自称名探偵の虚勢。 (har2441)
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転生オリ主と小さくなった名探偵

処女(作)です



 ――この俺、名探偵杏一(きょういち)は転生者である。

舞台となるのは事件で町興しでもしているかのようなイカレた犯罪率の名探偵コナンの世界。

まぁ、実際転生してみて思っていたよりかはちゃんとした世界だったので快適には暮らさせてもらっている。

俺の周囲の状況に目を瞑ればな、まぁそんなことはどうでもいい。

 

俺がこの世界に転生して驚いたことは山ほどあるが、人様に話すような事となれば実に4つに絞れる。

 

まず一つ目、俺には死んだときの記憶がない、__というのも気が付いたら既に赤ん坊としてこの世に生まれていた。

本当に突然だった、大学で講義を受けた後さあ昼飯だと食堂に向かって歩いていたら瞬きの間に赤ん坊になった。自分でも何を言っているのか理解できない。

だが、そんな時でも驚愕の余りに叫ぶようなことは俺はしなかった。そこはこんな意味の分からない状況の中で最も自分を褒めたい部分だ、すぐに尻を叩かれ無理やり泣かされたが。

 

二つ目に、赤ん坊の生活が続き視界がぼんやりとしたものでなく、くっきりと見えるようになって来た時の事だ。

この世界と俺の元居た世界の画風がそもそも違っていた、…何を言っているんだろうコイツは。

これをどう説明したらいいのか俺には分からない、ただ言えることはこの世界はアニメの世界にそのまま入ったような場所だった。VR(ヴァーチャルリアリティ)の空間でアバターに憑依した感覚が一番近いだろうか。

 

三つ目、一周回ってこの世界が楽しくなり始めた頃、俺は移動範囲が赤ちゃんベッドだけだったのですることが無く親がつけっぱなしにしていたテレビを双子の妹と見ていた時の事だ。

 

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この世界が名探偵コナンの世界かそれに限りなく近いものであることが分かった。

赤ちゃん生活1年と少しで漸く自分の状況が何と無く分かってきた。

 

そして四つ目は__

 

「コナン!僕の名前は江戸川コナンだ!」

()()()である主人公、工藤新一の子供のフリを見た事だ。

この場合驚いたというよりかは笑いを堪えるのに大変だっただけだが。

 

 

 

 時を遡ること10分前、

『でね、聞いてよお兄ちゃん!新一ったら帰る途中でいきなり「先に帰っててくれ」なんて言ってさ、すぐに追いつくからって言ったのに全然来ないし!』

 

今、俺は()である蘭の愚痴を電話で聞いている。

というのも転生した俺はこの名探偵コナンの世界に毛利蘭の双子の兄、毛利杏一として生を受けたのである。

蘭とは双子ではあるのだが、子供のころから俺の精神がすでに成熟しているおかげで、年の離れた兄弟のように慕われている。

そのこともあり蘭からは度々新一との愚痴や惚気話の話し相手にされることがある。

 

『ねぇ、聞いてる?』

「ああスマン聞いてるよ。で、今から新一の家に行くのか?」

『うん…、さっきから電話も繋がらないし…心配だから新一の家に行くつもり。』

「そうか、俺も今向かってるから後で会おう。」

『え?お兄ちゃんも来るの?』

「少し用事があってな。」

 

それじゃあな、と言って電話を切る。飲んでいた缶コーヒーをゴミ箱に捨て、止めているバイクに跨り出発する。この距離ならば蘭より早くに着くことが出来るだろう。

 

 

 この世界では俺が生まれるという想定外はあったが大体が原作通りに物語は進んでいる。

そう、原作通りに毛利家では今、離婚こそしていないが別居中で俺は母さんと蘭は父さんと暮らしている。本当ならば蘭が母さんと暮らす予定だったのだが新一や園子などの友達とお別れさせるのは酷だろうと今の形になった。

まぁ、俺と別れることになっても蘭は泣いていたのだが、母さんを説得して携帯電話を買ってもらい蘭には何時でも電話をかけていいように伝えて何とか泣き止ませた。

別居しないように頑張るのも考えたのだが、原作にどれだけ影響が出るのか計り知れないのであまり邪魔しないようにして来た。が、蘭にあそこまで泣かれるのならば頑張ったほうがマシだったかも知れない。

 

っと、もう着いたか。

やっぱりバイクは便利だな、コナンの世界で暮らすなら持っておきたい技能だ。

バイクを何処に停めようか考え工藤の家の門を見てみたら、小学一年生ぐらいの子供と口に立派な白髭を生やしたふくよかな爺さんが話をしていた。

というかコナンとアガサ博士だが、今ちょうどコナンが自分を新一だと証明するために推理を披露し終わったところのようだ。

ちょうどいいのでここで話に入れてもらおう。不信感を持たれないようにコナンを新一だと気づいていない体でな。

 

 

 

<コナンSide>

 

 俺の名前は工藤新一、数々の事件を解決してきた高校生名探偵だ。

俺は幼馴染で同級生の毛利蘭と遊園地へ遊びに行ったが、殺人事件に遭遇してしまう。

俺はこれを難なく解決、だが帰る途中殺人事件の時にいた怪しい黒ずくめの男を追いかけ

怪しげな取引現場を見つけてしまう、見るのに夢中になっていた俺は背後から近づくもう一人の仲間に気づかなかった…。

男に毒薬を飲まされ、目が覚めたら…子供になっていた‼

 

 

 

(クソッ…俺は自分の家にすら入れねぇのかよ…!)

子供になった工藤新一は自分の家の前まで自力で帰って来たが、門を開けるのに手間取っていた。

体が小さくなる前までは当たり前のように開けてきた門でさえ今の新一には高い壁でしか無い。

 

そうしていると隣の塀からいきなりドゴンと爆発が起こり煙の中から、白い髭を生やした恰幅のいいお爺さんが大きく咳き込みながら出てきた。

 

「アガサ博士!」

そのお爺さんは、隣に住んでいる自称天才発明家の阿笠博士だった。

(博士なら何とかしてもらえるかもしれねぇ!)

そう淡い期待を持ちながら新一は博士に近づき、自分が工藤新一だと説明する。

 

当然、いきなり子供にこれは小さくなった姿だと言われて、直ぐに信じる人間は少ない

それどころか警察に突き出される一歩手前になりかけた、がしかしここで新一は

持ち前の推理力で、先ほど阿笠博士がレストランコロンボから急いで帰ってきたことを推理して見せた。

 

「初歩的なことだよ、アガサ君。」

笑いながら大胆不敵にそういう少年の姿は、まさしく博士の知っている工藤新一そのものだった。

 

博士に工藤新一であると証明することができ、詳しく説明しようと家に向かおうとする新一に、

 

「_よう、ボウズいい推理だな。」

 

背後からいきなり、くぐもった男の声が聞こえた。




続く…(続かない)

誤字、脱字がありましたら報告して頂けると有難いです。


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江戸川コナンと転生オリ主と毛利蘭

結構頑張ったと思いませんか?僕は思います。

※ほんの少しだけ狂人っぽい描写があります。


 よう、この前語りも二回目だな。忘れちまったか?俺だよ俺、ハンb…杏一だよ。

 

さて、唐突だが皆さんは自身が転生や転移、やり直しなどをする妄想をしたことはあるだろうか?

俺も転生する前はそんな妄想している事が多かった、授業中とか。

夢の中でチート転生した時なんか起きた時も楽しくて高揚感が抜けなかった、先生が鬼の形相だったけど。…そんなことはどうでもいい。

 

じゃあ、実際に転生したらどうなるか?哲学になる。

そもそもチートやら転生やら転移なんてものは想像や創作の中の話だ、では俺は何だ?

転生原作知識持ちオリ主?そんなこと言ってるじゃあない。

俺を今いわゆる第四の壁の向こうに話しかけてる痛い奴だとか物語を白けさせる奴だと思われてるかも知れないがそれは違うと否定させて欲しい、いや痛い奴という評価はあってるか。

転生が創作の中だけの話とするならば、俺は架空の存在なのか?壁に語り掛けたくもなるだろう。因みに今、電気を消した真っ暗の部屋で自分にスタンドライトを向けて壁に喋っている。眩しいし普通に電気付けよ。

 

話が脱線したな。

俺は俺だ、しかし今こうして俺は二次元の中にいる、しかも画風が違う*1だとかなんだとか言っているが俺がいた三次元とは本当に存在していたのか?俺が存在を主張しても、いるかもわからない壁の向こうの奴らには当然のように否定されるだろう。

 

そうなると俺の知っている名探偵コナンという物語はどうなる?壁の向こうの世界では本当にコナンが主人公なのか?もしかして推理物の漫画の世界に謎の力で転生した俺が主人公で、俺がお茶の間で放送とかされてる可能性はゼロか?

俺は決めれる立場じゃないが決めることが出来るのは俺だけでは?

 

話が難しくなってきたな、要約すると<架空のゲームの世界に転生する主人公>がいるだろ?なじみ深ければラノベでもいいし、俺が前の世界で見てたハーメルンとかなろうとか適当な小説投稿サイトでもいいが大体想像できたか?

要は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

はっはっは、思考が狂人のそれだ、危ない奴だなコイツは。

 

因みにそこのいるかどうかも分からない壁の住人の皆さんは、名探偵コナンを知ってる?

えっ!知らない!?あの興行収入100憶の男の安室零さんとか米花町の歩く死神を?!

そりゃいけねぇや

――――――

(~コナン語り中~)

―――――――――――

ふぅ…これで皆コナンを知っているという体で話せるな。えがったえがった。

 

…さて、宴もたけなわだしそろそろ本題に移ろう、俺のこれからの行動方針の話だ。

ぶっちゃけ今の話を聞いてもらった通り俺はコナンを最終話まで見れていない、つまりどのルートで行ったら一番面白そうなポジションになるか分からん。

結局、浅知恵で考え付いたキャラ設定で行こうと思う。

具体的に言うと―――

 

 

 

 ―――…バイクのライトを背に受けると、余計な事まで思い出す。中学の痛い思い出だ。

結局あの後、母さんがドアをノックした事により俺の狂人的な行動は途中で終わった、その後は萎えてしまって続きをすることは無かったがあのまま続けていたら俺は本当に狂人になっていたのかも知れないな。自分勝手なことだが、母さんには感謝してもしきれない。

 

「_よう、ボウズいい推理だな。」

 

コナンが怖い顔をしながら振り返る、いやマジで怖いな目で俺を貫く気か?

あぁ、分かったさてはコイツ俺がヘルメットしてるから誰か分かってないな?

 

「おい、誰だよおっさん。」

 

駄目だ完全に警戒してんなコレ。

「はは、おっさんは無いだろう…、高校生だぞ。」

 

ヘルメットを脱ぎながら答えると、コナンの表情が目に見えるように変わっていく。

 

「オメー、杏一かよ!無駄に焦ったぜ。」

 

凄い呆れた顔で言ってくると俺が悪いみたいじゃないか。

「何故ボウズがオレを知っている…?まぁいい、お久しぶりですアガサ博士。」

 

「おお、久しぶりじゃのぉ杏一君。」

博士は相変わらず太ってる。昔の作画のせいで余計に太って見える。いや、新しい作画でも太ってるか。

 

「そんなことより!いいタイミングだ杏一!実はオレ_」

「まぁ待て、取り合えず中に入ろう。」

 

雨が降ってんだろ?と、言うと話を遮られたことに不満そうだったコナンも、アガサ博士と一緒に渋々家に入っていく。

俺も__っとライト消すの忘れてた。

 

 

 家の中に入った後、シャワーを浴び終わったコナンが書斎室で子供の頃の服に着替えながら自身に起きたことを説明してくれる。

 

「それで俺に警戒してたのか?」

 

「オメーが紛らわしい現れ方だっただけだっつの」

 

…?紛らわしかっただろうか、声には出さなかったが俺が疑問に思ってるのを感じ取ったのかコナンが話す。

 

「ヘルメット被ってるせいで、声はくぐもってるし顔は分かんねえし、おまけにライトで逆光しててオメーの青いスーツが黒く見えてるしよ、これで怪しくない訳ねーだろ。」

…全面的に俺が悪かったわ。

 

「済まなかったな…。」

 

コナンが大きくため息をつき、それにしてもよ、と続ける。

「ダッセー…、ガキの頃の服がピッタリだぜ。」

 

「似合ってるぞボウズ」

 

「るっせ、そのボウズ呼びやめろ。」

 

じゃあその見た目の時の名前を付けとくんだな、と言うとコナンはフンとそっぽを向いて話を戻す。

 

「でさ、頼むよ博士天才だろ?体を元に戻す薬を作ってくれよ。」

 

そのまま博士とコナンは話を進めていく、要約すると。

そんな薬作れん→じゃあ俺が飲んだ薬があればどう?→それならまぁなんとか…

そして、ここで博士が忠告をする。

 

「いいか新一。君が生きていると分かったら、奴らはまた命を狙ってくる。」

博士がコナンの肩を掴みながら言う。

「このことはわしと杏一君と君だけの秘密じゃ、誰にも言ってはならんぞ、勿論蘭君にもじゃ。」

 

 

「新一?いるのー?」

言うが早いか、噂をすれば蘭の登場である。俺は目立たない位置の本棚に、もたれかかっておく。

コナンは机の裏へ、博士はそれを隠すようにそれぞれ移動する。

と、ここで蘭が入ってくる。

 

「帰ってるんなら電話くらい出なさい…、あれ?アガサ博士、新一は?」

 

「いやぁそのう、さっきまでいたんじゃがなぁ。」

 

博士が誤魔化していると、机から物音がする。

てか星まで見えたぞ今、どうなってんだそのメガネ。

 

コナンと蘭が話始めたが、曲がりなりにも幼馴染である事もあり新一が子供のフリをしてるのを見ると何か笑いが込み上げてくる、既に若干辛い。

 

「コナン!僕の名前は江戸川コナンだ!」

 

「ふ、フフ」ダメだ漏れた。

 

「あれ?お兄ちゃん居たの!?」

どうやら俺の事は完全に気づいていなかったようで、大きな声を出して驚いている。

足元の江戸川コナン君は笑った俺に対して恨みがましそうに睨みつけてくる。

 

「いや、今日の用事というのもコナンの件でな。

前会った時は生意気そのものだったんだが、お前にたじたじのようで少し笑ってしまったよ。」

 

別にこれ以外の用事がないというわけじゃないがちょうどいいしそう説明しとこう。

しかし、こんな説明をされてコナンが良い気分になるわけもなく、睨みつけてた目が一層と厳しくなる。更に笑っといてやろう。

 

「そ、そうじゃ蘭君!すまんが少しの間その子を預かってくれんかのぉ。」

そこから先はとんとん拍子に話が進み、無事コナンは蘭の家に転がり込む事になった。

 

話が終わり時計がちょうど六時に回る。

蘭が夕飯を作らなきゃと、コナンと帰る準備を始めた。

 

「せっかくだから俺は事務所に寄ることにするよ。」

先に玄関に出てバイクに跨りながら言うと、蘭がコナンと手をつなぎながら玄関から出て来る。

 

「うん、分かった、夕飯は食べていくの?」

 

「いや、少ししたら帰るさ。」

 

「せっかくなら食べて行けばいいのに。」

薄く笑いながら蘭が言う、ホントに蘭の料理が母さんに似なかったのは奇跡的だが今回は見送らなければな。この後の誘拐事件が始まってしまったら流石に夕飯を食べる程の時間の余裕がない。

 

「それじゃあ、また後でな。」

 

手を少し振り発進する。

少し進んだ後、信号で止まるとポケットの中で先ほど博士から貰った発明品を手遊びに暇をつぶす。この発明品は一応今回ここに来た用事の一つだ。

さっきコナンには博士から受け取っていた所を見られていたのでその内聞いてくるだろう。

 

いやしかしさっきの新一の子供のフリは面白かったな、俺はここに転生してから驚いた事はまぁ3つぐらいに絞れるが、あれは4つ目になるかもしれないな、笑うのを堪えていただけだが。

 

 

 

 …ここに転生してから俺の中で色々なことが変わった。

何で俺が転生したのか今でもわからない、元々俺はバラ色のとはいかないがそこそこの大学に行ってそこそこの生活を送ってた、そりゃ中学とか高校の時とかは転生してみたいとか思ったことはあるが、大学に通い始めてからそんなことを思ってた事は無かった。

 

別に前の世界で、自殺を考えた程思い悩んだ事もないし、取り返しがつかない程の事をやらかしたこともなかったし、裕福だったわけじゃないが貧乏でもなかった、何もとりえもない普通だった。

だけど、普通が嫌いになったこともなかった、普通になりたくてもなれない人は沢山いたし、そこそこの大学だって落ちる人がいるからそこそこな訳だし。

 

だが、それでも俺は…普通が嫌いだったのかも知れない。

 

母親は弁護士で裕福な生活ができる!

転生して目に入れてもいたくない程可愛くて純粋で俺の事を兄ちゃんと慕ってくれる妹ができた!

世界的に有名な推理小説家とこれまた世界的な女優の間に生まれた天才名探偵の幼馴染ができた!

自分は前世では到底無理だったような運動だって出来るし天才と呼べるくらいには頭も良い!

主人公の幼馴染という立場を使って原作知識で相手に何もさせずに詰ませることができる!

 

ふとした時に思い出す、俺が転生した瞬間の事を、

 

    __嗚呼、俺はやっと普通じゃなくなったんだな。

 

俺は生まれ変わった時から虚勢を張っている。

自分が普通じゃないという虚勢、

自分は選ばれたんだという虚勢、

自分は何でもできるという虚勢…。

 

俺を見るな、俺という普通の塊のような奴を。

俺を見ろ。俺という普通じゃなくて、選ばれた人間を。

 

中学の時、俺は成るべくして成りかけたんだろう狂人に。

 

 

信号機はとっくに青だ、さっきからクラクションが煩い。とっとと行くから黙ってくれ。

 

転生したって考えてることは変わらない、煩いものは煩い。

「随分と詩的だな…。」

 

また虚勢を張った、

自分は何も悪くないという虚勢を。

 

 

「もう、着いたか。」

()()()事を考えながらでもバイクを運転できるほどには要領もいい。

 

最早、何処までが虚勢で、何処までが本音か自分では分からない。

「それは、前世でも同じことだったな。」

 

前世でも虚勢を張っていた。

普通が嫌いじゃないという虚勢、

オレの人生は虚しくないという虚勢を。

 

 

「ただいま。」

 

「杏一、オメェ何でここに⁈いやちょうど良い、今依頼が入った!生活費がかかってんだオマエも来い!」

自分の仕事に踏み込ませるぐらいには信用されていて、俺は嬉しいね。

 

「はいはい、場所は?…ここだと高速乗るから俺はバイクで行けないね。」

 

「んなモンどうでもいい、とっととタクシー探すぞ!」

 

もう外に出てら。行動が早いのは流石元刑事って所か。

 

「おーい!タクシー!!」

っと、このままじゃ置いてかれるな。早く向かおう。

 

 

この後は特に何もなかった、原作最初の事件はジェットコースターで終わってるし、

わざわざ二回目の事件を取り上げる必要はないだろう。

 

俺のやることは変わらない、工藤新一や毛利小五郎を手助けするように見せて、

原作知識を勘と言い張って事件を解決させる。

 

普通じゃなくなっても考えることは凡人以下、これが俺という名探偵だ。

真実はいつも一つらしい。

 

*1
前話




え?
「原作は1994年から連載で、しかも幼少期なんてさらに昔なのになんで携帯電話あるんですか?」(前話の話)
って?なかなかいいこぶし持ってるねェ、君ィ…今のは効いたよ…。

「なんか話短くないですか?」
話の終わりが、作者のやる気の尽きたところさ。今回は長いよ、割と。

「後書きでスカしてる人は痛い人だってばっちゃが言ってた。」
ごめんなさい…。

「コナン口悪くない?」
口調どうすればいいのか分からん…。初期って大体こんなんじゃない…?

先んじて言っておくと、画風が違う発言はオリ主が一歳ぐらいの時の話です。
前語り二回目発言はボツになった一回目の事を言ってます、前話の事じゃないです。

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虚勢探偵のふざけた未来予知。1

4、5月はすごく忙しい。
ちぃおぼえた。
凄いお待たせしました…。
またお待たせすると思いますが気長に宜しくお願いします。


 よう、この感じも久しぶりな気がするな、杏一だ。

 

俺は今すごく悩んでいる。前語りとかどうでもいいことを考えてる余裕が無いくらいには。

そう、コナンの世界に転生したオリ主の大体がやっている、あることについてだ。

 

簡単に言うと人助けである。

だが、これをやる側は全然簡単じゃない。

そもそも、どの事件がいつ起きるかとか思い出さなければいけないし。

 

 

 さて、原作開始からもう二日目になる今日この頃、時刻は大体18:30ぐらいだ。

そう明日始まるのである。〖迷探偵を名探偵に〗もとい、〖アイドル密室殺人事件〗が。

沖野ヨーコの元カレ君が深い後悔と憎しみの果てに、沖野ヨーコを犯人だと思わせるトリックを作り自殺する。というなかなか重い話だ。

だが、実際に沖野ヨーコが何かをした訳では無く、周りの人間と偶然によって起こされた悲劇で割と救われない真相だ。

 

じゃあさっさとその元カレどうにかしてやれよ。と思われるかも知れないがそうもいかない。

沖野ヨーコとはいわゆる準レギュラーなのだ、この事件をきっかけに毛利探偵事務所と友人関係になる、つまりここで下手に介入するとこの先関わることが出来なくなるかも知れない。

 

それは困る、困るのか?いや分からんわ。沖野ヨーコと関わらなくなって困るのって何の時だ?…まぁ、置いておこう。

それはともかくだ、この事件は毛利小五郎が眠りの小五郎として活動していくきっかけともなる、だからこの事件は割と重要なのだ。

 

…だがここまで言っておいて何だが、俺が今悩んでいるのは沖野ヨーコとの関りや眠りの小五郎の誕生の事などでは無い。

 

__原作で死ぬはずだったキャラクターが生き延びる。

 

簡単な事だ、今の俺は人の生き死にを取捨選択出来る。人の命は平等か、否か。

 

 

 コナンの二次小説では、〖ピアノソナタ「月光」殺人事件〗の男の娘や、灰原哀の姉である宮野明美、この二人は生き延びることが多い。それは何故か?

死んでほしくない、と思う読者がいるからだろう分かりやすい話だ。

 

実際、亡き父の復讐劇を果たした男の娘は島の公民館に火を放ち、燃え盛る炎の中ピアノと一緒に死んでいく。それを真相まで見届けた視聴者や読者に向かって感情移入するなと言う方が無理な話だ。

 

宮野明美は言わずもがなだ、その最期もそうだが灰原の悲観に暮れた姿を見れば、もし生きていたらと考えてしまうのも無理はない。

 

で、ここで話を戻そう。この二人が二次小説で生き延びることが多い理由は分かった。

だが、元カレ君を含むその他モブを生かそうとする二次小説はかなり少ない。

ほんの一握りの更に一握りだ。では何故助けないのか?

 

性格が悪いから?見た目が良くないから?感情移入出来る程その人を知らないから?

そもそもモブまで書くのがメンドクサイから?…これは少し違うか。

 

じゃあ、これらの理由とあなたが自殺志願者ではない事を前提として一つ質問してみよう。

 

あなたの目の前にいきなり殺人鬼が現れ、

『俺はお前の事を良く知らないし、お前は見た目も良くない、しかも性格が悪そうだから生かす理由が無い。』

と言うと、あなたの事を殺しました。納得できますか?

 

…色々ツッコミ所はあるだろうが大方の答えが『ふざけるな』だと思われる。

納得出来るわけがない。自分の事を良く知りもしないで手前勝手に殺すな、と思う事だろう。

いや良く知られていたとしても殺されたくはないか。

 

そうなるとここで俺が元カレ君が死ぬのを何もせず放置するのは如何なものだろうか。

俺が直接殺すわけでは無いにせよ俺は助けることが出来る知識を持っていて、俺が助けることを阻害するものは無い。たとえ自殺だとしても、それが勘違いによって起こる事を知っている俺が見て見ぬふりをするというのは正しく見殺しというものだろう…。

 

 

まぁそこもどうでもいいんだが。

大体ジェットコースターの殺人を放置してるし今更な話だな。

 

モブは所詮モブ、読者の目に留まることすら出来ない奴は感情移入もされない。

そして、毎回毎回死んでいく被害者を、これまた毎回毎回感情移入する奴は、コナンを見ない。

 

読者が死者に感情移入しないのはコナンという作品を見に来ているからで、

この世界のモブが死んだところで、読者には『おっ、始まったな。』ぐらいの感想しか出ない。

俺もここで暮らして早17年だが、そんぐらいの感想しか出ない。新一が知ったらキレるだろうな。

 

そもそもの話、名探偵コナンという物語が事件を題材としている以上、全ての人間を救うなどという事は不可能な話だ。

 

じゃあ一体何に悩んでいたのか、だって?

世界へい…冗談だ。

悩んでいることは勿論、人助けの事だ。

悲劇や勘違いで起こる事件の、と付くが。

 

ただのモブは感情移入されないが悲劇のモブは感情移入される訳だ。生きるって難しいね。

で結局、今回の事件は助ける対象に入るのかどうかという問題で俺は今悩んでいる。

 

確かに元カレ君は勘違いを起こして死んだ、があんまり助ける気が起きない。

元恋人にひどく拒絶されたと思って自殺した。少しは理解できる。

だが、だからって罪を被せる様にする必要はあったか?

絶望して自殺を考えたとして、本当に自殺にまで行動を移せる奴とかむしろ珍しいのでは?

いやまぁ気持ちは分からんでもないからここまではいい。

 

一番の問題は、助けた後の元カレ君が何するか皆目見当もつかない事だ。

自殺するまで追い詰められた人間を相手にしたことなんてないし。

ましてや恋愛感情なんか俺は知らんから共感できない。

というか手間のかかったトリックを作っているとき、ずっと自殺しようと考え実際に自殺するほど熱意を持った人間を止められるのか?止めたとして、その熱意はどこに行く?

最悪、マネージャーを殺すのはあり得るし、沖野ヨーコと無理心中しそうなんだが。

 

せっかく助けても何するか未知数過ぎて助ける気力がどんどん削がれていく。

意外とあっさりと話が通じる可能性もあるが、あんな時間のかかるトリックを作ってる最中に正気に戻らないのが怖すぎる。覚悟決まりすぎだろ、侍かなんかか?

 

どうすっかなー、沖野ヨーコって芸能人だから当たり前だけど、どこに住んでいるか普通の方法じゃ分からないんだよな。元カレ君は知ってるっぽいけど。やっぱ怖えよお前。

 

はぁ、今日はもう寝るか。明日の俺に全て任せよう。

 

 

 

次の日の学校。

昼休みに、屋上で俺の協力者と話していた。

 

「―――頼むよ、俺達トモダチだろう?」

「オメーのは脅迫だろうが」

 

本来、屋上は閉鎖しているが協力者お得意のピッキングで入っているので俺達二人以外に人の姿はない。

 

「なんだ正体をばらして欲しいならそう言ってくれ」

「やっぱ脅迫じゃねーか!ったくよ、そん代わりに今度爺ちゃんとこでバイトしろよ?」

「分かった分かった。」

 

協力者には昨日沖野ヨーコの住所を調べてもらうように頼んでいて、今情報を受け取っているところだ。

 

「それにしてもオメー、アイドルの住所なんて何に使うつもりだ?」

「何って…人助けだ。多分な。」

 

そういうと、ちょうど学校のチャイムが鳴り始めた、急ぐほど教室から遠いわけでは無い。

が、これ以上はここに居る意味もないだろう。

協力者も同じように考えたのか、俺は協力者と一緒に教室へ戻り始めた。

 

 

 

 

 

 学校が終わり、家に帰ると蘭から電話が来た。

 

新一がもう三日も連絡がつかず、しかも家に帰った様子も無いのでなにか知らないか。

と、泣きこそはしていないが、かなり心配しているようだ。

どうやら昨日博士とも話をしたらしく、その日は一旦納得したけども今日も学校に来ていなかったので俺に相談をしに来たらしい。

 

『今難事件を追っていて連絡する暇もないらしい。俺の方からアイツに電話を掛けるよう言っておくから心配するな。』

 

そう言ってやると蘭は少し安心したのか、分かったと電話を切った。

…本当のことを言えないのは心苦しいが言えるような内容ではないし仕方が無い。

 

携帯に目を向けながら心の中で蘭に謝っていると、またもや携帯から着信音が鳴る。

今度は何だと電話に出てみれば、深刻そうな声をした江戸川コナン(工藤新一)に話をしたいから米花公園に来てほしいと言われた。どうやらこっちもこっちで、俺に相談したい事があるらしい。

 

 

「…頼むぜ杏一、せっかく探偵事務所やってるお前の父親のところに行ったのに、黒づくめの男の情報なんて一向に来ねぇ、このままじゃずっとこの姿だぜ…。お得意の未来予知でどうにか出来ないのかよ。」

 

自販機で買った缶コーヒー渡していると、小さく溜息をつきながらコナンが話す。

お得意の未来予知というのは、俺が事件を解決する時にいつも()()()()()()()()()()()()()()()()を読み取って解決するせいで、テレビや新聞に付けられた二つ名みたいなものである。

読み取ると言ってもそこまで凄いものでもなく、ほぼ勘みたいなものである。この世界での俺の身体スペックが無駄に高いせいで、人の仕草とかに目敏く気づいてしまうのだ。

しかし、俺が事件を解決する事は滅多に無いので、世間一般では違う呼び方が主流になっている。俺はあまり気に入っていないが。

 

「俺が本当に未来予知が使えたとしたなら、平成のホームズは子供に戻る事が無かっただろうよ。それに、お前はいつも未来予知に否定的だったろうが。」

 

まぁ知ってて子供に戻る事を黙認したけど。

というか、何時もの新一ならバーローと決まり文句を言った後未来予知を否定してくるだろうに、どうやらかなり参っているらしい。

 

「そりゃそうだよなぁ、どうにもならねぇ、か」

 

「ああ、こればっかりは機会を待つしかないだろうな。…それはそれとして、俺はこれから出かける用事があるんだけどお前はどうする?」

「ん?出かけるって何処にだよ。」

「少し部屋探しにな…。」

 

 

―――二人から少し遠い茂みの中…。

 

⦅コナン行っちまうぞ!⦆

⦅うん!あれ…?コナン君と一緒にいるお兄さん何処かでみたような…?⦆

⦅うーむ…あぁ!あの人ってもしかしてあの人じゃないですか?!⦆

⦅おい光彦!誰だよあの人って!⦆

⦅覚えて無いんですか元太君、あの名探偵工藤新一さんの助手の"平成のワトスン"ですよ!⦆

 

小さな探偵の卵たちも動き出す。




書き溜め?

 そんなもの
  うちにはないよ...


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