こちらがストーカーする時あちらもまたストーカーしている (ぽぽろ)
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一話目

まだD4DJ始めて1週間も経ってないので口調とかおかしいところあると思いますが優しい目で見守ってくだせえ……キャラは自分の推しから選びました


僕、夏には好きな人がいる

名前は花巻乙和、陽葉学園に通う2年生で、身長は153cm、体重はリンゴ約15個分、血液型はO型で特技はマリンスポーツ、好きな食べ物はクレープ。

 

これは僕が日頃から彼女を観察、知人への調査をした努力の賜物である。

ただ勘違いして欲しくないのだが、別にストーカーや盗聴、盗撮をしているのでは無い

僕は乙和さんの後ろをバレないようについて行ったり、遠くからじっと見ていたりしかしていない。

 

「なんでそれを一々私に報告するの?」

 

不機嫌そうな顔で教室の机に頬杖を突きながら答えた目の前の少女が笹子・ジェニファー・由香。

両親がスポーツクラブを経営しているらしい。

僕の同学年での数少ない友達である。

いつもの彼女はムードメーカーで皆の話を明るく盛り上げてくれるのだが僕の乙和さんの話を聞く時だけどこか不機嫌そうに、ゴミを見るような目で見てくる。

きっと乙和さんと仲のいい僕に嫉妬しているのだろう。

 

「いや、今日も日課の乙和さんの観察してたらさ……」

 

由香が急に引き攣らせるように顔を歪ませ、携帯を取り出しどこかへ電話を掛けようとしていた。

きっとあの指の動きは、数字で言うと110だろう。

110……110……あぁ!!

 

「何するの!?」

 

急いで目の前の彼女から悪魔へ通知が行く前に携帯を奪い取った

 

「目の前に犯罪者でストーカーがいたから通報しようと思っただけだけど。別に私、おかしい事してないよ?」

「ストーカーじゃなくて、あんなにおバカで子供っぽくて可愛いらしい乙和さんに仇なす不届きな野郎どもから保護する為なの」

 

どこにも厄介ファンというのはいる。

それから乙和さんの身を僕が守らないといけないのだ。

ただでさえ乙和さんは、無邪気で人懐っこく人の怖さを知らない人なのだから。

世の中いい人ばかりでは無いし。

その一例を上げるとするならば、僕の観察を邪魔する国家権力に与する青い制服のお兄さんだろうか。

 

乙和さんを遠くから観察していると毎回の如く、にこにこと笑いながら近づいてくる青い制服の暇人ポリスメン

きっと乙和さんと友達の僕に嫉妬しているのだろう。

あの番号はそんなお兄さんと仲良しこよしになってしまう恐ろしい悪魔の番号なのだ。

だから僕と乙和さんの仲を引き裂こうと、僕の観察を邪魔しようとしているのだ。

 

§§§

 

教室に掛けられている時計を見ると、17時を少し回った所だった、随分と彼女と話し込んでしまっていた様だ。

もう乙和さんは事務所に練習に行ってしまっただろうか、いや、まだ間に合うかもしれない。

そう思って席を立ち上がろうとした時

 

「あ、乙和だ。やっほー」

 

由香が僕の後ろを見て一瞬、顔を顰めながらそう呟いた

 

「え!?乙和さん!?」

 

冗談は大概にして欲しい。こんな所に来るはずがなかろう

 

「夏くん、ここにいたんだ。探したんだよ~!」

 

この一声聞くだけで人の疲れを消し去ってしまえる程優しい声で、尚且つどこか子供っぽい感じの声は……

 

「乙和さん!?」

 

僕は身体が捻じ切れるくらいの速度で振り向いた。

 

「なんで今日は私に着いてきてくれないの~?乙和ちゃん怒っちゃうんだからね!」

 

頬をぷくりと膨らませ、腰に手を当て怒りを表している彼女だが、その容姿や声の幼さからか全く恐怖は感じない。むしろ小さい子のようで可愛いくらいだ。

って見惚れてる場合でもなくて

 

「気づいてたんですか……?」

「いつも夏くんが私に着いてきてくれること?気づいてるよ~、夏くんの匂いなんて直ぐに分かっちゃうんだから!」

 

えへんと豊満な胸を張る彼女。

でも匂いで分かるくらい僕は臭いのだろうか。この歳でもう加齢臭とか出てしまっているのだろうか

 

「由香!僕、臭くない!?」

 

後ろでじっと睨むように見つめていた由香に僕の制服を鼻先まで近づけ嗅ぐように促す

 

「うん、臭くないよ。でもちょっと私我慢できないかも……」

「我慢出来ないほど臭いの!?」

「いや、違うよ。えっと、あの…こっちの話だから」

 

良かった。臭かったら乙和さんに嫌われてしまう。

今度から制汗剤や汗ふきタオルを持ち歩くことにしよう。

 

「む~、ほら、早く事務所に行くよ!早く!事務所にれっつらごー!」

「えの、あっと、事務所は………」

 

もう一度ぷくりと頬を膨らませた乙和さんが僕の腕を掴み、引きづられるように教室を後にした。

彼女は僕の腕を離さんとばかりに力強く握った。それと同時に先程まで膨らませていた頬は既に萎んでいて、鼻歌を歌うまで上機嫌になり、そして僕は事務所にストーカーとして報告されるんじゃないかと言われのない罪を着させられるんじゃないかと恐れていた。

冤罪は怖いからね




またこんど!


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