蒼の死神と呼ばれた少年に祝福を! (洟魔)
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プロローグ

はじめまして洟魔といいます。

これが初投稿なのでおかしい点があると思いますが頑張って行きたいと思います!


 

 

 

 

 

 

 とある場所に少年がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その少年の周りには6メートルぐらいの猛獣が10体倒れていた。

 

 

 

 

 

「よし、これでクエスト完了かな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少年はここにギルドのクエスト依頼で来ていたのである。その内容はグリフォン討伐だった。

 

 

 

 その少年は蒼い服装に装備は腰に黒い鞘、蒼い柄の刀

 

 髪は蒼く、顔は端正な顔立ちで、眼は翡翠色と藤紫色というオッドアイ。

 

 その少年の名前はユウ。

 

 「そろそろギルドに帰るかな、ルナさんにも心配かけてるし」

 

 そう言って少年はギルドへ向かった。

 

 

 

 【冒険者ギルド】

 

 ギルド内は人でいっぱいで、騒がしかった。

 

 酒を飲んで騒いでいたり、冒険話で盛り上がっていたりしていた。

 

 そこにユウがクエストを完了させて帰って来た

 

 ギルド内の人達が帰ってきたユウに気づくと歓声が広がった。

 

 「ユウさんおかえりー」

 

 「ユウ!帰ってきたか!」

 

 「ユウさ〜ん、今度クエスト一緒行こー」

 

 「ユウ!一緒に酒飲もーぜ」

 

 「ユウさん!この前はありがとねー」

 

 「ユウさん僕に特訓をつけて下さい」

 

 などなどさまざまな人達から声をかけられたりしていた。

 

 そんな人達にユウは苦笑いしながら返事を返していた

 

 「うん、ただいま。それとクエストを一緒にだっけ?

いいよ今度行こっか。あとお酒はちょっと遠慮しておくよ。うん、どういたしまして。また今度ね」

 

 そして返事を返し終わったところでユウは受付に向かった。

 

 受付は人の列ができていた。そしてその中で最も人の列が多い場所があった。ユウはそれを見つけると少し苦笑いをして列に並んだ。

 

 それからしばらくしてやっとユウの番になった。

 

 受付嬢のルナは目に見えて疲れていて目が死んでいた。そしてそのままユウに

 

 「こんにちは…こちら冒険者受付になります…本日はどういったご用件でしょうか…」

 

 といった風に疲れが溜まっていて見るからにやばかった。そして他の受付嬢達も同じようになっていた。

 

 それをみてユウは苦笑いをしながら

 

 「ルナさん」

 

 と言った。

 

 ユウのその声を聴いたルナの目に光が戻っていってユウの顔を見た瞬間今までの疲れが吹き飛んだかのように嬉しそうな笑顔になり、受付から出てきたかと思えばユウに飛びつくように抱きついてきた。

 

 そして抱きついたまま嬉しそうに微笑みながらユウに向かって

 

 「おかえりなさい!ユウ!」

 

 と言ってきた。

 

 ルナのその言葉を聞いたユウは微笑みながらルナの口にキスをして

 

 「ただいま!」

 

 と言った。

 

 これは始まりの街【アクセル】に住んでいて、ギルド受付嬢ルナの恋人であり魔王軍から

 

 『蒼の死神』と恐れられている少年ユウの物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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設定集

  本作の主人公設定

 

 名前:ユウ

 

 年齢:17歳

 

 身長:165cm

 

 容姿:蒼いストレートヘアに右が翡翠色、左が藤紫色のオッドアイ

 

 好物:甘いものとルナの手料理

 

 嫌いなもの:クズな人間(権力者など)

 

 技

 

 ・剣技(鬼滅の刃から)

 

 ・雷の呼吸『壱の型から陸の型まで』

  

  壱の型:霹靂一閃

      神速の踏み込みからの居合い一閃

 

     :霹靂一閃六連

      神速の踏み込み六連続からの居合い一閃。

      踏み込み時に方向転換も可能。

  

  弐の型:稲魂

      一息で瞬きの間に5連撃

 

  参の型:聚蚊成雷

      回転しながらの波状攻撃

 

  肆の型:遠雷

      斬撃を飛ばす

 

  伍の型:熱界雷

      下から上に切り上げる斬撃

 

  陸の型:電轟雷轟

      相手に稲妻状の攻撃を刻む

 

 ・風の呼吸『壱の型から捌の型』

 

  壱の型:塵旋風・削ぎ

      竜巻状の旋風を起こしながら突進する斬撃

 

  弐の型:爪々・科戸風

      縦4連撃同時攻撃

 

  参の型:晴嵐風樹

      渦を巻く斬撃

 

  肆の型:昇上砂塵嵐

      上方に向かって放つ斬撃

 

  伍の型:木枯らし颪

      広範囲に螺旋状の風を起こしながらの

      上段振り下ろし斬撃

 

  陸の型:黒風烟嵐

      斬撃の周囲に渦状の細かな斬撃を伴う攻撃

 

  漆の型:勁風・天狗風

      宙返りしながらの下向き攻撃

 

  捌の型:初烈風斬り

      対象の周囲を渦巻くように斬る斬撃

 

 ・霞の呼吸『壱の型から漆の型』

 

  壱の型︰垂天遠霞

      霞の呼吸唯一の突き技

 

  弐の型︰八重霞

      周囲を八つ裂きにする斬撃

 

  参の型︰霞散の飛沫

      正面に回転を描く斬撃で広範囲を弾き飛ば                 

      す

 

  肆の型︰移流斬り

      直線的な斬撃

 

  伍の型︰霞雲の海

      直線的な高速連続斬撃

 

  陸の型︰月の霞消

      広範囲攻撃

 

  漆の型︰朧

      動きに大幅な緩急をつけ敵を撹乱。

      姿を見せる際は亀のように遅く

      姿を消す際は瞬きの一つの間

 

 ・月の呼吸『壱の型から拾陸の型』

 

  壱の型︰闇月・宵の宮

      月形変則刃を纏った横薙ぎ斬撃

 

  弐の型︰珠華ノ弄月

      上に向かって放つ3連斬撃

 

  肆の型︰厭忌月・銷り

      左右斜め下に向かって放つ斬撃

 

  伍の型︰月魄災渦

      振りなしで前方に渦を巻く斬撃を繰り出す

 

  陸の型︰常夜孤月・無間

      広範囲に多重斬撃を繰り出す

  

  漆の型︰厄鏡・月映え

      一振りで前方に直進する放射線5方向発生

      の斬撃を同時に飛ばす

 

  捌の型︰月龍輪尾

      超特大広範囲の一振り

 

  玖の型︰降り月・連面

      広範囲から降り注ぐ連続斬撃

 

  拾の型︰穿面斬・羅月

      ノコギリ歯のような回転をする

      前方多重斬撃

 

  拾肆の型︰兇変・天満繊月

       広範囲左右連続斬撃

 

  拾陸の型︰月虹・片割れ月

       広範囲から降り注ぐ6箇所同時攻撃

 

 ・魔法(FAIRY TAILから)

 

 ・氷の造形魔法

  

  盾(シールド)

 

 八方に広がる花のような形状の盾

 

  槍騎兵(ランス)

 

 手先から無数の氷の槍を作り出し敵を貫く

 

  戦神槍(グングニル)

 

 氷の大槍で敵を貫く(海中でも有効)

 

  限界突破 一勢乱舞(アンリミテッド)

 

 無数の氷の武器を高速で造形し、敵に一斉にぶつける

 

  銀世界(シルバー)

 

 自分を中心に半径12メートルを一瞬で凍りつかせる

 

 ・雷の滅神魔法

 

  120ミリ黒雷砲

 

 両手に収縮させた稲妻を敵にぶつける

 

  1200ミリ黒雷砲

 

 120ミリの倍の威力

 

 ・回復魔法

 

 アークプリースト並みの回復力

 




完全に自分の好きなやつしか入れてないです笑


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この蒼の死神に掲示板を

翌日

 

僕がギルドに入ると「一緒にクエスト行きませんか?」

や「あ、ユウさん!」などといった声や先日のルナさんとのキスで嫉妬しているのか「おい!ユウ!昨日はよくも!」や「ユウ!きさまルナさんを奪いやがって!」

などクエストの勧誘や怒りのあまり襲ってくるやつもいた。

 

「やぁおはよう、今日は無理だから明日でいいかい?」

 

とりあえず勧誘などの返事をして、

 

「うん?なんて?」

 

と拳を作りながらニッコリと笑顔で襲ってきたやつらを見ると

 

「なんでもありません……」

 

などとなぜか急に謝ってくるのでそれ以上は無しになった。

 

「おい、さっきのユウの笑顔すっげぇ怖くなかったか?」

 

「あぁ、関係ないオレもちょっと怖くて震えた」

 

「さっきのユウさんやばかったねぇ」

 

「たぶんルナさんが関係してたからじゃないの?」

 

「きっとそうだよ」

 

など周りの人達が話していたようだが僕には聞き取れなかったので無視して受付に向かった。

 

「ルナさん、おはよー」

 

「ええ、おはようユウ君」

 

受付にはルナさんがいたのであいさつをした。

 

「ルナさん、今日も適当に高難易度のクエストを見繕ってくれないかな」

 

「分かったわ、少し待ってて」

 

そう言ってルナさんは僕から離れて奥の方に行った。

見繕ってくれている間は暇なのでパーティー募集の掲示板を見に来た。たくさんの募集の張り紙があったが、僕はその中の一つが少し気になった。

 

その内容が

 

【急募!アットホームで和気藹々としたパーティーです。美しく気高きアークプリースト、アクア様と旅をしたい冒険者はこちらまで!】

 

 

【このパーティーに入ってから毎日がハッピーです!

宝くじにも当たりました!】

 

【アクア様のパーティーに入ったおかげで病気がすっかり治ってモテモテになりました】

 

【採用条件、上級職に限ります】

 

などなどすごく胡散臭いことが書かれていた。

そしてこの【宝くじに当たった】とか【モテモテ】とかがとても怪しかったし絶対ウソだと思った。

 

「たぶんこの張り紙を出したのは……あそこで騒いでる人達の誰かだろうね」

 

僕はそう言ってある場所を見ていた。そこには3人の人がいた。

 

一人目はあまり見かけない緑の服装を着た僕と同じくらいの身長の少年で、見た感じはぜんぜん鍛えてなさそうな人だった。たぶん最近冒険者になったと思う。

 

二人目はその少年の後ろにいた。青い髪の女の人だった。…たぶんこの青髪の女の人があの張り紙を書いたんだと直感的に思った。後、なにか神性な感じがしていたと思うけど気のせいだと思う。

 

三人目は魔法使いだった。見る限り幼い少女だがとても魔力が高かい感じがした。

 

「面白そうだけど……いま関わるのは止めとこう」

 

そう思って今は止めておいた。今度機会があったら声をかけてみよう。そして僕はまた掲示板を見始めた。

 

 

そうやって掲示板を見ているうちにクエストを見繕ってくれていたルナさんがやってきた。

 

「ユウ君おまたせ。今ある高難易度のクエストは

ケルベロスの捕獲と巨大熊の討伐になるわ。

今すぐ出発する?」

 

「うん、そうするよ。ルナさんありがとね!」

 

そう言うとルナさんは微笑みながら

 

「ええ、行ってらっしゃい」

 

と言ってくれたので僕も

 

「うん、行ってきます」

 

そう言ってクエストに向かった。

 

 

 

 




まだ戦闘描写が書けてない…

次回から戦闘描写入ります


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この蒼の死神にパーティーを

戦闘描写入ります!


今僕は森の中に来ていた。すでに2つのクエストの内

 

【ケルベロスの捕獲】のクエストは済ませているので

 

残りは【巨大熊の討伐】だけである。

 

 

 

「この辺かな?…ここでしばらく待とう」

 

 

 

そうやってしばらく待っていると大きな気配を感じた。

 

 

 

「この気配……来たね。」

 

 

 

《グオオオオオオオオオオオオオオオオ》

 

 

 

そう言うのと同時に咆哮をあげながら巨大熊が姿を現した。

 

 

 

その表皮は黒く、体長は5メートルぐらいあり、

 

威嚇をしながらじっと僕を見ていた。

 

 

 

「それじゃ、始めよっか」

 

 

 

そして僕は左腰に納めてある刀の柄に手をかけた。

 

 

 

《グオオオオオオオオオオオオオ》

 

 

 

巨大熊は咆哮をあげながら大きな右腕を僕めがけて

 

振り下ろした。

 

 

 

それと同士に僕は左にステップしながら攻撃をかわした。

 

 

 

[ドコオオーーン]

 

 

 

「わ〜すごい威力だね。」

 

 

 

攻撃された場所を見ると深さ2メートルぐらいの

 

クレーターができていた。

 

 

 

「そんな攻撃は受けたくないから早く終わらせるよ」

 

 

 

 

 

そう言って僕は背中を曲げ前倒姿勢になり、左足を後ろに下げ、刀の鍔に親指をかけ、柄を右手で握った。

 

 

 

そして技を繰り出した。

 

 

 

『雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃』

 

 

 

そう言い終わるのと同時に瞬間的に踏み込み、そのまま

 

巨大熊の首に居合いを放ち首を落とした。

 

 

 

「よし、討伐完了。ギルドに行こう」

 

 

 

そして僕はギルドへと向かった。

 

 

 

 

 

〈ギルド〉

 

 

 

ギルドに帰って来た僕は受付のルナさんの所に行き、

 

クエスト完了を知らせた。

 

 

 

「ルナさん、クエスト完了したよ。」

 

 

 

「お疲れ様ユウ君。流石ね。」

 

 

 

そう言ってルナさんは僕に微笑んだ。

 

 

 

「うん、ありがとうルナさん。」

 

 

 

僕もルナさんに微笑んでそう返した。

 

 

 

するとルナさんが

 

 

 

「ユウ君、今日の夜は私の家で一緒に食事する?」

 

 

 

と聞いてきたので僕は

 

 

 

「いいの?ありがとう!もちろん行くよ!」

 

 

 

と笑顔で返事をした。

 

 

 

「ふふ、そう。それじゃ仕事が終わったら受付の裏に

 

行くから裏で待っててね」

 

 

 

そう言ってルナさんは受付の仕事に戻ったので僕も

 

受付を後にした。

 

 

 

そしてギルド内を見渡して見るとクエスト前に見た

 

三人組がいたので声をかけに行った。

 

 

 

 

 

「やぁ、ちょっといいかな?」

 

 

 

そう言うと3人は僕の方へ向いた。

 

 

 

「掲示板の募集の張り紙を見たんだけど、まだ募集は

 

してるかな?もしよければ僕をパーティーに入れて

 

くれないか?」

 

 

 

「それは是h「ちゃんと募集の条件を見てきたんでしょうねッ!?」おい駄女神!話に割り込むな!」

 

 

 

「うるさいわね!ヒキニートは黙ってて!で、そこのあなた!上級職じゃないとこのアクア様のパーティーには入れないわよ!?」

 

 

 

後ろの緑の少年がぎゃあぎゃあ言っているがまあいい。

 

 

 

「僕は職業ルーンナイトのユウだよ。剣と魔法の両方使えるよ。」

 

 

 

「なるほど、次は私が名乗りましょう!」

 

 

 

そう言って魔法使いの少女がマントを翻しながら名乗った。

 

 

 

「我が名はめぐみん!アークウィザードにして、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操るもの!」

 

 

 

この変わった名前と赤い目、紅魔族か。

 

 

 

「よし、次は俺だな。俺は和真だ。まだ冒険者になったばっかりでしかも最弱職なので仲間になってくれると助かる。」

 

 

 

この変わった服装の少年はカズマと言うのか。

 

 

 

「最後は私ね!私の名前はアクア!アークプリーストで、アクシズ教の女神アクアよ!!」

 

 

 

え?…………

 

 

 

 

 

「あの頭のおかしいアクシズ教徒の関係者なの?」

 

 

 

僕がそう言うとアクアは

 

 

 

「何を言っているの!?私のカワイイ教徒を悪く言うのは止めてよ!」

 

 

 

ん〜これほど怒るとは…ここは謝ったほうがいいな

 

 

 

「ごめん、僕も悪く言い過ぎたよ。ホントにごめん」

 

 

 

「そうそう!分かればいいのよ!」

 

 

 

うん、なんとか機嫌は治ったようだ

 

 

 

「それでカズマ。僕はパーティーに入れたって事で

 

いいのかな?」

 

 

 

僕がそう言うとカズマが

 

 

 

「あぁ、もちろんだ!これからよろしくな!」

 

 

 

と言ってくれたので安心した。こんな面白そうなパーティーに入れないのは嫌だからね。

 

 

 

「それでカズマ、今日はもう遅いし明日から活動開始

 

って事でいいかな?」

 

 

 

「あぁ、明日の昼から活動開始だ!」

 

 

 

「じゃあ僕はそろそろ帰るよ」

 

 

 

「じゃあな〜明日からよろしくな!」

 

 

 

そんなカズマの声を聞きながら僕はルナさんの仕事が終わるのを受付の裏に行って待っていた。

 

 

 

辺りがさらに暗くなってくるなかしばらくして、

 

ルナさんが出てきた。

 

 

 

「ユウ君ごめんね、かなり待ったでしょ?」

 

 

 

「いえ、そんなに待ってませんよ」

 

 

 

「そう、ならいいのだけれど…」

 

 

 

「ほら、ルナさん早く帰りましょう。」

 

 

 

「ふふ、そんなに急いで。そんなに楽しみだったの?

 

私との食事が」

 

 

 

「もちろん!楽しみでしたよ!」

 

 

 

「そっか、ふふ、なら早く帰りましょうか」

 

 

 

「はい!」

 

 

 

ルナさんの家に行くまで二人で楽しく会話をしながら歩いていた。

 

 

 

そして、二人の手は自然と繋がっていた。



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この蒼の死神にカエルを

やっぱり小説を書くのは大変ですね


〈ルナの家〉

 

あれから二人で楽しく会話をしながら歩いて、ルナさんの家に着いた。途中で手を繋いでいた事に気づいて驚いてしまった。ルナさんも無意識に繋いでいたみたいで驚いていた。僕たちはお互い苦笑いしてもう一度手を繋いで歩き始めた。

 

家に上がってからルナさんは早速食事の用意をするらしく、台所に行った。僕はその間暇なので、料理ができる間に隣の僕の家に一度帰ってお風呂などを済ませて、着替えてからまたルナさんの家に向かった。

 

家に着いた頃には食事はもう出来ていたので二人で食べた。やっぱりルナさんの手料理は美味しかった。

料理を食べ終えてルナさんはお風呂に入ろうとしていたので帰ろうとしたらルナさんから今日は泊まっていってほしいと上目遣いで言ってきたので断れずに泊まることとなった。その後、お風呂から出てきたルナさんと一緒のベッドに横になり会話をして、お互いに眠くなってきたので。

 

「おやすみなさい、ルナさん」

 

「おやすみ、ユウ君」

 

と言って眠りについた。

 

 

 

翌日

 

僕たちは朝一緒に、ギルドに向かって、ギルドに着いたらそれぞれ別れた。

 

しばらくすると、昨日一緒にクエストに行こうと約束していたパーティーに合流してクエストをしに出発した。

 

 

 

クエストが終わって、ギルドに戻ってきてそのパーティーと別れるとカズマ達がギルドにやってきたので声をかけた。

 

「やぁ、カズマ。今日行くクエストは決まってるのかな?」

 

「お、ユウ!ああ、決まってるぜ!アクアとめぐみん

もいいと言ってるしな!じゃあさっそく向かおうか!」

 

「どんなクエストなんだい?」

 

「ジャイアント・トードの討伐だ!」

 

 

 

〈草原〉

 

ジャイアント・トードとは、ただの大きなカエルだが、繁殖期になると産卵のための体力をつけるために人里

まで降りてきて、人とかヤギとかを丸呑みにしていく。

ちなみにその肉は少し固めで、焼くと結構いける

らしい。

 

ジャイアント・トードがいる草原に来ると、そこには

14匹のジャイアント・トードがいた。

 

「爆裂魔法は最強魔法。その分、魔法を使うのに

準備時間が結構かかります。準備が調うまで、あの

カエルの足止めをお願いします」

 

「といっても……カエルは14匹いる。正直俺とアクア

で一匹の足止めが精一杯だ。だから一番遠いカエルを

魔法の標的にしてくれ」

 

 

「分かりました」

 

 

「ユウには悪いんだが、一人でカエルの相手をしてもらいたい」

 

 

「分かったよ」

 

そうカズマに言葉を返す。

指示を出し終えたカズマとアクアが何かを言い争って

いる間に僕は12匹のジャイアント・トードに向かって

いた。

 

「ゴットレクイエム!!」

 

僕の右斜め前からそんな気合の入った声が届く。

目を向ければ、手に持っている杖から光が出現し、

それを伴いながらジャイアント・トードのお腹に

向かって攻撃をかまして…………食われた。

 

「…………放置で」

 

アクアからめぐみんに視線を移すとめぐみんが詠唱の

最終段階に入っていた。そして、

 

「『エクスプロージョン』!!」

 

最強の魔法が放たれた。

魔法の威力は最強の名に恥じないものであり、今回の

標的となったジャイアント・トードは跡形もなく消滅

していて、地面には溶解した地面だけが残った。

そして、魔法を放っためぐみんは魔法が発動した後

倒れた。

 

ちなみに僕はとある魔道具店の店長という友人から

実際に見せてもらっているし、ネタ魔法だって言うこと

も知っているので驚きはない。

 

一つだけ言うなら友人の爆裂魔法のほうが威力は

高かった。

 

「コレが魔法か…………スゴイじゃないか!めぐ……

………みん?」

 

そして、カズマが魔法の威力を称えようと振り向いた

ときに地面に倒れているめぐみんの姿を発見した。

 

「…………えっ?」

 

「ふ…………。我が奥義である爆裂魔法は、その絶大

な威力ゆえ、消費魔力もまた絶大。………要約すると、

限界を超える魔力を使ったので見動き一つ取れません。

 

「えぇー………」

 

「あっ、カエルが接近する音が聞こえます。………

やばいです。食われます。すいません、ちょ、助け…

………ひぁっ!?」

 

「お前らあぁああ!!食われてんじゃねぇええええ!」

 

………さて、僕もやるかな……

 

早速僕に気づいたカエルが8匹向かってくる。僕は

そのカエル達の真上に魔法陣を展開する。

 

「『120ミリ黒雷砲』」

 

そう言うと、カエル達の真上の魔法陣から黒い砲撃の

ような雷の攻撃が放たれ、カエル8匹は黒焦げになって

絶命した。

 

「ふぅ………ん?」

 

辺りを見渡すと4匹のカエルが近くまで接近していた。

 

「さぁ、いこうか」

 

そう言って僕は刀を抜刀し刃先を下に向けて構えた。

 

「『霞の呼吸 漆の型 朧』」

 

そう言った直後に僕は動きに大幅な緩急をつけながら

動く事で残像を見せ、ジャイアント・トードを撹乱しな

がら接近していった。

ジャイアント・トードも舌を伸ばして僕を絡めとろうと

するが姿をとらえることが出来ず、当たらない。

そして僕は、ジャイアント・トードのすぐ横に一瞬で

姿を現し、一匹ずつ首を切っていった。

 

◇◇◇

カズマSide

 

「すげぇ……………」

 

ジャイアント・トードに食われた二人を何とか助けた

俺はユウが戦っている様子を見てそう思った。

 

何がすごいかって、まず動きが全く見えない。

ジャイアント・トードの首を切っているのもいつ切った

かぜんぜん分からない。俺にはひとりでに首が落ちてい

るように見える。そしてユウの近くにいたジャイアント

・トードはすべて倒されていた。

 

◇◇◇

 

「ん、これでクエスト完了だね」

 

そう言って僕はカズマ達の方に向かっていった。

 

 

 

 

 



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この蒼の死神に報酬を

やっぱり戦闘描写って難しいですね


それでは本編どうぞ!


 

〈アクセルの街〉

 

 

ジャイアント・トードを倒した僕たちはクエスト完了の報告をするためギルドに向かいながら歩いていた。

 

 

「うぐっ…………。生臭いよう」

 

「カエルの体内って、臭いけどいい感じに温かいんですね」

 

 

後ろを歩いているアクアとカズマにおんぶしてもらっているめぐみんがそれぞれそう言っていた。

 

 

「はぁ………、こいつらと来たら、それに比べユウはすげぇよ!さすが上級職!」

 

 

「あれくらいならカズマにもできるかもしれないよ?」

 

 

「いやいや無理だから」

 

 

そう言って僕達は笑いあった、その後カズマはめぐみんと話をしているが、やっぱりこのパーティーは面白いと思った。偶に他のパーティーに臨時で入ったりしている時のようだ。一人でクエストに行った時とは比べ物にならないくらい楽しい。

 

 

「おい放せ!!お前多分ほかのパーティーにも捨てられた口だろ!!というかダンジョンにでも潜った際には、爆裂魔法なんて使えないしいよいよ役立たずだろ!!」

 

 

「もうどこのパーティーも拾ってくれないのです!!荷物持ちでも何でもします!!お願いです私を捨てないでください!!」

 

 

そう考えているとカズマとめぐみんが騒いでいた。

………て、そんなに騒ぐと。

 

 

「やだ………。あの男、あの小さい子を捨てようとしてる………」

 

 

「隣にはなんか粘液まみれの女の子をしれてるわよ」

 

 

「あんな小さい子を弄んで捨てるなんて、とんだクズね。見て!女の子は二人ともヌルヌルよ?一体どんなプレイをしたのよあの変態」

 

 

3人の女の子にあらぬ誤解をされてしまっている。

カズマはなんとか誤解を解こうとしているが、めぐみんが悪い顔をしている。そして口をニヤリと歪めて……。

 

 

「どんなプレイでも大丈夫ですから!先程のカエルを使ったヌルヌルプレイだって耐えて見せ…」

 

 

「よーしわかった!めぐみんこれからよろしくな!」

 

 

どうやらめぐみんのパーティー入りが決定したみたいだ。

 

 

 

〈ギルド〉

 

ベトベトになったアクアとめぐみんの二人を銭湯に送り出したあと、カズマと僕はギルドの方でクエスト完了の報告をして報酬をもらっていた。

 

 

「全部で15万5千で、山分けで3万8750ほどか、命をかけたのに割に合わねー」

 

「あぁ、カズマ。僕の分はいいから3人で分けて」

 

「え?いいのか?」

 

「うん、僕はカエルの肉をもらったからね」

 

「なるほどな!ありがとうユウ!」

 

 

僕は先程のジャイアント・トードの肉を三体分もらっている。帰ってルナさんと一緒に食べたり、ウィズの店におすそ分けしよう。

 

「ホントにユウはいい奴だな。このパーティーの唯一の良心だよ」

 

 

「大げさだなぁ、まあこれからもよろしくね。」

 

 

「ああ、もちろんだ!」

 

 

「さて、僕はそろそろ帰るよ。それと、明日は別のクエストに行くから朝からいないよ。昼ぐらいには帰って来るけど、こういう事が今後もあるかもしれないから言っておくよ……ごめんね」

 

 

「気にするなユウ、また明日な」

 

 

その言葉を聞いたあと僕は席を外した。帰るときに金髪のクルセイダーとカズマが何か話をしていたけど………まぁ明日になったらカズマに聞こうと思い僕はギルドを後にした。



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この蒼の死神に盗賊娘を

 

 

〈翌日〉

 

「では、グリフォン15体の討伐のクエスト達成報酬の100万エリスです。どうぞユウ君」

 

 

「ありがとう、ルナさん」

 

 

僕はギルドで今回の報酬を受け取った。……そういえば最近ルナさんと二人で出かける事が無くなったのを思い出したので、今誘って見ることにした。

 

 

「ルナさん、今度二人で出かけませんか?」

 

「あら、いいわね。今度休みが取れたら行きましょうか。」

 

「はい!」

 

 

ルナさんとそうやって話したあと、受付から離れてカウンターにいたアクアとめぐみんのところへと向かった。

 

 

「何してるの?」

 

「あ、おかえりなさいユウ」

 

「今、カズマを待っているのよ」

 

 

めぐみんとアクアがそれぞれそう言った。そういえばカズマがいないな。

 

 

「カズマは今何してるの?」

 

「カズマは盗賊の女の子から盗賊系のスキルを教えてもらうために外に行ったんですよ。」

 

 

なるほど、カズマは盗賊系のスキルを覚えることに決めたのか。そう思っているとカズマと昨日の金髪のクルセイダーとなぜか泣いている盗賊の女の子が帰って来た。

……あれは…クリスだね。……なんで泣いてるんだろう?

 

僕は疑問に思ってクリス達に近づいて話しかけた。

 

 

 

「カズマ、お帰り。それとクリスも久しぶりだね。でもクリスはなんで泣いてるの?」

 

 

「えーっと、実は」

 

そうカズマが話そうとしたが、隣の金髪のクルセイダーが先に口を開いた。

 

「うむ。彼女は、カズマにパンツを剥がれた上にあり金全部毟られて落ち込んでいるだけだ」

 

「おいあんた何口走ってんだ!」

 

 

え?……あまりのことに驚いていると、クリスも泣きながら口を開いた。

 

「ユウ君…ひぐっ、カズマ君がね……パンツ返すだけじゃだめだって…ひぐっ、じゃあいくらでも払うからパンツを返してって頼んだら……ぐすっ、自分のパンツの値段は自分で決めろって……」

 

「待てよ、おい待て。間違ってないけど、ほんと待って」

 

「さもないとこのパンツを……ひぐっ、我が家の家宝として奉られることになるって……」

 

「おい、待てよ。なんかすでに、他の女性冒険者の目まで冷たいものになってるからホントに待って」

 

うわぁ………。

 

「ユウ!?待てユウ、そんな目で俺を見てないで何か弁明をしてくれ!」

 

「大丈夫ですよ、カズマさん。私は分かっておりますから」

 

「なんで敬語!?」

 

そんなカズマを無視して、僕はクリスを慰めていた。

 

「クリス、泣かないで。ね?後でカズマはボコボコにするし、クリスの好きなものおごって揚げるから」

 

そう言いながらクリスの頭を撫でていると

 

「ありがとう、ユウ君。もう大丈夫だから」

 

そう言って笑ってみせた。良かった…元気になったみたいだ。

 

そしてカズマ達の方を見てみると

 

「それで?カズマは無事にスキルを覚えられたのですか?」

 

「ふふ、まぁ見てろよ?いくぜ、『スティール』!」

 

相手のものをランダムに奪うスティールを、めぐみんにつかった。カズマの手にはしっかりと黒い布が握られていた。………パンツだった………。

 

「…………なんですか?レベルが上がってステータスが上がったから、冒険者から変態にジョブチェンジしたんですか?………あの、スースーするのでパンツ返してください………」

 

「………カズマ、あんた………」

 

「あ、あれっ!?おかしーな、奪うものはランダムなはずなのに!」

 

「カズマさん、さすがにそれはないかと………。」

 

「ユウ!そんな目で俺を見ないでくれ!」

 

そんなやり取りをしていると僕達の前に金髪のクルセイダーが来て、カズマの方へ向いた。

 

「こんな幼気な少女の下着を公衆の面前で剥ぎ取るなんて、真の鬼畜だ許せない!是非とも私をこのパーティーに入れて欲しい!」

 

「いらない」

 

「んん……!?くっ!」

 

このクルセイダーがドMだとわかった瞬間だった。

 

 



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この蒼の死神にキャベツを

あと1、2話ほど書いたらアンケート締め切ります。

それでは本編どうぞ!


 

 

あの後、僕たちが金髪のクルセイダーのダクネスと盗賊のクリスと一緒に机に移動して集まったところでカズマが話し始めた。

 

 

「実はなダクネス。俺とアクアはこう見えてガチで魔王を倒したいと考えている」

 

このカズマの言葉を聞いた僕は少し驚いた。まさかカズマが魔王を倒したいと思っているとは思わなかったのだ。

 

 

「俺たちの冒険は過酷なものになるだろう。特にダクネス、女騎士のお前なんて魔王に捕まったりしたら、それはもうとんでもない目に遭わされる役どころだ」

 

「ああ、全くその通りだ!昔から、魔王にエロい目に遭わされるのは女騎士の仕事と相場が決まっているからな!それだけでも行く価値はある!」

 

 

「え!?………あれ!?」

 

 

「え?………なんだ?私は何かおかしなことを言ったか?」

 

 

「めぐみんも聞いてくれ。相手は魔王。この世で最強の存在に喧嘩を売ろうってんだよ、俺とアクアは。そんなパーティーに無理して残る必要は………」

 

 

「我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を操りし者!我を差し置き最強を名乗る魔王!そんな存在は我が最強魔法で消し飛ばしてみせましょう!」

 

 

ダクネスとめぐみんがやる気になっているが、現実はそう甘くはない。

 

「二人とも落ち着いて、魔王はそう簡単に倒せたりはしないよ」

 

僕がそう言うと全員がこっちを向く、なぜかカズマの目が輝いているけどまあいい。

 

「なぜだ!ユウは魔王を倒したくないのか!」

 

「そうじゃないよ。でも、今のこのパーティーでは無理だよ」

 

「だからこそ私の爆裂魔法で魔王を!」

 

「爆裂魔法一発で倒せる相手なら、とっくの昔に誰かが倒してるよ。だから最低でも爆裂魔法を連発出来るぐらいまでレベルを上げてからじゃないと魔王を倒すなんて夢のまた夢だ」

 

「うぐっ………」

 

「ダクネスも簡単に魔王を倒すなんて口にしないでよ。君が死んでしまったら君の家族や大切な人たちを悲しませることになるんだよ」

 

「くっ………」

 

そう言うと二人は黙ってしまったけど、僕は話を続けた。

 

「そもそも魔王を倒す前に、魔王の幹部を倒すための方法を考えたほうがいいよ。彼らは魔王ほどではないけど一人一人がとても強いからね。今の君たちじゃあ絶対勝てない」

 

魔王軍幹部は魔王が選抜した戦士たちだ。一人一人が強敵で今のカズマ達では勝てない。前の幹部の何人かは僕が倒したけど今の幹部の情報は完全には揃ってない。

それに、僕の友人のウィズも幹部だ。まぁなんちゃって幹部だけど…。

 

「とにかく、まずはレベルを上げることに集中した方がいいよ。魔王を倒す事を考えるのはその後だ。」

 

そう言うと二人はうつむいてしまった。少し言い過ぎたかな。そう思っていると今まで黙っていたクリスが口を開いた。

 

「相変わらず物知りだね。さすがこの街最強の冒険者だね。わかった?二人とも、魔王を倒すなんて簡単な事じゃないんだからね」

 

「僕は別に最強なんかじゃないよ」

 

「またまたぁ、ユウ君の噂はあちこちに広まってるからね。見たこともない魔法やすごい剣技を使ってどんな依頼も完璧にこなす、この街にいる最強の冒険者だってね!」

 

「見たことがない?どういう事だ?」

 

僕とクリスの会話を聞いていたカズマが疑問に思ったのか聞いてきた。

 

「ユウ君の魔法は誰も見たことがないんだよ」

 

「でも駆け出しの冒険者だから知らないだけで上級職のめぐみんなら知ってるだろ?」

 

「知りません。ユウが使用する魔法は学校でも教えてもらえませんでした。そもそも一般的に使われている魔法の中にあんな魔法は存在しません」

 

めぐみんがそう言った後にみんなが僕を見ていた。まぁ隠すこともないし言ってもいいかな。

 

「僕が使っている魔法は氷の造形魔法と雷の滅神魔法だよ」

 

「造形魔法に滅神魔法?」

 

「うん、造形魔法は実際に物体などを造る魔法で滅神魔法は神を滅するという魔法というだけあって威力が高いのが特徴かな」

 

「何!その滅神魔法って!?めちゃくちゃ私にとって迷惑な魔法なんですけど」

 

僕が使っている魔法について教えたら、アクアが特に滅神魔法に反応して騒いでいる。ほっといておこう。

 

「僕の両親は二人ともかなりの家柄の出身らしくてね。それぞれの家系に代々伝わる相伝の魔法があったんだけど、両親はその実家から抜け出して結婚したんだ。それで、それぞれの家系の魔法の才能が僕にはあったらしく、2つとも習得できたんだ」

 

「なるほど、それなら誰も知らないわけだ」

 

「うん、そうだね」

 

「へーユウ君の魔法はそんな事情があったんだね。やっぱりすごいや」

 

僕の魔法の事でさまざま感想が出ていた時に

 

【緊急クエスト!緊急クエスト!街の中にいる冒険者の各員は、至急正門に集まってください!繰り返します。街の中にいる冒険者の各員は、至急正門に集まってください!】

 

………今の時期にある緊急クエストってあれだよね。

 

 

〈正門〉

 

「おい、緊急クエストってなんだ?モンスターが街に襲撃に来たのか?」

 

正門で他の冒険者と一緒に待っているとカズマがそんな事を言って来た。冗談だと思っていたけど本当に知らないのかな?

 

「言ってなかったかしら。キャベツよキャベツ」

 

そう、キャベツの収穫だ。この時期になると毎年行うクエストだ。そう思っているとルナさんが説明を始めた。

 

「皆さん、今年もキャベツの収穫時期がやって参りました!今年のキャベツは出来が良く、一玉の収穫につき1万エリスです。できるだけ多くのキャベツを捕まえ、ここに納めてください!なお、人数が人数、額が額なので、報酬の支払いは後日まとめてとなります!」

 

へぇー、一玉、1万エリスかぁ。それも経験値しだいで変わると。少し本気でやろうかな。

 

僕は光速に近いスピードでキャベツに近づき、刀を抜刀して角度を調整し技を放った。

 

『風の呼吸 肆の型 昇上砂塵嵐』

 

すると上方に上がっていき、一気に数十から数百玉ぐらいのキャベツが檻の中に入っていった。

ちなみに斬撃はないのでキャベツには傷は入ってない。

 

「ちょっ!ユウ!!」

 

「ユウさーん!私たちの分も残して!」

 

「早く収穫するぞ!早くしないと全部ユウに収穫されちまう!!」

 

他の冒険者たちも急いで収穫を行った。

 

「俺もう馬小屋に帰って寝てもいいかな」

 

カズマは他の冒険者たちがキャベツと戦っている光景を見てそう言っていた。

 

 

〈ルナの家〉

 

「うん、すごく美味しいね。ユウ君!」

 

僕はキャベツの収穫を終え、ルナさんの家で一緒に夕食用に回収したキャベツを食べていた。確かに美味しい。

 

「ユウ君、今日はお疲れ様。大変だったでしょ?」

 

「まぁいろいろあったけど大丈夫だよ」

 

確かに大変だった。ダクネスが他の冒険者を守ってキャベツの攻撃を恍惚の表情をしながら受けていたり、めぐみんが他の冒険者もろとも爆裂魔法を放ったり、アクアがキャベツに翻弄されて、転んで泣いていたりした。カズマはスキルをうまく使って地味に多くキャベツを捕まえていた。

 

僕とルナさんは食事を食べ終えた後、一緒にベッドに横になり、お互い向き合っていた。

 

「今度のデート、楽しみだね」

 

「はい、とっても楽しみです」

 

そうやって笑い合いながら話をして、お互いに近づき、額を合わせて

 

「大好きだよ、ユウ君」

 

「僕も大好きだよ、ルナさん」

 

そう言い合いながらキスをして眠りについた。

 

 

 

 

 




いつもよりも少し長くなりました。


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この蒼の死神と店主に女神を

皆さま、アンケートに回答をたくさん下さりありがとうございます。

それでは本編をどうぞ!


〈翌日〉

 

朝起きた僕たちは二人で一緒にギルドに談笑しながら向かっていた。

 

そしてギルドに着くとルナさんは受付に向かうのでそこで別れ、カズマ達を探していると

 

「この、カエルに食われるしか脳のない、宴会芸しか取り柄のない穀潰しがぁ!!」

 

「わああああああーっ!!」

 

カズマがアクアを泣かせていた。はぁ………またか…。

 

「どうしたの?」

 

「わああああーっ!聞いてよユウ!このヒキニートが私のことを役に立たない穀潰しって言うのよ!わ、私だって、回復魔法とか回復魔法とか回復魔法とか、一応役に立っているのに!お願いよユウ!このヒキニートに女神に対して無礼を働いたらどうなるかを分からせてやってよ!」

 

「お、おい!ユウに頼るのは反則だろ!」

 

この二人の喧嘩は毎日一日一回は行われている。その喧嘩の中にヒキニートという言葉と女神という言葉があるんだけど、ヒキニートという言葉は聞いたことないし、女神という言葉は冗談だと思う。

 

「あ、カズマ。その服、随分と冒険者らしくなったね」

 

「へへ、まぁな。初級とはいえ魔法を覚えてみたから、魔法剣士みたいなスタイルにしてみたんだ」

 

今まで着ていたあまり見かけない緑の服装から、この世界のなじみである服の上から革製の胸当てと金属製の篭手と、すねあとを装備している。

 

「で、なんで喧嘩してたの?」

 

「手頃なクエストを探しているときにこいつがごちゃごちゃうるさいからだ」

 

「私は上級職ばかりが集まってるから難易度の高いクエストに行こうって言ってるのに、このヒキニートが!」

 

この二人の意見の違いから喧嘩が始まったらしい…

 

「カズマの気持ちも分かるけど高難易度のクエストは別にモンスターの討伐だけじゃないよ。採集や浄化なんかのクエストもあるんだしアクアの意見も一応考えてみたら?」

 

「うっ………。そうだな、すまん。」

 

「そうよ!反省しなさいヒキニート!」

 

「アクアもアクアだよ。このパーティーは確かに上級職ばかりだけどレベルがまだ低い人も多い。そのことも考えてね」

 

「うっ………そうね、ごめんなさい」

 

やっと収まったね。そう思っているとカズマが話しかけてきた。

 

「ユウはクエスト以外でなにかしてたりするのか?」

 

「何かって?」

 

「えっと、商売とか?」

 

クエスト以外か……一応友人のウィズの店を手伝ったりしているけど、赤字が続いたりして、家賃を払うのすら危うい状況だしね。

 

「友人の店を手伝ったりしてるぐらいかな」

 

「へぇー、じゃあクエストに詰まってきたら商売で稼ぐっていう方法があるわけか」

 

「まぁ、それもありだよ」

 

「ちなみにユウ、お前は回復魔法は使えるのか?」

 

「使えるよ」

 

「……アクア、お前の存在価値がなくなってきてるな」

 

「わあああああああーっ!!」

 

せっかく収まってきたのに、また始まった。もう放っておこう。僕は行きたい場所に行くためにギルドの入口に向かった。

 

「と、いう訳で何か手軽にできて儲かる方法でも考えろ!あと、お前の最後の取り柄の回復魔法をとっとと俺に教えろよ!」

 

「嫌ーっ!回復魔法だけは嫌よぉーっ!私の存在意義を奪わないでよ!私がいるんだから別に覚えなくていいじゃない!嫌!嫌よおおおおおおおっ!!」

 

後ろの方でそんな声が聴こえているけど無視した。

入口の近くにはめぐみんがいて、僕に話しかけてきた。

 

「ユウ、カズマとアクアは何をしているんですか?」

 

「意見の食い違いで喧嘩してるんだ。悪いけど鎮めてきてくれない?」

 

そう言ってめぐみんはカズマ達のところに向かう。僕はギルドから出てあるところに向かった。

 

 

〈ウィズ魔道具店〉

 

「あ、ユウさん!いらっしゃいませ!」

 

「やぁウィズ、元気かな?」

 

やってきたのはウィズ魔道具店。ウィズは僕の友人でこの店の店主でもある。しかし、ウィズ本人に商才はまったくなく、いつも赤字で貧乏だ。

 

「はい!ユウさんが食べ物を差し入れてくれるおかげでどうにか生活できてます!」

 

「アハハ、また今度食べ物の差し入れ持ってくるね。」

 

「ありがとうございます!!」

 

そうやって会話をして、僕はウィズに質問した。

 

「ねぇウィズ、墓地の浄化は今日行くの?」

 

「はい!早く迷える魂達を天に還してあげなきゃいけませんから」

 

僕とウィズが話しているのは街から外れた丘の上にある共同墓地のことだ。そこではアンデットモンスターが大量発生していて、そのために僕たちは定期的にそこに向かって、浄化をしている。もっともウィズが浄化を行なって、僕は護衛みたいなものだけど。

 

「そうだね、じゃあもう少ししたら墓地に行こうか」

 

「はい、お願いしますねユウさん」

 

 

 

 

〈共同墓地〉

 

「じゃあ、墓地の浄化を始めますね」

 

「うん」

 

共同墓地で僕たちはそう言った。ウィズがその後魔法陣を作り出して浄化を始める。そして青白い人魂の様なものが集まってきて魔法陣の中に入ると、そのまま魔法陣の青い光と共に、天へと吸い込まれていく。この調子なら浄化もすぐ終わるかな。

 

「じゃあ僕は見回りをしてくるね」

 

「はい、お願いします」

 

そう言って僕はウィズから離れて見回りを始めた。迷っている魂を誘導したり、モンスターを倒したりしながら歩いていた。でも、ウィズはリッチーだから、浄化をしているウィズの魔力に反応して、さらにアンデットモンスターが目覚めて、浄化して、目覚めての無限ループになるのだ。

 

そんな事を考えていると、墓場全体が白い光に包まれた。

 

「な!?」

 

この魔法は浄化魔法のターンアンデットの光だった。しかもかなりの威力で、光を浴びたゾンビたちが消えていくのが見えた。これほどの威力の浄化魔法が発動したりしたら……。

 

「ウィズ!!!」

 

僕は急いでウィズのもとに戻っていく。頼むから無事でいてくれ!!

 

 

「きゃー!か、身体が消えるっ!?止めてやめて私の身体がなくなっちゃう!!成仏しちゃうっ!」

 

「あははははははは、愚かなるリッチーよ!自然の摂理に反する存在、神の意に背くアンデットよ!さあ、私の力で欠片も残さず消滅するがいいわっ!!」

 

ウィズのもとに戻ると、身体が消えつつあるウィズと浄化魔法を発動しているアクアがいた。僕は急いでアクアに近づき、首に手刀を当て、気絶させた。そうすると、発動していた魔法が消えていった。

 

するとカズマたちが

 

「ユウ、お前なんで!」

 

「おいユウ!なんでアクアを!」

 

「そうです!なんでアクアを攻撃したんですか!」

 

そう言ってきた。するとウィズが

 

「ユウさんは悪くないんです!お願いですからユウさんを責めないでください!」

 

僕の前にきてカズマ達にそう言った。その姿を見て少し冷静になったカズマ達。するとカズマが僕に質問してきた。

 

「ユウ、アクアは大丈夫なのか?」

 

「軽く打ったから大丈夫だよ。後3分ぐらいで目を覚ますよ」

 

そう返して、カズマ達を安心させたところでアクアが目覚めた。そして目覚めてそうそう

 

「いきなり何するのよ!!ユウ!」

 

と言ってきたので僕は

 

「ごめんなさい……」

 

と謝った。しかしまだ怒っているようで

 

「ごめんじゃないわよ!!」

 

そう言ってきたので僕はもう一度謝ろうかとしたが、

 

「ごめんなさ………」

 

「待って下さい!ユウさんは悪くないんです。だからユウさんを許してください!」

 

その前に、ウィズが言った。

 

「クソアンデットは黙ってなさい!!はっ、分かったわ!!あんたがユウを操って私を襲うように仕向けたのね!!なんてやつなの、活かしておけないわ!!神の名においてここで息の根を」

 

「おい、やめてやれ」

 

そう言ってカズマがウィズと言い合っているアクアの後頭部を剣の柄で、ゴスっと小突いた。

 

「い、痛いじゃないの!あんた何してくれてんのよいきなり!」

 

そしてカズマはウィズに話しかけた。

 

「大丈夫か?えっと、リッチーでいいのか?」

 

「えっと、おっしゃる通り、リッチーです。リッチーのウィズと申します」

 

「えっと……。ウィズ、こんな墓場で何しているんだ?魂を天に還すとか言ってたけど、リッチーのあんたがやる事じゃないんじゃないのか?」

 

「ちょっとカズマ!こんな腐ったミカンみたいなのと喋ったら、あんたまでアンデットが移るわよ!ユウもそんな奴の近くにいるとあんたもリッチーになるわよ!ちょっとそいつに、ターンアンデットをかけさせなさい!」

 

アクアがいきり立ち、ウィズに魔法をかけようとする。ウィズが怯えた表情をしながら僕の後ろに隠れる。それを見ていたカズマが聞いてきた。

 

「な、なぁ………ユウ。ちなみにウィズとはどういう関係なんだ?もしかして………恋人なのか?」

 

「恋人!?」

 

「違うよ。ウィズとは仲のいい友達だよ。」

 

「は、はいそうです。ユウさんとは友達です!」

 

「それで、なんでウィズがここで何をしているかの話だったね。ウィズ、説明お願いね」

 

「はい、私は見ての通りリッチー、ノーライフキングなんてやってます。私には迷える魂たちの話が聞けるんです。この共同墓地の魂の多くはロクに葬式すらしてもらえず、天に還る事なく毎晩墓場を彷徨っています。それで、定期的にここを訪れ、天に還りたがっている子たちを送ってあげているんです」

 

「それは善い行いだと思うんだか………。街のプリーストとかに任せておけばいいんじゃないか?」

 

「それは、その………」

 

「ここからは僕が話すよ。いいウィズ?」

 

「は、はい。お願いしますユウさん」

 

そして僕はカズマに話した。

 

「街のプリーストは主にお金儲けが第一で、お金がない人は後回しにされる事が多いんだ。この共同墓地みたいな所は基本的には寄り付きもしない、まぁ、仕方ないことだよ。プリーストたちにも生活があるんだから」

 

ここにいる全員がアクアに視線を向ける。あるがばつが悪そうに目を逸らす。

 

「それならしょうがない。でもゾンビを呼び起こすのはどうにかならないか?俺たちがここに来たのって、ゾンビメーカーの討伐クエストを受けたからなんだ」

 

「それなんだけど僕たちも困ってるんだ」

 

「え?」

 

「実は、浄化を行っているとウィズの魔力に反応して目覚めてしまうんだ。だから浄化してもどんどん湧いてキリがない。僕たちとしても埋葬されている人たちが迷わず天に還ればここに来る必要も無くなるんだけど…」

 

そう言ったらカズマが提案してきた。

 

「だったら、アクアに浄化させるようにする。そうすれば、ここに来る必要も無くなるだろ?」

 

「なんで私がこのクソアンデットの代わりに浄化しにこないといけないのよ!このクソアンデットを始末すればいい話でしょ!!」

 

「じゃあ、お前はユウを敵に回すってことで良いんだな。俺は嫌だぞ。ユウが敵になるなんて、考えただけでもゾッとする」

 

「うぐ……、私もイヤです。」

 

「なら決定だな」

 

という訳でアクアが今後、墓地の浄化を行うことで話がついた。そして僕たちはそれぞれ帰り始めた。

 

 



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この蒼の死神に爆裂道を

アンケートの結果、雑魚鬼と下弦の鬼が多かったので
雑魚鬼と下弦の鬼に決定します。

また、新しいアンケートを作るのでそちらに回答をお願いします。


〈ギルド〉

 

カズマSide

 

「カズマ、見てくれ。キャベツの報酬で鎧を直したんだか、こんなにピカピカになった。……どう思う?」

 

ダクネスが嬉々として修理から返ってきた鎧を俺に見せつけてきた。それは一言でいうと……。

 

「なんか、成金趣味の貴族のボンボンが着けてる鎧みたい」

 

「私だって素直に褒めて貰いたい時もあるのだが……カズマはどんな時でも容赦ないな」

 

そんな嬉しそうに言われても………。

 

「今は構ってやれる余裕はないぞ、お前を超えそうな勢いのそこの変態をなんとかしろよ」

 

「ハァ………ハァ………。魔力溢れるマナタイト製の杖のこの色艶………。ハァ………ハァ………」

 

めぐみんが新調した杖を抱きかかえ頬ずりしていた。

 

キャベツ狩りで得た報酬は、均等に分けるのではなく、それぞれ自分で捕まえた分をそのまま報酬にしようとアクアが狩りの前に言ってきた。それぞれ自分の報酬でやりたい事をしているなか、その言い出しっぺのアクアはと言うと………。

 

「えーーーっ!?。なんでこれっぽっちなのよーーっっ!?」

 

ギルドの受付のお姉さんの胸ぐらを掴み、いちゃもんをつけている。

 

「キャベツ狩りの残りの報酬がこれだけって事はないでしょ!何匹捕まえたと思ってるの!?」

 

「そ…それが…申し上げにくいのですが……」

 

「何よ!」

 

「アクアさんが捕まえてきたほとんどが、レタスでして…。ですから残りの報酬もそのように……」

 

「なんでレタスが混じってるのよー!」

 

「わ、私に言われましてもっ!」

 

という会話をしていた。

 

するとアクアが俺達の方に笑顔でやって来た。なんだかなぁ……。

 

「カーズマさんっ!貴方の報酬はおいくら万円?」

 

「百万ちょい」

 

「ひゃっ!?」

 

そう、俺は突然起きたこの緊急クエストで、いきなり小金持ちになりました。俺が捕まえたキャベツは質のいいキャベツばかりみたいだったらしい。これも幸運値の差というやつか。

 

「か…カズマさんって前からそこはかとなくいい感じって思ってたのよね〜」

 

「無理して褒めんな、金は分けんぞ」

 

「カズマ様ーーーー!!お願いします!お金貸してください!!報酬アテにして、酒場にツケまでしてるんです!」

 

「報酬はそれぞれの出来高って言ったのお前だろ。それに、俺はこの金でいい加減、馬小屋生活を卒業するんだよ。お前に貸す金なんかない!」

 

「そんなぁぁぁぁ!お願いよ、お金貸して!!ツケ払う分だけでいいから!そりゃあカズマも男の子だし、馬小屋で毎晩毎晩ゴソゴソやってるし、早くプライベートな空間が欲しいのは分かるけど!お願いよぉぉぉぉ!!」

 

「よし分かった、貸してやるから黙ろうか!」

 

そして、俺はこの駄女神に金を貸すことになった。クソっ!

 

「そういえばユウがいませんね。まだ来てないのでしょうか?」

 

そう言われるとこのパーティーの唯一の良心、ユウの姿がない。報酬受け取りの列にもいなかったしまだ来てないのかと思っているとユウが来た。

 

「ごめん、待たせたね」

 

「遅かったなユウ。ほら、早く報酬受け取って来いよ。ユウは結構狩ってたし結構な額になると思うぞ」

 

「いや、実は朝イチに報酬は受け取っていて、家に置いてきたんだ。けどギルドに戻ってくると凄く混んでいてね、入るのに時間がかかっちゃったんだ。ごめん」

 

どうやらもう報酬は受け取っていたらしい。どのくらい報酬が出たんだろ?聞いてみるか。

 

「ちなみにユウはどのくらい報酬をもらったんだ?」

 

「二千万だね」

 

「「「「二千万!?」」」」

 

 

 

ユウSide

 

「「「「二千万!?」」」」

 

今回の報酬の金額を言ったら驚かれた。まぁしょうがないね。

 

「わああああーっ!!なんで私、あの時報酬はそれぞれなんて言っちゃたのよぉぉぉぉ!!私のバカァァァァ!!」

 

「アクア、どうしたの?」

 

「今回の報酬が5万ちょっとしかもらえなくて、悔しいだけだ。気にしなくて良いよ」

 

どうやら今回の報酬が少なかったみたいだ。まぁしょうがないね。アクア自身が報酬はそれぞれって言ったんだし。

 

「じゃあみんなそろいましたし、早速討伐に行きましよう!それも、たくさんの雑魚モンスターがいるヤツです!新調した杖の威力を試すのです!」

 

「いや、一撃が重くて非常に気持ちいい、強いモンスターを!」

 

「いいえ、お金になるクエストをやりましょう!ツケを払ったから今日のご飯代もないの!」

 

みんなバラバラだった。カズマが呆れているし。……ハァ。

 

「僕はカズマが選んで決めたものなら、どのクエストでもいいよ」

 

「やっぱりお前だけだよ。良心は」

 

「良心?……なんの話?」

 

「気にするな。とりあえず、掲示板の依頼を見てから決めようぜ」

 

そう言って僕たちは掲示板に向かうんだけど……。

 

「あれ?なんだこれ、依頼がほとんど無いじゃないか」

 

「カズマ!これだ、これにしよう!ブラックファングと呼ばれる巨大熊の討伐を」

 

「却下だ却下!おい、なんだよこれ!高難易度のクエストしか残ってないぞ!」

 

高難易度のクエストしか残ってなかった。おかしいな……。いつもなら掲示板にたくさん貼ってあるのに。そう思っているとルナさんが来た。どうしたんだろ?

 

「申し訳ございません。最近、魔王の幹部らしき者が、街の近くに住み着きまして………」

 

「え!」

 

「その影響か、この近辺の弱いモンスターは隠れてしまい、仕事が激減しておりまして」

 

「えぇ………」

 

「な、なんでよおおおおお!?」

 

この近くに魔王軍の幹部が住み着いたか、僕が倒してきてもいいんだけど街を危険にさらすわけにはいかないからね。まずはその幹部の情報を集めるべきだね。

 

「ねぇ、ルナさん。その魔王軍の幹部に何か特徴的なものとかないかな?」

 

「ごめんねユウ君。まだ何もなくて…」

 

「大丈夫だよ、気にしないで。ありがとねルナさん、また後でね」

 

「うん、また後で」

 

そう言ってルナさんと別れた。ん〜情報がまだ何もないとなるとしばらくは、様子見しか無さそうだね。

 

「じゃあ、当分クエストは無理だな。帰るしかないか」

 

「ま、待ってください!せめてどこかで爆裂魔法を!せっかく杖を新調したのに……」

 

「分かった分かった。俺が付き合ってやるからそれで我慢してくれ」

 

「分かりました。約束ですよ」

 

「なんでよぉぉぉぉぉ!なんで!魔王の幹部がよりによってこの街の近くに住み着くのよぉぉぉぉぉ!」

 

「これはしょうがないよアクア、諦めよう」

 

「ユウはどうするんだ?」

 

「僕もめぐみんの爆裂魔法を見について行っていいかな?」

 

「ああ、いいぜ。それじゃ行こうか」

 

そう言って僕たちはギルドから出た。

 

 

〈草原〉

 

僕たちはめぐみんの爆裂魔法に付き合うために外の草原に来ていた。

 

「という訳で二人には付き合ってもらいますよ」

 

「爆裂魔法を撃ちたきゃ一人で行けばいいのに」

 

「倒れた私を誰がおぶって帰るんですか、それに、

1日1発爆裂魔法を撃たないと調子が出ないんです」

 

「倒れためぐみんはカズマがおぶってね、よろしく」

 

「な、なんで俺が!ユウがおぶれよ!」

 

「僕はあくまでカズマとめぐみんの付き添いだからね」

 

「カズマ、ちゃんと私をおぶってくださいね」

 

「クソっ」

 

そうやって話してるうちにちょうどいい場所に着いた。

 

「……っと、この辺でいいだろ。適当に撃って帰ろうぜ」

 

「駄目です、もっと離れないと。爆発系魔法威力上昇、高速詠唱など、その他諸々。爆裂魔法にすべてを捧げたスキル構成です。街への被害は考慮しないと」

 

「他の中級魔法とか、習得する気ないのか?」

 

「ありませ………あれは…」

 

と、めぐみんが何か見つけたようなのでそこを見ると、デカイ城があった。

 

「あれは…廃城…でしょうか」

 

「あんな所にあんなもんあったのか」

 

「僕も今まで気づかなかったよ」

 

「しかし薄気味悪い城だなぁ……まるでお化けでも住んでそうだぜ」

 

「まぁ、廃城なんてそんなもんだよ」

 

そう言ってると、めぐみんが何か思いついたような表情をし始めた。まさか……。

 

「丁度いい!アレにしましょう!!」

 

「やっぱり………」

 

「あの廃墟なら、いい練習台です!どんなに破壊しても文句は言われませんよ」

 

「え、………マジで?」

 

「私の前に立ちはだかったのが運の尽き……さぁ我が力を思いしれ!!『エクスプロージョンッッ!!』」

 

めぐみんの爆裂魔法で廃城は炎に包まれた。………さすがに人は住んでないよね…。

 

「ど…どうですか……」

 

「演出と破壊力はさすがだな」

 

「すごいと思うよ」

 

「明日もよろしくお願いします。カズマ、ユウ」

 

「うーん、まぁしばらく付き合ってやるかな」

 

「僕は遠慮しとくね。別の用事もあるし」

 

そう言って僕たちは街に帰った。

 

 

〈ルナの家〉

 

夜、僕はルナさんの家にいた。今日はいろいろと疲れたのでルナさんに甘えようと思い、前から抱きついた。

 

「わ!?ビックリした、どうしたの?ユウ君」

 

「今日はちょっと疲れたから甘えたいと思って。だめかな?……」

 

「ふふっ、いいに決まってるじゃない。ほら、おいで」

 

そう言ってルナさんは僕の頭を胸に埋めてギュッと抱きしめてきた。顔が胸に埋まってるので少し呼吸がし辛いけど、柔らかい感触と甘いニオイがしてとても癒やされた。

 

「どう?ユウ君。癒やされる?」

 

「うん、とっても気持ちいい」

 

「そう、良かった。今日はこのまま寝る?」

 

「うん、そうしたいな」

 

「ふふっ、分かったわ」

 

そして僕たちは、抱きついた状態でベッドに横になり眠りについた。

 

 



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この蒼の死神に幹部を

〈隣町〉

 

翌日、僕はクエストを受け、隣町へとやって来ていた。そしてしばらく街を歩いていると、街の人のこんな会話が聞こえてきた。

 

「なぁ、知ってるか。今、アクセルの街が大変な事になっているらしい………」

 

「あぁ、何でも魔王軍の幹部が単身攻めてきたらしい………」

 

「おい!それってまずくないか………」

 

どうやら魔王軍の幹部がアクセルの街に単身で乗り込んできたらしい。幸いこの街はアクセルの街からそう離れては無いため、すぐに街に行くことが出来る。そう考えているとまた、その人たちの会話が聞こえてきた。

 

「おい、どんなやつが来たんだ?知ってるのか?……」

 

「いや、俺は何も……」

 

「俺はチラッとだけど見たぞ。漆黒の鎧を着たデュラハンだったぞ」

 

どうやら魔王軍の幹部の姿を見た人がいたらしい。漆黒の鎧を着たデュラハンか……なるほどあの人がね。僕はそのデュラハンを頭の中で思い浮かべて笑みを浮かべた。

 

「最近は簡単なクエストばかりで退屈だったからね、少しは楽しめそうだ」

 

そう言って僕はアクセルの街に急いだ。

 

 

 

〈アクセルの街〉

 

カズマSide

 

俺たちは魔王軍の幹部のベルディアと相対していた。めぐみんと一緒に爆裂魔法を打ち込んでいた廃城に住んでいたらしく、怒ってこの街まで出てきた。今はめぐみんとアクアが前に出ていた。その時、デベルディアがアクアより早くめぐみんに向かって左手の人差し指を突き出し叫んだ。

 

「汝に死の宣告を!お前は一週間後に死ぬだろう!!」

 

そうめぐみんに向かって放つが、ダクネスが前に出てかばった。

 

「ダクネス!?」

 

俺はダクネスのもとに急いだ。クソっ、やられた、死の宣告か!

 

「ダクネス!!」

 

「大丈夫か!!」

 

「あぁ、なんともないようだが」

 

「仲間同士の結束が固い貴様ら冒険者には、むしろこちらの方が応えそうだな。よいか紅魔族の娘よ。そのクルセイダーは一週間後に死ぬ。お前の仲間はそれまで死の恐怖に怯え、苦しむ事となるのだ。そう、貴様のせいでな!これより一週間、仲間の苦しむさまを見て自らの行いを悔いるがいい。クハハハッ、素直に俺の言うことを聞いておればよかったのだ!」

 

ベルディアの言葉にめぐみんが青ざめた。そしてベルディアはめぐみんを指差した。

 

「そして、紅魔族の娘よ。そこのクルセイダーの呪いを解いて欲しくば、俺の城に来るがいい!俺のもとにたどり着けたらその呪いを解いてやろう。果たして俺の所までたどり着けることが出来るかな?クハハハハハハッ!」

 

ベルディアがそう言って笑っているときだった。

 

「ベルディアさん、あーそーぼー」

 

「ファッ!?」

 

その言葉が聞こえたあとベルディアの体が吹っ飛んだ。

 

 

ユウSide

 

「ぐおおおおおおおおおおお!!」

 

僕の攻撃をもろに受けたベルディアさんは地面を2度3度とバウンドをして岩に激突した。

 

「ユウ!」

 

「遅れてごめんね」

 

カズマ達が僕に近づいて来た。少し遅れちゃったな。

 

「カズマ、今の状況は?」

 

「ダクネスが死の宣告を受けている状態だ。どうにかできないか?」

 

「ダクネスが?……となると、あのベルディアに無理矢理解除させるしかないね」

 

「出来るのか?相手は魔王軍の幹部だそ」

 

「大丈夫だよ、それより早く皆を避難させて」

 

「分かった!」

 

そう言ってカズマはアクア達を避難させた。他の冒険者は僕の姿を見た途端に騒いでいた。

 

「ユウ来たぁぁぁぁぁ!!」

 

「この街の最強の冒険者が来たんだ。てめぇは終わりだ!首無し野郎!」

 

「ユウさん!そんな奴ボコボコにしちゃえ!」

 

それらの声を背後に、僕は集中していた。

 

「クソっ!!一体誰だ!!この俺が魔王軍の幹部だと知って………ッ!!」

 

僕の姿を確認したベルディアさんが震え始めた。そして、僕を指差して……。

 

「あああああ、蒼の死神っ!?」

 

久しぶりに聞いたな、蒼の死神って呼び名。僕の蒼い髪と、魔王軍とその幹部を片っ端から倒していく死神の様な姿から付けられたんあだ名が蒼の死神なんだよね……。そう思っているとベルディアさんが突然、瞑想を始めだした。何やってるんだろ?

 

「よーし落ち着こうか俺、最近城に爆裂魔法を毎日打たれてストレスが溜まってるんだ。それでありもしない幻覚が見えているんだ。そうに違いない。一回目を閉じて深呼吸をしながらリラックスするんだ。スーハー、スーハー。よし、もう大丈夫だ。リラックスできた。そしてそのままゆっくりと、目を開けて前を見るんだ。ほーら目の前に蒼の死神なんているわけ………いるううううううううう!!!」

 

なんで一人で漫才なんかやってるんだろ?。そう思っているとベルディアさんが聞いてきた。

 

「なな、なんで!お前がこんな所にいるんだ!!」

 

「何でって、ここに住んでるから」

 

「は、はぁ!?な、何でこんな駆け出ししかいない街に住んでるんだ。おかしいだろう!!王都に住め王都に!!お願いだから!!」

 

「ん〜ベルディアさんのお願いは聞けないなー。僕にはここに住む理由があるからね」

 

そう言ったが、ベルディアさんは納得していないらしく。

 

「ななな、何だ!その理由とは!!」

 

「ベルディアさんに言う必要ないよ。それより………」

 

そう言って僕は、まだ震えているベルディアさんにとびっきりの笑顔を向けた。その笑顔にビクッとしているベルディアさんにこう言った。

 

「最近退屈だったんだ。だからベルディアさん、遊び相手になってよ」

 

そう言って僕は一瞬で近づいて、刀を抜刀した。

 

 

カズマSide

 

 

「ちいっ!!」

 

ユウの攻撃をベルディアは剣で防いだが、防ぎきれず数メートル後方に吹っ飛んだ。

 

「ああああああ、もう!!何でこんなところで蒼の死神なんかと単身で戦わないといけないんだ!!ねぇ、嫌がらせなの?嫌がらせだよね!!もう、やだぁ………。早く城に帰って引きこもりたい!!」

 

「そんなこと言わずに、もう少し遊びに付き合ってよ」

 

こんな会話を聞いていると相手が魔王軍の幹部という事を忘れそうになる。というか、ユウの方が悪役にしか見えない。完全にいじめっ子といじめられっ子の関係に見えたいた。

 

そんなことを考えていると、いつの間にかユウが両手に黒い雷を帯電させていて、それをベルディアに放った。

 

「『120ミリ黒雷砲』!」

 

ベルディアは避けようとしたが、間に合わず攻撃を受けてしまった。

 

「ひああああああああ!!」

 

「まだまだいくよー、『アイスメイク•槍騎兵』!」

 

そうするとユウの手先から無数の氷の槍が生み出され、一斉にベルディアに向かっていった。

 

「ッ!舐めるな!!」

 

しかし、氷の槍がベルディアに当たる前にベルディアが剣ですべて砕いて攻撃を防いだ。

 

「やるね、ベルディアさん!じゃあどんどんいってみようか!『風の呼吸 壱ノ型 塵旋風・削ぎ』」

 

そしてユウは、攻撃を防いだベルディアに向かって、刀で攻撃を仕掛けた。すると、竜巻みたいな荒々しい風が吹き荒れ、地面に切り傷をつけながらベルディアに向かっていき、風が止むとベルディアは地面に倒れており、鎧に無数の斬撃の後が刻まれていた。

 

それを見ていた、冒険者達は歓声をあげて盛り上がり、俺たちはすぐにユウのもとに向かっていった。

 

 

ユウSide

 

「ユウ!」

 

そう言ってカズマ達が僕の方に向かって来た。まだ呪いを解除してないのにな。そう思っていた時…。

 

「……く、くそ!!」

 

「な!?」

 

ベルディアさんが地面に向かって剣を連続で振り下ろした。そのせいで辺りが土煙でまったく見えなくなった。

 

「無理無理無理だって!こんなの絶対無理だって!もう帰る!じゃあな!!」

 

そう言ってベルディアさんは姿を消した。あ~あ、もう終わりか…せっかく盛り上がって来たのに。

 

「おい、どこ行く気だ」

 

そう思っているとカズマの声が聞こえた。そちらを向くとめぐみんが一人でどこかに向かおうとしていた。

 

「ちょっと城まで行って、あのデュラハンに直接爆裂魔法を打ち込んで、ダクネスの呪いを解かせてきます」

 

「俺も行くに決まってるだろうが、お前一人じゃ雑魚相手に魔法を使って、それで終わっちゃうだろ。そもそも、俺も毎回一緒に行きながら、幹部の城だって気づかなかったマヌケだしな」

 

そう言って二人はベルディアさんの城に行こうとしていた。……まったく。

 

「僕も行くよ。呪いを解除させるって言っておきながら出来なかった僕も悪いしね」

 

「よせ………やめろ、私なんかのために」

 

「おいダクネス!呪いは絶対になんとかしてやるからな!だから安心して」

 

「『セイクリッド・ブレイクスペル』!」

 

アクアはそうやって浄化魔法を発動して、死の宣告の効果を消してしまった。……えー…。

 

「この私にかかれば、デュラハンの呪いの解除なんて楽勝よ!どう?私だってたまにはプリーストっぽいでしょ?」

 

僕たちのやる気を返してよ。そうやって僕たちは街に帰って行った。

 

 




戦闘描写ってやっぱり難しいですね。

アンケートへの回答もよろしくお願いします。


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この蒼の死神に魔剣使いを

アンケートにご協力いただきありがとうございます。

現在このような結果になってます。

1位 累
2位 零余子
3位 魘夢


〈ギルド〉

 

「おはよ、ルナさん」

 

「えぇ、おはようユウ君」

 

「受付の掃除してるの?手伝おうか?」

 

「いいの?じゃあお願いね」

 

「任せてよ!」

 

ベルディアさんの襲撃から一週間後、あれから何事もなく日々は過ぎていった。僕はルナさんにあいさつをして、受付の掃除を手伝っていると。

 

「もう限界!借金に追われる生活!クエストよ!あのデュラハンのせいで、きついクエストしかないけど受けましょう。お金が欲しいの!!」

 

というアクアの声が聴こえてきた。まだ借金あったんだ、アクアって。そう思っているとまた声が聞こえてきた。

 

「わ、私は構わないが」

 

「お、お願いよおおお!もう商店街のバイトは嫌なのよ!コロッケが売れ残ると店長が怒るの!頑張るから!今回は私全力で頑張るからぁぁぁ!!」

 

「俺の金もいずれ無くなるだろうし。良さそうなクエスト、見つけてこいよ」

 

「分かったわ!」

 

そう言ってアクアが、クエストが貼ってある掲示板に向かっていった。大丈夫かな……?

 

大丈夫かなと思っていると、カズマがアクアに近づいていた。やっぱり不安なんだね。

 

アクアの方を見てみると、真剣な顔でクエストを選んでいた。そして、その中の1枚を剥がして手にとった。

 

「………よし」

 

「よしじゃねぇ!お前なに受けようとしてんだよ!?マンティコアとグリフォンが縄張り争いをしている場所があります。2匹まとめて討伐して下さい。報酬は50万エリス。……ってアホか!!」

 

確かに、そのクエストはカズマ達にはまだ早いね。するとアクアが

 

「ちょっと、これこれ!街の湖の水質が悪くなり、ブルータルアリゲーターが住み着き始めたので、水の浄化を依頼したい。湖の浄化が出来れば、モンスターは生息地を他に移すため、討伐はしなくてもいい。報酬30万エリス。私にピッタリのクエストじゃない!」

 

 

と、大きな声で言っていたので、僕と一緒に掃除をしていたルナさんもアクアがいる掲示板の方を見ていた。

 

「ルナさん、早く掃除終わらせないと遅くなっちゃうよ」

 

「あ、ごめんねユウ君。そうね、早く終わらせましょうか」

 

そう言って、僕たちは掃除を再開させ、数分後にようやく終わった。するとまだ、カズマとアクアが話していた。

 

「そもそも、お前水の浄化なんて出来るのか?」

 

「バカね、私を誰だと思っているの?名前や外見のイメージで、私が何を司る女神か分かるでしょ!」

 

アクアという名前や、外見のイメージでねぇ…。てか、自分のことを女神だと思っていたんだアクアって。うわぁーこれはちょっとな〜。するとカズマが

 

「宴会芸の神様だろ?」

 

「違うわよヒキニート!水よ!この美しい水色の瞳と、この髪が見えないの?」

 

確かに、アクアっていつも宴会芸を披露してるから、宴会芸の神様の方が納得できるね。でも、アクアは水の神様だと言ってる。そんなことを考えていると、カズマが僕にも質問してきた。

 

「なぁユウ、アクアってなんの神様に見える?」

 

「宴会芸の神様か、借金の神様じゃないの?」

 

「わああああああああっー!!私は宴会芸や借金の神様なんかじゃないわよっ!水を司る女神よ!水を!水なのにいいいいいい!!」

 

カズマの質問に答えたらアクアが泣いてしまった。からかうのもこれぐらいにしておくかな。

 

「カズマ、そのクエストなら戦闘もしなくていいし、大丈夫そうだから僕は別行動でいいかな?」

 

「えっ?ユウ何か用事か?」

 

「まぁね、試しに請けてみたいクエストがあるんだ」

 

「分かった。気をつけろよ」

 

そう言って僕は、掲示板の中の実験関係のクエストで、比較的安全そうなものを選んで、ギルドを出た。

 

 

 

 

「クエストを請けた者です」

 

「よくいらっしゃいました。さぁこちらへ」

 

建物から出てきたのは、僕よりも少し年上そうな女の人だった。その女の人に案内してもらって椅子に座った。

 

「今回はクエストを請けていただきありがとうございます」

 

「お礼はいりませんよ。それより、今回の実験は魔法薬の検証実験ですよね。どんな薬を使うんですか?」

 

「はい、今回の薬は傷を回復させるだけでなく、身体能力を上げる効果の薬を3品ほど用意しましたので、それを飲んでいただき、その後に身体能力テストをしてもらいます」

 

「分かりました」

 

「では、こちらの書類に名前をお願いします。私は薬を用意いたしますので」

 

そう言って女の人は奥に行った。今のうちに書類をくわしく読んでおこう。

 

「内容は比較的普通だね。効果内容も書いてあるし問題ないかな、注意点も細かく書いてあるし大丈夫そうだね。確かこれで三百万エリスだったよね?楽だね」

 

そう思い、僕は書類に名前を書いてさっきの女の人を待っていたけど、いつまでたっても来る様子がなかったから僕は、女の人が入っていった奥の方に行ってみた。

 

「すいませーん。書類を書き終わったので早く……?」

 

奥の方で女の人をみつけたが、薬を選んでいる真っ最中だったのか声が聞こえてきた。その声をよく聴いてみると。

 

「まさか最強のルーンナイトが来てくださるなんて私はツイている。じゃあこの赤い薬を飲ませてみよう。この薬を飲んだらどうなるか、ふふふ、楽しみだなぁ。かといってこっちの青い薬も、ふふふ、そしてこの紫の薬は、飲んだらそれはもう凄いことに、ふふふふ。おっといけない、興奮してしまってよだれが、ああっ!早く試したい!あーハッハッハ!!」

 

「……………」

 

僕は何も言わずに椅子に戻った。大丈夫だよね?ホントに大丈夫だよね?死んだりシないよね!?

 

「お待たせしました」

 

奥に行っていた女の人が戻ってきた。さっきの事があるのでついビクッっとしてしまった。

 

「では、お願いしますね。まずはこの紫の薬から飲んでください。一気にグッっとお願いしますね」

 

そう言って飲んだらそれはもう凄いことになるらしい紫の薬を渡された。だ、大丈夫だ!しょせんはただの薬、死ぬことはないはずだ!そう思い、僕は紫の薬を一気に飲んだ………。

 

 

ドクン!!!

 

 

 

 

「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

 

 

「じゃあ、これがクエストの達成報酬の三百万エリスだよ。ユウ君、確認を……。ってユウ君大丈夫?」

 

「………うん、大丈夫」

 

今回のクエストで学んだコトは、これからは絶対に実験関係のクエストは受けないという事だ。もう絶対に受けたくない、うっ……。

 

「でも、凄く顔色が悪いし……よし、ユウ君ちょっとこっち来て」

 

そうルナさんが呼んだのでそこに行くと、いきなり正面から抱きついてきた。

 

「え?ちょっ!ルナさん?」

 

「いきなりごめんね?でもユウ君の顔色がすごく悪かったから癒やしてあげようと思って。どう?少しは気分良くなった?」

 

そう言われて僕は、心配かけちゃったなと感じて、ルナさんの背中の背中に腕を回して抱きついた。そして同時に、そんなに顔色が悪かったのかと思い二度と今回のようなクエストはやらないと心に誓った。

 

「うん、もう大丈夫。ありがとうルナさんおかげで元気出たよ」

 

「そう?なら良かったわ」

 

「じゃあ、また後でね」

 

そう言って僕はルナさんから離れた後、ギルドから出た。

 

 

ギルドから出て、しばらく街を歩いているとカズマ達の声が聞こえた。

 

「おい、いい加減その手を放せ。礼儀知らずにもほどがあるだろう」

 

「ちょっと撃ちたくなってきました」

 

「それはやめろ。俺も死ぬ」

 

「君たちは…クルセイダーにアークウィザードか、なるほど、パーティーメンバーには恵まれているんだね。君はこんな優秀そうな人たちがいるのに、アクア様を馬小屋で寝泊まりさせて、恥ずかしいと思わないのか?」

 

どうやら誰かと揉めているらしい。相手は……あーあの人か……。とりあえず止めようと僕はそこに向かった。

 

「そこまでだよ。キョウヤさん」

 

「なっ!ユウ!」

 

「カズマ、どうしてキョウヤさんと言い争ってるの?」

 

「こいつがいきなり絡んできて」

 

「ユウはそいつと知り合いなのか?」

 

「今入ってるパーティーの仲間だよ」

 

「なに!?」

 

そう言ってなぜか固まってしまったキョウヤさん。この人は最近冒険者になった人なんだけど、初めから高レベルのソードマスターになった、俗にいう天才というべき人だ。そう思っているとキョウヤさんが騒ぎ出した。

 

「なぜだ!僕の誘いは断って何でこんなやつのパーティーに!」

 

「えーと、あの時も言ったと思いますがもう一度言いますね。僕から見てあなたはつまらないと思ったから、あなたの誘いは断ったんです。それに、パーティー入りの試合も僕は勝ちましたからあなたにどうこう言われる筋合いはありません」

 

そう僕は前に、キョウヤさんのパーティーに勧誘されていた。だけど僕はそれを断った。理由は、一目見てつまらないと思ったからだ。それに、キョウヤさんは初めからソードマスターになっていたが、僕にはそんな凄そうな人には見えなかった。せいぜい一般人よりも少し上ぐらいの強さしか感じなかった。

 

だが、それで納得しなかったのか、何回もパーティーに勧誘してきてさすがにしつこいと思い、僕とキョウヤさんで試合をした。僕が勝ったらパーティー入りを諦めてもらい、キョウヤさんが勝ったら僕がパーティーに入るという条件で。結果は僕の勝ち。予想通りキョウヤさんはそこまで強くなく、剣の振り方も素人で、体幹もブレブレだった。ただ、キョウヤさんが持っていた剣は何か特別な感じがした。

 

その事を思い出していると、まるで同情でもするようにカズマ以外の僕達に笑いかけてきた。何なんだ?

 

「君たち、これからはソードマスターの僕と一緒に来るといい。高級な装備品も買い揃えてあげよう。ユウも、もう一度パーティー入りを考えてみてくれないか?」

 

「ちょっと、ヤバいんですけど。あの人本気でひくぐらいヤバいんですけど。ナルシストも入ってる系で怖いんですけど」

 

「どうしよう…あの男は生理的に受け付けない。攻めるより受けるのが好きな私だが、あいつだけはむしょうに殴りたいのだが」

 

「撃っていいですか?撃っていいですか?」

 

「僕も、パーティー入りは無しという事で」

 

「えーと。俺の仲間は満場一致であなたのパーティーには行きたくないようです。じゃあこれで……」

 

そう言って僕たちは立ち去ろうとする。だが、キョウヤさんが立ち塞がった。しつこいなぁ………。

 

「どいてくれます?」

 

「悪いが、アクア様をこんな境遇においておけない。だから勝負をしないか?僕が勝ったら、アクア様を譲ってくれ。君が勝ったら何でも一つ言うことを聞こうじゃないか」

 

何でこんな勝負を思いつくんだろう…。

 

「どうするカズマ、僕がやってもいいけど」

 

「いや、俺がやるよ。行くぞ!」

 

そう言ってカズマが奇襲を行う。キョウヤさんは急いで魔剣を抜くが……。

 

「『スティール』!」

 

カズマのスティールが発動してキョウヤさんが持っていた魔剣を奪い、その魔剣でキョウヤさんの頭を強打した。頭を強打されたキョウヤさんは気絶した。やっぱりカズマはスキルの使い方が上手いな。

 

「ひ、卑怯者。卑怯者卑怯者卑怯者!」

 

「この最低男!卑怯者!」

 

と思っていると、キョウヤさんのパーティーの女の子達がカズマのことを卑怯者と叫んでいた。僕からすればソードマスターのキョウヤさんが、ただの冒険者のカズマに勝負を挑むこと自体が卑怯だと思うんだけどなぁ……。

 

そう思っているとカズマが魔剣を持っていこうとしていたが、キョウヤさんのパーティーの女の子達はあの勝ち方を認めてない様だった。するとカズマが右手をワキワキさせながら女の子達に

 

「真の男女平等主義者な俺は、女の子相手でもドロップキックをくらわせられる男。手加減して貰えると思うなよ?公衆の面前で俺のスティールが炸裂するぞ」

 

と言うと、女の子達は悲鳴を上げながら逃げていった。そして僕たちはそれぞれ帰って行った。はぁ………疲れたな。

 

 

〈ルナの家〉

 

「ルナさん、もう一回抱きしめてくれないかな?」

 

「ふふっ、いいわよ」

 

ルナさんの家に来た僕は、ルナさんに抱きしめてもらっていた。はぁ……気持ちいい…。

 

そして十分に満足したところで離れて、お互いに見つめあい………。

 

「ルナさん……」

 

「ユウ君……」

 

名前を呼び合い、どちらからともなくキスをした。

 

「んっ……」

 

「んちゅ……ちゅう」

 

そしてお互いに唇を離し、離れた唇から唾の糸が作られる。

 

「はぁ…はぁ…ルナさん、愛してるよ」

 

「はぁ……はぁ…私も、愛してるわ。ユウ君」

 

そうして、もう一度二人は唇を重ねた。

 

 




R18書こうか迷ってます。


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この蒼の死神に再戦を

以外と零余子が人気なのでビックリしました。

あと、2、3話程度で締め切ります。





〈王都〉

 

翌日、僕は王都に来ていた。何故王都に来ているかと言うと…それは

 

「……ハァァ!……まだまだいくよ、ユウ!」

 

「……フッ!……来い、ジャティス!」

 

というふうに模擬戦をするためである。

 

しかも相手は王族である、ベルゼルグ・スタイリッシュ・ソード・ジャティス王子本人だ。

 

何故僕と、王子が模擬戦をしているかというと……前に観光で王都に来ていた時に、魔王軍の襲来があったので、その時に僕は負傷している人達を救助しながら魔王軍の兵士達を倒していき、その後に魔王軍を撤退させることに成功した。その時に、ベルディアさんもいたけど、ある程度戦ったら逃げていった。

 

その、魔王軍を撤退させた事が国王様まで伝わっていたらしく、次の日に国王様から呼び出されてから感謝された。そして、その時に国王様からジャティス王子とアイリス王女を紹介された。

 

紹介された後に、ジャティス王子が僕と手合わせしたいと言ってきたので実際にお互いに自分の武器を持って戦った。結果は僕の勝ちだった。

 

しかし、ジャティス王子は王都にいる高レベルの冒険者達よりも強かった。僕はこの時、何故高レベルの冒険者達よりも王族である王子の方が強いのか疑問でいっぱいだった。

 

ジャティス王子は僕との戦いが気に入ったのか

 

「ユウ、偶にでいいからまた試合をしてくれないか?」

 

「僕で良かったらぜひ。よろしくお願いしますジャティス王子」

 

と言ってきたので僕はそう返した。するとジャティス王子が。

 

「ありがとう!それと、僕の事はジャティスでいいよ。口調ももう少し楽にしてくれて構わない」

 

などと言ってきたので僕は。

 

「分かった!じゃあ、これからよろしくねジャティス!」

 

と返すとジャティスは嬉しそうに。

 

「うん!よろしく、ユウ!」

 

そう言って笑っていた。

 

それから僕とジャティスは偶にこうやって模擬戦をやるようになっていった。

 

そして、今。僕らは現在、模擬戦の最中である。ただ、もう3時間以上休憩なしで戦っているため、流石にきつくなって来た。ジャティスも同じなのか、息切れが激しくなっていた。だから僕はジャティスに。

 

「……ハァ……ハァ……ジャティス、次の一撃で終わらせよう」

 

「………ハァ……ハァ……そうだね、次で終わらせる!」

 

そう言い合って、僕らは技を繰り出した。

 

「『月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮』!!」

 

「『セイクリッド・エクスプロード』!!」

 

 

 

 

「流石だねユウ!あ~、今回は勝とうと思ったのになぁ」

 

「ジャティスこそスゴいよ。僕も勝とうと思ってたのに」

 

結果から言うと引き分けだった。僕の技とジャティスの技がぶつかったが、技の威力は互角だったらしくお互いの技が相殺しあって2つとも消えてしまい、僕らも力尽きて倒れてしまった。

 

「次は絶対に負けないよ!ユウ!」

 

「僕も負けるつもりはないよ、ジャティス!」

 

そうお互いに宣言し、それからはしばらくは会話を楽しんだ。

 

 

〈アクセルの街〉

 

カズマSide

 

俺達はギルドに来ていた。さっきまでこの前会ったミツルギという魔剣使いが魔剣を返してくれと絡んできたが、俺が売ったと言うと走ってギルドを立ち去って行った。そして、ミツルギがアクアの事を女神というふうに呼んでいた事が気になったのかめぐみんとダクネスがその事を聞いてきて、アクアがアクシズ教の女神だと言うと二人はそういう夢を見たのかとアクアを憐れんでいた。するとめぐみんが

 

「そういえばユウがいませんね。どうしたのでしょうか?」

 

「ホントだ。クエストにでも行ってるのか?俺ちょっと受付で聞いてくるよ」

 

と言ってきたので周りを見ると確かにユウがいなかった。クエストにでも行ってるのかと思った俺は受付にユウがクエストを請けたのか聞いてみたが

 

「ユウさんですか?……いえ、ユウさんは今日クエストは請けてませんよ」

 

と言われてしまったので、どこにいるのか分からなくなってしまった。すると受付の人がこう言って来た。

 

「そういえば、前にもユウさんがギルドに来ていない時があって、どこに行っていたか聞いたら王都に行っていたとおっしゃっていましたから、たぶん王都に行っていると思いますよ?」

 

どうやらユウは王都に行っているらしい。その事をアクア達に伝え終わってゆっくりしていると……。

 

『緊急!緊急!全冒険者の皆さんは、直ちに武装し、戦闘態勢で街の正門に集まってください!………特に、冒険者サトウカズマさんとその一行は、大至急でお願いします!!』

 

「え?何だろう」

 

「とりあえず行ってみましょう」

 

そう言って俺達は街の正門に行った。

 

 

〈正門〉

 

するとそこには、先日この街に襲撃してきた魔王軍の幹部ベルディアが来ていた。

 

「またあいつか…」

 

俺がそう言うとベルディアはこっちに気づいて体を震わせながらこう言った。

 

「貴様ら……なぜ我が城に来ないのだ!!この人でなしどもがァァァァ!!この数日、色々なもてなしの準備をして待ってたんだぞ!」

 

「いやーまーなんつーか…もう城に行く必要がなくなったというか……あと、もう爆裂魔法を撃ち込んでもいないし……」

 

「撃ち込んでもいないだと?何を抜かすか白々しい!そこの頭のおかしい紅魔の娘が、あれからも毎日欠かさず通っておるわ!」

 

俺は隣にいるめぐみんを見た。が、めぐみんはふいっと目を逸らした。こいつ!!

 

「お前なああああああああああ!!」

 

「ひたたたた、違うのです、聞いてください!今までなら、何もない荒野に魔法を放つだけで我慢できていたのですが、城への魔法攻撃の魅力を覚えて以来、大きくて硬いモノじゃないと我慢できない体に………」

 

「もじもじしながら言うな!大体お前、魔法撃ったら動けなくなるだろうが!てことは、一緒に行った共犯者が………」

 

 

俺の言葉を聞いたアクアがビクッてした。俺はアクアを見るとふいっと目を逸らして下手な口笛を吹き出した。………。

 

「お前かああああああああ!!」

 

「ひたたたた!あいつのせいでろくなクエスト請けられないから腹いせがしたかったんだもの!」

 

この駄女神のほっぺたを引っ張っていると、ベルディアが言葉を続けた。

 

「聞け、愚か者共!俺が真に怒っているのはその件ではない!貴様らには仲間を助けようという気はないのか?これでも昔は真っ当な騎士のつもりだった。その俺から言わせれば、仲間を庇って呪いを受けた、騎士の鏡の様なあのクルセイダーを見捨てるなど………」

 

そうベルディアがそこまで言いかけたときだった。

 

「すまないっ!鎧を着るのに手間取ってしまった。……これは一体なんの騒ぎだ?誰かが理不尽な攻撃を受けているなら私が一手に引き受けるぞ」

 

そう言いながらダクネスが走ってこちらに来ていた。そして、ダクネスを見たベルディアはしばらく動きが固まった後に……。

 

「あれーーーーーー!?何でーーーー!?どうしてーーーー!?な……何故あんなにピンピンしてるのだ……?た……確かに一週間後に絶対死ぬ呪いをかけたのに…」

 

と、素っ頓狂な声を上げながら困惑していた。すると、隣にいたアクアがその光景を見て笑っていた。

 

「なになに?あのデュラハンずっと私達を待ち続けていたの?あっさり呪い解かれちゃったとも知らずに?プークスクス!ウケるんですけど!ちょーウケるんですけど!」

 

そう言ってアクアはベルディアを指差して笑った。やめろ!煽るな!

 

「まぁ、それならいい。俺は帰らせてもらう」

 

そう言って、ベルディアは帰ろうとする。あれ?

 

「コイツらに怒っているんじゃないのか?」

 

「俺はもう怒ってはいない。流石にそこまで小さい男ではないからな。そこの紅魔の娘!爆裂魔法を撃ち込むなとはもう言わん。だか、せめて毎日はやめろ。修理が追いつかない、その事を伝えに朝早く城から出たのだ。ではさらばだ」

 

そう言っていた。俺はめぐみんとベルディアに聞こえないくらいの声で話した。

 

「どういうことだ?」

 

「多分、ユウがまだこの街にいると勘違いしているんでしょう」

 

「なるほど……」

 

そう俺達は話していたが、アクアが余計なことを言った。

 

「見て見てカズマ!あいつ怖気づいて帰っていくわ!ウケる!ちょーウケるんですけど!ユウが今王都に行ってるって事も知らずに。プークスクス!」

 

この駄女神!!何言ってんだ!!

 

「おい、そこのアークプリースト。今何と言った?」

 

「な、何も言ってないよ」

 

「いや、確かに聞こえたぞ!今、蒼の死神は王都に行っていると!そうかそうか、あいつは王都にいるのか!そして、そんな時に俺が来たと。くくくく」

 

そう言ってベルディアは笑い始めた。………マズい!

 

「さっき俺は怒っていないと言ったな?あれは嘘だ」

 

「うわっ!ユウがいないとわかったら手の平返しやがった。小さすぎる!なんて小さいやつなんだ!」

 

「う、うるさい!まあいい、ここは一つ、蒼の死神を苦しめてやる事に決めたぞ。自分が住む街の住人が皆殺しになっていれば自らの行いがどれだけ愚かだったかと気づき絶望するだろう。クハハハハハハッ!!」

 

そう言ってベルディアが笑っていると。

 

「寝ぼけたこと言ってんじゃないわよ!性懲りもなく私の前に二度も現れたことを後悔しなさい!『ターンアンデット』!!」

 

「ハハハッ!馬鹿め!!そんなモノがこの俺様に通用するとでも………ギャアアアアーー!?」

 

アクアがベルディアに向かって浄化魔法を放った。すると、最初はバカにしていたベルディアも浄化魔法が当たった瞬間に悲鳴を上げながら地面を転がっていた。

 

しかし、アクアは

 

「そ…そんな…。カッカズマ!変よっ、私の魔法が効いてないわ!」

 

「いや、結構効いてないか?アレ」

 

と、魔法が効いてないと思ったのか動揺して俺に聞いてきたので俺は、そう返した。…だってギャーーって言ってるし。

 

するとベルディアは

 

「ぐ…ぬ…う。な……何だアイツは…いいだろうっ!こんなひよっ子の街に蒼の死神以外にも貴様のような者が居たのは誤算だったわ!魔王軍への脅威になりうる芽は俺自ら摘み取って………」

 

「今度こそ引導を渡してやるわよっ!『セイクリッド・ターンアンデット』!!」

 

「ひあああああああーー!!ぬおおおおおーーっ!!あっちゃーー!!」

 

アクアに襲いかかろうとしたが、その前にさっきよりも強力な浄化魔法を当てられて苦しんでいた。

 

そして、何とか立ち上がったベルディアは

 

「フ……フン……。考えてみればわざわざ俺が相手してやるまでもなかったな!だが俺をコケにした事を後悔させてやる!お前達、存分に街の連中に地獄を見せてやれ!」

 

そう言って大量のアンデットを生み出し命令した。しかし………。

 

「えっ?えっ?ちょっと!何で私ばかり集中的にーーっ!?」

 

そのアンデット達は全てアクアの方に行ってしまい、街の方に行くアンデットは一体もいなかった。その時、俺はある作戦を思いついた。

 

 

 

ユウSide

 

しばらくジャティスと話していると、僕達の所に一人の少女がやって来た。

 

「ユウお兄様!お久しぶりです!」

 

「やぁアイリス。久しぶりだね!元気だったかい?」

 

「はい!ユウお兄様も元気そうで何よりです!」

 

この少女の名前はアイリス。ジャティスの妹であり、王女様だ。ジャティスと仲良くなった同じ時期に懐かれてお兄様と呼ばれるようになった。

 

「今日はどれくらい王都にいられるのですか?」

 

「そうだね……しばらくはいられると思………!?ちょっと待って」

 

アイリスにいつまでいられるかと聞かれたので答えようとしたら、ポケットの中のビー玉みたいなガラス玉が割れた。

 

このガラス玉は前に観光先で手に入れた魔道具で、2つの対になっているガラス玉のうち片方が割れたらもう片方も割れるというものだ。僕はそれの片方をルナさんに何かあった時のために渡していた。……それが割れたって事は何があったって事だ。

 

「ごめん。すぐに街に帰らないと行けなくなったみたいだ……ジャティス、そしてアイリスまた今度ね」

 

「ああ、また今度模擬戦しよう」

 

「はい!また」

 

そう言って僕は、ジャティスとアイリスに別れを言って急いでアクセルの街に向かった。

 

 

 

 

カズマSide

 

俺は作戦であっためぐみんの爆裂魔法で大量のアンデット達を倒す事に成功していた。しかし、ベルディアが直接出て来てそれに挑んでいった冒険者達が一瞬でやられてしまった………。今はダクネスがベルディアと戦っているが、時間が立つに連れダクネスの傷が増えていく……まて、あいつ痛めつけられて喜んでないか?俺は我慢できず

 

「時と場所くらい考えろっ!このド変態がーーっ!!『クリエイトウォーター』!」

 

ダクネスに向かって魔法を使い、水をかけた。その水は狙いどうりダクネスにかかったが、勢いが強かったのかダクネスの前にいたベルディアにかかりそうになったがベルディアはそれを避けた。………?何だ今の……疑問に思った俺はもう一度ベルディアに向かって水魔法を放った。

 

「『クリエイトウォーター』!」

 

「!?」

 

するとベルディアは確かにそれを避けた。やっぱりこいつの弱点は………。俺は大声で叫んだ。

 

「水だあああああああああ!!」

 

その言葉を聞いた魔法使い達と俺は連続で水魔法を放った。

 

「『クリエイトウォーター』!」

 

「『クリエイトウォーター』!」

 

「『クリエイトウォーター』!」

 

「くぬっ!おおっ!っとっ!」

 

俺達の水魔法をこれでもかとベルディアは躱す。クソっ!このままじゃ魔力が尽きちまう!

 

「ちょっと!カズマったら何水遊びなんてやってんのよ!」

 

こいつ!!

 

「水だよ水っ!あいつは水が弱点なんだよっ!なんちゃって女神でも水の一つでも出せるだろ!」

 

「ちょっと!なんちゃって女神ってなによ!私は正真正銘の水の女神様よっ!」

 

「だったらさっさと出せ駄女神!」

 

「あーっ!また駄女神って言ったーーっ!!いいわ見てなさいっ!あんたの出す貧弱なのじゃなくて洪水クラスの水を出してあげるわっ!」

 

そう言ってアクアが魔法の準備を行った。

 

「この世に在る我が眷属よ……水の女神アクアが命ず………『セイクリッド・クリエイトウォーター』!」

 

そう唱えると膨大な水がベルディアを襲った。………俺らも巻き込んで。

 

 

「何を考えているのだ貴様………。馬鹿なのか?大馬鹿者なのか貴様は!?」

 

水が引いた後には、地面にぐったりと倒れ込む冒険者達と同じく、ぐったりとしていたベルディアがヨロヨロとしながら立ち上がって言った。

 

「今がチャンスよ、カズマ!」

 

「今度こそお前の武器を奪ってやる!」

 

「弱体化したとはいえ、駆け出し冒険者のスティールごときで俺の武器は盗らせわせぬわ」

 

そう言ってベルディアが俺に向かって突進してきた。マズい!以外に速い!

 

「クソっ!『スティー……」

 

「遅い!」

 

そう言ってベルディアが俺に剣を振り下ろす!俺は目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……何とか間に合ったね」

 

その言葉を聞いて俺は目を開けた。そこには………。

 

「ユ、ユウうううう!」

 

「よく頑張ったね、無事で良かったよ」

 

ユウがベルディアの攻撃を刀で受け止めていた。ユウの姿を見たベルディアはすごく焦っていた。

 

「こ、このタイミングで蒼の死神が来るだと!?マズいマズいマズいマズい!!」

 

そしてユウはベルディアの方を向いた。そして怖い笑顔でこう言った。

 

「ベルディアさん…僕の仲間に手を出したんだ。かくごはできてるよね!」

 

「ひいっ!」

 

そう言ってユウは剣を弾き、ベルディアに強烈な蹴りをお見舞いして……。

 

「『アイスメイス・銀世界(シルバー)』!」

 

ベルディアの周りの水ごと凍らせた。それによりベルディアは動けなくなった。

 

「おし。アクア、後は頼む」

 

「そしてアクアは魔法を発動した。

 

「『セイクリッド・ターンアンデット』!」

 

「ギャアアアアっ!!」

 

アクアの魔法を受けたベルディアは浄化された。こうして俺達と魔王軍の幹部との戦いは終わった。

 

 

 

ユウSide

 

「はい、これが魔王軍の幹部の報酬金ね。受け取ってユウ君」

 

「うん」

 

僕はベルディアさんを討伐した翌日に冒険者ギルドに行って、魔王軍の幹部討伐の報酬金を受け取った。報酬金は今回参加した冒険者全員に配られている様だった。まだ、カズマは来ていなかったけどダクネスは他の人とお酒を飲んだり、めぐみんは料理を食べ、アクアは報酬金を使ってお酒を大量に飲んでいた。僕とルナさんは端の方で料理を食べたりしながら喋っていた。

 

「凄いね。ユウ君のパーティーは魔王軍の幹部を討伐しちゃうなんて」

 

「凄いのはカズマ達だよ。僕は何もやってないからね」

 

「そんなこと無いよ。カズマさんが危なかった時に助けてたじゃない。それに前に魔王軍の幹部が来たときにはユウ君が一人で撤退させたじゃない!だからユウ君も凄いのよ!それにユウ君は私の恋人なんだから凄くないわけ無いわ!」

 

「ルナさんにそこまで言われたら少し照れるね」

 

「だからユウ君も楽しんで、ね?二人で楽しもうよ!」

 

「そうだね」

 

それからしばらくルナさんと楽しく話していたが、受付が忙しくなってきたのでルナさんは受付に向かっていった。その時にちょうどカズマが来たので僕はカズマのところに向かった。皆がカズマにはなしかけているとルナさんが来た。………どうしたんだろ?

 

「実は、カズマさんのパーティーには特別報酬が出ています」

 

「え、何で俺達だけが?」

 

「おいおいMVP!お前らがいなきゃ、デュラハンなんて倒せなかったんだからな!」

 

その声に他の冒険者もそうだそうだと騒ぎ出す。………良かったね。

 

「おっほん!サトウカズマさんのパーティーには三億エリスを与えます」

 

「「「「さっ、三億!?」」」」

 

へぇーあのベルディアさんに三億エリスもかけられてたんだ。そう思っているとカズマが集合をかけた。どうしたの?

 

「お前らに一つ言っておくことがある!大金が入った以上、俺はのんびりと安全に暮らしていくからな!」

 

「待ってくれ!強敵と戦えなくなるのはとても困るぞ!?」

 

「待ちません!あと、困りません!」

 

「私も困りますよ、私はカズマに付いていき、魔王を倒して最強の魔法使いの称号を得るのです!」

 

「得ません!」

 

「またヒキニートに戻るつもり!」

 

「戻りません!ニートじゃないから」

 

と、カズマ達が話し合っているとルナさんがカズマに一枚の紙を渡した。………請求書?

 

「実は、アクアさんの召喚した大量の水により外壁などに大きな被害が出ていまして………。まぁ、魔王軍幹部を倒した功績もあるし、全額弁償とは言わないから、一部だけでも払ってくれ………と…………」

 

そう言ってルナさんは受付の奥に入っていった。……あちゃー。

 

「報酬三億……。そして、弁償金額が三億四千万か。………カズマ。明日は金になる強敵相手のクエストに行こう」

 

「血で血を洗う魔導の旅は、始まったばかりですね」

 

「借金は等分でいいわよ………」

 

「元気出してカズマ。僕も手伝うから」

 

このパーティーは問題ばかりで面白いな。さて、明日から頑張りますか。

 

 




疲れた………


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