかし、喜んだのも束の間、助けた少女は突然苦しみ出した。

 

 「ごほっ、ごほっ、ごほっ!」

 

 「おい、君大丈夫か!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオは少女ををレアメタルを回収した博物館の隣のビルの中にあるソファに寝かせ、バズに一連のことを説明した。

 

 「で、この子がマスクをしていたって!?」

 

 「だから、ほら、呼吸が苦しそうだよ。」

 

 「地上でマスクが必要ってことは、俺たちより1つ上の世代だ。彼女はどう見たって、まだ10代の女の子だぜ。しかも、お前より年下のようだし。」

 

 「でも……」

 

 「とにかく、話は後だ。ジャミンガが来る前にさっさとここからずらかろう。」

 

 「待てよ、この子を放っていくのかよ!?」

 

 「そんなことまで手回ってられねぇよ。車を取ってくるぞ。」

 

 そう言ってその場を立ち去るバズ、レオは苦しむ少女を見て、

 

 「やっぱり駄目だ。このままほうって置いたら、この子が死んでしまう。君のマスクを取ってくる。」

 

 マスクを取りに行こうとするレオに、少女が起き上がり、

 

 「待ってください。ごほっ、ごほっ、逃げて……軍が来る。」

 

 「軍?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ズドン、ズドン! 

 

 襲いかかってくるジャミンガたちを対空速射砲を装備した帝国軍のラプトール、スコーピア部隊が一斉射撃を開始した。ジャミンガは武装もなく、全身が錆び付いているため、帝国軍のゾイドに敵うわけなく、全て全滅した。キャノンブル、キャタルガも現れ、キャノンブルのコクピットから1人の帝国軍将校が現れ、破壊したジャミンガの頭を踏みつけた。

 

 「は、ゾイドのなり損ないが、土に還れ!」

 

 「リュック隊長! これを。」

 

 1人の兵士は少女のマスクを発見し、それをリュック隊長に見せた。それを見たリュック隊長は、

 

 「キャタルガは街の出口を塞げ! 後は全員少女を捜索だ。」

 

 「了解!」

 

 「け、たかが、1人の少女を捜すのにこんなところまで来ることになるとは。」

 

 その時、生き残った数体のジャミンガがリュック隊長の背後を狙うかのように、ゆっくり、ゆっくりと近付いて行った。

 

 ズドン、ズドン!

 

 その時、再び砲撃がし、リュック隊長に襲いかかろうとしてきたジャミンガは一瞬で破壊された。

 現れたのは、目にバイザーが取り付けられ、全身が黒いカラーリングになっていて特別な改造を施した帝国軍最強のハンターウルフ改だった。

 ハンターウルフ改のコクピットから降りたのは、細身で、綺麗な銀髪のロングで、一見少女にも見えそうな中性的な容姿をした16歳の少年だった。少年を見たリュック隊長は、

 

 「ユウト・ザナドゥリアス少尉か…」

 

 「あれくらいの不意討ちに気付けないようでは、サリーを探し出すことは出来ませんよ。リュック隊長。」

 

 「黙れ、あれくらいのことなど、直ぐに見破っている!」

 

 「隊長、お分かりかと思いますが、サリー・ランドは帝国の脱走犯、すなわち、我々に命じられているのは彼女の生け捕り。

 もし、殺したりでもしたら、人道的行為に違反し…」

 

 「黙れ! 貴様は博士の助手としてこの付近にいるとされるライオン種ゾイドの捜索を命じられているのだろ? だったら、貴様の任務は少女の捜索ではない。」

 

 「ですが、サリーの捜索には私にも博士から命ぜられています。私はあなたが余計なことをなさらないよう、注意をしているだけです。

 私は引き続き、例のライオン種のゾイドを捜索します。サリーが見つかりましたから、一応報告してください。では、」

 

 そう言って少年はハンターウルフ改に乗ってその場を立ち去った。立ち去るハンターウルフ改を見たリュック隊長は歯を食い縛り、

 

 「くそ、何故あんな若僧に気を遣わせなければならないのだ!?」

 そこを瓦礫の下から様子を見ていたレオは、

 

 「何で、帝国軍がここに? まさか、あの子が言っていた軍って…」

 

 レオは急いで少女のいるビルに急いで戻った。少女のいるビルに帝国軍兵士が入り、帝国軍兵士は少女を見付けた。兵士は無線で報告しようし、

 

 「こちら…」

 

 その時、無線機がワイヤーで飛ばされ、兵士たちはレオによって蹴散らされた。それを見て唖然とする少女、レオは少女に寄り添い、

 

 「早くここから逃げよう。」

 

 その時、足音がし、リュック隊長と帝国軍兵士がレオたちの前に現れた。

 

 「サリー・ランドだな。大人しく我々の元に来てもらおうか。」

 

 それを聞いたレオはリュック隊長に、

 

 「この子をどうするつもりだ?」

 

 「民間人のお前がそれを知る必要はない。さあ、その少女を渡すんだ。」

 

 「嫌だ!」

 

 「そうか、そんなに死にたいか。撃ち殺せ!」

 

 少女は声を上げ、

 

 「止めて!」

 

 「ふん、」

 

 「あなた方と行きます。だから、この人には手をないで。」

 

 「来るんだ。サリー・ランド。」

 

 それを聞いたレオは、

 

 「(サリー・ランド? それがこの子の名前…)」

 

 少女はゆっくり、リュック隊長の元に行き、

 

 「行っちゃ駄目だ!」

 

 ププー!!

 

 「ん?」

 

 その時、車のクラクションが鳴り、リュック隊長はその音に釣られ、レオはその隙にワイヤーで天井の照明を落とした。煙が晴れるとそこにレオと少女はいなかった。

 

 「くそ、逃げたか。」

 

 レオはサリーを抱き抱え、バズの車まで行った。

 

 「どちらまで?」

 

 「帝国軍がいないところ!」

 

 「帝国軍? おいおい、レオ。お前何やらかしたんだ?」

 

 「説明は後だ! 早く車を出せよ!!」

 

 「料金は高く付くぞ!」

 

 走り去るバズの車を見たリュック隊長は無線で、

 

 「絶対に逃がすな! ラプトール、スコーピア、西に転回しろ。ターゲットが逃げた。 私のキャノンブルもこちらに回せ。」

 

 それを聞いた1人の兵士は、

 

 「リュック隊長、ザナドゥリアス少尉に報告は?」

 

 「そんなもん、必要ない! 奴にはゾイドの捜索をさせておけ。」

 

 バズの車を帝国軍のラプトールとスコーピアが追ってきた。

 

 「おいおい、帝国軍のゾイドとカーチェイスなんて聞いてねぇぜ!」

 

 「バズ、もっとスピード出せる?」

 

 「出せるけど、こっからはきついぞ? お嬢さん、しっかり捕まってな!」

 

 それを聞いた少女はきょとんとし、

 

 「え?」

 

 バズは車を目一杯出し、一気にラプトール、スコーピアとの距離を離した。レオと少女は必死に掴まり、

 

 「うわあぁ~!!」

 

 「きゃあぁ~!!」

 

 「絶対に逃がすな!」

 

 ラプトールとスコーピアは対空速射砲を撃ちながら、バズの車を追った。

 リュック隊長はキャノンブルのコクピットに乗り、コクピットのケーブルがリュック隊長の着用しているスーツに接続し、キャノンブルのコクピットが起動した。

 

 「キャノンブル、発進!」

 

 キャノンブルはバイザーを輝かせて起動し、そのままバズの車のところに向かった。

 

 「サリー・ランドは私の手で捕らえる。 あんな小僧に名誉は渡さんぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオたちがレアメタルを回収したところにハンターウルフ改が待機し、ユウトはコクピットから降りて中を捜索していた。あちこちに散らばっている化石を見ながら、発信器を見て、

 

 「ゾイドらしき化石は見当たらないが、間違いなくここに普通のゾイドではない反応がある。それにしても一体何処に?」

 

 ズキッ、

 

 その時、少年に頭痛が走り、

 

 「この反応… やはり、近くにいる。」

 

 少年は周囲を散策して歩き回った。その時、突然下の瓦礫で足を滑らし、地下に落ちてしまった。

 

 「う、うわあぁー!!」

 

 少年が目を覚ますと、目の前にライオン種らしきゾイドの骨格があった。

 

 「あった。これだ。博士が探していた例のライオン種のゾイド。 

 骨格の形状は以前帝国軍が復元していたワイルドライガーに酷似しているが、この反応は明らかに並みのワイルドライガーの反応ではない。」

 

 少年はそのゾイドの骨格に手を触れるが、突然少年の身体に電流が走った。

 

 「う、うわあぁー!!」

 

 少年は電流で突き飛ばされた。

 

 「あらゆるゾイドを従えてきたこの僕を拒否するゾイドがいるなんて…」

 

 その時、ゾイドの骨格がオレンジ色に輝いた。それを見た少年は、信じられないようか光景を見るかのように、

 

 「これは…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帝国軍のラプトール、スコーピアから必死に逃げるバズの車、ラプトール、スコーピアは対空速射砲をガンガン撃ち込むが、バズは右往左往に車を動かしながら、ラプトールとスコーピアの攻撃を避けて走って行った。レオとサリーは酔いそうになりながらもしっかり捕まって行った。サリーはますます苦しみだし、レオはサリーをしっかり抱き抱えた。

 

 「君、大丈夫? バズ! これ以上無茶な運転は危険だ!」

 

 「んなこと言っても、あいつら俺たち殺す気だぜ! 早く逃げないと!」

 

 街の出口に入ろうとしたその時、キャノンブルが目の前に現れ、バズは急ブレーキを駆けた。

 

 キキー!!

 

 バズはキャノンブルを避けようとするが、キャノンブルは3連ミサイルポッドをバズの車に撃ち込んだ。避けきれず、その衝撃でバズの車はスリップしてしまう。キャノンブルに乗っているリュック隊長は、

 

 「小僧、いい加減、サリー・ランドを渡せ。でないと車ごと吹っ飛ぶことになるぞ。」

 

 レオはサリーを抱き抱えて車から出た。

 

 「そうだ。そのままこちらに渡せ。」

 

 レオはリュック隊長が目を離した隙に逃げる準備をしているが、背後にはラプトールとスコーピアが待ち構えていた。

 

 「貴様に逃げ場はない。諦めて大人しくサリー・ランドを渡すんだ。」

 

 逃げ場がないとわかってレオが諦めかけたその時、突然、少女のペンダントがオレンジ色に輝いた。

 それと同時に博物館にあるライオン種の骨格の目が光り、更に全身の骨格もオレンジ色に光り輝いた。

 

 「なんだ、これは?」

 

 強烈な光りで少年は腕で光りを遮るが、光りが収まるとそこにライオン種のゾイドの骨格の姿はなかった。

 

 「何!? 一体何処に?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キャノンブルが片足でレオと少女を踏み潰そうとしたその時、突然、ビルの瓦礫から巨大な影が現れ、リュック隊長のキャノンブルに体当たりした。キャノンブルはその衝撃で倒れ、巨大な影はキャノンブルに向かって吠えた。

 巨大な影は紅蓮色のワイルドライガーだった。それを見たレオは、 

 

 「こいつは、ワイルドライガーなのか?」

 

 紅蓮のワイルドライガーはレオをじっと見詰めた。それを見たレオは、

 

 「もしかして、俺に乗れってことなのか?」

 

 ワイルドライガーはゆっくり頷いた。

 

 「よし、わかった!」

 

 レオは少し戸惑ったが、立ち上がろうとするキャノンブルと背後のラプトール、スコーピアを見て、覚悟を決め、

 

 「バズ、この子を頼む!」

 

 「お、おい、レオ!」

 

 レオは少女をバズに渡し、そのまま紅蓮ワイルドライガーのコクピットに乗った。

 

 「行くぞ、ワイルドライガー!」

 

 ガオ~!!

 

 ラプトールとスコーピアは紅蓮ワイルドライガーに向けて一斉砲撃するが、紅蓮ワイルドライガーはそれを全て瞬時に避け、一瞬でラプトール、スコーピア隊を一気に壊滅させた。

 

 「凄い、凄いぞ、ワイルドライガー!」

 

 ラプトール、スコーピア隊を倒した紅蓮ワイルドライガーはキャノンブルに向かって咆哮を噛ました。紅蓮ワイルドライガーを見たリュック隊長は、

 

 「あれは、ワイルドライガー。しかし、軍のデータにはどれも該当しない。新種の亜種ということか……

 面白い、ついでにあのライガーも鹵獲して我が帝国軍の戦力に加えてやる。」

 

 キャノンブルは紅蓮ワイルドライガーに突進し、紅蓮ワイルドライガーはそれを難なく避けた。

 

 「上手く避けたつもりのようだが、今度はそう上手くいかんぞ。」

 

 キャノンブルは紅蓮ワイルドライガーに3連ミサイルポッドを撃ち込んだ。

 

 「う、ぐ……だぁ、」

 

 キャノンブルのミサイルを喰らって苦戦する紅蓮ワイルドライガー。

 

 「くそ、ワイルドブラストが出来れば… そうだ。ライガー! ワイルドブラストできるか?」

 

 それを聞いた紅蓮ワイルドライガーは頷いた。

 

 「ようし、行くぞ、ワイルドブラス…」

 

 しかし、ワイルドブラストを発動しようとしたその時、コクピット中に電流が迸り、レオとライガーが苦しみ出した。

 

 「ぐ、ぐわあ~!!」

 

 グオ~!!

 

 「レオ!」

 

 それを見たリュック隊長は、

 

 「バカめ、耐Bスーツ無しでワイルドブラストを発動出来るものか!」

 

 キャノンブルは紅蓮ワイルドライガーに向かって突進し、角を紅蓮ワイルドライガーの身体に突き刺した。キャノンブルの角が紅蓮ワイルドライガーの身体に深く突き刺さった。それを見た少女は見ていられないように両手で目を隠した。

 

 「ああー!!」

 

 キャノンブルはそのまま紅蓮ワイルドライガーを振り回し、ビルの方に叩き潰した。

 

 「本当のワイルドブラストを見せてやる。制御トリガー解除、キャノンブル、兵器 解放! マシンブラストー!! 9連キャノン砲をお見舞いしてやる。喰らえー!!」

 

 マシンブラストしたキャノンブルの9連キャノン砲のドレッドシールドが開き、キャノン砲を紅蓮ワイルドライガーに撃ち込んだ。キャノン砲をまともに食らい、崩れたビルの瓦礫の下敷きになってしまう。 コクピットのレオはその衝撃で気絶してしまう。

 

 「最初(はな)から、ゾイドのスペックが違うのだ!」

 

 「レオ、立て! 逃げろ!」

 

 コクピットの中で力を振り絞って起き上がろうとするレオ、しかし、紅蓮ワイルドライガーもダメージが大きく中々起き上がれない。迫ってくるキャノンブルを見たレオは悔やみ、

 

 「くそ、俺は何も出来ないのか! せっかく相棒ゾイドに乗れたっていうのに、あの子を守れず、ライガーまで見殺しにしてしまうなんて、俺はなんて無力なんだ!」

 

 レオは拳を叩きつけたその時、少女のペンダントが再び光り出した。オレンジ色に光り輝くペンダントを見た少女はペンダントを握りしめ、ライガーの元に向かった。

 

 「お、おい!」

 

 キャノンブルが紅蓮ワイルドライガーの近くまで来た時、少女はペンダントを紅蓮ワイルドライガーに向けて投げた。

 その時、紅蓮ワイルドライガーは再びオレンジ色に輝き、装甲のアーマーの姿が変わり、ライガーの姿が徐々に変わっていった。同時にコクピットにいるレオにもその光りが降り注ぎ、左腕が金属化していった。

 ペンダントの力で姿が変わったライガーは紅蓮のワイルドライガーから白いアーマーと赤いタテガミを持つライガーに変わった。それを見た少女は、

 

 「ビースト… ライガー…。呼吸が。」

 

 姿が変わったライガーを見たレオは、

 

 「ビーストライガー… それがお前の本当の名前なのか?」

 

 レオの問いにライガーはゆっくり頷いた。ビーストライガーの姿を見たリュック隊長は驚愕し、

 

 「何!? 姿が変わっただと! どういうことだ?」

 

 「ようし、行くぞ、ビーストライガー。お前の力を見せてみろ!」

 

 キャノンブルはビーストライガーに向かって突進するが、ビーストライガーはそれを難なく避け、キャノンブルにぶつけて突き飛ばした。

 

 「さっきより、動きが早くなっているが、どちらにせよ、同じことだ。もう一度9連キャノン砲を喰らえ! ナインバーストキャノン!!」

 

 キャノンブルは再び9連キャノン砲を放ち、ビーストライガーはその砲撃を喰らって再び崩れたビルの瓦礫の下に潜ってしまう。それを見たサリーは、

 

 「は!」

 

 「言ったはずだ。ゾイドのスペックが違うとな!」

 

 しかし、ビーストライガーは瓦礫の下から現れ、全くの無傷だった。

 

 「何!?」

 

 コクピットにいるレオの左腕が突然光だし、ビーストライガーはレオに何か言いたいかのように頷いた。

 

 「よし、いくか!」

 

 それを見たサリーは、

 

 「ワイルドブラストする気なの?」

 

 「ビーストライガー、進化 解放! エヴォブラストー!!」

 

 ビーストライガーのタテガミクローが前に展開し、ビーストライガーはキャノンブルに向かって走って行った。

 

 「バカめ、ワイルドブラストをしたところで、耐Bスーツ無しではその衝撃に耐えられるわけがない。 ナインバーストキャノン!!」

 

 キャノンブルは向かってくるビーストライガーに9連キャノン砲を撃ち込むが、ビーストライガーはレオと上手くシンクロし、キャノンブルの9連キャノン砲の弾の動きが全てわかるかのようにかわし、突っ込んでくるキャノンブルと激突する。 

 

 「ビーストオブクローブレイク!!」

 

  激突の末、シーザーはキャノンブルの角を折る。

 

 「バカな!私のキャノンブルがここまで!」

 

 「へへ、やったぜ、ビーストライガー!!」

 

 「車は直った。急いで逃げるぞ!」

 

 「よし、今度こそ、脱出だ。」

 

 倒れたキャノンブルから降りるリュック隊長、兵士たちはリュック隊長を気遣い、

 

 「隊長! お怪我は?」

 

 「大したことはない。」

 

 逃げるビーストライガーを見たリュック隊長は、

 

 「あれがボーマン博士の研究成果か… なるほど、ランド博士や軍上層部があれだけ躍起になるわけだ。」

 

 コクピットの中にあるレオは手袋を外し、金属化した左腕を見た。

 そこを高層ビルの屋上でハンターウルフ改から降り、双眼鏡でビーストライガーを見たユウトは、

 

 「あれがビーストライガー… 帝国軍のどのデータにも載っていない紅蓮色のワイルドライガーが更に姿を変えるなんて、ランド博士に報告しなければならないようだな。」

 

 そう言ってユウトはハンターウルフ改に乗ってその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (帝国領のバルトア地帯)

 バズの知り合いが乗るキャタルガが走っている中、コクピットに何か反応があった。

 

 「やけに強い反応だな。」

 

 反応が最大になったところでキャタルガが地面にスリップしてこれ以上進めないのをを見たバズの知り合いは、キャタルガを止め、コクピットから降りた。

 

 「ここいらが限界か… 大人しく待っていろよ。」

 

 バズの知り合いはキャタルガに待つよう指示を出し、ロボットを引き連れ、発信器付きのゴーグルを付け、反応を便りに進んだ。

 

 「メタルハンノウ、カクニン!」

 

 「ジャミンガは? … オシッ!」

 

 「キョリ1.658」

 

 「Zハンノウナシ アンゼンヲカクニン。」

 

 「あれは遺跡群か? あそこから反応が出たのは、間違いない。 あのデカいのは何だ?」

 

 バズの知り合いはその場所に走って行った。

 

 「… ハァッ、ハァッ、ハァッ… 」

 

 ゾイドクライシスで崩れ落ちた遺跡群に辿り着き、そこにあったのを見たバズの知り合いは驚愕する。

 

 「これは、何だ!?」

 

 そこにあったのは4つのコアが埋め込まれたゲートのようなものだった。

 

 To be continued




次回予告
 
 ビーストライガーを相棒にし、リュック隊長率いる帝国軍を退けてサリーを助けたレオとバズだったが、レオたちは逃亡犯にされ、帝国軍に追われるようになった。
 しかし、そんなレオたちの前に帝国軍最強のハンターウルフ改が襲いかかってきた。
 
 次回
 
 「追奔 襲撃! 帝国軍」

 走り抜け、ライガー!!


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第2話 「追奔 襲撃! 帝国軍」

ゾイド、それは銀河の彼方に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。


 荒廃したビルの屋上で通信を取るユウト、ユウトは帝国の最高科学顧問フランク・ランド博士とコンタクトを取っていた。

 

 「つまり、そのライガーが突然甦り、しかもサリーを連れた者が乗ったと…」

 

 「はい、間違いないです。」

 

 「ふうん、実に興味深いな。まあ、よい。一応こちらで調べておく。とにかくお前はこちらに戻れ!」

 

 「了解しました。」

 

 通信を切るユウト、その時、

 

 ズドン、ズドン!

 

 「ん?」

 

 突然ミサイルと大砲を撃ち込む音がし、ユウトが下を見ると、そこには見失ったサリーの行方を探すために荒廃したビルに9連キャノン砲と3連ミサイルポッドを撃ち込んだリュック隊長のキャノンブルが現れ、周りには帝国軍のシェル軍曹が乗り、キャノンブルと並ぶ主力ゾイドのワニガメ種のバズートルの部隊がいた。

 

 「くそっ! 何処に行った!? 探せ! まだそう遠くへは行けまい。」

 

 それを見たユウトは、

 

 「随分派手にやっているようだな。行くぞ、ウルフ。くれぐれも悟られるな。」

 

 ハンターウルフ改はリュック隊長らに見付からないようにその場を去った。

 

 「これだけ、探しても見付からないとは!」

 

 その時、コクピットから通信が入り、

 

 「ん? 通信? ランド博士からだと!」

 

 

 

 

 

 リュック隊長率いる帝国軍から逃げたレオたちは家に戻り、サリーを自室で寝かせた。サリーは悪夢に魘されていた。

 

 「う、う~ん…」

 

 サリーは夢を見ていた。夢ではサリーは地球に移住するための宇宙船に乗っていて、目の前に巨大なキューブを見て祖父のボーマン博士と話していた。

 

 「地球?」

 

 「そう、地球だ。あの装置には地球を再び人とゾイドの住める星に変えるためのZiホーミング装置なのだよ。

 

 「遠い昔、我々の先祖が地球から移住してきたのはサリーも知っているね?」

 

 「はい!」

 

 「当時の地球人は環境汚染に蝕まれていた地球を捨て、新天地を宇宙に求めて、長い長い放浪の末、この惑星Ziに辿り着いた。」

 

 「なのに、なんのために地球を再生しようとしているの?」 

 

 「我々の故郷である惑星Ziは我々がゾイドを戦争のための兵器として利用し、いつ果てるとも知れない戦争を繰り返しただけに我々は我々の故郷を死に追いやり、その寿命は残り一年となってしまった。」

 

 「え!?」

 

 「そのため我々は我々の本来の故郷である地球に再び移住する計画を立てなければならなくなったが、地球を惑星Ziと同じ目に逢わせないために私は日々研究を積み重ねた。

 惑星の再構築に必要なエネルギーの問題は長年の研究であるゾイド因子を利用することで解決した。

 これによって再生された地球には地球由来のゾイドが自然発達するという二重のメリットがある。このリジェネレーションキューブはその研究の集大成なのだ。 サリー、お前はゾイドを愛しているか?」

 

 「はいっ!」

 

 「サリー、これだけは覚えておいてくれ。ゾイドはかつて、我々の先祖がゾイドを戦争兵器に使ったようにゾイドには悪の部分もあれば、同時に善の部分もある。リジェネレーションキューブは地球を救い、生まれたての地球の開拓のためにゾイドの力を借りたものだ。これは地球のための装置なのだ。それを忘れるな。」

 

 「はい、お爺さん。」

 

 「さて、我々もそろそろコールドスリープに入らなくてはな。」

 

 「なんだか、怖いな。」

 

 「大丈夫! 後は船が自動で地球まで連れてってくれる。太陽系に入ると、プログラム通りにZiホーミングが発動して目覚めた時にはもう目の前に新しい地球が誕生しているさ。」

 

 「うん。」

 

 その時、

 

 ビー、ビー!!

 

 宇宙船内の非常ベルが鳴った。

 

 「何が起こった!?」

 

 「博士! 船で反乱が起きました! 急いでここから脱出してください!!」 

 

 ドカーン!!

 

 突然、ドアが凄い勢いで破壊され、破壊されたドアからは暗くてその姿を見ることは出来ないが、マントを着用し、人型の怪物のような姿をした者が背後に銃を持った兵士を引き連れて現れた。

 作業員たちは銃を持って怪物と反乱者に撃ち込もうとするが、怪物は手から紫色の電撃を放ち、次々と作業員たちを一瞬の内に消滅させ、背後の兵士たちも作業員たちを撃ち殺した。それを見て恐怖するサリー。

 怪物は信じられないような跳躍力でジャンプし、サリーとボーマン博士の目の前にまで現れた。怪物はリジェネレーションキューブに触れようとし、

 

 「ならん! 端末に触れてはならん!!」

 

 ボーマン博士は阻止しようとするが、博士は怪物に首を捕まれてしまう。

 

 「おじいさん!」

 

 怪物はボーマン博士に、

 

 「貴様がドクターボーマンか?」

 

 「それがどうした?」

 

 「この端末は私が地球とゾイドを支配するための究極の肉体を得るために使わせてもらう。」

 

 「そんなことはさせない! 地球もゾイドもお前が支配するための道具じゃない!!」

 

 「残念だが、この装置は私のために開発され、貴様はそのために働かされただけに過ぎん。Ziホーミングシステムも元々は我々の計画なのだ。 そして、貴様はこれで用済みだ。」

 

 「おじいさん!」

 

 「来るな! サリー。」

 

 ボーマン博士は苦しみながらもペンダントを取り出し、

 

 「これを… お前に託す。 お前はペンダントの導く場所へ向かえ! 自分の使命を全うしろ!!」

 

 「おじいさん!」

 

 ボーマン博士はペンダントをサリーに向けて投げ、ボーマン博士はそのまま怪物に放り投げられてしまった。ペンダントをキャッチしたサリーは泣きながら、

 

 「おじいさーん!!」

 

 怪物は紫色の電撃が迸った手でリジェネレーションキューブの端末に触れた。それを見たサリーは、

 

 「やめてー!!」

 

 その時、端末は紫色に発光し、宇宙船は紫色の光に包まれた。そして、宇宙船はそのままゲートを抜け、現代の地球にワープし、ワープする直前に宇宙船から紫色のコアが飛び出し、別に現れたゲートに吸い込まれていった。

 

 「ハァッ! ハァッ、ハァッ。 ハァッ。」

 

 夢から覚めたサリーは周りを見渡し、レオたちに助けられたことを思い出しながら、ほっと一息を付き、ペンダントを見た。

 

 「おじいさん…」

 

 目が覚めたサリーは一階に降りようとし、新聞を読んでいるバズは料理しているレオを見て、新聞を読んでいるバズはレオに、

 

 「なあ、レオ。」

 

 「なあに、バズ?」

 

 「まさか、あの子をこのまま匿うつもりか?」

 

 「しょうがないだろ! このまま放って置くわけにもいかないし…」

 

 その時、バズはレオに新聞を見せ付け、新聞にはサリーの写真が載っていた。

 

 「あの子、帝国から逃げた脱走犯なんだぜ。だとすると、これ以上、あの子を匿ったら、俺たちも同罪になる。さっさとあの子をどっかに行かせた方がいいぞ。」

 

 「ちょっと待てよ! バズ。 まさか、サリーを見捨てるのか!?」

 

 「俺たちは運び屋だ! これでもし俺たちも逃亡犯にされたら、今までの苦労が全てパァになる。これ以上厄介なことに巻き込まれるのは後免だぜ!

 それにお前の身体だって、あの子に会ってから、変な身体にされてしまったし。」

 

 「あれはサリーのせいじゃないよ! それにサリーのお陰で、ライガーだって相棒に出来たし。」

 

 「けど、あのライガーだって見たことないゾイドだし、どちらにせよ、彼女に会っておかしくなっているのは事実だ!」

 

 「で、でも…」

 

 「もし、これで俺たちも帝国軍に追われるようになったら、レオ。お前との縁も切るぞ。 親父さんも自分で探すんだな。とにかく今日の夜はあの子を何処かにやるか、ちゃんと考えるんだな。」

 

 「そ、そんな無責任な!」

 

 「じゃっ、俺は寝るからな。」

 

 「バズ!」 

 

 そう言うと、バズは自室に入った。

 

 「どうすればいいんだ。サリーにどう言えばいいんだ?」 

 

 落ち込むレオを見たサリーは部屋に戻り、暫く考え、レオとバズが寝るのを確認したサリーは気付かれないように家を出た。サリーはレオのいる家を見て、

 

 「ごめんなさい…」

 

 サリーはそのまま家から離れようとするが、目の前にビーストライガーが現れ、サリーの行方を遮った。サリーはライガーを避けて通りようとするも、ライガーはサリーを通させないようにした。

 

 「お願い… 通して。」

 

 しかし、ライガーはサリーを家から出てはいけないと言わんばかりに首を振った。

 

 「サリー。」

 

 その時、目を覚ましたレオがサリーのところに現れた。

 

 「レオ…」

 

 「ライガーは君を守ろうとしているんだよ。ライガーは君のペンダントの力で甦ったから、ライガーにとってはサリーが主人なんだからね。」

 

 申し訳なさそうな表情をするサリーを見て、レオは、

 

 「俺たちに迷惑をかけないように、家から出ようとしていたんだよね。 でも、そんなことしたら、君はあの帝国軍に捕まってしまうんだろ。 だったら、放っとけないよ!」

 

 「でも…」

 

 「それに、君にはまだ聞きたいことがあるからね。」

 

 「でも、これ以上あなたたちを巻き込むわけにはいきません。」

 

 「待って。」

 

 去ろうとするサリーにレオは右手で掴むが、

 

 「あ、ごめん。」

 

 

 「その手は…」

 

 「あ、そう、実は俺の身体…」

 

 レオが上着を脱ぐと、右腕だけでなく、右半身も金属化していた。それを見て驚くサリー。

 

 

 

 

 

 サリーはレオと共に家に戻り、レオはバズを起こして何故帝国軍に追われているのかをサリーに尋ねた。サリーは祖父と共に帝国、共和国どちらにも属さない移民船の船員で、夢で見た船の反乱のことを話した。

 

 「船の反乱の後、辺りが紫色に光って、気が付いた時にはそこに船はなく、お爺さんの姿もなく、私は荒れ果てた街の中で倒れていたんです。

 その後、私は必死になってお爺さんを探したんですが、何処にも手掛かりはなく、そもそもどうして私が地球にいるのかの記憶もないんです。

 お爺さんを探している時に、帝国軍の人に会って、お爺さんの手掛かりを探す代わりに軍の研究を手伝ってくれないかと頼まれ、私は帝国軍で研究を続けてたんですが… 

 帝国軍はお爺さんの研究を欲しがっていて、私はお爺さんを探すための囮として、今まで帝国軍のところで働かされ、多くのゾイドを戦争兵器に改造するための改造の研究をさせられました。私はゾイドを戦争のための兵器に使われるのが嫌になって、それで私…」

 

 「それで、帝国軍から逃げて追われるようになったっていうことなんだね。そのペンダントもお爺さんの?」

 

 「はい、ウォルター・ボーマンという科学者です。」

 

 「ボーマン博士… その人は俺も知っている。地球のZiフォーミング計画の中心人物だ。確か、汚染された地球を人間の住める星に戻そうって計画だ。

 けど、装置には何か重大な欠陥があったらしく、30年前地球に到着した第1世代の人間はその不完全な環境に順応できず、だから、今でもマスクが必要なんだ。不完全な環境が本来なら存在するはずのないジャミンガのような連中まで誕生させちまったんだ。

 だが、この星で生まれた俺たち第2世代はこの星の環境に順応できたお陰で、第1世代と違ってマスクは必要なくなったがな。

 しっかし、それにしても、怪物の姿をした人間が兵士を連れて反乱を起こすっていうのが、どうも胡散臭いな!

 しかも、その後、何がどうなったのかわからず、いつの間にか地球に着いていたなんてのも、どう考えてもおかしい話だぜ。

 オマケに第1世代の君がなんでいきなりマスクが必要なくなったんだよ? もしかして、その話って、全て嘘なのか?」

 

 「バズ! そんなこと言うなよ。サリーはきっとあの光を浴びたんだよ。ライガーを復活させ、ビーストライガーに進化させたあの不思議な光さ。あの光がサリーの身体にも何か特別な変化を与えたんだよ。」

 

 「どうだかね…」

 

 「ところで、サリー。その船で反乱を起こした人たちと怪物って一体何者なの?」

 

 「わかりません。私もあの人たちのことはよくわかりませんし、お爺さんでも、あの人たちのことは話さなかったのですから。

 ただ、わかることは自分たちは自分たち自身の神に従い、それ以外の人間と神を否定し、地球を支配するのは自分たちだと言っていました。」

 

 「神だって?」

 

 「な~んか、カルトっぽい連中だな!」

 

 「それに…」

 

 「それに?」

 

 「あの怪物には、何かとてつもない邪悪な感じがしました。 まるでこの全てを破壊するような邪悪な力を持つような… 私はそれが怖くなって何度も同じ夢を見るんです。」

 

 「もしかして、その怪物が反乱を起こした人たちの神なの?」

 

 「それはわかりません。けど、お爺さんはあの人たちが他の移民船も破壊するつもりだと知って、あの時、怪物に襲われる直前に咄嗟に船のコースを変更しました。」

 

 「君が地球に到着したのはいつかわかる?」

 

 「あの時、地球に来た時はわからなかったのですが、帝国軍にスカウトされて、そこから得た情報によると、おそらく1年前だと思います。」

 

 「1年前だって!?」

 

 「最初の移民船が到着したのは30年前だ。でも、どうしてそんな最近に?」

 

 「それもわかりません。」

 

 「事情はわからんが、それで、マスクが必要だったってわけか。やっぱりお嬢さん、第1世代の人間だったんだな。」

 

 「地球に到着した時はわからなかったんですが、帝国にいて情報を集めていく内にZiホーミングが失敗したということを知ったんです。 ただ、科学船に何があったかまでは……」

 

 それを聞いたレオは、

 

 「そうだ! サリーに見せたいものがある。もしかしたら君の乗っていた科学船の謎が明かせるかもしれない!」

 

 レオはビデオテープを出し、それをテレビに繋げた。それは地球を壊滅した地殻変動であるゾイドクライシスを中継していた。

 

 「世界の各地で頻発している大規模な地殻変動、そして未曾有の異常気象の原因は1週間前に宇宙から飛来した巨大な飛行物体の墜落と何か関連があるものとして、現在……」

 

 映像には空から無数のコアが振り撒いていた。

 

 「これは?」

 

 「100年以上前のニュース映像だよ。」

 

 「お前、いつの間にこんなものを……」

 

 「前にレアメタル回収のために立ち寄った時に見つけて修理したんだ。」

 

 「これって、確か100年以上前に地球を壊滅させたあのゾイドクライシスのことだよな?」

 

 「ああ、これに映っている宇宙から飛来したいくつもの流星と中継の言っていることが凄く気になっていて、もしかしてこれが科学船と関係あるんじゃないかと思って…」

 

 「とすると、その飛行物体はもしかして科学船のことか?」

 

 「多分ね。ただこれによると、装置を乗せた科学船は移民船が到着する100年も前、まだ汚染される前の地球に到着していたことになる。」

 

 テレビ中継を見たサリーは、

 

 「タイムスリップです! 恐らく船の反乱で起きたリジェネレーションキューブの端末の作動で、ワームホールが発生して科学船が時間を逆行して過去の地球に到着した可能性があります。 そして、降り注ぐ流星とは科学船に乗っていたゾイドコアのことでしょう…」

 

 「てことは何か? 科学船が過去の地球で装置を発動させたために地球を再生するどころか、その装置のおかげで逆に地球の壊滅を早めちまったってわけか!」

  

 「地球がこうなったのはお爺さんのせいじゃないんです!」

 

 「まあまあ、落ち着いて、サリー。でもこれで謎が解けたぞ。 

 過去の地球に来てしまった科学船のリジェネレーションキューブが反乱を起こした人たちが装置を発動させた影響でゾイドクライシスが起き、地球は不完全なZiホーミングの環境になってしまって、そのときに自然発生したゾイドもその環境に耐えられなくなって、生命を維持できず、この後、死に絶えて石化して地中に埋もれてしまったんだ。」

 

 「今じゃ、帝国も共和国もゾイドを掘り起こすのに躍起になってるからな。軍備を拡大するために。」

 

 「ですが、リジェネレーションキューブにはゾイドクライシスで壊滅した地球を正常化させる力を持っています。端末を全て正常に作動させれば、地球をゾイドクライシスが起きる前の元の星に戻すことが出来ます。」

 

 「じゃあ、お爺さんに託された使命はそのリジェネレーションキューブの端末の作動ってこと?」

 

 「はい、このペンダントにはそれを正常に作動させるための力を持っています。」

 

 「なるほど、帝国軍はそれを狙って……ねぇ、サリー。お爺さんが何処にいるかは知らない?」

 

 「いえ、あの反乱以来、お爺さんも姿も消え、お爺さんの手掛かりは今はありません。ですが…」

 

 サリーはペンダントを取り出し、ペンダントはオレンジ色に発光し、巨大な地球儀のようなホログラムが現れた。

 

 「驚いたな。こいつは地図なのか!? 光りの一つ一つがZiホーミングのための端末装置だと聞いています。」

 

 「地球中に散らばっているように見えるけど…」

 

 「Ziホーミングを正しく作動させるにはこの端末のある場所を訪れなければならないそうです。」

 

 「これだけ見ても、何処へ行けばわからないな。」

 

 「えぇ。」

 

 「行き当たりばったりなのは否めないが、その端末の場所が何処なのか、情報を集めればいいってわけか。

 一つでもわかれば、そこから他の端末の位置も特定できるかもな。」

 

 「ああ、お爺さんの情報だって見つかるかもしれない! なあ、バズ!」

 

 「ん? ああ、面倒なことに巻き込まれるのは後免だが、何か面白そうだし、乗り掛かった船だ。世界各地を回れば、もっといい儲け話もあるかも!?」

 

 「そういう意味じゃないだろ。」

 

 「いいってことよ! それで、お前がその子の側にいれる理由が見つかったわけだし!」

 

 それを聞いたレオは赤面し、

 

 「ば、馬鹿! 変なこと言うなよ!! バズ!」

 

 それを聞いたサリーはキョトンし、

 

 「どうしたの?」

 

 「あ、いや、こっちの問題ね。」

 

 「ようし、そうと決まれば、明日は忙しくなるぞ。明朝になったら、直ぐに荷物の準備だ!」

 

 バズは張り切ってそのまま寝床に入った。

 

 「俺たちもそろそろ寝るか。」

 

 「えぇ。」 

 

 

 

 

 

 

 帝国軍基地、兵士と作業員は発掘したゾイドの化石をかき集め、復元作業をしていた。その様子を年老いた人物と作業員が見ていた。年老いた人物は帝国の最高科学顧問のフランク・ランド博士だった。兵士はランド博士に説明し、

 

 「一度石化したゾイドを復元するわけですから、手間がかかるのは当然のことですが、 特に厄介なのは、このゾイドコアです。いわば、ゾイドの心臓部です。僅かなミスで全ての行程が台無しになってしまうので、作業には細心の注意を擁します。」

 

 「心配は要らん。その行程はワシが調整する。(だが、ボーマン博士が作ったリジェネレーションキューブとサリーの持つペンダントがあれば、その苦労も一瞬で終わるがな。)」

 

 「いかがなされました?」

 

 「いや……」

 

 「ランド博士、只今、リュック隊長とザナドゥリアス少尉が戻りました。」

 

 「そうか… では、2人を直ぐにこちらへ、」

 

 ユウトとリュック隊長はランド博士のいる部屋に入る。

 

 「失礼します。」

 

 部屋にはランド博士が座っていた。

 

 「よく戻ってきてくれた。ザナドゥリアス少尉、リュック隊長。 先程、君の報告は聞いたよ。

 ビーストライガーだそうだな。」

 

 「はい。」

 

 「確かに興味深いが、今さっき、そのライガーより強力なゾイドの化石が発見されたとの報告があり、その復元作業のため、私は手が離せん。

 引き続きライガーの鹵獲とサリー・ランドの奪還に専念してくれ。」

 

 「はい!」

 

 「ランド博士、でしたら、この私に!」

 

 「リュック隊長、君は例のライガーに敗北し、キャノンブルがかなり損傷を受けたそうじゃないか。 だとするなら、君に再びライガーと戦わせるのは酷だ。

 どうかな? サリーの捜索にはザナドゥリアス少尉に任せて、君には別の任務を与えよう。」

 

 それを聞いたリュック隊長は逆上し、

 

 「何故です! 私は特務機動部隊としてここまで働いたのですよ! なのにこんな小僧ごときに私の任務を奪うなんて!!」

 

 ランド博士は睨み付けるように言い、

 

 「口を慎みたまえ、リュック隊長。 彼は私の助手であり、養子でもある。

 確かに君の気持ちはわかる。元々孤児だった彼を優遇するのは不公平かもしれない。 だが、彼は天才なのだよ!

 頭脳、身体能力、全てにおいて完璧だ。僅か10歳で士官学校を出て、軍に入隊し、目覚ましい活躍を遂げ、私の作った耐Bスーツ無しでもゾイドに乗ることができ、今では摂政閣下直属の特務少尉でもある。

 私は彼の能力を見込んで、私が造ったハンターウルフ改を彼に与えたのだ。少しぐらい多目に見てやったらどうだ?」

 

 リュック隊長がチラッと横を見ると、ユウトは少し笑みを浮かべた。

 

 「う…ぐ… わかりました。では、私は次の命令が出るまでキャノンブルの調整を行います。では、失礼。」

 

 そう言うと、リュック隊長は部屋を退出した。ランド博士はユウトに、

 

 「気にするな。君が特別過ぎたのだよ。」

 

 「問題ありません。彼は少し爪が甘かったから、あのライガーに敗北したのです。」

 

 「やはり、私が見込んだだけのことはある。 孤児だった君を見た時から、君には凄まじい力を感じたよ!

 そして、私の見立て通り、君は目まぐるしい活躍を見せ、摂政閣下の信頼も得て、私のために働いてここまで来た。

 今となっては、私の子を越える程にまで行っている。ザナドゥリアス少尉、今後の君の活躍に期待しているよ。」

 

 「ありがとうございます。」

 

 「だが、サリー奪還の任務を与えた代わりにしばらくの間、彼女には会えないが…」

 

 「構いません。これも任務ですから。」

 

 「よろしい。」

 

 「では、失礼します。」

 

 そう言って、ユウトは退出した。リュック隊長はビーストライガーとの戦いで負傷したキャノンブルを見詰め、

 

 「いくら、帝国軍の中で最も天才と言われているとはいえ、あんな小僧ごときに遅れを取ることになるとは! 見ていろ、必ずこの借りは返してやる!」

 

 バズートルの調整を行っているシェル軍曹の元にユウトが現れ、

 

 「こ、これは、ザナドゥリアス少尉!」

 

 「シェル軍曹、今回のサリー奪還作戦にあなたも協力していただきたい。」

 

 「というと?」

 

 「サリーがビーストライガーと共に逃げた者の中に軍にちょくちょく顔を出している運び屋のバズ・カニンガムという男がいることを確認した。

 その男に関する情報はあなたの方が一番詳しい。その者の在住を私に教えてくれませんか?」

 

 「わかった。出来るだけのことはする。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バズは帝国軍の手から逃れるために家を出る準備をして荷物の整理をした。そんなとき、レオとサリーと一緒に来て、

 

 「バズ、俺、食糧調達のために近くの商店街で買いにいくよ!」

 

 「長旅になる可能性があるから、出来るだけ大量に買っとけよ!」

 

 「わかってるよ。後、サリーも一緒についていきたいって言ってるけど、いい?」

 

 「助けてくれたお礼に私もお手伝いしたいんです。」

 

 「別にいいけど、その子、帝国の脱走犯だからな。絶対に帝国軍に見つからないようにしろよ!」

 

 「やった! じゃ、行こう! サリー。」

 

 「ええ。」

 

 レオははしゃいでサリーの手を掴み、そのまま出掛けていった。

 

 「あいつ、あの子と会ってから、何か随分変わった気がするが、ま、いいか。」

 

 その時、

 

 プルルルル、

 

 「なんだ? まさか、こんな時に依頼か? 勘弁してくれよ。こっちはそれどころじゃないんだ。 はい、 あんたは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオとサリーは近くの商店街に着き、歩いていった。サリーは平和に人々が行き交う商店街を見渡し、嬉しそうに見ていた。

 

 「こういうところは初めて?」

 

 「ええ、帝国軍にいた時は戦争に使うためのゾイドの研究ばかりされていたので、こんなに平和な街に来るのは初めて。」

 

 「良かった。ここは第一世代と第二世代の人々が行き交っているところだから、色々あるんだよ。」

 

 「レオって、結構物知りなのね。」

 

 それを聞いたレオは赤面し、

 

 「え、そ……そうかな?」

 

  

 その様子をマントで全身を顔を隠したユウトは、

 

 「見つけた。」

 

 ユウトは2人に近付き、

 

 「君、重たそうだね。僕も手伝おうか?」

 

 「え、いいんですか? ありがとうございます!」

 

 「そんな、悪いよ。」

 

 「いいよ。どうせ、僕は暇だし。」

 

 「優しいんですね。あなたはなんて名前なんですか?」

 

 「名乗る程の者でもないよ。」

 

 ユウトはそのままレオとサリーと一緒に同行し、家までついていった。

 

 「ただいま、バズ、買ってきたよ!」

 

 「あ、ああ、お帰り……」

 

 その時、現れたバズは何か焦ったかのような素振りをしていた。

 

 「どうしたの? バズ。」

 

 「いや、何でもない。」

 

 「何でもないって、本当に何でもないの?」

 

 「何でもないかと言えば、何でもないのだが……」

 

 「どうしたんだよ? バズ。」

 

 その時、突然帝国軍兵士が現れ、銃を突き付けてきた。

 

 「帝国軍!? どうしてここが!」

 

 「きゃあぁー!!」

 

 サリーの悲鳴と共にユウトはマントを取り払い、瞬時にサリーを捕らえ、レオに拳銃を向けた。

 

 「お前、帝国軍だったのか!!」

 

 「そうだ。僕は帝国軍のユウト・ザナドゥリアス少尉。」

 

 「ユウトさん!?」

 

 「久しぶりだね、サリー。 シェル軍曹に協力して君の居場所を探りだし、待ち構えたが、思ったより簡単に罠に引っ掛かってくれたね。」

 

 「サリーを離せ!」

 

 レオはワイヤーを取り出そうとするが、

 

 「おっと、そんなことしたら、君の友達の安全は保障出来ないよ。」

 

 帝国軍兵士はバズにも銃を突き付け、バズは両手を挙げた。

 

 「レオ、すまねぇ。」

 

 「さあ、あのライガーも渡すんだ!」

 

 「ライガー? ビーストライガーのことか。ライガーを渡してどうするつもりだ?」

 

 「君にそれを知る権利はない。さあ、大人しくライガーを渡すんだ。」

 

 その時、レオの左腕がオレンジ色に光り、同時にビーストライガーが家の壁を突き破って現れた。レオはそれを逃さず、ワイヤーで天井の証明を落とし、ユウトはその衝撃でサリーを離した。レオはすかさずサリーを抱き抱え、バズもその隙に逃げ、車に乗り、レオはサリーを車に乗せ、レオはライガーに乗ってそのまま逃走した。それを見たユウトは、

 

 「くそ、逃がしたか。思ったよりやるようだな。シェル軍曹、北方面に逃げた。あなたはそこで待機してくれ。僕はハンターウルフ改で奴を迎え撃つ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 家から脱出したライガーとバズの車は全速力で走り去り、街から出た。その時、

 

 ズドン! ズドン!!

 

 何者かがライガーとバズの車に向かって砲撃してきた。急停止するライガーとバズの車、

 

 「敵? どこだ!」

 

 レオが辺りを見渡したその時、地中から五体のバズートルがライガーの前に現れた。中央のバズートルにはシェル軍曹が乗っていた。

 

 「無事に通れると思うなよ?」

 

 「あれは帝国軍のバズートル!」

 

 ズドン! ズドン!

 

 シェル軍曹率いるバズートル部隊は対空レーザー砲とローテーションミサイルをライガーに向けて発射した。ライガーはそれらを全て避ける。

 

 「何とか避けられたけど、あれを突破しないと先には進めない。」

 

 その時、ライガーが何か言いたいように頷き、

 

 「そうだな、行くぞ、ライガー! ビーストライガー、進化 解放! エヴォブラストー!!」

 

 エヴォブラストしたライガーは真っ直ぐシェル軍曹のバズートルに向かっていった。

 

 「たかが、民間人ごときがこのバズートルを甘く見るなー!!」

 

 ローテーションミサイルを撃ち込み、それを避けながら近付くライガー、

 

 「ビーストオブクロー!!」 

 

 ライガーの攻撃がバズートルに直撃するが、バズートルの装甲はライガーの攻撃を寄せ付けず、ライガーの攻撃を跳ね返した。

 

 「なんて硬い装甲なんだ!」

 

 「今度はこっちの番だ!」

 

 「シェル軍曹、そのライガーの相手はこの僕だ。手出しするな!」

 

 その時、突然ライガーにガトリング攻撃が直撃した。突然の攻撃に怯むライガー、

 

 「ウワァッ!! また敵? 今度はどこだ?」

 

 その時、レオの目の前にユウトの乗るハンターウルフ改が現れた。 

 

 「おいおい、あれは帝国軍最強のハンターウルフじゃねぇか!」

 

 「この僕とハンターウルフが相手だ!」

 

 「さっきのあいつか。望むところだ。行くぞ、ライガー!!」

 

 ガオ~!!

 

 「ビーストオブクローブレイク!!」

 

 ビーストライガーはハンターウルフ改に向かって再び攻撃しようとするが、ハンターウルフ改はすかさず後ろに向き、後ろ足でビーストライガーを蹴り倒した。ライガーは怯まず、再びハンターウルフ改に向かうが、ハンターウルフ改はライガーの頭上にジャンプし、背後に立ち、ガトリングでライガーに撃ち込んだ。

 

 「ぐ、グワァッ!」

 

 「なるほど、確かにそのライガー、性能はいいね。博士があれほど興味を持つのも納得だ。

 けど、乗っている君は大したことないね。君じゃ、そのライガーの力を引き出すことは出来ない。」

 

 「何!?」

 

 追い討ちをかけるかのようにガトリングを撃ち込むハンターウルフ改、ビーストライガーはその攻撃を喰らって倒れてしまう。

 

 「レオ!」

 

 「くそ、負けてたまるか! 行くぞ、ライガー!! ビーストオブクローブレイク!!」

 

 ユウトはやれやれした表情をし、ハンターウルフ改はさっとビーストライガーの攻撃を避け、ソニックブースターで加速し、ガトリングを撃ち込みながら、前足の爪でビーストライガーを斬りつけた。その凄まじい攻撃で倒れるビーストライガー、

 

 「グワァッ!!」

 

 「ハァ~、君ごときでは僕のハンターウルフのマシンブラストを使うまでもない。

 いい加減、サリーとライガーをこちらに渡したらどうなんだ? これ以上戦闘を続ければ、君の命は保障出来ないよ。」

 

 「何度いっても、サリーとライガーは絶対に渡さない!」

 

 「ハァ、なら、君にチャンスを与えてやろう。」

 

 「チャンス?」

 

 「帝国軍への入隊だ。君を僕同様に博士の助手として推薦してあげるよ。そうすれば、君の出世は保証できるし、ライガーもずっと君の側にいられる。 悪い話ではないだろ?」

 

 それを聞いたバズは、

 

 「おい、マジか! 聞いたか? レオ。 帝国軍に入れば、運び屋より金たっぷり入るぜ! 俺たちの罪も帳消しになるし、こんないい話ないぜ。」

 

 しかし、レオは、

 

 「駄目だ。俺には行方不明の父さんを探すということがあるように、サリーには行方不明のお爺さんを探し、端末を作動するという大事なことをしなければならないんだ。 それに俺はライガーを戦争の道具になんかしたくない!!」

 

 ガオ~!!

 

 ライガーはそれに応えるかのように咆哮を上げた。

 

 それを聞いたユウトは、再びため息を付き、ハンターウルフ改はソニックブースターで加速してビーストライガーに襲いかかり、一気にライガーの身体を押さえ込んだ。

 

 「ウワァッ!!」

 

 「レオ!」

 

 「出来れば、こんな真似はしたくなかったけど、仕方ない。君には痛い目に遭わなければならないようだな。 覚悟しろ!」

 

 「レオー!!」

 

 ハンターウルフ改が前足の爪でライガーのコクピットを破壊しようとしたその時、突然コクピットから緊急通信が来た。

 

 「ん? 博士からの緊急通信だと!? はい。」

 

 「ザナドゥリアス少尉、至急こちらに戻ってくれないか。」

 

 「何故です? 目の前にライガーがいるのですよ!」

 

 「実はある巨大ゾイドの化石の一部の発掘の最中に、共和国軍が目をつけて、その襲撃を受けているのだ。

 私の護衛の軍もかなり苦戦しているのでな。君の力が必要なのだ。」

 

 「別に私でなくとも、彼女や彼がいるのでは!?」

 

 「彼女は別の地区での発掘作業に協力していて、彼は今、連絡が取れない状況でな。 君が一番適任なんだよ。」

 

 「しかし、このままライガーを野放しにするわけには…」

 

 「ザナドゥリアス少尉、今はこのゾイドの発掘が先だ。 それに君の腕と私の造ったハンターウルフ改の性能を考えれば、そのライガーの性能など、たかが知れている。 ライガーの鹵獲はその後で十分だ!」

 

 「わかりました…」

 

 ユウトは渋々ながらも通信を切り、

 

 「運が良かったようだな。 だが、次はこうはいかんぞ! 今度はそのライガーをスクラップにしてでもサリーと共に奪い返してやる!

 シェル軍曹、博士からの緊急指令で、僕は一旦離脱する。後は任せた。」

 

 そう言うと、ハンターウルフ改はそのまま立ち去った。

 

 「お、おい、待て! まあ、いい。さっきの攻撃であのライガーももうボロボロだろう。 これで終わりにしてやる。

 制御トリガー解除、バズートル、兵器 解放! マシンブラストー!! アバランチファイヤー!!」

 

 マシンブラストしたシェル軍曹のバズートルはA-Z680口径バズーカ砲が現れ、ライガーに向けて砲撃した。ライガーはその攻撃を喰らい、爆風に包まれた。 

 

 「レオー!!」

 

 「木っ端微塵に吹き飛んだか。」

 

 しかし、その爆風からライガーが現れ、シェル軍曹のバズートルに向けて攻撃してきた。

 

 「ウォッ!?」

 

 「ビーストオブクローブレイク!!」 

 

 ライガーの攻撃がシェル軍曹のバズートルに直撃した。

 

 「やったか?」

 

 ライガーの攻撃を喰らったバズートルは倒れ、そのまま機能停止した。

 

 「今だ! バズ。 今のうちに!」

 

 「あ? ああ、そうだった! お嬢ちゃん、しっかり掴まっていろよ!!」

 

 バズはこの隙に車を動かし、隙のできたバズートル部隊の包囲網から脱出していった。他のバズートルもバズの車とライガーに砲撃するが、ライガーはその砲撃を全て受け止め、そのままバズの車と共に逃げていった。

 

 「くそ、動け、動くんだ! バズートル! ち、油断があったか。」

 

 ボロボロながらもバズの車と一緒に走るライガー、バズはがっかりしたように、

 

 「たく、せっかくいい儲け話だったのに、結局これで俺たちも帝国軍の逃亡犯にされちまったぜ! これで俺たちの人生は何もかもおしまいだ。」

 

 「しょうがないよ! あのまま帝国軍に引き渡したら、ライガーとサリーは何されるかわからないし。」

 

 「レオ、ホントにいいの? 私のために…」

 

 「いいよ。君には大事なお爺さんを捜すことと端末を正常に作動しなければならないという大事なことがあるからね。

 俺が責任を持ってお爺さんのところへ連れていってあげるよ。だって、俺たち運び屋だろ。」

 

 「レオ…」

 

 追われるという形になっても笑顔を見せるレオを見たサリーは少し笑みを浮かべた。

 

 To be continued




 次回予告

 帝国軍の謎の少年ユウトの操るハンターウルフ改に敗北したものの、何とか脱出することに成功したレオたち、レオたちは帝国軍の手から逃れるために共和国領を目指し、そこにアイセルと名乗る女性考古学者と出会う。
 しかし、そこにリュック隊長率いる帝国軍が再び現れ…

 次回

 「内に秘めた想い」

 走り抜け、ライガー!!


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第3話「内に秘めた想い」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 ペンダントの力によって突如復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーを復活させた不思議な力を持つペンダントを持ち、地球の未来を左右する謎の少女サリーと共に地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 帝国軍基地、この基地にある巨大ゾイドの化石を帝国軍が発掘したという情報を聞き付けた共和国軍がそれを阻止するために攻撃してきたが、ランド博士の緊急通信で駆けつけたユウトのハンターウルフ改によって共和国軍は僅か数分で壊滅させられた。

 共和国軍のゾイドの残骸の山に立つハンターウルフ改、ユウトはハンターウルフ改から降り、ランド博士は彼の元に立ち寄った。

 

 「素晴らしい。やはり、私の見込んだだけのことはある。」

 

 「この程度の戦力など、大したことではありません。」

 

 「しかし、ゾイドを完膚なきに叩きのめしてはいるものの、ゾイドコアとコクピットだけは狙わないようにしているのはどういった配慮の表れかね?

 まさかとは思うが、余計な感情が入ったというのではあるまいな。」

 

 「いえ、私は帝国軍の手を汚したくありませんから。」

 

 「良かろう…。 その忠誠心も素晴らしい。流石、私が育てたエリートだ。」

 

 「それより、博士、例の化石とは?」

 

 「ああ、そうだったな。来たまえ。」

 

 ランド博士はユウトを基地の地下研究所まで案内した。そこには見たこともないような巨大な恐竜型ゾイドの化石だった。それを見たユウトは驚きを隠せないでいた。

 

 「これは…?」

 

 「驚くのも無理はない。こいつは硫酸海の深い海底に埋まっていたのをつい先日に引き上げ、ようやく発掘することに成功した巨大ゾイドの化石だ。」

 

 「硫酸海から!? そんなところにゾイドが眠っているなんて!」

 

 「実際、私も驚いている。しかし、このゾイドはかなりの生命力の持ち主のようだ。」

 

 「博士、この化石は一体どんなゾイドですか?」

 

 「保存状態が良好ではなく、化石の全貌も明らかにされていないため、今は何とも言えないが、おそらくこの世界の覇権をも左右する強大なゾイドだということは確かだ。

 現在、他の化石の発掘作業を彼女にも命じているが、人手が足りなくてな。君には私の護衛としてこの化石がなんなのか、調査して欲しいのだ。」

 

 「サリー・ランドとビーストライガーの奪還はどうするのです?」

 

 ランド博士はその任務がどうでもいいというような表情をユウトに見せ、

 

 「そんなことは後回しにすればよい! 今は、このゾイドの復元が先だ。サリーと例のライガーの奪還など、直ぐにやれる。お前なら出来るだろ!?」

 

 ユウトは少し納得いかなそうな表情をしながらも、

 

 「わかりました。 では、これからの護衛準備として、ハンターウルフ改の調整を行います。失礼。」

 

 ユウトが立ち去った後、ランド博士は発掘されたばかりの巨大ゾイドの化石を見て、

 

 「ようやく、会えたぞ。 愛しい我が子……この私が必ず復活させて見せるぞ……フフフフフ……フハハハハハハ!」

 

 

 帝国軍基地の外で、シェル軍曹はビーストライガーの攻撃でやられたバズートルの修復をしていた。そこにリュック隊長が現れ、

 

 「シェル軍曹、貴官のバズートルはかなり損傷を受けたそうですな。」

 

 「ああ、ザナドゥリアス少尉が突然、博士からの緊急命令だからといって、離脱してしまったため、私がライガーとやり合ったが、どうやら予想以上の相手で、私のバズートルはこの様だ! ところで、リュック隊長。何故あなたがここに?」

 

 「実は先ほど、ザナドゥリアス少尉が博士の護衛になったとの報告を受け、私がサリー・ランドとビーストライガーの奪還のために出撃の用意をしているところなのだ!」

 

 「とはいえ、今の私ではリュック隊長の手助けになりません。」

 

 「では、シェル軍曹、貴官にお願いがあるのですが…」

 

 「何でしょう?」

 

 

 

 

 ユウトの操るハンターウルフ改とシェル軍曹のバズートルとの戦いの後、何とか逃れたレオたちは山脈に向かって走っていった。ビーストライガーはハンターウルフ改から受けた傷がまだ癒えてなく、苦しそうな表情をしていた。

 

 「もう少しだよ。ライガー。もう少しで休憩させてやるからな。」

 

 「しっかし、とんでもないことになってしまったな! まさか、運び屋の俺たちが帝国の逃亡犯にされちまうとはな。」

 

 「しょうがないよ! あのままサリーとライガーを引き渡したら、サリーとライガーはどうなってたかわからなかったし。」

 

 「ホント、お前は御人好しだな!」

 

 「ところで、バズさん。一体何処に向かっているのですか?」

 

 「共和国領だよ!」

 

 「待ってよ! バズ。サリーのお爺さんや端末の情報がまだ掴めてないのにいきなり共和国領に行くだなんて!」

 

 「何言ってんだよ! 今の俺たちは帝国のお尋ね者だぜ。これ以上、帝国領にいたら、俺たちの身が危ないし、情報集めるなんてどう考えても無謀過ぎるぞ。

 それに、共和国領だってそこまで狭くはないから、絶対端末の居場所があるはずだし、サリーのお爺さんも帝国軍に終われているんだろ? だったら、共和国領に逃げている可能性だって十分あり得るぜ。」

 

 「それはそうだけど…」

 

 「とにかく今は共和国領に行った方が安全だ。それにそこの方が情報は一杯集まるだろうし。」

 

 「サリー、君はどうなの?」

 

 「私はバズさんの意見に賛成です。これ以上、レオたちを危険な目に逢わせたくありませんし。」

 

 「よし、じゃあ、決まりだな!」

 

 「ところで、バズ。共和国に行くのになんでこんな山ん中に行っているの? 村のところを行けば安全なのに。」

 

 「甘いな、レオ。今の俺たちは帝国の逃亡犯なんだぞ! そんな俺たちが街中や村、ましてやライガーまで引き連れて通って行ったら、目立つし、直ぐに帝国軍に見付かってしまうだろ! 

 だから、俺は帝国軍が見付かりにくい安全な場所を選んでいるんだよ。」

 

 「そうは言っても、この山、結構あるよ。それに今にも雨が降りそうだ。」

 

 レオが見上げた山はかなりの標高で、その頂上には暗雲が立ち込めていた。

 

 ライガーはひたすら山を登り続けるが、ハンターウルフ改との戦闘で受けた傷がまだ傷み、ライガーが苦しんだ。

 

 グルル…

 

 「ライガー、大丈夫か? 修理道具さえあれば、メンテナンスは出来るんだけど、生憎持っていないからな…」

 

 「お~い、レオ。待ってくれよ!」

 

 「バズ! いくらなんでも荷物持ちすぎじゃない? 重量オーバーだよ。」

 

 「これでも必要最低限の荷物は持って来てるんだぜ。」

 

 

 ゴゴゴ…

 

 その時、突然雷が鳴り、豪雨になり、更に落雷が山のところどころに落ちた。

 

 「おいおい、これは不味いぜ!」

 

 その時、バズは洞窟を見つけ、

 

 「彼処に洞窟がある。彼処に逃げよう。」

 

 バズの車とビーストライガーは洞窟の中に避難し、レオたちは暫く洞窟の中で待機した。しかし、雨と落雷は一向に止む気配はない。

 

 「どうやら、今日はここで野宿のようだな。」

 

 サリーが洞窟の中を見ると、奥に誰かいた。

 

 「ねえ、あの人、誰かしら?」

 

 「この辺のものじゃなさそうだな。」

 

 サリーはその人に近付き、

 

 「あの…」

 

 「ん? 何かしら?」

 

 「あの、ここで一体何を?」

 

 「何って、考古学の研究よ! 私は考古学者だからね。」

 

 「考古学者なのに、何でこんなところにいるんだ? こんな人気のない場所に。」

 

 「謎をつき明かしたいのよ。ここって、頻繁に豪雨や雷が起きるでしょ! そもそも天気が荒れるような場所ではないのにこんな豪雨になるなんて、変じゃない? 

 だから、その謎をつき明かそうと思ってるの! きっと、コンラッド教授もそうしてるだろうし。」

 

 それを聞いたレオは、

 

 「コンラッド教授? お父さんを知っているの?」

 

 「え? あなた、コンラッド教授を知っているの!?」

 

 「俺の父なんです…」

 

 「ウッソ―!! まさか、あのコンラッド教授の息子さんに会えるだなんて、夢にも思わなかった! で、あなたの名前は?」

 

 「レオです。」

 

 「レオ、いい名前ね! で、教授は今、元気にしてるの!?」

 

 「それが…」

 

 「ああ、実はこいつの親父さん、行方不明なんでな。今はその親父さん探しているんだ。

 因みに、俺はその保護者で運び屋のバズ。」

 

 「私はサリー、サリー・ランドです。」

 

 「サリー? あなたもいい名前ね! それに可愛い!!」

 

 「それより、レオの親父さん知っているなら、何処にいるかは知っているのか?」

 

 「私はコンラッド教授に憧れて、考古学者になった身だから、そこまでは知らないの。」

 

 「やれやれ、ようやく親父さんの情報が手に入ると思ったが、とんだ骨折り損だぜ。」

 

 「そうだ! ここで会ったのも何かの縁だから、一緒にこの山の謎を明かさない!?」

 

 「いや、俺たちは…」

 

 「協力します! もしかすると、ここにリジェネレーションキューブの端末があるかもしれません。」

 

 「お、おい、サリー!」

 

 「俺も賛成だ。ここにいてもしょうがないし、1つでも早く端末の情報を探さないと!」

 

 「全く、2人共しょうがないな。わかった! 付き合ってやるよ。」

 

 「じゃあ、出発進行!」

 

 「と、言いたいところだが、この先はどうやって行くんだ? 奥には障害物が一杯だし、生憎俺のピッケルじゃ、あれを掘り進むことは出来ないし、かといって、ライガーの力を借りようにも、あのサイズじゃ、入れないし、それにライガーは今、怪我してるし…」

 

 「そのことなら、心配ご無用!」

 

 ピー!! 

 

 その時、女性が指笛を弾き、何処からか対空速射砲を装備したラプトリアが現れた。

 

 「このラプトリアって、もしかして、あなたの?」

 

 「そう! あたしのラプちゃん、そして、自己紹介遅れたけど、あたしの名前はジョー・アイセル、アイセルって呼んでね。」

 

 「よろしくお願いいたします! アイセルさん。」

 

 「それじゃ、改め直して出発進行!」

 

 アイセルの元気な掛け声と共に、ラプトリアは爪のクレセントクローを使って洞窟の中を掘り進んで行った。ラプトリアを見たバズは、

 

 「(あのラプトリア、共和国軍が最近復元したゾイドだって、運び屋の知り合いから聞いたが、まさか、あの姉さん…)」

 

 

 

 

 

 

 

 豪雨の中、9連キャノン砲にバズートルと同じ対空レーザー砲を、後ろ足に410口径ミサイルポッドを装備したリュック隊長のキャノンブル率いるキャノンブル隊が進行していた。何かに気付いたリュック隊長は、突然動きを止め、双眼鏡で山を見た。そこにレオのビーストライガーがいた。それを見たリュック隊長は、

 

 「遂に見つけたぞ! ザナドゥリアス少尉は不在だ。この機を絶対に逃さん!」

 

 リュック隊長のキャノンブルは思いっきり走っていき、配下のキャノンブル2体もそれに付いていった。

 

 

 

 

 洞窟を突き進む中、サリーのペンダントがオレンジ色に光輝いた。

 

 「ペンダントが!」

 

 「向こうにある光とシンクロしている?」

 

 「どうして?」

 

 「何か関係があるのかしら?」

 

 「てことは、この先に何かあるってことだな! でも、ここから先はラプトリアでは無理のようだな。それにお宝の匂いはしなさそうだし、俺はとりあえず、引き返して車の荷物を整理していくよ。

 外の見張りも必要だし。」

 

 「あ、ちょっと待って! 見張りなら私がやるわよ。」

 

 アイセルとバズが一旦引き返したのを見たレオは、

 

 「もしかしたら、Ziホーミングがあるかもしれないから、俺たちはこのまま進もうか。」

 

 「うん!」

 

 レオとサリーが洞窟の先を突き進んで行くと、目の前には巨大なキューブが現れた。キューブを見たサリーは、

 

 「あれ! 端末です!」

 

 「端末だって!? この装置が?」

 

 「そう! Ziホーミングのためにお爺さんが開発したリジェネレーションキューブの端末です。」

 

 「これがその端末…」

 

 キューブに近付いたレオがキューブに左手をかざすと、端末がオレンジ色に光輝いた。

 

 「これは?」

 

 しかし、暫くすると、光は消えた。

 

 「消えた。」

 

 「きっと、レオの体内のゾイド因子と共鳴しているんだわ。」

 

 「え? 俺の体内のゾイド因子?」

 

 レオはもう一度、左手を端末に当て、再び端末は光出した。

 

 「再起動出来る?」

 

 「やってみる。」

 

 サリーがペンダントを触れると、ペンダントも光出し、端末から地球儀のホログラムが現れて、端末は全身に光出し、端末は回転し、そのまま地中に掘り進んで行った。

 

 「これでいいの?」

 

 「うん、これでZiホーミングは正常に作動したわ。」

 

 「よし、これで、1つ目の端末は無事に作動した。残る全ての端末も作動し、君のお爺さんもきっと見つけてみせる。バズたちにも報告しよう。」

 

 端末が正常に作動したと同時に外の豪雨も止んだ。洞窟の入口の手前で待機しているアイセルは何やら、通信機を弄った。雨が止んだのを見たバズは、

 

 「おや? 雨は止んだってことは、ラッキー! 今日ここで野宿することはなくなったな。

 ところで、お姉さんよ!」

 

 「何よ! 私はアイセルよ。」

 

 「ところで、そのラプトリア、何処で手に入れたんだ? ただの考古学者がラプトリアを簡単に手に入れられるとは思えないし、まさか、あんた、共和国の…」

 

 ズドン! 

 

 その時、銃声がし、

 

 「うわっ! なんだ! なんだ!?」

 

 その時、現れたのは3体のキャノンブルと銃を持ったリュック隊長とその兵士だった。

 

 「大人しく投降しろ。」

 

 「帝国軍!? おいおい、嘘だろ! まさか、こんなところまで来るとは!」

 

 ラプトリアが前に出ようとするが、アイセルは待ったをかけ、

 

 「待って、ラプちゃん。 投降するわ!」

 

 「お、おい、アイセル!」

 

 「今は大人しく従った方がいいわ。」

 

 「小僧と小娘は何処だ?」

 

 「この洞窟の奥。でも直ぐに戻ってくるわ。」

 

 「そうか、では、それまで大人しくしていろ!」

 

 レオとサリーが洞窟から出ると、目の前にいるリュック隊長と出会った。バズとアイセルは配下の兵士に取り押さえられた。

 

 「バズ! アイセル! 帝国軍か。」

 

 「そう、あの時の借りを返しに来た。さあ、大人しくサリー・ランドとライオン種を渡せ!」

 

 「何度言ってもサリーとライガーは絶対に渡さない!」

 

 「ほう、では、人質のこいつらがどうなってもいいんだな?」

 

 兵士はバズとアイセルに銃を突き付けた。それを見たサリーは、

 

 「わかりました。あなたたちと一緒に行きます。」

 

 「お、おい、サリー!」

 

 「ご免なさい。」

 

 サリーがリュック隊長の近くに来た瞬間、アイセルは兵士の足を踏みつけた。

 

 「痛っ!」

 

 アイセルはすかさず兵士をつき倒し、バズに銃口を向けた兵士も殴り倒した。

 

 「今よ!」

 

 レオもその隙を逃さず、ワイヤーでリュック隊長の拳銃を離した。

 

 「ありがとう、アイセル!」

 

 「ひゅー、やるね! お姉さん。」

 

 「私の名前はアイセルよ!」

 

 「サリー、バズと一緒に車に!」

 

 「わかった。」

 

 サリーはバズと共に車に乗り込み、レオはビーストライガーに乗ってその場を離れた。

 

 「くそ、逃がすか!」

 

 リュック隊長もすかさず、キャノンブルに乗り込み、後を追った。

 

 ビーストライガーとバズの車はリュック隊長が追ってこられないところまで逃げようとするが、リュック隊長のキャノンブルは配下の2体のキャノンブルと共に3連ミサイルポッドをライガーとバズの車に撃ち込んだ。

 

 「バズ、ここは俺がひき止める。そのまま逃げていって!」

 

 「ライガー、まだ傷付いているけど、大丈夫か?」

 

 「大丈夫! 足止めだから。」

 

 「レオ…」

 

 「大丈夫だよ。サリー。必ず戻ってくるから。」

 

 バズの車が走って行ったのを見たレオとライガーは、リュック隊長率いるキャノンブル隊の前に立ち塞がった。

 

 「ここから先は通さない!」

 

 「面白い、帝国軍に刃向かったこと公開するがいい!」

 

 リュック隊長のキャノンブルの対空レーザー砲を避けるビーストライガーだが、レオは以前シェル軍曹のバズートルとの戦いを思い出した。

 

 「今の攻撃は!? バズートルの!」

 

 「その通り、キャノンブルにバズートルのA-Z対空レーザー砲と410口径ミサイルポッドを装備したのだ。 ゾイドは武器を換装させることによってより強くなる!」

 

 キャノンブルは対空レーザー砲と410口径ミサイルポッドを同時にビーストライガーに撃ち込む。さっきは何とか避けれたものの、足の傷が治っていないため、キャノンブルの対空レーザー砲と410口径ミサイルポッドの同時発射を避けられず、直撃してしまう。

 

 「う、うわぁっ!!」

 

 更に追い撃ちをかけるように他の2体のキャノンブルも突進攻撃をし、次々とビーストライガーを吹っ飛ばした。

 

 「ぐあっ!」

 

 「レオ!」

 

 「どうやら、勝負あったようだな!」

 

 ズドン!

 その時、突然、リュック隊長のキャノンブルの前方が攻撃された。

 

 「一体なんだ!?」

 

 「御待たせ!」

 

 その時、耐Bスーツを着用したアイセルの乗ったラプトリアが現れ、2体のキャノンブルに対空速射砲を撃ち込んだ。

 

 「貴様はあの!」

 

 「ここは私に任せて!」

 

 「え、でも…」

 

 「大丈夫! こう見えても私とラプちゃんは強いんだから! 3対1なんて卑怯よ。 正々堂々戦いなさい。帝国軍!」

 

 「黙れ! このアマ。調子に乗るんじゃねぇ!! さっき殴られた借りを返してやる。」

 

 「あの2体は私が引き付けるわ。」

 

 「わかった!」

 

 「行くわよ、ラプちゃん!」

 

 2体のキャノンブルに向けて突っ込むラプトリア、

 

 「たかが、ラプトリアごときでこのキャノンブルに勝てると思ったか!」

 

 キャノンブルは3連ミサイルポッドをラプトリアに撃ち込むが、ラプトリアは小さな身体を活かして2体のキャノンブルの3連ミサイルを避けた。更にラプトリアはジャンプし、一体のキャノンブルの頭部に対空速射砲を撃ち込み、キャノンブルは角で串刺しにしようとするが、ラプトリアは瞬時に避け、キャノンブルの死角に周り、関節を狙って撃ち込んだ。更にラプトリアはもう一体のキャノンブルにも対空速射砲を撃ち込んだ。

 

 「それで、攻撃したつもりか!」

 

 キャノンブルはラプトリアに攻撃の煙幕に包まれたラプトリアに向けて突進するが、ラプトリアはそれを避け、目の前に同じ隊のキャノンブルがいた。

 

 「何!!」

 

 誤爆によって倒れる一体のキャノンブル、ラプトリアは瞬時に後方に入った。

 

 「しまった!」

 

 「行くわよ、ラプちゃん! 進化 解放! エヴォブラスト―!! 」

 

 エヴォブラストしたラプトリアは背中の爪のドスクローとスラッシュクローを前方に出し、キャノンブルに向かって走って行った。

 

 「ヘキサスラッシュ!」

 

 「うおっ!!」

 

 ラプトリアの攻撃を受けて倒れるキャノンブル、

 

 

 

 

 アイセルのラプトリアが2体のキャノンブルと戦っている間にビーストライガーはリュック隊長のキャノンブルと戦っていた。

 

 「キャノンブル、兵器 解放! マシンブラスト―!! ナインバーストキャノン!」

 

 マシンブラストしたリュック隊長のキャノンブルは9連キャノン砲に加え、新たに装備した対空レーザー砲と410口径ミサイルポッドを同時にビーストライガーに向けて放った。

 

 「くっ!」

 

 キャノンブルの猛攻に翻弄されるビーストライガー、

 

 「見たか! キャノンブルの機動性を!!」

 

 しかし、ビーストライガーはクルっと1回転し、

 

 「何!?」

 

 「機動性なら、ライガーだって!」

 

 ビーストライガーはすかさず、攻撃の態勢を取り、

 

 「ビーストオブクローブレイク!!」

 

 ビーストライガーの攻撃を受けて倒れるリュック隊長のキャノンブル、それを見たバズとサリーは、

 

 「やった! レオが勝った。」

 

 「レオ。」

 

 しかし、リュック隊長のキャノンブルは尚も立ち上がり、

 

 「そんな、まだ立ち上がれるのか!?」

 

 「ここで逃すわけにはいかない。ここで逃したら、我々は帝国の面汚しだ!」

 

 リュック隊長のキャノンブルがビーストライガーに再び攻撃しようとしたその時、

 

 ズドン!!

 

 突然、リュック隊長のキャノンブルの前方に大砲が撃ち込まれ、レオたちが後方を見ると、そこにはラプトリア隊を率い、対空速射砲を装備し、改造を施された黒いカラーリングのトリケラドゴス改とステゴゼーゲ改がいた。トリケラドゴス改とステゴゼーゲ改には共和国のエンブレムが貼られていた。

 

 

 「あれは!」

 

 「共和国軍。」

 

 トリケラドゴス改のライダーはスピーカーを通じてリュック隊長に言った。

 

 「帝国軍に告ぐ。こちらは共和国軍だ! これより先は我が共和国領だ。直ちに後退願おう。

 これ以上領内に攻撃することは我々共和国軍への宣戦布告とみなし、我が軍も貴国の軍に攻撃を加えることになる。」

 

 「た、隊長…」

 

 それを聞いたリュック隊長は歯を食い縛り、

 

 「やむを得ん! 一旦後退する。」

 

 リュック隊長のキャノンブルは他の2体のキャノンブルと共にその場を去った。

 

 「ふぅ~、助かったぜ。」

 

 「それにしても、何でこんなところに共和国軍が?」

 

 「フフフ、何でか知りたい?」

 

 「え?」

 

 その時、アイセルは見せびらかすように共和国軍の階級を見せた。それを見たレオは驚き、

 

 「え! もしかして、アイセルって…」

 

 「そう! 私は共和国軍少佐ジョー・アイセルよ。」

 

 「アイセルさん、共和国軍だったの!?」

 

 「まさか、あの胡散臭い奴が共和国軍だったなんて、不覚!」

 

 トリケラドゴス改とステゴゼーゲ改から降りた2人の将校はレオたちの元に立ち寄り、アイセルに敬礼した。

 

 「事情は先の通信で聞いた。彼らが帝国軍に追われているという者たちだな。」

 

 「あ、あの…」

 

 「君が例のライガーのライダーだね?」

 

 「は、はい! レオ・コンラッドです。」

 

 「私はサリー・ランド。」

 

 「俺は運び屋のバズ!」

 

 「私は共和国軍のクライヴ・ディアス中佐。」

 

 「同じく、共和国軍のアギト・ツガミ大尉だ。」

 

 「君たちのことはアイセル少佐から聞いている。我々も出来るだけのことで君たちを保護する。」

 

 「ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

 

 レオたちがリュック隊長率いる帝国軍と戦った場所から数キロ離れた場所に共和国ゾイドのラプトリア、ガノンタス、スコーピア、トリケラドゴスのボディをコクピットと内部のゾイドコアまで破壊され、バラバラに解体されたゾイドの残骸が山のように連なるなど、ユウトのハンターウルフ改以上の惨状になっていた。

 ゾイドの残骸の山の近くにレオやユウトに近い年齢の少年が座り、その横に全身ダークブルーなカラーリングで背中のツインドファングの刃先がメタリックレッドになり、目に赤いバイザーが取り付けられ、ユウトのハンターウルフ改と並ぶ特別な改造を施した帝国軍最強のファングタイガー改がいた。 少年は退屈そうな表情で、

 

 「ここもどうやらクズばかりのようだな。 これじゃ、暇潰しにもならん!」

 

 その時、少年が持っている通信機から通信が入り、

 

 『プライドか… ここの共和国軍は大したことなかったぞ! ファングタイガーのマシンブラストを使うまでもなかった。もっと骨のあるゾイドはいないのか?』

 

 「そのことだが、お前に朗報が出た! ランド博士とザナドゥリアス少尉の言っていた例のライガーがお前の近くを通ったとの情報が出た。」

 

 『ふぅ~ん、で、そいつ強いの?』

 

 「ザナドゥリアス少尉のハンターウルフ改には負けたそうだが、リュック隊長のキャノンブルを2度も敗ったそうだ。

 今、ザナドゥリアス少尉は博士と共にあるゾイドの発掘に行ったため、ライガーの相手をする者がいなくなったので、お前に頼んでいるのだが…」

 

 『あの頭の固い奴のハンターウルフに敗けた例のライオン種か… まあ、準備運動ぐらいにはなるかな。』

 

 少年は通信を切り、ファングタイガー改を見上げた。

 

 『どうやら、次の獲物はライオン種に決まりだな。せいぜい簡単にくたばらず、俺のファングタイガーのツインドファングの餌食になれるレベルであってくれよ!』

 

 少年が見上げたファングタイガー改の牙と背中のツインドファングの刃先は太陽の陽射しに照らされ光り輝いた。

 

 

 

 

 帝国軍基地、ランド博士は復元している巨大ゾイドの化石を眺めた。そこに作業員が現れ、

 

 「復元作業は順調に進んで行っています。このまま進めば、この化石がどんなゾイドか把握することが出来ます! 

 しかし、驚きました! 我が帝国軍に共和国軍のグラキオサウルスのような巨大ゾイドは手に入らないと思っていたのに、まさか、それと同等かそれ以上のサイズのゾイドを手に入れることになるとは!

 これで、我が帝国軍の大幅な戦力拡大に貢献するでしょう。」

 

 「そんなものではない。」

 

 「は…?」

 

 「私の目的は発掘ではない! 再生だ!!」

 

 「再生……ですか?」

 

 「(強きものが頂点に君臨し、世を統べるのだ。 生命体にとって、進化、適応は必然なのだ。

 人類はゾイドと共にあり、今こそ、解放すべき時なのだ!)」

 

 巨大なゾイドの化石を見たランド博士は不気味な笑みを浮かべた。

 

 To be continued




 アイセルの助けで、リュック隊長率いる帝国軍を退け、無事1つ目のリジェネレーションキューブの端末を作動させることに成功したレオたち、レオたちは共和国軍に保護されるが、そこでは帝国軍と睨み合いをしていて、しかもその帝国軍にはユウトのハンターウルフ改と並び、「悪魔の虎」の異名を持つ帝国軍最強のファングタイガー改を駆る少年がいた。

 次回

 「黒キ虎」

 走り抜け、ライガー!!


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第4話「黒キ虎」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 ペンダントの力によって突如復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーを復活させた不思議な力を持つペンダントを持ち、地球の未来を左右する謎の少女サリーと共に地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 プライドと名乗る男と通信を聞いた少年はユウトのハンターウルフ改と並ぶ帝国軍最強のファングタイガー改に乗って、ある帝国軍基地に向かった。

 

 ゴゴゴゴ

 

 「ん? 何だ!? この音は?」

 

 その時、砂漠が盛り上がり、中から共和国軍の砂漠仕様スコーピアが現れた。それを見た少年は、

 

 「ふ、面白い! 下からお出ましか。 暇潰しに丁度いい相手だな。」

 

 その時、左右からもサンドスコーピアが現れ、ファングタイガー改を囲んだ。

 

 「方位殲滅戦ということか… 少しはやれそうだな。だが、こいつの動きについてこれるか? 格の違いを見せてやる。」

 

 その時、ファングタイガー改のハイパーブースターが加速し、ファングタイガー改は一瞬の内に3体のサンドスコーピアを一蹴した。

 

 「ファングタイガー、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 ファングタイガー改は背中のツインドファングを出し、サンドスコーピアを一刀両断した。

 

 「ふ、どうやら、こいつらは俺とファングタイガーの敵ではなかったようだな。」

 

 その時、少年の右腕がオレンジ色に光り、

 

 「そうか、もっと骨のある奴と戦いたいのか。そうだな。あれじゃ、準備運動にもならん! プライドの言っていた例のライガー、俺たちのゲームの相手になればいいがな。」

 

 ファングタイガー改はそのまま走り去り、帝国軍基地に戻った。

 

 

 

 

 

 

 リュック隊長率いる帝国軍を退け、アイセルの助けによって共和国軍に保護されたレオたちはディアス中佐とツガミ大尉が指揮している共和国軍基地に送られ、ビーストライガーは基地の作業員による修復を受け、レオたちは特別室で帝国軍軍に追われた訳をディアス中佐とツガミ大尉に話した。

 

 「そうか、帝国軍は彼女の持つペンダントと彼女の祖父の研究を狙って君たちを執拗に追っていたのか。

 それにしても、地球を再生させる程のエネルギーを持つZiホーミングの役割を持つ端末を開発したとは…にわかに信じがたいことだが……」

 

 疑問を持つディアス中佐にアイセルは端末が写った写真を見せ、

 

 「私がこの子たちと初めにあった時にこれを目撃しました。また、独自に調べた結果、その地域にあった異常気象もその端末によるもので、正常に作動したら、その異常気象が治ったのです!」

 

 「俺たちの目的はサリーのお爺さんを探すのと、汚染された地球を元に戻すために世界中にある端末を正常に作動させることなんです! 信じてください!」

 

 「事情はわかった。我々も出来るだけの協力はする。ただ、君の祖父についてのことなのだが…」

 

 「お爺さんについて、何か知っているのですか?」

 

 「実は元共和国の科学者だった帝国軍の最高科学顧問の存在を知っている。 ライダーをワイルドブラストの衝撃から守る耐Bスーツとゾイドの行動を制限するゾイドオペレートバイザーを開発した人物だ。

 最もその人物がボーマン博士なのかどうかはわからないが、可能性は低くはない。」

 

 「そうですか…」

 

 落ち込むサリーにレオは、

 

 「大丈夫だよ。サリー。お爺さんはきっとそんなことはしない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオたちのいる共和国軍基地の隣の国境沿いにある帝国軍基地、帝国軍はディアス中佐とツガミ大尉が指揮する共和国軍基地の発掘現場で発掘されたある見たこともないゾイドの化石が発見され、帝国軍がそれを欲していて、共和国軍と交渉していたが、共和国軍は帝国軍の軍事力拡大を恐れ、頑なに拒否した。

 帝国軍基地の指揮を取るジョナサン・シーガル大佐は直ぐにでも共和国軍基地への総攻撃を開始しようとするが、ある人物の指揮により、動きたくとも動くことが出来なかった。その人物とは、本国にいる帝国摂政コークス・プライド大将であった。

 シーガル大佐はプライド摂政と通信を取っていた。

 

 「ですから、共和国軍は何度も拒否しているのです。 これは共和国軍の基地を攻撃するまたとない機会なのです!」

 

 「だが、こちらから仕掛ければ、侵略攻撃になり、我が帝国軍が不利になるだけだ。」

 

 「ですが、共和国軍は例の化石を渡さないと言っているのですよ! これで十分共和国軍を攻撃する口実になります。」

 

 「そんな口実では、相手の家にあるオモチャを渡さないと言って、殴り込みにいくガキと大して変わりはせん! ましてや、戦争は軍隊のみで行うものではない!

 国民全ての協力なしには、勝利は望めないのだ。必ず、敵側に先に手を出させるように仕向けるのだ。」

 

 「しかし、それでは、いつまで経っても共和国軍を攻撃することが…」

 

 「だからこそ、奴をお前の基地に派遣してやったのだ。」

 

 「奴と…申しますと?」

 

 「そうだ。私の私兵であるセードだ!」

 

 それを聞いたシーガル大佐は驚愕した。

 

 「お前も知っているだろう! 私の直属であるザナドゥリアス少尉と並ぶエリートにして、耐Bスーツ無しでゾイドを乗りこなし、ランド博士からファングタイガー改を与えられた帝国軍最強の男だ。」

 

 「し、しかし、あの男は…」

 

 「共和国軍から手を出させる工作は奴に任せろ。お前はそれまでは絶対に動くな! 命令だ。」

 

 そう言うと、プライド摂政は通信を切った。

 

 

 基地にファングタイガー改が着き、セードはコクピットから降りた。

 

 「ここがプライドの言ってた新たなゲームスタジオか… 悪くないとこだな。」

 

 

 

 

 

 

 共和国軍基地の司令室にいるディアス中佐とツガミ大尉が帝国軍基地にファングタイガー改が来たということを兵士から聞き、

 

 「あの悪魔の虎がよりによって、ここに来るとは!」

 

 「となると、益々帝国との小競り合いは何としても避けねばならなくなったな!」

 

 「ファングタイガー改、ハンターウルフ改と並ぶ帝国軍最強のゾイド、実力としてはほぼ互角といってもいいが、ハンターウルフと違い、我が共和国軍のゾイドを全て破壊するまで手を緩めず、基地までも跡形もなく潰してやる戦法を持った悪魔の虎。」

 

 「あの化石を渡すか否か…」

 

 「ですが、帝国軍が欲しているということは、強力なゾイドだということですよ! もし、渡せば、恐ろしいことになります。」

 

 「それは、そうなんだが…」

 

 「しっかりしてください! あなたは共和国軍の中佐なんですよ。」

 

 「だが、化石一つで多くの兵士を犠牲にするわけには…」

 

 「その時は迎え撃てがいいんですよ。私とあなたで。私のステゴゼーゲとあなたのトリケラドゴスがいれば、負けることはありませんから!」

 

 「そうだな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 基地の一室では、セードはダーツをやっていた。部屋に入ってその様子を見たシーガル大佐は、

 

 「貴様、いつになったら、動くのだ!? 摂政閣下の言葉を信じて貴様に一任しているのに、この様はなんだ!?」

 

 「だからなんだ? 俺は俺のペースでやってもらう。お前の指図は受けん。

 言っとくが、俺はプライドの私兵で、そもそも軍には所属していない。オマケに俺はプライドから独自行動の免許が与えられている。

 だから、お前は俺の上官じゃないから、命令に従う必要もない。」

 

 「しかし、お前はプライド摂政閣下からの命令で…」

 

 「免許があるって言っただろ? 俺は誰の指図も受けない。プライドに言われてここに来たが、あくまで俺の好きなようにやりたいだけだ。

 なんなら、貴様らが戦争おっ始めればいい問題だろ?」

 

 「だが、我々はプライド摂政閣下からの命令で…」

 

 「ん? もしかして、共和国軍に勝つ自信がなくて、俺に共和国軍の始末を任して欲しいってことなのか? やっぱりお前は帝国の腰抜けだな!」

 

 「な、何を~!!」

 

 「シーガル大佐!」

 

 そこに帝国軍少佐ダグラス・アルドリッジが現れた。

 

 「アルドリッジか… ちっ!」

 

 シーガル大佐は部屋を退出し、

 

 「シーガル大佐、ここは堪えましょう。ここで奴に逆らえば、我々はプライド摂政閣下に更迭されます。」

 

 「そんなことはわかっている!」

 

 シーガル大佐は納得がいかないようにそのまま行ってしまった。アルドリッジ少佐はセードのいる部屋を見て睨み、

 

 「このまま、貴様の思い通りにさせんぞ! いずれ、ファングタイガーも私のものにしてやる。」

 

 

 

 最後の1本のダーツを投げ、中央に命中させたセードは立ち上がり、

 

 「さて、うるさい奴が消えたから、早速始めるか。」

 

 セードは見張りの帝国軍兵士の目を盗んで基地から抜け出し。共和国軍基地に向かって行った。

 

 「入口の見張りはたった2人か… 余裕だな。」

 

 セードは俊敏な動きで一瞬の内で兵士に反撃の隙を与えず、気絶させた。マントを羽織い、兵士からIDカードを手に入れ、そのまま基地内部に侵入し、倉庫の方に行った。

 

 「ほう、意外と中々いい道具が一杯あるな。」 

 

 基地の1人の兵士がマントを羽織い、倉庫にいるゾイドを見ているセードを見つけ、

 

 「おい、そこで何してる?」

 

 ドス!

 

 「うっ!」

 

 セードは右腕で兵士の腹を殴り、一瞬で気絶させた。基地にいる共和国軍ゾイドを見たセードは、

 

 「さて、どいつを使おうか?」

 

 量産型の共和国仕様ラプトリアを見たセードは、

 

 「あいつにするか!」

 

 

 

 

 

 一室でボーマン博士とリジェネレーションキューブのことを調べているディアス中佐の元にツガミ大尉が現れた。

 

 「ディアス中佐!」

 

 「どうした?」

 

 「一体のラプトリアが基地の内部で暴走しています!」

 

 「何!?」

 

 

 

 

 倉庫の中で、セードの乗るラプトリアは対空速射砲で次々と他の共和国仕様ゾイドを破壊していった。共和国軍兵士がスコーピア、ラプトリア、ガノンタスに搭乗して迎え撃とうとするが、俊敏な動きで翻弄させられていった。

 

 「さて、こいつの力を試してみるか。」

 

 その時、服と手袋で隠しているセードの右腕がオレンジ色に光り、

 

 「ラプトリア、進化 解放! エヴォブラストー!!」

 

 エヴォブラストしたラプトリアはドスクローでスコーピア、ラプトリア、ガノンタスを次々と一刀両断して破壊していった。

 

 「一体、誰が操縦している?」

 

 「わかりません。共和国軍ではないのは確かです!」

 

 「帝国軍か!?」

 

 「確認は取れませんが、敵は耐Bスーツ無しで搭乗し、しかもワイルドブラストまでしてるそうです。」

 

 「耐Bスーツ無しで搭乗し、しかもワイルドブラストだと!!」

 

 

 

 

 共和国軍仕様トリケラドゴスも迎え撃つが、ラプトリアは1回転しながら、トリケラドゴスに体当たりし、ドスクローとスラッシュクローで、トリケラドゴスの角と対空速射砲を切断させ、更にコクピットにも貫通させ、倒していった。

 

 「さて、プランAは終わりだ。プランBに移行する。」

 

 ラプトリアは対空速射砲で扉を破壊し、そのまま脱出した。ディアス中佐とツガミ大尉は倉庫に入るが、時既に倉庫は破壊されていた。

 

 「くそ、逃げられたか!」

 

 「不味いですよ。もし、あのラプトリアが帝国軍基地に攻撃を加えたら、帝国軍に我が共和国軍が帝国軍に宣戦布告したと思わされてしまいます!」

 

 「何としても、あのラプトリアを追え! 偵察隊のスコーピア、ラプトリア隊は直ぐにあのラプトリアを追跡しろ!」

 

 「了解しました!」

 

 

 

 

 「さて、プランBを始めようか。」

 

 共和国軍基地から脱出したラプトリアは軽い身のこなしで帝国軍基地に侵入し、内部にいるラプトール、スコーピア、キャノンブルに対し、砲撃した。

 帝国軍のラプトール、スコーピア、キャノンブルは反撃するが、ラプトリアはその攻撃を難なく避け、ドスクローとスラッシュクローでラプトール、スコーピアを蹴散らし、数体のキャノンブルの9連キャノン砲を一刀両断し、何体かの帝国軍ゾイドも破壊された。

 

 ウー、ウー、ウー! 

 

 帝国軍基地に警報が鳴り、それを聞いたシーガル大佐とアルドリッジ少佐は、

 

 「どうした!? 何が起こった?」

 

 「き、共和国軍のラプトリアが我が基地を襲撃してきました!」

 

 「共和国軍のラプトリアが…だと…」

 

 それを聞いたアルドリッジはニヤリとし、

 

 「そうか、これで、共和国軍を攻撃する口実が出来た。 直ぐにでも、そのラプトリアを迎え撃て!

 私はスティレイザーに乗ってガブリゲーター部隊と共に基地に攻撃する。出撃だ!!」

 

 「了解!」

 

 

 

 

 

 帝国軍の攻撃から逃げたラプトリアは帝国軍が上がってこられない丘の上で止まり、セードはそのコクピットから降りた。

 

 ピュー!

 

 セードは口笛を吹き、その口笛を聞いて主人の前に現すかのように基地からファングタイガー改が現れ、セードがラプトリアを指差すのを見て、ラプトリアを前足で倒し、崖の下に落っことした。

 

 「作戦は成功のようだな。さて、プライドが言っていた例のライガーが現れるまで、高見の見物といこう。 お前も見届けるがいい。 ファングタイガー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 共和国軍基地では、脱走したラプトリアの痕跡を追って居場所を突き止めようとしたが、

 

 「ディアス中佐!」

 

 「どうした?」

 

 「帝国軍がこちらに向かっています。」

 

 「何だと! やむを得ん。私はトリケラドゴス改で帝国軍を迎え撃つ。 ツガミ大尉は基地の防衛を頼む。」

 

 「了解。」

 

 

 ディアス中佐はトリケラドゴス改に乗り、3体のガノンタスと共に基地の入口に立った。そこに目の前にはアルドリッジ少佐の乗るスティレイザーが現れた。それを見たディアス中佐は、

 

 「スティレイザー一体だけなのか? おかしい。陽動作戦か… 」

 

 互いに向き合うトリケラドゴス改とスティレイザー、

 

 「久しいな、ディアス中佐。」

 

 「アルドリッジ少佐。」

 

 「どうやら、遂に我が帝国軍に牙を剥いたようだな!」

 

 「違う! あれは我々の意思ではない。何らかの妨害で…」

 

 「どういう理由にしろ、貴様ら共和国軍が攻撃してきたことに変わりはないわ!」

 

 スティレイザーはレーザー砲を発射し、トリケラドゴス改はその攻撃を受け止めた。

 

 「ここは私が食い止める!」

 

 「了解しました!」

 

 背後のガノンタス部隊が基地に戻ろうとするが、それを見たアルドリッジ少佐は、

 

 「そんなノロ亀が間に合うか?」

 

 スティレイザーはガノンタス部隊にもミサイルを撃ち込もうとするが、トリケラドゴス改がスティレイザーに向かって突進した。

 

 「そうはさせん!」

 

 トリケラドゴス改はスティレイザーにぶつけ、更に超至近距離で対空速射砲を撃ち込んだ。

 

 「うぅ!」

 

 「ここから先は一歩も通さん!」

 

 しかし、アルドリッジ少佐のスティレイザーはトリケラドゴス改の突進と対空速射砲を食らっても無傷で、そればかりか、コクピットのアルドリッジ少佐も平気そうな顔をしていた。

 

 「何!?」

 

 「愚か者め! この俺に正面から挑んだこと後悔するがいい!!

 制御トリガー解除! スティレイザー、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 マシンブラストしたスティレイザーはスタンホーンが前方に出し、更にエレクトフリルから電流を流し、トリケラドゴス改に電流を浴びせた。

 

 「ぐ、ぐわぁ~!!」

 

 スティレイザーのマシンブラストを食らって倒れるトリケラドゴス改、

 

 「無様だな、ディアス中佐! 共和国のエリートが聞いて呆れるわ!」

 

 そう言うと、倒れたトリケラドゴス改を横切り、そのまま基地に向かって前進するスティレイザー、

 

 「くそ、アルドリッジめ。」

 

 

 

 

 

 高い丘の上でセードはアルドリッジ率いる帝国軍とディアス中佐、ツガミ大尉率いる共和国軍と交戦している様子を見ていた。

 ファングタイガー改がセードを見た時、セードの右腕がオレンジ色に発光し、

 

 「慌てるな。今、アルドリッジの奴が楽しんでいる。暫くは高見の見物と行こうじゃないか。」

 

 

 

 

 

 ウー、ウー、ウー! 

 

 「な、何だ! 何だ?」

 

 「非常警報よ! もしかして、敵の攻撃?」

 

 レオが外を見ると、外では基地の入口から侵入したスティレイザーとロープで侵入した帝国軍仕様ガブリゲーターが共和国軍仕様ガノンタスと交戦していた。

 

 「あれは帝国軍!」

 

 「帝国軍ゾイドの中でも強力なスティレイザーよ。」

 

 「く、」

 

 「お、おい、レオ! 何処行くんだよ?」

 

 「だって、このままほっとけない。」

 

 「だからって、帝国軍相手に…」

 

 「私も行くわ!」

 

 「アイセルまで!」

 

 レオとアイセルが走っていく中、バズはサリーを見て、

 

 「お嬢さんはもちろん、ここで待っているよね?」

 

 「でも、レオのことはほっとけない。」

 

 「お、おい… ああ~! 皆何なんだよ!!」

 

 

 

 アルドリッジのスティレイザーは帝国仕様ガブリゲーターと共に次々と共和国仕様ガノンタスとラプトリアを撃破していった。アイセルのラプトリアが駆けつけるが、帝国仕様のガブリゲーター部隊に苦戦を強いられてしまう。

 

 「ふん、雑魚共が。」

 

 スティレイザーがボロボロのガノンタスに止めを刺そうとしたその時、

 

 「止めろ~!!」

 

 突如、ビーストライガーが現れ、スティレイザーにぶつけた。

 

 「う、何だ?」

 

 ビーストライガーを見たアルドリッジは、

 

 「あれは、ああ、そうか。 博士の言っていた例のライオン種か。」

 

 ビーストライガーは機動力を活かしてスティレイザーの攻撃をかわし、スティレイザーを翻弄させた。

 

 「そうか、あのゾイド、強力だけど、大きいから小回りが利かないから、上手く旋回出来ないんだ。 よし、ライガーの機動力なら勝てる!」

 

 しかし、ビーストライガーが後ろに回ったその時、スティレイザーは咄嗟に尻尾でライガーを振り払った。

 

 「ぐわぁっ!」

 「レオ!」

 

 「ええい、小賢しい! 制御トリガー解除! スティレイザー、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 「行くぞ、ライガー! ビーストライガー、進化 解放! エヴォブラストー!!」

 

 ビーストライガーはアルドリッジのスティレイザーに突っ込むが、スティレイザーは前方に出たスタンホーンでビーストライガーを捕らえた。

 

 「プラズマウォール!!」

 

 スティレイザーのエレクトフリルから電流が流れ、トリケラドゴス改同様にビーストライガーにも直撃させた。

 

 「ぐ、ぐわぁ~!!」

 

 スティレイザーのマシンブラストを喰らって、倒れるビーストライガー、それを見たアルドリッジは笑い上げ、

 

 「そんなライオン種ごときで何ができる? 軍人でもない小僧が思い上がるな!」

 

 「うぅ…」

 

 「止めを刺してくれる!」

 

 それを見たサリーは、

 

 「レオ!」

 

 スティレイザーがビーストライガーに止めを刺そうとしたその時、背後から黒い影が現れ、アルドリッジのスティレイザーを吹っ飛ばした。現れたのはファングタイガー改だった。

 

 

 「邪魔だぜ、アルドリッジ!」

 

 「あのファングタイガーは?」

 

 「ユウトに散々やられたと聞いて、拍子抜けしていたが、少しはやるようだな。 では、今度は俺が相手をしてやろう。」

 

 「レオ!」

 

 「俺は大丈夫。 それより、サリーたちはここから離れて!」

 

 「よし、行くぞ! ライガー。」

 

 「貴様の実力試してやるぞ。」

 

 

 

 

 ファングタイガー改に倒されたアルドリッジのスティレイザーは起き上がり、

 

 「おのれ、私兵の分際で、この私をこけにしやがって!」

 

 その時、何かがアルドリッジのスティレイザーに砲撃した。現れたのはツガミ大尉のステゴゼーゲ改だった。

 

 「アルドリッジ! 私が相手だ。 正式な宣戦布告も無しに、我が共和国軍基地を襲撃した報いを受けてもらうぞ。」

 

 「あのステゴゼーゲは… ああ、今度はツガミか。 面白い、今度は貴様もディアスと同じ目に逢わせてやる。」

 

 スティレイザーはレーザー砲でステゴゼーゲ改に撃ち込むが、ステゴゼーゲ改も対空速射砲で迎撃し、その場から動こうとしなかった。

 

 「はっ、どうした? ビビって、近付くことも出来ないか!」

 

 「ふん、貴様ごとき、わざわざ近付くまでもない!」

 

 「何を! 貴様、舐めるなー!!」

 

 アルドリッジのスティレイザーはレーザー砲を撃ちながら、ツガミ大尉のステゴゼーゲ改に向かって走っていった。

 

 「よし、近付いてきたな。さあ、来い、アルドリッジ!」

 

 ステゴゼーゲ改も対空速射砲を撃ちながら、スティレイザーに向かって真っ直ぐ走っていった。互いに頭部をぶつけ合うスティレイザーとステゴゼーゲ改、当初は互角に見えたが、徐々にスティレイザーが押していった。

 

 「は、大口叩いて、その程度か! 」

 

 「ぬ、ぐうぅ…」

 

 「共和国のエリートが聞いて呆れるわ!! これで終わりにしてやる。

 制御トリガー解除! スティレイザー、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 マシンブラストを発動したスティレイザーのスタンホーンが前方に出ようとしたその時、

 

 「今だ! 行くぞ、ステゴゼーゲ! ステゴゼーゲ、進化 解放! エヴォブラストー!!」

 

 スティレイザーがマシンブラストした直後にステゴゼーゲ改もエヴォブラストし、首のコクピットにあるウィングカッターがスティレイザーのエレクトフリルを切り裂いた。

 

 「何!?」

 

 「生憎だが、正面攻撃はこちらも得意分野なんでね! それに私は生涯、共和国のために尽くすと誓えた男、伊達に共和国のエリートと呼ばれていない。

 それに私はシミュレーションだが、一度、ディアス中佐のトリケラドゴス改を敗っている。更に…」

 

 ステゴゼーゲ改はすかさず、横に回り、

 

 「私は横からの攻撃にも強い。ナイフオブフィフティーン!」

 

 エヴォブラストしたステゴゼーゲ改のボーンソーがスティレイザーの装甲を貫いた。

 

 「うおぉ!!」

 

 ステゴゼーゲ改の立て続けの攻撃によって、遂に倒れるスティレイザー、ステゴゼーゲ改は対空速射砲をコクピットに向け、

 

 「降伏しろ! アルドリッジ。」

 

 「く、おのれ、ツガミめ! 撤退!!」

 

 スティレイザーは煙幕を張り、煙が晴れると、スティレイザーの姿はなかった。

 

 「くそ、逃がしたか!」

 

 「ツガミ大尉!」

 

 「どうした!?」

 

 兵士の通信を聞いて、後ろを振り向くと、ビーストライガーがファングタイガー改に苦戦していた。

 

 「ファングタイガー改、悪魔の虎か… ガブリゲーター部隊を出せ!」

 

 

 

 

 

 ビーストライガーは前足でファングタイガー改に攻撃しようとするが、ファングタイガー改は瞬時に避け、逆にタイガーの前足攻撃を喰らってしまう。

 ビーストライガーは頭部をファングタイガー改にぶつけるが、ファングタイガー改には一切通用せず、ライガーを吹っ飛ばす。

 ライガーも負けじと正面から向かってファングタイガー改に頭部と頭部をぶつけるが、タイガーに押されてしまう。

 

 「くそ、どうすればいい?」

 

 その時、ビーストライガーが何か言いたいように頷いた。

 

 「そうだな。行くぞ、ライガー! ビーストライガー、進化 解放! エヴォブラストー!!」

 

 その時、ファングタイガー改のコクピットにいるセードの右腕がオレンジ色に発光した。右腕を見たセードは、

 

 「俺の右腕が反応している… そうか、奴は俺と同じ力を持った同類か… どうやら、俺が相手になって正解のようだな。」

 

 

 「ビーストオブクローブレイク!!」

 

 ビーストライガーがファングタイガー改に向かって攻撃する。

 

 ガキン!

 

 ビーストライガーの攻撃がファングタイガー改に直撃したかと思ったが、何と、ファングタイガー改はビーストライガーのタテガミクローを咥えて動きを封じた。

 

 「そんな!」

 

 「いい技だが、思ったより、単調な攻撃だな! そんなんじゃ、このファングタイガーに傷一つつけることは出来ん!」

 

 ファングタイガー改は咥えたまま、ビーストライガーを振り回し、そのまま壁にぶつけた。

 

 「ぐわぁ!」

 

 「レオ!」

 

 「やれやれ、俺と同じ同類の癖に随分素人だな。本当の攻撃を見せてやる。 行くぞ、ファングタイガー。

 ファングタイガー、兵器 解放! マシンブラストー!! デスファング!」

 

 マシンブラストしたファングタイガー改の背中のツインドファングが現れ、ハイパーブースターで加速し、ライガーに向かっていく。ライガーはそれを避けようとするが、ファングタイガー改はツインドファングの左右にあるA-Zレーザーガンで、ライガーは足を撃ち抜かれ、ファングタイガー改のツインドファングがライガーの右半身のアーマーを切り裂いた。

 

 「ぐわぁっ!」

 

 グオォ~!!

 

 

 ファングタイガー改のマシンブラスト技を喰らって悲鳴をあげるレオとライガー、ライガーはそのまま倒れてしまい、

 

 「少しはやるかと思ったが、どうやら、とんだ期待外れだったようだな。 しかも俺と同じ力を持っていながら、その様とはね。

 宝の持ち腐れとは正にこのこと。 さて、お前とのゲームは終わりだな。」

  

 ファングタイガー改が止めを刺そうとしたその時、

 

 「止めて~!!」

 

 サリーの悲痛な叫びを聞いて、セードは動きを止め、サリーを見た。

 

 「あいつは…」

 

 サリーを見たセードはサリーの顔に見覚えがあるかのような表情をした。

 

 ズドン、ズドン!

 

 その時、ガブリゲーター部隊がファングタイガー改を砲撃してきた。

 

 「何!? アルドリッジの奴、裏切ったのか!?」

 

 しかし、攻撃したガブリゲーターには共和国のエンブレムが貼られていた。

 

 「共和国のガブリゲーターだと! そうか、ここにガブリゲーターの化石もあって、共和国の連中はそいつらも戦力に加えたというわけか。

 面白い、行くぞ、ファングタイガー!」

 

 ファングタイガー改は標的を共和国仕様ガブリゲーターに変え、ガブリゲーターに向かって走っていった。ファングタイガー改はガブリゲーターの砲撃を難なく避け、ガブリゲーター部隊に向かって走って行った。

 

 「デスファング!」

 

 ファングタイガー改のツインドファングが複数のガブリゲーターに直撃し、ガブリゲーター部隊は一刀両断され、爆破した。

 

 「ち、邪魔が入ったが、これでライガーの止めは…」

 

 その時、共和国軍基地から化石の一部を持ったクワーガが現れ、そのまま飛び去っていった。

 

 「あれは、そうか、プライドめ。 俺がこいつらとやりあっている間にどさくさに紛れて例の化石を回収するつもりだったのか。

 本来なら、まだゲームを続けたいところだが、口実が無くなってしまったら、仕方がない。行くぞ、ファングタイガー。」

 

 化石の一部を回収したクワーガを見たセードとファングタイガー改はその場から立ち去った。

 

 立ち去るファングタイガー改を見たレオは、

 

 「行った。あいつ一体何だったんだ? それにさっきあの時、何故止めを刺さなかったんだ?

 まるで、サリーの声を聞いて攻撃を止めていたように見えたけど、まさか…!」

 

 「レオ!」

 

 「サリー。」

 

 「レオ、大丈夫なの?」

 

 「俺は平気だよ。 でもまたライガーに無茶させちゃった。」

 

 

 「ホント、あいつは無茶する男だぜ!」

 

 「でも、そこが彼のいいとこなの!」

 

 

 

 トリケラドゴス改のところにステゴゼーゲ改が立ち寄り、ツガミ大尉はコクピットから降りてディアス中佐のところに来た。

 

 「ツガミ大尉、帝国軍は?」

 

 「アルドリッジ少佐と悪魔の虎は逃がしはしましたが、帝国軍を撤退させることに成功しました。」

 

 「そうか…」

 

 「中佐、いくら相手がアルドリッジだからといって、やられるなんてあなたらしくないですよ!」

 

 「ふ、どうやら、君には敵わないようだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 帝国の帝都ネオゼネバスシティ、移民船の宮殿の中の一室で、プライド摂政がディアス中佐とツガミ大尉の指揮する共和国軍基地で発掘されたゾイドの化石の映像を見ていた。そこに1人の女性士官が現れ、

 

 「例の化石を回収しました。やはり、ランド博士の欲しているゾイドの化石の一部で間違いないようです。」

 

 「シーガルとアルドリッジがヘマをやらかしたと基地の兵士から聞いたが…」

 

 「セードが共和国軍基地を混乱させ、例のライガーと交戦して注意を剃らしたおかげで、容易に回収出来ました。」

 

 「そうか… ご苦労だったな。」

 

 「ところで…」

 

 「何だ?」

 

 「ランド博士は例のゾイドの復元に躍起になって、あの小娘の持つペンダントの奪還には目もくれないようだけど、いいのかしら? あのままで?」

 

 「心配はいらん。共和国との軍事バランスのためにあのゾイドの復元を先にするのは時期的には良いタイミングだ。

 それに、まだ、我々の手で端末を作動させる時期ではないからな。」

 

 「では、小娘を連れた例のライガーの小僧はしばらく、泳がせる形で?」

 

 「そうだな。今のところはペンダントの奪還を急がす程ではないが、いずれ、あのライガーと小僧は始末する必要があるだろう。 

 だが、小僧とライガーが小娘と一緒になっていることを知った以上、今処分するわけにはいかない。

 奴にはそれなりの利用価値があるからな。 小僧とライガーには引き続き監視体制を取って、見失わないようにしておけ。」

 

 「了解。」

 

 女性士官が退出し、ランド博士が復元している巨大ゾイドの化石の全貌の映像を見たプライド摂政は、

 

 「我が帝国の計画は第1段階に入った。お前はその段階の礎となるのだ。ジェノスピノ。」

 

 

 

 

 

 

 基地の一室でダーツをしているセードはビーストライガーとの戦いを思いだし、

 

 「俺とファングタイガーの足元に届かなかったが、奴が俺と同じ同類だと判明した以上、これからも俺のゲームの駒として楽しまなくてはな。

 そうでなきゃ、この力を手に入れた意味がない。」

 

 セードが右袖を破ると、彼の右腕はレオの左腕同様に金属化していた。

 

 To be continued




 次回予告

 セードのファングタイガー改とアルドリッジ率いる帝国軍と戦い、何とか共和国軍を救ったレオ、レオたちは新たに加わったアイセルと共に端末探しの旅に出掛けるが、帝国軍のある部隊が最強のファングタイガー改とハンターウルフ改に次ぐ強力なゾイドを復元し、その性能を試すためにそのゾイドがレオたちに襲いかかってきた。

 次回「さらば帝国、裏切りの幻狐」

 走り抜け、ライガー!!


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第5話「さらば帝国、裏切りの幻狐」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 ペンダントの力によって突如復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーを復活させた不思議な力を持つペンダントを持ち、地球の未来を左右する謎の少女サリーと共に地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 レオがセードの操るファングタイガー改と戦った場所から数十キロ離れた帝国軍基地、そこはノックス大尉が指揮する基地で、司令室でハンターウルフ改とファングタイガー改の映像を見ていた。

 

 「ううむ、流石はランド博士の開発した帝国軍最強の機体、頼もしい限りだが、このままでは、我が部隊の面目が丸潰れだ。

 ハンターウルフ改やファングタイガー改に比毛を取らない優秀な機体の完成を急がねば!」

 

 そこに作業員が部屋に入り、

 

 「ノックス大尉、例のゾイドが完成しました。」

 

 「おお、そうか!」

 

 

 

 ノックス大尉が作業員についていって、倉庫に入ると、そこには背中にガトリングを搭載したキツネ種のゾイドがいた。

 

 「これが例の新型ゾイドか?」

 

 「はい、実験に実験を重ね、遂に完成した帝国軍の新型ゾイド、名付けて、ガトリングフォックスです。」

 

 「ガトリングフォックス…」

 

 「発掘当初、このゾイドには武器らしい武器は装備していない無防備状態でしたので、A-Zインフィニティガトリングにダブルバスターライフル、マルチプルランチャー、2連ソードオフ・ショットガンを新たに装備させ、加えてこのゾイドには光学迷彩機能も搭載していますので、隠密行動に優れたステルス性能も持っています。」

 

 「そんな機能まで搭載させたのか!」

 

 「はい、ハンターウルフ改やファングタイガー改に比毛を取らない優秀な機体の開発という大尉の御期待に沿えた私の終生の傑作です。

 シミュレーションは既に終わっていますので、後は実戦投入でどこまで発揮出来るかのテストだけですが、問題はこれに相応しいライダーがいるかどうか…」

 

 「それは心配ない。 ブラッド軍曹!」

 

 そこに1人の若い将校が現れた。

 

 「大尉、一体俺に何の用ですか?」

 

 「実はお前に新しいゾイドを与えようと思ってな。」

 

 「俺の…新しいゾイド?」

 

 「そうだ。 見ろ!」

 

 ガトリングフォックスを見たバーンは驚愕した。

 

 「これは…!」

 

 「つい最近完成した新型のガトリングフォックスだ。 お前の今までの功績を称え、このゾイドのライダーに任命しようと思っている。」

 

 「俺を…このゾイドの…ライダーですか?」

 

 「そうだ。お前にとってはこれ程にない名誉ではないか。 それとももしかして不服か?」

 

 「いえ、ありがとうございます! 大尉。 それで、大尉、こいつに乗って俺にどうしろと?」

 

 「実は先程、帝国との国境近くに共和国軍の基地が発見されたとスパイからの報告があってな。

 このガトリングフォックスの最終テストも兼ねて、その基地を叩いて貰いたい。」

 

 「わかりました。必ず落として見せます!」

 

 「頼りにしてるぞ!」

 

 

 

 バーンはガトリングフォックスのコクピットに乗り、同時にガトリングフォックスのバイザーの色が赤から青に変わり、鳴き声に似たような声がした。

 

 「今のは? まあ、いい。これから俺のゾイドとしてよろしく頼むぜ。ガトリングフォックス!」

 

 ガトリングフォックスは基地から出て、光学迷彩機能を発動して姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 ディアス中佐とツガミ大尉の指揮する共和国軍基地、ファングタイガー改とアルドリッジ率いる帝国軍によって破壊されたところの復興とビーストライガー、トリケラドゴス改ら傷付いたゾイドたちの修復を行っていた。

 

 「君に仮が出来てしまったな。」

 

 「ディアス中佐、」

 

 「何だね?」

 

 「あの… あのファングタイガーは一体何ですか?」

 

 「君が以前戦ったっていうハンターウルフ改と並ぶ帝国軍最強のゾイドだ。 ハンターウルフのライダーのザナドゥリアス少尉と同様に、耐Bスーツ無しでもゾイドを操縦でき、しかもワイルドブラストまでしてしまう並外れたライダーが乗っている。

 最もザナドゥリアス少尉とファングタイガー改に乗るライダーの素性は我々にもわからない。」

 

 「俺みたいに耐Bスーツ無しでゾイドに乗れるなんて…一体どんな奴なんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 帝国と共和国の国境近くにある共和国軍基地、警戒をしているラプトリア部隊が突然ガトリングに撃ち込まれ、次々と倒れていった。

 

 ビー、ビー、ビー!

 

 「どうした? 何が起こった!」

 

 「敵の攻撃です!」

 

 「戦力はどれぐらいだ?」

 

 「それが…」

 

 

 基地の内部ではラプトリアとスコーピア部隊が戦闘配備しているが、敵の姿が見えず、次々と倒されてしまう。

 

 「敵は一体何処から攻撃している?」

 

 「レーダーにも反応なし、敵の居場所も突き止められません! 何!? ウワァー!!」

 「第一部隊全滅! 第二部隊も全滅です!」

 

 「くそ、帝国軍は一体どんなゾイドを送ったんだ!?」

 

 次々と倒れる共和国軍ゾイドを見たバーンは、

 

 「こいつはスゲェ! 共和国軍がまるで歯が立たない程だぜ。こいつがいれば最早無敵だ!!」

 

 

 

 共和国軍ゾイドを殲滅したガトリングフォックスは更に基地まで破壊し、そのまま立ち去った。

 

 「こちら、ブラッド軍曹。 大尉、やりました!」

 

 「そうか、よくやった。 やはり、お前を指名して正解だったようだ。」

 

 「実験は成功ですね! これで我が部隊はファングタイガー改やハンターウルフ改と並ぶ最強のゾイドを手に入れたのです。」

 

 ガトリングフォックスに乗るバーンはご機嫌よく、

 

 「大尉は太っ腹だぜ! こんなスゲェゾイドを俺にくれるなんて、きつい訓練に耐えた甲斐があったぜ!」

 

 そう言い放った矢先、フォックスの赤いバイザーが明滅し、青い光を放つ。 バイザーを青く光らせたフォックスはバーンの意思に反し、その場で走るのをやめてしまう。

 

 「お、おい、どうした? さっさと進めろ!」

 

 暫くは動かなかったが、バーンの言葉に従うかのようにガトリングフォックスはバイザーを赤く光らせ、そのまま帝国軍基地に向かって走って行った。

 

 「一体なんだったんだ? とりあえず、あいつに聞いてみるか…」

 

 

 

 

 

 

 帝国軍基地に戻ったガトリングフォックスから降りたバーンはノックス大尉と作業員の元に立ち寄った。

 

 「よくやったぞ。ブラッド軍曹! これで我が軍は博士直属の軍に遅れを取ることはなくなった。」

 

 「全ては私の研究の成果です!」

 

 「おい!」

 

 「なんでしょう?」

 

 「さっき、フォックスが突然動かなかったが、一体どういうことだ?」

 

 「それはおかしいですね… ちゃんと実戦投入前にテストは行いましたから、ミスがあるはずがございませんが…」

 

 「てめえ、俺をなめてんのか!」

 

 「いえいえ、決してそのようなことは… まあ、機械にバグが起こるのは当たり前です! おそらくバイザーへの順応が不十分だったのでしょう。 性能は高くともこいつは所詮機械ですからね。」

 

 「機械…」

  

 「それはそうと、ブラッド軍曹。疲れを癒すためにも君は少し休みたまえ。」

 

 「はい!」

 

 ノックス大尉と作業員が立ち去り、ガトリングフォックスを見て、フォックスが突然動きを止め、自分の言葉に従うかのように動いたのを思い出したバーンは、

 

 「俺の見過ごしかな? さっきはただのバグと思っていたが、あれは確かに俺の言葉に応えて動いていたような気がしていたが… 

 ゾイドはただの機械… 確かに入隊時ではそのように教わっていたが、共和国や他の地域ではゾイドは生命体だとか言われている… まあ、俺の知ったこっちゃないか。」

 

 作業員の言葉とフォックスの異変に疑問を持ちながらもその場を立ち去るバーン、しかし、バーンが立ち去った後、ガトリングフォックスのバイザーが再び青く発光した。

 

 同時にフォックスは操縦無しに突然動きだし、尻尾のマルチプルランチャーから照明弾を発射し、基地の天井を破壊、

 

 「お、おい! 一体どうしたんだ!?」

 

 自分よりも二回りも大きいナックルコングにタックルをお見舞いしたフォックスは暴走を停止した。騒ぎを聞き付けたノックス大尉と作業員が再び駆け寄った。 バーンは作業員に詰め寄り、

 

 「おい! これはどういうことだ!?」

 

 「申し訳ありません。これは予想外のことです!」

 

 「予想外だと!? 開発したお前が言える口か!」

 

 「止せ、ブラッド二等軍曹。」

 

 「ちっ、とにかく明朝までにフォックスを完璧に整備しろよ! こいつに何かあったら、俺の首がすっ飛ぶからな!」

 

 バーンは不満ながらもその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明朝、ディアス中佐とツガミ大尉の指揮する共和国軍基地では、レオたちが再び旅立ちの準備をしていた。サリーはツガミ大尉に頭を下げ、

 

 「本当にありがとうございます。」

 

 「礼はいらない。君たちを保護することも我々軍人の役目でもある。 それにここは帝国との国境沿いにあるから、帝国軍が巡回していることも多い。

 帝国軍の届かない安全なルートまでは私も同行する。」

 

 「ありがとうございます。」

 

 「それにディアス中佐からの命令で、万が一のことも踏まえてボディーガードもつけといた。」

 

 「ボディーガード?」

 

 それを聞いて首を傾げるレオの元にアイセルが現れた。

 

 「おまたせ!」

 

 「アイセル!?」

 

 「彼女は軍人だが、我々と違って、考古学者で、どちらかというと、そちらの専門だ。

 端末探しに役立てくれるだろう。それに彼女は我が共和国軍の中でも中々の実力者だ。ボディーガードにはうっつけだ。」

 

 「え、じゃあ、ツガミさんはどうするんですか?」

 

 「私はディアス中佐と共にこの基地と共和国領を守る義務がある。それにボディーガードは私の専門ではないのでね。」

 

 「ということで、よろしく、レオ! あなたのお父さんの行方に私も協力してあげる!」

 

 「あ…ああ、こちらこそ、よろしく。」

 

 「サリーもお願いね。 あ、後、端末やあのライガーはもちろん、レオと上手くいっているのかも聞かせてね。」

 

 「はい、よろしくお願いいたします。」

 

 「あ、アイセル! 余計なこと言わないでくれよ。」

 

 「おや、レオ。 顔が真っ赤だぞ~。もしかして、お前…」

 

 「もう! バズまでからかうなよ!!」

 

 「さ、そろそろ出発するぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 ノックス大尉の指揮する帝国軍基地、ノックス大尉のいる司令室に兵士が入り、

 

 「ノックス大尉、偵察部隊から報告がありました! 手配中の娘を連れた例のライガーが共和国軍と共に我が部隊の基地の近くを通っているとのことです。

 しかも、共和国軍を指揮しているのはステゴゼーゲ改のようです。」

 

 「何! それは本当か!? どうやら、好機が来たようだ。直ぐに出撃する! ブラッド軍曹にも出撃の要請を!」

 

 「はっ!」

 

 「待っていろ、ツガミ。あの時の借りを返してやる。」

 

 

 個室で休息しているバーンの元にも兵士が現れ、

 

 「ブラッド二等軍曹、例のライガーがこの基地の近くを巡回していて、直ちに滷獲するよう、ノックス大尉から命令が来た。 直ちにガトリングフォックスで出撃を!」

 

 「了解! へ、どうやら、更に運が回ってきたようだ。しかもライガーとありゃ、相手にとって不足なし!」

 

 バーンはフォックスに乗る準備をする中、フォックスの近くにあの作業員がいた。

 

 「よし、これで完璧だ。」

 

 「今度は大丈夫なんだろうな?」

 

 「大丈夫です! 何せこいつは私の終生の傑作ですから。」

 

 「今は俺のゾイドだ!」

 

 「確かにライダーはあなたですが、こいつを開発したのは私です。それをお忘れなく。」

 

 「ちっ!」

 

 バーンはしぶしぶフォックスに乗り、出撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオたちはツガミ大尉率いる共和国軍と共に道を進んでいった。

 

 「この方向で合ってる?誰も住んでなさそうだよ?」

 

 「こんなところで迷子になりたくないんですけど!」

 

 「心配するな。あと一時間もすれば着くはずだ。悪いがお嬢さん、現在地を割り出してもらえるかな?」

 

 「フフ。やっぱり迷ってるんですね♪」

 

 「違う!念のための確認だ!」

 

 レーダーを見たツガミ大尉は、

 

 「この道を通れば、帝国軍の手の届かない安全地帯に繋がっている。間違いはない。」

 

 「やっぱり、ツガミさんに任せた方がいいみたいですね。」

 

 「おい、サリー。まさか、俺が方向音痴だと言いたいのか?」

 

 ほのぼのした会話を繰り広げるレオたちに銃弾の雨が降り注ぐ。 岩陰から姿を現したのは2機のナックルコング。そして、そのナックルコング部隊を率いていたのはスティレイザーだった。スティレイザーを見たツガミ大尉は、

 

 「スティレイザーだと!? まさか、アルドリッジの奴、懲りずに来やがったのか!」

 

 「久しぶりだな。ツガミ大尉。」

 

 「その声は、ノックス大尉か!」

 

 「そうだ! 以前の戦闘で私のナックルコングの左腕をお前のステゴゼーゲに破壊された屈辱忘れはせんぞ。」

 

 「なるほど、乗り換えたのがそのスティレイザーということか…」

 

 「貴様のステゴゼーゲによって私のナックルコングが修復困難になったため、このスティレイザーに乗り換えたのだ。

 今度はあの時のようにはいかせん! 借りを返して貰うぞ。」

 

 「残念だが、スティレイザーには先程の戦闘で一度倒している。しかもアルドリッジが乗った奴をな!」

 

 「何!? アルドリッジ少佐をだと! だが、いくらアルドリッジ少佐を倒したとはいえ、私まで倒せると思うな-!!」

 

 互いにぶつかり合うスティレイザーとステゴゼーゲ改、

 

 「ナックルコング部隊はサリー・ランドを乗せていると思われる車を捕らえろ! 私はステゴゼーゲの相手をする。」

 

 最初は互角かと思われたが、徐々に押していくスティレイザー、

 

 「う、くっ… 思ったよりやるな。」

 

 「ツガミさん、今行きます!」

 

 レオとビーストライガーはステゴゼーゲ改を助けにいこうとするが、

 

 ズドン、ズドン!

 

 突然、ビーストライガーの歩みを止めるべく放たれた砲撃があった。

 

 「砲撃? まだ敵がいるのか! う、グワァ!」

 

 更にビーストライガーはガトリングに撃ち込まれ、ライガーは直ぐ様、攻撃の体勢に入るが、相手の姿が全く見えず、反撃出来ぬまま攻撃を喰らってしまう。

 

 「くそ、一体何処から攻撃してきたんだ!?」

 

 その時、光学迷彩を解除して、ガトリングフォックスがライガーの目の前に現れた。

 

 「お前が噂のライガーか! このガトリングフォックスの肩慣らしに丁度いい相手だぜ!」

 

 「ハンターウルフ? いや、違う! 新しいゾイド!?」

 

 ガトリングフォックスを見たツガミ大尉も驚愕し、

 

 「何だ、あれは? 帝国の新型ゾイドか!?」

 

 「そうだ! 光学迷彩を搭載した我が部隊の最終兵器ガトリングフォックスだ!!」

 

 「ガトリングフォックスだと!? 帝国軍はそんな新型ゾイドの開発まで着手していたのか!」

 

 「俺とフォックスの速さについてこられるかな?」

 

 フォックスは再び姿を隠した。

 

 「また消えた。今度はどっから?」

 

 その時、フォックスは左からライガーに突進し、その次は右、斜め右、斜め左と左右からライガーに攻撃してきた。

 

 「くそ、これじゃ、反撃せずにやられてしまう。ん?

待てよ。」 

 

 足元を見たレオは何かに気付き、

 

 「そうだ。 足音だ! ライガー、足音を聞き分けられるか?」

 

 ライガーはゆっくり頷いた。

 

 「よし、あいつが攻撃してきた時がチャンスだ!」

 

 ライガーは動きを止め、レオは耳を済ました。その時、フォックスの足音が聞こえ、

 

 「そこだ! いくぞ、ライガー。 ビーストライガー、進化 解放! エヴォブラスト-!! ビーストオブクローブレイク!」

 

 ライガーは姿を隠したフォックスに攻撃するが、フォックスは攻撃を呼んでいたかのようにライガーの攻撃をさっと避けた。

 

 「攻撃を避けた!?」

 

 「残念だったな! 罠にかかったのはお前の方だ。 いくぞ、フォックス! 今こそ、お前の力を見せてやれ!!

 制御トリガー解除! ガトリングフォックス、兵器 解放! マシンブラスト-!! スラストスプレッドファイヤーーー!!!」

 

 「ウワァ-!!」

 

 マシンブラストし、火器を前方に展開したフォックスの一斉砲撃の雨がライガーに襲い、ライガーにかなりのダメージを与える。

 

 「へへ、勝負あったな。じゃ、そろそろ止めといくか…」

 

 その時、フォックスのバイザーが再び青く発光し、突然動きを止め、悶え苦しんだ。

 

 「お、おい! どうした?」

 

 それを見たレオとライガーはすかさず、

 

 「今だ! ビーストオブクローブレイク!」

 

 「くっ!」

 

 フォックスはそれを何とか避け、再び姿を隠すが、フォックスの身体から電流が迸り、悶え苦しみながら姿を隠したり、消したりした。

 

 「この、この、言うこと聞けってんだよ!」

 

 動きのおかしいフォックスを見たレオは、

 

 「あのゾイド、苦しんでる… まるで何かを訴えるように…」

 

 「ええい、攻撃だ! フォックス。」

 

 しかし、フォックスは錯乱したのか、帝国軍部隊に向けて走り出し、スティレイザーに砲撃を浴びせてしまう。

 

 「グワァ! おい、ブラッド二等軍曹! 何をやっている!?」

 

 「すいません。大尉! こいつが言うことを聞きません!」

 

 そのままスティレイザーを爪の一撃で一時行動不能に陥れたフォックスは帝国軍部隊の遥か後方に走り去ってしまうのでった。

 

 スティレイザーを振り切ったツガミ大尉とステゴゼーゲ改は、

 

 「今だ! 今のうちに逃げるぞ!」

 

 「は、はい!」

 

 「くそ、待て! おのれ、ブラッド二等軍曹め! しくじり追って!」

 

 逃げながらもレオは走り去ったフォックスのことが気掛かりだった。

 

 「あのゾイド、大丈夫かな? 苦しんでいたようだけど…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜になるまで走り続けたフォックスが迷い込んだのはとある森。 そこで停止し、バーンはフォックスのコクピットから降りた。

 

 「たく、どうしてくれるんだよ! このポンコツが!! お前のせいで帝国軍に戻れなくなってしまったじゃねぇか。」

 

 「君、ゾイドに何しているのかね?」

 

 フォックスの足を蹴るバーンの元に現れたのはマスクをしていたボーマン博士だった。

 

 「あんた、誰だ? 何もんだ!」

 

 「帝国軍の君には言えないよ。」

 

 「何だと! 貴様、俺を嘗めているのか!?」

 

 「まあまあ、落ち着きなさい。 それより、さっき君の相棒に八つ当たりして何してたのかね?」

 

 「決まっているだろ! どういうわけか。こいつが勝手に動き出して味方の軍や大尉のゾイドにまで手を掛けて逃げられる羽目になっちまっまんだ。

 せっかくあのライガーを奪って更に出世できるチャンスだったのに!」

 

 「君のゾイドの暴走はこれが原因かね?」

 

 ボーマン博士はフォックスのバイザーに指差し、

 

 「ゾイドオペレートバイザーのことか?」

 

 「君はこれが何なのか知っているかね?」

 

 「そりゃ、知ってるさ。ゾイドの意思と行動を制御し、乗り手の思うがままに操れるように開発された装置、帝国軍ゾイドとしての証さ!」

 

 「証ね… 果たしてこれが証と呼べるものかね…?」

 

 「何が言いたいんだ?」

 

 「私からしたら、これはゾイドの自由を奪い、奴隷のように使う枷のようにしか見えない。 そう、かつての私の弟子が正にそうであったように。」

 

 「枷? 弟子?」

 

 「君たち帝国軍はゾイドの自由を奪って楽しいのかね?」

 

 「楽しんでいるだ~? ふざけるな! 俺たちはゾイドを使って戦争をやっている。

 そのときに好き勝手動かれちゃ、戦争が出来ないだろ!」

 

 「確かにゾイドには闘争本能を持っている。その闘争本能を持つゾイドは戦争をしている帝国や共和国にとって必要不可欠な存在だ。

 だが、それはゾイド自身のものだ。人間の小競り合いのために備わっているものではない。」

 

 「さっきから何なんだよ! 一体何が言いたいんだ?」

 

 「私が知りたいのは君にとってフォックスは何なのかということだよ?」

 

 「俺にとってのフォックスだと?」

 

 「どうなんだね?」

 

 「いや…俺は…」

 

 「君がフォックスを救いたいなら方法はある」

 

 「本当か?!」

 

 「今すぐこのバイザーを外して、彼を自由にしてやることだ。」

 

 「帝国軍ゾイドの証であるゾイドオペレートバイザーを外すってことは、即ち帝国軍を裏切れってことじゃないか! 

 そんなことすれば、俺は帝国の反逆者になって今まで厳しい訓練に耐えてきてここまで来た俺の人生は何もかも終わりになっちまう。」

 

 「では、自分の人生のためにフォックスを犠牲にするのかね?」

 

 「そ、それは…」

 

「帝国だの共和国だのと言っているが、そもそもこの地球をこんな姿にしたのは、我々惑星Ziの人間だ。そして、ゾイドがこの地に来たのも我々のしたことだ。」

 

 「そんなの俺には関係ねぇ!」

 

 「まぁ、そう言うな。今となっては、人もゾイドもここで生きていくしかない。我々がすべきは地球とゾイド を共存させることだ。ゾイド の自由な魂を、この場で解放することだ。

 フォックスにとって、自由を奪われることは何よりも辛いようだ。二元の都合で苦しめてはいかん」

 

 「苦しめる……苦しんでるっていうのか、フォックスが……俺はそんなつもりじゃ……」

 

 「では君はフォックスを何だと思っている?闘いの道具か?出世の手段か?」

 

「そんなこと!……俺は……」

 

(ノックスの言葉がバーン軍曹の脳裏に蘇る。

 「その暁には、お前は部隊長に昇格だ」)

 

 「とはいえ、もう時間はない。 フォックスはバイザーの支配に抗い過ぎて、体力が落ちている。このままいけば…」

 

 「どうなるんだ?」

 

 「フォックスはこの場で絶命してしまうだろう。」

 

 「今すぐ助けてやりたいとこだが、君がそんな状態では助けることは出来ない。」

 

 「爺さん、今まで、ゾイドのことは考えたことなかったが、俺が初めて軍に入隊した時、ゾイドはいつも俺の側にいてくれた。

 そりゃ、最初は兵器か機械みたいな扱いだっただろうけど、だが、ゾイドは戦争の時、俺の力になり、俺を守り、共に戦ってきた。

 難しいことは言えねぇが、これだけはわかる。俺が初めてフォックスを見た時、ただの機械とは思えなかった。

 俺にとって、ゾイドは、フォックスは共に戦ってくれた同士、相棒だ。」

 

 「相棒… 私の聞きたかった言葉だ。」

 

 「え?」

 

 「よかろう。今すぐフォックスのバイザーを外し、彼を助けよう。」

 

 「本当か!? でも、いくらなんでもあんた1人の力じゃあ…」

 

 「なあに、こんな作業、私にとってはどうってことない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオたちがノックス大尉率いる帝国軍から逃れ、道を進んでいく中、

 その時、スティレイザー率いるナックルコング部隊が再び現れた。

 

 「見つけたぞ! 手配中のサリー・ランドと例のライガー。! 大人しく我々に引き渡して貰おうか。」

 

 ナックルコング部隊を率いるスティレイザーを見たレオは、

 

 「またさっきのゾイドだ。」

 

 スティレイザーを見たツガミ大尉は、

 

 「残念だが、サリー・ランド及び彼のライガーは我々共和国軍によって保護された。お引き取り願おうか。」

 

 「そういう訳にはいかん。帝国上層部からの命令でね!」

 

 「やっぱり、そうなるか。 アイセル少佐! 彼女を乗せた車を安全なところに誘導しろ!」

 

 「大尉、階級は私の方が上よ!」

 

 「だが、軍の経験は私の方が上だ!」

 

 「はいはい、わかったわよ。」

 

 「レオ! 君は私の後方に回り、私が帝国軍の注意を引き付けている間に逃げろ。」

 

 「そんな、俺も戦えます。」

 

 「駄目だ! そもそも君は軍人ではないだろ!」

 

 「わかっていますけど、ただこのまま守ってもらうだけなのは嫌なんです。」

 

 グルル…

 

 「ほら、ライガーだって、そう言っています。」

 

 「全く、なら、出来るだけ、私の足手まといになるな。」

 

 「ウォー!!」

 

 ノックス大尉のスティレイザーは真っ直ぐ突っ込み、ステゴゼーゲ改とぶつかった。

 バズの車はアイセルのラプトリアの誘導で逃げるが、車の進んだ先には2体のナックルコングが待ち構えていた。

 

 「げ、ナックルコングだ!」

 

 「私に任せて!」

 

 ラプトリアは勇猛果敢にナックルコングに立ち向かうが、体格さやパワーの差もあるため、ナックルコングに片手で掴められ、叩きつけられてしまう。

 

 「う、きゃあっ!」

 

 「お、おい、アイセル!」

 

 バズとサリーは車ごと捉えられてしまう。

 

 ナックルコングに捕らえられた車を見たノックス大尉は、

 

 「大人しく我々に従え。こいつらを握りつぶされたくなければな。」

 

 「レオ!」

 

 「サリー! くっ、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 深い森林の中、ボーマン博士は作業を終え、フォックスのバイザーを取り外した。

 

 「よし、これでフォックスは自由だ。」

 

 「ありがとう、爺さん。 ところで、あんたの名前は?」

 

 「名乗る程の者ではない。 只の通りすがりの科学者だ。」

 

 

 「通りすがりの科学者?」

 

 「さて、わしはこれで失礼するよ。」

 

 「何処に行くんだよ?」

 

 「離れ離れになった孫娘と誤った道を進んだ私の弟子と端末を探しに行かないと行けないのでな。」

 

 「孫娘? 弟子? 端末?」

 

 「それに、あの時、船で反乱を起こした者たちの正体と野望を突き止めないと、奴らはこの地球すら破壊しかねないかもしれん。 奴らの言う神とは何なのか?

 一刻も早く教授に会い、奴らの野望を阻止せねば!」

 

 「お、おい、あんた一体何言ってるんだ? 船の反乱? 地球を破壊する? 神? そいつは一体なんなんだよ!?」

 

 ボーマン博士はそのまま立ち去った。

 

 「なんだったんだ?」

 

 グルル…

 

 フォックスはバーンを見詰めた。

 

 「ああ、自由になったんだな。良かった。」

 

 その時、通信機が反応し、

 

 「近くに大尉の率いる帝国軍が戦っている? 相手は… さっきの例のライガーを連れた連中か!

 ここで、大尉の部隊と合流してライガーを滷獲すれば、さっきの汚名は返上出来るが…」

 

 バーンはフォックスを見詰め、フォックスもバーンを見詰めた。フォックスを見たバーンはしばらく考え、

 

 「そうだな。相棒! 俺たちの進むべき道はこれしかない!」

 

 

 

 

 

 

 

 2体のナックルコングに押さえられ、ノックス大尉のスティレイザーに苦戦するステゴゼーゲ改、

 

 「くそ、これじゃ、サリーをたすけられない!」

 

 「こいつ、思ったよりやるようだ!」

 

 「いい加減、降参しろ! ん?」

 

 その時、バズの車を掴むコングとビーストライガーを押さえるコングとノックス大尉のスティレイザーに向けて放たれた砲撃があった。

 

 現れたのはガトリングフォックスだった。

 

 「ブラッド二等軍曹、戻ってきたか! 命令だ!こいつらを倒せ!お前の能力なら造作もなかろう!」

 

 「確かに、俺とこのガトリングフォックスならどんな強い相手だろうと倒すのは簡単…… だが、誰を倒すか、決めるのは俺たちだ!」

 

 

 

 その時、外されたバイザーの中の本来の目が青く発光し、咆哮を上げたガトリングフォックスはビーストライガーを取り押さえるナックルコングにガトリングを撃ち込み、ナックルコングに突進して蹴散らした。それを見たノックス大尉は、

 

 「何!? 貴様、どういうことだ! 帝国を裏切るつもりか!!」

 

 「すみませんね大尉。こいつのやりたいようにさせることにしたんでねぇ。」

 

 「おのれ、ならば、貴様も同様に始末してやる!」

 

 ノックス大尉のスティレイザーはステゴゼーゲ改を振り切って真っ直ぐガトリングフォックスの元に向かった。それを見たバーンは落ち着いたように、

 

 「上司が相手だが、どうする? フォックス!」

 

 フォックスは何か言いたいように頷き、

 

 「ま、そうなるな。行くぞ! 相棒。 ガトリングフォックス、進化 解放! エヴォブラストー!!」

 

 「制御トリガー解除! スティレイザー、兵器 解放! マシンブラストー!! プラズマウォール!」

 

 しかし、ガトリングフォックスはスティレイザーの攻撃を難なく避け、後方に回った。

 

 「大尉、俺のフォックスの機動性を忘れたんですか?」

 

 「しまった!」

 

 「今だ、ファントムガトリング!!」

 

 ガトリングフォックスは後方からガトリングの銃弾をスティレイザーに浴びせた。身動きの取れなくなるスティレイザー、

 

 「くそ、いい気になりおって!」

 

 その時、目の前にステゴゼーゲ改が現れ、

 

 「ステゴゼーゲ、進化 解放! エヴォブラストー!! ナイフオブフィフティーン!」

 

 ステゴゼーゲ改の攻撃を食らって倒れるスティレイザー。 ビーストライガーの方を向いたバーンは、

 

 「おい、ライガーの少年、早く逃げた方がいいぜ!」

 

 「え、でもあなたは?」

 

 「人の心配より、自分の心配をした方が身のためだぜ!」

 

 「彼の言う通りだ。 早くここから離れよう!」

 

 ツガミ大尉の言葉を聞いたレオはバズたちと共にその場を去った。

 

 「俺たちも逃げようぜ。フォックス!」

 

 スティレイザーは立ち上がり、逃げるフォックスを見たノックス大尉は、

 

 「おのれ、バーン・ブラッドめ! 裏切った上に我が軍最高のガトリングフォックスを反乱の道具にするとは! この仮は必ず返してやる!!」

 

 

 

 

 逃げながら走り去るフォックスを見たレオは、

 

 「あの人、大丈夫かな?」

  

 「大丈夫よ! だってあのスティレイザーやナックルコングだって苦戦させた相手よ。」

 

 「出来れば、我が共和国軍に入って欲しかったが、惜しいな。」

 

 「せめて、お礼くらい言いたかったな…」

 

 「また会えるわ。そんな気がするんです。きっと!」

 

 「何はともあれ、助かったぜ。俺の車が無事で!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 走るガトリングフォックスにバーンは、

 

 「これから何処に行く? 相棒。」

 

 グルル…

 

 フォックスは何か言いたいように頷き、

 

 「そうだな。俺とお前だけでこの広い世界を走り抜こうぜ! ゾイドを苦しめる奴らとはおさらばだ。」

 

 バーンの言葉でフォックスは目一杯高く跳んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオとバズの家から少し離れた研究所のような住宅にバズの知り合いが自身が発見したゲートのようなものの一部を調べていた。

 

 「こいつは凄い! 惑星Ziはもちろんゾイドクライシス以前の地球にもこれ程の技術を持った物質は存在しない。

 こいつを帝国か共和国に売り飛ばせば、一生遊んで暮らせる程の金を手に入れることが出来るぞ!

 こいつを知ったら、バズの奴、羨ましくなるだろうな。」

 

 バズの知り合いがゲートを一心不乱に調べている中、、ゲートのようなものに埋め込まれている溝が突然紫色に発光した。

 

 To be continued




 次回予告

 ディアス中佐とツガミ大尉の助言により、安全なルートを通ってボーマン博士と端末捜しに向かうレオたち、そこでレオたちはゾイドクライシスで荒廃した街に辿り着く。そこには不可解な壊され方をされた街だった。
 だが、そこにユウトの操るハンターウルフ改と赤き死神と呼ばれる帝国軍の新たな戦力が襲いかかってきた。レオとライガーは再びユウトとハンターウルフ改にリベンジしようとするが…

 次回「空ト陸ノ、スナイパー」

 走り抜け、ライガー!!


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第6話「空ト陸ノスナイパー」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 ペンダントの力によって突如復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーを復活させた不思議な力を持つペンダントを持ち、地球の未来を左右する謎の少女サリーと共に地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 帝国軍空軍基地、そこでは帝国軍の航空戦力のゾイドたちによる演習が行われていた。

 基地の回りを巡回しているのは帝国軍の航空戦力で最強のゾイドであるプテラノドン種の赤いスナイプテラが飛行していた。そして、そのスナイプテラには赤き死神の異名を持つ帝国軍のエースパイロット、クリストファー・ギレル中尉が乗っていた。

 スナイプテラは海にいる演習相手のガブリゲーター部隊と交戦していた。ガブリゲーター部隊は装備しているミサイルポッドでスナイプテラを撃ち落とそうとするが、スナイプテラは全てのミサイルを難なく避け、ガトリングとミサイルでガブリゲーター部隊を全て迎撃した。

 

 「この演習、思ったより、早く終わりそうだな。ん?」

 

 その時、レーダーに反応があり、背後から2体の赤いクワーガと青いクワーガが迫ってきた。2体のクワーガは帝国軍が開発した新型で、赤いクワーガはクワーガファイアボンバー、青いクワーガは青いクワーガスカイステルスだった。

 

 「制御トリガー解除! クワーガ、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 マシンブラストしたファイアボンバーは熱式ビームマシンガンを放ちながらスナイプテラに近付いてきた。スナイプテラは攻撃を避けるもファイアボンバーはまるでスタミナ切れを知らないかのようにマシンガンを撃ち込み、執拗にスナイプテラに攻撃した。

 

 「くそ、反撃する隙がない!」

 

 その時、罠に掛かったかと言わんばかりにいつの間にか目の前にスカイステルスが現れた。

 

 「制御トリガー解除! クワーガ、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 マシンブラストしたスカイステルスはデュアルシザースを剥き出しにし、スナイプテラの翼を切り裂こうとする。しかし、ギレル中尉は持ち前の勘でスナイプテラの方向を変え、間一髪で避けた。

 スナイプテラは上空に急浮上し、その後直ぐに下降して2体のクワーガに向かって突っ込んだ。

 

 「流石のコンビプレートだ。しかし、私はそう簡単には敗れん!

 制御トリガー解除! スナイプテラ、兵器 解放! マシンブラストー!! アブソルートショット!」

 

 マシンブラストしたスナイプテラはA-Zスナイパーライフルを剥き出しにし、ガトリングを撃ち込みながら、ファイアボンバーとスカイステルスに向けて放った。2体は避けようとするも間に合わず、翼を撃ち抜かれてしまう。

 

 「演習終了! 演習終了!」

 

 「今回はここまでだな。」

 

 スナイプテラと2体のクワーガは基地に戻り、離陸した。スナイプテラから降りたギレル中尉の元にファイアボンバーから降りた1人の男性とスカイステルスに乗っていた女性士官が向かった。ファイアボンバーのライダーはギルバート・バスキア少尉、スカイステルスはその妹のハヅキ・バスキア准尉だった。

 

 「流石です! 赤き死神の異名を持つギレル中尉には敵いません。」

 

 「そんなことはない。君たち兄妹も中々のものだ。下手したら、私が負けていたよ。流石、我が帝国軍が誇るエリートだ!」

 

 「コリンズ准将の元で師事された者ですから、ヘマは許されません。」 

 

 「ふっ、」

 

 ギレル中尉とバスキア少尉は量産型のスナイプテラを見、

 

 「スナイプテラもかなり量産されたようですね。」

 

 「ああ、今後も更にスナイプテラの量産を進め、帝国の制空権を確実なものにするつもりだ。」

 

 「これで、帝国の空は安泰ですね。 そういえば、最近帝国が何か強大なゾイドの開発も進めているとの噂もありました。」

 

 「強大なゾイド?」

 

 「詳しいことはわかりませんが、何でも地球の覇権を左右するほどの力を持ったゾイドだとか…」

 

 2人の元にバスキア准尉が、

 

 「ギレル中尉、コリンズ准将からの通信が!」

 

 「コリンズ准将から?」

 

 「至急、帝都に来て欲しいとのことですが…」

 

 「コリンズ准将がわざわざ私を呼び出すとは……一体?」

 

 

 

 

 

 

 帝国の首都ネオゼネバスシティ、そこにはゾイドクライシス以前の旧フランスの首都パリのマルセイユに当たる場所であり、そこでは近未来のような都市に地球に移住する時にゾイド人が乗っていた巨大な移民船が鎮座していた。

 そこにギレル中尉のスナイプテラが帝国軍の拠点に向けて飛行した。移民船の手前に止まり、通信で「スナイプテラは87番ハッチへ」という指示を受け、ハッチ内に入るスナイプテラ。中には帝都と同様の都市になっていた。

 87番ハッチを通過し、そのまま都市部に入るスナイプテラ、スナイプテラから降りたギレル中尉に声を掛ける男性、それは帝国軍のアドリアス・コリンズ准将だった。

 

 「ギレル中尉。」

 

 「コリンズ准将。あなたでしたか。私を呼び出したのは!」

 

 「久し振りだな。最近、随分腕を上げたとも聞いている。」

 

 「帝国軍人として、それは当たり前のことです。ところで、私に何の御用でしょうか?」

 

 「実は君に会いたいという人がおってな。」

 

 「私に?」

 

 コリンズ准将とギレル中尉は移民船のある部屋に入り、そこにコリンズ准将とギレル中尉を待っていたのは、ランド博士とユウトだった。

 コリンズ准将からギレル中尉は帝国軍最高科学顧問ランド博士を紹介される。

 

 「彼がお話したギレル中尉です。」

 

 「ほう、君か。帝国軍切っての切れ者という噂の軍人は…」

 

 「噂ではなく真実です!」

 

 「おお、そうか、それは失礼…」

 

 ユウトを見たギレル中尉は、

 

 「博士、この者は?」

 

 「紹介しよう。プライド摂政閣下直属の特務少尉にして、私の助手であるザナドゥリアス少尉だ。

 私の開発したハンターウルフ改のゾイドライダーでもある。」

 

 「では、あの帝国軍最強のハンターウルフ改を操るゾイドライダーというのは君か!」

 

 「言葉を慎みたまえ! ギレル中尉。 君より階級は低くとも彼はプライド閣下直属の者。そして、私が育てた優秀な軍人なのだ。」

 

 「しかし、彼は私より年し…」

 

 ランド博士に意見をするギレル中尉にコリンズ准将はギレル中尉の肩に触れ、

 

 「まあまあ、ギレル中尉。博士の言う通りだ。彼は帝国で最も優秀な人材なのだから。」

 

 「あなたがそう言うのでしたら…」

 

 「この帝国の移民船が地球に到着したのは、共和国よりも一年も後のことだ。その一年の間に、共和国はゾイドを発掘復元し、先に軍備を強化されてしまった。

 我々はその遅れを取り戻すため、ランド博士を帝国に招聘したんだ。

 ワイルドブラストの衝撃からゾイドライダーを守る耐Bスーツやゾイドの能力を最大限に引き出すゾイドオペレートバイザーも、このランド博士が開発したものだ。」

 

 「知っています。博士が元は共和国側の人間だったということも…」

 

 「ランド博士は現在、ゾイドの発掘と復元作業に従事している。君は博士の助手であるザナドゥリアス少尉と共に護衛として博士に同行し、博士の作業を全面的にサポートしてもらいたいのだ。」

 

「お言葉ですが准将、自分はスナイプテラのゾイドライダーです。化石の発掘を手伝うために軍人になったのではありません。」 

 

 「いいか、ギレル中尉、一月(ひとつき)前だ。帝国軍の発掘チームが、あるゾイドの化石を発見した。そのとてつもなく巨大な化石は、度重なる地殻変動のせいで良好な保存状態とは言えなかったが、綿密な調査の結果その化石の正体がジェノスピノだと判明した。」

 

 「ジェノスピノ?」

 

 ジェノスピノの名前にピンと来ていないギレル。そこで報道番組仕立ての地球崩壊のシーンが写し出される。

 

 「こ、これは!」

 

 「そう。あれがジェノスピノだ。ゾイドクライシスのあった21世期、記録によると僅か一晩で世界の1/3を壊滅させたとも言われている。」

 

 「ジェノスビノを完全復元出来れば、軍事力で共和国を一気に引き離し、ゾイドによる覇権争いにも決着が付く。」

 

 「そのために私を起用したのですか?」

 

 「そうだ。ジェノスピノの復元は帝国の悲願なのだ。この戦争に終止符を打つために、これからの帝国の将来を担う君を選んだのだ。」

 

 「まさか、帝国の将来をこの私に…?」

 

 「そうだ。君のような優秀な者をこれからの帝国を引っ張っていかなければならない。プライド摂政も君に期待しているのだよ!」

 

 「准将…… ところで、ジェノスピノが完成した暁には一体誰が乗るのですか?」

 

 「それはプライド摂政が御決めになることだ。」

 

 「ギレル中尉、これから私の手助けになってくれたまえ。」

 

 「わかりました。ジェノスピノ復元のため、全力を尽くします!」

 

 その時、ユウトが手を差し出し、

 

 「よろしくお願いいたします。ギレル中尉。」

 

 それを見て、少し疑問を持ちながらもユウトの握手に応じるギレル中尉、

 

 「こちらこそ、よろしく。」

 

 

 

 

 

 

 

 ツガミ大尉から教えられたルートを通るレオたち、アイセルは端末に疑問を持ち、レオとサリーに話しかけた。

 

 「ねぇ、その端末のことなんだけど、何処にあるのか分かるの?」

 

 「はい、でも端末の在りかの情報と言えば、これぐらいだけで…」

 

 サリーはペンダントを作動し、端末の在りかを点滅している地球儀のホログラムを見せた。

 

 「アイセル、何かわかる?」

 

 「う~ん、パット見、どの大陸にあるかだけならわかるけど、どれも漠然としていて、細かい位置まではわからないわね。」

 

 「やれやれ、共和国軍のボディーガードも形無しか…」

 

 「失礼ね! こう見えても私は共和国軍人兼考古学者なんだから。」

 

 「まあまあ、」

 

 「でも一番近いとするなら、ここね。ここなら、最短ルートで行けるわ。」

 

 「よし、まずはそこにある端末だな。 いくぞ、ライガー!」

 

 ガオォ~、

 

 ビーストライガーは目一杯咆哮を上げ、走って行った。

 

 

 

 

 その近くの地域をユウトのハンターウルフ改、ギレル中尉のスナイプテラがランド博士の護衛ゾイドと共にジェノスピノの化石の探索に向かっていた。コクピットに取り付けている発信器に反応しているのを見たユウトは、

 

 「この先にゾイド反応あり、通常のゾイドの反応じゃない辺り、ジェノスピノの可能性が高いです。」

 

 「よし、直ちにその場所に向かい、回収作業に入る。」

 

 「いえ、ジャミンガや共和国軍が潜んでいる可能性がありますので、僕が先に行って調査してきます。

 合図を出しますので、合図が来ましたら、中尉は回収班と共に来てください。」

 

 「了解した。」

 

 ハンターウルフ改はソニックブースターで加速し、そのまま走り去っていった。それを見たギレル中尉は、

 

 「ランド博士の助手にして、プライド摂政閣下直属の特務少尉、しかも耐Bスーツ無しでゾイドを乗りこなし、帝国軍最強のハンターウルフ改を操る最強のエリート… あの男の実力はどれ程のものなのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 最短ルートを通るレオたち、その時、サリーのペンダントがオレンジ色に発光した。

 

 「ん? どうした。」

 

 「この先に端末の反応があります。」

 

 「何だって! もうその在りかのところに着いちゃったのか!?」

 

 「やっぱり、最短ルートを通って正解だったようね。」

 

 「よし、じゃあ、早速行こう!」

 

 

 

 サリーのペンダントの指し示す方向に向かったのは、かつてゾイドクライシスで荒廃した街だった。レオとアイセルはライガーとラプトリアから降り、サリーとバズも車から降りた。

 

 「おいおい、もしかしてここって、ジャミンガがうじゃうじゃいるんじゃないかな?」

 

 「大丈夫! もし、ジャミンガが来たら、あたしとラプちゃんが倒してあげるから。」

 

 「ラプトリア一体じゃ、どうも信用ならんな。」

 

 「何よ!!」

 

 「まあまあ、とにかく端末を探しに行こう。」

 

 サリーのペンダントを頼りに街中を進むレオたち、レオは破壊された旧市街に何か違和感を感じていた。旧市街には破壊された建物の多くが何かによって切断されたような損傷の痕を持っていた。

 

 「ねぇ、この街って、何かちょっとおかしくない?」

 

 「地殻変動で壊された街はあちこち見掛けるけど、ここはそれらとは違うみたいね。」

 

 「確かに壊れたというより、何かに斬られたって感じだな。」

 

 「何だか、ちょっと怖い…」

 

 「この街に一体何があったんだ…」

 

 その時、バズは巨大な水たまりを見つけた。それは巨大なゾイドのような足跡だった。

 

 「お、おい、一体なんだ、あれ!」

 

 「大きい。」

 

 「なんて大きさなんだ。あんな巨大なゾイドの足跡があるなんて!」

 

 「もしかして… あれがこの街を壊したの…?」

 

 「んなわけねぇだろ! 一番デカいゾイドといったら、グラキオサウルスぐらいだぜ。 それよりデカいゾイドなんているわけ…」

 

 「そうとは限らないわ…」

 

 「え?」

 

 それを聞いたレオは疑問を感じた。

 

 「聞いたことがある。最大にして最強。ゾイドクライシスの時、その力で地球の1/3を滅したと言われる、伝説のゾイド。破壊竜“ジェノスピノ”……」

 

 「破壊竜…伝説のゾイド……」

 

 その時、ライガーが何か感じとったような素振りを見せ、レオたちを覆い被さった。同時に何処からか砲撃があり、ライガーに直撃した。

 

 「ライガー! 大丈夫か?」

 

 レオが上を見上げたら、切断されたビルの上にハンターウルフ改がいた。

 

 「あれは!」

 

 「ジェノスピノの化石の回収の調査に来たが、まさか、またあのライガーと会うことになるとは!

 博士からは化石の回収を最重要任務としているが、ここで逃がすわけにはいかない。化石と共に回収する!」

 

 ライガーに更に砲撃を加えるハンターウルフ改、

 

 「ちょっと、あれって、帝国軍最強のハンターウルフ改じゃない! 何であんなのがここにいるの!?」

 

 「俺に聞いても知るかよ!」

 

 「サリー、バズ、アイセルはここから離れて!」

 

 「レオ、どうするの?」

 

 「俺はライガーと一緒にあいつを食い止める。その間に皆は端末を!」

 

 「おいおい、無茶するなよ。あいつ、ライガーでも全く歯が立たなかった相手とだぞ! 1人じゃ、勝てっこないぜ。

 ま、ラプトリアが加勢に入っても同じだろうけど…」

 

 「何ですって!!  あたしのラプちゃんを愚弄する気!」

 

 「そんなこと言っている場合じゃないだろ! とにかくバズたちはここから離れて。」

 

 「確かにあたしのラプちゃんが加わっても勝てそうにぬいわね。」

 

 「レオ……」

 

 「大丈夫だよ。サリー。俺とライガーは必ず戻ってくる。」

 

 「わかった。」

 

 「よし、死ぬなよ、レオ!」

 

 バズはサリーを連れて車に乗り、アイセルはラプトリアに乗ってその場を離れた。レオはライガーに乗り、ハンターウルフ改と対峙した。

 

 「ここから先は通さない!」

 

 「君たちがここで何をするつもりか知らないが、ライガーは今度こそ渡してもらう!」

 

 ハンターウルフ改はガトリングを撃ち込みながら、突っ込み、前足でライガーを攻撃しようとするが、

 

 「ライガー、あいつが近付いてきたところを狙うぞ。」

 

 前足で引っ掻こうとしたハンターウルフ改の攻撃をギリギリで避け、前足でハンターウルフ改を攻撃した。

 

 「やった! いいぞ、ライガー!」

 

 「以前より、動きが良くなっている。経験を積んだのか!? だが、それでも僕のウルフの方が上だ!」

 

 ハンターウルフ改は態勢を立て直し、尚もライガーに襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 合図を待っているギレル中尉は時計を見、

 

 「安全を確認するだけなら、もうそろそろ来てもいいころだが…」

 

 ギレル中尉はスナイプテラの元に向かい、それを見た1人の兵士が、

 

 「ギレル中尉! ザナドゥリアス少尉からの合図がまだですが…」

 

 「少し偵察に向かう。」

 

 「しかし、それでは……命令違反になります!」

 

 「様子を見るだけだ。 回収班も連れていくわけではないから、文句を言われる筋合いはないだろう。

 もし、ザナドゥリアス少尉が敵と交戦して苦戦していたら、尚更だ。

 合図は代わりに俺が送る。合図が来たら、直ちに現場に向かえ!」

 

 「り、了解しました!」

 

 ギレル中尉はスナイプテラに乗り込み、

 

 「耐Bスーツ正常に作動。スナイプテラ発進!」

 

 ギレル中尉の乗るスナイプテラは旧市街に向かった。

 

 「もし、奴が敵と交戦しているなら、この目で奴の実力を見るチャンスだ。」

 

 

 

 

 

 ライガーはハンターウルフ改に攻撃を当てようとするも、ソニックブースターで加速するハンターウルフ改のスピードに翻弄され、一方的に攻撃を受けてしまう。

 

 「くそ、やっぱりあいつ強い!」

 

 そこにスナイプテラが到着し、ギレル中尉はハンターウルフ改とビーストライガーを見付けた。

 

 「あれは? まさか、手配中の例のライガーか! こんなところに会うとは思わなかった。」

 

 スナイプテラを見たユウトは、

 

 「ギレル中尉! 合図が来るまで動くなと言ったはずじゃないですか!」

 

 「偵察に向かっただけだ。別に回収班までは連れてはいない。 何なら、手を貸そうか?」

 

 「ライガーは僕の獲物です! あなたは一切手を出さないでください。それより、ジェノスピノの化石の捜索を!」

 

 「思ったより、少々頑固で、まだ子供のようだ。だが、嫌いではない。」

 

 「ウォー!!」

 

 ハンターウルフ改はソニックブースターで更に加速し、次々とビルに跳び移って縦横無尽に駆け巡りながら、ガトリングをライガーに撃ち込んだ。ライガーも反撃しようとするが、ハンターウルフ改の機動性が余りに高く、そのスピードに翻弄された。

 

 「くそ、あの機動性を何とかしないと!」

 

 グルル……

 

 その時、ライガーがレオに何か言いたいように静かに頷き、同時にレオの左腕もオレンジ色に発光した。

 

 「そうか、奴が近づいてきた時にワイルドブラストして、そこを狙うんだな。 よし、行くぞ、ライガー!」

 

 ハンターウルフ改はビルの屋上に飛び乗り、そのままソニックブースターの加速を利用してまるで飛行ゾイドのように飛行し、そのままライガーに向けて急降下した。ハンターウルフ改は降下しながら、ガトリングを撃ち込み、前足でライガーを攻撃しようとするが、

 

 「今だ!」

 

 レオとライガーの勘がシンクロし、ハンターウルフ改の攻撃を瞬時に避けた。

 

 「よし、行くぞ、ライガー!!」

 

 ガオ~!!

 

 「ビーストライガー、進化 解放! エヴォブラストー!!」

 

 エヴォブラストしたライガーはハンターウルフ改に向かって走っていく。

 

 「ビーストオブクローブレイク!!」

 

 ハンターウルフ改は急いで反撃に回ろうとするが、間に合わず、ライガーのタテガミクローがハンターウルフ改の前足を貫いた。前足を貫かれたハンターウルフ改は態勢を崩し、そのまま倒れてしまう。

 

 「よし、やったぞ! ライガー!!」

 

 それを見たギレル中尉は、

 

 「ほぅ、あのライガー、軍のゾイドでもないのにあれだけの動きをするとは! 中々興味深いな。」

 

 傷つきながらも立ち上がろうとするハンターウルフ改、

 

 「そんな…僕のハンターウルフが負けるはずがない! 僕のウルフは僕を認めてくれた博士がくれたゾイドなんだ。

 そのウルフと僕が負けるはずがない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 バズの車とラプトリアはサリーのペンダントの光を頼りに旧市街を走っていた。その時、サリーのペンダントが倒壊したビルの方を指し示した。

 

 「彼処です!」

 

 「ようし、彼処だ。ジャミンガが来る前にさっさと済ませるぞ! 共和国の姉さんも遅れるなよ!」

 

 「ちょっと、あたしの名前はアイセルよ!」

 

 バズの車とラプトリアは倒壊したビルのところにある巨大な穴に向かった。それを見たギレル中尉は、

 

 「あの入口は!? 彼処から巨大なゾイド反応がある。まさか、奴ら、ジェノスピノの化石を奪うつもりか!

 そうはさせん! ジェノスピノは我が帝国のゾイドだ。絶対に渡さん!

 制御トリガー解除! スナイプテラ、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 マシンブラストしたスナイプテラは口内からA-Zスナイパーライフルを剥き出しにし、

 

 「アブソルートショット!!」

 

 スナイプテラスナイパーライフルが洞窟の入口に直撃し、洞窟の入口は完全に塞がれ、アブソルートショットの衝撃でバズの車がスリップし、ラプトリアも飛ばされてしまう。

 

 

 

 

 

 立ち上がるもライガーの攻撃で足を挫いて、苦しむハンターウルフ改、

 

 「博士がこの僕にくれたハンターウルフを…… よくも… 貴様……許さない!!」

 

 ユウトは怒りを剥き出しにし、ハンターウルフ改はライガーに向かって走り出した。

 

 「あいつ、まだやる気だ。でもさっきあいつに一撃を喰らわせたんだ。もう一度いけるよな? ライガー!」

 

 グルル…

 

 レオの問いにゆっくり頷くライガー、

 

 「ようし、行くぞ、ライガー!」

 

 直進していくハンターウルフ改に向かってライガーも真っ直ぐ突っ込んでいく。

 

 「制御トリガー解除! ハンターウルフ、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 「ビーストオブクローブレイク!!」

 

 「ソニックシックル!!」

 

 マシンブラストしたハンターウルフ改はソニックブースターを前方に向け、鎌のような音波をライガーに向けて発射した。

 ライガーはタテガミクローでそれを受け止めようとするが、音波による鎌はライガーのタテガミクローを切り裂いてしまう。

 

 「ウワァー!!」

 

 ハンターウルフ改のソニックシックルによってタテガミクローをやられ、ライガーは態勢を崩し、谷底に落下してしまう。落下するライガーを見たサリーは、

 

 「レオー!!」

 

 「どうやら、勝負あったようだな。 ザナドゥリアス少尉…やはり、予想以上の男だった。」

 

 スナイプテラはスナイパーライフルを上に向け、上空に撃った。

 

 それを待機していた帝国軍の回収班は、

 

 「ギレル中尉の合図だ。急いで回収に向かうぞ!」

 

 スナイプテラの合図により、帝国軍の回収班はキャタルガに乗って現場に向かった。

 ハンターウルフ改はライガーが落下した崖下に近付き、ユウトは静かにじっと見詰めた。

 

 To be continued




 次回予告

 ハンターウルフ改に傷を負わせるも、マシンブラストによって倒れるレオとライガー、 ライガーはジェノスピノの化石と共に奪われ、基地に連行されていった。
 一方、サリーはレオとの再会を求め旅を続ける中、端末を見つけ、再起動を試みる。 レオは1人基地内部に潜入し、ライガー奪還を試みるが強敵と遭遇してしまう。

 次回「求メル相手」

 走り抜け、ライガー!!


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第7話「求メル相手」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 ペンダントの力によって突如復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーを復活させた不思議な力を持つペンダントを持ち、地球の未来を左右する謎の少女サリーと共に地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 帝都ネオゼネバスシティの移民船から少し離れた帝国摂政プライドの別荘の接待室でコリンズ准将とプライド摂政が会談していた。

 

 「そう言えば、君との付き合いは何年かな?」

 

 「8年です。」

 

 「そうか、もうそんなになるか… ところで、君の育てたギレル中尉のことだが、以前何か問題を起こしたことがあるらしいな。」

 

 「2年程前です。 ギレル中尉が部隊に配属されたばかりの時、演習中に上官を1発……いや、2発殴ったそうです。

 何故、殴ったのかと理由を聞いたら、相手が先に殴りかかってきたから、正当防衛のため、無能な上官の作戦に対し、意義を唱えたまでだと言ってました。」

 

 「彼がそんなことを言っていたのか。 ところで、殴られた上官ってのは?」

 

 「シーガル大佐です!」

 

 「あの男か! あの男はどうも融通が効かなくて私も少々手を焼いているよ。」

 

 「ですが、そのお陰で帝国中に噂が広がり、ギレル中尉はシーガル大佐の部隊から更迭され、代わりにアルドリッジ少佐が付いた始末です。 全く、世話の焼ける弟子です。」

 

 「アルドリッジは中々優秀ではあるが、少々爪が甘い。 しかし、君の弟子のギレル中尉はやはり興味深い。 是非とも彼に会いたいものだ。」

 

 「失礼します。」

 

 その時、特別室に1人の女性が入った。女性は紫色の瞳に青いロング髪をした士官だった。

 

 「何だね?」

 

 「ギレル中尉がジェノスピノの化石を見付けたとランド博士から報告がありました。」

 

 「回収したら、直ぐに化石をこちらに持ってこいと伝えろ。」

 

 「はっ!」

 

 青いロングをした女性士官は退出し、それを見たコリンズ准将は、

 

 「彼女は?」

 

 「私の直属の特務少尉であり、ザナドゥリアス少尉同様、ランド博士の助手を務めるハンナ・メルビル少尉だ。」

 

 「あんな若い女性まで……」

 

 「19で士官学校を出たばかりだが、ゾイドの知識に精通していて、ランド博士のゾイド発掘と復元作業に従事している。

 ザナドゥリアス少尉程ではないが、中型ゾイドなら簡単に乗りこなせる程の実力を持つ優秀な女性だ。」

 

 「驚きました。 まさか、博士にもう1人、助手がいたとは…!」

 

 

 

 

 

 ゾイドクライシスでジェノスピノによって破壊された旧市街、ギレル中尉のスナイプテラのスナイパーライフルで塞がれた倒壊したビルの地下の入口を回収班のキャタルガがドリルで掘り進み、中を調べていた。

 

 「ところで、ザナドゥリアス少尉は?」

 

 「先程倒したライガーを回収するためにハンターウルフ改で崖に降りていったそうです。」

 

 「そうか…」

 

 その様子を隠れながら見ているバズ、アイセル、サリーは、

 

 「ヤバイぜ! あいつら、端末のある場所掘り起こしてやがる。 端末奪われたら不味いんじゃねぇか?」

 

 「確かに…地球を再生させる程の力を持つ端末が帝国軍の手に渡ったら、何をしでかすかわからないわ。

 でも、戦力が違いすぎるから、こちらからは仕掛けられないし……」

 

 「共和国軍に応援を頼めばいいんじゃねぇのか?」

 

 「そうしたいのは山々なんだけど……下手に共和国軍の援軍を呼ぶと帝国軍と全面戦争の火種になるから、大規模な戦闘は出来るだけ避けたいの。」

 

 「どういうことだ?」

 

 「帝国と共和国は確かに戦争中ではあるけど、正式な宣戦布告無しに戦うのは軍規で違反されているのよ。」

 

 「やれやれ、何か色々と面倒だな。」

 

 「とにかく今は様子を見ましょう。」

 

 「そうするしかないか……」

 

 

 

 

 

 ライガーが落ちた崖下に降りるハンターウルフ改、一番下に降りると、そこに負傷し、倒れているライガーがいた。

 ハンターウルフ改から降りたユウトはライガーのコクピットを調べる。するとそこにレオの姿はなかった。

 

 「落下の際に放り出されたのか…… まあ、いい。これでライガーだけ回収できる。」

 

 ライガーに触れようとするユウト、目を覚ましたライガーは起き上がり、ユウトを警戒する。

 

 「悪いけど、君にはしばらく大人しくさせてもらうよ。」

 

 ユウトは片腕を振り下ろすと、その合図に従うかのようにハンターウルフ改がライガーを取り抑えた。ユウトは携帯用の高圧電流を取り出し、それをライガーの身体に当て、ライガーに凄まじい電流が迸り、ライガーは倒れた。

 

 「ウルフ! 回収班を呼んでライガーを基地まで運ぶぞ。」

 

 

 そこから少し離れ、ユウトが気付かない場所で倒れているレオは目を覚まし、

 

 「う……う~ん。ライガー、無事か!」

 

 しかし、辺りを見渡すと、ライガーのすがたはなかった。

 

 「ら、ライガー! 何処にいるんだ!?」

 

 その時、クレーン車の音が聞こえ、その場所に向かうと、ライガーが捕縛ロープで捕らえられ、崖上のキャタルガに引っ張られていた。そして、同時にその上にはハンターウルフ改もいた。

 

 「ライガーを回収するつもりか! そうはさせない!」

 

 レオはすかさず、ワイヤーを取り出し、捕縛ロープに捕まり、そのままライガーと一緒に引き上げられた。

 崖上に引き上げられた後、レオはライガーのコクピットに乗り込もうとするが、帝国の技術者がライガーを調べようと近付いてきたため、レオは慌てて車両の影に隠れた。

 技術者はライガーのコクピットに近付き、何やら細工をするような動作をした後、直ぐに離れ、ライガーを乗せたキャタルガはハンターウルフ改と共に基地に向かっていった。レオは車両のところに隠れ、ライガーを奪還出来る機会を伺いながら、基地に送り込まれるようになった。

 

 

 

 

 

 

 ギレル中尉率いる帝国軍の回収班が去った後、サリー、バズ、アイセルは崩れたビルの地下に入っていった。

 

 「なあ、ホントに端末があるんだよな?」

 

 「間違いありません! ペンダントに反応があるってことは、この先に端末があります。」

 

 「ふぅ~、助かった。 もしこれで帝国軍が奪っていたら、不味いことになっていたからな!」

 

 「でも、端末があるところを探していたのに、どうして端末を回収しなかったのかしら? 

 一度滅びた地球を再生させる程の力を持つ技術よ。それだけの技術、帝国軍が無視するはずがないわ。」

 

 「どうせ見付からず、退散したんだろ!」

 

 アイセルは帝国軍が端末を回収しないことに少し疑問を感じていた。道を進んでいくと、何やら不気味な影が複数漆黒の中から現れた。ジャミンガだった。

 

 「おいおいおい、何でこんなときに限ってジャミンガが出てくるんだよ! さっきまでいなかったじゃねぇか。」

 

 「あのジャミンガ、まるで端末の場所まで通さないように見える。」

 

 「取り敢えず、あの害虫何とかしてくれ!!」

 

 「私に任せて! ラプちゃん!」

 

 アイセルの口笛でラプトリアも来、道を塞がるジャミンガの群れを蹴散らしていった。

 

 「さあ、今のうちに!」

 

 「お、おぅ……」

 

 サリーとバズは後を進んでいくと、目の前に少し埋まっている端末の姿があった。

 

 「おし、見付けたぜ! で? 起動出来るのか?」

 

 「やってみます!」

 

 サリーはペンダントを取り出し、ペンダントが光り出し、端末から地球儀のホログラムが現れて、端末は全身に光出し、端末は回転し、そのまま地中に掘り進んで行った。

 

 「これで、端末は正常に作動しました。」

 

 「よし、2つ目も作動できた! どうやら順調に行っているみたいだな。 後はレオとライガーを助けるぞ!」

 

 しかし、またもや、ジャミンガの群れがわらわらと現れていった。

 

 「ああ~、もう! 何で次から次へと来るんだよ!!」

 

 「あたしとラプちゃんが引き付けるわ! サリーとバズはその間にここから脱出して!」

 

 アイセルとラプトリアがジャミンガの群れを蹴散らしている隙にサリーとバズは出口に向かって一直線に走っていき、遂に出口に出た。

 だが、そこに待ち構えていたのは、それまで全くいなかっジャミンガの群れが街中に次々と出現した。

 

 「おいおい、どうなってたんだよ! さっきまでこんなにいなかったぞ。」

 

 ジャミンガたちがサリーとバズに襲いかかろうとしたその時、

 

 「キャー!!」

 

 出口から脱出したラプトリアがサリーとバズに襲いかかろうとしたジャミンガを砲撃していった。

 

 「大丈夫? サリー、バズ。」

 

 「あ、アイセルさん。 ありがとうございます。」

 

 「どうすんだよ。 こんな数突破するの難しいぜ!」

 

 「確かにこの数を突破するのは難しいし、ライガーは帝国軍基地に捕らわれているし……一体どうすれば……

 ん? そうだわ! 突破するんじゃなくて、逆にこいつらを利用しましょう!」

 

 「ん? 何か思い付いたのか!」

 

 「サリー、バズは車に乗って、早くここから脱出してレオたちを! 私はこのジャミンガと一緒にライガーを助けるわ!」

 

 「ジャミンガと一緒にって、どういうことだよ!?」

 

 「とにかく、今はアイセルさんを信じましょう。」

 

 「そ、そうだな。」

 

 サリーとバズは車に向かって走り、ジャミンガたちは後を追うとするが、ラプトリアは行く手を阻み、挑発するかのような素振りを見せた。

 

 「ホラホラ~、こっちよ!」

 

 ラプトリアは旧市街の出口に向かって走っていき、ジャミンガの群れも全てその後に続いていった。

 

 「上手くいったわね、さあ、あたしとラプちゃんについてきなさい!」

 

 サリーとバズはその隙に車に乗り、ライガーが落ちた崖のところまで走行していった。

 

 

 

 

 

 

 

 ユウトが回収班と共にライガーを基地にまで運んでいる間にギレル中尉の乗るスナイプテラが回収したジェノスピノの化石を入れたコンテナを運搬する4体のクワーガと共に帝都ネオゼネバスシティにあるプライド摂政の別荘に向かった。

 プライド摂政の別荘は移民船の中ではなく、移民船が浮上しているところの直ぐ下に位置し、そこには移民船の中の宮殿に勝るとも劣らない豪華な別荘だった。

 別荘の監視者から入域許可を得たギレル中尉はスナイプテラから降り、誘導に従って別荘の中に入ってコリンズ准将のいる接待室まで行き、入って行った。

 そこにはランド博士とギレル中尉はコリンズ准将とプライド摂政が待っていた。

 

 「コリンズ准将、只今、ジェノスピノの化石を回収しました!」

 

 「よくやった。ギレル中尉。」

 

 コリンズ准将と向かい合っているプライド摂政を見たギレル中尉は、

 

 「あ、あなたは……」

 

 「プライド摂政、彼が先程話していたギレル中尉です。」

 

 「おお~、君か。赤き死神の異名を持つスナイプテラのエースパイロットは。」

 

 プライド摂政の言葉にギレル中尉は急に畏まり、

 

 「お、御初にお目にかかります! プライド摂政閣下! 私がクリストファー・ギレル中尉であります!」

 

 「そう、畏まるな。私はそういうのは苦手でな。」

 

 「で…では、プライド閣下。こんな私をお招き頂きありがとうございます!」

 

 「君はこれからの帝国の将来を担う若者だ。それくらいのことは当たり前だ。

 それと、ランド博士、化石の回収と彼の補佐ご苦労だったな。ところで、ザナドゥリアス少尉は?」

 

 「彼は例のライガーを捕獲したと報告がありましたので、暫くあの基地にいます。」

 

 「そうか、ここにメルビル少尉がいるので、彼女と共に引き続きジェノスピノの復元作業に取りかかってくれたまえ。」

 

 「わかりました。」

 

 ランド博士は部屋から退出し、

 

 「それにしても驚きました。 まさか、准将が摂政閣下とお知り合いでしたとは!」

 

 「実は私は閣下とは士官学校以来の仲でな。以前から先帝陛下にお仕えしていた閣下の推薦で、私は先帝陛下の元で働き、そして、先帝陛下がお亡くなりになられた後に、閣下は摂政に任じられ、大将となって軍の最高司令を任され、私は准将として帝国軍を指導していたのだ。」

 

 「そうだったんですか……」 

 

 「閣下は大規模な公共事業に乗り出し、法律、税制、国土開発、公共機関全てを立案し、ゾイドを兵器化させ、帝国の国力を高め、国民の生活の向上に役立ってきた。

 それにより、我が帝国は共和国に遅れを取ることなく、これ程の軍事力を持つようになった。」

 

 「だが、共和国との決定的な戦力差を出すためにはジェノスピノが必要……この長きに渡る共和国との忌まわしい戦争を終わらせるためにはジェノスピノを戦争の抑止力とならなければいかないのだ。」

 

 「そう、私はジェノスピノをかつてゾイドクライシスで世界の三分の一を壊滅させた破壊ゾイドとするのではなく、平和の使者として生まれ変わらせたい。帝国の未来のために……」

 

 「閣下と准将が望む平和のためにジェノスピノは必ず完成させてみせます!」

 

 「頼んだぞ、ギレル中尉。」

 

 「ところで、閣下。1つお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

 「何だね?」

 

 「もし、ジェノスピノが完成しても共和国が我々の要求に従わなかった場合、完成したジェノスピノを出撃することもやむ無しでしょうか……?」

 

 「その場合は仕方がない。共和国が従わないなら、その力を見せ付けなければいかないのだからな。」

 

 「そうなった場合、一体誰に乗せるのですか?」

 

 「ジェノスピノはゾイドクライシスで世界の三分の一を壊滅させた程の強大なゾイドだ。

 もし、並みの人間が乗れば、暴走する危険性も十分にあり得るだろう。そこで、ジェノスピノを完全にコントロールし、性能を最大限に引き立たせるために適合率の高い人間をライダーに指名しようと考えていて、1番目と2番目に高い者のどちらかにしようと思っている。

 だが、ギレル中尉。残念ながら、君は惜しくも3番目だ。ジェノスピノのライダーには指定出来ない。」

 

 「では、1番目と2番目は……?」

 

 「2番目はザナドゥリアス少尉だ。」

 

 「少尉でさえ、2番目ですと!? しかし、彼は耐Bスーツ無しでもハンターウルフ改を操れる力を持っているのですよ!

 実際、ジェノスピノの化石を回収する前に私はこの目で彼の実力を確かに見ました!」

 

 「確かに彼の操縦性能は凄まじい…… ジェノスピノのライダーにはうってつけだ。 だが、残念ながら、彼よりジェノスピノそのものと一体化出来る程の可能性を持った人物が1番目になったのだ。」

 

 「一体、誰ですか……?」

 

 「その名は……」

 

 プライド摂政が口にした名を聞いたギレル中尉は驚愕した表情をした。

 

 

 

 

 

 プライド摂政の別荘にある巨大な研究室にランド博士は今まで回収したジェノスピノの化石をかき集め、復元作業に当たっていた。そこにメルビル少尉が現れ、

 

 「おお~、メルビル少尉。他の地域の化石の回収ご苦労だったな!」

 

 「はい! 御父様も御無事で何よりです。」

 

 「これで、ジェノスピノの化石は残り1つだけとなった! 後もう少しで私の望んだ最強のゾイドが完成するのだ。お前もよく働いてくれた!」

 

 「あの……御父様……」

 

 「何だね?」

 

 「ユウトは…ここにはいないのですか……?」

 

 「ああ、彼なら、手配中のライガーを捕らえて、他の軍基地に運ぶ作業に入っていて、ここにはいないのだ。」

 

 「そう…ですか……。」

 

 「会いたいなら、会ってもよいぞ!」

 

 「え、でも……」

 

 「ここの整備は十分に整っている。復元作業は私1人でも大丈夫だ。 それに彼は私の育てた超エリートだからな。君のような優秀な者が惹かれるのも無理はない。」

 

 「いえ、そんな…。」

 

 「このことは私が摂政閣下に話す。君は安心して行きたまえ。」

 

 「わかりました。ありがとうございます。御父様!」

 

 メルビル少尉は退出し、青いスナイプテラに乗ってプライド摂政の別荘から飛び立った。

 

 

 

 

 

 帝国軍基地内部、

 

 倉庫に入ったら、そこにライガーの姿があった。

 

 「ライガー!」

 

 ライガーを見つけたレオは直ぐにライガーの元に行き、そっとライガーの身体に触れた。レオを見たライガーは安心したような素振りを見せた。

 

 「大丈夫だったかい? ライガー。 直ぐにここから出よう!」

 

 ズドン!

 

 その時、突然銃声がし、レオが小型ワイヤーを手に構えて、銃声があった方向を見ると、そこに拳銃を持ったユウトがいた。

 

 「お前は!」

 

 「君がここに来ることは分かっていたよ。 でも、そのライガーは渡すわけにはいかない。」

 

 「何言っているんだ! ライガーは俺の相棒だ。帝国軍なんかに渡すもんか! それにお前は一体誰なんだ!?」

 

 「そういえば、自己紹介がまだだったね。僕はユウト・ザナドゥリアス特務少尉。 博士と共に帝国摂政に仕える者だ。 君は?」

 

 「レオ、レオ・コンラッド。」

 

 「見たところ、君は軍人でも共和国軍でもないただの民間人のようだね。

 君がそのライガーにどれだけ思い入れを持っているか知らないけど、そのライガーは帝国軍の戦力拡大に必要な素材だ。 君のような民間人が乗るゾイドじゃない!」

 

 「ライガーを戦争兵器に使うのか!」

 

 「帝国軍は共和国軍と戦争状態にある。 戦争に勝つために戦力を拡大するのは当たり前じゃないか!」

 

 「そんな……ただ、戦争に勝つためにゾイドを利用するなんて、そんなの間違っている!」

 

 「ゾイドは戦うために生まれた生命体。ゾイドにとって戦争は人間同様、決して切り離せないもの。 人間と共に戦うことはゾイドも望んでいる!」

 

 「だけど、それが本当にゾイドの望んでいることなの?」

 

 「そんなことは自分で確かめればいい! そのライガーだって、戦いを望んでいるはずだ!」

 

 レオはライガーを見て、ライガーは真剣な表情でレオを見詰めた。それを見たレオは、

 

 「そんなことはない! ライガーは戦いは望んでいない。ライガーは俺と一緒にいたい…俺もライガーと一緒にいたい。ただ、それだけなんだ! 

 お前だって、ハンターウルフに思い入れがあるんじゃないのか!? 俺とライガーがウルフに傷付けた時に怒ったように。」

 

 それを聞いたユウトは拳銃を携えながら、少し黙りこんだ。

 

 「じゃあ、君は何故、そこまでライガーに固執する。」

 

 「父さんとの約束なんだ。父さんは地球とゾイドを愛していた。父さんは地球とゾイドが人間にとってどれだけ大切か教えてくれた。

 俺はそんな父さんに憧れ、いつか自分のゾイドを見付けてこの世界に旅立ち、父さんに見せてやりたいんだ。」

 

 「父…さん……」

 

 それを聞いたユウトは幼い頃、メルビル少尉と共にランド博士の元でゾイドに対する教育や数々の戦闘訓練を受けたことを思い出していた。

 

 「(僕は本当の父親は知らない…。博士を父と呼ぶわけには……いかない。) 

 理由はともかく、君にそのライガーを返すわけにはいかない。もし、抵抗するようであるば、君を射殺する!」

 

 拳銃をレオに向けるユウト、その時、ライガーが暴れだし、身体中に付いているワイヤーを引きちぎり、そのまま倉庫の扉に体当たりした。

 

 「無駄だ! その扉は並みのゾイドでは破壊されないように強化されている。」

 

 しかし、レオはすかさず、手持ちのワイヤーでユウトの右手に当て、拳銃を落とさせた。

 ユウトもすかさず、ナイフを取り出し、レオに斬りかかろうとした。ユウトの俊敏な動きに翻弄されるもユウトの斬撃を避け、ユウトに殴りかかろうとした。

 しかし、ユウトは常人では考えられないような跳躍力で一瞬の内にレオの後ろに回り、再びナイフで斬りつけようとした。

 レオが左腕でナイフを受け止めたその時、ナイフの刃が砕けた。と同時にレオの左腕手袋が切れ、金属化した左腕が露出した。それを見たユウトは、

 

 「君、その腕は……」

 

 「ああ、これが俺とライガーの絆の証だ。」

 

 「くっ!」

 

 再びレオに殴りかかろうとするユウト、しかし、レオは金属化した左腕でユウトの右腕を掴んだ。離そうとしてもユウトは容易に離せなかった。

 

 「うっ…ぐっ……」

 

 「俺は君とやり合う気はない。ライガーを諦めてくれないか?」

 

 「駄目だ。これは任務なんだ……!」

 

 ドクン!

 

 その時、ユウトの右腕を掴んだレオの左腕が鼓動し、同時にレオの脳裏に研究室のようなビジョンが浮かび上がった。

 その研究室には多くのゾイドを入れたカプセルがあり、中央のカプセルには1人の少年が入っているカプセルがあった。そのカプセルにいる少年を見たレオは驚愕した。

 それを見たユウトはすかさず、レオの左腕から脱出し、

 

 「どうした! 怖じけついたのか?」

 

 「ユウト…… おまえは一体……?」

 

 ドカ~ン、ドカ~ン!!

 

 

 その時、突然基地に爆発があった。司令室は慌て、

 

 「何だ! 何が起こった!?」

 

 「敵の攻撃です! しかし、敵の姿が確認出来ません!!」

 

 「な、何だと!?」

 

 「基地内部に大量のジャミンガが進入してきました!!」

 

 「何!? まさか、ジャミンガからの攻撃だというのか!」

 

 

 

 

 

 

 基地の外ではジャミンガに紛れてラプトリアが基地のあちこちに砲撃した。その様子を少し離れた場所にある車でその様子を見たバズは、

 

 「まさか、ジャミンガを誘導させたのはこのためだったのか! あのお姉さん、随分えげつないことやるぜ。」

 

 それを通信で聞いていたアイセルは、

 

 「あたしの名前はアイセルよ! いい加減覚えて頂戴!」

 

 「しかし、こんな方法で大丈夫なのかね?」

 

 「帝国軍の基地に捕らえられているライガーを救うにはこれしかないわ。 第一、共和国の援軍を呼んで、戦争をやるわけにはいかないわ。」

 

 「まあ、ライガーを救うだけのことに帝国軍とドンパチするわけにはいかんしこれだけのジャミンガの襲撃なら、帝国軍も軍の攻撃とは思わないだろ…。

 それにしても、彼処の崖に行ったが、何処にもいなかったし、一体何処にいるんだ!?」

 

 「レオはこの中にいます!」

 

 「どうして、それがわかるんだ?」

 

 「確証は持てませんが、私にはわかります。ライガーはレオと一緒にいるって……」

 

 

 

 

 

 

 

 「何だ? 一体何事だ!」

 

 その時、ライガーが何度も扉に体当たりを繰り返す内に遂に扉が破壊された。

 

 「よし、ライガー! 今のうちに脱出だ。」

 

 「そうはいかない! このまま逃がさな……」

 

 その時、倉庫にも進入したジャミンガがレオやユウトにも襲いかかってきた。

 わらわらと現れてくるジャミンガを見たユウトは青ざめた表情をし、脳裏にわらわらと1人の幼い少年を囲み、包み込むように近付くジャミンガたちの姿のビジョンが映った。それを見たユウトは、

 

 「あ…、あいつら……う…、ウワァー!!」

 

 ユウトは突然、丸で正気を失ったように混乱し、ジャミンガの群れに向かって、走っていった。

 

 「ウワァー!! 消えろ、消えろ! 消えろー!!」

 

 性格が豹変して狂気になったユウトはジャミンガを殴り、蹴り等の持ち前の格闘能力で一体一体確実に倒していった。

 

 「ウォー!!」

 

 それを見たレオはユウトの行動に驚きを隠せないでいたが、ライガーがレオに寄り添い、

 

 「あ、ああ! 今のうちに脱出しよう。」

 

 レオはライガーのコクピットに乗り込み、ライガーは倉庫から脱出した。

 

 

 

 

 

 

 メルビル少尉の乗る青いスナイプテラが基地の上空に飛び、メルビル少尉は基地の異常性に気付いた。

 

 「一体、何が起こっているの?」

  

 基地を見ると、各地にジャミンガの群れが進入し、帝国軍のゾイドがジャミンガ掃討のために出撃していた。

 更に倉庫を見ると、ユウトがゾイドに乗らず、生身でジャミンガの群れを撹乱しながら倒していっていた。

 

 「ユウト!」

 

 「ウォー!! 消えろ、消えろー!!」

 

 メルビル少尉は青いスナイプテラのガトリングでユウトを囲むジャミンガを砲撃し、次々と一瞬の内に倒れていった。

 しかし、メルビル少尉の青いスナイプテラの砲撃から逃れた3体のジャミンガが背後からユウトに襲いかかろうとした。メルビル少尉はすかさず、そのジャミンガにも砲撃しようとしたその時、 

 背後のジャミンガに気付いたユウトが咄嗟に左腕をかざすと、ジャミンガたちは突然目の輝きを失い、次々と倒れていった。同時にユウトも力を使い果たしたかのようにそのまま倒れた。

 メルビル少尉のスナイプテラはガトリングで残り全てのジャミンガを蹴散らした後、離陸し、コクピットから降りたメルビル少尉は直ぐにユウトの元に駆け寄った。

 

 「ユウト!」

 

 メルビル少尉がユウトを起こすと、ユウトは死んだような目をしていた。

 

 「ユウト! しっかりして!」

 

 「ハンナ……僕は何していたんだ? これ全部僕がやったのか?」

 

 「ユウト!」

 

 「ハンナ……僕は…一体……?」

 

 そう言うと、ユウトは再び気を失い、メルビル少尉はユウトを抱えた。

 

 「ユウト……どうしてこんなことを……?」

 

 メルビル少尉は切なそうな表情をしながら、ユウトをそっと優しく抱き締めた。

 

 

 

 

 

 

 基地から脱出したライガーは帝国軍の目の届かないところまで行き、そこで停止した。レオはライガーから降り、

 

 「ここまで来れば、安心だ。」

 

 その時、バズの車が現れ、

 

 「レオ~!」

 

 「サリー、バズ!」

 

 「レオ、良かった。レオ~!」

 

 車から降り、戻ったレオの姿に安堵したサリーは思わずレオに抱きつく。

 

 「あっ…ちょっとサリー……」

 

 サリーにいきなり抱きつかれて少し慌てるレオ、それを見たバズは、

 

 「お、ヒュ~、熱いね~。お二人さん!」

 

 バズの言葉にレオは思わず赤面し、

 

 「そ、そんなんじゃないよ! バズ!! あっ…痛た……」

 

 サリーが抱きついたことで全身を強く打ったレオは痛がる。

 

 それを聞いたサリーは手を離し、心配そうな表情でレオを気遣った。

 

 「あ、ご、ご免なさい。 大丈夫?」

 

 「だ、大丈夫だよ。」

 

 「私が手当てしてあげる。」

 

 「大丈夫だって! これくらい平気だよ。」

 

 「駄目よ! 血も出てるわ。」

 

 「え? あ、ホントだ。 うっ…」

 

 その時、突然レオに頭痛が襲い、再びユウトと取っ組み合いしていた時のビジョンが浮かび上がった。

 

 「レオ、大丈夫?」

 

 「だ、大丈夫。 (あれは一体何だったんだ? それにあいつは一体何者なんだ?)」

 

 レオはユウトとの取っ組み合いに見たビジョンが少し気掛かりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帝都ネオゼネバスシティのプライド摂政の別荘の地下の研究室で、プライド摂政は徐々に復元しつつあるジェノスピノを眺めていた。

 そこに1人の女性将校が立ち寄った。女性はユウトやメルビル少尉と同じくプライド摂政直属のリゼル・ラスト大佐だった。

 

 「ラストか……どうだ、ユウトの調子は?」

 

 「先程、基地にジャミンガが襲撃し、かなり撹乱していたようだけど、メルビルが来たおかげで、大人しくなったそうよ。」

 

 「そうか……」

 

 「いいのかしら? あの子をまだ覚醒させなくて…」

 

 「構わん。 今はユウトの力を覚醒させる時ではない。我々の計画の第一段階のためにまず、ジェノスピノを完成させることが先決だ。」

 

 「ということは、ジェノスピノに乗せるのはユウトじゃなくて、あの男になるのかしら?」

 

 「そうだ。ジェノスピノのライダーに相応しいのはあいつを置いて他にはない。あいつの力は使えるからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 プライド摂政の別荘の接待室を後にし、廊下を歩いているギレル中尉は迷っていた。

 

 「あの男がジェノスピノと最も適合率が高い人間だと!? あんな奴がジェノスピノのライダーになってしまったら、共和国どころか帝国すらも壊滅させかねない。

 閣下は本気であの男をライダーに指名しようと考えておられるのか!?」

 

 ギレル中尉は完成が近くなっているジェノスピノのことを心配しながら現場に向かった。

 

 To be continued




 次回予告

 相棒のフォックスと共に自由の身になるも帝国の脱走犯となってしまったバーンは各地を転々とするが、そんな時、謎のゲートのようなものを見つけ、帝国軍に売りに出そうとするバズの知り合いの運び屋に出会う。
 だが、その時セードと手を組んだノックス大尉率いる帝国軍が襲いかかってきた。

 次回「時空ノ扉」

 走り抜け、ライガー!!


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第8話「時空ノ扉」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 ペンダントの力によって突如復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーを復活させた不思議な力を持つペンダントを持ち、地球の未来を左右する謎の少女サリーと共に地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 ノックス大尉が指揮する帝国軍基地。帝国軍の元二等軍曹バーン・ブラッドがガトリングフォックスと共に帝国軍に反逆して離脱した責任を負われたフォックスの開発者は地位を奪われ、全ての研究を失われてしまうという代償を払い、ノックス大尉の部隊もフォックスとの戦闘で負傷し、最早部隊は壊滅的となった。

 ノックス大尉は本国の軍上層部からバーンとフォックスの捕獲命令を受け、バーンとフォックスの捜索に当たっていた。司令室でノックス大尉は兵士に怒鳴り付け、

 

 「まだ、バーン・ブラッドは見つからんのか!!」

 

 「はっ! 捜索を続けていますが、何しろ、光学迷彩を利用して我が軍を撹乱させていますから、捜索にかなり手こずっています。」

 

 「もし、奴が共和国軍と手を組んだら、益々我々の地位は危うくなる……何としても奴を見つけ出すのだ!!」

 

 「はっ!」

 

 兵士が部屋を退出すると、ノックス大尉は怒りをかくせず、思いっきり机を叩いた。

 

 「くそっ! あの男のせいで何もかも台無しだ。必ず見つけ出し、奴を軍法会議にかけてやる!」

 

 「お困りのようだな!」

 

 その時、いつの間にか司令室に影で素顔が隠れている少年がいた。

 

 「貴様! 何者だ!? 勝手に入るとは……これは軍率違反ものだぞ!」

 

 「独自行動の免許があるこの俺に軍の規律等、関係ないと思うが……」

 

 素顔を見せた少年はセードだった。 

 

 「貴様は……セード!」

 

 「お前らが俺のタイガーより強いゾイドを開発したっていう情報を聞いたから、どれぐらい強いか、来てみたんだが、まさか逃げられたとはね……。ここの帝国はホントにどいつもこいつも役に立たない連中ばっかりだ!」

 

 「ふん! 軍人ではない貴様に言われたくない!!」

 

 「そこでどうかな? そのフォックスとやらの捕獲に俺も加えるのは… 俺のタイガーもステルス仕様だから、毒をには毒を制すには適任だと思うが?」

 

 「それは出来ん! いくら摂政閣下の私兵と言えども、軍人ではない貴様を加える等……」

 

 「あ、そうか。 残念だな! せっかくラストからフォックスらしきゾイドを見かけた市民がいるっていう情報を聞いたのだが……」

 

 「何!? ラスト大佐からだと!」

 

 「ああ、それでラストから、そいつを捕獲しろとお前らに命令が上がってな。」

 

 「な、何故、ラスト大佐が捕獲しないのだ!?」

 

 「ふん、わかってないな。 名誉挽回だよ! 貴様らがここでフォックスを捕獲すれば、出世は補償してやると言っているんだ!

 最もその代わり、フォックスの捕獲の役目は俺にやらせるとのことだが……」

 

 「何!?」

 

 「ただし、指揮はお前に任せるから、その手柄はお前のものになるので、文句はないだろ?」

 

 「う…ぐっ……」

 

 「どうした! やるのか? やらないのか?」

 

 「わかった。 その指令に従う。」

 

 「そうこなくっちゃ! お前らの作ったフォックスの実力試させて貰うぞ。」

 

 「ちぃっ!」

 

 セードの自信たっぷりな態度にノックス大尉は納得いかない表情をした。

 

 

 

 

 

 

 

 海上都市のゾイドメンテナンス工場にある一つの倉庫に帝国軍の追撃を逃れたバーンがフォックスのメンテナンスとカスタマイズを行っていた。バーンはフォックスの色を変え、

 

 「よし、これでどうだ?」

 

 カスタマイズを終わった後のフォックスはボーンの色が青色になっていた。

 

 「帝国軍とは縁を切って自由になった証として、チョイとイメチェンしてみたが……どうだ? フォックス。」

 

 グルル……

 

 バーンを見たフォックスはバーンの気持ちに応えるかのようにゆっくり頷いた。

 

 「そうか、そうか。 そいつは良かったぜ! ん~、でも、やっぱり、アーマーの色も変えた方がいいかな……?

 まあ、いいや。取り敢えず、この色で行こう。 

 後…そうだな……もうお前は帝国軍のゾイドじゃないから、この際、名前も変えよう。ガトリングフォックスよりもっとカッコいい名前をつけてやろう。

 そうだな……そうだ! ブルーシャドーフォックスってのはどうだ!? 自由な旅をする俺とお前にとって相応しい名前だろ?」

 

 グルル……

 

 それを聞いたフォックスは嬉しそうな素振りを見せた。

 

 「そうか、気に入ったか! そいつは良かった。

 ん~、でもそうなると、やっぱりアーマーの色も変えなきゃならないことになるな……

 ま、それは追々考えるとするか。」

 

 「へ~、中々いいゾイドですね!」

 

 その時、バーンに話しかけたのは、バズの知り合いのビリー・コマンドだった。

 

 「あんた、誰だ? 俺に何の用だ?」

 

 「実は、元帝国軍の旦那に頼みたいことがあってな。」

 

 「頼み?」

 

 ビリーの後に付いていき、その倉庫に入ると、そこには幾つかのコアが埋め込まれ、一部欠けたゲートのようなものが現れた。

 

 「これが何だって?」

 

 「実は以前、帝国領のバルトア地帯にある遺跡群で強力なメタル反応があって見付けた代物なんです!」

 

 「見たところ、ゾイドのパーツでもないし、ただのガラクタにしか見えないが……」

 

 「いえ、実は先日調べたところ、どうやらこれはゾイドをも越える代物だということがわかったんですよ!」

 

 「ゾイドを越える?」

 

 「発掘したばかりにも関わらず、全ての通信機器を狂わせる程の強力な磁気を発生させていることが判明し、更に研究を積み重ねると、もっと凄い発見があったんです!」

 

 「ふ~ん…で、その凄い発見ってなんだ?」

 

 その時、ビリーが100年以上経っている如何にも古びた時計を出した。

 

 「これからやる実験は驚くものになりますよ!」

 

 ビリーは自信たっぷりな表情で欠けたゲートにコードを接続し、ゲートとコードで繋がった銃型の電磁波発生装置を古時計に向けた。

 

 「いいですか? 見ててくださいよ。」

 

 ビリーがスイッチを押すと、突然ゲートに稲妻が走り、更に電球や家電製品にも電流が迸り、部屋全体が揺れ、明かりが点滅を繰り返した。

 その時、電磁波発生装置から発生した電磁波が古時計に当たり光輝いた。その眩しさに一旦目を瞑ったバーン、光が収まり、目を開けると、目の前には完全に古びた古時計ではなく、まるで今完成したような新品の時計があった。それを目を疑うかのように驚くバーン、

 

 「お…おい、この時計って……」

 

 「そうです! さっきの古びた時計ですよ。」

 

 「こ…これが……さっきのあの時計だって!? まるで今完成したかのように直ってやがる!」

 

 「実はこのゲートには非常に強力な磁場を発生し、その力によって、古い物質をまるで時間を逆光させたかのように戻せる力があるんですよ。

 まあ、そもそも材料が少ないので、その力が何なのかわかりませんが、こいつのおかげで、今まで使い物にならなくなったものまで修復してくれたんです。」

 

 「まさか…俺を雇ったのは……」

 

 「そうです! もし帝国軍がこいつを知ったら、喉から手が出る程の注文が殺到するはずです!

 こいつを売れば、帝国軍から多大な大金が貰える。ですが、ただの運び屋の俺じゃあ、中々そいつを帝国軍を売り出すことは出来ない。

 そこで、元帝国軍である旦那に頼んでいるんです!」

 

 「冗談じゃねぇ! 俺はフォックスを解放するために帝国軍から脱け出してきたんだ! 今更帝国軍に戻るなんてまっぴら後免だぜ!!」

 

 「ですが、旦那は帝国軍のお尋ね者。 こいつを売りに出せば、旦那の罪は帳消しにしてくれるかもしれませんよ!」

 

 「駄目だ! 帝国軍は俺のフォックスを狙っている。いくら俺の罪が帳消しになっても、絶対フォックスを帝国軍に渡さねぇぜ!」

 

 「そうですか……でしたら、その代わり、これよりもっと大規模な実験に協力していただけますでしょうか?」

 

 「大規模な実験?」

 

 ビリーは窓の外にある島を指差し、

 

 「あそこにあるラプス島が見えますよね?」

 

 「あの島がどうした?」

 

 「それはあの島に行けばわかりますよ。」

 

 それを聞いて首を傾げるバーン、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2つ目の端末を起動し、帝国軍に捕らえられたライガーを助けたレオたちは休息のためにバーンのいる海上都市にある宿泊施設に泊まっていた。個室で、アイセルはディアス中佐と通信でコンタクトを取り、帝国軍の動向を探っていた。

 

 「何ですって! 帝国軍がジェノスピノを復元しているですって!!」

 

 「ああ、非常に厄介なことだ。各地にいる共和国軍の偵察部隊からも帝国軍は世界中に散らばっているジェノスピノの化石の回収作業をし、先日もギレル中尉率いる回収班も化石の一部を回収したそうだ。」

 

 それを聞いたアイセルは、旧市街で、端末のある地下で帝国軍の回収班が発掘作業をしていたのを思い出した。

 

 「まさか……あの時…掘り起こしたのは……」

 

 「どうした?」

 

 「中佐、ギレル中尉率いる回収班が行った場所って、もしかして第4地区ですか?」

 

 「そうだが……」

 

 「やっぱり……」

 

 「実は私、先日その回収班を目撃したのです!」

 

 「何てことだ。帝国軍はそんなところまで、手が回っていたのか。」

 

 「幸い、端末までには手は回りませんでしたが……」

 

 「帝国軍のジェノスピノ復元は何としても阻止しなくてはならない。 

 アイセル少佐、君はレオたちの協力と共に帝国軍のジェノスピノの化石回収の阻止のために我々とも協力してくれないか?」

 

 「わかりました。」

 

 「では…」

 

 「アイセルさん、どうしたの?」

 

 アイセルのいる部屋にサリーが尋ね、

 

 「実は帝国軍はかつてゾイドクライシスで地球を脅かした怪物、ジェノスピノを復元しようとしているみたいなの。

 あの時、端末のあった場所に帝国軍はその化石を掘り起こそうとしていたみたい……」

 

 「えっ……」

 

 「今はまだ、復元出来る程ではないみたいだけど……もし最後のパーツを発掘してしまったら……」

 

 「そんな……また、多くの人々やゾイドが死んでしまうの……」

 

 サリーはかつて帝国軍の元で、ゾイドを戦争兵器にするための研究をされたことを思い出しながら、すさんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビリーの乗るキャタルガによって、フォックスは運搬され、ラプス島に着くバーンとビリー。

 ビリーは自身のキャタルガで牽引した欠けたゲートを降ろし、ゾイド発掘現場で更に巨大な電磁波発生装置等を設置し、何やら作業を始めた。

 

 「お、おい! 一体何をするつもりだ?」

 

 「さっきのは古びた時計を直す小規模な実験でしたが、今度はここでもっと大規模な実験を行うんです!

 ここはかつてヴェロキラプトル種のゾイドの化石が大量に出土したため、帝国共和国の両国が領有権をめぐって争いが絶えなかった島で、化石のほとんどは彫り尽くされ、発掘は10年以上前から行われていない場所ですが、それでも少なからずゾイドの化石は残っている。それがどういうことかわかりますか?」

 

 「まさか、あんた、そいつの力で……!」

 

 「そうです! こいつの力でまだ発掘されていないゾイドを一気に復元させるんです。

 この実験が成功すれば、帝国軍の目は俺のところに止まり、必ず俺に大金をくれるはず!」

 

 「だけど…いくらなんでもそいつは危険なんじゃねぇか!? 時間を逆光させる力を持っていると判明しても、そもそもそいつが一体何なのかすらわかんないんだぞ!

 ましてや、ゾイドを復元させる実験に使うとなら尚更だ。」

 

 「俺はこのまま運び屋のままで終わるつもりはないんだよ! ただの運び屋で終わるつもりは……こいつはそのために俺の元に来たんだ!」

 

 ビリーは幾つかの電磁波発生装置をゾイド発掘場所に当てた。それを少し不安そうな目で見るバーン、

 

 「いいですか? いきますよ。 新たな時代の幕開けです!」

 

 ビリーはスイッチを入れ、ゲートに電流が迸り、幾つかの電磁波発生装置から電流がゾイド発掘場所に当てた。

 しかし、機械に異常が発生し、島全体が揺れた。

 

 「な、なんだ? 何が起こった!」

 

 「どうしたんだ? 故障か? おい、ちゃんと動けよ!」

 

 その時、ゲートが浮遊し、ゲートの中からブラックホールのような闇の空間が現れ、島全体を覆い被さった。そして、電流が走ったゾイド発掘場所や闇の空間から無数のジャミンガが地面から這い上がってきた。

 

 「お、おい、おっさん! これどうなってるんだよ!?」

 

 「こ、こんなはずは……」

 

 地面から現れたジャミンガは一斉にバーンとビリーに襲いかかってきた。バーンはビリーに襲いかかろうとしたジャミンガを蹴飛ばし、フォックスもバーンとビリーを護衛するようにバーンの前に立った。

 

 「ここは俺が引き受ける! あんたは今のうちにキャタルガに乗って逃げろ!」

 

 「いや、でも……あいつを回収しないと!」

 

 「そんなもの後にすればいいだろ!!」

 

 それを聞いて渋々逃げるビリー、

 

 「よし、行くぜ。相棒!」

 

 バーンはフォックスに乗り、ショットガンとマルチプルランチャーでジャミンガの群れに撃ち込んだ。

 

 「くそ、何でジャミンガが現れるようになったんだよ!」

 

 

 

 

 

 

 ラスト大佐の情報を頼りに海上都市に着いたセードとノックス大尉率いる帝国軍、帝国軍兵士はバーンの写真が貼られている手配書を都市の人々に見せ、バーンの居場所を聞いていたその時、セードが闇に包まれたラプス島を目撃し、

 

 「おい、あれどうなっているんだ?」

 

 「何って……どうなっているんだ? あの島は! むっ!」

 

 ノックス大尉が双眼鏡でラプス島を見ると、そこには無数のジャミンガと交戦しているフォックスがいた。

 

 「遂に見つけたぞ! まさか、あんなところにいたとは!」

 

 「随分楽しそうじゃないか!」

 

 「よし、直ちに島を包囲し、滷獲作戦に入る!」

 「ノックス、忘れてはいないだろうな? フォックスの滷はは俺に任せて貴様らはその後方支援に回るというラストの命令だよな?」

 

 「忘れてはいない! だが、フォックスは破壊するな!」

 

 「分かってる! ちゃんとパーツは残すようにバラバラにするから。」

 

 「ちっ! ところで、貴様はどうするつもりだ!?」

 

 「俺が橋を渡って島に入って奴の相手をする。お前たちはフォックスが逃げられないように橋を破壊して、ジャミンガ共を掃討をやれ。」

 

 「了解した。」

 

 「では、お前たちの造ったガトリングフォックスの実力試させてもらうぞ。」

 

 セードはファングタイガー改に乗り、橋を渡ってラプス島に入った。それを見たノックス大尉は、

 

 「くそ、ラスト大佐といい、摂政閣下といい、何故、あんな奴が特別扱いされるのだ!?」

 

 セードのファングタイガー改が橋を渡って、ラプス島に入り、島にいるジャミンガが橋を渡ろうとするが、島に入ったファングタイガー改が目の前のジャミンガを蹴散らして、フォックスの元に向かった。

 海辺にいるバズートル部隊は橋を砲撃し、ノックス大尉はスティレイザーに乗って、ガブリゲーター部隊が牽引する板切れのような形状の船に乗ってラプス島に近付いた。

 船の破壊と島に向かってのバズートル部隊の砲撃に気付いたバーンは、

 

 「おいおい、マジかよ! もう帝国軍の追手がここまで来たのかよ。

 ただでさえ、ジャミンガの処理に手を焼いているってのに! 仕方ない。

 ここは姿を消して奴らの注意を引いてあのおっさんと一緒に島を脱出するしかない。いけるか、相棒?」

 

 グルル……

 

 バーンの問いに応えるように頷くフォックス、

 

 「ようし…じゃあ、行くぞ。」

 

 フォックスは光学迷彩で姿を隠し、その場を離れた。 ノックス大尉の乗るスティレイザーをを乗せた船は島に着く直前に止まった。

 

 「制御トリガー解除! スティレイザー、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 マシンブラストを発動したスティレイザーはガブリゲーター、バズートル部隊と共にラプス島に向けて一斉砲撃した。

 

 「フォックスの捕獲はセードに任せる! 我々はその後方支援に回る。 例え、島ごと沈没してもフォックスを捕らえるのだ!」

 

 帝国軍の一斉砲撃により、ジャミンガは次々と破壊され、同時に島も砲撃によって崩れていった。

 フォックスは帝国軍の砲撃を避けながら、ビリーのいる場所に向かうが、バズートル部隊の砲撃によって飛び散った水に全身が濡れ、フォックスの走った後に足跡が出来てしまった。

 足跡から動きを読まれたフォックスを砲撃が襲う。 岩陰に息を潜め、尚も襲いかかってくるジャミンガの襲撃も交わしたバーンとフォックスはジャミンガと逆方向に進もうとする。

 

 「へっ。そう簡単に捕まってたまるか」

 

 バーンがそう言ったその時、何処からか帝国軍とは別の砲撃がフォックスを襲った。フォックスはそれを避けるが、その砲撃はフォックスの位置が正確にわからず撃っている帝国軍と違い、フォックスの動きがまるでわかるかのように撃ってきた。 バーンは敵の姿を探そうとするが、その姿は見当たらない。

 

 「くそ、一体何処から撃ってきた!?」

 

 その時、突然、何者かがフォックスに体当たりし、フォックスは壁に激突され、その衝撃で光学迷彩が解かれ、姿を現してしまった。バーンが目の前を見ると、そこに現れたのはファングタイガー改だった。

 

 「お前か。 ノックスから俺のタイガーより性能がいいと聞いていたが、見たところ、大したこと無さそうな狐のようだな。」

 

 タイガー改とセードの声を聞いたバーンは、

 

 「あいつは…帝国軍の中で最強と謳われるファングタイガーを操る摂政の私兵か!? てめえが俺に何の用だ?」

 

 「貴様のフォックスとやらが、俺のタイガーより強いかどうか知りたくてな。 お前の実力を試してやりたいんだよ!」

 

 「はっ! 俺はそんなものに興味はない。 さっさと道を開けたらどうなんだ?」

 

 「あっ? もしかして、弱いから俺と戦うのは後免って言うのか? だとしたら、とんだ期待外れだね。

 やっぱり、俺のタイガー以外のゾイドは雑魚だということか……」

 

 それを聞いたバーンは拳を握り締め、

 

 「貴様、俺のフォックスを侮辱することは許さんぞ!」

 

 「そうか……なら、試してみるか?」

 

 「一瞬で終わらせてやる!」

 

 フォックスは再び光学迷彩で姿を隠し、直ぐに背後に回り、タイガー改を攻撃しようとするが、タイガー改は尻尾のサンダーテイルで攻撃し、フォックスの全身に電流が走った。

 

 「ぐっ…グワァ~!!」

 

 タイガー改のサンダーテイルで一旦怯むフォックス、だが、再び姿を隠し、タイガー改の周囲を走って撹乱させようとした。

 そして、フォックスは瞬時にタイガー改の頭上に回り、そのまま落下しながら攻撃するが、タイガー改はそれも軽く避け、フォックスを蹴飛ばした。

 

 「何故だ? 何故、俺とフォックスの動きがわかる?」

 

 「俺のタイガーもステルス仕様でな。それに応じた戦闘は腐るほどやっている。

 だから、ステルス戦に特化した奴の戦法なんざ、手に取るようにわかるのさ!」

 

 「なら、こいつはどうだ!? 行くぞ、フォックス!

 ガトリングフォックス、進化 解放! エヴォブラストー!!」

 

 「ふん、 制御トリガー解除! ファングタイガー、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 「ファントムガトリング!」

 

 エヴォブラストしたフォックスはガトリングをタイガー改に撃ち込むが、タイガー改はその砲撃を全てツインドファングで受けきった。

 

 「何!?」

 

 「さっきよりは断然良くなったが、どうやら、俺のタイガーのレベルには程遠いようだな。」

 

 それを聞いたバーンは、

 

 「俺とフォックスの力を持ってしても、あいつには勝てねぇって言うのか!」

 

 「歯応えとしちゃ…まあまあだったけど……そろそろ終わりにしようか!」

 

 タイガー改はツインドファングでファングでフォックスをぶっ飛ばした。

 

 「グワァ~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 海上都市の宿泊施設で休息していたレオたちはラプス島に異常が発生し、更に帝国軍が総攻撃しているため、その調査をして欲しいとディアス中佐がアイセルに命じ、レオたちは早速ラプス島に向かった。ラプス島を見たレオたちは、

 「おい、あの島一体どうなっているんだ?」

 

 「詳しくはわからないけど、島に何やら闇のような空間が包み込んで、突然ジャミンガが大量に沸いてきたみたい。

 そして、帝国軍が何が目的なのか、島を攻撃しているの?」

 

 双眼鏡でラプス島を見たレオは闇の中から大量のジャミンガが沸いていくのを目撃し、更にファングタイガー改に苦戦するフォックスも目撃した。

 

 「彼処にフォックスがいる!」

 

 「えっ!? じゃあ、帝国軍はフォックスを狙って?」

 

 「あのフォックスは俺たちを助けてくれた。今度は俺が助けにいかないと!」

 

 「でもどうやって行くんだよ!? 行こうにも橋は無いし、回りに帝国軍もいるんだぜ!」

 

 「それでも行かないと! 行くぞ、ライガー!」

 

 レオはライガーに乗り込み、ライガーは海に飛び込んで、そのまま犬掻き……いや猫掻きで海を渡って行った。それを見たサリーは、

 

 「アイセルさん、私もフォックスを助けたい!」

 

 「しょうがないわね。私たちも行きましょう。」

 

 「おいおい、嘘だろ! マジで行くのかよ!? ていうか、渡ろうたって大体船はどうすんだよ?」

 

 「大丈夫。実は共和国軍が支給してくれた船があるから。」

 

 

 

 

 

 タイガー改の執拗な攻撃を喰らって、アーマーに傷が付き、遂にタイガー改に抑えられたフォックス、

 

 「がはっ!」

 

 「やれやれ、予想以上の雑魚でホント残念だよ。そろそろスクラップにしてやる。」

 

 タイガー改がフォックスに止めを刺そうとしたその時、

 

 「止めろー!!」

 

 海を渡ったライガーが現れ、タイガー改に飛び掛かろうとした。タイガー改は瞬時に避け、態勢を変え、ライガーはフォックスを守るかのようにタイガー改に立ち塞がった。ライガーを見たバーンは、

 

 「お前は…あの時のライガー! 何故、お前がここに?」

 

 「あなたを助けに来たんですよ! あの時、俺たちを帝国軍から助けてくれたじゃないですか!」

 

 「まさか、お前、あの時の借りを返すために!?」

 

 「だって、せっかく助けてくれた借りを返さないままにする訳にはいかないじゃないか!」

 

 「ふっ……」

 

 「誰かと思えば、あの時のショボいライガーじゃないか! まさか、俺と再びやるつもりか?」

 

 「俺は戦いに来たんじゃなく、フォックスとこの人を助けに来たんだ。」

 

 「なら、それでも俺と戦う理由になるんじゃないか? いっとくが、俺はそいつを帝国に持ち帰る任務があるからね。」

 

 「おい、ライガーの少年! そいつには一対一で戦うのは危険だ! ここは俺のフォックスの2体で戦った方が得策だ。」

 

 「でも……あなたのフォックスは……」

 

 「俺の相棒なら心配はない。それにあいつの強さはお前もわかっているだろ!?」

 

 レオはライガーが少し警戒した表情を見て、

 

 「確かにライガーだけじゃ、敵わない。一緒に戦おう。」

 

 「そうこなくっちゃ!」

 

 「2体がかり? いいよ! 遠慮せず、かかってこい。そのショボいライガーの弱さは前の立証済みだ。

 この際、2体相手にした方が張り合いがある。」

 

 「行くぞ、ライガーの少年!」

 

 「わかった! 行くぞ、ライガー!」

 

 

 

 

 

 ディアス中佐から支給された船を使って、帝国軍の死角を通って、ラプス島に着いたサリーたち、アイセルはラプトリアに乗り、島にウジャウジャいるジャミンガを蹴散らしながら、島に入って行った。

 

 「早く、レオとライガー助けないと不味いぞ! あのファングタイガーメチャクチャ強かったから、今頃苦戦しているかもしれねぇ!」

 

 「わかっているけど、こうジャミンガがウジャウジャいると、中々先に進めない。」

 

 その時、サリーは島の向こう側にゲートを回収するために周囲にいるジャミンガを鉄棒で倒しているビリーを目撃した。

 

 「ねぇ、あの人は?」

 

 ビリーを見たバズは、

 

 「あいつは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ビーストライガー、進化 解放! エヴォブラストー!! ビーストオブクローブレイク!!」

 

 「デスファング!!」

 

 ライガーはエヴォブラスト技でタイガー改に攻撃するが、直ぐにタイガー改のツインドファングで返される。

 

 「もう一度食らえ! ファントムガトリング!」

 

 「ふん!」

 

 フォックスの一斉砲撃も全て軽々と受けきられ、ライガーとフォックスを2体同時に蹴飛ばされてしまう。

 

 「2体でかかってその程度か? むず痒いぞ!」

 

 「ライガー、大丈夫か!?」

 

 「くそ、フォックスもダメージが大きい。どうすれば……」

 

 

 

 

 

 

 

 欠けたゲートを回収するために周囲のジャミンガを鉄棒で蹴散らすビリー、

 

 「どけっ、どけっ! こいつは俺のものだ!! お前らのものじゃない!」

 

 しかしいくら倒してもジャミンガはゲートによって出現した闇から無数に沸いていき、ジャミンガを倒すごとに体力が消耗していくだけだった。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ……こいつを何としても……」

 

 体力が限界に来ても尚も戦うが、横から現れたジャミンガがビリーを蹴散らし、その衝撃で鉄棒を離し、倒れてしまう。ビリーが諦めかけ、ジャミンガが襲いかかろうとしたその時、バズがジャミンガに殴りかかり、ラプトリアが周囲のジャミンガを蹴散らした。サリーはビリーを優しく抱え、

 

 

 「大丈夫ですか?」

 

 「ああ…」

 

 バズを見たビリーは驚き、

 

 「バズ、どうしてお前がここに!?」

 

 「それはこっちの台詞だ! お前こそ、こんなところで何をしている!?」

 

 「俺は地球の歴史を変える歴史的実験をしていたんだ! あれを使って!」

 

 「実験だと?」

 

 それを聞いて疑問を感じるバズ、

 

 

 

 

 

 

 タイガー改と対峙するライガーとフォックス、

 

 「くそ、あいつにどうやって死角を作る……待てよ、さっきは一体ずつで掛かったが、2体同時で掛かれば……

 おい、ライガーの少年!」

 

 「何?」

 

 「俺にいい考えがあるが、乗ってくれるか?」

 

 「俺とライガーなら大丈夫だよ!」

 

 「よし、まず先にお前が仕掛けろ! 俺はその後に動く。」

 

 「わかった。行くぞ、ライガー!」

 

 ガオ~!!

 

 「ビーストオブクローブレイク!!」

 

 「同じ手が2度も通用すると思っているのか? デスファング!!」

 

 タイガー改に向かって再び攻撃しようとするライガーにタイガー改もライガーに向かって攻撃しようとする。タイガー改のツインドファングの刃がライガーに当たりそうになったその時、フォックスが瞬時にタイガー改の真下に回った。

 

 「何!?」

 

 「流石のお前でも、目の前の敵に集中すれば、もう一体は疎かになるだろう。 食らえ! ファントムガトリング!!」

 

 「グワァ!!」

 

 タイガー改はフォックスの攻撃をまともに喰らって態勢を崩し、ライガーはそれを逃さず、

 

 「今だ、ビーストオブクローブレイク!!」

 

 ライガーとフォックスの同時攻撃を食らい、アーマーにひびが入って、倒れるタイガー改、

 

 「よし、上手くいった!」

 

 

 「バカな! この俺に死角を作らせるとは!」

 

 ライガーとフォックスがその場を去ろうとしたその時、島に上陸したノックス大尉のスティレイザー率いる帝国軍が背後から砲撃してきた。

 

 「バーン・ブラッド! 貴様に逃げ場はない。直ちに投降しろ!」

 

 「しまった! 帝国軍がもう島に上陸してしまったか!」

 

 「へっ、心配ない。 あの厄介なタイガーさえ足止めできれば、それでいい。 取り敢えず目つぶってろ!」

 

 バーンはフォックスの尾部マルチプルランチャーから照明弾を発射した。

 

 「グワァ!! 照明弾か!」

 

 「よし、今だ! 今のうちに逃げるぞ!」

 

 敵の視界を奪ったところをフォックスはライガーを誘導して一緒に逃げた。

 

 

 

 

 

 

 

 ラプトリアがジャミンガが蹴散らすも無数に現れるジャミンガに手こずり、あっという間にジャミンガの群れに包囲されてしまう。

 

 「こんな数、いくらラプちゃんでもきついわ!」

 

 サリーたちに襲いかかろうとしたその時、サリーのペンダントが突然オレンジ色に光り、同時にゲートもオレンジ色に発光し、ジャミンガの動きが鈍くなった。同時に闇はオレンジ色の光りになり、出現したジャミンガや周囲をブラックホールのように吸収していった。

 

 「不味いわ! このままいたら、私たちもあの中に吸収されてしまうわ! 早く逃げましょう!!」

 

 「そうだな。おい、サリー、ビリー。早く逃げるぞ!」

 

 「待て! あれを回収しなければ!!」

 

 「駄目! そんなことしたら、あなたまで……」

 

 「うるせぇ! せっかく手に入れたものを手放したまるか~!!」

 

 ビリーはサリーの手を振り払い、ゲートの方へ向かった。サリーはビリーを追いかけようとするが、その時、帝国軍の砲撃の流れ弾が周囲に直撃し、ビリーは態勢を崩し、空間の範囲に入ってしまい、そのままジャミンガと共に吸収されてしまった。

 

 「う、ウワァ~!!」

 

 「そんな……」

 

 ビリーを助けられなかったサリーは落ち込むが、運悪くサリーも範囲に入ってしまい、身体が浮上した。

 

 「あ、キャァ~!」

 

 「不味い! サリーまで飲み込まれてしまう。」

 

 バズとアイセルのラプトリアは助けにいこうとするが、吸収されるジャミンガに阻まれ、中々前に進むことが出来なかった。サリーまで飲み込まれそうになったその時、突然、ビリーのキャタルガがサリーを護衛した。そのおかげで、サリーは吸収を免れ、空間は消え、ゲートもそのまま埋もれてしまった。サリーはキャタルガを見て、

 

 「もしかして私を庇って……?」

 

 キャタルガはサリーを見ずにそのまま立ち去っていった。

 

 「ふぅ、何とか難は逃れたな。」

 

 「それより、レオとライガーを探さなきゃ!」

 

 その時、目の前にライガーとフォックスが現れ、

 

 「サリー、バズ、アイセル!」

 

 「レオ、無事だったか!」

 

 「ここは危険だ! 早くここから脱出しよう。」

 

 「そうね。帝国軍もまだこの島にいるしね。」

 

 レオたちは帝国軍に気付かれないように船に乗り、そのまま島から脱出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライガーとフォックスを逃がしてしまった帝国軍、

 

 「おのれ! 後少しだったというのに! セード、お前がさっさとフォックスを捕獲しなければこんなことにならなかったのだぞ!!」 

 

 「俺は俺のやり方でやっただけだ。あのままいけば、鹵獲出来ただろうが、さっき島に上陸して包囲したのに油断して照明弾に当たった貴様らの方が一番責任があるんじゃないのか?」

 

 「うっ……ぐっ……」

 

 「まあ、今回は色々と楽しめたから良しとするか。精々頑張れよ!」

 

 「おのれ~!」

 

 「ふっ、今まで俺のタイガーに傷を付けられたゾイドは一体もいなかったが、まさか、あのライガーになるとはね……もっと俺を楽しませてくれよ。」

 

 戦闘に満足したセードはファングタイガー改に乗り、海上都市を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 脱出に成功したレオたちとバーン。助けてくれたお礼にレオと硬い握手を交わした。

 

 「助かった。お前がいなかったら、あのまま帝国軍に捕まっていたよ。」

 

 「いいよ。これぐらい当然さ!」

 

 「これでお前に借りが出来てしまったが、ちゃんとこの借りは返すぜ。ライガーの少年!」

 

 「レオだよ!」

 

 「ん?」

 

 「レオ・コンラッド、それが俺の名前だよ!」

 

 「ああ、そうか。俺はバーン・ブラッド。帝国軍の元二等軍曹だが、今は違う。」

 

 「因みに俺は運び屋のバズ・カニンガム。」

 

 「あたしは共和国軍のジョー・アイセル。」

 

 「サリー・ランドです。」

 

 「バーン、俺たちと一緒に来てくれないか? 地球再生のための端末を再起動させるための旅に力が必要なんだけど……」

 

 「地球再生の旅か……確かにそいつは面白いが、俺は相棒のフォックスと共にこの世界を旅したいんでな。お前たちと同行することは出来ない。」

 

 「何処へ行くんですか?」

 

 「何処へでも…俺と相棒の行きたいとこまで行く。じゃあな!」

 

 そう言うとバーンはフォックスに乗り、フォックスは夕焼けの中に消えていった。

 

 「やっぱり、いい人ですね。」

 

 「ああ、またもう一度会いたい。」

 

 レオとサリーは走っていくフォックスを見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帝国軍が去った後、ラプス島にラスト大佐の乗るキャノンブルが訪れ、コクピットから降り、埋もれたゲートを見付けた。ゲートを見付けたラスト大佐はプライド摂政と通信を開き、

 

 「プライド、いい土産が見付かったわ。」

 

 「土産だと? まさか、ジェノスピノの最後の化石か?」

 

 「もっといい。 それも我々の計画に重要な代物よ!」

 

 To be continued




 次回予告

 ジャミンガのトラウマにより、しばらく出撃不可能になったユウトの代わりに残されたジェノスピノの化石を回収するギレル中尉。
 ランド博士の指令により、遂に最後の化石を発見するが、レオたちはジェノスピノの復元を阻止するために共和国軍と共に化石を回収しようとするギレル中尉率いる帝国軍と交戦状態になる。しかし同時にセードのファングタイガー改も乱入してきた。

 次回「争奪戦、新ナル巨龍」

 走り抜け、ライガー!!


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第9話「争奪戦、新ナル巨龍」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 ペンダントの力によって突如復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーを復活させた不思議な力を持つペンダントを持ち、地球の未来を左右する謎の少女サリーと共に地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 基地に侵入したジャミンガとの戦闘の際にあるトラウマを思い出したユウトは気絶し、心配になったメルビル少尉は自ら彼の看病をした後、ランド博士に報告するため、自身の青いスナイプテラの口内にあるコクピットに乗せ、帝都ネオゼネバスシティにあるプライド摂政の別荘に向かった。

 メルビル少尉の乗る青いスナイプテラはギレル中尉や帝国の一般仕様のスナイプテラと違い、口内のA-Zスナイパーライフルが除去され、代わりにシートが取り付けられ、2人乗りが可能な仕様になっている。これはメルビル少尉は軍人ではあるが、他の帝国軍人とは違い、好戦的な性格ではなく、出来るだけ相手を殺さないメルビル少尉の性格が反映された改造でもある。

 しかし、その代わりマシンブラストが使用できず、武装も他のスナイプテラと比べて乏しいため、要人を乗せている時に敵に狙われやすい危険性があるため、ある帝国要人の要請でその弱点を補うために両翼にA-Zインパクトキャノン砲が装備されるようになった。

 プライド摂政の別荘に着いたメルビル少尉はユウトを抱え、ランド博士のいる研究室にまで向かった。

 

 

 「おお、メルビル少尉。戻ってきたか! ん? ユウトは一体どうしたのだ?」

 

 「実は基地にジャミンガが侵入し、ジャミンガの群れに1人で戦っている途中、精神に異常が発生し、意識不明の状態になっています。

 私が基地で看病しましたので、しばらく安静にすれば大丈夫ですが…ただ…出撃は……」

 

 「そうか……優秀な彼でも欠陥はあるということか……出来れば完成間近のジェノスピノの最後のパーツの捜索に加わって欲しかったが…」

 

 「御父様、ジェノスピノのライダーは誰になるのですか?」

 

 「それは摂政閣下がお決めになることだ。私の一存では決められん。君としちゃ、ジェノスピノにはユウトに乗って欲しいのだろう?」

 

 「いえ、そんなことは……」

 

 「残念ながら、惜しくも適合率が2番目のため、乗ることは厳しいが……なに、いずれ彼にはハンターウルフ改よりもっと相応しいゾイドが現れる。

 それにジェノスピノにはユウトのような素晴らしいライダーが乗ってくれる。」

 

 その時、ランド博士に通信が入り、

 

 「私だ。そうか……直ぐにそちらに向かう。」

 

 それを聞いて首を傾げるメルビル少尉。

 

 「偵察に向かっていたバスキア少尉からジェノスピノの最後のパーツらしきものを発見したそうだ。メルビル少尉、君のスナイプテラで私と共に現地に行ってくれないか?」

 

 「はい、御父様!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 屋上の展望デッキに出たコリンズとギレル。コリンズ准将の口元には自らの手で呼吸器が添えられていた。 夕焼けに染まる町並みを見下ろし、コリンズは言う。

 

 「美しい。惑星Ziの夕日を思い出す。」

 

 そう言いながら彼はマスクを外す。呼吸器を外すことに心配したギレルが声をかける。

 

 「准将……」

 

 「平気だ。 先日、昔の夢を見た。ゾイドで空を飛び回っていた頃のな。」

 

 「“黒い荒鷲”と恐れられた歴戦の勇士。それでいて命令違反の常習犯。おかげで昇進が遅れたとか…」

 

 「お前と一緒にするな。私はただのゾイドライダーとして空を飛びたかっただけだ。 それで……進んでいるのか?ジェノスピノの修復は?」

 

 「はい。あと一つ、最後のパーツとなる化石だけがまだ発見できていません……」

 

 「ギレル中尉…」

 

 「はいっ!」

 

 「出来ればジェノスピノのライダーにお前を指名したいのが私の本音ではあるが、誰がライダーになろうともジェノスピノが戦争の抑止力になると信じている。ジェノスピノこそがここに平和をもたらす使者になると……。

 例え、世界を壊滅させたゾイドと呼ばれていても再び世界を滅ぼす力にさせるわけにはいかない。私はそのために帝国に命を捧げたのだ。

 頼んだぞ、ギレル! 帝国とこの世界の未来のために。」

 

 「ジェノスピノは必ず復活させてみせます!」

 

 「うむ……さて、私は任務に戻る。私もやらなければならないことがあるのでな。」

 

 「お気をつけてください。」

 

 コリンズ准将が退出し、一人展望デッキ兼飛行ゾイド発着場を歩くギレル。その直後、ギレルのインカムに入電が。発信主はランド博士だった。

 

 「化石の有力情報だ。私は今から現場に急行する。」

 

 「わかりました。ランド博士。現場で待ち合おう。場所は?」

 

 「イージスバレーだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 谷の発掘現場ではジェノスピノの背中の特徴的な武器ジェノソーザーが発掘されていた。

 データと照合し、眼前の巨大な化石こそジェノスピノの最後の化石だと確信するランド博士。

 

 「間違いない。正真正銘、ジェノスピノの最後のパーツだ!」

 

 「本当か!」

 

 ギレルは興奮を隠せない。

 

 「こんな遠くまで流されていたとはな。発見できなかったはずだ。これで全てのパーツが揃った。いよいよ破壊龍ジェノスピノの復活だぞ。」

 

 「感謝する、ランド博士。コリンズ准将もさぞ喜ぶだろう!」

 

 「珍しいな。君がそこまで感情を顕にするなんて」

 

 「あっ……いや……」

 

 「ま、当然か。ジェノスピノの復活は帝国の悲願だからな。この最後のパーツを無事に運ばなければ、ジェノスピノは完成しない。責任重大だぞ!」

 

 「わかっています。」

 

 「私はメルビル少尉と共に先に戻り、ジェノスピノの最後の仕上げに掛かろうと思っている。君はバスキア少尉たちと共に最後のパーツの輸送の準備をしてくれ。」

 

 「了解しました!」

 

 ランド博士はメルビル少尉の乗るスナイプテラに乗り、そのままプライド摂政の別荘に向かった。

 

 

 

 

 

 

 ギレル中尉とバスキア兄妹は最後のパーツの輸送方法を考え、陸路では10日はかかる距離と判断し、バスキア兄妹の乗るクワーガ2体と一般兵士の乗る一般仕様クワーガ2体の4期編成の輸送部隊で尉とバスキア兄妹はは空輸の手配を整え、ジェノソーザーの輸送準備に入り、ギレル中尉はその護衛に当たることになった。

 ギレル中尉は空輸の手配を整え、ジェノソーザーの輸送準備にかかる。到着は十八時間後とのこと。バスキア兄妹の乗るクワーガファイアボンバーとスカイステルスは2体のクワーガ一般仕様と共にジェノソーザーを入れたコンテナを入れ、ギレル中尉のスナイプテラについていった。

 

 

 そこを演習の終わりに基地に戻ろうとしていたツガミ大尉の乗るステゴゼーゲ改率いる共和国部隊が通り、ツガミ大尉は上空に飛行しているスナイプテラとコンテナを運搬する4期のクワーガを目撃した。

 

 「あれは帝国軍のギレル中尉の乗るスナイプテラとその配下のクワーガ隊、一体何を運んでいるのだ?」

 

 ツガミ大尉はコクピットに取り付けてある機械の電源を入れると巨大な反応があった。

 

 「この反応……まさか、ジェノスピノか!? ディアス中佐に直ぐ報告しないと!」

 

 ツガミ大尉は直ぐにディアス中佐とコンタクトを取り、

 

 「それは本当か!?」

 

 「どうやら、ジェノスピノの化石に間違いありません。直ぐにでも破壊しますか?」

 

 「いや、いくらなんでも運搬中のゾイドを攻撃すれば、共和国軍の宣戦布告とみなされ、逆に我が軍が危うい立場になるだろう。

 とにかく今は様子を見よう。だが、絶対に見失うな。」

 

 「了解しました!」

 

 通信を切ったツガミ大尉はそのまま共和国部隊を率いてスナイプテラとクワーガ隊の後を追った。

 そこにファングタイガー改が立ち寄り、

 

 「ほう……こんなところに共和国のエリートがいるとはな。丁度いい。暇潰しの相手にしようか。」

 

 その時、セードの右腕が突然オレンジ色に発光し、

 

 「ん? 俺の右腕がいつもより反応が強い。一体何処から?」

 

 同時にコンテナの中のジェノソーザーも反応し、以上なな熱を発生し、直後、クワーガのコントロールが効かなくなる。バスキア少尉はクワーガの異変に気付き、

 

 「どうした? クワーガ!」

 

 クワーガファイアボンバーは何やら苦しそうにし、コンテナの温度も更に上昇した。コンテナとクワーガの異変に気付いたギレル中尉はバスキア少尉とコンタクトを取り、

 

 「どうした? バスキア少尉!」

 

 「コンテナに異常な熱反応を探知し、その影響で私のクワーガに影響を与えたようです! 恐らく化石に何かしらの異変が起きていると思われます!」

 

 「馬鹿な! 復元前の化石にそんなはずは……! いや、待て……かつて世界の3分の1を壊滅させたジェノスピノなら有り得るということか……」

 

 コンテナの中のジェノソーザーが高熱を出し続けると同時にセードの右腕の反応も大きくなった。

 

 「あのコンテナのいる奴が俺を呼んでいるということか……一体何処のゾイドだ?」

 

 クワーガファイアボンバーを含めた4騎はコンテナの高熱に耐えられず、

 

 「駄目です! これ以上は無理です!!」

 

 「くっ! やむを得ん。一旦コンテナの接続を解除しろ! その後、基地に戻って回収部隊と共に化石を再び回収する。」

 

 「了解しました!」

 

 輸送部隊は輸送を断念し、ファイアボンバーを初めとしたクワーガ4騎はワイヤーを自切し、直下の森にコンテナは落下。 コンテナの発する熱により周りの草木は一瞬で発火。炎が周囲を包みこんだ。ギレル中尉は再び化石を回収するためにクワーガ部隊と共に急いで基地に向かっていった。 その様子を見たツガミ大尉は再びディアス中佐とコンタクトを取り、

 

 「ディアス中佐、コンテナに突然異変が起き、地上に落下しました! 化石を回収しますか?」

 

 「その必要はない。化石は発見次第、すぐに破壊してかまわん。」

 

 「よろしいのですか?」

 

 「帝国は問題の化石を除く、全ての発掘作業を完了している。万一その化石が帝国の手に渡れば、ジェノスピノが、伝説の破壊竜が復活してしまうのだ。 我々は何としてもそれを阻止しなければなならない。」

 

 「わかりました。直ぐに化石の破壊活動に入ります。全部隊、直ちに化石を捜索、見つけ次第直ちに破壊しろ!」

 

 「了解しました!」

 

 ステゴゼーゲ改率いる共和国部隊はバラバラに別れ、山火事になっている森に入って捜索した。その様子を影で見ているセードは、

 

 「何だか随分面白そうなことになっているようだな! 此所んところ、雑魚ばっかりだったから、ウォーミングアップの相手にさせてもらうか。

 おっと! その前に俺を呼んだ奴を連中より先に見つけなくてはな。この俺に相応しいゾイドか、見極めてやる。行くぞ、タイガー!」

 

 セードも化石を見つけるためにタイガー改で炎の海に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこから数キロ離れた場所で、レオたちは端末の捜索に入っていた。サリーはペンダントの反応を見るが、特に強い反応はなかった。

 

 「ここにも反応はないみたいですね……」

 

 「大丈夫だよ! サリー。きっと見つかるよ。」

 

 「ありがとう。レオ。」

 

 「せっかく2つ目も見付けたのに、結局端末探しの旅はまだ長くなりそうだな……」

 

 「それでも、こんな旅が出来るだけでもいいじゃない!」

 

 「どうせなら、金のなる旅になってくれればいいんだかがな。ん? あれ何だ?」

 

 バズが指差すと、目の前に森が火事になっていた。

 

 「こんなところで山火事になるなんて不自然だわ。何かあったのかしら?」

 

 「とにかく行ってみましょう! 逃げ遅れた人々もいるかもしれませんし。」

 

 「そうだな。サリーの言う通りだ。行くぞ、ライガー!」

 

 「あたしたちも行きましょう! ラプちゃん。」

 

 「お、おい! たく、しょうがねぇな。」

 

 

 

 

 

 

 

 ライガーとラプトリアが森の中に入る中、火の中、ステゴゼーゲ改率いる共和国部隊は化石を捜索していた。

 

 「化石はまだ発見出来ないのか?」

 

 「捜索は続けていますが、何しろこの火事ですから……」

 

 「何としても見つけ出すのだ! ジェノスピノを帝国軍の手で復活させるわけにはいかない。」

 

 その時、火の中、共和国部隊に砲撃するものがいた。現れたのはジェノソーザーの回収のために基地から来たキャノンブル、バズートル隊だった。

 

 「くそ、もう帝国軍の回収部隊が来たのか! ここは私が引き受ける。他の者は化石の捜索を!」

 

 「了解しました!」

 

 ステゴゼーゲ改に向かって一斉に砲撃するキャノンブル、バズートル隊、

 

 「並みの装甲だと思うな。 ステゴゼーゲ、進化 解放! エヴォブラストー!! ナイフオブフィフティーン!」

 

 帝国軍の回収部隊を1人で引き受け、ツガミ大尉はエヴォブラストしたステゴゼーゲ改の技で次々とキャノンブル、バズートル隊を撃破していった。

 ステゴゼーゲ改が帝国部隊を引き受けている間に捜索を続けているラプトリア隊に一体のラプトリアのコクピットから反応があった。

 

 「強力なZメタル反応を確認!」

 

 「ジェノスピノの化石か!? いや、強力な反応ですが、これは……ぐ、グワァ~!!」

 

 突然、一体のラプトリアが何者かの砲撃で倒れ、他のラプトリアも次々と撃破されていった。

 

 「な、何だ!? 敵は一体何処から? うっ、ウワァ~!!」

 

 最後の一体に飛び掛かり破壊して現れたのはファングタイガー改だった。

 

 「悪いな。俺を呼んでいる奴を貴様らごときに見付けられちゃ困るんでね。」

 

 更に強く発光する右腕を見たセードは、

 

 「反応が強い。どうやら、近くに来たようだな。行くぞ、タイガー!」

 

 セードは右腕の反応を頼りに化石の場所に向かった。時同じくしてステゴゼーゲ改はキャノンブル、バズートル隊に前線するが、多勢に無勢のため、次第に疲労していった。

 

 「くそ、こんなところで倒れるわけには……」

 

 キャノンブル、バズートル隊が一斉にステゴゼーゲ改に向けて砲撃しようとしたその時、ライガーが横からキャノンブル隊を蹴落とし、ラプトリアがヘキサスラッシュでバズートル隊の足を潰した。

 

 「レオ、アイセル少佐!」

 

 「大丈夫ですか? ツガミさん。」

 

 「一体何があったの?」

 

 「ジェノスピノの化石だ。」

 

 「ジェノスピノの!?」

 

 「帝国軍が最後のパーツを回収し、運んでいる途中、突然異変が起き、火事を引き起こしたのだ。」

 

 「それで、帝国軍がこんなところにいるのね。」

 

 「最後のパーツを破壊しなければ、伝説の破壊龍が帝国軍の手で復活してしまう。

 民間人に頼るのはどうかと思うが、レオ、化石を破壊してくれないか。」

 

 「え、でも、あなたは……」

 

 「私なら心配ない。これぐらいの戦闘、軍人として当たり前のことだ。」

 

 「確かに世界の3分の1を壊滅させたと言われるあのジェノスピノを復活させるわけにはいかないわね。」

 

 「わかりました! 必ず、化石を破壊します。」

 

 レオは火の中に入り、化石を捜索し、ツガミ大尉のステゴゼーゲ改はアイセルのラプトリアと共に帝国部隊と戦った。

 火の中を振り切って遂に開けた場所に来たライガー、その目の前にはジェノソーザーがあった。ジェノソーザーを見るレオ、

 

 「あれが……伝説の破壊龍、ジェノスピノの化石……」

 

 グルル……

 

 ジェノソーザーを見たライガーは怯えるような仕草をした。

 

 「ライガー、怖いのか? そうか、あの化石がどれだけ危険なのかわかるんだな。早く破壊しないと、行くぞ、ライガー!」

 

 その時、ライガーの行く手を阻むように空中からガトリングが放たれた。現れたのはギレル中尉のスナイプテラだった。

 

 「化石に手を出すな! ジェノスピノは帝国のゾイドだ!!」

 

 ライガーはスナイプテラのガトリングを避けるが、スナイプテラは執拗にライガーを追った。その時、地上からスナイプテラに何者かが砲撃してきた。現れたのは帝国部隊を全滅し、化石の場所に来たステゴゼーゲ改とラプトリアだった。

 

 「大丈夫か? レオ!」

 

 「ツガミさん、アイセル!」

 

 「スナイプテラは私に任せろ! 君は化石の破壊を。」

 

 「わかりました!」

 

 「ギレル中尉、私が相手だ!」

 

 「ツガミ大尉か、邪魔をするな!」

 

 ライガーは真っ先にジェノソーザーに走っていき、ライガーはレオに何か言いたいような素振りを見せた。

 

 「ワイルドブラストか……いくぜ、ライガー! ビーストライガー、進化 解放! エヴォブラストー!! ビーストオブクローブレイ……」

 

 その時、森から黒い影が現れ、ライガーに突進してきた。攻撃してきたのはファングタイガー改だった。

 

 「ファングタイガー改!」

 

 「ほうっ、まさか、こんなところでまた会うとはね。だが、あれには指一本触れさせんぞ。」

 

 タイガー改を見たギレル中尉は驚いたような表情で、

 

 「何!? ファングタイガー改だと! 何故、奴がこんなところに?」

 

 「よそ見をするな! ギレル中尉。お前の相手はこの私だ!」

 

 「くっ、スナイプテラ、兵器 解放! マシンブラストー!! アブソリュートショット!」

 

 ステゴゼーゲ改はボーンソーで受けきるが、無傷では済まなかった。

 

 「くっ、流石、赤き死神と言われるだけはあるな。」

 

 対峙するライガーとタイガー改、

 

 「そこをどけ!」

 

 「断る! こいつは俺を求めているんだ。俺の右腕を通じてな!」

 

 「右腕?」

 

 「お前もそうじゃないのか? 身体の何処かに金属化している部位が!」 

 

 「まさか、あいつも俺の左腕と同じ……」

 

 「そう、俺と貴様は同士というわけだ。」

 

 「俺はお前とは違う! この左腕はライガーと初めて出会った時に出来たもの、つまりこれは俺とライガーの絆の証だ!」

 

 「は、絆だと? そんなもので最強になれるとでも思っているのか!」

 

 「お前は一体誰なんだ?」

 

 「そういや、自己紹介がまだだったな。俺はセード、最強のゾイドを手に入れ、最強の存在になる男だ! そういう貴様は?」

 

 「俺はレオ、レオ・コンラッド。」

 

 「ふん、只の民間人といったところか。どういう経緯でその腕とライガーを手に入れたか知らねぇが、こいつは絶対に渡すわけにはいかない。

 何せ、この化石はかつて世界を破壊尽くした伝説の破壊龍ジェノスピノ、その破壊龍が俺を求めているということは俺こそが最強のライダーだと認めたということ。

 つまり、こいつに乗れば、更なる破壊を楽しめるというわけだ。そうなれば、このタイガーに用はない。」

 

 「お前はタイガーに思い入れは無いの? あの時、ウルフを傷つけて怒ったユウトのように……」

 

 「ユウトだと……? 減らず口はこの俺を倒してから言え~!! ファングタイガー、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 「行くぞ、ライガー! ビーストオブクローブレイク!!」

 

 「デスファング!!」

 

 攻撃がぶつかる瞬間、ライガーはギリギリに避け、タイガーの足元に攻撃した。

 

 「ふん、前に戦ったこともあってか、少しはやるようになったな。 だが、これはどうだ!!」

 

 その時、タイガー改は1回転しながら、ライガーに突っ込んでいった。

 

 「あれを食らったら、いくらライガーでも! ん?」

 

 その時、レオは背後にジェノソーザーがあることに気付く。

 

 「ライガー、行けるか?」

 

 レオの問いにライガーはゆっくり頷き、タイガー改はライガーに当たりそうになったその時、ライガーは咄嗟に避け、タイガー改は自身の攻撃をジェノソーザーに誤爆してしまった。

 

 キィィィ~ン!!

 

 

 タイガー改のツインドファングがジェノソーザーに直撃するも、ジェノソーザーはその攻撃を食らっても無傷だった。同時にジェノソーザーとタイガー改の全身、セードの右腕が発光し、タイガー改はまるでジェノソーザーから力を与えられたかのように立ち上がり、強烈な衝撃波を放った。

 その衝撃波でライガーとステゴゼーゲ改、ラプトリアは吹っ飛び、スナイプテラもその衝撃波で起動をずらしてしまう。

 

 「ハハハハハ! こいつはいい! ジェノスピノがオレとタイガーに力を与えたというのか!! これで貴様を

容易に破壊出来る! デスファング!!」

 

 タイガー改は猛スピードでライガーに再び突っ込む。ライガーはスレスレで避けるが、タイガー改のツインドファングが地面に直撃したその瞬間、巨大なクレーターができ、ライガーはその衝撃波で再び飛ばされてしまう。

 

 「凄い、凄いぞ! ハハハハハ!!」

 

 タイガー改は追い討ちをかけるかのように飛ばされたライガーを掴み、そのままサッカーボールを蹴るかのようにライガーを周囲に蹴り飛ばした。

 

 「ぐっ、グワァ!!」

 

 「レオ!」

 

 「ハハハハハ! 無様だな! もう貴様との遊びは終わりだ。止めを刺してやる。」

 

 しかし、その時、タイガー改の全身に電流が迸り、タイガー改が苦しみだした。

 

 「どうした? 何をしている! 早く奴に止めを刺すのだ!」

 

 しかし、タイガー改は動こうにも動くこともままならないかのような状態になっていた。

 

 「まさか、ジェノスピノのパワーに耐えられず、苦しんでいるというのか!?

 この役立たずが! 貴様、それでも帝国軍最強のタイガーか!!」

 

 

 セードは八つ当たりするようにコクピットの中のモニターを右腕で破壊した。

 

 グオォ~!!

 

 苦しみながらもライガーに突っ込むタイガー改、

 

 「よし、行くぞ、ライガー!!」

 

 ガオォ~!! 

 

 「デスファング!!」

 

 「ビーストオブクローブレイク!!」

 

 互いのアーマーに傷が付くもジェノスピノのパワーに耐えられず、タイガー改が先に倒れた。

 

 「このポンコツが!」 

 

 しかし、ライガーもダメージは大きく、同様に倒れてしまう。

 

 「ライガー……」

 

 その時、バスキア少尉乗るクワーガファイアボンバーを初めとするクワーガ4騎が新たなコンテナを持ってきた。

 

 「ギレル中尉! ランド博士から新たなコンテナを!」

 

 「よし、直ちに回収しろ!」

 

 クワーガ4騎が運ぶコンテナが地面に降り、ジェノソーザーを中に入れ、そのまま運んでいった。

 

 「ランド博士が支給した特殊合金製が上手くいったようだな。化石は回収した! 全部隊撤退だ!!」

 

 タイガー改との死闘で地面に倒れ伏すライガーを尻目に、特殊合金のコンテナで化石を掬い上げた帝国軍回収部隊は戦場を後にし、ジェノスピノ本体のあるプライド摂政の別荘を一路目指すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プライド摂政の別荘の中の研究所で、回収された最後のパーツである背中のジェノソーザーが復元されたジェノスピノに取り付けられ、遂にジェノスピノは完成した。

 

 「ギレル中尉、感謝する。君のおかげで伝説の破壊龍ジェノスピノは遂に完成した。」

 

 感謝の意を唱え、ギレル中尉と握手するランド博士。

 

 「ギレル中尉。」

 

 その時、ギレル中尉の名を呼ぶものが現れた。その人物はシーガル大佐だった。

 

 「シーガル大佐…」

 

 「非常に残念な知らせだが、実は先程コリンズ准将が汚職の疑いで左遷された。」

 

 「コリンズ准将が!? そんなことがあるわけがない! 出任せを言うな!!」

 

 「出任せではない。ラスト大佐から報告があった。実に貪欲な奴だ……まさか、ジェノスピノを奪い取ろうとするとは……」

 

 「そんな馬鹿な!」

 

 「そして、左遷されたコリンズ准将に代わり、軍上層部からの命令で私が准将となり、このプロジェクトの任を任された。」

 

 「貴様ごときが准将だと!? 一体何をした!!」

 

 「ギレル中尉、今回の暴言は特別に許してやる。だが、君の席はもうない。ジェノスピノのライダーも既に決まっているのだからな。」

 

 「一体誰が!?」

 

 「俺だよ!」

 

 そこに現れたのはセードだった。

 

 「セード……貴様! ジェノスピノは戦争の抑止力となるための存在だ。いくら適合率が最も高くとも、貴様のような好戦的なバーサーカーが乗るべきゾイドではない!!」

 

 「はっ、大体共和国がいるから、この戦争が続いているんじゃないのか? なら戦争を手っ取り早く終わらせることは共和国を叩き潰せばいいということだ。」

 

 「そんな乱暴な理屈が通用するとでも……」

 

 「でも、筋は通っているだろ?」

 

 「うっ…ぐっ……」

 

 「だから、お前は甘いんだよ。ま、お前がライダーに期待していたユウトもそうだ。あいつも爪が甘い。

 それにもうあのタイガーには用はない。何せ、ジェノスピノはこの俺を選んだのだからな! 他に言うことは?」

 

 ギレル中尉は反論出来ずにセードを睨みながら黙っていた。

 

 「では……」

 

 

 

 

 

 

 セードはコクピットに乗り、ハンドルを握った瞬間、セードの右腕がオレンジ色になって勢いよく発光し、同時にジェノスピノのバイザーの目も怪しく光らせ、まるで目的の人物が自分に乗れたことを喜ぶかのように勢いよく咆哮を上げた。

 

 ギュオォ~!!

 

 「そうか……お前は100年以上眠り続けながらずっと俺を待っていたのか……。あの時、俺にこの腕を与えた時からずっと……そうだ。俺もずっとお前を待っていた!

 お前のおかげで今の俺がいる。最早タイガー等必要ない…お前が俺のゾイドだ!!」

 

 ギュオォォォ~!!

 

 セードの言葉に呼応するかのようにジェノスピノは再び天に向かって咆哮を上げ、その咆哮はプライド摂政の別荘中にこだました。

 

 To be continued




 次回予告

 遂に目覚めた灼熱の破壊龍! ジェノスピノに乗ったセードは更なる破壊を楽しむためにかつて世界の3分の1を壊滅させたその力で共和国部隊を次々と撃破してしまう。
 レオとライガーはジェノスピノの侵攻を食い止めるべく、ジェノスピノに立ち向かうが、伝説のゾイドと呼ばれたその力は凄まじく、ライガーはかつてない苦戦を強いられてしまう。

 次回「激進!! 伝説の破壊龍」

 走り抜け、ライガー!!


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第10話「激進!! 伝説の破壊龍」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 ペンダントの力によって突如復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーを復活させた不思議な力を持つペンダントを持ち、地球の未来を左右する謎の少女サリーと共に地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 プライド摂政の別荘の一室でアルドリッジ少佐はシーガル大佐と対面していた。

 

 「コリンズが更迭されたおかげでプロジェクトは私に一任され、遂に准将にまでなった。」

 

 「昇進されたのですか! おめでとうございます!! シーガル准将!」

 

 「だが、それだけじゃない。お前にいい土産も出来た。」

 

 「土産……ですか?」

 

 「摂政閣下と軍上層部からの命令だ。ファングタイガー改をお前に与えるとのことだ。」

 

 「本当に……私が? しかし、あれはセードの……」

 

 「奴がジェノスピノのライダーに指名されたため、タイガーは奴に放棄されて乗り手がいなくなったので、代わりにお前にやると決定されたそうだ。」

 

 「本当ですか!? ありがとうございます!」

 

 「それと同時に今回のプロジェクトの一貫にお前も加わらせたい。」

 

 「一体何をですか?」

 

 「今回のプロジェクトはジェノスピノが共和国を襲撃するものではあるが、その護衛部隊の指揮をお前に一任したい!」

 

 「私がですか?」

 

 「そうだ! 共和国を滅ぼす絶好の機会をあんな小僧に渡すわけにはいかない。上手く行けば私とお前は帝国の英雄となり、出世も思いのままとなる! どうだ? やれるか?」

 

 「もちろんです! この任務、お受けいたします!」

 

 「頼んだぞ! アルドリッジ。」

 

 

 

 

 

 

 

 プライド摂政の別荘で完成したジェノスピノ。その周りには復活を果たしたジェノスピノの機体色に合わせるように塗装されたキャノンブルとギルラプターがいた。

 ジェノスピノのコクピット乗り込み、耐Bスーツ無しで生身のまま接続され、まるで待ち望んでいたかのような表情をするセード、

 

 「フフフ、さあ、行くぞ! ジェノスピノ。かつて世界を壊滅させた貴様の力を見せてやれ! そして俺と共に新たな破壊の力を!!」

 

 ギュオォォォ~!!

 

 咆哮を上げたジェノスピノはプライド摂政の別荘から出、ゆっくり進軍していった。シーガル准将の命令を受けたアルドリッジ少佐も修復されたファングタイガー改に乗り込み、ジェノスピノ護衛仕様のキャノンブル、ギルラプター隊を率いてジェノスピノの後について進軍していった。

 その様子を窓越しに見ていたギレル中尉は無表情のままその場を離れた。そして、別荘の外で進軍するジェノスピノとアルドリッジ少佐の乗るタイガー改が率いる護衛仕様ゾイドの進軍の様子を見たプライド摂政とラスト大佐、

 

 「フフ、ジェノスピノに乗れたことであの子かなり喜んでいるわね。」

 

 「当然だ! ジェノスピノが今の奴を生み出しといっても過言ではない。ライダーは奴以外にいない。」

 

 「あの子をジェノスピノに乗せるのは当然として……どうして今回の作戦をシーガルやアルドリッジごときに任せたのかしら? あんな奴らの指揮なんてあてにならないと思うけど……」

 

 「奴らには奴らなりの使い道を与えたまでだ。 万が一の場合を想定してな。 ま、セードがあの程度の奴らの命令に従うことは絶対にないだろうがな。

 ところで、コリンズの汚職の件の報告だが、一体どんな手を?」

 

 「あなたの言う、万が一の場合を想定してのことよ。」

 

 「そうか……となると計画は順調のようだな。後はジェノスピノを手にしたセードの活躍次第だ。」

 

 「あの子がどんな暴れ方をしてくれるのか楽しみね。」

 

 「フフ、お楽しみはこれからだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 山火事があった森から少し離れた場所で、テントを張り、レオは持っている材料だけで、傷付いたライガーの修理をし、バズはバケツの水で顔を洗い、アイセルは彼の後ろに座っていた。

 

 「プッハ〜生き返る〜! 共和国の姉さんもどうだい?」

 

 「あたしの名前はアイセルよ! それにしてもホント緊張感がないわね!」

 

 「何が?」

 

 「世界を壊滅させたあの伝説のジェノスピノが遂に帝国の手に渡ったのよ!!」

 

 「けど、いくら帝国軍でも世界を壊滅させるようなことをするバカはいないだろ?」

 

 「ホント鈍いわね! あれが帝国の手に渡ったということは共和国にとっては危機なのよ!」

 

 「そうはいってもな~……俺、帝国でも共和国でもないわけだし……」

 

 「もうっ!」

 

 

 

 ライガーを修理する中、向こうで不安そうに空を眺めるサリーに気付いたレオは、

 

 「サリー、どうしたの?」

 

 「私、心配なんです……ジェノスピノがゾイドクライシスのように暴れないか……もし、そうなったら、また多くの人々やゾイドが死んでしまう。」

 

 恐怖するサリーにレオは優しく肩を触り、

 

 「大丈夫だよ。もし、そうなったら、俺とライガーが阻止する。」

 

 「でも、そんなことしたら、レオとライガーが!」

 

 「俺とライガーなら、大丈夫だよ。だって、俺は君とライガーに会えたから、ここまで来れた。今までの戦いだって、初めてだったけど、ライガーと一緒だったから上手くいけた。

 例え、相手がゾイドクライシスで世界を破壊した怪物でも、俺とライガーなら、きっと止められる。」

 

 「お願い、レオ。 もう無茶はしないで!」

 

 泣き崩れるサリーはレオに抱き付いた。

 

 「大丈夫、大丈夫だから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 共和国の基地内ではディアス中佐がモニターを眺めていた。

 

 「これが偵察基地アルファ・ナインなのか……」

 

 ジェノスピノによって無惨に破壊された共和国のゾイド部隊を見たディアス中佐は驚きを隠せないでいた。

 

 「あっという間だったそうです。応援部隊が到着した時には……」

 

 「破壊龍ジェノスピノ……どうやら、伝説に聞いていた以上のようだな。現在のジェノスピノの侵攻状況は?」

 

 「第8平原を真っ直ぐ進んでいるとのことです。」

 

 「そうか……(幸い、レオたちのいる場所から離れてはいるが、彼らまで巻き込むわけにはいかない。)

 わかった。私は直ちにはモザイクに向かい、ツガミ大尉と合流して、ジェノスピノへの対策を練る。」

 

 「了解しました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 共和国首都ネオへリックシティの移民船にて、共和国軍のギャレット大将がシーガル准将とコンタクトを取っていた。

 

 「帝国軍、シーガル准将であります。今回の一件について、ご連絡させていただきました」

 

 「共和国大統領代理 ギャレット大将である」

 

 「閣下、まずは帝国軍を代表し、心よりお詫び申し上げます」

 

 「詫びる? どういうことだ」

 

 「誤解を招く状況になっておりますが、これは帝国の宣戦布告ではありません。ある男の暴走なのです。」

 

 「暴走だと?」

 

 「実は今回の件はコリンズ准将による男の仕業なのです。」

 

 「ジェノスピノによる攻撃は帝国軍司令部の命令では無く、コリンズ准将の独断による行動だというのか?」

 

 「はい。我が軍にとっても今回の一件は寝耳に水。コリンズは常に好戦的なところがあり、一部では狂犬とまで呼ばれている男で、先程、汚職の罪で左遷されましたが……まさかこのような暴挙に出るとは夢にも……」

 

 「一人の男による暴走であれば何故帝国軍はすぐに手を打たないのだ?」

 

 その時、シーガル准将は共和国部隊同様に無惨に破壊された帝国部隊の映像を送り、

 

 「こちらも一個大隊を差し向けましたが、残念ながら進軍を止めることは叶いませんでした。」

 

 「では、伝説に謳われる貴重なゾイドをこちらが攻撃し、破壊しても構わないのだな?」

 

 ギャレット大将の問いにシーガル准将は、

 

 「もちろんです。狂犬の操るジェノスピノは、今や両国にとっての脅威。現在、我が軍も行方をくらましたコリンズの捜索を進めつつ、ジェノスピノの新たな対策を講じている最中です。」

 

 そう言って通信を切るシーガル准将、それを見たギャレット少将は、

 

 「シーガル……あの狸め。あのコリンズが左遷だと、暴走等、見え透いた虚偽をいいおって……」

 

 「フッ、破壊か。やれるものならやってみろ。 これで、共和国軍は下手な動きは出来ないでしょう。」

 

 「左遷されたコリンズをダシにするとはな。」

 

 コリンズをダシに使うことに驚嘆の意を示すランド博士。

 

 「奴は私にとっては目の上のたんこぶ。軍にいるうちは邪魔だったが、失脚したら役に立ってくれた。これで共和国軍も帝国に対して下手なことはできまい。」

 

 「コリンズの汚職は貴様の策か?」

 

 「いえ、ラスト大佐の工作のおかげです。あの女は少々気に入らないが、プライド閣下が直属にしたというだけあって、非常にずる賢い奴ですから、あの女も役に立ってくれました。」

 

 「流石は閣下だ。」

 

 「ところで、ギレルはあなたの子がジェノスピノに乗ることに期待していたようですが、博士としてはやはり、ザナドゥリアスに乗って欲しかったのですか?」

 

 「乗り手等、問題ない! ジェノスピノはジェノスピノだ! それに彼はメルビル少尉と共に私が育てたエリートだ。いずれ、もっと相応しいゾイドが現れる。

 それにセードはユウトと違い、融通が利かんが、奴もそれなりの実力はある。今回のライダーにプライド閣下の判断に誤りはない!」

 

 「博士らしいですな。」

 

 

 

 

 

 

 

 いまはもう使われなくなったコリンズ准将の居室。そこに一人佇むのはギレル中尉。 ギレル中尉は虚空に向けて敬礼の姿勢を取った。机上にはありし日のコリンズ准将とギレルの写真があった。それを見たギレル中尉は、

 

 「コリンズ准将、あなたの御無念、必ず晴らし、シーガル共の陰謀を暴いてみせます!」

 

 そう言い、ギレル中尉は静かに写真に敬礼した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 進軍するジェノスピノの前に共和国部隊が立ちはだかった。

 

 「ここは共和国領内である! 直ちに引き返せ! 我々は交戦を望まない!!」

 

 「ふん、交戦を望まないなら、そもそも戦争をやるわけがないだろう……来ないなら、こっちから行かせてもらうぞ!」

 

 ジェノスピノは問答無用でA-Zロングキャノンを放ち、共和国のトリケラドゴス隊を数機破壊した。

 立ち向かうトリケラドゴス隊には頭部のキャノンを放ち、一体には噛みつき、もう一体は足で踏み潰し、残りは尻尾で凪ぎ払った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 都市要塞モザイク。この街は半壊した建造物を修復する過程で、モザイク状に建造物が組み合わされたことに由来してこの名が付けられた。

 都市一つを要塞化した共和国軍の中枢を担う基地でもあり、ガノンタスの他にグラキオサウルスも配備されている等、共和国軍随一を誇ると言われる程の防衛力を有している。

 ディアス中佐のトリケラドゴス改とツガミ大尉のステゴゼーゲ改が到着し、2人は共和国軍の将校と共にジェノスピノへの対策を練っていた。

 

 「ジェノスピノは第8平原を進んだまま、真っ直ぐこの地に向かい、我が部隊を壊滅しながら進んでいます!」

 

 「ジェノスピノは共和国軍の象徴とも言えるこの都市要塞を制圧することで、戦術的に優位に立とうとしているというわけか。」

 

 「いくら相手がジェノスピノと言えども、ここを落とされるわけにはいかない。 ところで、ディアス中佐。ジェノスピノのライダーは一体誰なのか判明していますか?」

 

 「先程、ギャレット大将がシーガル准将とコンタクトを取った情報によると、当初はアルドリッジかと思われたが、被害状況では、ジェノスピノは一度もマシンブラストを使わず、遠距離戦のみ重火器を使用し、それ以外は全て格闘能力のみで戦ったらしい。

 それらから推定すると、アルドリッジ以上のかなり高い身体能力を持ったライダーだということは確かだ。」

 

 「アルドリッジ以上のライダーと言えば、ギレル中尉も当たるが、奴がこんなことする男ではないし……まさか、セードか!?」

 

 「断定は出来ない。報告によると、ジェノスピノの率いる部隊にはファングタイガー改の姿もあったそうだ。

 私の予想によると、おそらくジェノスピノに乗っているのはハンターウルフ改のライダーだ。」

 

 「どちらにせよ、厄介な相手をライダーにされたというわけか。」

 

 「だが、ここを帝国軍に落とされるわけにはいかない。」

 

 「勝算はあるのですか?」

 

 「奴を破壊することはほぼ不可能だ。だが、奴をここに釘付けにすることは出来る。」

 

 「というと?」

 

 「作戦はこうだ! 私がトリケラドゴス改で守備隊と共にジェノスピノの注意を引き付ける。その間にツガミ大尉は都市内部の広場に他の守備隊と共に配置し、私がジェノスピノを広場に誘導し、中央まで来た時、守備隊が左右の壁に砲撃し、壁を倒壊させる。

 その後、ジェノスピノが倒壊したビルの下敷きになった後、地面を爆発して奴を生き埋めにする。」

 

 「奴を都市内部に入れるのですか? それはいくらなんでも危険では……」

 

 「奴を都市に入れずに死守することが出来ないことは目に見えている。ならば、敢えて住民の被害が及ばない場所に誘導し、そこを奴の墓場にするしかない。」

 

 「確かに現状、それしかないですな。」

 

 その時、モザイク中に警報の音が届く。

 

 ウゥー! ウゥー!

 

 「遂に来たか! 全軍攻撃配備につけ!」

 

 「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 都市要塞モザイクから少し離れた場所にフォックスが走り回っていた。

 

 「モザイク周辺がやけに慌ただしいな。何があったのだ? ん?」

 

 その時、モザイクの向こう側に進軍してくるジェノスピノの姿を見た。

 

 「な、何だ!? あのバカデカいゾイドは!? まさか、あれが例の伝説のゾイドか!」

 

 ジェノスピノは真っ直ぐモザイクの方に向かっていた。

 

 「どうやら、あの野郎、共和国とドンパチやるつもりのようだな。俺たちも巻き込まれるわけにはいかない。行くぞ、フォックス!」

 

 その場を立ち去るフォックス、ジェノスピノのコクピットにいるセードはモザイクを見、

 

 「あれが共和国随一の要塞か……精々簡単に落ちないように頑張れよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライガーの修理が終わり、テントの片付けをし、レオたちは再び端末探しに向かおうとしていた。

 

 「さて、休息も済ませたし、早速端末探しの旅に出るか。レオ、ライガーの調子は大丈夫なんだろうな?」

 

 「ああ、大丈夫だよ! ライガーもすっかり元気になったし。」

 

 「もう無茶はやめてくれよ! これ以上、ライガー傷付けたら、これから先どうなるか分かったもんじゃないからな!」

 

 「でも、あたしがいるじゃない!」

 

 「でも、ラプトリアじゃなぁ~!」

 

 「なにそれ! あたしのラプちゃん、侮辱する気!!」

 

 「まあまあ、アイセル。それまでにして。」

 

 その時、フォックスが現れ、

 

 「おっ! 誰かと思ったら、元帝国のダンナじゃないか!」

 

 「元帝国は止めろ! 今の俺はただのフリーだよ。」

 

 「でも、あなたがどうしてこんなところに?」

 

 「何だ、お前ら知らないのか? ジェノスピノが近付いてきてるんだよ!」

 

 「ジェノスピノが!?」

 

 それを聞いて、驚きを隠せないレオとサリー、

 

 「どうやら、帝国軍はジェノスピノを使って、遂に共和国軍とやり合うらしい。ついさっきもモザイクの方に向かっていった。」

 

 「モザイクって! あの共和国随一の要塞都市を!?」

 

 それを聞いて手が震えるサリー、レオはサリーの手を優しく握り、

 

 「サリー、大丈夫だよ。 助けに行こう!」

 

 「えっ!」

 

 「お、おい! 何言ってんだよ! 相手はあの伝説の破壊龍だぞ! ライガーじゃ、敵いっこないって!」

  

 「だからって、このまま共和国の人たちがやられるのを黙って見ていろって言うのか!」

 

 「レオ! あなたはまだ子供なのよ! それに軍人じゃないあなたが戦場に行くなんて、あたしが許さない!!」

 

 「アイセルだって、このまま放っといていいの?」

 

 「そ、それは……共和国軍人として、放っとけないけど……」

 

 「だったら、俺も行く! 俺が行かないと、また犠牲が増えてしまう! これ以上、ゾイドと人々を殺させない! 行くぞ、ライガー!!」

 

 レオはライガーに乗り込み、そのままモザイクの方に向かって行った。

 

 「全く、ホント無茶ばっかりするよな。」

 

 「レオ……」

 

 走り去るライガーを心配そうに見たサリーはペンダントをゆっくり握りしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジェノスピノ率いる部隊が要塞都市モザイクに接近した。共和国軍は先制攻撃を仕掛け、先にガノンタスが追加装備の火器でジェノスピノに向けて砲撃した。 しかし、ジェノスピノには一切の傷が付かない。

 

 「あ~、詰まらん!」

 

 ジェノスピノはA-Zロングキャノンを放ち、ガノンタス隊を破壊する。

 

 ガノンタスの砲撃の後にグラキオサウルスも砲撃を敢行するが、やはりジェノスピノには通じず、A-Zロングキャノンによって尽く破壊された。

 

 「せっかく100年以上の時を経て、ようやく復活させてやったというのに、こんな雑魚が相手では復活したこいつの準備運動にもならしない。

 こいつを止めたかったら、もっと骨のある奴を出しやがれ!」

 

 セードの不満に呼応するかのように咆哮をあげるジェノスピノ。

 

 ギュオォ~!!

 

 その横でジェノスピノ護衛部隊の先頭に立つファングタイガー改に乗るアルドリッジ少佐は、

 

 「くそ、最強の破壊龍を手に入れたからといっていい気になりおって! ようやく手に入れたこいつで、貴様を追い落とし、ジェノスピノも我が物にしてやる。」

 

 ジェノスピノが前に進もうとしたその時、守備隊の先頭にトリケラドゴス改が現れた。

 

 「止まれ! ジェノスピノ。」

 

 「あのトリケラドゴスは……」

 

 「ああ、ディアスか。ジェノスピノとファングタイガー改に乗ったこの私に挑むとは相変わらず命知らずな奴だ。」

 

 トリケラドゴスの姿を認めたアルドリッジはほくそ笑んだ。

 

 「なるほど、あいつが相手か……ちょっと物足りないが、まあ、暇潰しくらいにはなるだろう。」

 

 トリケラドゴス改を見たセードは進行を止めるよう通信をいれてきたディアスを嘲笑うかのようにA-Zロングキャノンで砲撃を開始する。

 火球に包まれるガノンタス。ディアスのトリケラドゴスはその場を駆け出し、連続でジェノスピノのコクピットに向けて砲撃を開始する。ジェノスピノのコクピット内に衝撃が走る。しかし、セードは慌てる様子を見せず、

 

 「ほぅ~、少しは出来るようだな。」

 

 トリケラドゴス改はお尻フリフリでさらに挑発して、ジェノスピノに背を向けて、そのままモザイクの中に走り去っていた。それを見たセードは、

 

 「砲撃の後は随分分かりやすい挑発と……俺を誘いにかけるつもりか。いいだろう。乗ってやる。」

 

 「おい、待て! この共和国侵攻部隊を率いているのは私なのだぞ! 勝手に出ることは許さん。ましてや、ディアスを叩き潰すのも……」

 

 「黙れ!」

 

 1人で出ようとするセードに不平不満の声を漏らすアルドリッジに嫌気が差したかのようにジェノスピノはアルドリッジの乗るファングタイガー改を前足で振り払った。タイガー改はそのままジェノスピノ護衛部隊にぶつかってしまう。

 

 「ぐわぁっ!!」

 

 「何度も言ったはずだ。俺はプライドから独自行動の免許を与えられ、好きに行動が出来る男だ。

 貴様らの指揮等、俺には関係ない。ここは俺とこいつの戦場だ! 貴様らは他の雑魚共と戯れていろ!」

 

 セードはそう言い、ジェノスピノは前方のガノンタス隊を取っ払い、単身、トリケラドゴス改を追いかけてモザイク内部に入っていった。

 

 「よし、誘いに乗ってきたな。ツガミ大尉、作戦を開始する!」

 

 広場に待機し、ディアス中佐の通信を聞いたツガミ大尉は、

 

 「了解! 守備隊は直ちに配置につけ!」

 

 「了解!」

 

 その巨体に似合わぬスピードでトリケラドゴス改を猛追するジェノスピノ。広場の左右に配置している共和国守備隊のラプトリア、ガノンタス隊がジェノスピノに砲撃するが、ジェノスピノは動じず、トリケラドゴス改を追った。

 街の内部に逃げ込むトリケラドゴス改、ツガミ大尉の乗るステゴゼーゲ改が佇んでいた広場の真ん中まで来ると反転し、ステゴゼーゲ改と共に砲撃を浴びせる。しかし、ジェノスピノはそれも全く通じず、

 

 「それで攻撃したつもりか!!」

 

 頭部のキャノン砲を放ち、トリケラドゴス改、ステゴゼーゲ改同時にに頭突きを喰らわせる。ジェノスピノの頭突きで広場の壁に激突するトリケラドゴス改とステゴゼーゲ改。

 

 「最初の勢いはまあまあだったが、やっぱり大したことはなかったな。 ちょっとは期待していたけど、もう飽きた! これで終わりにしてやる!!」

 

 「今だ!!」

 

 ツガミ大尉の合図と共に共和国守備隊は一斉に砲撃を開始した。

 守備隊が狙っていたのは実はジェノスピノ本体ではなく、ジェノスピノの両脇にそびえる巨大な壁。守備隊の砲撃によって巨大な壁は左右同時に倒壊し、ジェノスピノを巨壁の下敷きにすることに成功。同時にツガミ大尉はボタンのスイッチを押し、倒壊した壁の地面が爆破し、そのまま地盤が崩れていき、倒壊した壁ごとジェノスピノは地面の中に沈められた。

 

 「やったー!!」

 

 歓声を上げる共和国軍兵士たち、

 

 「作戦は成功のようですね! 中佐。」

 

 「ああ、後は奴が目覚めないように此処を埋めるか。」

 

 しかし、その時、突然地面が揺れ、

 

 「何だ? 地震か!」

 

 「いえ、先程、爆破した地点だけが揺れています!」

 

 突然の地震と共に、倒壊した壁を突き破ってジェノスピノが現れた。

 

 「信じられん! 生き埋めにしたというのに! これでも通用しないというのか!!」

 

 「いい作戦だったが、残念だったな。 こんなもの、小さい落とし穴に落ちた程度に過ぎん!」

 

 「くそ、作戦が失敗したとはいえ、これ以上奴を好き放題させるわけには!」

 

 ステゴゼーゲ改はジェノスピノに砲撃を加えるが、ジェノスピノには全く通じない。

 

 「最後の悪あがきとして、尚も俺に立ち向かうのか……悪くはないが、お前たちとの相手はもう飽きた。」

 

 ジェノスピノはロングキャノンを放ち、ステゴゼーゲ改は直撃して、都市の建物に飛ばされてしまう。

 

 「このぉぉー!!」

 

 トリケラドゴス改もジェノスピノに立ち向かうが、セードはやれやれとでも言わんばかりに前足でトリケラドゴス改を掴んだ。

 

 「うっ……ぐっ……」

 

 「お前とは何度もやりあったが、もう貴様に用はない。ここでゲームオーバーだ。」

 

 ジェノスピノはそのままトリケラドゴス改を握り潰そうとしたその時、

 

 「止めろー!!」

 

 レオの叫びと共にライガーが現れ、ライガーがジェノスピノの顔にぶつけ、その衝撃でトリケラドゴス改を離した。しかし、ジェノスピノは離した前足でライガーを取っ払った。ジェノスピノに払われるも態勢を整え、トリケラドゴス改の元に立ち寄るライガー。

 

 「大丈夫ですか? ディアスさん。」

 

 「れ、レオ! どうしてここに!?」

 

 「だって、ディアスさんが戦っているのに黙って見ているわけがないじゃないですか!」

 

 トリケラドゴス改の元にフォックス、ラプトリア、バズの車も現れ、

 

 「私が何度も引き留めたんですが、レオが言うことを聞かなかったんです。」

 

 「アイセル少佐……そうか、出来れば、君たちまで巻き込みたくなかったが、仕方ないな。だが、気を付けろ。相手はあの伝説の破壊龍だ!」

 

 「心配はない。俺とフォックスにお前がいれば、大丈夫だ! なあ、そうだろ? レオ!」

 

 「ああ、何としてもあいつを止める!」

 

 ライガーとフォックスを見たセードは、

 

 「誰かと思えば、あのライガーとフォックスじゃないか! 丁度いい。前の借りを返してやる。」

 

 「行くぞ、ライガー!!」

 

 圧倒的な巨体を誇るジェノスピノ相手でも怯まず、突撃を仕掛けるライガーとフォックス、2体は同時に体当たりを仕掛けようとするが、ジェノスピノは両前足の爪で弾き返す。

 

 「レオ!」

 

 心配そうに見詰めるサリー、 フォックスは光学迷彩で姿を隠し、砲撃するもジェノスピノはそれがどうしたかと言わんばかりに全く動じなかった。

 

 「ちっ、やっぱり奴の装甲は並みじゃないようだ。レオ! 俺とフォックスがワイルドブラストで先に仕掛ける。

 お前はその後にライガーのワイルドブラストの一撃を奴に噛ませ!」

 

 「わかった!」

 

 「いくぜ、フォックス!!」

 

 ウォォ~ン!!

 

 「ガトリングフォックス、進化 解放! エヴォブラストー!! ファントムガトリング!」

 

 フォックスのファントムガトリングがジェノスピノに直撃するが、これもジェノスピノには通じず、セードは少しイラつき、

 

 「ちっ、相変わらず単調な攻撃だ!」

 

 ジェノスピノは身体を1回転し、尻尾でフォックスを凪ぎ払った。

 

 「ぐわぁっ!!」

 

 「バーン! 行くぞ、ライガー!! ビーストライガー、進化 解放! エヴォブラストー!! ビーストオブクローブレ……」

 

 「ふっ、」

 

 エヴォブラストしてジェノスピノに突っ込んで攻撃を仕掛けるライガー、しかし、セードは不敵な笑みを浮かべ、ジェノスピノは前足の爪でライガーを捕らえた。

 そして、ジェノスピノは捕らえたライガーをそのまま地面に叩きつけ、更に追い撃ちをかけるように後ろ足で踏みつけられてしまう。

 

 「ぐわぁっ!!」

 

 「レオ!! ライガー!!」

 

 「前と同じ方法でやろうとしたつもりだったろうが、残念だったな! こいつはタイガーとは違うんだよ!!」

 

 ジェノスピノはそのまま後ろ足に体重をかけ、ライガーを踏み潰そうとする。ジェノスピノの踏みつけによってアーマーにひびが割れ、苦しむライガー。

 

 ガオォ~!! 

 

 「ホントにわからない奴だ。何故、こんな雑魚共のために戦おうとする? そんなことしなくても自分のために戦えば、よっぽど楽しいじゃないか!」

 

 「お前にはわからないんだろうな。俺は皆を思うサリーの気持ちに答えるために、俺はライガーと共に皆を守るために戦うんだ。

 前の相棒のことを何とも思わないお前にはわからないだろうからな!!」

 

 それを聞いたセードは更にイラつき、

 

 「そんなこと、貴様の知ったことか!!」

 

 セードの怒りに応じたかのように、ジェノスピノは前足でライガーのタテガミクローを引きちぎった。それを見て、サリーは目を隠してしまう。

 

 「あぁ~!!」

 

 「このまま踏み潰して終わりにしようかと思ったが、どうやら、貴様はなぶり殺しがお似合いのようだな。」

 

 ジェノスピノは後ろ足で続けてライガーを踏みつけ、それが終わったかと思えば、今度は前足の爪でライガーの身体に突き刺した。

 

 ガオォ~!!

 

 ジェノスピノの爪がライガーの身体に食い込み、ライガーは悲痛の叫び声を上げた。 ジェノスピノはライガーの身体に食い込んだ爪を強引に突き放し、同時にライガーのアーマーも引き剥がされ、更にジェノスピノはライガーを喰わえ、そのままライガーの身体を圧縮するように噛み付いた。

 

 「ぐわぁー!!」

 

 更にジェノスピノは喰わえたままA-Z高熱火炎放射を放ち、アーマーが引き剥がされた部分のライガーの身体が徐々に溶解していった。

 その後、ジェノスピノは再びライガーを地面に叩き付け、前足でライガーの身体を押さえ付け、まるで野生の肉食恐竜が他の恐竜を補食するかのように口でライガーのアーマーや左前足、右後ろ足を食いちぎった。

 

 グシャッ! グシャッ! バキッ! バキッ!!

 

 ジェノスピノがライガーの身体を食い散らすその無惨な姿に戦いを見守っていたサリーは直視することができない。

 

 「止めて! もう止めて!! お願いだからもう止めてー!」

 

 アイセルはラプトリアに乗り込み、

 

 「お、おい! どうするつもりだ? ラプトリアじゃ、どう考えたって勝てねぇだろ!」

 

 「だからって、このまま黙って見ているつもり?」

 

 ラプトリアはジェノスピノに向かって攻撃しようとするが、ジェノスピノは食事の邪魔はさせないと言わんばかりに尻尾で凪ぎ払った。

 

 「キャアァー!!」

 

 ギュオォ~!!

 

 食事を終えたかのように勢いよく咆哮を上げるジェノスピノ、その後のライガーは顔の左半分を除く全てのアーマーが食いちぎられ、更に各々のボディも火炎放射で溶かされ、前足と後ろ足も引きちぎられ、見るも無惨な姿になってしまった。

 

 「やれやれ、タイガーだったら、まあまあ楽しめたが、まさか、ここまで実力の差がつくとはね。そう思わないか? ジェノスピノ。」

 

 ギュオォ~!!

 

 セードの問いに呼応するように咆哮を上げるジェノスピノ、

 

 「今までは雑魚ばっかりだったため、こいつのマシンブラストを使うことはなかったが、まあ、いい。

 貴様とのゲームの終結を記念して、こいつのマシンブラストで止めを刺してやる。

 制御トリガー解除! ジェノスピノ、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 コクピットの中のセードの右腕がオレンジ色に発光し、マシンブラストを発動したジェノスピノの半円を描く背鰭として背中に収まっていたジェノソーザーが展開し、回転ノコギリ状に形状を変化した。唸りを上げて回転を始めるジェノソーザー。

 

 「ゲームオーバーだ。 ジェノサイドクラッシャー!!」

 

 破壊龍の凶刃がライガーに迫る。

 

 「やめてぇぇぇぇぇ!」

 

 サリーの叫び声が響く。同時にサリーの悲痛な叫び声がセードの耳に響き渡り、セードの脳裏に小さな少年と少女が遊ぶビジョンが映った。

 

 「何!?」

 

 そのビジョンにつられ、ジェノソーザーはスレスレで外し、ライガーの横の地面を斬りさいた。ジェノスピノのマシンブラストの威力に驚きを隠せないバズたち、その時、フォックスが立ち上がり、その様子を見たバーンは、

 

 「レオとライガーが危ない! 行くぞ、フォックス!!」

 

 態勢を整えたフォックスはマルチプルランチャーから閃光弾を放ち、セードとジェノスピノの目を眩ませた。

 

 「うっ、ぐっ、閃光弾か!」

 

 「今だ! 逃げるぞ!!」

 

 「逃がすか!」

 

 ジェノスピノは周囲に頭部のキャノンを放つが、煙が晴れるとそこにライガーたちの姿はなかった。

 

 「ちっ、逃げられたか。 せっかくこいつのマシンブラストの威力を試すためにあのライガーを実験台にしようと思ったのに。」

 

 その時、セードの右腕がオレンジ色に発光し、ジェノスピノが何か言いたいような素振りを見せた。

 

 「そうか、もっと戦いたいのか。そうだな。もうこんな雑魚共のお遊びは終わりだ。共和国の連中が本気を出せるようにもっと相応しいステージに移行してやる。

 共和国共、精々ゲームを楽しんでおけ! ハーハッハッハッハッハッハッハ!!」

 

 セードの高笑いと共にジェノスピノはジェノソーザーでモザイクの建物を立て続けに破壊し、更に頭部のキャノン砲、ロングキャノンを放ってモザイク中を破壊尽くした。

 モザイクは一瞬で火の海と化し、モザイクが陥落したのを象徴するかのように共和国軍御旗が燃え尽きた。

 ジェノスピノは火に包まれたモザイクを背にしてそのまま立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 帝都ネオゼネバスシティにある別荘の個室で、プライド摂政はコーヒーを飲みながら、ジェノスピノの侵攻ルートの映像を見ていた。

 

 「モザイクは壊滅か……どうやら、思ったより順調に行っているようではないか。」

 

 「このまま行けば、共和国首都ももう目の前でしょう。」

 

 「共和国首都ネオヘリックシティか。 共和国壊滅のカウントダウンは始まったな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ライガー! ライガー! ライガー!!」

 

 モザイクから離れた場所に避難するレオたちとディアス中佐とツガミ大尉、ジェノスピノによって、顔半分のアーマー以外のアーマーを全て引きちぎられ、左前足と右後ろ足をもぎ取られたライガーに必死に呼び掛けるレオの悲痛の叫び声がモザイクに響き渡り、バズたちの表情に絶望の影が落ちる

 

 To be continued




 次回予告

 セードの操るジェノスピノとの激しい死闘によって、瀕死の重傷を負うライガー。今まで経験したことのない戦いの影響で、レオはライガーを傷付けたのは自分のせいだと思ってしまう。
 サリーはレオとライガーのために背一杯力を注いだその時、ペンダントが輝く。サリーはライガーを救えるのか!?

 次回「願イ、輝ク時」

 走り抜け、ライガー!!


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第11話「願イ、輝ク時」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 ペンダントの力によって突如復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーを復活させた不思議な力を持つペンダントを持ち、地球の未来を左右する謎の少女サリーと共に地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 ジェノスピノの侵攻を受け、壊滅した要塞都市モザイクから少し離れた場所にテントを張るディアス中佐率いる共和国部隊。共和国軍兵士はディアス中佐に報告し、

 

 「ジェノスピノはコースを北東へ微修正し、尚も進行中です!」

 

 「やはりジェノスピノの目標はネオヘリックで間違いないな。我々は、第7地区のオルセン部隊と合流し、体制を立て直す」

 

 「はっ!」

 

 「私も医療部隊が到着次第、後を追います」

 

 「負傷者を頼んだぞ! 我々は直ぐにでネオヘリックに向かう。」

 

 「ディアス中佐!」

 

 「何だね? ツガミ大尉。」

 

 「我々の愛機は先程のジェノスピノとの戦闘で、かなりのダメージを負っている。 この状態でネオヘリックに戻ってもまた、先の戦闘の二の舞になるだけだ。

 幸い、この先の向こうにジェノスピノに狙われなかった基地がある。ここは基地に向かって、ゾイドを修理し、ジェノスピノを迎え撃つための体制を立て直すのが先決かと……」

 

 「ん……確かにそうだな。この状態で、再び我々のゾイドを戦場に出すのは余りに酷だ。 それにレオのライガーを修理するためにも……その場所が必要だ。

 アイセル少佐! 彼のライガーの状態は?」

 

 「予想以上に酷く、破損した装甲の切っ先が内部メカまで食い込んでるとのことらしいわ。」

 

 「そうか……我々は近くの基地に向かう。そこで少佐はレオのこと、ビーストライガーにしてやれることがあれば最善を尽くしてくれ。」

 

 「ありがとうございます!」

 

 

 

 傷付き、変わり果てたライガーの姿を見たレオは悲しそうな表情でライガーに声をかける。

 

 「ごめんよライガー。無理をさせてしまって……」

 

 「レオ……」

 

 それを見たサリーは励ますことが出来ず、レオを思いやって表情を歪める。

 その時、ライガーに異変が起きた。ライガーの体表から色が失われ、石化が進行していき、目からも色が失われ、ライガーは眠りについてしまった。それを見たレオは再びライガーに駆け寄った。

 

 「ライガー! ライガー! ライガー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モザイクを壊滅させたジェノスピノは、アルドリッジ率いる護衛部隊から離反し、単身ネオヘリックを目指していた。

 

 「今日の戦闘は消火不良だったな。」

 

 その時、ジェノスピノが何か言いたいな素振りを見せると同時にセードの右腕が発光した。右腕を見たセードは、

 

 「そうか……お前もそう思うか。確かにそうだよ。あのライガーは俺を楽しませてくれると思ったが、どうやら、逆に俺をイラつかせるだけの不良品だったよ!

 仕留め損ねちまったが、まあ、あの傷じゃ、その内死ぬだろう。あの時、共和国を助けるようなバカな真似しなけりゃ、こんなことにならなかっただろうに! バカな奴だ。

 ん? 何故、ファングタイガーや護衛部隊を置いて行ったかって? ふん、あのアルドリッジとあの程度の部隊ごときで、俺と貴様の護衛が務まるとまでも思うか?

 かつてゾイドクライシスで世界を壊滅させた貴様とこの俺が揃えば、護衛等必要ない。今や、俺と貴様こそが最強なのだからな!」

 

 

 

 

 

 

 

 共和国首都ではギャレット大将がシーガル准将を通信で呼び出そうと試みていた。

 しかし、シーガルは共和国からの通信が入ったと部下から伝えられるもそれを一蹴した。

 

 「閣下、共和国から通信が来ましたが……」

 

 「返答は同じだ。ジェノスピノ対策に戦意専心中と伝えておけ!」

 

 「はっ!」

 

 「もはや対等の立場ではないのだよ、共和国。 ところで、プライド閣下からの通信は?」

 

 「いえ、何も……全く連絡がありません。」

 

 「作戦は順調にいっているのに、何故閣下は我々の働きを称賛してくれないのだ? この作戦が成功すれば、更なる出世も約束してくれると言っていたのに!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プライド摂政の別荘の個室で、プライド摂政とラスト大佐が対面していた。

 

 「大分頑張っているみたいね。 このままいけば共和国首都も目前らしいわ。」

 

 「そうか……ところで、モザイクでの戦闘中に例のライガーが乱入してきたそうだが、そっちはどうなった?」

 

 「止めを刺し損ねたけど、瀕死の状態で、死ぬのは時間の問題ってことかしら。」

 

 「ふ、なら丁度いい。あのライガーはその内始末する予定だったから、先に仕事が終わって助かる。」

 

 「その影響もあってか、ジェノスピノもすっかりあの子に従っているらしいわよ。Z-Oバイザーの制御が意味をなさないかのようにね。」

 

 「通常のゾイドはZ-Oバイザーを取り付ければ、簡単にその制御に従う。意志の強いゾイドは例外だが……奴にはゾイド因子を持った右腕がある。

 奴は右腕を通じて、ゾイドとコミュニケートを取り、敢えてゾイドに意志を持たせた状態で服従させる、それが奴の能力だからな。例え、Z-Oバイザーを取り付けたゾイドでもな! かつてのファングタイガー改がそうだったように。」

 

 「本来なら、ユウトにもそれが備わっているけど……」

 

 「ユウトはまだ未覚醒だ。今はジェノスピノに乗っているセードの方が順調だが、何としてもユウトにはセード以上の力を持つ者に覚醒させなければならない。我々の計画のためにな!」

 

 「そのユウトだけど、先程ランドが端末の反応があったからって、メルビルのスナイプテラと共にハンターウルフ改で出撃したらしいけど……」

 

 「端末を回収してくれるのはありがたいが、端末をランドのためだけの研究材料にされるのは困る。 あれは本来、我々が持つものだからな!」

 

 「私が連中についていって、端末を回収しようかしら?」

 

 「そうだな。いくら私に従っているとはいえ、ランドに好き勝手やらせるわけにはいかないからな。」

 

 「それはそうと、ギレルが左遷されたコリンズのいる収監施設に行ったそうだけど、どうする?」

 

 「そっちはこちらに任せろ! 奴には私がやった方がいいからな。」

 

 「もしかして敢えて敵に塩を送るというつもり?」

 

 「結果的にはそうなるが、ま、ギレルごときが動いたところで、セードの乗るジェノスピノを止められるとは思えんがな!

 最も計画の障害にならないため、万が一のことを考えて、スピーゲルも共和国軍妨害のために出撃させた。」

 

 「スピーゲル……? 最近昇進したっていう……」

 

 「そうだ! 同時にガトリングフォックスの失敗の経験を生かして新たに開発された新型ゾイドを与えて、その実地テストも兼ねて行かせたのでな。」

 

 「手は緩めないつもりなのね。」

 

 「そうでもしないと、計画に支障が出るからな。」

 

 「では、私はランドの監視のために出るわ!」

 

 「ああ、だが、くれぐれも悟られるな。」

 

 「私もそう甘くないからね。」

 

 部屋を退出したラスト大佐は耐Bスーツ無しで、黒いスナイプテラに搭乗し、プライド摂政の別荘から出撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 帝国の収監施設、ギレル中尉は左遷されたコリンズ准将の面会を求めたが、見張りの兵士に

 

 「会わせられないとはどういうことだ!? コリンズ准将と面会するだけだ。」

 

 「これは規則です! いくらギレル中尉と言えども、お通しすることは出来ません。お帰り願います。」

 

 「それでも入ると言ったら?」

 

 「規則違反で中尉を捕らえます!」

 

 「くっ、」

 

 それを聞いて渋々離れるギレル中尉、そこにバスキア少尉とバスキア准尉が現れ、

 

 「ギレル中尉、今回のコリンズ准将左遷とジェノスピノのプロジェクトには私たちも納得出来ません! 絶対にシーガルらの陰謀に間違いありません! ここは軍上層部に抗議すべきかと……」

 

 「だが、その確証も無しに軍上層部に伝えても効果はない。下手すれば我々もコリンズ准将の二の舞になりかねない。」

 

 「だからって、このまま黙って見ていろというのですか!」

 

 「そのつもりはない。だが、何としてもあの無能な上官共の暴走を何としても阻止しなくては……」

 

 「その件なら、私も協力する。」

 

 ギレル中尉とバスキア兄妹の前に現れたのはプライド摂政だった。

 

 「こ、これはプライド閣下!」

 

 「今回の件は紛れもなく、私の命令を無視したシーガルらの反乱だ。コリンズ准将の左遷は全てあの男の策略だからな!」

 

 「しかし、何故閣下はシーガルらを止めなかったのですか?」

 

 「どうやら、奴はコリンズだけでなく、私も左遷させようとし、私の私兵であるセードをたぶらかし、今回の反乱に至り、共和国首都制圧の際に追い落とすつもりで、現在奴は私すらも特定出来ない場所に逃げ込んだようだ。」

 

 「何て奴だ! やはり奴に帝国軍を任せるわけにはいかない!」

 

 「私は今すぐ帝国議会に行き、ことの次第を伝える。君たちはシーガルらに対する対策を任せる。」

 

 「了解しました!」

 

 「では……」

 

 プライド摂政がその場を去った後、バスキア少尉はギレル中尉に、

 

 「ギレル中尉。どういたしましょう? シーガルらの対策といっても、我々だけでは……」

 

 「この際、背に腹はかえられないな。 ディアス中佐に会いに行く。」

 

 「共和国と手を組むのですか?」

 

 「これは帝国の未来のためなのだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 共和国の野営基地、そこで、サリーとアイセルはライガーの修復を行い、レオはモザイクの戦いの影響で、ライガーを傷付けたのは自分のせいだと思い込み、体躯座りで落ち込んでいた。

 サリーはペンダントを石化したライガーの身体にかざし、ペンダントが僅かに発光した。

 

 「どう、ライガーの状態は?」

 

 「かすかですが、ペンダントから鼓動のようなものを感じます、ライガーは生きています!

 ただ、かすかな反応のため、今にも消えてしまいそうなくらいに弱いものです……」

 

 「何とかして、ライガーを助けなくちゃ! サリー、私にも手伝わせて!」

 

 「はいっ! ありがとうございます。」

 

 

 

 ライガーを修復するサリーとアイセル、落ち込むレオを見たバーンとバズは、

 

 「レオ、相当落ち込んでいるようだな。」

 

 「そりゃそうだ! ようやく手に入れた相棒があんだけボロボロになっちまったんだ。ショックも大きいだろう。 こんなとき、ボーマン博士がいたらなあ……」

 

 「ボーマン博士?」

 

 「何だ、知らないのか? ボーマン博士は地球のZiフォーミング計画の中心人物で、第一世代の人だ。」

 

 「第一世代……そういえば、フォックスのバイザーを外してくれた人って、確か第一世代だった気がするが……」

 

 「お、おい、待て! それってボーマン博士じゃないのか!?」

 

 「いや、名前は聞かなかったから、ボーマン博士かどうかは保証は出来ないが……確か、孫娘とか、端末や船の反乱がどうのこうとか言っていたな。」

 

 「おい、それ、ボーマン博士に間違いないじゃねぇか!! それで、その人は何処に行った?」

 

 「いや、わからねぇ。あのまま森の中に進んでいってて、何処に行ったかすらわからん。」

 

 「何だよ! せっかく博士の重要な手掛かりが見付かったというのに!」

 

 「しょうがねぇだろ! お前らにそんな事情があるなんて知らなかったし、それにあの時、まだ仲間じゃなかっただろ!」

 

 「まあ、そりゃそうだけど……結局、骨折り損のくたびれもうけか。」

 

 「そういえば、ディアス中佐たちはどうしたんだ?」

 

 「もう行っちゃった! 何でもジェノスピノを食い止めるための作戦を立てるためだって。」

 

 

 ライガーの身体の石化を取り除く作業をする中、サリーは落ち込んだレオを見て、

 

 「絶対に助ける。今まではレオとライガーばかりが戦って、私は何も出来ず、レオに守られてばっかりだったけど、今度は私がレオとライガーを救わなきゃ!」

 

 ライガーを死なせないためにサリーは力一杯作業に取り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ディアス中佐とツガミ大尉が指揮する共和国軍野営基地。 そこに帝国軍のスナイプテラと2体のクワーガが基地に接近し、警報が鳴り響いた。

 警報で接近してきたスナイプテラの姿を映像で見、映像を見たディアス中佐はその機体がギレル機であると認めた。

 ディアス中佐は接近したスナイプテラと2体のクワーガへの攻撃のために迎撃行動に入ろうとした部下を制する。

 直後、スナイプテラのスピーカーから声敷地内への着陸の許可を求めるギレルの声が響く。

 

 「共和国軍、こちらは帝国軍のギレル中尉だ。着陸許可を求める。」

 

 ギレル中尉の言葉に疑問を抱くツガミ大尉は、

 

 「目的は何でしょう。もし、帝国軍が言う造反組の一味だとしたら……」

 

 「奴に攻撃の意思があれば我々はとっくに全滅している。着陸の場所を指示してやれ。」

 

 「はっ!」

 

 

 

 

 

 個室で対峙するギレル中尉とディアス中佐、

 

 「ディアス中佐。あなたに話がある。」

 

 「話を聞こう。」

 

 「単刀直入にいう。コリンズ准将の汚名をあなたに晴らしてもらいたい。」

 

 「どういう意味だ?」

 

 「コリンズ准将はジェノスピノの完成を前にして左遷された。」

 

 「左遷? ではジェノスピノを指揮しているのは……」

 

 「シーガル准将だ。コリンズ准将を妬むシーガルがジェノスピノの指揮権を奪った。謀反という汚名だけをコリンズ准将に残して。

 だが、コリンズ准将は決して共和国との全面戦争を望んでいたわけではない。」

 

 「コリンズ准将の名声と人柄は、私も知っている。だから帝国の猿芝居には我々も気づいてはいたが……ただ、確証はつかめなかった。ところで、なぜ共和国軍人である私に?」

 

 「あなたは俺が認める数少ない軍人の一人だからだ。」

 

 「それは光栄だな。」

 

 「本来なら、コリンズ准将の名を受け、ザナドゥリアス少尉がジェノスピノを操縦するはずだった。

 ライダーの座をあのバーサーカーに奪われたのも動機の一つだが、何より俺の恩人であるコリンズ准将を冒涜したことは絶対に許せん!」

 

 「ザナドゥリアス少尉?」

 

 「プライド閣下直属にして、ハンターウルフ改のライダーだ。」

 

 「ザナドゥリアス……それがあのハンターウルフ改のライダーの名前なのか。

 私はてっきり、その人物がジェノスピノのライダーかと思っていたが……」

 

 「彼は帝国で随一のエリートにして、人情を重んじる男だ。彼がライダーだったら、こんなことはしないはずだ!」

 

 「なるほど、確かにハンターウルフ改には、我々共和国軍もかなり痛い目に逢ってはいるが、ファングタイガー改程の悪名はない。ということは、ジェノスピノのライダーは……」

 

 「セードだ。」

 

 「やはり、あいつだったのか。」

 

 「奴はプライド閣下の私兵でありながら、勝手な行動を取り、その余りに好戦的な性格から、帝国内でもバーサーカーと呼ばれている。」

 

 「あんな奴にジェノスピノを渡してしまったら、共和国どころか、我が帝国すらも崩壊してしまう。」

 

 「君は帝国軍を裏切るつもりか?」

 

 「まさか。俺は帝国に忠誠を誓った軍人だ。ジェノスピノをできれば俺の手で奪い返したところだが、俺は帝国を裏切るわけにはいかない。

 コリンズ准将の遺志を継ぐためにも……だからこうしてあなたに……」

 

 「うむ、話はわかった。だが何にせよ、ジェノスピノの進撃を食い止めることが大前提だ。かつて地球の1/3を壊滅したと言われているジェノスピノに、何か弱点はあるのか?」

 

 「生憎、ジェノスピノに弱点はない。だが……」

 

 「だが?」

 

 「ジェノスピノを乗りこなすには優れた身体能力と高度な操縦テクニック、そして、通常の人間にはない強靭な精神力を必要とする。その上ライダーへの負担は通常のゾイドの比ではない。

 だが、奴はザナドゥリアス少尉同様、耐Bスーツ無しで、ゾイドを乗りこなせる程の者で、その条件を全てクリアしている。」

 

 「つまり、打つ手無しということか?」

 

 「さっきも言ったが、奴はバーサーカーと呼ばれる程の好戦的な男だ。僅かな賭けだが、唯一のウィークポイントは……」

 

 「奴の性格ということか……」

 

 「奴に戦場を提供すれば、奴も誘いに乗っかるはずだ。」

 

 「そのための策があると?」

 

 「俺のスナイプテラと部下のバスキア兄妹がいれば、僅かだが、勝機はある。」

 

 「君の部下とスナイプテラを使えと?」

 

 「とはいえ、下手に動けば、私とバスキア兄妹が帝国の反逆者にされてしまう。だが、プライド閣下がシーガルらの反逆を帝国議会に伝えてくれる。

 その後に私とバスキア兄妹が帝国の反逆者となったシーガルらの行動阻止のために君の指揮下に入り、ジェノスピノの誘導に入る。」

 

 「仮定の話だが、もしジェノスピノのライダーがザナドゥリアス少尉だったら?」

 

 「ゼロだ! 何せ、彼ほど優秀な者はいない。」

 

 「フッ。はっきり言いやがる。」

 

 

 

 

 

 

 

 夜の中、セードは途中の廃れた街にジェノスピノを止め、コクピットの映像のルートと時計を見、

 

 「共和国首都まで、後11時間か……つまり、明日でいよいよネオヘリックに着くということだ。少し休むか。」

 

 その時、セードの右腕が再び発光した。

 

 「ん? 何故、そのまま行かずに休むかって? ふっ、わかってないな。 共和国の連中に少しだけ絶望を長引かせるんだよ!

 簡単に終わっちまったら、詰まんないだろ? それにネオヘリックに行けば、流石の連中も総力戦で俺たちを迎え撃つはずだ。これはそのための力に備えるための休息だ。

 ま、いくら時間を与えたところで、共和国の連中が俺たちを倒せる手立てがあるとは到底思えんし、精々無駄なあがきをさせて、俺たちの楽しみを長引かせてくれりゃ、それでいい。

 それにしても、共和国を潰してしまったら、もう敵はいなくなって、戦場も無くなっちまうが、まあ、暇だったら、この際、帝国も潰してやるか。」

 

 そう言うと、セードは静かに睡眠に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帝国軍のある基地、深い地下からリフトアップしてきた黒いヒョウ型のゾイドが現れた。帝国軍がガトリングフォックスに代わって新たに開発、復元されたドライパンサーだった。

 そのゾイドにプライド摂政の命を受けたスピーゲル中佐が搭乗した。

 

 「耐Bスーツ正常に作動。ドライパンサー発進!」

 

 ドライパンサーはカタパルトで勢いよく発進し、漆黒の闇の中を駆け抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 共和国野営基地、アイセルは少し休憩するが、サリーは手を緩めず、作業を続けた。

 

 「サリー、ライガーを助けたい気持ちはわかるけど、そんなに無理をしたら、身体によくないわ。」

 

 「いいえ、大丈夫です! いつも私を守ってくれたライガーを救うためにもこれぐらいは大したことありません!」

 

 それを見たアイセルは、

 

 「思ったより、強い子ね。」

 

 サリーの強い意志に動かされ、アイセルは再び作業に取り掛かった。そんな中、脱力したレオは小言で、

 

 「やっぱり、ライガーの相棒はサリーが良かったのかな? サリーが相棒だったら、こんなことにならなかったし、こんな傷を負わせることもなかったし……」

 

 それを見たバーンは飲んでいた缶を握り潰し、レオの元に行き、

 

 「おいおい、どうした? 少年。 責任を自分に押し付けていながら、相棒の傷の手当ては女2人に任せるのか? だらしない奴だな。」

 

 「だってそうじゃないですか。 無理はしないってサリーと約束したのに結局無理をさせてしまってライガーをこんな目に遭わせたんです。これじゃ、父さんに顔向け出来ない。」

 

 それを聞いたバーンはイラつき、レオの胸ぐらを掴んだ。

 

 「ふざけるな! 死にかけの相棒を目の前にして、貴様は見殺しにするのか!!」

 

 それを見たサリーたちは慌てた。

 

 「ば、バーン。いくらなんでも、それは言い過ぎよ。」

 

 「どうなんだ!! 貴様はそれで良いのか!?」

 

 「うっ……」

 

 「お前とライガーの付き合いがどれくらいかは知ったこっちゃねぇが、フォックスはまだ三流の軍人で、ただ出世することしか能がなかったこの俺に自由に生きることを与えてくれた。

 もしフォックスがいなかったら、俺はただ出世欲のためにゾイドを道具扱いにして、帝国軍にいたかもしれない。

 だが、そんな俺に新しい人生を与えてくれたのはフォックスだった。 フォックスは俺にとって身体の一部、むしろ俺と一心同体と言ってもいい!

 もし俺がお前の立場だったら、例え、フォックスが死にかけだろうと、どんな手を使っても助けてやる! この俺自身の存在も無くなっちまうからな!」

 

 「バーン……」

 

 その時、サリーのペンダントが発光し、サリーはライガーがペンダントの力で紅蓮ワイルドライガーからビーストライガーに進化した時のことを思い出した。

 

 「レオ! ライガーが助かる方法があります! 私に力を貸して!!」

 

 それを聞いたレオはサリーとバーンの真剣な表情で腹を括ったかのようにそれまでの脱力感が無くなったように立ち上がり、

 

 「わかった。サリー手伝うよ。」

 

 「レオ……」

 

 サリーは安心したように笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 共和国軍野営基地の周囲でツガミ大尉はステゴゼーゲ改に乗り、ラプトリア隊を率いて周囲の警戒に回っていた。

 

 「今夜は異常ないようだな。よし、全軍基地に戻るぞ!」

 

 「はっ!」

 

 その時、ラプトリア隊が何者かの砲撃を受けて次々と倒れた。

 

 「おい、どうした? 何だ! 何が起きているんだ!?」

 

 「サイレンサーか! 敵だ!! 分散しろ!」

 

 森にいる黒い影はラプトリア隊だけでなく、ステゴゼーゲ改にも砲撃を加えた。

 

 「くっ、敵は一体何処から攻撃してきたのだ?」

 

 「ふっ、流石の奴でも、このドライパンサーの位置は正確には掴めないようだな。」

 

 スピーゲル中佐は不敵な笑みを浮かべ、ドライパンサーは闇夜に紛れて、ステゴゼーゲ改に突進した。

 

 「ぐっ! くそ、一体誰だ?」

 

 その時、目の前にドライパンサーが現れた。それを見たツガミ大尉は、

 

 「Z-Oバイザーなら、帝国軍のゾイドに間違いないが、あれは初めて見るゾイドだ!」

 

 「久し振りだな! ツガミ大尉。」

 

 「その声は、ビクター・スピーゲル大尉か!?」

 

 「いや、違う! 今はビクター・スピーゲル中佐。そしてこいつは裏切ったガトリングフォックスに代わって新たに開発された俺の新しいゾイド、ドライパンサーだ!」

 

 「昇進したのか! しかも新型ゾイドだと!? 前はキャノンブルに乗っていたのに!」

 

 「お前のステゴゼーゲ改に俺のキャノンブルが破壊された後、更に過酷な訓練を受けて、より高みへと昇り、今の地位を経て、この新型ゾイドを手に入れたのだ。」

 

 「ということは、俺へのリベンジということか。」

 

 「それもあるが、ジェノスピノの進攻を邪魔されると色々と面倒なのでな!」

 

 「ということは貴様も帝国の反乱分子か!?」

 

 「さあな。だが、お前が相手なら、こいつの実力を試せるいいチャンスだ。 制御トリガー解除! 兵器 解放! マシンブラストー!! ドライスラッシュ!」

 

 「くっ!」

 

 ステゴゼーゲ改はマシンブラストしたドライパンサーの攻撃を避けようとするが、そのスピードに付いていけず、直撃してしまう。

 

 「何て速さだ! あの成りでこれだけの機動力を持つとは……!」

 

 「どうした? その程度か。」

 

 ドライパンサーは更に3連サイレントガンでステゴゼーゲ改に砲撃した。

 

 「ぐっ! どうやら、こいつは本気でかからないと不味いようだ。 ステゴゼーゲ、 進化 解放! エヴォブラストー!!」

 

 「そうこなくちゃ、面白くない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオたちは基地にある物全てかき集めて装置を組み立て、その装置と接続している幾つかのコードをライガーの身体に張り付けた。コードが接続している装置にサリーはペンダントを差し込んだ。

 

 「ライガー、お願い生き返って!」

 

 その時、シーザーの身体が発光し、石化したシーザーの身体がみるみるうちに姿を変えていく。それを見たレオは驚愕し、

 

 「お、お前は!!」

 

 To be continued




 次回予告

 サリーのペンダントの力で、不完全ながらも復活するライガー、それを喜ぶサリーたちだったが、レオは共和国を壊滅させようとするジェノスピノを止めるためにライガーと共にもっと強くなりたいと願う。
 だが、その時、前回の基地での戦闘の屈辱を晴らすべく、アルドリッジの乗るファングタイガー改がレオとライガーに襲いかかってくる。タイガー改に苦戦する中、再びライガーに変化が起こる。

 次回「引キ出セ! 更ナル本能」

 走り抜け、ライガー!!


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第12話「引キ出セ! 更ナル本能」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 ペンダントの力によって突如復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーを復活させた不思議な力を持つペンダントを持ち、地球の未来を左右する謎の少女サリーと共に地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 サリーのペンダントを入れた装置によって姿を変えたライガーの身体は後ろ足の部分にアーマーが無く、アーマーの色はかつてのビーストライガーのような白いカラーリングではなく、少し地味な色合いになっていた。それを見たレオは、

 

 「ライガー……ライガーなのか?」

 

 復活したライガーの姿にレオだけでなく、サリーたちも驚きを隠せないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 共和国軍野営基地、ステゴゼーゲ改はドライパンサーとの戦闘で傷付き、立つことすらままならくなった。

 

 「ぐっ!」

 

 「ふっ、どうやら今度は俺の勝ちのようだな!」

 

 とどめを刺そうとフォックスに歩み寄るドライパンサー。3連サイレントガンで狙いを定めたその時、ディアス中佐のトリケラドゴス改が現れ、ドライパンサーに砲撃した。

 

 「ぐっ! 新手か!」

 

 「大丈夫か? ツガミ大尉。」

 

 「ディアス中佐!」

 

 「遅れてすまない。敵は?」

 

 ディアス中佐が目を離したその時、突然、ドライパンサーが突進し、ステゴゼーゲ改の横に飛ばされたトリケラドゴス改に3連サイレントガンを放った。

 

 「ふん、油断大敵だな! ここで終わりにしてやる!」

 

 その時、突然、何者かがドライパンサーにA-Z対空速射砲を放ってきた。

 

 「な、何だ!?」

 

 対空速射砲を放った場所から黒いゾイドがドライパンサーに突っ込み、突進してきた。現れたのは共和国のエンブレムが貼られ、背部に大型のブースター、A-Z対空速射砲、両足にA-Z10連装マニューバミサイルポッド、尻尾にA-Z小型ビームキャノンを装備した黒色をしたパキケドスだった。それを見たツガミ大尉は、

 

 「あのパキケドスは!」

 

 「ちっ、新手か!」

 

 ドライパンサーは3連サイレントガンを放とうとするが、パキケドスの女性ライダーは音は聞こえずとも、サイレントガンの僅かな動きに反応してすかさず、先に対空速射砲を放ち、ドライパンサーは3連サイレントガンを放てず、攻撃を喰らう。

 更にパキケドスはマニューバミサイルポッドを撃ち込んだ。ミサイルは全てスモーク弾でドライパンサーの周囲が一気に煙に覆われた。 パキケドスはA-Z対空速射砲をドライパンサーに撃ち込む。 ドライパンサーはそれを回避しようとするが、スモークでパキケドスの位置が正確にわからないため、回避出来ず、全て直撃してしまう。

 

 「何だ! あのパキケドスは!? まさか、新型か? これ以上戦闘を続けたらこっちが不利になりそうだな。仕方ない。」

 

 戦闘の継続は不可能と判断したスピーゲル中佐はサイレントガンで足元を撃ちまくり、立ち上る土煙に紛れ、ドライパンサーはその場を後にした。パキケドスのライダーはディアス中佐とツガミ大尉と通信を開き、

 

 「大丈夫ですか? ディアス中佐! ツガミ大尉。」

 

 それを聞いたツガミ大尉はまるで聞いたことがあるかのような表情をし、

 

 「き、君は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 廃れた街に休息している中、ジェノスピノが何かに反応し、それに気付いて目を覚ましたセードは、

 

 「ほう、連中がこちらに近付いてきたか……ネオヘリックに向かうまで、ちょいと遊んでやるか。」

 

 

 

 共和国首都に向かうファングタイガー改率いるジェノスピノ護衛部隊、兵士は通信でアルドリッジとコンタクトを取り、

 

 「少佐、ホントによろしいのですか? ジェノスピノと合流せずにネオヘリックに向かうと……」

 

 「もう奴は私の指揮に従うつもりはない! ならば、奴より先に共和国首都に向かって制圧してやる! そして、私はシーガル准将と共に共和国を滅ぼした帝国の英雄になってやる! 者共、私に続け!! 共和国首都に向けて進軍するのだ!」

 

 その時、突然、護衛部隊のキャノンブルが何者かの砲撃を受けて破壊された。

 

 「何だ! 何が起こった!?」

 

 そこへ現れたのは何とジェノスピノだった。それを見たアルドリッジは驚愕し、

 

 「な、何!? 貴様、なんの真似だ!!」

 

 「いや。なに、貴様らが本当に俺たちの護衛を務められるかどうか確かめたくてな。 ネオヘリックに到着するまで、俺とジェノスピノの遊び相手になってくれないか?」

 

 「何! 貴様、帝国を裏切る気か!?」

 

 「何度も言ったが、俺は自由にやる身だ。貴様らのやることなど、俺には関係ない。俺はただ、こいつと共に自由に戦う、それだけだ!

 まあ、どちらにせよ、ネオヘリックは潰してやるから、文句はないだろ? ただ、貴様らの出番はここで終わりだがな!」

 

 「くぅ~! おのれ、貴様~!!」

 

 逆上したアルドリッジはタイガー改で、そのままジェノスピノに突っ込むが、ジェノスピノは赤子の手をひねるかのように前足でファングタイガー改を投げ飛ばし、護衛部隊にはA-Zロングキャノンを放ち、反撃させる隙を与えず、次々と撃破していった。一瞬で壊滅したジェノスピノ護衛部隊を見たセードは呆れた表情で、

 

 「やれやれ、まさか、こんな呆気ないものだとは……この程度で、俺たちの護衛を務めようなどと、笑わせてくれる。

 これだから、帝国はいつまで経っても共和国に勝てないんだよ! 行くぞ、ジェノスピノ。」

 

 護衛部隊を壊滅させたジェノスピノはそのままネオヘリックに向かって進軍した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオ・ヘリック・シティ作戦本部

 

 「先程、偵察部隊からの報告によると、ジェノスピノは601平原を進攻している途中、護衛部隊を壊滅し、再び進攻していったとの報告です!」

 

 それを聞いたギャレット大将は、驚きを隠せないでいた。

 

 「護衛部隊を壊滅? 一体どういうことだ?」

 

 「モザイクを壊滅し、601平原にある都市で停止した後その場を通りかかった護衛部隊と交戦に入り、全滅させたとのことです!」

 

 「一体何故だ? まさか、ジェノスピノがライダーの操縦を無視して、勝手に動いたとでも言うのか!?」

 

 「確認は取れませんが、恐らくその可能性はあるかと……」

 

 「そうか……ところで、ジェノスピノがネオヘリックに着くまでには後どれぐらいかかる?」

 

 「現在の進攻状況と移動速度から推定すると、後11時間になります。このまま直進すれば、主武装のA-Zロングキャノンがネオヘリックを射程圏に収めるのは……」

 

 「早ければ、明朝ということだな。」

 

 「はっ!」

 

 「首都全域に緊急避難命令は?」

 

 「この進撃速度だぞ! 何処に逃げ場があるというのだ?」

 

 「帝国との交渉で、進撃を止められる可能性は?」

 

 「極めて低いでしょう。ジェノスピノは帝国軍の統制を離れた反乱部隊とされています。

 ましてや、今回のジェノスピノの行動でそれが証明されています。交渉が通じるとは思えません。」

 

 「ならば、直ちに攻撃を!」

 

 「ジェノスピノの通過予想地点で、我が配下の首都防衛隊が防衛ラインを構築中です。

 戦力の逐次投入は避けるべきかと……」

 

 「703平米の鮟鱇にかかるフロストブリッジ……首都を目指すなら必ずここを通るというわけだな。」

 

 「勝算はあるかね?」

 

 「うん……」

 

 「閣下!」

 

 その時、1人の兵士がギャレット大将に耳越しで何か伝える。それを聞いたギャレット大将は、

 

 「何!? 直ぐに繋げ!」

 

 

 そんな時、共和国司令部に通信が入る。ギャレット大将たちの元に映像が入る。

 通信の主は金髪にスラリとした女性将校のシェリー・ハント大佐で、その隣にはハント大佐に負けず劣らずのクール系でロングな黒髪をした美人のリズ・ロックバーグ中尉が同行し、その2人の横にはディアス中佐とツガミ大尉がいた。

 

 「ギャレット大将。」

 

 「おお~、ハント大佐。 もうそこに着いていたのか!」

 

 「ギャレット大将の指示通り、ディアス中佐の待機している基地に到着し、只今軍を整えているところです。」

 

 「そうか……ところで新たな戦力とは一体なんのことだ?」

 

 ギャレット大将の疑問にディアス中佐が口を開き、

 

 「はっ! その件については私が説明致します! 実はこの程、ハント大佐と合流する前に帝国軍の飛行ゾイドを戦力に迎えました。」

 

 「お〜!」

 

 「赤いスナイプテラに2体のクワーガ、まさか……」

 

 「赤き死神、帝国軍のエース、ギレル少尉とその部下にして赤き死神の鎌であるバスキア兄妹の専用機です!」

 

 映像にはギレル中尉とバスキア兄妹が映り、ギャレット大将たちにさりげなく笑顔を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モザイクから離れた共和国軍の野営基地、サリーはペンダントの力で不完全ながらも復活したライガーの姿を見て、安心していた。

 

 「良かった、ホントに良かった。」

 

 「にしても、どういう理屈で復活したんだ。大体そのペンダントは一体なんだ? 奇跡でも起きたのか?」

 

 「詳しいことはわからないけど、このペンダントには端末を作動させるために多くのゾイド因子が詰まっています。 そしてゾイド因子には本来ゾイドの自然治癒といった力が備わっていたとお爺さんから聞いたことはあるけど……」

 

 「あの傷からあんな一瞬でビーストライガーが復活するなんてね。」

 

 「確かこいつがサリーのペンダントのおかげで復活したり、進化した時だったか……あれと似たような感じだろうから、特に驚かねぇけど、最初に復活した時は紅蓮色のワイルドライガーだったはずだ。 けど、今のこいつは随分地味な色合いだな。」

 

 「何それ!聞いてないわよ!そこのとこもっと詳しく!」

 

 アイセルたちの会話を他所に、レオはライガーに手を触れて対話を行う。

 

 「ああ。わかった、そうだよな。」

 

 「レオ?」

 

 「ライガーと話をしているの?」

 

 「ああ。」

 

 「何て言ってるの?」

 

 「今のままじゃダメだって。もっと強くなりたいって。」

 

 驚く一同に、レオはさらに言葉を加える。

 

 「今の俺とライガーじゃ、ジェノスピノには太刀打ちできない。だから俺はライガーをもっと強くしてやりたい!」

 

 ガオォ~!!

 

 レオの言葉に応えるように咆哮を上げるライガー、

 

 「驚いたわね。ゾイド自ら強くなりたいって……」

 

 「武装を強化するってことか?」

 

 「ああ、そうだ!」

 

 ライガーの武装を強化するという話にサリーは、

 

 「だったら、私にも手伝わせて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ディアス中佐たちのいる共和国軍野営基地、

 

 「しかし、驚きました! まさか、ハント大佐とロックバーグ中尉が我々の部隊に加わってくれるとは!」

 

 「ジェノスピノが急速に共和国首都に向けて進軍しているため、新たな戦力拡大のためにギャレット大将からの命令で、私とロックバーグ中尉がジェノスピノが首都周辺に迎え撃つための部隊として、クライヴの部隊に加わることになったの!」

 

 「そして、その戦力があの新型のパキケドスというわけか。」

 

 ディアス中佐の問いにロックバーグ中尉は口を開き、

 

 「機体名パキケドスBR。 以前私が乗っていたパキケドスをギャレット大将の要請で、対ジェノスピノ戦として、帝国軍最強機体ファングタイガー改、ハンターウルフ改の戦闘データを元にそれを上回るための性能として、共和国の軍事科学顧問の協力もあって改造したゾイド。

 本来なら、私がパキケドスに乗って、ハント大佐と共にジェノスピノ迎撃のための指揮を取るはずだったけど、まさか、赤き死神の異名を持つ帝国軍の将校が共和国軍の軍門に下るとは思わなかったわ!」

 

 「軍門に下ったのではない! ジェノスピノを使った帝国の反乱者を倒すために共和国に協力したのだ!」

 

 「ジェノスピノのライダーはファングタイガー改で我々共和国軍を苦しめた悪魔、セードのため、今のジェノスピノはかつてゾイドクライシスで世界を壊滅させた時より強力になっているらしい。

 そこで、奴をよく知っているギレル中尉の指揮の元、私が彼のスナイプテラに乗り、同じく彼の部下のバスキア少尉たちと共にジェノスピノを迎え撃ち、体力を消耗したところで、一気に叩くというものだ。」

 

 「クライヴがスナイプテラに? じゃあ、その代わり、トリケラドゴス改は私に乗らせて構わないかしら?」

 

 「えっ、しかし、あれは……」

 

 「元々トリケラドゴスは私のゾイドよ! それにそのトリケラドゴスに怪我させたのはあなたのせいでしょ? その責任は取ってもらうわよ!」

 

 「いや、しかし……」

 

 そのやり取りにロックバーグ中尉はため息をつき、

 

 「大佐! おふざけはそれくらいにしてください。」

 

 その時、ツガミ大尉は耳越しでディアス中佐に、

 

 「中佐、今回の作戦に私も加わらさせてください

!」

 

 「それは出来ない! 今度の作戦にはジェノスピノを翻弄しやすいようにように空戦型ゾイドを選んだのだ。

 ましてや、君のステゴゼーゲ改は陸戦型ゾイドだ。下手したら、モザイクの二の舞になってしまう。」

 

 「しかし……」

 

 「大丈夫だ。ジェノスピノが怯んだ後に命令を下す! それでいいだろ?」

 

 「は、はい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイセルのもとにディアス中佐から通信が入る。

 

 「作戦開始時間は明朝6時、703ベイ、フロストブリッジ付近において首都防衛隊の主導でジェノスピノへの大規模反攻作戦を実施する。

 持てるゾイドの総力を結集して、首都への侵攻を食い止めろ!」

 

 「了解!こちらもできる限り速やかに合流します!」

 

 レオたちはは強くなりたいというライガーの思いを汲み、サリーとバズ、アイセルはラプトリアに乗って、戦闘後廃墟と化したモザイクで武装を探し始める。

 

 「武器なら、色々ありそうだな!」

 

 「これも使えそう!」

 

 そんな中、レオはどうしても見つけたいものを探しているかのように辺りを見渡していた。それを見たサリーは、

 

 「レオ!」

 

 「確か、この辺りのはずなんだ。」

 

 「あ、もしかして、あれ!」

 

 サリーが何か見つけように指差し、レオがそこに駆けつけ、掘り起こすとジェノスピノによって引き剥がされたビーストライガーのタテガミクローがあった。

 

 「ああ! あった! ありがとう、サリー。 こいつをどうしても見つけてやりたかったんだ。」

 

 サリーの助力により目当ての装備を見つけることができたレオ。そして、掘り起こした全ての武器でライガーの武装強化のための改造が行われた。

 レオがライガーに手を触れると、何もなかった場所からハードポイントが出現。更に折られたタテガミクローを溶接、サリーも武器の取り付け作業を行い、バズは作業を行うレオたちに差し入れを運んだ。

 その横には対ジェノスピノ戦のために備えて、バーンはフォックスのメンテナンスと装甲の強化に当たった。

 

 「よし、これで完成だ。」

 

 サリーたちの協力により武装強化されたライガー。機動力を生かした格闘戦を得意とするライガーには珍しいハリネズミ状態の砲撃戦仕様になった。

 

 ガオォ~!!

 

 武装強化に喜ぶように咆哮を上げるライガー、

 

 「ちょっと重かったかな?」

 

 「かなりの重装備には違いないぜ。」

 

 「でも、とっても強そう!」

 

 「ま、悪くないんじゃないか?」

 

 「さあ!ここから先は戦場よ!レオ、バーン、あなたたちの力を貸して!」

 

 「よし! 行くぞ、ライガー!!」

 

 「もう一度、俺たちの力を見せてやろうぜ!フォックス!!」

 

 戦いの準備は整い、打倒ジェノスピノに向け、レオたちはは首都を目指す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 再びディアス中佐たちのいる共和国軍野営基地、そこではギレル中尉のスナイプテラの両翼に大型ライフルを装備させる改造を行っていた。

 

 「突貫工事にしては上出来だ。これなら運動性にも影響を与えず、正確に射撃できるだろう。」

 

 2人の元にバスキア少尉が現れ、

 

 「ギレル中尉、只今帝都にいるプライド閣下から通信が来ました! シーガルらの反乱を帝国議会は認めたそうです!」

 

 「そうか、ご苦労。」

 

 「ホントに私が乗ってもいいのか? 寧ろ赤き死神の異名を持つ君が乗った方が適任と思うが……」

 

 「さっきも言ったが、俺が表に出ると、色々と面倒になる。寧ろ共和国軍のあなたが乗った方が何かと都合がいい。」

 

 「今後の君の身の振り方は君自身に委ねる。観戦武官を気取りたいなら、私の部隊についてくるといい。」

 

 「そうさせてもらう。共和国軍のエース殿がスナイプテラを如何に乗りこなし、私の部下と連携を取れるのか、この目で見定めたいのでな。」

 

 「ふっ、ところで、セードはホントに誘いに乗って来るのか?」

 

 「ああ、奴に取っては、戦場のみが生きがいとなっている。ましてや、ジェノスピノを手に入れたともあれば、奴はもう完全に戦うことしか能がないだろう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオヘリックに向けて真っ直ぐ進軍するジェノスピノ、コクピットに反応があるのを見たセードは、

 

 「この先、鉄橋付近に敵兵あり……共和国の守備隊か。ようやく本気を出してきたというわけだな!

 このまま真正面からぶつかってもいいが、それだとつまらん。連中がどれぐらいやれるか少し試してやるか……行くぞ、ジェノスピノ!」

 

 ギュオォ~!!

 

 セードの言葉に従って咆哮を上げるジェノスピノ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオヘリックに近い鉄橋の付近で、行軍を続けるジェノスピノを迎え撃つ構えの共和国軍守備隊。

 

 「各部隊配置に付きました!」

 

 「うん! ジェノスピノがフロストブリッジに接近する前に一斉射撃! 止まらなければ橋ごと爆破しても構わん!

 もし万が一海中を進んでいった場合は海辺に待機しているガブリゲーター、ガノンタス隊で迎え撃て!」

 

 

 ギャレット大将は野戦基地から指示を飛ばす。しかしその時、通信兵から報告があった。

 

 「偵察部隊より報告! ジェノスピノは鉄橋を避け、真っ直ぐに首都に進行中!」

 

 「何!?」

 

 「陸路ではなく、海上を進んでいます!」

 

 

 

 

 

 

 ジェノスピノは鉄橋を避け、そのまま海中を難なく泳いだ。

 

 「ふん、鉄橋を渡る等というめんどくさいことをやると思っていたのか! ましてや、鉄橋に爆弾を仕掛けていることも見え見えだ!」

 

 映像を見たギャレット大将は、

 

 「奴め、我々の作戦に気付いたのか!」

 

 「閣下!」

 

 「やむを得ん! 直ちに上陸予定地点の予備隊のガブリゲーター、ガノンタス隊に砲撃命令! 本隊も直ちに急行!」

 

 「了解しました!」

 

 

 

 

 

 

 上陸地点のガブリゲーター、ガノンタス隊が一斉に海上を進むジェノスピノに砲撃するが、うんともすんともいわない。ガブリゲーター隊は海中に潜り、ジェノスピノに水中魚雷を放つ。

 しかし、ジェノスピノはびくともせず、A-Z魚雷ランチャーを撃ち込み、一体一体正確に共和国のガブリゲーターを撃破していった。

 

 「ガブリゲーター隊沈黙!」

 

 「ガノンタス隊は引き続き砲撃! 本隊は上陸地点に急げ!!」

 

 

 上陸予定地点のガノンタス隊は追加武装の火器でそのまま水中のジェノスピノに砲撃し、続いて本隊であるトリケラドゴス部隊が駆けつけ、ガノンタス隊と共に海上に一斉砲撃した。

 

 「ふっ、どうやら狙い通り、一ヶ所に集まってきたようだな。ジェノスピノ、プランBに移行する!」

 

 セードの命令を聞いたジェノスピノは海中に潜行し、海上に浮かぶジェノソーザーが水中に沈んだ。

 

 「ジェノスピノ、海中に潜行!」

 

 「何!? どういうことだ? 上陸するんじゃないのか!?」

 

 

 海中に潜行したジェノスピノは真っ直ぐ岸壁に向かって泳いでいった。 ジェノスピノは岸壁にA-Z魚雷ランチャーを何発も撃ち込む。

 ジェノスピノの魚雷で岸壁に大きな穴が開き、岸壁に着いたジェノスピノは岸壁に頭をぶつけ、前足で岸壁を削っていった。

 そして海上からは巨大な水しぶきを出し、暫く海上は静かになった。

 

 「反応…消失!」

 

 「何だと!!」

 

 「閣下……」

 

 「本隊と守備隊はそのまま待機し、引き続き警戒に当たれ!」

  

 「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオ一行はジェノスピノの待つ戦場へ急行する。

 

 「油断するなよ!」

 

 「わかってる!」

 

 バーンがそう言った瞬間、一行を砲撃が襲う。

 

 「何だ! 一体何処から?」

 

 その時、黒い影がライガーに襲いかかってきた。すかさずフォックスはソードオフショットガンを放ち、黒い影はそれを回避し、レオたちの前に立ちはだかった。現れたのはスピーゲル中佐の操るドライパンサーだった。それを見たアイセルは、

 

 「Z-Oバイザー……てことはあれは帝国軍の新型ゾイド!?」

 

 「ここは俺とフォックスに任せろ! レオ、お前は先に行け。奴を絶対に止めろ!」」

 

 「わかった!」

 

 バーンの言葉を信じ、レオとライガーはドライパンサーを避けて先に進んだ。

 

 「させるか!」

 

 ドライパンサーは先に進ませるかと言わんばかりにライガーに攻撃を加えようとするが、フォックスがショットガンでそれを防いだ。

 

 「何処を見ている? お前の相手はこの俺とフォックスだぜ! オペレートバイザーなら帝国軍に違いないが、お前は初めて見るゾイドだな。」

 

 「ふん、貴様が例の裏切りのガトリングフォックスか。あの時、下手な真似しなけりゃ、こうならなかったのに。」

 

 「悪いが、これが俺の生きる道だ。てめぇらと一緒にして欲しくないぜ!」

 

 「私も手伝うわ!」

 

 「おいおい、いくら共和国軍だからって、そのラプトリアじゃぁ……」

 

 「ちょっと! 失礼じゃない! こう見えても私のラプちゃんは優秀なの! そんじゃそこらのラプトリアと一緒にしないで!!」

 

 「御好きにどうぞ!」

 

 「裏切りの帝国ゾイドと共和国ゾイドが相手か。ふっ、どうやら、このドライパンサーの性能を再び見せられそうだな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 上陸地点で、守備隊のガノンタス隊と本隊のトリケラドゴス隊は警戒を続けたが、未だにジェノスピノが現れる様子はなかった。

 

 「反応は?」

 

 「いえ、全く。」

 

 「一体どういうことだ? 今さら襲撃を止めたとは到底思えんが……」

 

 その時、上陸地点の地面の温度が急上昇し、まるでマグマが流れ込むかのように地面が溶けていき、ガノンタス隊、トリケラドゴス隊の足も溶解し、地面が溶岩のような状態になり、ガノンタス隊、トリケラドゴス隊が次々と蟻地獄のように溶けていく地面に沈んでいった。

 

 「地面の温度が急激に上昇! 1000度、2000度、3000度以上になっています!」

 

 「一体何が起こっている!? 近くに火山がないというのに!」

 

 全てのガノンタス隊、トリケラドゴス隊が沈んだ後、突然沈んだ地面から強烈な炎が放たれ、同時に真っ二つに引き裂かれたトリケラドゴス隊が現れた。

 

 「ジェノスピノ、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 炎の中からジェノソーザーが現れ、火炎放射を放ったジェノスピノが現れた。それを見たギャレット大将と配下の将校は驚愕した。

 

 「何だと!?」

 

 「馬鹿な!」

 

 「奇襲成功だな!」

 

 「まさか、ジェノソーザーで地面を掘り進んでいったのか! しかし、どうやって地面をマグマのように溶かしたのだ!?」

 

 「これを御覧ください!」

 

 将校が見せた映像にジェノスピノの火炎放射の温度が出された。

 

 「ジェノスピノの火炎放射の威力は5000度以上と推定されます!」

 

 「何!? まさか、奴は太陽の表面温度に匹敵するパワーを持っているとでもいうのか!?」

 

 ジェノスピノのコクピットの中でセードは首をカクカクし、

 

 「ふぅ、ようやく本気を出してきた共和国の連中の実力を試すために少しやり方を変えたが、まさか、こうもあっさり決着がつくとはね……

 正直がっかりだが、ま、これで楽に共和国首都に迎えるということだ。行くぞ、ジェノスピノ!」

 

 ギュオォ~!!

 

 咆哮を上げるジェノスピノ、その時、セードは背後に気配を感じて振り返る。

  

 「ん?」

 

 するとその瞬間、遥か後方上空から赤いスナイプテラと2体の赤いクワーガと青いクワーガが急接近し、ジェノスピノに爆弾を投下した。

 

 「あれは……」

 

 

 

 同じく基地の映像でその様子を見ていたシーガル准将は、

 

 「ギレルめ! 裏切ったのか! 通信を繋げ!」

 

 通信を開いたのはディアス中佐だった。

 

 「こちらは共和国軍、ディアス中佐だ!」

 

 「なっ!クッ……」

 

 シーガル准将は驚きを隠せない。

 

 「聞こえるか? シーガル准将。 貴様らの反乱は帝国議会で明るみに出た。ギレル中尉は帝国を代表して我々の味方に加わった。これ以上戦闘を続けるなら、帝国の歴史に泥を塗ることになるぞ!」

 

 「私が帝国の反乱者だと!? ふざけるのもいい加減にしろ!」

 

 「残念だが、貴国の摂政殿が帝国議会に報告したとの情報があった!」

 

 「馬鹿な! 私の出世を約束したプライド閣下がそんなことする訳がない! 共和国の犬がいい気になるな! アルドリッジ少佐とスピーゲル中佐は何をやっている!!」

 

 「それが通信を開いても全く応答がありません!」

 

 「ぬぅ~!」

 

 ディアス中佐はジェノスピノのコクピットにも通信を開いた。

 

 「ジェノスピノのライダー、応答せよ!これ以上前進するなら、空から容赦なく叩き潰す!」

 

 「ふん、それを聞いて大人しく引き下がるなら、最初から攻撃するわけがないだろう! 面白い、ネオヘリックに着くまでの遊び相手に付き合ってもらうぞ!」

 

 ジェノスピノは頭部のキャノン砲をスナイプテラに放った。ジェノスピノのキャノン砲を回避し、追加武装の二連装キャノンを打ち込むスナイプテラ、ジェノスピノとすれすれのところまで接近し、噛み付く攻撃を回避。

 しかし、ジェノスピノは火炎放射を周囲に放った。強烈な火炎放射で中々近付けず、火炎で狙いが定まらないディアス中佐、更にジェノスピノは炎の中に紛れて頭部のキャノン砲を放ち、スナイプテラはそれを回避するも更にジェノソーザーも襲いかかってきた。

 直撃しそうになるも、何とかすれすれで回避するスナイプテラ、

 

 「やはり、恐るべき相手だ!」

 

 「どうした、 その程度か?」

 

 その時、クワーガファイアボンバーとクワーガスカイステルスもスナイプテラの援護のために再び爆弾を投下した。

 

 「ディアス中佐、援護します!」

 

 「感謝する。」

 

 「3対1か……少しは楽しめそうだな。」

 

 「ディアス機を援護!攻撃を続行だ!」

 

 好機を見出したギャレット大将が叫ぶ。守備隊のガノンタス隊とトリケラドゴス隊はジェノスピノに砲弾を降り注いだ。

 

 「それで良い。」

 

 ディアス中佐の乗るスナイプテラもバスキア兄妹の乗るクワーガと共に上空から連続してジェノスピノに砲弾の雨を降らせる。

 

 

 「このまま奴を空中戦で釘付けにし、戦闘を長引かせて奴の体力を消耗してやる。」

 

 「ふん、だが、先に体力が尽きるのはどちらかな?」

 

 ジェノスピノは砲撃するスナイプテラとクワーガ2体に火炎放射を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジェノスピノを目指して駆けるライガー。市街地を通過中、いきなり砲撃を受ける。

 

 「うわぁっ! 今のは……」

 

 その時、市街の瓦礫ならファングタイガー改が現れ、ライガーに襲いかかってきた。ライガーは咄嗟の判断でタイガー改の攻撃を避けた。

 

 「あれは、ファングタイガー改! でもセードはジェノスピノに乗っているはず。 一体誰が……」

 

 「けっへっへっへ! 久しぶりだな。 小僧! 暫く見ないうちにライオン種は随分みすぼらしくなったじゃないか!」

 

 「その声はアルドリッジか!」

 

 「あの小僧とジェノスピノのせいで、私の部隊は全滅したが、まだ私は諦めんぞ!

 シーガル准将と共にファングタイガー改のライダーとして共和国を滅ぼした英雄としてこの俺の名を永久に歴史に刻まれるために共和国を私の手で壊滅させてやる!

 だが、その前に小僧! あの時に受けた屈辱を晴らしてやる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 鉄橋付近でドライパンサーと戦うフォックスとラプトリア、フォックスはドライパンサーのステルスに苦戦しながらもラプトリアとの連携で何とか互角に戦っていた。

 

 「へっ、随分やるじゃねぇか!」

 

 その時、ドライパンサーのコクピットから通信が入る。

 

 「緊急命令……ふっ、どうやら足止めはここまでのようだな。」

 

 コクピットの通信を見たスピーゲル中佐はサイレントガンで足元を撃ちまくり、立ち上る土煙に紛れドライパンサーはその場を後にした。

 

 「何だったんだ? あいつは!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ファングタイガー改はA-Zレーザーガンを放ちながらハイパーブースターど加速し、ライガーに突っ込んだ。セードが乗っていた時のレベルには届かないものの、それでもライガーを上回るスピードでライガーに襲いかかり、突っ込んでは瓦礫の下に隠れ、そこからレーザーガンを放ち、更に別の瓦礫から現れて、襲いかかったり等の繰り返しでライガーを翻弄した。

 

 「くっ、これじゃ、きりがない!」

 

 グルルル……

 

 その時、ライガーが低く唸る。

 

 「ライガー……そうだったな……教えてくれ。お前の本能で!」

 

 反撃は出来ぬものの、ライガーはファングタイガー改の砲撃を次々と回避した。それを見たアルドリッジは少しイラつき、

 

 「ちっ、 ホントに小賢しいライオン種だ! 面倒だ。この際、痛みを感じないほどに一瞬で決めてやる!

 ファングタイガー、兵器 解放! マシンブラストー!! デスファング!」

 

 「そこか!」

 

 「なにっ?!」

 

 レオはライガーの本能に任せて、ファングタイガー改の奇襲を見破り、攻撃を躱すことに成功する。

 攻撃を躱されたことで勢い余ってビルの残骸に突っ込んでしまうファングタイガー改。

 

 「くぅ~、おのれ、貴様~! 今度はなぶり殺しにしてやる~!!」

 

 「俺は負けるわけにはいかない! ライガーのためにも、そしてもう、あんな悲劇をもう一度起こさせたくない!  ウォー!!」

 

 ガオォ~!!

 

 ジェノスピノ戦のことを思いだしたレオは勢いよく叫び、ライガーも同時に勢いよく咆哮を上げたその時、その声に応えるかのように突然目の前に地面からリジェネレーションキューブの端末が現れ、ファングタイガー改は端末が発生するバリアに弾かれ、ビルの残骸に跳ばされた。

 

 「これは……端末! どうしてここに?」

 

 端末はライガーの上空に浮遊し、端末は一気に光輝き、

発生した金色の光にライガーが包まれ、追加装備がパージされていく。機体を光が通り過ぎた時、新たな姿に進化したライガーの姿がそこにはあった。それは帝国軍の兵器ゾイドのような兵器武装された黄金の姿をしたライガーだった。 そこにバズの車も駆けつけ、それを見たサリーは驚いた。

 

 「あれは!」

 

 ライガーの姿が変わった後、端末は再び地面に潜り、元の位置に戻った。

 

 「リジェネレーションキューブの端末が俺とライガーの気持ちに応えてライガーに新たな力を与えてくれたのか!

 いける、これならいける! 行くぞ、ライガー! 

 

 ガオォ~!!

 

 「ライガー、進化 解放! エヴォブラストー!! ライジング……ガン・スラーシュ!」

 

 エヴォブラストした新たな姿のライガーはファングタイガー改に背中の機関砲とブレードのショットで撃ち込んだ。ファングタイガー改はその砲撃に直撃しながらも、それに耐え、そのまま突っ込んだ。

 

 「なっ! 己れ、舐めるな~!! デスファング!」

 

 「ライジングバーストブレイク!!」

 

 空中で交わるニキの高速戦闘ゾイドの刃。一瞬の後にファングタイガー改のツインドファングは両断されて宙を舞い、無傷の勝者と手負いの敗者で明暗が分かれた。

 

 「そ、そんな! この私とファングタイガー改が、馬鹿な~!!」

 

 アルドリッジの叫びと共にファングタイガー改はそのまま倒れた。

 

 「よし、次はジェノスピノだ! 行くぞ、ライガー!!」 

 

 ガオォ~!!

 

 勝ちどきを上げるかのように思いっきり咆哮を上げた新たな姿のライガーはそのままジェノスピノのいるところに走っていった。

 そこに少し離れた市街地の瓦礫の中に一体のゾイドがその様子を観戦していた。スピーゲル中佐の乗るドライパンサーだった。

 

 「ほぅ、あのファングタイガー改を敗るとは! あのライガー、随分やるようだな。 だが、今度は私のドライパンサーが相手をしてやる!」

 

 そう言い、スピーゲル中佐はドライパンサーと共にその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ジェノサイドクラッシャー!」

 

 ジェノソーザーを回避し、クワーガファイアボンバーやスカイステルスと共にジェノスピノに砲撃を加えるスナイプテラ、しかし、セードはジェノスピノと共に疲労する様子が全く見えない。

 

 「くっ、なんて奴だ! これだけ戦ってしかもマシンブラストも連続で使用しているにも関わらず、ピンピンしているとは!」

 

 クワーガファイアボンバーとスカイステルスが得意のコンビネーション攻撃を繰り出すが、ジェノスピノに決定的なダメージを与えられなかった。

 

 「くっ!」

 

 「空中戦なら、流石のジェノスピノでも太刀打ち出来ないとでも思っていたのか! 残念だが、これだけの装備があれば、飛行ゾイド等対したことない!」

 

 ジェノスピノは空中や地上にも火炎放射を放ち、共和国軍も中々手出し出来ないでいた。

 

 「くそ、空中戦ゾイドが相手でもこれだけ戦えるとはなんて奴だ!」

 

 その時、ディアス中佐が前を見ると、既に目の前にジェノソーザーが襲いかかってきた。

 

 「しまった!」

 

 「ゲームオーバーだな!」

 

 「ディアス中佐!」

 

 「ウワァー!!」

 

 To be continued




 次回予告

 レオの思いとリジェネレーションキューブの端末の力が合わさり、野生と兵器の両方の力を持つ新たな姿に転生したライガー。
 アルドリッジのファングタイガー改を倒した後、ジェノスピノの元に向かうが、セードとジェノスピノはネオヘリックの目前にまで迫っていた。
 レオとライガーは間に合うのか? そして、セードとジェノスピノを止められるのか!?

 次回「転生!! ライジングライガー!」

 走り抜け、ライガー!!


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第13話「転生!! ライジングライガー!」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 ペンダントの力によって突如復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーを復活させた不思議な力を持つペンダントを持ち、地球の未来を左右する謎の少女サリーと共に地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 レオのライガーとアルドリッジのファングタイガー改が戦った市街地に足を運んだランド博士とユウト、メルビル少尉。

 そこには進化したライガーのエヴォブラストを受けて、ファングタイガー改と共にコクピット内で気絶しているアルドリッジと既に端末が起動した跡があった。

 

 「一足遅かったか。 ライオン種ゾイドの強い意思が端末を作動させ、リジェネレーションキューブの端末とゾイド因子による相乗効果を起こし、それが報告にあったライオン種ゾイド の想像以上の自然治癒と更なる進化を促したと思われる。

 Ziフォーミングが成功すればその自然治癒力がやがて地球全体にも行き渡り、地球の生態系そのものを別の姿に変えることも可能ということか……流石ボーマン博士……」

 

 そう言い終えたランド博士は頭上を見上げる。

 

 「博士……」

 

 「残念ながら、端末の回収は断念する。我々も引き揚げる。」

 

 ランド博士とメルビル少尉はスナイプテラインペリアルガードに、ユウトはハンターウルフ改に乗り込んだ。

 

 

 

 

 その様子を市街地のビルでステルス仕様のスナイプテラで待機していたラスト大佐は、

 

 「ランドより先に端末を回収するつもりが、まさか、あのガキに先を越されるなんてね。

 しかも、ジェノスピノのあれだけの攻撃を受けた死に損ないのライガーが再生し、更に進化するなんてね! これは中々興味深いわ。」

 

 そう言ったラスト大佐はステルス仕様のスナイプテラに乗り込み、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジェノソーザーがスナイプテラに直撃しそうになったその時、A-Z対空速射砲がジェノスピノの頭部に直撃した。セードが振り向くとそこにはパキケドスBRとハント大佐が乗ったトリケラドゴス改、そして、ステゴゼーゲ改だった。

 ジェノスピノはパキケドスBRたちにA-Zロングキャノンを放とうとするが、体勢を整えたスナイプテラがクワーガファイアボンバーとスカイステルスと共にジェノスピノに爆弾を投下した。

 続けて共和国の本隊のトリケラドゴス改と守備隊のガノンタス隊が砲撃するが、ジェノスピノはA-Zロングキャノンで撃破していき、スナイプテラとクワーガファイアボンバー、スカイステルスはジェノスピノの攻撃を回避しながら、攻撃を加えた。それを見てセードは少しイラつき、

 

 「全く、まともに戦っても敵わないから、こちらの体力の消耗のためにこっちの攻撃を避けては、攻撃しての繰り返しか。

 これでは退屈過ぎる! 仕方ない。この際、貴様らが本気を出せるようにしてやる!」

 

 その時、ジェノスピノは突然攻撃を止め、森に向かって火炎放射を放った。ジェノスピノの強烈な火炎で一気に火の海に包まれた。ジェノスピノは炎の森の中に入り、そのまま姿を隠した。

 

 「一体何をするつもりだ?」

 

 火の中、スナイプテラとクワーガファイアボンバー、スカイステルスがその後を追うが、炎の中から出たジェノスピノはその巨体でジャンプし、そのまま海中に入っていった。

 

 

 

 

 

 ギャレット大将たちのいる野戦基地では、

 

 「ジェノスピノめ、攻撃を放棄したのか!?」

 

 「いえ、これを御覧ください! どうやら、ジェノスピノは海路を通ってそのままネオヘリックに向かうつもりのようです!」

 

 「何!? おのれ、強行突破に出たか! 直ちにカブター隊とガブリゲーター隊を呼び、ジェノスピノを迎え撃て!」

 

 「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 海中を泳ぐジェノスピノは海上に顔をだし、A-Zロングキャノンを放った。その砲弾はネオヘリックに向けて放たれ、ネオヘリックの移民船に直撃した。その砲撃により、移民船にいる共和国将校は驚いた。

 

 「何だ! 何が起こった!?」

 

 「ジェノスピノからの砲撃です!」

 

 「ジェノスピノだと!」

 

 再び海中に隠れるジェノスピノ、

 

 「ふっ、共和国首都なら、面白い戦場になるだろう。行くぞ、ジェノスピノ!」

 

 ギュオォ~!!

 

 咆哮を上げたジェノスピノは潜行し、そのままネオヘリックに向かって泳いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオヘリックを目指し、レオたちが駆ける。

 

 「ジェノスピノはディアス中佐の旦那たちがあそこで足止めしてたんじゃないのかよ!」

 

 「今入った通信によると、ジェノスピノはその場の戦闘を放棄して、そのまま首都に向かっているんですって!」

 

 「首都に向かってって? それってやばいんじゃないのか?」

 

 そのやり取りを聞いてサリーは不安な表情を浮かべる。大破した共和国軍ゾイドの残骸を目にしたサリーは言う。

 

 

 「なんとかして止めなくちゃ。」

 

 

 サリーの不安を払うかのようにレオは応える。

 

 「俺たちならできる。進化したライガーの力があれば、ジェノスピノを倒せる!だよな、ライガー!」

 

 ガオォ~!!

 

 

 レオからの問いかけに咆哮で答える金色の武装獅子王。

 

 「俺たちも行くぞフォックス。これ以上奴の好きにはさせねぇ! モザイクの時の借りを返してやる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 共和国軍のカブター隊が海上を泳ぐジェノスピノに砲撃を加えるが、ジェノスピノは一切反応しない。

 

 「ディアス中佐、駄目です! ジェノスピノは全く反応せず、真っ直ぐに首都に向かっています!」

 

 

 「くそ! 我々に打つ手はないのか!」

 

 「俺に考えがあります!」

 

 その時、ディアス中佐の元にレオの声が上がった。レオがアイセルの手を借りてディアス中佐に通信を開いていた。映像には新たな姿になったライガーの姿もあった。それを見たディアス中佐は、

 

 「れ、レオ! レオなのか? そのライガーは一体……」

 

 「説明は後です! とにかく俺も作戦に加わらさせてください!」

 

 「何か策があるのか?」

 

 「先程、アイセルから事情は聞きましたが、帝国のエースライダーのギレル中尉に頼みがあります!」

 

 それを聞いたギレル中尉は驚いた。

 

 「君のような民間人が私に頼むとは……一体何だ?」

 

 「共和国首都の近くに無人の廃墟がありますよね? バスキアさんたちのクワーガで俺とライガーを運搬してジェノスピノを攻撃してそこに誘導します!」

 

 「ジェノスピノが向かっている先にある420地区、通称スチールエリアか……あそこは無人の廃墟だが、巨大なゾイドが進むには障害が多い土地、確かに奴を誘導するには打ってつけの場所だ! ギレル中尉やれるか?」

 

 「俺としてもそこを戦場にするのはいい判断だと思っている。ジェノスピノに水中戦で勝るゾイドがいないこの状況、奴を地上戦に引きずり込むのが最善だからな。

 いいだろう、 その作戦乗った! バスキア少尉、やれるか?」

 

 「何処ぞの馬の骨かもわからない民間人の作戦に乗るのは気が滅入りますが……ギレル中尉の命令なら従いますよ!」

 

 「よし、バスキア少尉、バスキア准尉! 直ぐにそのライガーをジェノスピノのところまで運べ!」

 

 「はっ!」

 

 通信を切った後、ギレル中尉はモニターに映っていた金色のライガーをユウトのハンターウルフ改と戦っていたビーストライガーの対決を思い出していた。

 

 「さっきのライオン種、ザナドゥリアス少尉のハンターウルフ改と戦っていたビーストライガーに似ているが、あれは明らかに違う個体だった。

 改造された…または乗り換えたゾイドなのか? いずれにせよ、あのライオン種の力をこの目で見させてもらおう。」

 

 レオからの通信が切れた後、ロックバーグ中尉が口を開いた。

 

 「ハント大佐! ジェノスピノをスチールエリアに向かうまで、共和国軍の指揮を私にやらせてください!」

 

 「いや、しかし……」

 

 「現状、直ぐに出撃出来るのは私のパキケドスBRです! この日のために私のパキケドスはギャレット大将から力を授けられたんです。お願いします!」

 

 「しかし!」

 

 「わかった! 君に任せよう。」

 

 「クライヴ!」

 

 「確かにスナイプテラはさっきの戦闘でダメージを負っていて、トリケラドゴス改も出撃出来ても、あのジェノスピノに太刀打ち出来るとは思えない。

 寧ろ、私より、彼女に作戦を預けた方が効率がいいのかもしれない。」

 

 「ディアス中佐、何なら、私も行かせてください! 対抗出来るかどうかはわかりませんが、私のステゴゼーゲ改も援護ぐらいならできます! ハント大佐もお願いします!」

 

 それを聞いたハント大佐は、

 

 「わかりました、ツガミ大尉はロックバーグ中の指揮下に入って、直ぐに作戦を実行!」

 

 それを聞いたツガミ大尉はキョトンとし、

 

 「え? 私が……ロックバーグ中の指揮下に……?」

 

 「良かったな。大尉、下になったとはいえ、彼女と一緒に戦えるのだぞ!」

 

 「よ、余計なこと言わないでください! ディアス中佐!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 共和国軍のカブター隊は引き続き、海中にいるジェノスピノに何度も砲撃するが、ジェノスピノはそれを無視するかのように進んだ。

 

 「くそ、歯が立たない!」

 

 「俺に任せてください!」

 

 レオの声と共に金色のライガーを乗せたクワーガファイアボンバーとスカイステルスがカブター隊の前に現れ、ジェノスピノの真上まで来た。

 

 「この位置でお願いします!」

 

 「ギレル中尉は君に全てを託した。君のその自信試させてもらうよ!」

 

 「わかりました! 行くぞ、ライガー!」

 

 ガオォ~!!

 

 レオの言葉に応えたライガーは咆哮を上げた後、A-Z機関砲を海中のジェノスピノに向かって砲撃した。

 

 「ん?」

 

 クワーガファイアボンバーとスカイステルスは狙いやすいように海中に少し近付けた。その攻撃に対し、海上に顔を出したジェノスピノは火炎放射を放つが、ライガーはそれを回避した。

 

 「ジェノスピノ、こっちだ! もう一度俺とライガーと戦え!」

 

 それを見たセードは、

 

 「あれは……あの時の、死に損ないのライガー……まさか、あの状態で生きていたとは! しかも更に姿を変えていやがる。

 このまま首都に向かって人暴れしようかと思ったが、どうやら、予定が変わってしまった。 首都壊滅までの余興にしてやる! 行くぞ、ジェノスピノ。」

 

 ギュオォ~!!

 

 海中を泳ぐジェノスピノは向きを変え、ライガーを運ぶクワーガファイアボンバーとスカイステルスに付いていった。

 

 「ようし、作戦通りだ。ロックバーグ中尉、聞こえるか? 我々はこのままジェノスピノを貴校らのいるスチールエリアに誘導する。ジェノスピノが上陸したら、直ちに作戦開始し、我々が到するまで足止めしてくれ!」

 

 1足早くスチールエリアで共和国軍と共に待機しているロックバーグ中尉はバスキア少尉の通信を聞き、

 

 「わかりました! 私はパキケドスBRで上陸したジェノスピノを誘導します。皆は誘導地点で待機!」

 

 「はっ!」

 

 「ロックバーグ中尉、私も加わります! 中尉だけ危険な目に遭わせるわけには……」

 

 「あなたは誘導地点で待機してなさい。そんな無茶をして、愛機をまた更に危険な目に逢わせる気?」

 

 「う……わかりました。」

 

 ロックバーグ中尉の言葉を聞いて渋々誘導地点に行くツガミ大尉、

 

 「さあ、やるわよ。パキケドス!」

 

 グオォ~!!

 

 ロックバーグ中尉の言葉を聞いて咆哮を上げるパキケドスBR、

 そして、暫くしてスチールエリアの海岸から津波と共にジェノスピノが現れた。海岸に待ち構えていたパキケドスBRはすかさず、ジェノスピノの目とコクピットに向けて対空速射砲を放った。

 

 「ぐっ! さっきの新型か?」

 

 ジェノスピノは頭部のキャノン砲を放とうとしたその時、パキケドスBRはマニューバミサイルポッドでスモーク弾を放つ。

 ジェノスピノは火炎放射を放ち、周囲の煙を一気に炎に包み、灼熱の炎から顔を出したその時、既に目の前にパキケドスBRは背を向け、走っていった。

 

 「また、誘導作戦のつもりか? 無駄だというのに。」

 

 ジェノスピノは頭部のキャノン砲を放ちながら、走るパキケドスBRの後を追った。

 

 「乗ってきたわね。作戦開始!」

 

 発声と共にパキケドスBRは反転し、後ろ向きで走りながら、対空速射砲を放った。ジェノスピノも頭部のキャノン砲を放つが、パキケドスBRはスレスレで回避し、ビルの間を走っていく。

 ジェノスピノはそれを追うとするもビル群がその巨体の前進を阻む。ジェノスピノはA-Zロングキャノンでビルを破壊し、前足で破壊したビルを倒して進み、ビルの角を回りながら、頭部のキャノン砲やソーザーバルカンを放ってパキケドスBRを追った。

 

 「全軍、攻撃開始!」

 

 林立するビルを抜け、角を曲がったところでそう命令を下すロックバーグ中尉、 スチールシティ内に展開していた共和国軍部隊を指揮するツガミ大尉はロックバーグ中尉の命令を受けは部隊に指示する。

 

 「よし、今だ! 砲撃開始!」

 

 ツガミ大尉の命令を受けた共和国部隊はジェノスピノの左右のビルを攻撃した。それを見たセードは、

 

 「また、生き埋めのつもりか? この程度のビルで倒れる訳が……」

 

 その時、ジェノスピノの目の前にスチールエリアで最も高い超巨大ビルが倒れていった。同様に待機している共和国部隊のキャタルガ隊が予め倒壊させるよう細工していたのだ。

 

 「ちっ!」

 

 ジェノスピノはA-Zロングキャノンを連射してこれの破壊を試みるが、既に遅く、巨大ビルは左右のビルと共に巨大な轟音を立てて、ジェノスピノの前に倒壊し、後には堆く積まれた瓦礫の山だけが残った。それを見て手応えを感じたツガミ大尉は、

 

 「よし、作戦は完了した! 後はレオがここに来るのを待つだけだ。」

 

 「ん?」

 

 その時、ロックバーグ中尉が何かに反応した。

 

 「皆、瓦礫から離れて!」

 

 ロックバーグ中尉の命令を受けて共和国部隊が瓦礫の山から瓦礫から離れようとしたその時、突然瓦礫が盛り込んできた。

 

 「ジェノサイドクラッシャー!!」

 

 地面からセードの掛け声と共にマシンブラストを発動したジェノスピノが瓦礫の山から抜け出しつつトリケラドゴスを真っ二つにし、取り囲む共和国ゾイドをジェノソーザーで撫で斬りにした。

 

 「くそ、」

 

 味方のピンチを見て突撃を仕掛けるツガミ大尉のステゴゼーゲ改、しかし、ロックバーグ中尉が待ったを掛け、

 

 「ここは私が引き受けます! それより、あなたはあの少年をここに!」

 

 「し、しかし、君は……」

 

 「私は大丈夫です! それより、早く行って!!」

 

 「わ、わかった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライガーを運ぶクワーガファイアボンバーとスカイステルスはスチールエリアの近くまで来た。

 

 グルルルル……

 

 低い唸り声を上げるライガーの様子から、ジェノスピノに近づいていることを確信するレオ。そして、目の前には煙の立ちのぼるスチールエリアがあった。

 

 「あそこだ……行くぞ、ライガー!」

 

 スチールエリアに着いたクワーガファイアボンバーとスカイステルスはライガーを降ろした。同時にフォックスとラプトリア、バズの車も到着していた。

 

 「待たせたな。レオ!」

 

 「よし、行くぞ! これ以上はやらせない!」

 

 「俺たちが止めてやる!」

 

 ライガーとフォックスの前にステゴゼーゲ改が現れた。

 

 「ツガミさん!」

 

 「来てくれたか! 今、ロックバーグ中尉が足止めしているが、かなり苦戦している。我々も加わるぞ!」

 

 「わかりました!」

 

 

 

 

 

 

 

 パキケドスBRがジェノスピノとやり合う中、手前からフォックス、奥からライガー。ジェノスピノに対し挟撃を仕掛けた。ライガーA-Z機関砲を放つが、ジェノスピノはその攻撃に歯牙にも掛けなかった。

 

 「ふ、ようやく現れたか。だが、それで攻撃したつもりか!」

 

 ジェノスピノはジェノソーザーで襲いかかろうとし、ライガーは間一髪で回避した。ジェノスピノは周囲に火炎放射を放ち、周囲を炎に包んだ。

 パキケドスBRは炎に対空速射砲を放つが、目の前にジェノソーザーが現れた。直撃しそうになった時、ライガーがパキケドスBRにぶつけ、それを回避した。

 

 「大丈夫ですか?」

 

 「ありがとう。 あなたが、ディアス中佐の言っていた少年?」

 

 「はい、レオです!」

 

 ジェノスピノは炎の中、ジェノソーザーを振り回した。それを見たバーンは、

 

 「不味い! 一旦隠れるぞ!」

 

 バーンの言葉に従って、レオたちはビルの影に隠れ、ロックバーグ中尉も隠れた。

 

 「チッ!装甲が硬すぎるぜ!」

 

 「何か策を練らないと……」

 

 「そうだ、闇雲にぶつかっても、敵う相手ではない! ところで、レオ! それが甦ったライガーか?」

 

 「はい! これでジェノスピノと戦えます!」

 

 「何か作戦があってこんな場所に奴を誘い込んだんだろ?」

 

 「ああ。君たちが到着するまでここで足止めするはずだった。だが見ての通りだ。首都への侵攻を止めるには、我が軍の戦力を全てここに費やさなければ……」

 

 「でももう時間がない。ジェノスピノの攻撃は、すでに首都を襲っているのよ!」

 

 「けど、どうやって?」

 

 その時、アイセルからの通信でバズとサリーが口を開いた。

 

 「お嬢さんから提案だ。良い方法があるってよ!」

 

 「良い方法とは思えません。でも、止めるとしたら……」

 

 「どうすれば良い? 教えてくれ、サリー!」

 

 「ゾイドコアです。ゾイドコアはゾイド の心臓部。そこを突けば活動を停止するはずです。だから……」

 

 「でも、それを破壊したら、ジェノスピノは死んじゃうんじゃないのか?」

 

 「そうです……でも、止めるとしたら、それしかありません。私もこんなことはしたくないんですが……」

 

 そう言って涙を浮かべるサリー、その様子を見たレオは、

 

 「サリー、大丈夫だよ! ジェノスピノは死なせない。必ず止めてみせる!」

 

 「おいおい、正気か! レオ! それ以外でどうやってあの化け物を倒すんだよ!」

 

 「ジェノスピノはあくまで操縦しているライダーの命令で暴れているだけだ。だから、ゾイドコア以外に狙うとしたら……」

 

 「まさか、ライダーごとコクピットをやるって言うのか!?」

 

 「破壊するんじゃない! コクピットを切り離して、ジェノスピノを解放してやるんだ。」

 

 「確かにバイザーで制御されている帝国軍のゾイドは自分の意思では動けないから、ライダーがいなければ、何もできないわ。」

 

 「けど、いくらなんでもそれは無茶じゃねぇか?」

 

 「やるしかない! いや、やらなければならないんだ。お願いです! 皆さん、手伝って貰えますか?」

 

 「かなり危険な賭けだが、その方法で止めれば、流石の帝国軍は文句は言えないだろう。

 だが今はジェノスピノを止めることが最優先事項だ。少しでも可能性があるなら、それに賭けたい!」

 

 グルル……

 

 ライガーが低く唸ったのを見たレオは、

 

 「ライガーならやれるってさ。ライジングライガーは、ジェノスピノを止めるために進化したんだ。俺たちに任せてよ!」

 

 「ガトリングフォックスだって、やられっぱなしのまま大人しく引き下がるつもりはないぜ!」

 

 ドスン! 

 

 その時、レオたちを見つけたジェノスピノが目の前に現れた。

 

 「どうした? 来るなら、全員で掛かってこいよ!」

 

 「よし、行くぞ、皆!」

 

 「おう!!」

 

 

 ジェノスピノがジェノソーザーを振り回し、ライガーたちはそれを避け、バラバラになってジェノスピノの周囲に回り込んだ。

 

 「今度こそ、借りを返してやる! 撃ちまくるぜ!

 ブルーシャドーフォックス、進化 解放! エヴォブラストー!! ファントムガトリング!」

 

 エヴォブラストを発動したフォックスは走りながら全砲門をジェノスピノに向けて砲撃した。

 

 「同じ攻撃が二度も通用するわけが……」

 

 「ステゴゼーゲ、進化 解放! エヴォブラストー!! ナイフオブフィフィティーン!」

 

 ステゴゼーゲ改もエヴォブラストを発動し、ボーンソーでジェノスピノの足を斬りかかった。ジェノスピノは足で踏み潰そうとしたその時、

 

 「パキケドス、進化 解放! エヴォブラストー!! 弾丸鈍破!」

 

 エヴォブラストを発動したパキケドスBRが頭部のパンプヘッドとボスクラウンでジェノスピノの胸部に連続頭突きを食らわし、ジェノスピノの装甲にひひが入った。

 

 「うぐっ!」

 

 その時、セードに少し披露が出て、ジェノスピノのコクピットからは機体の限界を示す合図が出た。

 

 「ちっ!」

 

 「その様子だと、機体に限界が来たようね!」

 

 「ふん、限界が来たということは、更に緊張感が出るということ。それなら、益々戦いがいがあるということだ!」

 

 再びジェノソーザーを振り回すジェノスピノ、しかし、それを回避するパキケドスBR、

 

 「何度避けても貴様らでは、この俺に傷1つ付けることは出来ない!」

 

 再び攻撃しようとしたその時、幾つかの砲撃がジェノスピノを襲った。ビルの屋上にエヴォブラストで展開したクローに主砲を装備したラプトリアとギレル中尉の乗る共和国仕様クワーガとバスキア兄妹のクワーガファイアボンバーとスカイステルス、更にディアス中佐の乗るスナイプテラがカブター隊を率いて現れた。

 

 「遅れてすまない!」

 

 「我々も援護する!」

 

 「スナイプテラ、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 「クワーガ、進化 解放! エヴォブラストー!!」

 

 「クワーガ、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 ギレル中尉の乗るクワーガとクワーガファイアボンバー、スカイステルス、ディアス中佐の乗るスナイプテラ率いるカブター隊の一斉砲撃を受けるジェノスピノ、

 

 「ちぃっ!」

 

 一斉砲撃によろめいたジェノスピノ。その隙を突いて攻撃を仕掛けようと試みるライガー。

 

 「それで攻撃したつもりか!」

 

 それを火炎放射で迎え撃つジェノスピノ。

 

 一瞬にして灼熱の炎に包まれたライガーとレオに映像でその様子を見ていたバズとサリーが叫んだ。

 

 「レオ!」

 

 「逃げろレオ!」

 

 「うっ……ぐっ……」

 

 ライガーはジェノスピノの火炎放射から生還する。進化したことによって新たにパワーアップした高性能放熱フィンが機体温度の上昇を防いだのだ。

 

 「凄い! ジェノスピノの火炎放射を防いだ!」

 

 「それがどうした!!」

 

 攻撃の手を緩めずに攻撃を繰り返すジェノスピノだったが、ライガーはこの葉のようにひらりと攻撃を躱し、ジェノスピノの攻撃の合間を縫って反撃を加えていく。

 

 「ちっ、ちょこまかと!」

 

 怒りに駆られたジェノスピノはライガーを追うが、レオは巧みに攻撃を回避していく。

 

 「はあああああああ!」

 

 「うおおおおお!」

 

 フォックス、ラプトリア、スナイプテラ、共和国仕様クワーガ、クワーガファイアボンバー、スカイステルスの一斉砲撃で、ジェノスピノが怯んでいく。

 

 「何故だ? 何故、この俺に手も足も出なかった雑魚共がここまでやれる!?」

 

 「お前にはわからないだろうな!」

 

 「何!?」

 

 「俺たちはお前を止めるために戦っている! そして、俺とライガーは皆を守るために戦っているんだ! そしてこの力はそのためにあるんだ!!」

 

 「それが貴様らの戦う理由だと? 下らん! 俺はそんなもの、断じて認めない!! ジェノサイド……」

 

 「今だわ! シュトゥルムボック!!」

 

 ジェノスピノがライガーに狙いを定めたその時、パキケドスBRが横から現れ、背部のブースターで最大速度まで加速し、そのスピードに乗せ、渾身の頭突きをジェノスピノの顔に直撃した。その一撃必殺の攻撃の衝動で、ジェノスピノの右目のZ-Oバイザーが砕け散り、そこからゾイド本来の目が露出した。

 

 「今だ! ライガー、進化 解放! エヴォブラストー!! ライジングガンスラッシュ!」

 

 パキケドスBRの攻撃に加え、エヴォブラストしたライガーの連続砲撃でジェノスピノは少しずつ海辺に後退していく。

 

 「くっ、ふざけるな~!!」

 

 「ライジング、バースト、ブレイクー!!」

 

 「ジェノサイドクラッシャー!!」

 

 

 ライガーのA-Zタテガミブレードとジェノスピノのジェノソーザーの2つの刃が交わり合い、火花が散る。だが、その時、ジェノスピノのジェノソーザーに亀裂が広がり、全ての刃が砕け散った。ジェノスピノはジェノソーザーの全ての刃が砕け散ったその衝撃で態勢を崩し、そのまま海中に落下した。

 

 「馬鹿な……この俺が……あの死に損ないのライガーに……」

 

 ライガーの一撃で戦闘継続不能になったジェノスピノはそのまま沈んでいった。

 

 「勝った……凄い、凄いぞ! ライガー!!」

 

 映像でその様子を見ていたバズとサリーは、

 

 「レオ、あいつやりやがったな!」

 

 「レオ……良かった。」

 

 ジェノスピノを倒したことで、ライガーは勝利の咆哮を轟かせる。

 

 ガオォ~

 

 

 

 その様子を離れたところから観戦していたランド博士は呟く。

 

 「あのライオン種、素晴らしい進化を遂げたものだな。これもリジェネレーションキューブの作用によるものか。試してみなければ……」

 

 そう言って彼はユウトやメルビル少尉と共にその場を後にするのだった。しかし、ユウトは少し不満そうな表情で後ろを振り返った。

 

 「新たな力を得たライガー……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 スチールエリアにギャレット大将が到着し、ディアス中佐とツガミ大尉の元に立ち寄った。

 

 「共和国は救われた。ディアス中佐、ツガミ大尉。よくやってくれた。」

 

 「いいえ。すべては協力者のおかげです。我々は彼らに感謝しなければなりません!」

 

 「彼ら?」

 

 「彼らこそ英雄です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サリーとアイセルはテントで一休みしていた。

 

 「ジェノスピノは見つけた後、その管理については両国上層部がこれから協議に入るそうよ。」

 

 「ジェノスピノだって、本来はこんな形で復元したくなかったはずです! ゾイドは人を傷付けるための道具にするべきじゃないんです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 身支度を進めるバーンにレオとバズが声を掛ける。

 

 「お~い、バーンの旦那!」

 

 「何だ、お前らか。どうした?」

 

 「実は俺たち、ジェノスピノを倒した英雄として、共和国首都にまで招かれるそうだ。 バーンの旦那もどうだ? 俺たちと一緒に……」

 

 「俺は遠慮させてもらう。今回の件で両国間の行き来が増えそうだろう? うっかり帝国側の人間に見つかったりしたらマズいんだよ!」

 

 「君がレオ・コンラッドか……」

 

 会話中の3人にギレル中尉が声を掛ける。

 

 「げッ!ギレル中尉……」

 

 「ギレル中尉……スナイプテラのライダーの!」

 

 「君と会うのは初めてだが、私のことを知っていたのか?」

 

 「実はアイセルから聞いていたから。」

 

 「そうか……それにしても、君の活躍は見事だった。只の民間人とはとても思えない。」

 

 「エヘヘ……」

 

 「ジェノスピノとの戦いぶりも見事だった。お前もな。ブラッド元二等軍曹。」

 

 「いやぁ……それほどでも……ってなんで俺の名前を知ってるんだよ」

 

 「優秀なライダーの情報は耳に入ってくるものだ。お前のような軍人を失うとは、帝国軍も大損失だな。」

 

 「おだてたって何も出ねぇぜ!」

 

 「これからどうするつもりだ? このまま帝国の御尋ね者になるのか? 今回の件で共和国軍に招かれば、お前の罪は帳消しになると思うが……」

 

 「そういって、どうせ俺からフォックスを奪うつもりじゃねぇだろうな?」

 

 「そんなつもりはない。私としてはゾイドを大切に思う君のような優秀なライダーを帝国軍に復帰したいと思っている。私もゾイドを只の戦争の道具扱いにする考えは好ましくない。」

 

 「まあ、あんたがいい奴でも俺たちは2度と帝国軍には戻らないって決めているんでね!」

 

 「そう言うと思ったよ。」

 

 そんなやりとりをしている彼らに声を掛けるディアス中佐、

 

 「ギレル中尉、今回の戦いは君の助けもあってのことだ。感謝する。」

 

 「勘違いするな。俺はコリンズ准将に汚名を着せた無能な上官共に一泡吹かせるためにやったのだ。」

 

 「素直じゃないな。」

 

 「今は休戦状態だが、帝国と共和国との戦争は終わったわけではない。いずれはあなたと対決することもあるだろう。 それとレオ……」

 

 「何ですか? ギレル中尉。」

 

 「君とは一度は戦ってみたいものだ。出来れば、戦場以外でな。」

 

 「あなたがどれだけのエースだからって、俺とライガーは負けないですよ!」

 

 「ハハハ、軍人でもないのに中々肝の座った少年だ。」

 

 「だが、本当に行くのか?帝国に戻っても、君の処遇がどうなるのか分からないんだぞ?」

 

 「コリンズ准将の汚名は晴らすことができた。目的を果たした以上、ここに止まる理由はない。

 それに処遇が与えられるのは反乱を起こしたシーガル共らになるがな。」

 

 「そうか。私としては共和国軍にスカウトしたかったんだがな。」

 

 「俺は帝国軍人だ。これからも帝国のために働く。それだけだ。」

 

 「分かってるさ。」

 

そんなやりとりをして、ギレルは自らの操縦するスナイプテラでクワーガファイアボンバーとスカイステルスと共に帰っていった。

 夕焼けをバックにライジングライガーが再び勝利の咆哮を轟かせる。

 

 ガオォ~!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スピーゲル中佐に通信を入れるシーガル准将、

 

 「アルドリッジ少佐を回収した!? バカ者! そんなことより、何故、共和国首都に侵攻しなかった!? 一体何をしていたのだ! 貴様は!!」

 

 「閣下!」

 

 「何だ!?」

 

 「宰相閣下からの通信です!」

 

 渋々ながらも通信に応じるシーガル准将、

 

 「シーガル准将です。宰相閣下、何の用でしょうか?」

 

 「シーガル! 貴様の反乱は明るみに出た! 貴様の処分はこれから行う軍事裁判で決定する! 貴様の席はないと思え!!」

 

 「くっ、く~!!」

 

 同時に別荘にいるプライド摂政にもラスト大佐から通信が来た。

 

 「何だ?」

 

 「プライド、予期せぬ事態が発生しました!」

 

 「どうした?」

 

 「ジェノスピノが敗れたわ。 あの例のライガーによってね。」

 

 「報告にあった1つの端末の力で進化したライガーによってか……」

 

 「オマケにランドがそのライガーのことに興味を持ったそうよ。」

 

 「何としても奴より先にそのライガーの情報を手に入れろ! その情報を奴の研究に使わせるな!」

 

 「わかったわ! では、このままランドの監視をしておく。ところで、ジェノスピノはどうするの?」

 

 「その件はこちらで取り繕う。お前はそのまま監視体制に入れ!」

 

 「了解!」

 

 通信を切るプライド摂政、

 

 「まさか、ジェノスピノに手も足も出なかったあのライガーがジェノスピノを倒せる程の力を得ることになるとはな……

 計画に少し支障が出たが、代わりに思わぬ収穫が入った。あのライガーの詳しい情報が手に入れば、我々の計画は最終段階にまで近付く。」

 

 To be continued




 次回予告

 新たな力を得たライガーの活躍によって、共和国をジェノスピノの脅威から救ったレオたち、そんなレオたちは共和国の英雄としてネオヘリックに歓迎され、それまでの戦闘を忘れるかのように平和な一時を過ごしていた。
 そんなとき、レオに大統領とギャレット大将からスカウトが来た! その時に取ったレオの判断とは!?
 

 次回「平和ナ ヒト時」

 走り抜け、ライガー!!


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第14話「平和ナ ヒト時」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 ペンダントの力によって突如復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーを復活させた不思議な力を持つペンダントを持ち、地球の未来を左右する謎の少女サリーと共に地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 ライガーとジェノスピノが激しい死闘を繰り広げたスチールエリアの戦場の跡に共和国大統領と帝国皇帝が訪れていた。見つめ合う両陣営の代表。

 

 「わざわざのご来訪、痛み入ります。フィオナ皇帝陛下。」

 

 「この度のこと、大変申し訳なく思っております。クレストウッド大統領閣下。」

 

 その様子をネオヘリックの街で中継がされていた。

 

 「正に歴史的瞬間です。多大な被害をもたらした伝説のゾイド、ジェノスピノの無差別攻撃は共和国軍の活躍によって回避されました。

 そして本日、帝国のフィオナ皇帝が自ら戦場跡を訪れ、ジェノスピノによる攻撃は侵略ではなく、一将校による反乱行為だったとして、出迎えたクレストウッド共和国大統領に謝罪しました。

 その後、両首脳による会議が行われ、帝国は今回の被害に関する全面的な保証を約束し、共同声明として、愚かな争いを繰り返すことがないよう、現在捜索されているジェノスピノを回収した後、このまま残し、両国管理の元、その象徴とすることが発表されました。」

 

 そのTV中継を歓迎されたレオたちは見ていて、身支度を整えたバーンはフォックスに乗り、

 

 「よし、行こうか。フォックス! レオたちと違って追われる身で、金もないし、職もないが、何処へでも行ける自由ってやつを楽しむとしようぜ。なあ、相棒?」

 

 そう言って、フォックスはネオヘリックの街を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おぉぉ〜!」

 

 巨大なエレベーターから街お見下ろし、声を上げるレオたち。

 

 「第二の都市、“ニューホープ”。第一世代の夢が現実となった街だ。」

 

 「ネオヘリックも初めてかい?」

 

 「はい。ネオヘリックも賑やかなんでしょうね。」

 

 「なんせ共和国の首都だもんな!」

 

 「楽しみー!」

 

 「初めてきたけど、こんなに人が一杯で賑やかだとは思わなかった!」 

 

 「まさに都会って感じ!」

 

 「金持ちが住む街って感じだよ!」

 

 昇降機で上までついた一行を待っていたのは首都という響き空は想像もつかないほど人気のない街だった。

 

 「これが首都?」

 

 想像していたより、違うことにレオの口から疑問が思わずこぼれる。

 

 「人が全然いない……」

 

 「おいおい、どうなってんだよ!」

 

 「それは……」

 

 「ネオヘリックは第一世代の街で、ニューホープは第二世代以降の街だからだよ。」

 

 そこに現れたのはギャレット大将とハント大佐にロックバーグ中尉だった。

 

 「ギャレット大将、いつ頃からいらしたんですか?」

 

 「ついさっきだよ。実は君が我が共和国を救ったという英雄の少年に会いに来たくてね。 私は共和国クレストウッド大統領代理、ギャレット大将だ。君がレオ・コンラッド君かい?」

 

 「はい、そうです!」

 

 「まさか、君のような少年が共和国を救ってくれるとは、大統領代理として、君に感謝する。」

 

 「そんな……俺は俺なりのことをやっただけです。」

 

 「そこで、君に渡したいものがあるんだ。」

 

 ギャレット大将が手元に出したのは勲章が光る。それを見たレオは驚いた。

 

 「これは!」

 

 「大統領が共和国を救ってくれた君への心ばかりのお礼だ。」

 

 「マジか! スゲェじゃないか、レオ!」

 

 「綺麗。」

 

 「ありがとうございます!」

 

 「それと、実は君に一つ頼みがある。」

 

 「何ですか?」

 

 「ジェノスピノを倒した進化したライガーの戦闘力を見せて欲しいのだが……」

 

 「それは構いませんが、でもどうやってですか?」

 

 「それは私の2人の部下の協力してくれる。」

 

 ハント大佐の横にいるロックバーグ中尉を見たレオは驚いた。

 

 「あ、あなたはあの時のパキケドスの!」

 

 「自己紹介がまだだったわね。 私はリズ・ロックバーグ中尉。」

 

 「そして、私は中尉の上司のシェリー・ハント大佐。よろしくね。レオ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帝国法廷では反乱の罪を問われたシーガル元准将に対する裁判が行われていた。

 

 「これより、軍法会議を開廷する! さて、シーガル元准将、君は軍の所有物であるジェノスピノを独断で使用し、共和国領内にて破壊活動を行い、多大な被害を与えた。加えてコリンズ准将に自らの汚職の罪を着せ、強制的に左遷させるという、卑劣極まりない謀略により、コリンズ准将の名誉を著しく傷つけた。

 以上のこと、帝国軍士官としてあるまじき行為である。共和国との間に緊張を生み、それによって帝国全国民に不安を与え、軍の信用を失墜させたことは、極刑に値する!

 したがって、ジョナサン・シーガル准将を、階級剥奪の上禁固500年の刑とする!

 そして、今回の反乱に加わったアルドリッジ元少佐にも同様の処罰となった。」

 

 「ふん!」

 

 「以上だ!」

 

 「一つ伺いたい。ランド博士もジェノスピノプロジェクトの責任者の一人だ。なぜ博士は罪を問われない?

 それにコリンズ准将の汚職の件はラスト大佐が私に報告したものだ。罪を問われて当然だと思うが……」

 

 「博士は軍を裏切ってはいない。それにラスト大佐が報告したという件は何も残っていない! それも君の言い訳に過ぎない!」

 

 「何!?(まさか、あの女、あの報告書を予め破棄したというのか!)」

 

 「閉廷!」

 

 裁判長と思しき人物の平定の言葉を待ってシーガル元准将に歩み寄る廷吏。

 

 「今ひとつ……」

 

 「ん?」

 

 「もしも……もしもジェノスピノの進撃によって、共和国の首都が陥落していたら、その時私は反逆罪ではなく、英雄だったのではないか?

 それに今回の作戦はプライド閣下の命令によるもので、閣下は私に出世の約束をしてくれたのだぞ! そんな私が軍事裁判にかけられるとは断じて認めん!」

 

 「君の下らん言い訳を聞く必要はない。夢を見るのは自由だが、その夢は貴様だけのものしろ! 牢獄の中で好きなだけ妄想するがいい。連れて行け!」

 

 「今に見ていろ! 私は必ず地の底から這い上がってやる!!」

 

 悪足掻きのような言い訳を言いながら、シーガルはそのまま連行されていった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギレル中尉とバスキア兄妹は収監施設を訪れ、解放されたコリンズ准将を迎え入れた。

 

 「コリンズ准将、解放おめでとうございます!」

 

 「聞いていたよ。まさか、君たちが彼処までやってくれたとはね。」

 

 「我々はコリンズ准将の元で師事さるたもの、これぐらいのことは当然です!」

 

 「やはり、君たちのような優秀な軍人を育ててよかったよ。」

 

 「ありがとうございます! 我々は今後も准将の元で、帝国軍のために全力を尽くします。」

 

 「うん……」

 

 「どうかなさいました?」

 

 「いや、何でもない。これからもよろしく頼むよ。ギレル中尉、バスキア少尉、バスキア准尉。」

 

 「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プライド摂政の別荘、ラスト大佐の報告を受けたプライド摂政は個室でリジェネレーションキューブの端末の映像を見ていた。

 

 「ライダーとゾイドの意思が1つになったことで、待機していたリジェネレーションキューブの端末を呼び起こし、そして、その端末とゾイド因子による相乗効果によって生まれたライオン種ゾイド の想像以上の自然治癒と更なる進化か……

 過去の惑星Ziにも再生能力を持ち、パイロットの意思に応じて2段階の進化が可能なライオン型ゾイドの前例が残っているが、それは元から備わっていた突然変異種で、あの小僧のライオン種も突然変異種ではあるが、元から備わっていた能力ではない。

 しかし、そのライオン種に過去のライオン型ゾイドと同等の能力を端末は与えた。 

 ランドと同行したユウトからの情報によると、強力なエネルギーを内包する端末が正しく能力を発動せぬまま待機状態にあったことで、端末のあった場所を外の世界と隔絶し、時間の流れまでも変化させるボルテックス現象まで起こした例もある。

 たった1個の端末でそれだけの力を有するということは、全ての端末の力を手に入れることが出来れば、この地球の生態系そのものを自在に作り替えるだけでなく、全宇宙の創造すらも可能になるという正に神の領域とも言える力を得られるということか……ふっ。」

 

 その時、1人の警備員がドアをノックし、

 

 コンコン、

 

 「何だ?」

 

 「プライド閣下。ハワード宰相が面会したいと申しておりますが……」

 

 「わかった。直ぐに出る。」

 

 プライド摂政が部屋を出、接待室に入り、そこには帝国の宰相ドライト・ハワードだった。

 

 「これはこれは宰相殿、わざわざのお越し恐れ入ります。」

 

 「汚職の罪を被せられたコリンズ准将が釈放されたのと同時に大将から元帥に昇格したプライド卿へのお祝いと思って……」

 

 「これはこれは、ありがたいことです。」

 

 「これも貴様の計画か?」

 

 「はて、何のことでしょうか?」

 

 「今回のジェノスピノによる騒動はシーガルの暴走とあったが、第一あの無能な男の暴走等、貴公の権力で簡単に抑えられたはずだ! その上、ジェノスピノに乗っていたのは貴公の私兵であるセードだと聞いた。

 となると、敢えてあの無能な男を反乱の首謀者に立てて、騒動を起こさせたと考えるのが妥当でしょう。」

 

 「これはこれは、いくら宰相殿といえど、それは聞き捨てなりません。私は先帝陛下からお仕えし、この帝国に生涯をかけた男です! そのような疑いをかけるとは、宰相殿は随分お人が悪い。」

 

 「では、何故、放っておいた?」

 

 「宰相殿も御存知の通り、あの男はホントに融通の利かない男で、私の忠告も無しに勝手に動いたというだけです。」

 

 「しかし!」

 

 「今回の騒動の阻止に活躍したギレル中尉に指示し、シーガルらの反乱を帝国議会に報告したのは私です。そんな私が今回の反乱の首謀者とするのは余りに理不尽ではありませんか?」

 

 「う、ぐっ……」

 

 「我々は帝国のために忠誠を誓ったものです! いたずらに対立すると、帝国のためになりません。そうなれば、帝国の分裂は必至。それでよろしいと?」

 

 「わかった。だが、これだけは言っておく。くれぐれも我が帝国と皇帝陛下に変な真似はなさらないように……」

 

 「無論です。」

 

 そう言って、ハワード宰相は渋々部屋から退出した。プライド摂政はゆっくり紅茶を飲み、

 

 「ふっ、この帝国の連中と相手をするのはやはり骨が折れる。 だが、それもいずれ終わる。真に帝国と呼べるのはこんなものではない!」

 

 

 

 

 プライド摂政の別荘の庭でユウトはハンターウルフ改の横に佇み、1人考え事をし、ライガーとジェノスピノの激しい戦闘のことを思い出していた。

 

 「ジェノスピノを倒せる程に進化したライガー……僕のハンターウルフ改は博士が僕のために特別な改造を施した特別なゾイドだ。

 でも、あのライガーに勝つには今のハンターウルフでは勝ち目がない。もっともっと強くならないと!」

 

 そんなユウトの元にランド博士が立ち寄り、

 

 「どうしたのだね? ザナドゥリアス少尉。浮かない顔をして。」

 

 「博士! 博士はジェノスピノが完成したときは僕をライダーにするつもりだったのですか?」

 

 「確かに最初はそのつもりだった。ライダーとしての資質はセードよりもお前の方が遥かに上回っている。

 私はそのことを摂政閣下に伝え、何度も志願した。だが、あのライガーがジェノスピノを倒した時に確信した。

 お前はあのライガーに負けるはずがない。お前はジェノスピノよりもっと相応しいゾイドに乗るべきだと!」

 

 「ジェノスピノよりもっと相応しいゾイド?」

 

 「そうだ! 今はジェノスピノ以上のゾイドはいないが、いずれ、ジェノスピノをも凌駕する真の破壊龍が現れる。それが見付かれば、そのゾイドにお前が乗るのだ!」

 

 「僕が……」

 

 「心配するな。お前は誰よりも優秀な子だ。セードと違ってメルビルのように従順な君なら、例え、どんなゾイドでも乗りこなせる。お前はこの世でただ1人の完璧な人間だからな。

 お前のこれまでの活躍、私の研究に十分に役立ってくれた。感謝する。」

 

 「博士はそんなに僕のことを……」

 

 「お前は私の大事な息子だ。いずれお前は私を必要とする。」

 

 そう言い残し、博士はその場を後にした。そこにメルビル少尉が立ち寄り、

 

 「ユウト……」

 

 「ハンナか……」

 

 「御父様ったら、あそこまであなたのことを信頼しているのね。嬉しい。」

 

 「ハンナ、僕は君が羨ましいよ。僕は君のように素直になれず、ただ、戦いに明け暮れるはばかりだから。」

 

 「そんなことないわ。あなたはホントは優しい子だもの。」

 

 「そんなんじゃない。僕は博士に期待され、養子として、ここまできたけど、僕の本当の両親や僕が何処から来たのかすらわからず、そのルーツを知りたがる故に僕は育て親である博士のことを父親と呼べない自分が心の中にいて、中々素直に呼べない。

 でも、今の博士の言葉を聞いて、僕ははっきりした!

博士があれだけ僕に期待しているなら、僕はその思いに応えたい! そして、僕はもっともっと強くなる。

 例え、ゾイドをそのための道具になってもやり遂げる。そのためにはあのライガーを倒す! それが僕に与えられた任務なのだから!」

 

 「ユウト……」

 

 ユウトの言葉を聞いたメルビル少尉は寂しげな表情をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 共和国軍のある施設、ライガーの実力が見たいというギャレット大将の言葉を承諾したレオは軍事施設に来ていた。

 

 「本当にいいんだね? コンラッド君。」

 

 モニター越しに尋ねるギャレット大将、

 

 「バトルフィールド、展開!」

 

 シェリー大佐の言葉と同時にライガーのいるドーム状の空間にたくさんのキューブが出現。出現したキューブはドーム内を埋め尽くし、市街地を形成していく。実在感のある街の様子に驚くレオ。

 

 「す、凄い……」

 

 「レオ、もう一度確認する。 その世界はバーチャルだが、映像ではなく、特殊な微粒子を物質化させたものだ。たまに当たれば傷つく。それにシミュレーションの相手は私の部下のロックバーグ中尉が乗るパキケドスBRだ。決して手は抜かないで欲しい。」

 

 「はい!」

 

 シェリーの最後の確認にレオは答える。

 

 その時、ビルの影から対空速射砲がライガーに向けて放たれた。以前の戦いの経験を生かし、ライガーは直ぐ様、それを回避するが、続けてマニューバミサイルポッドが放たれ、それを避けられず、爆炎に飲まれてしまう。

 その様子を見守るサリーたち、サリーたちが心配そうな表情をする中、ディアス中佐とツガミ大尉の表情には余裕が伺える。 爆煙が晴れた時、爆心地から現れたのは無傷のライジングライガーだった。

 

 「何ともない……」

 

 シェリー大佐とギャレット大将は驚きを隠せなかった。ビルの影からパキケドスBRが現れ、頭部のパンプヘッドでライガーに頭突きを喰らわせようとする。

 ライガーは真正面から受け止め、すぐに体を反転させ、ヘビーテイルによる一撃を喰らわせる。しかし、パキケドスBRはそれに怯まず、態勢を変え、同様に体を反転させ、尻尾で凪ぎ払うかと思いきや、そうに見せ掛けて、尻尾先端に装備されているメガランスを加工した小型火器を超至近距離でライガーに撃ち込んだ。

 その攻撃でライガーは後退するが、それを耐え、体勢を整えた。

 

 「スチールエリアで、ジェノスピノに一撃を与えたゾイドということだけあって、かなり強い!」

 

 ロックバーグ中尉はレオに通信を入れ、

 

 「レオ! シミュレーションだからって、私は手加減する気は一切ないわよ。全力でかかってきて!」

 

 「全力で来いって言っても、本当の戦場じゃないのに……」

 

 グルル……

 

 その時、ライガーが何か言いたそうに低く唸り出した。それを聞いたレオは、

 

 「ライガー……そうだな。よし、お前の力をもう一度見せてみろ! ライガー、進化 解放! エヴォブラストー!!」

 

 エヴォブラストしたライガーを見たハント大佐は、

 

 「ワイルドブラストした。いよいよ本気を出してくるというの。」

 

 「シェリー、もう一度見ててくれ、彼の力を!」

 

 「ライジングガンスラッシュ!」

 

 「ようやくその気になってきたようね。いくわよ、パキケドス! パキケドス、進化 解放! エヴォブラストー!! 弾丸鈍破!」

 

 同時にエヴォブラストしたライガーとパキケドスBRの攻撃が互いにぶつかる。ライガーはパキケドスのパンプヘッドにA-Zタテガミショットを撃ち込む。しかし、パキケドスBRは怯まない。

 

 「よし、行くぞ! ライジングバーストブレイク!!」

 

 「シュトゥルムボック!!」

 

 ライガーとパキケドスBRの必殺技がぶつかりあった。その激しい衝撃によって、2体はそれぞれ後退した。威力はほぼ五分と五分だった。それを見たギャレット大将は驚きを隠せなかった。

 

 「まさか、これ程とは……」

 

 

 

 

 軍事施設の作戦室、シミュレーションを終え、その性能に改めて関心を示すギャレット大将はテストを終えたレオを労う。

 

 「見事だった! 全く素晴らしい力だよ! 君のライガーは。」

 

 「いえ、大したことありませんよ。」

 

 「そこでコンラッド君、どうだろうか。我々に力を貸してくれないか?」

 

 「え?」

 

 「階級も高等クラスを約束しよう。とりあえずは少佐でいかがだろうか?」

 

 「え? ちょっと、何の話ですか?!」

 

 「是非とも我が軍に参加し、ゾイドに乗る兵士達の手本となってほしい。ライジングライガーと君の力が必要なんだ。頼む! できる限りの待遇を約束する。望むなら君の友達も迎えよう。どうだ? コンラッド君!」

 

 破格の條件を提示してきたギャレット大将に対し、レオは答える。

 

 「お断りします。」

 

 さらには本来軍人にならなければ貰えないはずのもの、と言うことで勲章の返還も申し出るレオ。それにギャレット大将は驚きを隠せないでいた。

 

 「な、何故だね?」

 

 「俺には軍人なんて務まらないです。」

 

 「今日は協力できて嬉しかったです。じゃあ、失礼します。」

 

 一礼してその場を後にするレオにギャレット大将は少し残念そうな表情をした。そんなギャレット大将にディアス中佐は、

 

 「残念ですが、大将。 彼は軍に入らせるべきではありません。成り行きとはいえ、彼は国の戦争に巻き込まれた一般人ですから。」

 

 「そうか、非常に残念だ。彼が軍に入ってくれれば共和国は安全なのだが……」

 

 「彼には、成し遂げられない重要な目的もありますから。」

 

 「それにしても、あんな真っ直ぐな目をした少年は初めて会った。それも軍人でもないのに……」

 

 「それが彼のいいところです。」

 

 「だが、ここで引くわけにはいかない。」

 

 「え?」

 

 「もしコンラッド君がいなくても、ライジングライガーは軍の管理下に置く。」

 

 「それって、レオと引き離すってことですか?」

 

 ギャレット大将の思わぬ言葉にアイセルは疑問を投げ掛けた。

 

 「帝国軍に渡らなければそれでいい。」

 

 「もし帝国にライガーを奪われても大丈夫です。レオじゃなきゃライガーは……」

 

 「ゾイドオペレートバイザー。」

 

 「あ……」

 

 「あれを装着されたら、たとえライジングライガーでもどんな兵士の言うことも言うことになる。私個人としてもコンラッド君とライジングライガーを引き離したくはない。

 だが軍としては不安要素は出来るだけ取り除かなければならないのだ。ライジングライガーには、軍の倉庫で眠ってもらう。」

 

 「確かにギャレット大将の言う通りだ。ライガーを放置するのは危険だ。」

 

 「中佐!」

 

 「だが、今ここでレオとライガーを引き離しても共和国軍にとって利益はない。ライガーはまだ進化の途中だ。これからさらに成長するだろう。ならばどうだろうか。軍の監視のもと、ライガーをレオと同行させた方が、後々軍の利益につながるのではないでしょうか?」

 

 「監視?」

 

 「飼い殺しになどしたら、さらなる進化を見逃すことになるぞ?」

 

 「では、アイセル少佐に引き続き彼らの監視を任せてはいかがでしょうか?」

 

 「そうか、では、任せよう。」

 

 「え? ホントですか!?」

 

 「ああ、引き続き頼む。」

 

 「やった!」

 

 レオとライガーの監視任務延長の指示を受け喜ぶアイセル、

 

 「ちょっといいかしら?」

 

 その時、ハント大佐が口を開く。

 

 「何だね? ハント大佐。」

 

 「アイセル少佐だけでは不安です。ここは強力な護衛もつけるべきです!」

 

 「大佐! ひどいです! 私が足手まといとでも言うのですか!?」

 

 「聞くところによると、彼らは帝国軍に追われているお尋ね者です。いくら停戦協定を結んでいるとはいえ、帝国軍に追われないとは限りません。」

 

 「では、誰をつけるのかね?」

 

 「先程のシミュレーションでレオのライガーと互角に渡り合ったパキケドスBRのライダーにして、私の部下のロックバーグ中尉です。」

 

 「よろしいかしら? アイセル少佐。」

 

 「え?」

 

 それを聞いたツガミ大尉は少し驚き、

 

 「ま、待ってください! 大佐。 その護衛には私が……」

 

 「大尉、あなたには別の任務があるはずでしょう。あなたはその任務に専念しなさい!」

 

 「わ、わかりました。」

 

 「では、アイセル少佐、ロックバーグ中尉、彼らの護衛と監視を頼む。」

 

 「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 レオたちは基地の外でディアスの両親と地球ゼロ年の記念碑の前にいた。惑星Ziから宇宙船が地球に到着した日、全ての始まりの日を記念して作られたことを記されていた。

 

 「この碑は?」

 

 「それは、新地球歴0年に地球に移住した入植第一世代の人間が第一世代として役目を果たした象徴として建てられたものよ。」

 

 疑問に答えたのはハント大佐で、その横にはロックバーグ中尉とアイセル少佐、そして、ディアス中佐とツガミ大尉だった。

 

 「ハント大佐!」

 

 「私の両親から聞いた話では、移民船到着時の地球はゾイドクライシスで荒廃し、草木も生えられない状況だった。

 しかし惑星Ziを飛び出してきた第一世代の人間に、戻れる場所はない。荒れ果てた地球で暮らすことになった彼らはジャミンガや自然災害に晒されながらも「大地に根を下ろし、地球の民となったの。

 私たちの先祖は生きた証を残すことができた。だけど、まだまだ叶えるべき夢は沢山ある。

 レオ、あなたたちにも生きた証を残してほしい。地球に住む地球人として。誇りある生き方をしてほしい。

 今の時代を背負うのは私たち大人だけど、これからの未来を背負うのはあなたたち子供なのだから。」

 

 ハント大佐のメッセージを聞いたレオとサリーは、

 

 「はい!」

 

 「レオ、これからの端末探しには危険を伴うことが多い。そこで、ハント大佐からアイセル少佐に加え、ロックバーグ中尉も護衛につけるとのことだが。」

 

 「え! ロックバーグさんも来てくれるのですか?」

 

 「よろしくね。レオ。」

 

 「マジかよ! あのレオのライガーと互角に戦ったあの強力な共和国の姉さんがついてくれれば、百人力だぜ!

正直、アイセルだけでは不安だったからな。」

 

 「何よ! それって、私が弱いってわけ!?」

 

 和気あいあいとするレオたちを見てディアス中佐とハント大佐は、

 

 「シェリー、ロックバーグ中尉を護衛につけたってことは、やはり君もレオを信頼しているのか?」

 

 「スチールエリアでの戦闘で、確信したわ。彼こそがこれからの未来を背負える若者ってことにね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ディアス中佐とツガミ大尉、ハント大佐に別れを告げ、出掛ける準備をするレオたちの元にネオヘリックを後にしたはずのバーンとフォックスが駆け寄った。

 

 「おや、バーンの旦那じゃないか! 旅に出たんじゃないのか?」

 

 「気が変わった! お前たちが探すその端末とやらを正常に作動しないと地球は正常にならんっていうじゃないか! そんな不安定な地球じゃあ、旅はしずらいし、俺たちの自由な旅には居心地が悪いからな。 その端末探しの旅に俺も付き合ってやるよ!」

 

 「ホント? バーン!」

 

 「ああ、それにお前への借はちゃんと返して無かったからな。借りを借りっぱなしにするのは俺のプライドが許さねぇからな。」

 

 「でも、帝国の脱走犯が一緒になると、益々帝国軍に狙われそうね!」

 

 「げっ! その声は、まさか、あの時のパキケドスの!」

 

 「共和国軍のリズ・ロックバーグ中尉よ。」

 

 「これまた、おっかねえ人まで入ったものだな。でも、レオたちは俺同様、既に帝国軍に追われている身だ。それに俺のフォックスは帝国軍にいたときとは違う。

 何せ、俺流に改造した最強のゾイド、ブルーシャドーフォックスだからな! いくら帝国軍がどれだけ来ようと敵じゃない!」

 

 「そっ……じゃあ、元帝国軍の実力試させてもらおうかしら……」

 

 「勘弁してくれ。俺はもう軍人じゃないんだよ!」

 

 「そう言えば、レオ! 新しい姿になったライガーの名前どうすんだ? そのままビーストライガーって呼ぶわけにもいかないだろ?」

 

 夕陽の光で黄金に輝くライガーを見たレオは、

 

 「身体が光輝いてる……そうだ、オマエはオレたち皆んなの希望の光になる。

 そうだ! ライジング……ライジングライガーだよ!」

 

 その名前を聞いたサリーは、

 

 「同意します。素敵!」

 

 「ゴールドライガーじゃないのかよ?」

 

 「ライジングだからライちゃんね!」

 

 「おいおい…」

 

 「ライジングでも、ライガーはライガーさ! 行くぞ、ライガー!!」

 

 レオの言葉に応えるようにライジングライガーは力一杯跳んだ。

 

 ガオォ~!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕日の中、プライド摂政は外の様子を見ていた。そこにラスト大佐が現れ、

 

 「ラストか……」

 

 「ネオヘリックに潜入したところ、あの小僧はギャレットの要請を断って、端末探しに出掛けたそうよ。」

 

 「そうか……それなら、奴らを狙いやすくなったそうだな。」

 

 「ただ、例の新型のパキケドスの女と脱走犯の奴まで加わったらしいけど……」

 

 「そこはランドを利用すればいい。あの小僧が共和国に入らず、端末の捜索に出たとなれば、直ぐに動くだろうからな。 ところで、例の進化したライオン種の情報は?」

 

 「ゾイド因子やDNAまでは回収出来なかったけど、新型のパキケドスとやり合ったシミュレーションの情報をハッキングで手に入れたから、幾つか足しになると思うわ。」

 

 プライド摂政はラスト大佐から受け取ったIDを受け取り、

 

 「よくやった。後はゾイド因子と端末の情報、そしてあの小娘のペンダントも手に入れば、万全になる。」

 

 「セードが敗れたのは計算外だったけど、意外と計画通りに事が進んだわね。」

 

 「いずれ、全ての者は恐怖に膝まずき、この世界は変わる。」

 

 第一部ジェノスピノ編終了/第二部オメガレックス編に続く。




 次回予告

 バーンとロックバーグ中尉という新た仲間が加わり、再び端末探しの旅に出掛けるレオたち、そんな中、共和国軍は再び起こる帝国軍との戦争に備え、スナイプテラに対抗する新たな飛行ゾイドの開発と復元に着手していた。
 そして、レオたちは共和国空軍に入隊希望する青年に出会うが、スピーゲル中佐のドライパンサーが襲いかかってきた。

 次回「強襲、ドライパンサー」

 走り抜け、ライガー!!


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第15話「強襲、ドライパンサー」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーが新たな姿を得て進化したライジングライガーの力によって強敵セードとジェノスピノを打ち破り、新たな仲間を加え、再び地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 共和国空軍基地、そこで指揮しているツガミ大尉はかつてのライジングライガーとジェノスピノの戦場跡であるスチールエリアで共和国軍部隊がジェノスピノが落下した海中を捜索している映像を見、スチールエリアにいる捜索隊と通信を開いた。

 

 「どうだ、状況は?」

 

 「駄目です! 残骸1つ見当たりません。」

 

 「時間はいくら掛かってもいい。 見失わない内に捜索せよ!」

 

 「了解しました!」

 

 そこにディアス中佐が入り、

 

 「落ち着かない様子だな。」

 

 「当たり前です! いくら、レオたちの力で倒したとはいえ、あのジェノスピノがあれでくたばるとは思えません。」

 

 「しかし、ジェノソーザーは破壊され、そのまま深海に沈んでいったのなら、いくら生きていても再起は不可能では?」

 

 「甘いですね。中佐! ギレル中尉から話を聞いたんですが、ジェノスピノは硫酸海の深い海底から発掘され、しかもその化石には一切の損傷が無かったそうです。

 それにジェノスピノのことを調べていく内にどうやら、ゾイドクライシスではジェノスピノ以外にも世界の3分の1以上を壊滅させたゾイドの存在の噂もあるそうです!」

 

 「しかし、あくまで仮定では……」

 

 「だからこそ、警戒が必要なんです! ジェノスピノ騒動の張本人であるシーガル元准将は極刑にされ、アルドリッジ元少佐はファングタイガー改を奪われて左遷され、今はクレストウッド大統領とフィオナ皇帝との間で、停戦協定が結ばれてはいますが、帝国がまた戦争を起こすとは限りません!」

 

 「まさか、ギャレット大将から与えられた任務とは……」

 

 「そうです! 新型ゾイドの復元と開発です。実はジェノスピノの捜索と同時にこの地域での発掘作業を行ったところ、帝国軍すら見付からなかった新型のゾイドの化石が発掘されたんです!」

 

 「その化石とは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオヘリックの北方に位置する街でレオたちは休息を取っていた。バーンは端末のことを訪ね、

 

 「で、その端末ってのはどうやって探すんだ?」

 

 「サリーのペンダントでその在りかを調べているが、正確な場所がわからないから、今のところ行き当たりばっかりってことかな。

 でも、俺たちは運がいいから、これまで3つも端末を再起動させたんだぜ!」

 

 「でも、その運もいつまで続くかわかんないぜ。 次はどうするんだ?」

 

 「それは、あのちょっと怖い共和国の姉さんが今、サリーのペンダントで調べているから大丈夫さ!」

 

 「どうだかね。」

 

 バーンが見るとサリーとロックバーグ中尉はペンダントが出す地図のホログラムを調べて次の端末の居場所を探っていた。

 

 「ふ~ん、なるほどね。」

 

 「場所わかるんですか?」

 

 「情報が少ないから、何とも言えないけど、大体の位置はわかるわ。後は正確な位置だけね。

 ただ、問題は端末のある場所が帝国領と禁制地区に多いのがちょっと厄介ね。今は帝国と停戦協定を結んでいるとはいえ、帝国軍が私たちを妨害しないとは考えられないし……」

 

 「禁制地区って何ですか?」

 

 「それは……」

 

 「お願いです! もう一度入隊させてください!!」

 

 「何度言っても駄目だ! 君じゃ、軍人は勤まらん。」

 

 その時、共和国軍兵士に何度も志願する1人の青年がいた。青年は何度も兵士に志願したが、尽く断れている。それを見たレオたちは、

 

 「何だ? あいつは。」

 

 「軍の志願者かしら?」

 

 「何度いっても駄目だ。諦めるんだな。」

 

 「そんな~。」

 

 その青年が気になったレオはその青年の元に駆け寄り、

 

 「どうしたんですか?」

 

 「いや、もう一度空軍に入隊希望をしたんだが、何度も断られて……」

 

 「もしかして一度軍に入ったんですか?」

 

 「実はそうなんだが、何度も失敗続きで、教官にかなり怒られ、終いには、もうお前に無理だとか言わされて、結局止めたんだが、どうしても諦めきれなくて……」

 

 「なるほど、軍に入ったけど、軍の訓練についていけず、一度止めたってことね。 ところで、あなたどうして軍に入ったの? 軍人になりたいような雰囲気は感じられないけど、何か他に別の目的があるとか……」

 

 「実はそうなんだ。俺、世界一の飛行機乗りになるために空軍に入ろうと思ったんだ。」

 

 

 「俺はレオ、レオ・コンラッド!」

 

 「俺はジェイク、ジェイク・ラモン。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 共和国空軍基地で、ツガミ大尉はディアス中佐を基地の近くにある発掘施設に案内した。そこにはクワーガに似た化石が大量に発掘された。

 

 「この化石がどうかしたのか?」

 

 「気付きませんか? この化石、一見クワーガの化石に酷似していますが、実は綿密な調査をした結果、クワーガの亜種だということが判明しました! それも通常のクワーガを上回る性能を持つとのことです。」

 

 「通常のクワーガを上回る亜種だと……」

 

 「調査によると、この亜種には樹液を体内で結晶化させた未知なる金属、アンバー素材を生み出す能力を持ち、そのアンバー素材には破損してもものの数分で再生する自己修復能力が備わっているとのこと。そして、我々はこの亜種をクワガノスと名付けました。」

 

 「まだこんなゾイドがいたとは……」

 

 「驚くのはまだ早いです。実はこの基地の近くにある内陸部の峡谷地帯にある洞窟にも新種のゾイドを発掘しました。」

 

 「何!?」

 

 ツガミ大尉が更に案内すると、そこにはギルラプターに似た未知のゾイドが化石だった。

 

 「これは?」

 

 「クワガノスと共につい最近発掘された化石です。形状はギルラプターに酷似していますが、足の爪や両前足の形状が全く異なり、ギルラプターから分岐した別種のゾイドの化石だということが判明しました。」

 

 「ギルラプターから分岐したゾイド……」

 

 「ディアス中佐は始祖鳥というのをご存知ですか?」

 

 「名前だけなら……」

 

 「ゾイドクライシス後に残った地球の文献によると、一億年前、小型の獣脚類から進化した鳥類の始祖ともいえる生物で、この化石もそれと同様にゾイドクライシス後の環境に適応するために独自の進化を遂げた飛行ゾイドらしいです。」

 

 「新たな飛行ゾイド……」

 

 「本来なら、このゾイドのライダーは、以前のスチールエリア戦でギレル中尉の乗っていたスナイプテラに乗ったディアス中佐にして欲しいとギャレット大将から要請しておりますが……」

 

 「それは無理だな。あの時、ジェノスピノの侵攻を止めるために一時、スナイプテラに乗ったが、やはり私には飛行ゾイドは向かない。」

 

 「そう言うと思いましたよ。実はこれから復元されたばかりのクワガノス3体で演習を行い、その内どちらかの成績が良かったら、そのライダーを新型飛行ゾイドのライダーに指名しようとしているのです。」

 

 「なるほど、それはいいな。」

 

 「良ければ、ディアス中佐もどうですか?」

 

 「そうだな。私もその演習を見させて貰おう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオゼネバスシティにあるプライド摂政の別荘、プライド摂政に呼ばれたスピーゲル中佐はプライド摂政のいる個室に入った。

 

 「只今、到着致しました。元帥閣下。」

 

 「よく来てくれた。」

 

 「それで、私に何の御用でしょうか?」

 

 「実は共和国軍が我が帝国と停戦協定を結んでいるにも関わらず、新型の飛行ゾイドを開発しているという情報が入った。しかもその上、そのゾイドで軍事演習も行っているそうだ。

 これは停戦協定に違反した我が帝国への宣戦布告だ。直ちにその基地を破壊せよ!」

 

 「はっ!」

 

 命令を受けたスピーゲル中佐が部屋を退出し、

 

 「今の命令どうせ建前でしょう。」

 

 「当然だ! 私の狙いはあくまであの新型のライガー。お前が入手したシミュレーションだけではまだ物足りない。

 もっと戦闘情報を集め、そのゾイド因子と遺伝子を得なければ、我々の計画に役に立たんし、第一、共和国軍の新型の飛行ゾイド等、興味はない。それに帝国軍がスナイプテラを開発して以来、制空権はほとんど帝国軍が独占していたからな。

 少しでも共和国も新戦力を出してくれないと、両国の軍事バランスが均一にならないからな。」

 

 「問題はあの小僧が誘いに乗るかしら? あのパキケドスと裏切りのガトリングフォックスも加わったらしいし……」

 

 「心配はいらん。あの小僧は共和国と帝国の小競り合いに何かと手を突っ込んできたからな。

 それにスピーゲルはあのライガーと戦いたがっていた。後は奴がライオン種との戦闘情報を集められるかだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジェイクはレオたちを自分の家まで案内した。そこには地球のそれぞれの時代にあった飛行機の模型が多くあった。それを見たレオは、

 

 「凄いこんなに飛行機がいっぱい!」

 

 「俺の趣味で作ったんだ。まあ、こう見えても全部模型だけどね。」

 

 興味津々に見るレオは浮遊する羽のようなものを見付けた。

 

 「これは?」

 

 「ああ、それはつい最近見付けたもので、確か……」

 

 「マグネッサーウィングね!」

 

 「え? サリー、知ってるの?」

 

 「ええ、マグネッサーウィングにはマグネッサーシステムは磁気により浮力を発生させるシステムが搭載されて、惑星Ziの飛行ゾイドはこのマグネッサーシステムのおかげで空を飛べるようになっているの!」

 

 「へぇ~、サリー、よく知っているね。」

 

 「お爺さんから聞いたの。」

 

 その時、サリーは一際大きい飛行機を見付け、

 

 「これは何ですか?」

 

 「それは20世紀に最初に飛行機を開発したライト兄弟っていう人たちが初めて作った飛行機をボクなりにアレンジして作ったんだ!」

 

 「へぇ~、地球で最初に作られた飛行機ってこんな形なんだ。」

 

 「素敵! 惑星Ziにもこんな飛行機見たことないわ。」

 

 「もしかして、これって、飛べるんですか?」

 

 「飛べるは飛べるんだけど、どうも幾つか不具合が生じちゃって、まあ、失敗作ってとこかな……」

 

 「おいおい、てことは一度も空飛んだことないってことじゃねぇか。」

 

 「そうだけど、地球では失敗は成功もとっていう諺があるように努力すれば、いつかはその夢が叶うから、だから、俺は諦めずに頑張っているんだ!」

 

 「ジェイク……」

 

 その時、外から騒音のような音がした。

 

 「何だ? この音は。」

 

 「もしかしたら、何かが通った音かも。」

 

 レオたちがジェイクの家から出ると、空に数機のクワガノスが飛行していた。

 

 「何だ? あのゾイド。クワーガか?」

 

 「似てるけど、少し違うわね。もしかしたら新型のゾイドかも。」

 

 「へぇ~、共和国軍の奴ら、今までスナイプテラを持つ帝国軍にいい目見ないように遂に新型ゾイド開発したのか、これは中々見物だな。」

 

 クワガノスを見たサリーは感動した表情をし、

 

 「綺麗。」

 

 「そうだね。」

 

 

 しかし、それを深い森の中で、スピーゲル中佐の乗るドライパンサーが見ていた。

 

 「ほぅ、あれが共和国軍の開発した新型の飛行ゾイドか。あれで我が帝国軍にどれだけ立ち向かえるのか知らんが、少し試してやるか。」

 

 ドライパンサーは飛行している3機のクワガノスに向かってサイレントガンを放った。 サイレントガンでウィングを撃ち込まれ、飛行が困難になる3機のクワガノス、

 

 「どうした!?」

 

 「わかりません! 突然ウィングが破壊されました!」

 

 「破壊されただと!? 整備は万全のはずだが、まさか、何者かの砲撃か?」

 

 不安定な動きをする3機のクワガノスを見たレオたちは、

 

 「おいおい、あのゾイドヤバイんじゃないか?」

 

 「確かにあの高度で落下するのはかなり危険ね。アイセル少佐! 直ぐにあのゾイドと兵士の救出に向かうわよ!」

 

 ロックバーグ中尉はパキケドスBRに乗って、その場に向かう中、

 

 「一応、階級は私の方が上なんだけど……」

 

 渋々ながら、アイセルもラプトリアでクワガノスの落下地点まで行った。その時、ライガーが何か感じ取ったかのように低く唸り、

 

 「どうした? ライガー。」

 

 ライガーは何かを睨み付けるように向こうを向いていた。それを見たレオは、

 

 「もしかしたら、さっきのゾイドの異変は誰かがやったのか! 俺、ライガーと一緒にちょっと見てきます!」

 

 レオはライガーに乗り込み、

 

 「お、おい、待て、レオ! たく、ホントしょうがない奴だな。」

 

 「一応、俺も行ってこようか?」

 

 「頼みますよ、バーンの旦那!」

 

 「すみません、バーンさん、私も一緒に連れていってくれませんか?」

 

 「それは別に構わんが……一体どうしたんだ?」

 

 「心配なんです。レオとライガーが……」

 

 「あれ、君、もしかしてレオのこと好きなのか?」

 

 「そういうことではないんですが……」

 

 「ま、動機はどうあれ、確かにレオとライガーに危険が及ばないとは限らないからな。いいぜ、俺と一緒にフォックスに乗りな。」

 

 

 

 

 

 

 森の中を突き進むライガー、ライガーは匂いを嗅いで辺りを見渡すが、気配がない。

 

 「おかしい。確か、ここのはずなんだが……」

 

 その時、茂みの中から突然砲撃され、ライガーは咄嗟の判断で回避した。

 

 「今のは……やっぱり誰かがやったんだ。」

 

 ライガーは砲撃した方向に向かおうとするが、背後からも砲撃がし、ライガーはその攻撃を受けてしまう。

 

 「何!? いつの間に後ろに!」

 

 影から砲撃したのはドライパンサーだった。

 

 「現れたな。ジェノスピノを倒した例のライガー、だが、俺のドライパンサーに気付かないのを見ると、やはり、ステルス性能を見破ることまでは出来ないようだな。」

 

 更に先回りしてサイレントガンで砲撃するドライパンサー、銃撃音がしないため、正確な位置を把握できないレオ、

 

 「くそ、一体何処から攻撃してきたんだ?」

 

 その時、ライガーが地面を嗅いだ。その動作を見たレオは、

 

 「ライガー……そうだったな。もう一度見せてくれ。 お前の本能を!」

 

 匂いを頼りに茂みに飛び込んだ時、影からドライパンサーが現れた。

 

 「あれは……あの時の新型ゾイドか!」

 

 「ほぅ、少しはやるようだな。」

 

 「もしかして、お前がさっきの共和国ゾイドを撃墜させたのか!?」

 

 「そうだ。共和国の新型飛行ゾイドを破壊するという摂政閣下の命を受けて、ここに来たのだが、まさか、ジェノスピノを倒したライガーがここに来たとはな! ジェノスピノを倒したその実力見させてもらうぞ!」

 

 再び茂みの中に隠れ、サイレントガンを撃ち込むドライパンサー、ライガーはさっきの砲撃で匂いを覚えたため、その砲ドライパンサーの位置がわかり、その砲撃を回避し、直ぐに隠れた場所に攻撃した。

 しかし、ドライパンサーはその攻撃を予測したかのようにその攻撃を回避する。

 

 「ふっ、思ったよりやるな。だが、このドライパンサーはステルスだけでなく、機動性も高いんでな!」

 

 スピーゲル中佐が得意気に言った後、ドライパンサーはサイレントガンを撃ちながら、シャドウクローでライガーに攻撃した。

 

 「くっ!」

 

 「これで終わりと思うなよ。 ドライパンサー、兵器 解放! マシンブラストー!! ドライスラッシュ!」

 

 マシンブラストを発動し、A-Zドライブレードを展開し、ライガーに突っ込むドライパンサー、ライガーは何とかそれを避けるが、ドライパンサーはその身のこなしで、続けて攻撃した。

 

 「うっ! 思ったよりかなり強い相手だ。」

 

 「どうした? 貴様の力はそんなものか!」

 

 サリーを乗せたフォックスはライガーの元に着き、そこではライガーがドライパンサーの攻撃に翻弄されていた。

 

 「レオ!」

 

 「あいつはあの時の新型ゾイドか!」

 

 「バーンさん、レオとライガーを助けて。」

 

 「おう! あのやろうにあの時の借りを返してやる。」

 

 フォックスがドライパンサーに攻撃しようとしたその時、茂みから何体かの帝国仕様の黒いラプトールが攻撃してきた。

 

 「ちっ、新型ゾイド一体だけじゃなかったのか!」

 

 帝国仕様のラプトールはその身のこなしと追加されたステルス性能でフォックスに襲いかかってきた。

 

 「どうやら、帝国軍も戦力を増強してきやがったな!」

 

 墜落した3体のクワガノスの元に向かったロックバーグ中尉とアイセルはライダーの救出に入った。

 

 「大丈夫?」

 

 「ああ、心配ない。」

 

 「リズ、そっちは?」

 

 「大丈夫よ。クワガタ種ゾイドのの飛行能力で被害は最小限に抑えられたから、大したことはない。」

 

 「このまま基地まで運ぶわよ! アイセル少佐、手伝って!」

 

 ジェイクも後を追って3体のクワガノスを見つける。

 

 「あれが飛行ゾイド……あれに乗ることが出来れば……」

 

 その時、爆音がし、ジェイクがふと向こうを見ると、ライガーはドライパンサーに苦戦していた。レオとライガーを助けたくともゾイドがいないため、助けにいくことが出来ない。

 

 「レオが危ない……」

 

 少し悩んだが、辛うじて飛行可能な一体のクワガノスを見たジェイクは決心したような表情をし、そのクワガノスの元に向かった。

 

 「このゾイドはまだ動ける?」

 

 「一体は辛うじて飛行は出来るが、低空飛行しか出来ないし、残りの2体は飛行は出来なくなったが、歩くことは出来る。」

 

 「よし、なら、このまま歩いて基地まで行くわよ。」

 

 しかし、その時、一体のクワガノスが動き、そのままライガーの元に向かった。

 

 「な! 一体誰が!? (ライダーの兵士は全て救出した。今のクワガタ種ゾイドに誰も乗っていない、もしかして、自力で、または誰かが?)」

 

 

 

 

 

 

 「ライジングライガー、進化 解放! エヴォブラストー!! ライジングバーストブレイ……」

 

 エヴォブラストを発動し、ドライパンサーを攻撃するも、ドライパンサーはシャドウシールドで弾き、ライガーを吹っ飛ばした。

 

 「うわぁっ!」

 

 「確かにそのライガーの性能は高い。おそらく、俺のドライパンサーより遥かに上だ。 だが、戦闘経験は丸っきりの素人だ!

 俺はツガミ大尉のステゴゼーゲ改に敗れた後、あらゆる戦闘を経験し、中佐にまで登り詰めた。

 いくら、ゾイドの性能が高くとも、軍人でもない丸腰の民間人じゃ、話にならない。だが、帝国のゾイドに乗れば、更に性能は上がるかもしれないな。」

 

 それを聞いたレオは拳を握りしめ、

 

 「ふざけるな! ライガーは俺の相棒だ! 帝国軍の手には渡さない!!」

 

 「だったら、この俺を倒してみろ! ドライスラッシュ!!」

 

 ライガーは攻撃を避けようとするも、ドライパンサーの凄まじいスピードに付いていけず、諸に喰らってしまう。

 

 「うわぁっ!」

 

 「やはり、素人の民間人だとこの程度か……まあ、いい。フィニッシュを決めてやる。ドライスラッ……」

 

 「うわぁー!!」

 

 その時、横からクワガノスが攻撃し、ドライパンサーはそれを避けた。

 

 「何!? まだ、動けたのか! あのゾイド。」

 

 「あれは……」

 

 「レオ、大丈夫か!?」

 

 クワガノスのコクピットには耐Bスーツを着用したジェイクが乗っていた。

 

 「ジェイク、どうして?」

 

 「へへへ、お前だけ戦わせる訳にはいかないと思って。」

 

 「ジェイク……」

 

 「また、素人の民間人か。随分舐めた真似してくれるな。なら、貴様から始末してやる! ドライスラッシュ!!」

 

 「うおっ!」

 

 ドライパンサーがシャドウシールドでクワガノスを切り裂こうとするも、ギリギリで交わすクワガノス、しかし、ドライパンサーのスピードに翻弄され、交わすのが背一杯だった。

 

 「ジェイク! ワイルドブラストだ! ワイルドブラストを発動するんだ!」

 

 「む、無理だ。 俺はまだ三等兵までだったから、ワイルドブラストを発動させる訓練までは受けてはいない。だから、ワイルドブラストの発動の仕方まではわからないんだ。」

 

 「そんな……」

 

 「ふっ、身の程知らずとは正にこのこだな。まあ、いい。痛みを感じないくらいに一瞬で片をつけてやる。」

 

 ドライパンサーはサイレントガンを撃ち込み、その砲撃がクワガノスに命中し、遂に落下してしまう。

 

 「ジェイク! くそ、ライガー、早く助けるんだ!」

 

 ライガーは力を振り絞って立ち上がろうとするが、ドライパンサーの攻撃の影響で中々立ち上がれなかった。

 

 「これで終わりにしてやる。 ドライスラッシュ!!」

 

 ドライパンサーがクワガノスに迫り来た。

 

 「くそ、やっぱり、俺には無理なのか! 俺には飛行機乗りになることも、 ゾイドに乗ることも……」

 

 その時、突然、クワガノスの目が光り、その直後、ジェイクは何もしていない状態で、クワガノスは自力でエヴォブラストを発動した。

 

 「え?」

 

 「何!? ワイルドブラストを発動した! だが、今さら、遅い! このドライパンサーの攻撃からは逃れん!!」

 

 「何が起こったのか、わからないけど、とにかくやれってことだな。いくぞ、クワガノス! ええと……技はアンバージョー!」

 

 「ドライスラッシュ!!」

 

 ドライパンサーのシャドウシールドの刃がクワガノスを捕らえたその時、クワガノスは跳躍し、くるりと向きを変え、ドライパンサーの足を切り裂いた。

 

 「何!?」

 

 「スゲェ! やったぞ! あいつにダメージを喰らわせた!!」

 

 「それがどうした? たかが、一発喰らっただけで何も問題はない!」

 

 「今だ! いくぞ、ライガー!」

 

 「馬鹿め! 同じ攻撃が2度も食らうわけが……」

 

 しかし、避けようとするも、ドライパンサーは足を挫いてしまった。

 

 「なっ! まさか、さっきの攻撃で……」

 

 「ライジングバーストブレイク!!」

 

 ライガーの攻撃を避けきれず、ドライパンサーは片方のシャドウシールドを破壊された。

 

 「ぐっ! まさか、この俺のドライパンサーにダメージを負うとは……ん?」

 

 その時、ドライパンサーのコクピットの暗視スコープから多数のゾイド反応が出た。

 

 「ちっ、どうやら、共和国軍の連中が来てしまったようだな。配下のラプトールの反応も全て消えたし、これ以上戦闘を続けたら、不味いことになる。

 一時撤退だ。小僧! 今日のところは俺の負けにしてやる。だが、次はこうはいかんぞ!」

 

 そう言って、ドライパンサーはその場を去った。そこにラプトール隊を全滅させたフォックスとパキケドスBR、ラプトリアがついた。

 

 「レオ!」

 

 「サリー、どうしてここに?」

 

 「サリーがお前のことが心配で、俺とフォックスが連れていってやったのさ。」

 

 「そうだったのか。俺は大丈夫だよ! サリー。」

 

 ラプトリアから降りたアイセルとロックバーグ中尉はジェイクの元に駆け寄り、

 

 「全く、何てことをするの! こんなことしたら、あなた処罰されて当然よ!」

 

 「ご免なさい。つい……」

 

 「ついで許されることではないわ!」

 

 ジェイクがアイセルに叱られる中、ディアス中佐とツガミ大尉ののるトリケラドゴス改とステゴゼーゲ改率いる共和国部隊が到着した。

 

 「そうか……また君に助けられるとはね。感謝するよ。レオ。」

 

 「俺は大したことはありません。」

 

 「ところで、君、ジェイクと言ったね?」

 

 「は、はい!」

 

 「まさか、まだ試運転のクワガノスをワイルドブラストさせるとは思わなかった。どうだろう? もう一度共和国軍に入隊してくれないか?」

 

 「え?」

 

 「ほ、本気ですか!? 中佐!」

 

 「どうやら、彼には未知の力があるかもしれない。上手く行けば、まだ復元されていない新型飛行ゾイドのライダーになれるかもしれない。」

 

 「し、しかし、どうですかね?」

 

 「中佐、彼を再入隊させるには細心の注意を払わなければなりません。彼は少々デリケートなので。」

 

 ロックバーグ中尉の忠告に慌てたジェイクは、

 

 「ち、ちょっと俺はそんなんじゃ……」

 

 「まあ、いいじゃねぇか! これでやっと飛行機乗りの第一歩になったぞ!」

 

 「おめでとう。ジェイクさん。」

 

 「応援しているよ、ジェイク!」

 

 「レオ……よし、俺やるよ!」

 

 バズやサリー、レオの言葉を聞いてやる気を出したジェイク、しかし、そこから少し離れた場所でユウトがその様子を見ていた。

 

 「ライジングライガー……スピーゲル中佐のドライパンサーまで倒したのか。だけど、お前を倒すのはこの僕だ。この僕の手で!」

 

 ユウトの背後には巨大なランスを装備したハンターウルフ改の姿があり、その巨大ランスの先の槍が次の戦いを暗示するかのように光った。

 

 To be continued




 次回予告

 サリーのペンダントを頼りにゾイドクライシスによって廃れた市街地に辿り着くレオたち、そこには帝国軍、共和国軍が立入をタブーとしている禁制地区で、ゾイドクライシス時に何が起こったかを記す資料等が多く残っていた。
 だが、その時、ランド博士の一向もその地に訪れ、メルビル少尉の乗るギルラプター改と更に強化されたユウトのハンターウルフ改が再びレオとライガーに襲いかかる。そんな中、レオとはぐれたサリーはあるものを見つける。


 次回「導ク光 禁断ノ地」

 走り抜け、ライガー!!


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第16話「導ク光 禁断ノ地」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーが新たな姿を得て進化したライジングライガーの力によって強敵セードとジェノスピノを打ち破り、新たな仲間を加え、再び地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 プライド摂政の別荘、スピーゲル中佐のドライパンサーがレオのライジングライガーに敗れたことをラスト大佐はプライド摂政に報告した。

 

 「スピーゲルによると、民間人の乗った共和国の新型飛行ゾイドの妨害を受けて敗れたそうよ。」

 

 「つまり、一対一でドライパンサーに勝った訳ではないということか……

 出来れば、一対一での対決なら、あのライガーの有力な戦闘情報が手には入れたはずなのだがな。」

 

 「となると、あの小僧とライガーを他の連中から完全に引き離す必要があるわね。」

 

 「ところで、ユウトはどうした?」

 

 「ハンターウルフ改を強化された後、メルビルという小娘の乗るスナイプテラに乗ったランドと共に端末探しに入ったそうよ。」

 

 「場所は?」

 

 「エリア99」

 

 「禁制地区に入ったのか……あそこは謂わば神の領域だ。その領域に入るとは身の程知らずもいいとこだ。」

 

 「どうする? この際、あの小娘の乗るスナイプテラを撃ち落とそうかしら。」

 

 「いや、待て。ユウトはまだ奴を尊敬している。ここで奴を始末するような真似をしたら、ユウトは我々に対する忠誠心を無くし、我々に牙を向くことになるだろう。」

 

 「でも、奴を野放しにするのは少々厄介よ!」

 

 「そうでもない。どうやら、スピーゲルからの報告によると、あの小僧共もエリア99の近くにまで来ているそうだ。それを利用する。」

 

 「なるほど、奴らとやりあわせるわけね。」

 

 「ユウトはあのライガーを倒したがっている。あの2体をやりあわせれば、有力な戦闘情報が確実に手に入る。」

 

 「けど、問題はランドね。奴に禁制地区の情報まで与えるわけにもいかないし……」

 

 「その工作はお前に任せる。彼処には例の遺産があるかもしれん。何としても奴より先に手に入れるのだ。」

 

 「了解。」

 

 部屋を退出したラスト大佐はステルス仕様のスナイプテラ3Sに搭乗し、エリア99に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ランド博士はメルビル少尉の乗るスナイプテラインペリアルガードの口内のシートに乗り、インペリアルガードはランド博士がファングタイガー改やハンターウルフ改の他に改造したゾイドであるギルラプター改も運搬していた。禁制地区と呼ばれるエリア99に近付き、発信器を見たランド博士は、

 

 「反応が強い。やはりあの未開の地に何かあったようだな。メルビル少尉、直ぐに離陸準備にかかれ!」

 

 「はいっ! お父様。」

 

 スナイプテラインペリアルガードを操縦しているメルビル少尉は少し不安そうな表情で外を見ていた。

 

 「何だか、怖い……」

 

 そして地上では、ユウトの乗るハンターウルフ改がスナイプテラインペリアルガードに付いていった。

 

 「ここにライガーが来たら、必ず倒す。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 端末を探しにサリーのペンダントを頼りにレオたちは新たな地に立ち寄った。それはゾイドクライシスによって崩れた道が塞がっている巨大な橋だった。

 

 「うひょ~、まさか、こんなデカい橋があったなんて!」

 

 「あれはゴールデンゲートブリッジ。21世紀の大国のアメリカが誇る巨大な橋よ。」

 

 「へぇ~、ロックバーグさん、そんなことまで知っているんですね。」

 

 「地球に住むためにこういうことを学ばなきゃいけないからね。」

 

 「でも、橋は完全に途切れているから、この先は進め無さそうだ。」

 

 「それに橋の向こう側は禁制地区に当たるし……」

 

 「ロックバーグさん、禁制地区ってなんですか?」

 

 「帝国軍、共和国軍が定めている立入禁止区域のこと。詳しいことまでは知らないけど、数年前、帝国と共和国の両国の軍が領土拡張のためにその領域に入ったところ、突然、通信が途絶え、足を踏み入れた兵士が誰1人戻って来なかったらしいわ。

 辛うじて生き残った者もいたけど、既に精神崩壊していて、何が起こったのか聞き出せず、僅かに残った映像でも何者かに食いちぎられたゾイドの残骸しかなかったそうよ。」

 

 「うぇ、マジかよ!」

  

 「それ以来、その領域は禁制地区とよばれ、立入禁止区域になったけど、どういうわけか、その領域は年々拡張していって、帝国、共和国の領土まで削っていって、今では世界の半分近くまでいっているそうよ。」

 

 「ゲェッ! じ、じゃあ……ここは引き下がろうか。」

 

 「でも、ペンダントにはこの先に反応があるから、通らないわけにはいかないし……」

 

 「かといって、禁制地区に足を踏み入れるのはかなり危険よ。」

 

 「そういうことなら、俺に任せろ!」

 

 自身満々に声を上げたのはバーンだった。

 

 「俺のフォックスは光学迷彩付きのステルス性能のゾイドだ! いくら彼処にどんな敵がいようと、俺のフォックスをそう簡単に捕らえることは出来ないはずだ!」

 

 「禁制地区にいる敵は未知数だけど、確かにこのメンバーの中ではあなたのフォックスが一番適任ね。」

 

 「よし、そうと決まれば、早速サリーを乗せて端末の場所まで向かってやる。」

 

 「ち、ちょっと待てよ! バーン、何でまたサリーをフォックスに乗せなきゃならないんだよ!」

 

 「いくら、ジェノスピノを倒したライジングライガーだからって、ステルス能力のないライガーで行ったら、危険が多いだろ?」

 

 「で、でも……」

 

 「あれ~? もしかしてレオ、サリーを乗せた俺に嫉妬しているのか?」

 

 「そっ! そんなんじゃないって!!」

 

 「レオ、私もバーンさんに賛成です。これ以上レオを危険な目に逢わせたくないから。」

 

 「さ、サリーがそこまで言うなら……」

 

 「よし、決まりだな! では、教官! よろしいですか?」

 

 「ロックバーグ中尉よ! 知っていると思うけど、彼処は未開の地だから、へまをやらかすようなことはしないことね。

 一応、私とレオはいつでも出撃できる準備をするから、もし、万が一のことがあったら、直ぐに救援に来るわ。」

 

 「わかってるよ! よし、サリー! 俺と一緒に乗り込め! フォックス、行くぞ!!」

 

 バーンとサリーはフォックスに乗り込み、橋を飛び越えた後、フォックスは光学迷彩で姿を隠し、そのまま禁制地区の森の中に入って行った。

 

 「アイセル少佐、あなたも出撃できる準備をしなさい!」

 

 「はっ! はい……(てか、私また命令されているんだけど)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スナイプテラインペリアルガードから降りたランド博士は発信器を見、

 

 「反応は彼処だな。メルビル少尉、私はユウトと共に端末の捜索に入る。君は私のギルラプター改で見張っていろ!」

 

 「え? しかし!」

 

 「心配することはない。彼だけで十分だ。ゆくぞ! ユウト。」

 

 「はいっ! 博士。」

 

 ユウトは大人しく従い、ハンターウルフ改に乗ってランド博士に付いていった。

 

 「お父様……ユウト……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フォックスは光学迷彩を発動しながら、森の中を捜索していた。

 

 「見たところ、何処にも敵らしき影はいないが、ホントにそんな奴が現れるのか?」

 

 「でも、何だか嫌な予感がします。」

 

 「サリー、ペンダントの反応はどうだ?」

 

 「この先を進めば、着くと思います。」

 

 「よし、このまま前進するぞ。」

 

 サリーのペンダントの反応を頼りにフォックスは深い森の中に入っていった。その時、突然行く手に霧が現れ、目の前の視界を遮った。

 

 「何だ? 霧か……こんなところに霧が発生するなんて。」

 

 フォックスは慎重に霧の中に入っていくが、突然、横から何か跳んできた。フォックスは間一髪で避け、跳んできた物体は反対側の霧の中に入った後、爆発した。

 

 「うおっ!」

 

 「きゃあぁ~!!」

 

 「何だ? 今のは……まさか、帝国軍か?」

 

 その時、周囲の霧の中多数のジャミンガが現れ、一瞬の内にフォックスを取り囲んだ。

 

 「な、何だ? 何だ! 何でいきなりこんな大量のジャミンガが現れるんだよ!? しかもフォックスの姿が見えるとでも言うのか?」

 

 「バーンさん……」

 

 「心配するな。ジャミンガ程度なら、このぐらいどうってことねぇよ! 一瞬で片をつけるぞ! フォックス!」

 

 ヴォ~!!

 

 「ブルーシャドーフォックス、進化 解放! エヴォブラストー!! ファントムガトリング!」

 

 エヴォブラストを発動したフォックスは全方位にガトリングを放ち、一瞬にして大量のジャミンガを殲滅した。

 

 「へへ、いくら数でこようが、所詮俺とこのブルーシャドーフォックスの敵じゃねぇぜ!」

 

 しかし、その時、突然空中から爆弾が投下され、フォックスはそれを諸に直撃して爆破により、吹っ飛ばされた。

 

 「ウワァッ!!」

 

 「きゃあぁ~!!」

 

 爆弾を投下させたのはラスト大佐の乗るスナイプテラ3Sだった。

 

 「フフ、地上の相手ばかりに気をとられすぎて、空中の敵までは予測出来なかったようね さて、これであの例のライガーが動くだけね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴールデンゲートブリッジで待っていたレオはライガーと共に何か感じとり、同時に爆音が聞こえた。

 

 「今のは……」

 

 「もしかして、バーンとフォックスに何かあったのかしら?」

 

 「サリーが危ない。俺ちょっと見てきます。行くぞ、ラライガー!」

 

 ガオォ~!!

 

 サリーのことが心配になったレオはライガーと共に真っ先に橋を飛び越え、禁制地区の森に入っていった。

 

 「たく、しょうがないわね。アイセル少佐、あなたはここでバズを守りなさい! もし何かあったら、共和国軍に応援を!」

 

 「了解しました! (て、また私命令されてる……)」

 

 ロックバーグ中尉のパキケドスBRも後を追って、橋を飛び越え、森の中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 森の中でランド博士についていくユウトは何か感じ取った。

 

 「どうした? ザナドゥリアス少尉。」

 

 「何か近付いてきます。」

 

 「この禁制地区にいるという正体不明の存在か、それとも別の何かか?」

  

 「僕ちょっと見てきます。」

  

 そう言うと、ユウトとハンターウルフ改は向こう側に走っていった。

 

 「ふん、まあ、いい。反応は直ぐ近くだ。端末さえ見付かれば、それでいいのだからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時にスナイプテラインペリアルガードの付近で見張りをしていたメルビル少尉も爆音に気付き、

 

 「この音……もしかしてお父様とユウトに何か……」

 

 ランド博士とユウトのことが気掛かりになったメルビル少尉はギルラプター改に乗ってその場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライガーは森の中を走り、レオは必死に辺りを見渡してサリーを探した。

 

 「サリー、一体何処にいるんだ?」

 

 その時、巨大な槍のようなものがライガーに襲いかかってきた。ライガーは咄嗟の判断でそれを回避し、その後、静かに唸り声を上げた。

 

 「ライガーがこんなに警戒しているってことは……まさか!」

 

 その時、影から現れたのは巨大なランスを装備したハンターウルフ改だった。

 

 「あのハンターウルフ……ということは……」

 

 「また、会ったね。」

 

 「その声はユウト!」

 

 「それがジェノスピノを倒したという進化したライガーか?」

 

 「ああ、そうだ! だけど、お前に渡すつもりはない!」

 

 「渡す? 欲しいのはライガーそのものじゃないよ。ライガーの情報さ!」

 

 「情報?」

 

 「博士は端末の力で進化したっていうライガーの情報を手に入れて、新たな研究材料にするつもりなんだ。だから、わざわざライガーを捕獲するまでのことはしない。

 それに僕は博士に僕の力を見せるためにお前を倒すことを決めた。最強ゾイドであるジェノスピノを倒したそのライガーを倒せば、僕が最強になる。」

 

 ハイパーブースターで加速してハンターウルフ改はガトリングを撃ち込みながらライガーに襲いかかってきた。ライガーは以前の戦いの経験故、その攻撃を難なく回避した。

 

 「前よりやるようになったね!」

 

 「くっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 森の中を走っていくパキケドスBR、

 

 「レオ、一体何処に行ったの?」

 

 そこにギルラプター改に乗るメルビル少尉がパキケドスBRを見つけた。

 

 「あれは共和国軍の新型ゾイド! 」

 

 霧の中から現れたのは両腕に対空速射砲を装備したグレー色のギルラプター改が現れた。コクピットにはメルビル少尉が乗っていた。

 

 「Z-Oバイザー……ということは帝国のゾイドね。」

 

 「ここから先は通さない! 博士の、お父様の邪魔はさせないわ!」

 

 「随分威勢がいいじゃない! でも、私はそんなに甘くないわ。」

 

 ギルラプター改はパキケドスBRに対空速射砲を撃ち込むが、パキケドスBRは瞬時に避け、対空速射砲を撃ち、更にマニューバミサイルも撃ち込んだ。それで一旦怯むが、パキケドスBRの突進を避けるギルラプター改、

 

 「思ったよりやるわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 謎の霧からの攻撃を受けた衝撃で、フォックスは崖下で倒れていた。倒れているフォックスのコクピットで、バーンは目を覚ました。

 

 「いてて……くそっ! 一体何だったんだ? サリー、大丈夫か? ん?」

 

 後ろを見ると、そこにサリーの姿はなかった。

 

 「まさか、さっきの爆発の影響で、コクピットから飛ばされたのか!? 不味いな。行くぞ! フォックス! 急いで探しに向かうぞ!!」

 

 立ち上がったフォックスはサリーを探しに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スナイプテラ3Sの爆弾投下による爆発の衝撃で、フォックスのコクピットから出されたサリーはフォックスよりかなり離れた場所で倒れていた。

 

 「うっ……いたっ!」

 

 攻撃の衝撃で受けた痛みで目を覚め、傷付いた左手を塞ぐ。辺りを見渡すとそこにフォックスの姿はなかった。

 

 「バーンさん……早く、バーンさんのところに……」

 

 その時、サリーのペンダントの光が強くなった。

 

 「反応が強い。もしかして、この先に端末が?」

 

 サリーはペンダントの指し示す方向に向かって走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 「弾丸鈍破!!」

 

 パキケドスBRの弾丸鈍破とギルラプター改のウィングショーテルがぶつかるが、力はパキケドスの方が有利であり、パキケドスの頭突きの衝撃で倒れるギルラプター改、

 

 「キャアァー!!」

 

 「そろそろ限界のようね……戦いを続けるつもりがないなら、大人しく道を明け渡しなさい!」

 

 「出来ないわ! 博士……いや、お父様の研究の邪魔をさせるわけにはいかないわ!」

 

 「そっ……なら、残念ね。 でも、これ以上、私たちに立ち塞がるなら、容赦はしないわよ!」

 

 「うっ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハンターウルフ改の攻撃を回避するもハイパーブースターによる加速と巨大ランスの攻撃に翻弄されるライガー、

 

 「前はわざわざマシンブラストを発動しなくても君を倒すことくらい容易だったけど、今度は本気を出してもよさそうだ。いくぞ、ハンターウルフ!

 ハンターウルフ、兵器 解放! マシンブラストー!! ソニックシックル!」

 

 「くっ!」

 

 何とかそれを避けるライガー、

 

 「ならば、こっちもいくぞ、ライガー!」

 

 ガオォ~!!

 

 「ライガー、進化 解放! エヴォブラストー!!」「ソニックシックル!」「ライジンガンスラッシュ!」

 

 ハンターウルフ改のレゾカウルから放たれた刃をタテガミショットで迎撃するが、ハンターウルフ改は尚もライガーに迫り、前足でライガーを攻撃した。

 

 「うっ!」

 

 「どうした? その程度かい!」

 

 「ならば、ライジングバーストブレイク!!」

 

 「ソニックシックル!!」

 

 互いのワイルドブラスト技がぶつかり合い、その衝撃で二体とも飛ばされるが、ハンターウルフ改は即座にハイパーブースターで加速し、ガトリングをライガーに撃ち込みながら、前足でライガーを攻撃した。ライガーも前足で応戦するが、ハンターウルフ改は瞬時に後ろに回り、ライガーを突き飛ばした。

 

 「ウワァッ! くっ、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ペンダントの指し示す方向を歩いていき、見付けた先には宇宙船のようなものの残骸が目の前に現れた。その宇宙船は数百年は経っているかのように古び、至るところが破壊されていた。

 

 「この船は……」

 

 サリーはその宇宙船に見覚えを感じながら、恐る恐るその宇宙船の中に入っていった。入ったその部屋は研究室のようだった。

 

 「ここって……」

 

 周囲の埃を払って、身近なものを見ると、そこにかつてサリーが科学船でボーマン博士と共にゾイド因子研究のために使っていた道具があった。サリーはボーマン博士と一緒に地球に向かう途中の科学船の出来事を思い出していた。

 

 

 サリーのその道具を触ろうとしたその時、突然ランド博士がその手を掴んだ。ランド博士を見たサリーは、

 

 「あなたは! 帝国の……」

 

 「覚えていたようだな。そうだ! ザナドゥリアス少尉にスカウトされた君を軍事兵器としてのゾイドの開発を命じた者だよ。」

 

 「どうして、あなたがここに?」

 

 「今となってはそんなことはどうでもいい。そのペンダントを渡して貰おうか!」

 

 「駄目です! これはお爺さんが端末の再起動のために私に託したものです! 絶対に渡しません!」

 

 「往生際の悪い小娘だ。大人しく渡せ!」

 

 ランド博士は力付くでサリーからペンダントを奪い取ろうとするが、サリーは絶対にペンダントを離さなかった。

 

 「嫌、嫌!」

 

 「やれやれ、強情なところもクリスタによく似ている。」

 

 それを聞いたサリーは驚き、

 

 「え? どうしてその名前を?」

 

 その時、突然船の中に多数のジャミンガが入ってきた。一体のジャミンガがランド博士とサリーに襲いかかろうとしたその時、ランド博士はサリーを突き飛ばし、右手をジャミンガに向けて掲げた。 その時、ジャミンガの動きが一瞬止まっていく。

 

 「うっ……ぐっ……」

 

 ランド博士が右手を携えてジャミンガが動きを止めるが、尚も動こうとする個体までいた。

 

 「ぐぐっ……」

 

 だが、その時、後ろのジャミンガが突然倒れ、次々とドミノ倒しのように倒れていくとその背後にラスト大佐が現れた。

 

 「何!? 貴様は!」

 

 「やっぱりここにいたわね。」

 

 残りのジャミンガが背後からラスト大佐を襲おうとするが、ラスト大佐は片手だけでジャミンガを殴って難なく倒し、拳銃をランド博士に向けた。

 

 「貴様、何のつもりだ!」

 

 「何って、そりゃ、あんたが摂政の命令無しで勝手に動いたからに決まっているじゃない!」

 

 「馬鹿な! 私にはザナドゥリアス少尉やメルビル少尉同様、ライセンスがあるはずだぞ!」

 

 「確かにそうだけど、ここまで好きにやれとは言ってはいないわ! 第一あんたの役目は帝国のために戦力となる最強ゾイドを造ることが目的のはず、この船まで触れる必要はないわ。」

 

 「何故だ!?」

 

 「この船のことをあんたとその小娘に知らせるわけにはいかないからね。」

 

 「あなたは……」

 

 「あら、確かあんたにとっては初対面だったわね。私はプライド摂政直属のリゼル・ラスト大佐。」

 

 「どうしようと、貴様が手を出すことではない!」

 

 ランド博士はサリーに近付き、強引にペンダントを奪おうとした。

 

 「嫌! 止めてください!!」

 

 ランド博士がペンダントに触れようとしたその時、突然ペンダントが発光し、ランド博士も痛むように右手を抑えた。

 

 「うぐっ!」

 

 「馬鹿ね! その右腕でそのペンダントに触れられるとでも?」

 

 その時、ペンダントの発光と同時に船の奥の部屋にある何かも突然勢いよく光だし、更にペンダントの光も強くなった。双方の光から強力な力が放出され、船が崩れていった。

 

 「くそっ! ここは危険だ!」

 

 ランド博士は船から出、ラスト大佐も同様に船から出た。サリーも船から出ようとするが、奥に光っているものがペンダントを求めているような声がした気を感じたが、崩れる船に気を取られ、急いで船から出た。

 サリーが船から出ると、先程、フォックスの行く手を遮った霧が現れ、サリーやランド博士、ラスト大佐の周囲を包み込み、その霧から再び多数のジャミンガが現れ、襲いかかってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハンターウルフ改のマシンブラスト技を数数喰らい、倒れ込むライガー、その時、レオは右腕から何か感じ取った。

 

 「この気は……もしかしてサリーに何かが! いくぞ、ライガー!」

 

 ライガーはハンターウルフ改に背を向けて走っていくが、ハンターウルフ改も直ぐに後を追った。

 

 「逃がさない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ランド博士は右手でジャミンガの動きを止め、ラスト大佐は銃でジャミンガを倒し、近くに来たジャミンガを片手で抑え、その首を引きちぎることまでの身体能力まで見せた。

 しかし、何度倒してもジャミンガは次々から次へと霧の中から無数に沸いていった。何処からでも沸いていくジャミンガに戸惑うサリー、その時、背後から数体のジャミンガがサリーに襲いかかってきた。

 

 「きゃあぁ~!!」

 

 その時、霧から砲撃がし、霧の中からライガーが現れた。ライガーはサリーの前に立ち、

 

 「サリー、怪我はない?」

 

 「レオ!」

 

 同時にハンターウルフ改も現れ、ガトリングで次々と無数のジャミンガを破壊していった。

 

 「博士、無事ですか?」

 

 「おお、ザナドゥリアス少尉。来てくれたか!」

 

 しかし、その時、突然霧から謎の爆弾物が投げ込まれ、それがライガー、ハンターウルフ改に直撃し、爆発した。

 

 「ウワァッ!!」

 

 しかもそれは1度や2度ではなく、次々と投げ込まれた。

 

 「サリー、急いでライガーに!」

 

 「うん!」

 

 サリーはライガーに乗り込み、サリーを乗せたライガーは急いで離れようとした。

 

 「くそっ、逃がすか!」

 

 ハンターウルフ改は再びライガーに攻撃を加えようとするが、投げ込まれた爆弾物の爆発で視界を遮られ、煙が晴れると既にライガーは霧の中に入って逃げていった。

 

 「くそっ、ソニックシック……」

 

 「もういい! ザナドゥリアス少尉。これ以上は無理だ。我々も直ぐにここを離れるぞ!」

 

 「くっ! わかりました。」

 

 ユウトはランド博士をハンターウルフ改に乗せ、直ぐにライガー同様にその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 フォックスは尚もサリーを探す中、向こう側の霧からライガーが現れた。

 

 「あれはライガー! つうか何でレオとライガーがここにいるんだ? おい、レオどうしたんだ?」

 

 「話は後だよ! 急いでここから離れよう!」

 

 「何!?」

 

 ライガーが急いで走っていくと再び霧から謎の爆弾物がフォックスにも投げ込まれた。

 

 「うおっ! まさか、さっきの正体不明の奴か? 確かにこいつはずらかっといた方が良さそうだ。」

 

 状況を判断したバーンはフォックスと共にライガーの後についていった。

 

 

 

 

 

 

 

 メルビル少尉の乗るギルラプター改は対空速射砲で牽制するが、パキケドスBRは全てそれを同じ対空速射砲で迎撃した。

 

 「うっ……」

 

 「いい加減、そろそろ降伏しなさい!」

 

 「ソニックシックル!」

 

 その時、霧の中から風の刃が放たれ、同時にハンターウルフ改が現れた。

 

 「弾丸鈍破!」

 

 パキケドスBRはロックバーグ中尉の咄嗟の判断でエヴォブラスト技でそれを迎撃した。ハンターウルフ改はギルラプター改の前に立ち、

 

 「ユウト!」

 

 「メルビル少尉、ここは危険だ! 直ぐにここを離れるぞ!」

 

 「わかりました。お父様。」

 

 ランド博士の指示に従い、ギルラプター改もハンターウルフ改の後について走っていった。

 

 同時にパキケドスBRのコクピットからバーンの通信が入った。

 

 「教官殿!」

 

 「ロックバーグ中尉よ! 何があったの?」

 

 「サリーとレオを回収した! しかも霧から変な奴が攻撃してきた。急いでここから離れましょう!」

 

 ロックバーグ中尉が霧を見ると、周囲の至るところが爆発していた。

 

 「確かにこれ以上は危険ね。わかった! 私も直ぐに橋の方に戻るわ! あなたは絶対にレオとサリーから離れないで!」

 

 「了解した!」

 

 通信を切り、ロックバーグ中尉も直ぐにその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイセルとバズはゴールデンゲートブリッジのところでレオたちを待ち、

 

 「おいおい、結構時間が経ったが、これ不味いんじゃないか?」 

 

 「そうね。ここはディアス中佐に報告するべきね。」

 

 その時、橋の向こう側の森が爆発し、燃え盛る炎の中、ライガーとフォックス、パキケドスBRが現れた。

 

 「レオ!」

 

 ライガーたちが橋を飛び越えようとしたその時、霧からの正体不明の存在はアイセルたちのいる向こう側まで爆弾物を投げ、行く手を遮った。

 爆発により、吹っ飛ばされるアイセルのラプトリアとバズ、

 

 「いてて……ちくしょう一体何なんだよ!?」

 

 バズが目の前を見ると、バズの愛車はさっきの爆発で粉々に破壊されていた。

 

 「ああ~!! 俺の車が~!!!!」

 

 橋を飛び越えようにもさっきの爆発でかなりの距離を開かれた。

 

 「くそっ! これじゃ、越えられないぜ!」

 

 「私のパキケドスなら飛び越えられないってことはないけど、フォックスとライガーにはブースターが装備されていないわ。」 

 

 「くっ!」

 

 その時、レオは後ろの爆発を見て、何か思いついた。

 

 「バーン、ロックバーグさん、先に行っててください!」

 

 「何をするつもり?」

 

 「一か八かだけど、敵の爆発を利用して飛んでみる。」

 

 「おいおい、それはいくらなんでも無茶が過ぎるんじゃねぇか?」

 

 レオの真剣そうな表情を見たロックバーグは、

 

 「覚悟はあるのね?」

 

 「はいっ!」

 

 「わかったわ!」

 

 「おいおい、マジかよ! ていうか、俺のフォックスにもブースターが取り付けていないんだぜ!」

 

 「つべこべ言わず、速く行きなさい!!」

 

 パキケドスBRの頭突きを喰らわされたフォックスはそのまま橋の向こう側まで飛び、それを追ってパキケドスBRもブースターで加速して橋を飛び越えていった。コクピットの中でレオは後ろにしがみついているサリーを見て、

 

 「サリー、ごめんね。こんな無茶させちゃって……」

 

 「ううん、いいの。」

 

 「よし、いくぞ、ライガー!」

 

 ガオォ~!!

 

 ライガーはそのままじっと構え、来るのを待った。そして霧から投げた音を聞いたライガーは前足を動かし、

 

 「今だ!!」

 

 爆弾が当たる前にライガーは咄嗟に飛び、その爆風で橋を飛び越えていき、アイセルたちのいるところまで向かった。

 

 「レオ!」

 

 「サリー、大丈夫?」

 

 「私は大丈夫!」

 

 「たく、教官殿といい、レオもホント無茶してくれるぜ!」

 

 「ロックバーグ中尉よ! それより急いで早くここから離れましょう!」

 

 「ちょっと待ってくれ! 俺の車どうするんだよ!?」

 

 「つべこべ言わず、お前もさっさと俺のフォックスに乗っていけ!」

 

 禁制地区から逃れたレオたちはそのままその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 禁制地区の霧の通っていない場所でラスト大佐は、

 

 「ふぅ、まさか、あの船をランドに回収されるのは阻止したけど、まさか、船ごと破壊されるとは思わなかったわ。

 でも、あの小娘のペンダントがあの反応が出たということはやはりあれがいたのね。これで計画の第2段階が入れそうね。」

 

 そう言い残し、ラスト大佐はスナイプテライン3Sに乗り込んで禁制地区から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴールデンゲートブリッジの手前まで逃れたレオたち、そんな中、サリーは橋の向こうの禁制地区の森を不安を煽るような表情で見ていた。

 

 「どうしたの? サリー。」

 

 「あの宇宙船、何か見覚えがあると思う。おそらく私とお爺さんが乗っていた科学船かもしれない……」

 

 「え!? てことはもしかしたら彼処にサリーのお爺さんが?」

 

 「まだそうとは決まった訳ではないけど……それにあの人、どうして私のお母さんの名前を知っているの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギルラプター改を運搬するスナイプテラインペリアルガードの口内のシートに座るランド博士は自身の右手を見つめ、

 

 「この右腕はまだ不完全のようだな。それにしても、まさかラスト大佐まで乱入するとは予想外だった!

 だが、思わぬ収穫が手に入った。あの宇宙船の残骸はもう少し調べてみる必要がある。

 もしその情報が手に入れば、再び最強のゾイドを作ることができる。フフフフフ……フハハハハハハ!」

 

 レオやランド博士が去った後、サリーのペンダントの影響で崩れた宇宙船の残骸があった場所に何やら巨大なファンのようなものが発光していた。

 

 To be continued




 次回予告

 端末探しの中、運悪くリュック隊長率いる帝国軍に見付かり、追われるボーマン博士。
 帝国軍、共和国軍が滅多に立ち入りしない禁制地区まで逃げたその時、特別な兵器改造が施されたワイルドライガーとレオのライジングライガーに似た騎士風のライガーを駆る青年たちに助けられる。
 彼らは何者なのか、そして、何故禁制地区にいるのか?

 次回「騎士王ト 青年」

 走り抜け、ライガー!!


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第17話「騎士王ト 青年」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーが新たな姿を得て進化したライジングライガーの力によって強敵セードとジェノスピノを打ち破り、新たな仲間を加え、再び地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 15年前、新地球暦15年、帝国軍、共和国軍が立ち入りを禁止している禁制地区の森にユウトと同じ銀髪をした5歳ぐらいの1人の幼い少年が走っていた。

 

 「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ!」

 

 少年は何かに怯えているかのように必死で森の中を走っていった。

 

 「ウワァッ!」

 

 少年が転んだその時、突然、ジャミンガに似たようなラプトールタイプのゾイドに騎乗し、頭部がそれぞれ他のゾイドの頭部に似たような形状をし、それぞれナイフや斧、弓矢を所有した謎の兵士たちが少年を取り囲んだ。

 兵士たちは足音を立てない状態でゆっくりと近付き、ナイフや斧を突き付けて少年に近付いていった。少年は恐怖で足が動けず、死を覚悟した表情をした。

 だが、その時、影から謎のライガーが現れ、その兵士たちを一瞬で蹴散らした。現れたライガーはレオのライジングライガーに良く似た銀色のライガーだった。

 少年はそのライガーも自分を殺すのではないかというようは目で見たが、ライガーはその少年にそっと近付き、少年を乗せてそのまま走り去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてそれから15年後、新地球暦30年、辺境の高原、そこにバズが乗っているジープに似た車が1つの古びた家に駐車していた。そこに地球産の電化製品を集め、パソコンで端末の在処を探っていたボーマン博士がいた。

 

 「やはり、この付近には端末の反応はないか……ん?」

 

 その時、ボーマン博士は何かが来たような気配を感じた。ボーマン博士は慌ててパソコンを仕舞い、準備をした。

 

 ボーマン博士のいる家に来たのはリュック隊長率いる3体のキャノンブルだった。キャノンブルから降りたリュック隊長と2人の兵士は家に近付いた。リュック隊長は合図を出し、2人の兵士はドアを突き破って入った。そこにはボーマン博士がいた。

 

 「やっと見付けましたよ! ボーマン博士。我々と御同行願います。」

 

 しかし、ボーマン博士が振り向きもせず、黙っていた。

 

 「無駄な抵抗は無意味です。 さあっ! ん?」

 

 リュック隊長がボーマン博士に近付こうとしたその時、ボーマン博士の姿に違和感を感じた。リュック隊長はボーマン博士の肩に触れようとすると、リュック隊長の手がボーマン博士の身体をすり抜けた。

 

 「これは……ホログラムだ! ということは本物のボーマン博士は……」

 

 リュック隊長が振り向くと、車の作動音がし、ボーマン博士の車が逃走した。

 

 「くそっ、 追え! 絶対に逃がすな!!」

 

 リュック隊長と2人の兵士はキャノンブルに乗り込み、ボーマン博士の車を追った。

 

 「くそっ! まさか、帝国軍がここまで来ていたとは! だが、こんなところで捕まるわけにはいかない!」

 

 逃走するボーマン博士の車にリュック隊長のキャノンブルは3連ミサイルポッドからミサイルを放った。リュック隊長のキャノンブルが放ったミサイルを何とか振り切るボーマン博士、

 

 「た、隊長! 攻撃してもよろしいのですか?」

 

 「今のはわざと外した! だが、ここまで来たら絶対に逃がすわけにはいかない! 当てない程度にあの車を狙え! 但し、逃がすようなハメはするな!」

 

 「了解しました!」

 

 リュック隊長の命令に従って兵士の乗る2体のキャノンブルも3連ミサイルポッドでミサイルを放った。

 

 「くそっ、 わざと外しているとはいえ、ここまでやるとは! だが、絶対に捕まるわけにはいかない。 この地球のためにも!」

 

 その時、ボーマン博士は目の前にある市街地を見付けた。

 

 「あれは、 確か帝国軍が立ち入りを禁止している禁制地区に属する場所か。彼処には逃げ込めば!」

 

 ボーマン博士は目一杯スピードを上げ、市街地に向かって走っていった。

 

 「リュック隊長、 ボーマン博士は禁制地区にまで向かっています!」

 

 「くそっ、 絶対に逃がすな! 奴が禁制地区に着くまでに追い付くんだ。」

 

 リュック隊長率いるキャノンブル隊もスピードを上げ、ボーマン博士の車を追った。ボーマン博士の車は禁制地区の目の前に迫っていったが、既にリュック隊長率いるキャノンブル隊もすぐに目の前まで迫っていった。ボーマン博士が諦めかけたその時、突然、禁制地区からリュック隊長率いるキャノンブルに向けて砲撃した。

 

 「何だ? まさか、例の謎の敵か!」

 

 しかし、現れたのはキャノンブルと同じ9連キャノン砲を搭載し、対空速射砲やレーザーキャノン、ミサイルポッドを装備したワイルドライガーが現れた。

 

 「なっ、 ワイルドライガーだと! しかし、あのタイプは何処かで……」

 

 ワイルドライガーは対空速射砲を放ち、更にレーザーキャノン、ミサイルポッドの連続砲撃で2体のキャノンブルを撃破した。

 

 「くっ、 舐めやがって! 我が帝国軍の力を見せてやる! 兵器……」

 

 その時、リュック隊長がマシンブラストを発動しようとしたその時、突然、別のライガーが現れ、リュック隊長のキャノンブルに突進した。

 現れたライガーはレオのライジングライガーに酷似した銀色の騎士風のライガーだった。

 

 「何!? 貴様は!」

 

 銀色のライガーはA-Z機関砲を撃ち込み、キャノンブルは足の間接をやられ、倒れこんでしまう。

 

 「くっ、 こしゃくな!」

 

 「リュック隊長! これ以上は危険です! 離脱しましょう!!」

 

 「ちっ!」

 

 しばらく考え込んだ後、リュック隊長は2体のキャノンブルと共にその場を去った。リュック隊長のキャノンブル隊を追い払った2体のライガーから二人の青年が降り、

 

 「お爺さん、怪我はありませんか?」

 

 「君たちは……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 共和国軍基地、それまでの帝国軍と共和国軍の戦況の資料を集めているディアス中佐の元にツガミ大尉が訪れ、

 

 「中佐。」

 

 「何だね?」

 

 「ギャレット大将はレオと進化したライガーを推薦させましたが、その真の狙いは何だったんですか?」

 

 「何故、そのことを?」

 

 「いえ、確かにあのジェノスピノを倒したのはレオのライガーに間違いないですが、あの時のスチールエリア戦の時にはロックバーグ中尉のパキケドスBRもジェノスピノを倒した功績の1つを担い、更にレオのライガーと互角に渡り合ったんですよ!

 わざわざレオのライガーを推薦せずともロックバーグ中尉のパキケドスBRだけでも十分帝国に対抗できるのに、何故わざわざレオを推薦させたのか?」

 

 「そういうことか……」

 

 「もしかして、ライガーに固執しているのは、何かしらの事情があるので?」

 

 「そうだ! 実は5年前、ギャレット大将の命令で私とリオナム大佐が帝国軍に捕獲されていないライオン種ゾイドの捕獲を任されていた時のことだった。」

 

 「リオナム大佐と言いますと……2年前に退官した中佐の元上司の……」

 

 「ああ、あの時、現地に既に復元状態の野生体のコバルトブルーのワイルドライガーを目撃した情報を手に入れ、そのワイルドライガーを捕獲することに成功したが、突然エバンズ中尉率いる帝国軍に襲撃され、ようやく手に入れたワイルドライガーを奪われるハメになってしまってな!」

 

 「まさか、そのまま帝国のゾイドに!?」

 

 「となるはずだったが、そのワイルドライガーが帝国軍の基地に輸送され、兵器改造された後、エバンズ中尉がシミュレーションやテストパイロットとして実績を上げ、正式に帝国軍のゾイドになる途中、ゾイドハンターと名乗る4人の盗賊団に襲撃され、逆にワイルドライガーを奪われた上にどういうわけか、エバンズ中尉まで帝国軍から離脱してしまったそうだ。」

 

 「それで……その後どうなったんですか?」

 

 「わからない。帝国軍もそのワイルドライガーを見失ったみたいで、そのワイルドライガーとエバンズ中尉がどうなったのか行方知らずになった。」

 

 「そんなことがあったんですか!」

 

 「それだけじゃない! ちょうどその時、新種のライオン種らしきゾイドも目撃されたこともあったそうだ。」

 

 「新種のライオン種ですか?」

 

 「これを見てくれ!」

 

 ディアス中佐は映像を付け、そこに銀色のライガーが走っていった。

 

 「こんなゾイドは見たことがありません。」 

 

 「そうだ。 しかもこいつは……」

 

 ディアス中佐は更にパキケドスBRとのシミュレーションのライジングライガーの映像も横に入れるとツガミ大尉は驚きを隠せなかった。

 

 「こ、これは!!」

 

 「そうだ。 この銀色のライガーは色こそは違うが、まさしくジェノスピノを倒した時のレオのライガーにそっくりなのだ!」

 

 「つまり、ギャレット大将がレオを推薦させたかったのは、単に戦力の拡大だけでなく、レオのライガーを解析してその銀色のライガーの正体を突き止めることだったんですか?」

 

 「そうだ。 過去の惑星Ziにも自己進化を遂げたライオン型ゾイドの前列があるようにライオン種ゾイドにはまだ解明されていない謎が多く、アイセルからの報告によると、ジェノスピノを倒した時より前の姿のビーストライガーも実は進化した後の姿でその前は紅蓮色のワイルドライガーだったそうだ!」

 

 「ということはこの銀色のライガーも別のワイルドライガーから進化したゾイドということですか?」

 

 「そうなるな。もし、このライガーを滷獲出来れば、戦力拡大だけでなく、万が一帝国軍がジェノスピノ以上のゾイドを開発した場合にそれに対抗できる戦力にもなるということになる。」

 

 「だとすれば、この銀色のライガーを何としても帝国軍より先に滷獲しなければなりません! もちろん例の帝国軍に一度奪われたワイルドライガーも。」

 

 「ああ、もしかしたら、あのワイルドライガーも同様に進化する個体かもしれないからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キャノンブルと同じ9連キャノン砲を装備したワイルドライガーとレオのライジングライガーによく似た銀色の騎士風ライガーのライダーである2人の青年はボーマン博士を連れ、禁制地区の廃れた旧市街地の高層ビルに入り、地下の階段を降りていき、地下鉄に入っていった。

 

 「ここまでくればもう安全だぜ。」

 

 「君たちはここで暮らしているのか?」

 

 「ああ! ここが俺たちの家だからな。」

 

 「君たちは何者なのだ? それにあのライガーは?」

 

 「あ~、 こら~! バルディーにゼオル! またどっかに道草食ってたんでしょう?」

 

 大きな声と共に1人の金髪の女性が現れた。

 

 「いや~、ちょっとしたパトロールだよ! パトロール。」

 

 「その様子じゃ、違うに決まっているでしょう! で、誰? この人。」

 

 「ああ、実はさっき帝国軍に追われていたところを保護した人だよ!」

 

 「只でさえ、あんたとゼオルの世話で背一杯なのに! これ以上人増やされたらたまったもんじゃないわ!」

 

 「あ、あの……君たちは?」

 

 「ああ、そういえば、自己紹介まだだったな! 俺はバルディー・サンダー。 彼女はマリアナ・エバンズ。 そしてあの強力なワイルドライガーは俺の相棒、ワイルドライガーガンナー!」

 

 「ライガーはあたしの相棒でしょ!」

 

 「前はそうだけど、今は違うだろ? ライガーは俺にもなついているし。」

 

 「もうっ!」

 

 「そして、俺と一緒にいたこいつはゼオル・ランスロット! もう一体のあの銀色のライガーはその相棒のライガー・ジ・アーサーだ。」

 

 その名を聞いたボーマン博士は少し首を傾げた。

 

 「ゼオル・ランスロット……何処で聞いた名だが……」

 

 「ただ、こいつは自分と相棒の名前以外は何も覚えていない記憶喪失らしいから、俺が保護してて今は仲間なんぜ!」

 

 「余計なことは言うな。 それじゃ、俺が迷子のガキみたいだろ!」

 

 「まあ、そう言うな。」

 

 ボーマン博士はゼオルに質問し、

 

 「君、私と何処かで会ったことないかね?」

 

 「さあね。 あんたの顔には全く見覚えがない。それより、こっちの質問に答えてくれないか!

 さっき帝国軍に追われていたあんたは何者なんだ? そのマスクといい、どうも只のお尋ね者とは思えないんだが

。」

 

 「失礼、私はウォルター・ボーマン!」

 

 「ウォルター・ボーマン……聞いたことないな。一体何故帝国軍に追われているのか、目的は何なのか聞かせて貰おうか。」

 

 「おいおい、ゼオル! いくらなんでも質問攻めはよくないぞ!」

 

 「ふん! 素性がわからん奴をかくまうことなどできるわけがないだろ。」

 

 「でも、お前だって同じことじゃ……」

 

 「俺は記憶喪失だって言ってるだろ!」

 

 「確かに君の言う通りだ。隠す必要はない。私は100年前に起こったゾイドクライシスで壊滅した地球を再生はするために各地に配置しているリジェネレーションキューブと呼ぶ端末を再起動させるために活動しているのだ。」

 

 「ゾイドクライシス? 確か帝国軍と共和国軍が噂で言ってた奴か……それにしても、地球を再生させる端末てのがどうも胡散臭いな。

 第一まるで創造主か神にでもなるかのような技術がこの世にあるわけがない。まさか、実は別の目的があるんじゃないのか?」

 

 「まあまあ、難しい話はそれぐらいにしようぜ。 それより、マリアナが飯作ってくれてるらしいから、食おうぜ! 俺腹減っちまってよ! マリアナ、 飯何処にあるんだ?」

 

 「あっちよ。」

 

 「おっしゃぁー!!」

 

 「全くホント呑気ね。取り敢えず、ゼオルもあんたも今夜は休みなさい。どうせ、外は敵ばかりだし、今はここにいたほうが安全よ!」

 

 「そうだな。 では、話は後にする。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 飯を食べた後、外は暗くなり、バルディーたちは地下鉄のの中でそれぞれ椅子やテント、寝袋で睡眠した。そんな中、ボーマン博士は1人起き、寝ているゼオルの顔を見た。

 

 「ゼオル・ランスロット……確か、地球に来る前の科学船で私と共にゾイド因子の研究に携わっていた研究員の1人の姓もランスロットだった。

 それにあのライガーの名前がアーサー……まさか、あのライガーと彼は……」

 

 ボーマン博士は寝床から離れ、寝そべっているワイルドライガーガンナーとライガー・ジ・アーサーに近付き、アーサーに触れようとした。そのとき、ボーマン博士の手に誰かが小刀を突きつけた。現れたのはゼオルだった。

 

 「貴様、 俺の相棒に何するつもりだ?」

  

 「君はさっきの。」

 

 「こう見えて俺は何度か命を狙われたことがあるのでな。例え、睡眠でも油断はしない。 ところで、俺の相棒に何するつもりだ?」

 

 「心配することはない。君の相棒に手を出すつもりはない。ただ、君の相棒が何者なのか知りたいだけだ。」

 

 「ほぅ、科学者としての好奇心ってやつか……どうやらお前が科学者なのはホントらしいな。だが、調べても無駄だ!

 そいつは俺にしかなついていない。下手に触れば、命の保証はないぞ! ところで、さっき俺のことを知っているような顔をしていたが、俺のことを知っているのか?」

 

 「いや、ただ、科学船で私の助手を務めていた者の姓が君と同じランスロットだったから、もしかして君はその人と関係しているかと思って。」

 

 「どうやら、あんたも俺程ではないが、ところどころ記憶を無くしているみたいだな。」

 

 「君はホントに何も覚えていないのか?」

 

 「ああ、俺が何者なのか、そもそも何処から来たのか、両親の顔すら覚えていない。

 ただ、1つ覚えていることは15年前、俺は禁制地区で奇妙な兵士に襲われ、死にそうだったところを相棒に助けられたことがある。もちろん相棒が何者か、何故俺につくのか、その名前を知っているのもわからない。

 だから、俺は俺の記憶を取り戻すために旅をした。だが、俺と相棒だけではどうにもならない。もっと仲間が必要だ。その時、5年前にバルディーたちと出会ってあいつらと行動を共にし、今ここにいる。」

 

 「そのためにわざわざこんな危険なところで暮らしているのか?」

 

 「ここに俺の記憶の手掛かりがあると思ってな。まあ、あんたも自分の目的があるっていうなら、俺たちと行動を共にしなくてもかなわない。だが、夜に出るのは止めといた方がいい!

 何せ、敵は夜の活動が多いからな。昼でも霧に紛れて現れることもあるが、夜の方が一番危険だ。」

 

 「君はこの禁制地区にいる者について知っているのか?」

 

 「残念だが、それは俺ももちろん、バルディーやマリアナだって知らない。だが、奴等の正体は必ず突き止めてやる! そして、俺の記憶を取り戻すために。

 あんたが俺たちに付いていくか、いかないか、あんたの自由だが、取り敢えず一晩考えた方がいい。さて、俺は先にお暇させてもらう。」

 

 そう言ってゼオルは先に寝床に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜が開け、バルディーとゼオルはワイルドライガーガンナーとライガー・ジ・アーサーと共に出掛ける準備をした。

 

 

 「では、食糧と武器とその他の物資集めに出掛ける。マリアナ、留守を頼んだ! 後、そのじいさんもな。」

 

 「わかっていると思うけど、無茶はしないように、後、道草は食わないでね。」

 

 「わかってるよ!」

 

 バルディーとゼオルはワイルドライガーガンナーとライガー・ジ・アーサーに乗り込み、旧市街地に走っていった。

 

 「君たちはずっとここで暮らしているのか?」

 

 「ええ! 敵に見つけられないようにね。」

 

 「敵?」

 

 「その前に、あなたのこと詳しく聞かせてもらえないかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 廃れた旧市街地の商店街やビルの中である程度の物資を集めたバルディーとゼオルは、

 

 「よし、物資も集まったし、そろそろ戻るか。」

 

 「ああ。」

 

 その時、突然何かの塊がバルディーとゼオルに襲いかかってきた。ワイルドライガーガンナーとアーサーはは対空速射砲とA-Z機関砲でその塊を破壊した。それはクモの糸のようだった。それを見たバルディーは、

 

 「この糸……まさか!」

 

 「ようやく見付けたわよ! バルディーちゃん!」

 

 そこに現れたのはグソック、スパイデス、スコーピアを駆る謎の3人の盗賊団だった。盗賊団のトリオを見たバルディーは、

 

 「お前らは……3馬鹿変態団!」

 

 「へぶっ、 お黙り! あたしたちはキラーク盗賊団よ! 団の名前くらい、ちゃんと覚えてなさい!!」

 

 「バルディー、誰だ? あいつら。」

 

 「ああ、そっか。ゼオルは会ったことなかったんだっけ。 あいつらはガンナーと会う5年前まで一緒にいた盗賊団だよ。

 因みに中央のグソックに乗っているオカマが俺の元ボスのミラーで、横のスパイデス、スコーピアに乗っているのが取り巻きのアイパー、ポーチ。」

 

 「5年前、帝国軍襲撃の時にあたしの恩を忘れ、本来あたしのゾイドになるはずだったそのワイルドライガーを独り占めにしてあたしたちを裏切った恨み必ず晴らしてやるわ!

 さあ、痛い目に逢いたくなかったら、とっととそのワイルドライガーちゃんを渡して、このあたしに土下座しなさい!」

 

 「やだ!」

 

 バルディーは即答で拒否した。

 

 「ムッキ~!! ホント可愛くないガキね! こうなったら、力付くでそのワイルドライガーちゃんを手に入れるわ!」

 

 「ボス、 よく見てください! あの野郎、もう一体ラライオン種がいますよ! しかもかなりレアそうな!」

 

 「へぇ~、これはとんだ収穫ね。 何としても必ず手に入れてみせる!」

 

 「おいおい、お前ら、悪いことは言わねぇ! とっとと帰った方がいいぞ。 お前らじゃあ、俺たち2人に勝てねぇよ!」

 

 「相変わらずの生意気ぶりね。 でもあたしたちを昔のあたしたちだと思ったら大間違いよ。 あたしたちは狙ったお宝とゾイドは絶対に逃がさないゾイドハンター! その名もキラーク盗賊団!!」

 

 バルディーはしれっと耳越しでゼオルに、

 

 「要するにお気楽3馬鹿盗賊団ってとこ。」

 

 「聞こえてるわよ! このクソガキ~!!」

 

 「よくわからんが、とにかくあんな変な連中に相棒を渡すわけにはいかないな。」

 

 「いい度胸ね! あたしたち、キラーク盗賊団を舐めてかかると痛い目みるわよ!!」

 

 「そうか……なら、一瞬で決めてやる。」

 

 その時、バルディーがゼオルに待ったをかけ、

 

 「待て、 ここは俺に任せろ!」

 

 「任せろって、ガンナーは元々マリアナの相棒だろ! 大丈夫なのか?」

 

 「心配はない! 俺はライガーを相棒にするために盗賊になってまでここまで来たんだ!! ここで俺が本当にガンナーに相応しい相棒なのか、知らしめてやりたいのでな!」

 

 「相棒に相応しい……か。 わかった! この場は任せる。だが、無茶はするなよ。」

 

 「へっ! 無茶なんて承知の上だ!」

 

 「やっておしまい、 アイパー、ポーチ!!」

 

 アイパーとポーチはスパイデスとスコーピアに乗り込み、ビルから急降下して襲いかかってきた。すかさず、バルディーもガンナーに乗り込み、

 

 「よし、俺たちもいくぞ! ガンナー!!」

 

 ガオォ~!!

 

 「調子に乗るなよ、 俺たち2人を相手にしたこと公開させてやるぜ!」

 

 アイパーのスパイデスは糸の球を何発かガンナーに撃ち込む。ガンナーはそれに迎え撃ちように対空速射砲で迎撃した。しかし、スコーピアはガンナーがスパイデスの攻撃に気を取られている内に既に攻撃の態勢に入った。

 

 「アイパーだけだと思うなよ、 行くぞ! スコーピア、本能 解放! ワイルドブラストー!! 毒を喰らいな!!」

 

 しかし、ガンナーはそれを読んでいたかのように両前足でスコーピアのポイズンスピアを防いだ。

 

 「何!?」

 

 「へっ! ゾイドが本来持っている野生の勘ってやつがあるから、それぐらいわかるんだよ!」

 

 「だが、2体同時の攻撃は防げねぇだろ!!」

 

 アイパーのスパイデスが急降下しながら、再び糸の球を撃ち込んだ。ガンナーは対空速射砲で迎撃するが、迎撃した時の煙に紛れてスパイデスは通常の糸を放ち、対空速射砲の口径をふさぎ、更に9連キャノン砲まで防いだ。

 

 「しまった!」

 

 スパイデスはガンナーの身体に取り付いた。

 

 「ハハハ、それじゃ、身動きとれないだろ!」

 

 「くっ!」

 

 「ポーチ! お前のスコーピアのポイズンを御見舞いしてやれ!」

 

 「わかったぜ!」

 

 それを見たゼオルは、

 

 「流石にあれは不味いな。俺も加勢するか!」

 

 ゼオルがアーサーに乗り込み、ガンナーの救援に入ろうとしたその時、ビルから急降下したミラーのグソックが襲いかかってきた。寸前で交わすアーサー、

 

 「誰もあんたも攻撃するとは一言も言ってないわよ!」

 

 「ちっ、 なら、貴様から片付けてやる!」

 

 アーサーはグソックに突っ込むが、グソックはそれを難なく交わす。アーサーは態勢を整え、A-Z機関砲を放ちながら突っ込むが、グソックはそれも交わし、装備しているライフルとミサイルポッドをアーサーに撃ち込んだ。

 

 「ぐっ!」

 

 「確かにそのライガーちゃん、中々いい性能してるわね。でも、そのライガーちゃんはもちろん、あんたも戦闘には不慣れのようね!」

 

 「ちっ、 まさか、ここまでとは!」

 

 「さあ、小僧! 今までの借りを返してもらうぜ! ヒット&デス!!」

 

 「そう簡単にくたばると思うなよ!」

 

 バルディーは非常用のようなスイッチを押し、ハンドルを力一杯握った。

 

 「ヌウゥ~!!」

 

 ガンナーはスパイデスの拘束と糸から自力で解こうとした。

 

 「無駄無駄、 俺のスパイデスの拘束を解けるものか!!」

 

 「それはどうかな? ガンナー、進化 解放! エヴォブラストー!! キングオブバーストキャノン!」

 

 エヴォブラストを発動したワイルドライガーガンナーは自力でスパイデスの拘束を解き、更に9連キャノン砲も作動も展開してスコーピアに撃ち込んだ。

 

 「ウオッ!」

 

 それをギリギリで交わすスコーピア、

 

 「そのライガーに上手く乗りこなしていないかと思ったが、随分やるじゃねぇか!」

 

 「当たり前だ! 俺も日々進化しているのさ! さあ、第二ラウンド開始といこうぜ!」

 

 その時、突然周囲が霧に覆われた。

 

 「な、何だ? 何だ! ボス、これは一体何ですか?」

 

 「この霧は……奴等か! しかし、何故こんなときに? まさか、さっきの戦闘の時での音を聞きつけて?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地下鉄でマリアナはボーマン博士の事情を聞き、

 

 「そう……そんなことがあったの。で、娘さんは何処に?」

 

 「それは私にもわからない。だから、私は帝国軍に捕まらないために各地で情報を集め、娘と端末の居所をさがしているんだ。 ところで、君たちは何故こんな場所に?」

 

 「それは話が長くなるけど……ん?」

 

 突然、地上に何か物音がした。

 

 「一体何かしら?」

 

 マリアナは外の様子を調べるためにライフルを携行し、地下鉄を出て、外に出た。そこには周囲がすっかり霧に覆われていた。

 

 「これは!」

 

 「どうした?」

 

 同じく様子を見に行ったボーマン博士も外の霧に驚きを隠せなかった。

 

 「こ、これは……」

 

 「禁制地区に潜む敵の罠よ!」

 

 「敵?」

 

 その時、霧から無数のジャミンガが現れた。マリアナは手持ちのライフルでジャミンガたちを打ち倒すが、その時、突然霧の中から弓矢のようなものが飛んでいった。マリアナは何とかそれを交わすが、同時に霧の中からジャミンガの他にジャミンガに騎乗し、半裸でラプトールやラプトリア、ステゴゼーゲに酷似したような頭部をしたものがナイフと斧を持ち、更にガブリゲーターやドライパンサーの頭部をした者も弓矢やドライパンサーのシャドウシールドに酷似したハンマーを持って現れた。

 

 「こ、これは……!」

 

 「さあ、おそらく禁制地区の敵の正体かもね。」

 

 ガブリゲーターの頭部をした兵士は次々と弓を放ち、マリアナはそれをライフルで迎撃した。しかし、その隙を狙ってラプトールやラプトリア、ステゴゼーゲの頭部をした兵士がジャミンガに乗りながら、襲いかかり、ジャミンガから降り、マリアナとボーマン博士に飛び掛かった。

 マリアナはすかさず、銃を撃ち込み、その謎の兵士の頭部と心臓を狙った。マリアナに狙撃された兵士は倒れ込むが、撃たれた傷に血が流れず、まるで何事もなかったかのように起き上がり、更に撃たれた傷跡も液状化して瞬時に回復してしまった。

 更に謎の兵士が騎乗しているジャミンガは通常のジャミンガと違い、不安定な動きをせず、まるでラプトールやラプトリア、野生のラプトルのような俊敏な動きを見せ、騎乗していた兵士が降りてもその動きを保ち、しかも目の色も通常のジャミンガと違って紫色になっていた。

 マリアナは怯まず、ありったけの銃を使って、謎の兵士とジャミンガに撃ち込むが、まるで不死であるかのように傷が回復し、撃ち倒しても何度もゾンビのように立ち上がっていった。マリアナの使う銃の弾も限界が近付いてきた。

 

 「くそっ、 これじゃ、キリがないわね!」

  

 「どうするつもりだ?」

 

 「場所も知られた以上、もうここにはいられないわね。ついてきて!」

 

 マリアナは地下鉄に入り込み、ボーマン博士もその後についていった。謎の兵士はそうはさせまいと地下鉄に入るが、その時、既に荷物や武器を入れ、マリアナとボーマン博士の乗ったジープが謎の兵士たちの目の前に現れ、兵士たちを蹴散らし、地下鉄から出た。

 

 「もしかしたら、バルディーたちに何かあったのかも。 このまま突っ切るわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バルディーとゼオル、キラーク盗賊団は霧の中に紛れる謎の敵と交戦しているが、敵の正確な位置が掴めず、苦戦していた。

 

 「くそっ、 もう一度食らえ! キングオブバーストキャノン!!」

 

 「もう一体何なのよ!! 何が起こったのよ。」

 

 「この禁制地区にいるっていう敵だ! どうやら、連中には俺たちの関係等、おかまいなしのようだ。」

 

 「つうわけで、一時休戦だな。ミラー! ここは俺たちと協力してぶっ潰そうぜ!」

 

 「ふん、 裏切り者のあんたと協力するのは気に食わないけど、仕方ないわね。」

 

 ガンナー、アーサー、グソック、スパイデス、スコーピアはそれぞれを背にして円を作り、迎え撃とうとするが、謎の敵は周囲から爆弾を投げ込み、ガンナーたちを翻弄した。

 

 「くそっ、 一体何処から攻撃してやがるんだ! これじゃ、キリがない!」

 

 その時、目の前に爆弾が降ってきて、当たる寸前まで迫ってきた。

 

 「しまっ……」

 

 その時、到着したボーマン博士のジープからマリアナがランチャーでその爆弾を迎撃した。

 

 「マリアナ!」

 

 マリアナはガンナーの背中の9連キャノン砲にあるもう一つのコクピットに乗り込んだ。

 

 「バルディー、敵の位置はわかる?」

 

 「いや、それが……ガンナーの野生の勘でもわからないんだ。」

 

 「ミストルテイン砲を使う! 狙撃は私に任せて!!」

 

 「帝国軍から強奪したロングキャノンを使うんだな! よし、援護は任せろ!」

 

 マリアナは暗視スコープを使い、霧の中にいる敵を探った。その時、何か巨大なゾイドの姿が映った。

 

 「見付けた! ミストルテイン砲発射!!」

 

 ワイルドライガーガンナーに装備されている巨大なロングキャノンで一瞬映った謎の存在に撃ち込み、霧の中は大爆発した。

 

 「やりぃ!」

 

 「よし、次行くわよ!」

 

 しかし、その時、背後から爆弾が降ってきて、それに気付いたアーサーが盾になって、爆弾に直撃してしまった。

 

 「ゼオル、 大丈夫か!?」

 

 「な、何とか。だが、結構ダメージは大きい。」

 

 アーサーはA-Z機関砲で迎え撃つが、姿が見えず、当たっているのか、当たっていてもそれが通用しているのかわからないん状態だった。

 

 「機関砲だけじゃ、話にならない! 何か他に武器があれば!」

 

 その時、突然ゼオルのポケットに何かが発光した。ポケットの中を取り出すと、それはキーのようなものだった。

 

 「これは……確か、確か15年前、記憶を失い、謎の敵に追われている時、アーサーに助けられた時も同じように光っていた。誰から与えられたのかわからない謎のキー……」

 

 キーの光に共鳴し、コクピットの中にキーを差し込むような装置が現れ、アーサーも何か言いたいように頷いた。

 

 「何が起こるかわからないが、お前がそう言うなら、使わせてもらうぜ!」

 

 ゼオルは謎のキーを装置に差し込み、

 

 「アーサー、進化 解放! エヴォブラストー!! グングニル!」

 

 エヴォブラストを発動したアーサーはレオのライジングライガーのブレードに似た巨大なランスを展開し、霧の中にいる謎の存在に攻撃した。アーサーの攻撃により、まるで空間を切るかのような現象が起き、霧の中にいる存在は爆発した。

 

 「やった!」

 

 「いや、今のは勘で攻撃したから、どれぐらい通用したか、わからない! 今のうちに逃げるぞ! ボーマン、俺のアーサーに乗れ!」

 

 ボーマン博士を乗せたアーサーは真っ先に逃げ去り、ガンナーもそれについていった。

  

 「こら~、待ちなさい!!」

 

 すかさず、キラーク盗賊団も後を追っていった。攻撃の後、霧が晴れ、謎の存在も同時に姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アーサーとガンナーは無事に市街地から脱出し、

 

 「いや~、それにしても、ゼオルのアーサーもワイルドブラストできるようになったんだな! 一体どうやって?」

 

 「わからない。ただ、誰から与えられたのか不明なキーの光に導かれてワイルドブラストを発動したみたいのようだった。」

 

 「まあ、何はともあれ、ゼオルも戦えるようになったというわけだ!」

 

 「でも、どうすんのよ! もう基地の場所はばれちゃったし、彼処には戻れないわよ!」

 

 「それぐらいは何とかなるさ! また、別の場所に基地を作ればいいことだし! それにその博士の端末探しってのも面白そうだし、付き合うってのはどうだ?」

 

 「もう! あんた、いっつもそうやってまた危険なことするんだから!」

 

 「いいんじゃないか!」

 

 「ゼオル。」

 

 「どうせ、遅かれ早かれ、連中にばれるわけだし、俺の記憶を取り戻すためにも、もっと情報を集めとかないとな!」

 

 「もしかして、協力してくれるのか?」

 

 「まあ、お前の話を全て信用しているわけではないが、お前も俺と同じ立場の人間だから、流石にほっとくわけにはいかないからな。」

 

 「よ~し、じゃあ、新たな冒険な旅に出発だ!!」

 

 「おい、バルディー! いつからお前が仕切っている?」

 

 「え、だって、俺がリーダーだからさ!」

 

 「やれやれ……」

 

 和やかなやり取りの後、ガンナーとアーサーは新たな地に向かって走っていった。

 

 

 

 同じく市街地から脱出したキラーク盗賊団は、

 

 「くぅ~、また逃げられちゃったじゃない! ホントムカつくガキたちね!

 でも、次こそは必ず奪っちゃうわよ! 待っていなさい!!」

 

 To be continued




 次回予告

 廃れた市街地に謎の巨大ゾイドの化石と宇宙船の残骸を回収したランド博士、ランド博士はその化石と船の解析に全力を注いだ。
 そんな中、ユウトはランド博士が元々孤児だった自分をメルビルと共に養子に迎え入れたのか、そして本当の親は誰なのかを知るためたにランド博士の素性を探りながら過去のことを思い出した。
 
 次回「少年ノ 思い」

 走り抜け、ライガー!!


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第18話「少年ノ 思い」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーが新たな姿を得て進化したライジングライガーの力によって強敵セードとジェノスピノを打ち破り、新たな仲間を加え、再び地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 ユウトとランド博士はハンターウルフ改に乗り込み、キャタルガ隊を率いて再びゴールデンゲートブリッジ付近の禁制地区に赴き、謎の宇宙船の残骸があった場所に着いた。そこには宇宙船の姿はなく、その跡には巨大なファンがあった。それを見たランド博士は驚きを隠せないでいた。

 

 「こ、これは……」

 

 「博士、これは一体?」

 

 「直ぐにこいつを回収する。 準備にかかれ!」

 

 「わかりました。」

 

 しかし、そこにジャミンガが現れ、ユウトはそれに戸惑った。

 

 「うっ……ジャ……ミンガ……」

 

 ユウトは後退りし、ジャミンガがランド博士とユウトに襲いかかろうとしたその時、ランド博士が右腕をかざし、ランド博士の右腕がオレンジ色に輝いた。

 その右腕の力の影響か、ジャミンガは動きを止め、そのまま立ち去っていった。ジャミンガが立ち去った後、ランド博士は右腕を抑え、苦しんだ。

 

 「うっ……」

 

 「博士!」

 

 「心配するな。それより、あのファンを回収するぞ!」

 

 「はいっ!」

 

 ランド博士の指示を聞いたユウトはキャタルガ隊を呼び、ファンをキャタルガ隊に回収させた後、再びハンターウルフ改に乗ってネオゼネバスに戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帝都ネオゼネバスシティの移民船の王宮の庭園で、帝国皇帝フィオナは侍女のジーン・エレシーヌ・リネを連れ、ギレル中尉とバスキア兄妹を招待していた。

 

 「中尉。」

 

 「はいっ、 皇帝陛下。」

 

 「とても似合ってますよ。それ、」

 

 「は、はぁ……」

 

 「フフフフフ、一緒にお茶をいかがですか?」

 

 「いえ、自分の役目は陛下の御身を御守りすることです。」

 

 「お話を聞かせてください。」

 

 「話……」

 

 「私は外の世界を知りません。私はここで生まれ、ここで育ちました。王族社会のことしか知らないのです。」

 

 「それに何の御不満が……世の中は陛下が落胆するようなことばかりです。」

 

 フィオナはまるで外に出るかのようにギレル中尉の前を通り、スナイプテラを見詰めた。

 

 「赤き死神……中尉のことを聞き、興味を持ちました。」

 

 「それで、私を?」

 

 「ここから連れ出してくれとまでは言いません。けれど、冒険の夢くらい、見させてください。」

 

 2人の会話にバスキア准尉が、

 

 「陛下、かようなお話はお止めください! そんなことして、もし宰相閣下や摂政閣下にご迷惑を掛けたら、どうするのです!?」

 

 「自分も同じです! 陛下には帝国皇帝としての自覚を持って頂きたい。」

 

 「もうっ、 バスキア准尉も少尉も、冗談が通じないのですね。」

 

 「ここにおられましたか!」

 

 現れたのはハワード宰相だった。

 

 「ハワード宰相。」

 

 「ジーン! 皇帝陛下の侍女なら、もっと陛下をしっかりさせてください!」

 

 「申し訳ありません。ですが、陛下がどうしてもギレル中尉と会いたいと申してまして……」

 

 「全く! 陛下、会見はどうなされたのですか? これからプライド摂政と会う約束のはずでしたが……」

 

 「それが、摂政は私とは会わないと申していて、今、こうしています。」

 

 「なっ! 帝国摂政でありながら、皇帝陛下に顔すら会わせないだと!! なんて無礼な男だ! くそっ、先帝陛下は何故あのような男を摂政に!?」

 

 「それくらいにしてください。ハワード。私は確かにこの帝国の皇帝ではありますが、余り政治には不向きです。 それにプライドが摂政になってくれたおかげで、帝国もここまで発展したのですから。」

 

 「それが困るのです! いつまでもあの男に頼ってばかりいては! それにそのおかげで、帝国内では陛下よりもあの男を支持する者が多数いるのです!!

 それでは陛下の威厳が益々落ちてしまいます。 陛下には先帝陛下と同様に立派になってもらいませんと!」

 

 「い、いえ……そんな……」

 

 「ハワード宰相! その責任はこの私が取ります! この命に替えましても!!」

 

 「ギレル中尉、いくら、コリンズ中将の教え子だからって、まだ若い君が陛下の護衛は荷が重い!」

 

 「いえ、そんなことはありません! 私はコリンズ中将と共に帝国に忠義を誓った者。その者が陛下の護衛を務めることはこの上ない名誉のことです!! 必ず、宰相の御期待に添えます。」

 

 「その言葉、信用していいのだな?」

 

 「はいっ!」

 

 そう言うと、ハワード宰相はその場を去った。

 

 「ギレル中尉。」

 

 「はいっ!」

 

 「もしかして本当は私と一緒にいたいのですか?」

 

 それを聞いたギレル中尉は慌てて、

 

 「な、何を仰るのですか!? わ、私は軍人です!!」

 

 「ウフフ、顔が赤くなっていますよ。」

 

 「こ、これは……違います。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオゼネバスシティの移民船の下にあるプライド摂政の別荘。

 

 「フィオナとの面会を拒否したって?」

 

 「ああ、そうだ。」

 

 「そんなことしていいのかしら? あの頑固な宰相が黙っていないわ。」

 

 「ふん、あんな世間知らずの小娘なぞ、会わせる顔等ない! 所詮は城にこもっているだけの只のお飾りの存在だ。」

 

 「過去の惑星Ziにも幼子を皇帝にしたことがあったけど、今度はあのじゃじゃ馬の小娘を皇帝にするとは……ホント呆れるわ。」

 

 「あんなものは皇帝の器ではない。皇帝とは本来圧倒的な力と絶対的なカリスマ性を持つ、そう、即ち、神に等しい存在がなるべき者がなる地位なのだからな。」

 

 「あたしたちがいなかったら、今頃共和国に吸収されていたでしょうね。 それより、ランドがまた禁制地区に入って、例のものを回収したらしいけど……」

 

 「それならそれでいい。あの一件であの船は消えた。これで奴があの船の秘密を知ることはないのだからな。暫くあれは奴に好きなようにする。」

 

 「では、このまま泳がすつもり?」

 

 「そうだ。暫くは我々が手を出す必要はない。ところで、ユウトは?」

 

 「ランドのいる研究所にいるけど。」 

 

 「そうか……奴にはもっと強くなってもらわなければな。奴こそが我々の計画の最終フェーズなのだからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 禁制地区から巨大なファンを回収したランド博士とユウトはプライド摂政の別荘にある研究室に戻った。そんな2人の元にメルビルが迎えていた。

 

 「お父様! ユウト! 無事だったんですね。」

 

 「ああ、心配をかけたな。実はあの禁制地区から興味深いものを発見し、しかも調査をした結果、とんでもない代物だということが判明した。それをお前に見せてやりたいと思ってな。」

 

 「そんな凄いものが発見されたんですか!?」

 

 「ああ、そうだ! ユウト、お前もどうだ?」

 

 「僕は結構です。ここのところ、ずっと働きっぱなしですので、僕は一旦休息を取らせていただきます。」

 

 そう言うと、ユウトは部屋から退出した。それを見たメルビルは少し心配そうだった。

 

 「ユウト……」

 

 

 ユウトはプライド摂政の別荘の庭で少し休み、自身が植えた紫色のバラを見ていた。

 

 「これまで、僕は博士のためにどんな戦いにも耐えていた。でも、ジェノスピノには僕を乗せてくれなかった。それにあいつとの決着もまだついていない。僕はこのままてでいいのだろうか……」

 

 ユウトは過去のことを思い出していた。10年前、銀髪で形の整っていた美少年であったが、服装がみすぼらしく、靴もろくに履いていない彼は帝国、共和国どちらの領域におらず、そこが禁制地区なのか定かではないが、1人で廃墟になった旧市街地に暮らしていた。

 両親の顔も覚えておらず、そもそも何故、自分がここにいるのか、両親は生きているのか、死んでいるのか、そして自分は何処から来たのか、自分の本名は何なのかも知らなかった。

 そんな中でも幼い彼はずっと1人で旧市街地を転々としながら、生きようと必死に生活していた。誰も助けに来ず、誰の手も借りられず、ずっと1人で……

 そして、夜になれば、その暗闇が更に孤独さを増し、彼の恐怖を引き立てた。

 しかし、彼を恐怖に落とし入れたのは、闇だけではなかった。それはリジェネレーションキューブの不完全なZiホーミングによって現れ、人々を脅かしているゾイドならざる金属生命体ジャミンガだった。

 一般的にジャミンガはリジェネレーションキューブの端末の不正常な作動によって生まれたとされているが、そもそも何故そのような存在が生まれるのか、そもそも地球を再生させる程の強大な力を持ったリジェネレーションキューブの端末も開発者であるボーマン博士も全て把握しているわけではなく、未だ謎の多い物である。

 ジャミンガはまるで何か力を求めているのか、獲物を駆る猛獣のようにユウトに襲いかかってきた。

 ジャミンガは他のゾイドと違い、ゾンビのように敵味方関係なく、見境無しに人間を襲うのが普通であったが、どういうわけか、他の人間が旧市街地に来ても一切見向きもせず、ユウトにだけ襲いかかり、それが昼夜問わず続き、まだ幼い彼の恐怖を更に増幅させることになった。もちろんこのジャミンガの不可解な行動は彼自身も知らなかった。

 その生活が数ヵ月間続き、彼が街中で倒れると、ある人物が彼を拾い、ある場所に連れていかせた。その場所は親のいない身寄りのない子供たちを保護する孤児院だった。

 今まで誰も助けなかった中、初めて自分を助けてくれた人物が現れ、それまでの孤独生活から脱却するようになった孤児院での生活、だが、それもユウトの孤独さを更に増幅させるだけだった。

 数ヵ月間以上に渡る1人の生活、ジャミンガによる執拗な追跡等を何度も経験してきた影響か、誰にも声を掛けることが出来ず、また孤児院の子供たちもユウトの見た目に反して何か得体の知れない何かを感じ取って、彼との距離を完全に離していた。

 ここでも再び孤独が彼を襲う。子供たちが遊んでいる中、ユウトは1人、孤児院の端しっこに座っていた。

 

 「僕は一体何処から来たんだ? 僕は何のためにいるんだ?」

 

 しかし、そんな彼の元にある1人の少女が手を差しのべた。

 

 「どうしたの? こんなところにいて。」

 

 ユウトに声を掛けた少女はまだ幼いハンナ・メルビルだった。

 

 「お前には関係ないだろ。」

 

 「そんなことないよ。君、1人なんでしょ? だったら、私と遊ぼ。」

 

 「何で、お前がそこまで僕に構う?」

 

 「だって、君だけ一人ぼっちにするわけにはいかないじゃない。私はハンナ。 君は?」

 

 それを聞いたユウトは不思議と今までの孤独感から解放されるようにメルビルに距離を置こうとしなかった。

 

 「名前なんて無いよ。知らないから。」

 

 「そう……可愛そうに。じゃあ、私が代わりに名前をつけてあげる。ユウトって名前はどう?」

 

 「ユウト……いいよ。」

 

 「じゃあ、ユウト。私と一緒に遊ぼ!」

 

 メルビルに誘われたユウトは不思議と1人でいる殻を破り、自然にメルビルと打ち解けあった。今まで誰も助けてくれず、ただ1人で生きていた自分に初めて手を差しのべてくれたメルビルに特別な感情を抱くようになった。

 しかし、その数日後、その生活が一変する事態が起こった。孤児院に複数のジャミンガが襲いかかってきた。突然、襲いかかってきたジャミンガに子供たちは我先へと逃げた。

 しかし、1人逃げ遅れた子が倒れ、メルビルはその子を助けようと駆け寄る。

 

 「ハンナ!」

 

 ユウトはメルビルを助けようとするが、孤児院に入るまでに自身の恐怖の根源であったジャミンガを目の前にして、その場を動くことができない。

 ジャミンガは直ぐ側に来て、メルビルとその子は死を覚悟した。だが、ジャミンガは突然動きを止めた。

 メルビルは恐る恐るジャミンガに触れ、ジャミンガはメルビルに擦れよった。

 それを見た子供たちは驚きを隠せなかった。

 

 「どうなってんだ? 何で、ハンナには襲わないんだ?」

 

 その他のジャミンガもメルビルに近付こうとしたその時、ユウトの脳内にかつての市街地での逃亡生活が映った。それを思い出したユウトは混乱し、発狂した。

 

 「う、ウワァー!! 消えろ! 消えろ! 消えろー!! もう僕の前に現れるなー!!!!」

 

 それを聞いたジャミンガは突然びくつき、まるでユウトに怯えるかのように後退りし、すごすごと退散していった。その様子にメルビルを初め、他の子供たちもそれに驚き、怖がった。子供たちの目を見たユウトは再び孤独感を感じた。

 その後、メルビルは周囲の子供たちから遠ざけられ、それまで一緒にいた友達さえも彼女から離れた。

 

 「なあ、ハンナと一緒にいなくていいのか?」

 

 「別にいいだろ! あいつ、ジャミンガを従えるような奇妙な奴だからよ。」

 

 「でもよ! それより、もっとヤバい奴いるじゃねぇか。」

 

 陰口を言われながら、メルビルは1人本を読んでいた。だが、子供たちが最も距離を置き、恐怖していたのはメルビルではなく、ユウトだった。

 本来、他のゾイドと違い、感情や意思を持たないゾンビのような存在のジャミンガがユウトの発狂した声で、まるで恐怖を感じ取ったかのように引き下がらさせる程の力を持つユウトにはまるでこの世のものとは思えないような存在に見えていた。

 

 「知っているか? あいつ、狂ったような声を出して、ジャミンガを追い払ったんだって!」

 

 「しかも、ジャミンガが怖がったみたいだったそうだぜ!」

 

 「もしかしてあいつ、人間じゃないんじゃないか?」

 

 「きっとそうだぜ! だって、あいつ、俺たちと会っても全然、口聞かねぇしよ!」

 

 「でも、ハンナだけはあいつに構っているけど……」

 

 「あいつも変な能力持っているからな。似た者同士って奴だろ!」

 

 そんな陰口を言われる中、ユウトは孤児院の端で1人佇んでいた。

 

 「僕は一体誰なんだ? 僕は何故ここにいる?」

 

 しかし、メルビルだけは彼を構ってくれた。

 

 「どうしたの?」

 

 「お前には関係ないだろ。」

 

 「そんなことないよ。」

 

 「あっちいけ! 僕に構うとお前は益々他の奴から離れられるだろ! だから、僕なんてほっといて友達のとこにいけ。」

 

 「もう、いないわ。友達なんて……」

 

 悲しそうなメルビルの表情を見て、ユウトはメルビルから遠ざける他の子供たちの姿を見た。

 

 「ごめん、僕が来たから、こんなことに……」

 

 「ううん、あなたは悪くない。」

 

 それから数日後、孤児院にある1人の男が現れた。それはランド博士だった。

 

 「あなたは?」

 

 「君たちは自分の力に自信を持てないだけだよ!」

 

 「それってどういうこと?」

 

 「私と共に来い! お前たちにチャンスを与える。そして、お前たちに新しい名前を与える。

 お前たちは今日から私の息子ハンナ・メルビル、ユウト・ザナドゥリアスだ。付いてこい!」

 

 それを聞いたユウトとメルビルは疑うことなく、ランド博士に付いていった。

 それから数年後、ランド博士の養子となって、新しい名を与えられ、ゾイドの知識を始めとしたありとあらゆる教育を受け、ユウトとメルビルはマニノフ大尉の元で軍事訓練を行った。

 

 

 

 

 

 砂漠地帯帝国軍仮設基地でユウトとメルビルはマニノフ中尉と共に量産型スナイプテラで演習を行っていた。

 

 「メルビル少尉、少し遅れてるぞ!」

 

 「申し訳ありません! 大尉殿。」

 

 「全く、君は相変わらずだな。もし、戦場にいたら、あっとういうまに落とされるぞ!」

 

 「す、すみません。」

 

 「それにしても、ザナドゥリアス少尉の腕は目を見張るものがある。メルビルより年下で、まだ16の少年だというのに、初乗りでここまでこの機体を乗りこなせるとは!」

 

 仮設施設でその様子を帝国技術者とランド博士がその様子を見ていた。

 

 「メルビル少尉は、まだ士官学校をでたばかりの新兵で、不安定ながらもある程度は乗りこなしているが、このザナドゥリアス少尉という男は一体何者だ!?

 メルビル少尉と同じ士官学校を出たばかりの新兵でしかもまだガキだというのに!」

 

 「メルビルもだが、ユウトには特別な凄まじい力を持っているのだよ。彼とメルビルなら、私の野望を実現してくれる。」

 

 ランド博士がユウトとメルビルに期待を寄せる独り言を発したその時、仮設施設にサイレンが鳴り、帝国軍のクワーガが仮設施設に入った。

 

 「マニノフ大尉、共和国軍が我が部隊を破り、真っ直ぐこの施設に向かっています! 急ぎテストを中止して全軍の撤退命令が出ました!」

 

 「何!? まさか、共和国軍がここまで来たというのか! 仕方ない。全軍に告ぐ。直ちに基地から撤退せよ! 博士も急いで退避を……」

 

 「大尉、連中は私に任せてください。」

 

 マニノフ大尉の命令に反し、ユウトはスナイプテラで、その共和国軍の元に向かった。その時のユウトの表情は冷静ながらもまるで死に場所を探しているような表情でもあった。それを見たメルビル少尉は助けに行こうとするが、ランド博士はメルビル少尉のコクピットに通信を開き、

 

 「お前は行くな! メルビル。」

 

 「お父様、どうしてですか!? 彼1人だけ行かせるわけには!」

 

 「構わん。ここは彼に任せるのだ。 彼はそう簡単にやられるタマではない。」

 

 

 

 

 

 

 

 共和国軍が仮設施設の近くまで来ると、目の前にユウトの乗る一体のスナイプテラが突っ込んできた。

 

 「何だ?」

 

 ユウトのスナイプテラはガトリングを撃ち込み、ラプトリア隊を撃破し、ガノンタス隊の足まで破壊した。それを指揮している共和国軍将校は、

 

 「スナイプテラ一一機でやるではないか! だが、容赦はしない! 全軍、撃てー!!」

 

 共和国軍の部隊が一斉にユウトのスナイプテラに砲撃するが、ユウトのスナイプテラはそれを難なく、それを交わし、

 

 「スナイプテラ、兵器 解放! マシンブラスト。 アブソリュートショット!」

 

 すかさず、マシンブラストを発動したユウトのスナイプテラはA-Zスナイパーライフルで正確に共和国部隊のゾイドを一体一体正確に撃ち、まるでドミノ倒しのように次々と撃破された。それを見た共和国軍将校は驚きを隠せず、

 

 「そんな……たかが、スナイプテラ一機で我が共和国部隊が一瞬で……」

 

 終いには共和国軍将校の乗るトリケラドゴスのみとなり、遂にそのトリケラドゴスも破壊され、つい先程まで帝国軍を苦戦させた共和国部隊がたった一機のスナイプテラによって一瞬の内に壊滅された。その時間は僅か数分。

 その様子を見て、マニノフ大尉を始めとした帝国軍将校及び帝国技術者も唖然としていた。

 

 「なっ、こんなことが……ギレル中尉のスナイプテラより劣る量産型スナイプテラでここまでやるとは……」

 

 帝国技術者の横にいたランド博士は不気味な笑みを浮かべた。しかし、メルビルだけは心配そうな表情をした。

 

 「フゥ~、こいつらも僕を倒せる程の相手じゃなかったか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 数ヶ月後、ユウトはその後の訓練も実績を上げ、スナイプテラ以外にもランド博士が最初の改造ゾイドであるギルラプター改のシミュレーションでも数十体のラプトールを僅か数秒で殲滅し、3体のキャノンブル相手でも機体に傷をつけられることなく、壊滅させた。

 これには多くの帝国軍将校及び技術者も目を見張るようなものがあるようにユウトに注目し、ランド博士は自分が望んだ姿になってくれて期待を寄せていた。

 しかし、映像のユウトにはほとんど無表情で、メルビルは訓練に従事しながらもユウトのことが気掛かりだった。

 

 

 

 やがて、その実力を見込まれて帝国摂政プライドに呼ばれるようになった。ランド博士に連れられ、ユウトとメルビルはネオゼネバスシティのプライド摂政の別荘に入り、帝国最高の実力者であるプライド摂政に会った。彼の横にはラスト大佐とセードがいた。

 

 「よくやった、ランド博士。優秀なエリートを育てたようだな。」

 

 「お褒めいただきありがとうございます。閣下。ですが、勘違いはしないでください。ザナドゥリアス少尉とメルビル少尉は私の息子ですので……」

 

 「そのつもりはない。私は君のせがれを私直属の軍人として推薦したいだけなのだ。

 ユウト、メルビル、よくここまで来てくれた。君たちは私の直属として仕えることになったのだ。君たちは私の命令だけに従うだけで、軍に縛られないのだ。これは君たちエリートのみ与えられた特権なのだ。」

 

 「ありがとうございます! 閣下。」

 

 「あ、ありがとうございます。」

 

 ユウトの何気ないお礼を聞いたメルビルは不安そうな表情をした。

 

 「ユウト……」

 

 「それと、私の私兵のセードだ。ユウト、君と同い年でほぼ同じ実力を持つエリートだ。仲良くしてやってくれ。」

 

 「はい、よろしく……」

 

 ユウトが握手を交わろうとすると、セードはその手を払った。

 

 「この俺に気安く触るな! 貴様、随分他の連中に歓迎されているようだが、間違えるなよ。

 この帝国で最強なのはこの俺だからな。所詮貴様はどう足掻いてもNO2でしかならないのだからな!」

 

 「そうか……でも、いつまでもお前が上だと思うなよ。いずれその上に僕が立つんだから。」

 

 「ふん!」

 

 セードと対面したユウトは彼にライバル心を抱き、プライド摂政に連れられ、別荘に入っていった。

 

 

 

 

 それから数日後、

 

 「なるほど、流石だ。身体能力だけでなく、IQもかなりの高さだ。やはり、君は私に仕えるに相応しい者だ。」

 

 「ありがとうございます! 閣下。」

 

 「ただ、君の専用機がメルビル少尉と同じスナイプテラというのが非常に勿体ない。そう、私の私兵のセードのファングタイガー改のようにな!」

 

 「ファングタイガー改?」

 

 「ランド博士が特別な改造を施した帝国最強のゾイドだ。彼はそれで数々の実績を上げ、共和国の大部隊すらも一瞬で壊滅し、共和国から悪魔の虎とさえ、呼ばれたほどだ。 だから、君にもそれと同等のゾイドを与えたいのだが……」

 

 「閣下!」

 

 「何だね? ランド博士。」

 

 「実は既にザナドゥリアス少尉に相応しいゾイドが完成しております。」

 

 「ほぅ、」

 

 

 ランド博士がプライド摂政、ユウト、メルビルを連れてある倉庫に着くと、そこにファングタイガー改と同様の兵器改造されたハンターウルフがいた。

 

 「博士、これは?」

 

 「ファングタイガー改と同時期に開発していたハンターウルフ改だ!」

 

 「ハンターウルフ改。」

 

 「実はこの時のためにザナドゥリアス少尉に相応しい最強のゾイドを開発していたのだ。これがあれば、お前はファングタイガー改にも比毛を取らない最強のライダーになるのだ。」

 

 「素晴らしい! 素晴らしいよ。ランド博士。」

 

 プライド摂政はユウトの肩を撫で、

 

 「ユウト、今日からこれが君のゾイドだ! 更なる活躍を期待しているぞ。」

 

 「ありがとうございます! 閣下。」

 

 ハンターウルフ改がユウトの専用ゾイドになった後、その後の戦歴は目まぐるしい成果を上げ、やがて、それはセードのファングタイガー改と同等かそれ以上にもなるようになった。

 プライド摂政の別荘の庭で1人紅茶を飲んでいるメルビルの元にユウトが立ち寄り、ユウトは紫色のバラを渡した。

 

 「これ、君にあげるよ。」

 

 「あ、ありがとう。どうしてこれを?」

 

 「き、君のために植えて育てたんだ。君に合う色をね。最近元気がないから……」

 

 「ありがとう……でも、元気がないのは私の方じゃないの……」

 

 「え……」

 

 「最近、あなたからすっかり笑顔が無くなって、まるでただ、戦うために生きているようなあなたが心配で、せっかくお父様の元で暮らしているのに……」

 

 「ハンナ、君は博士のことを父親と思っているの?」

 

 「もちろんよ! だって、あの人は孤児だった私たちを受け入れて大切に育ててくれた、例え、血が繋がっていなくても私とあなたはフランク・ランドの子供なんだから!」

 

 「僕は君が羨ましいよ。」

 

 「え……」

 

 「僕は君ほど素直じゃない。僕は博士を素直に父親とは呼べない。博士は閣下と共に僕に凄く期待しているけど、本当に僕をそれほど必要としているのか、 ただ、僕を戦うためだけに生かせているのかわからない。

 僕は今までずっと1人で生きていた。誰も助けてくれず、誰も僕を受け入れてくれず、ずっと1人だった。

 でも、君だけは僕を受け入れてくれた。君がいたから、僕は幸せだった。だから、僕は君が幸せにいて欲しいんだよ。」

 

 「それでいいの? ただ、私が幸せになるだけで……」

 

 「僕には僕自身の幸せなんかわからない。両親の顔だって知らないし、生きているのか、死んでいるのかすらもわからない。

 本当の両親が誰なのか、僕が誰なのかそれを知りたがっている心が邪魔して、博士を父親と呼べず、ただ、ひたすら戦っていた。

 そうしていく内に段々と戦うためだけに生まれてきたような気がしていった。でもそれでいいのかもしれない。ただ、戦って生きていれば、そんな心も忘れて楽になれるかもしれない。」

 

 「違う! お父様はこの戦争を終わらせたいために戦っているの! あなたを戦いの道具に使っているなんてそんなこと、お父様は望んでいない!!」

 

 「本当に博士は僕を必要としているの?」

 

 「そうよ! そうでなきゃ、私たちを引き取ってくれないわ!」

 

 ユウトは教育を受けた時にランド博士が言ってた言葉を思い出した。

 

 「(いいか、この世に生き残れるゾイドは強いゾイドのみ! 弱いゾイド等、強いゾイドが生き残れるための道具に過ぎない。もちろん、人間もな!)」

 

 「なら、僕は戦って戦って強くなる! それで博士が僕を認めて息子と思ってくれるなら、僕は最強の存在になるために! そして、セードを、あいつを越えてやる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 過去を思い出したユウトは、

 

 「でも、どうして博士は僕をジェノスピノに乗せてくれなかったんだ? 僕がまだ弱いってことなのか? あいつにも勝てなかったから……」

 

 ユウトは摘み取ったバラを握り潰し、研究室に戻っていった。その時、部屋でランド博士とメルビルの会話を聞いた。研究室で2人は巨大なファンを見ていた。

 

 「これは……?」

 

 「荷電粒子吸入ファンだよ!」

 

 「荷電粒子吸入ファン?」

 

 「そう、かつて惑星Zi最強の兵器である荷電粒子砲を撃つためのものさ。実はこの化石はゾイドクライシス時に出現したゾイドの化石だということが判明した。」

 

 「でも、どうしてこんなものが? ゾイドクライシスにはそんなものが使えるゾイドはいないはずなのに……」

 

 「私も一瞬目を疑ったよ。しかもこいつはあのジェノスピノと同等かそれ以上の力を持つゾイドとも判明している。」

 

 「ジェノスピノ以上の力を持つゾイド?」

 

 「メルビル、デスレックスを知っているな?」

 

 「もちろんです! デスレックスは帝国軍が複数の個体の復元に成功しましたが……」

 

 「そうだ。だが、復元した個体はどれも不完全だったり、制御不能な個体ばかりで、どれも使い物にならず、全て投棄した。

 デスレックスは強大なゾイド故、ゾイドクライシス後の世界に長くいられず、他のゾイドよりも早く石化したため、復元してもその環境に耐えられず、どうしても不完全な個体ばかりになってしまった。 この個体も同じく。」

 

 「では、この化石はデスレックスの……」

 

 「いや、突然変異といっていいものだ。詳しいことは不明だが、あの地区にあった船による何らかの力で、こいつは荷電粒子砲を撃つことができる個体に進化したようだ。

 だが、荷電粒子砲を放つには空気中にある荷電粒子をこの吸入ファンで取り込み、それを体内でエネルギー変換をしなければ、放つことが出来ないため、ゾイドクライシス時の地球には空気中にある荷電粒子が余りに不足していて、この個体は一発の荷電粒子砲を放っただけで、直ぐに機能停止してしまった。」

 

 「情報が少なかったのは、このゾイドはゾイドクライシス時の環境に耐えられず、絶命してしまったため、ジェノスピノ程の破壊をすることが出来なかったってことですか?」

 

 「そうだ。だが、そもそもの原因はゾイドクライシスの影響による不完全な環境によるものだ。それを改善するための装置さえあれば、こいつを再び甦らせることができる。」

 

 「その装置とは?」

 

 「リジェネレーションキューブだ。ボーマン博士が地球再生のために開発したあの端末さえ手に入れば、その問題は解決する。」

 

 「では、博士はもしかして……」

 

 「そうだ! 私はこの化石にリジェネレーションキューブの端末を取り込む。そうすれば、史上最強兵器、荷電粒子砲を使え、ジェノスピノをも凌駕する真の破壊龍が誕生する!  

 史上最強のゾイドを作るためには私はどんなことだってするのだ。」

 

 そんな2人の会話をユウトはドア越しで聞いていた。

 

 「ジェノスピノすらも凌駕する真の破壊龍だって? まさか、博士は僕にジェノスピノを乗せなかったのは、それに乗せるため?」

 

 その時、作業員の1人がランド博士に報告し、

 

 「博士、その個体の化石が眠る場所が判明しました!」

 

 「何処だ?」

 

 「火山地帯です!」

 

 「そうか……では次はそこに向かう。全作業員も直ぐに準備にかかれ!」

 

 「博士、プライド閣下には?」

 

 「心配はいらん。報告する必要はない。ユウト! いるのだろ?」

 

 「はいっ!」

 

 「直ちに火山地帯に向かう。出撃準備にかかれ!」

 

 「了解しました!」

 

 ユウトはハンターウルフ改に乗り込み、

 

 「ジェノスピノをも凌駕するデスレックスの突然変異種……それに乗ることが出来れば、僕が最強の存在になる。」

 

 ランド博士が自分をデスレックスの突然変異種に乗せることを期待して、ユウトはランド博士とメルビルの乗るスナイプテラインペリアルガードやその他のキャタルガ隊と共にデスレックスの突然変異種の化石が眠る火山地帯に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 禁制地区の海辺に突然津波が発生し、海辺のあらゆるものが流されていった。そして津波発生と同時にある巨大な突起が現れ、現れたのはスチールエリアでレオのライジングライガーに敗れ、海に消えたジェノスピノだった。海上から姿を現したジェノスピノはジェノソーザーがレオのライジングライガーによって破壊され、身体の至るところが傷だらけになっていた。

 そして、コクピットの中のセードはスチールエリア戦後にずっと海中を泳いでいたため、それの影響で疲弊した表情をしていた。

 

 「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……くそっ、あのライガーとそのライダー! この俺と」

 

 セードが見渡すと、そこにはゾイドクライシスの影響で半分埋まり、朽ち果てた自由の女神像や崩れたエンパイアステートビル、そして廃墟となった街並み、ここはニューヨークだった。

 

 「どうやら、帝国領ではないようだが、まあ、いい。ここなら、ある程度の材料はあるだろう。そしてジェノスピノを修復し、奴に復讐する!」

 

 ジェノスピノが街中に入ろうとしたその時、突然霧が発生し、霧からジャミンガに騎乗したラプトール、ラプトリア、ガブリゲーター、ドライパンサーの頭部を模した謎の兵士が領域に入らせまいと、ジェノスピノの周囲を取り囲んだ。

 

 「何のつもりだ? まさか、この俺を侵入者扱いか? 残念だが、俺にはそんなもん関係ない!

 ましてや、そのザコのジャミンガで俺を止められるとでも思ったのか!?」

 

 ジェノスピノがロングキャノンを放とうとしたその時、謎の兵士たちが道を開け、霧の中からある人物が現れた。

 

 「ん? 何だ。貴様は!」

 

 「セード・ランドだな。 我々は貴様を待っていた。」

 

 「何だと……」

 

 To be continued




 次回予告

 端末の反応があった場所に向かうレオたち、そこには人1人もいない謎の遺跡のあった村だった。端末を探す中、レオたちは村を守護するアンキロックスに出会う。
 この村に何故人がいないのか、アンキロックスは何故人のいない村を守るのか、それを探るうちにレオは父のことを思い出していた。

 次回「村ノ 守護神」

 走り抜け、ライガー!!


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第19話「村ノ 守護神」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーが新たな姿を得て進化したライジングライガーの力によって強敵セードとジェノスピノを打ち破り、新たな仲間を加え、再び地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 ゴールデンゲートブリッジから少し離れた場所まで来たレオたち、ユウトのハンターウルフ改、メルビルのギルラプター改、そして禁制地区に霧の中から現れる謎の存在との戦いで、ライガーたちが傷付き、バズの車が破壊されたため、ライガーたちのメンテナンスを行えるための道具と場所を求めて進んでいった。車を破壊されたバズはフォックスに乗っていた。

 

 「なあ、バーンの旦那。この狭さ、何とかしてくれないか?」

 

 「無茶言うな。そもそも俺のフォックスは2人乗りじゃないんだぞ! 嫌だったら、あっちのお姉さんたちのゾイドに乗れば?」

 

 「いや、でも……ラプトリアはもっと狭そうだし、そしてもう1人の共和国の姉さんは乗せてくれなさそうだし……」

 

 「けっ、仕方ねぇな。」

 

 その時、サリーが何か見付けた。

 

 「ねぇ、あれ何?」

 

 「ん?」

 

 サリーが指差した方の森にキャタルガがいた。

 

 「あれって、確か、バズの知り合いのキャタルガじゃない?」

 

 「言われてみれば、ラプス島であの時、私たちを助けてくれたキャタルガだわ。でも見たところ、主人を失っているから、帰るところがなく、乗ってくれるライダーも現れず、野良ゾイドになってしまったそうね。」

 

 「全くだ。あんな得体の知れないもん、俺に紹介しやがって! 酷い目に逢ったのはこっちの方だよ!」

 

 「でも、あのキャタルガ、何か落ち着かない様子。」

 

 サリーが指摘している通り、キャタルガは何かソワソワしていた。そして、レオたちの方を見た後、森の奥の方に行った。それを見たレオは、

 

 「もしかしたら、あのキャタルガ、俺たちを道案内しているのかも。ついていってみよう!」

 

 「お、おい、待て! レオ。」

 

 「ここは彼を信用した方がいいかもね。」

 

 パキケドスBRもライガーの後についていき、バーンとアイセルも渋々ながら、その後についていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キャタルガの後についていくと、森の奥にネジ曲がった空間があり、そこに何やら、街が見えるが、空間の歪みではっきりと見えなかった。キャタルガは再びレオたちを見て、そのまま空間の歪みに入っていった。

 

 「おいおい、またへんなところに行っちまったぜ! これは引き下がった方がいいんじゃないか? レオ。」

 

 「レオ……」

 

 「キャタルガが俺たちをここまで連れてきてくれたんだ。きっとこの中に何かある!」

 

 レオは迷いなく、空間の歪みに入った。

 

 「お、おい! な……なあ、共和国のお姉さん、俺たちは入らない方がいいんじゃ……」

 

 「私はロックバーグ中尉よ! 根性がないなら、さっさと帰れば? それにこんなものがあるなら、調査しないわけにもたいかないわ。」

 

 そういって、ロックバーグ中尉もパキケドスBRと共に空間の歪みに入って行った。

 

 「行くしかないな!」

 

 「お、おい! バーンの旦那。」

 

 「何なら、降りれば……」

 

 「わ、わかったよ!」

 

 フォックスもラプトリアも続けて空間の歪みに入った。そこはとある村、村の家は形式によると、先住民の村のようだった。

 しかし、空間の歪みの中にあってこの村だけはその空間の歪みの影響がほとんどない。

 それどころか非常に色彩も鮮やかで丸でついさっき出来たような綺麗さのようだった。 その村にレオたちは驚きを隠せなかった。

 

 「この森にこんな村があるなんて……」

 

 「でも、この村普通じゃないわね。」

 

 村の中を散策するレオたち、しかし、村には人の気配が一切無かった。

 

 「誰もいないの?」

 

 「ちょっと調べてみるわ。」

 

 ロックバーグ中尉はパキケドスから降り、拳銃を取り出して、近くの家に行き、ドアをノックした。だが、いくらノックしても反応はない。そればかりか、ドアには鍵すらかかっていない。ロックバーグ中尉はドアをゆっくり開き、銃を向けた。しかし、中には誰もいなかった。

 

 「誰もいないわ。」

 

 バーンたちもゾイドから降り、他の家を調べてみると、同様だった。

 

 「こっちもいない。どうやら、この村完全に無人のようだな。」

 

 「それにしても、何故……ん?」

 

 その時、ロックバーグ中尉はテーブルに置いてある手紙を見つけ、その日付を見た。

 

 「2025年……まさか、これは!」

 

 「教官殿、どうしたんですか?」

 

 「これを見て。」

 

 ロックバーグ中尉はレオたちに家にあった手紙を見せた。

 

 「これがどうかしたんですか?」

 

 「日付を見て!」

 

 「日付って、8月……1日……。」

 

 「違う! その前よ。」

 

 「その前? 2025年?」

 

 「どうなってたんだ? 俺たちの使っている暦とは違うのか?」

 

 「そう、軍に入った時に少し調べてみたけど、ゾイドクライシスが起きる前の地球には西暦という暦を使っていたらしく、そしてその2025年とは西暦2025年……即ち、その手紙はゾイドクライシスが起きた日に書かれているものなの。」

 

 それを聞いたレオたちは驚きを隠せないでいた。

 

 「ち、ちょっと待ってください。ロックバーグさん。それって、つまり……」

  

 「そう、どうやらここはゾイドクライシス時から存在してた村らしいわ。」

 

 「おいおい、どうなってたんだよ!? ゾイドクライシスに遭った街はどれも廃墟になってるんだぜ! なのに何でここだけこんなしっかりのこっているんだよ!!」

 

 「そう、それが問題なのよね。」

 

 村の周囲を見渡し、家に植えられていた薔薇を見つけ、それを取ると、切り花が枯れずに残っていた。それに疑問を抱き始めるアイセル。

 

 「何十年以上も経っているはずなのに、こんなはっきり残るなんて……」

 

 「これって、もしかしてボルテックスじゃない?」

 

 「ボル……何だ、それ?」

 

 「ボルテックス! 時間が止まった街のこと。実は父さんが共和国から委託を受けて世界中を調査していた時のノートにそれが書いてあるんだ。ほら、見て!」

 

 レオはノートを取り出し、サリーたちに見せる。その時、 落ちた写真を拾い、それを見るサリー、 敬愛するコンラッド博士の所有物が目の前にあることに興奮を隠せないアイセル。

 

 「え、それって、コンラッド教授の日記!? 嘘、そんなものまで残っているなんて、感激!」

 

 「これだ。街は未知のエネルギーが渦巻いていて、まるで時間が止まっているようだったって!

 その強力なエネルギーが砂嵐で街を外の世界と隔絶し、時間の流れまでも変化させてるんじゃないか、って父さんは推測してる。

 その未知のエネルギーを、父さんは“ボルテックス”と名付けたんだ。」

 

 「へぇ~、そんなことが書かれているなんて、お前の親父さん、随分研究熱心なんだな。」

 

 

 サリーが見た写真に写っているのはレオの父であるコンラッド博士。レオの赤い毛髪は父親譲りだった。

 

 「これがレオのお父さん……」

 

 その横でロックバーグ中尉もコンラッド教授の写っている写真を見ると、何か思い出したような表情をした。

 

 「この人って……まさか!」

 

 「このノートによると、ボルテックス現象があるところにもしかしたら、端末がある可能性があるんだと思うんだ。」

 

 「ちょっといいかしら?」

 

 その時、ロックバーグ中尉が口を開いた。

 

 「何ですか? ロックバーグさん。」

 

 「あなたの父、コンラッド教授って、一体いつからあなたと離れたの?」

 

 「え? どういうことですか? もしかして父さんのことを知っているの?」

 

 「知っているも何も、コンラッド教授は共和国随一の考古学者。 彼のおかげで、共和国の領土開拓にも貢献してくれたのよ。」

 

 「え? そうだったの?」

 

 「何だ? アイセル知らなかったのか?」

 

 「いや、私も初耳なんだけど……」

 

 「知らないのも無理はないわ。彼が共和国にいることはギャレット大将とハント大佐と私しか知らないの。」

 

 「でもよ、何でその人のことはそんな機密事項のようなことになってるんだ?」

 

 「彼は優秀な考古学者で、ギャレット大将直属だったのよ! でも、突然、禁制地区の謎を明かしたいと言って、軍上層部の静止を振り切って、このことは誰も話さないでくださいとギャレット大将に頼んで、禁制地区に入ってそれ以来行方不明になったかららしいわ。確か、それは5年前だったと聞いていたけど……」

 

 「そうです! 5年前に父さんは行方不明になっていたんです! でも、父さんは仕事の詳しいことは母さんにも教えてなくて、それ以来帰って来なかったんだ。

 その後、母さんが病気で死んで、俺1人で探したんだけど、見付からなくて……」

 

 「そして、そこをこの運び屋の俺が拾って今に至ったってわけさ!」

 

 「なるほど、家族にも秘密にしていたってことは、自分が禁制地区を調べていることを外部に知らされるのは危険と判断して、ギャレット大将に頼んで機密事項にしていたのね。」

 

 「それで、父さんはどうなったんです?」

 

 「禁制地区に一度でも入ったら、生存率は0%と言われているから、公式には死亡したということになっているけど、確かな証拠がないし、それに教授は地質にも詳しいから、もしかしたら、生きている可能性はあるかもしれないわ。」

 

 「てことは、教官殿が俺たちに同行したもう1つの目的って……」

 

 「そう! 行方不明のコンラッド教授も探し出すことよ。」

 

 「もしかしたら、父さんがこの近くにいるかもしれない! とにかく端末を探そう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオたちが村を散策していくと奥に遺跡のようなものがあった。

 

 「何だろ? あれ。」

 

 「何かの遺跡みたい。」

 

 その遺跡に進んでいくと、ライガーが警戒した。

 

 「どうした? ライガー。」

 

 ライガーが見ている遺跡の入口に一体のアンキロックスがいた。

 

 「あ? 何だ。あれ?」

 

 「あれはアンキロックスね。でも、こんなところにいるなんて……」

 

 そのアンキロックスは遺跡を守護しているような体制を取っていて、レオたちを見て低く唸った。

 

 「あのアンキロックス、もしかして私たちを敵だと思ってるの?」

 

 「そうね。あの様子じゃあ、私たちを侵入者だと思っているようね。」

 

 アンキロックスの目を見たサリーは、

 

 「あのゾイド、何だか悲しそう。」

 

 「うん、俺の左腕からも感じる。ずっと1人だった孤独感が……」

 

 「でも、これ以上あの遺跡には入れなさそうね。一旦戻りましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アンキロックスが守る遺跡から離れ、再び村の家に戻るレオたち、

 

 「たく、一体この村どうなってんだ? ゾイドクライシスからずっと残ったままの上に人ッ子1人もいないし、オマケに遺跡を守るアンキロックスと、ホントわけわかんねぇぜ!」

 

 「でも、こんなにはっきり残っているのにどうしてこの村に人がいないのかしら?」

 

 その時、サリーはテーブルにある日記を見つけ、それを見た。同時にレオもそれに気付き、

 

 「それ、何?」

 

 「誰かの日記みたい。」

 

 サリーはその日記を読み上げた。その日記にはこう書かれていた。

 

 10年前、私は優秀な米海兵隊の1人だった。だが、かつて制圧した反政府のテロ組織の破壊活動に巻き込まれ、最愛の妻を失い、左腕を失った。

 私は何とか生き残り、破壊から免れた息子も無事だった。しかし、テロ組織の猛攻は終わらなかった。私は息子と共に組織の手の届かない場所まで逃げ、この村に辿り着き、そこに移住した。

 この村は一般的な先住民の村と対して変わりはなかったが、少し違っていた。この村には信じられないちょっとした伝説があった。

 ある先住民から聞いた話によると、この星に人類が生まれるずっと前の時代に突如、この星に邪悪な存在が現れ、その邪神はその時代に栄えていた生物を一瞬の内に絶滅させ、星を壊滅寸前にまで追い込み、この星だけでなく、この世の全てのものを支配しようとしていた。

 だが、そんな時にこの時代に栄えた生物とよく似た姿をし、邪神に匹敵する力を持った救世主が現れ、果敢に立ち向かい、邪神を封じ込め、この星を救った。

 彼らによると、人類はこの星に現れた邪神とそれを封じ込めた救世主の力によって生まれ、邪神のような悪の部分もあれば、救世主のような善の部分があり、我々は邪神の闇に屈せず、かつてこの星を救った善の心を忘れてはならないという伝統があった。

 キリスト教信者の私には信じられない神話だったが、少し興味があった。そして、その神のご加護があってか、この村が秘境の地でもあったため、組織の驚異にさらされることなく、平和に暮らした。

 しかし、2025年8月1日、突如、空に幾つものオーロラが現れ、更に上空から青色に光った方舟が落ち、天変地異が起きた。

 ラジオ中継によると、その災害は世界規模に起こっているらしく、更には金属の身体を持つ謎の巨大生物まで現れ、街を破壊し、人間も襲っていたらしい。正に神々の怒りともいえる光景だった。

 私も息子や村の人々と共に逃げようとしたが、世界規模に起こっている災害から逃げる術はなかった。

 我々はただ、死を待つだけだった。だが、そんなとき、金属のアンキロサウルスが村に現れた。私は息子と村の人々を守るために銃を取ったが、左腕を失い、海兵隊時代の感覚を失った私には勝機がなかったが、最愛の妻を亡くした以上、これ以上失うわけにはいかなかった。

 私が銃を向けたその時だった。突然、息子がゆっくり金属の怪物に近付いていった。

 私は必死に息子を止めたが、息子は私の静止に応じず、怪物に近付いた。その時だった。怪物は突然、襲うのを止め、ゆっくりと息子に近付いていき、なついてきた。

 信じられない光景だった。何のその正体もわからない奇怪な怪物が息子と絆を結んだのだ。だが、驚異はそれだけでなかった。突然、複数のラプトル型の怪物も現れ、我々に襲いかかってきた。

 しかし、息子は怪物に乗り、突然怪物の身体から現れたキーを差し込んだ後、その怪物の身体が変形し、一瞬の内にラプトル型の怪物を葬った。そして同時に謎の光が現れ、ドーム状の空間が村を覆い、外の世界と完全に切り離され、村は守られた。それ以来、村の人々は怪物を神話で伝えられる救世主の使いとして感謝し、その怪物は息子の相棒として村を守った。

 それから数ヶ月後、村は平和になり、息子は怪物にラセットという名前をつけ、これまで通りの生活に戻った。

 しかし、私は安心出来なかった。いくら謎の空間の力で天変地異に見舞われている外の世界と切り離されたとはいえ、これがいつまで続くのかわからない。

 私は必死に密かに脱出する手段を模索した。その時、無線から天変地異を逃れた生存者が地球に現れた謎の方舟に似た宇宙船の開発に成功し、地球への脱出を計画していた。

 私はこの機会を逃さないために村の人々に避難を要請し、その宇宙船のいる場所へ向かおうとした。だが、息子はそれを拒否した。初めて友達になったラセットと離れることに躊躇していた。

 だが、妻を失った私には息子の要求に従うことが出来なかった。いくら友から離れたくないとはいえ、そのおかげで私の家族を失いたくない。例え、何が起ころうと私と息子は生き残るべきなのだ。

 私は無理やり、息子とラセットを切り離し、村の人々と共にこの村を脱出して宇宙船の元に向かった。

 息子を死なせたくないとはいえ、私は息子が初めて親友と呼べる存在を見棄て置き去りにしてしまった。

 例え、死んだラセットに許しを濃いても許されないだろう。だが、私は敢えてこの日記を残す。もしラセットがまだ生きているなら、この日記を読んでくれた人にもう一度ラセットと再び親友になって欲しい。それが私のせめてもの報いだ。

 

 サリーは日記に書いてあることを全て読んだ。

 

 「てことは、あのアンキロックスは地球を脱出した親子の帰りを待ってずっとこの村にいたっていうのか!?」

 

 「帰ることもない人を待って、この村をずっと待っていたのね。なんて可哀想なゾイド。」

 

 「てことは、俺たちの内の誰かがあのアンキロックスのライダーにならなきゃならないってことになるのか?」

 

 「そうなるわね。でも、私にはラプちゃんがいるし……」

 

 「俺もフォックスがいるしな……」

 

 「かといって、共和国軍に保護されても野生体として保護してくれるとは限らないし……」

 

 ロックバーグ中尉、アイセル、バーンは一斉にバズを見た。

 

 「お、おい、何なんだ? 揃いも揃って俺を見て……」

 

 「ライダー候補はお前しかいないだろう。ちょうど車がぶっ壊れて乗るもんがないしな。 それにこれ以上俺のフォックスに乗せるわけにもいかないし……」

 

 「確かにバズが一番適任ね。バズは車の免許持っているから、ちょうどいいわ!」

 

 「それにゾイドに乗れば、ほとんど邪魔だったあんたが戦力外から外されるから一石二鳥ね。」

 

 「何だよ! おまぇら、揃いも揃って言いたい放題言いやがって! 言っとくが、車の運転とゾイドの操縦を一緒にするな!!」

 

 

 その時、レオが声を上げ、

 

 「俺、いきます……」

 

 「レオ……でも、あなたにはライガーが……」

 

 「いえ、あいつには俺がいかなきゃならないと思うんです。 とにかくアンキロックスは俺に任せてください。アイセルたちは手を出さないでください。」

 

 そういって、レオはライガーと共に遺跡に向かった。それを心配そうに見たサリーも付いていった。

 

 「レオ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 遺跡の入口で、レオはライガーを離し、アンキロックスに近付いた。アンキロックスは低い唸り声を上げてレオを警戒した。レオは左腕を出し、

 

 「怖がらなくていい。俺は敵じゃないよ。」

 

 しかし、アンキロックスはレオを敵と思っているため、警戒を更に強め、レオの左腕が発光し、レオはアンキロックスが自分を怖がっているのを感じた。

 

 「アンキロックス……」

 

 その時、アンキロックスは尻尾を振り回し、レオに攻撃してきた。レオはそれを間一髪で避け、

 

 「そうだ。あの時と同じだ。」

 

 レオは幼い時、父のジョシュアと一緒にいた時のことを思い出していた。近くの森でジョシュアは幼いレオに肩車をしていた。

 

 「ワア、高い高~い! お父さん高いね。」

 

 「ハハハ、でも、いつかはレオももっと大きくなって、お父さんを追い抜くかもしれないぞ。」

 

 「お父さんよりも?」

 

 「そうだ。そして、強く育つんだぞ!」

 

 「うん、ん? あれ、何?」

 

 森の中で何か動いたようなものを見付けたレオ、その時、草木から謎の影が現れた。それは野生体のラプトールだった。

 

 「危ない!」

 

 襲いかかってくるラプトールを振り切って、ジョシュアはレオを抱き抱えて守った。レオは襲いかかってきたラプトールに怯えた。

 

 「お父さん……」

 

 「レオ! ここにいろ!!」

 

 「で、でも、お父さん……」

 

 「今は父さんの言う通りにするんだ!」

 

 「う、うん……」

 

 レオはジョシュアの言うことに従うしかなく、ジョシュアはレオを安全なところに行かせ、1人で、ラプトールの元に向かった。レオは心配そうに見ていた。ラプトールは低い唸り声を上げてジョシュアを見詰めた。

 

 「さあ、大人しく元の場所に帰るんだ!」

 

 グギャァー!!

 

 ラプトールは興奮して爪でジョシュアに攻撃してきた。しかし、共和国軍に所属していることもあって、それを間一髪で避ける。

 

 「私が怖いのか? 心配ない。私はお前たちゾイドの敵じゃない。」

 

 ジョシュアは優しく語りながら、ラプトールにゆっくり近付く。しかし、ラプトールはジョシュアを警戒し、再び攻撃しようとした。

 

 「父さん!!」

 

 それを見たレオは思わず声を上げ、ラプトールも気付いた。

 

 「レオ!」

 

 グギャァー!!

 

 レオに気付いたラプトールはレオに襲いかかってきた。

 

 レオは怖がって逃げられなかったが、ジョシュアは咄嗟に回り込み、ラプトールの爪がレオに当たる前にレオを抱き抱えて守った。

 

 「お父さん……」

 

 「大丈夫かい? レオ。」

 

 「でも、父さん、血が……」

 

 ジョシュアの背中には血がボタリボタリと落ちていた。

 

 「(さっきのラプトールの爪が直撃したのか。) 心配ない、父さんは無事だよ!」

 

 レオを守るジョシュアを見たラプトールは急に大人しくなった。ジョシュアはラプトールの頭を撫で、

 

 「私のように君にも守るべき存在がある。だから、大人しく元の場所に帰るんだ。」

 

 それを聞いたラプトールはそのまま帰っていった。レオはおもいっきり泣き出し、

 

 「父さん、御免ね。僕のせいで……」

 

 「いや、レオは悪くない。でも、レオ! これだけは覚えておいて欲しい。ゾイドも私たちと同じ生きている。

 だから、こちらから心を開けば、必ず、ゾイドは応えてくれる。それを忘れるな。」

 

 

 

 

 ジョシュアの言葉を思い出したレオは、

 

 「そうだ。父さんがやったことを、今度は俺がやるんだ。そうじゃなきゃ、俺は父さんに会うことは出来ない。そして、アンキロックスだって、1人から解放されない。」

 

 グルル……

 

 「聞いてくれ! アンキロックス。俺は敵じゃない!!」

 

 しかし、アンキロックスは尚もレオに攻撃してきた。レオはアンキロックスの攻撃の衝撃で足を挫い、

 

 「どうして聞いてくれないんだ? アンキロックス。」

 

 「レオ……」

 

 それを木の影で、サリーは心配そうに見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 村を覆う空間の外の森に突然、禁制地区に現れたのと同じ霧が現れ、その霧から大量のジャミンガが現れ、次々と空間の中に入っていった。 アイセルたちは家の中に待機していた。

 

 「レオの奴、あんなこと言ってたが、ホントに大丈夫なのか?」

 

 「彼には不思議な力が宿っているとはいえ、何故あそこまで?」

 

 「きっとレオに過去に何かあったのよ。」

 

 ヴルル……

 

 その時、フォックスが低い唸り声を上げ、それに気付いたバーンは外を出、

 

 「どうした? フォックス。」

 

 家から出ると、周りにはジャミンガで溢れていた。アイセルたちも家から出ると、その光景に驚きを隠せないでいた。

 

 「な、何でこんなところに大量のジャミンガがいるんだ!?」

 

 「私だって知らないわよ!」

 

 「不味いわ。これだけジャミンガがいると、レオたちにも危険が及ぶわ。」

 

 ロックバーグ中尉はパキケドスに乗り込み、遺跡の方に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 遺跡では、レオが必死にアンキロックスと心を開こうとするが、アンキロックスはレオと心を開かず、何度もレオを攻撃してきた。ライガーも助けに行こうとするが、レオに止められ、レオは攻撃に屈せず、ボロボロになりながらもアンキロックスを必死に説得した。

 

 「アンキロックス、俺の言うことを聞いてくれ。」

 

 「レオ……」

 

 サリーは涙組みながらもその様子を見守った。だが、その時、背後からジャミンガが襲いかかってきた。しかし、咄嗟に遺跡に来たロックバーグ中尉がパキケドスのコクピットから銃で撃ち倒し、直ぐ様、サリーの元に向かった。

 

 「大丈夫? サリー。」

 

 「ありがとうございます。ロックバーグさん。でも、レオが……」

 

 「レオ! ここにもジャミンガが現れたわ! 急いで避難して!!」

 

 「何だって!」

 

 レオが気付くと既に遺跡の周りから無数のジャミンガがまるで虫のように湧いていき、アンキロックスの背後にも襲いかかり、それに気付いたアンキロックスも尻尾で次々とジャミンガを凪ぎ払った。

 

 「俺たちも加勢しないと!」

 

 アンキロックスが戦うのを見て、レオはすかさずライガーに乗り込んだ。

 

 「行くぞ、ライガー!!」

 

 ガオォ~!!

 

 ライガーはA-Z機関砲と前足でジャミンガを蹴散らし、ロックバーグ中尉もサリーを乗せ、パキケドスでジャミンガと戦った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 村ではアイセルのラプトリアとバーンのフォックスも次々と現れるジャミンガと交戦したが、ジャミンガの余りの数の多さに苦戦していた。車を失ったバズは密かに家の影に隠れていた。

 

 「ひ~、何でこうもジャミンガと逢ってしまうんだ!?」

 

 しかし、バズが隠れているところにもジャミンガが現れ、バズに襲いかかろうとした。

 

 「う、ウワァー!!」

 

 その時、横からレオたちを誘導した先程のキャタルガが現れ、バズに襲いかかろうとしたジャミンガを吹っ飛ばした。キャタルガはバズの方を見詰めた。

 

 「お、お前、もしかして俺を助けに?」

 

 微弱だが、キャタルガはそれに応えるように声を上げ、コクピットのハッチを開けた。それを見たバズは武者震いし、

 

 「おいおい、マジかよ! この俺にゾイドが……!」

 

 バズは躊躇なく、キャタルガに乗り込み、

 

 「ようし、やってやる! 行くぞ、キャタルガ!!」

 

 ブオォ~!!

 

 バズが乗ったキャタルガは次々とジャミンガを蹴散らしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遺跡でも、ライガーとパキケドス、アンキロックスも無数に現れるジャミンガに苦戦していた。

 

 「くっ、 大丈夫か? ライガー。」

 

 グルル……

 

 ライガーが見詰める先を見ると、アンキロックスがスズメバチに群がるミツバチのように大量のジャミンガに群がれていて、アンキロックスが身動き出来ない状態になっていた。

 

 「アンキロックス……行くぞ、ライガー!!」

 

 ガオォ~!!

 

 「ライガー、進化 解放! エヴォブラストー!! ライジングガンスラッシュ!」

 

 エヴォブラストしたライガーの攻撃でアンキロックスに群がるジャミンガを全て蹴散らし、アンキロックスは何とか脱出した。しかし、次々とジャミンガが湧いていき、キリがない。

 

 「これ以上、ここに留まるのは危険ね。 レオ、急いでここから離れましょう!」

 

 「でも、アンキロックスを見捨てるわけにはいきません!」

 

 「けど、このままじゃ、全滅よ!」

 

 「1つだけ方法があります。」

 

 「サリー……」

 

 「遺跡にある端末を正常に作動させれば、ジャミンガは消滅するはずです。」

 

 「そうか! その手があった。ロックバーグさん、俺、サリーと一緒に遺跡に向かいます!」

 

 「でも、そんなことしたら……」

 

 「お願いです。ロックバーグさん、行かせてください。」

 

 サリーの言葉を聞いたロックバーグ中尉は、

 

 「仕方ないわね。でも、無茶はしないでね!」

 

 「はいっ!」

 

 サリーはライガーに乗り込み、遺跡の中に入っていった。奥に入ると、目の前に巨大な壁画があり、その手前に端末の姿があった。しかし、その周りには先には進ませないと大量のジャミンガが湧いていて、端末にも多くのジャミンガが群がっていた。

 

 「そんな、まさかここにも……」

 

 「いや、いくしかない! 行くぞ、ライガー! ライジングガンスラッシュ!!」

 

 タテガミショットで周囲のジャミンガを狙い撃ちしながら、前に進むが、端末にもジャミンガが群がっているため、中々撃ち込めなかった。それを見たレオはライガーのコクピットから出、

 

 「レオ!」

 

 「ここはアンキロックスが長年守ってきた村なんだ! お前たちが来る場所じゃない! そこをどけー!!」

 

 レオは取り出したアンカーで、ジャミンガを蹴散らした。しかし、ジャミンガは尚も端末から離れなかった。

 

 「ウォー!!」

 

 怒ったレオは左腕でジャミンガを殴った。その時、レオの左腕が発光し、殴られたジャミンガの身体が砂になって消滅した。

 それにレオ自身やサリーも驚いたが、レオは緩めることなく、ジャミンガを蹴散らし、遂に端末の手前まで来たが、何処からか、更に現れたジャミンガに一気に取り囲まれた。現れたジャミンガがレオを襲うが、ライガーがそれを蹴散らした。しかし、既に完全に包囲されているため、ライガーでも手に終えなかった。包囲したジャミンガが一斉に襲いかかり、半ば諦めかけたその時、突然、アンキロックスが尻尾で凪ぎ払った。

 

 グオォ~!!

 

 「アンキロックス……」

 

 咆哮を上げたアンキロックスはレオを見詰め、レオの左腕も発光した。その時、レオの脳内に微かだが、声が聞こえた。

 

 「オレモテツダウ。」

 

 グオォ~!!

 

 再び咆哮を上げたアンキロックスの身体が突然青色に発光し、尻尾が変形した。なんと、アンキロックスはライダー無しで自力でワイルドブラストしたのだ。

 ワイルドブラストしたアンキロックスは尻尾のメイステイルを高速回転させ、一瞬の内にジャミンガを一掃した。ジャミンガがいなくなったのを見たレオは、

 

 「サリー! 今のうちに端末を!」

 

 「わかったわ!」

 

 ライガーから降りたサリーはペンダントを取り出し、端末に触れ、強い光を発し、地球儀のホログラムが出現する。その後、転がり始めた端末は角を下にして立ち、ドリルのように地面を掘り返し始める。

 

 「今のうちに出ましょう!」

 

 「よし!」

 

 レオとサリーはライガーに乗り込み、遺跡から出て、アンキロックスもそれに付いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 村ではフォックスとラプトリアがほとんどのジャミンガを蹴散らしていた。

 

 「これで全部かしら?」

 

 「ところで、バズは?」

 

 「あ、そういえば、何処に行ったのかしら?」

 

 「ようよう、お二人さん!」

 

 そこにバズの乗るキャタルガが現れた。

 

 「バズ! そのキャタルガは?」

 

 「どうだ! 凄いだろう? 俺の相棒、キャタルガだぜ!!」

 

 キャタルガに乗ってウキウキなバズにバーンとアイセルはキョトンとしていた。

 

 「そうだ! レオたちのところに行かなきゃ!」

 

 「お、おい、待てよ! 無視するな!!」

 

 遺跡の方に向かうフォックスとラプトリアにキャタルガも付いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライガーとアンキロックスが遺跡の外に出ると、遺跡と村を襲ったジャミンガは次々とオレンジ色に発光して消滅していった。

 そして端末を正常に作動させたことで遺跡と村を囲った空間徐々に晴れ、正常に時が流れ出し、今まで時がとまていた遺跡と村は正常な時の流れに戻り、綺麗なままの姿で建っていた家は朽ち、瑞々しかった木々は枯れていった。

 

 「皆、崩れていく。」

 

 「端末が正常に作動したから、ゾイドクライシスで止まった時間も経過していっているんです。」

 

 しかし、喜んだのも束の間、突然、アンキロックスが苦しみだした。

 

 グオォ~!!

 

 「どうした? アンキロックス!」

 

 「あ……」

 

 苦しみだしたアンキロックスの身体が徐々に石化していった。

 

 「サリー! これは一体どういうことなの?」

 

 「もしかしたら、アンキロックスがゾイドクライシスからずっと生き続けたのは、ボルテックス現象のおかげだったから。

 そして端末を正常に作動させたことで、止まった分の時間が動き、アンキロックスの寿命も縮まったっていうの……そんな、私の判断で、アンキロックスをこんな目に遭わせるなんて……」

 

 「そんな……アンキロックス! しっかりしろ! アンキロックス!!」

 

 力尽きていくアンキロックスはレオとサリーを見詰め、レオの左腕がアンキロックスの目の側に触れると、再び左腕が発光し、レオの脳内に再び声が聞こえた。

 

 「オマエに会エテ良カッタ。 オマエはイママデズットヒトリダッタオレニ手ヲサシノベテクレタ。

 ダケド、コレデ良カッタンダ。 オレの役目ハ終ワッタ。コレデ、安ラカニ眠レル。 アリガトウ。」

 

 そう言い残し、アンキロックスの目の輝きが無くなり、遂に身体全体が石化して力尽きていった。それを見たサリーは目一杯の涙を浮かべ、

 

 「そんな、嘘。嫌…イヤー!!」

 

 力尽きたレオも落ち込み、

 

 「何で、何でこうなったんだ? どうして死ななきゃならないんだ!? ウワァー!!」

 

 レオは後悔するように思いっきり悔しそうな声を上げた。そして、そこにパキケドスとフォックス、ラプトリア、キャタルガもレオとサリーの元に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 サリーは石化したアンキロックスに墓を建て、レオたちはその墓で拝んだ。レオは拳を思いっきり握り締めた。それを見たサリーは、

 

 「レオ……」

 

 「何?」

 

 「どうして、あの時、アンキロの説得を受け入れたの?」

 

 「父さんを思い出したんだ。」

 

 「え?」

 

 「あの日記を見て、父さんといた時、父さんが野生のゾイドを沈めたことを思い出して、俺がやらなきゃ、って思ったんだ!

 でも、それが出来ず、アンキロを救ってやれなかった。やっぱり俺は父さんのようにはなれないのかな?」

 

 落ち込むレオにサリーは優しく肩を撫で、

 

 「ううん、レオのせいじゃない。それにお父さんのようになれなくてもレオはレオじゃない。」

 

 「サリー……」

 

 グルル…… 

 

 ライガーも励ますようにレオを見詰めた。

 

 「ライガー……ありがとう。 俺、決めたよ。こんな悲しみを生まないためにも、俺は全ての端末を再起動させ、地球を再生してみせる!

 そして、父さんやサリーのお爺さんを何としても見つけ出してみせる。ライガー、これからも俺と一緒にいてくれるか!?」

 

 グルル……

 

 ライガーはそれに応えるようにゆっくり頷いた。

 

 「それにしても、アンキロックスが守っている遺跡とこの村に伝わる神話って何かしら?」

 

 アイセルの疑問を解くためにレオたちは遺跡の中に入っていった。奥に入ると、端末のあった場所に壁画があった。

 苔に覆われていたため、はっきりと見えないが、左に巨大な怪獣が暴れ、その下には怪獣によって死んだ生物たちの死骸が転び、右には青色のティラノサウルスが4体の赤いライオンを引き連れ、その怪獣に立ち向かう姿が描かれていた。

 

 「もしかしてこれが神話?」

 

 「左の怪獣が邪神で、右の恐竜とライオンが救世主ってとこかしら?」

 

 「でも、この怪獣と救世主って何処かゾイドみたいだけど……」

 

 「行こう……」

 

 「あ、待って!」

 

 遺跡から出ると、村の家は時間が経つように徐々に崩れていった。サリーはアンキロのために建てた墓を見て、

 

 「ねぇ、この村どうなるのかしら?」

 

 「きっと、天国に行ったアンキロックスがずっと守ってくれる。アンキロックスはいつまでも帰りを待っているから。そして、僕も必ず父さんのところに……」

 

 レオたちが去った後、遺跡は時間が経つようにゆっくりと草木が芽生え、サリーが墓を建て、石化したアンキロックスの身体にも自然と同化するように草木が芽生え、アンキロックスの魂が天に上るかのように太陽の光がアンキロックスの身体を照らした。

 

 To be continued




 次回予告

 ランド博士の指示で、デスレックスの突然変異種の眠る火山地帯に向かったユウト、そこにはデスレックスに酷似した化石が見付かり、通常のデスレックスを遥かに上回るパワーを持っていた。
 だが、完成にはサリーのペンダントが必要だった。ユウトはペンダント奪還に向かうが、火山地帯の基地にはランド博士によって密かに脱走し、レオたちに復讐の炎を燃やすアルドリッジ元少佐とシーガル元准将がいた。

 次回「湧キ上ガル 怒リ」

 走り抜け、ライガー!!


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第20話「湧キ上ガル 怒リ」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーが新たな姿を得て進化したライジングライガーの力によって強敵セードとジェノスピノを打ち破り、新たな仲間を加え、再び地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 ネオゼネバスシティにある刑務所、ここは主に政治犯が入れられる牢獄であり、ジェノスピノ騒動の罪で禁固となったシーガルやアルドリッジもここに入れられた。

 警備員が食事を持って、シーガルの元に行ったが、そこにシーガルの姿はなかった。

 

 「なっ、何処に行った?」

 

 警備員が警報を鳴らし、捜索したが、何処にもいなかった。

 

 「一体何処に? 脱出できる道具は所持していないはずなのに……もしや、何者かが? ここの刑務所に誰か来なかったか?」

 

 「そういえば、先程、ランド博士がこちらに入られましたが……」

 

 「まさか、博士が……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 シーガルとアルドリッジが脱走したという報告は別荘にいるプライド摂政に届いた。

 

 「シーガルとアルドリッジの奴が脱走したそうだな。」

 

 「おそらく、ランドの仕業でしょう。」

 

 「ふん、今更、あの役に立たん2人を加えたところで、何も変わりはしないが……」

 

 「どうする?」

 

 「聞くまでもないだろう、黙認しとけ。 もちろん公式では隠蔽するように、あのじゃじゃ馬娘や頑固な宰相に気付かれないようにな。」

 

 「このまま泳がせて、帝国の内輪揉めを広げるのね。」

 

 「ジェノスピノの共和国襲撃が失敗して以来、帝国の連中はすっかり平和ボケしている。少しでも目を冷まさなくてはな。」

 

 「でも、いいのかしら?」

 

 「どういうことだ?」

 

 「ランドはあの小娘のペンダントを狙っているのよ。余り、端末を変な方向に使わせるのは考えものよ。」

 

 「お前なら、どうする?」

 

 「そうね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ボーマン博士を見失ったリュック隊長は通りかかった宿で、レオとサリーの写真を見せ、事情聴衆をしていた。

 

 「このガキを見たことがあるか?」

 

 「さ、さあ……」

 

 「何でもいい! こいつらに関する情報があれば、全て話せ!」

 

 「そうは言われましても……全く知りません。」

 

 「ちっ!」

 

 宿から出たリュック隊長は、

 

 「ボーマン博士を見失った上にサリー・ランドの詳細まで突き止められないとは! これでは我が隊の恥だ!!」

 

 「お困りのようですね……」

 

 「何者だ!?」

 

 リュック隊長に話しかけてきたのは黒服とサングラスとマスクをした謎の男だった。

 

 「サリー・ランドと言いましたね。その情報なら、私が持っています。」

 

 「何!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ランド博士の指示で、デスレックスの突然変異種が眠る火山地帯に向かったユウト、そこには既に大規模な部隊と作業員が発掘と基地建設に着手していた。

 基地は丸で軍事基地のような巨大なものになっていて、発掘も大掛かりなものになっていた。ランド博士とメルビルと合流したユウトは発掘場所に向かった。そこにはジェノスピノと同等かそれ以上のサイズで、デスレックスに酷似した化石だった。それにユウトとメルビルは驚きを隠せなかった。

 

 「まさか、他にもデスレックスが存在していたとは……」

 

 「しかも、この化石は火山地帯に眠っているにも関わらず比較的保存状態のいいものばかりです。」

 

 「当然だ。この突然変異種は他のデスレックスと違い、ゾイドクライシスでの度重なる進化の過程によって、ジェノスピノ以上の力を得、マグマにも耐えうる程にもなったのだ。他のデスレックスにはそれほどの力はなく、化石の保存状態も悪く、どれも未完成になってしまったがな。」

 

 「つまり、このゾイドを復活させれば、帝国軍は更に強大になる。」

 

 「だが、復活したデスレックスの突然変異種が荷電粒子砲を自由に撃てるようにするためにはリジェネレーションキューブの端末の力がいる。

 そのためにはサリーの持つペンダントが必要だ。あのペンダントが手に入れば、史上最強のゾイドが誕生する!」

 

 「博士、 サリーのペンダント奪還には僕に行かせてください!」

 

 「いや、その必要はない。」

 

 「どうしてです!? 僕は博士のために背一杯頑張って……」

 

 ランド博士はそっとユウトの肩を撫で、

 

 「君には、このゾイドを復活させるための要になるのだ。最早、ペンダント奪還の任務を君がやる必要は無くなった。」

 

 「その要って?」

 

 「後でゆっくり話す。」

 

 「でも、博士。サリーのペンダント奪還は誰が向かうんです?」

 

 「それは私だよ!」

 

 その時、誰かの声が上がった。現れたのは投獄されたはずのアルドリッジ元少佐とシーガル元准将だった。

 

 「シーガル准将にアルドリッジ少佐。」

 

 「残念ながら、小僧、貴様はお留守番だ。あのライガーはこの私がぶっ潰すのだからな。」

 

 「シーガルとアルドリッジにはデスレックスの突然変異種の復活に加え、我々の計画の重要人となってもらう。それも後で順を追って説明する。」

 

 「メルビル少尉、君にはシーガルの補佐も任せる。」

 

 「あ、はいっ!」

 

 

 「ランド博士、そろそろ出撃命令を! あの時、俺をこけにしたライオン種の小僧に目にもの見せてやりたいんです!」

 

 「私も同感です。あのライガーさえいなければ、我々はあんなところに送られず、帝国の英雄になっていたのです! 今度こそ、共和国や今のだらけた帝国に栄光なる帝国の力を見せるのです!」

 

 「よかろう、だが、アルドリッジ少佐。今回のペンダント奪還にはもう一人いる。」

 

 「もう一人?」

 

 「俺だよ!」

 

 その時、現れたのはスピーゲル中佐だった。

 

 「何!? 冗談じゃない! あんな連中、この私だけで十分だ!」

 

 「頭を冷やせ、アルドリッジ。連中にはあのライガーだけじゃなく、共和国最強のパキケドスBRにガトリングフォックスまでいるのだ。

 いくら、お前1人でも、そう易々と勝てる相手じゃない。」

 

 「今回の作戦にはスピーゲル中佐に指揮を任せる。」

 

 「それはいくらなんでも……」

 

 「心配するな、アルドリッジ。今度の作戦なら、勝てる。今度こそ、あのライガーに目にもの見せてやろうぜ!」

 

 「わかった。」

 

 「では、アルドリッジ少佐、スピーゲル中佐、直ちに出撃せよ!」

 

 「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アンキロックスの守る遺跡を後にしたレオたちは、廃れたガソリンスタンドで休息を取った。

 

 「このガソリンスタンドじゃ、車を動かすことは出来ないが、その心配はない! なんたって俺にはキャタルガが付いたからな。なあ、キャタルガ! ハハハハハ!!」

 

 その様子を見ていたバーン、アイセル、ロックバーグ中尉は、

 

 「バーンの奴、すっかり上機嫌になったな。」

 

 「今までずっと車ばっかりで、ようやくゾイドに乗れて嬉しいのね。」

 

 「それにキャタルガは運搬専門のゾイドだから、これからの旅にはうってつけね。」

 

 「まあ、それはそれでいいが、レオの方はあんまりそういう気分じゃなさそうだ……」

 

 キャタルガを相棒にして喜ぶバズとは正反対にレオとサリーはゾイドクライシスからずっと100年以上村を守ってきたアンキロックスを救えなかったことを後悔していた。落ち込む様子のレオにサリーが立ち寄った。

 

 「サリー、大丈夫?」

 

 「私は平気。それより、レオ、あなたはどうなの?」

 

 「俺、自信がないんだ。ライガーの相棒になれるのか、サリーを守りきれるのか……」

 

 「え……」

 

 「ボルテックスのおかげで100年以上も生きて、ずっと帰りを待ちながら、村を守ってきたアンキロックスを救ってやることが出来なかった。

 そんな俺がライガーの相棒になってよかったのかな? もしかしたら、俺なんかより、もっと相応しい人がライガーの相棒になれば、アンキロックスを救ってやることも出来たんじゃないかと思って……」

 

 サリーはそんなレオの手を優しく握り、

 

 「ううん、そんなことはないわ。ライガーはきっとレオが相棒になって嬉しいと思っている。あなたと会えたから、ライガーは甦ることが出来たのよ。

 それに私はあなたと会えて良かった。あの時、レオと会っていなかったら、帝国軍に捕まっていたかもしれないし、ずっと1人のままだった。

 でも、レオのおかげで、私はこうして沢山の仲間に会えた。例え、どんなことがあっても私はレオから離れない。それにもし、私が捕まっても、レオははきっと助けに来てくれる。私はレオを信じているから!」

 

 「サリー……」

 

 それを聞いたレオは赤面した。

 

 「どうしたの?」

 

 「あ、いや、何でもないよ!」

 

 「フフ、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時、何処からかレーザー光線が放たれ、レオたちのいるガソリンスタンドに襲いかかってきた。ライガーは咄嗟の判断で、そのレーザー光線を受け止め、レオたちを守った。

 

 「今のレーザー光線は……まさか!」

 

 放たれたレーザー光線に見覚えを感じたレオの前に9連キャノン砲を装備し、後ろ足に3連ミサイルポッドを装備したリュック隊長の乗るキャノンブルとその他2体のキャノンブル隊が現れた。

 

 「あの男の情報通りに来てみたが、まさか、ホントにいるとはな。さあ、小僧! 大人しくサリー・ランドを渡してもらおうか。」

 

 「おい! あれ、俺たちを付け回しているキャノンブルじゃねぇか!!」

 

 「サリー、下がって。俺とライガーが時間を稼ぐ。その間に逃げて!」

 

 「でも、レオ……」 

 

 「大丈夫だよ。」

 

 「何をしている? 渡さないなら、力付くで渡してもらうぞ!」

 

 キャノンブルが再びレーザー砲を放とうとしたその時、対空速射砲がリュック隊長のキャノンブルに直撃した。

 

 「ぐわぁっ! なんだ?」

 

 撃ったのは既にロックバーグ中尉が乗り込んだパキケドスBRだった。

 

 「あの連中は私が引き付けるわ。 その間に逃げて!」

 

 「で、でも……ロックバーグさん!」

 

 「あなたはまだ戦う気力は残ってないでしょ? だったら、ここは私に任せて。」

 

 レオはしばらく考え、

 

 「わかりました。」

 

 「ようし、そうと決まれば、早速逃げようぜ! お嬢ちゃん、俺のキャタルガに乗りな!」

 

 「ふざけたこと言ってないで、ほらさっさと行くわよ!」

 

 サリーはバズのキャタルガに乗り、レオ、バーン、アイセルはそれぞれ自分の相棒ゾイドに乗り、その場から離れた。

 

 「逃がすか!」

 

 リュック隊長は再び攻撃しようとするが、パキケドスの対空速射砲で防がれた。

 

 「残念だけど、あんたの相手は私よ!」

 

 「くっ、たかが共和国の一将校ごときが舐めるな!! キャノンブル、兵器 解放! マシンブラストー!! ナインバーストキャノン!」

 

 しかし、パキケドスはそれをマニューバミサイルポッドで全て迎撃した。

 

 「私をそんじゃそこらの共和国軍の将校と一緒にしないでくれる。 私は共和国随一のエリートだからね!」

 

 「ちっ、相変わらず、共和国軍の奴等はデカイ口を叩く。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロックバーグ中尉とパキケドスがリュック隊長のキャノンブルと戦っている間に逃げるレオたち、サリーはリュック隊長と戦っているロックバーグ中尉が気掛かりだった。

 

 「大丈夫かしら、ロックバーグさん……」 

 

 「心配ないって! あの怖い共和国の姉さんなら、今頃、あんな連中、ボッコボッコにされているさ!」

 

 「まあ、とにかく教官殿のおかげで、逃げ延びたな。」

 

 多くの岩山が多数連なる場所まで来たその時、突然何処からか砲撃がライガーたちに襲いかかってきた。

 

 「攻撃! まだ、敵がいるの? ぐっ!」

 

 しかし、砲撃はライガーの後方にも直撃した。

 

 「一体何処から撃ってきた? 銃撃音はしなかったのに……まさか!」

 

 

 

 岩山に隠れていたのはサイレントガンを撃ち込んでいたドライパンサーだった。

 

 「フフフ、あの厄介なパキケドスが離れたおかげで、少しはやりやすくなったな。ただ、あの裏切りのガトリングフォックスまでいるが、まあ、俺たち2人なら、心配はない。」

 

 そう言うと、ドライパンサーは再びサイレントガンを撃ち込んだ。

 

 「うっ、ぐっ!」

 

 「くそ、あの新型ゾイド、俺のフォックスみたいに光学迷彩機能がないにも関わらず、昼間でもここまでのステルス性能を持っているとは!

 だが、真のステルスゾイドは誰かはっきり教えてやる! アイセル、バズ! とにかくお前らは離れろ! 巻き込まれんようにな!」

 

 「確かにあたしたちは一旦離れた方がよさそうね。」

 

 「それじゃ、バーンの旦那、後はよろしく。」

 

 ラプトリアとキャタルガがその場を離れるのを見たバーンは、

 

 「よし、これで心置きなく、戦える。準備はいいか? フォックス!」

 

 ヴルル……

 

 バーンの言葉に応えたフォックスは光学迷彩機能で姿を隠した。フォックスは地表の匂いを嗅ぐ体勢を取った。嗅いだフォックスは向こうを向き、

 

 「彼処か、 よし、行くぞ!!」

 

 フォックスは匂いの方の岩山に向かうが、その時、その岩山から黒い影が突然現れ、フォックスを突き飛ばした。

 

 「バーン!」

 

 「ヒャヒャヒャ、こんな罠に引っ掛かるとはお前たちも甘ちゃんだな!」

 

 現れたのはアルドリッジの乗るファングタイガー改だった。

 

 「あれは、ファングタイガー!」

 

 「ようやく、会えたぞ。 小僧! あの時の借りを返してやる~!!」

 

 アルドリッジは今までの恨みを晴らしたいかのごとく、ファングタイガー改でライガーに突っ込んだ。だが、その時、フォックスがマルチプルランチャーをファングタイガー改に撃ち込んだ。

 

 「おいおい、勝手に攻撃しておいて無視するんじゃねぇぞ!」

 

 「貴様~!」

 

 「レオ、あいつは俺がやる。あのタイガーにはラプス島での借りがあるんでね。 お前はあの見えない敵を頼む。」

 

 「わかった!」

 

 ライガーがドライパンサーを探しに行こうとしたその時、アルドリッジもそれを追うとするが、フォックスはその行く手を阻み、

 

 「逃がすか~!!」

 

 「おっと! 一々無視するな。貴様の相手は俺たちだぞ!」

 

 「ええい、鬱陶しい奴め! 貴様等、俺の敵ではないわ~!! 

 ファングタイガー、兵器 解放! マシンブラストー!! デスファング!」

 

 「よし、いっちょやるか。 フォックス、進化 解放! エヴォブラストー!! ファントムガトリング!」

 

 

 

 

 

 

 ライガーは以前戦った時と同じく、地面の匂いを嗅いで、居場所を突き止めようとするが、スピーゲル中佐はそうはさせじとサイレントガンを放った。

 

 「ウワァッ!!」

 

 「そう簡単に俺のドライパンサーの居場所を突き止められると思うなよ! 以前のようにやられては色々と面倒でな。」

 

 地表の匂いを稼ぐ体勢を取る暇を与えられずに攻撃を受けるライガー、

 

 「くそっ、あの岩山さえ退かせば……ライガー、岩山を破壊するんだ!」

 

 ライガーはA-Z機関砲で周囲の岩山を攻撃するが、岩山はそう簡単には倒れず、手を緩めず、ドライパンサーは次々と砲撃した。

 

 「くそっ、機関砲だけじゃ、壊せないのか! ならば、ワイルドブラストだ! ライガー!!」

 

 ガオォ~!!

 

 「ライガー、進化 解放! エヴォブラストー!! ライジングバーストブレイク!」

 

 ライガーがエヴォブラストを発動し、目の前の岩山を破壊したその時、その後方からドライパンサーが現れ、

 

 「この瞬間を待っていた! ドライパンサー、兵器 解放! マシンブラストー!! ドライスラッシュ!」

 

 ライガーがエヴォブラストするかを待っていたかのごとく、スピーゲル中佐はドライパンサーをマシンブラストさせ、後方からライガーに攻撃した。レオとライガーはその攻撃を避けられず、直撃してしまう。

 

 「ぐわぁっ!」

 

 「フフフ……」

 

 ドライパンサーは再び岩山に隠れ、追い討ちをかけるように立ち上がろうとしたライガーに続けて攻撃した。

 

 「上手くかかってくれたな。ランド博士はペンダントの奪還を命じたが、まずその前にライガーを料理してからゆっくりペンダントを奪ってやる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオとバーンがアルドリッジ、スピーゲル中佐と戦っていることを知らないロックバーグ中尉とパキケドスはリュック隊長率いる3体のキャノンブルと引き続き交戦しているが、特に苦戦することなく、パンプヘッドによる頭突きで2体のキャノンブルに加え、リュック隊長のキャノンブルを突き飛ばした。

 

 「ぐわぁっ!」

 

 「いい加減、そろそろ降伏したら? 出ないと、あんたたちの命の保障は出来ないわよ!」

 

 「くそっ、向こうは未だにワイルドブラストすら発動していないのに、ここまで我が隊を追い詰めるとは! だが、ここまで来て退くわけには……」

 

 「隊長、これ以上は危険です! 一旦離脱した方が……」

 

 「馬鹿者! ここまで来て退くわけにはいかん! そうなったら、我々は帝国の恥だぞ!!」

 

 「ですが、我々の機体は既に限界値に達しています! それに向こうはワイルドブラストを発動していないこともあって、未だに健在です!

 これ以上、戦闘を続けたら、確実に我々が敗北します!! 隊長、どうか、離脱を!」

 

 キャノンブルのコクピットの数値を見たリュック隊長は、

 

 「確かに機体のダメージは尋常じゃない。これ以上は明らかに我々の圧倒的不利……敵に背を向けることは帝国軍人としてあるまじき行為。例え、死に直面しても逃げるわけには……」

 

 その時、リュック隊長の元に通信が入った。

 

 「何!? 一体誰が? はいっ!」

 

 「リュック隊長。」

 

 「こ、これはランド博士!」

 

 「サリーは既に逃げた。ここは一旦引くのだ。」

 

 「ですが!」

 

 「聞こえなかったのか? 引け!」

 

 ランド博士の命令を聞いてしばらく考えた後、

 

 「わかりました。全軍、離脱だ!」

 

 通信を切った後、リュック隊長率いるキャノンブル隊はそのまま去った。

 

 「ようやく、諦めたようね。さて、レオたちの方に向かわなきゃ!」

 

 ロックバーグ中尉とパキケドスもレオたちの方に向かった時、その様子をリュック隊長に情報提供していた黒服の人物が通信を切り、キャノンブルに乗り込んで別ルートでレオたちの方に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「デスファング!!」

 

 「ファントムガトリング!!」

 

 フォックスの攻撃をまともに喰らっても尚も突撃するファングタイガー改、しかし、フォックスはそれを回避した。

 

 「今の攻撃、ラプス島での奴だったら、俺のフォックスの攻撃をギリギリで交わして攻撃してくるはずだが、攻撃を避けずにそのまま突っ込むとは……」

 

 再びフォックスに突っ込むファングタイガー改、フォックスはそれも難なく避け、

 

 「おのれ~! ちょこまかと逃げやがって!!」

 

 「通信の相手の声が違う……ということはライダーはラプス島の奴とは違う奴か。」

 

 アルドリッジの乗るファングタイガー改は何度も攻撃するが、フォックス。

 

 「くそ~、何故、攻撃が当たらない!?」

 

 「貴様、腕は確かだが、攻撃がどうも単調だから、動きさえわかれば、簡単に避けられるんだよ!」

 

 「おのれ~、帝国の裏切り者の分際で!!」

 

 「ラプス島と戦った奴のレベルには程遠いのが少し残念だが、これで借りは返せる。今度こそ、俺とフォックスの力を見せてやるぜ! いくぞ、フォックス!!」

 

 グオォ~!!

 

 「おのれ~!! デスファング!」

 

 「いくぞ、ファントムガトリング!!」

 

 迫りくるファングタイガー改のツインファングにフォックスの攻撃がそれを迎撃した。

 

 「へっ、今のはかなり効いたはずだ。」

 

 ところが、煙が晴れると、ファングタイガー改ら尚も立っていた。

 

 「ええい! たかが、二等兵ごときが!!」

 

 「おっと、これは驚いた。思ったよりタフだな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バーンのフォックスがアルドリッジのファングタイガー改と互角に戦っている中、レオと、ライガーはスピーゲル中佐とドライパンサーの隠密作戦に苦戦していた。

 

 「うっ、ぐっ!」

 

 「フフフ、 前までの威勢はどうした!?」

 

 レオは攻撃を受けながら、村で絶命したアンキロックスの姿が脳裏に浮かび上がっていた。

 

 「こんなところで、こんなところで!」

 

 

 

 

 岩山から離れた場所で、サリーたちはその様子を心配そうに見ていた。

 

 「レオ……」

 

 「おいおい、レオの奴、不味いんじゃねぇか!」

 

 「もしかしたら、レオ。アンキロックスのことで迷っているんじゃないかしら? あの悲劇を繰り返さないために相手のゾイドと戦うことに……」

 

 「だからって、このままじゃ、あいつを見殺しにするのかよ!」

 

 「そういうつもりで言ってるんじゃないわよ!」

 

 「私行ってきます!」

 

 「おい、止せ! サリー。今行ったら、お前は捕まってしまうぞ!」

 

 「でも、このままじゃ、レオとライガーが死んでしまう! それに敵の目的は私なんです。私が行けば、皆を助けられる。」

 

 「サリー……」

 

 しかし、その時、突然背後からキャノンブルが現れた。

 

 「なっ、あれはキャノンブル! てことはまさか……」

 

  キャノンブルはバズとアイセルがラプトリアとキャタルガに乗る隙を与えず、ナインバーストキャノンを放ち、2体を一瞬で吹っ飛ばし、同時にアイセルやバズにもミサイルを撃ち込み、2人はその衝撃で気絶してしまう。

 

 「バズ、アイセルさん!」

 

 キャノンブルから現れたのは先程の黒服の人物で、サリーに近寄った。

 

 「あなたは……」

 

 黒服の人物はサリーを気絶させ、そのままキャノンブルに乗り込んで去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 ドライパンサーの連続攻撃によって遂にライガーは足を崩し、倒れてしまう。とどめを刺そうとライガーに歩み寄るドライパンサー。

 

 「フフフ、終わりだな。」

 

 3連サイレントガンで狙いを定めようとしたその時、ランド博士から通信が入る。

 

「もういい、スピーゲル。サリー・ランドは既に逃げた。もはや任務は必要ない!」

 

 「ランド博士、しかし、我々は……」

 

 「聞こえなかったのか? 直ぐに戻れ!」

 

 スピーゲルは闘争本能を剥き出しにしたように歯を食いしばって悔しい表情をし、それに従った。

 

 「了解。アルドリッジ、聞こえるか? アルドリッジ!」

 

 スピーゲル中佐はフォックスに苦戦しているアルドリッジに通信を開いた。

 

 「あ? 一体なんだ!?」

 

 「任務は終了した。直ぐに離脱しろ!」

 

 「何!? まだこいつらとの決着が……」

  

 「アルドリッジ! これは我々が生き残るためのものだ。」

 

 それを聞いたアルドリッジは、

 

 「ちっ、仕方ない。」

 

 通信のランド博士の命令に従って、スピーゲル中佐とアルドリッジはそのままその場を去った。

 

 「なんだ? いきなり帰っていって、まさか、怖じ気いたのか!」

 

 「そうだ! サリーは?」

 

 レオが辺りを見渡すと、そこに倒れているバズとアイセルの姿があった。

 

 「バズ、アイセル!」

 

 レオはライガーから降りて、バズとアイセルの元に向かった。

 

 「うぅ、すまねぇ、レオ。」

 

 「一体何があったの?」

 

 「キャノンブルが突然襲いかかってきて、サリーを拐っていった。」

 

 「サリーが!? そんな、サリー!」

 

 レオが岩山を走り抜けて開けた場所にいくと、そこにキャノンブルの姿はなかった。レオは絶望的な表情をし、

 

 「そんな……嘘だ……サリー、サリー!!」

 

 レオはサリーを守れなかったことが出来なかった悔しさを投げるようにおもいっきり叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 気絶させたサリーを連れていった黒服の人物はスピーゲル中佐に送った通信を切り、黒服を脱いだ。その服から現れたのはなんとリュック隊長だった。

 

 「ふ、どうやら、上手くいったようだな。あの小娘をつれていくだけだ。」

 

 To be continued




 次回予告

 遂に帝国軍に拐われたサリー、レオはサリーを助けに行こうとするが、相手は帝国軍のため、容易に乗り込むことが出来ず、ディアス中佐を通じて皇帝の側近になったギレル中尉に助けを求める。
 だが、その時、投獄されたはずのシーガルが皇帝フィオナと通信を開き、帝国に宣戦布告し、ユウトのハンターウルフ改が帝国軍を攻撃してきた。
 そんな中、拉致されたサリーはかつて帝国で知り合ったメルビルと出会い、そこでランド博士からある真実を聞かされる。

 次回「帝国階級章」

 走り抜け、ライガー!!


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第21話「帝国階級章」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーが新たな姿を得て進化したライジングライガーの力によって強敵セードとジェノスピノを打ち破り、新たな仲間を加え、再び地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 「サリー、サリー!!」

 

 レオは浚われたサリーを探し、おもいっきり、サリーの名を叫ぶが、返事は無く、何処にもその姿はなかった。

 

 「サリー、一体何処に?」

 

 「そういえば、さっき、バズがキャノンブルに乗ってた奴が拐っていったって言ってたな……」

 

 「もしかしたら……」

 

 「おい、レオ! 何処に行くんだ?」

 

 「キャノンブルのところに行くんだ! もしかしたら、あいつがサリーを拐ったのかもしれない!」

 

 そう言うと、レオはライガーに乗ってそのままリュック隊長のキャノンブルのいる方向に走っていった。ライガーが走り去った後にパキケドスが到着し、

 

 「教官!」

 

 「いい加減、その呼び方は止めなさい! ところで、レオは?」

 

 「サリーを連れ去ったキャノンブルを追っていったけど……」

 

 「キャノンブル? キャノンブルなら、私が足止めしてもう離脱したけど……」

 

 「え? それっていつ?」

 

 「ついさっきよ。それがどうしたの?」

 

 「ついさっきだって!? そんな早い時間に俺たちのいるところに着くわけがない……まさか、レオは別のキャノンブルの方に行ってしまったのか!? レオを追うぞ!」

 

 「ちょっと、どういうこと?」

 

 「レオは勘違いして、サリーを拐ったキャノンブルを別の奴だと思っているんだ! 直ぐに向かわないと!」

 

 「ちょっと、私もいく! アイセルたちはここに残って!」

 

 「え、でも……」

 

 「サリーが帝国軍の手に渡ったのなら、恐らく私たちの力では手に負えないのかもしれない。

 アイセル少佐はディアス中佐にこのことを報告して!」

 

 「わかったわ!」

 

 フォックスとパキケドスはすぐにライガーの向かった場所に走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 火山地帯の軍事基地では着々とデスレックスの突然変異種の復元が進めれていた。そしてその様子をランド博士とメルビルが見ていた。

 

 「これが、デスレックスの突然変異種……」

 

 荷電粒子吸入ファンがデスレックスの突然変異種のボーン形態に取り付けられた時、巨大な轟音を立てた。

 

 「この声は……」

 

 「ふ、これは喜びの声だ。復活をずっと待ちわびていたのだな。この星に君臨するのは、お前だ、オメガレックス。」

 

 「オメガレックス……」

 

 「ところで、メルビル少尉。」

 

 「はい、お父様!」

 

 「ユウトの様子はどうかな?」

 

 「はい、シミュレーションは予想以上の成果を上げています。」

 

 「そうか……となると、やはりライダーは彼しかいない。」

 

 それを聞いたメルビルは、

 

 「お父様、ひょっとして……」

 

 「ランド博士、リュック隊長から通信が入っています!」

 

 「リュック隊長が?」

 

 ランド博士はリュック隊長と通信を開き、

 

 「私だ!」

 

 「これはランド博士、実は先程、サリー・ランドを捕らえることに成功しました。」

  

 「何!? スピーゲル中佐らにも命じたというのに、まさか、君が成し遂げるとは!」

 

 「そこで、博士にお願いがあるのですが……」

 

 「何だ?」

 

 「スナイプテラをこちらに寄越してよろしいのでしょうか? キャノンブルでは流石に博士のいる基地まで着くにはかなり掛かりますし、それにいずれ連中も追い付いてしまうでしょう。」

 

 「わかった! では、メルビル少尉に命じてそちらに向かわせる。場所は?」

 

 「今、座標を教えますので……」

 

 その時、コクピットで気絶しているサリー僅かながら目を覚まし、その時、リュック隊長がサリーがまだ幼い時に去っていた父親の姿に映った。

 

 「お父さん……?」

 

 そして、再びサリーは眠りにつき、リュック隊長は通信を切って、サリーの方を見て、ペンダントを奪い、不気味な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオゼネバスシティの移民船の宮廷の庭では、皇帝フィオナとギレル中尉がいた。

 

 「錆びる? ゾイドも錆びるのですか?」

 

 「いえ、錆びると言ったのは、あくまでも比喩的表現で……」

 

 「理解できません。あなたがここにいると、何故、スナイプテラが錆びるのでしょう?」

 

 「自分はそろそろ戦線に戻りたいと……」

 

 「そうだ! 中尉のスナイプテラに今度、私を乗せてください。 フフ!」

 

 「けど……私のスナイプテラは観光用ではありません。第一、1人乗りです。」

 

 「つまらない!」

 

 「ギレル中尉。」

 

 そこに侍女のジーンが現れ、

 

 「外交官を通じて、共和国軍のディアス中佐から至急あなたに連絡を取りたいと……」

 

 「ディアス中佐から?」

 

 その報告を受けたギレル中尉はディアス中佐と通信を開いた。

 

 「ディアス中佐。まさか、あなたから来るとは思いませんでした。」

 

 「突然呼び出して申し訳ない。急なことがあってな。取り組み中だったか?」

 

 「いや、正直いって助かったよ。」

 

 「何か?」

 

 「いや、何でもない。それより、私に何の用ですか?」

 

 「実は君に頼みたいことがあって……」

 

 「頼み?」

 

 「実はサリー・ランドのことで……」

 

 「サリー・ランド? 確か、ジェノスピノを倒したレオ・コンラッドと一緒にいた……」

 

 「そうだ。彼女のことで少し厄介なことになってな。」

 

 「厄介なこと?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロックバーグ中尉のパキケドスに敗れたリュック隊長率いるキャノンブル隊は帝国の基地に向かっていた。

 

 「くそっ! まさか、こうもことあるたびに妨害されるとは!」

 

 「隊長! ライオン種が真っ直ぐこちらに向かっています!」

 

 「何!?」

 

 「待て! サリーを返せ!!」

 

 ライガーはリュック隊長のキャノンブルに飛び込み、リュック隊長のキャノンブルはそれを回避した。

 

 「何だ? 貴様から来るとはどういうつもりだ?」

 

 「サリーを拐ったんだろ! 今すぐ返せ!」

 

 「サリー・ランドだと? 知らんぞ!」

 

 「とぼけたって無駄だ! 直ぐに返せ!!」

 

 怒り狂ったレオに従ってライガーはA-Z機関砲をキャノンブルに撃ち込むが、キャノンブルはA-Zレーザー砲で迎撃した。

 

 「どうやら、あの小僧、勘違いしているようだな。まあ、いい、この際、あのらあのライガーを潰して手柄をたててやる!」

 

 「ウォー!!」

 

 ライガーはキャノンブルに向かって突進し、キャノンブルもライガーに向かって突進し、両者共にぶつかり合った。意外にも両者共に互角だった。

 

 「ふ、キャノンブル、兵器 解放! マシンブラストー!! ナインバーストキャノン!」

 

 しかし、リュック隊長はそれを狙ったかのようにマシンブラストを発動し、至近距離でライガーに9連キャノン砲を放った。

 

 「ゼロ距離でこれだけ放てば、いくら性能が上がったライオン種でも只ではすまない。」

 

 しかし、煙が晴れると、ライガーはまだ立っていた。

 

 「こいつ!」

 

 「サリーを……サリーを返せ~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 火山地帯の基地では、ユウトはランド博士の命を受け、戦闘訓練を受けていた。数百人の兵士相手にたった1人で挑んでいるにも関わらず、ユウトは僅か数分で殲滅した。 そこにランド博士が訪れ、

 

 「ご苦労だった。」

 

 「はっ!」

 

 「ザナドゥリアス少尉の様子は?」

 

 「順調でございます。」

 

 「そうか……」

 

 兵士を全て倒したユウトを見たランド博士はニヤリとし、

 

 「全く驚かされる。こんな短時間でここまで向上するとは! 孤児院でメルビルと一緒にこいつを見た時から、何か強大力があると思って睨んでいたが、やはりこの目に狂いはなかった。

 このまま彼の能力を向上すれば、彼は私の野望を達成させてくれる最強の戦闘マシンになる。そうなれば、私は最強の人間とゾイドを手に入れ、この星を私の望む世界に……フフフフフ。」

 

 「博士!」

 

 「よく頑張ってくれた。君には次の任務があるので、それまで休んでいてくれ。」

 

 「ありがとうございます。」

 

 トレーニングルームから離れたユウトは個室に向かうが、その途中、部屋が少し空いているランド博士の個室を通った時、写真を見付けた。

 

 「ん?」

 

 ランド博士の個室にあるその写真が気になり、ユウトはその写真を見詰めた。写真には若い男性と美しい女性が並び、もう一つには若い男性と美しい女性、ボーマン博士とサリーらしき幼い少女とその少女と仲良く手を繋いでいる幼い少年の家族写真のようだった。

 ユウトはその写真に写っている若い男性と少女、少年に何か見覚えがあるような表情をした。

 

 「この人って……」

 

 

 

 

 ランド博士の元にメルビルが気絶しているサリーを抱えたリュック隊長を連れてきた。

 

 「お父様! リュック隊長をお連れしました。」

 

 「おお、ご苦労だったな。メルビル少尉、娘は特別室に移動してやれ。」

 

 「わかりました。」

 

 メルビルはサリーを抱き抱えてそのまま去った。

 

 「まさか、君がやってくれるとは思わなかったよ。アルドリッジ少佐やスピーゲル中佐まで向かわせたというのに……」

 

 「この私だって帝国軍人です! なめてもらっては困ります。」

 

 「今回の君の働きは見事だ。どうだ? 2階級特進も考えてやってもいいが……」

 

 「結構です! それより、博士はジェノスピノに代わる新型ゾイドを開発しているそうですね。是非ともあれを見せたいので……」  

 

 「ということは君も我々の計画に加わってくれるということか?」

 

 「いえいえ、私は一軍人に過ぎません。そんな野心はございません。博士が開発している新型ゾイドがどんなものか一目見たいだけですので……」

 

 「まあ、いいだろう。だが、あれを見た時、お前は圧倒されることになるだろう。」

 

 「それは楽しみです。では、失礼。」

 

 その場を去ったリュック隊長はランド博士の目を盗んで直ぐ様、非常口に入り、研究室に入った。そこではボーン形態のオメガレックスにアーマーを装備させる段階にまで入っていった。

 

 「完全復元にはまだもう少しかかるか……」

 

 「おい、そこで何をしている!? ぐっ!」

 

 リュック隊長は自分を見付けた作業員の腹を殴り、彼の拳が作業員の身体を貫いた。リュック隊長は直ぐ様、作業員を倉庫に隠し、それと同時にリュック隊長の身体が液体金属状になり、先程殺した作業員の姿になった。

 

 「フフフ、」

 

 作業員の姿になったリュック隊長は不気味な笑みを浮かべ、研究室を後にして、火山地帯の発掘場所に向かった。リュック隊長が念入りに探すと、まだ発掘されていない場所にオメガレックスの化石とは別に新たな巨大な化石が発光していた。

 

 「やはり、ここにいたか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオとライガーは尚もリュック隊長のキャノンブルと交戦し、キャノンブルはレオのライガーに善戦していた。

 

 「さあ、早くサリーを返すんだ!!」

 

 「しつこいぞ、 貴様! 生憎だが、サリー・ランドは一度も見ていないぞ!」

 

 「とぼけるな! お前はさっき俺が戦っている間にサリーを拐ったんだろ!?」

 

 「さっきだと!? ふざけるな! 私はさっき共和国のパキケドスと交戦して、今離脱しているところだ。」

 

 「そんなはずがない! そんな嘘を言って俺を……」

 

 「止めなさい。レオ、そいつの言っていることは本当よ!」

 

 そこにパキケドスとフォックスが到着し、

 

 「ロックバーグさん、バーン。」

 

 「レオ、サリーを拐ったのは別の人間が乗ったキャノンブルだ。」

 

 「何だって!?」

 

 「その通りだ。」

 

 その時、同時にギレル中尉のスナイプテラも現れ、

 

 「あなたは……ギレル中尉!」

 

 「久し振りだな、レオ・コンラッド。話はディアス中佐から聞いている。

 ブラオ・リュック大尉、私は彼に用がある。ここで無駄な争いはしたくない。 大人しく引いてくれないか。」

 

 「なにぃ!? ふざけるな! 第一中尉のお前にそんな権限はない!」

 

 「悪いが、もう中尉ではない。皇帝陛下直々の命を受け、先程、昇進した。」

 

 その時、キャノンブルのコクピットにギレル中尉の昇進を知らせるデータが入った。それを見たリュック隊長は、

 

 「ギレル少佐だと!?」

 

 「わかったなら、さっさと引け。」

 

 「ぐぐっ……」

 

 しばらく考えた後、リュック隊長はキャノンブル隊と共に撤退していった。

 

 ライガーから降りたレオはギレル少佐の元に駆け寄り、

 

 「ギレル少佐、サリーが、サリーが!」

 

 「わかっている。直ぐに私の部隊がそのキャノンブルの捜索に向かっている。 君たちは私の指揮している基地で待機してくれないか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオゼネバスシティの移民船の庭園で、フィオナは退屈そうにしていた。

 

 「はあ、ギレル少佐はいつ戻ってくださるのかしら……」

 

 「陛下!」

 

 そこにハヅキ・バスキア中尉が訪れ、

 

 「バスキア中尉、ちょうどよかったわ! 良ければ、お話しでも……」

 

 「いえ……皇帝陛下、実はある人物が陛下に通信を……」

 

 バスキア中尉は耳越しでそれを伝え、フィオナは信じられないような表情をした。

 

 「それは本当ですか?」

 

 「はい、陛下! くれぐれもお気をつけて。」

 

 「わかりました。」

 

 バスキア中尉からの知らせを受けて、フィオナは通信に応じた。通信の相手はシーガルだった。

 

 「ジョナサン・シーガル元准将。」

 

 「これはこれは、フィオナ陛下、ご機嫌麗しゅうございます。」

 

 「あなたの方から、連絡が来るとは思いませんでした。牢獄から脱走して、一体何をするつもりですか?」

 

 「堕ちたものですな……」

 

 「? 一体どういうことですか?」

 

 「栄光なる我が帝国軍が、まさか、共和国と和平を結ぶとは……最早かつての帝国軍が無くなわれてしまったのですね。

 ジェノスピノ侵攻作戦が成功していれば、今頃私とアルドリッジは英雄となり、この地球の覇権は全て我が帝国のものになるはずだったのに……」

 

 「平和を望む者として、当然のことです。 あなたのやっていることは只の破壊です!」

 

 「平和? 憎き共和国を潰してこそが我が帝国の平和だったはずでは!? まさか、あなたまでそこまで堕ちるとは何とも情けない。」

 

 「世迷い言を聞く気はありません。言いたいことがあるなら、言いなさい!」

 

 「我々はあなたに失望しました。最早、あなたではこれからの帝国は任せられません。

 あなたにはご退場願い、これからは我々がこの帝国を指導します。」

 

 「反乱を起こすつもりですか?」

 

 「反乱ではありません。これは革命です! 新たな帝国を築くために。」

 

 「ジェノスピノ侵攻作戦による反乱に続いて、よくそのようなことができますね。」

 

 「私は常に帝国のためを思って行動しているのです。共和国と手を組み、だらけた今の帝国を目覚めさせるために!」

 

 「投降しないなら、それ相応の覚悟が必要ですよ。」

 

 「どうぞ、ご勝手に。 何せ、我々はあのジェノスピノをも越える最強のゾイドを手にしたのですから。

 いずれ、その力を御覧になった暁には陛下も目を覚まされるでしょう。では、失礼。」

 

 通信を切ったシーガルの元にランド博士が現れ、

 

 「こんな早くに皇帝に宣戦布告するとは……」

 

 「我々の力を見せるためですよ。例のゾイド、確か、オメガレックスと言ったな。あれの完成は後どれぐらいかかる?」

 

 「ペンダントを掌握して急ピッチで行っているが、それでも早くて48時間後だ。

 だが既にザナドゥリアス少尉に帝国軍の各地の基地の襲撃を命じ、出撃させた。 それまでには時間を稼げるだろう。アルドリッジ少佐とスピーゲル中佐もまもなく戻る。」

 

 「後は、計画通りにやるだけですな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ランド博士の命を受けて、ハンターウルフ改に搭乗したユウトはランド博士の個室にあった写真を思い出して少し躊躇していた。

 

 「博士は自分には子供がいないとずっと僕に言い聞かせていたけど、あの写真が本当なら、じゃあ、博士はどうして僕を……」

 

 「カタパルト射出準備に入ります!」

 

 兵士の言葉を聞いたユウトは慌ててハンターウルフ改に乗り、ハンターウルフ改はカタパルトに入った。

 

 「カタパルト射出まで、3、2、1、射出!」

 

 基地のカタパルトで射出されたハンターウルフ改はそのまま帝国軍の基地に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギレル少佐に保護されたレオたちはギレル少佐が指揮する基地に待機していた。そこにコリンズ准将が現れた。

 

 「こ、コリンズ准将!」

 

 「やあ、ギレル少佐。」

 

 「な、何故あなたがここに?」

 

 「実は君が話していたレオ・コンラッドという少年に会いに来たくてね。」

 

 「レオ・コンラッドに?」

 

 「ああ、それと君が少佐になったように私は准将ではない。ハワード宰相の命により、中将に昇進した。」

 

 「中将に!?」

 

 「あなたは?」

 

 「君がレオ・コンラッド君だね。帝国軍のアドリアス・コリンズ中将だ。君のことはギレル少佐からよく聞いている。

 もちろんサリー・ランドのことも、君にはジェノスピノ侵攻作戦によるシーガルの暴走を止めてくれた借りがある。我々は全力を注いで彼女の救出に専念する。」 

 

 「ありがとうございます。」

 

 そこに1人が兵士が入り、

 

 「ギレル少佐、コリンズ中将!」

 

 「何だ?」

 

 「先程、サリー・ランドを拉致したというキャノンブルを発見しました!」

 

 「サリー・ランドは?」

 

 「いえ、発見した時には既に破壊されていて、ライダーの姿も確認されませんでした。」

 

 「ということは別のゾイドに乗り換えて逃げたということか。」

 

 「しかも破壊されたキャノンブルを調査した結果、先日に疾走したキャノンブルと同型だということが確認されました。」

 

 「何!? 強奪犯は?」

 

 「それが……不明です。」

 

 「コリンズ中将!」

 

 「何だ?」

 

 「ネオゼネバスシティにおられるハワード宰相から通信が入っています。」

 

 「宰相閣下から?」

 

 

 

 

 コリンズ中将とギレル少佐はハワード宰相からの通信に応じ、レオたちもその様子を見た。

 

 「宰相閣下、一体何があったのですか?」

 

 「実は先程、極刑に処され、先程脱獄したシーガルが皇帝陛下と通信を開き、大胆にも宣戦布告をした。」

 

 「何ですと!? シーガルが? 一体何故?」

 

 「実はある報告によると、脱獄される寸前、ランド博士が牢獄を訪れたそうだ。」

 

 「まさか、ランド博士が……」

 

 「そうだ。しかもランドはその後、軍に無断である発掘場所に向かい、軍事基地まで建設したとの報告もあった。これは間違いなく反乱だ。」

 

 「ランド博士……ジェノスピノ侵攻作戦ももとはといえば、あの男がジェノスピノを復元したことから始まった。 今度は一体何を企んでいるのだ?」

 

 サリーのことが気掛かりなレオはハワード宰相に質問し、

 

 「ハワードさん、その場所は一体何処何ですか?」

 

 「誰だね、君は?」

 

 「先程、お話ししたレオ・コンラッドです。」

 

 「教えてください! そこにサリーがいるんですか!?」

 

 「いや、正確な場所はもちろん、そこにサリー・ランドがいることも特定されていない。だが、通信を傍受して間もなくその場所が特定されるはずだ。」

 

 「お願いです! そこに俺も連れていってください!」

 

 「しかし、君は軍人ではない。民間人まで巻き込むわけには……」

 

 「お願いします! サリーは俺が守らなきゃならないんです!」

 

 焦るレオにギレル少佐は肩を撫で、

 

 「落ち着け、レオ。 いくら場所が特定されても、どんな罠が設置されているのかわからない。もっと情報を集める必要がある。」

 

 「だからって、このまま黙って見ていろって言うんですか!? こうしている間にもサリーは、サリーは!!」

 

 落ち着かないレオにバーンが口を開き、

 

 「いい加減、落ち着け、レオ! サリーのことが心配なのは俺たちも同じだ。それに今行けば、サリーみたいに捕まるのがオチだぞ。」

 

 「何だと!? バーン、俺をバカにするのか!?」

 

 「じゃあ、お前はサリーを助けるために俺たちを見捨てて行くのか?」

 

 バーンの何気ない言葉にレオは反論出来ず、

 

 「そ、それは……」

 

 落ち込むレオにアイセルは明るい表情でレオの肩を優しく撫で、

 

 「大丈夫よ! レオ。 サリーはきっと私たちの手で救い出すから、それまで待つのよ。」

 

 「その通り、いくらあのサリーでも、そう簡単にやられるタマじゃあない! それに何かあったら、俺のキャタルガで踏み潰してやる!!」

 

 その割にはあのキャノンブルにやられたそうだけど、

 

 「うっ……」

 

 ロックバーグ中尉の図星に言い返せないバズ、

 

 「とにかく、今はシーガルとランド博士の居場所を特定するのが先だ。」

 

 「コリンズ中将、ギレル少佐!」

 

 「今度は何だ?」

 

 「第七方面隊が所属する基地でハンターウルフ改に襲撃されました!」

 

 「何!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気絶しているサリーは夢を見ていた。

 

 「お父さん。」

 

 「サリー、お前はここで大人しくしているんだよ。」

 

 「待って、お父さん、お父さん! はっ!」

 

 目を覚ますと、そこに父親の姿はなく、目の前にメルビルがいた。

 

 「あなたは……メルビルさん?」

 

 「久し振りね。帝国にいた時にはあなたの世話をしていたわね。」

 

 サリーは慌てて、胸を見ると、ペンダントはなかった。

 

 「ペンダント、ペンダントは何処ですか!?」

 

 「今はお父様が預かっているの。」

 

 「お願いです! 返してください! あれはお祖父さんの大事なものなの!!」

 

 「落ち着いて、でもこれはお父様のご命令なの。しばらくはここで大人しくしていて。」

 

 メルビルはその場を去り、サリーが入っている牢屋を閉めた。

 

 「待ってください、メルビルさん、メルビルさん!」

 

 

 

 

 

 

 メルビルはランド博士の元に行き、ランド博士はペンダントによる装置を開発していた。

 

 「おお、メルビル少尉か。ザナドゥリアス少尉は?」

 

 「指示通りに出撃した。」

 

 「そうか、後はオメガレックスの完成を待つだけだな。今まではオメガレックスの完成には直接端末を見つけ、それをオメガレックスに移植することを考えていた。

 だが、もう端末を探す必要はなくなった。このペンダントのシステムを応用すれば、オメガレックスは地中に埋没するどの端末からでもゾイド因子を常に補給することができるようになる。無尽蔵にな!」

 

 「はっ!」

 

 「荷電粒子砲を何発撃とうが、その力は尽きることなく、オメガレックスは正に不死身のゾイドとなるのだ。」

  

 そう言うと、ランド博士はその場を離れ、

 

 「お父様、どちらへ?」

 

 「サリーに会いに行く。」

 

 「サリーに?」

 

 それを聞いたメルビルは首を傾げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 牢屋の中で抱え込んでいるサリーの元にランド博士が訪れ、

 

 「あなたは……あの時の!」

 

 「ボーマン博士の作ったペンダントは予想以上の研究成果を上げた。こいつのおかげで、オメガレックスは予定より早く完成する。」

 

 「ペンダントを返して、返してください!」

 

 「やれやれ、母親に似て向こう気の強い娘だ。」

 

 ランド博士はペンダントを取り返そうとするサリーを取り払った。

 

 「どうして、それを?」

 

 「当然だ。私は君の母のことをよく知っているからな。実に美しい娘だった。もちろんボーマン博士のことも……」

 

 サリーがペンダントを取り返した時の衝撃で、ランド博士の右腕の皮膚が破け、その中に機械の腕が現れた。

 

 「その腕は……」

 

 「ああ、確か、君の友人の腕はゾイド因子を金属化していたそうだったな。だが、私の腕はそれを模したものだ。」

 

 ランド博士が右腕の皮膚を完全に剥がすと、右腕は完全な義手になっていた。

 

 「そんな……」

 

 「この腕も私の研究の成果だ。ボーマン博士は人とゾイドの共存する世界を望んでいたが、私にとってはそんなものはくだらないものだった。」

 

 「そんなことはありません! ゾイドは私たちと同じ命を持った生き物です。人とゾイドが一緒に暮らせる世界こそが理想の世界なんです!」

 

 「果たしてそうかな?」

 

 「え……?」

 

 「ゾイドとは闘争本能を持った金属生命体。飼い慣らされているゾイドなど、もはや本来のゾイドではない!

 ゾイドは戦うことによって進化する。ゾイドは戦っている姿こそが美しく、ゾイドが最も輝く瞬間。そして、最強のゾイドだけが生き残る世界こそがゾイドの理想郷にして、私の望む世界だ。

 そうして、私は惑星Ziにいたとき、ボーマン博士の考えに異を唱え、地球に誕生するゾイドの中で最も強力なゾイドであるデスレックスの改造を施し、それにスピノサウルスの遺伝子を組み込み、最強のゾイドを開発しようとした。

 だが、実験は失敗に終わり、研究所が破壊され、私は右腕を失い、たまたま通りかかった私の息子ピーターもその事故に巻き込まれた。

 しかし、思わぬ収穫が出た。事故に巻き込まれた息子は突然右腕が金属化し、通常の人間にはない強大な力とゾイドと話せる力を得た。

 その時、私は確信した。ピーターのその力を使えば、より最強のゾイドを作ることが出来るとな。

 だが、ピーターはその力を抑えることが出来なくなり、やがて、私の手にも負えなくなり、仕方なく移民船での移動の際に捨て、代わりにピーターと同じゾイド因子を持った腕を模した義手を開発し、私の右腕に移植した。

 その後、私は帝国に入り、ジェノスピノを復元し、そして更にはそれすら凌駕するオメガレックスまで復元するようになった。」

 

 「ピーターって……じゃあ、もしかしてあなたは……」

 

 その時、サリーがまだ幼い時に去っていた父親とその父親と手を繋いでいる少年の姿が脳内に映った。

 

 「コールドスリープにいた期間が短く、ボーマン博士より先に年を取り、帝国にいたとき、私の正体に気付かなかったのも無理はない。ピーターはお前の双子の弟、そしてお前は私の娘だ。」

 

 それを聞いたサリーは青ざめた表情をした。

 

 「そ、そんな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第七方面隊が所属する軍事基地、そこではハンターウルフ改の攻撃で壊滅寸前になっていた。

 

 「こちら、第七方面隊、応援は? 応援はまだですか!? もうこれ以上は持ちこたえられません! うっ、うわぁ~!!」

 

 ハンターウルフ改はマシンブラスト技のソニックシックルで司令塔を破壊し、第七方面隊の基地を完全に壊滅した。ユウトはハンドルを強く握り、

 

 「もし、博士に子供がいたら、僕は一体何のために拾われたんだ? 何のために僕を選んだんですか?

 教えてください! 博士~!!」

 

 グオォ~!!

 

 ユウトの叫びに呼応するようにハンターウルフ改は火に包まれた基地をバックに咆哮を上げた。

 

 To be continued




 次回予告

 復活が近付くオメガレックスの力を利用し、革命を称したシーガルの反乱が始まった。帝国軍はシーガルの反乱軍鎮圧に軍を動かすが、ユウトのハンターウルフ改の猛攻に圧倒され、更にはスピーゲル中佐のドライパンサーとアルドリッジのファングタイガー改にも抑えられてしまう。
 レオたちはサリーを助けるためにギレル少佐とディアス中佐率いる共和国の援軍と協力して反乱軍と交戦していった。
 そんな中、プライド摂政は未だにシーガルの反乱を黙認し、何かを待っているような様子だった。果たしてその狙いは?

 次回「シーガル 激進!」

 走り抜け、ライガー!!


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第22話「シーガル 激進!」

 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーが新たな姿を得て進化したライジングライガーの力によって強敵セードとジェノスピノを打ち破り、新たな仲間を加え、再び地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


 レオたちのいる軍事基地で、コリンズ中将とギレル少佐はシーガルとランド博士のいる基地の場所を特定した。

 

 「場所は第14地区にある火山地帯か……だが、そう遠くはないな。」

 

 「ですが、1つ問題が……」

 

 「何だ?」

 

 「先程、ハンターウルフ改が壊滅させた第七方面隊の基地を初め、火山地帯付近の基地を次々と襲撃していて、完全に封鎖している状態です。」

 

 「なるほど、まず先に基地の周囲を制圧して徐々に領土を広げ、防衛戦を張るつもりか…… となると、シーガル率いる反乱軍の本拠地のルートを封鎖しているハンターウルフ改を排除する必要があるが……ハンターウルフ改のライダーは誰だ?」

 

 「ザナドゥリアス少尉ですが……」

 

 「何!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 火山地帯の基地で、シーガルとランド博士がハンターウルフ改が第七方面隊と第八方面隊の基地を壊滅させた映像を見ていた。

 

 「流石は博士の育てたご子息ですな。」

 

 「この計画のために私は彼を育てたのだからな。」

 

 「ところで、同じくご子息であるメルビル少尉にはこの計画の全貌は話したのですか?」

 

 「いや、まだだ。彼女にはもう少し進行してから話す。先に話してしまうと少々ショックが大きいだろうからな。」

 

 そこにアルドリッジ少佐とスピーゲル中佐が戻り、

 

 「只今、戻りました。シーガル閣下!」

 

 「おお、戻ってくれたか。」

 

 「申し訳ございません。任務は失敗しました。」

 

 「構わんさ。既にオメガレックス完成の準備は整っている。ザナドゥリアス少尉がハンターウルフ改で帝国軍と交戦している。 お前たちも直ぐに出撃し、目一杯暴れろ!」

 

 「はっ!」

 

 シーガルから出撃命令を受け、再びドライパンサー、ファングタイガー改に乗り込みに向かうスピーゲル中佐とアルドリッジ少佐、その途中、アーマーの取り付け作業が終わっているオメガレックスを見掛けた。

 

 「うっひょ~! これがオメガレックスか!! 中々いいじゃないか。閣下と博士は誰をこいつに乗せるつもりなんだ。 ま、おれが乗れば、思う存分狙い撃って、あの小賢しいライオン種を滅多内にしてやるがな!」

 

 「止せ、アルドリッジ。オメガレックスは並みのゾイドじゃない。下手したら、命取りだぞ! それにお前が乗り換えたら、タイガーは一体誰が乗るんだ?」

 

 「は? 何言ってるんだ。絶大な力を行使することが真の帝国、そして強大な力を持つゾイドは帝国に必要な道具だ。より強いゾイドがいたら、そいつに乗り換えればいい問題だろ!」

 

 「でも、そんなことしたら、タイガーが可哀想だな。今まで一緒に戦っていたセードがジェノスピノに乗り換えていなくなった代わりに乗ってくれたのがお前だからな!」

 

 それを聞いたアルドリッジはスピーゲル中佐が通信を開いて何か通信機をいじっているのを見つけ、

 

 「黙れ! そういうお前は一体何をやっているのだ!?」

 

 「あ、失礼、誤解させたか。実は他の軍にも出撃するための指令を送ってな。いくら俺たち2人でも流石に帝国軍をまともに相手をさせるのはきついからさ。」

 

 「けっ、まあ、いい! とっとといくぞ!」

 

 「おいおい、階級が上の俺に命令するなよ。」

 

 スピーゲル中佐が咄嗟に隠した通信機の宛先にはある帝国要人の名前が入っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 火山地帯周辺に近い帝国軍基地を襲撃しているハンターウルフ改の映像を見たコリンズ中将とギレル少佐は、

 

 「なんてことだ! かつて帝国のバーサーカーとしてジェノスピノでも猛威を振るったセードのみたいに襲撃してしまうとは……」

 

 「ザナドゥリアス少尉はランド博士の養子だ。おそらく博士の命令で動いているのだろう。」

 

 「出来れば、彼とは戦いたくなかったが、仕方あるまい。」

 

 「ギレル少佐! 共和国軍のディアス中佐から通信が入っています。」

 

 「繋げ!」

 

 「こちら、共和国軍のディアス中佐だ。」

 

 「ディアス中佐、一体何があったのですか?」

 

 「実は大統領閣下の元にもシーガルからの通信が入った。」

 

 「共和国大統領にもだと!?」

 

 「その通信を録音しているので、今からその映像を送る。」

 

 ディアス中佐の言葉と共にコリンズ中将とギレル少佐のいる基地にその映像が送られた。

 

 「シーガル!」

 

 「今のだらけた帝国を生み出した元凶である共和国よ!直ちに我々の正規な帝国軍に降伏せよ! さもなくば、まもなく完成するオメガレックスの力を見せつけられ、共和国は壊滅することになるだろう! 返事はオメガレックス完成までに待ってやる。」

 

 その映像を見たコリンズ中将とギレル少佐は、

 

 「なんてことだ! シーガルの奴、皇帝陛下だけでなく、共和国大統領にも宣戦布告をするとは!!」

 

 「しかし、オメガレックスとは一体何だ?」

 

 その質問に答えるようにシーガルの映像からディアス中佐の通信に変わり、

 

 「実は以前から、私の同僚のツガミ大尉がジェノスピノによる共和国侵攻以来から、あることを調べていた。」

 

 「あること?」

 

 「ああ、どうやらそれによると、ゾイドクライシス時にジェノスピノと同等かそれ以上の力を持つ強大なゾイドが世界の3分の1以上を壊滅させたということが記録で確認された。おそらくそれがオメガレックスかと……」

 

 「まさか、ジェノスピノ以外にもそんなゾイドがいたとは……」

 

 「信じられないかもしれないが、事実だ。もしそれが復元されたら、以前のジェノスピノ以上の脅威になるかもしれない。」

 

 「ランド博士め、全く何てことを!」

 

 「先程、大統領閣下から攻撃許可の命令の許可が出て、帝国軍と協力して制圧せよとのことで、今そちらに向かっているところだ。」

 

 「それは助かる。こちらも皇帝陛下の攻撃命令の許可が下り次第、出撃するつもりだ。」

 

 「では、そちらに着いたら、また連絡する。」

 

 ディアス中佐の通信を切った後、ギレル少佐は少し考えた。

 

 「どうした? ギレル少佐。」

 

 「いや、後は彼にどう説明すればいいか、少し迷っているんです。」

 

 「彼というと、レオ・コンラッド君のことか?」

 

 「彼には以前のジェノスピノ侵攻にも随分助けられたが、いくら実績があっても彼は軍人ではない。我々と違い、只の民間人で、しかも子供だ。

 これ以上、彼を巻き込むのは軍人である私のやるべきではない。出来れば、サリーの救出も全て我々の手でやらなければならない。」

 

 「それで、彼にどう説明すると……」

 

 「それは……」

 

 

 

 

 

 

 

 基地の個室で、バーンたちはギレル少佐たちからの報告を待っていた。そこにディアス中佐との通信を終えたアイセルとロックバーグ中尉が入り、

 

 「教官……いや、中尉。」

 

 「ディアス中佐によると、どうやら、ランド博士によって脱獄したシーガルが帝国に反乱を起こし、共和国にも宣戦布告してきたそうよ。」

 

 「シーガルって……確か、ジェノスピノを暴走させたっていう悪党か! 脱獄してまた反乱起こすとは、懲りねぇ奴だな。」

 

 「先程、大統領閣下から攻撃命令の許可が降りて、帝国軍と合同でそれを鎮圧する作戦で、後は帝国の皇帝陛下の攻撃命令の許可が下り次第、出撃するつもりよ。」

 

 「てことは、俺たちも出撃するのか?」

 

 「あなたはそもそも帝国の脱走兵だから、出撃する必要はないでしょ? それにまだ帝国のお尋ね者だし。」

 

 「あ、そうか。レオと同行してて忘れていたが、俺たちまだ帝国軍に追われていたんだった。」

 

 「てことは、俺たちは静観ってことだな。俺のキャタルガは戦闘向きじゃないし……」

 

 「とかなんとか言って、本当はただ、戦闘に出たくないだけだろ?」

 

 「ところで、レオはどうしたの?」

 

 「1人で考えたいといって、ライガーのいるところまで言っちゃったけど……」

 

 「多分、拐われたサリーのことが気掛かりかも知れねぇな……」

 

 

 

 

 

 バーンたちのいる部屋から離れて、レオは倉庫でライガーの足元で座り込み、黙りこんでいて、サリーの言葉を思い出していた。

 

 「サリー……」

 

 「(私はあなた