東方純愛小話 (覚め)
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アリスさんとちょっとの魔理沙さん

曹仁(ぞうじん)と読みます。
どぞ


ここは魔法の森。いつかの魔法の森。

ここでは生きとし生けるものが死ぬ。そんな世界。

そんな世界の森にあるアリスという名の女性の家

 

「…魔理沙」

 

「どうした?」

 

「最近俺視線を感じるんだが何か知らないか?」

 

「ただの自意識過剰だろ。勘違いするなって」

 

「…そんなもんかね?」

 

「そんなもんだよ」

 

他愛のない会話をする一方の女は霧雨魔理沙。魔法使いである。そしてもう一方は…誰だろうか。

はっきり言って記憶にない。この人間が魔法の森に入った記憶が、ない。ましてや彼女の家など。

 

「…あ、今感じた」

 

「じゃあどこからか言ってみろよ」

 

「タンスの上だった気がするが」ガサゴソ

 

「…あるわけないだろ。そこにあるのはアリスからもらった人形だけだ」

 

「…じゃあこの人形?そんな馬鹿な」

 

「ありえんありえん」

 

そう言い元の席へ戻る男。どうやら彼は足が悪いらしい。

はて足が悪い人間が入れるほど魔法の森は甘くないはずだ。普通の人間ですら入れないというのに。

ただ、だからこそというべきか。感が鋭い。

予感でもしているのか、見ている方向を的確に示して来ている。迂闊に覗き見ができない。

 

「…そういやこの後友達が家に来るんだがその間お前どうする?」

 

「あー…ここにいる。スタスタ歩けないしな」

 

「わかったー」

 

ああ、そういえば約束をしていた。頭を切り替えるのよアリス。

良し、人形の監視はバレてないようだから…上を向けておきましょうか。

ささ、出発しましょうか

 

ガチャッ

 

「…早いなアリス」

 

「お邪魔するわ…ん?誰?」

 

「…あ、曹仁と申します。苗字はありません」

 

「あ、初めまして…いつ知り合ったのよ?」

 

「あいつ、外来人なんだよ。足が動かないのに、どうやって来たんだろうね?」

 

「不思議な人ね…」

 

「実験しようだなんて考えるなよ」

 

考えていることが当てられた………まさかさとり妖怪?

とまあ、そんなことがあり、私は彼を意識するようになった。

 

ここから魔理沙宅の主人公サイドーーーーーーーーーーー

 

ここ最近、視線を多く感じる。

人形が大量に置かれた時からだ。その人形はアリスさんからもらった物だが。

女の人からのプレゼントは毎回嬉しい。いや、実験というプレゼントはいらないな魔理沙。

だがまあこれだけの人形があると多少の寂しさは紛らわせる。抱き枕的存在になりかけているのは秘密だぞ

 

「…魔理沙は…家を開けているのか。まったく家の鍵は閉めろと…あ、閉まってる」

 

珍しいこともあるもんだ。

 

「…はぁ…多分夜まで帰ってこねえだろうな。昼飯でも」

 

ガチャッ

 

「…ん、アリスさん。こんちは」

 

「こんにちは。曹仁さん。魔理沙に頼まれて作ったカレーなんだけど…」

 

「今いませんね…」

 

「あ、それなら曹仁さんが食べてもいいんじゃないですか?」

 

いきなり話が飛躍するのは魔法使いならではなのか。しかしまぁ料理を作る手間が省ける。ありがたくいただこう

 

「そうしましょうかね」

 

「あ、それでは」ガチャッ

 

…そういえば鍵が閉まっているが鍵が開く音もなかったな…

忍者かな?サッサか飯食うか…足の痺れが取れない…!

 

「…生まれつきではないから困るんだよなぁ」

 

悪態をつきながらカレーを机の上に持っていき、置く。そしてご飯を持ってきて食べる。

うますぎる…!犯罪的だ…ぁ!

 

その日の夜

 

「すまん遅くなった!…カレー!?」

 

「アリスさんが持って来てくれたよ。頼まれてって」

 

「…頼んだっけな…まあ良いか。いただきまーす!」

 

「ちょっと眠いから寝るわ…」

 

「おう。おつかれさーん」

 

 

 

翌日 こっからまたアリス宅

 

…まずい。彼が人形の視線に気がついて来ている。

しかしまぁ好きな人に褒められるのも悪くはない。だから、私は見つめようと思う。

彼の生涯を、生涯の一瞬を懸けて、見ていこうと思う。

河童製の保存カードを握りしめて、強く思った。

 

魔理沙宅

 

「…置き手紙…昼飯魔理沙作れたんだ…」

 

魔理沙の手作り料理など美味しいのか?カメラのモニターを回す。

…ノーコメントで。彼の反応を楽しみましょう。

 

 

 

 




最後ネタをぶちこみたかったの!
設定集も書きたいの!
曹仁…足不自由なおっつぁん
魔理沙…ひょんなことから拾ってしまった。面倒を見ていたら…ポゥ!
アリス…気になる!気になるぞ貴様ッッ!!
多分こんな感じです。設定集ってどんな感じの奴ですか…?


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命蓮寺の三人と馬

サブタイトルってどんな風にすりゃええねん。
わからんわ。


エイプリルフール。その日の午前中だけ嘘をついても良い日。

幻想郷にもその習慣は一応ある。だが…

 

命蓮寺

 

「今日の村紗はピンク色のパンティー!」

 

「何言うんだよ一輪!?」

 

「今日のご」

 

「響子も叫ばない!あーもうほんっと!なんで言うかな!?」

 

「いや…つい好奇心で」

 

そんな風に喋る彼女らは一応エイプリルフールを満喫しているのである。

いや、エイプリルフールの翌日を楽しんでいる節がある。

翌日…4月2日は嘘をついてはいけない日となっているらしい。嘘かどうかは知らん

 

「よりによってなんで今日言うのさ!?こうなったら…一輪のブラジャーはスケスケの」

 

「やめんか!」ゲシッ

 

「足!?」ゴキィッ

 

と、こんな感じに毎年なっているからである。

それを見つめる人物が一人いた。今となってはそこにはいない。

その日だけ彼は彼女らを笑いながら見るのだから。

 

「…やっぱ聖元気ないね」

 

「私たちが笑わせようとしてんのになー!」

 

「なー!」

 

「耳が痛い…」ヒリヒリ

 

いや、まだ来てないだけなんですけどね。

 

「盗んだ馬が暴れ出す」

 

「おー!来たか!聖が元気なくてな!…なんで馬乗ってるんだ?」

 

「盗んできた。ヒヒーン!ヒヒーン!」

 

「盗んだ…の聞こえたのですが聞き間違いでしたか?」

 

「いや、金ぶん投げて攫ってきた」

 

「人はそれを買ったと言うんだけど君人間だよね?」

 

「おうよ!人間様示村宗介(しめむらそうすけ)よ!」

 

「…示村さん、聞きたいことがあるんですが」

 

「?なんだ?」

 

「その…なんで去年は来なかったんですか!?」

 

「この馬のタテガミ整えてたから!」

 

「命蓮寺より馬が大切なんですか!?」

 

「あたぼうよ!」

 

「ひどいです!」

 

「うわー聖が泣いたー!」

 

毎年この調子…ではない。が、馬に乗って来るのは初めてなのだ。去年の大半を懐けるのに使ったと言っても過言ではないらしい。

なおたまに暴れ出すそうな。二本足で立とうとすることがあるそうな…?

 

「ん〜…どうどう、どうどう」

 

「馬扱いですか!?酷くないですか!?」

 

「あっはっはっは!お前らんとこの住職さんやっぱ面白いな!」

 

「遊び道具として見られてるんですか!?」

 

「その通り!」

 

「…ご主人、あれ良いの?」

 

「人の恋路を踏み躙るほど腐ってませんよ」

 

「いやあれ恋路っていうよりいつもの習慣が戻ってきた感じな気がするんだけど」

 

「えーと…スケスケのブラとピンク色のパンティー!」

 

「頭突きぃ!」

 

「ひでぶっ!?」

 

「全体重プレス!」ドンッ

 

「重っ!?」

 

「…やりなさい」

 

「ヒヒーン」ポロポロ

 

「うわぁ!この馬持ち主に糞出してきやがった!臭っ!」

 

「成敗です」

 

…これが毎年起こってたら多分彼は毎年来ないだろう。馬も連れてこない。

彼はこのとき心から誓ったことがある。「つまんなくなったらここに来るのやめよ」と。

 

「くっせ…あーもう最悪だよ」ヌギヌギ

 

「ここで全裸になろうものなら全力で止めるぞ!」

 

「勘違いしてるところで悪いけど上着脱ぐだけだよ。あっつー…」

 

「あら、この馬よく懐きますね」

 

「胸に釣られたんだろ」

 

「…」ズーン

 

「じゃあ星とか懐くのかな」

 

「もしかしたら女にだけ懐くのかもしれん。それか野生的本能が聖さんの凶暴さを感じとっ」

 

スパァンッ!

 

「…何メートル?」

 

「多分だけど…目測20mくらいかな」

 

「新記録じゃねえか…」

 

「凶暴さなんて何一つありませんよ?」

 

「ほんとそう言うところだよ?」

 

そして数時間が経ち夕暮れ。

彼も帰らなければいけない時間になった。

馬に乗って帰ろうとしていたのだが…

 

「おい、なんで逃げるんだよ」

 

「ヒヒーン」

 

「テメェ鼻で笑ったな!?」

 

とまぁこのように嫌われたのか乗れない現実である。

 

「あれ、もう帰るんですか?」

 

「まぁね。帰って馬の手入れとか親の様子も見に行かねえといけないし」

 

「それなら安心です。今村紗と一輪が行きました」

 

「…一番行っちゃいけない人材だと思います」

 

「思います!」

 

「耳に響く…」

 

「要するにあなたは里に用事があるから…帰るんですよね?」

 

「そりゃまぁ」

 

「じゃあその用事が全て済んだら帰らなくて済みますよね?」

 

「…え?」

 

「馬関連のものは揃っております。ここで馬のタテガミでも手入れでもなんでもしてください」

 

「…やだよ。俺帰るから」

 

「ダメです。逃しません」

 

「なんでよ」

 

「…また、去年のように来ないかもしれませんから」

 




誰が誰だかわかんないけど途中から響子ちゃん忘れてたのだけはわかってる


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紫さんと紫さんが大好きな藍さん

なんか猛烈に恋しくなっちゃう女の子だもん


 

最近、誰かに見られている気がする。

…いや誰やねん!って突っ込みたいが割とガチなのだ。マジで。信じて。

俺が家に帰ると人影が見える。だから時々後ろを見るんだが何もいない。

 

「…俺が何かしたのか…?」

 

そう思うと怖くて夜も眠れない。外の世界とは違って武力交渉もして来るかもしれない連中が里にいるのだ。

 

「…幻想郷に来てからまだ2ヶ月だけどさ…流石に監視付きは知らなかったぜ…」

 

このままでは気が狂ってしまう。

 

「…あら、偶然ね」

 

「…ええ、偶然ですね。それはそうとウチ鍵かかってませんでした?」

 

「鍵?ドアから侵入したわよ?」

 

「…こういうことになれたらダメなんだろうけどさぁ」

 

「良いじゃないの別に」

 

この人は…名前も知らないさすらいの誰かだ。女性であることは声とか体型でわかるが…それ以外がわからん。

 

「よくないっすよ…なんでウチ来るんですか?これから寝ようって時に」

 

「え?別に良いじゃない。入って良いんだから」

 

「いや良くないよ!?」

 

でも、はっきり言ってあの人は癒しだ。仕事で疲れた…ではないが、幻想郷で苦労しているときに現れ、笑わせてくれる。ありがたい存在だ。

 

「…そういやお名前聞いてませんでしたね」

 

「お互いに名前も知らなかったわ」

 

「…藻類(そうるい)です。苗字はなくても良いですよね」

 

「良いわよ。私は…紫。これでも地位は上の方よ?」

 

「ゴマするのは苦手なんでお茶出しときますね」

 

「すってるじゃないの」

 

この人がどれくらいの地位かは知らないが本人が言うくらいだすんげえ地位なんだろう。

 

「あ〜…しかし暑い。夏だなもう…」

 

「これでもまだ5月なのがしんどいわね…」パタパタ

 

「…待ってください今どっからうちわ出しました?」

 

「え?胸元から」スッ

 

「…なんだか見てはいけないものを見た気がする…」

 

夏の暑さに頭をやられながらつぶやく。ちりんちりんと風鈴が鳴るが顔は夏の暑さかさっきの胸の収納のせいか真っ赤っか。

 

「しっかしここら辺には妖精が出ないもんですね」

 

「出たら大変よ。不備が見つかっちゃう」

 

「不備?そりゃなんの?」

 

「色々と…ね?よくあるでしょ。欠陥住宅」

 

「ここですか?そうだとしたら引っ越したいんですけど」

 

「少なくともここじゃないわよ。私がいる限りは…だけど」

 

「…?」

 

ちょっと何言ってるかわかんない…?まあ仕方ないさっさと寝てしまうのがベストだ。さて布団を出して…ん?

 

「布団がない…」

 

「私が既にもらっているからよ!」

 

「!?」

 

「ふふっ…やられたわね!」

 

「ちょっ何してるんですか!?ああほら埃まみれに!」

 

「あっ帰ったら藍に怒られる…」

 

「藍?紫さんも怒られるんですね」

 

「…今日だけ泊めさせてください」

 

「良いですよ」

 

そのまた数日後

 

「…今日は視線がないな」

 

珍しく視線を感じない。そうすると逆に不安になる。どこかで俺と出会っていたり家に忍び込んでいたりするのでは?と。いや家にいるけど。

 

「はぁ…最近情緒不安定ってやつになりかけてんな…」

 

「…っと。失礼する」

 

「たしかにこの家はあの人がいる限り欠陥住宅だ」

 

「あの人?わからんが…紫様からの伝言だ」

 

「…様?」

 

「話してないのか…まあ良い。『今日はそっちへ行けません。ごめんなさい、でも明日は必ず行きます』とのことだ。羨ましい奴め」

 

「紫さんが今日は来ない…視線もない…考えすぎだな。うん。あ、じゃあこっちから伝言を」

 

「…なんだ?変な内容だったら言わないが」

 

「昼飯ごちそうさま。見つけ易いところに置いてくれって言っといてくれ」

 

「…とことん運がない奴だ。紫様に好かれるとは」

 

「…待ってあの人どこに消えた!?」

 

変な考えを巡らせる前にどこへ消えたかを探ろうとするが行った先は壁。無論壁抜けはしてない。

え…じゃあ噂に聞く妖怪…?ちょっと怖いかな…かな…

 

翌日

 

「…おはよ」

 

「昨日はごめんなさいね。友人とお茶会があって」

 

「友人と…そういや幻想郷で名前知ってるのが巫女さんと…紫さんだけだ」

 

「霊夢が?あらあらそれは…あの子、警戒心強かったでしょ?」

 

「あんなガードの高い女の子は根気よくやらなきゃ出来ませんよ。ハハハ…ん?」

 

「…チッそう。それなら良かったわ。恋愛でもするのかしら?」

 

「恋愛なんてやるつもりはありませんよ。お誘いがあったら受けますけどね?」

 

「あら待ちの姿勢?」

 

「そういうもんです」

 

「…そう」

 

なんか紫さんの目が暗い気がするけど気にしない気にしない…と、いつもなら思うだろう。だが今日ばかりは無理だった。昨日、思ってしまった。

 

「…紫さん、最近俺視線を感じるんです」

 

「そうなの?自意識過剰じゃなくて?」

 

「まぁ。でも、とある日だけは視線を感じないんです」

 

「…なんの日?」

 

「紫さんが来てくれる日です」

 

「…何が言いたいの?」

 

「僕のこと、幻想郷に入った頃から見てましたか?」

 

「…感が鋭いわね。負けよ負け。見てたわよ」

 

「外れてほしかった」

 

もはや落胆を感じる。ストーカーが紫さんだったなんて…今までの癒しはなんだったんだ…?

 

「…でも、一つだけ誤解があるわね」

 

「え?」

 

「見てたんじゃないわよ」

 

「?」

 

「ずっと…監視してたのよ」

 

「いやそれ見てるやないかーい!」ペシンッ

 

「…真面目なのだけど」

 

「ごめんなさい」

 

「…だから、一つ約束してくれる?」

 

「なんざんしょ…」

 

ゆっくり頭を上に上げていく。駄洒落ではない。するとニッコリと笑っているのに怖い紫さんがいた。

 

「私ね、独占欲と嫉妬がすごいのよ」

 

自分のことを今更アピールするのもなんだと思うが

 

「だから藍が意地悪してくるの」

 

「藍?」

 

「そ。藍。気がついたら殺しちゃってるの。そうね…後ろを見てごらんなさい?」

 

「…後ろ?」

 

後ろを恐る恐る振りかえ

 

「…藍、また殺しちゃったの?」

 

「どうしても我慢ができませんでした」

 

「良いのよ。それが生き物だもの」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




…え?純愛はどこに行ったって?
☆知らんな☆


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ナズと経営者

伸びなくてもいいんすよ。
俺も何をやりたいのかわかってないんですから。


 

命蓮寺の近く

 

「…なんだ、最低レアの人間か」

 

「失礼な…ここで本読んでるだけだろ」

 

「それもそうだな」

 

最近ご主人やぬえを除く命蓮寺のメンバーが一人の男を手に入れようと奮起している。全く訳がわからない…恋でもしているのだろう。

 

翌日

 

「…君も暇だね」

 

「毎日ここにいる分は暇だ。ていうか最近は毎日ここにいる」

 

「…仕事はしているのか?」

 

「してたらここにはおらんよ…」

 

「でもここは命蓮寺の近くとはいえ人里の外だ。妖怪が出るぞ?」

 

「その時はその時だ」

 

その時はその時。そう割り切ってレア度0とか言って来やがる鼠を退けた昨日とは違い粘るなこいつ…さっさと通り過ぎてくれ

 

「…ふーん。ちなみに私も妖怪なんだが」

 

「妖怪が出るぞと言ってるのに外に出てる時点で妖怪確定だろ」

 

「うぐっ」

 

三日後

 

「…ん、三日振りだな」

 

「ああそうだな」

 

「どうした?俺に口で負けたのが悔しくて顔を出さなかったのか?」

 

「そういう仲じゃないだろう。いつもとは別の方向を言ってただけだ」

 

「じゃあなんで今日こっちのルートを通るのかな」

 

「ぐぬぬ」

 

こいつなんか今日変だな…何も言ってこない。あ、そろそろ金が尽きる。仕事探さなきゃな…

 

「そういう君だってなんで毎日ここにいるのさ!」

 

「ここがちょうど良い暖かさだから。夏になったら日陰に移動するさ」

 

「日陰に…?」

 

「なんか腹立つなお前」

 

命蓮寺

 

「…とまぁ、三日振りに行ったら腹が立つことを言われた訳だ…って聞いてるのかご主人!?」

 

「だってそれもう惚気話じゃないですか!」

 

「どこが惚気話なんだ!?言ってみろ!ほら、言ってみろ!」

 

「なんでわざわざ三日振りにそのルート通るんですか!?」

 

「うぐっ…ご主人があいつと同じこと言い出した…」

 

「ふん!」

 

翌日

 

「…あれ、今日はいないのか。珍しいな…?いやいや、そんなことに気を取られてたまるか。さーて宝物はと…」

 

人里

 

「はぁ…宿屋なんてめんどくせえなぁ…親父のやろういつかぶん殴ってやる」

 

「良い顔ね〜お兄さん。よかったら娘と結婚しない?」

 

「断ります。毎日がエブリデイですから」

 

「何を言っているのかよくわからないけど娘は結構美人よ?」

 

「顔と中身と色気は別腹ってね。何も上手くないけど…ていうかさっさと料金払ってください」

 

「あ、はい…」

 

「朝夜経営だとしても面倒だっつの…」

 

その日の昼!命蓮寺周辺

 

「…朝からここにいた時期が懐かしくねえな。昨日の出来事だよ」

 

そういやそうだった。ていうか宿屋って宿代少し多めに貰えば横領できんじゃね…?いや、値上がりしたら気付かれるからやめとくか。さて夜までここで俺は寝るぞ〜」

 

「…君、昼寝とは良い度胸だな…」ピキッ

 

「ん?…俺働いてるから時間が変わるんだ。よろしく」

 

「殺すぞ」

 

翌日!

 

命蓮寺

 

「…ってことがあったのさ。腹立たないかご主人」

 

「…昨日、何があったと思います?」

 

「私が立ち去った後のことか?確か昨日は4月1日だったな…」

 

「その日にあの人が来なくて…それから聖の顔が暗くって…」

 

「習慣が欠けるとそうなるものだよご主人」

 

「そうであれば良いんですけどね〜」

 

翌日!命蓮寺周辺昼!

 

「…で、なんだ。相談しに来たってわけか?」

 

「その通りだよ。何かいい案はあるかい?」

 

「…そうだな…脅しみたいにネズミを寄せるのはやめてくれるか?ちょっと怖いんだが」

 

「ちなみに言っておくがそのネズミは人肉が大好物だ」

 

「ヒェッ」

 

よくよく考えればこいつも妖怪だから当たり前…なのか…?ていうか人肉を好むネズミってなんだよお前…怖い。名前すら知らないやつに何をしろって言うんだか。

 

「…て言うか、俺そいつ知ってるぞ」

 

「おお、本当か?」

 

「示村宗介なら里でもかなりの有名人だ。金使いが荒い御坊ちゃまだが動物に対する扱いは聖人に近いらしい。どうせ動物でも買ったんだろ」

 

「…そう言うものなのか?」

 

人里

 

「…ぶぇっくしゅっ!かぁ…最近くしゃみが多いな」

 

翌日!

 

命蓮寺

 

「って、言ってたんだが動物の方が優先されてるって知ったら聖はどう思うか…」

 

「まぁ…十中八九落ち込みが酷くなるでしょうね。伝えないでおきましょうか」

 

命蓮寺周辺

 

「今日は宿屋がやっすみ♪やっすみ♪」

 

「…ちょっとこっち来てくれるか?」

 

「なんですかな」

 

「その…まあ、なんだ。昨日の話なんだが」

 

「ん?ああ、宗介のことか。あいつ俺のことを何故かシュウマイって言うんだよな」

 

「…似てる」

 

「おかしくないか?」

 

この妖怪もこの妖怪か畜生…て言うかあいつ命蓮寺に顔出してたのか。妖怪寺に顔出すと碌なことにならねぇから…って俺もやってるか。

 

「にしても宗介か…あいつ寺子屋ですげえモテてたんだぜ」

 

「まぁレア度は高そうだったな」

 

「…レア度で思い出した。お前最初最低レアって言ったよな。今の俺はレア度なんだ?」

 

「最低レアが二段上がったくらいで調子に乗るな」

 

「あ、上がったんだ」

 

その夜

 

「…いらっしゃいましー」

 

「おお!一輪、ナズーリンが言ってた人じゃない!?」

 

「ん…ごく普通の男って感じだけどね」

 

「たしかに〜!」

 

「…命蓮寺の連中か」

 

「やぁ」

 

「うわっ!?」

 

「フフ…何もそこまで驚かなくて良いじゃないか。これなら小傘でも驚かせそうだ」

 

「…なんだ?あの二人お前の連れか?」

 

「いや、私は別件さ…ちょっと、耳を貸してくれ」

 

「なんだなんだ」

 

外の世界のスパイ映画じゃあるまいしこっそり耳元で喋る内容なんてあるわけないはずだが…?

 

「…」ボソッ

 

「ブフッ!?ゲホッゲホッ!?けほっ…ひー…」

 

「やっぱり驚きやすいな君」

 

「いや、だからってさ…うーん…わかったよ。買ってくりゃ良いんだろ?チー」

 

「やめないか!」

 

翌日!昼!

 

「…はぁ…あいつら酒飲んで部屋無茶苦茶にして帰って行きやがった…悪魔だ…」

 

「や、約束の品は持って来てくれたかい?」

 

「あいよ。持って来てやってんだから感謝しろよ」

 

「ありがとう♪これで良いか?」

 

「急に冷たくなるよなお前…で、宗介はどうなったんだ結局」

 

「ああ、諦めた」

 

…聞いた意味あんのかそれって。聞くだけ無駄ってやつだろそれ。無駄足ばた足空飛ぶ足なんつって。

 

「まぁ、別に良いだろう?」

 

「で、レア度は結局何だった?」

 

「うぐっ…しつこいね。だから二段上がったって」

 

「合計何段?」

 

「…300段(本当は松竹梅無の四段)」

 

「今3段だから…嘘だろ?」

 

「何でバレた!?」

 

「お前ほんと殴るよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 




次回に続きそう(小並感)
駄菓子菓子、続かない。
続かせない。続いたら星ちゃんにも及びます。
んなこたぁいいんだよ!って人は感想にでも続きやれって言ってください。
どうなるかわかりませんけど


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妹紅さんと宝物

結局5時間後には別の話をやるって言う


ウマー!

 

「…何だ今の夢!?」

 

夢オチです!なぞのばしょ

 

「またこの夢か…まったく勘弁してほしいぜ」

 

何も考えれない俺が見る夢はウマー!だったなんていくらバカなの俺でも信じるのがいやになる…

 

「俺自身、何でこうなったんだか…さっぱりこってり」

 

て言うかここどこすか?俺の知ってる光景とはかけ離れてるんですが。

 

「…俺に夢遊病が発症するなんて考えたこともなかった…」

 

「夢遊病じゃないぞ」

 

「うわびっくりした藤原さんすか…あーびっくりした」

 

「酷いやつだなお前…て言うか、これから私のことを妹紅と呼べよ!」

 

「…えーと、俺の名前は惣流・アスカ・ラングレー…キラキラネームだろうが!」

 

「いや、お前は栗鼠(リス)だろ…?」

 

「そうですよー所詮動物の名前がつけられたつまらん人間ですよー」

 

「いやそうは言ってないだろ…?」

 

…ここどこなのかもわからないけど妹紅さんなんでいるんですか?夢遊病じゃないって何?

 

「妹紅さんも囚われちゃったんですか?」

 

「え?私は捕える側だぞ?」

 

「…ぁー…俺最近目覚めが悪いんだよな…すいませんもう一度」

 

「私は捕える側だぞ」

 

「…あ、あ、あー…今捕らえる側って言いました?」

 

「なんだ、しっかり聞こえてるじゃないか」

 

「…ハッハーわかったぞ俺を騙そうとしてるんだな妹紅さん。でも残念ながらエイプリルフールはもう過ぎて」

 

「嫌なのか?」

 

「しエイプリルフールでも…え?嫌?嫌…ではないと思うが」

 

「じゃあいいだろ?」ニッコリ

 

畜生妹紅さんめ美人のくせして急に謎の要素ぶっ込みやがって!しかも無駄に満面の笑み!笑えばいいと思わねえよ!?

 

「…ってことは妹紅さんが俺をここに連れて来たんですか?」

 

「もちろんだ。宝はみんなに見せびらかす前に整えるだろう?」

 

「え?まあ…お気に入りの虫かごとかは特に整えるけど」

 

「それと同じだ。そいじゃちょっと失礼」

 

「待ってください油性ペンで名前書こうとしてもそうはいきませんよ!」

 

「何を言っているんだ?油性ペンは使わないけど…ほら、後ろを向いて」

 

「何だ油性ペンじゃないのか…」

 

なら水性ペンだな。後で背中洗って擦れば取れるだろうし安心安心…ん?なんか服掴まれてね?

 

「どうした。バンザイしろよ。名前書けないだろ?」

 

「服脱がせるなら先に言ってくださいよ!いいですよ自分で脱ぎますから…っしょ」ヌギッ

 

「おお…怠惰の極み」

 

「筋肉モリモリなはずなんですけどね」

 

「冗談だよ。それじゃ、痛いけど我慢してな」

 

「え?」

 

痛い?どゆこと?ちょっと待って心の準備ってのが出来てないんだがどゆこと?バンジーでもするの?え?何?俺なんかし

 

「あっぁ!?」

 

「…藤…」

 

「痛い痛いですって妹紅さん!焼ける!ちょっ俺なんかやりました!?」

 

「わ…ら…」

 

「ちょっ我慢強くてもこれ無理無理だって!ちょっ押さえつけないで!?」

 

「暴れるともっと痛いぞ。妹…」

 

「あっつ!?マジで無理ぃ!」

 

「紅…よしっ!できた。藤原妹紅…名前がギリギリ入ったな」

 

「意識が…ギリギ…リ…」

 

「ああごめんな栗鼠!痛かったか!?」

 

「痛いに決まってるでしょ!?」

 

「今すぐ冷やしてやるからな!」

 

「あ、待って火傷した後水浴びはやばいって待ってねぇ死んじゃうから許して!俺何かしました!?」

 

「えーと…冷やせばいいんだよな!」ジャバー

 

その日、幻想郷の一部分から絶体絶命の大ピンチを超えたもはや雄叫びに近い叫び声が聞こえたと言う。

 

「…いっ…た…許して…」

 

「ごめんな。でも…輝夜に自慢したいんだ。顔が整ってて、私と同じ蓬莱人で、ずっと一緒にいてくれるって言ってくれたこと」

 

「え?俺そんなこと何も言ってない気が」

 

「?言っただろ」

 

「いや、言った記憶がないにしてもですよ。蓬莱人ってなんですか?」

 

「死なない人間のことだ」

 

「お前何してくれてんだこの野郎!?」

 

「本当だぞ?だってさっきお前気絶したじゃん」

 

「え?マジ!?その時蓬莱人にされたのか!?」

 

「だから背中の名前もちゃんとあるぞ」

 

…何言ってんだこの激重勘違い女…ちょっと怖いから今度から距離取ろうかな…?いや距離取らねえとダメなやつだけどさ。

 

「…ちなみにだけど、人里では妖怪扱いだぞ、お前」

 

「え、なんで?」

 

「私がそれっぽい噂流しました」キュピーン☆

 

「お前ほんっといい加減にしろよ!?…え、まってなんでこっち来るの?え、あの、ごめんなさい…?」

 

「…良くないな。その言い方」

 

「え?」

 

その後数日間変な音が鳴り響いたと言う。

 

その後永遠亭!

 

「今日はもこたんが負けを宣告してくる日よ!」

 

「姫様、噂をすればなんとやらですがそう騒がないでください」

 

「いいじゃない別に!さてさてもこたんのうそばな…え?」

 

「ハッハッハッ。どうした輝夜?私の彼氏だ」

 

「こ…こんにちは…」

 

「…そんなことさせるものですか!私が寝取って」

 

「輝夜」

 

「…何よ?」

 

「こいつも蓬莱人になってくれたんだ」

 

「…は?」

 

「その通り…です…」

 

そこには怯えた目つきの男と、ウキウキした女と、何かに絶望した姫がいたとかいなかったとか。

後同時刻に変な事件が起きたとか起きなかったとか。

 

 

 

 

 

 

 




ケロロ軍曹の歌を聴きながら作りました。
一日2話投稿とか、普通に考えて長い休みしかできねぇから!


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小鈴ちゃんと妖魔本

エヴァンゲリオン初号機パイロット…
碇シンジです!
怒り心頭です!


迷いの竹林

 

「れれれれー↑」

 

「頭のおかしい患者は何人目かしら…」

 

「失敬な。俺はまだまともだ」

 

「え?そうなんですか」

 

なんだこのうさぎやろう腹立つな…とりあえず空を自由に飛びたいな!はい!自転車〜!

 

「マウンテン自転車!」

 

「すいません頭痛くなって来たんで帰っていいですか?」

 

「ダメだね!」

 

「人肉が今日の夕食かぁ…まずいからいやなんだけどっ」

 

「ままままままって!冗談だって!チェーンソーなんて幻想郷に不釣り合いの武器出さないで!」

 

「…で、なんの相談しに来たんですか?」

 

「いやそれがね優曇華ちゃん。最近やばい記事たくさんだからさ、何かいいことあるかなって」

 

「言っておきますけどてゐは死にましたよ」

 

「死ぬのあの子!?」

 

えぇ!?し、死ぬの!?あんな悪戯系小悪魔系うざかわ女子って死なないのが作品の定石だろ!?…あ、いや数人死んでたな…?

 

妖怪の山 文々。新聞本社

 

「…死ぬかと思った」

 

「うわっ誰ですか貴方」

 

「誰ってあんた…ゲホッ…帰ろ…」

 

こ、こんなやべー妖怪の山になんていられるか!俺は家に帰らせてもらう!…外に出たら武装天狗がおりました\(^o^)/

 

「…ああ、いいですよ私が呼んだんですから。人里に送りますよ」

 

「え?あ、ありがとござます」

 

人里

 

「ってことがあってさー…」

 

「へー…」

 

「どう思うよ小鈴ちん」

 

「ちんじゃなくてちゃんにしてくださいって何回も言ってますよね」

 

「ハッハッハッおっしゃる通りです」

 

「よわっ」

 

だって仕方ないじゃん。音速超えますよ〜!って言われたらやめてって言うしかないじゃん。音速超えたら俺死ぬのにさ。人って脆いんだよ?

 

「…俺も妖怪になれたらな〜」

 

「精々博麗の巫女に退治されるのが関の山でしょ」

 

「あんな最終兵器鬼畜オブザ鬼畜な博麗の巫女さんに退治されるのだけは嫌だな」

 

「…なんでもいいですけど後ろ、注意してくださいね」

 

「とりあえずおかきもらうね…」

 

「霊夢さん、やっちゃってください」

 

「嘘だろ!?」バッ

 

その日、人里の道路にクレーターができたとか。そんでその中心にクリームにやられたベジータみたいになってる男がいたとか…

 

「だーれがかませ犬じゃい!」

 

翌日

 

鈴菜庵

 

「あれはやばかった」

 

「普通死にますよ」

 

「股間蹴り上げてこないだけマシだ」

 

「では私が」

 

「待って!?」

 

股間はダメ!股間はダメなのぉぉぉぉぉぉ!痛いから!悶絶するから!

 

「…あ、人を封印する本見つけたんですよ。多分西洋の本ですけど」

 

「ポケモンかな?」

 

翌々日日

 

「よう小鈴。免罪で死刑になる男を見てどう思う?」

 

「いや…そりゃ…えぇ…?食い逃げって…やりそうだもんなぁ…」

 

「たーすーけーてーよー!」

 

「…わかりましたよ。縄解きますから」

 

「お、ありがと」

 

「その代わり鈴菜庵で一生働いてもらいますからね」

 

「トラップか!?トラップかテメェこのやろう!?」

 

「対価を求めますから」ニッコリ

 

やられたぜ…そういやこの娘商売上手だったのを思い出したよ…いや商売上手って言うか穴を突くのが上手いって言うかなんと言うか…

 

「やらかした…」

 

「失礼ですね」

 

鈴菜庵

 

「…俺の知ってる働くって本を整理したりすることなんですけど」

 

「え?大事なお客さんにそんなことするわけないじゃないですか」

 

「膝の上に座るのもなんだかなぁ〜」

 

「いいでしょ」

 

「よくない」

 

鈴菜庵のアルバイトって全員こんなことするのかよ…小鈴ちゃんの身長が140cmくらいだとして…適正が30kg…重い

 

「今重いって思いました?」

 

「''重い''だけに?」

 

「あら小鈴、お見舞いでもしたの?」

 

「そんな歳じゃないよ阿求」

 

「あらそうだったわね…ん?」

 

「おおこれはこれは稗田家のお嬢さんではないか〜↑」

 

「私の知ってる限りだと硫酸って人の顔も溶けるのよね」

 

「すまんそれだけはやめて」

 

「ねー、読み聞かせしてよ〜」

 

「急に幼児にならないでくれる?」

 

その後!彼に起きた悲劇とは!小鈴が出した本に硫酸がかかり小鈴が泣き出し阿求がボコられ彼は服の一部分が溶けると言うこの始末☆

 

翌日

 

「私の大人ぶってるけど結構子供っぽいんですよ?」

 

「デリシャスフォースフォーム!」ピキーン!

 

「やっぱり人の話聞きませんよね貴方」

 

「…て言うか、ここどこよ。え、何これ。何この視点?」

 

「本の中ですよ。急に貴方を愛でたくなりまして」

 

「は?ちょっと急にヤンデレないでくれます!?」

 

「うーん…好きな異性は命蓮寺の化け狸…なんでですか?」

 

「俺はおばあちゃん子だったからな!」

 

…ってそうじゃねえよ。どうすんのこれ。俺本の中に封印されちゃってんすか。小鈴ちゃんがいつも以上にでかく見えるのはそのせいですか。

 

「ふーん…実はこれ、書き換えれるんですよ。消しゴムで消せますし」

 

「…え、じゃあそれ使ったら俺の記憶とか全部消えるわけ?」

 

「最近会った人は…阿求、私、優曇華さん、天狗、慧音先生、化け狸、妖精、赤蛮奇…私以外消しましょっか。記憶からも」

 

「オーノー!やめてちょーよ!」

 

「嫌です」ゴシゴシ

 

「…あれ、思い出せるけど」

 

「本の外に出たら書き換えられた通りになります☆」

 

「俺はこっから一生出ねえぞ!」

 

「…えっと確か…release!」

 

「…本の外に出れた…」

 

「フフッ…最近出会った人、思い出せます?」

 

「最近?…小鈴くらいしか…」

 

「実験成功です☆」

 

あれ、俺確か本の外に出ることすげぇ嫌がってたんだけどな…なんでだっけか。全く思い出せん…?

 

 

 

 

 

 




急に出てくる封印の書!
復活の書みたいで草
しゃーねー
次回で一日2連投稿無くすか。
脳みそが死ぬ


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魔理沙さんとちょっとの七色と大図書館

あ、今回で一日二日投稿止まります。
眠いです


 

魔理沙邸

 

「…どうした魔理沙」

 

「いや、最近お前のいう通り視線を感じるようになってな」

 

「だよな。ただまぁ…アリスさん人形くれすぎ」

 

「笑っちまうな」

 

笑い事じゃねぇっつの。ったくもうこの金髪魔法使いは…

 

「はぁ…んっしょ。で、どうすんの?」

 

「今回はちょっと泊まりに行く予定だから足が悪いお前と一日離れるのはなぁ…」

 

「そりゃ困る」

 

「アリスに頼もうにもあいつは最近仕事が忙しいって…」

 

「マジかぁ」

 

アリスさん仕事やってたんだ。確か人形劇の洋服作りとかやってたんだっけ。聞いた覚えはあるんだよな

 

「…あ?何だよその顔」

 

「良いこと思いついたぞ曹仁!」

 

「…なんだよ」

 

「お前もお泊まり会に連れて行く!」

 

「ぶふぁっ!?」

 

「それによくよく考えればアリスも参加してたしな」

 

「ゲホッ…そこの人に迷惑かかるだろ!?」

 

「あいつなら許してくれる!」

 

紅魔館 図書館

 

「…車椅子のあーしが来てもよかったんですかね」

 

「良いんですよ別に。あの三人は集まると魔法しか出てきませんから。普通の人間ってだけでも十分です」

 

「飽きたら血吸われるとかないですよね」

 

「ないですよ。多分」

 

「多分!?」

 

はーまだ生きたいんですがそれは…ったくよ〜こんな不安要素抜群なところにいるってコナンと一緒の部屋に住むくらい危険だろ〜…

 

「…ってちょっと待った」

 

「?どうしました?」

 

「あんた誰?ていうか何で俺の車椅子引いてんの?」

 

「…私は小悪魔。パチュリー様に使えるしがない使い魔です。あなたは魔理沙さんの同居人ですよね?」

 

「なんか急にしっかりしたな…曹仁。よろしく」

 

「よろしくです〜♪」

 

「まるであっちはガールズトークだな…」

 

「どうせパチュリー様に彼氏はできませんよ〜クスクス」

 

ブゥン…

 

「え、なにこのザ・呪文式みたいな奴は」

 

『聞こえてるわよ小悪魔。客人をもてなしてあげて』

 

「はい!」

 

「…声が出た…ってどこ連れて行くんですか!?」

 

「秘密ですよヒ・ミ・ツ・♪」

 

「…あいやいや〜」

 

ここから魔理沙のターン!

 

「でな?私はここをこうしたほうがいいと思うんだが」

 

「いや、そこはこうしたほうが」

 

「…魔理沙、さっきから意識が彼の方に行ってない?」

 

「んなっそんなわけあるか!そういうアリスこそ行ってんだろ!」

 

「なんですってぇ!?」

 

「やめなさい二人とも」

 

「…まぁいいや」

 

あいつのことはこの三人の中で一番知ってる。

なんせ同居してるからな!とはいうが最近アリスが飯を届けたりしてるらしい。

うらやまけしからん…

 

「…ああ、そうそう。クッキー持ってきたのよ」

 

「おお!」

 

「早速いただくわ」

 

「いただき〜」

 

…美味いのが気に食わん。

 

「さて、続きだな続き。ここの魔法はこれでも応用できると思うんだが」

 

「それだと効率が悪くなるのよ」

 

「待ってパチュリー。それでもその魔法を使えば精度が上がるわよ」

 

「あら本当…」

 

「うーむ…しっかし聞きたいんだがアリス」

 

「なにかしら」

 

「監視魔法なんて何に使うんだ?」

 

「上海人形が私のいないところで何をやってるのか知るためよ。悪い?」

 

「いや、何でもない」

 

…いや、まさかな。

監視魔法を今作るのなら流石に遅いからな。

うん、流石に家に置いてある人形が監視カメラだなんてな。

流石にないだろ。

 

「でも監視だと精度よりも効率でしょ」

 

「それも一理あるわね…」

 

「でもよ、詳しいことを見たい時は精度も必要だろ?」

 

「監視魔法なんてのは元から消費MPが低い代わりに画質も悪いから…悩みどころね」

 

「消費MPが少なくても1時間予想で60MP…24倍で1440MP…回復が追いつけば良いけど魔法の森だし…」

 

「効率か画質か…こんなところで悩むとは」

 

「ていうか魔法の森とか言っておいて妖怪が住むのがおかしいのよ」

 

「確かにそれ」

 

「上海に命令を言った後のことを見るだけだしそんな時間はかかんないと思うけど…ぐぬぬ」

 

いやあんま時間がかからないなら別にいいだろ。

効率無視の画質優先でいいだろ。

あ、でもたまに命令に従わない時があるのか。

 

「…うーむ…さっきのパチュリーみたいにできないのか?」

 

「魔力の位置で大体バレるわ」

 

「無駄に凝ってるというか何というか」

 

「無駄?」

 

「いや、そんなことは言ってないぞ」

 

その頃小悪魔と曹仁サイド

 

「あっ…ちょっ…」

 

「ダメですよ〜人間が悪魔に勝てるわけないじゃないですか♪」

 

「あ、そこはダメってばやめ、やめて!」

 

「よしあなたが倒れましたね!トントン相撲では私の勝利です!」

 

「魔力を使うのはずるいと思います!」

 

「いいんですよべっつにー!」

 

戻って三人サイド

 

「…徹夜でやるとはな」

 

「あ、ちなみに小悪魔が彼を襲った時ように彼に人形持たせてるから」

 

「あんたうちの使い魔淫魔が何かと勘違いしてるの?」

 

「よくやったアリス」

 

「魔理沙もなの?」

 

何を言っているんだ。あのお姉さん気質のサキュパス系小悪魔…淫魔じゃないと言うなら証拠を見せろ!

そう言いたくなるほどそんな要素でてんこ盛りだぞ。それに気づかないとはやはりパチュリー貴様…?

 

「…で、何だ。結局できたけど…一睡もせずに朝になりましたって感じか」

 

「魔理沙、あんたはもう寝なさい。人間なんだから」

 

「おう、そうさせてもらうわ」

 

「…あの子迷いなく小悪魔の部屋言ったわね」

 

「小悪魔ってボードゲーム強いのよ」

 

「マジで?」

 

さてと…あいつを抱き枕にして寝てやろう。

いーっしっしっしっ。あいつの混乱する顔が目に浮かぶ。ゾクゾクしてきた…

このドアの向こうで天国へさあ行こう!

 

「…あ、魔理沙…お前寝てなさそうだな。寝たらどうだ?」

 

「そうだな。小悪魔がお前に覆い被さっていなければそうだったんだがな。どけ」ゲシッ

 

「んにゃぴ…」

 

「よいしょっと…一緒に寝ようぜ」

 

「一緒にってあんたねぇ…」

 

「いいだろ。好きなやつを抱き枕にして寝れるなんてよ」

 

この後魔理沙は激しく爆発して顔が真っ赤になった

 

 

 

 

 

 




ぼふんっ!って感じで。
純愛はそこにありましたよ先生!


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慧音先生と料理

Q〜べぇ
ちなみになんですけど妖怪ウォッチでバグターズっていうゲームあるらしいんですけど持ってる人います?


 

ここは…どこ!?私は誰!?

 

「ここは寺子屋!私は詩九郎(しくろ)!キッラキラネーム!」

 

「…相変わらず元気だなお前は」

 

「やっぱ疲れた寝る」

 

「???」

 

さてとぱぺとぺぺと。外来人ですが何か人間ですが何か。最近腹の調子が悪い。この前なんか泊まりに行った時トイレに泊まりっぱなしだったし。トイレにお泊まりしたよ一日中な!

 

「…慧音先生、最近腹の調子が悪いんですが」

 

「ん?食当たりでも起こしたか?」

 

「すいませんにっこりとした笑顔で言うとクッソ怖いんでやめてもらっていいですか!?」

 

せめてうーん…って悩み顔してよ!何笑ってんのさ!俺そんなに嫌われてんの!?

 

「そうだなぁ…」

 

「あ、この煎餅うまそ」

 

「!そうか。思い出した。最近使った具材全部賞味期限切れてたんだ」

 

「ブフゥ!ゲホッゲホッ!買えよそれくらい!」

 

「いや前までは私一人だったから…私、腹だけは人一倍強いんだ」

 

「蹴りまくって良いですか?」

 

「そのかわり責任取ってもらうぞ」ニッコリ

 

もうこの先生嫌だ嫌い。多分あれだ。助手をモルモットとして扱う系の人だ!

 

数日後

 

「この計算は…あ?20+60?80だろ。こんなのも分からないんか?666×2?13320だろ」

 

「あ、暗算…!?」

 

「良いか?計算なんて後々必要なくなる!電卓があればね!」

 

「に、人間社会の賜物…!!」

 

「それに!これをみろ!」

 

「そ、それはぁ…!?」

 

「…いや、なんもなかったわ。んじゃ今日の授業はおしまい。んじゃなー!」

 

「さよならせんせー!」

 

「また明日…明日?」

 

あれ、寺子屋の先生って毎日あったっけ?あれ、どうだっけな。頭働かね〜…にしても明日は満月…らしいわ。月見でもしようかな…ってまだそんな時期じゃねえよ!

 

翌日!

 

「慧音先生〜」

 

「どうした?」

 

「子供達が呼んでますよ」

 

「わかった…あとで肩揉んでくれるか?」

 

「りょ〜か〜い」

 

「すまないな」

 

「…そういや俺の作ったテスト、三桁の足し算引き算なのに点数低かったな…え、筆算習ってないの!?」

 

いや、筆算習ってなくてもまぁできないことはないけど…引き算は確かに混乱するだろうけどさ。足し算も正解率低かったし…な、なんでぇ…?

 

「筆算もやんなきゃか…まいいや。月見月見…」

 

その夜!男一人と盛った女一人。何も起こらないわけもなく…

 

「ほいお酒」

 

「しっかし驚いたなお前から月見の誘いとは」

 

「んな失敬な。俺だって月くらい見たいですわ」

 

「ふ〜ん…そうか。ところでお前、驚かないんだな」

 

「え、何が?」

 

「いや、風貌だよ風貌。角が生えてるだろ」

 

「あ、本当だ…イメチェン?」

 

「こんな大胆なイメチェンがあってたまるかっての…」

 

「んで、どうしたんですかその角。折られたいんですか?」

 

「いや折らないでくれ。私は人妖…つまり」

 

「月の模様がうさぎの餅つき!」

 

「聞いてないなお前!?」

 

え、いやだって他人の情報気になります…?別に月よりも大事なことではないですし。おお、そうだ。望遠鏡望遠鏡…

 

「設置!」

 

「え、なんだそれ」

 

「俺が作った望遠鏡!ものづくりが得意でしてな!」

 

「望遠鏡…何見るんだ?」

 

「…なんか月に人見えるんですけど」

 

「月に人?そんな御伽話でもあるまい…あ、ほんとだ」

 

「すごいのは月面にいる人も見える望遠鏡を作った俺!」

 

「そうだな。凄いな」ナデナデ

 

「なんで撫でる!?」

 

また翌日!

 

「慧音先生〜…腹が…」

 

「うぇ!?また!?お前本当に腹弱いんだな…」

 

「弱いどころかげきよわ。死ぬぅ…」

 

「看病してやるから、そこに寝とけよ?」

 

「うぃー…」

 

…あれ、なんか慧音先生笑ってなかった?いや、気のせいだ気のせい。俺は知らない知らない。そう。気のせいなんだよ。

 

「…zzz」

 

数時間後

 

「ハッ寝てた!」

 

「大丈夫か?漏らしてはないようだが」

 

「あんたどこ見てんだ!?」

 

「仕方ないだろう。食当たりなんだから」

 

「…腹の具合が悪いと言っただけで食当たりとはこれいかに?」

 

「…荒っぽく行くか」

 

「え、ちょっとなにそれ頭突き!?待ってちょっと待ってくださいよ慧音先生!」バゴォッ

 

「…これが昨日だったら荒っぽく行かなくて済んだのにな。しかし…満月の日にわざとやらかして反応を楽しむのもいいな…」

 

数時間後

 

「…ハッ寝てた!」

 

「大丈夫か!?急にお前が倒れたからびっくりしたぞ…」

 

「びっくりってねぇ…頭痛い気がするのは俺だけ?」

 

「倒れる時に頭打ったんだろうな。うむうむ」

 

「そうなんだ…あ!明日蛮奇さんとの約束があるんだった!」

 

「なんだと?」

 

「えっ…なんか怖いですよ慧音先生。腹壊して行けなくなったら明日の朝…鈴菜庵の前に蛮奇さんいると思うんで伝えといてください」

 

「あぁ、わかった」

 

そして翌日!

 

鈴菜庵前

 

「…あいつ遅いな…」

 

「よう」

 

「ん?慧音か。あいつは?」

 

「それが…腹を壊してな。二日連続とはあいつも運がない…と、言うわけでだ。今日の約束は」

 

「ふぅん…体調不良なら仕方ないな。見舞いに行こうか?」

 

「あぁ、良いと思うぞ」

 

その頃寺子屋

 

…赤蛮奇さんとこ行ってくれたのは嬉しいけど…昨日の夕飯、腐ったものいっぱい出してたの慧音先生だよね…?

 

「ぅあ…!は、腹が…!」

 

「おーい見舞いに来てやったぞー!」

 

「お、蛮奇さん…見舞いってあんたそう言う品持ってんの?」

 

「道中買ってきた。食当たりによく効く薬」

 

「あ〜…そのことなんだがな。昨日あいつ腹を出して寝たから多分そのせいだと」

 

「それじゃあ自業自得だな。フッ」

 

「ん?」イラッ

 

「待ってなんで慧音先生がキレるの?」

 

それから数ヶ月

 

「腹の具合は?」

 

「治った」

 

「よし。それじゃあ夕飯だな!」

 

「…はい」

 

授業のある日以外、俺はずっと腹が痛い…これじゃ約束もクソもない。クソはあるけど…原因はまぁわかってる。慧音先生あんた全部腐ったもんで作ってるよね?すんごい匂うんだが

 

「ん?どうした?ほら、食え」

 

「いただきます」シクシク

 

でも怖くて言えない。言ったら頭突きくらいそうだし何より…

 

「美味いか?」

 

「…美味い!」

 

「そうか!」

 

慧音先生可愛いし…

 

 

 

 

 

 

 




いつのまにか主人公堕ちちゃってんじゃねえかよぉ!?
ヒロイン暴走エンドが見たかったの!


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永遠亭と患者

永遠亭の純愛?
いいえ違います。
先生はもちろん実験に恋してますけど


 

永遠亭

 

「ふん!」ピシーン!

 

「決めポーズすな!」バギィッ

 

「あふん!?」ズボッ

 

「決めポーズしてぎっくり腰になるくらいなら初めからやらないこと!良い!?」

 

「あい…」

 

俺の名は天!そのまんまてん!そのせいでところてんとか言われてる天だ!畜生!

 

「…っていうかぎっくり腰でこんな入院することあります?」

 

「私が聞きたいわよ。ぎっくり腰でいつの間にか骨折が6個連続して起こってるの…骨密度が無に等しいのね」

 

「んな殺生な…って!6個!?6本!?」

 

「ま、しばらくは決めポーズなんてしないことね」

 

「いや、ちょっと待って!?ぎっくり腰で連鎖的に!?俺そのあと走ってる人に踏まれたのに!?」

 

「なんでかそっちは無傷なのよね。すごいね人体」

 

「ふざけっいてぇ!」

 

嘘だろ?なんで?ぎっくり腰→ドサッ→前から人が!?→あふん→病院←いまココなのに!?どうしたらぎっくり腰でここまで骨が折れるかなぁ!

 

「…良いや寝よ…だめだ今日の嘘のようで本当の話が頭から離れん」

 

「睡眠薬投与しますね〜」

 

「ちょっと待って!プレイバッ」

 

「あらよっと」ブスッ

 

「…即効性かよ…」

 

「医学の勝利ね」

 

「師匠…珍しいですね。師匠が一人の患者に付きっきりって」

 

「そりゃあなた骨が連鎖的に折れるなんて起こっても原因がぎっくり腰とかそうそうないわよ」

 

「…師匠、ボケるにはまだ早いぁあすいませんすいません!新薬出さないで!それやばい奴ですよね!?あれですよね!絶対アレですよね!?」

 

「何を言ってるの?これは体感時間を狂わせる薬よ。永遠に苦しんどけ」

 

「いぎゃぁぁぁぁぁあぁあぁあ!?」

 

「うるせー!」ガバッ

 

「起きた!?」

 

「え、何その…エロ漫画みたいな展開」

 

「」チーン

 

「体感時間が私たちとは200倍早く流れる薬よ。まぁ当分は空腹でやばいと思うけど」

 

「やばいって何!?」

 

やっぱり医者とか天才は我々凡人とは少し脳の出来が違うみたいだ…いや、むしろ脳みそ自体が違うのでは?

 

「…あ、あなた実験対象だから」

 

「…寝よ」

 

☆翌日☆

 

「はい朝食。気分はどう?」

 

「そうですな…寝る時も先生いましたよね」

 

「ええ」

 

「それが無茶苦茶怖かったです」

 

「つまり正常と」

 

「人の話聞いてた?」

 

「何か体に違和感は感じる?」

 

「ないっすね…スースーするくらいです」

 

「おっけ。それじゃあ診察に行ってくるから…何かあったら兎コールしといて」

 

「えーりん!えーりん!助けてえーりん!」

 

「…ガソリンぶち撒いて燃やすぞ」

 

「ごめんなさい」

 

ヒェッ先生怖い…ってまだ看護師さんいたの?いつまで寝てんの?起こした方がいいのかな…いや、良くないのかな…そもそも歩けねぇや!HAHAHA!

 

「〠£♯♢%☆€♭」

 

「…壊れてる…」

 

「ハァ…ハァ…畜生!」ドンッ

 

「え?」バゴォッ!

 

「あれ?私強すぎ?」

 

「うおっちょっと兎コール兎コール!」ポチッ

 

その日、俺は科学の恐ろしさを知った。ついでにうさぎの恐ろしさも知って先生の怖さも知った。とにかく全て怖かった。

 

「…もうやだ脱出したいこんな病院…」

 

「それは無理ね」

 

「うわっ疫病神」

 

「おいこら誰が疫病神だって?」

 

「…後ろのうさぎ!」

 

「後ろ?ああ、うどんげね。確かに疫病神ね」

 

「師匠!?」

 

ついでにこの病院の上下関係の激しさも知った。ていうか健康的な食事を取ると骨密度は上がるのでは?

 

「ああ、食事についてだけど骨に関する栄養素最低限だから」

 

「対策済みかよ!」

 

そして来る!退院の日が来た!名残は1ミリもないがそれっぽい顔をして即座に脱出!俺の完璧な計画だぜ!

 

退院の日

 

「今までありがとうござ」

 

「死ね輝夜!」キュドーン!

 

「あっつぁ!あっつぁ!今度こそ竹槍で突いてくれる!」グサッ

 

「おごっ」チーン

 

「…あ」

 

「え?…え?え?」

 

薄れ行く意識の中、俺は俺の不運を身に染みていた。うーむなぜこういうめでたい日に葬式とかあるんだろうか…?

 

数時間後

 

「「すいませんでした!」」

 

「…先生。慰謝料として入院費チャラにしてください」

 

「わかったわ。姫の小遣いから脱いとく」

 

「そんな殺生な!?」

 

「ザマァねえぜか」

 

「貴女も慧音に頼んでお金、頂くわよ?」

 

「ぇ…?」

 

プークスクス!と笑う姫という人物。いや、俺としては笑えないんだが。背中に竹槍ぶっ刺しやがって…

 

「…あ、観察対象ね」

 

「嘘だろ!?」

 

「今回のは傷も浅いから実験もするわよ」

 

「嘘だと言ってくれぇぇぇぇ!」

 

「協力すれば20万」

 

「嘘っ!?」

 

「姫の小遣いから」

 

「乗った」

 

「…肺でも売ろうかしら」

 

「幻想郷に人身売買はないぞ」

 

「どうすればいいのよ…」

 

そして実験内容!走るだけだってさ。何すんだろうね。

 

実験の日

 

「…」

 

「ねぇ待って俺これ骨折れるまでやるとか言わないよね?」

 

「え?それが実験よ?」

 

「嘘だろ」

 

「嘘のようで本当の話」

 

この医者…アレだ。仕事が恋人系の人だ。実験が恋人?冗談じゃない。寝言は寝て言って欲しいものだ。

 

「ま、本当は骨折くらいすぐに治せるんだけど」

 

「ってことは」

 

 

「永遠に走っておいて。それじゃ、サボり防止のためにカメラ設置しとくわよ」

 

「疲れたらどうすんの!?食事は!?」

 

「食事?休憩?一緒にすればいいわね。それじゃあうどんげ、一日3食、彼に届けてあげなさい」

 

「はーい!」

 

「いや、睡眠時間は!?」

 

「覚醒ガス垂れ流してるから別にいいわよ」

 

「だから窓で仕切ってんのね!?」

 

「何か文句でも?」

 

「殺してくれぇぇぇぇえ!」

 

「退院したらもう一回怪我してもらうから」ニコッ

 

その後俺は20年間走らされたとかなんとか…ってなるか!誰がこんな物語聞きたい!?そうだな!俺は逃げ出してやったのさ!

 

人里

 

「ってわけよ。これ聞いてどうおも…」

 

「あ、ようやく見つけましたよ…ね、戻りましょうか。旦那様♪」

 

「あ?いや待ってくれ。俺お前と接点なかっただろ!?」

 

「一目惚れをしまして…貴方が寝てる間に仕込んでもらいました。子供もいるんですよ?責任、取ってくれますよね?」

 

「…え?」

 

「さ、ほら行きましょ!」

 

 

 

 




急な碇サクラやめろとか言われそうだなぁ…


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ルーミアと追放人

ええ!?
人喰い妖怪が人と仲良く!?


 

幻想郷のどっか

 

「人里追われって何千里♪」

 

「…いや歌ってる場合じゃないのだ!?」

 

「いいや!歌ってる場合だね!」

 

というか歌わなきゃやってられん。なんで何もしとらん俺が犯人扱いされて里追われなきゃならんのじゃ!それにまだ俺若いし!くそう不幸だぜ!

 

「…で、あんた誰?」

 

「私はルーミアなのだ!」

 

「ルーミア…ああ、人喰い妖怪か」

 

「そーなのだ!…ってあれ」

 

「あーあー!どうせならナイスバディのボンキュッボンな妖怪に出会いたかったなー!」

 

「むっ…!それはなんでも酷すぎるのだ!これでも闇を操るチョーかっこいい能力を持ってるのだ!」

 

「肝心の本体があんなお粗末な出来じゃあ」

 

「お前夜になったら覚えてろ!」ウワーン!

 

「…これだから子供をいじめるのは楽しいぜ…え?夜までここで待ってろって事?」

 

 

「…あ!暴君ハバネロ食ってない!…いや、もう入れねえしいいか」

 

「食い物〜!」

 

「お、ありがたや。いただきま…って人喰い妖怪かよ」

 

「夜絶対にここにいろよ!絶対だかんな!」

 

「はいはい…」

 

夜!

 

「どうだ!ナイスバディだろ!」

 

「…すげぇ!」

 

マジかよ!?あのロリがこんなナイスバディなお姉さんに!?Dカップはあるんじゃねえか!?ひゃっふー!

 

「でも夜だけなんだよ!」

 

「心なしか知能も上がってる気がする」

 

「これが私の本来の姿なんだ!どうだこのやろう!」

 

「これからも末永くお願いします!」

 

「…え?ん?ちょっと待ってなんかおかしくなかった?」

 

「どうか俺をここに置いて!世話してください!」

 

「まさかのヒモ宣言!?」

 

それから数日が経った

 

「あやや!どうやらここで正解だったようですね!あなたが人喰い妖怪に世話されてる?」

 

「ナイスバディな妖怪に世話してもらってます!」

 

「意外と元気がいいですね…でしたら私に乗り換えてみては?こう見えても経済力ありますし結構身体のラインも」

 

「文?なんて言ったの?」

 

「ひぃや!?あ、これはこれはルーミアさん!この方に取材を」

 

「今乗り換えるとか聞こえたんだけど?」

 

「え?い、イヤダナー冗談に決まってるじゃないですかヤダー」

 

「…そ。それならいいよ」

 

「あ、はい…怖かったぁ…」

 

無様だなこの新聞記者。後新聞も落としてくれたし見てみるか…ん?免罪発覚?ん?俺の記事だ…

 

「あ、ルーミア、俺そろそろ里に帰れ」

 

「え?お世話して欲しいって言ったの、貴方だよ?」

 

「いや、そうですけど…ね?事情が」

 

「事情を知らずに私にお世話してって頼んだの忘れたの?」

 

「ぁ…」

 

「ププッ…それじゃ、お昼ご飯!次はナイスバディになって来るよ!」

 

「お、おう…」

 

え、何今のは…クッソ怖かったんすけど…?あれ、俺もしかして俗に言う病む気スイッチ押しちゃった?

 

「…ちょーこっわ。でも面倒見はいいんだよな…それに会って数日だぞ?そんなバカな…」

 

「やる事ないから帰ってきたー!」トッシン!

 

「あぶねっ」

 

「え?」ゴツンッ!

 

「HAHAHA!」

 

「いたた…なんで避けたの?」

 

「え?」

 

「もしかして私のこと嫌いなの?え?ねぇ、なんで避けたの?私と一緒なのが嫌なの?ねぇ、なんで?」

 

「重い!」

 

「子供だからまだかるいもーん!」

 

「そう言う方向じゃない!」

 

なんかいきなり想いが重いんですけど。想いだけに…なんちゃって!

 

その夜!

 

「…なんか遅いなルーミア…とうとう妖怪だってのがバレたか?」

 

空<君!弾幕の光が眩しいから止めてくれる!?

 

「…月明かりにしては眩しいしっていうか星にしては流れ過ぎだし数多いし…反対側に月あるし。養子それじゃあ行ってみよう!」

 

幻想郷のどっか2

 

「いくつもの朝を迎えに…あれ、こっから出てこねえ。そして着いたし…ルーミア倒れてるし」

 

「あら、あなたはルーミアに閉じ込められたんじゃないの?」

 

「閉じ込められた?世話になってるだけだが…?」

 

「そうなの?それじゃあ間違えちゃったけど…まぁいいか」

 

「よかねえよ!?」

 

「それじゃ、バイバーイ」

 

「お、おう…」

 

で、結局博麗の巫女に倒されてたってオチ。すごいね〜…さて。んなこと言ってたら日が暮れちまうよ。人喰い背負ってえんこらえんこら行かなきゃな…

 

さっきまで主人公がいた場所

 

「どっこいせ。はー…おーい起きろ〜」

 

「んにゅ…んはっ!あれ!?博麗の巫女は!?」

 

「お前を退治したら帰ったよ。ていうか大人になったお前って重いんだな」

 

「失礼な!」

 

「…ま、さっさと飯作ってくれ。掃除でもしてるから」

 

「わかったよ…」

 

そして数年が経ち!守矢の巫女が噂を聞きつけ退治しようとしたところに主人公現る!守矢の巫女撤退!以下省略!

 

数年後

 

「…なぁルーミア」

 

「どうしたのだ?」

 

「俺を見て何を感じてる?」

 

「満足感」

 

「そっかぁ…満足感か…俺を木に紐で縛り付けて満足感かぁ…」

 

「あとは妖怪にするだけなのだ!」

 

「妖怪にするのかぁ…ん?妖怪?」

 

「つまりそういうことなのだ!」

 

「ま、待って!?どういうこと!?だっちょっと!?ルーミア!?」

 

「せいぶついがくてきには私の血を流し込むだけでいいのだ!」

 

「のだじゃない!しかも注射タイプかよ畜生!」

 

「えーりんせんせーからもらったのだ!」

 

「永遠亭の医者ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

その後、彼はルーミアと同じ人喰い妖怪になってもまだ世話になり続けているという。

 

人里

 

「えー?おにーさんそんなわけないじゃん!」

 

「いや、それがあったんだよ…」

 

「おーい!早く帰るぞー!」

 

「おっと…それじゃ、これでさらばだな」

 

「さよなら〜!」

 

見た目も性格も変わらずに、どこかでひっそりと暮らしているらしい。

 

 

 

 

 

 




出会って即ヤンデレ化


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萃香とショタ

はーい鬼さんこちら!ファックアンドファーック!
消えて消えて…?


 

博麗神社

 

「はーい鬼さんこちら!」

 

「ベッロベッロベー!」

 

「絶対に捕まえて殺す…!!」

 

「慧音、殺意高すぎじゃないのあの子」

 

「いやまあここには本物の鬼もいるからなぁ…」

 

「小僧共〜!私も混ぜ」

 

「うっわなんか臭い!」

 

「んな!?」

 

いや、まぁそりゃずっと酒飲んでるからそうなるとは当然だけど…なんで萃香傷ついてんの?おかしくない?なんか変じゃん。なんかあったの?…良いや別に

 

「というかなんでここにいるの?遠足にしては遠いし危険だけど」

 

「子供達がどうしても行きたいと言っていてな」

 

「まぁ慧音もいるし安心か…ていうか今晩満月でしょ?」

 

「あっ」

 

この半妖絶対月の周期忘れてない?いや、絶対忘れてるよね。大体2ヶ月に一回の頻度よ?やばない?

 

「…人里の教育者がこれとか」

 

「これでも人員が確保してるんだがな」

 

「男でも捕まえたの?」

 

「外来人捕まえた!」

 

「うぶっ…あんたそれやって良いの!?」

 

「失敬な!ちゃんと本人と妖怪の賢者に」

 

「なんで紫出てくんのよ」

 

とまぁ他愛のない…ん?いや、あるのか?ま、別にいっか。世間話をしているうちに子供がえっえっ声を出して寄ってきた。なんかあったの?

 

「せんせー!一人消えたー!」

 

「…」

 

「よーし私が退治しに行くわ。で、どこらへんで消えたの?」

 

「こう…パッ!と消えた!」

 

「…?」

 

「それって鬼の能力じゃないのか…」

 

「あ、それだ」

 

「ハイターッチ!」

 

「ムー!それずるいぞ!」

 

「ズルくないね!私は私の持てる全てを使ったけっ」

 

「子供に何してんの?」グィッ

 

「うわっ!?」

 

ドカーン!と音を立てて萃香が飛んでいった。くたばれ四天王。子供に能力使う大人気ない100年以上生きる鬼なんか見たことないっつの。

 

「…ほら、あんたらも帰った帰った。もう日が暮れるから」

 

「はーい!」

 

「けーねせんせー!」

 

「わかったわかった」

 

「さよなら巫女さーん!」

 

「はいさよなら」

 

「…ちぇー!あと少しで6人突破だったのに!」

 

「あんた鬼でしょ。能力使わずに身体使え」

 

「ごもっともです」

 

翌日

 

「またきたの!?」

 

「この話作ってる作者は幼稚園頃の時毎週のように愛知牧場に連れて行ってもらったそうだぞ!」

 

「知るか!」

 

作者の話とか心底どうでも良い!ったく…で、結局萃香が子供と遊んで、問題起こして。で終わるんでしょうね。昨日と同じよ子供には学習能力がないんだから…ん?

 

「今日こそ萃香さんの能力破ってやるもんねー!」

 

「ほう?お前さんたちに何ができるんだ?」

 

「…何か起こしたら私が対処するわね」

 

「よろしく頼む」

 

「見ろ!この素晴らしき三点倒立を!」

 

「タッチ」

 

「んな!?」

 

「あ、あと5人…!?こうなったら…」ダッ

 

「は、走り出したぁ!」

 

「さすがは成績上位!やることが違う!」

 

「いや、こっち連れてこればかんたっ!?」ズンッ

 

「ドロップキーック!」

 

「ねぇ殺意高すぎじゃないあの子?」

 

「成績はいいんだがな」

 

成績が人の全てを決めるとは限らないわよと前置きして子供達の様子を見る。あ、成績上位の子捕まった…脆いわね。でも向上心だけはあるのよね。無駄ね

 

「明日こそ勝ってやるもんねー!」

 

「鬼は嘘が嫌いだよ」

 

「鬼なの!?え!?」チラッ

 

「待てなんで私を見る」

 

「親戚…!?」

 

「よーしもう帰るか」

 

「あんた結構都合が悪いと逃げるわね」

 

「逃げるさ。おーし帰るぞー!」

 

「おー!」

 

「さて…萃香、あんたもさっさとご飯の用意を…逃げた!?」

 

その日の夜

 

「私…ショタコンかもしれない」

 

「紫〜萃香が面白い冗談言ってるわよ」

 

「なんですって?」

 

「…だから!ショタコンかもって」

 

「え!?うっそ!?身体がロリだから大人とは諦めたの!?」

 

「殺すよ?」

 

「ごめんなちゃいちゃい味噌ラーメ」ゴリュッ

 

「ふぅ…」

 

「紫がゴミクズのように飛んだわね。あいつ最近男できたらしいけど」

 

「それマジ?」

 

明日もこんな日が続く。その次の日も、その次の日も。ただ一つ、寺子屋が来る日。その1日は唯一無二の日だろう。何故かそう思った。そして、嫌な予感がした。

 

10日後

 

「…むー!あいつら遅い!」

 

「はぁ?あんたねぇ…そりゃ毎日来る方がおかしいのよ」

 

「でもおかしいだろ!?ちょっと見て」

 

「その必要はないぞ」

 

「あら慧音。どうしたのそんな暗い顔して」

 

「…やはり聞いてないのか?」

 

「?何が…まさか人が死んだとか?」

 

「まぁな。というより…10日前に私が子供を連れて人里に行ってる途中に…一人」

 

「は?」

 

「ドロップキックかましてたあの子ってわけじゃ」

 

「その子だ。変な覚えられ方をしているが…ま、そのせいで人里からあまり出られなかったってわけだが」

 

「お、おい…鬼は嘘が嫌いだぞ?なんでだよ…」

 

萃香が珍しく動揺してる。なんだあいつショタコンかもってのは本当だったのか。ならば教育者に頼んで頭突きしてもらわなきゃ(使命感)

 

「萃香。何考えてんのか知らないけど人里に手出したりはしないでね。多分もう寺子屋の子供は」

 

「わかってるさ。一応、前にもこういうことがあったからな」

 

「あら、物分かりがいい」

 

「霊夢の意地悪」

 

「…飛んで行ったな」

 

「飛んでったわね。それほど仲が良かったのかしら」

 

「いや、鬼のことだ。迎え撃つ姿勢が好きだったのかもしれん」

 

「遊びでも?そんな馬鹿な」

 

「本当よ」

 

「え?」

 

「うわっびっくりした…賢者か」

 

「萃香ってば身長低いからね…子供にしか相手されないのよ。力見せつけないと…ま、だからショタコンかもって」

 

「それ不可抗力でしょ」

 

「さぁ?でも純愛なのは確かよ…多分」

 

「多分?」

 

妖怪の山

 

「オラ飲め!飲め!」

 

「そ、そんな萃香様〜!?」

 

 

 

 

 

 




やったね!鬼と子供のおねショタ…ん?おねショタなのか…これ?
子供死んだぞ…?死亡フラグってか?よくわからん


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美鈴さんと世話係

主人公怪力チート!
にして勇儀サンと恋愛させたかったけど戦って恋愛が生まれるとかなんやねん。
というわけでやめますた


 

紅魔館

 

「はいはい…」

 

「でですよ。咲夜さんってば侵入者が入ったら毎回毎回私が眠ってたと」

 

「はいはい」

 

「…聞いてます?」

 

「聞いてますよ」

 

「…でも毎回侵入者は門を通って行くとは限らないんですよ!?」

 

「そうですね」

 

「だからもう頭きちゃって!…後ここに印鑑押してくれます?」

 

「はいはい…ん?」

 

「婚姻届ですよ。私が代理で出しにきたって言えばあなたは既婚者です!」

 

「はいはい」

 

…俺多分働く場所間違えたよな。門番を起こしたり門番にご飯をあげるだけの簡単な労働サービスですって。給料も高いし。でもその割には寝ないし。戻っても仕事ないから門番さんの話聞いてるんですけど。これ広告間違えてるよ。いつ寝てんのあの人。

 

「…反応薄いですね」

 

「取られちゃったもんは仕方ないですから」

 

「ここに私の印鑑をポーン!」

 

「…メイド長?なんか門番さんが」

 

「あぁぁあぁあ待ってくださいほんとやめてください!」

 

「…じゃあその紙、寄越せ」

 

「え?」

 

「あ、メイド長?」

 

「ごめんなさいってば!ただの冗談じゃ無いですかぁ!」スッ

 

「うむ。よろしい…んじゃ、今度は夕飯時に」

 

「待ってくださいよぉぉぉぉぉぉ!?」

 

知るか。からかわれた側だって腹が立つ。なのでとりあえず…庭、無茶苦茶にしてやろうかな…いや面倒だ。使わないくせして無駄に広いし。ていうか草抜きとか腰にキツそうだし。やめとけ、腰痛がきつい時に除草作業は腰痛を悪化させるんだ。

 

「…昼飯食うか…あ、やべ間違えた」

 

「すいませーんご飯間違えてますよ〜」

 

「あざす」

 

「えへへ〜」

 

「…ライターどこやったっけな」

 

「え?どういうことですか?」

 

「…お、ついた」ボシュッ

 

婚姻届<燃える!燃える!

 

「うわぁぁあぁあぁぁ!?」

 

「なんでそんなに慌てるんですか。ほら、仕事に戻った戻った」

 

「寝てる間に取り返して役所に出そうとしてたのにぃいぃいぃい!」

 

「何言ってんだあんたは」

 

マジで何言ってんだこいつは。これが俗に聞く美人残念ってやつか。ん?美人残念はちょっとおかしいな。残念美人か。

 

バルコニー

 

「…いや、あの光景何回目?」

 

「大体3回目から測り始めて6回…後一回で10回ですよ」

 

「いやあれ毎週やってるじゃない。そろそろ結婚しろ」

 

「結婚ていうかなんというか…できるんですか?美鈴はともかくとして」

 

「やめなさい咲夜。美鈴が可哀想じゃない」

 

「お嬢様、それを思ってる時点で美鈴に失礼だと思いますよ」

 

「…そーれーにー!美鈴と結婚する運命も」

 

「それ、何分の何ですか?」

 

「うぐっ…今日はやたらと反抗するわね」

 

「あのコンビほど結婚しなさそうなコンビはいませんよ。まず付き合ってないですし」

 

「え?そうなの?」

 

紅魔館門

 

「…で、これ何回目?」

 

「今ので大体9回目くらいですね」

 

「なんで9回も繰り返しやるんだよ。いや、9回も気づかない俺が悪いけどね!?」

 

「あなたが悪いって自覚してるじゃないですか!!」

 

「うるせー!」

 

なんだこの門番!?なんなんだこの門番!?畜生さっさとこの仕事辞めて人里の一般職についてやる!

 

その夜!

 

「はい夕飯」

 

「ありがとうございます。ちなみに印鑑の場所はどこですか?」

 

「んぁ?…言うと思います?」

 

「言うと思いました」

 

「言うわけねーだろ!」

 

「チッ」

 

「待てなんだ今の舌打ちはおい!?」

 

「うるさいですよ。もう咲夜さんも終わりの用意してるのに」

 

「てめーがうるさくしてんだろうが!?」

 

「じゃあ手短に印鑑かしてくださいよ!」

 

「誰が肌身離さず持って…あっ…」

 

「…おや?意外と近くにあるものですね…」

 

「いや、あ、これ、これは…」

 

「フフ…じゃあその印鑑、渡してもらえます?」

 

「渡せるか!」ゲシッ

 

「…蹴られたぐらいで凹んでたら門番なんてやってられるか!」

 

「正論!」

 

数ヶ月後 人里

 

あれから数ヶ月が経ちようやく人里に帰れた。なんだか物が足りない気がするが良いだろう別に。

 

「ではこちらに印鑑を」

 

「印鑑。ちょっと待ってください…」

 

「わかりました」

 

「…?すいません無くしたみたいです」

 

「そうでしたか。名字が珍しいので落としたのであればすぐに届くと思いますが…」

 

「あ、まさか」

 

役所!

 

「…こう言う名字の人、結婚してます?」

 

「はいしてますね。お相手の名前は教えられませんが」

 

「その名字の人物が俺です…」

 

「え!?それは失礼しました!お相手は…まぁ本人なら」

 

「記憶にない結婚です」

 

「紅美鈴という方です」

 

「やりやがったなあいつ…!!」

 

紅魔館門

 

「…え、美鈴あんた結婚したの?」

 

「はい!」

 

「…まっさかぁ」

 

「門番に給食を配膳していた彼とです!」

 

「あんな奴と!?変えたほうがいいわよ!」

 

「…ちなみにアプローチとかは」

 

「してませんし受けてません!」

 

「…あれ、これやばくない?」

 

「お部屋に忘れてたっぽいんで私が押しておきました!同意の上ですよね!」

 

「…咲夜、ウチから一人メンヘラみたいなのが出てきたわね」

 

「どうしましょうお嬢様」

 

「それでは!」

 

「…幸せならそれでいいんじゃないかしら…?」

 

 

 

 

 

 




(美鈴)これで良いだろ!
(お相手)いいわけねーだろ!


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大図書館と魔法使いと七色とちょっと小悪魔

魔女と魔法使いと人形使いの三すくみの関係…良いですね!


 

紅魔館

 

「てーれれれれれー」

 

「…」

 

「あ、小悪魔さん!この後ボードゲームやりません?」

 

「ふふっ良いんですか?私が全部勝っちゃいますよ?」

 

「んな馬鹿な」

 

「…」ペラッ

 

「それじゃ…これをパチュリー様に」

 

「おっけ」

 

ギコギコと車椅子の音が図書館に響く。

…というかさっき何話してた?今私の名前言った?

それになんかこっち来てるし。何か聞きたいことでもあったのかしら?

そう思い私は椅子を彼の方向へと向ける。

 

「これ、小悪魔さんから」

 

「えっ!?」

 

「…小悪魔、これは私への挑戦状かしら?」

 

「い、いやだなぁ!もうパチュリー様ったら!よく見てくださいよ!ただのト音記号じゃないですかヤダー!」

 

「私からしたら牛乳の入った袋に見えるんだけど。ていうかこれゴムよね」

 

「…ここで失礼します!」

 

「プチマダンテ」キュドォォォォオォン

 

「うわっ!?」

 

…奴も清々しい最期を迎えたものよ。しかしこの男はこれを見てなんとも思わなかったのか?

それともそういう知識がないのか?全くわからない

 

「小悪魔さぁあぁあぁあん!?」

 

「…多分知らないわね」

 

その時図書館に一筋の箒あらわる!

 

パリーン!

 

「小悪魔!」

 

「ガッテン承知!トラップカードオープン!」

 

「なっ!?」

 

「足止めは出来たわね!そこへ…ビックバン!」

 

「え?え?え?うぎゃぁぁああぁぁああ!?」ピチューン!

 

「…っておい魔理沙ぁあぁあぁあぁあ!?」

 

「あの程度で死んだらそれほどの人間ということよ」

 

「生きてるか!?魔理沙!?おい!?お前がいなかったら住処なくなるんだけど!?」

 

「待ってどういうこと!?」

 

「え、知らなかったんですか?彼、魔理沙さんと同居してるんですよ」

 

…この話を聞いてからだ。彼を気になるようになったのは。

ものすごく単純な思考回路だとは私も思っている。が、はっきり言って…

あの誘う男どころか家に誘う普通の人間すらいなさそうな魔法使いに男ができたと来たのだから気になってしょうがない。

 

「…ってちょっと小悪魔さん!?聞いてました!?遊んでくださいよ〜!!」

 

「あーはいはい。わかりましたよ〜」

 

「ぜんっぜん聞いてないし!?」

 

「可愛いですね〜♪」

 

「うるさーい!」

 

「ここは図書館だから静かに!」

 

「あうっ…」

 

「パチュリー様がうるさいですよ」

 

「うぐっ」

 

小悪魔の正論がきつい…あのクソ使い魔め。使い魔って言えるほど忠誠心ないくせに。

 

「…ん?あっ!?下から覗かないでくださいよ!?」バッ

 

「いや早く遊んでくださいよ〜!!」

 

「そっちでしたか!?」

 

「小悪魔さんの部屋で待機してます!」

 

「わかりましたよ〜…やっべぇどうしよう彼との約束覆すと色々な方面から苦情が来ちゃいそうだ…」

 

「小悪魔、行っていいわよ。私がやっとくから」

 

「本当ですか!?やったぜ彼を独り占めできる〜↑!」

 

「なんだと!?それは聞き逃せないな!」

 

「あんたは彼に思い明かしてるのに冗談だと捉えられてるんでしょ?哀れね」プッ

 

「殺すぞ」

 

それから数週間後

 

「…何よ」

 

「いや、羨ましいなぁって。なぁアリス」

 

「ええそうね。ちなみになんだけど私と魔理沙の間でとある条約が」

 

「曹仁に関係がある。抜け駆けをしない条約を」

 

「くっだらな…」

 

「アリスこいつ殺そうぜ」

 

「そうね魔理沙私も賛成だわ」

 

「え?は?ちょっと?」

 

「んー…ん?すげぇ難しそうな本読んでますね…あ、元から読めねえやこりゃ参った」

 

「あんた寝ぼけてる?」

 

「…多分」

 

「顔洗ってきなさいよ」

 

「あーい…小悪魔さん顔洗える場所どこ?」

 

「お手洗いでしたらこっちに。女性用しかありませんけど」

 

「なんで!?」

 

…行ったか。で、多分手を出すというのは性的な意味だろう。

私だって長生きしているんだ。それくらい見当がつく。というか…

そんなみっともないことで条約結ぶなよ!私は入らないわよ!絶対!

 

「全く情けない…」

 

「んなこと言ったってパチュリー。この話後五百文字以内に終わらせるんだぞ?」

 

「聞かなかったことにしてあげるわ。で、アリス、なんでそれにあんたも」

 

「私?私は監視していくうちに段々と好きになって」

 

「こいつやばい!ウチにある全てのアリス人形捨ててくる!」

 

「行ってきなさい魔理沙!」

 

「…実は監視魔法もいらないのよね。監視カメラつけたし」

 

「魔理沙もう引っ越しなさい!なんならもう紅魔館にきなさい!」

 

「しばらくの間お邪魔させてもらう!」

 

「…ふぅ。で、私が入るか入らないか…だっけ」

 

「そうよ。で、入るの?入らないの?」

 

「そんなの…入らないに決まってるでしょ!?」

 

「んな!?」

 

「そ、そんなぁ!?」

 

「当たり前よ!…そもそも私!彼のこと愛してなんか」

 

「ん?」

 

「…何よ」

 

「おかしいなぁパチュリー。昨日寝言でお前「好きよ…曹仁」とか言ってたの知ってるからな〜?」ニヤニヤ

 

「んなわけないでしょ!?」

 

「催眠にも掛けました」

 

「畜生バレてたか!」

 

「ほらな。じゃ、条約に加盟するか?」

 

「…する。すればいいんでしょ!」

 

「よく決めたらね。拍手よ拍手」

 

その後、私はズブズブと沼にハマっていくように彼にハマった。

というか最近だと私物を持って夜な夜なナニをしている。

親友に知られたら…いや、多分知ってるわね。あの見た目ガキ中身大人(子供)の親友のことだ。

知って隠してるに違いない…そう考えると彼に対する想いが強まっていくのを感じる。

 

「…魔法を使えばこういうことだってできるのに…手を出せないのがむずむずする…」

 

そしてついに私は条約を破ってしまった。

 

 

 

 

 

 




はい続きはいつじゃろな〜…
せや、次どうせだから美鈴とお相手の結婚した後のこと聞いてみるか。


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十六夜さんと浮浪者

昨日は美鈴の後日談を聞いてみると言ったな。
あれは嘘だ


 

紅魔館

 

「…って何がどうなってんのさ!?」

 

「私は十六夜咲夜。貴方を助けた恩人よ」

 

「説明せんでいい!」

 

「あら、そうなの?」

 

「だって俺助けられた時意識あったからね!?」

 

「ちなみに働いてもらうから」

 

「他人の話を聞く気あんのかお前!?」

 

「ありません」キリッ

 

なんなんだこの女!?ほんとこの女なんなの!?恩人だけどさ!感謝してるけどさ!そりゃあ人里の外に出た俺が悪いよ!でもよ!普通考えてみやがれ!

 

「俺の写真が沢山ある場所に普通連れてこないだろ!?」

 

「失礼ですね」

 

「失礼なのはお前だよ!!」

 

数ヶ月後

 

「クソッ…何故か適応しつつある俺が嫌いになる」

 

「…」ジーッ

 

「なんですかメイド長。なんでこっちジッと見てるんですか」

 

「いやぁ…そそるなぁって」

 

「あんた最初キリッとした格好いい人だったよね!?」

 

「失礼ね。私だって結婚はしたいわよ」

 

「他人の話を聞く気あんのか!?あれ!?なんかこれ…あ!畜生数ヶ月前にも言ったぞこれ!」

 

「午後私の部屋に来なさい。仕事を放ってでも良いから」

 

「テメェほんとなんなんだよ!?」

 

「私?洒落たメイド長よ」

 

「地獄の門番ケルベロスに改名しやがれ!」

 

「嫌よダサい」

 

男のロマン否定された!?ひどいね!?ていうかほんとこの館から全く出れないんですけど…無駄に広いから運動不足にならねえし。なんでこんな広いの?

 

「私の能力があるからよ!」

 

「思考回路読まれる相手だとは思わなかった。これは失敬」

 

「何よ別に良いじゃないの」

 

このイカれたクレイジー女に思考回路読まれて別に良いとかそんなわけねえから。嫌だよ気持ち悪いし怖いし。逃げた方が良いのかもしれんなここ。

 

その夜

 

「…あーっと…あのクレイジーなイカれた女はいねえか…逃げろ」タッタッタッ

 

「何してるの?」

 

「寝たはずでは!?」

 

「トリックですことよ。それじゃ…戻りましょうか」

 

「なんでこんなことになったんだよ!?」

 

翌日…朝!

 

「…あれ、おかしいな。ん、なんでだろうな。鍵が掛かってるし。外側から…」

 

「…何よ。別に良いじゃない」

 

「うぉおぉおぉ!?なんでよりによってこんな奴と一緒なんだよ!?妖精メイドの方が」

 

「妖精メイドが…なんですって?私と一緒にいる間くらいは誰々の方が良かったとか言わないでくれる?」

 

「畜生イカれてるのは言動かと思ったら独占欲までイカれてやがった!」

 

「…ちなみに鍵は私が持ってるわよ。ま、私の気が向いたら出してあげるわ」ガチャッ

 

「一瞬で出ていきやがった!?!?ちきしょう開かねえ!やられたぁ!」

 

ヤベェ死ぬ死なないの問題じゃない!これじゃ死ぬ死なないじゃなくて出られないの一択だ!ゲームの強制イベントでもないんだからよ!

 

紅魔館 バルコニー

 

「え?咲夜も結婚したの?」

 

「はい」

 

「…なんか行き遅れた感じがしてならないわ…紅魔館に結婚ブームね…ん?待って咲夜あんた結婚相手って」

 

「数ヶ月前に助けた男でございます」

 

「ちきしょうこの館に誰一人としてまともな奴がいねえ!これ私の責任になるのか!?ヤベェ博麗の巫女にぶち殺される!」キャー!

 

「んな馬鹿な」

 

その頃博麗神社

 

「…文々。新聞がまたくだらないことを…え?紅魔館に結婚ブーム!?うっそ!?」

 

紅魔館

 

「絶対こうなってるよ…やべぇよ…」

 

「大丈夫です。お嬢様のことは私と彼の次にお守りしますから」

 

「テメェいつか絶対裏切るだろ!?」

 

「…出れた」

 

あぁよかった。さっさと逃げるか。そろりそろり…視線を感じても気にせず逃げるべし逃げるべし。鍵をかけ忘れたお陰で楽々と逃げれるぜ。やったね!

 

「…ここが門。ここで素晴らしき御呪いを…開け〜ゴマ!」

 

ギィィィィィィ…

 

「開いた!…まだ一つあんのかよ!」

 

「で、ここまで来れたと」

 

「は?」

 

ここで宿敵出現ワロタ。まぁ俺はよくやった方だと思うよ。多分…もう無理限界…

 

どっかの空き部屋

 

「これで良しね…」

 

「いやぜんっぜんよくないけど!?何が良いの!?ちょっと!?ベッドに括り付けてそのままとかないよね!?」

 

「あるのよ。次脱出しようとしたら…お仕置きだから」

 

「うそぉ!?」

 

それから数ヶ月が経ち!

 

「…」

 

「随分とおとなしくなったわね。急にギャグからシリアスに転換できてないけど、まぁ良いでしょ」

 

「疲れた…そろそろ離して…」

 

「良いわよ離しても。その代わり絶対服従だから」

 

そのあと紅魔館の主人は行き遅れを感じて博麗の巫女に助けを求めたとかなんとか。そんでもって博麗の巫女が『知るかボケカス!』と言い放ったとか。

 

 

 

 

 

 




ギャグしかないじゃねえかこれ…
まぁ良いか。小指痒い


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フランとおもちゃ

はっきり言ってフランちゃんって独占欲の強いメンヘラになるんじゃねーか?


紅魔館 謎の地下室

 

「つまんなーい」

 

「俺もつまんなーい」

 

「だよねー」

 

「んだわな…ていうか人形しかないじゃん。シーソーとかブランコとかないの?」

 

「ない!」

 

「見りゃわかる!」

 

ん、なんかこれやばくない?よくよく考えれば今俺どこにいるの?ちょっとわからないんですが動かない方が得策って奴ですか。

 

「…え、おにーさん誰?」

 

「あっはっはっはっここにくる途中で本名出身地諸々忘れた!」

 

「うん、それって結構やばくないかな」

 

「うん!やばい!」

 

「おにーさん私よりも子供っぽいね」

 

「よく言われる…んなわけないか。で、俺なんでここにいるの」

 

「知らない」

 

「でしょーな」

 

そんなのが分かってたらちょっと人生おかしいよな。いや、おかしいのは俺よりも長く居そうな子供がわからんらしいし。

 

「はー…吊り橋効果って奴?」

 

「ちょっと何言ってるかわからないけど…私着替えるからあっち向いてて!」

 

「わかりまーしたー…キャー」

 

「なんでおにーさんが叫ぶの?普通私が叫ぶでしょ」

 

「お前みたいな宝石の色した羽してる奴に普通とか言われたかねえ」

 

「こりゃ一本取られた…ってこっち向くな!」パシンッ

 

「へぶぁ!?」ドカーン

 

「あっやべっ…ていうか咲夜何してんのさ」

 

ガチャッ

 

「フラン〜も結婚ブームに乗っかるの?」

 

「え?ちょっとどういうこと?」

 

「紅魔館が空前の結婚ブームなのよ。やばくね?」

 

「相変わらず頼りねーなこの姉」

 

この親族にしてこの子ありきな性格してんな…って俺蚊帳の外じゃねえか!そんなの俺の性格が許す!

 

「頼りない姉って何よ!?」

 

「ん〜…知らない!」

 

「頼りない姉っていうより不甲斐ない姉だろあれ」

 

「ん〜…それじゃあ間をとって存在している価値なし?」

 

「もっと酷い!?」

 

「…すまんちょっと寝るからこれ借りる。おやすみ」

 

「おいちょっとまてぇ!お前何人の妹のベッドで寝ようとしてんだ殺すぞぉぉ…!」

 

「お前今更姉ヅラしてんじゃねえ能力にびびって何もできなかったくせにィィィィ!」バゴォッ

 

「はぐぁっ!?」ドゴボォッ

 

「鈍い音がする!」

 

「おにーさん大丈夫!?あの姉ヅラしたクソになんかされてない!?」

 

「急に変なこと言うんじゃねぇ!」

 

「ええと…アレだ!私が匿う!ここに隠れていたまえ!」

 

「お言葉に甘えさせていただきます!」

 

「よく言った!」

 

「ちょっとねぇ姉であり主人である私の意見は!?」

 

「この部屋は私特製だよばーか」

 

「酷いっ!?」

 

うーしどうやってここに来たかなんて今更どうでも良い今俺はどう言う状況にいるかはわかった。しかしこいつら誰?なんなの?

 

「私フランドール!フランって呼んでね!」

 

「おーしフラン助かった!ちょっと寝させて!」

 

「良いよ!とりあえずこの姉は図書館に捨ててくるから」

 

数ヶ月後

 

「あー運動不足だな」

 

「えへへ…ちょっと失礼ね」ギュッ

 

「は?」

 

「いやぁ…他人の身体は暖かい…」

 

「いぎゃぁぁあぁあぁああぁ!?」

 

「…なんで驚くの?」

 

「誰だって急に抱きつかれるのは驚くさ!」

 

「良いでしょ別に!減らないんだし!」ジタバタ

 

「ちょっと暴れないで!ジタバタしないで!痛い!痛いから!」

 

「むーむー!」

 

「むーむーじゃない!痛いから!無理!痛い!お前人間じゃないだろ!?」

 

「私は吸血鬼だよ!」

 

「嘘でしょぉ!?」

 

「本当だよ。なんで気付かないの?」

 

「吸血鬼実物見たことないから!」

 

「そうなの?んじゃあ…吸血鬼って独占欲強いの知ってる?」

 

「いや、それはお前の性格だろ」

 

「は?なんだって?」

 

「いえ、なんでもありません!」

 

怖い!怖いよこの子!で、吸血鬼ってことは妖怪で、妖怪ってことは実年齢も俺より上で、力も…知能はなさそうだな。力はこいつが上で…ん?

 

「…ねぇ待って」

 

「?」

 

「独占欲強いってどう言った風に強いの?」

 

「俗に言うヤンデレみたいに独占欲が強いよ」

 

「嘘ですやん…」

 

「ちなみにおにーさんが独占欲の大半占めてるから」おにーさん80%人形10%その他10%

 

「嘘ですやん…」

 

「ちなみに私以外の名前言ったら殺すから」ニコッ

 

「ちなみに俺は脆いから簡単に死ぬから…」ゾゾッ

 

「うるさいよ」

 

「いやそれはおかしくない?」

 

「だからさ!付き合って!」

 

「付き合うっていったいどう言う風に」

 

「…付き合うって言うのはこう…男女的な物で」

 

「ああそれか!良いよ別に!」

 

「よしっ!」

 

紅魔館バルコニー

 

「え!?とうとうフランまで!?」

 

「行き遅れてきますね」

 

「おい殺すぞおい」

 

「フッ…行き遅れの言い訳ほど聞きにくいのはないですね」

 

「鼻で笑ったな!フッ…って笑ったな!?主人の威厳どこ行ったんだよ!?」

 

「男一人捕まえられないお嬢様には恐れ多いです」

 

「ねぇ絶対バカにしてるよね!殺すよ!?」

 

「私の方が能力的に強いのに?」

 

「お前ぜってえ恐れてないだろ!?」

 

紅魔館地下室

 

「ねぇちょっと俺おかしくない?」

 

「パチュリーとその友達に聞いたらこうするのが普通だって!」

 

「だからって監禁はないだろうが!?」

 

「今やってるからあるじゃん」

 

ああもうやだこの子逃げたい(切実)ゲームでラスボスと対峙したような…ん?ゲーム?ラスボス?…記憶が蘇ってきたんだけど…

 

「おお!記憶が蘇ってきた!多分アレだ!窮地に追い込まれるとって奴!俺お前が必要だ!」

 

「本当!?嬉しい!」

 

 

 

 

 

 

 

 




まぁ前書きなんて関係ないけどさ


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16話

消したつもりの
サブタイトル。気付けばいつしか
書いてある。
覚め


 

紅魔館

 

「…行き遅れた女ほど悲しいものはな」

 

図書館…今のはレミリアの名残りです。お許し

 

「こーあーくーまーさーんー」

 

「ちょっと待っててください。その代わり…全て吸い取って差し上げます」

 

「メガドレインしか使わないのになんであんなに強いの!」

 

「おや?メガドレインは相手のHPを吸収する技。そしてやどぎりのたねに食べ残し…これで回復の永久ループは続くのです」

 

「!!じゃあ草タイプ使えば」

 

「控えのポケモンは炎と水の技でいっぱいです」

 

「ぬー」

 

可愛いなぁ曹仁さん…

だが可愛くてもポケモンは譲れません。幸い相手が何も考えずにポケモンを出すから助かりますけど…

いやはや、前回は危なかった。二体も倒されてしまいました…

だがしかぁし!今日は6タテしてやりますよ!

 

「…あうっ」

 

「フフフ…私は悪魔ですよ…今日は6タテしてやります」

 

「同じレベルなのに…追い風よふけ〜」

 

「さあ行くのです耐久特化ジャローダ!相手が先制する今こそ!メガドレインなのです!」

 

「大文字で焼き尽くしてくれようぞ」

 

「可愛い顔のくせして大文字って…ま、まあ良いでしょう。行けダイケンキ!」

 

「岩砕き」

 

「効果は普通ですよ?それどころかこれでは私の勝ちに」

 

「空を飛ぶ」

 

「波乗りで一掃してしまいなさいダイケンキ」

 

「え?」

 

数分後

 

「一体も倒せなかった…」

 

「勝ちました〜♪」

 

やっぱり勝つのは嬉しいですね〜♪

…ん?なんか視線を感じますが…まあ勘違いでしょう。

勝利の舞でも踊りましょうかね。あ、でも前それやったらパンツが…今思い出しても恥ずかしい。

ぁぁぁぁぁぁぁ黒歴史ぃぃいいぃぃい!

 

「よう」ゴゴゴ

 

「おー魔理沙」

 

「よ、曹仁…と小悪魔」

 

「酷くないですか!?」

 

「別に酷くはない」

 

「で、何しにきたんだ魔理沙。本を盗みに来たのか?」

 

「いや、ウチが盗撮されてることがわかってな。…まぁ簡単に言うとこれから少しの間ここで暮らす」

 

「!!」

 

その時、小悪魔の脳裏に浮かぶ数々のシチュエーション…そしてそれを上書きするかのようにゲームの対戦パターン…すでに小悪魔の脳は

 

「すいません魔理沙さん変なナレーションしないでくれます?」

 

「すまんかった」

 

「…つまり…盗み見されてたってこと?」

 

「そう言うことだ。帰って物が大量に無くなってたら…まぁそう言うことだ察してくれ」

 

「了解した〜…ていうか今何時?」

 

「今は…大体6時ですね。午後の」

 

「風呂入りたいけど…どうしよっかな…」

 

「私がお手伝いを」

 

「それはダメだろ」

 

「うぐっ…」

 

私がやろうとしたことを…下心なしの善意100%を…

魔理沙さんは間髪入れず否定した…許せない…これは侮辱に値する。もう良いもんねー!寝取っちゃうもんねー!

魔理沙さんの家に帰る時に『小悪魔さんと一緒が良い』って言わせちゃうもんねー!

絶対言わせるもんねー!魔理沙さん<私にしてやるもんねー!

 

「ま…当然だが私とお前が一緒の部屋だ」

 

「ブフッ!?」

 

「うわびっくりした…そうなの?それじゃ下見行こうぜ下見」

 

「おうしついてこーい!」

 

…あの泥棒猫め…!

 

「こあ」

 

「なんでしょうパチュリー様」

 

「…今のあなたすごい腹黒そうに見えるわよ」

 

「ええ!?本当ですか!?い、一体どこが!?」

 

その頃紅魔館のとある部屋

 

「結構広いなー」

 

「さて。足が悪いお前はいつもどうやって身体を洗ってるんだ?」

 

「頑張って洗ってる」

 

「頑張るじゃすまねえだろ。私が手伝ってやろうか?」

 

「魔理沙は服を着るだろうから良いんじゃないですかね」

 

バタンッ!

 

「それ!私が言ったやつと同じじゃないですか!」

 

「うるさい黙れ」

 

図書館

 

「私そろそろ泣きますよ」プクー

 

そう言って頬を膨らませる。さながらフグだな…

自分で自分のことフグって何言ってんだろ。どっちかっていうと私はハムスターなのに…

うむ!さながらハムスターのようなキュートさを持っているんだ私は!そう!そうなんだよ!

…でも、曹仁さんが私からどんどん離れていくように気がしてならないんだよなぁ…

 

「自分に自信がなくなってきます」

 

「あんたは良いでしょ。私なんか…私なんかね…」ヘヘッ

 

「遠い目をしないでください!ちょっと!遠くを見ないでくださいよ!」

 

「私なんかどうせ隅から見たらただの紫パジャマ姿の不規則生活民よ…」

 

「パチュリー様ぁぁあぁぁ!?」

 

「どうせアリスのせいで仕事が増えるんだし…ヘヘッ」

 

アリス宅

 

「!?何、今の…藁人形に釘でも刺された…?」ゾクッ

 

それから数日が経ち…

 

「出来たわよ…少し疲れた」

 

「ありがとな。私はまだ人間だからそういうのは疎くって」

 

「あんたね…」

 

「ってことは曹仁君帰っちゃうんですか!?」

 

「え、いやそうなるわよ」

 

「マジですかぁ…」(´・ω・)

 

「パチュリーさーん…面白そうな本を…ん?小悪魔さんなんで落ち込んでんの?」

 

「知らないわ。で、その本はどうしたいの?」

 

「借りたい!」

 

「…返しに来なさそうだから小悪魔を派遣するわ。よろしくね」

 

「!!はい!」

 

二日後

 

あれから…そんな時間は経ってないけどようやく来た!返却日!

私は今幻想郷で生きる生物の中でトップ10に入るほどの速さだろう!多分!

そしていつの間にか通り過ぎていたことに気がつく。まさかこの私が…間違える!?

なんて呑気なことを言いつつ、魔理沙さんの家の前に立つ。そしてドアを…

 

「開いてる…」ガチャッ

 

「おぉ小悪魔か!?曹仁が居なくなったんだ!」

 

「えぇ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ええぇぇぇぇえぇぇえ!?


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鈴仙さんとナンパ師

せ、説明するぜ…これを書いているのは6:24…多分、書き終わる頃には飯食って散歩し終えたあたりだろう…


 

人里

 

「…あ、財布忘れた」

 

「お前そう言うところ抜けてるよなー!」

 

「抜けてちゃダメだろ…さっきの八百屋にあると思うんだけど…」

 

「…待つのも面倒だし先にあいつの家お邪魔するか…」

 

「すまんポッケに入ってた」

 

「嘘だろ」

 

やっぱりこいつ抜けてるだろ。忘れてるのか忘れてないのかもわからんのかこいつ…抜けてちゃダメって言うけどさぁ…

 

「あ、薬売りの」

 

「おー!俺ナンパしに行ってくる!」

 

「財布忘れるお前じゃ無理だろ」

 

「…確かに!」

 

「…あ、薬って歩き売りしてんのかな。風邪薬とか欲しいんだけど」

 

「お前も口説きたいんじゃねーか」

 

「バカおまえちげーから。アレだから」

 

「すいません…薬要りませんか?」

 

「風邪薬とかってあります?」

 

「あ、はい…座薬タイプが」

 

「なんで!?なんで座薬タイプ!?おかしいだろ!?」

 

「ありますけどその下に注射器…あ、これダメな奴だ」

 

「今なんか危険なもの見なかったか?」

 

「さあな。違法薬物じゃね」

 

「…私用の頭痛薬です」ニコッ

 

「可愛いけど永遠亭の闇深いところが見えた」

 

さっきの注射器が頭痛によく効く!な奴だとして…今大量にあったよな。絶対大量にあったよな。でもこれ以上言及したら沼にハマりそうだからやめとこ…

 

「座薬タイプだけならやめとくか」

 

「お前もついてねーな」

 

「ありがとうございましたー」

 

「…なんか罪悪感が残るな」

 

「わかる」

 

翌日永遠亭

 

「おっしゃしゃーす」

 

「…なんの御用で」

 

「まともな風邪薬をください」

 

「座薬タイプなら」

 

「なんで座薬タイプ!?ちなみに座薬タイプじゃないのは」

 

「入荷未定です」

 

「…やっぱ良いです」

 

「またのお越しを」

 

「もう二度と来てやるもんか」

 

その後も必死に頑張って超努力して薬売りの嬢ちゃんに掛け合って座薬タイプじゃない薬が手に入った!

 

主人公のお家

 

「座薬タイプじゃない薬…錠剤だな?」カパッ

 

座薬タイプ<実家のような安心感を覚えます

 

バタンッ!

 

「…座薬タイプよ…呪うんなら座薬タイプとして生まれてきた事を後悔するんだな…」ググッ

 

「すいません!間違えました!」

 

「やっぱり!?」

 

「間違って座薬タイプ渡してますよね!こっちです!」

 

「ありがとう!」カパッ

 

座薬タイプ<ざまぁ

 

「…これは」

 

「特別に私が入れます」

 

「は?え?ちょっ待って!?ねえ!ねぇってば!無言でズボンを脱がさないで!」

 

「安静にしていてください…!私が、どうにかして、挿れますから」

 

「パンツに手を掛けるな!ち、痴漢ー!」

 

「行きますよ!」

 

「待ってください!て言うか手冷たっ!」

 

「ふん」ズボッ

 

「あっ」チーン

 

「…ふぅ」

 

「あっ…」

 

その後十分間に渡り新世界を見ていましたとさ。

 

「…可愛い顔ですねえ…そそります」

 

「ヤベェ奴だ!?」

 

「というわけで…まあ、一目惚れなんですけど」

 

「お前は常識というものを知れ!」

 

「常識を身につけたら付き合ってくれるんですか!?」

 

「順序も学べ!」

 

「わかりました!」

 

数ヶ月後…

 

「ってことがあったわけよ」

 

「何それ羨ましい」

 

「…薬売りの嬢ちゃんだ…道変えるぞ」

 

「おう、わかっ」

 

「すまんな…ん?あれ?あいつどこ行った?」

 

「常識を身につけてから来ました」

 

「薬売りの…って俺は付き合わねえぞ」

 

「え?なんでですか?」

 

「なんでってあんた…」

 

「だって、もう断られても遅いんですよ?」

 

「は?遅い?」

 

「あなたのことが好きだからずっと見つめてたし、ずっと追いかけてたし、ずっと一人っきりになる時間を探してたんですよ?」

 

「さながらストーカーだな」

 

「ですから、私と一緒に永遠亭へ行きましょ?」

 

「常識は学んだか?」

 

「はい!」

 

「…誰から?」

 

「慧音先生から!」

 

「慧音先生はなんて言ってた?」

 

「好きな人は賞味期限切れの料理を使ってでも他の女に近寄らせないべしって」

 

「…ダメだ恋愛観が歪んでる」

 

「私、頑張ったんですよ!」

 

おうそうだな。お前から見りゃそうだよな!そうなるよな!俺から見たら努力というより少し陰湿でネチネチとした努力だけどな!

 

「だから、今から永遠亭に運ばざるおえない状況にしますね」ガシッ

 

「は?」バキボキッ

 

「骨折したら病院ですよね!早く行きましょう!」

 

…こんなクレイジーサイコな奴初めて見た…と同時に記憶が途切れた。

 

永遠亭

 

「…足と…手…」

 

「両手ですよ〜…ま、仕方ないですよね?牛に轢かれて、それくらいで済むのが奇跡なんですから」

 

「奇跡…」

 

「どうしました?頭を打ってしまいましたか?」

 

「…」

 

「さてと…食事の用意ができましたけど、食べれませんね。でも安心してください。私が食べさせてあげますよ?」

 

「嫌だ」

 

「ああ、怪我が治ったらのことですか?安心してください。私が何回でも折りますから」

 

「違う、そうじゃない」

 

て言うかまずここどこよ。俺骨折った経緯覚えてないし。そんな俺幽霊になるか…?

 

「じゃ、口を開けてください」

 

「嫌だって…」

 

「…開けてくださいよ」

 

「絶対に嫌だ」

 

「…まあ、そうですよね。誰かに口の中を見せるのは怖いですもんね。ですから…」グイッ

 

「あ?」

 

「私の口移しで食べさせてあげます」

 

「いらない」

 

「それじゃあ行きますよ…」モグモグ

 

「だからいらなっ」

 

「…ぷはっ…どうです?」

 

「気持ち悪い」

 

「それは良かったです」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 




…よくよく思い出せば鈴仙ちゃん色々とぶっ壊れた話に出てたわ。
まぁこの話もなんかぶっ壊れてんだけど。
何がぶっ壊れてんだろ…


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阿求さんと障がい者

お尻が痛い
だがしかし寝る
さながらカウチポテト族
テレビを見ながらポテチを食べるアホンダラのことを言うんでゲス!


 

人里 稗田家

 

「…確かに俺は片足障害で動かねえさ。だからと言ってお前…」

 

「私の持つ権力を駆使して障害者用のなんたらとか作らせました」

 

「やりすぎだっちゅーの!」

 

なんなんですかこれ!?なんなんですかぁ!?これほんとやりすぎだよ!松葉杖!車椅子じゃないから!いや車椅子だとしてもそこまでせんでええわ!

 

「厠にはお手伝いさんが」

 

「俺は片足動くから!両足動かないとかじゃないから!わかる!?」

 

「…今ここで両足なくしましょう」

 

「やめて!?」

 

「とは言っても、外来人ですので何とかして…こう…楽しい思い出っていうか…」

 

「その配慮はいらねぇ!」

 

「…ちなみにこの腰掛け布団は周ります」

 

「???」

 

「カラクリですよ。ですから…座ってください」

 

「車椅子じゃねえか…はいっと」

 

「ポチッとな」ポチッ

 

「おお、椅子が倒れてベッドに」ウィーン

 

「そして上から毛布」パカッ

 

「おぶっ」ボフッ

 

「…凄いですよね?たまりませんよね?」

 

「寝るたびこれとか考えてるだけで凄いわ」

 

「ですよね!」

 

…て言うか俺、なんでこの子の部屋にいるんだっけ?あっやっべぇな全然わからねぇ…可愛いんだけど頑張りが明後日の方向に行ってる…

 

人里ォ!

 

「…あ、蛮奇さん」

 

「なんかこの物語で凄い雑に扱われてる気がする」

 

「何を言ってるんですか?…あ、そういえば団子屋って結局どこに」

 

「あそこ」

 

団子屋<うまい!安い!小さい!UYT!

 

「…やっぱやめときます」

 

「あの店は評判悪いぞ」

 

「…UFOみたいなキャッチコピーのくせして何も良いところがない…」

 

稗田家

 

「たでーま」

 

「おかえりなさいませ。靴はこちらに」

 

「お荷物でしたらこちら」

 

「着替えますか?」

 

「…すいません自分で出来るんでやめてもらっていいっすか」

 

「失礼しました」

 

「…嵐のように出てきてそよ風のように去っていったな…」

 

「おかえりなさい」

 

「阿求さん…俺昨日くらいに言いましたよね。メイドさんとかはいらないって」

 

「そんなことより先程一緒にいた女の人は蛮奇さんでしたね」

 

「…そうですけど」

 

「なんであんな女と居たんですか?偶然会ったんですよね?偶然会ったならすぐに立ち去るべきでは」

 

「すぐに別れたよ」

 

「いいえ、3分ほど一緒に居ましたよね。私の記憶はごまかせま」

 

「どういう感情だあんた…団子屋の話ししてただけですから、そんな追求せんでください」

 

「わかりました〜」

 

うーん、なんだかなぁ。見た目相応の歳ではないけど、どうしても年下に見えるのに、家だけ全然年下に見えない。メイドさん何人いるんだこの屋敷

 

「外行きの松葉杖はここだな…屋内の松葉杖をっと…結構砂つくんだな松葉杖って」

 

「さあ、こちらへ」

 

「うわびっくりした!?」

 

「なんでびっくりするんですか。ほら、こちらへこちらへ」

 

「やめんかやめんか…で、なんですか?」ガララッ

 

「私はこれから1日間この屋敷を開けます」

 

「んな馬鹿な」

 

「信じたくない気持ちはわかりますが、今日から明日の午前にかけて仕事がかなり詰まっているのです。で、本題ですが」

 

「今のが本題じゃないんだ」

 

「この部屋に最低一人いてもらわなくてはなりません。その役に是非あなたを」

 

「八百様?みたいな奴だな」

 

「八尺様ですか…あれはいませんのでご心配なく」

 

「了解」

 

「ご飯はこちらに置いておきますので、くれぐれも絶対に」

 

「鶴の恩返しみたいだな」

 

「結構真剣なんですけど」

 

「ごめんなさい」

 

なんか今日の阿求さんクッソ怖いんですけどなんなんですかこれ…これがカリスマって奴ですか。カリスマ(恐)でしたか。恐ろしい

 

数時間後

 

「…結構暇なんだな…使用人も行ったのか?物音ひとつしないけど…」

 

「もう出ていいですよ」

 

「え、本当?」

 

「わたしが変わりますので」

 

「…やめた。布団持ってきてくれません?」

 

「わかりました」

 

「…ドア越しに女の人の声がするの案外緊張するな…」

 

「お持ちしました」

 

「仕事が早い」

 

さらに数時間

 

「…布団あったけ〜」

 

時刻はすでに午後6時を指していた…!!

 

「そろそろ飯食うか…いや汁ってお前いつ食うか覚えて…あったけぇ…」

 

先入観に囚われたワシはただの敗北者じゃけぇ…にしてもなんだか一人だけだな。それに今気がついたがあのうるささのせいかなんだか寂しく感じてきた。阿求さん早く帰ってこねえかな…

 

「ごちそうさまでした。さて後何時間だ?後…18時間くらいか…」ズーン

 

そして翌日午後!

 

「…さむっ」

 

「帰りました〜」

 

「お帰りなさい」

 

「一人残した使用人から聞きましたよ。出なかったそうですね」

 

「んりゃまぁ」

 

「ですが、少し揺れたらしいですね?」

 

「…まぁね」

 

「いけませんね。お仕置きです」

 

「…え?お仕置き?ちょっと何言ってるかわかんな」

 

「お仕置きの内容はですね…私以外の女と喋らないこと。一回喋る毎にひとつ誠意のある態度を求めます」

 

「苦手なお仕置きだ」

 

「ま、お仕置きはそれだけです…が」

 

「が?まだなんかあるの?」

 

「一応言っておきますが使用人もダメですから。絶対に。自分で自分の首を絞めたのはあなたなんですから、反抗は許しませんよ」

 

今の俺の顔を見た人間は皆揃ってこういうだろう。「歯を食いしばろうとしているのに歯がないから唇を食いしばっている」…いやなんやねんそれ

 

「ってそれじゃあ断れな」

 

「何を言っているんですか?…この部屋から出なければ済みますよね?」

 

「いやいやいやいや、風呂とか」

 

「私と一緒に」

 

「!?!?!?!?」

 

「厠も私と一緒に行きましょうか。その方が手っ取り早いですしね」

 

「嘘ですやん…」

 

 

 

 

 

 

 




急な方向転換は1番ダメだってそれ1番言われてるって


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仙人と邪仙と男 1

なんだこのおっさん!?(驚愕)


 

最近、結構眠気がひどい。ああ、とてもひどい。歩くたびに顔がカックカクしてこの前立ちながら寝たくらいだ。

 

人里

 

「と言うわけでして。仙人さん、なんか知りません?」

 

「…なんで私に聞くんです?」

 

「いや、仙人様ならなんか知ってるかなって」

 

「私仕組んでませんよ!?」

 

「待って話が飛びすぎてる…まさか」

 

「まさかじゃありません!私は!絶対に!やってません!」

 

「…で、真剣に。何も知らないんですか?今も眠いんですけど」

 

「知りません!」バチコーン!

 

「うぐぇ!?」ドカーン!

 

…乙女心って言う奴はこれですか?なんで俺叩かれたんですか?今の悪くないですよね俺。絶対悪くないですよね俺。ねぇ、マジで。な、なんでなん…?

 

翌日

 

「結局団子で許しを乞うしか」

 

「許しましょう!貴方なら!」

 

「食べながら言っても説得力ないですよ」

 

「ほへほほへほ(それほどでも)」ニンマリ

 

「くそう馬鹿みたいに食べるくせして食ってるとの笑顔が可愛いのが…なぁ…!」

 

「んへ?っぐ…どうしました?」

 

「どうもしてません」

 

「そうでしたか」

 

「…俺も一つ団子」

 

「あいよ」

 

数時間後 八百屋

 

「…あ、青蛾さん。こんにちは」

 

今日1番会いたくない人と出会ってしまった…逃げ去りたい。今すぐこの場から逃げ出したらなんか取られそうだからやめとくけど

 

「あら〜先ほど一緒にいた仙人さんは?」

 

「…食べ物で許しを乞いてました」

 

「あぁ…なるほど…そういう…彼女、たくさん食べたでしょ」

 

「おかげで今月キツそうです」

 

「やっぱり。そんな貴方に…はい、これ」ポンッ

 

「え?なんですかこれ?」

 

「現金5万円。これで今月凌いでね」

 

「ああ、ありがとうございます」

 

「素直に受け取るわね〜」

 

「受け取るの渋ったら今月もっとキツそうになるんで」

 

実はこの人前科もちなんだよね…前受け取るの渋ったら「あらそう」って言ったあと俺の財布とって言ったもの。

 

「それなら良かった。それじゃあね♪」

 

「さよなら〜…今月はもやし生活だな」

 

偽札じゃねえかチクショウ

 

「騙されましたね」

 

「ええ。でももやし生活もいいですよ。醤油かけたり焼肉のタレかけたりで味変わりますし」

 

「…ところであなた財布は?」

 

「え?…はぁ…」

 

「気の毒に…」

 

また…財布盗まれてた…俺、結構運が悪いんだよな…そうでなきゃこんな財布盗まれるのあっていいはずがねえよ…

 

「私が1ヶ月養いましょう!」

 

「いえ、それはいいです」ササッ

 

「んなっ!?」

 

「青娥さんも悪い人ではないんですけどね〜…これなら一日2本…いや一本だったら…しかし風呂代も…」

 

「青娥…彼女が悪い人ではない?」

 

「ま、根はいい人だと思いますよ。茎がどっかでへし折れてるだけで」

 

「へ〜…羨ましい」ガリッ

 

「いだぁっ!?」

 

うっそ!?なんか今背中引っ掻かれた!?痛い!クソ痛い!なんで!?なんでこうなるの!?痛いんだけど!?うがぁぁあぁぁ!

 

「いつっ…」

 

「すいませんつい…」

 

「…あ、このもやし安い…賞味期限が明日じゃねえか」

 

翌日

 

「…さて。特にやることないし…寝てるかぁ。そういや偽札のなんかしたら金もらえるんだっけ」

 

ガララッ

 

「…アパート暮らしだとは」

 

「そりゃあね…ん?2000円入ってる…手紙もだ…」

 

手紙の内容は…『昨日お財布落としてたからこの中に入れとくね。体調は良くなさそうだったけど、大丈夫?』…本当に根はいい人だった…と思う。

 

「…二千円あれば豪遊ができるな」

 

「???」

 

「さて。青娥さんにお礼言わな」

 

「あんな邪仙にお礼?」

 

「二千円返してくれたお礼に」

 

「二千円ごときで!?」

 

「ごときってなんですか!?」

 

「全く料理作りに来てあげたのに…」

 

「ワオ…申し訳ないけどガス通ってないよ」

 

「その時のため」

 

「水道も通ってないよ」

 

「…風呂代」

 

「温泉代」

 

「…貴方日々どんな生活送ってるんですか!?」

 

「悪かったな貧乏人でさぁ!」

 

「もう我慢できません!我がファミリーに入れてくれるわぁ!」ガシッ

 

「あぐっ!?やめろ!俺はこの部屋が良いんだ!って待ってください仙人さん!?仙人様!?美人な仙人様許して!」

 

「許します!」

 

「…チョロ」

 

「許しません」

 

…あの仙人マジでなんなの?マジでさ…青娥さんの方が良くないすか?

 

仙人様のお家

 

「…青娥さんならこんなことしないと思うんですけど」

 

「青娥は自分を欲しているんですよ。口開けて」

 

「いや自分で食えるから。この拘束が外れれば」

 

「嫌です」

 

うーんこの。おのれ…なんで俺の人生こんなのになるんだよ。おかしいだろぉ!?

 

「貴方は青娥に毒されているのです。あんな予測変換の敵であり邪仙の青娥に毒されていてはいけません」

 

「よそくへんかん?」

 

「私が全ての行動を見直させ、私が全てを正します。青娥に毒されてしまったからにはこれが1番です」

 

「は?いや、だから青娥さんは良いけどって」

 

バゴォッ!

 

…変な音が鳴り響いたと思ったら壁に大穴開いてました勝てません従うしかありません嫌ですもう…

 

「良いですか?全てを私が正します。貴方はそれに合わせて生活してください。良いですね?」

 

「…全然よくな」バキッ

 

「…今のはわざと外しました。豆でも私が放てば壁に穴は開くんです。良いですね?」

 

「ひゃい…すいませんでした…」

 

こいつ…正義感が強すぎる…

 

数日後人里

 

「…最近見ませんね…」

 

「どうしたんだい?」

 

「いえ、最近見かけない人が…」

 

「人探しかい?」

 

「まぁ…」

 

「どんな人だ?」

 

「写真でしたらこちらに…」

 

「ああ、あんたとペアでよく見たあの男か。最近赤い髪した仙人様と一緒にいるのを見たけど」

 

「…やはりその方のお家なんでしょうか?」

 

「まぁなぁ…つっても家がわからんし…ん?いねえや」

 

 

 

 

 

 




まぶたが痒いです


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風見幽香と妖怪の山

風見幽香にトラックで突進だー!
ちなみに今回は純愛ではなくただのお話です。
飛ばせ…次回に純愛を置いてきた!


 

お花畑…でドカーンなわけないから

 

「…えいっ」パンッ

 

「なにをしているのかしら?」

 

「ここら辺いっぱい蚊がいるから叩いてる」

 

「あらそうなの。確かに邪魔ね…お部屋に入りましょうか」

 

「お邪魔しまーす」

 

…風見幽香さんって髪色変だなー…ちなみに俺は幽香さんの友人!恋人ではない!だからどうと言うことではない

 

風見邸

 

「んー…ていっ」パンッ

 

「まだいるの?」

 

「いるように見えてしまう不思議…」

 

「見間違いなのね。で、なんの用事?」

 

「最近新しいお花畑見つけたんですよ」

 

「あら、そうなの?早速行ってみましょうか?」

 

「でも場所が妖怪の山の近くだから」

 

「あなた人間でしょ?どうやってここに」

 

「なんか妖怪が集まらなかったから」

 

「運がいいのか悪いのか…」

 

「妖怪の山あたりだと…天狗がいっぱいだから」

 

「ああ、そう言うこと」

 

実を言うと一回しかまだ行けてない。とても綺麗な花畑だった。紫色した花が沢山ある花畑。とっても不思議だった。寺子屋にいる子供か俺は

 

「それじゃ、行きましょうか」

 

「はいはい」

 

妖怪の山付近

 

「ん〜…と。確かここら辺に…お、あったあった」

 

「あら?そんなところに抜け穴が」

 

「この中光ってんだからすごいんだよね」

 

「光?誰か管理してるのかしら…」

 

「とりあえず行ってみるしかないけど…」ゴソゴソ

 

「わかったわ」

 

…というか、幽香さんこれ体キツくないだろうか。俺よりも少し高いから頭を下げて歩くことになるけど…ていうかかなりでかいのになんで誰もいないんだ?

 

妖怪の山の中

 

「っと…あったー!」

 

「あらあら…これはタツナミソウね」

 

「タツナミソウって言うんだ…はえー」

 

「不吉な花だけど、想いが乗せられる美しい花なのよ」

 

「ふーん…花言葉はなんですか?」

 

「花言葉?花言葉は…『私の命を捧げます』だったわね」

 

「そうなんだ…重い」

 

「けど、一途な恋を表す花って考えると美しく思えてくるでしょ?」

 

「そう言うものなんですかねー」

 

美しく重い花…心無しかここにいると心が軽くなる…のは嘘だけど。こんなところで心が軽くなるなんて不吉な…

 

「フフッ…でも不思議ね。山の中…ましてや洞窟に花が生えてるなんて…ねぇ」

 

「不思議ですなぁ」

 

「かなり面白い所ね。ここは」

 

「ですねー…」

 

「それじゃ、帰りましょうか。ここにはあまり居たくないわ」

 

「はいはい…あれ、なんか奥に桜の木が」

 

「帰るわよ。ほら、潜るから先に」

 

「…ありがとうございます」

 

「それでいいのよ」

 

風見邸

 

「…あの桜の木、すんごい綺麗でしたね」

 

「ええ。確かに凄く綺麗だったわ。だから、早く帰るの」

 

「…なんで?」

 

「あの桜の虜にされてしまうと…ずっと通い詰めになるのよ?」

 

「へー」

 

「そう。それでいいのよ」ナデナデ

 

「撫でないでくれます?」

 

「あらごめんなさい」

 

この人…他人の恋愛に興味あるくせして自分の恋愛にはからっきしだよなぁ…なんだか差別されてる気分…多分本人的には無自覚なんだろうけど。

 

「…あ、そう言えばぺんぺん草も生えないって言葉あるじゃないですか」

 

「あるわね。それがどうしたの?」

 

「なんでぺんぺん草なんですか?」

 

「それはね…ぺんぺん草の花言葉が『あなたに全てを捧げます』って意味だからよ。つまり、何も無くなったってこと」

 

「へー…この言葉作った人はなんか不幸な目にあったのかね」

 

「そうなんでしょうね」

 

「…あ、もうそろそろ家に帰らなきゃ」

 

「そう…あ、ちょっと待って」

 

「え?」

 

「私もついていくわ。今まで考えてたけど、妖怪に食べられちゃうかもだから」

 

「わかりましたー」

 

…風見幽香さんとの帰り道って結構新鮮だなーって。人里まで送り届けてくれるんだと。妖怪は夜に活発化するらしいから仕方ないけど…結構名の知れた妖怪でも顔が割れてないから良いのか。なるほど〜

 

 翌日 寺子屋

 

「せんせー!昨日すごい綺麗な桜の木見つけたよ!」

 

「…綺麗な桜の木?」

 

「うん!満開でずっと咲いてるような」

 

「最近は気温が10℃下回るのに桜の木?春の陽気を感じるな…」

 

「…そんな寒いっけ?」

 

「お前も十分厚着してるだろう。とは言っても10℃を下回っているのに咲いているのはおかしいな」

 

「不思議〜」

 

そして風見邸

 

「って先生が言ってたから」

 

「…良い?」

 

「何?」

 

「あそこは暖かいの。暖かいと、桜が春だと勘違いして花を咲かせる。これは虫にもよくあることよ」

 

「へー」

 

その時の幽香さんの顔はよく見えなかった。暖かいとそんなこともあるのかと一人勝手に納得していた。ただ、目の前に出されたコーヒーを無意識に飲んで、にがすぎて吹いたのは記憶にこびりついてる。

 

1週間後

 

「…幽香さん、これなんですか?」

 

「黒い薔薇よ。これを…頭にくくりつけておきなさい。可愛いわよ」

 

「可愛いとは失礼な」

 

「フフッ…ま、私に貰ったと言えばいいのよ」

 

「わかりました〜…で、花言葉は?」

 

「子供への愛って意味よ。まあ、貴方にはお似合いね」

 

「子供扱いしないでくれます?」

 

「良いのよ。大人になってから、子供がどれほど羨ましくなるかがわかるから」

 

「…へー」

 

「そう…そういうものなのよ。もうここに来ることはお勧めできないわね」

 

「?そりゃなんで」

 

「大人の都合って物よ」

 

「…はーい」

 

それからは言われた通り、一年に一度行くか行かないかくらいの頻度で通った。大人になってからあの時もらった黒い薔薇は萎れてしまったが瓶の中に入れてあると言うと嬉しそうにしていた。まあ、結婚したって言ったら落ち込んでたけど。そして季節は巡り数年経った春。

 

「…幽香さん、覚えてます?桜の木」

 

「妖怪の山の?」

 

「…あれ、なんであんなに綺麗に咲いてたんですか?」

 

「…残念だけど、教えられないわね」

 

「そんなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




桜の木って死体の上に植えると綺麗に咲くそうですよ。
でも、仮にそうだとして埋める死体ってどこからでしょうか?
妖怪の山って結構妖怪がいますよね。その上タツナミソウもありましたね。
忠誠心ありそうだなぁ天狗達…
黒いバラの花言葉は調べてみてください。僕知らないんで


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こいしさんと無意識

前回の解説って要ります?要りませんよね?


 

幻想郷のどっか!地底じゃないよ!

 

「うーんこう言うの苦手なんだがなぁ…っとぁ!?」

 

『危ない!』ガシッ

 

「おおっ!?…え?え、え?今の、何!?俺、付喪神でも付いてた!?」

 

『危ないよー!』

 

「…全く分からん…」

 

世の中変なこともあるもんだな…転けたと思ったら何かに引っ張られるなんて…驚きだなぁ。

 

「って時間やべーじゃん。…走るか!」

 

『お礼の一言くらい言おうよ!』プンスコ

 

「ああ、すまん。ありがとな!…?」

 

人里

 

「…すいません遅れました」

 

「え?いやむしろ速いくらいだけど」

 

「マジで!?」

 

「んー…ま、なんか食うか?」

 

「ありがとうございます!」

 

いやーラッキーラッキー。遅刻していない上に飯まで食えるとは。本当にラッキーな朝だ。昼も夜もラッキーなままでいてくれると嬉しいんだがなぁ

 

『私も食べるー!』

 

「…?おっかしいなあ」

 

「どうしたんですか?」

 

「お前、なんか誰かの気配感じないか?」

 

「気配?…さぁ?感じるなら二人分作ったらどうです?」

 

「んな無茶苦茶な…おにぎりぐらいだぞ」ホレ

 

「お、ありがとうございまー…ん?」

 

「やっぱ感じるよな」

 

「視線が…誰かに見られてる気がする…ううっ早く食っちまおう」バクバク

 

『あっひどーい!私も欲しかったのにー!』

 

「…お前なんか連れてきたか?とりあえず視線の正体にはおにぎりで勘弁してもらうか…」

 

『やったー!』

 

「…今日、休みにしますか?」

 

「まあ、休みにしておいた方がいいわな。お前、博麗神社行ってこい」

 

「わかりました…っなんか寒気が…」

 

「やっぱ俺もついて行くわ…」

 

『ん?何事?私も行くー!』

 

だめだ、博麗神社に行ってお祓いしてもらおう…というかそうしないと落ち着いて生活ができない。お祓いっていくらだっけ…

 

博麗神社

 

「…って待ってくださいよ」

 

「え?何よ」

 

「憑いてないって本当ですか!?」

 

「本当よ。憑いてないから祓う必要もない。そういうことよ」

 

「…そんな…」

 

『おにーさんどうしたの?困ってるの?』

 

「…ただ、面倒なのに懐かれてるわね」

 

「え?」

 

『懐かれてる?犬かな?猫かな?』

 

「…でも、大丈夫よ。基本無害だから。好かれれば料理とか作ってくれるかもよ?若い方の」

 

「え、俺!?」

 

自宅

 

「…好かれると、ねぇ…んな馬鹿な」

 

『作るよ!』

 

「…ん?フライパンが動いて…料理作ってくれてんのか?付喪神さんは親切だねぇ」

 

『親切心ー!』ボワァアァァァ

 

「…いや、フランペまではしなくていいよ…?」

 

とにかく、それから付喪神との暮らしが始まった。とは言い難い。たまにいなくなる時がある。流石に毎日というのは駄目なのだろう。色々と…なんて、そうこうしているうちにチラシが届いた。

 

「温泉のチラシだ…場所はちて…地底!?って、まだ何か書いてある…裏?チケットがあるけど…」

 

地底

 

「…ありがとうございます」

 

「良いのよ。それ、あんたに懐いた奴の仕業だし」

 

「良い気になって良いのか悪いのか…」ウーム

 

「良いんじゃない?無料で女の子と温泉なんて、デートそのものよ」

 

『そうだよー!良い気になりなよー!』

 

「やめんか…女の子?」

 

「そう。女の子よ。地底に住む妖怪ね」

 

「…へー」

 

地底の女の子に好かれるとは…なんとも形容し難いことだ…はっきり言って訳がわからん…というか地底の女の子が地上にいるんだね…

 

地霊殿

 

「…って訳なんですけど」

 

「無料チケット…?はぁ。こいしったら…」

 

『あ、バレた?」

 

「すいませんウチの妹が」

 

「え、妹だったんですか?まぁ料理とか作ってもらってるんで満足ですけど…」

 

「今役得とか思いましたよね?殴りますよ」

 

「こわっ」

 

「…なんて。言ってみたりもします。良いですよ。どうぞこちらへ」

 

『ひゃっほーい!』

 

「ああ、それでは失礼」

 

 温泉特有のアレ。カポーン

 

「…ここって男湯女湯別れてたな。混浴なんてのもあったっけ…まるで外のトイレみたいだぜ…」

 

『おにーさぁ!?』スッテーン!

 

「!?誰かいるのか!?」

 

誰だ!?誰だ!?ダダか!?…って誰もいないか。付喪神の子は流石に女湯だろうな。流石に…気にしない気にしない。温泉の水に空洞ができてるなんて知らない

 

「おにーさん!」

 

「…ぶふぁっ」チーン

 

「えぇ!?ちょっと!?」

 

「あ、すま…ん…ってなんで君男湯にいるの?」

 

「?おにーさんと一緒に入りたいから」

 

「タオルくらい着けなさい…どうせだ。混浴行くか?」

 

「言っておくけど混浴は女の人ばっかだよ」

 

「やめておこう…」

 

流石に女だらけのところに行く自信がない…いや、行ったところですぐに出て行くのがオチだ。男湯にいるか…

 

「あ、おにーさん」

 

「ん?」

 

「おにーさんはこいしのこと見失わない?」

 

「いきなり何言ってんだ?…ま、見失わないんじゃないか?」

 

「ほんと!?うれしー!それじゃ…これはただ気になったんだけど…」スッ

 

「おい待てなんだその包丁」

 

「こいしのこと、好き?」

 

「…え」

 

「答えてほしいな。こいしのこと、好きかどうか。私はね、おにーさんに一目惚れしたんだ」

 

「…腰抜けた…」

 

「好きならもちろんおねーちゃんに言うよ?」

 

「って待て待てだからその包丁は」

 

「答えてほしいな」

 

包丁<答えなかったら刺す。好きじゃなかったら刺す。逃げたら刺す。いいから答えろ

 

「ヒェッ…まぁ、嫌いではない…けど」

 

「ほんと?嬉しい!それじゃ、繋がろっか!」ガバッ

 

「え?」ジャバッ

 

…貴重な経験をしたようなしなかったような…幼女相手にやらしいことをしたようなしなかったような…とにかく、疲れは取れなかった。そして地底からは2度と出れなかった。

 

地霊殿

 

「…こいしちゃん」

 

「何?」

 

「椅子に括り付けるのはないでしょうよ」

 

「だっておにーさんを見失ったら怖いもん」

 

「それならずっと付いてくれば」

 

「それだ!」

 

あ、墓穴掘った

 

 

 

 

 

 

 




結婚は人生の墓場っていうらしいですね。
で、前回の解説って要ります?


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寅丸さんと寝る人

星ちゃん…
許して…許して…
忘れてたの…


 

命蓮寺

 

「…あれ、もしかして命蓮寺メンバーで男捕まえてないの私とぬえとマミゾウさんくらい?」

 

「うん、そうだね」

 

「ナズ、あなたいつ男捕まえたんですか?」

 

「前言っただろ。5話くらいに」

 

「誰も覚えてませんよそんなふっるい話!」

 

「はぁ!?」

 

おのれナズーリン許すまじ。

なにがとは言いませんが悔しいですね…魔女の宅急便見逃した時並みに悔しいです。

あの時録画してなかったし…

 

「…すいません、横いいですか」

 

「ああ、どう…誰ですか?」

 

「眠りたいんですが良いとこがなくてね。里を追い出されたばっかだし」

 

「…ご主人、チャンスだよ」

 

「なんでいきなりそういうこと言うんですかナズーリンは!いじわる!」

 

「ふぃー…あ、そうそう、お金。寝させてもらうお礼」

 

「…い、一万円…」

 

「一回寝るだけで一万円…」

 

「ま、寝させてもらうだけだから…おお、ちょうど良い。このタイルの上で寝させてもらう」ゴロンッ

 

「…って!そこねちゃダメです!馬が通りますから!」

 

「おうそれはやばいな…」

 

「逃げるぞ馬ぁ!」ヒヒーン

 

「まーってくーださーいよー!」ブロロロロロ

 

「…何あれ」

 

「同じ意見です」

 

「あれ見てると頭痛がしてくる。ご主人、私もう帰る」

 

「行ってらっしゃいです…疲れた〜」

 

「…そういやもう18時か」

 

「そうですよ〜…あ、屋根行きます?」

 

外の世界にある『らぶこめでぃ』には屋上で身体を焼くと聞いたので実践してみましょう。

…あれ、違う、お部屋でおねんねするだけだった。

まぁでも屋根の上も気持ち良いから問題なしですね!

 

命蓮寺の屋根の上

 

「風が気持ちー」

 

「そよ風ですね〜…そういえば聞いてくださいよ」

 

「おうなんだ愚痴話ですか」

 

「…さっき一緒にいた子、私より先に男捕まえたんですよ」

 

「男ねー…どう見ても妖怪なのに?」

 

「そうなんですよ。全くナズーリンのなにが良いんだか…私は認めませんよ!」バンッ

 

「あんたは娘の結婚に反対な親父かよ」

 

「だって!だって!何処の馬の骨かもわからない奴にナズーリンは任せられません!」

 

「しっかりしてそうだったけどねぇあの子」

 

「後単純に私より先っていうのが気に食わない!」

 

「私情じゃねえか」

 

「…良いですよーどうせ私は虎が化けた女ですから〜」

 

「…そういや気になったんですけど」

 

「?」

 

「虎が女になったとして、服着る必要あります?」

 

「毛皮とかがない状態は寒いんですよ。色々と…」

 

「…そういや名前聞いてねえや」

 

「寅丸星(とらまるしょう)です」

 

ていうかこの人なんでそんなこと聞いてくるんだろうか。

わからない…ま、良いか。こういうことに意味ないもんですから。

ナズーリンみたいに小賢しくなさそうですし…

 

「…明日またここで寝ようかな〜」

 

「おや、明日は雨ですよ?」

 

「ほんと?それだと…俺そもそも住む場所ねえや」

 

「…泊まって行きます?」

 

「良いよ良いよ。妖怪寺で寝たら呪われそうだし」

 

「まああながち間違いではないですね」

 

命蓮寺

 

「はーっはっはっはー!うわっと。一番風呂は俺のモンだぁー!」

 

「なにをー!」

 

ガララッ

 

「…一緒に入ります?」

 

「ちくしょぉぉおぉぉぉぉ!」

 

1週間後

 

「…彼、来ませんね。もうそろそろのはずなんですけど」

 

「?…ご主人、もうそろそろってなんでそんなことわかるんだい?」

 

「あ、たしかに」ズルズル

 

「おいやめろ宗介…」

 

「久しぶりだなぁ労基(ろうき)!寺子屋以来か!?」

 

「はぁ…まったく。変わっとらんなお前は…星さーん、屋根の上借りるぞー」

 

「えぇ!?」

 

「おやおやご主人、1日だけの関係のつもりだったのかい?」

 

「…名前で呼ばれるのむりぃ…」

 

「そんなんじゃ他の人に目移りしちゃいますよ。例えばほら、マミゾウとか。最近話してるの見たよ?(嘘)」

 

「え」

 

「あの人も気に入って」

 

「ナズーリン、それ、本当ですか?」

 

「いや、嘘だよ。でも、このままだと本当に」

 

「なんで嘘ついたんですか?」

 

「…ご主人?」

 

「なんで嘘をついたんですか?答えてくださいよナズーリン」

 

「いや、だってほら、本当に…」

 

「そうでしたか。わかりました…」

 

まさかナズーリンがそんなしょうもない嘘を吐くとは。

親が意外にも早く成長した子供を見る感じでしょうか?…やだ、親ってば私…

でも、悪い気はしませんね。フフッ…楽しみです

 

命蓮寺の屋根の上

 

「…で、なに?」

 

「お前こっから逃げたほうがいいぞ。そして2度とここの奴と顔を合わせるな。こいつら狂ってる」

 

「???なに言ってんだか…俺から見たらお前は羨ましいけどな」

 

「行くなら紅魔の館がいい。あそこは狂っていない」

 

「言った経験でもあんのか?」

 

「まあな」

 

それから時が流れ!時代は変わらず!紅魔館!労基のターン!

 

「…レミリア。雇ってくれてありがとう」

 

「あら、なによ今更」

 

「いいや?別に。感謝の気持ちを出そうと思ってな。我ながらよく出来たと思うよ」

 

「感謝を出すのにそんな勇気がいること?」クスクス

 

「必要だ。嫌な時ほどな」

 

「どういうことかしら?」

 

「特に意味はないけど」

 

「?…それならいいけど」

 

やれやれ。自分でもよく出来たことだ。

ここまで紅魔館にいることがバレないなんてな。ここ狂ってないとか言ってたけど宗介の奴…狂ってんじゃねーか…

ともあれ、これで一件落着だな。嫌な予感はするけど、思い過ごしって奴だろ

 

「ん、お客様ね」

 

「おやまぁ。そりゃ誰だろうかね」

 

「命蓮寺の人よ」

 

「え?」

 

「どうしたの?なにか不都合があるの?」

 

「いや、まぁ不都合しかないっていうかなんというか」

 

「…そう?」

 

「…胃がキリキリしてきた…」

 

「胃薬でも飲む?」

 

「最悪だ…どれくらい最悪かっていうと好きな番組の放送時間が変わって録画失敗した時くらい」

 

「随分と小さな最悪ね…で、なんのようかしら」

 

「…帰りますよ」

 

「帰る?どこに?彼の家はここ、紅魔館よ」

 

「なにを言っているんですか?拠り所は紅魔館でしょうが、帰る家は命蓮寺です」

 

…胃痛と共にやってきた星さんは多分、胃痛と共に去っていくのだろう。

ほら、外の世界の遊びみたいに、ピンクの色したボールみたいに…な。

上で行われてる花火大会は気にしないほうが身のためだな。

 

「…宗介…あの野郎古い情報は古いって言わなきゃわからんだろうが」

 

 

 

 

 




レミリアちゃん…ごめんね…
なーんて知るかよ!ハッハー!
示村宗介くんには感謝しないとね!


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ぬえとチャリンコ男

いちごミルクほど甘く美味い飲み物はないと思います閣下


 

人里

 

「ふんふふんふふーん」ギコギコ

 

「お前チャリンコで来るか普通」

 

「山でも川でもどこへでも。河童式自転車ぞ」

 

「川ってお前…」

 

「さて…で、誰だあんた」

 

「いや酷すぎるだろ…」

 

「…で、誰?」

 

「封獣ぬえ。いつもぬえって呼んでるだろ?」

 

「おお、そうだったそうだった。で、ぬえ。今日はどこに足を運ぶんだ?」

 

「今日は…妖怪の山に行くよ」

 

「何かあったら助けてくれ。頼むわぬえ」

 

「あんたね…私も大袈裟にはしたくないんだからさ」

 

「騒ぎを起こさず観光に?いいんじゃねえの」

 

「ていうかお前そもそも自転車作ってもらってんじゃんか」

 

「…確かに」

 

そりゃ盲点だった。妖怪の山に出入り可能かは知らんが河童のところは良かったんだよな確か。

 

妖怪の山

 

「そこの者!止まれ!」

 

「うわっ」ビクッ

 

「…なんだい、あんた?」

 

「ここから先は天狗の陣地だと」

 

「あっそ…どうでもいいから早く通して?」

 

「断る!」

 

「…ちょい、ぬえ。これじゃ迷惑かけてるのは俺たちだろうが。ほら、早く」

 

「は?なに言ってんだ。観光の邪魔はさせないぞ」

 

「観光でしたら帰りなさい!」

 

「…チッ」

 

「ほらほら、河童のところ行くんだろ。すいませんね」

 

「え?あ、ああ…?」

 

「…なんちゃってね」ボソッ

 

「ぐぇっ」ゴキッ

 

「…?なんか変な音がしたけど気のせいか?」

 

「なに、転けたかなんかだろ。河童のところ…だっけか?」

 

「おお、そういやそうだった」ギコギコ

 

…ぬえってたまにわからないところがあるんだよな。ま、そんなことは置いといて。この自転車乗りにくいと思ったらマウンテンモードにしてないっていう。うーん…ちくしょう。なんだか悔しい

 

「おーい河童どもー」

 

「河童どもとは失礼な。河城にとりって言う名前がわたしにはあるんだが?」

 

「…ほら、なんか用事あるの?」

 

「用事は…そうそう。空飛べたりしないのこれ?ぬえに乗らないと空からの景色が見えないんだけど」

 

「空か…うむ、視野に入れておくよ」

 

「え?嫌なの?」

 

「いやではないんですけどね?」

 

「じゃあ良いじゃない」

 

…なにこの『パンが食えなきゃケーキ食う』に似たような理論は…抱きつきれても出るのはボロボロと崩れ落ちる本音だけだぞ。

 

「…だが自転車で空を飛ぶとは浪漫だ!E.T.だ!」

 

「なに言ってんのこいつ」

 

「そう言うやつなんだよ。ていうか知り合いじゃないんだ」

 

「妖怪の山はあんま来ないからな」

 

「はへー…んじゃ、今日はこれで。今度来た時くらいに計画聞くわ〜」ギコギコ

 

「行ってら〜!」

 

「…羨ましい」

 

「お前に羨ましがる感情があるとはな」

 

「失礼な…叩くぞ」

 

「ごめんなさい」

 

流石に妖怪の一撃は強いからな。ビシーンってやられたら足が埋まる。自転車に乗ってるから尚更…

 

「わたしならいつでも乗せてやるぞ?お前なんか漕がなきゃダメだからな!」フンス

 

「自転車となに張り合ってんだお前は…」

 

「あんたにはわからないでしょうね!一生!」

 

「酷いな!」

 

人里

 

「たまには散歩でぶらつくのも良いもんだ」

 

「ありゃ、飛んだ偶然だね」

 

「なんの偶然だ。俺の家の前にいやがって」

 

「家の前?違うね。わたしはあそこで村紗達を待ってたんだ。でも、現れないから」

 

「現れないからじゃなくて、咄嗟についた嘘だから来なかったんだろ」

 

「…そうだよ!今村紗達は一人の男に夢中でさ!」

 

「ふーん…家上がって行くか?」

 

「行く!」

 

「元気でよろしい!」

 

主人公の家

 

とても眠い。雨も降ってきたからタイミングとしては良いんだがいかんせん自転車が気になる

 

「はぁ…にとりの自転車は防水性だっけか」

 

ドンッ!

 

「うわびっくりした」

 

「…ごめん、転けた。その上腹切った」

 

「お前なんで台所に…って腹切った!?」

 

「うん…」

 

「大変だろお前それ!ってだからなんで」

 

「女子力作ろうとしてな」

 

「…そういうもんか?」

 

妖怪の山

 

「傘と一緒にとんでんころりん」

 

「なに言ってんだこいつ。で、自転車だけどね…空飛ぶのはやはり無理だね。こう、外の世界の飛行機のプラモデルとかがあれば別なんだが」

 

「香霖堂とかに売ってそうだなそれ」

 

…いや、実際売ってんだよな多分。あそこ外の世界の物なら大体売ってるし。やべーよなあそこ…

 

「で、こいつなんだが」

 

「ハッハッハッ懐かれてんねぇ」

 

「河童如きにくれてやるか…!」

 

「笑い事じゃねえよ。ックソー…ま、良いか。帰るぜ」

 

「あいよー」

 

その夜主人公宅

 

「…うーむ。どうにも視線が気になる」

 

コンコン

 

「ん?なんだこの時間に。どちら様ー」ガチャッ

 

「…命蓮寺が煩悩寺になってる」

 

「おうなに言ってんだこの小娘はよぉ」

 

「な、良いだろ?」

 

「良いよ。ほら、布団もう一つ…あれ、ない」

 

「一つの布団で寝るか?」

 

「…明日は休日。俺は徹夜だな…寝れんなこれは」

 

「寝てくれ!罪悪感が半端ない!」

 

「まさかお前に罪悪感があるとはな」

 

「寝てくれ!」

 

こいつ意外なところで意外なこと言うよな。まあ突拍子のない行動は取らないからそれだけマシか…

 

「…わかった。寝るから、静かにしろよ?」

 

「わかってるよ」

 

「そんじゃ…zzz」

 

「…ちぇっいっしょにおねんね作戦が…このためだけに窓から見張ってたんだぞちくしょー」

 

「おい待て賊は貴様だったか」

 

「あ、やべ」

 

「そう言えば良いんだよ。ほれ、入りな」

 

「…やった!」

 

「そうそう。それじゃ寝るから」

 

そう、女の子は素直が1番だ。多分ね…かなり多分だけど。まあ多分…

 

「…じゃあ、付き合ってくれって言ったら?」

 

「素直に言えばね」

 

「んじゃ、付き合って。電撃結婚って奴?」

 

「お相手は元ストーカー」

 

「酷い!」

 

 

 

 

 

 

 




よくわからんけど純愛だろ


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巫女と居候

「えーと…少し前に寝取られた件について」

「お嬢様、主役ではございませんよ」


 

博麗神社

 

「…よう」

 

「久しぶりね。見なさいよこれ。このこうまかん空前の結婚ブーム」

 

「んぁ?とは言ってもお前二人結婚しただけだろ」

 

「…それもそうね」

 

さてこの新聞はどこかが歪曲してんのか元からこの緩やかカーブなのか。ともかく二人だけなのに空前のブームとは…?

 

「文々。新聞も嫌なこと書くねぇ。結婚してない有力者もいるって言うのに…」チラッ

 

「ちょっと待てなんでこっち見た今」

 

「…いや、なんでもない。後お賽銭箱に金入れるから退いてくれるかな。なんで賽銭箱の上で寝てんの?」

 

「落ち着くのよ」

 

「金か。金が欲しいのか」

 

「そうよ悪かったわね!」

 

この博麗の巫女、金にうるさいぞ。多分二千円出してやっとご利益が来るのだろう。外の世界の千円カットと同じような匂いを感じる。

 

「ほれ、五千円」

 

「ごっ5,000円…これさえあれば1ヶ月は安泰ね…」

 

「外の世界で1ヶ月一万円生活ってのがあるんだが知ってるか?」

 

「知らないわよそれ」

 

HAHAHAこの貧乏巫女め金の使い方が器用過ぎる

 

「…さて。そろそろ帰るかね」

 

「なんで?」

 

「は?なんでってお前そりゃ…アレだろ。やること終わったから」

 

「んじゃ、やる事増やせば良いのね?」

 

「…?なに言ってんだか。自転車に乗って帰るんだが」

 

「夜になると妖怪が活発になって時速50kmは出るのよ」

 

「泊まらせていただけないでしょうか」

 

「良いわよ。宿泊費30,000円ね」

 

「くそう」

 

すっかり夜になった上に三万も取られるのか…出費が痛い。水道代とかも別で出たら俺は今月かなりキツくなるんだが

 

「…と!するところだけど、あんたなら今のところ200円で良いわよ」

 

「おお!そりゃありがたい」

 

「…意外、理由聞かないのね」

 

「理由?んなもん巫女さんのことだ野暮用って奴だろ」

 

「巫女…」

 

「そいじゃ、お部屋の案内でもしてもらおうか」

 

「え?ああ、任せなさい」エッヘン

 

「なにを無い胸張ってんだか」

 

「うるさい」

 

「おっとそりゃ失敬」

 

その夜はもうきたので深夜!

 

「アスファルトに咲く…いや、アスファルトを裂く?」

 

「なにそれ強すぎでしょ。アスファルトって幻想郷でも割と貴重なんだけど」

 

「ダイヤモンドよりも希少だっけ?」

 

「いや、それほどじゃ無いわよ」

 

流石にダイヤモンド超えはなかったか。だが本当にそうかな?…妖怪の山とかから取れそうだな…上手い時期に売れば10gでも3000行くかもしれん…」

 

「あっ!足攣った!」

 

「…なにやってんだか」

 

「いや痛いんだよ…さて、寝るとしますか」

 

「おやすみ」

 

「おやすみなさい…って俺布団ないのか」

 

「寝転がりなさい」

 

「くそう」

 

翌朝

 

コケコッコーと聞こえてきそうな朝日が登る時間だ。登り切ってはいない。

 

「あ、そうそう。巫女さん、最近俺…」

 

「…なんでそこで溜める?」

 

「最近弟が付き合い始めたんですよ」

 

「は?」

 

「付き合うってすごいことなんですね…行き遅れ感が半端ねぇ」

 

「え?ちょっとどういうこと?」

 

「…家族の中でお相手いないの俺だけってことです」

 

「私と付き合いましょう」

 

「なに言ってんだ巫女さん」

 

「良いじゃない!よかればと思ってさ!」

 

「あんたとそんな仲良くないだろ」

 

「ただ浮気はダメよ。他の女と喋るのも極力最低限にしてね。それと私を絶対に愛して」

 

「おい、なんで付き合う前提で話が進んでんだつか愛が重い」

 

「後これはできればなんだけど、なにもしなくて良いから私の口移し以外で口の中に食べ物入れないで」

 

「もしもしポリスメン?犬走さん?博麗神社にやべー奴がいまして」

 

…この巫女さんいけない奴だ。アレだ。時間とかなりふり構わず愛してくれとか言ってくるパターンだ。

 

「来ました」フル装備

 

「早いね」

 

「あんた、さっき言ったこともう忘れたの?異性との会話は最小限に。そう言ったでしょ…?」ゴゴゴゴ

 

「…どうやら私の出る幕ではなさそうですね」

 

「ま、待って!犬のおまわりさん待ってください!助けて!」

 

「は?」ガシッ

 

「あうっ」

 

「…失礼しました。それでは」

 

「これは調教が必要ね」

 

「え?調教って…え?」

 

数時間後…ちなみに余談ですけど主人公くん外来人ではありません。

 

「すまんかった」

 

「わかれば良いのよ♪」

 

「おーい!」

 

「チッ」

 

「お客様に失礼だろうが」

 

「霊夢!…あれ?なんか知らない奴がいるけど…良いか。一人行方不明なんだが…曹仁って言ってな」

 

「知らないわよ。行方不明者を探すのは不得意なのよね…」

 

「釣れないなぁ…ま、仕方ないか。それじゃ!」

 

「…邪魔ねあいつ」

 

「ヒェッ」

 

…今思ったんだが俺っていつ帰れるんだろうか…帰れなかったら家族に報告もクソもないと思うんだがなぁ

 

「俺っていつ帰れ」

 

「なにを言ってるの?あんたはずっとここにいるのよ?」

 

「ハッハーこいつぁとんだ世紀の大泥棒だ。大の大人一人泥棒するとはね」

 

「なんだか言ってることはわかんないけど結婚はOKってこと?」

 

「まぁ、多分」

 

「それならよかった」

 

「…ああ、そうなると新聞屋にも言うのか。俺もなんか一言欄くれるのかな」

 

「くれるんじゃない?」

 

「…博麗の巫女が知らない男と一緒にいると聞いて」

 

「情報が早い」

 

「それほどでも」

 

「…あんたわかってんの?」ニコッ

 

「本当に申し訳なく思っております…」

 

「え…妻が家庭の全てを握っていると言うことで?」

 

「いや、別にそう言うんじゃ」

 

「はい!その通りです!」

 

「…ちょっと来なさい」

 

「え?」

 

その後、俺は文々。新聞の前に現れることはなかった。亀甲縛りで上に吊るされている。エロとか思う奴がいるだろうがこれは元は拷問器具だ。つまりどう言うことかって?今から見せてやるよ。覚悟しな

 

「お仕置きの時間よ。ほいっ」ブンッ

 

「目が回って血管の中の血が偏って力が上手い具合に入らん」

 

「…とりあえず20回コースね。こればっかりは絶対止まんないから」

 

「え?」

 

 

 

 




地獄見てんなぁ…(他人事)


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大図書館と小悪魔と協定

おいそこの若いの
俺の言うこと聞いてくれ
とりあえず焼きそばパン買ってこい


 

図書館

 

「まさか誘拐されるとは思わないじゃん?」

 

「まさか図書館にいるとは思わないですね」

 

「…ま、どーでも良いさ。車椅子ぶっ壊れたし。逃げるの無理〜」

 

「ぶっ壊れたんですか?」

 

「おうよ。外の世界からのお友だったんだが…椅子として使えるからな」

 

「へ〜…」

 

うーん、小悪魔さんは何故助けようとしないのか。そして平然とゲーム機を持ち運ぶ小悪魔さんさすがと言うかなんというか呆れると言うか。

まるで俺がここにいて当然的なあれだと思ってんのか。

多分そうだな…ってファミコンかよファミコンとか懐かしすぎるわ

 

「ファミコーン!」

 

「いいえ、ファミコンに擬態している…PSです!」

 

「擬態が擬態のレベル超えて細胞レベルで擬態してんだろこれ」

 

「元素レベルで擬態してます」

 

「それはPSの皮被ったファミコンだろ」

 

「あ、後パチュリー様が呼んでましたよ」

 

「…車椅子」

 

「ああ、それですが…ピピっとな」ピッ

 

ベッド<トランスフォーム!

 

「おお!近未来的!ワンタッチ!」

 

「と、言うことで。行ってらっしゃーい」

 

「あいあいさー」

 

数分後

 

「…パチュリーさんこれ電動?」

 

「河童式電動型車椅子よ」

 

「すげぇ。漢字だけ見ると何言ってんのかさっぱりわかんねぇ」

 

「…で、本題だけど」

 

「ハッハッハッ本題しかねえじゃねえか」

 

「あなた、好きな人とかいるの?」

 

「ハッハッハッ面白いこと言うねぇ」

 

「こちとら結構真剣なんだけど」

 

「…好きな人でしょ…あー、こう言うのあんまなぁ。一緒にいてドキドキするーって奴でしょ?」

 

「まあそうね」

 

「うーん…なぁ…あ、居るっちゃ居る」

 

「そう…それが私じゃないとしても、聞かせてもらうわ。私と付き合ってくれる?」

 

「…どこまで?」

 

「人生の最終地点まで」

 

「言い回しが好きだねぇ。国語科50点は取ってそうだね」

 

「本の読んだ数と知識は比例しないわよ」

 

さてパチュリーさんが変なこと言ったんだがよくわからないドラゲナイ。

果て俺は世間一般で言われるアレだな。告白ってのを受けてんだな。

…なんだろう、断るとものすごく罪悪感で押しつぶされそうな感じがしてならない…

 

パリーン!

 

「ワオ」

 

「もうバレたのね!だがしかしそこはすでにトラップ魔法でアリジゴグよ!」

 

「ここでもうワンステップ!」ビュンッ

 

「消えた!?」

 

「…ドラゴンボールで線すら追えないヤムチャの気持ちがよく分かる…」

 

「小悪魔!」

 

「了解しました。行け、ファンネル達よ」

 

「待て、ファンネルってなんだオイ」

 

「追尾型の弾幕発射マシーンよ。自ら弾幕を発射するの」

 

「新時代だな」

 

「待てパチュリー!抜け駆けはダメだと協定結んだだろ!」

 

「…協定?」

 

「それは今日限りで辞めさせてもらうわ!私と協定を結びたかったら契約でもすることね!」

 

「それは遠慮するって言うか邪魔!」ゲシッ

 

弾幕発射機<ピチューン

 

ハッハー狂ってきやがったぜ女の子がよぉ

…いや、んなことよりおかしいところがいくつかあるぞ?まず協定ってなんだ。

契約ってなんだ?僕と契約して魔法少女になってよってか?本体が月とか別の惑星にいてってやつか?

 

「とりあえず…告白に対する答えを考えるか」

 

どこからともなくやってきた糸がパチュリー様の体を縛った!

 

「あらパチュリー、私を忘れないでくださる?」グイッ

 

「アリス…!」ビシッ

 

「ナイスだアリス!」

 

「あ、これドラクエにあった魔法だ」

 

「さて…抜け駆けしたのは許そう。だが…答えはどうだった?」

 

「まだよ!」

 

「…おい、曹仁。答えてくれ。私かアリスかパチュリーで誰と付き合うかを」

 

「あれ、もしかして私除外されてます?」

 

「小悪魔はゲームの仲間だろ」

 

「…それもそうですね!」

 

「え、えぇ…?とりあえず…答えなきゃ行けないこと?」

 

「ダメだな。答えるまではどこにも行かせん」

 

「マジかぁ…うーんとなぁ…んー…?フラッシュ」

 

「は?」ピカー

 

「あぁっ!?目がぁ!」

 

「正にムスカ大佐だな。えーとあとは…あ、もう何にも読めねえや。フラッシュしかできん」

 

「ぐっ…!ぬんっ!…これはどう言うことか説明してもらおうか?」

 

「…実験?」

 

「OK私たちは曹仁になんとも思われてないことが判明した」

 

…これで諦めてくれれば良いんだがね。

そもそも、俺と付き合うなんてことが実現してみろ。

天変地異が起こるくらいの確率の中で天草四郎が踏み絵の上でタップダンスを踊りながらキリスト教の奴らに進軍するくらい世の中が驚きひっくり返るぞ。お茶の間も凍るけど。

 

「ま、どうとも思ってないってことはないのさ。一応、みんなを平等に好きだと思ってるし」

 

「それは平等に扱ってると言う」

 

「そうよそうよ」

 

「あんた監視と管理くらいしか脳がない人形使いでしょ」

 

「魔理沙、殺して良い?」

 

「知るかボケカス」

 

「…ま、全員お世話になったし。アリスさんには弁当でしょ?魔理沙には住処、パチュリーさんには魔法の知識。恩人は恩人のま」

 

「おっとどこへ行く?」

 

「しれっと私省いてましたよね。絶対今省いてましたよね。泣きますよ」

 

「ほら見なさい女子力だってあるのよ」

 

「それでようやく管理が消えたくらいだ調子に乗るな」

 

「…なんだろう、殴りたいこの笑顔」

 

なんだかみんないつも通りだなぁ…誰だこれ修羅場とか思ったやつ。

あ、誰もいねえや。さて…恋愛とかそんなものよりゲームだ!

HAHAHA!

 

「さてさてゲームをしに」

 

「あの、私のことは」

 

「小悪魔さん?小悪魔さんは…好きですけど?」

 

「…パチュリー、メリケンサック」

 

「…ふぅ。使い魔如きに遅れを取るとはね…」イラッ

 

「魔理沙、聖印の筋肉増強魔法よ」

 

「ありがとう」

 

「え、なんか魔理沙さん怖いですよ?ちょっまっ」

 

そのあと、小悪魔さんが避けて俺の背骨にヒットしたのは秘密

 

 

 

 

 

 




二人は幸せに背骨を折って終了なんてエンド、二宮金次郎でも勉強をやめて遊び呆けるどころか笑い狂うレベル


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26話

鼻ほじりながら考えてたんですけど多角形洗濯機って100角形にしたらほとんど今の洗濯機と変わらないんじゃないんですかね?
つまり円をかっこよく言うならインフィニティ角形…!?
逆にダサい!


 

妖怪の山

 

「ソーラを飛ぶー鳥でーすよー」

 

「天狗ですよ」

 

「んま、文ちゃんてば上司に向かってひどい言い方。パワハラするよ」

 

「んな冗談じゃない」

 

妖怪の山には役職があり、部署がある。部署には当たり外れが多い。特にハズレが。まぁ部署変わってもやること変わらないけど。

 

「しっかしまぁ大変だねぇ…俺みたいな中途半端な奴が部長の部署に入るなんて」

 

「イヤーパワハラセクハラないだけマシですよ」ハハハ

 

「…そう?ま、俺の部署ほとんど俺が仕事回してるから誰がどう動こうが怒られんのは俺だけどね」

 

「理想の上司!」

 

「ただ、文ちゃんにもできることはやってもらうよ。手紙の配達とか」

 

「いや、部署が部署なだけ仕方ないですけど…手紙の配達って」

 

「速達とかは文ちゃんに頼むからさ。よろしく」

 

「…わかりました」

 

「頑張ってね」

 

…そういえば妖怪の山は外の世界のカイシャなるものを真似てこの妖怪の山の縦社会を作ったと聞くが本当だろうか。そしてウチの部署はそもそも仕事が来ないから回すこともできないのだが。

 

「…山に侵入者が入ってきたよ…なんちってね」

 

「それ、マジです」

 

「うっそぉ白狼天狗ちゃん本当!?ちょっと俺出てくる!」

 

妖怪の山の麓

 

「…ありゃりゃ…ちょっとひどいねこれ…」

 

「ぉおぉぉおぉお!」

 

「雄叫びかよ…と思わせておいての足蹴りぃ!」ゲシッ

 

「…なにやってんだこいつ…」

 

「しゃべったぞこの侵入者!?ということで…武器忘れた…」

 

「うがるるるるる」

 

「えーい成るようにしか成れ!河童発明のリモコン下駄ぁ!」ブンッ

 

リモコン下駄<かがくのちからってすげー

 

「うぐぁ!?」ヒット

 

「…獣と妖怪って言葉にするとほとんど同じような叫び声するな…下顎ヒーット!」

 

「…あの、すいませんトドメ刺すんですけど」

 

「あ、どうぞどうぞ」

 

トドメ刺すから功績はこの子だね!途中からこの子が介入してきた的な感じにしとけば俺に仕事が回ってくることはない!よし、それじゃあ帰るか

 

翌日

 

「…え?」

 

「いや、ですから。あなたが先日の侵入者を瀕死に追い込んだということで」

 

「…キャンセルで!」

 

「無理です!」

 

「文ちゃんなんとかして!!」

 

「なんで私に言うんですかしがない新聞屋ですよ!?」

 

「べっつにさー…ボランティア精神で行っただけよ?白狼天狗の子が倒したのよ?あの…ほら、犬走椛って子。あの子が駆けつけてくれたから」

 

「言い訳は良いですから早くきてください!」

 

「ヤメローシニタクナーイ!」

 

表彰式

 

「えー貴殿はうんぬん」

 

「…やっほ白狼天狗ちゃん」

 

「調子悪そうですよ」

 

「あたり前田のクラッカー。侵入者を撃退するのなんて30年ぶりだしスーツ着るのなんて28年ぶりだぞ…」

 

「へー…」

 

「…今すぐ液体になりたい」

 

「辞めてくださいよ?」

 

戻って妖怪の山のどっかの部署!

 

「…はぁ。みんな〜…ああそうだ俺だけ残業だった。なんで侵入者を倒したのに被害の申告書俺が作らなきゃならんのよ…」トホホ

 

「お疲れ様です。お茶ですがどうぞ」

 

「ああ、ありがと…ん?」

 

そういえば最近ウチの部署に入りたがる天狗達が多いんだよな…白狼天狗ちゃんもいるし…そうすると他がなぁ…どうすべきか

 

「部長、そろそろ休んだほうがいいですよ。新聞にはちゃんと書いときますんで。残業ゼロ部署、部長は残業ゼロではなかった!?」

 

「力入れてんなぁ…でも、俺の中での残業は徹夜して初めて。まだ日すら登ってないのに残業とは情けない」

 

「???」

 

「…とは言ってもそろそろ限界かぁ…ってあれ、文ちゃんまだいたの?」

 

「え、気がつかなかったんですか?」

 

うん。気がつかなかった。と言うか普通に気づけなかった。暗殺のプロかあんたは

 

翌日

 

「おーい白狼ちゃん。ちょっとこの資料頼める?」

 

「あ、はい…あれ、これって仕事ですか?」

 

「文ちゃんに脅されちゃってね。寝なきゃ寝させるぞって。まぁ出来なかったら別に良いからさ」

 

「あ、いえ。あまりにも仕事がなかったものでして」

 

「…もしかして仕事あったほうが喜ぶ?」

 

「そう言うわけでは」

 

「…一人一仕事振り分けれるほど仕事来ないんだよなこの部署…」

 

いや、それは別にどうと言うことではないか。

 

「あ、いえ…恩返しにさせてください!」

 

「…恩返し?なんのこっちゃ。でもやってくれるなら助かるよ。がんばれー!」

 

「はい!」

 

「…最近、この部署も少しずつ仕事が部下にも回るようになったわね」

 

「流石にそうしなきゃ上からお叱りが来るんでしょう」

 

「天魔様から?あんなの見掛け倒しよ…」

 

「…ごめん、仮眠施設ってどこだっけ」

 

「うぇっ!?すごいクマですよ部長!?仮眠施設は…案内したほうが早いですって!」

 

「うん…ちょっと頼む」スタスタ

 

「…ウチの部署っていろいろとやべーな」

 

別の部署

 

「…今度人気投票があるらしいわね」

 

「人気投票っていうかあるでしょ。部長の人望って奴」

 

「まぁ偏りすぎて面白くないけどねー」

 

「そりゃああんたねぇ…」

 

戻った部署

 

「…あー…あの疲れ切った部長見てどう思いましたか椛」

 

「はっきり言って無茶苦茶にしたいです」

 

「ファンクラブがバレてないのももはや奇跡ですよ」

 

「案外気が付いてないフリでもしてるんじゃないですかね」

 

「にとりさんはどう思いますか?」

 

「え…ウチに来る盟友みたいにやべー女と絡まなきゃ良いと思うけど」

 

「ですよね」

 

「…休憩時間終わったから戻らねば…」

 

「部長!?」

 

「ハハハ…まだ寝てたほうがいいですよ」

 

「いや、それでも河童ちゃんに迷惑を」

 

「強制拘束モードオン」

 

機械<貴様の罪を数えろ

 

「…十日間睡眠モード。よし、これで十日は眠る」

 

「1日でいいですよ」

 

「ん?そう?」

 

…なんだか頭が痛くて話が聞こえん。耳の衰えを感じる…天狗って言っても俺なんか羽ないし。そもそも能力ねえし。そんなのが部長になれるなんて奇跡だろ…

 

「帰ったかな?…さて。厄介なのに目をつけられたねぇ部長さん。あの子達とは真面目に向き合わないと面倒なことになるよ」

 

「ぁ…?」

 

「おっと聞こえないんだった。後で伝えればいいか」

 

「おい」

 

「…機械の不具合か…!?」

 

 

 

 

 

 

 




…天狗の縦社会ってめんどくさそうですよね。
当たり部署内での恋愛、始まります(継続未定)


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小町と酒売り

前回の続きなんてなかったんだよ。
そう、それは元からなかったんだよ。
元はなくても次から出てくる可能性はあるんだよ。
要は純愛なんだよ


 

人里

 

「…まずい!」

 

「安い酒がうまかったら不条理だよ!」

 

「でもさ〜…上司の愚痴のお供にすらなりゃしないじゃんかこれ」

 

「小町…俺にそれ言っても仕方ねえよ…」

 

「高い酒!タダで!」

 

「無理だ!!」

 

何言ってんだよこの客。常連で友人ではあるが客としては面倒な奴だ。ここ居酒屋じゃねえんだよ。呑み所なんだよ。

 

「…ちょいちょい」

 

「どした?」

 

「こっち来て。こっちこっち…」

 

「いい加減にしてくれよそろそろ眠れなくなるからよ…」

 

「ひっひ〜…ぱふぱふの刑!」パフパフ

 

「ブフッ!?けほっけほっ!?あぐっけほっ…何してんだお前!?てか離せ!畜生眠た過ぎて力が入らねえ!」

 

「このままアタイのおっぱいで締め付けてやんよ…」グググ

 

「あ〜死ぬ〜!やめろ!俺ドギマギしちゃうから!やめろって言ってんだろうが!」アッパー

 

「ほがっ!?」

 

翌日

 

「なあ…」

 

「ん?どうした小町。なんかあったか?店はまだ開店時間前だが」

 

「私昨日酒飲んでからをよく覚えてないんだが何した?」

 

「ぱふぱふしてた」

 

「何を?」

 

「俺の頭」

 

「…え、なにそれ…私知らない」

 

「記憶にねえならそういうこったろうよ」

 

それにしても最近ストーカーに悩まされてる。しかし小町に言うと面倒なことになりそうだから言わない。ものすごくだるそうだから。

 

「…お、キタキタ。今日のルパン○世は…」

 

「名前もろで出してくるね」

 

「ルパンと峰不二子の関係がとうとうわかるのか…?」

 

「え、そうなのかい!?」

 

「…俺も峰不二子になりてーなー」

 

「怪盗に盗まれるのを御所望かい?」

 

「ハニートラップって奴」

 

「んな馬鹿な」

 

失敬な。馬鹿ではないぞ。多分だが。丁度いい575が出来た…小町作にしといてどっか飾るか

 

「あんた今嫌な考えしてないだろうね?」

 

「しとらんわ」

 

それから数日後

 

「はい妹紅さん、これね」

 

「…なんで妹紅にだけ」

 

「何羨ましがってんだか。昨日渡したろうに…」

 

「そうだったか?ま、良いか。あと、布団は二人用だと寝る時に余裕ができるんだってよ」

 

「あ?布団は二人用?知らんがな…」

 

「あとは…金運をあげたいなら西だよ」

 

「あ、マジで?」

 

「そうだよ。スゲェだろ」

 

「いや、なんで俺の部屋の間取り知ってんの?」

 

そう言うと、なんだかその場の空気が凍りつく。妹紅さんでさえ凍りついた。妹紅さんは「乙女話」なるものをしているらしい。

 

「…うわっ」

 

「zzz…」

 

「ノリノリだったのに寝てる…!?」

 

数ヶ月が経ち

 

「…最近、ストーカーに遭ってるんだ」

 

「ストーカー被害?自意識過剰だろ」

 

「そうだといいんだけどさ。視線の先には誰もいないって言うのがあったし」

 

「おーそりゃ怖い。死相でもそろそろ見えてくるんじゃねえか?」

 

「やめろ縁起でもない…」

 

そして数年が経つ

 

「…お、小町。今日も不味い酒飲むか?」

 

「ばか言え。そんな冗談、もう言えないだろ」

 

「んぇ?」

 

「お前、死相が出てるぞ」

 

「死相が…ってことは俺ってもうすぐ死ぬってこと?」

 

「ああ。そう言うことだ。しかも病気でも寿命でもない。殺されて死ぬんだ」

 

「殺されて…ねぇ。殺されて死んだらこの店どうすりゃいいんだか」

 

「そこでだ。あんた、あの世であたいのサポートやらないか?」 

 

「サポート?…やめとく。他人をサポートする歳じゃねえよ」

 

「競技だったら舞台裏の人間になってる歳だろ」

 

「…そう?」

 

「ああ。ま、常人基準だけど。で、サポートしてくれたり、すんのかい?」

 

「サポートね。やめとくよ。辞退する…俺は小町を支えきれないからな」

 

「…じゃあせめて隣にいるってだけじゃ」

 

「それも無理だ。死んだらさっさと閻魔様の裁判受けてどうにかなんのさ」

 

…て言うか小町はなんでこんなことを聞いてきたんだ?死んだあとなんてどうでもいいだろうが…不味い酒でも飲むつもりかてめー

 

「それじゃ、今日あんたの顔に死相が見えたのは当然だったな」

 

「…は?」

 

「時間が経てば経つほど死相がわかりやすくなるんだ。お前は1番わかりやすくなってる…かっこいいよ」スッ

 

「…おい、小町、なんだその構え…おまっやめ」ザシュッ

 

「…こいつの魂、泥棒しちゃったけど…ま、いいか。プリンス…違うな」

 

テレビ<ルパンルパーン!

 

「…!プリンセスは頂いた!それじゃ、こっちに来い」

 

「…あ…」

 

「うわっ…魂ないのになんで生きてるんだ…?」

 

「こ…じょう…」

 

「根性かい?そりゃすごいな。さて、さっさとあの世に行くぞ」

 

「待って…」

 

「誰が待つもんだか。行くよ、愛しい旦那さん?」

 

「あ…だ…な…?」

 

「魂でほしゃべるな。さて、さっさと寝かせてあげますかぁ!」

 

この後裁判所では一人の死神と一人の人間が消え去り、その場に勝ったメモから部屋の持ち主が犯人ではという人間がいたようないなかったような。

 

 

 

 

 




お参り様の
墓参り
多分これも次がある。
行き詰まったら出す


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橙ちゃんと外来人

うるせー
主人公なんて元から居ねーんだよ
全ては仕組まれた子供なんだよ。
恐るべき子供達計画なんだよ


 

幻想郷のどっか

 

「…ここどこだよ」

 

「え…なんで人里の外に人間がいるの?」

 

「知らん。知らんが、とにかくここどこだよ」

 

「知らないよ」

 

「それじゃあ誰も知らねえのか…ん?お前なんか尻尾付けてんな。猫耳も…コスプレイヤー?」

 

「妖怪化け猫です」

 

「…?」

 

「猫妖怪です」

 

「…!そういう設定か」

 

「実物ですよ!」

 

…そういやこんな感じにこいつとは出会ったんだ。そうそう。それから数年であいつの性格がこんなヤベー感じになるとは思ってなかったけど。

 

数年後 マヨヒガ

 

「…あのなぁ橙。俺はただ病院に行っただけで」

 

「それを口実に女性とお喋り…ですよね?橙知ってますから」

 

「話が通じん…だからさ、俺は骨折したの。だから」

 

「どこで骨折したんですか?」

 

「ん?…階段で転げ落ちてな。神社の長い階段」

 

「そうですか。なんでわたしにはなにも言わなかったんですか?」

 

「お前最近せっせとなんかやってんじゃん。邪魔したら申し訳ないなって」

 

「そんな心遣いでわたしに言わないなら要りません」

 

「…」

 

「毎日言ってますよね?橙以外の人を目に写すな、喋るな、接触するな。言ってますよね?」

 

「でもそしたら他人と会話ができなく」

 

「私以外の誰かと喋るお口なら剥ぎ取る必要がありそうですね」

 

「!?」

 

今ではこんなクレイジーサイコなヤベー奴に…あの時はよかったのに。ここ数年でなにが違ったのか…わからん。わからんが知らん。それに知ってもどうもできねえし

 

「要らないんですよ。大丈夫です。喋れないのは辛いですよね?手話を橙と一緒に習いましょう」

 

「ちょっお前ハサミ近づけてくんなって。分かったから。でもその代わりだ」

 

「その代わり?あなたにそんなことを言う権利なんてないですよ?」

 

「…たまに、9個の尻尾持った女の人がいるんだ。その人は」

 

「絶対にダメです。絶対に。いいですね?」

 

「お、おう…分かった」

 

「でも、そうですね…目に入れるくらいなら許します。接触なんてしたら…刺しますから」

 

「わ、わかったってば…」ビクッ

 

「ずっと、一緒ですから」

 

「分かってるよ。恥ずかしい」

 

「恥ずかしいなんて初々しい」

 

「なんで初々しくなるんだよ」

 

全くわけわからん。あいつは今日お使いにいくらしい。そういえばあったな…確か、はじめてのおつかいってのが。懐かしいな〜外の世界。

 

「あーもう思い出せねえなぁ」

 

「それじゃあ行ってきます!」

 

「行ってらっしゃーい!」

 

数分後

 

「…帰ってこないか。数分経って帰ってこないのは忘れ物がないってことだな…今は居間にいます…クッあともう一捻りで4回ダジャレ言えると思うんだけどなー」

 

「ただいまですー!」

 

「うおっ」

 

「どうして驚くんですか?」

 

「いや、もうおつかい終わったのかって」

 

「早いでしょ!妖怪ですから!」

 

「偉いな。褒美のなでなでじゃ受け取れ〜」ナデナデ

 

「えへへ〜♪」

 

「…ん?買ってきた物どこで渡すんだ?」

 

「ここで!」

 

「…橙、お前なにしてるんだ?」

 

「この人は私の旦那さんです!絶対に渡しませんよ」

 

「いや、知らないけど…」

 

「…なんだかよくわからんが眠気が」

 

「ねちゃダメです!」ドンッ

 

「はうっ!?ひざ、膝はダメだって…」

 

「橙…」

 

「すみまちぇん…」

 

そして永遠亭へ

 

「骨折です」

 

「なんで!?」

 

「なんでもクソもあるか。目隠ししてきてる方がなんでだよ」

 

骨折しました。主にこのクレイジーサイコなこの子のせいで。ね!俺悪くないから。名前伝えるだけで足踏んでくるから。尻尾で膝突いてくるから。

 

「…入院は」

 

「拒否で」

 

「…いや、入院した方が治りが」

 

「拒否します。帰りますよ!」

 

「おう…そんじゃ帰るか。松葉杖は…」

 

「ああ、松葉杖ね。これよ」ホレ

 

「ああ、あざます」

 

「は?」

 

「…帰るぞ」

 

マヨヒガ

 

あーもうやらかした。マジでやらかした。感謝の言葉一つ出来なくなるぞこれ。

 

「なんであの時ありがとうって言ったんですか?でも触れ合ってたし」

 

「いや、それは人としてのマナーっていうかモラルっていうか」

 

「そんなこと言うお口は要りませんよ?良いんですね?切り落としても…」

 

「は?いや、それは流石に」

 

「んじゃ、切りま」パシンッ

 

「あ…え…?口がある…」

 

「なんですか藍しゃま」

 

「なんでもクソもあるか。それ以上やったら紫様が黙ってないと警告しに来たんだ。注意しろよ」

 

「はーい」

 

「…けほっけほっ…ひー心臓に悪い…」

 

「でも、お仕置きはどうすれば」

 

「なにも口を切らんでもお仕置きはできるだろう。痛みを与えるとか」

 

「ああ!」

 

ああ!じゃねえんだよ、嗚呼…だよ。こちとら口で寿命削ってんのに痛みで寿命削られたら三年くらい消し飛ぶよ。かすり傷が致命傷になるよ。やすり傷だよ

 

「えっとこれは俺の意見ってのは」

 

「ないですよ?…五感の一つをなくすと他の4つに集中するらしいので…目隠し」

 

「ちょっとなにをしたいのか全くわかりませんね」

 

「そして〜…藍しゃま、もう帰って良いですよ」

 

「ああ、見張る必要はなさそうだな」

 

「ちょっと橙?なにをする気で」

 

「すー…ていっ!」バゴッ

 

「あがっ!?がっ…頭が…!」

 

「次行きますよ…せいっ!」バシーン

 

「だっ!?ハリセンかよ!?」

 

「よくわかりましたね。痛いですか?」

 

「クッソ痛いわ…」

 

「そうですか。でも、仕方ないですよね。あなたが悪いんですから」

 

もうこれクレイジーサイコパスな妖怪じゃん。普通のハリセンだよね?鉄製じゃないもんね?多分内出血したよこれ。

 

「さて、次は威力増強ハリセンで行きますよ」

 

「は?ちょっまっ」

 

パシーン!

 

隙間

 

「…藍、これって良いの?」

 

「死なせなければ良いのでしょう?」

 

 

 

 

 

 

 




紫様と藍様がジンとウォッカに見えてきた。
コナンの見過ぎだバーロー


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仙人と邪仙と男 2

華扇ちゃんのことすっかり忘れてた。
青娥さんに寝取られそうな性格だもんねあの人


 

華扇宅

 

「…あのね。俺自身動きたいわけよ。こう…パーッ!と。拘束とけりゃ動くのよ」

 

「???何を言っているんです?邪仙に毒されてはいつしか気がつけば青娥の元に…なんてこと、あったら」

 

「やめろ怖い」

 

コンコン…と、なんか変なノック音がする。ピザでも頼んだのだろうか。まぁなんだか知らんがそれに出るはずだろう

 

「はいはい…」

 

ほら出た。あとこの拘束キツイ

 

「…もうこれただの恐怖だよ…ああ怖い怖い。人間ってのは怖いし仙人も怖い」

 

玄関

 

「青娥…なぜここへ?」

 

「あら…ここには美しい殿方がいると思ったのだけれど…?」

 

「あなたは自分が好きなのでしょう?早く人里へ行って男でも捕まえてくれば良いじゃないですか」

 

「返す言葉はないけど…退いてもらえる?」

 

「なぜ退くのです?目的を言いなさい」

 

「美しい殿方を見つけに…」

 

「そんな殿方、居ませんよ」

 

その頃居間

 

「うわっなんだお前びっくりした…」

 

「青娥に頼まれてきたぞー…縛ってるやつを取ればいいんだな?」

 

「あ、ああ。それ頼む」

 

「よーし…あぐっ」バクバク

 

「…食べるねぇ…」ヒキッ

 

「ぷぅ…よーし、じゃあ脱出するぞ」

 

「おう。そりゃありがたい」

 

…ところでこいつ、俗に言うキョンシーだよな?それに青娥…あの噂マジだったのか。まぁ助けてくれるなら誤差だよ誤差

 

「こっちこっち」

 

「あ?そっちは玄関だろ」

 

「青娥が連れてこいって」

 

玄関前

 

「帰りなさい!」ガララッ

 

「…やっぱり気がつかないものなのね。芳香ちゃんよくやったわ〜」ナデナデ

 

「お〜」

 

「あのままあそこに居たらブクブク太るところだった…」

 

「フフッ…やっぱり?それじゃ、人里に戻りましょうか」

 

「はいはい…」

 

その頃華扇宅

 

「さて…すいませんね…いない…まさか青娥…!?」

 

人里

 

「ありがとうございました」

 

「良いのよ。それより、今度は本物の二万円。まぁ今月はバイトもあまりできなかったでしょうから、これで凌いでね」

 

「何から何までありがとうございます…」

 

「…それじゃあね」

 

「はい。また今度」

 

…青娥さんがあそこで助けてくれなかったら普通に太るどころか飛び方を忘れた鳥になるところだった…あぶねーあぶねー。

 

「…さて。バイト先の店長に謝りに行かなきゃな…」

 

どっかのうどん屋

 

「店長〜」

 

「うぇ!?お前どうした!?そんなオンボロな服装で!?」

 

「仙人に捕まって拘束されてた…やっぱり束縛の強い女は嫌だね〜」

 

「そ、そうか…それなら仕方なかったか。お前がいない間に仙人様が訪ねてきてよ。あのー…ほら、巷で邪仙って呼ばれてる奴」

 

「ああ、青娥さん?」

 

「まー名前は知らんが…その人が行方不明だって言ってきたからさ。クビは繋がってるぜ」

 

「あともうちょっとで切られるところだったんですか…青娥さんに感謝だな」

 

「とにかく、お前誘拐されたのかは知らんが今月は様子見ろ。一応五千円出しとくから」

 

「…その件なんですけど青娥さんから二万円ほど」

 

「お前あの人に世話になってばっかじゃねえか!?」

 

は、反論できん…でも急に大食い仙人様に攫われたんだ色々と甘えるのは許してくれ…

 

「…ってわけでうどん一杯」

 

「客としてきたのかよテメー!」

 

「許してくれよ…今日朝飯食う時アーンされながら食ったんだぞ?うどんの食い方忘れてるかもしれねぇ」

 

「親鳥に世話になりっぱなしの鳥かよ…ま、少し待ってろ」

 

「ありがとさん…」

 

その頃主人公宅

 

「…さて。彼がうどん屋に行ったのは分かってるから…フフッ。いけないわねぇ鍵も掛けずに不用心で…良い匂い…♪」

 

「青娥〜新しい服持ってきたぞ〜。でもどこで使うんだ〜?」

 

「あらありがとう。それじゃあ…これ、もらおうかしらね。彼の下着…良い匂いだわぁ…」

 

「…青娥きもい」

 

「まぁひどい!?」

 

うどん屋

 

「!?」ブルッ

 

「はいお待ち!…どうした?」

 

「あ、いや…なんだか寒気が…また拉致られるんじゃねえだろうな…」

 

「やめろ縁起でもない」

 

そういえば家の鍵閉めてきたっけ…まぁ多分閉めたんだろうな。鍵が鞄にあるし…ま、多分大丈夫だろ。

 

「にしてもなんでこんな寒気が…美味い」

 

「誰かに噂されてんじゃねえの?」

 

「そりゃくしゃみだよ店長」

 

「ん?…そうだったな」

 

「もうボケてんのか?」

 

「ハッハッハッそんな馬鹿な」

 

「…店長、永遠亭に行くなら寺子屋の先生に頼れば行けるよ」

 

「だからボケてないってば」

 

「…ごちそうさまでした!お代は確か…380円だったか」

 

「お粗末様でした」

 

「んじゃまたー」

 

さてさて家に帰って鍵が閉まってるかどうかのチェックだ。閉まってたら良いんだがな…

 

「鍵閉めたかどうか…チェック!」スカッ

 

あ…

 

ガチャッ

 

主人公宅

 

「え?」

 

「…え?」

 

「青娥さん、何やってるんです…?」

 

「え、いや、な、なんでもないの!この大量のお洋服も、なんでもないのよ!そ、それじゃあ!」アセアセ

 

「青娥〜待って〜」

 

「…え、なんだったんだ…?結構散らかってるし…泥棒…?」

 

「あ、誤解されないように言っておくと、鍵が空いてたから入ったのよ!」

 

「あ、はい…」

 

「それじゃ、今度こそ!」

 

「…な、なんだったんだよ今の…」

 

数日後 うどん屋

 

「ってことがあってよ」

 

「お前それストーカーされてね?」

 

「…んな馬鹿な。俺の家の扉開けて奥へ踏み込んだ時に俺が開けたんですよ。男物の服だって、青娥さんなら多分夫さんもいるんじゃないですかね?」

 

「確かにそう言われればそうなんだが…なぁ」

 

ガララッ!

 

「…ようやく見つけましたよ…!」

 

「は…?」

 

「ストーカー第一号だ喜べ」

 

「これじゃまだ青娥さんに叩かれた方がマシだよ」

 

 

 

 

 

 

 




あんな俺自身忘れてた回を思い出すことになるとは…


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30話

ヒャッハー!
妖怪の山続編だぜぇ!
守谷の神!?
主人公!やっちゃってください!


 

妖怪の山

 

「今日も今日とて平和〜」

 

「大変です!また侵入者が!」

 

「最近ちょっと多すぎじゃない?何やってんのさ山の警備ちゃんたちは…」

 

「そ、その…ウチの部署からも数名ほど被害者が…」

 

「…今の報告、嘘じゃないよな?」

 

「え、あ、はい!本当です!すでに何人かは向かっています!」

 

「チッ…はぁ…お相手の要求は?」

 

「なんだか分からないことを言っておりまして…神だとか神社だとか…」

 

はっきり言って神とか神社とか言う奴に関わりたくないんだよなぁ…でも、ウチの部署から数人被害が出てるし…それに、文ちゃん今日いないし。なんでこう言う不幸が重なる日があるのかな…腹が立つ。でも相手神様らしいし…

 

「んー…」

 

「え?あ、はい…さらに追加で」

 

「何?」

 

「一人…見せしめにと全身ボロボロになった白狼天狗がウチの部署から…」

 

「オイ、殺しに行くぞ。相手が神だろうが知らん。装備なんぞいらん」ポイッ

 

「え?で、でも」

 

「お前は黙ってついて来い。見せしめの奴を回収しろ」

 

「え、あ、はい」

 

守矢神社

 

「ほれ、これでどうだ?私達と一緒に」

 

「がほっ…」

 

「…良いところで咳き込むなお前ほんと」

 

「どっセーい!」ブンッ

 

「は?」バゴッ

 

こいつか。こいつが山を荒らしてた神様か。殺す。絶対に殺す。博麗の巫女がどうしようが知らん。

 

「いっつ…後ろからっての」

 

「ごめんね。ごめんね。申し訳ないけど、ごめんね!」タァンッ

 

「ぶっ!?」

 

「すごいだろ。俺が指で作れる最大の空気砲だぜ」

 

「こふっ…貴様…神に向かってぶれ」

 

「知らんわそんなもん」ガシッ

 

「なぐっ」

 

「アイアーン…クロー!」バギッ

 

「グッ!ガッ!貴様…!」

 

「ていうかさ。あれ、ウチの子なのよね。ウチ、絶対そう言うの許さないのよ。てめえみたいなクソ生意気な奴に見せしめにされたら…!」ググッ

 

「神奈子様!この…!」

 

さてこの巫女らしき女はどう出てくるか。観察したいが面倒だ。この神様でも盾にしておけば良いだろう。こんな奴でも役に立つのが驚きだ

 

「こいつ神奈子って言うのか?それじゃ…かーなこーさまー!」ブンッ

 

「えぇっ!?」

 

「ふぐぁっ!?」ドンッ

 

「おもっ!?」

 

「…これが神社か。これが消えりゃ全部無くなるのかな?かな?」

 

「馬鹿、やめ」

 

「めんど。よく見たらでかいし…新しい部署建設地点に出来そうだな」

 

「おい…」

 

「これには天魔様もニッコニコだ〜」

 

「貴様…!」

 

「さて…神奈子様。我々に土下座して共存するか、ボコボコにされて見せしめにされて共存するか、どっちが良い?」

 

「どっちでも良いわけなかろうが!」

 

神様ってのは全員こんななのか?クソが付くほど面倒くさい。これだから嫌いなんだ。これだから…

 

「これだから女は!」バギィッ

 

「ごっ」

 

「嫌なんだよ!」アッパー!

 

「ふぐっ!?」

 

「はー…はー…天魔、これやるから数日間休暇くれ」

 

「え、えぇ…?」

 

「博麗の巫女が来たら、『いつのまにかこうなってました』で通してくれ。俺はもう疲れた」

 

「あ、うん、りょーかい…」

 

戻って部署

 

「と言うわけで!数日間の休暇をもらいました!」

 

「…なんだろう。喜ぶべき場面なのに…全然喜べない…!」

 

「ま、休みなんてどうでも良いか。んで、守矢の件だけど…共存していくことになったってよ。外の世界と言い天狗の縦社会と言い、どうしてこうもナワバリ意識は途切れるのか…」

 

「あ、あの…お茶…」

 

「お、ありがと。白狼ちゃん、体調は良いの?あのクソ神にやられた後治療はバッチリ?」

 

「そ、その件は完治してまして…」

 

「そりゃ良かった。君の淹れるお茶は美味いからね」

 

「は、ははは…」

 

…さて。今日も今日とても書類仕事に追われるか。こいつは…嫌な書類だ。守矢に関することが書いてある…って報告書かよ。なんで俺が…

 

守矢神社

 

「…おい」

 

「っ」ビクッ

 

「神様だして。あの紫髪の腹たつ神様。死んではいないでしょ」

 

「あ、神奈子様は今お怪我で」

 

「いるんでしょ?先に永遠亭行ってきたんだからさ。ね?」

 

「…神奈子様〜」

 

「なんださな…り、リベンジマッチじゃあ!」

 

「やめてください神奈子様ぁ!」

 

…こいつほんと頭いかれてんな。緑髪の子かわいそ〜…背骨痒。

 

「…で、えーと…結局共存することになったんでしょ?この署名、妖怪の山には満足してますかって奴。今すぐ書いて、今すぐ出して。俺が出しとくから」

 

「き、鬼畜だ…!」

 

「満足してるわけないですよこんなの…!」ワナワナ

 

「本音書いてさっさと出せよ」

 

妖怪の山お偉いさんの部屋

 

「あのさ…たしかに署名を取ってきてって言ったよ?俺は何も君に関するクレームを入れろとは言ってないんだよ」

 

「知るかよ」

 

「知るかよじゃないんだよ!」

 

「殺すぞ!」

 

「ごめんなさい!」

 

戻って部署

 

「…ったくよー…人気投票ガタ落ちだなこりゃ」

 

「あ、あはは…」ソロリソロリ

 

「…なーんか後ろめたいことがあったんだろうなぁ。文ちゃん、今日休みだよ」

 

「え!?嘘っ何があったんですか!?」

 

「…知らないんだ…」

 

「守矢襲撃を逆に襲撃した事件、記者なのに…」

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

「公表しないでね!」

 

「えぇ!?」

 

…やっぱり文ちゃんは世間知らずで少し抜けてるんだなぁ。見てるとほんわかする。女は嫌いだが…ま、女しか周りに見えんのだから少し免疫はつくけど…外の世界の女は嫌気しかない。

 

「んー…それじゃ、みんな一足お先におやすみ」

 

「寝た!?」

 

コンコン

 

「出て来い!妖怪の山違法警察だ!」

 

「違法調査警察ね!?」

 

「…ここに無断欠勤の社員が居ると聞いた」

 

「天魔に許可もらってんだよバーカ帰れ」

 

「え?いや、でも」

 

「は?チッ天魔のやろう…あ、文ちゃん。これ天魔に速達ね」

 

「様つけてない…」ピュー

 

…とりあえずこいつらにはお引き取り願うか

 

「帰れ」

 

「え、いやでも」

 

「おーそうか…博麗神社にいる萃香さん呼んでくるか?」

 

「帰ります帰ります!」バタンッ

 

 

 

 

 

 




ま、まさかの…主人公チート…!?
後ここからどうやって純愛に向かわせりゃ良いんだよ
器のいい上司としてか?


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勇儀とボーイフレンド

ちゃんと純愛です


 

地底

 

「…なぁ萃香」

 

「ん?なんだ勇儀」

 

「私さぁ…最近耳に入ってくんのがボーイフレンドって言葉でよ。意味知ってるか?」

 

「ボーイフレンド…ボーイ…フレンド…!専用の酒注ぎ係ってことだろ。ちょうど一人いるし」

 

「ああ!」

 

その夜

 

なんで今日も俺が酒注ぎになっているんだか。

話は少し聞いたがボーイフレンドの意味すら知らないのにこの四天王は…

ってあれ?もうこの樽無くなってやがる。もう一つ運ぶか。

 

「そんじゃ、もう一樽運んできますね」

 

「おう!任せたぞ私のボーイフレンド!」

 

「ブファッ!?」

 

「えぐっ…!ブフッ…本当に知らないんだ勇儀…w」

 

「…萃香さん、殴りますよ」

 

「お前のパンチなんて屁ですらねごっ」バゴッ

 

「顎なら効くだろ」

 

「…酒をください」

 

「アルコール切れ!?」

 

「とっとと1樽持ってこーい!」

 

「はいはい!」

 

酒蔵

 

「…テキーラはこれだな。水割りとかにして飲むもんだろ普通…頭いかれてんなほんと」

 

「お、勇儀姐さんのお相手じゃねえか。羨ましい」

 

「萃香さんに聞けば大体が分かるよ…とりあえずこの酒萃香さんに」

 

「ん?…これ、やっちゃダメな酒じゃ」

 

「良いんだよ。萃香さんなら多分大丈夫だ」

 

「…そうか?」

 

宴会

 

「あい姐さん1樽…」

 

「おー!サンキュー!」

 

「…ところで」

 

さて。ここからどうやって話を切り開こうか。

勇儀姐さんちょっと面倒な酔い方してるから後にしようかな。

いや、でも流石に言わないとかーなーりーまずい。

 

「ん?どうした!?」

 

「ボーイフレンドってどんな意味か知ってます?」

 

「え?お前みたいな奴だろ?」

 

「はぁ…良いですか?ボーイフレンドってのはですね。男の恋人って奴なんですよ。わかります?」

 

「ぇあ?どう言うこっちゃ!」

 

「ですよね!」

 

「私は酒注ぎ係のことだって萃香から聞いたぞ!」

 

「…萃香さん、このお酒を一気飲みで!」

 

「あたぼうよ!」ゴクゴクゴクゴク

 

「…やっぱり萃香さんか」

 

「あぐぅわっおぎっ…あがかあぁぁぁぁあぁぁぁあ!?」

 

「お、俺じゃなくて!勇儀姐さんの酒注ぎが!」

 

「てめぇぇえぇぇぇぇえ!」

 

「自業自得だバカヤローが」

 

「私の酒飲み係に何してんだお前!」バチコーン

 

「ほばっ!?」ズゴッ

 

「そろそろ引っ越そうかなぁ」

 

流石にずっとここにいては死ぬ。

肝臓が死ぬ。胃が死ぬ。膀胱が死ぬ。とりあえず頭も死ぬ。

俺もできれば鬼に生まれたかったけどちくしょー。アルコール耐性高すぎんだろっつの。

 

次の日

 

「…そういやお前からなんか聞いた気がするんだけどなんだっけ?」

 

「ボーイフレンドの本当の意味ですよ。姐さんが昨日ずっとボーイフレンドボーイフレンドって言うから心臓が爆発するかと思いましたよ」

 

「ふーん。で、本当の意味ってなんだ?」

 

「男の恋人って奴ですよ。たしか」

 

「は?」

 

「…だから、男の恋人だって」

 

「え?え?…萃香殴りつけて来る!」

 

「いってら〜…さて。姐さんが散らかしていった書類、片付けるかな…」ガサゴソ

 

「…ここに隠れてるのバレてないよね?」

 

「バッチリバレてますとも」

 

「萃香テメェ!」バゴォッ

 

「おぼぁっ!?」

 

「…嫌だな。仕事中に後ろで騒がれるのは…」

 

「勇儀!あんたねぇ!何すんのさ!」

 

「テメェ私に嘘ついたな!鬼は嘘が嫌いだとか言ってたくせに!」

 

「嫌いでも嘘付かない訳ではありませーん!」

 

「てめぇぇえぇぇぇ!」

 

「…今日の晩御飯はカレーかハンバーグかチキンか…」

 

「待った!ハンバーグで!」

 

「はい了解ね姐さん」

 

「…それをボーイフレンドって言うんだよ」

 

「んなぁ!?」カァァァァ

 

「…んじゃ料理始めるんで戦うならどっか行ってください。厨房巻き込んだら刺しますよ」ギラッ

 

包丁<スタンバイOK!

 

「ごめんなさい…」

 

「勇儀…尻に敷かれてるんだな…」

 

「えっと…そうそう。勇儀姐さん玉ねぎ買ってきて」

 

「あ!わ、わかった!」

 

勇儀姐さん幻想郷最速よりかは劣るけど速いからお使いが楽ちんだ。

今心の中で小学生レベルの下ネタダジャレ思いついたやつは出て来い俺が殺す

というよりどうやって過ごせばあんな怪力パワーが手に入るのか。羨ましい

 

「…萃香さんも、居座るだけじゃダメでしょ」

 

「ヒェッ」

 

数時間後

 

「ごっはん!ごっはん!」

 

「はい勇儀姐さんビッグハンバーグ。萃香さんはハンバーグ」

 

「…量が圧倒的に少ないんですけど…」

 

「嘘ついた罰です。それでは…いただきます」

 

「いただきまーごっがっ」ガツガツ

 

「頂きますくらい言えよ…」パクパク

 

「萃香さんもね」

 

食後

 

「はいお皿はこちらに…なんで抱きついて来るんですか勇儀姐さん」

 

「いやぁ悲しくてなー」

 

「なんですか。虚しいから夜の酒ですか?」

 

「いやぁ…お前にそういう目で全く見られてないっていう事実がさ」

 

「…?何言ってんだか。ほら、終わったなら皿をこちらに。萃香さんもね」

 

「りょーかい」

 

「ひでーなーお前〜」ギュッ

 

「抱きついたままだと結構重いから退いてくれます?」

 

「はっきり言ってすまんかった」

 

「分かればよろしい」

 

その次の昼!

 

「…何調べてるんですか?」

 

「好きな男をとっ捕まえる方法」

 

「へー。相談なら乗りますよ」

 

「いや、対象に相談するのはダメだろ」

 

「…ん?」

 

「あっ…」カァァァァ

 

「…俺?」

 

「あー…まー、うん」

 

「それなら心配ご無用ですよ」

 

全くなんだよこのギャルゲーのような勇儀姐さんは。

勇儀姐さんじゃなくて勇儀姐たんだよ。まったく…可愛いなぁおい!

 

「え?そりゃなんで」

 

「…何故でしょうね!ハーハッハッハッ!」

 

「うぇ!?教えろ!教えやがれ!」

 

「嫌ですよ〜!」

 

「じゃあ浮気してやる」

 

「私が認めますので私の浮気もお認めください」

 

「やっぱ嫌だ!浮気しないから浮気しないで!」

 

…まだ付き合ってすらないと思うんですけど…

 

 

 

 

 

 

 




ちゃんと純愛でしたね。ね?


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倶楽部と男

蓮子ちゃん!蓮子ちゃん!
メリーちゃん!メリーちゃん!
はとりあえず格闘家になってますご了承くださいませですそす


 

都市街

 

「…蓮子達遅いな…返事がない…」

 

「おにーさんウチどう?色々な女の子が」

 

「すいません女友達待ってるんで」

 

「えぇ!?」

 

なんだこの勧誘。俺が女友達いなさそうな顔に見えたか。そりゃすまんかったな殺すぞ!

 

「いや遅えなほんと」

 

その頃蓮子サイド

 

「…なんですか、貴方達…」

 

「蓮子、早く行こ」

 

「おいおい、釣れねえなぁ。俺たちと良いことしようぜって」

 

「…あまりにしつこいとメリーの地割れが出ますよ」

 

「メリーちゃんって言うの?てか地割れ?ウケる〜www」

 

「蓮子、ちょっと下がってて」

 

「ん?メリーちゃんが俺たちと遊んでくれるの?」

 

「すぅ…ぬんっ!」バギィッ

 

メリーの自転車<もう慣れた

 

「ん、メリー。今日は不調?」

 

「んー…いつもなら自転車ごと地面割れるのになぁ」

 

「…もう良い。薬使うぞ」

 

「薬?なにを使うのかしら?」

 

「メリー、ここ監視カメラないよ」

 

「監視カメラないのは俺たちがお前らをごっ!?」

 

「あのさ…私たち急いでるんで」バチィンッ

 

「ほばっ!?」

 

「もう良い刺す!」グサッ

 

「…なにかしら?この小さな小さな鉄は…」

 

「な、なんで刺さらねえんだよ!?」

 

「蓮子、先輩との約束の時間に遅れるよ!」バギッ

 

「え!?うっそ!?時間掛けてらんないわね!」ゴツンッ

 

「へぶぁっ!?」

 

「走るわよ!」ゲシィッ

 

「うん!」ドゴヂャァ

 

「…もう女漁るのやめようぜ…」

 

「あんな女一部だろ…」

 

先輩サイド

 

…遅い。そろそろ怒るぞ俺は。蓮子にメリーがいるから安心だと思っていたのに…なぜこうなるのか。

何かしらハプニングがあったのかは知らないけど遅すぎる。

先輩拗ねて帰っちゃうぞ

 

「先輩!遅れました!」

 

「遅いな…」

 

「いつもなら3時間前には着いてるんですけど」ゼェハァ

 

「流石に嘘だろ」

 

「え?いつもそうよねメリー」

 

「うん」

 

「…じゃあいつも遅れてる蓮子は」

 

「秘密です」

 

「…とりあえず何見に行くんだ?」

 

「うーん…映画館!」

 

映画館…シネマネー

 

「入るのを躊躇する名前だなここ」

 

「行きますよ先輩!」

 

「レッツゴー!」

 

「…で、映画で何を見るんだよ」

 

「うーん…ゴチミスですね!」

 

「ゴチミス?」

 

「ごちになりますの三部作を一作にまとめた長編バライティです」

 

「…それまとめる意味あるか?」

 

映画上映中

 

「…zzz」

 

「先輩、ねちゃダメですよ」ボソボソ

 

「蓮子、起きてる?」ボソボソ

 

「起きてるわよ」ボソッ

 

上映終了

 

「ふぁぁあ…まずい、ねてた。どんな奴だった?」

 

「先輩って結構ひどいですね」ツンッ

 

「まったくです」ウンウン

 

「…どう言うことだよ」

 

なんで俺が悪いことになってるんだか。

これがわからないドラゲナイ解せない。メリー、肯定するな。

と言うか最近二人ともよそよそしいぞ。彼氏でも出来たのか?

 

「そういや最近二人ともよそよそしいけど」

 

「うぐっ」ギクッ

 

「やっぱバレたかな…」

 

「彼氏でもできたのか?」

 

「はぁ!?できる訳ないじゃないですか!」

 

「彼氏なんて作ってないですー!」

 

「…なんで罵られるの?」

 

その夜 蓮子宅

 

「メリー、準備は良い?」

 

「ええ。今日は夜更かしの日だから」

 

『あー…なんでメリー達に怒られるんだか。わけわからん』

 

「…落ち込んでるわね…」

 

「このままラインに謝罪のメールを…!」

 

『というかあいつら告白受けてるところ見たことはあるんだよな』

 

「!!先輩のことを想って拒否してる身になってくださいよ!」クワッ

 

「蓮子、やめなさい」

 

『んー…歌でも聞くか』

 

「歌を聴き始めたわね…」

 

「…多分○上陽水ね。盗聴器から聞こえてるわ」

 

「ふむ…やっぱり監視カメラ一台じゃ足りなかったわね…」

 

「今度は三箇所付け足しましょう」

 

「そうね」

 

『…なんか急に視線を感じるんだよな…』

 

「やっぱりバレてる?」

 

「そんな馬鹿な。あ、私たちのプリクラ見てる」

 

『…プリクラ…やべ、行った記憶がな』ガシャァンッ

 

「…メリー」

 

「そうね。これは制裁対象よ」

 

主人公サイド

 

「…あれ、視線感じなくなった」

 

ピンポーン

 

「…はいはい、どちら様でしょうか?」

 

「先輩…少しお話が」

 

「少し許せないことがありまして」

 

「…?何言ってんだお前ら?」

 

「お話をさせてください」

 

…なんだか顔は見えんがシリアスな感じになってる…

従わなかったら流石に怖い目に遭いそうだからやめとくか。

触らぬ神に祟りなしじゃないけど、まぁ祟りは起きそうだな。

 

「…で、先輩」

 

「ん?」

 

「プリクラ撮りに行ったの覚えてますか?」

 

「なんで急にガムテープ取り出してんだよ…覚えて…る!」

 

「いつ?」

 

「え?」

 

「いつ撮りに行ったか覚えてますか?」

 

「え?い、いや」

 

「それじゃあダメなんですよ!」ガタッ

 

「っ!?な、なんで急に…どうした?」

 

「先輩って好きな人とかいます?」

 

「いや、いないけど」

 

「私たちと付き合ったりしてくれますか?」

 

「…そういう目で見たことがないな」

 

「…やっぱりですか」

 

「ちょっと後ろ失礼しますよ先輩」

 

「!?」

 

「メリー…早く」

 

「わかってるわよ。お口チャックですよ先輩」ベリッ

 

「んー!?」

 

畜生何重にも貼られてて舌の力じゃ取れねえ!?

クソが、どうなってんだよ!?なんで急に縛られてる!?

おい、どうなってんだよ!畜生声が出ねえ!

 

「ぐっ…!」

 

「外れませんよ先輩。私が口押さえますから」

 

「メリー、早く運ぶよ」

 

「…んー」

 

「先輩。少しおしゃべり禁止です。見えないとおもうんで言っておきますけど…しゃべったら首切りますから」

 

「!?」

 

蓮子宅

 

「…」

 

「さて。メリー、乾杯ね」

 

「そうね蓮子。ようやく先輩が手に入ったんだもの喜ばない方がおかしいわ」

 

「…」

 

「先輩、もうしゃべって良いですよ!」ベリッ!

 

「あだっ!?…なんでこんなことすんだよお前ら…」

 

「え?だって先輩が私たちとの思い出覚えてないのが悪くないですか?」

 

「…何言ってんだお前…家に返し」

 

バンッ!

 

「…先輩、それはダメです。絶対に。今日設置した盗聴器があってよかった…危うく先輩が道を踏み外すところでした」

 

「は…?」

 

「待ってる時の先輩を見てもつまらなくなってきましたから」

 

…何言ってんだこいつら…

 

「とりあえず、お薬の時間ですよ」

 

「は?いっ…注射は苦手なんだが」

 

「フフフ…メリー、それ廃人にしちゃう薬でしょ」

 

「ええ、そうよ♪」

 

「え…?」

 

「大丈夫です。先輩のお世話は私たちがしますから」ニッコリ

 

 

 

 

 

 

 




いやー女の子は怖いね。もうホモになるしかないですね。
次回はホモじゃないですよ


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レミリアと紅魔館の現状

どこだよここ。
…作品の中だよ


 

紅魔館

 

「紅魔館も今や恋魔館ね」

 

「お嬢様、ダジャレにすらなってませんよ?」

 

「なんで!?」

 

ああもうなんでなのよ。この館に結婚ブームが舞い込んできたと言うのに。フランも美鈴も咲夜も…パチェ?知らんな

 

「なんで私だけ」

 

「児童ポルノはダメだって習いませんでしたか?」

 

「習っとるわ!!」

 

「…ん、どうしたの?」

 

「ヒェッ」

 

「あらまた脱出を?いけない人ねぇ…こっちに来なさい♪」

 

「あ、ちょっと待って!咲夜さん待って!助けて!助けてください!」

 

「…正にご愁傷様、ね。死なないことを祈っているわ…で、美鈴ね。美鈴をはじめに結婚ブームが…あれ、フランってこの作品出てきたっけ?」

 

その時私はチラリと見えた。いや、見たくはなかったのだが。見てしまったのだ。美鈴に飯を持っていったら理不尽に打たれた男が。かわいそうに、と一人黙祷を捧げているとフランが来た。

 

「早く〜♪」

 

「はいはいわんわん…」

 

「…ウチっていつから犬飼ってたっけ」

 

ひどい現実だ。出来れば直視したくない。

 

「お姉さま!私お出かけしてくるね!」

 

「門限までには帰ってくるのよ」

 

「はーい!」

 

「…とりあえず首輪外そうか。離れないから。離れたら殺していいから」

 

「本当!?」

 

いや、紅魔館ではなく愛に狂った館と書いて愛狂館と言った方がいいな。もう原型がない。

 

「…はぁ。考えただけ無駄か…そういえば最近パチェとお茶会してないわね。久しぶりに行こうかしら…」

 

図書館

 

「…あら、作中で2回目の主役じゃない」

 

「パチェ、今からグングニルの投擲練習したいのだけど、的になってくれるかしら?」

 

「冗談よ」

 

負けヒロインのくせして腹が立つ。だが本人が言うには『まだ勝負は決まってない。取り戻す、絶対に!!』とのことだった。アホだろ。

 

「…で、お茶会しに来たの?」

 

「そうよ」

 

「あ〜待ってくださいよ〜!?」

 

「待て待て〜!」

 

「なんで車椅子の俺が追いかけられるんだよ!?えーと…左へターン!」

 

「バカめ!その速度では曲がりきれずにぶつか…らない!?」

 

「体重をかけ普通なら転ぶような曲がり方をしたって言うのか!?」

 

…待て、普通に気になるんだけど。え?何?頭文字D??それとも何か?外の世界のボートレースか?

 

「あーっと…それにしてもレミィが久しぶりに来たかと思えばお茶会ねぇ」

 

「何か悪い?」

 

「いいえ?特に。ただ言うことがあれば…騒いでる魔理沙とこあと曹仁、大人しくして来てくれる?」

 

「無理よ」

 

「…そうだったわね」

 

鼻で笑うようにフッと勢いよく言われた。殴り殺すぞテメェ…

 

その頃門では

 

「なんで叩いた?」

 

「今、12時6分ですよ?」

 

「…だから?」

 

「だからですよ!」バチィンッ

 

「いづっ!?歯が…」

 

「時間通りに持って来てくださいよ!まだかまだかと待ち構えてたのに!待った私の身になってくださいよ!」

 

「ま、待て!待ってくれ美鈴!」

 

「嫌です!絶対に許しません!」

 

「この…んっ!?」ズルッ

 

「はうっ!?」ゲシィッ

 

「あだっ!?〜!!」

 

「…そろそろ怒りますよ?」

 

「ま、待て。今のは誤解だ。許してくれ。美鈴、なぁ、待ってくれ。もう打たないでくれ」

 

「嫌です」ニッコリ

 

戻って図書館

 

門方向<イヤァァァアァァアァアァァアアアァァァァァ!

 

「…そうね。紅魔館恋愛禁止令でも出そうかしら」

 

「あんたそれやってみなさい咲夜からナイフがわたしから魔法が美鈴から蹴りがこあから破壊光線がフランからは魔貫光殺砲が飛んでくるわよ」

 

「待って2名ほどおかしな奴いなかった?」

 

「…こあは破壊光線放つしフランは一部分に破壊の力を込めて発射する魔貫光殺砲放つわよ?」

 

「こあとフラン逆じゃない?」

 

「…そうかしら?」

 

ヤベェ、ウチの作業員全員バケモンだ。まだ咲夜の方が可愛く見える。いや、男どもを獣と罵っていたときの方がマシだ。

 

「世の中には知らなくていいものがあったりするのね…」

 

「ほとんどそうよ」

 

「チッ」

 

「あんたも男見つけなさいよ」

 

「負けヒロインのあんたに言われたかないわよ!」

 

「なんですってぇ!?」

 

その後、36時間に及ぶ大口論の末、私のメンタルはボッキボキ、涙目どころか鼻水垂らしながら反論していた。パチェ?無傷のように振る舞っていたわよ。クソが

 

そして数日が経ち

 

「…咲夜、彼氏との仲はどう?」

 

「順調ですよ!最近ではめっきり脱走することがなくなりまして!私と真正面から話すことができるように!」

 

「愛の力ってすごい…んで、美鈴は」

 

「私ですか!?私は咲夜さんとは違って仕事通りに動いてくれないから0.00036584258635秒遅れられて…私って彼にとってはそんな存在なんですかね?」

 

「咲夜、美鈴への料理は冷めていても美味しいご飯で12時前に作ることを希望するわ」

 

「わかりました」

 

…で、えっと、なんで言ったっけ…0.0003うんたら?ちょっと、どう言うこと?理解が追いつかないんだけど…

 

「…で、イレギュラーね」

 

「え、妹様?」

 

「不思議ですねぇ」ニヤニヤ

 

「…彼氏だもん!」

 

「私からしたらペットにしか見えないんだけど」

 

「いやぁ…私はああしたいですよ。でもそしたら嫌われるかなって」

 

「嫌われてないよ?むしろ喜ばれてる!」

 

「…ちょっと言ってる意味がわからない」

 

「そのままだもん!」

 

「咲夜の恋の方がマシに見えて来たわね」

 

「…ちょっとマシってどう言うことでございますの殺されたいと存じ上げてんのかお嬢様?」

 

「限りなく敬語に近い暴言やめて?」

 

 

 

 

 

 





美鈴さんがニヤニヤしてるとか何それ天国か?


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守矢と博麗

頭から落ちる。
すると、頭から地面にぶつかる。
すると、頭は高さにもよるがガラスのように砕ける。
その様はガラスのように美しくない。赤く染まっている。
前の妖怪の山のお話とは世界線が違います


 

守矢神社

 

「おい、早苗…こりゃなんだ」

 

「?宴会で酔い潰れてしまったあなたを介抱した結果ですけど?」

 

「あれか。酒か。そりゃ悪かったな」

 

「良いんです良いんです!気にしなくて良いんです!」

 

「あ、ああ…そうか?」

 

さて、早苗さんにお世話になったところで帰るか。というか帰るところ博麗神社なんだけど

 

「そんじゃ、帰らせていただきます」

 

「え?」

 

「また明日〜」

 

「待ってください!」

 

「っ!…なんだよもう。びっくりしたなぁ」

 

「帰るなら守矢神社でしょう?なぜロープウェイに向かうんですか?」

 

「は?そりゃお前博麗神社ぎっ」ガシッ

 

「なんで博麗神社なんですか?」ググッ

 

「ちょっ首が…!」

 

「え?あ、ああすいません!」

 

「けほっけほっ…」

 

「それじゃ、戻りますよ。お家に」

 

どうなってんだ?早苗が急におかしくなって…昨日の宴会を思い出せない。クソッ酔った珍事なんて覚えちゃいねぇ。

 

「ま、待て!俺は、霊夢と一緒にくら」

 

「は?何を言ってるんです?あなたは私と暮らすんでしょ?」

 

「待て、頭が追いついていかなっ!?」

 

「…まさか、覚えてないんですか?」ブンッ

 

「いだぁっ!」バシッ

 

「酷いです…流石に私でも怒り心頭ですよ…!」

 

「ま、待て!待ってくれ!」

 

「嫌です待ちません!」

 

「そもそもお前んとこ二人神様いるだろ!?」

 

「その件は大丈夫。納得してもらいましたから」

 

「は…?」

 

「私、交渉術は人一倍でしてね。納得するどころか背中を押されましたよ」

 

「ど、どういうことだ?」

 

思わず尻餅ついた。なんの因果でこうなったのだろうか。酒に弱いせいだろうな。だとすれば…霊夢じゃなければ近くの…霧雨か…

 

「あのお二人、実はかなり寛容なんです。だから、色々と話がしやすくて」

 

「ちょっと、待ってくれ。俺はもうここに住むことが」

 

「確定事項ってやつですよ。ほら、行きますよ」グイッ

 

「んな!?」

 

その頃博麗神社

 

「?…!?あいついなくね!?」

 

「どうしたのよ魔理沙…あら、本当…うぇっ!?」

 

「あいつ以外は…早苗がいない!」

 

「それじゃあ守矢ね」

 

戻って守矢神社

 

「…なぁ、なんで押し倒されてんだ俺?」

 

「それ、言います?恥ずかしいなぁ…」

 

いや、言ってることがよくわからんぞ?んん?守矢神社内部で何が起こってんのさ。周りから見られるの上等なところで何すんのさ早苗さんは

 

「…ところで、立てますか?」

 

「え?あれ?おっかしいな」

 

「ああ、立てないのが普通です。何もおかしくありません。右手だけですよ。今動かせるのは」

 

「は?」

 

「おーい!誰がいるんじゃないの〜!?」

 

「…チッもう来たか」

 

「あ…れ、霊夢!たすげっ」

 

「そっちね!」

 

「…もう、声出しちゃダメじゃないですか。ほら、めっですよ。口閉じて、ほら」

 

「あぐっ…や、やめ」

 

「早苗!」

 

「…全力勝負、でしょうか?」

 

「もちろん」

 

「けほっけほっ…!」

 

「ああ、大丈夫ですか?私の」

 

「大丈夫!?早苗によほど酷いことされたの!?」

 

「いや、ただ咳き込んだだけで…」

 

「…邪魔ですよ」

 

「あんたがよ」

 

「…あ、これやべぇな」

 

そして次の瞬間、俺は二人の神によって保護されていた。死なないようにしてくれるのはありがたいが、何しろお前ら二人の目が怖い。ハイライトオフしてやがる。

 

「…大丈夫かい?随分と弱ってるようだが…」

 

「神奈子ってば性格が悪い。さっきまで見てたでしょ?」

 

「おう、そうだったな。そういう諏訪子も見てただろ」

 

「あ、バレてた?」

 

「上…」

 

「上?ああ、気にしなくても大丈夫。私たちも加勢しに行く」

 

「流石に3対1はきついでしょ」

 

数分後

 

「はぁ…はぁ…」

 

「私たちが負けるなんて…」

 

「これであの人は…」

 

「やっべ、もうそろそろ冬眠の時期なの忘れてた…」

 

「やっぱ負けてるじゃんか…お、動ける。えーと…間に合えい!」ダッ

 

「うわっ!?」

 

「…羨ましい」ギリッ

 

「早苗、大丈夫か?えーと次は神奈子さんで…取ったど!」ガシッ

 

「役得役得」

 

「次に諏訪子さん!」

 

「冬眠の時期一緒に寝てくれ」

 

…あれ、もしかして俺偽善でよくないことしちゃいました?早苗や神奈子さん、諏訪子さん悪化しちゃいました?

 

「なんで…なんで負けた側が得してんのよ!」

 

「っ!?」

 

「あんたは景品!買った方の物!なのに!なんで負けた方を大事そうに持ってるの!?」

 

「えっと、霊夢さん?」

 

「ハァ…ハァ…!このっ!」グサッ

 

「…え?」

 

「れ、霊夢さん、それは、それはダメじゃ」

 

「フーッ…あんたがいけないのよ!景品のくせして!」グリグリ

 

「いあっ!?あえ、やえ、やめて!」

 

「れ、霊夢さん!それ以上は流石に」

 

「負けた奴は黙ってて!」

 

痛い!痛い!抜こうにも抜けない!飛んだ地獄だこれは!クソが!…と叫びたいが度胸が足りん。口からは痛いやめてしか出ない。パニック状態とはこのことか。

 

「あんたが…あんたが…!」

 

「いつっ…あうっ…抜けた…」

 

「景品なのに…ようやく手に入れられると思ったのに…!」

 

「れ、霊夢…?」

 

「本当に…あと少しだったのに…!!」

 

「いたっ…霊夢、永遠亭に」

 

「それじゃあ意味がないのよ!」

 

「霊夢、お前なんだからヒステリックに」

 

「霊夢さん!冷静になりましょう!?」

 

「私は冷静よ!」

 

「冷静なんかじゃありません!」

 

「っ…」

 

「なんで勝った方が冷静じゃないんですか!?普通、負けた方が」

 

「…」チーン

 

「!?大丈夫!?ごめんなさいね!ごめんなさい!永遠亭に連れて行かなきゃ…!!」

 

「…まさに嵐のような人間ですね…」

 

「多分、まだあいつが絡む争い続くぞ」

 

「え、マジですか?」

 

 

 

 

 

 

 




最後主人公ちゃっかり気絶してんじゃねえか


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35話

まさかの妖怪の山主人公1000年越えの妖怪をガキ扱い…
とかさせようとしたけど面倒なので10000年近く生きてるってことにしといてください。
後々活きます


 

妖怪の山

 

「…んがっ寝てた…」

 

「大丈夫ですか?全く徹夜するからですよ…」

 

「うるせーやい…あ、人気投票終わってる…俺は何位かな〜…天魔様毎回一位だねぇ」

 

「大体縦社会なのでヤラセでしょうが…実質一位ですね」

 

「めんど〜」

 

一位 天魔

2位 主人公

3位 守矢の巫女

4位 守矢の神様

以下略

 

「…あの生意気な神様4位に食い込んでやがる」

 

「不思議ですねぇ」

 

とは言ったものの。事実は事実、あいつ痛めつけると人望失いそうだから何もしないでおくか。ていうかこのまま溶けたい

 

「…こちとら一万歳だぞ?年功序列ならとっくにもう鬼レベルなんだよ」

 

「天魔様が確か8000余裕で超えてましたもんね」

 

「…はー。これで署長とかいきなりなったら面倒だな〜」

 

「ていうか他の白狼天狗は?」

 

「休みだよ。正式に天魔様からのおやすみ。だから文ちゃん休んで良いのよ?」

 

「本当ですかぁ!?」

 

…なんだかすごい嬉しそうだ。うん、休んで良いからその手に持ったエネルギードリンク手放そうか。

 

「でと。流石に警備は変われないから」

 

「から?」

 

「…監視カメラ置いて来た。対処は多分俺がやれば大丈夫。トラップもあるし。10mの高さまでなら大丈夫だ」

 

「へー…それだめじゃないですか?」

 

「バカめ。枕草子なんか暇だから清少納言が書きましたって奴だぜ。俺だってそれくらいできら」

 

「いや、そういうわけでは」

 

「まぁそんなこと言ってもだめなので。萃香さんに一万トンの酒分割払いで頼みました。一回…二トンだから大体まぁ5000ヶ月くらいは掛かる。嫌な契約しちまったなぁ」

 

「あ、あはは…笑えん」

 

「うん、俺も笑えん」

 

博麗神社

 

「さーて今日のお酒は…ブフッ!?」

 

『二トンのお酒置き場 by萃香』

 

「…く、蔵が…空に…!?」

 

妖怪の山

 

「あ、そうそう。紫さんに頼んで地底の鬼、勇儀さん来るから」

 

「ブッ!?」

 

「…なんで取引を俺にやらせるかな…」

 

数日後…

 

「勇儀さんお久しぶりで」

 

「いきなり何かと思ったらお呼ばれとは嬉しい」

 

「HAHAHA鬼の面倒見る身にもなれ」

 

「相変わらずきついね」

 

「そりゃまあ。白狼天狗ちゃ〜ん!酒持ってきて〜!」

 

さて。ここからこの馬鹿鬼が飲み潰れるまでの勝負だ。流石にあれから酒に対する耐性が減りましたってことはないだろう。二日酔いどころか3週間酔いは覚悟しようか…明日永遠亭空いてるかな…?

 

数時間後

 

「…ういっ」

 

「あんたも酒強くなったねぇ!私より長生きしてることも上乗せされてるのかな?」

 

「歳で酒に強くなれるんだったら楽なことはない。ずっと寝ていたいんだよ」

 

「…そうだ、久しぶりに組手やるかい?」

 

「良いぞ。死ぬ覚悟はできてるだろうな」

 

「…やっぱりその言い方がないと…ね!」バシィッ

 

「おいおい、酒は落ち着いて飲むもんだろ…なんか味薄くなってきたな…あ?これ酒じゃない…」

 

「ははは!何やってんだかっ!」ゴギッ

 

「いつっ…それはこっちのセリフだよ。酒が零れ出てる」

 

「いつまで酒に執着してんだい!」ゴォッ

 

いや、お酒こぼさないハンデで戦ったあんたもあんただよ。ったく…ほんっと面倒。このまま殴り続けて眠らせてくれ。眠い。

 

「おー…痛い痛い」

 

「っ!この!」ゲシッ

 

「はうあっ」ズボッ

 

「…あれ、部長何もやってなくないですか?」

 

「多分、このまま殺してくれねえかなぁとかでも思ってるんですよ。あの人は」

 

「白狼ちゃんちょっとひどくなっ」

 

「ふん!」バギィッ

 

「おーいちちち…」

 

「本気出しなよ」

 

「それなら…クラウチングスタートで行くぞー」

 

「フフッ…何年ぶりの本気だ?かかってきな…」

 

「…っファイアァァアァァ!」ビュンッ

 

「んなっ!?」

 

「はい終わり。ね、終わり。それじゃお酒飲みましょ」

 

数分後

 

「…ほんっと年月って残酷だよなぁ天狗どもぉ…」

 

「は、はい…」

 

「zzz」

 

「なんか本妻が寝てる隣で浮気してる夫みたいだ」

 

「ふえっ!?」

 

そしてまた数日。

 

「…昨日、俺あんま酒飲んでなかったな」

 

「!?」

 

というわけで視点変更!文ちゃん!

 

河童基地

 

「にとりさん…酷くないですか!?私たち一生懸命アピールしてるんですよ!?ていうかファンクラブ入って貢いでるんですよ!?」

 

「ごめん何言ってるのかよくわからないから噛み砕いて説明できる?」

 

「昨日宴会→私アピール→そんなことより勇儀さん→お酒。酷くないですか!?」

 

「あんたそれ聞いた身になれる?」

 

「なれませんよ!」

 

まったくあの人は。ほんっとうに…部長のくせしてモテるんですよ。守矢の一件でファンクラブ会員が増えましたし。そういえばファンクラブ作ったのはたてだっけか。

 

「…まぁ、そういうところが魅力というかなんというか」

 

「文…あんた、疲れてんのさ。あいつに惚れるなんてさ」

 

「いけませんか!?」

 

「いけなくはないさ。でも…早くしないと、出遅れただけでかなり痛い目見るよ?恋愛は出始めが勝負。あとはレールに乗ったように行くからさ」

 

「スピードは関係ない…ですか」

 

「そもそも私が生きてきた中で1番のアホだからねあい」

 

「部長のこと愚弄するんですか!?」

 

「…え、何急に」

 

「ああ、すいません…でも、あの人勇儀さんより年上らしいんですよ」

 

「はえー」

 

「ま、だからなんですかね。私みたいな天狗は子供に見えてるんでしょうか。ずっと私を文ちゃん文ちゃん。椛のことも椛ちゃん椛ちゃん。白狼天狗も…」

 

「近所のおばあちゃんかな?」

 

そういう魅力があるってことです。とか言うと馬鹿にされるんだろうなぁ…というかあの人二日酔いすらなってませんでしたね。というか昨日そもそも酔ってたんですかね?

 

「…昨日あの人勇儀さんと戦ってたけどあれ酔ってたのかな」

 

「!?」

 

 

 

 

 

 




主人公チートは良いですよね。
色々と設定が楽で。


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狐と男 1

きっと笑顔の素敵なこの人を許してよ そしてもう一度


 

人里

 

「…りゃ、久しぶりだねにとり」

 

「ああ、暫くぶりだね」

 

「とは言ってもなんで人里にいるのかな…ま、良いか。ほれ、約束の品でも取りに来たんだろ?」

 

「おお、さんきゅ。私が関わるとあの隙間妖怪絶対外の情報出さないからね」

 

「…俺、バレたら度叱られるんだがなぁ」

 

このカッパ、毎回毎回ありがとうと言うが、それを言うくらいならなんか奢って欲しいくらいだ。八雲紫に頑張って気に入られてるのを見られて抵抗したら云々で。叱られる程度じゃ済まないだろうなぁ…逃げ切れたら良いな(切実)

 

「で、金だが」

 

「はい、これ。いやー助かってるよ。もちろん、言ってないだろうね?」

 

「外の風景を見てみたいって言ってるよ。多分、バレてると思うぞ?」

 

「大丈夫大丈夫!」

 

「何が大丈夫なのか30字以内で説明して欲しいわ」スッ

 

「ぁ…幻想郷に貢献したら何事もなく済まされるかなって思ったんですよ」(30文字)

 

「良くない!」バシィンッ

 

「…にとり、これから俺を利用しようとするのやめてくれるか」

 

「うん…流石にやめないと色々ときつい…」

 

「まったく…」

 

「で、八雲さんは何故ここへ?」

 

「ああ、そうそう。今日、藍が来るから」

 

藍ってことはあの黄色い狐の妖怪か。雰囲気がなんとも言えんあの人かぁ…死ななきゃ良いけど

 

「待ちたまえ!それ、私も同席して良いか!?」

 

「だめよ」

 

「なんで!?」

 

「ほんと、お前そう言うところだぞ」

 

とりあえず忠告はした。どうなっても知らんぞと言う意思だろう。俺も知らん。

 

「紫様、何故わざわざそんなことを…」

 

「こんにちはー」

 

「…って!あっちだって連れてきてるじゃないか!別に良いだろう!?」

 

「良くないわよ」パシッ

 

「うっ…待ってなんで俺今叩かれた?」

 

「助けを求めなかった罪」

 

「…????」

 

そして数時間後…夜!ちなみににとりさんは退場してもらいました。

 

「…藍さん、これとかどうです?」

 

「うーむ…味は良いのだが…いかんせん色と形が…猫のフンに見えて」

 

「それは言わないでくださいよ!?」

 

「だいたい、紫様の食卓にトンカツなんて卑猥なもの、乗せれるか!」

 

「知らんよ!」

 

「…それに、美味いのが余計イラつく」

 

「お粗末様でした」

 

「女子力高すぎて私の自信がなくなる」

 

「いやいや、そもそもの話いきなりきてお料理会とか言ったの藍さんですからね?」

 

「むぅ…」

 

「まったく…」

 

それから数日が経ち

 

「…え?また来る?」

 

「偉く気に入られてるわね〜」

 

「今後ともご贔屓にと言いたいですけど、料理屋じゃないんで頻繁に来るのはやめてもらいたいですね…」

 

というか料理にあれだけ文句言っといてまた来るとかどんな神経してんだ藍さん…やべえ奴だなオイ。まだ式の式って肩書きの子の方が健気で可愛く見えたぞ?

 

「…それで、何か言いたいことはあるかしら?」

 

「来るならせめて夜にしてくれとだけ言っておいてください」

 

 

「来たぞ」

 

「」イラァ

 

「ほれ、稲荷寿司作れ」

 

藍しゃまの尻尾<ブンブンブンブンブンブン

 

家具達<ちょっと何この尻尾クソ痛い!

 

「…我慢してくれ、俺の家具達…」orz

 

「もうそれ死語だぞ。ほれ、作らんか」

 

「材料は」

 

「ちゃんと20人分、作れよ?」

 

2時間後

 

「…俺今日夕飯どうしよっかなぁ」

 

「別に良いだろうが一食抜いたところで」モグモグ

 

「…食われながら言われるとすんごい腹立つ」

 

「…そうか?」

 

「米粒付いてますよ。俺がもらいますけど」ヒョイッ

 

「まるで恋人のような距離感…だ…な…」

 

「なんですか急に恥じらいを持って。こちとら食欲が稲荷寿司に持ってかれましたもん」

 

「…こっちは意識してるのに…」ボソッ

 

「何か?」

 

「いや、別に」

 

…はて何か言っただろうか。問い詰めたいが流石にそれはやめよう。藍さんの目が問い詰めるなって感じの目だ。

 

「ん?何してんすか藍さん」

 

「いや、殿方はこういうところにいかがわしいものを隠していると紫様によく言われていたのでな」

 

「…ベッドの下は定石だから流石に隠さんよ…俺なら本棚の裏くらいに」

 

「なるほど」ススッ

 

「ちょっと待ってくださいよ藍さん!?」

 

「…これはなんだ?風俗物語?ん?どういうことか説明してもらおうか」

 

「ひゃい…」

 

それからみっちり怒られました。おこだてませんように…て言うかなんで持ってたらだめなんだよ…

 

「〜♪」

 

「なんで気分が良いんだか。あれっすか?俺が擬人化とかが好きだからっすか?」

 

「そんな馬鹿なことがあるわけなかろう」

 

藍様の尻尾<喜びの舞

 

「うわっふうわっふ…あっぶねもう少しで尻尾に塗れるところだった」

 

「ん?」

 

「なんでも?」

 

コンコン

 

「おーはいはい…あ、小町か。久しぶりだな〜酒でも飲むか?」

 

「いや、違うんだが…」

 

「???」

 

「お前さん、悪い噂が流れてるよ。人里でだ。これから妖怪との付き合い方も」

 

「別に良いさ。そうだ、紫様からたっかいの酒もらったんだよ。一緒に飲まね?」

 

「まったく…そうだね。とりあえず…ん?」

 

「…」ギロッ

 

「あ、いや、やっぱやめとくよ。あたいは安い酒飲む方が好きだからね」

 

「ん?そうか。そういや外の世界にある発泡酒って酒、安かったような…」

 

「そ、それじゃあな!」

 

「おうよー…」

 

なんで小町は焦ったように外へ行ったのだろうか。わからん。わからんが、よくよく思い出せば藍さんがいたから飲まなくてもよかったのかもしれない。

 

「…美味いんだがなぁ」

 

「私と飲むじゃ不服か?」

 

「不服じゃないんだがな。小町と喋りながら飲む予定の酒だから期待膨らませすぎた」

 

「…ふーん」ゴクッゴクッ

 

「んー…瓶の一気飲みはないかな」

 

「あっ」

 

 

 

 

 

 




続きます。
続けるつもりはなかったし、そもそもにとりをやろうとしました。
第二話とか3話とかの世界とは別世界なはずです


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閻魔と部下

コトリバコ 確か女子供を殺すんでしたよね。
人を呪わば穴二つと言いますが、なぜ男は死なないんでしょうか?


 

誰かのお家

 

「…どっこいしょ」

 

「もう歳じゃないのですか」

 

「んな酷い…俺は一応映姫さんよりかは年下だよ」

 

「つまりなんと言いないのか教えて欲しいものですね。ん?言ってみてくださいよ」

 

おのれ閻魔のくせに執念深く面倒臭い性格しよって…こちとらただの人間やぞ?ただの人間様やぞ?マジで勘弁して欲しいですわ。あ、この焼き鳥うまい

 

「…というかまたきたんですか映姫さん」

 

「良いでしょう。あなた結構美味しい鶏肉とか持ってるのですから」

 

「…なぁんだかなぁ」

 

「それに、死神が死神辞めるなんて前代未聞ですからね?」

 

「うるさいなぁ…ヘカーティア様呼ぶよ?」

 

「それだけはやめてください」

 

「よっわ…ま、俺は月にも行かず祓われず、ただただのんびりと寝ていたいんです。あ、飽きたら裁判お願いしますね」

 

「駄目です!」

 

「んな馬鹿な」

 

「あ、いや、ダメっていうわけではないんですけど、その…」

 

「どうしたんです?好きな人でもできたんですか?閻魔様好きな人出来ると惚気話になりそうだからなー」

 

「偏見で決めつけないでください!」

 

「なりそうなのに決めつけたとは一体」

 

「あっ…」

 

やはり閻魔も俺ののらりくらりな話し方には勝てぬまい。そう思ってこの話し方だフハハハ閻魔避けにしてくれるわ

 

「…さて、そろそろ日課の散歩です。お帰りください」

 

「嫌です」

 

「なんでですか。仕事あるでしょうもう深夜の2時だけど」

 

「何言ってるんです。残業は12時間経ってからですよ!」

 

「あんたよくその精神で生きてこられたね!?」

 

「…でーもー、別に良いじゃないですかぁ。そういうものですし」

 

「何言ってんだか」

 

翌日

 

「…今度は小町か」

 

「ハロー、久しぶりだねぇ。あんたも良く死神辞めるなんて言ってやめさせてもらえたもんだよ」

 

久しぶりに小町にあったなぁ。前は…そうだ、閻魔に度叱られてる時にそれを見て高笑いした時から一回も会ってない。思い出すと思わず頬が緩む

 

「…クッ」

 

「あんたまさかあたいが四季様に度叱られてるのまだ覚えてるんじゃないよな?」

 

「いや…っなんでも…プッ」

 

「ドシャゴラァ!」バッ

 

「酒やるから許してくれ」

 

「許そう…ってこれ高くないからやっぱ許さない」

 

「自家製の酒だから美味いと思うぞ」

 

「え…?」

 

「なんだその信じられんって顔は。アレか。俺はそんなやつに見えなかったってやつか」

 

「うん」

 

「ふざけるな」

 

「ふざけてなんかないさ」

 

そう言って飲み始める。飲み方はまるで毒見をするかのような飲み方だ。殴り倒してやりたいが我慢だ我慢。なるべく我慢。手は出すな。

 

「…美味いのが気に入らん」パリーン

 

「」チーン

 

「え、嘘…ちょい、生きてるか?」

 

「何気ない小町の行動が俺を傷つけた」グスッ

 

「泣くなよそんなことで」

 

「何気ない小町の一言が俺の心臓を貫いた」

 

「!?」

 

さらに翌日

 

「…閻魔様。また来たんですか」

 

「最近映姫さんって呼んでくれませんね」

 

「一昨日呼んだでしょうが。何言ってんです…」

 

「ああ、あと…」ガシッ

 

「んぇ?」

 

「昨日、小町と会ってましたね?」ググッ

 

「痛い痛い…会ってましたけど何か?」

 

「あなたはなぜそうひょろんとしていられるのか…ほんっとうに腹立たしい」

 

「んなひどい」

 

「…で、それに加えてあなた泣かされましたよね?」

 

「えぇ…まぁ、泣きましたけど。心臓貫かれましたけど」

 

「何故?何故何も言わなかったのです?」

 

「え、いやぁ小町ってだいたいそういう奴だし…」

 

なんか今日の閻魔様ちょっと変じゃない?そう思いながら俺は閻魔様の問いにのらりくらりと答える。すると突然堪忍袋のなんたらが切れたのか、俺の胸ぐらを掴んできた

 

「うわっ」

 

「何故そんな返事しかしないのです!?しっかりと答えなさい!しっかりと!」バチィンッ

 

「あだっ」

 

「何故!?何故小町と話していたのですか!?働いていた時には見せもしない顔で!何故!?」

 

「いや〜今日は随分と大胆ですね…結構いた」バチンッ

 

「…真面目に答えること、良いですか?」

 

「はい…」

 

「何故昨日は小町と会っていたのですか?」

 

「久々に会ったもんだから酒でも飲むかってなったから」

 

「何故、泣かされても何も言わなかったのですか?」

 

「…それは、なんでって…大したことでもないし、俺が勝手に泣いただけだからぁ!?」

 

「それなのになんで言わなかったのですか!?」グワッ

 

「うわっ…だから、大ごとでもないし、酒が美味いって言われただけで」

 

「そんなわけないでしょうが!」バチィンッ

 

…この閻魔そろそろ面倒になってきたぞ。でも、なんで泣かされたこと知ってて理由は知らないんだ?よくわからんな…

 

「いっつ…」

 

「貴方は!あなたという人は!わたしという彼女がいるのに家に女を連れこんで!」

 

「は?」

 

「お仕置きが必要ですよね…!」

 

「待て、俺に彼女はいないぞ?」

 

「何を言っているのですか!」バシィッ

 

「あっ!?」

 

「約束したではありませんか!私がまだ新人の頃、一緒にいると!」

 

「んな約束覚えてなっ!?」

 

「何故覚えてないのです!?有罪ですよ!」

 

「うっ…なんだかとても頭が悪そうに見えるぞ…」

 

「…っ!このっ!薄情者!」バギィッ

 

「へぶぁっ!?」

 

「何故!私があなたなんかに惑わされなければならないのですか!」

 

「いや、知るかよ…」

 

「何故!」

 

…いやそろそろガチで面倒だぞ。地味に拳痛いし、なんで俺が付き合ってることになってんだろ。わかんね

 

「んなもん知らん」

 

「私は…あなたと一緒にいたいだけなのに…」

 

「急に弱くなったな…」

 

「なんで…辞めちゃったんですか…」

 

「んなこと言われましても…ん?」プスッ

 

「こうなったら…どんな手を使っても手に入れてやります」

 

「…なんだ、こりゃ…」

 

「麻痺薬です。意識はあるのに、身体が麻痺して動かない。そんな薬です」

 

「は…?」

 

「さて、帰りましょうか。私たちの家へ」

 

「…」チーン

 

 

 

 

 

 




コトリバコは出てきません。が、八尺様は出てくるかもしれません。


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紫様と香霖さん

ただただひどいお話を書きたかった。それだけです。
が、そういうのって主人公メンヘラっぽくなるんでひどい愛のお話です。
それでは聞いてください。『あなたを    』
ま、ひどい愛なんて書きません。ただただ純愛を書きます。今回は違いますよ。多分
2話投稿になりますねぇ…ワタシ自身そんな納得してない話ですので量で攻めます


 

香霖堂

 

「…八尺様…か。君は外の妖怪だろう?」

 

「ぽ…ぽ…」

 

「ふむふむ…気がついたら、か。八尺様は地蔵の結界により封じられてるという話が多いが、その結界が幻想郷への結界とも被っていたと」

 

「ぽ…」

 

…さて、よくわからないな。あの紫がそんなヘマをするわけがない。他の結界と被せたところで、その被った結界が壊れてしまえばここの結界も穴が開くことになる。だとすればこの八尺様はどうやってきた?…幻想郷に持ち込まれた?

 

「…とにかく、君は外の世界の怪異なんだ。早く帰らなければ」

 

「ぽ…」スッ

 

「ん?なんだこれ…細工箱?なるほど、頭を使って開けるのか…ただ、それはいらないな」

 

「ぽ…ぽ…」

 

「え?これは細工箱ではなく最強のコトリバコ?ハッカイ?何を言ってるんだい?…何、妖怪には影響がなく、呪う相手にしか効果がない?ある程度の歳をとった男には効果がない?それはすごい箱だね…」

 

隙間<オープン

 

「…ちょっと、何よそれ」

 

「え?」

 

「ぽぽ…」

 

「あなた何言ってるの?ぽぽぽって…その箱はこちらで預かるわ。それは妖怪どころか中級なら誰でも殺してしまう恐ろしい箱。虚取り箱よ。早く渡しなさい」

 

「あ、ああわかった…」

 

そんなに危険な代物だったのか。それをここに持ってくるなんて、この八尺様は何を考えている?それに紫が言っていたぽぽぽとはなんだ?僕には喋っているようにしか聞こえないけど…

 

「ぽ…」

 

「何を言ってもダメなものはダメ。ぽの一言で伝わったら誰も苦労はしないわよ」

 

「え?彼女は返してと言っているだろう?」

 

「…香霖さん、それは忘れなさい。彼女は八尺様、特徴はご存知のはずよ」

 

「ぽぽぽぽぽ」

 

「…君の声は魅入った人にしか聞こえない?」

 

「つまり、あなたは魅入られた。絶対に八尺様は諦めない。あなたは、厄介な妖怪に捕まるものね」

 

「何を言ってるんだか…君の声は男性にしか聞こえない、そうじゃ」

 

「あなたを」

 

「香霖さん?」

 

「あなたを」

 

「あなたを?僕を、どうする気だい?」

 

「あと少しで、手に入れられたのに」

 

「あと少し?」

 

「あと少しで、200人目」

 

「え?」

 

「香霖さん!」

 

「この女さえイナケレバ」

 

「…やめろ」

 

「アナタはワタシのモノだった」

 

「やめないか!」

 

なぜだ。なぜ、こんなことになっている。僕と八尺様は初対面のはずだ。こんな、こんなことになるのは誰もわからないはずだ。

 

「…ぽ」

 

「え?」

 

「ぽ…ぽ…」

 

「ぽ…?」

 

「香霖さん!」

 

「うぇっ!?ああ、なんだい?」

 

「八尺様の声は聞こえるかしら?」

 

「…さあ?ぽ、としか聞こえないけど」

 

「それだったら良かったわ。あの八尺様はまだ新しい方。実力不足で恋から憧れに変わったのよ。そう、そうなのよ…」

 

「?どうしたんだい紫?」チラッ

 

「だカら、全ゼン、キにしなくて、イいのよ」

 

「…紫?」

 

「コトリバコはニセモノ、でもレイキはあった」

 

「紫、しっかりしろ紫!」

 

「ナンデ?ワタシは、コンなニ、冷静なのに」

 

「紫!」スパァンッ

 

「いつっ…?あ、ああ。ごめんなさいね。で、コトリバコだけど、これは…月にでも送っとくわ。憎らしい………月に、ね」

 

そんなことして月の人に怒られないのか?と思ったが紫がやったとは思う方が難しいだろう。それに月の人は不死身と聞く。すげー

 

「…そうかい。それじゃ、さっさと帰ってくれ」

 

「外の世界からの物よ?」

 

「ん?なんだって?」

 

「現金な人ね…これよ」スッ

 

「…これは…」

 

「…外の世界で使われた、何かよ。よくわからないけど、外の世界の住民はこれに夢中だったわ」

 

「これは、確か外の世界の新聞で見た…すまーとふぉんだ。でも、形も何もかもが違う。いつのまにか技術が進歩している物だな…」

 

「ふふっ楽しんでもらえたなら結構」

 

「…ところで、紫」

 

「ん?」

 

「君は、さっきから何故、ぽぽぽしか言わないんだい?」

 

「え?」

 

これで、紫に揺さぶりでもかけてやろう。いつも迷惑を被ってる側だ、たまにはこれくらいしても良いだろう。それに、最近嫌な事件ばかり起こっているから八つ当たりな部分もあるが…良いか。

 

「…何故なんだい?」

 

「なんて、嘘をついても無駄よ」

 

「やっぱり?」

 

「そうよ」

 

「…はぁ。迷惑を被ってる側だから引っ掛かってくれても良いじゃないか」

 

「いやよ。まぁ、お嫁さんなら良いけど」

 

「断る。君みたいなやつが嫁とか全世界どこを探してもいないほどの毎日がエイプリルフールな家族にしか見えないからね」

 

「…酷くないかしら?」

 

そう、紫は頬をぷくーっと膨らましながら、むー、と。まるで漫画のように文句を言う。よくわからんが、これが萌えらしい。

 

「…それにしても、八尺様はどこに行ったのかな」

 

「フフッ、以外と早くにターゲット決めてたりして」

 

「そうなのかな」

 

「ええ。少なくとも、ワタシはそうしてるわよ」スッ

 

「え?これは…」

 

「婚姻届。香霖さん、アナタはもう、ワタシの夫なのよ?」

 

「…は、はは…笑えないな。八尺様の後にそんなこと言われ」

 

「ナンデ?笑えるでしょう?笑顔で、ほら、喜ぶべきよ。私たちはノゾンでフウフになったのだから、喜ぶのよ」ガシッ

 

「あっ」

 

紫の手に捕まる。僕には紫よりも強い力は何も持ち合わせていない。何故だ、何故こうなる。

 

「喜びなさいよ。ワタシとアナタの結婚。合意の上でのケッコン。喜ばしいでしょう?笑顔になりなさいよ。そんな、憎たらしい物を見る目で、ワタシを見ないで」

 

「残念だけど、それは流石に無理かな…」

 

「なんでよ!」ドンッ

 

さて、そろそろ閉店時間だ。閉めれないけど。お客様にも帰ってもらわなきゃな…ん?

 

「あれは…」

 

「どこを見ているの!?」グッ

 

「いづっ」

 

香霖堂の外

 

「…ぽぽ…」

 

 

 

 

 

 




ミスター・ポポ。
さて、今回の八尺様は進化していますよ。絶対に諦めない、と言う能力は消え、他人に譲渡する能力が増えました。怖いね、諦めを知らないって。え?途中八尺様は何を言っていたか?何って、ぽぽぽじゃなぽですか。何を言ってるんぽすぽ。ぽ…


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神霊廟と初々しい奴

はっきり言って特にないです。
が、これ作ってるの5月1日です
リクエストあったら感想欄にぶち込んでおいてください。
なんかやっときます


神霊廟

 

「…おい、どうなってんだこりゃ」

 

「ん?そりゃ当然、見ればわかるだろう?」

 

「わかるだろう?じゃないんだよう?」

 

「…君を今日から監禁させてもらうよ」

 

あら、割とあっさり言うね…って違う。あー、これどうなってんの?どうなるの?俺、このまま死ぬのか?

 

「俺を監禁ねぇ…って言うけど。あのね豊郷耳さん。わたしにも人権というものがありまして」

 

「私よりも人権が尊重されるとでも言うのですか?」

 

「…良いや」

 

「それで良いんです。さて、何から話しましょう?」

 

「そうだな。あの子たち…あんたの弟子。そいつらに許可は取ってんのかって」

 

「ええバッチリです。布都も屠自古もあなたにその気があったようで、機会さえあればと言った感じでしたよ」

 

「…嘘だろ…?」

 

「嘘じゃないよ。で、次は何を聞きたいのかな?」

 

…どうにかして、ここから逃げれないものか。そう思ってもどうせこれは読み取られてる。面倒だなぁ…

 

「…もしや君は脱出を企てているのか?」

 

「やっぱバレるか…大人しくここにいろってことか?」

 

「あぁ、もちろんだ」

 

「我もおるぞ」

 

「私もな」

 

「チッ…三年峠で一回転ぶかあんたらと暮らすかを選ぶとしたら三年峠だな」

 

「ちょっと待てそれは流石にひどくないか?」

 

「おだまり」

 

「太子様、これでは奴の思う壺ですよ」

 

「屠自古の言う通りです。それでこれを」

 

「これは?」

 

まるで効果音でも付いてそうな出し方だ。はしたないからやめろと何度いえばわかるのか。何でその浴衣みたいな服で上下分かれてるみたいな感じなんだよ…?

 

「おい布都!これは首輪だろうが!」

 

「ただの首輪ではありませぬぞ!ここをこうすると」

 

首輪<モードチェンジ!

 

「このように!こうして…失礼するが、許してな」ゴソゴソ

 

「ん?あぁ、くすぐったいな…」

 

「これでよしっと」ポチッ

 

「ぅあっ!?」

 

「…これくらいかの?と、このように使い分けることができるのじゃ!」

 

「ふむ。それは良いですね」

 

「あぁ、太子様。私からも一つご提案が」

 

「どうぞ?」

 

「私からはこれを」

 

何だ。首輪ですらきついのにまたさらにつけようと言う魂胆か?丸見えなんだよ。脱走してえ

 

「…私自身あまり言いたくはないですが…欲に訴えるという方法もあります。オナホール」

 

「やめんか」パシンッ

 

「あうっ」

 

「…屠自古のアレは流石になしだな」

 

「やっぱりですか…」

 

「ったく…」

 

「それじゃあ首輪にこの紐を…」

 

「顔が結構近いな」

 

「ふえっ!?た、たいししま!」

 

「島?」

 

「や、やはりこれは太子様がつけるべきかと!」

 

「…それもそうだな!」

 

さてこいつの底見えぬ性格が嫌いだが、何をするべきか…一つ!布都と同じやり方で

 

「フフッ…顔が近いな…今すぐにもキスが出来そうだ」ボソッ

 

「!?」ボフンッ

 

「フフフ…反応も初心だ。かなり良いね。やっぱり君は私と一緒にいるべきだ」

 

「…って、だめだだめ。そんなこと、させ」

 

「出来た。引っ張ってみるか」グイッ

 

「あうっ!?」

 

「…かなり良いな、これ」

 

「犬もハッピー間違いなしなのじゃ!」

 

「は?犬?」

 

「ああ、違うだろう?犬じゃなくて人間。だから選んで、監禁したんだろう?」

 

「そうでした!」

 

「…お二人とも元気そうですね」

 

うわびっくりした。心臓に悪い…どれくらい悪いかって言うと急に走り出すくらい身体に悪い。て言うか俺犬じゃないし。なんか屠自古さん閉じこもってるし。

 

「…ん?」

 

「さて、早速散歩と行こうか。布都、拘束を解いて。屠自古、出かける準備だ」

 

「はっ」

 

「ちょっと失礼」

 

「るぁっ!?」

 

「やっぱくすぐったいか…改善の余地ありじゃな」

 

「…いや、多分そうじゃないと思うんだがなぁ」

 

待て?このままいったらお披露目会と称して人里に行くのでは?まずい、それはまずい。

 

「ちょ、流石にこれは恥ずかしいって言うか何と言うか」

 

「私は恥ずかしくないぞ?」

 

「…」イラッ

 

「太子様。準備ができました」

 

「おお。さて、立とうか」

 

「はいはい。よっこいせ…ってだから人里は嫌だって」

 

「命蓮寺にいる男は聖から逃げ回っていると聞いているのでな」

 

「それは…」

 

そいつの特技みてえなもんだろと言いたいが…誰?それ誰っすか?そうしないとわからないって言うか…

 

「…まあ良いか。さて、こっちに来たまえ」グイッ

 

「んあっ…痛い」

 

「太子様、あまり強くしすぎると跡が残るので」

 

「それもそうだな。ほら、人里に行くぞ」

 

人里

 

「なんで手が手錠で捕まってんだよ」

 

「ひそひそ話されてますね。ではここいらで少し…」ギュッ

 

「んゃ!?やめてくれ!?くすぐったい!」

 

ひそひそ…ひそひそ…

 

「ふうむまだ終わらないか」

 

「次は何すんだよ」

 

「いや、何も?これを普通だと捉えさせれば良いのだろう?君にも、人里の人たちにも」

 

「特別視されてるのかされてないのか…」

 

「フフフ…屠自古、家に帰ったらお風呂の用意をしてくれるか?」

 

「あ、はいわかりました」

 

「布都はこの首輪のような道具を探しに行ってくれるか?」

 

「はい!我にお任せあれ!」

 

お任せあれじゃねえってお前今松明どっから取り出した!?下半身にしまってたか!?いや、違うよな!絶対に違うよな!?

 

「…さて。団子を買いに来たんだよ私は」

 

「俺が行ったら迷惑だろ。ほら、手放せ」ググ…

 

「…残念だったね。私と君では天と地ほどの力の差があるんだ。わかるだろう?」ガシッ

 

「え?」

 

「指一本くらいは簡単なんだ…よ!」バキッ

 

神霊廟

 

「痛い…適切な処置求む」

 

「嫌だね。わざわざ変な折り方したんだ。抵抗するときは容赦なく骨を折る。それを頭に入れてもらわないと」

 

「想像以上にやべえとこだったわ」

 

 

 

 

 

 

 




首輪か亀甲縛りのアレか目隠し+首輪かで迷いました。首輪が1番


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死人と姫様

さくらんぼ聴きながら幽々子様作るのってなんだか有から幽作ってる気がして面白い


 

ようやく死ねた。誤解がないように言っておこう、俺は若くして…などではない。30歳くらいだ。人里の平均寿命は60歳くらい、人生の折り返し地点で死んだのだからまぁ良いだろう。ただ、葬式に来た人間の数は数えるまでもなく、0だったことを除けば。

 

三途の川

 

裁判場

 

「…ふぁぁ…」

 

「判決としては…おめでとうございます、天国行きです」

 

「…は?」

 

「聞き取れませんでしたか?天国行きです。案内を」

 

「待て、待て、待て!嘘つくなよ!」

 

「?なんで私がこんな場所で嘘をつくんですか?」

 

「俺が天国行きなわけないだろうが!仮に天国行きだとしても、俺はいかねえぞ!」

 

「…地獄に行きたくないと暴れる魂はいましたが…天国行きを拒む魂は初ですね」

 

「連れてけ!今すぐ地獄に!」

 

「…彼を冥界に」

 

「冥界だと!?」

 

「あ、身体は与えておきます。冥界では何かと不便でしょうから」

 

「ざけんな!テメェよ…!どうせなら今ここで悪事働いてやるっつの!」

 

「はっきり言っておきますが、死後の行いは裁判に全く関係ありません」

 

「…クソが」

 

「天国行きを拒む人は初めてです。そのまま天国に行ってしまったらどこかで崩壊する。それを防ぐために冥界へ行ってもらいます」

 

…何言ってんだこの閻魔。殴り殺してやりたい。が、裁判には関係しないらしい。そもそも、冥界ってどんな場所なんだ?ようわからんがあそこで崩壊すれば地獄に行けるのか?

 

冥界

 

「…丁寧に扱えよ」

 

「あらあら〜慌ただしいお客さんね?なんの用かしら」

 

「知るか。俺が聞きたい。んで…ああ、お着替え中?そいつは失礼しました」ガララッ

 

「…あの殿方全く反応しなかったわねぇ…ん?紙…閻魔様から?『彼を天国に行かせたいと思わせること』…え、ちょっとどう言うこと?」

 

翌日

 

「…つまりそう言うことね?」

 

「天国行きの判決だかなんだか知らんが地獄には行きたかったのさ」

 

「地獄?それはダメよ。あれは人のたどり着く場所ではないもの」

 

「うるせえやい。こちとらなんで天国行きになったのかすら記憶にねえっつうのに」

 

「あらあら、自分の名前すら覚えてないの?」

 

「当たり前だバーロー。名付け親募集中だー」

 

「???」

 

…さて。ようやく死ねた。それは喜ぶことだ。なのに、死んだ時の願いは伝わらんものか。葬式に四つ葉のクローバーなんて、縁起が悪い。あんな、復讐なんて花言葉があるのに、気が知れん。

 

「…良いや、今日は寝る」

 

「え、あ、そう…」

 

その夜

 

「…ねぇ」

 

「ん?あぁ、えーと…」

 

「幽々子よ。あなた、なんで天国行きを蹴ろうとしたの?」

 

「…自分に嘘ついて生きることほど罪なことはねえぞこんにゃろう。って思ったことだけは覚えてんだけどな」

 

「あら、そうなの?」

 

「そう言うもんだ。ところで、煙草とかって」

 

「煙草はないわよ。葉巻もないわよ」

 

「全部取られてるぜ」

 

「まぁ、この屋敷に住むなら一人、使用人がいるからその子になんでも言いなさい」

 

「あいよ」

 

翌日

 

…そういや、使用人の名前も姿も聞かされてないのにどうやって言えって言うんだ?やはり頭のネジが外れてるか…なんか匂うな…

 

「良い匂いだけど…近付きたくないな。気持ち悪い匂いだ」

 

「あらぁ?どうしたの〜ご飯はこっちよ〜?」

 

「気持ち悪いっ…撤退撤退…」

 

「こんな良い匂いしてるのに…なんで逃げたのかしら?」

 

「きっと幽々子様の顔を本能が危険だと判断したんでしょう」

 

「…そうかしら?」

 

白玉楼のどっか

 

「…うぷっ…ゲホッゲホッ!気持ちが悪い…あの匂い…なんでだよ…」

 

「大丈夫かしら?」

 

「少なくとも、このセリフは焦りながら来るはずなんですがね幽々子さん…」

 

「亡霊は死なないから、猶予も何もないのよ。で、なんで妖夢の料理から逃げたの?」

 

「バレてたんか…」

 

「もちろん。で、話してくれるの?」

 

「話すも何も…気持ちが悪かったんだよ。匂いだけで、嫌いだった。吐き気云々じゃなくて、気味が悪かった。懐かしい感じがしたのに、嫌になった」

 

「…そう。そうなのね。前世にトラウマでもあるのかしら?」

 

「さあなぁ。確かめる術があるとしたら、閻魔様だろうし」

 

「…ま、良いか。ほら、立ちなさい。お散歩、行くわよ」

 

「…あいよ」

 

散歩、と言うので少し嫌な予感はするが拒否るとめんどくさそうだ。素直について行くか…それにしても、石が当たった場所が痛む…

 

「今日転んだのがダメだったかなぁ」

 

「さ、行きましょうか」

 

その後、人里を訪れた結果人里に悪霊が来たと言う噂が流れたのは言うまでもない。

 

数時間後

 

「…ほら、言っただろ」

 

「そうね。でも私は楽しかったわ〜♪」

 

「何が楽しいのやら…空を飛ぶ気持ちなんてわからんな」

 

「あなたのいろんな表情見れて楽しかったのよ」

 

「ストーカーかな?」

 

「お黙り。私はあなたに天国へ行こうと言う意思を持たせろって言われてるのよ」

 

「幽々子様…それあんまりストレートに言っちゃダメじゃないんですか?」

 

「はえー…ま、どうだって良いか。俺は、死ねたって事実だけども満足だ」

 

「何言ってんだこの人!?」

 

「…で、これから俺はどうなるの?」

 

「天国に行きたがるまでここに軟禁ね。これからも末永くよろしく」

 

「?あぁ、よろしく…?」

 

 

 

 

 

 




末永くお願いします(新婚さん魂)


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被害者小傘と容疑者

2話投稿。
庭には鶏が2羽2話投稿している


命蓮寺

 

「…ん?みんなどうしたの?」

 

「ああ、小傘でしたか。見てくださいよ。酷くないですか?」

 

「うーん…匂いはきついね」

 

「おい、俺はなんで連れてこられたんだ?」

 

「なんでこんなに匂うんだろう。ひどいとかのお話じゃないよこれ。臭いよ。激臭だよ」

 

答えろよ。せめて一言二言でいいから答えてくれよ。おのれ妖怪め…こちとら頭ポリポリポリスだぞ。なんでこんなになってんだか…

 

「って!みんなにわちきの彼氏伝えようと思ったのにー!」ブー!

 

「ぶふぁっ!?」

 

「ええ!?」

 

「…ちょっ、ま、待って。誰、それ。妖怪?妖怪だよな?俺じゃないよな?」

 

「え?アナタだよ?」

 

「」チーン

 

「ほー!とうとう小傘もですか!うんうん!…あれ?ってことは命蓮寺メンバーで相手を捕まえてないのって…」

 

「星とマミゾウさんだけだね!」

 

「…無垢故、ひどい言葉も重みが違ってくるのか…」

 

「あはは!」

 

ていうかこいつ何気に酷いこと言ってんぞ。大丈夫か金髪さんや。ていうか手を離せ。くすぐったい

 

「…でも、おかしいよね。わちきナンパされたのにさ」

 

「…それなのに忘れられた、と」チラッ

 

「そーそー。酷くなーい?」

 

「…待て、俺はナンパなんてしたことないぞ。ずっと前に一回だけだ。それも妖怪じゃなく人だ」

 

「?だってあんなに情熱的だったもん。忘れられないよ」

 

「は?いや、だから」

 

「最近ストーカー被害にも遭ってるんでしょ?可哀想に」

 

「おい、こいつ聞いてんのか」

 

まるで人の話聞きませんって感じだ。耳ついてるくせに『もんがまえ』だけはないものか。いや、鼓膜の話だったか?

 

「…ストーカー被害に遭ってるならわちきが助けるよ」

 

「青春って良いですねぇ…」ポポポ

 

「これのどこが青春だあんた。ていうかなんでストーカーのこと知ってんだよ」

 

「ずっと見守ってたから当然でしょ?それに、わちき前見たもん。あなたをずっと見る目」

 

「は…何言ってんだか…そりゃお前だろうが」

 

「え?何を言っているの?」

 

「小傘さん、惚気話なら他でやってください。羨ましくて目も向けられない」

 

「あ、ごめんなさい!行きましょっか!」

 

「あ?ま、待て!急に走るな!」

 

小傘宅

 

「はぁ…はぁ…」

 

「体力なさすぎ!もうちょっと付けようよ!」

 

俺は妖怪じゃないんだがな…というかこれでも里の男どもと比べると少しは優れてるはずなんだが…

 

「おまえっ…はやすぎ…」

 

「え?そうだった?ところで、わちきとの出会い思い出した?」

 

「思い出せるかよ…」

 

「そんなぁ。ひっどーい!」

 

「なんで俺が見知らぬ奴との出会いを」

 

「わちき頑張ったのに」

 

「え?」

 

「わちきはあなたの言う通り頑張ったのに。ずっと、一緒に居よう!って言ってくれたのに」

 

「は?」

 

「わちき、あなたに襲われたんだよ?でも、それも良かったの」

 

「何言ってんだ。俺は…」

 

「あなたに打たれても、それが良かった。なのに、突然居なくなって」

 

「俺は違う。お前を襲ったのは俺じゃない!」

 

「嘘つかないでよ!じゃあ!わちきはあの時何したの!?」

 

「っ…」

 

「わちきもできれば忘れたいの!でも貴方がずっと頭に居るの!」

 

「知るかよ!?」

 

急に叫んだと思ったらなんだこの妖怪!?てめぇ本当なんなんだよ!?こっわいな本当!クソが力強いせいで何もできねえ!

 

「なんで!わちきはあなたをこんなに想ってるのに!」バギッ

 

「あがっ」

 

「なんで!ようやく会えたと思ったのに!」ボゴッ

 

「いだっ」

 

「わちきの恋を馬鹿にして!」バチィンッ

 

「あばっ…ってー…ざけんなお前!こんのクソ妖怪が…」

 

「させないよ!」グサッ

 

「あっ〜!?」

 

「はぁ…ひぃ…ひひ…」

 

「な、なんだよお前!手にナイフなんてブッ刺しやがって!」

 

「だって、外の世界だとこれが基準らしいから」

 

「あぁ!?外の世界と幻想郷は別だろうが!」

 

「…おかしいな。外の世界だとこれでおとなしくなったのに」

 

「なるわけあるか!」

 

「…あぁ!片手だけだからか!ごめんね!わちき間違えてた!」グサッ

 

「あぁっ!?」

 

数時間後

 

…もう疲れた。抵抗する気にすらなれん。怖い。殺されたくねえし。てかなんなんだよこの妖怪。俺、結局訳もわからず腕に釘打ち込まれて終わりじゃねえか。包丁はどこいったんだよ…

 

「あ…」

 

「あ、足の分は…もうないや。ね、これでわちきのこと見てくれる?」

 

「何言ってんだお前…あ!やめろ!踏むな!」

 

「何回言っても…なんでわからないかな!」ダンッ

 

釘<踏まれたからもっと深く行く

 

「あぁ〜!?」

 

「…また落ち着くまで時間がいるかな。それとも口を封じちゃえば良いかな」

 

数十分後

 

「…ぎっ…」

 

「で、わちきのこと見てくれる?」

 

「わかった、見る。見るから、この釘外してくれ」

 

「は?」

 

「え、なんだ、おい、その手に持ってるのは」

 

「わかったって何?渋々従いますみたいな良い振り、私は嫌だよ!」ブンッ

 

そっからはあまりにもセンシティブだから文面で伝えよう。俺の体に刺さった釘目掛けてハンマーが飛んできたんだ。いや、ハンマーなのかな?相手は刀打ってる身だから、その途中で使うやつかもしれない。そんなのが釘目掛けて飛んできた。クソ痛かった。

 

「…そんな言い方!ないでしょ!」ブンッ

 

「いぎゃっ」バキッ

 

あ、釘外して腕に当たった…

 

「…ね、もうわちきのこと見てくれなさそうだし。良いよね」

 

「は…?」

 

「わちき、もう我慢の限界なんだ。でも、あなたは変わらずわちきに我慢させるね」

 

「だから、何言ってんだ。このままじゃ読んでくれる人が」

 

「だから!もっとやって良いよね!やめてって言っても絶対にやめないから!」

 

「…あ、これもう死んだな」

 

その日、鍛冶屋を営む妖怪の家で鈍い音が何回もしたという。尋ねた妖怪が言うには「愛が煮詰まった場所」だと言う。しかし、他の妖怪は「曲がりくねった愛の末路」とも言っている。真実は知らん。

 

 

 

 

 

 

 

 




真実は知らん。
こう言う終わり方好きです


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青年と翁の娘さん 1

輝夜ちん


 

時は平安時代。彼女です

 

「…どちら?」

 

「あら、あなたは私に媚びないのね」

 

「誰が媚びるかよ…あ、ここの川美味い」

 

「変な喋り方ですこと」

 

「お黙り〜…俺は少し面倒な体質なんでね。そう言うお前も些か変な喋り方だけどな」

 

「あら、バレてた?フフッ…じゃあここの川水、頂くわね」

 

「俺のじゃないから良いさ」

 

そういや最近巷で噂になってる例のかぐや姫、美人だとか帝との結婚が約束されてるとか言われてるけど、どうなんだろうか…

 

「…あら美味しい。時には翁さんの家から出るのも良いわね。あなた、明日もここに来る?」

 

「明日?あー…どうだろうな。川上かもしれんし、川下かも知れん」

 

「あらあら…じゃあ運動しておかなくっちゃ」

 

翌日

 

「…そういやあいつ翁って言ったか?あの何でも屋…あー、あいつのところにかぐや姫ってのがいるんだっけ」

 

「ああ、いたいた」

 

「ん〜…竹一直線切り!」スパンッ

 

「お〜お見事」

 

「…で、なんやかんやして、竹製のコップ完成!…で、コップってなんだっけ」

 

「飲み物を入れる容器でしょう?名前だけは知ってるのね…」

 

「だぁっとれ。ほら、お前の分。手で汲むのは少し面倒だからな」

 

「あら、ありがとう」

 

そう言いつつ、こいつは地味にでかい方を取った。なんだろう。こう言う何気ない行動が信頼とか取っていくんだなとは思った。

 

「…良いか。そういやお前翁のところにいるんだっけか?」

 

「え?ああ、そうよ。お世話になってるわ」

 

「んじゃ…かぐや姫ってやつの姿を教えてくれ」

 

「え?」

 

「え?って…知ってるだろ。顔を合わせない訳でもあるまいに」

 

「あ、ああ。そうね。私も可愛すぎてまともに直視できなかったわ」

 

「…なんでそんな上機嫌なのか」

 

「そのかぐや姫は天然の男たらしでね。5人の御曹司に魅入られてるらしいの」

 

「へー…」

 

「でも、はっきり言ってかぐや姫からすれば嫌よね。顔を見て嫁になってくれ!なんて」

 

「…顔?お前も十分可愛いとは思うが…お前とは比べ物にならんくらい美人なのか?」

 

「あら嬉しい。そうよ。私とは比べ物にならないくらい綺麗なのよ!あれで何もしてないって言うもんだから少し嫉妬しちゃうけど」

 

「女ってのは複雑な生き物だな」

 

「…あまり褒められてる気がしないわね」

 

「しゃあないだろ」

 

その後里

 

「…おーい翁〜」

 

「…ん?ああ、なんだ。君か、どうしたんだ?」

 

「かぐや姫ってのを目に収めておきたくてね。帝でも皇子でも御曹司でもないが、通してくれ」

 

「相変わらず変な喋り方だな…」

 

「お邪魔しまーす」

 

と、翁に従って家の中にお邪魔してるが…奥にいるもんだな。が、女中どころか女ひとり見えん。おかしい、あいつが翁の場所にいると言うのは嘘だったのか?

 

「…なぁ」

 

「?」

 

「女ってのはお前の女房とかぐや姫と、もう一人いるだろ?」

 

「え?何を言っているんだ?いないことないが…どれもお前とは初対面だぞ?」

 

「…そう言うもんか。よしかぐや姫へ直行だー!」

 

ガララッ

 

「かーぐや姫ちゃーん!…こんなノリで大丈夫か?」

 

 

「娘はお前みたいなのは好かないぞ。ほらかぐや、お客さんだ」

 

「…」ボソボソ

 

「ん?ああ、そうか。すまない、今日は体調がすぐれないらしい。顔を合わせるのは次の機会にと」

 

「次なんてあるかどうかもわからんのにな。ま、良いさ。翁の溺愛っぷりがわかったからな」

 

「お主さては蔑んでおるのか?」

 

「当たり!」

 

そう言ったら問答無用で殴られた。現役爺さんのパンチはいたいよ…でも、そろそろ噂を聞きつけて帝がやってきそうだ。そしたら誰とも会わせるなとか言いそうだし…いや、別に良いか。

 

翌日

 

「昨日、かぐや姫に会いに行ったんだけどさ」

 

「っ…そう」

 

「体調がすぐれないって断られちって。失恋した気分だぜ」

 

「…そう」

 

「?どうした?」

 

「なんでもないわよ」

 

「…そうか。女ってのは複雑だねぇ。確か…ほら、1ヶ月周期でやってくる痛みがあるんだろ?耐えれん耐えれん」

 

「あなたの頭に失礼という文字を埋め立てたいわ」

 

「お、そうか。で…ああ、そうそう。熊の干し肉手に入ったんだが食う?」

 

「乙女にそんなもの見せて食べるかを聞くなんて…はしたないですよ?」

 

「何言ってんだか」

 

…それから数週間が経った。時期はもう十五夜を迎える。あれ、十五夜だっけ?まあ、月見日和という訳だ。あれからたまにあいつは態度がよそよそしくなったところもあったが、良いだろ別に。あいつもどうせ月見てんだから。

 

十五夜…ですよね?

 

「…月、綺麗だなぁ」ボンヤリ

 

月<光度1000%!

 

「うわっ目が!?…いや、これかぐや姫がいる場所だ…行こう!」

 

翁の家

 

「姫をお守りしろー!」

 

「目がぁぁぁぁ!」

 

「どうしたのだ貴様ら!?」

 

「…かぐや姫はいらっしゃいますか?」

 

「帝様。もう良いのです」

 

「なっ」

 

「あなたのことなんか好きでもありませんでしたから」

 

「何を」

 

さて辿り着いた先は修羅場でしたと。さながら浮気現場だね…やっば、バレてる?これ帝にモロバレ?やばくね?…で、かぐや姫が帝に寄り添ってるやつで…

 

「…あ!てめぇ!」

 

「何奴!」

 

「…」

 

「お前かかぐや姫はよ!騙しやがっててめー!…ったくよ。通りで見ねえ訳だわ」

 

「誰だ貴様!」

 

「姫、早くこちらへ」

 

「お前らなんか過保護の親みてえだな」

 

「んなっ」

 

「良いの。私はもう月に帰るの」

 

「…あ、そうなの?月?月って今満月の?すっげーなー…月ってこんな体付きが良いんだ…」

 

「何見てるのよ!」パシィンッ

 

…待て、なんで今叩かれた?

 

「あなたには私だけを見て欲しかったのに!素の私を!」

 

「いつつ…何?告白?それだったら帝にやれよ。それとも月にいるのか?お相手は」

 

「そんな訳ないでしょう!?」

 

「じゃあなんだよ」

 

「たった2年そこらの愛情よりも3週間の友情の方が良いのよ!」

 

「あーそう。それで何したいの」

 

「姫、早く」

 

「…あなたを月に連れて行くわ」

 

「は?」

 

「姫、そのようなことは許されません」

 

「…だってよ。かぐやさん。まー…月旅行も楽しそうだけどさ」

 

「じゃあ行きましょう!今決まったもの!」

 

「…姫…」

 

「さあ行くわよ!タブーなんてなんのその!さあ、いらっしゃい!」

 

「…はいはい」

 

あれ、俺なんか一つまずいこと忘れてないか?…後ろ、誰がいるっけ?大量の武士?翁達?…あ、違う。帝がいた

 

「ま、待て!そいつなんかより私の方が」

 

「言ったでしょう?帝さん、あなたなんか到底いらないってことを言ったはずよ。なんども」

 

「こっわ。付き纏いストーカーかよ…」

 

 

「…へー。何もかもが違う」

 

「たまには良いでしょう?こうやってショッピングだって」

 

「良いんでねえか?」

 

 

 

 

 




無理やりすぎる?知るか。
多分続きます。幻想郷いっそも出てないから仕方ないね


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狐と男 2

さくらって良いですよね。一年で決まった時期に人に見てもらえるんですから。
散る時も見てもらえるんですから。人間なんて、散る時誰も見てくれませんよ。誰が見るもんですか。


 

人里

 

「おいおい…紫様が新しい式神つけたんだって?」

 

「確か狐様だって聞いたが…」

 

「あー…良い人だったけどなぁ」

 

「あ、お前遭ったことあるのか?」

 

「会ったことあるよ。面白い人だった」

 

「人ってお前なぁ」

 

そして主人公のお家!

 

…あれ?結構前から藍さん普通に式神やってなかった?あれ、どうだっけ?…?

 

「じゃ、藍さん」

 

「わかっている」

 

「…今度は唐揚げですね」

 

「はやくっはやくっ」

 

「八雲さん…あ、紫さん、落ち着いて」

 

「隣に藍がいるから八雲って呼べないものね〜」ニヤニヤ

 

「…チッはぁ…やりますよ」

 

数時間後

 

「出来ましたよ紫様」

 

「待ってました!」

 

「どうぞお食べください」

 

「あれ?ここら辺に…あった。頑張ったお礼においなりさーん」

 

「!」ガバッ

 

「うわっ!?」ドサッ

 

「…藍はいなり寿司には目がないのよねぇ」

 

違う、絶対そう言う問題じゃない。俺の胸に手がある。外の世界の本かここは。地味にくすぐったい。こいつは一体なんなのか…

 

「むぅ。鍛えてるのか?」

 

「ちょっ胸揉みながら言うことじゃあないでしょうよ。あとくすぐったい」

 

「…そうか?」

 

「とりあえず…あっいなり寿司…」

 

「お、ありがたい」

 

「…ドッキドキしたぁ」ヘタッ

 

「仕返ししても良いのよ?胸揉んだりしてさ」

 

「残念ですがそんなきったねぇモン触るくらいならぶん殴った方がマシです」

 

「男とっては嬉しいことだと思ったのだけれど」

 

「女に対して…少し、嫌でしてね。まぁ理由としてはその程度ですが」

 

「何?失恋話?聞かせてくれるかしら?」

 

「…甘食っと。まぁ、俺結構嫌われてるじゃないですか」

 

「え?そうなの?」

 

「そそ。ずっと嫌われてて。まぁ…人間好き嫌いあるモンですからね。仕方なし仕方なし」

 

「言うわね…」

 

まぁ、俺としては話したくないからここで終わるんだが。水…甘食美味い

 

「ま、それが原因でしてね」

 

「どゆこっちゃ」

 

「知られたくないことって訳です。紫さんもあるでしょう、そんなこと?」

 

「…まぁ、あるけど」

 

「私もあります!」ブンブン

 

「…と言っても、僕は疲れました。長生きしすぎたんです。長生きなんてするモンじゃありません」

 

「ん?長生き?」

 

「はい。もうかれこれ300年ばかし」

 

「あなた立派な妖怪じゃない!」

 

「…そう思ってたんですけどね。力も足の速さも味覚も。どれも人間なんです。寿命だけが妖怪なんです。嫌われる理由なんて、そんなモンです」

 

「そうだったのね…」

 

「…ん?だが待てよ?なんで妖怪が生殖行為を?」

 

「藍、それは野暮用というやつよ」

 

「俺は人間と人間の子ですよ。突然変異ってやつです…あと2個…」モグッ

 

「甘食をそんな噛み締めるように食べなくたって…あ、唐揚げあと一個…」

 

「お稲荷さんもうなかった…」

 

翌日

 

「…いだっ」

 

「大丈夫か?まさか包丁で怪我したなどではあるまいな?」

 

「んなことするのは藍さんくらいでっせ…腕つった…」

 

もう俺のばか。なんでこういう時に限って腕つるかな…はっきり言ってドチャクソ痛い。肩は平気なのに、なんでだろうか?

 

人里

 

「くぁっ…三日振りだな」

 

「それはおかしかろう」

 

「仕事がないんだ。もう、やる必要もない」

 

「…?気になってたんだがお前なんの仕事をしているんだ?」

 

「仕事か?…さて、なんだったかな。もう忘れた、甘食買わなきゃ」

 

「お前も大概甘食好きだな」

 

「紫さんはお酒好きでしょ。日本酒の」

 

「否定はせんが」

 

「…ん?なんですか店主さん?」

 

「あんた、連れてきてるの噂の式神かい?」

 

「んぅ?…あぁ、そうですね。甘食ってあります?」

 

「ああ、あるが。狐…噂は本当だったな。一個おまけだ」

 

「おお、あんがと」

 

…今日、紫さんたちに隠していたことがバレる予定の日だ。まぁ、これの推理なんてアテにならんが目安だ目安。

 

お家!

 

「…酒売りなんて、もうやらなくなったな…」

 

「大丈夫か?」

 

「…藍さん、紫さんとこにいなくて良いのか?」

 

「今日は自由にして良い日だ」

 

「そうか…」

 

「なんでそんなに他人に気を使う?」

 

「そうでなきゃやってられんからだ。いっつも、自分のことで後悔してんだ。良いだろ別に…100年くらい、他人に気を遣っても…」

 

「私は別に構わないが」

 

…寿命だけが妖怪な俺の友人は死んだ。それからずっと妖怪相手に媚び売ってきたんだ。もう、寝ていたい

 

「zzz」

 

「…寝たか」

 

「なんてな!」

 

「うわっ」

 

「ま、さっさと帰ってくれ。家に居られると気分が悪い」

 

「え」

 

「紫さんがいる時も、藍さんがいる時も気持ちが悪いんだ。寝させてくれ。気分が悪くて眠れないんだ」

 

「…そうか。わかった」

 

どうやら藍さんはわかってくれたらしい。これで紫さんも二度とここに寄らないでくれると助かる。そうしてくれないと眠りにつけない。

 

翌日

 

「…」

 

「やっほ。来たわよ」

 

「…藍さんから何か話は」

 

「?ないわよ」

 

「…そう。帰ってください。出来ればもう二度と来ないでください。正直、家にいられるだけで気分が悪い」

 

「あら、そうなの?それじゃあ尚更ね」

 

「…」ゾワッ

 

「藍も来てるわよ」

 

「紫様、帰りましょう。彼の邪魔になっているんですから」

 

「嫌よ。あなたもここに居なさい」

 

「…もう、数年は一人で居たい」

 

「彼もああ言ってます」

 

「だめよ。絶対にだめ。藍、居なさい」

 

「…甘食…」

 

「さて、どうしましょうか?」

 

「…」

 

「あなたと私の出会いを話しましょうか?それともあなたが生きてきた人生のお話?」

 

「…耳栓、まだあったかな」

 

「逃がさないわよ」

 

「…っと。これで寝れる」

 

「…紫様、そのお話は本当にする必要があるのですか?」

 

「あるわよ。このまま一方的に断られたって納得がいかないでしょう?」

 

「そうですが…」

 

…かなり眠たくなってきた。耳栓もすれば話は聞こえぬまい。どんな声すら耳に入らんのだ。俺の勝ちってやつだ

 

「…」

 

「なぁ」

 

「今日は甘食じゃなくてえびせんべいの気分」

 

「おい」

 

「藍、彼は逃げているのよ。見えてても手が届かない場所に逃げたのよ」

 

「ここへ連れてきたのは紫様です」

 

「痛いとこつくわね…」

 

「…料理を教えてもらった借りだ。お前を、救ってやる!」ゴツンッ

 

「!?ら、藍!?あなた、何して」

 

「紫様。帰りましょう。私がなんとかします」

 

 

 

 

 




カッキーン!ホームラァァァアァァ!


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44話

あの主人公なら大妖怪相手でも踏み潰せそうだなぁって


 

妖怪の山

 

「…これ、何?」

 

「何って…そのまんま。勇儀を満足させた挙句子供扱いのあなたに興味が湧きまして…」

 

「んで組手?良いけど、俺ももうかなり歳よ?肩凝りがひどくってさぁ」

 

「人望ばか上がりよ?」

 

「イラン」

 

さて、この妖怪の賢者、どこが賢者なのだろうか。俺自身、こいつが企てた月の攻略計画には参加していない。反対派だったからだ。

 

「大体、俺は月の件、まだ許してねえからな」

 

「まだ覚えていてくださるの?まあ嬉しい〜…まだ覚えてたの?」

 

「まあな。この生意気な小娘が…」

 

「精神年齢では私の方が上のようね?」

 

「…めんど、良いわ、もう帰って。俺もう肩こりが酷いから本気出せないんだわ…」

 

「じゃ、本気出さなくて良いわよ?」

 

「面倒な奴。俺を月に送り込んで殺戮マシーンにしようとした癖に」

 

「あらあら、それも覚えてるの?私ったら全部忘れてるのかとばっ」ボンッ

 

…まったく、ここの賢者はうるさい。小さい頃からの付き合いでもないのに馴れ馴れしく、とても気持ちが悪い。これならまだ仕事していた方がマシだ

 

「すまんな。仕事がある。もう一度言うぞ、帰ってくれ」

 

「嫌よ」

 

「…そう。それじゃ、存分に仕事の邪魔でもしてると良いさ。他人に任せることほど頼りないことはないからな」

 

「昔から変わらないわね〜」

 

「えーと…月からの刺客ね。却下と、理由は…多忙な時期のため…っと。これ、月の連中に返しとけ」

 

「…わかったわよ」

 

「用はそれだけか?もう帰ってくれ。地底からも手紙が来てんだぞ。こちとらハンコ部だハンコ部。」

 

「お似合いよ」

 

「そんなお前には…ゴミ行きハンコ。ほらよ」ポンッ

 

さて、これでゴミ箱へ行ってくれるだろうか。言っておくが妖怪は地面に埋めて上に桜の木を植える。綺麗に咲くからな。栄養とかで。というか博麗神社の桜は綺麗だったな…

 

「いやよ。組手、望めるかしら?」

 

「文ちゃん、えーと…あ、あった。これ、速達で天魔に。その次に…ものすごい面倒な奴で…あった、守矢神社に。よろしくね!」

 

「わかりましたー!」

 

「組手!」

 

「…ああ、白狼天狗ちゃん、これ、よろしくできる?」

 

「え、ああ、はい」

 

「ごめんね。で、あとはこの…八雲紫の組手募集…却下。多忙だから。ほれ」

 

「酷くない?」

 

人を戦場に送り込ませようとしたやつに言われたかないよ。こちとらまだ全盛期来てねえんだ黙ってろ。ったく…こっちは許可だな。

 

「…今日中の書類をこっちにと…」

 

「忙しそうね?私もいっじ」ボゴンッ

 

「…はい、組手終了。帰れ」

 

「痛い…」

 

「…よし。消えたか。で、明日までをこっち…それ以降はこっち…と。今日中の奴は駆け回って行くか…」

 

その日、妖怪の山を駆け回る部長天狗がいたとかいなかったとか。

 

次の週

 

「〜!」バンッバンッ

 

「私と組手てしたら良いことあるわよん♪」

 

「クソがぁ!」

 

「部長荒れてんな…」

 

「部長はあんま戦いませんし…ずっと働くタイプだしなぁ…」

 

「そもそもなんだあのクソダサTシャツ私たちの部長に気安く声かけやがって」

 

「口には気いつけとけよーそいつ鬼より上の地獄の女神様だからな。閻魔様よりも上で面倒なんだな…っていうか帰れよ」

 

「だから私と戦えば」

 

「あのさ…チッめんどくせぇ…紫が…あいつ今度懲らしめてやろうかなぁ…!」

 

「…で、どう?」

 

「誰がやるか誰が!」スパァンッ

 

「へぶぁっ」ズドッ

 

「…自業自得だクソTシャツ」

 

「聞こえてるわよん…」

 

それなら自覚ありでそのTシャツか。かわいそうに、死んでくれた方がいいぞ。と言いたいが結構めんどくさそうだからやめとくか。

 

「…ほら、コーヒーあげますから、もうそれ飲んだら帰ってください」

 

「私はブラックじゃなくて砂糖をドバドバ入れるのが好きなのよん…」グスッ

 

「飲ませてやってるんです我慢してください…なんです?」

 

「…あなたってほんと昔から変わらず厄介な女が周りにいるわよ。その内…刺されるんじゃないの?」

 

「変なこと言うな地獄の女神様…」

 

それから数日後

 

「…ヘカーティアぁぁあぁ…!!」ググッ

 

「にとりの技術を応用して作った力弱らせ機械!相手を眠気でいっぱいな感じにして、でも寝れないようにする」

 

「まさか本当に実現するとは…私の科学力が眩しいよ」

 

「…おーい、聞こえてるかー?」

 

「聞こえてますよ、部長。一つ聞きたいんですけど、良いですか?」

 

「何言ってんだか」

 

「先日来た地獄の女神様とはどんな関係ですか?」

 

「あいつは俺の恋人でもなんでもない腐れ縁って奴だ。あいつのせいで俺も強くなってしまった…」

 

「ふふ…にとりさん、どうです?」

 

「嘘発見装置反応なし。本当だよ」

 

おい待て今なんつった?嘘発見装置?…こりゃ本格的に真面目に答えなきゃ無理そうだな。

 

「部長、いつ地獄の女神様と出会いましたか?」

 

「文ちゃんってば大胆ね…俺がまだ100歳とかそんくらいの時。その時からあんま姿形は変わってないな」

 

「にとりさん」

 

「本当」

 

「…それじゃ、私たち部下のことをあなたはどう思ってますか?」

 

「べっつにー。娘さんとか息子さんとか。歳むっちゃ離れてるし、子供とくらいしか」

 

「…!」バァン

 

「台パンはやめてくれるか?」

 

「…面倒だな…」

 

「じゃあ、一人でも印象に残っている天狗は」

 

「天狗…印象かぁ…椛ちゃんだね。強いし、色々と役に立つし。はたてちゃんが一人目の部下だったから覚えてるかな」

 

「射命丸文は?」

 

「速達要員」

 

「クソがぁ!」

 

「文…地面を踏むのはかなりマナーが悪いよ…」

 

「なんで!幻想郷最速ですよ!?」

 

「最速を催促しすぎて記憶に残ってないっすねぇ…最速だけに」

 

…と、俺の渾身の駄洒落は滑った。俺としては別にどうでも良いんだ。恋愛とか印象とか、何も。

 

「…それなら、仕方ないですよね」

 

「文、やるかい?」

 

「お願いします。にとりさん」

 

「…おい、待てその機械なんだ?」

 

「ライブ配信です」ニコッ

 

その後、妖怪の山全域に急遽タブレットが支給され、配信が行われた。内容は『妖怪の山最強の天狗、最弱にしてみた』と言うもの。それは未だかつてないほどの反響を呼び、元最強は暫く遊び道具になったとか。

 

それから数年後

 

「…なんだ、紫。俺を笑いに来たのか」

 

「…笑えたらどれほど良かったことかしら…」

 

「?」

 

「昔からの友人が、いつのまにか別の誰かになった気分よ。あなたは変わってないのに。まるで身体が入れ替わったように、ね」

 

「…んなこと言って。帰れもう。俺は疲れた。刀一本持てないんだ俺は」

 

「…久しぶりだなクソ天狗」

 

「見ろ、守矢の奴が来たぞ」

 

「あら本当。それじゃ」

 

…あーめんど。流石に眠さが頂点を迎えた。寝よう。そろそろ、長い眠りについても大丈夫だ。閻魔様にも裁かれないだろう。きっと、きっとだ。

 

「…なんてな。すまん、私にもあの配信は届いてたんだ。助ければ良かったのにな。すまん、すまん…」

 

「謝られるのは不慣れだ…」チーン

 

妖怪の山 河童工場

 

「おい、部長死んだぞ」

 

「…死んじゃいました、か。あっけなかったですねぇ。ま、クローンがあるから良いですか」

 

 

 

 

 

 




誰も部長に目を向けてない。部長の強さに目を向けたんですねぇ多分。
ドラえもんのポケットにしか目がいかないのと同じようなもんです


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仙人と邪仙と男 3

誰だお前
見せもんだけどよ
というわけで華扇ちゃんの続きやります。
頼りになる続く系のアレ
すいませんこいつの投稿時間間違えて昨日投稿してませんでした☆


人里

 

「…あのさ、仙人様」

 

「なんですか?」

 

「俺は別に良いんですよ。青娥さんにベタ惚れってわけじゃないですし」

 

「何をいうんですか。その油断が命取りだと」

 

「じゃあ命取られて良いんで。そんじゃ」

 

「あっちょっと!?」

 

…いや、青娥さんかなり良い人だと思うんですけどね…お金あげて陥れるなんて何も得ないだろ…

 

主人公の自宅

 

「おーとーろーそー」ガチャッ

 

ざわっ…ざわざわ…

 

「俺ってこんなに部屋汚くしてたっけ?さっさと片付けなきゃなぁ…ん?」

 

「せーがー」

 

「…なにやってんだお前?とりあえず上がれよ」

 

「おじゃまー」

 

「…クッソイラつくな」

 

「青娥がいなくなったんだー」

 

「青娥さんが?そりゃなんで…」

 

「お灸を据えてくるみたいなこと言ってどっか」

 

「…風俗でヤリすぎて調子乗ってるおっさんにお灸据えに行ったんだろ。で、なんでお前はここに?」

 

「ここに青娥の匂いを感じた」

 

「やめろ気持ち悪い。じゃあ何か?ここに青娥さんがいるってか?それこそ有り得んだろ。なんなら探すか?」

 

「さーがーせー」

 

このキョンシー、結構ぬるぬる動く上流暢に喋るな…本当にキョンシーか?ま、良いか。キョンシーに嗅覚があるかどうかなんて考えた者負けだ。多分…

 

数分後

 

「…芳香、フライパンとって」

 

「ふらい…?」

 

「ああ、そう。それじゃあ台所にある丸い形した取手の付いてるもの取って」

 

「わかったー」

 

「…なんであなたがここにいるんですか青娥さん」

 

「い、いやぁ…恋の香りに導かれて…」

 

「ほいっ」

 

「ありがと」バゴンッ

 

「あいたぁ!?」

 

…文明の利器に勝るものなし。なんであんた俺の家にいるんだよおかしいっての。あんた何してんだよここギリギリ俺の家なんですけど

 

「で、なんでいるんですか?」

 

「おー!青娥!」

 

「…芳香。青娥さんが俺の家に許可なく入ってきたって聞いてどう思う?それも俺の服に埋もれててさ」

 

「…えっ何それキモッ」

 

「!?」グサッ

 

「だよな。ほら、立ってくださいよ」

 

「うぅ…胸が痛むわ」

 

「馬鹿言わんといてください。信頼してた人間が不法侵入してたって結構傷つきますからね」

 

「信頼してくれてたの?」

 

「そりゃもちろん」

 

…まぁ、さっきのアレがなかったらね?ずっと俺の服抱きしめてたりしてなかったら信頼は少なくとも保たれてた。今消えかけてるよあんた

 

「…芳香ちゃん。こっちいらっしゃい」

 

「なんだー?」

 

「…いや早く帰ってくださいよ」

 

「ふむふむ…おー!良いなそれ!」

 

「待て、何が来る?」

 

「ちょうど芳香ちゃんのお世話係が欲しかったのよ」

 

「…そうですか。それじゃ人身売買やってるとこ行きます?俺あんま行きたくないんですけど」

 

「え?今そこにいるじゃない」

 

「…待て、まさか俺じゃ」

 

翌日 うどん屋

 

「…あいつまたいなくなってんな」

 

「すいません」

 

「あぁ、仙人さんか」

 

「彼は私たちで預かりますので、ご心配なく」

 

「え?あ、ああ」

 

戻らず青娥宅

 

「…おい」

 

「ん?どーした?」

 

「流石に痛くなってきたぞ」

 

「…フフッ、芳香ちゃんったらよっぽど好きなのね?」

 

「嬉しいんだから嬉しくないんだか」

 

「…んー、味はイマイチだな」

 

「お前本当に死んでるんだよな?」

 

で、今現在進行形でヤベーことになってると。うん。うん。うん…今ここで火山として爆発することができるなら今すぐなってた。なんならもう粘り気がありすぎな溶岩作れる気がする。

 

「…よしか、だっけ。漢字も知らんが…とりあえずこれ外してくれ。すまん、くすぐったい」

 

「おーそうか。でも青娥にダメって言われてるから」

 

「マジか…もう、足から下がないから逃げるもクソもないと思うんですがね…」

 

「あらあら、もう足を?早いわねぇ。それじゃ、外しましょうか」ガチャッ

 

「…まるで手錠だな…」

 

痛みがねえのは手錠のおかげかな?

 

「ていうか、なんでこんなことを…」

 

「なぜ?それは簡単でしょう。あなたをずっと手元に置きたいから」

 

「???」

 

「ずっとあなたを手元に置けば、ずっと一緒じゃない」

 

「言ってることがよくわからない…です…?」

 

「あなたをキョンシーにしてしまえば、私の命令に忠順なあなたが出来る。それって素晴らしいことでしょう?」

 

「そりゃやなこった」

 

「は?」

 

「うぇ」

 

「今、嫌だとおっしゃいました?いけませんね…人の行為を否定するなんて!」パシンッ

 

「へぶぁっ!?」

 

待て、なんで俺叩かれた?ていうかこの人さっきから何言ってんの?しかも全力だからクソ痛い…グーパンだったら一撃であの世だぜ

 

「私はただ、あなたと一緒に居たいだけなの」

 

「話を折って悪いがそろそろ腕が食われるところなのでどうにかして頂きたい」

 

「…芳香ちゃん、やめなさい」

 

「わかったー」

 

「物分かりのいい子は女の子が好む」ウンウン

 

「あなたは物分かりが悪いようだけど。でも教育し直せばいいのよね」

 

「…ハッハッハッやべぇ墓穴掘った」

 

「フフッ…かわいい。それじゃあ、教育ね。芳香ちゃんも一緒にやるわよ」

 

「おー!」

 

その後、数時間に及ぶ教育という名の鞭を受けた。よしかと言う奴は途中から変な方向に飛び出していた。叩かれないともぞもぞするって言っていた。頭いかれてんのか?それはわからんが俺自身は背中にあざが出来てそれどころではない。死ぬコレ

 

数時間後

 

「あだっ…」

 

「良いわね…やっぱり」

 

「やっぱりってなんだやっぱりって」

 

「…覚えは良いけど聞き分けがなってないわね。うーん‥と。ああ、身体に思い込ませるのね?」

 

「待てそれ俗に言うプラシーボ効果じゃねえか?ちょっまっ」

 

「洗脳ではありません。忠実な貴方を作るための…おまじないです」

 

「何言ってんだお前…」

 

「ですので…術式ほいっとな」

 

「」ガクンッ

 

「…えーと…こうなったら何しても良いのね!」

 

 

 

 

 

 




続きましぇん


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悟り妖怪と受付 1

地底


 

地底 温泉受付

 

「…耳が最近キーンって耳鳴りします」

 

「知りませんよそんなこと」

 

…というか俺はなぜここにいるんだ。知らん、知らんが知らん間にここに来ていた。な、何を言ってるかわからねーと思うが俺もわからねぇ…

 

「ああ、それ多分幻想入りした時座標がなんたらで入ってきたと思いますよ」

 

「あら、考えわかるんだ」

 

「ええ。悟り妖怪ですので。ちなみに今の何言ってるか(ry)についてですが語彙力がただないだけでは?」

 

「…それ言ったらお終いだよ…」

 

「ああ…」

 

そういうとさとり様はどこかへ行った。仕事が多いんだろうなぁ。まぁそんなこと言う私は地底温泉の受付ですが。悟り妖怪は人から嫌われてたらしいけど、なんでかしらね

 

「おーい兄ちゃん!3人!」

 

「3人なら…300円は出てたな。シャンプーとかいるか?」

 

「あ、私持ってきてない」

 

「私もだ…」

 

「…三つ」

 

「石鹸は?」

 

「…」

 

「はは…」

 

「…も、三つ」

 

「毎度あり」

 

「は、はは…石鹸一個30円…シャンプーは70円…上手くできてんなぁ…」ジロッ

 

「HAHAHA知らん」

 

テメェらが忘れただけだろうに。こちとら金出さずに貸すほど余りまくってるわけじゃねえんだな。て言うか、置いてるけどアレタダだから結構質が悪いんだよな

 

「…お、お燐ちゃんか」

 

「おーっす!私も来たよ!シャンプーと石鹸は持ってきた!二人!」

 

「となればお空ちゃんか。200円頂き〜。じゃ、楽しむことはないけど怪我しないようにね。石鹸で滑って…ね?」チラッ

 

「うにゅ?…私!?」

 

「お空以外に誰がいるんだい。それじゃ、また〜」

 

「おー。さて、そろそろ眠くなってきた…給料の割に客が少ねえ。こんなにもらって大丈夫か?インフレしない?」

 

プルルルルルルルルルル

 

「うるせえ!」ガチャンッ

 

『…お邪魔でしたか?』

 

「あ、いや別に」

 

『お空とお燐がそっちに行きましたので多分お空が転けますが頭だけは頑丈なので安心してください』

 

「…安心できねぇ…」

 

『そう言うものですか…』

 

うん、誰であろうと転べば流石に心配するからね。心配しなけりゃそいつはど畜生か信頼してる奴だよ。あれ、なんかおかしいな

 

『あ、あと』

 

「なんでしょう?」

 

『私明日温泉訪れますので。予約です』

 

「…亀ラップ行きます」

 

『やめてください』ガチャッツーツー

 

「…やっぱり亀ラップってつえーな」

 

翌日

 

「本当にきましたね」

 

「いや、それはおかしいでしょう」

 

「…ま、せいぜい楽しんできてください。石鹸とシャンプーは」

 

「…え?」

 

「?」

 

「無料のものは」

 

「あるけど質悪すぎて逆に髪の毛痛めるよ」

 

「どんなシャンプーですかそれ」

 

…女じゃないから俺は髪の毛が痛むとか知らないけど。それに髪型なんて大体流行りに寄って変わってくしさぁ…

 

「外の世界も大変なんですね」

 

「えぇ…ん?」

 

「…ところで、貴方女性にモテようと努力したことあります?」

 

「あー…ねえな。そもそも俺仮面かぶってたい人間だし。素顔を誰かに見せるってだけで嫌気が差すのに」

 

「…あぁ。だからキツネのお面を」

 

「良いだろー?声を変える機械があっても、あんたにゃ通用しなさそうだしな」

 

「わかっておられるようで」

 

「お一人100円。シャンプー石鹸合わせて100円」

 

「…お燐、シャンプーと石鹸持ってきてくれる?温泉の受付にいるから」

 

「それはずるいですよさとりさん」

 

数分後、さとりさんはお燐ちゃんから貰った石鹸とシャンプーを持ち温泉へと入って行った。出てくる時も同じ服だったのは多分仕事がすんごいあるからだろう。着替えても帰ってすぐ着替えるなんてことになったら意味ないからね。仕方ない。

 

「…あれ、もう閉店だ…けど、シャッター下げるのは少し先かな」

 

「おーいゆーぎー!この後男と一緒に就寝かい!?」

 

「な、なんでそのこと知って…」

 

「羨ましい!」

 

「…星熊さん、萃香さん、少しうるさいですよ。時間帯を考えて」

 

外<ドンパチドンパチ!宴だァー!

 

「でも外も騒がしいじゃん」

 

「私はコレから寝るんだが…」

 

「…とにかく。もう閉店ですから、どうぞ帰りやがれください」

 

「わかってるよ。ほら、旦那さんが待ってるぞ?」

 

「…なんでそう言うこと言うんだよ!?」

 

「閉店ガラガラ〜」

 

翌日

 

「…さとりさん、なんか不機嫌そうですね」

 

「えぇ。そりゃもう不機嫌ですよ」

 

「なぜですかね。アレですか。月経とか言う奴ですか?まぁ、どっちでも良いや」

 

「…貴方が女性にモテようと努力したとしても絶対女の子に受けませんよ」

 

「そ。あ、後温泉のことなんですけど温泉卵ってもう出してましたっけ」

 

「温泉卵?なら出してましたよ」

 

「マジですか。帰り寄って行くか」

 

「…!?」

 

あー、知らんかったなぁ。そこにあったし。しかも何故か…なんでだろ。なんなら入り口右に置いてあったし。さとりさんは温泉の受付で話してるし。なんなのこの空間?

 

「…私は今とても悲しいです」

 

「んま、そうなの?喜怒哀楽が激しいんですね」(値段は600円…高いな)

 

「本当に悲しいです…今目の前にいるのに思考にすら混じらないとは」

 

「へー…悟り妖怪ってそう言うの面倒くさいんですね」(しかし温泉卵って何が違うんだ?)

 

「…本当にそう言うところですよ!?」

 

「待ってどう言うこと?」(あれ、レジ打ちするんだっけ?)

 

「せいっ!」パシンッ

 

「ヘブアッ!?」パッシーン!

 

…待て、なんで叩かれた?

 

 

 

 

 




主人公殺して良いっすか(過激派)


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47話

あらすじ追加しました。純愛小話が出てましたが、普通の小噺も出てきます。
今回がそうです。多分


ここはいつかどっかの幻想郷

 

「…家に帰りたくねーなー」

 

「なんで?」

 

「ん、チルノか。家に帰ったら父さん母さんうるさいんだよ。前まではまだ良かったのに、いつのまにか人が変わったようになってさ」

 

「わかんなーい。じゃあなんでお魚釣りに来たの?」

 

「…釣りは楽なんだよ。釣りを口実に里から出て、ここに来て。それで、ずっと、釣れるまで待つ。そうすれば日が落ちるまで楽だからさ」

 

「…ふーん」

 

ふーんってなんだお前ふーんって。とここで俺の外の世界楽曲集からちょいと拝借した歌…は捨てられたんだった。

 

「…でも、行くとさ。ノルマがあるんだ」

 

「のるま?」

 

「目標だ。ここまでやって来いって言われるんだ。10匹。今0匹、日は登ったばっかだけど、釣れるのかね」

 

「うーん…あたいが手伝ってあげようか?」

 

「良いよ。家に帰りたくない一心でここにいるんだから」

 

「ふーん」

 

「…来た!大物キタ!引っ張るの手伝ってチルノ!」ググッ

 

「うぇっ!?わ、わかった!」ググッ

 

大物<ウワー!?

 

「…コレ、なんだ?」

 

「…あ、人魚だ」

 

人魚釣っちゃった。海に返してやるか。食っても上手くなさそうだしな。ていうかなんで人魚なのに服着てるんだろう…

 

「あーもう!お魚あげようと思ったのに!」

 

「そりゃすまんかったな」ヘッ

 

「今笑ったよね?」

 

「チルノ、こいつ池に戻すぞ。間違っても凍らせるなよ」

 

「おっけい!」

 

「せーの!」ブンッ

 

「ひゃあ!?」ドボンッ

 

「…さて、釣りの続きだ」

 

「ちょっとー!?私の出番は!?」

 

「人魚さんはそこら辺にいてください。俺はずっとここで待ってるんで」

 

「そのボロボロの釣竿で?」

 

「ほんとだ。ここら辺とか折れかかってるよ?」

 

「…はぁ。心配症だね二人とも。うちの親なんか死んでこいと言うのに。チルノ、木の枝取ってきて」

 

「はーい」

 

「…パシリ?」

 

「使い勝手のいい友人だと言ってくれ」

 

「パシリじゃない」

 

チルノが枝取ってきたとして、この釣竿に合わせて補強なりなんなりの材料は…だめだ、ガムテープしかない。ま、この際なんでもいいか。新しく作っても良いし。

 

「取ってきたぞー!」

 

「…キャンプでもするのかってくらい大量に持ってきたな。これに至っては丸太じゃねえか…皮使うか」

 

「えっへん!」

 

「…褒められてはないと思うよ妖精ちゃん…?」

 

「よし。コレで今日は持つだろ。次は人魚じゃなくて人形が釣れて欲しいかな」

 

「んなっ!?」ガーン

 

「…そういえばお前里にいる時本当に外に出てるのか?」

 

「日中は魚釣って、夜は外に出て星を見る。眠るのが怖くてな。大体日が登る2時間前にはもう起きるのさ」

 

「へーすごいなー」

 

「…あ、お名前は?」

 

「名前…あ、きたきた」

 

「いやだから名前は?」

 

「…名前かぁ。考えたこともなかったなぁ」

 

「え?」

 

「外の世界だと確かネグレドっていうんだっけか。名前なんか決まってすらおらん」

 

「わぁ…」

 

そうは言っても俺の名前って本当なんなんだろうな。物心ついた時から名前で呼ばれた記憶がない…もしかして生まれた時からああいう性格だったのかね

 

「さて。釣り再開だ。チルノ、絶対に凍らせるなよ」

 

「わ、わかってるよ!」

 

「…あ、たまに表面が凍るの貴女の仕業だったのね?」

 

「うぐっ」

 

「チルノは何も言い返せない…か。ところでお前ら、飯食うか?」

 

「ご飯?まだお昼時じゃないでしょ。すぎたとしても日が出てから1時間くらいで」

 

「親が俺のこと残飯処理係だと思ってんのさ。弁当クッソまじいの。だから毎日帰りは腹すかして帰ってんの。炭だらけだけど食うか?」

 

「いらない」

 

「人間って炭食うのか…!?」

 

「あ、そういやチルノ、お前友達は?」

 

「んぇ?大ちゃん?今日は大ちゃん休みの日だって」

 

「妖精にシフト制があんの?」

 

「いや、最近疲れが溜まってるから休まないと続かないんだって」

 

「妖精も大変なんだな…あ、2匹目逃した」

 

「…あなた釣りをしに来たの?」

 

「現実逃避をしに来ました」

 

妖精って確か自然環境で変化が訪れるんだっけか。台風が通った後とか、災害が起こった後とか。怖い怖い

 

「かーっ。やっぱ釣れないもんだねぇ」

 

「そりゃ私が今尻尾フルフルしてるからでしょ」

 

「…今ここに天敵がおった」

 

「天敵!?た、倒さなきゃ!」

 

「ちょっと待って!?」

 

それからなんやかんやあって時間が過ぎそろそろ日が落ちるくらいだろうという時間だ。夕日が綺麗。どうせならずっとここに居てしまいたいものだ。紅色が際立つ光が当たっている突然現れた館は綺麗だ。毎日コレを見に来るのもいいかもしれん。

 

「…あっ。寝てた…」

 

「そろそろ帰らないと妖怪が出てきちゃうわよ?」

 

「時間か…家に帰りたくねえなぁ」

 

「あたいが付いているから安心したまえ!」

 

「ハハ…ぐがっ。駄目だ、今日はとても起きてられん。ノルマはクリアできてない…」

 

「そうだ!良かったら湖に泊まってく?」

 

「あたいの能力万々歳!」

 

「…zzz」

 

「あらら、寝ちゃってる…」

 

翌日!人里では捜索願が出ることはなかった。怖いね

 

「…朝か。釣りだな」

 

「えー…?」

 

「ん…あ、朝だ。大ちゃん呼ばなきゃー!」

 

「行ってらー…昨日はよく眠れたな。コレで今日は寝ずに済みそうだ」

 

「!?」

 

「…釣竿が折れてら。釣りは無理か…どーしよっかなー…ん?空、紅くね?」

 

「あ、本当だ」

 

「…けほっ。流石に里じゃないから人体に害が出るかぁ」

 

「里に帰りなさいよ」

 

「面倒だやめた」

 

「嘘でしょ」

 

「あら、人間じゃない。里に帰りなさいよ」

 

「…ねみい」

 

「昨日みたいにすやすや寝るの?」

 

「ちょっと!」

 

「っ」ビクッ

 

「上を見なさい!異変よ異変!わかるでしょ!?」

 

「…せいっ!」ドボンッ

 

「うぇっちょっと!?」

 

「…は?」

 

 

 

 

 

 




途中で落ちましたクソ死ね
ちなみにネグレトだったかなんだったかはありませんでした。
ですが、椅子に鎖繋げられたままの犬は見たことあります。


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48話

オーバーバックエントリー!


 

ドボンッ!大きな音で沈んだけど多分、魚逃げてそうだな…

 

「がぼっがばっがぼっ」

 

「ちょちょ、ちょっとー!?だ、大丈夫!?」

 

「ぼ…」

 

「ひ、瀕死だー!?」

 

地上

 

バシャッ!

 

「生きろー!」

 

「ぼっ…ゴホッゴホッ…ありがとござます」

 

「良いのよ!そんなことよりなんで水に飛び込んだの!?」

 

「…博麗の巫女が面倒だったから」

 

「それだけ!?」

 

まぁ、それだけだ。俺からしたら『それだけ』ではないもんだが、他人から見たら『それだけ』なのだろう。両親からもよく言われていた。そんなことより、そんなことで…空が紅いくらい、どうってことねえな多分。魚釣れない方が問題だし

 

「…釣り再開だ」

 

「ええ!?」

 

「そういやチルノおせえな」

 

「それもそうね…あ!もしかしてさっきの巫女さん!」

 

「…まさか倒したとか言うんじゃ」

 

「そのまさかよ!」

 

「マジかよ!?」

 

その頃霧の湖周辺

 

「…あたい、強くないのかな…」

 

「良いんだよチルノちゃん。私を守ろうとしてくれたのは、強い証拠だよ」

 

「そうかな…」

 

戻って釣り場

 

「…そういやさっき魔法使いも見たな」

 

「あら、そうなの?」

 

「そう。霧雨さんって家の子だったな。金髪に黒を基調とした服。箒に跨って空を駆ける…噂通りだな」

 

「すごいわね」

 

「あれくらいですごいって言われるなら俺の方がすげーや。死体の中で埋もれようが、瓦礫の中で首三角状に固定されようが死ななかったんだからよ」

 

「えぇ!?うっそだ!」

 

「…俺もできることなら嘘だと思いたいな」

 

両親にその時まだ生きてたとか、しぶといわねぇとか、まるでゴキブリだな…とか。そんな言葉が口から次々に出てくるなんて信じたくはないけど、事実は事実。受け止めてさあ釣りをしよう

 

「おーい!」

 

「こんにちは…あれ?人間?」

 

「釣りをしないと殴られるからね。最期の三日間、ここにいようって決めたんだ」

 

「…?」

 

「最後の三日間って…つまりどう言うことだ?」

 

「ここにいられる最後ってことよ。あなた…餓死しようとしてる?」

 

「バカめ。俺の予測じゃ後三日で妖怪が匂い嗅ぎつけてくるんだ。嘘だけど」

 

「嘘なのね…」

 

「…大妖精か?」

 

「は、はい!」

 

「魚、チルノの友人に持っていってやれ。確かいただろ、屋台たまに開く女の…なんだっけ?」

 

「…ああ!みすちーのことですね!わかりました!」

 

「なんでアタイじゃないんだ?」

 

「チルノは凍らせて変なことにしそうだからな」

 

「そんなことしないよー!」

 

「うるさい前科者」

 

「ぜっ…!?」

 

「チルノちゃん、一回したことあるんだね…」

 

「な、何をぉ!言いがかりだ!アタイは食べてなんかない!」

 

「…けほっけほっ…あー、釣れなくなって来たな。寝る」

 

「妖怪が来たら?」

 

「でーじょーぶ。その時はおとなしく食われていくさ。倫理回生だったかなんだったか忘れたけどその時は生まれ変わって化けるわ」

 

「…それ化けてなくない?」

 

「ん?…あ、確かに」

 

まあそんな事はいい。俺はともかく寝る。妖怪が来たら、なんとかして食われて死ぬだけだ。死ねば楽になるわけじゃあるめえしよ。

 

「…ん」ツー

 

「うわっ口から血が!」

 

「うわぁ!?」

 

「く、口の中で何してんだ!?」

 

「ああ、これか。気にすんな。寝る」

 

「気にするよ!?」

 

数時間後

 

「…んぅ…?おや、こりゃ博麗さん」

 

「あんた、まだいたの?早く帰りなさい」

 

「ハハハ、面白いことを言う。帰る家は…ないな」

 

「はぁ?…私、酔っ払いの対処は知らないのだけれど」

 

「酔っ払っとらん…でも、もう疲れた」

 

「何に疲れてんのか…ほら、人里まで連れていってあげるから」

 

「…絶対に帰らん」

 

「なんでよ」

 

「…あんなところにいたらいつ殺されるか分かったもんじゃないからだ」

 

「そう?まともな人間なら普通に暮らせるけど」

 

「死体に埋もれた経験を持つ人間はただの人間じゃねえだろ」

 

「何言ってんだこいつ」

 

「子供の感染病を恐れて道端にいる子供が大量処理された時、俺もそれに紛れたんだ。服装だと見分けがつかねえからな」

 

「今でもそうね」

 

「はっ倒すぞ」

 

ここの巫女はそう言う経験がないんだろう。あってもなくても、どっちでもいい。知らんから

 

「…で、どうすんの?これから。釣りばっかして生きていけるほど、幻想郷は甘くないわよ」

 

「それほど甘かったら俺は嫌いだ。あまいのが苦手なもんだからね…」

 

「あらそうなの?甘党に見えたけど」

 

「そう言うもんか?」

 

「ええ。少なくとも、女の子を二人体に密着させて寝てる分には」

 

「…大妖精とチルノか。チルノは少し冷たいけど」

 

「今の時期こんなもんでしょ。それじゃ、私はもう帰るから」

 

「あいよー」

 

…と、巫女を見送る。あいつは頑張っている。が、俺は頑張っていない。そこには特別な差はなく、努力の差がある。迷路の途中で壁にぶつかった気分だぜ

 

「…今更、人里に戻ってもとうの昔からいない存在だったんだ。ないもの作るくらいなら在るもの大事だな」

 

「ん、んぅ…」

 

「夏はあつーい…」

 

翌日

 

「…はぁ…っはぁ…」

 

「ど、どうしたの!?」

 

「力入らん…起きたらこんなことに。やべーな」

 

「今1番やばそうな顔してない奴に言われても」

 

「俺に言ってんのかそれは?…釣りできねえじゃん」

 

「ん…?どうしました?」

 

「力が入らん」

 

「んちゃ〜!よく寝た!で、どうしたんだその手?」

 

「動かん」

 

「…そりゃ運が悪かったな!」

 

「それじゃ済まん!」

 

 

 

 

 

 




まだ続きます


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橋姫と忘れ物

夕暮れに迫る
謎の音
振り返るとそれは
夜でした
(ここでルパンop)
魔法使い3人と命蓮寺の4人と妖怪の山数名などの個別ルートやりたいっちゃ☆


地底

 

「…ハッ寝てた」

 

「チッ眠れるなんて妬ましい」

 

「社畜の心情が聞こえる…」

 

それと同時に聞きたくない言葉を聞いてしまった…ま、良いか。そんなことよりなんで俺はパルスィさんの目の前で寝てたんだ?

 

「…ああ、俺は川の上で寝てたのか」

 

「天然なのかしら悔しい」

 

「悔しい?」

 

「あ、間違えた…妬ましい」

 

「何言ってんだこいつ」

 

「妬ましすぎて襲いたいくらいよ」

 

「俺時々妬ましいって言う感情がわからなくなるんだよな。主にパルスィさんのせいで」

 

「そうかしら?」

 

翌日

 

「やはり我が家が1番!」

 

「朝から寝るなんて妬ましい!」ガララッ

 

「…我が家…なんだけどなぁ…」

 

「何、私がいたら駄目な事情でもあるの?」

 

「ない。が、今日は女友達が」

 

「は?」

 

「…女友達が」

 

「どう言うこと?」

 

…あの、説明しようとしてるのに話遮るのやめてくれますかね…パルスィさん地味に酷いよあんた…

 

「…今日、女友達と居酒屋行くのさ」

 

「そのまま勢いでヤろうとか思ってるんでしょ?汚い」

 

「待て、何か勘違いしてるだろ」

 

「?」

 

「居酒屋とは言っても鬼の付き添いだ。文句言うなら萃香って鬼に」

 

「OK今言ってくるわ」

 

「待て待て待て待て話を聞こうかパルスィさん」

 

「話は聞いた、少し話し合いをするだけよ。それなら問題ないでしょう?」

 

「…いや、その手に持ってる包丁持っても意味がないって言うか」

 

「?コレはバッチリ効果あるわよ」

 

「え?」

 

「だって」

 

ピンポーンと音が鳴る。助かったこのままだと刺されるかと勘違いするところだった。女友達が迎えに来たのだろう。女友達とは言っても化け猫だがまぁそんなもんだろ…多分…

 

「は、はいはい!今出るか少し待っててなー!」

 

「早くしないと宴会始まるよー!」

 

「…チッ」

 

宴会場

 

「おーっす遅れました…」

 

「ごめんね!」

 

「…いや、遅れたのは別に良いけど変な属性付けた女連れてこないでくれる?」

 

「え?女?」チラッ

 

「…言っておくけどあたいは変な属性なんてないからね!」

 

「…いや、そうじゃない。後ろの、ほら」

 

「後ろ?後ろっつったってパルスィさんくらいしか…ん?」

 

「あの嫉妬深い金髪エルフしか…あ」

 

ああ、パルスィさんのこと言ってたのね…

 

「いや、それもそうなんだけどさ。もう一人」

 

「…もしかして鳥頭のお空?」

 

「うん、いや認めたくはないんだけど」

 

「ハハ…」

 

一方その頃後ろの方では

 

「…ん?」

 

「うにゅ?」

 

パルスィ:宴会に連れて行ったあの鬼潰したい

お空:お燐が外へ出た理由を潰したい

 

「…」スッ

 

「!」ガシッ

 

前の方

 

「…待て、あいつら握手したぞ」

 

「同盟組んだんじゃね」

 

「あいつら多分喋ってすらないだろ」

 

「…ま、良いか。飲むぞー!」

 

数時間後

 

「…そうですよね片付けに呼ばれたんですよね俺ね!」

 

うん、知ってたけど!知ってたけども!せめて酒割るのは勘弁してほしい!あーこりゃ猫の手も借りたいって時だけど生憎お燐さんも寝てやがる!俺も自棄酒がしたい!

 

「…けど、酔い潰れたやつを介護する役がいなきゃ駄目になったんだよな…はぁ」

 

「仕事があるなんて妬ましい。私が奪ってあげるわ」

 

「お燐はこの後仕事があるから持ってくね。それじゃ〜!」

 

…待て、それをするなら地霊殿のペット何人か貸してくれ。俺自身動物に埋もれて寝たい。寝たいんだよ

 

数十分後

 

「はい終わり」

 

「手際が良いね」

 

その後自宅

 

「…Z2Z」

 

「待って今なんか数字入ってなかった?」

 

「パルスィ…そこじゃない…」

 

「…妬ましいほどに能天気なやつ…」

 

「そっちは駄目…」

 

「私でエッチな夢でも見てるのかしら?腹立たしい」

 

「そっちは…醤油…」

 

「殺す気か!?」

 

「うわっ」

 

そして翌日

 

「…今日は特になしだ。さて、なんでいるのかなパルスィさん」

 

「?なんでって、これから一緒に暮らすんじゃない」

 

「wats?」

 

「え?忘れたの?」

 

…俺、もしかしてやっちゃいました?〜知らない間に同棲〜って本ができそうだ。1ページ読み切りのな。何考えてんのかわかんないけど

 

「…すまん、記憶にない」

 

「そ。まあ良いわ。結果的に良い答えは聞けなかったわけだし」

 

「ちょっと待てそれってつまり」

 

「妬ましいわ。自分から同棲言い出しておいて、いざ同棲となったら忘れるなんて」

 

「…え、えぇ…?」

 

ガララッ。いつもはギャグのように開けて出て行くパルスィさんは今日だけは不機嫌のまま出て行った。まぁ大体パルスィさんなんてこんなもんだろう。

 

「…?結局何だったんだろうか…」

 

「ああ、そうそう。忘れ物があったわね」

 

「え?ちょっと待ってくださいよ。なんで俺担がれて」

 

「そりゃ勿論。忘れ物だからよ」

 

「何言ってんだから全然分からねえ」

 

「腕、動かないでしょ」

 

「え?…え!?嘘!?」

 

「わざわざ地上に出て医者に頼んだのよ。私にここまでさせるなんて。妬ましいわ、本当に」

 

「え、えぇ…?」

 

「本当に。本当に妬ましすぎるわ」

 

翌日

 

「あれから体が動かん」

 

「大丈夫よ。あなたの世話は全てしてあげるつもりだから」

 

「何も大丈夫じゃねえよ」

 

「大丈夫なのよ。今はこれで良いの。それに…」

 

「なんだ、この地獄のようなイベントは」

 

「私は貴方がいればそれで良いもの。だから、それで終わり。貴方は私の忘れ物なんだから、口答えなんかしちゃダメよ?」

 

「ハッハッハッ笑えん」

 

…多分どっかで俺人生の道踏み外して誰かの人生の道にしがみついたんだと思う。と言うかそうであってほしいんだがどうなんだろうか?人生なんて誰にもわかんねえけどさ。

 

「…お昼ご飯よ」

 

「はいはい」

 

少なくとも、この生活に満足しているんだから、誰かの人生を代わりに歩いてるんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 




なんだか知らんが草


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50話

妖怪の山の彼
が月に行ってたらどうなんのかなって。
ゴールデンタイムラバー


 

いつかの月面

 

「…紫」

 

「何かしら?」

 

「俺は祭りと聞いたんだが?」

 

「お祭りよ?人間の、血祭り」

 

「OKお前後で撲殺な」

 

「んなっ!?」

 

前に広がる馬鹿みたいな数の奴ら。はっきり言って全員邪魔だね。だって俺一人でせっせと神輿作ってたんだよ?人が持てるかを試してさ。なのにお前…

 

「…あ、月面に友人作るのも良いよな」

 

「そうねっ!?」バッ

 

と、話している間に紫に挑む人間が来た。まぁ多分俺には来ねえだろ。紫の式神に行くはず

 

「あなたもね!」

 

「…なんだこいつ。神様でも下ろしたのか?って俺の神輿がぁぁぁぁ!?」

 

「え?」

 

「クッ!」

 

「どうしたのかしらぁ!?貴方!こいつらの頭なんでしょう!?」

 

「この女…!」

 

「うわ、紫押されてんじゃん。ほんとすげーな月って…んなことより神輿だよ神輿!てめー神様呼ぶのに神輿壊すのかよ!?」

 

「え、いや、それは…」

 

「神様使うなら感謝しろよ!妖怪ですらできていることだぞ!?お前絶対部下から嫌われてるよ!」

 

「そういえば最近部下からの目が冷たいような…」

 

「てめー!」

 

なんだこの紫髪のポニーテールしたアホンダラは。神様使うのに神輿壊しちゃあかんでしょ頭いかれてんの?

 

「…ってそうじゃない!死ね!」ザンッ

 

「うわあぶね」

 

「!?」

 

「ていうか月ってなんか身体が軽いな…」

 

「ちょっと真面目に戦いなさい!」

 

「ほらほらほらぁ!」

 

「あぐっ」

 

「…怒られた」

 

「意外とセンチメンタル…」

 

「とまぁ、怒られちゃ仕方ないね。適当に戦って、適当に殺されますか」

 

「んな…!手加減して勝てると思うなぁ!」ブンッ

 

「両腕もらい!」ガシッブチィッ

 

「っ…クソッ!」グサッ

 

「おお刀急に踏みつけてどしたん」

 

「…こんな奴に使うのは少し癪ですが…!」

 

そういうと俺の周りに変なのが出てくる。聞き取れはしなかったが多分祇なんとか様の力〜!とかなんとか言っていた気がする。知らんがな

 

「なんじゃこりゃ」

 

「下手に動いたら…祇園様の逆鱗に触れますよ…」ニヤリ

 

「…じゃあ動かないわ。あーこれはダメだなー敵わないなー。無理だなーもうこれ何もできないわ〜。んじゃ、戦い終わったら起こして」

 

「真面目に戦え!」

 

「動くなというのに戦えとはお前なんなの?」

 

「うっ」

 

「まぁ対象が私らしいので…1.指をもぎ取ります。2.飛ばします」ピンッ

 

「フッ!」ザンッ

 

指<何これかませ犬?

 

「…紫無茶苦茶に苦戦してんじゃん。ワロタ」

 

「貴方ね…!」

 

「これでチェックメイトかしら?いいの?貴方の仲間がここで死ぬけど」

 

「…そんなことより神輿担ぎません?ちょっと疲れたんですよ」

 

「そう言って延命のつもりかしら?」

 

「…君少しイラつくね」

 

「そうね。妹の腕が取れたことは意外だったけど、もう復活してるのよ?」

 

「へー」

 

本当じゃん。生き返ってやがラーメン。まぁそんなの知らねえけど。首元痒いし…なんか上から目線でイラつくんだよなー

 

「…やれ!」

 

刃<なんか知らんけど言われた通り動くで!

 

「はい君達邪魔〜!」パァッ

 

刃<圧倒的力の前になす術なく消えるで!

 

「な!?」

 

「…弱い上に邪魔。はっきり言ってまだ一人くらい上のやつ知ってるよ」

 

「この…!侮辱する気か貴様ぁ!」ザンッ

 

「グハァ!」ドサッ

 

「…はぁ。弱い犬ほど良く吠えて嫌な物です」

 

「地上の諺使ってる時点で何言ってんのお前?」

 

「…チッ」

 

「2人がかりで仕留めるわよ」

 

「分かってます姉様」

 

「秘技!顔面グシャグシャランチャー!」グヂャボギャ

 

「汚い…穢れを持ち込む気か?」

 

「一大必殺技のようね。今のうちに仕掛けるわ」ズバッ

 

「はい!あねさ…!?」

 

…お姉さんお邪魔だったんで退場願いました。まぁ、このくらいで死ぬとは思えんな。どう見ても…妖怪の負けだ。妖怪がもう100体と残っとらん。月側の勝ち。月の人間ってこんなに強いもんなのかね。驚きだぁ!

 

「…紫〜生きとるか〜?」グリグリ

 

「いだっいたた!あぅうっ…あんたもひどいわね…!」

 

「もう帰るぞ。あの馬鹿は放って帰るんだよ。めんどくさい」

 

「させるものか!」ザッ

 

そう言って構えを取る紫髪の人。チッここに紫がいなかったら紫の人で済ませてたのに。

 

「…じゃあ良いや。帰らない。おー紫。このままお前は死ぬらしい」

 

「ら、藍は…」

 

「あいつか?…」

 

「コヒュー…コヒュー…」

 

「知らねえ方がいいな」

 

「言って」

 

「…骨が飛び出してるし片足ないし尻尾も数本千切られている。なんなら目も少し飛び出かかっているな。腹部分から血が出ているがあれは多分内臓だろうな」

 

「意気揚々と言う根性は認めるわよ…」

 

「HAHAHA!…ま、月面滅ぼしますかね?」

 

「!」

 

「まだ少し時間がいるのに…!」

 

「死なないんだったら酸素なくても生きていけるよな。今生きてるんだし」

 

「…まさか!」

 

「甘き死でも与えてやるよ!月ごと粉砕してな!」

 

「そんなことしたら地上にも悪影響が」

 

「知るかバーカ!」

 

まあ何もやってないんですけどね奥さん。月を爆破するのは無理だが月を永遠に三日月にすることはできる。その気になれば音速だって可能だ。ただやると身体中痛むし手も痛いからやらないけど。なんなら一年寝込む自信がある

 

「…なら今ここで殺すまで!」バシンッ

 

「結界バーリア!」

 

結界<残念でしたぁwwww

 

「…そだ、藍に回復の結界だかなんだかやれば良いじゃん」

 

「!その狐もどきを捕らえて!」

 

「わかりました!」ガシッ

 

「ゴフッ」

 

「…さて、次はどう出るかぎぃっ」ボギャッ

 

「きたねーなぁ。脳みそバラまかして死んでんじゃねえよ気持ち悪い」

 

まぁ握力で潰しただけなんですけど。うわ、復活の仕方気持ちわり。脳みそが先に復活して骨、肉、皮、みたいな順番か気持ち悪い。

 

「姉様!?」

 

「次はお前だー!」バンッ

 

「ぐっ…!どうした!この程度か!?」

 

「あれ、おかしいな…まあ良いか。紫、回収よろしく」

 

「分かってるわよ…」

 

隙間<藍さん回収!

 

「じゃ、あとは地上へ帰還!」

 

「なっ!?逃すか!」バシィンッ

 

結界<バーリアww

 

「こんの…!」

 

地上

 

「…すげー死んだな。笑い話にもならん」

 

「藍…!」

 

「ヒュー…」

 

「あとは任せた。俺は寝る」

 

…待て、これってもしかして俺が戦犯?俺が真面目に戦ってれば勝てた?…過ぎたこと言っても仕方ないか。あ、足つった

 

「…ありがと」

 

「お前それ前回そんなこと言われて前死んだの忘れた?」

 

「あら、そうだったかしら…?げぽっ…」

 

「…あ、神輿忘れてきた…」

 

 

 

 

 




ホォォォォォォオォ…ムラァァァアァァァァァァァァァアン!


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狐と男 3

どんなときも どんなときも
ビルの間窮屈そうに 落ちていく夕日に
焦る気持ち 溶かして行こう

あ、ちなみに40話とかそこらへんの話の続きです。八雲さんち


 

八雲邸

 

「あのさぁ」

 

「ん?」

 

「なんで俺ここにいるわけ?て言うか耳栓外れてるし」

 

「お前の女嫌いを治すためだ」

 

「…は?」

 

な、なにをいってるのかわからねぇ。全然わからねえ。て言うかこのままだと俺やばくね?女嫌いを治すってお前…女のお前が言う…?荒療治じゃなければ良いが

 

「治し方としては…竹林の医者からもらったコレだな」スッ

 

 (´-`)つ『なんでも治る!荒療治の仕方!』

 

「」

 

「…コレによると、女嫌いは…ふむ、一緒に住む…か。多少相手が嫌がっても慣らして行こうと。そう言うわけだ」

 

「あ、あの…僕に拒否権というのは」

 

「ない」キリッ

 

「…正直言って醤油がぶ飲みした気分なんだけどどうすれば良いのかな」

 

「知らん」

 

翌日

 

「まさか本当に一緒に住むことになるとは」

 

「まぁそのうち慣れて行くさ。女に身体を慣らすことだな」

 

「…流石に寝る時と風呂は一人だよな。そうでなきゃやってられん。ではでは朝食を」

 

「あ、そうだ。風呂の時は仕方ないが寝る時は橙と一緒だからな」

 

「ちぇん…ちぇんって誰だ…?」

 

「そのうち会うさ」

 

…あれ、もしかしてこのまま俺知らない人との生活になるのかな。もうそれあれじゃん。外の世界の『しぇあはうす』じゃん。え、何それ俺として全く好ましくないんだけど。女嫌い加速するんですけど?

 

「…いや、それよりもまずは飯だ」ガララッ

 

「うわっ」

 

「…猫だ…」

 

「食べ物だ…」

 

「しかもなんか人になったし…ああ、お前がちぇんか」

 

「え、じゃあ貴方がこれから抱き枕になる人ですか?」

 

「解釈の違いってすげー」

 

数分後

 

「とんかつだ…」

 

「揚げ物はなるべく控えないとダメなんだが…」パクッ

 

「え?」

 

「太るから…」

 

「…私もそろそろ運動しようかしら…」

 

おい、なんかその台詞俺が気に入られようと必死に頑張ってた時によく聞いた台詞だぞ。お前さては三日坊主どころか1時間坊主か?

 

「ところで」

 

「ん?」

 

「あの件について」

 

「藍、それは彼がいない場所で話しましょう」

 

「わかりました」

 

「…」

 

あ、これ多分首突っ込もうとしたら切られる奴だ

 

「らんしゃま、この後花見に行きませんか?」

 

「おお、良いな」

 

「花見…そういえばもうそんな時期か」

 

「春ねぇ…春だと何故日向ぼっこが心地よいのかしらね」

 

「…日々の生活態度」ボソッ

 

「誰かしら今日々の生活態度って言った殿方は」

 

「さーて私は家に置いてきた甘食でも取りに行きますかねー」

 

「あ、逃げたな」

 

人里主人公宅

 

「…甘食切れてる…なんで!?」

 

人里

 

「ということがありまして」

 

「お、そうか。んじゃあ二袋で一袋の値段にしてやろう」

 

「あざます」

 

「おお、こんなところにいたか」

 

…あれ?お子さんとの花見は?と言いたいがちぇんって子もしっかりといた。お前も忠誠心あるね…

 

「…はい丁度。んじゃね」

 

「まいどありー」

 

「…いつか甘食に埋もれたいなぁ」

 

「知るか馬鹿者」

 

1週間後

 

「…なんか最近妙に食う量が増えてるような…」

 

「貴方それストレス発散のために食べてるってアレじゃない?」

 

「マジですか。それじゃあお世話になりました」

 

「…女嫌いが治るまではここにいてもらうからな」キランッ

 

「ヒェッ」

 

女嫌いが治るまでここにいるのでほんっと申し訳ないんですがその包丁しまってください怖いです

 

「藍。1週間経っても無理なのだから、もう一歩進めるべきよ」

 

「もう一歩…寝る時私か紫様どっちが」

 

「紫さん今晩一緒に寝てください」

 

「…藍ってば嫌われてるのね…」

 

「これもお前を思っての行動だったんだがな」

 

「してあげると寄り添ってあげると○○のためは絶対に違うぞ」

 

「そうかじゃあ一生寄り添ってやろう」

 

「遠慮させていただきます」

 

その夜

 

「…まさか本当に寝ることになるとは」

 

「藍さん真面目ですもんねぇ。俺なんかずっと頭の中で何かに埋もれたいって考えてますよへへへ」

 

「貴方もう帰るべきよ」

 

「帰れたらどれほど良かったことでしょうかね」

 

「…ま、良いわ」

 

「…トイレで胃の中の物全部吐き出してきます」

 

「女嫌い加速してない?」

 

「…すぅ…」

 

「あ、寝た…ま、良いか。私も寝よ」

 

次の日

 

「んー!よく寝た!」

 

「どうだった?紫様と寝た気分は」

 

その言い方はなんだか俺が紫さんとやましい関係になった的な感じじゃねえか。健全な仲だっつの。ていうか久しぶりに人と同じ布団で寝たわ

 

「…多分藍さんと一緒に寝たら一時間も保たないだろうなって思いま」

 

「なんで個人によって嫌いの差が出来てるんだ!?」

 

「…何言ってんだこいつ」

 

「…でだ。まぁ、私にも慣れてもらわないと困るのでな」

 

「?」

 

「今日から一緒に過ごすことになった」

 

「…は?」

 

「もし拒否するなら死が待っているがな」

 

「どゆこっちゃ」

 

そして数日が経ち

 

「…いや、それはおかしい」

 

「いや、全くおかしくない。何せ、今の私は本当に何をしてもおかしくはないのだからな」

 

「なんでだよ。力強いし反抗できねえよ」

 

「フフ…可愛い物だな。生憎今日は紫様は幽々子様と一緒に出かけて橙も幽々子様の部下と遊んでいる。逃げ場はないというわけだ」

 

「ハッハッハッヘルプ」

 

「呼べると思ってるのか?」

 

「…で、この後俺どうなるの?」

 

「私の物にする。簡単なことだ。私の物にしてしまえばいい」

 

「お前頭いかれてるよ」

 

「まあ要するにだ。所有物は所有者の言うことを聞かねばならないだろう?」

 

「…まぁ、式神とかペットとかはそうだな」

 

「それを応用すれば良いわけだ。私の命令に従わせてしまえば女嫌いは治る」

 

「だとしても押さえつけられるこたぁないっしょ」

 

「いいや、大いにある。私はお前を式神にもペットにもしたくない。自分の意思で、私の言うことを聞く。そうすれば女嫌いを完全に治せるだろう?」

 

「お前のその『正論だろう?』って顔嫌いだな」

 

「ちなみにこの後激しい運動になるから、気を確かにな」

 

「は?いや、それはいきなりすぎ」

 

その後の記憶はなるべく消しておきたい。誰が聞いて喜ぶだろうか。おっさんがみっともなく女嫌いを加速させたと言うことを。俺を生徒として扱うつもりかてめえ。

 

「…ゲホッゲホッ」

 

「辛いか?」

 

「辛いに決まってんでしょ」

 

「そうか。じゃあ癒しが必要だな。こっちに来れば癒しをくれてやる」

 

「誰が行くかよ」

 

「じゃあ私から」ギュッ

 

「!?」

 

「どうだ?少しは元気が出ただろう?私の身体に埋もれるのは」

 

「…嫌いだよ。女の乳なんて」

 

「は?」ゴキッ

 

「はうあっ!?逝った!今背骨逝った!」

 

「…紫様に抱きしめられるのは良くて、私は駄目なのか?」

 

「当たり前だろうが…嫌いな奴にこんなことされて喜ぶ方がおかしいんだっつの」

 

「そうか…やはり、式神の方がいいか」

 

「え、いやそれは」

 

「そうすれば、私からのハグも受け入れられるだろう?」

 

「ちょっと何言ってるか」

 

「そうか。お前は私の式になりたかったのだな。気持ちに気付けなくてすまなかった。本当に」

 

「だから何言って」

 

「…お前のことが大好きなのに、気付けなかったなんてな」

 

「は?」

 

 

 

 

 




3000文字近えじゃん。でも今まで2000文字くらいだったじゃん。
終わり方に納得せずにやってたら50分ちかくやってんじゃん。
というわけで急ブレーキからの急発進並みの急展開で終わらせてやりました


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魔理沙さんの勘違い

可愛い女の子かと思った?
ざーんねん!ただの魔理沙ちゃんでした!


 

魔理沙邸

 

「…いや、こうはならんだろ」

 

「なってるだろうが」

 

…待て、なんで魔理沙の家が哀れ爆発四散しているんだと聞いてみると『実験で爆発した』と言っている。だからこうはならんやろがい

 

「…なんの実験やってた?」

 

「おう!この魔理沙様は珍しく科学的な実験をやっていたんだ!水素に火をつける実験を」

 

「二度とやるなよその実験。割とガチだからな。人間普通に死ぬからな」

 

「心配してくれるのか?嬉しいな〜」

 

「…外の世界では人体が突然燃え出しくるぶし上まで燃え尽きると言う怪事件があるそうだ。実験してみようか」

 

「待て、ごめんなさい」

 

数時間後

 

「復旧魔法だけは得意になってるよなお前」

 

「この天才魔理沙様は回数を増すごとに練度が上がるのさ!」

 

「…つまりかなり実験に失敗して家が無くなっていると」

 

「うぐっ」

 

魔理沙はいつもこう言う実験をやっている。周りの人間から心配されないんだろうか?…いや、されないんだろう。豪商の元から抜け出したような人間だし。それに殺したって絶対死なないし。なんで魔法使いやってんだろうこいつ

 

「ま、良いさ。お前が無事ならな。住処なくなるし」

 

「最後の一言が全てを台無しにしてるんだが」

 

「黙っとれ。全く最近の若者は年上に対する配慮が足りとらん」

 

「おまえが言えたことか」

 

「…そういや竹林にいるうさぎの中に化け物レベルの年齢のうさぎがいるって聞いたことがあるな…」

 

「…何それ気持ち悪っ」

 

「言うね君」

 

翌日

 

「…そうだ。最近お前風呂入ってないだろ」

 

「うぐっ」

 

「入らねえと体にキノコ生えるぞ。俺なんかこの前腕に生えた」

 

「お前人間なんだよな?」

 

「流石に20日風呂入らずに水浴びくらいで済ませてたのは不味かったか」

 

「何言ってんだこいつ」

 

ちなみに毒キノコだったから食わない方がいい。舌が痺れてちょっと気持ち悪かったし。色も気色悪かった

 

「…と言うより、魔法に熱心になるのは良いが他のことにも目を向けろよ。今ある友達、大事に」

 

「お前本当に人間なのか?」

 

「ハハッ。人間だが子供の時から周りが不幸でな」

 

「…ああ」

 

「やめろその目で俺をみるな」

 

「…憐れみの目だ覚悟しろ」アワレミー

 

「殴り飛ばすぞ」

 

さらに翌日!

 

「お、アリスさん。お久しぶりで」

 

「あらこれはデリカシーのかけらどころか微粒子レベルもない魔理沙の同居人じゃない」

 

「…そうだ、昨日こいつに風呂入れって言われたんだよ」

 

「まぁ相変わらずデリカシーないのね」

 

「理由がキノコ生えるからだってさ」

 

「ぶふぁっ!?」

 

「…アリスさん、何吹いてるんですか。おい、何笑い堪えてんだこら」

 

「い、いえ…wと、とく…ww」

 

なんだろうこいつ。こいつにデリカシーのかけらはないものか。魔法使いにでもなれば分かるのだろうか。よくわからんが

 

「…寝る」

 

「ま、そうなるわな」

 

「…そうだ、上海人形に監視させましょう」

 

「は?」

 

「行け、人形!」

 

「待て待てお前また同じ手法するつもりか?」

 

「え?」

 

「前お前出てきた時も人形で監視してただろ」

 

「…サーナンノコトカシラネー」

 

「八卦路」

 

「好意はないので許してください」

 

そして1週間!

 

「…ん?」

 

「すぅ…」

 

「なんだ、アリスさんが寝てやがる。どうせあれだろ。『何かしようとして寝落ち』なもんだろ。ベッドに乗せて…さぁ、嫌な1日の始まりだぜ」

 

ガチャッ

 

「おーい、流石に…」ガチャッ

 

「すゥゥゥゥ…多分やべー勘違いされたな。誤解は解くもの!」

 

「ああっ…そこは…んっ」

 

「…ガムテープあったかな」

 

数分後

 

アリスさんを静かにしてから起床。なんで俺がアリスさんに戸惑わされなきゃならんのだ。おかしいだろうが。色々と、ほら。

 

「…まさか、お前とアリスがそんな関係だったなんてな」

 

「クソみてえな勘違いしてんな」

 

「…だが、この天才魔理沙様はお前を手に入れるためにこんなものも用意したんだ」

 

「んー。突然の好意をありがとう。しかし誤解が色々と多いぞ」

 

「?まぁ何言ってるかはわからんが…その名も催眠術!仕組みとしては相手が寝ぼけさせるような効果があるらしい。吹き込めばなんでもできるんだとか」

 

「…おれぁルパァン三世。今度はちぃっと厄介な」

 

「さりげなく逃げるな。まずは…ふむ。眠らせるのか」

 

「そ、それじゃあ夜まで待たなきゃな!」

 

「いや、ダメだ。待てるもんか!」ガシッ

 

そう言うと殺伐としたシリアス空気でほうきを魔理沙は持つ。こんな時にシリアスキラーのアリスさんが来ればいいのに…ん?ガムテープで口って封じられたのかな?

 

「神様女神様仏様ぁ!」ダッ

 

「ダメだな!私から逃げようとするなんて!」

 

扉<トラップカードオープン!

 

「嘘だろドアノブから手が動かねえ!?」

 

「あはは…なぁ、なんで逃げようとしたんだ?」

 

「眠らせるって絶対お前それで打つ気だろ!?」

 

「え?」

 

「ん?」

 

「…ああ、そう言うことか。痛くないから安心しろ」

 

「できるか!」

 

数時間後

 

「」ボッコボコ

 

「…さて、催眠の用意だな」

 

「ふぁあ…おはよ、魔理沙。彼って意外と大きいのね」

 

「は?」スッ

 

「背中。魔理沙が独り占めしたくなるのも分かるわ。私も、安心感を得られる男探そうかしら」

 

「…ああ、そうだろ?私もそう思ってたんだ」

 

「思ってた?」

 

「でも、いつしか安心感を得られるだけじゃなくなったんだ。絶対に渡さない。独占したいんだよ」

 

「あらあら、それじゃあ私はお邪魔ね。それじゃあ」

 

…あー、俺は起きても良いのだろうか?魔理沙、結構拗れてんなぁ…たんこぶ痛いし…クッソヒリヒリするから二度とやらないでいただきたい

 

「…さて。ドアから手が離せなくなったお前も可愛いな。いっつも、実験に失敗して家が壊れる度に心配してくれて…」

 

「…」

 

どーすんのよこれ。すんごい言いづらいんだけど。洗脳なんてできませんよなんて良いづらいんですけど!?

 

「心配してくれた時は必ずと言って良いほど頼りたくなるんだ。でも、今のお前は甘やかしたいな。子供のように躾けたい気分だ」

 

「…ハッ」

 

「気が付いたか?アリスはもう帰った。この家には私とお前一人だ。この家ももう絶対に壊れない安心安全設計だ」

 

「…情報量が渋滞しているがどれくらいで壊れるんだ?」

 

「そうだな…幽香のマスタースパークが30回同じ場所に撃たれたらようやくヒビが入るくらいだな」

 

「」

 

…あ、もしかして俺偽善でやべー奴生み出した…?

 

「どうした固まって。そんなに嬉しいのか?おい、なんで私を哀れむような目で見るんだ?」

 

「…あわれみー…仕返し」

 

「ハハッ。三日前のお返しか?そりゃすごいな…でも、反抗はダメだな!」ブンッ

 

「たんこぶぅ!?」

 

「…これからはお前は私のものなんだ。絶対に誰にも譲らない。ずっと、私のものなんだからな」

 

「はぁ…急なメンヘラは」

 

「メンヘラ?あんな奴と一緒にするな!私の愛はお前に対する愛だ!お前のためなら命だって投げ捨てる!これでもメンヘラか!?」

 

「ぁ…ごめんさい…」

 

「わかれば良いんだ」

 

「わかりたくねぇ…」

 

「は?」

 

 

 

 

 

 




わかりたくねぇ…
反対だったかもしれねぇ…


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チルノとお兄さん

チルノが来るぞ…!
チルノが…ん?違う?
いえ、違くないです(強引)


 

霧の湖

 

「るんるるんるんるんるん」

 

「チルノちゃん?」

 

「うわっ!?なんだ大ちゃんか…」

 

「は、はは…」

 

「…いや、まず目の前に足元凍らされてる人間見てくれない?」

 

これがチルノとのファーストコンタクト。はっきり言って痛いし寒いし霜焼けになるわで良いことなし。二度と来るもんかと思った。

 

翌日

 

「案外きてしまうものなんだな」

 

「…」チマッ

 

「しかもちゃんと居るし…なんなんだこの妖精」

 

数分後

 

「…あっ。危ねえ寝るところだった…」

 

「釣れたぁ!」

 

「…?…!?あいつ俺の釣竿使ってやがる!?」

 

「次は…スズキが良いかな!」

 

「…しかも俺より釣れてるし…なんか腹立つな」

 

「わっほーい!」

 

「まあ良いか。おい妖精」

 

「ん?なんだ?」

 

「俺もここに居るから、釣り終わったら教えてくれ」

 

「ん?なんでだ?」

 

「…お前の釣りの終わりくらいに帰るから」

 

「そうか!分かった!」

 

…こいつ、馬鹿だな。とにかくどうにかして釣竿を取り返さねば。どうするか…終わるまで待ってみるか。終わったら返してくれるだろ

 

数時間後

 

「…ごめんなさい」

 

「釣り竿が凍ってバラバラに…」

 

「本当にごめんなさい」

 

「…いや、良いけどさ。別に買えば良いんだし。だからほら泣き止んで。人里行って何か買ってくるか?」

 

「…良いの?」

 

「まー買えば済む話だし」

 

人里

 

「団子屋は…お前みたらしか三色どっち?」

 

「三色」

 

「そうか。三色二つ」

 

「あいよ」

 

「それまでは席で待ってるぞ」

 

「うん」

 

…馬鹿な上に素直で嘘が付けないタイプと見た。後我慢できない子ってのも。いい子なんだか悪い子なんだか。

 

「ほら、泣き止んでくれよ」

 

「…うぇぇ」

 

「おいこら変な泣き方して俺の服に顔を付けるな。周りから白い目で見られるから」

 

「えへへ…えぇえん」

 

「さてはお前嘘泣きしてるな?」

 

「お待たせ。三色団子で良かったかな?」

 

「三色団子で良いですよ」

 

「良いです」

 

「…霧の湖にいる妖精か!」

 

「そうなんですよ。釣竿折ったら泣き出したので泣き止んでもらおうと」

 

「なるほどね〜。ま、事情はどうでも良いか。ゆっくりしていってけ〜」

 

「ゆっくりはできんな…」

 

「はむっ…んー…最後の一つだけ上手く食べれない」

 

「分かる。特にみたらしだと俺は口周りが汚れるの嫌だから余計難しい」

 

「だから三色が1番なんだよ」

 

「なんか言ったか?」

 

「何も?」

 

くぅ腹が立つ。周りの目がなかったら何されたか分かったもんじゃないな妖精って。このあとは家に帰って…えーと、寝るのか。

 

1ヶ月後 霧の湖

 

「…ふぁあ」

 

「おー!」

 

「?あれ、お前大妖精は?」

 

「むー!せっかくあたいが来てやったのに!おしゃれして!」

 

「…いつもと違うところと言えば…そうだな。服にひまわりの花がついたのと…髪にヘアペンが付いてることだな。あとはわからん」

 

「幽香が言ってた『男には気が付かない女のおしゃれ』って実在したんだ…!?」

 

「今すぐ文々。新聞に言いに行ってこい金もらえるぞ」

 

「あいつは結構ケチだからなー!」

 

「行ったことあるんだ…」

 

「って!そーじゃない!あと一つ!」

 

「あと一つ?…ヒント」

 

「ヒント?…靴!」

 

「ほぼ答えだしお前足元隠してるで分かるわけねえだろ!?」

 

「えっ!?…本当だ」

 

「本当だ。じゃねえよ」

 

「まあ良いか!あたいの特等席!」

 

「膝の上に座られると立つ時結構きつい」

 

「あたいが重いって言いたいのか!?」

 

「お前もそう言う知識だけ増えていくなぁ」

 

数週間後

 

…あれから少し霧の湖とは別の場所で釣りやってたが今日行ったらあの妖精驚かせることができるだろうか。いつも心臓ヒエヒエにされてる身だ多少やっても許される許される。許されなかったら閻魔に直談判だ。

 

「…あれ、いねえな」キョロキョロ

 

その頃霧の湖を少し越えた奥の方

 

「チルノちゃん?」

 

「あたい嫌われたのかな…」

 

「チルノちゃん!?」

 

「だって、ずっと遊ぼうって言っても寿命があるからって言われて…」

 

「…?」

 

「あたいの気持ちに別の答え方して…はいかいいえで答えてって言っても同じ返し方だし」

 

「チ、チルノちゃん…?」

 

「…!そうだ!タイムカプセル!」

 

「え?」

 

「確か、物を凍らせてその状態を保たせるとかなんとか!外の世界だと氷の中に恐竜とか入ってたし!」

 

「…溶けた氷の中に?」

 

「そうそう!」

 

「スパーキング…」

 

「凍らせれば良いんだ!」

 

「ブフッ!?」

 

霧の湖

 

「!?だめだ寒気がしてきた。もうそんな時期か…まぁもうそろそろ秋だしな」

 

頭の中で火山を爆発させた奴がいるがそれは別として。ん?なんか見えるぞ…あれ、なんか飛んできてない?カラスかな?鳥かな?だったらどうしよう。俺今襲われたら結構きついんだけど

 

烏<ァー!

 

「うわっ!?」ドサッ

 

バサッバサッバサッって漫画か?と思うくらい俺の周り飛んでるけどもしかしてこれって俺餌として見られてんじゃ…?

 

「あ、待ってこれはもしかしてかなりやばいのでは?」

 

烏<ナカーマ!

 

烏<メシ!エモノ!タベル!

 

「ちょっ迷惑だし少し痛いし汚い!」

 

「どーけー!」バッ

 

烏<カチンコチン

 

「はぁ…はぁ…」

 

「いっつ…!あっ…誰だ…?」

 

「あたいだよ!チルノ!ほら、立ってよ!」

 

「…すまん」

 

「別に良いんだけど。あたいはそう言う怪我は良いの。貧乏神の人はこう言ってたもん」

 

『宝物をより宝物っぽく見せたい?そりゃ他人に見せるなら…少し傷がついてて、汚れと綺麗を両立できるようなものかしら?私は売るから大事にするけど』

 

「待て、それ絶対価値観ねじ曲がってる神様だよ」

 

「だから…あたいにとっての宝物はおまえなの!」

 

「名無しの辛さ」

 

「だから…」

 

「ん?待って今気がついたけど足凍ってね?」

 

「…だから、凍結保存ってのをするね!」

 

「そりゃないぜよベイベー」カチンコチンッ

 

…最終的には狂った奴でしたよ。ええ。まぁ、そんなチルノを撫でてた俺もおかしいんでしょうけどね?

 

「…♪私だけの宝物〜!」

 

その少し後ろ

 

「…みすちー、結構やばくない?」

 

「大ちゃん、あれも一種の愛だよ!」

 

「???」

 

「そう言えば、慣れ始めは?」

 

「んぇ?確か2ヶ月くらい前だった気がするけど…あ、でも見始めたのは半年前からだよ」

 

「く〜!一目惚れか!」

 

「…みすちー、大丈夫?」

 

 

 

 

 




ミスティアさんはいかれてますが大ちゃんはイカれてません


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蛮奇と死刑絶対失敗マン

最近時の流れが早いんですがてっきりコッテリ赤蛮奇ちゃん忘れてました殺せ!


 

人里

 

「…んー、すごい落書きの量」

 

「そうだろ。俺だって信じたくない気分だ。大体事実書いたってなんの面白味もないだろ」

 

「事実?私の目に写ってるこの人殺しって奴?」

 

「おう。危うく死刑になるとこだったが、槍で刺されても矢で射抜かれても死ななかったから不思議だ!」

 

「…あんた妖怪だろ」

 

失敬なただの人間だぞ。とは言え死刑に失敗しまくって殺せないじゃん!殺さなかったらお金あげるよ!って言われて解放されましたとさ。

 

「…て言うか、これじゃあ近所の人からの評判悪くなっちまうよ」

 

「私が消しとくよ」

 

「お、ありがと蛮奇さん」

 

「…いや、家の裏面まであったとは」

 

「不思議だろ?描いてる時誰にも見つからねえのさ」

 

「笑い話で済めば良いけどな」

 

翌日

 

「何奴!」

 

「げっ!?」

 

「人殺しの家に入る馬鹿がいるか!」

 

「クソッバレた!」パリーン!

 

「窓を破るなぁー!」

 

数時間後

 

「…ってことがあってよ」

 

「そりゃ誰だって泣きたくなるでしょ」

 

「俺、どんなに頑張っても強盗には負けるんだよなぁ」

 

「負けの基準は?」

 

「家に入られたら」

 

「一生負け続けてろ」

 

…酷くないっすか?いや、負けの基準を言っただけじゃん。強盗は強盗だし窃盗は窃盗じゃん。て言うか待て家の中に落書きない?

 

「…あいつ家の中に落書きして行きやがった!」

 

「ははは笑い話にもならんな」

 

外!

 

「…どう考えてもみたらしだろうが」

 

「私はどっちでも良いけどね」

 

「…みたらし一つ」

 

「三色団子三つ」

 

「わかりました」

 

「…お前しれっと3個頼んでんじゃねえよ」

 

「料金はあんた持ちだから私は払わないよ」

 

「クソが」

 

「…でも、気にならないの?」

 

「何が?」

 

「何がって…あれだよ。家の落書き」

 

「落書き…ああ、あれね。気になりはするよ。ご近所さんに迷惑かかるし」

 

「いやそう言う意味じゃなくて」

 

「んー…最初の頃はちょっと傷付いたね。正当防衛で殺したから…」

 

「…どう言う感じに殺したの?」

 

「近くにあったレンガを頭に何回も叩きつけてな」

 

「団子です」

 

「…あざます」

 

と言うよりなんであんなこと思い出してるんだ俺は。大体、急に酒瓶でぶん殴られてやり返しただけなのに。色々とおかしかろう

 

「ふーん。なんで殺したの?」

 

「そんなこと言う場所じゃないでしょここは」

 

「…そう言えば人里も最近物騒になってきたねぇ」

 

「まさかとは思うが俺疑ってんじゃねえだろうな」

 

「いや?まさか」

 

「洒落にならん」パクッ

 

「それに…私、あなたのことが心配だし」

 

「俺のこと?心配してくれてんの?独り身だから付き合ってくれたりすんのか?」

 

「…良いよ?」

 

「!?」

 

「ま、その代わり色々とさせてもらうけどね」

 

「冗談のつもりで言ったんだが」

 

「…は?」

 

「は?って言われても」

 

おや…蛮奇の姿が…?おめでとう!蛮奇さんは俯いてボソボソと喋る人になったよ!怖いよ!助けて!

 

「…ば、蛮奇さん?」

 

「なんでそう言うこと冗談で言うの?」ギロッ

 

「ヒェッ…いやぁ、だって心配してくれてるからさ。こんなこと言っても良いかなーって」

 

「は?どこからその自信が湧いてくるの?殺して良い?」

 

「いえ…その…」

 

「ねえ、なんでそんなつまらない嘘吐いちゃうの?」

 

「あ、あはは…今心に余裕がなくってさ…少し冗談を」

 

「そ。それなら仕方ないか。ごめんね、私が察せなくて」

 

「いや、別に良いんだけどさ…」

 

…何、今の。怖すぎんだけど。蛇に睨まれた蛙だっけ?そんな諺に載るよ絶対。女に責め立てられる男って。怖い怖い

 

「…と、とりあえず今日は解散で!」

 

「うん、わかった。それじゃ」

 

「ま、またいつか…」

 

できればもう会いたくはないかな…

 

二日後

 

「…んぁ?」

 

「ふんっ!」グサッ

 

「ぶっ!?」

 

「…良し、逃げろ!」パリーン!

 

「ゴフッ…少し辛いな」

 

「大丈夫!?」パカッ

 

「待て今どっから入ってきた?」

 

「え?普通にドアからだけど」

 

「嘘つけ屋上から飛んできたろ。さながら外の世界のヘリから縄伝って降りてくる人間みたいだったよ」

 

「褒められるのは嬉しいな…」テレッ

 

「褒めちゃいねーよ」

 

永遠亭

 

さて、問題です。僕は今どうなっているでしょうか?シンキングタイム、終了!正解は…赤蛮奇さんに全力介護されてる、です。

 

「…いや、あの、別にそこまでしなくても…」

 

「え?もっと?欲張りさんめ」

 

「え、いや、もう流石にいらないって!もう嫌だって!痛え!?」

 

「…ねぇ」

 

「おうふ…ん?なんか言った?」

 

「一昨日私に言った言葉、覚えてる?」

 

「知らん」

 

「…私に付き合ってくれるかって聞いたの!」

 

「あ、ああ。覚えてる」

 

「よかった!」

 

えぇ…っと。何がよかったのでしょうか。何かお気に召したのでしょうか。でなければ…帰れ!

 

「だって、あなたの家は危険だから、この際付き合って同棲しようって」

 

「???」

 

「あなたのご両親にはもう説明してあるから。ほら、行こ!」

 

「え?いや、まだ傷が」

 

「?もう治ってるけど?」

 

「え?…あ、マジだ」

 

「ほら、早く!」

 

蛮奇宅

 

「これといって特にないけどどうぞ!」

 

「…むっちゃ綺麗だから自分の家掃除したくなってきた…!」

 

「まぁ今日は遅いし、寝る?」

 

「待て、なんで布団がひとつ?」

 

「急なことだったからさ…ご理解とご協力を」

 

「お前情緒不安定だな」

 

「あなたもよ」

 

HAHAHA!笑えんしごめん助けて。なんか俺悪いことした?神様に向かってしね!とか言った?

 

「…さ、寝るよ!」

 

「うぇ、ああ…女と寝るって結構緊張するな」

 

「…ちなみに私ろくろ首だから」

 

「首を長くできるとか」

 

「頭が何個かあるんだよね。少し、味わう?」

 

「え?」

 

その日、蛮奇宅を通りかかった寺子屋の教師はこう語る。

 

「…人の断末魔はかなり聞いてきたが、きっと生涯で一度きりだろう。笑い声と泣き声となにかを叩く音が混ざった断末魔は」

 

 

 

 

 

 

 




絶対聖さんってあの体で布教無理だよね。


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青年と翁の娘さん 2

平安時代!


 

 

「…俺が夜見てた月にこんなでっけえ都が出来てたとはな」

 

「そうでしょう?ま、私は月で育ったんだけど」

 

「こりゃ驚いた。月のお姫様だったか」

 

そりゃ帝なんかに言い寄られても特になんも思わんわな。てか月に来てから体軽くね?ぴょんって飛ぶと少しどころか一尺くらい飛ぶ気がするんだけど。やばない?マジやばない?

 

「…そうだ。私のわがままで連れてきたから、あまり表に顔を出さない方がいいわよ。顔を出したら…石投げられちゃうから」

 

「へー」

 

物騒な場所だな。朝廷ももう少し緩かったぞ

 

月の都の偉い人たちが集まる場所

 

「…でっけー」

 

「大きいでしょ?私の住処は高いから気をつけてね」

 

「へー…高いのか。ここからじゃ全くわからんな…ん?」

 

「お待ちしておりました。姫」

 

「良いのよ××。それじゃ、行くわよ」

 

「…このままだとどうなるの?」

 

「私は処刑されるわね。間違いなく。あなたもよ」

 

「道連れは勘弁して欲しかったんだが」

 

「…私の自業自得なのよ。××の手であなたは守られるの」

 

「へー。お願いします」

 

「…姫、このような若者を」

 

「××。任せたわよ」

 

「…は」

 

「あ、すいません…えーと…」

 

「永林とお呼びください」

 

「あ、永林さん。川とかで釣りって出来ます?」

 

「月に水はあまりございませんので」

 

「あ、そうなんですか」

 

…ん?いや、これこのままだと俺殺されるんでしょ?え、この人そんな強い人なの?女性って見かけによらないって言うけどさ。俺前女に無茶苦茶な投げられ方したし。

 

そして数日が経ち…

 

「え、また地上に?」

 

「私、不老不死になっちゃったの。そんなんだから地上落としになったのよ」

 

「はへー」

 

「それでは姫が可哀想。でも私には姫に託された人が」ブツブツ

 

「…ま、××は頼りになるし月の賢者とも呼ばれてるから、安心なさい」

 

「月の賢者…偉い人だったんか」

 

「地上でいう帝並みの権力だから、一つの法律くらい覆せるでしょ」

 

「そりゃ怖い」

 

「それじゃあ、刑が執行されるまで少しあるし、私は寝るわ」

 

「おやすみなさーい」

 

「ブツブツ…すいません、少し時間をいただけますか?」

 

「うぇ、あ、はい」

 

「…姫には内緒でお願いします」

 

なんだろうか。永林さんなんかすっごい悪い顔してる。なんだか悪戯をする子供みたいな顔だ…子供なんてあんま見てないけど

 

「一緒に地上へ行きませんか?」

 

「地上?そりゃまたなんで」

 

「姫は一人だけで地上へ行くのです。姫について行く形で我々も一緒に地上へ」

 

「…そうなると永林さん、賢者ってのは」

 

「後任はいます。それと…この蓬莱の薬。これを使い不老不死になってから、地上へ行ってもらいますが」

 

「その話…乗った!で、蓬莱の薬とは?」

 

「…私が作ったものです。それを姫が飲んで…姫だけが地上へ落とされるなどおかしい。私も落とされるべきなのに」

 

「おー。すげえ忠誠心だな」

 

「…こちらが蓬莱の薬となります」

 

「綺麗な宝玉みてえだな。これを…どうやって使うんだ?」

 

「水と一緒に」

 

「意外と薬草みたいな感じなのな」ゴクゴク

 

…今思ったけどこれ俺騙されてたら死ぬことになるじゃん。結構やばいことしちゃったな。

 

「で、輝夜が地上へ行く日。一緒に行くのか?」

 

「いえ…私たちが先回りをして住処を作ります」

 

「ホーン」

 

かぐや姫刑執行前日夜

 

「…情報量すげえ」

 

「さて。あと少しです…30…20…10…5…」

 

「結構木材とか持ってきてんだな」

 

「…着きました。無事着陸できたようです。乗って来たこの機体は…次に自動で返還されます」

 

「マジ?」

 

ロケット<シュゴォォオォォォォォ

 

「…では、そこでしばしお待ちを。私が家を作りますので」

 

「い、家…?」

 

数分後

 

「出来ました」

 

「???????????????」

 

「内装はロケットから持ち出したこの箱から…ポンと出ます」

 

「わー機能的」

 

「さて。地上はまだ電気が通って…人がいない」

 

「ん?…里はある。ま、それしかないけど…なんて読むんだ?」

 

「どれですか?」

 

あれあれと言い、永林さんはここぞとばかりになんか変なもん取り出した。それなんですか?という間も無く、永林さんは見終えた

 

「…なんて読みます?」

 

「多分…神社。その前の2文字はよくわからなかったです」

 

「そうでしたか…さて、あとは輝夜を待つだけですかね」

 

「そうですね…しかし、必ずここに落ちてくるとは限りません。ですがそれもクリア済みです」

 

「問題解決済みなら言わなくて良くない?」

 

「そうでした」

 

翌日朝

 

「…よー輝夜」

 

「え?」

 

「お待ちしておりました」

 

「…え?…え?」

 

「見てわからんか。お前を待ってたのさ。永林さんと共にな!」

 

「え?え?ちょっと…」ブワッ

 

「あ、泣いた」

 

「ひ、姫!?」

 

「うっ…グスッ…心配させてくれちゃって…グスッ」

 

泣きおったか。可愛い奴め。と言いたいが、そっと後ろを向く…口がへの字になってしまっている。泣きそうになっているのを認めたくないが…

 

「…あーもう。かぐやのせいで俺まで泣いたじゃねえか」

 

「良いじゃないの別に…」グスッ

 

「フフ…」

 

「あ、永林さんだけ泣いてない」

 

「!?」

 

「それは不公平ね…」ニヤリ

 

「ひ、姫…それは少し卑怯かと」

 

「翁さんから教えてもらった玉ねぎクラッシュ!」

 

「いぎゃあ!?」

 

「…ははは…目に染みた」グスッ

 

「私もよ…」グスッ

 

「目が!目が〜!」

 

「…水で洗うか」

 

「え?目って水で洗えるの?」

 

「綺麗だったらな」

 

「…医学的にあり得ません」ゾワッ

 

「確か月には目薬ってのがあったろ。それと同じようにこうやって目を開いて…せいっ」バシャッ

 

「…失明してない!?」

 

「さっぱり。やってみるか?」

 

「…何か寄生虫の類があるかもしれません。確認して来ます!」

 

「ちょっ」

 

「本当!?無理せず休んで良いのよ!」

 

「おい待て話を聞け」

 

…結果、目はなんともなく、月の水が汚いだけでしたとさ。めでたしめでたし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちなみに月の水なんで永林さん気がつかないの事件は…ただただ死なないから水飲めりゃ良いしそもそも飲まなくても良いしってわけです。
主人公?地上の水でも持っていったんでしょ。


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幽々子様と天国行き

あ、幽々子様すっかり忘れてる。
…ま、あんな亡霊忘れられるのが関の山って奴ですよ。


 

冥界

 

「…あんまり記憶がねえな」

 

「あら、それじゃあ名前は?」

 

「…だめだな。覚えてない」

 

「そ。まぁ天国行きだから自分の名前くらい考えておかないと後悔するわよ?」

 

「天国じゃなくて地獄に行きたいんだがなぁ」

 

こうやって駄弁っているように見えるだろお前ら。誰に話しかけてるかは知らんが、そう見えて実は今胃と闘っている。胃痛がいつつ…なんつって。

 

「しょーもな」

 

「???」

 

「まあ良いか…ん?そういやでかい桜あるなぁ」

 

「ああ、あれ?前異変起こしたことあるからあまり近づいちゃだめよ」

 

「すげえ桜だな…さて、縁側に寝っ転がって昼寝でも」

 

『お二人とも〜ご飯の時間ですよ〜』

 

「!」バッゴリッ

 

「はぐぅあ!?」ゴギュリッ

 

…足首踏まれた!足首ゴリって言った!後飯って言った?あの匂いか?…逃げろ!

 

「足首痛いし立てない!」ズケッ

 

「どうしたんですか。ゆーゆーこーさーまー!」

 

「足首がぁぁぁぁぁ!」

 

「…もしや」

 

「おのれあのザ・幽霊みたいな三角巾つけやがって…!」

 

「幽々子様切りますので早めに出てきてくださいよー!?」

 

「待ってなんでそうなるの!?」

 

 亡霊説明中…

 

「…ってわけ!」

 

「ようは昼寝しようとしたらご飯になって勢い余って足首を踏みしめて蹴ったと」

 

「そ、そうだけど」

 

「間違いは?」チラッ

 

「ないです」

 

「…そろそろ幽々子様も成仏せねばなりませんね」

 

「どうやって成仏させるのかしら?」

 

「博麗の巫女」

 

「ごめん本当に成仏させようとしてるなら謝るから踏みとどまって?」

 

「わかりました」

 

「よかった…」

 

「守矢神社にします」

 

「そう言う意味じゃないのよ!」

 

「じゃあ命蓮寺ですか?極楽浄土に興味がありましたか!」

 

「全然違うから待って!?」

 

…俺、なに見せられてんだろう。多分茶番なんだよな。なんだろうな。なんだかよくわからない感じにはなっているがどうでもいい。俺は寝る

 

「おやすみ〜」

 

「え?」

 

ガララッと閉める。これ本当は洋式の扉じゃねえのか?

 

「…zzz」

 

「ってちょっと待ったぁ!」ガララッ

 

「良いわよ彼の分も私が食べるから」

 

「ご飯食べてくださいよぉ!?」

 

「霊は食べなくて良いのよ」

 

「それなら幽々子様の食事も抜きにしましょうか」

 

「起きて!」

 

「ん…あ…やっ…」

 

「…幽々子様、寝てる男性を相手に欲を出すのはあまりにも」

 

「違うわよ!?」

 

「あー…どした?」

 

「タメ口…ご飯よ。起きないと私のご飯抜かれちゃうから」

 

「けほっけほっ…すまん無理」

 

「遮るように咳しやがって殺すぞ」

 

「死んでたんよバーカ」

 

「ああ!?」

 

「あー」

 

「絶対舐め腐ってる絶対」

 

「幽々子様、落ち着きください」

 

「今に見てなさい!あなたを必ず天国送りにしてくれるわ!」

 

「…そ」

 

その日の夜

 

…眠気はあるのにあまり寝付けない。不思議な夜もあるもんだ。いや瞼閉じても寝れないだけだけどさ。

 

「ん…」

 

「妖夢、こっちよ」ボソボソ

 

「わかりました…」

 

「添い寝よ添い寝。こうすれば人の温かさに気がついて天国へ」ボソボソ

 

「あまりにも浅はかです」ボソッ

 

「…あなた私の従者?」ボソッ

 

次の日の朝

 

「あ、寝れた…で。なんだこの嫌な予感しかしない状態は」

 

「あら、起きたの?…フフ、添い寝よ。こうすれば人の温かさを」ギュッ

 

「…すまん、少しきつい」

 

「なんですって?」

 

「かなり身体がきつい」

 

『幽々子様、そろそろ朝ごはんです』

 

「わかったわよ〜」

 

「ようやくいなくなった。はぁ…女ってのは怖いな。布団から一歩も出たくない」

 

『料理お持ちしました』

 

「…え?」

 

「失礼します」ガララッ

 

「運ばなくて良いんだが」

 

「私の気がすまないので。では」ガララッ

 

…これ、食べなきゃダメか…俺の記憶にこびりついてる食事風景ってのはお粥食ってるだけなんだがなぁ…

 

「…美味い」

 

数十分後

 

『回収しに参りました』

 

「どうぞ」

 

「失礼するわね」

 

『…お残しがあったら幽々子様に押し付ける気でしたが、良かったです』

 

「!?」

 

「…さて。寝るか」

 

「あら、食後の運動は?」

 

「俺の知ってる食事後だと特になにもしなかったな。せっせと動いてたんだ。寝る」

 

「特にって…」

 

数日後

 

「お前なんか最近毎日来ないか?」

 

「あら、そうかしら?」

 

「…気のせいだったかな?」

 

カレンダーにでも書き記すかな…いや、流石にそれをやったらおしまいだろう。色々と。それに冥界ってカレンダーいらなさそうだから元からなさそうだし。

 

「気のせいよ。さて、今日はなにをしようかしら?」

 

「今日も俺は寝るから邪魔するな」

 

「それはないでしょ?」

 

「あるんだなそれが」

 

「…そう」

 

なんだ今の間は。少し怖いじゃないか

 

「さて、そろそろ寝なければ色々ときつい」

 

「なにがきついの?」

 

「夜に寝過ぎる」

 

「ああ」

 

「そうなの」

 

「…ふふっ」ギュッ

 

「!?」

 

「どう?ここ数日で天国に行きたくなったかしら?」

 

「…天国は行きたくないな」

 

「そう。それでいいのよ」

 

「は?」

 

「だって私、閻魔様からのお告げとか嘘よ?友人に協力してもらって幻覚見てもらったけど」

 

「え?」

 

「私が殺すと亡霊になるのよ。だから、言ったでしょ?」

 

「なにを?」

 

「末長くって。さ、そろそろ行きましょうか」

 

「オイオイオイオイ。イカれてるぜあいつ」

 

「妖夢。口でも縛っておきなさい」

 

「わかりました」

 

「んぐっ!?」

 

なんだこれ!?ていうかなんで俺なんだよ!?

 

「…あなたを選んだ理由はずっと働いてばっかの姿が好きだったから。考えも友人よ。殺した理由は…そうね。私のものにしたかったから」

 

「ぬぬ…!」

 

「無理よ。波の鬼でも外せないんだから。ほら、私のものになりましょ?」

 

「んがっ!?」ゲシッ

 

「おうっ!?」

 

「…ぁ」

 

「そう。そこまで私のことが嫌なの?それじゃあ…体にみっちりと教えてるしかないわね」ニヤリ

 

 

 

 

 

 

 




俺自身何かなにやらわからねえ!


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盟友とストーカー

私のものでいて欲しい。
でも、あなたはあなたでいて欲しい。
知るかよゴルフボール!
ちなみに私自身なに考えてんのか一切わかったことがありません。
いや、そもそも分かろうとすらしてないのかも。
…こんなこと考えても無駄ですね。あ、考えてること分かった


 

妖怪の山

 

「おーっすストーカー被害に遭ってる盟友だぞ」

 

「残念ながらそういう相談には乗れないな盟友。まあ確かにあそこはストーカーが多いと聞くが」

 

「そうか…引っ越そうかな。犯人捕まえたいから監視カメラでも作ってくれ」

 

「なに言ってんだこいつ…ま、良いけどさ。作るのに大体1日は掛かるから、明日になったら来てね」

 

「りょーかい」

 

…ん?俺、あいつに住んでるところ言ったか?…ああ、人里のことで言ったのか。そう考えれば自然だな。妖怪にストーカーなんて居ないだろうし。

 

翌日

 

「…聞いてくれにとり」

 

「どしたん盟友。そんなに目の下にクマつけて」

 

「昨日…ストーカーが家の中に入ってきたんだよ!家の中でさ!なんか、こう、立っててさ。おかえりって!言ってきたんだよ!?」

 

「うっわなにそれこっわ…監視カメラ渡しとくから、犯人見つけたら教えてくれよ」

 

「わかった…」

 

「流石に夜に人里は慧音が許してくれないだろうから、自力で頼むよ」

 

「あいよ…」

 

ものごっつ怖かった…そしてストーカー対策もしなければなと思いました。さて、家のどこにつけてやろうか?…そうだな。窓と扉に付けるか。大家さんに言っておくかな…

 

人里

 

「…っと。これで良いかな?」

 

「ん、あんたなにしてんの?」

 

「お、これはこれは大家さん。昨日家に誰か入ってきたんでね。河童に頼んで監視カメラ作ってもらったんですよ」

 

「ほー。ハイテクじゃな…ただ、何かを見るならあまり見つからない場所がいいぞ」

 

「え、そうなの?」

 

「妖怪狩りをやっておったワシからのお言葉じゃよ。ははは」

 

「…笑えねえし何者だよ…」

 

「ま、そうじゃな。この大きさだと…ここら辺かの」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「いいの良いの。それじゃあ見つかると良いの」

 

「はい」

 

…何者だよ大家さん…

 

その夜

 

「…流石に居ない、か。明日にとりのところで映像見させてもらうしかないか…」

 

翌日 妖怪の山

 

「にーとーりー」

 

「どうしたんだい盟友」

 

「監視カメラで撮ったんだけど何か映ってる?」

 

「そういう依頼か。ちょっと借りるよ…」

 

出てこいストーカー。君を殺す!と言いたいがなにしてくるかわからんのでなにも言えん。妖怪だったらクッソ怖いし

 

「…これは慧音か」

 

「もしかしてずっとこのまま見るのか?」

 

「ん?ああ、早送りはするよ。流石に長いからね」

 

「はえーすっごいハイテク。守矢神社から?」

 

「ああ。守矢からの技術だよ。すごいね外の世界は…ん?今のは…」

 

「え、誰か通った?」

 

「…また慧音だ。2倍速とはいえ、こんなに巡回しているのにストーカーに気が付かないとはあまりあり得ないんだが…」

 

「今度慧音先生に差し入れ持っていこうかな…」

 

「ベランダの方は…ん?今何か…」

 

「とした?」

 

「…姿が一瞬だけ写ってる…これじゃ特定はできないな」

 

「リュック背負ってるように見えるが?」チラッ

 

「いや、腕を振った結果、ブレてそう見えてるんだろう。ここの腕らしきものと、リュックみたいなのが同じ色だ」

 

「青色」

 

「君本格的に私を疑っているね」

 

「まあね」

 

今なんだかにとりが嬉しそうだったが気のせいだな。流石に疲れている…本当に引っ越ししようか。今日も静かに眠れそうにないが…

 

その夜 人里

 

「…今日もいない、か。昼間はしっかりついて来てるから多分家バレてるよな…」

 

そういえばにとりは『絶対に人間じゃない」って言ってたな。怖い

 

「…怖い怖い寝るかもう」ゴロンッ

 

次の日の朝

 

「…よし、引っ越そう!」

 

それから頑張って引っ越しましたとさ

 

妖怪の山

 

「…おかしいな。この監視カメラ、位置が動いてるぞ…?盟友が引っ越した合図だな。でも、こっちには丸わかりだけど」

 

「またにとりさん変なのやってるよ…」

 

「なにか悪いか?」

 

「いえなんでも」

 

人里

 

「…引っ越し完了。さーてごろんっと」

 

…これでストーカー来たらもう勝ち目ないぞ俺

 

その夜

 

「…あ、セットするの忘れてた」

 

『引っ越しお疲れ様』

 

「!?…だ、誰だ!?」

 

『まさか1日で引越しちゃうとは思わなかったよ』

 

「いやだから誰だよ」

 

『それじゃあね』

 

「…もうここまで来たら呪いの類だな。博麗神社に行こう」

 

博麗神社

 

「は?なにもないけど」

 

「まじすか。じゃあストーカーは生身の人間か妖怪ってわけすか」

 

「…そうなるわね。なんならここで匿ってあげても良いわよ?」

 

「お願いします!」

 

「うわすげえ勢い…」

 

その夜

 

「…誰もいないですよね」

 

「いないわよ」

 

…怖い。博麗神社っていっても今代やる気なさそうな人だから尚更怖い。そう考えると茶柱折れた!?

 

「…茶柱折れた…」

 

「不吉ね。もうストーカー居るんじゃない?」

 

「…そういえばここにくる間付けられてた気が…」

 

「やめなさい笑えないから」

 

そして一週間が経った

 

妖怪の山

 

「よう」

 

「どうしたんだい盟友。一週間も顔見せずに」

 

「すごい怖い思いをした」

 

「そうか。それは怖かっただろうな」

 

「ああ。ストーカーを振り切るために博麗神社に行ったんだがそこまで付けられててな」

 

「そりゃそうだ。なにせそいつは私だからな」

 

「まじで?」

 

「私の迷彩服もなんとかしなければな。カメラに映ってしまうとは」カチッ

 

「今なに押した?」

 

「上見たら?」

 

上?上ってのは多分、上だろう。俺から見て上なんだろう。首を九十度上へと向け…たらなんかいきなり振って来たんですけど檻ですかこれ殺されるんですか俺!?

 

「…盟友。私は、ずっと盟友といたいのさ」

 

「いきなりそんな想いぶちまけられても、コーヒーみたいに拾えんぞ」

 

「ああそうだったね。でも、風呂場のような浴槽だったら、拾えるだろう?」

 

「言ってることがいまいちわからん」

 

「分からなくていい。盟友には盟友のままでいて欲しいからね」

 

「なに言ってんだお前?」

 

「…私だけの盟友…」

 

「???」

 

待てこいつ本当になにを言っているんだ?頭がイカれているのか。

 

「…私だけのなんだ。絶対に他の人なんかに渡すもんか…!」ググッ

 

「え?」

 

「私だけの盟友の盟友…」

 

「すまんなに言ってんだお前」

 

「盟友がようやく手に入ったんだ…」

 

「話聞いてる?」

 

「盟友が…ようやく…!これで研究のモチベーションが上がるよ!」

 

「おうなに言ってんだお前」

 

「待ってろ盟友!このまま盟友の役に立つ機械を作るよ!」

 

「おーい?」

 

 

 

 

 

 

 

 




話聞かねえなこのにとり


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犬走椛とセールスに弱い男

ドロップキックよりも下格闘とか、足払いとかが好きです。


 

妖怪の山

 

「…待ってなんでこうなった?」

 

「さあ?…ただ、あなたが下手こいたとかそんなのじゃないですか?」

 

「誰も天狗に捕まって牢屋に入れられる馬鹿なことはしねえだろ」

 

「今してるじゃないですか」

 

「あっほんとだ」

 

…いや、あっほんとだじゃねーよ?畜生!流石に色々とキツいものがあるぞ!…ん?よくよく考えれば俺人里でも嫌われてた方だったな…

 

「人生振り返っても良いことないな…」ズーン

 

「なに勝手に憂鬱な気分になってるんですか?じゃ、取材に答えてください」

 

「この状態で取材ができるお前の神経を疑いたいよ…」

 

「では、一つ目に。なぜ妖怪の山へ?」

 

「なんで?そりゃまあなんでだろうな。人里で嫌われてたからじゃねーの?」

 

「自分のことでしょう」

 

「自分のことでも分からないことがあるんです。健康とか体調とか体温とか」

 

「すいません次行って良いですか?」

 

「君ほんと必要な話しかしないよね」

 

「では。妖怪の山に知り合いはいますか?」

 

「おらんな。なんならここに来るの初めてだ」

 

「そうでしたか。本日は終了です」

 

「…明日もやんのかこれ」

 

「はい」

 

「はい。じゃねーだろうが!?」

 

「うわびっくりしたうっさいな」

 

「なんなのこの天狗!?」

 

本当にこの天狗なんなんですか!?て言うかこいつ見たことある!あれだ!射命丸文ってやつだ!んなことはいいんだよ!別のことだよ!?

 

「…良いや、ねよ」

 

「明日、また来ますので」

 

「はいはい…あれ、お守りどこ行った?」

 

「これですか?」

 

「ああ、それそれ」

 

「これは…人に渡さない方がいいですねぇ。人間の手に渡るとその人の人間関係が粗悪に塗れますよ?」

 

「…そうか。そりゃ、縁切りできてよかった」

 

翌日

 

「…どうです?初日は」

 

「初日に感想を求めるバカがいるのか…風呂が欲しいな」

 

「わかりました」

 

「…わかりましたってお前取材だろ?」

 

「ええ取材ですとも。あとは…同性にモテまくりな人とかは?」

 

「同性かぁ…」

 

はっきり言って友達すらいない。だから恋バナとかもしていない。俺にゃなんもないもんだ。笑う!

 

「います?」

 

「いや、そもそもを知らんな」

 

「そうでしたか。ぼっちでしたもんね」

 

「おうよ」

 

「では次…好きな異性の髪型は」

 

「これ取材なんだよな?」

 

「取材ですよ」

 

「…そうか。ないな。ただ言うならいきなり髪型変えられるとなんだか分からなくなる」

 

「ありがとうございます。ちなみにこの取材、新聞に取り上げるとは一言も言っておりません」

 

「だからなんだよ」

 

「…個人的な取材です」

 

「知るかよ個人的なら早く出せよ」

 

「さぁ?鍵もどこかへやってしまったもので」

 

「嘘だろ」

 

…まずい。このままでは牢屋から出れない→ジ・エンドor牢屋から出られない→ストレスによるジ・エンド

 

「だめだ終わりしか見えねえ」

 

「さて、明日くらいにはトイレができてると思いますので」

 

翌日

 

「本当にできてやがる」

 

「ふふんどんなもんですか」

 

「フフンじゃないでしょうに。で、取材ね」

 

「そうですね…ズバリ!恋バナ定番異性の好きな」

 

「言っておくが好きなタイプはおらんぞ」

 

「…そういえば妙に牢屋生活に慣れてますよね。なんでですか?」

 

「そうか?…ま、生まれてから自我が芽生えてもずっと牢屋にいたからじゃねえの?」

 

「おお…あ、そうそう。お子さんの人数は何人希望ですか?」

 

「…なに言ってんだお前?」

 

「だから、お子さんは何人が希望ですかって」

 

「だから、そんなのに答える意味は」

 

バリィンッ!と突然響く。あれ、俺地雷踏んだかな?と思い射命丸の方を見ると明らかに怪力で壊しただろうガラス製の何かが落ちていた。

 

「…もう一度聞きます。お子さん、何人くらい欲しいですか?」

 

「ゼロだな」

 

これに即答できた俺を褒め称えたい。

 

「そうでしたか。二人での同棲生活をしたいんですね?」

 

「んー?ま、そうなるな」

 

「鳴らそうといえば良かったのにぃ♪」ガチャッ

 

「は?」

 

「ちゃんとお口で言わないと私でも分からないんですよ?」ガシッ

 

「おわわ!?」ドサッ

 

「…良いですよね。色々と私も我慢してきたんですから」

 

「待て待て、なにを隠してきたんだ。なにを我慢してた?と、とりあえず逃げ道を」

 

「無駄です。今外に出れば白狼天狗による一斉射撃が降り注ぎますよ?」

 

「え」

 

「今ここにいるのが最善の策ってヤツですよ。良いですよね?それで」

 

「え、ええ…?」

 

そりゃ生きたいけども…人生振り返るほどの道すらないんだからもう消えたって良いっしょ…?

 

「それに…」

 

「それに?」

 

「出て行ったら私が許しませんのでね」ボキッ

 

「ふぉあっつあっあっ!?」

 

「…変な鳴き声ですね」

 

「平気な顔して骨折る奴には言われたくない」

 

「お互い様です。じゃあ外に出たかったらここにサインを」

 

「…これって婚姻届じゃ」

 

「ここにサインを。あとここにも」

 

「…婚姻届と…白紙?」

 

「そっちにも名前を書いてもらえれば、外に出しますよ。門限5時と言う制限付きですが」

 

「は、はあ…」

 

「ささ、こちらにペンはありますので」

 

「…はい…」

 

俺は外の世界の住民からしたらどんなふうに見えるだろうか。押し倒しセールス女に強制的に買わされる男?多分そうだな。

 

「…ほら、書いたからこれで外に」

 

「あ、ちなみに門限5時というのは朝の5時ですからね?」

 

「…あぁ…」

 

泣きたい。できることなら永遠に。

 

「私と一緒にいられるのがそんなに嬉しかったんですか?私もですよ」ナデナデ

 

「なんで…」

 

「なんでって…あなた最初に言ったじゃないですか。自分のことでも自分のことはわからない時があるって」

 

「ちょっと待てそれ言ってない」

 

「それに、妖怪が人を好きになって何か悪いところでも?」

 

「種族の差が」

 

「まあ関係ないですけどね!」

 

 

 

 

 

 

 




文さんどこ行った?


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神霊廟と初々しい奴 2

忘れてました
命蓮寺やってる時にチラチラ思い出してたんですけどね。
太子さん


 

神霊廟

 

「おいこらまたなんかつけやがったな」

 

「足枷ですじゃ!」

 

「よくやりました布都!」

 

「…なぁ、この足枷の先にあるのって…」

 

「ん?ああ、逃げないように300キロの鉄球が」

 

「逃げないから外してくれ!跡が残る!」

 

「…それもそうだな。しかし君は…絶対に逃げる。言い切れるからね」

 

え、なにそれ怖い。ていうか助けてくれないかな。マジで死んじゃうから。食事もまともに出来んから。マジで頼むから。助けてくれよ!

 

「太子様、これを」

 

「…これは?」

 

「○○○○○○」

 

「やめなさい。色々とアレだから。引っ掛かるから」

 

「オナホールは良いのかよ」ボソッ

 

「我元は水商売云々の能力ぞ?」

 

「この首輪の入手元は」

 

「かっぱ」

 

「嘘だろおい」

 

「…さて、まずは私から味見しよう」

 

「わかりました。寝室の準備を」

 

「我は人払いを」

 

「…え、これもしかして週刊雑誌に載るタイプのアレ?ちょっ待って?せめて足枷外して?」

 

「もうすでに外してある。大丈夫だ。君は私に体を委ねれば良いんだから」

 

「よかねえよ」

 

寝室

 

「ふうむ…雰囲気を作ろう」

 

「今更かよ」

 

「そうだな…」

 

「考えてすらいなかったのか。俺もう里に帰りたいんだがって顔近いなおい」

 

「このままキスしても良いかな?」

 

「…っダメだ」

 

「堪えた!?」

 

「…あー…すまん、やっぱ寝る」

 

「くうっ…!」

 

…あ、危なかった…!あともう少しで爆発するところだったぜ。豊郷耳恐るべし…!!あんな怖いのがこの世に存在するなんてな。

 

「zzz」

 

「本当に寝た…ん?これ、もしかして…」

 

翌朝

 

「…ん、あのまま…寝た…?え…!?」

 

「ん、起きたかい。昨日は激しかったよ〜…あんなに激しくされるなんてね」

 

「え?え?」

 

「え…覚えてないのかい?」

 

「ど、どゆこと…?」

 

「…やっぱりか。それじゃあ、また思い出させてあげるよ!」

 

ガチャッ!

 

「太子様!もうそろそろ布教の時間ですよ!」

 

「んぇ!?あ、ああ。すまない」

 

「はー…はー…」

 

「それじゃ。足枷だな…首輪に紐で…柵にでも括り付けておくか」

 

「え、風呂は」

 

「飲み物が欲しくても我慢することだな」ニコッ

 

「わーハハハハハ死への道だ」

 

笑えん。一切笑えん。むしろ泣きじゃくって誰かに甘えたい気分だ。本当に、甘えてみたい。が、多分全員行くから泣きじゃくるだけで良いかな

 

「…布都を残そう」

 

「やったのじゃ」

 

「…!?」

 

「屠自古はあまり出番がない上に活躍もしとらんからの〜w」

 

「太子様、急用ができました。布都をぶちのめすという急用が」

 

「行くぞ」

 

数分後

 

「…で、二人きりってわけだ」

 

「エロく聞こえるの」

 

やだこの子頭おかしいのかしら。割とそうでないと困るが、何故か常識を少しだけ持っているのだ。チッ

 

「で、だ。もうそろそろ昼飯の時間だ昼飯食って昼寝しよう」

 

「我にお任せを!」

 

そういうとこいつはせっせと動き出す。するとどうだろうか?火力バカ上げなのに外は熱々中は適温な揚げ物ができたではありませんか。その上美味い。料理いつか教えてもら…えんわな。こんなところじゃ

 

「…美味いな」

 

「そうであろうそうであろう!」

 

「…ご馳走様。寝る」

 

「んな!?」

 

「寒い寒い…」

 

「ぐぬぬ…!こうなったら…」

 

「こうなったら?」

 

「お主の○○は何色の○○じゃぁあぁぁ!?」ダッ

 

「○が多すぎて分からんわ!」ドロップキック

 

「おわっぶ!?」

 

「…よし。さて、そろそろ寝るとするか…」

 

「…こうなったら」

 

「寝てる時に襲わないでくれよ。傷付くから」

 

「先読みされていたというのか…!?」

 

え、嘘、当たってたの?そうか。当たったか。寝よか。寝て過ごそうか。ていうかそうしないとガチでやってられん。太りそうだけど

 

数分後

 

「zzz」

 

「…!そうじゃ!添い寝じゃ!」

 

神霊廟の少し前

 

「…集音機から聞こえて分かるほどの不甲斐なさ…!布都が純粋すぎた…!」

 

「あ、添い寝するそうですよ太子様」

 

「マジか」

 

その夜

 

「あっ…あっ!?」

 

「んにゅ…」

 

「ひぃあ!?」

 

「おお、君か。ようやく起きたんだな」

 

「どど、どうなってんの!?」

 

「さあ?」

 

あんたの部下だろ!?とは言いたくなったが堪えろ堪えろ。堪えるんだ。よーし、こいつを起こすか。

 

「おいこら、起きろ」ユッサユッサ

 

「んぅ…ぬ!寝てた!?」

 

「ぐっすりとな」

 

「次は屠自古ではないか!今日1日無駄にした!」

 

「屠自古はないですよ」

 

「えっ」

 

翌日

 

「…で、この首輪と」

 

「今説明書を見返したらこんな便利な機能があったのかと驚いてな」

 

そう言って首元へと手が伸びる。くすぐったさを覚悟しながら目を瞑る。覚悟はしていても絶対に目を瞑る。これってなんなのだろうか。

 

「んひゃっ」

 

「可愛いなぁ…えっと、確かこのボタンを…ポチッと」ポチッ

 

首輪<裏コード…ビースト!

 

「さて、どうなるかな?」

 

「ちょっえっすごい動きづらいっていうか」

 

「ふむ…やはり素晴らしいな。足枷もこれならいらない」

 

「お、おーい…?」

 

「全身の筋肉を麻痺させる機能だ…ま、泣き顔の君も可愛いけど」

 

「そんなことじゃなくて…」

 

「ほう。河童の技術により首から上は動かせると」

 

「…太子様。その首輪にはとある裏技が…」

 

「ほほう?」

 

…そして数分が経つ。待て、これはやばい。首筋をずっと弄られてるから、くすぐったさが限界を迎える…

 

「あっ…んっ…」

 

「色っぽいなぁ…」

 

「あれ、もしや欠陥品…?」

 

「諦めないことが大事だよ布都」ゴソゴソ

 

「ひゃっ…もうやめてくれ…」

 

「…なるほど。付属機器もあるのか…リモコン?…ああ、このボタンだ」

 

「あ、本当だ」

 

「おいこら首弄った意味あんのか」

 

「ポチッ」ポチッ

 

「え?」

 

すると首輪が少し変化して…いや、なんか広がってる?たしかに分厚い首輪だなとは思ったけどこんな機能があったとはな

 

「…ん!?」

 

「お、口に自動的に紐を入れてくれると。じゃあその紐の部分に別のものを入れると…」

 

「んー!?」

 

「…例えばパンツだったら…試しましょう!」

 

「ええ!」

 

「んー!?」

 

 

 

 

 

 




うっわぁヤッベェなこいつら…


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聖さんと宗教に入らない奴

正邪やろうとして忘れてたワロタ


命蓮寺

 

「あったまてっかてーっか」

 

「…昔のお坊さんのことを言っておられるのですか?」

 

「ん、まあ。はっきり言って…髪色が派手な坊さんはあんまり…」

 

「いや、私女なんですけどね?そこ訂正してもらえます?」

 

「嫌だ」

 

んな面倒なこと何故せにゃならんのだ。とは言ったもののお相手はなんと五大老とか、五老星とかそういう系のやべえ奴らしいから死んだなこれ

 

「…んー、で、俺なんでここに呼ばれたの?」

 

「ああ、その件ですが…仏教に入りま」

 

「無宗教を軸に生きていますので」

 

「いえいえそこをなんとか」

 

「神も仏もないこの世界で生きると決めておりますから」

 

「その割には神社には行くそうですね」ボソッ

 

「ぐぬっ」ギクッ

 

「どうやら博麗神社に週2万円ほど賽銭箱に入れてるとか」

 

「そ、そんなことあるわけないじゃないですかヤダー」

 

「天狗さんにお願いして証拠写真もありますが?これはどういうことなのですか?」

 

「…博麗神社には…その、異変でお世話になってるしお礼にと」

 

「守矢は?」

 

「あ、いや、それは、なんと言いますか…」

 

「ナズーリン、あれを」

 

「なんで私なんだい」

 

「ありがとうございます…これはなんですか?週一どころかって話ですよ?」

 

「子供と遊んでまして」

 

「子供?守矢に子供はおりませんが」

 

「妖精です」

 

「は?」

 

その後数時間に及ぶ聖さんの追及にのらりくらり擦り傷切り傷致命傷と避けていきながら墓穴を掘り、最終的には『何故こんなに神社に足を運び、神霊廟にも足を運んでいるのに無宗教なんですか?』と言われた。何故だ解せない

 

「…逃げろ!」

 

「星!」

 

「かかってこいやぁ!」

 

「…え、なにこの人…ああ、妖怪か…ん?妖怪?」

 

「逃しませんよ!」シュバババババ

 

「家に帰りたいのなら仏教に入ることをお勧めします」

 

「それならこっちにだって策がある!」

 

「ナズーリン」

 

「こっからだと畳を盾にして突撃くらいしか出来ないんじゃないかな?」

 

「その通り!」ガシッ

 

「そんなものが通じると思っているのですか!?」

 

「前と見せかけて横!」ダッ

 

「おっと!」シュバッ

 

「おわっふ!?」ボフンッ

 

「…仏教に入ればこの空間からも脱出できますよ?」

 

聖さん、それはせめてラッキースケベが入る前に言ってもらわんと困る。俺結構身長低いんだからさ。159くらいしかないのよ分かる?

 

「…いっそ殺せ」

 

「そんなに嫌でしたか私の胸は!?」

 

「良かったけどどうせなら」

 

「は?」

 

「…え、なんで今ので聖が怒るんです?」

 

「あ、いえ、なんでもありません」

 

「…え、なに今のこっわ」

 

次のターン!ドロー!人小屋を召喚するぜ!

 

「…あなたも馬鹿ですね」

 

「蔑みたきゃ蔑め」

 

「なにを強気でいるのやら。これからずっと仏教に入るまではここにいてもらうことになったそうです」

 

「ハッハーわけわかんねーなここ」

 

「私が聞きたいくらいですよ。なにがどうなっているのか」

 

「誰がその意見に賛成したんだよ」

 

「聖の圧力には誰も逆らえません」

 

「…ああ、そういう」

 

その日、俺は力による支配を思い知った。あと色々とヤベーことも思い知った。野菜しか出てこないんだけどどうなってんの?

 

次の日

 

「あっ寝てた」

 

「お目覚めですか」

 

「これはこれは聖さん。聞いてくださいよ」

 

「どうしたんですか?昨日何かありました?」

 

「一昨日寺を尋ねたら仏教に入れとしつこくせがまれて。その上入らないからってこんなところに入れられ」

 

「は?」

 

「っ」ビクッ

 

「今、なんて言いました?」

 

「あ、いや、なにも…」

 

「こんなところって言いましたよね?」

 

「いえ、別に」

 

「言いましたね?許されません。私にとって貴方はそこにいるべき人間です」

 

「え?」

 

「ずっと私の手の届く範囲でいてもらわねば困るのです」

 

「手のひら返しが急すぎませんか?」

 

「絶対に離しません」

 

…俺、地雷踏んじゃいました?〜やべえ寺の寝泊まり生活〜みたいな体験本ができそうだ。売れそうだな…出れたら書くか

 

「ちょ、ちょ待てよ」

 

「どうしたのですか。ご飯ですよ、食べないと」

 

「あ、はい」

 

数分後

 

「…これは」

 

「これですか?私の新料理です」

 

「いや、そっちじゃなくてこの飲み物は…」

 

「私の血です。不老不死なのでこんなこともできるんですよ?」ニッコリ

 

「…わーすごい豪華ですね〜」

 

「でしょう?ほら、こちらは私の腕のお肉となっております。こちらは太もも、こちらはお腹の」

 

「い、いや、そんなに多くは食べられないし仏教ってのは野菜じゃ」

 

「仏教に属さない貴方は、お肉を食べてもいいのでしょう?私の愛を、食べてください」

 

「ヒェッ」

 

そのあとは無我夢中で食ったせいであまり記憶にない。ただ魔力とかがあったもんでそのあと気分が悪くなったのは知っての通りだな?

 

「…うぷっ」

 

「やはり生身の人間に魔力があるお肉というのはキツかったですか」

 

「タラちゃんみたいだな…」

 

「大丈夫です。こんな時のために…」

 

「どんな時だよ」

 

「魔力吸収石的なアレです。ほいっとな」

 

「…おお、だるさが取れていく」

 

「フフッ。じゃあ、またおかわり出来ますね?」

 

「え?いや、そんなわけでは」

 

「おや?お肉、お好きなんでしょう?」

 

「…」

 

「仏教に入ってるわけでもないのに、お肉を食べないのですか?」

 

「…入ります」

 

「ん?なんて言いました?もう一度」

 

「入るからこのお肉だけはやめてください!」

 

「は?''このお肉だけ''?どういうことですか?」

 

「アッ」

 

…その後、命蓮寺の近くに住む人妖の話を聞いたところ、『妖怪は何考えてんのかわからない』という返答が過半数を占めたとかなんとか。

 

 

 

 

 

 

 

 




正邪ではなく聖者でした。
ワハハー!


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悟り妖怪と受付 2

こんな僕の青春や嫌なことが
100年後に恋をした遺伝子に役立てますように
の青春の部分違うんですけど思い出せないんですよね。
生きてく生きてるって歌です


 

地底 温泉受付

 

「…がっ。寝てた…」

 

「いや私貴方と喋ってましたよね!?」

 

「そもそも受付で話をするバカがあるか」

 

「そりゃあ温泉だから話す必要はないですけど!」

 

「一人100円からね。石鹸とシャンプーセットで100円だから」

 

「…忘れたこと前提に言わないで!?」

 

「え、違うの?」

 

「ちゃんと持ってきてますよ!?」

 

そう言ってぷんすこぷんすこしながらさとりさんは風呂へと行った。仕方がないだろう。俺自身、まともな人間じゃないんだから。普通の人間なら顔を隠さずにいるだろうし、相手に多少は合わせる。そんな人間じゃないのはさとりさん分かってそうなもんだけど…

 

「…これ電動じゃダメなのかなぁ」

 

「そこはお前あれだろ!人の温かさだろ!」

 

「ああ…お前みたいなのがいるから外の世界で神社が困ってんだな…」

 

「なんで!?」

 

数十分後

 

「おーっすお兄さん!さとり様との仲はどう!?」

 

「ただの客と店員だろ。素顔も知らないで友達になれるか」

 

「え?お燐とは壁越しに話してたけど…」

 

「片方がバカだと結構楽だよな」

 

「ええ!?」

 

うん、バカだろ君は。と言いたいがグッと堪える。ところでこの仮面、都合のいいところだけは空いているけど誰が作ったんだろうか。まあ誰であろうと素顔で会わなきゃ駄目ってものかな…礼儀って厳しい

 

その時!風が吹いた!

 

「うわっ!?」ビュォォ

 

「いやーん!」

 

「わわっ!?」ガパッ

 

「…お燐、今変な声出さなかった?」

 

「いや?そんなことよりこっち」

 

「ん?あー!」

 

「あークソ…仮面取れた…!何処だ?」

 

「顔が傷だらけ!すごーい!」

 

「それどころじゃねえよ。口の中所々肉が欠けて痛いのさ…嘘だけど」

 

「嘘ついてどうするのさお兄さん」

 

「黙ってろばーか。あったあった」

 

「酷くね?」

 

「お燐はバカだよばーか!」

 

「は?お前もういっぺん言ってみろ地底どころかマントルの下に連れてくぞ」

 

「ま、まんと…?」

 

「地球の内部でプレートかなんやらのところで、確か1番下の岩盤的なアレだろ」

 

「わからない!」

 

「とにかく焼けるってことだ」

 

「えっ」

 

「…連れてってやろうか?」

 

「遠慮しときます」

 

…さて、そろそろ俺も飯が食いたい。そう思い俺は…弁当を開ける。なんてことができたらどれほどよかったか。牛乳とカレーパンを袋から出し、さながら朝食のように食べる。一日中ほとんどをここで過ごすんだカロリーなんてこれくらいで良い

 

「…おいこら、なに見てんだ」

 

「お兄さんお弁当は?」

 

「さとり様が作ろうかどうか迷ってたけど」

 

「なに言ってんだ。俺はなにももらってないけど?」

 

「…?」

 

「もしかしてさとり様って…」

 

「…ちょっとどういうことか聞かせてもらおうか」

 

その頃女湯

 

「へ…へ…へくしゅっ!…お風呂に入ってるのに湯冷め?」

 

「いや、人の噂だろ」

 

戻って受付

 

「はー…良いんだよ特にこだわりなんてのは無いんだからさ…だからなんで見てくんだよ」

 

「もう一度顔が観れると思って」

 

「仮面は少しあげるだけだ」クイッ

 

「なんで!?」

 

なんでってなんだお前このやろう。俺が好きな食い方で食ったらダメなのか。それはこの地底に言いなさいな。俺のこの生活は地底に人間食う奴がいるからって話だからだぞ…まあ俺いないとここの商売成り立たないんですけどねへへへ

 

数分後

 

「zzz…」

 

「さとり様」

 

「っ…な、なんですかあなた達」

 

「まーた弁当渡せなかったんですね?」

 

「寝ちゃったよー」

 

「うぅっ…渡すタイミングも何もないんですよ!?!?なんならもうあなた達の方が仲良いくらいですからね!?」

 

「さとり様は中学生の初々しい恋をした男子ですか!?」

 

「私なりにはこれでも結構進捗してるのよ!?」

 

「あ、そう言えば温泉卵って買って食えるんだっけ?自分の金をレジに突っ込む…変だな」

 

「!?」

 

「!!」

 

…うるさくて起きたわけだが。こんなうるさいんじゃ眠れないんでどっかに行って欲しいんだが。出禁にすんぞてめえら…温泉卵2割引!?…や、やめとこ…流石に闇を感じる。なんとなく売れなかったんだろうなっていう闇を感じてしまう。

 

「…い、いつから起きてらっしゃいましたか…?」

 

「私なりにはから」

 

「昇龍破ァ!」バゴッ

 

「へぶぁっ!?」

 

待て、なんで俺今腹に掌底食らった?おかしくないか?ん?なんでだ?ていうか前にもあったな。ビンタされたの。あれで歯が欠けたんですけど、骨にヒビ入ったかな…

 

「…腹が…!」

 

「意外と考えますね…」

 

「き、きつい…で、どうにもならんから痩せ我慢するけど」

 

「嘘でしょ!?」

 

翌日

 

「…」

 

「え、何この子」

 

「昨日!」

 

「え、昨日?昨日なんかあった?」

 

「ウチのお姉ちゃんがご迷惑をおかけしてごめんなさい!」

 

「お姉ちゃんが…ああ、さとりさんね」

 

「そう言えってお姉ちゃんに言われた!こいし悪くないのに!」ワハハー

 

…そりゃ、残酷って物だよさとりさん…この子ただの被害者だよ…てか代表さとりさんじゃなかったっけ…?

 

「…でも!お姉ちゃんから伝言があるよ!」

 

「どんなもんだい」

 

「えっとね!えっとね!…『後日、謝りたいので地霊殿に来てください』だって!」

 

「…俺って被害者だよな…?」

 

 

 

 

 




ひ、被害者だよ…?


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大妖精と門番

お次は名無しの妖精。いろいろな種類あるらしいけどよく見る緑色の大妖精ちゃんでございます。
ふくふく超特急全く出てきません助けてください。一人だけ2015年に止まっております
みんなー!覚めが現代にいられるのは感想の量に比例するからー!


紅魔館

 

「…いや、待て。それはおかしい」

 

「何故です」

 

「なんで俺がここで寝てたら門の前に立たされてるんだ」

 

「まぁ私も寝てたらナイフ刺さってますし」

 

「妖怪だったのか」

 

「妖怪ですとも」

 

…ほんっとやべーな。世も末って奴だ。笑えるくらい全部忘れてきた。というか何も思い出せん。思い出せるのは…コンビニのおにぎりはツナマヨが1番食い慣れてるとかキノコ食うと食中毒になるとかくらいしか…

 

「はー…ま、良いか。この世はでっかい宝島って言ってるしな」

 

「摩訶不思議な言い方ですね」

 

「…お前もだよ」

 

「おーい!美鈴!私と戦え!」

 

「た、たのもー!」

 

「…あ、よかったら戦います?」

 

「待って俺に何かを委ねようとしないで?」

 

「お!?お前が戦うんだな!?やってやろうじゃねえか!」

 

「チルノちゃん?なんかおかしいよ!」

 

「やめて!?」

 

数分後

 

「おうふ」ボロッ

 

「ま、そうはなりますよね」

 

「畜生…!」

 

「よわーい!」

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

…意外と救いの手はあるもんだな。そう思ったけどまず手を凍らせられて大丈夫か?と聞くのはいかがな物だろうか。ここの人間が強すぎて感覚麻痺してるのか?

 

「そういえばさっきからなんだか匂いません?」

 

「ん?…まさか」ガチャッ

 

紅魔館のお花<燃える!燃えてる!助け!

 

「…私の数十年にも及ぶ努力がぁぁぁああぁぁあぁ!」

 

「oh…」

 

「なんてこった」

 

「これ凍らせればなんとかなるんじゃない?」

 

「任された!」

 

燃えた花<キャシン!

 

「凍った!?と、溶かさないと!」

 

「いけー!」

 

「…地獄だな」

 

「にしてもなんで火が…」

 

翌週

 

「うぇーい!」

 

「飽きずにくるもんだなお前ら」

 

「私は楽しいですよ」

 

「チルノちゃん、挨拶しようよ」

 

「良いの!」

 

「いや絶対良くないだろ」

 

とまぁ、言うがどうせバカはバカ。話を聞かないんだろう。知識と理解は別だからな。わかってんのか!学生諸君!と言うがどうせ誰も聞いとらんな。よし、寝よう!

 

「…すみません、寝て良いんですか?」

 

「良いですよ。そもそも門番は寝る仕事ですし」

 

「え?」

 

「ん?…ああ、働いてんのよ。ここで。ナイフ刺さったら死ぬから蹴りで済んでるけどな!」

 

「蹴りで済んでる…?」

 

「痛そう!いたそう!」

 

とある漫画に出てくる主人公が作ったりした手と足が収納可能で緑色のハ□かな?

 

「…うっせ。俺は寝る」

 

数分後

 

「でー、大妖精さんは誰か好きな人がいるんですか?」

 

「んなっ!?」

 

「気になる!」

 

「チルノちゃん!?」

 

「教えてくださいよ〜」

 

「ガールズトークというよりかは脅迫トークだな」

 

「っ!?」ビクゥッ

 

「うわっびっくりした」

 

「ガールズトークに入らないでくださいよ〜!」

 

「こりゃ失敬した」

 

…ガールズトーク…ガールズ…ガールズ?一人該当しなさそうな人がいるけどガールズ…?

 

そして時は流れ!

 

「…で、最近眠気が酷くて」

 

「生活態度でしょうな。美鈴さんしっかりしてないんだもん」

 

「…いや酷くないですかぁ!?」

 

「何を言ってる。時とは残酷にひどい物d」ズボッ

 

「え?」

 

穴<ぁあぁぁあぁぁあ!?

 

「…スタイリッシュに落ちていったぁぁぁぁぁぁ!?」

 

そして数分が経ち 穴

 

「あべちっ」ゴキッ

 

「おお!慧音先生の言うとおりです!」

 

「慧音…?誰だそれ。て言うか、なんで着地地点にお前がいんの?」

 

「何故?見ればわかるでしょう?私が全部仕組んだから!」

 

「口調が美鈴さんと一緒で面倒だな」

 

「酷くないですか!」

 

「言い方も似てる…」

 

スタイリッシュに落ちたが全然スタイリッシュじゃない腰痛めた多分骨どっか折れた絶対。己許さん許すマジしかし勝てる気がしない。腰の骨折れたし

 

「…ん?」

 

「えへへ…私、色々と用意したんですよ!」

 

「どんなことを?」

 

「こんなこと、です!」

 

バッと幕を引かれて見えるのはどう見てもイカれた拷問器具の数々。外の世界でちらっとしか見てない鉄のなんたらもあるし身体をくくりつけるスパイ映画必須の椅子もある。やったねこれだと映画の撮影には困らないよ!

 

「…で、どしたん」

 

「まずはこれからですよね!定番ですし!」

 

「待て、それはダメだ。絵面的に」

 

「何を言ってるんです。絵面じゃなくて字面でしょう?」

 

「ダメだそれも」

 

「…さて!先ずはその足を潰します!」

 

「何を使うんですか?」

 

「人間の力じゃ絶対使えない!巨大粉潰し!アンド切り取りハサミ!」

 

「潰した後切るつもり?」

 

「はい!」

 

「もう切ってくれよ」

 

「知りません!」

 

その日、その空洞の上を通った人間が悲鳴を上げ逃げ去る姿が見られたと言う。半妖が通った時は何もなかった。

 

「…次、どうしましょう?」

 

「あーくそ、生きてるのが不思議なもんだぜ」

 

「…あ!この手がありました!」

 

「え?」

 

穴の上

 

「おーい!?生きてますかー!?」

 

「ぷはぁ!」

 

「うわわっ!?」

 

「水お借りします!」

 

紅魔館内部

 

「…見えた!最後の一手が!」

 

「…ん?」

 

「どうしたのフラン」

 

「あれ、何?」

 

「…穴に水入れてる…」

 

その頃穴の中

 

「水ぅ!?」

 

嘘だろもうほぼ死んでるのに追い打ちってか!?卑怯者!水でさえクッソ痛いってマジであうあっ!?…声を我慢してる俺は天国行きだろ多分…

 

「いぎっ…!」

 

『生きてますかー?』

 

「!?」

 

『生きてますねー?』

 

「う、嘘だろ…?」

 

『少し待っててくださいねー!』

 

ここにある拷問器具全て水没?え?マジ?それはそれでクッソ勿体無い

 

「助けに来ましたよ!」

 

「殺しに来たの間違いだろ」

 

「失敬な!」

 

地上

 

「…なんか闇を感じるから埋めよ」エッホエッホ

 

「ぷはぁ!」

 

「おごっ」

 

「えへへ!」

 

「…お帰りなさい」バシャー

 

「やめ、水かけんのやめて!?」

 

 

 

 

 




多分続きません
そして無理矢理です。
恋愛苦手なのです。
トガです


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お尋ね者とお尋ね者

はーはっはっは!
安心したまえ!
何故って?そりゃあもちろん…
ぷぎりょっぢゅるるぅぁ!


 

人里

 

「…誰だお前」

 

「私か?私は鬼人正邪。しがない天邪鬼だ」

 

「そーか。なんで俺の家にいる?」

 

「いやぁ…すごい反逆者がいるって聞いてな。桁外れの力を持ってると聞いて」

 

「そうか。生き物大体理由なんてそんなもんだ。大層な理由があったら追い出してたけどな」

 

「じゃあ理由聞く意味ねえだろ」

 

…聞く意味がないからだろうが。男のロマンだよ男のロマン。ヒーローになりたい、悪役になりたい、それがロマンだ。まあ俺の場合漫画なんか読まなかったが。雨のせいで飯が湿ってる…

 

「…ほら、やるよ」

 

「いらん」

 

「そんな痩せ細った身体で痩せ我慢なんてしたら骨になるぞ」

 

「失礼な奴だな」

 

「ああ、元から貧相だったか」

 

「初対面で言うことじゃねえだろ!」

 

翌日 寺子屋

 

「なんでお前まで来るんだ」

 

「来るなって言われたからだ」

 

「誰だ…お尋ね者確保!」バッ

 

「やべっここ寺子屋か!?」

 

「ぬんっ!」バギィッ

 

「へぶぁっ」

 

…自分がお尋ね者だってこと忘れてたな。でも確か手配書も5年前のだろ。顔にそんな面影って残るもんかな…?わからん。

 

「…帰るか」

 

「ん、そうか」

 

「…お尋ね者が二人歩いたところで捕まること間違いなしだな」

 

「里の守護者に傷つけたんだ巫女も来るぞ」

 

「巫女は来ない。あいつはそう言う奴だ。あいつは俺を責めれない」

 

「?」

 

「そもそも、俺も捨て子だったからな。あいつは俺を見て見ぬふりしたんだ。あいつが10歳くらいだったから…確か10年くらい前だわな」

 

「ほー」

 

「しかも、俺に向かって石投げてきたしな。寺子屋のそいつも見て見ぬふりだがな」

 

「そりゃすまんこと言わせたな」

 

「さーて物色だ。飯飯」

 

「堂々と盗みに入るな」

 

数分後

 

「やはり残業用の菓子があるか。カップラーメン…湯が必要か。金も取っておかねえとな」

 

「そんなこと必要か?」

 

「俺くらいになると生活に金がかかるもんだ」

 

「意外と手間暇かかることで」

 

数週間後

 

「…てめえとツーショットで手配書載りやがった」

 

「こりゃひでぇな」

 

「んー、とりあえず外彷徨くか」

 

「外?」

 

人里外

 

「この豚のような妖怪は腹の部分が美味いんだ」

 

「完全に野生児じゃねえか」

 

だまらっしゃい。美味いぞこの豚肉は。そう言いたいが喋ってる時に最高のタイミングを逃してしまったら大損害だ…よし、後3秒…1…2…ここ!

 

「最高の出来上がり!」

 

「…美味そうな匂いだな」

 

「一口もくれてやらんぞ。天邪鬼にゃ」

 

「ああっ!?そ、それは困る!」

 

「なんてな。ほら、こいつは…豚の足だ」

 

「食えるか!」パシンッ

 

「なんでだ」

 

美味いのに…

 

翌日 人里路地裏

 

「…ま、こうなるんですわな」

 

「お尋ね者は大変だな」

 

「俺は生まれから少しくらい同情されてもいいと思うんだがな」

 

「んー?…見つけたぞ!」

 

「おい、お前に用があるやつがいるぞ」

 

「冗談きついな」

 

「て言うかもうついてくんな」

 

「お尋ね者を捕まえろー!」

 

「よし、行くぞ天邪鬼」ガシッ

 

「きっんぇ!?」

 

「そーれ!」ブンッ

 

…今あいつ何か堪えたよな?

 

「うわぁぁあぁあ!?」

 

「いやぁぁあぁあぁ!?」ドッカーン!

 

「…家帰って寝よ」

 

自宅!

 

「ったくもう…なんでこうもポスターが俺の家に貼られるのか。この!」ベリッ

 

『夢は叶う!』

 

「んなわけあるか!」ベリッ

 

『自殺やめよう!みんなの未来!』

 

「あってたまるか!」ベリッ

 

『みんなと一緒に生きよう!』

 

「無理なんだよ!」ベリッ

 

なんでこんな胸糞悪いのがうちに貼られてるんだコラ

 

翌週

 

「よ」

 

「…なんだ、生きてたのか」

 

「酷すぎるんじゃないのか?流石に私とお前で口調が似てるからって投げ捨てるのは」

 

「待て、それ以上はいけない」

 

「…はぁ。脱獄面倒だったよ」

 

「そうか。天邪鬼め、楽だったんだろうな」

 

「…そんな言い方しなくてもいいだろ」

 

「こんな言い方しかできんのさ」

 

隅を見ると俺が昨日夜に食おうとした飯があった。それを拾って食って、容器を捨てる。これじゃただのホームレスとなんら変わらん。もはやホームレスの方が楽じゃねえかな。

 

「…燃えるゴミは水曜日だな」

 

「んぁ?木じゃねえの?」

 

「地域によって差があるのさ。ここは水曜だ」

 

「ふーん」

 

…あ、こいつ疑ってるな?まあ嘘だけど。燃えないゴミが今日なのは本当だ

 

「知ってるか?人間ってのは燃えるらしいぜ」

 

「んなこと聞いてもないよ」

 

「俺が捨てられたの燃えるゴミの日なんだぜ」

 

「…またその話か。親に捨てられた話は響くからやめてくれ」

 

「ゴミ回収の野郎ども見て見ぬふりどころか邪魔の一言で済ませてたんだぜ。笑えるぜ」

 

「ひでえ親もいるもんだ。で、反逆を私は今まで見てないんだが」

 

「…今更か。もう終わってるよ」

 

「?どう言うことだ?」

 

「…確か人里ででっけえ花火が上がった日、あったろ」

 

「ああ。新聞でも結構話題になってたけど」

 

「…あれ、俺がやったんだ」

 

「すげえな!」

 

「両親を火薬代わりに使ってな」

 

「え?それだと発射できないだろ」

 

「ああ。あの時は苦労したぜ。なんせ隣人さんから」ギュッ

 

「…そうか。終わってたんだな…」

 

「どうした。急に抱きついたりして。そんなことされてもお前のことなんとも思わんぞ」

 

まったく、こいつの天邪鬼ってのはどうにかならんものか。流石に暑っ苦しい。

 

「…おーい?」

 

「…私は天邪鬼だからな」プスッ

 

「ん?」

 

「…お前のことを可哀想だと思ったら、哀れだと思ってやるんだ」

 

「それとこの注射器は何が関係あるんだか」

 

「…ただの麻酔だ」

 

「そうか。ちゃんと眠れそうだな」

 

「…まあな。その代わり、私と一緒に居てもらうが」

 

「オイオイオイオイいきなりの急展開はみんな困るからって」

 

「ちなみにさっき麻酔薬って言ったアレ、麻薬だから」

 

「…ワオ」

 

その後、俺の脳は見事ぶち壊れこの正邪とかいう奴と一緒でなければトイレに行くことすらままならなくなったとさ。おしまい

 

「…ってわけだ坊主ども」

 

「嘘だ」

 

「嘘じゃねえよ。俺も嘘だと思い込みてえけどよ。命大事に逃げてきたんだ。麻薬で今も頭がおかしくなるけど」

 

「へー」

 

「…正直、お前さんが現実にいるのかさえわからん」

 

「失礼だな!」

 

「済まんかったな。それじゃあ俺はぁご!?」

 

「…ダメだろ。頭が壊れてるんだから、外に出たら」

 

「んぐっ…!」

 

「ほら、帰るぞ。私の家に」

 

「…離せよこれ」

 

「嫌だね」

 

「即答かよ。世の中世知辛いね」

 

「お前だけ世知辛いねだけだ」

 

 

 




はっきり言って明るい未来とかよりも明るい今を大事にしたほうがいいと思います


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こころちゃんと常識人

こころちゃん!
忘れてた!!
はーはは!
あと第一話にそれっぽい設定集みたいなの置いたから!
あれでよかったらお返事ください!
お便り、お待ちしております。次のニュースラジオは


人里

 

「うわっびっくりした」

 

「おう」

 

「おうじゃねえだろ。普通連絡無しにやってくるバカはいねえよ」

 

「それじゃ文通するか?」

 

「それでいいんだよ」

 

「なかなかにスリリングだぞ。まずは弓を」

 

「待て俺の知ってる文通じゃない」

 

こいつ…多分あれだな。縄文時代らへんで止まってるだろ。生きる天然化石物だろ。ん?化石は天然で出来るはずじゃ…?まあ良いや。文通のやり方教えなきゃ…

 

「ほほう。つまり私が書いた文を天狗に渡せば良いんだな」

 

「おうよ」

 

「…わかった」

 

「というか互いに名前も何も呼んでねえじゃん」

 

「仕方ないだろうお前は名無しなんだから」

 

「こころちゃんお願いだから次元超えてこないでくれるかな」

 

翌日

 

「…手紙か。どれど」

 

手紙の中身 髪の毛

 

「…俺、こころちゃんに何か呪われるようなことしたっけな…?」

 

その日の昼

 

「私の手紙はどうだった?」

 

「こころちゃん、俺何か呪われるようなことした?」

 

「いや、太子に『手紙で送る内容は何が良い』と聞いたら髪の毛だと。すごい問い詰められたが」

 

「…文通は手紙の送り合いだ髪の毛送ったら何も言い返せん」

 

「お前も送れよ」

 

「てめえほど髪の毛ねえよ」

 

「般若になってやろうか?」

 

翌日

 

…手紙だ。はっきり言って開けたくない。一応念のためと自分に言い聞かせ太陽へ手紙を向けて中身を透かせる。うん、髪の毛ではないようだ。ちゃんと四角いものが入っている。あそこはもう悪魔の巣窟と思っても違いな

 

手紙の中身 髪の毛では編まれた長方形のなにか

 

神霊廟

 

「おいこらお宅どんな教育してんの!?」

 

「ど、どうしたんですか?」

 

「こころから送られてきた手紙の中身が髪の毛なんだが」

 

「!?!?!?」

 

「どないなっとんねん」

 

「わ、私は知らないぞ?」

 

「嘘つけ」

 

「ほ、ほんとだ!信じてくれ!なんなら嘘発見機でも」

 

「持ってきている」

 

準備は万端用意周到って奴だ。多分こいつが髪の毛送ろうと言ったに違いない心臓が止まりかけるんだマジで頼むから心臓大事に!

 

「こころに髪の毛を編ませて手紙を送らせようとした?」

 

「いいえ」

 

嘘発見機<事実やで

 

「ちきしょうが!」

 

「ほら見たことか!」

 

人里

 

「どうだった私の髪の毛は!?」

 

「…頼むから呪わないでくれるかな!?」

 

翌日

 

「…ん、今何時だ…15時か。15時!?」

 

「よう」

 

「ようじゃねえよお前ってなんでそこにいるんだ!?」

 

「…入ったから」

 

「そういうこと聞いてんじゃないよ」

 

「良いだろうが別に」

 

…手に負えないとはこのことか。こいつと関わるだけで寿命が縮む。割とマジな話だが心臓が止まり掛けるわいつの間にか髪の毛が短くなってるわ呪われそうだわで

 

「ん?そういやこころ、お前髪の毛切ったのか」

 

「ん?お前に届けた分切ったぞ?」

 

「は?いや、それにしては多すぎるだろ。だって、あの四角いやつでも多くて肩甲骨くらいまでの…」

 

「だから残りの分だ」

 

「え」

 

「ほら、男とはこういうのが好きなんだろ?」

 

「偏見の塊!!」

 

「だから、これを。私が一杯頑張って作ったマフラー」

 

「お前の髪の毛で作った?」

 

「いや、ちゃんと毛糸も入れた」

 

「…受け取っておくよ」

 

「それで、これも」

 

「ん?」

 

「…せいっ」ガバッ

 

「ほわっ!?」

 

何故だ。何故いつもこうなるのだ。こいつといると寿命が縮むと言ったな。死が迫ると言った方が的確かもしれない。というかまだ死にたくない。助けて誰か!

 

「…あとは、私くらいだな」

 

「何言ってんだお前。ほら、どきなさい」

 

「嫌だ」

 

「…マフラー捨てるぞ」

 

「ごめんなさい」スッ

 

「なんでそんなにこだわるんだか。俺にゃ理解ができん。ていうか…その知識どこから?」

 

「聖」

 

「」

 

翌日 命蓮寺

 

「クラァ」

 

「なんでしょう?」

 

「こころちゃんに手紙に髪の毛入れたりとか髪の毛で編んだりとか教えた?」

 

「はい♪」

 

「何故だ…」

 

翌週

 

「マイマイマイマイマイムベッサッソ」

 

「なぁ、聞いてるのか?」

 

「いや全然」

 

「こころちゃん、いくらなんでもこれはダメだろう」

 

訳がわからないよカヲルくん!と叫びたい気分だ。カヲルって誰?何故俺がこんなふうに捕まらにゃいかんのだ。お腹空きましたぞ。警察こころちゃん!

 

「…勘違いしてるようだがここはお前の家だぞ?」

 

「え?」

 

「私が、ずっと、髪の毛を送っただろう」

 

「うん3回だけだね」

 

「あれは魔法が掛かったいわゆるトラップ的なアレでな」

 

「アレて」

 

「あれを媒介としてお前の体調を弄れたりする訳だ」

 

「強すぎるだろ」

 

「聖から教えてもらった」

 

「また命蓮寺かよ!?」

 

「…でも、お前は何もしなかった」

 

「なにもってお前な」

 

「マフラーはつけない。手紙は開けるだけ、それっきりだ。それから手をつけたりもしなかった」

 

「ん?ああ、そうだな」

 

はっきり言ってすんごい忘れてた…ごめんねこころちゃん!許してねこころちゃん!こんな僕ですが許していただけないでしょうか!

 

「私は身を削ってでも愛せるのに」

 

「身を削っちゃダメでしょうが」

 

「お前はその1割も受け取らない」

 

「受け取りたくねえよ」

 

「残念だが返品不可だ」

 

「ギャグで負けるとは」

 

「…おまえはずっとそうだ。のらりくらりとして生きてきたんだ」

 

「そうかね?」

 

「だから、私の想いくらいはのらりくらりとせずに受け取るべきだと思う」

 

「いや、その理屈はおかしい」

 

「おかしくない。全然おかしくない。これは普通だ」

 

「何言ってんだか」

 

「…ご飯は私が毎日ここに置くから、その時だけ私と話せるぞ」

 

「意味がわからんな。真っ暗すぎてよくわからん」

 

「じゃあ食べさせてやろう」

 

「遠慮しとく」

 

 

 

 




人間って話す相手が一人とかだとその人に依存しそうだなぁ。
こころちゃんはただのイカれ尼だったね!好きです!
主人公はただのおじさん的な感じだったね!嫌い!!


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衣玖さんと総領娘と男

げきつよ魔法使い…とか考えたけどアリスさんかパッツェさんとぶつけるくらいしか策がない。
策士策に溺れたなぁ!ジョジョォ!


天界

 

「…なにが、どうなっているのやら」

 

「申し訳ございませんね。総領娘様がお呼びでして」

 

「…でっけえ羽衣の人か。変な感じになってるけど、なにがどうなってんだか」

 

「…総領娘様があなたを魅入ったと」

 

「端的に言ってくれ」

 

「好きだ」

 

「マジか」

 

…こうして、俺のやべー生活は始まった。んなわけあるかぁ!こんな始まり方あってたまるか!まだ取り返しはつく!オラ、巻き返すぞ!?え!?なに!?もう巻き返せない!?嘘だろ!?ヤメロー!シニタクナーイ!

 

「ったく…」

 

「私と一緒にいられるんだもの!そりゃ嬉しいわよね!」

 

「いや全然。お前みたいなわがまま娘と一緒なんて」

 

「は?」ガシッ

 

「おい、なんだこの手」

 

「なんでなの?」

 

「は?なんでってお前…なにが?」

 

「なんで全然嬉しくないの?」

 

「なんでって…お前そりゃ傲慢な奴に付き合え!なんて言われたらどう思う?」

 

「振るわよ」

 

「お前だよ」

 

「ええ!?」

 

…もしかして俺はギャグを見せられているのだろうか。いや、見せられているのだろう。こいつそんなアホじゃなかっただろ。確か。

 

「…まったく。いい大人を惑わせるんじゃありません。俺にも俺の生活があるんだがな」

 

「なにを言ってるの?あなたの生活はもうなにも残ってないでしょう?」

 

「ばか言え。生きてる限り生活だ」

 

「そんな話、あるわけないじゃない。貴方の親族は全員死んでるし、貴方自身、付き合ってる人もいない。ペットもいなければ働き先で黙々と働くだけ。交友関係もなにもない、なにが違うのかしら?」

 

「大いに違うね。そんな生活だからいいのだ。これでいいのだ!」

 

「じゃあ私と付き合いなさいよ!?」

 

「待て、色々と発想が飛び出してるぞ」

 

…訂正しよう。こいつ、元からこんなアホだったわ。絶対これが素って奴なんだわ。前異変起こしたって聞くし、関わんない方が良いんじゃないかな?

 

翌日

 

「…帰れない、か」

 

「当然よ!返すわけないじゃない!」

 

「俺は帰りたいんだがな」

 

「なによ!…後、衣玖が呼んでたわよ!」

 

「衣玖?誰だそりゃ。ていうかそもそもお前も誰だ」

 

「私?ああ、そう言えば話してなかったわね。比那名居天子!天子でいいわよ!」

 

「わかった。天使だな」

 

「それでいいのよ!」

 

「…で、その衣玖さんとやらはどこに?」

 

「でっかい羽衣着てるからわかるわよ!廊下歩いてれば出会うわよ!」

 

いや、それはおかしい。

 

数分後

 

「本当に出会っちまったよ」

 

「これはこれは。足を運びいただきありがとうございます」

 

「なに言ってんだかわからん」

 

「感謝」

 

「わかった」

 

「…して用事ですが」

 

「さあ!どんな用事でも来い!」

 

「総領娘様と結婚、するのですか?」

 

すまない。俺は飛んだ頭のイカれた天界に来たらしい。すまない俺の脳細胞達よ。何度考えてもお前らを消耗するだけだろう。だから、安直に答えよう。

 

「…いや、全然」

 

「そうですか。それはよかった」

 

「なんであんたが喜ぶんだか」

 

「総領娘様は我が儘ですから。あんな小娘よりも私の方が絶対お似合いだと思いまして」

 

「ブファッ!?」

 

「フフッ…どうしたんですか?」

 

「お似合いもなにも、俺はお前らの顔なんか昨日初めて見たくらいだぞ!?」

 

「あら、それは悲しい…いつも見ていたのに」

 

「!?」

 

「ずっと、見ていたのですよ?ひどいじゃないですか」

 

…言っておくが、俺は…か・な・り理解力がないぞ。すまん、こいつなに言ってんの?通訳呼べる?

 

「いやいや、知らん知らん」

 

「貴方が工場で働いてるのを見て、数年経っても変わらずに作業して。たまに、母親の写真を見る。そんな貴方が好きなんです」

 

「はっはっはーなに言ってんだ?」

 

「貴方が絶対に他人に見せまいとしているあの時の顔、私は絶対に他言はしませんよ」スッ

 

「…なんだその手。握手?」

 

「こうです!」ペチンッ

 

「ほふっ…いつっ…」

 

「今のはほんの軽めですが…そろそろ総領娘様が面倒くさくなる時間です。戻っていいですよ」

 

「ん、わかった…地味に痛いし痒い」

 

…これ、あの我が儘女になんか言われねえよな…?

 

数分後

 

「なんでここに怪我してるの!?衣玖!?衣玖がやったのね!?」

 

「ちょっ、流石にそれはないって。俺が道中転けただけなんだから、おい、少し話を聞け」

 

「嘘よ!絶対衣玖よ!」

 

「落ち着きなさいっての。ほら、抱きしめてあげるから」

 

「本当!?」

 

「本当だ」ギュッ

 

「えへへ〜♪」

 

「…チッ」

 

「?今誰だ舌打ちしたの?」

 

「さあ?」

 

…俺は思ってもいなかった。俺が俺の首を着実に締めていることに。いや、ギロチンの紐を自分で手放して行くのを。俺は知らなかったんだよ!許せ!核ボタンを間違えて押した気分だ!

 

「さて、そろそろ…椅子に座らなきゃ…」

 

「どうして?」

 

「落ち着かん」

 

「そうなの?」

 

「習慣だ人間舐めんな」

 

「へー」

 

「総領娘様、御父様がお呼びです」

 

「…ちぇっ。邪魔が入ったわね」

 

「それでは…」

 

「わかってるわよ。着いてこなくていいわ。じゃあね!」

 

「お、おう…もうわけわからん…」

 

「お疲れのようですね…」

 

「お疲れどころじゃねえわ。こりゃ子育てが大変なわけだ…」

 

「あんな小娘と遊ぶなんて貴方は人生損してますよ。良いですか?私となら疲れさせたりはしませんよ」

 

…この羽衣の人、結構心配してくれてんだろうけどよくわからん。端的に言ってくれんと全くわからんのよね。

 

「端的に言ってくれや」

 

「私と一緒にいた方が幸せってことです」

 

「…幸せは幸せで…嫌だな。きつい」

 

「あらあら…」

 

 

 

 

 

 




続きます!
衣玖さんと天子ちゃんは地上に行った時せっせと働く彼を見て「よし、楽にしてやろう!」気分でああなったんでしょうね。わかりません
主人公?
…ただの仕事おっさんですけど?


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大図書館と見合い

…あれ、俺紫さんルートやったっけ。
忘れた…
まあ良いや。ネタなんてほじくり返せばいくらでもあんだから。
多分。
紅魔館ハーレムルート…は面倒だから地下と地上で分けるか…
パッチェさんだお


紅魔館 図書館

 

「…こんにちは」

 

「…」ペラッ

 

「魔導書…」

 

「こちらお菓子です、どうぞつまみやがれください」

 

「今なんか変なの出てこなかった?」

 

…俺は今お見合いというのに来てるらしい。家でぼーっとしてたらパッとここに来て。見合い。やはりおかしい。まだ昼飯食ってないからこれ食えるのは嬉しいんだけどさっきの言い方だと食うなって言われてるようで…

 

「…見合いらしいですよ」

 

「…」ペラッ

 

「無視…邪魔しちゃいかんか。おやすみなさい」

 

数時間後

 

「起きてください」

 

「がっ…」

 

「…またのお越しを」

 

「んぇ?え?…ああ、もうそんな時間か。すいませんね」

 

「いえ、良いのです」

 

「また明日」

 

翌日

 

「…今日は寝ないぞ」

 

「…帰った方がいいわよ」ペラッ

 

「…やべえ、なんて書いてあるのかまず理解できん…」

 

「ちょっと、本を弄らないでくれる?」

 

「…あ、これなら読めるかも」

 

「ちょっと!」

 

…体の力を手に集中させて…そこから身体全体に…あ、これ健康体的なアレだ。これ健康マッサージ的なやつだ。なるほどだから読めるのか…

 

「えーと…ここか」スポッ

 

「ちょっと聞いてるの!?」

 

「うぃっ」

 

「貴方ね!本が傷んだら大変でしょ!?」

 

「す、すいません…」

 

「まったく!」

 

「…?まあ良いか。と言うかマジで俺なんでここにいるんだ」

 

あれ、なんか目的忘れてない?そう思った俺は多分正常なはず。例えるなら…そう。じゃんけんしてる間に何してるのか忘れる気分だ。うむわからん

 

翌日

 

「クックピッポー!」

 

「飽きないわね」

 

「美人の顔は三日で飽きると言いますが、そりゃ一緒にいたらの話ですからねぇ」

 

「…あら、そうなの」ペラッ

 

「そそ。前友達が言ってた。もう死んだけど」

 

「そういうのはあまり口にすべことではないわよ」

 

「あらそうなの」

 

「…」ペラッ

 

「…後頭痛薬とかありますここ?」

 

「ない」

 

翌日

 

「寿限無」

 

「…私と顔を合わせて、話が通じず、追い返してきた人間は数知れないけど、貴方のような天敵は初めてよ」

 

「ひどい言い草ですな」

 

「こあ、相手しといて」

 

「わかりました〜♪」

 

「…黒と白…モノクロ?」

 

「赤ですよ!?」

 

「赤というには明るい気が」

 

「良いじゃないですか!?」

 

「…頭痛くなってきた」

 

「頭痛薬でしたらパチュリー様が使っているこちらを」

 

「おい」チラッ

 

「…」

 

この人頭痛薬持ってるじゃんか。俺嫌われてる?もしかしなくても嫌われてる?いや絶対嫌われてるね。というかなんで頭痛薬持ってんの?偏頭痛持ち?

 

翌日

 

「…」ペラッ

 

「パチュリー様〜この本しまってきますね〜」

 

「よろしく」ペラッ

 

「よっこいしょ。流石に腰にきますね…そういえば彼まだ来ませんね…遅い」

 

「…」ソワソワ

 

「…もしかしてパチュリー様気にしてるのかな?」

 

ガチャッ!

 

「!」バッ

 

「はやっ!?」

 

「空!」

 

「今日は遅かったわね」

 

「途中で妖怪に会って逃げてきた」

 

「は?」

 

「え?」

 

「…どうせなら紅魔館に泊まれば?ここはいつも人手不足よ」

 

「え?どうやって回ってんのこの館?」

 

「一人32役みたいなメイドがいるから」

 

「ストレスで早死にするよ」

 

…会話してくれるようにはなった。だがはっきり言って見合いというのが何かわかってないためどうあがいてもここからどうするのかがわからない。

 

翌日

 

「…強制的に泊まらされた」

 

「妖怪に会って死にましたなんて目覚めが悪いから」

 

「…でも、ベッドが柔らかくて眠れなかった」

 

「あらそう。それじゃ安眠魔法を」

 

「そこまでしなくて良い」

 

「は?」

 

「…いや、なんでもないです」

 

「そう」

 

「…ちょっと咲夜さん、あれ大丈夫なんですか?」

 

「お嬢様が上手いこと運命操って二人が付き合う未来を選択してるらしいわ」

 

「いや、行き過ぎだと思うんですけど」

 

「え?」

 

その日の夜

 

「…さて、この魔法を…」

 

魔法モニター<起動!

 

「…で、確かこの部屋…」

 

紅魔館 主人公部屋

 

「…寝付けん」

 

流石にここやわらかすぎるんだ。色々とやわらかい。枕やわらかいベッドやわらかい掛け布団やわらかいなんなら空間も柔らかい

 

「ん?なんか急に眠気が…」

 

紅魔館 廊下

 

「…ね?」

 

「確かにやり過ぎというより…」

 

「というより?」

 

「なんか過保護すぎるっていうか」

 

「そんな馬鹿な」

 

翌日 図書館

 

「…あら、まだ帰らないのね」

 

「あんたが無理やり泊めたんでしょうが…」

 

「あら、そうだったかしら」

 

「そうそう。んで」

 

「失礼しま」

 

ピギュンッ

 

「あつっ」

 

「…こあ、この本お願い」

 

「は、はい…」

 

「え?何?何事?今の音何?」

 

「気にしなくて良いのよ。そういうものだと思えば良いわ」

 

「…?」

 

「あと…」

 

「あと?」

 

「貴方、最近栄養バランスが偏ってるわね」

 

「知るかよ!?」

 

翌日

 

「…待て、待たんかこら」

 

「…すいません、止められなくて…」

 

「いや、出せって意味よ。出しなさいよ」

 

「鍵はパチュリー様が」

 

「マジかよ!?」

 

「こあ、もう良いわよ」

 

「あ、はい」

 

「…ちょい、出さんかワレ」

 

「残念だけど、それはさせないわ」

 

「なんでやねん!」

 

「…心配だからって言えば納得する?」

 

「しない」

 

「そう。それなら説明できないわね」

 

「ワオ」

 

「…とにかく、そこにいれば妖怪も人間も魔法使いも入れないから」

 

「ちょい、なんでこうなるんだ」

 

「…さあ?私に必死に話しかけてくる人は久しぶりだからじゃない?」

 

「どゆこと?」

 

「私にずっと語りかける人間はいなかったのよ。この館は咲夜以外全員人外だから」

 

「だから?」

 

「貴方がいついなくなってしまうのか怖いから閉じ込めるの。貴方も魔法使いになれば私と一緒の(以下略)」

 

…待て、なんかまずいことになったぞ。色々と不味くないか?足を捻った時くらいにやばくないか?

 

「いや、知らんて」

 

「知らなくたってやるのよ。愛ってのはそういうものでしょう?」

 

「だめだ聞いてない」

 

 

 

 

 




駐車場の猫はあくびをしながらの続きが思い出せない
お見合い結婚を企んだレミリアスカーレットは自分でも予測できなかった未来、もとい運命へと進んでいく。その心は…
『この館の運命』
パッチェさん…被害者兼加害者
主人公…超絶被害者


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青年と翁の娘さん 3

続編ありの話を30話あたりに置いてきた!


オッスオラ悟空!いや〜…ダメだなこれ。

 

人里

 

「輝夜…なんで最後に出しやがった難題が普通に人として暮らすなんだかね」

 

「はいお兄ちゃん毎度」

 

「ありがとね…で、あと1年あるかないかくらいか…ん?なんか空暗くね?」

 

そしてあれやこれやあって永夜抄後

 

「…何?月が止まった?」

 

「なんでもその異変を起こしたのは八雲紫よりも強いとのことですよ!」

 

「名前は?」

 

「確か…八意永琳、とか言ってましたね」

 

「…場所は?」

 

「随分と聞くんですね。迷いの竹林ですが…そもそも歩いていけるのでしょうか?」

 

「…多分いけるんじゃねえかな。さて、旅立つとしますか!」

 

まあ、迷ってもどうにかなるさ。博麗の巫女の証言とか…な。というかあの人月止めれるんだなぁ…月の化学ってのはすげえよほんと。あの人の頭脳も色々とすげえけどさ。その内どっかの漫画に出てくるドクターになるんじゃね?

 

迷いの竹林

 

「…いざ!迷いの竹林!」

 

「うわっびっくりした。なんだお前?異変起きたの知らないのか?」

 

「知ってるからきてんのさ。藤原んとこのお嬢さん」

 

「…何言ってんだお前。私はお嬢様でもなんでもねえよ」

 

「なんだっていいさ。ここに確か永遠亭ってのがあったろ」

 

「んー…?」

 

「医者…わからんか。赤と青の変な服」

 

「ああ。そこまでなら案内できるぞ」

 

「ありがたい。案内してくれ」

 

「いいけど…用があるのか?」

 

「お前の親父さんたぶらかした女いるだろ」

 

「…なんで知ってる?」

 

なんで知ってるかを聞かれたら!答えてあげるが世の情け!平安の世を見てきたから!?平安の世を生きたが

 

「ぶへぇぁ!?」ゲシィッ

 

「…なんで知ってんのかを聞いてるのにそんな時間いらないだろ」

 

「痛い」

 

「で、ほんとなんで知ってるんだ?」

 

「…はぁ。お前も同じだろどうせ。永遠の命だっつの」

 

「へぇ…つまり蓬莱人ってわけだな」

 

「あたぼうよ。ま、多分お前とは全く別の用事があるけどな」

 

「何が何だかわかんねえな」

 

「ところで」ズボッ

 

「…プッ」

 

「あーくそ…案内してくれよ」

 

「ああ、悪い悪い。連れてくさ」

 

そう言って悪趣味な笑みを見せたこいつは圧倒的悪人!藤原家ってのはそんなに印象が良くないんだが…こんなにも酷かった記憶がない。藤原家の教育方針ってのは文武両道よりも武を重んじるタイプなのか?

 

永遠亭

 

「ほらよ」

 

「さんきゅ」

 

「…あれ、妹紅さんですか」

 

「えー!?もこたん来たのー!?」

 

「…よくよく考えりゃ輝夜のことだ忘れてそうだな」

 

「なんというかお前…可哀想だな」

 

「もーこーたー…!?」

 

「おい、覚えてんじゃねえのか?」

 

「さあな。記憶の処理が追いつかないんだろ。お前の性格上男なんか連れてこなさそうだし」

 

「は?」

 

藤原家じゃねえわ。こいつが怖いんだ。

 

「…え?え?」

 

「覚えとるかー?」

 

「な、なんで?あれ?もうそんなに時間が経つの?」

 

「相変わらずの生活ってやつかな。輝夜〜」

 

「やっと会えた!」ギュッ

 

「おわっつ」

 

「…嫌だね。横でいちゃつかれちゃ」

 

「え…姫に恋人?え?」

 

「お前も知らねえのかよ」

 

「…落ち着け」

 

「うん…うん…!ところでなんで妹紅なんかと一緒に?」

 

「いや、案内してくれるからってよ。それだけだ」

 

「そうなの。それじゃ良いか」

 

「…藤原さんあんた輝夜となんかあったの?」

 

「殺し合いの仲だ」

 

「…それは、なんというか…なんとも…」

 

原因、多分こいつだろうし。こういう原因なんだろうなってのはすぐに目星がつく。それに藤原をたぶらかしたって少し話題にもなったし。藤原さんの親父さんがそれなんだな。それが巡り巡って現代へ…か。

 

「人生ってのは不思議だな」

 

「ね!久しぶりに一緒に寝よ!」

 

「あ〜…まあ別に良いが」

 

「ありがと!…フッ」

 

「おい待てなんでこっち見て笑った?」

 

「やめてください!?」

 

永遠亭内部

 

「…あら、もうそんなに時間が経ったの?」

 

「あんたも少しは形が崩れてきたようだな」

 

「そう?まあ、これからはお客さんが来るし、言い方も変えて置かないとって、部下に言われたもの」

 

「永林さんも忙しい身だね」

 

「あらあら、姫と遊ぶのは忙しくないのかしら?」

 

「姫と遊んだあとは遊び疲れて寝るのさ。子供みたいにな」

 

「…それ、医学的にやばくない?」

 

「そこは変われよ」

 

思わず突っ込んでしまった。多少は地上の常識とは言わんが知識に慣れていって欲しいものだった。外にすら出なかったんだろうな。見てわかる…輝夜は真っ白だったし。あれただの怖いやつなだけだよ。ホラーだよ。

 

「…かーぐやー!」

 

「来たわね!永林にゲーム作ってもらったのよ!」

 

「ゲームだと!?」

 

「コントローラーってのがあってね!それでね!」

 

「ふむふ…む!?」ゲームオーバー

 

「あら、下手ね」

 

「…やはり俺は釣りをするのが1番だな」

 

「ごめん下手って言わないから許して!?」

 

「はいはい」

 

…ん?そういえばゲームって言っても結構な種類が月にはあったはずでは?…いや、なんだろう。永林さんは流石にそっちの知識はなかったみたいだ。

 

「あ、ちなみに避けないと死ぬから」

 

「蓬莱人みたいにいくら死のうが大丈夫になりゃ良いのに」

 

「残機がある限りは生き返るわよ」

 

「!?」

 

「姫、そろそろご飯のお時間です」

 

「はいはい」

 

「…相変わらず、だな」

 

「そうでしょう?あなたが帰ってくるまではずっと直さないでいたのよ」

 

「直せよ」

 

「…あなたと一緒にいた頃の生活習慣なんて、簡単に治せるわけないじゃない」

 

「ようしそれじゃあ今から片付けだ!」

 

「なんで!?」

 

 

 

 

 

 




この主人公…
名前、あったっけ…!?


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レミリアと虐待経験者

レミリアちゃん忘れてた
冷蔵庫にあるプチモンブランも忘れてた
なのにメロンソーダ飲んじゃった
胃もたれしそう


 

紅魔館

 

「…さぁ!今度こそ」

 

「行き遅れのお姉様」

 

「妹に先走られる姉」

 

「寝取られるカルマ」

 

「…あ、私?」

 

「言わなくて良いから!」

 

さぁ皆の者。俺は何故連れてこられたんだ。全員ヤバそうな奴なんですけど。なんすか、この女共の傍にいる謎の男は。俺もこうなる運命だと言いたいんですか。やめてくれ

 

「…あの、そろそろ帰りたいんですけど」

 

「だめよ」

 

「なんだと」

 

「さあ解散!」

 

そう言うと女達はどっかへ消えた。え?どないして?と聞きたいが聞けない。ちょっと怖い

 

「…自己紹介が遅れたわね。レミリア・スカーレット。この館の主人よ」

 

「さっきので?」

 

「やめなさい」

 

翌日 レミリアの部屋…的なの、あると思います

 

「…布団被せておけば良いのかこれ」

 

「ぐぅ…」

 

「朝…ていうかこの館ってどこにあんの?幻想郷のどこ?紅魔館って何?」

 

「それについては私が」

 

「うおびっくりした」

 

銀髪の女の人が現れた。怖いし心臓に悪い。が、説明は受けた。こいつ吸血鬼らしい。ふむ、どおりで昨夜思いっきり抱きつかれた時から身体全体が痛い訳だ。

 

「それでは」

 

「うわっ消えた」

 

「…おはよう」

 

「はようございます」

 

「?」

 

「東洋の挨拶。というか、あんた吸血鬼なんだ」

 

「当たり前じゃけぇ…」

 

「いつからだろうか。ここのカーテンを開けたくなったのは」

 

「やめて!?」

 

数時間後

 

「…なんだろう、ものすごい眠気がする」

 

「じゃあ私と一緒に寝ましょ。吸血鬼は本来夜行性だから」

 

「おまえが勝手に起きてるだけだろ」

 

「…随分とひどい言い方するわね!?泣くわよ!?」

 

「知らんよ…」

 

こいつ、まさか…かなりのわがままっ子なのでは?そしてかなり面倒くさい部類なのでは?そういう考えが働いた結果、ただの子供なのでは?という結論に導かれた。俺って天才

 

翌週

 

「おーい」

 

「どうされました?」

 

「すいません私がいる部屋から1番近いトイレってどこですか?」

 

「今までどこでトイレしてたんですか?」

 

「食堂にあったトイレです」

 

「ああ。ちなみにトイレはお嬢様の部屋の両隣です」

 

「なんで両隣に?」

 

「…多分、聞かない方がよろしいかと」

 

「あ、うん…」

 

その日、そのトイレを使った後もう片方のトイレからレミリアさんが出てきた。もしかして片方使われても良いようにってこと?

 

翌日

 

「ん…」

 

「理性を抑えるのよレミリア・スカーレット…」ハァハァ

 

「え、何?」

 

「おっといけない。というか私吸血鬼なのになんでそんな怯えもしないのかしら?」

 

「虐待よりマシだからかな」

 

「ごめんなさい」

 

「なんで謝ってんだろうこの吸血鬼」

 

「何故分からん!?」

 

なんで分からんって言われても分からないものはわからないですよ。こちとら飯を食いつなげるために盗賊3年目突入って時にここですよ。怪盗ルパン三世ですかっての。

 

「…別に虐待なんてもう10年も前だから良いけどさ」

 

「器でか」

 

「見習え」

 

「嫌よ」

 

「…まあ良いや。ところであの紫パジャマの人がいるところって図書館なんでしょ?どんな場所?」

 

「さあ?私自身わからないけど、確か魔導書が大半を占めてるしその他は結界云々な本だから人間には読めないわよ」

 

「非常に厳しい世界ですな」

 

翌日

 

「んーいたっ」

 

「フーッフーッ」

 

「ちょ、どないしてんね、噛み付いてる!?吸血鬼って本当なんだ…」

 

「ジュルッハァ…ハァ…信じてなかったの?」

 

「まあ。急に現れて『俺超能力者だよ!』って言われてた気分だったから」

 

「あなた結構ひどいわね」

 

「んな馬鹿な」

 

…さて、そろそろおうちに帰りたいのですが何時ごろ帰れるでしょうか。このままでは年が暮れてしまいます…ん?よくよく考えれば俺家ないじゃん。何勘違いしてんだ俺

 

「ところで」

 

「ん?」

 

「…あなた、ここに名前を書き込んでくれる?」

 

「何?書いたら死ぬノートでも見つけたの?…ほら」

 

「ありがとう。これ婚姻届だから」

 

「」

 

「それじゃ、よろしく…ね?」

 

「うそん」

 

俺の人生!どうしてこうなった!?〜レースみたいに激しく順位が変わる敵の厄介さ〜みたいな本が作れそうな気分だぜ。この手は既に使われてただろうが

 

「人里に出してきた!」

 

「マジかよ」

 

「大マジよ。それじゃ、夫婦と言ったらあれよね!」

 

「あれよね!って言われてもあれってのが何かわからないんですがそれは」

 

「監禁ね!」

 

「は?」

 

数時間後 地下室

 

俺は話に夢中になりすぎていたせいで、後ろから迫ってきている妖精メイドに気が付かず、気絶させられてしまった!目が覚めるとそこは…ありきたりな地下室になっていた…!!このままでは仕方がないと以下略

 

「…夫婦と言ったらまずこれ。常識らしいじゃない」

 

「俺の知ってる常識じゃない」

 

「そうなの?ま、良いけど。私がここにきて、ご飯をあげて、トイレをしている所もいつも通り見て聞いてあげるから」

 

「!?!?」

 

「あら、咲夜から聞かされてないのかしら?私の部屋の両隣のトイレ、私の声一つでもう片方の状態が見れること」

 

「聞いとる訳ないだろ」

 

「そうなの。じゃあ新生活ね。楽しんでちょうだい」

 

「誰が楽しめるか!!」

 

「…仕方ないわね。寝る時、ご飯を食べる時、お風呂の時は一緒にいてあげるわ」

 

「何を譲歩してんだおまえは」

 

「良いでしょう?周りのみんなそうなっているのだから。常識と、パチェ達は言っていたわよ?」

 

「それ常識じゃないんだな、うん」

 

…待て、じゃああの時あの女達のそばに居た奴ら、全員手懐けられてる奴ら!?え、ヤバない。俺ペット会議に出されるの!?

 

「じゃあ新常識ね。この幻想郷はなんでも受け入れるんでしょ?」

 

「受け入れるかどうかは知らんが…」

 

「ね、良いでしょ。まあ断ったら命はないけど」

 

「…断らせる気ゼロだろ…」

 

「末長くよろしくね」

 

 

 

 

 

 

 




よくわからん!多分八つ当たり的な感じで選んだ男の血が旨すぎてアアッ!って奴だと思う!
レミリア…被害者
主人公……↑


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神霊廟と初々しい奴 3

神霊廟、続き!


 

神霊廟

 

「…もう帰してくれよ」

 

「可愛いなぁ」

 

「可愛いわけあってたまるか」

 

「そう言わずに。私と一緒に…」

 

はて、どうしてこうなったのやら。もはや足枷がついているところには痣が付き、首輪があるところは日焼けでもしているのだろう。こんな生活に慣れてきてしまっている自分が嫌いになってくる

 

「太子様」

 

「なんでしょう屠自古」

 

「…わたしにも、その…」

 

「良いでしょう」

 

「ありがとうございます」

 

「…ああ、やっぱ俺の人権完全無視なアレね」

 

「では翌日に」

 

「わかりました」

 

翌日

 

「…んがっ。なんだか昨日は倒れるように寝たな…」

 

「ああ、それは私の仕業だ」

 

「うわっ」

 

「どうした?」

 

「…登場回数少ない緑の人だ…」

 

「まずは心だな」

 

そう言って何が始まるかと思ったら…ん?待って、なんか足ついてないこの人!?あれ、前確か足はついてなかったよね?ん?どうなってんだ?

 

「?ああ、足か。これは術で付けただけだ。気にするな」

 

「そ、そうでしたか」

 

「ところで…」

 

「え?」

 

「太子様と布都とはどんなことをしたんだ?教えてもらおうか」ニヤリ

 

「何もしてない…と言うか、太子に至っては寝ただけで…」

 

「そうか。それじゃあ私がお前の初物を」

 

「やめなさ」バチッ

 

「あ、言い忘れてたが今日1日でお前を教育しろとも言われていてな」

 

「待て、待たんか」

 

「その反抗的な態度、改めさせなければな」

 

「ちょっ、それは文字数が1800くらいじゃないとあんまり続かないってアッ!」バチィッ

 

「…身も心も教育しなければ、な!」バチィッ

 

「い、痛いって、落ち着いて」

 

「いつからお前は私に言い聞かせることができる地位になったのか知りたいな」バチィッ!

 

「ほわぁっ!?」

 

数時間後

 

「で、私たちのことはなんて言うんだ?」

 

「…えっと」

 

「これくらい即答できてもらわなければな」

 

ちょっ、待ってくれる気配すらないのかあんたは。さながら熱血教師、言い方を変えれば生徒殺し。まるで外の世界で嫌われる体育会系教師の如く俺に圧をかけてくる。ご主人様って言えば良いんだっけ…?

 

「ご、ご主人様…」

 

「うむ、妥協して、だな」

 

「妥協か…」

 

「ん?」

 

「ご主人様、なんでもありません」

 

「よろしい」

 

…はっきり言ってここまでする必要あるのか?

 

翌日

 

「屠自古!」

 

「ん、どうした布都」

 

「zzz…」

 

「教育結果は!?」

 

「あまり上手くいかなくてな。私たちをご主人とまでしか言わせれてないんだ」

 

「…お主ちょっとズレてるの」

 

「そうです。名前で呼ばれるのが良いんですよ!」

 

「太子様…では1000歩譲って様付けで呼ばれるのはどうですか?」

 

「!」

 

「良いな!良いな!」

 

「決まりですね!」

 

「何が決まりだい」

 

「は?」ピクッ

 

「あ、いや、別に反抗的な意思があってとかじゃなくて、あ、えっとその、なんと言うか」

 

「見苦しい言い訳じゃな」

 

「大半があの、えっと、が占めている。それに頭の中では恐怖が渦巻いている…ここで救いの手を差し伸ばせば彼は…」

 

「太子様、それは通りすがりでしか効果が出ませぬぞ」

 

「…それだ!」

 

「ん?」バチィッ!

 

「はーっはーっ…いっつ…」

 

翌日 人里

 

「久しぶりの人里…」

 

「太子様が仕方なくと言っていたからな」

 

「自由…」

 

「ああ。首輪はじーぴーえすって言うので現在地ってのがわかるらしいから流石に剥がせないが」

 

「やった…!」

 

と、喜んでいたのが1時間前の話だ。金をもらい、菓子を買ったり玩具を買ったり…子供との遊びにも混ざったりと。さながら寺子屋に通う子供のように人里を遊んでいた。残りの金はまだ半分近くあると言うところで…

 

路地裏

 

「けほっけほっ…」

 

「お金いただき〜♪」

 

「あの女にゃ敵わんがお前みたいなよわっちい奴が金持ってるってなったら誰だって狙うさ」

 

「え…」

 

「さ、あの女にバレないように逃げるか」

 

「そうだな」

 

「あ…なんで…」

 

弱々しいとは言えこちとら1ヶ月近く運動すら許されてないんだぞ…?

 

「大丈夫か!?」

 

「あ…」

 

「こうなるか人里には連れて行きたくなかったというのに…屠自古、布都、追いなさい」

 

「わかりました」

 

「殺してくれる」

 

片方殺気ダダ漏れだぞ。とは言いたいがぶん殴られて力も何も出ん。流石に運動しないとまずいかな…と考えは巡れどあまり続かない。それに眠くなってきたし…

 

翌日 神霊廟

 

「あ…」

 

「起きたか!?よかった…どこが痛むか?」

 

「口の中が少し」

 

「口の中か…」

 

よくよく考えりゃ人里って悪い噂もあるんだから襲われて当然か…

 

「…あいつらもやりすぎたな。布都、少し制裁を加えてきます」

 

「わかりました」

 

「…緊急時に呼ぶくらいしてくださいよ太子様!?」

 

「屠自古も、頼みましたよ」

 

「はい!」

 

「さて、お主も大変な目に遭ったの。犯人はちゃんと捕まえておるから安心して良いぞ」

 

「ありがと…」

 

「これでわかっただろ?人里にお前のように弱々しい奴が行ったら襲われるんだ。だから、ここにいるべきだと私は思う」

 

「屠自古のようにとは言わんが」

 

「おい待てこら」

 

「…人里に居ては自分の首を絞めるだけ、神霊廟にいることを守ってくれれば苦しむことはないと…思う」

 

「思うって」

 

「スッキリしてきた」

 

…俺のようにって…つまり俺結構弱々しく見えるのか?たしかに腕が細いし足取りもおぼつかないけど…そうなのかなぁ…?

 

「で、だ。今後のことだが…」

 

「あ、太子…」

 

「ん?どうした?何か言いたいことでも?」

 

「住んでも良いかな、ここ」

 

「…神霊廟にか?ああ勿論だとも。私もその話を出そうとしていたんだがね。これからはこの首輪も要らなさそうだ」サワサワ

 

「ん…」

 

首輪<俺はお前の頑張り知ってるからよ…!

 

この首輪ともお別れか…そう思うとなんだか寂しくなるのは何故だろうか。習慣というやつか。全く人間って怖いな

 

「フフッ。本当に可愛い奴だな…」

 

「…あんなにも鮮やかに終わらせるかの…?」

 

「太子様が男二人組に頼んだなんて、口が裂けても言えないだろうからな…」

 

「うーむ…あの殴られた跡、見ただけで腹が立ってくるの。ちょっと殴ってくる」

 

「ああ、私も行く」

 

 

 

 

 

 

 




幸せってなんでしょうね!
少なくとも不幸ではありませんよね!?


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紫さんと子供に優しい青年

紫さんのターン!
え?3話?なんだァ…ソレェ…?
藍さんが主人公殺しただぁ?そりゃお前…
主人への忠誠心が有り余った結果だろうがよ…


 

博麗神社

 

「…ん?あ、寝てた」

 

「あら、ようやくお目覚め?もう夜だけど」

 

「…なんで起こさなかった?」

 

「面倒だったから」

 

こいつが巫女として機能している部分を誰かさんに問い詰めたいと思うのは自分勝手だろうか。それとも当然の思考でしょうか。

 

「まあ良いか。お泊まりさせていただきます」

 

「そうね。妖怪が面倒だし、人里の上飛べないし。連れて行くの面倒だし」

 

「…お前巫女としてなんか言われたりしないの?」

 

「するわよ」

 

「どんなこと?」

 

「もっとお金集めろって」

 

「金!?」

 

「そう、お金。参拝客が少ないからね」

 

「それは多分今の代からじゃないかな」ボソッ

 

「は?」

 

「なんでもないです」

 

何今の反応速度超怖い。ていうか夜って言ってたから…風呂は良いか。よし、寝よう。困ったことに二度寝は得意なんだな

 

「…じゃあ俺寝る」

 

「そ…さて、私も客人におもてなしの用意しなきゃね」

 

「客人?」

 

「たまにいるのよ。厄介な客人が」

 

「はーい霊夢」

 

「こいつ」

 

「zzz」

 

「逃げやがったか」

 

「…誰かしら?」

 

「寝過ごしただけの男よ」

 

「あら、そう」

 

…待て、今なんか聞き覚えのある声が…そうだ、人里で聞いたんだ。人里のどこだっけ…

 

「なら安心ね」

 

「ん?」

 

翌日

 

人里

 

「窓、全開!」バタンッ

 

「こんにちは!」

 

「うわっ!?」ドタンッ

 

「うぇ!?」

 

「…すまんの。今日はどんな用で?」

 

「これからはこの姿でってことを」ボフンッ

 

「…狐みてえだな」

 

「化かすならたぬきでしょう?それよりも、驚かないのね。可愛い女の子が妖怪の賢者になったのよ?」

 

「声」

 

「声?…んんっ、こんなかんじー?」

 

「声色じゃなくて、外の世界でいう声優みたいなもんだったから、わかりやすくて助かった」

 

「酷いわね」

 

だってしょうがないじゃん。気がついたものは気がつくんだからさ。君の、技量不足を恨むと良い。

 

「それと」

 

「なんだ?」

 

「少し、こっちにいらっしゃい?手を掴んで、ほら」スッ

 

「了解しました」ガシッ

 

「純粋ね」グイッ

 

「はやっ」ゴツンッ

 

「あ、ごめんなさい!大丈夫?許してくれる?」

 

「あんたはなんなんだ…大丈夫。で、用は何?」

 

「フフ…足元にあるわよ」

 

「あしも」スンッ

 

「いやそんな滑らかに落ちることってあり得るのかしら…?」

 

スキマ内部

 

「ごはっ」

 

…なんだろうか。またか、としか言いようがない。というのも俺は紅魔館にいたら何故か薄暗い部屋に泊められたことがあるのだ。気味が悪くて仕方なかったが。こっちは別の意味で嫌だ。だって目玉ギョロギョロしてるもん」

 

「そんなに滑らかに落ちるとは思わなかったわ」クスクス

 

「あまりにもひどすぎる」

 

「良いじゃないの。ところで、今のはどういうこと?」

 

「今の?…今のって?」

 

「またかって。私以外に誰かが既にやったのかしら?」

 

「ああ、紅魔館に止めさせてもらったら薄暗い部屋に。それっきりだけど」

 

「…そう。それくらいなら良いわ」

 

「くらいってお前」

 

「ところで、貴方は好きな人とかいる?」

 

いきなり何を聞くんだろうかこいつは。いたら今頃猛アタックだよ。さながら外の世界の機関銃並みに猛アタックさ。居ねえからこうなってんだけどさ。

 

「居ないよ。こちとら飯だけ食って何年経ったかな」

 

「ごめん頭の中を整理してから話してくれるかしら?」

 

「まあ、好きな奴なんかいないってわけですわ」

 

「それなら私と付き合ったりしない?」

 

「ほぼ初対面なのにどうしろと」

 

「初対面?違うわよ。私が貴方と出会った時…そうね、私がハンカチを落とした時。あの日からずっと貴方のことを隙あれば見ていたのよ。気が付かなかったかしら?」

 

「気が付いてたまるか」

 

「それに、女の子が貴方を慕うなんて、運良くあったとしてもずっと関係が続くものかしら?」

 

「いやそれは知らん」

 

「まあ、個人差はあるけど。私は貴方のことが好き。それだけで私は十分なの」

 

「何が十分だか。おうちに返してくれ」

 

「いやよ。だって貴方は目を離せば直ぐ霊夢のところ、守矢のところ。まあ目をつけていてもだけど」

 

「見られてることすら知らんのだから目を離していることになるんじゃねえのか?」

 

「さあ?私は見てるから。で、話を戻すけど。そんな貴方を家に帰したら?霊夢に言い寄られたりするかもしれない。もしくは守矢の人間に…それだけは許せないわ。住処を与えて独占しようだなんて絶対に許さないわ」

 

「お前被害妄想激しいぞ」

 

「それに、この反抗的な態度もここに居れば治るし」

 

「は?」

 

まさかこれ、このままこの目玉空間に放置か?すまん、それだけは勘弁してくれ。割とマジで頼むからさ!ね!?なんでもするからさ!

 

「…まさかとは思うけど、なんでもする代わりに家に返してなんて言う事はないでしょうね?」

 

「んなわけ」ギクッ

 

「今の反応から見るに絶対考えたわね?それじゃあお仕置きは増やさないと、ね。15年ルート、行ってらっしゃい!」

 

この中で15年…!?き、聞き間違いかな…!?そんなに年経ったら俺じいさんばあさんだぜ…!

 

「じ、じゅうご」

 

「本当よ。貴方はそこで15年かけて妖怪になってもらうの。そうすれば、貴方が寿命で死ぬこともないし、私が管理すればよっぽどのことがない限り死なないから、良いでしょ?」

 

「良くねえよ」

 

15年後

 

「どうだった?」

 

「あ…紫」

 

「衰弱した?」

 

「した、したから、早くここから出して」

 

「え〜?それじゃあお仕置きにならないじゃない」

 

「それならお前の家で受けるから!」

 

「…言ったわね。その言葉、良く覚えておきなさい」

 

 

 

 




その後、彼の姿を見たものはいなかったと言う。
紫さん…一目惚れなクレイジーサイコノーマル
主人公…やはり被害者


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女苑と崖っぷち男

左足痛いです。
そして29日誕生日でした。
これ作ってるの28日です。
依神女苑です。名前合ってるかな?


人里

 

「…雨!我が家!雨漏れすげー!そろそろ立て直しの時期だな」

 

「何言ってんの?雨漏れどころか水一粒も落ちてこないじゃない」

 

「え?マジ?」

 

「逆に聞くけど今雨降ってないわよ?」

 

「え?うっそいつの間に止んだ?」

 

そんな雨って急に晴れるもんだっけ?確か1時間前にはザーザーでクッソ降ってた気がするけど…勘違いって奴かな?まあ多分勘違いなんだろ

 

「あんたも苦労してるわね」

 

「貧乏神の亜種が家にいる時点で何もないっつの。て言うか、ウチに散財させるほどの財産はありません」

 

「そんなこと言わないで。能力パワ〜」

 

「…今ここで1番価値あるのと言ったらあんたくらいしかおらんけど」

 

「!?」

 

というか今飯作ってるからやめてくれないかな。火の用心って知ってる?用心してなきゃ火が出て火事になるのさ。怖いだろ?ちなみに本屋がよく燃えてる。

 

「…ほれ、飯。美味い食べ物は良いぞ。チャーハンだけど」

 

「チャーハンにだって美味しい不味いはあるでしょ。チャーハンをなんだと思ってんのよ」

 

「ご飯」

 

「あんた頭沸いてるでしょ。私がこの家で1番の価値があるだとか言い出したりさ」

 

「ばーか。そもそもの話って奴だ。オレの家はガス水道以外なんも通ってないのさ。最近河童が試作品として作り出した電気も来てねえし」

 

「それは知らない」

 

「だろうな」

 

翌日

 

「…お前結局いつまでいるの?」

 

「何言ってんの。あんたがいつまでもここに居て良いって言ったんじゃない」

 

「…そうか?」

 

はてそんなこといつ言っただろうか。こいつが家に住み着き始めたのは大体一年前くらいだから…まあ多分最初の頃に言ったんだろうな。気にしたら負けだ負け

 

「ええ。その時名前も教えたのに未だ名前で呼ばれたことないけどね」

 

「そうだったか?ていうかお前稼ぎは」

 

「何言ってんの。夜の繁華街歩くようなものでしょ。簡単に男に漬け込んで金を出させる。それで終わりよ」

 

「それまでが普通きついんだがな。皿は」

 

「もう置いてあるわよ。そんなに信用ない?」

 

「うん」

 

「は?」

 

「なんでもない」

 

翌週 人里 夜

 

「…お、女苑じゃねえか。一週間顔見せなくてどうしたんだ?」

 

「良いじゃないの。稼ぎが順調だったから出たのに、失敗よ」

 

「失敗ね…そうか。ま、お相手にゃお前以上のいい奴がいたってわけだ」

 

「やめて。惨めになるだけよ」

 

あらら怒られちゃった。女ってのは怖いよな。それに神様も付け足されるとなお怖い。確か守矢神社でヤベーことになってる男がいるとは聞いたがな

 

「…安心しろ。こちとら何年もニートやってんだ。究極の節約術教えてやるよ」

 

「姉さんみたいな生活なんてしてやるもんか」

 

「…姉さんいたのかあいつ。いつでも帰ってきていいけど朝起きてわあっ!てのは怖いからな。頼むぞ」

 

「そんなに戻ってきて欲しいわけ?」

 

「家で1番価値があるものだからな」

 

「そ。それじゃあ売りに出さないとね。もちろんオークションで」

 

「残念だが非売品にしたいぜ」

 

翌日 朝

 

「…ん?わあっ!?」

 

「フフッ、あははは!」

 

「お前、やめろって言っただろ!?」

 

「ごめん、からかいたくて。ところで」

 

「ところでもクソもあるか…」

 

「これ、何?」

 

これってなんだよと言いたいが手に持っていたので少し借りて見る。うん、写真だ。俺が、慧音先生と歩いてる写真だ。人里で過ごしたやつは慧音先生と歩く機会もあるだろ多分。

 

「慧音先生と歩いてるやつだな。確かなんかの紙を一緒に持ってたな」

 

「確認するんだけど、この家で1番価値があるものって」

 

「ああ、お前だな」

 

「そう。そうよね。この女が1番なんて言うはずがないものね…人里の中で1番価値があるのは?」

 

「お前だ」

 

「…フフッ。良かった。もしも私以外のものが出てきたら…」

 

「どうするつもりだったんだ?」

 

「殺すつもりだったから」

 

そう言ってこいつはにぃと口角を上げる。こっちは下がりたくなる気分だ。ひ、ひどい…!一体誰がこいつをこんな風に!?

 

「あと、私はお前じゃなくて女苑。覚えてちょうだい」

 

「わかったわかった。女苑…これでいいか?」

 

「いいわよ♪」

 

「はぁ…何がどう曲がってこうなったのやら。わからんもんだね」

 

「何よその言い方。ま、私は今ご機嫌だから許すけど」

 

「はいはいありがとうございます。ところで女苑、お前なんであの写真持ってたんだ?」

 

「天狗に撮らせたのよ。天狗に頼んで後ろ姿を撮る、そうすれば浮気現場抑えられるかなって」

 

「浮気どころかまだ付き合ってもねえだろうが」

 

「それもそうね」

 

こいつ20センチくらいのネジが抜けてるだろ。なんでこんなにおかしい話になるんだよ。絶対おかしいよ。順序を踏んで説明してくれ。わからん

 

「さて、そろそろかな」

 

コンコン

 

「ん?」

 

「はいはい、いらっしゃいました。お代は」

 

「これくらいです」

 

「わかりました。ほいほい…」チャリン

 

「ありがとうございました」

 

「はいはーい」ガララッ

 

…配達頼んでたの忘れるところだったぜ。福袋だけど、中身によっちゃ高く売れるからな…

 

「…全部祭りの景品じゃねーか」

 

「ただの売れ残りね」

 

「追い討ちはやめてくれ」

 

「まぁ、いいでしょ?私にとっても私以上の価値があるものができてしまったら困るし」

 

「そういうもんかなぁ」

 

「そうよ。それに…」

 

「それに?」

 

「私以上の価値があったとしてそれに貴方が気がつく前に貴方を監禁すればいいだけの話だし」

 

「…oh」

 

俺はもしかしてとんでもない奴を生み出したのでは?当面そういう疑念に身体を押しつぶされる覚悟でいなきゃならんなこれは…

 

 

 

 

 

 




コナンくんのキック力上昇シューズ欲しいです
女苑…好きな人にとって自分が一番出なければ気が済まない自己主張激しいヤベー奴
主人公…ニートで働かないくせに家持ってる別の意味でヤベー奴


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アリスンスンと運動不足

災難な最南島
その名も…沖ノ鳥島って確か最西端でしたっけ。
あれ、なんだっけ?
わかりません。アリスンスンです。
ちなみに作ってる日が誕生日です。はい、29日です。ケーキはショコラフレーズが美味い異論は認めん


 

魔法の森

 

「飯食いたい」

 

「…外来人?」

 

「うわっ誰だお前」

 

「聞いてるのかしら?」

 

「外来人ってのは知らねーがどこここ」

 

「外来人じゃない。ここは魔法の森、人間には有害な胞子とかでいっぱいなんだけど」

 

…え、何それ?え、俺聞いてないんですけど。あの、マジで?俺これやばい?今めちゃヤバ?というかガチヤバ?嘘だ!!俺は今こうして生きている!以上、これは嘘である!!

 

「なんともないって感じね。一応私の家に来ると良いわ」

 

「お言葉に甘えさせていただきます」

 

「死なない程度に痛めつけてあげるけど」

 

「なんで?」

 

アリス邸

 

「俺はMじゃないから痛めつけられなかったのは嬉しいぜ」

 

「…あ、そうだ」

 

「ポケットに入れていた菓子はあるが携帯はない…?」

 

「そろそろ眠くなってくるでしょうから、布団を用意しておくわね」

 

「…すげ、本当に眠くなってきた」

 

「あ、布団なかった…こっちのベットに寝て頂戴」

 

「ありがとござます」ボフッ

 

「…私今日どこでお昼寝しようかしら…?」

 

数時間後

 

「はっ!」

 

「あら起きたの。それじゃあそこ退いてくれる?私のベッドだから」

 

「え?あ、すいません」

 

…どうやら既に時刻は9時を回っていると見た。新月だし仮に満月であっても見れるかというほどの木々の密集率だが、こういうお嬢さんはだいたい9時に寝ると相場が決まっているのだからな。これからは名探偵小五郎と呼んでいただきたい

 

「あと、男物の下着と服そこに置いとくから。お風呂入って、寝なさい」

 

「あ、はーい」

 

…ん?なんで男物の下着と服があるんだ?俺持ってなかっただろ?…買ったのかな?

 

数十分後

 

「ふーさっぱりしたー」

 

「すぅ…」

 

「ぐっすり寝ていらっしゃる…腹減ったけど人様の食べ物勝手に使うのは嫌だし…菓子食うか」

 

翌日

 

「んーっ…!あら、おはよう」

 

「おはようございます…んがっ!」

 

「あら…?あ、私ってば布団を用意してなかったわね。買ってくるわ」

 

「あ、いえ、お気になさらずに」

 

「良いのよ、久方ぶりの客人だし。ゆっくりしていって良いの」

 

「…はぁ」

 

「それじゃちょっと行ってくるけど、くれぐれも外に出たらダメよ。出たら寝て毒で死ぬから」

 

「火事の死因かな?」

 

「それじゃ!」ガチャッ

 

…まずい、寝てしまう。流石に椅子の上で十分な睡眠は取れなかったか。外の世界の学校の机ならすんなり寝れたのに…それこそ寝たことに気がつかないくらい。

 

「ただいま!」

 

「はやっ」

 

「知り合いが譲ってくれたのよ。それで…布団を敷く場所は…」

 

「どこにありますかね」

 

「そうね。ここ…じゃダメかしら?何かあったら言って頂戴」

 

「ああ、そこで良いです。すんごい眠いんで、はい」

 

「それじゃ、お休みなさい」

 

「あい…」

 

そう言って眠りに落ちてしまったがはっきり言ってコレが不味かったのでは?

 

翌週

 

「…あの、度々買い出しに行ってる場所は…」

 

「人里ね。文字通り人の里なんだけど」

 

「そこに行けたりとかって」

 

「駄目よ」

 

「なんで?」

 

「外来人は人里である意味嫌われ者。除け者にされて孤独死するだけよ」

 

「なんとも怖い…」

 

「そう。それで良いのよ。あなたにとって人里は毒と同じだから」

 

「マジかよ」

 

「優しい外来人ほど人里は毒になるのよ」

 

翌日 博麗神社

 

「…神社だ」

 

「ええ。お祭りがあるけど」

 

「マジかよ。すげえ神社だな」

 

「ほとんど宴会だけどね」

 

「宴だー!」

 

まるで某海賊漫画みたいな声と共にフー!とか声が聞こえてくれがこれが宴会だというのなら訂正したほうがいい。大声の出し合い大会にした方がいいだろう。あとさりげなく一人こっちに近寄ってくるやついるんだが

 

「…あんた、外来人?」

 

「え、あ、はい」

 

「ふーん…外の世界に帰りたいとか思わないわけ?」

 

「外の世界…もう記憶にありません」

 

「やべーな」

 

翌日

 

「…酒飲んだ後の記憶がねえ!」

 

「そうなの?」

 

「アリスさん!俺何してた!?」

 

「…さあ?」

 

「んな!?」

 

…いや、まあ酔っ払いの言動覚えてる方がおかしいと思いますけどね。僕は

 

「そういえば」

 

「んぇ?」

 

「あなた、外の世界に帰ろうとかしてないわよね?」

 

「ん?まあ」

 

「それならよかった。霊夢に言い寄られてたから外の世界に行くんじゃないかとヒヤヒヤしたのよ」

 

「へー。そんな人なんだ」

 

「あの神社の巫女さんよ。妖怪退治とかやってるの。まああなたには無縁の話だけどね」

 

「無縁ねぇ。俺もそろそろどっか出かけないと運動不足になるんですが」

 

「は?」

 

「…え、何?」

 

「外に出るつもり?」

 

「え、できたらの話だけど」

 

「…そう。なら良いわ」

 

え、何今の超絶怖い…超絶ウルトラカクテル怖い。なんですか?俺外出たら抹殺されるぞ!って言われてるんですか?そんな怖いこと起きるわけないじゃないですかヤダー

 

「…あの、もしかして出ちゃダメっていう?」

 

「ええ。外に出たら危ないもの。人里以外にも場所はあるけど、それでも殆どが妖怪の住処。死にに行くようなものよ」

 

「マジかよ」

 

「ま、そう言っても聞かないわよね」

 

「なんでそんな信頼ないんですか俺」

 

「え?だって貴方、一週間ちょっとで家を出て、毒まみれで帰って来てたじゃない。運良く森の外に出るかもしれないのよ?」

 

「…何も言い返せない…」

 

「だから、これね」ガチンッ

 

「…もしかしてだけど」

 

「手錠よ。魔法で作った概念みたいなものだから、壊れはしないわ。安心なさい」

 

「…嘘、ですよね?」

 

「本当よ」

 

「このままどっかに放置ってわけじゃ」

 

「そんなわけないじゃない。ベッドに固定するだけよ」

 

「生き地獄だよ?」

 

「死ぬよりマシよ。大丈夫、貴方がトイレに行きたくなった時もご飯を食べたくなった時も、どんな時も一緒にいてお世話してあげるから」

 

「…え?」

 

「それじゃ、はいっと」

 

…まるで映画のように付けられた手錠は漫画のようにベッドに付いてしまった。さながらエロ同人だ。俺をめちゃくちゃにするんだろ!エロ同人みたいに!と叫びたい気分だ。

 

「これで、死ぬ心配はないわね。寿命とか、病気にならない限りは…」

 

「心配してくれてんのかしてないのか」

 

「心配してるわよ。当たり前じゃない…大好きなんだから」

 

 

 

 

 

 




アリスンスンの話前も書いたような気がするなーと思って見返したけど多分なかったのでヨシ!
アリス…魔法の森のヤベー奴。尻軽ではない
主人公…外来人で今回の被害があるならば20位くらいには食い込むであろう被害者。健康の代わりに美人を手に入れた


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73話

何にしようかなと
迷っていながら探したら
やべー経験の主人公、見つけました。
確か48話らへん


 

霧の湖

 

「あー、俺もうこれ死んだな。死にましたわ〜」

 

「え!?え!?ちょっ、ち、チルノちゃん!」

 

「何!?」

 

「あの館にこの子連れて行ってくれる!?」

 

「りょーかいした!」

 

「大妖精ちゃんも!」

 

「は、はい!」

 

「おい待てそうやれとは言っとらん」

 

紅魔館

 

…あー、もうなんでこうなるんだ。訳がわからないよ!と叫びたい気分だがあいにく力が入らないため叫ぶもクソもない。マジでなんなんだこれ。本当なんなんだよこれ。ていうか結局魚あんまり釣れてねえじゃねえか。

 

「あー、どうでした?」

 

「…多分、栄養失調とかそういう感じじゃないかしら?健康的な生活してればならないんだけど」

 

「心当たりしかない」

 

「…さて。美鈴〜」

 

「なんでしょうか」

 

「あなた門番やってるのになんでここにいるのかしら?」

 

「ギクッ」

 

翌日

 

「…ああ、食べさせなきゃいけないのね」

 

「釣った魚どこ行ったんですかね」

 

「はい、あーん」

 

「んあーぐっ」

 

「おいしい?ここ人外しかいないからたまに不安になるのよ」

 

「美味いけど。そんなところにいるなら出てけば?」

 

「恩があるから簡単にはいそうですかとは行かないんだけどね」

 

「ほーん」

 

…待って、人外?あんたも人外?と思ったがどうやら違うらしい。この人以外が人外だという。バランス偏りすぎじゃなかろうか?バランスは平等が大事なんだがな。この館の主はイカれてるぜ

 

「そうだ」

 

「なんですか?」

 

「あなたここで働いてみない?衣食住が揃ってる職場よ。休みほぼないけど」

 

「ブラック企業進めてんのか?」

 

「でも、やりがいはあるわよ。従者だけど」

 

「…どーしよっかなー」

 

「キチッとしたタイムスケジュールにしてもらうけど」

 

「やめとく」

 

「タイムスケジュール?」

 

「うん、無理。予定をきっちり決めるとかが無理」

 

「…あなたよく生きてこられたわね」

 

「日の出に起きて次が出てくる頃に家に帰って日が出る数時間前に寝てるからな俺」

 

「化け物ね」

 

翌日

 

「…なんでこんな野次馬が多いんだか」

 

「あら、私はここの主人に呼ばれてきたんだけど」

 

「私は野次馬根性だな」

 

「私はこの館の主人だから」

 

「…私は一昨日君をここに送らせたから」

 

「これでも病み上がりってやつじゃないのかね」

 

「知らないわよ」

 

うん、俺も知らない。知ってるなら教えて欲しいくらい知らない。手が少し動くようにはなったけど、歩くにはまだ遠い。リハビリって奴がいるかな。

 

「…まあ、お前みたいになって死んだやつは私何人も知ってるからよ」

 

「誰かこの質の悪い死神を追い出してくれ」

 

「嫌よ」

 

「嫌だ」

 

「…無理」

 

「はー。この世は不条理で出来ているって言っても過言じゃねえな」

 

「もちろんだ。努力してばっかりの私と、怠けてばっかりの霊夢の差がこんなにあるなんておかしい」

 

「…巫女さんは結構努力家だけどな」

 

「!?」

 

「なんだって!?嘘だろ!?」

 

「嘘じゃねえよ。その努力で俺死にそうになったし」

 

「あ、ごめんなさい」

 

「今謝んなくていいよ」

 

というか遅すぎるよ。今やって通じると思ってんのかよ。

 

「ていうか、俺はいつになったら霧の湖に戻れるんですかね」

 

「別に今すぐにって言えば帰せるけど、今まで通りの生活は無理だと思った方が」

 

「よっしゃ今すぐ帰ろう!」

 

霧の湖

 

…さあ、帰ってきたぞ霧の湖!リベンジマッチ!釣って釣って飯食うしかないだろうがこれは!…釣竿ないじゃん

 

「釣竿忘れてた」

 

「釣竿…ですか。これでよければ…」

 

「お、大妖精ちゃんありがと。せいっ」ポチャンッ

 

「…あ、みすちーだ!」

 

「え?あ、チルノちゃん!一昨日ぶりだね!」

 

「みすちー!こいつが前みすちーに持って行った魚を釣った奴!」

 

「…ども」

 

「車椅子…」

 

「かかった!チルノ、引っ張り上げるの手伝ってくれ!」

 

「わかった!」ガシッググッ

 

「あ、わ、私も!」ガシッ

 

釣れた魚はアジでした。美味そうだし良いけど。どうせならエビとか釣りたいな。エビって言ったらあれだ。伊勢海老。外の世界では高級品らしい。幻想郷に伊勢海老なんていないけどさ。HAHAHA!

 

「疲れた」

 

「…アジでなんで疲れてるの?」

 

「腕に力が入らなくてね。紅魔館で栄養失調だとか言われたけど、釣りはしたいから…」

 

「!それじゃあ私が毎日料理を作ってあげるね!」

 

「お、ありがたい」

 

「感謝するように!」

 

…感謝しかないけどな。とは言わずに「おー」とぐてーってする。

 

「みすちーの料理か!?あたいも食べたい!」

 

「ち、チルノちゃん!?」

 

「鶏肉食べた」

 

「ふんっ!」ビュンッ

 

「ゴホッ!?」グサッ

 

「…包丁って投げたらあんな風に刺さるもんかね」

 

「そういうもの。それじゃあ明日をお楽しみに!」

 

「おー」

 

…今日じゃないのね。

 

「これくらい………なんのその!」

 

「チルノちゃんすごーい!」

 

「…ワカサギ、お前食わせろ」

 

「…それは、えっちい方の意味ですか?」

 

「食事の方の食わせろ」

 

「嫌です!!」

 

「じゃあえっちい方で」

 

「嫌です!!!」

 

「…明日を待つか」

 

「魚あげるので我慢してください!!!!」

 

アジ<俺は食われへんのかい。殺したるでマジ

 

「あ、アジ食ってねえじゃん」

 

「アジはね…焼くと食べれた気がするよ」

 

「マジか」

 

数分後

 

ウルトラ不味く!焼けましたぁ!

 

「不味っ!」

 

「ひどく焦げてる…」

 

アジ<いや、俺は悪くねえからな

 

「もうちょっと時間をかけずに焼くべきか」

 

「そうね…」

 

「…大ちゃん、なんか臭いよ」

 

「本当だ」

 

 

 

 

 




みすちーの話作ってねえじゃんわかさぎ姫の話作ってねえじゃんどないしよ
設定?…主人公は被害者で紅魔館組はお節介焼きでわかさぎ姫は優しさが空回りでチルノちゃんと大妖精ちゃんは無邪気な子供的なあれですよ
これでがっかりしたとか言う奴!
多分2話投稿するから黙ってろ!!


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総領娘と従者

気がつけばそろそろ100話到達しますよ。
毎日投稿辛いですよ
天界ですってよ


 

天界

 

「天子、少し疲れた」

 

「え?そうなの?」

 

「そりゃお前…3時間もぶっ通しで遊んでたらキツいよ」

 

「それもそうね。一緒に寝ましょ!」

 

「分かった分かった…」

 

そうやって俺は一緒に寝た。うーむ気持ちよし。ただ天子がいなけりゃ静かに寝れたんだが…こいつひっついてきやがる。背中に引っ付き虫みたいにくっついてしょうがない。剥がしてやるべきか?いや面倒だ寝るか

 

「総領娘様」ガチャッ

 

「zzz…」

 

「…おい、起きろ。呼ばれてるぞ」

 

「んぇ?何よ…衣玖?」

 

「総領娘様、少しよろしいですか?」

 

「?」

 

「御父様から」

 

「分かったわよ」

 

「ありがとうございます」

 

「…さむっ…よくわかるもんだなぁ」

 

「これで、また二人っきりと言うわけですね」

 

「んぇ?」

 

「なぜまだあんな女と一緒にいるのか理解できませんが、いつしか私のもとへ来ると信じて待っておりますから」

 

「え…ええ?」

 

「それでは」ガチャッ

 

「な、なんだったんだ…?」

 

それから俺は度々衣玖さんに何かを言われては天子にそんなことないよね、ね?とか言われる日々を送った。そして時は流れ残酷にも2ヶ月が経とうとした…

 

「天子…これ、なんだ?」

 

「見たらわかるでしょ?カメラって言う機械を使ってあなたの寝顔を撮りまくったのよ。あなたをいつでも感じられるようにって。無防備な貴方が、ずっと私の中で…そう思うと少し興奮するの」

 

「は、はあ?な、何言ってんだお前。そんなことあり得るわけ」

 

「あり得るのよ。現に私が感じ取ってるんだもの…ねえ、もう写真だけじゃ物足りないの。そろそろ生で舐め回したいんだけど、いいかしら…?」サワサワ

 

「くすぐったい…」

 

「総領娘様」

 

「…衣玖、後にしてちょうだい」

 

「そうは行きません。急用が」

 

「どんな急用かしら?」

 

「…御母様がお呼びです」

 

「放っておきなさい。どうせ私の頃はって言うだけだから」

 

「わかりました。ですが」

 

「言ったでしょう。後にしなさいと」

 

「…ですが、せめて彼を掴んでいるその手を離してあげては?」

 

「衣玖、今なんて言った?」

 

「その手を、離してあげてくださいと言っているのです」

 

「いつからあなたは私に口答えできるようになったのかしら?」

 

「それはわかりかねますが…」

 

「あの、少しいいでしょうか…?」

 

「何?」

 

「なんでしょうか」

 

「…俺が地上に帰ると言う選択肢って」

 

「あるわけないじゃない。馬鹿ね」

 

「そんなこと、私が絶対に許しません」

 

「何故衣玖が決めるのかしら?」

 

それを言うならお前が何故決めつけるように言うんだか。この際どうするのが正解なんだろうか…抱きしめる?横から凄まじいパワーが飛んでくるぞ。状況を見て逃げ出す?無理無理、逃げるものなら鉄拳制裁待ったなし…詰んだ?

 

バチィッ!

 

「…ん?」

 

「あっ…ゔっ…!」

 

「怖かったでしょう。だから言ったではありませんか、この子娘に変な期待はさせるなと」

 

「い、衣玖さん?」

 

「何故なら、この娘よりも私の方があなたに苦労をかけないのですから」

 

「目が怖いけど」

 

「怖い?何故?私は誠心誠意真心を込めてあなたと接しているのです。それを怖いなんて…失礼じゃありませんか?」バチッ

 

「ひっ」

 

「あぁ、ごめんなさい。怖がらせるつもりはなかったんです。そんなに精神が弱くなっていたんですね。大丈夫。私があなたを受け入れますから」

 

「あ、いや、その」

 

「なんでそんなに戸惑うんですか?良いじゃないですか、今まで頑張っていたのですから。少しくらい楽しても」

 

…違うんだよ。本格的に怖いのさ。だってお前…目がハイライトオフですよ。怖いですよこれ。俺なんすか。俺が悪いんすか。俺がやらかした結果と言いたいんすか!?

 

「そんなに時間はいりませんよね。早く答えてくださいよ」ビリッ

 

「あっ…え、えっと…」

 

「早く」

 

「あ、ごめんなさい、許して」

 

「何故謝るんです?質問に答えてくださいよ。謝罪はその後なんですから」バチッ

 

「あうっ」

 

「…さて、答えを」

 

「聞かせるものですか!」ガキィンッ

 

「!?」ドサッ

 

「はぁ…はぁ…!あんたのやってることはただの独占よ!」

 

お前もだよ。と言いたいが言う勇気もない上助けてもらったことでそんなこと言う気にもなれなかった。ただすんごい安心したのは覚えてる

 

「天子…」

 

「大丈夫?衣玖に何かされてない?」

 

「別に」

 

「なら良かった。本当に良かった」ギュッ

 

「て、天子?」

 

「良かった…はぁ…これで衣玖の物になるのは防げた。お父様に行って接触禁止にしてあげないと」

 

「お前もなんか目が怖いぞ?」

 

「真剣だからね。さて、一緒に行きましょうか。他のやつに言われないように…ね?」

 

「わ、わかった…?」

 

…なんだか波瀾万丈は1日だったな…マジで疲れが溜まりすぎて疲れマンになりそう。いや、なりたくないけど。それになる気もないし。なったら最後、永遠に疲れが取れないと言う地獄になるから嫌だし。

 

「と言うわけ。良い?」

 

「…良いよ!」

 

「結構フレンドリーなお父さんだな」

 

「そうでしょ?あ、私と一緒での接触なら良いから」

 

「分かった!」

 

これヤケクソじゃね?

 

翌日

 

「…れろっ…」

 

「んぅ…ん?あっお前何すんだコラ」

 

「何って。レロレロしてるだけじゃない。寝顔を舐め回したいって思ってたのよね〜」

 

「んっ…くすぐったいからやめてくれよ…」

 

「嫌よ」

 

「なんで!?」

 

 

 

 

 




完全に被害者なのは主人公。次にお父さん


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ヘカーティアと万年無職妖怪

ネガティブ主人公VS当たって砕けろ思考なヘカちゃん
なんて書けませんでした。


 

地底

 

「…まーたクビになっちまったなぁ」

 

「また?貴方何かやったの?」

 

「んー…さあ?俺自身仕事中の記憶とかがないしな。それにしてもこうも連続で首切られると自信が無くなっていくよ」

 

「それはダメでしょ…ここに住んでいけば良いのよん」

 

「あーどうすっかなぁ」

 

「…聞いてる?」

 

「聞いてる。家も丁度無くなったしなぁ」

 

「え?」

 

あれは厳しい出来事だった…この地底で俺の家だけ大火事。原因は分からず、周りに火が付くこともなかった。俺の家だけが、というのは少しおかしい。が、俺もそんな恨まれるようなことはしてないと思う。多分。

 

「…燃えたんだよ。それは物凄い勢いでな。クビと同時に燃えてんだ何かの因縁を感じるぜ」

 

「貴方少し疲れてるのよん」

 

「そのよんってのをやめなさい。とは言っても、流石に疲れてな。数年くらいは何も出来なさそうだ」

 

「あらあら」

 

「そろそろ地上に居る有名な巫女さんに頼んで退治してもらえねーかなーなんて思ってたり」

 

「は?そんなこと私が絶対に許さないわ」ガシッ

 

「うおっ…なんだお前いきなり怖いな…」

 

「あ、ごめんね。驚かせちゃったかしらん?」

 

「だーもうそのんを付けるのをやめてくれと言ってるだろう」

 

「ごめんなさい」

 

「謝るときは結構素直なんだよな」

 

…とは言いつつも、精神がボロボロなのでヘカーティアの家に転がり込もうかなとも思っている。部下がいるらしいからあまり贅沢は言えないと思うけどな。それまでに次の仕事見つけなきゃなぁ…毎回首切られてるからそんな期待せずに行ってみるか…

 

「じゃ、また明日かしら?」

 

「…そうなるな。仕事見つけて来ねえと」

 

「あ、そうそう」

 

「ん?」

 

「自分の体を売って稼ぐような商売したら…絶対に許さないわよ。殺してでも止めるから」

 

「止めるのに何故殺すのやら。そんな仕事、この地底だと鬼しか雇わねえよ」

 

「それならヨシ♪」

 

…なんであいつあんなに俺の心配するんだろうか?ちょっと怖いな…

 

「…不思議なもんだなぁ。鬼の四天王がビビりまくる相手だってのに」

 

翌週

 

「…不採用通知ばっか。住所が焼け跡だから手渡しで受け取ったけど…住所かなぁ」

 

「あら、また不採用通知?」

 

「黙っててくれ。こんなにも断られると流石に傷つく」

 

「そうなの…」

 

「そういうもんなの。俺は頭も身体の出来も悪いからこうなるのは当たり前なんだけどさ」

 

「そう。一人の時間が欲しいの?」

 

「平たくいうとそうなるわなぁ」

 

「…わかったわ。私が空気を読んであげるわよん」

 

「そのよんをやめなさい」

 

…その後ヘカーティアは消えていった。どうやって消えたかは知らん。そして俺は焼け跡を掘って、俺が入れるくらいの穴を作った。これで今夜は過ごすつもりだこのやろう。今まで焼け跡の上だったけど流石に恥ずかしいからな。

 

「…はーあ。不採用通知しかないってのは悲しいな…ほぼ自業自得だけど。笑えねえ」

 

翌日

 

「どう?涙流した?」

 

「流してねえって確信してるから聞いてるだろ」

 

「バレちゃった」

 

「…はぁ。すまん、引っ張ってくれ」

 

「はいはい」グイッ

 

「さんきゅ。さて今日も大量の不採用通知が届くはずだ」

 

「今日は空気を読まずにここに居続けるわよん」

 

「そのんをやめなさいっての」

 

「良いじゃないの。おしゃれかしらん?」

 

「嫌な語尾だなほんと。一通目…不採用。今の配達員も哀れみな目で見てたな今」

 

「そうなの?」

 

「そう。もう配達員の中では『不採用通知受取人』なんて言われてるからよ。それくらい俺はずっとクビになってんのさ。ていうか三十もあるのに不採用しかない」

 

「もはや強運ね…」

 

「これが運ならどれほど嬉しいことか…当たりもしない葉書を送り続けてる気分だよ。書類の時点で落とされてんだから」

 

「ふうん。もう諦めて私の家に来れば良いのに」

 

「そう考えてはいるんだがいかんせん、あんたに迷惑かけるだろうって思ってよ」

 

「…そう」

 

…不採用不採用不採用。採用は一つもない。なんでだ。ステータスか。ステータスかこのやろう。あー、もう心がボロボロだよ。悲しさで沈んじゃうよ。

 

「採用ひとつもなし」

 

「…迷惑にならないって言ったら来るのかしらん?」

 

「?なんの話だ?」

 

「さっき言った、『迷惑かけるかと思ってよ』ってことは裏を返せば迷惑じゃなきゃ住むってことよね?」

 

「ああ、まあそうなるな」

 

「それなら!今からでいいでしょ!私たちのおうちに帰りましょん!」

 

「だからお前んをやめろって」

 

「良いじゃない!」

 

ヘカーティア宅

 

「…本当に来てしまった」

 

「客人用のお部屋もあるわよん!」

 

「…ありがとな」

 

「良いのよ別に!貴方のためだし」

 

「そりゃ嬉しいこった」

 

「フフッ。だから、今からすることも貴方を思ってのことなのよん」

 

「?何を」

 

ガシャン!と音が立ってあら不思議。窓にも扉にも鉄格子。出ていくことは無理そうだ。果て客人にトイレをしたいと言われたらどうするつもりなんだろうかヘカーティア。幻覚でもない鉄格子に触れてそんなことばっか考えているといつのまにか入っているヘカーティアに話しかけられた。心臓に悪い

 

「ねえ」

 

「うわっ」

 

「何よ。そんなに驚くことはないと思うけどん?」

 

「言い方がダメだろ」

 

「…それはそれとして。私は、あなたが苦しまないように導いてあげるのよん。女神として相応しいでしょ?」

 

「それは知らんが。トイレとかはどうするんだ?」

 

「トイレ…それなら目隠しさせて私が導くわよん」

 

「逆にストレスだよ」

 

「なんで?」

 

「なんでってお前なぁ」

 

「良いじゃない。私にとってあなたはそれほど大事な人なのよん。ね?」

 

「ね?って…」

 

「好きな人を救いたい。そう思うのは妖怪も人間も神様も変わらないって聞いたわよ」

 

「知らん」

 

「じゃあ今知りなさい。私はあなたのことが好きだってことを」

 

 

 

 

 

 




せっせこらせと働いてる主人公を見たヘカーティアさん、導く使命感を感じるもそれが後々一目惚れだと気が付いたか!?
それに反し主人公!ひょろりひょろりと手の上で踊る踊る!


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狐と鴨

純狐さん!名前あってますかー!?


 

 

「…静かだなぁ。それこそ眠気を誘うくらい静かだ」

 

「…何者」

 

「俺が聞きてえ」

 

「…何奴」

 

「知るか」

 

「ふむ…消すか」

 

「待ってくれよ」

 

「…じゃあ何者か答えろ」

 

「その前に体起こしてくれ。俺がなんでここにいるのかは知らんがあそこにいたはずだ」ユビサシ

 

地球<え、あ、俺っすか?

 

「ほう。つまり貴様は穢れを持った人間というわけか」

 

「穢れ?ってのは知らんが…とにかく返して欲しいんだなこれが。死ぬのは御免だし」

 

「お前面白いな」

 

「何言ってんだこいつ」

 

…いや、ほんとなんなのこいつ。いつその口調消えるの。その口調だと喋りづらいからタメ口で良いのに。ていうか俺殺されるんですか。抹殺されるんですか?え、ちょっと冗談きついなぁ…流石に色々と問題があるよ。両津勘吉という月を開拓した奴に知らせるぞ

 

「…てかここどこ?」

 

「月だ」

 

「…え?」

 

純狐宅

 

「急に倒れるから驚いたぞ」

 

「急に酸素ないところ連れて行かれてピンピンしてるんだけど俺何人?」

 

「…私の家には一応空気があるから安心して欲しいが」

 

「本当か…すぅ…はぁ…ほんとだ!」

 

「そんなに嬉しいのか…」

 

「地上では空気が美味いとかいう言葉もあるくらいだしなぁ」

 

「空気が…美味い…?」

 

「空気が綺麗ってこと」

 

「…?」

 

ダメだ全然理解してねえ。そもそも空気の概念があるかどうかも怪しい月で空気が美味いとか説明しても無駄か。ところで私の家って言ったよね。ってことは俺女の人の部屋に入ってる?そう考えると何故か恥ずかしくなってきた…

 

「…女の人の家にお邪魔してるとか思うと申し訳ない」

 

「別に気にしなくて良いんだがな。私が好きでやっていることだし」

 

「…そういや名前とか聞いてなかったかな」

 

「純狐だ。お前は」

 

「俺?俺は鴨島(かとう)!鳥の鴨に島って書いて鴨島!わけわからん!」

 

「鳥か…知っているか?鳥は狐の餌だということを」

 

「え?」

 

「私の名前に狐が入っていてな。つまり名前通りに行くならば…」

 

「え、何?俺食われるの?」

 

「なんてな。ただの冗談だ気にするな」

 

すげー気になりますお嬢様!いえ、お姉様!と言いたいが色々と情報量が多くて処理できん。もう一回寝よう。そうしないと明日から色々と保たない気がする。というかいつ帰れるんだよ。できればアポロ11号にでも乗って行きたいよ地球。

 

翌日

 

「…地上の人間は飯が必要と聞いてな」

 

「ああ、ありがとうござます」

 

「食べると良い。栄養は偏っているが」

 

「すげえ肉がない」

 

「…やはり欲しいか?」

 

「いや、今まで肉ばっかだったからこっちも良いかなって」

 

「そうか。それは良かった」

 

…噛み付いたは良いものの、そうジーと見られていると食べづらいというか…ていうか何これ美味すぎん?新種の野菜?野菜炒め?味が口の中でメガンテしてるよ。ハーモニー奏でながら自爆スイッチ起動したよ。美味いよ!

 

「美味い」

 

「…久しぶりの料理だったから自信はなかったが、美味しいのなら良かった」

 

「そういえばこれなんの野菜?」

 

「気にしない方がいい」プイッ

 

「え」

 

…あ、もしかしてカニバリズム的なアレだったりする?

 

「ま、食材なんていちいち気にしてたら食いきれんか」

 

「ああそうだとも」

 

数分後

 

「ごちそうさまでした」

 

「お粗末様でした」

 

「…ところでいつ俺帰れるの?」

 

「さあ?」

 

「…そっか」

 

多分これは自力で帰る策を考えないと脱出できないなこれ

 

一週間後

 

「美味しいか?」

 

「…肉」

 

「ああ。肉だ。栄養を考えて作ったんだ。食べてくれ」

 

「肉も美味いんだが…食べたことないなぁって」

 

「知らない方がいい」

 

「それもそうか」

 

「…あと、聞いておきたいのだが」

 

「え?」

 

「貴様は…鴨島は帰ろうとしているのか?」

 

「え、いや別に」

 

「そうか。それは良かった」

 

…!?!?!?!?何、考え読まれてた!?え、やばい今ものすごい焦ってるし動揺してるよ絶対!?やだこわい!助けて神様仏様女神様ぁ!

 

翌日

 

「おはようござます」

 

「ああ、私戦争に行ってくるから」

 

「はい?」

 

「停戦の約束をしようと思ってな」

 

「そりゃ良いことで」

 

「じゃあな」

 

月の都 お偉いさんがいるところ

 

「…いたっ。矢に紙くくりつけてるとか原始人かな?」

 

「姉様、開けてください」

 

「ひらりと…純狐から。停戦の申し込みにそちらへ行きます」

 

「嘘つけぇ!」

 

「心外ね」

 

「あ」

 

「…停戦の申し込みに?」

 

「ええ。色々と事情がありまして」

 

「フフ…深くは詮索しないであげるわね。正式に停戦ってわけで」

 

「ああ」

 

戻って純狐宅

 

「…よくよく考えりゃ月の重力って地球の6分の1なんだっけ」ビョーン

 

「ただいま」

 

「はやっ」

 

「…お帰りは?」

 

「え?あ、おかえり〜」

 

「よろしい」

 

…何故よろしいんだ…わからん。乙女心というやつか。乙女要素を聞きたいが口に出さないでおこうなんかすごい睨まれてる怖い怖い。知らぬが仏、触らぬ神に祟りなし。逃げる姿に追う悪魔有り…やめとこ。

 

「…あったときに言ったな」

 

「何を?」

 

「名前についてだ」

 

「…あ、鳥は狐の餌だっていうあれ?」

 

「ああ。まあ私は純粋な狐と書いて純狐だが…な。私は餌を絶対に逃さないタイプでな」

 

「食い物の恨みってのはすごいらしいからね」

 

「私は鴨島が気に入った。お気に入りの餌だ」

 

「え?」

 

…ちょ、ちょっとやだこの子ったら何を言ってるのかしらウフフ〜…え、まじで何?俺これで『餌はお前だぁ!』って言い返せば良いの?え?やだわかんない

 

「そもそもおかしいとは思わないか?通りすがりの、いきなり倒れた男を女が介護するなど」

 

「そ、そうだけど…お、お前が餌だー!」

 

「やはり面白いな!」ガシッ

 

「わわっ」

 

「ますます離したくないな!月の都から蓬莱の薬を持ってくるとしよう!」

 

「え?え?」

 

「そうすれば私はお前と一緒になれるんだ!お前は浮気なんかしないよな?」ギュッ

 

「う、浮気も何もまだ付き合ってすらいないんだけど」

 

「は?」ボキッ

 

「しないよ!」

 

「そうだな!これで一緒に…」

 

 

 

 

 

 

 




地雷原踏んだ主人公と面白いから介護したら面白すぎて独占欲が働いた結果浮気しないようにした純狐さん。
鴨島と書いてかとうはやりすぎたと思っている。反省はしない


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永琳先生と下半身付随

何やるのか前書きやってる時点で全く決まってないと言う圧倒的矛盾!!
だからこそ書いている途中に決めるのだ!!


 

永遠亭

 

「…頭痛い」

 

「そう。それは精密検査が必要ね。具体的にどこが痛いのか言って頂戴」

 

「そうだな…ここから…ここを…糸でピンと張った感じ」

 

「うどんげ、今から治療を始めるから準備してきて」

 

「言っておきますけど師匠例えですからね?」

 

「…そうね」

 

…なんだかものすごーく申し訳なくなってきたぞ??おかしいな??俺何もやってないのに。大体、足の動かん奴を病院に入れてなんの楽しみがあるのやら。あれか?『こういう人間は里では邪剣扱いされる。だから実験が云々』か?死んでもあー、なるほどで済むからか?

 

「…うー、流石に冷えてきたな。何かなかったかな…」

 

「ここにカイロ20個持ってきたわ使いなさい!」

 

「師匠?」

 

「人肌で温まりたいのかしら!?」

 

「師匠!?」

 

「今気がついたんだけど」

 

「今まで気絶状態だったの!?」

 

「俺よくよく考えりゃ上の服着てないじゃん。ていうか健康診断の途中じゃん。やってくださいよ」

 

「おっしゃ任せろ!!」

 

「師匠?どんどんドクターからやばい方のドクターになってますよ?」

 

「ドクターマリオだって無茶苦茶な薬作ってウイルスを絶滅させたのよ」

 

「いやマリオはヤブ医者でしたから」

 

「…くすぐったいな」

 

この時、八意永琳に電流走る。もしやこれは医者という立場を利用したアレができるのではないか?その考えがよぎってからの行動は光の如き速さであった。

 

「ん?ここら辺何かおかしいわね」トントン

 

「ちょっ、そこつつかないで」

 

「うどんげ、長引きそうだから他の患者さんの見てきなさい」

 

「あ、はい」

 

…その時、停電が起こった。いや幻想郷に電流とかなんやねん。ていうかこの医者ちょっとクレイジーすぎるぞ。なんか、怖い。すんごい怖い。蛇に噛まれた蛙だよほんと。

 

翌日

 

「ん…」

 

「あら、起きたのね」

 

「体半分動かないやつに起きないは少しダメージがあるぞ」グサッ

 

「なんですって!?」

 

「例えだって」

 

「良かった」

 

「…ま、そんなに心配してくれるのは嘘でも嬉しいけどさ」

 

「嬉しい…ふふっ」

 

「それとあと一つ言いたいことがあるんだが良いか?」

 

「え?」

 

「…なんで夜になるまで俺起こしてくれなかったの?」

 

「寝顔が美しいのがいけないはい論破」

 

人里

 

「俺を連れてきて何がしたいんだか」

 

見せ小屋か。俺を見世物にして金儲けするつもりか。ばかめ足動かないやつほど違和感すげえのは計り知れねえんだぞこのやろう。まだ偽物の方が騙せる。

 

「えいっ!」ブンッ

 

「あだっ」ゴツンッ

 

「!?カバー!」

 

兎共<イエッサー!

 

「…いつつ。何?外の世界でいう大統領になったの俺?」

 

「月の賢者はこれくらいの地位はあるのよ」

 

「元だったよね最初会った時」

 

「さあ?」

 

「天才と馬鹿は紙一重って言うけどなぁ」

 

「…ところで」

 

「ん?」

 

「あなたを見る周りの目、わかるかしら?」

 

優しく声をかけたつもりだろう。嫌な気配ビンビンだ。流石に恐怖するぞこのやろう。というか質問の意図がわからない。わかりたくない。しかし気になってしまう。周りの目が。いやまあ奇妙なものを見る目だったけどさ。

 

「…だから?」

 

「あなたに対して今石を投げつけたいと思ってる人、何人いるのかしらね?」クスクス

 

「え」

 

「ほら聞こえてくるでしょ?耳を澄ませて…」

 

『あんなのとっとと殺して良いのに…』

 

「みんなお前が消えることを願ってるのに」

 

『なんでお前はそんなに』

 

「あ…」

 

「ああごめんなさいね。大丈夫、私はそんなこと思ってないから」

 

…嘘つけ。お前が言ってきたんだろう。と言いたいが口が開けん。まるで人形のように開かなくなってしまった…なぜだ。わからんな、わかりたくもない。この医者、ただのヤベー奴じゃねえか?

 

「嘘つけ」

 

「本当よ。嘘だったらとっくの昔に殺してるわよ」

 

「最初はいい風に見せるってのはヤベー奴の決まりらしいが?」

 

「…そんなに疑うの?」

 

「もちろんだ」

 

「そう…悲しいわね」

 

永遠亭

 

「…どうやって退院しようか考えものだなこりゃ…」

 

「退院?」

 

「うわっ…なんだ兎か」

 

「うさぎとは失礼な。高貴なうさぎと言うウサ」

 

「わかったわかった」

 

と、今思ったが監視カメラなるものがこの部屋には仕掛けられているらしい。そしてこの兎は悪戯好きらしい…話すのはやめておこう。お医者さんに殺されかねない

 

「なんでもねえな」

 

「ふーん。退院ってのは?」

 

「出来たらいいなぁって。足が動けりゃ退院なんだからよ」

 

「あー、なるほど」

 

「なんの話をしているのかしら?」

 

「うおっ」

 

「私はこれで」ソソクサ

 

「…お医者さんか」

 

「そうよ。で、何を話していたの?」

 

「退院できたらいいなぁって」

 

「は?」

 

「退院=足が動くだろうが」

 

「…ああ、貴方は歩くのが夢だったのね」

 

「夢は叶わないから夢って言うらしいけどなぁ」

 

そういうと何故かお医者さんは椅子に座った。なんで椅子に座るかは知らないが健康診断などはなかったはずだ。多分、多分だけど。それに今日くらいは安静にしなさいと昨日言われたし

 

「貴方が退院なんてできるわけないのよ」

 

「え?」

 

「例え貴方の足が動いても私がさせないもの」

 

「…権限の使い方よ」

 

「良いじゃない。気に入った患者は貴方が初めてだもの」

 

「嬉しいような嬉しくないような」

 

「要するに…わたしが気に入ってる貴方を退院なんてさせないわってこと。人里に行ったらまたああ言うこと言われるのよ?」

 

やめろ。そう言う連想ゲームは俺の心に効く。効果は抜群だ!

 

「それは」

 

「関係ないなんてことはないの。ここにいればそんな目で見られることもないんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最初っからヤベーやつに振り切った八意先生、足が動かなくなって惨めな扱いをされてもまだ根性出るところを叩き潰したくなり気に入った模様。
主人公は被害者


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悟り妖怪と受付 3

新作で出てきたささやき戦術の狐ちゃん可愛いね!!!!!!!
タイムラインだとただのえっちい狐ちゃんだけどね!!!!!!
58話だったかな。その続きです。作った気はするが作られてはいなかった
61話だったらしいよ!ありがとう!!


地底 地霊殿 お部屋

 

「…呼ばれて飛び出て」

 

「おや、ようやく来ましたか」

 

「ようやくって…いつから待ってたんだよ」

 

「こいしに言いに行かせた頃からずっと」

 

「こええよ」

 

「何故です?…まあ良いでしょう」

 

…いや良くねえよ。もう良いわたしは帰らせてもらうと言いたいが扉をチラリと見ると…お燐ちゃんが扉の前で立っていた…扉一つ、窓一つ。まだ窓があるじゃないかお空ちゃんごめんそこ陣取らないで陣取りゲームなら後でやってあげるから

 

「…」

 

「何故出ることを考えるんですかね?さて、お話ですが」

 

「僕が掌底食らったお話ですよね」

 

「はい。その件についてはわたしが悪かったと大変反省しております」

 

「…そう」

 

「ですので、こちらをどうぞ」

 

スッと出てくるは謎の四角い箱。なんとも言い難い箱だこれが呪われた箱と言われれば首を傾げ幸せを呼ぶ箱と言われたら首が180度回るだろう。

 

「…これ、何?」

 

「お菓子です」

 

「菓子。振るとむっちゃ水の音するんだけど」ブンブン

 

箱<ペチャペチャ

 

「…間違えました。飲み物です」

 

「ふーん」

 

「お口に合わなかったらお取り替えをしますので、今飲んでいただければと」

 

「わかりました」

 

ぱかっと開いてあら不思議。これ飲み物?俺の知ってる飲み物ってのはオレンジや紫、赤、透明、白、緑、青はあっても…二酸化炭素入れで振った石灰水みたいな色は初めて見るがそれは一体…

 

「色は気にせず、どうぞ」

 

「ああ、まあ」ゴクッ

 

「…どうでしょうか?」

 

「…むっちゃ酸っぱい…」

 

「そうでしたか。お取り返します。お燐、やはり飲み物はりんご派よ彼は」

 

「外しましたか…」チッ

 

「おい」

 

全く客人をなんだと思ってるんだか。大体長編の話だってハーレム系で終わりだからな。八雲紫なんか3回くらいでてるからな!ヒロイン役で!!ちっきしょう色々と疲れが回ってきたぜ

 

「…ところでおにーさん」

 

「ん?」

 

「顔、少し汗があるよ?」

 

「いやあるってお前…そりゃ緊張して汗はかくだろ」

 

「…ハンカチで拭いたら?」

 

「話は組み合わないがありがたくいただこう…お前頭はパッパラパーなのにハンカチは白なんだな」

 

「失礼な!?」

 

その頃キッチンでは

 

「…!」

 

「どうしましたさとり様?」

 

「お空が動き始めたわ…!」

 

「・・・?」

 

「クッ現場に居れないのが辛い…!!」

 

戻ってお部屋

 

「だから、俺が拭くからいいって」

 

「やっだもーん!」

 

「それじゃあ拭かなくて良いや」

 

「なんで!?」

 

「なんでってお前…」

 

「じゃあ拭かないから!」

 

「それが当たり前だよ!?」

 

「…はい」ムスッ

 

なんでお前がムスッとしてんだ俺がムスッとしたいよ。人の気も知らずに…感情の起伏によって羽がバッタバッタして毛が散るからなぁ。

 

「ふー…」

 

「えい!」ギュッ

 

「もごっ!?」

 

「…さとり様に褒められるかな〜♪」

 

ガチャッ

 

「お空!」

 

「さとり様!」

 

「…麻酔ハンカチを使ったのね?」

 

「うん!」

 

「…参ったなかなり精神が強いぞ…?」

 

「お燐は黙ってて。良くやったわお空!お礼として一年彼との触れ合いをあげましょう!」

 

「いえーい!」

 

「…?ん?え?んん??」

 

翌日

 

「…はっ」

 

寝てた。ギュッと抱きしめられて寝てた。本当にスッと寝た。寝たことに気がつかないとはこのことだろうか?色々と悲しい人生だな。まだそんな歳行ってねえはずだけど…?

 

「あ、ようやく起きたねおにーさん!」

 

「あ、お空ちゃん。おはよう。俺いつ寝た?」

 

「え?何言ってるの?だっておにーさんここに来て飲み物飲んだ途端倒れたんだよ?」

 

「え?俺確かお前にハンカチ押し付けられて…」

 

「倒れたんだよ?」

 

「…そうだったかなぁ…」

 

「そうなの。それでわたしのお部屋にって!」

 

「さとりさんか。そろそろ帰らなきゃ温泉の受付しねえと」

 

「え?」

 

「…え?ってお前な…」

 

「おにーさんここに住むんじゃないの?」

 

「はぁ?」

 

「おにーさんってばおっかしー」

 

…おかしいのはお前だと言う気持ちをグッと堪えてさとりさんに確認を取りに行こう。そうしなきゃ流石に信じられん。そうだ、幻を見たんだ絶対。

 

「つーわけなんですけど」

 

「え?わたしとのお話内容はここに住むかでしたよ?まあ疲れているのか会話が噛み合ってませんでしたけど」

 

「…そうなのかなぁ。俺、そんなに疲れてたかなぁ…」

 

ここからお燐のターン!

 

「…え、何あれは(恐怖)」

 

翌日

 

「はっ」

 

「おや、起きましたか。そろそろご飯ですよ」

 

「んぁ、ああ」

 

…なんで?なんですっかりここの一員になってるの?教えてさとり様?聞こえてるんですよね?聞こえてんだろ?ていうかどうなってんの?温泉の受付に対する愛の暴走?愛の力って言うやつ?え?お空が眠らせて…なんだっけ!?

 

「…お空」

 

「ん?」

 

「お空ってあの人のこと好きなの?」

 

「好きだよ!でもさとり様の方が好きらしいよ!」

 

「…さとり様の方が彼のこと好きって意味ね。どんな具合に比べたのさ」

 

「寝顔写真とか監視カメラとか一日何度負の感情を感じるかとか色々と」

 

「」

 

…まずい、うちの当主が犯罪に片足突っ込んだ。と言うかもう手遅れだった。どうなってんの?マジでどうなってんの?愛の暴走なんですよねさとり様?もうダメだわたしには到底理解できない。絶対理解したくない。いやまずできない。

 

「…????」

 

それから数ヶ月が過ぎ…男は出ることを諦め「自分が言ったのなら」とここに住むことになった。それまで地霊殿の変化は当然あり…

 

「…あれ、俺のパンツない」

 

「え?」

 

「…知りませんか?」

 

「ああ、一気に洗濯したかもしれませんね」

 

「そうでしたか」ガチャッ

 

…ああ、さとり様。何故です。何故なのです。最初は「何着て行こうかしら?」など恋する乙女!!だったのに………今ではただの変態仮面。あの人も流石に小柄なさとり様の下着が彼の下着だなんて気がつかないでしょう。考えもしないはずです。

 

「…お燐?」

 

「ひゃっ!?」

 

「…何でそんなに驚くの?」

 

お前が一番ヤベー奴だからだよと言う言葉を飲み込んで、一言だけ言ってわたしはその場を去った。

 

「お空…それ、あの人が着てる服…だよね?」

 

「うん!だっておにーさんの匂いが詰まってる服だよ?手放すわけにはいかないよね!」

 

「」 

 

文字通り、わたしはそこから逃げ去った。

 

 

 

 

 

 




ネクスト転職お燐ちゃん!
永遠亭!

…なんかもうネタに極振りしたみたいになってんな


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紅魔館ハーレム

紅魔館ハーレム…その一!
春日を養える力があること!!


紅魔館

 

「…きっつー」

 

「そうかしら?」

 

「ええそうですとも。そりゃもう色々と面倒な」

 

「何?」

 

「…何でもないです」

 

気迫に負けてせっせとお掃除お掃除。雑巾掛けなどカーペットの敷かれてる床には似合わないであろうやり方で床を拭いている。足と腰がきつい。そろそろぎっくり腰になるぞ?なんならいつの間にか骨折になってまうぞ?

 

「あら、ちょうど良かった」

 

「んぇ?」

 

「どうしましたかお嬢様」

 

「彼、借りて行って良いかしら?」

 

「わかりました。行けよオラ」

 

「ヒェッ」

 

そんな言い方しないで泣くぞかなり良い歳した奴が泣くぞ。とは言えまだ10代だが。歳もクソもあってたまるか。

 

「…で、なんです?」

 

「私の部屋で話しましょう」

 

…俺、血吸われたりしないよな?

 

レミリア部屋

 

「…わー綺麗なお部屋ー」

 

「そんなことはどうでも良いのよ。あなたに一つ聞きたいことがあってね…」

 

「なんでございましょうか」

 

「貴方、最近外部の人間と接触してるらしいじゃない」

 

「接触…話してはいますね」

 

「今後一切禁じるわ。美鈴を通しての伝言ゲームもダメよ」

 

「…何故?」

 

「さあ?強いて言うなら…この館で一番弱い貴方が、外に連れ出されて妖怪にばったり…なんてことにならないようにしてるのよ」

 

「妖怪…んなこと言ったらお嬢様も妖怪でしょう。ついでにメイド長も」

 

「咲夜は道具の力。私は確かに妖怪だけど、めちゃくt…コホン、能無しの妖怪みたいに人間を食べたりはしないわ」

 

「誇りだとかなんとかでしたっけ」

 

「ええ」

 

…そんな誇り捨てちまえと言ったら多分首落とされるだろう。この館では常日頃から気を遣わなければならない。ちょっとした油断がかなりきつい立場を作ることになる。あたしゃ死にたくないねぇ…

 

「…それで、話はそれだけでしょうか?」

 

「そうよ。あとは…美鈴にも構ってあげたら?大体暇だし」

 

「りょーかいしました」

 

…めんどくせー

 

!門!

 

「うっす」

 

「うわっびっくりした」

 

「今日付けで外部の人間との会話が禁止になりました。伝言もダメだそうです」

 

「…そうでしたか」ニッコリ

 

「何でそんなニッコリしてんだか。それとご飯です。メイド長がおにぎりだけで良いと」

 

「私のことなんか別の物体に見えてるんでしょうか」

 

「さあ?」

 

…別に良いのだ。こういう、何もない時は。前なんか月が止まったとかなんとかで起こされて。異変が起きれば起こされて。可哀想可哀想。

 

「それでは」

 

「あ、待ってください」

 

「…なんでしょう?」

 

「こっち来てください」

 

「あ、はい」

 

…鉄拳制裁?

 

バンッ!!

 

「いあっ」ビクッ

 

「あ、驚きました?外の世界で流行ってる壁ドンという奴ですけど」

 

「怖い」

 

「やっぱりそうですよね…」

 

やっぱりとはこの人俺のこと殺す気かな。いや、多分殺す気なんだろうな。だって顔がマジだったもん。手があった場所見ると魔法強化とかなんとかで魔物の自爆でようやく傷ができるくらいのレンガが凹んでるもん。

 

紅魔館

 

「ってことがありまして」

 

「ふーん」

 

「…あれ、これどこですか?」

 

「ああ、それはあっちね」

 

「んしょっ。ありがとうございます」

 

「良いのよ。あ、それと…」

 

「ん?」

 

「今日の夜私の部屋で待ってなさい」

 

「…え?」

 

もしやこれは妖精メイドが噂するやべー説教では?

 

その夜 十六夜部屋

 

「zzz…」

 

「俺に目もくれずさっさと寝た…」

 

「んんっ…」ギュッ

 

「しかも抱きつかれて…これがハーレムだったら外の世界で流行りハットな漫画なんだがなぁ」

 

「…」

 

「まあ人生そんなもんか」

 

「あむっ」

 

「甘噛み!?」ビクッ

 

翌朝

 

「んんーっ!よく寝た…」

 

「…zzz」

 

「まだ寝てる…そっとしておくか。俺はさっさと飯食って掃除でも」

 

ガチャッと大きな音が鳴り出ていた姿はお嬢様。何かあったのだろうかすごい急いでる感じが見て取れます。

 

「…咲夜が熟睡している…!?」

 

あ、それは職業が向いてないからだと思いますお嬢様

 

お昼時 門

 

「なんでこうなった」

 

「さあ?貴方に霊夢さん来てますよって口滑らしたら当然の如く対応しようとしたじゃないですか」

 

「いや、途中で思い出したんだから良いでしょって別に」

 

「ダメです。というか絶対に許しません」

 

…そう言えば昨日の夜から飯食ってないなとか思いつつ鶏肉を頬張ったりしたいなぁと夢を膨らませる。目がマジな壁ドンをされて現実逃避しない奴がいるものか。いない。絶対にいない。ただただクッソ怖い

 

「聞いてます?」

 

「あ、聞いてます」

 

「紅魔館の人妖と話すなって言われているのに…いけない子です」

 

「何言ってんだか」

 

バゴッ!!と音がなり今度は手形ができた。もう怖い

 

「いっ」ビクッ

 

「ああ、ごめんなさい。ついうっかり…守れますか?接触禁止。守れますよね?」

 

「わかった…まもるから…」

 

「それでよろしい♪」

 

紅魔館

 

「あれは心臓バックバクでしたね」

 

「は?」

 

「…え?」

 

「美鈴に?」

 

「うん」

 

「そう…それじゃ、上司としては見逃せないわね」

 

「ですよね!注意してきてくださいよ注意!」

 

「何を言ってるのかしら?」

 

「え」

 

「わたしはあなたに注意するのよ?」

 

「ど、どゆこと?」

 

「あなたがこの館に来た時、助けたのは私。判断を下したのはお嬢様だけど、妹様だったら…」

 

「なんの話?」

 

「…あなたがこの館に来た時からずっと手懐けたいと思っていたのよ♪」

 

「そ、それはどういう」

 

「…楽しみにしておきなさい♪」

 

あ、ちょっと何言ってるかわからんけど今日俺の部屋で寝たらメイド長に酷いことされるよな…お嬢様の部屋に無理言って泊まろう。

 

 

 

 

 

 

 




十六夜さん→一目会ったその日から手懐けたいと
美鈴さん→何故私ではなく外部の人間と?紅魔館の人たちに100歩譲っても殺すぞ?
レミリア→お前の運命から救ってやる!お前が望む結末へ!言わなくてもわかってるから!(わかってない上に自分を少し絡める)

主人公→多分死にはしないから大丈夫…?
あれ?もしかしてこれやべーハーレムゲーになってない?ちなみにレミリアさん新劇場版のカヲル君化してる気が…


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ピエロと月面野郎

月面探索ルナティックターイム!


 

あの月

 

「…え?また出撃?」

 

「らしいよ。まーたあの妖精が来たんだって。頑張るしかないけどさ…」

 

「…クソだな」

 

「同感だ」

 

ヤベー奴が現れるやべー月面

 

「…ぬんっ!と」

 

「お前のやる気の入れ方変だよ」

 

…言わんでくれ。一応傷つく。とは言ったものの、俺自身あのやべー妖精に対して何かしようとも思ったことはない。毎回あいつと出会いはするんだが、俺は通り過ぎてる。あいつが死ぬと困るんだ。訓練をサボる時間が減るから。

 

「ま、やる気なんかないんだけどね」

 

「嘘だろ」カチッ

 

…今なんでハンドガン俺に向ける?

 

「さて、戦争の始まりだ野郎ども」

 

「別に妖精はどうってこと無いんだけど待ってなんか一人増えてない?」

 

「双眼鏡双眼鏡…黒と赤の服着た金髪女がいるぜ」

 

「ヒューそりゃきっとナイスバディなんだろうな」

 

「ちなみにこっち見」バヒューン

 

「…喉元やられちゃって。はー…こうなったら特攻だ!」ヤケクソ

 

「イッツルナティックターイム!」

 

なんて事言いやがる。今隣で喉元撃たれた友人がいるんだぞこんちくしょう。まあ良いやめんどくさい。撃て!撃て!隣の女もついでに撃て!

 

「うわっ」バサッ

 

弾<微塵になりました

 

「嘘やん」

 

「貴方ね?今私を撃ったのは」

 

「うわっびっくりした」

 

「…2倍にして返してあげるわ!」

 

「あー待ってくださいよ友人様!」

 

「…とりあえず酒飲むか」

 

「どうしたの?」

 

「私が狙ってるんですからね!!」

 

「何故?」

 

「私といっつも出会うのに通り抜けてるんですよ!絶対目合ってるのに!」

 

「あらあら…」

 

「…え、マジ?」

 

「ん?」

 

「え、俺狙われてんの?」

 

「ソウだよ!毎回通り過ぎるから腹立って!」

 

「いや知らねえけど…そんなピチピチタイツで恥ずかしく無いのか?」

 

「こいつデリカシーというのが無いぞ」

 

「想像以上に変だった」

 

「失敬な」

 

とりあえず酒飲もうとして飲めてないのは置いといて。俺狙われてんの?マジで?え、やだ死にたく無い。

 

「んー…考えるのめんどくせ。あーもう寝よっかな〜。どうせなら寝てる間に闇討ちとかで死ねないかなー」ドサッ

 

「…なんだかすんごい腹立つわね」イラッ

 

「友人様は手を出さないでよ?」

 

「分かったわ。他の奴らで発散してくる」

 

「…行ったかな」

 

どうだかな。ただただ殺してくれねーかなーなんて思ってる。だって俺そしたら永遠に眠れるもん。眠るって心地いい!え?戦場では寝てはいけません?知りませぬ。俺は寝る!寝るんだよぉぉおぉぉ!

 

「どうやらあの人行ったっぽいね。酒飲む?」

 

「おさけはダメってご主人様に言われてるの!」

 

「ふーん。ご主人様ねぇ。あー、お前より上の奴が存在するとか考えると少し頭痛くなってきた」

 

「そんなことよりあそぼ!」

 

「…ガキだな」

 

「なんだと!?」

 

「…もうそろそろアイツが来るぞ」

 

「え」バゴッ

 

「ちゃんと戦いなさい!」

 

ヤッホー来たぜ兵士のアイドル鈴仙ちゃん。今俺を見てるような冷たい目がヒヤリハットな感情にさせてしまうのだとか。知らんがな。とりあえず俺は兵隊の中でも下っ端だからお目にかかることなんてないんだが。成績優秀なアイドルさんにはね。

 

「…酒飲む?」

 

「飲まないわよ!ほら、早く立って!」

 

「…はいはい。弾はかなり残ってるんで…どうです?要ります?」

 

「自分のために使いなさい!」

 

「チッ。ざけんじゃないよ」

 

「ふざけてるのは貴方でしょ!」ババババ

 

「どけーい!」ゲシィッ

 

「へぶっ」

 

「…おー鈴仙ちゃん飛ぶね〜」

 

「あんたの隣はあたいのもんだ!」

 

「嬉しい主張なんだがね…そういうの、嫌いなんだよ」スッ

 

まあ、どんな手があろうとも倒せって言われてるから。倒そうとしたけど全く効きませんでしたってのもアリだよね。手榴弾足元にぶん投げたってよ。俺はバチ当たらねえよな。鈴仙ちゃんが言わない限り

 

「何それ?」

 

「どうか、死を」ポイッ

 

ドッカーン!と俺の腰が飛ぶ。やはり上半身は飛ばない。手の指がいくつか飛ぶくらいだなんでだこのやろう。

 

「…これが奥の手?」

 

「そ。もう腰から上もないから遊びも」

 

「気に入った!」

 

「え?」

 

「お前の自爆するついでに相手を殺そうとするやり方!気に入った!」

 

「…」

 

「お前をあたいのにしてやる!この戦争が終わったら!!」

 

「嬉しい施しなんだが…ことわ」

 

「は?」

 

「…断る」

 

「なんで?」

 

「月はいいぞ。タダ飯食えて、酒ももらえて…」

 

「だから?」

 

「…その松明、俺は見ねえぞ」

 

調べてもないがなんとなく危険だと思ったので見ないことにしました。の意味だがそれっぽく言えばそれっぽく聞こえるだろう。目を瞑るくらいしかできないが

 

「…見て」

 

「嫌だ」

 

「見なさい」

 

「断る」

 

「見ろ!」ガシッ

 

「痛っ!?」チラッ

 

「…ほら、ルナティックタイムだよ」

 

「シュールすぎる」

 

「それじゃあ狂ってね」

 

「は?」

 

待て、なんか頭の中がぐちゃぐちゃにされていく気がするぞ。目を瞑れ。なんでだ。なんで目が開くんだ。おいこら。ちくしょう腕も動かねえ!どうなってんだおい!この…!

 

「て…め…」

 

「すごい!あたいの松明の火見てここまで耐えれたの、貴方が初めて!やっぱりすごいね!」

 

「あ…」

 

「…さて。さっさと連れて帰るかぁ。ご主人様に怒られないと良いなぁ…友人様にっ!?」ヒット!

 

「置いていきなさい…その男を」

 

「怖いなぁ…ああ、怖いなぁ…あたいの大切なこいつが、その武器で壊されちゃうのが怖いなぁ…」

 

「…っ」

 

「えーと…これだ」

 

「!?」

 

「目、瞑ってろよ!」

 

「え!?」

 

「っ!」

 

馬鹿め。俺が大人しく捕まると思ったか。アレはちゃんと見なきゃダメな代物だろう。急に視力悪くなったから助かった。そして今投げたのは閃光弾じゃない。スタングレネードだ。確か違った気がする。

 

キーンと耳鳴りがしてたまらんなぁ

 

「…っと。へへっ。ガキは騙しやすくて楽だ。あ、アイドル気絶してる」

 

「…ねぇ。今のでダウンすると思った?」

 

「え?」

 

「いけないなぁ。悪い子にはお仕置きしなくっちゃ」

 

「聞こえてんのか?」

 

「何言ってるか聞こえないけど…多分、謝ってるんだよね?」

 

「聞こえてねえのかよ」

 

「でも、謝ってももう遅いから。フフフ…」

 

 

 

 

 

 




スタングレネードと閃光弾は違うらしいです。
視力クッソ悪いのになんで鈴仙ちゃんって分かったんだろうね。
クラピ…頭のイカれた奴発見!保護します!!精神

主人公…お前に死なれちゃ困るんでな(イケヴォ)精神で通り過ぎてたら魅入られた死す。


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大図書館と紅魔館

設定が何一つない俺VS設定を求めるみんなVSダークライ

ちなみに今回は終わった方の紅魔館です。それぞれが恋をしちゃった紅魔館です。恋魔館です。
多分パッツェさん視点です。許せ


紅魔館 図書館

 

「…最近ただのやばい恋愛達が増えてきて面倒ね」

 

「パチュリー様。私の愛しい彼を寝取ろうだなんて思わないでくださいよ!!」

 

「すまん小悪魔さん俺いつ貴方に告白しました?」

 

…おはよう諸君。この回での私は君たちの存在に気がついてる前提で話していく。メタいだとか、二次創作としてどうなのかとか、見てられないとか、そんなのはどうでもいい。そんなのこの二次創作に求めるな。ただのパクリもんだからなこの作品

 

「小悪魔…貴方疲れてるのよ。彼は私のものよ」

 

「パチュリー様?」

 

「パチュリーさん?」

 

「…あっといけない。そう言えば最近レミィが男見つけてきたのよ」

 

「へー」

 

「…あの周りから行き遅れって罵倒されてるレミリアさんですか」

 

「やめてあげなさい」

 

…多分、本人の前で言えば運命が滅びるだろう。

こう、グングニルで根絶やしに。アレを扱うのはレミィだが、扱えるのは能力あってこそだ。

あんなわがままな子供にアレをプレゼントするなんて親は何を考えているんだか。

 

「…とりあえず様子見に行ってみましょうか。ついでに咲夜と美鈴とフランも」

 

「ついでの方が多い」

 

地下室

 

「じゃんけんぽん!」パー

 

「んな!?」グー

 

「フランの勝ちぃ!」

 

「何故だ…!!」

 

「これでフランが760勝!お願い一つ聞いてもらうよ!」

 

「わかった…」

 

…なんだろう。なんだろうか。このカップルらしき行動をしている子供達は。

しかし恐ろしく眩しい。自分が悲しく惨めに見えてきてしまう。

あれ、おかしいな。涙が出てきた。おかしいな…

 

紅魔館 廊下

 

「うぅっ…」

 

「大丈夫ですから」

 

「そうですよ。チャンスは」

 

「貴方が潰したのよ!?」

 

「あ、あはは…」

 

「あ、咲夜さんだ」

 

「ヤツはまともじゃないから見てられる」

 

「そーっと…そーっと…」

 

「何をしているの?」

 

「えっ」

 

「こっちへ来なさい」

 

「ちょっと、それは少しおかしいのでは」バタンッ

 

扉<アレだけは!アレだけはやめうぎゃぁぁあぁぁあ!?

 

「…覗こう」

 

「神経が考えられん」

 

「同感です」

 

お仕置き部屋…

 

「あっぐ…あ…ごめんなさっ…」

 

「まったくもう…手間取らせないでよね。良い?次脱走しようとしたら…もっと可愛がってあげるから」

 

「ひっ」

 

「何を怖がってるの?」

 

「あ、いや…」

 

「…ふふっ。良いわ、許してあげる」

 

「あ…」

 

「まあ次脱走したら10倍にするけど」

 

…見なかったことにしよう。ついでに聞かなかったことにしよう。

彼は脱走しようと全力を尽くし咲夜に捕まった。それで良いのだ。

…ちなみに10日後また同じ行動をして捕まったらしい。その時彼の姿は…考えるのをやめよう。

 

「無になるのよ…」

 

「頭痛え」

 

「アレはひどい…」

 

「あ、レミィよ」

 

「よっしゃ貶してきます」

 

「運命壊されるからやめときなさい」

 

「ご飯」

 

「…ごめん私前貴方と触れ合った時どんなふうに喋ってたかしら?」

 

「すいません俺に聞かないでくれますか?」

 

「…小悪魔、彼らに記憶を」

 

「無理です」

 

「あ、それと…」ガプッ

 

「え?」

 

「血を少し…」

 

そこから乙女のような恋愛が広がった。

首筋にキスをしているかのようなレミィとそれに対して表情が著しく変わる男。

それに対して何故だろうか。今まで貶せていた親友が遠い存在に思えて仕方がない。

…今日は図書館に戻ったら泣こう。

 

「…まさかフランにも続けて姉妹揃ってやべー奴とは…」

 

「健全と言いましょう」

 

ちなみにフランのお願いは強く抱きしめてでした。羨ましい

 

「…思い出したら胸焼けが」

 

「心配ないですよ」

 

「は?」

 

紅魔館 門!!

 

「さてやってきたわよ」

 

「僕が通る時いっつも逆DVがあるところですね」

 

「むしろそれしかないわよ」

 

「え!?」

 

「あ、ようやく来ましたか」

 

「え?今日は時間通りのは」バギィッ

 

「口答え禁止ですよ。それと…私に対して何か言うことは?」

 

「え…いや、特に」

 

「0点です」バギィッ

 

「へぶっ」

 

「もう一度聞きます。言うことはありませんか?」

 

「ご、ごめんなさい…?」

 

「もう二言付け加えて」

 

「時間に遅れてごめんなさい…あと、えっと、」

 

「なんでもして良いです、でしょう?ちなみにこれが70点です。ごめんなさいは5点。時間に遅れて〜は25点です。失格ですね〜♪」

 

「え、あ、その」

 

「良いんですよ。間違いは誰にでもあるんですから。正していかなくっちゃ」

 

「そ、そうだよ…な…」

 

「…フフッ」

 

…なんだろう。すんごいロマンチックなDV見てるみたい。

暴力の後に優しく声をかけて…あ、殴られた。今日の夜彼の部屋行ってみようかしら…?

ちょっと怖くて実行できないけど、彼の部屋に魔法陣置いて盗聴を試みましょうか…

 

美鈴旦那の部屋!夜!

 

「美鈴が格好いいって…えへへ…♪」

 

図書館

 

「あらやだすごい依存してる…前まではそうじゃなかったんだけど…せっかくだから他の部屋も聞いてみましょ」

 

地下室

 

「じゃんけんぽんけん志村けん!」パー

 

「私がベッド!」チョキ

 

「クソがぁ!」

 

咲夜の部屋

 

「…そう言えば今日のお仕置き、まだ足りてない気がするのよね…」

 

「え?あ、そんなことは」

 

「何?反抗?私に対して?」

 

「あ、いや…」

 

レミリア部屋

 

「脱衣麻雀やらない?」

 

「あんた何言ってんだ」

 

「やらなくても脱いでくれるってことね!?」ガバッ

 

「うわなにすやめ」

 

図書館

 

「…一番まともなのがフランの部屋しかない…!?」

 

一方その頃小悪魔の部屋は初回の主人公(名前忘れた)の写真で壁が埋まっており、天井には数多もの盗撮写真が貼られていたらしい。

たとえ部下が暴れて私の監督責任になろうと、私に同類の目が向けられようと、私はこう主張する。

それでも私は、やってない。

 

 

 

 




それでもパッツェは、やってない。
新刊発売中(税込6000万円)


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依姫さんと一般兵士

さて誰にしてやろうか。こいっしはやったしさっとりもやったし…
ん?そう言えば…
と言うわけで月勢のお偉いさん。依姫さんです。
敬語使うらしいからセリフ気をつけないとね


 

!月!

 

「…そこっ」バヒュンッ

 

的<ヘッドショット!

 

「やりぃ!」

 

「ありゃなんです?」

 

「射撃の腕前トップクラス、頭はイマイチ…そんな兵士だけど?」

 

「いや、その…なんで彼立ったまま反動やべーライフルをスコープ無しで撃って頭?」

 

「知らないわよ」

 

「彼頭悪いんですよね!?」

 

「さあ?」

 

「よし次は腰だ」バヒュンッ

 

的<…股間はあかんて…

 

「うそ…」

 

と、お偉いさんの目に留まったか?まぁ月人ってやつじゃないんだけど…あー、岩とかで遊びたいなー。昔みたいにほっつき歩いて、飛び回って…んなことしてたら馬鹿みたいに反動やべー銃扱えちゃったし。

 

「いやいや姉様。異常でしょうどう考えても」

 

「異常だろうがなんだろうが強ければ良いのよ」

 

「…いや、それはちょっと違うって言いますか…」

 

その数日後!戦争じゃあ!

 

「…月の石って結構美味いんだよな…」ボリボリ

 

「何をしている!早く行け!」

 

「ん?」スッ

 

「何をしているか!私が誰か知っての行為だろうな!?」

 

「…ああ知ってるとも。とても視界に映るからな」

 

「その銃を下ろせ。今なら許してやろう」

 

「…メガンテ」

 

「は?」

 

ドッカーン!と大きな音を立てて爆発する。俺も飛ぶ。周りを飛ばすだけの物だが大量にあると馬鹿みたいに吹っ飛ぶ。例えば胸から腹にかけて満遍なく付けて爆破させると初速200km近くで飛ぶらしい。時速だけど。

 

「…っ!」ドカンッ

 

「やっぱ科学力ってすげーよな!」

 

…ただし、前方にしかなかった場合だ。俺はちゃんと背中にも置いてある。内臓が死ぬけど。

 

「貴様…!」

 

「んじゃね」

 

戦場

 

「ねみい」

 

「逃すかぁ!」

 

…ちなみに言うが…俺が怒らせた相手は依姫様だ。死ぬ

 

「死ねい!」スパッ

 

「あぶねっ」ジャンピング

 

「このっ!」ブンッ

 

「まずい!」スパンッ

 

…足首から下切られたぁ!

 

「ちくしょう」

 

「あの場で止めればまだ助かったものを…!私は忠告したからな!」

 

「やべーよこれ!」

 

「死ねい!」ザンッ

 

「死ぬのはあなたじゃないの?」

 

「二人の間違いだ!」ドカンッ!

 

…やはり衝撃を生む奴は手のひらに仕掛ける。これに限るぜ…

 

「!?」ボンッ

 

「あがっ」

 

「…え?てことはもしかしてここかなり前線?」

 

「貴様…!」

 

「厄介ねぇ…」

 

「生かしてなるものか!」スパンッ

 

「私!?てか危なっ!」

 

「…帰るか!」

 

その後戦争は一応終わった。俺の中で第二の戦争が起きようとしているのは言うまでもない。今回だけ進行が無茶苦茶だが許してやってくれ。月とかあまり知らないんだ。ていうかやばいすんごい気まずい

 

依姫様のお部屋

 

「…私は忠告しましたよね?」

 

「はい」

 

「全く…あなたは優秀な兵士だからと多少はと多めに見ていたのが間違いでした」

 

「…」

 

「貴方には…今日から特別施設に向かってもらいます」

 

「特別施設?」

 

「あなたのような奴が集まった場所です」

 

…まずいな。それはかなりまずい。

 

「それだけはどうか」

 

「…わかりました。では、100歩譲って貴方を施設に送らないとしましょう」

 

「ありがとうございます」

 

「誰が貴方を教育し直すんですか?」

 

「知るか馬鹿」

 

「調教が欲しかったんですか?」ベシィッ

 

「いいえなんでもありません」

 

…まずいぞ。初手最悪だ。一対一だからなお最悪だ。クソッこんな時に戦争は起こらないのか!クソッ!?

 

「それに…」

 

「んぇ?」

 

「あの量の爆薬を体に仕込み、爆破させ、移動してないところを見ると背面にも同じようなものがあったでしょう?」

 

「正解です」

 

「それでは貴方の体が傷つくではありませんか」

 

「何言ってんだこいつ」

 

「あれは禁止です。次回使ったらまた別の処置を取りますからね?」

 

「はい」

 

後日…またやりました…仕方ないだろ強力なんだから。そのおかげで敵の狂った妖精吹っ飛んだんだぞ?お?やんのか?お?お?

 

「妖精を飛ばそうとしたのには敬意を評しましょう」

 

「はい」

 

「またあの武器使いやがったなこのやろう」

 

「すいませんでしたぁ!」

 

「…これで、貴方には何を言っても通じないことが判明しました」

 

「はい」

 

「…つまり。施設に送ろうが教育し直そうが調教だろうが意味がないというわけです」

 

「そうですか」

 

「ですから最後の手段を取るわけです」

 

「…?」

 

「前線には立たず。私と一緒に暮らしてもらいます。私が戦争に行った時、貴方は私の部屋で待機です」

 

「ちょっ、そんな教頭先生との絵日記交換みたいな」

 

「良いですか?これは確定事項。もはや遅いのです。一度チャンスは与えましたので…よろしいですね?」

 

「良いんじゃないでしょうか」

 

「では…とは言っても家から出るでしょうから。家に牢がありますのでそこに閉じ込めます」

 

「え?」

 

「まあ他の者はいませんよ。安心して結構です…が、姉様だけは見ては行けません」

 

「なんで?」

 

「貴方が姉様を見てしまうと、姉様は遊び半分で貴方を解放してしまうからです」

 

「んな…」

 

「姉様は緩いですから…ね?」

 

「あ、はい…」

 

普通なら、役得だぁ!って喜べるんだろうけどなぁ…悲しいというか、虚しいというか…なんかすごい無理やりな部分があると思うけど…まぁ多分なんとかなるか!考えられるんだからな俺たちは!動物が可哀想だぜ!

 

翌日

 

「そう思ってたんだけどなぁ」

 

「姉様を見ましたね?」

 

「…」

 

「見ては行けないと言ったでしょう。戦場が恋しいですか?大丈夫。貴方が私に忠順になれば良いのです」

 

…それってただの調教じゃない?

 

「誰がなるか」

 

「…お仕置きが必要のようですね」

 

 

 

 

 

 

 




依姫→こいつは守らないとダメだぁ!(偏見と独断)
主人公→自分勝手に戦わせろ!殺すぞ!!(殺意)


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萃香さんと軽い登山してる奴

そういや体育の教師がクッソうざい。
あれで自分が正しいとか思ってるから腹が立つんよな。
よかったな。俺がガンダムファイト出場者ならガンダムを呼び出していたし、ハンドガンが右手にあればお前のシャッフル同盟現実に出させてやっていたんだぞ。
と言うわけで今日は…ショタ向けとなってしまった萃香の2回目です。華扇?青娥?知らない人ですね…


博麗神社

 

「…2回目だひゃっほーい!」

 

「あー…なんで僕捕まってるんですか?」

 

「知らないわよ」

 

いや教えてくれよ。と言いたかったがやめておこう。そして寝よう。もう寝て忘れよう。隣に酔った鬼なんか見てるだけで気の毒だ。毒だ毒。ドクターストップかけて!てか酒臭い!匂い嗅ぐだけで酔いそう!こりゃあれか!?酒を空気中にばら撒いて無差別泥酔事件ってか!?くそ!

 

「…ちょっと眠くなってきたんですけど」

 

「ああ、酒に酔ったのね」

 

「そうなんですか?」

 

「萃香酒臭いから匂いだけで酔う奴は酔うのよ。じゃ、布団敷くから入ってなさい」

 

「あいさ…」

 

数時間後

 

「…はっ」

 

「んがー…zzz」

 

「待て、なんだこの光景は。百万年経っても見れねえぞこんな状況。てかなんで萃香さんこっちに入ってんだよ」

 

「乙女心のわからないやつね」

 

「…んぁ?あ、寝てたか」

 

「萃香、言いたいことがあるならはっきり言わないとダメよ」

 

「え?」

 

「こいつ脳みそ働いてないから」

 

「酷くね?」

 

「…酒飲む?」

 

「無理」

 

鬼用の酒とか絶対アルコール100%超えてるだろ。120%とそこら辺だろ。怖いんだよはっきり言って。酒バカみたいに弱いし。マジでなんなのさ。詰みってやつですかい。ほう…打つ手なし。完敗だ。誰か助けて

 

「…釣れない」

 

「釣れてたまるか」

 

「ぶーぶー」

 

「こーら、そんなことしちゃいけません」

 

「なんでだよ」

 

「俺に向けて発射されたら酔うから」

 

「自分勝手なやつだな!」

 

「自分に正直他人に嘘つき」

 

「何言ってんのこいつ?」

 

「さあ?」

 

翌日

 

「…どうしたの萃香?」

 

「あいつが今日は遅い…」

 

「誰だって遅い時はあるわよ」

 

「おーっす。階段で足滑らせて悶絶してた」

 

「霊夢、私は今日中に牢を作ることしたぞ」

 

「落ち着きなさい」

 

「階段をバリアフリーにするか?」

 

「急すぎて車椅子が死ぬわよ」

 

「段差も大きいしなぁ」

 

「そもそも景色は良いけど長道なのよ。軽い登山だわ」

 

「…ちぇっなんだよ〜」

 

言えない。とても言えない。途中で妖怪に出会い命からがら逃げてきたことを。でも突然タックルされて悶絶したのは事実だ。悶絶してどうやって逃げ切ったんだろうか俺は…知らん!!考えないでおこう。

 

「嘘なら嘘って言えよ〜」

 

「!?」

 

「あら…階段で転けたのは嘘だったらしいわね?」ギロッ

 

「ちょっ」

 

「本当のこと言わなきゃ…ダメだよねぇ…?」

 

「え、あ、あの…妖怪にタックルされて…」

 

「タックル…まぁ人里からここまででよく出るタックルしてくる妖怪って言えば…こいつね」ピロッ

 

「よし殲滅しよう。根絶やしだ」

 

「…なんであんなにやる気になってるんです?」

 

「朴念仁って言われてるでしょ」

 

「俺はそんなに無愛想?」

 

「分からず屋って言ってるのよ。まったく…」

 

「殲滅してきた」

 

「早い」

 

「で、どうだった?」

 

「思ったことが一つあったんだ」

 

「それはどんなこと?」

 

「こいつの分も神社増築しよう」

 

「ブフッ」

 

…今なんて言った?俺が?ここに?いや、違うよな。俺以外にもいるんだよな。ほら、化け狐とか、化け狸とか、化け猫とか…た、たくさんいるからさ!俺じゃ…ない…よな?多分だけど…

 

「こいつって言うのは」

 

「お前のことに決まってるだろ!」

 

「え」

 

「…任せるわ」

 

「え?え?」

 

「全部私に任せなさーい!」

 

そして数日後…博麗神社、隠し部屋

 

「…ん、あ…?どこだここ?」

 

「お、起きたか!」

 

「いやどこですかここ。萃香さんですよね?」

 

「まあまあ。お茶でも飲んで落ち着け。霊夢が淹れた茶だけど」チッ

 

…ちなみに博麗の巫女の茶はそこらへんの草をぶち込んで混ぜただけの茶なのにクソ美味い。人里の茶道とか開いてるところよりも美味い。

 

「って、どうして俺ここにいるの!?」

 

「それじゃ、こっちに来てみろよ」

 

「おお、それもそうだ。冷静になれば意外となんでみょっ…」

 

「当たり前だ。ここは地下牢。お前が毎日ここに通っている時に妖怪に襲われるって思うと悲しくてな…」

 

「そ、そりゃどうも…?」

 

鬼に心配されているんだろう…多分。と言うことは鬼に守ってもらえるってことだろうな。多分…当たってたら頼もしいことこの上ないぜ!早速守ってもらいましょう!

 

「だからな。守るためには私が付いていようとも思ったんだが」

 

「?」

 

「それじゃあ駄目だ。お前が、私と一緒にいないと不安になってしまうようにしなくちゃならないんだ」

 

「え…え?」

 

「良いだろ?それで」

 

「え、あ、うん」

 

「そうだよな。うん。それじゃあ霊夢を呼んでくるよ」

 

「お、おう…」

 

…一体、なんだったんだ?というかなんで出れないんだ?壁みたいなのが前にあるのはわかるんだが…え?どうして?

 

「技術ってすごいなぁ」

 

「あら、本当にやったのね」

 

「ああ!どうだすごいだろう!?」

 

「すごいけど…彼、大丈夫なの?」

 

「は?」

 

「まあ、あいつなら気が付かないから…良いと思うけど、密封空間にいると酸素云々が」

 

「穴いくつか開けるから良いだろ」

 

「温度」

 

「…無くすか」

 

「うわっ!?」ドサッ

 

「大丈夫か!?」

 

「…それじゃ、私は退散するわ。二人でやってて頂戴」

 

「…なんて言われたけど」

 

「やらないわけにはいかないよな?」

 

「だから、これはどう言うことかって」

 

「分からず屋だな…私はお前のことが好きだってわけだ。でも、いくらくっ付いても子供扱いから変わらない。女の子扱いだ。逆にそれが嬉しかったんだけどさ」

 

「見た目が女の子だったからそう見えたんだけど」

 

「だから、さ…私だって女だってこと証明してやろうと、ね」

 

「…正拳突き!」スカッ

 

「危ないだろ」ガシッ

 

「え?」

 

「反抗的な腕は潰さなきゃ行けないみたいだ」グシャッ

 

…おいおい、マジかよ。何よ聞いてねえぞ。俺はいつ腕ボロボロにされて馬乗りにされて変な部屋に泊まらされて…なんでこうなってんだ?おかしくねーか?

 

「あぁ…っ!」

 

「もう一本やられたくないなら…撫でてくれると嬉しいかな」

 

…撫でるんで腕一本で許して…

 

 

 

 

 

 




萃香さんは毎日賽銭入れに来るから酒飲ませようとしたら女の子扱いされて腹が立って女だってこと知らしめてやんよ!…あれ?なんで知らしめる必要があるんだ…?まさか…恋…!?

主人公…え、何それ怖い


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紅魔館ハーレム2

主人公が受けなハーレム紅魔館、はーじまーるよー!
テテー↑テ→ッテー↓
でかけようこそジャパリパーク!


 

紅魔館

 

「…最近気分が悪いです」

 

「あら、そうなの。それは大変ね…今日は部屋で休みなさい。うつったら大迷惑だから」

 

…俺流石に嫌われすぎだろ…と思ったがどんなやつでも風になったら困るのは同じかと思い直すと自然と精神も楽になる。人間の思い込みってすげー!とは思うが頭が揺れたように気分が悪い。吐きそうではないのがポイントだ。

 

「ぅ…」

 

廊下

 

「…咲夜」

 

「なんでしょうか?」

 

「彼は今日…気分が悪いはずよね?」

 

「本人からの訴えもありました」

 

「つまりだ…誰か見舞いに行くことになるよな?咲夜…」

 

「!」

 

「しかし、咲夜はメイド長という立場、出るわけにはいかない。美鈴も立場で断念するだろう…暇な私が」

 

「暇なら仕事手伝ってくださいよ。書類とか」

 

「ごめんなさい」

 

主人公の部屋

 

「…寝れば気分良くなるかな?布団にダイビーングするよゆーもない」

 

…そう言えば、俺の机の上に謎のメッセージが置かれていた。確か内容は、『途中参加失礼!』だったような…?途中参加とはなんだろうか。よくわからないが何かの遊びに行ってくるという意味なのだろう。そういうことを報告…あ、未だ姿を見てない妹様?

 

「んなわけ」

 

「そうだよ!」

 

「うわっ!?」

 

「ね、風邪なの?」

 

「すんごい気分が悪い。というか少し寒い気もする」

 

「ふーん」ジー

 

「…何見てんの?」

 

「寒いなら人肌で温まるのが一番!」

 

「待って布団に潜りこまないで?」

 

「えへへ…♪」

 

ああもう畜生可愛らしい笑顔だなこの。ああもう、この子が妹様って奴か。多分、羽があるからそうなんだろう。俺の観察力は無に等しいけど…まあ良いやあったかいし。こりゃ良い睡眠枕だ寝れる…

 

数分後

 

「おひ…」ガチャッ

 

「…zzz」

 

「…フッ」ニヤリ

 

「ん…」

 

「ちょっと。起きて頂戴」

 

「ん、あーすいません」

 

「良いけどご飯を食べないと治るものも治らないのよ。さ、食べなさい」

 

「…ハンバーグて…」

 

「お嬢様の能力だと数日で治るらしいわ」

 

「数日か…」

 

そりゃ少し長い気がします…まぁ、大目に見て二年くらいで終わるってことか。妖怪の数日って間隔は信じられんからな。

 

「あーこわかこわか」

 

翌日

 

「こんにちは」

 

「こんにちは美鈴さん」

 

「…」ニコニコ

 

「な、何か御用で…?」

 

「私はね。怒ってるんですよ?」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「ええ。とても怒っているんです。だから…」ガシッ

 

「あうっ」

 

「こうやって頭を掴んだりするほど…怒っているんですよ」

 

「ひゃい…」

 

「まぁ気分が悪いだけなら良かったです。それでは」

 

…顔潰されるかと思ったぁ!怖かったよぉ!早くここから出て自立したいよぉ!そうしないと色々身体が保たないよぉ!うわーん!…ただまぁドキドキしたのは否定しない。ドキドキしない方がおかしい

 

「…ね、私のこと忘れてない?」

 

「エ」

 

コンコンと音が鳴る。多分、これは非常に不味い、という奴だ。助けて!

 

「…入るわよ」ガチャッ

 

「何よお姉様」

 

「フランに用があるの。来てくれる?」

 

「やだ」

 

「…結構大事な話よ」

 

「いやだね!」

 

「その男に関する大事な話」

 

「わかった」

 

「変わり身に定評があるなオイ」

 

今までの意地は空の彼方へ。

 

さらに翌日!

 

「んぅ…?」

 

「朝ごはんです」

 

「…ねぇ、俺もう気分が悪いの治ったんだけど」

 

「パチュリー様が1日は治っても安静にしろと」

 

「…わかった」

 

「それでは私は仕事があるから」

 

「消えた」

 

「入るわよ」

 

「あ、お嬢様」

 

「昨日、フランと話して貴方の部屋に入っても接触は控えるよう伝えたわ」

 

「ありがとうございます」

 

「あと」

 

「?」

 

「約束、一回破りかけたそうね?昨日私が来た理由はそれなんだけど?」

 

「え、いやーそれはなんというか」

 

…不味い。言っておくがこれはかーなーりー不味い。どれくらい不味いかと言うとゲームボーイでゲームクリアした直後セーブしてないのに充電が切れたくらい不味い。最近幻想入りしてるから使いづらいけど

 

「言い訳は聞いてないのよ。本当なの?嘘なの?」

 

「あっ…本当です…」

 

「…そうなんだ。まぁ、1回目だから許してあげるわよ。そもそも外部の人間といきなり関わるなって言うのが厳しいし」

 

「ありがとうございます」

 

「でも、2回目はないからね」

 

「はい」

 

…2回目はどうなるんだろうか。好奇心に負けて外の世界にある真実の口とか言う奴に手を突っ込みそうだ。まぁ最近疲れやすくなったから突っ込んだ時点で終わるだろうけどさ…なんだかなぁ。

 

「布団に潜って忘れよ」

 

「やっほー!」ガチャッ

 

「すいません妹様…疲れてるので後で」

 

「良いじゃない」

 

よくねえよぉぉぉぉ!

 

「いや、それはその…」

 

「ベッドの中に入るね」

 

「ふぁい!?」

 

「…あったかーい」

 

「…まいっか」

 

その日は結局寝てばかりだった。食って寝て無生活だった。まあ良いだろたまにはそんな生活も。

 

翌日

 

「現場復帰」

 

「…それじゃ、このツボとかの掃除よろしく」

 

「わかりました」

 

「割ったら直ぐに言いなさい」

 

「はい」

 

…誰も怖くて言えねえんだよぉ…怖いよぉ…

 

「とりあえず拭くか」

 

「…」ジー

 

「お嬢様。壁から見るのは100歩譲って良しとしても双眼鏡はあまりにも」

 

「黙ってなさい」

 

 

 

 

 

 

 




圧倒的ストーカー感…!
そして描いてる途中寝落ちしたンゴ…!


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わかさぎと釣り人

おいおい、マジかよ…
怖いねェ〜…最悪の世代
やかましいのォ…ドラゴンの息子…
お、オヤジと同じ…覇王色の覇気だ!?
つーわけで…言われてみればやってなかった!〜わかさぎ〜
ちなみに次回のプリンはもっと酷い


霧の湖

 

「釣りだ釣りだ」ポチャンッ

 

「私が来た!」バッシャアッ!

 

「人魚釣れた!?」

 

…と、あったのが一年前。俺とこの姫の出会いである。出来れば出会いたくなかった…とは思うが、言っておくとこいつがいないとかーなーりー釣れない。魚達が逃げているのがわかってしまう。なぜだ。俺が何をしたんだ。

 

「…はぁ」

 

「どう考えても私を食べようだなんて思わないよねー」

 

「知るか」

 

「なんで!?と言うか、本当にさ。ぷよぷよしてる変な餌ぶら下げてるクソ漁師がいるんだよね」

 

「それも知らんな。と言うか、なんで俺に話かけてくるんだよ」

 

「草の根ネットワークも私と影狼ちゃんと…後蛮奇ちゃんくらいだからさ」

 

「…つまり話し相手が欲しいと」

 

「うんうん!そういうこと!」

 

「よっこいせ」トンッ

 

「え」

 

さっき釣られたまだピチピチしてる魚<ちょっ助けてください姫!!

 

「紹介文より台詞が短いなんて哀れね」

 

「後で売る」

 

「ってそうじゃなくて!人と話したいのよ!話せる知能がある!わかる!?」

 

「おーい大妖精ー」

 

「はい」

 

「!!!!!!!」バンッバンッ

 

「…?」

 

たまにこいつは情緒不安定になる。いつぶん殴られるか分からんくらいだ。さてそうなったら撤収が一番だ。せっせこらせと片付けを済まし奴が騒いでるうちにこの足で撤収!…あ、魚忘れるところだった。あっぶね…

 

「待ってよ!?」

 

「アジが2匹エイが6匹」

 

「エイ!?」

 

「後シーラカンスも」

 

「生きた化石がなんで幻想郷に!?」

 

翌日 人里

 

「これとこれ」

 

「全部で二銭だね」

 

「すくね」

 

「自分で食った方が高くつくよ」

 

「生きた化石だぞほら」

 

「シーラカンスよりもうまい魚だ」

 

「チッ」

 

…というわけで来たわけだが。霧の湖。何これ怖い。姫が水際でぶつぶつ何か呟いてる。逃げよ…

 

「なんで彼は逃げたんだろう?なんで?どうして?まさか急用?お父さんが死んだりとか?」

 

「…ぁっ」パキッ

 

やべえ木の枝踏んだ!!

 

「!」バンッ‼︎

 

「まずいっ」ドサッ

 

…勝った。残念だがわかさぎよ俺は妖怪相手にも誤魔化せれるほどのかくれんぼの天才なのだ。湖で見つからないように迷彩服を着ている。並みの妖怪じゃ見分けら

 

「見つけた」

 

「!?」

 

「そっちにいるんだ…」フフッ

 

「…お、落ち着け…」

 

「そっちに行くから、待ってて、ね?」ビチャッビチャッビチャッ

 

なんかビチャビチャ聞こえるんですけど。もしかしなくてこれは姫が匍匐前進してる合図?逃げるべき?逃げよう

 

「起きたらすぐにスタートダッ」

 

「脅威の水面飛び!」バッシャアンッ!

 

「ええ!?」

 

「キャッチ!」ガシッ

 

「オゴっ」ドサッ

 

「…なんで逃げていくのさ〜!悲しいじゃない!」

 

「いや、誰だってあれは怖いって…昨日から位置変わらずにいるのは怖いって…!」

 

「ちなみに」

 

「なんでしょうか」

 

「釣りをする気は」

 

「ない!」

 

…てか怖い!助けて!誰か助けて!博麗の巫女様!!

 

「それじゃあ泳ぎましょ!ほら、こっちこっち!」ビチャビチャ

 

「ちきしょぉおおぉぉ!」

 

バッシャアン!と大きな音を立てもう良いや

 

「おがっぼぼぼぼ」

 

「あ!溺れちゃうんだったね!ごめん!」バシャァ…

 

「ぷパァッ!殺す気か!?釣りをするのになんで殺されなきゃいけないんだ!俺は帰る!」

 

「水中に足突っ込んでる間あなたは私から離れられないけど?」ガシッ

 

「…あれ、おかしいな。身体が上がらないんだけど」

 

「無理に引っ張ると痛めるよ」

 

「わ、わかった。オーケーオーケー。許してくれ。もう抵抗はしないから許してくれ」

 

「そう言って逃げるつもりでしょ?」

 

「そんな馬鹿な」

 

「じゃあ証明して?」

 

「どうやって?」

 

「今から手を離すけど、居なくなったら草の根ネットワーク使ってでも貴方を連れ戻すから」

 

「戻されたら?」

 

「水責め」

 

…進むも地獄、引くも地獄って奴だな。どっち道ほとんど水責めじゃねえか。そんなこと言っても仕方ないと水に面している土に手をかけ登る!この作業が美しく感じてしまう。何故だ…!?

 

「あー疲れた…」

 

「ね、本当にどこにも行かないんだよね?」

 

「まあ。でもここにいると夜妖怪に襲われたりしそうだけど」

 

「影狼ちゃん」

 

「私が守ろう」

 

…待て、待ちなさいよ。まぁ待ちなさいってば。俺は確かに妖怪が心配だと言ったな?なんで妖怪が出てくる?おかしくないか?ん?どゆこと?

 

「…それじゃあ夜はよろしく!」

 

「夜のお世話は?」

 

「…ごめんね影狼ちゃん。疑ってるわけじゃないんだけど、今なんつった?」

 

「ああごめん。夜寝るところは?」

 

「そこ。朝逃げてたら捕まえておいて♪」

 

「了解した」

 

…まあ待とうじゃないか。俺の意見なんざ一の次二の次と言わんばかりに進んでいくのは何故だこんちくしょう

 

「んぐっ!?」

 

「何も喋らない方がいいよ。釣りしてる時の貴方はいっつも無言でかっこよかったんだもの」ガシッ

 

「らしいな?姫に好かれて羨ましいな〜」

 

「んー!んー!」タップ

 

「あ、そんなにきつかった?ごめんね…でもでも、私は貴方を壊したいほど好きなの。だからさ、一緒に暮らさない?」

 

「相変わらず頭があるのかないのか…」

 

「失礼な!あるよ!!」

 

「…とりあえず鬼にでも頼んで家作ってもらうか」

 

「そうだね!」

 

翌日…二日目…

 

「すげーなおい」

 

「全部で大体2石高とか言われた」

 

「単位が古い」

 

…それに関しても何故俺の意見はないかのように進むのだろうか。俺が何をしだっていうんだ。まともなのは僕だけか!?なんで僕なんだ!!なんで!?と叫びたい気分ではあるがなんともできないため頭の中に留めておこう

 

「これで私と貴方のお家ね!」

 

「え、あ、うん」

 

「やっぱりそうよね!」

 

 

 

 

 




わかさぎ姫…こいつのためならば同族を食わせてやろう
影狼ちゃん…なんなんだこいつら…?
名無しの権平(仮)…よーそこの妖怪 俺の意見を聞いてくれ

関所廃止になったらしいですね


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てゐちゃんとヤク漬け

本当は薬中男とてゐちゃんだったんだ。
でも薬中の思考行動なんて分からなかったんだ。
知らなかったんだ…私はてゐが語尾にウサを付けないことも薬中の定義も知らなかったんだよぉ!


迷いの竹林

 

「迷った」

 

「クスクス」

 

「なんなら落とし穴にもはまった。抜けない」

 

「そんな現実から抜け出すときはこれ!永遠亭印のマリ○○○!マスパじゃないよ!」

 

「…待て、なんか嫌な予感がするぞ」

 

「それじゃあアヘ」

 

「もっとダメだな」

 

「…チッMDMA」

 

「…駄目だよな?」

 

「こっちは大丈夫ウサ。さっきのと比べても十分の一どころかって話ウサ!」

 

「…わかった」

 

そう言って口にした薬物。頭ではわかっていたが好奇心に負けて使ってしまった。これからどんな人生になるのか?知らんな。ただ、使ってすぐにスーッと落ち着けたのは事実だな。

 

「ん…?」

 

「どう?」

 

「落ち着いた」

 

「成功ウサ。じゃ、抜いてあげるウサ」

 

「ありがと」

 

その頃永遠亭

 

「師匠、師匠が気まぐれで作った『成分20倍大きさ50分の1だけど効果時間少ない依存性がやべーMDMA』が消えました」

 

「嘘でしょ!?」

 

戻って竹林

 

「はぁ…はぁ…」

 

「落ち着いて、息を吸って…はいて…」

 

「すぅ…はぁ…」

 

「…あ、もうそろそろ効果が切れるかな…?」

 

「あ、あ?ん?あれ、あれ?」

 

「もう一粒、いる?」

 

「いる!」

 

「…わかったウサ。ま…どんな副作用かは言ってないから自己責任ウサ…♪」

 

「あー…落ち着ける…」

 

「ウッサッサ…どうにかして、稼げないかなぁ…?」

 

「こらてゐ!」

 

「うげっ!?」

 

「待ちなさい!あなたでしょ師匠が気まぐれで作ったやべーMDMAを持ち出したの!」

 

「…そ、そんな証拠もないのに決めつけなんて酷いウサね!」

 

「ぐっ…!」

 

「それに!人里にだって依存者は」

 

「じゃあてゐの隣にいる頭が参った男は何なのかしら?」

 

「うぐっ…」

 

「来てもらうわよ」

 

まずい、気分が悪くなってきた。あの薬がなけりゃ変なのが出てくる。変な虫がいるし、気持ち悪いし。でも、多分幻覚なんだろう…?永遠亭とは怖いな。あまり世話になりたくないし病気は里の病院で決定だな

 

永遠亭

 

「…で、はるばる来たってわけ?」

 

「はい。てゐがばかやらかして…」

 

「てゐ、今後悪戯は鈴仙だけにして」

 

「え?」

 

「はーい」

 

…何だ、何だこいつら。まずい頭がまともに働かない。耳元で心臓が鳴ってる気分だ。結構キツイな…あの薬があれば少し楽になるのかな。そう思うとどうしても挙動不審になってしまう。やだ怖い…

 

「?どうしたの?」

 

「…心音が…」

 

「でしょうね。他にも多少の幻覚とか、幻聴とか…ま、ここにいる限りは薬使わせないから、勘弁してちょうだい」

 

「はい…」

 

「…今気になったんですけどそのやべーMDMAって急性で死なないんですか?」

 

「…あ、そういえば人里の路地裏で薬物売ってたウサ」

 

「それを吸ったり打ったりしたかも…しれないわね。ま、どうだっていいわよそんなこと」

 

その夜

 

「…っぎ…!」

 

「1日で3回も鎮静剤打つとか師匠の薬効きすぎじゃ…」

 

「ウッサッサー!」

 

「てゐ!?」

 

「私に任せておくといいウサ!」

 

なんでだろ。寝たいのに寝れない。誰かに腕を掴まれている気がするし、誰かに見られている気もする。なんなら少し足に痺れが出てきた。ダメだ、あんまりにもきつい。薬だ。鎮静剤ってのは睡眠薬として使われるんじゃなかったのか?

 

「…眠れん…」

 

「そういう貴方に耳寄り情報ウサ」

 

「…なんだ?」

 

「今なら3000円で一錠ウサよ」

 

「てゐ?」カチャッ

 

「おっとこれは不味い。とりあえずその手に持っているC4らしき物を下ろした方がいいウサ」

 

「…違うわよ。これはメタルギアに出てくる」

 

「今の子わかんないからやめてくれる?」

 

なんの話してんだこいつら。ってそんなことじゃない。なんで?手がデカくなってたり足が変な形になってたり、耳元でウニョウニョ聞こえてきたりする。ダメだ、考えが纏まらない…?

 

翌日。てゐのターン!

 

「いったぁい…」

 

なんでだ。私は世のため人のためと思って睡眠薬一錠3000円でって言ったのに。ウッサウッサ…全く鈴仙も冗談の通じないやつウサ。そりゃ確かに悪いことはしたし、謝りたいけど…昨日の夜に行ってわかったウサ。もう手遅れって…

 

「てゐ」

 

「んぇ!?」

 

「安心しなさい。あなたが気負う必要はないの。元を辿れば作った私が悪いのよ」

 

「そんな!師匠は悪くありませんよ!?」

 

「うどんげは黙ってて。だから、無理に責任感じなくていいの。いつも無責任なてゐにいきなりこんな責任なんて、心が壊れちゃうから」

 

「!」ピクッ

 

「…私がなんとか戻してみるわ」

 

「わかったウサ…」

 

「…なんだかなぁ」

 

「ウッサッサー!」

 

と声をあげて無責任にこいつのところへ来た。こいつは何も知らない顔で寝ている。多分、それがこいつにとって1番の選択肢ウサ。きっと、目覚めたら薬を求めるウサ。だから、だから…このまま目が覚めなければいいなんて考えちゃダメウサ…

 

「目覚めて…私が悪かったから…」

 

「…?何言ってんだお前」

 

「うわっ」

 

「すっかり元気だ。心配してくれてたようだけど…」

 

「こんの…心配させやがって!」バギィッ

 

「ほがぁ!?」

 

…後から聞いたらこの時まだ体から薬が抜け切ってなかったらしい。耐性強すぎないか?

 

二年後…シャボンディ諸島で!

 

「…それじゃ、そろそろ退院ね」

 

「はい。お世話になりました」

 

偶然、その会話が耳に入った。あいつもそろそろ退院の時期だ。退院しなければ別の意味で廃人になるだろう。それでは寝たきりと一緒の結果になってしまう…どうにかして、引き止めて…?あれ、ん?なんで私はあいつなんかを引き止めようと…?

 

「あれ?ん?えっと…?」

 

「それじゃあ」

 

「二度と来ないよう精進します」

 

「今二度と出れなくしてあげてもいいのよ?」

 

「困ります」ハハハ

 

…そうか。最初の一年はこいつ薬物で禁断症状が出てたんだ。でも時々思考回路が繋がってはっきりの喋る時があったんだ。その時の反応が面白かったんだ。決して好きだからではない。私が好きになるのは私より長生きしてる奴と決めてるんだ。だから好きではないはずだ。

 

「…あ」

 

そうだ、二年前に戻してしまえばいいんだ。全部の反応を見るために、またあの薬を飲ませれば。

 

迷いの竹林

 

「鈴仙さんの目を見たら竹林の外に出られるっておお!?」ズサッ

 

「なんかかかった!?」

 

「…またか」

 

「ごめんごめん。最初もこんなんで焦ったウサ」

 

「その割には薬物飲ませてたけどな」

 

「あ、あはは…」

 

「さて。それじゃまた」

 

「…わかったウサ。それじゃ、数時間後」スッ

 

「え?」

 

我ながらよくやったウサ。相手を気絶させて薬物を飲ませる。薬物の反応の理由は罠にかかってフラッシュバックしたとかで良いだろう。

 

永遠亭

 

「あ…?」

 

「というわけウサ」

 

「まーた…」

 

「でも、フラッシュバックならなんとかなりそうですね」

 

「ええ。数ヶ月くらいでなんとかなるわ」

 

「…短いウサ」ボソッ

 

「なんか言った?」

 

「なんでもないけど?それじゃ、罠取ってくるウサ!」

 

「全部取ってこい」

 

 

 

 

 

 

 




ツーわけです。
3000文字行きそうだった。あかんあかん


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青年と翁の娘さん 4

姫について行き蓬莱の薬を飲んでUターンしてきた男&輝夜VS妹紅(訳:男VS輝夜[vs妹紅])
妹紅はついでです


迷いの竹林

 

「輝夜…死ね」

 

「あらあら朝から物騒ね…貴方が死ぬべきじゃなくって?」ニヤリ

 

「…死なないよう頑張るか」

 

そう思うと輝夜と藤原さんとの戦いが始まった。俺は?ばか言え。介入する余地なし。目ん玉くり抜かれて終わりだな。ていうか藤原さん炎出してんだけど?俺、死ぬの?なんで輝夜は平気な顔して突っ込んでんだか。

 

「私の勝ち!」グサッ

 

「火遁・豪龍火の術!」ボワッ

 

「ウソッ!?」バッファンッ

 

「今回は私の勝ちだ!」

 

「って!見てるだけで何もしないわね!?」

 

「…何?俺に炎を出す魔人と戦えと?」

 

「誰が魔人だ誰が」

 

「ええそうよ!死んでも死なないんだから別に良いじゃない!」

 

「…そうか。それじゃあお酒を…」

 

「呑気にお酒なんて飲まないで!?」

 

「…炎勝負なら私の勝ちが確定してるが?」

 

「…ブファッ!」ビッシャア!

 

「輝夜に味方するんだったら容赦はできないな!」ボワァァアァァ

 

液体<酒だったはずじゃ?…トリックだよ

 

「!?」ビチャビチャ

 

「よくやったわ!」

 

「…疲れた。今のだって結構集中力使ったんだ後は好きにしてくれ」

 

「なんで!?」

 

「クソッ…だが隙あり!火遁・龍炎放歌の術!」ボッ

 

果て魔人とはなんだったのか。これじゃ鬼だよと言いたい気持ちになる術を使ってきた。炎が龍の顔をしている。それならまだマシ、龍の顔が三つ同時に来てるのだ。この竹林禿げさせるつもりか?殺すぞ?

 

「あつっ」ジュワッ

 

「あいつ避けなかったぞ」

 

「死なないから良いんじゃない?」

 

「あっつ…あーもう面倒だな」

 

「ところで妹紅」

 

「どうした?」

 

「隙あり!」ゲシッ

 

「ふぶがっ!?」ドンッ

 

「キャッチ」ガシッ

 

…ほんと、なんでこいつら殺し合ってんだか。なんだかわけわからないな。ただ俺に攻撃が飛んできそうなのは御免だが。竹でも切っておくか

 

「!?は、離せ!」

 

「暴れるな。人肉は美味いって聞いたことがあるんだ」

 

「もっとダメだってかやめろマジで食う気なのかやめてってちょっほんとお願い!」

 

「プークスクスw」

 

「何を言ってるんだ。お前食う側だよ」

 

「え?」

 

永遠亭

 

「…鹿肉だ」

 

「美味い」

 

「美味かな!」

 

「え、なんでこんなの作れて…?」

 

「い、意外…!!」

 

「待てそれは違うだろう」

 

そう言うが実は言うと本当の鹿肉なので美味いは美味い。ただ意外という表情をされると腹が立つ。殴り倒してやろうか?

 

翌日

 

「さあ妹紅勝負よ!」

 

「かかってこいやぁ!」

 

「…俺も特殊な能力に目覚めたりしねえかなぁ」

 

「火炎放射!」ボワァァアァァ

 

「足元がお留守よ!」ブンッ

 

手裏剣<任せときな!

 

「うわっ!?」

 

グサッ!と音が鳴り音が鳴った方を振り向こうとするが途中で気がついた。頭に何か刺さってる。引き抜いてみたらそれは手裏剣でした。輝夜が投げたんだろう。腹立つなぁ

 

「…なんだこれ」

 

「あ、ご、ごめんね!?許して!」

 

「変わり身はやっ」

 

「えっと、永遠亭に行く!?そうしましょ!」

 

「ちょっそういうわけじゃ」

 

「じゃあ一緒にいられる!?」

 

「…まあ」

 

「よかった!」

 

「えぇ…?」

 

「妹紅さん、今の俺の気持ちを考えてみてください」

 

「…『輝夜の泣き顔ゲットいぇぇぇい』じゃねえの?」

 

「輝夜が抱きついてきてるかあいいなぁです」

 

「分かるか!」

 

「は?」ギロッ

 

「…あ、いや別に分からんことはないな」

 

「ああほら輝夜落ち着いて」

 

「〜♪」ギュッ

 

…不味い、下手こいた。そもそも相手が不味かった。相手を藤原さんにしたら見せつけようとしてんだこいつ。あーもう可愛いなぁクソゥ!抱きしめてあげようではないか!…ん?なんか胸の辺りが生暖かいような…

 

「?」

 

「ううっ…」グスッ

 

「泣いてる!?あ、俺なんかしたか!?す、すまん!」

 

この時、輝夜の頭に永林現る。泣き真似をすればなんでもしてくれるのでは?と…

 

「う〜」グリグリ

 

「頭を押し付けられてもな…あーよしよし。ごめんな…」ポンポン

 

「かえんほうしゃ!」ボワァァアァァ

 

「昨日竹を切っていた時に作った竹ガード!」ガチャンッ

 

竹盾<え!?俺が火を防ぐの!?あっ待っぶぅぁあぁぁああ!?

 

「奴は勇敢な兵士でした…」

 

「少し焦げただけだろ…」

 

「…ていっ」グリッ

 

「おふっ!?」

 

「…これ以上妹紅に構わないで。私に構ってくれる?」

 

「横腹痛え…!」

 

「ねえ、私に構いなさいよ。妹紅なんかじゃなくて、私に」

 

…姫のなんかやばいスイッチ入ったなこれ…輝夜さんのやべえスイッチ入ったよこれ。あーもう終わりだね!

 

「…そ、それじゃあ妹紅さ」

 

「なんで妹紅の名前言ってるの?」ガシッ

 

「…」

 

「ね、早く永遠亭に戻りましょ?傷も心配だし」

 

「わかった…」

 

「…おい、どうしたんだよ?」

 

「彼は貴方と遊んでるのがアホらしくなったのよ。さ、行きましょ」

 

「はいはい…」

 

「んなっ!?おい逃げんなよ!」

 

「それじゃあ、独り寂しく惨めに生きてなさいw」

 

「んだとこいつ!」

 

永遠亭

 

「…つうわけ」

 

「私の知ってる愛の領域を超えてるわね…!?」

 

「〜♪」ギュ~

 

「嬉しくないと言えば嘘になりますけどこりゃないでしょ…」

 

「…まあ良いんじゃない?」

 

…あれっすか。当人が幸せであれば良いって奴すか。まぁ俺は幸せですけど。後々キツくなってきますよね?これ。観察対象っすか?キツイぜ…

 

「って、そうじゃなくて」

 

「姫、私は姫の恋を全力で応援させていただきます」

 

「それで良いのよ♪」

 

「おい」

 

 

 

 

 

 

 




なんだか納得できないが前の薬漬けの男と同じくらい満足している自分がいる。


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妹紅さんと不定期男

前回のかぐや姫で昨日は満足したな?
さあ!ダブルゼータの始まりだぜ!!
色々と変だった妹紅さんで行きましょう。ついでに次回は慧音先生にしましょう。
ズバリ!後は知らないでしょう!


迷いの竹林

 

「おーっす妹紅さん久しぶり」

 

「お前ほんと不定期に来るよな」

 

「まあ生活が不安定ですからね」

 

「そういうもんか」

 

「そういうもんです。とりあえず永遠亭まで」

 

「了解」

 

永遠亭

 

「妹紅が男連れてきた!」

 

「知りません姫お下がりください」

 

「私が男連れてきちゃそんなにびびるか?」

 

「とうとう人の道を外れたのかと」

 

「元々外れてら。んで、何しにきたんだお前?」

 

「あー、右目が見えなくなりまして」

 

「あらそうなの…?じゃあこちらへ来なさい」

 

「あ、はい」

 

「…行っちゃったわね」

 

「だからなんだよ」

 

診察室

 

さて、どうなっていることやら。目を広げられ光を当てられている。目が見えていないのでそう明るくは見えないが思わず目を瞑ろうとしてしまう。ああ悲しい。本当に悲しい。人間の防衛本能というのは実に悲しい。

 

「…これは完全に失明してるわね。お手上げ状態」

 

「マジすか」

 

「まぁ今も結構平気そうだし、良いんじゃない?何かあったらまた来て頂戴」

 

「わかりました」

 

迷いの竹林

 

「って感じでした」

 

「ふーん…要するに片目死んだってことか」

 

「まあそうなりますなぁ」

 

「それでお前どれくらい生活してたんだ?」

 

「二日くらい」

 

「どうして早く言わないかな」

 

「知りませんな」

 

「そりゃそうだ」

 

「…ま、片目が見えないくらいなんだって話です。両目同時に使う仕事じゃないんだし」

 

「カメレオンみたいだな」

 

「…まぁ多分仕事はクビにならないでしょ。多分…多分」

 

「ハハッ潰れちまえ」

 

「酷くね?」

 

人里

 

「んー…なんとか仕事はできるかな」

 

「お、たこ焼き二つくれ」

 

「はいはい。二つ…?二つでいい…あ、妹紅さん」

 

「右目が見えないのによくやるな。後たこ焼きは6つだ」

 

「はいはい」

 

たこ焼き6つが入った船みたいなアレを妹紅さんに渡す。アレって何て言うんだろ。そのまんま船だったりしたら笑うな。HAHAHA…

 

「まあまあ。そんな無理すんなよ」

 

「…無理してませんよ」

 

「そうか?私には無理してるように見えるけど」

 

「してませんよ。そんな無理なんて…してなんか…」

 

「してるじゃないか。ほら、私の胸にドンと来い」

 

「…無理、してんのかな…」ギュッ

 

「私からすればすごい無理してるけどな。さて読者諸君ここからいい恋愛展開になると思ったか馬鹿め!」

 

「ごめん妹紅さん何言ってんの?」

 

「あ、ごめんな。まあ困った時は私に知らせてくれ。お前は人に頼ることを覚えた方がいい」

 

「そうですかな…」

 

翌月 迷いの竹林

 

「お、なんだかんだ1ヶ月ぶりだな」

 

「頼りにきました」

 

「おお、そうか。どんなことを頼りに来たんだ?」

 

「最近、体調管理がズボラになって来て」

 

「そういうのは慧音だろ」

 

「デスヨネー」

 

適当にあしらわれる。が、それもまた良かろうと王様気分で受け流す。そうすると気分がいいのだ。心臓は悪いが気分はいいのだ。悲しいかな、悲しいかな。例え眠くても十分に寝られない時期は悲しいかな

 

「…妹紅さん、今日泊まって行って良い?」

 

「ああ、良いぞ」

 

「ありがとうございます」

 

妹紅宅

 

「…まあ最近になってこっちにで動くから…ほこりが多少あるくらいだ」

 

「布団がない屋根がないよりはマシですはっはっはっ」

 

「お前日々どんな生活してんの?」

 

そう言われて照れもせずに座る。久々の加工された木材の感触を踏みしめながら座るんだ。とは言いたいが足腰が疲れているので尻餅をつくように座ってしまった

 

「あでっ」

 

「どうした?尻餅か?」

 

「…なんだろ」

 

「まぁそれくらい良いけどな。それじゃあ飯作ってくるから、待ってろ」

 

「はーい」

 

数分後

 

「鍋だ」

 

「まさか妹紅さんが鍋を作れるとは…しかも美味いし」

 

「結構失礼じゃないか?」

 

「…♪」

 

「いや、美味そうに食ってくれるのは良いんだが…なんだかなぁ」

 

翌日

 

「zzz…」

 

「起きろ〜」

 

「んあっ」

 

「起きたか。もう昼だけどな」

 

「起こそうと努力したんですか」

 

「何で私が責められるんだ」

 

「…まあ、お世話になりま」

 

「え、今日帰るのか?」

 

「…妹紅さんの迷惑に」

 

「ならないけど」

 

あれ、俺って妹紅さんと特別な関係になってないしなんならあんまり仲も良くなかったような気がするんだけど、俺いつ好感度を上げるイベントクリアしたっけ。僕が何をしたっていうんだ!まともなのは僕だけか!?

 

「なぁ、本当に帰るのか?」

 

「…まぁ帰る家はないですけど」

 

「私の家にずっと居て良いからさ」

 

「いやいや、流石にそんな連続でお世話になるのは」

 

「…やっぱり、駄目か…」

 

「え、あ、はい」

 

「…そうか。また今度な」

 

「はーい」

 

「…ふんっ!」バギッ

 

「あぎゃっ!?」

 

数時間後

 

「…ハッ!!こ、これは!?お、俺の手足が!?」

 

「すまん…私の勝手な行動だけど…私の所有物になってくれ」

 

「え?」

 

「お前を所有物にしたらさ、お前はこの家から出られないだろ?」

 

「ちょっ冗談きついんですけど」

 

「まぁ手足を切ったのは悪かったけど、私が全部世話するからさ」ギュッ

 

「やーめーてー」

 

というか本当にやめてくれ。心臓に悪いというより身体に悪い。出て行く際に急に武力行使されて誰が喜ぶものか。俺じゃなかったら喜ばないどころか涙を流すぞ!まったく…でも、本当に手足がないんだよな。

 

「だからさ。ずっと…これからお前が死ぬまでは一緒にいてくれるだろ?」

 

「何言ってんだお前」

 

「お前が本当に大好きなんだ。な?良いだろ?」

 

「うん、わかった。良いよ。ただ手に火をつけるのは勘弁して欲しいかな」

 

「良かった…」

 

「あちっ!?ちょっ背中の火を止めてって!熱い!やめてって!」

 

「え!?あ、ごめん!」

 

「ふひゅ〜」チーン

 

「ごめんな!」

 

 

 

 

 




妹紅さんが彼を好きになった原因?それはね…迷いの竹林で往復を繰り返して行くうちに雑談するようになって落とし穴にはまったりするのを見ているうちに情けが湧いて来たんだけど人里で頑張ってるところで愛おしさがプラス…な感じだと思うよ。乙女の心情ワカラナイ

男は妹紅さんが好きです。何故?迷いの竹林で落とし穴にハマった時、宙ぶらりんになった時等で助けてくれたからです。お世話強い


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慧音先生と余力のない男

書いてる途中寝落ちしました。
妹紅さんの回も寝落ちしました。
ええい!何故だ!気に食わん!
慧音先生に聞くしかねえ!
と言うわけで慧音先生


人里 団子屋

 

「んー…」

 

「おい、起きろ」

 

「んぁっ」

 

「全く…遅れたのが私だからあまり文句は言えんが…夜更かしでもしたのか?」

 

「いえいえ。慧音先生がどんなところに連れていってくれるかを考えたら眠くなりまして」

 

「お前って結構ストレートに言うよな」

 

「よく言われます」

 

…そりゃあ昨日あそこで寝たんだ。温泉入って出てあそこで寝て。さっき起きたんだ。金も丁度持ってたし、なんだか運が良かったと言うか。

 

「なんてな。ただ温泉から帰る途中あそこで寝てしまった、そんなところだろ?」

 

「何故バレてる…」

 

「昨日見かけたんだよ。風邪ひかなかったか?」

 

「大丈夫です。ただ少し眠気が…」

 

「全く…寺子屋で休むか」

 

「いぇ!どっか連れて行ってください…」

 

「駄目だ。治してからじゃないと連れて行ってやらん」

 

「治すなら永遠亭で良くないですか?」

 

「ばか言え。あそこだとお前が乗り換える可能性があるだろ」

 

「乗り換える?」

 

「…違う、お前が落とし穴で怪我するだろうと言いたかったんだ。なんで乗り換えるなんて言ったんだ?」

 

「さあ?」

 

寺子屋

 

「…ほら、横になれ」

 

「では遠慮なく…余力もないけど」ゴロンッ

 

「ハハッ。ただ転がるなら布団の上にしてくれるか?折角敷いたのに」

 

「ああ、すいません」

 

「…さて。私はお前の看病でもしとくかな」

 

「ありがとうございます」

 

数時間後

 

「んぅ…」

 

「すぅ…」

 

「はっ!…あれ、なんで一緒に寝てるんだ?」

 

うーむ記憶に全くない。布団に入り込んできた記憶もない…よくよく考えたら寝るまでに移動してた記憶もない…果て俺が何をしたのかわからないがわかりたくもないのは防衛本能なのだろう。やめておこう。

 

「…?あ!不味いそのまま寝てたか!?すまん!」

 

「ああ、いえ良いです。むしろ慧音先生なら歓迎…」

 

「本当か!?」

 

「本当です」

 

「それは嬉しいな!」アタフタ

 

「アタフタしながら言うことじゃないですね先生」

 

「それはすまん!」

 

翌日

 

「zzz…」

 

「良い顔だな…それにしても今日こいつは私と同じ布団でも歓迎するって言ってたな…」ニヤリ

 

「んぅ…」

 

「これはもう添い寝してくださいと言ってるんだな。そう受け取るしかないよな。さて…良い寝心地…♪」

 

…不味い、とても起きづらい。そして目を開けるのが怖い。俺を救う何か一つの一大作戦はないのか!?やばい、脈拍が早くなってる気がする。そうなるとやばい。慧音先生に気付かれる。ここで一番やばいのは…さっきの独り言を聞いていたと言うことがバレる。その一点のみ。

 

「…いやぁ…それにしてもお前は可愛いなぁ…思わず抱きしめて守りたいくらいだ…」ギュッ

 

「ん…」

 

「…起きてるだろ」

 

「!?」ビクッ

 

「起きてるな?ほら、早く返事をしろ。腕を折るぞ?」ガシッ

 

「あ、起きてまし!」

 

「それで良いんだ。さて、これからは私が布団に潜り込んできたとき、起きていたら起きてると言え。言わなかったら腕を折る。寝てたら何も答えれないからな。良いか?」

 

「ひゃい…」

 

「よろしい。さて、嘘がバレた気分はどうだ?」

 

「最悪です…」

 

「だろ?嘘なんてつくもんじゃないしな」

 

「はい…」

 

その一週間後 主人公宅

 

「…どうしました?慧音せんせぇっ!?」

 

「お前なんで一週間も姿を見せなかったんだ?」ガシッ

 

俺が扉を開けたらいつもは青い目をした慧音先生が青黒い目をしている慧音先生と化したヤバそうな慧音先生がいるではないか。命の危険を感じとり一歩、二歩と下がりたい気分だが首根っこを掴まれている。こりゃ無理だな

 

「…っ!」タップ

 

「ああ、すまんかった。それでだ、今までは3日間おきくらいで私に会いに来てたと思うが?」

 

「いや、あれは、その…」

 

「なんだ?まさかとは思うが…私に何かするつもりだったのか?」

 

「いやそれはない!」

 

「そうか…なら良かった。それじゃ…」

 

「なんで近付いて来るんですか…?」

 

「なんでって、近付かないとキスが出来ないだろ?」

 

「え…?」

 

もしや先生は俺を舐め腐っているのか?今背筋にたらりと冷たい汗が流れる。こんな時でも考えられる頭を恨みたい気分だが恨んだところでだ。畜生足が動かねえ。そんなこと思ってると頭を掴まれた。頭突きか?お?頭突きか?と思ったらキスだった。すんません

 

「んっ…」

 

「…ぷふっ…なんでキスなんて」

 

「なんで?そりゃあ私がお前のことをずっと好きだったからさ。ずっと見ていたんだぞ?」

 

「え?」

 

「温泉から出て行くのだって見てたし、なんならトイレも見てた。風呂は勿論寝顔も食事中の顔も河童の写真に収めてる」

 

「そ、それは少しおか」

 

「おかしくない!」

 

「っ」ビクッ

 

「お前は…私の努力を馬鹿にするのか!?」ゲシッ

 

「おぼっ!?」バゴッ

 

「お前が!私を!こんな風に!したんだろうが!」バギッバギッドゴッ

 

「ぁ…ごへんなざ…」

 

「許すとしたら一生軟禁が条件だな」

 

痛みでよく物事が考えらないけど、今ここで死にかけるよりはマシだ。多分、寺子屋とかに軟禁。そんなところだろ…軟禁つっても鎖でどっかに繋げるぐらいだろう。それなら一生軟禁を選ぶ!

 

「それで…」

 

「良いんだな?よし。お前は今日からこの部屋で軟禁だ」

 

「え」

 

「ずっと私と一緒にいることは出来ないけど、お前がずっとここに居れば私とお前の二人きりだ。何してもバレない」

 

「…え」

 

「私はな。一言も言ってないぞ?暴力を止めるなんて」

 

「あ、え、そんな」

 

嘘だ。でもよくよく考えると言ってなかった。なんで、どうして?そんなことすら気が付かなかったなんて、そんな、馬鹿な…?

 

「それじゃあ、お前には私なりの愛を叩き込むから、受け止めてくれよな」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 




ちびまる子ちゃんのヒロシが頭に思い浮かんでくるのは何故だろう


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90話

生命力ゴキブリ並みの主人公が来たぞー!


 

霧の湖

 

「来たよー!…って、あれ?」

 

「ああ、あの人は巫女さんが強制的に里に連れて行ったよ」

 

「えー!?」

 

人里

 

「…あんがと」

 

「良いのよ。慧音の奴から言われてたことだし」

 

「ペプシコーラ一つ」

 

「600mlしかないけど」

 

「それで良し」

 

そう思い口の中にドバッと炭酸を入れる。かなり美味。ただ喉が痛い。喉に針がささったかのように痛いが美味いのだ仕方あるまい。さて、巫女さんがこちらを見ているがどうしたら良いのだろうか?コーラ欲しいのかな?

 

「…欲しいの?」

 

「いや?別にこれと言って欲しくはないわよ?」

 

「そうでしたか。それじゃ」

 

「ああ、慧音のところに連れて行くか」

 

「コカコーラも一つ」

 

「あいよ」

 

「缶ね」

 

「わかってるわかってる」

 

「…人の話聞いてる?」

 

「はいよ」

 

「ありがとった!?」

 

コーラ缶<落ちたぜ!つまり振ったことになるから今開けるとやばいぜ!

 

「…しゃあない、さっさと行くか」

 

というわけでコカコーラはお預けというわけだ。寺子屋に行くことになった理由は知らんがどうにかして人里から脱出する方法を考えなきゃいかんのだな…今走るか?巫女さん蹴って行けばいけないことはないが霧の湖着いたら薙刀でぶっ刺されそうで怖いな

 

寺子屋

 

「…久しぶり」

 

「全く心配させやがって!」

 

「そうは言ってもあんた、心配なんかしとらんだろ」

 

「は?」

 

「…そろそろかな…っ」プシュッ

 

「私はこれでさよならね」

 

「あ、ああ」

 

「ばいちゃー」

 

「…今の言葉、どういう意味だ?」

 

「そのまんま。霧の湖で妖精と約束してるから、俺もこれでさよなら」

 

「ま、待て!」

 

「さらばだー!」

 

霧の湖

 

「もう!なんでなのよ!」

 

「私に当たられても…」

 

「間に合ったか!?」

 

「やっと来た!」

 

…助かったー!コーラ飲みながら来たから鼻が死んでる!炭酸で鼻が!ていうかそもそもなんの飯が出てくるのかわからないんだが何が出てくるんだ?

 

「魚料理だけど、許してね」

 

「美味い!」

 

「…仲良いと思ってたのになー」

 

「フッ」ニヤリ

 

「んなっ」イラァッ

 

「…やっぱ魚だな」

 

「そうよね〜!」

 

「お肉はどうなのよお肉!」

 

「肉より魚だな…」

 

「フフッ」ニヤニヤ

 

「ここに人魚がいるから」

 

「わおっ!」

 

…とりあえず妖精が来るまではこいつらで遊ぶか…?遊ばれるか…??

 

「〜っ!」

 

「ふふん」ドヤァ

 

「…ペプシが少し残ってたんだ」ゴクゴク

 

「え…!?骨溶けない…!?」

 

「いつどこで骨に当たるんだよ。ていうかなんで飲んでる隣で言うんだよおかしいだろ」

 

「えへへ〜♪」

 

「殺したいその笑顔」

 

飲んでる隣で言われても嬉しくないしなんなら気分が悪くなるのでやめてもらいたい。そういえば外の世界では歯が溶けたりするらしいな。でも歯は溶けても再構築するし唾液に酸を中和するとか言ってたから…じゃあ虫歯もどうにかしろよ…

 

「あー!来たな!」

 

「ちょっとチルノちゃん」

 

「おー、元気そうだなチルノ」

 

「当たり前だい!あたい牛乳!」

 

「その人のためだけに屋台引っ張ってるんだけどね…」

 

「チルノ、なんだその目は。俺からミルクは出ないぞ」

 

「えっ!?」

 

「えっ?」

 

「…チルノちゃん、牛乳は牛の…」ゴニョゴニョ

 

「ああ!そう言うことね!」

 

「…そろそろ、疲れてきたかな。それに雨も降ってきた」ポツポツ

 

「え?…あ、これ大雨じゃん」

 

「マジで!?あ、ご馳走様でした。お代は」

 

「別に良いですよ!余り物の処分なので」

 

「あざます!」

 

ザァァァァァァァァ!

 

「最悪だ…環境音がうるさすぎる」

 

「私は雨でも良いけどな〜♪」

 

「ふん!氷の中じゃまともに動けないくせして!」

 

「誰だってそうよ!?」

 

「あたいは動けるもん!」

 

「俺は2分程度なら意識保てるぞ」

 

「わっわたしは…何も…」

 

「…なんかすまんかった」

 

「私が見栄を張っていたように見えるわ…」

 

「…?」

 

「お前は謝る原因がわからねえもんな」

 

「すごい!」

 

いやすごくねえし仮にこいつがすごかったら今頃世界中の人間が偉い偉いと言われとる。言う人間が居ないけどな。そんなこと思っているとわかさぎの友人がやってきた。名前を影狼というらしい。なんと、予測変換の敵であったか。

 

「ふー…すんごい髪の毛とか濡れちゃった」

 

「あー、妹紅さんとかが居ればなー」

 

「居れば?」

 

「服とかなら直ぐに乾くし暖かい」

 

「なるほど」

 

「妹紅!あたいのライバルのことね!」

 

「あーこらこら。塩振りかけるから黙ってなさい」

 

「なにそれ?」

 

「チルノちゃん、この大雨だと今日何もできないよ」

 

「そうだった!」

 

「…影狼さん、どう思います?」

 

「似た者同士って言葉は本当に幅広く通用するなぁって」

 

「俺も馬鹿ってことですか」

 

「そうなるわね」

 

「畜生」

 

「…え、もしかして私も!?」

 

「お前はばっちりあっち側の人間だよ」

 

「そうよ。どこら辺に知性があるっていうのよ」

 

「うぐっ…」

 

「…てか今気付いた影狼さんすげえ服透けてる」

 

「あらやだ」

 

「まあそんなことは放って…このでかい傘で良いかな」

 

「あ…それ確か」

 

「どうした大妖精」

 

「博麗の巫女さんが置いてました」

 

…置いてたって…来てたのか?ここに…まあどちらにしろ、外には出れるんだ。楽しまずには居られんだろう。外へ一歩出てみるか!

 

「一歩!」

 

傘<ドバァァァァアァ

 

「…うるせーけど良いか。影狼さんいる?」

 

「飽きたのね」

 

「飽きたのだ」

 

「雨くらい傘なんて要らないわよ!」

 

「そうよね!わかってるじゃない人魚!」

 

「一歩!」バッシャンッ

 

「一歩!」カチンコチン

 

「チ、チルノちゃん!?」

 

「…馬鹿どもを見るのは良いな」

 

「びしょ濡れで腹立ってるでしょ」

 

 

 

 

 

 

 




他人のせいでびしょ濡れになるのはかなり嫌です


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紅魔館ハーレム3

誰にしようか考えてたら紅魔館あったわ。
HAHAHA見てくる


紅魔館

 

「さて…この部屋は終わったかな」ガチャッ

 

「病み上がりの仕事はどうかしら?」

 

「ひゅいっ!?」

 

「無理してるな今すぐにでも休みなさい」

 

「…心臓に悪い…」

 

と、このように病み上がりを利用した謎の嫌がらせを受けている気分だ。というよりどんなことしたら俺こんなことになるんだよ。おかしいんだよ色々とよ。あんなの誰だって心臓に悪い上喋り方が淡々としてるからほんっと嫌われてると思うよ…

 

「…えっと、この部屋が終わって次は…」

 

「咲夜」

 

「双眼鏡ですか?」

 

「いや、望遠鏡」

 

「何を見るおつもりで?」

 

「…次の掃除場所は?」

 

「こちらにございます」

 

「…え、ここの廊下?」

 

「はい」

 

「逃げるぞ!」スタコラサッサ

 

「了解しました」スッ

 

…なんか少し上が騒がしい…

 

「んー…疲れた…とても疲れたので休もうと思う」

 

紅魔館 門の内側

 

「…望遠鏡とはこのためにあるのだ」

 

「お嬢様、もはやストーカーかと」

 

「うるさい!近くでまじまじと見てたら警戒されるだろ!」

 

「いやそれはそうですが」

 

「寝た!」

 

「休めば良いのに」

 

紅魔館

 

「…zzz」

 

「んー?あ!前寝込んでた人!」

 

「んあっ?」

 

「あそぼー!」

 

「はいはいわかりました」

 

「でさ、ちょっと気になるんだけど…」

 

「?」

 

「あれ何?」ユビサシ

 

アレとは?妹様が指差す方向へと目を向ける。え、何あれ?とは思った。だが直ぐに正体がわかった。お嬢様だ。…あれ、もう一人いるぞ?もしやメイド長?もしかして俺妹様と触れ合っちゃダメだった?

 

「さあ…?」

 

「とりあえずぶっ壊しておくね」ギュッ

 

外<手が!手がぁぁぁぁ!?

 

「…末恐ろしいパワーだね」

 

「まぁね。で、私と何して遊ぶ?」

 

「んー…そうだな、こんな遊びはどうだ?」

 

「…何?どんな遊び?」

 

「掃除をどちらが先に終えられるか」

 

「騙されると思う?」

 

「すいません…」

 

「美鈴のところ行こ!美鈴が寂しがってたよ!」

 

「え、マジすか?でも掃除が」

 

「後でいいから!」

 

紅魔館門

 

「本当にお嬢様がいる」

 

「きもちわりーな」

 

「妹様、なぜ彼を?」

 

「寂しがってたから!」

 

「とりあえず日陰から出ないでくれる?」

 

「わかった!」

 

「…にしても、暑いですねぇ」

 

「メイド長がお嬢様に屋根作ってもらった方が…ん?」

 

「私から頼んでみる!」

 

「お願いします!」ドゲザ

 

「そんなに嫌だったのか」

 

「はい!」

 

後日、門に屋根が取り付けられたと言う。というのは置いといて、俺が寝る部屋に寝る時毎回と言っていいほどメイド長が来るのはやめていただきたい。緊張とかのレベルじゃない、まじで寝づらい。どうにかして見てくるのやめれないのか?

 

 

「…」

 

「ふーむ…」ジーッ

 

「んっ…」

 

「!」パシャッ

 

なんで寝返りしたら写真撮るんだ

 

「さて、確かこれだったわね…」

 

「…?」

 

「盗聴器でも取り付けて…っと。これで良し」

 

「まっ…!?」

 

「!…寝言かしら?驚いたわね…さて、部屋に戻りましょうか」

 

…せめて、嘘であって欲しかった…と思いながら盗聴器が仕掛けられた奴を見る。ついてる。圧倒的に付いてる。まあいいや寝る。

 

「んぅ…」

 

その頃メイド長室

 

「…?確かこのダイアルを…!?足音!?…なんだ、彼の足音…え?」

 

翌日

 

…まあ、なんだ。なんだかんだ言ってこの一着しかないって言うのは不便ではある。がそれ以上に盗聴器の付いた服を着たくないので俺は自前の服を着ていざ仕事へ

 

「朝ごはん…何かしらその服は?」

 

「…あ、いや、たまには使わないとタンスの肥やしになるかと思って」

 

「そう。制服で来るように」

 

「…畜生…!!」

 

その日のお昼

 

「あら、いいタイミングね」

 

「?」

 

「ちょっとお話があるの」

 

「はい」

 

レミリアの部屋!!

 

「…なんでしょうか」

 

「ねえ、血を吸ってもいいかしら?」

 

「え?」

 

「血を吸ってもいいかしら?貴方の血、美味しそうだもの」

 

…え、どう言うこと?確かに吸血鬼だから血は吸うだろうけど…え?俺が標的ってわけですか?何、なんかあるわけ?近々俺処刑されるの?みんなの前で血を吸われて死ぬの?え、何それそれはちょっとどころか結構嫌だ

 

その頃メイド長室は…

 

「…やっぱり。血を吸うつもりですね?お嬢様…させませんよ。先ずは…」

 

戻ってレミリアの部屋

 

「…すいません、少し」

 

「時間が欲しいの?分かったわ、待ってあげる。でも長くは待てないわよ」

 

「ありがとうございます…」

 

「フフッ。そうね…待てて6分くらいね」

 

「それくらいあれば…」

 

何か運のいいことは起きないのか!?クソッこう言う時だけ運は悪くなるんだ畜生…!

 

バタンっ!

 

「大変ですお嬢様!」

 

「何かしら?」

 

「お嬢様の私物が無茶苦茶に…!」

 

「…別にいいわよ。むちゃくちゃになったところでそのうちの幾つかは捨てる予定の」

 

「犯人が分かっているから急いでるんです…!」

 

「ほう?」

 

「犯人…貴方よね?」

 

「…俺?」

 

「貴方よ。今日、あのお嬢様の無茶苦茶にされた私物がある部屋に行ったのは貴方だけ。それに妖精からの証言も得ているわ」

 

「…本当?」

 

「え、何それ知らない」

 

「らしいわよ?」

 

神様、もっとバランスってのを考えやがれください。どう考えてもアンバランスでしょ。邪魔が入って争奪戦!が良かったのに、邪魔が入って泥沼戦!みたいになろうとしてない?え?てか俺が犯人にされてるってこと?

 

「いえ、妖精や妹様からの証言があるので言い逃れはできませんよ…!こっちへ来なさい」

 

「え、あ…」

 

「行っていいわよ。ただし。その後直ぐにここに来ること」

 

「はい…」

 

「…計画通り…♪」ニヤリ

 

 

 

 

 

 




計画通り…!!

デスノートってわけですな。


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ミスチーとヒモ

みすちー!みすちー!
Twitterで告知したみすちーとは別物のみすちー!


 

幻想郷のどっかの夜

 

「おーっす」

 

「あら、いつもありがとうね」

 

…いつもの!と言って鬼殺しでも飲んでいたい気分ではあるがそこをあえて俺ははんぺんを頼む!そうすることにより鬼殺しがさらに上手く飲めると言う寸法だぬわははははは!…おいそこ、酒は好みで意見が分かれるんだ不味いとか言うんじゃない

 

「はんぺんを二つ」

 

「了解♪」

 

「…鼻歌混じり…あ、そうそう。最近すんごい奴がバイトしに来てさ」

 

「ほほう、それは一体どんな?」

 

「それがよ、入った初日に何も知らねえから周りに聞いたのに、翌日全て忘れてやんの」

 

「なんだそりゃ〜」

 

「ったくもうそいつの世話係は精神病むだろうなって、見てて思ったよ」

 

「フフッ。それはそうとお酒は良いの?」

 

「はんぺん食い終わったから…鬼殺し」

 

「え、嘘いつのまに食べたの!?」

 

「まあね」

 

「…はい。鬼殺し」

 

「これだこれ」ゴクゴク

 

「そんな水みたいに飲んだって意味はないと思いますが」

 

「多分あると思ってる。それにその新人、扱いに困ってすぐクビにするかどうかで上が揉めてるらしいの」

 

「その新人どれだけ使えないんですかw」

 

「だよねー」

 

翌日 人里

 

「…んにゃ、リストラされてる…再就職まで金はあまり使えんな。さてどうしたものか」

 

手紙が来ているが何故かそれはリストラ通知だった。解雇通知って奴。なんでぇ?と思いたいが、あの新人に俺なんか言っただろうか?暴言吐いてそれでクビになったとか?…もしかして酒飲んでる隣の席に上の人いた?

 

「ま、どちらにせよだ。今日は一日寝てようかな」ゴロンッ

 

その日の夜 屋台

 

「…?今日来ないわね…」

 

「あー、すいません女将さん太陽礼拝一つ」

 

「ごめんそんなお酒も魚も提供してないの」

 

一週間後

 

「…さあ!今日採用か不採用かのアレが出てくるはずだ!さあ来いや!」

 

「配達でーす」

 

「はいはーい」

 

ずっしりとした段ボールを受け取る…ん?待って、紙だよな、普通…不採用で何か来てもこんなにずっしりとは…?ま、間違えたのかもしれないし宛先…もあってやがる何これストーカー?恐る恐る開けてみるべきか…!

 

「採用通知であれ採用通知であれ…!」チラッ

 

ダンボール<やぁ!中身は新鮮なお魚と鬼殺しだよ!

 

「…鬼殺しと魚…待て、俺こんなの頼んだ記憶が…良いか。魚は焼いて食うだろ?…酒は飲んだらダメだろうが!」

 

畜生タイミング悪いな!

 

その日の夜 屋台

 

「また来てない…?もしや配達が遅れて…むむー、考えてもわかんない…」

 

「今度こそ!女将さんカラーレインボー一つ!」

 

「カクテルかな?」

 

「ていうか最近女将さん挙動不審だよな」

 

「そう?」

 

「一週間前と今で存在しない酒の名前らしきものを言ってるお前が挙動不審だよ」

 

翌朝

 

「…仕方ない。迎えに行きますか!」

 

人里

 

「不採用しかねえよ〜ていうか魚は結局誰からだったんだよー…もうわっけわかんねーよー」

 

ドンドンッと音がする。うるせえ誰だゴルルァ!というギャグがしたかったなーと思いながら扉を開ける。はいガララッとどちら様でしょうか!…誰もいねえ!

 

「畜生外の世界で言うピンポンダッシュって奴か?クソッやられたな」

 

「お邪魔します」スッ

 

ガチャンッ

 

「誰か俺を養ってくれる気前の良い人はいないだろうか」

 

「いますよ」

 

「何奴!?」

 

あれ、この家誰かいたっけ!?幽霊!?やだこわい!

 

「って女将さんかぁ…」ホッ

 

「フフッ。慌てん坊さんね。それじゃあお料理作ってるから少し待ってて」

 

…ん?あれ、ん?なんで居るんだ?

 

「あの、なんで女将さんが?」

 

「あら、お邪魔だった?最近わたしの屋台に来てくれなかったから」

 

「…あれ、そうでしたっけ?」

 

「そう。寂しかったのよ〜?」

 

「そうだったんですか?」

 

「さ、これ食べたら屋台に行きましょ?」

 

「わかりました〜」

 

これ食ったら屋台か。…いや、騙されんぞ。なんでこれ食ったら屋台に行くんだ?

 

「あぶねえ騙されるところだった!」

 

「あら残念…そんなに信用ないかしら?」

 

「ないと言うよりスラッと人の心に漬け込む気がしてならん」

 

「ウフフ…それはともかくわたしの歌聞いてくれる?」

 

「良いですよ」

 

「それじゃあ」

 

そっから俺の記憶はない。そうだな、いわゆる目が覚めたらって奴だ。目が覚めたら夜、屋台で酒を飲んでいた。な、何がどうなっているのかはわからねーが、あの時何かされたということだけは分かった。俺は何か地雷を踏んだ気分だぜ…

 

「…んっ」

 

「良い飲みっぷり!久々に見たわね〜♪それじゃあ、こっち」

 

「…うわったた」

 

「ああ、もう。そんなに飲んじゃってたの?これじゃあ人里には帰れないわね」

 

「お…?」

 

「仕方ないわね。私の屋台に居ましょう。そのまま呑みつぶれたら妖怪に襲われるかも…なんてね♪」

 

何言ってんだこいつ。自分が妖怪だろうと言うツッコミは置いといて何故だ身体が言うことを聞かん。酒のせいか。こりゃ明日二日酔いコースですな。はーははは明日はゲロるつもりで生きるしかあるまい。

 

「…ん?なんですかその目?」

 

「眠い…」

 

「ああ、もうそんな時間でした?店閉めなきゃ…そこに居てくださいよ!」ユビサシ

 

「zzz…」

 

数分後

 

「ね、寝てる…!?」

 

「zzz」

 

「…ハッ!」

 

その時、ミスティアに電流走る。もしやこれこのまま毎晩屋台に来させることができるのでは?

 

「…善は急げ、ね!」

 

そこから少し離れた場所

 

「…大ちゃん、みすちーを見つけた」

 

「チルノちゃん、あれは大人の恋だから邪魔しちゃダメだよ」

 

 

 

 

 




ミスティア<金の成る木は育てなきゃ(建前)あの人の愚痴が一番聞いてて心地がいい(本音)
主人公…待て、なんか今変なことがなかったか?(常識改変)


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椛と怖がり

椛ちゃんは良いぞ。
予測変換で出にくいことを除けばだがな。
ただし純狐、てめーはダメだ


妖怪の山

 

「…何これ?俺どうなってんの!?」

 

「たった今捕まったんですよ。ものすごい隠れるの下手だしなんでか草木に紛れずそのまま寝てるし」

 

「ていうかここどこだよ!?」

 

「え?」

 

「説明してくださいお願いします」

 

「…なるほど外来人でしたか」

 

なんだこの野郎外来人ってどういう意味か言ってみなさいほら犬みたいだから野良犬トラップここら辺に仕掛けてやろうかってんだこのやろう

 

「…というわけです」

 

「わかりました」

 

畜生こいつ説明上手い

 

「さて…そうだったのなら話は別です。人里へ連れて行きましょう」

 

「人里…読んで字の如く」

 

「そうです。ほら、行きますよ?」

 

「なんで手出してくるんですか」

 

「…あ、おぶって行きます?」

 

「空でも飛んでいくんですか?」

 

「そうしないと人間感覚で2日くらいかかりますよ」

 

「おぶってください」

 

空!幻想郷の空!

 

「あ、そういえば幻想郷には妖怪が出没します。まあ見つかると十中八九食べられちゃうので気をつけてください」

 

「…ところでその妖怪っていうのは…」

 

「ああ、わたしも妖怪です」

 

「…もしやこれ俺食われます?」

 

「そんなバカな。次回からですよ」

 

「言い方ひどくない?」

 

翌日 人里

 

「生憎ホームレスは慣れていてね」

 

「貴方外の世界で何してたんですか?」

 

「それはそうと次あったら俺食われるはずでは?」

 

「妖怪の山に侵入したらです。今日は休暇を頂いていますから」

 

「そうなんだ…どこの世界も縦社会は大変だねぇ」

 

「私はあなたの生活ぶりが大変そうですけど」

 

「この新天地で働けるほどの気力はないですな。まぁなんとかなる」

 

「なりません。この幻想郷は外来人ってだけでもかなり肩身が狭いのに…少しでも愛想を良くしないと受け入れられませんよ?」

 

「外の世界でも中の世界でもどっちでも同じ扱いなんだ別に良いだろ」

 

「あれ…外の世界って確か楽園とか言われてたはずじゃ」

 

…外の世界が楽園だろうと地獄はあるだろうて。俺はもうホームレスの生活が定着して綺麗なところにいると蕁麻疹が出るとかいうどこぞの芸人みたいな生活になっている。俺がホームレス化したのは20くらいからだ。今?30近いよ黙ってろ

 

「というわけだ。帰りなさいな。食いつなげる気がしないから…まぁ明後日くらいにゃ飯ができるから」

 

「そんなやり方で言われてもですよ。その上貴方痩せこけてるから食べるところ少ないじゃないですか…」

 

「ありゃま」

 

「…仕方ないですね。私の家に連れて行ってあげましょう」

 

「なんか急に怖くなったんですけど」

 

「誰だって自分の行動で人が死ぬと考えたら嫌なものです」

 

「外の世界は他人に迷惑を掛けて死ぬ奴もいるが」

 

「知りません」

 

妖怪の山 犬走宅

 

「…肩身が狭いとは言うが、幻想郷で初めに会った人間が生き死にを決めるって言ったほうがいいだろ」

 

「まあ風見幽香のところに行って生きれる外来人はいませんからね」

 

「マジかよ風見幽香最低だな」

 

とは言ったものの、こいつの名前自体知らないのに俺にどうしろと言うんだ。急接近か?なにそれ怖い。ていうかここ綺麗だな…蕁麻疹が出そう。なんとか外で待機できるか願ってみる必要はあるけどこの布団毛がつきすぎじゃね?

 

「あ、その布団に付いてる毛私のです」

 

「白色…」

 

「尻尾ですから。全くこれで布団を買いに行くことになりましたね…」

 

「え?」

 

「ん?」

 

「…いつの間に俺泊まることになりました?」

 

「泊めてあげなければ死ぬでしょ」

 

「まあそうだけど」

 

その一週間後

 

「だからぁ、そいつが嫌いなんですヨォ〜」

 

「さては自分の飲み相手が欲しかっただけか?」

 

「それに!あっちの非を認めずに私に押し付けてくるんですから!」

 

「はいはい。ていうか結局俺外出れないし」

 

コンコン…救世主だ!その音は世紀末にバイクが飛び交う中、自転車のベルの音が鳴ったかのような安堵をもたらせた。ああよかった。助かった。ヘルプミーしなくて良かった…!そう感謝していると扉が開き…

 

「椛〜…?」

 

「んぇ?」

 

「あ」

 

「…どうやらお楽しみ途中だったようですね?」イラッ

 

「え、なにそれ俺知らな」

 

「なぁんですかぁ…文さんに渡しませんよ〜!」

 

「…椛の酔いっぷりと言ったら…そこの貴方も、椛との関係は知りませんが早めに縁を切らないと大変なことになりますよ」

 

「あ、はい…ていうか椛って言うんだ…」

 

「何文さんと話してるんですかぁ?あなたの話し相手は私でしょうよ〜」

 

「絡まないで…」

 

「もはや居酒屋…」

 

さらに一週間後

 

「…んがっ」

 

「寝てましたか?おはようございます」

 

「え、あ、おはよう」

 

「それでは仕事に行ってまいります」

 

「はい…」

 

「それでは」ガチャッ

 

…あれ、おかしいな。俺は確か仰向けに寝ていた。そして椛さんは腕立て伏せの状態で覗き込んでいた…つまり、俺が起きるのを察知して腕立て伏せの状態で待機していたか、椛さんが起きてから俺が起きるまであれで待機していたかだ。そして俺が起きるのを事前に察知するのは医学とかじゃなきゃ無理だ。あれ?もしかしてこれ…

 

「…やっぱやめとこ。なんか視線感じるし…」

 

さらに一週間後!

 

「あなた、最近露骨に私を避けていますね?」

 

「え?」

 

「答えてください」

 

「あ、いや別に避けてるつもりは」

 

「では何故私が帰ったら寝ているのです?寝ていなくともすぐに布団に入るし」

 

「え、あれは本当に眠くて」

 

「言い訳はいいんですよ。あなたが私を避けてる理由を聞いてるんです。言い訳は聞いてません」

 

「だから本当だって」

 

「本当?私が帰る前に鼻歌混じりで美味しそうな料理を作ってたのは?」

 

「…なんで知ってるんですか?」

 

「見ていたからです。ずっと」

 

「何それ怖っ」

 

「は?」

 

「あ」

 

「…怖いから避けていたんですか?なら、怖くないよう頑張るので避けないでくれますか?」

 

「なんか斜め上に行ったぞ?」

 

「努力をするので、この家にいてください。まあ貴方が仮にここを抜け出したら私が直々に殺しにきますが…」

 

「ヒェッ」

 

 

 

 

 

 




要望はなかったけどとりあえず作った椛ちゃん。
あとどう考えても地霊殿ハーレムが難しいのはお空とお燐とか言う知能が片方に吸われたコンビが存在しているからです
椛ちゃん…危なっかしい奴は監禁じゃゴラァ!
主人公…そのうち何とかなる!


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パルスィとヤケクソ男

パルスィさんことジェラシーモンスターです。
一年くらい遅れて海賊無双買いました。
4です。難易度が前作よりも地味に高くて草です。


地底

 

「うぇーいw」

 

「何言ってんだこいつ」

 

「…こう見えてついさっき鬼にボコられて身に覚えのない借金で財産吹っ飛んで衣食住がなくなり自棄になっているのさ」

 

「…私の方が不幸ね!」

 

「なんだろう。すんごい腹立った」

 

はてこいつに勝るストレッサーは今後見つかるのか?当たり前だこんな奴が人生最大のストレッサーとか考えただけで虫唾が走る。反吐が出る。しかしまぁなんと言うか…こいつは度々鬼に呼ばれたりしているのだが、毎回こっち見てニヤリとするのはやめろ

 

数日後

 

「…そういや最近飯食ってねえなぁ…案外なんとでもなるんだな」

 

「はいこれ」

 

「…ジェラシーモンスターさん、あんたが俺にパンをあげるとかすごい裏を感じるんですけど」

 

「貴方にパンが取られてしまったわ。これで私の方が不幸ね」

 

「それが狙いか…まぁ、どっち道だ。ずっと寝ている気分でいたい」

 

「冬眠の準備?地上に妖怪の山っていう場所があって」

 

「そこに行くと問答無用で切られるんだろわかっとるわ」

 

「チッ」

 

「おい今舌打ちしたな?」

 

翌日 地上

 

「まさか来れるとは」

 

「…私のコネで地上に連れて来るのはパルスィだけの手筈なんだが?」

 

「今日は宴会やるらしいじゃない。私嫌よ」

 

「パルスィ…」

 

え、宴会?宴会があんの?何それ聞いてないんですけど?…いやいるはずのない妖怪だからそれもそうなんだけど。ていうか今目の前に鬼がいてクッソ怖いんですけど?嘘で身体覆うくらいしかできないんですけど!?

 

「…とりあえずその場所に行きたいんですけど」

 

「良いぞ!」

 

博麗神社

 

「鬼!退治せざるおえない!」

 

「待てそれは少し違うだろう。どれくらい違うかっていうと20年ずっとジャンケンでグーだったのにその次パー出したくらい違うだろ」

 

「ごめん全然わからないけどここが宴会の会場って聞きました」

 

「…誰?」

 

「俺が何故ここにきたのかは俺が知りたいです」

 

「…まあ良いわ。さっさと準備手伝ってちょうだい」

 

「あ、俺無理です」

 

「は?」

 

「鬼にボコられて腕の骨が抜かれてます」

 

「あんたどうやって腕動かしてんの?」

 

「バレたか」

 

その日の夜

 

「宴だい!」

 

「萃香呑んでるか〜!?」

 

「呑んでるとも〜!」

 

「…やばいすっごい帰りたい」

 

「ていうか霊夢こいつ誰だ?」

 

「本人自体何でいるのか知らないらしいわ。鬼に連れてこられたらしいけど」

 

「…訳アリってやつか。仕方ないわな」

 

なーにが仕方ないだ。俺の体に仕方ない部分があるのか?と聞きたい気分だがこの女多分並の鬼より強い。俺の顎がガタガタ震えてる。確実に俺より強い…俺地霊殿の主人より弱いけど。

 

「あら、一人寂しく?」

 

「だまらっしゃい。あんたが連れてきたんでしょ」

 

「一人寂しく呑んで…!」

 

「なんだそのハッとした顔は」

 

「私よりも不幸ね…!?」

 

「待て待て待て待て」

 

「まあ良いわ。おひとり様同士一緒にお酒を飲みましょ」

 

「はいはい」

 

…そっから先の記憶が曖昧である。ただ何故か何かから逃げてた記憶はある。

 

地底 パルスィ宅

 

「ん…?」

 

「あら、今起きたのかしら?妬ましい」

 

「…なんで俺お前の家に?」

 

「やっぱり覚えてないのね。その記憶力の弱さが妬ましい。そのせいで私は…」ブツブツ

 

「何この人怖い」

 

「とにかく、ずっとここにいてもらうから」

 

「は?」

 

「だって言ってたじゃない。『誰かの家に住みたーい住み着きたーい一生閉じこもりたーい』って」

 

「…え?え!?え!?!?ま、う、嘘!?」

 

「本当よ。勇儀に聞いても分かるわ」

 

「でも何故パルスィのお宅?」

 

「ん?気がつかないのかしら?妬ましい。貴方が私よりも不幸だということ。それが気に食わない。だから私は貴方に幸せになってもらう」

 

「ちょっと手順がおかしいんじゃねえの?」

 

「同じようなものよ。私にとっては…ね」

 

さてそうと決まれば再開だと言わんばかりに何故かキッチンへと向かった…ん?料理作ってくれてるのか?そりゃ嬉しいがこれじゃヒモになっちまう。本能が許しても理性が許さないぞこの野郎。なんとしてでもここから脱出を

 

「ちなみに」

 

「?」

 

「脱出したら…嫉妬で狂わせるから」ギロッ

 

「ひゃいんっ」ビクッ

 

二日後

 

「勇儀!」

 

「ほーん…こいつがパルスィのお気に入りね」

 

「眩しっ…な、何?」

 

「鬼が来たぞ。お前をボコし」ガキッ

 

「…それ以上言ってみなさい勇儀。顎の骨外して握り潰すわよ」

 

「おっと〜…ジェラシーモンスター…」

 

「それで良い。ごめんなさいね、眩しい思いさせちゃって…」

 

「いや、別に良いけど…何これ、クソ怖いんですけど」

 

「勇儀、今日は帰って」

 

「わかってら」ガチャッ

 

「あー怖かった…鬼なんてトラウマそのものだよ」

 

「あ、そういえばそんなこと言ってたわね。ごめんなさいね、私が勇儀を止めれなかったから…」

 

「いやパルスィさん?なんか怖いよ?」

 

「ごめんなさい…」ギュッ

 

「あぅっ…いや、だから良いって。ちょっと聞いてる?」

 

「え?あ、そ、そうね。気にすることじゃ…」ミシッ

 

「手を離せ!」

 

危ねぇこいつに後少しで体千切られるところだった!化け物かよ!?たしかに妖怪だろうが人間だろうが切れたら何故か急に強くなる奴はいる。だがしかしあんた切れてない上喜怒哀楽で言ったら哀…元が強いのか!

 

「嫌よ」

 

「なんで!?」

 

「貴方が私より少しでも不幸なのは許せない。それに貴方、この状況嫌ってわけじゃないでしょ?」

 

「んぅ合ってる」

 

「それなら良いじゃない。これからもずーっと一緒よ?私より不幸なのは許さないから」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 




俺の好きなヤンデレはどこだ…!?
パルスィ…不幸せは許さない。だからこそ、私より不幸は許さない。
主人公…うるせー黙ってろ!(この後パルスィさんが美味しく頂いた)


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巫女と熱中症

さあ始まるざますよ
行くでガンス
ふんがー!
フィンガァァァァァ!
という訳でもう一回きっちりとやり直したかった博麗霊夢です。


博麗神社

 

「…あっつ」

 

「扇風機も何もないのに何しに来たの?」

 

「賽銭箱に2000円入れたから勘弁してくれ」

 

「マジか」

 

「熱い。これ焼ける。こんがりジューシーに焼けちまう。逃げろ逃げろ…」

 

「というか、あんた賽銭以外にもなんか用事あるでしょ」

 

「ん、ああ。まあ、変なことだが…」

 

「?」

 

「次の宴っていつやるんだ?」

 

「今ここで八つ裂き希望?」

 

「難聴にも程がある」

 

何をどうしたら次の宴いつやるが今ここで八つ裂き希望になるんだ。難聴っていうか幻聴だろ。俺の知ってる幻聴の域超えてるけど幻聴だろ。幻聴じゃなかったらただ単に俺クッソ嫌われてるって話だからな。

 

翌日 人里

 

「なんでこんな熱いんだ…」

 

「さあな?少なくともお前が私の手伝いをするのが異常すぎて暑いのかもな」

 

「慧音先生最近口悪いですよ病院行ったらどうです?」

 

「こんな口を悪くできるのもお前みたいな奴だけだ」

 

「…そういうもんですかね」

 

「そういうことだ」

 

数分後

 

「…暑すぎて熱中症」

 

「大丈夫か?やっぱり慣れないことをすると身を滅ぼすな」

 

「貶してんのか慰めてんのか警告してんのか」

 

「その他だな」

 

「外道め」

 

「外道はお前だろう。全く…昨日聞いたぞ?賽銭箱に2000円入れたとか言って、本当は200円だったと霊夢から」

 

「巫女さんから?おかしいなそんなはずねえんだが」

 

「嘘つけ」

 

「…あ、たしか2000円入れようとしてやめて200円にしたんだ」

 

「やっぱ外道はてめーじゃねえか!」ドゴォッ

 

「ぶほぁ!?」

 

一週間後 博麗神社

 

「どうだった?慧音の頭突きの威力は」

 

「…頭突きされたせいで足の骨折れた」

 

「あんたどんな身体してんの!?」

 

「うるせーやい…全く。慧音先生もひでぇことしやがる…ん?」

 

「どうしたの?」

 

「お前なんで俺が頭突きされたこと知ってんの?」

 

「慧音から聞いたからよ」

 

「…そういうもんか」

 

「ちなみに熱中症になったこともトイレ行こうとして倒れたのも」

 

「怖い怖い怖いなんでお前そんな知ってんだよ」

 

「…さあ?なんでかしら」

 

「余計怖えよ」

 

何この巫女。怖すぎて超逃げたいんですけど。逃げて良い?今すごい逃げたいから逃げて良い?ていうかトイレ行こうとしては慧音先生にも言ってないぞ。まさか慧音先生が察した?いやあの人そんな勘ないだろうし

 

「ねぇ、ところで今日のお賽銭は?」

 

「ん?無い」

 

「は?」

 

「なんてな。500円」

 

「は?」

 

「…2000円」

 

「ありがとう!」

 

「現金なやつ…」

 

「今日は泊まって行っても良いわよ!」

 

「なんでかなぁ」

 

なんでかな。とても嬉しいはずなのに嬉しく無い。それどころかとても嫌な予感がする。なんでだ。巫女さんがいるのに嫌な予感がするのはなんでだ。おかしいじゃないか。…つまり俺の勘違いってわけだな。うん。そうだそうに違いない。

 

その日の夜

 

「ねぇ」

 

「どうしました?」

 

「慧音に頭突きされた所どこ?」

 

「んぇ?そりゃあここで」

 

「せいっ」ゴツンッ

 

「ほぎゃぁっ!?」

 

「…これで上書きね」

 

「染み込んだけど!?」

 

「うるさくしないで。寝れないじゃない」

 

「待って!?ねえ待って!?今の何!?上書きって何!?」

 

「…そのまんまの意味だけど?」

 

「怖えよ!」

 

翌朝

 

「ちょっと待てどういうことだ」

 

「?泊まったんだし朝ご飯も食べていきなさいよ」

 

「違う、そうじゃないんだ。周りのお方たちは」

 

「…ああ、紫のこと?」

 

「ゆかりんきらり」バゴギッ

 

「…悪かったわね。あいつ、結構めんどくさい妖怪だから絡むのは注意したほうがいいわよ」

 

「ちげえそういう意味じゃねえ」

 

「どういう意味よ」

 

「なんで俺こんな心臓バックバクさせやがる連中と飯食わなが」ガシッ

 

「…今のもう一回最初から言って?なんで俺こんな…の次」

 

「え?心臓バックバクさせやがる」

 

「そこ。なんで心臓がバクバクするの?」

 

「殺されたくないから」

 

「真面目に答えて」

 

ねぇ真面目に答えてるんだけど俺これ多分アレだよね。緊張してるからの意だったんだけど通じてないんだよね。言葉を形にしなきゃいけないんだよね。はーめんどくさ…

 

「緊張するから」

 

「…そう。なら良かったわ」

 

なら良かったってお前何が悪いんだよ20字以内で答えやがれ

 

「ちょっと霊夢酷くない!?」

 

「紫が悪い。そして帰れ」

 

「いけずー!」

 

「生贄になりたいのなら手伝うけど」

 

「ちぇっ」

 

「…消えた」

 

「さて。これからのことなんだけど」

 

「うい」

 

「貴方には一生ここにいてもらうわ」

 

「…おかしいな。俺難聴になった記憶はないんだけど、もう一回」

 

「貴方には一生ここにいてもらうわ」

 

「…あ、あはは。俺今日約束事があるんだ」

 

「それなら昨日泊まって行かないでしょ?」

 

「うぐっ」

 

「…何?私と一緒は嫌なの?」

 

「あいや、そういう訳では」

 

「目を合わせて」

 

「…っ」

 

「なんで?なんで私と一緒にいたくないの?答えなさいよ」

 

「あ、いや、なんと言いますか…ほら、博麗神社に住んでていいのかなって…はは…」

 

「私と一緒にいるのがなんで嫌なのかを聞いてるだけで博麗神社に住みたくない理由は聞いてないけど?」

 

「ぬぅ」

 

「答えなさいよ。答えなくても一緒だけど」

 

「女と暮らすのに慣れてない」

 

「嘘」

 

「何故バレた」

 

「嘘つく時少しだけ声が高くなるから。で、次はどんな嘘を吐くのかしら」

 

さてどうやって嘘とバレずに嘘を吐くべきか。声が少し高くなるのなら元から高くするか…いや、多分無理だな。わざとらしい。そうだ、()を入れよう。お前(以外)が嫌いなんだよで行こう。多分バレないはずだ。多分。

 

「…だーもう面倒。お前が嫌いなんだよ」

 

「それが理由?」

 

「そう。嘘はついてねえから声も高くはなってないでしょ」

 

「ええ。嘘じゃなかったわ。確かに嘘じゃなかった。でも…」

 

「ん?」

 

「私が嫌いならどうにかして私を好きになってもらわないと。どうにかして…」ブツブツ

 

…あ、もしかして墓穴掘った…?

 

 

 

 

 

 




…ちゃんとやり直せたんだよな…?
霊夢さん…嘘つきだけど好き!
主人公…嘘は得意だけど得意じゃない


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紅魔館ハーレム4

はい。
紅魔館です。
ハーレムな紅魔館です。
地底やりたいけど紅魔館やりたい上に誰やってないかがわかんないしヤマメって誰だよ状態です。
豊姫?やろうかなとは思ってます。が紅魔館です。紅魔館は全てにおいて優先される…


 

休日 紅魔館

 

「休日だー…」

 

「そう。良かったわね」

 

「なんでお嬢様付き添いなんだー」

 

「ちょっとそれが嫌だって言うの!?」

 

「うん!」

 

「ぶっ刺してやろうか!?」

 

「刺せるもんなら刺してみやがれ!」

 

翌日 紅魔館 門

 

「…で、そうなったと?」

 

「はい」

 

「はぁ…全く。下すから少し待っててください」

 

「はーい」

 

数分後

 

「ありがとうございます」

 

「良いですよ。貴方の…」ゴニョゴニョ

 

「!?」ボフンッ

 

「フフッ。冗談ですよ…ただ、貴方の生活態度次第ではわかりませんが…ね?」

 

「ひゃい…」

 

…なんかここにいると凄い表情筋が疲れそう。頭もボフンボフン言って壊れそう。早く館戻って寝よう。自分の部屋へ行って寝よう。誰がいたって構わない。俺が寝るんだ。俺がガンダムだ!

 

紅魔館内部

 

「あら、おかえりなさい」

 

「んぇっ」

 

「休日はどうだったかしら?さぞ楽しかったでしょうね?」ゴゴゴゴゴ

 

こ、殺される…!そう思った俺を責めないでほしい。

 

「お嬢様となんか行っちゃって…今度は私も誘いなさい。良いわね?」

 

「あ、はい…」

 

…ん?なんかおかしいぞ?まあ良いか(思考力0)

 

主人公の部屋

 

「ばっはーい!」

 

「やっほ」

 

「!?」

 

「ねーねー、昨日はなんで帰ってこなかったの?」

 

「うっそれは」

 

「私と一緒にいるのが嫌だったの?」

 

「あいや、それは違くて」

 

「ねぇ、なんで?何が嫌なの?フランに教えて?」

 

「だ、だから」

 

「?何かあったの?」

 

「昨日門の前でイエスキリストごっこやってまして」

 

「イエスキリストごっこ…!?」

 

「簡単に言うと十字架に干されてました」

 

「十字架に…干す…!?」デデーン!

 

「それはそうとなんで俺の布団に?」

 

「んへへー♪一緒に寝よ!」

 

「マジかよ」

 

「本当だよ!ねぇ、一緒に寝よ!」

 

「フラァァァァアン!」ガチャッダンッ

 

ドアの向こう<あべっ!?

 

「…お嬢様、哀れな人」

 

「お姉さま…」

 

「ってそうじゃない!」ガチャッ

 

「何よ?」

 

「ちょっとこっち来なさい。この館で大事なことよ」

 

「…はーい」

 

「俺は?」

 

「来るな」

 

…酷くない?結構酷くない?俺が嫌われてると100歩譲ってもそれはなくない?来るなって…酷いなぁ…なんで俺そんな悪口言われんのよ…?鬱だ寝よう

 

紅魔館会議室

 

「さて、今日の会議は…」

 

「題して『紅魔館要塞化計画』でございます」

 

「一気に物騒になったわね?」

 

「どれもこれも私の部下であるあいつが原因です」

 

「何故?」

 

「パチェとこあは知らないだろうけど、この館で貴方達以外が彼を必要以上に構ってるわ。好意を抱いているのよ」

 

「こあ、レミィがポエムを読み始めたわ…聞くに耐えられない」

 

「同情いたします」

 

「なんでや!?」

 

「…そう言うことです」

 

「…はぁ。まぁ要するにその男一人のためにここを要塞化するってわけ?」

 

「そうなるわね」

 

「その男をどうするわけよ?」

 

「要塞化した時にはもう彼は紅魔館から出れなくするわ。そして暴力を振るった後優しくしてを繰り返すの」

 

「典型的なDVじゃない!?ちょっ私には無理よ!?」

 

「…大丈夫。パチェには要塞化までを手伝ってもらうから。それからは私がやるわ」

 

「そうでなきゃやってられないわよ!」

 

そして時は流れ…紅魔館、要塞化。監視カメラ実に600越え。魔法陣によって仕掛けられたトラップ200余。それはまさに要塞と呼ぶにふさわしく、今まで侵入してきた魔法使いはこう話している。

 

『いやぁ、いつもと少し違うなぁって思ったんだが、入った瞬間八つ裂きにされかけてな』ハハハ

 

…とにかく、許可なき者を通さず、通した上での戦闘が待ち構えている紅魔館となったのだ!

 

「…ん?あれ、これ俺どうなるんだ?」

 

「一生ここに居てもらうことになったわ」

 

「んな馬鹿ぎゃっ」バギィッ

 

「…嘘じゃないわ。どうやってでも、貴方にはこの館にいてもらうから。良い?」

 

「えほっけほっ…ど、ドユコト…?」

 

「まだ分からない?一生ここに居てって言ってるのよ!」グサッ

 

「はぎゃっ!?」

 

「…しまった。刺してしまった…パチュリー様?」

 

「はいはい。ごめんなさいね…ベホマ」

 

「い…?あれ、痛みが…」

 

「回復したわ。それじゃ」

 

「ごめんなさい、少しやり過ぎたわ。やっぱりナイフだと傷つけちゃうからダメね。美鈴〜!」

 

「はいはいはい」

 

「よろしく」

 

「任されました」

 

…え?もしかして、このまま俺死ぬのか?一生出さない=死体にしてここに置くって意味か?じゃあこのまま行くと俺って…肉と血に分けられる?血がでちゃいけないから殴り殺す?そんな馬鹿な。そんなことするわけが

 

「ふんっ!」ゴッ

 

「ぁっ!?」

 

「…ごめんなさい、私もこんなことしたくはないんです。貴方がずっとここに居てくれれば良いんです!」ガシッ

 

「へ?あ、ちょっ腕引っ張らないで…やめて、やめてください、待って、本当に。待ってください!やめて!やだ!」

 

「いっせっせーの…せいっ!」バギョッ

 

「…!」

 

「口でも封じましょうね〜。私も貴方の泣く姿なんて見たくないんです。どうせなら笑っていて欲しいんです」

 

「んー!んー!」

 

「…まだ分からないんですか?まったく…」

 

そうため息を吐くように取り出したるは…棒?待て、ってことは俺…殴り殺されるのか?それとも住むって全力で言えば良いのか?一生ここにいるって言えば良いのか!?頭を働かせろ、どうにかして死ぬのを回避するんだ、どうにかして考えなきゃ

 

「腕の次は足です!」ブンッ

 

「!?」ゴギョッ

 

「…あら?複雑骨折…でしたっけ?骨が外に出てますね…ここ、触るとどうなるのかな〜?」タッチ

 

「アッ」ブツッ

 

「…気絶しましたか。地獄はこれからなので早めに回復させますかね…」

 

 

 

 

 




後日談は後で出す。
明日はゴキブリ並の生命力を持つあいつだ。


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97話

生命力にステータスを振り切った主人公


 

霧の湖

 

「…あーだこーだ言ってるうちにもう一年近くここら辺で暮らしてる…」

 

「ミスティアの余り物と湖の水とかで生きてるもんねー」

 

「綺麗にするのにも一苦労だよ…ったく。はぁ…最近妙に紅魔館の連中が来るんだよね」

 

「モテモテ?」

 

「仕事の勧誘されてんの。紅魔館で働きませんかー?ってさ」

 

「ふーん。で、どうするの?」

 

「働くわけない。そもそも働けない。以上」

 

「それ相手にも言えば良いのに」

 

「もう言った」

 

まったくだ。まったく効果がないのだ。耳ついてんのか問いたいくらい効果がないのだ。それでもなお『そう言わずに』とか『働いてみましょう』とか、しかもそれが妖精から言われるってのがどうにも腹が立つ。

 

「…すまん、そろそろ寝るわ」

 

「まだ朝よ?」

 

「冬は寒いのさ。夜に寝ると凍死するんだ」

 

「妖精にでも頼んで一緒に寝て貰えば良いのに」

 

「そんなことするくらいならお前の友達の影狼って人にでも頼むさ」

 

「んな!?」

 

数分後

 

「…zzz」

 

「しかもすぐに寝たし…池のどっかに捨てられた毛布とかなかったかな…?」

 

「…姫、どうしたのこの人」

 

「夜寝ちゃうと凍死するんだって。今毛布とか探してるの」

 

「姫も甘いよねぇ…そうだ、蛮奇ちゃんとかだったらあったかそうなの持ってそうじゃない?」

 

「そうね!」

 

数時間後

 

「持ってきたよ」

 

「ありがと〜!」

 

「…?なんだ、また人が増えた?」

 

「お前より私の方が先だと思うんだがな」

 

知らんがな。さてどうしようかな、二度寝しようかな。それとももう昼だから紅魔館でも眺めてようかな。いや、どっちもロクなことにはならん。どうせ紅魔館見てたら仕事の勧誘が、二度寝したら今後ろにいる奴がうるさいだろう。

 

「釣りしてえなー」

 

「…姫、あんた確か結構前に釣竿が落ちてきてとか愚痴ってなかった?」

 

「あ!ちょっと待ってて探してくる!」

 

「…うまく利用すれば飯食っていけるんじゃね?」

 

「やってみな?」

 

「私達がぶち殺しに行くから」

 

「ヒェッ」

 

「…あったー!」バッシャン

 

「でかした」

 

「でも乾かさないと折れるでしょ」

 

「まぁたしかになぁ…どうしたもんか」

 

「私からすればなんでそれを使おうとしているのかを聞きたいんだけど」

 

「影狼ちゃん、浪漫だよロマン!」

 

「ロマンじゃねえよ有効活用だよ。後二、三日は放置だな」

 

「マジかよ」

 

「マジだ。にしてもチルノとか来ねえな」

 

「本当ねぇ」

 

その日チルノは来ることがなかった。ミスティアに話を聞くと『慧音先生を怒らせて頭突きを喰らい、首の骨がピシッと言ったため入院。明日には帰る』…だとか。チルノお前頭いかれてんじゃねえの?と思った俺を誰が責めようか。

 

翌日

 

「あたい復活!」

 

「おうチルノ。一昨日ぶりだな」

 

「だな!」

 

「慧音先生に頭突きくらって死にかけたって聴いたぞ。馬鹿め」

 

「なにい!?あたいは馬鹿じゃないもん!天才で最強だもん!どれくらい最強かっていうと二次関数とかフェルマーの最終なんとかも解いたもん!」

 

「それ間違えてるだろ」

 

「何故バレたし」

 

「バレるわ!」

 

「ちぇっ!…でさー!慧音が頭突きしてきてさー!」

 

「ほうほう」

 

「背中の骨まで見事に潰れかけてたのー!」

 

「ブファッ!?」

 

…慧音先生、やりすぎです…

 

「酷くない!?」

 

「酷いってレベル超えてるだろそれ…」

 

「だよなー!?人里のお偉いさんに傷害罪で訴えてやる!」

 

「殺人未遂の方が楽で良いぞ」

 

「もうふんだフン!」

 

「何変な意地張ってんだお前は。まったく…ん?」

 

空<雪です!雪です!

 

「雪降ってきてる!?木の下に隠れるのは確かダメだろ!?」

 

「どど、どうしよう!?」

 

「紅魔館に行くのは嫌だし、人里はもっと嫌だから…畜生とりあえず雪凌ぐか!」

 

「ガッテン!」

 

数分後 紅魔館門

 

「寒いです」

 

「俺もです」

 

「あたいは寒くない!」

 

「…はー、里にいた頃は防寒具なんて買ってもらえなかったからなぁ…そろそろ買わないと外での生活が厳しくなってくるかなぁ…」

 

「マフラーないんですか?」

 

「ないって言うか買っても取り上げられるっていうか…ま、そんな感じです」

 

「あ、人魚から贈り物があるの忘れてた!」

 

「?なんの贈り物だ?」

 

「毛布とコート!」

 

「あったかそうだなおい!」

 

そう言って俺はコートを着てその上から毛布で包んだ。だが寒すぎて少しマシなくらいだった。大寒波にもほどがあるだろとは言いたいが堪える。チルノも入ってきた。お前冷たいからやめなさい…門番さんも入ってきた。こりゃ追い出せんな

 

「…なんで入ってくるんですか」

 

「あったかそうだなって。ぬくぬく〜♪」

 

「そうですか…」

 

「あら?美鈴、毛布に包まって、どうしたの?門番ではなく雑談をしているように見えるけど…?」

 

「早急に戻ります!」

 

「…急いでんなぁ」

 

「で、あなたは働きに来たの?」

 

「いや、ただ雪が降ってきたから…」

 

「雪?おかしいわね…雪なんてまだ降ってないわよ?」

 

「日本の気候は山を挟むと変わるって話だからそれじゃない?」

 

「厄介ねぇ…もう少しわかりやすいと良いのに」ムー

 

「なーに言ってんだかなー…冬しかないところもあれば夏しかないところがあんだぞ死ぬぜ」

 

「こんな寒いのが年中!?そこで生きてる人頭いかれてるわよ」

 

…一つ思ったんだがいつのまにかお嬢様が出ておられるじゃないかうぇあえうぇ!?

 

「吸血鬼!?」

 

「そうよ。て言うか気がつかなかったの?」

 

 

 

 

 

 




どう考えても無理がある展開だなぁと思いました。


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軍人うどんげと月人

そうだ、命蓮寺の恋愛書いてない。
でも書きたくない。つか無理(断固拒否)
じゃあなんのためにやってるかって?自己満足だよ!
…せや、もう一回鈴仙書こ(三回目)
ただ月の時という設定なので実質一回目だ


月の都

 

「…なぁ、なんで俺こんなことになってるの?」

 

「自分の心に聞いてみるとわかりますよ?多分わからないでしょうが」

 

「んなひどい…」

 

まったく何故こんな目に遭っているのやら。こちとら生きるのも面倒な月人やぞ。月人様やぞ。某大海賊時代漫画風にいうなら天竜人ぞ我。それがなんでこんな玉兎なんぞに…別に良いか。面倒だし。少し疲れたし…

 

「わかったわかった。とりあえず立たせてくれ…」

 

「はいはい」

 

「俺は月人なはずなんだがなぁ」

 

「異端だ異端だって騒がれたの覚えてないんですか?まったく…とりあえず戦争がそろそろ始まりますから、くれぐれも戦場に出るなんてことはないように。お願いしますよ?」

 

「俺だって出て戦うことになってた気がするんだが?」

 

「待っていてくださいね!良いですか!?」

 

「はーい」

 

数分後 戦争勃発

 

ガタンッ!

 

「あー嫌ね。こんなうっさいと何もできん」

 

「おや」

 

「こういう時は自販機の飲み物に頼るしかないな」

 

「…貴方、月人の自覚があるんですか?」

 

「ん、依姫様…だっけ?玉兎と月人で何が違うってんだい」

 

「全てにおいてです。心技体、全てにおいて玉兎は月人に」

 

「俺は玉兎に一回も勝てたことないけど?」

 

「…貴方が訓練をしていないからであって!それは違うのです!」

 

「うひゃーこっわ。何が『月人の自覚があるんですか?』だ。そんな自覚…捨てちまえば良いのに!」ブンッ

 

飲料水<まだ飲んでもないのに!?

 

ああ!飲んでないの投げちまった!そう思い四つん這いになってしまう。クソッ…つーかそもそも月人になんて産まれたくなかったんだよ。クソが…あーそろそろ俺も戦場に出されるのかなー…準備しといて損はないか

 

放送<出撃〜!

 

「緩いな」

 

月のどっか 戦場

 

「…はー…鈴仙に知られたら白い目で見られるなこりゃ」

 

「あら?見ない顔ね…」

 

「後ろ!?」バッ

 

「そう警戒しなくても良いのよ。私がやるわけじゃないから」

 

「…イカれた愛だことで…」

 

「イカれてようが愛なら結構。ピース、良いわよ」

 

「よっしゃー!」

 

「…さて、最後の晩餐ならぬ読書とでもいきますかね」

 

「は?」

 

そして時間が流れ…

 

「んー!読み終わったぁ…!っと。あれ?どした?」

 

「…」ワナワナ

 

「?」

 

「この腐れ月人が!ご主人様に言われなくても殺してやる!」ガシッ

 

「皮膚を掴むな皮膚を」

 

「ふん!」ベリリッ

 

「…おや?」

 

「この月人もどきが!」バギィッ

 

「ちょっと松明はきついかなぁっ!?」バゴッ

 

「フー…フー…!」

 

「…おいおい、まじかよ」

 

そう思って見上げた先にはブチ切れでフーフーと馬鹿みたいに音が出てる気狂い妖精。俺なんかが敵うわけなかろう。敵わない敵には逃げるが一番だ。なんなんだこの妖精は…だがしかし。こいつに負けたなら大体皆んな納得いくだろ

 

「このっ!」ブンッ

 

「お前は一体松明で攻撃するのか飛翔物で攻撃するのか足で攻撃するのかはっきりと!?」

 

右手の松明に隠された左足の前蹴り…と見せかけた左手に隠された飛ぶ何かが来たっていうか当たった!?

 

「ゴフッ!?」

 

「つまんねーなぁ!」ゲシィッ

 

「おうふ…あー痛え。クソが…口から血が出てきてやがる。もう帰るか」

 

「なんだと?」

 

「ピース…まだ殺してなかったの?もう帰るから早く」

 

「…ちぇっ!」

 

月の都

 

「ってわけで」

 

「許されると思っているのですか?貴方は月人という自覚とプライドを」

 

「嫌だよめんどくさい。どれくらいめんどくさいかって言うと考えるくらい面倒くさい」

 

「この…!」

 

「やめておきなさい。私は彼の意見に賛成よ?」

 

「何故です姉様!」

 

「そうすれば会議が早く終わるから」

 

「姉様にも処分が必要でしたか…」

 

「ち、ちがうよ!?嘘なの!?ちょっと場を和ませようと思って!ね!?」

 

「…グダグダじゃねえか。帰ろ」

 

「…戦場に出たんですか?」

 

「おうよ。あのクラウンピース相手に怪我が骨折一桁皮膚ベロンベロンになっただけで帰還したぜ!」

 

「すごいのかすごくないのか…とにかく、言いましたよね?戦場には出るなとあれほど」

 

「でも上からの命令には」

 

「そうですか。じゃあ戦場に出たら殺す…そういえば良いんですか?」カチャッ

 

「鈴仙さん?あの、喉元にかたーいものが当たってるんですが」

 

「自業自得です」

 

何この玉兎怖い。間違えた。何この鈴仙ちゃん怖い。冷戦状態になるのか?このままだと俺一触即発って奴になるのか!?まずい。それはひじょーにまずい。どうにかして回避しなければならない。ていうかこの鈴仙ちゃん許してくれないよね多分ね!

 

「…聞いてますか?脅されたのならば、仕方ありませんよね?痛いのが嫌だから、治るときの後味が最悪だから。そんな理由でいいでしょう?」

 

「そんなこと賢者が許すわけ」

 

「それじゃあ縛りつけましょうか」

 

「…え?」

 

「上の人が許さないダメと言っても行ってしまう何かと理由をつけて戦場に行こうとする…なら行けない状態にしましょう。どうしても行けない。どう足掻いても無駄足になるよう縛りつけましょう。」

 

「そ、そんな〜!」

 

「お世話は私がやります。元々異端だったから居なくてもスルーされそうですし、そうだったら伝えますよ。貴方のことは私以外誰も覚えてないって」

 

「精神をゴリゴリ削らないでくれるか…?」

 

「とにかく。失礼!」ゴンッ

 

「ぐぬっ!?」

 

その後、月人が一人姿を見せなくなった。しかし誰も関心を示さなかったとかなんとか。居なくなった人もわからないし。

 

数ヶ月後…

 

「どうやら問題にすらなってませんよ?」

 

「…そこまで嫌われてたかなぁ…俺って…」

 

「大丈夫ですよ。私がこんなに愛してるんですから」

 

 

 

 

 

 




この鈴仙ちゃんの持論はこうです。監禁=愛ではない。愛→監禁である。そんな思考です。
それに対し主人公は何もできないならそれでいいけど、気にも留められないのは傷つくなとのことです。


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99話

華扇ちゃん。
お前結構前の話で青娥を予測変換の敵とかいってたけどお前も敵だからな


 

人里

 

「…さて。もはやどうしようもなくなったな…」

 

「おや?」

 

「ん、最近見かける大食い女…」

 

「今ここで人生終わらせてあげましょうか?」

 

「それは困る」

 

まぁ人生なんて今終わったも当然だが。さっき家が慧音先生によってぶっ壊された。なんでか?それは知らない。心当たりがあるとすれば老朽化が進んでいたくらいだろう。俺の仕事は住所がないと無理な仕事だクソが

 

「…どうしたんです?話、聞きますよ」

 

「いやぁ、別に。家がぶっ壊されたくらいだ」

 

「家がぶっ壊されたくらい…?」

 

「自暴自棄って奴。もう無理。俺にはなんも無くなったからなー」

 

「…そうなんですか。それでは」

 

「おう」

 

翌日

 

「…今気付いた…慧音先生になんで壊されたのか聞けば良かった」

 

寺子屋

 

「は?んなもんこれだよこれ」

 

スッと出された紙には一言…一言?なんか命令文みたいなのが。人里追放…外の世界でいう死刑だ。ん?待って、俺死んでね?

 

「なんでお前はいるんだ?早く出ていけ」

 

「…わかりましたー」

 

「言っておくが神社もダメだぞ」

 

「わーってら」

 

人里外

 

「…クソッ」

 

「…あら」

 

「んぁ?」

 

「とうとう追い出されましたか」

 

「黙ってろ…遠回しに死ねって言ってるようなもんだ。ほんっと…クソが」

 

「理由は?」

 

「理由?…知るか。俺はずっと働いて生きてきたんだ。何度も何度も怪我して、ようやく楽しくなってきたのに…何でだよ…」

 

「私は知っていますよ?」

 

「あ?ていうかあんた誰だよ。大食いピンク女ってことくらいしか知らねえよ」

 

「あなたが追放された理由はご家族にあります。そして家が壊された理由…追放者が住んでいた自宅はいらないから、だそうです」

 

「もう呆れて何も言えねえ…」

 

「…そこで、仕事やってみませんか?」

 

「は?」

 

と言うことでいただいた求人募集。ペットの世話だとさ。衣食住があると来た…これは良い。すぐに応募しよう

 

「…これ、良いな」

 

「でしょう?で、募集は」

 

「する」

 

「食い気味…」

 

華扇宅

 

「…大型は私がやりますので、貴方は中型、小型の動物を」

 

「はーい…てか多いな…ほれ」

 

「乱雑にやってはいけませんよ」

 

「真剣にやってるつもりだ」

 

「グルルルル」

 

「…俺が認知している中型に虎はいないはずだが」

 

「龍に比べれば」

 

「…そう言うもんか。ほら肉だ食え」

 

「そう言うものです。龍虎なんたらとか諺がありますがあれは言わば大人対子供のようなものです」

 

「諺って言われてもね」

 

「そうでしたか」

 

2ヶ月後

 

「…よーし虎さん肉だ」

 

「随分と手慣れて来ましたね」

 

「2ヶ月もやってりゃ覚えてくるだろ…てか、仙人様最近すごい新聞にご熱心だけど」

 

「ああ、新聞ですか?見たければどうぞ」

 

「読ませてもらうわ」

 

…ほほう。無罪放免とはならないか。まったくつまらん新聞ばっかりだ…こんなの読む方の気がしれない。おっと隣に一人いた…口には出さずにいるか。しかしこの新聞…誰でも知ってることを記事にしてるような…?

 

「んー…?」

 

「お望みの記事はありましたか?」

 

「なかった」

 

「そうでしたか。それは良かった」

 

「何で?」

 

「他のことに夢中されると手がつきませんから」

 

「…働いてる手前気を抜いたりはしねえと思うんだかなぁ」

 

「あら〜?」スルッ

 

「青娥!?」

 

「あらやだ仙人様ったら男を捕まえたの?」

 

「んなわけ!」

 

「あら…それじゃあ私がもらって良い?」ギュッ

 

「うわっ」

 

「は?」

 

「…え?」

 

「青娥。もう一回言ってみてください。嘘偽りなく、もう一回」

 

「ちょ、ちょっと…いつもこんな感じ?」ボソボソ

 

「初めてみる。こいつらの餌やり以外仕事ねえし」

 

「そう…それじゃあ嫉妬ってことかしらねぇ?」

 

「青娥?」

 

「何?」

 

「質問に答えろと言ったのを忘れてますか?」

 

「…彼、私のものにして」

 

「許しません」ガシッ

 

「!?ちょ、髪の毛は流石に」グイッ

 

「…っ!泥棒猫気取りのゴミが!この!この!」バギッドガッグッ

 

「あだっ!?あだだっ!あがっ!?」

 

「…これくらいで許します。二度と来るな」

 

…え、何?俺愛されてるの?それとも…あいつのことが相当嫌いなの?とにかくすんごい怖かったんだけど。俺殺されるかと思ったもん。怖かった、すんごい怖かった。どうあがいてもあれは怖い。異論は認めない

 

一週間後

 

「…おろ?」ズケッ

 

「大丈夫ですか!?」

 

「うおっ!?」ビクッ

 

「えっと、えーと…どこを打ちました!?どんなふうに!?見せてください!」

 

「いや、あの、こけたくらいだから…」

 

「その油断が命取りなのです!」

 

「わ、わかりました、見せるから。ここで見せると蚊が…」

 

「わかりました!」

 

医務室的な何か

 

「ふぅ…ここですよ、ここ」

 

「ここですか…血は出てないようですね。よかった…」

 

「…さっきから大袈裟ですね。何です?俺なんかしました?」

 

「そうですねぇ。まぁ、2番は餌やりを任せているからで…」

 

「…一番は?」

 

「一番貴方が大好きだからです。青娥に取られたくない、怪我もしてほしくない。全てにおいてあのどん底だった頃から仕事に慣れてなんとか生きようとしている姿、貴方が今している表情…全てが大好きなのです」

 

…いやぁ女ってのは全員こんな人だらけなのかな〜と現実逃避を試みる。怖い

 

「…ふふっ♪」

 

「答えてもないのに」

 

 

 

 

 

 

 



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100話

すんげえスマホ重い
なんでこんな重いんだ?おかしいだろ?
…妖夢ちゃんです!
妖夢ちゃんだけじゃなく幽々子様もです!
そして100話!!


冥界のどっか

 

「嘘つき吾郎は山頂越え海底忍び込みやってくる〜」

 

「おや、ようやく来ましたか」

 

「んぇ?」

 

「この私に挑戦状を送って置いて遅刻とは…許されませんね」

 

「???ど、どゆこと?」

 

「惚けても無駄ですよ。刀もあるじゃないですか」

 

「え、ちょ、まっ」

 

否応なしに迫って来るぞこの女とか思いながら心当たりを探るがそんな時間ない!その上腰に刀はない!ナイフだ!むっちゃ丈夫なナイフだけがあるんだ!ざけんなこの女人の話を聞け!とりあえずなんとかせねば…って、待て、なんか周りがスローだぞ。ん?それって死ぬ前のアレじゃ…?

 

「ふんっ!」ガキィッ

 

「ずぅりゃ!」バギィンッ

 

「…そんな小さい刀で勝てると思っているのですか?」

 

「安心しろ。二刀流だ」

 

「奇遇ですね。私も二刀流です」

 

…ゑ?

 

「では…次は本気で」パッ

 

「!?」

 

「行かせてもらいます!」ブンッ

 

「後ろか!」ガギィッ

 

「もう一本行きますよ!」ブンッ

 

「三刀流口柱ぁ!」ザクッ

 

「っ!」

 

「あぶね…後少しで死んでた…」ギーン…

 

「手を刺さないとは馬鹿ですね。口にも武器があるとわかれば対処は簡単!」ズイッ

 

「俺の大きな一歩!」ゲシッ

 

「ごっ!?」

 

「畜生冥界に旅行しに来たのに殺されかけるとは情けない…逃げろ!」

 

「グッ…!させるものですか!」ブンッ

 

妖夢の手に刺さっていたナイフ<可愛い女の子だ!可愛い女の子は持ち主よりも優先される!!

 

「ふがっ!?」ザクッ

 

ああもう畜生。旅行しに来て辻斬りに会うなんて。まだそこら辺にいる妖怪の方がマシだ。こんな奴に少しでも付き合ってしまったせいで足を刺された。茶番もクソもあるか。本当のことなんだ。仕方なし、ホフクボタンを押せ!前進!

 

「よっせ…よっせ…」

 

「ふぅ…!確かな腕をお持ちのようですが詰めが甘いですね。刺し傷もそこまで深くない」

 

「よっせ…!痛っ」

 

「良いでしょう。白玉楼で手当てをします。こんな戦いで勝って嬉しくなんかありません」ヨッコイセ

 

「おうっ」

 

白玉楼

 

「…え?」

 

「だから、本当にその人はただの旅行客で、挑戦状は私が送った真っ赤な嘘なの…」

 

「ええぇぇえぇぇ!?ちょ、ええ!?」

 

「とりあえず死なないようにしないと紫が怒るわ」

 

「ゆ、紫様ぁ!?私が責任持って看病してきます!」

 

「…勝手に殺すな」

 

「出たぁぁあぁあぁぁぁあ!!」

 

「えっと、亡霊って姿消すことってできるのかしら?」

 

「幽々子様!?閻魔様と紫様からの説教から逃げようとしないでください!待って!ねぇ待って!?」

 

「生きとるわ。足もあるし、お前らみたいに幽霊浮かんどらんし」

 

「あ、本当」

 

「あー怖かったー」

 

「ひっでえなこいつら…もう良いけど、寝るからせめて静かにしてくれ」

 

「わかったわ」

 

…わかったわってお前全然わかってねえからこちとらせっせこせっせこやってんだろうが殴るぞ…あ、亡霊だから殴れないや。畜生めぇ!おのれ許さん。と言うかそもそもなんで足にナイフが刺さって起きて会いに行ったら死んだことにされるんだ?

 

「…zzz」

 

「寝た…」

 

「あー怖かったー」

 

そして一週間後

 

「俺はいつ帰れば良いんだ?」

 

「足の怪我が治るまでです」

 

「までって…もう治ってるぞ。なんなら走れるし」

 

「…では今日一日様子を見てみましょうか」チラッ

 

「そうね」コクッ

 

「そうっすかー…」

 

霊魂<この壺を押してあいつの足を怪我させれば転生…!

 

パリーン!

 

「はうあ!?」グサッ

 

「!?」

 

「ど、どうしたの!?大丈夫かしら!?」チラッ

 

「あ、足の傷が…!」スーッ

 

「いづっ…!あだっ…クソッ」

 

「とりあえず処置を…!」アタフタ

 

「それよりも止血とかの手当じゃないの!?」アタフタ

 

「…ここにいたら寿命が縮む」

 

もう冥界にいるから寿命もクソもないけど。冥界で死んだら身体はここに残って魂が閻魔様のところに行くのか?だとすると結構面倒な手筈になりそうだな。冥界に行けたら自分の身体に入れるかもしれないし…ダメだ死んだ後のことなんて考えるな今死にかけてるんだから

 

数分後

 

「気を失いました」

 

「…でも妖夢、あなたも悪ねぇ」ニヤニヤ

 

「幽々子様こそ…言い出したのは幽々子様ですよ?白玉楼の評判を気にして言ったのは」

 

「あら?妖夢だってそれに賛成して、ついでだから監禁しましょう!とか言ってたじゃな〜い?」

 

「どっちもどっちって奴ですね…」

 

「フフフ…これで彼は…」

 

「え?」

 

「ん?どうしたの?」

 

「さっきこれで彼は…って言ってましたので」

 

「ああ、これで彼は白玉楼の評判を落とさないって言ったのよ」

 

「やはり悪ですなぁ」

 

数時間後

 

「…なんだろう。冥界は確か地上と同じ四季がめぐるって書いてあったはずなのに…夏なのに妙に寒気を感じる」

 

「おや、起きたのですか。ご飯です」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「でかしたわ妖夢!これで白玉楼の評判は…あ」

 

「評判?別に言いふらさないけど」

 

「ほっ…」

 

「冥界に辻斬りがいるってだけ言う」

 

「いやぁぁあぁぁあぁぁあ!?」

 

「うるさっ」

 

「あー妖夢!?あなたが悪いのよ!?」

 

「わかってますけど恥ずかしいんですわぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「…こりゃ辻斬り禁止だな」

 

なんてぼそっと呟いたら後ろの声がまた大きくなった。お前の耳は地獄耳か?

 

 

 

 

 

 




妖夢ちゃん(なんやこいつ挑戦状しらばっくれるくせにゲキ強いじゃん。白玉楼の警備にして仕事楽にするか。とりあえず今の時期は露出多めに…)
幽々子(評判落とされてしまう…こうなったらどうしてでも引き止めるべし!妖夢に頑張ってもらうべし!)
嘘つき吾郎(助けて)

ごめんなさい。私はシンガポールにいます


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101話

初手、山椒王。
次手、示唆肌
三手、美大卒

というわけで華扇さんと青蛾さん。蛾が違うらしい。娥らしい。
前華扇さんもって言っちゃったけどお前も十分予測変換の敵だ青娥


人里

 

「…やば、これ寝るわ」

 

「あら、おねんねには早いと思いますけど?」

 

「うっせ美人局もどきが」

 

「ひどい」

 

「そーかい。酷くて結構」

 

…あれ、ここ俺の家なのになんでこいついるんだ?と思った瞬間奴は堂々と帰っていった。金は取られていなかったからよかったとは思ってる。ただこいつと絡んだ後、必ず直談判する仙人がいると聞く。

 

「…」

 

「どちら?」

 

「青娥をさっきここから出るところを見ましたが」

 

「金は取られてねえんだ帰んな」ガチャッ

 

「…出てきなさい」

 

「いやさっさと帰れよ」

 

「失礼します」スルッ

 

「猫みたいに俺の家に入るなおい」

 

…以外と仙人ってこんな感じなのか?

 

翌日

 

「…お、美人局気り」

 

「そろそろ殴り殺させていただけます?」

 

「価値観が欠如すると美人局は出来ないらしいぞ」

 

「火炎放射器」カチャッ

 

「幻想郷に不相応な物出すのやめてもらって良いすか?」

 

「最終話までこのネタ引っ張るわよ」

 

「いらねえよ誰が必要とするもんか」

 

「ひどーい」

 

「おや?」

 

「…その火炎放射器貸して」

 

「あらあら…使うのかしら?」

 

「過激な借金の取り立ては犯罪だろ」

 

「そうですけど」

 

「ちょっと青娥!?ナニをやっているんですか!カツアゲですか!?」

 

「こいつ」

 

「なるほど」

 

「何がなるほどですかってそれをこっちに向けないでください!」

 

その後そこらへんでちょっとした火事が起こったらしい。人里って怖い。仙人の髪の毛が焼けたとかなんとか…人里って怖えな…まぁ俺が生活していくには里にいなきゃダメなんだけど…火事に巻き込まれるのが嫌だなぁ

 

一週間後

 

「…お」

 

「ようやく見つけましたよ…!」

 

「こりゃ仙人さん前の火事はご無事でしたか」

 

「今ここで貴方を殴り殺したいのですが抑えましょう。せめて私以上に焼けてもらいましょう」

 

「そうか、頑張れ。青娥さーんここら辺でお勧めの八百屋ってなーい〜?」

 

「あらあら…そうねぇ。この先にある八百屋さんが新鮮ねぇ…」

 

「ほぉ…」

 

「んな…!」ワナワナ

 

次の日 主人公部屋

 

「おごっごっ」バギッバキッ

 

「この!この!」

 

「ぢっぼうりょっはんだっ!?」ゴギィッ

 

「女の命である髪の毛燃やしたやつに言われたくありません。次やったらタダじゃ済まねえからなこの野郎」

 

「スマートに爽やかに暴言吐くのは一種の才能だと思う」

 

「それでは」ガチャッ

 

…うん、ここ一応俺の家なんだけどね。なんだろうか、仙人ってやっぱ人の私有地に勝手に入っていくもんなのだろうか?入って好き勝手にしていく物なのだろうか?それは困る。ほとんどプライバシー無しじゃないか。

 

「…いって…」

 

「大丈夫?」

 

「…今俺はプライバシーというものについて考え出したい気分だ」

 

「仙人様にやられてると思って手当てする奴持ってきたけど」

 

「あんた本当準備良いよね」

 

「褒めないでよ〜嬉しいじゃない♪」

 

「三億年くらい引きこもっていたい」

 

「あら…まぁ、手当してあげるから顔出して」

 

「うい…」

 

1時間後

 

「バッチリ♪」

 

「おかしいなメイクは頼んでないはずなんだが」

 

「それを言っちゃえば手当も頼んでないけど?」

 

「…すいませんでした!」

 

「良いのよ♪それじゃあまた何か痛んだりしたら教えてね」

 

「うーっす」

 

ガチャッバタンッ!…丁寧に扱えよ

 

家の外

 

「…どうでした?」

 

「半分こにせず奪い合いましょ」

 

「それ前やりました」

 

「それもそうだったわね」

 

翌日 博麗神社

 

「プライバシーが保護されますように」

 

「あんた何言ってんの?」

 

「仙人が勝手に家の中に転がり込んで来てた」

 

「プライバシーっていうか鍵掛けなさいよ」

 

「鍵どころか寝る時は釘で打ってるはずなんだが」

 

「それくらい奴らは簡単に打ち切って来るわよ」

 

「マジかよあいつら人間じゃねえ」

 

「壁すり抜けてくるから」

 

「あ、そういう?」

 

「…おやおや」

 

「こいつです!こいつが殴ってきたんです!」

 

「らしいけど?」ジロッ

 

…事実だから。この仙人様にぶん殴られて手当してもらったから。俺は悪くない。どれくらい悪くないかっていうとキリスト教の神の子並みに悪くない。

 

「ああ、髪の毛燃やされましたから」

 

「あ」

 

やべ、バレた。どうしようか。どうにかして逃げ切るしかないのか。鬼ごっこスタートか?空飛ぶ鬼ごっこか?陸対空か?

 

「…らしいわね」ガシッ

 

「おうっ」

 

「華扇、好きにして良いわ。私が許す」

 

「巫女公認なら安心ですね」

 

数時間後…そこにはボロボロに成り果てた人の姿があったとか。

 

「ってか、青娥…あんたもお人好しねぇ」

 

「フフ…私と仙人様が協力してやっている作戦ですことよ」

 

「言い方が変ね」

 

「この殿方を二人で分け合うんですわ。だから、一人がボコボコに締めて一人が治す。それを繰り返していくと人の心は簡単に傾くの」

 

「人心掌握の術を聞かされてるみたいで気分悪いわね」

 

「まぁ、そのせいで仙人様は思い詰めてるみたいだけど」

 

「やりすぎましたか…?いや、でもそれくらいやんないと…でも…」

 

「思い詰めるくらいならやらなくていいのに…」

 

「乙女の恋愛戦争は勝てなきゃ意味ないのよ?」

 

「あんたらを乙女と呼んでいいのかが気になるわね」

 

翌日

 

「…俺結局どうなった?」

 

「馬乗りされて一方的に殴られ続けてたわ。途中から泣いてたけど」

 

「そこまで来たら助けてくれよ巫女さん」

 

「華扇が鼻と耳から血を流しながら殴ってたのよ面白いじゃない」

 

「何言ってんだこいつ」

 

 

 

 

 

 




華扇…正そう未来。導こう私との生活。
青娥…生活向上委員会会長兼美人局もどき。
主人公…プライバシーのかけらもねえ男。


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102話

生命力極振り主人公君。
先代と比べられても傷つかないフリをする霊夢さん可愛いと思うんですけどどうです!?


 

紅魔館

 

「…本当に働く気はないの?」

 

「ありません。ていうか前も聞いたでしょ」

 

「そりゃそうだけども…今の生活じゃ色々と危ないでしょ。お風呂とか、健康とか」

 

「あー…考えたこともねえ」

 

この先どうなるかなんてのは考えたことねーなー…ま、いつか野垂れ死ぬだろ。多分。というより俺はなんであいつらと仲良くなったんだ?…ああ、人魚釣ったからか。なら別にいいか。ていうか館内寒すぎだろ!

 

「それに。その服ボロボロじゃない。替えの服は」

 

「んなのあったらこんな格好じゃないでしょうに」

 

「それもそうねぇ。働けば服があってご飯が出て、暖かい布団で我慢することなく寝れるのよ?」

 

「駄目だ。俺はもうそんな生活が嫌になったんだ」

 

「…そう」

 

「そう。というわけで帰る」

 

「働かないんだったら血を貰うわね」

 

「…は?」

 

「良いでしょ?別に、いつ死んでもおかしくないんだから」

 

「俺の血なんて吸ったら毛が肺に詰まるぞ」

 

「そんなわけないでしょ。ほら、こっち来て」

 

「…そうか。それだったら…」

 

「?」

 

「もう帰る」

 

「させないって言ってるのわからないのかしら?」

 

「おろ…っと」ユラリユラリ

 

「まさか…酔拳!?」

 

「いえ普通に目眩です」

 

「ああ」

 

「んじゃ、そろそろ帰らないと」

 

「だ・か・ら!」

 

「…」

 

「帰さないって言ってるの!貴方が血を吸われるか、ここで働くか!その選択肢しかないわけ!分かる!?」

 

「…じゃあ働くから帰らせろ!」

 

「よし!」

 

霧の湖

 

「っつーわけだ」

 

というかそもそもこんな奴を雇って紅魔館は資金繰りが上手くいってるのか行ってないのか…はたまたあの吸血鬼の遊びか。どっちにしろさっさとクビになってくれば良い話だ。簡単簡単!仕事の出来の悪さには評判があるからな!知らんが!

 

「…?ってことは…」

 

「まぁしばらくここには来れないってことだ」

 

「!?」

 

「屋台にも言っておいてくれ。紅魔館に行くことになったって」

 

「わかった…」

 

「んーと…まあそんくらいかな。つか寒い…良し、寝よう!」

 

「はぁ!?」

 

翌日

 

「オラ起きろ」

 

「んっ…あ、そのまま日を越したか」

 

「もう…ほら、美鈴が寝ないように見張る係だから早く!」

 

「んな!?」

 

紅魔館門

 

「…うっす」

 

「おやおや〜?結局働くんですか〜?」

 

「あんた寝たら里の男呼んできて良いっすか?」

 

「前それで泣き顔になったのでやめてもらえます?」

 

「そうなんですか。今から呼んできます」

 

「やめて!?」

 

「やめてもらえる?やばい目に遭わされた時美鈴が二年くらい心閉ざしたから」

 

「すいませんした」

 

「それじゃあ三年くらい私の言いなりですね」

 

「いや美鈴それは違うわよ」

 

「え?」

 

「三日間美鈴のなりきり犬」

 

「良いですね」

 

「おい!?」

 

やっぱここで働くの嫌なんだけど!?…寝ようかな。少し瞼が重くなってきた。…よくよく考えれば俺立ち続けるの無理だった。体力の衰え…まだ20代にもなってねえのに。あーあー腰が疲れた。

 

「…どっこいしょ」

 

「ん?どうしたんですか?」

 

「疲れた…」

 

「え?」

 

「最近全く動かずぐーたらしてたしなぁ…人里と湖の間歩くだけでも結構運動になるんだぞ」

 

「そうなんですか。咲夜さん本当にこの人仕事できるんですか?」

 

「…お嬢様が言うには」

 

「まぁお嬢様のことだからあまり信用は出来ませんが…」

 

「ここの主人信用ないんだな…」

 

「まぁね。子供だし」

 

「子供なのか」

 

翌日

 

「…ということで、新しく入った…名前」

 

「吾輩は人間である。名前はまだない」

 

「…らしいです。まぁ妖精とは別のところで働くので名前は別に」

 

「私が付けるわ!」

 

「…確か妹いたよな」

 

「?ええ、そうだけど」

 

「そっちに名付けてもらいたい」

 

「…フラン呼んできて」

 

「わかりました連れてきました」

 

「早い!」

 

…どんな名前が飛んでくるかわからんがとにかくこの吸血鬼の名付ける名前だけは嫌だ。それは直感で感じ取れる。と言うかそもそもこの館に名付けでまともな奴はおらんように見えるが…それを言ったら流石に元も子もないな。

 

「…デュランタ!」

 

「花の名前が飛んでくるとはお兄さん考えてもなかったよ!」

 

「デュランタ…花言葉は確か歓迎ね」

 

「え?あなたを見守るじゃないの?」

 

「この姉妹どっちもポンコツだ」

 

「は?壊すよ?」

 

「運命破綻させるぞ」

 

「…誰がポンコツなんて言いやがった」

 

「貴方よ」

 

その日の昼

 

「…」ボコッ

 

「で、埋まってるんですか」

 

「まぁ、うん。なんで埋まってるのかわからないけど」

 

「私は貴方の精神が理解できません」

 

「あらま」

 

「さ、私のなりきり犬ですよ三日間」

 

「マジかよ…」

 

「さて、先ずは…これです」

 

「これは?」

 

「氷です」

 

「!?」

 

その日、俺は初めて俺の発言に後悔した。氷で周りを囲まれて冷え冷えのところで冷水をぶっかけるというドMも素足で逃げ出し鬼が自ら喜んで耳を差し出すレベルの所業だ。俺は多分低体温症で1時間は動けないだろうな。

 

「あ…はは…」ガタガタ

 

「ん〜冷たいですね〜♪さて、このまま放置です。良いですね?」

 

三日後

 

「はー…はー…」

 

「ん〜!良いですね!良い感じに弱ってる!…あ、この先どうしましょう」

 

ざけんなてめえと叫びたい気分だが生憎今は寒さでまともに口が動かん。布団をかぶって寝たいのに寝れないこの歯痒さ。そして待てなんで俺低体温症が三日も続いてんだ?とは思った。意味はない。

 

「…んー…咲夜さーん」

 

「何かしら?」

 

「デュランタが寒さで瀕死です」

 

「あんたのせいでしょ!」バチンッ

 

「あでっ」

 

 

 

 

 




主人公はこうなっても死にません。
八百度で熱されても-八百度で冷やされても1トンプレスされても死にません。
どっかの虫みたいです


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103話

俺はいつでもフルスロットル。
では…あー、誰やってないっけ…?
まあいいややってようがやってなかろうが知らん早苗さん!


守矢神社

 

「…んぐっ…ん?」

 

「起きましたか?」

 

「…待て、この始まり方は前と一緒だぞ」

 

「あれは無かったことにしてくださいまし」

 

何言ってんだこの女は。俺が何をした!?クソッこんなところに居られるか!俺は帰らせてもらう!…ん?か、帰らせてもらう!…あれ?なんか身動き取りづらい…なんか体に纏わりついてるような…ん?もしやこれもしかしなくても…

 

「鎖!?」

 

「まぁ始まった時点で立場違うから変わりませんがね」

 

「変われよ!そこは変わるんだよ!?」

 

「神奈子様〜」

 

「どした早苗…あ、起きたか。お前に守矢神社を案内してやろう」

 

「んなことは良いんだよ!」

 

「何!?もう把握しているだと!?なんて良い奴なんだ…」

 

「すごいですね!」

 

「ちげえよ!?」

 

「…トイレはどっち方面にあるか」

 

「知らんわあっちだろ!」

 

「やっぱり知ってるじゃないか」

 

「嘘だろ!?」

 

「まぁまぁ。落ち着いてください。今日は式を挙げるんですよ?」

 

「…一応聞くけど誰の?」

 

「嫌だなぁ私とあなたのですよ♪」

 

「今とても怖いです」

 

「では、行きましょう!」

 

翌日

 

「本当に結婚しちゃっただ…」

 

「今更恥ずかしがらないでください♪」

 

「どうなってんだこれ…おい俺の人生イカレてんじゃねえの…?」

 

「イカレるほど最高?」

 

この女は殺処分しても私は一向にかまわんっっ!ってそうじゃない。そりゃこんな子妻になってくれたら嬉しいさ。でもさ、でもさ。俺これ後々殺されるんだろ?読めてんぞ?こんなことに急になったんだどうせそうなるんだろ!?山の後には崖か谷か下り道だろ!?

 

「…お、ひさしぶ」バシッ

 

「こんにちは」ニコニコ

 

「今なんで叩いた?」

 

「私以外の誰とも喋るなという意思表示です」

 

「嘘だろ」

 

「今ここで証明して見せましょう。私以外の誰かと喋ってください。もう1発叩きます」

 

「やめときます」

 

「よろしい」

 

「…早苗〜とその旦那〜ご飯だよ〜」

 

「あ、ご馳走になりま」バシッ

 

「言ってすぐ…舌の根も乾かぬ内にまた…」

 

「今のは仕方ないだろ!!礼儀なんだから!!」

 

「礼儀?そんなの愛の前では無慈悲にも破り捨てられるものです。分かってます?」

 

「お前は巫女なのか!?それとも巫女のふりをした理不尽か!?」

 

「巫女です♪」

 

「がああああああ!」

 

翌日

 

「疲れた…」

 

「肩揉んであげましょうか?」

 

「日頃から肩凝ってそうな奴にいわれたくは」ガギョッ

 

「…今なんて?」

 

「ごへんなはい」

 

「良いんですよ。このまま宙ぶらりんにしておきますね」

 

「!?」

 

数分後

 

「…何やってんの?早苗〜ほとんど首吊りだよ〜!」

 

「ん?まだ数分しか経ってませんよ」

 

「死ぬ…」

 

「らしいけど」

 

「わかりましたよ」ハー

 

「死ぬかと思った…」

 

この女クソ鬼畜だ。離婚届提出してさっさと逃げよう。この時そう思ったのは仕方のないことだろう。だって怖かったんだもん!良い歳した大人がわんわん泣くかと思ったもん!あー…顎の変な感覚がまだ付き纏ってる…

 

「…さて、ご飯ですよ」

 

「お、ありがとうございます」

 

「いただきます」

 

「いただくね〜」

 

「…あ…今なんで俺の皿から取った?」

 

「これは失敬。あまりにも美味しそうだったので」

 

「自分の皿にも同じ食品が」

 

「貴方が」

 

「!?」トゥンク

 

「いや待てそれはおかしい」

 

「諏訪子、環境が一気に変わってしまったんだ。私たちのせいでもあるんだ…っ」

 

「あんたはなんで止めないの!?」

 

翌日

 

「zzz…」

 

「いやはや全く。健康的な生活だ…良い子には何もないのですが」

 

「んぅ…ん?あれ、どうした早苗?」

 

「あのですね。なんであんなに早くに寝てしまうんですか?」

 

「なんでって…仕方ないだろ。そういう生活を元からやってんだから」

 

「…大人のエッチとかあるでしょ!?」

 

「ねえよ!?」

 

「…そうですか。ていっ」ゲシッ

 

「ほごっ!?」

 

「貴方のことが大好きですが…私との関係を望まないなら仕方ありません。貴方の周りを壊しましょう」

 

「サナエスキダ!」

 

「…そんな棒読みで納得すると思いましたか?」

 

「え、あ」

 

「ですがこれでわかりました。貴方が私との関係を望んでいないこと…そして、その原因は貴方の周りにいる人…私の能力を使えば肩をぶつけた人が貴方の好きな人…だなんて、こともあるんですよ?」

 

…いや、好きな人貴方なんですけど?と言い返せたらどれほど良かったことか。口が動かない。ものすごく怖いって奴なんだ。誰か、助けてくれ。こいつをどうにかして収めてくれ。そして助けてくれ。

 

「…あ、そろそろ信仰集めの時間ですね…行ってきますが、くれぐれも私以外の人と話さないように!」

 

「…そりゃきついな…」

 

数時間後

 

「…神奈子様、説明を求めます。何故彼は怪我を?」

 

「ああ、あれはあいつがな?取材に来た天狗から逃げようと走り回ってる最中に妖怪に襲われてな。たまたま私が通りかかったから無事だったんだが、その時すでに天狗は見失ってたらしくて…」

 

「で、手遅れになったと」

 

「あいつが言うには文々。新聞の記者では無かったし、そいつの隣にいる茶髪でもなくて白狼ですら無かったからあの3人組からは外れるし…」

 

「さりげなく3人組って認識してますね」

 

「まあ、そう言うわけなんだが」

 

「ああ、こいつでしたか」スッ

 

その日の夜、俺は早苗に抱きついてしまった。泣きながら。ええ、思いっきり抱きしめましたよ。それを嬉しそうにしてたのを後で聞いたんだけど、それ言ったら多分殺されるじゃ済まないよねって言う。

 

翌日

 

「ってことがあったんだ諏訪子」

 

「神奈子もか…私も前早苗の旦那が襲われてるところを見て、その後早苗に言おうとしたらそいつが早苗の近くの木に逆さまに釘で打ち付けられててさ…」

 

「なぁ。私早苗を見ていると時々思うんだ」

 

「何を?」

 

「…奇跡って…なんなんだろうって…」

 

「私もだ。でも当人たちは幸せそうだから良いんじゃないか?」

 

「諏訪子、わたしには男が女にお祓い棒で叩かれてるようにしか」

 

「これが最近の恋愛か…」

 

「諏訪子!?」

 

 

 

 

 

 

 




危ない!諏訪子様にも被害が!

早苗…君が好きだ!一目惚れした!結婚しよう!そして私以外に誤解を招かせるな!私にだけ話せ!
旦那…誰!?え!?何!?
諏訪子…新しい恋愛…今の若者にはウケてるのか!?


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104話

ネタがないのでヘカーティアのその後やります
オットセイ!
次回あたりヘカーティア純狐星条旗のピエロの三人衆でやろうかな
情報量パンクしそうだけど


 

ヘカーティア宅

 

「…ヘカーティア」

 

「どうしたの?」

 

「いい加減ここから出して」

 

「は?」ガゴォッ

 

鉄格子を思い切り掴んで変な音が鳴る。本気で握っているんだろう。鉄格子がパキパキと音を立てて折れそうなのだ。…やっぱり出してくれは禁句か…?そう思いながらもヘカーティアの出した飯を食らう。食ってる時点で出る意思はないだろって言われればそれまでだけど…

 

「…ヘカーティア…?」

 

「あのね…私はあなたの為と思ってここに入れたのよ!?それなのに出ようだなんて!」

 

「あ、ちょっヘカーティア」

 

「そんなに私のやってることは迷惑なの!?」ガシッ

 

「あぎっ…ヘカーティア、運動がしたいから…」

 

「え?あ、ああ。運動ね。まあ確かにその部屋じゃ十分に動けないわよね。ごめんなさい」

 

「謝ることはないんだが…」

 

「そう?ありがとねん」

 

「んぅ古い」

 

「ありがとねんのどこが古いのかしらん?」

 

「頭痛くなってきた…」

 

数日後 地底のどっか

 

「目隠しされて歩くってどんな状況なの俺」

 

「それくらいしないと貴方が他の女に毒されちゃうかも」

 

「毒されんわ!」

 

「本当…?」トゥンク

 

「ちょっと待て今俺の知らない擬音が出てきたぞ」

 

「ところで…運動って言ってるのに散歩で良いのかしら?」

 

「全く歩かなくなった奴が歩くだけでも変わるってもんだ」

 

「そうなの?」

 

「そう。実際痩せた奴が居る」

 

「ふーん…」

 

からのヘカーティア宅

 

散歩を数時間やって終わった。妖怪とは言え数時間歩くだけで疲れるんだな。妖怪は体力馬鹿じゃない、鬼どもが体力馬力馬鹿なんだ。俺たち平民同然の妖怪と鬼を比べてもただ鬼が馬鹿げた性能だってことくらいしか分からんぞ。

 

「…流石に疲れたな」

 

「そうかしらん?私は全く疲れてないわよん」

 

「だからそのんを辞めなさいっての…全く。これだから」

 

「え?」

 

「…ん?」

 

「これだからって何?私何かしたの?何が悪かったの!?教えて!」

 

「わ、ちょ、嘘、嘘だって」

 

「え?ああ、嘘、嘘ね」

 

そういうとこだよとは言えない俺であった

 

「ところでヘカーティア」

 

「ん?」

 

「お前なんで俺を好きになったんだ?」

 

「…それは貴方が家のポストの前でリストラ通告書とか不採用とかの紙を見て若干落ち込んでるのが見えたからよん」

 

「だからそのんを…」

 

「その後、あなたはいろいろなところに出向いて、面接を受けて。でもクビになったのよねん」

 

「…その通りだけど」

 

「近所ではリストラ通知受取人って呼ばれてるの、気付いてる?」

 

「…それはただの偏見だよ」

 

大体、俺がなんで働けないかの直接的な原因は俺にあるしな。ずっと、ずーっと生きてきて、地底にある企業全てに面接に行こうと書類送ったりしたがその時点で切り落とされたのが6、7割、面接で落ちたのが1、2割。ようやく辿り着いてもリストラが待っている。

 

「あらそうだったのねん。こっち来てくれる?」

 

「…お前が仕掛けた鉄格子、忘れてんのか?」

 

「あら」

 

ヘカーティアもボケが回ったか?と思うと睨んできた。女の勘怖い

 

「失礼ね。私はまだ老けてないわよん」

 

「ガッチリ読まれてる…」

 

「さて、と。膝枕してあげるからこっちきて?」

 

「膝枕…あいよ」ゴロン

 

「フフッ…」

 

「なんか怖い」

 

そして一週間が流れ!

 

「…へ、ヘカーティア?」

 

「チッ…」

 

「ヘカーティア…?どうしたんっ」ガギィッ

 

「あなた、浮気してないわよね?」

 

「え…し、してない!…よ?」

 

「そうよね?何か最近違和感を感じたりした?」

 

「違和感を…そういえば寝てる時布団がモゾモゾしてて…」

 

「…ピースかしら?」

 

「それがどうかした…の?へカーティア…?」

 

「たまにあるのよ。鍵の配置が変わってる時が。そういう時に限ってあなたの部屋少し涼しいの。ピースは暑がりだから…」

 

「ほぼ犯人確定じゃねえか」

 

「あら本当」

 

あら本当で済むことじゃないだろうて。全くヘカーティアは天然って奴なのかはたまた勘違いの激しい空振り女なのか。分からんがまぁそういう人なんだろうな。ヘカーティアは。考えるだけ無駄って奴だ

 

「ん〜♪あ、ご主人さばっ!?」ガシッ

 

「ピース?この人に何かした?」

 

「…いや、何も…」

 

「目を見て言いなさい。ピース…なんかやったでしょ」

 

「だから何も」

 

「じゃぁなんで目を逸らすのかしらん?」

 

「それはあくまで…生理現象で…」

 

「嘘つかないで。強姦したでしょ」

 

「うっ…」

 

「したのね?今認めたら一回休みで許してあげるわ」

 

「!や、やりました!」

 

「…良いわ。死ね」

 

「え?」ピチューン

 

「明日まで休むが良い」

 

「…目の前でこんなこと見せられた俺はどうすれば良いのやら」

 

「私に身を委ねなさい!」

 

「やめて!?」

 

「冗談よん。それに、私はあなたのことが大好きなのよ。私が求めて許可されたならともかく、襲うなんてことはしないわよん」

 

「こっちから誘うことはないのね」

 

「良いけど?」

 

「…ねえわ」

 

「そうよねん」

 

こいつの全てを見透かしたような顔が腹立つ。おのれポルナレフ…!おい待てポルナレフって誰だ!?このヘカーティアめ…!というか、ヘカーティアはなんで俺が家のポスト付近で待機してるの知ってるんだ?…なんか怖いな

 

「世の中には知らない方が良いのもあるってこと。知ってておいてねん」

 

「だからそのんを辞めなさいっての」

 

 

 

 




ヘカーティアさんは好きです。
純狐、てめーは予測変換により嫌いだ


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105話

なんとなんと。
あいつが帰って来ます。
なんでいうと思ったか
あいつです。地上最強の範馬勇次郎です。
嘘ですごめんなさい。
囁き戦術の狐やりたいんですけど性格わからんのでとりあえずかぐや姫やります。恋路に妨害は付き物よ


 

永遠亭

 

「…永遠亭会議を始めます」

 

「「お願いします」」

 

「ではまず初めに…姫が男を見つけたこと」

 

「師匠、嘘をつくにはもっと自然に」

 

「いいえ、本当よ」

 

「どんなお相手が?」

 

「…里の…」

 

「里の?」

 

「里の…ただの男…」

 

「え?」

 

「身分なんて関係ない!って奴?」

 

「なんならここの姫は元姫。まあ要するに身分も何もないってわけね」

 

「それで…?」

 

「どうやってこいつを姫から切り離すか」

 

「やっぱりですよね!師匠は姫さまラブですもんね!」

 

「…他人の恋路を踏み躙るのはなぁ」

 

「今進行形で踏み躙られてるの。私の恋路が!」

 

…あ、鈴仙です。さて事態を整理しましょう。落ち着け、まだなんとか出来るはずだ。まず姫と男が出会い姫が恋しました。男?知らんな。で、師匠はそれをよく思ってない、むしろ踏み躙られた…ん?師匠…あんた同性愛者だったんですか…!?

 

「私の捧げて来た忠誠心が姫以外にも行き渡るとか嫌なのよ!」

 

「師匠、落ち着いてください」

 

「そうウサ。まだ手がないわけではないウサ」

 

「…どういうこと?」

 

「つまり…」ゴニョゴニョ

 

「!」

 

「…え?」

 

翌日 迷いの竹林

 

「晴れた晴れた〜」

 

「鈴仙、こっちこっち」

 

「んぇ?あ、分かった」

 

「…あれ?妹紅さん、なんか道違くない?」

 

「あ?てゐの野郎が悪戯で閉じやがったんだよ。あそこ通ったら大穴開くぞ」

 

「マジスカ」

 

…てゐが考えた作戦は…相手の行く先をなんとかして絞る→そして危険な場所へ誘い込む→案内人(妹紅)が黙ってるわけない→その恩を忘れられずに男は案内人だけを愛してしまう。という手順らしい。それ意味あんの?

 

「…今だ」

 

「ぬあっ!?」ズルッ

 

「!?おい!」

 

「…!あぶねえ…下に竹槍とか何時代だこの…!」ガシッ

 

「土の中に指を突っ込むって意外と無茶するんだな…さて、行くか」ギュッ

 

「飛べるんか」

 

「このまま地球投げしたって良いんだが」

 

「ヒェッ」

 

「…鈴仙」

 

「何?」

 

「作戦は失敗だ。次に移る」

 

「次があるの?」

 

場所は変わり中間地点

 

「そろそろ半分かな」

 

「長いっすね」

 

「迷いの竹林だからな。目印付けながら歩いてんだ…ん?もう目印がついてる…?」

 

「どうしたんです?」

 

「?…!伏せろ!」バッ

 

「え?あ、え!?」グサッ

 

第二の作戦はこうだ。妹紅がさんが気付く前提で矢が放たれる。足止め用に目印をつけておくらしい。そんな努力しないでよ…そして避けた矢は咄嗟のことに反応できない彼にグサリ…というわけらしい。てゐは精神科行けば?…あ、ウチ精神科だ信用ならねぇ

 

「!大丈夫か!?」

 

「手に刺さるってお前…永遠亭に行く用事が増えた」

 

「お前もう永遠亭に泊まれよ。しっかしてゐの奴こんなトラップ仕掛けたことあったか?」

 

…そして、最後の決戦が開かれた。場所は永遠亭前。そこに''偶然''飛んできた妖怪が周りの反応が間に合わず食われてしまうということらしい。どんなシナリオなのか詳しくパイプオルガンでも弾きながら聞かせて欲しいような作戦である。私の方がまだマシだ

 

「うわっ!?」

 

「グキュル…!」

 

「妖怪!?」

 

「ひゃっ!?」

 

「ぐるぁ!」ガブッ

 

「あだっ!?」

 

「燃えて死ね!」ボワッ!

 

「テメェうちの旦那に何してくれとんじゃこのボケがぁ!」ゲシィッ

 

妖怪だったもの<偶然やぞ偶然?

 

「大丈夫か!?どこかに怪我は!?」

 

「手、手を見せて!噛まれたでしょ!?」

 

「ちょ、二人一斉に来ないで…一人ずつ」

 

「…こちらてゐ」

 

『どうしたの?』

 

「ターゲットの撃破に失敗。ごめん」

 

『ああ良いのよ。ところで鈴仙って』

 

「何もしてない」

 

『最後に鈴仙が現れて傷口を見て「こんな傷だと病気が…」って言わせておきなさい』

 

「わかったウサ。…というわけウサ」

 

「あれ?おかしいな。私元月の賢者になんか頼んだはずでは?」

 

「そういう日もあるウサ」

 

そしていつもの姿で3人の前に立つ。ちょっと待ってくださいと声をかけてお久しぶりですと握手を交わす。その時に傷口にそっと自然に…さわっと。すると相手は痛みで悶絶する。当然だ貫通してんだから。

 

「!?き、傷が!?」

 

「鈴仙どうしましょう!」

 

「師匠に掛け合って来ます!」

 

「…待て」

 

「え?」

 

「今日はてゐの悪戯がかなりでかい。こんなのを設置したことはない。ましてや命に関わることなんて知らないはずだ。…永林だな?」

 

「何を言ってるんですか?」

 

「答えろ。永林が原因でこいつはこうなってるんだろ?」

 

「証拠もないのに疑わないでください。それでは失礼します」

 

診察室

 

「…ってことがありまして」

 

「恋には試練がつきもの。でもやり過ぎだとバレてしまう。どうしたものかしら」

 

「やめましょうよもう!?」

 

「嫌よ」

 

そう即答で返事した師匠に嫌悪感を抱いた私は決して悪くはないだろう。むしろ正常なはずだ。なぜこんな風になった?

 

「…とりあえず治すわ。妖怪をわざとその時間だけ多めにやるしあないわね」

 

「なかなかにダイナミック」

 

「ダイナミックにしないと切り離せないのよ!…そうだ、そこで妹紅を入れて妹紅と男で発展させれば」

 

「師匠!?」

 

…結局、我々には姫の好意を止めることはできなかった。妹紅さんが妬くこともなく、スムーズに全てが終わってしまった。師匠は壁蹴ってる。

 

「…姫、おめでとうございます」

 

「ええ、ありがとう」

 

「ありがとです」

 

 

 

 

 




主人公と姫の泥沼恋愛がやりたかったのにいつのまにか永林の泥沼になってる…
永林…姫ラブ
主人公…あ、大好き
姫…大好きすぎて妹紅なんかに触らせない
妹紅…この館2度と来たくねぇ


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106話

おい
誰だこいつ
そうだよ。
妖夢ちゃんだよ


冥界 白玉楼

 

「…やっべぇよ妖夢ちゃん一度に2個主役オファーだよ」

 

「妖夢…何を言ってるの?」

 

「ハッ」

 

「行け!妖夢!新しい使用人よ!」

 

「待て、その前になんで俺使用人になってんの?」

 

「きっちりと育てさせていただきます」

 

待たんかワレとか言ってみるがこいつらまるで話を聞いてねえ。おかしいな、おかしいな。閻魔様に聞いた話だとちゃんとした奴らの集まりだって聞いたのにな…まさか猫被ってる?あり得る!

 

翌日

 

「お願いします」

 

「では廊下ですね。長いです」

 

「はい、長いですね」

 

「…モップ」

 

「んふっ」

 

「何笑ってんだ切り落とすぞ」

 

「すいませんでした」

 

「良いですか?モップを水につけて…走る!」

 

「水につけて…んしょ。走る」タッタッタッズルッ

 

ドッカーン!

 

「…待て、転けただけなのになんで爆発音?」

 

「…死ぬかと思った…」

 

「では、次にアレをやります」

 

「アレとは」

 

「…庭」

 

「中は?」

 

「私が勝手にやります。というか一人で回ってるので実際要りませんね」

 

「えぇ…?」

 

「というわけで穀潰しになったのなら私の部屋に」

 

「いえ、教育してみせますので」

 

「…はーい」

 

それから1ヶ月が経ち、仕事に慣れたと思っている今日この頃。はっきり言おう。俺はこの仕事苦手だ。いや、訂正しよう。この職場の人間関係が嫌いだ。特に先輩に当たる妖夢って人が苦手だ。ここの当主である人に話しかけたら木を一本斬り伏せている。今日で30本目行くんじゃないかな

 

「…話は終わりましたか?」

 

「はい」

 

「では次は庭をお願いします」

 

「わかりました」

 

…むっちゃ怖えよ誰か助けて?

 

「さて庭…やる事ねえな」

 

一方その頃妖夢サイドは

 

「幽々子様…」

 

「ん?どうしたの妖夢?」

 

「彼は私の部下ですからね!」

 

「!?どゆこと!?」

 

「いくら幽々子様でも譲れません!」

 

「えぇ!?」

 

「それでは!」

 

「…ちょ、ちょっと紫に会いに行ってくるか!」

 

「まったく…」

 

また翌日

 

「でねー?妖夢ったら〜」

 

「…!」

 

「モップがけ楽し」

 

「あーちょっと来てくれる?えーと…妖夢じゃない方」

 

「え、あ、はい」

 

…なんだろうか。俺、何かしただろうか。勘弁してくれ。この先まだ仕事が残っているというのに。目覚めが悪い。特に横にいた妖夢さんの目つきが悪い。すんごい怖いから誰か助けて?ったくよう俺が何をしたってんだ

 

「あら〜この人が?」

 

「そうなのよ〜♪妖夢を誑かして悪い子ね〜」

 

「…やべぇ…ガチでやばいところに来てしまった…」

 

その日、俺はその部屋を出ることはできなかった。

 

翌日

 

「昨日はお楽しみでしたね?」

 

「うおっ!?」

 

「良かったですね〜私を出し抜けて」ギリギリ

 

「…え?」

 

今、俺の脳はこう言っている。『逃げろ』と。俺は俺の脳の信号の遅さを恨んだ。

 

「うおっ!?」ドサッ

 

「…ねぇ。なんでそんな幽々子様に気に入られてるのさ?」

 

「いや、知らんて…」

 

「幽々子様がクビ宣言すればすぐにでも切り落とせるのに…!」ガシッ

 

「ぉうっ!?」

 

「貴方さえいなければ幽々子様の隣はずっと私のものなのに…!」

 

「よ、妖夢先輩…?ほら、す、スマイル…いや、陽気に…」

 

「それまでは教育してあげますよ。絶対に死なせはしません。私の手で殺してこそ意味があるのですから」グサッ

 

「ひぁっ!?」

 

嘘だろ!?あと700字近くあるのに急にクライマックス!?ていうか顔の横に刀!?殺されるんちゃうか!?

 

「…私は貴方がリストラされる時を楽しみにしていますよ」スーッ

 

「はぁ…」

 

「トンっ!」ズグッ

 

「ん!?」

 

「可愛らしい…貴方を殺す時が来たら、貴方はもっと短い悲鳴で首が切れるんでしょうね」

 

「笑いながらいうのはナシって奴だぜ…」ドックンドックン

 

「では、今日の仕事と行きましょう」

 

「今日の初めとしてはなかなかにヘビー…」

 

その後

 

「そこ、汚れてますよ」

 

「あっち火ついてます消して!」

 

「また幽々子様が呼んだ…っクソッ!」

 

…幽々子様に呼び出されるたびに毎回思うんだけど…俺ってこれからどうすれば良いわけ?殺されれば良いの?死にたくないのに?泣きつくしかねえぞこれ?

 

「…妖夢さん?」

 

「何?」

 

「あの、幽々子様が…」

 

「わかりました」

 

…今すんごい怖かったんだけど…?あー怖かったー。俺もうほんと殺されるかと思ったよ。今のは怖かった………今のは怖かったどー!

 

「…ふぅ。さて、廊下でも拭くか」

 

数分後

 

「あ」

 

「ん、最期までありがとうございました」

 

「今死んでんだけどね?」

 

「貴方、今日付けでクビです。」

 

「…ってことは」

 

「私が首を切らせていただきます」

 

「…マジ?」

 

そこからはもう本当に淡々と準備が進んだ。本当に、本当に嫌なことがあるとすれば。モップ掛け終わってないということくらいだろう。意外とあっさりとしていた。悲鳴はないだろう。木で作られた十字架に括り付けられて、目隠し。遺言を聞いてからだろうな。多分。

 

「…残す言葉は?」

 

「え?…廊下拭き終わってない」

 

「サラバ!!」バシュンッ

 

「」ボトッ

 

「ふぅ…これで幽々子様の隣は…私ですね」

 

「妖夢〜?」

 

「あ、はい」

 

「…あら、妖夢?今まで散々罵ってきた彼を切ったのに、なぜ泣いてるの?」

 

「え?」

 

「泣いた顔は美しくないのよ。さあ、人里を巡りましょー!」

 

「…本当だ…泣いてる…」

 

 

 

 

 




妖夢…従者としては私が上だ黙ってろ(大好き)
主人公…俺殺されてしまうんか?
蓮子が中学時代に恋した男が暴走族になってて蓮子とメリー(スキル:殺し屋)が暴走族と共に先輩をメッタメタにする回を次回出そうかな


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107話

告知した通り蓮子ちゃん(げきつよ)とメリー(おまけのくせしてげきつよ)です。
先輩は暴走族です。おっそろしく早い手刀…俺でなきゃ見逃しちゃうね。
その気になれば首なんか切り落とせるだろうに…
こいつは俺の獲物だ…!!


どっかの道路(治安極悪)

 

「ヒャッハー!」

 

「あ、ちょっと待て俺今日話したいことがあるんだ」

 

「お?なんだなんだ?暴走族止めるのか?」

 

「おう」

 

「は?なんで止めるんだ?」

 

「俺の地元でさ。とある貼り紙があったんだ」

 

「どんな貼り紙?」

 

「…俺が行方不明になってるって…」

 

「お前地元でなんかしたのか?」

 

「いや、特に何もしてないんだ。それで昨日…虫の知らせってやつかわからないんだが全部剥がされてた」

 

「?じゃあ良いじゃねえか」

 

「いや、実はな。俺が暴走族やる前にも同じことあったんだ」

 

「…?」

 

そう、あれは俺がバイトしていた時期。実家を出て高校に働きながら通っていた。そしてある日突然、俺の住んでるアパートの大家さんが訪ねてきた。どうも俺が行方不明になっているらしい。最初は疑ったがそう言う貼り紙が出ていた。母にも父にも聞いたが音沙汰なし。恋人もいないし兄弟は皆働いてたり実家で勉強していたりと忙しかったのだ。

 

「…その犯人かもしれない」

 

「それ、いつ終わったんだ?」

 

「バイト先に俺をじーっと見つめる女が出てからだ。少しずつ減って行った…だから、もしかしたらもう…」

 

「おい!目の前に人いるぞ!?」

 

「マジか!?ど、退け!」ライトガッ!

 

「…ようやく見つけた」スッ

 

「女だ!」

 

「!?よ、避けろ!」

 

…あの帽子…さっき話した女が付けてた帽子…!全速力で逃げろ!そう俺の脳が言っている!そう思って法定速度なんて命の次だと言わんばかりに速度を上げる。この時、俺は前を見ていなかった。そして…

 

「あぶねえ!?」

 

「うぇっ!?」ガッゴロッダーン!

 

「…あんな擬音初めて聞いたぞ…」

 

「でもなんであいつ急に速度出したんだ?」

 

「…もしかしてあの女か!?」

 

「なんとか生きてる…!ゲホッ」

 

「生きてたか!」

 

「救急車呼べよこんちくしょう」

 

「それもそうだな!119…早く!早く繋がってくれ!」

 

「先輩?高校出てからそんな連中と一緒なんですか?」

 

「早くしろよ!あ、繋がった…はい!救急車です!えーと…道!?おい、分かるか!?」

 

「GPS…あ、ここ○○!」

 

「わかった!○○って所です!早く来てください!事故りました!」

 

「あ…」

 

「先輩…聞こえてるんですか?事故で耳が遠くなったわけじゃないでしょ?」

 

「…っ怪我人に触んじゃねえよ!」

 

「は?何よあなた達」

 

「この」ゴギッ

 

「…蓮子、その人が?」

 

「そうよ。蓮子、事故に見せかけてね」

 

「ク、クソッ!こっちは3人いるんだぜ!?勝てるわけが」グギッ

 

「く、首…!?」

 

「ねぇ、蓮子の邪魔しないでくれる?」ガシッ

 

「っ…し、しねえよ…」

 

「ほんと?」

 

「ああほんとだ…し、証拠に今背中にあるナイフ捨ててやるよ!」ポロッ

 

意識が朦朧とする。一体何が起こった?ああ、さっき気を失ったのか。と思ったと同時に本能に電流が走った。今すぐバイクを立てろ。逃げるんだと。ただそれを防ぐかのように俺に向かって語りかけてくる女…

 

「う、あ…」

 

「起きたんだね先輩!」

 

「蓮子、こっちは終わったわよ」

 

「ぐぁ…」

 

「ゲホッゲボッ!」

 

「ありがとうメリー。さて、先輩。お家に帰りましょうか。お母さん心配してたんですよ?綺麗な彼女をほったらかして!って」フフフ

 

「何言って…!」

 

「大丈夫。お仲間さんは峰打ちよ。救急車が来るから問題ないわ」

 

「…だって。さ、帰りましょ?」

 

「誰がテメーなんかと!?」ボキッ

 

「次…何か文句言ったら足の指の骨じゃ済まさないよ?良い?」

 

「〜ッ!!!!」

 

「さて、いきましょうかメリー」

 

「えーと…どこ行くんだっけ(笑)」

 

「私の親戚の別荘よメリー」

 

なぜだ。何故こうなった。やはり噂をしたのが悪かったのか。噂をすればなんとやらってやつか。それから俺はなんか知らん車の後ろ側に乗せられてまるで誘拐…いや、誘拐の方が丁寧じゃねえのかと思うような運び方をされた。つかここどこだ…?

 

山の中の別荘

 

「…意外と普通の一軒家ね」

 

「豪邸なんて掃除し切れないじゃない。さて、先輩のお家ですよ〜」

 

「なんでこんな目に」

 

「なんか言った?」

 

「…いや、なにも」

 

「蓮子、反応しない。多少は目を瞑るべきよ。そんなことより家を案内したら?」

 

「…そうね。それじゃ、まずはこっちから」

 

…ん?待て、なんかここ見覚えあるぞ?

 

「こっちは寝室でーす。先輩と一緒に寝ましょうね〜♪」

 

「私の部屋はここ?」

 

「メリーも一緒に寝ましょ♪メリーが寝取るなんてことしないだろうし」

 

「するわけないじゃない」

 

「…されたらどうなるんだ?」

 

「先輩に私のものだって印つけとかなきゃね」

 

「さて、次はトイレだけど…」

 

「ええ、トイレはここ」

 

…やっぱりだ。知ってる。この家、俺知ってるんだ。でもなんで?

 

「さーて、次は私のお部屋〜。何かあったら私に言ってね?」

 

…なんでだ。どこにどんな部屋があるかが分かる。来たことがあるのか?

 

「…先輩、なんだか考えてますね?」

 

「え?」

 

「それも当然♡ここは先輩のお婆さんのお家ですよ!」

 

「え?じゃあ婆ちゃんは…」

 

「寿命で死にましたよ?あなたに譲ってたんですって。でも誰も見てないから彼女である私が住んじゃいました♪」

 

「え…?」

 

「さ、先輩。今日から再び!3人で一緒に頑張りましょう!」

 

「わかってるわよ」

 

…再び?何を言ってるんだ?俺は最近まで一人暮らしで…3人で暮らしてたことなんて一つもなかったはずなのに…あれ、俺がいつ3人暮らしを…?

 

「先輩!」

 

「!?」ビクッ

 

「ほら、肩組みましょ」

 

「あ、ああ…」

 

「せーの…頑張ろう!」

 

「おー!」

 

「お、おー…?」

 

 

 

 

 

 




宇佐見蓮子…小学校から大好き(中学生くらいから付き合い出したと言っている)
メリー…蓮子の恋路は応援する。邪魔者排除あるのみ。実力は二人とも鬼レベル。
主人公…なんだこいつら!?助けて!?実力は低級妖怪より少し弱いくらい。他の暴走族もそんくらい。


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108話

何かやろうとして何か忘れる主人公VSヘカーティア&ピース
へカーティアンドピース


地底

 

「…あれ、何しようとしたんだっけ?」

 

「お前また忘れたのか?」

 

「…ピースか?」

 

「目も見えてるくせに」

 

「すまん、何かを覚えるだけで一苦労なんだ」

 

「知ってるさそれくらい。じゃ、今日は何する?」

 

「それを聞いてんのに…だめだ、考えが纏まらん」

 

「やっぱりかー…じゃあまた夕日でもみるか?」

 

「地底に日はなかろう」

 

この妖精は頭いいのか悪いのか。よくわからんが馬鹿強いってことは知ってる。げつめん…ってところで戦争起こしたってのも知ってる。ただ、それだけだ。全部こいつから聞いた。少し盛ってるだろとは思うが、博麗の巫女と同格らしいから本当かもしれない。

 

「地上に行けるよ」

 

「!?」

 

「行く?」

 

「…いや、良い。地上は無理だ」

 

「楽しいところもあるのに?」

 

「後で良い。少なくとも今日…明日まで無理だ」

 

「…変なの」

 

「ほざけ」

 

翌日

 

「…」

 

「あら、今日はピースと一緒じゃないのかしらん?」

 

「あいつは地上に行きましたよ。面白いもの見つけてきてやる〜!って張り切って…」

 

「あの子らしいわねん。そもそもあの子とあなたじゃ正反対なのよ」

 

「あいつは記憶力が良いんですか」

 

「いいえ、性格よ。活発的な子がピースでしょ?」

 

「ピースが活発的な子ですな。まあ妖怪なんとかなる」

 

そんなことを駄弁っていると女神様もどこかへ行った。どこかは知らんが、多分ピースのところだろう。なんだかんだ言って保護者的立場なのだ。保護者様も大変なことで。つーか眠いな。音楽でも聞きながら寝たい気分だ

 

「…寒いな…地底なのに…」

 

翌日

 

「…ん」パチッ

 

「起きたか」

 

「…ああ。起きた。おはよう」

 

「おはよう。さっそくだけど地上から物持ってきたぞ」

 

「どんな物だ」

 

「粘土と花火と…あ、これもあったな」

 

「それは確か…それは…酒…」

 

「ん?そうだったのか。通りで見覚えがあると思った!飲め!」

 

「酒は無理だな。粘土でもやろうや」

 

「飲め!」ガバッ

 

「!?」

 

「どうだ?」

 

「…んー…?特にこれと言って何も…ピースが二人いるくらいしか…?」

 

「十分やばいじゃないか。アタイも飲むか!」

 

「…?ピース、後ろのその人…誰だ?」

 

「…え?」

 

「ピース…お酒はだめだって言ってるでしょう!?」ゲンコツ

 

「いだぁっ!?」

 

「ごめんなさいね。水あげるからこれ飲んでおきなさい」

 

「あ、はい…」ゴクッ

 

「うぇー!許してご主人様ー!」

 

「お酒はだめだって何度も言ったのに!なんで飲むのかしら!?」

 

「ぎゃぁぁあ!」

 

「…大変なんだなぁ」

 

翌日

 

さて、今日は何もせずに行くか。それとも別で行くか。気持ちは別々だがなんとかなるだろ。妖の生き方は自由だ。他人から奪い続けて生きているのが妖じゃないはずだ。人の幻覚みたいなもんだし。賢者は知らん

 

「ようやく見つけた!」

 

「?ピースと…」

 

「ああ、名前入ってなかったわねん。ヘカーティアよ」

 

「どうも、ヘカーティアさん」

 

「地上に行くぞ!」

 

「え?」

 

「地上に連れて行ってやる〜って意地張っててね〜…行ってやってくれる?」

 

「わかりました…?」

 

地上

 

「ここがアタイがいっつもいる場所博麗神社!参拝客は少ないよ!」

 

「余計なことは言わんで良い!」ゲンコツ

 

「…そして巫女が凶暴…!」

 

「なんですって?」

 

「泣きっ面に鬼だな。地下と同じ金だと良いんだが…」

 

「お金かしら!?」

 

「…これなんだが」

 

「紫になんとかして変えてもらうわよ!」

 

「そんじゃ…」

 

「ありがとね。また来てくれてもいいのよ?」

 

「そうだな。次の代に変わったら来る」

 

「今ここで私から私へと移ったわ」

 

「んな無茶苦茶な」

 

「…むー!」ムスッ

 

「おうどした…頬なんか膨らませて。次はどこだ?」

 

「次はあっち!」フンッ

 

「意地を張ってると後で痛い目見るぞ」

 

「…あんた意外と辛辣ね」

 

「まぁね♪」

 

最近は外の世界も幻想郷も地底もどれも物騒になってる。そんな物騒な時代だからこそ辛辣に生きていかなければならない。そう思ったのでした。めでたしめでたし…なんてな。

 

守矢神社

 

「アタイがいるところとは別の神社!」

 

「守矢神社か…嫌な感じがするからさっさと移動したいな」

 

「…?へー」

 

「おや…珍しいお客さんだ」

 

「地底はあんまり関わりたくないんだがね…」

 

「そうかい。今更何しに来た?」

 

「…?次、行ってみよー」

 

「おう頼んだ」

 

「…なんだったんだあいつ…?」

 

霧の湖

 

「ここには奴がいる」

 

「奴?」

 

「来たなクラウンピース!」

 

「こっちのセリフだチルノぉ!」

 

「…妖精同士の戦いか。環境の変化だけじゃ済まなさそうだおっかねぇ」

 

「松明!」

 

「氷の槍!」

 

「待て、なんか一人だけ別の漫画に出てないか?」

 

「死ね!」

 

「ノー、バカ言ってんじゃないよ」

 

「…チルノって奴急に大人びたな」

 

そう思っているとアイスエイジ!とか大声で言った後に湖が凍った。霧で見えんが奥まで凍っただろう。多分、そのはずだ

 

「…ん、ピース凍ってる」

 

「ふんっ!」バキィッ

 

「狂気は凍らねえか…」

 

「ピース〜」

 

「こいつを片付けてから行く!」

 

「そうじゃなくてー!ふたりともー!」

 

「ん?」

 

「降りてきてくれー」

 

「おうわかった」

 

「よっこいせ」

 

「…あのね。あんたら自分の戦いで起きる影響をわかっておきなさいよと。今すんごく寒いの」

 

「よっこ椅子」

 

「駄洒落な感じで俺の膝に乗るな。あぐらかいてんのに」

 

「あったかいだろ?」

 

「…否定は…できんな…」

 

「だろ〜?」

 

「…あたいも座る!どけ!」

 

「チルノは抱っこすりゃ良いのか?」

 

「!?そ、それは流石にアタイが」

 

「いいや!ピースはそこがいいんでしょ?なら良いじゃない!」

 

「それとこれでは話が…!」

 

 

 

 

 

 

 




ピース…この気持ち…これが恋…!!
ヘカーティア…そういうとこ、好きだよ
主人公…悪い気はせんがやめてくれ


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109話

お前が俺に着いてこようとして、着いていけないのと
人生を楽しもうとして、全力を出し切って走り切れない
どっちも大して変わらん
って僕の友達が言ってました。
新作の狐やりたいけどまだ先にして今回は布都ちゃん


 

人里

 

「…?なんだ、それ」

 

「お、お主か。これはな?太子様が言っていた…なんだっけ?」

 

「お前が忘れてどうするよ…何?人間失格…?変なタイトルだな」

 

「この作者はこれをなんたら稿して1ヶ月くらいで死んだと聞いておる」

 

「ありゃま不吉な…」

 

作者は読んだことがありません。…ん?待てなんだ今の。それはそうと人間失格なんて変な本を太子様とやらはよくもまぁこいつに渡したな。本なんて読まないタイプだろこいつ…と言うより、なんでそもそもそんな外の本がこの幻想郷に…

 

「中身は普通の恋愛小説じゃがの」

 

「お前今変な語尾だった?」

 

「?」

 

「…まあ良いか」

 

翌日

 

「…今度はどうした布都」

 

「むぅ…いや、変な本を拾ったのでな」

 

「捨てとけ。落ちてる本ほどばっちい奴はない」

 

「銭は?」

 

「ばっちい。んなことより飯食うか?少し余ってんだ。3口くらいだけど」

 

「それは余ってるとは言えないぞ。それに!我は昼飯までにお腹を減らしておくのじゃ!」

 

「お前も大概変な奴だな。類友ってやつか?」

 

「なんだか今酷く罵倒された気がするぞ」

 

「気のせいだ。さて、どんな本だ?」

 

「…?ああ、これか。さっき読んだがの〜…なんとも妙に重みがある本じゃった。鈴菜庵と言う書店にはなかったがのう…」

 

「なんて本だ?」

 

「…天狗記者と人間」

 

「そんな本聞いた覚えねえな。新しい本が出たら文々。新聞に載ってるはず…?」

 

「肝心の内容は…」

 

その本の内容はなんとなんと。人間に恋をした天狗記者がどうにかして人間の気を1秒でも長く自分に留めたかったそうな。でも、その後に仲良くなって妖怪の山にも来るようになってと、段々と距離が狭まったが最終的には人間が帰ることを許さず監禁してしまった…と言う話だ。

 

「怖い本だな」

 

「?我は良いと思うぞ?」

 

「お前やめろよ怖いなぁ…」

 

「何故?」

 

「お前は馬鹿正直だから、いつかその本に書いてあることを実行しそうなんだよ」

 

「…そうかの」

 

「ところで、挿絵とかはあるのか?」

 

「ああ、挿絵というより写真が」

 

「見せてくれ」

 

パラパラとめくって見つけた!…ん?

 

「写真…だな」

 

「じゃのう。筆者はどうやってその写真を撮ったのか…?」

 

「…待て、なんかおかしいぞ」

 

「ん?」

 

「この本、めくるほど字が乱雑になってる」

 

「おお、本当じゃ」

 

「…なんてな。嘘だ。ほらみろお前は馬鹿正直じゃないか」

 

「ぬぅ…もっと馬鹿になったらどうするのじゃ!」

 

「責任取るよ」

 

翌日

 

「今日は神霊廟に行こうぞ!」

 

「神霊廟…?」

 

「我の家じゃ!」

 

「家ね、家。わかった。お前の家がどんなのか見せてもらう」

 

「なんじゃと上から目線で」

 

「そういう人間ですから」

 

神霊廟

 

…どうしても他人の家に来てしまうと緊張する。あー、なんで断らなかったんだ俺。そう思いながら布都に抱っこされて来た。見た目は子供頭脳も子供だが仙人であるのだ。空も飛べるはず…多分。というかお前らどんな手法で飛んでんの?

 

「どうしたのですか布都」

 

「我の友人ですぞ!」ドヤァッ

 

「ども友達その1です」

 

「…?」

 

「我の部屋は…どこじゃったかの」

 

「お前が忘れてどうすんだ」

 

「太子様〜今日の夕は…!?布都が男連れて来てる…!?」

 

「我をなんだと思っておるのじゃ!連れてくるとしたら屠自古の方じゃろう!」

 

「んだと?」

 

それから俺は返されたとさ。太子様に乗って帰ったとさ。

 

一週間後

 

「…ん?」

 

「起きたか」

 

「おう、おはよう。でここどこだ?俺はお泊まり会なんてした覚えはないんだが」

 

「じゃあの」ガチャンッ

 

「…おい?布都?ちょ、おい?」

 

シーン…

 

「布都…?」

 

『今日の飯じゃ』

 

「…電気はある…トイレもある…それ以外なんもねえ!?」

 

翌日

 

「意外と暮らせるもんだな…風呂がないのはちょっと嫌だけど」

 

「元気か?」

 

「…布都か。俺をここから出してくれよ。お前があの天狗記者と人間みたいな本を読んで影響されたなんて馬鹿言ってないでよ」

 

「そんなこと言っとらん。というか、毒されてもおらん」

 

「…そうか?」

 

「そうじゃ。というよりお主、我の夫なのだからシャキッとせい」

 

「…おい」

 

「なんじゃ?今更取り消せないぞ?」

 

「俺は…いつお前の旦那になった?」

 

「なんじゃ?忘れたのか?」

 

…え、そんな約束したか?俺の記憶力よ全力で巡れ…!脳を、限りない速さで…!わからん!そんなことあったか?俺はそんな約束をしてないはずだ。結婚する〜なんてことも言ってないはず。俺が何かしたのか?

 

「…?」

 

「やはり忘れておるか。我はお主のせいで馬鹿になったのだぞ?」

 

「どういうことだ?」

 

「お主に馬鹿にされたせいで」

 

「何言ってんだか」

 

「とにかく、その時責任を取ると言っておるのじゃ」

 

「…言ってない」

 

「嘘をつくな」

 

「言ってない」

 

「やめるのじゃ」

 

「俺はそんなこと」

 

「ふんっ!」バチィッ

 

「いづっ…なんだよ、おい」

 

「忘れても特に構わぬ。我はお主が手に入れば良いのじゃ」

 

「は…?何言ってんだお前は…」

 

「わからなくても良い。我は、お主の感情などどうでも良いのじゃ。」

 

「と、とにかくここから出せって」

 

「いやじゃ。お主がそれを望んでいようとそれは無理なのじゃ」

 

「なんでだよ?」

 

「…」

 

その時、布都は俺がここに来てからむっちゃくそ笑顔でこう言った。

 

「お主がいつまでもここに居られるようにするためじゃ」

 

…はっきり言おう。誰か、助けてくれ。

 

 

 

 




布都…本の通りにしたら愛情爆発女の子だもん
主人公…おばあちゃんは言っていた。「本を捨てたらバチが当たるよ」って。


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110話

眠いです。まぁ、眠いです。
太子様です。能力?知らんがな


神霊廟

 

「…あたしゃいつからこっちに来ることになったんだか」

 

「知らんな。だがまぁ、太子様に魅入られたからとしか」

 

「屠自古、彼を借りてもいいか?」

 

「どうぞ。喜べ、太子様のお願いだ」

 

「大して喜びたくもないな…」

 

「は?」

 

「どうしました太子様」

 

「…そんなことよりも、今のはどういうことだい?喜びたくもないって」

 

「まぁまぁ…屠自古さんが見てますよ…?」

 

「いいや、今はそんなこと些細な問題にすらならないね。ここでの問題は、なんで君が私の頼みを喜ばないのかだ」

 

「あ、あはは…」

 

そういうところだよとは言えない雰囲気だ。あまりにも言えない。言ったとして、この人はどう捉えるか。そういう所だよ、からのどんなところだ?で終わりだ。天然みたいなもんだここまで来たならば。そのくせ愛が重い気もする

 

「聞いているのかい?」

 

「聴いてるとも。全く…恥ずかしいからだ。お前のする頼み事は毎回と言っていいほど人目につくからな」

 

「なんだ。そんなことならば心配しないでくれ。今日の頼みは人目につかない」

 

数時間後 人里

 

太子は嘘つかない、そう思ってました。

 

「人里でこんな荷物を運ぶ男がいたら誰だってチラ見するぜ…本当に何やってんだか」

 

「お、来たか。お主!遅刻であるぞ!」パタパタ

 

「あーもう袖で叩くな叩くな」

 

「ふん!太子様のお願いでなければ今頃殴り殺しておったわ!」

 

「頼む、殴り殺さないでくれ」

 

そう願いながら渡してさあ終わりだと思っていたらそうではなく、ここから神霊廟まで持って行くらしい。それだと元から神霊廟に持って行った方が早いだろ。つかお前が持った方が絶対速いだろ。というのは心の中にしまっておこう。

 

神霊廟

 

「おいこら太子、馬鹿みたいに人目に」

 

「何を言っている?君の力の無さは知らなかっただけだ。そのせいで余計時間が掛かったな」

 

「…へいへい。私がわるうござんした」

 

「違う」

 

「え?」

 

「謝る時はこうだ…」ガシッ

 

「頭を掴んでいきなり何を…うおっ!?」ドゴッ

 

「…こうやって、頭を地面に付けて、すいませんでしたと謝るのが謝罪だ。わかったか?」

 

「いつ…!なんだよ、お前…絶対俺のこと嫌いだろ…」

 

「何を言ってるんだ?大好きに決まっているだろう?」

 

「普通好きなやつに頭を下げさせたりはしない」

 

「そうなのかい?それじゃ流行の最先端だというわけだ」

 

「ポジティブスキルが高すぎて太刀打ちできねぇ」

 

「フフ…さて、正式な謝罪は部屋で聞こうか?」

 

「そういやまだ頭掴まれたまんま…ちょっと!?馬鹿痛いんですけど!?」

 

「知るか。君の自己責任だろう」

 

その日だけで髪の毛が何本取られると思ったか…少なくとも全力でやられたら頭皮が全て剥けたな。あー、そう考えると普通に助かった。逆に引っこ抜かれたらどうしようかと思った。え?部屋で何をしたか?…聞くな

 

翌日

 

「…?どうしたんだい?」

 

「いや、少し悪夢を見てな」

 

「それで腕に…?変なやつだな君は」

 

「お前も十分変だということを自覚しておいて欲しいもんだ。さて、次はどんな仕事が?」

 

「今日か?んー…今日は特にないな。ただ布都と屠自古が出かけている」

 

「ふーん。ってことはここは俺と太子様のみですか」

 

「不満があるような言い草だな…殴るよ?」

 

「勘弁勘弁。屠自古さんが弁当を残してくれたようですが食います?」

 

「食べようではないか」

 

数分後 完食

 

「さて…と、私の予定は…今日はあいつとか…」

 

「私がどうかしました?」

 

「こりゃまた度肝を抜きそうなお友達なことで。巻き込まないでくださいよ」

 

「あらあらこれは素敵なお方で…どうです?今晩ご一緒にご飯でも…」

 

「後ろを振り向くのが怖いな」

 

数十分後

 

「…」

 

「あ、あら…?」

 

「ゲホッゲホッ…いって…ぇ!」

 

「全くだな。私がいるのに他の女なんぞと抱きつかれて振り解きもしないなんて」

 

「た、太子様、束縛が強いと恋愛は長続きしな」

 

「何か言ったか青娥?私は、こいつと、一緒にいて同時に嬉しいと思っているからこの仲なのだ。青娥には1ミリもわかられたくない」

 

「それはそれは…♪」

 

…?何でこいつこんな時に笑ってんだ?なんか仕掛けたのか?ほくそ笑むような感じで笑われたら本当怖い!というか鳩尾も痛い!何で俺なんだ!なんで!抱きつく方にも問題があるだろ!?お前の監督不行き届きとかそんなもんだろ!

 

「…さて、話に移ろう。早く用事を済ませて帰れ」

 

「これはまぁ酷い」

 

「…ちっくしょう太子め…!」

 

「何か言ったか?」

 

「なんでもない」

 

「もうすでに調教済みではありませんか」

 

翌日

 

「…おい、いくらなんでもこれは怒るぞ」

 

「何が?」

 

「この馬鹿げた鎖はなんだ?俺がまるで信用ないみたいじゃないか」

 

「ああないね。青娥に抱きつかれてもすぐに振り解かなかっただろう?」

 

「…もしかしてそれを口実にやりたかっただけじゃ」

 

「そんなことはないさ。屠自古にご飯でも貰ってくるよ」

 

…何が何やら。というかこれ俺悪くないよね。どっちかっていうと青娥って人が悪いよね。これね、絶対青娥って人の行動を口実にやりたかっただけだよね。つーことはつまりいつかはやられてた?それはそれで怖いな

 

「持ってきたよ」

 

「手が使えないからあーんでもすんのか?」

 

「フフ…違うね。口だけで食べてみるんだ」

 

「は?」

 

「ほら、犬のように…机は用意した。届くだろう?」

 

 

 

 




今回は少し少なめに

太子様…大好き、なので大好きです。
主人公…お前ら人間じゃねえ!


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111話

おや…どうやらまだ読み終えてない本が一冊あるようだが…?
映姫さんと小町ちゃんのハーレムです。
カッコ地獄って奴です。


 

地底

 

「小町…なんで俺がこんな目に遭ってんだ。足痺れたぞ」

 

「あんたが映姫様怒らせたからだよ。つーかさりげなくあたいを馬鹿にしやがって今ここで首切り落としてやりたい気分だよ」

 

「そうだろ。俺も今寝たい気分だ」

 

「ダメだこいつ会話が通じない」

 

…待て、俺のことか。んなことはどうでもいい。なんで地底の飲み仲間と一緒に炭酸水にシロップぶち込んだ飲み物飲んでたら怒られなきゃならんのだ。反論したら全力で叩きのめされたし。あークソが…

 

「小町…元はと言えばお前が仕事サボったからだろ!?」

 

「今ここで死ぬか、首切られて死ぬか選びな?」

 

「冗談だ冗談…笑えんか」

 

「チッ」

 

「あー怖かった。ったく…あ、そういや勇儀って人に呼ばれてるんだった…聞いたことはあるんだがなぁ」

 

「あんた本当に記憶力が無いねぇ…」

 

翌日 地底

 

「ん?…昨日の記憶が無いがまぁなんかあったんだろ。どうだっていいさそんなこと」

 

「…昨日は激しかったな」

 

「酒の勢いですか?まぁ記憶がなくなるほど飲むのは久しぶりだしなぁ」

 

「チッ引っかからないか」

 

「…で、昨日はなんの話でしたっけ?」

 

「ん?ああ…地霊殿改装だから祝おうとな」

 

「それで集められたのか…」

 

「あたぼうよ」

 

そんな理由でと落ち込んでいると小町がやって来た。おい、飲みつぶれた後にまた飲ませるのか?と露骨に嫌な顔をしてみる。すると小町は髪の毛を掴んでって痛い痛い!え、何!?俺なんかしたの!?怖いんだけど!?

 

「あだだっ!小町!?」

 

「黙って私についてこーい!」

 

「ダメだこいつもう酔ってやがる!」

 

「ほらこーい!」

 

「ヘルプミィィィィイィィ!」

 

そうやって地底の居酒屋まで連れてかれた。そして辿り着いた瞬間こいつ寝やがった。しゃーない水でも飲ませるか。ついでに唐揚げ食うか。

 

「唐揚げ一つ」

 

「あいよ」

 

…それにしてもこの居酒屋人が多いな…

 

「そこの彼女さんにもおまけね」

 

「ただ飲みつぶれただけですな…小町、起きろ」

 

「ん…?あ…?あっ!」ゴツンッ

 

「おい!?」

 

「…痛い」

 

「だろうな。座れそして水を飲め。俺は唐揚げを食う」

 

「まったく…ビール大ジョッ」バチンッ

 

「お前に学習能力という力は備わっているのか?」

 

「…痛い」

 

「そりゃそうだ。レモンの代わりにケチャップとかかけたら美味いかな」

 

「知るか」

 

一週間後

 

「おい、待てやゴラ」

 

「どした?」

 

「小町、なんで俺の足無くなった」

 

「そりゃまあ…閻魔様のお仕置きだろ」

 

「お前は死神だろうがよ…いや、お前と飲み始めてからずっと閻魔様に怒られてたから案外違いはない…?」

 

「酷いこと言うな…」

 

今現在進行形でやってるやつはどうなるんだと心の中で批判する。声に出せば首から上がチョンパだ。首チョンパ。指チョンパの方がマシだとは思うが。そしてこいつは質問の答えをなんだと思っているのかこのやろう。

 

「…全く、お前は何をどうしたいんだ」

 

「あたいか?あたいはな…あんたをあたいの物にしたいのさ」

 

「俺が何をしたって言うんだ」

 

「だってさ〜…一緒にいつも呑んでくれるじゃん。これはもうOKっていうことなのさ。この地底ではね」

 

「何が『地底ではね』だ、地底どころか地獄でも通用せん惚れ方だぞ」

 

「惚れてなんかない」

 

「じゃあなんで俺は物になるんだ」

 

「そのまんまだ。あんたを気に入ったから、物にする。気に入ったものは保存したいだろ?」

 

「そりゃ末恐ろしい…とは言いたいが気持ちはわかる」

 

「そうだろ?それだ。あたいはお前が気に入った。だからお前を物にする。ずっと、あたいの隣に居させてやるからさ」

 

「何が居させてやるからさだ。隣にしか置かないの間違いじゃねえのか」

 

「…正解」

 

「こんなとこで当たってほしくなかったなーあーあー」

 

「それもそうだな。ま、そういうのは人それぞれ。気張っていこー!」

 

「行きたくねえなぁ。閻魔様に言われても」

 

「気に入らないなその根じっ!?」スカッ

 

「…小町?何をやっているのです。仕事ですよ、仕事。彼はこちらで預かりますので、さあ仕事へ」

 

「…四季様、何を言っているんです?仕事は辞表を出したでしょう」

 

「あれでは受理されません。正式な書類を用いて出してください」

 

…その時、『ああこれもしかして逃げ道なんてなきパターンかな』と思った。閻魔様ずっと俺の方見てるもん。小町の方をチラリとも見ずに、瞬きをするだけで俺をずっと見てるもん。気まずい。誰か助けて!

 

「さあ、仕事ですよ。早く」

 

「わかりました…彼は任せます」

 

「それでよろしい」

 

「じゃあ鎖の鍵渡しておくんで、仕事終わったらまた繋いでください」

 

「合点です」

 

「…え?」

 

「さて、こちらに来てください…あ、鎖がありましたね。鍵で…」ガチャッ

 

「手が自由になった…けど、元に戻すって」

 

「わかりませんか?」

 

「わからんしわかりたくもない気がするから聞かないでおこう」

 

「どっちみちですよ、どっち道」

 

「そんなどっち道なんて信用したくない」

 

そう思いながら手首をさする。あー私の愛しい手が帰って来た…そう思いながらここどこだ?とか、早く寝たい、とか思いながら辺りを見渡す。一面コンクリでまともに見えそうにない。どうなってんだこりゃ

 

「小町と協力したんですよ」

 

「…何を?」

 

「あなたを二人で独占することを協力しているのです」

 

「…つまり逃げられないと」

 

「逃げたら即刻無限地獄行きです」

 

 

 

 

 

 




職権乱用反対!
映姫様…小町の彼氏か?どっちでも良いが小町とずっと飲む仲…良い人ですね(分析前から大好き)
小町…本部、応答せよ。すげー優しい男を見つけた。これは脈アリと捉える。
主人公…そんなことは断じてない。オーバー。


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112話

誰じゃろな。
誰じゃろな。
妖夢ちゃんと幽々子様のハーレム設定やろな。


 

白玉楼

 

「俺が何をしたと言うんだ」

 

「よくよく思い返せば亡霊にすれば済む話でした」

 

「妖夢…あとは任せなさい」

 

「んー?ちょっとおかしいかな?これの知ってる何かがないな?そうだな、経緯とかがないな?」

 

「黙りなさい」

 

「え、ちょっと」

 

こうして俺は死んだらしい。あまりにもギャグがすぎる。そんな馬鹿げた死に方で俺は亡霊になったと言うのか。そうなのだ。そうなっているのだ。なぜだ、何故俺は亡霊になったのだ。おのれ恨むぞ俺

 

「と、言うわけで!貴方は一生ここから出さないことにしたわ!」

 

「よろしくお願いします」

 

「よろしくじゃないっすよ。あの、俺もしかしてものすんごい嫌われてる?」

 

「いいや?それどころかって話よ」

 

「好かれてると捉えていいのかわかりづらいなオイ」

 

「そう捉えていいのよ。じゃ、あとは妖夢よろしく」

 

「わかりました」

 

「…はぁ。忌々しいことに忌々しい」

 

「結局忌々しいだけじゃないですか」

 

「忌々しさは変わらないさ。さて、俺はもう寝る。三刀流でも六刀流でも鍛えておいてくれ」

 

「図々しさは世界一名乗れますよ」

 

翌日

 

「…?なんか余計なものが…」

 

「あら、起きたの〜?」

 

「!?」

 

「びっくりしちゃったかしら?初心ね…」

 

「うっせ。初心忘れるべからずだ…そもそも実質人生2回目だからなこんちくしょう」

 

「そう言わないで。私だって傷ついちゃうわよ?」

 

私だって傷付かないように触らないとすぐ痛めてしまうのよ?と言い返したいがぐっと堪えて見せよう、ホトトギス。そう思ってるうちにこの白装束と言うのか。そんな感じの服装をした女が俺に跨った。やめろまだ死にたくない(死んでる)

 

「…なんだ、俺に跨ってなんのプレイっすか」

 

「何よそれ。ただ…ここからは健全じゃなくなるから妖夢には見せられないわね!」

 

「させるか!」バッ

 

「な!?」

 

「…危ねぇ。どこぞのSSの二の舞を踏むところだったぜ。ささ、逃げろ!」

 

「妖夢!」

 

「お任せ!」ザンッ

 

「待機!?」

 

思わずしゃがむとなんと言うことでしょう。襖が切れたではありませんか。わーすごい切れ味〜

 

「あ、あぶな…!」

 

「捕まえたわ!」

 

「離せ!」

 

「妖夢、参ります!」

 

「待ちなさい!」

 

「すいませんでした」

 

「あの切れ味が頭を下げた!?」

 

「当然よ。私が主人なんだもの。さて、どうしてやりましょうか」

 

「え?い、いやぁRが掛かるアレは勘弁していただけませんと」

 

「そう言う奴じゃなくて…人が来たら貴方は喋らないとも限りない。ならばやるしかあるまい」

 

「…何を?」

 

「誰が何を聞いてもそれとなく話題を逸らす能力を付ける」

 

「!?」

 

その日、彼の脳裏に思い描かれたのは…角を持ったチーターであった。なぜこの動物が出て来たのかはわからないが、とにかくこの女はやばい。そう知らせたのが脳であった。だから逃げようとしたが捕まってそのまま一週間が過ぎた!

 

一週間後

 

「…」

 

「さて、ずっと暗闇にいると不安になるものでしょう?そうなると…」

 

「取ってくれ…目隠しとってくれよ…」

 

「こうやって悲願するの。妖夢、これを見てどう思う?」

 

「約束をする代わりに取りましょう」

 

「ええそうね。でも満点ではないわ。正解はこうよ」

 

「誰か…」

 

「それを取る代わりに約束ね?誰が来ても私たちの辻斬りは何も知らないと」

 

「し、知らない!だから取ってくれ!」

 

「約束破ったら腹開けたままだからな?」ボソッ

 

「ひっ」

 

「わかったら良いのよ。貴方が嘘をついて覚えてないなんて言ってるかもだからね…ほら」

 

「ぁ…!み、見えた…!」

 

「すごいでしょ妖夢」

 

「かなりすごいですねこれ。3年くらい繰り返しましょう」

 

「そんなにやったら文字通り廃人よ」

 

果て目が見えるようになった人類はこのような気分だったのか?目が見えるとともに大量の不安はかき消されなんと素晴らしいことに色が以前よりも鮮明に見えるように気がしてならない。ものすごく、目が良くなった気分だ。

 

「ようやく見えた…!」

 

「さながら盲目患者ですね」

 

「どうでも良いのよそんなことは。さーて、永遠に…ね?」

 

「…え?」

 

その瞬間、一人の亡霊が無茶苦茶に殴られたのだと言う。従者はその時喋った。

 

「百打が五打に聴こえる速さ…!!」

 

と。実際には五打であっているのである

 

「あうっ!?」

 

「…あとは根性焼きだけ。妖夢、これが終わったら貴方の好きにして良いわ」

 

「え、ちょ」

 

「わかりました。とりあえずできる限り催眠してみます」

 

「催眠おじさんにならないよう気をつけるのよ」

 

「わかりました」

 

「え、何?俺何されんの?ちょ、待って俺なんもしてないじゃん?ま、まっ」

 

「ふんっ!」バシィッ

 

「ほぁわっ!?」

 

「貴方が今ここで、私のことを好きだと言えば開放させてあげます」

 

「え…!?」

 

「ただしその代わり、私の側にずっと居てもらいますがね」ニヤリ

 

…と言うことはこいつと婚約した場合、外に出れるのか?…いや、そんなバカな。でも…ずっとそばにってどう言う意味だ?あれか?ずっとこの緑服の女の隣に居ろってことか?…あれ、それだと俺一生外に出れなくね?

 

「あぶね…」

 

「…そうですか。まあ良いです。もう一回!」バシィンッ

 

「ぁっ!?」

 

「…せいっ!」バギイッ

 

「おぶっ!?…す、すいませ…」

 

「そんな答えが聞きたいわけじゃない!」

 

「ひっ」

 

「言ってくださいよ」

 

「あ…え…えっと…誰…?」

 

「ああ、言ってませんでしたね。妖夢です。主人が幽々子様と言います。ほら、名前も言ったんですし、言いましょう?」

 

「あ、よ、妖夢さん…が、好きです…?」

 

「それでいいんですよ。外には出しませんが」

 

 

 

 

 

 

 




妖夢の変化球(変化率300%)


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113話

あ?
紅魔館ハーレムの続きだよ


 

紅魔館

 

「…いっつ…」

 

「紅茶、お願いできるかしら?」

 

「わかりました」

 

「私と遊ぼ?」

 

「…お嬢様の紅茶が先らしいので」

 

「は?」

 

「ヒェッ」

 

あれからどうなったかを教えよう。あれから死にはぐっていた時、絶対服従を条件に開放してもらったのだ。しかし何分子供というのはあまりにわがままなもので。俺は度々殺されそうにはなっているのだ。

 

「紅茶です」

 

「…あなた、体拭いて来たら?血だらけよ」

 

「ハ、ハハ…」

 

俺だってできることなら拭きたい。洗いたい。ただ妹さんに血かけられただけなのよ。

 

「…腹いたい…」

 

「どうしたの?」

 

「え?あ、腹痛が」

 

「そう。働きなさい」

 

「うっす…」

 

「この部屋終わったら休んでいいわよ」ガチャッ

 

「ありがとうございます…」

 

「ただし。制限時間6秒。よーいスタート!」

 

「あ、え!?」

 

「終わり!…休みはなしね」

 

「え、あ、そんな」

 

「なんてね。嘘よ、少し横になりなさい」

 

「ありがとうございます」

 

「いいのよそれくらい」

 

翌日

 

「腹痛は続くよいつまでも」

 

「今日こそ遊ぼー!」

 

「うい」

 

「何して遊ぶ?人形壊し?」

 

「いきなりハードな…そうですね、運動じゃなかったら」

 

「は?」

 

「運動しましょう!美鈴さんも誘って!」

 

「良いね!」

 

…その笑顔が怖い

 

地下室

 

「ここ通る時に図書館行ったじゃないですか」

 

「はい」

 

「パチュリー様とこあさんギョッとした目で見てましたよね」

 

「そうなの?別に良いけど…」

 

「…とりあえずこれのどこが運動なんですか?」

 

今俺は謎のゲームに参加している。沼に浸かって一番最初に溺れた人には罰ゲームという謎のゲームを。しかし二人とも舞空術を当たり前のように持っているので俺が初めに沈むわけだ。まあ当然勝てるわけもなく。罰ゲームの内容は…

 

「サンドバッグ状態!」

 

「え?」

 

「良いですね!早速キックボクシングやりましょう!」

 

「え?」

 

「いや、ここはボクシングでしょ!」

 

「…え?ちょ、いや、待って、やめ」

 

「音速ジャブ!」スパァンッ

 

「あばっ!?」

 

「行くよ!フランB、フランC、フランD!ジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!」

 

「弾幕アッパー!」バゴッ

 

「ほぶっ」

 

「右フック!」バチィンッ

 

「ドロップキーック!」ドゴッ

 

「ぁぅあ…」

 

嘘だろと泣きたくなるような展開である。ドロップキックが非常に効いた。

 

「妹様!それはダメです!」

 

「それもそっか。じゃあ次美鈴ね!」

 

「はい!」

 

…いつ終わるんだこれ?

 

「か〜め〜は〜め〜…波ァ!」ギュオーン

 

「ァッ」ピチューン

 

その日、俺は丸一日寝たらしい。メイド長に看病してもらった。感謝感謝…もう仕事やめたいとか考えてるけど、俺みたいな妖怪じゃない人間が行くところは限られてくるし、どこ行っても結局戻ってくる可能性大だし。

 

翌日

 

「いっつ…!どうして俺がこんな目に…」

 

「大丈夫?歩ける?無理だったら仕事お休み頂くけど…」

 

…そういやこの人真っ先に暴力振るって来た記憶があるんだけど勘違いだっけか?

 

「大丈夫です…!」

 

「あら?昨日はフランと遊んだらしいわね。今度は私と遊んでみる?…命を賭けたゲームでもやる?」

 

「遠慮しておきマッ」ドッ

 

「…おかしいわね。美鈴達から聞いたんだけど…絶対服従って。おかしいわね…」

 

「あ、それは違くて、その」

 

「フランと私とを比べて遊ぶのが馬鹿らしくなったとでも?」

 

「そんなことは…」

 

「可愛いわねぇ。必死に言い訳をするところが特に可愛い。ところで…」

 

「?」

 

「まだ身体拭かないの?臭うわよ」

 

「昨日気絶しまして…」

 

「あら、そう。それは大変ね。でも関係ないわ。咲夜、今日は博麗神社へ行くわよ」

 

「わかりました。妹様は…」

 

「連れて行くわ。こいつは留守番よ」

 

助かったと一瞬安堵してしまう自分が憎い。決してその表情を顔に出さぬよう努力をするがきっと出てしまうのだろう。それまで保てよ身体。保てよ精神!…とか思いながら見送って、さあどうしようかと悩んでいた時、ふと気がついた。

 

「…今昼前だから…昼食抜き…?」

 

その絶望的状況の前に俺は屈した。

 

「…休むか」

 

「おや、これはこれは昨日妹様に連れられ気絶してUターンを決めた方ではありませんか」

 

「どなた?」

 

「こあです。ご飯取りに来ただけなんで、失礼」

 

「あ、はい」

 

…そうだ、食堂とかキッチンとかにあるかもしれない!そう思ってさあ出港じゃあ!

 

食堂

 

「…ない。もしかしたら俺の部屋にあったかもしれんが急な思いつきっぽかったから違うだろうなぁ」

 

キッチン

 

「ない…俺っていつからそんなに嫌われてるっけ…?」

 

そんな考えをしながら自分の部屋に戻る。美鈴さんはいるらしい。そんなことより、もう寝よう。嫌なことは忘れるが吉だ。

 

数時間後

 

「…ん?」

 

「ごめんなさいね、ご飯作るの忘れちゃって」

 

「ああ、良いんですよ。特にこれと言って」グサッ

 

「…謝罪の代わりに目玉取るから、許して?」

 

「ぁ…!」

 

「堪えちゃって…行くよ!」ブチッ

 

「ぁ…あぁあ!?」

 

思わず変な声が上がる。俺の視界は…どこか変だった。それしか感じられなくなった。なんで?

 

「もう一方もやるね」グサッ

 

果てメイド長はこんな感じだっただろうか?と痛みとともに考える。が、結局は目を全て失ってメイド長の謝罪は終わった。俺は…何も見えなくなった。瞼を何かで結ばれたのはわかったんだがなぁ…

 

一週間後

 

「…あ、れ…?どこ…?」

 

「これじゃあ遊べないじゃん」

 

「咲夜なりの愛情らしい。美鈴と咲夜はあれを可愛がってるよ」

 

「お姉さまは?」

 

「言いたくない」

 

 

 

 

 

 




相手のゴールにシュート


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114話

これで一旦休止!
疲れた!明日から一生投稿しないかもしれないけど!
終わったと思って!
なので!今回は私が超大好きな…
マミゾウさんです!まあ嘘ですけどね!
人物像知らないけどどうにかなるでしょ!


 

人里

 

「化け狸?」

 

「ああ、どうにも最近そいつらが人間に化けてるらしい。殆どが女なんだってよ…不思議だな」

 

「殆ど?ってことは男も少ないけどいるってことか?」

 

「まあなぁ」

 

「…近づくなよ、お前が狸かもしれんのだ」

 

「んな馬鹿な」

 

「だな!」

 

そんなことを話してさあ家に帰ろうとした時、俺の真前に誰かが立った。すんげーでっけーなーと思い上を見ると…なんとも、俺が小さくなったかのような感覚を受けた。はっきり言うとデカくはなかった。俺より少し身長があるだろうか、それも10cmばかし。

 

「…失礼」

 

「ああ」

 

…あれ?と思って振り返ってみる…女?

 

主人公の家

 

「たーだいま!おーかえり!…虚しい。はーあ。化け狸でもいいから家にいておかえりって言ってくれる奴いねーかな〜」

 

翌日

 

「…おはよう!おはよう!…貧しいよりも虚しいが上がるな」

 

「おお、おはよう」

 

「…もう少しばかり寝るべきかな。女が見える…」

 

「安心せい。お主が昨日言っておっただろう。確か…『化け狸でもいいから家にいておかえりって言ってくれる奴いねーかな〜』とか」

 

「例えだよ恥ずかしい…ん?ってことは化け狸?」

 

「ああそうじゃ。マミゾウという。これからよろしくな」

 

「あ、はぁ…よろしく…」

 

人里

 

「…なんで着いてくんの?」

 

「浮気しないかチェックしておるからの」

 

「束縛が強い女は嫌われるよ」

 

「嫌われたら生首にしてでも愛してやるわい」

 

サラッとえげつねえこと言ったなこの妖怪。そんなことはさておき謎の女性を手に入れてしまった俺。さてこの先どうなる!?デュエルスタンバイ!…なんて言ってられるか。助けてくれ。それくらいしか言うことがない。

 

「…ちなみにマジだから…なるべく嫌わないでおいてほしいのう」

 

「善処いたします」

 

…俺だって死ぬのは御免だからね

 

「あ、先生」

 

「むっこの気配」ガシッ

 

「おお、なんだ…なんだ?」

 

「いえ…尋ねたいことが…!」

 

「儂が聞いておいてやろうから早く言うんじゃ」

 

「お、おぅっ…!」

 

「…見なかったことにしよう」

 

「せんせ…!?」

 

「浮気の危険は去った。ちなみに浮気したら生首の刑じゃからな」

 

「ひぇっ」

 

今なら声を大にして言える。昔の俺よ!もう少し考えて行動しろ!そして独り言は慎め!

 

この夜 主人公宅

 

「ちょーあったけー」

 

「まるで子供じゃな…」

 

「一生子供でいたいんだ」

 

翌日

 

「…んっ」

 

「起きたか?」

 

「…うん。まだ少し眠い」

 

「そうか。顔でも洗ってこい」

 

「朝風呂じゃないんです顔洗うだけにしときますよ」

 

「そうか」

 

…そんなことをしているうちに時間は進み、もう昼となってしまった。休みの進みは早い。明日は珍しく土日関係なく休みだ。祝日と言うらしい。マミゾウさんから聞いた。そろそろ、寝よう。そんな思いもしてくるほど暇であった。

 

「人里行くか」

 

「いってらっしゃい」

 

「…着いてこないんだな」

 

「行かんさ。絡んだら追及するがな」

 

「ヒェッ」

 

人里

 

「嫁さんが完全武闘派だった件っていう本作ったら飛ぶように売れそうだな。さて今日は…」

 

「あの」

 

「んぇ?」

 

「すいません…そこ、どいてもらっても…」

 

「あ、ああ、すいません」

 

…路地裏に興味があるってどんな子供だよ。そう思いながら道を譲る。いややっぱry

 

「ありがとうございます」

 

「いえいえ」

 

「さて…家の中に同居人が現れたせいで外食ができなくなったぞ…?」

 

「こっちこい!ガシッ」

 

「おうっ!?」

 

「…さて。金は全て置いて行ってもらおうか」

 

待て待て待て、さっきの女の子はどうなった?それを聞くのは野暮ってやつか?とにかく勝てなさそうな奴に迫られた。化け狸さん!マミゾウさん!助けてー!

 

「お安い御用じゃ」

 

「え?」

 

「な、なんだお前!?動くんじゃねえぞ!?」

 

「そんなもので止まるはずがなかろう」ガシッ

 

「あ」グキッ

 

「…首の骨を折ったし首を360度回転させたし…良いじゃろ。さ、帰るかの?」

 

「帰らせていただきます」

 

…ちょー怖い!

 

翌日

 

「仕事行って来ます」

 

「わかった」

 

「…なので着いてこなくて良いです」

 

「…わかった」

 

仕事場

 

「お前さぁ、いつ嫁さんなんて捕まえたんだ?」

 

「知るか。いつの間にか住み着いてたんだよ。まあ気が効くから追い出せないんだけどな」

 

「他にもあるだろ」

 

「…可愛い、とかだな」

 

「やっぱりか…」

 

そんな感じに恋話にでも花を咲かせようとせっせこらせと働いていると同僚が変なことを言い出した。

 

「…なぁ、あいつ前まで居たか?」

 

「え?…新入り?昨日から働き始めた〜とかじゃねえの?」

 

「昨日は休日で誰も働くのを許可できなかったぞ」

 

「…やめろ、なんか怖くなって来た」

 

「そうだな。やめよう」

 

自宅!

 

「おお、おかえり。遅かったのう。仕事の終わりは8時ちょい過ぎなはずじゃが」

 

「え?」

 

「まあ、仕事仲間との飲み会も大事と言えば大事…じゃがの。儂のことも忘れないよう頼むぞ?」

 

「え、あ、わかった」

 

…あれ、こいつに仕事の終わり時間って言ってたっけ?よくわからんが…そう思い飯食って風呂入ってマミゾウさんが乱入して風呂上がって寝て翌日になったとさ。ただ、いつもより少しだけ起きるのが早かった。俺はそれを猛烈に後悔した。

 

「…?」チラッ

 

隣でマミゾウさんがずーっとこっちを見ていたからだ。<●><●>って感じに。

 

「…なんじゃ、起きておるのか」

 

しかも起きてるの気づいてたし…

 

 

 

 




マミゾウさんラブって感じです。
マミゾウ…愛おしい奴じゃのう…願いを利用してくれるわい
主人公…たまにマミゾウさん怖くない?


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115話

なななんと
数日で戻ってきたぞ?
いいえ、違います。
これはギャグ話です。ドガバキフォームな霊夢さんです。


やべー異変

 

「幻想郷は頂いた!」

 

「ちょっと待ちなさい」

 

「…何者だ?」

 

「通りすがりの巫女よ」シャバドゥビダッチヘンシーン

 

「博麗の巫女か…この俺を止めに来たのか?」

 

「巫女の仕事内容には異変の解決も含まれててね。悪いけどすぐに片付けさせてもらうわ」

 

「人間風情が…よく言う」

 

「とうっ!」ジャンピング

 

「何!?」

 

「弾幕キック!」ズバッ

 

「グハッ!?…まだだ!」

 

「あっそ。どうでもいいけどあんた頭抉れてるわよ」

 

「な…に…!?」チュドーン

 

「…よう霊夢」

 

「どうしたの魔理沙?」

 

「…私は今ここで親友だったものを見つめてる」

 

「何よ文句あるわけ?」

 

全ての発端はこうであった…三週間前、霊夢の婚約相手…な感じの男にこう言われたのだ。「異変に行ったら毎回寂しい思いをする」と。しかし巫女の仕事を捨てるわけにはいかない。ならばどうするか?異変をマッハで解決するのみである。そのために三日間神社を男に任せ、デコピンで上級妖怪は体の半分が取れるほどの力を得たのだった。

 

「ああそうだな。お前強くなりすぎじゃねえの?」

 

「相手が弱かっただけよ。それじゃあね」

 

「待ちなさい」

 

「…紫?」

 

「何かしらねこれ。殺し合いかしら」

 

「…ええ。丁度今さっき終わったところよ。もう少し早ければ…ね」

 

「私の心配は当たったようね。貴女が殺し合いをするだなんて…」

 

「紫…私はあんたのことがずっと目障りだったのよ。何をしても褒めずに野放し。そのくせ文句だけは一丁前に言う…」

 

「…霊夢もその立場になってみる?結構楽なのよ?」

 

「紫ぃぃいぃぃいぃぃ!」

 

「様をつけるべきじゃないのかしら?」

 

「死ね!」

 

「またんかワレェ!」バギッ

 

「あだっ」

 

「お前は一体なんだったんだ!?お前これ、オートバイで有名な映画のパクリだろ!?紫、てめーまさか」

 

「その通りよ」

 

「もう駄目だこいつ。ていうかその筋で行けば私がビーム放つ側だろ!?」

 

「魔理沙、黙ってなさい」

 

そう言って今日、博麗の巫女と妖怪の賢者がぶつかった。結果は…引き分けであった。賢者は能力を駆使し、巫女は身体を駆使した。巫女の前蹴りに対し賢者は対応できずに1発。しかし即座にカウンターを繰り出しおあいこ…そんな感じであった。

 

「うるせーよ!つか解説みたいなのしてんのにおあいこってなんだよ!?」

 

知らないのでにゃーる。

 

翌日

 

「なぁ霊夢」

 

「どうしたの?」

 

「…最近お前なんか変わったな」

 

「そう?」

 

「なんというか…全体的に威圧感が強くなった」

 

「…そう」

 

博麗の巫女は悲しみに暮れた。次の異変、首謀者は哀れ爆発四散。

 

「フー…」

 

「うわ強い」

 

「霊夢〜」

 

「どうしたの紫」

 

「藍がね?霊夢のことを『化け物の子』とか言ってるのよ〜おかしくなーい?」

 

「んなもん知らないわよ。弾幕なんて時代遅れ、今の時代やはり技と技のぶつかり合い。拳と拳のぶつかり合いよ。そうね…早苗には力の2号を名乗って欲しいわ」

 

「技の1号とか言いたいんじゃないでしょうね」

 

「んなの古くて誰も覚えてないわよ」

 

「え?」ピシッ

 

その時、紫の心には大きいヒビが入った。理由としては霊夢の何気ない一言である。そう、古くて誰も覚えてない…である。それは紫を間接的にとはいえ古いと言っているに等しい。

 

「私ってそんなに古い…?」

 

「4000年も生きてんでしょ?中国武術名乗った方がいいんじゃない」

 

「待て、その推理はおかしい」

 

「知らないわよ。幻想郷最古の〜とか言ってるくせに。ババアって言われてキレてんじゃないっつの。なんなら私やるわよ?陸海空全てにおいて最強になってきてやるわよ?」

 

「異空間につれてくれるわ」

 

「目からビーム」

 

「嘘っ!?」

 

「…あうんはこれ何を見せられているんでしょうか…」

 

「大丈夫。橙もわかってないから。魔理沙さんは?」

 

「…すまん、多分本人たちも理解できてないって顔してる」

 

そう言いつつ逃げるぞと夜逃げの準備をし始めた。空へ飛ぶのもありかなと思ったが被害が及ぶのは目に見えているのだ。これすなわち詰み。将棋で言う王以外全て取られるって感じのなんのチャレンジだと言いたがるような状況だ。

 

「…もう、諦めよう」

 

「魔理沙泣き出した」

 

「さあこのレース、魔理沙の涙は決めてとなるか!?」

 

「…あの、すいません今俺ってどこにいます?」

 

「幻想郷」

 

「ですよね。競馬場にいませんよね」

 

「そうだね」

 

「…色々と情報が混雑してきた…ねよ」

 

「あれが俗に言うヒモだな?」

 

「ははーんあうんわかっちゃいました」

 

「そんなの学習しなくていいから」

 

また、賢者と巫女がぶつかった。結果は巫女の辛勝であった。

 

「今度はやけにざっくりしてんな」

 

「何が?」

 

「さあ?」

 

そう言いながらも1日が過ぎる。

 

「なんか日常系に持っていこうとし始めたぞ」

 

「あうんこれ知ってます。末期症状って言うんですよね」

 

「言わないでくれっていうかなんで知ってるんだよ!?」

 

「橙勘づいた。これTwitterで言ってた奴だ」

 

「やめろ!」

 

 

 

 

 

 




実際Twitterで言ってました。
こんな幻想郷もありだよね。
ドガバキフォーム出なかったけど


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116話

完全なネタ枠を作ろうと試みたけど無理だったので無茶苦茶な狐でも作ろうかなとも思ったんですがやっぱりここは最初やったアリスさんでも良いなと思いメリーにしました。
金髪繋がり。
先輩と後輩の関係にしときますね


 

京都の頭良さそーな大学

 

「オカルト娯楽部…だって言うと付いてきたわよ。一人」

 

「メリー、それは連れてくると言うのよ。そしてその人は確かなんかのお偉いさんの息子さんだったはずよ」

 

「そうかしら?あまり違いはないじゃない。付いてくると来させるのは」

 

「違うわよ。良い?付いてくるというのは自分から。それは他人の力で来てる。分かる?」

 

「まあ来たっていう事実には変わりないじゃない蓮子」

 

「ダメだこいつに話を聞かせようとしたのが間違いだった」

 

「えふっえふっ…あー死ぬかと思った…!」

 

「そりゃあね。メリー、返してきなさい」

 

「えー?…んー」

 

「悩まずに返せよこのサイコパス」

 

「気に入ったわ!」

 

「先輩なんですけどね俺ぇ!?」

 

「…その身なりで?」

 

「ウチの大学確か制服なかったろ」

 

「…そうだったような…」

 

「だって半袖半ズボンって短パン小僧ですら厚着する時期なのよ?そんな姿じゃ先輩がオカルトですよ」

 

「地味に痛いとこ突くね君たち…」

 

「そりゃもう!」

 

そう聞いてると俺の方が参るよ…

 

「とにかく、入部するんですか先輩?」

 

「する、するからとりあえず羽交締めをやめようか?」

 

「嫌よ」

 

「チクショー!」

 

「メリー、やめなさい。まったく…ウチはそんな動かないんで、まぁ実質帰宅部ですけど」

 

「そんなことよりこれをやめさせて…あっそろそろ死んじゃう…!」

 

「メリー、2回目よ?やめなさい」

 

「分かったわ」

 

それから色々とあったなぁと思い返すがどれもメリーという奴に絡まれ連れてかれどこのアニメだよって感じで謎の空間に巻き込まれたりメリーと蓮子が唐突に寝転んで俺が起きるの待ったり起きたら起きたですごく楽しそうに夢のこと話し合ってたりして俺の意味はと聞きたい気分になった。

 

数ヶ月後

 

「なぁ、俺ってどうしてこの部に連れてこられたんだ?」

 

「え?」

 

「あ、そう言うばなんでなのメリー?」

 

「えーと…威圧感がすごいから」

 

「ああそうかい…!」

 

「お偉いさんの子供がこんな目力持ってたらねぇ…まあ先ずは裏の世界を歩くことになるわね」

 

「その裏の世界の住人だよ親父は。まあ流石の親父も?俺を巻き込みたくねえからってそれは避けてくれてるけど?」

 

「この目でそれはあまりにも無駄遣いね。これは一種の才能よ?」

 

「嘘だろおい」

 

「というわけで!今日はお地蔵さんの都市伝説!オカルト調べよ!」

 

「何がというわけだ。おい、なんで俺を連れて行く」

 

「なんでって、幽霊にも効きそうな目してるんだもの」

 

「メリー、良い判断よ」

 

「クソッこいつら!」

 

そしてどこかのトンネルへと俺は運ばれた。普通にクロちゃんになった気分ではある。やめろ、俺はまだ死にたくない。そう思いながら目標の地蔵に着いた。この地蔵に対して何をするのか、俺は知らない。が、多分全員するのだろう。

 

「このお地蔵さんに対して危害を加えると連れてかれるそうよ。先輩、任せました!」

 

「は?」

 

「良いじゃないですか先輩、別にヤーさんの世界に生きるわけじゃないし!」

 

「いや、あのね?流石にそれはまずいっていうか」

 

「じゃあ先輩背中押してあげますから!」ドンッ

 

「うおっ!?おまっ」ゴツンッ

 

「…さて、どうなるかしらね」

 

「結界は見えないけど」

 

「〜!危うく痛みであの世に行くところだったわ!走馬灯が見えたっつの!」

 

「なるほど、連れていかれるとはそっち方向に」

 

「なぁんだ。でも、こんな石で作られた物でも打つと痛いのね」コツンッ

 

「どう?」

 

「…血が出た」

 

「それほど表面がザラザラしてるのね。私はやめとくわ」

 

「メリー?」

 

「お前もやれ…ほら、今すぐ」

 

「ちょっと!?2人がかりはずるいわよ蓮子!?」

 

翌日、三人揃って大怪我をして出席。教師陣に引かれて『お前ら全員帰れ!』と言われましたとさ。そんでその帰り道に事件が起こったとさ。そして俺はこの事件で人間が一番怖えなと感じたって言うか感じざる負えなかったって奴?

 

帰り道

 

「…はー。結局あの地蔵を利用したバトルに発展しちったなぁ」

 

「まったく。メリーがちゃんとしてれば」

 

「私のせいってわけ!?」

 

「何言ってんだか」

 

「…あ、先輩、少し話があるんでウチ寄ってきます?」

 

「ん?なんだ、教授のことか?あの教授変態だからなーw」

 

「メリー、私も着いていって良い?」

 

「良いわよー」

 

メリー宅

 

「どんな豪邸だこれ」

 

「先輩の目イカれてるんじゃない?」

 

「蓮子に比べればよ。ていうかただの一軒家よ?事故物件の」

 

「…俺は帰らせてもらう」

 

「まあ待て」

 

「え?」

 

「実はこの家買って初めて来たんですよ」

 

「え、あ、うん」

 

「だから少し待っててくださいね。蓮子、こっち」

 

「?はいはーい」

 

ガチャッと鍵の音。馬鹿め!中に鍵を開けるのが着いてない!?NANNDE!?あれ、今思ったけどこのガラス…右下に防弾ガラスって書いてある!?あえ!?

 

「ちょ、どういうこと!?だ、だせー!」

 

ピンポーン

 

「はいこちら先輩ですが!」

 

「あー出れませんよね?」

 

「まあな!お前のせいだけど!」

 

「そこ、私の生き霊ぶち込んだんで」

 

「え?」

 

「まあ、私の生き霊って言っても…ほら、バーチャルみたいな感じですけど。まあ前の住人殺しちゃったんで、ちょっとキツめの生き霊なんですけど」

 

「…ちょ、ちょっとメリーさん?あの、ちょっと状況が飲み込めないっていうか…?」

 

「要するに実質私との一生お泊まりです!鍵は全部接着剤とかで固定してるんで無駄ですよ!ご飯は定期的に鍵開けて置いておくので!」

 

「嘘!?ちょ、蓮子もそこにいるだろ!?え、何これ!?映像ついてないマジでふっるいインターホンとかないだろ!?」

 

「あー、先輩。メリーの愛を受け入れてやってください」

 

「嘘ぉ!?」

 

と、こうして数ヶ月で俺のオカルトクラブだかなんだったかは無くなったっちゅーわけや。つか出して!?え、なんか目の前に人が現れたんですけど!マジでメリーじゃん。え、何?ドッキリ?いや、なんか触れそうだけども!

 

「先輩…」

 

「な、何!?」

 

「一緒にいてくださいね?」

 

「ヒェッ」

 

 

 

 

 




蓮子…メリーと先輩の仲邪魔しちゃ悪いよな。良いぞメリーもっとやれ
メリー…先輩が好きなのでなんでもやってやります
先輩…まともな奴は僕だけか!?


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117話

新作狐ちゃんのくだまきつかさ…読みづらいな。そして変換もできない。
コピペするか…で、本題なんですが。これ、100%中の100%私の妄想で書いてます。
ので多分新作やった人は「なんだこの菅牧典ちゃん!?」ってなりますがご了承ください。
いや、ご了承寄越せ


 

妖怪の山

 

「…天狗パーンチ!…疲れた」

 

「おやぁ?疲れたんですか?その程度で疲れるとは天狗の中でも下位。ゴミの中のゴミですねぇ」

 

「うっせ…」

 

「そんなことしてるとまた上司に怒られますよ?ほら、悪いことは言いませんから私のお家(鴉天狗の大将の家)へ」

 

「大天狗って人に迷惑だろ…」

 

て言うかなんだこいつ。最近ずっと俺の周りに居る。ご主人様のところへおかえり〜と一瞬言ってみたくなるが全然意味がないのがこいつだ。そして名前は菅牧典と言うらしい。うーむ、菅で良いかな。しっかし俺の周りに居ても徳ねえだろ。

 

「なんで俺の周りにいるんだかね」

 

「貴方に惚れてしまいまして…」

 

「そうか。お前の頭はどうやらイカれているらしい。大天狗さんに報告するか」

 

「待ってくださいそれは流石に」

 

「何か不味いのか。なら尚更連絡せにゃならんな」

 

「うそお!?」

 

「…と思ったが俺は携帯も固定電話も飛ぶ気力もないのでやめた。大体俺は白狼天狗だぞ?同族に絞っても、椛ちゃんとかに行けば徳があるだろ。俺あの子に嫌われてるけど」

 

「そうは言っていられないんですよ〜。私に同性愛の気はないんですから」

 

「お前はずっと大天狗さんに付きまとってるからそっちの気があるのだとばかり」

 

「殺しますよ」

 

「うっせバーカ」

 

…とは言ったものの、報告したら大天狗はどう思うか。多分、脳みそブチギレて俺か文って言う天狗に八つ当たりだろうな。無真面目な天狗、ダメ、ゼッタイ。なぜかと言うと大天狗にゲンコツ1発食らわされるから。俺はもう60回は喰らってる。

 

「ほらほら、そろそろ侵入者が来るかもしれませんよ?」

 

「お前の言葉は俺の心に響くかな、どうかな」

 

「何厨二病なこと言ってるんですか」

 

「知るかアホ」

 

「…そんなことより、もう休憩は終わりじゃないんですか?まだ休むんですかぁ?」

 

「うるさい」

 

「そろそろ再開しないと大天狗さんに怒られるんじゃないんですかぁ?」

 

「うるさいっつの。大天狗がどうしたこっちは大天狗もクソも無いお前んとこの大天狗にこの事言ってやるからな」

 

「…耳を貸してください」

 

「なんだ急に真剣顔になっ」

 

「レロッ」

 

「…水あるか?」

 

「どうしてです?」

 

「気持ち悪い…」

 

「おかしいですね。大天狗様達にやってみたら割と好評だったのですが…」

 

「お前の能力…魂の隙間に漬け込む、だっけ?」

 

「まあそんな感じです」

 

「嫌だねえ。お前の言葉聞いたやつは少しの利益の先に破滅が待ってんだからよ」

 

「貴方の場合そんなことはせずに利益だけを出してあげますよ♪」

 

「やめろ気持ち悪い」

 

つかこいついつから耳の穴にベロ入れるなんてど畜生なことを大天狗サマにやってんだ…ぁ?これってもしかして大天狗に報告しても無駄では…!?あーっとこれはやばい。打つ手なし。むしろ俺の方へと被害が飛んでくるかも…!!

 

「大天狗様に怒られるのがそんなに怖いんですか?」

 

「んなっ」ビクッ

 

「フフ…♪結構隙だらけですねぇ」

 

「うっせえなぁ…このメスガキが」

 

「酷いじゃないですかぁ。それとも…耳元で囁かれるのがそんなに嫌いで?」

 

「嫌いだよ…お前いつの間にか耳元にいるんだからったく…心臓に悪い」

 

「そんな貴方にとある報告ですね。貴方の上司様からのお呼び出しです」

 

「…マジか」

 

上司のお部屋

 

「大体お前は働くと言う意思が見られないんだよ云々」

 

「さーせっ…」

 

「お前もう辞めたら?辞めて人里でも行って死んでこいよ」

 

「…」

 

「チッ。もう良い」

 

「うーっす」

 

戻って担当場所

 

「いやぁね、権力っていうのは」

 

「私と一緒に暮らせばその権力に媚びなくても良くなるんですよ?良いことじゃないですか♪」

 

「やめろ気持ち悪い!」

 

「…嫌いになりました?」

 

「あぁ?お前なぁ…」

 

「嫌いになったんですか?」

 

「あーもう嫌ってないから。ほい、これで終わり!」

 

「じゃあ好きなんですね?」

 

「お前の思考回路はどうなってんだ?」

 

そう言った後に『こいつの思考回路が理解できた暁には俺も同類だな』と思った。こいつの思考回路ほど理解したくないものはないな。だがまぁそんなこと言ってもニヤニヤしながら俺を見つめてくる。なんだ、米粒でも付いてんのか?…新聞記者いない…よな?

 

翌日

 

「…今日はあいつは来ねえな。これで寝れる…」ベチャッ

 

「お届けものですー!」

 

「…俺は糞尿なんて頼んだ記憶はないはずなんだがねこの野郎…ん?これってまさかのさかま…菅の飼い主から呼び出し…?」

 

鴉大天狗?のお部屋!

 

「うーっす」

 

「まぁ先ずは話を聞かせてもらおうじゃないか?ん?」

 

「は?」

 

「これを見てくれ」スッ

 

「…新聞ですね」

 

「ああ、この部分だな」

 

「ちっせーな…ん?この写真…えっと」

 

「管狐と白狼天狗の恋…これだけでは分からないか?」

 

「…は?」

 

「文からその時の写真を詳しく見せてもらったよ」スッ

 

「…ん?」

 

「これは…貴様だな?」

 

「え、あ、まぁはい」

 

「認めたな?」

 

「…いや待って?何この恋って、俺知らないんだけど」

 

「言い訳無用だ。何はともあれウチの菅を好きだと言ったんだ」

 

「!?!?!?」

 

待て、この5.6行くらいでかなり事態が進んだな??どど、どういうこと?もしかして相思相愛だと思われてる?あ、クソッ菅の奴ニヤけてやがる。ちょ、話し合えばわかる!妖怪だって人間だって!な!?

 

「…これから菅のことをよろしくな」

 

「え?」

 

「まずは同居生活からですね♪」

 

「…はぁ!?」

 

「仕方ないですもんね。貴方が素直に答えなかったんですから」

 

「わ、ワンダフル…?」

 

「では…はい、そろそろ行きましょうか」ガシッ

 

「ちょ、君こっからどこに行くの?」ジタバタ

 

「力勝負ですら勝てないとは、弱いにも程がありますよ」

 

「いや、だから、ねぇ、聞いてる?」

 

「せいっ」ブンッ

 

「ほわっ」ドンッ

 

「シャッター閉めよ!」ガラララッ

 

「…?????」

 

「貴方にはこれからずっとそこで過ごしてもらいます。たまに入りますが…その時はよろしくお願いしますね?」

 

「ちょ、いや、それはおかしいだろって!?」

 

「出ようとしたら8000度で焼きますよ」

 

「嘘つけぇ!」

 

「嘘です。ただ確実に危害が加わることを覚えておいてくださいね?」

 

「…えぇ…?」

 

 

 

 

 

 




はっきり言って菅ちゃんはどうしようもなくなったら強硬手段に出て周りをフル活用して成功させると思います。


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118話

YO!SAY!夏が!胸を刺激する!
生足魅惑のマーメイド!
というわけで藍ちゃんです。蘭ねーちゃんではないけど身体能力は似たようにもんだよね。


 

人里…のどっか

 

「あー…仕事めんどくせー」

 

「いうなよ…いや気持ちはわかるけどさ」

 

「しゃーないって奴かなぁこれが。外の世界ってのは語感に溢れてるぜ」

 

「外の世界の住人はある種狂ってるからな」

 

「…いやそれにしても寒いな」

 

「ストーブ買う金なんてないんだよ察しろ」

 

「…そういやそうだったな」

 

「それは置いといてお前いつ結婚すんだ?」

 

「は?」

 

「前お前の家に行った時家を物珍しい顔で見てる金髪のお姉さんが居てな。話しかけるとどうも付き合ってるとかそんな感じのこと言っててよ」

 

「…なんだよそれ…」

 

…そんな仕事をこなしお家に帰宅!いや〜今日も今日とて楽な仕事でしたわ!…って言えるかボケカス。こんにゃローお前ボロ家に住むことになってストーブもクソもあるもんか。寒くて死ぬっつの。誰かこの世に俺をヒモにしてくれる素敵な女性はおらんもんかね…あ、あいつが言ってた金髪のお姉さん!養ってくれるかな〜?…いや、ねえか。

 

「…買い物行くか。あー出費が〜…」

 

数時間後

 

「たーだいマットスプリング。つっても誰もいねえけどよ…朝起きたら飯置いてねーかなー…」

 

今晩の夕食は魚とそこらへんの雑草。多分毒はないはずです。

 

「全ての食材にうんぬんでいただきます」

 

翌日

 

「…飯がある…うまづら?え、マジ?ありがてぇ…!!」

 

職場

 

「おまえなんか顔色いいな」

 

「うまづらが家に来てくれたんだ」

 

「何ニッコリしてんだてめえ」

 

「そんなこと言うな悲しくなるだろ。友人っつーのもお前くらいだしよ」

 

「風呂代としか見てねえくせに…」

 

こりゃひどいカウンターをくれたもんだ。泣くぞしまいにゃ…はーあ、ヒモにしてくんねえかなぁ…なるべく束縛が強くてチョロい人…いや、流石に理想が高すぎるか?いやでも養ってもらいたいしなぁ〜

 

「養ってもらいたいとか思ってるからやる気が出ねえんだよ」

 

「それもそうか」

 

「本当だったのかよ!?」

 

「今日は少し本屋に用があるから…ちょい早めに切り上げるか」

 

「ちゃんと仕事進んでんのか?」

 

「残念だったな…俺はお前より仕事効率が良い」

 

「お前より給料が上なのに納得が行かねえ」

 

「お前の立場だと色々と苦労しそうだしな。それじゃ」

 

「早すぎるわ!!」

 

本屋

 

「…うーん、節約術も結構躊躇う金額だなぁ…」

 

「ん、その本に興味が?」

 

「あ、いえ…」

 

「そうでしたか。立ち読みは厳禁らしいですよ」

 

「すいませんね」

 

「良いんですよ。それでは」

 

「…びっくりしたなぁ…そうかここ立ち読み厳禁だったのか。早めに立ち去ろっ」

 

自宅

 

「たっだいマットソン!…マットソンってなんだよ」

 

「おい、待て」

 

「んぇ?」

 

「こんなボロ屋に住んでいるのか?」

 

「まあ…」

 

「働いているのだろう?」

 

「多少」

 

「何故こんなボロ屋に…」

 

「さあ?それでは」

 

…あの人すんげえ美人だったなぁ…あ〜、ああ言う人はすごい格好良い彼氏と付き合ってんだろうな〜…とか思ってるけど、ああ言う人に養ってもらいたいとか考えちゃうよな〜…まあ、なんせホームレスに育てられたし、仕方ないっちゃ仕方ないけど。

 

「…あれ、飯がある…?い、いただきます…」

 

翌日

 

「お前出世だってよ」

 

「はぁ?」

 

「お前の仕事効率話したらランクアップ。給料も今までのなんと5倍!羨ましいね〜!」

 

「余計なことするなよ…2倍にしてくれ。そしてお前の隣で仕事できれば良い」

 

「嬉しいこと言ってくれるぜ。ただそれは風呂代を自分で払えるようになってからだな」

 

「きついなぁ」

 

「ま、とにかくよ。出世は出世。一気に3段飛んでんだ」

 

「マジかよ!?」

 

自宅前

 

「わけわからん…なんとかして出世は止めたけど…なんとも」

 

「ん?ああ」

 

「なんです?そんな珍しい物を見るような目で…珍しいですけど」

 

「いや、気になってな。このボロ屋でどんな生活をしているのか、とか」

 

「知っても意味ないですよ…」

 

そう言いながら突然1ヶ月が過ぎた。あれからもあの人はやってくる。あんた見る目ないよと言ったことはあるが、それでも良いとか言っていた。あんた聖人だな…そんなことはさておき今問題なのはこのボロ屋がガチなボロボロになっていることだ。

 

「そろそろ引っ越しの時期かなぁ…」

 

家<逆に聞くけど雨風凌げないむしろ立ってるだけで奇跡な物件に何を求めてんだ?

 

「…それもそうだなぁ…って誰の声!?」

 

「私だ。たまには家に誰かいるのも良いだろう?」

 

「うぃぁ!?」

 

「…そんなに驚くか?」

 

「驚きますよ!ってか、そもそもなんでこの家に」

 

「…フフッ、そんなのは些細な問題だ」

 

「些細じゃないですよ」

 

「そうか?まあそれはともかく好きな食べ物…は確かハンバーグだったか」

 

「言いましたっけ?」

 

「言っていたとも」

 

「…?」

 

ってあんた敬語じゃなくなってるし…

 

1週間後

 

「あ〜仕事の疲れが取れる〜!」

 

「そんなに人肌が気持ちいいのか?」

 

「体温が好き〜…」

 

「それはなんとも…褒められているのか?」

 

「褒めてる〜」

 

さらに1週間後

 

「…はっ!危ない危ない。あんたいつまでこの家に」

 

家<もう無理!

 

ドッカーン!

 

「…」

 

「…私の家に泊まるか…?」

 

「そうさせていただきます…!」

 

八雲邸

 

「すごい豪華…」

 

「まあな。さて、名前を言ってなかったな。八雲藍、八雲紫の式だ」

 

「八雲?…え、八雲?」

 

「そうだとも。よろしくな…今後一生」ニッコリ

 

「嘘だろ」シュンッ

 

???

 

突然の謎の場所キック!…て言うか痛えな。ここどこだよ…ん?おや、俺が知ってる人とは少し似てる人が…?あ、化けてたのか。納得納得…できるかぁ!やべーよこれどうすればいいの?どうなっちゃうの!?

 

「…何、そう心配することはない。心の中で願っていただろ?」

 

「え?」

 

「自分を養ってくれる人が欲しいと」

 

「え、あ、まぁ」

 

「フフ…私では、ダメか?正直言って出会った当初からずーっと独り占めしたかったのだが…」

 

「何言ってんだてめー」

 

「良いじゃないか。もう貴様は一生この場所から出れないのだから」

 

「…???」

 

「理解できなかったか?」

 

「え?つまりどう言うこと?」

 

「…私がお前を愛してやる、と言うことだ」

 

うぇ?愛してる?ラブ?ラブってこと!?

 

「え?え…?」

 

「どうした、そんなに困惑しなくても良いだろう?いつも通り抱きついてみれば…」ギュッ

 

「あ…あ〜…」

 

「落ち着いてきたか?」

 

「ん…あの、藍さん…」

 

「私と一生を共にしたいんだな?」

 

「まぁ…」

 

「ならばお前がどう答えようと一緒だ。一生居てやろう」

 

…はっきりと言おう。尻尾で体を包まれ顔を胸に押しつけられわきから手を回され………そんな状態で落ちない男がいるか?否!!いない!!…あ、仕事どうしよう

 

「仕事については私から言っておこう。彼はやめましたと」

 

「…?」

 

あれ、考え読まれてね?

 

 

 

 

 

 




藍さん…はい、そうですね。愛します
主人公…いつの間にか思考が捻じ曲げられてる…!?

ここにいる藍さんは思考を強制的に捻じ曲げたり意中の相手を想ったらタイミングを見計らって自然に住処が消えるよう工作をして自分の家へ招き入れると言う極道も恐れをなし逃げるくらいの行動を愛故にやってしまいます。愛だから………仕方ないね!


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119話

違う!違うんだエレン!!
俺が、俺が悪いんだよエレン!!
俺が!!
俺がヘカーティアとクラピのハーレム回を終わらせてなかった…
俺が悪いんだよ!!
つーわけで。ヘカとクラピです。


 

地底

 

「…はて、俺の家ってこんなんだったか?」

 

「そうね。たった今こうなったわ」

 

「…マジ?」

 

「大マジよん」

 

「…この世の破壊を目論みます」

 

「やって見なさい。指一本でその計画淘汰してやる」

 

「やめとこ。これからどうすっかな〜」

 

「私の家来る?ピースも喜ぶわよん」

 

「そのんをやめなさい」

 

「それ次言ったら前に出した回と被るから二度と言わないでくれるかしらん」

 

「ぐぬぬ」

 

…ん?前に出した回ってなんだ?いや、気にしない方がいいだろう。触らぬ神に祟りなし、君子危うきに近寄らず…だっけ?まあなんとやらだ。

 

「しっかしヘカさん、来てもよかったの?」

 

「いいのよん。ピースもいつ家に泊まらせるか考えてたみたいだし?」

 

「急に犯罪臭がして来たから帰って良い?」

 

「帰る場所ないでしょ今」

 

「ああそうだった」

 

「…それに、ピースとの約束もあるし」

 

「どんな約束?」

 

「言ったらそれは約束じゃなくなるから言わないわよん」

 

「そっか。何はともあれこれから少しの間よろしゅうお願いしますわ」

 

「…そうね、その少しがどれくらいの間になるのか気になるけど…よろしくねん」

 

夜路四苦…だめだ、やめとこ。というか、ピースと仲は良くても…家に招き入れられるほどのことをしでかした覚えはないな。ピースからはなるべく隠れて過ごそう…そうだ、布団の…はだめだな。犯罪者になる上に出てたらバレる。

 

「…」

 

「隠れようとしてもピースは見つけるわよん」

 

「いつかお前ヴァターシって言い出しそうだな」

 

「今言えばいいのかしらん?」

 

「カマバッカ王国はやめてくれ…」

 

ガチャッ!

 

「たーだいまー!」

 

「おかえりピース。来てるわよ〜」

 

「ヘカさんあんた」

 

「誰が?」

 

「彼が」

 

「…?」

 

「地底で鬼と交流があるせいで…」トホホ

 

「じょーだんだジョーダン!どこだあいつは!」

 

「…簡単に見つかるだろうなぁ…」

 

咄嗟に物置に隠れてしまうというミス…!

 

「こたつの中か!それともベッドの中か!?」

 

「ベッド式なのねここ」

 

「…ここだ!」

 

「ピース、そんな狭いところに彼は隠れられないわよん」

 

「テーブルの下はなしか…」

 

「どこに行ったのかしら…」

 

「…怖いな」

 

「!」ピクッ

 

「探してないところは…」

 

「ご主人様、静かに…」

 

「ん?え、ああ」

 

「…急に静かに…」

 

「ここだ!」ガララッ

 

「うおっ!?」

 

「居た〜!みーっけ!」

 

「やられた…」

 

「今日からアタイの言いなり!」

 

「それは困るな…」

 

「は?」

 

「え?」

 

「?」

 

え、何?ちょ、ん?なんで俺が『それは困るな…』って言ったらガチギレ寸前のは?が飛んでくんの?こっちがは?だよ?な、なんだ…?ちょ、ピースの伸びてくる手が怖えよ!超怖えよ!何!?俺禁句言った!?ダメだった!?

 

「…ご主人様、言ってないの?」

 

「ああ、そういうことね。それなら…」

 

「…え…」

 

「な、なんだ?俺なんか言った?え、地雷踏んだ?ん?あれー…おかしーなー…」

 

「ご主人様が悪い!!」

 

「ごめんねピースちゃん…」

 

「???ちょ、なんの話??どゆこと?」

 

「あー…」

 

「ご主人様が言ってよー!」

 

「何よ!ピースちゃんがやりたいって言ったんでしょ!」

 

「ご主人様が言うって言ってたもーん!」

 

「…え、何これ」

 

「ごめんなさいね?言い忘れてたけど…この家に来たならもう返す気はないのよん」

 

「そんな申し訳なさ満載な風に言われても」

 

「だからお前が力尽きるまでアタイの奴隷でい!」

 

「それでね…?私も話があって…」

 

「?」

 

「一つだけ言っておくと…」ガシッ

 

「お、おお…?」

 

「私もピースも貴方のことが大好きなの。貴方が手に入るならなんだってするのよ?」

 

「…なーに言ってんだからさっぱり…わかりたくない気がする」

 

「大好きー!」ギュッ

 

「これくらいストレートに言ってくれると助かります」ナデナデ

 

「…貴方を監禁して四六時中身体を舐め回していたい触り続けたい貴方の弱った姿が見たい怯え切った姿も見たい色んな顔を見てみたいずっと一緒にいたい貴方の顔を腕を足を胸を全部食べてしまいたい貴方を私の愛で満たしたい貴方の愛で満たされたい…そんな感じよん」

 

「身の危険を感じます」

 

「アタイはね…」

 

な、どんなパワーワードが飛んで来るんだ?弄くり回したい?狂気で満たしたい?それとも炎で炙って声を聞きたい?さあ、なんだ!あの一つのセリフとは思えんくらいの文字数に比べたらこんなん屁でもねえ!

 

「ずっと舐めてたいし地上の妖精に力借りて凍らせたいし燃やして炭にして身体に巻きつけてずっと感じ取ってたいし」

 

「もう良い、もう良いから。わかった、わかった。これ以上俺を追い詰めないでくれ」

 

「…ご主人様」

 

「そうね。これは…」

 

「ずっと一緒にいる刑!」

 

「思ったより可愛らしいけどさっきのセリフ聞いたらとても嫌悪してしまう」

 

「いーじゃん!…ね?」

 

「ね?じゃねーって」

 

「…ピース、少し退いてなさい」

 

「はーい」

 

「え?何?あの、肩から上って頭は少しくすぐったいんですけど?頭を掴まないで?」

 

「…せいっ」ドンッ

 

「ひがっ!?…ぁ…!」

 

「…ちゃんと応じてくれないと…もっと痛い目見るわよん?」

 

痛え!痛えよこれ!くそ痛え!痩せ我慢ができねえ!畜生誰だ人間の顔面に急所なんて大量に作りやがった奴は!!畜生痛くて堪らねえ!くそが!あー!痛い!痛い!なんで俺がこんな目に!ヘカさん説明しろよ!!

 

「ピース、夜になったらね?」

 

「はーい!」

 

「夜まではピースの物。添い寝くらいは許すわよん」

 

「イェーイ!」

 

 

 

 

 

 




狂気という名の松明で殴りかかってくる星条旗柄のピッチピチの服着た美少女仮面、セーラームーン


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120話

へへ…今気がついたが…
紅魔館ハーレム、図書館やってない…
デスノートを寄越せぇ!俺が最高と人生を送って死んでやる!
というわけで…今回はお燐ちゃん!


 

地霊殿

 

「…チョコ菓子ってやっぱ溶けるか」

 

「噂じゃ地上のが熱いってさ」

 

「嘘だろ…もう家の中でクーラー使って暮らせと言ってるなこれは」

 

「だからってサボりは承知しないよ」

 

「ヒィッ」

 

…流石に、俺とて死にたくないからな。いや、死んだら回収だけど。お燐さんこえーんだもん。仕方ないじゃん。俺なんかただの化け犬だぞ?その上尻尾どっか行ってるし。人間に間違えられるし…なんでかしらね。

 

「あ、そういやお空さんに届けるもんあったな…」

 

「そうなの?何を届けるの?」

 

「物です」

 

「いやそうじゃなくて…まあ良いや。行ってらっしゃい」

 

「押忍」

 

核なんたらうんたらの場所

 

「放射能とか大丈夫なのここ…?」

 

「んぉ、お弁当の時間?」

 

「あー…弁当とこれです」

 

「…何これ?」

 

「冷却機…らしいです。部下に任せておけと」

 

「りょーかい!」

 

「…ていうかなんか肌寒くありません?」

 

「うにゅ?そんなことはないよ?暑いもん」

 

「そうですかね…?」

 

「なんならいっつも五十度超えてるし」

 

「熱中症かな」

 

地霊殿

 

「放熱〜…」

 

「まったく…なんで倒れるかね」

 

「俺だって成り立てですよ?死にますわ」

 

「…そうだったかな」

 

「お燐さん達の適応能力の方がおかしいんですよ。ふっかーつ!」

 

「よし、それじゃ…これ、よろしく!」

 

「え?」

 

「死体の身元確認!」

 

「…そんな仕事」

 

「さとり様が今年からって」

 

「嘘だろ…」

 

「よろしく〜!」

 

こ、こんな仕事が何のために…そんなことを思いつつ終わらせていく。判子を押すだけの簡単な作業なのでヨシ!という感じの仕事だった。緩いがこれで良いのか地霊殿。これで良いのかお燐さん。これで良いのか幻想郷!

 

「…終わったー!」

 

「8時間…」

 

「寝れますね!」

 

「そうだねぇ…うん…」チラッ

 

「?ところでその書類は…」

 

「追加!」

 

「」

 

数時間後

 

「…zzz…」

 

「え、何この仕事…え、私知らない…」

 

「さとり様?」

 

「うぇっ…あ、いや、私は何も見てないから」ソソクサ

 

「…計画通り」ニヤリ

 

「んがっ」

 

「誤算だ」

 

「どうしたんですかお燐さん」

 

「もう朝だよ」

 

「え!?ちょ、ちょーっと待っててくださいよ!」

 

「わかったわかった♪」

 

「…人間の姿だと…腕が…肩が…!」

 

「ふぅん?」

 

「ひぃっ!」

 

「よかったらマッサージしてあげよっか?」

 

「あ、いえ結構です!」

 

「えー?なんで〜…さては恥ずかしい?」

 

「いや、そうじゃなくて」

 

「言え言え〜♪恥ずかしいんでしょ〜」

 

「お空」

 

「にゅ?」

 

「…」

 

同僚が言っていた。お空さんのマッサージ、あれはマッサージではなく胸を利用した新手の殺人だと…おま、新手の殺人って…と思ったがどうやら過言ではないらしい。仕事中にアレをやられた奴はどうなるか。去勢されてなければ生き地獄だ。

 

「何ー?お燐ちょっと怖いよ〜?」

 

「お空」

 

「…?」

 

「彼はアタイの部下だから…お空が関わることはないと思うな」

 

「そうかな〜?」

 

「そうなの。それじゃあね」

 

「え?あ、うん…?」

 

「…終わった!」

 

「追加」

 

「ふがぁっ!」

 

その日の夜

 

「い、1日ぶりの睡眠だ…寝れる…!」ドサッ

 

「…ベッドに来る前に寝ちゃって…」

 

「zzz…」

 

「アタイから出された意味のない仕事で…嬉しいな…♪」

 

「さとり様、どうしましょう」

 

「お空…こういう時は見て見ぬ振りよ」

 

「え?」

 

翌日

 

「んー…!!っふぅ…あ、ヤッベ昨日借りた本返してねえ!」

 

お空のお部屋

 

「お空さーん」コンコン

 

「どーぞー」

 

「失礼しまーす…本返しに来ました〜」

 

「うん〜」

 

「それでは」

 

「…お燐とかなら突っ込むんだけどな」(下着姿)

 

廊下

 

「…去勢したせいで性欲が湧かねえぜ」

 

「ねえ」

 

「ひゅぃっ!?」

 

「そんなに驚かないでよ。そろそろ朝ごはんなのに部屋にいないからさ」

 

「あ、はあ…」

 

「お空もそろそろご飯だよ〜!」

 

食堂

 

「いただきます」

 

「いただきたいです」

 

「(…1人だけ欲望丸出しじゃない…!?)」

 

「このマリトッツォってどうやって食うんですか…?」

 

そんな食い方に苦戦している間に仕事の時間になった。そしていつも通りのハンコ仕事。部屋でも済むのだ有難い。あと六年くらいはこの仕事でいいですよ…と、行きたいが。なんかお燐さんがこっち見てる…じーっと何もせずに見てる…

 

「ところでさ」

 

「えーと…これはこっちか」

 

「ところでさ」

 

「うぇ、俺?」

 

「そう。君さ、今朝お空の部屋行ってたよね?」

 

「ん、はい…」

 

「なんで?」

 

「なんでって…本を返しに行くため」

 

「お空から本を?」

 

「…まあ」

 

「そう。じゃあ私からさ。本を貸すからさ、明日返しに来てよ」

 

「…?何を言ってるんですか?」

 

「お空にもやったんでしょ?じゃあ私にもやってよ」

 

「ちょ、ちょっと何を言ってるか」

 

「やって」

 

「…お燐さん…?」

 

「お空ともやってるんだからさ…」

 

「あ、あの…」

 

「明日、返しに来てよね」

 

「え、あ、はい…」

 

「それじゃ」

 

「う、うす…」

 

なんかさっきのお燐さんすごい怖かったな…明日の朝返しに行けば良いんだっけ…?とりあえず明日の朝生きていられる量の仕事と明日起きれる睡眠時間を手に入れなければ…少しかなり激しく厳しいな…そこがハンコ仕事の魅せどころって奴ですか!

 

次の日の朝

 

「…っ!さて。言われた通り本を返しにいくか…」

 

お燐の部屋

 

「お燐さん〜」コンコン

 

「遅い」

 

「…?」

 

「なんでもないさ、ほら、座りなよ」

 

「え、あ、はい…」

 

「お茶でも飲みながらさ。今日君仕事休みだし」

 

「そうなんですね」

 

「そう。それに仕事が続くと変化が出来たての化け妖怪が元に戻って逃げちゃうのもあるからさ」

 

「そうなんすか…」

 

「…はい、お茶」

 

「あ、ありがとうございます…」ゴクッ

 

「…だから、休暇を与えても逃げ出す妖怪も居て大変なんだよね…」

 

「ワン」

 

「まあ、君はそうじゃないと嬉しいんだけどね?」

 

 

 

 

 

 

 

 




お燐…休暇を取らせても帰省する奴がおるなら先に帰省する手段潰しますか(愛)
化け犬…やだこの上司怖い
放射線とか地底やばそうですよね。


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121話

大体2ヶ月ぶり!
ぶりぶりざえもん
文字数いっしょ!
(多分)アリスさんだぞ!
妖夢、一位でもてめーはダメだ


 

神様、確かに俺は永遠に休める環境とそれを確実にできる寄生先が欲しいとは願った。ただ、ただ。俺は束縛の強い寄生先は要らなかったかな。いや、まあ、ヒモだから強く言えないし、力で言えばあっちが強いし。大木拳でへし折った時はもう絶望したね。

 

魔法の森

 

「…」グテー

 

「起きろ」

 

「ほわっ!?」

 

「フフッ…ご飯買ってくるから、留守番よろしくね。魔理沙が来た時は適当に追い返して」

 

「わかりましたー」

 

…魔理沙って確かあの金髪少女だったか。どうすれば金髪になるんだ。寺子屋じゃ異端児だぞ

 

「適当に時間潰すかー」

 

「ツブスカー」

 

「…いたのか人形」

 

「ウリャー」ボコッ

 

「いでっ」

 

「プンスカプンスカ」

 

「…存在感ないくせに攻撃力はあるのなんでだよ…!」

 

数分後

 

ドア<コンコン!コンコン!ドンドン!

 

「うっさ!?今行きます!」

 

「おそい!」バーン‼︎

 

「喰らえアリスさん特製超絶空気砲!」ボンッ

 

「超絶いらなくね!?」ドンッ

 

「…危機は去った…」

 

「イエモナ」

 

「モナリザ?」

 

「コロス」

 

「待て、流石にナイフはやばい」

 

そんな感じでその日は終わった。いや、普通に怒られなかった。魔理沙追い返したからって言ったら許された。だが、何故だろうか。ここに来て2週間くらいでいっつも視線を感じるようになった。何故?知らんがな。ともかく、感じるんだ。視線。

 

「風呂場に防犯カメラあったりして…」

 

「何をやっているのかしら?」

 

「ヒィ!」

 

「…お風呂に監視カメラなんて置くわけないじゃない」

 

「いや、そうだけど。視線感じるんだもん!」

 

「…監視カメラで視線感じるわけないでしょ」

 

「あ…確かに」

 

「わかったら出る。私がお風呂使うんだから」

 

「わかりましたぁ!」

 

翌日

 

「ところで昨日変な人が来たんですけど」

 

「魔理沙以外に?」

 

「こう、緑色の髪した赤のチェック柄?の…」

 

「…それって…」

 

「今から服を?」

 

「こんな感じ!?」バッ

 

「あ、そんな感じです。家ぶっ壊す前に来て『あら、お家を間違えたかしら?』とか言って去っていった」

 

「…風見優香ね。暴力の化身で力は大妖怪並みらしいわ。次出会った時人間ってバレたら命は無いわよ」

 

「まじすか」

 

「ええ。簡単に言うと首がもげて死ぬ」

 

「死ぬんだ。しかし割とえげつない」

 

「殺すのに躊躇しないから会ったら逃げなさい。私のところに来れば計画通りよ」

 

「出れないのに?」

 

「あ、そうだった」

 

…とりあえず計画通りってどう言うこと?俺逃げてアリスさんとこ行ったら計画通り?え、怖。俺なんでそんなことにされてるの?おかしくない!?…落ち着け。きっとアリスさんには考えがあるんだ。俺が助かる確実な考え。んー…?

 

「ちなみに」

 

「はい」

 

「もし私から逃げたらホルマリン漬けにして一生を共にしてもらうから」

 

「前世でなんかやらかしたんかなぁ」

 

「普通催眠かける側がかけられる側になるのは興奮するわね」

 

「待って俺の知らない言葉出てきたんだけど」

 

翌日

 

ドア<ガチャッ

 

「ん?」

 

「どなたー?」

 

「…貴方、人間ね?」

 

「来たわね幽香…」

 

「…人間の形した人殺し…熊の形した共食い?」

 

「彼はあげないわよ!」ギュッ

 

「圧倒的な力!?」

 

「…フフ…それじゃあ、あの世で二人ともね」

 

「え、いや、ちょっと?あの、え?俺死ぬの!?え!?神にお祈り!?免罪符買わなきゃいけないじゃん!!」

 

「シャンハーイ」ザンッ

 

「!?」ドサッ

 

「…よくやったわ上海」

 

「え、その人形、暴力の化身倒せるの?」

 

「ついでに彼も催眠しておきなさい上海」

 

「…展開が急すぎると嫌われるぞ」

 

「仕方ないじゃない。私が別のところにいる前提で考えてたんだから」

 

「あっ開き直りやがったこいつ」

 

「シャンハハハハーイ」グワングワン

 

「うわっくそっガチで催眠してきやがった」

 

「この催眠が完遂されれば私の欲しかった物が一つ手に入るの」

 

「催眠かけてる相手にあっあっあっ」

 

「それが貴方。風見幽香はいい道具として利用できたの」

 

「まったく、死ぬかと思ったのに…」

 

「私の能力があれば上海で伝言を伝えることも可能なの」

 

何その能力ずるい。あれ、俺考えれるぞ?催眠失敗だな?ほほーん…さてこのまま動き出して逃げるとしますか…待て、なんかやばくないか?催眠?いや、催眠なんだよな?待て、身体が動かん。もしやこれ、このままホルマリン漬けにされる?

 

「貴方の思ってる通り、ホルマリン漬けにされるの。大丈夫よ、匂いはキツくないはずだから」

 

「だからあのスキマ妖怪にホルマリンを頼んでたのね。ようやく納得できたわ」

 

「上海催眠やめ」

 

「ハーイ」

 

「だから、もう貴方は働く必要がないし、外来人だからって断られる心配もない。完全にヒモで居られるの」

 

いや、人間食い物食わないと生きていけないんですけど?それ、どうするんですか?…いや、そもそも生きたままホルマリン漬けにされて生きれるの!?

 

「食べ物なら大丈夫よ。外の世界にある機械で無理やり胃に入れるから」

 

「あのスキマ妖怪絶対面白半分で上げたわね」

 

「別に悪い条件じゃないと思うけど」

 

身体動かんからすんごい考えれるんだなこれ。いや、それよりも俺これどうすれば良いんだ?考え読まれてんだろ?…考えるのやめるか?無理だ。絶対に無理。出来ないな…あ。もしかしなくても詰みかこれ。

 

「今気がついたの?」

 

「それじゃ、私は帰る」

 

「…別に言わなくてもよかったのに。それで、話を戻すけど。これからの生活について言うわね?」

 

その後、彼は20時間にも及ぶアリスの説明を聞き、『わかった?』と聞かれ返事に詰まると殴られもう一度聞かれるを繰り返したらしい。DVで訴えようにも訴えれないため涙しながら答えたそうな。

 

 

 

 

 

 




これ書いてる途中雑草思い出しました。
雑草って花粉出してるらしいですよ。


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122話

ギャグ漫画日和〜!
お前は次に「今回の話は魔理沙のお話だな!?」と言う!
…結論から言うと霧雨さんです。はい。


 

里の外れ

 

「おやっさんのため〜ならえんや!こんら!」

 

「…相変わらずイカれてるな」

 

「まあな」

 

「つーかおやっさんのためならって、お前親父さん居ねえんだろ?」

 

「あたぼうよ。そんなことより最近異変が多いんだわな」

 

「異変?最近は落ち着いてると思うけど…」

 

「身近な異変だよ」

 

そう。例えば…風呂入ってる時に目線を感じたとか、川で釣りをしている時反対側にいっつも人影を見るとか、家に帰ったらたまにだけど家具の配置が変わるし。俺の私服がたまに消えるし。いつの間にか戻ってるし。どーゆーことよ。

 

「それ盗人だろ」

 

「そうとも言うな。HAHAHA」

 

「いや、笑えねえよ?」

 

「…たまに外の世界の服着た女が『霧雨魔理沙が本を盗んだのでそちらから注意してください』的なこと言われたぞ」

 

「げっなんでここまでバレてんだ!?」

 

「げっじゃないだろお前。盗人が盗人に注意しろだなんてよく言えたもんだな」

 

「これでも道具屋霧雨店の娘だぞ!?」

 

「でもお前縁切ってんだろ」

 

「なんでバレてんだよ!!」ザンッ

 

「うぉぁ!?…箒の代わりと言わんばかりに鍬で攻撃してくるのやめれ!」

 

「…すまん!」

 

翌日

 

「…」

 

「どうした、浮かない顔して」

 

「どうしたってお前な…」

 

ここでハッと思い付く。こいつを一日家に入れたら視線感じなくなるんじゃね?と。つーかなんで朝起きたら飯置いてあんだよ。ビビるわ。ビビりじゃなくてもビビるわ。心臓が鉄のように動じなくても2mmくらい動くわ。クソが…

 

「朝起きたら日差しが直に当たってて起きたら汗だくだった」

 

「いや、それじゃないだろ。お前の布団日差しが当たる場所じゃねえし」

 

「…昨日気分転換に動かしたんだよ。失敗だったなー」

 

「飯が置いてあったんだろ」

 

「え?」

 

「飯」

 

「え、いや、うん。あったよ」

 

「食ったのか?」

 

「バカ言え、食うわけ…いや、流石に食わんぞ。そこまで飢えてるわけじゃ」

 

「なんでだ?」

 

「…魔理沙、落ち着け。良いな?」

 

「いやだから、なんでかって聞いてんだよ」

 

「急に口調強くなりやがったぞこいつ。そりゃお前ビビった衝撃で昼まで放心状態だったからな」

 

「通りで朝来ても見なかったわけだ」

 

「…ちなみになんだが」

 

「ん?」

 

「その飯が置いてあったの、なんで知ってんだ?」

 

「私が作ったからに決まってんだろ」

 

「天然サイコボケや…俺はこれからどうしたら…」

 

「あ、そうか。言ってなかったから食わなかったのか。すまんかったな」

 

そう言うわけではと言おうとしたがハハハ…って感じに笑ってた魔理沙の目はずっとこっちを向いていた。は?え?ど、どうした?ってなるくらい目だけ動いてなかった。外の世界に存在するチーターが走るときは頭が動かないと言うが、魔理沙は笑っても目が動かないのだろうか。意味ないだろ。

 

翌日

 

「嘘だろオイオイオイ」

 

「お、ちゃんと届いたか?」

 

「お前か?俺なんかしたか?」

 

「私は実家に戻る約束を結ぶ代わりにお前を婿入りさせることを望んだからな」

 

「いや、うん…!?そうだけど、いや、そうじゃないんだけど、なー…」

 

「どうかしたか?もしかして…嫌か?」

 

「そうじゃなくてね。君今まで求愛行動的なのしなかったじゃん」

 

「え?やってたぞ?」

 

「は?」

 

「暇な時間はずっとお前の家に張り付いてたし、監視魔法使ってずっとお前のこと見てたし」

 

「それ長くなる?」

 

「…私の行動、どれを取っても2年3カ月前からの行動なら全て求愛行動になるけどな」

 

「求愛行動が感じ取られず意識されずにどうなった?」

 

「結果的にお前が今手に持ってる死ぬか婿入りかの選択肢になってるな」

 

「おかしいじゃん!?普通段階を踏むじゃん!?そりゃ、ね?恋をするのは自由だよ?」

 

「じゃあ私はお前に恋をしたんだから結婚な。昨日一夜を共にした仲なんだしそう変わらんだろ?」

 

「変わる!!ねえ!馬鹿!!」

 

「…私としてはこれはあんまやりたくなかったんだがなぁ…」

 

「ちょ、待てよ。ちょ待てよ。何それ?何その…棒?光る棒何それ!?」

 

「ホームラン!」ガンッ

 

そして目が覚めたら…!霧雨さんのお家に居た!!そして親父さんの会話を盗み聞きして今どの状況か探っていると…後ろから霧雨魔理沙の気配が!急いで振り返ると状況を嬉しそうに話し出した!!いつの間にか結婚しており、式もあげるとか。異変の首謀者とか、巫女さんとか、各方面のお偉いさんが式に来るらしい。

 

「…いや、だから俺は結婚しねえって」

 

「でももう判子は押してるしなぁ」ピラッ

 

「婚姻届…いや待て待て待て待て」

 

「これを提出するだけでもう私たちは夫婦なんだ。諦めるか、またアレで殴られるか。明日までに決めとくんだな」ニコニコ

 

「え…」

 

「ま、逃げるって選択肢もあるけど…逃げたら逃げたで私の実家にいる総勢200名の作業員が里を探すし妖怪や仙人がお前のことを探すぜ?それでも逃げるんだったら…それなりの覚悟はいるよな?」

 

「か、覚悟ってそんな…」

 

…選択肢ってお前もうほとんどそれ一択じゃん!さっきのアレはもう喰らいたくない!1回目は色々と手加減してくれるけど、2回目はアレだ。殺す気で来るタイプのアレだ。じゃあ逃げようって各方面のお偉いさんが押しかけてくる!…あー、泣きてー…

 

「じゃ、明日…答えを聞かせてくれよ?勇気を出して言ったんだ、返事くらいは聞かせろよ?」

 

「…もうちょっと段階ってのを踏もうぜ…」

 

「踏んでるんだな。それが」

 

「は…はは…」

 

 

 

 

 

 




魔理沙…好きだけどアピールが陰湿すぎて暴走。結婚
主人公…陰湿なアピールされて結婚。オイオイ死ぬわあいつ
今回は珍しく主人公に危害は加わってない…はず。


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123話

ああ、死ぬ
ヤンデレに愛されたいとは言ったがヤンデレに殺されるほど愛されたいとも言ったぞ
ああもう最高
ほんと最高
そんな人生送りたかったなぁ
…幽々子様ってやりましたっけ?


冥界

 

「…ここはどこっすか」

 

「冥界よ?」

 

「じゃ僕は誰っすか」

 

「貴方が知らないのなら私も知らないわね」

 

「そーりゃそーだ」

 

…さて、名無しの権兵衛となっている私だが。この女、誰だ。気になる。目覚めたら目の前にいたから気になる。…まあ、欲を正直に吐き出すなら、胸がデカいからとでも言ってしまうが。確かここは冥界だったか…あ、死んだのか!

 

「全く嫌なことになってしまったな」

 

「死んだ、それだけが不幸じゃないのよ?」

 

「どうにも空腹を感じられん。空腹が最高のスパイスと聞いたことがあるのだが」

 

「よく知らないわ、それ。でも、そんなものを吹き飛ばす美味しい料理があるのよ」

 

「なんだと」

 

「美しい体をした女の子もね」

 

「ガキか」

 

白玉楼

 

「妖夢〜」

 

「なんでしょ幽々子様〜…誰連れてきてるんですか!?」

 

「お客さまよ?さ、料理を早く出してちょうだい?」

 

「あんたも大概苦労してんのな」

 

「連れてくる前に言ってくれれば…ん?」

 

「どした?」

 

「…死んでるんですね、貴方」

 

「らしいな。どーせ生まれ変わるなら天使の衣でも着たいがな」

 

「いえ、多分もう生まれ変わりませんよ」

 

…は?なにを言っているんだこの娘は。死んだら輪廻だったかなんだったかで生き返るのではなかったのか。それともそんなものは元からなかったのか?地獄行きか天国行きしかないのか?なら私は天国行きが確定されているな。うむうむ

 

「…あ、そう言うことでしたか。すいません」

 

「え、どう言うこと?」

 

「愛されていると言うことです」

 

「ちょっと〜!?」

 

「やばっ!」

 

「さて…幽々子さんだっけ」

 

「幽々子ですとも」

 

「…どーなってんのこれ」

 

「冥界なのにご飯が出ることについてかしら?」

 

「それもそうなんだが…」

 

「そう?それじゃあ…」

 

「それじゃあってまだ心当たりが」

 

「膝が震えてること?」

 

「!?」

 

「私は貴方になにもしてないのに、どうして貴方は私を見ただけで膝が震えるのかしら?」

 

「生前何かされたんだろ、多分」

 

「あら、鋭いわね」

 

「当たってんのか?」

 

「でも最初にやったのは貴方。私が見てないとすぐ別の女と歩くんだもの」

 

「俺…ね。俺が浮気ねぇ」

 

「だから頭きちゃって。殺しちゃったのよ」

 

「殺したのか」

 

「でも、浮気されたのはこっち。一回や二回じゃないのよ?数えるだけでも両手じゃ足りないわ」

 

「その時の俺が付き合ってない、とか言い出したんじゃねえの?」

 

「あら、また当たり」

 

なんだろうか。なんか、戻ってこれない領域まで踏み込んでしまいそうだ。正解を当てると膝の震えも小さくなるし。これが奴の能力か!と言えれば良いんだが、多分違うし。言葉の節々に甘さを感じるっつーか、どこか誘われてる気分…?

 

「だから、今度は逃さないつもりなのよ?」

 

「…お食事ですっ」ゴトッ

 

「多いな」

 

「美味しそうだわ〜♪」

 

数日後

 

「…適応してきちゃってるなこれ」

 

「良いじゃないの、別に」

 

「良くはねえと思うんだがな」

 

「貴方が私の物であればそれで良いんだし」

 

「…俺は物ですか」

 

「幽々子〜!」スッ

 

「うおびっくりした」

 

「紫…もう少しマシな登場は出来ないの?」

 

「あら…お邪魔だった?」

 

「良いんじゃないんすか?別に…」

 

「用事がないのなら帰って頂戴」

 

「何よ幽々子、冷たいわねぇ」

 

「早く帰って」

 

「…わかったわよ、空気が読める紫さんは退散しま〜す」スッ

 

「どうなってんだあの女…つか冷たすぎねえか?」

 

「例え親友であっても絶対に渡さないわ。生前、取られかけたしね?」

 

「生前かぁ…」

 

「生前の記憶がないんだもの、知らなくて当然ね」

 

「知らなくて当然て言うか、本当に何一つ覚えてないんだな…」

 

「頭を刀で刺して直ぐに殺したんだもの、覚えてる方がおかしいわよ」

 

「…意外と力強い殺し方で」

 

日本刀で頭刺されて、その刺さった部分に記憶に関する大事なやつがあったんだろう。どーせそうなんだ、俺は知らん。しかし、生前の俺が幽霊にビビるやつとは思えんし、女と親密になる術を知らんだろう。と言うか、知ってた気がしない。

 

「…そんなもんかね」

 

「そんな物よ」

 

「妖夢ちゃんに聞いてみるか」

 

「は?」

 

「妖夢ちゃんどこでしたっけ」

 

「なんで妖夢に聞くのかしら?」

 

「なんでってそりゃお前第三者からの意見が」

 

「そんなことする必要ってあるのかしら?」ガシッ

 

「必要って…離せよ」

 

「嫌よ。これで離したら貴方は妖夢と…」

 

「そんなことにはなんねえと思うからさ、手を」

 

「あと、妖夢はもう当分帰ってこないし」

 

「じゃあどこに?」

 

「…さあ?」

 

その頃紅魔館

 

「た、たすけてくだしゃい…」

 

「なんで…?」

 

白玉楼

 

「…じゃあ、どうしようかね」

 

「好きな人と二人っきり。これは私の夢なの」

 

「夢ねぇ…夢であってほしいけどねぇ」

 

「…そんなに文句があるなら別に良いのよ。閉じ込めるだけだし」

 

「用意周到がすぎるぞ」

 

閉じ込める、そう言った幽々子の言葉通り、俺は出れなくなった。どうなってんの、これ。窓ガラス叩いてる感じがするけど、そうでもない感じ。幽々子が飯を運ぶが、今は監禁状態だ。食欲が全くない。さて幽々子はそんな俺を見てどう思ったのか、今度は一緒に寝るようになった。何やってんだこいつ。

 

「…♪」

 

「これって風呂とかどうすんだ?」

 

「私が毎晩タオルで拭いてるから大丈夫よ」

 

「いつの間に…」

 

「ここにさえいれば、貴方は私なしだと今まで通りの生活ができないのよ?それって素敵じゃない?」

 

「素敵じゃないと」

 

「ていっ」スパァンッ

 

「いっ!?」

 

「…これ以上は譲れないから、文句言うたびに叩く。覚えておきなさい」

 

「覚えておきなさいって…」

 

「ちなみに10回毎にバットだから」

 

「!?」

 

 

 

 

 

 

 




幽々子様→我が行動全てが愛
主人公→生前付き合ってた(らしい)が、浮気をして死亡。死んでからは3人しか出会ってない。
ちなみに主人公は生前幽々子と付き合ってない。幽々子の思い違いで監禁されたので逃げてただけ。
…亡霊から逃げ続ける男って地味にすごい気がする


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124話

オーバーヘッドキック。
風見幽香は彼氏にさえ気が強いが、多分彼氏のことはすんごい大事に思ってる
そう僕の第二百八十感が言ってる。間違いない。


 

人里離れたどこかの家!

 

「…え、いや、誰?」

 

「風見幽香の彼氏で合ってるかしら?」

 

「まあ、はい。で、誰でしょうか…」

 

「八雲紫。幻想郷の管理人よ」

 

「あ、そうでしたか。えーと…何か用が…?」

 

「少し貴方の身体に用が」

 

「え」

 

その後、私は地獄を見た。いや、風見幽香と付き合ってるからって腕っ節が強いわけじゃないんだよ。片腕もげてんじゃん。なんで?なんで俺の片腕そんな簡単に飛んでしまうん?そのあと尻餅着いてドンっと倒れて怯えきったら違うって気付いたらしいけど。風見幽香さん来て!でもタイミング不味いからやっぱ来ないで!

 

「あら、そんなに強くないのね」

 

「あークソッ」

 

「でも痛みには強いのね」

 

「…知るかバカ…!」

 

「もう、風見幽香の彼氏だからって期待してたのに…」

 

「あら、先客?それとも…」

 

「痛かったですよ〜」ギュッ

 

「紫、覚悟はいいかしら…?」

 

「久しぶりに…やってみたかったのよ。霊夢に負けてから、自信が無くなってたのよね…?」

 

「とりあえず…さっさと永遠亭に行きましょうか」

 

「あらやだイケメン…」キュンッ

 

「腕はどこかしら?」

 

「ここよ。これを取りたかったら私にでも」

 

「義手になるわね」

 

やだ、意志が強い…と、まぁ私の彼女である風見幽香さんだ!人里ではすんごい怖がられてるぞ!初めて会った時は怖かったけどな!多分心開けば誰にも優しい人だよ!!…多分。しかし幻想郷の管理人、八雲紫…あ、賢者とか言われてるアレか!人里で見たことある!

 

「義手でも良いかしら?」

 

「別に良いですよ」

 

「ごめんなさいね。私が離れたばっかりに…」

 

「…おーい、腕ならここにあるわよー?」

 

「ある程度止血して行かないと空から血が降ることになるわね…」

 

「走って行けば良いのでは?」

 

「時間かかるし振動で死ぬわよ?」

 

「…もう!ゆかりん拗ねちゃう!」スッ

 

「腕は落として行かなかったわね…」

 

「そろそろ腕の部分が痛み出してきたんでちょっと」

 

「少し待ってなさい。大体あと少しで」

 

「すいません!紫様がご迷惑を!」

 

「…ほら」

 

「なるほど」

 

数日後 太陽の畑

 

「…本当に義手になったけど…」

 

「便利そうねそれ」

 

「腕が360度回るってどんなハイテクなんだ…」

 

「ま、それはともかく」

 

「ん?」

 

「これからは私の元を離れないで。あんなクソとあのせいで怪我されるのはごめんだから」

 

「わかりました」

 

…かわいいね。そう言いたいが、さっき言ってた怪我されるって、汚されるも入ってた気がする。なんだろ、気のせいかな。幽香さんの目が少し黒っぽく見えるのも気のせいだろう。思わず目を逸らしてしまう。その都度『こっちを見て』と言う。なんだろう、いつもより圧が強い。

 

「当分は妖怪と接触したらダメね。まあ、私が許さないんだけど」

 

「妖怪…」

 

「あと女」

 

「なんで??」

 

「…私の技を真似た魔法使いが女なの。そいつから何か迫られるかもしれないから」

 

「なるほど」

 

「まあ、本音は…ここでは伏せておくけど」

 

「そこで伏せちゃダメでしょ…」

 

「良いじゃない。秘密がある方が、綺麗なんでしょ?」

 

「…どこから聞いたのか知りませんけど、まあ…元から綺麗…です…」

 

「なんでそこで途切れ途切れなのよ」

 

「良いじゃん、恥ずかしいもん」

 

「もう、私が頑張ったのがまるでダメじゃない」

 

「しゃーな」

 

「突撃取材です!」ビュンッ

 

「え、誰」

 

「これはすいません!射命丸文です!新聞を作らせていただいておりまっ!?」ガシッ

 

「…何をしてるの?この口で、耳で、誰に何を聞こうとしてたのかしら?」

 

「ひ、ひは…(い、いや…)」

 

「え、幽香さん…これもダメなの?」

 

「当然よ、女で妖怪なんてもはや禁忌の域よ」ブンッ

 

「おぉおぉぉおおお!??!?」

 

「飛んでった…」

 

女と妖怪が混じると禁忌なのか…幽香さん…それ自分もじゃ…いや、自分は対象外か。流石にそうか。うん、いや、そんな矛盾に気が付かなかった訳がない。矛盾に気が付かなかったのではなく、気が付いたが自分は対象外だったはずだ。

 

「…女で妖怪って幽香さんも…」

 

「あっ」

 

「…え?」

 

そう思っていた時期が…僕にもありました…

 

さらに数日後

 

「よう!お前が風見幽香の男だn」ブンッ

 

「…何もされてないわよね?」

 

「あ、はい…」

 

「全く困ったものね。新聞記者の話もそろそろ広まってくる頃だと思うのに」

 

「助かった…?」

 

「ちなみに」

 

「え?」

 

「貴方が惑わされて…なんてことになったら、機械仕掛けの体が増えると思いなさい」

 

「しない!そんなこと絶対しない!」

 

「ふふっ。そうよね。まあ私の恋人なんだからそれも当然ね」

 

「リベンジだ風見幽香ー!!」

 

「ふんっ!!」ボワァッ

 

「強風!?」

 

「あーれー!?」ビュゥゥゥゥゥ

 

「…貴方をもう部屋の外に出さないって言う手もあるわね」

 

「え、なんか愛重くないですか」

 

「重くないわよ。私の恋人ってだけで狙われたんだもの。それじゃあいつまで経っても安心できないでしょ?」

 

「いや、まあそうだけど」

 

なんか、俺が腕切られてからすんごい執着してる感じがするのは勘違いだろうか。いや、勘違いであってほしい。まあ嬉しいっちゃ嬉しいんだが。いや、うん。外でそんなこと言われてるのもあるんだけど、普通に照れるし恥ずかしい。

 

「…まあ、私たちは結婚なんて出来ないけど」

 

「マジで!?じゃあ実質噂だけの関係!?」

 

「種族が違うのよ。でも、そうね。貴方が私の所有物って分かるようになれば良いのに」

 

「…背中に刻印でも押す?」

 

「それも良いわね!頬にでも押しておこうかしら」

 

「頬!?」

 

 

 

 

 

 

 




主人公…やだ、カッコいい…ん?いや、うん。カッコいい…!
幽香…愛愛愛愛愛
幽香さんってのはね。圧が強く、それでいて相手を大事にするバランスが必要なんだ。
多分、僕はできてないんだけど。誰かやってくれ…


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125話

名前のないキャラクターってほとんど二次設定で生きてるらしいんですよね。
きつそ…美鈴さんです。


 

紅魔館

 

「…いや、なんで僕が門番やるんすか」

 

「仕方ないじゃないですか。門番なんてほとんど顔パスですし」

 

「お寿司じゃないんだよ。え、何?人手足りないんですか!?」

 

「足りてなかったら門番に人置きませんよ」

 

あ、それもそうか。と納得してみるが…いや、待て。そうじゃないんだよね。違うんだ。なんで俺ここにいるのって聞いてるんだな。うん。人手が足り過ぎたのかな。妖精で事足りるのかな。俺募集で来た人間だからかな。

 

「それに紅魔館で働いて1年近く保つの珍しいですし」

 

「珍しいんですか。そういや何人か逃げ出してたけど」

 

「うるさいですよ」

 

「話振ったのはこっちだけどさっきの話にしたの美鈴さんですからね」

 

「…誰か来ます」

 

「え、嘘。ちょ、逃げたいっつか逃げる!」

 

「そうした方がよろしいかと。どーせ吸血鬼討伐隊とか言う変な連中ですから」

 

「なにそれ!?ちょ、門開けて!?」

 

「上から放りますので、我慢してくださいね」ガシッ

 

「割としっかりした鷲掴みなのね」

 

「行きますよ…」

 

「いや、もう少し心の準備ってのが」

 

「ていっ」ブンッ

 

「ぉおわぁっ!?」ゴンッ

 

「あっ!?」

 

「いでっ!」

 

「あ、あらら…?」

 

もう人里は吸血鬼討伐隊とか組むな。俺の身体が崩れ落ちる。さて、どうしたものか。どうしようと奮起すれば良いのか。ここにいては何か言われる気がする…でも、門の前は敵だらけらしいし…隅っこで小さくなればなにも言われないかな…

 

数分後

 

「…わーすごい全部死体ですかこれ」

 

「正確に言うと血です」

 

「血ですか。いや、普通に死体ですよね」

 

「お嬢様方に届ける血です。まあ鮮度は良い方です」

 

「良い方なんて言い方でいいんだ。え、良いの?」

 

「じゃあ貴方が生きる輸血パックになります?」

 

「勘弁」

 

「良いんですよ?そしたら私は同僚が長生きするんで嬉しいです」

 

「???」

 

「吸血鬼になってくれれば」

 

「吸血鬼になるつもりはない」

 

「妖怪にも?」

 

「いや、うん、もちろん」

 

「…そうですか」

 

「え、何今の。俺なんかやばいことした?」

 

「ま、どーせこんな答えだろうとは思ってはいましたよ」

 

「ええ…?」

 

「さて、私はこの山持って行くのでここに居てくださいね」

 

「あ、はい」

 

「…よっと」オイショ

 

「オイショで持てる量じゃないと思う」

 

「まあまあ」

 

「まあまあじゃ済まんぞ。やっぱ怪力って」

 

「これでも女ですから」

 

女でも、妖怪ですから…と言いかけたが閉まっておこう。口に出したらどうなることやら。そう思いながら仕事は数日続いた。いや、外に立ちっぱなしがダメなんだよな。門番ってもう少しシフト交代制とかできないもんかね。

 

「…」

 

「どうしたんですか。寝たように静かになって」

 

「いや、良い具合だなって」

 

「…え、何が?」

 

「なんでもないです」

 

「あ、そうそう。僕、そろそろ館の中に戻るそうで」

 

「え?」

 

「…いや、なんですか。なんで驚いて」

 

「希望したんですか?」

 

「まあ、立ちっぱなしがキツかったので」

 

「…椅子置けば良いのでは?」

 

「そう言う話じゃないんですよね…」

 

数日後 紅魔館内部

 

「…僕明日から館の中ってマジですか」

 

「お嬢様に聞いてみたら…『その日が一番良い効果を発揮する』とか言うんですもの」

 

「うっわすんごい占い臭い」

 

「美鈴にも伝えておきなさいよ」

 

紅魔館門

 

「ですって」

 

「…」

 

「え、なんでこっち見てるんです?そんな睨む感じで」

 

「ていっ」ゲシッ

 

「んんっ!?」

 

「もう少しかな…」

 

「え、何するんですか。急に組み手とか言わないでくださいよ?いや、蹴る姿勢取らないでください」

 

「同僚じゃやっぱり満足できませんね」ブンッ

 

「腕!?」スカッ

 

「んー、どうしようもなく好きなんですよ。でも、下手に進めると関係が崩れそうだったもので」

 

「そこで心の葛藤を告白せんで良い!」

 

いや、いつものようにボケーっとしてる感じで空見てたと思ってたんだけど。こっち見てたし蹴ってきたし。しかも心の迷いも言われたし。何これ。どーすんのこれ。てかお嬢あの野郎このこと知ってただろ!畜生だ畜生!罠に掛かったと言うのか!?

 

「良いじゃないですか。別にもうその迷いも消えるんですから」

 

「ちょ、ちょーっと何言ってるか」

 

「要するに…」スルスル

 

「いや、どこにそんなドデカイ棒持ってたんですか。身長ぐらいありますよねそれ」

 

「喋れなくして、私に絶対服従させて仕舞えば。恋は成就するんです」

 

「しないですよ?」

 

「ふんっ!」ブンッ

 

「いあっ!?」ゴガッ

 

「…さて。歯が2本抜けてしまいましたね…ここら辺かな?」

 

「ちょ、何して」

 

「拾ってるんですよ。好きな人の体の一部って考えるとすごいゾクゾクして」

 

「こんなキチガイと同僚やってたとか、え、待って。じゃあ最近物が無くなる感じがしてたのは」

 

「それは知らないですね」ブンッ

 

「!?」ガンッ

 

「…お、ようやく気絶しましたか。ようやくと言っても3回くらいしか当ててないですけど」

 

「こんにゃろ!」ゲシッ

 

「おお、起きてましたか。じゃあ両腕両足、へし折りますね」ガシッ

 

「え?」バギッ

 

その後、僕はあの時気絶したふりをしていればよかったと思うくらいクソ痛い思いをしました。なんか、関節を逆方向にやるのかな、とか思ってたのに脛の部分で折るし。なんかもう、痛過ぎて逆に冷静になってきた。いやでも

 

「ふんっ」バギッ

 

「アッ」

 

「…普通骨って折れたら気絶するくらい痛いはずなんですけどね…」

 

紅魔館内部

 

「…え、美鈴、それ…」

 

「?ああ、逃げようとしてたので捕まえました」

 

「え、逃げようとしたの?」

 

「身が持たないとかなんとか言ってましたよ」

 

「ん…」

 

「そ、そう。それじゃ」

 

「はい」

 

「いだ…ってうおっ」

 

「…門番、続けますか?」

 

「いや、それよりもお姫様抱っこなところに」

 

「んもうワガママですね」ゴギッ

 

「んがぁっ!?」

 

「…答えてください。続けますか?」

 

「つ、続け…ます…」

 

「よろしい♪じゃあ、治ったら自分の口で言ってくださいよ。僕はやっぱり門番が良いですって。良いですか?」

 

「いや、でも」

 

「は?」ガシッ

 

「…なんでも、ないです…」

 

「そうですよね」

 

…やっぱり、思ったんです。妖怪なんかと仲良くするんじゃなかったって。

 

「痛い…」

 

「よくよく考えたらまともな医療キットがないですね。吸血鬼になってもらいましょうか」

 

「ぅえ!?ちょ」

 

「次は拳骨折りますね」

 

「…ご、ごめんなさい…」

 

「それでいいんです」ゾクゾク

 

 

 

 

 

 




妖怪って絶対欲深いし何でもかんでも手に入れようとすると思ってるんです。
だから人里に妖怪が度々出現したりしなかったりするんですよ。んで、欲しい物を傷つけてでも手に入れた時には快感を得ると思うんですよね。多分。
…これってただただ強くて欲深いだけの女ってことになりますよね。美鈴さん。


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126話

美鈴さんが愛故のバーサーカーになっている
今度は誰にしましょう。紫さんにしましょう。
なんかすごい出てきてる気がするけど気にしないで行きましょう。



 

とある人里の家

 

「…誰だお前」

 

「あら、これは初めまして」

 

「…いやだから誰お前?」

 

「って、冗談?」

 

何を言ってるんだこの女。とりあえずウチは間違いなく俺の家だがな。しっかしまぁ、美人。だがそれを駄目にするほどの雰囲気。俺からして一目で嫌な奴と見抜いてしまったわ。全く、誰だ俺にこんな目授けた奴。

 

「昨晩はあーんなにはしゃいでたのに」

 

「残念だが俺は昨日妖怪に食われて死んでた」

 

「嘘ね」

 

「ああ嘘だ」

 

「面白いわね、貴方」

 

「古い付き合いだからな」

 

「…序盤の会話を全て蹴っ飛ばすとは、恐れ入ったわ」

 

「いや、お前がたまに俺を異次元に転送しやがるからな。仕方なく毎回毎回確認してんのさ」

 

「確認しなくても、私の家に招いたら私から言うわよ」

 

「そーかい。じゃあ今の時刻も教えて欲しいかな。紫さん」

 

「ズルイわねぇ…今は3時くらいかしら」

 

「午前、午後」

 

「もちろん午前」

 

「時間を考えてくれ」

 

「無理ね」

 

「はー…もう良い、酒飲む」

 

「私もお供致しますわ」

 

「ついて来んな!」

 

「は?」ピシッ

 

「え」

 

「…今、なんて言ったかしら?」

 

「ついて来んなって」

 

「聞き間違いじゃないのね。残念…」

 

そう言うと俺の家が揺れ始めた。いや、多分これ俺が揺れてるな。スンゲー酔っ払ってるのに、意識ははっきりしてる感じ。気持ち悪い…立ってられんので寝転ぶが、それでもまだ揺れてる。紫さんはどんな言葉が欲しかったんですかね…

 

「ちょ、おま、やめ…」

 

「一緒に飲みましょ?」

 

「…わかったよ」

 

「本当!?それじゃ早速おつまみを」

 

「ちょっと待て」

 

「?」

 

「なんで俺の家のつまみの場所知ってんだお前」

 

「…貴方さっき言ってたじゃない」

 

「そうだったか?」

 

「そうだったわよ。まぁ、私にとっては言われなくとも知ってるけど?」ガサゴソ

 

「ほんっとお前…」ゴクッ

 

「良いじゃない。月を見ながら飲むなんて、贅沢よ?」

 

「これが絶世の美女、しかも俺より弱くて、守り甲斐がある。そんな女と一緒に呑めたらな」

 

「…アルコール度数80くらいにしておくわね」

 

「あぶぁっ!?」

 

「私だって乙女よ?」

 

「乙女と書いて、化け物と読む…!」

 

「私からしたら、絶世の美女を抜いた条件が揃ってる人なら居るわよ?」

 

「お前より弱くて…守り甲斐は無いだろ」

 

「いつ私が貴方のことなんて言ったかしら?」

 

「…俺のことなんて言ってねえぞ?」

 

何を言ってるんだ、この女。恐らく誘導質問的なアレだろう。好きな人教えろよ→教えねーよ→好きな人いるんだな!的な感じの質問だっただろう。しかし。残念ながら俺が言ったのはお前が守り甲斐のある奴ってどんな化け物に狙われてる人間?って意味だ!

 

「!?」

 

「はー…自信過剰だっけ?そんなのはやめ」

 

「ふんっ!」ゴンッ

 

翌日

 

「…紫」

 

「好きよ」

 

「は?」

 

「…聞き取れなかった?好きってことよ」

 

「あー、うん。すまん、急展開がすぎる」

 

「一目惚れと一緒よ」

 

「馴れ初めは聞いとらん聞きたくない」

 

「…貴方ずーっと家で寂しそうにしてたから、ついからかいに行ったのに」

 

「からかわれたのは紫さんでした、と」

 

「そうね。でも、貴方と一緒に呑むお酒は美味しかったのよ」

 

「知るかばーか。そんなことより俺の手どうなってんのこれ」

 

「…まぁ、とにかく大好きなの。一緒にこれから過ごさない?」

 

「いや、だから俺のこの腕。どーなってんの。俺の腕なんか掴まれてるんですけど。変な空間跨いで掴まれて」

 

「それ私ね」

 

「!?」グッ

 

「そんなに引っ張らないで。痛いでしょ?」

 

「な、なあ。俺にも考える時間が」

 

「ダメ。私の告白に対する答えは、『好きです』か『嫌いです』の二つ」

 

「じゃあ、きら」

 

「嫌いなんて言われたら悲しくてそのスキマ閉ざしちゃうかもしれないわね」

 

「…」

 

実質一択じゃねーか。お前、このスキマが閉じたらどうなるか俺が知ってるからこうしたんだな!?妖怪の片足スキマに突っ込ませて閉じた時スパって途切れたからな。いや、途切れたと言うよりぶった斬った的な?

 

「早く答えてくれる?」

 

「わかった。降参。好」

 

「降参?」

 

「き…」

 

「降参ってどう言うこと?本当の愛じゃなければ要らないのだけれど」

 

「ゆ、紫さ」

 

「紫。良い?紫って言って?」

 

「ゆ、紫…今まで呑み仲間としてしか見てなくて…」

 

「…」

 

「こ、これからも呑み仲間として」

 

「ダメね」

 

「え」

 

「それじゃあ、腕。貰っておきましょうか」スッ

 

「…あ、れ?」

 

「勿論痛覚はないわよ?騒がれちゃ困るから」

 

「あ、ありがとう…?」

 

「でもね。次は足。良い?」

 

「いや、だから」

 

「痛みがないから恐怖も無いのかしら…?」

 

「あ、いや、そうじゃないんだ!」

 

「そう。それじゃあ、どうなの?」

 

「あぅ…いや、その…」

 

「痛覚スイッチ…」

 

「紫、待って、マジで待っ」

 

「オン!」ススッ

 

「うぎぁゃああ!!?」

 

「ま、直ぐに切るんだけど」

 

「ぁ…ぁあ…」

 

「どう?私と一緒に暮らしてくれる?」

 

無理、無理だこれ。もう、痛いわ。これもう生殺与奪権相手が持ってんじゃん。助けてくれ。誰か助けてくれ。畜生、守り甲斐とか、自分より弱いとか言ってたくせに、守らず攻撃してくるのか。でも痛いのは流石に嫌だ。多分、このままだと血が足りなくて死ぬだろうし…

 

「く、暮ら、す…」

 

「そう!毎回悪いわね〜!私の言う通りにしてもらって!」

 

「腕、返せ…」

 

「腕?…はぁー。分かってないわね。逃げ出した時に戒めを与えるための傷なのに、治してどうするの?」

 

「え…」

 

「これじゃ、全部分かるまで説明しないとダメね」

 

「あ、足は…」

 

「…そうね。足を取れば腕はあっても問題ないわね!」

 

ダメだ、紫の奴、全然考えてない。怖い、助けてくれ、誰か本当に俺を救ってくれ。こんなどーしようもない紫から誰か助けてくれ。

 

「じゃ、足行くわよ」

 

「ま、待ってな紫。まだ心が」

 

「せいっ」スパンッ

 

 

 

 




主人公…なんだこのバ…人!?
紫…からかい上手の紫さんやろうとしたら愛に引きずり込まれた!
はっきり言ってヤンデレに暴力が加わると物凄く良いんですけど、そう言う描写ってどうやってするんですかね。


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127話

今回はかなり純度の高い純愛だと思います。
いや、あの、タイトル詐欺とは言いませんよ。
今までのが純愛か、って問われると自信がないんですよ。どっちかって言うと、病みが入ってたじゃないですか。
まあ、純度80%くらいの咲夜さんです。はい。


紅魔館

 

「…何でこんなでかい館に等間隔で花瓶を置くのかね」

 

「あら、悪いかしら?」

 

「悪い。なんなら主人のために命を投げ出す奴が1人いて、そいつが実質チートなのも悪い」

 

「チート…?美鈴のこと?」

 

「…いや、なんでもないわ」

 

「?そう…」

 

…組織というのは主人のために命を投げ出す奴が3人入れば完成する的なことを聞いたことがある。いやしかし。そもそもメイド長と俺ってなんか関係あるのか?俺って執事だろ?多分。雑用とか、そんなんだろ?…どうして俺がメイド長の指示聞くんだ?

 

「…まあいいか。また妖精に攫われる形で人里行くかー」

 

「それならこの本とこの花を…鈴菜庵に持って行ってくれる?」

 

「断ったら?」

 

「私が貴方を苦しめることになるわ」

 

「行ってきます…」

 

「あ、その花は貴方からのプレゼントにしてくれる?」

 

「…いや、嘘はいかんでしょ」

 

「虫の予防になるとでも伝えておけば良いわ」

 

「なんすか虫の予防って…」

 

「ほら、良いからさっさと行って」

 

「へいへい」

 

…そうわけで今大妖精達に両手を掴まれて移動しているわけだが。まあどうやったらこうなるのー?って話だが、早い話運賃として飴玉をあげている。まさにガキ。まさに扱いのいいタクシー。めーりんさんと遊んでいる時にしかできないが、楽ではある。

 

人里

 

「ありがとなー」

 

「…メロンか…」

 

「チルノちゃんメロン嫌いなの?」

 

「嫌い…」

 

「…いちごをくれてやろう」

 

「やったー!」

 

「好みの差が激しいなお前…」

 

鈴菜庵

 

「へーい」

 

「うわっ…びっくりしたぁ」

 

「おー、小鈴。どしたー、なんかあったのか?」

 

「いや、何も…というより、なんで貴方がその本を?」

 

「ん?ああ、これか…まあ同じか。ほれ、この本の返却と…」

 

「?」

 

「この花は…咲夜さんからのプレゼントだ」

 

「ロべリア…」

 

「お、なんか知ってんのか?やはり本の虫だな。館にいる奴とほとんど変わらん」

 

「うぇ!?ほ、本の虫!?女の子を虫扱いとは、なかなかに…」

 

「冗談だ。椅子は…」

 

「ああ、こちらです」

 

「おう…っと」

 

「で、最近はどうでした?」

 

「いやー、実は寝かける時に視線を感じてな」

 

「こわっ」

 

「一応怖くてさ、咲夜さんに話したんだなーこれが」

 

「結果は?」

 

「なーんかよくわからんけど、『それはそのままでいいのよ』とか言うんだわ」

 

「…え、それってもしかして事故物件って奴じゃ」

 

「そう思うだろ!?でもな、前博麗の巫女がなんかの用事で来てたから土下座して金積んで頼んだわけよ」

 

「お酒も積んだんですね」

 

よくわかったな小鈴。やはりあれか、博麗の巫女の酒好きは有名なのか?いや、それはいいとして。しっかしまぁ、なんと言うか。あの博麗の巫女が金積まれて驚いてたのにはこっちがビビったよ。なんか、『異変解決してもこんなに出ないわよ…』とか。え、可哀想

 

「ま、結果はわからんまま。心当たりもなし、博麗の巫女も分からず、もはやどうしようもないって所なんだよな、今」

 

「…そういえばこの花って咲夜さんからでしたっけ」

 

「そうだぞ」

 

「あー、ダメだこれ…」

 

「?」

 

紅魔館

 

「…何奴!!」ガバッ

 

「いや、え…休日は何しようと私の勝手でしょ…?」

 

「あ、うん。そうでした…」

 

「全く…こっちはわざわざ心配して来てんのに」ジー

 

「…なんか怖いんですけど」

 

「そう?」

 

翌日

 

「…起きた…」

 

「ごめんなさい状況がよく理解できないんだけど」

 

「いや、前博麗の巫女に頼んだ案件、全く解決しなくて」

 

「…だからって普通主人の隣で寝る!?」

 

「ああ、失礼」

 

「いや、ん????…あ、あれね。うん、状況はわかった。どーせ怖かったとかそんなんでしょ」

 

「いやーそれで済めばよかったんですけどねー」

 

「え?」

 

気付きませんでしたよー、視線が一瞬の理由。と言う始め方で喋り出す。まるで探偵の気分だ。昨日、咲夜さんにジーッと見られてた時に気が付いたんですよ。気がついてしまった、ですかね。ええ。一瞬感じる視線と、ジーッと見られていた時に感じた視線。同じものだったんですよ。そう言ってみた。

 

「お前、それは…んー…なんでもない」

 

「これって咲夜さんが見てたってことですよねー」

 

「…そういえば…これ言うべきかな…」

 

「どうしたんでございますかレミリアお嬢様」

 

「いや、んー…後ろ見て?その方が早いから」

 

「後ろ?後ろには白を基調としたメイド服を着た…」

 

「…私に覗き趣味があると?」

 

「い、いやぁ…!んー…えーと…」

 

「咲夜!私関係ないから!」ビュンッ

 

「逃げた!?」

 

「…さて、どう言うことかしら?」

 

「ひっ」

 

その時、俺は戦慄した。逃げろと思った。結局逃げれたんだが、紅魔館から出たすぐ後にめーりんさんにどうしました?って聞かれたんだ。馬鹿正直に答えるのもアレだろってことで、人里に忘れ物と言って走って人里へ行ったんだ。そんで、鈴菜庵に行ったんだな。これが。

 

鈴菜庵

 

「はぁっはぁっ…!ゲホッ!」

 

「うぇっ!?ど、どーしました!?」

 

「み、水くれ、水!」

 

「み、水ですか!?え、えーと…はい!」スッ

 

「おう!グッ…ぷはー!生き返った!」

 

「…何があったんですか?」

 

「いや、アレね。昨日か一昨日言った視線、咲夜さんかも知れん」

 

「…あー、んー…今更、ですか…」

 

「え!?小鈴はもう気づいてたの!?」

 

「だって、だって!咲夜さんと出会うたびに貴方の話が出てくるんだもの!羨ましいぞちくしょー!」ドスッ

 

「はうっ!…み、鳩尾に入った…!!」

 

「うぇ!?」

 

それから俺はまた急いで戻った。やべ、謝らねえと給料とか全部パーだ。と思ったからである。

 

紅魔館

 

「た、ただいま…!」

 

「こっちに来なさい」ガシッ

 

「足!?足を掴むの!?」

 

「…鈴菜庵に行っていたでしょう?」

 

「え!?悪いの!?」

 

咲夜さんの部屋!

 

「いや、謝りますって。流石にね、私自身反省しない馬鹿じゃないんですよ」

 

「?良いけど、別に」

 

「え?」

 

「私の本音を話す機会が出来たんだもの」

 

「ほ、本音…?」

 

「…だって、誤解されたくないでしょ?」

 

「覗きが誤解ってだけじゃ」

 

「覗きは事実よ?」

 

「いや、言って!?」

 

「言わなかったじゃない。のぞきがあるんですけどってことしか聞かれなかったし…」

 

「天然サイコパスめ!」

 

「…どっちでも良いけど、出来るなら天然の方が嬉しいわね。まあ…」ギュッ

 

「え、何?なんで俺抱きしめられた?」

 

「好きな人にマイナスのイメージは与えられたくないでしょ?」

 

「なーに言ってんだお前」

 

「そのまんまの意味よ?貴方が好き。でも、それを言い出す機会がなかった」

 

「じゃーなんで覗きまで」

 

「?好きな人の私生活って見たくなるものでしょ?」

 

「ごめんなー、わかんないなー」

 

「じゃあ、わからせるしかないわね」

 

そう言われた夜。俺はマジな意味で死ぬかと思った。なんか、外の世界にいる犯罪集団みたいな感じの、小指から切り落としていくをやられた。告白にOKを出すまで切られると。危うく仕事がなくなるところだったわ。なんてなー!…普通爪からでしょ、流石に…

 

「貴方が全く承諾しないから、右手の指と左手の親指がなくなっちゃったわね」

 

「」

 

「…気絶してる…」

 

 

 

 




咲夜さん…好きだ!付き合おう!
主人公…上司(16歳)(イカれた価値観)…変な奴
ロベリア…敵意
つまり咲夜さんは小鈴のとこへ宣戦布告させに行った感じですね!はい!


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128話

貧乏神使ったら3回引き伸ばせることに気がついた覚めです。
単体で一回、コンビで2回引き伸ばせる。
これはもうやるしかねえな…
というわけでお前の出番だ!紫苑!


人里

 

「…」

 

「…」

 

「俺もホームレスか〜」

 

「クビになったんですか…?」

 

「いや、3年くらい寝てたらこうなった」

 

「???」

 

「まあいいや…ゴミ拾いでもして来ますかね!」

 

「あの心意気…3日で崩れる」

 

「甘いな貧乏神の嬢ちゃん、今日折れると予想する!」

 

「!?」

 

…さてさて、ゴミ拾いと行くと言ったがな。あれは嘘だ。というより、ゴミ拾い自体はするんだが、人里は広い。だから3メートルくらいゴミ拾ってあとは屋根登って寝てます。風が気持ちいい。そして、最大の問題となる飯。炊き出し…やってんのかな?

 

「あー…風呂も考えねーと…大変だな〜ホームレスって」ゴロゴロ

 

「…むぅ!」

 

「お、さっきの人」

 

「お前のせいで賭けに負けた!」

 

「何故!?」

 

「お前の心意気がいつ折れるかで賭けたら負けた!」

 

「いや、そもそもアンタ貧乏神じゃん…どうやってギャンブル当てんのよ」

 

「あっ」

 

「うーんこの」

 

「…なんで貧乏神ってわかったの?」

 

「そこ?」

 

「それはともかく。負けた方がホームレスの案内ということなので!よろしく」

 

「ごめんなー、何言ってんのか全然わかんない」

 

そんなこんなでこのパーカー着てる貧乏神様について行くわけだが。早速問題発生、というより、何これ?え、いや、え?アンタ…これがシャワー?この、蛇口じゃなくて…あの、玄関先にやる水撒きが…シャワー?

 

「…あ、こっちにも」

 

「はいはい」バシャッ

 

「…これでシャワー完了!」

 

「んー…あー…真面目に働こう…」

 

「なんで!?タダだよ!?」

 

「人の尊厳までは失いたくない…」

 

数年後

 

「…お前と一緒だとなんも上手くいかんな」

 

「ま〜ね〜」

 

「あ〜!どうにかして一発当てたいな〜!」

 

「…そもそも貧乏神に引っ付く方がおかしいんじゃ?」

 

「バカ言え。元から運は底に落ちてたんだ。どっち道だ」

 

「へ〜」

 

「どれくらい運が悪いかって言うとだな。一歩目で他人の足を踏み、二歩目で絡まれ、三歩目でボコされる!」

 

「数え歌?」

 

「いやまあそうなるとだ。貧乏神についてた方が俺的には安全なんだな。これが」

 

「…ふーん?」

 

「で、どうしよ…」

 

「そりゃ、得な方でしょ!」

 

「つまり一生涯お前のそばにいるのか?」

 

「うん!」

 

「ない」

 

「な、な…」ズーン

 

「え、すまん…?」

 

「…マイナスにマイナス掛けたらプラスになるらしいから私たち合体すれば運が超よくなるのでは!?」

 

「あのね、急にそういう話題出して来ないでくれる?それに、合体って何?」

 

「あっそっか…」

 

「しぶとく生きてればそのうちどうにかなるかな〜…貧乏神じゃねえし?」

 

「私がその気になれば他人も不幸にできるよ?」

 

「おお、怖い怖い」

 

「ま、そんなことする必要はなさそうだけど…」

 

喧嘩売るのはやめておこう。俺の将来が潰される。と、しぶとく生きてたら寺子屋からオファーが来た。オファー?って言うのかは知らんが。スカウトって奴かな。反面教師…らしい。反面教師として初登場して、その次から教師としての仕事がもらえるらしい。ヤッター!

 

数ヶ月後

 

「うぇーい!」

 

「私の目の前から消えたと思ったら、教師になってたの?」

 

「おうよ!」

 

「不幸にしてやる」ボソッ

 

「教師ってこうむいん?って奴らしいから、給料も変わらねえってよ!」

 

「なんで…」

 

「なんでってそりゃ、運がいいからだろ!」

 

「…じゃあ、元の人生に戻るだけね」

 

「?」

 

「そう言えば、もう家ってあるの?」

 

「家?家じゃないけど…寺子屋に在宅勤務?って奴〜!」

 

「へ〜」

 

「…え、な、何?ちょっと怖いぞ?」

 

「今さ、選択肢出されたら選べる?」

 

「?おう!」

 

「また昔みたいに私とホームレスするか、今のままでいるか」

 

「え?」

 

「勿論、今のままでも良いけど。数年間一緒に居て、恋愛感情も抱いちゃったから、何するかわかんないよ?」

 

「それは脅しか…?」

 

「ん?違うよ。これはただ私の意見だから」

 

「い、今のままで!」ダッ

 

「…なんで…なんで離れるの…」

 

いかん!いかん!あいつ貧乏神で他人も不幸にできるって言ってたの忘れてた!やべー!どうしよ!と、とにかく教師生活続ければ良いのか!?ど、どうすれば…マジでどうすりゃ良いの!?とりあえず寺子屋に戻るか!

 

寺子屋

 

「クビ」

 

「え」

 

「はぁ…昔の友人と喋るのは良いがな。相手が貧乏神となれば話は別になる。クビだ」

 

「…」

 

Q.これは、貧乏神のせいでしょうか?A.いいえ、なんでも。…つくづく運がないぞ…俺…

 

人里(ホームレスの溜まり場)

 

「はぁ…」

 

「どうだった?」

 

「お前…わかってて聞いてんだろ。クビになっちまったよ…」

 

「貧乏神と仲がいいんじゃ、誰も近寄らないしね♪」

 

「あ、あのなぁ…お前のせいで」

 

「私?違うよ。私と絡んだ貴方のせいだよ?」

 

「こ、こいつ…」

 

「さぁ!また1からホームレスを始めよう!」

 

「あぁ…なんでこうなったんだろうか…」

 

「まあ、十中八九自己責任だね!」

 

はぁ…なんと言うことだ。しかし、俺にはまだ奥の手がある。運命を操ったりすることができる主人と時を止めやがるメイドがいると言う一見チートなバイト先がある!そこに逃げ込めば流石の貧乏神様でも追いつけんだろ…追いつけないよな?

 

「お前すんごい上機嫌だな」

 

「あ、そうそう」

 

「どした」

 

「紅魔館ってバイト先に行けば良いやって考えてる?」

 

「なんでバレた!?」

 

「…チラシ丸見えだよ。良いじゃん。行きなよ。私も追いかけるからさ」

 

「ど、どーすりゃ良いんだこれ…!?」

 

「私はさ、妹にも少し見限られてるような感じの神様だけど…好きな人のためならなんだって頑張るよ?」

 

「な、なんだってっすか…」

 

「そう!だから、不幸爆弾を投げ込んでバイト先を不幸にさせたりできる!」

 

「…参ったなーこりゃ」

 

「絶対に逃さないよ!初めて私と対等に喋ってくれた人なんだもの!」

 

「そしてチョロい…!!」

 

 

 

 




紫苑=貧乏神とバレてるのに始めっから仲良くしてくれた!惚れた!!(ガチ)
主人公=貧乏神ぃ?僕の不運っぷりには敵わんでしょw→び、貧乏神怖い…
今回はフツーの恋愛になっちゃいましたね。
次はもっとイカれた恋愛を紹介するぜ(多分)


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129話

何故こんなにもお気に入りが少ないんですか!
題名が話数で登場人物とか恋の主役が出てこないからですか!!
そうですね!!
というわけで今回は新聞記者だ!
紫ぃ!空中戦の準備をしろぉ!


幻想郷はるか上空

 

「…ねえ、文」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「俺が高所恐怖症なの知ってるよね」

 

「はい♪」

 

…誰か、助けてくれ。俺は確か地上を歩いていて、そしたら急に風が巻き起こって。自慢じゃないけど俺は結構重いはずだ。その俺がすんげー上に行って文に掴まれちったってわけだ。新聞を買ってやっているというのに、恩を知らんのか

 

「あのなぁ、こういうことやって何が」

 

「私の記事になりますね」

 

「…俺の質問を最後まで聞け」

 

「良いですよ。その声をもっと聞かせてください!」

 

「あー…お前を相手にしようとすると頭痛がする…」

 

「それは大変ですね!永遠亭に行きましょう!」

 

「これはお前から離れれば治ると俺の中の議会がそう判決を下したぞ」

 

「?何を言ってるんです?逆に悪化しますよ?」

 

「ごめんお前何言ってんの?」

 

射命丸宅

 

「お前マジであれは勘弁してくれ…」

 

「ならば条件があります!」

 

「お前条件出せる立場じゃねーだろ契約破棄すんぞ」

 

「…良いですよ。では条件1!私と同居」

 

「あのな、うーん…」

 

「その2!私と結婚する!」

 

「えっとな…」

 

「その3!私を愛する!!」

 

「文、あのな」

 

「なんですか?」

 

「あ、いや、その…同居とかってのは嘘だよな?」

 

「…嘘ついてるように聞こえるなら、嘘だと信じて実行すれば良いんじゃないですか?」

 

「文。マジで勘弁してくれ」

 

あんなことを平気でするやつと同居なんか、どうぞ俺に苦労をかけてくださいって言ってるようなもんだ。それだけは撤回する。もう何をしても良いから、迷惑だけはかけないでくれ。そう言うと、文はさっきの条件は変わりませんと堂々と言いやがった。

 

「文…お前なぁ」

 

「本気ですよ。私の新聞を楽しそうに目の前で読んでくれる人ですよ?そりゃあ、できる限り好かれたいですし、出来ることなら貴方の全てを掌握したいんですよ」

 

「い、ぁ、あー…」

 

「ほら、ほら!早く決めてください!貴方の記事は私が独占するんです!その為には大きいニュースを出してもらわないと!」

 

「文、そろそろ本気で」

 

「本気で怒ったところで所詮妖怪と人間ですよ?力の差は歴然です」

 

「…目の前で新聞破くぞ」

 

「良いですよ。新聞なんかよりも貴方の方が大切ですから」

 

「クッソ困ったな…」

 

「勘弁してほしいですか?して欲しくないんですか?」

 

「…しないで良い。もう金輪際関わるな」

 

「無理ですね。契約は続いていますから」

 

「契約破棄!」

 

「契約を破棄する時には600万円を用意していただかないと」

 

「そんなこと言ってねえだろ!?」

 

契約時には絶対言ってないどデカい金額ブッ込まれたぞ!?何!?金額お化け!?…と思っていた。ギャグだと思っていた。少し間を開けてつまんねえギャグだなとか言ってみると、ギャグじゃありませんよって低音で返してくるの、ズルいよ!

 

人里

 

「…いや、ビビった…」

 

「そうですよね」

 

「全くだ。嫌な夢だと…ん?」

 

「夕刊渡しに来ましたよ!」

 

「頼むからもう良いって」

 

「ん〜、好きな人に嫌われるってのも良いですね!」

 

「だから!」

 

「…」

 

「って、なんで急に黙るんだよ…」

 

「とりあえず足は折っておきましょうか」

 

「!?何言ってんだお前!!ちょ、足掴むな!嘘だろ!?な、おい!文!?」

 

「ちゃんとくっつくように折るから大丈夫ですよ。せー…の!」ボギッ

 

「っ〜!!」

 

「気持ちのいい音ですね。さて、私の家に」

 

「誰が行くかよ!おま、お前マジでそろそろ慧音先生が」バギャッ

 

「…私の聞こえるところで私以外の人の名前を出さないでくださいよ…思わず混乱して…もうくっつきませんよ?」

 

「でんめ…」

 

「ああ、永遠亭ですね!」

 

射命丸宅

 

「何すんだよ、おい」

 

「…今から新聞で既成事実を作ります。貴方と私のツーショット写真を撮って、新聞の少しの隙間に貼り付けて、結婚報告をします」

 

「いや、マジでやめなさいって」

 

そうすると本当にもうお母ちゃんお父ちゃんごめんなさいしなきゃならないじゃん。やめてよ、シャッター押すな、せめて悲痛な顔にでもしておくか。こう、ぐしゃっと紙を潰したみたいな顔。天狗界に検閲はないものか。そうすれば結婚報告は弾かれるだろ。

 

「…ちなみにですが」

 

「なんだよもう…まだ驚くニュースがあるのか?」

 

「婚姻届はもう出してますよ」

 

「婚姻届って…妖怪と人間じゃやり方が違うとか聞いたぞ?」

 

「種族で言えばそうなんですよね。でも、私は幻想郷の管理人に直談判をしに行って…手に入れましたよ。権利を!」

 

「管理人さん!一番ダメなやつに一番ダメなのが渡っちゃったよ、どうすんの!?」

 

「貴方のハンコも!」

 

「ま、待てい!」

 

「言っておきますけど、これは人里の歴史として、幻想郷の歴史として保管されるんですよ?破局なんて許されませんから」

 

「あのな、本当に怒るぞ。て言うか、返せよ」

 

「…そうですね…確かに、結婚しているのに別居は辛いですもんね…」

 

「あのな、本当にお前…いや、なんだよ。ちょ、なんで無言で近づいて来んの?」

 

く、来るな!と言っても来やがる!助けて!誰か助けて!…と思っていたところ、急に頭を掴まれた。掴まれた、と言ってもすんごい雑な撫でみたいな、そんな感じ。こっちは縮こまって怯えてんだぞ、この野郎。

 

「このまま同意するまで殴り続けてもいいんですけど、流石に嫌ですよね?」

 

「…お前、それ嘘じゃっ」ドスッ

 

「嘘じゃないです。私は貴方に対して嘘を吐いたことはありませんよ」

 

「うぐ…おぇっ…」

 

「吐いちゃいましたか…ですが!安心してください。私が責任を持って片付けますので!」

 

「ぁ…うぉっ…」

 

「結婚してくれる気になりました?ならなかったら、まあ二度目ですけど」

 

「結婚する、から…横にさせて…」

 

「録音しましたからね。言い逃れできませんからね!」

 

 

 




最終的にはパワー(物理)で屈するタイプが好き。
文…私の新聞を唯一真面目に読んでくれる人ですね!惚れます!
主人公…なんだこの天狗スゲー距離近いな


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130話

都市郊外って幻想郷で言ったら人里郊外になるのかな?
藍様です


 

人里

 

「いやー、すごい。すごいなこのカラクリっぽい奴」

 

「それほどでも」

 

「どうやってこの人形が糸なしで動いてんのか知りてーわー」

 

「そう見える内は無理ですね」

 

「…やっぱ魔法かなんかかー?」

 

「ご自由に…さて、そろそろ終わろうかしらね」

 

とかいうこのお方は幻想郷では割と珍しいと言われている妖怪?魔法使い?である。アリスさんだ。この俺が幻想郷に来て早々助けてと声を上げたら来た人だ。感謝感謝。ただ、それ以上に感謝する相手がいる。なんかよくわからないうちに俺とたまに一緒にいるこの藍って人?だ。

 

「じゃーなー」

 

「じゃ、また」

 

「…藍さんいつまで着いてくるの?」

 

「?別にお前には関係ないだろう?」

 

「そうくるか…」

 

「それに、人里で衣食住を得ているのは私のおかげだぞ?」

 

「そろそろ自立しねーとなー」

 

「無理だな。外の世界で衣食住が当たり前になっているお前にはそんなことをする根性はなかろう」

 

「…よくご存知で」

 

「さて、今日は何が良い?」

 

「何がですか?」

 

「夕飯だ」

 

「じゃあ狐の尻尾で」

 

「よしわかった」

 

「え、良いの?」

 

「お前の片手もらう代わりに尻尾をくれてやる」

 

「…やっぱやめとく」

 

「それが賢明な判断だ」

 

「はー…ほんっと俺って変なやつに絡まれるよなぁ…」

 

「大変そうだな」

 

「大変そうだなって…そのせいで人里に居づらいんですからもー」

 

さて、ここで問題だ。さりげなく藍さんが夕飯を作る流れになっているが、俺はそれを一度も許可したことがない。今まで、ずーっと、気がついたらそこに居り、気がついたら飯が出され、気がついたら家賃と水道料金が払われている、いわゆるヒモになっていた。権力も強いらしいから、逆らったら二度と生きていけないねぇ。

 

「そんなに嫌なら拒んでもいいんだがな?」

 

「拒んだら何するかわからないですもん」

 

「どんな手を使ってでも元に戻すぞ」

 

「こわいこわい」

 

「…今すぐ元に戻してやってもいいんだがな?」

 

「えっちょっと待って?どういうこと?」

 

「なに、意味のない独り言だ。夕飯はカレーだな」

 

「え、元の生活ってさ、今の状態じゃない?」

 

「さあ、どうだろうな?」

 

「ちょ、はぐらかすなよ。気になるんだけど?」

 

「ま…今日の女はもうお前には近づかないと思うがな」

 

「は?アリスさんが、どうしたんだ?」

 

「かなり独り言に対して反応するな…」

 

「いや、ねぇ?あの、どうして??」

 

「全く…さて、さっさと家に帰るぞ」

 

「なあ、なんでそんなやらかし顔?ちょ、俺をどうするつもりだ!?」

 

「?愛する以外に選択肢があるのか?」

 

「あるだろ!?」

 

藍さんに好意を持たれるのはいい。ただ、限度があるはずだ。愛に引力があったらきっと藍さんの愛はブラックホールだろう。引き摺り込まれる以外になにもできないぞ。そんな愛を相手にどうして俺が無事でいられるかって?…気まぐれじゃね?

 

自宅

 

「たっだいまー!」

 

「さて。夕飯を作る前に挨拶をしたい人がいるから少し良いか?」

 

「…良いぞ?」

 

「そうか、すまないな」パチンッ

 

八雲邸

 

「!?」

 

「紫様」

 

「えっ…藍、どうしたの?急に男なんか連れてきて…」

 

「紫様、私の婿です」

 

「婿ォ!?」

 

「相手驚いてるわよ?」

 

「大丈夫です。必ず堕とします」

 

「いや、藍、そういう問題ではないのよ?」

 

「…獲れる時に獲らねば…女が廃るというもので…!!」

 

「藍さん?ねぇ、感謝はしてるけどさ、あの、そういう関係には…」

 

「相手だって少し拒絶してるけど!?と、とりあえずその男はちょっと回収するわよ!?」パチンッ

 

「は?」

 

「えっ?」

 

場面が変わった。藍さんの隣から、紫?さんの手元へ。少し良い匂いがしたが、藍さんと一緒の匂いだと気がつくと少し気が失せた。ところで、これって良い状況なのだろうか?否、絶対悪い状況。どうすんの、これ?

 

「早く返しに行くわよ。外の世界の住民だからって幻想郷では生きていけないなんて」

 

「紫様、返してください」

 

「…ちょ、これって戻った方が」

 

「戻ってずっとおんぶに抱っこ…そんな生活で良いの?」

 

「いや、良いかどうかって聞かれるとちょっと…」

 

「迷うならやめておきなさい。藍、元の家に戻すのよ」

 

「嫌です。私の花婿ですよ?あと少しで楽をさせてあげられるというのに、何故苦労させるのです?」

 

「…か、変わってんなぁ〜?」

 

「とりあえず返すから…あなたの家は?」

 

「え?え、えーと…人里ごぅ」ガチッ

 

「!?」

 

「紫様…返してください。私の花婿なんです。私の隣に居させるのが一番じゃありませんか?」

 

「ダメよ」

 

「紫様、嫉妬はみっともないですよ」

 

「嫉妬はなんか知らんけど、とりあえず離してくれ、痛い」

 

「あ、ごめんなさ」

 

「そこだ!」ガシッ

 

「ぁっ!?」

 

「藍!」

 

「でかしたぞ!さすがは私の花婿だ!私と触れたいがために自ら離れようとするとは!」

 

「ら、藍さん…なんか怖いですよ…?」

 

「怖い?ああ、すまない。さっき取られたと思ってピリピリしたから、それかもしれんな」

 

「藍、貴女が人一人に執着したら橙はどうするの!?」

 

「紫様に上げます」

 

「な、なんですって!?」

 

「私は私の愛する人が手に入ればそれで良いのです。橙は紫様の後継者とかにして紫様が育ててください」

 

な、なんだかよくわからねーが、育児放棄の話をしているのか!?ただ、育児放棄という認識すらなさそうな言い方だぞ藍さん!どうにかして逃げねーと!多分お仕置きの名目でなんかされる!絶対なんかされる!逃げなきゃ!

 

「んっ!ぐっ!」

 

「おーっと、暴れるんじゃないぞ。全く…」

 

「くそッ、日々の鍛錬を憎む!」

 

「そうだな、逃げられたら困るからトレーニングを禁止にすれば良いんだな」

 

「藍…話が通じないレベルだったなんて…」

 

「ら、藍さん…俺が急に居なくなったらどうする?」

 

「そんなことさせるわけがなかろう?まあ仮にできたのなら…命の補償はできるぞ」

 

「命の補償って…」

 

「足がなくなるかもしれないな」

 

あ、だめですこの人、紫さん、助けてください。俺こんな人の花婿とか妖怪の山に敵意丸出しで予告状を出して正面突破するくらい嫌なんですけど??ちょ、ため息吐くな!

 

「紫様を見るな。私を見ろ。聞き分けのない花婿だな」

 

「や、やめて?」

 

「一回目は許すぞ。2回目は…ダメだな。もう我慢できなくなるかもしれん」

 

「助けてー!」

 

 

 

 

 

 




主人公=お世話になったと思ったら、お世話されっぱなしだった…!
藍=お世話?いいえ、意中の人を堕とすテクニックです。
紫=こいつらやべーよ…
おかしいな、もうちょっと深めの愛ができるはずだったのに、浅かったかな。
第一話のアリスさんが私の中で最強すぎる。


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131話

クラウンピースです。
みんなのトラウマらしいですね(原作未経験)



 

地底

 

「あ〜!だるーい!」

 

「Hi!おにーさん!ダルいんだったら狂気でも如何?」

 

「黙れガキ。お前が博麗神社に行ったって聞いたからよ〜、家に入られることも家が燃えることもなくなると思ったのによ〜?」

 

「寂しがってると思って来てやったのに!Boo!Boo!」

 

「やめろ唾が飛ぶ!…お前たまに変に言語使ってくるのもやめろよ」

 

「why?おにーさんの教養がないからじゃないの?」

 

「このガキ…」

 

…いや、抑えろ、俺。よくよく考えるんだ。相手はガキとは言え、妖精とは言え、地獄であの星熊さんからも完全やべー扱いされてる変なTシャツ着てるあいつが部下にするくらいの妖精だ。実力社会の地底で上位にいる妖精だ。勝てるわけがない。

 

「全く!そんなんなら怒っちゃうもんね!」バァァァ

 

「は?」

 

数分後

 

「ぉっ…!」

 

「つまんなーい!」

 

「ゲホッ!…お前マジでやってくれたな…もう地上行ってくれ。迷惑だっつの」

 

「why?何故!?」

 

「言わんとわからんか?」

 

「っ…」

 

「あー、今回ばかりは妖怪でよかった…流石に人間だと死んでたわ…あんな奴と絡んでたら命がいくつ有れば良いのやら…」ヤレヤレ

 

「…お前、結構勇気あるよな」

 

「うわ、星熊さんだ」

 

「明日があることを祈ってる!」

 

「え?」

 

そう言われた夜、すんごいモヤモヤしながら眠りにつく。そういえばいつのまにか居なくなっていたクラウンピースはどうなったんだろうか。はっきり言ってあのクソガキ二度と来ないでくれると良いんだがな。家燃えるし鍵ぶっ壊れるし…思い返したら腹たって来たわ。寝よ

 

翌日

 

「かーっ!良い朝だー!…家が燃えてなけりゃな」

 

「あたいだって役に立とうとしてるんだもん!」

 

「ムキになって家を燃やす奴があるかー!てめーマジで!」

 

「きゃははは!おにーさんもっと慌てろー!」

 

「てめっ!…えーい!ピースさっさと逃げるぞ!」ガシッ

 

「wats!?」

 

外(地底)

 

「ピースお前これで何回目だと思ってんだ!!」

 

「why!?愛ゆえの行動なのに怒られてる!?」

 

「なにが愛だ!お前これ、これが愛なら俺が燃えるわ!」

 

「ハートを燃えつけるほどHOTな恋!」

 

「クソがぁ!」

 

「ピース!」

 

「ご主人っ!?」

 

「もー!何回だめだと言えばわかるの!?」

 

「ご、ごめんなさい…」

 

「ピース!なんで俺の説教は無視するくせにてめーの主人に怒られたら無視できないんだよ!俺が弱いからか!?」

 

「愛だもん!」

 

「それじゃツンデレだバーカ!」

 

なんで、なんで…なんで俺がこんな目に…思えばあいつを地底で見かけてから、ずっと付き纏われてんな…会った時なんかいきなり自己紹介し出して、周りから奇怪な目で見られたし、正体が知れてからはもっと奇怪な目で見られるし…

 

「被害を数えるだけで憂鬱になるわー!」

 

「ピース!!」

 

「もうしません!」

 

翌週

 

「…星熊さん」

 

「おう、なんだ?」

 

「おかしいですね。俺の家を再建するなら元の間取りのままって言ったんですけど」

 

「あー?なに言ってんだ?お前の要望だろ?」

 

「…は?」

 

「とにかく、自分で手出したものにケチつけるんじゃねぇっ」ドンッ

 

「おっだぁっ!?…叩くなよ!結構痛いんだぞ!?」

 

「そうか?」

 

「全く…どうなってんだか。扉の鍵も消えてるし。寝室は何故かダブルベッドだし。外壁は俺が好んだ内側だけ木製って言う造りじゃないし。叩いてみたらわかるけど、コンクリートだし。どうなってんだっての!」

 

「あたいとの新居ができたって聞いたよー!」バンッ

 

「うわっ!?」

 

「Hmmm!あたいの要望どーり!」

 

「犯人お前か!?」

 

「YES!だって、あたいと一緒にいたら楽しいでしょ!?」

 

「楽しくねえよ!疲れるわ!」

 

「wats!?楽しかったら疲れないんじゃ!?」

 

「俺はお前ら子供とは違うんだ…って、どうやって俺のフリして変えたんだよ!」

 

「聞きたいー?それなら仕方がない!あたいの能力であたいをおにーさんに見えるよう細工したんだ!」

 

「おまっ…あのなぁ…」

 

こいつの能力って確か人を狂わせるとかだったろ。鬼に効くのかよ。その上どうやってお前を俺に見立てさせたんだよ。脳の視神経でも弄ったか?怖いな。怖すぎる。俺も逆らうのは程々に…いや、無理だな。逆らわなかったら死だ。

 

「…あのなピース。俺も説教はしたくねえけどさ…」

 

「Boo〜…おにーさんはそんなにあたいのこと嫌い?」

 

「あぁ?好きか嫌いかって言われたら迷惑かけられるから嫌いだな」

 

「Hmm…そこをなんとかするから、どうにかして好きになってくれる?」

 

「あのなピース…だから」

 

「やだ!おにーさんがあたいのものにならないのはやだ!」

 

「駄々をこねるなよガキが…あのなピース。主人に言われるか、ここで説教か、追い出しを食らうか。どれが良い?」

 

「ご主人様!」

 

「なっ…言ったな?連絡するぞ!?電話番号言え!」

 

「○○○-☆☆☆☆-○♪=¥!」

 

「よし!つながった…おい!ピースの主人か!?」

 

『あ〜…ピースの件だけど、私は許可してるから、よろしくねん☆』ガチャッ

 

「…は?」

 

「ねー!おにーさんはあたいのことどうやったら好きになってくれるの!?」

 

「あ、頭痛くなって来た…」

 

「ねー!」

 

「すまん、ピース、ちょっと待ってくれ…」

 

えーと、ピースがもうご主人公認で、俺はどうしても勝てなくて、地上に行けるかって言ったら条約関係で出来なくて。今の博麗の巫女は頼りないって聞くし、幻想郷の管理人は…多分、聞きもしないだろう。じゃあ、どうする?…そう、無理。どうにもできない。

 

「Hmm…やりたくなかったけど、もうこれしかないかな…」スッ

 

「ピース、すまんが俺は…ぁ?」

 

「おにーさんはあたいのことが好きで好きで…狂うほど好きで…」

 

「ぁ…あ…?」

 

「ピースもそれくらい好きだから…一緒だもんね…」

 

「ぁ…ぁあ…!?」

 

 

 

 

 




ピース=おにーさん大好きトラウママシーン
おにーさん=ご主人を抜くの一番嫌われたくない人
狂気エンド、ありだと思います


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132話

やっぱり不老不死はね。自分食わせてなんぼですから。
妹紅先生です。おにぎりじゃないからね?


竹林

 

「いやぁ、助かります…」

 

「何、どうってことない」

 

「いや…どーもいつの間にか来てたみたいで…ここってどこですかね…?」

 

「お前外来人か。こりゃまた大変なことだな…」

 

「えっ?外来人?」

 

なんか知らん言葉が出てきたけど、外国人的なアレか?もしかしてだけど、俺、やばい集落とかにきた?行ったら食い殺される系の集落に来ちゃった?やばい、それは何とかしないとやばい。どうする、どうすれば帰れる!?

 

「…まあ、その、何だ。ゆっくりしていけ。人里で外来人が暮らすのはほとんど無理だって言えるからな」

 

「えっ、帰る方法とかって」

 

「ないことはない!だがまぁ、それも気まぐれみたいなもんだからな」

 

「…まじかぁ…」

 

「そうがっかりするな。ほれ、焼き鳥食うか?」

 

「何故に焼き鳥…」

 

「私がパパッと用意できる肉だからだな」

 

「そ、そーなんですか…え、焼き鳥がいつもあるってこと?」

 

「いや、違う。まあとにかく、生きたいんなら私の仕事手伝ってもらうぞ」

 

「…その仕事ってなんです?」

 

「たけのこ集め」

 

「この広そうな竹林で」

 

「私だって一応道は覚えてる。付き添いで手伝って貰えば良いだけだ」

 

「そうですか…」

 

…と、いうのがもう何年前の話だろう。いや、うん。急に過去を振り返るのは自分らしくない。が、喜んで筍を集めていた自分もらしくない。それは問題ではないのだが、まあ、何といいますかね。恩人だから何も言えないけど…焼き鳥が初めて出てきた日から、ずっと焼き鳥が出続けている。

 

「また今日も焼き鳥ですか」

 

「ん?やっぱ栄養とかも考えたほうがいいか?」

 

「まあ野菜とかも食ってるんで大丈夫だとは思いますけど…」

 

「じゃあ良いな」

 

「焼き鳥以外ないんですか」

 

「ウサギの肉くらいしか」

 

「すいませんやっぱ良いです」

 

「だろ」

 

「妹紅さん鬼畜って言われませんかね」

 

「失礼な。私だって少しはモテる」

 

「本性を見抜けない哀れな男たちよ…」

 

「子供にな」

 

「子供!!」

 

翌日

 

「たけのこ取るのにも慣れてきたな…」

 

「お前が落とし穴に引っ掛からなくなったのも慣れてきたからか?」

 

「慣れるというより配置を覚えたのが正しいかっ」バシャッ

 

「まぁ、そんなのに引っ掛かるような奴じゃこの竹林は危険地域なんだよな」

 

「そー…ですね」

 

「あ、もしかして引っ掛かった?」

 

「いいえ、特に」

 

「…引っ掛かったろ。そろそろてゐの煮込み丼も食いたいかな」

 

「ウサギですか?」

 

「勿論ウサギだ」

 

…妹紅さん、辞退させて頂く。さて、そんなこんなで無事風邪を患った僕だが、妹紅さんが大袈裟に騒ぎ立てるモンなので永遠亭に行ってきた。というより、医者見習い?の人に「風邪ですね、寝てくだい」って言われただけなんだけど。

 

「全く心配性ですね」

 

「し、仕方ないだろ?仕事仲間一人減ると野菜無くなるんだぞ?」

 

「そうなんですか…とりあえず安静にする前に、トイレへぇっ」ダンッ

 

「安静にして、な?」

 

「いや、その前にトイレに行かないと…」

 

「それは私に任せてな。ほら、寝ろ。寝なかったら置き土産の睡眠薬飲ませるぞ」

 

「あーはいはいはい。わかりましたよ。寝ますから」

 

「んー…」

 

「…?寝るからずっとそこにいるのやめてくれません?」

 

「ん〜っ」ズキュゥゥゥン

 

「!?」

 

「ま、これが一番良いわな」

 

「んぐっ‥な、何で口移し???」

 

「良いだろ。気分だ気分」

 

「ビビりますよ…」

 

「人里に薬でも買いに行くから待ってろよ」

 

「順序が逆あと僕ぁ思うんですよれ」

 

「…お前もう呂律が回ってないぞ?」

 

「ぇ?」

 

翌日

 

「…あーっ…眠い…」

 

「お、起きたか」

 

「起きましたよ。さて、今日は…」

 

「朝からハツだ。美味いぞ」

 

「…朝から肉っすか…」

 

「ダメだったか?なら変えるが…」

 

「いや、良いんですよ」

 

「そうか…」

 

さて、妹紅さんの家でハツが出たのは初だ。ハツだけに…って違う。幻想郷のハツはこんなにもでかいのか。鳥自体がでかいのか。どっちか知らんが、かなりでかいハツだった。何というか、この鶏、人くらいデカそうだ。そんなハツを妹紅さんはもう食べたのか、機嫌がいい。機嫌とは裏腹に顔色は悪い。

 

「このハツ大きいですね」

 

「特異変異って奴だろ。まー詳しくはわからんが…」

 

「そうでしたか。さて、お味は…ん?」

 

「ど、どうした?」

 

「なんか、こう…不味い…?」

 

「いや、不味くはないと思うんだが…」

 

「俺の知ってるハツじゃないと思うんですけど」

 

「デカいと味まで変わるのか?でも私の時はそんなに…」

 

「そうですか…風邪の影響ですかねー?」

 

「風邪強すぎんだろ…」

 

「あと妹紅さん顔色悪くないですかね?」

 

「ああ、今朝慧音にも言われたよ」

 

「今朝?」

 

「今13時だぞ」

 

「えっ?」

 

「はー…今日は二人で一緒に寝てるかぁ」

 

「そうしますかね。では、また明日」

 

「いや、昼寝って意味だぞ?あとお前は歯磨きしろ」

 

「クソッ…」

 

全て正論であるために何も言い返せない。クソ、俺が何をしたっていうんだ。いや、まぁ、単純明快なんだけど。まさか寝過ごすとは思わなかった。ただ、妹紅さんの顔色が悪かったのは何でだろうか。もしかして薬買う途中で怪我した?…いや、ないな。あの怪我の治る速さで顔色が悪くなるわけがない。じゃあ何なんだろうかね?

 

その夜

 

「…起きたか…妹紅さんはもう起きてるし…」

 

台所<ジャキッ…ゴンッ…

 

「妹紅さんが料理でもしてんのか…?鶏肉でも切ってんのかね…襖の間から覗いちゃおっと」

 

「…」ブツブツ…

 

「な、なんか聞こえるぞ…」

 

「あの人…に私の…♪」ブツブツ…

 

「な、何言ってんだ…?それに、何を切ってるんだ?」

 

おかしい。どう見ても鶏肉ではない。鳥を捌いているのではない。時代によって違うものなのだろうかと考えていた俺の思考回路を潰してきた。自分だ。自分を捌いてる。自分の腹から物を出して…待てよ。もしかして…いつも食ってた肉って…んな、まさか。妹紅さんなりの夜食だろう。少々マニアックだけど

 

「…おい」

 

「?」

 

「お前、起きてるならそう言えよ」ジロッ

 

「!?」

 

「全く…何でこういうのを見るんだか」ズシーッ(開く音)

 

「え?」

 

「昼間のハツって、なんだかんだ言って美味しかったよな」

 

「え、は、はい…」

 

「そうか。私の心臓、美味かったか…♪」

 

「えっ…心臓?」

 

「おう。私の心臓。美味かったんだよな?」

 

「てことはじゃあ今妹紅さんって」

 

「大変だったんだぞ。自分の手を取るのはきついし、骨ごと取ったら再生に時間がかかるし。心臓はちょっと大胆すぎたかなー?」

 

「な、なんで…」

 

「理由?勿論、外来人のお前が、私のやり方に文句をあまり言わずに付き合ってくれて、対等な人として認識してくれたからさ。要するに好きってことなんだよ」

 

「ぇっ」

 

何、え、妹紅さん怖いよ。口に出そうにも出せない。少しでも近づいてみろ。妹紅さんと触れ合う。そうなった時、僕は何が出来るだろうか?まぁ、何もできないだろう。できたらそれはもう大金星だ。無事元の世界へ帰れたくらい大金星だよ。

 

「なあ、こんなこと言ったら嫌われることは分かってるけどさ」ギュッ

 

「ぇ?」

 

「私からあまり離れないでくれよ?死んでも、骨になっても私のそばに置き続けるからな?」

 

「そ、そうなん、ですね…」

 

「嘘じゃないからな。覚えてろよ?」

 

 

 

 

 




妹紅…私のことを対等な人間として見てくれた!やった!段々と好きになっていく!!よーし私(の一部)を食べさせておこう!
主人公…命の恩人の肉を食べた?え?ん?え???


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133話

聖さんです。
おねショタじゃねえからなぁッッ!!


命蓮寺

 

「あー疲れた…」

 

「お疲れ様です」

 

「クソッタレが…引越し先が空いてないってどう言うことだっての」

 

「まぁまぁ落ち着いてください…」

 

「落ち着けったってあんたが来い来いうるさいから来てんでしょうが!」

 

「あぅっ」

 

「…聖が男連れてきてますね…」

 

「ご主人…それ結構前からだよ?」

 

「え!?」

 

「天下の聖様が、なんで俺みたいなやつの家に来るのかね」

 

「…そ、それは、あれですよ」

 

「あれって、なに?」

 

「無神論者なら仏教側に持ち込めるかと思いまして!」

 

「宗教戦争には巻き込まれたくねえ。御免する」

 

「嗚呼待ってください!!冗談です!冗談ですって!!」

 

…アンタが言うと冗談に聞こえねえんだよ…人に合わせて勧誘方法変えてくるし…俺の友人なんか、あいつ不安を突かれて仏教入りしたとか言ってたぞ。不安を消してくれるのは聖様しかいない!とか。そう言わせるタイプのお前が言うさっきの言葉は絶対冗談じゃねえだろ。

 

「聖サマ、アンタもう少し有力なやつに声をかけろよ。例えば…寺子屋の教師とか」

 

「…いえ!こういうのは将棋と同じです!歩からとっていくのです!!」

 

「俺は歩か…」

 

「ああっ違う!」

 

「あの聖が押されてますね…」

 

「…なんか聖様って呼ばれる時少し表情暗くないかご主人」

 

「へ?」

 

さて、そこで見てるネズミと虎もどうしたもんか。俺以外にも勧誘してるらしいが、何故俺にそんな執着するのか。執着するなら執着しがいのあるものを選びなさいって、お父さんは言ったぞ。聖様はどう言ったら大人しく引き下がってくれるんだ…あ、そうかあれがあったわ。

 

「どうか、どうか仏教に!!」

 

「うるせー!俺は守矢神社に入る!」

 

「…はぁ?」ガシッ

 

「えっ」

 

「あ、すみません…それで、守矢神社に入る、というのは…」

 

「守矢教に入るってことだよ」

 

「…そう…ですか…」

 

「なんかさっきのお前超怖かったぞ…?」

 

「今まですみませんでした…急ぎの用事を思い出しまして…」スタ…スタ…

 

「お、おう…?」

 

「き、きみ…よくもまあやらかすねぇ…」

 

「え?あ、ネズミ?」

 

「ネズミ…wっほん。聖に対してあんな強硬策に出た人は初めて見ましたよ」

 

「そうなんですか…うわっ…急な風が吹くもんですね…」ビュォォォオォ

 

「…ナズーリン…」

 

「御主人…多分、そういうことだろうね…」

 

「え?え?ど、どういうこと!?」

 

「…聖が出発した、という意味ですよ」

 

出発?旅行にでもいくのか?そりゃ急な用事だ。でも、寺の奴ら置いて行ってるからないか…?じゃあどこに出発したんだ??なんでこの二人はわかるんだよ…すげえ怖えな…守矢神社で被害被らないようにしとこ…

 

妖怪の山

 

「ちょ、急になにすんだい!?」

 

「…死んでもらいます」

 

「はぁ!?いくら聖白蓮と言え、それは流石ぎ」スバァンッ

 

戻って人里

 

「…うぅっ…寒い…流石にあんな風が吹いちまったら寒さも飛ぶかと思ったけど…全然違うな…」

 

「なんで私がこの役を…」

 

「聖様から俺を守る役目とか言ってたけど、俺狙われてんの?」

 

「ええばっちり。色々な意味で」

 

「色々な意味で!?」

 

「そのほとんどがやばい意味ですね」

 

「そのほとんどがやばいの!?…ちょっと待って急に怖くなってきた。もしかしてだけどさ、俺が守矢に行くって言ったのは…」

 

「まぁ十中八九聖がやろうとしてますね…ま、もうそろそろ終わりますけど」

 

「そんな簡単に…」

 

「…そろそろ命蓮寺に戻りましょう」

 

「ちょ、戻ったらやばいんじゃない!?」

 

「もうね、感覚でわかるんです。無駄だって」

 

「えっ」

 

命蓮寺

 

「…御主人…」

 

「怖いですもん!!」

 

「俺も怖いですもん!!」

 

「いや…何故ご主人が怖がるのさ…」

 

「だって!最近ストーカーに尾行されてるとか言うんですよ!?」

 

「そうなんですよ!!すごい、本当に隅からずーっと半分だけ顔を出して見てるんですよ!!」

 

「怖いじゃないですか!!」

 

「怖いですもん!!」

 

「はぁ…」

 

そう言って二人揃って駄々をこねる。気を紛らわしたい。俺の言い訳のせいで神様が死ぬなんていっそも考えたくない。なんでこうなったんだよ。誰か教えてくれぇ!…やばい。本当にどうしよう…とか思ってたら聖様が帰ってきた。右手が赤い。なんで。

 

「守矢教には入らなくて済みますね」ポイッ

 

「え…ぁ…」

 

「ひ、聖…?それは、一体…」

 

「え?あ、コソ泥の首です。仏教徒に手を出した罰…とでも言いましょうか」

 

「な、なんで」

 

「なんで?貴方は仏教に入るのですよね?それじゃあ、断る時に一瞬でも脳裏に浮かんだ選択肢は消しておくべきでは?」

 

「ちがう、そうじゃ…」

 

「なにが違うんですか。言ってください。私が貴方を理解しているのにも関わらず、間違えたのは。言ってください」

 

「聖…彼は別に守矢に入る気は」

 

「だから」

 

「ひっ」

 

「一瞬でも浮かんだ選択肢は潰しておくべきです。次はどこですか?博麗神社?それとも神霊廟ですか?まあ全て私が潰すので、安心して仏教に入ってくださいね」

 

まずい、本能が、アレだ。逃げろ的なこと言ってる。でもそれと同時に逃げたらやばいってことも言ってる。目の前にあるのは…多分、祀られてた神様の手。なんだか、まだ温もりがありそうで、とても気味が悪い。断ったら、手を取られるのだろうか。怖い。助けてくれ。

 

「…」

 

「早く言ってください。『仏教に入ります』と、早く」

 

「ぁ…ぅ…入り」

 

「ちゃんとこっちを向いて。目を見て。そうでなければ私は信じきれません」

 

「聖、落ち着いてくだざっ」ゴンッ

 

「…星は邪魔をしないでください」

 

「ぃあっ…聖さ」

 

「聖。それか白蓮と呼びなさい」

 

「…聖…仏教には、入らな」

 

「そうですか」バゴッ

 

翌朝

 

「…昨日の記憶がスッキリないです…」

 

「ああ、ない方がいいよ、御主人…」

 

「ナズーリン?…なにがあったんです…?」

 

 

 

 

 




聖…大好きです!愛してます!!少なくとも一緒のグループにいましょう!!誰かのグループには入らないで下さい!!!…愛してない?…一緒に居たくない?…割りますね
主人公…す、好きじゃな(ここで音は途絶えた)
やりすぎたと思っている。
ただ、私は愛する。


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134話

僕、好きなんですよ。動物とか、魚とか売ってる店の
ちょっと大袈裟な存在感を匂いで表すタイプの動物(又は魚)の餌。
というわけでてゐです。
この場合、変換するのが面倒なんでていって打ったらてゐになりませんかね。
ならんか。


永遠亭

 

「…まーた骨折ったよ…」

 

「うっさっさっ…欲が行き過ぎたウサ」

 

「うるせーこの子ウサギババァが。欲に目が眩んで穴に落ちたわけじゃねえんだ」

 

「ババァ!?」

 

…え、そこに反応するのか。まあ良いや。さっさと退院して、金を稼ぎに行かにゃならん。クソ、入院代で俺の稼いだ金がドンドン消えていく。プラマイで言ったらマイナスだ。人生の収支が-に行くとかいかれてんじゃねえのか。

 

「かー!ほんっと、面倒だ」

 

「ま、私のそばにいれば幸運になれるかもしれないウサ」

 

「なんだその紹介文みたいな言い方は。台本作るの下手か」

 

「まぁ?こっちは商いだし、要らないなら要らないで良いウサ」

 

「…待て」

 

「?」

 

「その幸運、お試しで」

 

「まいどあり〜♪」

 

「…お試しだからな?」

 

「チッ割としっかりしてるウサね」

 

「俺が毎回何も見ずに突っ込む馬鹿だと思ってんのか」

 

「うん」

 

「はぁ!?」

 

「少し声が大きいですよ〜。他の患者さんもいるから静かに…ん?」

 

「やばっ」

 

「んなっ」ゴンッ

 

「…何、やってるんです?」

 

「知るか…詐欺師に集られた…」

 

退院後 帰り道

 

「ウッサッサッ」クスクス

 

「…てめー…俺引き止めるためにやってんのか、これ」

 

「そうじゃないと言ったら嘘になるウサ」

 

やばい、人生初で女に引き止められてたけど、すごい嫌になってきた。しかもこいつ女の格好してるだけらしいし、なんならこいつ外見の年齢と中身の年齢の中間を取ってもババァらしいし。そんな奴は俺のターゲット外。でてけでてけ。

 

「そうかい。じゃ、こっから出してくれたらその引き止めに応じるかもな」

 

「いやウサ。そんなに出たかったら自力で脱出するウサ。ウッサッサッ」

 

「あークソ。高い。とても登れん。5mくらい掘りやがってあの野郎」

 

「私にとっての幸運がそっちにとっての不幸になるかもしれないけど、気をつけてウサ!」

 

「急に語尾が変になっぁ!?」グラッ

 

「…例えば、登ってたら急に壁がぬかるんで落ちる、とかウサ」

 

「テメェ…!やりやがったなこのやろ」

 

「てゐって呼ぶウサ!そうすれば幸運を呼ぶかもしれないウサ〜?」

 

「クソッ…おいてゐ!」

 

「ていっ」ピョンッ

 

「は?って、おま、うっそだろおま」ドジャァッ

 

「…墓穴掘ったウサ」

 

「お前な…どんな幸運起こそうとしてたんだよ…」

 

「きゅ、急に上から癒しが降ってくる幸運とか?」

 

「幸運じゃねえ!」

 

「は?」

 

…え、何今のこわっ。何、怖い。逃げようぜ。逃げるんだぜ。壁を登るんだぜ。幸運で落ちるぜ。無理だぜ。お前の幸運なんだよチートすぎんだろ!と言ってみるが私知らないウサとか言いやがる。耳もいでやろうかとか言ってたら助けられた。竹林の案内人に。

 

「助かりました…」

 

「はぁ…こんな奴が担当とか、お前も大変だな」

 

「はは…」

 

「な!?ひ、否定するウサ!!」

 

「うおっなんだこいつ自ら迷惑かけにきやがって詐欺師が」

 

「ウサァッ⁉︎(小さな悲鳴)」

 

「…ショックで気絶してる…」

 

「どんな心臓してんだこいつ」

 

「…永遠亭まで運んでってやるか。お前も来い。どうせこの深さで落ちたんだし、骨折してるだろ」

 

「偏見で決めてもらって助かる…」

 

永遠亭

 

「嘘でしょ」

 

「やっぱり変えるべきね」

 

「え、あ、いや、ちょ、ちょっとそれは違うんじゃないウサ!?」

 

「てゐは好きな人と離れたくないのね〜♪」

 

「ん、んなぁっ!?」

 

「違うだろ。それは。俺既婚者だし」

 

「この頻度で怪我してて既婚者…おそらく妄言の類いね。気にしないで良いわよ」

 

「見合いだし、嫁の方が収入高えし。まあアレだ。完全にヒモだ俺」

 

「さらに妄言ね。鈴仙、精神病棟に連れて行きなさい」

 

「あ、あはい!」

 

「俺もしかして馬鹿にされてる?してるよな???」

 

「許さないウサ…ウサ…」

 

「てゐを精神病棟に連れて行った方がいいかしら?」

 

おい、俺嘘ついてねーぞ。くそが。これでこの病院に入院するの何回目だと思ってんだ。大体29〜34くらいの回数だぞ。数えたことはねえけど。クソ、どうなってんだよ。精神病棟に連れていくな!おい、周りの奴らはそんな目で見るな!ちょ、待ってくださいよ先生。俺はまだ

 

永遠亭 数少ない精神病棟

 

「これは一人部屋来たぞって、思うやん」

 

「あ、あはは…」

 

「なんで。なんでなん?なんでこいつと一緒?なんで?」

 

「こ、こいつ…じゃなくて、てゐ…」

 

「むっちゃ脆いじゃん!ちょっと、えーと…鈴仙さん!?」

 

「…空いてる部屋がそれしかなかったのよ」ソラシ

 

「テメェ今目を背けたな!!」

 

 夜

 

「ちっくしょう…何がなんやら…」

 

「ウッサッサッ」

 

「なんだお前戻ったのか」

 

「そうウサ。そしてあれから考えたウサ。私のものにすれば良いって」

 

「話遮るけどすまんな。お前それ何言ってんの??大丈夫か…おい、お前なんだその注射器」

 

「…私の血ウサ」

 

「なんだその血液。それで喉を潤して自給自足なんて言うつもりじゃ…おい、待てよ。なんで抑えるんだよ。やめろよ。なあ、頼むよ。幸運のお試し期間まだあるだろ?」

 

「期限切れウサ。次は2週間後ウサ」スッ

 

「てめ…」

 

こいつやりやがったよ…ああ…クソ…家で奥さん待ってるってのに、ほぼ監禁状態な上に他人の血液入れられちまった。クソが。俺はお前と幼馴染でも街角でばったり会った運命の人でもなんでもないだろうが。ましてや友達でもないただのウサギと人間だろうが。畜生が。

 

「これで良し…ウサ」

 

「何が良しだ…てゐお前な…」

 

「既婚者って妄言は聞き流すウサ」

 

「おま、だからそれ妄言じゃなくて」

 

「でもその関係に近い女が一人でもいられては困るウサ」

 

「はぁ?だから、でもも何もなくてだな」

 

「これ以上友好関係を作られても困るウサ」

 

「…だからなんだよ」

 

「鈴仙達には手を出すなって言われてるウサ」

 

「じゃあ出せよ。俺は無実だぞ」

 

「だから血で繋がりを作ったウサ」

 

「…え?」

 

「これで血の繋がりができたウサ。血液検査をしたら…家族認定…どうなるウサね」

 

「お、おい、嘘だろ。ちょ、ちょ待てよ…」

 

「一足先にこの病棟から抜けるウサ。その既婚者妄言を撤回して、出てくるのを待ってるウサ」

 

「おいおい、それは違うだろ。逆だろ。普通逆だって」

 

「家族として待ってるウサ」

 

 

 




てゐ…奥さんがいる?ならば家族だッッ!!
主人公…血を混ぜただけじゃ家族認定貰わんよな?な!?
永林…なります。させます。
いやね…このてゐちゃんはね…想い人と繋がりが欲しいんですよ。そのつながりは1mmでも太くあって欲しいし、頑丈であって欲しいんですね。まあ奥さんがいてもいなくても?縁を切っても切れない家族の繋がりをてゐは取ったわけなんですね。
まあ、言い訳としましてはすんごい最初の構成と全然違うものができちゃった。


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135話

飯綱丸龍です。
新作…ですよね。確か。
この人もまぁアレです。管狐と同じで妄想フルで行くんで、お許しください。


妖怪の山

 

「…はぁー…」

 

「おや?ため息をつくとは、疲れているんですか?」

 

「ああ、射命丸さん。いや、最近羽根が抜けてきてさ。捨てんの面倒だなーって」

 

「換羽期の時期ですしねぇ。まあ、当たり前ですけど私他の人の抜けた羽根とか見たことないんですよね〜」

 

「えっ…盗んで強制的に記事にするとか得意分野じゃないですか」

 

「そっ…そんなわけないじがっ」ゴンッ

 

「私の換羽の時期は新聞のちょっとしたコーナーに載せたくせによく言う」ググッ

 

「あ、あはは…」

 

「ほら、それに近いじゃないすか」

 

「ちょ、ま、飯綱丸様!それについてはもう不問にするって」

 

「…記憶力だけは良いやつだな」

 

「は、ハハ!では!」ビュンッ

 

…射命丸さんって結構怖いもの知らずっていうか、他にやることないのかとか、そんなことを思われるようなことばっか新聞にしてんだよなぁ。そしてそんな部下を問答無用で殴ったこの大天狗様は怖いですね。怖い。

 

「まったく。お前も気を付けろよ?いつ暴露されるか分からないからな」

 

「はぁ…まあ最近付き纏われてるんで普通にバレてますけど」

 

「ふむ…そうか。じゃあ圧力(パワハラ)かけとくか」

 

「なんかすごいやっちゃいけないこと言ってません?」

 

「外の世界なら違法だが妖怪の山では合法だぞ」

 

その精神で生きるのか…さて、俺もそろそろ射命丸さんに貸した2ヶ月分の原稿代返してもらわなきゃな。額は少ないけど1週間で二割ずつ増えていくとしたら…うん、やばい額になってるわ。やっぱやめとこ。三千くらい上乗せで返してもらうか。

 

「お前も意外と腹黒そうな考えをしてないか?」

 

「まさか」

 

昼食

 

「やはりラーメンだな…」

 

「フフ、ラーメンばかりでは栄養が偏りますよ?」パシャッ

 

「うお、射命丸さん。そろそろ返してくださいよ。2ヶ月分の原稿代。三千乗せてきっちりと」

 

「こう言うことに関しては記事にできないのでちょっと…」

 

「おい、自称人気新聞発行者」

 

「…なんでそんな昔のこと覚えてるんですかぁ!」

 

「そりゃお前、将来見栄っ張りが治ってるだろうなって思いましたから」

 

「んな…!」

 

「何をやっているんだお前らは…隣良いか?」

 

「どうぞどうぞ」

 

「そう言うご主人だっていつまで特定の天狗に付き纏っているんですか?」

 

「んなっ…余計なことを言うなお前」バシッ

 

「あだっ」

 

「…ただただ真面目に仕事やってたらこうならねえんだろうなぁ」

 

「なんですなんです!立場が上の者と一緒に食べれるのは良いことなんですよ!」

 

「わかりましたよ…大人しく食べておきます」

 

「それでよろしいのです」

 

絶対よろしくないかと。はぁ…結構面倒なメンツに絡まれてるなぁ、俺。ただ真面目に仕事してたんだけど…してたはずなんだけどな…いつのまにか偉い人と速い人に巻き込まれちゃった。まぢぅち泣きそう。。。さて、借金の話がうやむやになったな?

 

「…ご主人様」ボソッ

 

「なんだ?」

 

「あの…射命丸、消しておいた方が良いかと…」ボソボソ

 

「ん、そうか?」

 

「恋の相手ほど嫌な者はいませんから」ボソボソ

 

「…うーむ…」

 

「特にご主人のように部屋中に意中の人の顔写真貼った部屋が家の中にあるような方の恋の相手は…」ボソボソ

 

「よく知ってるな、お前」

 

「借金があるそうですし、それを返済させてから失踪とか…」ボソボソ

 

「それ良さそうだな」

 

「周りにいる敵の弱みは握っておいて損はないですよ…」ボソボソ

 

「うむ、そうだな」

 

「どうしたんですか飯綱丸様ー?」

 

「中間管理職だから大変なんですよ」

 

「そうだ。お前らみたいな…いや、射命丸のようにしてはいられないからな」

 

「なんで私ですか!?」

 

「…まあ、アレだな。射命丸だけだった。仕事してるのあんまり見たことないの」

 

「アレって!アレって!!事実じゃないですし!」

 

「ここ僕の警備場所だから騒いで地面崩さないでくださいよ。反省文僕が書くんですから」

 

「…ふんっ」

 

「事実だろうに…」

 

「あれ、狐は?」

 

「え?…え?」

 

翌週

 

「よし、射命丸さん。ようやく返してくれたんですから」

 

「…」

 

「?どうしたんですか?」

 

「あ、いえ、その…まあ、はは」

 

「???」

 

「お、ようやく借金返済したのか?」

 

「っ…はい」

 

「借金とかいつまでも残ってたら嫌だしなぁ射命丸?」

 

「そ、うですね…」

 

「…なんか気分悪いんですか?ちょっと様子が」

 

「ぁ、昨日急いで原稿を仕上げたので…」

 

「仕事熱心なのは良いことだな!」

 

「はい…」

 

「…まあ、良いや」

 

いやー、これで今日は全部乗せができるな。こんなことやってるから友達が少なくて金も貯まらないんだろうけど。しっかし様子がおかしかったな。もしかして俺なんか悪い噂流されてる?…いや、ないよな。流石に。そりゃ流石に…

 

「さて、今日は…ラーメン全部乗せ!いやー、これが叶うとは!」

 

「貧乏くさいな」

 

「…隣にさも当然のように座る方もなんだかなって感じですけど」

 

「バカを言うな。そもそもこれはお前が椅子をひとつしか用意しないからだろう」

 

「そもそもここは俺一人で居る場所なんですよ…それなのに椅子を用意しろって」

 

「ダメか?」

 

「…明日くらいからですね。はい」

 

「それで良いんだそれで」

 

「まったく…ずるるっ」

 

「んぐ…」

 

「そういえばなんですけど」

 

「なんだ?」

 

「射命丸さん、どんだけ追い込んでたんですかね?」

 

「どういうことだ?」

 

「いや、反省文書くときに2日くらい徹夜して終わらせたことあるんですけど、あんな感じには…」

 

「人それぞれだろう」

 

「それに今日は来ないし」

 

「…気でも変わったんじゃないのか?」

 

「そう言うもんですかね…」

 

と言って、明日になるとあら不思議。なんか、社名丸さんが見当たらない。試しに結構仲良かった人に聞いてみたら、皆同じように知らないとか言ってたし。なんなんだろうね。神隠しかな?幻想郷で神隠し…なんか窓の中の窓的な何かを感じるな。

 

「今日、射命丸って…」

 

「そういえば見ないな」

 

「昨日の様子が変だったから気になってたんですけど」

 

「さあな…」

 

「大天狗様でもわかりませんか…」

 

「私もそんな有能じゃないさ。部下一人捕らえられないんだからな」

 

「昔なんかあったんですか?」

 

「そんなところだ」

 

「さて、午後も仕事を…ん」

 

「どうした?」

 

「変なメールが届いてますね…なんでしょう、これ」

 

「『XYZ』…なんかの暗号か…?まあ、迷惑メールとか言う奴だろ。消しとけ」

 

「はあ…」

 

「じゃあ、やり残した仕事をやってくる」

 

「やり残した仕事を…頑張ってください」

 

「面倒だよ。突然50kgくらいある肉を押し付けられたんだ。処分しなきゃな…」

 

 




飯綱丸…気付かれないように周りの女を(自主規制)していけば自然と私に好意向かってくるな。いやむしろ今の状態でも絶対好かれてるな。
主人公…最近見かけなくなった人多いな〜、まるで神隠しだぜ
射命丸…被害者。もう後がない。危険なカクテル。
XYZを知らない?まあ、アルファベットで最後の三つを出して、「もう後がない」って表してると思ってください。それかシティーハンター見てください。
なんか、直接手を下さない愛を書こうとしたら自分の愛を隠しすぎている人になった…のか?


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136話

気づいたか?俺はな…恋する女の子だけが好きなんじゃねえ!
その子に本能される男も好きなんだよォ!
三日連続での投稿は偉いと思います。
天弓千亦です。この人も(以下略)
市場あるところに千亦ありとか言われてそう


妖怪の山 市場

 

「おーおー、千亦様は今日も良くない品揃えで」

 

「何よ、開催してる側なのよ。この品揃えでも十分儲けられるのよ」

 

「…毎回次に期待してねとかいうくせに、昨日と同じ品売りやがってよ」

 

「売れないのが悪いのよ」

 

「売れてねえんじゃねーか」

 

全く。今の世の中で埴輪を買う奴なんかいるのかね。いや、埴輪というか、土偶?土偶か?土偶かこれ?…どっちにしろそんなもん買う奴なんかいるのか?新参者の天狗が買うのか?いや、まあそんな長生きしてる天狗なんかいねーけどさ

 

「…売れないもんばっか売っても、赤字だと思うんだがね」

 

「残念、私は信仰があれば良いから」

 

「食の喜びを知って泣き崩れてほしいもんだがね」

 

「んなっ貴様失礼な」

 

「はいはい神様に無礼を働きました」

 

「…私を侮辱したことを謝れ」

 

「えそっち?」

 

「当たり前ね。神様に謝っても私に謝ったことにはならないから」フンッ

 

「はぁ…すいませんした、千亦様」

 

「それでよし!」

 

「何がそれで良しなんだか…」ボソッ

 

「あ、ちなみにこれはもう市場のものだからな」スッ

 

「は!?おま、これ俺の机じゃねーか!」

 

「所有権がなかったから市場がもらってあげたのよ」

 

「んだとコラテメェ!」

 

「市場警察だが?」

 

「これはこいつが悪いだろうが!」

 

「残念ながら神様なので…」

 

「!!!!!!!!!!!!」

 

「フフッ…」

 

「何笑ってんだテメェ!」バギィッ

 

「ふぎゃっ!?」

 

「逮捕!」

 

「んな!?」

 

…全く酷い目にあった。所有権を操るやつに「所有権がなかったから」なんて言われたらお前の能力だったら出来るだろこんちくしょうめって言うに決まってんだろ。家に帰ったらマジで机無くなってるしよぉ!

 

「いや待て、机どころか服が無い!!千亦の奴やりやがったな!」

 

「ま、まあ落ち着いて…」

 

「誰だテメェ!」ゲシィッ

 

「ふだっ!」

 

「…あ、飯綱丸様でしたか。すいません」

 

「あ、いや、構わんよ。家に無断で入った私が悪いんだ。すまないね」

 

「いやどうやって入ったの?」

 

「すべての天狗の家の合鍵を持ってる」

 

「…もうぼくねます」

 

「そうすると良い。子守唄を歌ってやろう」

 

「やめてください…」

 

「…寝たか。千亦のやつにも言っておかねばな… こいつの所有権について

 

「何をですかね…?声が小さくてあまり聞こえなかったんですが」

 

「なんだ寝てなかったのか。乙女の独り言を聞くとは罪深い」

 

二日後

 

…一昨日の飯綱丸様に寝かしつけられてからの記憶がない。一昨日とはいえすげー気になる。人は気絶するとその前の記憶を失うと聞く。それが俺のような天狗にも適応されたと言うわけだろうか。寝ただけのはずなんだがな。それも結構理不尽な眠り方を…

 

「…なんだ、千亦。今日は市場ないんだろ。つかどうやって俺の家に入ったんだよ」

 

「何言ってるのよ。ここ貴方の家じゃないわよ」

 

「なにそれ誘拐?」

 

「あ、そうそう」

 

「誘拐犯かって聞いてんだけど」

 

「貴方の所有権は私が持ってるから。今後ともよろしくね?」ジャラッ

 

「なんだかその謎に長い鎖は。俺の所有権なんて俺が持ってる訳でもないんだぞ。強いて言うなら医者に…」

 

「そんなわけ無いじゃない。私が、貰い受けたのよ。市場の神だもの」

 

「所有権がなかったから?嫌なことばっかして」

 

「なに言ってるの。私の所有物が、私に文句を言うの?」グッ

 

「あ、いや、そう言うわけじゃ」

 

「っ!」グイッ

 

「鎖繋げてろよ…なにやってんだよお前」

 

「あ…じゃあ、こうね」ブンッ

 

「あだっ!?」

 

「あの天狗如きに私の所有物は渡せないの」

 

「あの天狗…飯綱丸様のことか?千亦も嫉妬深くて被害妄想が」

 

「被害妄想じゃない!」

 

「いや、じゃない!じゃないだろ」

 

「違うんだったら一昨日の貴方の家に行って寝かしつけてたのはなんなの?」

 

「俺が聞きたい」

 

「職場の権利を利用してお気に入りの部下の家に入り浸ってるだけ!絶対そう!」

 

絶対そう!の自信はどこから湧いてるんだよ。なんか良くわからんやつだな。飯綱丸様とはなんもない。これが現実だし、特に意味はないと思うんだがな。互いに。昨日か一昨日に、二人でなんか話し合ってるならいざ知らず。もうそんな仲だったのも何ヶ月も前だろ。確か。

 

「あのな千亦。飯綱丸様は」

 

「なに?言っておくけど、私は所有権を手放すつもりはないし、貴方を自由にさせておくこともないわよ」

 

「…そういうのは飯綱丸様に聞いた方が…」

 

「確実よ!あんな天狗が貴方に好意を向けてるの!釣り合わないのに!」

 

「あ、あー…千亦、あのな。飯綱丸様は」

 

「次、あの天狗のこと言ったらお腹傷つくから注意してね」

 

「あの人…いや妖怪か。あの妖怪はな、そんな誰か個人を慕うようなやつじゃ」

 

「あっそ」ブスッ

 

「…は?」

 

「なんで?なんで庇うのよ。私じゃ不満?ねえ、なんでよ」

 

「千亦な、ほら、所有権にこだわりすぎてるだろ?だからな、こだわりすぎるのは良くないっていうか」

 

拝啓飯綱丸様。助けてください。なんでこういう時は来ないんですか。俺が変な眠り方したからですか。職場でそのことを堂々と聞いたからですか。どっちにしろ、飯綱丸様も千亦も変わらん。不法侵入さえしなければな。

 

「飯綱丸様…なんでこういう時に限って…!」

 

「えい」ズッ

 

「うごっ…痛いからやめてくれ」

 

「言ったじゃない。名前を言ったら傷つけるって。そもそも貴方は私の所有物よ?私以外の名前を口にして良いと思ってるの?」

 

「こうなりゃどうしたらいいのか全くわからんな…」

 

「大丈夫か!?」バンッ

 

「…来たのね。貴女に彼の所有権はないのに」

 

「所有権なぞ関係あるか!」

 

「そう。最近まで仲良かったから教えるけど、そこ危ないわよ」

 

「なに?」ゴッ

 

…なんかうちの上司が格好いいこと言ってたのにただの仕掛けでぶっ倒れやがった!は!?

 

「さて、これで邪魔者は居なくなったわ」

 

「千亦、流石にやりすぎだろ。引くわ」

 

「裏切られたのよ?その仕返し。良いじゃない、別に」

 

 




天弓千亦…所有権がすべて。貴方の所有権は私のもの
主人公…上司の友達って変なやつなんだなとか思ってたんです。上司以上に変でしたよ…
飯綱丸…私の部下!私に所有権がある!!
的な。まあ、あれです。変になっちまったな。すまない。
二次創作もあんまり見ないし、どこにあるんでしょうか。


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137話

これはすごいですよ。どれくらいすごいかって言うと、ヤムチャが天下一(以下略)
僕はね。追放されてから救われる物語が好きなんです。
追放された時に「僕こんな能力ありました!」じゃないんですよ。バレねえわけねえだろお前。
って事で博麗霊夢です。


博麗神社

 

「…ぬおっ」

 

「お前も大変だな。こんな神社に追い込まれるとは」

 

「萃香さん…もう博麗神社に来てから1年経ちますよ…」

 

「え?そうだったか?」

 

「はい…」

 

博麗神社に来てから大体…一年半かな?なんか私の親がやらかしたっぽくてそのとばっちりで人里を追い出されて外走り回ってたら…どう言うわけか、変なやつに気に入られ、そこからまた鬼に紹介され、それが元山の四天王とか言う化け物で…おっかなびっくりだ。

 

「と言うより、そもそもここに住まわせたのは萃香さんですし」

 

「ああ、それもそうか」

 

「運が良くて助かったと言えばいいんですかね」

 

「運が良かったらそもそも人里から出てないだろ?」

 

「それもそうですね…」

 

「ちょっと〜、早くしてくれる〜?」

 

「ただいまー」

 

「まあまあ、頑張りたまえ!」

 

「頑張りますよ」

 

「腰揉みなさい」

 

「この服片付けてからで」

 

「今やりなさい。今」

 

「わかりました」グイッ

 

「あ〜…」

 

「硬ッ…」

 

「あうん、思うんですよ」

 

「どうした狛犬」

 

「あの人不遇だなって」

 

「それは、そう」

 

数日後

 

「詰みね」

 

「詰んじまった」

 

「ていうか何よこれ。この…これ」

 

「オセロですか?なんか頭の上に落とされました」

 

「紫ね…」

 

「ゆかり?」

 

「あと、どこに落ちてきたの?教えて」

 

「あ、ここら辺…です」

 

「わかったわ」ゴンッ

 

「だっ!?」

 

「…紫も余計なことしやがって…」

 

「急に何するんですか!」

 

「…何?悪い?」

 

「いや、悪いでしょうよ!

 

「そう。悪かったのなら謝るわ」

 

「な、なんか納得できませんけど…説明書も付いてて助かりましたね」

 

「そうねぇ。あとは強い相手も欲しかったわ」

 

「…もう一回やりましょう」

 

「もう一回?何度やっても同じよ。私が勝っちゃうから」

 

「望むところです」

 

数分後

 

「打つ手なしです」

 

「うっそ負けた…」

 

まあ…あれだしな。ご機嫌取りに行っただけなんだがな。将棋?勝てない。無理。とは言え、これ角を取れば有利なんだな。説明書に書いてあったし。これ外の世界から来たものらしいけど、外の世界にある奴が、どうして頭に。巫女さんの言った通り、ゆかりって人が関係してんのかな。

 

「そろそろ新聞の時間ですので受け取ってまいります」

 

「ああ、もうそんな時間なのね」

 

博麗神社 表

 

「ゆかり…ゆかりねぇ…」

 

「新聞ですよ〜!あやや、今日もあなたですか」

 

「巫女さんはこの新聞が嫌いだそうで」

 

「巫女さんは…ですか」

 

「僕は好きなんだけどね」

 

「…ここ一年くらい、同じこと繰り返してますね」

 

「巫女さんの名前も知らないし。本当に同じことの繰り返ししてんな」

 

「え、知らないんですか!?」

 

「うん」

 

「え、マジですか…聞いておいた方がいいですって。一年一緒なんですよね?」

 

「宴の時もいついかなる時も巫女さん呼びだったし」

 

まあ、確かに。変ではあるか。萃香さんの方は知ってて、同居人の名前は知らないんだしな。と思った時、少し視線を感じた。思わず感じた先を見るが、人はいない。新聞屋に聞いてみても誰もいなかったはずだと。新聞屋と話してる時に感じる視線はなんなのやら。

 

「毎回視線を感じてますねぇ」

 

「最近になってからだし、ストーカーがいる訳でもあるまいし」

 

「私のストーカーですかね?」

 

「…ありえる」

 

「なんと!」

 

「おーい、早くしないと博麗の巫女が怒るぞ〜?」

 

「あ、そうだった…それでは!」

 

「はい!ではまた明日!萃香様も!」

 

「じゃな〜…お前、友好関係は絞れよ?」

 

「え?」

 

「いやあ、モテる男はつらいよねぇ。ほんと」

 

「え、え?」

 

博麗神社 中

 

「天狗との会話が長かったわね」

 

「え?そうですかね…」

 

「ねぇ。あんた、最近少しずつだけどさ、顔が広くなってきたわね」

 

「まあ、博麗神社にも慣れてきましたし」

 

「気に入らない」

 

「は、はぁ…気に入りませんか?」

 

「煽ってるの?」

 

「あ、いえ、そんな決して」

 

「そう。じゃあ今から全員と縁切りなさい」

 

「そ、そんな急に」

 

「切れ」

 

「だ、でもそんな」

 

「切らないっていう訳。良いわ、じゃああの新聞、焼いてくるから」

 

「え?」

 

「好きだって言われてた新聞が焼かれてるところ見たらどう思うかしら」

 

「あ、き、切ります!切ります!」

 

え、何この人!俺知らないよ!?そんな、え!?だって俺、ただ新聞楽しみにしてただけじゃん!萃香さんのあれ!?あれが警告ならもう少し早くから言ってくれませんかね!…いや無理か?どっちでも良い、とりあえず他人は巻き込まないようにしなきゃ。

 

「それで良いのよ」

 

「そ、そうですか」

 

「それじゃ、将棋で遊びましょうか」

 

「わ、わかりました」

 

「あうん、思うんです」

 

「どした狛犬。昨日も同じこと言ってたろ」

 

「霊夢さん、仲良くする方法知らないんじゃないんですか?」

 

「…いや、それはないだろ」

 

「王手」

 

「ん…負けです」

 

「…今日のことで決めたわ」

 

「何をです?」

 

「あんた、二度と博麗神社から出ないで」

 

「え、それやったら俺」

 

「新聞は私が断るから。ともかく神社から出ないで」

 

「こ、困ったな…」

 

「あんたが今日、天狗と楽しく会話してなきゃこうはならなかったのよ。わかる?」

 

「えぇ…?怪我とか、病気とかって」

 

「私が治すし、死ぬような病気だったら看取る」

 

「いや、そんな。萃香さっ!?」タンッ

 

「…良い?あんたは今私と話してんの。なんで私以外の名前が出てくる訳?」

 

…もしかして俺が巫女さんの名前知らないの、知らないのか?というか、同居人的な立ち位置でしょ。萃香さんもあうんちゃんも。あとは…たまに見かける小さい人。というか、なんで将棋の駒投げつけられるんだ?俺、悪いことしてないだろ?

 

「あ、私の名前教えてなかった?」

 

「ぁ、はい…」

 

「そう。私は博麗霊夢。それじゃ、その将棋の駒。私に向けて投げて」

 

「え?」

 

「アンタに投げて当たった場所めがけて私に投げるの」

 

「そんな、出来ませんよみ」

 

「霊夢。良い?ほら、早く」

 

「はぁ…ていっ」ポイッ

 

「ちょっと」

 

「え?だ、ダメでした?」

 

「なんで弱くしてるのよ。強くするのは良いけど、弱くしちゃダメよ」

 

巫女さんがこうなる傾向って、あったのかなぁ。それともなかったのかなぁ。できればあってほしくないかな。でもオセロの時とかもそうなのかな。新聞屋と手を握った時なんか、気まぐれ握手とか言ってたっけ…え、なにそれ怖くね?

 

「ほ、ほれ!」

 

「あっ」タンッ

 

「…大丈夫ですか?」

 

「良いのよ。最初は私がやったんだし」

 

「は、はぁ…」

 

 

 

 




博麗霊夢…誰かに触られた?そう、なら上書きね。
主人公…博麗神社に住まわせてもらってありがとうございます!なんでも言うこと聞きます!(最初に言ってしまった言葉)
射命丸文…今回、好きだと言ってくれた客を失い泣いた
前書きと全然違うこと書いちゃったって思ってるけどいつも通りだった。
…あれぇ?


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138話

霧雨魔理沙です。
主人公は初回のように、下半身が動きません。
特に言うことがねぇ!


魔法の森 霧雨宅

 

「…あのな魔理沙」

 

「ん?どうした?」

 

「俺もさ。嬉しいさ。そりゃ歩けない俺を箒にぶら下げて空を飛ぶ気分を教えてもらったのは嬉しいさ」

 

「まあな。当然だろ」

 

「…でもさ。家に帰っちゃダメか?」

 

「ダメだ。あそこは、お前にとって害しかないからな」

 

「だとしても、急すぎるんだよ」

 

「急?そうでもないだろ。お前のためだ。お前との会話がどこから聞かれてるのかわからないしな」

 

「俺とお前の会話なんか誰が」

 

「余所者が歩けない役立たずと話してるんだ、気になるだろ?」

 

「言い方が悪いねぇ」

 

…これも思いやりっていうのかい。いや、絶対言わねえだろ。いかんだろ。なあ。どう考えてもさ、そうならんだろ。魔理沙に連れられて神社に行ったこともあるし、香霖って人の店に行ったこともある。ただ、ただな。これはないだろお前よ。

 

「魔理沙はさ…思いつきで行動しすぎなんだよ」

 

「思いつき?違うぞ。ちゃんと私なりに考えて行動してる」

 

「…ちゃんと考えているのかなぁ」

 

「考えているとも。失礼だな。香霖から買った外の世界の車椅子、座るか?」

 

「座らせていただきますとも」

 

「現金なやつだな」

 

「仕方ないだろ。俺はこれがないと生きていけない、というより歩けないしな」

 

「さあ!今日はどこ行く?」

 

…こいつの家は行き先じゃないのか、それとも俺の家が行き先じゃないのか。やれやれってもんですわ…やっぱりわかんないもんだな。人の心って。今日はどこに行くのか。今日くらいは寝ても良いだろう。今日くらいは寝て、明日から旅行しよう。そうしよう。

 

「今日は疲れた。寝る」

 

「寝るなよ。私はまだ満足してないんだぜ?」

 

「そこは普通、してないんだぞで締めるべきだ。あのな魔理沙。今日は」

 

「そうだ!今日は夜博麗神社で宴会があるんだよ!」

 

「は?」

 

「行くぞ!」

 

「ま、魔理沙?おい、ちょっと待てよ。なにして」

 

「ほら、夜は冷えるだろ?服を着せてやってんのさ!」

 

「やめ、バカ、この…」

 

「足が動かないから逃げることもできないだろ?そんなお前が人里にいるなんて無理なのぜ」

 

「そう言うもんじゃねえよ…」

 

博麗神社

 

「…ほんっと。俺って不遇」

 

「そう?結構優遇されてるわよ」

 

「巫女様にはそう写りますか?」

 

「少なくとも、人里にいたら誹謗中傷の嵐よ?出来るだけ離れた方がいいに決まってるじゃない」

 

「そう言うもんすかね…」

 

そう言うものと巫女に言われたらなんだかそれでいい気がしてくる。しかし。巫女さんと話をしているだけだと言うのに、ものすごい勢いで睨んでくるのはいかがなものか。俺に対して、離れろと言わんばかりに手払いをしてくる。変なやつだなって隣の半霊半人が見てる。変なやつだな。そう思ってたら近づいてきた。なんだおいそう睨むなよ

 

「…離れろ」

 

「あら、なに?嫉妬してるわけ?」

 

「ほら、お前は私のそばにいろ」

 

「この車椅子ってやつは自分で動けるのか?」

 

「丸い…この部分を回せばな」

 

「わかった。どれ、酒のストッパーでもやってやるかね」

 

「いや、私のそばに居るだけをすればいい」

 

「じゃあ家に帰してくれよなー」

 

「…お前さ、なんで二回もそんなこと言うんだ?私と居るのがそんなに嫌なのか?なぁ」

 

「いや…うん、もういいや」

 

「そんな言い方はないだろ」

 

「わかった、とりあえず今は、ほら、周りの目があるからさ」

 

「ダメだ。今言うんだ」

 

「ああもう…魔理沙と一緒にいるのは良い。ほら、これで勘弁しろ」

 

「ああ。私の望んだ通りの言葉が聞けたしな」

 

「俺の恥を捨てた言葉に対して望んだ通りの言葉かよ」

 

「そりゃ、家に帰してくれなんて言ったからだな」

 

「…どーも、魔理沙と仲良くしてもらってね」

 

「あ、いえいえ」

 

「…ふんっ」バギィッ

 

さて、昨日のあれから記憶がない。確か、半霊半人に声かけたところまでは覚えてんだけど。そっからどうなったのか…酒飲まされたのかな。酒には弱かったはずだし…いや、そもそも飲んだことないけど。どうにかしてくれねえかな

 

翌日の魔理沙宅

 

「まったく…霊夢と話してたところを注意した後の舌の根も乾かないうちに声をかけるなんてな」

 

「そうだったか?…まあ、とりあえず今日ばかりは寝させてくれ」

 

「嫌だ」

 

「なんで嫌なのさ。お前と一緒に布団入ってやろうって言ってんのに」

 

「今すぐ寝よう」

 

「…お前も現金なやつだな」

 

「うるせっ」

 

「さて。どーにしかて俺は布団に飛び込まにゃならんわけだが」

 

「任せろ。私がやってやる」

 

「助かる。そのついでで襲うなよ?」

 

「襲うわけないだろ。感覚はあるんだからさ」

 

「…マジでやめろよ?」

 

「やるわけないって」

 

「そうか」

 

「怒って欲しいのか?」

 

 夕方

 

「…おい、おい起きろ魔理沙」

 

「ん…ぁ…まだ良いだろ…」

 

「そろそろ飯食わねえとだよ」

 

「…だがな、お前は足が動かないんだ。このままでもわたしには問題がないんだ」

 

クソ、こいつほんとめんどい。ずっとこのままだと俺の神経と健康がイカれちまう。なんとか矯正しなければならんな。いやもう矯正もクソもないと思うけど。多分無理だな。頭の考え方が固定されてるんだしな。

 

「ああもう…」

 

「なんだ?何か嫌なことがあるのか?私はお前と一緒に居られるなら飯なんていらないからな」

 

「いや、うーん…まあ、拒否権はないしな」

 

「…そうか。まあ、良いかな」

 

「俺の発言一つずつ採点されんのかこれ…」

 

 

 




魔理沙…ちょっとあの人欲しいなぁ。あ、足が動かないからそれ理由にしよ!
主人公…え、なにこの子…え、本当になにこの子…?
的に。
素晴らしく良いのは、本人は善意でやってると言う感じのやつです。


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139話

レミリア、知らない情報はパチュリーから聞き出してそう。
と言うわけで、その妄想を使ったお話です。
レミリアさん、出番ですよ(ボソッ)


紅魔館

 

「あつっ…どうしてこんなに熱いんですか」

 

「それは貴方が猫舌だからよ…で、貴方はいつ返事をくれるの?」

 

「返事?そうだなー…俺には外見と中身をごちゃ混ぜにしても俺より300歳以上年上な奴は無理だってのはどうすかね」

 

「あら?同じ種族になればそんなものどうでも良くなるわよ。特に、歳の差なんて」

 

「残念だ。価値観が合わん」

 

…さあ。無理だ。俺とお前では釣り合わん。と言った方がいいのだろうか。相手はどう見ても本気…だと思う。これで本気ではなかったらかなり強いぞこの吸血鬼。まったく、普通に参る。俺にロリータコンプレックスはないんだがな。

 

「あら、じゃあ価値観を合わせるわね。で、どう?」

 

「価値観ねぇ…すまんな。俺は…こう、同年代と恋をしたい。と言っても俺はまだ20そこらだが?」

 

「じゃあ咲夜なんてどう?ついでに私も」

 

「じゃあもついでにもいらん。要するに人間が大好きってわけだ」

 

「…人間であることになんの価値もないわよ?妖怪でもトップクラスの力を手に入れたくないの?」

 

「どーせそう言って、下級の吸血鬼は弱すぎて話にならんとか言うんだろ」

 

「意外と鋭いわね」

 

「テメェ仮にも告白して返事待ってんだ嘘つくんじゃねぇ」

 

「嘘じゃなかったら返事を受け取れるかしら?」

 

「そんな奴にはNOで十分!」

 

この吸血鬼は本当に…っ。しかし、吸血鬼が妖怪トップクラスなのか。じゃ、俺は九尾の狐になりたいな…なんて。とにかく、妖怪なんてなりたくないんだがな。日光に当たったら死ぬなんて生物誰だって嫌だろ。え?なりたい?後悔するぞ。お前は吸血鬼の制限の多さをまだ知らない。

 

「であれば私ならよろしいのでしょうか?」

 

「普通の人間って言ってなかったっけ」

 

「時計がなければ」

 

「だってよレミリアさん」

 

「わからないわ!ってわけでパチュリー!」

 

「うおっ!?」

 

「…なにかしら」

 

「人との付き合い方とかない!?」

 

「そんなマイナーな本があると思うの?」

 

「あるわけないだろ。あったら妖怪にやることがないってバレるからな」

 

「あるわよ」

 

「バールはあったかな」

 

「別に私を打ってもいいけど、その代わりバールごと腕を折らないでよ?」

 

「もやしが…服の膨張感で大根風にはなっているが、な」

 

「大根風もやしとでも言いたいのかしら」

 

「…なんで私よりもパチュリーの方と話すのよ」

 

「お、嫉妬は恋の基本とでも恋愛教科書に載ってましたか?」

 

「うるさいわね。私にだって感情くらいあるわよ」

 

「…なんでもいいけど私帰るわね」

 

「俺もそろそろ帰らせていただこうかな」

 

「え?」

 

「明日また来るから教科書見せてくれー。口説きたい相手がいる」

 

「は?」

 

「私も聞きたいので詳しく」スッ

 

「うおっ」

 

さて、冒険の鐘は鳴った。鐘の音と同時に走り出す。紅魔館を、誰よりも早く、誰にもぶつからず、誰にも気付かれずに。あのレミリアって子を退けるために。しかし、人間の俺にとって、出入り口は一つなのだ。正門。それ以外はなぜか地面に着地できる気がしない。つまり正門で待ち構えれば直ぐに捕まえられる。そんなことよりさっきのレミリア、目に光がなかった。手には皿があった。いや、掴みかけと言ったところだろうか。もし、あのまま投げられてたら?音速でこれの頭を切って終了だったな。うん。

 

「やっぱりかよレミリア!」

 

「貴方の考えることなんかお見通しよ。それに、今は夜なのよ?」

 

紅魔館 宿泊部屋

 

「まさかこんな部屋まで用意してあるとはな」

 

「そうねぇ。私としては口説きたい相手の方が気になるわ」

 

「んー?誰だろうなぁ。九尾の狐か…はたまた寺子屋の教員か…」

 

「ミステリーっぽく言うんじゃないのよ。私は、貴方の。本心が聞きたいの」

 

「知るか。嘘だ嘘!」

 

「そう、それは良かったわ」

 

翌日

 

「…おう、お前も夜通しで本を読むんだな」

 

「ええ。読み方の知らない文字はパチュリーに聞けばいいし」

 

「お前それパチュリーに迷惑だと思ってないわけ?」

 

「良いのよ。なぜなら親友だもの」

 

「親友ねぇ」

 

「さて。この本には、『恋愛の基礎は相手を思う気持ちから!』って書かれてるわ」

 

「文字通り、相手のことを思い続けるってわけだな。妄想力が試されるってわけだな」

 

「妖怪向けだから、想うなんて言われてもって感じね」

 

妖怪ってそんなに知識がないのか。浅いと言うべきか、それとも別の何かを表現するべきか。わからんな。わからんからわからんな。どっちにしてもあのレミリアが眉間にシワを寄せている。なんとも人相の悪い。それほどまでに本は退屈なのだろうか。それとも読む機会がないのか。

 

「さて、レミリア。今度こそ俺は帰る。家で寝たいからな」

 

「ダメよ」

 

「…その教科書に帰すのは厳禁とか書かれてたのか?」

 

「まあ、そうね」

 

「さっすが、知識は読んだ本の数だこと」

 

「それよりも、恋は相手に詰め寄ると良いとか書いてあるわよ」ズイッ

 

「近い近い。俺はそんな」

 

「待ちなさい…おかしいわね」

 

「なんだ。今度は、本に相手の服の匂いを嗅ぐとか書いてあったのか?」

 

「この匂い、咲夜ね」

 

「咲夜さんの匂いがするのか?一応香水はつけてないんだが」

 

「…じゃあ、何よ。無意識にその匂いになってたってわけ?私からもプレゼントってわけで」

 

「香水の匂いは無理なんだやめてくれってお前っ」

 

「…さて。これで後は同じ種族になるだけね」

 

「は?」

 

「咲夜の能力って本当に地味なのよ」

 

「地味か?」

 

少なくとも、時間を止めるのは地味ではない気がするのだが。それも確か、その気になればずっと止められるんだろ?本人が胸張って言ってたんだから間違いないと思うんだがな。

 

「咲夜がメモを書き残して行ったのよ。私が例えば360°周囲を見渡せる妖怪なら直ぐに気づいたでしょうけどね」

 

「…で、なんて?」

 

「そうね。『お嬢様と付き合わないのであれば彼は私が』的なことを生意気にも書いているのよ」

 

「はぁ…チッ面倒ごとにしやがる」

 

誰が頼まれて夫婦になるんだ。こいつと。そして、それをしないんだったら時間を止める奴と一緒。無理だ。力関係とか上下関係とか考えても無理だ。対等になれる気がしない。どう足掻いてもだ。どうするべきか…

 

「どうすっかなぁ…」

 

「勿論、わたしたちから逃げることはできないし、仮に紅魔館から出ても何秒逃げれるかしら」

 

「…わかったよ。レミリア、お前とだ」

 

「わかったわ」グサッ

 

「おぅっ」

 

「…貴方の婚約者は私。匂いも私。種族は…私と同じで良いわね」

 

「パチンコじゃねえんだぞこの…っ」

 

「娯楽なら、7が三つ揃ったってところかしら。私にとって、部下に取られたくないのよ」

 

「その顔で…っ!」

 

「さて、吸血も終わったし、速く吸血鬼になってね。フランにも見せたいから」

 

 

 




レミリア…どうしても同じ種族にして付き合いたい。でも、能力は使いたくない。そうだ、咲夜使お。
主人公…二択が最悪すぎる。どうなってんだこれ。
咲夜…好意は本物。
パチュリー…大根風もやし
的な。
これ書いてる途中に誰にでもできる案思いついちゃった。なんか、こう、元に居た人がきついから逃げ回るんだけど、そんな甘ちゃんにとってそれ以上にキツイところを巡ったため元に戻るって言う。元の人もそれを望んでるとか、そんな。
そんな、感じ。


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140話

僕がこれまでに被害者として吊し上げてきた人達
1位主人公
2位 多分 射命丸文
だと思います。
射命丸文です。


人里

 

「新聞と可愛い女の子は如何ですか〜?」

 

「何回目だお前。俺は八百屋だ、新聞はともかく人は売れん」

 

「そう取ってしまいますかね…」

 

「少なくとも。俺にはな…」

 

「には?」

 

「…なんもねえや」

 

「なんと」ズコッ

 

ズコッとか言って頭を思いっきり下げる奴なんか初めて見た。寺子屋に置いてあった漫画では滑ったような描写だった気がする。まあ、漫画の行動なんか再現しようとするだけ無駄だとは思うがな。そしてこの変な迫り方もなんかずっと続いてる気がする。

 

「お前さ、俺が寺子屋出てばっかの時にも同じようなこと言ってたよな」

 

「ええ!覚えていたんですね!?」

 

「いや、それさ。慧音先生にぶっ飛ばされなかったか?」

 

「何度か。痛い目を見たとしても、望みのものを手に入れるのは常識です!」

 

「それは妖怪だけだろうが…お」

 

「おや?何か見つけて…」

 

「あ、あの…」

 

「おお!久しぶりだな!どした?大根か?」

 

「ネギを…」

 

「良いぜ!ほらネギ!」

 

「…ギッ」

 

「そ、それでは」

 

「おやおや!この八百屋の常連客ですか!?」

 

「おま、それやめてやれよ。結構人見知りなんだぞ」

 

「おや?では貴方とは喋り合える関係…と言うわけですか?」

 

「いや、まあな」

 

まあな。俺とあいつは同級生って奴だし。あの時は寺子屋で一番勇敢だったのがこうなるなんてとは思うがな。女で勇敢だったのが人見知りだなんてな。そしてお前、なんか目が怖いぞ。どれくらい怖いかと言うと、獲物を前にしたカラスの威嚇並みに怖い。

 

「いやいや、人見知りでしたら良いのですよ」

 

「そうでしたか…それでは」

 

「いやー、最近来なかったからちょっと気になってたんだよな」

 

「そうですか。私もそろそろ他の場所に新聞を配るので!」

 

「おう、いってらー」

 

1週間後

 

「新聞と妖怪の山への切符は如何でしょう?」

 

「いらん。そんなもん押し付けんな」

 

「えー?そんな、断らなくても〜」

 

「要らん。俺は八百屋だぞ。この店が休んだ時に他の八百屋行くのって結構キツイんだぞ」

 

「…断らなくても良いじゃないですか。ねぇ」

 

「それに、妖怪の山に行けたとして、無事帰って来れるかどうか」

 

「来ませんか?」

 

「話は最後まで」

 

「行きましょうか」

 

「あのな」

 

「そうですか!それは良い!では、さっそく行きましょう!」

 

「だから」

 

「ふんっ」ドスッ

 

「おぐぉっ」

 

「…だから、なんです?行きましょうか」

 

「ぅえ…腹殴りやがって…」

 

「それでは行きましょう!お肉用意してるんですよ!」

 

なんでかなぁ。寺子屋出てからずっと絡まれて、ずっと拒否してるのに。なんでだろうか。一向に諦めない。それどころか、腹に拳を突っ込んできた。殺す気か?いや、殺す気か。どっちにしろ妖怪の山行きだ。誰か助けてくれ。

 

妖怪の山

 

「いやー、快く受け取ってくれて良かったですよ!ほんと!」

 

「お前な…クソが」

 

「どうしたんですか?厠に行きたいんですか?」

 

「違うよ…」

 

「そうでしたか!しかし、来てもらったのに何も出さないと言うわけには…」

 

「お前にそんな配慮があったとはな」

 

「そうだ、私の持ってるお肉を食べましょう!」

 

「妖怪のお前が食う肉なんて人間の肉だろど」

 

「食べましょうね」

 

「人肉は食わ」

 

「食べてください。それでは、持って来ますから」

 

「怖いな…」

 

「怖い?何がです?何が怖いんですか?」

 

「お前、さっき目が」

 

「私の目が怖いんですか?あはは、嫌だなー、そんなこと言われたら傷付いちゃいますよ」

 

「…と言うのは嘘だ、怖くはねえよ」

 

「そうですか。それは良かった」

 

…こっわ!!何!?俺何した!?落ち着け、落ち着くんだ俺!…確か、名前が文だったな。そう。そうだ。さっき、目がジッと俺を見つめていたのは、あれだ。きっと、問い詰めるには相手をジッと見るのが効果的とかそう言うのを知ってただけだ。決して、ほら、なんか、変な意味はないはずだ。多分、多分。

 

「さて、これが私の持ってるお肉です!」ドサッ

 

「…んー、すまん…」

 

「どうしました?」

 

「それって…」

 

「お肉ですよ。状態は酷いですけど」

 

「いや、違う。その、その肉ってさ」

 

「え?やだな。人だと思ってるんですか?永遠亭の培養肉って言うアレですよ」

 

「そうか。そうなのか。それじゃあ、その顔って」

 

「…顔?顔なんてありませんよ?お肉を作るのに、顔が出来上がる訳ないじゃないですか」

 

「それもそうだけど」

 

「もしかして、相当疲れてる状態なのに連れて来ちゃいました?寝ます?」

 

「いや、それは良いんだけどさ。その肉って」

 

「だから」

 

「っ」ビクッ

 

「顔なんてないって言ってるじゃないですか。わかります?」

 

「あ、は…そうだよな」

 

「仮に顔だとして、これが人だとしてもですよ。その人は自ら外に出て死んだってことになるんですよ?」

 

「それも、そうだよな」

 

「さ、焼き肉にしていただきましょうか」

 

「いただきます…」

 

…言えん。とても言える気がしない。どうして。どうして、お前が肉だと言い張ってるバラバラの肉に、あいつが入ってるんだ。ようやくあの日久しぶりに会えたって言うのに。勇敢だったのは子供の時だけで、なんでバラバラになってんだよ…

 

「な、なあ」

 

「なんです?」

 

「い、1週間前久しぶりに会ったあいつさ」

 

「あ?あー、あの人ですね」

 

「実はさ、あの日から行方がわからないって、親御さんが大心配してるんだよ」

 

「そうなんですか?」

 

「俺さ、久しぶりに会った同級生だからさ、気になってよ。お前の新聞に出したりして…ってことはできないか?」

 

「いくら貴方の頼みでも…ですねぇ」

 

「そうだよな、すまん」

 

「それに」

 

「?なんか知ってるのか?」

 

「もう無駄ですよ。どうせ」

 

「だ、よな…まあ、でもさ。ずっとあいつのことが好きでさ」

 

「はぁ…」

 

「それで、何も言えずにこのまま…なんてさ」

 

「無駄だって言ってるんですけど?」

 

「え?」

 

「仮に生きてても気にする必要はありませんよ。貴方はこのまま帰れませんし、貴方の意中の人とも会えませんし」

 

「え、それってどう言う」

 

「ずっとこのまま。私にとってとても喜ばしいことなんですよ」

 

「そ、そんな」

 

「何しても無駄なんですよ。力の差を思い知らせてずっと暮らすのは私としても嫌なんですよ」

 

「…そうか…」

 

 

 

 




射命丸文…好きな人と同じ秘密を持つことって言うのは良いことなんですよ。その秘密の大きさは知りませんが
主人公…何?え、何?八百屋ぞ?俺、八百屋ぞ??
あいつ(途中で出て来た女の人)…私は今、永遠亭にいます。なんだかよくわからない実験で、私が増えるそうです。
的な。
天狗だし、人攫いはしますよ。
食うのかは知りませんけど。


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141話

Twitterでアルコール依存症の人の漫画見て思いつきました。
永林先生です。
もう結果は見えたも同然ですよね。


 

1週間前の永遠亭

 

「…先生」

 

「何かしら?」

 

「お酒、頂けますか?」

 

「ダメよ。依存症だって言ったでしょう?」

 

「いや…もう帰る場所なんてないだろうから、飲んでも変わりませんよ」

 

「そんなこと言わないの。私が良しと言ったら帰れるのよ?」

 

「そりゃそうですけど」

 

「帰りたいでしょ?」

 

「帰る場所はもう誰かの席だと思いますよ」

 

「そんな居酒屋の席じゃないんだから」

 

ども、鈴仙です。えー、なんでしょうか。これ。師匠を呼びに来て、なんか師匠が話し込んでて、これは後にしたほうがいいかなー?って思って聞いてたら…他の患者さんにそんなことしてませんよね師匠。どうしたんですか師匠?

 

「鈴仙」

 

「うわっ…姫様、なんですか?」

 

「うわって酷くない?…今の永林って結構変よね。私の声にも鈴仙の声にも曖昧な返事をするのよ」

 

「曖昧どころか答えませんけど」

 

「それは知らないわ」

 

「でしょうね…」

 

「あら、居たんですか?」

 

「もう鈴仙ってば、永林が恋の病に犯されたとか言ってたのってこれなの〜?」

 

「うぇっ!?いや、姫様!?」

 

「私が恋をする暇なんてあるわけないでしょ…」

 

「し、師匠まで!?」

 

…ん?と言うことはする暇があれば恋をするのか?師匠にも恋愛感情があったんだ…摩訶不思議。それはそれとしてあの患者は確かアルコール依存の人じゃないっけ。師匠、そう言う人嫌いだと思ってたんだけどな〜

 

「さて…」

 

「お、先生。お酒?」

 

「点滴よ。お酒の飲み過ぎで体の水分が足りないから、足してるの」

 

「それじゃあ栄養補水液?とかを使えば」

 

「それを直接入れてるのよ」

 

「ほえ〜」

 

「貴方はどうせ渡されてもちょっとずつしか飲まなさそうだから直接入れてるの」

 

「信頼されてるなぁ」

 

「いい?信頼じゃなくて心配してるの。早く治してくれる?」

 

「…俺ここに来るの何回目だと思います?」

 

「カルテ通りだと今回ので23回目ね」

 

「23!?」

 

「全部アルコール依存症だぞ?分かってんの?」

 

「…こればっかりはもう拘束しなきゃ無理ね」

 

「2‥23…23回もアルコール依存症で…」

 

「アレは流石に私でも無理なのよ」

 

今の永遠亭

 

「…師匠」

 

「何かしら」

 

「最近機嫌がいいですね」

 

「そうかしら?」

 

「はい。4日前くらいはすんごい落ち込んでました」

 

「そうかしら…」

 

「鈴仙、貴女忘れたの?私と一緒にいる時は無条件で機嫌が良くな」

 

「姫様、行儀が悪いです」

 

「…良く…なる…」

 

「姫様…」

 

「いいや、最近のセンセイは機嫌がいいウサ」

 

「どうしたのよてゐ、急にセンセイなんて呼んで」

 

「あれ?センセイって言われるのが嬉しいとばっかり思ってたウサ」

 

「そんなわけないでしょ」

 

「それじゃああの患者が良いウサ?」

 

…てゐ、もうやめなさい。多分、そのうち感のいい兎鍋になるわよ。でも、それはおかしいのよね。だって、患者の退院が一昨日だったから、今機嫌が良いのは少し違う気がするし。そりゃ確かに落ち込んだように機嫌が悪くなった日は疑ったわよ。患者に惚れてるのかなって。

 

「そんなわけないわ。それに、そうだとしても彼、一昨日退院してるじゃない。こじつけにも等しいわ」

 

「鈴仙、ちょっとあの患者の声で言ってみて」

 

「ひ、姫様?」

 

「声色とかあるでしょ?」ヒソヒソ

 

「わかりましたけど…んんっ…『先生』」

 

「っ!?」ビクッグルッ

 

「驚いたと同時に振り向くなんて妙技ね」

 

「気のせいかしら…今の鈴仙?」

 

「あ、ええ、そうですけど師匠」

 

「そう…」

 

「ありゃあ少し怪しいウサ…」

 

「あんたは兎鍋にならないように気をつけるべきね」

 

「えっ?」

 

とは言ったものの、声色ですらすごく反応したのは事実。もしかして本当に…いや、でも師匠だぞ?そんな…いや…うーん…でもあの人みたいなタイプは嫌いだろうし…直接聞きたいけど聞く勇気がないな〜!!もう誰か代理で聞いてくれないかな!

 

翌日

 

「師匠…?」

 

「…あら、どうしたの?」

 

「3日前の患者さんについてなんですけど」

 

「ん?ああ、あの人ね。どうしたの?」

 

「昨日、薬を売りに行った時にあの人の家に行ったんですよ」

 

「それまたどうしてかしら?」

 

「そりゃ、お酒を飲んでるか飲んでないかを確認するためですよ」

 

「そう。それでどうだった?」

 

「あ…そもそも帰ってなかったんですよ」

 

「でしょうね。禁断症状がまだ出てるんですもの」

 

「え?」

 

「ちょっと早めに出してあげたのよ。お酒が欲しそうだったから」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「でも…」グチュッ

 

「でも?」

 

「あの人は禁断症状でそこら辺を転がり回って私の足にしがみついて言ったのよ。お酒をくれって」

 

「はぁ…」

 

「笑っちゃったわ。お酒をくれって暴れるのを自分で抑えながら言う患者なんてそんなに居ないもの」

 

「それで、その患者は…」

 

「打ち込んであげたわ」グチュッグチュッ

 

「もしかして…アルコールですか?」

 

「そうね。まあ、ショック死しちゃったけど」グヂョッ

 

「あの…」

 

「ん?」

 

「今師匠が触ってるそれ、なんですか?死体ですか?」

 

「…これ?」

 

私と話してる間師匠が触ってるもの。師匠は元々話を聞きながら治療をしたり本を読んだりしてるけど、その環境音は結構小さいものだったし、気にならない程度の音だったのに。今やってることはすごいグチョグチョ言って気味が悪い。

 

「これね…彼よ」

 

「っぇ」

 

「私は忠告したのよ。今あるアルコールを入れたら死ぬわよって」

 

「ぇ…」

 

「でもね、それを聞いても『早くくれ』って騒がしかったのよ。ほんと、私には理解できないわ」

 

「ちょ、師匠…」

 

「でもね。私は今理解出来ちゃったのよ。彼は死んでも欲しかったのがお酒だったってだけのことだったのよ」

 

「そー、なん…ですか」

 

「私ね。彼が欲しかったの」

 

「え?」

 

「彼が死んでも欲しかったのよ。笑えるわ。こんな患者を欲しがるなんて。どうかしてるもの。気づいたのがもう少し早ければ彼に居場所を作ってあげれたのかもしれない。なのに、彼を出るよう急かして、外の現実に向かわせて」

 

「師匠、待ってください。なんでそんな」

 

「自ら死なすようなことして。私は気付いたのよ。彼がどうしようもなく好きだって。彼を手に入れるならなんだって構わないのよ。どうしても目を離せなかったのに気が付かなくて、ずっと」

 

「なんで泣いてるんですか師匠」

 

「だから作ることにしたの」

 

「師匠、落ち着いてください。人間を作るって言ったって生殖機能は」

 

「鈴仙、私は彼が欲しいの。彼との子供なんか微塵の価値もないのよ」

 

「し、師匠?」

 

「ようやくいい感じになったのよ。彼を作るために必要なものが全部揃ったから、作り始めたの。流石は私の頭脳ね。1日で出来たわ」

 

そう言って師匠が抱えながら連れてきたのは…患者にそっくりなだけの人。どう言うこと?これはてゐや姫様は知ってる?それに、出来たのならなんで患者の死体を?わからない。なんで、一体どうして?

 

「鈴仙…私はね。これじゃ足りないのよ」

 

「どう言う意味ですか?」

 

「生きてないの。いいえ、仮に生きてても彼ではないでしょうね」

 

「そんな、そんなことって」

 

「完璧な彼を作るのよ。悪いけど永遠亭は今日から少しの間休みね。薬売りは続けて構わないわ」

 

「師匠、それじゃ私たちは」

 

「関係ないわ。私にはもう彼以外いらないもの」

 

 

 




永林…失敗は成功の元!元の体から彼を作って彼自身を手に入れるのよ!
患者…アルコール依存症
鈴仙…後に独学で病院を開く
的な。
長くなっちゃったね。でもね。こう言う、依存体質の人に依存しちゃう話好きよ。
ただ僕は依存体質の人を自分に依存させようとしてるのも好きなのよ。


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142話

ドレミー!!!!!!!!!!!!
って出しましたっけ。
出してませんよね。
はい、ドレミー。


夢の中

 

「おかしい。夢の中だと言うのに、俺の夢じゃない気がしておかしい」

 

「それはおかしいですね」

 

「うおっ」

 

「…あのですね。いいんですよ、別に。夢の中は自由だから何をしてもね」

 

「はあ、そうですか」

 

「ただね。寝る頻度が多いんですよ。現実から逃げたいからって夢の中に逃げ込む人はいますけど、それでもちゃんと起きてるんですよ?」

 

「いやあ、なんだ。現実世界が嫌になって」

 

「それでも多いんです。なんて言っても聞きませんよね」

 

「わかってますね」

 

そう言ったらわかってますじゃないとか言われたけど、とりあえずここは夢の中なんだな。よし。ところで、なんで俺の夢に出てきてんだ?どっかの道端で会ったわけでもないし。まあどうせ夢の管理人とかそこらへんのありきたりなアレだろ

 

「ええその通りです」

 

「えっ!?」

 

「私は夢の管理人。とは言っても獏ですが」

 

「ああそう」

 

「とにかく、長い睡眠は精神を蝕むんですよ。そのまま現実世界に戻れなくなるんですよ?」

 

「おお、そりゃあ良い。そこまで行けば俺も夢の世界の住人ってわけか」

 

「良くないですよ。一生戻れない現実に、貴方は良いな良いなと言い続けるんですから」

 

「へー、そんなことになるんだ」

 

「ええ、まあ貴方のような現実でも何も得られない人が夢の世界に居ても同じな訳ですが」

 

「ひでー言い草だなオイ」

 

「おや、違いますか。それじゃあ家族を置いて逃げ出す卑怯者ですか?」

 

「…やめてくれよそれは」

 

って感じでこの夢の獣と出会ったわけだが。それから時は流れ、職場でも家にいても突然寝てしまい、あの獏と出会うことになるとは、この時も予想していなかった。永遠亭に行ったらナルコレプシーとか言う横文字の病気を疑われた。どこでも寝てしまう病気だとか。

 

永遠亭

 

「先生、俺どうなるんですかね」

 

「さあね。良くわからないわ」

 

「そりゃなんで」

 

「貴方の言った通りだと眠気はないんでしょ?」

 

「まぁ、突然ぶっ倒れて寝ますね」

 

「それなのよ。ナルコレプシーの類だとは思うんだけど、眠気もなく、前後の意識も飛ばずって…かなり珍しい、と言うより始めてみるから、新しい病気かもしれないの」

 

「新しい病気とか、新種の…ってなると結構違ってくるんですか?」

 

「ええ。そうなのよ。そういう人って攻撃性が高くなるんだけど、至って落ち着いてるのよ。気味が悪い」

 

「そんな…」ドンッ

 

「…言ってることに違いはなさそうね。しっかりとした発音だったし直前まで意識もはっきりとしていたし…」

 

夢の中

 

あれ…寝たか…?いや、うん、寝たなこれは…ゆっくり体を起こそう。急ぐ必要はない。どうせ俺がすぐに起き上がっても変わらない。幸い寝たのは病院だ、どっかの病室で寝かされてるだろう。しかし、寝るたびにこいつと会うのはなんだか。現実世界から逃げた先で出会う奴が毎回同じだなんてな。

 

「失礼ですね」

 

「すまんな。俺もあんまり余裕がないんだ」

 

「余裕…ですか。宜しければ貴方の記憶の中から一番美味しいものを用意致しましょうか?」

 

「いや、良い。それより、なんで俺はこんなに寝るんだ。お前と出会うまではなかったのに」

 

「私のせいとでも言いたいんですか?とんだ勘違いですね。医者の言ってるナルコレプシーとやらでは?」

 

「さてね…良くわからん」

 

「そうですか。とにかく、八意永琳の言う通りにしたらどうです?それで治らなかったら私を疑ってみては?」

 

「そうするよ」

 

「まあ、わたしから強制的に起こすこともできますが」

 

「じゃあそうしてくれ」

 

「寝起きが最悪なのと、寝付きが段々と悪くなるんで、しない方がおすすめですよ」

 

「ああ、そうなの。このまま起きるの待つか」

 

「それが一番ですよ」

 

「んじゃあ暇になるな」

 

「まあ、いつ来ようと暇ですが。暇なのも良いですよ。わたしが作っておきますので、いつでもどうぞ」

 

「お、うれしい」

 

…なんかさっき変な丸いのを頭に乗っけた変なTシャツ着た人が見えたんだが、知り合いなのかな。夢の中の住民はこの獏だけではなかったと言うわけか。なんて面倒な…俺はあと何回寝たら夢の世界で住民票手に入れるんだ。せっかく現実で上手くいきそうなのに

 

「へカーティア…ですか」

 

「あら、知ってたの?」

 

「…誰?」

 

「ああ、貴方はもう起きてください」

 

「ここからは二人のお話し♪」

 

「そうっすか」

 

永遠亭

 

「うがーっ!」

 

「あら、起きたの。今は夜中よ。まあもう寝ることね」

 

「そうしますわ」

 

「…あと」

 

「んぇ?」

 

「これは人から聞いたんだけど、夢の世界を操る妖怪がいるらしいわ。そいつに頼んで寝る時間を調節してもらうのも手じゃない?」

 

「…そいつに会ったんですけどねぇ」

 

「あら、会ったの?それじゃあ手っ取り早いじゃない」

 

「要約すると病気だと無理だって」

 

「あら残念」

 

「あとそんなに眠くないですし」

 

「そうねぇ。昼間から寝たんじゃ、眠気も…」

 

「…zzz」

 

「結局寝るのね…」

 

夢の中

 

「ええ。彼の逃げ場はわたしが作ります」

 

「でも、寝過ぎは良くなかったんじゃなかったかしらん?」

 

「ええ、良くないですよ。とても良くない。下手したら眠ったまま起きない、なんてのもあります」

 

「だったら」

 

「だからこそ、良いんですよ」

 

「…」

 

「本当は彼が現実が嫌になって夢に依存してくれればよかったのですが、なに、最近彼の現実も調子が良くて」

 

「それだから許されるの?」

 

「許されるんですよ。人一人くらいなら。わたしも妖怪ですから」

 

「…よ、妖怪さーん、全部聞こえてますよー?」

 

「っ!?」

 

いやそんな『いつの間にッッ!?!?』って感じで反応しないでくださいよ。傷付きます。深い傷を負います。で、なんか俺が夢の中で監禁されかけてるらしいですけど、どうなんですかね。俺が何をやったら罪人みたいに監禁されるんですかね。

 

「…聞かれましたか。まあ良いですよ。どうせバレたんですから隠す必要もありませんし。好都合です」

 

「誘拐の計画を対象にバラしたら問題だと思うんだが?」

 

「良いんです。さて、彼の同意があれば、一生夢の中に居させても良いんですよね」

 

「ええ。同意があればね」

 

「…俺は嫌だぞ」

 

「そんなことを言わずに。美味しいカップケーキ、美味しいお茶、お母さんの作ったカレー、なんでもあるんですよ?」

 

「昔の美味いやつより今の生活してる場所がたまらんのだ」

 

「それも再現できるんですよ。自分が体験した最高が永遠に続くんです」

 

「要らん。美人が3日で慣れるように、最高が何個も続いたら逆にストレスが」

 

「良いと言うまで夢の中で交渉は続きますよ」

 

「脅しか?要らん」

 

「…そうですか。要りませんか」

 

「そう。今の人生も悪くは」

 

「そう…ですか…」グスッ

 

「えっ」

 

「そうでずよね…グズッ余計なお世話でしたよね」

 

「いや、そんなわけじゃ…あーどうすりゃあ…」

 

「夢の住人になったら良いんじゃない?」

 

「それじゃあ元に」

 

「ですよね…やっばり…」エグッ

 

「わ、わかった!良い!良いから」

 

「言いましたね?」

 

「えっ」

 

いやそれ半ば強制的にじゃん。だってさ、泣き落としとか

 

「証人が1人いますし、そうしろと言ったのもその人です。交渉は貴方の良いで終わったんですよ」

 

「と、取消し!!」

 

「出来ません。では一緒に暮らしましょうか」

 

 

 

 




ドレミー…名前を教えていないが、既に知られていると思い込んでいる相手の弱点を突いて相手を落とす獏
主人公…泣きに弱い
へカーティア…変T。実はドレミーに頼まれてやってきたし、ドレミーに頼まれて2人を見守った。
的な。
なんだろう、すごい、依存系とか書けないんだなって思いました。まる。


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143話

まずい。本当にまずい。
なんか、創作意欲がない。
いや、140回くらい出してるしいいか。
というわけでアリスさんです


 

魔法の森 アリス宅

 

「…どなた?」

 

「どなたじゃねえでしょ。俺、わかる?」

 

「冗談よ。ま、それがわからない貴方じゃないでしょうけど」

 

「煽ってんのか。煽ってんだな」

 

「何よ、悪い?」

 

…悪い、悪いぞアリス。俺もかなり図体がデカくなって来たけど、精神は小さいままだからな。わかってんのか。わかってんなら良しだ。わかってなくても良しだ。しかし、ここに来るまでに何回死にかけそうになったか。来るだけで命懸けとはな。

 

「さて、俺がどうしてお前なんかに気に入られたのかね」

 

「たまたまね。たまたまわたしの人形劇を特等席で見る権利を得たのよ」

 

「偶然で俺の人生決められてたまるか」

 

「何よ。じゃあ来なければいいじゃないの」

 

「そうもいかん。なるべく縁は持っておきたい」

 

「縁ね…まあ、貴方が切ろうとしても?私は絶対に切らせないけど」

 

「どういう意味だよそれ…アリス、俺だってな。一応人間だ、魔法の森に入る時くらいなんか加護くれねえかな」

 

「入ってるのは貴方の意志。常時貴方の行動を見張れって言うの?」

 

「おう」

 

「…いやね。男のトイレとか、見たくないもの」

 

「だろうな」

 

できれば布製品とかで貰えないかなーなんて思ったりして。ま、相手がさとり妖怪でもないから都合よく出してくる訳がないんだがな。なんにしろ命懸けで縁を持つのは無理だ。流石にきつい。会いに来るだけで死にかけるとは。

 

「どーせ『布製品とか欲しいな〜』って思ってるんでしょ。お見通しよ」

 

「なんと。それじゃあ」

 

「良いわ。作ってあげる」

 

「よっしゃ!」

 

「なんなら貴方も魔法使いになる?自分で自分に加護をつければ良いから楽よ」

 

「だめだ。そんなことしたら俺が里から追い出される」

 

「どっちにしろ同じよ…私と同じ種族なのはいや?」

 

「お前な…確かお前生粋の魔法使いだろ。食うのは辞めて寝るのも辞めて、でも寿命まではそっくりに出来ん」

 

「あら…容姿には自信があったのだけれど」

 

「人形さんっぽい容姿にか?面白いな。初めて見た時は綺麗なお姉さんって感じだったのに大人になれば人形が人形操ってるように見えてしゃーない」

 

「褒め言葉として受け取っておくわね」

 

「そーしてくれ。そんで、どんな奴を作ってくれるんだ?」

 

「そうねぇ。マフラーにしようかしら」

 

「マフラー?」

 

「良いでしょ。貴方には勿体ないくらいだわ」

 

「それって馬鹿にしてる?」

 

「してるわよ?」

 

「…」

 

人間ではこんな返され方したことはなかったな。まさか、こんなことになるなんて。とは言っても、あれから数時間。マフラー一つ作るのにかなりの時間がいるのは知ってたが…今更ながらマフラーじゃなくてたまにこいつの友達がつけてるネックウォーマーとやらでも良いのでは?

 

「今更注文を変えることなんて出来ないわよ」

 

「なんだ、読まれてんのか」

 

「まぁね…いっ」

 

「どうした?」

 

「…慣れてても怪我するものね…」

 

「絆創膏が要るか?」

 

「魔法で治すわよ。ベホマ」

 

「お前それ色々と大丈夫か?」

 

「血で濡れたけど、元が赤だからそんな気にならないわね」

 

「気になるよ?」

 

「良し…出来た!」

 

「いや、気になるよ??」

 

「さあ、このマフラーの効果を試して。今日はこれを着けて帰ってね。さあ、早く」

 

「おう…お前なんだからせっかちだな」

 

「良いじゃない。私からしても試したいことがあるから」

 

「そうか…明日寄るわ」

 

「明日?私明日人里に行くからその時で良いわよ」

 

「おい、それは早く言えよ」

 

「ごめんなさいね」

 

「はぁ…んじゃあな」バタンッ

 

「…行ったわね。ああ…上手くいってるわね…」

 

人里

 

「なんか、これ着てると人肌に触れてる感じで少し気持ち悪いな…アリスの野郎、なんかしたか?」

 

「そうか。言い訳はそれだけか?」

 

「やべっ」

 

その続きを言わせることなく慧音先生の頭突きが頭にクリーンヒット。俺は20cm地面に沈む。相変わらず手加減のない、子供にやったら即死だと言うのに。とか思ってたら慧音先生が俺のマフラーを指差した。お目が高い。魔法使いが直々に編んだマフラーを指差すとは。

 

「どうしました?」

 

「…それ、どうなってるんだ?」

 

「え?」

 

「あ、いやなんでもない。すまんな」

 

翌日

 

「おいアリス…なんかこれ気持ち悪いぞ」

 

「気持ち悪いですって?何?私のマフラーが?」

 

「おう。なんか、ずっと人に触れられてるような感じでさ」

 

「えぇ…?何よそれ…魔法の副作用的なあれかしら?」

 

「そうかもしれんな…てかそんなのあるんだ」

 

「もしかしたら私が血を垂らしちゃったからかもしれないわね」

 

「やっぱり気にするべきだったよ」

 

「あ、ちょっとこっち来て」

 

「…話はそれで終わりじゃなかったのか?」

 

「良いのよ」

 

「…?」

 

「今朝人里に来た時に私を襲おうとした奴がいてね」

 

「おう、そりゃなんとも不運な」

 

「でしょう?不運極まって全員投げ飛ばしちゃったのよ」

 

「全員ねぇ…全員?」

 

「5人くらいよ。で、マフラーについてだけど」

 

とかなんとか、五つの倒れた人間を後ろに、俺に対してマフラーのことを言って来た。なんだ、血がやっぱり関係あるのか?とか身構えると、斜め上から来た。なんかこのマフラー、アリスと感覚が共有されてるらしい。おい、なんで言った?やめろよ気持ち悪くなるじゃん

 

「…なんで外すのよ」

 

「気持ち悪いからに決まってんだろ。お前もそうだろ」

 

「いいえ?気持ち悪いんじゃないわ。むしろ気分が良くなるの」

 

「ならねえだろ絶対」

 

「体全体で貴方を感じることができるのよ。貴方が付けている限りは。」

 

「…お前がもっと気持ち悪くなって来たわ」

 

「そう?でも、巻きなさいよ。冬の間は。夏になったら、半袖をプレゼントするわ」

 

「それにも?」

 

「勿論よ。2着渡すから使い回してくれると有難いわね」

 

「そう来るか…」

 

「さて、巻いていなさい。巻かなかったら無理やり巻くけど」

 

「おいおい、男5人ぶっ倒したってのは脅しか?」

 

「脅しじゃないわよ。まあ、そうね。そんなに巻くのが嫌で、服も嫌なら…私の家に連れて行くわね」

 

「…巻くよ。はぁ…面倒な友達持っちまったよもう…」

 

「そう?じゃあ、友達じゃなくて恋人になる?」

 

「俺に変な恋人を作らせるつもりか?」

 

「安心なさい。もし仮に恋人にしなくても、貴方に恋人は一生できないから」

 

「…わかったよ、なる。だがな、魔法使いには」

 

「なるのよね。分かってるわ」

 

「お前さ…」

 

 

 

 




アリス…貴方を感じたい♡
主人公…理解ある彼氏って感じの人??
的な。
主人公の器がデカすぎて傷つくことなくエンドを迎えれました。おめでとう!


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144話

諏訪子様です。
元はね。早苗さんだったんだけどね。
気が変わりましてね。
あと今日で音信不通の予定です


守矢神社

 

「いやー、早苗さん。どうも。有難い」

 

「いえいえ、彼氏ですから♪」

 

「立場を悪用してるようで尚更申し訳なくなる」

 

「そうですかー?」

 

…さて、どうするべきか。他人から見れば俺は恐らくいやほぼ間違いなしに『守矢の巫女と付き合っている幸せな男』だろう。しかし違う。なんなら俺は付き合った記憶がない。関わりも少ないはずだ。どっちかっていうと神様の方が関わりも多い気がする。

 

「…早苗、そろそろ帰してやったら?日が暮れて来ちまうよ」

 

「神奈子様、そうですよね。行きましょうか」

 

「おう、了解…」

 

「分かっていると思うがな。諏訪子、抑えろよ?」

 

「何?偶然道に妖怪が出てくるくらい、大したことじゃないでしょ」

 

「やめろよ、マジでやめろよ」

 

人里前

 

「…最近足が痛いな」

 

「おや、最後に奇跡のおねだりですか?」

 

「いいや違う。まあ、寝相が関係して」

 

「それはいけません。早く寝てしまいましょう」

 

「早苗な、話を遮るのは」

 

「それではさようなら!」

 

「あぁ。うん。なんかもういや」

 

翌日 守矢神社

 

「…ちょ、ここら辺妖怪多くね?」

 

「そうですねぇ。こればっかりは巫女の仕事ですしね。しかも弾幕を使わない妖怪だなんて」バギュゥン

 

「…お前やっぱ怖えわ」

 

早苗さんは出て来た妖怪を奇跡的に出てきた光(なんかよくわからんが当たると痛いらしい)で妖怪を消し炭にして行った。痛いってレベルじゃないと思うんだが。まぁ、死ぬほどキツいってことなんだろ。多分ね。さて、この危険兵器からどうやって逃げ切ろうか

 

守矢神社

 

「そういえば早苗と付き合ってるのに見せないのは失礼だと思うんだが」

 

「…どーも。諏訪子、よろしく」

 

「おう、よろしく」

 

「触れましたね」

 

「え?」

 

「あ、いやなんでもないんですよ」

 

「んで、この諏訪子って人は…神様なんですかね?」

 

「お、なんで分かった?」

 

「そうであれば都合が悪いから」

 

「言うほど都合が悪いか?」

 

「まあ…」

 

「早苗、そろそろ妖怪退治行かなくて良いの?」

 

「あ、もうそんな時間ですか。行きますかね」

 

「さて、俺はいつも通りここでお茶でもね」

 

「…諏訪子、何もしてない…よな?」

 

「いいや?してないけど」

 

「お茶はなるべく熱々で飲むのが良いのよ〜暇な時ほど〜」

 

「君、結構音痴だな」

 

「よく言われますねぇ。で、諏訪子さん」

 

「何?」

 

「えーと…茶、要る?」

 

「要らない。そんなことより…」

 

そんなことより?お茶がそんなことよりだと?テメェ、ざけんじゃねえぞ。いや、でも外の世界から来たんだろ。ってことは外の世界ではお茶は不味いのか?それともお茶以上に美味しい飲み物があってそれの方が好きなのか?なんてことだ…

 

「なんでもない」

 

「気になりますな」

 

「早苗のやつはまだ帰らんのか?」

 

「さっき出発したばかりですし、それに行きの時結構妖怪出ましたからね」

 

「諏訪子」

 

「分かってる」

 

「?」

 

この数時間後、早苗さんが死んだと言う情報が入った。やったー!これで俺は解放される!!良し!!そう思っていた。解放されない。なんでだ?

 

「…ちょ、なんでっすか。神奈子さん、ちょっと外してくれます?」

 

「いや、まあ私も反対はしたんだがな。この神社で一番偉い奴がな…」

 

「神奈子、何も言わないで」

 

「おや…これは、諏訪子さんか」

 

「いや、なに。まあ…うん。説明をするとな」

 

「私の口からするから良い」

 

「そうか…」

 

「え、で、どう言うこと?」

 

「早苗はね。私が殺したような物なの」

 

「巫女さん殺しちゃったらダメでしょ」

 

「また作れば良い。それに、早苗が邪魔だったし。私と早苗は血の繋がりがあるんだけど、そんな繋がりなんて神様の前には無意味なんだ。どう思う?早苗に拉致られて、死んだ後は血の繋がりがある神様に捕まえられるって。どんな気持ち?」

 

「血が繋がってたら好みも同じなのか?」

 

「同じになるっぽいね。子供の頃に無理矢理にでも神奈子の血を入れておくべきだったかなって」

 

「で、どうやって早苗さん殺したんだ?」

 

「質問が多いね。でも、私だって神様だし。祟れちゃうんだな」

 

そんな軽いノリで唯一の親族殺すなよ…いや、待てよ。さっき言ってたことの中に…また作れば良いとか言ってなかったか?こわっ、だとしたら怖すぎる。この女、多分早苗と違うタイプでやばい。例えそこにいる神奈子さんでも容赦なく切り捨てるだろうな。

 

「実の親族なんだろ、そんな祟りをノリでやるなよ」

 

「ずっと躊躇してたんだよ。これでも我慢した方。私は君に一目惚れした。でも、私が君に想いを伝える前に早苗が邪魔をした。だから祟った。早苗が君に好意を抱いてると相談した時からずっと悩んでた。だからノリじゃないよ?」

 

「あーあー分かった。とにかく悩んだ」

 

「何?わかった風に言うの?ねえ、君はさ。早苗なんかと違って、私の大切な人なんだよ。出来れば祟りたくないな」

 

「脅しか?」

 

「脅しじゃないよ。五体満足からどこまで減るのかは知らないし」

 

「脅しじゃねーか…」

 

「神奈子」

 

「はいはい」ガチャッ

 

「…これって」

 

「手錠。君が逃げないようにね。まあ逃げたらもっと酷い目に遭うけど、頑張ってね」

 

「逃げらんねーよこんなの…」

 

…はぁ。神様の相手は面倒臭い。いや、面倒だと思っていたらいつか祟られるか。とにかく祟られないように動かなければならないな。どうにかして。神奈子さんは…無理だな。諏訪子と喧嘩するかは知らないが、まるっきり異論なしな顔だ。

 

「良いよね。じゃあ、ご飯。お昼ご飯まだでしょ?ほら、あーん」

 

「やめろよ、自分で」

 

「…そう。じゃあ」

 

「ぁった!」

 

「…なんて?」

 

「ほら、神奈子さんが居るだろ。恥ずかしくてさ」

 

「なーんだ。てっきり断ったのかと思っちゃった。あと少しで不幸が降り注ぐところだったね」

 

あっぶね…ただのバーサーカーじゃんこれ…

 

「それじゃ、神奈子」

 

「わかってるよ。済ませたら皿はいつもの場所にな」

 

「分かってるよ〜」

 

「…はぁ、恥ずかしいったらありゃしない…」

 

 

 




諏訪子…親族だろうがなんだろうが私の恋路を邪魔しないで!ちなみに守矢神社での序列なら二番目くらい。一番は早苗(だった)。三番は神奈子。
主人公…緩い拉致から解放されたと思ったら、今度は監禁されていた…!!
早苗…あれ…もしかして私…死ぬ…?
的な。
これで音信不通になれるぜ!じゃあまた次回な!


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145話

145話です。
え?音信不通?
大丈夫大丈夫、実質音信不通だから。
吉弔八千慧さんです。組長に愛されるとか大変だな…


 

地上

 

「さて、今日も1日頑張るぞい!」

 

「あ、失礼」

 

「…誰?」

 

誰だ、こいつ。落ち着け。誰だこいつ。いや、落ち着くんだ。誰だこいつは放っておくんだ。今日は農作物を育てるんだ。そうだ、そうと決まれば鍬を持ってさぁ畑に行こう。んでこいつ誰。慧音先生に言っとくか。

 

「ああ、お仕事ですか?」

 

「…」

 

「無視ですか。まあぶっちゃけ正しいですけど…後のことを考えなければ」

 

「?」

 

「無口キャラですか?さっき喋ってましたよね」

 

「…」

 

「答えませんか…失礼、そういえば自己紹介がまだでしたね。私は吉弔八千慧、畜生界にある組の組長です。まあ、不意打ちしか脳のない集団と言われたらそれまでな組ですがね…」

 

「組長って」

 

「おや、答えてくださいましたか。ええ。組長ですとも。まあ、畜生界と言ってもわからないでしょうが…告げ口しないでくださいよ。私は構いませんが、弾幕ごっこなどする気にはなれませんし」

 

「え…組長って…まっ誰ぁ」ガヂッ

 

「舌の根も乾かぬうちに大声を出さないでください。ここに来るのも苦労したんですから…良いですか。貴方を殺すか殺さないかは私次第ですよ。意味がわからない人ではありませんよね。それでは」

 

「ぁ…何の用が」

 

「貴方を畜生界へ連れて行くんですよ」

 

「それってつまり」

 

「まあ、二度と戻れないことを覚悟してくださいね。持っていきたいものはありますか?」

 

なんだよこいつ…いや、それよりも前に、俺のこと知ってんのか?なんだよこいつ、怖えよ。なんとかして逃げねえと。いくら強くても鍬をブッ刺せば怯むだろ、多分。そうと決まれば鍬を手に持つんだ。覚悟を決めろ、俺。

 

「っ!」バギッ

 

「…言いましたよね」

 

「えっ」

 

「こんなので怯むと思いますか?まあ、これは言ってない私が悪いかもしれませんね。妖怪なんて言ってませんし」

 

「え、あ…」

 

「逆らう気力をなくしても良いんですがね。それでは貴方本人の良さと言うものが消えてしまうかもしれません…だから脅してたんですよ」

 

「クソッ、どうすりゃ、畜生っ」

 

「そう暴れないでください…私の組に案内しますよ。私の婿に来てもらいますから…」

 

「来んな、来ないでくれ、ちょっ」

 

「さあ、来てもらいますよ。貴方を背負って歩きたいのですが、生憎私の背中はそう言うのに適さないので…ね」ガシッ

 

「痛っだ!」

 

「っすみません!力が強すぎましたかね?…でもわかりましたよね。これで」

 

何がわかりましただよねだ…手握られただけで息切れ起こしてんだぞこっちは。緊張のせいかもしれないけどさ。畜生界とか、組長だとか、組だとか言われてもわからんし、なんで俺がそう言うのに遭うんだよ。おかしいだろ

 

鬼傑組

 

「ちなみにですが、この組では人間霊のことなどただの道具としか思っています。生身の人間が来たところで違いはありませんし、人間霊はヒエラルキーで言えば一番下です。私のそばを離れるといつ死ぬことになるかわかりませんよ?」

 

「脅しですか…」

 

「脅しではありません。忠告です。死にたいのでしたら構いませんが…あんな感じになりますね」

 

「?」

 

霊長園

 

「うわっ何この埴輪っだぁっ!?」

 

「従え!」バシィッ

 

鬼傑組

 

「…ね?」

 

「あの家には」

 

「帰しませんよ。ええ。帰れませんとも。もし帰ろうとしたら…二度と自由はないと肝に銘じてくださいね」

 

「そんな、なんでこんな急に」

 

「貴方が魅力的すぎるのがいけませんね。まあ…他にあるとすれば、他に取られるのが嫌なんですよ。敵対組織に取られる、人間に取られる…それならばいっそ私の側に置いて看取ろうと」

 

「…えー…なんでそんな…」

 

「私は嫉妬深いと言うわけです。四大組織の内の一つには入りますが、統率のない組もありますから。それに殺されたら残った三つの組で根絶やしにするくらいには嫉妬深いですよ」

 

「それは弔い合戦ですね…」

 

と言うわけで、俺はもう帰れず。帰ろうとしたらヒエラルキー最下位が歩くなんて襲われても良い的な解釈で死ぬ。人間霊がいる場所に逃げ込めても奴隷。他の組織に行ったら餌か奴隷。今のここが一番安全な場所と。

 

「…さて、愛し合いましょうか」

 

「っえ?」

 

「え?じゃありませんよ。私の婿として迎えたんですから。さあ、早く。それともここでするのは恥ずかしいですか?」

 

「そう言うのじゃなくて、えっと、その」

 

「…まさかとは思いますが…私と愛し合うのが嫌、と言うことですか?」

 

「こ、こう言うのには少し、段階を踏む的な…」

 

「ああ、そんなのに憧れていたんですか。まあ、どうでも良いですね」ガシッ

 

「えっ」

 

「良いですか。畜生界は弱肉強食。貴方のようななんの力もない人間が、愛されているからと希望を言っても通らないんですよ。私は貴方の我儘を二回ほど我慢してますから」

 

「やめてください、ほんと、お願いしますから」

 

「お願いします…ですか。残念でしたね。地上では通じるのかもしれませんが、畜生界ではお願いなど詐欺師の言葉です。騙されるわけがないでしょう」

 

「嘘じゃありません、本当です。信じてください」

 

どうしてこうなってんだ。くそっ。壁に押し付けられてどうすりゃ良いんだ。蹴りを入れるか?いや、無理か。蹴ったらこのまま手首を潰されかねん。いや、潰すのではなく折るのかもしれん。今度こそ殺されるかもしれん、怖い。無理だ

 

「貴方なら信じますよ。正直者なのはいつも見てましたから」

 

「えっ」

 

「さて…舌を噛みちぎっても良いですが、何しろ人間に対する治療法など誰も心得ていません」

 

「あ…だったら」

 

「ですが、こう貴方に詰め寄るたびに何か言われては気の持ちようがありません。そうですねぇ。私を恐れて忠誠を誓っても良いですし、恐怖と悦びの入り混じった頭で求められても良いですしね…思い浮かぶだけでもう気持ちが昂りますねぇ」

 

「そんな」

 

「ああ、もう喋らなくて良いですよ。喋らせる余裕がなくなるのでね」

 

 

 

 

 

 




吉弔八千慧…愛とやべーが混じり合う人
主人公…この後逆らう気力がかなり減った
他の組長…最近鬼傑組の組長が身を固めたと聞いて血の気が引いた


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146話

パルスィさんです。
いやー、うん。
なんて言いますかね。
一年くらい前の自分が怖い


地底

 

「やっほ」

 

「あら、久しぶりね」

 

「久しぶりって言ったってそんな…だってねぇ」

 

「3年も間が空けば久しぶりよ」

 

「…そう?」

 

「ええ。時間感覚が悠長で妬ましいわ」

 

「他人の粗探し得意そうで何より」

 

さて、この嫉妬の女神様ことパルスィさんだが。勇儀さんと出会うたびにたまには会えよと言われる。言われる原因は分からないが、とにかく会っている。さっき言われたように3年空くこともある。一番長くて8年だったかな

 

「まったく、本当に妬ましいわ」

 

「そんな妬ましいことではないだろうに。飯食う?」

 

「そうね…お団子もらおうかしら」

 

「団子ね。団子…ほれ」ポンッ

 

「お団子…これおはぎじゃない?」

 

「同じだ」モグ

 

「おはぎとお団子を一緒にするだなんて、妬ましい。そんな感じに生きたいものね」

 

「お前生きてるのか?」

 

「馬鹿にしてるの?妬ましい」

 

「これ俺貶されてるのかな…貶されてるんだったら悲し」

 

「悲しいの?感情が豊かで妬ま」

 

「お前そこまで妬ましく思ったらかなり終わってるからな。頭撫でてやろうか?」

 

「ストレスで妬んでるって思ってるの?そんな考えができる頭が妬ましいわ」

 

「…やっぱダメだ、帰る」

 

「は?」

 

やっぱり俺は無理だ!こんな、こんな妬みの女王と会話するなんて、鬱陶しい上に妬ましいとか言われるのクッソ嫌な俺には無理だ!!畜生、何が会えよだ勇儀さん!無理だ、俺は帰る!とか思いつつ全力で走り、家に着いた。疲れた…

 

「ただいま…」

 

「あら、遅かったわね。妬ましい」

 

「なんでお前いるんだよ???」

 

「先に帰ったからね。そんなことも考えられないのかしら。ね」

 

「そうじゃなくて、なんでお前俺の家知ってんのかって」

 

「嫉妬の力よ。全く妬ましい」

 

「ついに何に嫉妬してんのか分からなくなってきたぞ。さては勇儀さんに聞いたか?」

 

「私があんな奴の力を借りるわけないでしょ」

 

「それもそうか」

 

「…ところで、ご飯食べないの?」

 

「いや、食うわけ」

 

「食べないの。そう。じゃあ」ガシッ

 

「ほへー、汁作ってたのか。尾行してきたわけじゃ」ビジァッ

 

「どうせ、私みたいな奴が作ったご飯なんて食べないんでしょうね。単純で妬ましい」

 

「変な誤解をするな…不法侵入者の作る飯なんか食うわけねえだろ」

 

「…あら、私の家はここよ?」

 

「は?」

 

「私をその気にさせたのは貴方だもの。妬ましいわ」

 

何言ってんだこの女。うん、何言ってんだこの女。さて、落ち着け。地底にもマナー、モラルはある。常識もある。俺はそのマナーとモラルと常識は心得てるはずだ。つまり、この状況は非常識で、マナーもクソもなくて、モラルなんてカケラも無さそうな、そんな感じの、アレなんだな。うん。

 

「あ、あのな。パルスィ。俺には訳が」

 

「それに、地底でも貴重な印鑑を机の上に置いておくなんて、用心のない。そんな用心のなさで生きてこれて、妬ましいわ」グッ

 

「ちょ、それ俺の印鑑」

 

「そう、貴方の印鑑。でももう要らないわ」

 

「何言ってんだお前…パルスィ、それはな、一応契約結ぶ時とかに使うんで、結構大事なんだよ。だから」

 

「大事なのよね。だから先に変えておいたのよ。特注品…私に作らせるなんて、妬ましいわね」

 

「…はぁ?特注品?お前、そんな貢ぐタイプの女だったか?」

 

「何言ってるの。水橋の印鑑を見つけて、貴方のために作って貰ったのよ。そんなこともわからないなんて、妬ましい」

 

「いや、だから本当に何言ってんだよ…」

 

「貴方の姓は今日から水橋。全く。妬ましいわね」

 

「ってことはそれって」

 

「良い?私たちは今日から夫婦。妬ましいわ」

 

「いや、でも俺さ。気になってる女は一応」

 

「…私と結婚できるのに、もう浮気するの?妬ましいわね」ゲシッ

 

「いだっ!」

 

「力でさえ、私より下なのに。何?何が不満なの?言ってみなさいよ」ガシッ

 

待てよ、なんで俺こうなってんだよ。くそが、どうなってんだよ。俺も妖怪だけど、痛覚はあるし、痛みは感じるし、体は脆いんだ。だから地底でずーっとレジ打ちやってんのに。ずっと逃げてきたんだぞ。今回も逃げなきゃどうなるか

 

「逃げないで。こんな状況でも逃げようだなんて、妬ましいわ」ゴギッ

 

「いづっ!」

 

「でしょうね。地底で一番脆いって言っても過言ではないくらい弱いもの」

 

「骨、骨が…っ」

 

「骨なんかよりも私の質問に答えなさい。まったく、私以外に意識を向けるだなんて妬ましい」

 

「妬ましいの限度超えてるだろうが、そう言うところだよ、何でもかんでも妬んでくるのが」

 

「それを直すのは無理ね。そうなるとその女をどうにかしなきゃダメねぇ…」

 

「は、待て、それは、ちょっと」

 

「嫌よねぇ。巻き込みで迷惑をかけるのは嫌よねぇ。それじゃあどうするべきかしら?」

 

「…わかった、俺はお前と夫婦だ。苗字も水橋だ、これで」

 

「私に妥協案を出させるなんて妬ましい。まぁ、私にとっては妥協案じゃないから良いのだけれど」

 

なんだよ、なんだよこいつ。クソが、力さえあれば良いって訳じゃないんだぞ。おい。妖怪だからって、そんな便利なものじゃないんだよ。次会った時勇儀さんに何か言ってやる。突っかかってやる。会わなきゃ良かったこんな奴。

 

「あ、そうね。これを忘れてたわね」ガチャンッ

 

「え?」

 

「足を拘束させなきゃ、逃げちゃうものね」

 

「お前、嘘だろ、仕事は」

 

「今日から無しね。それじゃあ、勇儀のところに挨拶行きましょうか」

 

 

 

 




水橋パルスィ…ツンデレのツンがでかいタイプ。
水橋さん…妬ましい。
勇儀さん…恋のキューピット(無自覚)
的な。
うん。すごい変な方向に行った気がする。でも僕こう言うの好き!!


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147話

頭悪いからを言い訳にする男
VS
お節介仙人、華扇
世紀の対決が、今始まる━━!


博麗神社

 

「貴方は何故いつもそうなのですか…いつ見てもお酒を口にしているではありませんか!」

 

「仕方ない…博麗の巫女に酒にならしとけって」

 

「お酒は慣れるものではありません!」

 

「そう言う華扇だってお酒強いじゃない」

 

「お酒の強さは慣れではありません!!」

 

…仕方ねーだろ、博麗神社に馬鹿が来たって特に何もないんだからさ。参拝客も訪ねる奴も少ないから結構寂しいけどさ、日当たりは良いのよね。気持ちがいいし。つーか、仙人様の説教は難しいんだよな。頭抱えるから聞き流してるけどね。

 

「お酒は自分の肝臓を痛めるだけでなんの利益も生みません!貴方のような人間であればなおさら」

 

「はーい、お酒はほどほどにしまーす、せんせー」

 

「馬鹿にしているのですか!」

 

「してないでーす、被害妄想でーす」

 

「何言っても無駄よ。そもそも説教を入れる頭がないんだから」

 

「ぐっ…」

 

「その通りでーす、先生。えーと…あの…あそこも見放した馬鹿ですから」

 

「あそこ?あそことは?」

 

「寺子屋じゃない?」

 

「…多分それだ」

 

「寺子屋の名前すら覚えられないのですか…」

 

「覚えても点と点が結べないもの」

 

さっきから巫女さんが入れる箱がないとか言ってくるが、それは勘違いだ。1ヶ月も同じ人間と過ごせば、そいつの名前か、あだ名くらいは覚える。ただ、この仙人様は1週間に一回来るか来ないかくらいだから、覚えられないんだな。

 

「私の名前は?」

 

「知らん」

 

「んふっ…即答ね。笑えちゃうわ」

 

「じゃあ博麗の巫女の本名は!?」

 

「えーと…確か、んー…れ…い〜」

 

「何故そっちは出てくるんですか…」

 

「待って、まだれいしか出てないんだけど?」

 

「むだ!れいむ!違うか?」

 

「正解よ!さっすが、私の同居人ね」

 

「…名前を覚えられてもいないなんて…これではダメですね。私の名前は華扇です。覚えてくださいね?」

 

「明日には忘れてるかもな」

 

「…霊夢」

 

「そんな『結構親密だと思ってた友人に名前も覚えられてなかった』的な顔で見られても…」

 

「彼をお借りしても?」

 

「すまん俺無理だな。生活環境が急に変わると適応出来ずに死ぬ」

 

「アンタは人里から逃げてきて生きてんでしょうが」

 

「言ってることが無茶苦茶ですね…」

 

「え、悪い?」

 

「悪いと思ってないから悪い」

 

「なんてことだ…」

 

「まさか名前まで覚えられていないなんて…そんな…」

 

「今日を除いて自己紹介一回しただけでしょうが。そんなんで覚えられる訳ないじゃない」

 

「霊夢は?」

 

「1ヶ月」

 

「先が思いやられますね」

 

博麗の巫女様は1ヶ月掛かったらしい。何が1ヶ月掛かったんだろうか。やはり、氷の妖精に勝つことだろうか。前、絡まれたがあいつにはビビった。寒くて身動きが取れない。死ぬかと思った。あんなことをされてしまったらもうダメだしな。

 

1ヶ月後

 

「私が誰だかわかりますか?」

 

「華扇」

 

「いよっし!」

 

「華扇、アンタはこんな事してていいの?」

 

「彼の記憶力の向上も仙人としての」

 

「嘘つき」

 

「うぐっ」

 

「私はあそこまで馬鹿じゃないわよ。嘘くらいわかる」

 

「巫女さん、お茶」

 

「ありがと。何しようが勝手だけどね、迷惑なことはしないでよ。面倒だから」

 

「霊夢…」

 

「?」

 

「純真無垢な人間にお茶を淹れさせていたのですか…」

 

「あっ」

 

「博麗の巫女としての自覚と!彼に対する申し訳なさを持ちなさい!」

 

「良いじゃないの、あいつが役に立ちたいからってやること聞いて来たんだから!」

 

「人の善意に漬け込み、その人を善意を悪用して良い理由にはなりません!」

 

「悪用!?」

 

「華扇さんも、お茶」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「…ほら」

 

「人の善意を無碍にしてはいけません」

 

「同じことやってんのよ、わかってる?」

 

「…いや、これとそれは別で」

 

「勢いが無くなったわね」

 

「ぐっ」

 

なんだかよくわからんが、言い合ってる。華扇と…えーと…巫女さん…だっけ?力のない細い俺にとってあの2人は化け物と言っても差し支えないので、言い合いにも参加したくないが。まあそんなこと言っても多分参加する権利はないけどね。

 

その夜

 

「どうした華扇、泊まるのか?」

 

「ええそうですよ。これで今日帰ったら忘れられてた、なんてことを起こさないように」

 

「…それ意味あるかな」

 

「ありますとも!!」

 

「ああそう…」

 

「華扇〜」

 

「!?」

 

「不純異性交遊はいけないんじゃなかったのかしら?付き合ってもない男女が同じ部屋で寝るだなんて〜って前言ってたじゃない?」

 

「わ…悪い…?」

 

「開き直るな、華扇。…巫女さんが困ってる」

 

「…退散!」ボフンッ

 

「あっ!…クソッ」

 

「何今の」

 

「華扇が反論できなくなったとき、たまに使う奴よ。煙幕だから煙ったいのよ…ぁあ!?」ゴンッ

 

「痛え…」

 

「痛っ…」

 

翌日 妖怪の山

 

「…なんだ…ここ…」

 

「私の屋敷です」

 

「華扇、か。お前の屋敷か…変な形だな」

 

「失礼ですね。まあ、それも良いですが。貴方には一つ信用して、信頼してもらうために言っておくことがあります」

 

「どんなことだ?」

 

「霊夢の件もあるのですが…実はですね、私、鬼なんです」

 

「ああ、そう」

 

「…分かってはいましたが、こうまであっけない返事ですかね」

 

今そんなことよりも大変なことに気がついたからな。右手の指がない。右手の指全てがない。左手の指はある、足も、足の指も10本揃ってる。ただただ右の5本指が全部ない。包帯で巻かれてるし痛みもないから大丈夫なのか?

 

「華扇、俺の指」

 

「ああ、それですね」スッ

 

「華扇、俺ははっきりと言ってくれないとわからないんだが」

 

「この汁が貴方の指です。いえ、貴方の指で作った汁なのだから、そういう意味では多分違いますね。美味しかったですよ」

 

「あ、んー…華扇、俺は冗談がわからないんだが」

 

「言ったでしょう。私は鬼です。とは言っても、今の私は鬼ではありませんが。まあ、今やってる行為は…こうやって、貴方の指で出汁を作って、飲んでいるだけですが」ゴクッ

 

「華扇?」

 

「とても美味しいんですよ。貴方からしたら気持ちが悪いでしょう。でも、それ以上に私は貴方のことが好きです。それにたとえ、貴方が私に向ける感情が気持ち悪いとか怒りだとか、そんなマイナスの感情でも私は喜んで受け入れます。貴方の他人に向ける感情の量が50Lあったとして、その1mlでも私は欲しい。一番怖いのは貴方が私に対して何の関心も寄せないことなんですよ。名前を覚えられず、『ただのうるさい人』止まりでは私に関心を寄せているとは言えません。だから名前を覚えてもらいたい。ですが、覚えられたら次はどうすれば良いでしょうか。忘れられないように毎日会いに行っても良いのですが、それでは少し物足りないんです。毎日の朝から毎日の夜まで。寝る間際までを貴方と共にいたい。ですが博麗神社に泊まったままでは霊夢に迷惑がかかります。霊夢に迷惑をかけず、貴方のその頭にいつでも私がいる。そんな状況にするにはどうするべきか。貴方に名前を覚えられていないことを知った時から1ヶ月、ずっとそれを考えていました。私の屋敷に、私と貴方の2人だけの部屋を作り、誰も入らず、ずっと貴方からの感情を受け取る。名案ですね。貴方もそう思いませんか?」

 

「待て、華扇」

 

「理解できない、と言った顔ですね。昨晩、貴方は霊夢の名前を言うことなく、巫女さんと呼ぼうとしただけで少し詰まりましたね。これは貴方が霊夢の名前どころか肩書きすらも忘れていると言うことです。違いますか?違うのであれば今ここで博麗の巫女の名前を言ってください。無理に言う必要はありませんよ。どうせ直ぐに忘れるんですから。さて、ここまでは別にいいのです。貴方がどう思おうがそれは私に対する感情。それだけで私は嬉しいのですから。では、貴方が何故理解できないのか。と言うことについて考えましょうか。そうですねぇ。私が鬼だと分かった時の僅かな動揺と、自分の指で汁を作られ、それを目の前で飲まれ、その人物の口から貴方の指の汁は美味しい、貴方のことが好きだ、と言われたからに違いないでしょう。大丈夫です。混乱することは必然、むしろ混乱しない方がおかしい場面ですから。まあ、ここで私を拒絶しても、受け入れても、どちらにしろ辿る道は同じです。深く考える必要もありません。まあ、貴方にそんな知恵はありませんが。貴方の小さな頭で考え、知恵から捻り出した考えを直接聞きたいものです。ですが貴方は自分の考えを出すことを躊躇う。今まで訪問した1ヶ月の間に、それはしっかりと感じ取れました。残念です。貴方にお茶を淹れさせることは出来ず、考えも聞けないだなんて。でも、大丈夫ですよ。目は口ほどに物を言う、とまでは行きませんが。私は顔を見れば大体の感情は見当が付きます。今の貴方は驚いて頭に余裕がありませんね。ゆっくりと自分の感情を出してください。いくらでも。時間はいくらでもありますから。元人間の貴方には少々耐え難いかもしれませんが、大丈夫です。私が支えになりますよ」

 

「おい、華扇、やめろ、それを飲むな、華扇」

 

「まあ、先ほど言ったように…とは言っても覚えていないかもしれませんが、貴方の感情なら私は何であれ嬉しいんですよ。私に向けられた感情なら。貴方が痛みに悶える感情でも、泣きながら嫌だ嫌だと言ったり、そこから動けず厠に行けず…なんてのも、想像するだけで心が躍りますよ」

 

「怖いぞ華扇。俺は人間じゃないのか?」

 

「覚えていたのですね。嬉しいです。ええ、貴方は妖怪となりました。私も妖怪です。指もその気になれば再生しますが、貴方のように元人間が妖怪になったとして、再生の加減が分からずに醜い指を再生してしまう、なんてこともあるのです。少しずつ、身体を妖怪に慣らしていきましょう。ゆっくり。私に憎しみの感情を向けるのも、愛の感情を向けるのも、何もかも、今はまだ一つのことで精一杯な貴方に余裕ができてからです。良いですね?」

 

 

 

 

 

 

 

 




華扇…好きな人の指、好きな人の顔、好きな人の(中略)、全てが大好き!!
馬鹿(主人公)…馬鹿というより考える頭がなく、記憶の容量は人の名前が2個入るかなくらい。
的な。
後半の仙人のお喋り2回で1500文字くらい伸びました。
長い、長い。


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148話

前回は行きすぎた。反省している。
反省点を踏まえて藍さんで行く。



人里

 

「藍さんも物好きですねぇ」

 

「…そうか?」

 

「物好きと言うよりも…見下すのが好きなんですかね」

 

「そんなことはない。しかし、聞いた時は驚いたぞ」

 

聞いた時は…まあ、そうだろうね。うん。俺、異変が起きたって言う情報を聞いて息詰まらせて変な呼吸になって、赤い霧?が出てきて、それでまた息が変になって…あの異変で俺だけが死にかけましたとも。ええ。

 

「まあ、お恥ずかしながら」

 

「異変の原因は博麗の巫女が弾幕ごっこという新しい物で鎮圧したらしいが」

 

「あ〜、ありましたね。なんか、人が妖怪と渡り合うための」

 

「まあ、そんなものがあってもお前は負けそうだがな」

 

「いや…うん、そうですけどね。ひどいなもう」

 

「すまんな。まあ、アレだ。心配なんだな」

 

「心配と貶すは違いますよ」

 

「だから心配だと言っているだろう」

 

「…あ、後医者が言うには今回の息のせいで肺の活動がおかしくなったそうです」

 

「そうか。全く、今回の異変は風邪くらいの物だと私は聞いてたんだがな」

 

「最悪のタイミングに異変が発生しちゃいましたんでね、仕方ないです」

 

「それで、肺がおかしくなった時はどうするんだ?」

 

「なるべく息を吐く方に集中してやれ、とか言われてますね」

 

相変わらず医学の面ではあまり発展しない。もっとも、異変の影響や妖怪に襲われてできた傷などは感染症とかを考慮して、もう殺すしかないらしいが。いや、なに。医者に見放されなくて良かった。運が良くて助かったと言うべきか。

 

「医者も適当だが…感染症を考えれば妥当か」

 

「迂闊に手術もできませんし」

 

「さて」

 

「りんごですか?」

 

「いや、薬だ」

 

「薬?藍さんは花粉症ですか?」

 

「いや、違うぞ。今回の異変では妖怪は何の影響もなくてな」

 

「良いなー妖怪、病気とは無縁そうで」

 

「良いと思うだろ?ここに、妖怪になる薬がある」

 

「胡散臭いですよ藍さん」

 

「っ…なにを言う、この私が嘘をつくと思うか?」

 

「いや、思いませんけど」

 

「そうだろう?まあ、嘘なわけだが」

 

「嘘なんじゃないですか。藍さんを疑わずにいた僕を返してください」

 

「無理だな。ちょっとこっち向け」

 

「はい、なんでっ!?」

 

「そう動くな。やり辛いだろう?」

 

「藍さん、一応聞きますよ…これってなにを」

 

「口移しだ。薬のな。私自身、正体を隠しているとはいえ妖怪だからな」

 

「へ、へー…妖怪…通りでこんなに力が…」

 

その薬と妖怪がどう関係してくるのだろうか。力のない自分が藍さんから逃げるためにはどうすれば良いのか。逃げた後、どうすれば藍さんに捕まえられずに済むだろうか。藍さんの顔が近い。近いということは、得体の知れない薬を飲むことになるのが近いと言うことだ。回避せねば。

 

「ぐっ!あっ!」

 

「…暴れるな。骨を折っても良いんだぞ?」

 

「ぃっ!?」

 

「んろっ…フフ、甘いな。知っているか?キスの味が甘ければ、体の相性が良いらしいぞ?」

 

「らしいぞって…こっちはいきなりのキスでなにも…」

 

「じゃあもう一回するか?」

 

「いや、それは良い…かな」

 

「まあ、お前に飲ませた薬はただの風邪薬だ」

 

「良かった…妖怪にならずに」

 

「まあ、風邪薬が効かないのだったら本格的に妖怪にするだけだからな。この場合、お前は半妖になるな。私の血を使って半妖にしたらお前は私の子供になるのか疑問ではあるが、やって損はないだろう?」

 

「藍さん、俺は子供じゃ」

 

「まあ、な。しかし、全く肺の発作が起こらないな」

 

「1日目から起こったら嫌ですよ」

 

「そう言うものか?」

 

「そう言うものです。さて、寝ましょう。気がついたらもう夜です。藍さんは帰らなくても?」

 

「ん?ああ、良いんだ。今日は弱いお前が弱ってる姿を見れてとても嬉しいんだからな」

 

「だからなって…」

 

そういえば藍さんの苗字知らねえな。でも、藍さんから呼び方を変えるわけじゃないから特に違いはないのかな。今の頃は布団に寝転がってるだけだし、やることが無さすぎる。動き始めるのは1日様子を見てからと医者にも言われている。面倒な医者だ。

 

「…まあ、お前は今日中にだもんな」

 

「?何がですか。早く寝ますから、少し」

 

「安心しろ。私は静かにしている。」

 

翌朝

 

「…藍さん、これは一体」

 

「成功だな。狐の尻尾が一本。一本かぁ…私と共通点ができて嬉しいだろう?」

 

「いや、何で妖怪に」

 

「昨日飲ませた薬はな、私の血が混ざってたんだ」

 

「でも、混ざってても飲むだけじゃ」

 

「その辺は、霊力とかのお前が体感できない力で解決だ」

 

「そんな馬鹿な」

 

「とりあえず、妖怪になったお前はもう人里に居られないな。私の家に招待しよう」

 

「や、やめてください藍さん。俺が行ったら」

 

「来るんだ。尻尾をちぎって耳ももぎ取って暮らしたいのか?」

 

「っ…やめ…」

 

思わぬ脅しに目を瞑る。怖い、いや、怖いと言うよりも、すぐに実行する人…妖怪?だと思わせるのがすごい。これが嘘なら、俺は何を信じれば良いのかがわからなくなるほどの気迫だった。手を動かしてすらいないのに、怖くなってしまう。

 

「やめてほしいのか?じゃあ、私の主人の家に行こう。紫様にも紹介しておかなくてはな」

 

「紫さま?」

 

「まあ、式神と言ってもわからないだろうが…」

 

「藍さん、そういえば俺の印鑑とかも全部持ってるの?」

 

「…いや、妖怪として生きるんだ。それは必要ないだろう?」

 

「それもそうですね」

 

「ちなみに、私はお前のことを婿として見ているぞ?」

 

「藍さん、何でそんなことしたんですか?」

 

「いや、何だ。まあ。信頼して印鑑の場所なども教えてくれるお前が可愛く思えてな」

 

「そんな…」

 

「警戒心が薄いお前が悪いんだ。良いだろう?異変の首謀者は私が一人で倒しておくさ。お前が大好きだからやるんだ。見返りはなくて良い。一緒に暮らすだけで良いんだ。本当に」

 

「ま、待って、意味が」

 

「お前のためなら何だってする。私の寝ぼけた写真も、私が一人で貴方に抱きついてる写真でも、なんでも喜んで何だってしますよ」

 

「じゃあ、妖怪の薬も」

 

「お前からの要求も寿命に比例して減っていく。ならば、その時点で老化を遅めれば良い。名案だろ?」

 

「何で、俺がこんな」

 

「言っただろう?無警戒は可愛いんだ」

 

 

 

 

 




藍さん…不用心な!あっ可愛い、保護!!
主人公…気弱で病弱とか言う属性
的な。
眠かったから誤字脱字ひどいかもしれん


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149話

やる気がないというだけで動かない男に対し、距離を取らないタイプの小町がとった行動は━━


地獄

 

「…ひーふーみーっと。銭は頂いたぜ小町」

 

「死神に対して金を返せとは生意気言うねぇ本当」

 

「さて、また今日から耐久の時間だ」

 

「…あんたさ、それ楽しい?」

 

「楽しいかと言われて楽しいと言う奴に見えるか?」

 

「それもそうか。」

 

小町から金を返してもらったら後はこのまま次を待つだけだ。いや、待つだけだ、というのはおかしい言い方だな。何故なら、待つ間も無く小町は銭をくれと言うからだ。借りた銭は1.5倍と言うのだから、賭博でもしているんだろう。クビになるぞお前

 

「さて、私はそろそろ」

 

「ん?お前一人称あたいじゃなかったか?」

 

「何言ってんだ、私の方が多いよ。上司がアレだから」

 

「上司が、とは誰のことですか?」

 

「ひぃあっ!?」

 

「ほら見たことか。噂をすると寄るんだ。光に群がる蛾みたいなもんだろ」

 

「そう言う貴方は何もしていない様子…せっかく生きていると言うのに、ただ無気力で生きるのですか」

 

「うわっこいつめんどくさ。辞表を次々と叩きつけられていくか辞表届で叩かれてほしいわ。マジで」

 

「どんな状況ですかそれ」

 

「でさ、また銭を貸しておくれよ。今度は1.8倍だ!」

 

「…額は?」

 

「こんくらい」スッ

 

「…こんくらいあったら家を帰るぞお前」

 

「こんな量を借りるんですか!?1.8倍にして返すのですか!?頭おかしいんじゃ」

 

「良いですって、博打なら」

 

「博打?クビになりたいのですか?」

 

「…質屋行って二倍にすればこの五分の1が手に入るんだ、良いじゃないか」

 

「自分であれば値打ち物が分かる、と?」

 

「はい!」

 

「…どーでも良いけどさ、俺の寝る場所で喧嘩するのはやめてくれよ。結構気に入ってんだぞ」

 

「おや、ここが貴方の寝床ですか」

 

「おう」

 

「…さ、ささ!四季様は早くお仕事に戻りましょ〜ね〜」

 

「んなっ!サボっている貴女に言われたくはありません!!」

 

「嵐のような奴らだ…地上に死神よけの御守りとか売ってないかな」

 

次の日

 

「いやー、すまんな。昨日は迷惑かけた」

 

「いや、良い。錯覚使い」

 

「錯覚使い?お前何言って…もしかして胸か!?」

 

「ゆったりしたもん着てるから余計に、だな」

 

「はー、なんだい。それがどうしたって言うんだ。ほら、酒に付き合え!」

 

「さっさと金返せよ、収入源」

 

「私のこと収入源って言った?」

 

「おう」

 

「…泣きそう」

 

「勝手に泣いてろ。金返さん奴に情けはない」

 

全く、こんな奴が死神だから気が狂うんだ。あの世に行く時に渡る三途の川とか言う奴、アレを渡るには小町が仕事をしている、船頭…とか言う役職の人間が船を漕ぐ。払う銭の数だけ渡るのが早くなる。らしい、が。こいつとだけは嫌だ。永遠に近い時間渡らされそうだ。

 

「そんな酷いこと言うなよ〜、お前の生まれだって知ってんだぞ?」

 

「何言ってんだお前マジで」

 

「まあ、それはとにかくだ。私より身長が低いお前が私に何ができるのかな?」

 

「金を貸さない」

 

「かーっ!きつい!」

 

「はぁ…とにかく、何をしても良いが、その分の代償は」

 

「お前の三途の川、永遠にしてやる!!」

 

「嘘だろオイ」

 

「私はな!!お前が今想いを寄せてるやつよりもお前のこと知ってんだからな!!」

 

「いねえよ…あとすまんタバコくれ」

 

「こう言う場面でそんなこと言うか?…ほれ」

 

「助かる。吸わないと禁断症状で歩けなくなるんだよ」スパー

 

「どんな禁断症状なのかはあえて聞かないよ。死んだ後で聞くから」

 

「クソッちゃんと聞いてきやがるな」

 

「当たり前だろ。ま、今ので良いこと聞いたけど。つまりお前はタバコが無ければ動けないんだろ?」

 

「そう言うことになるな」

 

「じゃあ、告白するぞ」

 

…こいつ、本当に何を言ってるんだろうか。俺はタバコを吸い、吐き出し、吸い、吸い、咳き込む。そして小町の方を見る。とても演技には見えない。なんと言うか、少し前の俺と言うか、虚な目をしている。瞳孔ガン開きだ。その鎌で一体何を

 

「せいっ」ザンッ

 

「あぶね!」

 

「…なあ、私はさ。お前のことが大好きなんだ。三途の川を一緒に見て回りたい。でも、お前さんは死神ではない。生憎、死んだらそれっきりだ」

 

「今のうちに逃げるべきだな…返事は保留だよ!」

 

「!?」

 

2日後

 

「…俺の家、最高!全く、小町の奴め。俺をどうしようってんだか…。急に鎌で切り掛かってきて、一体何を…」

 

「なあ」

 

「っ!?」

 

「…返事を保留するのは分かる。でもな、私にも我慢の限界ってのがあるんだ」

 

「保留って…まだ2日しか」

 

「2日も経ってる。全く、乙女を蔑ろにして、自分の家で酒を飲みながら…なんて、優雅だねぇ」

 

「うるせー。俺は一応これでもお前に金貸してんだぞ」

 

「じゃあ、なんだ?私はな。好きな人に逃げられたら傷つく、ただの死神だ。なぁ、離れるなよ。距離を取るなよ」グッ

 

「ぁっ…!?」

 

「私が持ち上げたらお前は地面に着かないのか。かわいいな」

 

ざけんなクソが、何がかわいいなだ。こっちは首絞められてんだぞ。死ぬってのに、こいつは笑っていやがる。タップもダメ、言葉はできない、足もろくに使えない、その内力も抜けていく。死にたくはない、が。首が締まりすぎて何もできない。

 

「…そろそろかな?さあ、聞かせておくれよ。私に、お前の返事を…」パッ

 

「はぁ…っはぁ…!ぅあ…あ!」

 

「私はお前が大好きだ。お前は?」

 

「大好き…じゃないけど、好きだったかな」

 

「…そうか。あたいが何回もお前との距離を操って近くに行ったのは無駄だったのかい」

 

「ぁ…?」

 

「お前一人に、鎌を使っても、殴っても、殺しても、誰も何も言わない。何故って、私が死神だからさ。死神と戦って、死神を下したとしたら、どんなバチが当たるか」

 

「遠回しな脅しか…?」

 

「とりあえず、足は切り落とすぞ。隙をついて逃げそうだしな!」ザンッ

 

 

 

 




小町→こいつに逃げは通用しない。なぜなら操るから。
主人公→その後、車椅子生活。
的な。
クソ眠たいです。


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150話

150話だし、これでやめにしようかな!!(多分まだやる)
というわけでおそらく多分3回目くらいになるはずのパチュリーさんです。
おそらく多分3回目です。


紅め館

 

「…」

 

「…」

 

「いや、まあ、どうせこんな所だろうとは思いましたよ。いや、前よりはマシなのが嫌ですけど」

 

「失礼ね。互いに読書をしているのだから声を出すのは失礼よ」

 

「俺が読んでるのは絵本な訳だが」

 

「…」

 

「…」

 

「なんなんですか…外の世界にある一言だけ返す機械ですかぁ?」

 

…何か言わないといけないのかなぁ、コレ。俺もどうにかして寝ていたいんだけど、本を読むくらいしかやることないし。絵本だけど。河童の一言返しとか言う奴が人里でちょっと流行ったしそれでも言っておくか。

 

「…何それ、河童の一言?」

 

「…確かそれってあれよね。河童の形をしたスピーカーが一言返してくれるっていう」

 

「なんでそこは繋がるのに会話しないんですか、もう!!」

 

「らしいですよノーレッジさん」

 

「ノーレッジ…距離感ありまくりですよ」

 

「良いじゃない、適当に攫ってきた教養のない人間だもの」

 

「なんでそう言うこと言うんですか。せっかく先々週くらいにご友人に顔を広めるべきだと言われたのに」

 

「ノーレッジさん、春はあけぼのって奴が載ってるアレどこにあります?」

 

「枕草子ね。この本棚の一番上あたりにあるから…こあ、連れて行ってあげて」

 

「残念でした、私はパチュリー様からもらった仕事で手がいっぱいです」

 

「らしいですよ」

 

「…」

 

というわけで俺はノーレッジさんに肩車…いや、背中に乗ってるか。背中に乗りながら枕草子を探しているわけだったんだが、なんかよくわからない金髪に侵入され、それに対して荒ぶったノーレッジさんが背筋を伸ばし、地面に垂直になったおかげで俺は地面へ垂直跳び。うーん金髪ゆるさん

 

「嘘やん…」

 

「大丈夫!?」

 

「…足ガックガクで帰れねえや今日…」ガタガタ

 

「足どころか全身ガタガタ言ってるわよ。全く困ったわね…」

 

「いやー、しかし。本は確保しましたぞ」

 

「本より命でしょ…全く、少しは気に入ってるからあまり危険なことは」

 

「今回ばかりは金髪のせいだ。俺のせいではない」

 

「それもそうね。魔理沙!!」

 

「え、なんで!?」

 

「…意外と進展している…?」

 

「面倒な盗人もいるんだなぁ…人に何か言えるほどの頭じゃないけど」

 

数時間後

 

「はぁ…はぁ…」

 

「しっかし驚いた…私よりもあの男の方に行くなんてな」

 

「関係ないでしょ…」

 

「…小悪魔さん、ちょっと見ててくださいね」

 

「あれ、名前覚えてくださったんですか」

 

「ふっ!」フッ

 

「それもそうだな。お前が男なんかに興味が━」プスッ

 

「…?」

 

諺には馬鹿の一つ覚えというものがある。意味はよく知らんが、読んで字の如く、という奴だろう。意味は知らんが。そんな馬鹿が覚えたのは速攻の吹き矢作りだ。妖怪と対峙した時のためのものだったけど、盗人に使うのも同じだよな…

 

「…さて、本は回収するわよ」

 

「ね、寝てるよな…」チョンチョン

 

「なんであんな高さから落ちて寝てるで済むのか分かりませんね」

 

「にしてもナイスよ。吹き矢だなんて、よく作れたものだわ」スッ

 

「…その針触っただけでも痺れるはずですよ」

 

「これでも魔法使いよ。身体能力は貴方たち人間には劣るけど、薬の耐性なんて研究してれば付くのよ」

 

「研究の付属品ですか…」

 

「ええ。まあ」

 

「…ん…」

 

「こいつも起きやがった」

 

「はー…なんだ今の…お前か?」

 

「いや、違う」

 

「そうか…疲れてんのかな。帰る!」

 

「逃が…早っ!?」

 

「んじゃノーレッジさん、俺もそろそろ」

 

「?今日は泊まっていくんじゃないの?」

 

「え?」

 

「…それは無理矢理が過ぎますよ…」

 

「そうだっけ」

 

「無理が通っちゃった」

 

「ええ。魔導書でも読ませてあげるわ」

 

「魔導書か…」

 

「見合った魔力がないと読めないけど…貴方は結構素質良いわよ」

 

「良いわけねえだろオイ」

 

良いのであれば、吹き矢を作ることなく、スババッて出してヒュッと吹いてスッと仕舞える魔法が欲しい。まあ、多分無理だろ。それ使い始めたら本格的に人里に居られない。頭悪いからって人里から結構嫌な目で見られてんのに。

 

「…魔導書に関しては頭の良さは必要ないわよ」

 

「おう、そうか」

 

翌日

 

「…ノーレッジさん」

 

「何?」

 

「あんたさ、なんでこうなったか覚えてる?」

 

「…!?」

 

「なんでシングルベッドで二人寝てんのさ。狭いじゃん」

 

「通りで寝返りが打てなくて苦しかったわけね」

 

「で、それまでは覚えてるかって」

 

「んー、まあ覚えてるわよ」

 

「お、まじか。何があった?」

 

「…貴方は覚えてないの?」

 

「うん」

 

「こりゃダメね…」

 

「昨日俺なんかやったのか」

 

「昨日の私の勇気にダメ出ししたいわね」

 

「?」

 

「良い?私は貴方のことが好きなのよ」

 

「ほう。一時の気の迷いって奴か?」

 

「昨日も同じこと言われたわよ。3回目くらいから貴方を意識して話そうとするとまともに話せなくなるのよ。煩わしいのよ」

 

「そんな思春期の恋みたいなことを」

 

「私にとっては初恋よ」

 

「…初恋なぁ。そりゃおめでたい。祝うか」

 

「この反応だけは違ったわね。あの時の貴方は寝ぼけて、何て答えたかわかる?」

 

「…俺も?」

 

「ええそうよ。貴方は昨日、寝ぼけていたとは言え、私の告白に対して肯定的な意見を述べたのよ。それを朝になったら覚えてないなんて…」

 

プルプルと小刻みに震える拳を作っているノーレッジさんだが、西洋では名前が先に付くらしいから、俺とノーレッジさんが結婚したら姓はノーレッジになるのだろうか。その場合俺は○○・ノーレッジなのか、ノーレッジ・○○なのだろうか。

 

「なんか、すまん。昨日のことは本当に…」ジャラッ

 

「そう。貴方は頭が悪いから、同じ本を何回も読むし、何回読んでも同じところで同じことを尋ねてくる。その時点で気がつけば良かったかもしれないわね」

 

「ちょい、なんだその、切れ味の良さそうな切り物は」

 

「…今から貴方の海馬…つまり脳の記憶を司る部分ね。そこを魔法で強化するわ」

 

「それってどういう?」

 

「正しく言うと後付けする感じね。私の記憶と私に関する記憶以外は全て忘れるように貴方の海馬に命令させるの。魔法で」

 

「それって強化じゃなくね?」

 

「何を言っているの?貴方に忘れられなくなるだけでも十分な進化よ。魔法でゆっくりと寝かせるから、落ち着きなさいね」

 

 

 

 

 




ノーレッジさん…これを機に医術の魔法にも少し足を踏み入れた。少しだけね。少し。
主人公…ノーレッジさんに付けられた魔法のせいで自分の名前と人間関係を忘れてしまった。のちに魔法使いにさせられる。
的な。
小悪魔さん目線でやろうとして、無理でした。むぬん。


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151話

風見幽香さんで行く、愛の道


ヒマワリ畑

 

「…ねぇ」

 

「何かしら?」

 

「俺、いつ帰れるの?」

 

「帰る?フフッ面白い冗談ね。良い?貴方は今危険なのよ。貴方自身それはわかってるでしょう?」

 

「まあ、皆急に俺を監禁しようとして来るしな」

 

「そんな状態で帰ってみなさい。恐らく悲鳴をあげる暇なく群がる奴らに四肢をもがれて終わりよ」

 

「…怖いな」

 

そもそも、風見幽香さんとこに世話になるのも元を辿れば皆が急に近寄ってきて、大好きだとか、愛してるとか、嘘くさいこと言ってきて、それを受け流してたら髪の毛掴まれて痛い目見たし。その点風見幽香さんは安心だ。実力があるし、興味は花にある。万が一にも俺が幽香さんに襲われることはないだろう。

 

「…なーんで、こうなったんだろう」

 

「そりゃ、魅力的すぎるからよ。醜かったら貴方を手に入れたいなんて思わないわよ」

 

「ああ、それ皆言ってた。魅力的すぎるからって。魅力じゃなかったらって聞いたらさ、『それは貴方ではないから、論点をずらすのはやめて』って言われたよ」

 

「まあ、当然ね。今の貴方が好きなんだもの」

 

…今の俺が好きって、結構感覚やべーと思うぞ。幽香さんとは花のことで意見が合致したけど、それだけで、他の繋がりはなかった。だから今こうして助けてくれてるだけありがたいと言うもの。博麗の巫女も、紅魔館も、亡霊も、賢者も、皆変わってしまったから、変わらない人と触れ合えるのは嬉しい。

 

「…はい、これ」

 

「ん、なんですかこれ」

 

「アネモネよ。似合うと思ったのだけれど、どう?」

 

「似合うって…俺あいつらに髪の毛引っ張られすぎて何処に入れれば…」

 

「大丈夫よ。首元にこう…」

 

「おお、こう来るか」

 

「胸ポケットがあればそこに入れたんだけど、ないのよね。離れたら直ぐに奴らが来るし…」

 

「…まあ、これでも良いかな。しっかし、紫色のアネモネってこんな感じなんですか。」

 

「ええ。綺麗でしょう?花言葉も、今回の騒動が終わったら調べてみなさい。」

 

「花言葉ですかぁ。調べてみましょうかね」

 

「…さて、あとはこれも渡しておこうかしら」

 

「ん?これは…」

 

「ぺんぺん草よ。それにも花言葉があるし、それを使った諺もあるから調べてみなさい」

 

「草なのに花言葉…変な草だな」

 

「それで、貴方はいつまで狙われるのかしらね?」

 

「…さあ?」

 

はっきり申し上げると、原因について心当たりがない。だから俺自身いつ終わるのかがわからない。恋情、と言うものを簡単に手放すのかがわからないから、それに応じて他もわからない。全く、何故こうなったのか。ただ、妖怪どもは強欲らしいので、絶対に諦めないだろう。

 

「相手が妖怪って言うことじゃそう簡単に諦めてくれないわね」

 

「まー、そうっすね」

 

「それにしても。警戒が全く無いのも不思議ね。私が化け狸だったらどうするのかしら?」

 

「ははは、その時はもう諦めますよ。やっぱダメだったんだなって」スッ

 

「そうね。それも…良いわね」

 

スキマ

 

「…やっぱりダメだったか」

 

「失礼ね。言っておくけど、風見幽香はわたしたちと同じよ。」

 

「それが本当だとしたら、そしたら」

 

「そしたら?」

 

「そうしたら、少なくともお前らよりは安心できるな。優しいし」

 

「これは…もうダメね。ほら、これ」

 

「これか?幽香さんから貰った、花だな」

 

「…随分とよく思われてるわね。まあ、返してあげるわ。その時、風見幽香を見てどう思うかは貴方次第だけどね」

 

「お、ありがと」

 

ヒマワリ畑

 

「うっ」ドンッ

 

「何処に行っていたの?って聞く気はないわよ。どーせ、あのスキマ妖怪なんでしょう?」

 

「正解です。今は返してあげるって言ってました」

 

そう言うと、幽香さんは次はないかしらとか言って、料理を作るために台所へと行った。俺は、今は誰も好きではない。初恋の人もいたが、そいつはもう結婚している。そいつを捨てたらもう好きな人は元も含めていない。俺を狙う輩は皆顔が整っている。ただ、強硬手段に出ただけでマイナスだ。

 

「…さあ、ご飯よ。食べなさい」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「それにしても、貴方は良くあの中に入って気が狂わないわね。あんな奴と一緒で」

 

「当然、狂いますよ。怖かったですよ。あそこでどうこうされたら、もう強制ですし」

 

「それと、最近は花のことにはあまり興味がなくなったのかしら?」

 

「え?」

 

「最近、貴方から花に関する話を聞いたことがないもの。今の状況になる前から兆候はあったの?」

 

「…宴会で俺が無言で帰ろうとすると、必ず一人が止めて、誘う時は断らせないようにしてることくらいしか」

 

「完全にそれね」

 

「それが気になって、最近花は手入れしかしてませんね」

 

「それで良いのよ。貴方が植物から遠ざかってしまったら、そんなこと許せないもの」

 

「一人でも多く仲間が欲しいんですか?」

 

「フフ…まあ、そう言ったところね。貴方は、どうなの?」

 

さて、どう考えるのがベストか。八雲紫が言っていた通りの、あちら側の妖怪なのか、俺を守ってくれる妖怪なのか。そして、このどうなのとは一体、私のことはどう見てるの?と言う意味か。それともただ植物について聞いているのか。

 

「答えられんな。少し、眠い」

 

「…そう。まあ良いわ。また明日ね」

 

「…いや、良いや。俺はまだ起きてる」

 

「そう。じゃあ質問は良いかしら?」

 

「どうぞ」

 

「貴方は、この生活で安心できてるかしら?」

 

「安心?そうだな、出来てる…と言えば出来てる。幽香さんはあちら側とは違うしな」

 

「そう。ありがとう。嬉しいわ。」

 

「まあ、隙間妖怪が言うにはあちら側らしいけど」

 

「…あいつらと同類じゃないわよ。私はちゃんと貴方に安心できる居場所を作ってあげてるんだもの」

 

「そうですね。まあ、安心はできます」

 

「だから、そうね。愛してる、と言えば良いのかしら?」

 

「え?」

 

ここで、俺の考えていた、知ってる風見幽香が消え去った。

 

「貴方が、大好き。これは少し違う気がするのよ。貴方のことを愛してる。これがしっくり来るの。守りたい。弱者である貴方を、あいつらから守って見せて、安心させたい。庇護欲、かしら?」

 

「庇護欲…って、幽香さん?」

 

「貴方を愛してる。庇護したい。それとは別に、一緒にいたい。一緒にいて、ずっと守ってあげたい。そう思うのよ」

 

「ちょっと、その刃物はなんですか?」

 

「こうするのよ。」ザクッ

 

「えっ…幽香さん、自分の腕に刺すのは」

 

「どうせ、私は貴方に告白しても振られる」

 

「ちょっとー?聞いてます〜?」

 

「じゃあ無理矢理にでも血を結べば良い」

 

「幽香さん、互いの血を互いに入れたからって、家族になるわけじゃないですよ」

 

「わかってるわよ。でも、それは人と人の場合。妖怪の血を入れたら、貴方も妖怪に近くなる」

 

「妖怪になる?」

 

「そうすれば、私が、今までよりも長く守ってあげれる。素晴らしいじゃない?」

 

 

 




風見幽香…花にお守り着けて守るタイプの妖怪。あちら側。
主人公…風見幽香さんなら、良いかなとか思ってる。甘ったれんな。
アネモネ…紫色で貴方を信じて待つ。
ぺんぺん草…貴方に全てを捧げます。
的な。
ちなみに花言葉に関連するお話はこれで3回目です。


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152話

紫さんです。
能力使ったらもう一番好き勝手できるタイプの紫さんです。


 

人里

 

「ん、紫。いつからいた?」

 

「ずっと前からよ」

 

「ずっと前からか。茶でも出そうか?」

 

「良いわよ。もう片腕しか使えないんじゃ仕方ないし」

 

こいつ、俺の折角の心遣いを無碍にしやがった。こう言う時はな。『お言葉に甘えたいけど、その腕では心配だわ。私がやるから、座ってて?』とか言うもんだろ。つーか片腕でも茶いれるくらいできるわ!…いや、無理か

 

「はぁ…どうにもできないようで」

 

「ごめんなさいね。どうせならこういう時、私がやるって言い出すべきなんでしょうけど、生憎今忙しいのよ」

 

「スキマ開いて仕事っすか」

 

「ええ。そうよ」

 

「んで紫さん。俺の後ろにあるこのスキマは?」

 

「…さぁ?知らないわね」

 

「じゃあこのスキマに指突っ込んでも良いんだよな?」

 

「良いんじゃない?」

 

「でやっ!」ジュボッ

 

「んにゅっ」

 

「うわぁっ!?なんか、なんか卑猥な音した!!紫、助けて!!」

 

「んっ…仕方ないわね。勘弁してあげるわよ」

 

「ちっくしょうなんで俺が…」

 

「良いじゃない。友達同士だし」

 

「いや、うん…?友達同士でこう言うこともやるのか…まぁ。」

 

「そうよ。非常識」クスクス

 

「うっせ」

 

だーれが非常識じゃい。今まで常識忘れてただけやろがい。この妖怪がっ。そんなこと言うと多分、決まって『妖怪だからって、貴方との仲は変わらないでしょ?』とか言ってくるんだ。なんだお前、誘うのが異様に上手い異国の人間か?派閥別の人間なのか??

 

「考えるだけ無駄かぁ」

 

「私としては、貴方と一緒にいても良いんだけどね」

 

「んー、良いんじゃない?指舐められて気持ち悪いけどさ」

 

「皮肉のつもりでしょうけど、全然。効かないわね」

 

「チッ。のらりくらり生きてたらいつか説教されるぞ。俺が証明してやる」

 

「誰に叱られるのかしら?」

 

「…博麗神社にたまにいる仙人様だな」

 

「自分から叱られに行くのね…でも残念。私としては相手の都合が悪いわ」

 

「それなら尚更」

 

「じゃあ退散しなくっちゃ」

 

博麗神社

 

「ってわけで」

 

「いや知らないわよ」

 

「…知らないかぁ」

 

「と言うか、紫に随分気に入られてるみたいね」

 

「紫ってどんな妖怪だ?あいつ自身は『私は自由よ。何にも囚われないもの』とかほざいてるけど」

 

「嘘はついてないわね」

 

「嘘?」

 

「あいつ、その気になったらアンタを女に出来るのよ。」

 

「俺を女に?出来るわけが」

 

「出来るの。常識も書き換えられるかもしれないけど。まあどっちにしろ手遅れね」

 

「え?手遅れって、ちょっとー?」

 

と言う会話をした後に、紫に気に入られてる奴が死んだ時に八つ当たり気味に絡まれるのは嫌だからって送ってもらったけど、手遅れについては何も言ってくれなかった。手遅れ、手遅れ…手遅れか…もしかして俺の寿命後数年だった、とか?死神の目みたいだな

 

人里

 

「よう、紫」

 

「博麗神社で巫女と二人っきりで楽しかったかしら?」

 

「なんだ、見てたのか?」

 

「ええ。それじゃ、行きましょうか」

 

「ああ…って、なんで握り方してんだよ。恋人繋ぎって…お前な、俺たちは」

 

「何を言っているのかしら。私たちは恋人でしょう?」

 

「…んー、そう…だったか?」

 

「そうよ。失礼ね」

 

「そうか、それは、すまん…」

 

「良いのよ。忘れられてたのは悲しいけど、思い出してくれれば良いもの」

 

「そうか。で、俺の家で恋人繋ぎして何するんだ?」

 

「少しでも恋人気分を味わうためよ。」

 

「んー、そう来るかぁ」

 

「…あ、慧音先生に挨拶…?」

 

「どこ行くの?」

 

「いや、えっと…あの人、あの人だよ。確か、えっと…?」

 

「もう、いきなり女の名前を出すからびっくりしちゃったじゃない。でも勘違いだったのね、なら安心よ」

 

待て、何かがおかしいぞ?今のは確実におかしい。でも、実際用は誰にもないし…それに、出たらどうなるか…ん?出たらどうなるか?どうなるかって、どうなるんだ?あれ、俺どうして外に出たらダメなんだ?紫に聞いてみるか?いや、また非常識って言われて終わりか。やめとこ

 

「最近物忘れが激しいな」

 

「あら、永遠亭に行く?」

 

「そうだな、あそこの先生の脚線美は目の保養にも」

 

「ちょっと」

 

「ん?」

 

「なんで私がいるのに他の女に目を向けるのかしら?」

 

「いや、冗談だっ」

 

「知らないわよ。私が聞いてるのはなんでそう言うことをするのかしら?ってこと。貴方には私がいる。私には貴方がいる。それで良いでしょう?」

 

「あ…うん…まあ、そう…だな」

 

「でしょう?貴方と私が共依存になれば良いのよ」

 

「恋人の時点で共依存か…こりゃ将来苦労しそうだことで」

 

「フフッ。それに、貴方は外に出れるような人間じゃないし」

 

「俺の片腕のこと言ってんのか?」

 

「違うわよ。人前に出たらまず片腕言われて、精神面で挫けるじゃない」

 

「それは、そう」

 

「ね。それじゃあ今晩は一緒に寝ましょう。ずっと一緒にいるけど、ね」

 

「ん、それもそうだな。まあ、家から出られないんだし、お前が外に出ない限りは一緒か」

 

…なんか考えがおかしい気もするけど、そのことを言っても非常識なんだろうな。全く、生まれが裕福と離れてるからって、常識から離れて良いわけじゃないんだぞ。戻れ、俺の頭よ戻れーっ。いや、そう簡単には戻らないけどさ。うん。じゃあ、働け!!

 

博麗神社

 

「なぁ霊夢」

 

「何?」

 

「さっき来てた人間いただろ?」

 

「そうね」

 

「いかにも妖怪に弄られましたって目をしてたけど、どうして何もしなかったんだ?」

 

「ずっと後ろで弄った張本人が見てるんだもの、何もできないわよ」

 

「…そりゃ誰だ?」

 

「八雲紫」

 

「!?」

 

 

 

 




八雲紫…常識改変(する側の)女性。
主人公…常識改変(される側の)男性。
的な。
境界弄るんだったら、常識も弄れそうじゃない?


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153話

今回は誰にしようって悩み続けてもう何日ですか。16日です。
そうですね。十六夜咲夜さんでいきましょう。


 

紅魔館

 

「お前の船をろんろろーん」

 

「何よその歌?」

 

「うおびっくりした!」

 

おまっいつからいた!?…いつから居た!?クソッ鼻歌聞かれてた。少し恥ずかしい…最近、気が付いたらメイド長が近くにいる。俺は執事なのでメイド長と呼ぶべきかは迷うが、まあそういうもんだろう。毎日びっくりしては振り返る。何やってんだか…

 

「あのね…メイド長はいつも何やってるんですか?俺の背後取ること以外やってないんですか?」

 

「正解ね。でも仕事はちゃんとしてるわよ。お嬢様達には作り置きでご飯用意してるし。」

 

「作り置きじゃあまずいんじゃないかなぁ。」

 

「冷めても美味しいもの作ってるけど…?」

 

「そういう意味じゃないんだなぁ。」

 

「じゃあどういう意味よ。」

 

「賢明なメイド長のことですので、恐らくは自分で意味を見つけられるかと。」

 

「馬鹿にしているの?早く教えなさい。」

 

「私は過程を大事にしておりまして」

 

「良い?過程じゃない。結果よ。結果を教えろって言ってんのよ。」

 

「待ってくださいよメイド長。」

 

そう言ってなんとか離してもらった。なんだか俺にナイフ突き立てた時すごい嬉しそうな顔っていうか顔に『良いことした』って書いてあるレベルで出てた。まあ、外の世界出身のメイド長からしたらこれが普通…なのか?この館自体が外のものだって言ってたし…ね。

 

「それじゃ、これから美鈴起こしてくるから。」

 

「い、行ってらっしゃいませ…」

 

「…あんた大変ね。」

 

「二度目はってうわお嬢様!?」

 

「何よ?『うわっ』だなんて失礼じゃない?」

 

「失礼しました…なに分、ここ最近は十六夜咲夜に驚かされてばかりでしたから…」

 

「まあ、でしょうね。私もかなりやらかしたって思ってるもの。」

 

「は?」

 

「そうね。人里に戻ることをお勧めするわよ。それかどこか別の遠い場所で働かせてもらうことね。」

 

「ことねって…一体どこで?」

 

「永遠亭とか」

 

「もしかして馬鹿にしてます?お前なんか永遠亭で実験台にされて仕舞えば良いと」

 

「そんなこと言ってないわよ。ただ、貴方。近いうちに必ずここから距離を取りなさい。とにかく咲夜からは。本当よ?」

 

「はいはい。」

 

「お嬢様、どうかしました?」

 

「うひゃっ!?…確かにこれは驚く…」

 

「でしょう!?でしょう!?」

 

「…はぁ…?」

 

さて、お嬢様に転職を勧められてしまったわけだが。全くそうしたら俺はどこで暮らせば良いというのだ。博麗神社か?あそこは最低限の衣食住に加えて宴会があるから却下。そうなると…永遠亭?いやきつい。あそこで働いてる鈴仙って人を一度見かけたけど、あれは酷かった。もう見たくないね。

 

「どうすっかなー。まあ荷物の整理は人間としてやっとかなきゃいけないもんだしな。しゃーない。そういう気分で」

 

「あら、引っ越しでもするの?」

 

「…ここ、俺の部屋ですよ?」

 

「そうね。マスターキーあるから入ってきたわ。それで、引っ越すの?」

 

「あー?んー、それが、お嬢様に『お前の天職はここではない』とかビシィッと言われちゃって。」

 

「そうなの?でも安心なさい。貴方の天職は間違いなくここよ。悩みを聞いてくれるタメ口で良い上司がいるから良いでしょう?」

 

「そういうもんかね…」

 

「そうよ。少なくとも嘘を吐くよりはマシでしょう?」

 

「まあ、そうだな。嘘を吐くよりも事実を言った方が気が楽だしな。」

 

「ええ。そうなの。だから教えてくれるかしら?」

 

「何をだ?」

 

「今日、お嬢様と会って話してた内容。知ってるのよ。でも貴方から言うチャンスをあげてるだけ。さあ、早く。」

 

「…こりゃだめだ、お手上げー。」

 

そうして、俺の嘘は見破られた。俺を問い詰めてる時の十六夜咲夜さんはすごいこちらを睨みつけて、俺の肩に手を置いてすごい圧力を物理的にかけてきた。非力とは思えん力で押されて肩外れるところだったんだ、まあマシだろ。肩まだ痛いけど外れるよりはマシだな。

 

「ありがと、話してくれて。」

 

「ま、まあ、どうも。」

 

「待ちなさい。」

 

「誰だ!?」

 

「咲夜。私がそれくらい見抜けないとでも思ってたのかしら?」

 

「?何をおっしゃいますか。私が何を?」

 

「俺を置いていくな、ん?あ、ん!?」ジャラッ

 

「紅魔館の中に恋愛禁止と禁止行為を付け加えておくべきだったかしら?」

 

「これを私がやった、そう言いたいのですか?」

 

「証拠はパチェが持っている。」

 

「…っええい、逃げろっ」ピョンッ

 

「なっ!」

 

「よし!」

 

「ここ4階だった!!死んだ!!」

 

「オーライ、オーライ。よっと。」ガシッ

 

「うおっ…美鈴さん。お久しぶりです。」

 

「まあ、早く逃げた方がいいですよ。なんせ咲夜さんはいくらお嬢様でも出来て足止めくらいですから。」

 

「うっそ!!」

 

人里

 

「間に合ったぁ…!」ゼェハァ

 

「おう、久しぶりだな。」

 

「衣食住が揃った仕事場ってあります?」

 

「仕事熱心なのは良いことだ。永遠亭行き。」

 

「ん!?」

 

永遠亭

 

らっしゃっせー。あれから数ヶ月が経った。俺自身が希望を言って、人里に出るのはやめさせてもらうことにした。鈴仙さんは思ったより酷くなかった。紅魔館の奴らに会いたくない。それが一番の思い出はあるが、それ以上にもうやだこれ以上なんかに関わりたくない。

 

「…ねぇ、何か臭わない?」

 

「ん?…この匂い…血じゃ?」

 

「そうですかね…ちょっと見てきます。」

 

「あっちょっと?」

 

「こんくらいならバレないバレない…」ガチャッ

 

「…」

 

「お、咲夜、さん…」

 

「フフッ…私がここまでくるのにどれほど苦戦したことか。お嬢様が一番厄介でしたが、もう大丈夫です。私と貴方の仲を壊す人は誰一人として存在しません。さあ、喜んで。」

 

「喜べ…ませんなおい。やめろ、おい、待て、待てって。」シュンッ

 

「全く、そんなにせっかちで…あら、どこか行ったのかしら?」

 

 

 

 

 




語彙力の引き出しが2800個くらい欲しい。


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154話

本日はどうなさいますかお客さま。
え?早鬼?
ということで。早鬼です。


 

地底

 

「今日のお風呂はスペシャルなお銭湯。そして頂くのは人間。素晴らしい。」

 

「そうだな。」

 

「…うわっおまっえぇ!?」

 

「なんだ?組長が妖怪の家に泊まったらダメか?」

 

「いや、うっ…おまっお前なぁ!!」

 

「なんだよ。白黒はっきりしない奴め。もしかしてアレか?一緒に風呂入ってるのが嫌なのか?」

 

「ちっげーわこのバカ!」

 

「バカ?酷い…」

 

え?何?そこで豆腐メンタル見せつけるの?は?いや、落ち着け、落ち着くんだ俺。ここで手を出せばどうなるか。考えろ。隣にいる奴は確か…勁牙組組長。ここでもし、奴を傷つけてみろ。一瞬で組全体が襲いにくる。脳筋な奴らと聞いているから、むしろ全力で筋肉を潰されるかもしれない。きつい、きついぞ。

 

「な、なんであんたが…」

 

「自分の胸に手を当てて考えてみることね」

 

「そこで女っぽい口調するなら俺の前で裸になってんじゃねぇ!」ゲシッ

 

「痛っ…酷いことするな。でも消極的な奴よりはマシかな…」

 

「ねえなんでお前蹴られて少し喜んでる顔してんの?あ、もしかして潰せるから?ごめんなさい、許して。」

 

「?勘違いをしているようだが、そんなことはしないぞ。」

 

「???」

 

じゃあ何しに来たのこの組長は。俺自身組とは関係ないよ。勁牙組とは関係ないし、むしろ健全な暮らしをしてきたし。薬?俺の庭に薬が?んな、んなバカな?俺か?やっぱ俺が原因か?もしかして勁牙組出身の奴に手出した!?そんな、そんなことはないぞ!?

 

「まあ、なんだ。鬼と出会いのも大概にしてね。」

 

「え、えぇ…?」

 

翌日

 

「まったく、なんだったんだ…あ、勁牙組と言えば最近ライバル組織のトップが身を固めたって…セメントで固めたのかな?」

 

「お前何言ってんだ?」

 

「うわびっくりした…驚かさないでくださいよ。お燐さん…」

 

「はー!?仕事中にちんたらちんたら新聞読んでブツブツブツブツ独り言言ってる奴が何言ってんだい?」

 

「…うわっそうじゃん!!やばっ!」

 

「そういやアンタ、勁牙組組長と二人一つの屋根の下で暮らしたんだって?」

 

「どっから聞いたんですかそれ。誤解ですよ。死ぬかと思いました。」

 

「そのまま死ねばよかったのに」

 

「今なんて言いました?一泊の恩使って地底ぶっ壊して差し上げましょうか?」

 

「ごめんな。冗談だよ。」

 

「…と言うよりも、なんですかあの人。」

 

「思いつきで行動する人らしいよ。」

 

思いつき…つまり計画性のない人ってわけね。脳筋組織のトップに相応しい、脳筋特化型か…いや待て、じゃあなんで俺の家に泊まって行った?思い付きか?なんで?『突撃、お前が寝床』とかやってるわけでもなさそうだし。地底にテレビないし。じゃあまじで何?

 

「…とりあえず、今日はちょっと勁牙組寄って帰ろうかなと。」

 

「死ぬよ、アンタ。」

 

「えっ」

 

「…嘘だよ。」

 

勁牙組

 

「うっす…」

 

「よく来たな!早速だがお前を勁牙組組員として…ん?えっ違う!?」

 

「動物霊だ…初めて見た」

 

「ん?えー?…よく来たな!突然だが今日からお前を!」

 

「お前を…?」

 

「勁牙組組長の婿として迎え入れる!」

 

「…は?…え?ん?んん?ちょっと待って?どう言うことでござんすか?」

 

「その通りだ!まあ、人間じゃないだけマシだが…まあ、仕方ないだろう!!」

 

「なくねーよ。組長出せやコラ。色々すっ飛ばしすぎなんじゃワレ。」

 

「組長〜、婿さんがお呼びですよ〜」

 

「おお、来たか!!やはり、こう言うことを八千慧に聞いておいてよかった!」

 

「八千慧…ライバルの…」

 

「私の評判と兼ね合わせて作ってくれたこの作戦!さあ、早くこっちへ来い!さあ、早く!」

 

「ちょっ、た、助げっ」

 

「…今、助けてと言ったか?こっち来い。」

 

「いだっ…いだいっ…」

 

「来るんだ!」

 

畜生が、なんでこうなったんだよ。あーもう全て八千慧って人のせいだ。今一瞬くっそ怖かったし。何したいのこの人。八千慧さんは何?相手の家へ行きどう言い手段でも良いから組へ連れてくることで成功させたの?何を!?こんなんで成功するなんて、○が入る文字だけだよ!?

 

「いたい、ごめんなさいっ…」

 

「ふーッ…お前も知ってる通り。私は思い付きで行動するタイプだ。このままお前が私をイラつかせていたら…痛いでは済まないぞ?」

 

「っ…」

 

「まあ、良い。謝ってくれたしな。さて、ここは私の寝室なわけだ。」

 

「あっ…ぇ…」

 

「そうキョロキョロするな。そうだなー、先ずはここに来させた理由について話そうか。」

 

「は、い…」

 

「まあ理由は簡単なんだ。お前が女の鬼とよく呑むから。お前が化け猫と呑むから。くらいだな」

 

「そんな理由で…」

 

「そう思うだろ?でもな、違うんだ。私からしたらそんなことがすごく嫌だったんだ。お前が私以外の女と戯れているのが嫌なんだ。だから、こうやって連れてきて、他の女と接触できないようにした。」

 

「そ、そうなんですか…」

 

「まあ、私の独占欲もあってか、もうここから出す気はないけどな。私はな。お前であれば良いんだよ。」

 

「俺ですか…どんな意味ですか?」

 

とキョトンとした感じで聞いてみると、後ろから釘がむっちゃ貼ってある椅子が出てきた。うん。やはり、妖怪は変なところで冷静になるらしい。これは、組長が作った特製の椅子だとか。ちなみに組長がって言ったらその釘に死ぬほど頭打ちつけられた。ここからは早鬼と呼ばなければならないらしい。

 

「これが、なんですか?」

 

「まあつまりだ。お前の顔、お前の声、お前の身体。どんな性格であれ、さっき言った三つが揃っていれば良いんだ。例え、その椅子に座って全身穴だらけになってもな。」

 

「…まさか」

 

「今から打ち付けることなんてしない。ただ、私に対して何かやったら…座ってもらうからな。」

 

「そんな、なんで」

 

「わからないか?良いか。お前が。私以外の女と。仲良くしてるから。」

 

「じゃあ一体どうすれば」

 

「生まれてからずっと私のところに居ればよかったんじゃないか?」

 

 

 

 




驪駒早鬼…私以外の女と喋ったな?もう信用できない。私の部屋で暮らしてもらう。
主人公…なんで、どうして…
八千慧…私 が や り ま し た 。
的な。
驪駒早鬼組長が八千慧組長に知恵を借りるなんであってはいけなさそうなんですが、乙女の恋心なら良いっしょ。


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155話

今回はネタ枠ですね。
ネタ枠です。
聖白蓮です。
かわいいね。


命蓮寺

 

「煩悩とかなんとか言うけど、このお寺ってそう言うの守ってるの?」

 

「いや、あんまりですね」

 

「お前ダメじゃねえかよ。」

 

「まあ、あれです。あまり締め付けが過ぎると不満が出てしまうので。」

 

「なるほど。」

 

「というわけで貴方も私を締め付けないようお早めに返事をして下さると有難いのですが。」

 

「知らんよ。」

 

全くこの住職さんは。急に告白されてビビったって。なんだよ、俺は仏教徒になっただけで、住職さんとは何の関わりもないぞ。いや、挨拶とかしかないな。そりゃ、出来た当時はあんまり人いなかったらしいけどさ。入る前は住職さんと挨拶を…ん?やっぱ変わってねえじゃねえか!

 

「本当俺みたいなやつの何がいいんですかね。住職さんって趣味変わってますよ。」

 

「んなっ…そんな言い方はないじゃないですか。私達がここに来た時、あまり抵抗感を出さずに接してくれたではありませんか。」

 

「外の世界の人間が来ようと、過去の人間が来ようとも基本的には去るもの追わず来る者拒まずが一番だな。」

 

「本当ですか?」

 

「おう。」

 

「それでは失礼。」ススッ

 

「…聖、何を、やって…?」

 

「え、あっ…星、今日は何か用事があるのですか?」

 

「え、いや…さっきのって…」

 

あーあ。あいつ多分人望失ったな。元はあった方だろうに。残念残念。住職のくせに煩悩なんか持つからだ。自分が属してる場所のルールも守れない奴とは付き合いたくないな。と思って立ち去ろうとした時、目の前に小さい女の子が。俺を不思議そうに眺めた後、奥へと進んでいった。

 

「あ、待ってくださいなんで出て行こうとしてるんですか?」

 

「星さん?」

 

「ひ、聖!?ちょっと、これどうすれば!?」

 

「聖様〜」スタスタ

 

「い、一輪!?」

 

「…?」

 

「おいどうすんだよ、つか離せよ、答え今出してやろうか。NOだよこれで良いだろ離せよ」

 

「えっ…の、のー?」

 

「そうだよ。」

 

「のーってなんですか…?」

 

「あー…ダメって意味」

 

「何故ですか!?何故!?そんな…どうして…」

 

「聖様を泣かせている…?」

 

「一輪、最近は聖のことを姐さんと呼んでいませんでしたか?」

 

「…姉さんのこと泣かしたな…?」

 

「一輪?」

 

「そこの青髪の方、ちょっと住職さんを」

 

「貴方のせいで私は煩悩まみれに」

 

「知らないですよちょっといだっ!?」

 

「…何故姐さんを泣かしている?死にたいのか?」

 

「待って、タンマ、待ってよ。わかった、もうちょっと検討するから。」

 

「検討?」

 

「…」

 

「私、結構スタイル良いですよね…?」

 

「いや、スタイルとかの問題じゃないぞってことじゃ…?」

 

ど、どうすりゃ良いのよ?検討するって言ったら聞き返されたんだけど。断っちゃいけない?そんな、俺お家デートかお寺デートしか許されないの?いや、意外と甘味処を巡るのか?違う、そうじゃねえ、なんで付き合うこと考えてんだ。どうしよう、俺は一体どうすりゃ良い?

 

「一輪、良いんですよ。っていうか手にはめてるそれなんですか?」

 

「メリケンサックと言うものです。これで殴るんですよ。」

 

「嫌だ嫌だちょっ、やめてほんと」

 

「すごい痛そう…」

 

「ふんっ」ブンッ

 

「ぉぐっ…ぅぇ…」

 

「鳩尾はダメですよ…大丈夫ですか?」

 

「ちょ、ちょっと何やってるんですか!?」

 

「姐さんの敵を殴ってるんですよ。」

 

「敵じゃないです!!」

 

 翌日 

 

「まあ、こうなるか…」

 

「すいません本当。一輪が…」

 

「ごめんなさい。」

 

「良いんですよ…ん?」

 

「その、腕の骨が折れてしまってるんです。本当にすいませんでした!」

 

「いや、良いんですよ。とりあえず住職さんに返事しないと。」

 

「ありがとうございます…」

 

「何か昨日とは少し違いません?」

 

「頭殴られたから…?」

 

「な、なんですか!?」

 

「うっす…じゃあ伝えるから聞いとけよ。」

 

「は、はい!」

 

俺の答えはイエス。つまり良いってことだ。しかしながら、お前の周り強すぎ。お前も強すぎ。だからちょっとどころじゃないんだけど、関わらないようにしようとしてたんだけどね。暴力に屈する…と言うわけでもないけど、まあ。

 

「本当ですか!?ありがとうございます!」

 

「おう。それじゃぁ?」ガシッ

 

「ちょっとこっち来てください!」

 

「ぬおっ」バタッ

 

「えーと、えーとですね。その、えーと」

 

「えーとが多い…」

 

「あ、すいません。まさか1日で許可してもらえるだなんてと。」

 

「そうか…後なんだそれ?」

 

「これですか?これはですね…貴方と一緒にいる時間を一刻でも増やそうと。していたら昨日、ナズーリンが…」

 

「一刻は長いな。どうやって使うんだこれ?」

 

「香霖堂の方によりますと…貴方の首と、私の首に着けるものらしいですよ。こうして、こう。」カチッ

 

「ちょっと待って、これ鍵?あの、ベルトだとばかり」

 

「それでは抜けられてしまいます。これはどんな時も外しません。おトイレ…厠へ行っても一緒です。」

 

「風呂も一緒か。」

 

「はい♪」

 

なんかハイテンションでムカつくなこいつ。しかし、俺は一体どうすれば…なんか、この首輪の鍵を奪えれば良いと思うんだけどな。俺自身の家もあるし。仕事だってある。ここにいつまでもいるわけにはいかない。そんなことしたら問屋がクレームを言うのだよ。

 

「あのさ、俺の家とかが」

 

「大丈夫です。一輪が『罪滅ぼしに』と言って引っ越す準備をしています。貴方の荷物がここに来て、部屋を誰かに渡せばよろしいでしょう。」

 

「でも仕事も」

 

「星が言ってくれています。安心してください。ナズーリンもついて行ってるので。」

 

「…この首輪は外さなくても良いってことか。」

 

「ちなみに鍵の替えはありません。」ブチッ

 

「え?」

 

「そしてもう鍵も千切ったのでありません。これでずっと一緒ですね。」

 

 

 

 




聖…大好き♪一生一緒が良い!
主人公…誰か助けて(懇願)→自分でよければ…
的な。感じの。
こう、もうちょっとネタに走ってた気がするんですけどね。


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156話

私の大好きなSSが更新されたので嬉しみ。
へカーティアで行こう。
これを読んだな!これでお前とも縁ができた!


 

地底

 

今思えば、迂闊だったのかもしれない。今思えば、ここは地底じゃ無いかもしれない。ただ、それに近い場所に来たのは事実だ。道中、閻魔を見た。俺はなんでここにいるか?聞きたいか。誰もおらんのに、こう言う一人だけでぶつぶつと考えて自問自答するのは楽しい。さて、答えを言おう。女神様を怒らせたからだ。あれは…そうだな、多分だが、2年前の出来事が発端だな。いつも通りのほほんとそこら辺を歩いてたら、女神様にぶつかる。その後、必死に謝って、『まあ良いわ』で終わったんだが、終わらなかった。そこから家に来た。その頻度が問題になった。半年間は月一、その後の半年間は週一、その後の半年間は…と言った具合に感覚が狭まっていった。最終的には泊まっていたよ。なんの感情があるのか、怖かった。帰った後1時間もすればまた尋ねられていたからな。

 

「女神様。俺は一体」

 

「へカーティア。そう呼んで頂戴。」

 

「…へカーティア様」

 

「ヘカーティア。その耳は形だけで、鼓膜はないのかしら?」

 

「…ヘカーティア。俺はなんでここにいるんだ?そしてここはどこだ?」

 

「質問は一つに絞ってからよ。公衆電話から自分の携帯に電話を掛けると起こる都市伝説にも、そう書いてあったでしょう?」

 

「それよりも強く偉いから厳守しろってことですか。わかりました。」

 

「でも、そうね。貴方は特別だから全部の質問に答えてあげる。貴方を私が気に入ったから。」

 

「…なんで?」

 

「次の質問ね。ここはどこか?そうね。地獄の何処か…とだけしか言えないわね。これ以上は禁則事項、よん?」

 

「禁則事項ね…」

 

「次ね。なんで私に気に入られたか?…そうね。これに関しては、貴方が私にぶつかって、謝る時。そこが最高に可愛かったから…としか言えないわね。これでも、閻魔より偉いのよ?」

 

「そりゃあ、都市伝説よりも偉いことで。」

 

「…そうね。とにかく、私からしたら貴方は特別。良い?」

 

「わかった。わかりましたよ。ええ。」

 

…ええ。とてもわかりました。閻魔より偉い女神様なのは知っていた。いや、知っていたと言うよりもついさっき知ったと言うのが正しいな。ここに連れて来られる前に、この女神様に担がれてここに来るまでに、閻魔を見たのは言ったな。おっと。考えてるのに独り言で語りかけてしまった。それで。その閻魔様が深々とお辞儀をしていた。挨拶…と見るのが正しいかもしれん。が、もう少し浅いだろう。腰曲げすぎだ。怖いわ。折れてる?

 

「ねえ」

 

「んっ?」

 

「…何度言ったらわかるの?女神様じゃなくて、ヘカーティア。良い?ヘカーティア。」

 

はて、俺は今女神様と口に

 

「ヘカーティア。良い?女神様じゃない。今、女神様って呼んだでしょ?気分は良いわよ。他人に呼ばれる分には。でもね、貴方に呼ばれる時くらいは名前が良いのよ。」

 

「…こりゃ驚いた。考えてることも筒抜けか?」

 

「ええ。貴方の考えてることなんて簡単。貴方の脳みそが、全ての脳細胞が私をへカーティアとして認めてくれなければ意味がないの。」

 

「乙女みたいな悩みだな。全く…睡眠は大事だぞ。そして俺は」

 

「貴方には名前で呼ばれたい。貴方の関係全てを私で補いたい。貴方の、貴方が見渡す限りの全てを私にしたい。」

 

「…へカーティア…?」

 

「だから、そうね。血を混ぜたら家族になる。でも、どうかしら?私が、貴方を産む。女神が、妖怪を産む。本来ならそこまでしたい。でも無理なの。」

 

「そりゃそうだな。俺の母さんは俺を産んだ母親だし。」

 

「でも、産んだのは別でも育てたのが女性ならそれもお母さんって言うでしょう?」

 

「そうだけどさ、父親はどうなるんだよ」

 

「父親?そんなもの要らないわ。私が貴方を満足させるもの。そうね、そうなると、貴方は…父親の暴力から逃げてきた子、かしら?」

 

「だからぁ゛!?」ゴンッ

 

「…子供はお母さんの言うことを進んで聞くもの、そう思っているのだけれど…違うかしら?」

 

全然違うね。ああ違うね。少なくとも、殴って言い聞かせるわけじゃない。少なくとも、全力で叩き潰して親のふりはしない。そんな、そんな理不尽な親は嫌われるぞ。とか言ってみたら、どうなるだろうか。好奇心から出た考えだが、これもへカーティアに筒抜けなんだろうか。だとしたら、少し恥ずかしいと言う気もする。考えが丸裸、と考えるとかなり危ない思考をすると直ぐに何かされそうな感じはする。

 

「これはお母さんじゃないのね。でも、任せなさい。貴方のお母さんは私が。」

 

「貴方の女友達は私が。」

 

「貴方の恋人は私が。」

 

「髪の色が変わるなんて変な…ぁ?」

 

「だから、私で全部足りる。私が全部満たす。私が貴方を満たす。」

 

「へカーティア?あのな、俺は今全く」

 

「でも、貴方には私として認められたい。これは、私たちが全員思っていること。貴方のお母さんとして、貴方の友達として、貴方の恋人としてもそう。私は貴方にへカーティアとして認められたい。」

 

「何回言うんだお前は」

 

「貴方は私のことが嫌い?」

 

「…まあ、あれだな。その、嫌いではないと言ったところか…?」

 

「そう。それでも良いわ。貴方がこの先私に対して何を考えたって構わない。その対象が私か私に関することであれば良いわ。」

 

「まるで他の人のこと考えると駄目みたいな言い方をするな…」

 

うん、まずいぞ俺2号。こう言うときは博麗の巫女…か?あ、ヘカーティアがこっち見てる…そういえば考えてることが筒抜けなんだっけ。考えてたら一体どんなことが

 

「いだっ!?」ゴンッ

 

「…そうね、貴方には一回言っただけじゃ分からなかったものね。」ブンッ

 

「ぃあ!?」ゴンッ

 

「貴方は、私を弄んで、そのまま!」ゴンッゴンッドンッ

 

「いだ、いっ、やめ…へカーティア、悪かった。だからもう殴るのは」

 

「貴方が可愛くて仕方がなかった。貴方が愛おしかった。貴方が恋しかった。貴方の感情ならなんだって受け入れる。それが性欲なら、尚更。それが食欲なら、尚更。それが愛なら、尚更。」

 

「女神さ」

 

「また!…っまた言った!」ゴンッ

 

「いだっ!?」

 

「…いつもは呼ばれて良い気分。だけど、だけど…!好きな人には名前で呼ばれたいのに!」ギュゥゥゥ

 

「ぁっ…!」

 

まずい、首を絞められた。このまま死ぬのか?いやだ、喉に、喉に風穴を開ければ助かると聞いた。妖怪の俺だが、人間の姿を真似てることに感謝する。喉、喉に風穴を…駄目だ、へカーティアの手で抑えられてて無理だ!このままじゃ死ぬ、不味い、手に力が入らなくなってきた。こんなに早いのか、死ぬのは。畜生、あのとき少しでも気をつけて歩いていれば、これは避けられたかもしれないのに、クソッ!なんでこう言うことになるんだよ、クソが。

 

「!ああ、ごめんなさい!」

 

「けほっ!ほぁっ!…はぁ…」

 

「でも、これでへカーティアって…」

 

「ゔぇ…あ…アザ…アザついた…!」

 

マジかよ。マジかよこいつ!クソが、何でこうなるんだ。め…へカーティアだって望んでねえだろ。くそが。このままじゃいつか殺される。どうすりゃ、どうすりゃ良いんだ。おい!女神様に何を言えばいい!?

 

「っまたぁ!」バチーンッ

 

「あぎっ!?」バゴッ

 

「また女神様!私はへカーティアって呼ばれたいのに!」

 

…マジかよ。顎が吹っ飛んだぞ…

 

「なんで!」ゴギッ

 

「ぃあ!?へか、へカーティア!落ち着いて、本当に!」

 

「落ち着けないわよ!」

 

「悪かった、許してくれ、かみさ」

 

「また!!」バギィッ

 

 

 

 




へカーティア…可愛い子(建前)貴方の前ではただの女性として居させて。女神様なんて呼ばないで。三人の私が貴方を満たすから、貴方は私に感情を向けて。(本音)
主人公…Help me 永り(女?)
的な。
へカーティアさんは異世界にも侵入しますので、ここにも勿論来ます。こわいね。


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157話

下等な人間(主観)が大好きなぬえちゃんです。
承認欲求に入るのかな?


 

寺子屋

 

「何だこのでかい人」

 

「なんだとクソガキ」

 

「うわ、字数一緒だ。逃げろ逃げろ〜!」

 

「は?字数??」

 

ということが昔あった。数十年前だ。今思えば、背中に生えてるアレが完全に妖怪であることを示していたのに、なぜ俺はそれを無視して変な人で済ましていたのだろうか。子供というのは恐ろしいな。恐ろしすぎて、ちょっと眠たくなる。

 

「慧音先生ー」

 

「なんだ?」

 

「昔僕がいた時の話なんですけど」

 

「あの問題だらけの年代か?」

 

「…で、黒い布に身を包んだ女の人…いや多分妖怪?がいたじゃないですか。」

 

「はぁ?何言ってるんだ。私がいるのに妖怪を近づけさせるものか。馬鹿にするな!」

 

「怒るとシワが」

 

「これ以上言ったら歩けなくなるぞ?」

 

「…すいません。」

 

「だが、妖怪なら博麗の神社はどうだ?その妖怪がどこかで死んでなければ面識があるだろ。」

 

「それもそっすね。」

 

博麗神社

 

「というわけで知ら」

 

「知らないわね。でも、妖怪ならなんか特徴あるでしょ?」

 

「…こう、背中に変なの生やしてた…赤と青の。」

 

「あ、あー…あれね。ぬえね。それ」

 

「ぬえ?あの、正体不明な?」

 

「そうね。変なもんね。」

 

そう言った博麗の巫女さんは俺の頭を撫でる。俺より10くらい歳上…いや、歳取ってるのか?慧音先生以上に老けが見えない。しかし、まあ、どうでも良い、か。ぬえ。大妖怪に分類されるやばい奴だ。そんな奴と会話していたとは、俺の無邪気さには参る。

 

命蓮寺

 

「なんだか聞きすぎて耳にタコが出来たかなぁ?」

 

「おや…?」

 

「うおびっくりした」

 

「どうしたのですか?」

 

「あー、いや、黒い布に身を包んだ赤と青の尻尾?を持ってる妖怪を探してまして。」

 

「…あ、ぬえですか。そうですか…ん?ぬえ?」

 

「そうですそうです!博麗の巫女さんから聞いてここに来ました。」

 

「成程…」

 

「お、あの時のクソガキ!」

 

「んなっ」

 

「大きくなったな〜、どう?これから私と一杯やるってのはさ?」

 

「残念、デカくなったのは体だけ。まあ、目的の物も見つけましたし、さよなら!」

 

「…やっぱりクソガキか。」

 

「あれがぬえの言っていた大好きなクソガキですか?」

 

「どんな美化してんの?ねえ?そりゃあ、良い男だとは思うよ?でもさぁ…」

 

「彼はよく見かけますよ。甘味処でよく看板娘さんと…あれ?」

 

さーて人里に帰ったこの状態で、甘味処に寄る。看板娘さんは気楽に話しかけれるから良いんだ。そして、なんとも言えんが、どことなく視線を感じるのは何故だろうか。こうも感じては気が休まらない。休まらないどころか、少し怖い。誰か正体を出せ…ん?なんか団子一つ増えてね?

 

「あれ…?」

 

「よっ」

 

「!?」

 

「まただなクソガキ。」

 

「まだクソガキか…」

 

「お前さ、家どこ住んでんだよ?」

 

「そこ。」

 

「そこじゃわかんないよ。命蓮寺に住まない?」

 

「話が飛びすぎじゃね?」

 

「そんなことはない。多分。」

 

「確信持てよ」

 

自宅

 

「たーだいまー!」

 

「おう、おかえり」

 

「なんでいるんだ?」

 

「ん?看板娘に話しかけなくても良いようにってな。」

 

「ごめん何言ってんだ?」

 

「ぁあ?だから、お前が私以外に心移りしないようにだな。」

 

「元々お前に心は」

 

「なんか言った?」

 

「…だから何言ってんだお前?」

 

「これなんだ?」

 

「どんぐり」

 

「まだ私を欲してないな。どうしたものか…」

 

「なんだよお前怖いな…ほれ、妖怪はとっとと帰った。こんな所に妖怪がいるなんてバレたら慧音先生になんて言われるか」

 

「寺子屋の教師か。良いんじゃないか?別に、今更だろ。」

 

「は?」

 

何言ってんだこいつ。急に押しかけてきて、帰ったら先に居て、その上飯作って待ってるって、怖すぎない?座って、そのまま食えと。無理、うん無理。その前にお前でてけ。そう思って座らずに立っていると、良いこと思いついたと言わんばかりの笑顔と悪巧みをしている顔で、こう言った。

 

「お前が私を欲するまで、私はここにいるぞ。」

 

「それが悪巧みか?」

 

「でも、私も出来ればここに居たくないし、人里の家なんて燃えても不思議ではない場所に長い間お前を置くのは嫌だ。だからこうする。」ガシッ

 

「…おい、手をつかんだか?」

 

「私な、お前が命蓮寺訪ねてきたときは姿隠してたんだ。能力を使って。でもお前は私を見抜いたんだ。あのときは私を欲していたんだ。だからまた欲するだけなんだよ。」

 

「だけって、それが一番きつい」

 

「どんな男も最後は私の裸にしか興味がなかった。だからずっと子供と遊んでたんだからな。今のお前も子供の時と一緒なのは嬉しいんだ。」

 

「ちょっと、このままどうするつもりだよ?怖いぞぬえ?」

 

「…私は大妖怪で、お前は人間。お前が私に勝てる道理はない。スペルカードも使わない。」

 

「何説明しだしてんだよ。こっちは中身は子供だって」

 

「だから、お前が私を欲するように、お前を私で埋めるんだ。」

 

俺を私で埋める?は?…は?命蓮寺に行きたきゃ手錠でも付けていけば良いのに。なんだ、連れて行く正当な理由が必要なのか?それとも、何か?何か別の意味が?そう思っていると手首を縄で締められた。すかこの縄太くね!?デカッ!どこの縄だよ!?

 

「…お前は私といるのは嫌か?」

 

「いや、うーん…一応、嫌では」

 

「じゃあ良いよな。さあ、接吻の時間だぞ。」

 

「は?ちょ、おまっ!?」

 

「なんだよ、遮るのか?お前と接吻出来て私は嬉しいんだがな…」

 

「なんだ?なんだお前!?なんだよ、本当に」

 

「お前は私にとって大好きな存在で、子供の頃から成長していない。だから私を見つけれた。子供のようなお前が好きなんだ。」

 

「貶してる?」

 

「そんなわけあるか。褒めてるんだよ。私と接吻さえすれば衣食住全てを与えられるぞ?今より少し規律は増えるがな。」

 

「そんな安い取引で」

 

「あっそ。じゃあもう良いや。」

 

「うぇっちょっ」

 

「なんてな。でもやる事は出来るぞ?さあ、どうする?」

 

「…わかった。てめえの方がクソガキじゃねーかよほんと。」

 

 

 

 



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158話

かぐや姫。
神田川、行ったことありません。


 

永遠亭

 

「いえーい」

 

「何が『いえーい』よ。穀潰し」

 

「色々と効くからやめて?」

 

さて、穀潰しだが。俺がここにきた経緯を考えてみると、俺がなぜここに居られるかについてが分からなくなる。天の悪戯(物理)によって空から落ちて、永遠亭の屋根で背骨を打ち、のたうち回ってたら屋根から落ち、お医者様が見つける。うむ。分からんな。

 

「でも、貴方のような人間が人里に行ってはもっと酷い扱いを受けるわ。きっと、きっとそう。」

 

「きっとも何もあるか。追い出す気は無いくせに。」

 

「あら?追い出された時の伝手はあるのかしら?私たちが根回ししたら、どこへ行っても受け入れられないでしょうけどね?」

 

「私たちじゃない。お医者様の先生だろう。」

 

「…そうね。そうよ。でも、そのお医者様の上の人間が私。永林は一応私の部下。私の言うことは大体聞いてくれるわよ。」

 

「かーっ、これだから放任主義は。外の世界じゃ放任主義が主流だが、行き過ぎるとやべーぞ?」

 

「どれくらいやばいのかしら?」

 

「俺みたいになる。」

 

「あら、なら良いじゃ無い。」

 

良くないな。俺は外の世界じゃ俗に言うクズ…と言うよりも、グズの方が言い当ててるかもしれん。俺が出来たことと言えば、そこらへんの子供から金を貰うことくらいだ。俺はゲームの中で金を稼ぐ主人公かってくらい巻き上げたな。

 

「だから、隠されてるお姫様なんぞに俺は」

 

「それ以上は言わせないわ。少なくとも、貴方のことは好きでいるもの。」

 

「俺よりあったかい関係のやつがいるんじゃなくって?」

 

「あら、誰かしら?」

 

「お客人だ。俺は出てくる」

 

「グズな貴方に接客が出来るの?」クスクス

 

「笑ってろ。乗り換えられても知らねえけどな。」

 

「…えっちょっと?」

 

「妹紅さーん!」

 

「おう。輝夜はいるか?」

 

「居たら俺が出てこないっしょ。」

 

「まあそれもそうか…と、引き下がると思ってんのか?」

 

「後ろに姫様いるもんね。」

 

「わかってるじゃねーか。挑発だな?」

 

「まあまあ落ち着いて。帰ってくるたびに目を逸らすしかない服装になる姫様見るの面倒なんでね。」

 

「汁かよ。それは」グサッ

 

「…退散!」

 

「て、テメー…!クロスボウって…今の時代にクロスボウって…!!」

 

「と言うわけだよ。後ろのおひめ…ぃっ」

 

「許すと思ってるの?乗り換えるって何?何のことかしら?言ってくれないとわからないわ。貴方のセンスのない言い換えも素敵だけど、やっぱり一番は正直よ。ストレートに。話てくれる?」

 

そのままの意味だと。お前が愛想良くしないから俺は妹紅さんに乗り換えちゃうぞと。冗談混じり(俺の中では)で言ってみる。するとどうだろう。お姫様はかなりご立腹。乙女とは思えぬ怪力で俺は引っ張られ、そのまま幽閉。かと思いきやここで変化球。自分も幽閉されたのだ。

 

「二人共々幽閉とはね」

 

「こうすれば乗り換える暇なんて無いでしょう?」

 

「いや?お医者様に行っちゃうかもよ?恋愛は不可能でも、心は」トン

 

「…私にそれが見抜けない、とでも思ってるのかしら?現に、貴方は私に対して心が向いていないわ。それじゃあ、乗り換えるも何もないじゃない?」

 

「まあ、そうなんだが。」

 

「嘘つきはいけないわね。」

 

「それもそうだな。お医者様、怪我したら助けてね。」

 

「永林、助けなくて良いわよ。」

 

「…四肢が欠けたら止めますね。」

 

「えっ」

 

「ありがとう、永林。でも、四肢は切り落とさないから実質的には助けられることはないわね?」

 

「お、お医者様?」

 

「穀潰しが姫様と遊べているだけ喜ぶべき、です。」

 

「え、ちょ、お医者様!?ゆ、許して!穀潰しにならないよう就職先探すから!」

 

「良いのですか?」

 

ハッとした。そもそも、輝夜から告げられている人里は本当なのか?嘘でも本当でも、それは外来人に向けてとなったらどうなるのか?異端を排除しようとするのは田舎では良くあることだと言う。人里とはそれくらいの物、と考えている。無理では?

 

「ここよりも地獄よ。周りの家の人がいい人でも、いずれは何かをきっかけに『やっぱり』と言われるのよ。わかる?」

 

「わかるわ。やっぱりだとか、ほら見ろとか、そう言う物だろ。」

 

「いいえ、違うわ。大多数の意見を優先して聞く奴らのせいで貴方はズタボロ、家は持てたとしても直ぐに壊されるでしょうね。」

 

「衣食住は大切だからな。」

 

「…そう言うなら、人里へ行きましょう!」

 

人里

 

「病院を休日にしてでもやることか?」

 

「えぇ。そうよ。例えば、とある鼠のように後ろにいる人間が消えてもわからないとか」

 

「それはなっ!?」

 

クソが言ったら直ぐにきやがった!金目当てか!?それとも別の…例えば、ここにいる奴の命か!?残念だったな、俺以外の命は取れんぞ!とは思ってみるものの、やはり強気ではいても、それが虚勢であれば直ぐに消えるな。俺を外来人と知ったらそいつは『じゃあ今直ぐ死んでも構わねえな!』と言って俺を殺そうとした。お医者様に助けられるか〜とかそ思ったが、なんとお姫様に助けられた。犯人は錯乱して撃った銃弾全て相手に命中。相手が人間ではないことを除けば素晴らしいと言える。

 

「大丈夫!?」

 

「おう。しっかし、人里って怖えわ」

 

「でしょ!?だから、せめて、永遠亭からは出ないで…」

 

「わかった、わかった。」

 

「本当?よかった。」

 

「…全く、師匠も姫様想いですね。」

 

「ええ。止めたかっただけれど、逆に私が止められたもの。」

 

「やめろ輝夜、おい髪を引っ張るなおい!抜ける!痛い!!」

 

「…貴方の髪の毛を貰って貴方の形見にするから!」

 

「俺はまだ死んどらん!」

 

 

 




かぐや姫→大好き♡
主人公→怖い思いした時の感謝が忘れられない。
的な。
最初は魔理沙ちゃんだったのにね。なんか気分変わっちゃった。


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159話

お燐ちゃん。
死体回収って結構面倒臭いと思うんだけどなぁ。


 

地上

 

「…お燐さんも大変なことで」

 

「んー?なにがだい?」

 

「だって、死体回収なんてさ。重いじゃん」

 

「人間の君には重いだろうけど、妖怪のあたいからしたら楽々よ!」

 

「へー、妖怪ってそんなもんなんだ」

 

「そうそう。だから困ったことがあったらこのお燐さんをもーっと頼りなさい!」

 

「はぇー」

 

「君が殺した死体ならさ、いくらでもタダで受け取ってあげるよ♪」

 

「昔の人は言いました。タダより怖いものはないと。」

 

そう言い返すとかーっ!とやられた感を出して自分の猫車(そういうらしい)を掴んでどこかへ行ってしまった。全く、俺が殺した死体だなんて一言も言ってないんだがなぁ。いや、間違ってはない。一人殺してから選択肢にずっと出てきたからな。しゃーない、しゃーない。

 

「って訳なんですよ巫女さん、殺さないで」

 

「殺す訳ないでしょ。私も一応お燐とは仲が良いし」

 

「…じゃ、あいつの弱みでも握ってます?握ってたら教えてください」

 

「教えたところであんたには握りきれないわよ。欲の話なんて、酷いもんでしょ」

 

どうやらかの死体運びで有名なお燐さんは欲がヤバァイらしい。どれくらいヤバァイのかは知らないし、知りたくもないのだが、欲が弱みだなんてまるで人間のような性格をしてらっしゃる。俺自身お燐さんとは仲が良い…方だとは思う。うん。

 

「あ、そうそう」

 

「なんですか?」

 

「あんた、お燐はあれでも妖怪だから。危険を感じたらすぐに逃げなさい」

 

「危険を感じた時にはもう逃げ切れんでしょ」

 

「…言い方を変えるわ。生き残る意地を見せなさい」

 

「了解しましたぁ!」

 

「まぁ、一番は関わらないことよ。あんなモノと関わってたら、腐るから」

 

「俺が殺したってことになってる死体について誤解だって伝えてくれます?」

 

「嫌よ」

 

翌日

 

「1日でこんな死体が増えるものかね。」

 

「増えるもんさ。一度地底に来てみるかい?ほら、死体に紛れちゃってさ。」

 

「そうしたら最後、燃料になるんだよ。嫌だ嫌だ」

 

「そ、そんなことないよ!あたいだって分別くらいはするさ!」

 

「そういう奴に限って分別しないんだ。俺ぁ知ってんだぞ?そのせいで掃除のおばちゃんが困ってんのも知ってんだぞ」

 

「ごめんそれはあたい知らないな」

 

「…わかった。地底に行けば良いのね?」

 

「そう!思い立ったが吉日、行こう!」

 

思い立ったが吉日、さあ行こう。しかし、そうは問屋が卸さない。地底に行くにはかなりの手順が必要だ。そう、だからお燐さんの頑張りすぎに終わるのだ!今計算したが、俺は地底に行かない!その前に博麗の巫女がって来ないままなんか地底行ってない?大丈夫?

 

地底

 

「よっと。」

 

「おんぶさせてすまんね」

 

「良いよ良いよ。毎日1体くれるお返しにゃ」

 

「ん、そう。なら良いや。じゃあさ、地底で何するか教えてくんない?」

 

「終活」

 

「…俺、働いてるけど」

 

「いや、違うよ。終わりに活動の活って書いて終活」

 

「俺、終わるの?」

 

「そ!いや〜、我ながら妖怪だな〜って部分なんだけどさ。あたい、君が欲しいの」

 

「俺かぁ。3億から」

 

「速攻で集めて払うよ。それくらい欲しい。いや、欲しいは違うかもね。好き?かな」

 

「なんですと」

 

「今までさ、あたいは君が持ってきてた死体を部屋に置いてたんだけど。あ、やっぱ引いちゃうよね。でもさ、そうしないと君を感じれなくて。もう困ってさ〜。で、思いついたわけ。君をホルマリン漬けにしちゃえば良いって!」

 

「いや、でもそうしたらホルマリンの保存とか、結構手間が掛かるぞ?」

 

「あたいにはそれが良いんだよ。だって、君のお世話してるみたいでさ。ね、じゃあ終活しよ!」

 

「終活って一体何を」

 

「あたいに向かって日頃の愛を告げるのと、死神に捕まらないようにあたいの手の中に残ることかな」

 

「でもそうしたら」

 

「悪霊になられたら困るんだにゃー…あ、そうだ!あたいの体に入れて二重人格行っちゃうか!」

 

なんてハイテンションだ。俺はご覧の通り訳の分からない感じだと言うのに。俺はホルマリン漬け、死んだ後霊となっても、人格としてお燐の体の中。巫女さんにはもっとはっきりと言ってほしかったぜ。全く、これじゃもう手遅れよ。悲しい。

 

「…ねえ、お燐さん」

 

「何?」

 

「俺が嫌だって言ったらさ、どうなるかな?」

 

「どうなるか?んーとにゃ…まあ、大人しく死ぬまで一緒か…にゃ?」

 

「あ、じゃあ」

 

「でも、それはもしもの話で、現実に起こったら何するかなんて、分からないなー」

 

「…」

 

「あ、何か言おうとしてたっけ。言って良いよ?」

 

「お前に渡した死体、俺が殺した訳じゃ」

 

「知ってるよ?むしろ知ってなきゃおかしいでしょ。あたいの目がそんなに節穴に見える?だとしたら悲しいなー」

 

「と、とりあえず、俺は」

 

「さ、あたいに日頃の愛を!」

 

「ぅ」

 

「?どうしたの!さあ、ほらぁ!」

 

落ち着け、落ち着け俺。ここで愛を告げてみろ。一生ホルマリン漬けな上、妖怪の体に入れられて一生を終え…た後を!妖怪として生きれるか?そもそもお燐さんのような体に入ったとして、二人目の人格としてどうなる?怖い、怖いし不確定要素が多すぎる。やっぱやめておくべきだ。うん、そうだ。やはり、やめとこう。

 

「お燐さん、ごめん。ちょっと俺には少しホルマリン漬けになる勇気が」

 

「あっそ」

 

「え?」

 

「じゃあさ、あたいはどうすれば良いの?」

 

「え、お、お燐さんが?」

 

「あたいの勇気、あたいの心、どうすれば良いの?」

 

「ぇーっ…」

 

「簡単だよね。君が身を一つ犠牲にしたらさ、私が満足するんだよ。良いでしょ?」

 

「よくない、良くな」

 

「じゃ、はじめよっか!」フンッ

 

「ぃっ」ゴドッ

 

 

 

 

 




お燐…貴方の死体が欲しい。
主人公…死体?え、知らない。
私…11点
的ね。
まあ、この後彼は気絶したままホルマリン漬け。空気が足りず気絶して逝った霊はお燐の体へ。
お陰でお燐を見るたびに二人分の思考が入ってくるわ。片方はすごく苦しんでるけど。


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160話

逆襲のシャアって、良いよね。
霧雨魔理沙ちゃん。


魔理沙宅

 

「うお、きったね」

 

「うるさいな。これでも今日は片付いてる方だ!」

 

「足の踏み場がないのは、箒に腰掛けてるから問題ないってか?」

 

「うっ…」

 

「やっぱり便利は人をダメにさせる。お前も怠けずに部屋の掃除くらいしろ」

 

「う、うるせー!お前なんかを乙女の家に連れてきたやっただけでもありがたいと思え!」

 

「おいおい、家がない奴にそりゃないぜ」

 

何を言おうとも俺には家がない。そんな俺と仲良くしている霧雨魔理沙は中々の奇人、と言えるのではなかろうか。どうも一般常識に当てはめるほどの常識がないように見える。まるで生まれてすぐに巣立った小鳥のよう…いや、そんな小鳥知らんけど。

 

「で、何?俺は今日なんでここに連れて来られたの?」

 

「あ、ああ。どーせ舌が煙草で味しないんだろ?そんな奴に美味いの一言でも言わせれば私の料理の腕前が上がると思ってな」

 

「クズだな」

 

「お前よりはな」

 

「…待てお前俺の何を知ってんだ?」

 

「さあ?」

 

「さあって…ていうかクッキー焼いたのかよ。視覚的に他が写りすぎて不味く見えるぞ」

 

「雰囲気に惑わされる味なんか本物じゃないやい!」

 

はは、こいつめ。美味い味は雰囲気も大切だ。そう思いつつ食う。うん、味はしない。煙草を吸ってはいないが、ここでは褒めておくのが吉か。うーむ、迷うな。ただ、味のしない謎の飯を食ってる感が俺の手を止めている。困ったな。

 

「…ま、不味い…か?」

 

「まずい…というより味がしないと言うか」

 

「ヤッ…煙草吸ってる?」

 

「葉巻どころか煙草も吸っとらん。辛いものも嫌いだしな」

 

「もしかして私の料理の腕前が圧倒的に低い…!?」

 

「それ以外にあるか?」

 

「お前の味覚が生まれつきおかしい」

 

「ははっ、馬鹿にしてる?」

 

翌日

 

「おお、これはこれは人形使いさん」

 

「私がクッキー作りのお手本を見せると言うことね」

 

「よろしく頼む!」

 

「こいつの腕前を上げてやってくれ」

 

「とりあえず、そのクッキー頂ける?」

 

「こいつか。どうぞ」

 

「ごめんなさいね」サクッ

 

「…お前変な魔法で味の後付けとかしてないよな」

 

「おかしいわね…味はしっかりするし、美味しい部類に入るとは思うんだけど…」

 

「ほら見ろ。お前の味覚がおかしいんだ」

 

「ば、馬鹿な…」

 

「とりあえず、私も作ってみるから。それで味がしなければおかしいのは魔理沙じゃなくて」

 

「お前だ!」

 

「二度も言うな、二度も」

 

うーん、とまた一つサクッと食べてみる。うーむ、でりしゃす…とは到底言えない。むしろ、吐き気がした。どうなってる?昨日は味がしないだけだったのに、今日になって吐き気?なんだ、人形使いさんは当たりを引いて俺はハズレを引いてるのか!?

 

「に、人形使い、さん」

 

「何かしら?」

 

「これ、これ食べて…」

 

「?食べかけじゃない。私ちょっと」

 

「それ、吐き気がするくらい不味くて…」

 

「え!?」

 

「え、そうなの?じゃあ反対側を…」サクッ

 

「魔理沙…お前ちょっとあれは」

 

「美味しいわよ?まあ、これは捨てておくけど」

 

「扱いが酷くないか!?」

 

「本当に大丈夫?演技には見えなかったけど」

 

「演技に見えたら永遠亭行けこの野郎…トイレ借りるぞ」

 

「あ、ま、待て!」

 

「吐き気が凄まじ」ガチャリ

 

「まだトイレは片付けきれてないから!!」

 

「…」

 

「魔理沙、なんでトイレに…いや、逆ね。なんで本の山の中にトイレを設置したの?」

 

「ぁぅ…」

 

「ん?あ、待て…この服…」

 

「あ、あー!あー!ま、待て!!あー!!!」

 

「…俺の服だ…」

 

「え…前ここに来たのかしら?」

 

「トイレには行ってないし…俺の服は全部持ってるんだけど、最近無くした服なんだなこれが」

 

魔理沙…とジト目とやらで見てみると、魔理沙自身は帽子を深く被っており、答えようとしない。俺より付き合いが長いであろうアリスさんもこんな姿は見たことがない、といった感じだった。とりあえず、おやつに取っておいた外の世界の缶詰を渡す。深く被っている帽子が少し上がった。ホッと一安心。

 

「そういうところはずるいんだよ」

 

「ずるい?まさか。用意周到と言って欲しいね。霧雨のお嬢さん」

 

「この…」

 

「魔理沙?」

 

「ようやく忘れかけてたのに、同じことしやがって…」

 

「…霧雨のお嬢ちゃん?」

 

「なんで同じことするんだよ!私は、私だって!なぁ!」ドンッ

 

「魔理沙、落ち着いて!」

 

「ごぶっ…仮にも吐き気がある人間を突き飛ばすなんて…」

 

「だから、クッキーで上手くやろうと思ってたのに!」

 

「え?」

 

「お前の記憶をいじって!私の苗字が霧雨ってこと忘れさせたかったのに!」

 

「ちょっと暴れないで、痛っ!?」

 

「なんだ?霧雨のお嬢さんが嫌だったのか?」

 

「そうだよ!だって、そうしないと媚び売られてる気がして…」

 

「理由しょーもな」

 

「しょうもなくない!お前が悪いんだ!お前が、勝手に忘れてるから!」

 

…あ、あっれー?金髪少女だなんて、どこで見かけましたっけ??お、俺は知らない、なー?…え、知らんよな?金髪の少女なんて、出会ったらもう忘れられんよ?金髪って、そんないないもん。見かけたとしても、ねえ。大方変な奴だし。なー?

 

「なんで、ほんっと、なんで!」

 

「魔理沙、本当に落ち着いて、後少しでクッキーが出来るから、それ食べて落ち着きましょ?」

 

「うるさい!」

 

「え?」

 

「マスタースパーク!!」

 

「ちょ」ギュォォォォォォ

 

「人形使いさんあれまみるみる飛んでく。次は俺?」

 

「やっぱり思い出させることにした!私の心にずっといやがって!」ゴンッ

 

「痛っ!」

 

「…魔法っていうのは、応用が効くんだよ。今すぐにでも、さっきのクッキーとは正反対のクッキーが作れるんだ」

 

「そ、そりゃあ」

 

「じゃあ、思い出してよ!」ブンッ

 

無造作にぶち込まれたクッキーは、舌に触れる暇もなく喉に当たった。痛い。

 

 

 

 




魔理沙…過去にやられたこともやってくれたことも覚えてるタイプ。そしてそれを美化しすぎるタイプ
主人公…そんな魔理沙ちゃんに優しく触れちゃった!その後そのことについて思い出す。思い出したからと言って、どうというわけではない。
的な。
的な!


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161話

暗いのに欲情するから瞼を縫い付けた男
VS
ルーミアちゃん


お外

 

「お、人間だ」

 

「ん、その声は」

 

「貴方は食べても良い人間なのかー?」

 

「食べられるのはお前、なのだー」

 

「…飽きた」

 

「おう、だろうな」

 

「大体、瞼を縫い付けた人間なんて食べてたら変な味するのだ」

 

「そうなのか…え、そうなの!?」

 

「絶対そうなのだ」

 

さて、説明しよう。俺は暗闇が大好きな男。I LOVE 暗闇 だ。ちなみに、俺が瞼を縫い付けているのはそれが理由であって、決して相手の心が読めるようになるとか、相手の動きが音の反動で分かるなんて能力のために縫ったわけではない。無論、そんな能力はないわけだが。

 

「はー、お前も物好きだな」

 

「私は一応妖怪だから人は皆逃げて行ってしまうのだ」

 

「へー、よくわからん」

 

「左様、なのかー」

 

「全く俺もやばい人種に入るのかな」

 

「瞼を縫い付けた人間は美味しくないのだ。食べるとしたらその糸抜いてからなのだ」

 

「ウッソだろお前」

 

「ちなみに私は周りを真っ暗に出来るのだ」

 

「嘘だろお前、お前の能力は俺と出会うために生まれたと言っても」

 

「でも目が縫い付けられているから本当か嘘か教えてあげられないのだ」

 

「…そこら辺は、あれだ。博麗の巫女さんに」

 

「なーんでー!」

 

ふむ、怒らせてしまった。妖怪なので少し怒るだけでも自分からしたら大変怖い。恐ろしい。のでやめてもらいたい気持ちだが、まあ、無理という奴だろう。出会ってもはや十は軽く超えた会話の場なのに、今初めて能力知ったし。こいつが見えたら話も違うんだろうなぁ

 

「変人の沼に浸かるのは辞めておいた方がいいのだ」

 

「変人と言ったか?お前、そりゃアレだよ。…変人という名の大人しい人だよ」

 

「そういう奴に限って大体大人しくない人なのだ。でも信じてあげるのだ」

 

「なんて奴だ。こいつ」

 

「でも、何で博麗の巫女が出てくるのだ?」

 

「俺は外来人、という奴らしいからな。縫い付けて直ぐに来たから勝手がわからないけどね?」

 

「それなら仕方がない…のかー?」

 

「でも…そうだな、俺がここに来てから知り合ったのはお前が2番目じゃないか?」

 

「何で疑問系なのかー?」

 

「うーん、音も気配もなく出てくる神出鬼没な紫、という人がいるらしくてな。そいつとすれ違っていたら多分三人目だ」

 

「なんでそんな奴に負けなきゃいけないのだー!」

 

「負けるってどういうことだこら」

 

そう思いながら駄弁ってると、まあ、幻想郷に来てから特に見たことのない『ヨウカイ』なる者が来たのか、はたまた落石があったのか、俺の意識は飛んだ。最後の記憶はルーミアがなにかを蹴っていたので、多分ヨウカイ。

 

永遠亭

 

「…?」

 

「あら、目が覚めたのね」

 

「あれ、んー…目が…」

 

「ええ、そのままだと目に悪いから。外してあげたわよ」

 

「…なんでそんなことを」

 

「貴方を連れてきた子の要望ね」

 

「ルーミアかな?」

 

「長い間光を見てないから視界が変でしょうけど、頑張ってね。じゃ、退院!」

 

「んな適当な」

 

お外

 

「ルーミアにはやられたな」

 

「やられた?守ってあげたのだ。妖怪が来たから蹴り殺したから、むしろ感謝されて当然、だ」

 

「しっかし、目が見えるようになるとなんとも…変な色してんな」

 

「うるさいのだ。それじゃあ、前言った能力を見せてあげるのだ」

 

「いや、ちょっと待って」

 

「ん?」

 

「やばいことになったら博麗の巫女さんに頼んでね。助けてもらおうかなって」

 

「私が信用ならないのかー?」

 

「いや、そういうわけじゃ」

 

「じゃあ良いのだ。呼ぶ必要なんてないのだ」

 

「…ルーミア、でもな。妖怪とか」

 

「それなら一生心配はいらないのだ」

 

「え?」

 

「前の出来事で確信したのだ。貴方みたいな変人は、強い者が護って当然なのだ!」

 

は?と、咄嗟に出た俺の口は褒めよう。ただ、それを理性で止めれなかった俺が憎い。その一言でルーミアは俺の目の前へと出てきて、一瞬で周りが暗闇になった。俺が前まで見ていた世界に近い。が、やはり恐怖は出る。ルーミアは何故博麗の巫女を必要ないと言い切ったのか?はてなマークなら30個は軽く浮かび上がる。

 

「る、ルーミア」

 

「一生ここにいるのだ。私が守って、私がお世話をしてあげるのだ」

 

「ルーミア、あのな。俺の世話はやべーぞ。靴下とか」

 

「そんなもの、必要ないのだ。この暗闇の中なら光はないのだ。だから、服を着る必要なんてもっとないのだ」

 

「じゃあ、博麗の巫」

 

「博麗の巫女はいらないのだ。いらない。貴方には必要ない。分かる?」

 

「説得するんじゃないっての。とりあえず、人里には」

 

「行かなくて良いのだ」カプッ

 

「んなっ?」

 

「いらないのだ。むしろ、行ったら貶されるのだ」

 

「は、はぁ?」

 

「狭い人里の噂なんて広まるのが早いのだ。私が適当に噂を流せば、良い具合に話が誇張されていくのだ」

 

「ああ、習ったわそれ…」

 

「だから、大人しくここで」

 

しかしそうとも行かないと腕でルーミアを退かす。妖怪なのに腕一本で退かせたのはルーミア自身が油断をしていたからだろうか。巫女さん曰くではあるが、なんと暗闇の中ではルーミア自身も目が見えないらしい。逃げるならそこがチャンス、というわけだ。

 

「い、いまだぁい!」

 

「ダメなのだ」ガシッ

 

「!?」

 

「…ダメ、ダメなのだ。ここから出るのは、ダメなのだ。だから、やめて、諦めて、私のものになるのだ」

 

「ルーミア、けどな。いきなり消えたらな…誰だって不思議に思うし、博麗の巫女さんも」

 

「それは心配ないのだ。外来人は食べても良い。これが幻想郷のルール、なのだ」

 

「だからいなくなっても良いと」

 

「そうなのだ。だからもう諦めるのだ。ここで私と一生を共にするのだ」

 

「ルーミア、良いか?俺はこれでも焦ってるんだ。だから」

 

「嫌なのだ。貴方の大好きな暗闇ならあるのだ。だからここにいて欲しいのだ。貴方の大好きなものがあるから、良いでしょ?」

 

「!?」

 

「ね、言って。ここで良いって。外の世界なんか行かず、暗闇の外からも出ないって、ねえ」

 

「ルーミアか?お前、なんか声が」

 

「良いから言って。ねえ、お願いだから」

 

 

 

 

 




ルーミア…私の能力使ったら私のそばに一生いてくれるかな?
主人公…暗闇大好き。目を縫ったのは厨二病的な理由ではないよ。
EX(準)ルーミア… 愛のお陰で能力の中途半端な部分が良くなった(暗闇の中でもなんとなく特定の人間の場所がわかる)し、そのおかげで少し封印が取れかかってしまってEXルーミアになりかけてる
的な。
EXルーミアって、実在するんですかね。こう、レミリアとフランの成長した後の姿、的な。
昔も出しましたけど。


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162話

摩多羅隠岐奈さん。
この人ってずっと椅子に座ってる記憶しかないんだけど、足が動かないのかな?(動く)


後戸の国

 

「気は変わったか?」

 

「馬鹿にしてるのか?それとも本気でなって欲しいのか?」

 

「それは…」

 

全くこの賢者は。俺が何をしたっていうんだ。第一に、俺は何もしていない。むしろお前みたいなタイプは俺を嫌うとずっと思っていたのに。まぁむしろやばい奴らから逃げることは出来たとも言える。そこは感謝しているんだがなぁ。

 

「それは、あれだ。本気で私の部下になって欲しいんだ」

 

「嘘っぱちが」

 

「嘘ではない。お前は私に対して馬鹿だ、とか言うがな。これでも賢者だぞ?」

 

「知ってる。最も、俺は八雲紫のせ」

 

「なんで八雲紫が出るんだ?おかしくはないか?私とお前が一対一で話しているんだぞ。お前と入れ替わりになる二童子のことを言うならまだ分かるが、何故八雲紫が出る」

 

「…あいつが初めて会った賢者だからな。アレが基準だ」

 

「なんだ。そんなことか。驚いたぞ、いきなりあいつの名前が出るからな、まさか取られたかと思ったんだ」

 

「お前の物でもないのに取られるって、そりゃどう言う事だよ」

 

「あ、いや、そう…なんだがなぁ…」

 

「何ガッカリしてんだ。人を牢屋に閉じ込めてさ」

 

牢屋の中って結構きついんだぞ。トイレを見られるのはきつい。風呂もだが。何故かこいつは急用が入らない限りは牢屋の近くでジッと見てくるのだ。俺が風呂に入りたいと言ったら入れさせてもらえるんだが、何故かついてくる。見てくる。なんだ、こいつ。

 

「隠岐奈。そう見られてるとトイレも何もしづらいのだが」

 

「だから?」

 

「…」

 

「私がその気になれば気に入った奴を無理やり部下にする事だって出来るんだ。あまり我儘を言わないでおいた方がいいと思うけど」

 

「あーわかりましたよ!全く。はー、退くも進むも地獄だな」

 

「ちょっと待て、それどう言う意味だ?」

 

 翌日

 

「摩多羅」

 

「ん、なんだ?」

 

「昨日言ってた二童子だが、あいつらは基本的に何をやってるんだ?」

 

「…待て、なんで私を苗字で呼んだ?」

 

「気分だ」

 

「…気分か。こっちに来てくれたらその質問に答えるよ」

 

「俺から歩み寄れる限界にいるんだがにぁ?」

 

「君の気分で振り回されるのも良いと思ってね。無理矢理部下にしたくないからさ、どう?部下に」

 

「ぃぁぇい」

 

「?…顎を掴んでいたら喋れないか?」

 

「当たり前だろお前」

 

なんだ、俺はなんでこいつと駄弁ってるんだ。クソッ、なんかおかしくなってきたぞ。なんか頭がおかしくなってきた。摩多羅隠岐奈め、もうやる気一杯じゃないか。誰かを呼んでみたいが、生憎ここは摩多羅隠岐奈の支配下であるらしい。声なんぞ届くわけもない。無論、声なんか出したら何かされるんだろう。

 

「全く、嫌なもんだねぇ」

 

「なんで貴方は私の部下にならないのか気になるわ」

 

「牢屋に入れるような奴だからだよ。多分部下になるって言ったらずっと側に居るのが仕事になるだろ」

 

「ん、そうだぞ?」

 

「…」

 

 さらに翌日

 

「隠岐奈、一つ聞くぞ」

 

「何?」

 

「その、変な道具はなんだ?」

 

「これ?んーと…まあ、使われたら分かるわよ」

 

「百聞は一見にしかずってか。ざけんなお前」

 

「…そう」

 

「ところで、俺はいつになったら出れるんだ?」

 

「出さないわよ。前から言ってるじゃない」

 

「いや、でもよ。幻想郷にいるやべー奴が死んだ後とか」

 

「死んでも出さないわよ。この道具は焼きごてって言って、まあ簡単に言うと焼印を入れる物なの」

 

「…は?」

 

「貴方が私の部下になった時用に作ってたんだけど、部下にならないから、仕方ないよね」

 

「待て、おい、開けんな。ちょ、入ってくんなお前!」

 

「なんで?入らないと焼印を付けれないじゃない」

 

焼印なんてモンつけたらどこも歩けねえよ!とにかく、アレが冷えるまで逃げ回るしかないか?あ、いや無理だな。あいつ牢屋の鍵閉めやがったし。ここはもうタックルに賭けるか?そのまま焼きごてを奪い取って武器として構えるか!そうだそれで行こう!やはり俺は頭が冴えているぜ!

 

「隠岐奈、待とうか。な、俺もそれやられたら散歩とか、デートとか出来ないからさ!」

 

「デート?部下と上司なのに?おかしいことを。でも、貴方がそう言うならそんな関係も悪くないわね」

 

「だ、だろ?だから、な。せめて焼印は」

 

「でも、どう言う関係なら尚更だよね。ほら、グッと行くからさ。大人しくして」

 

「この分からずやめっ!」ドンッ

 

「っ…貴方自身から私の所へ来てくれるなんて、良いことよ。そんなに想われて嬉しかったのかしら?」クスクス

 

「な、隠岐奈。じゃあさ、俺がお前に焼印を」

 

「私が信用ならないのかしら?でも、そうね。そうじゃないと心配になるのは分かるわ。分かった。私もやる」

 

「んな」

 

「じゃあ、やろうね」ジュッ

 

こうして、俺の背中には摩多羅隠岐奈の名前が刻まれましたとさ。めでたくない、めでたくない。隠岐奈に焼印を入れる際に、隠岐奈が遊園地を前にした子供のように、いかにも「早くやって」と言う感じに背中を向けてきて、少し目眩がしたのは秘密だな。うん。秘密だ。俺自身も夢だったと思いたいのだがなぁ。

 

 その翌日 人里

 

「痛っ…」

 

「まだ痛むのか?やっぱり弱いな♪」

 

「隠岐奈、牢屋から出してくれたのは有り難いが、なんでここに来たんだ?」

 

「なんでか?当たり前だろう。私の物になったお前が誰かに取られる心配がなくなったからだ。もし奪い合いになっても私なら絶対に勝てるからな」

 

「左様にございますか」

 

「それと、良い感じに目立てるからね」

 

「そっちが本音だな」

 

 

 

 




摩多羅隠岐奈…支配したいほど大好き!!取られるの大嫌い!!
主人公…賢者って変なやつばっかだな
的な。
感じだと思うんですよね。うん。多分。多分ね。


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163話

私とて命は惜しい物です。特に死に際
射命丸文です。


人里

 

「人間なんて物を新聞に写すだなんて、あんたも暇だね」

 

「あややや、そんなことは。暇な時間はネタを探してますから!」

 

「先日の別の新聞には、『射命丸文、仕事を忘れて人里散歩!』とか書かれてたけど?」

 

「んー…バレちゃいます?」

 

バレちゃいます?と言うことから、あの新聞は信憑性が高い、と言うことでいいのだろうか。対してこの新聞は、いつも小さいコーナーに今日の誰々、と言うものを載せている。人里の人口など多くない。だから、たまに妖怪の分もやっている。今日は風見幽香か…

 

「あのバーサーカーを良く撮れた物だね」

 

「いえ、それほどでもないですよ」

 

「その上、よく観察して粗まで探している」

 

「うぐっ」

 

「本人が知ったらどうなるのかね?射命丸文さん」

 

「ほ、本人を侮辱する気持ちはないので、許してもらえる、かなー…?」

 

「クズだな、もう」

 

「んな!?く、クズだなんて!失礼じゃありませんか!?少なくとも部下たちには尊敬されていて」

 

「先ほどの新聞には、ただの不良天狗だって部下に言われてるけど?」

 

「その新聞はストーカー新聞でもう良いんじゃないですか?」

 

奇遇だね。俺もそう思ってた。さて、こいつのことだからいつしか好きな奴が出来た時には新聞でそれを報告しそうだ。噂が事実になるかもしれん幻想郷では嘘も実現する。とは言ってほしくない物だな。頼む、神様。せめて健全な付き合いをさせてやってくれ。

 

「…しっかし、まだ朝だって言うのに。もう配達は終わりか?」

 

「終わりですよ。最後が貴方ですから」

 

「長話は嫌いだろ、帰れ」

 

「貴方の長話であれば夜まで聴けますよ」

 

「飯食って風呂入って寝ろ。それをやるにはまず帰れ」

 

「完全に拒否されてますね…私何かしました?」

 

「うん」

 

「うん!?あやや!?こ、これでも健全な関わり合いをして、あ、あれ…?」

 

「つーわけで帰れ」

 

「…な、なんでですか…ね?」

 

「答えはただ一つ。俺はぐーたらするからだ」

 

「そ、それなら私と話していた方がいいじゃないですか!そんな惰眠するよりも、ねぇ!」

 

「人の悪評広めるような奴と話してたらどんな噂流されるか分かったもんじゃない」

 

「そんな!?わ、わかりましたよ!家の前でずっとしゃがみ込んで泣き続けてやりますから!何を言われても退きませんからー!!」

 

「…迷惑烏が…」

 

と、試しに玄関まで行ってみたらグスグスと鼻を啜る音が聞こえる。微かではあるが、もしやこいつ、家の前で寝てるんじゃないだろうな?…迷惑な奴だ。裏から出て天狗共に押し付けるべき…か。天狗もこいつとは関わらないフリをしたいだろうし、無理だな。俺もこいつと関わりたくない。鳥の巣無いんだぞここ。

 

「…射命丸、玄関前っ…」

 

「開けてくれましたね。中に入っても良いってことですよね。それじゃあ失礼します」

 

「なっ…?」

 

「いやー、いつも玄関までしか入れませんが、やっぱり人の家は落ち着きませんね。」

 

「はークソカラスが」

 

「クソ?なんでクソなんですか?教えてください。」

 

「そのままだよクソが。それにしてもどんな手品使いやがった。風を切る音もせずに一瞬で立ち上がるなんて」

 

「あやや?そうでしたっけー?」

 

「こいつ…」

 

「あ、神経を逆撫でしてしまったらすみません。それはそうと、私たち、付き合いません?」

 

「付き合うわけが」

 

「なんでですか?」

 

「おわびっくりした…種族、性格共に不一致。理由なんてこれくらいで良いだろ」

 

「おや、ご存じないのですか?愛に種族は関係ないのですよ」

 

「性格の不一致」

 

「私ならどんな貴方にも対応して見せますよ。女子力だってありますし」

 

どんなスライムだ、この野郎。だめだ、やはり信用ならん。しかしそんな思いを知らずに今後の構想を話してくる射命丸文には心底うんざりする。付き合い始めて2年後に結婚するので、覚悟しておいてくださいねっ☆とか言われても知らねーとしか言えない。とりあえず今日は帰らせた。返事は明日な、帰れ帰れと言って帰した。まずいことになってないだろうな?

 

翌日

 

「ふわぁー…起きてからの行動はあくびに限る…」

 

「ですね!」

 

「うわ!?」

 

「うわってなんですか!もう恋人になるので慣れてくださいね」

 

「…返事してねえぞ」

 

「え?恥ずかしがって明日に引き伸ばしたんじゃないんですか?もう刷って配りまくりましたけど」

 

「はぁ!?お前、何して」

 

「とりあえず、もう取り返しつきませんから!」

 

「俺の返事は付き合わないだこのバカ!」

 

「…え?」

 

「何を勝手に解釈してんだ!…ぁ?」

 

「そんな、なんでですか?だって、スタイルだって良いですし、他の女よりは」

 

「お、おーい?」

 

「ま、まさか!他に女の人が、いたって言うんじゃ…」

 

「いるわけねえだろ!気持ち悪い!」

 

「そ、そうですよね!すみません」

 

「あのな、性格の不一致だって」

 

「でもそれは私が合わせるってことで決着じゃないですか」

 

…ダメだ、こりゃ。どう話しても地味に噛み合わない。永遠亭に連れて行くべきか?いや、そうしたら俺が妄言者になるのか。記憶障害になるのか。永遠亭にも届いてるらしいからな。さて、誰に訴えようか…やはり天狗だろうか。責任者に問い合わせるのが正しい、と言えば正しい…か。

 

「そ、そんな…なんでです?何が理由なんですか!?」

 

「射命丸、何をお前そんなに」

 

「この新聞の記事だけは事実にしたいんですよ!ね、ダメですか!?」

 

「ダメだって」グサッ

 

「…そう、ですか」

 

「ぉう…やったな…」

 

「こうすれば、少なくとも貴方を誰にも取られませんから」

 

「お前の…には…」

 

「そうでしょうね。分かってますよ。でも、事実上は私の物ですから」

 

 

 

 

 




射命丸文…実際の出来事ではなく、他人からの認識が事実だと思っている
主人公…本当のことを書いてる記事が欲しいので文の他に3個くらい契約してる
的な。
ちなみに他の人に取られるかもと危惧したのは新聞の契約数がきっかけです。
地雷踏め?


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慧音先生と仮面男

落ち着きましょう。
そう、呼吸をして。
疲れた?そうおっしゃらずに。
慧音先生ですよ。お世話になったでしょう?


人里

 

「常々思うんだが、外来人が幻想郷の寺子屋で教えを説いて良いものかね」

 

「良いさ。幸い、寺子屋で習う範囲は外の世界で言う小学校、とやらの範囲なんだろう?」

 

「そうなんだがなぁ」

 

「そんなことよりも、こっちに来てから着けている仮面の方が気になる。いい加減取ったらどうだ?」

 

…やだねー。と小声で返しつつ仮面に触る。お顔が汚いとか、そう言うことはない。はずだ。しかし、なんと言うか。ここにきてから一年。外では感染症が蔓延していた。一年前。ここに来る一年前にはもう顔を出すのは恥ずかしかった。ならばもういっそ隠してしまえと道中買った仮面にチェンジしただけだ。

 

「まあ、それを取るのは嫌なんだろうがなぁ。教え子からずっと素顔を聞かれてるんだ。その度にどう返すか悩む私の身にもなってもらいたい」

 

「ハクタク殿が、可笑しいことを言う。一寸も可笑しくないけど」

 

「まあ、仕事はしてくれるから有難いんだがな?」

 

「うっせ。そろそろこの仮面にも飽きたし、お面でも買いたいんだが」

 

「ああ、それなら寺子屋の向かいにあるぞ」

 

「…子供に誘惑か…」

 

「?」

 

「今の真っ白な仮面では第一印象が悪いし」

 

「それで一年いた君はなんだ?」

 

いーじゃん。別に。図々しい部分は幻想郷みたいに一長一短で良いのだ。なんで医学がクッソ発展してんのに、人が少ないのか。妖怪という奴が人を食うからだ。しゃーないな、うん。全く、不便だなぁ幻想郷。三種の神器すらないとは。誰かが言うには人里の外に売ってる場所があるらしいが、残念電気がない。

 

「なんで天狗しか売ってないんだ」

 

「似合っているぞ」

 

「いつもの新聞屋のお姉さんに笑われちまうよ」

 

「お姉さん?」

 

「俺の中でのお姉さんはな。見た目が若くて自分より年上の奴だ。そうなると先生もお姉さんだな」

 

「お姉さんか…まあ、悪くは」

 

「そうなると妹紅さんはセンセイのお姉さんになるな。やめておくか」

 

「なんで妹紅が出て来るんだか。」

 

「出所不明、と言う奴ですな。で、いつ俺は眠れるんで?」

 

「君は君のタイミングで眠れば良い。私はその後に寝させてもらう」

 

「…もう月が頂点を下るんだが」

 

「フフ、君と寝ずにお月見、かな?」

 

「センセイと一緒にお月見?気が休まりませんよ」

 

「残念だ。じゃあ早く寝ることだな。そろそろ寝なければ明日に出る」

 

「是非ともそうしてくれ。俺を安心して寝させてくれ」

 

「…膝枕か?」

 

「なんで?」

 

という感じでお面を買い替えた後は翌日を迎えた。慧音先生と一緒に生徒へ教える。と、したいのだが生憎慧音先生が教えられるのは人心掌握と社会、それも歴史が中心、と言った感じだ。国語も多少。つまり俺は算数を教えれば良いのだ。英語とかいらないし、理科なんて一番いらないもんな。発明品言って終わりだ。

 

「また夜だぞ」

 

「全く。天狗のお面をつけたせいか、今日は一段と多く聞かれてしまった」

 

「そのうち爺さんになるから、その時には取る」

 

「生徒にはそこまで待っていろと。無理だな」

 

「無理でございますか」

 

「で、どうだ?今日は満月だし、月見とでも」

 

「今月が満月でしたか。では、失礼」

 

「ところで」

 

「ん?」

 

「今日は休憩中に随分と仲のいい女の人がいたな。あれは何だ?」

 

「俺にも春が来るんですよ。春告精よこーい」

 

「…それでは私も焦らなければならないな」

 

「おや、先生も私にご執心で?」

 

「バカを言え」

 

「ですよねー」

 

「執心、だけで収まるものか。私が言えたことではないのだが、顔を知らせぬ男に春は来ないぞ」

 

「老後に春が来るのか」

 

「…私だけにでも見せてくれないか?」

 

初めてだな。おい。先生が俺に対して仮面を取れと言ってきた。今までは取らなければ私がきついと言っていたのに、自分の欲を出してきよった。さては狸が化けているか。しかし、全然、全くそんな素振りはない。試しに俺が仮面の下に指を入れると写真を撮りたいと言ってカメラを手に持っている。場所を知っているということは、本物だ。

 

「…ほれ、どうだ…何とか言ってくれ。恥ずかしい」

 

「やっぱりだ」

 

「何が想像通りなんだか」

 

「やっぱり君の顔を見ても気持ちは変わらない!顔を知らなくても君を愛せる!」パシャッ

 

「は?」

 

「あぁ、直ぐに現像したいが、まだ夜だ。現像の液は丁度切らしている。全く、私の備えのなさは少し改善すべきかな。いや、君がこんな私を愛してくれるのなら、私も自信を持てるのか」

 

「せ、先生?」

 

「今日から私のことは慧音と呼んでくれ。なぁ、良いだろう?ワガママばかりかもしれないが、そうだ。君も私に何か我儘を言ってみてくれ」

 

「そうだな…落ち着け」

 

「え?落ち着け?何を言っている?私は落ち着いているぞ。この世に似た顔などない君の顔を何枚も撮っているんだ。落ち着いてなければ一枚撮ってまじまじと見ていただろうからな」

 

なんてことだ。やばいやつに素顔を晒してしまったのかもしれない。俺の顔があのカメラの紙にある。現像に期限はないのか。せめて1時間であることを祈りたい。いや、最悪6時間でも良い。月の逆光は期待できない。頼む。まあ、先生なら誰にも広めないだろう。妹紅さんくらいか?

 

「せ…慧音、あまり撮らないでくれ」

 

「あ、あぁ。わかった。すまないな、気持ちも考えずに。この顔は私だけのものだ。厳密には私の君だけだがな。まあ、君を除けば君の顔を知っているのは私だけだ。君の顔だ。ああ、早く現像したい。気持ちが抑えられないな。楽しい明日を前にした子供の気持ちというのを理解できた気がするよ」

 

「慧音…言っておくけど寝顔は撮るなよ。撮ったら出ていくからな」

 

「わ、わかっているとも!君に出て行かれたら私は一体…」ガチッ

 

「…今の何の音だ?」

 

「頼む、出て行かないでくれ。今の私は変だと思うだろうが、お願いだ」

 

「寝顔を撮らなきゃ良いだけだろ」

 

「あーそれもそうか。すまないな。少し取り乱したかもしれないな」

 

 

 

 

 




慧音…他の人が知らない、君のことを知りたいな。後、出来るだけずっと私のそばに居て欲しい。
主人公…みなさんご存知コロナのせいでマスクを外すのが恥ずかしい症候群を患った人。
的な。
ちなみにこの後は少し気まずくなりましたし、それも束の間ですよね。


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165話

小指の皮を剥いていたらなんかちょっと痛かったので放置してたら勝手に剥けました。
咲夜さんです。


紅魔館

 

「さーくやさん」

 

「さーくやじゃない。咲夜。何の用事?」

 

「美鈴寝てたけど」

 

「私が気付かないとでも?」

 

窓へ目を向けると勢いよく血がぴゅーと出ている。美鈴さんはあんなに血を出して大量出血で死ぬとかないのだろうか?妖怪だからありえないのかな?だったら妖怪って羨ましいな。それ相応に不便なんだろうけど。

 

「それでは咲夜さん。図書館の方に居るので、何かあれば」

 

「サボるのかしら?」

 

「っ…カウンセリングですよ。咲夜さんも年1であるでしょう?」

 

「あ、もうそんな時期なのね。いってらっしゃい」

 

「こっわ」

 

図書館

 

「…」

 

「カウンセリングってなんでしたっけ?」

 

「カウンセリングなんてやってないわよ。」

 

「咲夜さんには咄嗟の嘘が通じるんだな。メモしとく」

 

「あなた、その内刺されるわよ」

 

「咲夜さんの場合刺すより餌にされるの方が正しいんじゃない?」

 

「…まあ、それもそうね。レミィの食事になるかしら」

 

「まあ怖い」

 

「一番は嘘を言わないことよ。どーせバレるんだから」

 

「そうね。バレる嘘は言うものじゃないわよ」

 

「ウッソだろ」

 

その後、俺はメイド長のお叱りを受け、お嬢様に少しの血を差し出し、寝込む。なんでだ。風邪でも患ったか?ちなみに風邪は病気ではないらしい。患うは違うな。ものすごく倦怠感を感じる。やる気が起きずに起き上がることもままならん。

 

「…メイド長?」

 

「あら、いつもの呼び方じゃないのね」

 

「そっちがお望みでしたか」

 

「違うわよ」

 

「あれま」

 

「部下の管理も私の務めだから、早く治してくれる?」

 

「あいわかりました。と行きたいのですが生憎起き上がることも出来ないのです」

 

「…はぁ?」

 

「いや、出来ないことはないんですけどね?なんだか、起き上がる時に力が抜けそうで」

 

「そうなのね。分かったわ。治るまでここに居るから」

 

「ズル休みかどうか疑ってます?」

 

「いいえ?貴方のことは妖精よりは信じてるわよ。美鈴よりも」

 

「それならもう永遠亭に」

 

「あそこはダメね。お嬢様が毛嫌いしてる」

 

「宗教上の理由か〜」

 

「まあ、そう言うものね。それじゃあまず朝食ね。病気だからこそ栄養は大事よ」

 

「口まで持ってきて、あーんって」

 

「…口の中にぶち込むわよ」

 

「ごめんなさい」

 

「でも、困ったわね…そうねぇ」

 

と、言いつつ悩むフリ。悩むフリなのだ。メイド長が俺をどう思っているかは知らない。ただ、怖い。次何をするのかが一番わからない人だから怖い。次に怖いのは美鈴さん。何か逆鱗に触れたら蹴りが飛んできそう。うん、怖い。皆怖い。

 

「んぢゅっ」

 

「んっ?」

 

「…ふー…これで良いかしら?」

 

「?今のって」

 

「口移しよ。もしかしてそう言うの気にするタイプ?じゃあお粥になるけど」

 

「いや、あの、なんで」

 

「なんで?部下だからよ。さて、二口目に行きましょうか」

 

「あ、いや〜!お粥でも良いかなって!」

 

「…そう?」

 

「そうですそうです!そうで!?」

 

「んー…でもダメね。それは次から。」

 

「…」

 

「あら、顔が赤いけど」

 

「お前のせいじゃい…」

 

「?まあ、良いけど。次からお粥ね。分かったわ」

 

「あれ、二口で食べ終わる量?」

 

「パチュリー様がそれくらいで良いって言っていたもの。仕方ないわ」

 

「恨み半分、怨念半分といったところか」

 

「…どう言うこと?」

 

「さて…トイレに行こうかな」

 

「トイレ?ならこっちに」

 

「よいしょ…どっ」ドンッ

 

「…これは…結構な大問題ね…」

 

「あ、あはは…」

 

「とりあえずオムツ履く?」

 

「どうやらそうした方が良いっぽいですね」

 

「…無様ね」

 

「言わんでください!」

 

少し悲しい気持ちだ。体を動かすことも出来ず、歩けば転び、歩けば力が抜ける。自重を支えられずに死ぬわけではないのが救いだが、俺は今どんな状態なのかわからないのも悲しい気持ちになってる原因だ。筋肉が衰える病気だったら俺は最悪死ぬ。

 

「…さーくやさん」

 

「何?」

 

「もしも俺がここで死んだらどうします?」

 

「そうねぇ…まあまず迷惑だから例えでもやめてくれるかしら」

 

「すいません」

 

「まったく。じゃあ、安心して漏らしなさい」

 

「ふー…」

 

「うわっ本当に漏らした」

 

「立てないんで立たせてもらって良いですか?」

 

「良いけど…いや、ええ…」

 

「なんかすごい引いてますよね」

 

「そ、そうかしら?」

 

「…あーあ。巫女さんに厄落としでもしてもらうかな〜」

 

「あら、そんな時間あるかしら?」

 

「ない。たまに美鈴さんと遊んでる妖精に連れて行ってもらってるくらいですね」

 

「はぁ…」

 

「とにかく、死にかけなんですよ」

 

「…まあ、私としては一生それで良いんだけど」

 

「おや、心変わりですか。お世話係がいいですか?」

 

「いや、このまま衰弱して行って貴方が死んだ時、お嬢様に献上してしまえば一石二鳥じゃない」

 

「…は?」

 

「お嬢様が貴方を食べた時、貴方はお嬢様の一部になるでしょ?貴方がお嬢様の一部になったらお嬢様を見ている時に貴方も見ているのよ。どうかしら?」

 

「あー…思考回路が理解できない」

 

「わかりにくかったかしら?」

 

「お嬢様だってたまには人肉を食べるわよ」

 

「いやだから」

 

「良いでしょう?貴方が望まなくとも、私が望んだのよ。ただ、私の中で天秤に乗せた時は貴方の方が軽かっただけ」

 

こいつもしかして自分の中で話の大部分を完結させるタイプの人間か?まずいな、俺の危険が危ない。しかし、さーくやさんが毒を盛った証拠はない。咲夜さんは俺とお嬢様とで比べたらお嬢様の方が大事と言っている。あれ、もしかしてこのまま衰弱死するんじゃ

 

「でも、そこまで長いと私が死んでしまうのよ。死に際に見れるのが貴方とお嬢様って思うと悪くはないのだけれど」

 

「え?」

 

「でも、出来るだけ早い方が良いから、早く死んでくれる?」

 

 

 

 

 




咲夜さん…好きな物は二つ同時に摂取したい。
主人公…それは無理ではないですか?融合??
的な。
脳みそ掠ってきたぞ


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166話

風見幽香さんです。
ちるみる


甘味処

 

「ここの団子は美味しいわね」

 

「そうですねぇ」

 

「邪魔者を消した甲斐があったものね」

 

「邪魔者ねぇ」

 

ここで言う、邪魔者。俺と仲の良い女友達だ。うーん、どうしてこうなった。聞けば風見幽香は戦闘狂と聞く。戦闘狂の一面は見てはいないが、実際のところ戦闘狂ではないのだろうか。風見幽香からすれば自分の邪魔者を消してるだけだと思うが。

 

「それで?なんで俺と」

 

「良いじゃない。明日も来るから、また食べましょう?」

 

「毎日食べたら虫歯になっちゃいますね」

 

「あら、そう?…困ったわね」

 

「虫歯は怖いですから」

 

「なら歯を抜くべきね。私が口移しで食べさせてあげる」

 

「すまん、それはやめてくれ」

 

「…そう。」

 

「そんなことしたら上手く喋れなくなる」

 

「そう言うものかしら?」

 

「そう言うものです。後は…」

 

「後は何もないわよ。貴方が私を怖がって欲しいからこれだけ消しても怖がらないから、どうせ何をやっても怖がらないでしょ」

 

「当たり」

 

「当たらないで欲しいわね」

 

「嘘だよ。俺だって怖がることはあるし」

 

「あら、何かしら」

 

「小傘って子の驚かし方とか」

 

…あ、言ってしまった。言った後から言うのもなんだけど、後で小傘って子はどうなるんだろうか。死ぬのかな?いや、流石にそれは考えが浅すぎる。小傘って子の驚かし方を真似してくるのだろうか?それも浅い気はするが。はてどうなるんだろうか。

 

「んばっ!」

 

「…貴方が小傘?」

 

「あ、早速見つかってる。知らんぷりしとこ」

 

翌日

 

「あー、何故来てしまうのだろう」

 

「約束は守るタイプだからじゃないかしら?」バサッ

 

「雨なんて降ってないですよ」

 

「んばっ」ガシッ

 

「んぁっ」ビクッ

 

「確かに怖がってるわね。でも普通、こんな簡単なことで怖がるのかしら…」

 

「こわっ…幽香さん、今の奴なんですか?」

 

「傘を開いた後に素早く貴方の後ろに回り込んだだけよ。それだけ。」

 

「それだけ、ね」

 

「まあ貴方達人間からすればそれだけじゃないんでしょうけど。ねえ、明日は私の家に来てみない?」

 

「丁重にお断りさせてもらう」

 

「なんでかしら。理由は?」

 

「理由?ま、簡単に言うと妖怪に食われるのは怖いからだな」

 

「私も妖怪だけど」

 

「幽香さんが食ってたらドン引きですわ。控えめに言って距離取りますわ」

 

「そう。まあ食べてるわけないんだけど」

 

「ですよねー」

 

「あんな不味い生物、誰が食べるのかしら」

 

今の言葉、聞かなかったことにするわ。そう思いつつ最後の団子を食べる。今日もこれで平和に暮らせる。明日、ここで会った時は風見幽香の家へ招かれるのだろう。明日は理由を出して休もう。流行りの病になったのでまた明日…いや、また二日後か。

 

「ってわけでよろしくな団子屋のおっちゃん」

 

「何を?」

 

「いや、最近は病が流行っててな。俺が引っ掛かったら団子屋のおっちゃんに連絡するから聞いてくれ」

 

「…ふーん?」

 

翌日

 

「幽香さん?」

 

「団子屋の人に聞いたら、昨日言っていたことをそのまま言われたわ。だからお見舞いだって言って、家を教えてもらったのよ」

 

「う、うつしたくないですし、どうか今日は」

 

「私の家に薬があるから、そっちに行きましょう。失礼するわね」ガララッ

 

「あっ」

 

「…まあ、分かってたけど」

 

「あ、あはは…」

 

「それにしても、なんで嘘なんて吐くのかしら。私が信用ならない?安心して。他の有象無象ならともかく、貴方なら食べないわよ」

 

「そ、そりゃ安心で」

 

「次はどんな嘘を吐くのかしら。楽しみね」

 

「ま、まさか!そんな嘘つきに見えますかね?」

 

「見えるわよ。当たり前じゃない」

 

「…」

 

「嘘つきにはお仕置きが必要ね。少なくとも私には正直でいて欲しいもの」

 

あ、あははー…俺が何をしたって言うんだ。何をしたかって言えばもうあまりないんだけど、なんでだ。風見幽香との初接触でも話すか?そうだな。それは一昨日のこと…女性陣の腕や足が風見幽香の足元に散乱していた所だろうか。そういえば小傘って子見ないな。

 

風見幽香邸

 

「わー大きい」

 

「さて、貴方の恐怖を私のものにしたいけど、それは我儘が過ぎるかしら?」

 

「俺のお友達消えてる時点で我儘が」

 

「うーん、でももうやっちゃったし」

 

「…小傘って子?」

 

「その子よ。青い髪に変な目の子」

 

「あ、あちゃー…」

 

「さあ、お仕置きをしましょう」

 

「お仕置きって一体どんぁ」

 

「…歯を抜くのよ」グチュッ

 

「っぁ!?〜!!」

 

「暴れないの。痛くないとお仕置きにならないんだから、当たり前じゃない。後、爪を剥ぐから。1回目の嘘だから、一枚もらうわね」

 

「!?ま、まっ」

 

「はいっと」バギッ

 

「!!!!!!」

 

「暴れないで。深呼吸をしていればいつか痛みは消えるから。ほら、吸って、吐いて…」

 

「はー…っはー…っなんで、なんで俺が」

 

「なんで?それを乙女に言わせるなんてずるいわね」

 

残念ながらにも幻想郷の乙女は随分と層が広い。1000年以上生きていても少女を名乗ったり、乙女はそんな万力じゃねーぞといった感じの乙女もいる。風見幽香もその例に寄る奴なんだろう。手首を掴まれているから何もできん。屈辱だ!

 

「風見」

 

「幽香って呼んでくれる?」

 

「…幽香。手首はやめて。少しくすぐったいから」

 

「あら、そう?でも良いじゃない。

 

「良くねーよ。団子屋のおっちゃんに何て言えば」

 

「あ、忘れてた」

 

「?」

 

「流行りの病なんて流行ってないものね。その分も忘れていたのよ」バギッ

 

 

 




風見幽香…私のそばに居て。私に嘘をつかないで。
主人公…やめて。やめて。(最終的に爪はなくなる)
的な。


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167話

純狐さーん!
と、言いたいのですが。
今回はこう言いましょう。
純狐ママー!


さあ、俺は一体どうなっているか。右を見れば赤ん坊専用のベッドを大きくした感じの物が見える。これでも、大人と言えるくらいには体はでかいはずだが。左を見ると、おむつがある。外の世界には大人用のおむつがあると聞く。それだろうか?ただ、下を見れば自分の母だと言い張るイカれた女がいる。なるほど、俺は養子で、お前が生みの親か。そう思ったが、違う。遺伝のいの字すらない。

 

「あの、ここは」

 

「あら、目が覚めたのね。安心して。お母さんはもう離れないから」

 

「お母さん?」

 

「そうよ。もしかして、分からなかったの?でも、そうね。仕方ないわね。長い間離れてたから」

 

「でも、見ればわかると思うけど俺は赤ちゃんじゃ」

 

「お母さんから離れるの?」

 

「いや、そうじゃなくて。もう自立してるから、い、良いんじゃない?お世話は、さ」

 

「良くないわ。お母さんの愛情を注がれずに生きている大人はどこかが歪んでいるもの。我が子をそんな大人に出来ないのよ」

 

この女はさも当然のように、私は生き別れた貴方の母親ですと言わんばかりの顔で言う。いや、言わんばかりではない。実際にそうだと思い込んでいるのではなかろうか。親の愛情ならもう間に合っているんだがなぁ。そう思っていたら服を脱がされた。ん?と思い女を見る。手には布がある。女のそばにはお湯が。俺は風呂も入れない大きい赤ん坊だと言うのか。

 

「まあ、こんなに汚して」

 

「別に汚れてるわけじゃないと思うんだが」

 

「強がりを言うのね。嬉しいわ」クスクス

 

「あ、そうだ」

 

「どうしたの?」

 

「あんた」

 

「お母さん。あんたじゃなくて、お母さん」

 

「…お母さん」

 

「何かしら?」

 

「名前は?」

 

「名前?なんで?」

 

「んー…お母さんと呼ぶには少し恥ずかしい年齢だから」

 

「ダメね。それじゃあそろそろお眠りの時間だから」パチッ

 

「わー、暗い」

 

「フフ…読み聞かせてあげるわね」

 

「えっ」

 

「少し待っててね。探してくるから」

 

「あ、はい。行ってらっしゃい…」

 

 翌日

 

「…ん?」

 

「お話を聞く前に寝ちゃったわね。眠るのが大好きなの?」

 

「ぐっすり眠れる環境にいたとは言えませんからねぇ」

 

「まあ、それは大変。そんな環境にはお仕置きしなきゃ、ね?」

 

「しなくて良いよ」

 

「…なんで?」

 

「そこが潰れると俺の生まれ育った場所が消えるから」

 

「…思い入れがあるのね」

 

いや、思い入れというよりもですね。お仕置きしようと思ってた時の目が結構怖くてね。俺はお仕置きの対象外だって言うのはわかるけど、そうでもないのに怖くなっちゃったよ。母の威厳というものが本当にあって、それがアレなら。世間の父が尻に引かれてるのは当然ではなかろうか。

 

「じゃあ、お母さんと遊ぼっか」

 

「はいはい」

 

「大人ぶりたい年頃なのね」

 

「なんだか恥ずかしくなってくるからやめて」

 

「フフッ」

 

「…あ、けん玉」

 

「出来るの?」

 

「過去に出来た覚えはそんなにないけど…ほいっと」カチッ

 

「…放して!」

 

「え?」ボンッ

 

「あ、危なかったわ…ごめんね、あんなけん玉置いて」

 

「い、いやー…普通けん玉って爆発するっけな〜?」

 

「お母さん、やってた頃に面白くないからって爆発する仕掛けにしちゃったの」

 

「!?」

 

 翌日 人里

 

「…あ、慧音先生」

 

「ん、お前か」

 

「最近どうも厄介なことになりまして」

 

「そうか。良ければ相談に乗ろうか?」

 

「…ダメだ、姿が重なる」

 

「?」

 

「いやぁ、女性との関係についてですし、お話しするのは恥ずかしくて」

 

「…もしかしてだが、後ろにいる人か?」

 

「後ろ?」

 

「ねえ、その人は誰?説明してくれるかしら」

 

「んなっ…慧音先生。寺子屋で先生やってる人」

 

「お世話になったのね。これは、無礼を」

 

「いえいえ、良いんですよ」

 

と、言った感じで二人とも世間話を続けている。続けないで。恩師と怨師みたいな感じにならないで。まあ、お母さんは本当に何をしたいのか分からないからどうしようもないけど。急に拉致ってお母さんですよって、その美貌が無ければすぐに泣いて逃げ出す人が多いだろう。部屋の隅に置かれてる変な灰がそれを物語っていた。なんでも、俺に化けてた悪い人たちらしい。人間を粉にしてんのかお母さん。

 

 純狐宅

 

「今日はいい日ね。貴方の恩師にも会えたんだもの」

 

「そこでだ母さん」

 

「何?」

 

「俺もそろそろ暮らしてた家に」

 

「…」ピタッ

 

「戻りたいなーって…母さん?」

 

「戻る?何を言っているの。貴方のお家はここ。そうね。でも出歩きたいわよね。行き来したい時は私を呼んでね。約束よ?」

 

「…指切りげんまん」

 

「嘘ついたら針千本飲ます、指切った!」

 

「母さんなら針千本やりかねんのよな」

 

「うふふ、聞かなかったことにしてあげる。今日のお夕飯は何がいい?カレー?炒飯?シチュー?」

 

「今日はおにぎりの気分」

 

「そう、そうなのね。じゃあ、10分くらいで出来るから待っててね」

 

「あい待ってる」

 

そう言ってお母さんは台所へと向かった。ちなみにだが、この家?は外の世界にある間取りに酷似している。と言っても一度だけ見たくらいだが。お母さんが台所にいても子供を見れるようにと。全く変な設計者もいたものだ。右に目をやる。そこには母さんが!?…なんてな。左に目をやる。そこには母さん。

 

「!?」ビクッッッ

 

「驚かなくてもいいじゃない。ね、今日はさ。お母さんと一緒に寝ない?」

 

「い、いいけど」

 

「本当?じゃあ、お願いね」

 

「ところでさ」

 

「何?」

 

「灰の数、多くないですか?」

 

「…ああ。今日、あなたを苦しめてた場所に行ったのよ。そしたらなんだか大声出してきて。怖くなってぶちっと」

 

「…そう」




純狐…私はお母さん。あなたは私の息子。(旦那じゃないのはあくまでも原作で旦那に恨みを抱いてるから。旦那にしたら殺されるぞ)
主人公…変なお母さんもいたもんだ。
的な。
もうこれ恋愛か?


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168話

神が許さぬ限り俺は神を許す
というわけで神殺せそうなフランちゃん


紅魔館

 

「ねぇ」

 

「なんですか」

 

「貴方は私と一緒にいて不快にならないの?」

 

「今更ですか。なりませんね」

 

そう返すと妹様はご機嫌が良くなる。すこぶる良い。そんなお方を横目に白米を口に運ぶ。が、運ぶ途中で米が弾けた。え、なんで?左目に当たり悶える俺を見て笑い転げる妹様。どちらも転がっているのは共通点だろうか。つか誰の仕業だ。

 

「…妹様」

 

「な、何?」

 

「悪戯も程々にしていただかないと」

 

「何よ、弱いくせに」

 

「ずっと耳の中に指を突っ込みますよ」

 

「ごめんやめて」

 

「…というより、なんで僕はこうなったんでしょうか」

 

「私の部屋にいたら嫌?そんなことないわよね?」

 

「いや?そんなわけがありません。ただ、こちらに入ってから顔色が悪いって十六夜さんに言われるんですよ。テメーが配置したんだろって」

 

「…ふーん?」

 

「ま、本人も悪気はないんだろうけどさ。悪気がないのが余計に腹立つっていうか」

 

「へー。怒ってるの?」

 

「ええ。そりゃもう、プンプンと」

 

「ふーん?私に任せといて!」

 

「部屋の奥にあるお人形みたいにはしないでくださいよ?」

 

「わかってる!」

 

…翌日、十六夜さんは右腕がなかった。うむ、うむ。俺の方を見ると怯えてるのか睨んでんのかわからない目でこちらを見ていた。無論、睨まれる道理はないんだが。その後謝られた時は死ぬのかなと思ったさ。全力で走って逃げたよ。妖精たちからの視線怖い。

 

「ってことがありまして」

 

「えー?あんなに言い聞かせたのに?」

 

「あのな…だったらあの人はなんで片腕ないんだ?」

 

「だって、咲夜ってばいうこと聞かないんだもん。何を言っても『お嬢様が〜』ってうるさいんだもん」

 

「そう…でも、全身にまで行かなくてえらいね」

 

「そうでしょ!今度からむかついたことあったら教えて!フランが解決するから!」

 

「…それは、あまりなくて良いかな」

 

「えー!?」

 

「えーって…周りの人には健康でいてほしいからな。僕としては」

 

「なーんーでー!」

 

「なんでって…」

 

「貴方にはフランがいれば良いでしょー!」

 

「おっと聞かなかったことにしよう」

 

「なーんーでー!」

 

「今の会話がバレたらお嬢様にブチギレられてクビになるからです」

 

「クビになったからって、何よー!」

 

「…会えなくなります」

 

「それはやだー!」

 

「嫌なら我慢してください」

 

「…なんでぇー」

 

まだ納得しきらないか。子供というのはこういうのなのだろうか。全く、俺には理解できないと言っておこう。言っておくが、妹様に変な感情を抱いてるわけじゃないぞ。自分に言い聞かせるんだ。俺が妹様に?そんな馬鹿な…馬鹿な。

 

「妹様?」

 

「ねえ、どうすれば私の物になるの?」

 

「名前を書くのは…自分の物にした後ですしね」

 

「どーしよー」

 

「美鈴さんにでも」

 

「嫌だ」

 

「え?」

 

「い・や・だ」

 

「そんな強調しなくても…美鈴さんは経験豊富?とやらですよ」

 

「自分達で自分達の道を切り開くのが良いんじゃん!」

 

「妹様、自分達、とは妹様と…?」

 

「貴方!良いでしょ?だって、そうすれば貴方と一緒に二人きりで居ることが出来るじゃん」

 

「じゃんって…」

 

「ね、手出して」

 

「手?一体何を」

 

「んにゅっ」カムッ

 

「…血は吸わないでくださいね」

 

「んぇ?なんで?」

 

「死んじゃうかもしれないからですよ」

 

「それは嫌だな…ね、日傘持って!」

 

「はぁ…」

 

「お外行きましょ!」

 

「お外、ですか」

 

人里

 

「やっぱり目立ちますねえ」

 

「あ、団子!食べよ!」

 

「お待ちください、人としては紅魔館からここに来るだけで足ガックガクですから」

 

「そ、そう?それじゃあ、帰りは背負って行くね!」

 

「ありがたい限りで」

 

ちなみに、初めてのお外体験はお嬢様が無茶苦茶反対していた。でも、僕としては妹様には生き物らしくいてほしい、というのが本音だ。咲夜さんには怖がられているから何とも意見を言えないけどまあそれはこの際良くて。咲夜さんに話しかけると『謝ったでしょ?』と震えながら返される。なんでや。

 

 空

 

「ね、そういえばさ」

 

「ん?」

 

「なんで咲夜に声かけるの?怒ってたんじゃないの?」

 

「…なんか、睨まれたりすると嫌われてても何でもやっぱり気になるのよ。片腕ないのもさ」

 

「へー。私も片腕無くしたら気にする?」

 

「そりゃ、勿論。ものすごく心配しますよ」

 

「ウフフ、そう。嬉しい」

 

「お、もうそろそろ紅魔館ですね。美鈴さんは…あれ?」

 

「いないなー?」

 

「妹様が外に行ったからってお迎えせずにあくまでも普通の生活をってことか?」

 

「深読みしすぎ」

 

紅魔館

 

「早く寝ましょ!」

 

「一緒に寝るんですかぁ?結構疲れ溜まってるのであんまりお話しできませんよー?」

 

「それで良いの!そばにいること自体に意味があるからさ」

 

「…ふーん。んじゃ遠慮なく」ゴロンッ

 

「腕枕〜!」

 

「腕枕…腕枕?」

 

「寝心地良いな〜」

 

さて、俺は動けなくなってしまったが。妹様がいつぞや…そんなに前でもないけど言っていた自分の物の話だけど、自分なりに答えを見つけたらしい。喜ばしいことだ。それがあまり変ではないことを祈る。そう思いつつ訪ねてしまう。

 

「へぇ、それはどんな方法なんですか?」

 

「繋がりがさ、他の人と比べて圧倒的に濃かったらさ。それはもう私の物じゃない?」

 

「…え?」

 

そう言うと妹様は俺に跨る。どういうことをしたいんだろうか。俺の体に抱きついて眠る気か?

 

「パチュリーにも、聞いてみたの。なんだか嫌だけど、頼りになるのは間違いなかったし」

 

「失礼ではないかねそれは」

 

「それでね、結論から言うと。自分の物にするためにはその人との繋がりを決定的な物にしろって」

 

「決定的な物」

 

「それで、その存在が唯一無二の存在なのが一番良いって」

 

「だから子供と。やめなさい」

 

「やだ。抵抗するなら咲夜みたいに片腕なくなっちゃうよ?」

 

…はっきり言おう。俺は片腕無くしてもそんなに冷静にいられない。暴れまわるだろう。暴れ回ったらどうなるか?妹様は恐らく眺めるだけか、うるさいからともう一本消しに来る。ここは従うしかない…か。

 

「わかりました。でもそれは明日にしましょう。明日は休日ですから、疲れませんし」

 

「ほんと!?」




フラン…子供っぽいけどパチュリーの知恵が入っているせいで既成事実を知った
主人公…大人っぽく振る舞ってるけど実年齢は20代未満なせいでアッチの経験とかよく知らない
的な感じなんですよ。
お嬢様?知らない子ですね


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169話

一輪さんです。
元人間らしいですよ。アタックしたら行けるんじゃないですか?
主人公の名前、今回は○○で行きましょう。


命蓮寺

 

「いや〜一輪さん」

 

「何?」

 

「お酒は飲めないからって炭酸水で済まそうとする人なんか居ませんよ」

 

「い〜や!いるね!」

 

「居て欲しくないですよ」

 

「なんでよ!」

 

一輪さん、なんか酔ってる?あれ、もしかして酔ってる?なんか顔が赤いし。んー、これは酔ってるな。うん。変な人やね。なんで炭酸水で…あー、うん。はいはい。お酒でしたね。聖様って呼んでる人に怒られなければ良いけどね。

 

「んー?何手を止めてるのよ。飲みなさいよ。ただの炭酸水でしょーが!」

 

「残念、お酒です。アルコール度数の低いお酒…ですね」

 

「甘酒が許されてるんだから低かったら良いでしょ!」

 

「えぇー?」

 

「それに、お酒の勢いがないと喋れないこともあるし?」

 

「ほほう、それは一体?」

 

「貴方のことを言ってるんだけど?」

 

「おや、俺でしたか」

 

「そーよ!どーせ、どこどこの女は口説きやすいとか、そう言うネタ持ってるんでしょ!」

 

「一輪さんは絡みやすかったですね」

 

「ほーらー!」

 

「いちり…」

 

「んぁー?…!?ひ、聖しゃま!?」

 

「いえ、良いのですよ。恋愛にうつつを抜かすことも必要でしょう」

 

「いやいやいや!?ち、違いますって!聞いてます!?」

 

おやおや、一輪が恋愛にうつつを抜かすとは。変なこともあるもんだな。相手は誰だろうか…あ、こう言う時って大体その場にいる人間だよな。ってことは俺か。いかん、顔が赤くなってきた。そう感じたらもっと赤くなってくる。耳の先まで真っ赤な気分だ。

 

「…」

 

「な、なんかごめんね!聖様が変なこと言っちゃってさ!」

 

「言われるとなんか意識しだすよなー」

 

「んな!?今まで意識してなかったの!?」

 

「単なる飲み友達だと思ってたよ。それにお前、どーせ彼氏とか自力で作れる容姿だし」

 

「は?私には○○さんしか居ないんですけど」

 

「おー、嬉しい嬉しい。それじゃあ明日」

 

「今の言葉聞いてそれ?」

 

「うっせうっせ。妖怪様の気持ちに返事するのは覚悟がいるんだよフツーは」

 

「ふーん?良い返事が来ることしか考えてないから」

 

「我儘な妖怪ですことね」

 

「じゃ、明日」

 

 翌日 人里

 

「ん…」

 

「返事」

 

「…!?」

 

「今日でしょ」

 

「いや、そうだけど…お前、人里来て良かったの?」

 

「聖様に一応って言われたんだけどね。でも、○○さんのことなら許してくれるでしょ」

 

随分と厚い人望だことで…答えは残念ながらノーだ。と言いたいのだが、なんだか言ったら一生後悔しそうで。最悪なことは一輪の様子が変で、断ることでそれが悪化するやつだったが、一輪の様子は至って普通だ。よし。妖怪様に対してノーだ。ノー。言え。言うんだぞ。

 

「答えは残念だけど」

 

「ふ──────ん?」

 

「なっ」

 

「へぇ───?」

 

「一輪?」

 

「ね、なんで?やっぱり、○○さんからすれば都合の良い女が有象無象に居るから?それとも、もう付き合ってる人がいるの?その人は誰?○○さん、教えてよ」

 

「一輪、落ち着け。俺はな。妖怪と人の寿命の差が気になるんだ。飲み仲間とは」

 

「違う」

 

「え?」

 

「飲み仲間じゃない。ねえ、寿命が原因ならさ。○○さんも妖怪になってみる?そしたら寿命の差なんてそんなにないでしょ?」

 

「飲み仲間じゃない、か。いや妖怪になるのもな」

 

「…そう。でもさ、○○さんは彼女さんとか、都合の良い女が有象無象に居るわけでもないよね?」

 

「まあ、な。居ないけど。なんか悲しく聞こえてくるぞ」

 

「じゃあ、良いよね」ガシッ

 

「は?おい、一輪?」

 

「式はさ、やっぱり挙げたいよね。村紗のやつも、まさかって言ったりしてね」クスクス

 

「離せよ、おい。ちょ、手首痛いって」

 

「え、なんでさ。○○さんには彼女さんも何も居ないんでしょ?」

 

確認みたいに言われても、なぁ。悲しいけどさ。とにかくこの手をどうにかして離してもらいたい。腕を回したりしてるのに一輪は何も起きてないと言った顔をして俺を引き摺る。行き先は多分寺だろう。飲み仲間とだけしか思ってなかったけどな。

 

命蓮寺

 

「ちょっと、お前ら」

 

「何ですか?」

 

「どーなってんの、これ」

 

「私たちに聞かれましても…まあ、一輪も我慢の限界だったのでしょう」

 

「どこが限界だったのやら」

 

「ね、○○さん。今日から私と一緒に寝るからさ、私の部屋に案内するね」ガシッ

 

「痛っ」

 

「貴方たちの未来に幸があることを祈っていますよ」

 

「い、痛いって。一輪、そんなに強く握んな」

 

「すぐ前までは飲み仲間としてしか見てなかったとは言えね、私以外の女とそんなに話さないで欲しいかな」

 

「そりゃ、無理な話だろ。一輪、俺はこれからこの寺で暮らすってんなら一輪の通訳が無しでは生きては」

 

「それで良いじゃない。○○さんは良いことを言いますね。そうしましょう。」

 

「ぇ…」

 

「私にだけ言うの、素敵じゃん。○○さんもそれが良いから言ったんでしょ?ごめんなさい、それに気付けなくて」

 

いや…あー、うん。そうだよ。こっちこそ言葉足らずですまん。なんてなるか。この野郎。なんとかして話を途中で止めなきゃ。聖様って慕われてるあの人ならなんとか行けそうなものだが。無理なものなのだろうか…自分の仏教徒だからと甘やかすのだろうか。それは是非ともやめて頂きたい

 

「一輪、あのさ」

 

「何?○○さんが私を拒絶するの?照れ隠しで言っちゃったんでしょ?分かってるって」

 

「まあ、その、なんだ。あれは照れ隠しとかじゃなくて、本当に」

 

「…そう。でも、○○さんには彼女とか居ないんでしょ。じゃあ良いでしょ?」




雲居一輪…彼女さん居ないなら良いよね。
主人公…彼女さん居なくてもダメだよね。
的な。
まあ、妖怪が人間に負けるわけがないんで。しゃーない、ですね。


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170話

藍しゃま。
狐だし、化かして騙すでしょ。多分。


人里

 

「あら、藍さん。お久しぶりで」

 

「んふふ、久しぶり?酷くないか?」

 

「…じゃ、聞いて良い?」

 

「なんだ?私の知ってる限りで答えるぞ」

 

「俺、あの家から抜け出してきたはずなんだけど。なんでお前ここにいるの?」

 

「フ、フハ…ン…そうだな。お前からしたら1番の疑問だろう。簡単に言ってしまうとだな。お前の服全てに式を付けて居場所わかるようにしてるからな。マヨヒガだろうが外の世界だろうがすぐに分かるさ」

 

「あー、そう…」

 

まあ、本人がそう言うんだったらそうなんだろうな。こいつは俺に何を求めているんだろうか。愛という感じではなく、なんだか表そうとしたら考える前よりも分からなくなる。最初は迎えにきたとか言っていたが…お迎えを受けるような人徳は持っていないはずだ。

 

「藍さん、俺は」

 

「分かっているさ。構って欲しかったのだろう?最近は少し仕事が忙しくくて話し相手にすらなれなかったもんな。ほら、帰ろう」

 

「ちげーよ。労ってやろうと思ってんだ。まさか買う前に来ちゃうかね…」

 

「何!?お前が私に!?どれだ、どれ!」

 

「出来るだけ髪の色に似てる奴を選ぼうと」

 

「これか!?」

 

「…それ、だけど」

 

「ありがとう!さ、家に帰って早速着けよう!」

 

「はいはい」

 

 八雲邸

 

「藍〜、あの飾り物どこ行った〜?」

 

「ん?いや、何。いざ着けようとすると恥ずかしくて、な」

 

お前が言うか。店先であんなに喜んで、俺が嫌だ嫌だと言っても無理やり連れてくるお前が。恥どころか配慮も知らん奴が。全く。俺もかなり感覚が麻痺してる。と言うより、俺があの場で箸とか使って攻撃してたらどうなるんだろうか…いや、考えるのはやめておこう。怖い。

 

「なあ、藍」

 

「何だ?」

 

「あの時着ていた俺の服は人里で買った服なんだが」

 

「あぁ、そうだったな。全く、探す身にもなって欲しいな。注意事項に付け加えておくよ」

 

「…そうかぁ」

 

「私が選んだ服以外は買わないように。そして万が一貰っても着ないように。せめて着る前に見せてくること。良いな?」

 

「分かった分かった。束縛のきつい女は」

 

「嫌われる、か?まさか。お前と私の間にそんな一般論が当てはまる訳ないだろう?」

 

「果たしてどーですかね」

 

「分かってるくせに」

 

「…そういや、俺の部屋についてなんだが」

 

「ん?」

 

「藍、何かした?」

 

「なんでそう思うんだ?お前に害する何かは仕掛けてないんだが」

 

「いや、橙がすごい怖がるんだよ。紫さんに至ってはあそこに入ってる俺の健康状態も聞かれてさ」

 

「何?話したのか?私以外の(おんな)と?私の魅力が足りないから目移りするのか?」

 

「目移りって…お前を呼びに来てたんだよ。ずっと前の話だけどな。連れて来られて2ヶ月くらいだな」

 

「紫様は基本絡む性格だから…まあ、辻褄は合うか」

 

「なんだよ…それで、何したの?紫さんには『正気?死ぬ気なの?』とか言われるんだけど」

 

「…あぁ。あれか。万が一、億が一にもお前の近くに私以外の女がいたらと思うとどうも不安でな。少し結界を張ったんだ」

 

「結界をねぇ。通りで、ふーん」

 

「なあ、頼むよ。私以外と話すなとは言わないから。せめて私以外の女とは話さないでくれ」

 

「それここに来た時から言ってるよな」

 

「し、仕方ないだろう!?これでも不安なんだから!だって、お前は魅力的だし、私の恋人(つがい)という肩書きがある以上、お前が私に変な恨みを持つ奴に誑かされるかもしれないんだ。どうか分かってくれないか?」

 

「むぅ、そうなのか」

 

「そう、そうなんだ。分かってくれたか?」

 

「まあなんとなく。でもなぁ、藍。そうしたら俺は運動って」

 

「運動か?それなら毎晩ヤれば良いだろう?」

 

「いや、そうじゃなくて」

 

なんだこの女。普通の夫婦関係でも躊躇うであろう言葉を容赦なく放つとは。ここに来た時、無理矢理にもヤられた。それが1番のトラウマになっている。それを本人に伝えたらどうなったか?簡単だな。俺の意見は全無視だ。もう嫌だこいつ

 

「全く、お前も我儘だな。私がこんなに尽くして、こんなにも素晴らしい環境を作ってあげたというのに。紫様か?それとも、ロリータコンプレックスの持ち主で、橙に気持ちが向いているのかな?」

 

「ろ、ろりー…?」

 

「それなら、私も考えがあるぞ。私の力をもってすれば、子供になることなど簡単だ。そうすればお前は満足なんだろう?違うか?」

 

「藍、それは違うぞ。俺は」

 

「紫様か。私も、魅力の面では紫様に負けるとも劣らずと思っているのだがな。傾国、とも呼ばれた身体なのだが。国では満足しないか?」

 

「俺は外に出たいんだ」

 

「あぁ、そうか。そうだったな。私が妖怪だからか。所詮、お前も外で人と恋がしたいのだな。種族の違いなら仕方がない。私とお前との間に生まれる子を思えば、そうかもしれないな」

 

「藍、違うんだ。頼むから聞いてくれ」

 

「いや、良いんだ。元を辿れば私が強引に連れてきただけなんだ。でも、それでもな」グリッ

 

「ぁっ…」

 

今どうなってる?右目がいきなり暗くなったんだが。グリって言わなかったか?左目で藍を見るしかないか。だが、頭を抱き締められてるから見れないな。抜け出し禁止、会話禁止、自由な服選び禁止もやっておいてあんな言葉が出るのは、やっぱり普通を知ってるからだろうな。

 

「藍、あのさ。そのことについては何も恨んでないんだ。ただ…」

 

「お前がこの家にいた証…はお前の目玉と、今日貰った飾り物で良いんだ。もう、取り返しがつかないな」

 

「ぇ?」

 

「片目がないのは不便か。じゃあ、私の目を貰ってくれるか。ごめんな、今右目を出すから」




藍さん…出来る限り居て欲しいし、せめて種族が一緒なら私を選んで欲しい。私を途中で捨てるなら、私の物だった証拠が欲しい。
主人公…右目だけ色が違うから余計に浮いちゃうので結局頼れる藍さんの所へ戻る。
的な。
魚みたいな主人公ですね。
あの、生まれた川に戻るアレです。


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慧音先生と夜道で寝る男

慧音先生〜!
<は〜い!


ここは人里。変な妖怪もうろうろできる人里。で、俺が何をしたいか。聞きたいだろう?と子供たちに聞くと、『先生からあんまり関わるなって言われた〜』と返された。バカめ、俺がその気になれば八雲紫にしつこく泣きついて…死ぬな。うん。

 

「っつーわけで!慧音先生!変な言い掛かりつけるのやめてもらえませんかね?」

 

「だめだ。現に変な奴だろう」

 

「半妖のあんたに言われたくないんですよこっちは」

 

「変な所をコンプレックスにもせずほっつき歩いてる馬鹿に半妖を貶す資格はない」

 

「…俺だって人ですよ」

 

「私も半分は人だ。」

 

「傷つくんですよ」

 

「妖怪だろうが傷つくぞ。八雲紫に年老いたと言ってみろ。キレてくる」

 

「ありゃ、随分とお年を気にしていらっしゃる」

 

「本人に言ったら怒られそうだな」

 

「いやはや、最初の頃から随分とはっちゃけてたと思ってたんですがね」

 

「いーや、はっちゃけるどころか失敗しまくりだな。お前は」

 

「なんですと?」

 

「理由が知りたいか?」

 

「ええ知りたいですとも」

 

「簡単だ。理由はない」

 

「は?」

 

「仕方ないだろう」

 

理由無しに俺は子供たちに避けられるんです?と、ふと思い返す。そういやいつも子供たちと一緒にいた親御さんたちも見かけない。俺もそんな歳を取るのが早い、などと言うわけでもない。絶対若いし、絶対人間なので子供の顔が変わってたら気付くはずだ。

 

「…もしかして先生、親御さんたちにも言いました?」

 

「当たり前だ。何をするのかわかったものじゃないからな」

 

「そりゃね、そりゃあ、夜道で寝てたのは悪いと思いますよ?」

 

「それ以前の問題だ。お前、そもそも人里の外で妖怪に乗っていただろう。妹紅から聞いた時はもう呆れて何を言うべきかと迷ったくらいだ」

 

「ああ、妹紅さんから聞きました」

 

「とにかく。今後そんなことをするような体力はもうないだろうし、そんなことは一生できないだろうから。静かに待っていろ」

 

「人生の終わりですかね?」

 

「お前がまた動けるようになるまでだ!」

 

「…そりゃ、腕がない状態で言われたら悲しいってもんですよ」

 

「うるさい!」

 

「しょーがないじゃないですか。なんで片腕切られて血が出ないんです?」

 

「永遠亭の医者がやってくれた」

 

「と言うかそもそも、慧音先生はなんで俺の腕を切ったんです?」

 

「お前がどこかへ行って、妖怪に餌食にならない、とは限らないからな」

 

そう言われて言葉が詰まる。詰まると言っても出てくるのだが。何故足が、とか。そこまで来るともう他に何故か聞くところはない。少なくとも、この切れた状態で上手いこと止血をした永遠亭とやらは凄くて良いところだ、くらいは分かった。最も、それしか分からないけどね。

 

「慧音先生」

 

「なんだ?」

 

「せめて飯は食えるようにしておいてくださいよ。地面に這いつくばらないと」

 

「何言ってるんだ。片手があるだろ。片足も。それで食べれないのか?」

 

「残された方が利き手ではないんでね」

 

「文句が多いな全く。私がいないと何も出来ないのか?…まあ、それも良いが」

 

「はーあ、妹紅さんとか何やってるかなー」

 

「さあな。最近は私も見てないしなぁ。お前が見当たらないからって出ないわけではないし」

 

「俺ここに来てから何日でしたっけ」

 

「…まだ日は浅いな。2日とかだろ」

 

「いやぁ手足が片方ずつないのにまともに喋れるってかなりすごいことだと思いません?」

 

「知るか。はい、あーん」

 

「あー…ちょっと、早く入れてくださいよ」

 

「…おらっ」ズブッ

 

「んごぁばぁっ!?」コポッ

 

最悪だ。なんつー最悪な気分だ。死にかけのラジオみたいに掠れ途切れの声を出しつつ慧音先生に反抗する。そしたら、『これもお前の魅力だから』と抜かし、何を満足したのか知らずにどこかへ行った。俺の魅力は…そうだな。類い稀な永遠亭の医者の実績になるのかな?

 

「はーあ。全く面倒なことに」

 

「なったなぁ。か?お前も結構好かれてるんだな」

 

「誰にですか?」

 

「子供たちにだ。外に出て買い出しをしている時に、子供達がまた理由を言ってくれとな」

 

「お子さんは知りたがりなんですよ先生。ちなみに僕も精神は子供なので知りたがりなんですよ。例えば、どうして俺がここに来たのかとか」

 

「んー?そりゃ…なんだろうな」

 

「えー?」

 

「庇護欲を突かれた…とかだな」

 

「庇護欲かぁ。それだけですか?」

 

「…嘘だ。庇護欲を突かれたのと、同時に独占欲も出たな」

 

「ほら見なさいよ〜。そうと分かればさあ直ぐに振り返って命蓮寺へゴーですよ」

 

「嫌だ。私がここを離れたら誰が授業をすると言うんだ」

 

「里の中でも暇を持て余した人がいるでしょ」

 

「いかんせんそう言う奴らは授業を嫌っていなかったがな。何故か教える側は嫌だと言い出す」

 

「首切って妖怪の餌にしたら良いじゃないですか。ほら、先生半妖ですし」

 

そういうと頭突きを喰らった。なんとか避けようとして肩に頭突きを喰らい、地面に叩きつけられ、当たりどころが悪すぎて肩が外れた。なんでや。はめようとするが、そもそも片手ないので不可能だと言うことに気がつくのはもはや愚者でも2秒もかからないだろう。

 

「いった…ぁ…!」

 

「もしかしたら、だがな。私に食われるとでも思っているのか?安心しろ。食いはしないさ」

 

「食いはしないなんでよく言えた物ですねぇ先生」

 

「まあ、私は半分人だしな」

 

「もう半分が満足しないでしょうよ」

 

「もう半分かぁ?それはもうお前がここに居るだけで満足だよ」

 

「はぁ…そうですか」




慧音先生…半分人だけど半分妖怪。だから人より欲が強い。仕方ないよね。スタイル
主人公…俺すげえ!片腕片足ないのに平然としていられる!すげえ!!(本当はむっちゃ声震えてる。本人は無自覚)スタンス
的な。
ちなみに切られたのは永遠亭の医者です。
慧音先生はやってません。


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172話

思い立ったが吉日って、言いますよね。
よね?
というわけで豪徳寺のミケです。
今回も妄想2億%です。
ミケちゃぁぁぁぁぁぁぁあ(中略)ぁぁぁぁあん!!!
って抱きつきたいね。え?頭を撫でたい?


妖怪の山周辺

 

「お前とも長い付き合いになったなぁ」

 

「そう?」

 

今思えば豪徳寺ミケとの出会いは変なことだらけだった。金〜、金〜と追い求めて妖怪の山へ入り、こいつを見つけた。その時のこいつは『お金なら招くよ、人なら招かないよ』とか言って変な感じに出てきた。今思い出しても変だな。

 

「招き猫をやめたお前が招き猫っぽいセリフを言うだなんてなぁ」

 

「良いじゃん。私だって使えるものは使いたいし」

 

「金を求める奴はカモだと思ったわけか」

 

「ち、ちがうよ!?そんな、私を性悪女だなんて思わないでよ!」

 

「分かってる、分かってるさ。さて、今日は人を」

 

「招くのは人なんだ?」

 

「遠ざけたいから金招けって言いたいんだよこのせっかち。デコピン食らえやっ」ピンッ

 

「んにゃっ」

 

「にゃーはははは!さて。ミケ、どうすんのよ。これから?」

 

「これからぁ?貴方と一緒にいる〜…ダメ?」

 

「ダメじゃないけどな。そろそろ変わり映えのしない生活には飽きてきたし」

 

「捨てるの!?」

 

「えっ」

 

捨てるなんて一言も言ってないが、どうやらそれを察されたらしい。勿論捨てる気はさらさらない。人を招いてくれと言おうとしたのだが。金を遠ざける気はない。招くのを止めるだけだ。去る者は追う。来る物は拒まない。カルト宗教だな。

 

「そ、捨てられたら私、ねえ、捨てないで!なんでもするから!」

 

「だぁーれい!人を招けって言おうとしたのによ。せっかちさんめ。デコピンだこのっ」ピンッ

 

「っ…え、はは…ごめんなさい。じゃあ、誰が来るかも分からないけど…」

 

「よろしくー!」

 

「いつ来るかも分からないけど」

 

「そこんとこは気合いと根性さ」

 

「はーい」

 

「どっせーい!」

 

「うわびっくりした」

 

「んにゃぁっ!?」

 

「招かれてやってきました!東風谷早苗です!」

 

「招いたら」

 

「巫女が来たぞと」

 

「喜べぬ」

 

「五七五ですか!?俳句なんですか!?季語がありませんよ!!」

 

「まったく、ミケちゃんも頑張ったんだから、もう少し…神様とか来てもねぇ?」

 

「そうですねー」

 

「…と、言いますか!なんで妖怪と仲良くしてらっしゃるんですか!?人間と妖怪は共存出来ませんよ!?」

 

「共存できるようにするんだよ、なー?」

 

「う、うん…」ウズウズ

 

「うずうずしてますって!絶対狙ってますって!」

 

「うるせーな」

 

「なんでそっちに視線向けるのさー?」

 

「んお、すまん」

 

家の猫は独占欲が強くてねー?と巫女(違うらしいが知らん)に言うとなんだか知らないが『妖怪なら猫でも犬でも一緒です!退治の対象です!現に人を堕落させているではありませんか!』などと言ってきた。困ったなー。そんなことないもんなー?と顎を撫でるとこっちに体重を任せてくる彼女に敵意など見当たらないが。

 

「ー!もう!そこまで言うなら共犯ですよ!きょ・う・は・ん・!」

 

「今日の晩飯何にしよう?」

 

「うーん、私は鶏肉が良いですね」

 

「おー」

 

「一緒に退治されてください!」ズバァンッ

 

「にゃっ?」

 

「ん?」

 

永遠亭

 

「…」

 

「目が覚めたのね。よかったじゃない。守矢の方で」

 

「よかないですよ。どう考えても、博麗の方が寛容じゃないですか」

 

「そう?まあ、とにかく。貴方は招き猫に感謝した方がいいんじゃない?」

 

「どうしたんです?幸運でも招いたんですか?」

 

「そんなところね。本人曰くギリギリのところだったそうよ」

 

「へー。じゃあ話すんで出てけー」

 

「安心なさい。身内の話は聞かないわよ」

 

「有難い」

 

「ね、ね」

 

「おーミケ。ありがとな」

 

「私さ、貴方が退治された時に自分だけ避けようとしちゃったの」

 

それは当然だ。生きとし生けるもの全てに備わってる本能というものがそうさせているのだからな。仕方がないってやつさ。と言うと、聞いてなかったのか分からないが『捨てられて当然だよね、どうしたら捨てられないの?』と聞いてくる。招き猫から抜け出した背景が原因か、捨てられることが余程怖いらしい。

 

「安心しろミケ。捨てたりはしない」

 

「本当?嘘じゃない?」

 

「お前はお前のままで良いんだ。ただ、これからはやっぱり招くのは金だな」

 

「あハハ…うん。そうする」

 

「それと、あんまり妖怪の山周辺にいるのは駄目だな。あの東風谷早苗って奴がどーせ回ってるだろうし」

 

「…そうだね。また私たちの家を作らなきゃね」

 

「それもそうだなー。あの東風谷早苗とか言う奴には結構やられたな」

 

「じゃあ、神社にさ。文句言ってみる?」

 

「ダメダメ。噂じゃあいつ、神様の子孫で、神様も自分の血には弱いからって。甘やかしてるんだと」

 

「それじゃあまともな親は期待できないか」

 

「だから、気狂いからは遠ざかるのさ。次は…そうだな。魔法の森ってのはどうだ?」

 

「えー?それだったら貴方が眠っちゃうじゃない」

 

「そうかー。だったら…」

 

「いっそ人里に住んじゃう?」

 

「人里に?お前許可されるのかよ?」

 

なーに、能力を使わずに魚だけで満足してれば良いんでしょ。と言われてうーんと首を傾げる。人里の妖怪セキュリティなんてのは高い、と言うより青天井と言った方が良いのだろう。しかし俺はそれを言わない。言うと、なんだか変なことになるからだ。

 

「じゃあ退院したら人里か」

 

「人里でもお金招かなきゃね。私が招くよ」

 

「お、そりゃありがたい」

 

「その前に、私もあの家に忘れ物があるからさ。取りに行ってくるよ」

 

「おう、行ってらっしゃい」

 

「じゃ、ね」




豪徳寺ミケ…なんか色が違うからって無茶苦茶に言われて除外されたのは気にしていないつもりだが、好きな人にそんなことされたら立ち直れない。むり、この先どうしていけば良いのか分からなくなる。猫。
主人公…突然幻想郷に金を求めてやってきた外来人。あまり人は好きではないので、ミケとは相性がいい。良いというのは能力の面だけ。
的な。
ミケちゃんは昔のことを無意識に引き摺っててほしい。


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紫さんとまんざらでもない女

八雲紫さん
なんか多いなって思った方
合ってます。
が!!
ガールズラブは初めてです。絶対です。


ここは人里。そう。私が八雲紫と親しい仲だと知れば、私を介して八雲紫に近づこうとしたり、私を人質に八雲紫を脅そうとする奴もいる。私としては前者の方が色々と演技でも同調してくれるから嬉しい。今や皆が恐るに値する女になったから関わりが薄いんだよね。だからってこれは…

 

「八雲紫のお気に入り…これを利用してどっちも俺たちのモンにしちまうってのはどうだ?」

 

「良いな、それ」

 

私、変な風に騙され乗ってしまい、お酒を飲もうと言われ、路地裏にあるからとホラを吹かれ、ここに居ます。助けて、紫。

 

「貴方達、私の物に何をやっているの?」

 

「!?」

 

「八雲紫か!この女に手を出して欲しくなけりゃお前の身を」スパンッ

 

「あっそ。そっちは?」

 

「…妙技!下駄リモコ」ゴギャァッ

 

「つまらないわねぇ。ところで。」

 

「はいっ」

 

「貴女はなんで、こんなのに着いて来てたの?」

 

「人里で変な噂が流れちゃって。皆、みょ〜に距離置いちゃってですね…」

 

「お酒を複数人で飲みたいから…馬鹿?」

 

「馬鹿とは失礼な…あいや、馬鹿ですけど」

 

そんなところに惚れたと言った紫はどうなるんだろうね。この首から上がなかったり、足と頭がくっついた死体ももう見慣れてしまった。私、なんだかとっても悪い方に進んでる。でも、それでも紫のことは好きだし。惚れた弱みではないんだろうけど、なぁ。

 

「わ、何?」

 

「貴女への贈り物。アクセサリーでは喜ばないと思ってね。いつでも私と話せる腕輪。流石に寝てる時は無理だけど」

 

「お〜!大事にするね!」

 

「喜んでもらえて嬉しい限り。で、お礼は?」

 

「…ほんと、付き合ってるのにね」

 

「良いじゃない?ほら、ほっぺに貴女の唇を、ちゅ〜って」

 

「ん〜…」

 

「と思わせて唇を滑らす!」

 

「!?」

 

「貴女の顔、本当に可愛いわ。驚いた顔も素敵」

 

「はぁ…ロクな死に方しないよ絶対」

 

「例えば、どんなの?」

 

「私が死んだ後、たまに死んだはずの私がこの腕輪を使って通信を試みてる夢を見るとか」

 

「死んでないじゃない」

 

「…私が死んだ後に」

 

「ねぇ」

 

「ん?」

 

「たとえの話でも、貴女が死んだことなんてあまり口にしないでくれる?そのもしもが実現するのがこの幻想郷なの。」

 

「愛を感じる…」

 

おー、マイハニー。とか言ってたらいつのまにか紫帰っちゃった。さみしいけど、家に帰っても紫と喋れる腕輪あるもんねー!…あれ、まって?これどうやって使うの?霊力が必要だったら私使えないよね。どうやって使うんだろ?とりあえず擦ったりするのかな?

 

「擦る…擦る…」コスコス

 

『早速お話?』

 

「わ、びっくりした」

 

『自分で呼んでおいて、それはないんじゃない?』

 

「紫がまた私に嘘ついて逃げたのかと思っちゃってさ」

 

『…?あ、使い方説明してなかったわね!…って、使えてるからもう良いわね』

 

「もう良いよ〜。私はもうご飯食べたらお風呂入って寝るだけ。紫は?」

 

『こっちは仕事がいっぱい…貴女のためなら今すぐ終わらせてそっちに行くわよ?』

 

「良いよ良いよ。流石に。紫の仕事って幻想郷について大事なことなんでしょ?電話に出てくれるだけで嬉しいよ」

 

『欲がないのね。それで、今回はお試しに使ってみただけ?』

 

「うん。紫には悪いことしちゃったかな?」

 

『別に良いわよ。私から積極的にアプローチしたんだし。まさか、受け入れてくれるとは思わなくて、ね』

 

ちなみに、私たちの出会いは意外と変だったりする。博麗神社の時に、運悪く…いや、運良く?バッタリと。巫女さんに牛乳とパンをあげに行った時だったかな?その時に一目惚れと言われて…自分でも恥ずかしい。

 

翌日

 

「よーく寝た!さて、慧音先生に挨拶して、里中ぶらついて、それで…」

 

「私とデート!」

 

「…耐えた!」

 

「クスクス、すごいわね。じゃあ、挨拶した後にデートしましょうか」

 

「そうする!」

 

「それじゃあ、挨拶は一人でね。私は浮気してないか調べるから」

 

「…そういう紫の方が浮気してそうじゃんか」

 

「私を疑うの?じゃあ調べてみなさい。全身スキマ無く。私のことを貴女が何一つ知らないことなどない状態に」

 

「わかったわかった…なんでこうも変態気質なのかな、紫さんは?」

 

「あら、そう?」

 

数十分後

 

「…」

 

「あら、ボロボロじゃない!?どうしたの!?」

 

「帰り道に男の人とぶつかっちゃって、転んじゃった」テヘ

 

「人相は?藍、調べるわよ」

 

「待って待って、デートじゃないの?」

 

「ぁ、ああ、そうね。ごめんなさい。藍、探しておきなさい」

 

「スキマ越しに命令しないでよ…」

 

このお方のスキマ越し会話、便利なのになんで私との会話は腕輪か対面なんだろう。スキマ越しでも顔は見えるのに…さては自分の家だと気が緩んで言ってしまうからか?それなら音声通話もやめるなぁ。だめだ、わかんない。そんなこと言っても仕方ないから里を散歩という名のデートで歩き回ろう。

 

「でも、紫って冬眠するんでしょ?」

 

「そうよ。冬眠してる間は浮気しても気が付かないのよ。また一つ、隙が増えたわね?」

 

「嘘つかないで…到底見逃すとは思えないんだけど」

 

「当たり。まあ、春頃からの関係で、今はまだ秋だし」

 

「冬眠するにはまだ早いもんねー」

 

「それもそうねぇ」

 

「きゃっ」ドンッ

 

「うわっ」

 

「は?」

 

「あ、すいません…」

 

「テメェこのアマが!朝ぶつかった奴じゃねえか!2回もどこ見て」

 

「貴方こそどこ見てるの?」

 

「はぁ?」

 

「そうねぇ。大切なこの子を守ってあげれなかったのは私の責任よ。でもね。貴方、その態度で許されるとでも?」

 

「んな…テメェも俺に何を」

 

「許さないわ…藍」

 

「ここに」

 

「永遠亭に実験台として送ってあげて」

 

「わかりました」

 

「な、なんだよお前!?クソ、やめろって!」

 

「紫、やめてってば…」

 

「良いの?許しても。これを機につけあがって、貴女を妙な目で見出すかもしれないのよ?」

 

「寝てる時じゃなかったら呼び出すから、安心してよ」

 

「…そう。寝てる間も叩き起こす物も貴女に贈ろうかしら?」

 

「お、くれくれ〜。それがあったら添い寝も出来るってことでしょ?」

 

「したかったら家に来れば良いのに」

 

「私の家で添い寝してよー」

 

「紫様」

 

「そいつは…好きにして良いわよ」

 

「わかりました」

 

「…これで、貴女との仲を邪魔する者はいなくなったわね。貴女に害する者全て私が排除してあげるから。良い?」

 

「う、うん」

 

なんだか最近、紫の圧が心なしか強い気がする。アプローチでの時はそこまでだったのに、今では何か、見てるだけでこっちの息が詰まるような。よくわかんないけど、少し怖い。それが悩みどころかな。でも、贈り物の約束はしたし。それをくれたら、なんでもしてあげるのにさ

 

「じゃあ、その贈り物は指輪にしようかしら。お礼はパンツで♪」

 

「…変態」

 

撤回、キスなら何度でもしてあげるのに。




八雲紫…ガールズラブ。恋人を汚す者、恋人に危害を加える者、絶対許さない。事後だったらもう自殺するレベルで悔やむ。悔やみすぎて八雲藍が焦るくらい悔やむ。今回の序盤で有った出来事はすんごい悔やんでる。悲しい思いをしなくて済んだのにってすごい悔やんでる。無論、事後であってもその相手は絶対死の近いところで弱い回復をかけ、死が近づく感覚を何度も与える。
主人公(♀)…一応、八雲紫は好き。なんで気に入られたかはよくわからないけど、八雲紫に好かれてるので周りが勝手に野蛮な目で見てくるようになったり、八雲紫に対しての兵器として使われたりもする。
的な。
…何だか、自分を取り戻せてない気がするけど、これはこれで良し。


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174話

霧雨魔理沙ちゃーん!
この、ちゃーんって伸ばす時のうざい感じ、伝わってますかね


アリス宅

 

「…で、御用は?」

 

「魔理沙が昔何かやらかしたことを聞かせてもらえる?」

 

「はー!美人なお魔女さんに誘われるからって来てもあんまり良いことねーな!」

 

「あら、魔理沙のことになると露骨に反応するのね」

 

「…関係なんてありませんよ」

 

そう。俺と魔理沙には関係がほとんどない。今に限るが。いやぁ〜、魔理沙ちゃんの大きくなったら結婚してとか可愛かったな〜!ま、子供の頃のお話なんだし、どーせ今は香霖堂って言う店の主人に熱を出していることだろうな。羨ましい。

 

「貴方、大きい勘違いをしているわよ」

 

「勘違い?それはそのまま反射魔法でも放って威力増倍で返しますわ」

 

「…魔法を知ってるのね。使いたくないって普通は言うのに。何で?」

 

「知ってるだけじゃない。使える。指先に火を灯すくらいだがな。これがちょうど良いんだ」

 

「煙草?」

 

「ああ煙草さ。最近のものは美味い」

 

「ふーん?私の家に魔理沙が来る時の話をしましょうか?」

 

「お、そう言うのを望んでたんだ」

 

「彼女ね…ここに来るたびに貴方のことを喋るのよ」

 

ほほう、そりゃどんな。と聞くと、やれ最近煙草を吸い始めたとか、煙草の煙が苦手で近寄れなくなったんだとか。終いにゃ昔は良い人で、自分がかつて身を置いていた商店でもかなり優秀な奴だったのに、クビになったとか。私も手を尽くしたのにとか。

 

「女ってのは怖い生き物よ。それが魔女だと特に…いえ、彼女の場合は魔法使いね」

 

「はー…あ。最近はどんな話題も面白くないねぇ」

 

「嘘は吐くし邪魔であれば殺すし。貴方が不思議なくらい」

 

「魔女は独占欲が強いのかね。少なくとも可愛い子に気に入られるのは嬉しい」

 

「…そう。貴方の目には魔理沙は可愛く写るのね」

 

「アリスさんは?」

 

「そりゃ勿論、綺麗よ。彼女の美貌に靡かない男はいないってくらいにはね」

 

「魔理沙が喜びそうだ」

 

「ただ」

 

「?」

 

「そんな美しい彼女が、幼い魔理沙が、自分なりに気を引こうとした相手、気にならない?」

 

「…いや、良い。聞きたくない」

 

「そう。用はそれだけよ。そろそろ魔理沙が来るかも?」

 

「どうやら当たりらしい」

 

「あら、分かるの?」

 

「煙草を魔除けに使ってたんだけど」

 

「おお、お前か」

 

「ここら辺には煙草の煙を漂わせた筈だけど?」

 

「おう。自己主張が激しくて助かった」

 

「…利用されたか」

 

好きな奴のことは全て愛する。と言った彼女は俺の飲み掛けの紅茶を一口で飲み、アリスの家を適度に荒らして出ていった。俺はいくら何でもやりすぎだろうと思い片づける。その最中、アリスには次会う時には気をつけなさいよと言われた。女は怖いからと付け加えて。魔女には警戒心100%なんだがね

 

「ほいじゃ、また」

 

「次はないと思うけど」

 

紅魔館

 

「アリスさんの所から流れてここへ。と来たんだが」

 

「お先、だぜ」

 

「俺もある程度魔法は使える。姿どころか気配を消す魔法なんかは、起きてる門番さんにも有効だったんだが」

 

「なら、使うのが遅かったな」

 

「…早く持って帰ってくれるかしら?」

 

「困ったね。俺は育児を託されるほど父性を持ってないんだが」

 

「良いわよ。どうでも。彼が来たから帰ってくれる?魔理沙。貴女と彼だったら、彼の方が先に約束してたの」

 

「…わかったよ」

 

「ご理解が早くて助かる」

 

「そりゃどーも。好きな人の真似だ」

 

「ほほう、魔理沙にも春がきたか」

 

「あら、春が来たのは貴方じゃない?」

 

「良い加減名前ってもんを」

 

「覚えても無駄ね」

 

「まあ人は短いしな。仕方ない」

 

「じゃあ、始めましょうか」

 

そう言って始まるお話。魔理沙がここ最近貴方の話をする。その内容はどれも昔の貴方への憧れ、恋心。貴方もそろそろ、いや、手遅れかもしれないが身を固めるべき。昔に戻って魔理沙とくっ付け。だとか。初恋は忘れられない。それは分かる。だが今は香霖堂に夢中のはずだ。俺は関わらない。

 

「他人の恋路は踏み躙りたくない」

 

「…私が貴方を好きだと言ったら?」

 

「俺は20年後に死ぬね」

 

「寿命を削って姿を隠すつもりね。そう言うこと」

 

「貴方の話題が出る度に魔理沙は本を盗まなくなったわ。できれば一生話題に出る立場でいてくれる?」

 

「無理だ」

 

「でしょーね。貴方のことだからそんなことだろうとは思ったわよ」

 

「魔理沙め、賢しくなった」

 

「あら、貴方の古巣の時と同じでしょう?」

 

「…はて?」

 

「昔とはやり方を変えているだけ。思いは一緒よ。アリスにも同じ話をされたようだけど?」

 

「初恋ってのは忘れられんからな」

 

「初めてにして最後になるかもね」

 

「…初恋の人間と共に居られる確率は100分の1だ」

 

「あら、1%でもあれば良いじゃない」

 

「くーそーがっ」

 

「彼女は努力家ね。でも貴方はそれを受け入れないのね」

 

「努力は面倒い。ちなみに俺の初恋相手を教えてやろう」

 

「どんな人間なの?」

 

「マジかよ。お断りって言って終わるのかとばかり」

 

「予想が外れてどんな気分かしら?」

 

知るかばーかと逃げるように立ち去る。紅茶が出んのだ。早めに出て行ったって問題ではない。人里につけば慧音に変なことを言われる。いつも通りだ。もう慣れた。が、今回は違う。今度はこちらに寄った際には魔理沙からの伝言を頼まれているらしい。ウチに来い。出待ちではなくする側に回ったと言うわけか。わかりやすい

 

魔理沙宅

 

「ほーれきてやったぞ」

 

「きたか」

 

「おうよ。この俺様の…どうした魔理沙」

 

「好きな人の全てを愛する」

 

「それがどうした」

 

「好きな人の真似をする」

 

「すると何だ、お前は髪の毛を白く染めるのか?」

 

「髪を染めるのは考えた。でも、私自身が好きな人で満足したいんだ。好きな人に似てる奴なんかじゃ満足できないんだよ」

 

「なるほど」

 

「だから…私と一緒に」

 

「断る。俺は」

 

「そう言うだろうと思ったよ」

 

「…思われてたか」

 

「まあ、な。心配するな。私も鬼じゃない」

 

「ドアが開かないんだけど」

 

「私と一緒に捨虫の術と捨食の術を学ぶか、ここで私と一緒に死ぬか」

 

「二つに一つ…どっちにしようかね」

 

「この二つを学んで、私と一緒に魔法使いの種族に」

 

「ならん。というよりなれない。俺を何だと思ってるんだ。早くドアを」

 

そこまで言いかけて、そうだドアを燃やせば開くのではと熱してみるも無駄。酒を無断で借り、ぶっかけ、燃やしても無駄。ドアは木製に見えるが、どうやらそうではないらしい。となると、本当にここで死ぬのか。10代にしては大した覚悟だ。窓も開かない。俺以上に使える魔法で、窓も開かなくなっているんだろう。ドアも燃えないのは魔法だ。魔法なんぞ日常生活の援助程度のものだと思っていたが、どうやら違うらしい。使い方次第ではこうなるとはな。

 

「…さて、死にたくないから開けてほしいんだが」

 

「だめだ。私と一緒に死ぬんだ」

 

「…あーあ。美人さんと一緒に死にたかった…」

 

「それについて何だが」

 

「なんだ?」

 

「私じゃダメなのか?」

 

「…ダメだな」




魔理沙…昔の貴方大好き!!今の貴方愛してる!!愛してる人の真似したいけど、真似だけじゃ気分収まらない!!
主人公…美人さん大好き。魔理沙?…子供の頃知りすぎて、なぁ?
的な。
昔を知りすぎてちょっと…って感じになってる関係。好きです。
叶わぬ恋。私の好きな言葉です。


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175話

妖夢のお爺ちゃん「切ればわかる」
妖夢「マジ?」
今回の犠牲者「嘘だと言ってよ爺ちゃん」
な感じで進める妖夢です。


人里

 

「無駄に反射神経良くて助かってる」

 

「大人しく切られてください!そうすれば分かりますから!」

 

「出始めに真剣白刃取りぃ!」バチィンッ

 

「…馬鹿ですか?」スーッ

 

「あぶねっ」

 

なんでこうなってるか疑問に思った野次馬の皆さん。俺もです。この子に落とし物を渡して、その後この子の前をチンタラ歩いてたら急にお覚悟って。何?チンタラ歩いてる間ずっと葛藤してたの?辻斬りに物を渡しちゃったのかな?俺が悪いの?

 

「せいっ!」

 

「鉄の処女!」

 

「この!」

 

「巫女呼んでよこれ!俺まだ死にたくないよ!」

 

「にいちゃん、避けまくってそれはないだろ」

 

「野次馬この野郎!」

 

翌日

 

「…今度は辻斬りと茶を飲むのか」

 

「まあ、すいません…」

 

「どうでもいいさ。さて、聞いていいかな」

 

「私が答えられることならなんでも」

 

「何処、ここ」

 

「冥界の中にある白玉楼という屋敷の中です」

 

「へー。冥界なんだ?」

 

「驚かれないのですね」

 

「いや、俺って昨日切り捨てられた?」

 

「あぁ、その点は…えと、まぁ…私がここに連れてきたと言いますか」

 

「誘拐してきたと言いますか」

 

と言うとナイスバディな女の人が出てきた。変に和風で、この屋敷には合っている。が、それよりもこっちの女の子だ。無論、間違いなく俺を斬りつけてきた昨日の少女な訳だが。昨日とは違ってなんとも大人しめな感じだ。気持ちが昂ってやらかすタイプなのだろうか。

 

「で?君の名前は?」

 

「わ、私の名前は魂魄妖夢と申します!スリーサイズは」

 

「妖夢ね。俺の名前はコジ。スリーサイズは」

 

「ぃえ、私のスリーサイズを」

 

「お前のスリーサイズより後ろの女性のスリーサイズが知りたい」

 

「え?」クルッ

 

「妖夢ちゃんにも春がきたのねぇ」

 

「…幽々子様のスリーサイズは」

 

「ちょいちょい!?」

 

「なるほど、浴衣を着ててもわかるデカさはそれほどデカかったからか…」

 

「ちょっと!?」

 

「で!ですね!」

 

「ああすまん。俺を斬りつけてきた理由を聞きたいな」

 

「あー、それは」

 

「妖夢ちゃんはお爺ちゃんからの教えとして、頭に何か引っ掛かったら切ればわかるって教えられたのよ」

 

「へぇ〜。お爺ちゃんは見かけないから死んだとして、お父さんお母さんも…同様っぽいね。本当にお爺ちゃんなのかは知らんとして」

 

「鋭いわね」

 

「真剣白刃取りが出来るくらいには勘がいいぞ」

 

「できないわよ、あれ」

 

「そうなの!?」

 

もー!と妖夢が叫び、幽々子さんは撤退した。まあ先程の話を聞けば、妖夢が俺に対して何か引っ掛かってしまい、それがきっかけで切り掛かって来たと言うわけだ。なんだそれ?一目惚れ?馬鹿な。恋する乙女は強いと言うが、それが本当ならこの子は一振り2キロ程の物を扱えるほど恋をしていると言うことになる。化け物か。

 

「それでですね」

 

「何?一目惚れしたので付き合ってください?」

 

「…そう、でもありますが、そうでもないんです」

 

「ほう?」

 

「あの日、コジさんと出会ったのは私の半霊の方なんです」

 

「半霊?」

 

「この子です。白い玉の…半霊と言いますが」

 

「ははは、馬鹿言え。俺はその白い玉を人に見間違えたと?」

 

「そうではありません。私はこの子にお買い物を頼んだんです。こんな感じにして」

 

「うわ、本当に人になった」

 

「まあ自分の意思もあるのですが…」

 

「す、す」

 

「戻ってもらいますけど、この子には刀を護身用に一本持たせてあるんです」

 

「二人で一人ってわけ」

 

「はい。まぁ、半霊なので私と同じ感性ですし。私も貴方を見たら一目惚れをするのかとも思ったんですが」

 

「実際そうではなかったと」

 

「そうなんですよ。だから不思議で」

 

そう言って話を続ける。妙にその白いのが何をしたいのか知らんが人になって妖夢の後ろに隠れている。まるで狐だ、と思っていると、突然立ち上がられ、変なことを言われた。これは変すぎるので要約すると、私達と付き合ってみないか、と言う物だった。半霊の方が顔を少し曇らせたのは見間違いだろうか

 

「悪い話ではないと思いますが」

 

「半霊には許可取ったの?」

 

「昨日のうちに話はまとめて置きました」

 

「なるほど。良いよ、でも冥界にずっといるのは」

 

「じゃあこちらへ」

 

「…半霊の方か」

 

「私はここで鍛錬を続けていますので。何か御用があれば半霊の私へ」

 

「理解〜」

 

「では、行きましょうか」

 

「聞きたいんだけどさ」

 

「なんですか?」

 

「なんか我慢してる?」

 

「まさか。貴方と居られるだけで嬉しいです」

 

「半端なところで満足してんなぁ」

 

「半端…ですか」

 

「半霊じゃない方が消えたらさ、お前はどうなんの?」

 

「…気にはなりますが」

 

「実行には移せんわな。自分が消えるかもしれんし」

 

「まあそうですね」

 

「半端で止まってたら気持ちも半端になるから我慢はして欲しくないんだが」

 

「どうやら欲も半人前のようです」

 

「…」

 

そういえば冥界にずっと居て良いのだろうか?なんてことを考えながら、それから2年近くが経った。どうやら居て良いらしい。幽々子さんは曰く、『貴方は何をとっても薄いからじゃない?』らしい。影が薄いと言う意味だろうか。それはともかく、半霊とじゃない方が似すぎて間違える。半霊は間違えられる度に少し怒るのだが。じゃない方は、間違えられた時に彼女が悲しみますよとしか言わない。感情は共有してないみたいだ。

 

「…あの」

 

「何?」

 

「私が何をしても怒らずに優しくしてくれますか?」

 

「ん、そりゃね」

 

その日の夜

 

「さーて、おトイレ、おトイレット…ん?」

 

「は…は…」

 

「んー…半霊か?」

 

「はい。分かってくれましたね」

 

「刀を鞘から出して、侵入者か?」

 

「いえ、違います。生身の方を、殺して来ました」

 

「…え?」

 

「生きてる方に何かと言われてたんです。色事はするなとか」

 

「ほー、あの子、そっちの知識もあったんだ」

 

「でも、生きてる方がいなくなれば、私は何も言われません」

 

「だから殺したの?」

 

「はい」

 

「…良い子ね、良い子」

 

「えへへ」




半霊の方の妖夢…この人となんでもしたい。でももう一方が邪魔!
じゃない方の妖夢…やめてくださいね?そういうのはやめてくださいね?
コジさん…辻斬りと暮らすのも良いよなぁ
幽々子…やりやがったよ!!あいつやりやがった!!
的な。
ほんと、じゃない方死んだら半霊どうなるんでしょうね。


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176話

射命丸文です。
death


妖怪の山

 

「…」

 

「いやー、ギリギリでしたね!貴方がまさか巫女二人に追いかけられ、蓬莱人に追われるなんて」

 

新聞の記事にでもなる、そう思ってるのだろうか。俺はここに連れて来られただけなのに。巫女には愛だなんだと追いかけられた。妹紅には一緒になろうと迫られた。永林先生には貴方と一緒にいたいと言われた。告白のオンパレードだが、捕まれば阿鼻叫喚。地獄の方がマシだろう。

 

「文」

 

「なんです?惚れましたか?」

 

「お前が幻想郷に入ってから最初に会ったやつでよかった」

 

「あやや、そうでしたか。そう言われますと、やはり照れますね」

 

「なぁ、助けてもらって悪いんだが」

 

「出しませんよ」

 

「は?」

 

「いやー、こんな面白いネタが転がってるとは思いませんでしたよ!」

 

「腐っても妖怪だな」

 

「独占欲もあるんですから。当たり前です」

 

「当たり前か」

 

「ところで」

 

「ん?」

 

「貴方、聞いておきたいことがありまして」

 

「…何?」

 

「最近、慧音と言う教師に怒られたようですね?」

 

「ああもうそりゃコッテリとな。油が乗ってても仕方はない」

 

「そうでしたか」

 

ここでふと気がつく。射命丸のメモ帳が変わっている。使い尽くしたのだろうか?珍しい。珍しいことは珍しいのだが、いつもの質素な紙ではなく、派手な紙なのは疲れて見間違えているのだろうか。取材の邪魔にしかならないと思うんだが

 

「では、当分ここで暮らしていただきますので!よろしくお願いしますね!」

 

「…え?」

 

「この家では私がルールです!やっておけと言ったものはやってくださいね?」

 

数日後

 

「あやや、綻びが出て来ましたねぇ」

 

「お前、そりゃこれは無理だろ」

 

「そんなことを言うんですか?」

 

「あ、いやそう言うわけじゃないんだけど」

 

「それじゃあどう言うわけですか?これは私が毎日やっていることの半分以下です」

 

「…すごいな、射命丸は」

 

「どんどん褒めてもらってもいいんですよ?」

 

「それよりも、とりあえず続きを」

 

「ああ、そうでしたね。では、先ずは」ゲシィッ

 

「あぐっ」

 

「初回だからこれだけで許してあげますよ。言っても解らなければ体に聞かせるのが一番なんです」

 

「痛い…」

 

「痛くないと意味がありませんから。それでは続きをやりましょうか」

 

「文…?」

 

「次やったらどうしましょうか?」

 

というわけでまたやらかしたわけだが。ちなみにやらかしたのは、外出だ。初めに破ったルールは布団の敷き忘れだ。意外と小さいことだと思う奴もいるだろう。しかしこれで蹴りが一発だった。軽く脳震盪起こすレベルの。でも、起きないように本人の変な能力で調整してるらしい。

 

「ぁ、あ…」

 

「どうしたんですか?お外へ出たかったんですか?でもダメですね。ルールですから」

 

「すま、すまんかった、射命丸」

 

「じゃあ、こうですね」バゴッ

 

「ぉゔっ」

 

「…まだ終わりじゃないですからね?」

 

「ご、めん…」

 

「謝って済むものではありません。次からは耳よりも直接体に覚えさせて行きましょうか。すると、耳は要りませんね」ブチッ

 

「ぁっ」

 

「大声が出せませんか。そうでしょうね。大声を出される前に声帯の一部を取っておいたんですよ」

 

「なんで」

 

「貴方がいうことを聞かないからですよね」

 

「文…」

 

「フフ、安心してください。貴方のことは大好きですから。貴方が死んでも、私の中で生きますよ。貴方の魂さえあれば良いんです。だから」パシィンッ

 

「っ」

 

「こんな風に、頬の皮が取れそうなくらい叩いても、私は全く苦しくありませんから!」

 

「痛い、やめっ」

 

「やめて!ですか?悪いのは誰ですか?貴方ですよね!」ゲシッ

 

明日は晴れだろうか。晴れだったら、縁側に寝転んで、寝たいなー。多分こんなに殴られたら、もう明日はまともに働けそうにないし。そしたらこれよりもっとキツいのが…あー、ダメだ。想像しただけで無理だ。でもここから出たら巫女に不死身にと追いかけられるし

 

「でも大丈夫です。貴方のような方でも私は好きですから」

 

「好きならこんなことしないと」

 

「さっき言いましたよね。貴方の体なんて、私の体に貴方の魂が来れば用無しだって!」バチンッ

 

「いづっぁ…!」

 

「苦しむことしか出来ませんねぇ。全く。これに懲りたら明日からちゃんとするんですよ!」

 

翌日

 

「…今度はストライキですか」

 

「文、聞いてくれ」

 

「何を今更。朝から縁側でゴロゴロと…言い訳があると言うのですか?」

 

「昨日殴られすぎて仕事が」

 

「それは貴方の責任でしょう。全く、今日も体に聞かせなきゃいけないんですか?」

 

「あ、ちょっと待って、今からやる、やるから」

 

「だ・か・ら」

 

「っ!」

 

「遅いんですよ!やるのが!」ガゴッ

 

「いづ…」

 

「本当に何も出来ない愚図ですね。そんな貴方が大好きですけど。えぇ」

 

「痛いから、ちょっと」

 

「やめてくれ?弱くしてくれ?どっちですか?勿論、どちらもやりませんが。次は…知ってます?骨って、折れたら強くなって復活するらしいですよ」ボギッ

 

「〜っ…!?」

 

「大声出せないから悶えて転がるしかないですよね」

 

そう言いながら俺の手を取った。文はまるで俺の指一本一本を触れただけで壊れるような物の扱いをし、その触り方で全てを触った後、その手の指全部を握り潰された。足の骨折、指の骨折。永遠亭に行けない。多分、終わりが近いかな。

 

「全く…これだからグズは」

 

「文」

 

「なんですか?」

 

「どうして俺、ここにいるんだ?」

 

「んー?そりゃあ、私が貴方を愛してるからですよ」

 

「じゃあ、なんで俺はそいつにての骨を」

 

「そうしないと聞かない貴方が悪いでしょう?」




射命丸…大好きですけど?
主人公…追われ始めて、逃げた先が刑務所。そんな気分です。

的な。
好き


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177話

闇市場があるんだし、人身売買もやってるよね。
ね!
ってことで妄想全開の姫虫百々代ちゃんです!
元締めは千亦。


闇市

 

「ねえ千亦さん」

 

「なんです?」

 

「この子、もらえる?」

 

「…暴れますよ?」

 

「じゃあ買うわ」

 

「人の話聞いてる??」

 

いやはやまさか龍を食う奴が闇市に流れてるなんてな。異変の時に協力しあった仲だと聞いていたが、なんだかわからないものだなぁ。ふと隣を見れば、なんだかよくわからない、でかい帽子を被った子がいる。シャイなのかな?

 

人里

 

「いた、いたた」

 

「やめろ!俺は大蜈蚣だぞ!」

 

「落ち着いて、ちょっと自衛のために買ったんだからぁっ!?」ゴンッ

 

「あっ」

 

「痛っ…ちょっと、今のは辛いかな」

 

「知るかよ!」

 

「うーん困ったなぁ…名前は?」

 

「お前に教える名前なんかあるか!」

 

「もっと困っちゃうなぁ…千亦さんには大蜈蚣としか言われてないし」

 

「その千亦だ!あいつ、私のことハメやがったんだ!」

 

「ちょっ、あんまり騒がないで」

 

「うるさい!」ガゴンッ

 

「さっきから所有者に対して結構叩きすぎじゃないかな」

 

「な、なんだよ」

 

「落ち着いたね。じゃあご飯にするか」

 

とか言って、少し逃げる。俺が逃げておいてなんだが、逃げられないように手足縛っとくか。俺の飯はあれだぞ。拷問とか言われるくらい不味いぞ。なんかすごい騒ぐなぁ。ツルハシはどこだとか言われても知らんしなぁ…

 

「さーて、はじめての昼飯はただの白米だ」

 

「貧乏か!?」

 

「言わんでよ」

 

「まず手の縄外せ」

 

「外した瞬間暴れ回るのなしね」

 

「わかってる」

 

翌日 闇市

 

「千亦さーん」

 

「どうです?大蜈蚣の使い心地は」

 

「いやぁ、なんとも。それはそうと、嫌な商売する千亦さんは何か隠してない?」

 

「お察しが良いですね…ええ、先日の大蜈蚣と一緒に売るつもりだったんですけど、このツルハシとシャベル。要ります?」

 

「要るよ…」

 

「そうですか」

 

人里

 

「ほれ、お前のシャベルとツルハシ」

 

「…ありがと」

 

「おう」

 

「でも、掘る場所ないぞ」

 

「そこまで求めるか!?」

 

「じゃああっても無駄じゃないか」

 

「お前が求めたんだろうが」

 

「…ごめんなさい」

 

「お前も厄介な奴だな」

 

「あ、俺の名前は百々代!姫虫百々代だ!」

 

「急だね」

 

「まあ、恩は返す女だからな!」

 

「昨日の仇を返そうかな」

 

「ちょ、待てよ!?」

 

数ヶ月後

 

「百々代、懐いてるのは嬉しいんだがな」

 

「ん?」

 

「肩に頭を乗せるのはやめろ」

 

「嫌だ」

 

まさかこんなに懐くなんて俺自身思ってもなかった。自衛の為に買ったのに、外へ行こうとすると百々代が代わりに行ってしまう。自衛の為、なのだから正しいのだろうが…なぁ。そのせいで闇市に行けなくなってしまった。まあ良いか。関わりすぎると良くないし。

 

「あら」

 

「おや」

 

「あ」

 

「…なんで大蜈蚣に懐かれてるのかしらね」

 

「さあ?」

 

「なんだお前」

 

「博麗の巫女さんや、ちょっとここで何かするって訳じゃ」

 

「その通りよ。妖怪が目の前にいるのに退治しない巫女がいないとでも?」

 

「そりゃごもっともですけど」

 

「巫女か…私の物に何する気だ?」

 

「おい所有権逆転してんぞ」

 

「私だけの」

 

「何言ってんのアンタ。可哀想な頭してるワケ?」

 

「百々代、ちょっとここは撤退だ!」

 

「きゃっ…お前なんかよりも構ってもらえる人いるから良いや」

 

「…はぁ?それでマウント取ったつもり?」

 

「れ、霊夢…」

 

「アンタは私の所有物でしょーがっ」

 

「あぁ…百々代、頼むからああ言うのはやめてくれるか」

 

「…わかったよ。お前の為だったんだけどな」

 

「悪かったよ…」

 

翌日

 

「百々代〜…は居ないと。家出か?」

 

「してねえよ」

 

「うわっ!?」

 

「なんで驚いてんだ。所有者なんだろ?」

 

「そうだけどさ…」

 

所有者だからってお前のこと全部分かると思うなよ、そう思いながらもビビったついでに打った頭を抑え、百々代がいつのまにか作った飯を食べ、散歩に出かける。うむ、良い日だ。昨日みたいに誰かと出会わなければ良いんだけどな。

 

「なあ、昨日のことは悪かったよ」

 

「なんだ、百々代が謝るなんて珍しい」

 

「珍しくねえよ」

 

「そうか?まあ良い。家帰ったら寝るか」

 

「寝るのか。最近同じことの繰り返しだな」

 

「お前が人里から出ようとすると、代わりに行くって言って聞かねえからだよ」

 

「ダメか?私を買ったのは自衛の為だろ?」

 

「うん、そうだけど」

 

「ならいいじゃねえか」

 

「ほーん…お、慧音先生」

 

「ケイネ?」

 

「ああ、悪い。かなり今忙しいことになってるんだ」

 

「どんなことに?」

 

「…知らんだろうがな、博麗の巫女が大怪我したんだ。本人はペットに噛みつかれたと言い張っているが、人の歯形があってな」

 

「そりゃ大変だ」

 

「ふん、天誅だ」

 

「それじゃあ慧音先生」

 

「ああ」

 

「…ふん。気分が良いな」

 

「そうか?巫女がいないと妖怪が勢いに任せる奴が出てくるから嫌なんだが」

 

「へ〜。な、ところでさ。俺とその巫女、どっちが大切なんだ?」

 

「…さあ?」

 

そんな仕事と私どっちが大切なの的なことを聞かれても。知らんと答えて逸らすしかあるまい。家に帰って寝ようと家帰った途端に思って不思議だなぁと感じて布団に篭る。百々代が布団の中に入ってくるのはなぜだろうか。

 

「お前の布団もあるだろ」

 

「嫌だ」

 

「…百々代〜」

 

「良いだろ別に。それとさ」

 

「良くねえよ」

 

「今日巫女の話でようやく決めたんだよ」

 

「何を?」

 

「…お前の手でさ、ツルハシ使って俺の体にお前の名前書いてくれよ」

 

「そんなことしたらお前の体が」

 

「良いんだよ。俺からしたら、持ち主の名前だからな。嬉しいし、幸せなんだ」




百々代…なんだこいつ→ご主人様大好き。
主人公…ちょっと待てや
的な。
妄想全開すぎて千亦ちゃんが売ってたけど、許してね


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178話

イザヨイ・サクヤさんです。
寝違えした状態で不老不死になったらずっと寝違えた状態なんですかね。
ほら、老いないから。


人里

 

唐突で申し訳ない。俺は、十六夜咲夜という人間が大嫌いだ。いや、大嫌いではないな。怖い。どうして怖いのか。出会えばすぐにハグをしてくる。羨ましい?バカを言いなさい。ハグした後気がつけば紅魔館、気がつけば咲夜さんの自室、嫌だろ!!

 

「なんでここで出会うんだ…」

 

「失礼ですね」

 

「!?」

 

「そんなに驚かれますか…。私は何か、酷いことをしたのでしょうか?」

 

「紅魔館であんなことしてよく言うよ、それじゃさよな」

 

「待って。返事は、まだ?」

 

「だ、ダメだって何回も」

 

「恥ずかしがらずに。こんな路地裏に来たのだから、てっきりここなら返事するかと思ったのに…」

 

「ハッ…ていっ!」ブンッ

 

「時間を止められる私に、砂で目潰しだなんて…気を引きたいのね?全く、今以上に気を引きたいだなんて」

 

「け、慧音せんせぇ…!」

 

「慧音?あの寺子屋の教師のことですか…わかったわ。あの教師が貴方を歪めてしまったのね」

 

「ちが、う」

 

「違う?分かってるのよ。貴方は私からの告白を断らなければならない立場なのでしょう?」

 

…これ、これだ。一番怖いのは、この考え。何が怖いって、私たちは両思いだとかの思い込みよりも怖い。紅魔館で働いていた時は逃げられない様に隅に追い詰められたり、吸血鬼に運命とやらを操らせてたし。吸血鬼の人にも言ったのに、なんでだよ。

 

「ほ」

 

「保留、だなんて言わせないわよ。私がどれくらい待ってるか分かってるの?」

 

「ごめんなさい」

 

「…分かった。次会った時は本心で答えてね」

 

「怖かった…紅魔館に行って注意させないとダメだな。それまでに会わないと良いんだけど…」

 

「紅魔館で返事をしてくれるのね。嬉しいわ」

 

「ぁっ」

 

「それじゃあ今度こそ」

 

「…やばい、どうしよう…?」

 

寺子屋

 

「なんだ、そんな事できたのか」

 

「すいません、迷惑だったら」

 

「いや、良いんだ。しかしそんな十六夜咲夜は見たことがないな…」

 

「嘘だったらよかったんですけど…」

 

「そういえば最近人里を訪れる魔法使いが変なことを言ってたな?」

 

「どんなことですか?」

 

「紅魔館に行っても人がいる気がしない、とかなんとか」

 

「い、いつからですか」

 

「んー?…そうだな、確か〜…行ってない間に何があったのかは知らないらしいが、2週間前だったか?」

 

「2週間前…」

 

2週間。つまり、紅魔館を辞めてから俺が十六夜咲夜から離れることの出来た日々は2週間と2日前に消えた。毎日寄るわけではない。だとしたら…でも、人がいないって言うのは生活感がないとも言えるし…門番すらいないのかな…

 

「そこに行ってみようと思ったんですけど」

 

「だとしたら、人がいるのは望み薄か…博麗の巫女にでも頼んだらどうだ?金がないと動かないのがキズだが…」

 

「あの人ですか」

 

「まあそれが嫌なら守矢とか…あ、後はたまに来る仙人とかだな。こっちもこっちで不定期に来るからなんとも」

 

「そうですか…ありがとうございました」

 

「いや、こんなことでしか力になれないのが申し訳ない」

 

「そういえば、その噂の魔法使いさんは」

 

「んー?深い森の中だ」

 

「そうですか。明日にでも神社を訪れてみようと思います」

 

「そうした方がいいだろうな」

 

翌日 博麗神社

 

「…つまり。咲夜が変で、自分に迫ってくる…ってこと?」

 

「はい」

 

「それに紅魔館に人がいないと…こっちは魔理沙からも聞いてるわね」

 

「そうなんですか?」

 

「私もその話を聞いた後行ったわよ。異変だったら大変だし。行ってみた結果…魔理沙は図書館しか行かないからわかんなかったんでしょうけど、本当に誰もいなかったのよ。血一つない」

 

「え」

 

じゃあもしかして本当に本当の…いやいや、血一つないはおかしい。神隠しとか、そう言う類だろうなぁ。しかし困った。吸血鬼さんがいないと注意してもらえないぞ。困ったな…って、人がいないってことは門番もいないってこと?

 

「まー、神隠しなら紫に聞けばいいんだけど。2ヶ月前から冬眠中だからそもそも無理だし」

 

「そうなんですか」

 

「でも、咲夜がいるのに紅魔館に誰もいないってのはおかしいわね。咲夜だけいつも通り?」

 

「あの人は…僕が紅魔館にいた頃より少し強気と言うか」

 

「強気ねぇ」

 

「なんでか、怖くなって。話が通じないって言うか」

 

「んー…魔理沙にもう一回行かせるか」

 

「その魔理沙様だぜ!」

 

「うわっ」

 

「魔理沙、何やってんの。依頼人は咲夜のせいでそう言うのに弱いのよ」

 

「あいつは時間止めて驚かしてくるからな。それじゃあ今から行ってくるぜ!」

 

「行ってらっしゃい」

 

「どうかご無事で」

 

「それでは諸君!さらば!」

 

「元気ですね」

 

「そんなことより…なんでアンタ、魔理沙にご無事でって言ったの?」

 

「いや、なんとなくです」

 

「…そ。それじゃあ結界でも貼りましょうかね!」

 

「本当ですか!?」

 

「当たり前よ。仕事には全力であるべきだもの」

 

良かった。これなら…どうにかなるのかも。なんて思えたら良かった。そもそも、咲夜さんが神社に来ないことを願う時点で馬鹿だった。行くまでの間に気がついたら紅魔館なんてこともあり得た。そして、どうにもそれが実現してしまったらしい。

 

紅魔館

 

「全く、他の女を使ってでも気を引きたいだなんて、その心意気に負けたわよ」

 

「…」

 

「まさか霧雨魔理沙まで使うだなんて…棺桶の中に入ってる姿も似合うのね、彼女」

 

「え…?」

 

「胸に両手を置ける様に両手の甲を刺したのにまだ抵抗して、しつこかったのよ。お陰でもう…でも、安心して。友達と貴方だったら真っ先に貴方を選ぶんだもの。これで分かったでしょう?」

 

「な、そんな…」

 

「なんでお嬢様と呼んでたかわからないガキとその妹も、その友人も支える小悪魔も、門番も。全員貴方の為に捧げたんだもの」

 

「なんでそんなに」

 

「あら、次は何を望むのかしら?随分とワガママで…まあ、それも良いのよね。安心して。この館のどこで私と何をしようが、誰も気が付かないわよ。この館にはもう誰も入らないんだもの」




十六夜咲夜…貴方が好き
被害者…誰か助けてください
レミリア…注意したら死にました。
的な。
いやぁ、魔理沙さんは完全にとばっちりですね。


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179話

今日の気分はナズーリンと、私の第六感が言っている


命蓮寺

 

「わーたーしーがー」

 

「来た、かい?」

 

「うわネズミだ」

 

ネズミは苦手なんだぁと逃げつつ、ご主人と呼ばれているこの身長の大きい寅丸さんへと避難する。ついでに非難する。ネズミ!衛生観念ぶち壊し野郎!出てくるだけで嫌われるゴキブリと同列!ハリネズミの方が良い!と言っていたらちょっと怖くなっちゃった。

 

「な、なに」

 

「ゴキブリよりはマシだろうがっ」ガチンッ

 

「痛ッ…鉛で殴ることはないでしょ」

 

「出会って直ぐに罵倒するのもどうかと思うがねぇ!」

 

「短気!」

 

「君を叩けるならば短気で構わないさ」

 

「ちょ、ナズーリン!?待ってください。というか貴方も!ネズミを馬鹿にすると洒落になりませんよ!」

 

「なんで?」

 

「ナズーリンのネズミは人肉が大好物です」

 

「ちょっとそれ早く言ってよもう」

 

「変わり身には定評があるなぁ、君は」

 

「…とりあえず、命蓮寺に来た理由なんだけど」

 

「はい、なんです?」

 

「親父が死んじゃってさ。葬式を」

 

「ああ、なるほど。お父様はかなり有名でしたからね」

 

「まあね」

 

…いや、酒癖の悪さで有名だったけど。家の商売が幻想郷一酒癖の悪い店主って名前で売り上げが上がって行った時はもう俺も酒癖悪くしようかなって思ったもん。酒売ってる店の店主がなんで酒癖悪いんだろうね。酒弱いし。

 

三日後

 

「葬式って一杯やることあるねー」

 

「しかし、君は父親が死んでも変わらないな」

 

「四日後に法要?って奴やるからここに来るんだな。理解」

 

「話を聞け」

 

「お前の話聞く余裕が無いから無視してんだろ。考えろ」

 

「なっ…!」

 

「んじゃ四日後」

 

四日後

 

「うーっす」

 

「先日はすまなかったね。君のことを考えもせずに」

 

「いや良いよ。店潰したからもう余裕もクソもないし」

 

「…ん?お店を潰した?」

 

「親戚が誰もおらんからね。店も潰して俺1人だけで暮らしていくのさ」

 

「逞しいな」

 

「それで家も売っちゃってさぁ」

 

「君は馬鹿か?」

 

「まあ、なんだね。これも神様のお召しか、釈迦の導きって奴だ」

 

「仏様と言えば良いものを…そうだ、此処に住むのはどうだ?」

 

「…此処って?」

 

「命蓮寺だが?」

 

「それも良いな」

 

「見知った顔だけだ。墓参りもしやすいだろう」

 

翌日

 

「なんで君は移住初日から一輪車に乗っているのかな」

 

「そういうところに女性は惹かれると本に書いてあったから」

 

「…どうやら正しいらしい。一輪や村紗の興味が当てられているよ」

 

「妖怪はなぁ」

 

「まぁ…だろうね」

 

少しだけ言っておくが、多分あの2人の興味は宴会で使えそうな芸としての興味だと思う。惹かれてほしいのは俺の身体とか、そういう恋愛的な意味なんだけどな。それも妖怪ではなく人に。妖怪は怖いからな。仕方ない。

 

「妖怪は恋愛対象では無いか」

 

「当たり前だろ」

 

「君は、本当に人の気持ちを知らないな」

 

「妖怪の気持ちは知らん!」

 

翌日

 

「ナズーリン、なんだか気分が悪そうですね」

 

「いや、なんでも無いよご主人」

 

「そうですか!それは良かった!…ところで、宝塔をなくしてしまいまして」

 

「はぁ!?またかい!?」

 

「どしたの、そんな大きい声出して」

 

「どうしたって、信じられるかい!?ご主人が、宝塔…を」

 

「これのこと?」

 

「おお!ありがとうございます!いやぁ、感謝です!」

 

「探し物は得意なんでね」

 

「迷子にはなるくせに?」

 

「初日でこのでっかい家の間取り把握しろってのは無理だろ」

 

「まあ、それもそうか」

 

「で、だ」

 

「どうしたナズーリン」

 

「ご主人は忘れそうだから消去法で君に頼むんだが、このチーズケーキを」

 

「ふんっ!」ボギィッ

 

「ど、どうしたんだい!?」

 

「足の骨折ったので無理です」

 

骨折してる人に買いに行かせるほどナズーリンも嫌なやつでは無いだろう。多分。多分!!しかしだ。最近、というよりも此処に来てからナズーリンがこっちを睨んでくるような目で見てくる。そんな感じになる関係性では無いと思うだがね。

 

「そうか仕方ない。私が連れて行こう!」ガシッ

 

「おぅっ!?」

 

「行ってらっしゃい〜…あれ、宝塔…」

 

命蓮寺外

 

「さてと、だ」

 

「なんで止まるんだよ。病院ならあっちだぞ」

 

「まあ君は悲しいことに気が付いてないだろうが、私は君が好きなんだ」

 

「…聞いてんのか」

 

「君の話を聞けるほど、今の私は余裕じゃないんだ」

 

「あっそ」

 

「何故好きになったのかは思い出せない。多分、本当に些細なことだと思う」

 

「ほー」

 

「でもだ。そこで、君は言ったんだ。妖怪は恋愛対象外だと。言い放ったんだ」

 

「まるで俺が加害者のような」

 

「それを聞いていなかった私は、法要の時に心理的な効果で恋に落ちやすくなるという本の知識を試してみたくなったんだ」

 

「そんなことされたか?」

 

「ああ。そんな考えがよぎった後、自分が嫌いになったよ。そんなことをしても心はモヤモヤするだけだ」

 

「蜘蛛の糸に縋る奴みたいだな」

 

はて、法要の時に口説きやすくなる、というのは実は全く違う思い込みである。確か、想い人が死んだ時だった気がする。親父は俺の想い人ではなかったからな。仕方ない。蜘蛛の糸に縋るのを馬鹿だとか思っても縋るのが一番だというのに。まあ無駄だけど。

 

「だが、種族の差を活かしてできることを思いついたんだ」

 

「この二日でか。すごいね」

 

「昨日の夜寝ずに考えたんだ。大人しくしてくれていたまえ」

 

「…待て、ナズーリン、やめろ」

 

「言っただろう。私は今、君の言葉を聞けるほどの余裕はないんだ。今から君を食べる背徳感と高揚感で、もっとおかしくなりそうなんだ。好きな人を殺すというのに、にやけるのが止まらない。好きな人を食べるというのに、私のお腹がずっと鳴っているんだ。君を食べる行為だけで、もう私は君の虜なんだ。後悔しても遅い。いや、後悔とは違うな。少なくとも今の私は後悔などしていない。私の体に君の頭を保管する為だけの臓器を作っても良い。そうなると頭は後回しになってしまうが、まあ良いだろう。不思議な感覚だ、私自身今の私についてよくわからないんだ。分かっているのは、君に突き放された結果、こうなっているということだけだ」

 

「離せ、おいナズーっぁ!」

 

「骨折したところは触れると痛い。それくらい獣でも知っているさ。さて、先ずはどこから行こうか?やはり、手だろうか?考えれば考えるほどにやけるのが止まらないな。全く、君は本当に私を虜にさせる。さて、それじゃあ先ずは」

 

「!?」

 

「やはり、手からだな♪」




ナズーリン…私のことが恋愛対象外…だと…!?(この後知性がごっそり削れて、なけなしの知性と出てくる本能が混ざり合ってぐちゃぐちゃの感情のまま食べちゃう)
主人公…種族の差は愛では超えられない!これは当たり前だ!種族の違うやつに恋愛的感情は持たない!!と思っていた時期が俺にもありました…
的な。
いつぞやの華扇さんみたいな感じになっちゃったけど、あっちは妖怪にさせてますから。こっちは人のまま食ってますから。違いはそこら辺しかないけど、此処が一番違いますからね!


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180話

そもそもの話、妖怪と人間が交わることなんてないんですよ。
人と猿が交わることは…ありそうですけど。アリスさんです


人里

 

「ヤッホーアリスさん」

 

「今日もこれお願いできる?」

 

「合点」

 

さて、私が何をしているのか言ってやろう。アリスさんがたまにやらかすので、その尻拭い。女性の尻拭いと言うとなんだか卑猥だな…いや、アリスさん魔法使いだったな。魔女だったか?まあ良い。妖怪に雄雌無いと思う。多分無い。

 

「人形劇の終わりはいつもキス〜」

 

「終わり方のバリエーション増やそうとした時もあったわよ」

 

「でも子供にウケが悪い〜、理由は大人向けだから」

 

「最後にマジトーンになるのやめてもらえる?」

 

「傷付きます?」

 

「傷だらけよ。それにしても、人間なのになんで私より裁縫が上手なのかしら」

 

「私の才能ですね。嫉妬してもらっても構いませんよ?」

 

「嫉妬ついでにロボトミー手術しとくわね」グイッ

 

「いたたた、何そのヘロパピー手術って」

 

「ロボトミー。感情失くすんじゃなかったかしら…」

 

「嫌だよ、何その狂気に満ちた物は…」

 

「とにかく。人形劇には間に合わせてくれる?」

 

「お任せあれ」

 

「任せたわ」

 

任された。とは言うが、実際もう終わっている。喋りながらでも縫うことはできる。出来ないと言う人はいるが、それが才能の差ということだ。山に住む奴と同じ景色が見たけりゃ土台積め。ツン、と人形を突く。押し出したという方が正しいと言えるくらいの力で。しかし倒れない。魔法の力らしい。

 

「魔法の力が掛かった人形ね。お前もシャンハーイとかって鳴くのか?」

 

「…」

 

「喋らんか。人形が喋り始めたら…次は何が喋るんでしょーか」

 

「…」

 

「この顰めっ面が。笑わせてやる。ほれほれ」ヌイヌイ

 

「…」ニコッ

 

「アリスさんにどうやって説明すれば良いんだこれ…」

 

数分後

 

「取りに来たわよ」

 

「笑顔にしちゃいました」

 

「…依頼以外のことする癖に、腕が良いから許されるのよねぇ」

 

「ということは」

 

「別に良いわよ」

 

「っしゃぁっ!」

 

「自立する人形にはならないか…」

 

「人形も可愛がれば霊が宿るらしいんですがね」

 

「付喪神のこと?」

 

数日後

 

「んー」

 

「何と睨めっこしてるの?」

 

「お見合いの写真」

 

「け、結婚するの!?」

 

「いや、親がやれってうるさいから」

 

「友人止まりが多そうだしねぇ」

 

「今まで関わってきた奴ら全員友人だよ」

 

「…随分と薄情ね」

 

「自分に薄情じゃないお人形さんでも作りなさいな」

 

そういや黒魔術って奴には、人をなんかにぶち込んだり死体を操ったりする魔法があるそうな。人の魂を抜き取って何かに入れる。そんなことが可能なのだろうか…いや、こんな幻想郷じゃ当たり前か。むしろ疑ってごめんなさい。許してね!

 

「…人の人格を写し出す機械?」

 

「なんそれ」

 

「天狗の新聞よ。そんな技術、あって良いのかしら」

 

「この世のどこぞには人間を一から作る奴もいるぞ」

 

「…クローン?」

 

「それだ」

 

「おかしな人種もいるのね」

 

「シャンハーイ」

 

「シャンハイもそうだと言っています」

 

「バカジャネーノ」

 

「シャンハイは」

 

「貴方如きに私の言葉が分かるはずがない、と言っています」

 

「ぬぅっ」

 

「堪忍しなさい」

 

「全く仕方ない」

 

「…しっかし、私達って他から見たらどんな関係になるのかしら?」

 

「友人かな」

 

「そうかしら」

 

「さあ?知りたければ噂話を集める人形でも作んなさいな」

 

「…人形任せね」

 

「お人形が大好きだしな!シャンハイ、この中でどれが好みだ?」

 

「えっ」

 

「コレ」

 

「お前趣味悪いな」

 

「!?!?」

 

数日後

 

「で、お見合いは破談」

 

「なんだ、嬉しそうにして」

 

「悲しんであげてるのよ」

 

「じゃあ鼻歌をやめなさい」

 

「いやよ。気分的に盛り上げようとしてるのに」

 

…人形劇で気分的に、ね。子供と一緒に童謡歌ってる奴とは思えん言葉だな。体を左右に揺らしつつ、だーるーまーとか言ってそうなことやりやがって。とは思えど友人。その友人から家に誘われたのは割と悪い気はしないというのが本音だ。

 

アリス邸

 

「お邪魔しまーす」

 

「いらっしゃい。どんな魔術も禁術に至るまで用意している」

 

「のはやめてね」

 

「…中々わかってるじゃない」

 

「お気に召されたようで。で、俺はなんで誘われたの?」

 

「それは…私の人形についてね」

 

「人形を自立させるのが夢〜とか言ってたか」

 

「そう。だから色々なことに手を出したの」

 

「たとえば?」ツンツン

 

「黒魔術。とは言っても今まで上手く行った試しはないのよ」

 

「はー、黒魔術ね。嫌な趣味してる」

 

「でも、黒魔術なんて呼ばれている中でも禁術なんてのがあるのよ」

 

「ほー」

 

「人と動物を同化させたりするような黒魔術の禁術。知りたくなって調べてみたの。そしたら…」ガシッ

 

「っ!?」

 

「人を殺して、その人の魂を何かに移すんですって!」ググッ

 

「がっ…ぁっ…!?」

 

「一説では、この魔術を生み出した本人の周りにある家具は、全て本人が惚れた人間の魂が入ってるとか!」

 

「っ!ぁ…!」

 

苦しい、と言うにはかなり落ち着けている。自分は今から殺される…と言うことだろう。まあ、助けを呼ねる場所でもない。アリスさんの手を掴んで精一杯。じゃあどうする?撫でるか?頭がぼやける。いかん、ぼやけてはダメだ。ぼやけては…

 

「苦しい?私に助けて欲しい?でも残念。友達なんて薄い絆は、こう言う時には破綻するのよ」

 

「ぁっ」ゴキッ

 

数ヶ月後 博麗神社

 

「…アリスサン」

 

「アリス、お前をいつもさん付けで呼んでる人形はなんなんだ?弾幕ごっこにも出さないし…」

 

「作るのに一番手間暇掛けた人形だもの、大事にするのは当然よ」

 

「トモダチ」

 

「アリスの次には友達だ、人でも入ってるんじゃ「そんなわけないじゃない」…」

 

「そんなことしたら、八雲紫に何言われるかって」

 

「ま、まあ、それもそうだな!」




主人公…お友達。これからもよろしくね!(人形にぶち込まれる)
アリス…友達のままで終わるなら、死後の世界にも行かさずに、私の人形にする
的な。
アリスさん便利ですね。


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181話

フランちゃん。
フランちゃんなら、紅魔館を潰して新しい自分と想い人だけの世界を作りそう。
主人公の名前は兀々です。コツコツです。なんやお前、それならもうコツコツで良いじゃんと思った方。
僕もそう想います


紅魔館

 

「妹様…何故こんなことを?」

 

「なんでって…兀々が言ったからでしょ」

 

「なんて言いましたか…。」

 

「だめだね、最近兀々も老けてるんじゃない?言ったじゃん」

 

貴女はお嬢様を超えられる。私が言いました。確かに私が言いました。妹様はお嬢様の全てを越えることができる。しかし、なんとも。私がこうなった理由を説明出来るかと言われれば出来ない。原因は私だろう。何十年も前の話、忘れているのですが。

 

「妹様」

 

「妹様じゃない」

 

「では、なんと」

 

「…フランドール。フランドールって呼んで」

 

「わかりました」

 

「お姉様…いや、レミリアからすれば。私が急に紅魔館を壊したことになるのかしら?」

 

「そうなりますね」

 

「そう、そうよね。私、レミリアなんか超えちゃった。兀々と2人で」

 

「私は足手まといだと思ったんですがね」

 

「これからどうしよっか」

 

「これから…先ずは老後でも楽しみますかね」

 

「そう?老後よりも私はお家が欲しいかな」

 

「大勝負の後は休みましょう。次の大勝負に備えて」

 

「じゃあ今日はどこで寝るの?」

 

まさか、壊れた紅魔館でと答えるわけにもいかない。門番の姿は腕しかなく、いつまでも老けなかった完全で瀟洒な従者は服だけ。かつての主人は胸に剣が刺さったまま。大図書館は本を読まずに寝て、司書は右半分だけが生前の形をしている。とても眠れるような場所ではない。

 

「少なくとも、野宿は嫌ですね」

 

「兀々はもうお年寄りだもんねー」

 

「まあ、大図書館は比較的マシです。今日一日くらいはここで良いでしょう」

 

「えー?つまんなーい」

 

「ここの知識を全て得てしまったフランドール…」

 

「様はなくて良いよ」

 

「失礼。フランドールには、つまらない場所でしょうね。私は読めないので読む楽しみさえ感じれませんが」

 

「可哀想だね」

 

「魔法で家を作れる、そんなことが…」

 

「ないよ。できるのは壊れた館を原材料に別の形に作り直すことくらい」

 

「そうですか…博麗の巫女が来ないことを祈りつつ、眠るくらいですかな」

 

「変わんないじゃん!」

 

「やはり家を作ってからやるべきでしたな」

 

「歳取って、露骨にやんなくなったけど。要は『私の方が正しい』って言いたいんでしょ?」

 

「お察しの通りで」

 

「…ま、それでいいんだけど。仕方ないから図書館で我慢する」

 

「それがよろしいかと」

 

全く、困った。そもそも紅魔館の大図書館には定期的に泥棒が入る。その泥棒をなんとかしなければいけない。今日、寝るとき。巫女が来ないなんてことはあり得ずとも、その泥棒が入ってくるかはわからない。噂によれば魔法を使える人間から魔女に成ったらしい。なんとも変なやつだ。

 

「ね、今日はどうやって寝ようか?」

 

「フランドールもかなり大きくなりましたからね…今までの棺桶では長さが足りません」

 

「あ、そっか」

 

「ですので、十六夜が使っていた布団でどうでしょうか。私の分は私の分であるので」

 

「んー、嫌だ!兀々と添い寝するもんね!」

 

「そうですか。では布団を置く場所を探しましょうか」

 

「パチュリー達が目一杯抵抗するからこうなったんだもん。反省してるかなー?」

 

「反省はあの世でしてもらいましょう。残った者が歴史を記すように、全ての事は残った者が終わらせるのです」

 

「ふーん?」

 

「今考えましたがね」

 

「兀々って、そういうの多いよね。頭の回転が速いの?」

 

「それっぽいのが得意なだけですよ。では…っ」

 

「私がやる。兀々は休んどいて。もう若くないんでしょ?」

 

「まだ若い、と言いたいのですが」

 

「言う気力がないならそれは若くないの。それじゃあ、寝よっか!」

 

翌日。紅魔館が崩壊して、1日。泥棒は来なかった。どうやら神様は味方してくれているらしい。保管庫から茶葉を取り出して、茶でも作ろうか。最近は起きるのが早い。フランドールの言うように若くはない。さて、これからどうしたものか。

 

「魔法で大きくなって。寝る間も惜しんで。早起きな私よりも早く寝るなんて。寝不足では知識の色が褪せますよ」

 

「んぅ…じゃあ、新しいお家作ろっか!」

 

「そんなに大きくなくて良いですよ。掃除が大変ですから」

 

「わかってる」

 

「かなり高度な魔法だと思っていたんですが」

 

「結構難易度高いよ。たまに来てた金髪の…霧雨って人も、ここまではまだだと思う」

 

「ふむ…噂をするのはやめておけば良かったですかね。来ましたよ」

 

「えー?今作ってるのにー。兀々と私の愛の巣を〜」

 

「話せばわかる相手であって欲しいですね」

 

「やいお前ら!何やって…」

 

「フランドール。知らないとは言わせませんよ」

 

「兀々のことは知らないかもだけどね!」

 

「は?フラン?じゃあ、レミリア達は」

 

「消した」

 

「消した?パチュリーも?咲夜も!?」

 

「だって、あいつらレミリアの一部なんだもん。レミリアを越えるためにはそれくらいは」

 

「何やってんだよ!?」

 

そう言って、フランドールを襲う。だが悲しいかな。泥棒の攻撃は届かない。かなり頑丈な結界があるらしい。泥棒には世代交代だなんだと言って帰ってはもらった。思い出せば、私がフランドールの従者として、世話係として入ったのも異変で慌てていたときだったと思う。思い出してみるか。

 

「今日から世話係になりました」

 

「あー、そう」

 

「教養という言葉には無縁ですが、よろしくお願いします」

 

「…今なんて言った?」

 

初めはこう。だったと思う。世話係になってはじめての会話。だったと思う。もはや記憶力すら怪しい。その理由は簡単。今の目の前にある景色と過去の妹様が全く違うからだ。また図書館で本でも読み漁りましたか。寝なければ知識の毒ですよ。そう言いたくても、知識の源はない。

 

「ねえ」

 

「なんでしょう」

 

「いつまでも一緒にいるって言ったよね」

 

「言いましたよ」

 

「私のお世話係だからって」

 

「はい」

 

「それならさ」

 

「…」

 

「私を残して死んだりしないよね?」

 

「元メイド長の姿を見て恐ろしくなりましたか?」

 

「そんなんじゃない。それに」

 

「心配はなさらずに。私が唯一覚えれた魔法に、道連れの魔法があります。私とフランドールは寿命も何もかも全て一緒。死ぬ時は同じです」

 

「それなら安心だね。出来たよ!私と兀々の家!」

 

「これはありがたい」

 

フランドールは恐らくお世話係になってから数年経った後の私が言ったことを全て覚えているだろう。証拠に、貴女ならレミリアを超えれると言ったことを覚えている。自分の発言に後悔はしていない。紅魔館の誰が死のうが関係ない。

 

「ねぇ。私大きくなったよ。レミリアも超えたよ。兀々もさ」

 

「またですか」

 

「私との関係がもっと色濃いものにしたいって、思わない?」

 

「フフ…レミリア、美鈴、十六夜、小悪魔、パチュリーの5人を壊すほどの勇気があっても、私との関係は怖いと?」

 

「そう、そうだよね!じゃあ、いつまでも居るよね」

 

「ええ。言ったことに嘘はつきません」




兀々…最初はやべー奴だった。一応段々とヤバさを別の方向に変えていった。
フランドール…ただただ兀々大好き。兀々に言われたらそれが事実。事実にならなかったら自分の努力不足。
的な。
フランドールはかわいいね。


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182話

いえい!
最近BLEACHに浮気してましたよ!
妹紅さん!刺さないでね!!
つーわけで妹紅さんです。


永遠亭

 

「妹紅さん」

 

「なんだ」

 

「病室まで来て、腹の上に頭乗せるのやめてくれませんかねぇ」

 

「良いだろう別に。私は嫌じゃない」

 

「嫌じゃないって…まぁ、良いでしょうけど」

 

じゃあ良いなと何の確認を取ったのか知らぬ間にりんごの皮剥きをしていた。ここから出たら婚姻届を出さないとな〜って、割とシャレにならん言葉がりんごの皮と同じように出てくる。断れば良いと永遠亭の看護師に言われたが…

 

「妹紅さん、俺は妹紅さんとは結婚する気は無いんだけど」

 

「今日は4月1日。嘘なんだろ?」

 

「いやぁ、タイミング悪かったな」

 

「フフ…明日は言わない方がいいぞ」

 

「なんで?」

 

「今日の時点で嘘って言っておいた方が…お前自身のためになる」

 

「きゃーこわい」

 

「じゃあ早く寝て起きて婚姻届を出しに行こうか」

 

「へいへい」

 

「…もーこーたん!」

 

「何だお前」

 

「遊ぼー?」

 

「ああ、お前にはわからないか。私はこいつの相手するだけで遊べるほどの暇はなくなるんだよ」

 

「えー?じゃあこの子をやれば良いのかしら」

 

なんか木の枝で触られているが。逃げ方がわからない。元はと言えば、慧音先生が悪いのだ。慧音先生が俺を無理やり妹紅さんとこに連れて行くから。だって、家汚かったし。そのせいなのかは知らないけど、これだけ入り込むってことは…って勘繰られたし。それでこれだし。

 

「輝夜…帰れ」

 

「えー?なんで?私と付き合」

 

「大丈夫か?怪我はしてないな?」

 

「うっす」

 

「過保護ね」

 

「過保護で結構…蓬莱の薬が馴染んで来たら退院だからな。大丈夫、すぐに退院できるから」

 

「一体全体飲ませたのは誰でしょうねぇ」

 

「私だが?」

 

「そうですよ。僕の大好きな水に入れちゃってまぁ…」

 

「一時期、私のこと疑って何も食わなかったよな」

 

「あれは…」

 

「あの時押し倒された時のお前…可愛かったなぁ」

 

「え、もこたん押し倒したの!?やるじゃ」

 

「抵抗してるのか不思議になるくらい、力が入ってないのにいかにもこれが限界ですって顔をするんだから、笑っちゃうよな」

 

「笑わないでよ…」

 

「ああ、悪い。そんなお前も良いけど、私からすればお前はずっと健康でいて欲しかったんだ」

 

「不老不死が健康ですか?」

 

「ああ。大体の病は治るからな」

 

「あんた、ずっとそれで苦しんでたでしょ確か」

 

どんなこと知らないなぁとか抜かす妹紅さんを尻目に、退院はいつなのかを看護師に聞く。なんと今日らしい。昨日伝えろよ、と言いたいが昨日は竹林が大火災だったらしいのでそれは…ちょっと可哀想だからやめとく。そんなかんなで退院できたが。

 

妹紅宅

 

「…」

 

「行き先がないからって、私の家に押しかけるのは感心しないなぁ」

 

「嫌だったか?」

 

「いいや、むしろ嬉しい」

 

「どうして嬉しいんですかねぇ」

 

「どうしてって…好きな人と一緒に過ごせるのは良いことだろ?」

 

「そう言う物とは別の方向性だと思うんですが」

 

「細かいことは良いんだよ。さて…これからどうする?やっぱ婚姻届出してくるか?」

 

「慧音先生が許してくれるとは思えませんが」

 

「まー、今回の件で流石に出禁くらったけどな」

 

「朝起きたら隣にいるなんて、ゴキブリよりも気味が悪いんですからね」

 

「気にしない気にしない」

 

「…て言うか、永年生きてるんだからもうちょっと良いの思いつきませんでした?」

 

「永年生きてるからこそ。死体だってずっと保つ訳じゃない、持って5年…泥に埋めてもそんなに、だしな」

 

「詳しいことで」

 

「じゃ、私が出してくるわ」

 

「いってらっしゃーい…で、俺はどうするべきかな」

 

逃げるべきか。でも逃げたところでどうなる?終わりがない鬼ごっこの始まりだ。もはや逃げない方が精神衛生上よろしかろう。第一、俺が逃げようとして逃げれる相手ではない。まあ逃げる気もないんだけどね。不老不死が気に入らんだけ。多分。

 

「出してきた」ボロッ

 

「どうしたんですかそんなボロボロで」

 

「慧音にブチギレられてさー…精一杯の説得で受理はさせたよ。今後出禁どころじゃなくなったけど」

 

「そりゃ、まずいことで」

 

「でだ。これで正式に夫婦になったんだ、ずっと一緒だろ?」

 

「その通りでござんすね」

 

「じゃあ一緒にこっちきてくれ」

 

「そっちに何があるんですかね」

 

「お前の臓器」

 

「えっ」

 

「勿論、私の臓器もあるぞ?一緒に蓬莱人になったら食べ合いっこしようと思ってたんだ」

 

「…え?俺の臓器って…いつの間に」

 

「昨日の内にな。じゃあ、食べようか」

 

「食べ切れるかなぁ」

 

「味を変えたくなったら…チーズでもかけるか?」

 

「焼くって選択肢はないんですか」パクッ

 

「ん?いや…ないな。まぁ、なんだ。お前が良いって言うなら私の母乳も」

 

「人間の母乳って、うんこが変になるらしいっすよ」

 

「じゃあやめとくか」

 

「そうした方が良いです」

 

「そもそも私母乳出ないしな」

 

でしょうね。出たら驚きだよ。おどろろろろろろきだよ。まぁ、歳を取らない人が子供を産んだところで…母乳が出るのかは知らないが。出ないのではなかろうか…いや、そんなことを聞く意味は多分ないな。どうせすぐに実感するだろうし。させられるだろうし。

 

「私の子宮もあるんだ、残したりしないでくれよ?」

 

「子宮どころか、卵巣まで…」

 

「私の味をちゃんと味わってくれって思ってさ」

 

「聞いときますけど、慧音先生にはなんて言われたんですかね」

 

「そうだな…『その行動が里の男一人だけに向いてよかったと言うべきだろうが』って前置きされて、『だからこそお前は人里に入れることができない』って」

 

「出禁くらった時に言った言葉」

 

「好きな人は美味しいぞ」

 

「人喰い妖怪ですか、貴女」




妹紅…好きな人の肉は美味しい。内臓も美味しい。色々と美味しい。
主人公…諦めロン、国士無双
な感じ。
久しぶりですねー!


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183話

命蓮さんって言うかなり描きやすい素材を見逃していた。
と言うわけでその人にむっちゃ似てるあれです。
聖さん、スタンばってる?


命蓮寺

 

「命蓮!」

 

「…どないしたんでしょ」

 

「貴方…命蓮ですか!?」

 

「違うけど」

 

「そう、ですか…」

 

とりあえずよくわからん名前で呼ばれた。けど違う。知らんなそんな奴。周りの人むっちゃ驚いてるじゃん。いきなり誘拐されたと思ったらこれだよ。まあ路地裏彷徨いてただけだが。とにかく、命蓮と言われているので完全に断った!

 

「ところで貴方、家族は?」

 

「…いないけど」

 

「それでは今日からここで住みましょう!」

 

「え?」

 

「何をしているんですか。さあ、早く」

 

「は、はい…?」

 

「聖…?」

 

「人が入れば、人間の入信者は増えると思うのですが」

 

「成程…?」

 

「…こんちは」

 

「こ!ん!に!ち!は!」

 

「うぉわぁっ!?」

 

「!?」

 

「びっくりした」

 

数週間後

 

「こんにちは」

 

「お早う。み…」

 

「…」

 

「未だ名前を呼べずに申し訳ないです」

 

「良いですよ」

 

「聖、疲れてるんですよ。最近葬式が謎に多かったですから!さ、さあ寝ましょう!」

 

「そうですねぇ」

 

「さて…んーっ!と背筋伸ばして、倒れる」ズテンッ

 

「うわっ」

 

…ムラサだ。何かと足りないムラサだ。名前も足りないし、魅力も足りない。むしろ削り切った方が良いのでは…いや、落ち着け。落ち着け。相手は妖怪、何をしでかすかわからない相手。すーっと、吸って。吐く。おぼろぇ。別の奴出そうになった。

 

「何やってんだこんなとこで」

 

「白蓮さんに命蓮と呼ばれない作戦」

 

「無駄だなそりゃ」

 

「何故」

 

「だって、完全に重ねてるし。お前さんも大変だな。いっそ、命蓮として生きた方がいいんじゃないかな?」

 

「いーや。俺は命蓮って人じゃない」

 

「ま、あの人は…弟大好きだったっぽいし。本人じゃないからって捨てられない所を見ると…逃げた方が良いかもね」

 

「はぁ。ま、どっちっ」ビクッ

 

「聖、どうしたのこんなとこで。寝てたんじゃないの?」

 

「いえ、寝ましたよ。星が先に」

 

「嘘でしょ!?」

 

「…聖さ」

 

「命蓮」

 

「っ」

 

「こうして呼べて、とても嬉しいです」

 

「ちょっと待て、俺は」

 

「命蓮じゃない…おかしなことを言いますね。貴方は」

 

「だーもう違うって。世の中似てる顔は3人はいるって言うでしょ」

 

「大丈夫ですよ。私にはわかるんですから」

 

「わかってねえって。ちょっ」

 

「貴方はいつも言ってましたね」

 

「ちょっと」

 

なんで近づいてくるんだ。両足付いてるのに、こっちはもう尻を地面にくっつけて後退りだぞ。あ、ごめんなさい、来ないで。しかし、俺はもう命蓮として生きていくのか?いやいやないな。俺は俺だ。だから命蓮なんてやつは知らないし、ならない。

 

「だから俺は」

 

「私に嘘をついて楽しんでるんですね?昔のままです」

 

「ついてないって。だから、俺は命蓮じゃ」

 

「そうですか。尚も嘘を吐き続けると」

 

「だから嘘じゃないって。俺は命蓮じやない!」

 

「私の目の前に姿を出した時点でもう分かっているんですよ。私に見つけて欲しかったんでしょ?ほら、正直になって」

 

「違、違う!だからーえっと」

 

「やっぱり命蓮なんだ」

 

「命蓮さん…ならば聖のことは白蓮と呼ぶ必要がありますね」

 

「なんだ、姐さんの目に狂いはなかったわけだ」

 

「ぇ…」

 

「命蓮さん!!」

 

「ちが、ちがう…俺、命蓮じゃ」

 

「命蓮。良いんですよ、そんなに怯えなくても。人が怖いのでしょう?でも大丈夫。我々は皆妖怪です」

 

「私は元人間だけどね〜」

 

「一輪…まあとにかく、皆人ではないのです。だから怯える必要なんかありませんよ」

 

「そうですよ。ふぁぁあ」

 

「星、欠伸止めて」

 

「生理現象です!止めれません!」

 

「じゃあ止めるように」

 

俺は、命蓮じゃない。そのはずだ。そのはず。似てるってだけで名前まで変えられてたまるか。俺は命蓮じゃない。あ!マミゾウさんだ!この中では一番まともなマミゾウさんだ!!俺命蓮じゃないのに命蓮扱いされるって訴えたら良いんじゃね!?

 

「ぁ、マミゾウさん!」

 

「ん。なんじゃこれ?」

 

「助けてください、聖さん達が急に命蓮って」

 

「なんじゃそんなことか」

 

「…そんなこと?」

 

「のぅ、命蓮。自分が自分であるのか聞かれてるだけじゃと言うのに」

 

「え、待って。マミゾウさん?」

 

「命蓮。助けて、なんてものは普通お姉さん、少なくとも家族に言うはずだけれど…」

 

「命蓮さん。良い加減認めては?」

 

「命蓮はさぁ。ちゃんと自認くらいしなきゃいけないよねぇ?」

 

「違う、俺は命蓮じゃない。だから」

 

「命蓮。かなり疲れているようですね。昔みたいに添い寝しましょうか?」

 

「だから違いますって。俺は命蓮じゃない」

 

「命蓮じゃない…なんでそんなに反発するのですか?」

 

「逆張りの時期かのう」

 

「なんでそうなるの!?」

 

「そうなるから仕方ないじゃろうて」

 

「仕方なくない!」

 

「逆張り…?私の後ろをずっとついてきた命蓮が?」

 

「反抗期は誰にでも訪れるのじゃ」

 

「成程…」

 

あ、まずいなこれ。やっぱりこんなとこ居るべきじゃないな。逃げるか。逃げちまおう。逃げるぜ。唸れ我が足!!…あれ?なんか転んでね?あ、声でかいやつに足引っ掛けられたのか。成程ね。成程。で、逃げれるのかな。これ。待って逃げたいんだけど

 

「おぶっ」ゴツンッ

 

「逆張りと言うなら…譲歩的依頼法を使いますか」

 

「え?」

 

「命蓮。今日からは、お風呂も一緒に入りましょう」

 

「!?」

 

「これがダメと言うなら、今のまま。どうですか?」

 

「に、逃げ」

 

「選んでください」ガシッ




白蓮…弟戻ってきたただ!!!!!!!!!!!!やったたた!!
主人公…俺命蓮じゃーねし(反抗期)
と言う感じ。
こんな地味なやつが最終回で申し訳ない。
ノシ。


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184話

やあみんな!久しぶりだね!
…ん?
『終わったはずでは?』だって?
そうだね!終わったね!けど、世の中コンテンツ終了しても続編出す奴結構いるよね!
それじゃあ博麗の巫女さんで行ってみようか!


博麗神社

 

「うぃー」

 

「やめて」

 

きっかけは些細な…いや多分些細じゃないんだろうけど、多分些細なこと。そしてそれを俺は知らん。生まれてこの方世話して来た記憶もないし、特に恩があるわけでもない。ただただ一緒にいるだけと言えば、そう。そうだよ。

 

「なーんで俺ここにいるんでしょーね」

 

「なんででしょーね」

 

「おっせーい!」ドーン

 

「お、魔理沙じゃん」

 

「ようおっさん。やっぱおっさんの胸は落ち着くなぁ」スリスリ

 

「加齢臭が始めるのももうすぐだがな」

 

「そりゃいかん、たっぷりと感じておかな」バシンッ

 

「退け」

 

「れ、霊夢?」

 

「なんだ日向が良いのか。それならそうと言えば良いのに…どっこいしょういち」

 

「ふ」バシンッ

 

「そうじゃない」

 

「…魔理沙かわいそう!」ギュッ

 

「今日の霊夢なんだかおかしいよ…」

 

「は?」

 

「理由を言え」

 

「知らせる義務はないわ」ゲシッ

 

「痛い!なんで俺にまで!」

 

「知らないわよ」ゲシッゲシッ

 

「んぎゃー!」

 

「ちょ、力強いって!私だって女の子なんだからヤワなんだよ!?」

 

「お、すまん」

 

「ふんっ」バギィッ

 

もー良いもんね!家出してやる!魔理沙、家泊めてくんね?え、無理?じゃあ紅魔館行くか…紅魔館行くかぁ…!残念ながら歩き以外に走るしか移動手段のない俺にとって、紅魔館とは敷居が高いのだ。高いっつーか日が暮れるっつーか。

 

紅魔館

 

「えー!?」

 

「残念ですが…」

 

「そんな…ここまで歩いて来たのに…」

 

「人里まで送りましょうか?」

 

「いやー良いよそれは〜…おい妖精」

 

「なんだよ!?」

 

「菓子やるから人里まで運んでくれ」

 

「あいわかった!」ガシッ

 

「んじゃまた霊夢が反省したら〜」

 

「ばいばーい…あの人達でも仲違いするんですねぇ」

 

人里

 

「ふっ…ぬー…!」

 

「ありがと、ほれこれ菓子」

 

「美味棒!!」

 

「美味いぞ食え」

 

「わかった!じゃーね!」

 

「また今度ー…さて。久しぶりの人里だし、少しは買い物」

 

「珍しいですね」

 

「…」

 

「お互い様、と言った顔はやめましょうか」

 

「ちげーよ、なんでお前がお嬢様言葉で話してんだって顔だよ小鈴」

 

「いいじゃありませんか」

 

「ごっちゃになってっぞー、魔理沙に学ばせてもらってこい」

 

「なー!?」

 

「あ、お前の家泊めてくんね?」

 

「乙女の努力を否定して、その上で他の女の名前を出す人は泊めてあげません」

 

「魔理沙と加齢臭の話してたら霊夢にキレられてさー、困った」

 

「え、今すぐ帰ってください」

 

「そんな、まだ加齢臭は出てねえって」

 

そう言ってたら真剣な顔して帰れと言われたので、帰ることにする。なんだ、霊夢がかわいそうってか。俺が可哀想だろうが。可哀想に俺の名前と読めるくらいには可哀想だぜ俺。世界三大珍味どころか世界三大不味い飯を食わされるくらいには可哀想だね俺は!

 

博麗神社道中

 

「暗いな。もう妖怪出て殺される頃合いだぞ」ザクッ

 

「がるるる」

 

「…ほら、出た。待っておくれよ、俺はまだ死にたくねえのさ」

 

「そんなことに拘られては、困りますわ」

 

「え」

 

「博麗の巫女は何者にも平等でなくてはいけない。でも、貴方のせいでそれが出来ないでいる。」

 

「ゆ、紫さん?」

 

「貴方のせいで巫女は嫉妬を抱いた。ただ1人に対して、ね」

 

「ちょっと、笑い事じゃないっすよ。背中のはまだ大きくない傷なんで、まだ」

 

「だからさっさと死んでくださる?そうでなきゃ、可愛い霊夢が嫉妬で狂ってしまうわ」

 

「お、お逃げ」ドサッ

 

「知らないの?凶暴な犬はかなり重いのよ。まあ、この妖怪は犬と熊を混ぜた私の試作品だけれど」

 

犬と熊って…絶対忠誠心のある化け物作ろうとしただろ…いかんね、やっぱ。熊のせいで絶対体重50kgオーバーしてるし。女の子なら体重は行って60kgよ…胸とか加味してもそこから先2kgぐらいだね。だからお前は体重オーバーなんだよさっさと退け

 

「ぉ…お!」

 

「ぎゃぁ」ドドンッ

 

「…霊夢」

 

「大丈夫?動ける?ほら、立って」

 

「さっきの犬と熊のせいで動きづらいかなぁ」

 

「霊夢。博麗の巫女はこんな時間まで起きてちゃダメよ」

 

「あら、じゃあもう月がすり替えられたり、月が止まったりしないわけ?」

 

「いや…家出するなんて…言わなきゃ良かった」

 

「はいはい、後悔は後でね」

 

「霊夢、私と戦うの?ずっと育てて来た私を」

 

「うっさいわね。博麗の巫女は妖怪退治が仕事よ。それに私の育ての親はこいつ。アンタじゃない」

 

「は?」

 

永遠亭

 

「で、そこから命だけでもって連れて来たわけね」

 

「いやー助かった…」

 

「八雲紫はどうなったの?」

 

「さあ?」

 

「さあって…まあ、怪我は治ったし神社に戻って良いけど」

 

「けどってなんすかけどって」

 

「怪我しないでね。お金出せないなら」

 

「うぐっ」

 

「幻想郷に対する贖罪なら私が代表して受けるけど?」

 

「…はぁ」

 

さすがだ霊夢。あの永林先生を下した。しかも口喧嘩で。というよりかは、永林先生がダメだこれって放った感じだけど。まあ良いさ。とりあえず神社戻って寝ましょーぜ、霊夢さん。一緒に寝て、一緒に寝ましょーぜ。魔理沙の時の家出発言は撤回するからさ

 

博麗神社

 

「…霊夢」

 

「何よ」

 

「加齢臭、臭うだろ」

 

「魔理沙にはわかんないでしょーね」

 

「んー?そうか。じゃあ」スバシィンッ

 

「何やってんだ霊夢」

 

「いや、嗅いだから」

 

「???」

 

「いつも帰ったら一緒だから嗅ぎ慣れたのよ」

 

「はーあ」

 

「あ、じゃあ1週間くらいおっさん借りても」ドドドンッ

 

「わぉ」

 

「魔理沙」

 

「な、なんだ…?」

 

「次そんなこと言ったらこの顎貰うから」

 

「ひっ」

 

「あ〜、生きる麻薬」スンスン

 

「加齢臭で臭いとは思うんだがなぁ…?」




霊夢…初めて会った時も異変から帰った時も人里から戻って来た時もいる人=父親=大好き=大好きだから私の物にしたいけど父親はそんな感じじゃないらしい…もどかしい
おっさん…霊夢の親ヅラするつもりはないが、なんかそんなことになってたらしい。なんかやっちゃいました?ではなく、ずっと一緒にいたら好かれたぞ!やったね!って感じ。
紫…博麗の巫女はね。全ての者に平等で、私を育ての親と認識してて、私の理想的存在でなきゃいけないの。
的な感じ。
このままだと紫食われちまうけど良いか。


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185話

青娥さん
この人なんか怖くね?
こいつ、ワシより頭おかしくねー?


人里

 

「青娥、どうした?」

 

「また匿って欲しくて…ね?」

 

「んー…まあ良いけどさ」

 

「あら、対価が欲しいのかしら?」

 

いらないときっぱり答え、家に入れる。いると言えば変なことになるのは考えずともわかる。お相手は邪仙で有名な青娥さん。尚、本人は気にしていない。自覚はしているが、のらりくらりとしていてなんだか。里で何をしたか知らんが…

 

「で、青娥」

 

「何?」

 

「今度は何やらかして来た?」

 

「そーねぇ…厄介払い」

 

「それであんなに来るかよ」

 

「来たのだから知らないわ」

 

「あーあ。これじゃ匿ってる俺がいつ死ぬかわからんな」

 

「あら、死ぬの?」

 

「青娥が全力で土下座して罪償ったら長生きするよ」

 

「それは難しいわね」

 

「だろ。俺は短命だ」

 

「かわいそうに」

 

「こんにゃろ」スカッ

 

「ふふふ。こんな動きの遅い貴方なら、確かに短命かもね」

 

「うるさーい」

 

「それじゃあ、そろそろ撒いたでしょうし…行ってくるわね♪」

 

「おう、そうか」

 

「…行ってらっしゃいのキスは?」

 

「夫婦じゃないんだから。あるわけが」

 

「そ。残念」

 

「…おい待て俺のハンコ持ってどこ行く」

 

なんとかハンコを取り返した俺は、なんとか青娥に2回叩かれるだけで済んだのであった。あれでも仙人。叩かれると痛いのだ。熊の方が優しいとは思う。でも、その熊も大して優しくはないのが問題だけどな。はーははは!笑ってる場合じゃねえ。俺もどっかから出ないと

 

「どっ」

 

「おう」

 

「…慧音先生?」

 

「そうだが?」

 

「何か御用で?」

 

「お前があの有名な邪仙を匿っていると噂を聞いてな」

 

「いやいやいや」

 

「まあ現に証拠もあるわけだが?」

 

「わお」

 

「まあ、なんだ。事情聴取をしようと思ってな」

 

「うわ、かなり居るね」

 

「ああ。被害者を連れて来たわけだ。お前は共犯者だからな」

 

「…逃げ」

 

「させん」ガシッ

 

「いだっ!ぁー…調理場の火消しといて」

 

「全く。で、青娥の隠れ場所がここだとして。奴の」

 

「知るかい!少なくとも俺は知らん!」

 

「…あくまでもシラを切ると」

 

「知らないんだから仕方な」

 

「それで納得すると思ってるのか。寺子屋でそんな教育をした覚えはないんだがなぁ…」

 

「人の家に無理やり入る人から教育について言われるとは、こりゃどんな皮肉ですか?」

 

「緊迫した場面に私登場!!」

 

「お、青娥」

 

「さて」ガシッ

 

「うおっ」

 

「私の場所を取ってもらっちゃ困るわ」スッ

 

なんだかよくわからんが、気がつけばどこかもわからぬ場所に来た。陽気な音楽があると思えば、そうでもなかったり。記憶にありそうな場所ではあるが、そうでもなかったり。なんだかよくわからない。何をしているんだろうか。俺はなんでこんなところに青娥といるのか。

 

「ここは床下。お互いにしー、ですよ」

 

「…」

 

「でも見方によれば私が貴方を押し倒してるように見えますわ」クスクス

 

「そう」

 

「まあ、貴方じゃ私を押し倒すのは無理でしょうけどね」

 

「青娥」

 

「?」

 

「ありがとうな〜」

 

「何故?」

 

「いやー、あのままあそこにいたら里追い出されて妖怪に喰われてたよ」

 

「あら、そうなの?」

 

「そう。追放令が出て俺死んでたよ本当」

 

「それじゃあ出してた方がお得ね」

 

「え?」

 

「じゃあね〜♪」

 

「ま、まっ」

 

「うわ出て来た」

 

「さて、今どこに隠れたのか教えてもらうぞ」

 

「ぁ…終わった…」

 

「まあ、言おうが言わなかろうが…里は出て行ってもらうからな」

 

「疑わしきは罰せずって」

 

「言わないな。それじゃあ」

 

「え、先生」

 

「まー、里の外にどうせ出すんだから。多少傷があってもわかりはしないだろうなー」

 

「ちょっ…嘘でしょ、ねえ先生、待ってくださいよ。待って、先生」

 

そこからは酷い物でした…体験者は語る。俺は文字通り集団の力という物を思い知った。結果、外に出る頃には体がなんだか曲がってはいけない方向に曲がってる関節があったり、新しい関節ができてたりする。悲しいなぁ。折角家を手に入れたというのに。

 

「これでどうやって生きていこうかね」

 

「私のお家にご案内しましょう!」

 

「おーまじか!」

 

「勿論。今まで匿ってもらっていたんですから」

 

「でも」

 

「?」

 

「もう急に人前に出したり…しないよな?」

 

「勿論よ。こっちの方が姿消しても何も言われないから。それじゃあ」

 

「わかった」

 

青娥宅

 

「なんかでかいな」

 

「いらしゃーい」

 

「顔色悪いぞお前」

 

「そんな心配をするなら、追われてる時の私に対しても同じこと言って欲しかったのに」

 

「言い方が違うだけだろ多分」

 

「そう受け取っておきますわね」

 

「…せ〜が〜」

 

「なぁに?」

 

「こいつ食べて」

 

「駄目。それくらいは分別できるようになりましょう!」

 

「うーぁ〜」

 

「で、俺はいつ人里に戻れるのかな」

 

「さあ?あの半妖半人が、貴方が死ぬ前に死ぬなんてことはありえないし」

 

「永遠亭のお陰で今や治せない病気はないしな」

 

「そうねぇ」

 

というわけでここに永住が決まった俺だが。俺が何をしたというのか、何故かトイレとか風呂以外は青娥が一緒なことがある。たまに出かけたりするが、その時でさえあの変な顔色悪い奴がいるのだ。しかし今日は誰もいない。不思議には思うが面倒なのでやーめた!

 

「いねーかー?」

 

「うぎょぎょ」

 

「あ〜…魚だけか」

 

「ぎょっ」

 

「…んぎょぎょっ」

 

「ぎょっ」

 

人里

 

「お姉さん誰待ってるの?」

 

「そうねぇ…具体的には言えないわね」

 

「え〜?何々?犯罪者とか?」

 

「まあそんなところ」

 

「そんな奴待つよりさ、俺と一緒に」グサッ

 

「…貴方みたいな馬鹿を待ってたの。変装したくらいで警戒も何もしない馬鹿を」

 

「がっ…」

 

「私のせいで彼に迷惑をかけてしまったのは失敗だったわね。まあ、結果としては良いけど」




青娥…彼大好き♡♡♡彼と一緒にいる理由作りまくる!え、彼死にかけたの?誰だそいつ殺しに行くぞ
主人公…死にかけた原因と命拾った原因が同じなのでちょっと頭の中こんがらがってる
的な。
芳香は死体処理係


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186話

藍様
たまに見返すんだけど…
他人の偉い偉いえっらっいっヤンデレSSを見てから見るから精神的に殺され


人里

 

「っ…?なーんかなぁ」

 

「どうしました?」

 

「いや〜小鈴ちゃん、なんか最近視線を感じるようになって」

 

「へ〜?私は感じないんですけどね」

 

そんなバカな。小鈴ちゃんの方向からですら視線を感じる。チラッと小鈴ちゃんの奥を見る。目はない。それどころか人がいない。小鈴ちゃんはよく変な本を漁っているが…その本の効果なんだろうかと尋ねようと思ったがやめた。霊力?とかそんなのがないから発動は無理らしい。

 

「つまり、何もない、誰もいないところから視線を感じる…それどころか壁に背をつけても視線を感じると!」

 

「そうなんですよ」

 

「心当たりとかは?」

 

「…いや、ない。出来る人に心当たりはあるけど、その人は忙しいが口癖の人だから」

 

「成る程…今のところはその人が最有力ということですね?」

 

「知り合いに元凶がいるのなら、まぁ」

 

「ふーむ…安心してください!この清く!正しく!頭脳明晰な私、及び文々。新聞にお任せを!」

 

「あ、はぁ…」

 

「なんとも言えない反応ですね!?ですが、まあ…とにかくお任せください!」

 

とにかくわからんが決まったからトイレや風呂、寝床以外は密着と言う奇妙な取材が始まった。が。数日続いたところで途切れた。途切れたと言うには少し変な終わり方をしたのだ。風呂に入ってあがったら何の跡も残さずに消えていた。文々。新聞はその日を区切りに最終号?を迎えたのだが。

 

「…怖いな、なんか」

 

「うーむ、変な奴だったな」

 

「変な奴って…ただの新聞記者でしょ?」

 

「そうか…まあそうか。」

 

「藍さんも変なこと言い出したなぁ」

 

「そうだろうか?」

 

「そうだよ〜?あの人まだまともだったじゃん」

 

「お前がそう言うのならそうなのだろうが…」

 

「ふーん?」

 

「しかし、密着数日にして突然の逃げ…根性がないな」

 

「根性って」

 

「ま、仕方ないと言う奴だな。相手が相手だ」

 

「え?知ってんの?」

 

「当たり前だろ。知ってるも何もこれは私がやっている」

 

「へ〜…?」

 

「全く、私についてなんだかかんだかうるさい奴だったよ。私がお前を見てなんの問題があるのか…邪魔ばっかりしてきてな。おかげで消すことになんの躊躇いも出なかったがな。

 

「?、?」

 

「どうした?私は今そんなに難解なことを言ったか…?」

 

「だって、消すって…」

 

「そのままだ。消したんだ。まあ、多少なりとも影響は出ただろうが…」

 

何か、何か俺はやらかしたんだろうか?藍は偉い妖怪で、俺は人里の人間。ただの人間。だからさらに恐ろしい。藍が俺を見る?なぜ、何故?何か言ったのだろうか??なんで文々。新聞の人を消したんだ?なんでそんなこと言ってこんな態度で…

 

「何?なんで?」

 

「そう。だって、あの人はただの記者で」

 

「良いか?お前は私が好きな人間だ。傾国とも呼ばれた私を惚れさせるなんて、すごい奴だなお前は」

 

「いや、そうじゃなくて」

 

「あ、そうだったな。すまん…それで、だな。惚れてしまったんだから近づきたくなるだろう?」

 

「はい」

 

「その後に相手を知りたくなるだろう?」

 

「まあ…」

 

「そこで私が編み出した監視方法を思いついたんだ。監視とは言っても…な感じだが。お前がいつ誰と話していて、誰がお前に近づきお前を狙っているのか。それを知りたかったんだ」

 

「へ、へ〜…?」

 

「それでその視線を不安に感じたお前はあの天狗に相談して解決してもらおうとした。」

 

「そうですね」

 

「私はそれが嫌で嫌でたまらなかった。」

 

「そうなんですか」

 

「あの天狗は…口に出すのも嫌ではあるんだが…お前を狙っているのが丸わかりだったんだ」

 

初耳だ。でもとりあえず逃げる用意はしておこう。襖に手をかける…ガッと開ける準備は良いな。その後は何枚もの襖を走って破るんだ。よし、良いな。うん。良いよ。流石は俺だ。とか思ってると少し話は進んだらしく、小鈴の話にもなっていた。小鈴まで消えるのか?と思ったがそうではないらしい。

 

「あれはお前のことを年上として慕っているだけだからな。別に構わん」

 

「そうなんでしたか」

 

「そうだ。ところで、さっきから襖に手をかけてるのはなんでだ?」

 

「あ、いや!?別に何も」

 

「まさか怖いのか?」

 

「えっ!?」

 

「…そうか。まあ、仕方のないことだ。妖怪は人に恐れられて当然だからな…」

 

「そ、そうですか。それでは!」グッ

 

「無駄だ。この部屋は私の力で密室にした。便利なものだよ、妖力は」

 

「えっ?えっ…開かない…」

 

「そして声は外に漏れない。良いだろう?私にとっても素晴らしいことなんだがな」

 

「ら、藍さん…」

 

「こうやって組み伏せても、博麗の巫女は当然として、襖一枚向こうにいる人間にすら声が届かない」

 

「うそっ、うそだ」ドンッ

 

「振動も無駄だ。外には漏れない。さて、どうする?無理矢理にでも暴れるか?四肢が何本飛ぶかわからないがな…」

 

恐ろしい。こう言う時にせめて『どうにかして逃げたいだろう?だったら…どうにかしないと、な』とか言ってくれると嬉しいんだが、何かおかしいし、それが怖い。何かショックだったんだろうか?それとも…まさか何か

 

「ふんっ」ゴギッ

 

「ぃあ!?」

 

「フフッ…良いんだ。別に恐れても良いんだ。私がお前に夜這いをしようとも、恐らく逃げ回るだろうしな」

 

「な、何すんのら」

 

「今から二つ選択肢をやる。ここから逃げるための選択肢と、ここで死ぬ選択肢だ」

 

「し、死なないと…?」

 

「死なないと…そうだな、妖怪になってもらう」

 

「えっ」

 

「どっちでも良いぞ。私は…そうだな。妖怪になってくれると嬉しいんだがな。お前が人間だった頃の皮で油揚げも作ってみたいし…」




藍様…大好き!大好き!でも伝えなーい!あれ、彼を狙ってる奴がいるな?死ね
主人公…怪異怖い!妖怪怖い!誰か助けて!巫女さぁん!え、友達の妖怪?あれは襲わないから…
的な。
友好的だからと言って襲わないわけではない。


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187話

紫様と盲目野郎の話
なんだがな
なんだかなー


人里

 

「どした紫」

 

「犬がいるわ」

 

「犬で止まんの!?」

 

目が見えないというのは面倒だ。が、さらに面倒なことと言えば…ここ幻想郷では障がい者は祟りだなんだと迫害される立ち位置にいることだろうか。犬が吠えるのもわからぬが故に犬を蹴飛ばしてしまったこと、2回。全部怒られたのは言うまでもないが。

 

「最近じゃ何も言われなくなったわね」

 

「紫のおかげだな〜」

 

「それはそれは、嬉しいわ」

 

「でも紫ってお偉いさんなんだろ?仕事とかは?」

 

「大丈夫よ。有能な部下が手伝ってくれてるから」

 

「ほへー」

 

「あの子達まで色恋に現を抜かしたら幻想郷は終わりよ」

 

「そうかそうか、じゃあ紫は」

 

「私は戻らないわよ。貴方との会話が楽しいんですもの」

 

「…そうですか」

 

「そうよ。まあ、貴方と幻想郷を二つとも同じくらい愛しているのだから…幻想郷の管理もやってるわ」

 

「やっていますか」

 

「そうよ。何?もしかして幻想郷消えたら悲しいな〜とか思ってた?」

 

「そんなんだから胡散臭いって言われるんだ」

 

「えっ」ガビーン

 

と言うわけで紫に釣られ連れられで散歩をして行く。紫は大層偉い妖怪であるはずなのに何故僕と散歩ができるのかと考えたことはあるが…まあ有能だからで片付くだろう。紫はそんなやつだから。胡散臭い奴だと言われているらしいが知らね。俺見えないもん。

 

「ただいま〜」

 

「おかえり」

 

「もー!もうちょっとくらいは乗っても良いんじゃないの!?」

 

「そう?」

 

「そうよ!断言できるもの!」

 

「そうだったか…おかえり〜」

 

「それよ!!」

 

「うるさいよ紫」

 

「…あっ」

 

「さて…おっと」

 

「大丈夫!?」

 

「転びそうになっちゃった…全く難儀だねぇ。こう言う時ばかりは外の世界が羨ましいよ」

 

「そうかしら」

 

「ばりあふりーって言って暮らしやすいんでしょ?羨ましいよ」

 

「じゃあ我が家も取り入れて」

 

「んー、いや良いよ。これはこれで楽しいから」

 

「楽しいんだ…」

 

「ここ…だ!」ドスンッ

 

「ハズレ」

 

「あらら」

 

「座布団の場所が知りたいなら言ってくれれば良いのに」

 

「いやーどーも。なかなかに覚えられなくて」

 

「覚えた方が良いわよ絶対」

 

「やっぱり?」

 

「1人で出歩いたりすることはないでしょうけど、家の中くらいは把握した方が良いのよ」

 

「家の中ね。了解」

 

嘘だ。八雲紫はいつ何時も何故か僕のそばを離れない。離れる時は重大な異変の時だけだと豪語しているくらいには離れない。家の中ですらくっ付くのだ。ぼーっとしていようと立とうとトイレへ行こうと何をしようと側にいる。正直言って安心感しかないのだがな。

 

「それじゃご飯ですよ」

 

「うっす」

 

「…」

 

「えーっと…これは…?」

 

「お肉。外の世界でしか見かけないお肉よ」

 

「ふーん?」

 

「何かおかしかった?」

 

「いや、これが外の世界の香りかって」

 

「なんでよ」

 

「どことなく紫の匂いが」

 

「わ、私が調理したからじゃない?」

 

「あー、そっか」パクッ

 

「そうよ。そんなに匂いキツイかしら…」スンスン

 

「嗅ぎ慣れてるからかな?」

 

「そう言う物なのね」

 

二時間後

 

「誰?」

 

「え、何?お客さん?」

 

「…こっち!」ガシッ

 

「ぁう!?」

 

スキマ内部

 

「ぅっ…」

 

「多少手荒になっちゃったけど許してくれると助かるわ」

 

「ぅん…で、誰だったの?」

 

「風見幽香だったわ」

 

「へー」

 

「私と同格の化け物ね」

 

「そうなんだ…でもなんで家に?」

 

「風見幽香には毎回勝ってるけど…今回はどんな手を使ってでも勝ちたいから貴方を狙いにきた、とかじゃないかしら」

 

「何それこわい」

 

風見幽香…なんて恐ろしい奴なんだ。家族を狙いに来るとはなんて奴…いや、待て。俺を殺したら紫ブチギレで殺しに来ると考えるのが自然じゃないのか?風見幽香とやらの様子が知りたい。だが目が見えないために顔を出しても手を出しても足を出してもわからない。

 

「避難先としては一時的な場所だから…どうしたものかしら」

 

「あれ、音しなくなった」

 

「…本当みたいね。引っ越し先も考えておかなきゃダメね〜」

 

「まじかー」

 

「まあ気長に考えましょう」

 

「うい」

 

「…それにしても良く此処から外の音についてわかったわね」

 

「え?だって、ここに」

 

「…まさか!」

 

「うわっ」ドサッ

 

「何もない」

 

「凡ミスね、八雲紫」ズォォォオ

 

「!?」

 

「な、何!?耳が痛いんだけど!?」

 

「くっ!」

 

人里

 

「わっ」ドサッ

 

「少しそこで待ってて!」

 

「あ、はい…なんだかよくわからんけど忙しいんだな?」

 

「そう!だから閉じるから!」スッ

 

「…そうだ、トイレに行こう。えーっと…こっち、かな?」

 

「そこ!」グサッ

 

「ぅえっ」

 

「風見幽香!!」

 

「痛…ぁ…」

 

「永遠亭に」

 

「無駄よ。彼は頭を刺されたのよ?生きてるわけがないわ」

 

「そんな…」

 

「紫…」

 

何かやらかしたのだろうか、なんか転がった。紫が騒いでる。騒いでるのか?どんどん小さくなって行く気が…する。するだけで、多分そうじゃない。多分。なんだかぼんやりしてきた。ぼんやりしてきた…のかな?ちょっと頭が…頭?頭なのか?

 

八雲邸

 

「紫様」

 

「…」

 

「全て揃えてあります」

 

「そう。ありがとう」

 

「ですが…その、失礼でしょうけど…本当にやるんですか?」

 

「やるわよ。私と彼の魂にある境界を取っ払うことに躊躇なんてないわ」

 

「そうですか」

 

「その分、貴女達には苦労をかけるでしょうけど、笑って許してくれる?」

 

「分かっております」

 

「そう。それじゃあ幽々子」

 

「連れてくるの大変だったんだから〜!」スッ

 

「ありがとう。後で何かあげるわよ」




八雲紫…大好き♡だから大好き♡
風見幽香…思ってたんと、違う。
主人公…死んだ後八雲紫と実質的に同化する。八雲紫はその分ステータスは下がるが愛が常にマックスなので実質プラス。
的な。
紫様こう言うことするでしょ絶対


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188話

阿求さん
人をお世話する快感って、知ってますか


稗田家

 

「うーっす…」

 

「こんにちは」

 

「えーっと…本日はお招いただき」

 

「良いんですよ。いつも通りで」

 

「ん、そう」

 

果て、俺が里の天皇みたいな感じの奴と何かしたことがあっただろうか。ないだろうな。一日生きるのに必死な俺だ。こんなガキに構ってられないね!…そう思っていたら部屋に着いたと言われた。なんの部屋だろうか?

 

「貴方の部屋です」

 

「俺の」

 

「はい」

 

「…どゆこと?」

 

「そゆことです」

 

「さいですか」

 

「では、何か御用があれば私か部屋の側にいる使用人に」

 

「あー、はい」

 

「それでは」

 

「…ほぼ拉致監禁じゃねーかと思った自分は正しかったな?」

 

「拉致監禁と捉えても問題ありませんよ。揉み消しますので」

 

「怖い怖い」

 

翌日

 

「結局寝れた…驚くほどに」

 

「朝ごはんの時間です」ガララッ

 

「朝ごはんすか」

 

「こちら…鳥、鳥、鳥でございます」

 

「見間違いかな。天狗、天狗、天狗に見えるんだけど」

 

「おや、化かされているようですね。博麗の巫女でもお呼びしましょうか?」

 

「巫女さんには合わせる顔がないからやめてね」

 

「それはよかった」

 

稗田さんは俺のことを知ってんのか。俺がW巫女をブチギレさせてその時就いていた仕事クビになったこと知ってんのか?ちなみに酒瓶で頭殴っただけ。角材で頭ぶっ叩かれたりしたけどね。うん。頭おかしいよあの巫女達

 

「で…食べ切ったけど」

 

「驚きですね」

 

「鳥なんだろ?」

 

「だって焼いてないですし」

 

「ちょっと待ってそれ先に言ってよ厠どこ!?」

 

「こちらです」

 

「ありがとう!」グッ

 

「…?なぜ閉めるんですか?」

 

「恥ずかしいから!!」

 

「閉める必要はありませんよ。昨日から貴方は私によって永遠に堕落させられていくんですよ?」

 

「それとこれは別問題!!」バタンッ

 

「いやん」

 

「…どういうことだってばよ…」

 

翌日

 

「散歩へ行くのだ」

 

「行かせませんよ」

 

「こんにゃろ」スッ

 

「私がずっと運動をしていないとでも?」ススッ

 

「と見せかけてこっち!」ササッ

 

「使用人」

 

「はっ」ガシッ

 

「あぐっ」

 

「…なんで外に出ようとしたんですか?」

 

「散歩だって言ってんだろ」

 

「女ですか?」

 

「巫女さんには見つからんように移動せにゃならんだろうね」

 

「今外では緑の巫女が布教していますが?」

 

「…だめか」

 

「はい。戻りましょう」

 

というわけで戻って来てしまった俺。どうしてもこの阿求という奴の家からは出られないらしい。出れなさすぎてどうすれば出られるのかではなく、どんな理由ならあいつを厠に入れなくて済むのかとか考えてる時点で俺もう堕落してるのでは?と最近謎の理論に辿り着きかけた。んなバカな。

 

三日後

 

「阿求」

 

「満足です」

 

「阿求さんかお前じゃダメなんかね」

 

「はい。楽に生活させてくれる人の名前くらい覚えておきましょう」

 

「教師みたいなこと言いやがる」

 

「さ、行きましょう」

 

「どこに」

 

「お風呂です」

 

「風呂くらいは自分で行けるわ!」

 

「…じゃあ厠に」

 

「行けるぞ。阿求さ…阿求。頼むから厠と風呂はやめてくれ」

 

「はぁー…わかりました。少しでも面倒になったら言ってくださいね?私が拭きますので」

 

「…」サッ

 

「なんでお尻を隠すんですか?」

 

「お前なんか怖いぞ」

 

「何を言うんですか。まるで私が変みたいな言い方して」

 

「そうは言ってないんだが」

 

「あら、そうでしたか?」

 

翌週

 

「阿求」

 

「なんですか?お風呂が面倒になりましたか?厠が面倒になりましたか?」

 

「違う。骨折した」

 

「は?」

 

「久しぶりに茶を自分で淹れてみたいな〜って思ったからさ、やかん持ったのよ」

 

「…」

 

「そしたらさ。ポロッと落として足にゴンって…水入ってるから折れた」

 

「そうですか」

 

さて何をどうやってこうなったかと言うとだな。今確認した限りだと医者は使用人の中にはいない。そして医者は腕のいい奴がいる。竹の中とはいえ道中は外だ。つまり久しぶりに見れるお空様ってわけだ!だから折ったわけだな。骨が折れるぜ…

 

「骨折の処置くらいは出来るので任せてください」

 

「…」

 

「どうしたんですか?当てが外れた顔しないでください」

 

「いやー、まさかお前が医者になるなんて」

 

「…もしかして、骨折したら外に出れると思いましたか?」

 

「んなわけ」

 

「確かに今の使用人には医者はいませんし、腕のいい医者を呼ぶには里の者へ配慮しなければならない…」

 

「だ、だから」

 

「いえ、あり得ませんね。さて…処置はできました。では!お風呂の入り方を指南しましょうか」

 

「は?入れるって」

 

「その足をお風呂に浸からせたら痛みが長引きますよ」

 

「…」

 

風呂

 

「まずは水に浸からないように入ってみてください」

 

「よっ…と…」

 

「…足を風呂桶の外へ」

 

「ほい」

 

「まあ上出来でしょう」

 

「めんどー…あ、いや」

 

「面倒でしたか?じゃあ今日から私がサポートしましょう!厠も面倒でしょうから、私がやりますよ!」

 

そのままいやー骨を折らせた甲斐がありましたとかほざき始めたので初めから掌の上だったと言うことらしい。が、ここから先はならんぞ。貴様は一つ、誤算をしている…その誤算により策士は策に溺れると言うことを知っておけ!

 

「厠はまだ片足が使えるから」

 

「じゃあ四肢取っちゃいましょうか」

 

「あーごめん厠もついて来てくれるとうれしーなー」

 

「四肢を取ったら治るも何もないですからね〜」

 

「阿求聞いてるのか?」

 

「さて…貴方の四肢は私が取りますよ」




阿求さん…誰かをとことん世話して快感を得る人。最初に天狗食わせたのは主人公を妖怪にするためで、転生した後も世話できるようにするため。ちなみに主人公がW巫女をぶん殴った時にときめきを感じたらしい。やべー奴だな阿求って
主人公…堕落した
的な、ね。


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189話

隠岐奈さん
隠岐奈さんのキャラいまいちわかんねー


人里

 

「誰だテメェ」

 

「誰だとは失礼な、友人だろう」

 

「そうじゃない。急に俺の家に入ってくる摩多羅隠岐奈なんぞ俺は知らないから誰が化けてんだって聞いてんだ」

 

「…摩多羅隠岐奈だが?」

 

むかつく。なぜこいつはあんな風にこちらを向かないまますらっと返してくるのだろうか。初めて出会った日からずっと部屋にいる。なんなんだこいつは。初めて来た時はもう逃げまくったさ。慧音先生に言った時はもう永遠亭送りだったな。

 

「…」

 

「さあ、早く食べましょう。冷めてしまっては美味しくないからね」

 

「何言ってんだ」

 

「?」

 

「何回言えばわかる?お前の作った飯に催吐薬が混ざってから食えねえんだって」

 

「だって、悪いのは貴方じゃない」

 

「は?」

 

「私が作ったお弁当」

 

「…あれか」

 

「あれを食べずに他の女の食べ物を口にしたの、貴方は。」

 

「大体、会って一日目の奴に造られた飯なんか食えるか!」

 

「そうか。そんなことを言うのか」

 

「当たり前だろ」

 

「…なら仕方がない」

 

「?」

 

「こっちに来い」

 

「うぇっ!?」

 

後戸の国

 

「けほっ!」

 

「私の国だ」

 

ナニイッテルンダコイツ。そう思って周りを見てみる。何やら変な空間…いや、何が変な紙がすげー張り巡らされてる。なんだ。何がある?地面っぽいところにはない、壁と天井っぽい奴に貼られてるだけ。遠いな…

 

「この紙が気になるか?」

 

「まあ」

 

「お前の写真だ」

 

「は?」

 

「苦労したんだ。お前に見つかる可能性をゼロにしたかったから全て後ろ側から…まだ途中だったんだがな」

 

「途中って」

 

「後は床に貼るだけだ。なんだが…貴方がうだうだ言うから、予定より早くになったんだ」

 

「嘘だろ」

 

「嘘じゃない」

 

「…隠岐奈」

 

「なんだ?」

 

「帰してくれ」

 

「嫌だ」

 

「なんでだよ!」

 

「そもそもここから出る方法は私の能力しかない」

 

「ならそれで出れば良いだろ!」

 

「私だけは出入りできるんだ。ここに貴方を入れるときは忌々しい妖怪の力も借りた」

 

「なぁ待ってくれよ隠岐奈。俺が何したって」

 

「私を惚れさせた」

 

「なんでそれだけで」

 

「私にとってはそれだけではないんだが」

 

「そうですか」

 

「まあとにかくだ。私ですら帰せないと言うのに、どうやって帰るんだ?」

 

「その忌々しい妖怪を」

 

「無理だ。だってあいつは私の物に触れない。触れたくないとも言っていたし」

 

「終わりだ」

 

終わった。この世の終わりとはこう言うことなのだろう。俺の感覚だと今世の終わりか?ただただ出れない。出口がない。そして隠岐奈が怖い。どうにかして逃げることもできない。困り果てた。まずい。まずいまずい。とてもとてもまずい。

 

「なあ」

 

「っ」

 

「怯えてるのか?…怯えることなど一つもないのだが」

 

「人の立場に立って考えてみろよ」

 

「そうだな…自分を慕っている妖怪に閉じ込められたと言ったところか」

 

「そうだ」

 

「何も怖がることはないが」

 

「お前がその立場になったら」

 

「相手がお前でなければ殺すが」

 

「そりゃなんでだよ」

 

「一方的に恋心を抱かれても気持ち悪いだけだろう」

 

「俺が今その気持ちだよ」

 

「私は神様だが」

 

「ああ言えばこう言うの最終形態かテメーは」

 

「何を言っているんだ…?」

 

「本当にわかんねー奴だな」

 

「ふむ…何を言ってるかよくわからないが、まあ良いだろう」グイッ

 

「ちょっ」

 

「私が朝のご飯から夜のお供までやるんだ。文句はないだろう?」

 

「ありまくりだが」

 

「…?私の容姿は美人の部類に入るはずだが」

 

「顔は関係ない」

 

「私はお前のためならなんだってする」

 

「中身とか尽くすタイプとかじゃなくて」

 

「何が良いんだ?」

 

多分何を言っても無駄なんだろうなぁ…多分何を言ってもそれになりきって来るんだろうが。どう足掻いても詰みだ。俺を出させてくれる女とか言っても多分あーだこーだ言って来るんだろうね!もう無理だどう足掻いても無理だ!

 

「…」

 

「ダンマリか…このままの私が良いと言うことだな。分かった」

 

「!?」

 

「じゃあ初夜を過ごそうか。安心してくれ、誰も入れないんだから」

 

「待て、待て!」

 

「…」

 

「待て、なん、なんだ、おい?初夜って…は?」

 

「夫婦としての初夜だろう?何を…」

 

「夫婦!?俺は結婚した覚えなんかねえぞ!」

 

「妖怪と人間での夫婦だ。今までに例がないから受け入れられないと思っていたんだが…人里に出したらすんなりと通ったよ」

 

「は!?」

 

「む、なんだその反応は…伝えたら良いぞと言ったのは貴方だろうに」

 

「いつ?」

 

「あれは2ヶ月前だったかな」

 

「…?」

 

「私が酒の勢いでプロポーズしたら…すんなりと受け取ってくれたのは貴方でしょう?」

 

「それは酒の席での話だろう!」

 

「酒のせいにするのか」

 

「あ、いやそうはなるんだが」

 

「それだったら…私も今からすることをこの酒のせいにしよう」ガシッ

 

「痛っ!」

 

「んっ…」ゴクッ

 

「!?っへぇっ!?ぅえっ!?」

 

こいつ酒を口移ししやがった!酒の勢いなんてもんじゃねーぞ…?お?なんかすげえ酔ってきたんだけど?それにその酒…よく知らない銘柄で…ぅえ?コケるし、なんか口移しでの一回だけでこんな…?何飲まされたんだ俺?

 

「フフッ。その顔も良いな」

 

「な、何?」

 

「良いんだ。初夜はお酒の勢いで全部忘れよう。明日の夜が待ち遠しいなぁ」

 

「ぅあ…」

 

「なんだその寝言は…可愛いなぁ。こんな感じだったのか…いつも酔わずに顔だけを見てればよかったかな」




いまいちわかんね隠岐奈さんのせいでなんか変になった
隠岐奈さん…大好きって伝えたら俺もって帰ってきたのに酒のせいにされた。じゃあ私も酒のせいにする
主人公…知らねえ!知らねえ!そんなこと知らねえ!!


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190話

神子さん
神子さんのような人望厚い奴であればできる作品
ちなみに作者は恋愛嫌いです


人里

 

「うっす」

 

「正直者のご到着だ」

 

「大将、近くに団子売ってる場所ある?」

 

「逃げないでくれるか?」

 

「ちっ」

 

隣の席にいるのは豊郷耳様だ。はっきり言って嫌い。お前の奢りだからなと釘を刺す。ナンタラに釘かもしれんが、人望厚い宗教やってるお方は払ってくれるだろう。と言うわけで嫌いな理由だが…一つを除いて本当にしょうもない言いがかりのようなものと自覚している。そのくらいのものだ

 

「うめうめ」

 

「そんなに急がなくても逃げたりはしないはずなんだが」

 

「2秒後には俺のとこ目掛けて猪が飛んでくるかもしれない」

 

「1秒後に大将が行儀の悪い君に怒号を飛ばすかもしれない」

 

「出されたものは食って出る」

 

「君らしいな」

 

「ごっそさん」

 

「はぁ…急ぐ割には少食なんだよなぁ…これくらいで良いかな?」

 

鈴菜庵

 

「こんにちは」

 

「…」

 

「読書中だったか」

 

「道中服変えたり屋根の上歩いたりしたんだがな」

 

「それくらいじゃダメさ」

 

「はー…おい小鈴」

 

「え、あ、はい!」

 

「心理学とかの本こいつに渡しとけ」

 

「わかりました」

 

「いや、良いよ」

 

「?」

 

嫌いな理由一つ目。これは誰もが嫌になると思うが、気がつけば隣に立っているか、後ろにいる。俺が寝ようとした時なんか添い寝してたから驚いたね。蹴って追い出したが。さて次の嫌いな理由だが…人望が厚いと言ったところか。嘘をつかないのに信用されない自分とは対照的に、嘘を言っても信じられそうだから嫌いだ。

 

「所詮は嫉妬か」

 

「嫉妬?」

 

「なんでもない。ところでここは俺の家なんだが」

 

「今更、と言う奴だろう。同じ布団で夜を過ごした仲じゃないか」

 

寺子屋

 

「ここで待ってろよ。本当に」

 

「私が信用ならないのか?」

 

「ならんね」

 

「済まない、待たせた」

 

「慧音」

 

「ふむ…?」

 

「さて、なんの話だ?」

 

「なんもかんも無い。前言ってたストーカーだ」

 

「もしや…こっちの?」

 

「そう。豊郷耳サマだ」

 

「他人行儀とは悲しいな」

 

「…信じられんな」

 

「信じて欲しいとしか言えない。俺はこいつに力で勝てないからこうやって相談しにきてるんだ」

 

「そうか…すまない、こっちとも話をして良いか?」

 

「ん、良いよ」

 

「私か」

 

数十分後

 

「どうだった慧音、ほんと」

 

「触るな」

 

「…?」

 

「すまない、犯罪者に同情はできんよ」

 

「は?」

 

「不意を突かれて襲われたらしいじゃないか。その仕返しでやっているとか」

 

…嘘を言わない俺を信用する場所も、豊郷耳サマの話術で言いくるめられたか…確かに襲った女がずっと着いて来てたら怖いだろう。だが、俺はこいつに不意打ちなんてできない。と言ってみたが…そこら辺で拾った巫女の道具を使ったんだろうで済まされた。

 

「…そうか」

 

「出ていってくれ」

 

自宅

 

「そうか…」

 

「君は嘘をつかずとも信じられない…あの寺子屋の教師ですら、元から君のことを疑心暗鬼だったようだな」

 

「なんで」

 

「君が嘘を嫌いなのは誰も知らない。だが私が嘘を嫌いなことは皆が知っている」

 

「もう良い。出てけ」

 

「君は本当に可哀想だな。そんな君も可愛らしくて好きなんだが」

 

「そもそも!俺はお前に何かしたわけじゃない!なんで俺に付き纏うんだ!?」

 

「なんで…難しいな。気がついたら、とでも言っておこうか?」

 

「出てけ!」

 

「何故?」

 

「この家の持ち主は」

 

「君だと思っていたのか」

 

「そうだ!俺がせっせと働いた後の帰る場所だ!」

 

「そうか。それはすまないことをしたね」ガララッ

 

「…ぉい、誰だ?」

 

「君にはもう関係ないことさ。今日からここは私の家だからね」

 

「は?何言ってんだおい。俺の許可なしに」

 

とか言ってたら放り出された。言葉に嘘はないらしい。家を放り出されて少しの間、放心していた。次の家を探すべきだと思って立ち上がった時にはもう遅かったのだろうか。里の中で唯一家を売っている場所に駆け込んだ。そこでは俺が名指しで出禁になっていた。

 

鈴菜庵

 

「何かあったんですか?家を売ってる所で出禁にされてましたけど…」

 

「…豊郷耳の仕業だ」

 

「へ?」

 

「あいつは俺の家を買いやがった」

 

「そんなことが!?」

 

「いつもより多めの金、土下座。そうすりゃ相手も了承したんだろ」

 

「ところでその豊郷耳さんは」

 

「着いて来るなとは言った」

 

「ああ、なるほど」

 

「今や俺は宿無しだ。ついでと言わんばかりに搾りかす以下だった慧音先生からの信頼もマイナスに叩き落とされた」

 

「うわぁ」

 

「慧音先生の中じゃ俺は神子を不意打ちで襲ったことになってるんだ。なんで…」

 

「あー、泣かないでください。ほら、ね?」

 

「すまん」

 

「…っ!」

 

「どうした小鈴」

 

「あ、いや…すいませんけど、もう帰ってくれます?」

 

「もうそんな時間か」

 

「は、はい」

 

「…誰かに助けてもらえれば良いのになぁ」

 

小鈴庵表

 

「…」

 

「やあ。随分と長い読書だったね?」

 

「もう、やめてくれ」

 

「何を言っているんだ?君が私を無理やり脱がしたから始まっているんじゃないか」

 

知るか。少なくとも俺は知らん。だからこんな人の多い場所でそんなことを言うな。やってない。俺はやってない。なんでみんなこいつの言うこと信じるんだ。なんで。家も取られて信頼も取られてしまったら…考えたくない。人里の視線が怖い。嘘なんかついてないのに…

 

「…家か」

 

「今は私の物だがな?」

 

「買い戻すにはいくらかかる?」

 

「買い戻させないよ。かなりの金額を注ぎ込んでしまったんだ。私が首を横に振る限りは家なんぞ無いよ」

 

「なんで…こんな…」

 

「私が君を愛しているからだよ。早く私を頼ってくれ」




豊郷耳…良かれと思ってやるタイプの恋愛(lv255)
主人公…見た目とかのせいで割と嫌われてる人
的な!


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慧音先生の一日

お仕事とかないですよ。当たり前だのクラッカー


人里

 

「せんせ〜!」

 

「おうどうした」

 

「どうしたって、朝郵便受け見たらここで待っているから遊びに行こうとかって」

 

「あ、すまん。やはり起こしに行った方が良いか」

 

「天然男垂らしなんですねぇ」

 

そう言うわけではないのだが…と言われて少し疑問になったがまあ良いだろう。おそらく慧音先生はこう言うのをそんな気無しにやる人なんだろう。俺はそんな慧音先生といい雰囲気になったけど振られたやつの話を聞くのが好きなんだ。よく知ってる。

 

「さあどこに行きましょう?」

 

「うーむ…今日は満月だからな。夜まで遊ぼう」

 

「ぜってーそういうところですって」

 

「さっきから何を言っているんだ…」

 

「さあ行きましょう!」

 

「おう」

 

「あー…満月ってことは祭りがあるんですか?」

 

「そうだなぁ…うん、そうだ」

 

「なんですかその返事」

 

「私も今思い出したからな」

 

「そっすか」

 

「まあな」

 

「たい焼きでも食べましょう」

 

「毎回それだな」

 

「やはり男垂らし。俺は慧音先生と来たのは初めてのはずなんだが」

 

「むっ」

 

しまった、と言った感じの顔をしている。やはり男たらしだったか。天然だったのかは知らないが…まあ多分、慧音先生デートスポットで皆が自然と選んでしまうんだろう。恐らく寺子屋の野外学習でいつもたい焼きを食べていたとか…あり得そう。

 

「まあまあ!良いだろう別に!鯛焼きはちょっと久しぶりだから」

 

「見苦しいですよ先生」

 

「うぐっ」

 

「たい焼き二つ。中身あんこね」

 

「あ、待て、私はカスタード派だ」

 

「…らしいわ。あんことカスタードひとつずつ」

 

「ここも私がリードしなければダメか…」

 

「?」

 

「お代はこれくらいか?ここは私が奢ってやろう」

 

「ええ!?」

 

「なに、私が無理やり来させたんだ。奢るくらいは良いさ」

 

「そうでしたね」

 

「随分あっさりと引き下がるな」

 

「なんか粘っても無駄な気がして」

 

「そう言うところだけは妙に覚えているんだな」

 

「さて食べましょうや」

 

「あ、待て。どっちがカスタードだ?」

 

「…こっち?」

 

「そっちか」

 

「次どこ行きます?」

 

「そうだなぁ…ん!?これあんこじゃないか!」

 

「ええ!?…あ、本当だ!」

 

「私が言った後に食べて確認しないでくれるか?」

 

「あ、ごめんなさい」

 

「はぁ…まあ、互いに一口だ。交換で我慢しよう。」

 

「ありがとうございまーす」

 

なんだか一口だけで妙に嬉しそうに見えるぞ。そんなにあんこが嫌いだったのだろうか。それともあんことカスタードの落差に喜んでいるのだろうか。まあ何はともあれ笑顔で可愛いとは思うが…全てにおいてよくわからん。カスタードよりあんこだろう。

 

昼間

 

「たい焼き一つで食い繋いでしまったな」

 

「意外と減らないもんですね〜」

 

「わたしは少し空いてきたんだが」

 

「じゃあ団子でも食べます?」

 

「そうだな。そうしよう」

 

「…三色」

 

「みたらし」

 

「五平餅」

 

「!?」

 

「ある?あるって、慧音先生」

 

「またこれか…」

 

「?」

 

「とにかく、五平餅なんかあったか?」

 

「通い詰めて作ってもらった」

 

「最初はなかったんだが…」

 

「そうだっけ?」

 

「まあ良いか。じゃあみたらしと五平餅を…」

 

「一つ」

 

「一つずつ」

 

「お代は…」

 

「これだな」チャリン

 

「速い」

 

「まあ、覚えているからな」

 

「覚えてる?」

 

「ずっと同じ組み合わせだったしな」

 

「…?」

 

「さあ、五平餅はこれだな」

 

「おっしゃー!」

 

数分後

 

「かなりお腹いっぱい」

 

「五平餅を食べるからだ」

 

「…慧音先生」

 

「ん?」

 

「もうそろそろ祭りですよね」

 

「まあな」

 

「じゃあ行きましょう!」

 

「今から行って丁度祭りの時間になるくらいか」

 

「え、今そんな時間ですか?」

 

「いや、色々あるから」

 

慧音先生の予言通り色々あった。道中慧音先生が妙に興味を向けた『恋仲専用物品』と言うものにかなり時間がかかった。祭りの日には大体こんなものが並ぶらしい。満月の度にやっているので2ヶ月に一度くらいの頻度でこの人はこれを見ているのだろうか。ちと疑問

 

「夜になっちまいましたね…」

 

「まあなぁ。夜になっても屋台のおかげで明るいし」

 

「あかるーい!」

 

「…フフッ」

 

「どうしました?」

 

「いや、なんでもない。さて、祭りを楽しもうか」

 

「りんご飴だ…一つ」

 

「いや、私も欲しいから二つだ」

 

「お代は」

 

「これくらいだな」チャリン

 

「速いって」

 

「まあ、な」

 

「あ、仮面!」

 

「お面、な」

 

「これ一つ」

 

「じゃあ私はこっちを」

 

「おー、似合う?」

 

「似合っているぞ」

 

「じゃ、ちょっとりんご飴とお面持って待ってて」

 

「ん?ああ」

 

少し離れた屋台

 

「…確かここら辺に使い捨てカメラが…」

 

「お呼びですね!?」

 

「使い捨てカメラひとつ」

 

「どうぞ!」

 

「っしゃあ!」チャリン

 

仮面の屋台

 

「慧音先生」

 

「ん?」パシャッ

 

「いえーい」

 

「はぁ…私も、浴衣を着てくればよかったよ」

 

「みんな浴衣ですもんねー」

 

「途中で帰ってでも着るべきだったか」

 

「現像するにはやっぱり手間がかかりますねこれ」

 

「そうだろうな…なぁ、あっちに行かないか?」

 

そう言われて慧音先生が示した方向にあったのはちょっと高い場所だった。鐘があるので多分有事の際に登って鳴らすためのものだろう。あそこから屋台を見下ろすのだろうか。そう思いつつ一緒に歩いて行った。今すぐ写真に撮れたはずの慧音先生を現像したいつもりではいるんだが

 

「さ…今日は楽しかったな」

 

「ここから見下ろすなんてね〜」

 

「それじゃあ…」チラッ

 

「?」

 

「私は君のことが好きだ。どうか付き合って欲しい」

 

「えっ…好きって、恋愛的な…?」

 

「そうだ。その…こう言うのは確認されると恥ずかしいんだが…」

 

「…ごめんなさい。慧音先生」

 

「やっぱりか」

 

「友達の関係でいたいと言いますか」

 

「今回もダメだったか」

 

「…今回も?」

 

「…少し、こっちに来てくれ」

 

「え、はい」

 

「良い子だ。次の祭りまでにはもう少し進展してみせるさ」

 

2ヶ月後

 

「んー…ん?」

 

「お、ようやく起きたか」

 

「え?え?」

 

「いや、朝郵便受けに手紙を出すのも良いとは思ったんだが…やはり急に誘うのなら迎えに行くのが道理だろう?」

 

「あー、今日何かありましたっけ。浴衣姿で」

 

「祭りがあっただろう?」

 

「あ、そうでしたね。それじゃあ…先ずはたい焼きでも食べましょうか」




主人公…記憶が消されてるけど慧音先生に風邪を引いていただろうと言われて納得している。言われた記憶も消されているから何回でも通じる。
慧音先生…失敗したら記憶を消してリスタート。2ヶ月間で距離を縮めて祭りの日に告白を繰り返している。ちなみにたい焼きとりんご飴は間接キス目当て、お面は主人公の顔の匂いとかを嗅ぐ為に自分のも買った。言い訳にする為に。
使い捨てカメラを売ってる屋台…先月から出現。慧音先生はそんなことを知らなかった為に次回から浴衣で起こしに行っている。
的な。
実質ループ状態で急に出てくる使い捨てカメラ君ほんと可哀想。


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藍さんとちょっと離れた人

藍さんはね。
思い募らせてね。
変に爆発する方が良い。


人里

 

「…なんですか」

 

「ああ、その…すまなかった。前のは…誤解と…」

 

「そうですか」ガララッ

 

「ぁ…」

 

扉を叩かれて出てみれば八雲藍だった。今は月が昇っている最中とは言え周りの人間は寝静まっているはずだ。扉は勢い良く閉めれない…策士というやつか。それとも妖怪だからか。妖怪だからか先日あんなことをしたのか。

 

「あれが誤解なら、もう来ねえと思うんだけどな」

 

翌日

 

「ぐ、偶然…だな?」

 

「なんですか」

 

「いやいや、前の誤解を解きたいのもそうだが…そうだ、一緒に団子でも…と思ったんだが」

 

「…すいません」

 

「やっぱりか…」

 

「この野菜安いな…腐ってんじゃねーか」

 

「なんで…」

 

さらに翌日

 

「待ち伏せですか?」

 

「いや!そんなことは断じてないと」

 

「言えるんですか。疑ってすみませんでした」

 

「な、なあ。頼む。話だけでも」

 

「それでは」

 

「…」

 

「信用してた妖怪に襲われたんですから、妖怪に警戒するのは普通ですよ」

 

「だからそれは誤解だと」

 

「妖怪は結局どこまで関係深めても妖怪なんですね。気付かせてくれてありがとうございました」

 

先週。藍さんの家に行った。広くて、豪華な家で。その中でも質素な部屋に通された。藍さんは緊張しないためとか言っていた。多分嘘だったんだろう。目が覚めたら分かった。異変だなんだって信じたかったけど…異変じゃないって断言されたし。

 

「…異変じゃない。じゃあ藍さんは食べるつもりだったのかー」

 

「そうは言ってない。まあ、耳と腕持ってかれたアンタに言っても無駄でしょうけど」

 

「やだなぁ、聞きはしますよ」

 

「私も暇じゃないの。藍はそんなことする妖怪じゃないけど何があったのかしらって聞いてんの」

 

「知らん」

 

「知らないわけね。紫にでも聞いてみるか」

 

「はーあ!永遠亭のおかげであまり不自由はないですけど…ねえ」

 

「何?無くしたはずの腕が痛んだりするの?」

 

「それもない。ただただ人里で歩くと最近八雲藍と出会うんだ」

 

「…なるほどね。ストーカーってわけ」

 

「そういうわけ。どうにかなんない?巫女さん」

 

「無理ね。八雲と戦おうなんて考えもしないわよ。少なくとも妖怪が暴れるわ」

 

「じゃーダメだ」

 

「や、やあ!」

 

「…巫女さん、安くて美味しい野菜売ってる店知りません?」

 

「あ、あの」

 

「あー、知らないわね。ごめんなさい。それじゃ」

 

「うっす」

 

「なぁ…?」

 

信じてました、とか言える感じであれば良いんだけど。信じてたって信じてなくたって消えた部分が返ってくるわけがない。永遠亭の医者が言うには噛んだ跡があったとしたらもはやくっつけることは不可能と言われたくらいだ。戻ってくるわけがない。

 

「あ、あの…さ。私の事…どう思って…た?」

 

「ずっと信じてましたよ。ずっと友人だとも思ってました」

 

「そ、そうか!なら」

 

「でも片耳ないし、片腕ないし。信じてた妖怪に取られたんです」

 

「ぁう…」

 

「2度と信じられませんね」

 

「そ、そう‥か。そうだな。すまなかった」

 

「…どっか行ったか」

 

「こんにちは♪」

 

「…」

 

「藍の保護者みたいな妖怪よ」

 

「それで?」

 

「…警告。明日は家にあまり長くいない方が良いわね。できれば人の多い場所に居た方が有意義よ?」

 

「どっちに対して?」

 

「あなた」

 

「なんで?」

 

「説明できないわ。藍絡みってことだけ頭に入れて頂戴。藍は休暇だから私から手出しは出来ないの」

 

「なるほどね」

 

「…信じてくださる?」

 

「頭に入れとく」

 

翌日

 

「つーわけ」

 

「なんなんですか貴方」

 

「薬売りのねーちゃんと話してたら良い時間潰しができると思って」

 

「商売なんで。それでは」

 

「睡眠薬」

 

「となると〜…これですか?」

 

商売であれば普通に売ってくれるみたいだ。話も聞いてくれる。まあ内容は信じてもらえなかったけど。寝不足が重なった幻覚だとか。まー否定は出来ん。九尾の狐とか俺でも信じたくないし、そいつに追いかけられるとか信じられないもん。

 

「はー…」

 

「幻覚だとしたら…永遠亭来ますか?」

 

「いや、良い。寝て治んなかったら行くわ」

 

「あ、いつでもお待ちしております!」

 

「…行っちゃった」

 

「行ってしまったな」

 

「先生」

 

「八雲紫から聞いている。賢者様は式を抑えたいらしい…」

 

「信じてたんですけどねぇ…まさか食べられたりするなんて」

 

「他のこともされたんだろう」

 

「…」

 

「思い出させてしまったか。すまない。」

 

「んなことより人気の多いところ行きましょう。」

 

「人気の多い、ではな」

 

「人の多い場所行きましょう」

 

「何故最初からそう言わないんだ…」

 

「さあ?」

 

「今日一日中の宿泊先は?」

 

「決めてない。どうすっかな」

 

「それなら博麗神社に行くと良い。むしろそこに行けと言うべきだな」

 

「えぇ…?」

 

「意外と快適だったぞ」

 

博麗神社

 

「うす」

 

「まあまず藍はアンタの居場所いつでも分かるはずだから」

 

「サラッととんでもない」

 

「…とにかく、アンタを結界で閉じ込める。紫からも制限かけさせるわ」

 

「了解」

 

と言うわけで籠城戦?と言う奴が始まった。巫女さんが言うには、藍が本気出したら結界とか関係なくぶち壊してくるから親に力の制限かけさせることでなんとかするらしい。さっきも言ってたわこれ。とにかくよくわからん内によくわからんことになってるそうだ。

 

「おい」ドンッ

 

「…」

 

「もう一度だ。せめて無視したり冷たい態度はやめてくれないか?」

 

「巫女さ」

 

「大丈夫よ。紫が制限かけられなくても藍一人ならまだなんとかなるから」

 

「なんだ霊夢もいるのか?なら開けてくれ。誤解を解きたいんだ」

 

「スキマが使えるなら開ける必要はないわね」

 

「スキマ…あれか。紫様に取られてしまったんだ。だから開けてくれないか」ドンッ

 

「なら尚更開けられないわ」

 

「なぁ頼む」ゴンッ

 

「嫌よ。頼まれたって開けないわ」

 

「飯うま」

 

「もう2度と襲わないと約束する!半径1m以上近付かないことも誓う!だから!」

 

「聞くに堪えないわね…」

 

「こんな結界!」バギィッ

 

「っ!?」

 

「アンタ、紫から制限は?」

 

「あぁ、居た!頼む、あの時は…そう、あの時は」

 

「聞きたくないです」

 

「…ぇ?」

 

「ずっと信じてた分、怖いんです。」

 

「そう言うこと。だか」

 

「この巫女が…お前を誑かしたのか?」

 

夜のせいか、暗くてよく見えない。だが確かに俺の膝下にあるのは巫女さんの腕だ。藍さんはとても奇抜な格好をしている。なんだろうか…俺の服を縫い合わせて服にしているのだろうか?俺と藍さんにそんな体格差はなかったはずだが…何か

 

「あれは勢い余ってしまっただけなんだ」

 

「じゃあ何をしようとしてたんですか」

 

「…お前と子供を作りたかった」

 

「2度と近づくな」

 

「それを言われても仕方のないことだと思っている。でも」

 

「起きてくれよ巫女さん!どこ行ったんだよ!」

 

「やっぱり霊夢か」

 

「来んな!」

 

「頼む。頼むから…」

 

「誰かいねえのかよ!?」

 

「なあ、なんでそんな私以外を求めるんだ?あの時は私だけを求めてくれていたじゃないか」

 

「こう言う時に限って…」

 

「前の続きをしよう。お前も私となら相性も良いだろうし」

 

「来るな!」

 

「こんな力で抵抗しているつもりか?」ガシッ

 

「っ…!」

 

「神社で子作りとは…少し罰当たりだろうか?」




藍さん…主人公好きだけどやり過ぎてちょっと嫌われちゃった。でも片腕と片耳もぎ取ったのは誤解なんだ!
主人公…近付かないでもらえます?
的な。
好き。


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紫様の思考恋愛

なにぃ!?タイトルに紫様しかいないだぁ!?
…関係ない
行け


本日、私の夫である彼は寝込んでいます。何故?私を摂取できていないから…ね!家の中をチョチョイと片付けたり、整理していく姿はまさに通い妻。まだ彼は恥ずかしくて誰にも話せてないようだけれど、私は貴方の行動全てを愛する自信があるわ。だからちゃんと周りには言っておくのよ?

 

「…またか」

 

あら?通い妻のしたことに『またか』ってどういうことかしら?もしかして…寝てる間に帰っちゃったから?そうだったわ。彼は寂しがりやなのを忘れていた…けど、安心して!貴方は一人じゃないわよ!私がいるもの!正妻たるもの、陰ながら応援するのは当然ね!

 

「ずっと続くんですよ」

 

「そう言われてもねぇ」

 

あら?霊夢じゃない。霊夢が何しに来たの?…あ、そういうことね。彼は博麗の巫女から私に『今度来たら顔を見せてくれ』と伝えようとしているのね!でもごめんなさい、貴方と顔を向かい合わせるとなったら少し緊張が…いえ、夫の願い事なんだから!妻である私が叶えなくちゃダメね!

 

「…そこらへんにいたら、話は別なんだけど」

 

「何がですか?」

 

「こういうことできる奴って、結構幻想郷の中じゃ絞られてくるんだけど…」

 

無理ね。霊夢じゃ今の私の居場所なんかわからないわ。それに比べて彼は薄々気がついてるのね!キョロキョロしていて迷子みたいな、庇護欲をそそられるわね。だけど、今はまだダメよ。だって、まだ貴方の顔を見ることすら恥ずかしいんだもの…

 

「どうにかならないか?」

 

彼が軽い口調で話している相手は霧雨魔理沙。正妻である私のライバルと言ったところかしら…隙あらば自分の家に泊めようとする極悪非道な奴ね。惚れているだけなら見逃してあげるというのに。まあ私の夫が浮気なんかするはずないわよ!そもそもさせないし?だからさっさと諦めなさい。普通の魔法使い程度じゃ私と彼の婚姻関係は崩せないのよ。

 

「いやー!今回はこの魔理沙様でもきつい!…かな。そろそろどうだ?あの家が呪われてたってことで」

 

「あの家はあの家で気に入ってるんだ」

 

そうよ!私と貴方の家なのよ。そう簡単に他所の女と遊んで、しかもそのままお泊まりなんか許しません!彼の健気な抵抗は霧雨魔理沙に届いているのかしら?届いていなかったらもう魔法の研究をやりすぎた末路と言ったところかしら。そうね、彼と向き合えることだけは褒めてあげる。

 

「心当たりも何もないんだろ。じゃあどうしようもない」

 

「いや、手がかりみたいなのならあるんだが」

 

「ん?」

 

「…俺の家って、そういうことがあってからずっと結界張りっぱなしなんだ」

 

あ、そうだったわね。だから私は扉を開けて疲れ切って寝ている貴方に愛のダイビングが出来なかったのよ。扉を開ける工程を踏んでこその行為なのに…博麗霊夢も、ライバルかしら?でも霊夢は商売だから仕方のない部分もあるのでしょうけど。いや〜、そう考えてみると、霊夢はライバルじゃないわね。

 

「ってことは結界を抜けられる誰かってことか…ま、イタズラをしに来る猫とかは?」

 

「それならもっと荒らされてる」

 

「じゃあ…橙か」

 

「猫の妖怪か?」

 

「ああ。九尾の狐に育てられてるし、あり得ないってことはない」

 

そんなのだから彼に選ばれないのよ。普通の魔法使いに留まってるようじゃ、私の存在に気付くことも私から彼を奪い取ることも出来ないわ。全くこんなのをライバルとか言ってた自分が恥ずかしいわね。せいぜい彼に捨てられるまでの間を満喫すれば良いわ。

 

「…」

 

「すまんな。力になれなくて」

 

「いえ、慧音先生にはいつも助けてもらってばかりなので。」

 

「いやぁ…あの家が曰く付きとはなっていないし…驚きだな」

 

「はい」

 

人里の管理人に会っているようで何より。貴方は恥ずかしがり屋で、誰にも私のことを言いふらさないと思っていたらそういう感じで言いふらしているのね。流石の私でも気が付かなかったわ…やはり私ですら理解するのに時間をかけてしまったわ…流石ね!

 

「橙が?」

 

「はい…」

 

「あー…いや、多分違うぞ」

 

「え?」

 

「確かに結界のすり抜け方法は教えたが、実践はまだだからできる訳がないんだが」

 

藍にも言いふらしてる!もう貴方はどれくらい私のことを言いふらせば気が済むの?それとも式を挙げるときに全てが繋がるようにしてる訳ね!?策士すぎるわ…もう、ずっとみてる私でなきゃ気が付かないわよ!頭の回転が早すぎて本当に人間なのか気になるくらいよ!

 

「…巫女さん?」

 

「出てきなさい。紫」

 

あら、気付かれちゃったわね。まあこの際博麗神社で式を挙げるから…許可でも取ろうかしら?

 

「紫。アンタでしょ。こいつの家具の場所を勝手に変えたりするの」

 

否定する意味がないわね。まあ当然正妻だから隠す意味もないんだけど。

 

「正妻?なに言ってんの?」

 

そのまま、私は彼の妻、彼がどこに行こうと私のもとに帰ってくるの。霊夢には難しかった?

 

「コイツと婚約してるの、魔理沙なんだけど」

 

…それが?正妻の余裕って奴ね。一人くらい妾がいたって別に構わないわ。

 

「巫女さん…あの人は…誰、ですか…?」

 

は…?誰って…あなたの正妻だけど?まさか忘れたの?人里で出会ってそこから仲良くなったのに?

 

「いや、そもそも…見かけたことないし」

 

なんで?なんで嘘を?私が何かしたの?彼の逆鱗に触れるようなことしたかしら?

 

「だから、誰だって」

 

聞きたくない!なんで私が忘れられるの!?なんで婚約者が私ではなくあの魔法使いなの!?

 

「…なんだったんだ…」

 

「さあ?さ、アンタは魔理沙と結婚するんだから。ああいうのは全部捨てときなさい」




紫さん…一人相撲
魔理沙の婚約者…魔理沙好き!困った時は巫女の次に頼るくらい頼れるし、可愛いし!
的な。
こういう紫さんはいてもいなくても変わらないけどいない方がいいというような感じでいてくれると助かる。


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神奈子様と逃げる男

神奈子様やってなかった…
ぇ…?


守矢神社

 

「神奈子様〜これどうにか」

 

「しない。外したらお前逃げるだろ」

 

「いや、逃げるんじゃなくてトイレに…」

 

「それは問題だな…そうだ、厠まで私がついていけば良い」

 

この女はいつからそんな変態趣味に目覚めたんだ。小さい頃から知ってるからとかそう言うことはない。ないはずなのだが、何故か俺の幼い頃の写真があるし、それと遊んでいる緑髪の少女まで写っている。何かがおかしい。

 

「…」

 

「かわいらしいな」

 

「流石に恥ずかし」

 

「恥ずかしいか?でも、私は嬉しいぞ。一柱の神が、1人の人間を愛することができているんだ。それだけで嬉しい」

 

「…神奈子様…腰に手を当てないでください」

 

「何を言ってるのかわからないな。小便は終わったか?それじゃあ戻ろうか」

 

「うす…」

 

「お前は私が目を離すと直ぐにどこかへ行ってしまうからな…全く、手のかかる人間だな。」

 

「神奈子様」

 

「神奈子と呼びなさい。いや…呼べと言うべきかな?何せ、手のかかる人間だからな」

 

「…神奈子」

 

「それで良い。それで、なんだい?」

 

「あの、俺って家には帰れない…ですか?」

 

「家?どうして?」

 

話が通じない、と言うのはこんなことだろうか?それとも話は通じているのだろうか。だから聞き返しているのだろうか。そもそも、家に帰らせる気はあるのだろうか。俺は一体どうすれば良いんだ。この女は神様なだけあって力は強い。手首を絞めている紐を軽く引っ張っているような素振りで、全体重をかけても抵抗し切れない。

 

「…っ!」

 

「おいおい、どうした?そんなに強く引っ張らなくても良いだろう?」

 

「こ、ここの巫女さんはっ!?」グイッ

 

「…おかしいな。私は今お前と話している。お前も今私と話している。そのはずだ。なのになんで巫女だとかそう言う言葉が出てくる?」

 

「だっ…て…ここ…2人くらい」

 

「ああ、居たな。それが?」

 

「どこに…?」

 

「フフッ。言わせるのか?全く恥ずかしい奴め。引っ越しをさせたんだよ。2人とも、すんなり引っ越して行ったさ。」

 

「じゃあ…ここって」

 

「私とお前の家だ。あー、でもお前は私と違って寿命があるんだったな。」

 

「え、待って、待て、離して、っ!」

 

「なぁ…今のがお前の全力なら、全然意味がないぞ?」クイッ

 

「痛っ!」ドンッ

 

「…私はな。お前を傷つけることになんの躊躇いもないんだ。何故かわかるか?お前が好きだから、なんだ。」

 

…何を言ってるんだ。この女は。好きな奴の顔なんて、喜んでる顔だけで良いだろうに…傷つけるなんてとんでもない。後ろで手を縛られてるから立てないし。誰か助けて欲しいな〜、なんて。そう思ってたら床ドンされた。壁ドンの床版、床ドン。顔が近い…

 

「なんだか心底驚いた顔をしているが…当たり前だろう?」

 

「怖い、です」

 

「怖いか…そうか。怯えてる顔はこれか。楽しいな。好きな人のことは全て知りたいだろう。身長体重から始まって、髪の毛の長さだったり、腕の長さだったり」

 

「何、するんですか」

 

「次は痛がる時の顔だな。さっきは見逃してしまったんだ。すまない」パチンッ

 

「っ」

 

「…やはり叩くだけでは見る時間が少ないか。つねるぞ」ギュッ

 

「〜…!」

 

「あんまり顔を動かすな。見えないだろう?」

 

「い…っ!」

 

「痛いか。痛いよな。うん。これが終わったらご飯を食べようか。家族で食卓を囲むのは良いぞ…親のいないお前にとっては初めてだろうがな」

 

「な、んで…」

 

「なんで知ってるか、か?私はな。お前がいるから幻想郷に来たようなものだぞ。信仰が薄れて行く時期だったのもちょうど良かった…お前は私に愛される為だけに生まれてきたような存在だよ」

 

何があったのだろうか。この女はなんなのだろうか。こいつにとって俺はなんなのだろうか。俺をなんだと思っているのだろうか。だったら、他の2人はなんと思っていたのだろうか。なんとも思ってないんだろうが。どうしたら良いのだろうか?

 

「じゃあ、他の2人は」

 

「他の2人にとっても都合が良かった。そもそもここは私がお前と暮らすために見張っていた土地なんだよ」

 

「…」

 

「黙ってしまったか…まあ、良いさ。じゃあご飯にするか。とは言ってもまだ作ってすらいないんだがな」

 

「なんで」

 

「なんで?何がだ?」

 

「なんで家に帰してくれないんですか…?」

 

「ああ、そう言うことか。そういえば言ってなかったな…そうだ。神隠しというのはどうだ?まあ、表向きの理由がないと心配なのはわかるさ」

 

「そうじゃなくて」

 

「なんだ?そんなに必要か?…いや、好きだからとしか言えないが…」

 

「そんな…」

 

「いやあ、意外と恥ずかしいな。さ、ご飯を作るぞ。何が良い?これでも外の世界の料理は網羅しているんだ。和洋中全て作れるぞ。なんでも言ってくれ」

 

「…」

 

「黙ってたらわからないだろう。それとも、作って欲しいものが多すぎるのか?それだったら心配することはない。お前の寿命を取っ払った後でずっと作ってやる」

 

顔に両手が添えられる。恐ろしい。料理だご飯だと言っても、俺はそもそも飯の種類を知らない。小さく、魚と言ってしまった。顔に添えられた手を離されて、紐を家の柱に括り付けてどこかへ行った。どうすれば良いのか。どうもしないのが正解なのか。

 

「神奈子、様」

 

「様をつけない。まあ、お前が意地でもそう言いたいなら構わないが。ほら、魚だ。味噌漬けだから美味いぞ?今紐取ってやるからな。」

 

「…」

 

「ん?いや…私がお前の口に料理を運べば万事解決だな。まあ、熱いだろうが…ふーっ」

 

「ん…」

 

「おお…美味しいか?いや、答えなくて良いぞ。大丈夫。大丈夫さ。ちゃんと食べさせてやる。ただ…お前がここから出たらどうなるかはわからないがな。ほれ、あーん」

 

「んっ…っ!」

 

「ああ、骨があったか?すまないな。ほら、口を開けて…」

 

「んぁ…」

 

「そう…あった。次からは全部取り除くから、安心して食べてくれ。」

 

「うん…神奈子様」

 

「なんだ?」

 

「家にある…お気に入りの服があって」

 

「!ここから出る気は無くなったか!?」

 

「うん」

 

「そうか。わかった。ご飯を食べ終わったら取りに行く。教えてくれてありがとうな」




神奈子様…神様。母様。貴方のためだけに幻想郷に来たの。
主人公…親がいないので親みたいな接し方をされると落ちる。
的な。
なお主人公は親がいなかったので親みたいな接し方を1ミリも理解していない。
実質ご飯を作ると落ちる人


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