徹夜明けにエボルトになっていたのですが。 (通りすがりのゴキブリ)
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プロローグ

友達「お前プリキュアの小説書いとるらしいやん、何書くの?」

作者「エボルト」

友達「え?」




「…はぁ~、レポートやっと終わったよー。」

 

椅子の背もたれに勢い良くもたれ掛かる。

 

徹夜明けの日曜日、時刻は13時。世間で言う昼時はもう過ぎ、人々は大方昼寝をしている時間帯だろうか。

 

「ふぁ~」

 

口から大きな欠伸が出る。昨日から寝ていないから滅茶苦茶寝みぃ。

 

ベッドに入り脱力して目を閉じる。

 

「きょうがおまえたちのめいにちだ!」

 

「こんどこそおわりだ!えぼるとぉぉぉぉお!!」

 

 

…少し外が騒がしい。

 

何やら子供の遊び声の様だ。

 

 

眠りを邪魔された事で苛つきを少し覚えるが、同時に微笑ましさも感じる。

 

先程聞こえた声は「エボルト」と聞こえた。

 

大方仮面ライダービルドのごっこ遊びでもやってるんだろう。最近の子供は凄い、あんな複雑なストーリーを理解できるのだから。

 

仮面ライダー…懐かしいな…

 

俺は幼い頃から自他共に認める大の特撮好きだ。幼少の頃はよくごっこ遊びもしたっけ…

 

…しかしエボルトか…

 

「あー、一度ストレス発散がてらにエボルトにでもなって惑星ぶち壊しまくりて~!!叶えて神様。」

 

…一人で何を言ってるんだ俺は…  

 

エボルトになって惑星ぶち壊したいって…小学生でも言わないぞ…

 

思わず口に出してしまった言葉に恥を覚える。

 

 

「…はぁ~アホらし、寝よ。」

 

 

再び目を閉じ、体をリラックスさせる。

 

『お主の願い叶えてやろう。』

 

 

なんか聞こえた?…気のせいか!

 

 

***

 

目が覚めるとまず最初に覚えたのは体がふわふわする感覚、浮遊感と言うべきか。

 

そして目に写ったのは真っ暗な空間に白色の大地、しかしその大地を踏みしめると非常にごつごつしており、まるで岩の上を歩いてる気分だ。

 

そしてここが何処なのか、それは目の前にある光景を見ればすぐに明らかになった。

 

 

「………?!」

 

俺の目の前にあるのは大きく、そして青く美しい惑星。

 

本来俺が居るべき惑星。

 

間違いなく地球だ。

 

ここから地球の全体を見ることが出来ると言う事はここは宇宙空間であると言う事。

 

そしてこの光景に白い大地、何より今見える地球、この光景小さい頃宇宙の図鑑の写真で見たことが有る。

 

「………ここ月面か?」

 

…!

 

なんだ今のは?俺が出した声か?何か妙に聞き慣れた声だったが…

 

「あー、あーアメンボ赤いなあいうえお」

 

間違い無い俺が出した声の様だ…

 

「何故声が変わってる?」

 

変わり果てた声で疑問を呟く。

 

そもそも何故今月面にいる?

 

これは何かの夢か?

 

夢ならば早く覚めたい、そう思いながら両頬をつねったりパンパンと軽く叩いて見るが顔が手に触れる度、突起物に触れたような感覚を覚える。

 

そして先程から感じるこの包まれているような感覚…何やら今俺は何かを纏っているみたいだ。

 

「…夢ではない…」

 

しかし一つこれではっきりした、感覚を正確に感じ取れると言う事はこれは現実だ。

 

しかし現実となると俺の体に起こった異変をそのままにする事は出来ない。

 

「どうなってるんだ?!」

 

半ばパニックになりながら自分の体を見てみる。

 

やはり俺の姿は変わっている様だ、しかしそれを見た瞬間自分が何者に変わったのかを完全に理解してしまった。

 

「……まさか…」

 

嫌な予感で心を一杯にしつつ何度も全身を確認する。

 

黒がメインのアンダースーツに白黒のアーマー、そして腰に巻かれた黒色のトリガーが装置された赤色のバックルに二つのボトル。

 

「……仮面ライダーエボル…だと?!」

 

間違い無い、徹夜明けに目が覚めたら俺は仮面ライダーエボル ブラックホールフォームへと姿を変えていた。

 

「何で…何でこんな事になっとるん?!」

 

 

はっと自分の失言を思い出す。

 

『あー、一度ストレス発散がてらにエボルトにでもなって惑星ぶち壊しまくりて~!!叶えて神様』

 

オイ嘘だろ。

 

あの時はマジで願ってはいないんだよ。

 

何でマジになって叶えちゃうの?

 

 

大学2年生、石動総一。課題や勉強に追われて多忙な日々でもそれなりにやりがいは感じていましたし、別に不満も無いのです。

 

…ただ…ただちょっとだけ。

 

男の子なら誰にでもある闘いに憧れる感情が少し他人よりも強く、ただ勉強や課題をするだけの生活に飽きていたのです。

 

……本当ですよ?

 

 

 

 

 

 




友達「お前の小説、パワーバランスぶっ壊れすぎやろ!」


さて二作品目のプリキュアの小説ですが、何を原作にすべきか悩んでます。そこで読者の皆様にアンケートを取りたいと思います。

またどちらも捨てがたいと考えているので、ここで不採用になってもしれっと同じエボルトの小説を書いているかも。

ちなみに作者の頭では以下の小説の展開や内容は出来ているのでご安心を。

なおアンケートの集計期間は4/15の正午までとします。


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1話 うっかりエボルト

案外読んでくれる人多くて嬉しいです。アンケート見ましたが意外と激戦を繰り広げていて少し驚きました。

内心HUGっとにしようかと思っていましたが、どうしようかな…


俺がエボルトになってから数分後、俺は今月面をてくてくと歩きながら考え事をしている。かの有名な哲学者のアリストテレスは散歩をしながら考え事をしていたと言うし、何か良い考えは有るかと脳ミソを回転させていたのだ。

 

 

まぁ俺がじっとしている事ができない人間と言うのも有るが。 

 

確かに俺はエボルトになった、しかしそれは声と姿だけでもしかしたらパワーの方は飛んだパチモンなのかも知れない。

 

まずは自分自身のパワーが本物か、そして何れ程なのか知っておく必要が有る。

 

しかしこのまま月面に居ると言うのもアレだ。

 

取り敢えず、ある程度自分自身の実力が解ったら地球に帰ろう。

 

地球に帰ったら何をしようか…エボルトだからな擬態能力で人間に変身できるだろうし、取り敢えず人間として元の生き方に戻るべきか或いは心機一転して地球に拠点を設けてストレス解消がてら色んな惑星を滅ぼすか。

 

正直人間としての石動総一の人生にはそれなりに愛着は有る、だが別に地球外生命体として生きてみるのも悪くない。

 

うーん、この際良い奴だけ他の惑星に上手い事逃がして地球滅ぼすのもアリかな?

 

ぶっちゃけ俺はあまり人間に対して良い想い出がない。

 

友達も少なかったし、居たとしてもあまり付き合いは長続きしなかった。両親も俺が一人暮らしを初めて以降音信不通で気に掛けもしない。まぁ俺は俗に言うぼっちって奴だ、エボルトになった以上人間としての自分に未練はない。

 

エボルトとして生きるか、人間として生きるか…今後の方針は帰ったらゆっくりと考えよう。

 

何はともあれ今は自分自身の実力が本物か調べなくてはいけない。

 

どれ試しにアイテムを確認してみようか…

 

すると両手にパッとトランスチームガンとスチームブレードが現れる、成る程こう言った武器は俺の意思に呼応して召喚されるのか。そして俺の意識に呼応して消える。自由に出し入れ可能らしい。だがこんな能力エボルト持っていたっけ?

 

「でもまぁ、こりゃ便利だ。」

 

 

スチームブレードを軽く振り回しながら、金尾ボイスで呟くと同時にある事に気付く。

 

「…そういえばパンドラボックスは有るのか?」

 

両手に念を込めてみると6面のパンドラパネルが装着され、60本のフルボトルが装着されたパンドラボックスが現れる。

 

「…こりゃたまげた」

 

まさかパンドラボックスまで現れてしまうとは…しかもフルボトルが装着された状態と来た。

 

ぶっちゃけパンドラタワー作る気無いんだけどね、星をぶち壊すときにしか使わないだろうし…

 

「お次はこれか」

 

パンドラボックスを消して黒と白のパンドラパネルを出現させる。お、ちゃんとロストフルボトル装着されるな。

 

黒いパネルは怪人態になるのに必要だから召喚出来ると思っていたが、まさか白いパネルも呼び出せるとは思わなかった。

 

だが黒は怪人態になる時に使うとして、白は別に使う機会は無いな…別に平行世界に行ってもリスクしかないし、別に新世界作る気無いし。

 

…取り敢えずこの二つは仕舞っておこう。

 

これでアイテムの確認はできたな…どうやら全て本物の様だ。

 

次は戦闘能力の確認だ、エボル ブラックホールフォームは歴代ライダーの中でもトップクラスのスペックだ、しかもそれは初期状態のスペックに過ぎず、ハザードレベルが上昇すれば更に上昇する。

 

そしてエボルの恐ろしい所の一つで自身の戦闘力を50倍にできるというデタラメじみたブーストが可能と言う事だ。

 

更に皆さんご存じブラックホールを生成できるというチート機能、その気になればトイレ感覚で惑星を破壊できる。

 

エボルトの馬鹿げた力はそれだけではない、今の状態であるブラックホールフォームもあくまで成長途上に過ぎずこの先に怪人態、そして究極態と言う別の次元が存在するのだ。まぁ、余程の事が無い限り怪人態や究極態にはならないと思うが。

 

先程のアイテム確認で武器等は全て本物である事が解った。次は本格的な戦闘能力を確かめたい。

 

 

そんな事を思っていたら丁度良い、小さな隕石が地球目掛けて飛んでいる。たしか隕石って年間に500個程落ちるらしい。多いんだか少ないのだか解らないが、隕石を生で見るとは結構レアだ。

 

「よし、アレで試してみるか。」

 

エボルドライバーのハンドルを回し、ベートーベンの交響曲第九番の様な音声が鳴る。

 

『Ready go!ブラックホールフィニッシュ!チャオ!』

 

 

あまり大きすぎると月もろとも巻き込んでしまう、かと言って小さすぎると隕石に届かない可能性もある。

 

慎重に掌でブラックホールを作り出し大きさを調節する。

 

「えーっと…これくらいかな?」

 

***

 

一方数分後の地球、日本では

 

いつもなら様々な話題が飛び交い笑い声や泣き声が響くはずだが、今日は皆動揺を隠せなかった。

 

都内のビルに設置された大型テレビジョンの前に出来た人混みの中には「世界の終わりだ」とか「地球滅亡」だの言う者もいれば、念仏を唱える者もいる。

 

ここまで多くの人間が取り乱す理由は言うまでも無い。

 

先程からテレビの中のアナウンサーが焦り気味に伝えている出来事だ。

 

『繰り返します、本日未明ブラックホールの様な物が月を吸い込み、月は7割がた消失したとの事です。月を飲み込んだブラックホールについては解析不能で、月の大半を消失させた後すぐに消えたとの事です。果たして私たちはもう永遠に満月を見る事ができないのでしょうか?』

 

多くの人間はこの事を信じられなかった、だが日が沈み上を見上げると今日本来見えるはずの満月が綺麗な三日月になっている以上信じるしかなかった。

 

数時間後月の七割もの体積が減ったため、地球の公転スピードが狂い、気温が急上昇と急降下を繰り返す日々が数日続いた。

 

さらに月の殆どが破壊され月の干潮が弱くなり、多くの都市が水没、日本も九州、四国、北海道に大洪水が起きた。

 

正にパニックだ。人々は錯乱し地球は大混乱に陥った。

 

多くの人々は思った、これは神の天罰で人類は滅ぶのかと。

 

例え水没や災害の危険がない安全な場所に住んでいる者も死を覚悟する程であった。

 

だがそれは杞憂に終わった。

 

なんと数日後、三割しか残っていない月が再び引力で地球を支え始め、地球の公転のスピードも干潮もほぼ元通りになったのだ。

 

 

しかし人間たちは知らなかった。

 

「やばいやばい!月の殆どが無くなっちまったじゃねぇか?!こりゃ酷いことになった…どうしよ…」

 

今回の事件の元凶がすぐそこまで迫っている事に。

 

 

 

 




うーん、一応このふたりはプリキュアかHUGっと!の二つに絞りましたが、原作プリキュアどーしよ…案外ふたりはプリキュア人気みたいだけど。ホワイト可愛いよね…でもキュアエールも可愛い…あー迷うわ。

繰り返しますがアンケートの集計期間は4/15日の正午までとします。

感想等があれば是非お願いします。

※アンケートの方間違えて一度消してしまいました、申し訳ございません。また一番最初に取ったアンケートは間違えてではなく二つに絞ったため作者の方で消去いたしました。



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2話 おかえりエボルト

原作プリキュアは決まりました、ふたりはプリキュアにしようと思います。

また、気が向いたら他のプリキュアの小説を書いてるかもしれないので、良ければ読んで頂けると幸いです。


オッス!オラエボルト!

 

皆さんもう知っているかと思うが、数週間前俺は派手にやらかした。

 

エボルトの力を試そうと思い、小さめのブラックホールを生み出したらどうやらブラックホールのパワーが強すぎたらしく月の七割を消滅させてしまった。

 

これじゃ何処かのタコ型超生物だ。

 

誠に申し訳ございません、狼男の皆さん。貴方達はもう変身できません。

 

まぁそんなこんなで、月の殆どが消滅したら地球の公転スピードだの干潮だの偉い事になっているだろうし、ある程度ほとぼりが覚めるまで暇なので、太陽系近くの惑星を片っ端から滅ぼしていたのだ。…数日で三日月の状態で衛星の役割を担える程月の力が復活するとは思わなかったが。

 

まさか隕石一つをを破壊するつもりが、まさか月の七割を消し飛ばしてしまうとは…やはりブラックホールは恐ろしい。…あの時地球は偉いことになっていただろう。

 

しかしやらかしてしまった以上仕方ない。

 

ここはポジティブに考え、次自分がやるべき事をやろう。

 

さて、俺が次にやるべき事…それは勿論地球に帰る事だ。

 

 

俺がやらかしてからかれこれ一週間、月の引力も戻った事だし、まだ被害を被った所は大変だろうけど、ある程度はほとぼりは覚めているはずだ。

 

帰還するなら速い方が良い、行くなら今が丁度良いだろう。

 

「…行ってみるか。」

 

天体移動の為に装備されている腰のローブ『EVOベクターローブ』を使い、推進力を全開にして地球目掛けて突っ込む。

 

凄まじい速度だ。慣れていないからか少しおっかないが、これなら数分足らずで地球に到着できそうだ。

 

「……そろそろ大気圏か!」

 

いかなる天体でも装着者が安全に破壊活動が出来るエボルトのスーツ『EVOオムニバーススーツ』の機能により、全身に遮断フィールドを展開する、これならば大気圏突入の際の空気摩擦を無効にできるだろう。

 

「目的地は…日本にするか!」

 

 

そしてフィールドを展開し、目的地を日本に設定した瞬間、移動スピードが更に速くなる。嫌、落下していると言うべきか。理由は言うまでもない地球の重力だ。

 

俺は重力を『EVOベクターローブ』で操作し、不時着しないように自分の落下する体を日本目掛けて一直線に運ぶ。

 

 

「降り立つ場所は…取り敢えず関東付近にしておくか。」

 

 

そして一分も満たない内に大気圏を突破し、霧のような雲を潜り抜けると遂に待ちわびていた光景が目に写る。

 

 

「うん、やっぱりこれだね。」

 

大量の商店街や建物、そして多くの人々。

 

俺が今居る高度は何メートルかは知らないが、こうして高い所から見る町並みは良いものだ、多くの物を見下ろした事で自分が一番偉い人間になった気分になれる。

 

 

「…人間ってミジンコみたいなんだな…」

 

ぼそっと言葉が漏れる、ここから見るとどんなに身長が大きい人間でもどんなに偉い人間でも小さく見える。そして何よりも今の俺はエボルトだ、どんなに強い人間でも一瞬で潰す事ができるのだ。

 

これが地球外生命体の視点…エボルトやキルバスはこう言う感覚で地球を見ていたのか何となく理解できた。

 

おっと感傷に浸るのも良いが取り敢えず地上に降りなくては。

 

俺は重力を操作し、ゆっくりと地上へと降り立つのであった。

 

 

***

 

時刻は16時頃、裏路地にて俺は静かに着地し両足がしっかりとコンクリートを踏みしめる。

 

数週間も月面で過ごすのを余儀なくされていた俺に故郷の大地の感触は反則だった。

 

「遂に…遂に戻ってきたぁぁぁぁあ!!!」

 

故郷へ帰還出来た歓喜を腹の底から目一杯叫ぶ。

 

本当は商店街や建物を観た時から叫びたかったが、今ここなら人も居ないし、心置きなく叫べる!

 

さてやっと地球に帰れたんだ、変身を解いて町をぶらつこうか。

 

いや、それはもう少しの辛抱だ、今はやらなくてはいけない最終確認が有る。

 

念のためにエボルの視覚センサー『EVOツインアイホワイト』の機能使い、辺り一面をスキャンし空気中の物質を検知・解析する。問題ないと思うが呼吸できないなんて事や空気中に有害物質が有るとなると大惨事だ。

 

「解っていたが、大丈夫みたいだな。」

 

 

特に大きなトラブルとかもなく、何事もなく地球に来る事が出来た様だ。

 

地球に降りて体の動きに変化は無いかを確認するために、肩の力を抜いて軽くその場でストレッチをする。やはり重力が有るためか宇宙空間よりも動きやすい。

 

だが最終確認を終え、変身を解除し、久々の地球の空気を胸一杯に吸い込もうとした瞬間だった。

 

内部モニターに大量の文字が表示される。何やらエボルの側頭部に有る角『EVOワイプアウトブレード』の機能によるものらしい。どうやらこれは降り立った惑星の座標や天体などを解析しそれを基に一番滅ぼすのに効率的なプランを提案するという物騒な機能なのだが、俺は地球を滅ぼす予定はない。今のところはな。

 

宇宙で「地球を滅ぼすのもアリ」と考えたのは一種の気の迷いだ。まぁ滅ぼしても構わないが生まれ育った星なんだそれなりに愛着は有る…と思う。

 

…だが地球を滅ぼすプランか…興味が有るな…ぶっちゃけ適当に暴れていても今の俺ならば地球なんて簡単に壊せる、しかし機械により地球を解析し、提案されたプランとなると興味をそそられない方がおかしかった。

 

「…えーっと…」

 

提案されたプランであろう内部モニターに書かれている文字を読み上げる。

 

どうやら手順良く進められるように箇条書きに書かれているようだ。

 

1.プリキュアを殺害する。

 

2.ドツクゾーンを壊滅させる。

 

 

 

……え?

 

思わず読むのを中断してしまう。

 

プリキュア?ドツクゾーン?

 

 

…プリキュアだと?

 

 

…いやプリキュアの存在は一応知っている、なんせ国民的に有名な女児向けアニメだからな。

 

しかし何故にそれがこのプランに出てくる?

 

 

そしてドツクゾーンって何だ?

 

壊滅って事は組織の様だが…フリーメイソンとかの秘密結社的な物か?

 

 

「…まさか…」

 

スーツの中で目を見開く、これはまさか…!

 

異世界転移って奴か!?

 

二次創作の小説の設定の様で、信じがたい話だがそれしか考えられない。俺は徹夜明けに気が付いたらエボルトになって、プリキュアが存在する世界に転移した。

 

「…プリキュアか…」

 

そう呟きながらドライバーに装置されている二本のボトルを外すとスーツが粒子状の光となり霧散し、俺は元の人間としての姿へと戻る。

 

取り敢えずここにいても何もならない、この世界の見物がてらそのその辺をうろついて見よう。

 

「…この世界がどんなものか、楽しませてもらおうか。」

 

俺はゆっくりと降り立った別の地球を歩み始めるのであった。

 

 

 




更新が少し遅れました。許してください何でもしますから!(何でもするとは言ってない)

次回プリキュア出したいと思ってます。


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3話 まぜてよエボルト

お気に入り100件有難うございます!

そろそろ別のプリキュアの小説書こうと思いますので良ければそちらもお楽しみくださいませ。


俺が地球に舞い降りて数分後。

 

俺はこの町の構造や建物を知るためにあてもなくその辺を徘徊していた。

 

「…さて、この先どうすべきか。」

 

取り敢えず地球に来てみたが、この先の事を考えていなかったため、頭を抱える。

 

俺が異世界転移したと言うことならば、ここは俺の住んでいた世界ではない。つまり家がないのだ。

 

そして家も無ければ金もない。

 

この地球で生きていくには金が必要不可欠と言っても過言ではない。

 

エボルトの力を使って強盗とかするしか無いのか?…いや流石に罪の無い一般人にこの力を使う事は出来ない。

 

…どうやら暫くの間は野宿するしか無いようだ。

 

働くとしたらバイト…何をしようかな…

 

別で買いに来たは良いものの根本的に重大なことを考えていなかった…

 

やれプリキュア以前の問題だ。

 

 

「これじゃあ楽しむ所では無さそうだな…」

 

 

トホホと一人愚痴ながら公園のベンチに腰かける。

 

 

だがその時だった、自分の周囲に咲いている花が急に枯れ始めたのだ。

 

それだけではない空気は淀んで息苦しく、日没までまだ時間が有る筈なのに空は真っ暗だ。まるでこの公園の通りだけ別の世界に変わったかの様に生気が無い。

 

「どうなっているんだ?」

 

すると妙に大きな叫び声の様な声が耳にはいる、いきなりは止めてくれ、流石にビクッとしたぞ…

 

 

「ザァァァァアケンナァァァァア!」

 

 

ざけんな?

 

近くで喧嘩だろうか?俺には関係の無い事ではあるが、流石にこれ程の大声となると近くの人間にも迷惑だ。一言物申さねば。

 

そう思いながら声のした方角へ足を進めていると。

 

「闇の力のしもべたちよ!」

 

「とっととお家に帰りなさい!」

 

 

今度は女性の大声が聞こえた、それぞれ声が違うため二人いるのだろう。しかし闇の力のしもべ?何か中二臭いな…さっきの喧嘩に巻き込まれていなければ良いんだが…

 

「ザァァァァアケンナァァァァア!」

 

Wow…少し歩いてみたら何か黒い影のバケモノと、先程叫んでいたであろう黒と白のカラーリングした二人組の少女が居ました。

 

バレないようにすぐさま木の陰に身を隠す。

 

バケモノ?あれがドツクゾーンって奴か?

 

「行くよ!ホワイト!」

 

「うん!」

 

木の陰から女の子二人が戦っている姿を見物する。成る程…あの影のバケモノがドツクゾーンって言うならばアレがプリキュアって奴か?

 

しかし…プリキュアってもっとビームとか魔法染みたもので戦うのかと思っていたが、少し意外だ。

 

なんせ肉体のみで戦っているのだから。

 

黒い女の子はバケモノをタコ殴りにしてるし、白い女の子に限ってはドロップキックや連続蹴りをかましている。

 

まるでハイレベルな女子プロレスを見ている気分だ、先程から見ていたが怒涛の勢いで戦っている。

 

 

「…あれがプリキュア…」

 

 

女性にも関わらず荒々しく、そして華麗だ。

 

プリキュア…ますます興味が湧いて来た。

 

だが彼女達の力や実力は高い事は解ったが、どれ程の物なのか未知数だ。

 

プリキュアだけではない、あのバケモノ…ドツクゾーンについてもまだ解らない事がある。

 

「試してみるか…」

 

『エボルドライバー!』

 

エボルドライバーを腰に装着し、コブラエボルボトルとライダーエボルボトルを両手に取り出す。因みにいきなりphase4となるとプリキュアもろとも殺してしまいそうなので、エボルトリガーは付けていない。

 

本音を言うともう限界であった、正直この力を試したかったのだ。

 

そしてこの力を試すついでにプリキュアやあのバケモノと戦い、正確に実力を確かめる。相手がどれ程の物か知るには戦うのが一番と言うしな。

 

『コブラ!ライダーシステム!エボリューション!!』

 

二本のボトルをドライバーに装置すると暗く、不気味な待機音声が流れる。しかしその音声は自分がエボルの力を使うという事を実感させ、更に気分を高揚させるのだった。

 

遂に…遂にこの力を使う事ができる…!

 

ドライバーのハンドルを回せば先程とは対象的に明るく、しかし何処か不気味な音声が流れる。

 

ベートーベンの交響曲第9番の一つ「歓喜の歌」をアレンジしたような音声。

 

それはこの世界に舞い降り、自分が好きだった仮面ライダーエボルになれる「歓喜」をまるで音にして歌っているかの様だった。

 

『Are you ready?』

 

そしてハンドルを回す手を止めると、「準備はできたか?」と言わんばかりにドライバーの音声が尋ねてくる。

 

返答は言うまでもない。

 

「…変身!!」

 

『コブラ…コブラ!エボルコブラ!!フハハハハ!!』

 

 

エボルドライバーから伸びたパイプによって3つの金色の管状のファクトリーEVライドビルダーが俺の周りに構成された後、エボルボトル内の物質がそのパイプ内を移動し、俺の前後にハーフボディとして生成され、俺を挟める形で結合し、赤と金で装飾された毒蛇コブラを思わせる戦士へと姿を変える。

 

「エボル、phase1」

 

 

仮面ライダーエボル コブラフォームに変身した俺は、毒蛇の様にゆっくりと、だが正確にプリキュアとバケモノに近ずくのであった。

 

 

「さて…戦うとしますか…」

 

 




今回も読んで頂きありがとうございました。


ブラッドスタークじゃないの?と思った方もいるかと思いますが、個人的にエボルにしたかったのでそうさせて頂きました。スタークは出そうか検討している所です。

ご感想等が有れば是非お願いいたします。


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4話 あそんでエボルト

遅くなりました。


NO SIDE

 

 

 

総一が変身し、ゆっくりとその場に近付いている頃。

 

プリキュアはザケンナーとの戦いに神経を集中させていた。

 

「はぁっ!」

 

「やぁぁぁぁつ!」

 

 

結論か言うと戦況はプリキュアが優勢だった。

 

力強く、かつ素早いキュアブラックの剛拳がザケンナーを打ちのめし、隙を埋めるかの様にキュアホワイトの華麗な足技がザケンナーに襲い掛かる。

 

以心伝心と言っても過言では無い、見事な連携プレーにザケンナーは翻弄されるばかりだった。

 

「ホワイト!マーブルスクリューよ!」

 

「ええ!」

 

プリキュアの技の中でも最大火力の必殺技「プリキュアマーブルスクリュー」を放つために二人は手を繋ぎ、片手をザケンナーに翳す。

 

しかしその時だった。

 

「きゃっ!」

 

「っ!…何?!」

 

 

突如ホワイトの隣から赤色のオーラを纏った何かが凄まじい速度で通りすぎて行ったのだ。

 

余りにも速いスピードのためか発せられた突風に、二人は思わず目を閉じる。

 

だが一瞬怯んだが二人は光の園の伝説の戦士、風圧程度なら苦にならず、すぐに回復して先程の超スピードで通りすぎた者の正体を確認するために目を開ける。

 

 

二人の目に入ったのは赤と金の装飾が施された鎧を身に纏う戦士の背中だった。

 

「誰なのあの人?」

 

「さぁ…でもザケンナーを倒そうとしてくれているみたい。」

 

 

戦士はザケンナーの懐に入り込むと、腰に着いている装置のハンドルを回す。

 

すると腰の装置から明るい雰囲気だが、どこか不気味な感覚を覚える音楽が鳴り響く。

 

「ベートーベンの交響曲第9番?」

 

「なにそれ?」

 

普通の女子中学生に比べて博識なホワイトはドライバーの音楽のモデルに気付いたが、ブラックは何の事か分からず目を丸くしている。

 

 

『Rady go! エボルテックフィニッシュ!チャオ!』

 

突如音楽が鳴りやめば、戦士は右拳に朱色の炎のようなオーラを纏い、ザケンナーに拳の一撃をかました。

 

「ザケンナァァァァア!!」

 

戦士が放った拳はザケンナーの体に当たった瞬間に空間を圧縮・爆発させ、ザケンナーは断末魔のごとき叫び声を上げ、複数の星形の生命体へと姿を変える。

 

その光景の意味をプリキュアは知っていた。

 

「一撃でザケンナーを倒した?!」

 

「ありえない…!」

 

驚愕する二人をよそに戦士…エボルはゆっくりと後ろを振り向く、その時初めて二人はエボルの顔を見る事が出来た。

 

「………!」

 

「…蛇…?」

 

エボルの顔は…一言で言えば不気味だった。

 

上を向き牙を剥くコブラを彷彿とさせる顔つき、そしてコブラの舌のような複眼。

 

決して醜い訳ではない。だがエボルからはどのような敵でも震え上がらせるであろう威圧感を感じた。

 

「…………」

 

エボルは二人をじっと見つめたまま動かない。二人もその場から一言も話さずに佇んでいる。

 

エボルから発せられる独特な威圧感に気圧されながらプリキュアとエボルは向き合ったまま見つめ会う、それから数分が足ったのか数秒の間だったのか解らない。

 

ずっとこちらを見ているエボルに痺れを切らしたのかホワイトが話し掛ける。

 

「………貴方は何者なの?」

 

警戒するような口調、確かにザケンナーを倒したが、それはただ相手にとっては都合の問題と言う可能性がある。完全に味方とは信じられなかったのだ。

 

『俺か?俺はエボル、仮面ライダーエボルだ。』

 

そこで初めてエボルの声を聞く、しかし低音かつ渋く、威圧感のある金尾ボイスはホワイトの警戒心を解くどころか逆に増幅させる。

 

「…エボル?」

 

聞き覚えの無い名前にブラックは首を傾げる。

 

警戒しているホワイトに対してブラックからはそういったものを感じなかった。ザケンナーを倒した事からエボルを味方と思っているのだろう。

 

『お前たちがプリキュアって奴か?』

 

「ええ、そうよ。」

 

『そうか…なら少し遊ぼうか。』

 

エボルはそう言うと再び赤色のオーラを身に纏い、高速でホワイトの懐に入り込み、腹部に拳の一撃を当てる。

 

「あぁぁっ!」

 

「ホワイト!」

 

エボルの一撃を食らったホワイトは数メートル吹き飛ばされる、飛ばされた先でぐったりとダウンしているが気を失ってはいないようだ、しかし体が大きなダメージを受けたためか思うように動かない。

 

「よくもホワイトを…!」

 

ブラックは相棒を倒された怒りを拳に込めて渾身の一撃を放つが、それはいとも容易くエボルの掌に受け止められる。

 

『…準備運動には丁度良い…!』

 

 

ブラックは受け止められた手を振り払い怒涛のラッシュを放つが全てエボルの高速移動で回避されてしまう。

 

「攻撃が当たらない…!」

 

『フフフ…どうした?もう終わりか?』

 

「いいえ!まだよ!」

 

エボルの挑発的な態度に苛つきながらブラックは先程以上の激しいラッシュをエボル目掛けて放つが、やはり同じように全て避けられてしまう。

 

「やぁぁぁぁつ!」

 

しかし直後、ダウンしていたホワイトが復活し、背後からエボル目掛けてドロップキックをかます。

 

『……!』

 

 

それに流石のエボルも冷や汗を掻いたのか一瞬驚いた素振りを見せ、紙一重で上体をひねり回避する。

 

『……調子に乗るな!』

 

エボルは強い口調でそう言うと高速で二人の懐に入り込み、腹部に至近距離でエネルギー弾を放つ。その威力は強力でプリキュア二人を後方に数メートル吹き飛ばす程だった。

 

「ぐっ!」

 

「きゃぁ!」

 

吹き飛ばされ、意識が朦朧とする中プリキュアは確信した。

 

「こいつはドツクゾーンなんかと比べ物にならない程の強い」と。

 

だが二人は伝説の戦士、敵がどれ程強力であろうと人々を守るために戦わなくてはならない。

 

 

震える体をどうにか動かし、ゆっくりと立ち上がる。

 

足腰がフラフラするがそれでも膝を付かず、ぐっと堪える。

 

「ホワイト…マーブルスクリューよ!」

 

「…うん!」

 

二人は最後の希望に賭けるかの様に片手を天に翳す。

 

「ホワイトサンダー!」

 

「ブラックサンダー!」

 

すると黒と白の二つの雷がその場に落ち、二人の掌に吸収される。

 

「プリキュアの‼美しき魂が!」

 

「邪悪な魂を!打ち砕く!」

 

「「プリキュア・マーブルスクリュー‼」」

 

直後二人の掌から黒と白が螺旋状に交差したエネルギーが放出され、エボルに襲い掛かった。

 

プリキュア最大にして最強の必殺技、プリキュア・マーブルスクリューはエボルの元に達すると同時に凄まじい閃光をまき散らす。それによりプリキュア二人は怯むが、数秒すれば光が鎮まり、その頃には直ぐにエボルの様子を確認していた。

 

 

「....いない…」

 

「…そんな…あり得ない!」

 

 

しかし二人は目の前の光景に驚愕した、なんと先程まで戦っていた筈のエボルが居なかったのだから。マーブルスクリューをもろに受けた場合敵は吹き飛ばされたりその場で倒れたりとやられ方はそれぞれ違う、だが今まで消える事は無かった。

 

近くに自分達以外の気配は見当たらない。そこでエボルが消えた理由を二人の中は確信した。

 

「……逃げられたの?」

 

「…そうみたい。」

 

変身を解き、一息つく今までドツクゾーンの敵と戦ってきたが、あれ程強大な敵は初めてだった。しかも何が目的かも不明。名前だけしか知らず何者かも解らない敵と来たものだから。精神的にも肉体的にも疲れていた。

 

「あいつ強かったね…」

 

「うん、確かエボルって言ってた…」

 

「うん…また何時戦うか解らないし、今日はもう遅いから帰るわね、じゃあね雪城さん。」

 

「うん…さようなら美墨さん。」

 

 

二人とも背を向け、家に帰るために歩き出す。

 

しかしここで二人とも背を向けなければこれから起こる事は少し変わっていたのかも知れない。

 

そのせいで美墨なぎさは気付かなかったのだから。

 

雪城ほのかの体に赤色の粒子が入っていくのを。

 

 

 

 

 

 

 

 




申し訳ありません。別小説を現在執筆中の為、次回更新遅くなるかと思います。


ご感想等お待ちしております。


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5話 おとまりエボルト

ただいまスマイルプリキュアの小説の執筆を検討中です、投稿されたら良ければ読んでみてください。


ほのかside

 

公園であのエボルと言う戦士と戦ってから数十分後、私は疲れた体を引きずりながら家に帰っていた。

 

「…はぁ……」

 

「やっと着いた」と内心呟きながら家の門を通る、すると早速我が家の家族の一人が出迎えてくれた。

 

「…ただいま忠太郎。」

 

この子は忠太郎、私が小さい頃からこの家で飼っている私の大切な愛犬だ。

 

だが忠太郎は呼び掛けてもそっぽを向いて反応しない。様子がおかしいと思い近づけば帰って逃げられる始末だ。

 

ご機嫌斜めなのかな?と考えその場を後にする、こういった事は機嫌が直るまで深入りしないのが最適だ。のんびりと忠太郎の機嫌が直るのを待とう。

 

「おや、お帰りほのか。」

 

「うん、ただいまおばぁちゃま」

 

忠太郎を後にし、玄関の前に行くと祖母が帰りを迎えてくれる。どうやら掃除中なのか箒をさっさと掃きながら笑顔を浮かべている。

 

「今日は遅かったねぇ?」

 

「う、うん…部活が長引いちゃって…」

 

咄嗟に帰りが遅い理由を誤魔化す。

 

祖母にプリキュアの事は秘密だ、下手に誰かに話そう物ならその人に危険が及ぶだろうし、それが家族ならば尚更だ。

 

「遅くまで疲れたでしょ?お風呂沸いとるからゆっくり使って行きなさい。」

 

「うん。ありがとおばあちゃま。」

 

お風呂が沸いてるのは有難い、早速今日の疲れを洗い流そう。

 

「ほのか」

 

だが家に入ろうと玄関を開けたとたん後ろから祖母に呼び止められる。

 

「あんた体調とか大丈夫かい?」

 

「…え?」

 

祖母の質問に思わず驚いてしまう。

 

確かに疲れてはいる、けど別に体に異常は無いはず。

 

「大丈夫だけど…どうして?」

 

「んや…なら良いのさ。」

 

そう言うと祖母はなにも言わず掃き掃除に戻る。私も早く疲れを癒すため家に入るのだった。

 

***

 

「………」

 

お風呂に入り、晩御飯を食べて疲れも少し取れた私は今、学校の課題に手を着けている。

 

自分はこう言った事は疲れていてもやっておかないと気が済まない気質なのか、と考えると少し生真面目過ぎかと思い頬が緩む。

 

そういえば美墨さんは今何をしているかな?やっぱり疲れてそのまま寝ちゃってるのかな?明日の学校で写させてって泣きつかれそうだな…

 

「…ふふっ」

 

思わず笑い声が漏れてしまう。私と美墨さんは対照的なタイプだな…

 

「ほのか。」

 

そんな事を考えているとカードコミューンから相棒のミップルが声を描けて来る。

 

「ん?どうしたの?ミップル?」

 

この時間はミップルは普通寝ているはず、お腹でも空いているのかな?

 

「…夕方戦った奴の気配がするミポ」

 

「…!!」

 

だがミップルの言葉で私ののんびりとした考えは消え失せた。夕方戦った奴…エボルト…!

 

「…どこにいるかわかる?」

 

「…ほのかの家ミポ…」

 

私の家にエボルが…?そうなるとまずい、あいつの目的は何なのか解らない。でも私達にいきなり攻撃を仕掛け、私達では歯が立たない程の強さを持っている。

 

「おばぁちゃまと忠太郎が危ない!美墨さんを呼ばないと!」

 

「その…違うミポ」

 

少し戸惑った様に言葉を濁すミップル。

 

プリキュアになって数ヶ月、ずっとミップルとは一緒に居た仲だが、こんな彼女を見るのは初めてだ。

 

「…違うって…どう言うこと?」

 

家族に危険が及ぶかも知れない状況で何なのだろう?

 

私はイラつきを隠しながらミップルに問いかける。

 

だがミップルから帰ってきた返答は衝撃的なものだった。

 

「ほのかから…エボルの気配がするミポ」

 

…え?

 

ミップルは何を言っているのだろう?

 

余りにも衝撃的な返答に頭が真っ白になる。

 

ほのかから?私から?エボル?夕方戦った奴?

 

『こりゃ驚いた、俺の気配を察知できる人間がいるなんてな…』

 

……!

 

混乱する私に誰かが話し掛ける。

 

いや、この声を聞いた時点で誰なのかは解っていた。

 

「…エボル…」

 

『そうだ、俺の名はエボルト、エボルは渾名見たいなモンだ…最近地球へやって来た地球外生命体さ。』

 

「地球外生命体…」

 

正直混乱している、いきなり現れて戦った後も何故か自分の近くに居るのだから。

 

「…何処に居るの…?!そもそも何が目的?!」

 

『何処って…お前の体内だよ。目的は特に無い、もう果たしているからな。』

 

 

体内…?私の体の中にエボルが居るって事…?!

 

『まぁ、いきなりそう言われても困惑するだけだよな…この際話しておこう、俺昨日地球に降り立ったばかりで住むところが無いんだよ…』

 

「宇宙船とかは無いの?」

 

『無い』

 

「そ、そう…」

 

 

つまりエボルが言いたいのは地球に降り立っても行く所が無いから暫くの間私の体を貸してほしいという事だろう。

 

『頼む…虫が良い話だってのは理解している、こっちも死活問題なんだ…地球にいる間で良いからお前の体に居候させて貰えないか…?』

 

エボルの口調から察するに結構大きな問題の様だ。

 

「…いくつか聞いても良い?」

 

『答えられる範囲ならな。』

 

「なんであの時私達に襲いかかったの?」

 

『それは俺が君達のファンだからだよ、宇宙から見ていたんだ…プリキュアってのが地球に居て、悪い奴らと戦っているってな。それで何れくらいの強さなのか気になってな…誤解させたのならすまなかった…』

 

何となくだがエボルが私の中で頭を下げている様な気がする。嘘を付いていたり騙したりしている雰囲気は無かった。本気で反省している様だ。

 

私達のファン…しかも宇宙から私達の戦いを見ていたんだ…でもあんなにボロボロにやられちゃったんだし…がっかりさせちゃったかな…?

 

「その…どうだった?私達の強さは…?」

 

『…地球の中では相当強いと思うぞ。特に今日の君のドロップキックには冷や汗をかいた…』

 

内心エボルの言葉に安堵する、でもそのドロップキックすら簡単に避けられてしまった…

 

「あと二つ程聞きたいのだけれど…目的は何なの?もう果たしているって言ったけど、そして何で地球に降り立ったの?」

 

『あー、その事なんだが…』

 

これは一番の謎だ、宇宙からのファンが居てくれたのは嬉しい限りだが、わざわざ私達に会いに来るために地球へ訪れたとは考えにくい。

 

となると…

 

エボルから帰ってきた返答は予想通りのものだった。

 

『俺の故郷の星は滅んでいる…だから俺はこの地球を第二の故郷にしようと思っているんだ。』

 

「やっぱり…」

 

少し考え込んでしまう、もし私がエボルと同じ立場で、地球が滅んで私だけ生き残ったらと考えると…ゾッとする。

 

『勿論ずっととは言わない、暫くの間で良い。お前の体に居候させて貰えないだろうか?』

 

私の体に居候…端から聞いてみれば凄まじいパワーワードだろう。でも故郷が無くて帰る場所が無いのは可哀想かも…

 

「…ほのか…」

 

ミップルが不安そうに覗いてくる。少し難しい顔をしていたからだろうか。

 

「良いでしょう。」

 

「ほのか…?!」

 

『本当か?!」

 

エボルにちゃんと聞こえるように自分の体に目を配りながら話す。

 

「うん、帰る場が無いのは可哀想だし。ちゃんと地球の決まり事を守って生活できるなら、私からなにも言う事は無いから。」

 

「…ほのかがそう言うなら私も賛成ミポ」

 

『二人とも…ありがとう!いつかこの礼はさせて貰うよ!』

 

何処か嬉しそうで声が弾んでいるエボル。

 

そんなこんなでトラブルは有ったが私の体に同居人が出来たのだった。

 

 

余談だが。

 

「ねぇ…エボル。そういえば私の体内に居るって言うけど今貴方私の何処に居るの?」

 

『…え?子宮だけど』

 

「いやぁぁぉぁぁあ!!」

 

エボルのセクハラ染みた冗談で同居一日目にして追い出しそうになったのは別の話。




リアルが立て込んでいて更新遅れて申し訳ありませんでした。

Heart to heartも更新予定ですので、よろしければ読んでみてください。

因みに現在執筆検討中の小説ですが、エボルとのクロスオーバーにしようか迷っています。

この小説でエボル×プリキュアはやっているし…どうしようかな…


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6話 がっこうエボルト

ただいま



ほのかside

 

 

目覚まし時計が鳴り、私は目を覚ます。朝の6時…私がいつも起きる時間だ。

 

「おはようミポ!ほのか!」

 

ベッドから起き上がるとミップルが朝の挨拶をしてくれる、こうして元気に話すミップルをみていると、可愛いと感じ思わず頬が緩んでしまう。

 

「ええ、おはようミップル」

 

私は可愛らしい相棒に挨拶を返すと、昨日より新しく住む事になった居候にも声を掛けるべく、首を下に向け自分の体へと目を写す。

 

「おはよう、エボル。」

 

声を掛けてみるが返事はない、まだ寝ているのかな?

 

「エボル朝だよ!起きて!」

 

そういえばエボルは私の何処に潜んでいるのだろう、昨日の夜聞いてみたら何か気持ち悪い冗談で誤魔化されたが…まさかアレ本当じゃないわよね…

 

『ん…んー』

 

そんな事を考えながら、自分の体へと目を向けながら寝坊助のエボルを呼び掛けていると、身体の内側から気怠そうな声が聞こえる。どうやら起きた様だ。

 

「おはよう、エボル。」

 

『ん?ああ…おはよう、ほのか…今何時だい?』

 

「朝の6時だよ。」

 

『…もう少し寝かせてくれ…』

 

「ダメよ!エボル?ちょっとエボル!』

 

返事が無い…どうやら二度寝に入ったようだ…地球外生命体ってこんなにグータラなの?

 

全く…仕方ない、別に寝てても特に問題無いし、ミップル

も学校では寝て貰ってるし問題は無いだろうから、このままエボルは放って置こう。

 

私は着替えを済ませた後、朝食を食べ学校へ行くために部屋を出るのであった。

 

***

 

学校に着き、いつもも同じくミップルを寝かせると、授業を受けるために教室へ向かう、すると廊下で見覚えのある人物が走ってくるのがわかる、幼馴染みの藤森君だ。

 

「おはよう、藤森君そんなに急いでどうしたの?」

 

「あぁ、おはようほのか…ー時間目移動教室だったんだよ。だから急がないと…!」

 

「うん、じゃあね!」

 

そんなやり取りを交わした後藤森君は慌てた様子で走り去っていった、大方彼の事だ、授業ギリギリまでサッカーの練習をしていて移動教室だった事を忘れていたのだろう。

 

『お前の男か?』

 

「ひゃっ!」

 

急に聞こえたエボルの声にびっくりして思わず変な声をだしてしまう。

 

「起きていたの?エボル?」

 

『ああ、おはようほのか。で?今の男とお前はどういう関係なんだ?』

 

「関係って…ただの幼馴染みよ?」

 

『幼馴染み…彼氏とかではなくて?』

 

藤森君が私の彼氏?そんな事考えた事も無いんだけど。

 

「ないない、ただの幼馴染みよ。」

 

『そうか…』

 

そんなやり取りをしていると、何故か周りの視線がこちらに刺さる、まるで変人を見るような目だ。

 

「もしかして…エボルの声って周りに…」

 

『うん、聞こえていない。基本的にお前にしか聞こえないが、どうやら例外としてミップルは聞こえるらしいな。』

 

「…じゃあ今まで私は…」

 

『うん、周りから見ればお前は、大声で独り言を言う変人だろうな。』

 

「…………っっっっ!」

 

自分一人で白昼堂々と独り言を大声で言っていた事を思いだし、エボルの変人宣言で顔から火が出る程真っ赤に鳴っていくのが解る。

 

「~~~~!!!」

 

だめだ恥ずかしすぎる、私は声にならない声を出しながら大急ぎで教室へと向かうのだった。

 

***

 

その後、教室にて。

 

なんとか周りの冷たい目線を潜り抜け、落ち着きを取り戻した後自分の席に座る。HRを終わり、教科書やノートを机に起いて授業の準備が完了すると、同時に扉が開き先生が教室に入ってくる。

 

一時間目は国語の授業だ、私達の国語担当の先生は文章の読解力に力を入れている、そのため良く生徒を指名して教科書を音読させる事で知られている。

 

『お?枕草子か?』

 

授業が始まり、教科書を開くとエボルが興味深そうに尋ねて来る。

 

「うん…知ってるの?」

 

『ああ!そりゃあ平安時代で有名な文豪だからな!』

 

周りに聞こえないように呟く私と逆に、エボルは逆にテンション高めに熱弁してくる。

 

しかし意外だ、エボルがまさかこう言った文学が好きとは思わなかった。あれ?でもエボルが地球に来たのってつい昨日って言っていたし…私もエボルに本を読ませた事も無い。

 

「…でもエボル…枕草子なんか何処で知ったの?」

 

『あ?あぁ…ちょっと色々あってな…』

 

それ以降エボルが私に話し掛ける事は無くなり、すっかり大人しくなってしまった。

 

なんかはぐらかされた気がする…

 

まさか宇宙でも枕草子が知られているとか?うん…私達のファンってエボルも言っていたからその可能性はある…でも宇宙に地球の文学まで有ったら宇宙人の言語は地球の言語?宇宙語とかは無いの?そういえばエボルも最初から日本語を話せていた。私達を見ている時に日本語を勉強したのかな?

 

…さすがに考えすぎかな?

 

***

 

その後授業が終わり、次の授業まで間のトイレ休憩。

 

「あの…雪城さん?」

 

「ふぇ?」

 

用を済ませ、手を洗っていた所美墨さんに呼び止められる。

 

「その…えーっと…」

 

美墨さんは言葉を濁すばかりで何処か気まずそうでいた、私何か悪いことしちゃったかな?

 

そういえば授業も上の空で先生に注意されてたっけ…もしかして昨日のエボルの事考えていたのかな?…ちゃんともう戦う事は無いって話さないとな…

 

「そうだ美墨さん昨日「ミップルミップルミップル!」

 

「その声はメップルミポ!!」

 

私が話そうとした瞬間に美墨さんのカードコミューンからメップルが現れ、それに呼応するかのように私のカードミューンからもミップルが現れる。

 

二人はコミューンの状態から本来の姿に戻り何時も通りイチャ付き始める。全く…本当にラブラブなんだから…

 

しかし良い所で話の腰を折られてしまった、エボルの事は後で話そう。

 

「ちょっと!誰かに見られたらどうするの?!」

 

そんな事を考えていると、美墨さんがイチャついているメップルを引き剥がしている、しかしメップルはひょいと簡単に美墨さんから抜け出して得意そうな顔で

 

「なぎさもいずれ恋をする者の気持ちが解るはずメポ!」

 

と言う。

 

恋をする気持ち?!どう言う事かしら…

 

「メップルどう言う事ミポ?」

 

ミップルが私の気持ちを代弁様に聞いてくれる、するとメップルはミップルにこしょこしょと耳打ちをする。私にも聞かせて欲しいんだけと…

 

「な、何やっとんじゃぁぁぁあい」

 

すると美墨さんは何か思い当たる節が有るのか怒鳴り声を上げメップルを再び抱え上げてミップルから遠ざけてしまった。

 

これじゃあさっきの言葉の意味を知る事は難しそう…別の話題を振りましょう。 

 

「そういえば、美墨さん…私に何か話があったんじゃ…」

 

「え?あぁ…なんでもない!なんでもないよ!」

 

しかし話題を振った瞬間、美墨さんは逃げるようにトイレから出ていってしまった。なんか…まるで私と一緒に居たく無いみたいに…

 

『おいほのか!小便だったら言ってくれよ。子宮から膀胱に移動して吸収するのに…』

 

…この変態宇宙人は後で殺しておこう。

 

***

 

その後ミップルを再び眠らせた後、二時限目の授業の数学、エボルは一切私に話し掛ける事は無かった、昼寝でもしていたのかな? 

 

そして三時間目の理科、理科室でのガスバーナーを使った熱分解の実験、エボルもこれに興味津々で私の実験を見ていた、エボルもある程度化学の知識があるらしく理科室の実験道具を見たり、骨の模型を「せんと」、カエルのホルマリン漬けを「ばんじょー」と名付けて遊んでいた。

 

四時間目の社会の授業、エボルは歴史が好きらしく教科書を読んではその深い知識を見せていた。その時の声は楽しそうで、何処でその知識を手に入れたのか聞くと宇宙では地球の歴史も習う事を教えてくれた。

 

 

そして授業の間の昼休み。

 

『なぁ…お前何時も一人で食ってるのか?』

 

私が化学室で一人でお弁当を食べる中、エボルはそれを疑問に思ったらしく、聞いてくる。

 

「ええ…仲の良い化学部の人も他の人と食べちゃっているし…」

 

『なるほど…俗に言うぼっちって奴か…』

 

…素直に否定できないのが悲しい。でも今は美墨さんが居るし別に寂しくはない。

 

『…なぁ…その唐揚げ上手そうだな…一口くれよ』

 

「え?良いけど…食べれるの?」

 

『うん、ちょっと待って…今人間の姿になるから…』

 

人間の姿…?私が頭にハテナマークを浮かべていると、私の下腹部から赤色のアメーバ状の粒子が飛び出す、その粒子は形を変え、徐々に人形となり最終的には私よりも年上の20歳程の男性の姿になった。

 

「あなた…人間の姿にもなれたの?」

 

「うん、やっぱりこっちの方が動きやすいわ」

 

エボルらしき男性は軽くその場でストレッチを始める、なんか色々あり得なさすぎて脳ミソがショートしそう…

 

「で?唐揚げ食わせてくれるんだろ?」

 

「え?ええ…はい。」

 

箸で唐揚げを取り上げエボルに差し出すと、嬉しそうな顔をしながらパクっと食い付き一言「うまい!」と言うと再び粒子に戻り私の下腹部へと戻っていった。

 

…トイレの時から思っていたけど、何ちゃっかり私の子宮に居るのよ…

 

そういえば最初に有った時も子宮に居るなんて言っていたけどあれ冗談じゃなかったのね…

 

「はぁ…」

 

こんな変態趣味の宇宙人、追い出せるものなら追い出したい、しかし故郷が滅び行く所が無い以上放っては置けない…

 

「…一度はっきり言わなきゃダメなのかな…?」

 

再びため息をつくと、自然と右手に未だ握っている箸を見る。

 

そういえばエボルったら箸を差し出したとたんに食い付いたわね…まるでエサを差し出された鳥みたい…

 

それに…自意識過剰かもだけど、唐揚げを欲しがったのも私が友達居ないって知ったから…

 

「ふふふっ」

 

全く変態じゃなきゃこう言った可愛くて優しい一面もあるのに…

 

…ん?箸を差し出した?

 

エボルに差し出したのは私の箸…

 

エボルが私に唐揚げをせがんだのは私の食事中…

 

つまりエボルに差し出した箸は私が口をつけた…

 

「…………っ~~~~!!!」

 

『どうした?ほのか?俺との間接キスそんなに恥ずかしかったか?』

 

「う…うるさいっ!!!」

 

…!やっぱりこの宇宙人絶対に追い出してやる!

 

 

 

 




お久しぶりです皆さん、作者のゴキブリです。

色々リアルで立て込んでいたのと少しスランプもあったので更新が遅れてしまいました。

これからも頑張って活動していきたいと思うので応援よろしくお願いします。

ご感想等お待ちしております。


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