トレーナーの本音が知りたいので盗聴してみた (ハメス)
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こっちの方にも投稿しました


「てことだ、〇〇。今から飲むぞ。」

 

「...は?人の家にいきなりやって来たかと思ったら何だよ急に」

 

「偶には、男同士で飲むのもいいだろ。」

 

俺は今、同期のトレーナーである「伊藤」に誘われ半ば強引に飲み会が行われることになった。

 

 

しかし、ただ何も意味もなく飲み会が行われる...なんて事がある訳もなく

 

「ねえねえ、もう少し音大きく出来ないの?」

 

「もう少しテイオーが静かにすれば良いだけの話ですわ」

 

「何だか、悪い事をしているような気しか...」

 

「でも、スズカさん昨日からすごくソワソワしてたじゃないですか!トレーナーさんは私の事どう想っているんだろうって」

 

「ス、スペチャン!?」

 

そう、トレーナーに恋心を抱く少女達がトレーナーの本音が聞きたいと言う理由で伊藤をおど...説得し今回の飲み会が開かれ、彼女達はその様子をモニタリングすることになったのだ。

 

「ほ、本当にライスも来て良かったのかな...」

 

「ライスさんもくじ引きを勝ち抜いた勝者。何も問題はありません」

 

「そうそう!せっかく手にしたチャンスだもん。ここは楽しまないと!」

 

そう、今回の盗聴に関して、トレーナーに対して想いがある子が多い為くじ引きで選ばれた代表の6人が選ばれた。

 

今回は、「スペシャルウィーク」「サイレンススズカ」「トウカイテイオー」「メジロマックイーン」「ライスシャワー」「ミホノブルボン」が選ばれた。

 

「正直、あの時のグラスちゃんやマルゼン先輩の視線は怖かったけど...」

 

「私も、あんなに乱れるマルゼンさん達はあんまり見たくなかったかな...。」

 

 

スズカやスペシャルウィークがそう言っているうちに

 

「何だか、ちょっとずつトレーナー達出来始めてるよ。」

 

「マスターの表情、顔色から『完全に酔っている状態』と認識。マスターの本音を聞くのは今が最適と判断。」

 

「そろそろ始まりそうですわね」

 

 

さて、そろそろアイツも出来て来てるしあの子達の質問をそろそろ聞いてみるか...。ただ、アイツの返答次第ではあの子達大暴れするのかだけが心配だ...。まあ、殺されるのはアイツだしやるか。

 

伊藤は意を決したように話し始めた。

 

「なあ、〇〇」

 

「うん?どした。」

 

「ちょっと色々聞きたいことあるんだがいいか?」

 

「別に良いけど、なんだよ急に改まって気持ち悪いな」

 

「気持ち悪いは余計だ。じゃあ早速行くぞ」

 

 

「〇〇って色んなウマ娘達を指導してきただろ?」

 

「まあ、そうだな」

 

「正直、タイプの子っているのか?」

 

「タイプ?」

 

「ああ。だって、あんなかわいい子達に囲まれてんだ。誰かしらはいるだろ」

 

「...そうだなぁ」

 

俺は、ふと飲んでたグラスをテーブルに置き腕を組み考えた。

 

「だ、誰なんだろう」

 

「そりゃあ勿論!この最強無敵のテイオーさm」

 

「少し黙ってなさい」

 

「お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様」

 

俺は、数分考え込みようやく答えた。

 

「.....マックイーンかな」

 

「よっしゃーーー!!!」

 

「マ、マックイーン!?」

 

マックイーンは柄にもなく両腕を天高く上げ喜びを爆発させ、親友のその姿にテイオーは軽く引いていた。

 

「ま、まさかマックイーンさんがここまで取り乱す何て...」

 

スペシャルウィークのその指摘で、マックイーンは思わずハッとしたかと思ったら顔を赤くしながら

 

「コ、コホン。と、当然ですわ!何しろ、私とトレーナーさんはお互い初めて組んだパートナー同士。増してや一心同体になる事を誓い合った仲。ふふっ。トレーナーさん、挙式は何処で挙げましょうか。」

 

そう話しているうちにマックイーンは次第に表情がうっとりとしていき両手を頬に添え、目を瞑りそして尻尾を高く振りながらトレーナーとの将来設計を考えていた。

 

「...アハッ...。所詮、ライスなんて...この程度でしか想われて無かったんだよね...。」

 

「...マスター...。どうしてでしょう。先程から私の胸が痛くて仕方がありません。マスター...。マスター...。」

 

「ふ、二人とも!ま、まだ始まったばかりだから!まだ、何が起こるか分からないから!ね?」

 

あからさまに落ち込む二人を必死で慰めるスズカ。

 

「へえ...何であの子なんだ?」

 

「あの雰囲気というか、あの上品な感じが凄く好みかな。この間、優勝祝いで二人でデザート食べに行った時に美味しそうに食べてる姿が可愛いかった。普段ちょっとクールだけどこういう所で素が出る当たりも結構タイプかな」

 

「所謂、ギャップ萌えってやつだな。ていうか、こいつら普通にデートしてやがるし」

 

「も、もうトレーナーさんってば!」

 

口調こそは少し怒ってるが、明らかに尻尾をブンブン振り回して喜びを隠せていないマックイーン。

 

「ふーん...。トレーナーはそういうのがタイプなんだ...。」

 

「テ、テイオーさん...」

 

明らかにドス黒いオーラを醸し出しているテイオー、それに少し怯えるスペシャルウィーク。

 

 

そうしている間にも伊藤の質問は続く。

 

「んじゃあ次な。」

 

「おう」

 

「彼女にしたい子は?」

 

「それ、さっきと何が違うんだ?」

 

「バカ、お前タイプと実際付き合うは全然違うだろ」

 

「そういうもんなのか」

 

「そういうもんだ」

 

俺はそういうものなのか思い考えた。しかし

 

「なあ、俺あの子達をそういう目で見たこと無いんだが」

 

「なら今見ろ。はいスタート。」

 

「ええ...」

 

俺は、また腕を組み考え込んだ。

 

「マスターが彼女にしたい。それは即ち選ばれた子はかなりの高確率で、マスターのお嫁さんになれるということ。」

 

「この流れからして、今度も確実に私に決まっていますわ!」

 

「今度こそボクだよね!マックイーンなんかよりもボクを彼女にした方が絶対に楽しいよ!だからボクを選んでよ、トレーナー!」

 

3人が画面に食い入る様に見ている中、トレーナーはうーんと唸りながら

 

「スペ...かな...。」

 

 

「わ、私!?」

 

「「「.....」」」

 

そこには、顔を真っ赤にしながらも喜びの色が隠せていないスペシャルウィークと完全に生気が抜けて真っ白になっている3人がいた。

 

さらに

 

「どうして...。どうしてなの...お兄様...。やっぱりライスが不幸な子だから?お兄様...」

 

「ライスちゃん!だ、大丈夫よ!確かに選ばれなかったのはショックかもしれないけれど...。」

 

部屋の隅で、体育座りをするライスシャワーを必死に慰めるスズカ。

 

「でも、何でスペシャルウィーク何だ?流れ的にマックイーンだと思っていたんだが」

 

伊藤のその言葉にハッとするマックイーン。

 

「そ、そうですわ!私をタイプとおっしゃっていながらどうして別の女を選ぶのですか!?」

 

「ぷっ...。マックイーンってば流石に必死過ぎじゃない?そんなにがっついてるとトレーナーに逃げられるよ」

 

テイオーは笑いながら、画面にがっつくマックイーンをからかっていた。

 

「ふん!トレーナーさんのタイプですらない人に言われたくないですわ!」

 

「別に、トレーナーのタイプとか彼女とか正直興味ないし。ボクはトレーナーのお嫁さんになりたいだけだから。もし仮に選ばれなかったときは...ネ?」

 

「負け犬が何を言っても無駄ですわ」

 

お互いが牽制し合っている中、画面の中にいるトレーナーは話しだす。

 

「まあ、やっぱ一緒にいると楽しいよな。元気で素直で優しいし」

 

「確かに、至ってありきたりな理由だがそれは大事なことだな。」

 

「トレーナーさんってば、もう〜」

 

明らかに喜んでいるスペシャルウィークを尻目にテイオーが

 

「何でさ!元気で、一緒にいて楽しいって事ならボクだって当てはまるじゃんか!」

 

テイオーが言うと画面の中の伊藤が

 

「そういえば、元気でって言うならトウカイテイオーとかどうなんだ?」

 

「そうだそうだ!説明次第じゃ幾らトレーナーでも許さないからね!」

 

俺は、その質問に対して少し考えながら口を開いた。

 

「テイオーも充分可愛いし、一緒にいると楽しいよ。ただ、疲れるんだよな...。テイオーと一緒に出かけた時って。やたら振り回してくるもんだから...。」

 

「ふっ...。大切な人の事も気遣う事も出来ないなんてウマ娘としてあってはいけない事。やはり、テイオーさんでは彼を幸せに何か出来ませんわ。」

 

マックイーンがテイオーを嘲笑うかの様に見ていると

 

「ど、どうして...どうしてなのさ!トレーナー!良いよ、分かった。もし、トレーナーがマックイーンやスペちゃんの方に行くんであれば、ボクは何としてでもトレーナーにボクの魅力を教えてあげる。その身体にね。」

 

暗い瞳をしたテイオーが不敵な笑みを浮かべながら画面を見つめる。

 

「でも、テイオーの気持ちも充分に理解出来るわ。もし、私がトレーナーさんにそんなこと言われたら....ナニをするか分からないもの。」

 

「ス、スズカさん...」

 

「ふふっ、気にしないでスペちゃん。"今は"トレーナーさんの想いに浸っていれば良いわ。」

 

「うぅ〜。スズカさんが怖い...。」

 

黒い笑みを浮かべるスズカにすっかり怯えてしまっているスペシャルウィーク。

 

「お兄様....お兄様....お兄様...。」

 

「ライスさん。気持ちは分かりますが、所詮彼女何て大したものではありません。それに、私の心の中にあるマスターが教えてくれたこの「愛」と言う感情。私のデータログによれば、この想いは恋人という関係性では満たされないと判断。満たされる唯一の条件として夫婦と考えられます。きっとこれは、貴女も同じはずです。」

 

「お兄様の...お嫁さん...。う、うん。そうだよね!ライスまだ諦めない!」

 

 

「で?お前のその訳のわからん質問はまだ続くんか?」

 

「まあ、まだ幾つかあるから付き合ってくれよ」

 

 

夜はまだまだこれから....。

 




やっぱハーレムはええなぁ


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今回は、pixivよりちょっと先にこっちに投稿しました!


「んで?次の質問は?」

 

「お、だいぶ乗り気になったな?」

 

「どうせ嫌でも聞いてくるだろ...。」

 

俺は、そう言ってため息をつく。

 

「まあな」

 

伊藤はそう言って笑いながら酒を一気に飲み干した。

 

「じゃあ次の質問行くな?」

 

「おう」

 

「妹にしたいウマ娘は?」

 

「妹?」

 

「うん」

 

「まあ、順当に行けばライスじゃないか?」

 

「まあ、そう言うと思ったわ」

 

 

「.....妹...。」

 

ライスはじっと画面を見つめる...。

 

「まあ、あれだけ毎回毎回お兄様お兄様って言ってたらなぁ」

 

伊藤はケラケラと笑いながら酒を飲む

 

「...うぅ...ヒック...。」

 

「ライスさん?」

 

ミホノブルボンが心配そうに顔を覗き込むと...。

 

「....どゔじで...。ライスじゃ...ライスじゃダメなの...?お兄様って呼ぶから...ヒック...ライスを...女の子として...ヒック...見てくれないの...?」

 

暗い瞳をしながら只々、画面を見つめ涙を流すライスの姿があった。

 

「これより、ライスさんを泣かせたということで、伊藤トレーナーの抹〇及びマスターの捕縛を開始します」

 

ミホノブルボンがそういうと、すっと立ち上がり外に向かおうとする。

 

「ちょっ!ちょっと!ブルボン!お、落ち着いて!気持ちは分かるけど今は落ち着いて!」

 

「そ、そうですわ!」

 

テイオーとマックイーンが必死に食い止めようとブルボンにしがみつく。

 

「ていうか誰なのさ!こんな質問したの!誰も、妹なんて望んでないんだからこうなるのは分かってるはずなのに!!」

 

何とか、ブルボンを抑えたテイオーは思わず声を大にして言った。

 

すると...耳がすっかり垂れてしまっている一人のウマ娘が手を挙げた。

 

「ご、ごめん!ま、まさかそこまでなるなんて思って無くて...」

 

「ス、スペちゃんだったの?」

 

ライスシャワーの背中をさすっているスズカが驚いたように答える。

 

「う...うん。その...余り質問が思い浮かばなかったというか...だからその...無難な質問をしたつもりだったんだけど...まさかこうなるとは思わな無くて...。本当にごめんね!ライスちゃん!そのライスさんを傷つけたくてやったわけじゃないの!」

 

スペシャルウィークはライスシャワーの元へ行き両手を合わせ謝った。

 

「ううん...気にしないで...。スペシャルウィークさんに悪気があった訳じゃないのはライスも分かってるから...。」

 

ライスシャワーは目こそは泣き腫らしてはいるが笑顔で答えた。

 

「だけど、もし仮にスペちゃんが選ばれてたらどうだったの?まあ、それを質問するって事は余り気にしないのかもしれないけど」

 

テイオーが何気に聞くとスペシャルウィークは急に雰囲気を変え

 

「私はね...例えトレーナーさんの一番になれなかったとしてもトレーナーさんの側にいるだけで幸せでいっぱいだから...。」

 

「ス、スペちゃん...?」

 

スズカが心配そうにスペシャルウィークをみると

 

「それにね...私よりもみんなの方が可愛いし、私なんかスズカさんに着いて来てこのチームに入ったから正直あんまり意識されないと思ってた...。だけど、いつも私のことを励ましてくれたり私が勝ったら私以上に喜んでくれて...そうやってずっと過ごしてるうちにどんどん想いが大きくなってね、日本一のウマ娘になるっていう夢は変わらない。でもね、いつの間にかトレーナーさんの為に走ってたの。トレーナーさんに喜んでもらう為に。トレーナーさんの凄さを他の人達にわからせる為に。その為なら私もっともっと強くなってみせる...トレーナーさんが望むならどんなウマ娘にだって...」

 

「ス、ストップ!ストップ!!スペちゃん!一旦落ち着いて!」

 

普段の明るさは見る影も無く、瞳を暗くし表情を無くし機械のように淡々と俯きながら呟くスペシャルウィークに皆、怯えしまい誰も声を掛けられないなか、スズカが何とか抑えようとスペシャルウィークに待ったをかけた。

 

「ふぇっ!ス、スズカさん!?ど、どうしたんですか!?」

 

スペシャルウィークは驚きの声を上げまるでさっきまでのことが無かったようにスズカを見つめる

 

「ス、スペちゃんさっき自分が何言ってたか覚えてないの?」

 

「え?うーーん...。何か、トレーナーさんの事を考えてて、本当は独り占めしたいけど皆んなの事も考えると、とか色んなこと考えてたら...頭がぐちゃぐちゃになって...そこからは余り...覚えてない...かな...。」

 

 

普段は、トレーナーに対して好意は抱いてはいたもののあまりテイオーやマヤノの様に直接的にアプローチをかけるわけでも無いためスペシャルウィークの本当の想いを声にして聞いた皆んなは只々彼女を見るだけしか出来なかった。 

 

沈黙が続く中、それを破ったのはマックイーンだった。

 

「その...スペシャルウィークさんの気持ちは十分に分かりますわ...。勿論、私はメジロ家の誇りを持って走ってるつもりです。ですが、私もトレーナーさんの為に走りたい、走り切った後にあの人の元に行って抱き締めて頭も撫でてもらって、沢山褒めて欲しい。そんな事を考えるようになってしまっていますもの。」

 

「そうだよね〜。ボクもトレーナーに褒められたくて走ってるとこあるし。」

 

テイオーもそう続くと

 

「あの...すみません皆さん。既にマスターは次の質問に進んでいる事を確認。質問内容はけ、結婚願望との事です。」

 

ブルボンは少し顔を赤らめながら言った。

 

「け、結婚願望ですって...!」

 

「つ、遂に私の質問が来ましたわね...!」

 

マックイーンがそう言うと、皆んなしてまた画面を見つめた。

 

 

 

「結婚願望ね〜」

 

俺がボーっとそう呟くと

 

「もうそろそろお前もいい歳なんだしさ〜って言いたいけど、まだアレ引きずってるのか?」

 

「...まあな」

 

俺は、ため息を吐き持っていたグラスを置いた。

 

「まあ、あんな事あれば結婚なんてとか思ってもしゃーないか...」

 

伊藤は、そう言って複雑そうな顔をする。

 

「あれ以来、女性が苦手になったんだっけ?」

 

「まあ、そうだな...。でも、今一緒に過ごしてるウマ娘は勿論だけど、桐生院トレーナーとかたづなさんとかなら平気だよ。」

 

「そうか...。まあ、仕事に影響出ない分まだ良いか...」

 

「はぁ...あの時はあの子達に色々と迷惑かけちまったなぁ」

 

俺はあの時の事を思い出していた...。

 

 

 

「大丈夫だ、トレーナー君。君が辛い思いをして、女性に対して不信感が出てしまったのも十分に分かってる。だけど....いや、だからこそ私達を信じて欲しい。私達は、決して君の事をあの女の様に裏切ったりしない!」

 

そう言うとルドルフは俺を抱きしめた。

 

「そうだよ!確かにボク達はトレーナー程長く生きてないから、異性との交流もそんなに多い方じゃない...でも!もっとボク達を頼って欲しい!....それともトレーナーにとってボク達はそんなに頼りない存在なの?」

 

テイオーは涙ながらに訴え、その後ろにいる俺のウマ娘達も心配そうに見つめる。

 

「そうか...俺...一人でずっと...俺には...こんなにも頼れる人たちがいるのに...。」

 

俺はその後ずっとルドルフの胸の中で泣いていた。

 

 

 

 

 

あの時は、色々大変だったなぁ。女性に対して苦手意識出来たからトレセン学園退職直前まで行ったし

 

「にしても大変だったよなぁ...。急に俺の家に来て何事かと思ったら、いきなり辞めるなんて言うからさぁ」

 

伊藤は笑いながらしかし何処か懐かしむように当時の事を話すと

 

「あの時は、本当に辛かったんだよ。結婚相手に裏切られたんだ。女性不信にもなるよ。」

 

俺は、苦笑いでそう答えながらお酒を呑んでいると、伊藤が何か思い出したかのように一人で呟いた。

 

「そういえば...前から大概だったが、あの子達が今まで以上にあいつに執着するようになったのって確かあの時以来だよな...。」

 

伊藤はちらっと〇〇の方を見る。

 

「...愛され過ぎるのも考えものだな...。」

 

そう言ってまた酒を口に運んだ。

 

「...そうですか...。やはりトレーナーさんはまだ...女性に対して...。」

 

「でもでも!ボク達は平気なんでしょ?なら良いじゃん!そのままで!」

 

マックイーンとテイオーがそう言うと

 

「私の過去のデータログによれば、マスターに人間の女性は不要と判断。マスターには私達ウマ娘だけいれば良いかと。」

 

「ライスもそう思う...。だって...あんな辛そうなお兄様...もう二度と見たくないもん!」

 

ブルボンとライスも続き

 

「トレーナーさんには、私達だけいれば良いんです。私達もトレーナーさん以外の男性には一切興味がないから...」

 

「そうね...。」

 

 

 

「じゃあ、ウマ娘の子達ならどうだ?お前が相手だったら向こうもウェルカムだろ」

 

 

「「「「「「ガタッ...!!!」」」」」」

 

伊藤のその言葉に全員がテレビに穴が開くぐらいの勢いで食い入る様に画面を見る。

 

「ウ、ウマ娘か...」

 

俺は思わず吹き出しそうになった

 

「なんだよ、その反応...」

 

「いや、彼女の時も言ったけど、あの子達のことそう思って見た事ないんだよなぁ。」

 

「まあまあ、とりあえず頼むよ」

 

「正直、結論から言うと思い浮かばん」

 

「え?」

 

伊藤は思わず気の抜けた声を出した。

 

「どう考えても俺じゃ釣り合わんだろ。年齢がどうこうとか置いておいても。」

 

俺は納得した様に腕を組み頷く。すると伊藤はガクッと肩を落とし言う

 

「お前、絶対に本人達の前で言うなよ?そんな事。」

 

もっとも、もう遅いけどなと内心考えながら伊藤は言うが当の本人は知るよしもない。

 

 

「「「「「「.............」」」」」」

 

その場が凍りつく様な空気の中、口を開いたのはスズカだった。

 

「やっぱりトレーナーさんには"分からせる"必要がありそうね。」

 

「はぁ...あれだけ慕っていると申しているのにあの人といったら...。」

 

「ねえねえ、やっぱりトレーナーを一回監禁して皆んなで襲った方が良いんじゃない?」

 

「そんな事してしまっては、マスターの女性不信が更に進行してしまうかと...。」

 

「うっ...。やっぱそうだよね...。カイチョーやグラスさんにだけは怒られたくないし...。」

 

ブルボンの指摘に思わず項垂れるテイオー。

 

「とにかくトレーナーさんには、私達で誘惑して私達に依存してもらうのが一番の得策だと思いますわ。」

 

「でも、トレーナーさんが私達の誘惑に掛かるイメージが余り湧かないけど...。」

 

 

マックイーンの提案に不安そうに言うスペシャルウィーク。するとブルボンが

 

「そこは問題ありません。私の提案した質問でマスターが私達の事を性的に見ているかが恐らく分かるかと...」

 

「ブ、ブルボンさん...一体なんの質問したの?」

 

 

夜はまだまだ深い...。




すみません。今回でまとめきれませんでした。次回で盗聴シリーズは終わりです。


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下 (1)

すみません今回で完結のつもりが終わりませんでした...


「ブ、ブルボンさん...一体なんの質問したの?」

 

ライスシャワーが聞くと

 

「私の質問それは...。」

 

ブルボンが言おうとした時

 

 

「エ、エロいと思うウマ娘!?お前一体何聞いてんだ!?」

 

俺は伊藤のとんでもない質問に思わず酒を吹き出した。

 

俺だって、こんな質問したくてしてるわけじゃねえやい。君の愛馬が気になるって言ってんだ。文句はその子に言うんだな。

 

伊藤は心の中で〇〇に悪態をつく。

 

「も、もしかしてブルボンの質問って...。」

 

テイオーが顔を赤くしてブルボンの方に顔を向けると...。

 

「.......。」

 

ブルボンも顔を赤くしながら頷く。

 

「な、なんて質問してますの!?」

 

マックイーンも真っ赤な顔でブルボンに詰め寄る。

 

「母が、男を捕まえるならスタイル即ち色仕掛けも大事だと言っていました。母もそれで父を落としたと聞いていたので。やはり、一番はそういうのではと判断しました。」

 

「確かに、私達の体をジロジロ見てくるトレーナーさんはいるけど...でも私達のトレーナーさんはそういう人じゃ...。」

 

スペシャルウィークはそう指摘するが当の本人は何処吹く風だ。

 

「悪いが、俺は警察の厄介になるのだけはゴメンだぜ。」

 

俺はぶちまけた酒を拭きながら呆れた様に言う。

 

「まあまあ、ここには俺とお前しかいないんだ。ちょっとぐらいあるだろ、エロいとまでは言わんでも、ドキッとした所とかラッキースケベとかさ」

 

キラキラした目で聞いてくる伊藤にため息をつく俺。

 

「まあ、なくはねえよ。俺だって男だ。ただまあ、これ言うと俺は色んな方面から怒られる様な気がするんだが...。」

 

「そこを何とか!」

 

両手で手を合わせる伊藤。

 

「今日全部奢り。後、誰にも言わない事。」

 

「言わない!奢る!だから教えて!」

 

「何で、そんなに知りたいか理解不能だが分かったよ。」

 

言わせねえとお前のウマ娘に何されるか分かんねえからだよ!

 

伊藤は内心そんな事を思いながら〇〇に頼む。

 

「そうだなぁ。この間の事なんだが...。」

 

 

 

 

 

「マスター。外周完了。15分のクールタイムに入ります。」

 

「そうか。じゃあ今日はこのまま練習は終わりにしよう。あまり無理しても仕方ないからな。」

 

「了解しました。」

 

俺は、ブルボンとの会話の後後片付けをしていた。すると、ブルボンが此方に近づき両手を広げてきた。

 

「何してんの?」

 

俺は率直に聞いた。

 

「より効率的に回復する方法としてマスターの抱擁が必要と判断。至急、お願いします。」

 

ブルボンが少し顔を赤らめながら言ってくる。前と比べると、表情が緩くなったなぁ...じゃなくて。

 

「いや、何で。」

 

「マスターは私ではご不満ですか?」

 

ブルボンが少し寂しそうに見つめてくる

 

「いや、そう言う訳じゃないけど...。はあ...分かった。おいで?」

 

俺はブルボンを手招きすると両手を広げたまま抱きついてきた。

 

最初会った時はこんな甘えん坊じゃなかった気がするんだがなぁ...。

 

俺はあまり意識しない様に遠くを見つめているとブルボンは何処か不満に思ったのか俺の手を掴み胸に当ててきた。

 

「ブ、ブルボンさん!?」

 

俺は、思わず声が裏返り顔を真っ赤にしていた。

 

や、柔らかい...!!ていうか...ブルボンって結構デカいんだな...じゃなくて!

 

「マスターの心拍数上昇を確認。同時に私の心拍数も上昇。ステータス「高揚」今、私は凄くドキドキしています。」

 

「そ、そうか...なら早く離れないとな...。」

 

俺は胸に当てられてる手をどかそうとする。

 

.....いや動かねえ!!やっぱウマ娘やべえ!全然動かないんだけど!?

 

「マスター。私は最近...ようやく気付きました。」

 

「え?何が?」

 

俺がそう聞くとブルボンは俺から離れ言った。

 

「マスターと一緒にいると胸が温かくなる感じ。父とは違い、もっと一緒にいたいと思うこの感情。私のデータログには無かったこの感覚。だけど、漸く気づけたんです。これは『恋』なんだと...。」

 

ブルボンは涙目になりながら訴え続けた

 

「マスター。私はどうすれば良いのですか?この胸が苦しくなるこの感覚を...!走った後とは違うこの息苦しさ...。マスター...私は...!」

 

俺は、気づいたらブルボンを抱きしめていた。

 

 

「そっか...お前はそういう風に想ってたんだな。」

 

「マ..スター...」

 

俺はしばらくの間ブルボンを抱きしめていた。

 

正直、ここまで想ってくれてるとは思っていなかった。だけど、感情の起伏が無かった最初の頃を考えれば心のどこかで嬉しいと思ってる自分もいた。

 

 

 

 

「あの〜話変わってません?俺、確かエロいと思うウマ娘を聞いた気がするんだけど。いつの間に惚気話になってんだ?」

 

「いや、あれから部屋に戻った時にブルボンの胸が押しつけられてヤバかったなぁって悶々としてた。」

 

「とても女性不信だった男のセリフとは思えんな」

 

「だってドキッとした事だろ?ウマ娘みたいな美少女達にやられてみ?理性保つの大変だわ。」

 

 

 

「....ブルボンさん...。抜け駆け...?」

 

ライスシャワーがゆらりとブルボンの方へと向く。

 

「いえ、これはマスターへの想いが私の中のキャパシティを超えてしまいあの様なことに...。」

 

ブルボンがモジモジしながら答えると

 

「結局胸なんですの!?」

 

マックイーンが涙ぐみながらブルボンの肩を掴みブンブン揺らす。

 

「お、落ち着いて下さい、マックイーンさん...!」

 

ブルボンが揺られながら答える。

 

「私は認めませんわ!トレーナーさんが巨乳好きだなんて!!」

 

ここだけの話、マックイーンに憧れを抱いてる『サトノダイヤモンド』がここ最近自分のその恵まれたスタイルを武器にトレーナーを誘惑している所を何度も見ておりそれに戸惑っているトレーナーを見ては落ち込んでいるのだ。

 

「落ち着きなよマックイーン...。」

 

テイオーが呆れながらマックイーンをブルボンから離す。

 

「あっ!胸って言えばこの間キタサn...」

 

「スペちゃん!!」

 

思い出したかの様に言おうとするスペシャルウィークにそれを止めようと口を塞ぐスズカ。

 

「ん?キタちゃんがどうしたの?」

 

テイオーが黒い笑みを浮かべながらスズカ達の方へ向く。

 

「い、いいえ!何でもないわ!」

 

スズカが答えた直後

 

 

「そういえば胸がどうこうって言えば前にキタちゃんがな」

 

 

 

「「....!!」」

 

 

 

 

「キタちゃんって確か今お前が指導している子だよな」

 

「そうそう。ちょっと前にな...」

 

 

 

 

「トレーナーさん!少しいいですか?」

 

「うん?どうした?」

 

トレーナー室で作業をしている最中、声のする方へ向くとニコニコと笑顔で尻尾を揺らすキタサンブラックの姿があった。

 

彼女は、俺がテイオーやマックイーン達の育成に一区切りがついた後に「サトノダイヤモンド」と共にスカウトした子達だ。とは言っても最初は向こうから来たんだけどな。憧れのウマ娘のトレーナーって事で。

 

「今度の土曜日、一緒にお、お出掛けしてくれませんか?」

 

「え?俺とか?」

 

「は、はい...。」

 

キタサンは顔を赤くし俯きながらモジモジしている。

 

「その日ならダイヤやテイオーも休みだぞ?」

 

「トレーナーさんがいいんです!」

 

「そ、そうか...。」

 

かなりの気迫で迫ってきたので、思わず少し後退りしてしまう。

 

「分かった、今度の土曜だな。時間は空けておくよ。」

 

「やったー!」

 

「ちょっ!キタちゃん抱きつくなって!」

 

俺がそう言うと、キタサンは飛び跳ねる様に喜び抱きついてきた。

 

しばらくキタサンは顔を俺の体に擦り付け抱きしめ続けており流石に不味いと思った俺は

 

「な、なぁキタちゃんそろそr「トレーナーさん」...はい。」

 

キタサンがふと顔を上げる、すると

 

「...!!」

 

そこには真っ黒な瞳をしたキタサンが真顔で此方を見つめていた。

 

「キ、キタちゃん?」

 

「トレーナーさんはあたしの事どう思ってます?」

 

「え?どうって俺の大切なウマ娘だよ?」

 

「そうじゃなくて、一人の女の子としてです。」

 

「そりゃ可愛いくて魅力ある女の子だと思うけど...。」

 

「テイオーさんよりもですか?」

 

「え?そ、それは...」

 

俺は答えに困っていると、キタサンはニコリと微笑み

 

「別に答えなくてもいいですよ!だからどうって訳でも無いですし...でも...。」

 

「なっ!キタちゃん何を!」

 

キタサンは俺を優しく俺を押し倒しその豊満な胸を俺の顔に押し付けてきたのだ。

 

「どうですか?トレーナーさん。気持ちいですか?ダイヤちゃんよりは大きく無いですけど、それでもテイオーさんよりずっと胸、あるんですよ?」

 

「んんーー!」

 

俺は思った様に声が出せないが、キタサンは気にする事なく続けた。

 

「あたしは、皆さんに比べてまだまだ未熟ですけど、それでもトレーナーさんへの想いは負けるつもりはありません。でも、あたしは皆さんとも仲良くしたいしある程度は我慢します。でも、偶にはこうしてあたしにも独り占めさせて下さいね。」

 

キタサンはそう言うとトレーナーから離れた。

 

「じゃあ、今度の土曜日楽しみにしてますから!」

 

そう言うとキタサンは機嫌良く部屋を出て行った。

 

 

 

 

「お前、その内刺されんじゃねえの?」

 

「俺もそんな気がしてままならん。」

 

二人してゲラゲラ笑いながら呑気に酒を飲み続け言った。

 

「ただ、普段元気一杯の子が偶に見せるああいう色っぽい所は正直エロチックだよな...。ちょっと怖かったけど...。」

 

「ふーん。ちょっといいか?」

 

「なんだよ」

 

伊藤は小声で囁く

 

「ぶっちゃけテイオーとどっちが抱き心地よかった?」

 

「何だお前はどうしても俺を犯罪者にしたいのか?」

 

「俺たちしかいないから....な?」

 

すると〇〇は少し間を置き

 

「....キタちゃん。」

 

「なるほどなるほど〇〇はロリコンと...。」

 

「おい!」

 

 

 

 

 

 

 

「あの時私とスペちゃん、盗み聞きしてるのバレちゃったのよね...。」

 

「直ぐに隠れたつもりだったけど、あの時のキタサンブラックさん凄く迫力あったな...。」

 

二人がボソッと呟いていると

 

「...テイオーさん?」

 

落ち着きを取り戻したマックイーンが恐る恐るテイオーの方へ向く

 

「フーン...。そっか...。キタちゃんってばボクを差し置いて...。」

 

そこにはドス黒いオーラを出しているテイオーの姿が

 

「とてもじゃ無いですが、声をかけられる感じではありませんわね。」

 

ハァとため息をつくマックイーン。

 

「別にボクは構わないんだよ。トレーナーが別のウマ娘と出掛けるのは...。そもそも、皆んなでトレーナーを共有するってカイチョーからも言われてたし...。でも、ちょっとトレーナーとはオハナシしないと...。キタちゃんだけじゃ無くてボクの魅力も教えないと...。アハッ...次の日が楽しみだね...トレーナー....。」

 

「こ、今回だけで、一体何回お兄様はテイオーさんとオハナシをする事になっちゃうんだろう...。」

 

思わずライスは画面の中にいる大好きなお兄様に哀れんだ眼差しを向ける。

 

 

 

「そう言えば後もう一個あったな」

 

「おっ!何だ乗ってきたじゃん!」

 

男達の宴はまだ続く....

 



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