アサルトリリィ BOUQUET ―白銀の妖精― (九条 美琴)
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前書とプロローグ

初めまして、九条 美琴です。(ハーメルンというか二次創作小説自体初投稿)
まずは見てくれた方感謝です!
この作品のコンセプトを一言で言いますと、
「アサルトリリィの世界に魔法使いを転移させてみた」
はい、今作品は異世界転移物となっております。
理由としては単純で、「魔法の概念あるしこの世界なら魔法使いとか放り込んでもそれなりに溶け込めるんじゃないか」
とかそんな理由です。
ちなみにタイトルにある「白銀の妖精」ですがオリジナルキャラの二つ名です(作品内でその名が付くのは結構後になりますが・・・・。)
ちなみに主はファンタジー方面だと銀髪ロリのハイスペックなキャラが以外に好きです。(CVは特に決めて無いので御自由に脳内再生ください。)と言うかもうここまで言っちゃうとオリキャラの容姿ほとんどバレバレなんですよねwwww
スタートは転移するちょっと前の"向こうの世界"の話から始まりアニメ6話と7話の間からになります。(ここ以外に転移させて来る隙がありませんでしたっ!!)
※ラスバレ編は気が向いたら書くかも
一応ストックはあるので軽く手直しをしつつできるだけ早めに上げていきたいと思います。(ストック切れたらちょっと遅くなるかもです。)
それでは「アサルトリリィ BOUQUET ―白銀の妖精―」
色々と違和感等があると思いますが宜しくお願いします!

九条 美琴 ( Twitterで更新情報載せます)

長々と書いてしまいましたがお待たせしました。それではプロローグをどうぞ!!


プロローグ

 

魔王城――。

その最深部で相対する魔王と2人の魔道士、今世界の運命を左右しかねない最終決戦が始まろうとしていた一。

 

「我が配下を全て倒して来るとは・・・貴様ら、何者だ?」

「ただの魔道士とその弟子です。ちょっと倒しに来ました♪」

軽い口調で答える。

(もう、師匠ったら・・・いつもこうなんだから・・・。)

その師匠と呼んでいる長い青髪の女性、大賢者と呼ばれているが思い付きで行動してしまうところがあり、今回もいきなり魔王倒しに行きましょう!なんて突拍子も無い事を口走り連れ出すものだから弟子の私にとっては頭の痛くなる問題でもある。

「命が惜しく無いのか・・・?何人もの勇者を葬ってきたこの私を倒すだと・・・笑わせてくれるわ!」

「師匠、私達だけでは無理です、逃げましょう!」

「だいじょーぶ。あと2人じゃ無くて私だけで十分だから♪と、いうわけで覚悟!!」

師匠のその一言を皮切りに戦いが始まった。

想像を絶するものだった。

見境無しに国が1つ滅ぶ程の高威力魔法を連発する魔道士、それを全て受け止め倒れる気配の見えない魔王。両者は消耗していきやがて最終局面へ―――。

「私の全力を受けて倒れないとは流石ですね・・・。」

「戯けが、人間の癖にやるではないか・・・しかしここは我輩の居城、力と肉体はしばらくすれば回復する!!」

(だめ・・・このままじゃ・・・。)

師匠の体はボロボロだ。おそらく魔力も尽きてしまっている。

「師匠!!」

「来ないで!あと・・・・少し・・・・だから・・・・ね。・・・・そこで・・・待っ・・・・てて・・・。」

何かをブツブツと言いながら語りかけてくる。

(この詠唱・・・まさか!!)

その瞬間、魔王の足元に魔法陣が展開する。

「なっ・・・・この魔法、貴様、血迷ったか!!」

アークディメイション。多大な魔力と命を引換に術者を中心とした大陸の約半分程の範囲を光の中に消し去る光属性最大威力の魔法。禁術とされているがその術式を改変し範囲と位置指定を可能にしている。それが出来たのは彼女が大賢者と呼ばれる所以である。

「これで・・・終わりです。」

発動。

「ゴガアアアア!!!!」

その消耗した体で抗える筈も無く魔王が光の中に消え去った。

「師匠・・・・っ!」

「ごめんね、ちょっと無理しすぎちゃった・・・。」

治癒魔法をかけるが殆ど効果が無い。

「ねえ、魔道士に大事な事ってなんだと思う?」

「師匠、こんな時に・・・。」

「いいから、答えて。」

「えっと、その魔法と効果をよく考え、無理無く使う事・・・でしょうか?」

「合格。」

師匠が私の頭の上に手を乗せる。

「ええ、師匠が教えてくれた事ですから・・・。」

その瞬間、私の体が発光する。

「魔王を倒した今、この世界での私の役目は終わり。だからこれからあなたを別の世界へ転移させます。その世界の人達と仲良くね、平和な世界でありますように・・・。」

師匠の声がだんだん低くなっていく。

「師匠!まだ死んじゃだめです!まだ教わって無い魔法がたくさんあるんですから・・・。」

「あなただったら大丈夫。だって私の弟子なのだから。あと最後まで振り回してごめんね。」

師匠が微笑む。

「それじゃあね。転移・・・開始。」

私の体が光に包まれ視界が白く染まる。

 

百合ヶ丘女学院─────。




はい、と言う訳でアサルトリリィの世界に転移します。
暫くはオリジナルの展開が続きます。(10話くらいで本編と合流予定)
とりあえず次回は感想、評価等の様子を見つつそこまで日にちはかけずに上げたいと思います。(遅くても夢結誕生日(4/12)までには・・・。)
読んで頂いてありがとうございました。それではまた。


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1話:前途多難な異世界交流

前の世界で魔王を師匠が倒し異世界に飛ばされた弟子の少女!
これから一体どうなってしまうのか?
こんな感じで前回のあらすじとか入れたいと思います。
あと前回読んでくれた方、お気に入り登録してくれた方感謝です!
それでは1話、始まります。



百合ヶ丘女学院医務室――。

 

(ん・・・。)

少し眩しい。あと何か変な音がする。

(どこ、ここ・・・?確か師匠に・・・・っ!!)

「師匠!!」

ベッドから飛び起きる。

「うわビックリした――!」

の少女が驚く。

記憶を整理してみる。

(えっと確か師匠と魔王を倒しに行って違う世界に転移させるとか何とかで・・・・。)

とりあえず人もいるみたいだし聞いてみよう。

「あの・・・ここはどこ?」

?

黒髪の少女が不思議そうにしている。

「あのね、あなた学園の前に倒れていたんだけど・・・その前に何言ってるか分からないのだけど言葉通じてる?」

何を言ってるか分からない。どうやら私のいた世界の言語は通じないみたいだ。

「とりあえずあなたを見つけてくれた子を呼ぶね。」

しばらくして・・・。

「えっ?あの子起きたんですか!良かったー!」

「夢結、少し静かになさい。」

数名が医務室に入って来る。

「夢結さん、実はね、言葉が通じないみたいなの」

「え、そうなんですか?」

ピンクの髪をした子が考えこんでいる。

「筆談とかどうかしら。」

夢結が提案する。

梨璃が紙とペンを持ち出し・・・・

あなたは誰?

と書かれた紙とペンを差し出す

もちろん何が書いてあるのかも分からないしこれが何なのかも分からない

「はい、次はあなたの番。」

目の前に置かれたまま黙り込む。

「もしかして使い方が分からないのではないかしら?」

「これはこうやって使うんだよ~。」

幼児に教えるような手つきで私の手に握らせて紙に書いて見せる。

(なるほど、要は紙とあと見た事無いけど羽ペンみたいなものか・・・。)

それなら、と慣れた手つきで文字を書き始める。

(私の名前は・・・・)

「これ、何語かしら・・・?」

「さぁ・・・・ ?」

「?」

見た事の無い文字を見て困惑する3人。

一方の私はというと・・・

(何あれ、すごい書き心地良かったんだけど・・・。)

ボールペンの凄さにビックリしていた。

「あの、お姉様、もう少しこの子の側にいてもいいですか?」

「でも言葉が通じないのでしょう?迷惑にならないかしら。」

「言葉が通じなくてもできる事があると思うんです!」

百由が助け船を出す。

「身体には異常無いみたいだし少しなら側にいても大丈夫よ。」

「わかりました。あなたの好きになさい。」

「ありがとうございます、お姉様!」

2人が部屋を出て行く。

「さてと・・・。」

ピンクの髪の子も一旦離れしばらくして戻ってくる。

「えーと、これがこうだから・・・。」

何やら本を読んでいるみたいだ。

「よしっ!」

「わ、た、し、は、ひ、と、つ、や、な、ぎ、り、り、で、す」

(何、この子いきなり変な指の動きして・・・?)

首を傾げる。

「手話も駄目かー。」

テーブルにうつ伏せる。

「じゃあ後は・・・う〜ん・・・。」

そのまま動かない。

(本か・・・。)

1冊手に取り開いてみる。

(何、この文字?全然読めないんだけど・・・。)

これなら言葉も文字も通じないのも当然である。

(魔法が使えるかどうかは分からないし・・・試してみるか。)

本を閉じ手を置き集中する。

身体に魔力が流れ込んで来るのを感じる。

(使えた・・・、解析魔術・・・起動!)

文字解析・・・完了。

(あとは師匠が教えてくれた動物の言葉が理解出来るくだらない魔法を応用してっと・・・。)

言語・・・学習開始。

記憶に刻みこむ。

(術式完了。これで大丈夫かな・・・・。)

――。

「・・・・きて、起きてください。」

身体を揺さぶられ誰かの声が聞こえる。

「えっ!私寝ちゃってた!?」

「おはようございます。」

「あ、はい、おはようございます?」

・・・・・・・・ピンクの髪の子が不思議そうな顔をしてこっちを見ている。

「あの ・・・・どうしたの?」

暫くの沈黙。

「・・・・・えええええぇぇぇぇぇ――!!!」

梨璃の叫び声が学院中に響いた。




【使用した魔法の簡易的な解説とか】
解析魔術:触れている物の材質等を判別する。

動物の言葉が分かるようになるくだらない魔術:
正式名「バイリング」※短編で使うかも

ついさっきまで言葉も文字も通じなかった子がいきなり分かる言葉で話し始めたらそりゃ梨璃的にはビックリしますよね・・・。
後難しい事を考えすぎて眠ってしまうのは想像でこうしたのであまりお気になさらず。
追伸:本編合流まで生徒会メンバー等はほぼ出さない予定です。(違和感等が生じても気にしない方向でお願いします。)

それではまた次回!


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2話:リリィと魔法使いの違い

急に分かる言語で話し始めた魔法使いの少女。
梨璃の叫びが学院内に木霊する!!

2話、始まります。


「梨璃、どうしたの!?」

叫び声を聞き付けた夢結が真っ先に飛び込んで来た。

「お姉様。あの、えっと、この子が・・・。」

明らかに情緒不安定である。

「落ち着きなさい。何があったの?」

その言葉にいつもの調子に戻る梨璃。

「ごめんなさい、お姉様。実はこの子が急に日本語で話し始めて・・・・。」

「・・・・は?」

夢結からいつもと違う声が漏れる。

「・・・・ごめんなさい、最初から説明してくれないかしら。」

 

梨璃説明中─────。

 

「・・・つまり手話を試そうとしたら通じなくてその後寝てしまって起きたら話せるようになっていたと・・・。」

夢結が呆れる。

「それであなたはいつから日本語が話せるの?」

黒髪の子が聞いてくる。

「その子の話で大体合ってますよ。ついさっきです。」

「一体何をしたらそういうことになるのかしら・・・。」

(う〜ん、魔法が使える世界なんだし言っちゃっても大丈夫かな・・・・。)

「実は私、魔法が使えるんです。それで喋れるように・・・。」

・・・・・・。

(あれ?私何か変な事言った?)

「お姉様、リリィって魔法使えるんですか?」

「確かにCHARMを使う時には魔力が必要だけど魔法使いとは違うわよ。」

(え、マギ?チャーム?・・・魔導器か何か?)

「えっとお二人は魔法使い?」

「「違います!!」」

夢結と梨璃が同時に反論する。

その後夢結からヒュージという生命体が人類を襲っていてそれを倒す為にCHARMを使って戦っているリリィという少女達がいる事を聞かされる。

「・・・わかったかしら?」

(ここってそんな世界だったんだ・・・・。)

そのCHARMを使う為に魔力を使っているなら魔法が使える事にも納得がいく。

「ご説明ありがとうございます。では私もこの世界にきた経緯を話したいと思うのですが・・・・ちょっと長くなりますよ?」

「構わないわ、話してちょうだい。」

「わかりました。では・・・・。」

 

・・・・・・・・約30分後。

 

「・・・というわけでこの世界に跳ばされてきました。お分かり頂けましたか?」

・・・・・暫しの沈黙。

(何か難しい事言ったっけ・・・?)

2人の反応を伺ってみる。

「あの・・・もしかして難しかったでしょうか・・・?」

「??????」

あまりの展開に頭が追い付いていない梨璃だった。

一方夢結の方はというと。

「いえ、大丈夫よ。ただ1つ言える事は貴方の師匠が大分いい加減だった事かしら。」

(あの・・・論点ズレてませんか?・・・もう少しかなり前からの方がいいのかな・・・・でもそれだと物凄く長くなっちゃうし・・・・。)

とりあえず話を合わせよう。

「ええ、そのいい加減な師匠のおかげで・・・でもあの人魔道士としては優秀で様々な事を教えてくださいました。その指導があってこそ今私はこうしてここにいるのですから。」

「そう、いい師匠を持ったのね。」

(もしかして褒められてる?)

「梨璃さん、大丈夫ー?何か凄い驚いてたみたいだけどー。」

百由が入って来る。

「あっはい、大丈夫です、ちょっとビックリしただけで!!」

「さっきはごめんなさい、まさかあんな驚くとは思わなくて・・・。」

その言葉に百由が気付く。

「あなた日本語喋れるようになったの!?」

「ええ、先程。おかげでこの2人と仲良くなれました。」

(魔法で、て事は黙っておこう。また騒ぎになるのもだし・・・。)

「?まあ喋れるようになったのなら話は早いわ、体調も問題ないみたいだし理事長代行が呼んでるから一緒に来てくれないかな。」

「理事長代行が?理由を聞いてもいいかしら。」

夢結が尋ねる。

百由が暫く考えた後、口を開き、

「えっとね、言いにくいんだけどその子のスキラー数値だけど・・・測れないのよ。」




冒頭の夢結の「は?」はサーシャ(魔王学院の不適合者)の声で再生すると違和感無く聞こえると思います(笑)
後測定器が反応しないのは異世界の魔力には対応して無いとかそんな理由です。

それではまた次回!(前回のあらすじとか後書考えるの楽しくなってきたwww)


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3話:銀髪の少女

【Happy Birthday 白井 夢結】

魔法を使える事を告白したもののあまり驚かれず既に魔法使いの様な存在がいて異生物と戦っている事を知った異世界からの少女。

毎度お気に入り登録感謝です!
余談:初感想頂きました!頑張ります!!

3話、始まります。


百由の言葉に梨璃が驚く。

「あの、スキラー数値が測れないってどういう事でしょうか?」

「梨璃、さっきまでの話を思い出してみて。そうすれば理由もわかるでしょう。」

ここまでに聞いた話を振り返ってみる。

「えーと、確か、魔王を倒した後この世界に来て・・・あっわかりました、お姉様!違う世界から来てるって事ですね!」

「ええ、つまり彼女はこの世界の人間では無い。私達とは根本的に違うのよ。」

百由が驚く。

「あなた達随分とファンタジーな話をしていたのね・・・。とにかくそういう事も含めて詳しい事情が聞きたいみたいなの。一緒に来てくれないかな?」

(つまり私が何者なのか知りたいって事だよね・・・確かにこのままじゃ不便な事も多いし・・・。)

少し考えてから結論を出す。

「わかりました。そういった事情であれば・・・。」

「ありがと~。いやー断わられたらどうしようかと思った!あっ自己紹介がまだだったね、私は真島 百由、初めまして!」

2人も続く。

「一柳 梨璃です。よろしくね!」

「白井 夢結よ。」

「後は私ですね。初めまして、ミレイ・アルシェントです、よろしくお願いします。ところで外に出るようなら着替えたいのですが私が着ていた物は・・・・?」

「そこのカゴの中に入れてあるから着替えたら外に来てちょうだい。」

そう言って3人が医務室を出る。

(・・・・付けていた物も無くなってないし、良かった・・・。)

着ていた検査着を脱ぎ、いつもの服に着替える。

「お待たせしました。」

そこに立っていたのは可愛らしい白いローブに身を包んだ身長140センチくらいの長い銀髪の少女だった。

・・・・・。

「あ、あの・・・?」

梨璃が目を輝かせる。

「か、可愛い・・・。」

「お姉様、ミレイちゃんを一柳隊に入れてもいいですか!?」

夢結が制止する。

「落ち着きなさい梨璃、その子まだ百合ヶ丘の生徒でも無いのよ。・・・・貴方随分小さいのね。もしかしたらミリアムよりも下なのではないかしら。」

「3人とも行くよー。」

百由が急かしてくるので移動する。

(ねぇ、あの子・・・。)

(あら、可愛い。どこかの国からの転入生かしら・・・?」

移動中もその服装が珍しいのか視線がミレイに集まっていた。

「あの、夢結さん。目立ってはいるみたいですが皆さんそこまで驚かないんですね。」

隣を歩いてる夢結に尋ねる。

「この学院海外からの学生も多いからあまり珍しくないのよ。」

「はあ・・・そうなのですね・・・それで、梨璃さん、そろそろ手を離して頂けないでしょうか?」

梨璃がいつの間にか右手を握ってる。

「だって離したらどっか行っちゃいそうで・・・駄目?」

「暫くは離さないと思うわよ。妹が出来たみたいで嬉しいみたいだから。」

結局最後まで手を離さない梨璃だった。

理事長室。

高松咬月。百合ヶ丘学院理事長代行。

「今、百由君が報告してくれた内容で大体の事は分かった。それで、君は一体どこから来て何をしようとしているのか、それを聞かせて貰いたい。」

同席している梨璃と夢結。

「お姉様、ミレイちゃんの事何とか助けられないでしょうか?」

「無理よ、ここまで来たら私達に出来る事は無いわ。あとはあの子の覚悟次第ね。」

(ありがとう、夢結さん、梨璃さん。でも私は逃げない、帰る所は無いのだから・・・。)

ミレイがゆっくりと言葉を発する。

「・・・・わかりました。私のいた世界の事、そしてここにいる理由、全てをお話します。」




【ミレイ・アルシェント簡易プロフィール】
年齢:15
身長:143cm
眼の色:水色
髪の色:ほぼ白に近い銀

次回説明回入ります。が、アサルトリリィ関係なく、1話まるごと"向こうの世界"の話になるので2話同日連続で上げたいと思います。

それではまた次回!


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4話:ユーフェリア

"向こうの世界"の説明回です。何かしながらでも無理せずに気楽にお読み下さい。(台詞全く無いので睡眠誘導効果はあるかもしれない。)
※アサルトリリィ関係無いです

4話、始まります。


ユーフェリア。魔法が栄えており、人と魔族の争いが絶えない世界。

人々は産まれながらに魔力を有しており、幼い頃から魔力の使い方を学び、様々な事に利用していた。

だが、ある日突然空が闇に染まり魔族が襲来。大人達は魔法を使い戦うが戦闘経験が乏しかった為に死者が大量に出てしまったという。

そこに立ち上がったのがユーフェリア国王、カイル・アーネスト・ユーフェリア。彼はその類まれな魔法の才能とリーダーシップを発揮し、少しでも戦える者を集り、さらに自身も前線に立つ事で迫り来る魔族達を退けた。これが長きに渡る人々と魔族の戦いの始まりである。

その後人々は魔族に対抗すべく、魔法学校に戦闘カリキュラムを追加。訓練に励んだ。

時が経ち、魔法学校を首席で卒業した青年が魔王討伐を志願。成績優秀だった仲の良い友人達を連れて魔王城への旅路に着き、2年程が経つが遂に帰って来ることは無かった。その後も魔王討伐に赴いた者達がいたが、帰って来る者は現れ無かった。

そのさらに数年後、類希ない才能を持つ青い髪の少女の話が国内に広まった。彼女は12才という若さで魔法学校の全科程を履修し、卒業を認められ、「大賢者」の称号を賜った。

国王はその少女を王宮に召還、王宮付きの魔道士になってくれないかと頼み込むも少女はあっさりと拒否。理由としては旅に出てこの世界をもっと見てみたい事と、自身の魔法をもっと極めてみたいとの事だった。

そして少女は親の反対をも押し切り、長い度に出たのだった・・・・。

時は少し遡り5年前、王都から少し離れた街で銀色の髪の女の子が産まれた。

この世界で銀色の髪は希少であり、数百年に1人産まれるかどうかの確率であったため呪われているとされ、産まれたらすぐ殺すようにとの決まりがあった。

だが優しかった両親は殺せず、その銀髪の娘を隠して育て続けたという。

それからと言うもの少女はすくすくと成長し、産まれてから3年後事件は起きた。

周りの人々が両親の事を噂し始めたのだった。これに耐えかねたの娘を連れて街を出た。その後、両親は王都から離れた監視の行き届いていない街や村を周り、孤児院を見つけては娘を匿ってくれないかとお願いするが断られてしまう。

両親の身体はやがて衰弱していき、最後に立ち寄った人里離れた農村、そこの孤児院の院長に事情を説明したところ、寛大であり、快く引き取ってもらえたのだった。

この事に安心した2人はその翌日息を引き取ったという。

その数年後、青い髪の少女が旅の途中その農村を訪れ、交渉の後、銀髪の少女を連れて遠くに去って行った。

青い髪の少女は銀髪の少女を弟子に置き、旅を続け

自身の力の向上と共に様々な事を教えた。

旅を終えた2人はとある場所に家を構え、静かに暮らしたというのだが・・・その付近で、朝起きたら魔獣が全滅していた、気が付いたら山が1つ吹き飛んでいた等の噂が絶えなかったという。

そしていつの日か魔王が倒される。倒したのは銀髪の少女を弟子に持つ青い髪の魔道士である。

身体共に限界だった彼女は自身が死ぬ間際、銀髪の少女が迫害される事を恐れ、別の世界に送ったという・・・・。




この回を書き終えた感想:
疲れた、できれば2度とやりたくない。(無い頭思いっ切り捻りました・・・。)
この回に関しては読むだけに留めて余り触れないで頂けると幸いです。

それではまた次回!


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5話:異世界人としての覚悟

自分の元いた世界の事を話したミレイ。
その反応や如何に!
※多分1番違和感多いかもしれませんがお気になさらずに。

5話、始まります。


「・・・・以上が私のいた世界の事とここにいる理由です。」

・・・・・。

百由が最初に口を開く

「なんて言うか、ある意味壮絶ね。」

「ある程度の事は聞いていたのだけどまさかここまでなんて・・・・って梨璃!?」

夢結が隣を向くとそこには泣いている梨璃がいた。

「お姉様・・・・私、ミレイちゃんになんて言ってあげればいいのか分からなくて・・・。」

夢結が梨璃をそっと胸元に抱く。

「大丈夫よ梨璃・・・大丈夫だから・・・・。」

「君のいた世界の事はわかった。最後にその魔法とやらを見せて欲しいのだが・・・。」

「はい、簡単なものであれば・・・」

両手を胸の前にかざし眼を閉じる。

(光よ・・・。)

両手の間に光の玉が出来上がり、淡く発光する。

「私の世界で最初の頃に習う魔力を集めて光らせる魔法なのですが・・・・。他にも治癒やここでは見せられませんが攻撃系の魔法も一通り。最もヒュージ?とかいう存在に私の世界の魔法が通用するかはわかりませんが。」

ミレイが集中を解いた瞬間に光の玉が弾けるように消滅する。

「先程も言った通り私はこの世界の事を良くは知りません。そして帰る場所も無いのも事実です。出来る限りの事はするのでここに居させては貰えないでしょうか・・・。」

(いい覚悟ね、あの子・・・。)

「理事長代行、私からもよろしいでしょうか?」

夢結が救いの手を出す。

「なんだね、夢結君。」

「ミレイさんの事ですが保護という形で一柳隊で預かりたいと思います。」

泣き止んだ梨璃が驚く。

「お姉様・・・・!」

「これでいいのよね、梨璃。」

理事長代行がゆっくりと口を開く。

「分かった、ミレイ君の事は君達に任せよう。だがその服では少々目立ってしまっているだろうから制服を着るといい。君もそれでよろしいかね?」

「はい、大丈夫です。よろしくお願いします。」

3人揃って理事長室を出る。

「あの、梨璃さん、夢結さん・・・・。」

「どうしたの?ミレイちゃん。」

「お2人はどうしてこんな私に優しくしてくれるのですか?」

「特に理由は無いんだけど助けたかった・・・じゃ駄目かな?」

「ここは学院であると同時にヒュージと戦う最前線でもあるの。リリィとして放って置けなかっただけ。」

(この2人、そんな単純な理由で私を・・・・っ!)

「その事には感謝しています。でも私唐突にこの世界に来てしまって送り出してくれた師匠に別れも告げられず・・・・師匠?・・・・そういえばあの後って・・・・」

その場に崩れ涙が零れる。

「ミレイちゃん!?大丈夫、大丈夫だよっ私達が支えるから・・・・。」

泣き崩れるミレイを梨璃がそっと抱き寄せる。

「ごめんなさい、梨璃さん、もう少しこのままでいさせてください、私っ・・・」

─────。

「お姉様、重くないですか?」

「大丈夫よ、この子以外に軽いから。・・・とりあえず今日のところは医務室に戻しましょう。」

緊張が解けていた事と泣き疲れて眠ってしまったミレイを梨璃が背負うと言ったがやらせてみたところ力が足りず動く事も難しかったため変わりに背負う夢結であった。




【魔法解説】
光の玉:
ただ光るだけです。

生徒会メンバーを出すと主の処理が追い付かなくなるので出してません。(本編合流後はたまに出すかも)
ミレイの体重は40kg位の設定です。

それではまた次回!


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6話:銀髪姉妹!?

【祝!ラスバレ2.0リリース&アールヴヘイム参戦開始!】

【更新情報】
後書最下部解放しました。

なんやかんやで一柳隊が保護という形で受け入れてもらえたミレイ。

主の筆が悪ノリして深夜テンションで書きました。特に後半お楽しみ下さい!
1箇所爆弾(発言)仕込んでます(笑)
(直撃したらごめんなさい。)

6話、始まります。



気が付くと何も無い真っ白な所に立っていた。

(えっと・・・夢、だよね・・・?)

しばらく前に進んでみる。景色が変わる事は一向になく只只白いばかり。

(何も無いか・・・、かといってこの状態じゃ魔法も使えないし・・・・。)

立ち止まって考えていると何者かが近くを通るのを感じる。気付いて周りを見渡すも誰もいないのだがやはり誰かいる事は認識できる。

(確か青い髪の子がいたような・・・・もしかして・・・?)

もう一度周りを見渡す。その時少し遠くに青い髪の自分と同じ背丈くらいの少女が立たずんでいるのが見えた。近づいてみるもその距離は縮まらない。

(お願い、待って・・・・師匠・・・!!)

意識が遠のいて行く。遠くにいた少女が自分に向かって微笑んでいるのを見ながら・・・・。

 

医務室─────。

 

(・・・・・・・・っ!!)

ふと目が覚める。ベッドから上体を起こし周りを見渡す。時刻は朝8時頃。・・・・どうやら昨日泣き疲れてそのまま寝てしまったらしい。変な夢を見たせいで少し混乱しているため状況を整理してみる。

(・・・・確か昨日この世界に跳ばされてきてそれから色々あって・・・・。)

うん、大丈夫、全部覚えてる。他に気になる事といえば夢の中にいたあの青い髪の少女が誰なのかくらいか。

(あの時は唐突に師匠と呼んでしまいましたけど一体誰だったんでしょうか?また会う事があれば聞いてみましょうか、といってもまたあの夢を見られるかはわかりませんが。)

そう物思いにふけっていると医務室のドアが開かれる。

「ミレイちゃん、おはよう!!」

一柳 梨璃、昨日私を助けてくれた子だ。

「おはようございます、梨璃さん。朝から元気ですね。」

「うん、それが私の取り柄だから!あ、これうちの制服、難しいところとかあったら言ってね!」

制服の入った紙袋を渡される。構造的にはそこまで難しく無く初めてでもすぐに着る事が出来た。

「お待たせしました。」

「それじゃ、行こっか!」

移動中、一柳隊の皆の事を聞いたりしながら目的の場所に着く。

梨璃がドアを開く。

「ミレイちゃん連れてきたよー!」

最初に二水が反応する。

「梨璃さん、おかえりなさい!その子が昨日話してくれた・・・・???」

ミレイの事を見て首を傾げている。

「あの・・・梨璃さん、その子はミレイさんであって樟美さんでは無いんですよね・・・・?」

「梨璃さん、もしかしてあなたあのアールヴヘイムから引き抜きを!?流石ですわ~!」

「え?ちょっと2人とも!?この子は樟美さんじゃ無いよ!よく見て!!」

梨璃に言われて楓と二水がまじまじと見て来る。

「あの・・・ちょっと怖いのですが・・・。」

多少引き気味のミレイ。

「あら、確かに樟美さんにしては小さいような・・・」

「よく見れば眼の色も違いますし別人ですね!疑ってごめんなさい!」

2人とも分かってくれたようだ。

「誤解も解けたみたいだし、ミレイちゃん、ようこそ一柳隊へ!というわけでまずはミレイちゃんから一言!!」

梨璃から自己紹介を促される。

「多少の人違いとかあったみたいですが・・・初めましてミレイ・アルシェントと申します。この世界に来て間も無いですが一柳隊の皆さん、よろしくお願いしま・・・・・」

ドアが開く、入って来たのはアールヴヘイムの天野 天葉だった。

「さっきうちの樟美がどうとか聞こえたんだけど何か・・・・って樟美!?ここで何をしているの!?」

天葉の後ろから声が聞こえる。

「天葉姉様。私ならここに・・・・!?」

・・・・・・・・江川 樟美本人の登場によって更にややこしくなった。

ソファーにミレイと樟美が並びその横に梨璃と夢結そして天葉が樟美の横に座っている。

「こうして並べると分かりやすいのじゃが本当にそっくりじゃな・・・・。」

「でもこれ遠くからだと見分けつきませんよ。どうしましょうか・・・?」

悩むミリアムと二水。

「私から提案があるのですが髪型を変えてみるのはどうでしょう。例えばポニーテールとか・・・。」

そう話す神琳に梨璃と天葉が同時に反論する。

「「それは駄目!!」」

「ミレイちゃんはこのままが1番可愛いいんです!」

「樟美の綺麗な髪を弄るなんて貴方正気!?」

(あの・・・梨璃さん?)

(天葉姉様?)

何か言いたそうな2人だったがあまりの迫力に黙り込んでしまう。

「でもこうして並んでると本当の姉妹みたいたぞ!」

「もうこの際シュッツエンゲル契約でもしてしまえばいいのでは?」

冗談混じりの楓の言葉にミレイが口を開く。

「あの・・・つかぬ事を聞きますがシュッツエンゲル契約とは?」

「説明しましょう!シュッツエンゲル契約とは百合ケ丘の伝統で上級生が下級生を導く制度の事です!

そこにいる天葉様と樟美さん、そして夢結様と梨璃さんもシュッツエンゲルの誓いを結んでいるんですよ!」

「二水さん、鼻血出てるわよ。」

二水さんが鼻血を出しながら丁寧に説明してくれた。

「つまり姉妹契約みたいなものなんですね。と、なると・・・・。」

少し考えてから一言。

 

「えっと・・・樟美お姉ちゃん?」

 

ブッッッ!?

夢結が紅茶を吹き出した。

「夢結様!?梨璃と天葉様までもか!?」

梨璃と天葉が身悶えている。

「「ミレイちゃん(さん)、それは反則・・・・。」」

「あ~梨璃さんお気を確かに!私が傍にいますわ~!」

樟美は余りの恥ずかしさに顔を赤くして俯いてしまっている。

「神琳、大丈夫?(私も言われてみたいかも・・・。)」

「え、ええ・・・・大・・・丈夫ですわ・・・。」

(全然大丈夫に見えないんだけど・・・。)

小刻みに震えながらも必死に笑いをこらえる神琳。

「ははっ、面白い子を連れて来たな!」

「笑い事じゃ無いぞ梅様、どうするんだこの状況・・・。」

「見出しは『銀髪姉妹(仮)爆誕!!』で行きましょう!!」

新聞のネタが見つかり完全にノリノリの二水。

「天葉~、帰って来るのが遅いけど何か・・・・って樟美が2人!?そしてこの状況は何があったの!?」

天葉が戻るのが遅いのを心配して来た依奈が驚愕した。

(もしかして「お姉様」とかの方が良かったのかな・・・?)

呼び方を間違えてしまったのかと悩む中どうしてこうなったのか1人分からないミレイだった。

 

その後、一柳隊とアールヴヘイムの間で樟美とミレイの見分け方について議論があり、その詳細は後日リリィ新聞にて掲載されたという・・・・・。

 




誰でも解る(?)樟美からミレイへの改変の仕方~!!
・まずは樟美のアニメ版画像を手元にご用意下さい。(別に原作版でも良いですが一応アニメ版を基準に解説します。)
探すのが面倒いって方はアサルトリリィアニメ公式サイトのキャラクターページをご覧ください。

1:身長を10cm程下げます。
樟美:153 ミレイ:143
2:髪飾りを外して形は何でもいいので首にペンダントを掛けます
3:眼の色を水色に変えます
4:髪の色を少し薄くして(白でも大丈夫です)前髪を目にかからないくらいに調整します。(髪形はストレート、後ろは腰より少し長めに設定してます)
※その他細かい部分はお好みで
以上!!(主は絵が書けないので完成図はご想像にお任せします)

一柳隊と依奈の反応は夢結と神琳が最後まで悩みました。(身悶える天葉と梨璃に関してはノーコメントで)
ただ以外性重視で紅茶を吹き出す夢結と笑いをこらえる神琳も有りかな~と思いこうしました。
「樟美お姉ちゃん」に関しては完全に故意です(笑)

主の好きなリリィ:
全体:江川 樟美
一柳隊:王 雨嘉
グラン・エプレ:今 叶星
ヘルヴォル: 芹沢 千香瑠

それではまた次回!(ストック切れかけてるので少し投稿間隔空きます。)


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短編:夢の中のお話―樟美編―

【更新内容】
タイトルと後書変えました。

UA1000突破、感想、お気に入り登録等のお礼も兼ねて書きました。
注:本編関係無く、多少の百合成分が含まれる・・・かも?

それでは始まります。


百合ヶ丘女学院――。

 

その正門前に1人の長い銀髪の少女が立たずんでいた。

(お姉ちゃん、遅いな・・・もしかして私が早かったのかな・・・。)

時計を確認してみる。待ち合わせの時間まで後5分程――。

(もしかして何かあった?ううん、お姉ちゃんに限ってそんな事は・・・。)

「ミレイ。」

頭の考えを巡らせているとふと声が聞こえた。

「ミレイ、大丈夫?ごめんね、こういうの初めてだから準備に少し手間取っちゃって・・・。」

「ごめんなさい、少し考え事をしてしまっていて・・・大丈夫ですよ、樟美お姉ちゃん、天葉姉様、おはようございます。」

 

江川 樟美と天野 天葉。シュッツエンゲルの誓いを結んでおり、本来は無理なのであるが・・・アールヴヘイムと一柳隊の口添えもありミレイが学院に来てから間も無いということも考慮し学院長代行が特別に許可。史上初の1年生をシルトとする姉妹が誕生したのである。

 

「おはよう、ミレイ。こう言うのもなんか少し変な感じなんだけど・・・改めて今日からよろしくね。」

「はい、こちらこそよろしくお願いします。天葉姉様。」

「あ、ミレイ。ちょっとそのままにしてて。」

「え?樟美お姉ちゃん、どうしたの?」

樟美が少しかがみ込み少し曲がっていた制服のリボンを直す。

「お姉ちゃん、ちょっと恥ずかしいかも・・・・。」

「うん、これで大丈夫。そろそろ行きましょうか。」

校舎に向けて歩き出す3人。

「そういえばミレイ、今一柳隊の保護下だけどアールヴヘイムに移るって話、考えてくれた?」

「はい、あの後少し考えたのですけど・・・夢結さんと梨璃さんに色々と助けて頂いたので・・・・お誘いは嬉しいのですが、ごめんなさい、一柳隊にいさせて下さい。」

「そっか、残念。でもうちに来たかったらいつでも言ってね。歓迎するから!」

その事を聞いて残念そうではあるが少し安心した天葉だった。

「ありがとうございます。でも、お姉ちゃん達にはここにいればいつでも会えるので後悔はしていません。それにシュッツエンゲル契約までしてくれて、それだけでも私は嬉しいです。」

樟美がその言葉で少し顔を赤らめる。そして――。

「ミレイ、ありがとう。これからもよろしくね。」

「はい、よろしくお願いします。樟美お姉ちゃん!」

 

─────。

 

(・・・・・・・・っ!!!!!!!!)

ふと眼が覚める。

いつもと変わらない寮のベッド。

さっきまでのは・・・・夢?うん、そうだ夢だ。私とミレイさんが姉妹になるなんて・・・・・。

急に恥ずかしくなったのか顔が真っ赤に染まる。

(私、なんて夢を・・・・。)

枕に顔をうずめて暫く動けない樟美だった。




いかがだったでしょうか?
これが『銀髪姉妹(仮)』(6話参照)の理想の姿です!!(笑)
さて、少し有るであろう疑問点についてですが・・・。
・何故登校シチュ?
A.やりやすいからです。(おかげで筆が進みました!)
・校門スタートにした訳
A.夢の中なので気にしないで下さい。(別に寮スタートにしても良かったのですが場所が分からなかったので・・・・。)
以上です!

さて、この夢オチ短編、雨嘉編もございます!

それではまた!ごきげんよう~。


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短編:夢の中のお話―雨嘉編―

【更新内容】
タイトルと前書変えました。

読者の皆様ごきげんよう!(短編はこの挨拶で行きます。)

夢オチ短編2人目です。

まずは6話「銀髪姉妹!?」から抜粋:

「大丈夫、神琳?(私も言われてみたいかも・・・。)」

の、この台詞から・・・、

雨嘉の「ミレイにお姉ちゃんと呼ばれてみたい」という思いを夢の中という形で叶えます!

もちろん夢の中なのでほぼどうにでもなるという事を利用して前回同様とある手段で無理矢理シュッツエンゲル契約を結びます。(そうしないと話にならないので。)

樟美ver.と比べて微妙に百合要素が強いかもしれませんがどうぞお楽しみください!

それでは始まります。


百合ヶ丘女学院学生寮――。

 

表札には「王 雨嘉」と「郭 神琳」2人の名前があった。

 

(えっと、ここだよね・・・。うん、よしっ!)

 

軽く深呼吸してから扉をノックする。

 

コンコン。

 

「どうぞ、開いてますよ。」

 

「え、ちょっと、神琳!?」

 

中から少しバタついてる音が聞こえる。

 

(・・・何かあったのかな?)

 

「失礼します。・・・何か凄く慌ててたみたいだけどお姉ちゃん、大丈夫?」

 

「うん、大丈夫、ミレイ・・・・さん。」

 

普段は呼び捨てなのだが姉妹になった途端少し恥ずかしくなってしまったのか敬語になってしまっている。

 

「雨嘉さん、もっと自信を持って呼んであげたらいかがです?昨日あの後あんなに練習してたではないですか。」

 

神琳のその言葉に恥ずかしくなったのか顔を赤らめる雨嘉。

 

「もう、神琳・・・その事は・・・ごめん、ミレイさん。まだ実感が湧かなくて・・・。」

 

「大丈夫だよ、お姉ちゃん。同じレギオンなんだし話す機会はいっぱいあるんだから元気出して?」

 

「うん、ありがとうミレイさん。」

 

ミレイの言葉に安心したのかいつも通りの表情に戻った雨嘉。

 

「まったく・・・昨日の練習の成果はどこへ行ってしまったんでしょうか。2人とも、そろそろ行きましょうか?」

 

─────。

 

「雨嘉さん、昨日は凄かったですよ。あの頃と比べてあんなに強くなっていたなんて。」

 

ミレイ争奪バトルロイヤル――。

1年生の大多数から「ミレイさんを妹にしたい!」と要望があり、これを学院側が許可したものの、余りにも希望者が多かった為、百由の提案でグラウンドでのバトルロイヤルを開催。参加する気はあったものの、遠慮気味の雨嘉を神琳と夢結が後押し、締切直前でエントリーした。

江川 樟美、遠藤 亜羅椰などの名だたる面々が参加したが、最後に残ったのは雨嘉。見事にミレイとのシュッツエンゲル契約を果たしたのであった・・・。

 

「あれはミレイさんを守りたい一心で・・・私はまだ弱いし、昨日も運が良くてたまたま勝っただけだから・・・。」

 

「それでも昨日のは凄かったと思うよ。それに弱く無いって一柳隊の皆さんも言ってましたから。私も勝ったのがお姉ちゃんだからこそこの人とだったらシュッツエンゲルの誓いを結んでもいいと・・・・」

 

ミレイが喋ってる途中で胸元に抱きしめた。

 

「え!?ちょっと、お姉ちゃん!?」

 

「ありがとう、ミレイ。私これからも頑張るから・・・。」

 

どんどん抱きしめる力が強くなっていく。

 

「あらあら、やっと言う事が出来ましたね、雨嘉さん。でもそろそろ離してあげたらいかがでしょうか?ミレイさん苦しがってますよ?」

 

視線を下に向けて見るとミレイがぐったりしていた為慌てて解放した。

 

「あ・・・ごめんね、嬉しくてつい・・・。」

 

「もう・・・・お姉ちゃんたら・・・でもこれでやっと姉妹になれたみたいで私も嬉しいです。これからもよろしくね。お姉ちゃん!」

 

「うん、ミレイ。ありがとう。私からもよろしくね。」

 

─────。

 

朝。目を覚ました雨嘉はどこかボーっとしていた。

 

(・・・・夢、だったのかな・・・?)

 

「ねえ、神琳。昨日グラウンドで何かあった?例えば、模擬戦とか・・・。」

 

「いきなりどうしました?雨嘉さん。別に何も起きて無いですよ。」

 

(うん、そうだよね・・・やっぱりあれは夢だったんだ・・・。)

 

夢だと分かって少し安心した雨嘉。

 

「ありがとう神琳、あと変な事聞いてごめん・・・。」

 

控室――。

 

「雨嘉さん、神琳さん、おはようございます。」

 

「ミレイさん、おはようございます。」

 

「ミレイ・・・・あの、ね。ごめんね。」

 

(何で今謝ったの!?私。)

 

「あの・・・雨嘉さん。私何かしましたっけ?」

 

雨嘉の顔が真っ赤に染まる。

 

「ううん、大丈夫。こっちが勝手に謝っただけだから・・・。」

 

(もう・・・・私の馬鹿・・・。)

 

暫くミレイの顔が見れなくなった雨嘉だった。




はい!という訳で夢オチ短編雨嘉編でした。
いかがだったでしょうか?
(雨嘉と神琳は2人1セットで出した方が書きやすいです。)

いつもの疑問点解決いきます。
・雨嘉強すぎね?
A.夢の中故に補正かかってて全てが思い通りになるので誰にも負けません。(笑)
以上!!

神琳の口調明らかにおかしかったらごめんなさい。

短編の方は暫く無い予定ですがネタは幾つか考えてあるのでそのうち上げたいと思います。(まずはアニメ本編と合流させないと・・・。)

それではまた次回!ごきげんよう~。


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7話:自分に正直に

楓の余計な一言がきっかけで大惨事に発展!
その翌日、何やら不穏な動きが・・・。

7話、始まります。


学生寮前――。

 

朝5時頃。

 

(さて、と・・・・、昨日出来なかった分今日は少し頑張ってみようかな。)

軽く身体をほぐし呼吸を整える。

 

(身体強化・・・・起動。)

 

足元に魔法陣が展開し光を帯びる。身体中の隅々まで魔力を通しそのまま維持。

 

身体強化術式――

効果はその名の通り一時的に身体能力を引き上げる魔法だが今ミレイが行っているのはそれを応用した物であり、身体中に通した魔力を制御し、段階的に強めて行く事で自身の扱える魔力の上昇と魔法耐性の強化を行なう鍛錬であり、行なうには緻密な魔力制御を必要とする。

 

(・・・100・・・200・・・250・・・もう・・少し!)

 

あともう1段階上げようとしたが意識が飛びかけてしまうのを感じたためここで解除。

 

(やっぱりここが限界か・・・・師匠がたしか700くらいだからまだ程遠いな・・・。)

 

目を開くと既に朝日が登っており澄み渡る青空。その空を見上げながら――。

 

「師匠、私この世界で頑張っていきます。なので見守っててください・・・。」

 

そう決心したミレイだった。

 

ラウンジ――。

 

「あの・・・梨璃さん、私の顔に何か付いてます?」

 

ミレイが紅茶を飲む中、目の前に座っている梨璃が緩みきった顔で見ている。

 

「ううん、そうやって紅茶を飲む姿も可愛いな~って。」

 

(もう・・・こうなってしまうと梨璃さん何言っても聞かないんですよね・・・・。)

 

「3人とも、ごきげんよう。昨日は大変だったねー。」

「ええ、天葉さん、ごきげんよう。」

 

「天葉様、樟美さん、ごきげんよう~。」

 

「天葉さんと樟美さん、おはようございます。」

天葉と樟美が来てそれぞれ挨拶を交わす。

 

「梨璃さん、大丈夫?完全に緩みきってるんだけど。」

 

「ミレイさんが来てからこの調子なのよ。出来ればもう少し隊長としての自覚を持ってくれるとありがたいのだけれど。」

 

少し呆れ気味の夢結。

 

「あの・・・ミレイさん?おはようございます。呼び方ってこれでいいのでしょうか?」

 

樟美が遠慮気味にミレイに質問する。

 

「樟美さん、何でも大丈夫ですよ。なんでしたら呼び捨てて頂いても私は構わないのですが。」

 

ミレイがそう冗談混じりで言うと昨日の一件を思い出してしまったのか顔を赤らめて天葉の後ろに隠れてしまった。

 

「こら、ミレイさん。樟美をあまりいじめないであげて?

昨日あの後も「お姉ちゃん」て言葉がしばらく頭から離れなかったらしくて正気に戻すのに色々大変だったんだから。」

 

「ごめんなさい。・・・・と、何か騒がしく無いですか?」

 

気が付くと人だかりが出来ている。

 

(もしかしてあれが噂の銀髪姉妹(仮)?)

 

(嘘、本当にそっくり!)

 

(・・・確か見た目からして小さい方がミレイさんかしら?)

 

「・・・昨日の事って今のところ私と一柳隊、それとアールヴヘイムの皆さんしか知らない筈ですよね?」

 

「ええ、そうなのだけれど・・・・実はこれと似たような事を前にも私と梨璃が経験してるのよ・・・。」

 

夢結が呆れてると騒ぎの原因となる人物と楓がやって来た。

 

「皆さん、ごきげんよう!昨日は大変でしたね!」

 

二川 二水。リリィ新聞の発行者であり、この手の騒ぎの原因となり得る人物である。

 

「ごきげんよう。・・・で、この騒ぎは何なのですの?何やら樟美さんとミレイさんが注目の的みたいですが。」

 

「二水ちゃん、楓さんおはよう~。もしかしてそれリリィ新聞?」

 

「はい!昨日あの後つい筆が乗ってしまいましてつい徹夜で書き上げてしまいました!あ、こちらどうぞ!!」

 

二水が1枚の紙をミレイと梨璃に渡す。

 

「えっと・・・銀髪姉妹?って何ですかこれ?」

 

リリィ新聞。その見出しには大きく『銀髪姉妹(仮)爆誕!!』と、いつ撮られたのか樟美とミレイが並んだ写真が載せられていた。

 

「天葉姉様・・・・私、もう・・・・。」

 

更に顔を真っ赤に染めてしまう樟美。

 

「ちょっ樟美、大丈夫!?」

 

「「二水さん、貴方はまた・・・・。」」

 

夢結と楓が同時にツッコんだ。

 

「二水ちゃん、今回の凄いね!昨日言ってた2人の見分け方までバッチリ!!」

 

「ありがとうございます!あと私的にはここと・・・(以下略)」

 

梨璃と二水の新聞についての談議が始まった。

 

「2人とも楽しそうですね。」

 

「ええ・・・・全く。・・・・そういえば樟美さんが既にあの状態なのだけれど貴方は大丈夫なの?」

 

「はい、大丈夫です・・・と、言いたいところなのですがあまりそうでも無いんですよね・・・・。ただこの世界に来て間も無い私がここで騒いだ事でこれまでの関係が崩れてしまいそうなのが少し怖くて・・・。」

 

ミレイの顔が曇る。

 

「別の世界から来たからってあまり遠慮する事は無いわよ。もっと自分に正直になりなさい。昨日の"あれ"は私も流石に驚いたけど。」

 

(夢結さん・・・うん、そうだよね、私、この世界で頑張るって決めたのだから。)

 

「ありがとうございます、夢結さん。・・・では遠慮なく。」

 

二水の側に近づき・・・・。

 

「あの、二水さん、ちょっと手を出してくれませんか?」

 

「ミレイさん?あっはい、どうぞ・・・。」

 

(ライトニング・・・。)

 

バチッ・・・・。

 

「ひゃう!!」

 

たまらずその場にへたりこんでしまう。

 

「なななな何をするんですかミレイさん!?」

 

「二水ちゃん!?」

 

「梨璃、今二水さんに近づかない方がいいわよ。恐らく"感電"してるから。」

 

「えええぇぇぇ!!!」

 

思わず驚く梨璃。

 

「二水さん?次こういう事したらもっと痛くしますよ?お願いしますね。」

 

笑顔が怖い!!!

 

「ミレイさん、貴方何したんですの?」

 

「ちょっと魔法で電流流して痺れてもらいました。」

 

・・・・・・。

 

「ちょっと!魔法を使えるとは聞いてましたけど、こんなにも簡単に使えるとは聞いて無いですわよ!貴方本当に何なのですの!?」

 

「えっと・・・違う世界からやって来た何の変哲もないただの魔法使いですけど・・・・。あ、リリィでは無いですよ?」

 

「リリィで無い事は分かってますわ!!」

 

そんな楓とミレイのやり取りが続く中、ミリアムがやって来る。

 

「お主ら、ここにおったのか!・・・って二水!?そんな所にへたりこんでどうしたのじゃ!?」

 

「あはは・・・・大丈夫です、ミリアムさん・・・ちょっと痺れて動けないだけですから~。」

 

ミリアムが呆れる。

 

「はぁ・・・どうせお主の事じゃからまた何がしでかしたんじゃろ。そしてミレイ、魔法を使うのも程々にしといた方がよいと思うぞ?」

 

ミリアムの言葉に驚くミレイ。

 

「この状況でよく分かりましたね、ミリアムさん。でもなぜ私が魔法を使ったと?」

 

「当たり前じゃ!今この場でこんな人並み外れた事が出来るのはお主ぐらいじゃからの!・・・・と、そういえばミレイ、百由様が呼んでおったぞ?」

 

「わかりました。夢結さん、梨璃さん、ちょっと行ってきます。あ、二水さんの事はご自由に。そろそろ痺れは取れますがまだ暫くは動けないと思うので!」

 

「行ってらっしゃ~い。」

 

「後の事は任せてちょうだい。」

 

ミリアムとミレイが出て行く。その後、ラウンジでは・・・・。

 

「はぁ~、やっと痺れが治まりました・・・。もう一時はどうなる事かと・・・。」

 

すっかり油断しきっている二水だがその前に2人の人影があった・・・。

 

「天葉、準備はいいかしら?」

 

「ええ、いつでも。」

 

「あの・・・夢結様、天葉様、2人揃って・・・ちょっ、怖い!!!」

 

「「二水さん、覚悟しなさい。」」

 

・・・・梨璃と樟美がドン引きする程のお説教が始まり長時間に及んだという・・・。




【魔法解説】
ライトニング:
電撃を発する。(今回使用したのはほぼ最小威力で暫く痺れて動けなくなる程度)

最初は違う世界に来た事で右も左も分からず少し遠慮気味だったミレイが(6話の爆弾発言は置いとくとして・・・)夢結の一言で人前でも本来の自分を出す事が出来ました!

あとミレイちゃんは基本早起きです。

それではまた次回!(引き続きお気に入り登録、感想待ってます!)


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8話:規格外の魔力

いつでも~そば~で~♪(マギカノン付き雨嘉11連1発で出たぁぁぁぁ!!!!)


夢結の一言で本来の自分を出せるようになったミレイ。

8話、始まります。


工廠科――。

 

「百由様、連れてきたぞ。」

 

「ありがとう~ぐろっぴ!そしてミレイさん、ようこそ工廠科へ!」

 

大きな研究室のような場所へ通される。

 

「お邪魔します、百由さん。・・・ミリアムさんから聞いたのですが私に何か御用でしょうか?」

 

「ちょっと試してみて欲しい事があってね。CHARMを使ってみてくれる?」

 

(CHARM――。たしか「ヒュージ」と戦う為の武器?のような物だったような・・・。というか私「杖」は使えるんだけど剣とか槍は使った事無いのだけれど・・・。)

 

「いいですよ。それでどうやって使えばいいですか?」

 

グングニルの柄に手をやる。

 

「あ、ミレイさんちょっと待って?指輪を付けている方の手でCHARMを・・・・ってあなた指輪は?」

 

(指輪?そういえば制服を借りた時に付けているように梨璃さんから言われて・・・あぁ、そういえば今朝何か外れたような・・・。)

 

「指輪ってこれでしょうか?今朝全身に魔力を流した時に割れてしまったみたいで・・・。」

 

そう言ってミレイの制服のポケットから出した指輪は何かの強い衝撃でも与えたかのように割れてしまっていた。

 

「「何があった─────!!!!」」

 

同時に驚く百由とミリアム。

 

それもその筈、その指輪は魔力を認識しCHARMを起動させる為の物で逆に魔力を流し込まれるという想定外の事態に耐えられなかったのである。

 

「どうしたらこうなるんじゃこれ!?」

 

「私にも分からないわよ!・・・と、少し落ち着きましょう。ミレイさん、貴方魔力を全身に流したって言ってたけどもしかして自由にコントロール出来たりしちゃったり?」

 

「魔力のコントロールですか?ええ、出来ますけど・・・。もしかしてCHARMに直接魔力流して起動してみて欲しいとか・・・でしょうか?」

 

「ぐろっぴ、ちょっと・・・。」

 

「なんじゃ、百由様」

 

少しミレイから離れる2人。

 

(・・・ねえ、ぐろっぴ?あの子本当にミレイさん?何か初めて会った時と印象が全然違くて・・・。)

 

(ミレイで間違いないと思うぞ。さすがにわしも彼奴があそこまで頭が回る事には驚きじゃが・・・まあ魔法の知識はあるみたいじゃし特に気にする必要は無いと思うぞ?)

 

「あの・・・2人とも大丈夫ですか?」

 

「ごめんね~。うん、大丈夫!・・・それでCHARMの起動だっけ?一応やってみてくれる?」

 

「わかりました、それでは・・・。」

 

立てかけてあったグングニルを両手で持ち目を閉じて集中する。

 

(CHARM全体に魔力を行き渡らせるイメージで・・・。)

 

ミレイの身体がとCHARMが光を帯びる。

 

「う~ん、ルーンは浮かび上がらないわね・・・やっぱり起動は出来ないのかな・・・。」

 

「多分じゃがミレイの魔力がこの世界の技術に対応して無いんじゃろうか?・・・それより何か焦げ臭いんじゃが・・・。」

 

グングニルから煙が上がっている。

 

「え!?ミレイさんストップ!もう止めていいから――!」

 

─────。

 

「どうじゃ、百由様?」

 

「んーと、外側は大丈夫なんだけど、内部が所々焼け焦げちゃってるわね・・・。これ修理に時間かかるわよ?」

 

「パーツを交換するだけでは駄目なのか?」

 

「それも考えたんだけど・・・どうやらコアの方も損傷しちゃったみたいで・・・。」

 

頭を抱える百由とミリアム。

 

「もしかして私・・・何かマズイ事やっちゃいました・・・?」

 

「「本当にどうしたらこうなる(んじゃ)の――!!!」」

 

以降、ミレイがCHARMに触れる事は無くなった。

 

─────。

 

理事長室。

 

「以上がミレイさんによるCHARM起動実験の結果です。いやーまさかCHARMはまだしも指輪まで壊されるとは思いませんでした!」

 

「それだけあの子の魔力が未知数という事だろう。それで、ヒュージには対抗できると思うかね?」

 

「まだはっきりとは断定できませんがおそらくミレイさんの魔法は通用すると思います。やらせてみなければ何とも言えませんが・・・。」

 

理事長代行が少し考え込み口を開く・・・。

 

「わかった。一柳隊の次の出動の際、彼女にも同行するように伝えてくれたまえ。」




というわけで8話お送りしました。

ミレイのCHARM起動の所ですが当初は起動まではしてその後破損させる予定でしたが、その後が思いつかなかったので直接魔力を流した時点で壊れるようにしました。

さて、最後の理事長代行の言葉が気になってると思いますが・・・・お察しの通り次回、戦闘回です!
果たしてCHARMを使えないミレイちゃんはどうやってヒュージに立ち向かうのか乞うご期待!!

それではまた次回!


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9話:一筋の閃光 前

えー突然ですが・・・

アニメ本編合流前最終話です!!

9話、始まります。


ドゴオォォォォン・・・。

 

朝食の準備中に突然の轟音と地響き。どうやら師匠がまた何かやらかしたらしい・・・。

 

「師匠!?一体何が!?って何ですかあれ・・・?」

 

遠くの山岳地帯が一部分完全に消し飛んでいた。

 

「あはは・・・やっちゃった。ちょーっと魔力を収束して放ったらまさかあんな威力が出るなんてねー!・・・ってミレイちゃん?」

 

「師~匠~?・・・ただでさえ基礎魔力が強過ぎるんですから少しは加減して下さい!どうするんですかあれ!?」

 

「大丈夫、大丈夫!多分あそこら辺魔族しかいないっぽいし大半は殲滅出来たから!!だから許して・・・ね?」

 

「まぁそう言う事でしたら・・・とりあえず朝食は抜きって事で少し反省して下さい。」

 

「ご飯抜きは勘弁して――!!!」

 

─────。

 

(何で今朝はあんな事思い出しちゃったんだろう・・・?)

 

現在、ミレイは一柳隊に同行してヒュージの上陸地点付近にいた。

 

「お姉様、何か今回ギャラリー多くないですか?」

 

アールヴヘイム、水夕会等、多数のレギオンが見学に来ていた。

 

「皆ミレイさんに興味があるみたいね。」

 

リリィ新聞や先日のCHARM起動実験の件ですっかり名前が知れ渡ってしまっていた。

 

「それで、私は何をすれば・・・?」

 

今回ミレイが一柳隊に同行しているのは学院長代行からの指示で彼女の魔法がヒュージに通用するかの確認の為である。その詳細は一柳隊には伝えられているが、ミレイ本人には「一柳隊の出動に同行」以外聞かされていなかった。

 

「んーと・・・とりあえず私達が戦う所を見てて!私、頑張るから!!」

 

「梨璃、ミレイさんにいい所を見せたいのは分かるのだけれど・・・無理はしないで。貴方はまだ未熟なのだから。」

 

「2人とも、ヒュージ・・・来ます!」

 

鷹の目を使っていた二水が真っ先にヒュージを捕捉した。

 

(・・・・あれ?何かに似てるような・・・?)

 

妙に大きい前足、そして何か棘の生えた物を背負っているそのヒュージは海岸でたまに見る"あれ"を彷彿とさせる姿をしていた。

 

「初撃・・・行きます!」

 

雨嘉が遠距離から撃ったが被弾はしたものの装甲は硬く、少し焦げあとを付けた程度だった。

 

「効いてない・・・?梨璃、行くわよ。」

 

「はい、お姉様!」

 

─────。

 

「やああああ!!!」

 

梨璃が全力でその大きな前足を切りつけるも、弾かれてしまう。が、そのヒュージは梨璃達に気付く事無くただゆっくりと前進を続けている。

 

「硬ぇ・・・・。」

 

「何だあのヒュージ!というか梅達に気付いて無いみたいだぞ!」

 

「動きも相当鈍いみたいじゃし・・・本当にヒュージなのか?」

 

そう、全く攻撃を仕掛けてくる気配は無く、ただ前進を続けるヒュージにミリアム達には疑問を感じていた。

 

「私達に目もくれず一直線に何処かに向かってるような・・・まさか、あのヒュージ!?」

 

「神琳さん?・・・あの方向って・・・・そういう事でしたのね!皆さん、その"ヤドカリモドキ"止めてください!狙いは学院ですわ!!」

 

学院への到達――。

楓が"ヤドカリモドキ"と呼んだそのヒュージの狙いはそこにあった。

速度を極限まで犠牲にした重装甲とあの大きな前足、もし到達してしまえば只では済まない。

 

「止めると言ったってあんな硬いのどうするんじゃ!?」

 

「考えてたって仕方ないわ、やるしかないでしょう。」

 

再び攻撃を再開するがやはり通用しない。が、ふとヒュージの動きが止まった。

 

「不味い・・・全員ヒュージから離れろ!!」

 

鶴紗がファンタズムで感じ取ったその瞬間、ヒュージの背負っている物から無数のトゲが全方位に発射され、ヒュージの周囲に突き刺さった。

 

「鶴紗さんが言って無かったら危なかったわ・・・って梨璃は!?」

 

「梨璃さん?・・・あそこですわ!!」

 

ヒュージの真正面に梨璃はいた。逃げ遅れてしまいトゲには当たっていなかったものの片膝を付いてしまっていた。

巨大な前足が動き、梨璃に振り下ろされる――。

 

その僅か数分前─────。

 

「あの・・・二水さん?あのヒュージ、梨璃さん達の攻撃が全く効いてないように見えるのですが大丈夫なんですか?何かトゲのような物も飛んでいたような・・・。」

 

「確かに硬いですね・・・ってミレイさん!?私は鷹の目で見えてますけどどうやって!?」

 

「それは遠目の魔術で・・・。これ便利なんですよ。」

 

よく見るとミレイの片目に魔法陣のようなものが浮かんでいた。

 

「はぁ・・・・よくわかりませんが天の秤目みたいですね・・・っ梨璃さん、危ない!」

 

梨璃に巨大な前足が振り下ろされようとしていた。梅が縮地で助けに行こうとしてたが障害物が多くそれも難しかった。

 

(梨璃さん!?・・・・私・・・やっぱり見ているだけなんて出来ない!!)

 

ミレイに風が集まっていく。

 

「ミレイさん?何を!?」

 

「ごめんなさい二水さん、私・・・行きます!!」

 

(ファントム!!)

 

風を足元に集め、そのまま蹴り出し縮地並の速度で梨璃の元へ向かって行く。

 

(間に合って・・・!)

 

─────。

 

前足が振り下ろされ土煙が舞う。

 

(梨璃・・・・。)

 

その場に崩れ落ちる夢結だったが、その他の面々は驚愕の表情だった。

 

「ふぅ・・・間一髪。大丈夫ですか、梨璃さん?」

 

ミレイの右手はしっかりと梨璃の手を掴んでいた。

 

「え?・・・・あの・・・ミレイちゃん?」

 

『と・・・・飛んでる─────!?』

 

一時的に宙に浮いているのではなく完全に空中で静止している。

その事実に一柳隊を含め周囲から驚きの声が巻き起こった。

 

「ここからは私も戦います。フォトン・レイ、3点射!(トリプル)

 

形成された3つの光の玉からレーザーのような物が3発同時に発射されヒュージに命中するが、効果は余り無い。それどころかミレイ達に気付き、再びトゲを発射し数本がミレイ達に向かって行く。

 

(魔導障壁!)

 

左手を正面に向け、魔法陣を展開すると、飛んできたトゲを全て弾いていた。

 

「やっぱり誰がを守りながらだとやりにくい!だったら!」

 

「え、ちょっと、ミレイちゃん!?」

 

「グラヴィティ!!」

 

ヒュージの足元に魔法陣が展開され、重力が発生した。身体を軋ませながらも前進を再開しようとしていた。

 

「やっぱ無理か・・・一時離れます。」

 

二水の元に戻ると一柳隊の面々が駆け寄って来た。

 

「ただ今戻りました。」

 

「梨璃、大丈夫!?」

 

「お姉様・・・ごめんなさい、ミレイちゃんのおかげで助かりました!」

 

相当心配だったのか夢結が梨璃を抱きしめていた。

 

「さて、ミレイさんの魔法も見れましたし、ノインヴェルト戦術で倒しちゃいましょう!」

 

「あの・・・私の魔法が目的って今初めて聞いたのですが・・・二水さん、私に何か隠してません?」

 

「あ・・・・ごめんなさい!!ちょっとミレイさん、そんな笑顔で近づいて来るのはやめて!全部話しますから――。」

 

二水説明中――。

 

「はぁ・・・・そういう事でしたか。そういうのは困るのですが・・・早く倒す事で余計な被害も防げるのですから。」

 

「ごめんね、ミレイちゃん。ヒュージの動きも遅いみたいだし、ノインヴェルト戦術で・・・え?」

 

「私にやらせてください。」

 

そのミレイの言葉に一同が沈黙した。




ミレイの師匠と百由は絶対に会わせちゃいけないような気がする・・・。有り得ないけど。

長くなりそうなんでに前後に分けます!!

【魔法解説】※今回多めです。

遠目:
遠くを見る事が出来る。

ファントム:
足元に風を集め蹴り出す事で超高速で移動する。集めた風の量で距離の調節が可能。曲がる事は皆無。
元ネタ:ラピッド・ストリーム(ロクアカ)

魔導障壁:
魔法陣展開による防御魔法。基本的に物理、魔法どっちも防げる。
元ネタ:ストライクウィッチーズ

グラヴィティ:
指定した範囲の重力を操作する。軽くする事も可能。

フォトン・レイ:
光の玉を形成し、レーザーのように発射する。熟練した者だと複数での同時発射も可能。(ちなみに師匠が20発、ミレイが7発)
元ネタ:アクセルシューター(なのは)

それではまた後編で!


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9話:一筋の閃光 後

アニメ本編合流前最終話後編!

重装甲型ラージ級ヒュージ"ヤドカリモドキ"(楓命名)を相手に苦戦する一柳隊!遂にミレイも戦いに加わり大詰めに!

9話後編、始まります。


「やるって言ったってどうするんですの?先程貴方の攻撃も大して効いてなかったでしょうに・・・。」

 

「そうじゃのう・・・やはりここはノインヴェルト戦術で一気に倒してしまうのが早いのじゃが・・・。」

 

(そう、ですよね・・・やっぱり任せて貰えないですよね。)

 

「ミレイちゃん、頑張って!いいですよね、お姉様。」

 

「そう・・・わかったわ。貴方の魔法とやらに私も賭けてみる事にするわ。散々驚かされた事だしまだ何かあるのでしょう?」

 

(梨璃さん、夢結さん・・・。)

 

思えばこの世界に来てからこの2人に助けられっぱなしだったミレイ。その恩を返すとしたらここしかないと思ったのだろう。また助けられてしまっているが。

 

「改めてお願いします。私にやらせてください!!」

 

「うん、ミレイ、頑張って。」

 

「そこまで言うのでしたら貴方の魔法、信じてみましょうか。」

 

「私はまだ信用して無いからな・・・。まあ、せいぜい頑張れ・・・。」

 

「大丈夫、鶴紗の事は気にするな!ミレイ、応援してるぞ!」

 

「ミレイさん、頑張ってください!」

 

「仕方ないのう・・・そこまで言うのであれば・・・のう、楓?」

 

「私は梨璃さんの意見に賛成ですわ!」

 

一柳隊の思いが一致した。

 

「皆さん、ありがとうございます。私、頑張ります!」

 

これから使う魔法は使うのが初めてな事と発動に少しの時間を必要とするため足止めをして欲しい事を説明した。

 

「では・・・・最後に・・・。」

 

ミレイを中心に魔法陣が一柳隊を囲むように展開される。

 

(思念伝達、接続・・・。)

 

《皆さん、聞こえますか?》

 

「え?ミレイちゃん?喋って無いのにどうやって!?」

 

「大丈夫みたいですね。これから少し集中しなければいけないので準備が出来たら伝えます。なのでヒュージの方はよろしくお願いします。」

 

─────。

 

(さて、と・・・・)

 

首に掛けていたペンダントを握り少し念じると左手に杖が出現し、先端をヒュージに向ける。

 

「え・・・?あの、ミレイさん・・・その杖どこから!?」

 

「秘密です。では・・・・行きます!!」

 

(魔力をその場に固定、収束・・・開始!!)

 

杖の先に光が集まっていく。

 

─────。

 

先程までの重力魔法が解け、前進を再開したヒュージ。

 

「さて・・・・足止めするとは言ったものの、どうしましょうか?」

 

「やるしか無いでしょう。ミレイさんの準備が出来るまでは。梨璃、ノインヴェルト弾をいつでも出せるようにしておきなさい。」

 

「はい、お姉様!ところであのヒュージ・・・何かさっきよりも動きが遅いような・・・。」

 

重力の中無理に動こうとした為か、所々ヒビが入ってしまっていた。動きもぎこちない。

 

「・・・・これ、私達が足止めする必要ありますの?」

 

悩む一柳隊。

 

「え!?でも一応時間は稼いで欲しいみたいだし・・・あ、でもこのままでもいいのかな・・・?」

 

「何かミレイの方明るくない・・・?」

 

雨嘉の言葉でミレイの方を見ると周りに比べて明るく光の大きな球体が形成されていた。

 

《皆さん、準備が出来ました。ヒュージから離れてください。念の為遠くに・・・。》

 

「デカいマギスフィアじゃのう・・・っ!まさかミレイの奴あれをヒュージにぶつける気か!?」

 

─────。

 

(収束はしてるもののどこまでやればいいのですかね?)

 

師匠のを見て以来使った事が無いため加減が分からずにいた。

 

「マギスフィアでしょうか?それにしては大きいような・・・ってどこまで大きくするつもりですかミレイさん!?」

 

《ごめんなさい二水さん、今話しかけないでくれます?集中してるので。》

 

ちらっと二水の方を見ると何故かだんだんと青ざめている。既に光の球体の大きさはバスケットボールを越えていた。

 

「いいからそれ早くどうにかしてください!」

 

(やりすぎるのもだし・・・このくらいでいっか。)

 

ヒュージから皆が離れて行くのを確認。

 

(後はフォトン・レイの要領で対象に向けて・・・。)

 

《行きます・・・。シュート!!》

 

放たれた光のレーザーはヒュージを包み込み跡形も無く消し飛ばした。

 

(・・・・確かにこんなの撃ったら師匠だったら山の1つくらい簡単に吹き飛びますよね・・・。)

 

・・・・・・・。

 

「凄かったよミレイちゃん!・・・ところでさっきの魔法は・・・?」

 

「えっと・・・・魔力を収束して放ってみたんですけど名前が無いんですよね。そうですね・・・フォトン・レイの応用なので閃光の砲撃、"フォトン・バスター"とでもしておきましょうか。それにしても・・・。」

 

見直すと地面が抉れてしまっていた。

 

「ちょっと・・・やり過ぎちゃいました。」

 

『ちょっとじゃ無─────い!!!』

 

─────。

 

(やっぱり飛んだのはまずかったかな・・・?)

 

理事長代行への報告の際、フォトン・バスターの件については何も言われなかったものの、飛行に関しては今後事前に許可をとるように制限が掛かったのだった。

 

「ミレイちゃん、大丈夫だった?」

 

屋上で待っていた梨璃。

 

「待たせてごめんなさい。ええ、一応大丈夫です。今準備しますね。ではこちらに乗ってもらえませんか?」

 

「え?・・・んっと、これでいいの?」

 

「では、行きましょうか!」

 

杖を出し、腰掛けるように乗ってもらう。そのまま真上に上がると学院から鎌倉の景色が一望出来た。

 

「このくらいの高さなら大丈夫かな・・・?あ、認識阻害はかけてあるので多分誰からも見られて無いと思いますが・・・梨璃さん?」

 

「綺麗・・・・あ、ごめんねミレイちゃん。空を飛んでるのもそうなんだけどこれが私達の守っている場所なんだなーと、少し驚いちゃった!」

 

「ええ、私もそう思います。実はこの世界に来る前に師匠から2つ言われた事があるんです。1つは平和な世界であるように。こちらは見事に外れちゃいましたけど。」

 

「え!?・・・・確かにヒュージから解放されてない所も多くて私の故郷もまだだけど・・・でも学院の中は平和だし・・・えっとあのそれで・・・ごめんなさい!!ってミレイちゃんもしかして笑ってる?」

 

梨璃が大慌てでフォローを入れるもののミレイからは笑みがこぼれていた。

 

「ごめんなさい、その慌ててる姿が少し面白くて。もう1つ言われた事、それは、その世界の人達と仲良くって事なんです。だからこそ1番始めに仲良くなれた梨璃さんに言おうと思いました。ありがとうございます。」

 

「ミレイちゃん・・・うん、こちらこそありがとう!」

 

「それでなんですが・・・梨璃さんの好きな飲み物が今ここにあるのですがこの場でお祝いと行きませんか?ヒュージも倒せた事ですし!」

 

気が付くといつの間にかミレイの手にはラムネが2本握られていた。

 

「だから杖もそうだけどそれどこから!?・・・わ、凄く冷えてる!」

 

「そこは魔法でって事で!・・・それでは私達の出会いとその他色々な事に・・・」

 

『乾杯!』

 

学院の上空でラムネの瓶を合わせる音が響いた・・・。

 

その日の未明――。

 

(またここか・・・一体何なのかな・・・夢である事はわかってるんだけど・・・。)

 

気が付くとまたあの真っ白な空間にいた。制服を着た状態で。

前と違う所は目の前に青い髪の少女が立っていた事か。

 

「えっと・・・・師匠、ですよね?私と同じ背丈なのでちょっと自信無いですが・・・。」

 

「うん、ミレイちゃん、久しぶり!って言うのも変だけど・・・もしかしてあまり驚いてない?」

 

「安心してください、驚いてますよ。どんな時でも心は静かに・・・そう教えてくれたではないですか。」

 

自分の夢の中だからこそ師匠に会えたのだと思うミレイだったが目には少し涙が溜まっていた。

 

「もう少しリアクションしてくれないとつまんないかなー。まあそういう所も含めてのミレイちゃんだし・・・どうやらこの世界で上手くやって行けてるみたいね。安心した!ただやり過ぎないようにね?あの時は本当に軽く撃っただけだから!」

 

フォトン・バスターについてしっかりと念を押してくる師匠。

 

「あれは初めてだったので少し使い勝手が分からなかっただけで・・・。ありがとうございます、師匠。これからも精進します!」

 

「うん、頑張ってね!・・・っとそろそろ時間かな?」

 

師匠の身体がだんだん薄れていく。

 

「師匠・・・・、ありがとうございました!私、また師匠に会えて嬉しかったです。」

 

師匠の姿が完全に消えると同時に目が覚める。

 

(また・・・・会えますよね。夢の中でなら・・・。)

 

そして、1日が始まる─────。

 

邂逅編 ー完ー




祝、第1部完!

いやー長かったー!プロローグから始まり何とかここまで来ました!
ここまでは【邂逅編】と言う事でミレイちゃんがアサルトリリィの世界に来てから色々あって打ち解けるまでを書きました!(ラム乾と夢の中での師匠との再開は以前から構想にありました)
いよいよ次の"話"からアニメ本編と合流し、こちらは【BOUQUET編】として最終回までやります。(ラスバレ編未定)

ここから色々解説等↓

【魔法解説】
フォトン・バスター:
今作最強クラスの魔法。魔力を集めて光属性に変換、対象に向けて放つ。収束量によって威力の調整が可能。
元ネタ:ブレイカー(なのは)

ミレイが首に掛けているペンダント解説:
異世界物でよくある収納器具。基本的には異次元に送り込む形で何でも入るが取り出す際にその形をイメージしないといけないためあまり使わないようにしている。

ラージ級ヒュージ【ヤドカリモドキ】誕生の経緯:
小説版2冊目(アームズ)にでた蟹だかエビだか言われてたヒュージからヒントを得て硬い→甲殻類って事と何か物理的な飛び道具付けたいと思った結果ヤドカリになりました。
ちなみに前足はハサミでは無くミニ四駆のレイスティンガーのフロント部分を模してます。(あそこコミック版だと動くんですよ~。)モンハンのダイミョウザザミをイメージして頂けるとわかりやすいかも。

それではまた次回!


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幕間:自己紹介とこれまでの事


総集編!



どこかの教室を模した空間にミレイはいた。机と椅子が1組あったのでとりあえず座ってみる。封筒が置いてあったので読んでみる事に・・・。

 

(えーと・・・。)

 

『ミレイさん、初めまして。作者です。この度はこの場所に来て頂きありがとうございます。

さて、この空間ですが・・・課題があるので今からそれをこなしてもらいます。

前にビデオカメラが置いてあると思うのでそれに向かって紙に書いてある事に答えてもらうという簡単な事です。

全て答えないと出られません。

あ、最初の挨拶は台本通りに笑顔でお願いします!』

※記憶は残らないのでご安心を~。

 

・・・・・・・。

 

「はぁ・・・・とりあえず言いたいことはわかりました・・・・。さて、やらないと出られないみたいですしとりあえず始めますか。」

 

――軽く咳払い。

 

読者の皆様、ごきげんよう。ミレイ・アルシェントです。

この度は「アサルトリリィ BOUQUET ―白銀の妖精―」をお読み頂きありがとうございます。

次回からアニメ本編に合流するので軽い自己紹介とこれまでの事を簡単にまとめていきたいと思います。

総集編みたいな物なので気楽にお読みください!

 

それでは、始まります。

 

(・・・・本当に何なのですかね、この空間。)

 

【自己紹介をお願いします】

 

あらためまして、ミレイ・アルシェントです。

出身はユーフェリアと言う魔法が栄えてる世界なのですが、その世界で師匠と暮らしていたのですがその師匠の唐突な思い付きで魔王を倒しに行き、訳あってこの世界に来ました。

趣味は読書です。そうですね・・・主に専門書や歴史書が以外と好きです。辞書とかは読んでて少し面白いですよ。

後は・・・家事全般が出来る事でしょうか。師匠の生活能力が無かったため私が全部やっていたので。

長所は、自分で言うのもなんですが誰に対しても正直になんでも話せる事ですかね?

年齢は15歳、身長は143センチ、体重は・・・夢結さんが背負った時意外と軽かったそうなのでそこまで重くないのではないのでしょうか?

 

 

【初めての世界で・・・】

 

大変でした。まず言葉が通じなかったのですから。魔法が使える事が幸いだったので解析魔術でどうにかしましたが・・・。

人類共通の敵がいて、そのヒュージと戦う私とさほど変わらない年齢の少女達がCHARMという武器を用いて戦っている事には驚きました。・・・私は起動実験で魔力が合わないらしいので使えませんが。

 

【リリィ達との関わり】

 

まずは夢結さんと梨璃さん、お2人に私が困っている時何度も助けてくださいました。

夢結さんはクールで物静かなイメージ、梨璃さんは元気なのはいいのですが・・・ちょっとでいいのでたまに距離を置いて頂けると・・・。

一柳隊の皆さんですが、先日の戦闘の際には頼りになりました。皆さん個性的ですが最終的に私の力を認めてくださって本当に感謝しています。二水さんはもう少し大人しくした方がいいと思います。警告はしたのですが・・・。

他には・・・百由さんとかアールヴヘイムの方々、よく私と間違えられる樟美さんと、色々な方々がいるので仲良くしていきたいと思います。

 

【初のヒュージとの戦い】

 

先日のですね。というかヒュージってあんな硬いんですか?

一柳隊の皆さんも苦戦してた・・・・ってあれは私に出動に同行する理由を隠してたのがそもそもの原因では?そんな気を使わなければ梨璃さんが危ない思いをせずに済んだでしょうに ・・・。まぁ私も色々とヒュージに対して試す事が出来て最終的には無事に倒す事が出来たので良しとしましょう。

 

【魔法の事を教えて?】

 

何でここだけ疑問形?まぁいいですけど・・・。

攻撃魔法から探知系のものまで色々使えますよ。

私は光と風の属性が得意なので攻撃では『フォトン・レイ』と『フォトン・バスター』を主に使い、風属性の超高速移動術の『ファントム』、後は色々と便利な『遠目』と魔導障壁、それと飛行でしょうか。

 

【最後に一言!】

 

えっと・・・・これからも一柳隊の皆さんと頑張ります。

 

【ありがとうございました。】

 




ミレイちゃんお疲れ様でした!

以上!ミレイちゃんが質問形式でひたすら語る回でした!

さて、いよいよアニメ本編合流しますよ~。7話からになります。

それではまた次回!


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10話:結梨


余談:初評価頂きました!頑張ります!

【BOUQUET編】(アニメ7話~)始まります。


学院の近くの海岸─────。

 

一柳隊とミレイは打ち上げられたヒュージの調査に来ていた。

 

「・・・っと、周りを見て来ましたがここら辺だけみたいですね。・・・それにしても酷い匂いですね。まるで腐っているかのような・・・。」

 

上空から周辺を確認して来たミレイが制服の袖で鼻を覆いながら降りて来た。

本来は空を飛ぶ事は禁止されているのだが今回は調査のため許可が出ている。

 

「本来ならばヒュージは魔力を失えばその場で崩壊して骨格以外は1晩ほどで消滅する筈なのですが・・・この前のように一瞬で消し飛ばす程の攻撃でもない限りは・・・ね?」

 

「だからあの時は初めてで威力を間違えてしまっただけで・・・それよりも梨璃さん達が何か見つけたみたいなのでちょっと行って来ますね!」

 

言い訳するのが面倒くさくなったのかそそくさとその場から去っていくミレイ。

 

「あらあら、ちょっと意地悪だったでしょうか。」

 

─────。

 

(何かな、これ?)

 

梨璃の目の前にあったのは繭のような透き通った物体だった。

その中身に驚きグングニルを近づけてみると電流のような物が先端から発せられ・・・。

 

(今微かに魔力の反応がしたような・・・気のせいでしょうか?)

 

梨璃の方から微弱な魔力を感じとったため少し足を早めるミレイ。

 

「梨璃さん、何かありまし・・・・た?」

 

「あ、ミレイちゃんに二水ちゃん、今CHARMが反応したような・・・ってどうしたの2人とも、いきなり黙っちゃって?」

 

「ごめんなさい、その・・・ちょっと言いにくいのですが ・・・。」

 

(どう説明すればいいのですかね・・・流石に裸の女の子が後ろにいるなんて言う訳にもいかないし・・・・。)

 

「どうした?」

 

「何か見つかりまして?」

 

そう考えこんでると何かあったのかと楓と梅が来た。

 

「あ、いえ、CHARMがちょっと・・・。」

 

「梨璃さん・・・後ろ!?」

 

「え・・・・?わぁ!?」

 

二水の言葉で振り向くと裸の少女が梨璃に抱きついていた。

 

「梨璃、何をしているの?」

 

「お姉さま・・・。」

 

「は・・・・はっくしょん!?」

 

梨璃に抱きついていた少女がくしゃみをした。

 

「・・・・とりあえず学院に運びましょうか?幸い飛行許可は取れてる事ですし。」

 

「あ、じゃあこのままで私も・・・。」

 

「さすがに2人は・・・もう、その代わりその子しっかり抱いてて下さいね?」

 

文句を言いながらも少女を抱いた梨璃を杖に座らせて超低空飛行でゆっくりと運ぶミレイだった。

 

治療室前――。

 

「お姉さま、私、もう少しここにいたいです。」

 

海岸で見つけた少女を治療室に運び夢結がもう出来る事は無いから行こうと言ったその矢先だった。

 

「あの、私もここにもう少しいます。ちょっとあの子の事が気がかりなので。」

 

「・・・わかったわ、でも2人とも無理はしないようにね?」

 

梨璃とミレイを残してその場を後にする夢結達。

その後も梨璃は少女の事が心配なのかずっと見ていた。

 

「やっぱり気になりますよね。あんな所に1人でいたのですから。」

 

「うん・・・ところでミレイちゃん、気がかりな事って?」

 

「ええ、梨璃さんの所に向かってる時に微かに魔力の反応がしたのと、後は・・・あの子が少し私と境遇が似ているって事でしょうか。」

 

違う世界から突然来た自分と海岸で発見された謎の少女。どこから来たのか分からないという共通点にミレイはどこか親近感を感じていたのだった。

 

「貴方達、こんな所で何をしているの?」

 

2人が話してるところに横から声をかけられる。

 

「ごきげんよう、梨璃さん、ミレイさん。」

 

誰かも分からない銀色の髪の少女に戸惑う梨璃。聞いた所夢結のルームメイトの秦 祀と名乗った。

梨璃の反応を見て夢結から何も聞いて無い事に落胆する。

 

「はぁ・・・まぁ大体予想通りだけど・・・それよりもミレイさん、貴方この前の事で色々なあだ名付いちゃってるわよ?例えば・・・・」

 

祀の話によると『砲撃魔法少女』だとか『空飛ぶ銀髪少女』等、学院内で様々な名前が付いてしまっているらしい。それを二水が聞いて触れ回っているらしいが・・・。

 

「私、もうそんな有名になってしまったんですか?」

 

(全くあの人は・・・後でまた"お仕置き"ですかね・・・。)

 

「とは言ってもこの学院内だけね。・・・さて、こんな所にいないで貴方達も入って?」

 

祀に促され2人は治療室に入る。

 

「よく眠っていますね、とりあえず無事で少し安心しました。」

 

「うん・・・。あの、祀様はどうして・・・?」

 

「これでも生徒会の役員なのよ?と言っても代理なのだけれど。」

 

暫くして梨璃が講義があると言うので治療室を後にする。

 

「そうだ、ミレイさん。実はね・・・・。」

 

─────。

 

ミレイがラウンジに行くと梅と夢結がいた。梅の方はこれから講義に向かうらしい。

 

「あの、お2人とも少しよろしいですか?」

 

「あら、どうしたのかしら。」

 

「実は先程・・・。」

 

ミレイの話によると先日のヒュージ撃破の一件もあり、たまにでいいので講義に出て欲しいと祀から言われたのだった。

 

「そう言う事なのでご一緒しても構いませんか?」

 

「私は構わないぞ!あ、夢結は授業無いんだっけ?」

 

「ええ、1年の時に取れる単位は全て取ってしまったから。」

 

「夢結さん、流石ですね・・・それでは、行ってきます!」

 

「くれぐれも迷惑にならないようにするのよ。」

 

2人を見送った後テーブルの上の梨璃の忘れ物に気付き・・・・。

 

(全く、あの子は・・・一応預かっておきましょうか。」

 

その後、ミレイは1日で出れるだけの講義に参加し、特に魔力の扱い、知識においては教官も舌を巻く程の優秀ぶりであった。

 

「梨璃さん、お疲れ様です。」

 

先にミレイが治療室に戻り少女の様子を見ていた。

 

「うん、ミレイちゃんもお疲れ様。・・・あれ?あの教本が見つからない・・・何処かに置いてきちゃったのかな・・・。」

 

「はっくし!!」

 

くしゃみに2人が気付くと少女が目を覚ましていた。

 

「あ!目が覚めたんだね!ねえ、あなたは何処から来たの?歳は?何か覚えてる事は無い?」

 

「梨璃さん、ちょっと落ち着いて下さい。起きたばっかりの子に質問し過ぎです。・・・ごめんなさい、あの、大丈夫ですか?」

 

そんな2人のやり取りを無言で見つめる少女。

 

「もしかして言葉通じて無いのかな・・・あの、私は一柳 梨璃!もし言ってる事が分からないのならここに書いて貰えるかな・・・?」

 

少女に自分の名前を伝えた後、紙とペンを取り出し少女に見せる。ミレイの件がある為一応用意はしていたらしい。

 

「り・・・り・・・?」

 

その少女の一言で安心したのか一瞬で張り詰めた気が抜けた梨璃。

 

「良かったぁ~、また通じなかったらどうしようかと・・・ってなんで2人とも笑ってるの――!」

 

 

「いえ・・・ごめんなさい。そういえば私が初めてこの世界に来た時の事を少し思い出してしまって・・・。」

 

 

「もぅ~、ミレイちゃん!あの時は大変だったんだから!ほら、あなたもそっぽ向いてないで顔を見せて?」

 

梨璃が少女の手をとった瞬間指輪が反応し文字が浮かび上がった。

 

(あの時と同じ反応・・・?やっぱりこの子だったんだ・・・。)

 

「これ・・・・私の魔力じゃ無い・・・?」

 

「梨璃さん、もしかしてなのですがこの子・・・」

 

ミレイが何かを言いかけたその時・・・。

 

「梨璃さん、ミレイさん、ごきげんよう!そう、その子はリリィよ!と言ってもスキラー数値は50、ギリギリだけどね。」

 

「百由様、祀様、ごきげんよう。あの・・・スキラー数値50って、私が入学した時と同じ・・・。」

 

「あら、偶然ね。・・・それよりミレイさんが機材も無くリリィって見抜いた事に驚きなんだけど・・・?」

 

「えっと・・・・推測からなのですが・・・」

 

海岸で梨璃の魔力が反応した事と先程も同じ反応を見せたため、自分以外にこの世界で魔力を有しているのはリリィではないかという聞いて見れば簡単な事だった。

 

「そんな些細な事でよくここまで分かるわね・・・もしかしてどれだけの魔力を有しているかわかっちゃったりもする?」

 

「そこまではいくらなんでも無理ですよ。せいぜい魔力の感知ぐらいです。」

 

(それでも十分凄いんだけど・・・・。)

 

百由が驚くのも無理は無くヒュージも魔力を有しているためその接近をいち早く察知出来るのではと思った為である。

 

─────。

 

「あ、私、準備があるんだった!ミレイちゃん、後お願いしてもいいかな?」

 

「大丈夫ですよ。いってらっしゃい。」

 

「うん、それじゃあまた・・・え?」

 

少女が梨璃の制服を掴んでいた。

 

「梨璃・・・ない!」

 

「どうやら離れたくないみたいですよ?ほら、心配しなくてもまた戻って来ますから・・・・」

 

ミレイがなだめるも一向に離そうとしない。

 

「ミレイさんもこう言ってるのだし・・・梨璃さんの代わりに私がいますから。」

 

「ない!梨璃、行かない!い――!!」

 

祀の言葉にも全く聞く耳を持たず、それどころか威嚇されてしまうのだった。

 

「あぁ・・・ハートブレイク・・。」

 

「どうします?あまりしたくはないのですが眠らせましょうか?」

 

「「それはちょっと・・・。」」

 

ミレイの提案に2人からツッコミが入る。

 

「それなら、梨璃さんが暫く面倒を見るってのはどうかしら?レギオンの方には私から言っておくから。あ、ミレイさんも一緒に居てあげて?」

 

話によると少女の事は生徒会に任されているとの事だった。

 

「レギオンの方には私が言います。・・・ごめんね、すぐ戻って来るから離して、ね?」

 

「梨璃・・・・。」

 

治療室を後にする梨璃。少女はものすごく悲しそうな目をしていた。

 

「大丈夫ですよ。梨璃さんなら戻って来ますから・・・・。それまで私とお話でもしませんか?」

 

 

(何かこの子私の事が心配で仕方がなかった時の梨璃さんに似ているんですよね・・・。)

 

─────。

 

「駄目!自分で食べるの!・・・もぅ、ミレイちゃん助けてぇ~。」

 

「代わりましょうか?」

 

「やだ!梨璃がいい!あーん。」

 

「だから自分で食べてよぉぉぉ~。」

 

(これは梨璃さんに完全に懐いちゃってますね・・・だからと言ってどうにもできないですし・・・。)

 

「あら、母親とその妹と娘さんってところかしら?」

 

祀の言葉に顔を見合わせる梨璃とミレイ。

 

「私が梨璃さんの妹ですか?」

 

「それで私がミレイちゃんのお姉さんで・・・この子のお母さん・・・・って、せめてこの子も私の妹で三姉妹の長女って事にしてください!」

 

「あら、ごめんなさい。でもそろそろ名前でも付けてあげたら?」

 

「あ・・・そうですね。ミレイちゃん、何かいい名前無い?」

 

「こういうのは梨璃さん、お願いします。きっと梨璃さんが1人で考えた名前の方がこの子も喜ぶでしょうし。」

 

ミレイはこう言っているが単に面倒くさいだけだった。

 

─────。

 

それからというもの少女は段々と日常生活に支障の無い所まで動けるようにまでなった。

 

そして─────。

 

「お姉様~ご無沙汰でした~。」

 

「梨璃、ミレイさん、おかえりなさい。」

 

「ええ、只今戻りました。・・・・それで、伝えたい事があるのですが・・・。」

 

ミレイが気が付くと少女が夢結の隣りに座っていた。

そして後ろの席から出てくる二水達。

 

「2人ともおかえりなさい!その子正式に百合ケ丘の生徒にして貰えたんですね!」

 

「うん・・・ほら、この方が私のお姉さま。ご挨拶は?」

 

「梨璃さん、まず紹介の方が先では?・・・それでですね、その子の名前なのですが・・・」

 

「結梨。」

 

ミレイが言うよりも先に少女が自分で言った。

その名前に紅茶を吹き出す夢結。

 

「あ~!それ私が夢結様と梨璃さんにつけたカップルネームです!まさか使って頂けるなんて!」

 

「え!?・・・そういえば全然名前が思いつかなくていつの間にか呼んでただけなんだけど・・・。」

 

「とりあえず一柳隊に登録しときますね!えっと苗字は一柳でいいですか?」

 

二水が手馴れた手つきでタブレットを操作し登録を済ませていく。

 

「登録完了しました!・・・後はリリィ新聞の見出しなんですけど・・・・っ!?」

 

「なんじゃ二水!?いきなりわしの後ろに隠れて!」

 

(あ、付けたの二水さんだったんですね・・・どうりで似てると・・・。)

 

ミレイからの視線を感じてミリアムを盾にする二水。前回の電撃(と、その後のお説教)が相当堪えたらしい。

 

「二水さん、大丈夫ですよ。それに今回は偶然とはいえ梨璃さんの助けにもなったみたいですし。」

 

「ミレイさん、ありがとうございます!!」

 

「助かったからって抱きついて来ないで下さい!!」

 

(自分の事以外はいいんだ・・・・。)

 

そう思った一柳隊。

 

「でも・・・・。」

 

二水を振りほどくミレイ。両手はしっかりと掴んでいる。

 

「え、ミレイさん?ちょっと目が・・・」

 

「人の変なあだ名を勝手に広めるのはやめてもらえますか!?」

 

両手から電撃が二水に流れる。

 

「あばばばばば・・・・」

 

しかし今回はミレイも少し手加減したようで軽く痺れる程度だったためそこまで嫌でも無かったらしい・・・・。




アニメ7話完!(所々改変とか削っちゃいましたが御容赦を・・・。)

作中で書いた通りミレイちゃんと結梨ちゃんは"似たような境遇"という共通点があるので今後これを少し生かします。

それではまた次回!


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11話:競技会

【更新情報】誤字訂正しました。(些細な所ですが報告ありがとうございます。)

アニメ8話です

11話、始まります。


結梨が一柳隊に加入してから数日─────。

 

結梨がグングニルに魔力を込めるとクリスタルにルーンが浮かび上がった。CHARMとの契約が完了した証である。

 

「CHARMってこうやって起動するんですね・・・。」

 

ミレイが少し驚いた表情を見せる。

 

「そういえばミレイはCHARMの契約を見るのは初めてじゃったな。まぁお主の場合無くても大丈夫な事は分かったしの。また壊されてもたまらんし・・・。」

 

「あら、わたくしに言って下さればCHARMの1本や2本、快く提供して差し上げますのに。」

 

「そういう事で済めばいい問題では無いんじゃがのう・・・。」

 

(やっぱりCHARMって持ってた方がいいのかな・・・?)

 

楓とミリアムのやり取りを聞いて少し気を落とすミレイだった。

 

「ねえ梨璃、リリィってなんで戦うの?」

 

「えっと、それはヒュージから皆を守る為・・・?」

 

「誰だって怯えながら暮らしたくない、それだけよ。」

 

「くんくん。」

 

結梨が夢結に近づき匂いを嗅いだ。

 

「夢結、悲しそう。」

 

「そう?表情が読めないとかよく言われるけど。」

 

(表情に出さないだけで何を考えているのかはわかりやすいんですけどね・・・。特に梨璃さんが近くにいない時とか。)

 

傍らで紅茶を飲みながらそう思ったミレイだったが言うと間違いなく怒られる為黙っておく事にした。

 

その後も結梨は順番に匂いを嗅ぎ・・・

 

「皆も、悲しい匂いがする。」

 

「誰だって何かを背負って戦っているわ、そういうものかもね。」

 

「くんくん。梨璃はあまり匂わないのに。」

 

「あはは・・・お気楽なのかな・・・私。」

 

一柳隊全員の匂いを嗅ぎ終わり、最後に・・・

 

「でもミレイは何か皆と違う匂い・・・?」

 

「きっと私が違う世界の人間だからでしょうか?」

 

「じゃあミレイはリリィじゃ無い?」

 

「ええ、リリィでは無いですがヒュージとは戦えますよ。少し皆さんとは違う力で、ですが。」

 

「へぇ・・・分かった!結梨もヒュージと戦うよ!!」

 

「私の一言で決めたのならおすすめしませんよ?危険も伴いますし。」

 

「ううん、私もリリィだから皆と一緒に戦いたい!」

 

「そうですか。そこまで言うのであれば私は止めないですが・・・無理はしないでくださいね?」

 

「うん、私、頑張る!」

 

「さて、結梨さんの事も一段落したところで、次は雨嘉さんね。」

 

「え!?ちょっと・・・神琳?」

 

神琳が巫女服とメイド服を出した。ミリアムと鶴紗も加わり・・・

 

─────。

 

数分後、猫耳巫女メイドと化した雨嘉がそこにいた。

 

「雨嘉さん・・・何か凄い格好してますが大丈夫ですか?・・・・あ、でも可愛いと思いますよ?」

 

「お願い・・・・見ないで・・・・。」

 

「ミレイさんもどうですか?」

 

神琳が何故かもう一着白黒のメイド服を持っていた。

 

「私は遠慮しときます。そういうのは皆さんで・・・」

 

「まぁそう言わずに。」

 

鶴紗が後ろから白い猫耳をすかさず装着した。

 

「・・・・何してるんですか鶴紗さん。」

 

猫耳を着けた状態で少しムッとするミレイ。

 

「あら、だったら・・・これでどうでしょう。」

 

神琳もすかさず尻尾を装着し・・・・

 

「おお!わんわんもだけどミレイも可愛いぞ!」

 

「え、そうですか?そう言われると悪い気はしませんが・・・。」

 

「なぁ・・・・この2人いい勝負になるんじゃないかのう?」

 

「だったらミレイさんも出しちゃいましょうか。」

 

すっかりミレイをコスプレ部門に出場させる気の神琳。

 

(何か忘れてないかしら・・・・。)

 

紅茶を飲みながらふと思った夢結だった。

 

─────。

 

競技会当日。

 

「お姉さま・・・ミレイちゃんが何故か見学になっているのですが・・・・?」

 

理事長代行の隣りに座ってるミレイを見て驚く梨璃。

 

「あら、残念。あのままコスプレ部門に出てれば優勝も狙えたのですが・・・。」

 

(やっぱり忘れてたわね、この子達・・・。)

 

呆れる夢結。そもそもミレイはリリィでは無いので参加自体が怪しかったが生徒会から通達がありミレイを競技会に出さないと言われていたのをすっかり忘れていたのだった。

 

「ミレイー、私頑張るからねー!」

 

ミレイに向かって手を振る結梨。ミレイも小さく振り返す。

 

─────。

 

「さて、本日の客人は?」

 

「敷地内に15名が侵入しています。また、ドローンが3機ほど。」

 

「こちらは何を仕掛けます?」

 

「情報の量とルートを徹底的に。」

 

生徒会長の史房と眞悠理が報告するのをミレイも聞いていた。

 

「あの・・・少しいいですか?その侵入者?の目的は恐らくリリィ達の戦力分析だと思うのですが・・・ここまでは多分毎年の事として・・・本命は多分私と結梨さんでしょうね。」

 

淡々と説明するミレイに咬月達が驚きの表情を見せた。

 

「ほう・・・だとして、出歯亀が越えた時の対応は?」

 

「大丈夫だと思いますよ?見てるだけだと思うので。後は皆さんの事を信じるとします。」

 

(この子今までどんな人生を歩んできたのかしら・・・?)

 

あまりの分析力と冷静さにそう思った史房達だった。

 

「さて、重い話はここまでとして、お茶でもどうですか?今朝初めて淹れてみたのでお口に合うかどうかは分かりませんが・・・?」

 

「頂こう。」

 

ミレイが緑茶の入った魔法瓶と湯呑みをどこからか取り出し注いでいく。もちろん自分の分も。

その一緒にお茶を飲む光景が・・・

 

(何か縁側で一緒にお茶を飲むおじいさんと孫娘みたい・・・。)

 

そう思った生徒が多数を占めた。

 

競技会が始まり、新型CHARMのデモンストレーション等、プログラムは進行していった。

そして、棒的倒しの時・・・・

 

「フェイズトランセンデンス!!」

 

ミリアムのミョルニルの先端からビームのような物が発せられ見事的を撃ち抜いた。

 

「ミレイには負けておれんぞい、わしだってこのくらい・・・」

 

ミレイに向かってピースをしながらその場に倒れた。

 

(フェイズトランセンデンス・・・・魔力切れですね。無理し過ぎですよ、ミリアムさん。えっと確かこの後ってミリアムさんとメカヒュージとのエキシビションでしたよね・・・?)

 

そのエキシビションの少し前・・・・

 

「ミレイ、一緒にやろ!」

 

「だから私は参加出来ないんですって。」

 

エキシビションにミリアムの代わりに出る事になった結梨がミレイを誘っていた。

 

「結梨さんなら1人でも大丈夫です。だから、頑張ってください。応援してますから。」

 

ミレイが結梨の手を取り、包むようにする。その時、僅かながら発光した。

 

「うん・・・私、頑張る!だから見ててね!」

 

「今、魔法のような何かが見えたのじゃが・・・」

 

不思議そうに見ていた咬月が疑問に思ったのか聞いてくる。

 

「いえ、ちょっとしたおまじないを。」

 

(さてと・・・・。)

 

お茶を1口飲み目の前の戦いに集中する。

 

結梨とメカヒュージとの戦いが始まった。

 

《結梨さん、聞こえますか?あ、喋らずに言いたい事を思って頂ければ会話できますよ。》

 

《うん、聞こえる!》

 

《少し手伝いますね。後ろに下がって下さい。攻撃、来ます!》

 

結梨が軽やかな動きでヒュージの攻撃を避けた。その後も危なげなく躱し続けている。

 

「凄い・・・結梨ちゃん、全部避けてる・・・。でも私でもあそこまで出来る自信がないのに・・・。」

 

「いえ、1人ではあそこまでの動きは無理よ。誰か戦闘に長けた人が指示でも出してない限り・・・そう言えば1人いたわね、誰にも気付かれずに指示を出せる人が・・・。」

 

(やっぱりバレちゃいますか・・・。)

 

夢結の視線が向いている事に気付いたミレイ。

結梨の手を握ったときこっそり身体強化と前回使った単一方向ではなく双方向の思念伝達を掛けていたのだった。

 

《結梨さん、夢結さんに教わった事覚えてますか?次のヒュージの攻撃で決めますよ。》

 

《うん、行くよ、ミレイ!》

 

そして─────。

 

《敢えて受けて、流して、斬る!!》

 

2人の心が合わさった攻撃は見事にメカヒュージを一刀両断した。

 

「結梨ちゃん、凄かったよ!・・・え?」

 

歓声の中結梨が真っ先に駆け寄ったのは梨璃では無く・・・

 

「ミレイ――!!」

 

席を立っていたミレイに結梨が抱きついた。

 

「ミレイ!私頑張ったよ!ありがとう!!」

 

「わかりましたから少し離れて下さい!ちょっと苦しいです!」

 

「あぁ・・・・ミレイちゃんと結梨ちゃんが私から離れていく・・・。」

 

「梨璃、大丈夫よ。あの2人なら貴方を見捨てるような事はしないと思うから。」

 

「お姉さま~。」

 

泣きながら夢結に抱きつく梨璃。

 

こうして競技会は幕を閉じた。

一方コスプレ部門では雨嘉が見事優勝し最優秀リリィに輝いたのだった。リリィ新聞にも掲載され・・・

 

─────。

 

「二水さん、なんですかこれ?」

 

雨嘉の記事の片隅に「出てれば優勝候補」という見出しで猫耳をつけたミレイの写真が載せられていた。

 

「あはは・・・ちょっと魔が差しまして・・・もしかして怒ってます?」

 

「確かに怒りたい気持ちもあるのですが・・・・今回は許します。今後は気をつけてくださいね?」

 

助かった事に安心した二水だった。

尚、ミレイが競技会の時に淹れた緑茶が以外に好評だった為ラウンジでたまに自らブレンドした紅茶を振る舞う姿が度々見られるようになった。

 




アニメ8話お送りしました。

ミレイちゃんリリィじゃ無いしどうすっかなーと考えた結果とりあえず参加させずに見学って事で落ち着きました。
それでも何かさせたいという思いから理事長代行と生徒会の所で首を突っ込むのと結梨ちゃんのエキシビションの時離れた所から思念伝達でのサポートとしました。(ミレイちゃんと結梨ちゃんの所は没案があり、本当に共闘させ、こっそりと魔法でサポートし、最終的に動きを止めた所を結梨ちゃんがぶった斬るという案ですがちょっと不自然なので・・・・)

最後に、アンケート実施します!
短編のキーワードを選択肢(1部もうネタバレになっちゃってますが)にするので1番最初に読みたいのをお選び下さい!
得票数が多い順に順次投下します。
期限はBOUQUET編書き終わるまで!
よろしくお願いします!

それではまた次回!


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12話:異能者であるが故に


【(2日遅れ)Happybirthday!! 土岐紅巴! ・・・・と、作者。】

アニメ9話

12話、始まります。



一柳隊控室――。

 

「梨璃さんと結梨さん、無事でしょうか・・・・?」

 

結梨がヒュージだと判明しそれを庇った梨璃が逃亡した翌日。梨璃には逮捕、そして今朝早くミレイの拘束という命令が出されていた。

 

「理事長と百由を信じるしかないわ。今貴方を学院から出すわけにはいかないの。」

 

「ところで何故ミレイさんに拘束命令が・・・?」

 

「G.E.H.E.N.A.の奴らが欲しがってるんだろうな・・・。アイツらは手段を選ばない。ミレイを引き渡したら身体中弄り回され」

 

「無事では済まないし、死ぬまで出られない・・・って所ですかね。」

 

鶴紗の口を塞ぐようにミレイが後を続ける。

 

「お前・・・・っ!」

 

「ええ、そのような組織は私が元いた世界にもいましたから。そこまでして私の力が欲しいのでしょう。今CHARMを使わずにヒュージに対抗出来るのは私くらいですから・・・・って雨嘉さん?」

 

気が付くと雨嘉が後ろからミレイを抱きしめていた。

 

「大丈夫・・・ミレイは私達が守るから・・・。」

 

「あら、雨嘉さん随分と積極的ですね。でも、その意見には私も賛成です。」

 

「梅も賛成だぞ!ミレイと結梨はもう一柳隊の一員だ!」

 

「皆さん・・・・ありがとうございます。」

 

テーブルに置いていた端末が鳴る・・・。

 

「はい、・・・・・・・わかりました、直ぐに保護に向かいます。」

 

「今理事長代行から連絡があったわ。2人を迎えに行くわよ。」

 

「え、・・・・でも私は・・・?」

 

「ミレイ、安心して。貴方ももう自由だから。」

 

夢結に連絡が入る数刻前――。

 

咬月が政府に招集され、後から入ってきた百由によりグランギニョル社からのデータ提供を元に結梨がヒュージでは無く人と証明され・・・。

 

「もう1人前から保護しているという怪しげな力を使う少女がいたな。」

 

「はて・・・誰の事ですかな?」

 

「とぼけるな!今朝から拘束するように命令が出ているではないか!」

 

「確かに出てはいますが、我々としては彼女を引き渡す気はありません。」

 

「君はその彼女の魔法とやらを人類の為に役立てようとは思わんのかね。そのCHARMも無しでヒュージに対抗しえる力を!」

 

「ほう・・・どこから漏れたか知りませんがそこまでご存じとは驚きですな・・・・。そもそも我々の為に実験台になって欲しいと伝えたところで彼女が簡単に首を縦に振るとは思えませんが。」

 

「だから拘束しろと言っているのではないか!君はG.E.H.E.N.A.の事を何だと・・・・」

 

そこまで言ってさすがにマズイと思ったのか口を噤む。流石に手遅れだが。

 

「ほう、やはりG.E.H.E.N.A.からの要請でしたか。だったら尚更渡す訳にはいきませんな。」

 

「私からもよろしいですか?貴方方が欲しがってるのは彼女・・・いえ、ミレイさんの力ですよね?ヒュージと戦える事自体はCHARMを使っている私達とそれ程変わらないと思うのですが。魔力の性質が違うくらいで。」

 

「いいですかな?百由君の言う通りCHARMを使って無くとも彼女はヒュージと戦えている。・・・・つまりリリィと変わらない以上引き続きこちらで保護させてもらう。無理にでも連れて行こうと言うのであれば今ミレイ君を保護しているレギオン・・・いや、百合ヶ丘のリリィ全員を相手にする事を留意して貰いたい。」

 

「ぐっ・・・・覚えてろよ、高松咬月!!」

 

こうして結梨と梨璃、そしてミレイに出されていた命令は解除されたのだった。

 

「・・・・ああ、私だ。2人を保護しに行ってくれないか。ミレイ君の拘束命令も解除する。」

 

無人の廃墟─────。

 

「梨璃さん、結梨さん、迎えに来ました。」

 

「梨璃、帰りましょう。」

 

「え?でも・・・結梨ちゃんが・・・。」

 

「結梨は人間でリリィと認められた、だから大丈夫よ。」

 

「梨璃の逮捕命令も撤回されたぞ!良かったな!」

 

「良かったぁ~。って私に逮捕命令が出てたんですか!?」

 

梅の言葉に驚く梨璃。

 

「でも・・・どうしてここが?」

 

「以外と簡単でしたよ?梨璃さんと結梨さんを追ってるって事はそこに魔力が集中してるので後はその反応を辿れば・・・後は夢結さんから梨璃さん達が向かった場所を教えて貰っていたので。」

 

「・・・・まぁとりあえず無事で良かったですわ!!」

 

梨璃との再開も束の間、外の防衛軍が慌ただしく動き始めた。

 

(何か遠くで大きい魔力の反応!?)

 

「あの・・・皆さん、海岸の方にヒュージが出たみたいなのですが。」

 

「え!?」

 

驚く一柳隊。

 

「何も驚く事は無いでしょう。梨璃達の位置も分かるくらいだから。」

 

(感じ取れるだけで方向くらいしか分からないんですけどね・・・。)

 

「そういう事なので先に行きます!」

 

足に風を集めて思いっきり蹴り出す。

 

「ちょっと、ミレイちゃん!?」

 

─────。

 

沖には大型のヒュージがいた。

 

(やっぱり・・・この前のより大きい?でもあのヒュージの魔力量がどんどん上がってる!?)

 

「汐里さん、下がって!!」

 

「え?ミレイさん!?」

 

ミレイがいる場所にヒュージから地面を抉る光線が発せられたのだ。

 

(障壁、最大展開!!)

 

咄嗟に両手を重ねて前方に魔法陣を展開し光線を防ぐ。

 

(今あのヒュージ明らかに私を狙った・・・?)

 

「大気が・・・裂けた?ってミレイさん大丈夫!?」

 

ヒュージが2射目の為の充填に入ろうとしている。

 

「大丈夫です。もう一度は撃たせない!」

 

杖を出しフォトン・バスターのチャージをしようとするが・・・

 

(え・・・・結梨・・・さん?)

 

結梨がヒュージに向かって行くのが見えた。

 

「結梨さん、まだ本物と戦った事はないのに・・・あぁもう!!」

 

飛翔しヒュージに向かって行くミレイ。

 

「やぁぁぁぁ!!」

 

結梨が弾幕を掻い潜りながら小型のヒュージを撃破していた。

 

「結梨さん、危ない!」

 

フォトン・レイの3点射で結梨から離れていたヒュージを撃破する。

 

「ミレイ・・・。」

 

「全く・・・無茶はしないようにと言ったはずなのですが・・・・こうなったら2人で倒しますよ。」

 

(梨璃さん、大丈夫でしょうか・・・・?)

 

途中でヒュージに撃たれた梨璃を心配しながらも結梨との連携で小型のヒュージを撃破していった。

そして最後の巨大ヒュージ。

 

「ミレイ、一緒にやろ!」

 

「え・・・・あの、ちょっと私CHARMは・・・。」

 

結梨がミレイの手を取りグングニルに添える。

 

「もう・・・今回だけですよ?」

 

2人で魔力を込めると剣先が発光し巨大な剣となり、巨大ヒュージを両断した。

 

「ミレイ、梨璃、私、やったよ!」

 

「ええ、おめでとうございます。後は離れ・・・え?」

 

ヒュージが爆発する直前、結梨がグングニルから手を離しミレイを突き飛ばした。

 

「ミレイ、ごめんね。」

 

「結梨さん?何を・・・っ!?」

 

その瞬間結梨が光に包まれた。

 

「結梨さ・・・・っ!」

 

(駄目・・・っ!上手く魔力が制御出来ない!)

 

手を伸ばそうとするが動揺したのか上手く飛べずそのまま海面に落下してしまった。マギクリスタルの割れたグングニルを持ちながら・・・・。

 

「ごめんなさい、梨璃さん・・・私が・・・私が付いていながら助けられなくて・・・・。」

 

「朝は・・・結梨ちゃんの髪を切っていたんですよ。少し、伸び過ぎていたから・・・結梨ちゃん笑っていて私もなのに・・・何で・・・。」

 

結梨のグングニルを前にしながら抱き合って泣き出す2人だった・・・・。




後書一応書きます。

最初の方かなり弄ってますが勘弁。(ミレイちゃんと結梨ちゃんの処理一括でしようとした結果こうなりました。アイツらのクズっぷりはそのままです。)

以上!(本当にこの話精神的に辛い・・・)

それではまた次回。


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13話:まばたきの先に


アニメ10話 前半

13話、始まります。


 

ラウンジ――。

 

「どうして梨璃が罰を受けないといけないんですか!」

 

「結梨が人だって認められたのなら梨璃のした言葉だってお咎め無しって事じゃありません?」

 

「命令は命令、たとえそれが間違いから出たものだとしても撤回されるまでは有効よ。」

 

「命令を守ったり守らなかったりで仲間を危険に晒す事だってあるのだから。」

 

「けど臨機応変な判断も認められてる筈です!」

 

「でも外にはそれを快く思わない人達だっているのよ。」

 

「だから形式上でも梨璃さんを罰する必要があるの。」

 

「それじゃ、まるで見せしめですよ・・・。」

 

アールヴヘイムの面々が話してる中、樟美だけ悲しそうな表情でどこか上の空だった。

 

「樟美、どうしたの?何か考え事?」

 

「天葉姉さま・・・あの、ミレイさん今日も部屋から出て来ないって・・・。」

 

「そう言えばミレイさんが1番辛いのよね・・・あの時結梨さんの1番近くにいたのだから。・・・やっぱりお姉ちゃんとしては心配?」

 

「もう、天葉姉さま!・・・でも昨日も何も食べて無いみたいなので・・・・。」

 

「そうね・・・なら今から購買にでも行って何か持って行ってあげるのはどう?」

 

─────。

 

もうあれから何日たったのだろう・・・いえ、1日ってところですかね。寝てないですし・・・。

 

私はあの人の弟子なのに1人も助けられなかったなんて・・・何の為にここまで頑張ってこれたのか分からなくなってきました・・・・。

 

本当に私はここにいていいのでしょうか・・・・・。

 

「・・・・レイ、ミレイちゃん?」

 

師匠の声まで聞こえてきてしまいました・・・もう駄目ですかね・・・。

 

「おーい、ミレイちゃん?聞こえてるー?」

 

はい、聞こえてますよ。・・・・それにしてもうるさいです。

 

何だ夢か・・・って事は私いつの間にか寝ちゃってる?

 

「ミレイちゃん大丈夫?生きてる?それとも・・・」

 

質問責めにしてくる師匠。

 

「ちょっとうるさいので静かにしてくれませんか・・・あと今は1人にしてください・・・。大丈夫ですから。」

 

「消えろと言われてもミレイちゃんの夢の中だから本心でそう思ってくれない限り無理なんだよね・・・っと言う訳で隣、座っていいかな!」

 

「言ってる意味が分かりません・・・・隣は駄目なのでできるだけ離れて立っていてくれませんか・・・・。」

 

早く起きて・・・・私。

 

「隣は駄目かー、・・・・じゃあ後ろ!」

 

そう言ってミレイと背中合わせに座る師匠。

 

「何やってるんですか?・・・・はぁ、もういいです。何を言っても無駄な気がして来たので・・・。」

 

「何か暗いみたいだけど・・・もしかして結梨ちゃん?の事で悩んでる?」

 

「少し黙っていてくれませんか!・・・あんな事で魔力が制御出来なくて助けられなかったなんて・・・え?」

 

だから黙っていてくださいと・・・と言いたかったところだったが後ろでは無く前から聞き覚えのある声がした為少し驚いていた。

 

「ミレイ、あの時はごめんね。」

 

その声を聞いて顔を上げて見るとそこには・・・・

 

「結梨・・・さん、どうして・・・・。師匠、余計な事しないでください・・・。」

 

「私は何もしてないよ。多分だけど私がここにいるのと同じ理由なんじゃないかな。」

 

「もしかしてそれだけ私と結梨さんの繋がりが強かったって事ですか・・・。確かに一緒にいる事は多かったですけど・・・だからってこんな所にまで出て来なくても・・・。」

 

きっと今目の前にいる結梨は師匠と同様に自分の思いの強さが生み出した存在であると確信したミレイであったが自分のせいで命を落としてしまった事で少し信じきれずにいた。

 

「結梨さん、ごめんなさい・・・私の事、恨んでますよね・・・。」

 

「ううん、そんな事無い!あの時はああするしか無かった!だってミレイの魔力が・・・」

 

「私の魔力・・・?確かに結梨さんに言われた事に動揺してしまって上手く制御出来ませんでしたけど・・・」

 

「ミレイちゃん、それまでに魔力どれくらい使った?」

 

師匠の言葉に疑問を感じつつもその日の魔力使用量を考えてみると・・・。

 

(えっと・・・ヒュージの攻撃を障壁で防いで結梨さんと協力して小型ヒュージを撃破、最後に2人でCHARMに魔力を注いで・・・・そう言えばCHARMに触れた後の魔力量って・・・。)

 

障壁の全力展開、そしてCHARMへの供給により予想以上に魔力を使ってしまっていて既に飛行の維持とあの規模の爆発への防御を同時にこなす力は残っていなかったのである。

 

「・・・・もしかして結梨さん、私の魔力がもうそんなに残って無いこと分かってたんですか?だからあんな事を・・・。」

 

「うん、だから私がミレイを助けたかった、ただそれだけ!」

 

「はぁ・・・貴方って人は・・・・って師匠?」

 

「いや、ミレイちゃん昔から少し魔力を使いすぎちゃうところがあったからその癖まだ直って無かったんだなーって!」

 

「そこ怒るところじゃ無いんですか!?」

 

(全く・・・私が落ち込んでるのが馬鹿みたいじゃ無いですか・・・。)

 

「もうこの際ですから2人に聞きますけど今後私はどうすればいいのか教えてくれませんか?」

 

「うん!えっと・・・ミレイの師匠さん?も答えられる?」

 

「私はいつでも大丈夫だよー。それじゃ、せーの!」

 

「「ミレイ(ちゃん)!頑張って!!」」

 

・・・・・。

 

「何で息ピッタリなんですか!2人共単純過ぎです!」

 

2人のせいで暗い気持ちがどこか吹き飛んでしまったかのようにいつも通りの調子に戻っていた。

 

「やっと元気出てきたね!でもミレイちゃんにはもう仲間が沢山いる。もちろん私と結梨ちゃんも見守ってるから!」

 

「だから、梨璃達の事はミレイに任せる!」

 

「もう・・・そこまで言われたら頑張るしか無いじゃないですか・・・でも、ありがとうございます。」

 

立ち上がり2人を見てみると少し薄れていた。

 

「さて、私の悩みも晴れたことですしそろそろでしょうか?」

 

「え!?ミレイともう会えなくなるの?まだ話したいことがあるのに!」

 

「大丈夫ですよ、結梨さん。またいつか会えますよ・・・だってここは私の夢の中なのですから!」

 

「それじゃ、またね、ミレイちゃん。」

 

「ええ、師匠も・・・お元気で・・・って言うのも何か変な気もしますが。」

 

(2人共、本当にありがとうございました・・・・。)

 

─────。

 

「ん・・・・。」

 

時計を見てみると正午を回っていた。

 

(少し・・・寝すぎましたか。とりあえず何か食べに・・・と、その前に理事長室ですかね。)

 

髪はボサボサ、制服も乱れていたため身だしなみを軽く整え部屋のドアを開くと何かがドアノブに引っ掛けてあった。

 

「何ですかねこれ?あ・・・手紙も・・・。」

 

ビニール袋の中には大量の栄養食とそして手紙には――

 

お腹すいてたら食べてね!――アールヴヘイム一同

 

と、一言だけ書かれていた。

 

(・・・・もう、こんなに食べ切れませんよ。でも、後でお礼を言いに行かないと・・・。)

 

部屋を後にするミレイだった。




ミレイちゃんの夢の中の空間に結梨ちゃんが新しく仲間入りしました!と言ってもこれ以上は増えません。
生存させないにしろこのまま出さないでおくのも何かもったいない気がしたので師匠と一緒に心の支えとなってもらうことにしました。

それではまた次回!


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14話:虹の道標


【ラスバレ】天葉様お迎え準備第1段階完了

アニメ10話 後半

14話、始まります。


(まさかこんなに心配されていたなんて・・・。)

 

理事長室に向かう時に大多数から「もう大丈夫なの!?」や「何か悩んでる事無い?」等を言われ、更に理事長室に入ってからも史房から無茶した事を怒られ(勝手に飛んだ事に関しては不問だった)そして咬月からは多数のリリィを守った事への感謝とリリィと同等の扱いになる事を言われ、更にアールヴヘイムの面々からも差し入れの感想を聞かれる等、質問責めに遭いながらも心配されまくりの半日であった。

 

そして翌日─────。

 

「さあ、今日もはりきってまいりますわよー !!」

 

学院近くの海岸、梨璃を除いた一柳隊とミレイはいた。

 

「えっと・・・確か梨璃さんの髪飾りを探してるんですよね。」

 

夢結から聞いた話によると2日前から探しているものの一向に見つからないとの事だった。

 

「ところでミレイさん、探し物を見つける魔法なんてないかしら?」

 

「え?ありますよ。広域探知って言ってですね・・・」

 

神琳の質問に答えるミレイ。

説明によると自分を中心とした一定範囲内を捜索する魔法で形さえしっかりとイメージ出来ていれば詳細な位置まで分かるため主に遺跡探索等に使われるらしい。

 

「なあ、もうミレイ1人に任せとけば直ぐに見つかるんじゃないかのう・・・。」

 

「あの・・・・ミリアムさん?そう言われても私が探知できるのって精々100mが限界なんですけど。」

 

さすがのミレイでもこのだだっ広い範囲を一回で探知するのは無理があった。

 

「それでしたら私とミリアムさんで補助すればもっと広げられるのではないでしょうか?」

 

「またわしか!?これで3日連続なのじゃが・・・。」

 

そう言いながらも梨璃の為でもあるので渋々と位置に付くのであった。

 

「それでは・・・・いきます。」

 

広域探知を発動すると魔法陣が足元に展開される。

 

「フェイズトランセンデンス!!」

 

ミリアムと神琳のレアスキルの力で魔法陣が更に巨大になり、一帯に広がった。

 

(これなら見つかりそうですね・・・・って何か発動してからすぐに反応してるんですけど・・・。)

 

「ミレイさん、どうでしたか!?」

 

「ごめんなさい、どうやら想像以上に遠くにあるみたいで・・・あるいは形が大きく変わってしまっているのでしょうか・・・。」

 

直ぐ近くで見つかったというのは黙っておくことにした。その場所が海岸で無かった為に・・・・。

 

その日の夜──。

 

「楓さん、少しよろしいですか?」

 

「なんですの?これから行くところがあるので急いているのですが。」

 

「・・・・持ってますよね?梨璃さんの髪飾り。」

 

その瞬間、楓の動きが止まる。

 

「あら?何の事ですの?」

 

「やっぱりですか。まぁ大方隠れて修理しようかと思ってるんでしょうね。あのヒュージの攻撃、髪飾りに・・・・」

 

ダンッ!!!

 

「それ以上は言わなくてもいいですわよ。」

 

壁に寄りかかっていたミレイの側に両手を叩き付けていた。

 

「大丈夫ですよ、黙ってますから。・・・でも訳だけは聞いてもいいですか?」

 

「ここまで知られたらもう隠しても無駄ですわね・・・。」

 

楓の話によると既に2日目辺りで見つけていたが既に焼け焦げていた為、作り直すため夜中に作業をしているという・・・。

 

「そうだったんですか・・・分かりました。この事は2人だけの秘密って事で。頑張ってください。」

 

「ええ、期待してて下さいまし。」

 

そうして探し始めてから日が経ち、ついに見つからず梨璃の謹慎が解ける早朝──。

 

「あの・・・本当に飛行許可出てるんですか?」

 

「大丈夫ですわよ、こんな早朝で誰も見てないでしょうから。あ、念の為もう少し遠くですわ。」

 

「はいはい・・・・。」

 

(まぁバレたら楓さんに脅されたとでも言っときますか・・・。)

 

早朝から叩き起こされ楓を乗せて海上を飛んでいた。

 

「この辺なら簡単には見つからないですわね・・・」

 

見つけていた梨璃の髪飾りを取り出し投げ込んだ。

 

「これでよしっと・・・さあ見つからないうちにさっさと戻ってくださいまし。」

 

─────。

 

「「ふわぁ〜〜。」」

 

楓とミレイが同時に欠伸をした。

 

「2人とも寝不足?」

 

「ええ・・・今日はいつもより早く起こされ・・・いえ、起きてしまいまして。」

 

「梨璃さんが今日出られると思うとなかなか寝付けなくて・・・。」

 

「そうね・・・梨璃の為にも早く見つけてあげないと・・・・。」

 

「夢結、手伝うわよ!」

 

「あなた達・・・・。」

 

そこにいたのは天葉を含めた百合ケ丘のリリィ達だった。

 

「ありがとう、恩に着るわ。」

 

「恩に着るっていつの人よ」

 

「ごめんなさい、こんな時どう言っていいのか分からなくて・・・。」

 

「仲間を失ったのは私達も一緒よ。だったらせめて落ち込んでいる梨璃のためにも何とかしたいと思うのは自然なことでしょう。」

 

全員で手を繋ぎレアスキルを発動させる。

 

「レアスキルを合成させるなら接触式の方が非接触式よりも効率はいいわ。といってもこんなに大勢でやった事は無いけど。ミレイさんも準備はいい?」

 

「ええ、いつでも大丈夫です!」

 

ミレイも加わり広域探知、遠目の発動準備に入る。

 

「今よ、3人とも!」

 

「「フェイズトランセンデンス!!」」

 

「広域探知!」

 

ミリアムと亜羅椰のスキルで更に強化された広域探知がリリィ全員に共有され、梨璃の髪飾りの位置を正確に感じ取った。

 

『あった─────!!!!!』

 

「あそこですわ梅様!」

 

「何だ!?」

 

「レアスキル縮地ですわ!はいよー!」

 

楓が梅に飛び乗り海上を駆けていった。

 

「ありましたわ───!!」

 

楓が海中から髪飾りを見つけ・・・

 

「「ぶえっくしゅんっ!!」」

 

(全く・・・・私に言ってくれれば近くまで飛んで行ったのですが・・・・。)

 

風を操りなるべく暖かくしているミレイだった。

 

─────。

 

そして梨璃の謹慎が解け・・・・

 

「ごきげんよう梨璃。」

 

「お姉様・・・皆さんも、どうして・・・・。」

 

「梨璃さん、これを。」

 

「・・・・これ、私の無くしたのとそっくり。」

 

『え!?』

 

全員が驚いた。

付けていた髪飾りには四つ葉の1枚にヒビが入っており、楓の渡した物にはそれが無かったのだった。

 

「どういう事かしら・・・楓さん。」

 

「いやですわ夢結様、そんな怖い顔して・・・・実は・・・・。」

 

焼け焦げてしまった髪飾りを見せる。

 

「これ、私のです!」

 

「実は2日目に浜辺で見つけていましたの。だけどこれでは梨璃さんを余計悲しませるだけだと・・・。」

 

新しい髪飾りは汐里に頼んで工作室を借り作っていた。

 

「では今日の昼間見つけたのは・・・・。」

 

「あんな大掛かりに捜されてはさすがに本物の在処がバレてしまいますから早朝に仕込んておいたんですの。・・・・で、最初に私がそれを手にして昨夜出来たばかりの物とすり替えたという寸法ですわ。

・・・・まぁミレイさんは3日目に既にバレてしまいましたが・・・・。」

 

「ミレイ・・・お主までわしらを謀っていたとは・・・。」

 

ミリアム達の視線が一斉にミレイに集まる。

 

(ちょっと楓さん!?・・・・もう、こうなったら・・・・)

 

「あの・・・・ごめんなさい、楓さんの言った通り実は3日目に楓さんが既に持っていた事を知っていたのでお伝えしようと思ったのですが・・・・凄い剣幕で内緒にしろと迫って来るのでそれが怖くて・・・あと今朝は叩き起こされて私も協力しました・・・・・。」

 

ミレイが申し訳無さそうに俯きながら少し小声で全てを話した。

 

「そこまで脅してはいませんわよ!?えぇえぇえぇ!!梨璃さんや皆さんを欺き、ミレイさんまで協力させたのは紛れもない事実ですわ!煮るなり焼くなり好きになさってくださいまし!バレたらバレたで私一人が全ての責めを負えば済むことですもの!

 

「思いっきり汐里を巻き込んでるし。」

 

「いえ。私は工作室をお貸ししただけで。何をなさっていたかはここで知りました。」

 

「楓、お前いい奴だな!」

 

梅の言葉に全員が賛同した。

 

「楓さん、ありがとう。」

 

「ど、どういたしまして・・・。」

 

「あの、梨璃さん・・・・。」

 

「ミレイちゃん、どうしたの?」

 

「その焼け焦げた髪飾り、私が貰っていいですか?」

 

「え?でもこれ持ってても使えないし・・・・」

 

「梨璃さんの思い、私にも背負わせてください。」

 

それから自分が気力を失ってる時に夢の中で結梨に会った事、梨璃達の事を気にかけていた事を話した。

 

「結梨ちゃん、そんな事を・・・・。」

 

「私の夢の中の話なので信じられないかもしれないですが、でも、結梨さんを失ってしまったのは私にも原因があります。だから・・・・っ!」

 

ミレイの顔から涙が溢れる。

 

「ミレイちゃん、大丈夫・・・・大丈夫だからっ!・・・私がちゃんとしなきゃいけなかったのに結梨ちゃんを守ってあげられなかったから・・・だからミレイちゃんは悪くないよ・・・・。あれ?私なんで・・・。」

 

梨璃がミレイを抱き寄せるが梨璃もまた涙を流していた。

 

「2人とも辛かったのね・・・・お泣きなさい。今貴方達に必要なのは何でもいい。自分の気持ちを表に表す事よ。」

 

「お姉様・・・・っ!」

 

「夢結さん・・・・っ!」

 

夢結に抱かれた2人は感情を抑えられずそのまま泣き崩れるのだった。

 

尚、焼け焦げた梨璃の髪飾りは四つ葉の1枚をミレイが貰いそのままの状態で首飾りとなった。




アニメ10話完!

タイトルの由来ですが構想中に夢結と梅のキャラソン「Rainbow」を聴いてたらなんかしっくりきちゃったので引用しました。
※当作品は魔法もメインです

いよいよBOUQUET編も終盤に入ります!

それではまた次回!


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15話:それぞれの思い


アニメ11話〜多少12話

15話、始まります


早朝───。

 

(それでは、また明日も来ますから・・・・。)

 

あの日から数日・・・・朝の鍛錬の前に結梨の所に行く事が毎日の日課になっていた。

 

(さてと、今日は・・・・)

 

──────。

 

結梨の墓の前に梨璃達が集まっていた。

 

「皆集まっちゃいましたね。」

 

「いないのはミリミリと夢結、あとミレイだけか〜。」

 

「ミーさんはゆうべ「百由様の研究を手伝うのじゃ!」とか何とか仰ってたから夜なべでもしたのでしょう。」

 

「ミーさん?」

 

「長いので〜。」

 

ミリアムの声真似をする神琳。

 

「私、この頃お姉様と会えてなくて・・・・。ミレイちゃんも何か忙しそうだし・・・・。」

 

「夢結は講義や演習にはちゃんと出てるぞ?ミレイの方は色々やってるみたいだぞ?」

 

「でもお姉様に最後にお会いしたのはここで一緒に結梨ちゃんのお墓参りに来た時で・・・・もしかして梅様、ミレイちゃんが何をしてるか知っているんですか?」

 

「梨璃はまだなのか?実はな・・・・」

 

梅の話によるとここ毎日暇を見つけては模擬戦を行っており汐里や依奈等手数の多いリリィを同時に相手にしたり、ミリアム、亜羅椰に頼んでフェイズトランセンデンス使って全力で向かって来て欲しい等内容は様々だと言う。もちろん一柳隊の面々も付き合っており・・・・

 

「ちなみに梅の時はグラウンドで縮地使って鬼ごっこしたぞ!」

 

「私は長距離射撃のコツを教えて欲しいって言われた・・・・。」

 

楓、神琳、鶴紗は普通に手合わせしたとか。

 

「そうすると残りは私とお姉様と・・・・?」

 

「あの、私を忘れてませんか!?」

 

「あ・・・ごめん、二水ちゃんもだよね!?・・・でも私と二水ちゃんってミレイちゃんに教えてあげられる事ってあるのかな?」

 

悩む2人だった。

 

───。

 

「お二人共、今日はありがとうございました。」

 

「こういう事だったらいつでも言って!付き合うから!」

 

天葉と樟美に手合わせしてもらい3人で足湯に来ていた。

 

「ミレイさん凄い・・・・私と天葉姉さまの攻撃を同時に防ぐなんて。」

 

「まさか障壁を両手で出せるなんでねー。」

 

「でもあれ物凄く制御が難しいんですよ?障壁の強さも変えないとですし・・・・・なんか鳴ってるような・・・・・?」

 

端末の着信音だった。

 

「ん?えっと私のじゃないし・・・・」

 

「私のでもないです。ミレイさんのじゃないかな?」

 

「え?・・・・えっと確かここに入れてて・・・・」

 

ミレイが端末を取り出すと音が大きくなった。

 

(確かこのボタンが・・・・・?いやこっちのような?)

 

支給されて一通りの使い方を教えてもらっていたが困惑していた。

 

「あの・・・・天葉さん、これどうすれば?」

 

「もしかして使い方がまだわからないの?これはメールだからここを押して・・・」

 

「そこを押せば良かったんですね・・・・。」

 

百由から呼び出しだった。

 

「ふう・・・・この世界の技術って凄いんですがやっぱり電子機器?は何か好きになれないです・・・・。ちょっと百由さんが呼んでるので行ってきます。」

 

ミレイさんの魔法も大概だよ・・・・と、思った2人だった

 

研究室───。

 

「ミレイさん、いらっしゃい。」

 

「百由、ミレイさんまで呼び出して何をするつもり?」

 

「なんか空気が重いんですけど・・・・・。で、私は何をすれば?」

 

「実はあのCHARMなんだけど・・・・」

 

ヒュージから回収されたダインスレイフ。今は亡き川添 美鈴のレアスキルによって術式が書き換えられており、それによってヒュージの行動パターンが変わっていると言う。

 

「それでミレイさんなら何かしら原因を詳しく探れないかなーって!」

 

「つまり亡くなった人の思念を読み取って欲しいと・・・・一応出来ますけど。ただ少し負担が・・・・。」

 

「大丈夫よ。危ないと思ったら私が止めるから。」

 

「ごめんなさい、お願いします。」

 

(解析魔術・・・・起動、同調開始。)

 

ダインスレイフに手をかざし意識を集中させる。

 

────。

 

「・・・・レイ、ミレイさん!?」

 

「え・・・・私、何で・・・・?」

 

ミレイがダインスレイフの解析を始めてから数分。急に苦しみ出し倒れてしまっていた。

 

「良かったー!てっきり死んだのかと・・・・。」

 

「死んでませんよ。それとこのCHARMなんですけど・・・・・ごめんなさい、何もわかりませんでした。って、あれ・・・・?」

 

ミレイのから涙がこぼれていた。夢結がそれに気付き抱き寄せる。

 

「ごめんなさい、また辛い思いをさせてしまって・・・・・。」

 

「夢結さん、ありがとうございます・・・・。」

 

────。

 

『全く君も無茶をするな。』

 

CHARMの思念を解析してからというもの、頭の中に声が響く。

 

(あの・・・・出ていってもらえますか?)

 

聞こえてきたのは美鈴の声だった。

 

『そう望むのであれば出ていきたいがそうも行かないみたいでね。』

 

(はあ・・・・・何でこんな事に・・・・わかりました、では暫く黙っていて・・・・・っ!)

 

大きな地鳴りと共にヒュージかネストから発射された。地球を一回りして目標は学院の為全生徒に避難命令が出された。

 

「楓さん、ミレイちゃん、お姉様がどこか知りませんか?」

 

「さぁ・・・私達より先に避難・・・なさる方でもありませんね・・・。」

 

「梨璃さん、もしかしたらまだ学院の中に人が残っているみたいなので・・・・。」

 

「え!?それって・・・・ごめんなさい、私、お姉様を連れてきます!!」

 

「ちょっと、梨璃さん!?あぁ、肝心なときにCHARMが動きませんわ!」

 

ヒュージの干渉により梨璃以外はCHARMが起動できなくなっていた。

 

(CHARMが起動できないって事は・・・・・。)

 

「楓さん、梨璃さんが心配なので私も行ってきます!」

 

────。

 

(さて・・・・・とりあえずどうしましょうか?まずは周りを確認して・・・・え?)

 

ガクンッ!

 

急に飛行魔法が解除され、高度が下がっていくが寸前で風を足元に集め着地する。

 

(何で急に・・・・だったら!)

 

光の玉を形成し【フォトン・レイ】を撃つがヒュージに当たる前に消えてしまった。

 

(もしかしてこれ・・・・魔力が・・・・っ障壁!)

 

「っ重・・・・障壁を強化、残りを身体強化に!」

 

ヒュージの腕がミレイを上から押しつぶそうとしていた。魔力を吸われ続けているため耐えられなくなるのは時間の問題だったがその時・・・・・。

 

ドォン!!

 

「ちょっと・・・・じゃなくて!こらーそこのヒュージ!あなたの相手は私よ!他の誰にも手出しさせないんだから!」

 

梨璃がヒュージを攻撃していた。

 

(魔力の吸収が弱まった・・・・?もしかして!?)

 

梨璃だけがCHARMを起動出来ている。疑問に思ったミレイは梨璃のレアスキルに注目していた。障壁を維持しつつ短距離での【ファントム】で梨璃の側に。そして地面に杖を突き刺し・・・・

 

「結界展開!!」

 

杖を中心に魔法陣が広がり2人を包み込む

 

「ミレイちゃん?大丈夫!?」

 

「大丈夫です。ですがこの結界も長くは維持出来ないので協力してもらいたい事があるのですが・・・・・。」

 

「何?私に出来ることなら何でもするよ!」

 

「それでは・・・・梨璃さんの魔力を分けてもらえませんか?」

 

「・・・・・え?」




美鈴様が本当に一時的ですがミレイちゃんに取り憑いてます

ちなみにダインスレイフの解析の時ミレイちゃんが見たのは甲州のあのシーンです。

それではまた次回!


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16話:百合ケ丘の絆


アニメ12話前半

16話、始まります。


マギ交感───。

体内の負のマギを解消する為に他のリリィのマギに触れ交換する・・・・・というのが本来の使われ方なのだが・・・・・。

 

「でも私まだ1度もマギ交感なんてしたこと・・・・。」

 

「だったら私をCHARMだと思ってください。いいですか?私は右手から、梨璃さんは左手から送って下さい。後の細かい事は私がやるので。」

 

それぞれの手を絡ませ向かい合う。

 

「気持ちを落ち着かせて・・・・行きます。」

 

2人が淡く発光する。

 

(これが梨璃さんの魔力・・・・でもこのままじゃ使えないから私の魔力と混ぜ合わせて・・・・)

 

混ぜ合わせた魔力を梨璃に送り循環させ、均一化。

 

(凄い・・・・私今ミレイちゃんと繋がってる!)

 

「これで良しっと・・・・梨璃さん、調子悪い所とか無いですか?」

 

「うん・・・・大丈夫、だと思う。」

 

「それなら良かったです。さて、魔力の吸収も完全に止まりましたし・・・・これなら戦えそうです!」

 

ミレイの周りに風が集まっていく。

 

(とは言っても魔力の消費は抑えたいので今回は風メインで!)

 

「それじゃ、私も!・・・・あれ、CHARMが・・・・?」

 

梨璃のグングニルが小さな唸り声を上げていた。

 

──────。

 

「エアロカッター!」

 

ミレイが両手を振り下ろし空気の刃でヒュージを攻撃するがあまり効果は無い。

 

(やっぱり風じゃ効果は無いか・・・・。後は【フォトン・バスター】しか効かなそうだけどさすがに梨璃さん1人じゃ・・・・。ちょっと可能性は低いけど念の為!)

 

遠目で位置を確認し何かを風に乗せて全力で投擲した。

 

一方の梨璃もグングニルをを変形させヒュージを撃つが轟音と共に発射された弾丸がヒュージを仰け反らせた。

 

「これ・・・・CHARMの出力が上がってる!?」

 

「やっぱり私の魔力の影響ですね・・・・っと!」

 

梨璃に向かって来たヒュージの腕を障壁で防御する。

 

「梨璃さん、ごめんなさい。そのCHARM、いくら2人の魔力を混ぜてるとはいえそう長くはもたないと思います。」

 

「うん、・・・・でも、今戦えるのは私達だけだしこのままどうにか・・・・。」

 

「そう・・・・ですよね。ここで弱気になっていたら・・・・え?」

 

ミレイが気付くと夢結が横からヒュージの腕を弾き飛ばしていた。

 

「お姉様!?」 「夢結さん!?」

 

「2人とも、よく頑張ったわね。」

 

「夢結さん、そのCHARM・・・・。」

 

夢結の手に握られていたのはブリューナクでは無く保管されていたダインスレイフだった。

 

「ええ、この子、まだ私の事覚えていてくれたみたいね。後は任せて。」

 

「でも、お姉様、1人じゃ・・・・私も行きます!」

 

「梨璃・・・・でも今の私は・・・・。」

 

白い髪に赤い瞳。ルナティックトランサーが発動していた。

 

「それでも、私はお姉様の側に・・・・っ!」

 

「2人共、どうやら援軍みたいですよ?」

 

「「え?」」

 

マギスフィアが3人の上を通り過ぎた。

 

夢結が助けに来る少し前───。

 

ドゴォォォン・・・・。

 

梨璃が撃った音は遠くまで響いていた。

 

「なんですか今の音!?・・・・え?梨璃さんとミレイさんがヒュージと戦ってます!」

 

「ふーみんさんレアスキル使ってらっしゃる?」

 

「あれ?そういえば使えてます!」

 

「もしかしてミレイさんがまた何かやらかしたのでは?・・・・あら、CHARMが使えますわ!」

 

全員のCHARMが起動していた。

 

「じゃがCHARMが使えると言ってもあの大きさのヒュージ、ノインヴェルト戦術でもなければ倒せんぞい!」

 

「後はミレイの【フォトン・バスター】くらいだけど・・・・」

 

「皆さん、私達でノインヴェルト戦術、してみませんか?」

 

「んなことおっしゃられても肝心のバレットはどこに・・・・」

 

「ん?何かこっちに・・・・いったぁ!!」

 

二水のおでこに直撃したその物とは・・・・・

 

────。

 

「夢結様、梨璃さん!」

 

マギスフィアが次々と一柳隊のパスを受け最後に神琳が梨璃達に送るが・・・・ヒュージの腕が分離し横取りされてしまう。

 

「失敗だわ、逃げなさい梨璃。」

 

「お姉様が逃げてください!」

 

2人がマギスフィアを取り返す為ヒュージに向かって行く。

 

(やっぱり私よりもそっちが脅威と感じましたか。・・・・でも、これで!)

 

2人の様子を見ながら杖をヒュージに向けた。

 

「やった!」

 

梨璃がマギスフィアを取り返すも黒くなっておりグングニルを侵食していく。

 

「マギを吸い過ぎてる!」

 

夢結が弾いたその先にいたのは・・・・。

 

「いくよ樟美!」

 

「はい、天葉姉様!」

 

天葉と樟美が受け取り、次々と生徒達がパスを回して行く。そして最後に・・・・

 

「私達ももう一度!」

 

「CHARMの限界まで!」

 

「夢結様と梨璃さんに!」

 

楓、二水、ミリアム、雨嘉、神琳、梅、鶴紗が一緒にマギスフィアを受け取り、梨璃達に送った。それをヒュージが見逃さず再び奪おうとしたが・・・・・

 

「私の事、忘れてませんか?」

 

ミレイの杖から放たれた閃光が腕を半分消し飛ばした。

 

(夢結さん、梨璃さん、後はお願いします。)

 

『まだ出来る事はあるんじゃないか?』

 

(でも・・・・私の魔力ももうほとんど残ってませんし後出来る事といったら・・・・いえ、確かにまだありました・・・・・。)

 

手に持った杖を見て決心した。今CHARMを破損させている梨璃に出来る事、その答えを・・・・・

 

(師匠・・・・ごめんなさい!)

 

杖を地面に叩きつけへし折った。そして魔力を注ぎ込み・・・・・

 

「梨璃さん、私の魔力、使ってください!」

 

「ミレイちゃん!?うん!・・・お姉様!」

 

「ええ、いくわよ梨璃!」

 

ダインスレイフにミレイから受け取った杖を重ね合わせ・・・・・

 

「「これが・・・・私達とミレイ(ちゃん)の力!!」」

 

百合ケ丘リリィとミレイの魔力を合わせた一撃はヒュージを一刀両断した。

 

────。

 

「もう!ミレイさん!?痛かったじゃないですか!」

 

戦闘後、爆発の影響で校舎が半壊、温泉が湧きミレイを含めた全員で入っていた。

 

「ごめんなさい、あの距離じゃ誰か分からなかったのですがまさか二水さんに当たるなんて・・・・。お詫びに治癒魔法かけときますね。」

 

二水のおでこの赤みが消えていく。

 

「ところで貴方何でバレット持っていたんですの?」

 

「一応参考にと一発貰っておいたんです。こんなところで役に立つとは思いませんでしたが・・・・・。ところでこの状況かなりまずいのでは?」

 

「大丈夫〜。今はどの監視網も麻痺してるから誰も見て無いわよ。」

 

(そういう問題では無いと思うのですが・・・・・)

 

PCを操作しながら適当な事を言う百由を後目にそう思ったミレイだった。

 

翌日────。

 

今回の一件により多大な負荷がかかり事実上の停止状態にある7号・由比ヶ浜ネスト殲滅の為梨璃と夢結そして・・・・

 

「2人共、お待たせしました。久しぶりなのでちょっと着るのに手間取ってしまって・・・・・」

 

そこには制服では無くこの世界に来た時の姿のミレイがいた。

 

「ミレイちゃん!?その姿・・・・・」

 

「ええ、杖を失っている今2人の補助の為に制服では力不足なので。」

 

「そう・・・・だったら必ず成功させないとね、梨璃。」

 

「はい、お姉様!」

 

「それでは行ってきます!」

 

3人を乗せたヘリはネストに向かうのだった・・・・・。




アニメラストバトル決着!

最後にミレイちゃんが着替えたのはそっちの方が魔力を通しやすく魔法防御に優れている為です。(杖は先端の魔石以外粉々になりました。)

残りですが12話残りとその後でBOUQUET編を締めたいと思います!(残り2話)

【魔法解説】
・エアロカッター
その名の通り風圧での斬撃

それではまた次回!


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17話:繋がる想い


アニメ12話後半

17話、始まります。


(いつもの空間だけど魔力が・・・・満ちている?)

 

確かアルトラ級ヒュージに夢結さんと梨璃さんと一緒にダインスレイフを刺して・・・・いつの間に?

 

「こうして会うのは初めて・・・・かな?」

 

「えっと・・・・美鈴・・・・さん?」

 

そういえば元々夢結さんが持っていたダインスレイフを解析してから何故か私に取り憑いていたんですよね。最終的に美鈴さんが持っていたみたいですが。

 

「どうやら私がCHARMに施した仕掛けに気付いたみたいだね。」

 

「ええ・・・お陰様で倒す事が出来ました。・・・・そういえば美鈴さんは何故ここに?」

 

「ああ・・・・それはね・・・・」

 

どうやら美鈴さんの話によるとあの時CHARMを解析した時に魔力を通して一時的に繋がってしまったみたいで・・・・

 

「後はさっき君がダインスレイフに触れてくれた事でこうして現れる事が出来たって訳」

 

この空間の人達(といっても2人ですが)私のその人に対する想いが強くないと現れないのですが・・・・そんな理由だったんですね。

 

「理由は大体分かりました。と、なると・・・・」

 

「ああ・・・役目も終えたみたいだしそろそろ・・・・かな?」

 

「ええ・・・・でも少し寂しい気もしますが・・・・あ、夢結さんに何か伝えておきます?」

 

「大丈夫、あの子は強いから。もう僕が伝える事は何も無いよ。」

 

「そうですか。それでは・・・・」

 

「ミレイ──!!」

 

ん?後ろから声が・・・・・

 

「って結梨さん!?いきなり後ろから抱き付くのはやめてくれませんか!」

 

「だってまた会えたのが嬉しくって!・・・・で、この人誰?」

 

「夢結さんのシュッツエンゲルの川添 美鈴さんですよ。」

 

「ヘ〜夢結のお姉さん・・・・。何か薄い?」

 

それだけ時間が経っているって事でしょうね。・・・・ん?ここに結梨さんがいるって事は・・・・・

 

「そういえばさっきから僕の後ろに誰かいるのだけれど・・・・」

 

はぁ・・・・何でそんな所に。

 

「師匠、そこで何やってるんですか? 」

 

「いや突然現れたこの人誰かな〜と思って!」

 

「さっきの話聞こえてましたよね・・・・。」

 

「うん!確か夢結さんのお姉さんだよね!どうも始めまして、ミレイちゃんの師匠です。何か色々とお世話になったみたいで!」

 

「ごめんなさい美鈴さん、こんな師匠で・・・・。」

 

「大丈夫、少し驚いただけだから・・・・もう限界かな?」

 

「みたいですね。ごめんなさい、引き留めてしまったみたいで。」

 

「それじゃ、夢結達によろしく!」

 

「ええ・・・・ありがとうございました!」

 

その一言を残して消えていく美鈴。

 

「行ってしまいましたね。」

 

「そうだね〜。そういえばミレイちゃん?私に何か言うこと無い?」

 

・・・・・美鈴さんがいなくなってもうその話ですか。

 

「えっと実は杖を・・・・・」

 

「大丈夫。」

 

「壊してしまって・・・魔石は無事なのですが・・・・え?」

 

「だから大丈夫。魔石が残っていれば作り直せるから!」

 

「・・・・・ごめんなさい師匠、もう少し詳しく・・・・。」

 

「だーかーらー!」

 

・・・・・どうやら私の杖、魔石が本体でその他は樹齢1000年くらいの霊樹で魔力を通しやすいってだけだったみたいで魔石さえ無事なら幾らでも作り直せるとか・・・・。

 

「・・・・そうだったんですね。少し安心しました!」

 

後で相談してみますか。

 

「ところで結梨さん、そろそろ離れてくれませんか?」

 

「やだ!離れたくない!」

 

「また会えるって言ってるじゃないですか・・・・」

 

「結梨さん?そろそろ時間だよ〜。」

 

「うん・・・・・それじゃあまたね、ミレイ。」

 

「ええ・・・・・結梨さん。師匠もお元気で。私、きっと最高の杖を作ってみせますから!」

 

「うん、期待してる!」

 

空間が消えていく──────。

 

パァン!!

 

目の前で何かが割れる音がした。

 

(ん・・・・光?)

 

「あ~!みんなでずっと捜していたんですよ〜!」

 

(二水さん?ということは夢から覚めてる?)

 

「その・・・・えっと、おはようございます・・・・・?」

 

「ミレイさんもしかして寝ぼけてる?」

 

「しっかしこの格好じゃ新聞には載せられんのう」

 

「ようやく見つけたと思ったら!真っ昼間から何してらっしゃいますの!?」

 

3人にタオルを投げる楓。

 

(そういえば今夢結さんと梨璃さんの格好って・・・・・)

 

ようやく目が覚めてきたミレイ。周りには・・・・・

 

『3人共、おかえりなさい!』

 

「ミレイちゃん!」

 

「ミレイ。」

 

「ええ・・・・・」

 

「「「ただいま。」」」

 

その後・・・・・リリィ新聞にて由比ヶ浜ネスト殲滅の記事が載り・・・・・

 

「ほらほら二水さん、動いてないと当てますよ〜。」

 

闘技場でミレイが二水相手に【フォトン・レイ】を乱れ打ちしていた。

 

「二水ちゃん、頑張って〜!」

 

「自業自得ね。」

 

自分はローブを着ていたが夢結と梨璃が下着姿のままで新聞に乗った事と二水がミレイの特訓に付き合って無いと言うので"仕方なく"相手をしていた。

 

「謝りますから誰か助けてええええ!!」

 

その特訓(と言う名のお仕置き)は二水が体力切れで倒れるまで続いた・・・・。

 

理事長室────。

 

「祀君、これは?」

 

「ミレイさんに関する署名と各レギオンからの嘆願書です。」

 

「ほう・・・・。」

 

1番上にあった「一柳隊」と書かれた封筒を手に取り・・・・・

 

「夢結君と梨璃君を呼んではくれないか・・・・?」

 




アニメ12話完!

次回BOUQUET編最終回!(アンケートも締切近いです)

それではまた次回!


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18話:白銀の妖精


BOUQUET編最終話!

18話、始まります。


「平和だね〜。」

 

「平和ですね〜。」

 

由比ヶ浜ネストを殲滅してから数日、梨璃と二水は完全に緩みきっていた。

 

「貴方達、ネストを1つ潰したからってヒュージがいなくなった訳では無いのよ?だからもっとリリィとしての自覚を・・・・」

 

「ごめんなさいお姉様、でもここ最近ヒュージの出現も無いですし〜。」

 

「こういう時こそしっかりと羽休めする時なんじゃないでしょうか〜。」

 

「だからって気を緩めすぎるのも・・・・はぁ・・・・。」

 

2人の態度に完全に呆れる夢結だった。

 

一方その頃───。

 

工廠科の百由の工房にて・・・・・

 

「解析終わったんですか?」

 

「ええ・・・・・結論から言っちゃうと凄いわね、これ。これを元にCHARMを作ったらとんでもない物が出来ちゃうくらいにね。」

 

先日のヒュージとの戦いで破損した杖だが師匠の話で魔石さえ無事なら幾らでも作り直せる事が分かった為、百由に新しく作れ無いか相談をしていた。

 

「それで、新しく杖を作りたいって事なんだけど形は前のままでいいの?」

 

「えっと、できればこの世界の技術も取り入れたいと思って・・・・。」

 

「それだったら変形機能を持たせるってのはどうじゃ?例えば砲撃に特化した形態とか・・・・・」

 

「つまりCHARMで言う射撃形態ね!そうなるとこれがこうなって・・・・・」

 

「おお、何か見たことのある形になってきたぞ!」

 

「あの・・・・ミリアムさん?この世界に魔法使いっていないはずでは・・・・?」

 

「現実にいないだけじゃ!そういえばミレイ、お主大規模な魔法を使う時はどうしてる?」

 

「えっと、大規模なの以外は無詠唱で大丈夫なのですが【フォトン・バスター】の最小威力でもせめて1、2分くらいは・・・・・。」

 

「じゃったらここをこうして・・・・・」

 

(あの・・・・・2人共お手柔らかに・・・・ってもう聞いてませんね。)

 

「ぐろっぴ、放課後までには設計終わらせるわよ!」

 

「了解じゃ百由様!」

 

ミレイそっちのけで没頭する2人。

 

(お茶でも入れて来ますか・・・・・。)

 

終日2人を手伝うミレイだった。

 

放課後───。

 

「ごめんね神琳さん、頼んじゃって。」

 

「いえいえ、幾らでも頼ってくださいな。」

 

雨嘉と神琳の部屋にミレイが呼ばれ身だしなみを整えていた。

 

「あの・・・・・梨璃さん?もう放課後なのですが何か意味が?」

 

「え!?えっと、大した理由は無いんだけど・・・・・。」

 

突然の質問に動揺する梨璃。

 

「はい、できましたよ。梨璃さん、私は先に行ってますね。」

 

「うん、神琳さんありがとう!」

 

(梨璃さん、やっぱり何か隠してる?)

 

そう思いつつも数分後梨璃と一緒に移動し着いたのは・・・・・

 

「ここ・・・・一柳隊の控室ですよね?」

 

「いいから開けてみて?」

 

ミレイが扉を開くと一柳隊、アールヴヘイムの全員が集まっていて・・・・・

 

『ミレイさん、入学おめでとう!』

 

「・・・・・え?」

 

部屋に入るなり急に言われた一言に困惑していた。

 

「あの・・・・・ちょっと意味がわからないのですが・・・・・」

 

「みんな、貴方の為に動いてくれたのよ。」

 

理事長代行に提出された署名と嘆願書───。

それはミレイを百合ヶ丘の生徒として迎えたいという全員の思いであった。

その思いが理事長代行を動かし特例として入学を許可したのだという。

 

「だからってこんな事までしなくても・・・・。」

 

「これは梨璃の提案で普段驚かされてばっかりだから逆に驚かしたかったみたいよ。ね?」

 

「ごめんねミレイちゃん!もしかして嫌だった?」

 

「大丈夫です。でも・・・・ありがとうございます。皆さんも今後共よろしくお願いします!!」

 

こうして異世界からの魔法使う少女が正式に百合ヶ丘の生徒となった事は瞬く間に広まり、暫く取材が絶えなかったという。

そして他のリリィより小さく綺麗な白銀の髪をした少女を見て周囲からはいつしか皆その名を呼ぶようになった。

 

そう───"白銀の妖精"と。

 

BOUQUET編───完




BOUQUET編完!(作品自体はまだ続きますよ〜。)

百合ヶ丘の生徒となったミレイちゃんの今後の活躍にご期待ください!

ラスバレ編入る前に休憩がてら次回から短編連続投稿入ります。
アンケートご協力ありがとうございました!
この回の投稿を持ちまして締め切・・・・・えぇぇぇぇ!?
・・・・・えー3番目と4番目が決まらないのでその2つだけ一週間延長します。引き続きご協力ください。

それではまた次回!(ラスバレで神夢結11連1回目で出ました)


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短編:お酒入りチョコレート騒動!?


読者の皆様ごきげんよう!

短編連続投稿1回目です。(読者の皆様方の投票により投稿順決めてます。)

それでは始まります。


「えへへ~お姉ちゃん〜。」

 

樟美の片腕をしっかりと掴み離れようとしないミレイ。

 

「助けて・・・・天葉姉様・・・・。」

 

「一体どうしたらこんな事になるのよ・・・・・。」

 

「ごめんなさい天葉、実は・・・・・」

 

時は遡る事数分前───

 

夢結の話によると楓が持って来たチョコにお酒が入っていたらしく全員1個づつ食べたところ何故かミレイだけが酔ってしまったらしい・・・・。

その後、「何か暑いので外の空気吸って来ます・・・・」と言って部屋を出たところ2人と鉢合わせし現在に至る・・・・・。

 

「はぁ・・・・道理で少しふらついてたし顔も少し赤かった訳だわ・・・・。ちょっと戻って皆に説明して来るね・・・・・。」

 

部屋を出て行く天葉。

 

「で、どうするんだこれ。」

 

「と言っても無理矢理引き剥がすわけにはいかないしな・・・・・。」

 

「大丈夫です!ミレイちゃんは私が何とかしてみせます!」

 

全員が悩む中梨璃がやる気になっていた。

 

「梨璃、本当に大丈夫なの?」

 

「大丈夫です!・・・・・ほ~らミレイちゃん、お姉ちゃんですよ〜、こっちおいで〜。」

 

梨璃が手を広げ抱き寄せようとするが・・・・・

 

「やら!私のお姉ちゃんはお姉ちゃんだけだもん!」

 

樟美から一向に離れようとしない。

 

(梨璃さんが駄目でも私なら・・・・・。)

 

「あら、雨嘉さん?」

 

「ほら、ミレイ・・・・・」

 

雨嘉がミレイに向かって手を伸ばしたが少し怖かったのかそっぽを向かれてしまった。

 

「何で・・・・・。」

 

「頭を撫でたかっただけなのに・・・・・。」

 

ミレイに拒まれた事によって意気消沈する2人だった。

が、その時・・・・・

 

「話は聞かせてもらったわ!また樟美が大変みたいね!?」

 

扉が勢いよく開かれ、入って来たのは亜羅椰だった。

 

「ここは私に任せなさい!・・・・ねぇ、ミレイさん?少しお姉さんの部屋で楽しい事しない?」

 

『食べる気だ!!』その場にいた全員がそう思った。

 

「えぐっ・・・この人怖い・・・・。」

 

涙目になってしまった。

 

「へぇ~、ねぇ、お姉さんのどこが怖いのか教えてくれない?」

 

「・・・・・顔。」

 

笑顔を引きつらせる亜羅椰。

 

「そう・・・・顔、顔ね・・・・。」

 

ガックリと肩を落とし部屋を出て行く。

 

(私のどこが怖いですってぇぇぇぇぇぇ!!!)

 

(うわ───!亜羅椰が壊れた───!!)

 

(ちょっと亜羅椰!CHARMを振り回すのはやめなさい!)

 

「お姉ちゃん、私、怖い・・・・・。」

 

「ミレイ・・・・・。」

 

その声が響いてしまった為完全に泣き出してしまった。

 

「なぁ、夢結・・・・・」

 

「やらないわよ。」

 

「でもこうなってしまってはのう・・・・。」

 

夢結に視線が集まる。

 

「はぁ・・・・・わかったわよ。」

 

「え?お姉様、何を・・・・・?」

 

「ほら、ミレイ、お姉ちゃん疲れちゃったみたいだからこっちにいらっしゃい。」

 

隣に座り優しく声をかけると・・・・・

 

「お母さん・・・・・?うん、ごめんね、お姉ちゃん・・・・・。」

 

「え?」

 

樟美の元を離れて夢結の胸元に抱きついた。

 

「ミレイ、大丈夫?」

 

「うん・・・・・えっとね、今日はお姉ちゃんと一緒にいられて・・・・・」

 

「そう、良かったわね。」

 

「でも、あの怖い人の大声が怖くて、私・・・・・」

 

「大丈夫よ・・・・・大丈夫だから・・・・・。」

 

そっとミレイの頭を撫で落ち着かせる。

 

「皆、もう大丈夫よ。寝ちゃったみたいだから。」

 

「お姉様・・・・・凄い・・・・・でも、何で?」

 

「私は優しく接しただけよ。さて・・・・・このまま部屋まで運んでしまいましょう。」

 

その後、ミレイを酔わせてはいけない事を誓った一同だった・・・・・。




皆も気を付けよう!調べたところ弱い人は本当に弱いらしいので!(主は酒入りチョコは食べた事ありませんが。)

とりあえずチョコ1個(アルコール度数1〜2%位)で酔ったのは置いとくとして幼児退行させて樟美に思いっきり絡ませて見ました(笑)ミレイちゃんと樟美の関係については6話辺りを読み直して頂ければ・・・・・。
後アニメ7話の夢結お母さん(仮)再び!

アンケートご協力ありがとうございました!無事に順番決まったので締切ります!

それではまた次回!ごきげんよう~。


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短編:夢の中のお話─梨璃編─


読者の皆様ごきげんよう!

短編連続投稿2回目です。

樟美、雨嘉に続き夢オチ第3弾!

それでは始まります。


駅前───。

 

「あの子大丈夫かな・・・・乗り換えとか間違えて無いかな・・・・?」

 

「梨璃、少し落ち着きなさい。」

 

いつ到着するのかわからずそわそわする梨璃。

 

「でも日本に来るのも久しぶりだって言ってましたし・・・・」

 

「お姉ちゃん。」

 

「やっぱり今から連絡して近くまで迎えに・・・・え?」

 

「お姉ちゃん、お久しぶりです。」

 

梨璃がその声に気付き振り向くとそこにいたのは百合ヶ丘の制服を着た白銀の髪の少女だった。

 

「ミレイちゃん、久しぶり!・・・・大丈夫?ここまで迷わなかった!?」

 

「もう・・・・お姉ちゃん、急に抱き付くのは恥ずかしいよ・・・・それに、まだ待ちあわせの時間には少し余裕あるから。・・・・お姉ちゃん、もしかして隣りにいるのがお姉ちゃんの・・・・?」

 

「うん、私のお姉様!」

 

「貴方の噂は聞いてるわ。白井 夢結よ。よろしくね。」

 

「はい、初めまして!」

 

学院までの移動中───。

 

「あの・・・お姉ちゃん、ちょっと恥ずかしい・・・・・。」

 

ミレイの右手を握ったまま離さない梨璃。

 

「え?だってミレイちゃんまだ学院までの道わからないでしょ?だからこうしてた方が安心かなって!」

 

「もう、お姉ちゃんたら・・・・・ところで夢結様、お姉ちゃんから大体の事は聞いているのですが実際のところどうなんですか?」

 

「梨璃、もしかして貴方ミレイさんに悪い所隠してないかしら?」

 

「お姉様?えっと・・・・そんな事は・・・・その・・・・・」

 

「お姉ちゃん?まさか夢結様とか他の人に迷惑かけたりとか・・・・・。」

 

「もう、お姉様もミレイちゃんも意地悪です!確かにお姉様の事ばかりしか話してませんでしたけど、迷惑はかけてないよ!?」

 

「確かに夢結様の事ばかりだったなぁ〜」と、思い出していたミレイだがそれはそれで問題なのでは・・・・・と、少し苦笑いになっていた。

 

「ちょっとミレイちゃん、ここで待っててね!」

 

梨璃が何かに気付いて走り出す。その先には・・・・・

 

「はい、ミレイちゃん!お姉様も!」

 

戻って来るとラムネが握られていた。

 

「これ、ラムネ?こんな所に自販機なんてあったんだ・・・・・。でも、ありがとう、お姉ちゃん!」

 

───。

 

「夢結様、お姉ちゃん、私は理事長室に行くからまた後で!」

 

「うん、ミレイちゃん。あ、入学おめでとう!これからもよろしくね!」

 

「ミレイさん、おめでとう。」

 

「ありがとうございます!私、この学院で頑張ります!」

 

2人に背を向け小走りに去って行くミレイだった・・・・・。

 

───。

 

「・・・・・な夢を昨日見ちゃいまして〜。」

 

ラウンジで顔を赤らめながら嬉しそうに2人に話す梨璃。

 

「ありえないわね。」「ありえないですね。」

 

それを紅茶を飲みながら聞いていた夢結とミレイ。

 

「もしかしてミレイちゃん、他人の夢に干渉する魔法を使ってそれで私にあんな夢を・・・・・?やだ〜そういう事は先に言ってくれないと・・・・・」

 

「私は何もしてませんよ・・・・」

 

(そんな魔法ありましたかね・・・・・?)

 

「全くこの子は・・・・・」

 

少し考えながらも同時にため息をつくミレイと夢結だった。




以上!夢オチ梨璃編でした!

ちなみに今回のシチュエーションは・・・・・

梨璃とミレイが遠縁の親戚、幼なじみでありミレイが百合ヶ丘に編入が決まり梨璃と夢結が迎えに行くという設定です。

いかがだったでしょうか?(違和感あったらごめんなさい。)

短編連続投稿も半分終了!残り2回!

それではまた次回!ごきげんよう~。


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短編 :ミレイのネコ語講座?

【更新情報】
誤字修正しました。

読者の皆様ごきげんよう!

短編連続投稿3回目!(延長戦の末の3位)

さて、突然ですが問題です。一柳隊で猫といえば?
(ヒント:雨嘉以外)




それでは始まります。



中庭───。

 

その日は小規模の旋風が吹き荒れていた。

そして、その中心にいたのは・・・・・

 

(ふぅ・・・・・今日のところはこのくらいでしょうか。あら?)

 

ぽふっ・・・・・

 

ミレイが頭が少し重い事に気付き触れてみると猫が乗っていた。

 

「えっと・・・・・もしかして気が付かずに巻き込んじゃいました?」

 

「にゃあ」

 

「それはごめんなさい。といってもこのままじゃ何を言っているのかわからないですし・・・・・」

 

目を閉じて何らかの魔法を発動させる。

 

「これで良しっと。さて、猫さん?あなたの仲間の所に連れて行ってもらえませんか?」

 

───。

 

「やっぱりここは気持ちいいなー。」

 

梅が木陰で寝そべっていた。側にいた鶴紗は今日も猫に触れようとチャレンジしていたがまたそっぽを向かれてしまっていた。

 

「まだ駄目なのか・・・・・。」

 

「気長に頑張るといいんじゃないか〜。お、ミレイ、お前も日向ぼっこか?」

 

「違いますよ。それにしてもこんなにいたんですね。」

 

「お前・・・・その猫」

 

ミレイが抱えていたのは真っ白い猫だった。

 

「どうやら先程の風魔法の練習で巻き込んでしまったみたいでこの猫さんに案内して貰いました。」

 

「お、その猫梅の近くにも来てくれなくてな、いつの間に仲良くなったんだ?」

 

「実は動物の言葉がわかる魔法を使いまして。ほら、仲間の所に着きましたよ。」

 

地面に下ろすが動こうとしない。

 

「どうしたんですか?」

 

『あら、このワタクシを他の猫と一緒にしないで頂けますの?』

 

「あの・・・・・梅さん、この猫ってもしかして人見知り?」

 

「実は梅もそいつの事はよく知らなくてな・・・・・」

 

『あぁ、そいついつもそうやって1人になろうとするんだ。』

 

梅の側にいた三毛猫か喋りだした。

 

「そうなんですか。ねえ、貴方毛の色が皆さんと違う事気にしてませんか?」

 

『え?・・・・・そ、そんな事はありませんわ!ワタクシはただ1人が好きなだけで・・・・・』

 

明らかに動揺していた。

 

『こっちおいでよ〜。』『気持ち良いよ〜。』

 

「ほら、他の猫さんもこう言ってる事ですし。」

 

『もう、貴方達は・・・・・わかりました、考えておきますわよ!!』

 

そう言ってその白猫は何故かミレイの頭の上に被さった。

 

「あの・・・・・私の頭の上に乗るのやめてくれませんか?」

 

『だってここが1番落ち着くんですもの。』

 

「もう・・・・今日だけですよ?」

 

「凄いな、ミレイは!」

 

「ああ・・・・・」

 

そんなミレイを見て感心した梅と意気消沈する鶴紗だった。

 

「ところで鶴紗さん?先程から元気無いように見え・・・・・え?この人少し怖い?」

 

「お前っ・・・・・何を言って・・・・・」

 

どうやら他の猫の話によると見つける度に全速力で向かって来るため皆ビックリして少し怖いのだそうな・・・・・。

 

「鶴紗さん?もう少し梅さんを見習ってみては?」

 

「それはそうしたいんだが・・・・・なぁミレイ、私に仲良くなるコツを教えてくれないか?」

 

「なんで私なんですか・・・・・ここは一緒にいる事が多い梅さんの方が・・・・・」

 

「ミレイ、頑張れ〜。」

 

気の緩んだ返事で返す梅。

 

「・・・・・はぁ、わかりました。ではまずは猫の気持ちを理解する所から始めて・・・・・」

 

そうして鶴紗の猫に好かれるための特訓は始まった。

 

そして数日後・・・・・

 

「にゃ〜ん」

 

『あら、お腹が空きましたの?』

 

「うにゃ〜ん」

 

『かまって欲しい、ですわね。』

 

そこには猫耳と猫尻尾を着けて完全に猫になりきっている鶴紗がいた。

 

「なんか日に日に鶴紗さん猫化してませんか?」

 

「鶴紗、可愛い・・・・・。」

 

「それもそうなんですけどミレイさんの抱いている白猫は?」

 

「どうやらミレイに懐いちゃったみたいだぞ!」

 

どうやら朝に寮の前で待っている事が多いので仕方なく控室まで連れて来ているとの理由だった。ミレイからすると通訳として重宝しているらしいが。

 

「どうですか?」

 

『ここまで話せるようになれば大丈夫だと思いますわよ?』

 

「鶴紗さん、この子も大丈夫と言ってますので後はその調子で頑張って下さい!」

 

「そうか・・・・ちょっと行ってくる。」

 

そう言って猫耳等を着けたまま中庭に向かうのだった。

 

「本当に大丈夫なんですか?」

 

『ワタクシを信じて下さいまし。・・・・・ところで今更ですが貴方のその力をあの方に使ってあげればよろしかったのではなくて?』

 

「あ・・・・・。」

 

段々と猫になりきっていく鶴紗が面白く可愛かったのでその事に最後まで気付かなかったミレイだった。

 

ちなみに中庭では猫耳と猫尻尾を着けてにゃーにゃー言いながら猫を追い回す鶴紗が度々目撃されたとか・・・・・。




多分この回が1番くだらないです(自虐)

白猫の口調ですが某作品の風魔法が得意なあの子の口調を参考にしたつもりですが何か楓に近くなった気がする。

さて、短編連続投稿も次回がラスト!

それではまた次回!ごきげんよう!


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大賢者と白銀の髪の少女


短編連続投稿企画最終回!

【WARNING!!】
微量のグロ要素有り(と言っても普通に読めるレベルですが・・・・。)

それでは始まります。


王都からかなり離れたその場所に寂れた農村がありました。

このお話はそこで起こった1日の出来事───。

 

 

その農村の孤児院───。

といっても農作業で忙しい夫婦の為に子供を預かっているのでどちらかというと託児所のような所にある1人の少女が木陰で本を読んでいました。

他の子供達は皆で遊んでいたのですが何故その少女だけ孤立していたのかというと・・・・・

 

髪の色が周りと違って物凄く白かったのです。

 

そのためか気味悪がられ誰も近寄ろうとはしませんでしたがそれでも心配して声をかけてくれた子はいたのですが・・・・・

 

「ねえ、そんな所で本読んでないで私達と一緒に遊ばない?」

 

「・・・・・私と一緒にいない方がいいよ?あなたまで仲間外れにされると思うから。」

 

「え・・・・・?う、うん・・・・・ごめん、ね?」

 

「大丈夫。気にしてないから。」

 

とまあこんなやりとりもたまにありましたが石を投げられる事も少なくなく、その度に額に怪我をしていました。いつもの事なのであまり気にしていないみたいでしたが。

 

その日の正午頃、急に騒がしくなりました。

何者かが空から村の入口に降り立ったのです。

 

「あの・・・・・申し訳無いですが村長を呼んでくださいませんか?」

 

その空から箒に乗って降りて来たのは青い髪の少女で酷く疲れていました。

 

「ワシがこの村の村長じゃ。」

 

「突然ごめんなさい。私、旅をしている者でして今晩こちらに泊めて頂けないでしょうか?」

 

「泊めるのは構わんのじゃがこの村はのぅ・・・・・」

 

村長の話によるとこのくらいの収穫の時期、夜中にゴブリン共が農作物を荒らしに来るとの事でした。

 

「そうでしたか・・・・・あ、だったら泊めて貰うお礼にそのゴブリン、私が退治しましょう。これでも私、王都では"大賢者"と呼ばれていまして結構強いんですよ!」

 

そうして青い髪の少女はゴブリン退治と引き替えに村に一晩泊めて貰う事になりました。

 

しかし、この時村長はとんでもないミスをしてしまいます。それは・・・・・

 

「もう・・・・・ゴブリンなんて来ないじゃないですか・・・・・寝よ・・・・・。」

 

村長のしてしまったミス、それはゴブリンの来る時間を正確に伝えていなかった事。

この魔法使いの少女は以外に早寝だったのです。

 

そして夜中───。

 

「ゴブリンがきたぞ───!!!!!」

 

その言葉に村は大慌てになりましたが・・・・・

 

「おい、旅の魔法使いは?退治してくれるんじゃ無かったのか!?」

 

「まさかもう寝たんじゃ・・・・・ちょっと呼んで来る!!」

 

村人が少女の部屋に入ると案の定寝ていました。

 

「起きて下さい!ゴブリンがきました!」

 

「ん・・・・・後5時間・・・・・。」

 

「そんな事言わずに!お願いします!」

 

必死で起こそうとするもなかなか起きませんでしたが、そのあまりのうざったさに少女は眼を覚ましました。

 

そして寝間着のまま無理矢理外に出され・・・・・

 

「眠い・・・・・」

 

少女の眼前にいたのは小柄なゴブリンが数体、そして周りのより巨体なのが一体いました。恐らくは群れのリーダーだったのでしょう。

 

「グルルルルル・・・・・」

 

「・・・・・うっさい。」

 

ズルリ・・・・・

 

巨体のゴブリンが歯軋りで威嚇していたその時、少女が右腕を外側に振った瞬間、急に首から上が落下し、青い血を吹きだしたのです。

 

「せっかく今夜は久しぶりにゆっくり寝られると思ったのに・・・・・」

 

リーダーを失ったゴブリン達でしたが余りの威圧感に動けなくなるなる者、腰を抜かす者と様々でした。

 

「私の眠りを妨げるのは誰だああああああ!!!!」

 

吹き荒れる旋風、そして爆音。

 

必死に逃げ惑うゴブリン達でしたが為す術も無く殺られていきました。

 

そして地獄のような一晩が経ち・・・・・

 

「昨日は泊めて頂いてありがとうございました!で、これ何があったんですか?ゴブリンは来なかったみたいですが。」

 

よく寝られたのかスッキリした顔でお礼を言いました。が、昨日の事は一切記憶に無いみたいで気が付くと何故か村の周りの木々が倒され、そこら中にクレーターの様な物が出来上がっていました。

 

「あ、あぁ・・・・・それよりこれをお持ちくだされ。」

 

渡されたのは袋に入れられた村で採れた野菜の数々。

 

「わ、こんなに・・・・・ありがとうございます。ところであそこにいる銀髪の子は?」

 

「あぁ・・・・・あの子は両親もおらず孤児でして・・・・・」

 

そして青い髪の少女が銀髪の髪の少女の元により・・・・・

 

「ねぇ、一緒に来ませんか?」

 

「え・・・・・?でも・・・・・私・・・・・。」

 

「そいつと一緒にいたら呪われるぞ!」「そーだそーだ!」と男子が騒ぎ出しましたが・・・・・

 

「あの子達の言ってる事は気にしなくていいですよ。もし呪われてもすぐに治せますから!」

 

「うん・・・・・ありがとう。」

 

「んじゃ決まり!村長さん、この子、私が引き取ります!行こっか!」

 

そう言って箒に銀髪の少女を乗せ飛び立ちました。

「2度と来るな!」「この破壊神!」等の罵声が聞こえましたが全て無視して。

 

「あの・・・・・これからどうするの?」

 

「ん───、ここまで来ちゃうともう他に町とかも無さそうだし・・・・・どっか適当な場所に家でも建てて暮らしましょうか!」

 

こうして2人は人里離れた遠くの地で静か?に暮らしました。

 

あ、村にいた男の子達ですが成人してからも暫くは青い髪の女性を怖がったそうですよ?

 

ちなみに銀髪の髪の少女は青い髪の少女の弟子となり魔法使いとしての道を歩み始める訳ですが今現在は・・・・・

 

あ、はい私です、ミレイです。今は別の世界で元気にやってます。

 

尚、この話はなかなか寝ない子を寝かしつける為に使われ、「早く寝ないと寝ぼけた魔女が襲って来る」と言うと恐怖を感じすぐに寝てくれるので向こうの世界ではなかなか好評だったという・・・・・。




いかがだったでしょうか。(多少魔女の旅々風味)

よし、きゅーけー!(ラスバレスタンプ風)終了!
次回からラスバレ編入ります!(短編は何か思い付き次第書きます)

余談:ラスバレで運営が(いい意味で)余計な事してきたのでそっちの話も気が向いたら書こうと思います。

それではまた次回!!


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19話:新たなる力


ラスバレ編突入!

【WARNING!!】
開幕残酷な描写有り

19話、始まります。

白銀の妖精、再び空へ───。


黒い業火の中、傷付き倒れている梨璃達───。

その前に1人の血で染まった少女が立っていた。

姿こそミレイと瓜二つだったが黒い髪に赤く染まった眼をしていた。

ふとその少女が何かに気付き振り向きざまにこう言った。

 

 

ねえ・・・・・早く何とかしないとこうなる・・・・・よ?

 

 

彼女が見た光景はここで途切れた。

 

 

───。

 

「はぁ、はぁ、、はあ・・・・・急いで!ヒュージがすぐそこまで来てる・・・・・」

 

「っ、駄目・・・・・さっきの戦闘で足が───。」

 

雨の降る森林の中、負傷しヒュージから逃げている2人のリリィ。

 

「ぁ・・・・・あぁっ!ヒュージが、あ、あんなに沢山・・・・・っ、」

 

「っ、私達はエレンスゲのリリィよ。このままでは終わらせない・・・・・!」

 

「いやあぁぁぁぁ・・・・・つ!!」

 

1人が悲鳴を上げたその瞬間───。

 

「グラヴィティ!」

 

目の前にいた多数のヒュージが何かに押さえつけられたように動きを止めた。

 

「梨璃、今よ!」

 

「はい、お姉様!」

 

「フォトン・レイ、7点射(セブンス)!」

 

ザンッ! ドドドドドン!!

 

梨璃と夢結の連携と複数の光の玊から放たれたレーザーによって瞬く間にヒュージは倒された。

 

「大丈夫ですかっ?エレンスゲの方ですよね?」

 

「ありがとうございます。助かりました。その制服・・・・・あなた方はもしかして・・・・・」

 

「百合ヶ丘の・・・・・」

 

「はい、一柳隊です!」

 

「挨拶は後よ。今は一刻も早く、ここから離れましょう。」

 

「ちょっと失礼しますね。」

 

「え・・・・・あの・・・・・?」

 

ミレイが怪我をしていたリリィに近づき傷口に手をかざすと緑色の光が包み込んだ。

 

「痛く・・・・・無い?」

 

「一応傷口は塞ぎましたが後でちゃんと診てもらってくださいね?」

 

「あ・・・・・はい、ありがとうございます・・・・・。」

 

見ていた1人も何が起こったのか困惑していた。

 

「夢結さん、梨璃さん、ちょっと視界が悪いので空に上がります!」

 

「うん、こっちは任せて!」

 

「何かあったらこちらから連絡するわ。」

 

足元に風を集め蹴り上げるように飛んだ。

 

「ねえ、今飛んでったあの子CHARM持って無かったけどもしかして噂の・・・・・」

 

「怪我もしてるし1度私達は退きましょう。あの、助けてくださってありがとうございました!」

 

梨璃と夢結に深くお辞儀をし撤退する2人だった。

 

「梨璃さん、夢結様!と・・・・・あら、ミレイさんは?」

 

「え、楓さん、ミレイちゃんなら今さっき・・・・・」

 

「上よ。」

 

「・・・・・10時の方向からさらにヒュージが!気を付けてくださいまし!」

 

夢結に言われたまま上を確認し何事も無かったように続ける楓。

 

「ま、待ってください!あのヒュージ、体中に真新しい傷が・・・・・!」

 

「手負い・・・・・あれはCHARMによる刀傷。どこかでリリィと交戦した・・・・・?」

 

ヒュージが梨璃達に気付くと急に動き出し・・・・・

 

「えぇっ、逃げ出した・・・・・っ?」

 

「逃がしません!雨嘉さん、十字砲火を仕掛けましょう!」

 

「っ駄目・・・・・遮蔽物が多い。それに動きが速い・・・・・!」

 

「速さ比べなら私の出番だな!」

 

梅が追いかけようとするが・・・・・

 

「いえ、待って・・・・・梅。」

 

「夢結、どうした?」

 

「誰か忘れて無いかしら?私達には・・・・・」

 

「そうじゃ!ミレイがおる!」

 

《ミレイ、今私達の所から逃げたヒュージ、わかるかしら。》

 

森林上空───。

 

《えっと・・・・・はい、見えました!》

 

広域探知と遠目の同時使用で位置を確認する。

 

《そのヒュージ、少し動きが早くて。遮蔽物も多いしそこからお願い出来る?》

 

《わかりました。やってみます!》

 

(あれ・・・・・試してみますか・・・・・。)

 

首に掛けているペンダントを握り左手を前に出し物体をイメージする。

 

(来て・・・・・ミストルティン。)

 

左手に現れたのは背丈より少し長い灰色の杖。その杖を両手で掴みグリップを起こして引くと先端に付いていた2本のアームが稼働し形状を変化させた。

 

(よしっと・・・・・後は・・・・・)

 

魔法弾(マジックバレット)装填(セット)───。」

 

腰に着けていたポーチから先端が白い弾丸を一発取り出し弾倉に込めると杖の先端に光の玊と魔法陣が出現する。

 

(雨嘉さん直伝長距離射撃、行きま・・・・・え?)

 

気付くと誰かがヒュージに接近していた。

 

───。

 

「ヒュージ、見つけたぁぁぁっ!」

 

「藍、待ちなさい!」

 

《あの・・・・・夢結さん?あの方達は・・・・・?》

 

《ええ・・・・・あれはエレンスゲのレギオンの・・・・・ちょっと待ってて。》

 

「一葉さん、ちょっと良いかしら?」

 

「え・・・・・あなたは、白井 夢結様!?」

 

「あのヒュージを遠くから一撃で倒せるCHARMで狙っている子がいるから少し離れて欲しいのだけれど・・・・・」

 

「え?一撃で・・・・・?わかりました!藍、戻ってきなさい!」

 

「ヒュージは藍が倒す!」

 

「駄目だよ一葉、こう言わないと藍は止まらないよ〜。藍〜千香瑠がおやつくれるって〜!」

 

「え!?おやつ!」

 

《今よ、ミレイ。》

 

ズドォン!!

 

上空からの閃光がヒュージの身体を貫いた。

 

「え・・・・・?」

 

「「「「何・・・・・あれ?」」」」

 

藍は目の前で何が起こったのか理解出来ず他のメンバーもその光景に黙り込んでしまうのだった。

 

「皆さん、ただいま戻りました。えっと、先程ヒュージを追っていた方々ですよ・・・・・ね?」

 

「あ、あなた・・・・・まさか・・・・・?」

 

「もしかして江川 樟美さん?アールヴヘイム所属の筈では・・・・・」

 

「一葉、違うよ!?確かに似てるけど!ほら・・・・ワールドリリィグラフィックで丸々1冊特集号が発行された事で一時期話題になって『白銀の妖精』と呼ばれてるあの魔法を使う・・・・・」

 

(似てる所は否定しないんですね・・・・・。)

 

「すみません恋花様、そういうのはあまり読まないもので・・・・・。」

 

「えっと・・・・・そろそろいいですか?初めまして、ミレイ・アルシェントです。一応リリィでは無く魔法使いやってます。」

 

この後驚いた一葉がミレイに対して全力で謝罪したのは言うまでもなく・・・・・。




以上!ラスバレ編1話お送りしました!(ストーリー読み直しながら書いてたら台詞多くなっちゃいました)

BOUQUET編からの更新内容:
ミレイちゃんにかかっていた封印(!?)がほんの少し弱まりました

多少のキャラ崩壊は勘弁!(特に一葉と藍)

今更ですが初見だと高確率で樟美と間違えられます。(一葉ならやらかしそうだと思ったので久々にこのネタ使わせてもらいました!)※グラン・エプレの方どうするかは未定

さてさて遂に登場しましたミレイちゃんの新杖!(しつこいようですがCHARMではありません)
ではその杖の詳細を・・・・・

・ミストルティン
正式名称:可変型汎用杖【ミストルティン】

先のヒュージとの戦いの際粉々になった杖に代わり、百由、ミリアム等百合ヶ丘工廠科の総力、ミレイの魔法知識を合わせて作られた新たな杖。
砲撃モードが新たに加わり、射撃の安定性が向上。また、各属性の【魔法弾(マジックバレット)】を装填(弾丸の先端の色で属性を判別)する事により、瞬間的に魔法の発動を可能にする。(使用後は排出され先端が黒くなるが再び魔力を込める事によって使用可能になる)※ノインヴェルト弾と同じ口径のためCHARMにも使えるとか・・・・(逆にミストルティンにノインヴェルト弾を装填する事も理論上可能)
2発まで同時装填可能。
魔法弾は白(光)、緑(風)、赤(炎)、青(水、氷)、黄(雷)を各2発ずつ専用ポーチに入れている。

補足:ベルカ式(なのは)でも良かったのですが汎用性に乏しいのであえて魔弾銃(ダイの大冒険)とかフルボトルバスター(仮面ライダービルド)辺りのシステムを採用してみました。(その気になれば赤+青でメドローアみたいな合成魔法を放つ事も)

それではまた次回!


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20話:ヘルヴォル


とある2つのレギオンに料理が得意な子が一人ずついました。
もしこの2人が何かの偶然で出会った場合どうなるでしょうか?

答えは本文で!

20話、始まります。


「・・・・・周辺にヒュージの反応無しっと。とりあえず暫くは大丈夫だと思います。」

 

「ミレイちゃん、お疲れ様!」

 

「・・・・・。」

 

手負いのヒュージの撃破後雨も止み自己紹介の後、ミレイの広域探知で他にヒュージの気配が無い事がわかり束の間の休息をしていた。

 

「ところでミレイ、ミストルティンの調子はどうじゃ?」

 

「ええ、いい感じです。魔法弾のおかげで魔力消費も少なくて済みますし。ありがとうございます!ところで・・・・・」

 

「ん、どうした?何か違和感でもあったか?」

 

「いえ、杖に問題は無いのですが・・・・・あの出す時のあれ、毎回やらないと駄目なんですか?少し恥ずかしくて・・・・・。」

 

「あれは完全にわしの趣味じゃ!音声認識機能なんか付けて無いから安心せい!」

 

「はぁ・・・・・。」

 

ミリアムの言葉で人前で二度とやらない事を決めたミレイだった。

 

「えっと・・・・・こっちがミレイさんで、髪飾りを着けている方が・・・・・」

 

「一葉〜、ってまだやってたの!?」

 

ミレイがどっからか取り出したワールドリリィグラフィックの特集号の中の数枚だけあったミレイと樟美のツーショットを見て頭を唸らせていた。

 

「ええ・・・・・やっと見分けがつくようになってきたのですが油断するとまた間違えてしまいそうで・・・・・。あの、梨璃さん、何か簡単に見分ける方法ってありませんか?」

 

「え?簡単だよ!?可愛い方がミレイちゃん!」

 

「え・・・・・?」

 

「梨璃、説明になってないわよ。あなたみたいに最初から見分けがつく人の方が少ないのだから。そうね・・・・・どちらかはわからないうちは後ろから声をかけないとか、外見より身長で判断した方が簡単よ。」

 

「ありがとうございます。確かに周りより小さいからそっちの方がわかりやすいかも・・・・・。」

 

(それ私が1番嫌な見分けられ方なのですが・・・・・。)

 

本人の意思など気にせず勝手に納得する一葉。

そもそも百合ヶ丘では"迷ったらまず外見より身長"が定着してしまっているので怒るに怒れないミレイだった。

 

「千香瑠〜喉乾いた〜。」

 

「これは困りましたね・・・・・。」

 

ミリアム特製のチョコレートを食べ終えてしまい、今度は喉が乾いたと騒ぎ出す藍。勿論急だったのでジュース等の甘い物等持って来てはいなかったのだが・・・・・

 

「えっと・・・・・藍さんの口に合うかわからないのですが紅茶なら・・・・・。」

 

いつの間にかミレイが魔法瓶とコップを複数持っていた。

 

「だからそれどこから!?」

 

「一葉さん、あまり驚かない方がいいわよ、切りがないから。ミレイ、私にも貰えないかしら。」

 

「どうぞ。流石にティーカップでは無くコップですが。あ、皆さん、クッキーもあるのですがいかがですか?」

 

「あら、これもしかしてブレンド茶?」

 

「え?少し飲んだだけでわかったんですか?」

 

「やっぱり。初めて飲んだ味だったので。もしかしてこのクッキーも?」

 

「あ、わかります?実はそれ新作なんです!いつも控室に置いて食べてもらっているのですがここまでわかってくれる方は初めてです!」

 

「ありがとうございます。もし良ければ作り方を教えてくれますか?」

 

急に盛り上がるミレイと千香瑠。

 

「あれミレイちゃんの手作りだったんだ・・・・・。」

 

「もしかしてあいつが毎日お茶汲みやってるのって・・・・・」

 

「これは私の予想が当たったみたいですね。」

 

神琳の話によると自分が来るよりも早く控室の掃除を済ませ更にはその日の紅茶等飲料類、茶菓子の用意、挙げ句の果てにはラウンジでも自作のブレンド茶を振る舞う姿を見てもしかしてこの子家事万能なのでは?と薄々気付いていた。

 

「あの・・・・・ミレイ、ちゃん?もし良ければ今度エレンスゲに来ませんか?その時は私が自ら腕を振るいますよ。」

 

「それはありがたいです!でも・・・・・作って貰うだけでは申し訳無いので私にも何か作らせて貰えませんか?こっち(の世界)に来てからというものお菓子はたまに作っているのですが料理をする機会が無くって!」

 

「あら、では2人で何が作りましょうか!」

 

「ええ、是非!って藍さん!?」

 

「ミレイ〜もっと〜。」

 

「もうあんまり残っていないのですが・・・・。」

 

完全に自分達の世界に入り込む2人。その傍らで藍が紅茶とクッキーを美味しそうに食べていた。

 

「あの、お姉様・・・・・」

 

「ねえ、神琳・・・・・」

 

「「私も料理上手くなった方がいいのでしょうか(かな)・・・・・?」」

 

「「・・・・・。」」

 

((梨璃(雨嘉さん)には負けない!!))

 

このままでは千香瑠にミレイを取られてしまうかもしれないという危機感に更にライバル心を燃やす梨璃と雨嘉。

 

「凄い・・・・・あんな楽しそうな千香瑠様初めて見た・・・・・。」

 

「一葉。感心してないでそろそろ止めた方がいいと思うよ〜ほら、梨璃さんも。」

 

「そうですね・・・・・梨璃さん。」

 

「え?う、うん!」

 

「千香瑠様!」

 

「ミレイちゃん!」

 

「「そろそろ戻って来て〜(ください)!!」」

 

───。

 

「「ごめんなさい、話が盛り上がってしまって。」」

 

謝る時までハモる程意気投合していた2人だった。

 

「それはいいのですが・・・・・そろそろ本来の任務に戻りたいので。」

 

ヘルヴォルの任務───。

それはこの辺一帯のヒュージの殲滅であった。

先遣隊の報告で戦闘中に形状を変化させる特型ヒュージが潜伏しているとの話だった。

 

「私達ヘルヴォルはその特型ヒュージの討伐任務を果たします。エレンスゲのトップレギオンの名にかけて。なので準備を整えたら再出撃します。このキャンプ地は一柳隊の皆さんで好きに使ってください。」

 

「あの・・・・・みんなに相談があるんだけど・・・・・。」

 

「わかっているわ。あなたの好きなようにしなさい。」

 

「梨璃さんの考える事はみんなもうわかっているって事ですわ。相談なんて必要ありません。」

 

「ありがとう・・・・・一葉さん!私達一柳隊も同行します。」

 

「え?ですが・・・・・。」

 

「あの、そのヒュージを探すのなら私の魔法が役に立つと思いますよ?」

 

「ミレイさんまで・・・・・確かにあなたの魔法であれば探すのは容易だと思いますが・・・・・これ以上一柳隊の力をお借りするのは・・・・・。」

 

「一葉さん、私達の事は気にしなくて大丈夫よ。それにミレイもすっかり仲良くなったみたいだし。ほら。」

 

「ミレイ・・・・・可愛い。」

 

「だからって後ろから抱き付くのは・・・・・って少し苦しいです!」

 

「あら、瑤さんまで。」

 

「瑤ずるい〜藍も〜。」

 

「ああもう!2人共少し離れてください!」

 

気が付くと瑤と藍でミレイの取り合いが起こっていた。

 

「はぁ・・・・・わかりました!では準備が整い次第に出発しましょう。ヘルヴォル、一柳隊の共同任務です!」

 

こうして梨璃の提案とヘルヴォルの面々にもみくちゃにされるミレイを見て一葉が根負けした形で共同でヒュージ捜索にあたる事になったのだった。

 

「はい!出発進行です〜!!」




以上!束の間の休息回!というよりミレイちゃんと千香瑠さん(ラスバレ発表当初からさん付けで呼んでます)の趣味が全開になった回でした!
遥の小さい子好きも反映させてみました(笑)

余談:なのはコラボ回ですが10月くらいを目処に書きたいと思います。(無事3人確保しました。)

それではまた次回!


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21話:黒き炎


ヒュージの捜索に当たる一柳隊とヘルヴォル。
その先に待ち受けるのは───。

【WARNING!!】
微量のグロ要素と残酷な描写有り

21話、始まります。


「えぇぇ──!?千香瑠様も山梨のご出身なんですかっ!?」

 

「はい、そうです。住んでいたのは中学までですが。」

 

「そうだったんですね!わ─、同郷の方とお会いできるなんて嬉しいです!」

 

「私もです。もし梨璃さんがよろしければミレイちゃんと一緒に来ませんか?ほうとうでもご馳走しますよ。」

 

「ありがとうございます!」

 

「ふふっ、ミレイちゃん、これで一品決まりましたね。・・・・・あの、ミレイちゃん?」

 

「・・・・・。」

 

(あれからあの夢を見なくなってしまいましたがあの光景と・・・・・)

 

「・・・・・イ、ミレイちゃん?」

 

(でもあの子私に似てたけど傷だらけで髪も黒かったし・・・・・)

 

「ミレイちゃん!?」

 

「え・・・・・梨璃さん?」

 

梨璃の呼びかけで我に返るミレイ。

 

「ミレイ、なんか元気無い〜。」

 

「えっと・・・・・ごめんなさい、少し考え事をって藍さん!?大丈夫ですから後ろから被さってこないでください!」

 

「え〜もう少し〜。」

 

(歩きにくい・・・・・。)

 

ミレイが怒っても高さが丁度いいのかなかなか離れようとしない藍。

 

「これは完全に懐いちゃったみたいだね〜。」

 

「ですね・・・・・。」

 

これは帰りの時にまた騒ぎ出すかも・・・・・。と、思った一葉。

 

「あの、お願いですからそろそろ・・・・・っ!!皆さん、向こうの方に大きな魔力反応!」

 

「いえ・・・・・反応が大きいのとそれよりも小さいのが一体、後は・・・・・どんどん増えてる?二水さん、ちょっとお願いできますか?」

 

「え?えっと・・・・・ありました!ケイブです、ミレイさんの言った通り周りのヒュージとは違う個体も!」

 

「だったらまずケイブを先に全員で・・・・・」

 

「いえ、ここは上と下からの2方面でヒュージとケイブを叩きましょう。ミレイ、あの最初にラージ級を撃破したときのあれ、今だったらどの位かかるかしら?」

 

「光属性の魔法弾が残り一発でそれを使うとして・・・・・三分程頂ければあの位は出せると思います。」

 

「三分・・・・・ね。ケイブは任せるわ。その間私達はヒュージの相手をしてるから。一葉さん達もそれでいいかしら?」

 

「え・・・・・あの・・・・・作戦内容はわかったのですがミレイさん一人にケイブを任せるって?」

 

「見てればそのうちわかるわよ。梨璃、ミレイ、準備はいいかしら?」

 

「はい、お姉様!」

 

「それではヒュージの方はお願いします!」

 

空に上がるミレイ。

 

「凄い・・・・・ミレイさん本当に飛べるんですね・・・・・えっと、こちらもいつでも行けます!」

 

こうして一柳隊とヘルヴォルによるケイブ破壊とヒュージ撃破作戦は始まった。

 

───。

 

「さて、ケイブの方はミレイさんが何とかするとして・・・・・あの奥にいるのが例の特型ですわね。」

 

ヒュージの群れの中に一体違う個体が混じっているのを神琳が確認した。

 

「頭に輪っか・・・・・それに羽まで・・・・・。」

 

「まるで、天使・・・・・。」

 

「相手はヒュージじゃ。そんなメルヘンチックな相手だと思ってると痛い目に遭うぞ!」

 

「しかし数が多いですわね・・・・・これミレイさんにこっちを先に処理してもらった方が良かったのではなくて?・・・・・ちょっと藍さん!?」

 

「ヒュージはらんがたたきつぶす!」

 

楓が気付くと藍がヒュージの群れに突っ込んで行った。それに続く一葉達。

 

「待ちなさい、藍!・・・・・こちらは私達に任せて!梨璃さん達は頭を潰して!」

 

「了解しました!皆さん、行きま・・・・・」

 

「待て、あのヒュージどこかおかしくないか?」

 

梨璃が号令をかけようとしたが鶴紗が何かに気が付いた。

 

「確かに梅達がここまで接近しても攻撃して来る気配が無いような・・・・・」

 

キュイイイイ・・・・・

 

「確かに動かんのう・・・・・っと今の内に頼まれたデータ収集でも・・・・・」

 

ドン!!

 

ミリアムがタブレットを取り出した瞬間、ヒュージから青い光が明後日の方向に発射された。

 

「外した・・・・・?」

 

「ん?あの方向・・・・・?」

 

梅がヒュージの攻撃した方向を見ると妙に明るかった。

 

「マズい!ミレイ!避け───」

 

ミレイに向かって大声で叫ぶも・・・・・

 

「よしっと・・・・・このくらいですかね?」

 

既にケイブに対して最適範囲、高密度に設定した【フォトン・バスター】の発射準備が完了し後は撃つだけのその瞬間───。

 

「では、行きま・・・・・っ!!」

 

地上からのヒュージの攻撃がミレイの脇腹を貫いた。

 

「え・・・・・外れた?」

 

梨璃を含め上空からの攻撃を見ていた面々は驚きの表情だった。

動かない標的に対して決して外す事が難しかったがそれが外れたのだから・・・・・

 

「ミレイ・・・・・っ!」

 

雨嘉達の目に映る物は負傷して落ちていくミレイだった。

 

───。

 

「かは・・・・・っ!」

 

油断した・・・・・まさかあんな距離から撃ってくるなんて・・・・・そういえば撃つ瞬間梅さんの声が微かに聞こえたような・・・・・。

 

とりあえず傷口だけでも塞がないと・・・・・っ駄目、さっきの魔力消費でまだ上手く使えない・・・・・もう、意識が───

 

チカラガホシイカ───。

 

誰?私の中から声が・・・・・。ええ、欲しいです。ヒュージを倒す力と皆を守る力が・・・・・。

 

ヨカロウ。ナラバソノカラダ、ワレニカスガヨイ───。

 

え?確かに力は欲しいと言いましたけど身体を貸すとまでは───

 

───。

 

「一葉!千香瑠が・・・・・っ!!」

 

「あ・・・・・ミレイ・・・・・ちゃ・・・・・ん・・・・・?」

 

「千香瑠様、落ち着いてください!」

 

「ねぇ・・・・・ミレイちゃんは大丈夫なの・・・・・?そう・・・・・貴方達が・・・・・貴方達がぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

一葉と恋花の静止を振り切り我を忘れヒュージを切り刻み続ける千香瑠。

 

「千香瑠!落ち着け!!一体何があったんだ!?」

 

「梅様!恐らくミレイさんが負傷した事によって精神が不安定になってしまったんだと思います!何とか止めないと・・・・・」

 

「そういう事か!千香瑠、ごめんな!!」

 

「ガッ!!」

 

タンキエムの平たい部分で後頭部を殴りつけた。

 

「これ、大丈夫なんですか?」

 

「手加減はした、気絶してるだけだ!後はこっちの方もどうにかしないと・・・・・」

 

「お姉様、ミレイちゃん・・・・・ミレイちゃんが・・・・・っ!」

 

「落ち着いて!今は目の前のヒュージに集中なさい!」

 

「それでも誰か助けに行かないと!ああもううっとおしいですわね!」

 

ケイブ破壊失敗によりヒュージの数は増し誰もその場から動けない状態にあった。

 

「二水、ここはワシらが何とかするから行け!お主1人抜けたところで影響なんぞありゃあせん!」

 

「それって私が1番弱いって事ですか!?わかりました!場所はわかってるので行ってきま・・・・・」

 

二水がミレイ救出にその場を離れようとした瞬間全員に悪寒が走った。

 

「・・・・・っ!全員この場から離れろ!!」

 

その直後黒い炎が一帯を焼き尽くした。

 

「嘘・・・・・ミレイ・・・・・ちゃん・・・・・?」

 

確かに姿はミレイであったものの眼は赤く髪は黒に染まっていた。

 

「まさか今の一瞬で大量のヒュージを・・・・・?」

 

「いや、まだじゃ!特型が残っておる!」

 

「は、羽が増えた・・・・・。」

 

「形状変化・・・・・いえ、進化・・・・・?戦闘中に姿を変えるヒュージなんて・・・・・。」

 

『ほう・・・・・耐えたか。ならばもう一発食らわせるまで・・・・・塵と化せ。』

 

ゴウッ!!

 

黒い炎が特型ヒュージを包み込んだ。

 

「こんなの・・・・・ミレイちゃんの戦い方じゃない・・・・・。」

 

「ええ・・・・・あれはミレイじゃない・・・・・。」

 

暫くして前にだした左手を握り炎を吹き飛ばした。

 

『さて・・・・・あれだけ燃やせば流石に耐えられんだろうが・・・・・む。』

 

直後、ヒュージの羽から光線のような物が無数発射された。

 

『ふん・・・・・効かんな。ならば何度でも焼き尽くすまで!」

 

それを軽々と片手の障壁で防御するミレイ。再び炎を発しようとしたその時、既にヒュージはその場にいなかった。

 

『逃げたか・・・・・。』

 

「逃がさない!・・・・・え?足が・・・・・動かない・・・・・。

 

一葉がヒュージを止めようと追おうとしたが大量のヒュージを一瞬で消し飛ばした存在に恐怖を感じてしまっていた。

 

「ねえ!あなたは誰!!ミレイちゃんじゃ無いよね!」

 

『ミレイ・・・・・?そうか・・・・・この身体の主か・・・・・。それよりもここはどこだ?我がいた世界では無いようだが・・・・・?』

 

「そう・・・・・貴方、ミレイが元いた世界の住人って訳ね。多数のヒュージを倒してくれた事は感謝するわ。ただ、ミレイの身体を奪ってる時点でとても善人には見えないけど。」

 

夢結がブリューナクを構える。

 

『ほう・・・・・我に刃を向けるか・・・・・いいだろう、暫し付き合っ───』

 

「ミレイを・・・・・かえせぇぇぇぇぇ!!!」

 

ギィン!!

 

「藍の全力を片手で止めた!?」

 

『手ぬるいな・・・・・この程度か?』

 

「無理じゃ!いつものミレイでもあの程度じゃ届かん!その事はワシが身を以て知っておる!」

 

「ミリアムさん、もしかして過去に試した事が・・・・・?」

 

「うむ!実はな・・・・・」

 

ミレイの特訓の際に亜羅椰と同時にフェイズトランセンデンスでの全力で攻撃して欲しいと頼まれ、希望通りに2人で全力で攻撃したところ、土煙は上がったが両手での障壁で耐えてみせたのだとか。

 

「と言うことで破るとしたらノインヴェルト戦術くらいじゃろうな・・・・・。」

 

「だったらノインヴェルト戦術で!」

 

梨璃がノインヴェルト弾を出し装填しようとするが・・・・・

 

「「梨璃さんストップ!!」」

 

「楓さん、二水ちゃん、離して!!」

 

「梨璃さん貴方正気ですの?幾ら障壁が破れたからって身体は無事とは限らないんですのよ!?」

 

「それに、こんな所で使ったら私達も巻き込まれちゃいます!」

 

「だったらどうすれば・・・・・。」

 

その場に崩れ落ちる梨璃。

 

一方で猛アタックを繰り返していた藍も限界が来ていた。

 

「ミレイ・・・・・を・・・・・かえ・・・・・」

 

『無理だと言っているではないか・・・・・我に刃を向けた事は褒めてやる。だが・・・・・ここまでだ。どうやらこの場にいる全員我に敵対する気のようだな・・・・・。』

 

左手から出した炎を夢結達に向ける。そして───。

 

『滅べ・・・・・』

 

(やらせない!!)

 

『な・・・・・貴様、いつの間に!?』

 

(これ以上私の仲間を傷つけさせない!精神強化!!)

 

『ぐっ!抗えないだと!?良かろう、この場は退いてやる!だが次に我が目覚めた時は覚悟しておくんだな!』

 

(私だってあの人の弟子です!自由にはさせない!)

 

「・・・・・撃って来ない?」

 

「どうやら私達は助かったみたいね。梨璃、見て。」

 

「え・・・・・ミレイちゃんの髪の色・・・・・」

 

髪の色が黒から銀に戻っていた。が・・・・・急に落下し始めた。

 

「梅に任せろ!」

 

まともに動けるようになった梅が間一髪で抱き抱えた。

 

「大丈夫、ミレイは無事だ!傷も塞がってるし!」

 

「よかったぁ〜。」

 

「もう・・・・・心配させるんだから・・・・・。」

 

ミレイが無事な事に安堵し気が抜ける全員だった。

 

その後、落ち着きを取り戻し・・・・・

 

「特型ヒュージは逃してしまいましたがエレンスゲのリリィ救出任務は達成済み。一部今後の問題はありますがこれらの状況から、今回の作戦は、ここまでとしましょう。一柳隊の皆さんもそれでいいでしょうか?」

 

「はい、一葉さん!」

 

「正しい判断だと思うわ。けど・・・・・ミレイの事だけど出来れば原因と解決策が見つかるまでは学院の方には報告しないでほしいのだけど・・・・・。」

 

「はい、ミレイさんの事は一時保留ということにしておきます。」

 

「ありがとう。今後何かわかったらこちらから連絡するわ。」

 

こうして短いようで長かった森林での共同任務は幕を閉じた。

一柳隊にミレイ・アルシェントの目覚めさせてはいけない別の人格という爆弾を抱えたまま・・・・・




ラスバレ一章完!

最初に言っておきます。
後半に出てきた黒いミレイ?ちゃんのボイスですが中田譲治とか鈴木達央での脳内再生はオススメしません(止めはしません)

特型ヒュージの若干の強化と千香瑠さんの発狂についてはノーコメントです。

次回から二章!・・・・・と言いたいところですが1回オリジナル回はさみます(自分としてもこのまま二章入りたく無いので・・・・・。)

それではまた次回!(後半書くの辛かった・・・・・。)


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22話:とある雨の日

ラスバレ一章と二章の間。

22話、始まります。



 

─医務室─。

 

「ごめんなさい。どうやらまた心配させてしまったみたいで・・・・・。」

 

ヘルヴォルとの共同任務中、何者かにより意識を乗っ取られ気を失っていたミレイが目を覚ましたのは2日経ってからの事だった。

 

「もう!本当に心配したんだから!それで、身体の方は大丈夫?後はあの・・・・・その・・・・・」

 

「梨璃、落ち着きなさい。ミレイ、あの時の事、説明してもらえないかしら。」

 

「ええ・・・・・そうしたいのですがヒュージに撃たれてから私の身体を取り返す間の記憶が無いのでそっちを先に教えて頂かないと説明がしにくいと思います・・・・・」

 

「わかったわ。私の覚えてる限りでは・・・・・」

 

それから夢結はミレイにミレイの姿をした何者かがヒュージを黒い炎で焼き尽くした事と一柳隊とヘルヴォルの面々に牙を剥いた事を話した。

 

「以上がこの前の顛末なのだけれど・・・・・。」

 

「ありがとうございます、夢結さん。そんな事が・・・・・。」

 

(黒い炎と私の世界から来た・・・・・?まさか、そんな事は無いと思うけど・・・・・。)

 

「ミレイちゃん、大丈夫?やっぱりまだ安静にしてた方が・・・・・。」

 

「大丈夫です。えっとまずは黒い炎からですが・・・・・」

 

黒い炎───。

ミレイのいた世界では闇属性であり、本来は魔族しか使えない事と広範囲を焼き尽くした強さである事から今自分の中にいるのはかなり上位の魔族ではないかと推測した。

 

「本来の私は闇属性の適正は無いので今はこの説明が精一杯です。」

 

「それじゃああの時のミレイちゃんはただ身体を奪われていただけ・・・・・?」

 

「詳しくはわかりませんがそうなります。」

 

「良かったぁ〜。じゃあもう平気なの!?」

 

「はい、今のところは。」

 

その事を聞いて安心した梨璃が明るくなった。

 

「そういう事なので梨璃さん、皆さんに私は大丈夫だって事を伝えてもらっていいですか?」

 

「うん!行きましょう、お姉様!」

 

「梨璃、先に戻ってて。」

 

「え?でも・・・・・」

 

「ちょっとミレイさんに先日の事で話したい事があるのよ。周りをよく確認しなかった事に対しての説教とかね。」

 

「お姉様・・・・・わかりました!ミレイちゃん、頑張ってね!」

 

この後ミレイがどれだけ怒られるのかを心配しながらも先に戻る梨璃だった。

 

「あの、夢結さん?説教って嘘ですよね。」

 

「あら、怒ってる事は確かよ。それよりもミレイ、何か隠してない?」

 

「・・・・・やっぱりわかっちゃいますか。ええ・・・・・ここからの話は梨璃さんにはちょっと・・・・・。」

 

それから夢結に黒髪の自分と同じ容姿の少女が傷付いた一柳隊の前に立っていた夢を前に見ていた事を話した。

 

「それで、その子が見ていた私に言ったんです、早く何とかしないとこうなる・・・・・って。」

 

「そう・・・・・それが私達の前に現れた貴方って訳ね。それで、今は大丈夫なのよね?」

 

「はい・・・・・でもこの前は目覚めて間も無かったので寸前で止められましたが恐らく相当の強さだと思うので何とか抑えこんでみますが・・・・・。」

 

「ええ、その間に私達も何か対策を考えてみるわ。」

 

「いえ・・・・・その言葉はとてもありがたいのですが・・・・・夢結さん、1つお願いしてもいいですか?」

 

「何かしら。私達に出来る事であれば聞くわよ。」

 

「ありがとうございます。では次にあの黒い髪の私が目覚めそうになったら───」

 

その言葉を発したミレイは穏やかな表情であったが目に涙が溜まっていた・・・・・。

 

「・・・・・と、これが今の現状よ。これをそのまま伝えるかは任せるわ。」

 

『ありがとうございます、夢結様。少し安心しました。』

 

「ええ・・・・・それではまた。」

 

───。

 

ダンッ!

 

壁を叩く音だけが響いた。

 

夢結からの連絡後、一葉は重要かつ危険性の高い選択を迫られていた。

 

(こんなの、あの二人に正直に言える訳無いじゃないですか・・・・・。)

 

恋花と瑤はまだしも千香瑠と藍はミレイの事を気に入ってるためこの事を話した場合千香瑠が発狂してしまうかもしくは藍が百合ヶ丘に突撃してしまうかどちらかと最悪レギオン崩壊の可能性があるため葛藤していた。

 

(よし・・・・・とりあえずミレイさんは元気だって事だけを伝えよう・・・・・。)

 

そう心に決めた一葉だった・・・・・。




シリアス全開で書いたけど重い・・・・・。

次回から二章入ります。いよいよもう1つのレギオン登場!

ラスバレでポニテ叶星無課金で引きました!(自分所属レギオンでは妨害担当な者で)

それではまた次回!


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23話:グラン・エプレ


銀髪ロング×2

最近好きな銀髪キャラ(はめふらとかたんもしとか精霊幻想記とか・・・・・。)が出てるアニメがどんどん終わってるので銀髪成分が足りない・・・・・。

23話、始まります。


「それじゃ、いくぞ、ミレイ!」

 

「はい、全力でお願いします!」

 

対峙するミレイとミリアム。

 

「フェイズトランセンデンス!!」

 

ギィィィィィン!!!

 

「────っ!!」

 

ミリアムのフェイズトランセンデンスによる全力を障壁にて片手で受け止めるミレイ。普段であればこのままミリアムの魔力切れで終わるのだが・・・・・

 

(やっぱり・・・・・このままじゃ・・・・・っ!)

 

「ミリアムさん・・・・・ごめんなさい、少しキツいです・・・・・。」

 

「確かにこのまま続けると障壁が持たんか・・・・・。が、わしももう駄目じゃ・・・・・。」

 

障壁に亀裂が生じていたのをミリアムも確認しすぐさまに離れるが既に魔力切れでフラフラだった。

 

───。

 

「ごめんなさい、また付き合わせてしまって・・・・・。」

 

「こんな事で良ければいつでも付き合うぞ!・・・・・で、どうじゃ?今の調子は。」

 

「ええ・・・・・やっぱり制限がある分力も弱まってるみたいで・・・・・。」

 

「ふむ、やはり他に魔力を割いてる影響かのう・・・・・?」

 

「でも、このくらい強めに掛けておかないと侵食が早まってしまうので・・・・・。 」

 

精神強化魔法の常駐化に魔力の約7割を割き自分の中にいる魔族を抑えこんでいるのである。

 

「まぁお主が弱くなった分はわしらがフォローするから安心せい!」

 

「ありがとうございます。でも私も皆さんに引けをとるつもりは無いので頑張ります!」

 

(本当に大丈夫かのう・・・・・。)

 

強がっているミレイを見てそう思ったミリアムだった。

 

翌日───。

 

「わぁい、ぼくがいっちばん乗り〜☆」

 

「こら、灯莉。道の真ん中で騒がないのっ!」

 

「そ、そうですね。通行の妨げになって鎌倉のみなさまにご迷惑をおかけするには・・・・・。」

 

「だってここには本物の魔法使いがいるんだよ!早く会えないかな〜。」

 

「ああ・・・・・あの一時期話題になった・・・・・ってそうじゃなくて!ひめかたちがやってきたのはコレに参加するためでしょ!」

 

そう言って駅前に掲示されていたポスターを指差す。

 

「ん──?百合ヶ丘、グリーンフェア・・・・・?」

 

「電車の中で説明しましたが・・・・・。改めてご説明しますね。」

 

百合ヶ丘グリーンフェア───。

植物を通して人と地域の繋がりを大切にするのが趣旨のイベントであり、学生ボランティアとして参加するために灯莉達はここまでやって来たのである。

 

「正確には叶星様と高嶺様がイベントに招待されていて、それにひめかたちがついて来たんだけどね。」

 

「定盛、おまけなのか〜☆」

 

「おまけじゃない!ひめかはいつでもセンターなの!っていうか、ひめかのことは可愛いらしく『ひめひめ』って呼んで!」

 

「え〜、定盛でいいじゃん〜。でもやっぱりぼくはイベントより魔法使いの子の方が気になるかな〜☆」

 

「ひめひめ!!っていうかその魔法使いの子そんなに会いたい程話題になってるの?」

 

「それってあの『白銀の妖精』の事ですよね。CHARMではなく魔法を使ってヒュージと戦ってる・・・・・実は私も一目見て見たいと思ってて・・・・・。」

 

「あ、やっぱりとっきーも気になってた?じゃあ2人で今からその子に会いに行こ〜☆」

 

「ちょっと待ちなさいよ!!まだ叶星様と高嶺様が・・・・・」

 

「みんな、お待たせ。手続きに時間がかかってしまったわ。・・・・・何だか楽しそうね。」

 

「あ、かなほせんぱいっ!助けて〜定盛が〜。」

 

灯莉を羽交い絞めにする姫歌を見て微笑む叶星。

 

「だからひめひめって何度いえば・・・・・叶星様、これは・・・・・」

 

「で・・・・・私達が手続してる間に一体何があったの?」

 

「あの、高嶺様、叶星様・・・・・実はですね・・・・・」

 

紅巴説明中・・・・・。

 

「灯莉ちゃん、会いたいのはわかるけど・・・・・」

 

「私達がここに来た目的を忘れてもらっては困るわ。」

 

「ごめんなさい、でもここまで来たら早くその子に会いたくなっちゃって!」

 

「気持ちはわかるけど、その子確か百合ヶ丘の学生よね。ここにいればいつかは会えるんじゃないかしら。だからまずはグリーンフェアの会場へ向かいましょう。梨璃さん達が待っているはずよ。」

 

「そっかー、じゃあみんな揃ってる事だししゅっぱ〜つ!」

 

「なんでアンタが仕切ってるのよ!!」

 

姫歌のツッコミを無視して歩き出そうとする灯莉だったがその時・・・・・

 

ウ─────────!!!!!!

 

「ヒュージ出現のサイレン・・・・・高嶺ちゃん!」

 

「待って、今情報を確認するわ・・・・・ここからそう遠くない場所にヒュージが出現。百合ヶ丘のレギオンにも出動要請がかかっているけれど・・・・・」

 

「私達が行きましょう!」

 

「そう言うと思った。」

 

「やれやれ、鎌倉まで来て最初のお仕事がヒュージ退治か。」

 

「それは仕方の無い事です。ヒュージを倒すのが私達リリィの役目なのですから!」

 

「ま、これもアイドルリリィへの一歩と考えて・・・・・行くわよ!」

 

「おー☆」

 

叶星を筆頭にやる気になるメンバー。

 

「叶星。」

 

「うん!・・・・・グラン・エプレ、出撃します!」

 

ヒュージ出現ポイントに向かう一同だったが・・・・・

 

「え?・・・・・もう終わってる?」

 

叶星たちが現場に到着した頃にはミレイの魔力感知でいち早く駆けつけた梨璃達によって既に片付いていた。

 

「梨璃、ミレイ、そっちはどう?」

 

「はい、お姉様!こちらも終わりました!」

 

「ええ、こちらも大丈夫です。数が少なくて助かりました。それで・・・・・あの方達は?」

 

「ん・・・・・?あ!!か〜な〜ほ〜さ〜ま───!!」

 

遠くで見ていた叶星達に向かって手を振る梨璃。

 

「叶星、どうやらこっちから行く必要は無かったみたいね。」

 

「うん!夢結さん、梨璃さん───!!」

 

「やっぱりこちらにいらしたんですね!」

 

「ようこそ、百合ヶ丘へ。」

 

「夢結さん、梨璃さん、先日はどうも。それと・・・・・」

 

「叶星さん、話は梨璃さん達から聞いてます。初めまして、ミ・・・・・」

 

ミレイが叶星達に自己紹介をしようとしたその時だった。

 

「あら?叶星。いつの間に百合ヶ丘に転校したの?それとこんなに縮んじゃって。」

 

「「え?」」

 

「あの・・・・・高嶺様・・・・・?」

 

「と、いうことはこっちがミレイさんね。初めまして。」

 

何故か叶星に向かってミレイと呼ぶ高嶺。

 

「ねえ・・・・・高嶺様わざと間違えてるわよね・・・・・って灯莉!?」

 

「何か面白そう〜!ぼくも〜!小さいって聞いてたんだけどぼくたちと余り変わらないんだね〜よろしくね〜ミレイ!」

 

灯莉も叶星に向かって挨拶する。

 

(小さいは余計ですよ・・・・・。)

 

「ちょっと、高嶺ちゃん!灯莉ちゃん!わざと間違えてない!?」

 

「あの・・・・・私もそろそろ怒りたくなってきたのですが・・・・・。」

 

「え〜似てるけどさすがのぼくでも間違える訳・・・・・(灯莉さん・・・・・)え?・・・・・っ!?」

 

バチ・・・・・ッ!

 

高嶺の静止に気が付いて横を見ると無言で手から電撃を発しているミレイがいた。

 

「口を挟ませてもらうけどそろそろ本当にやめた方がいいわよ。」

 

「うん、こうなったミレイちゃん容赦無いから・・・・・。」

 

「ごめんねミレイさん、かなほせんぱい!だよね、そんな急にかなほせんぱいが百合ヶ丘に転校するなんてあるわけ無いよね〜。ね、たかにゃんせんぱい!」

 

「ええ、だからミレイさんも叶星もそんなに怒らないで。似てるからからかいたかっただけで・・・・ちょっと叶星!?痛い痛い!ごめんって!」

 

「もう、高嶺ちゃ〜ん!」

 

ポカポカポカ!!

 

頬をふくらせて高嶺の肩を両手で叩く叶星。

その光景を見て1人目を輝かせる人物がいた。

 

「あぁ・・・・・梨璃さんと夢結様、それに白銀の妖精と呼ばれてるミレイさん、そして高嶺様と叶星様のあんな姿を一度に見られるなんて幸せです〜。」

 

今にも倒れそうになっている紅巴だった。

 

「とりあえず無事合流出来た事ですし場所を移しませんか?」

 

「ええ、そうですね・・・・・お願い叶星、そろそろやめて!?」

 

叩くのをやめたものの、会場に着くまで高嶺の事を無視し続ける叶星であった・・・・・。

 

「ねぇ、百合ヶ丘にユニコーンとか珍しい生き物っていないの〜?」

 

「えっと・・・・・百合ヶ丘にはユニコーン等はいませんが私は見たことありますよ?他にもドラゴンとか・・・・・」

 

移動中ではこんなファンタジーな会話が2人の間で繰り広げられていたとか・・・・・




暫くミレイちゃんは司波達也状態になります

たかなほでこれがやりたかった(笑)(ミレイちゃんの容姿と身長を利用しました)

灯莉:思考がファンタジー寄り
ミレイ:元いた世界がファンタジー

むしろ魔法使いって時点で灯莉が放って置く訳無いじゃないですか(笑)
なので軽く暴走させてみました。

それではまた次回!


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24話:花の彩り


二章後半!

24話、始まります。


グリーンフェア会場───。

 

「では、私たちは会場の飾り付け担当になりました!叶星様、高嶺様、どうぞよろしくお願いいたします!」

 

「ええ、お役に立てるように頑張ります。」

 

「園芸に関しては私も梨璃も詳しくありませんのでおふたりに指示をお願いできれば。ミレイもそれでいいのよね?」

 

「はい、植物自体は育てた事はあるのですが、飾り付けに関しては分からないので。」

 

「かしこまりました。」

 

「では早速、そちらの苗をみんなで運び入れましょう。」

 

「お任せください!こちらですねっ。」

 

「土がついていて意外と重いから気をつけてね。作業用手袋もあるからどうぞ。ほら、ミレイさんも。」

 

「大丈夫ですよ、高嶺様。私、田舎で育ったんで土いじりは得意なんです!」

 

「へぇ・・・・・こんな便利な物があるんですね!と、その前に・・・・・」

 

長い髪を後ろで結い嬉々と手袋を装着するミレイ。

 

「え!?ミレイちゃん髪形変えるの?」

 

「こういった作業する時には邪魔なので。」

 

ポニーテールになっていたミレイに1番驚いていたのは梨璃だった。

 

「よしっと・・・・・これで最後ですね。叶星さん、次は何を?」

 

「えっと、そうね・・・・・じゃあこちらの飾り付けをお願いします。好きな花をここに飾って華やかにしたいわね。」

 

───。

 

「そういえばミレイちゃん、植物を育てた事があるって言ってたけどどんなのを?」

 

「はい、薬草や野菜等を。それで生計を立てていたので。」

 

「野菜はわかるのだけれど薬草ってあの漢方薬とかの材料になる?」

 

「いえ、体力が回復したり傷を治したりするだけのただの薬草ですよ?」

 

「「え・・・・・?」」

 

予想外の答えに言葉を失う高嶺と叶星。

 

「あ、ごめんなさい。えっとですね・・・・・」

 

ミレイの元いた世界では主に戦闘等で負傷した際の回復手段が回復魔法、もしくは薬草、飲み薬等であった為、薬草を栽培していたのだという。

しかしある時、師匠が思い付きで「何か凄いの出来た──!!」と、魔法で品種改良した薬草が出来上がり、その効果は、一瞬で病気が治ったり、体力が回復し過ぎてテンションがハイになったりと様々であった。それを平然と町まで売りに行くものだから見た目はただの薬草でも効果が不明な魔改造された薬草が出回り国中が大混乱に陥ったとか・・・・・。

 

「あの時は大変でした。なんせ見た目が普通のと変わらないので売りに出していいものか判別が難しくて・・・・・あの、叶星さん、飾り付けこんな感じでどうですか?」

 

「え!?う、うん!大丈夫!だよね、高嶺ちゃん!」

 

「え、ええ・・・・・。」

 

薬草の話で理解に苦しむ2人だった。

 

「ありがとうございます!」

 

「あの、夢結さん・・・・・あの子一体何者?」

 

「なんの変哲も無いただの魔法使いよ。私達より人生経験は豊富みたいだけど。」

 

「叶星、ちょっと灯莉呼んできてくれない?」

 

「うん、私もそう思った。でも灯莉ちゃんの方もまだ忙しいみたいだし・・・・・」

 

どうしようかと悩んでる矢先、ヒュージ出現の警報が鳴り響いた。

 

「どうやらまた出たみたいですね。位置はそんなに遠くないみたいですよ?」

 

「行こう、高嶺ちゃん!」

 

「ええ、叶星!」

 

「お姉様、私達も!」

 

叶星と高嶺を先頭にヒュージ出現場所に向かうのだった。

 

───。

 

(まったく、こんな時に出なくても・・・・・しかも2回・・・・・)

 

ズドン!!

 

「ミレイちゃんもしかして物凄く機嫌悪い?」

 

「そうみたいね・・・・・。」

 

【フォトン・レイ】でヒュージを無言で片っ端から一発一発丁寧に撃ち抜いていた。

 

「凄い・・・・・CHARMを使わずに倒してる・・・・・。」

 

「わー!本当にレーザー撃ってる〜☆」

 

「あれが白銀の妖精の魔法・・・・・。綺麗・・・・・。」

 

驚く姫歌と楽しそうな灯莉と感動している紅巴。

 

「えっと、高嶺ちゃん、これ見てるだけでいいのかな?」

 

「ええ、もうすぐ終わりそうだけど。」

 

そして最後の一体までミレイが撃破し・・・・・

 

「ミレイちゃん、大丈夫?」

 

「大丈夫です。と、言いたいところなのですがちょっと疲れました。」

 

「ミレイ、お疲れ様。でも無理してるみたいだから次は私達に任せてくれないかしら。」

 

「ありがとうございます、夢結さん。」

 

一方、叶星達の方では・・・・・

 

「灯莉ちゃ〜ん、助けて〜。」

 

「かなほせんぱい、たかにゃんせんぱい、どうしたの〜?」

 

「ミレイさんの話に私達じゃついていけなくて。そういう事だからこの後はミレイさんと一緒にいてもらっていいかしら?」

 

「え、いいの!?やった〜☆」

 

「随分と嬉しそうね・・・・・。私は遠慮するけど。」

 

「定盛も一緒にもっと異世界の話聞こうよ〜。」

 

「お願いだから私を巻き込まないで!!あとひめひめ!!」

 

この後姫歌はミレイと灯莉の話になかば強制的につきあわされ帰りの時にはぐったりしていたとか。

 

尚、グリーンフェアではミレイは迷子の子供の相手をしたり、花の説明が丁寧でわかりやすかったりと大活躍だったという・・・・・。




頑張れ定盛!
恐らくミレイちゃんの向こうの世界の話にまともについていけるのは灯莉くらいかと。

薬草はドラクエのやつをイメージしていただけると・・・・・。

さて、本日からラスバレハロウィンイベント!
無課金で叶星と灯莉出るといいなぁ・・・・・。(最悪叶星だけでも)

それではまた次回!(なんか思い付いたらふるーつ6話書くかも)


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25話:5分間の激闘


ぎん、ぱつ♪
ぎん、ぱつ♪(ラスバレで樟美プレイアブル化により作者一時錯乱中)

ごめんなさい、投稿遅れました!!

25話、始まります。


 

「いい?ミレイさん、本気で来ないと私には勝てないわよ。」

 

「私も負けるつもりはありませんよ。元からそのつもりです。」

 

海岸で対峙する2人。その様子を一柳隊とグラン・エプレの面々が少し離れた場所から見ていた。

 

「では、ルールをもう一度確認します。制限時間は5分。その間に1回でも触れられたらミレイさんの勝ち、その間高嶺様は回避に専念、制限時間まで躱すことができれば高嶺様の勝ち、よろしいでしょうか?」

 

「ええ、大丈夫です。」

 

「こちらも異論はないわ。」

 

「わかりました。では、審判の私が上に向けて撃ちますのでそれを開始の合図としますわ。お二人共、位置に。」

 

二人の距離が離れていき、やがて5メートル程のところで向かい合った。

 

(ミレイさん、無茶しなければよいのですが・・・・・。)

 

二人共やる気だったため仕方なく許可したが、少し複雑な気持ちになりながらもジョワユーズを上に向ける。そして・・・・・

 

時は遡りラウンジ───。

 

「え!?ミレイちゃんあの時負傷したの!?」

 

叶星の驚く声が響き渡る。

 

学院の決定で特型ヒュージに対抗すべく3レギオンによる強化合宿が決まり、叶星と高嶺が夢結に前回の事を聞いていた。

 

「叶星さん、少し落ち着いて。今は大丈夫よ。いつもより少しだけ調子が悪いだけでね。」

 

「でもミレイさんこの前ヒュージを殲滅してた時にはそんなふうには見えなかったのだけれど。」

 

「いつものミレイだったら5、6体はまとめて倒してるわよ。」

 

「「・・・・・え?」」

 

驚く2人。夢結の話によると重力魔法との組み合わせでその気になれば数分かからず全滅させられるのだとか。

 

「と、いうことはあの時意図的に力を抑えていた?」

 

「いえ・・・・・これには特別な事情があるのよ。」

 

それから夢結はあの時予期せぬ邪魔が入り全滅しかけた事とその原因がミレイのもう1人の人格であり、それを抑えているため使える魔力が少なくなっている事を2人に話した。

 

「それじゃあ今のミレイちゃんは・・・・・」

 

「戦力としては期待できないって事ね。」

 

「ええ・・・・・でもあの子意外と意地っ張りなところがあるから戦うなって言ったところで素直に聞いてくれるとは思えないのよ。」

 

その夢結の言葉に黙り込む2人。

 

「2人とも、ミレイさんの事、一旦私に任せてくれないかしら。」

 

「任せてって、高嶺ちゃん、一体何を?まさかミレイちゃんの事・・・・・」

 

「そこまではしないわよ。だから、ね?」

 

「うん、わかった。けど、無理はしちゃ駄目だからね!」

 

「話はついたみたいね。高嶺さん、ミレイの事よろしくたのむわ。」

 

高嶺が何をするのか大方の予想がついていた叶星と夢結。暫くすると2人の話し声が聞こえてきた。どうやら戻って来たらしい。

 

「全く、こんなに買って余ったらどうするんですの?」

 

「全部使いきるつもりで作るので大丈夫です!もう、百由さんったら急なんですから・・・・・準備があるのですからもう少し早めに言ってくれないと・・・・・あ、ただいま戻りました。楓さん、お手伝いありがとうございます!」

 

「夢結様の頼みとはいえ何で私がこんな事を・・・・・。」

 

「楓さん、お疲れ様。」

 

「あの・・・・・ミレイちゃん?その大量のお菓子は?」

 

「これですか?えっと、今回は急なので用意する時間もあまり無いので既製品から色々作ってみようと思いまして。」

 

そしてグラン・エプレの面々が揃った頃には既に何品か出来ており試食したところその美味しさに言葉を失う者がほとんどだったとか・・・・・。

 

そして海でのグラン・エプレのノインヴェルト戦術の練習後───。

 

「では、ヘルヴォルとの合流時間が近くなるまで各自弱い所を練習・・・・・」

 

「ちょっと待って、ミレイさんとの模擬戦をしたいのだけれど。」

 

「高嶺さん、今の私と模擬戦をしても大して相手には・・・・・」

 

少し遠慮気味のミレイ。

 

「あら、普通の模擬戦ではなくて私はただ避けるだけでミレイさんが触れられれば勝ちなのだけれど・・・・・それとも私に負けるのが恐い?」

 

「・・・・・。」

 

「高嶺様!ミレイちゃんも今は遠慮したいみたいですし別に今で無くても・・・・・」

 

「梨璃さん、少し黙ってて。梨璃さんの言うとおり断わってもいいのよ?ただ、大勢が見てる前で断わったら一時期話題になった白銀の妖精は私達リリィとさほど変わらないその程度の者だったと・・・・・」

 

「高嶺様、あんなにミレイさん煽って一体何が・・・・・っ!?」

 

「どうしたんですか、姫歌さん?ミレイさんが・・・・・えぇぇぇぇ!?」

 

驚く姫歌と紅巴。それもそのはず高嶺と灯莉が悪ふざけしてた時と比較にならないほど全身に電撃を纏っていたのである。

 

「高嶺さん、そこまで言われて私が黙ってるとでも?わかりました、その勝負、受けます!!」

 

「夢結様?このままやらせてしまってよろしいのでしょうか?私の推測ですが今のミレイさんは魔力の量がそこまで多く無いのではと思うのですが。」

 

「楓さん、気付いていたのね。でもこのままじゃミレイの気も収まらないと思うわよ。多分物凄く怒ってるから。」

 

と、ここまでが冒頭に至る経緯である。

 

───。

 

ドォン!!

 

響き渡るジョワユーズの発砲音。

 

(速攻で行きます!ファントム!!)

 

地面を蹴り出し超高速で高嶺に向かっていくミレイ。

 

「縮地!?あ、でもミレイさんはレアスキル使えないみたいだしあれは一体・・・・・」

 

「足元に風を圧縮してその力で突進してるだけだぞ。私とやってた時と比べると遅いけどな!」

 

「もしかして梅様、ミレイさんと一度あのような事を?」

 

「あれは楽しかったな〜。」

 

あの時は鬼ごっこと言う名目でミレイが鬼役となりグラウンドで行ったためギャラリーが多かったがファントムの連続起動を行なうミレイと縮地で逃げ回る梅を目で追える者はほぼいなかったとか。

 

だが、今はその時と違い、普段であれば足元に風を纏った状態をそのまま維持し僅かに浮く事でその気になれば梅と互角に渡り合える速度を出せるのだが、今状態ではそれが難しいため一度止まっては発動を繰り返していた。

 

「どうしたのミレイさん、無闇に突進を繰り返しても私に振れる事はできないわよ。」

 

「そんな事・・・・・は、わかって、ます!!」

 

(さすがに梅さんとほぼ同じ速度で動く相手を捉えるには・・・・・ちょっときついけど!)

 

制限時間残り1分ほどのところで状況に変化が生じる。

ミレイが完全に足を止めたのである。

 

(まずはフォトン・レイ、3点射!)

 

片手の指先に光の玊を3つ形成し3連続で発射した・・・・・が、高嶺の目前に着弾した。

 

(外した?いえ、目眩まし・・・・・かしら。)

 

冷静に分析する高嶺だったが・・・・・。

 

(魔力感知と広域探知を同事発動!・・・・・見えた!)

 

(おそらくはこの砂煙に紛れて突っ込んで・・・・・っ!!)

 

ガクンッ!

 

「捕まえ・・・・・た!」

 

砂煙がはれるとそこには片膝をついた高嶺がいた。このままグラヴィティで動きを完全に封じた高嶺にミレイが触れれば決着がつくのだが・・・・・

 

「そこまで!」

 

既に制限時間は過ぎており、楓のストップがかかった。

ちなみに判定はというと、触れられなかったものの、動きを封じたミレイ、全て躱しきったが動きを封じられた高嶺、両者ともに判断に困るため引き分けとなったのである。

 

そして、魔力がほぼ限界の2人を迎えたのは・・・・・

 

「「ミレイちゃん!高嶺様(ちゃん)!2人とも熱くなりすぎです!!」」

 

「「ごめんなさい・・・・・。」」

 

梨璃と叶星の気迫に圧され謝る事しかできない2人だった。

 

「とりあえず向こうで少し休んでてくださいまし。さあ、残りの方は練習を始めて下さい!」

 

───。

 

「全く・・・・・まさかあんな手を残してるとは思わなかったわ。」

 

「あれで駄目なら私の負けでした。うまく決まって良かったです。」

 

皆の練習を見ながら休憩してるミレイと高嶺。

 

「でも、ありがとうございます。あらためて今の私の実力を知る事が出来ました。あそこまで焚き付けて来るのはさすがに予想外でしたけど!!」

 

「ふふっ、それは謝るわ。でもね、ミレイさん・・・・・」

 

「強がるのもいいけど、もう少し私達を頼りなさい。それとも、私達がそんなに心配?」

 

「高嶺さん・・・・・ええ、ごめんなさい。私が1人で抱え込み過ぎていたみたいですね。わかりました。今後の特型ヒュージとの戦い、私は皆さんのサポートに徹する事にします。今の私が前に出ても大して力にはなれないでしょうから。」

 

今の自分の弱さに気が付いたミレイ。

 

「それは安心ね。でも、身体の調子が戻ったらもう一度手合わせしてくれないかしら。今度はちゃんと決着をつけたいし。」

 

「はい、その時は是非!!」

 

こうしてミレイと高嶺の再戦が2人の間で交わされたのだった。

 

(その時まで私が生きていられたら、ですけどね・・・・・。)




あらためて投稿遅れてごめんなさい!!

構想中に何故かミレイ対高嶺の模擬戦というネタがうかび急遽路線変更に時間がかかりました。(所々すっ飛ばした事は気にしてません)※他にも色々と遅れた原因有り

ここからは余談

今更ですが6話の後書についてです。

ミレイちゃんの書き方を説明しましたが、作者がキャラ絵を書けないのは事実です。

・・・・・が、そんなにキャラ絵を書けない作者に新たな道を示してくれたアプリがありました。

はい、カスタムキャストでミレイちゃん作成しました!(わーぱちぱちー!)

無課金でも色々できるので興味のある方は是非お試しあれ!
簡単に作る方法ですが、まず、頑張って樟美を作って下さい。そこから身長を限界まで下げて眼と髪の色を変えるだけでなんとなくミレイちゃんが出来上がります。(課金は必要ありません)

それではまた次回!


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26話:3レギオン合流


久々のヘルヴォル登場!

26話、始まります。


「ごめんなさい。私達はここから先に行く訳にはいきません。」

 

ヘルヴォルと合流後、百合ヶ丘の校門前で一葉が口にした一言。

説明によると百合ヶ丘とエレンスゲは政治的に微妙な関係性にあり、ゲヘナと通じている為許可は出ているもののそれを良く思わない者が多数いるとの理由だった。

 

「なので、宿の方は街の方でとる予定でした。ですが合同演習自体はは予定通り参加させていただきます。」

 

「ねえ、一葉、さっきから藍の様子が・・・・・」

 

「え?・・・・・藍?」

 

「ミレイ・・・・・怖い。」

 

駅で合流してからずっとミレイに後ろから抱きついていた藍が泣きそうになり震えていた。

 

「へえ・・・・・ゲヘナですか・・・・・そこのせいで結梨さんは・・・・・私も引き渡されそうになりましたし・・・・・もしかしてこの際だからこのまま連れて行こうとしてません・・・・・よね?」

 

「あの・・・・・ミレイ、さん?」

 

「一葉さん、エレンスゲの所在地教えてもらっていいですか?」

 

「それは構わないですけどもしかして行く気ですか!?」

 

「ええ。今から行ってちょっと校舎吹き飛ばしてきます。」

 

「「・・・・・え!?」」

 

突拍子も無い事を笑顔で言うミレイに驚く一葉と恋花。

 

「吹き飛ばすって言っても今のお主にそんな魔力は無いじゃろうが!!」

 

「そこが今1番の問題なんですよね・・・・・。」

 

ミリアムのツッコミに少し冷静になるミレイだったが・・・・・

 

「ミリアムさん、ちょっと手伝ってもらっていいですか?」

 

「どこをどうしたらそういう考えになるのじゃ!?」

 

「大丈夫です。レアスキル発動してくれるだけで充分ですから!そうすれば全壊とはいかずとも半壊くらいは余裕だと思いますよ?」

 

「わしを魔力タンクか何かと思っとらんか!?」

 

「そうと決まれば急ぎましょう!こういう事は早いに限りますから!」

 

「梨璃の為だったとはいえあの時みたいな使われ方はもう嫌じゃ───!!!」

 

必死で嫌がるミリアム。

 

「お姉様・・・・・そろそろ止めた方がいいのでしょうか?」

 

「梨璃、少し待って。一葉さん、"あの時"の事、学院の方には報告したのかしら?」

 

「いえ、報告すればおそらくゲヘナはおろか国まで動きかねないので私としてはこのまま伏せておこうかと。」

 

「そう、妥当な判断ね。梨璃、止めてらっしゃい。他の方も手伝ってもらえないかしら。」

 

「わかりました、お姉様!!・・・・・ミレイちゃん、落ち着いて───!!」

 

梨璃を含む数名でミレイをなだめる事数分後・・・・・。

 

「ごめんなさい、少し取り乱してしまって。その名前を聞くとどうしても・・・・・昔の事も思い出してしまいましたし・・・・・。」

 

「こちらこそごめんなさい。昔何があったのかは知りませんがゲヘナに対しての恨みがそこまでだったなんて・・・・・。」

 

「とりあえずエレンスゲの方は置いとくとして、ヘルヴォルの皆さんが信用出来る事がわかっただけでも安心です!・・・・・で、藍さんはいつまでこのままなんでしょうか?」

 

普段の様子に戻ったミレイの後ろに藍が再び抱きついていた。

 

「ん・・・・・いつものミレイで安心。」

 

「あの、しばらく藍さんも離れてくれなさそうですし私もこのまま一緒に泊まりましょうか?」

 

その言葉に反応したのが2人。

 

「「待って、私達も一緒にいいかな!?」」

 

梨璃と叶星だった。

 

「梨璃さん、叶星様、気持ちは嬉しいのですがさすがにこの人数でホテルに押しかけるのは・・・・・」

 

「一葉さん、でしたら皆さんで野宿というのはどうでしょうか?食事の用意とかは私がするので。」

 

「ミレイちゃん、私にも手伝わせてもらえませんか?」

 

「千香瑠さん、ありがとうございます。今この人数の食事をどうしようかちょうど考えていたところだったんです!!と、なれば後は食材と場所の確保ができればいけそうですね!」

 

すっかりやる気満々の2人。そんな2人を見る中おそるおそる手を上げる者がいた。

 

「あ、あの!!でしたらその場所の確保、私に任せてもらえませんか!?」




ミレイちゃん→BOUQUET9話
ミリアム→BOUQUET10話

エレンスゲはそこまで悪く無いんですよ!ゲヘナの存在がいけないんです!!

それではまた次回!


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短編:聖夜の贈り物


読者の皆様ごきげんよう!!
なんとなく思いついたクリスマス回!
(投稿自体は久々です。)

それでは始まります。


 

一柳隊控室───。

 

「ふぁ・・・・・。」

 

「ミレイちゃんどうしたの?寝不足?」

 

「ええ、今読んでる小説が面白くてなかなか眠れなくて。それに、明日のメニューも考えないとですし・・・・・。」

 

「そういえば明日でしたわね、クリスマスパーティー。」

 

そう、明日は一柳隊、水汐会、アールヴヘイムの3レギオン合同でのクリスマスパーティーがあるのだった。

 

「メニューを考えてるって事はミレイさんも明日何か作るんですか?」

 

「はい、樟美さんのお手伝いついでに私も1品何か作ろうと思います。千香瑠さんにも相談しましたし!」

 

「それにしてもよく樟美さんが許してくれましたね。」

 

「え、聞いたら意外と大丈夫でしたよ?少し工夫はしましたが。」

 

最初は断られたものの気が済むまで暫く「お姉ちゃん」と呼び続けると言ったところ、天葉の口添えもあり、2人で分担する事になったとか。

 

「樟美さんと一緒に料理出来るなんて少し楽しみです!!」

 

『それ樟美さん恥ずかしがってるだけだよ・・・・・。』と心の中でツッコむ一同だった。

 

「そういえばそのクリスマスに出てくるサンタクロースってどのような方なんですか?一応調べたのですが確か赤い服を着たお爺さんで・・・・・」

 

「うん、そしてトナカイに引かれたソリに乗って子供達にプレゼントを届けるんだよね!」

 

「そこまではわかったのですがその状態で空を飛んでる事がどうも納得できなくて・・・・・。もしかしてその人相当な魔力を持っているんですか?」

 

「あの、ミレイちゃん?」

 

「ちなみに空を飛ぶ以外にも色々使えるみたいだぞ?」

 

「と、言うことかなり強いみたいですね・・・・・。ちょっと手合わせしてみたくなりました。」

 

梅の余計一言でサンタクロースに興味津々のミレイ。

 

「でもサンタさんって寝ていないと来ないんじゃ・・・・・。」

 

「でしたら部屋に探知結界でも張って・・・・・」

 

「ミレイさん、そんな事をしてしまうと警戒して近付いて来ないと思いますよ?それに来るとしてもかなり遅い時間みたいですから。」

 

「そうなんですか。残念です・・・・・。あ、そろそろアールヴヘイムの皆さんと買い出しに行って来ます!」

 

「行ってらっしゃい!ミレイちゃん、明日楽しみにしてるからね!」

 

「任せてください!!」

 

そうして部屋を出て行くミレイを見送り数分後・・・・・。

 

「ミレイちゃん戻って来ないよね・・・・・皆、明日の準備は大丈夫!?」

 

「もちろんですわ!」

 

「うん・・・・・。ミレイ、喜んでくれるかな・・・・・?」

 

「雨嘉さん、もっと自信をもっていいと思いますよ?」

 

「大丈夫だ!鶴紗と一緒に選んだからな!」

 

「何も思いつかないからって本当にあれで良かったのか梅様。」

 

「私も閑さんに手伝ってもらって用意しました。傑作ですよ~!」

 

「そういえばお姉様は何をプレゼントするか決まったんですか?」

 

「ええ、色々悩んだのだけれど決まったわよ。それで、ラッピングはせずにそのまま渡す事にしたわ。その方があの子の場合喜びそうだから。」

 

ちなみにミリアムは事前に聞いたところ百由と一緒に何か準備しているとか。

 

「ところで梨璃、本当にやるつもりなの?」

 

「はい、今日は早く寝るみたいですし朝までは起きないみたいですから!」

 

両手でガッツポーズをして意気込む梨璃。

 

(本当に大丈夫かしら・・・・・。)

 

その様子を見てどこか心配そうな夢結だった。

 

───。

 

「お邪魔しま〜す、ミレイちゃん、寝てるよね~。」

 

日付か変わる少し前、ミレイの部屋に侵入する者がいた。

 

(えっと・・・・・よく見えないけど枕元でいいかな?)

 

その枕元に何かをそっと置こうとした瞬間・・・・・

 

「ん・・・・・」

 

(え!?起きない筈じゃ・・・・・)

 

「えっと・・・・・サンタ・・・・・さん?」

 

そのサンタ?と目が合うミレイだったがどこかぼんやりしていた。

 

(これ、寝ぼけてるだけだよね?それじゃあ私は部屋に・・・・・)

 

「サンタさん、来てくれたんですね~。」

 

手を掴んだまま離さないミレイ。

 

「ミレイちゃん!?私はサンタさんじゃなくて梨璃───」

 

「ヘ〜りりって名前なんですね〜。偶然にも私の友達にも同じ名前の方がいてですね~、とりあえず勝負してください・・・・・。」

 

「ちょっと待って!?だから私だっ───」

 

ドゴォン!!

 

ミレイの部屋で起こった小さな爆発と閃光に気付く者はいなかった。

 

(さて、結梨さんの所に行ってその後は・・・・・)

 

ふみっ!

 

朝起きてベッドから降りると足元に妙な感触があった。確認してみると・・・・・

 

「・・・・・人の部屋で何やってるんですか梨璃さん。」

 

夜中に部屋に侵入しプレゼントを届けた所寝ぼけたミレイにサンタと間違えられ攻撃された梨璃だった。

 

───。

 

「・・・・・はっくしっ!!」

 

「大丈夫?梨璃。」

 

「もう、梨璃さん・・・・・あんな所で寝てるから・・・・・。」

 

「ミレイちゃん、昨日の夜の事覚えてないの?」

 

「えっと・・・・・何かあったんですか?」

 

梨璃の話によると【グラヴィティ】で完全に動けなくした後、雷撃を浴びせられ気絶したとか。

 

「ごめんなさい・・・・・昨日の事は何も・・・・・。それでですね、朝起きたら枕元にこれが置いてあったのですが。」

 

そう言ってミレイが取り出したのは綺麗な白いリボンのついた紙袋だった。

 

「とりあえず開けてみたら?」

 

梨璃に言われて開けてみると、中には天使の羽根が付いたヘアクリップが入っていた。

 

「梨璃さん、これ・・・・・」

 

「うん、私からのクリスマスプレゼント!!」

 

「・・・・・梨璃さん、深夜にわざわざ置きに来るなら手渡しでよかったのでは?そのまま私の部屋で寝てしまったみたいですし。」

 

「ミレイ、梨璃はサンタクロースの真似がしたかっただけなのよ。そうよね、梨璃。」

 

「お姉様〜!!」

 

本当の事を夢結に言われ恥ずかしがる梨璃。

そう、ただミレイを驚かせたい一心での行動だったのである。逆にサンタクロースと間違えられたのは予想外だったが・・・・・。

 

「そうだったんですか・・・・・。でも、ありがとうございます!早速今日から使わせてもらいますね!!」

 

満面の笑みを浮かべるミレイだったが少し涙目にもなっていた。

 

「では、私からもお返しに・・・・・」

 

「いいよ、ミレイちゃん!私がプレゼントしたかっただけなんだからお返しなんて・・・・・」

 

「いいから受け取って下さい。皆さんの分もありますよ!」

 

小分けに包装された袋をそれぞれ梨璃達に配っていく。

 

「ミレイちゃん、これ・・・・・」

 

「ええ、少し可愛らしいわね・・・・・。」

 

梨璃達が袋から出したのはそれぞれ別の色の四つ葉のクローバーのネックレスだった。

 

「ミレイ、もしかして寝不足だった本当の理由って・・・・・?」

 

そう、ミレイはこの日の為に数日前から準備をしていたのである。

 

「少し細かい作業だったのと、汐里さんにも相談したりして何とか間に合いました。あ、休憩がてら小説を読んでいたのは本当ですよ?」

 

「少し無理しすぎよ。でも、ここまでされて私達が何もしない訳にはいかないわね。ミレイ、今日のパーティーの時、覚悟しときなさい。」

 

「何かはわかりませんがとりあえず期待しておきます!」

 

「はいはい、それでは今日の準備初めますわよ!」

 

「なんで楓が仕切ってるんだ・・・・・?」

 

「そこ!何か文句ありますの!?既に役割分担は決めてありますわ!」

 

グリーンフェアの時といいこういう事は早い楓だった。

 

「さ、梨璃さん、隊長として一言お願いします。」

 

「わかりました!それではみんな、頑張りましょう!!」

 

 

一方その頃───。

 

「やだ〜藍もご馳走食べたい〜。」

 

「藍、今回は他のレギオンもいるのだから私達は参加できないの。」

 

(あらあら、私がミレイちゃんの相談に乗ってる内に何があったのでしょうか・・・・・?)

 

「まあこうなるよね~」

 

「恋花・・・・・百合ヶ丘でのクリスマスパーティーでミレイがご馳走作るなんて言うから・・・・・。」

 

どうやら電話の内容を少し聞かれていて恋花が盛って伝えたらしい。

 

「そういう事でしたか・・・・・あ、ミレイちゃん?少しお願いがあるのですが・・・・・」

 

「藍ちゃん?今回は私が作ります。ミレイちゃんにはケーキを作って送ってもらえるように頼んどきました。」

 

「え、ミレイのケーキも食べれるの?うん、じゃあ藍、待ってる!楽しみ〜!!」

 

すっかり機嫌を良くした藍。

 

「恋花さん?覚悟しといてくださいね・・・・・。」

 

「え、ちょっと千香瑠?目が怖いよ!?」

 

後にケーキが2つ届き限界まで甘くした特別製の方を恋花が1人で食べさせられ暫く甘い物を見るのを嫌になったのは言うまでもなく・・・・・。





以上!クリスマス回お届けしました。(もう年末なのに何書いてんだ・・・・・。)

サンタクロースって異世界(主に魔法関係)出身者からみたら本当に不思議な存在ですよね~。

弟子は師匠に似ます(悪い所も含めて)

ヘルヴォルの方はふるーつのたい焼き回参考にしました。

夢結達がミレイちゃんに何をプレゼントしたのかはご想像にお任せします!!

それではまた!(そろそろ投稿ペース戻したい・・・・・。)


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短編:迎春、おせち争奪戦!!


読者の皆様、新年明けましておめでとうございます!

正月回!

それでは始まります。


 

百合ヶ丘女学院グラウンド───。

 

「勝者、アールヴヘイム!!」

 

百由の掛け声と共に響き渡る歓声。

この日はレギオン対抗で3対3による模擬戦が行われていた。

そして今、水夕会とアールヴヘイムによる準決勝が終わった所である。

 

「天葉、ようやく決勝まで来たわね。」

 

「ええ、この調子で次も勝つわよ!」

 

意気込む2人。そして決勝の相手は・・・・・

 

「さぁ、遂に決勝戦、この戦いを制し、特製おせちを先に食べる事が出来るのは果たして一柳隊、アールヴヘイムのどちらになるのか!!」

 

「お姉様、頑張りましょう!」

 

「ええ、梅も準備はいい?」

 

「ああ、いつでも大丈夫だぞ!・・・・・と、言いたいところだがここはあいつに・・・・・」

 

どうやらまた梅の気まぐれがあり・・・・・

 

「それじゃ、再度ルールを説明するね!レアスキル、CHARMの使用は自由!だけど・・・・・雪玉での攻撃のみ有効とするわ!先に相手側を全滅させた方が勝ち、それじゃ、お互い準備はいい?」

 

「こちらはいつでも大丈夫です!」

 

「こっちもいいわよ!」

 

同時に返事をする梨璃と天葉。

 

「それじゃ、決勝戦、始め!」

 

かくして、1面雪景色の中決勝の火蓋は切られたのだった。

 

「あら、梅様の代わりに入ったのね。でもそうなると的がかなり小さくなって余計に当てにく───」

 

ズドン!!

 

「「亜羅椰───!!!!」」

 

何が起こったのかわからず急に吹っ飛んだ亜羅椰に向け同時に叫ぶ天葉と依奈。

 

「亜羅椰さん早々にアウト!!おーっと、これは速い!」

 

いつの間にどこからかスピードガンを持ち出していた百由。ちなみに速度はというと・・・・・

 

「さて、ゲストの鶴紗さんと樟美さん、今の避けられそう?」

 

「「無理。」」

 

何故か実況席にいる鶴紗と樟美が同じ回答をしていた。

 

「あの速度の雪玉、どうやって避けるんだ・・・・・」

 

「多分防御も出来なさそう。」

 

そう、亜羅椰に飛んでいった雪玉は銃を遥かに凌駕したスピードであるため、見てからでは遅く、ファンタズムを持ってしても予知したところで1秒かからない為難しいのだとか。

 

「誰が小さいですか、誰が・・・・・」

 

下に俯きながらも右手に雪玉を持ち風を纏わせているミレイ。

 

「ちょっと待ってミレイさん!?」

 

「百由!あれ反則じゃないの!?」

 

「雪玉で攻撃している限り有効よ〜。」

 

実は百由も半ば諦めていて"魔法の使用禁止"をルールに加えていなかった事を今になって思い出していた。

 

「亜羅椰、小さいなんて言───っ!?」

 

バキィ!!!

 

「鶴紗さん?今なんて・・・・・?」

 

超スピードで飛んで来た雪玉が後ろの木をなぎ倒していた。

 

「とりあえず寒いので決めちゃいますね。ミストルティン!!」

 

「お姉様、あれっていいのでしょうか?」

 

「杖の使用も禁じられて無いから問題無いと思うわよ。」

 

「ミレイさん、ごめん!1日樟美の事お姉ちゃんって呼んでいいから!」

 

「亜羅椰にもキツく言っとくから、ね?」

 

「・・・・・せーの!!」

 

2人の命乞い?は聞き入れられる事は無く、突如出現した巨大な雪玉によって埋もれてしまうのだった。

 

───。

 

『乾杯!!』

 

一柳隊の優勝で模擬戦は幕を閉じ、そして・・・・・

 

「いや〜今日は皆お疲れ様!」

 

「百由・・・・・結局は全員同じタイミングで食べられたんじゃないの・・・・・。」

 

呆れる夢結。

 

「さすがですわ2人共!私が取り寄せた超高級食材をここまで完璧に調理するなんて!」

 

「楓さん、ありがとうございます!」

 

「うん・・・・・(いくらかかったんだろう・・・・・?)」

 

そんな樟美の疑問をよそに全員の箸が止まる事は無く大好評だったのだが当然食べられなかった者達もいた訳で・・・・・。

 

「「ぶえっっっっくし!!」」

 

別室で響き渡るくしゃみの音。数分雪に埋もれていた天葉と依奈が暖をとっていた。

 

「うう・・・・・寒い・・・・・。」

 

「こんな事になるんだったら亜羅椰を出さなきゃよかった・・・・・。」

 

「そういえば亜羅椰大丈夫かしら・・・・・?」

 

「大丈夫よ、気絶してるだけだって・・・・・。」

 

尚、亜羅椰はぶつけられた後の記憶が無かったとか。




以上!
クリスマス回(投稿は年末)に続き正月回お届けしました!(間に合った〜。)

ちなみに補足としてミレイちゃんが最後に使ったのは
杖モードでの魔法弾(水×2)です。(超音速の雪玉は身体強化と風魔法の複合)

今回勢いで書いたので他の人の台詞が圧倒的に少ないのは勘弁!!

ここからはラスバレ報告!
振り袖雨嘉無事確保しました。(課金一回してそれでも出なかったからメモリアメダルで交換したけど・・・・・。)

それではまた!(本編もう少し待ってて)


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27話:星空の誓い

本編投稿遅れてすみませんでしたぁぁぁぁぁ!!!!!!

27話、始まります。



 

「ミレイさん、いつでもいいわよ。」

 

「それでは・・・・・いきます。」

 

ミレイがマギクリスタルに手をかざすと小さな魔法陣が現れ、百由の持っているタブレットに解析されたデータが送られていく。

 

「装置の方は問題無いみたいね。」

 

「まさかこんなに早く完成するなんて・・・・・それで、どうなのでしょうか・・・・・?」

 

「これが作れたのはミレイさんがマギクリスタルを調整してくれたおかげよ。っと、やっぱり数値化されるとわかりやすいわね!・・・・・え?」

 

表示されたデータを見て少し驚く百由。

 

「どうしたんですか?」

 

「ミレイさん、落ち着いて聞いてね?今のあなたの魔力の量なんだけど・・・・・」

 

───。

 

「お姉様、ミレイちゃん大丈夫でしょうか・・・・・?」

 

「だだのメディカルチェックみたいだから大丈夫だと思うわよ。終わったら合流するって言っていたでしょう?」

 

二水の提案でグリーンフェアでお世話になった町内会長から聞いたロッジに向かっている一同だったが校門前での一悶着後、ミレイは百由に呼び出され別行動を取っていた。

そして一同がロッジに到着しそこにいたのは・・・・・

 

「ミレイちゃん、大丈夫!?」

 

「やっぱり海岸で高嶺ちゃんが少し無理させすぎちゃった!?」

 

(なんで私が悪いみたいになっているのかしら・・・・・?)

 

「実はここに来るまでの道がケンタウロスとか出そうでね・・・・・」

 

「ややこしくなるからあなたは少し黙ってなさい!!」

 

「ミレイ〜お腹すいた〜。」

 

 

「心配かけてごめんなさい、身体の方は大丈夫です。灯莉さん、私もその話少し私も気になるので後で聞かせてもらえませんか?」

 

先に到着していたミレイに驚いて心配する梨璃と叶星、そしてマイペースな灯莉とお腹を空かせた藍。

 

「ミレイさん大人気ね~。」

 

「百由様!?来ておったのか!」

 

「ええ、今回の作戦の一部は私が立案してるからね。作戦本部長として帯同させていただくわ。あと、これから必要な物ならここにあるわよ~いや〜会長さんも気が利くわね~!」

 

そこにあったのは薪とコンロ、人数分の食器、そして・・・・・

 

「あら、これだけあれば色々作れそうですね。」

 

「皆さん、何か食べたい物ってありますか?」

 

「こういう時はやっぱりバーベキューしか無いでしょ!もしくはカレーでもいいよ!!」

 

「ばーべきゅー!」

 

「もう、二人共・・・・・。」

 

大量の食材の前にハイテンションになる恋花と藍を見て呆れる一葉。

 

「どうやら考えるまでも無いみたいですね。ミレイちゃん、頑張りましょう!!」

 

「ええ、精一杯腕を振るわせてもらいます!」

 

既にやる気満々の二人だった。

 

「どうやら話はまとまったみたいね!それじゃ、先程発表したチーム分けに準じて各員、行動開始!!」

 

(お姉様〜。)

 

(梨璃、諦めなさい。)

 

(神琳、ずるい・・・・・。)

 

(今度2人で教えてあげますから、だから今回は・・・・・ね?)

 

チーム分けに多少の不満は出たもののそれぞれの説得?により行動は開始されたのだった。

 

「百由、ちょっといいかしら?」

 

「もしかしてミレイさんの事?・・・・・そうね、貴方には話しておくわね。」

 

───。

 

「〜♪」

 

「あら、ミレイちゃん鼻歌なんか歌っちゃって、随分嬉しそうね。」

 

「ええ、こうして誰かの為に料理をするのが久しぶりなので。」

 

「そういえばミレイさんはいつから料理を?」

 

「そうですね・・・・・」

 

理由は単純であり、孤児院にいた頃も質素だったが、師匠と暮らし始めてから更に酷さを増したため、(そもそも師匠の絶望的な家事能力の無さが原因だったり・・・・・)暇さえあれば料理本を読み込み半月くらいで人前に出せるレベルまで成長したのだとか。

 

「こうして理由を話してると私が料理出来なかった頃が懐かしいですね〜。」

 

どれだけ酷かったの・・・・・と、思った3人だった。

 

「ねえ、ミレイちゃん、神庭に転校する気は無い?」

 

「「え?」」

 

何故か同時に驚く千香瑠とミレイ。

 

「ミレイちゃんの場合百合ヶ丘にいるよりもこっちに来た方が今よりも好きな事色々出来ると思うのだけれど。」

 

「叶星さん、それならエレンスゲで私と一緒にいた方がミレイちゃんも嬉しいと思うのですが。」

 

「あら、そんな危ない所に入れちゃって大丈夫なのかしら?」

 

「大丈夫です。私達がしっかりと守ってみせますから。」

 

(何で私がどちらかの学校に転校するみたいになっているんですか・・・・・。)

 

「ふむふむ、調理場は和やか・・・・・でも無いみたいだけど人選間違えちゃった?」

 

「百由様、いつからそこに?」

 

「ついさっきよ。あと、何故か私の想定してないメンバーが向こうにいるんだけど。」

 

ミレイの両側で2人が火花を散らす中、百由が目を向けた先にいたのは・・・・・

 

「え?ミレイうちに来るの〜?」

 

「違うよ、ミレイは藍と一緒にいるの〜。」

 

「あんたたち一体何しに・・・・・熱っ!?」

 

気が付けば既に米を炊きおにぎりを作り始めた姫歌と何故かついて来た灯莉と藍だった。

 

「なんか向こうでも一悶着ありそうね・・・・・。」

 

「大丈夫です。私がなんとかしますから。・・・・・叶星様、千香瑠様、ミレイさんを貰いたいのであればまずはうちの梨璃さんと雨嘉さんに聞いて頂かないとあの2人物凄く悲しがると思うのですが。」

 

「・・・・・そうね、その2人に聞いてからしっかりと話し合うとしましょうか、千香瑠さん?」

 

「そうしましょうか、叶星さん。」

 

「え〜ミレイとずっと異世界の話出来ると思ったのに~。」

 

「え・・・・・ミレイこないの!?藍とずっと一緒にいられないの?」

 

「逆効果だったみたいよ、神琳さん?」

 

「あら〜?こう言っておけば皆さん諦めてくれると思ったのですが・・・・・。」

 

ダァン!!!!!

 

その音にその場にいた皆が驚き見てみるとミレイがジャガイモを物凄い勢いで叩き切りまな板に包丁を食い込ませていた。

 

「ごめんなさい、もう少し静かにして頂けると・・・・・姫歌さん、熱いのであればまず手を氷水とかで冷やすといいみたいですよ?」

 

「そうですね、後はラップと一緒に布で包むとか・・・・・」

 

「そうそう、ラップで包んだ後、軍手をつけて握るやり方もあるわね!」

 

「本当ですかっ?いい事聞いたわ、早速やってみましょう!」

 

「藍さん、灯莉さん、他の方の手伝いとかしながらおとなしく待っててくださいね?」

 

「そういえばやることあるんだった!それじゃあまた後でね~。」

 

「藍も一葉達の手伝いして来る〜。」

 

「それじゃ私も・・・・・」

 

「行く前にその炊いた分使いきって下さいね~"定盛"さん?」

 

「だからひめひめだって・・・・・はい・・・・・(何で私まで怒られてるのよ~!!)」

 

素直にミレイの言う事を聞く3人。何故かというと目が笑っていなかったのである。

 

「どうやらミレイさん、あまり邪魔されたくないタイプだったみたいですね。あら、百由様?」

 

既に百由の姿はそこには無かった。

 

(百由様、逃げましたね・・・・・。)

 

そして食事は始まり、ミレイと神琳が担当したカレーのあまりの美味しさに驚いたり等大成功に終わった。

なお、食事中に千香瑠と叶星が梨璃と雨嘉の説得を試みるものの、案の定嫌がられたのは言うまでもなく。

 

そしてその夜───。

 

「今日はお疲れ様。貴方も大変ね、色々な人に好かれてしまって。」

 

「えっと、自覚は無いのですが・・・・・全国的に有名な夢結さん程では無いと思いますよ?」

 

「貴方程でも無いわよ。そんな事より、百由から聞いたわよ。」

 

使用可能魔力の大幅な減少───。

それが百由からミレイに伝えられた一言だった。

精神強化に魔力を大幅に割いてるとはいえここまでの無理がたたり今のままでは戦う事も困難な状態にあるのだが・・・・・

 

「それで・・・・・後どのくらい抑えられそう?」

 

「そうですね・・・・・もうそんなに余裕は無いと思います。」

 

「その時は、本当にしていいのね?」

 

「ええ、お願いします。・・・・・もしかして夢結さんともあろう人が怖気づいちゃいました?」

 

「馬鹿言わないで、ただの確認よ。」

 

そうして冗談を交えつつ皆が寝静まった中、星空の下で言葉を交わす2人だった。

だが、その2人にも言葉にはしないものの、不安が残っていた・・・・・。

 

((梨璃(さん)の事、どうしようかしら(かな)・・・・・。))

 

───。

 

ごめん、もう・・・・・限界・・・・・あとは・・・・・任せ・・・・・





あらためて本編投稿遅れてごめんなさい!!(何でもはしませんが許して・・・・・。)

やっっっと紆余曲折しながらもなんとか纏まりました!

さて、遂に限界の近いミレイちゃんの運命やいかに!

それではまた次回!


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28話:一柳隊の想い


伏線回収、はっじまるよ〜!(梨璃風)

28話、始まります。



 

「次に黒い髪の私が目覚めそうになったら遠慮なく殺してくれませんか?」

 

あの一件の後の医務室───。

梨璃が出ていった後、ミレイが夢結に伝えた一言だった。

この事を知るのは僅か一部のため梨璃達には実行するときに説明しようという2人の判断だった───。

そしてその時が訪れ・・・・・。

 

ズドォン!!!

 

響き渡る一発の銃声───。

その銃弾はミレイの心臓を貫い・・・・・たのでは無く足元に着弾していた。

 

「梨璃、邪魔をしないで。」

 

「嫌です!いくらお姉様とミレイちゃんの頼みでも!!やっぱりこんなの間違ってます!」

 

「さっき話したでしょう?もうこの方法しか防ぐ手段は無いって。」

 

「梨璃さん、お願いします。夢結さんを離してあげてください。私も覚悟はしてましたから。」

 

「そんな・・・・・でも、だからって死ぬなんて・・・・・っ!」

 

夢結のブリューナクを掴んだまま涙ぐむ梨璃。

その様子を見かねた楓がそっと手を重ね・・・・・

 

「梨璃さん、ミレイさんの言ってる事、少しは聞いてあげません事?それに、もう一度あの存在が出てきても私達には何も出来ませんのよ?」

 

「お願い・・・・・梨璃、離してあげて。」

 

「今向こうで特型と戦っている一葉さんと叶星様達の頑張りを無駄にする気ですか?」

 

「特型よりもあれの方が厄介だしな・・・・・。」

 

「鶴紗、容赦ないナ~。けど、迷ってる時間はそんなにないゾ?」

 

「梨璃さん!」

 

「それでも私・・・・・私は・・・・・っ!」

 

楓達が説得するも離そうとしない梨璃だったが・・・・・

 

「梨璃、聞きなさい。貴方の使命は何?ヒュージを倒す事ではないの?」

 

「それに、梨璃さんもわかっている筈です。ここで立ち止まっている場合では無いって。」

 

「お姉様、ミレイちゃん・・・・・。うん、でもミレイちゃん、最後に一言言わせて?」

 

CHARMから手を離しミレイに向き合う梨璃。そして・・・・・

 

「こんな事私に相談せずに勝手に決めないで!一応隊長であって・・・・・それに、私達、友達でしょ?」

 

「全く・・・・・やっぱり梨璃さんは梨璃さんですね。私がいなくてもあまり夢結さんに迷惑かけないでくださいね?」

 

「もう、ミレイちゃん〜!でも、今まで色々あったけど、楽しかった!!だから・・・・・」

 

「ええ、私も。こっちの世界での暮らし、悪くなかったです。あの、私まで泣きそうになるのですが・・・・・」

 

笑顔で言い合っていたが最後は2人共目に涙が溜まっていた。

 

「2人共、そろそろいいかしら?」

 

「お姉様、あまり痛くしないであげてください・・・・・。」

 

「ごめんなさい夢結さん、待たせてしまって。お願いします。」

 

銃弾に痛いも何もあるのかしら・・・・・と思いつつも再び銃口をミレイに向け───。

 

(これで、いいんですよね・・・・・。)

 

「それじゃあね・・・・・。」

 

ミレイがそっと目を閉じ、そして2度目の銃声───。

 

我の許しも無しに勝手に死なれるのは困るな・・・・・。

 

「嘘・・・・・ミレイ・・・・・ちゃん・・・・・?」

 

「・・・・・っ!!」

 

今度こそ確実に心臓を貫いたかと思われたが赤い障壁によって防がれていた。

 

『まさかここまで我を抑えるとはな・・・・・。だが、此奴の意識は完全に支配した。後は邪魔な貴様らを・・・・・っちい!!』

 

「そうはさせない!!」

 

「お姉様!?」

 

『くっ・・・・・やはりこの体格では近接は不利か・・・・・だが!』

 

「飛ばさせると思う?ミレイの事は私達が一番よくわかっているわ、だからここで朽ち果てなさい!」

 

高速の連撃でミレイ?を押さえ込む夢結。

 

「凄い・・・・・夢結様・・・・・。」

 

「じゃがあれでは夢結様の魔力の方が先に尽きて・・・・・ん?百由様!?なんじゃこの大変な時に!!」

 

『今こっちで物凄い量の魔力が観測されたんだけどもしかして失敗しちゃった?』

 

「うむ・・・・・今夢結様が抑え込んでおるがそれも時間の問題での・・・・・他に何か手立てがあれば良いのじゃが・・・・・」

 

『あるわよ。私も夢結に頼まれてどうすればいいか考えていたのよ!で、2つあってね・・・・・』

 

百由の考えた作戦───。

まず1つ目は特型の事は一旦諦めての19人によるノインヴェルト戦術。

 

『これでも効くかどうかわからないから可能性は低いのだけど、そこで、もう一つ!梨璃さん、貴方確かミレイさんの魔力に直接触れたことがあるのよね?』

 

「え?確かあの学院付近に攻めて来たヒュージを倒すときにミレイちゃんとマギ交感をしましたけど・・・・・?」

 

『その確認を取れただけでも十分よ。それで、その事を考慮した作戦なんだけど・・・・・』

 

百由の言葉に一同が黙り込んだ。

 

『それで、梨璃さん、いける?といってもこっちも成功する保証は無いんだけど。』

 

「はい、それでミレイちゃんが助かるなら!!」

 

「百由様、本当に大丈夫ですの?」

 

『要は気合いって事よ。いい、貴方達の想い、あの子に思いっ切りぶつけてあげなさい!!』

 

一方その頃───。

 

ズドォォォォン!!!!!

 

グラン・エプレの放ったノインヴェルト戦術が特型に直撃し、倒したと思われたが・・・・・

 

「直撃したはずなのに・・・・・防がれたっ!」

 

「そんな・・・・・ああもう、一柳隊は何やってるのよ!」

 

「確かに遅いですね・・・・・っ!!」

 

「一葉さん?」

 

「この感じ・・・・・」

 

「うん、また現れたみたいだね。しかもあの時よりもずっと強い・・・・・。」

 

「夢結さんから聞いていたけどまさかここまでとはね・・・・・。」

 

一葉達が感じた悪寒・・・・・別の人格のミレイが目覚めたことによる余波が届いた事によるものだった。

 

「ミレイ・・・・・また・・・・・」

 

「藍!今は目の前の特型に集中して!!」

 

「そんな事言ったってこっちもそうだけどあっちの方もかなり危ないんじゃないの!?」

 

「うん・・・・・姫歌ちゃんの言ってることもわかるけど・・・・・」

 

一同が慌てる中、一葉の端末が鳴り響く。

 

「はい・・・・・百由様?・・・・・え!?」

 

『ごめんね、しくじっちゃったみたいで!!でも、大丈夫!だからもう少し時間を稼いでくれないかしら?ミレイさんの事は一柳隊が必ず何とかするから!!』

 

「・・・・・一葉?」

 

「叶星様、まだいけますか?一柳隊の方もう少しかかるみたいなので。」

 

「ええ、高嶺ちゃんも大丈夫?」

 

「まだまだいけるわよ、叶星。」

 

「ありがとうございます。皆さん、聞いて下さい!私達は一柳隊の準備が出来るまで時間を稼ぎます!!」

 

───。

 

ギィン!!

 

「あいかわらず硬いわね・・・・・。」

 

『ふん、この程度いくらでも防いでくれるわ・・・・・。』

 

「けど、貴方も防ぐだけで手一杯では無いのかしら?」

 

『ぬかせ・・・・・貴様も限界が近いのではないのか?』

 

「「夢結様!!」」

 

「え・・・・・?」

 

楓と二水が夢結の反対側から攻撃を加えていた。

 

『複数の障壁を出せないとでも思ったか?』

 

「・・・・・ったく、これでも破れないってどれだけ硬いんですの?」

 

「防がれるのはわかってました、ミレイさんだったらこれくらいお手の物ですから!夢結様、百由様からの作戦を伝えます!」

 

───。

 

「魔力だけを通す?」

 

百由のその言葉に最初に疑問に思ったのが二水だった。

 

『そう、例え攻撃自体は防がれても魔力だけは通るはずよ。・・・・・そうね、ノインヴェルト戦術の逆って言えばわかりやすいかしら。』

 

「つまり、魔力を乗せた攻撃をあれにぶつける、そういう事ですよね?」

 

『簡単に言っちゃうとそうなるわね。』

 

「しかし、実行したところで全部防がれたら意味が無いんじゃないんかのう・・・・・?」

 

『大丈夫よ、眠ってるあの子を叩き起こすのが目的だから!』

「え・・・・・でもさっきミレイちゃんの意識を完全に支配したって・・・・・。」

 

『あ、その事だけど・・・・・。』

 

百由の説明によると確証は無いがまだ完全に取り込まれてはいない可能性があるため外部から魔力を供給すれば助けられるかもしれないといういわゆる一種の賭けに出ようというのだ。

 

『そして、梨璃さん、何とかあの子に接触して貴方の魔力をこの前の要領で流し込んであげて。うまくいけば力が多少弱くなる筈だからそこが狙い目ね!』

 

「百由様も無理を言ってくれますわね・・・・・。わかりました、順番は私が考えます、梨璃さん、必ず送って差し上げますわ!!」

 

───。

 

「全く・・・・・よくそんな事を思いつくわね。」

 

「私もそう思いますわ・・・・・神琳さん、雨嘉さん!」

 

「いきますよ、雨嘉さん。」

 

「うん・・・・・神琳!」

 

神琳と雨嘉が後ろから同時に発砲するも・・・・・

 

『ちぃっ・・・・・小癪な!!』

 

「嘘・・・・・防いだ・・・・・?」

 

「大丈夫です、雨嘉さん!次、お願いしますわ!」

 

「上ががら空きだゾ!!」

 

『この程度で!!』

 

「ち・・・・・やっぱり無理か・・・・・。」

 

楓達が4方向から攻撃を加えるも全て防がれるが・・・・・

 

「今ですわ、ちびっ子2号!!」

 

「誰がちびっ子じゃ!!フェイズトランセンデンス!!」

 

ガギィィィィィン!!!

 

『ぬぅぅぅぅ!!!!』

 

「防いだ!!」

 

「・・・・・大丈夫ですわ、そのまま押し切ってくださいまし!!」

 

ミリアムの全力の攻撃、それを両手で防いでいたのだ。

 

「やはりお主も他人の身体では限界があるようじゃな!!」

 

『おのれ・・・・この我が力負けするだと・・・・。』

 

「貴方の敗因は私達のチームワークを侮った事ですわ!!」

 

そして遂に限界を迎えた障壁が消え・・・・

 

「今よ、梨璃!!」

 

「はい、お姉様!!」

 

───。

 

あれ・・・・・私、まだ死んでない・・・・・?

 

けど梨璃さんにやっと納得してもらって・・・・・それで・・・・・。

 

ちょっと待って、何か聞こえる・・・・・誰かが戦ってる?けど、わからない・・・・・。

 

もしかして・・・・・駄目・・・・・逃げて・・・・・もし相手が私の中にいた存在だったらもう、勝ち目は・・・・・。

 

(・・・・・レイ・・・・・)

 

ん・・・・・声・・・・・?

 

(このまま諦めるの!?)

 

誰?・・・・・でも聞き覚えのあるような・・・・・。

 

(貴方の事だからまだ中にいるのでしょう?だったらとっとと出てらっしゃい!!)

 

さっきよりはっきり聞こえる・・・・・夢結さん!?

 

確かに私はここにいますけど・・・・・目も開けられないしそもそももう抵抗する力は私には・・・・・

 

(ミレイさん!早く起きないと私より弱いっていいふらしますよ!!)

 

二水さん?いえ、起きてはいますよ?・・・・・というか調子に乗ってますけどまたお仕置きされたいんですか?

 

(貴方、梨璃さんをどれだけ悲しませるつもりですの?さすがの私でも怒りますわよ!?)

 

楓さん・・・・・相変わらずですね・・・・・。

 

(ミレイさん、今私達が頑張っているのでもう少し待っててくれませんか?)

 

神琳さん・・・・・あの、敵わないってわかってて一体何を・・・・・?

 

(ミレイ・・・・・負けないで・・・・・っ!)

 

雨嘉さん・・・・・ごめんなさい・・・・・。

 

(お前がいないと何か物足りないゾ!)

 

梅さん・・・・・ちょっと意味がわからないのですが・・・・・。

 

(こんな奴に負けんな・・・・・馬鹿野郎・・・・・!!)

 

鶴紗さん・・・・・馬鹿ってなんですか馬鹿って・・・・・。

 

(早く出てこんかぁぁぁぁぁ!!!!)

 

ミリアムさん!?・・・・・もしかして力任せに突っ込んだりしてません?

 

これ・・・・・皆さんの想いと・・・・・僅かですが魔力が私の中に・・・・・。

 

(ミレイちゃん!!!!!)

 

梨璃さんの魔力が一気に・・・・・でも、あの時も感じてましたがやっぱり凄いですね・・・・・暖かい・・・・・。

 

『私も少し元気出た。』

 

え、この声夢で聞いたような・・・・・まさか・・・・・あなたは・・・・・?

 

 




近接が苦手な魔法使いって多いですよね(今更)

力を合わせて誰かを助けるっていいですよね!!こういった熱い展開好きです!

ちなみにCHARMを人相手に撃ってるシーンが見たい方はアニメ4話Bパートをご覧いただければ。(そこで雨嘉を好きになりました(笑))

さて、いよいよ全て(全部じゃないかも)が明らかに!!

それではまた次回!


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29話:光の奔流


伏線回収しつつ色々決着つけます。

29話、始まります。



 

さっき聞こえた声───。

 

うん、確かにあの子の声・・・・・夢の中で見た私に似てる・・・・・

 

「もう目を開けても大丈夫。」

 

え・・・・・?

言う通りにしてみましょうか。

・・・・・ふと目を開けてみると目の前に黒い髪で赤い眼、私によく似た・・・・・というかほとんど瓜二つ?のその子は立っていました。

 

「んと・・・・・初めまして?」

 

「あなたは・・・・・一体・・・・・?」

 

「とりあえず生まれ変わる前の私?」

 

待ってください、今さらっととんでもない事言いませんでした?

え、生まれ変わり・・・・・?ではこの前とか今出ているのは誰なのでしょうか。

 

「ごめんなさい。ちょっと理解が追い付かないです。」

 

「・・・・・もしかして何も聞いてない?・・・・・全くあの人は・・・・・時間無いし少し面倒くさいんだけど・・・・・」

 

ふてくされながらもしぶしぶと説明を始めるその子。

えっと・・・・・

 

実はこの子(というか私?)は元魔族でして生まれ変わったのが私みたいで・・・・・。

どうやら魔王が消え去る直前に僅かながらその魔力の一部を私の中に移したみたいで、今まで師匠が私に施した封印と共に抑えてくれていたみたいです。

しかし、私がこっちの世界で色々と無茶をしたおかげでその封印が緩んでしまったようで・・・・・

 

「あんな夢まで見せたのに無視するんだから・・・・・」

 

「あれだけで理解するって方が無理です、一応気にしてはいましたけど!!」

 

「でもここまで悪化してる。一度目覚めてから抑えるの大変だったんだけど。」

 

う・・・・・精神強化でも完全に抑えられなかった手前何も言い返せない・・・・・。というか私って本気で怒るとこんな顔になるんですね。藍さんが怖がる訳です。

 

「私の顔が何か?」

 

今心読みました?読みましたよね!?はぁ・・・・・。

 

「わかりました、私が悪かったです!!・・・・・それで、何か方法はあるんですか?」

 

「何か投げやり感が凄いんだけど・・・・・うん、一つだけ。」

 

え・・・・・それをここで・・・・・?

 

「でも、使えたとしても今の私の魔力量では・・・・・」

 

「そこは安心して。あの時みたいに2人の魔力を均一にするから。」

 

「なるほど。では少し時間はかかりそうですが・・・・・」

 

え・・・・・!?

待って息───、息が出来───!!

 

「っ!!いきなり何するんですか!!」

 

「こうして粘膜接触した方が早い。」

 

「確かにそっちの方が効率いいのですが少しは恥じらいってものをですね・・・・・」

 

「実体じゃないから問題無い。でも今のよりもっと効率のいいやり方があるんだけど、例えば、舌・・・・・」

 

「それ以上は言わなくていいです!!」

 

「顔真っ赤だけど大丈夫?」

 

「誰のせいですか誰の!?」

 

「・・・・・とりあえずもう時間もあまり残って無いしそろそろ梨璃?も限界だと思う。」

 

「え・・・・・梨璃さんが?」

 

「うん、あなたと私がこうしていられるのもその子が魔力を送ってくれてるおかげ。」

 

梨璃さん・・・・・ありがとうございます。

 

「わかりました・・・・・で、なんですかその手は?」

 

「ほら、早く握って?」

 

「・・・・・そのまま抱きついてきたりしませんよね・・・・・?」

 

「もしかして怒ってる?」

 

一応警戒はしましたがそんな事はありませんでした。

そして、両手をしっかりと絡ませ梨璃さんとマギ交感をした時みたいに向かいあう私とその子───。

 

(いい、制御とかは私が全部するから詠唱に集中して。略式でいいから。)

 

(ええ・・・・・お願いします。それでは・・・・・)

 

と言っても禁術なので使うの始めてなんですよね・・・・・ちゃんと発動するか自信が・・・・・

 

『大丈夫、ミレイちゃんなら出来るよ。その子と繋がったのなら一節詠唱くらい楽勝だから!!』

 

え・・・・・師匠?どこから・・・・・でも、ありがとうございます。

 

"数多の光よ、全てを浄化せり───。"

 

(【アークディメンション】術式確認。発動───。)

 

「凄い・・・・・本当に出来た・・・・・ってなんかあなた透けてません!?」

 

「当たり前。使ったからにはどちらかは犠牲になる必要がある。だから・・・・・あなたは残って。」

 

「そんな・・・・・っまだ聞きたい事沢山あるんですから・・・・・」

 

「大丈夫。私はもう十分長く生きたから。」

 

「それでも・・・・・」

 

「ほら、そんな悲しい顔をしないで。大丈夫だから早く戻りなさい・・・・・待っている人達がいるのでしょう?」

 

「ええ・・・・・あの、口調変わってません?」

 

「素が出ただけ。じゃあね・・・・・ミレイ。」

 

そして視界は真っ白に包まれました───。

 

───。

 

(さて、聞いているのでしょう・・・・・これが貴方が無下にした人という種族の力。)

 

(な・・・・・貴様・・・・・まさか・・・・・)

 

(はい、久しぶりです。"お父様"安らかに・・・・・。)

 

(まさかこの我が2度も同じ魔法で敗れるとは───。)

 

魔王の完全消滅、確認───。

 

さて、これで最後の別れも済ませたし・・・・・後は消えるのを待・・・・・

 

『ちょーと、待った───!!!』

 

え・・・・・?

 

───。

 

「・・・・・っ!」

 

「大丈夫、高嶺ちゃん!!」

 

「ええ、この程度ならまだ大丈夫よ・・・・・。」

 

「高嶺様も限界みたいですね。・・・・・え?」

 

「どうしたの、一葉?」

 

「恋花様、気付きませんか?先程までの嫌な感じが消えているのを・・・・・。」

 

「確かにさっきよりは気持ち悪くないような・・・・・。ってそんな事言ってる場合じゃないみたいよ!?」

 

キュイイイイイ・・・・・

 

「嘘・・・・・羽を2つも破壊したのにまだあんな力が・・・・・?っ!あの方向は!?」

 

「まさか・・・・・・・・・・あの時の・・・・・」

 

そして一葉が気付いた時には既に遅く、前回よりさらに強いレーザーが一柳隊のいる方向に放たれた瞬間だった・・・・・。

 

───。

 

「ミレイ・・・・・ちゃん・・・・・。」

 

(ん・・・・・ここは・・・・・。)

 

「これ・・・・・成功したんでしょうか?」

 

「確かに髪の色は戻ってますが・・・・・なかなか起きませんわね・・・・・。もしかして、まだ魔力が足りないんですの?」

 

(この声・・・・・二水さん、楓さん・・・・・後微かに梨璃さん?まだ身体が上手く動かせない・・・・・。待って、この反応・・・・・っ!!)

 

「梨璃さん・・・・・離れて・・・・・。」

 

「え・・・・・ミレイ・・・・・ちゃん・・・・・?」

 

「梨璃・・・・・!!」

 

その瞬間、特型ヒュージのいる方向から飛んできたレーザーがミレイに直撃したかと思われたが・・・・・

 

ギィィィィィィン!!!

 

いつの間にか皆の前に出ていたミレイ?が障壁でビームを防いでいた。

 

「当たって・・・・・無い・・・・・?」

 

「で、起きた貴方はどちらなのかしら?」

 

(もしかしてまだ私だってわかってない?だったら・・・・・)

 

『まだこの我に抗おうと言うのか・・・・・?』

 

「失敗した!?」

 

「そんな・・・・・完全に取り込まれちゃったの?」

 

「だったら何度でもやるまで・・・・・」

 

「そんな事言ってももう魔力が残っておらんぞい!!」

 

「でもやるしかないでしょう・・・・・。」

 

慌てふためく二水達。そしていつものミレイの声でそういった存在は振り向き様に笑顔で・・・・・

 

「・・・・・なーんて、嘘ですよ。似てました?」

 

「よかったぁぁぁぁぁ・・・・・。」

 

「梨璃!?」

 

「・・・・・ちょっと意地悪でしたかね・・・・・?」

 

「「「ちょっとじゃ(ありません!!)無いです!(ですの!!)」」」

 

(やっぱり皆さん変わりませんね・・・・・。)

 

へたりこむ梨璃と総ツッコミに安心するミレイ。

 

「・・・・・本当にに貴方なのね、ミレイ。」

 

「夢結さん、心配かけてごめんなさい。もう大丈夫です、いつもより調子が良すぎるくらいなので!!」

 

「それを聞いて安心したわ。それで、後残りは向こうの特型だけなのだけれど・・・・・」

 

「やっぱりさっきのあの時のヒュージだったんですね・・・・・。えっと、もしかして今叶星さん達が戦ってます?」

 

「さすがに鋭いわね・・・・・ええ、でも苦戦してるみたい。」

 

「ありがとうございます。大体の状況はわかりました。梨璃さん、ちょっと試したい事があるんですけど・・・・・」

 

「え・・・・・うん・・・・・?」

 

「本当に上手くいくの?」

 

「大丈夫です、それに、今の私なら何でもやれそうな気がしますから!それではまた後で!!」

 

梨璃から何かを受け取り空に上がり真っ先にヒュージの方に向かうミレイを見送り・・・・・

 

「さて、私達も行くわよ。梨璃、大丈夫?」

 

「私は何とか大丈夫ですけどミリアムさんが・・・・・」

 

「動くくらいなら何とかなりそうじゃが・・・・・」

 

───。

 

(もう一発・・・・・っ!!)

 

ギィィィィン!!

 

「今度は上に!?」

 

「さっきのといい誰を狙っているのかしら?灯莉さん、見える?」

 

「任せて〜。たかにゃんせんぱい!えっとね〜・・・・・ん〜?」

 

「ちょっと、黙り込んでどうしたのよ?」

 

「ねえ、定盛〜?確かミレイって空飛べるんだっけ?」

 

「あんた今更何を言って・・・・・」

 

「あそこにいるのそのミレイなんだけど。」

 

「「「ええぇぇぇぇ!!!」」」

 

姫歌を含めたグラン・エプレ数名が驚愕した。

 

「あ〜やっぱりそうなるよね~。」

 

「でも、少し安心しました。ね、藍さん?」

 

「うん!」

 

(騒がしいしちょっと感度下げましょうかね・・・・・?う・・・・・気持ち悪い・・・・・何なのこの膨大な魔力は・・・・・。)

 

五感強化、身体強化、遠見、その他あらゆる補助魔法が今のミレイにかかっていたがそれでもまだ魔力量が多すぎるため、魔力過多───、いわゆる"魔力酔い"という症状に陥っていたのである。

そんな事をヒュージが知る筈も無く、金切り音のような鳴き声を発し、それが聴覚その他を最大にしていたミレイにも当然届いてしまい・・・・・

 

「うるさぁぁぁぁぁい!!結界展開!ついでに遮音効果付きで!!」

 

ヴンッ!!

 

「ちょっと、ヒュージを守ってどうするのよ!これじゃ攻撃出来・・・・・」

 

「いえ、見て、姫歌ちゃん。」

 

閉じ込められたと察したのか暴れだし光の壁に激突し続けているが一向に破れる気配は無い。

 

「あ・・・・・大丈夫そうですね!何も聞こえないけど。」

 

(とりあえずこの気持ち悪さ何とかしないと・・・・・ミストルティン・・・・・。)

 

(マギクリスタルの書き換え・・・・・完了。魔力放出・・・・・開始。)

 

ミストルティンの排熱口が一斉に開き粒子の様な物が飛び出し始めた。

 

「叶星様、一葉さん!待たせてごめんなさい!!」

 

「梨璃さん!ミレイさんの件解決したんですね!」

 

「はい!私達の力で何とか・・・・・ってあれはなんですか?暴れてるみたいですけど随分静かですね・・・・・。」

 

「あれ?ミレイちゃんが閉じ込めた特型ヒュージだけど・・・・・何かうるさいとか言ってたような・・・・・。」

 

「あのヒュージ一体何したのよ・・・・・。」

 

(うん、気分も少し良くなったし梨璃さん達も無事合流したみたいですね。えっと、まずは・・・・・)

 

治癒領域!(ヒーリングフィールド)

 

ミレイを中心に魔法陣が一面に広がり・・・・・

 

「え・・・・・これ・・・・・暖かい・・・・・。高嶺ちゃん!?」

 

「ええ、どうやらこの緑の光、傷を治す効果があるみたいね。」

 

すっかり怪我が治っていた高嶺に驚く叶星。そしてもう一つの現象が起こっており・・・・・。

 

「白い光の粒・・・・・雪?では無いみたいね。」

 

「お姉様、CHARMがあの時みたいに・・・・・っ!?」

 

梨璃だけでなく全員のCHARMのマギクリスタルにルーンが浮かび上がり光を帯びていたのである。

 

「うむ、どうやらこの光の粒、魔力の供給とCHARMの出力を上げる効果があるようじゃな!!」

 

「ミリアムさん?もう大丈夫なんですか!?」

 

「この通り大丈夫じゃ!!」

 

先程まで魔力切れでぐったりしていたミリアムが完全復活していた。

 

「後はあの特型・・・・・《二水さん!》えぇぇぇぇ!!」

 

急に飛来した光の玉にビックリし落としそうになったがCHARMでキャッチしていた。

 

「ちょっとミレイさん、いきなりなんですか!?・・・・・これ・・・・・マギスフィア?にしては軽すぎるような・・・・・」

 

《原理は同じですがマギスフィアと考えてもらって大丈夫です。と、言うわけでノインヴェルト戦術、お願いします!!》

 

(梨璃さんから預かったノインヴェルト弾と魔法弾の組み合わせで作った特製マギスフィア、そうですね・・・・・フォトンスフィア、とでもしときましょうか。)

 

「そういう事でしたら、楓さん!」

 

「受け取りましたわ・・・・・って軽い!?神琳さん、お願いしますわ!」

 

「本当にあの子のやることはたまに驚かされますね・・・・・雨嘉さん。」

 

「うん・・・・・ミリアム!」

 

「受け取ったぞい!扱いやすくてなによりじゃ!鶴紗!」

 

「本当にこれ大丈夫なのか?梅様。」

 

「すごいぞこれ!いくらこうしても・・・・・」

 

タンキエムでスフィアをバウンドさせて遊ぶ梅。

 

「梅、くだらない事してないでこっちによこしなさい。」

 

「あいかわらず真面目だな〜。夢結!」

 

「あなたが呑気すぎるのよ・・・・・梨璃!」

 

「凄い・・・・・これだけ魔力を集めたのに安定してる・・・・・。これをあの特型に直接・・・・・?」

 

《梨璃さん、私にください!》

 

「ミレイちゃん?うん!!」

 

ミレイに向かってスフィアを打ち上げる梨璃。それを砲撃モードにしていたミストルティンの先端で受け取り・・・・・

 

(魔力放出、停止・・・・・加速術式、多重展開!目標、確認・・・・・と、結界解除!)

 

結界が消え、再び攻撃体制に入るヒュージだったが・・・・・

 

(いきます・・・・・フォトン・・・・・いえ・・・・・)

 

極光弾(アークブリット)───。

 

幾重にも展開された魔法陣の中心を光の弾が加速しながら通り抜け、着弾。そして、ヒュージが光に包まれ

跡形も残らず・・・・・

 

(ヒュージの気配無し、完全消滅確認っと・・・・・。)

 

そしてミレイが地上に降り立ち・・・・・

 

「ふう・・・・・上手くいってよかったです。皆さん、体調とか変わりないですか?」

 

「ミレイさん!ノインヴェルト戦術するならするでパスする前に一声かけてくれませんか!?」

 

「そんな事よりあのマギスフィアといい、今のなんですの!?」

 

「2人共、落ち着いて下さい。まずは二水さん、ごめんなさい!楓さん、後でちゃんと説明しますから!!」

 

(説明しても理解出来るかどうかは置いとくとして・・・・・。)

 

「私からもいいかしら?梨璃も言っていたけど、あの光の粒、貴方の魔力なのよね?」

 

「夢結さん?ええ、確かに放出した私の魔力ですけど実は私も驚いていて魔力供給とCHARMの強化まで出来るなんて・・・・・。」

 

「名前を付けたらどうかしら。」

 

「・・・・・え?」

 

「貴方の事だから再現出来るのでしょうけど、唐突に発生させられて何なのかわからないよりは・・・・・ね?」

 

「そうですね・・・・・それでは・・・・・」

 

(と、考えてみたものの何も思いつかないんですけど・・・・・)

 

「ギフト。」

 

「雨嘉さん?いきなりどうしたんですか?」

 

「うん・・・・・ミレイの魔力、凄く暖かかったし名付けるとしたら祝福・・・・・ううん、二つ名を取って妖精の祝福【フェアリーギフト】とかどうかなって・・・・・。嫌だったら別に他の名前でも・・・・・。」

 

「あら、雨嘉さんって以外とロマンチストだったんですね〜。もしかしてそんな感じの詩とかこっそり書いてたり?」

 

「書いてないから!咄嗟にそう思っちゃっただけで・・・・・もう・・・・・神琳!!」

 

神琳にからかわれ顔を真っ赤にする雨嘉。

 

「【妖精の祝福】ですか・・・・・いいですね、その名前。雨嘉さん、ありがとうございま・・・・・す・・・・・」

 

「だったら私も!雪みたいだったしフェアリースノウとか・・・・・ミレイちゃん?」

 

「梨璃、静かにしてあげて。相当疲れたみたいだから。」

 

倒れ込むミレイを抱きかかえるように支える夢結。

 

「夢結・・・・・さん?ごめんなさい、気が抜けてしまって・・・・・。」

 

「そのままでいいわよ。今はゆっくり休みなさい。」

 

「ええ・・・・・そうさせてもらいま・・・・・す・・・・・」

 

「皆さん、大丈夫ですか!?」

 

「ミレイちゃん、さっきの攻撃凄かったけど・・・・・」

 

「皆、静かに。」

 

「夢結さん・・・・・もしかしてミレイちゃん・・・・・」

 

「ええ、寝ちゃったみたいよ。」

 

「ミレイ・・・・・気持ちよさそう。」

 

「こんな一面もあったんですね・・・・・。」

 

「全く・・・・・白銀の妖精の威厳はどこにいったのかしら・・・・・。でも、こんなミレイさんも可愛いわね。」

 

「ん・・・・・あなた・・・・・素のほうが可愛いですよ・・・・・」

 

「今の寝言?誰の事でしょうか・・・・・?」

 

「そんな事より今の内にリリィ新聞に載せる写真でも・・・・・」

 

「また怒られますわよ?」

 

チャンスとばかりに写真を撮りまくる二水だった。

 

「全く・・・・・静かにって言ったのに・・・・・ミレイ、お疲れ様。」

 

呆れながらも抱かれて寝息をたてながら眠るミレイの頭を夢結はそっと撫でるのであった・・・・・。

 

───。

 

「んと・・・・・久しぶり?」

 

「うん、消えそうなところごめんね!!」

 

「何しにきたの・・・・・。」

 

「いやあ、肩代わりしてあげようと思って!」

 

「必要無い。」

 

「そんな事言わずに!いい?今のミレイちゃんにはあなたの存在が助けになると思うの、だから、ね?」

 

「だから必要無い・・・・・勝手に抱きつくのはやめて。」

 

「・・・・・よしっと。それじゃ、ミレイちゃんの事、よろしくね!!」

 

「待って、勝手に・・・・・」

 

───。




ミレイちゃん完全復活!と、特型ヒュージ戦決着!!

こんな長くなるとは思わなかった・・・・・。(切りどころが見つからなかったんです!!)

思いつく限りのネタを色々と入れてみました!!
(00のセラヴィー的な機構とか粘膜接触での魔力供給とか・・・・・)

ちなみに魔力酔いの症状は二日酔いとそんなに変わりません(笑)

あとミレイちゃんの中にいた容姿がそっくりな子の性格とか口調は雫(魔法科)がモデルです。CV.巽悠衣子※なんか脳内再生したらしっくりきちゃいました。(もしかしたら見方によっては「ありふれた職業で世界最強」のユエに近いかも・・・・・。)

次回オリジナル回!

それではまた!!


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30話:絆

特型ヒュージ撃破後+新キャラお披露目回!!

30話、始まります。


 

学院屋上───。

 

「とりあえず、ここまで来れば大丈夫・・・・・かな?」

 

「みたい、ですね・・・・・。何で・・・・・魔法が・・・・・使えないん・・・・・ですか・・・・・。」

 

急いで梨璃に引っ張られながら逃げて来たため息が上がって仰向けになるミレイ。一方の梨璃はドアを背に塞ぐように寄りかかっていた。

 

「多分、あの薬のせいじゃない?」

 

「ですかね・・・・・?でも、まさか皆さんアンデット化するなんて・・・・・。」

 

事態は少し前に遡り、工廠科で何なのかもわからない薬の入ったビンが見つかり、百由が誤って空けてしまったため、効果が学院中に広がってしまったのだとか・・・・・。

 

「でも、私は何故か魔法が使えない程度で済んでますが何で梨璃さん無事なんですか?」

 

「あはは・・・・・何でかな・・・・・。」

 

ドンドンドン!!!!!

 

ドアを叩く音、そして・・・・・

 

「・・・・・梨・・・・・璃・・・・・」

 

「お姉様!?無事なんですか!!待っててください、今・・・・・」

 

「梨璃さん!少し落ち着いてください。開けたら確実に助からないと思うのでそれよりここから何とか逃げる方法を・・・・・」

 

「でも、本当にお姉様だったら・・・・・」

 

「・・・・・梨璃さん?」

 

「ミレ・・・・・逃げ・・・・・て・・・・・」

 

「え・・・・・梨璃・・・・・さん・・・・・何でこっちに・・・・・まさか・・・・・?」

 

ミレイにゆっくりと近付いていく梨璃。既に正常な状態を保てなく虚ろになっていた。

そう、梨璃も感染していたのだった───。

 

(浄化魔法は・・・・・使えないし・・・・・飛び降りるにしても・・・・・っ!!)

 

後ずさりながら色々試行錯誤するも既に梨璃以外の者も近付いて来ており・・・・・

 

「ミレイちゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

───。

 

「───っ!?」

 

(何・・・・・今の・・・・・?)

 

飛び起きるミレイ。

 

(えっとここは・・・・・そっか、私、力尽きてロッジまで運ばれたんですね・・・・・。)

 

「あ、起きた。」

 

「・・・・・何であなたがここにいるんですか?それよりもしかして今のって?」

 

ミレイの前にいたのはあの少女だった。宙に浮いて手をかざしていたが。

 

「ちょっとした目覚まし?」

 

ドゴォォォン!!

 

「何、今の爆発音!?」

 

「ロッジからみたいでしたけど!」

 

「ミレイ?ミレイは!?」

 

ミレイの身を安じで外で祝勝会をしていたがその爆発音で慌てる一同。

 

「っ!起こすにしても・・・・・もしかして魔法使いました?しかも精神干渉系の・・・・・」

 

「ん、【悪夢(ナイトメア)】。一番早いと思った。」

 

「だからってあんな夢見せることないでしょう!!というが何で効いてないんですか!?」

 

「当たり前、今の私は実体じゃ無いから。あと力込め過ぎ、もう少し抑えた方がいい。」

 

先程の爆発で壁の一部が吹き飛んでいた。

 

「余計なお世話です!!」

 

「ミレイちゃん、大丈夫?なんか凄い音・・・・・!?」

 

「どうしたの、梨璃・・・・・っ!!」

 

「お姉様・・・・・ミレイちゃんの隣にいるのってまさか・・・・・。」

 

「ええ・・・・・そこの貴方、今すぐミレイから離れなさい!!」

 

「夢結さん、梨璃さん、おそらくですがこの子は大丈夫です。」

 

「ミレイちゃんがそう言うなら・・・・・」

 

「梨璃、安心しては駄目よ。操られてるかもしれないから。」

 

「・・・・・もしかして信用されてない?」

 

「もしかしなくてもですよ。えっと、とりあえずロッジの修理は後で私がやっておくので一旦場所を移しませんか?そこで全てを説明するので。」

 

───。

 

「一葉、離して!ミレイから離れろ───!!!」

 

「藍、ちょっと落ち着いて!!」

 

「ミレイ・・・・・ちゃん・・・・・?」

 

「千香瑠!?大丈夫、大丈夫だと思うから!って瑤もさっきから固まったままだけど大丈夫!?」

 

「・・・・・。」

 

ミレイの隣にいる存在に慌て出すヘルヴォル一同。一方・・・・・

 

「すごーい☆ねえミレイ!その子浮いてるけど何?幽霊?」

 

「幽霊にしては随分はっきり見え過ぎなような・・・・・?」

 

「二人共、多分違うと思うわよ・・・・・。」

 

「高嶺ちゃん、もしかしてあの姿・・・・・。」

 

「ええ、夢結さんから聞いてはいたけど本当にそっくりね。」

 

多少は驚きながらもあの時のミレイをあまり知らなかったためどの程度の脅威かわからなかっため慌てる様子の無いグラン・エプレ一同。

 

「それじゃ、洗いざらい話して貰いましょうか?」

 

「面倒くさいんだけど。」

 

「私も聞きたい事あるんですから。なんであなたが消えずにこうしてここにいる理由とか。」

 

「・・・・・どこから話せばいいの?」

 

「そうですね・・・・・とりあえず私の身体を乗っ取って悪さをしていたのが誰なのかからですかね?」

 

「わかった。じゃあそこから・・・・・」

 

「あ、話してもいいですけど少し手加減して下さいね?」

 

「善処する。」

 

それからミレイが魔族の生まれ変わりだった事、それが原因で向こうの世界で消滅する間際に力の一部が入ってしまい身体を乗っ取られた事、一柳隊の頑張りと二人の力で中にいた魔王を再び消滅させられた事等、全てを話した───。

 

「だから外で暴れてたのは私の姿だけど私じゃない。今は大丈夫。」

 

「あの、まだあなたが消えてない理由、聞いてないんですが。」

 

「助けられた。」

 

「え・・・・・誰に・・・・・?」

 

「アスティに。なんか無理矢理肩代わりして消えてった。今のあなたには私が必要だって言って・・・・・。」

 

「そうですか・・・・・師匠・・・・・最後まで驚かせてくれますね・・・・・。」

 

「もしかして悲しい?」

 

「いえ、大丈夫です、話してくれてありがとうございます。少し安心しました。」

 

「ん、それ程でも。」

 

満面の笑みのミレイだったが少し涙が溜まっていた。

 

「さて、この話はこれくらいにしておいて・・・・・」

 

「まだ何か?」

 

「いえ、この惨状どうしようかと・・・・・。」

 

『・・・・・????』

 

内容が難しすぎたのか沈黙する者が多数。

 

「はわわわわ・・・・・女同士で・・・・・」

 

「ちょっと紅巴!?大丈夫!紅巴!!」

 

粘膜接触の下りで尊死寸前の者が一人。

 

「ミレイが魔族の生まれ変わりで〜・・・・・」

 

「ZZZZZ・・・・・」

 

(灯莉さんは大丈夫だと思いましたが、駄目でしたか・・・・・。藍さんは・・・・・寝ちゃってますね。)

 

「とりあえず少し落ち着くまで待ちましょうか。」

 

───。

 

「えっと、つまりあの時のミレイさんはミレイさんでは無くてその悪さをしていた存在が今は完全に消えててその子は・・・・・とりあえず害は無いって事でいいのよね?」

 

「ん、少なくとも人類に危害を加えるつもりは無いからその解釈で間違い無い。百由。」

 

「あら、私自己紹介なんてしてないけど?」

 

「ミレイと記憶を共有してるから今までの事は全部知ってる。」

 

「なるほどね。それで、あなたの事は何て呼べばいいの?」

 

「言いたくない。」

 

「ちょっと待ってください。あなた確か生前の名前はルシエラ・・・・・」

 

「新しい名前が欲しい。」

 

「え・・・・・?」

 

「今の私はもう魔族でも何でもない、だから、名前が欲しい。」

 

「それじゃあ・・・・・"絆"とかどうですか?」

 

「別に構わないけど。」

 

「決まりですね!ほら、皆さんに自己紹介お願いします。」

 

「ん、私の名前は絆。色々迷惑かけたみたいだけどこれからもよろしく。」

 

「うん、よろしくね、絆ちゃん!」

 

「梨璃、一応年上よ。」

 

「あ、ごめんなさい、絆さん・・・・・それとも絆様?」

 

「気にしないから好きに呼べばいい。」

 

「ありがとう、絆さん!」

 

「では早速登録しちゃいますね!えっととりあえず名前は絆・アルシェントで・・・・・顔写真は・・・・・」

 

二水がてきぱきと入力を済ませていくが・・・・・

 

「あの、絆さん?写真に写らないのですが・・・・・?」

 

何度撮影を試みるがいずれも撮れたのは背景だった。

 

「多分ですがこの世界のいわゆる幽霊とかと違って絆の場合魔力の塊だからですかね?」

 

「でもこのままじゃ登録出来ませんしくリリィ新聞にもミレイさんの可愛いかった寝顔と一緒に載せ・・・・・」

 

そこまで言った瞬間、二水の足元に魔法陣が展開し・・・・・

 

ズドン!!メキメキメキ・・・・・

 

「痛だだだだだ!!折れる、折れちゃいます〜!!」

 

「だから強すぎ。」

 

「やっぱり封印が外れた影響ですかね?これは要練習ですね。」

 

いつものお仕置きで二水に【グラヴィティ】をかけたものの地面まで陥没させていた。

 

「納得してないで早く解除してください〜!!」

 

「だから言ったのに。学習しませんわね・・・・・。」

 

そんな二水を横目に呆れる楓だった。

 

そして翌日───。

 

「や〜だ〜!!ミレイは藍達の方に来るの〜!!」

 

「え〜?絶対こっちだよ~。ね〜ミレイ〜?」

 

「あの・・・・・?」

 

藍と灯莉の取り合いに多少困り気味のミレイ。

事の発端は2週間後に新宿で開かれる防衛構想会議に梨璃と夢結、そして一葉と叶星に招集がかかり、百由の提案で一柳隊全員で上京する事になり、ミレイが神庭とヘレンスゲ、どちらに行くかで争いが起こっていた。

 

「灯莉さん、今回は味方させてもらうわ。あの時の決着をつけたいしね。」

 

「あら、それでは私は藍ちゃんの方につこうかしら。一緒にお菓子作りもしてみたいですし。」

 

「叶星様、このままだと収拾つかなくなるような気が・・・・・。」

 

「うん、どうしようか・・・・・」

 

千香瑠と高嶺がそれぞれに加担したためここで口を出したら更に悪化しそうだったため見守るしか無かった

一葉と叶星だった。それでも一触即発の状況であることに変わりは無かったが。

 

「あの、でしたら私は会議の方に・・・・・」

 

ミレイがそこまで言おうとしたその時・・・・・。

 

「だったらミレイさんだけ二日間で両方行くってのは?一人くらい一日早くても問題無いと思うわよ!」

 

「百由さん?」

 

「だからね?一日目は一人で神庭、2日目はぐろっぴ達と合流してヘレンスゲって事にすればいいんじゃないかしら?あ、ヘレンスゲが後なのは護衛は多い方が安心だからね!」

 

百由の提案に一同が黙り込み・・・・・

 

「わ〜い!ミレイと一日一緒にいられる〜☆」

 

「藍も〜!!」

 

「あらあら・・・・・では何を作るか考えておきませんと。」

 

「ミレイさん、今度こそ本気でいらっしゃい?」

 

その言葉で乗り気の四人だった。

 

「それじゃあよろしくお願いします!って藍さんいい加減離れて!!」

 

あまりの嬉しさにミレイに覆いかぶさるように抱きついている藍。

 

「そうと決まれば帰り次第色々考えないとね!」

 

「あの、叶星様?会議の事忘れないでくださいね?」

 

「大丈夫!それはそれ、これはこれだから!!」

 

「それならいいのですが・・・・・。」

 

心配する一葉。実は誰よりも一番嬉しかったのは叶星だったのである。

 

「ミレイちゃんの事も決まったしこれで一旦解散ですね!!」

 

「ですね。東京で待ってます。」

 

「ミレイちゃん、当日楽しみにしててね、歓迎するわ!!」

 

「御手柔らかにお願いします・・・・・。」

 

「「「それでは、2週間後に!!」」」





短編限定の予定だったけど本編で夢オチ使っちゃいました(笑)

と、言うわけで新キャラ追加です!(存在的に一番近いのがなのはのリィンだったりします。)

作中で書いた通りミレイちゃんの魔力に精神が乗っかっただけなのである程度の魔法は使えます!

ちなみに絆の得意魔法は元魔族だけあって闇属性と精神操作、干渉系等々。

さて、次回からの展開ですが、(今度こそ)オリジナル回、短編一つ挟んでアレやる予定です!!

それではまた次回!


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