<Infinite Dendrogram>-Lord of the Netherworld- 冥府の主 (GOD竹山)
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世界に降り立つ冥府の主
1話 降り立つ冥府の主


初投稿です。気ままに読んでもらえたら嬉しいです。後、作者は初めてこのような小説を書くので文章がカスと思われますがご了承くださいお願いします何でもしm


2043年VRゲームの最先端とも呼べるような1つのゲームが世に現れた

その名は<Infinite Dendrogram>、このゲームは今まで人類が夢見てきたVRゲームをも超えたオーバーテクノロジーのようなゲームであった

この<Infinite Dendrogram>の発売から半年がたった今、世間から注目されているこのゲームをやろうと一人の女性がいた

 

 

 

 

 

 

 

 

<東京某所>

 

「ようやくあの<Infinite Dendrogram>を手に入れました…」

         

ある春の日、私こと悠凪世深《ユウナギヨミ 》はある一つのゲームを入手しました。そのゲームとは<Infinite dendrogram>と言う名のゲームで私が大学受験を真剣に考え始めた高校3年生の夏頃に発売されたゲームで、発売当初はそのリアリティから疑う人が多くあまり売れなかったそうですが、一部の発売当初に買った人達から本当だったなどのコメントから新たに買う人が続出、瞬く間に大ヒットし品切れ状態が続いている人気ゲームを今回、懸賞で当たったおかげでようやくできるようになりました。

 

このゲームの特徴や大まかな内容などは懸賞にあたって配送される数日の間に、ある程度調べておきましたし早速このゲームをやっておきましょう。

 

そうして、私はこのゲームにログインすためのヘルメット型のゲーム機を被り、調べた知識からベッドの上に寝転がりゲームのスイッチを入れました。

その瞬間、私の視点は暗くなって行きました。

 

視界が開けた場所には1匹の2足歩行の猫がいました。

 

「はーい、ようこそいらっしゃいましたー」

 

猫は流暢な言葉で話しかけてきました。

 

「こんにちは…?いったいここはどこでしょうか」

 

私はそんな疑問を目の前にいる猫に対して質問をしました。すると猫は、

 

「ここはゲームのチュートリアルみたいに色々設定してもらう場所だよー。ちなみに僕は<InfiniteDendrogram>の管理AI十三号のチェシャだよー。よろしくねー」

 

猫は自分からチェシャと名乗り上げ私の質問に答えてくれました。

 

それにしても管理AIですか、しかも十三号ということは最低でも他に12体管理AIがいるのでしょう。管理AIという名前ですしチェシャさん等がこのゲームを運営しているのでしょうか?

 

その後、チェシャさんから諸々の説明を受け、描画選択はリアルと同じように、名前はヨミとして、容姿はリアルの髪の毛を肩ぐらいだったものを腰まで伸ばしました。リアルだと長い髪は手入れが大変ですからこのようなゲームの場所ではリアルの大変さを考えなくていいのは良いですね。

 

そして初期武器や服装なども選ぶことができましたので、コスプレ感覚として和風の装いにし、武器もそれに因んで木刀を選びました。

 

またチェシャさんから5000リルという金額をもらい(ちなみに1リル10円ぐらいの相場である)本命のエンブリオを左手の甲に埋め込んでもらった後に所属する国をカルディナという砂漠の国を選び私はこの世界に入り込むことにな離ました。

 

 

 

 

□カルディナ・商業都市コルタナ

 

この世界に入る時は落下するという決まりでもあるのでしょうか?何はともあれ私は念願だったゲームを手に入れて、そのゲームを遊んでいる。これだけでも私の心が少し満たされていますが、肝心なのはこのゲームが楽しいのかどうか。事前に調べていた情報だけで判断するとまぁ楽しそうかな?と考える部類でありますが、実際にやってみたら案外楽しくなかったというようなゲームも山ほどありますしまずはこのゲームを大いに遊ぶに限りますね。

 

こうして最初にログインした場所で私は露店を見て回ったり大きな建物を見て回ったりと観光客のようにこのコルタナという街を見て回っていましたが気になった点が1つありました。それはこのゲームがあまりにもリアルだということでした。

 

 

このゲームはすごいですね。先ほど買って食べた焼き鳥のようなものもリアルのと比べて遜色のない、場合によってはリアルの世界のものよりも美味しいと感じるほどでした。このようなゲームが今まであったでしょうか?いえ、確かにこのゲームは数世代先の技術を使っているなどの書き込みはありましたが、実のところをいうとあまり信用はしていませんでした。なぜならその話があまりにも荒唐無稽でいて明らかに嘘っぽいと思っていたのですが、実際に遊んでみるとその書き込みをしていた人の気持ちに納得してしまいます。

 

このゲームは本当にゲームなのでしょうか?このステータスといったものなどの明らかにゲームですよ!と言わんばかりのシステムがなければこれを第2の世界と考える人も多そうです。

 

しかしこんなことを考えてもしょうがないです。とりあえずここはゲームのように人に話しかけてクエストなどをやっていきましょうか…

 

そんな時、ある場所が私の目にとまりました。

         

それは人に似た形のモノが積み上げられていました。それを気になって近づいてみるとそこにあったのは今の日本では全く見ることなないものがそこにありました。

 

それは大量の死体、体の大きさを見るにまだ年端も行かぬ少年少女たちの死体がそこにありました。これを見たときに、私は不躾ながらこう感じてしまったのです。

      

あぁ、なんてもったいないのだろう、と人間の死体でも工夫をすれば様々なものに活用できるのに、例えば獣の餌にしたり例えば髪の毛を溶かしてから人工のキューティクルにしたりなどと、考えていました。

 

そのとき左手に埋め込まれていたエンブリから一人の黒い髪をした少女が現れ、私の左手に人魂を手に持つ女性の姿が描かれていました。

 

「こんにちは、マスター…。私の名前は……ヘル……マスターの…エンブリオ……だよ?…」

 

そこには可愛らしい少女がいました。肌は人肌よりも少し白く、その髪色は黒色の髪の毛ですがところどころ蒼い色が混じっている不思議な色合いでした。装いは黒色の布地に緑と蒼の装飾が入っており、スカートは長くところどころに人魂のような白い紋様も入っていました。

 

「こんにちは、えっと…あなたが私のエンブリオであっていますか?」

 

「うん…そうだ…よ?」

 

ふと私自身のステータス画面を見てみると装備しているところに項目がありました。そこには先程ヘルと名乗った少女についてのステータスが細かく載っていました。

 

 

 

【屍誕制姫 ヘル】

 

TYPEメイデンwithアームズ

 

到達形態:I

 

ステータス補正

 

 

HP補正:G

 

MP補正:D

 

SP補正:E

 

STR補正:G

 

END補正:G

 

AGI補正:G

 

DEX補正:G

 

LUC補正:G

 

 

装備攻撃力:10

 

装備防御力:10

 

 

『保有スキル』

  

・《無より生まれし屍》(クリエイション・アンデッド)LV1:自身のMPを使用することによって種族:アンデッドのモンスターを1hの間生み出すことができる。使用するMPの量を増やすことで、種族:アンデッドを維持する時間は伸びていく。また生み出す際にはランダム制と過去にこのスキルで生み出したアンデッドを生み出す選択制の2種類がある。アクティブスキル

 

 

  

・《代償払いし固有の屍》(クリエイション・ユニーク・アンデッド):自身のMPと自身が所持しているアイテムを一定数支払うことで、支払ったものに関係する種族:アンデッドを生み出すことができる。生み出したアンデッドはHPが0になる以外では消えず、ジュエルなどに格納することができる。アクティブスキル

 

 

 

 

 

となっていることがわかります。

 

それにしても何でしょうか、これって自分からの攻撃性能全くありませんね。というか明らかにモデルは北欧神話のヘルですよね?そう考えるとこのスキルの効果なども納得はいくのですが…確かエンブリオってオンリーワンのためか各々の性格や深層心理を読み取ってそれを表すものでしたよね?

 

私の深層心理、パーソナリティっていったいどんなものなのでしょうか?

 

 

 

 

 

 




何か気になった点や、アドバイスなどがありましたら感想として送ってもらえるとありがたいです


追記2021年11月21日16時23分《代償払いし固有の屍》のレベル表記無くしました。《無より生まれし屍》の説明を追加しました。


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2話 うっかりって誰にでもあるよね?

2話目です。こんな駄文ですが様々な人に見てもらえて感謝しております。

ありがとうございます!!


□カルディナ商業都市コルタナ

 

 

 

 

そんなこんなで私のエンブリオが孵化したわけですが、まずはこれらのスキルを試してみないといけませんね。

 

「というわけでモンスターと戦いにいきましょう」

 

「おー‥……」

 

ヘルの間延びした返事とともにまずは町の住民からモンスターがいるような場所を聞きます。

 

すると案外情報は簡単に集まるものですぐ近くの砂漠にモンスターがよく出現すると教えてもらいました。ありがとうございます露天商のおばあちゃん、今度おばあちゃんの店で野菜を買っていきますよ……と考え事をしている間にその砂漠の場所にたどり着きました。

 

しかしあれですね、そもそもこの街の周りが砂漠に囲まれているから近くの砂漠っていう表現は何かおかしい感覚ですね。

 

とりあえず何かモンスターはいないか探したところすぐに第1のモンスターを発見しました。

あれは何でしょうか?なんかでっかいミミズみたいな見た目ですが、とりあえずヘルのスキルを打ってみますか。

 

「えーっと、こんな感じで構えてっと、《無より生まれし屍》(クリエイション・アンデッド)!!」

 

そうやってスキルを発動するように念じると目の前の地面から魔法陣が現れてそこから1体のゾンビが現れました。

現れたゾンビを見てみると【ウーンド・ゾンビ】という名前がありました。というか見た目めっちゃ気持ち悪いですね。これR–18Gとかになるレベルではないでしょうか?

 

また、ゾンビを1体生み出した時につかったMPは全体の3割ほどで今の状態では3体までしか呼べないということですね。

 

何はともあれ、ゾンビを召喚して目の前にいるのは【リトルワーム】という名前のモンスター。モンスターVSモンスターと言ったら昔の有名なゲームの作品の掛け声が有名ですね。

 

っていうか今昼だからゾンビもなんか苦しんでませんか!?

 

HPが減っていたせいで負けるとか嫌なんですけど!?

 

呼んでしまったのはしょうがないです。さっさと決着をつけさせましょう。

 

「いけ!【ウーンド・ゾンビ】、ひっかくです!」

 

「オオオァアアオォオオ」

 

どうやら、こちらの命令にはちゃんと従ってくれているみたいですね。けれども昔の有名な作品の主人公は黄色いネズミに対してこのような命令を出していましたが私の場合はどうでしょう?絵面がすごく悪いですね…

 

「KYUKYUAAAA‥‥……]

 

どうやら先ほどの【リトルワーム】はもう倒したみたいですね。

 

「いやーお疲れ様でしっ‥……えぇぇぇぇ?」

 

私は先ほど呼び出した【ウーンド・ゾンビ】を褒めようとしましたが途中で言葉を詰まらせてしまいました。

 

そこには右腕がちぎれて無くなりながら凄く苦しんでいるゾンビがいました。最初の方は体が腐ってなんかよくわからない汁がこぼれ落ちており蛆が体にひっついている醜悪な見た目でしたが五体はちゃんとありました。決して今のような右腕だけないなってことはなかったはずですが…

 

「もしかして、先ほどの戦いで食われました?」

 

私がそうやって呟くと先ほどまで無言だったヘルがようやく口を開きました。

 

「うん……さっきの…ワームに……やられてた……よ?」

 

どうやら私の考えは当たっていたようで先ほど簡単にワームを倒していたと思っていましたが、実は体を犠牲にして戦っていたようです。

ゾンビだからこんな闘い方なのでしょうか?

 

「まぁひとまず、そこのゾンビさんの健闘によってワームを倒しましたがとりあえず経験値も確認しておきましょう。さて経験値は一体どれほど入っていますかねー?」

 

そこで私はとんでもないものを見てしまいました。

 

「経験値が入っていない?というかレベルの表記自体も無いじゃないですか」

 

これは一体どういうことでしょう?ちょっと気になったため街へと戻り先ほど情報をくれたおばあちゃんの店に向かい、礼をしました。また、おばあちゃんの店で野菜を買うついでにおばあちゃんにレベルの表記が無いことを何となく聞いてみるとおばあちゃんは快く教えてくれました。

 

「あぁそのことかい。それはあんたが何のジョブにもついてない証拠だねぇ。あそこに見える目立った建物があるだろう?あそこは冒険者ギルドっていう場所であそこでジョブにもつけるしクエストも受けられるよ」

 

「いや〜、ありがとうねおばあちゃん。今度来るときもまたここで野菜買っていくから!」

 

うっかりしていました。さっきまでの私って何の職業にもつかずにモンスターと戦っていましね。反省しましょう。

 

私が一人で反省をしている間に、おばあちゃんに礼を言いおばあちゃんが教えてくれた場所に向かうことにします。

 

「気をつけるんだよ。」

 

何だか私、おばあちゃんに助けられてばかりですね。おばあちゃんが親切に場所まで教えてくれたため私は迷わず目的の冒険者ギルドにたどり着くことができました。

 

「さて、ここが冒険者ギルドですか」

 

ギルドの中はファンタジーの酒場に近い形で、何なら隣の酒場兼ギャンブルスペースとつながっている建造物でした。そこの受付の女性から説明を受け【適職診断カタログ】なるものを借りて女性の目の前で診断をしました。

 

診断をする前に盗んだ場合には刺客を送るなどという脅迫じみたことも言われましたが...

 

そこでそのカタログの質問を数回答えていくと【死霊術師】《ネクロマンサー》という結果が帰ってきました。

 

「これって絶対エンブリオが関係しているやつですよね?」

 

『?………」

 

ヘルはよく理科してないような様子で首を傾げています。可愛い仕草をしますね。胸がキュンキュンします。

 

そんなこんなで【死霊術師】につきレベルを上げられるようになりました。ジョブについた後はまた砂漠の方でレベリングをしましょう。

 

っとその前にまずはログアウトして夜になるまで待ちましょう。このままだとゾンビが不利すぎます。

 

ログアウトしている間に私は、ネットにて<Infinite Dendrogram>の前回までで調べきれていない情報などを調べていました。

 

その情報によるとこの世界で3倍の速さで時間が進むようで、24時間の3分の1、8時間で1日が経つそうです。そうなるとログアウトしてから2時間ぐらいログアウトすれば夜になりますかね?

 

 

 

 

何回か夜になっていないか確認するためログインとログアウトを繰り返しまして、4回目程で夜になっていました。

 

さて早速レベリングをしに行きましょう。

 

ちなみに街に帰ってくる時点でゾンビさんは砂漠で待機してもらっていましたが、戻ってくるとゾンビさんの姿はどこにもありませんでした。苦しんでいましたしやっぱりHPが減って死にましたかね?惜しいゾンビを亡くしましたね。まぁすでに死んでいるモンスターですが。

 

そんな一人芝居をしながらのこっていたMPでゾンビを新たに召喚します。そこで少し実験をしてみると、どうやらゾンビ1体に必要なMPの3分の1。つまり私の保有MPの1割を追加で消耗することで体感時間で1時間のびるようですね。

 

でもこれわざわざ1割を追加で支払って延命させるより複数隊召喚して戦わせた方が効率がいいんですよね。

 

と実験をしながら辺りにいた【リトルワーム】をどんどんと撃破していき私のレベルは最後の方に15を超えました。レベルが上がるにつれて私のMPも増えていくので最終的に1度に3体のゾンビを出しても保有MPの1割程度しか消耗しなくなったため、途中から大量にゾンビを召喚して物量で戦っていました。

 

「物量で……勝つ……」

 

そのおかげで【リトルワーム】以外にも【ワーム】や【サンド・ラット】という小さなネズミのモンスターや【ワーム】の上位種であろう【サンド・ワーム】といった格上のモンスターも何回か倒しました。

 

しかし私が考えた<物量で相手をフルボッコ大作戦>には一つ欠点があり、他の初心者と思われるプレイヤーの方にたまに撃破されてしまうことです。

 

まぁ確かにプレイヤーはエンブリオというオンリーワンがあるためそこらのモンスターよりは十分強いため【ウーンド・ゾンビ】が戦った場合だいたい負けるのですが、やはりこんな初心者用と思われるフィールドにゾンビとかのモンスターがいたら攻撃してしまいますよねぇ…

 

別に倒されてもすぐに補充できるで良いのですがいちいちこの作業をやるというのも案外疲れるものです。改善するにはやはり他のプレイヤーがいない場所でレベリングをするしかありませんね。

 

他にも収穫がありヘルの保有スキルである《無から生まれし屍》はどうやらランダムに種族:アンデッドを召喚するのと、一度召喚したことのあるアンデッドを召喚するといった2種類のパターンがあったのですが、ランダム召喚にて【ウーンド・ゾンビ】以外にもアンデッドを召喚することができました。

 

その召喚したアンデッドの名前は【シビル・スケルトン】といった名前ではっきり言うと【ウーンド・ゾンビ】とあまり強さ的には違いがありません。

 

しかし絵面は【シビル・スケルトン】の方が圧倒的に良いため今後は【ウーンド・ゾンビ】よりも【シビル・スケルトン】を多用するようにします。

 

さて、そのような感じで成果があったのですが先ほど視界の端に【アナウンス:空腹】と言うものが出ていましたので、街に戻りログアウトをすることにしました。

 

 

 

 

 

 

<東京某所>

 

 

「いやーすごいゲームでしたね。NPCのおばあちゃんの対応もすごいものがありました。あの対応って一体どんなCPUを積んでいるのでしょうかね?」

 

ヘルメット型のゲーム機をその身から外し、私はリビングにあるキッチンで簡単の料理を作っている最中です。

 

「まるで、本当にそこにいるかのようなリアルさでしたねー」

 

そう。まるで本当に異世界のような感覚がこのゲームにはあったのです。あのおばあちゃんの言葉も、感情も、周りのこの世界でティアンと呼ばれている人たちのその表情なども。全部がリアルと遜色のないほどでした。

 

「もしかして、このゲームの世界はもう一つの世界……なんてね、うわっちちっちっ」

 

料理をしながらよそ見をしていたためか、油が跳ねて痛い目にあってしまいました……

 




誤字やおかしな点、ここの表現や文章がよくわからないなどの場合がございましたら感想欄にて質問をしたりしてください。


感想をもらえると作者は嬉しすぎて叫びます

修正、ヨミちゃんの戦闘時には夜であることを明記

適職診断カタログについても修正いたしました


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3話 砂漠の蟲

3話目です。

公式の世界地図が無いためもしかしたら立地関係が変になったりしていますが、そこはご愛嬌ということでお願いします


東京某所>

 

 

 

先日始めた<Infinite Dendrogram>はとても楽しいゲームでした。しかし、このゲームを遊んでいると思うのですがこのゲームはとてもリアリティがあるゲームですし何か目標を持ってやりたいですね…

 

とりあえず、ログインしてから考えますか。

 

 

 

 

 

 

 

□カルディナ商業都市コルタナ

 

 

「と言うわけで、目標としてはこのゲームにいると言われている<UBM>とやらを倒すことにしましょう!」

 

「おー…………?」

 

昨日ログアウトした後にネットで調べたところ、このゲームには<UBM>と呼ばれるこの世界に1体のみしかいない特別なモンスターがいるそうです。

 

他にも、討伐をしてMVPになった場合にはそのボスの特徴や性能などを模した<特典武具>と呼ばれるものを入手することができるそうですし目標にするにはもってこいですね。

 

「とりあえず、<UBM>は例外なく一芸に特化していたりとても強いと言う情報らしいですしまずはレベルを上げていきましょう」

 

私のレベルは今現在15でこれはどう見ても弱い部類でしょう。

 

この状態では例え<UBM>に遭遇してもフルボッコにされて終わりでしょうし、今日中にはレベル30程度にはなっておきましょうかね?

 

 

「でも…どうやって…レベルを上げる……の?」

 

「よく聞いてくれましたねヘル。それは簡単です‥そう昨日レベリングした場所よりも高いレベルの場所でレベリングをするのですよ!」

 

前回レベリングをしていたあの場所は初心者用のフィールドですし、レベルが多少上がってきた今現在はあそこでは効率が悪いと言うもの。

 

なら一体どうすればいいのかと言うと至極簡単なことであそこよりもレベルの高いモンスターが生息する場所に行けば良いのです!そうすることでレベリングの効率も上がっていくと言うわけですよ。

 

「でも……マスター…どこにいくのか……決まったの……?』

 

「一応ログアウトしている間にある程度調べておきました。」

 

調べた場所では前回行った場所の反対側、このコルタナという都市の左側にある<ヴァレイラ大砂漠>と言う場所と南側にある砂漠ですかね。

 

「というわけで早速向かいましょう!」

 

 

こんなことをいった私はその後後悔することになりました。

 

 

「と、遠い……」

 

ヴァレイラ大砂漠は私たちのいたコルタナからかなり離れており、それを徒歩で向かっているので時間がかかっていくのです。今は夜ですが昼頃に来ていた場合太陽の光でさらに暑いのでしょうね。

 

「うー…疲れた……」

 

ヘルも道のりが遠かったせいもあり、杖の形態になってしまいました。

 

歩きながら少し《無から生まれし屍》の実験をしましょう。

 

これって支払う際のMPの上限はなさそうなのですが一度に大量のMPを込めてみるとどうなるのでしょうか?

 

私は一度その場で立ち止まり、《無から生まれし屍》のスキルを発動しようとします。その際に込めるMPは【ウーンド・ゾンビ】を呼ぶ時よりも多く込めてみます。

 

「《無から生まれし屍》(クリエイション・アンデッド)!!」

 

私の最大MP、110ほどのうち100を注ぎ込みましたがどのようなアンデッドが出てくるのでしょうか。

 

というかなんかMPをほとんど注ぎ込んだせいでしょうか?なんかどっと疲れたような気分がします。

 

「KAKAKAkKA…………」

 

現れたのは私の身長より少し高いくらいでしょうか?そんな骨でできたドラゴンが佇んでいました。

 

「これってもしかしなくても私が呼んだやつですよね?」

 

そう私が言葉を発したら目の前にいる骨のドラゴンが首縦に振りました。

 

「…………ゾンビより賢い!」

 

何か変な感動が生まれてしまいました。

 

相手側から言葉を発することはできませんがこのように明確に意思疎通ができる相手ができました。

 

「私を…忘れるなー……」

 

ヘルもいましたね。でもヘルはさっきまで歩くのに疲れて杖になってからずっと黙っていましたし………

 

とりあえずまぁ、この骨ドラゴンさんがどれくらい強いのかを試してみたいですね。

 

先程の会話からしばらく経っても、まだ強そうなモンスターとは出会ってませんね。

 

出会うのは前にも見たネズミなどのモンスターですし。一応ここはもうヴァレイラ大砂漠の中のはずですが……もしかしてガセネタだったのでしょうか?

 

ズゾゾゾゾォォォォォォ

 

何やら変な音が後ろから聞こえましたね。嫌な予感がしますがちょっと音がした方向を向いてみましょうか。

 

「GULUUUAAAAAAAAAA !!!!!!」

 

なんかゴツいミミズがいます!?

 

ちょっと待ってなんかこっちに向かってきてませんか!?

 

ええー!?ちょっと嫌だー!!はっ!閃きました!

 

「骨ドラゴンさん!あのゴツいミミズと戦ってください!」

 

私の言葉に了承したのか骨ドラゴンさんはあのゴツいミミズ、名前を見てみると【亜竜甲蟲】《デミドラグワーム》という名前のモンスターに果敢に突っ込んで行きました。

 

骨ドラゴンさん、こちらもようくみてみると名前が出ており【スケルトン・デミドラゴン)と出ています。頑張ってください!骨ドラゴンさん!

 

「マスター……あれちょっと……やられそうだよ……」

 

「えっ?」

 

ヘルがなんかヤバげなことを言っています。振り返ってみてみると骨ドラゴンさんの骨が所々欠けていたり、左腕と思わしき骨の腕が地面に落ちたりしています。

 

しかし骨ドラゴンさんは奮闘しており、相手側の【亜竜甲蟲】の方も体には傷が溢れており軽症では無いのが見て伺えます。

 

けれども骨ドラゴンさんがやられそうなのは事実であり、おそらくですがあのミミズが先にやられるよりも早く骨ドラゴンさんはやられてしまうかもしれません。

 

「《無から生まれし屍》(クリエイション・アンデッド)!!」

 

私は念のためとして残ったMPでアンデッドを生み出します。

 

生み出したのは【ウーンド・ゾンビ】で、骨ドラゴンさんのサポートに回ってもらう予定です。ゾンビに何がサポートできるのかわかりませんが...

 

「GULULUAAAAAAAAAA!!」

 

ああぁぁぁ!骨ドラゴンさんが光のチリになっていきます!

 

【スケルトン・デミドラゴン】は【亜竜甲蟲】に多大な傷を負わせながらも【亜竜甲蟲】に倒されてしまいました。

 

骨ドラゴンさん。あなたの勇姿は忘れません。っていうか今の私の貧弱なHPだとあんな強そうな敵に殴られたらすぐやられそうなんですが!?

 

こうなったら最後の悪あがきです!残っているMPでは後1体しか呼び出すことは出来ません。その呼び出した1体と先程出陣させたもう1体であのミミズを倒しきるほかありません!

 

「マスター……逃げるって……選択肢は………?」

 

「絶対追いつかれますよ……!」

 

これで勝てなければ死んで最初の街にデスポーンです。そんなめんどくさいことはあまりやりたくないものですよ!

 

「【ウーンド・ゾンビ】が今戦ってくれていますが、1体だけでは勝てるかどうかも怪しいですし……」

 

そうこうしているあいだに最初に送り出した《ウーンド・ゾンビ》は《亜竜甲蟲》にやられてしまいました。しかしよくみてみると《亜竜甲虫》の方もその体はボロボロになっておりで骨ドラゴンさんと先ほどのゾンビさんが頑張った証拠であと少しで倒せそうな印象です。

 

「このままなら……いけるかもしれません!《無から生まれし屍》!!最後のゾンビさん頼みます!」

 

ていうか私の方はMPを使い切ってしまって凄くだるいのですが......

 

私は最後の望みを掛けて1体の【ウーンド・ゾンビ】を呼び出しました。そして……………

 

 

「GYULU……LAAA‥……」

 

ついに《亜竜甲蟲》を倒すことに成功しました。

 

格上だった影響もあり、レベルがどんどん上がっていき最終的にレベルが18になりました。

 

でもこれって強い敵と戦うより弱い敵をいっぱい倒した方が効率はいいんじゃぁ.........

 

「精神的にすごく疲れました……」

 

最後に送り出したゾンビさんも相打ちだったようで塵になって消えてしまいました。

 

【亜竜甲蟲】が塵になった場所には一つの箱らしきものが落ちていました。

名前は【亜竜甲蟲の宝櫃】となっています。宝櫃って何でしょうか?櫃...宝......あっ!もしかしてこれって宝箱では?

 

そうと決まったら早速開けて見ましょう。私はそう考え開けてみると…

 

【【亜竜甲蟲の兜・ネイティブ】を獲得しました】

【【エメンテリウム】を獲得しました】

 

というアナウンスが出てきました。それにしても兜ですか、なんか見た目合わなそうですね。でも今の私には見た目がダサくても貴重な装備ですし仕方なく着ましょう。

 

「では、装備しましょうか......あれ?できませんね」

 

装備をしようとしても出来ずにいました。画面には【レベルが規定レベルまで達していません】、【この装備は合計レベル150以上、ジョブレベル51以上でなければ装備できません】と出ています。

 

「えぇぇー?これレベルが足りないと装備できないものですか、今のところ産廃じゃないですか......」

 

「じゃあ......売れば......?」

 

確かにそうですね。使えない装備を今持つより使える装備を持つ方が良いです。ですが、

 

「今砂漠にいるから売る場所ないんですよー......」

 

私の嘆きはエコーがかかったように砂漠の中に段々と消えていきました。

 




誤字などの報告を頂けると大変嬉しい所存でございます。


修正、ヨミちゃんのログイン時の時間帯を夜であることを明記
ミミズ君との戦闘での情報量を増やしました。


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4話 初の死亡とリアル事情

お久しぶりの投稿です。


□ヴァレイラ大砂漠

 

 

 

 

 

 

 

 

【亜竜甲蟲】を倒してから、しばらく経ちますが他のモンスターとはあまり遭遇しません。

 

現れるとしても小さな虫型のモンスターだったり、空を飛んでいてこちらからは手が届かないような鳥のモンスターなどです。

 

そんな中、私とヘルは暇で暇でしょうがなく、先ほどの戦い以後二人でしりとりを続けております。ちなみに私は大人気なくスで責めることでヘルの追随を許さないようにしています。

 

「す……ストロベリー…………」

 

「りですか……り、り、り……リリュース!」

 

「マスター……さっきから…スばっか……大人気ない……」

 

こんなのんびりとしながら会話をしていたら前の方から先ほど聞いた音に近い音がします。

 

そう、【亜竜甲蟲】が出てきたときの音によく似た音が先ほどよりも大きく聞こえてきました。

 

「む、むー……ん?なんですかこの音は?」

 

「なんだろ……?」

 

音はだんだんとこちらに近づいてきており、私たちは警戒を強めます。

 

そして私たちが辺りを警戒していると私たちの目の前から【亜竜甲蟲】が出てきました。それは1匹だけでなく同時に4体の【亜竜甲蟲】が大きな音を大きな音をあげながら現れました。

 

「GURURUAAAAAAA !!」

 

「GYUOORUAAAAA !!!」

 

「GURUAAAAAAAAAAAA !!!」

 

「GYUAAAAAAAAAA !!!!」

 

あんなに苦戦した相手が4体では勝ち目はありません。しかしここで素直にやられるというのは癪ですせめて抗って死にましょう。

 

「ヘル……多分死んでしまいますが、最後まで争いますよ」

 

「わかっ……た……!」

 

残っているMPではゾンビやスケルトンを呼び出すことはできません。なのでヘルを相手にぶつけるということになりますがぶつけてもあまりダメージは入らなさそうですね。

 

現に今ぶつけましたがあのミミズは大してダメージを負っているように見えません。

 

あぁ、ここまでですか。

 

こうやって私はこのゲームで初めて死を迎えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<東京某所>

 

「死んでしまいましたか…」

 

死んだと言ってもゲームの中であるため、またログインすれば戻れます。

 

けれども死んだという事実は戻りませんし、死んだときの感覚も染み付いています。

 

あぁ…それにしてもあれですね、自分が死んだときの有効活用はあまり思い浮かびませんね。

 

強いていうのなら自爆特攻ぐらいしか活用方法はありませんね。

 

とりあえず今回死んでしまった事実は覆りませんし、今は気分転換に他のことでもやりましょう。

 

そう自分に言い聞かせながら、私は今年の春から通うことになる大学のパンフレットなどを読みあさっていました。

 

「大学の入学式は武道館でやるんですね…」

 

私が入ることになった大学は4日後に説明会とオリエンテーションが行われた後、しばらく経ってから入学式を行うようで入学式を行う場所も大学内にて行うのではなく、武道館にて大々的にやるようでした。

 

「大学ですか、友達できるといんですが……」

 

私自身、そこまでコミュニケーション能力が低いというものでもありませんがなんとなく自分から話しかけようとすると緊張してしまうんですよね…

 

共通の趣味を持つ人を見つければ簡単に仲良くできる気がしますが、

ゲームが趣味の人っていますかね?

 

そうやって私は大学の情報を集めながら確認していきこの1日が終わって行きました。

 

 

 

 

<東京某所>

 

 

時間が経つのは早いもので、私が<Infinite Dendrogram>、デンドロで初めて死んでから3日が経過ました。

 

この間、私は食事の時間や睡眠時間、リアルでの用事などを除いたほとんどの時間をデンドロに使っているという廃人のような生活をしていました。

 

その結果、私のレベルは47となり上限まで後3レベルといったほどまで上がりました。

 

またレベルを上げるにあたって、ヘルも第二形態に進化しました。

 

ヘルが第二形態に進化する時に「マスター……なんだか…眠くなってきた……」といったものでして、当初はとても焦りましたが翌日にログインしてみると減るから「第二形態に……進化したよ……」と伝えられ安心しました。

 

そんなヘルですが、第二形態に進化するに辺りステータスなどに変化がありました。

 

 

 

 

【屍誕制姫 ヘル】

 

TYPEメイデンwithアームズ

 

到達形態:Ⅱ

 

ステータス補正

 

 

HP補正:G

 

MP補正:D

 

SP補正:E

 

STR補正:G

 

END補正:G

 

AGI補正:G

 

DEX補正:G

 

LUC補正:G

 

 

装備攻撃力:0

 

装備防御力:10

 

 

『保有スキル』

  

・《無より生まれし屍》(クリエイション・アンデッド)LV2:自身のMPを使用することによって種族:アンデッドのモンスターを2hの間生み出すことができる。使用するMPの量を増やすことで、種族:アンデッドを維持する時間は伸びていく。また生み出す際にはランダム制と過去にこのスキルで生み出したアンデッドを生み出す選択制の2種類がある。アクティブスキル

 

 

  

・《代償払いし固有の屍》(クリエイション・ユニーク・アンデッド):自身のMPと自身が所持しているアイテムを一定数支払うことで、支払ったものに関係する種族:アンデッドを生み出すことができる。生み出したアンデッドはHPが0になる以外では消えず、ジュエルなどに格納することができる。アクティブスキル

 

 

 

・《屍の軍勢創誕》(コマンダリー・アンデッド・クリエイション)LV1:自身のMPを使用することで種族:アンデッドのモンスターを一定数同時に30mの間生み出すことができる。使用するMPの量を増やすことで種族:アンデッドを生み出している時間を長くすることができる。アクティブスキル

 

 

 

となっていて、スキルが1つ増えていました。

 

変化点は主に3つあり、1つ目は装備攻撃力が10から0に変わったことです。

 

これは大して影響の無い変化点ですし、10あったところで私程度がモンスターに殴りかかっても大してダメージを与えられないので下がっても構いません。

 

他の2つはスキルへの変化で、まず1つは《無より生まれし屍》のスキルレベルが2に上がっていたことと新しいスキルが1つ増えたことです。

 

《無より生まれし屍》は確認してみたところアンデッドの活動時間が伸びており、2時間ほどになっていました。

 

新しいスキルである《屍の軍勢創誕》はアンデッドを一定数まとめて生み出すことができるというものでした。その効果は今のところ私が呼び出したことのあるアンデッドのみでかかるコストも【ウーンド・ゾンビ】と【スケルトン・デミドラゴン】を複数呼ぶ場合は全然違いました。

 

また、このスキルは3体を1セットとしてカウントしており1セットあたりの【ウーンド・ゾンビ】を呼び出す際に支払うMPの数は《無より生まれし屍》で3体呼び出すよりも低いため私の<物量で相手をフルボッコ大作戦>にも拍車がかかります。

 

進化してからはアンデッドを大量に呼び出すスタンスが定着してきていますね。

 

このスキルのおかげでレベリング効率も上がりましたし明日には上限まで行って2つ目の職業を選んでいますかね?

 

とまぁこの3日間を振り返っていましたが今私は何をやっているのかというと、明日の最終準備をしています。

 

そう、明日は大学のはじめということで結構緊張しながら準備をしています。

 

とりあえず明日のために早めに寝ておきますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<東京某所某大学内>

 

「ふぅ、緊張しました。」

 

大学ではまず初めにガイダンスがあり、ガイダンスでは高校と違う点などが多々あったため聞き漏らしの無いようにしっかりと聞いていました。

 

また、自己紹介の際に<Infinite Dendrogram>をやっていると公言した人はいませんでした。友達作りが怪しくなってきましたね…

 

今私は大学のサークル勧誘のテントに囲まれております。

 

大学のサークル活動は高校のものよりも盛んに行われており、様々なサークルが新入生を確保しようと奮起しています。

 

それを遠目から眺めておりますが、なんというかあれですね。地獄絵図の一歩手前ぐらい見たいな印象ですね。

 

ちなみに私は少し歩き回って熱気にやられてしまったので木陰で休んでおります。

 

それにしても先輩方の熱気がすごいですね。でも私が入りたいようなサークルはなさそうなんですよねー

 

できれば<Infinite Dendrogram>のサークルとかがあればいいんですが、まぁおいおい調べて良さそうだったら入ってみるという形にしましょうかね?

 

とりあえず今日のところは家に帰ってデンドロの続きでもやりましょうか

 

……最近の日常スケールがデンドロ中心になってきてますね。




文才がある人ってすごいですよね。伏線の貼り方とか教わりたいものですよ

2021年11月21日16時25分《代償払いし固有の屍》のレベル表記無くしました。《無より生まれし屍》の説明を追加しました。


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5話 ヨミちゃん街を去る&UBM初討伐(偶然)

16巻が発売されますね!表紙はベネトナシュとペルセポネ!イラストカッケェ〜


□カルディナ商業都市コルタナ

 

 

 

 

「レベルを早速あげにいきましょう!」

 

ログインするなり私はそう呟いてから大通りを抜け、砂漠へと足を進めます。

 

「マスター……おかえり……」

 

移動しながらヘルと他愛のない話をします。

 

今現在私のレベルは47です。そしてステータスはHPが600弱と微妙な数値でMPの方はというと300と少しほどでこのMPが満タンの状態で《無より生まれし屍》を使った場合、【ウーンド・ゾンビ】がおよそ100体、【スケルトン・デミドラゴン】の場合は3体も出せます。

 

我ながらMPの上がり具合がすごいですね。少し前はMPのほとんどを使って【スケルトン・デミドラゴン】を1体出していたのに、今では3体同時に出してもMPに余裕がありますし。

 

まぁこんな感じで大量のMPがあるおかげで物量にものを言わせる方法でレベリングをしてきたわけですから。

 

「さて、砂漠につきました。とりあえず周りを確認しましょう。」

 

周りに人影は無し、時間もちょうど夜

 

さて、狩りの時間です!

 

「とりあえず《屍の軍勢創誕》を使いましょう。数はー、60にしましょう。」

 

《屍の軍勢創誕》を使用すると《無より生まれ屍》の時とは少し模様が違う魔法陣が現れます。

 

そこから3体の【ウーンド・ゾンビ】が現れ、それに続いて3体1組で【ウーンド・ゾンビ】が次々と出てきて、その回数は20回程度で収まりました。

 

これほどの数がいればささっとレベルも上がるでしょう。

 

「さぁゾンビ達よ!獲物を探していきましょう!」

 

ゾンビ達は私の命令に従って辺りを彷徨きながら蜘蛛の子を散らすようにバラバラの方向に向かっていきました。

 

そしてその命令を出した私は【スケルトン・デミドラゴン】を呼び出してその上にまたがり、ヘルと一緒に遊んでいました。

 

ヘルと遊んで数分が経つと私のレベルは上がっていき、レベルがとうとう50になっていました。

 

「50になりましたか、では街に戻ってジョブを変更しましょうか」

 

その時、私に向けてあるアナウンスが聞こえてきました。

 

【<UBM>【潜毒壊鼠 ネミタル】が討伐されました】

 

【MVPを選出します】

 

【【ヨミ】がMVPに選出されました】

 

【【ヨミ】にMVP特典【潜毒纏衣 ネミタル】を贈与します】

 

え?MVP特典?UBMの討伐?

 

なんだか訳も分からずに私のアイテムボックスにMVP特典とやらが入っています。その性能は以下のとおりです。

 

 

【潜毒纏衣 ネミタル】

 

<逸話級武具>

 

砂の中に潜み、自身の毒で相手を仕留める鼠の概念を具現化した逸品

 

装着者へ毒に抗う心得と、何人にも見つかることの無いような潜伏技術を刻む

 

※譲渡売却不可アイテム

 

※装備レベル制限無し

 

 

・装備補正

 

AGI +10%

 

 

・装備スキル

 

《毒抗体》

 

《潜隠鼠外》

 

 

となっています。

 

というか本当になんでUBMを討伐したことになっているんですか?そもそも私がこのUBMを視認していないんですが本当にいいんですか?

 

とりあえず落ち着きましょう。ひとまず考えることは後にしてまずは街に戻ってジョブを変更しましょう

 

街に戻る前にまたがっていた【スケルトン・デミドラゴン】を待機させてから街に入るようにします。

 

 

 

 

 

 

 

□商業都市コルタナ

 

 

街の中に入りましたしギルドに向買ってからこれからのことを勘あげましょう。

 

とりあえずギルドのジョブクリスタルでジョブをささっと変更しましょう。

 

もちろん変更するのは事前に決めておいた【付与術師】《エンチャンター》というジョブです。

 

このジョブにつくことでゾンビへバフを送ることができるのでさらにモンスターを倒しやすくなります。

 

そう倒しやすくなるんですが……

 

そもそも私がレベルを上げている理由はUBMを倒すのが目的だったのですが、なぜかジョブを変更する前に倒してしまいました。

 

考えられる可能性としては

 

1相手側がなんらかの理由で瀕死だった。それをゾンビ達が倒した

 

2こちら側が相手に対してなんらかの有理があった。

 

この2択しか無いんですよねぇ

 

多分ですがあの時の大量のゾンビが倒したと思うのですがこうもすんなり倒せるとは予想外でした。

 

というかあのネミタルというUBMが弱かったのでしょうか?

 

考えても真相は闇の中です。今はUBMを倒すという目標が達成できたことを喜びましょう。

 

さて、UBMも形はどうあれ倒すことができましたし次の目標はどうしましょうか。

 

このままだとレベルを上げる以外することが特にありませんし………

 

どうしましょうか?せっかくですしいろんな国でも見て回りましょうかね?

 

では行き先はどう致しましょうか、ここから西側の<ヴァレイラ大砂漠>を超えた先に行きましょうかね?

 

後せっかくですし、この街にあった死体を使って中々使う機会がなかった《代償払いし固有の屍》を使ってから街を出ていくことにしましょうか。

 

ではささっと行動しましょう。

 

 

 

 

さて、場所につきました。変わらずにここにはしたいのやまが積み上がっていますね。では早速ゾンビなどに変えちゃいましょう。

 

「《代償払いし固有の屍》」

 

積み上げられた死体の山をアイテムボックにしまった後、スキルを発動しました。

 

アイテムを使用することからMPはあまり使用しないで済むと思っていましたがガッツリとMPを持っていかれました。

 

大体100ほどですかね?、【ウーンド・ゾンビ】が30体ほど作れる量のMPを持ってかれた後には私の目の前に1つの魔法陣が現れました。

 

その魔法陣からは1体の人型のモンスターが出てきました。そのモンスターは骨と骨をつなぎとめたかのような歪な見た目をしており、本来は1つしかない頭蓋骨が4つあったりようく見てみると、1本の腕のように見える部分は3本の小さな腕が三つ編みのように合わさっているのだともわか理ました。

 

そんな歪な見た目をしているモンスターを凝視しているとそこに名前が表示されました。

 

表示された名前には【スケルトンキメラ】という見たことも聞いたこともない名前が出ていました。

 

「骨……ですね…」

 

「ちょっと………不気味………」

 

【スケルトンキメラ】は魔法陣が現れた場所で着立しています。

 

それを見る私たちもそれに釣られて黙ってしまいます。

 

そんな静寂を打ち破る声が私の後ろから聞こえてきました。

 

「おい!貴様、そこで何をしている!」

 

振り返った先にいたのは皮の鎧を着込んだ男性でした。

 

「貴様!ここにあった死体をどうした!」

 

男性はどうやらここにあった死体の有無が気になるようで私に問いかけてきました。

 

「死体なら私が有効活用しましたよ。その結果がこちらの【スケルトンキメラ】です」

 

「【スケルトンキメラ】……?まさか貴様!?《死霊術》を使ったのか!?」

 

「《死霊術》?それに近いものですが、まぁそのような術を使いましたけど」

 

「貴様!ここに書いている文字が見えないのか!?ここに街の中での《死霊術》は禁止と書いているだろうが!!」

 

男性が指したのは死体の山があった場所のすぐ近くの看板で、そこに『遺体の持ち出しは自由。ただし、街の中での《死霊術》の行使による死者の蘇生は禁止とする』と書かれていました。

 

「貴様が犯したのは禁止事項だ!これを俺が提言すれば貴様は指名手配だ!勘弁して欲しければ1000万リルを今すぐ払え!」

 

男性は自分が有利とわかった途端先ほどよりもさらに強い口調で私に交渉……という名の脅迫を申し込んできました。

 

というか私このような手合いが嫌いなんですよねぇ、こういう人ってすごい上から目線で話してくるし。

 

でも今回のことは、私が悪いのかね?でも1000万リルなんて持ってないし……どうしましょう?

 

「おい!話を聞いているのか!?払うか払わないか。早く決めろドブスが!!」

 

……今の発言イラッときました。もういいです

 

「やっちゃってください【スケルトンキメラ】」

 

【スケルトンキメラ】は私の指示を聞いたや否や、男性に肉薄してその3本で重なった腕の先端の鋭利な爪で男性を引っ掻きました。

 

その瞬間男性が来ていた革鎧がまるでバターを切ったかのようにするりと斬れ、男性の顔から太腿近くまでは鋭利な引っ掻き傷ができておりそこから血が出てきました。

 

「なんだ?……っ!!グギャアアア!!!!痛ぇ痛ぇよお!!!!」

 

男性は大きな声で悲鳴を上げました。

 

ていうかそこまで深くないと思うのですが?血が出たとはいえ死ぬようなほどの血の量と傷の深さでは無いはずですが。

 

「なんだなんだ?」

 

「どうした?」

 

男性の悲鳴を聞き、人がどんどんと集まってきました。

 

このままだと本当に指名手配になるかもしれません。ここは……逃げましょう!

 

「【スケルトンキメラ】、ヘル、申し訳ありませんが今から逃げます。」

 

突然そんなことを告げられたヘルは困り顔の様子。こんな場面ですがヘルは可愛いですね!

 

そんなこんなで私は初めてUBMを討伐し、初めてNPC……ティアンを傷つけ、初めてジョブを変更する。

 

そんな濃密な1日を体験しながら私はこの街、商業都市コルタナを去ることになりました。

 

 

 




誤字脱字などがありましたら報告お願い致します。

ちなみに感想をもらったら作者はリアルの方で《五体投地結界》を致します。


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6話 西へ西へ目指すは新たな街へと

生きておりまする。いやーゲームとか他のことが忙しかったんですよ、うん。FGOとかウマ娘とかイベントが忙しくてね……


<ヴァレイラ大砂漠>

 

 

ひとまずコルタナから逃げてきましたがこれからどうしましょう?

 

コルタナでのあの騒動で私の立ち位置は危うくなってきますし、かといってあのままあそこに留まっていたら理由をつけられて指名手配にもなってしまいますし。

 

……考えてると頭が痛くなってきますね。

 

ひとまずコルタナのことは忘れて先ほど入手した特典武具の性能でも見ておきましょう。

 

 

【潜毒纏衣 ネミタル】

 

<逸話級武具>

 

砂の中に潜み、自身の毒で相手を仕留める鼠の概念を具現化した逸品

 

装着者へ毒に抗う心得と、何人にも見つかることの無いような潜伏技術を刻む

 

※譲渡売却不可アイテム

 

※装備レベル制限無し

 

 

・装備補正

 

AGI +10%

 

 

・装備スキル

 

《毒抗体》

 

《潜隠鼠外》

 

 

この性能ですが、今私が身につけている服よりも性能が高いですね。後何気にこのスキルの欄に書かれているこのスキルの効果がやばくないですか?

 

《毒抗体》のほうはどうやら自信に毒耐性のスキルレベルを+1するとというもので、これも地味にすごい役割を有しているように見えます。

 

しかしこれよりも明らかにすごいスキルがあります。それは《潜隠鼠外》で、このスキル確認してみるとその説明には自身のSPを使用している間“姿を消す“というもので、文を見るだけでも明らかに強いことがわかります。

 

よくよく考えてみてください、これを使っているとSPを消費している間姿を消すというものですよ。これを持っているのだったら不意打ちとかがしやすくなってますし、逃げる時とかにも便利じゃないですか?

 

大変便利で強力な外套ですが入手経路がちょっとわからないですよね…

 

まぁとりあえず私が原因で倒したようなものですし別にいいですかね?

 

特典武具の性能は確認しましたし、これからのことでも考えましょう。

 

まず大前提として、コルタナに戻ることはできませんし今は砂漠の真っ只中ですし、これってほぼほぼ詰みじゃないですかね?

 

砂漠であてもなく彷徨い続ける→モンスターに襲われる→バトルに勝ったとしてもそれを何度も繰り返す→最終的にデスペナルティになる、という循環が生まれています。こんな積んでいる状況で助かる道は(私が考えつく中で)ただ1つ!

 

1つの方角に直線的に向かい続けるのみ!ぶっちゃけそうでもなきゃ、あまり考えずに衝動的に飛び出したこの状況の中で生き残れませんし、この方法でいけば最終的に他の街に行くこともできるでしょう。

 

「でもマスター……それだと他の街に着く前に……モンスターに襲われない?……」

 

そうなのです。この考えの欠点といえば先程の循環の中でのモンスターに襲われるという部分ですが、これはあてもなく彷徨い続けなくても襲われる可能性が高いんですよね。

 

「一応対策としては西に向かう予定で、その進行方向にモンスター……ここら辺で言えばあのでかいミミズですがあのミミズは接近する時に砂をかき分けていく音が聞こえます。前回死んでしまった理由としましては4体同時に出てきたミミズとの戦闘によって死亡してしまったから、これを解決する方法として囮を使います。」

 

そうです。あのミミズ達と正面から戦うとなると200%の確率でこちらが死んでしまいます。そのため出くわしたら1体でも消耗が多いため逃げるという選択肢を取りますが、私のMPの最大値は500弱で残っているMPの量は300強あります。今のレベルになると1レベルアップするごとのMP上昇量が50とか行きますのでレベルアップさえすればMPの量の心配は入りませんね。

 

そして肝心の囮ですが、先程生み出した【スケルトンキメラ】や【スケルトン・デミドラゴン】をミミズにぶつければある程度時間稼ぎができるでしょう。そうやってそのまま正面突破、もしくは北か南の方向へ一時的に向かった後に西の方向に向かえば目的を達成できます。

 

「【スケルトンキメラ】貴方にはモンスター複数出てきた場合には囮になってもらいます。貴方を生み出した使命は私たちの命をコルタナ以外の街までたどりつかせるということです。わかりましたか?」

 

少し真面目に【スケルトンキメラ】に向かって話すと【スケルトンキメラ】は理解したのか私の前に首を垂れました。まるで姫への忠誠を誓う騎士みたいですね。絵面はかなり正反対ですが

 

とまぁこれからの方針が決まりましたのでいざ西へ向かって出発を!

 

 

 

 

 

 

 

 

といってから数十分が経ったと思いますが、前回と違ってモンスターと全く出くわしません。前回来たときは普通にいたはずなんですがなぜ今回はいないのでしょう?ちなみに移動ではずっと西へ向かって歩いていくのは精神的に辛いということで余っているMPを使用して【スケルトン・デミドラゴン】を召喚しました。これも《無より生まれし屍》のレベルが2に上がったおかげで召喚時間が伸びているので幸いです。

 

こうして召喚した【スケルトン・デミドラゴン】の背に乗って辺りを見回しながら西へ進んでいきます。ですが【スケルトンキメラ】は【スケルトン・デミドラゴン】の背に乗ることは体積的に無理だったので仕方なく歩いてもらっています。

 

そうして平和的に夜の砂漠を歩いているとふと、異音が聞こえてきます。その音は前にも聞いた音でこちら側に向かってきています。

 

「マスター……これって……」

 

「えぇ……やっぱりきちゃいましたね…」

 

私たちの後方から砂をかき分ける音とけたたましい音を出しながら、私を4匹がかりでリンチにして殺したミミズ…もとい【亜竜甲蟲】が出てきました。

数を確認してみますがどうやら1匹だけの様子です。

 

「1匹だけですか…少し安心しましたね」

 

前回は【亜竜甲蟲】と同格であるはずの【スケルトン・デミドラゴン】よ【ウーンド・ゾンビ】を複数体人柱にしてようやく勝ったという結果でしたが今回は一味違います。今回は明らかに【ウーンド・ゾンビ】よりも核が高いであろう【スケルトンキメラ】もいますし、何より私自身のレベルも上がっています。《付与術士》が覚えるアシスト系のスキルを使えば前よりも楽に倒せるはずですよ。

 

「《パワー・エンチャント》!!【スケルトンキメラ】、【スケルトン・デミドラゴン】あのミミズへ攻撃を加えてください。」

 

対象のSTRを上昇させるバフを贈る《パワー・エンチャント》を唱えて2匹を【亜竜甲蟲】へ向かわせます。まずは【スケルトンキメラ】の爪が【亜竜甲蟲】の胴体に裂傷を与えます。そこへたたみかけるように【スケルトン・デミドラゴン】が胴体に噛みつき手傷を負わせます。

 

しかし【亜竜甲蟲】も柔なモンスターではありません。その身を使った突進で【スケルトン・デミドラゴン】の噛みつきを脱し、その勢いのまま【スケルトンキメラ】に突撃します。この影響で【スケルトン・デミドラゴン】の牙は数本が折れ、顎の骨にもヒビが入っています。

 

また【スケルトンキメラ】の幾重にもなっている胴体の骨にもいくつかのヒビが入っています。この様子では重傷を負ってこちら側が不利に近づきます。なのでここはせっかく入手したUBM特典を利用してこっそりバフを贈りましょう。

 

「……《潜隠鼠外》……」

 

これであのミミズには見つかっていないはずですが……!?

 

「《ガード・エンチャント》!!……」

 

スキルを2匹にかけた後すぐさま戦闘範囲から離れました。

 

私がこんなにも焦りながら退いた理由……それはUBM特典に原因がありました。

 

「SPがほとんどなくなってる……」

 

そうです。先程UBM特典のスキルを使った瞬間からSPがみるみるうちになくなっていきました。使っていた時間が大体10秒ほどですがその間に私のSPのほとんどが消えていきました。私の今のSPがおよそ100前後ですから秒間約10ほど消費されていく計算になります。姿を消すにしてはコストが重いのか軽いのか?でも序盤はきついですけど後々になってもこのままだったら低コストで便利そうですね。

 

そんなことを考えている間にどうやら【亜竜甲蟲】を倒すことに成功したようです。今回は前回と違って多少余裕はあった方でしたが【スケルトン・デミドラゴン】の方は傷が多いです。しかし私の今のジョブは《死霊術士》ではなく《付与術士》でして、アンデッドへの専用バフの《ネクロ・オーラ》などが使えません。やはり変えない方が良かったかもしれません……

 

何はともああれひとまず無事にモンスターも倒しましたしこのまま西へ向かっていきましょう。




誤字脱字などがありましたら是非是非感想欄にてご報告してください。


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7話 遥か遠くの街を目指して

戦闘シーンの表現むずすぎる…

誰かオラに語彙力を分けてくれーー!!!


<ヴァレイラ大砂漠>

 

 

 

 

【亜竜甲蟲】を倒した後のドロップは前回と同じく【亜竜甲蟲の宝櫃】で早速開けてみると中身は前回と違い、【亜竜甲蟲の手甲・ネイティブ】と【エメンテリウム】でした。

 

手甲の方はどうせレベルが足らずに身につけることはできませんし、【エメンテリウム】の方もどう活用すればいいのかわからず前回のものと一緒に収納カバンに入れておきます。

 

 

「それにしても前とは違って結構平和ですね……」

 

前は1回戦った後に数匹の_【デミドラグワーム】が襲ってきて死に戻りしましたが、今回は運よく前回の二の舞になることはありませんでした。まぁもし現れたとしても今回は【スケルトンキメラ】か【スケルトン・デミドラゴン】のどちらかを囮にして逃げますがね。

 

 

砂漠を突き進んで行っていましたが、突然異変が起きました。どうやら【スケルトン・デミドラゴン】が光のチリになりかけています。これはおそらく《無より生まれし屍》のこいうか時間が切れてきたようです。何気にこうやって時間いっぱいまで召喚して、時間切れになる瞬間を見るのは初めてですね。

 

 

「【スケルトン・デミドラゴン】ありがとうございました……【デミドラグワーム】の時は助かりましたよ……お疲れ様です」

 

 

そうやって労いの言葉をかけると時間が来たのか【スケルトン・デミドラゴン】は光のチリとなって消えました。

 

 

「いいドラゴン……だった……」

 

 

まぁこの先も砂漠が続きそうですしモンスターが現れても困ります。2体目を呼びましょうかね…

 

 

「でもマスター……今呼んでも3時間以内に……たどり着くかな……?」

 

 

確かにそうですね。今呼んでも1体あたりの時間は3時間までですし、その3時間で別の街にたどり着ける保証はありません。ですが、【スケルトンキメラ】だけでは安心感が……

 

 

「ドロップした……アイテムで…アンデッドを……生み出せば……」

 

 

!?確かに盲点でした。【デミドラグワーム】からのドロップアイテムをアンデッドにすればいい感じのモンスターになるではないですか。そうと決まれば早速生み出してみましょう。

 

 

「必要そうなアイテムは…【亜竜甲蟲の手甲・ネイティブ】と前回ドロップした【亜竜甲蟲の兜・ネイティブ】、これを選択して《代償払いし固有の屍》!!」

 

 

【デミドラグワーム】2匹分のドロップアイテムを使用して目の前の魔法陣から生まれたモンスターは【デミドラグワーム】の風貌をしており【デミドラグワーム】と同じような竜鱗をしています。また、その竜鱗の隙間から体液が滴り落ち、その姿はまさにゾンビに相応しく少し動くだけで辺りに体液が撒き散らされその目は虚でありながらも体の方は蠢いています。

 

 

「すごく…気持ち悪いですね……」

 

「気持ち……悪い……」

 

 

モンスターの方を見てみると【デミドラグワームゾンビ】となっており、名前から【デミドラグワーム】のゾンビだということが明らかに伝わってきます。

 

 

しかし、このモンスターでしたら【スケルトン・デミドラゴン】の時とは違い、その背に乗って移動を補助してもらうことができませんね。

 

 

「仕方がありません、残っているMPの量から考えてみてもあと1体【スケルトン・デミドラゴン】が出せる程度。ですがここでわざわざ呼び出したら何かあった時に対処できません。なのでここからは歩いていきますよ、ヘル。」

 

 

「うん……わかった……」

 

 

そうしてしばらく歩いていると、今度は右の方向から砂をかき分ける音がしてきます。今度の音は先ほどよりも大きく聞こえてきます。

 

 

「まさか……複数匹?……」

 

 

 

予想は残念ながら合っていたようで現れた【デミドラグワーム】の数は3体、そして3体同時にこちらに襲いかかってきます。

 

 

「ここは囮作戦を結構します!【デミドラグワームゾンビ】あいつらを攻撃してください!そして【スケルトンキメラ】は私たちの後ろを注意しながらこちらへついてきてください!」

 

 

そのように指示を飛ばし、すぐさま武器状態となったヘルをその手に握り締めながら西へと駆けていきます。

 

 

【デミドラグワームゾンビ】は私の指示を聞いた途端【デミドラグワーム】に向かって突進をかましました。それを合図に【スケルトンキメラ】は私の後方にて後ろを見ながらついてきます。

 

 

けれども【デミドラグワーム】3体に対して【デミドラグワームゾンビ】1体では武が悪くすぐさまやられてしまい、1匹がこちらへと迫ってきます。

 

 

それを見ていた【スケルトンキメラ】はすぐさま対応し、その双腕にて【デミドラグワーム】の胴体を掴み押さえています。しかし1体を押さえているだけでも手一杯な【スケルトンキメラ】に対して残った2体の【デミドラグワーム】が攻撃を加えます。

 

 

【スケルトンキメラ】へ2匹の攻撃が集中する中、押さえられていた【デミドラグワーム】が暴れることによって【スケルトンキメラ】の腕の骨が完全に砕けてしまいました。そして拘束から脱した【デミドラグワーム】がこちらに向かってきます。

 

 

「っっっ!!《無より生まれし屍》!!」

 

 

私はなけなしのMPを使用して一か八かの賭けに出ることにしました。残っているMPを全て使用した《無より生まれし屍》、前にしよした時は100ほどで【スケルトン・デミドラゴン】を呼ぶことができました。それでも残っているMPは精々【スケルトン・デミドラゴン】を選択して呼ぶ程度しか残っていません。しかしここで【スケルトン・デミドラゴン】を呼んでも焼け石に水、ならばランダム召喚にてこの状況を打破できる可能性のあるアンデッドを呼ぶしかありません。

 

 

スキルを唱えた瞬間、魔法陣が目の前に現れそこから1体のモンスターが現れました。そのモンスターは絵に描いたような人魂の姿をしたようなドラゴンでありその姿は薄く、存在そのものが希薄であるかのように感じました。

 

 

そのモンスターの名前を確認してみると【デミドラゴンスピリット】となっており、どうやら空中に浮いているタイプ、俗に言う幽霊みたいなタイプのアンデッドでした。

 

 

そんな【デミドラゴンスピリット】は【デミドラグワーム】に向かって何やら攻撃を加えているような様子です。それに対して【デミドラグワーム】の方は苦しそうに悶えています。それに感づいたのか他の2匹の【デミドラグワーム】も【デミドラゴンスピリット】に向かって攻撃を加えようとしていますが幽霊タイプだから物理攻撃が効かなそうな様子。

 

 

「マスター……今がチャンス……!」

 

 

そうです。【デミドラゴンスピリット】が相手をしている間にここから逃げなくては。

 

 

私は、【デミドラグワーム】が気付かないうちにここから逃げるためにMPがなくなりかけており気だるいその体に鞭を打ちながら必死に逃げます。

 

 

そうしてなんとか逃げ、【デミドラグワーム】の姿が完全に見えなくなるまで逃げきることに成功しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「疲れました……」

 

【デミドラグワーム】達から幾分か離れた場所にて一息つきます。前述の通り精神的にも疲労困憊であり肉体的な面で言えば私のMPがほとんどないためこのままでは大ピンチな状態です。けれど次の街までの距離も不確かですし何より戦闘能力がほとんどない状態で戦闘に陥った場合私に勝ち目はありません。

 

 

一体どうすれば……

 

 

「あの〜すみません……すごくお腹が空いていて、もしよかったら何か食べるものを分けてもらえませんか?……」

 

 

突如私の左側から懇願するようにな態度で軽装の鎧に身を包んだ女性が現れました。彼女はその蒼碧の眼で私に食べ物を分けて欲しいと言ってきました。

 

 

「えっと……これ食べます?露店で買った野菜なんですが……」

 

 

私は街を出る前などに露天商のおばあちゃんから買っていた野菜を彼女に手渡すと、彼女は幸せそうな顔をしながら受けておりました。

 

 

「いいんですか!?……ハグッハグッ……ゴクン……ありがとうございます!めっちゃ優しい人ですね!」

 

 

彼女は私の手から野菜を受け取るとすぐさま口の中に含み完食してしまいました。彼女は青色のメッシュがかかった方ほどまである金色の髪をしており、身につけているのは軽装の鎧であり少しヒビが入っており使い古されているように見えます。

 

 

その後彼女の話を聞くと彼女はアルター王国という国からスタートし、レベルを上げるために色々なところを回っているうちに道の方向を忘れてしまい途方に暮れていたようです。そんな中辺りに人が誰もいないと思っていたら人の声が聞こえたり荒い息遣いが聞こえるとのことで近づいてみたら私だったというわけだそうです。また、食事に関してもVRの中のためをお腹が空くということがないはずなのですが…

 

 

「いや〜私VRの中でもご飯を食べないと空腹感がすごくてですね……収納カバンに入れていた食料も補充うするのを忘れてしまいまして……」

 

 

とのことで、困っていたそうです。

 

 

「すみません、ご飯をくれた方にさらにお願いするような形になってしまうんんでうがもしよかったら一緒に行動してくれないでしょうか?」

 

 

それは願ってもみないことです。私自身も今戦闘能力がない状態です、2人で行動することで生存率はぐんと高くになるはずです。

 

 

「ええもちろん。私の方から願いたいぐらいです。」

 

 

「おお、ありがとうございます。実はどっちの方向に行けばいいのかわからなくて困っているんですよ……」

 

 

「私たちは……西に……突き進む……予定だよ……」

 

 

「え……今のってだr、うわ!?目の前に知らない少女が!」

 

 

あ、ヘルのことを紹介し忘れていました。

 

 

「えっと…こちらの少女は私のエンブリオであるヘルです。あー先程持っていた杖になることもできます。あとこれから一緒に行動しますので名前を名乗っておきましょう。私の名前はヨミと言います、よろしくお願いします。」

 

 

「あ!エンブリオでしたか、驚きました。私の方こそ名乗らずにすみません、私の名前はアリシア・ソフィアニールと申します。よろしくお願いいたします。」

 

 

「では名前も名乗りましたし、西へ進みましょう。」

 

「おー……」「おー!」

 

 

そんな感じで一時は死にそうでしたが、ひょんなことから少しポンコツ臭のする人と一緒に西への道をさらに突き進んでいくことになりました。

 

 

 




ヨミちゃんは(少しポンコツ臭のする)仲間が新たに加わった!▼


誤字脱字などがあった場合報告してくれるとすごく助かります。めっちゃ感謝します。


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8話 ダイジェスト砂漠行軍

お久しぶりです


<ヴァレイラ大砂漠>

 

 

 

一緒に行動することになったアリシアとまずは情報交換をすることになりました。

 

私から教える情報は、私のエンブリオの何ができるのかと言った大まかな能力を。そして私の今のジョブでできることなどを、アリシアからはアリシアのエンブリオの能力と自身のジョブ、あと好きな食べ物を教えてもらいました。

 

 

アリシアのエンブリオの名称は【竜殺英剣 ジーフリト】という名前らしく、アリシアの腰についている剣がどうやらエンブリオのようです。

また、能力を教えてもらうにドラゴンに対してかなり有利なようです。

 

 

アリシアは「説明するよりもみてもらったほうが早いです!」と言い私に見せてくれました。

 

 

【竜殺英剣 ジーフリト】

 

TYPEアームズ

 

 

到達形態:Ⅱ

 

ステータス補正

 

 

HP補正:D

 

MP補正:ー

 

SP補正:F

 

STR補正:D

 

END補正:F

 

AGI補正:ー

 

DEX補正:ー

 

LUC補正:ー

 

 

装備攻撃力:70

 

装備防御力:0

 

 

 

 

『保有スキル』

 

 

・《竜殺の加護》LV2:種族:ドラゴンに与えるダメージが二倍になる

 

 

・《竜撃耐の性質》(アリビエイション・ドラゴン)LV1:種族:ドラゴンから受けるダメージを20%減らす。

 

 

 

 

 

というもので、ドラゴンへの殺意をひしひしと感じます。

 

 

というか会ったばかりの人にそんな簡単にエンブリオの能力を見せてもいいのでしょうか?そうアリシアに聞いてみると、

 

 

「ヨミさんは、私にご飯を分けてくれました。初対面の見ず知らずの人にご飯を分けてくれる人はいい人だっておばあちゃんが言っていましたし、私自身もそう思います!だからヨミさんはすごくいい人だと判断しました!」

 

 

との回答でした。

 

とまぁアリシアがエンブリオの能力を見せてくれたお返しに私もアリシアに対して自分のエンブリオのヘルの能力を見せることにしました。

 

 

「ほうほうアンデッドですか、あまり美味しそうではないですね。あ、でも骨系のモンスターだったら出汁っていう手も‥‥」

 

 

アリシアの頭の中ではどうやらモンスター=食材か何かだと判断されていそうです。

 

 

こんな感じで情報交換の方は終わり、エンブリオの能力からアリシアが前衛、私が後衛に勤めることになりそうですが今の私はレベルが多少上がってMPも少しあるとはいえ最大値から見るととても少ない状態です。

 

 

2人で現場の確認をしながら歩いていきますが突如、画面の端のウィンドウが開き

 

【アナウンス 尿意】

 

が表示されました。

 

 

「アリシア、すいません。どうやら尿意の方に限界がきているみたいなので少しログアウトしますので待っててください。」

 

 

「わかりました!私の方も【アナウンス 空腹】と出ているので私もログアウトします!」

 

 

どうやらアリシアの方もアナウンスが出ていたようで、私たち二人はそのまま<ヴァレイラ大砂漠>の途中にて一時離れることとなりました。

 

 

 

 

 

 

 

<東京某所 悠凪家>

 

 

「ふぅ、用も足しましたし、念の為ヨーグルトもたべました。さてあちらに戻って西へ進みましょうか……」

 

 

その時、ふと気になって時刻を見てみると壁にかけられた時計は深夜の3時を指していました。今日は普通に大学のある日にちで多少時間に余裕をもたせて行動しないといけません。このままでいくと、完徹になってしまい大変危うくなってしまいます。

 

 

「残念ですが、予定もありますしアリシアに対して謝らないといけませんね。」

 

 

一緒に行動できたのは嬉しかったのですがリアルの事情には変えられません。

 

 

 

 

 

 

 

 

<ヴァレイラ大砂漠>

 

 

私がログインすると、すでにアリシアがログインしていましたが様子がおかしいです。なぜかとてもバツの悪そうな顔をしており、私に対して何かいいたげな雰囲気を醸し出しています。

 

 

「アリシア…あの……」

 

 

「ヨミさんすいません!」

 

 

「え?」

 

 

突然、アリシアは私に対して謝ってきました。アリシアは続けて、

 

 

「リアルの用事で今日はもう一緒にプレイすることができなくなってしまって、また明日同じ時間に一緒に遊ぶことはできますか?」

 

 

なんとアリシアの方もリアルの用事があるようで今日はもう一緒にプレイすることができないそうです。本来ならば一緒にプレイすることができないため残念がったり、人によっては憤慨したり呆れたりしますが私の方もリアルの事情があるため都合が良いです。

 

 

「大丈夫ですアリシア。私の方もリアルの事情があってゲーム内時間で1日ぐらいログインできなくなりそうでしたので、また明日、この時間で一緒に西にあるであろう街へ行きましょう。」

 

 

私たちはそうして明日、ここにもう一度集合して進めていくことを約束してこの世界を後にしました。

 

 

 

 

<東京某所大学内>

 

 

 

大学に向かった後には少しの説明とこれからの講義に関してのオリエンテーションがあり、あとの時間は暇になってしまいました。

 

 

「さて、後1週間ほどで入学式がありますし先にどの講義を選択するかを決めときましょうかね。」

 

 

大学内で1人、考え事をしながら手元の資料を熟読します。ここでの講義選びでこれからのデンドロのログイン時間や私の進路に関する内容が決まっていきますので、ここはしっかりと考えなければいけません。

 

 

そうやって考え事をしていると、段々と日がくれていき辺りの人は減って静寂だけがそこにありました。

 

 

時計を確認してみると時刻は午後5:00ほどで、この時間にしてはやけに人が少ないと思いながら帰路につきました。

 

 

家に帰った後は家の身辺整理をし夕飯の支度をします。

 

 

 

「さて、夕飯を作った後にはデンドロでの約束を果たしましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

少し早めにログインし、辺りを見渡しますと変わらず広がっていく砂漠の光景が目に入ってきます。一通りあたりを見渡した後にひとまず自分の所持品やドロップアイテム、手盛りの金額を軽く見ておきます。

 

 

そのように時間を潰していたところ私の隣にアリシアがログインしてきました。アリシアは私と同じくあたりを見渡し、私の方を向くや否や「こんにちは!」と元気良く挨拶をしてきます。

 

 

「こんにちは、アリシア」

 

 

アリシアに挨拶をし私たちは砂漠の中を歩み始めていきました。

 

 

歩き始めて最初の頃はアリシアとの雑談が多くヘルも交えて3人で話していましたが途中何度かモンスターと遭遇しました。けれども私の助けはいらずアリシア一人で現れたモンスターを全て倒していきました。

 

 

こうして大きな戦闘もなく着々と道を進めていき辺りの光景が段々と変化していきました。

 

 

初めの方はTHE砂漠と行った光景でしたがチラホラあたりに群生している草が見えてき始め砂ではなく岩石が多く吐出している光景へと変わっていきました。

 

 

このことからようやく<ヴァレイラ大砂漠>を抜け出すことに成功しアルター王国の都市に向かうことができます。

 

 

「アリシア、そういえば貴方はどこの都市からあんな場所まできたんですか?」

 

 

アリシアはそう聞かれると何故か胸を張って

 

 

「首都の方から歩いてやってきました!」

 

 

と答えてくれました。

 

 

それに思わず「マジか……」と慄きましたが少し詳しく聞いてみると最初の方は馬車を引いてるマスターの男性と話しているとそのマスターの方の行き先と近いため途中まで一緒に乗車していたのだとか。

 

 

その馬車を引いているのも普通の馬ではなくエンブリオと思わしき見た目のカッコいい馬だったそうです。

 

 

そうやってあっという間に砂漠付近についてからは歩きながらモンスターと戦って奥へ奥へといっていたらあたりも暗くなってお腹がすいたような感覚(実際はないはずですが)に襲われ辺りを徘徊していたところで私と遭遇したそうです。

 

 

そんなこんなで波乱万丈のようでしたがアリシアからしてもようやく首都の方……アルター王国ですから正確には王都へ戻れることが嬉しいようです。

 

 

その後も都市へと向かい歩き続け、途中にあった山々を越えある時はモンスターがあらあわれてはアリシアが攻撃をし、有効打がなさそうでしたらすぐに戦線離脱をして2人一緒になって逃げ、なんとか都市が見えてくる位置まで来ました。

 

 

「ようやく見えてきましたね……」

 

 

「長かったです……」

 

 

こうして最後は二人一緒に街の中へ入ることができ、深夜に行われた砂漠行軍は終わりを迎えました。

 

 

 

 

 

 

 




オデ17巻読んだ。めちゃくちゃドキドキしたし面白かった。ミンナ17巻買おう。


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9話 飛翔する戦機と炎の竜王

めっちゃくちゃ頑張った


<ギデオン伯爵領近辺>

 

ギデオン伯爵領とクルエラ山岳地帯の間に位置する場所にてそれは目覚めた。

 

 

「目標確認……化身反応微弱……否定……劣化化身反応複数確認…………殲滅へ移行シマス……」

 

 

あたりに存在するモンスターを次々と撃ち砕きながら歩みを止めず、劣化化身……それが存在していた当時からは反応がなかった化身の反応を有する存在、すなわちマスターが存在する場所へと動き始める。

 

 

「兵装、<オプション・ウィング>」

 

 

飛んだ

 

 

自身の背から生えた機械の翼による飛翔、それと同時に周囲の自然物がまるで塵に変換されていくかのように崩れ落ちていき、それの周辺だけ木々がなくなり、モンスターからのドロップアイテムが散乱しているという奇妙な事態に陥った。

 

 

「………微弱ナ化身反応ヲ確認、対象ノ撃破ニ移リマス………」

 

 

空にてそれと合間みるは偶然そこを飛行していた天竜種のドラゴン、天竜種の中でも上位の力を持つドラゴンはそれの危険性を本能で理解したかすぐさま攻撃体制へと移行する。

 

 

しかしそれよりも早く、それがドラゴンに向かって自身に組み込まれた攻撃的な武具を撃ち放つ。それが持つ銃芯から放たれるは、物質を穿つ光線。ドラゴンはすぐさま回避行動を取り反撃とばかりかそれに向かってブレスを放つ。

 

 

「兵装、<ロゥト・アタック>」

 

 

直撃したブレスは本来ならば生物を焼き焦がすはずであったが、ドラゴンがブレスを終えそれを見るとそこには、大して被害を受けておらずこちらを見つめ返しているそれが佇むだけであった。

 

 

「貴様……我がブレスを受けて何故そうも平然としておる。」

 

 

喋った

 

 

ドラゴン……人々の名前では【炎竜王 ドラグフレイム】の名で呼ばれているドラゴンはそれに問いを投げた。

 

 

それはなんの返答もしない。ただ次の攻撃に写ろうと次の攻撃を行おうとしている。その刹那、<炎竜王>はそれに向かって先ほどよりも強大なブレスを放った。

 

 

「答えぬか……我を攻撃し、我の攻撃を受けてもダメージを受けておらぬということは貴様も<UBM>であろう。我に歯向かったというのはどういうことか、身をもって教えてやろう!」

 

 

それは<炎竜王>の予想通り<UBM>であった。ただしただの<UBM>ではない。その名は<学習戦機 リィーリエス>先々期文明時代に作られた兵器である。

 

 

「分析結果……学習システム起動……データ……クリア…命名………<オプション・レンヴィ・フレイム>」

 

 

今ここで先々期文明産の<UBM>と竜王の<UBM>の戦いが始まった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<アルター王国 決闘都市ギデオン>

 

 

アリシアとフレンド登録をし別れた後にセーブポイントの登録を済ませました。そして時間もいい頃なので1度ログアウトをし、時間を確認。予定がないことを確かめると、もう1度ログインしなおします。

 

 

「ここを………拠点にする……?」

 

 

「ひとまずそうしますか。それにしてもとっても活気がある場所ですね。」

 

 

辺りを見渡してみるとさまざまな武具を着込んだマスタと思わしき人や、そのマスター相手にものを売る商人や町人たちの光景が広がります。

 

 

ここにはコルタナと違った活気があり、人々の賑わいが常であるかのようです。

 

 

「さて、セーブポイントも登録しましたしあたりでレベルを上げますかね。」

 

 

 

 

ギデオンの街を出て数十分、あたりに人がいないことを確認すると私はスキルを発動させてアンデッドを召喚しました。選択制で、【スケルトン・デミ・ドラゴン】を1体召喚し、モンスターを探し回ります。

 

 

「あまりモンスターと出くわしませんね……」

 

 

私たちがあたりを見渡して歩いていても、モンスターの姿があまり見えません。ここはあまりレベル上げには向いていないのかも…そんな風に思った瞬間、轟音が聞こえてきました。

 

 

「クハハハハハハ!良いぞ!良いぞ!わが攻撃をあれほど受けて尚、その身に傷をつけることすら敵わぬか!」

 

 

「……起動…リソース回収プログラム<リコール・エネルギー>……リソース回収……兵装<ロゥト・アタック>」

 

 

轟音が聞こえた刹那、私の頭上を何かが通り過ぎていくのを感じました。

 

 

通り過ぎて行ったものを見ると、御伽噺に出てくるような大きなドラゴンと私の身長と変わらないぐらいの機械でできているような者が争っていました。

 

 

「あれって明らかに通常のモンスターじゃありませんよね……、しかもあのドラゴンの方なんて思いっきりしゃべっていましたよね?」

 

 

「あれは…………多分<UBM>……じゃない………?」

 

 

あれが<UBM>、私が手に入れた得点武具の死ぬ前の姿ですか………

 

 

え?今私が纏っているこれも生前はあんな怪獣大戦争みたいな見た目だったんですか?

 

 

いや…ライオンとか虫とかもいろんな個体差があるからあれと一緒にしないほうがよさそうですね。

 

 

ひとまずこの話題は置いといて。

 

 

「ヘル、私の案を聞いてくれますか?」

 

 

「なに?……マスター………」

 

 

「このままいけばあの2体のうちどちらかが死んで決着がつくはずです。しかし、決着がつくにしろどちらかは少なくない手傷を負うはずですよ。」

 

 

「つまり……そこを狙うってこと……?」

 

 

「そうです。こうすれば手傷を負った相手を倒して得点武具を得ることができるはずです。」

 

 

ただ、可能性としては少ないと思うのですが万が一どちらかが手傷を負わずに相手を倒してしまったらかなりピンチです。

 

 

「では、あの2体を追いますか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、貴様はどうやら周りから何らかの形で力を得ているようだな。」

 

 

「リソース回収……<オプション・レンヴィ・フレイム>」

 

 

リィーリエスは学習する兵機である。戦闘をするごとに相手の技や魔法を学習し、周囲のリソースを回収し今までに学習してきた技を相手にぶつける有効打を探し最終的に撃破する。これは、長期的に見れば化身をも妥当することができる考えられ作られた先々期文明の兵機であった。そのため今回の戦闘においても相手の技を学習し、有効打を探すべく相手へとぶつけた。

 

 

しかし炎竜王にその攻撃は効かない。元々天竜種のドラゴンの中でもとりわけ炎に関する攻撃を主だって使うため故、炎による攻撃に高い耐性を持つ。

 

 

さらには竜王特有の竜王気により、物理攻撃、魔法攻撃問わず威力を減衰させていく。そのため<UBM>の攻撃を直に受けた割に、炎竜王はその身を焦がすことも鱗に傷をつけることもなかった。

 

 

これが炎竜王でなく通常のモンスターであれば、あいてはたちまち炎に包まれその命を落としていたほどの威力であった。

 

 

炎竜王の攻撃もあまり意味をなさず、リィーリエスの攻撃も決定打たり得ない。そうして両者がにらみ合っていると、この均衡を破るように炎竜王が先に仕掛けた。

 

 

「このままではお互い少しずつ削っていく形となり、我も貴様も体力、もしくはエネルギーの内残量による勝負になるだろう。だがそのようなちまちまとした削り合いは好かん!ならばこそ、わが全身全霊の一撃をもって貴様を打ち倒そう!」

 

 

炎竜王としても自身の竜王気による威力減衰などを含めてみてもこのままでは泥沼化すると察したのか一撃にて決着を決めると宣言した。

 

 

リィーリエスは演算する。このままでいけば周囲のリソースを回収し尽くし、自身の内残するリソースを持って戦うことを。そしてリィーリエスはその主だった特殊能力の影響か、自身の内残リソース量は低い。そのために組み込まれた周囲のリソースを回収するプログラム<リコール・エネルギー>であったが周囲からリソースを回収できなくなった瞬間、兵装も起動できずに目前のドラゴンに敗れてしまうことを。そこから出したリィーリエスの結論としては……

 

 

「リソース回収……化身撃破兵装<グラビウス・コレイル>起動……」

 

 

「貴様も一撃による決着を図るか…ならば我はその一撃を破り勝利の栄光をこの身に、授けよう!」

 

 

「<グラビウス・コレイル>……!!!!!」

 

 

「《エターナル・フレイム》!!!!!!!!!!」

 

 

リィーリエスが放つは化身を葬り去るべく作られた兵装<グラビウス・コレイル>。重力により圧縮された神話級金属塊を電磁運動による超音速による射出、つまりレールガンに近い機構による兵装である。またこれはリィーリエスが今まで学習した技や魔法などのオプションを自身で組み込み改良していく形となる。つまりこの技は学習すればするほど威力が高くなっていき理論上、化身を撃破することも可能であった。ただし、これを使用するには演算機構や兵装などをオーバーヒートさせ無理やり行っているもの。また、神話級金属塊を溜め込む特徴故、自力で打てる回数は限られている現状であった。

 

 

対する炎竜王が繰り出すのは<エターナル・フレイム>。自身に与えられた<UBM>の特性である炎による延焼効果を最大限に込めたまさしく最大の一撃。相手に当たりさえすればそこから相手を燃やし尽くし、灰すら残さぬほどの威力を持つ。

 

 

両者の全身全霊、最大の一撃を放つ。

 

 

先々期文明の兵機が放つ、化身を倒す目的で作られた最大の一撃。

 

 

竜王が繰り出す、万象を焼き尽くす全霊の一撃。

 

 

両者の技を見届けたのは相対する2体の他にただ一人だけ存在していた……

 

 

決着というものは全体の勝負から考えれば存外あっさり決まるものである。

 

 

両者の命運を分けたのは,ひとえに一撃が決まる速さであった。火炎放射とレールガン、何方のほうが早いかと問われれば、大多数の者がレールガンと答えるであろう。

 

 

今回はまさしくその結果が出た。

 

 

炎竜王の胴体の半分ほどは消えてなくなり、断面からは摩擦による影響か肉が焼けている音とともに煙が少し立っていた。

 

 

対するリィーリエスの方も無傷とはいかず、その身を炎に包まれ兵装が焼け落ちていく。

 

 

「クハハ…ハハ、我が命もここまでか……だがしかし貴様の命も…ここまでだ…その炎は我が死んでも残り続ける…永劫の炎だ…そう考えるとこれは…相打ちとなるのか……」

 

 

リィーリエスは答えない。否、答えすべを持たないからだ。先ほどの一撃により演算機構がオーバーヒートし、冷却も追いつかない状況。さらには炎竜王の一撃により発声機構すらも壊れてしまっていた。

 

 

つまりは瀕死、炎竜王を倒したリィーリエスであったが自身も終わりを迎えようとしていた。

 

 

そんな中、この戦いを見ていた者は動き出す。

 

 

「【スケルトン・デミ・ドラゴン】達、全員でのこった機械の方を攻撃して」

 

 

自身の持つMPで生み出した亜竜級のドラゴンである【スケルトン・デミ・ドラゴン】が合計3体、繰り出される攻撃にリィーリエスはすぐさま瀕死の機体で反撃に出る。

 

 

「(兵装……<オプション・エンヴィ・フレイム>)」

 

 

燃える機体から放たれるドラゴンは放つブレスのような一撃。それは狙いを【スケルトン・デミ・ドラゴン】ではなく、召喚者であろう人物……ヨミに向かって放たれた。

 

 

「その身を挺して守ってね、【スケルトン・デミ・ドラゴン】」

 

 

しかし、ヨミは目の前にいる機械がこちらを向いた瞬間にもう一度【スケルトン・デミ・ドラゴン】を生み出し自身の命を脅かす炎から身を守った。炎をその身に浴びた【スケルトン・デミ・ドラゴン】は炎に包まれながら自分を」生み出した主人を守るべく立ちふさがる。

 

 

その間に【スケルトン・デミ・ドラゴン】3体の攻撃がその身に浴びせられる。元々瀕死であった機体にさらなるダメージが加わりすぐさま死のうとしている。

 

 

そんな中、リィーリエスとともに死闘を繰り広げた炎竜王…【炎竜王 ドラグフレイム】が先にその命を終わらせた。

 

 

そして、すぐさま【学習戦機 リィーリエス】も役目を果たせずに、命を終わらせた。

 

 

こうして<UBM>同士の戦いの場にて最後に残ったのは、1人のマスターとそのエンブリオであった。

 

 

 

 




作者が調べたのでもしかしたら違うかもしれないのですが、火炎放射とレールガンってレールガンの方が早く目的地に着きますよね?




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10話 UBM特典の使い道

あけましておめでとうございます

今年も拙作をよろしくお願いします。


<アルター王国 決闘都市ギデオン近辺>

 

 

 

 

 

【<UBM>【学習戦機 リィーリエス】が討伐されました】

 

 

 

【MVPを選出します】

 

 

 

【【ヨミ】がMVPに選出されました】

 

 

 

【【ヨミ】にMVP特典【学習戦機完全機骸 リィーリエス】を贈与します】

 

 

どうやら両者ともに、削りあっていて瀕死だったので倒しきることが可能でしたね。

 

 

しかし、瀕死だと思ったのですがあそこから火炎放射をこちらにしてくるとは、しかも攻撃を仕掛けている【スケルトン・デミ・ドラゴン】ではなく私自身に向けて。

 

 

あの<UBM>、かなり賢いですね。あそこで生み出した【スケルトン・デミ・ドラゴン】ではなく生み出した張本人の私を倒すようにしていましたし。

 

 

ですが死んでしまったら意味はありません。あの場面だったら攻撃してくる【スケルトン・デミ・ドラゴン】を狙い倒して、そのまま戦闘時に飛んでいたように逃げればよかったものを

 

 

「なにはともあれ、<UBM>を倒したことですし戦利品の得点武具でも見ましょうか」

 

 

私は、早速手に入れたアイテムを拝もうと取り出しました。

 

 

取り出したものは武具と呼ぶにはあからさまに大きく、そして先ほどまで見ていたリィーリエスの彫像の様でした。

 

 

「なんですかこれ?」

 

 

説明をよく見てみるとこれはどうやら生産素材らしく加工なりなんなりしないと効果を発揮しなさそうです。

 

 

「生産素材を加工できる人脈なんて持ってませんよ……あれ?」

 

 

私はふと自分の考えが正しいのか確かめるためにウィンドウを確認し始めました。

 

 

「生産素材……アイテムとMPを使用して……!?」

 

 

これってヘルの第2スキルでアンデッド化ができるんじゃないですか!?説明的には出来そうですし、できるとすれば<UBM>の特典がこのような形でアジャストしたのも納得がいきます。

 

 

「物は試しです、早速試してみましょ……」

 

 

「マスター……生み出しても…ジュエルに入れないと………町に入れない……」

 

 

た、確かに!?私としたことがすっかり失念していました。確かにモンスターを連れて町にそのまま入れそうにありません。それにそんな人ギデオンでもコルタナでもいませんでした。

 

 

「危ないところでした、ありがとうございますヘル。」

 

 

「どうってこと……なし……」

 

 

では先に町へ戻ってジュエルを買ってから、試してみますか。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……少し手間がかかりましたね」

 

 

ジュエルを買うために町へ戻りましたが買う途中で所持金がないことに気づいて慌ててアイテムを売りに行くことになるとは。

 

 

 

「ですが目的のものは買えましたし早速町から出て試しましょうか。」

 

 

「おー………」

 

 

それにしてもこの町はマスターと思わしき人たちが多いですね。多分コルタナよりは少ないと思いますが、コルタナと比べ装備やら装飾品やらが整っている人たちが多いですね。

 

 

「コルタナは初心者っぽい人たちがほとんどを占めていましたし、ここはレトロゲームなどでいう第2の町のような扱いでしょうかね。」

 

 

初心者以外が多いのでもしかしたら私が狩りをしているときに鉢合わせしてゾンビたちが狩られてしまうんでしょうか?そうなると私にとってはデメリットしかありませんね。

 

 

このあたりでレベリングするときは少し遠くまで……それこそあの竜たちがいたところ付近まで行きますか。

 

 

 

 

 

 

 

「さて元の場所に帰ってきました。ここならほかのマスターは居ませんし戦いの余波か知りませんがモンスターもいなさそうです。」

 

 

「もし…モンスターが出ても……ここなら思う存分……生み出せる……」

 

 

「では、始めましょうか。《代償払いし固有の屍》……」

 

 

私がスキルを発動させると手持ちのUBM特典にスキルの魔法陣が重なっていきそのまま私の手から離れ地面に落ちていきました。

 

 

魔法陣の上にあるUBM特典はだんだん光の粒となり魔法陣へと溶け込んでいきました。そこから数秒もたたないうちに魔法陣から一体のモンスターが出てきました。

 

 

そのモンスターの見た目は人間と何ら変わらず背中に目立つ機械の羽が生えています。見る限り身長の方は私と同じか少し高いぐらいで、裸のままです。

 

 

っと…どうやら見続けていたため種族名が表示されています。種族名は……《ハイ・メカニカル・アンデッド》、要するに機械のアンデッドだそうです。

 

 

機械のアンデッド……昔やったゲームの中に機械の部分を持つゾンビが登場するゲームがありましたね。名前はなんでしたっけ?確か、バイオ………

 

 

「マスター……裸だし…何か着せないと……」

 

 

考えに夢中になっているとヘルに呼ばれ、意識を呼び戻されました。

 

 

「服…ですか、ですが今は都合よく服なんて持っていませんしここはジュエルの中に入ってもらうしか……」

 

 

私が生み出したモンスターですからジュエルの中に入ることはできるはずです。ひとまずはジュエルの中に入ってから服などを買っていろいろ検証をしていきましょう。

 

 

「それにしても、行ったり来たりと忙しいですね。」

 

 

「マスター……気づいたことがある……」

 

 

「どうしましたヘル?」

 

 

「彼女のスキル……私は把握できる………」

 

 

ヘル曰く、UBM特典で生み出した影響なのかどうかはわかりませんが生み出したばかりの彼女のスキルがわかるそうで、内容は以下の通りです。

 

 

 

・《縫合拡張》:アイテムを必要数リソースに変え吸収することでアイテムに応じたスキルをランダムで獲得することができる。

 

 

このスキル一つのみですが少し聞いただけでもとても有用そうなスキルということがわかります。ただ懸念としては必要になるアイテムの数が不明なところですね。アイテムによっては何十個、何百個と必要になりそうです。

 

 

「ひとまず、町に戻って彼女のための服を買いに行きましょう。」

 

 

 

 

 

 

「服も買いましたし、結構な量のジェムも買いました。さぁ検証しますよ!」

 

 

買ったジェムは《ファイアーボール》のジェムで、ほかのジェムと比べ少し安い値段だったため多く買うことができました。

 

 

「では呼び出してみましょう。《喚起》!」

 

 

ジュエルのスキルである《喚起》を使用し出てきたのは先ほど見た姿と同じ《ハイ・メカニカル・アンデッド》

 

 

「では早速検証していきましょう。」

 

 

まずはアイテムボックスからジェムを取り出し、掌にのせます。

 

 

「えーと、言葉は通じますかね?スキルを発動してほしいんですけど……」

 

 

わたしが頼み込むように言うと彼女は私の掌においてあったジェムを取りました。すると、手から取ったジェムが光のチリとなり彼女に吸収されていきました。

 

 

しかしそれ以降は特に変化はなく。無言の沈黙が流れていきます。

 

 

「……多分必要数に達していないのでしょうね。でしたら残っているジェムをすべて与えれば!」

 

 

持ってきたジェムをすべて彼女の手に渡し光のチリへと変えられていく様を見届けます。

 

 

1個、また1個と減っていき、用意したジェム20個はすべて吸収されましたが何ら変化はありませんでした。

 

 

「20個でも足りないとは………、仕方がありません。検証はあきらめて辺りのモンスターを狩りましょうか。

 

 

検証も成果はありませんでしたし、今はモンスターを狩って戦闘能力を確かめてみましょう。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…、ようやく街に帰ってきましたね。」

 

 

あの後、あたりを探し回り【ティール・ウルフ】などのモンスターを狩ることができました。しかし……

 

 

「まさか、攻撃方法が殴る、蹴るなどの物理系だけとは思いませんでした。」

 

 

<UBM>の時に見たような魔法などは一切覚えておらず、スキルもヘルが確認した《縫合拡張》だけでしたので当然といえば当然ですが。

 

 

それにしてもこれであのスキル、《縫合拡張》という名前と性能からしてもしかしてUBM特典も吸収することができるのではないでしょうか?

 

 

だとしたら、他のスキルを覚えていないのも納得がいきますね。《縫合拡張》を使っていけば彼女はほかの<UBM>も簡単に倒すことができるようになります。

 

 

そんなスペックを持っているのに、他の……例えばあのドラゴンとの戦いで最後に見せたあの技を持っていたらそれこそバランスが壊れてしまうというものです。

 

 

そう考えると、今の現状は育成ゲームでの序盤といったところでしょうか?

 

 

ひとまず次の目標は彼女の…せっかくですし名前を付けましょうか。

 

 

「せっかく新しい仲間になったのですし、彼女に名前を付けましょう?今までのように種族名だけで呼ぶのもあれですし」

 

 

「うん……いいと思うよ……どんな名前にするの………?」

 

 

そうですね………羽……女性………戦う羽をもつ女性…

 

 

「ヴァルキリア……なんてどうでしょう?」

 

 

「マスターがいいと思うなら……いいと思う」

 

 

「ヴァルキリア……ヴァル、これからよろしくお願いしますね。」

 

 

これからの目標は、ヴァルを育てていくことにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻<アルター王国のとある森林>

 

 

 

「なんだあのモンスター!体から剣が生えてやがる!」

 

 

「しかもあそこで戦っているのってここらで恐れられている【ブラッディ・ドラグタイガー】じゃねぇか!」

 

 

「お、おい…もしかしてあいつって<UBM>ってやつじゃ…」

 

 

3人組のマスターと思わしきパーティーはいつものように一緒に同じ場所で狩りをしていた。自分たちのエンブリオを育てるため、そして金銭を集めるためにモンスターの素材を集めていた。

 

 

しかし、いつもとは違い日頃狩っているモンスターが現れず、少し奥まで潜っていたところようやく2匹のモンスターと遭遇した。

 

 

しかし、2匹のモンスターは2匹とも種族が違うのか大きく争っていた。

 

 

1匹は彼らが知っているこの森の恐怖の象徴、森の奥に生息しており音速に近い速度でふるってくる爪牙と獰猛な気性で恐れられている純竜級のモンスター【ブラッディ・ドラグタイガー】

 

 

その【ブラッディ・ドラグタイガー】の爪牙を体から生やした剣で捌き、逆に爪と牙を破壊しているモンスターは彼等が初めて見る見た目をしていた。

 

 

その体格は【ブラッディ・ドラグタイガー】よりも大きく、体から生えている剣は自分たちが使っている武器よりも質が高く見えている。また生えている剣の数も、見えているだけで8本以上あり口からは獲物を引き裂くように生えそろっている牙がある。その風貌は幼いころ見た、図鑑に載っていたトラに近い見た目をしていた。

 

 

彼等が戦闘を見始めてから10分もたたずとして【ブラッディ・ドラグタイガー】が死亡した。死亡して光のチリへと変わっていくのを見ていたそのモンスターは今度は戦闘を見ていた3人組の方へと振り向いた。

 

 

「おい……なんかこっち見てるぞ…」

 

 

「まさか、俺らを殺そうとしてるんじゃあ……」

 

 

「こっちに来るぞ!逃げr」

 

 

一瞬だった。ほかの2人より先に逃亡の姿勢を図った1人は瞬く間に頭を嚙み砕かれ光のチリに変わった。

 

 

「ひぃぃぃぃ!!!!!!」

 

 

「こうなったらやるしかねぇ!死ねぇぇぇ!」

 

 

1人は怯えその場で尻もちをつき、1人は覚悟を決めたのか仲間を殺したモンスターに向かって勇敢に自分の武器、剣の形をしたエンブリオを斬りつけた。

 

 

しかし斬りつけると同時に違和感を覚えた。

 

 

(あれ?俺のエンブリオってこんなに軽かったか?)

 

 

確かめるように自分のエンブリオを確かめると刃の部分が根元から破壊されていた。

 

 

それがこの男の最後の動作であった。彼は確認すると同時に頭を切り裂かれ先ほどの男と同じように光のチリに変わっていった。

 

 

残った男は目の前で今まで戦ってきた仲間が一瞬で殺されたことで戦意が喪失しており涙目でモンスターのことを見ている。

 

 

モンスターはそんな彼を死なない程度に腕を、体を、脚を斬り裂いていく。斬られていくたびに彼は泣き喚き挙句の果て、モンスターに向かってやめてくれと懇願する始末である。

 

 

モンスターは死なないように丁寧に丁寧に男を斬っていき、3人組が戦闘を見始めてから20分が経ったころ、男は痛みに耐えきれなくなったのか自害することを選択した。

 

 

モンスターは自害した男から興味を無くすと、森の奥へと歩み始めた。

 

 

 

 

 

 




3人組のうちの1人の数十分前



「俺、今設定で痛覚ONにしてみたwww」

「まじかよwwなんでそんなことしてんだよwww」

「こっちのほうが面白そうじゃねwww」

「おい、おまえら。今日もあの森林でモンスター狩るぞ、あとおまえは痛覚ONにしていいことなんてないだろ……」

「大丈夫大丈夫wwwなんかあったら痛覚OFFにすっからwwww」

「本当に大丈夫か?……」


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