劇場版・結城友奈はテイマーである わたしたちのロボトルゲーム! (渚のグレイズ)
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chapter1 ことのはじまり
ならばこちらも、本当にやらねば!!!(謎の使命感)
という訳で、本来やるはずだった8/1企画をベースに、再度練り直したものが、此方になります。
八月一日に完結予定なので、どうぞお楽しみあれ!
一人の白衣の男がツルハシ片手に穴を掘っていた。
やがてツルハシは何か硬いものに当たり、男はその場を中心にスコップで掘り返し始める。
???「ふふふ・・・・遂に見つけた!これが、相原の遺産・・・・!」
土から出てきたそれを、男は丁寧に持ち上げ、土埃を払う。
埋まっていたのはどうやら金属製の箱のようだ。
その箱を地面に置くと、男は蓋を開け、中身を確認する。
中に入っていたのは、腕時計のような物と、メダル、そしてUSBメモリのような物。
この“相原の遺産”と呼ばれた物が、後に大いなる災いを招くこととなるとは、この時点ではまだ誰も、知る由もなかった………
この日、結城友奈は自宅でぐだっていた。
友奈「あついぃぃ・・・・」
ワームモン『ゆーちゃん、ゆーちゃん、お勉強しなくて良いの?』
机の上の端末から、ワームモンの声がする。
あれから、デジタルワールドと現実世界は元の状態に戻り、今では端末を介して通話が出来るまでになっていた。
友奈「あつくてやるきがでてこないのぉぉ・・・・」
ワームモン『そんなの、ゆーちゃんがエアコン壊しちゃったのが悪いんでしょ』
友奈「私なんにもしてないもん・・・・毎晩寝る時に冷房付けっぱなしにしてただけだもん」
ワームモン『それが原因で壊れちゃったんだから、やっぱりゆーちゃんが悪い!』
友奈「うぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・!ワームモンのいぢわる!」
それだけ言って、友奈はぱたり、と床に倒れ伏す。
友奈「・・・・・あいすたべたい」
ワームモン『ママさん、冷凍庫にアイス置いといてあるって言ってた────』
友奈「わーいアイス~♪」
ワームモンからの報告に、友奈は直ぐ様飛び起きると、台所へ向かって飛ぶように走り去って行ったのだった。
ワームモン『はっや!?』
流石のワームモンも、これには呆れた様子であった。
―――――――――――†――――――――――
友奈「はふぅぅ~~・・・生き返る~~~♪」
ワームモン『大袈裟だなぁ』
ソーダ味の棒アイスを頬張って、友奈はご満悦の様子。
友奈「端末の中にいるワームモンには、この暑さはわかんないよ」
ワームモン『あんまり分かりたくもないけどねー』
友奈「・・・・・ワームモンは、まだこっちに来られないの?」
ワームモン『うーん・・・・レイの話だと、まだまだ時間がかかるみたい』
友奈「そっかー・・・・」
しばらくアイスを堪能していた友奈だったが、突如鳴り響いた端末に、思わず咥えていたアイスを落としそうになる。
友奈「うわわわっ!?え?誰?」
ワームモン『園子からだね。どうしたんだろ?』
友奈「はい、もしもし─────」
園子『あ、ゆーゆ?おひさ~♪今時間ある?見せたいものがあるんよ~~』
友奈「見せたいもの・・・?」
訝しげに思いつつも、「まぁ園ちゃんだし、大丈夫だよね」と考えた友奈は、二つ返事にそれを了承するのであった。
ちな小生、デジライズは去年にデータ消してしまっておりまして・・・・何も失うものがないから、オメダモンをリセマラし放題やでぇ(ゲス顔)
あと、メダSはグレイウォーズだけ引けました。オメガナイツは・・・・・無理だな(諦め)
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chapter2 メダルのロボット、メダロット
園子からの呼び出しを受け、やって来たのは玉藻市内のとあるビル。
ワームモン『これが最近噂のダイパンエンタープライズ本社ビル!』
友奈「だいぱん・・・・?」
ワームモン『今、みんなの間で流行ってるロボットあるでしょ?』
友奈「あー、あの・・・・めだ・・・なんとかっていう・・・」
ワームモン『メダロットね。それを造っているのが、このダイパンエンタープライズ社なんだって』
テレビで見聞きした情報を思い出そうとする友奈の頭上を、蝙蝠を模したロボットが通る。
他にも街中には、様々な形のロボットが人々と共に暮らしている様子が見受けられる。
ワームモン『あれが噂のメダロットだよ。都会っていうだけあって、いっぱいいるんだねえ』
メダロット
今年四月にダイパンエンタープライズ社より発売された玩具ロボット。
全長50cm程度の玩具ではあるが、そこそこに重い荷物も運べるパワーを持ち、人間と然程変わりない知能を持ったAIを搭載している為、工事現場や災害時の救援用など、様々な場所での活躍を期待されている新時代のロボットである。
友奈「メダロットかぁ・・・・お花の形の子とか、いるのかな?」
ワームモン『数はそんなに多くないけど、あるみたいだよ』
友奈「へー!」
そんな会話をしながら、ダイパンエンタープライズ社ビルへと入っていく。
―――――――――――†――――――――――
ダイパンエンタープライズ本社ビルの屋上には、プールが設置されていた。
そのプールサイドにて、水着姿の園子が、友奈の到着を待っていた。
園子「ゆーゆ~、久しぶりなんよ~♪元気してた?」
友奈「園ちゃん!うん、元気元気♪」
ワームモン『この前エアコン壊れて、さっきまで暑さにやられてたよ』
友奈「こら!余計なこと言わないの!!」
園子「あははは♪ムッチーとも仲良くしてるみたいだね~」
と、そこにプールから何かが上がってきた。
人形のそれは、先程も街中で見かけたメダロットであった。しかし、街中にいたのとは違い、こちらはスクール水着を着用した少女のように見える。
友奈「わぁ、メダロットさんも水着着るんだー」
園子「この娘は“スイマーメイツ”っていって、私がデザインしたメダロットなんよ~」
ワームモン『え、園子が?』
園子「うん。ここ、私が経営してるんだけど、開発部の人たちがあんまりにも男の子向けのばっかり作るから、女の子向けのは私が考案することにしたんよ~」
ワームモン『さらっと凄いこと言ってる・・・・(汗)』
園子「ドルるん、ありがとね~」
左腕に着けた腕時計のような物を操作し、園子はスイマーメイツをしまう。
ドルモン『・・・ふぅ、やれやれ。女性体を動かすことに馴れてきてしまっているね・・・・正直、複雑な気分だよ』
友奈「え?今の、ドルモン?」
ワームモン『え・・・・えぇ?どういうこと?』
腕時計からUSBメモリのような物を抜きとりつつ、園子はいたずらっ子の笑みを友奈に向ける。
園子『ぬっふっふっふ~♪今日ゆーゆ達に来てもらったのは他でもない・・・・まさにこれなんよ!!!』
友奈「これ?」
ワームモン『この小さなUSBメモリが?』
園子「これは、D-チップって言って、デジモンをこの中に保存することで、メダルの代わりにメダロットにセットできるようになるアイテムなんよ~♪」
説明しつつ、先程の物とは別のD-チップを取り出して、友奈に渡す。
友奈「D-チップ・・・・もしかして、これがあれば・・・・!」
園子「ムッチーもメダロットに乗って、こっちの世界を動き回れるんよ~!」
ワームモン『ゆーちゃんゆーちゃん!早速やってみたい!!』
友奈「うん!!園ちゃん、スイマーちゃん貸してね」
園子「まあまあ、落ち着きなってベイビー(謎イケボ)」
逸る友奈を抑えつつ、園子は連絡を取る。
園子「今丁度、新しいメダロットを開発してて、ゆーゆとムッチーには、そのテストをして貰いたいんよ」
友奈「テスト?なんだか面白そう♪」
園子「ゆーゆならそう言ってくれると思ったんよ~。じゃ、レッツゴー!」
友奈「ゴー!」
水着の上から白衣を羽織った園子に先導され、友奈は別の場所へと移動を始めたのだった。
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chapter3 メタルビートル
園子にビル内を案内されつつ、目的の場所まで移動している最中のことだった。
ドカァァァァァァァァン・・・!!
友奈「わひゃあ!?何!?」
ワームモン『爆発!?攻撃でも受けたの!?』
突如として、ビルの一室から爆発が発生した。
戸惑う友奈とワームモンに対し、園子は至って冷静に状況を分析する。
園子「下の階からだね。てことは・・・・」
ドルモン『園子。どうやら、またアイツが脱走したらしい』
園子「えぇ・・・・またなの~?」
友奈「え?え?園ちゃん何か知ってるの?」
友奈のその質問は、前から走ってくる一体のメダロットをもって、答えられた。
???「へっ!今日こそこんな場所からはおさらばしてやるぜー!!」
ワームモン『あれはKBT型メダロットの“メタルビートル”!!!スタンダードな射撃特化タイプとしてメダロット出始め当初から絶大な人気を誇る機体だよ!!!!』
夏凛「待ちなさーーーい!」
友奈「あ、夏凛ちゃんだ!」
更にそのメタルビートルを追って、夏凛もやって来た。
メタルビートル「げぇ!?まーたお前かよ!!いい加減しつこいんだよ!!!」
夏凛「うっさい!あんたこそ、いい加減脱走なんてアホな真似は止めなさい!」
メタルビートル「やーだよー!あっかんべー!」
夏凛「むきーーーー!!!こうなったらロボトルよ!!!力ずくで分からせてやる!!!!!」
メタルビートル「やれるもんならやってみろ!!!!!」
園子「い つ も の な が れ」
友奈「いつものなんだ・・・・(汗)」
夏凛「メダロット、転送!」
夏凛が園子も身につけている腕時計のような物を操作すると、夏凛の前に鎧武者の姿のメダロットが出現した。
ワームモン『おおお!SAM型メダロット“サムライ”だぁ!!!!!両手のビームソードを奮って戦う烈火の鎧武者!!!』
友奈「さっきから詳しいね、ワームモン」
ワームモン『だってカッコいいじゃん!』
友奈「そっかー・・・・」
そこに突然、初老の男性が現れる。
友奈「わっ!?どこから出て来たの!?」
ワームモン『あ・・・・あの人は!』
Mr.うるち「私、『全国ロボトル競技会』公認レフェリーの“ミスターうるち”です!!!」
ワームモン『まさか本物のミスターうるちに出会えるなんて・・・・!!!』
友奈「えっと・・・・有名人?」
ワームモン『世界で初めて、ロボトルレフェリーのA級ライセンスを獲得した凄腕レフェリーだよ!』
友奈「へー・・・・」
最早友奈はワームモンの話についていけてない。ただ頷いているだけだ。
Mr.うるち「これより、夏凛選手のヨシテルVSメタルビートル選手の真剣ロボトルを始めます!先に相手のメダロットを機能停止にさせた方が勝利です。勝った方は相手のパーツを一個貰えます!」
Mr.うるち「それでは!ロボトル─────ファイトぉ!!!」カーン
夏凛「行けぇ、ヨシテル!」
ヨシテル「御意!」
メタルビートル「オラァ!」
メタルビートルが右腕のリボルバーを射つ。
ヨシテルはそれを敢えて受け、相手の隙を伺っている。
メタルビートル「どうしたどうしたァ!お前の力はその程度かぁ?」
更にメタルビートルは左腕のマシンガンで追い討ちをかける。
夏凛「ヨシテル!今は耐えるのよ!」
ヨシテル「─────御意!」
メタルビートル「これでトドメだあ!!!反 応 弾!」
メタルビートルが頭からミサイルを放つ!最早万事休す、という状況。
夏凛「この瞬間を待っていたのよ!」
ヨシテル「──────!」
放たれたミサイルがヨシテルに命中する寸前で、ヨシテルがビームソードを奮い、ミサイルを切り払った!
メタルビートル「なにぃ!?」
ヨシテル「トァァ!!」
そのままメタルビートルに飛び掛かり、一刀両断。
ヨシテル「諸行・・・無常・・・!」
メタルビートル「がはぁ!」
メタルビートルは機能停止となった。
Mr.うるち「機能停止!勝者、夏凛選手のヨシテル!!」
夏凛「まったく・・・・毎度毎度、お騒がせな奴ね!」
友奈「ほぇぇ・・・・!夏凛ちゃんすっご~~い!」
夏凛「・・・ん?友奈と園子じゃない。見てたの?」
夏凛が友奈達に気付き、機能停止しメダルの外れたメタルビートルを回収しつつ、話しかける。
園子「にぼっしーお疲れ~。これで何勝何敗だっけ?」
夏凛「確か・・・16勝7敗くらいね」
友奈「へぇ!夏凛ちゃん強いね!」
夏凛「当然よ!完成型メダロッターを舐めないでよね!!」
ワームモン『完成型メダロッターとはいったい・・・』
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chapter4 国防仮面とロクショウ
今、イネスの周囲は騒然としていた。
男性a「止めるんだ、シアンドッグ!くそっ、なんで命令を聞いてくれない!?」
シアンドッグ「ギャーーーーース!!!」
男性b「イエロータートル!どうしてしまったんだよ!?」
イエロータートル「ギャーーーーース!!!」
二体のメダロットが暴走しているのだ。どちらも武器をやたらめったに撃っており、メダロッターは近付けずにいる。
このままでは町がめちゃくちゃになってしまう・・・・人々は願う「誰か、なんとかしてくれ!」と
???「待てい!!!」
こんな時、こんな口上で現れるのは、得てしてヒーローである。
???(い)「国を護れと人が呼ぶ・・・」
???(ろ)「愛を護れと叫んでる」
???(は)「・・・・この名乗り口上、毎回するのか?」
???(ろ)「必要なことらしい・・・・よく知らないが」
???(は)「・・・・・そうか」
男性a「誰だ!?何処にいるんだ!」
男性b「おい、見ろ!あそこだ、駐輪場の屋根の上!」
そこにいたのは──────
国防仮面と、ヘッドシザースのロクショウ、そして、ア・ブラーゲのレナモンだった!
男性a「国防仮面さん!」
男性b「助かった・・・・国防仮面さんが来てくれたぞ!」
国防仮面「さあもう大丈夫、行くわよ
ロクショウ「合点!」
レナモン「承知!」
駐輪場の屋根から飛び降りた二体は瞬く間に暴走メダロットを撃破。見事、暴走を止めてみせたのだった!
男性a「強い・・・!」
男性b「流石、国防仮面さんだぜ!」
国防仮面「私は、人々が助けを求める時、出来る限り現れるでしょう・・・・!」
レナモン「それよりも美森、暴走メダロットのデータを・・・」
美森「今の私は国防仮面よ!緑青!!」
ロクショウ「今やっている」
動かなくなった暴走メダロットに、ロクショウが何かの機械を向けている。
ロクショウ「データ取得完了・・・撤収するぞ」
国防仮面「それでは皆さん、さらば!!!」
高笑いをしながら、国防仮面は走り去っていったのだった。
男性a「ありがとう・・・国防仮面!」
男性b「さようならー!!」
人々はお礼の言葉を叫びながら、去り行く国防仮面を見送っていた。
―――――――――――†――――――――――
国防仮面に扮する東郷は今、サイバー課・特殊犯罪対策室にやって来ている。
美森「・・・ふう。姿を隠すというのも、楽じゃないわね」
ロクショウ「あれで隠しているつもりなのか・・・・」
レナモン「そうらしい。勇者部の面々にはバレているが」
ロクショウ「だろうな」
美森「そこ、聞こえてるわよ」
春信「東郷さん、今回もありがとうございます」
美森「春信さん。はい、これが今回のデータです。ロクショウ」
ロクショウ「うむ。春信殿」
出迎えた春信に、ロクショウが持っていた機械を渡す。
春信「ありがとうございます・・・・最近になって、増えてきましたね、メダロットの暴走事故」
美森「・・・・なにか、嫌な予感がします」
春信「僕もです。だからこそ、夏凛にも調査を頼んでいます」
美森「でも、そのっちだっているんですよ?」
春信「分かっています。僕だって、彼女を疑っているわけではありません。疑っているのはむしろ・・・・・」
瞬間、警報が鳴り響く!
春信「何事ですか!?」
オペレーター娘E「ネットワーク上に、デジタルウェイブ反応!!どんどん増大してます!」
美森「なんですって!?」
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chapter5 オメガナイツ
マジでめちゃんこカッコいいわぁ・・・・(感涙)
園子「ゆーゆ~、こっちこっち~」
友奈「待ってよそのちゃーん!」
園子に案内され、やって来たのは社内研究室。
中央にはロボトル用のステージがあり、そこで武器等のテストを行っているようだ。
夏凛「よっと・・・・こいつ、ここに置いとくわよー!」
園子「にぼっしー、ありがとね~」
夏凛「気にしないで。んじゃ、私これで上がるから」
友奈「もう行っちゃうの?」
夏凛「これから大学の講義があるのよ・・・・またね」
友奈「うん!またねー♪」
園子と共に夏凛を見送ると、友奈は園子に向き直った。
友奈「それでそのちゃん、私に用事って?」
園子「うん、実はね~・・・・ゆーゆには、わが社の新型メダロットのテストメダロッターになってもらいたいんよ~~!」
ワームモン『どぅえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇマジでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!』
友奈「─────────ぽかーん」
園子「ムッチー驚きすぎだよ~(笑)」
ワームモン『いやいやだって今をときめくダイパン社の新型メダロットをもらえるってだけでもすごいことなのにゆーちゃんがテストメダロッターだなんてめちゃくちゃすごくてすごすぎてふごふごふご』
友奈「ワームモン、ちょっと落ち着こう?」
ワームモン『すぅ───────はぁ────────すぅ─────はぁ─────』
ドルモン『・・・・まぁ、喜んでくれて何よりだよ。では園子』
園子「はいな~♪そーれポチっと」
ドルモンに促され園子が端末を操作すると、ステージ中央からカプセルがせり上がってきた。
ワームモン『あそこに・・・・新型メダロットが・・・・!!』
友奈「どんなのかな?楽しみだね♪」
期待に胸高鳴らせる二人の目の前で、カプセルが開く。そこには─────
友奈「・・・・あれ?なんだかどこかで見たことあるような?」
ワームモン『───────これ、オメガモン?』
カプセルの中にいたのは、オメガモンにそっくりのメダロットであった。
ドルモン『その名も“オメガナイツ”。ダイパン社の看板メダロットとしてボクがデザインした最新鋭のメダロットさ!』
ワームモン『アルファモンモチーフにしなかったのは、なんで?』
ドルモン『自分そっくりの偶像なんて、自分自身で見たくなんかないだろう?』
ワームモン『そうかなぁ?』
友奈「えっと・・・とにかく、このオメガナイツ?っていうの、私達がもらっちゃって良いの?」
園子「そのために呼んだからね~♪」
言って園子は腕時計のような物とUSBメモリを友奈に渡した。
園子「そっちの腕時計は“メダロッチ”って言って、メダロットを仕舞ったり呼び出したり、ロボトルの時に指示を出したりする、コントローラーみたいなものなんよ~」
友奈「へー!こっちのUSBは・・・・もしかして、さっきの?」
ドルモン『そう、D-チップだ。それを端末に接続して、デジモンをインストールすれば、メダロットに装填可能になる』
友奈「よぉし!早速試してみよう!!」
ワームモン『うん!』
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chapter6 はじめてのロボトル その①
なんというか・・・・感動で胸がいっぱいですよ・・・・(感涙)
ありがとう、デジモン。これからもずっと、友達でいようね。
四苦八苦しながらも、ワームモンをD-チップへ移動させることができた友奈は、それをオメガナイツへとセットしようとする。
友奈「・・・・えっと、これどこに着ければいいの?」
園子「後ろに蓋があるでしょ?そこを開けてみて~」
友奈「蓋・・・・あった!よいしょっと」
本来メダルをセットするための窪みに、D-チップをセット。
すると
オメガナイツ「・・・・!」
友奈「ワームモン、どう?」
オメガナイツ「違うぞ、ユウちゃん」
友奈「ぽえ?」
オメガナイツ「今の私はオメガナイツ!最新鋭メダロットだ!!」
友奈「え?急にどうしたのワームモン・・・・」
急変したワームモンの様子に、思わず友奈はドン引きした。
オメガナイツ「・・・・いや、せっかくだから、なりきってみようかなーって・・・・」
友奈「あー・・・・うん。なんか、ごめん」
―――――――――――†――――――――――
園子「どう?メダロットの身体には慣れた?」
オメガナイツ「ああ!文字通り、手足の如く使いこなしてみせるとも!!」
友奈「またなりきってる・・・・(苦笑)」
ドルモン「では、一戦交えてみるかい?」
オメガナイツ「む?」
いつの間にやら、ドルモンもメダロットに乗っていた。ウォーグレイモンによく似た姿のメダロットに。
オメガナイツ「そのメダロットは・・・!?」
ドルモン「そのオメガナイツと同時に開発していた二機のメダロットの内の一機さ。名前は“グレイウォーズ”という」
オメガナイツ「グレイウォーズ・・・・・ウォーグレイモンモチーフのメダロットか!」
ドルモン「その通り。それで?ボクと
オメガナイツ「面白い・・・・その挑戦、受けて立つ!!」
Mr.うるち「合意とみて宜しいですね!?」
友奈「うわぁ!出たぁ!?」
オメガナイツ「流石ミスターうるち!ロボトルの気配を察知してやって来たな?」
園子「ゆーゆ。レフェリーも来たし、やってみようよ~」
友奈「うん!良いよー♪」
Mr.うるち「只今より、友奈選手のオメガナイツと園子選手のグレイウォーズの真剣ロボトルを行います!ルールは簡単!相手のメダロットを機能停止にさせた方が勝利です!勝った方は相手のパーツを一個貰えます」
園子「あ、レフェリー。ちょっとルール変更なんよ~」
Mr.うるち「おや?どうかしましたか?」
園子「この勝負、2VS2のチームロボトルにしても良いかな~?」
友奈「チームロボトル?」
オメガナイツ「待ってくれ、こっちは始めたばかりの初心者で、私一体しかメダロットが無いぞ!」
???「なら俺を使えよ」
そこに、先ほど夏凛にやられたメタルビートルがやって来る。
友奈「いいの?」
メタルビートル「代わりに、俺がここから出ていくのに協力しろ。そうしたら助けてやる」
オメガナイツ「・・・・何故そんなに、ここから出ていきたがっている?」
メタルビートル「俺は誰かに縛られるなんてゴメンなんだよ!それに・・・・毎日毎日実験ばっかりで・・・・正直退屈なんだよ!!!」
友奈「だから、脱走しようとしてたの?」
メタルビートル「悪いか?」
オメガナイツ「なんというか・・・・・子供みたいな理由だな」
メタルビートル「んだとぉ!?」
友奈「まぁまぁ・・・えっと、そのちゃんもそれで良い?」
園子「うん、良いよ~♪」
オメガナイツ「え、そんなあっさり!?」
即座にOKを出した園子に、ワームモンも思わず素に戻ってしまう。
ドルモン「園子は、こうなると分かってて敢えてチームロボトルを提案したからね」
園子「あーん、ネタばらししないでよ~ドルる~ん」
Mr.うるち「それでは園子選手、もう一体のメダロットを」
園子「おっと、そうだった・・・・・出ておいで~」
メダロッチを操作し、現れたのはメタルガルルモンモチーフのメダロット。
オメガナイツ「なるほど・・・・さっき言った新型の片割れだな?」
園子「ピンポーン♪その名も“ガルルメタル”なんよ!」
ドルモン「驚くのはまだ早いよ」
友奈「へ?」
ガルルメタル「──────久しぶりだな!友奈、ワームモン」
友奈「っ!?」
オメガナイツ「っ!!その声・・・・まさか、君は」
メタルビートル「?」
ガルルメタルから発せられた声に、友奈とワームモンが驚く。何故ならば、その声の主は、
友奈「──────ブイモン、なの?」
ガルルメタル「ふふん♪」
ガルルメタルを駆るブイモンは、(友奈からは見えないが)イタズラを成功させた悪ガキのような笑みを浮かべていた。
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chapter7 はじめてのロボトル その②
友奈「ブイモン!!こっちに来てたなら、連絡してよ~~」
ガルルメタル「ははは♪ゴメンゴメン。ちょっとイロイロあってね・・・・今はある人のところで厄介になってるんだ」
オメガナイツ「ある人?」
ガルルメタル「オレ達に勝てたら、教えてあげる!」
メタルビートル「だとよ・・・・やれるのか?」
オメガナイツ「問題無い。一度、彼とは戦ってみたかったんだ。ユウちゃんの相棒として、果たしてどちらが強いのか・・・・!」
友奈「ワームモンやる気だね~!よぉし、メタル・・・なんだっけ?」
その場の全員がズッコケる。
メタルビートル「メタルビートルだ!!」
友奈「うーん・・・・長いからメタビーで!」
オメガナイツ「待った。そこはムシムシムッシーが良いよ!」
友奈「え、やだ。なんかダサいもん」
オメガナイツ「じゃあ、クヌギジュエキー」
メタビー「カッコ悪」
オメガナイツ「す・・・スイカシルシル」
園子「センスな~~い」
オメガナイツ「・・・・モグモグフヨードは?(半泣)」
友奈「ワームモン・・・・あきらめてメタビーにしよう?」
オメガナイツ「・・・・・うん」
そんな一悶着もあったが、とにかく準備は整った。
Mr.うるち「えー、それでは・・・・ロボトル、ファイトォ!!!」カーン!!
友奈「二人とも、まずは様子見────」
メタビー「先手必勝ぉ!反応弾を食らえーー!!!」
オメガナイツ「勝手に突っ走るな!」
友奈の命令を無視し、メタビーが頭部ミサイルの反応弾を放つ。
反応弾は命中。爆煙が園子のメダロット達を包み込む。
オメガナイツ「クソ・・・これじゃ、相手の出方が見えない!」
メタビー「んなモン必要ねー!俺様の勝利に決まってらぁ!!」
園子「ふふん♪それはどうカナ~?」
友奈「っ!メタビー、避けて!!」
メタビー「へ?─────ぐわっ!?」
煙から飛び出したミサイルが、メタビーに命中。脚部と右腕が破壊されてしまった。
オメガナイツ「凄い火力だ・・・!どっちの攻撃なんだ?」
友奈「ワームモン、ドミニオンを」
オメガナイツ「そうか!“
オメガナイツの頭部兵装“ドミニオン”は、索敵機能に加え、味方の脚部適正をサポートする機能を持っているのだ。
オメガナイツ「見つけた!どうやらグレイウォーズを盾にして、ガルルメタルがミサイルを撃ったみたいだな」
グレイウォーズ「流石だね。そこまで見抜けるとは!」
ガルルメタル「さっきの、メタビーのミサイルはグレイウォーズの頭部兵装“グレイシールド”で防がせてもらったぜ!」
グレイウォーズ「そして、今放ったミサイルはガルルメタルの頭部兵装“メタルトマホーク”さ。通常のミサイルよりも強力なハイパーミサイルだから、威力抜群だったろう?」
友奈「すごい・・・これが、ロボトル!」
初めてのロボトルに、友奈はとてもワクワクしていたのだった。
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chapter8 はじめてのロボトル その③
友奈「メタビー、大丈夫?まだ戦える?」
メタビー「あ・・・ああ」
友奈「よーし!それじゃメタビー、狙わなくて良いから撃ちまくって!!」
メタビー「は?」
友奈「いいから、撃って撃って撃ちまくるの!」
友奈の指示にメタビーが困惑していると、オメガナイツがフォローする。
オメガナイツ「ユウちゃんには何か考えがあるんだろう。あの顔をしている時のユウちゃんは・・・・凄いぜ」
メタビー「何が凄いのかわかんねーが・・・・やってみるか!!」
メタビーは意を決し、友奈の指示に従い、残った左腕マシンガンを乱射。
矢鱈滅多に飛び交う弾丸にグレイウォーズとガルルメタルは行動を制限される。
ガルルメタル「おっと・・・!流石友奈だな」
オメガナイツ「感心してる場合か?」
グレイウォーズ「いつの間に!?」
そこへ、ドミニオンによって機動力の向上していたオメガナイツが急襲。ガルルメタルに肉薄する!
オメガナイツ「貰った!!」
ガルルメタル「させ・・・ないっ!!!」
オメガナイツが動くよりも先に、ガルルメタルの右腕武器が放たれる。
オメガナイツ「うわっ!?・・・・こ、これは・・・・フリーズ攻撃か!」
友奈「ワームモン!?凍り付けになっちゃった・・・」
メタビー「フリーズ攻撃だ!あれを食らった奴は、別の攻撃を食らうまで動けなくなっちまうんだ・・・」
友奈「なるほど・・・・」
そうこう言っているうちに、グレイウォーズの攻撃がオメガナイツにクリティカルヒット!パーツが破壊されるまではいかないが、大ダメージを負った。
オメガナイツ「くっ・・・・」
友奈「大丈夫?」
オメガナイツ「今は・・・・だが、次食らえばどうなるか・・・・」
グレイウォーズ「会話している場合かい?」
ガルルメタル「おりゃあ!」
ガルルメタルが再びハイパーミサイルを放つ。
オメガナイツ「うおおお!!」
メタビー「避けた!?」
オメガナイツ「次はこっちだ!くらえ、“ガルルブラスター”!!!!!!」
間一髪ハイパーミサイルを避けたオメガナイツは、お返しに右腕武器ハイパービームの“ガルルブラスター”を放つ!が・・・
グレイウォーズ「無駄だよ」
友奈「ああ!また・・・・」
グレイウォーズが“グレイシールド”を展開。防がれてしまった。その隙に
ガルルメタル「がら空きだぜ!」
オメガナイツ「うわぁぁ!?」
友奈「フリーズ攻撃!」
メタビー「おいどうするんだよ!?このままじゃ、またやられるぞ!?」
友奈「──────メタビー、ワームモンにミサイル攻撃!」
園子「ひょ?」
ガルルメタル「ぶふっ!?」
グレイウォーズ「えぇ・・・・」
メタビー「はぁ!?」
突拍子もない指示に、思わず全員が友奈の方向を向いてしまう。
メタビー「お前何言ってんだよ!?頭オカシイんじゃねーか!?」
友奈「そ・・・・そこまで言わなくたって・・・・」
オメガナイツ「いや・・・構わない。やってくれ、メタビー!」
メタビー「マジかよ!?」
グレイウォーズ「不味いな・・・・早く片付けてしまおう」
友奈「ドルモンが来た・・・!メタビー!!」
メタビー「ああもう!どーにでもなれぇ!!!!!!」
迫り来るグレイウォーズよりも先に、メタビーがミサイルをオメガナイツに向けて発射。
オメガナイツ「ぐっ・・・・おおおおおお!!!!!!」
グレイウォーズ「なんとぉ!?」
ミサイルが命中したことによりフリーズは溶け、しかも爆発によって
友奈「いっけーーーーー!!!ワームモン!!!」
オメガナイツ「セイヤー!」
衝突と同時に、左腕武器ビームソードの“グレイスラッシュ”をグレイウォーズへと叩き込む!
グレイウォーズ「─────見事な、一撃だったよ」
その一撃でグレイウォーズの頭部は破壊。機能停止した。
Mr.うるち「グレイウォーズ、機能停止!!」
オメガナイツ「さぁ、次はお前だ!」
ガルルメタル「いや。もうおしまいだよ」
オメガナイツ「へ?」
Mr.うるち「グレイウォーズはリーダーメダロットなので、この試合、友奈選手の勝利ぃ!!!」
園子「おめでとう~~♪ゆーゆならできるって信じてたんよ~」
友奈「────────はぇ?」
メタビー「よっしゃぁぁぁぁぁ!!!勝ったぁぁぁぁ!!!!!!」
友奈「・・・・何がなんだかわかんないけど、やったー♪」
ということで、友奈の初ロボトルは勝利で幕を閉じたのだった。
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chapter9 メダロット博士
ロボトルが終わり、ブイモンとワームモンは友奈の端末へ。園子も、ドルモンを自身の端末に仕舞った。ちなみに、ワームモン達が使っていたメダロットはメダロッチ内に収納されている。
園子「いや~~最後にしてやられたんよ~」
ブイモン『まさか、あんな方法で反撃に出るとはなぁ』
ドルモン『意表をついた作戦、見事だったよ』
友奈「えへへ~♪」
メタビー「こっちは気が気じゃなかったけどな!!」
ワームモン『こんなくらいの無茶、ゆーちゃんのパートナーだったら日常茶飯事だよ』
ブイモン『あー・・・・うん。確かに』
メタビー「マジかよ・・・・」
友奈「ちょっと?」
と、そこへ
???「いや~~、すごかったのう!」
拍手をしながら、白衣の老人がやって来た。
???「園子ちゃん相手に、あんな方法で勝つとは・・・・!!年甲斐もなく、興奮してしまったわい!!」
ワームモン『あ・・・・貴方は!?!?』
友奈「え?誰?」
ブイモン『オレがしばらくお世話になってた人だよ』
友奈「そうなんだ。ブイモンがお世話になりました!」
???「うむうむ、元気な娘じゃのぅ」
友奈からのお礼に頷く老人だったが、次の瞬間、苦悶の表情を浮かべて膝から崩れ落ちてしまう。いつの間にか接近していた園子に、脇腹をつつかれたようだ。
園子「叔父さ~ん・・・ゆーゆに色目使っちゃダメなんよ~。恐~い恐~い国防仮面さんに、吊るされちゃうんよ~~」
???「え、恐・・・・」
友奈「あれ、そのちゃんの知り合い?」
園子「うん。そうなんよ~」
園子が説明しようとした瞬間、ワームモンが口を挟んだ。
ワームモン『
ブイモン『どうした急に』
ワームモン『一年程前、本州各地で発見された“六角貨幣石”に高度な処理能力がある事を発見し、それを組み込んだロボット───つまり、メダロットを思い付いたそうだよ』
友奈「ろっかくかへいせき?」
メタビー「オレ達のメダルのことだな。2年前に発見された時は、そう呼ばれてたんだと」
ワームモン『他にも、ナノマシンを利用した自動修復機能“スラフシステム”や、メダロッチの転送機能なんかも開発した凄い方なんだ!』
友奈「へー・・・・」
園子「実はそれ、叔父さんの友達がほとんど造ったものなんだけどねー」
友奈「え」
アトム博士「おいおい・・・(汗)それを言っちゃあいかんよ、園子くん」
友奈「・・・・・盗作?」
アトム博士「違ぁ~~~う!!発表の段階になって、あいつがプロジェクトから抜けたから、仕方なくわしの名前だけで公表しただけじゃもん!!」
園子「いい年こいて“もん”とか言わないでよ。気持ち悪い」
アトム博士「───────今の一言が一番傷ついた」
ワームモン『サインもらって良いですか!?』
友奈「このタイミングで!?」
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chapter10 メダロット暴走
これは間に合うかもわからんな
友奈の手帳にメダロット博士のサインを貰ったワームモンは、とても上機嫌だった。
ワームモン『えへえへえへ♪これはもう家宝にするべきだと思うな~~♪』
友奈「そっかー・・・」
アトム博士「ワームモンくん、と言ったかね?メダロット、好きかい?」
ワームモン『はい!大好きです!!!』
アトム博士「うむ、良い返事だ。もし良ければ、今開発中の新型メダロットのテストの様子でも見るかい?」
ワームモン『良いんですか!?やったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
友奈「でも、お邪魔じゃないですか?」
アトム博士「なぁに、かえって宣伝にもなる。君達に来てくれた方が、こっちとしてはお得なのじゃよ。どうかね?」
ブイモン『博士もこう言ってるし、見学してったら?』
ワームモン『行こうよ!ゆーちゃ~~ん』
友奈「・・・・それじゃ、行こっか」
ワームモン『わーい!!』
友奈「ごめんねメタビー。もうちょっとだけ、付き合ってくれる?」
メタビー「ったく、仕方ねーな」
園子「それじゃ、私は着替えてくるんよ~。叔父さん、ゆーゆのことよろしく~」
アトム博士「うむ」
園子と別れ、友奈達は別のフロアへと向かった。
―――――――――――†――――――――――
友奈「そういえば、そのちゃんが博士のこと、叔父さんって・・・・」
アトム博士「ん?ああ。わし、こう見えて園子くんの親戚でな」
ワームモン『そうだったんですか!?』
ブイモン『らしいな。オレも最初聞いたときは驚いたよ』
友奈「ほへー・・・」
アトム博士「よーし、着いたぞぃ」
到着した実験場では、黒いメダロットと天使のようなメダロットが、盾を持ったメダロット二体とロボトルしていた。
ワームモン『あの盾持ちはナイトアーマー。防御に特化した騎士型メダロットだね』
友奈「へぇ・・・・噂の新型じゃないってこと?」
ワームモン『たぶん、それはこっちの二体じゃないかな?見たことないメダロットだし』
アトム博士「流石じゃの~。黒い方は悪魔型メダロット、ブラックメイル。もう一体は天使型メダロット、ヒールエンジェルじゃ!」
博士が説明していると、ブラックメイルがナイトアーマーを一撃で機能停止させてみせた!
ワームモン『凄い破壊力だ・・・・!』
友奈「そうなの?」
メタビー「ナイトアーマーの装甲は、オレですら手こずるレベルの堅さでな。それを一撃・・・・相手にしたくねーな」
友奈「なるほど・・・!」
しかし威力が有り過ぎるのか、ブラックメイルの腕は損傷していた。そこへヒールエンジェルがやってきて、ブラックメイルに何かした。
友奈「あれは?」
アトム博士「あれこそ、ヒールエンジェルの能力じゃよ」
メタビー「・・・あいつ、パーツを直すことができるのか!?」
ワームモン『え!?そんなパーツ、聞いたことないよ!』
アトム博士「じゃから、新型なのじゃよ♪」
なんて話し合っている、その時だった。
研究員a「なんだ・・・!?おい、どうした!」
研究員b「うわぁ!!!」
ブラックメイル「ギャーーーーース!!!」
ヒールエンジェル「ギャーーーーース!!!」
突如として、新型メダロット二体が命令を無視して暴れ始めたのだった!
アトム博士「何事か!?」
研究員a「わかりません・・・・突然暴れ始めて・・・」
友奈「とにかく止めないと・・・!」
ワームモン『任せて!』
メタビー「仕方ねーな!」
〈ワームモンの!〉
「というワケで始まりました、メダロット講座のお時間です!解説はぼく、ワームモンがやるよー♪」
「今回はメダロットの技、“行動”についてお話するね!」
・メダロットの“行動”
六種類の技があり、メダロットのメダルはそれぞれ得意な行動を三つ持っている。“スキル”と呼ばれることも。
得意な行動を行えるパーツを装備することで、メダロットは十分な性能を発揮できるようになる。逆に、得意ではない行動パーツを装備しているメダロットはその性能をフルに発揮できない。
以下は、その種類の解説
・射撃&格闘
言わずと知れた攻撃行動。パーツによっては使用後に防御や回避ができなくなるものも。
・助ける
オメガナイツの“ドミニオン”等、味方を補助する行動。自分の姿を消すパーツもある。
・直す
味方パーツを修理する行動。頭部以外の破壊されたパーツを再生するものも存在する。
・守る
敵からの攻撃から、味方や自分を庇う行動。グレイウォーズの“グレイシールド”が、これに該当。
・仕掛ける
トラップ等を設置する行動。味方のサポートをするものや、敵の妨害をするもの。種類は様々だが、どれにしても嫌がらせには変わらない。
「とりあえず今回はここまで!次回もお楽しみに~♪」
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chapter11 もう一人の“博士”
安芸『分かりました。何かありましたら、此方に連絡を』
通話を切って、私は調査から戻ってきたハックモンを出迎える。
夏凛「お帰りハックモン。どうだった?」
ハックモン『異常なし!だな。怪しい研究論文なら、いくつかあったが・・・・』
夏凛「データのコピーは?」
ハックモン『一応あるけどさぁ・・・・これ、最近流行りのメダロットに関するモンだぜ?』
夏凛「でも怪しいと思ったんでしょ?」
ハックモン『まぁ・・・・そうだけど・・・・』
夏凛「なら、専門外で解らなかろうと、持って来て正解よ。確認するわ」
ハックモン『あいよ。ロックが掛けられていたから、開けておいたぜ』
夏凛「ありがと───────『六角貨幣石とデジモンについて』?」
怪しいわね・・・・“ロックが掛けられていた”って言うし、きっと何か良からぬことでも書いてあるのね!
そうして読み進めていく内に、私は、驚愕の事実を知る事となった。
もし、これが本当なら・・・・セキュリティデジモンなんて無関係だわ!
夏凛「デジタルハザードなんて目じゃないレベルの災害が起きるわよ・・・・これ!?」
ハックモン『夏凛!緊急事態だ!!』
夏凛「何事!?」
ハックモン『ダイパン社ビルが─────』
夏凛「なんですってぇ!?!?」
オメガナイツ「ゼヤァァ!!」
オメガナイツに乗った
ヒールエンジェル「・・・!」
ブラックメイル「・・・・」
友奈「そんな・・・壊したパーツが・・・・」
メタビー「ダメージを回復するだけじゃねーってことか・・・」
ワームモン『うぅぅぅ・・・ぼくだったら一発で頭を破壊しておしまいなのに!!』
オメガナイツ「うるせー!いいからオレに任せろっての!!」
言うや否や、オメガナイツが突撃する。
メタビー「サポートするこっちの身にもなれってんだよ・・・・!」
メタビーが援護射撃を行い、ブラックメイルの動きを制限する。のだが、オメガナイツは真っ正面からブラックメイルに立ち向かう。
メタビー「おい友奈!アイツ突撃しか能が無いのか!?」
ワームモン『キミに言われたくないと思うよ・・・?』
メタビー「んだとぉ!?」
友奈「大丈夫。ブイモンを信じて」
メタビー「はぁ?お前、そればっかだな・・・・」
ワームモン『それがゆーちゃんの良いところだからね』
メタビー「良いのかあ?」
そうこうしている内に、互いに互いの攻撃圏内に迄、接近し・・・・
メタビー「なっ・・・・!?」
アトム博士「おお・・・!?相手を足場に!」
ワームモン『なるほど、そっちが狙いかぁ』
友奈「ねっ♪言ったでしょ?」
オメガナイツ「どーだぁ!!!」
自信満々にガッツポーズをとるブイモン(onオメガナイツ)。
と、その時。実験場のスピーカーから、謎の男性の声が流れだした!
???『ふふふ・・・・流石、キバハラに選ばれただけのことはあるな』
オメガナイツ「誰だ!?」
ワームモン『いったい何処から・・・・?』
アトム博士「この声────お前の仕業なのか・・・!」
???『そうだとも。久しぶりだな・・・キバハラ』
アトム博士「────ドブロク」
ドブロク『ドブロク言うな!!私は
アトム博士「だってなぁ・・・・」
先程までの緊迫した空気は何処へやら・・・・。
友奈「えっと・・・・知り合いなんですか?」
アトム博士「陸 十蔵。通称“
〈ワームモンの!〉
「第二回の今回は、メダロットのメイン攻撃技の一つ、“射撃”について掘り下げていくよ~♪」
・ライフル
スタンダードな射撃攻撃。
・パワーライフル
脚部が破壊されていなければダメージ1.5倍。使用後は回避・防御不能。
・ガトリング
乱撃特性(ランダムに三回ダメージを与える)を持っている。使用後は回避不能。
・メガガトリング
脚部が破壊されていなければダメージ1.5倍の乱撃特性射撃。使用後は回避・防御不能。
・ミサイル
絶対必中の火薬属性射撃。ダメージは全パーツに均等に与える。
・ハイパーミサイル
絶対必中の火薬属性射撃。ダメージ貫通(パーツをオーバーキルした場合、オーバー分のダメージを別のパーツに与える)。
・ナパーム
絶対必中の火薬属性射撃。乱撃特性を持っている。
・ビーム&レーザー
光学属性射撃。レーザーはダメージ貫通持ちで回避不能。
・ハイパービーム
高威力の光学属性射撃。貫通持ち。使用後は回避・防御不能。
・プレス&ブレイク
重力属性射撃。ブレイクはダメージ貫通持ちで、使用後、回避不能
「まだまだ他にもあるけれど、とりあえず今回はここまで!次回もお楽しみに~♪」
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chapter12 “獣王”、起動
もし、そうなったら、申し訳ありません・・・・
ドブロクと名乗r『ドブロクでは無いっ!十蔵だ!!』────十蔵と名乗るこの男。彼は自らが、メダロット暴走事件の主犯だと語る。
ドブロク十蔵『そうだ!この私こそが、昨今起きているメダロット暴走事件の─────おいなんだそこの取り消し線は。私は十蔵だと言っているだろうが!!!!』
ワームモン『陸(
アトム博士「無理して濁酒呑んでケミカルハザード起こしたから」
メタビー「マジかよサイテーだな」
ドブロク『ええい!私の過去をバラすんじゃない!!!!!!』
等と話している間に、オメガナイツ(onブイモン)が操られていたブラックメイルとヒールエンジェルを倒していた。
オメガナイツ「ふぃー・・・・大人しくしたぜ!」
友奈「ありがとう、ブイモン!」
ドブロク『チッ・・・・なかなかやるではないか』
友奈「どうしてこんな事をするの!?この子達がかわいそうだよ!」
友奈の問いかけに、十蔵もコントを止めて答える。
十蔵『フン・・・!私はただ、メダルに掛けられたリミッターを解除してやっただけだ』
メタビー「リミッター?何の話だ?」
友奈「・・・・博士?」
沈黙するアトム博士に代わり、ワームモンが答える。
ワームモン『たぶんだけど・・・・“メダロット三ヶ条”のことだと思うよ』
友奈「メダロット三ヶ条?」
ワームモン『
・第一条 わざと人間を傷つけてはならない
・第二条 人間に危険が降りかかるのを見過ごしてはならない
・第三条 第1条と第2条を破らない範囲で己を守り、他のメダロットに致命傷を与えてはならない
これら三つのルールが、メダロットには課せられているんだ。いくら玩具だからって、使い方を間違えれば人を傷つけてしまうからね』
アトム博士「──────そうじゃ。彼の言う通り、市販のメダルには“メダロット三ヶ条”を遵守するように、リミッターが掛けられている・・・・勿論それは、人々の安全、そして何より、メダロットと人間が共存していけるようにするためのものじゃ」
十蔵『キバハラ・・・私はかつて言ったはずだ。「そんなものは人の傲慢に過ぎぬ」と。メダロットの自由意志を阻害し、人が御しやすくする為の三ヶ条など必要無い、とな』
アトム博士「わしの考えは変わらん!今はまだ、その時ではない!!」
十蔵『強情だな・・・・ならば此方も、強行手段を取るまで!』
瞬間、ビル内の至るところから無数の黒いコードが壁や天井を突き破って出現し出した!
オメガナイツ「なんだ・・・!?何が起きた!」
友奈「きゃあ!?」
メタビー「う・・・うわぁぁぁぁぁ!?」
まるで、ビルを作り替えるかのように、無数のコードが伸び、絡まっていく。
ワームモン『まずいよ・・・分断されちゃう!』
友奈「ブイモ~ン!メタビー!」
オメガナイツ「くっ・・・友奈ぁ!」
離ればなれにされゆく最中、十蔵の声が魔改造されたビルに響き渡る。
十蔵『さぁ、始めよう・・・・我が子、ビーストマスターよ!』
その声に応じるように、遠くから、獣の雄叫びのような音が聞こえたのだった。
〈ワームモンの!〉
「第三回はもう一つのメイン攻撃、“格闘”だよ!それでは、どーぞ♪」
・ソード
スタンダードな格闘攻撃
・ハンマー
防御無視の攻撃。ダメージは全パーツに均等に与える。使用後、防御不可。
・クロー
乱撃特性攻撃。
・パイル
防御無視の貫通特性攻撃。使用後、防御不可。
・ビームソード
光学属性攻撃。使用後、防御不可。
・ブレイクハンマー
重力属性攻撃。ダメージ貫通で防御無視。使用後、防御・回避不可能。
「今回はここまで!!次回もお楽しみに~♪」
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chapter13 手掛かりは“迷子のお知らせ”
八月一日までに、なんとか形にしたいぜ・・・・
春信「デジタルウェイブの発生源、まだ特定できませんか!?」
オペレーター娘E「すみません・・・範囲も規模も大きく、特定にはまだ、時間が・・・・」
美森「────────状況は最悪、ですね」
春信「ええ・・・・何もかも、後手に回ってしまっています」
あれから、
電脳障害の方は、スティフィルモンとサクヤモンが陣頭指揮を執り、水際でどうにか耐えている。しかし、暴走メダロットについては難しい。
たかだか玩具だと侮るなかれ。ものにもよるが、メダロットの武装は岩をも砕くことができるのだ。
春信「安芸さんに頼んで、調査隊の方々に対処してもらっていますが・・・・」
美森「元凶を断たねば、いずれ此方が押しきられてしまいます」
春信「その通りです。だからこそ、デジタルウェイブの発生源を見つけなくてはならないんですが・・・・・」
そこに、スティフィルモンから連絡が入る。
スティフィルモン『春信!ちょっと良いか?』
春信「どうかしたのかい?」
スティフィルモン『いや、さ・・・・とりあえず、これ見てくれ』
春信「?」
スティフィルモンから送られてきたのは、今ネットワーク内に出現しているデジモンに関するデータだった。
春信「・・・・・ふむ、僕達が保有しているデータには、このデジモンのデータが無いね。新種のデジモンかな?」
クラモンに似た外見の、緑色のデジモン。
それが今、ネットワーク内に出現しているデジモンの正体らしい。
春信「・・・・それで、この新種のデジモンがどうしたんだい?」
サクヤモン『変わってくれ─────すまない。このデジモン、どうも奇妙なんだ』
春信「奇妙・・・・?」
美森「どういうこと?」
サクヤモン『こいつら、
春信「・・・・・えっと、どういうことです?」
美森「つまり、この新種のデジモンは、何処か別な場所から溢れてきてしまっている、ということ?」
サクヤモン『私には、そう見える』
スティフィルモン『正直、僕にはよくわかんないけどな・・・・それと、メッセージが届いてたから確認したんだけど・・・・なぁこれ、どういう意味なんだ?』
春信「メッセージ・・・・?」
スティフィルモン『差出人は、“乃木園子”だってさ』
美森「そのっちから!?見せてちょうだい!」
スティフィルモン『へ?お・・・おう』
少々食い気味に要求してきた東郷に、若干引きつつも、スティフィルモンは園子からのメッセージを見せる。
乃木園子です
乃木園子です
乃木園子です
美森「これは・・・!そのっちが迷子になった時の合図!!」
スティフィルモン『いやなんでさ。今あの子ダイパン社にいるんじゃなかったの!?』
スティフィルモンが突っ込みを入れるが、春信は冷静に思考を巡らせる。
春信「──────もしや、ダイパン社で何かが起きたのでは?」
美森「私も同じ意見です。きっと、そのっちの身に何かがあったのだと思います」
サクヤモン『成る程・・・・ならばそのダイパン社に行ってみるか』
春信「そうですね・・・・東郷さん、お願いできますか?」
美森「任せてください!」
サクヤモン『私はこのまま、ネットワーク内から向かう。向こうで落ち合おう』
美森「ええ」
そうして東郷は、国防仮面の衣装を纏い、ダイパン社へと向かうのだった。
スティフィルモン『いや、なんでその服着て行ったの!?』
春信「──────まぁ、良いんじゃないかな。別に」
スティフィルモン『春信が諦めてる!?』
〈ワームモンの!〉
「今回からはサポート技!まずはサポート系の代表“助ける”技からだよ♪」
・レーダーサイト
味方全員を、「全てのパーツの成功率を上昇&ステルス・コンシールを無効化する」症状“レーダーサイト”状態にする。
・対地制御
味方全員を、「全ての地形適正をAにし、ヘヴィリミット*1を最大値にする」症状“対地制御”状態にする。
・ドミニオン
味方全員を、“レーダーサイト”状態及び“対地制御”状態にする。
・ステルス
一回行動するまで相手から狙われなくなり、相手のガードもすり抜ける。
・コンシール
「一回攻撃を受けるまで回避値二倍になり、貫通等の攻撃特性を通常化する」症状を全員に付与する。
「他にもあるけど、今回はここまで!じゃ、またね~~♪」
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chapter14 流されて・・・・ここはどこ?
オメガナイツ「いてて・・・・ここは、どこだ?」
気が付いた時には、オメガナイツのブイモンは一人きりだった。
ビル内は完全に様子が変わっており、今、自分がどの辺りに居るのかすらわからない状態だ。
オメガナイツ「えーっと、こういう時は・・・・・ドミニオン!」
頭部パーツによる周辺探索を行ってみるが、四方八方に動くコードを捉えてしまい、使い物にならない。
オメガナイツ「うーん。こりゃ手詰まりだな・・・・どうしよう?」
と、その時、コードから何かが出現し始める。
ポコポコと泡のように沸き立った“それ“は、
オメガナイツ「こいつ・・・・
ブイモンにアルゴモンと呼ばれたそのデジモンは、今も尚増殖し続けている。
オメガナイツ「まだ幼年期か・・・・なら、このままでも!」
攻撃を仕掛けようとした、その時だった。
???「おい!うまく避けろよーー!!!」
オメガナイツ「へ?・・・って、うぉっ!?」
背後から声がしたと同時に、複数のミサイルが飛んできて、アルゴモンを一掃した!咄嗟にしゃがまなければブイモンにも命中していただろう。
オメガナイツ「あっぶねーなあ・・・・」
???「でもおかげで助かったろ?」
オメガナイツ「・・・・メタビーか。無事でなによりだよ」
得意げな様子のメタビーに苦笑しつつ、お互いの状況を確認し合う。
メタビー「落ちた後、さっきのアイツに襲われてさー。もしかしたら他の連中も、って思って探してたんだよ」
オメガナイツ「正しい判断だったな。アルゴモンは、今のオレ達にとって、天敵とも言える存在だから・・・・」
メタビー「天敵?どういうことなんだ?つーかお前、あのアルゴモンとかいう奴のこと、知ってるのか?」
メタビーからの質問に、ブイモンは少し沈黙し・・・・
オメガナイツ「少し前、デジタルワールドに未知のデジタルゲートが開かれた。そこから出てきたデジモンが、あのアルゴモンだったんだ」
メタビー「未知?ゲート?」
オメガナイツ「オレは、アルゴモンの出所を探るためにゲートを通った。で、たどり着いた場所が─────」
メタビー「ジィさんとこだった・・・と。なら、アルゴモンはジィさんのデジモンってことになるな」
オメガナイツ「ところがぎっちょん。話はそう簡単じゃなくてさー・・・・・オレがたどり着いた場所、正確にはアトム博士の家にいた
メタビー「は?メダロットの・・・・中ぁ!?」
メタビーのすっとんきょうな声を聞きつつ、ブイモンは自らの知っていることを語り始めた。
〈ワームモンの!〉
「やぁやぁみんな。元気にロボトってる~?今回は味方を援護する技、“守る”についてだよ!」
・ガード
味方への攻撃に割り込み、使用パーツでガードする。最大ガード数は四回。
・完全ガード
味方への攻撃に割り込み、あらゆる攻撃を無効にする。最大ガード数は一回。
・射撃ガード&格闘ガード
味方への攻撃に割り込み、射撃(または格闘)攻撃を無効にする。最大ガード数は四回。
・属性ガード
味方への攻撃に割り込み、火薬、重力、光学属性の攻撃を無効にする。最大ガード数は四回。
・未満ガード
味方への攻撃に割り込み、パーツ毎に設定された数値未満のダメージを無効にする。最大ガード数は四回。
「他にもあるけど、今回はここまで!本編はいよいよ確信に迫ろうとしてるね。じゃ、またね~~♪」
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chapter15 アルゴモン
メタビー「メダロットの中って・・・・いったいどういう事だってばよ!?」
オメガナイツ「オレも、正直よくわからなかった。まさか、
メタビー「・・・・なんだと?独自のネットワーク?そんなもん、どこにあるってんだよ」
オメガナイツ「お前達本人────人?まぁいいや。お前達には認識出来ない、所謂、“無意識の領域”にあるらしい。詳しいことは、オレにもわからないんだけどさ」
とにかく、と一旦区切りブイモンは話を続ける。
オメガナイツ「このアルゴモンは、どうやってるのかは分からんが、そのネットワーククラウドからメダロット達の内部に入り込み、リミッターを破壊しているようなんだ」
メタビー「そんなこと・・・・できるのか?」
オメガナイツ「可能不可能の話で言うなら・・・・可能だ。実際オレは、あるメダロットの中に漂着したワケだしな」
メタビー「そういやそうだった───────ん?待てよ・・・・そのメダロットはどうなったんだ?暴走したのか?」
オメガナイツ「ああ、それは──────」
と、その時。再びアルゴモンが出現し、メタビー達に襲い掛かってきた!
オメガナイツ「チッ!話は後にしよう!」
メタビー「ったく・・・・落ち着いて話も聞けないぜ!!」
悪態を吐きながらも、アルゴモンを迎撃すべく、戦闘態勢をとる。
オメガナイツ「・・・・友奈達は、大丈夫だろうか?」
メタビー「そーいや忘れてた。早いとこ、合流した方が良さそうだ」
オメガナイツ「忘れてたのかよ!?」
あれから、友奈は一人ビル内をさ迷い歩いていた。
友奈「うーん・・・・ここ、何処なんだろ?」
ワームモン『うむむむ・・・・ネットワーク内も、なんだか大変なことになってるみたい』
友奈「さっき、十蔵博士が言ってた“びーすとなんちゃら”ってのが、原因かな」
ワームモン『多分ね・・・・でも、ビーストマスターなんて、聞いたことが無いよ』
友奈「とにかく、ブイモン達と早く合流しないと!そのちゃんやアトム博士のことも心配だし」
ワームモン『そうだね───────っ!?ゆーちゃん伏せて!』
友奈「ふぇ・・・・きゃっ!?」
突如として起きた爆発。ワームモンの警告が無ければ、友奈も巻き込まれていただろう。
友奈「な・・・・何~~?」
???「─────開いたぞ」
???「ええ。これで中に───────友奈ちゃん!?」
友奈「え?・・・・あ、東郷さん!」
爆発によって空けられた壁の大穴の向こう。そこに、国防仮面の衣装を纏った東郷がいた。
友奈「東郷さん!助けに来てくれたんだね!!」
美森「ええそうよ!!無事で良かった・・・・」
ロクショウ「いや、彼女が居ることすら知らなかったろう?」
美森「おだまり」
ロクショウ「理不尽だ・・・・」
ワームモン『ふおぉぉ・・・・KWG型メダロット、ヘッドシザースだぁ・・・・・!!!』
カオスな再会を果たした友奈と東郷だったが、その邪魔をするかの如く、此方にもアルゴモンの群れが現れた。
友奈「わぁ!?何これーー!」
ロクショウ「・・・・こ奴等もしや、ブイモン殿の言っていたアルゴモンとやらか?」
美森「知ってるの?ロクショウ」
ワームモン『話は後!来るよ!!』
美森「ロクショウ!!」
ロクショウ「承知・・・!」
〈ワームモンの!〉
「メダロットSに新しく実装された『ブラックビートル』と『ブラックスタッグ』、カッコいいよね~。カッコいい女の人って、ちょっと憧れちゃうよね♪さて、今回は味方を修復する技“直す”についてだよ!」
・リペア
味方メダロット一体のパーツ一つのダメージを回復。
・レストア
味方メダロット一体の破壊されたパーツ一つを復活させる。
・スーパーリペア
味方メダロット一体の全パーツのダメージを回復。
・オールレストア
味方メダロット全員の破壊されたパーツ一つを復活させる。
「ちょっと少ないけど、今回はここまで!次回で技紹介もおしまいだね~。じゃ、またね♪」
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chapter16 合流
ロクショウの活躍によって、襲撃してきたアルゴモンの群れは蹴散らされた。
友奈「東郷さんのメダロット、スッゴく強いんだね!」
美森「うふふ♪ロクショウは特別らしいから」
ワームモン『特別って?』
美森「そのっちの話だと、
ワームモン『噂に名高いレアメダルってやつか・・・』
友奈「???」
例によって例の如くな友奈に、ワームモンが説明する。
ワームモン『えっとね、メダロットのメダルの中には、他のモノとは比べ物にならないくらい強いメダルがあるって言われてるんだ』
友奈「それが、レアメダル?」
ワームモン『都市伝説だと思ってたけど、あの強さを見るとほんとなのかもって、信じちゃいそう』
友奈「ふーん」
ワームモン『・・・・ゆーちゃん、興味ない?』
友奈「だって、よくわかんないし・・・・」
ロクショウ「・・・む?」
美森「何かあった?」
何かに気付いたロクショウが身構える。
ロクショウ「二体・・・・いや、メダロットが二機、此方に近付いてくる」
友奈「メダロットが・・・?」
ロクショウ「接触まで・・・三・・・二・・・一・・・」
今!と言おうとした瞬間、天井が破壊されそこからオメガナイツが落下してきた!
オメガナイツ「せやぁぁぁぁ!!!」
ロクショウ「なんと・・・!?」
辛うじてそれを回避したロクショウは、反転し攻撃。オメガナイツはそれを受け止め─────
友奈「ストップ!スト~~~~ップ!!」
オメガナイツ「・・・・あれ?友奈じゃん」
メタビー「あ?なんだよ・・・・ビビらせやがって。お前も無事だったんだな」
友奈「メタビーも!良かったぁ」
美森「あら、もしかして友奈ちゃんの?」
友奈「うん、メタビーだよ」
メタビー「よろしくな!」
ロクショウ「メタビー殿か・・・・某はロクショウ。そちらは?」
オメガナイツ「ロクショウ?博士んとこの、クワガタメダルの?」
ロクショウ「・・・・それを知っている?まさか、ブイモン殿か?」
オメガナイツ「久しぶりだなぁ!」
ロクショウ「息災で何より!」
オメガナイツとロクショウが抱き合う。
友奈「え?ブイモン、知り合いなの?」
美森「私も初耳だわ・・・・」
オメガナイツ「オレがこっちに来た時に、たどり着いたのがロクショウの中だったんだ」
ロクショウ「あの時は珍妙な感覚であった・・・・」
メタビー「なるほどなー。コイツん中に・・・・」
友奈「?」
オメガナイツ「・・・・順を追って話した方が良いかな」
ということで、情報の共有も兼ねて、これまで経緯を話し合うことになった。
〈ワームモンの!〉
「物語がなかなか進まないねぇ・・・・それはそうと、今回は“仕掛ける”技の紹介だよ♪」
・“技”トラップ
相手の各種技に反応してダメージを与えるトラップを設置する。
・脚部トラップ
相手のパーツ使用に反応して脚部にダメージを与えるトラップを設置する。
・リペアプラント
味方のパーツ使用に反応してダメージを回復する装置を設置する。
・ヒータープラント
味方パーツの充填速度が上がる装置を設置する。
・クーラープラント
味方パーツの冷却速度が上がる装置を設置する。
「このくらいだね!さて、これで一通り技の紹介も終わったし、次は何にしようかな~?」
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chapter17 目的
俺A「やってみせろよ!」
俺B「なんとでもなるはずだ!」
俺C「ガンダムだと!?」
俺ABC♪鳴らない言葉 もう一度描いて♪
閃光のハサウェイは、正直あんまり見る気がしない。
オチがオチだからさ・・・・ちょっと、ね?
友奈はメンテナンスも兼ねて、オメガナイツとメタビーをメダロッチに戻しつつ、端末に戻したブイモンの話を聞いている。
美森「・・・・つまり、この惨状を造り出したのは、その陸十蔵という人物なのね?」
ブイモン『と、思っている。その目的は─────』
友奈「メダロット達の、解放」
美森「・・・・・難しい問題、ね」
友奈「あれ?じゃあ、あのアルゴモンは何?」
メタビー『そもそも、あいつらどうやって現実世界に出てきてんだ?』
友奈「うわぁ!?びっくりした・・・・・メタビー、そんな状態でも喋れるんだ」
メタビー『お前もうちょいメダロットに興味持てよ・・・・』
メダロッチからしたメタビーの声に、友奈が驚いている間に、ブイモンが話す。
ブイモン『たぶん、メダロットを操る為に必要なんだと思う。オレが、ロクショウの中に漂着した時みたいに』
ロクショウ『うむ。人間で例えるならば、憑依されたような感覚だったな』
ブイモン『あの時は、半分事故みたいな感じだったし、ロクショウの意識を尊重してたけど、あのアルゴモン達は違う。メダロットを乗っ取って好き勝手に暴れているように見える』
ワームモン『──────でも、それでリミッターを破壊できるの?』
ロクショウ『博士曰く、リミッター機能そのもののロックは簡単に外せるようになっているらしい。それこそ、メダロットの自由意志を尊重する為に』
美森「つまり・・・・アルゴモンを使って暴れさせれば、自ずと制限も解除される、ということ?」
ブイモン『狙いとしては、そんな感じじゃないかな?』
ワームモン『回りくどいことしてるなぁ・・・・』
と、そこにまた新たなアルゴモン達が湧き出て来たので、メタビーとロクショウが相手をする。
ワームモン『で、あのアルゴモンは?どういう原理でリアライズしてるの?』
ブイモン『サイプラシウム合金って、知っているか?』
ワームモン『メダロットのパーツやティンペットに使われてる素材だよね。ナノマシンを沢山含んだ特殊合金』
ブイモン『そいつをデジモンが取り込むと、どういう理屈かリアライズ出来るんだよ』
友奈「え!?そうなの!?」
ブイモン『とは言っても、メダロット一体分でリアライズできるのは、幼年期デジモン一体分くらいだからなぁ・・・・』
美森「だけど、数を揃えれば・・・・・」
友奈「と言うか、どうやって取り込むの?デジモンは電脳世界にしかいないのに────」
ブイモン『さっき言ったじゃないか。デジモンはメダロットを乗っ取れるんだぜ?』
友奈「────────え!?それで取り込めるの!?」
ブイモン『アトム博士の研究によると、そうらしい。尤も、この研究に関しては、博士だけのものではないそうだけど』
友奈「十蔵博士と、共同研究してたんだっけ・・・」
メタビー「話、終わったかー?」
ロクショウ「此方は片付いた。進もう」
美森「・・・・とにかく今は進みましょう。真実はきっと、この先よ」
〈ワームモンの!〉
「やぁやぁみんな、元気かな?暑さに負けないよう、水分補給はしっかりね!今回は、メダロットの生命線、“脚部パーツ”についてだよ」
「脚部パーツには様々な種類があって、それぞれに得意なフィールドがあるんだよ。以下はその種類だよ!」
・二脚
森林等が得意。
反対に砂漠や水辺は苦手。
・多脚
岩山等が得意。
反対にアリーナや街中が苦手。
・車両
街中やアリーナで優位に立てる。
反対に他の地形では動きが鈍くなる。
・飛行
砂漠や岩山等が得意。
反対にアリーナや街中等狭い場所は苦手。
・潜水
水辺特化脚部。
他の地形では真価を発揮できない。
・戦車
どの地形でもこなせる。
回避不可能だが防御力は高め。
・浮遊
どの地形でもこなせる。
装甲が低い。
「うん、こんな感じかな。メダロットは脚部パーツの適正次第で強くも弱くもなるから、他のパーツばっかり見てちゃダメだぞ♪それじゃ、またね~~」
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chapter18 メダフォース-①
そうして、時折現れるアルゴモンを処理しつつ、友奈達は遂に屋上までたどり着いた。
そこには、球体型の浮遊物に乗る老人と、奇っ怪な形状のメダロットが待ち構えていた。陸十蔵とビーストマスターである。
十蔵「ふん。ここまで来られるとはな・・・・流石、神々に選ばれし勇者達か」
美森「何故、こんな事を」
十蔵「決まっておる。メダロット達を解放するためだ」
メタビー「んなもん、こっちは望んじゃいねーよ」
ロクショウ「そういう事だ・・・・これ以上の狼藉、見過ごす訳には行かぬ!」
メタビーとロクショウがビーストマスターに対峙する。
十蔵「ならば仕方あるまい・・・・やれ!ビーストマスター!!」
獣のような咆哮と共に、ビーストマスターが左腕武装“デスビーム”を放つ。
オメガナイツの物とは比べ物にならない程の、圧倒的熱量を誇るハイパービームがメタビー達目掛けて撃ち込まれる。
友奈「メタビー!」
メタビー「ぬわぁぁぁぁ!!!」
決死の覚悟で回避し、どうにか直撃は免れた。
メタビー「当たったら確実に死ぬやつだこれ・・・・」
ワームモン『ゆーちゃん!ぼくも行くよ!』
ブイモン『いーや!ここはオレが!』
ワームモン『ぼく!』
ブイモン『オレ!』
ワームモン『ぼく!!』
ブイモン『オレ!!』
友奈「じゃあ二人で行こう!」
ブイ&ワー『え?』
友奈が取り出したるは、専用デジヴァイスD-3。端末の中でパイルドラモンに進化させ、オメガナイツに搭載したのだった。
オメガナイツ「荒業が過ぎる・・・!」
友奈「頑張って、パイルドラモン!!」
十蔵「我が子ビーストマスターを舐めるでない!!」
ビーストマスターの右腕武装“デスボム”が放たれ、周囲に爆弾が撒き散らされる!
ロクショウ「くっ・・・!これでは近付けぬ」
メタビー「だったら撃てばいいだろ!!」
オメガナイツ「そりゃそうだ!」
メタビーのミサイルとオメガナイツのハイパービームが同時に炸裂!しかし──────
十蔵「はーはっはっは!無駄だ!!」
二体の攻撃は、ビーストマスターの直前で、何かに遮られ届かなかった。
メタビー「なんだぁ?」
オメガナイツ「バリアだと!?そんなパーツ、存在する訳・・・・・」
ロクショウ「──────メダフォースか」
十蔵「左様。メダロット達だけが持つ、特別な力!アルゴモン達を介して他のメダロット達から集めているのだ。この力は、戦いの最中でのみ発現するからな」
美森「アルゴモンを使って暴れさせていたのは、それが理由・・・!」
十蔵「そうして集めたパワーで、私は、メダロット達の王国を創る!!かつて存在したという“古代メダロ人”達の国のように!!!」
友奈「メダロ人・・・・?」
十蔵「その邪魔をする者共は、今ここで排除する!!ビーストマスター!!!」
再びビーストマスターが吠え、頭部武装“デスブラスト”をメタビーに放つ。
メタビー「しま─────うわぁ!!!」
今度は避けること叶わず、強力なプレス攻撃がメタビーに直撃!
友奈「メタビーーーーー!!!」
〈ワームモンの!〉
「いよいよボス戦だね!今回は、今出てきた古代メダロ人について、簡単にお話するね」
「とは言っても、古代メダロ人については詳しい文献とか、あんまり無いんだ。一説には外宇宙からやって来た人類とも言われているよ」
「一番有力な説は、“特殊な能力を持った人間達で、彼らは自らの魂を六角貨幣石に封じ、滅びの時を回避した”っていうのなんだとか。よくわかんないねー」
「でも、“かつて繁栄した種族の人類”っていうのは、真実みたい。繁栄できた理由が文献ごとでまちまちなんだけどね」
「とまぁ、今回はここまで。次回もお楽しみに~~」
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chapter18 メダフォース-②
“デスブラスト”の直撃を受けたメタビーは、瀕死の重症を負った。
友奈「メタビー!」
メタビー「くそ・・・・なんつー威力だ・・・・」
辛うじて動けているが、戦闘はもう無理だろう。
友奈「そこで休んでて」
ロクショウ「・・・・・破壊力もそうだが、それ以上にあのバリアをなんとかせねば」
決意を瞳に宿し、ロクショウは東郷を見る。
ロクショウ「あれを使う。
美森「・・・・・・・それしか、方法は無さそうね」
オメガナイツ「何か手立てがあるのか?」
ロクショウ「ああ、ブイモン殿・・・なのか?貴殿には時間稼ぎをしてもらいたい」
オメガナイツ「今の俺はパイルドラモンだよ。アイツの注意を引き付けておけば良いんだな?任せろ!!」
まずは牽制、と言わんばかりに右腕ハイパービームで攻撃を仕掛ける。が、やはりバリアに阻まれ当たらない。
オメガナイツ「だったら・・・・!」
急速接近し、左腕ビームソードで斬り付ける。が、これも駄目。
十蔵「良いのか?そんなに近付いて・・・」
オメガナイツ「!?」
突如として伸びたビーストマスターの脚部のコードが、オメガナイツを捕らえた!これでは身動きが取れない。
十蔵「終わりだな」
オメガナイツ「いいや、これでいいのさ」
十蔵「何?」
捕らえたオメガナイツは、しかし、ビーストマスターの両腕を掴み、明後日の方角へ向ける。これでロクショウが狙われる心配はなくなった!
十蔵「時間稼ぎのつもりか!?」
オメガ「最初っからそのつもりだよ!!ロクショウ!俺ごとやれェーーーーーー!!!」
心の中で「一度言ってみたかったんだよなぁ♪」とか思いつつ、ロクショウへ叫ぶ。対するロクショウは─────
ロクショウ「・・・・友奈殿?」
友奈「構わない、やっちゃえっ!!」
ロクショウ「御意っ!」
瞬間、ロクショウの背中から透明な虫の羽のようなオーラが現れる。
ロクショウ「メダフォース・・・発動!」
背中のオーラを纏い、斬撃が飛ぶ。
一直線にビーストマスターへ向かい、やはりこれまで同様バリアに阻まれてしまう。
が、それは一瞬だけだった。
ロクショウが放った斬撃は、バリアを破壊。とうとうビーストマスターに直撃したのだった!!
オメガナイツ「うぉぉぉああぁぁぁ!?!?」
友奈「パイルドラモン!」
爆発の衝撃で吹っ飛んだオメガナイツを、友奈が受け止める。
美森「・・・・・倒した?」
オメガナイツ「────────まだだ!?」
爆煙の向こうからプレス攻撃が飛んできて、ロクショウを機能停止に追いやった!
ロクショウ「がっ・・・!?」
美森「ロクショウ!?」
友奈「嘘・・・まだ動いてる!?」
煙が晴れた時、そこにいたビーストマスターはボロボロだった。
両腕は完全に砕け散っており、頭部は半壊していた。
しかしそれでも、ビーストマスターは動いていた。
オメガナイツ「なんて奴・・・・!」
友奈「そんな・・・・ここまでなの?」
誰もが諦めかけていた。
メタビー「ふざけんな・・・!」
ただ“ひとり”を除いて。
友奈「メタビー?」
メタビー「ロボトルはなぁ・・・・諦めた方が負けなんだよ!!」
十蔵「だがそんな身体では、満足に戦えまい?」
メタビー「うっせぇ!!!」
メタビーの叫びに呼応するように、ビーストマスターが再びプレス攻撃を仕掛けようとする。
メタビー「意地があんだよ・・・・!」
瞬間、メタビーの背中にも
メタビー「メダロットにもなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
同時に放たれる、プレス攻撃とメダフォース。
ぶつかり合い、鬩ぎ合い、しかし、勝利したのは─────
メタビー「うおぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
メタビーのメダフォースに呑まれ、悲鳴のような雄叫びを上げつつ、ビーストマスターはついに機能停止に陥ったのだった。
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chapter19 究極のアルゴモン
メタビーの放ったメダフォースによって、ビーストマスターは遂に機能停止した。
十蔵「そんなバカな・・・!?こんな事が・・・・」
と、そこにアトム博士を背負って園子がやって来た。
アトム「なんとか間に合ったか・・・!?」
園子「ひぃ───ひぃ───叔父さん、ちょっとは運動して・・・・・」
アトム「ぎっくり腰がひどくなるからやだ」
友奈「あ!そのちゃんと博士!!」
美森「無事だったのね。良かったわ・・・・」
アトム「・・・・・ドブロク」
アトム博士が十蔵の下に近寄る。
十蔵「私の夢が・・・・ロボットの国を創る夢が・・・・」
アトム「その夢は、もっと別の方法で叶えるべきだと・・・・前にも言ったはずだぞ、十蔵」
十蔵「ふん。メダロット達を縛り付けておきながら言う事か!・・・・だが、そうだな・・・・」
ボロボロになったビーストマスターを見つつ、十蔵は語る。
十蔵「こんな、無理矢理に操る真似をせずとも、できたはずだな・・・・それこそ、彼らの自由意思で」
アトム「そうだな・・・・」
と、その時だった!
???「ソレハ困ル那。我ガ復活ヲ遂ゲル似ハ、めだろっと達乃力ガ必要不可欠那乃ダ」
謎の声が、
美森「何奴!」
???「シカシ那ガラ、ココマデ乃働キハ大儀デアッタ。我ガ復活ヲ遂ゲル似ハ十分ダロウ」
十蔵「なんだと・・・・!?どういう事だ!メダフォースを集め、それを使ってメダロット達のリミッターを外す計画ではなかったのか・・・!?」
???「ア、ソレハ嘘ダ。残念ダッタ那!」
高笑いと共に、ビーストマスターの残骸がその形状を変えていく。
どんどん大きくなっていき、遂にビルに亀裂が入り始めた。
十蔵「そんな・・・・」
園子「ビルが崩れそう・・・早く逃げなくちゃ!」
友奈「十蔵さんも!早く!!」
十蔵「───────────私、は」
しかし、やんぬるかな。とうとうビルが堪えきれず、友奈達は再び落下してしまうのだった。
友奈「きゃあぁぁぁ!?」
美森「友奈ちゃぁぁぁぁぁぁん!」
十蔵「──────!」
が、今回は十蔵が全員を救い上げ、どうにか倒壊するビルから脱出できた。
アトム「ほほう、やるではないか」
十蔵「─────────ふん。礼はいらん」
十蔵の乗り物が安全な場所に着地した時には、遂に真の黒幕がその姿を衆目の下に晒していた。
アルゴモン究極体「我は“アルゴモン”。
そうして、高々と笑い声を上げるのだった。
┌─────┐
│アルゴモン│
└─────┘
突然変異型
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chapter20 藍原の
ビーストマスターを核に、復活を遂げた(と語る)アルゴモン。
アトム「おい、ドブロク!あれは何だ!?いったいお前は何をした!!」
園子「叔父さん落ち着いて」
十蔵「────────藍原繁は、知っているな?」
その名を聞いた瞬間、空気が凍りついた。
友奈「─────────はい」
美森「正直、思い出したくない名前ね・・・・」
十蔵「あのデジモンは、奴がかつて産み出し、自身の手に負えないからと、とある場所に封じられていた人造デジモンだ」
美森「人造デジモン・・・・デジ・バーテックスのようなものかしら」
園子「ごみ処理くらい、きちんとやっておいて欲しかったんよ」
アトム「辛辣じゃのー・・・・」
十蔵「私は、私の夢の為、文献を手繰りあのデジモンとそれ用に調整されたメダロットを発掘した」
友奈「え?メダロットって博士達が造ったものじゃ・・・?」
アトム「そうじゃ。が、その元となったロボットを造ったのは藍原なんじゃよ。わしの家にそれに関する資料があったのでな、参考にさせてもらった」
美森「そうだったんですか・・・・」
アトム「あの男は元々、メダルを“デジモンをリアライズさせる為の道具”として使おうとしていたらしい。文献にはそうあった」
オメガナイツ「なるほどな・・・・だが、リアライズさせるにしても、メダロット一体程度では幼年期のデジモンくらいしかリアライズできないぞ?」
アトム「うむ。わしも、それが気になって個人的に調べておったのだがな・・・・・どうやら、
アトム博士の言葉に、東郷達は衝撃を覚える。
美森「成長期以上のデジモンも・・・・!?」
園子「メダフォースには、それだけのエネルギーがあるってことだね・・・・」
十蔵「そうだ。それをあのデジモンは、何らかの手段で知ったのだろう・・・・私を騙し、メダフォースを集めさせたのだ。自らがリアライズする為に」
そうして、一頻り語り尽くした後、十蔵は沈黙した。
真実を知ったとて、時既に遅し。最早成す術はない。
友奈「んーと・・・・つまり、メダフォースを集めればパイルドラモンをリアライズできるってこと?」
友奈の、その一言が無かったならば。
アトム「っ!それだ!!その方法ならば・・・・!」
美森「ロクショウ、行ける?」
ロクショウ「それしか手段が無いのなら」
友奈「メタビーも、やれる?」
メタビー「なんかよくわかんねーけど、やるしかねーよな!」
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chapter21 降臨、オメダモン
十蔵「いいか?お前達のメダフォースを、オメガナイツのパイルドラモンに送る。お前達はただ、メダフォースを発してくれれば良い。後は私の装置がやってくれる」
ロクショウ、メタビー、オメガナイツの背中に無線装置のような機械を取り付けつつ、十蔵が説明する。
ロクショウ「メタビー、準備は良いか?」
メタビー「やれるだけの事をやるだけだろ」
ロクショウ「フッ・・・・そうだな」
メタビー「おい、ロクショウ」
ロクショウ「なんだ?」
メタビー「全部終わったら、ロボトルしよーぜ!」
ロボトル「良いだろう。お前となら、良いロボトルができそうだ・・・・」
十蔵「良し・・・始めてくれ!」
準備は整った。
ロクショウ「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
メタビー「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
メタビーとロクショウがメダフォースを集め始める。
十蔵「どうだ!?」
ドルモン『─────駄目だ。エネルギーが足りない。少しだけ足りない』
園子の端末からエネルギー管理を担当しているドルモンの報告に、十蔵は渋い顔をする。
十蔵「やはり二体分だけでは・・・・・」
友奈「勇者部六ヶ条一つ!なるべくあきらめない!!」
D-3を構えた友奈が叫ぶ。
友奈「アルゴモンに出来たんだ・・・・私達にだって、できる!!!」
メタビー「そうだ!!それに、ロボトルに勝つのは、強ぇ奴じゃねー!!」
ロクショウ「諦めない方が勝つ・・・・か。良い言葉だな!」
オメガナイツ「こんな程度のピンチ、前にも乗り越えられたんだ!今回だって───────!!」
四つの心が一つに合わさった、その瞬間、友奈のD-3から光が溢れ出した!
光はそのまま、装置に繋がれた三体を包み込み卵のような形になると、アルゴモン究極体に匹敵する程の大きさにまで成長する。
美森「な・・・・何?」
園子「ドルるん、何が起きたの?」
ドルモン『わ・・・わからない。だが、これは─────』
やがて、光の卵がほどけるように消えていくと、中から全く未知のデジモンが現れる。
美森「ロクショウ・・・?」
友奈「メタビーっぽくもあるよ・・・?」
ドルモン『どうやら、メタビーとロクショウとパイルドラモンがジョグレス進化したようだ』
園子「メダロットとデジモンが・・・・ジョグレス進化?」
ドルモン『名付けるとすれば、“オメダモン”といったところかな?』
┌─────┐
│オメダモン│
└─────┘
聖機士型デジモン
戦闘においては、頭部に一定ダメージを受けない限り、機能停止せずに戦い続ける。
ナノマシンによる自己修復機能を備えた超金属『サイプラシウムデジゾイド』で造られた装甲は、戦闘で受けたダメージを次戦迄に完全回復することができる。
必殺技は、一斉射撃で敵を穿つ左腕武器『ビートルキャノン』と、どんな敵をも唐竹割りする右腕武器『シザースソード』だ!
アルゴモン「ンンンン???なんだぁ、お前・・・・この私に殺られに来たのかァ???」
アルゴモン究極体が気付き、オメダモンと対峙する。
いよいよ、最後の戦いが始まる。
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chapter22 最後の戦い
二体の究極体が相対する。
アルゴモン「今更出てきたところで・・・・!!!」
先手必勝!とばかりに『テラバイトディザスター』を放つ。
迫る無数の光線を、しかしオメダモンは、冷静に『シザースソード』を振るい、弾いてみせた!!
アルゴモン「っ!やるじゃないか・・・・ならばこれはどうだ!!」
続いて、オメダモンを取り囲むように、触手を伸ばす。
対するオメダモンは左腕の『ビートルキャノン』を一斉射撃!取り囲まんとしていた触手を撃退せしめたのだった。
アルゴモン「なっ・・・・なっ・・・・なぁぁぁ!?」
驚くアルゴモン究極体の隙を付き、オメダモンは急速接近。そのまま『シザースソード』で唐竹割りにし、追撃の『ビートルキャノン』を体内に向けて一斉射撃した!
アルゴモン「ぐ・・・・ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
怒涛の連撃にアルゴモン究極体は堪えきれず、完全に消去されたのだった。
友奈「────────やった?」
美森「やったのね・・・・!」
ドルモン『いいや!まだだ!!!』
ドルモンからの警告に、勝利ムードに移行しかけていた空気が変わる。
ドルモン『ネットワーク内にいる幼年期のアルゴモンが、一つに集まり始めた!!奴は向こうで、また復活するつもりだ!!』
アトム「なんじゃと!?それでは対処のしようがない!!」
園子「ドルるん、場所は?」
ドルモン『────────メダロット達のネットワーククラウドだ。通じている場所が分からないから、行きようがない』
美森「そんな・・・・どうすれば」
と、その時だった。
???『お困りかしら?』
友奈のD-3から、聞き覚えのある声が聞こえてきたのだ。
友奈「レイさん!!」
レイ『久しぶり。そちらに送ったブイモンから、報告が途絶えたから通信したのだけれど・・・・何をすれば良いかしら?』
友奈「じ・・・実はかくかくしかじかまるまるくまぐまということなんです!!どうにかできますか!?」
レイ『独立したネットワーククラウドだなんて、興味深いわね・・・・その程度なら簡単よ。はい、おしまい』
ドルモン『─────うわ、ネットワーククラウドが観測出来なくなった。何をしたんだい?』
レイ『接続を切り離して完全に孤立させたのよ。これでもう、奴はどこにも行けない』
十蔵「む・・・・・無茶苦茶が過ぎる」
レイ『それにしても・・・・デジモンをリアライズさせられる金属だなんて!!後でサンプルを貰えないかしら?是非とも調べてみたいわ!』
アトム「あー・・・うん。そうじゃな。後でブイモンくんに持たせよう」
レイ『今回の報酬として、受けとるわ♪じゃ、よろしく頼むわね』
それだけ言って、レイからの通信は途切れた。
友奈「──────えっと、もう大丈夫?」
園子「じゃ、ないかな・・・・」
美森「サクヤモン?」
サクヤモン『話は聞いていた。アルゴモン達が溢れていた穴は無くなったし、アルゴモンの姿もどこにも見当たらない。もう大丈夫だろう』
サクヤモンからのお墨付きに、友奈は思わず脱力して尻餅をつく。
友奈「お・・・・終わったぁ~~~~」
こうして、とある八月の一日に起きた事件は、幕を閉じたのだった………
次回、エピローグ
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chapter23 エピローグ
数日後────────
春信「─────なるほど、そんな事が」
夏凛「らしいわ。私の方は暴走メダロットの対処で忙しかったから、後で知ったけど」
冷房の効いたサイバー課・特殊犯罪対策室内で、三好兄妹がアイスを食べつつ、先日の事件について話し合う。
“藍原の遺産”から端を発するこの事件について、メディアでは「デジタルハザードの再来」等と語っている局もある。
夏凛「まぁ、間違ってはいないわよね。全部あのアルゴモンとか言う人造デジモンが原因なんだし」
春信「しかし、責任の一端を持つ陸十蔵氏は逮捕。メダロットも、ダイパン社が自主回収した。もうメダロットのようなロボットは出てこないかもなぁ・・・・欲しかったのになぁ・・・・」
夏凛「大丈夫でしょ」
春信「なんで?」
夏凛「兄貴みたいな声が、元メダロッター達から上がってるもの。いずれ、安全性を見直された新しいメダロットが世に出回るようになるんじゃない?」
春信「本当に!?」
夏凛「食い付き良いわね・・・・本当よ。だって─────」
友奈「─────────暑いね」
メタビー「──────────暑いな」
ワームモン『二人ともー、もっとしゃっきりしなよー』
友奈「だってぇ~~」
メタビー「だってよぉ~~」
ワームモン『似た者同士か』
あれから、ダイパン社に回収されたメダロット達だったが、一部の暴走しなかったメダロットは簡単なメンテナンスとリミッターの見直しだけを受けて、持ち主の元へ返された。
メダロットの存続を望む声が多かったが故の措置である。
メタビー「・・・・結局さ」
友奈「うん?」
メタビー「アルゴモンの奴、現実世界に出て、何がしたかったんだろーな」
友奈「・・・・・・・・・・なんだろうね」
メタビー「────────なぁ、友奈」
友奈「うん」
メタビー「オレ、旅がしたい」
友奈「うん」
メタビー「いろんな場所に行って、いろんな物を見てみたい」
友奈「・・・・うん。良いと思うよ。私はついて行ってあげられないけど」
メタビー「・・・・そっか」
友奈「でも」
メタビー「ん?」
友奈「いつでも、帰ってきていいからね。メタビー」
メタビー「─────────うん!」
と、そこに東郷とロクショウがやって来る。
美森「お待たせ友奈ちゃん」
友奈「ううん、待ってないよ!」
ワームモン『さっきまで暑い~~って言って溶けてたくせに』
友奈「ちょっとワームモン!?」
美森「うふふ♪それじゃ─────」
ロクショウ「メタビー殿」
友奈「うん」
メタビー「あん時の約束、果たすとすっか!」
Mr.うるち「合意とみてよろしいですね!!!」
友奈「早い!?もう出た!」
Mr.うるちの声に、近くで遊んでいた子供たちも集まってくる。
メタビー「負けても恨みっこなしだぜ?」
ロクショウ「それは此方の台詞・・・・参る!」
メタビーとロクショウが構える。
Mr.うるち「それでは──────!」
これにて終幕!
お疲れ様でした~~♪
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