ブラック・ブレット~闇夜を駆ける者~ (シャラシャラン)
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第一話
シャラシャランです。
今回はアニメ化を記念してこのブラックブレットの二次創作を書いてみました!
実はこれ去年に書いたものなのですが、あまりにもブラック・ブレットが好きなので投下してしまいます。
7巻んも発売されましたし、この先がきになります。
「もしもし……はい、はいそうです。天童民間警備会社です。……はい、わかりました。はい……了解です。すぐにうちの者をそちらに向かわせます。はい……ありがとうございます。では後ほど、失礼します」
俺は電話の受話器を元に戻し、FAXから情報が出てくるとすぐにうちの社長に渡す。
社長はそれをさっと読み終えると蓮太郎と延珠を呼ぶ。
それを押し付けなんとか依頼を完了するようにきびしく言っている。
やれやれ。俺は何故ここにいるのだろう。
いくら友達の願いで手伝ってくれと言われてもまるでここの正社員のようにこき扱われてもなぁ。それはおかしい。
「ちょっと宗樹くん!」
「……なんすか社長」
「君も行くのよ!その方が成功率あがるし、里見君だけじゃ心底不安なのよ」
「社長、自分の部下が信用できないってどうゆうことっすか?」
「う……。いいじゃない!それより早く行くのよ!」
「はいはいっと。そうやって高圧的な態度とっていると、その内蓮太郎にも嫌われちゃいますよ?」
「そそそそんなことないわよ!何言っているのよ!!」
俺が契約社員として働いている貧乏会社の天童民間警備会社の社長こと天童木更はなんと恐ろしいことに刀を持ちだし、抜こうと柄に手をかけていた。
「わかりましたよ。行きますから刀をしまってください」
「ならさっさと行きなさい!この依頼には今夜と明日の食事が掛かっているんだからね!」
別に俺はこの依頼をクリア出来なくても飯は食っていけるけどな。
壁に掛けてある黒い大型のバックを取り中にM4を入れ、マガジンを複数腰のポーチに入れる。ハンドガンは右腰に入れておく。そしてナイフなども入れておく。基本的に銃撃戦だが無いより有ったほうがいいだろう。
「いってきます」
俺は扉を開け事件現場へと向かう。
「あァ?お前が応援に来た民警だぁ?」
「あぁそうだよ悪りぃか?」
さっそくもめごとを起こしていた、もちろん蓮太郎が。
やはり学生服だとぐちぐち言われるからな。俺はそこらへんちゃんとできているから、今は私服である。ってかあの警官……
「多島さん!」
「ん?こりゃぁ宗樹じゃねぇか。どうかしたか?」
「俺もその馬鹿と同じで応援に駆け付けたですよ」
「それはありがてぇ。お前がいると百人力だな!」
ガハハハと笑っている多島さん。この人は一応警察である。
「バカって誰の事だよ。なんで宗樹が来てるんだよ」
「バカはお前の事だ。お前の愛しの木更さんに言われて来たんだよ。里見君一人じゃ頼りないってよ。よかったな、お前の恋は程遠いぞ。まず信用される所から始めようぜ」
「うるせぇ」
そっぽを向くが一応ただのじゃれあい、冗談である。正直こいつとの付き合いは非常に長い。腐れ縁とかを超えている。もう一人腐れ縁の奴もいるのだがな。今はコッチに集中しよう。
「おい確か里見だったか?」
「なんだ?」
「お前イニシエーターはどうした?」
それを多島さんに訊かれた瞬間蓮太郎が固まるのがわかった。
絶対に置いてきたな。あの顔。
「いや相坊の力を借りる必要もないって思ってな、な?」
あやしすぎる。
もうちょっとまともな嘘をつけないのか?
ほら多島さんだって疑っているだろ。
そう言った後多島さんがこっちを見て自慢げに言う。
「まぁいいか。こっちにはお前がいるしな」
「今回もさっさと終わらせましょう。そして飯食いましょう」
「だな、いつものうどん屋だったら奢るぞ?」
「お願いしますよ」
俺は軽く微笑み多島さんを見る。
「おいお前いつ仲良くなったんだよ」
「前にね、依頼でちょっと一緒になった時が合ってそれから良くしてもらっているんだよ」
蓮太郎が耳打ちしてきたので応える。
結構きさくでいい人なのだ。部下思いで何事も正そうとするし、さすが刑事というか勘がいい。
階段を上がりマンションの二階の202号室前でとまる。
ここが事件の現場らしい。事件の内容はこの部屋の下の階の人が「血の雨漏り」がすると通報してきたのが始まりである。そしてこれが人類の敵ガストレアだと断定したのだ。
「なにか変化は?」
「そ、それが先に突入したポイントマンが―――」
あほだろ、俺ら民警を待たず先に突入するだなんて。
「宗樹!」
「だな」
顎で指示を出す。
すぐに警官が投入用のショットガンを持ちだし扉を狙う。バッグからライフルを出しマガジンを入れ、安全装置をはずす。俺は指でカウントダウンを始める。指が三を示してすぐ警官が扉を撃ち破壊、それを俺と蓮太郎が蹴り中に突入する。
ライフルを構え蓮太郎の後ろをいく。
「なんだ……遅かったじゃないか」
部屋の中には血だまりが出来ており、血が壁などにこびりついていた。その中に警官が二人壁に叩きつけられていて死んでいた。部屋の真ん中には燕尾服に仮面にシルクハットというコスチュームを身にまとった男性がいた。
「ハロウィーンにしては早いと思うんだが、誰だお前?」
「仮装ではないよ、君。それより先に名乗ってはどうかね?」
「民警、早川宗樹だ」
「里見蓮太郎だ。なぁあんたがここの警官を殺したのか?」
「ああそうだが、なにか?」
敵がそう言った後蓮太郎の行動は素早かった。すぐに持ち前の身体能力を生かして敵との間合いを詰め下からの掌打を当てる。
「なかいい打撃じゃないか」
「伏せろ蓮太郎!」
俺は蓮太郎が伏せるのを確認すると一緒に突入した警官と一緒に一斉射撃をする。銃声が狭い部屋で鳴り響く。空の薬莢がフローリングにあたり音を立てる。撃った弾は全て避けられ、隣の警官二人が首を撃たれ崩れおちる。俺はなんとか避けた。敵が行ったのはなんと早撃ちである。俺もできるが常人ではできないだろう。すぐに間髪いれずに蓮太郎が回し蹴りを叩きこむが、仮面男は携帯すら手放さずに電話をしていた。
「すまないね。用事ができたのでな。また会おう里見くん、早川くん」
「結局、誰だよあんた」
「私は世界を滅ぼすものだ。誰にも私は止められない」
男はすぐにベランダから飛び降りる。
俺らはすぐには動けなかった。強いな、次に会った時は少々本気で挑まなくてはいけないな。蓮太郎の背中をバシンと叩く。
「何ボォーっとしてんだよ。ほら行くぞ蓮太郎。多島さん!」
「あぁ、わかってるよ!ほらお前等はお前等の仕事をしろ!」
すぐに蓮太郎と一緒に部屋中を探すが何もいなかった。クローゼットの中もいなかった。いったいどういう事なのか?蓮太郎と話あった結果:感染源と感染者は逃げた。という事になった。これはヤバイ。下手したら東京が終わるかもしれない。
「多島さんすぐにここ一帯に避難命令と封鎖を、もちろん警官は全員バラニウム弾装備でお願いします」
「了解だ!」
多島さんはすぐに無線で状況を報告し始めた。
「一仕事しますか」
「だな」
俺はライフルを構え蓮太郎と一緒に付近の捜索を始めた。
そんなこんなで捜索を開始してすぐに発見した。
すぐに警官がやってきて車を物陰にして銃撃戦が始まった。
蓮太郎は置いてけぼりにした延珠と再会、俺はライフルをずっと撃っているだけの簡単なお仕事だった。これで給料もらえるんだ。楽なこった。
「2031年4月228日1630、イニシエーター藍原延珠プロモーター里見蓮太郎、早川宗樹。ガストレアを排除しました」
「おう、御苦労民警諸君」
両方敬礼をする。
すぐにそれを崩してお互い笑う。
「そんなことより蓮太郎、タイムセールの時間はいいのか?」
「ん?……ってあ!?」
延珠に言われて気付く蓮太郎。もうすぐスーパーのタイムセールなのである。
「やべぇ。また仕事あったら回してくれよな!!」
「あ、おい!」
すぐに二人は走り去っていた。
多島さんはそんな小さくなっていく二人の背中を見る。
「まったくなんだ?アレ。タイムセールとか」
「現在天童民間警備会社は非常に金銭的余裕がないのですよ」
「あぁなるほど。だがお前さんは確か司馬重工所属だったんじゃ?」
「まぁそうなのですけど、あいつ親友なので時間があるときは手伝っているんですよ」
「なるほどねぇ……」
「あと報酬頂いてもよろしいですか?」
「わかったちょっと待っていろよ」
そう言って多島さんは車のほうに走っていき、茶色の小封筒を持ってきた。
厚みなどでお金は大して入っていないのがわかるが、それでも今の木更や蓮太郎だったら涙を出して喜ぶだろう。
「ありがとうございます。また何かあったら天童民間警備会社をよろしくお願いします」
「おうよ。こっちこそよろしくな」
俺はライフルをかばんに入れて装備を色々外す。
ゆっくりと会社に戻る準備をする。
携帯を見る、午後16時50分。俺も帰って夕飯の準備をするか。
恐らく先にあいつも帰っているだろう。
だがその前にこの金を届けようか。
黒色の長い鞄を持ちあげ夕焼けに照らされた道を歩く。
余談だが、蓮太郎は報酬をもらい損ねたことで怒られていたそうだ。
あの馬鹿め。
主人公は早川宗樹くんです!
もちろんイケメン。
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第二話
結構無理してます
それではどうぞ。
いつも通り重い鞄を肩からつり街中を歩く。
今日は仕事があったな、しかも平和な仕事だった。
本来ならもっと危険なお仕事が俺宛に回ってくるのだが今日は何もなかった。
一応確認の為に携帯を見るが、メールはおろか不在着信すらない。
おかしい……
これはありえない。いつものあいつだったら「どう、元気しとる?」とか「今晩は何食べる?」とか「疲れた~。宗樹くんに会いたいわぁ~」などの短いメールが送られてくるのだがそれすらない。どうかしたのか?
ちょっと急ぎながら自宅に着く。
すぐに鍵を開けて入る。電気はついていなかった。
おかしい。いつもなら家にいるはずなのだが。
「おーい、帰ったぞ」
いつもならおかえり!と言って胸に飛び込んでくるのだが。
今日はそれも無い。
ゆっくりと廊下を真っ暗な廊下を歩き廊下とリビングの仕切り役をしている扉を開ける
「おっかえりー!!」
後ろから急に抱きつかれる。
普通だったら壁に叩きつけるように投げるが、声から判断してあいつなので何も言わずこう言う。
「ただいま、未織」
「それで今日はどうやったん?」
「軽い依頼一つだけだよ」
食卓を囲んで言う。
今日の晩飯は塩鮭、白米にお味噌汁におかずがである。
このご時世満足に食事ができるのは嬉しい。お金も余分にあるし木更や蓮太郎のようにお金で困るような事は無い。まったく仕事をまわしてくれる未織のおかげである。
「また
「もちろん」
ごはんを食べ終えてひと足先に席を立つ。食器を全て流し台に持っていく。ちなみに皿洗いは未織がやってくれる。さすが通い妻的ポジションの人。
俺は机にパソコンの電源ボタンを押す。すぐにメールに目を通す。新着のメールがあった。どうやらいつぞやの重鎮たちからの手紙である。大方また機会があったら助けてくれとか感謝のメールだろう。すぐに次のメールに目を通す。その中に国際イニシエーター監督機構、通称IISOからメールが来ていた。中身を開けて見てみると、もはや見慣れた内容であった。
「またIISOから?」
「ああそうだよ」
中には少女の顔写真と特徴やモデルなどが書いてあった。イニシエーターである。本来民警は蓮太郎と延珠のようにプロモーターとイニシエーターというコンビで戦うのが普通なのだ。しかし俺にはいない、もちろん俺が希望してこうしているのだが偶にこのようにメールが来るのである。この子はいかがですか?って感じである。
「もうそろそろ誰か選んだらどうなん?」
「と言っても俺に合うやつがいない」
俺自身はイニシエーターがいてもいいと思う。その方が戦術の幅も増えるし楽しいと思う。蓮太郎と延珠を見ているとそう思えてくる。でも今現在俺一人でも仕事はやっていけている。今はいいだろう。
「まぁ宗樹くんはそんなん無しでも強いからなぁ。さすがIP序列200位以内やなぁ。ほんま感心するわ」
「褒めても何もでないぞ」
メールに「今までどおり一人でいいです」と打ち返信する。
パソコンの電源を落としほこりが被らないようにカバーをかける。
「誰かいないかなぁ……」
暗い暗い場所。
何もない。
周りにあるのは細い管だけ。
誰もいない。
どうすればいいの。
「何処に行った!」
「速く探し出せ!
逃げなきゃ。
遠い場所に逃げなきゃ。
どこかに。
誰か私を助けて。
私実はオリジナルも書いているのでそれもどうぞ
(他サイト:小説家になろう にて連載しています)支援お願いします。
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第三話
聖天子さまやっぱり可愛いね!
特に挿絵の風呂のシーンと私服はやばかった!
ってか胸大きいな……(ゴクリ)
なので聖天使様はヒロイン入りします。
(結構前から決まっていました)
「は?会議ですか?」
「はい。そこでの司会や室内の警備を司馬重工のあなたにお願いしたいのです」
朝早く呼ばれたと思ったらいきなりこれか。
ここは東京の真ん中にある建物。
恐らくここに入れるのは限られた人のみである。彼女の補佐官の菊之丞もその一人である。ここは彼女のプライベートの部屋である。ここには監視カメラも盗聴器も録音機もない。なぜならここでする話は基本的に記録に残ってはいけないからだ。
「そして聖天子様はなぜ俺を?」
「あなた達一族は昔から私達一族を影から支えてくれましたから。今回もお願いしようかと」
「いくらなんでも。俺は今や企業に属する人間です。さすがにいくら一族の生き残りだと言われてもねぇ」
「聖天子様!このような糞餓鬼に頼む必要はありません!」
「菊之丞さん、そのような事を言ってはいけません」
かなりキレている菊之丞を聖天子様がなだめる。
こっちを睨むな菊之丞、そんなんだからハゲるんだよ
「冗談ですよ。受けますよ、その依頼」
「ありがとうございます」
胸を撫で下ろし、軽く頭を動かす。
一礼のつもりだろう。
俺もそこまでいじわるをするつもりはないしな。
「で、いつですか?」
「明日です」
「……は?」
「明日です」
「いや言い直さなくて大丈夫です」
なるほど、俺がこれを承諾することも承知のうえだったのか。
くそ嵌められたな。そして案の上聖天使様はニコニコしている。
「後々あなたにもお仕事をお願いします」
ただ黙ってうなずく。
そう言われた後資料が渡される。これを読んでおけ、ということだろう。中には会議でどのような事を話すか、どのような質問に答えてもよいか。そしてこの事件の真相などが書いてあった。なるほど、どうりで変な奴がでしゃばってくるわけだ。
「わかりました。この事件俺が責任を持って完遂しましょう」
「お願いします」
面白くなりそうだ。
「それが依頼?」
「全部話せないけどな」
「なんやそれ!絶対危ない仕事やろ!」
「否定はしないな」
家でお茶を沸かす。
本当は俺一人の家なのだがなぜか定期的に未織は家に来ている。すっかり躊躇いなく冷蔵庫を開けれるぐらいなじんでいる。
「と言っても俺だったら楽勝だ。心配だったら明日の会議来るといい。一応司馬重工宛にも招待状もあるしな」
お茶を入れてコップと一緒に手紙を渡す。未織はそれを開け読む。
「……わかったわ。ほなすぐに行く準備する」
未織はお茶も飲まずに席を立って玄関へと走って行った。確かにもうすぐ時間なので俺も急ぐか。未織が家から出てのを確認してから服を準備する。もちろん銃や武器も持っていくが今回ライフルは持っていかない。持って行くのはハンドガン一丁とマガジン二つ、そして複数の投げナイフやクナイである。それを全てかばんに詰めて行く。支度が終わったとき電話が鳴った。車が到着したらしい。とことんVIP待遇だな、こんな時だけ俺の一族の名前に感謝だ。
すぐに荷物を持ちマンションの一階にいくとリムジンが止まっていた。
「早川宗樹様でしょうか?」
「はいそうです」
「こちらにどうぞ」
車の扉を開け中に入るように言われる。
荷物はもちろん車の中に持って入る。トランクに入れられるような物ではないので持っていく。そこまで遠くないのに迎えに来てくれるとは驚きだ。
ほらもう着いたじゃねぇか。
車から降りてすぐに会議室の隣にある部屋に行く。
そこで着替えるのだ。かばんから黒色の服とコートを取りだす。その上から腰、太もも、腕、服の中にナイフや刃物を忍ばせる。これで準備オッケー。
俺は部屋から出て会議室の二階に行く。そこで依頼の説明をするらしい。
服が乱れているかどうか窓を鏡の代わりとして見ていると携帯が鳴った。メールだ。
驚くことに聖天子様からだった。
『聖天子より
がんばってください、応援していますよ。
見ていますが服は乱れていませんよ。』
俺はうしろを見るがそこには誰もいなかった、だが天井を見てみるとそこには監視カメラがこちらを見ていた。俺は返信を打つ。
『ありがとよ。だが監視すんなし』
後ろを見てカメラに向かって手を振って俺は会議室へと向かった。
そこには色々な姿をした者がいた。知り合いや、顔だけ知っている奴もいた。そんな中に木更と蓮太郎がいた、しかも端っこの席で。俺は驚いていた。この依頼は間違いなく死ぬ危険性が高い。なので必然的にレベルが高い民警を集めると思ったが、蓮太郎なら問題ないだろう。もちろん未織もいた。司馬重工の民警達は比較的IP序列が高い人が多いので最前列に座っている。
「おーい!」
こら手を振るな。
こっちを見るな。
「おーい、宗樹!聞こえるーーー?」
「静かにしろ!」
手すりを叩いて怒っているぞアピールをする。
今下の階で手を振っているのは無波というやつである。女子のくせにデリカシーの掛ける奴だ。隣の未織を見ろ、静かに座っているだろ。
「それでは時間になったので話を始めよう。まず俺は司馬重工所属、早川宗樹だ。よろしく」
俺の名前をきいた瞬間露骨に反応した奴が数名。
なるほど俺を知っているか。
「話を始める前に言っておくが、これから説明する依頼は生半可な物ではないし口外を一切禁止するものだ。それがいやな奴はすぐにここから出て行ってくれ」
そう言うが誰一人動こうとしない。
全員覚悟有か、そして空席が一つ。最初っからいなかったな。
欠席か。
「それでは始めよう。俺は詳細を説明するが主な話はこの方にしてもらう」
俺は会議室にある巨大スクリーンの電源をつける。
そこには真っ白で清楚な服を着た聖天子様と菊之丞が―――――――
いなかった
あれ?打ち合わせと違うのだが。
そう思い確認の連絡をしようとした時、会議室に設置してあるスピーカーから声が聞こえた。聞きなれた声なのですぐにあの二人であるのはわかったのだが。
『ふ、フフフフフ……やっとメールができました!見てください菊之丞さん、宗樹さんとのメールです!!』
『はい。そうですね。さぁ聖天子様、もうお時間d』
『もう///どうしましょうか?これ』
なんだかおかしな会話が聞こえる。
声から聖天子様は嬉しそうにしているのがわかる、菊之丞は疲れているのがわかる。
何故ゆえに俺のメールなのだ、しかもメールってさっきの一件しかないだろ。あれが嬉しいのか。
『菊之丞さん、このメールの保護ってどうやってするのですか?あとできたら印刷と額縁を用意しt』
これ以上はいけない。
そう思いモニターの電源を切った。
席に座っている皆の顔を見てみると、なんだか信じられない物、異物を見るような顔だった。ああどうしようかコレ。
何はともあれ、とりあえず電話だ。
「もしもし?はい俺です。……仕事して下さい」
俺はそう言って電話を切った。
「少々お待ち下さい、只今テイク2準備中です」
俺は気まずい空気の中そういう。
まったく仕事しろよ、菊之丞お前の仕事だろ。
直後俺の携帯が鳴り準備ができたと報告が来た。
「それでは聖天子様に説明していただきましょう」
電源をつけた。
今回はちゃんと高級そうな椅子に座った聖天子様と菊之丞がでてきた。
『ご、ごきげんよう皆さん』
すごく恥ずかしそうだ。
もちろんこちらの声も様子もモニターで見えているはずだ。
これは公開処刑同然だな。
『そ、その……依頼は簡単なので、あっ楽にしてくださいね』
すごくおろおろしている。
皆の想像通りの凛々しい人でなくて驚いているな。
こらそこ、そんな生温かい目で見るな。一応国家統治者だぞ。
『依頼は昨日東京に侵入した感染源ガストレアの排除、及び取りこまれていると思われているケースの確保です』
一応席に座ったままや壁にもたれかかったままの奴も話を聞いている。
数分前にあんなことしているのに平然と喋っていられるんだな。
そう感心しつつモニターを見たら、聖天子様が汗をかきながら話していた。恐らくモニターに近い俺はわかる。これは手助けがいるな。
「何か質問あるか?」
誰にも手はあげて欲しくなかったが、大勢の中で手を上げるのが一人だけいた。
木更だった。
「……天童民間警備会社だな。なんだ?」
「天童木更です。ケースのことです。中身はなんなのでしょうか?」
やはりその質問がくるか。
予定通りの答えを言おう。
「それは――――」
「それは私が言おう」
ふと会議室に響いた声。
それは一番奥から聞こえた、いままで空席だった蓮太郎の席にあのシルクハットが座っていた。なんでここに、いつの間に。
『名を名乗りなさい』
「おっとこれは失礼。私は蛭子、蛭子影胤という。お初にお目にかかるね無能な国家元首どの。端的にいうと私は君達の敵だ」
直球に言うな。
やはり敵か、以前合った時も警察を殺したしな。
「どうやって侵入した?」
「正門から堂々とね。もちろん道中ハエが飛んでいたので何匹か殺したよ。ちょうどいいのでここで私のイニシエーターを紹介しよう。おいで小比奈」
呼ばれて出て来たのは青色のフリルのついたワンピースを着た少女だった。腰には日本刀が二本差してある。近接型か。
「蛭子小比奈、十歳」
「私の娘だ」
いらない紹介だ。
俺は攻撃の準備をする。
だがそんなことよりも早く動いた人物がいた。
伊熊将監だ、彼は巨大な剣を構えた。
「うっせぇな。敵なんだろ?いいからブッた斬られろや」
その巨大な剣を振りおろした。
その重さとスピードからして普通の人だったら文字通り真っ二つになるだろう。だが伊熊の剣は弾かれ俺の方に飛んできた。
他の民警は銃を抜き撃つがドーム状のバリアに止められる。
これはすごい、本物のバリアだ。
俺は伊熊の剣を片手で受け止めて考える。
あれがあると攻撃できないな、ならバリアが閉じた瞬間を狙うか。
「私の斥力フィールドの前ではそんなおもちゃ無意味だよ」
蛭子影胤はバリアを解き机に包みを置いた。
どうやらプレゼントらしい。
何帰る雰囲気になってんだよ。
『宗樹さん。何をしているんですか、目前にいるのは敵ですよ?』
スピーカーからそんな声が聞こえた。
『警備もあなたの仕事ですよ?それに敵です。命令です、蛭子影胤を仕留めなさい』
「御意」
そんな会話をした後フェンスを蹴りスピードをつけて影胤を蹴る。影胤は吹き飛ぶが壁に叩きつけられる前に受け身をとる。
「ふむ警戒を一瞬解いたとはいえ、一発当てるか」
「遅いぞ」
喋る暇があったら構えろよ。
俺は服の中に仕込んでいるナイフを8本同時に投げそれを二回行う。影胤はそれをバリアで防ぐ。その間にイニシエーターの小比奈が腰の刀を二本抜いて走ってくる。
刀を振り下ろされるがそれを避けてわきばらに拳を入れる。それで距離を付けるのと同時にナイフを何本か投げるがそれを空中ですべて叩き落とされる。強いなこの子、この子ぐらいのイニシエーターがいると俺も嬉しいのだがな。
「ふむふむ。君があの《シャドウ・ウォーカー》の子供か。実に優秀だ」
「それはどうも」
また服の中からナイフを出し構える。
だが影胤は服装を整えると出口に走り出した。
「残念だが今日はこれで。また一戦交えようじゃないか」
「待ちやがれ!」
小比奈の方も刀を納め走り出す。
俺も追いかけようとするが。
『もういいです。彼より先に話す事が増えそうです』
聖天使様がそう言う。彼女は机に置いてある真っ白の包みを見る。真っ白な包みなのだが下の方から真っ赤な液体が染み出ている。これは血液か。
「大変だ!しゃ、社長が殺された!」
会議室に走ってきた奴がそう言う。
誰だかわからないが確認より先に包みを開ける。
中には人の生首が入っていた。
この顔は空席だった人の顔か、リストで見た顔である。
隣に立っている蓮太郎は悔しそうな顔をする。どうやら見知った顔らしい。
「聖天子様」
『ええ、どうやら私達意外にもケースを狙う輩がいるそうですね』
これは説明せねばならない。
説明して皆にこの任務の重要さ、大変さを理解してもらわなければならない。
『ケースの中身を教えます。中身は七星の遺産、邪悪な人が利用すればモノリスが投下して大絶滅を引き起こす、封印指定物でしゅ』
「「「………………」」」
「嚙んだな」
「噛んだ」
「噛みましたね」
「噛むのか」
『聖天子様……』
『け、ケースの中身は――――』
もう駄目だこの人、はやくなんとかしないと。
威厳もあったもんじゃない。
タグどおりのちょっとおかしい聖天子様。
でもやっぱり可愛い。
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第四話
「もう駄目です私!人前に出れません!」
聖天子様は顔を手で覆い隠して顔を真っ赤にしている。
こんな様子を見ていると普通の女の子なんだな、と思う。
「こうなったのは宗樹さんのせいです!責任とってください!」
俺を指差す聖天子様。
俺は悪くねぇ。悪いのは全てお前だ。
「貴様ぁああああああああ!聖天子様を誑かしよってぇえええええええ!!」
うるさいぞ菊之丞。
そして聖天子様、そんな事を女の子が言ってはいけません。
「これで仕事は終了ですね」
「そうだ。終わったらさっさと失せろ」
「菊之丞さん、そのように言ってはいけませんよ」
もはやいつもの会話。菊之丞が俺をけなして、それを聖天子様が指摘する。指摘されても菊之丞は止めるつもりはないけどな。
「それじゃあ俺はいろいろと準備をするので。これで」
「もう帰っちゃうんですか?」
そんな顔しないでください。帰れなくなっちゃいますから。
「また来ますから」
そう言って部屋から出て歩く。
すぐにでもあの仮面野郎一戦交えることになるだろう。
ならば勝てるようにしておけなければ。
「未織、ナイフを頼んでいいか?……ああ。ちょっと多めで、爆弾も頼む。……新しい武器?もちろん頼む。いつも悪いな」
未織と一通り話し終えたらすぐにパソコンを使い、いま入れる所で機密事項をあさる。まだ全ては見れないが一部でもいいから見れるところは見て行こう。
「つってもねぇ。これじゃ意味がないんだよなぁ」
一部は黒く塗りつぶされておりまったく読めない。
これ以上先を読むには、更に高ランクのIDかIP序列が必要になる。
「この一件に絡むか」
そして敵を倒し、功績をあげたらIP序列も上がるだろう。
ならば早く敵の情報を手に入れなければならない。
そう思い、今俺が持っている権限、そして俺と親父が作ったデータベースで機密事項を見れるところまで見る。すぐに検索をして探す。
あった、これか。
「なるほど蓮太郎と同じか」
どうりで化け物じみていると思った。なんだよ。まずバリアーって反則だろ。
「それよりどうやって勝つか。イニシエーターは間違えなく殺せるが仮面男が問題だな」
中身は機械、超人的な身体能力を持っている、それに加えてバリアーときた。どうやって勝つのか?そんなもの決まっているいつもどおりスピードで勝つしかないな。
まぁいいか寝る。
明日もっと考えよう。
「それでなぜ俺の家に訪問?」
「うむ名前から住所を割り当てるなど簡単なことだからな」
「だからと言ってテロリストが俺の家に来るのはおかしい」
「ねぇパパ、こいつ正論だしボケてこないから面白くない。斬っていい?」
「理不尽すぎるだろ」
俺は目の前でミカンをむきながら食べている二人に向かって言う。
朝起きてチャイムが鳴ったと思ったら仮面をつけた男と刀を持った少女がいた。これをタイトルにして本でも売れるのではないかと思う。
「それで?」
「うむ?」
「いや何で俺のところに来たんだよ」
「そうだったな」
残りのミカンを仮面の上から食べる。彼女の娘でありイニシエーターを小比奈も同じようにしてミカンを頬張る。
「君と手を組みたい」
「バカ言え。俺は今お前の敵だぞ?」
「それでも君は早川宗樹という人間である前に、あのシャドウ・ウォーカーの末裔なのだろう?あの一族が敵味方にこだわるというのかい?」
「確かに俺はシャドウ・ウォーカーだ。防具も武器も技術もすべて受け継いでいる。でもお前が知っているのは昔のシャドウ・ウォーカーだ。今は俺の好きなようにやるさ」
「……そうか。君を仲間にできれば勝てるのだがな」
「当たり前だ、この俺だぞ」
「さすがIPS序列番外だ」
IPS序列番外。
俺の本来の序列である。周りにはIPS序列は二百位以内と言っている。元々半分人間をやめている俺、やろうと思えば単独でステージⅤのガストレアと対峙できるだろう。
「まぁそうゆうことだ。帰ってくれ」
「うむ小比奈をここに置いて行こう」
「はぁ!?」
「しばらくは私一人で行動できるのでな、君に預けよう」
「なんで!?」
「パパこいつうるさい、斬っていい?」
どうゆうことなのか。この仮面は俺の家にテロリストのイニシエーターを置いていくと言っているのだ。断固拒否すべきである。
「それでは私は去ろう」
「いや本当に待ってくれ。正気か?敵の家に自分の娘を置いていくなんて」
どう考えてもいかれている。俺が小比奈を人質にとる可能性だって考えうるはずだし、なによりイニシエーターがいないプロモーターは基本的にいない(俺は除く)。
「君はあまり非道なことをしないのは知っているからね」
「……………………」
まったくもってその通りである。
確かに俺は汚れ仕事担当だし、ひとを殺すことは躊躇しない。しかし子供を殺すのはちょっと気が引ける。
「でも襲われたら応戦するからな」
「私も小比奈に襲われたりしたら応戦するように言ってある」
「だろうね」
「わかったよパパ!ベッドに座ったり意味深な発言をしないようにするよ!」
「襲うってソッチかよ!?」
「偉いぞ小比奈、男はガストレア並みに凶暴だからな気をつけるんだぞ」
そう言って小比奈の頭を撫でて玄関で靴を履く。
「それでは行って来る。宗樹君、小比奈を頼んだよ?」
「いってらっしゃいパパ!」
「お、おう」
ってなんで父親を見送る兄弟みだいになってるんだよ!!
唐突なギャク展開。
一度こんなシーンをやってみたかった
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第五話
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アニメはとうとう過酷な戦いへ、この小説ではまだ最初のほうだから時間がかかるな。
「蓮太郎くん、私と手を組まないか」
「拒否するぜ、テロリストと手を組むだなんてまっぴらごめんだな」
「そうか君も宗樹くんと同じことを言うのだな」
「そりゃ宗樹だってそう言うさ」
「なるほど、しかし彼はいつかこちら側にくるだろう。彼は私と同じ人間だ、戦いを好み戦争を好み、殺しあいを好み、自分の命を掛けるのが好きなはずだ」
「そんなことはねぇよ。昔木更さんに宗樹の血筋の話をきいたがあいつはそんな人間じゃない!」
俺はそう言いきった。
あいつは昔のシャドウ・ウォーカーと一緒じゃない。
あいつは早川宗樹だ、俺と同じ高校のダチなんだよ。
「それよりお前イニシエーターはどうしたの?」
「小比奈かい?邪魔だったから宗樹くんの所においてきたよ」
「は?」
「小比奈も彼を襲っていなければいいのだが」
「ッ!!まさかお前!!」
俺は銃をなおし走り出した。
「蓮太郎!?」
「行くぞ延珠、宗樹の家だ急ぐぞ!」
「ではまた会おう里見蓮太郎くん」
まさか宗樹のところにあいつの娘の小比奈がいるとは。
宗樹が負けるとは考えられないが、小比奈もあの実力だ。宗樹といえど無事ではすまないかもしれない。
急げッ!!
俺は走る速度を上げる。
宗樹が住んでいるマンションに到着する。
エレベーターを使わずに階段で駆け上がる。あとちょっと。
「宗樹ッ!!」
「うがあああああああああ!!」
「まだまだ甘いぞ小比奈!」
「どうして、どうしてなの!?二刀流キャラは無双できるんじゃないの!?」
「それが通じるのはソードアート・オンラインだけだぞ」
「ならコレで!!」
「甘い!カウンター技だ!」
「うがあああああああああああああああああああああああああああ!!!」
コントローラーを握り締めた二人の姿があった。
「こんなゲーム斬ってやる!」
「おい、こらやめろ!俺の大事なゲーム、しかも限定版だぞ!」
今度は小比奈の腕を押さえている宗樹が目に映った。
「れ、れんたろう?」
「……」
どうやら取り越し苦労だったようだ。
「急いできてみれば、なんだよこれ!!」
「いや思いのほか楽しくてな」
「わーいたかーい!!」
小比奈を高く上げてあげる。
最初はお互いにらみ合ってピリピリしていたが、俺が警戒するのに疲れ格闘ゲームをやり始めたのだ。しばらくもくもくと遊んでいると小比奈が遊びたいと言い出したので対戦モードで二人で戦っていたのだ。
「はぁ~」
「幸せが逃げるぞ蓮太郎」
「誰のせいだよまったく。ってかお前大丈夫なのか?」
「何が?」
「いや。聖天使様に仕留めるように言われたんだろ?」
「それでも急ぐ必要はないだろ、いずれ絶対にいつかまた戦うんだし」
「うんそうだよ!宗樹は絶対に私がぶち殺すんだから!」
「女の子がブチ殺すとか言ってはいけません」
軽く小比奈の頭をたたく。
確かに聖天子様に殺すように言われたが今はいいだろう。
それより今日の飯どうしよう。
「私お肉がいい!ってかインスタント以外だったらなんでもいいよ!」
「まったくなんで手料理作らなきゃいけないんだよ」
「インスタント食べ飽きたもん」
なるほど、逃亡生活なのであまり居を構えずにいるのか。
今日だけ俺が何か作ってやるか。
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