いろんなウマ娘短編 (球磨猫)
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タキ×モル→ダスカ概念
【設定集】タキモルダスカ世界、設定図


感想「ダスカいくつ?」
     ↓
よっしゃ年齢図かこ。どうせ短いから活動報告でええやろ!
     ↓
あれ、これ1000文字行くやん。投稿しよ。

てわけでざっくり年齢関係図です。


あとこれは投稿主のガバですが、タキオンがトレーナーと会ったのが20年前
そこからトゥインクル3年、ドリームカップ2年で5年経過。
なためタキオンが襲ったのは約15年前になります。
反省の意を込めてタキオン製試験薬のモルモットになってきます。


一部本小説のネタバレがあるので先にタキモルダスカの方を読んで頂ければと思います。

 

 

 

 

 

 

あくまでもオリジナル世界線での年齢図であり、史実・アプリ・アニメとは別物です。また本小説内でもこれが絶対という訳ではないので参考程度にしてください。

世代基準:アプリ版で絡みがあったかどうか。史実は親子孫関係のみ考慮。

年齢差も多少アプリ、アニメを基準に。

 

タキオンは16(高等部1年)でトレーナーと出会い、5年後にトレセンを出てます(クリスマス事件もこの時)。

 

 

関係図作成時の条件。

①タキオンの子供はダスカであり、ダスカ入学時のタキオンの年齢は36前後である(トレセン5年間、出産育児15年ほど)

②タキオンと同世代(ここでは同学年とする)にカフェがいる。

③カフェの後輩(少なくとも1年間)にネイチャが、同年代にテイオーまんじうがいる(トレセン学園は中央現役生は居続けれるものとする)

④テイオーの片親はルドルフ、まんじうの孫はゴルシとする。

⑤ テイオーデビュー時にキタサン幼少期であり、祖母はバクシン。

またバクシン、ルドルフ、タキオン、すぺーん(高等部)、スズカの各世代はクラシック及びシニアが被らないものとする。(片方シニア、片方ジュニアは可)

⑥ルドルフはすぺーんの前、スペの一学年上にスズカである。

 

 

 

 

サクラバクシンオー世代←←←←←最低40歳差

  ↑               ↓

最低2歳差             ↓

  ↓               ↓

ルドルフ世代←←←←←最低20歳差 ↓

  ↑          ↓    ↓

最低2歳差        ↓    ↓

  ↓          ↓    ↓

スぺちゃん世代      ↓    ↓ 

  ↑          ↓    ↓ 

最低2歳差        ↓    ↓

  ↓          ↓    ↓

タキオン世代←最大5年差 ↓    ↓

 ↑         ↓ ↓    ↓

 ↑   ネイチャまんじう世代   ↓

 ↑     ↑   ↑      ↓

22歳差   ↑ 2~5歳差→キタサン世代

 ↓     ↑

 ↓   最低40歳差

 ↓     ↓

ダスカ世代  ↓

       ↓

     ゴルシ世代

 

ダスカ基準として     ゴルシ基準

バクシン:67歳      バクシン:92歳

ルドルフ:51歳      ルドルフ:76歳

スズカ :39歳      スズカ :64歳

すぺーん:38歳      すぺーん:63歳

タキオン:36歳      タキオン:61歳

ネイチャ:31歳      ネイチャ:56歳

キタサン:27歳      キタサン:52歳

ダスカ :14歳      ダスカ :39歳

ゴルシ :−9歳      ゴルシ :16歳

 

 

各世代確定メンバー。世代が古い順に。

入ってない子はまだ未定枠です。

 

バクシンオー世代(高等部時代基準)

サクラバクシンオー、ミホノブルボン、ライスシャワー

 

ルドルフ世代(高等部時代基準)

シンボリルドルフ、エアグルーブ、ナリタブライアン、マルゼンスキー

 

スペちゃん世代(高等部時代基準)

スペシャルウィーク、サイレンススズカ(1年上)、エルコンドルパサー、グラスワンダー、ハルウララ、キングヘイロー、セイウンスカイ、ニシノフラワー(5歳下).

 

タキオン世代(高等部時代基準)

アグネスタキオン、マンハッタンカフェ、アグネスデジタル、エアシャカール

 

ネイチャ世代(中等部時代基準、ネイチャ世代中1のときタキオン世代は高3)

ナイスネイチャ、トウカイテイオー、メジロマックイーン、ツインターボ、マヤノトップガン、イグノディクタス、マチカネタンホイザ

 

キタサン世代(中等部時代基準、キタサン世代中1のときネイチャ世代高2)

キタサンブラック、サトノダイヤモンド

 

ダスカ世代(中等部基準)

ダイワスカーレット、ウオッカ

 

ゴルシ世代(高等部基準)

ゴールドシップ、ナカヤマフェスタ、トーセンジョーダン

 

 

個人指導

5人に満たない場合の扱い。

基本的にマンツーマンが多いが偶に2~3人見るトレーナーもいる。

サブトレーナーとしての下積みが無い場合は専属担当は不可能。(例外アリ)

 

 

個人指導の例外枠

①URAトレーナー試験優秀な成績を出す。

②地方上がり

③一等星チームや生徒会の推薦

④ウマ娘側からの逆スカウトやイレギュラー(アプリ版タキオンやゴルシなど学園側でも手が付けにくい組)

 

 

チーム

最低5人からチーム成立。一等星の名を冠したチームが主軸となるがそれ以外も成立しては消えていく。

 

 

個人指導とチームの違い

 

個人指導:学園側から部屋が与えられない。複数人育成する場合のサブトレーナーは一人までなど。その分フットワークは軽くなりやすい。

 

チーム:チーム部屋が与えられる。サブトレーナーを規模に合わせて付けられる。ただし書類等が増えるのでフットワークは重くなりがち。また、長く続いているチームは予算が降り易い。

 

 

 

 

 

 

 




最初の3年間終わったら卒業だから学園から出てってねはなんか無責任感凄かったので(寮暮らししてたスぺちゃんとか中央との行き来キツイやろ…)
中央所属かつドリームリーグ行ける成績があるウマ娘は引退する(もしくは4年間)までトレセン学園に入れることにしました。






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拝啓、桜咲く今日この頃。

拝啓、桜咲く今日この頃。"私の"モルモット君へ

 

やぁ愛しのモルモット君、久しぶりだねぇ。君と出会ってから今年で20年ほどになるのかな。

私と共にトゥインクルシリーズを駆け抜けた日々が懐かしく感じてしまうよ。

 

私はもう既に引退し研究者としての道を___いわゆるプランBを進めているわけだが、これが中々思うように進まなくてね。

ここ20年で怪我・故障を抑えることには成功したが肝心の肉体改造に関しては一向に進まないんだよ。

 

なにせ、肉体の【改造】だ。どうしてもマイナスのイメージがついてしまう。

 

ここ数年で私の理解者は増えたものの、実験に失敗はつきものだ。新しい世代である未来あるウマ娘たちを巻き込むには、私も些か抵抗を覚える。

 

………今、変な顔しているんじゃないかな?恐らくは「トレセン学園時代に散々、君や他のウマ娘を実験台にしてただろう」と思ったんじゃないかな?

 

まぁ実際あの時はそうだったさ。だがあの研究室と予算でできる薬などたかが知れてるし、君に関しては

ほら、「君と共に果てを見たい」だったかな? ククッ、今でも思い出すたびに笑ってしまうよ。

あの時の君の狂気的な瞳、モルモットでも構わないという宣言、あぁ、今でも君はあの瞳を宿しているのかい? 私としてはそれが望ましいが…

 

まぁともかく。あの時とは薬も実験も、質が上がっているんだ。下手にはできなくてね。

私の肉体を使うことも考えたんだが……それをやると君が悲しむだろう?

そう言うこともあって、研究が遅々として進まないんだよねぇ。

 

 

さて本題を話そう…あぁいや、その前に聞くことがあった。

君は今でもあの学園でトレーナーとして活躍しているのかい? それとももう引退して余生を過ごしているのかな? はたまたトレーナーではない何かをしている、というのもあり得るね。

 

ともかくだ。君がこの手紙を読んでいるときにトレーナーをやめているのであれば今すぐ復帰したまえ。

私は君の下を去りはしたが、君のモルモットとしての役目を外した覚えはないんだから。

君は今でも、私の最高のモルモットであり、私の最高のトレーナーであり、私の生涯のパートナーであるんだからね。

 

んんっ 改めて本題だ。

これを読んでいると言うことは彼女___ダイワスカーレットもいることだろう?

彼女に持たせたのだから当たり前ではあるが、まだ会っていないのであれば今すぐ会いに行きたまえ。そしてしっかりとその目で確かめたまえ。彼女の肉体、そして才能を。

 

彼女、ダイワスカーレットは言うなれば私の最高傑作だ。

私の今までの研究の成果を、私の才能を、私の足を、全てを捧げたといってもいい。

彼女なら私がみた『限界速度のその先』、あの有馬記念で私がみた世界を見ることができるだろう!!

 

しかし、それには一つ大きな問題があってね。

君も知っての通りどれほどの才能があろうと、どれほどの知識があろうと、それを生かし育てるトレーナーがいなくては意味がないんだ。君と出会う前の私のように、ね。

 

ここまで言えば察しの悪い君でもわかるだろう? 君には彼女を、ダイワスカーレット君を育てて欲しい。

既にトレセン学園の編入等の手続きも済んでいるし、君のことも伝えてある。

君がやることは彼女のトレーナーとして彼女をトゥインクルシリーズで輝かせ、私の見た世界と同じものを___或いは、さらにその先を___魅せることだ。

 

彼女をよろしく頼むよ、私のトレーナー君。

 

 

___________________________________________

 

 

そこまで読んで、手渡された手紙から目を離す。

目の前には手紙に書かれた「ダイワスカーレット」であろうウマ娘。どこかソワソワとした様子で座布団の上に座っている。

 

 

タキオンと共にトゥインクルシリーズを駆け抜け、彼女と共にURAファイナルの初優勝を掴んでから20年ほど。タキオンが研究のために自分の下を離れた後もトレセン学園のトレーナーとして過ごしていた。

秋川やよい理事長に残ってくれと押し切られたのもあるがトレーナーとしての生活は悪くなく、今までに様々なウマ娘たちのトレーナーとして指導してきた。今ではさすがに一線を退いてはいるが学園の裏方として働いている。

 

そしてつい先日にサブトレーナーとして入っていたチームの教え子が卒業し自分が新しいチームに入ることになっていたそんな時、彼女が訪れた。

 

「アンタが私のトレーナーね?」

 

そんな第一声から始まり、家に上げお茶を出し、この手紙を渡されたというわけだ。

 

実際この手紙に書いてあることは___彼女のことをタキオンが『最高傑作』だと呼んだことは___間違ってないのだろう。

トレーナーとして培われた経験から、一目見ただけでも才能や適性がある程度わかるくらいにはなっていた。その目で見たうえで、彼女は才能あふれるウマ娘だとわかる。

彼女を育ててみたい。トレーナーとしての血が久々に騒ぐ。頭の中にトレーニングが仮組みされ、彼女の走る様を思い浮かべる。

 

 

と、ふと。手紙がもう1枚重なっていることに気が付いた。

 

 

___________________________________________

 

 

あぁそうそう、彼女の事なんだがね。

 

実は彼女は私の子供なんだ。私がお腹を痛めて産み、授乳から始まり育て教育しここまで育ててきたのだよ。いやぁ、実にいい経験だった。

私のこの知性をもってしてここまで子育てというものが難解だったとは!

育て始めてすぐに、君に料理を教わるべきだったと後悔したよ。おかげで今では彼女が料理当番をしていてね。君の栄養バランスを完璧に整えた弁当には多少及ばないまでも、なかなかの腕前になってしまった。いや、ここは育ってくれたというべきかな?

 

しかし彼女から得られたデータはとても貴重で不可思議なものだ。一度彼女の前で軽いレースを行ったことがあってね。その時の彼女の応援はまさにあの時の、有馬記念での応援を超えるものだったのだよ!!

そのことをカフェに話したら「…貴女が子供を産むこと自体意外でしたが、まさか親バカになるとは……」なんて言われてね。

いやまぁ、うん。自分でも多少の自覚はあるさ。実際スカーレットはとても可愛いんだよ。最近はすこし反抗的と言うか、言葉が強くなってきたとこもあるがそれでも家で私の前ではとても甘えてきてね。

小さいときなんか「怖い夢を見た」と言って私の布団に潜り込んできて涙目の上目遣いで「おかあさんといっしょにねたい」なんて言って来るんだよ!?本当にあの時はもう感情が一気に高まっていくのをありありと感じたよ!

 

・・・んんっ、話を戻そう。

兎にも角にも彼女は私の子供だが、さてここで問題だ。

 

 

一体彼女の父親は誰だと思う?

 

 

当然我々ウマ娘も、父親と母親が行為をして生まれてくる。当然彼女にも血縁上の父親がいるわけだ。

 

ところで君、私が君の下を離れる最後の日を覚えているかい?

唐突に何を、と思うかもしれないがまぁ一度思い出してみてくれたまえ。

あの日は朝から君とデートをして夕方まで街で過ごし、夜には君の家で夕食を食べて過ごしただろう?

段々と思いだしてきたかな?

そう、君は夕食を食べ風呂に入った後だんだんと眠くなってきたはずだ。そのまま微睡みに落ち、私が布団に運んだ後、朝に"私と同じ布団の中で"目を覚ました。

 

 

あの時の君の慌てようといったら…まったく。

ここで一つ謝罪させてくれ。あの時私は君に「何もなかったし、君が先に眠りについた」と言ったね。

すまない。あれは嘘なんだ。実はあの時君の飲み物にいくつかの薬を混ぜていてね。眠くなったのはそれが原因なんだ。そして私は眠りについた君から君の遺伝子……まぁ…その…アレだよ。男性が女性と男女のアレコレをしたときに出るアレだ。

それを採取していてね。その……アレと私の体で産んだのが彼女、ダイワスカーレットなんだよ。

 

 

 

要するに、彼女の父親は君なんだ。諦めて認知してくれたまえ。

 

その過程はどうあれ君には彼女の父親としての責任があるんだ。私のウマ娘としての才能と、君のトレーナーとしての才能。その二つをかけ合わせたのならその子は私をも凌駕する子供になるだろうと考えたわけだよ。そもそも子供がウマ娘として生まれてくるのか?という点に関しては……まぁ謎の確信があったとしか言いようがないんだが。

 

 

最初は君の将来のこともあるだろうと考えて黙っていたんだが、育児と研究に追われる内にこの年になるまで君に打ち明けることができなかったわけだが……もうこの際開き直ることにするよ。

 

いきなりこんなことを話されて戸惑うだろうが彼女を受け入れて欲しい。

何も知らず生まれた彼女に罪はないからね。

それに、私の家が放任主義なことは昔話しただろう?今になって思えばあの時の私は多少なりとも寂しいという感情があったんだろうね。

だからこそ彼女には今更とはいえ『ちゃんとした家庭』なるものを知ってほしいんだ。

私と君という、父と母のいる暖かい家庭を。

 

 

___________________________________________

 

 

手紙はそこで切れ、続きは無かった。

手紙と、目の前に座るダイワスカーレット___手紙に書いてある通りならば、タキオンと自分の子供___を交互に見比べる。

 

 

ピーンポーン

 

どこか気の抜けたインターホンの音が鳴る。

もしやと思い、玄関を開けると。

 

「やぁ、久しぶりだねぇモルモット兼トレーナー兼助手君。もうスカーレットには会ってるんだろう?」

 

当時の勝負服である白衣を着たアグネスタキオンが、佇んでいた。

 

「君に会うならこの格好は外せないと思ってね。それに、人生最大の大勝負なんだ。気合もいれなければいけないだろう?」

「しかし君の家が変わってなくてよかったよ。わざわざ調べながら探す手間が省けたんだから。」

「もう既に手紙は読んでいるんだろう? 私の計算が正しければ彼女は既に君に手紙を渡して読み終えているはずだ。2枚目の手紙も」

 

タキオンはこちらに話す暇を与えないかのように矢継ぎ早に話し続ける。

その頬はほんのりと紅く染まり、どこか焦っているようにも見えた。

 

「しかし今日は暑いねぇ!いやーまだ3月だというのにまったく……」

 

…………タキオン?

 

「…あー、その、だね。トレーナー君。」

 

うん

 

「10数年ほど言うのが遅れたんだが……私と…その…」

「………あぁもう!こういう時に気の利いた言葉が出ない自分が恨めしいよ!」

 

そう叫んだタキオンが自分の胸ぐらをつかみ、一気に引き寄せる。

自分の唇と彼女の唇がほんの一瞬___しかし、何分とも何十分とも思えるような時間___重ね合わさり、すぐに離される。

 

「君は!私の最高のモルモットで、私の生涯のトレーナーで、私の最愛のパートナーなんだ!今まではその…好きにさせていたが、もう私とスカーレット以外に渡す気はないからな!!」

 

真っ赤になったタキオンからの宣言に、自分は_____

 

 

 

 

 

もちろん、よろこんで。

 

 

 

 

 





気が向いたらトレーナー視点とスカーレット視点も書くかもしれない

追記;書いた!
あとこれは投稿主のガバですが、タキオンがトレーナーと会ったのが20年前
そこからトゥインクル3年、ドリームカップ2年で5年経過。
なためタキオンが襲ったのは約15年前になります。
反省の意を込めてタキオン製試験薬のモルモットになってきます。


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拝啓、初恋の君へさようなら。2度目の恋にありがとう。

幾つかの特殊タグを使用していますが、自分のスマホでうまく機能していないものがありました。ストーリー上の問題は特にはありませんが、もし宜しければPCの方で読んでいただければ更に楽しめるかな?と思います。(スマホ全般でで機能するかが分かっていないので…)


 

自分がタキオンと出会ったのは、4月の初め。

トレセン学園に新人トレーナーとして入って数日のことだった。

当時、自分のような新人のトレーナーが専属のウマ娘を持つことなどはほぼなく、優秀なトレーナーやチームの元でサブトレーナーとして勉強させてもらうのが一般的だった。自分も例に漏れずどこのチームで勉強させて貰おうかと考えていた時に出会ったのが、アグネスタキオンだった。

 

最初に会った時はまぁ、タキオンらしい出会い方だった。

なんせ目を覚ましたら保健室で椅子に縛られてたんだから。そのあと少し話して実験台にされそうになったりしたが…その時は無事?に終わった。

その後も不思議なことに彼女の実験台にされそうになったり彼女の実験に巻き込まれたり………。まぁ何かと縁があった。

それからしばらくして、自分もチームリギルの元でサブトレーナーとして勉強させてもらう事が決まったのだが。

ある日、当時の会長であるシンボリルドルフに話しかけられた。

「今日の6時頃、何も言わずグラウンドに来てほしい。」

急な話だったし理由も分からなかったが、あの皇帝がわざわざ自分だけに伝えに来たからと、素直に向かってみたのだ。

 

自分がタキオンの走ったレースで1番好きなものは何かと聞かれたら、今でもこう答える。

デビュー前、芝2000m右回りのトレセン学園グラウンド。走者はタキオンと皇帝で観客は自分だけの、小さな小さな模擬レース。

 

あの時見た彼女の走りに、限界の向こう側を追い求めるその姿に。

超光速の粒子(アグネスタキオン)という光に自分は魅せられていたのだ。

 

「あぁ、あの時の君の瞳はとても狂気的な色を宿していた。」

 

レースが終わった後、ルドルフと話していた彼女に駆け寄り、モルモットにでもなんでもなってやる。だから君の限界の向こう側を共に見たい。そんな言葉をかけていた。

今になるとバカなことをしたと思う。なんせ自分は資格を持っているとはいえその年入ったばかりの新人なのだ。下手をすれば教官の行うトレーニングの方が良いことまであり得る。

 

「まったくだよ。何の薬かも確かめずに3本も飲み干すんだから」

 

無事?に彼女のトレーナー兼モルモットとなってからは忙しく短い日々だった。

トレーニングメニューを決め、ライバルやレース場のデータを集めたりモルモットとして実験に付き合ったりその被害者に謝ったり後始末をしたり…。

トレーニングに来ない日もしょっちゅうあった。今では彼女の足が弱い為だとわかっているが当時はなぜ来ないのか、自分のメニューの何が気に入らないのかと四苦八苦していた。

 

1年が過ぎ、2年が過ぎ、3年目の有馬記念を超え、URA決勝を勝ち取り……。

本当にあっという間の日々だった。

 

「あぁ、本当にあっという間だったとも」

 

有馬記念優勝、そしてURAファイナルの初代優勝者。

この称号はアグネスタキオンというウマ娘を一躍有名にした。(元々色々な意味で有名だったとはいえ)

当然、それは彼女のトレーナーだった自分にも言えることで。

彼女と出会って4年目の春、何人かの子が担当になって欲しいと自分の元に来ることがあった。当初は断っていたものの、理事長の熱意とタキオンからの賛同もあり結局は2〜3人の担当を受け持つことに。

 

 

それから半年ほど経って4年目の秋。

担当が増えれば当然1人に接する時間は減る。それはタキオンへも例に漏れず、贔屓にしていたとはいえ会う機会も以前と比べれば減っていた。

 

今に思えばこの頃から様子が変だったのだとわかる。練習に来る回数も実験台にされる回数も減り、以前のように彼女1人で考えることが多くなっていた。

冬頃になれば普段は話さない様な相手とも話し何かを調べている印象があった。

 

「…………」

 

自分はタキオンを信頼しているから。彼女が話さないなら話してくれるまで待とう。そんなことを考えていた当時の自分を殴りに行きたい。

 

「その信頼は嬉しいんだけどねぇ…。」

 

その年のクリスマスの日、彼女に誘われてデートをした。

恐らくまた実験なんだろうなとは考えはしたが……。純粋に楽しかった。

だけとも。恐らくこの日が自分がタキオンと別れることになる日だったのだろう。

デートコースは彼女が考えたにしては随分と甘い物だった。朝早くに集合し、水族館に。昼はショッピングを楽しみ、カフェでカップル限定メニューを頼む。そのまま遊び倒し、夜にはイルミネーションを2人で見る。ベタではあるがそれは、"恋人"と共に過ごすクリスマスの様な。………いや、きっと彼女はそのつもりだったのだろう。

 

一通りのデートを終えた後、彼女に感想を聞かれた。楽しかった、嬉しかった、ドキドキした。そんなありきたりな___しかし、心の底から思ったことを伝える。彼女は異性としても魅力的だったし、自分にも少なからずその欲はある。だからこそ小っ恥ずかしくなり思わず言ってしまったのだ。

 

 

ところで、データはちゃんと取れた?

 

「まったく。私も鈍いとは思っていたが、君はそれ以上の鈍感さだよ」

 

その言葉を聞いた彼女はほんの一瞬悲しそうな、寂しそうな顔を見せ。

しかし直ぐにいつもの調子で返事をした。

 

 

あぁ、しっかり取れたとも。充分過ぎる程に、ね。

「結局、私の勘違いだったとはいえあの時は仕方ないだろう?なんせ君の反応と言ったら酷いものだからねぇ」

 

 

 

彼女がトレセン学園を___自分の元を去ることを伝えられたのは5年目の冬。有馬記念を終えた後のことだった。

彼女のもう一つの研究である「プランB」を本格的に進めるために海外に拠点を移すのだという。

それも今月にはもう向かうのだと。

それを聞いた時、頭の中が真っ白になった。何を言ったかなんて覚えていないが、引き留めることを言ったわけではないのは確かだろう。

 

そして気が付けば………家で同じ布団で寝ていた。

お互い服は着ていたし、彼女自身がそういったことはしていないと否定していたので恐らくは、眠くなった私を布団まで運び、そのまま一緒の布団に潜り込んだのだろう。

……なぜそこまでの記憶がないのかが疑問だが、まぁタキオンだから、と慣れてしまっていた。

「…あの時はすまなかったね、トレーナー君。」

 

 

___________________________________________

 

 

彼女が12月に去り、年が明ける。4月になり、新しい生徒たちが入ってくる。

新しくまた数人の担当が増え、その子たちを育てる。好成績を残せた子がいた。2冠を果たした子がいた。才能がなく、それでも諦めず努力し、G1を駆けた子がいた。負けた子がいた。勝った子がいた。けがで引退した子がいた。才能という実力差に挫折し、学園を去った子がいた…。

 

1年、2年、5年と月日がたつ。しかし___

 

 

自分の心にはどこか欠けてしまった様な、小さな穴が空いてしまった様な感覚が残り続けた。

例えば、眠気覚ましにコーヒーを淹れるとき。

 

「例えば、一息ついて紅茶を淹れる時。」

 

例えば、食堂で昼食を食べる時。

 

「例えば、食材をミキサーにかける時。」

 

例えば、トレーニングを始める時。

 

「例えば、新薬の実験をしようとする時。」

 

例えば___彼女達の走りを見ている時。

 

「例えば___限界の向こう側を追い求めている時。」

 

そんなふとした瞬間に、何処か寂しさを感じた。

「そんなふとした瞬間に、何処か寂しさを感じた。」

 

きっかけならわかる。恐らくタキオンがいなくなったことだと。

でも、何故?

ずっとずっと頭の中に残り続けていた。

 

 

その引っ掛かりが取れたのはとあるウマ娘を担当した時のこと。

とあるG1レースの後の夕方、彼女に呼び出された。

「私、トレーナーさんのことが好きです。私と付き合ってください、恋人として。」

 

彼女から何かしらの感情を向けられていたのは(こういった形とは思わなかったが)知っていた。自分自身も少なからず好意的に思っていたし、そろそろ人生のパートナーを決めてもいい年齢。

 

 

でもその答えはいくら経っても口から出ることは無かった。

 

何か間違っているような気がして。何か大切なことに気づいていない気がして。どうにも言葉が出てくることはなかった。

 

「………やっぱり、そうなんですね。」

 

無言なのを否定ととらえたのか、彼女はそう切り出してきた。

 

「トレーナーさんに好きな人がいるのは知っていました。」

「だってトレーナーさん、時々私以外の誰かを見つめてるんですもん。私と二人っきりの時とかでも。」

「きっとその人もウマ娘で、トレーナーさんの担当だった子なんでしょうね。」

 

自分に……好きな人が……?

 

「……そっか、もしかして藪蛇だったかな? もう、本当に鈍いんですからトレーナーさんは。」

「ならせめて気づいてあげてください。その子のためにも、トレーナーさんの気持ちに。そうじゃないと私、泣いちゃいますよ?」

 

 

例えば、眠気覚ましにコーヒーを淹れるとき。タキオンは紅茶だったなと思い出す。

 

「例えば、一息ついて紅茶を淹れるとき。君はコーヒーだったなと思い出す。」

 

例えば、食堂で昼食を食べる時、タキオンの為に弁当を用意していたのを思い出す。

 

「例えば、食材をミキサーにかける時、君の用意した弁当の味を思い出す。」

 

例えば、トレーニングを始める時、今日はちゃんと来ているかと探してしまう。

「例えば、新薬の実験をしようとする時、実験台にする為の人を探してしまう。」

 

例えば___彼女達の走りを見ている時。

 

「例えば___限界の向こう側を追い求めている時。」

 

隣に君がいた事を思い出す。

「隣に君がいた事を思い出す。」

 

あぁ、何故今気がついてしまったんだろうか。

「あぁ、何故あの時の私は意気地ないのだろうね。」

何故、今わかってしまったんだろうか。

「あの時、君に嫌われる勇気があれば。」

 

 

一度過ぎ去ってしまった時計の針は戻らないというのに。

 

 

 

___________________________________________

 

 

それから、幾許かの年月が過ぎる。

自分はトレーナーを引退して教官となり、トレセン学園の裏方に回った。

過去の名声は薄れても、彼女との思い出は薄れることはなく。

初恋は終われど想いは残る。女々しいとは思う。でも もし 再び君に会えたなら。

その時は君に、もう一度___

 

 

「あ、教官さん。お客さんが来てらっしゃいますよ。」

 

 

___春、それは出会いと始まりの季節。

 

 

「アンタが私のトレーナーね?」

 

 

___桜が咲かす、祝福の花吹雪

 

 

「やぁ、久しぶりだねぇモルモット兼トレーナー兼助手君。もうスカーレットには会ってるんだろう?」

 

 

___仄かに香るは紅茶の味

 

 

「もう私とスカーレット以外に渡す気はないからな!!」

 

 

___きっとそれは、2人を結ぶ紅い糸(2人が歩んだ軌跡の跡)

 

 

もちろん、よろこんで。

 

 

 

 

___拝啓、初恋の君へさようなら。2度目の恋にありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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紅いティアラの追憶

5月13日25時約50分、間に合ったな!()
というわけでダスカ視点のお話です。キャラ崩壊著しいので注意!
そしてダイワスカーレット誕生日おめでとう!!



私が物心ついてからの最初に自覚した感情はきっと『恐怖』だったと思う。

私を覗き込む母親の目。その狂気を宿した瞳に私はおそらく、恐怖を覚えたのだ。

 

 

母はよく、1番という言葉を使った。最高とも、優秀とも。

その時は母がその言葉に含ませた意味も知らず、ただ自分が1番だと思い込んだ。1番でないといけないと、思い込んだ。

 

 

家庭環境はお世辞にも良いとは言えなかった。

母は朝から夜まで仕事をしていたし、父親と言える存在を私は知らなかった。

そんなもんだから、私の面倒を見ていてくれたのは主にアグネスデジタルとマンハッタンカフェという母の友人たち(カフェさんはこう言うと渋い顔をするが)だった。

 

朝にお世辞として美味しいとは言える母の朝食を食べ、幼稚園に預けられる。

そのまま夕方ごろ、他の子が皆帰ったような時間になって母が(研究に忙しい時はカフェさんやデジタルさんが)迎えに来る。

 

夕食を食べ風呂に入り、宿題と母の出す勉強を終え1人で寝る。

寂しくはあったし、寝れない夜もあった。それでも、母は残っている仕事を終わらせるためか忙しく甘えることが出来なかった。

 

何度か、「トレーナー君」「モルモット君」と誰かの名前?を呟くこともあった。私以外の誰か。私じゃない人に思い耽る母。

私は愛されているのだろうか。母は私をどう思っているのだろうか。そんなことすら考える夜もあった。

母譲りの賢さが恨めしく思った。

 

これが、私が小学校に入る前までの記憶。

 

 

___________________________________________

 

 

1番で無いといけないという拘りが強くなったのも、恐らくこの頃だろう。

 

ある日のテストで私は満点を取った。母から教わっていたのもあり、さほど難しいことではなく。これなら喜んでもらえる、褒めて貰える。そう思い母に報告すると母はたいそう喜んで褒めてくれた。

私の中で「1番になる=母が喜ぶ=褒めて貰える」という図式が成立してしまった瞬間だった。

 

 

今ではそんなことはないと分かっているけど、アレは9:1でお母さんが悪いと思う。もちろんお母さんが9だ。

お父さんも、お母さんへの想いや周りの好意に気付くのにだいぶ時間がかかってたみたいだし、五十歩百歩の似た者同士だと思う。うん。

 

 

それからというもの私は死に物狂いで努力した。テストでも、成績でも、体育でのレースでも一番を取るために。母はそんな私に更に色々と教えてくれたし、余裕があるときはトレーニングにも付き合ってくれた。(小学校低学年にやるようなトレーニングじゃなかったと思うけど)

 

 

でもそれも、最初の内だけだった。

研究が行き詰り始めた母は家を空けることが多くなったのだ。時には2日間丸っといなかったり。

そういったときはいつもの2人(極偶にエアシャカールさん)が家に来て料理を作ってくれたり遊んでくれたりと私の面倒を見てくれた。

特にデジタルさんは最初こそ私を見るなり鼻血を噴き出してギョッとしたが、慣れてくる内に色々と話してくれた。

トレセン学園でのこと。ウマ娘のこと。レースのこと。多分エアシャカールさんはおろか、カフェさんや下手すれば母より懐いていた事だろう。

 

そうなっていって段々と、私と母の距離が開いていくのを感じていた。

 

 

これが、私が小学3年生までの記憶。

 

 

___________________________________________

 

 

 

私と母の関係性が大きく変わったのは小学4年生の運動会、ウマ娘用のレースだった。

他のウマ娘の子たちもトレセン学園を意識しだして、トレーニングを始めるこのころ。

でも私はもっと小さい時からトレーニングしてたし、ましてやレースと言ってもそこそこ大きなグラウンドを1周するだけの簡単なもの。1着なんて簡単に取れると思っていたし、それだけの実力も実際にあったと思ってる。

 

開始のピストルが鳴り響く。

誰も私の横に並び立てない。誰も私を追い抜かせない。このまま。このまま。

 

コーナー。内側をキープして逃げる。誰も抜かせない。

 

直線でさらに加速。小学校の運動場なんてターフどころかダートとも言い難いような足場だ。激しい砂ぼこりが舞い、歓声が飛ぶ。

 

 

最終コーナーを曲がった時、私の足に鋭い痛みが走った。足を捻ったのかじくじくと痛む。でも、こんなところで負ける訳にはいかないのだ。私は、お母さんのためにも1番じゃなきゃいけないんだ。

痛みに耐えて曲がりきり最終直線へ___!。

 

 

「あっ______」

 

ウマ娘の走るスピードは人間より速い。それは例え小学校低学年であろうと変わることなく、アグネスタキオンによってトレーニングを受けてきたダイワスカーレットは尚更、同世代のウマ娘よりも速い。

そんなスピードを出しながら躓けばどうなるか___

 

 

宙を飛ぶ視界

打ち付けられる痛み

不安そうに見ながらも走り抜かしていく後続

慌てて駆けつける先生

 

「スカーレット‼︎」

 

母の、声。

 

 

後にデジタルさんが、その時の母は有馬記念を走った時より速かったなんて笑いながら教えてくれた。

私が躓いた瞬間に現役さながらのスタートを決め血相を変えて飛び出して行ったと言う。

 

母は駆けつけて来た先生から私を引ったくるとそのまま鬼気迫る勢いで保健室の場所を聞きだし連れて行った。

保健室に飛び込むとベットに寝かせ何処から取り出したガーゼや消毒液で手当てをしてくれた。

 

 

___________________________________________

 

 

そこからの事はあまり覚えていない……。

あーいや覚えてはいるけども、恥ずかしいから話したくない。

 

分かったのは私もお母さんも、お互いに不器用ですれ違っていたこと。

それと………お母さんが私を「世界で一番愛している」って言ってくれたことかな。

結局お母さんは私にどう接すれば良いのか分からなかったらしい。

1番1番言っていたのも単に「うちの娘が1番可愛い」みたいな惚気話だったのだとか…。

ちゃんとお互いに話し合えば直ぐに解決するようなことで10年近くギクシャクしてたなんて……。

 

それから私はお母さんに甘えるようになり、お母さんも私を見てくれる様になった。

水族館や遊園地に連れて行ってくれたり、怖い夢を見てしまった時は一緒に寝てくれたり。

私もお母さんの家事力の無さに呆れて自分で家事をする様になったりと色々と変わっていった。

 

それでも、私は1番で居続けることは変えなかった。負けるのが悔しかった。お母さんに勝ちたかった。

だから私は私の意思で、1番を目指す。そしていつか言ってやるのだ。

 

 

「私はお母さんよりも1番になったわよ!」って。

 

 

___________________________________________

 

 

 

「ねぇお母さん、私のお父さんってどうしたの?」

 

そんなことを聞いたのは運動会からしばらく経っての事。

食事中に出すような話題ではなかったかもしれないが、ふと思うと聞かずにはいられなかった。

 

「……………あー…それはだねぇ…。」

「……そんなに酷い人だったの?」

 

私はお母さんが好きだ。だからこそ、私とお母さんを放ってどこかに居るならば許せない。

もし亡くなっているのなら、その時はお墓参りに行きたかったし。

 

 

「あぁいや酷いわけじゃないさ、うん。そういう人じゃないよ彼は」

「え…じゃあもしかして…既に…?」

「違う違う死んで無いから!………多分」

「???」

「あ~~……そのだね…。う~~む…どうしても聞きたいのかい?」

「もちろん。私のお父さんの事な訳だし気になるわよ。」

 

どうにも煮え切らないお母さんは珍しい。こんなの余計に気になるに決まってる。

結局、明日のご飯を人質?にしたら折れたんだけども…

 

 

「………えーっと…要するに無理やり襲ってそのまま逃げてきて私を生んで、しかもそのことを未だにずっと伝えてない…ってこと?」

「ははは、バッサリ言ってくれるじゃないかスカーレット君 (^^;)」

「お母さんってさ」

「……なんだい?」

 

 

 

「ヘタレ?」

「言い方酷くないかい!?!?」

「いや…だって…。そもそも方法が方法だし…。」(あー…だからデジタルさんに聞いたときすっごい苦い顔してたんだ…)

「し、仕方ないじゃないか! 私だってどうすればよかったのかわからなかったんだよ!?」

 

「で、お母さんはまだお父さんの事好きなの?」

「う"、それは…。」

 

「どうなんだろうね。さすがにスカーレットが出来て、彼と別れてからもう15年も経つんだ。案外冷めてるかも知れないねぇ。ははは。」

「………」

「それに彼ももういい年だろうし嫁の一人や二人いるだろうさ。今更私が名乗り上げたところで・・・」

「それは分からないじゃない。あと私が聞きたいのはお母さんがどうしたいかよ」

 

「……まぁ、もしここに彼がいてくれたら、きっと楽しいことになってたんだろうね。」

 

 

それっきりお母さんが続きを話すことは無かった。

けど私にはわかる。お母さんはまだその人のことを好きだ。だってその人のことを話すときはすっごいうれしそうに話すし、今だって寂しい顔をしてるんだもん。

 

 

私は何事も1番じゃなきゃ気が済まない。そこにはもちろん、お母さんの幸せも入っているんだから!

 

 

 

___________________________________________

 

 

 

それから約三年後。私はトレセン学園の中等部に入学が決まっていた。

試験でもばっちり1番を取っての合格し、今日は早めの入寮をするためにこの家を出る日だった。

 

荷造りも終え、あとは業者に引き渡すだけ。といっても私の私物だけだからすぐに終わったのだけども。

 

「あ、この本お母さんに返さなきゃ…本棚に戻しとけばいっか。」

お母さんの部屋に返し忘れた本を持って行った時の事だった。

机の上にぽつんと置かれた手紙が目に入る。内容は……

 

「これってもしかして…」

 

 

 

~~~~~~~

 

 

 

「ちゃんと必要なものは持ったかい?スカーレット。忘れ物があったら連絡したまえ、すぐに届けに行くさ。あぁあと向こうで変なやつに絡まれたりしたら…」

「もうお母さん!私は大丈夫だって! 本当に過保護なんだから…」

「むぅぅ、愛娘の心配をするのは親として当然だと思うのだがね」

 

「はいはい。で、これをお母さんのトレーナーさんに渡せばいいのね?」

「あぁ。デジタル君が言うにはまだトレセン学園にいるらしいからね。彼ならきっと君のトレーナーを引き受けてくれるはずだが、念には念をだよ。」

「ん、わかったわ。それじゃ、行ってきます!!」

「あぁ、気を付けて。いってらっしゃい。・・・デジタル君にもお礼を言っておいてくれよ。」

 

 

「………。いやはや、なんとも寂しくなるね…。これが親離れってやつなのかな?」

「ん、机の上に置いていたもう一枚の手紙は…。もう捨てたんだったか?まぁ、いいか。」

 

 

 

~~~~~~~

 

 

「さて、お母さんのトレーナーを探さないと…。あのー、すいませーん。」

 

 

「はい…えぇ…ありがとうございます!」

 

 

「……ここがお母さんのトレーナーの家ね。」

 

 

「あー、もしもし。お母さん?」

「別に何かあったわけじゃないわよ。うん、大丈夫。」

「ところでお母さんさ___」

 

 

 

 

 

___________________________________________

 

 

 

 

スカーレットが家を出てから数日後の昼下がり。

休暇だからと家でのんびり過ごしていた私に突然スカーレットから電話がかかってきた。

 

 

「あー、もしもし。お母さん?」

「おや、スカーレット。どうしたんだい?もしや何か忘れ物でも?」

「別に何かあったわけじゃないわよ。うん、大丈夫。」

 

「ところでお母さんさ___」

「うん?」

「___お父さんへのラブレター書いてたでしょ。」

「………うん?」

 

「『私と君という、父と母のいる暖かい家庭を』だっけ?」

「ああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?!?!?」

「ちょっ…!? お母さん声デカい!」

「待てマテマテなんでそれを君が知っているスカーレットぉ!?!?」

「えだって今持ってるし」

「はぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」

「お母さん、やっぱりお父さんの事好きなんでしょ。」

「えーーーあーーーそれはーーー・・・」

 

「じゃあトレーナーさん私が貰うね?」

「は?」

「私お父さん知らないしー。お母さんがいつまでも奥手なら私が先にゴールインするからー」

「ちょちょちょ待ちたまえ待って待ってくれ待ってくださいスカーレット。さすがにそれは色々とだねぇ!?」

「とりあえず、今からおと…トレーナーさんの家行って手紙渡してくるから。」

「ちょっ、それは色々不味いから一回私が行くまで待ちなさ「それじゃあ楽しみにしててね!」スカーレット君!?」

 

「……マズイマズイマズイ。ッととりあえず早くトレーナー君のところに行かなければ!」

 

 

 

___________________________________________

 

 

 

「ふぅ・・・」

お母さんとの電話を切り、一息つく。あとはお母さんを載せてくるカフェさんからの連絡を待って、ベストなタイミングで家に上がれば良い筈。

まったく、なんで娘が親の恋のキューピッドをしないといけないんだか。相変わらず手がかかる母親である。

 

 

~~~~~~~

 

 

しばらく学園周りを散歩し、予定通りお母さんを乗せたカフェさんからの連絡をもらう。

「よし・・・。行くわよ、ダイワスカーレット。ここでビシッと決めてお母さんとお父さんをくっつけるんだから!」

 

震える手を抑えながら、インターホンを押す。

 

 

 

「アンタが私のトレーナーね?」

 

 

 

___________________________________________

 

 

 

 

「やぁ、久しぶりだねぇモルモット兼トレーナー兼助手君。もうスカーレットには会ってるんだろう?」

 

 

 

 

「…あー、その、だね。トレーナー君。」

 

 

 

 

「10数年ほど言うのが遅れたんだが……私と…その…」

 

「………あぁもう!こういう時に気の利いた言葉が出ない自分が恨めしいよ!」

 

 

 

 

「君は!私の最高のモルモットで、私の生涯のトレーナーで、私の最愛のパートナーなんだ!今まではその…好きにさせていたが、もう私とスカーレット以外に渡す気はないからな!!」

 

 

 

もちろん、よろこんで。

 

 

 

 

かくして、計画通りにくっついた2人。それを見事繋ぎとめた紅い恋のキューピッドは___

 

 

 

 

 

 

(え!?ちょ、お母さん!?!? ちゅちゅちゅちゅーしちゃってる!?!? こ、こんな人目のある所でえぇーー!?!?)///

 

 

 

 

 

………母親の血をしっかり引いていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アグネスタキオン:ヘタゲフンゲフン恋愛奥手でめっさ子育て不器用。 いつの間に家庭内ヒエラルキーは逆転、でも親バカの極みでモーマンタイ。

トレーナー君:お父さん このあとめちゃくちゃイチャイチャした。

ダイワスカーレット:主役でマザコン 家の外では優等生、でも身内の前では甘えん坊。最近は父親に料理を教わっている。 母親をアレコレ言ってるけど子供の作り方はまだ習ってないしちゅーで真っ赤っかになる初心っ子。

マンハッタンカフェ:タキオンのスカーレットへの惚気を10数年間受けてきた被害者。 これでこっちへの惚気が減るならと思い計画に協力した。なお結果はお察しである。3X歳独身

エアシャカール:怖い顔のお姉さん。でもなんだかんだ面倒見の良いツンデレ。

アグネスデジタル:実は今回の最大の功労者。くっ付ける計画もトレーナー君の情報もタキオンをトレセン学園の教師枠にねじ込ませたのもこの子が主導。本人は元気にトレーナーしながらむっはーしてる。ウマ娘ちゃんに囲まれて過ごすことでなんか色々強くなったスーパーデジたん。でもダスカの上目遣いにはカテナカッタヨ…。

球磨猫:ふと一発ネタで書いた走れテイオーの方がUAとか多くて笑ってる。



この話で一旦タキモルダスカは〆です~。


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タキモルダスカ番外編①『ナイスカッフェ』

番外編。
いつもの通りオリジナル要素あります。
キャラ崩壊注意!

口調難しいね…


 

 

いらっしゃいませー。 って、お久しぶりですね。

 

 

そうなんですよ。少し前に改装してお昼はカフェ……喫茶店開いてるんです。

 

 

 

ん?なんでわざわざ言い直したか?

 

 

あぁいえ、単にカフェだと……

 

 

 

あ……お久しぶり…です。

 

 

 

あはは、こう言うことなんですよ。カフェって言うと被っちゃうでしょ?

 

 

 

私は……別に……構いませんけど…

 

 

 

え"、そういう関係なのか…って? あはは〜…あーそのー…。

 

 

 

そう言う関係…です。指輪も……してます…。

 

 

あ"ー、やっぱ未だに慣れないわ…。ハズカシイ…

 

 

ていうかほら!まだ仕事中だから! 引っ付かないの!

 

 

そんなほっぺ膨らませてもダメです。

 

 

 

むぅ…。まぁ、いいです……

後でしてもらいますからね

 

 

 

ほら、ブレンドコーヒー1つ入りましたよー。お願いしますよマスターさん?

 

 

……ふぅ…。あーもー顔が暑いぃ…

 

 

 

熱いのは2人の仲でしょ…って茶化さないで下さいよ。

嫌じゃ無いけどさ…

 

 

 

え? きっかけ、ですか? えーっとですね…確か___

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「……はぁ…。空はあんなに青いのに…」

 

 

問:クールでミステリアスな先輩が自分の店の軒下で酒瓶抱えて虚空を見つめながらわけわからんこと呟いているときの対処法を求めよ

 

いやマジで何やってんですか()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

あ、どもども。ナイスネイチャ*1(31歳独身)*2でーす。

 

いやー、ネイチャさんは引退・卒業してから実家の商店街の近くでBARをやってるんですよ。まぁ前からあこがれみたいなのはあったし、周りからも似合う似合うなんて言われてたし?

私のファンって人がそこそこいてくれたのもあって、賞金使ってお店立ててのんびりと開いてたんですよね。

で、今日はあいにくの()()()でお客さんも来ないし、お店もう閉めちゃおうかなーなんて考えて【closed】の看板かけようとお店出たんですよ。

 

そしたら……

 

 

「……はぁ…。空はあんなに青いのに…」

 

現役時代の先輩が酒瓶抱えて座り込んでぼやいてるっていうね。

 

 

………まず空青くないから、完璧な曇り空だからね⁉ それにその酒瓶何先輩そんなキャラでしたっけ⁉ てかよく見たら一升瓶じゃなくてコーヒーリキュールじゃん‼ まさか割ったりせずに飲んだの? そこまでコーヒー好きか⁉

あとその眼‼ ハイライト消えてて怖いんですが⁉ いつからいたのか知りませんけどお客さん来なかったの先輩のせいじゃありませんかね。その恰好どっから見ても貞子なんですが⁉

 

 

 

はぁ…とりあえず見つけてしまったのはもう仕方な「ふふふふふ……貞子…私は貞子…。この世のカップルを呪い殺してしまおうか」

「わーわーわー!取り敢えず声に出てたのは謝りますから!はいはい一旦店の中入ってくださいカフェ先輩!」

 

 

お酒でほんのりと頬を赤く染めた先輩を店に入れ、座らせてから入口に看板を掛ける。

 

 

ひとまず水を飲ませて___

 

「…………………ザい」

 

「はい?」

 

「___タキオンの惚気話がウザい」

 

 

「……はい?」

タキオンの惚気が「はいはいはいわかりましたから。二度言わんでも聞こえてますから」むぅ…」 ( ○`х´○) プクー

「キャラ崩壊凄いですね先輩…」

 

 

「で、結局どうしたんですか?」

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

その日、マンハッタンカフェはいつもより荒れていた。

 

つい1ヵ月ほど前に晴れて20年越しの思い人と再会し式を挙げた友人、アグネスタキオン。

その彼女をくっつけるのに協力していた一人が彼女だった。

 

トゥインクル時の二人の様子を知るものが聞けば意外に思うような仲であったカフェの行動だが、これには深刻な理由があった。そう、マリアナ海溝よりも深い理由が。ズバリ___

 

 

 

「___もう惚気話を聞きたくなかったんですよ」

 

 

深刻な理由だった。

 

「実際確かにスカーレットさん*3は可愛いです。私にも懐いてくれていましたし、あの愛くるしい笑顔は多くの人を魅了するでしょう。可愛いですし」

 

「だからといって毎日の様にのろけの電話をするバカがどこにいるんですかね??」

 

 

 

幾らタキオンの娘であるダイワスカーレットに骨抜きにされたマンハッタンカフェとはいえ会えない相手の惚気話を毎日のように聞かされ続けたら嫌になる。だからこそ、この話が来た時に彼女は真っ先に飛びついた。

 

「彼女のトレーナーとくっつけば全部惚気話がそっちに流れると思ってたんですよあの時の私は。今すぐ過去に戻ってぶん殴りたいです。」

 

まぁ例えそう思わなくてもデジタル直伝の上目遣いスカーレットに撃ち抜かれ協力していたであろうが*4

さてその甲斐よろしくアグネスタキオンは無事彼女のトレーナーと結婚したわけではあるが…

 

 

「結局惚気話の量が増えただけとか彼女の頭はお花畑なんですか未だに結婚できていない私への当てつけなんですかそうですか」

 

案の定というかなんというか、スカーレットの惚気話に旦那との惚気話が加わっただけであった。多分一生分の砂糖には困らないくらいにはタキオンの惚気は甘い。

 

最近はタキオンも忙しくなり頻度は減っていたものの……この日に関しては如何せんタイミングが悪かった。

カフェは今、とあるアパレル・メーカーで働いているのだが、つい昼方に同僚の女性が結婚するため退職するという話を聞いたばかりである。その同僚の幸せそうな顔といったら…。

そこに追い打ちをかけるように、タキオンと帰り道に偶然出会ってしまい、甘ったるい惚気話を聞かされる。

彼女の内心は荒れに荒れた。

 

「はぁぁ……。コーヒー・リキュールもう一杯ください。」

「さすがに飲みすぎじゃないですか?カフェ先輩。」

「いいんです。こんな日は酒飲んで酔っ払って忘れて寝るに限ります。あの子*5もそう言ってますから*6。というわけなのでもう一杯くださいナイスネイチャさん」

「はいはい、程々にしてくださいね~?」

 

 

「だいたいですね。そもそも結婚というのは___」

「あーうん、ソウデスネ。」

 

「~~~というわけであって、らから私は___」

「カフェ先輩も大変なんですね~」

 

「~……~~がぁぁ……らんれる…でうよ……」コックリコックリ

「……そうなんですね~。」シカタナイナァ

 

 

「スゥ・・・スゥ…」

「寝てるし…。起きてくださいカフェ先輩~。ほっぺうりうり~っと」

 

 

「はぁ~。しょうがないですにゃぁ先輩は。」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「………やらかしました…」

 

次の日の朝、見知らぬ部屋で見知らぬワイシャツ*7一枚を着て誰かのベッドに潜り込んでいるという状況、そして酔った時の記憶を思い出し色々察したカフェ。

その顔が青いのは今の状況証拠によるものか、それとも二日酔いのせいか。

 

そーっと隣を覗いてみると、昨日自分を介抱しようとしてくれていたナイスネイチャがすやすやと寝息を立てていた。

 

 

「……ひ、ひとまず謝罪の手紙を書いて帰りましょう…。ええ」

 

マンハッタンカフェ、戦略的撤退。それでいいのか。

 

 

結局、ネイチャが目覚めた時にはラップをかけられた簡単なサンドイッチと謝罪の手紙、お酒代兼迷惑料としての諭吉が置かれていた。

 

「迷惑料込みとはいえこれは多すぎるから返さないとねぇ…。」

手紙を読み、困ったような表情を浮かべるネイチャ。

 

 

「お酒代って書いてるけど………」

 

 

 

 

「カフェ先輩、自分で持ってた()()()()()5()()を空けただけだしなぁ

 

「ま、今度会った時に返しますか。」

 

 

 

 

 

 

「…ネイチャさん……怒ってないでしょうか…」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「___それでその数日後に………ってデジタル先輩⁉︎」

「尊さ?が限界値に達してしまいましたか……。とりあえず…鼻血拭いて寝かせましょう…」

 

 

 

 

 

 

「……あの、ネイチャさん」

「?」

「……愛してます…」

「きゅ、急ですね⁉︎」

「いえ…出会った時のこと話してたの聞いて……言いたくなりましたから…」

「あう……」

「ふふっ…」

 

 

 

 

 

 

 

*1
現役時はチームカノープス所属。マンハッタンカフェとはチームの先輩後輩。

*2
はいそこ余計なこと言わない

*3
タキオンとトレーナーの娘。可愛い

*4
そこチョロインとか言わない

*5
なんかカフェにしか見えないやつ。今でも見えている

*6
言ってない。むしろ止める側である

*7
いわゆる彼シャツ状態




ダスカ「……お父さん、カフェさんどうしたの…?」
 ん? あぁ…あれかぁ。あれはなんというか……

カフェ「〜〜〜でーーーーーが____なんですよ。それに〜〜〜」恍惚
タキオン「……………」げんなり

ダスカ「それにお母さんが飲んでるのって……」
 うん、ブラックコーヒーだね。
ダスカ「だよね?お母さん結構な甘党なのに…」

まぁ多分、今はマックスコーヒー並みに甘いんじゃないかなぁ。
ダスカ「???」
あれはなんというか…お母さんの因果応報だからねぇ。


タキオン(カフェの惚気話が甘すぎる…)








くっつく過程を書けない私を許してくれ…。
続きは書けたら書くます。
ネイチャは受け。異論は認める。



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タキモルダスカ番外編『ナイスカッフェ②』



いらっしゃいませー。って、デジタル先輩、昨日ぶりですねー。大丈夫でした?


あぁいつもの事なんですね…。いやそれはどうかと思いますが…。


アッハイ。で、えーとどこまで話したんですっけ…。


私がネイチャさんにお持ち帰りされたとこまでじゃなかったですっけ…?


ソウデスネー。どこぞの悪酔い先輩がべろんべろんになって潰れたとこまでデシタネー


……ネイチャが意地悪です。


で、続きでしたっけ。んー、でもアタシが話すよりカフェが話したほうがいんじゃない?


それもそうですね…。ではお店の方お願いします…。


はいはーい


とりあえず注文のキリマンジャロコーヒーとチョコケーキです…。では、少し恥ずかしいですがお話しますね…。






「………やらかしました。盛大にやらかしました。いったいどうやってネイチャさんにお詫びをすればいいものでしょうか…。」

 

後輩の営むBARに持参したリキュールで酔いどれ愚痴りまくり、そのまま潰れて介抱という名のお持ち帰りされた女、マンハッタンカフェ*1*2

 

あれから今日で5日経つのだが…、この女、未だに謝罪に行っていない。

仕事だなんだといって誤魔化し続けて今日までズルズルと、ついに休日が来てしまった(ヘタレカッフェ)のである。

 

「……そろそろ、いい加減しっかりとした謝罪をしなければ…。えぇ、頭の中ではわかっています。わかっていますが…。」

 

カフェがここまで渋ってしまう唯一の懸念事項はただ一つ。ズバリ

 

「誰か教えてくれないものでしょうか……。私はネイチャさんと……」

 

「うまぴょいしてしまったのでしょうか」

 

 

説明しよう!マンハッタンカフェは酔っ払ったときの記憶はあるが、その先の記憶が残らないのであるっ!!

そして肝心の一部始終を見ていたであろう『あの子』は何も語らないっ!!

即ちっ!! 彼女がうまぴょいしたのか、それともネイチャが布団に入れてくれただけなのか、まったくわからないのであるっ!!

その羞恥心こそがっ!! ネイチャの店に謝罪に行くことを躊躇わせているのだっ!!*3

 

 

 

「とりあえずお詫びのお菓子だけでも先に買って…」

「おや、カフェじゃないか。奇遇だねぇ!」

▷あ、カフェさんお久しぶりです。

 

「 ((((;´゚Д゚)))………」

 

その声に嫌な予感を覚えつつも振り向くカフェ。そこには___

 

彼女らしからぬ乙女乙女した、かつ違和感のないファッション*4に身を包みトレーナー(最愛の夫)に腕を絡ませ手を繋ぎ歩くアグネスタキオンと、タキオンの元トレーナー現夫兼娘であるダイワスカーレットのトレーナーがいた。*5

そう、運悪く出会ってしまったのだ。デート中の二人に。

 

 

「………ハハッ、オヒサシブリデスネ。」

 

 

 

 

 

~~~それからどした~~~

 

 

「っと、少し話すぎたね。そろそろ行かなくては間に合わなくなってしまう。」

「エエ、ソウデスネ」

「それじゃあ、またどこかで会ったら話そうじゃないか、カフェ君。行こうか、あなた。」

▷タキオンがすみませんカフェさん・・・。偶には遊びに来てくださいね。スカーレットも喜ぶと思うので。それでは。

「エエ、ソレデハ。」

 

 

「……………………………」

 

「リキュール」

 

 

 

 

 

 

―――ネイチャのBAR―――

 

「でよー、そん時にコイツが…」

「はぁ?あのときはお前だって…」

「あはは、本当仲いいよねぇお二人。」

「いやいや、腐れ縁なだけですって!それよりさぁ…」

チリンチリーン

「あ、いらっしゃー……い……」

 

夜は22時を回り子供たちは寝て、大人の時間。

今日は天気も晴れ、ナイスネイチャの営むBARは程々の客*6とでのんびり静かに賑わっていた。

 

そんな中に一人の来店客。それを見て固まるネイチャ。思わず入り口の方を見る客。

 

「ネ゛イ゛チ゛ャ゛さ゛ぁ゛~゛ん゛( TДT)」*7

「何やってるんですかカフェ先輩……」

「タ゛キ゛オ゛ン゛が゛…タ゛キ゛オ゛ン゛が゛…ま゛た゛…」

「えぇ…。てかまたお酒飲んできたんですか先輩…。」

 

マンハッタンカフェ3X歳。後悔はしても反省はしなかった模様。

これにはネイチャさんも苦笑い。

 

「あうあうあ~~( TДT)」

「はいはい、アタシで良ければ愚痴位聞きますから…。先輩も元のキャラ取り戻してください~。じゃないとマックイーンみたいになっちゃいますよ~。」

「私ワイバーンズ派*8なので。( ー`дー´)キリッ」

「知らんわ!!」

 

(オイみなみ*9、あの子とネイチャ…)

(ますお*10、皆まで言うな。俺たちは…)

(あぁ、そうだな。)

 

「あーもー、ほらお水ですよー。ゆっくり飲んでくださいねー?」

「やだ。リキュールがいいです。リキュールじゃないと嫌です。」

「自分で抱えてるじゃないですか…」

 

「あ、ネイチャさんお会計置いとくね。」

「あ、俺も置いておきます。ごちそうさまでした。」

「あー…なんかすいません。」

「いえいえ、俺たちここにいたら邪魔でしょうし。」

「カフェさんはゆっくりしていってください。」

 

 

んん?…あぁなら俺もかな。

俺もそろそろ帰るかぁ、カミさんにどやされちまう。

邪魔しちゃぁ悪いな。

百合に挟まる男は蹴られて死ねってな!!*11 ガハハハッ!!

 

ガヤガヤゾロゾロガヤガヤゾロゾロ

 

「うえぇ?皆急にどうしたのさ…?」

「ネイチャさん…聞いてるんですかぁ?」

 

「いやぁ…だって、なぁ。」

「ネイチャんにも春が来たんだし、邪魔しちゃ悪いだろ!!」

「今度赤飯炊いて待ってるからなー!」

 

「・・・・・」

ハァァ!?!? ちょ、皆何言ってるの!?!? ってカフェ先輩腰!抱き着かないでくださ…あぁぁ皆帰っちゃった…

 

「私がいるじゃないですか。私では不満なんですか!ネイチャさん!!」

「酔い癖めんどくさいなこの先輩!!」

 

「うわぁ…絶対明日には広まってる奴だこれ…どうしよう…」

「ネイチャさん…」

 

「その、迷惑…でしたか…?」*12

「……えーーと…」

「そうですよね…迷惑でしたよね…。ウフフフフフ

「そもそも今日はネイチャさんに先日の謝罪をしようと思ってたんですよ。それがこの様ですもん。カフェはダメな子だ…」

「それライス先輩のやつですよカフェ先輩。あと、先日のことは別に…特に気にしてないですよ?」

 

まぁ確かに言われてみれば駅前にあるケーキ屋の紙袋を持ってきているし、間違ってはなさそうである。

酔っていることと酒瓶抱えているのが台無しにしているが。

 

「でも……買いに行く途中にタキオンさんとそのトレーナーさんが…」

「デートしてるとこに会っちゃいましたか…」

 

「すいません…2回も迷惑かけて本当にすいません…」

「あーーもーー、本当ですよカフェ先輩。お客さんいなくなっちゃうし。」

「誠に申し訳ありませんでした」土下座

「………反省してますか?」ジト目

「してます…。」

 

はぁ、とため息1つ吐いて土下座しているカフェを引っ張り立たせ

「今日はもう店じまいにしますから、カフェ先輩も閉めるの手伝ってください。」

「あ、はい…」

 

2人静かに店を閉める作業が続く。最後にネイチャが『closed』の看板を吊り下げると、カフェの腕を引っ張り二階へと上がっていく。

 

「あ、あの…ネイチャさん…?」

「今日は飲みたい気分なので、カフェ先輩はお客さん帰らせた罰として付き合ってください。」

「……ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

~~~次の日~~~

 

 

 

 

 

「やらかしました・・・」

 

 

一度寝たベッド、一度見た天井、となりで自分の腕を枕にして眠る後輩と、取っ散らかった部屋の惨状。

いつも傍にいた『あの子』は今日もどこかに行っているようで。

 

 

 

マンハッタンカフェ、二度目の朝チュンである

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず、お部屋片づけましょうか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
3X歳、独身

*2
詳しくは:タキモルダスカ番外編①『ナイスカッフェ』

*3
はよ行けや

*4
作者に服のアレコレが解らん故、皆さんのとにかくすっごい可愛いタキオンを想像してくだされ

*5
詳しくは:拝啓、桜咲く頃

*6
殆どの客が商店街のおっちゃんたちとネイチャんファン。前者は大抵家に帰って奥さんにしばかれる

*7
すでに2本目。カフェはお酒そこそこ強いと思うの

*8
ドラ〇ンズ的な。選んだ理由は作者の地元だから

*9
メガネのモブA 分かりやすく聞き取りやすい早口解説の方

*10
どうした急に

*11
ワイトもそう思います

*12
さすがに酔いが醒めてきたらしい






それでその後……あ、「限界がヤバイ」ですか…?


えーと…どうすれば…


あ、今日は一旦帰られるんですね…。


ええ、ではまた…。ありがとうございました。




………今夜の夕食は何にしましょうか。


カフェ~。コーヒーおねがーい!!


あ、わかりました。すぐ行きますね、ネイチャ。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――


カフェ「で~~~、が~~~だったんですが、ネイチャが~~~」
タキオン「ウンウンソウダッタンダネェ」

ダスカ「カフェさん、まだ話してるわね…。もう3時間くらいあぁじゃない?」
タキオン(甘い…ブラックコーヒーがはちみー濃いめ並みに甘い…)
タキオン(トレーナー君…ヘルプ…!ヘルプを…!)メクバセ
 ▷スカーレット、お母さんたち楽しそうだし買い物に行こうか
ダスカ「はーい、今日は夕ご飯何にするの?お父さん。」
 ▷オムライスとかどう?
ダスカ「!! ま、まぁいいんじゃない?ほら、早く行くわよ!!」尻尾ブンブン
タキオン(あぁお父さんのオムライス好きだもんねぇスカーレットは。本当に私の愛娘は可愛い…じゃなくて!!裏切ったなトレーナーく)
カフェ「聞いてますかタキオンさん。」
タキオン「」






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その他いろいろ
沈まないからこそ


崩壊世界ゴールドシップ概念。
アプリ版トレーナー基準ですがトレーナーは出てきません。
あと毎度のごとく短いです。

2021/06/18 一部設定を変更






人類のほとんどが消え、徐々に荒廃していった世界。

その世界をただ一人、ゴールドシップは歩いていた。

 

 

「ったく、だからゴルゴル星行こうぜって言ってたのによー。最後になるまでだーれも信じてくれねぇんだもんなー。」

 

 

今の世界、人類の9割は死に絶え、残りの1割の人類は細々と、死に怯えながらも生き残っていた。

原因は何か、と聞かれたらばそれは誰しもが「あの隕石のせいだ」と言うだろう。

ある日突然観測されたそれは、ゆっくりと、だが確実に地球へと落ちてきていた。

今の人類に落下を阻止する方法などまったく存在せず、明確な死神となって向かってくるそれに人々は恐怖し、世界は混乱へと落ちいった。

どうせ終わるならと暴れだす人々によって治安は悪化し、根拠のないうわさを信じて逃げ惑う人々によって交通網は崩壊していった。

そんななかで唯一、日本の極僅かの人間___それも人類文明の再建という重大な役割を担った人物たちだけ___は、宇宙へと飛んだ。

 

 

ゴールドシップだけは知っていた。明確にではなく、漠然とでしかないが。

だが確かに人類の滅亡と、一時的にではあるが人類が住むことのできる星__彼女曰くのゴルゴル星のことを。

だからこそゴールドシップはトレセン時代に様々な組織の手を借りてロケット開発を行っていた。

その殆どは学園側によって中止させられていたものの、その技術は最後に残った希望として宇宙(ソラ)へと渡ることへと繋がったのだった。

 

 

「さーて、帰ってきましたトレセン学園。何か面白いもんはねぇかなー!」

 

 

今やかつての騒がしさすら見る影もなくなった、トレセン学園の正門をくぐり探索を始める。

かつてゴールドシップの様々な奇行によって無駄に蓄えられた資材も、いまや欠片も残さず失われていた。正門から教室に残る古い跡を見るに誰かが持って行ったのだろう。

暫くはここで過ごしていた者たちもいたのだろう。壁や床には落書きの跡が残っていたり、ゴミ箱には封の空いた缶詰などが残されていた。

___そして、紅い液体の流れたと思わしき染みも。

 

 

 

粗方の探索を終え、最後にかつてのトレーナー室に来たゴールドシップ。

昔自分とトレーナーでバカ騒ぎしていたこの部屋も、今や伽藍としてしまった。

トレーナーが良く寝ていたソファも、自分が中を勝手に漁って色々と食べていた冷蔵庫も、トレーニングと称して一緒に見たテレビも、予備だからと置いて行った錨すらもない。

 

 

「まぁ、やっぱり何にもねぇか・・・あん?」

 

 

ふと、部屋の隅に、乱雑に捨て置かれた破棄資材の山の中。ひっそりと落ちていた紙の束に気が付く。持ち運んだ時にでも落としたのだろうか。

すこし潰れるように折曲がった癖の付いたそれを拾い上げる。

題名は、『ゴールドシップのやってはいけないことリスト』

 

 

「そういや、こんなのもあったなぁ。今じゃ誰も止めやしねぇけどさ」

 

 

拾い上げたそれを見て、懐かし気に、しかし自嘲するかのように寂し気に。

その呟きを拾う者も、もういない。

 

 

 

 

時間は、崩壊した世界でも残酷に、或いは残された者たちに対する慈悲であるかのように、変わらず過ぎていく。

トレセン学園の広く、今では荒れ放題となった芝に覆われたグラウンド。

その一画を、周りに火が燃え移らないように土を露出させ焚火の準備を始める。

文明の灯りを失ったこの世界において頼りになる光源は基本、火だ。稀に見つかる中身の残った電池は万が一を想定してあまり使っていない。

そのため着火剤ともなる紙もまた、今となっては貴重な資源である。

 

 

トレーナー室で見つかった『ゴールドシップのやってはいけないことリスト。無駄に何枚もの紙を使い書き上げられたそれを、一つ一つ懐かしみながらに読んでいく。最後の項目は___

 

 

「『これ以上の追記を禁止し、上記全ての禁止項目を完全撤廃します』・・・か。」

 

 

小さくパチパチと燃え上がる焚火に、彼女はそのリストを放り投げた。

後には燃え盛る炎と焼けて空に舞う灰ばかりが残るだけである。

 

 

 

 




リストの中身は各自のご想像にお任せいたします


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終末デジタル


終末世界は北斗のヒャッハー的世界ではなく、絶体絶命都市の被害が酷くなった感じをイメージしてください。
或いは少女終末旅行とかそんな感じ。

追記:なんか文章重複してた…。修正しました。報告感謝


 

 

終末世界。

 

そんなことを言ったのは誰だったか。

偶々読んだマンガに書いてあったか、或いはウマッターの呟きか。

兎にも角にも、今の世界を表すにはぴったりの言葉だろうな、と荒れ果てた道路を一人歩く彼女__アグネスデジタルはそう、思った。

 

世界から文明の灯が消え去ってからはや数か月。

 

世界人口が大きく減った原因は様々だ。戦争、災害、人災、それらによる民衆の不安から生まれた暴動に治安の悪化……。不幸中の幸いと言うべきか。核が使われることがなかったのは、人間の最後の意思だろうか。

日本もまた、他と比べると被害が少ないとはいえ例外ではなかった。

隕石の衝突を始めとする数々の災害、気流変動や地震などを原因とする交通網の崩壊と、それに伴う物資不足。空中高く舞い上がった塵は世界を覆い、天候を悪化させていった。

わずかに生き残った者たちは細々とグループ、或いは個人でシェルターに籠り、僅かな物資を求め周辺地域をさまよい歩くのが大半だった。

 

 

アグネスデジタルが巻き込まれたのは、レースのためにトレセンを離れ北海道へと向かっていた時のことだった。

レースが終わり1日くらいのんびりしようか、なんて考えていた時に隕石の存在が発覚。

予約していたはずの飛行機の席は、更に代金を積んだ誰かに盗られていた。

学園にいるであろうほかのチームメンバーが心配だからと自身のトレーナーを先に帰らせ、すし詰めの電車に乗り青函トンネルを渡ったはいいものの、道路は渋滞に次ぐ渋滞、公共交通機関はまともに動かず、徒歩で帰るしかなかった。

やっとの思いで東北の中央辺りまで来たはいいもののついには隕石が落着。

慌てて避難したさきでしばらくを過ごし、粗方の災害が治まるまで待つこと数カ月。

 

 

ようやく戻ってきたトレセン学園は、当の昔に放棄されていた。

まぁ、仕方がないだろう。

南海トラフ地震の発生と富士山の噴火。学園の校舎の天井も、噴石によって穴だらけであった。

 

「あはは…、まぁそうだよねぇ…」

無人となった寮の自室で独り言つ。

同室のアグネスタキオンは荷物を纏めてどこかへ向かったようで、ご丁寧に書置きが遺してあった。

 

「はぁ~~…。」

これから、どうしようか。

タキオンの書き置きと学園の掲示板に書かれた連絡から、都心から少し離れた場所に生存者のシェルターがあるらしい。

しかし、今更自分が向かって良いものか。労働力という点においては優れるウマ娘だが、燃費が悪いため食事は最低ラインとしても量を必要とする。

 

デジタルはそこまで多いほうでないとはいえ、それでも食料が不足している今の世界では十分な重荷になってしまうことはよくわかっていた。

 

悩む。悩んで、悩んだ末にたどり着いた結論は

 

(明日のアタシに任せよう)

 

放棄することだった。このトレセン学園までずっと歩いてきたのだ。

そら疲れる。今日はぐっすり休んで、リフレッシュした頭でまた考えればいい。

それでも思いつかないならまたあさって考えればいい。

 

そして彼女は数か月ぶりの自室で、ぐっすりと眠りについた。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

翌朝、眠気覚ましに散策でもしようかと向かったところで、思わぬものを見つけてしまった。

アグネスデジタル愛用の一眼レフカメラと、その予備バッテリー。

トレーナーが残してくれたのだろうか、それとも偶然だろうか。

自分たちのチーム部屋の端っこにぽつんと置かれたそれを手に取る。

 

「…電源よし。レンズ……よし。他も…機能は問題ない…。あ、データも残ってる。まだ容量も結構あるね…」

 

 

天啓が下りた気がした。

これが残されたのはきっと運命なのだ。

 

「うん、決めた。たぶんこれがアタシのやることだよ。」

「そうと決まれば物資を集めないとね!うひひ、ここからデジたん伝説が始まりますぞぉー!」

 

叫ぶが早いが部屋を飛び出し廊下を駆け出し、自室から持っていく荷物をかき集める。

夏と冬の祭典用の大き目のリュックサックに、わずかに残った食料水その他を詰め込み、チームの集合写真の入ったお守りとカメラを首に下げ___

 

「あっと、どうせならこれも持って行っちゃおう!むふふふふー!」

スケッチブックと鉛筆も詰め込んで、背負い立ち上がる。

 

 

 

「さ、先ずは近くのシェルターかな! デジトレイン、出発しんこー!」

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

東京都内から少し東に逸れた千葉県との県境のあたり。トレセン学園から数時間___しかし災害の影響で半日はかかる場所。隕石落下前に建設されたアグネスタキオンの研究所が書き置きによって残されたシェルターの場所だった。

 

半壊した建物の周囲は多くの人員が復旧作業に勤しんでいるのが遠くからでも目に見える。その多くはトレセン学園のジャージを着たウマ娘たちでもあるとも。

 

「ふぅ…。私にはこの様な重労働は合わないと思うんだがねぇ。」

「あァ?ウマ娘な時点で他より向いてんだろーが。つーか肉体改造だかやってんだろ、それの成果見せろやオイ。」

「いやはや手厳しいねシャカール君。だがもう何人か人手をだね……おや?あれは……!」

「あん?何を見つけた…。…ケッ、生きてやがったか。」

「まったく、ここは素直に喜ぼうじゃないかシャカール君。明るいニュースなんだからさ。」

 

 

「ふへぇ…あ、足が辛い…。だいぶ遠回りしちゃったし…」

「おーい!デジタル君!無事だったか!」

「……あ。え、あ、あぁぁ…!」

「ったく、ここまではしゃぐテメェってのもなかなか珍しいデータだなオイ。…まぁ気持ちはわかるが

「ああぁぁぁ! タ"キ"オ"ン"さ"-"ん"!! エ"ア"シ"ャ"カ"ー"ル"さ"ー"ん"!!」

「うわぁぁ!? っとと。」

 

ウマ娘ちゃんオタク鉄則として【触れない、ねだらない、邪魔しない】を掲げるデジタルもさすがにこの時ばかりは号泣し、二人の胸に抱きついた。

気丈にふるまえどまだ中学生に当たる年ごろ。更にはここに来るまでの長い一人旅。ようやく友人に会えたという嬉しさ、今まで独りだった寂しさ、この世界にいるのは自分だけではないという安心感。いろんな感情がごちゃ混ぜになり胸に溢れた末の行動だった。

 

 

「ったく…。オイそろそろ放せ、テメェのせいで服が汚れるじゃねぇか」

「そう言いながら引きはがさない辺り、まんざらではないんだろう?シャカール君。」

「………チッ!」

「し"ゃ"か"ー"る"さ"ー"ん"!!そういうぶっきらぼうにしながらも見せる優しさが好きですぅぅ!!」

「平常運転じゃねぇかさっさと離れろっ!!」

「あうっ」

「照れ隠しにしては少し分かりや痛っ⁉︎ 叩く事はないだろうシャカール君?」

 

 

「まぁともかくだ。デジタル君」

「………チッ」

「???」

 

 

 

 

「おかえり、デジタル君」

「……おかえり、だ。」

 

「~~~っ!! はい、ただいま!!」

 

 

 

 

 

 

その後、デジタルはタキオンに連れられシェルターへと合流した。

シェルターでは生徒会の3人、シンボリルドルフ・エアグルーヴ・ナリタブライアンが中心となり人バ問わずに協力し生活をしていた。

ある程度の生活基盤と蓄えもあり、現状もっとも復興しているシェルターともいえただろう。

当然、アグネスデジタルもシェルターに残り協力してほしいと言われたが…

 

 

「すいません。その申し出はとても嬉しいんですけど、デジた……私にはやることがありますから。シンボリルドルフ会長。」

「……その『やること』というのを教えてもらってもいいかい?デジタル君。」

「えぇ、これです。」

「それは……デジタルカメラ…? 確か、君の私物だったか?」

「えぇ!私の相棒でっす!」

 

 

私は今の世界を周るつもりです。ここだけじゃない、いろんな場所を周って色んな景色を写真に残すんです。いつか、また元通りの世界に戻った時に「昔はこんな時代があったんだよ」って、「これだけの人たちが、生きるために、未来のために、精一杯生きていたんだよ」って伝えるために。

そして、遠く離れた場所で頑張ってる人たちに、「貴方は一人じゃない」って伝えるために。

これが私にできること、やりたいことだって、このカメラを見つけた時にそう思ったんです。

 

手元の相棒をなでながら、ルドルフに語るデジタル。その瞳には決意の炎が映っていて

 

「………ここまで旅をして来た君なら、今の世界を周ることがどれだけ厳しいかはわかっていると思うのだが…」

「えぇ、わかっていますよ。十分すぎるくらいには。でも…」

 

 

「デジたんは戦場を選ばない『勇者』ですから!!」

 

 

「………、ふ、ふふ、ははははは!!」

「うぇえ!?!?デ、デジたんなんかやっちゃいました…?」

「あぁいや、すまないね。……そうか、君も…君も同じことを言うんだね。アグネスデジタル君。」

「同じこと…?」

「あぁ…。君のトレーナー君も同じことをいって旅立ったんだよ。『俺はウマ娘のトレーナーで、アグネスデジタルのトレーナー(勇者パーティーの一員)だ。困ってる奴がいるのに助けないなんてデジタルに笑われちまう』。そう言ってね。」

「トレーナーさんが……」

「アグネスデジタル君。君の覚悟は伝わった。だから私は、『皇帝』らしくこれを渡そう。」

 

そう言ってルドルフはデジタルに数日分の携行食料と水、いくつかのサバイバルグッズを手渡す。

 

「勇者の出立に、王からの餞別は付き物だろう?」

「……あ、ありがとうございます!!」

 

 

その日、デジタルはシェルターに一泊。次の日の明朝にはルドルフ、タキオン、シャカールに見送られ出立した。

 

 

「デジタル君。どうか君の旅路に幸運を。再び無事に会えることを祈ってるよ。」

「はい、会長さんも、お元気で。色々ありがとうございます。」

 

「デジタル君、これは私からの餞別だ。ぜひ効果をレポートにまとめて教えてくれ。」

「タキオンさん…これは?」

「ウマ娘の生命力を一時的に増強させる薬だよ。いわゆる回復薬とでもいえばいいかな?」

「あ、ありがとうございます…。使うことがないように祈っておきますね…」

「……あぁ、そうするといいさ。」

 

「………おい、ほらよ。」

「わひゃっ!? えーと、これは?」

「今まで集めれた災害のデータから予測した現在の地図だ。まぁ簡易すぎて碌なもんじゃねェが、ちったぁマシだろ。」

「ありがとうございますシャカールさん!!」

「ええい抱き着くな!!鬱陶しい!!」

 

 

「それじゃあ、私からもこれを。」

「これは…。」「ほう、よく描けてるじゃないか。」「……まぁ、悪かねェな。」

「ありがとうデジタル君。大切にするよ。」

「いえいえ、デジたんにはこれくらいしかできませんから…。」

 

 

 

「それじゃあ___

 

 

 

 

勇者アグネスデジタル、行ってきます!!

 

 

 

 

 

 

 

 




少しずつストックを消化していきたい(願望)
次の終末世界はキングかなぁ…。デジオペドトウでも書いてみたいけど誰も持ってないんですわ(´・ω・`)




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光軌の姫は電子の海に溺れる夢を見る

いい加減別概念書かないとタイトル詐欺になると思ったのでタキデジ姉妹概念

アグネスタキオン→姉 現在高2該当
アグネスデジタル→妹 現在中1該当

トレセン学園については(一旦)後書きに書いてあります。




「ねーお姉ちゃん。」

「…どうしたんだい?デジタル君」

 

 

「………んー、何でもない。」

「……ふむ、そうかい。」

 

 

トレセン学園栗東寮の二階。アグネスタキオンとアグネスデジタルの部屋はそこにあった。

 

片やウマ娘ちゃんグッズに机が埋め尽くされ、片や様々な実験データや資料に机が埋もれているという、何処ぞの副会長が見たら勇み喜んで片付け始めそうな部屋である。

 

 

そんな部屋の中で当の二人は、タキオンがデジタルをあすなろ抱きしながらベッドの中に入り、2人のんびりと各々の本を読んでいた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

季節は春も半ば頃、今年入学してきた妹のデジタルも学園に馴染んで*1おり、もう明日になれば選抜レースがある。

 

「……お姉ちゃん。」

「………選抜レースが不安かい?」

「! うん、ちょっぴり。お姉ちゃん以外のウマ娘ちゃん達と走るのは初めてだし、お姉ちゃんみたいに()()()()()()()()()()()()()も不安だし。」

「………」

「本当はお姉ちゃんと一緒の人にスカウトして貰いたいけど…。でもやっぱり実力でスカウトしてほしいし。それに……」

「私は、デジタル君の場合は他の生徒を見ることに集中しすぎてレースに失敗しないか不安に思うがね。」

 

アグネスデジタルは、言わばウマ娘オタク。トレセン入学前からアイドルのライブやウイニングライブを観ては気絶したりと過ごしてきた。

 

 

「うぐっ。だってだってトレセン学園だよ⁉︎ レースだよ⁉︎ もしかしたら有名ウマ娘ちゃんにも会えるかも知れないしこのレースで新たな時代のCPが生まれるかも知らないんだよ⁉︎ もし見逃したらデジたん失格だよ!」

「ははは、わかったわかった。まぁこの学園が楽しいようで姉としては何よりだがね。」

 

「あ!でもね!」

くるりと器用に腕の中で体をこちら側に向け、じっと目を見つめられる。

「デジたんの1推しはお姉ちゃんだからね!」

「!…………」

「タキオンファンクラブ会員番号0番と1番は誰にも渡すつもりはないから!くふふふふ……」

「私のファンクラブなんていつ出来たんだい…」

「私がお姉ちゃんと会ったときから!」

「はぁ〜…、まったく君という子は…。」

まぁ…悪くないけど…

 

 

にゅへへへ~なんて言いながら頭をこすりつけてくるデジタルを手で押さえ、そのまま読んでいた本を自分のベッドに放り投げる。

そのまま枕を引き寄せ布団を被りデジタルに被せ

 

「ほら、もう寝ないと明日に響くんじゃないか?」

「んー、まぁ確かにウマ娘ちゃんたちと会うのにお肌荒れてちゃダメだからね!健康第一、推しと会うときは万全に完璧に!」(*´ω`*)ムフー

 

「あーうん、まぁ…とりあえず。お休み、デジタル。」

「うん!お休みおねーちゃん!」

 

 

 

 

「……はぁ。嘘なぞつくものじゃないね…。私が見栄を張って首を絞められるなんて、カフェにでも聞かれたら笑われる。」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

選抜レースでウマ娘限界オタクなアグネスデジタルをスカウトしてから数週間。

メイクデビュー前の肩慣らしとして、学園主催のレースに出し、その反省会を行おうとしていたのだが…どこにいるのか。

 

 

「そういえばさぁ。ほら、昨日の学園レースに出てた…アグネスデジタルだっけ? あの子、アグネスタキオン先輩の妹らしいよ。」

 

そんな日の昼下がり、学園でデジタルを探していると、ふとそんな声が聞こえてしまった。

 

「タキオン先輩…って、もしかしていつも変な実験やってる?」

「確か肉体改造だかドーピングだかしてるとか言われてる人だよね。」

「てことはやっぱりあの子も……?」

「昨日、私見ちゃったんだけどさ…。食堂で他の子見ながらニヤニヤ変な顔してたんだよね。しかも『うへへへ~』とかいう笑い声付きで。」

「うわぁ…キモ…」

 

……どうやら陰口らしい。確かに彼女は奇行が目立つ部分があるとはいえ、自分の担当ウマ娘を悪く言われるのは好きではない。一言注意でも言おうとそちらを向くと、反対側からデジタルの姉、アグネスタキオンが向かってきてるのに気がついた。

話している生徒たちは気づいていないが……少し纏う空気が剣呑であるのがありありとわかった。

 

「やっぱあの姉にして妹ありなんかな。」

「嫌だよねぇ…あぁいうの…。なんでトレセンにいるん「やぁ君たち。今暇かな?」うぇっ⁉」

 

「あ、アグネスタキオン先輩…」

「こ、こんにちは…アハハ…」

 

「あぁ、こんにちは。ところで君たち、今暇なんだろう?」

「え、いえ…えっと…」

「暇でないとは言わせないよ。他者の悪評を広めることに費やす時間など無駄にすぎないんだからねぇ。」

「……っ!」

 

やはり、聴こえていたらしい。穏便に済めば良いが…。

 

「それより今ここに丁度タイミングよく新しい試薬があってねぇ。暇な被験者を探していたところさ。君たち、もちろん実験体になってくれるんだろう?」

「えっと…それは……その…」

「私はそのー…せ、選抜レースがちか「君のレースは先ほど終わったと記憶しているんだがね?」あ…え…」

「ちょ、ちょーっと遠慮したいです…なんて…「な っ て く れ る ん だ ろ う ?」う…あ…」

 

実験の時に見せる狂気的なものでもなく、妹に見せる慈愛の籠ったものでも無く、暗く、昏い色を写し憤怒に染まった瞳がそこにはあった。

 

「…あ……その…」

 

→(流石に止めないとまずいか…⁉︎)

 

「まぁいいさ。無理に付き合わなくてもね。」

「へ?」

「それよりも、一つ君たちに忠告…いや警告だ。私は私自身の悪評などは気にしない性質だからね。いくら叩こうが好きにするがいいさ。」

 

「だが、私の妹…デジタル君への陰口を叩く者を

 

 

私は許さない。」

 

「ひっ」「あ…あぁ…」「ご、ごめん…なさい…」

 

 

「彼女は私の唯一無二の家族でねぇ…。そのときは情け容赦などは一切ないと思ってくれよ?」

 

 

「次はないぞ」

 

 

そう締めくくりタキオンは、今度はこちらに近づいてくる。

 

→タキオン…

 

「やぁ、私の妹がお世話になってるね。」

→ …………

「そう怖がらないでくれよ。私だって傷つくぞ?」

「やれやれ。さっきの会話、君も聴いていたね? つまりはそういうことだ。宜しく頼むよ。」

 

「あぁそれと、この件はデジタル君には内密にね。」

 

通り過ぎるときにそう耳打ちし、タキオンは去っていった。

後には怯えた目で彼女の方を向く生徒たちと、私だけ。

ひとまずは彼女達を軽く注意し寮に帰らせると私も再びデジタルを探しに出かけた。

 

恐らくアグネスデジタルに何か有ればタキオンは容赦しないだろう。

その結果自分がこの学園に居られなくなるとしても。

 

 

→これはなんとも責任重大、前途多難だなぁ…。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

アグネスタキオン。

アグネスデジタルの姉で、「超光速の粒子」の異名を持つウマ娘。

成績は最低限に収め授業はサボる、トレーニングはしない、選抜レースなども気紛れで出る出ないを決めるなどの問題児。

自分のラボを持ち(勝手に空き教室を使っているだけだが)肉体改造の為の実験や製薬を行なっている。しかしその脚は天賦の才であり、走りさえすれば圧倒的な実力を魅せる。

 

普段の行いとドーピングしてるのではないかなどと言う悪評が原因で学園を追い出されようとしていたタキオンを、妹であり私の担当でもあるデジタルの懇願もあり自分の担当として迎え入れたのが少し前。

 

未だに行動の理由を教えてくれないが___デジタルも知ってはいるようだが、姉が話すのを待ちたいと言われたのもあり、根気よく見ていこうと思ってやっていた。

ここ最近の私は、トレーニングに来ていないと何処で何をやっているか不安になる為監視の意味も込めてまずタキオンのラボに向かうのが習慣となりつつあった。

 

 

→タキオンいるー?

 

「やぁモルモット君。お疲れ様だ。それと、少し声は抑えてくれ。デジタル君が寝ているのでね。」

 

そう言うタキオンの膝にはデジタルの頭が乗っている。

いわゆる膝枕というやつだろう。

どうやら今日は姉妹でおサボりの日らしい。まぁここ最近はタキオンもトレーニングに来てくれていたし、偶には良いだろう。

 

→タキオンは本当にデジタルの事、好きだよね。

 

「うん?あぁ。そりゃあそうだろうとも。私の可愛い妹だぞ?」

「いやしかし好きと言うのは少し違うな。」

 

→そうなの?

 

「あぁ、そうだな…。私はこの子の事を愛している。姉妹愛と言えば聞こえは良くなるが、うん。私は彼女に依存しているとも。それもかなり深く、ね。」

 

タキオンの膝枕で、穏やかな顔ですやすやと眠るデジタルを見ながらタキオンは言葉を続ける。

 

「うちの家族は極度の放任主義でね。家族の愛情という物を知らずにいた私にとってこの子は劇薬だったさ。『アグネス家』でも、『ウマ娘』としてでもなく『私』という存在を無条件で好いてくれる存在。私を拠り所にしてた、なんて言っていたこともあったが全くの逆だよ。」

 

「『姉より優れた妹なんていない』などと言う輩もいると聞いたがそんなことは断じてないさ。この子は私なんかよりもよっぽど優れているんだから。」

 

「人を見る観察眼、柔軟な発想力、どんなコースをも走る脚力、夢にかける情熱に簡単には曲がらない信念。何よりも……人の夢、人の想いを笑わない優しさ___」

 

「本当、私なんかには勿体ない妹だよ。」

 

外から差し込んできた陽がカーテンを通して暖かな光を部屋に運ぶ。デジタルの頭を撫でるタキオンは、彼女らしい、優しさと暖かさを含んだ眼差しで。

 

「トレーナー君。」

「私は妹に依存している。溺れていると言ってもいいだろう。それは自覚しているし、周りからどう見られているかも知っているさ。私は、全てを承知の上で沈んでいる。溺れている。………そんな顔をするな。溺れはしても、溶けることはしないさ。そのラインは弁えている…そのつもりだよ。」

「ただ、もし私が取り替えしの付かない所に行こうとしていたら___或いは…。」

「もしその時が来たら、デジタル君を__私のたった一人の家族をお願いします。」

 

→タキオン…

 

いつになく真剣な目で私に頼みかける彼女はどこか消えてしまいそうなほどか弱く、儚く。

 

 

「あぁ待て。待ちたまえよトレーナー君。今から面白いものが観れるだろうからさ。」

 

→面白いもの?

 

タキオンは未だぐっすりと眠っているデジタルに顔を近づけて____

 

「愛しているとも。私の唯一の家族、私だけの大切な妹君」

 

眠る横顔、その頬にそっと唇を落とした。

 

→ …………へ?

 

あっけに取られる自分を尻目に再度口を近づけるタキオン。

しかしその右手はデジタルのウマ尻尾をついついと指差している。

釣られて見てみると……デジタルの尻尾はピクピクと痙攣していた。

まるで尻尾の反応を無理やり抑えてるかのような……

 

→もしかして…!

今度はデジタルのウマ耳へと視線を向ければ、こちらもピクピクと震えていた。

 

「ふふふ…。好きだよ、デジタル。」

今度は顔を耳の方まで持っていき囁くタキオン。

あからさまにビクッと跳ねるデジタルの耳尻尾。

 

→(これって……)

 

「ふふふ。『姉より優れた妹などいない』。私なりに言い換えるなら、『妹の事について姉より優れた者などいない』とでも言おうかな? そぅら、これでチェックメイトさ。」

 

ふーー

「ひょわはわぁぁううあぁぁぁ⁉︎⁉︎⁉︎」

「良く眠れたかい?デジタル君。」

「あうあうああうあうううあぁぁ~…」

 

 

→やっぱり狸寝入りだったのかー…

 

「では目も覚めたようだし、盗み聞きするような悪い子にはお仕置きをしないとねぇ…?」

「ひえっ…お、お仕置き…?」

「ああ。今日一日私の実験に付き合ってもらおうじゃないか。覚悟したまえよデジタル君?」

「ごごごごめんなさいお姉ちゃん~~⁉」

 

 

→あれ、タキオン今日の実験って

 

「静かに。トレーナー君? 秘すれば花なり、というやつだよ。」

「えっ、えっ、なに。なんなの。デジたんなにされるの⁉⁉」

 

 

 

……あー、ごゆっくり~

 

「ふふふふふ…。それでは早速、実験と行こうか!」

「ひにゃあぁぁぁ~~~!?!?!?」

 

 

 

次の日タキオンはつやつや(絶好調)してたしデジたんはむっはー(絶好調)してた

 

 

 

 

 

*1
もっとも、学園のカプを見て鼻血出したりオルガしたり妄想したりすることを馴染んでいると言えればだが。




ウマぴょいはしてません(断言)


球磨猫のトレセン学園設定


中等部→実際の中学校相当
高等部→実際の高校+大学相当
なので最長10年間、大学2年時点からトゥインクルシリーズにデビュー義務。
全寮制、平均して1学年4~5クラスほど。
中学や高校にあたる節目に卒業することが可能。
中学→高校→大学に行くにつれて卒業や中退などをするウマ娘が増えるので実際のクラス数は少なくなっていく。
授業は高校大学はある程度共通していて単位制。中学のみ一般と変わらない。


だから会長は会長しててマルゼンさんは車を持つことができたんですね。





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トレ「最近タキオンが___」

とある方の企画に応募しようとして書き始めたはいいけど、いざ書き終えるとグレーラインかなと思ったのでこっちで供養。

恋心一切抱いていないタキオンに弄ばれて情緒ぶっ壊されたい



 

 

 

 

「最近タキオンがえっちぃ」

 

「アンタいきなり何言ってるわけ???」

 

 

 

 

あ、皆さんどうも初めまして。

アグネスタキオンのトレーナー(女性.2X歳)です。

メジロ家などと並ぶトレーナーの名家の長女として生まれて早二十数年。

無事に中央のトレーナー資格を取得し、このトレセン学園でトレーナーをやらせて頂いております。

学園に入った後はかの有名な『皇帝』シンボリルドルフを育て上げたトレーナーのチームへと、サブトレーナーとして下積み生活。そしてついに、とあるウマ娘をスカウトし1トレーナーとしての出発を初めました。

 

そこからはまぁ、聞くも涙語るも涙で友情努力勝利の三拍子な3年間を経て、無事にトゥインクルシリーズ3年間を走り抜け更にはURAファイナル優勝という栄冠を飾ることが出来た訳ですがそれはまた後の機会にでもお話いたしましょう。

 

 

 

さて私の担当ウマ娘、名をアグネスタキオンと言うウマ娘なのですがこれがまた少々個性的な子でして、かのメジロ家に並ぶ名門アグネス家に生まれながらその行動発言などによって異端児などと揶揄される事もある子なのです。

まぁトレーナーたる私から言わせて貰えば彼女のどこが異端児なのかと思うところですが。

 

確かに彼女は実験と称して私に妙な薬を飲ませて発光させたり、へんてこりんな機械の実験台にしたりとはしていますがそのどれも深刻な副作用などは無く、むしろ実験によって人間という身でありながら少しずつ彼女達ウマ娘に近づいていく様はなかなか興奮を覚えます。それに本当に危険な時はしっかりと助けてくれますし。

それにそもそもトレセンのウマ娘達が個性的な娘たちばかりなのだからこの程度今更なこと。

 

例えばメジロの御令嬢は熱心な野球ファンですし、皇帝な生徒会長は親父ギャグが好き、女帝な副会長は花壇の花々に気合いを注入し、葦毛の怪物と総大将が食堂の材料を平らげて、不沈艦が無人島サバイバル24時の中で法被を着て麦わら帽子を被りスキー板履いてシュノーケルを付けて浮き輪と釣り竿を持ってスカイダイビングを行う。

そんなトレセン学園の中で薬の治験など些細なことでしょうに。

 

というか最後に関しては本当に何がどうなったとしか言えませんしそれに何も言わずノリノリで付き合うトレーナーの方が大概でしょう。こちらは精々七色に発光するくらいだと言うのに。

 

それにそもそも彼女の根っこはとても良い娘でして。

彼女が行う実験という名の肉体改造はそもそも、彼女自身の脆く弱く繊細な、しかして才能溢れる脚を強くしウマ娘としての限界の向こう側を見るという計画に基づいたものであり、決して他者を害そうだとかドーピングだとか言う悪質なものでは無いのです。

 

 

 

とまぁここまでつらつらと語っている訳ですが、私ここ最近1つ悩み事がありまして。その悩みというのが私の担当であるアグネスタキオンとの事なので、それゆえ、このように私とタキオンとの関係性や彼女の人となりを申していたのでございます。

さてその悩みというのがですね。

 

「ここ最近のタキオンがえっちぃ。」

「2回言わなくても聞こえてるわよ。」

 

あ、話し相手の彼女はダイワスカーレットちゃん。(愛称スカーレット)

タキオンが唯一許可した、私のもう1人の担当ウマ娘です。

 

「だって本当の話なのよ?このままだと私どうなっちゃうか…」

「……ねぇトレーナー。まさかとは思うけど本当にそれだけの事で私を呼んだの? この休日の昼間に? わざわざ学園外のカフェまで???」

「うん。」

「わかった私帰るわねお金よろしく。」

「待って!?」

 

立ち上がり帰ろうとするスカーレットちゃんを慌てて捕まえ、無理やり椅子に座らせ「ちょっ、なんでアンタそんなに力強いのよ⁉︎」

「これが(タキオンの)実験の成果さ!」

「声真似のつもりなら全然似てないわよ‼」

 

「まぁまぁ落ち着きなよスカーレットちゃん。そうカッカしても目立つだけですよ。ここにはほかのお客さんもいますし。」

「そのお客さんのいる中でわけわからないこと吐いてる貴女がそれ言う⁉」

 

なんて文句言いながらちゃんと座ってくれるスカーレットちゃんは可愛いなぁ…。

とはいえ今回に関しては私は本気の本気、真剣な悩みなのだです。

下手したら私たちの将来に大きく関わってくるわけですから。

そのことをしっかりと伝えるとスカーレットちゃんは渋々といった表情を浮かべながらも話を聞いてくれるのでした。

 

「…で? いったい何が問題なのよ。そもそも! そんなタキオンさんが…その…え、えっちなんて初めて聞いたわよ⁉」///

「うん…実は……」

 

 

URAファイナルが終わってひと段落した頃にタキオンにデートに誘われたんです。

どうも宝塚記念を走り終えたころから感情のもたらす効果に関して研究してたみたいで。

それで水族館に行ったりショッピングモールを散策したり、イルミネーションを見に行ったりと。

で、その後日も実験は続いていてことあるごとにデートに行ったり実験といって色々試したり…。

 

それでも思った成果が出ないのか試行錯誤を繰り返してて、ここ最近は色んな本で知識を付けてきたらしく段々積極的になってきたんです。

 

それで………その……先々週にデートの時からタキオンがえっちくなってきてて…

 

 

「…それで?え、えっちってどんな風になのよ。」///

 

顔を赤らめながらも興味津々な目で、顔を近づけ声を潜めて聞いてくるスカーレットちゃん。やっぱりその・・・お年頃なんだなぁなんて思ったり。

 

「えっと……その時は…。」

「(;゚д゚)ゴクリ…」

 

「こ…」

「こ…?」

 

 

「こ、恋人繋ぎをしてきまひたぁ…

「( ゚д゚)!?!?」

「それで……その後…」

「その後!?」

腕を絡めてきて…ぎゅっ…て…

「(///△///)ぎゅぎゅぎゅぎゅーってぇ!?!?」

 

「あ、あと先週なんかは…」

「う、うん。先週は…?」

「ポッキー、って、お菓子があるでしょ?」

「えぇ、あのチョコのやつでしょ?」

「そう。それでね。ポッキーゲームとかいう遊びをやるって言ってきて…、その…ポッキーの端を咥えてたら反対側をタキオンが咥えたんだけど・・・。」

「それで?それで?」

「反対側でタキオンが食べ始めて、そのまま私に近づいて・・・・・・ちゅ、ちゅーをしようとしてきて…」///

「ちゅ、ちゅー!? それってキス・・・ってことよね・・・!?」

 

お互い真っ赤になり俯く2人。顔からは湯気が立ち上っていることだろう。

箱庭で蝶よ花よと育てられたせいで性教育に関してがさっぱりになってしまったトレーナーと、まだまだ中等部に入ったばかりで知識もなく、それでいて思春期真っ盛りともいえるダイワスカーレット。

この二人、恋愛話をするにはだいぶ純粋すぎた。

 

 

「それは……えっちよね。」

「でしょ…?」

「ちなみにちゅーはしたの?」

「ううん、流石に恥ずかしくなって・・・。」

 

 

「ンンッ。それでさ、どうすればいいかな…私。」

「どう・・・するって…。」

「だってこのままだと子供が出来ちゃうかもしれないし…」

「こここここ、子供ぉ!? な、何を急に言い出すのよアンタ!?」

「ちょ、スカーレットちゃん!しーっ!静かに!ここ他のお客さんもいるから!?」

 

「あ、そうよね・・・。ごめんなさいトレーナー。・・・でもなんで子供ができるの? だって子供って確か___」

「え、だって___」

 

 

 

 

「「子供って、好きな人とキスしたらできるんでしょ?(コウノトリさんが運んでくるのよね?)」」

 

 

 

「いや何を言ってるんだい君達は。」

 

 

 

「「ひょわあぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」」

 

はぁ、とため息を吐きながら横やりを入れてきたのはトレーナーの担当ウマ娘、アグネスタキオンである。

いつもの白衣は脱ぎ、私服に着替えている。

 

 

「タキオン!?なんでここにいるの!?」

「何故って君・・・そりゃあ私だって休みの日に街に出るくらいはするさ。そしたら君がスカーレット君と楽しげに談笑しているからねぇ。気になって覗きに来たんだが・・・」

「……どこから聞いてました?」

「あいにくさっきのとこだけだよ。それよりモルモット君ちょうどいいじゃないか。今から3人で感情の実験と行こうじゃないか!!」

「ちょ、今からなのタキオン!?」

「え、あ、わ、私はお邪魔ですよね!先帰ってますねっ!」

「あ、ちょ、スカーレットちゃぁん!? 一人にしないでぇ!!」

「さぁ!実験と行こうじゃないか!」

 

 

 

 

~~~~~その後の小噺~~~~~

 

 

 

「あぁデジタル君。えーっとどこにやったかな……。お礼のスカーレット君の写真だ。」

「ほひゅっ、あ、ありがとうございまひゅ!」

「あぁ、君のくれた資料は役に立ったからね。感謝するよ。」

「いえいえいえいえ、役に立ったのならデジたん何よりです!!」

 

「タキオンさん・・・それは…?」

「うん?おやカフェ君か。この雑誌、恋愛に関することが書いてあってね。感情の研究に役立つかなと思って借りてたんだ。」

「恋愛…ですか。誰か好きな人が・・・?」

「うん? ハハハハハ! いやまさか、私にそんなことがあるわけがないだろう?」

「えぇ…。でも最近タキオンさん、トレーナーさんと噂されてますけど…?」

「ほう?それは意外だね。」

「ちなみに…タキオンさんはどう、思ってるんですか…?」

「トレーナー君の事かい? まぁトレーナーとしてもモルモット君としても優秀ではあるし、何よりあの純粋な心でいながら狂気に染まっている矛盾性は好みではあるがね。」

「じゃあ…」

「何を期待しているかはわからないが…」

 

 

 

 

 

 

私も彼女も、同じ女性だよ?恋心なんて抱くわけがないじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




デジたん実装はよ



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タキオンとラボ


3日連続投稿とか初めてかもしれない。
今回は例のファンシーラボの真実?を。

UA数見たりここ好きや評価数みてニヤニヤしてますが、なんだかんだ面白かったですって感想が一番うれしいもんですね。
ただ皆さん面白い(上手い)感想をくださいますので、返信がなかなか難しい…。贅沢な悩みかもしれませんが。

感謝ッ!(o ̄∇ ̄)/


▷モルモットでも構わない!

 

「ククククク…。」

 

▷俺も、一緒に“果て”が見たい

▷俺に君を担当させてくれ!

 

「アッハハハハ!」

 

 

「あぁ、今日の事だというのに思い出すだけで笑いが出てくるよまったく。」

「本当にまさか、私にトレーナーが付くとはねぇ。そうなると、このラボとも長い付き合いになりそうじゃないか。」

 

 

トレセン学園の問題児の一人、アグネスタキオン。

度重なるサボりと実験と称した問題行動に学園側の堪忍袋の緒が切れ、今日までに担当トレーナーを見つけなければ退学とされていたところを、生徒会長の些細な策と1人の変人トレーナーによって救われたところであった。

 

今は寮の自室に戻り寝る準備をしている。同室のアグネスデジタルはウマ娘の写真集が出るだとかで密出国しているために、変な笑い声をあげても聞く者はいない。

 

「しかし、これで明日から忙しくなるねぇ。貴重なモルモットだ。先ずはどの試薬から試してみようか…。あぁどうせならラボの方で纏めてやって……ラボ…で……。」

 

 

 

「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!?!?」

 

 

(マズイマズイマズイアズイ! もう学園から追い出されると思ってたからラボ片付けてない!!)

 

このアグネスタキオン、学園内ではマッドなサイエンティストで通っているが女の子らしい所もある。例えば自分のラボに☆の飾り物を付けたり実験台に桜の模様を付けてたり機材が若干魔女っぽく揃えてあったり…。いわゆるファンシーラボなのだ。

 

「あのラボをモルモット君に見せる…見せるのか…。いや何を恥ずかしがることがある、あれくらい別に……別に……」

 

▷へ~、ここがタキオンのラボかぁ

▷意外と可愛らしいところもあるんだな!タキオン!

▷そこの君、知ってるかい?タキオンって結構可愛らしいところあるんだよ。ラボに―――

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!」

「ダメだ!こんなの絶対私のキャラじゃない!すぐに…今すぐに隠さなければ実験が出来なくなる!!」

 

「………仕方がない、明日明後日の実験は中止だ。それと、モルモット君をどうにかする方法を考えなくては…。」

 

 

 

 

―――次の日―――

 

 

 

「やあ、お目覚めかい!モルモッ……トレーナー君。」

▷!?

「落ち着きたまえ。ここは仮想空間。いわゆるVRだよ。~~~

 

(ふふふ…さすがに午前だけでは終わらなかったからね。本来は今後の予定を決めるはずだったんだろうが…。モルモット君、すまないが君には今日明日と動けなくなってもらうよ。)

(ついでに私もモルモット君での実験データが取れ、モルモット君は私の研究に対する理解を深めれる。まさに一石三鳥の計略!やはり私は天才だ!!)

 

 

~~~~~

 

 

「体に痛みは? 疲労度はどのくらいだい?」

▷今にも倒れそう

「おお!そうか!なるほど!それは面白いな!そうかそうか!」

(いよぉぉし!!!これなら今日明日は動けまい!!)

 

「面白い検証ができたよ。ありがとう。では、私はこれで___」

(ふぅ…アグネスタキオンはクールに去るとするよ。早く作業の続きを…)

 

▷ちょ、ちょっと待って!

「なんだい、私は忙しいんだよ。」

(まだ机の壁紙を張り終えてないんだよ。)

▷ミーティングの続きをしないと!

「……おや、気づいてしまったか。」

(バカあぁぁぁぁ!!気づくなぁぁ!!)

 

 

「ミーティングは明日に延期だ! たった今、予定ができてしまってね。」

(早く…早く…帰らせてくれ…っ。)

 

「明日ならば、行ければ行くよ。行けなければ行かないが。」

(まぁハナから行く気はないんだがねぇ!!)

 

▷絶対来てくれ!

(いよっしゃぁぁぁ!!!勝った!! 第三部、完ッ!!)

 

 

 

~~~その夜~~~

 

 

「ぐぬぬ…思ったよりも作業が進まなかった。とはいえ恐らく、モルモット君は明日後遺症で動けないはず…。いや待て、彼が特段体に強かったりしたら…?いやしかしデータから見るに……」

 

「一応明日、様子だけ見に行くか。その時にピンピンしていたら…まぁ実験と称していくつか薬を…」

 

 

 

~~~翌日~~~

 

 

(さて、ここがモルモット君の部屋なわけだが…吉と出るか凶と出るか…)

 

「お邪魔するよ、モルモット君。調子はどうだい?」

 

▷ _(:3 」∠)チーン

 

(よし!よし!これなら今日は動けまい!!勝った…! 計画通り…!)

(私の完璧なプランならば今日中には片付けが終わるはず!これで今夜も……くつろいで熟睡できるな)

 

 

~~~~~~

 

 

「ふぅ…。ひとまずこれで作業は終わりかな。」

「あとはこれ(吊り飾り)をどうするか……。まぁいいか。適当に箱に入れて放っておけばいいだろう。」

「よしよし、我ながらいい仕事をしたよ。これで私のメンツも保たれるというものだ。」

 

「さーて昨日取れたモルモット君のデータを___」

 

 

「タキオンさん…」

「うん?やぁカフェ、どうしたんだい?あぁもしかして薬の治験を自らしてくれに来たのかな?そういうことなら早く言ってくれれば……」

「いえ、もう授業始まりますので、先生に連れてくるよう言われました。」

「なんだ、そんなことか。まぁいい。今の私は気分がいいからね。大人しく出席しようじゃないか」

「………悪い薬でも飲みましたか?」

「その言い草は酷くないかい!?」

 

 

「…そういえばタキオンさん」

「うん?」

「あの飾り、しまっちゃったんですね。」

「あー……やむを得ない事情があってね。」

「そう……ですか…。少し気に入っていたのですが…

「??」

「いえ、授業が始まりますから。早く行きましょう。」

「おっと、置いていかないでくれよカフェ~!」

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~トゥインクルシリーズ中のどこか~~~~~

 

 

「あぁトレーナー君。もう少しで君に試して欲しい薬が完成するから、しばらく待っていてくれたまえ。」

▷わかった。椅子借りるよ

「~~~♪~~♪」

 

▷(機嫌いいなぁ。……うん?これは…?)

▷(星の吊り飾り…? 他にも色々ファンシーな小物が…)

「さぁトレーナー君!薬ができたぞ!! これは君の筋力…を……」

「…………」

▷タ、タキオン?

 

 

 

「ヤメロォォォォォ!!!」

 

 

▷タキオーーン!?!?!?

 

 

 

 

「お邪魔し……タキオンさんもトレーナーさんも、何やってるんですか…」

「カフェェェェェ!!!」

▷カフェ!!

 

トレーナー君を捕まえてくれ!!!(タキオンを止めて!!!)

 

 

 

 

 

この後タキオンが機嫌を直すのに2日かかったとかなんとか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





アオハル杯を友人枠3人引き連れて育成してるのですが、これではどっちが卑しいのか分かりませんね(^▽^;)
やがては友人枠6人で育成とかできるようになるんでしょうか。




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バイオトレセン

皆さんお久しぶりです。
TRPGしたりアオハルしたり人類最後の指揮官様として戦ってたりしておりました。

作者はぷわーーっと深く考えず書きなぐっていることが多いので「コイツ何書いてるんだろう…」ってなると思われる方が多いと思います(特に走れテイオーの方)
作者自身も後で読み返して「何書いてるんだろうコイツ…まぁええか。」ってなります。
そんな拙作ですが、よろしくお願いいたします。<(_ _)>


 

日本ウマ娘トレーニングセンター学園___通称、トレセン学園。

広大な敷地面積を持ち内部にウマ娘のトレーニングの為の様々な施設を持つこの学園は、学園の内外を強固な壁で仕切られている。

これは見目麗しいウマ娘が多く在籍する学園に不審者が侵入しない為であり、同時にそういった輩がウマ娘からの被害を防ぐために設置されている。

だがこの日、この壁は外から内への防壁ではなく内から外を防ぐための鳥籠として機能していたのだった…。

 

 

 

トレセン学園生徒会室。そこでは2人のウマ娘が憔悴した顔で窓の外を眺めていた。

すでに日も昇り切り、授業も終わった放課後だというのにそのグラウンドは異様なほど静かなものである。

 

「まったく、このままでは埒が空かんな。」

「かといって、下手に動けば餌食になるだけだろう。」

 

そう不穏な言葉を交わすのは生徒会の副会長である2人、エアグルーヴとナリタブライアンである。

この時間帯であれば生徒会業務を行っているであろうシンボリルドルフの姿は見えない。

 

「……そういえば、()()()()から連絡があった。」

「なに?そういうことは早く__」

()()のなかにイクノディクタスを発見したらしい。」

「! そう、か…やはり彼女は…。」

「………」

「彼女の勇敢な行動がなければ、被害は外部にまで広がっていた。この騒動が終わったら、礼を言わんとな。」

「あぁ。だが、未だにV()I()P()の居場所はわからん。いたずらに動かして被害を増やすわけにはいかないだろう。」

「外部からの連絡を待つしかない、か。」

「……見回りに行ってくる。」

「わかった。……気をつけろよ。」

 

 

部屋の外に出るブライアンを見送り、エアグルーヴは再び窓に目を移す。

外のグラウンドでは鮮血に染まった生徒や教職員が亡者のごとく蠢いていた。

否、彼らは今、ゾンビのようなものと成り果てこの学園を闊歩していたのだった__

 

 

 

~~~数時間ほど前~~~

 

 

当時、ナイスネイチャは同じチームカノープスのメンバーであるイクノティグタスと共にトレーニングに励んでいた。

中距離用トラックの外周を走り、一息つこうとした時。

先に異変に気が付いたのはネイチャのほうだった。

 

「あれ、あっちでなんか騒いでる?」

「? …おや、そのようですね。何かあったのでしょうか」

 

ネイチャの指さす方向を見れば何人かの生徒たちが叫びながら走っている___或いは、なにかから逃げているというべきか。

その奥からもウマ娘と何故か一般職員たちが駆けてくるが……どこか様子がおかしい。

そう観察している間にもその数はどんどんと増していき、ただ事ならぬ雰囲気を感じ取る二人。

と、逃げている生徒が足をもつらせすっ転んだ。

その子に対しウマ娘と職員たちは取り囲み___鮮血が舞った。

 

「え…?」

「な…!?」

 

逃げ遅れたその生徒は見るも無残に真っ赤に染まり…それから、フラフラと立ち上がり追う側に混ざる。

イクノとネイチャは最近見たばかりのゾンビパニック映画を思い出した。

まるで、あの光景と同じ___そう考えた二人の行動は早かった。

すぐさま校舎の方向に飛び出し、一目散に走る。

 

「ねぇねぇねぇ絶対アレやばいって!? マジで何なの何が起きてるの!?」

「ネイチャさん、後ろを振り向かないでください! こういうのは振り向いたら負けと相場が決まっていますので!」

「とりあえずどうすればいいかな!?」

「まずは安全な場所まで逃げましょう! その後ネイチャさんはトレーナーに連絡を__」

 

校舎内に、悲鳴が響いた。

数秒していくつかの窓や教室から奴らが現れ、次々と手近な生徒に襲い掛かっていく様子がうかがえる。

悲鳴があちこちで上がり、恐怖は伝染し、瞬く間に一階はパニックに陥っていた。

 

「くっ、もう既に入り込んでましたか。…ネイチャさん、私は放送室に向かいます。この事態を広く伝達しなければ。」

「なら、私も行くよ。イクノだけだと危ないよ。」

「いえ、ネイチャさんは正門のほうをお願いしていいですか。」

「正門?…あ、そっか!このままだと…」

「ええ、この事態が外に広がってしまえば、我々だけでは手に負えません。見たところ彼らはまだ、正門のほうには広がってないようですし。」

「わかった。イクノ、気を付けて。」

「ええ、ネイチャさんも、ご武運を。」

 

イクノは校舎に、ネイチャは正門に、それぞれ別れて走り出す。

これが、この日ナイスネイチャがイクノディクタスを見た最後だった。

この後ネイチャは守衛を説得し正門を完全に閉鎖することに成功。

奴らを避けて校舎へと向かう途上、イクノディクタスの全体放送を聞いたのだった。

その放送は繰り返し行われたが、扉が乱暴にこじ開けらる音が響いた後、ぱったりと途切れたのだった。

 

「ダメだ、誰とも連絡がつかない…。」

「生徒会の人たちならまだ生きてるかな…。とりあえず今は生存者を探さないと。」

 

 

 

 

――――時間は戻り、トレセン学園校舎内のとある教室――――

 

 

「ヴぅあぁぁぁぁぁ…」

「ヴおぉぉぉぉ…」

 

「「……………」」

 

「あぁぁぁぁ………」

 

 

「……行きましたわね。」

 

教室のロッカーに隠れている2人のウマ娘、メジロマックイーンとトウカイテイオー。

彼女らもまた生徒会室を目指し校舎内を逃走していた。

 

「はぁぁ…もうやだぁ…。そもそもなんなのさアイツ等!何が起きてるんだよー!」

「静かにしてくださいテイオー。また奴らが戻って来てしまいますわ。」

「うぐっ、でもさぁ…」ナミダメ

「そんなの私にもわかりませんわよ…。気が付いたらこの様な惨状になっていたのですから。…イクノさんの放送が無ければどうなっていたか。」

「でもどうするのさ?ここから生徒会室は反対側だし、廊下には奴らがいっぱいいるよ?」

 

「………やむを得ません。ここはメジロ家に代々受け継がれる、最後の切り札を使いましょう。」

「最後の……切り札……?」

 

ええ、と頷くマックイーンの顔はいつになく深刻で、悲しみの混じった表情を浮かべていた。

 

「……テイオー。この秘伝を使ってしまえば私は、あちら側に行ってしまい今の私には戻れないでしょう。」

 

コレを使ってしまえば自分は自分でなくなってしまう。最悪メジロ家も終わってしまうかもしれない。そんな劇物なのだ。とテイオーに語るマックイーン。

だが、そうだとしても、戦友を、親友を護りたかった。

「私に何があっても、貴方だけは変わらず友としていてくれると信じますわ、テイオー。」

「マックイーン……」

「ふふ、別に死ぬわけではありませんわ。生まれ変わるだけです。新しい私に。」

 

意を決した表情で懐から取り出したのは___

 

「ってそれってスト□ングゼロじゃんマックイーン!?!?!?」

「いいえ!これがメジロ家に代々伝わる秘伝のエナジー、スト□ング・ゼネラル・キャロット。略してストゼ□ですわ!!」

「ストゼ□って言っちゃってるーー!?!?!?」

 

プシュ!(プルタブを開ける音)

ゴキュッゴキュッゴキュッモキュッ

プハーーッ!!

 

「ふぅ…」

「えぇ……」ドンビキ

 

スチャッ(鉢巻締める音)

チャキッ(メガホン吊り下げる音)

シュッ(法被を着る音)

チャッ(ユタカのサイン入りバットを構える音)

デェェェェェェェェェェェェェェェェン(例のアレ)

 

「どっから出てきたのさそれぇ!?!?」

「メジロ108神脚奥義が一つ、亜空間放穴斗(ポケット)ですわ!!」

 

鉢巻には「I Love Yutaka」、法被には「We Love Yutaka」、そしてサイン入りバットと、どこに出しても恥ずかしくない*1新生マックイーンがここに「爆誕っ!」したのだった!

 

「さぁ!行きますわよテイオー!目指すはトレセンの星。唯一抜きん出て並ぶ者なし! トップをねらえですわー!!」

「ちょ、急に走らないでよマックイーン!!」

 

ブゥオオォォォォ…と唸り声を上げる奴らの群れ、マックイーンはその一団に目掛けて突っ込むとバットを振りかざし

「かっ飛ばせーですわーー!!」

掛け声1つ上げながら奴らをボーリングのピンの様に吹き飛ばし蹴散らしていく。

「粉☆砕!玉☆砕!大☆喝☆采ですわー!」

「もう訳が分かんないよ…って待ってよマックイーン!!」

 

メジロの前に道は無し、メジロの後に道はある。

真っ赤に体を染めながら脇に倒れ伏す奴らを尻目に女王は一人優雅に歩くのであった。

 

「私の名前を呼んでみやがれですわー!!」

 

 

 

―――それからしばらく―――

 

その後マックイーン(とオマケのテイオー)は敵を蹴散らしながら生徒会室へと到達。

無事に生徒会に保護されることとなる。

 

「ねぇマックイーン、結局あのスト〇ロはなんなのさ、一体君に何が起きたの?」

「アレは飲んだ者を濃縮ストロングな人参エキスでハイにする効果がありますの。普通の人が飲めば酔っ払うだけですが、メジロの血を受け継ぐ者が飲むと……」

「飲むと…」

「飲むと……」

 

「在り方がボケ役になってしまうんです!!」

 

「(´・ω・`)……?」

「そう!普段なら優雅にして華麗なるメジロ家の令嬢をツッコミからボケに変えてしまうという副作用があるのです……なんて恐ろしい子っ!!」ガーン

「最も、そのギャグ補正のおかげで生徒の皆さんを傷つけずに無力化できるのですが。」

「………ねぇマックイーン。」

「なんですの?私の威光に目を焼かれひれ伏したくな」

 

「マックイーンって普段からボケ役だよね?」

「Why!?」

 

「だっていっつもダイエット我慢できてないし…」

「あ、あれはケーキが誘惑してくるのが悪いのですわ!」

「いっつもパクパクですわー!って言いながら食べてたじゃん。我慢する素振りも無く。」

「ウグッ」

「合宿で寝てる時突然、『かっ飛ばせー!』とか叫んで起きるし。」

「ゴフッ」

「この前はバナナのたたき売りみたいなことしてなかったっけ?」

「カハァッ」

「正直、ツッコミ役になってるのってゴルシがいる時くらいじゃない…?」

「アブラカタブラッ」 K.O!パーフェクッ

 

 

「……お前たち、何をやっている。」

「あ、エアグルーブさん!」

「エアグルーヴだマックイーン。貴様、本当に何があった…?」

「あはは…聞かない方がいいよエアグルーヴ…エや下になるから…」

「エや下…?まぁいいテイオー、わかった。」

 

「それより、お前たちに頼みがある。本当は我々が動かないとダメなのだが…。」

「「頼みたいこと(ですか)?」」

「あぁ、実は_____」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<?????>

 

 

 

 

「あぁクソ、なんで俺がこんなことに巻き込まれなきゃいけねぇンだよ。」

「あっはっはー、うちのタキオンがごめんねー?」

「クソが、しかも当の本人はダメになっちまってるし…。というか、ラボ直轄の地下シェルターだァ、よくこんな場所知ってるな」

「いつかやらかすと思ってたからね!」

「トレーナーなら事前に止めやがれ!!」

「私如きが止められるとでも!!」

「クソが!!」

 

 

「まぁまぁまぁ、解毒薬のサンプルは確保してるから何とかなるって!」

「……まずこんなとこに救助が来るのか?俺たち動けねェんだぞ?」

「さっき生徒会と繋がってね。救援寄こすって言われたから大丈夫だ、問題ない。」

「その言い方余計に不安になるわ!!」

「あっはははははー!」

 

 

日本ウマ娘トレーニングセンター学園___通称、トレセン学園。

広大な敷地面積を持ち内部にウマ娘のトレーニングの為の様々な施設を持つこの学園は、学園の内外を強固な壁で仕切られている。

 

 

「それにしても、まさかこんなことになるとはねぇ…」

「全くだ。いったい何をどうやったらンなことになるんだ?」

 

これは見目麗しいウマ娘が多く在籍する学園に不審者が侵入しない為であり、同時にそういった輩がウマ娘からの被害を防ぐために設置されている。

 

「「VIPの救出(ですか)?」」

「あぁ、先ほど連絡があってな。それをお前たちに頼みたい。」

 

 

だがこの日、この壁は外から内への防壁ではなく内から外を防ぐための鳥籠として機能していたのだった…。

 

「ひっ、い、嫌…来ないで…来ないでよぉ…!?」

「「「「ト…」」」」

「ひぅっ!?」

 

今、この学園では鮮血に染まった生徒や教職員がゾンビのようなものと成り果てこの学園を闊歩しているのだった。

 

「「「「トウトイィィィ!!!!」」」」

「嫌ぁぁぁぁ!?!?!?」

 

 

「まーさかアグネスデジタルのDNAからこんな劇物が生まれるとはねぇ…」

「唾液と鼻血で感染し、発症するとウマ娘に対し興奮を覚え襲い掛かる、だっけか?アホらしい…」

「そうみたいだねぇ。攻撃方法は2種類。組み付いてのペロペロか、興奮による鼻血ブシャーか。どっちにせよ見た目が酷いことになるからゾンビと勘違いされそう。」

「ゴールドシップとアグネスタキオン、問題児どもの化学反応ってか?ロジカルじゃねぇ…」

「しかもそれが原因でトレセン学園、ひいては府中、日本のピンチだ!もしバレたら世界から笑いものにされるだろうねぇ!!あっはっは!」

 

 

 

トレセン学園の明日はどっちだ!

メジロマックイーンとトウカイテイオーの勇気と友情とギャグ補正が世界を救うと信じて!

アグネスデジタル先生の次回作にご期待ください。

 

 

 

 

 

 

*1
諸説あり




アオハル杯でデジたんが走って「アッ無理尊い…」ってなりました。
皆さんの推しは走りましたでしょうか?
推しには早く実装してほしいと思う反面、推しが全員実装されたらモチベ続くかなと実装してほしくない気持ちがあって争っておりまする。
デジたんとコミケに生きたい人生だった…


いい加減ネタストックを消化したいでござる(´・ω・`)


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20xx年大晦日~元旦放送、逃げシスの無人島0円生活!ダイジェスト版

この世界の逃げシスはぶるんぼん、ススズ、ファル子☆の3人グループです。

皆さんはデジタル引けましたでしょうか。
自分は自前70連で来なかったので1万課金したら最初の10連で来てくれました。
ただデジたんの語彙力がヤヴェことが判明したので書くのが難しい…。

後はカフェ、師匠、ロブロイ、カワカミ、マーベラス、フェスタ…まだまだ遠いですね。
実装組だとウンスとフラッシュが欲しいです。




 

 

さぁ今年もやってまいりました年末年始特別企画、『逃げシスの無人島0円生活!!』*1

トレセン学園の非公式ウマドルグループ『逃げ切り!シスターズ』が無人島で2泊3日を0円で生活するというこの番組。

皆様からの好評もあり今回で第7回となりました!

さて、今年の対戦相手であるゲストチームは………なんと同じウマドルグループ!?

 

あの黄金世代の名ウマ娘、スペシャルウィーク、グラスワンダー、キングヘイローの3人による新ウマドルグループ『Jumping‼︎』!

最近テレビ、ラジオ、イベントでも話題となるこの3人が、人生初の無人島生活に挑む!!

 

 

そして今年はUmatubeにて両チームの無人島生活の様子をノーカット版で放送!!

解説には逃げシス、Jumping‼︎の皆さんに加え、ゴールドシップのトレーナーさんをお呼びしました!!

 

 

今年も笑いあり涙ありの『逃げシスの無人島0円生活』、お楽しみに!!

 

 

 

 

無人島0円生活1日目

明朝、5時30分

 

「おふぁようございます~~」

「おはようございます。」

「おはようございます、皆さん。ところでなんのロケなんですか?」

 

上から順に逃げシスのスマートファルコン、ミホノブルボン、サイレンススズカである。

なおスマートファルコン、ミホノブルボンはこれが無人島0円生活のロケだと知っているが、サイレンススズカには知らせていない。

 

 

▷今日は無人島でのロケになります。

「無人島………あれ?」

「…………w」

「これで7回目のロケですね。」

「あっあっあっ待って待って聞いてない何も聞いてないんだけど…*2

「スズカちゃん、逃げちゃだめだよ?」右腕ガシッ

「………スズカさんのその天然なところ、私は好きですよ。」左腕ガシッ

「ああぁぁ~~~……」

そのまま引きずられ船まで乗せられるスズカ。荷物は事前に船に積み込まれており、もう船に乗り込むだけである。

 

 

「嘘でしょ…」

 

 

 

 

 

一方こちらは『Jumping‼︎』チーム。

こちらも同じく明朝5時半での集合だった。

「あ、皆さんおはようございます!!」

「おはよう。ついにこの日がやってきてしまったわね…」

「ええ、おはようございます~。無人島なんて初めてなので、ちょっとわくわくしています。」

 

上からスペシャルウィーク、キングヘイロー、グラスワンダーの3人である…のだが。

 

▷あの、グラスワンダーさん…?

「はい?なんでしょうか?」

▷その薙刀は……

「あぁこれですか? せっかくなんで現役時代のを引っ張り出してきたんですよ。」

▷あぁ~。ですがその、すいません。番組の趣旨として持ち込みはちょっと…

「………ダメですか…?」

▷ダメですね

「……………」

▷すいませんが…。あの、ロケの間はこちらで丁重に預からせていただきますので…。

「………ダメ、ですか?」

「こらっ、スタッフさん困らせたらダメでしょ?大人しく預けなさいなグラスさん。」頭ぺしっ

「………わかり……ました…。くっ」

▷すいませんキングさん。ありがとうございます。薙刀はロケが終わり次第すぐにお返ししますので…。

 

「あはは…。んんっ、それじゃあキングちゃん、グラスちゃん、一緒に頑張ろうね!!」

「はい~。お任せください。」

「えぇ!このキングについてきなさい!!」

 

 

 

 

 

~~~~~~以下ダイジェスト~~~~~~~

 

 

「おおー、ここが今回の無人島だねっ!! 森が生い茂ってて色々ありそう! ファル子、頑張っちゃうよ!!」

「とりあえず、寝る場所を探しましょう?」

「オーダー、寝床の捜索を受理しました。ミッションを開始します。」

 

 

「む……。きゅぴんと感じました。ブルボンアイッ!!

「で、出たー!! エイシンフラッシュちゃんとマチカネフクキタルちゃんの協力によって生まれた必殺武器、ブルボンアイだーっ!!」

「なんでいつも解説風なの…?」

「推定、五畳分のスペースを確認。比較的風通しもよく昆虫の類も少なめ、また地面の凹凸も少ないと予想されます。寝床の条件としては十分かと。」

「よーし!じゃあけってーい!!」

「ネタに見えるけど実際に外れたことがないのよね…ブルボンアイ。私もなにか身に着けてみようかしら。」

「えー?スズカちゃんはほら、あれがあるじゃん!」

「そうですよ。スズカさんにも立派な武器があります。」

「え?そうだったかしら…。」

 

 

「「いちご大福!!」」

「やめてっ!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、ここが今日から暮らす無人島?あの島に比べて結構しっかりしてるわね。」

「あれ?キングちゃん無人島に行ったことあるの?」

「………あー、えぇ、まぁ。ちょっと色々あったのよ…。*3

「とりあえずはまず寝床を探しましょうか~。」

「確かに、寝る場所は大事ね。」

「お家も自分たちで作らないといけないんだっけ?」

「そうですね。場所を決めたら家作りに入りましょうか。私が建築するので、お二人は材料を集めてください。」

「はーい! グラスちゃんって確か資格持ってるんだっけ?」

「えぇ、一級建築士と木造建築史のですが。あと一昨年のロケでお会いした宮大工の親方の下で修業もさせていただいてるので、宮大工としての技術もある程度は~。」

「相変わらずのオールラウンダーね…」

 

 

 

 

 

「ふえぇ…ずっと作業してて手が痛いぃ…。」

「もう少しで完成ですから、我慢してくださいファル子さん。」

「ふぅ、ただいま、二人とも。」

「あ!スズカちゃんお帰り。素潜りお疲れ様。」

「お湯は沸かしてありますので、手伝います。」

「あ、ファル子が手伝う!!」

「じゃあお願いね。」

 

 

~~~~~

 

 

「疲れてるだろうしスズカちゃんは休んでていいよ!私は夕ご飯の準備するね!」

「ありがと。結構色々取れたから今日と明日の朝ごはん分はあると思うわ。」

「ブルボンデータベースによれば、回を重ねるごとに漁獲量は上昇しています。毎年上達しているのがわかりますね。いつもありがとうございます。」

「本当だよ~。スズカちゃんがいなかったらきっとゾンビみたいになっちゃってるもん。」

「そんなことないわよ、二人とも努力家だし何回か経験すれば上手くなるわ。」

「うーん…。でも、私とブルボンちゃんじゃ素潜り出来ないよ?」

「?それはなぜ……あぁ、なるほど。」

「???」

「だって…ねぇ。」

「えぇ。」

 

「「そのウェットスーツ、私たちでは着れないもん(着れませんから)」」

「?? そんなこと………」

 

ぶるんぼん>>>スマート>>絶壁

 

「………二人とも、キャッチ&リリースって言葉知ってる?」

「「誠に申し訳ございませんでしたっ!」」

 

 

 

 

 

 

「さて、素潜り用の装備があるわけだけど…誰が行くかしら?」

「流石に私も、漁業関係やダイビング関係の資格は持っていませんね。」

「じゃあ私がやるべ!一応家にいた時もやってたし、なんとかなると思う!」

 

「「北海道で素潜り!?!?」」

「え……?そんな驚くことかな…?」

「いや、だってねぇ…。あの試される大地でしょ?」

「ええ……さすがに私もあの海で素潜りは…」

「えぇ~…意外と大丈夫だよ?私たちみたいな北海道で育ったウマ娘の子しかできないけど。」

「その時点で大概じゃないの。」

「……あ、でもキングさんやキングさんや」

「なんだいグラスさんや」

「こちらに御座すはマルゼンスキーさんと一緒に水着でターフを走ったスペシャルウィークさんですよ?」

「……あったわねそんなことも。まぁ、なら大丈夫かしら…」

「ちょっと二人とも~~!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無人島生活も、今日が最終日でーす!」

「パチパチパチ」

「いえーい」

 

「てわけで毎回恒例の無人島ライブの準備、やっていくよっ!」

「「はーい」」

 

 

「じゃーん!貝殻を散りばめたドレス!! こんな感じでどうかな?」

「ふふ、ファルコンさんらしくていいと思うわ。」

「ええ、よく似合っていますよ。」

「にへへ~。2人はどんな感じ?」

「私はこれね。森の中にお花が結構咲いていたから、染めてみたの。」

「おおー!うんうん、スズカちゃんらしい衣装だね!これもウマドルだねっ!」

「ありがと。ブルボンさんは?」

「私はこちらです。じゃじゃーん。」

「えーと…これは…?」

ひのきのぼう(攻撃力2)おなべのふた(守備力2)、そしてぬののふく(守備力4)です ( -`ω-)」

「「…………」」

 

「……ステータス、【すべり】を検知。スリープモードに移行します。」

「あぁもうほら、今から一緒に作りましょう?」

「あはは…」

 

 

 

 

 

 

「うーん、お魚も野草も美味しいですけどやっぱりお米が欲しくなりますね~。」

「ね~。これだけ美味しいんだからきっとご飯に合うと思います!」

「さすがに無人島にお米はないわよ。」

▷お米、食べたいですか?

「あ、スタッフさん。お米あるんですか?」

▷実はチネリ米*4という小麦粉で作る、お米の代わりになるものがありまして。

「チネリ米…変わった名前ね。」

「なるほど、小麦粉で作るんですね。」

「これならごはんが食べれるんですね!」

「ふーん…なら、私がやるわ。2人はライブの準備してくれるかしら?」

「わかりました~。でも、手伝えることがあれば教えてくださいね?」

「じゃあ楽しみにしてるね!キングちゃん!」

 

「えぇ!この一流のキングが、一流のチネリ米を食べさせてあげるわ!!」

 

 

「それで、どうやって作るのかしら?」

▷まず小麦粉を捏ねます。

「ふむふむ。」

 

~~~キング小麦粉捏ね中~~~

 

「ふぅ…。これくらいでいいかしら?」

▷たぶん大丈夫ですね。

「それで、ここからどうするのかしら。」

▷捏ねた小麦粉を米粒の形にちねる…えー、つねって形を米粒に整えて完成です。

「……これを…つねって…?」

「……なるほど、まぁ、やってみましょうか。」

 

 

 

~~~キングちねり中~ 1時間経過~~

 

「……ふぅ…。だいぶできたんじゃないかしら…。」

「……まだ3分の1も行ってないの…?」

「………」

 

 

 

~~~キングちねり中~ 2時間経過~~

 

「………」

「キングちゃん、大丈夫ですか…?」

「……えぇ、大丈夫よ。キングに二言はないわ。一流のチネリ米、楽しみに待っていなさい。」

 

 

~~~キングちねり中~ 3時間経過~~

 

「………ひとまず二つ分終わったけど、これ足りるかしら…?」

「………念のためにもう一個やっておきましょう。小麦粉もまだあるみたいだし。」

 

 

~~~キングちねり中~ 5時間半経過~~

 

「………」

「………」

「………」

「………」

「………」

 

 

~~~キングちねり中~ 6時間経過~~

 

 

「お、終わった…わよ。」ガクリ

「キ、キングちゃ~~ん!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~両チーム、無事港に帰港~~~~~

 

 

スペ「うーーーーーん!帰ってきたぁ!!

グラス「3日ぶりですが、とても長い間離れていた気持ちですね~」

キング「(:3 」∠)チーン」

 

ファル「みんな~~!ただいま~~」

スズ「ふぅ…。なんだかんだ、楽しかったわね。」

ブル「えぇ、ステータス【達成感】を検知。とても満足した気分です。」

 

「それじゃあ、スタッフさんも、皆も。三日間___」

 

「「「「「お疲れ様でしたーー!!」」」」」   キング「オツカレサマデシタ…」

 

スペ「あはは、キングちゃんお疲れ様…。チネリ米美味しかったよ?」

グラス「えぇ、キングちゃんのおかげでとても美味しいご飯でした。」

キング「そう言ってくれるなら報われたけど……もうチネリたくないわね…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ番組の最後に…一曲やろっか☆」

「はい!私たちJumping‼︎と」

「逃げ切りシスターズで!」

 

「「「「「「うまぴょい伝説です、どうぞ!! 」」」」」」

 

 

 

 

*1
元はよ〇この無人島0円生活この世界では『よいこ』の二人は年齢を理由に、番組を逃げシスに譲っている。

*2
またしても何も知らないサイレンススズカさん(2X)

*3
キングヘイローパワーSSR,今宵、円舞曲にのせて イベント1段階目「魅惑の招待状」選択肢下より。

舞踏会へと招待されたキングは、究極の衣装を作るために旅に出る。

その途上、名うての仕立て屋を求め船をチャーターしたキングヘイローは船長のジョークにより無人島に連れていかれる。ちなみに完成した、『細部までこだわった究極の衣装』は『いつもの勝負服』と何が違うのか分からないらしい。

*4
ちなみにチネリ米自体があの二人が生み出したものらしい。






デジたん「推し活は やることちゃんと やってから」
自分「グハァッ!?(致命傷)」

1日1回、感謝のデジたん育成してますがマイルCS後のG1で1着を3回が意外とキツイ。
というか脳死トレーニングですっぽかして「あっ…」てなります。

でもデジたんは本当にかわいいね。
皆も引いて推そう!!


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モブ子s 「「なんで二人は付き合ってないんですか?」」

デジたんに石を溶かす
→カワカミプリンセス実装
→爆死天井
→カフェ実装の噂が流れる
→発狂(今ここ)

次のガチャで(というか暫くのガチャで)カフェが来たらお財布が死ぬ。

お"の"れ"サ"イ"ケ"!!




ある日のトレセン学園、放課後。

とあるチームの部室で

 

「トレーナーってタキオン先生と付き合ってるんですか?」

 

 

或いは教室で

「タキオン先生って○○トレーナーと付き合ってるんですか?」

 

 

 

「「付き合ってるって…俺とタキオンが?(私とモルモット君がかい?)」」

「「そうです!」」

 

 

「「…………ははっ、あははははは!!!!」」

「ちょっと、なんで笑うんですか~」

「いやー…だってねぇ。」

「私とモルモット君が付き合ってるなんて言うからだよ。」

 

「「(アイツ)と恋人とか夫婦とか、絶対あり得ない」」

 

 

 

「ええ~~??? だってお二人、よく一緒にいるじゃないですか。」

「「まぁ俺は(彼は)タキオンの(私の)モルモットだし。」」

 

 

「トレーナーさん、毎日タキオン先生にお弁当持って行ってますよね。」

「アイツ、俺が作らないと実験の回数増やしてくるからなぁ。」

 

「タキオン先生が実験する相手、あの人しかいないじゃないですか。」

「そりゃあ彼はそのためにいるんだからねぇ。流石に生徒で実験しては怒られるさ。」

 

「トレーナーさん、タキオン先生と一緒の家に住んでるんですよね?」

「アイツ家事力皆無だからな。誰かが見なかったら1週間で部屋がしっちゃかめっちゃかだぞ。」

 

「この前タキオン先生が○○トレーナーさんとデートしてたところ見ましたよ!」

「この前というと…あぁ、レース場の熱気がもたらす感情の効果を計測に行った時のことかな?あれはなかなか面白いデータが取れたよ。」

 

「クリスマスにお正月にバレンタインも、タキオン先生と一緒に過ごしてたじゃないですか。」

「あれは一緒に過ごすっていうより、無理やり押しかけられたんだが…。」

「でも嫌じゃないんですよね?」

「まぁ担当になってもう7年の付き合いだし、慣れたからなぁ。」

 

「タキオン先生、○○トレーナーと二人っきりになるとめちゃくちゃ甘えてるって噂聞きましたけど!」

「私だって誰かに甘えたくなることくらいあるさ。」

「でもその相手が○○トレーナーってことはやっぱり気があるんじゃないですか!?」

「彼は私のことよくわかっているからね。色々ちょうどいいのさ。」

 

 

 

「なんでそんな関係で付き合ってないんですか!?」

「いやだからなんでタキオンと付き合わにゃならんのよ。」

 

「もしかして実は、もうウマぴょいまで済ませて…!?」

「いや別にしてないしする理由も何もないが。だってモルモット君だぞ?」

 

「「じゃあタキオン先生(○○トレーナー)の何が嫌なんですか…?」」

「「嫌って言うか…」」

 

「アイツ、元々自分の体を強くする為に実験してた筈なのに最近は光らせたり爆発させたりと面白がって薬作るし、弁当には逐一注文つけてくるし俺が何か忘れたりするとすぐ実験台にするし疲れたからとかいって俺に何でもやらせようとするし。この前なんか白髪限定で発光させる薬飲まされて『実験は成功だよモルモット君!!』だぞ? 絶対わざと作っただろアレほんと…。それにさぁ___」クドクドグチグチ

 

「彼とはもう7年ほどの付き合いになるけどねぇ…。未だに自分で片付けろだの紅茶に砂糖は2杯までだの規則正しい生活をしろといって実験中に煩く言うしねぇ。この前なんか、私が配分を間違えて教室で軽く爆発させてしまったことを学園長にチクったんだぞ!? 別にモルモット君以外の誰かに被害を出したわけでもないというのに! おかげであの後1週間ほどラボは差し押さえられたし、それに___」クドクドグチグチ

 

 

「「まぁ、そう言う訳だから彼(アイツ)と恋人だの夫婦だのっていう関係はあり得ないんだよ」」

 

 

「「えぇ…?(後半の方、愚痴じゃなくて惚気に聞こえたんだけど…?)」」

 

 

「そら、もうトレーニング行くぞ~」

「は~~い。」

 

 

「それより、そろそろトレーニングの時間じゃないのかい?」

「あっヤバっ!」

 

 

 

~~~~~~~~

 

「あぁタキオン、これこの前の2人のデータね。」

「おやトレーナー君。ふぅん、これはなかなか面白そうだ。」

「だろ?特にここの数値、以前のデータよりも大幅に増加傾向にある。」

「そうだねぇ、これは後で検証が必要だね。あぁはいこれ。よろしく頼むよ。」

「また実験か? 次は何の薬だよ…。」グビッ

「今の君用に調整した、普通の栄養剤だよ。最近疲れ気味だろう?」

「お前の薬が『普通の』薬なわけないだろ。」

「まったく酷いなぁ。そういうところだぞ君。まぁもちろん副作用があるわけだがね。」

「ホレ見ろ。 うわ、爪だけネイルみたいに光ってら…」

 

 

「……ん、トレーナー君。」

「3日前に出た論文ならそこの右の山、上から3番目だ。」

「あぁ、ありがとう。それと__」

「ほい、ホープフルステークスでのデータ。」

「助かる。」

 

「……なぁタキオン」

「彼女の脚質なら、中距離2200が限界だろうね。」

「だよなぁ…。やっぱクラシック3冠目指すなら要相談か。となると…」

「ほら、有馬記念出走者のデータだ。今年は差しの子が多いみたいだね。」

「助かる。このデータとなるといっそ、逃げるのも手か…?」

 

 

 

「なぁトレーナー君。今日の「夕飯はチキン南蛮な。」ほほう、それは楽しみだね。」

「トレーナー君、すまないが_「ほい、紅茶な。」あぁありがとう。」

「砂糖は三杯までだぞー。」

「むぅ…」

 

 

 

 

「「…………………」」

 

 

「「お前らはよ結婚しろ!!」」

 

 

 

「「コイツ(モルモット君)ととか絶対あり得ないから」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





モルモット君:タキオンの元担当。タキオンが引退してからもトレーナーを続けている。未だにタキオンの実験台生活。タキオンを異性としてみていないし見ることはない。手のかかる担当という認識。

アグネスタキオン:モルモット君の元担当ウマ娘。トゥインクルシリーズとドリームトロフィーリーグを走り終えた後は非常勤講師兼研究者としてトレセン学園に残っている。トレーナーのことはモルモット兼トレーナー兼お世話係であって異性としてみていない。モルモット君のチームのサブトレーナーポジでもある。

モブ子s:モルモット君の担当ウマ娘s。成績はそこそこ良い。タキオンとトレーナーの関係にやきもきしている。でもトレーナーに恋をすることはないだろう。


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ささやき‐ナイスネイチャ

なに、ジョジョ。

ダニーがネイチャはママ枠だって?自分は幼馴染枠だと思ってるから解釈不一致だって?
いいかいジョジョ。逆に考えるんだ。
幼馴染でもいいさと。
ネイチャんには無限の可能性があるんだ。彼女は幼馴染であり、母親であり、姉であり、小悪魔であり、サブヒロイン枠であり……。無限の可能性が、あるんだよ…。
なにジョジョ?
ネイチャは負けヒロインだって?

………なんだぁ、てめぇ?





やっほートレーナーさーん、ネイチャさんがお邪魔しますよー…っとぉ。

あー…やっぱり。

 

もー。トレーナーさん、何回言ってもトレーナー室のソファで寝るんだから。やれやれですな~。

 

 

しっかしぐっすり寝てるねえ。この前もこのソファで寝てたし…そのうち体壊すぞ~。

 

 

ってか、まーたお部屋片づけてないじゃん。

もー、いっつも言ってるのに変わらないんだからさぁ…。

まぁ普段から私のトレーニングとか考えてるから仕方ないのかもしれないけどさ。

……さって、トレーナーさんが寝てる間にパパっとお片付けしちゃいますか!

 

 

 

~~♪~~~♪ よいしょ、この机はこんなもんかな。

んでこっちは…うわ、これまた懐かしい漫画が…。アタシが生まれる前のやつじゃなかったっけ?

八百屋のおじちゃんとこに置いてあって読んでたの思い出しますなぁ。

………。

片付けてる時ってついついこういうの読んじゃうんだよねー。

 

 

…………………………

 

はっ!ととっ、いけないいけない。

こんな人を誘惑しちゃう漫画はしまっちゃいましょうねー。

しまっちゃいましょうねー…。

 

 

やっぱりもうちょっとだけ…。切りの良い所までだから…。

 

 

…………………………

 

~~♪~~~♪

 

こっちもこれで終わりかな。となると掃除機…は音がうるさいだろうし。

まぁトレーナーさんが起きたらでいっか。

 

んで今度はこっちの資料……あー…。

とりあえず纏めておけばいいかな。

 

ん?あ、これ図書室の…って、返却期限過ぎてるじゃん⁉︎ トレーナーさんだし、放って埋もれて分からなくなったなー?

 

 

代理返却しに行きますかー。やれやれ、ネイチャさんをタダ働きさせる悪ーいトレーナーさんには、コロッケでも奢って貰いませんとなぁー、なんちって。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

たっだいまー…って、まだ寝てるんですかそうですか。

 

図書室行ってすぐ帰ってきたとはいえまだすやすやとは、だいぶ疲れてるみたいだね。

 

アタシの為に頑張ってくれるのは嬉しいけど、それでトレーナーさんが倒れたらダメだぞー?

 

 

ま、アタシも休憩しますか。

トレーナーさーん、お隣失礼しますよー。

 

 

………こうやってトレーナーさんの顔じっくり見るの、初めてかも。

なんだかんだ整った顔立ちと言いますか…。

あ、まつげちょっと長いんだ。

 

………

 

ほっぺつついてもおきないかな。

ほれつんつん~っと。

 

あ、凄い。意外と柔らかい。ほれほれ~起きないならもっと突いちゃいますよ~。

ぷにぷに〜っと。

 

………

 

 

首筋をつつーっと……そのまま顎……ほっぺ……唇…結構ガサガサしてる…。

今度リップクリーム送った方がいいかな…。

鼻……目……おでこ……耳……。

 

耳たぶ……。あっ、ぴくってした…。もしかして耳弱い…?

 

 

………誰も来ない…よね…?

トレーナーさんの担当は私だけだし…。

 

……トレーナーさんもいつも頑張ってるし…。

偶には~……いよいしょ。

 

へへへ~膝枕~。おふくろによくやってもらったんだよね~。

 

髪の毛わしわし~っ……て、結構硬いんだね~。今度シャンプーのお勧め教えてあげようかな。

 

結構髪の毛絡まるし…。ちゃんと手入れしないとダメですよ〜。

 

 

 

はー……たまにはこうやってのんびりするのもいいですな~。

トレーナーさんが起きてたら「また年寄りっぽいこと言ってる」とか言ってくるのかな。多分言うよね。

 

 

まだ寝てるかぁ…。

えいえい、お耳弄ってやれ〜。

こしょこしょこしょ〜。ほれほれうりうり。

 

ふふっ、ピクピクしてる。トレーナーさんの弱点発見ですな?

 

 

 

ちょ、ちょっと魔が差しただけだからね?起きないトレーナーさんが悪いんだからね?

 

こうやって耳元に顔を近づけて……

 

トレーナーさーん、起きてるー?

早く起きないと、貴方のネイチャさんがトレーナーさんを食べちゃいますよー

 

なんてささやいてみたり。

ふ~~~…たくさん囁いて、息も吹きかけちゃうぞ~。

 

 

……待って、めっさはずい…自爆した…。

はーもー顔が熱いし…。本当にトレーナーさんが寝ててよかった。

 

……ま、まだ起きないよね?ここまでやって起きないってことはそうだよね??

 

あのね、トレーナーさん。私、トレーナーさんにはすっごい感謝してるんだ。

私がここまでこれたのもトレーナーさんのおかげだから、さ。

テイオーみたいなキラキラに憧れて、でも私じゃなれないからって達観した自分がいてさ。

諦めたいけど諦められなくって色々悩んでるときに、トレーナーさんがアタシを見つけてくれた。

私でもキラキラできるって。俺には君がキラキラ輝いているって、言ってくれて。

負けてばっかりだった私を励まして、ずっと傍にいてくれて、ここまで引っ張てきてくれた。

本当に…。本当にありがとうね。()()トレーナーさん。

 

 

・・・・・・・・・・あーーっ…本当に恥ずかしい…!

顔真っ赤だし、あっついし、そもそも囁いていうことじゃないし…。

 

もう、もう、もうっ!

これも全部無防備に寝てるトレーナーさんが悪いっ!よし!閉廷!

 

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

あ、あれ?トレーナさん……顔赤くない…?

耳も真っ赤…?

 

 

 

 

 

もしかして………実は起きてる……?

 

 

 

 

~~~~~っ!?!?!?

 

 

………

 

ねぇ、起きてる?起きてるんでしょ?

い、今なら怒らないからさ。本当は起きてるんでしょ!?!?

……そ、そっちがその気ならこっちもPrrrrrrr

「わっひゃあ!? …って、マヤノからかぁ…。ビックリしたぁ。」

 

「よい…しょ。代わりの枕…。あったあった。」

 

「トレーナーさん?後でしっかり聞かせてもらうからねっ!?」

 

 

「もしもーし、どうしたのマヤノ。」

『あ、ネイチャちゃん!! この前話してた限定スイーツ買えたんだー!一緒に食べよー?』

「お、マジ!? ちょっと待ってすぐ行く!アタシの分残しといてよ?」

『え~?ネイチャちゃんが早く来ないと~、マヤちん食べちゃうかも~。』

「ちょっ、それはずるい! 今どこにいんの?」

『食堂! 3分間だけ待ってあげる』

「おっけ、すぐ行く!」

『アイ・コピー!』

 

 

 

 

 

 

タッタッタッタッタ…

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

「行ったか……」ドアバタン

 

「……………」

 

 

 

「うあ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

「おい、いくらトレーナー室とはいえ喧し…」

ころしてころして…」

「本当に何があった…?」

 

 

 

 

 




この後めちゃくちゃ追求された。

ネイチャさんとトレーナーさんに恋心があるかはお任せします。
個人的にはお互い信頼関係だけだったり、トレーナー側にだけ恋心があるのが好き。ネイチャんに小悪魔ムーブで翻弄されたい人生だった。


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チームデネブの推し語り:マンハッタンカフェ

チームデネブメンバー:トレーナー、タキオン、カフェ、デジタル、ウオッカ、ダスカ

今回はウオスカお休みです。

カフェさん来ましたね。自分はデジたん80連→カワカミ天井の流れで石と財布が死にました。\(^o^)/オワタ

書けば10連でも出るってばっちゃが言ってた!(なお物欲センサー)





とある日の昼下がりのこと。授業が終わったマンハッタンカフェはこの日、ちょっとした用事__切らしたコーヒー豆の補充がありチームの部室に向かうのが遅れていた。

 

チームの部室へと近づくと中から話し声が聞こえてくる。どうやら自分以外のメンバーは集まっているようだが……

 

「まったく…。トレーナー君には失望したよ。」

「タキオンに言われたかねぇな。お前こそ見損なったぞ。」

 

と、何やら不穏な空気が漂っていることが扉越しに聞えてきた。アグネスタキオンとトレーナーが一種即発の様だ。

 

(お二人がここまで声を荒げるのは珍しいですね。いったい何を喧嘩して)

「カフェ君は姉枠に決まっているだろう!」

「いーや、妹枠だ!」

 

(・・・・・はい?)

 

「あのクールな振る舞いと佇まいから見える頼りになるお姉さんという雰囲気!そしてさりげない気づかい、興味がないようにしながらも私の実験に付き合ってくれる優しさ!あれはどー考えても姉だね。」

(いや何を言ってるんですかタキオンさん???)

 

「いーや違うね。あのクールっぷりはクーデレだ。一見澄ました顔して振舞ってはいるがしかして本心は兄姉に甘えたい!だが自分ももう高等部であり、思春期の心が邪魔をする!だからクールキャラを演じるけど時折垣間見える本心=甘えたがり!このギャップの良さがわからんとは、君も堕ちたなタキオン!」

(トレーナーさんもタキオンさんも頭狂ったんです???実験の副作用ですか???)

 

 

本人がいないのを良いことに姉だ妹だと言い争う二人。

白熱しすぎているからか、扉一枚越しに当の本人がいるなんてことを考えていないのか。

カフェが入ろうとして隙間ができたのもあり、大声で叫んでいる内容が丸聞こえである。

周りに誰も見当たらないのが幸いか。

 

「まったく…君はどこまで私を失望させるつもりかい?」

「なに!?」

「君の言っていることは殆どが君の妄想であり、事実に基づいた根拠などないじゃないか!自分にとって都合のいいマンハッタンカフェ像を作り出しそれを押し付けるなんて言語道断だよトレーナーくぅん!」

「いやオメーの言う姉論も妄想なのは同じじゃねぇか。なんならそれ姉じゃなくておねロリだろうが。」

「シャラップ!私のはカフェを観察して得られたデータに基づいているのだよ!」

 

(えぇ……えぇ……。どうすればいいんですかこれ…。)

 

 

 

「想像してみたまえよトレーナー君。普段はクールで知的で大人しいお姉さんカフェ君だぞ! その振る舞いと雰囲気のせいであまり近寄れない妹! なまじ大人びているがために距離感を掴みにくい姉のカフェ君! しかし妹が事故にあいそうになったその時、なりふり構わず飛び出すカフェ君!

 

『ありがとう…お姉ちゃん。』

『○○! 無事ですか!? ケガは、痛いところはない!?』

『う、うん。ごめんなさいお姉ちゃん…。』

『良かった…本当に良かった…。』

 

みたいなギャップがいいんじゃないか!!!!

そのまま距離が縮まって家で二人きりの時『カフェお姉ちゃん』って甘えたり、それを見てため息を吐くけど実際は顔をほころばせながら甘やかしてくるカフェお姉ちゃんだぞ!!!!」

 

「ぬぐぅっ…。確かに普段あまり会話もないカフェお姉ちゃんにクリスマスとかバレンタインの日に『あの…これ、どうぞ。』とか言われながらプレゼントを貰いたい…っ。子供のころは単に姉からもらったからと大事にしていたプレゼントが大人になるにつれて指先に巻かれている絆創膏の意味に気づいて余計に大切に扱ったりしたい…!」

「ふふん、君も良くわかってるじゃないか。さぁ、こちら側に来るんだ!!」

「ぐぅおおおおお……」

 

(タキオンさん、私に甘えたいんですか?。……今度膝枕でもしてあげましょうか…?)

 

 

「まだだ、まだ終わらんよ!」

「ほう、まだ立ち上がるのかトレーナー君。」

(いやもう終わってくださいよ。続けなくていいですから。すっごい入りずらいんですけど。)

 

 

「いいかタキオン、想像してみろ。朝、毎日カフェのモーニングコールで目覚めれるんだ。そしてカフェの入れてくれたコーヒーを飲み、一緒に学校へ出かける。『仕方がない人ですね、兄さんは私がいないとダメなんですから』なんて呆れながらも内心顔を綻ばせているんだぞ。」

「ふん、そのシチュエーションは魅力的だが、それは姉が相手でも同じだろう?」

「違う!違うんだよタキオン!! 『姉』じゃあダメなんだ。妹じゃなきゃ。妹で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ 甘えたがりで不器用で葛藤していて・・・。」

「そうだな…。例えばだ、さっき言ったように基本的には兄・姉より妹カフェの方が家庭的に立場が上だ。なんだかんだとカフェに世話をされているんだ。だがそのカフェも妹で、甘えたい年頃。ふとした時にその想いが溢れてしまう。

 

『いつもありがとうな、カフェ。』

『いえ…別に、好きでやっているので。』

『それでも、ありがとうな。いつも助かってるよ。』

そういって頭を軽くなでる兄。

その手が離れたときに、思わずカフェの口から『あっ…』と名残惜しいかのように声が零れてしまう。

『ん?どうした、カフェ。』

『いえ、別に…。』

『そっか。』

口では何でもないと言いつつも、まだ兄に甘えたい。だからそのまま去ろうとしている兄の服の裾をきゅっと摘まむんだ。強くなく、しかしてそのまま離れて行けないくらいの強さで。

引っ張られている感覚に気が付き、再びカフェの方を向く。

『どうした?何かあった?』

『いえ、なんでもありません』

そう言うもカフェの顔はどこかふくれっ面。頬には若干の赤みがかっている。

 

それに気が付いた兄は……」

 

「そのまま『もう少し撫でててもいいか?』『俺がそうしたいからな』って言って撫でたり、或いは『ん~?カフェどうした?』なんて気が付いたうえで分からないふりをしてカフェの口から『甘えたい』と言わせるもよし!」

「むむむ……」

「そして何より…タキオン! 妹、弟が甘える立場だからこそ成立するこのシチュエーションは姉という存在では成り立たない!甘えられるのは兄姉としての特権なのだぁぁ!!」

「ぐあぁぁぁぁ!!!」

 

(なぁにこれぇ…。妹という存在に夢見すぎじゃないですかね…)

 

「ぐ、ぐぅぅ…甘えるカフェ君…っ! し、しかし…私は、私はっ!」

「ふふふふふ、形勢逆転だなぁ!タキオンくぅん!」

 

 

 

「ぬぅぅ…。お互い、主張を譲る気はないようだね…。仕方がない。」

「そのようだな、ならば…」

「「アグネスデジタルぅ!君は(お前は)どっちだ!? カフェ君は姉か、妹か!」」

「アタシですか…。良いでしょう。」

 

(デジタルさん入るなら止めてくだ……無理でしたねあの人には。)

 

「いいですかトレーナーさん、タキオンさん。」

「………あぁ。デジタル、お前を信じてるぞ…」

「さぁ、君の手でトレーナー君を…」

 

「そもそも!」バァン!と机を叩く音が響く。

「「!?!?」」ビクゥツ

「推しの解釈とは、千差万別であるべきですっ!!」

「姉であるカフェさん!妹であるカフェさん!お二人の語るそれはとてもとても素晴らしいものですっ!何せ私の100あった残機は残り3つですからね!

ですが‼︎」

 

「推しへの解釈は押し付けるものにあらず!解釈一致を強要するなど言語道断ッ‼︎」

 

「し、しかしだな!」

「シャラァップトレーナーさん!真の推し語りとはっ!同志と共感しっ!推しへの愛を語り合う為のもの!推しへの賛歌は愛の賛歌!推し語りの素晴らしさは愛の素晴らしさ!

自分が持つ推しへの愛を語り、他者と共有し、他者と共感しあうこと、それが推し語りっ!」

「そして解釈には不一致が付き物ですが、それは仕方のないことなのです。デジたんにだって認めたくないような解釈、概念は存在します!」

「そうだろうデジタル君⁉︎ だから私は__」

「ですがっ! それで良いのです。自分の推しは自分の推しであって、お前の推しは俺の推しでは無いのです。

いいですかお二人とも。他人の持つ推しへの解釈は、受け『入れ』るのではなく受け『留める』のです。」

「受け入れるのではなく受け留める…」

「はい。そのまま何でもかんでも取り込むのではなく、一度手前で留める。そして、それが自分にとって解釈一致であれば受け入れんのです。もしそれが認めたくないような物であれば、それはそのままそこに留めたまま、『うんうん、それも推し活だね。』とそっと置いておくのです。推しを争いの種にしてはいけませんからね。」

 

それに、私はトレーナーさんの姉カフェさんもタキオンさんの妹カフェさんも好きですよ? どっちもありありのありです! そう締め括るデジタル。

 

「すまん、タキオン。俺はちと熱くなり過ぎて大切な事を忘れてたらしい。」

「トレーナー君、それは私も同じさ。すまなかった。」

 

互いに歩み寄り、握手を交わす二人。その間には、今までよりも強固な絆があった。

 

「それはそれとして、デジタルはどうなんだ?カフェの姉妹議論。」

「あぁ、結局聞いていないからねぇ。」

「あぁ、アタシはどれでもいけますからねぇ…。ただ敢えてこの場で挙げるとするなら…」

 

「幼馴染、ですかね。」.

 

「幼いときは近所に住む可愛い妹ポジ!しかし成長していくに連れて段々と大人びていき、いつしか立場は逆転、姉のように!少しずつすれ違っていく距離感と想い!昔の私のように君に甘えたい、昔の君のように君を守りたい!複雑に心の中で絡み合う感情と、いつまでも、いつも変わらず接してくれるあなた!やがて膨らんだ想いは爆発しむっはーー!!!」

 

「成る程幼馴染か。それなら確かに、姉にも妹にもなり得る。さすがデジたん師匠だな。」

「我々が観測するまでそのどちらかになるかはわからない、さしずめシュレディンガーの幼馴染カフェ君と言うべきかな?」

「せっかくだタキオン。このままお互いに語り合おうぜ。俺のハートに火が付いちまったよ。」

「あぁ、構わないとも!実験開始だ!」

 

(……なんかこう、いい話にされている様な気がしますね。中身は全く違いますが…)

(というか私、どのタイミングで入れば良いのでしょうか…。今日はもう帰ってもいいですかね…? どんな顔をしてトレーニングすれば良いのか…)

 

「しかし少し冷えるね。隙間風がどこかから__」

「んー? どうしたタキオン?」

「……………」

 

目が合った。隙間から部屋の中が見えていたカフェと、隙間を見つけたタキオン。ばっちりしっかり目が合った。

 

「えっと…失礼します…?」

「…………やぁやぁやぁカフェ君! 随分と買い物を楽しめたみたいだね!うん!それは何よりだ!さぁトレーニングを始めようじゃないかトレーナーくん!」

「あ、あぁ!そうだな!よーし今日も張り切っていくぞー!チームデネブーファイッオー‼︎」

「……………」

 

(ど、どうだ…?)

(上手く誤魔化せたか…?)

 

「えぇ、わかりました。トレーニングしましょうか、タキオンさん、トレーナーさん。」

((よしっ!))

 

「あぁいえ、トレーナーさんではなく…」

 

「兄さん、と呼んだ方が好きなんですっけ?」

「アァァァァ!!!」

「ト、トレーナーくぅぅぅん⁉︎⁉︎」

「それとタキオンさん。」

「な、なんだいカフェ君…」

「お姉ちゃんと呼んでもいいですよ?」

「ぴぎゃぁぁぁぁぁ‼︎‼︎」

 

 

 

「しばらくネタには困りませんね…」

 

 

 

 




アグネスタキオン:親が放任主義なので実は甘えたがり。放置されたりすると拗ねる。

カフェ:ぶっちゃけ満更でもない。ただ流石に目の前で推し語りされてたのは引いてる。

トレーナー:変身はしない。口癖は「俺の担当はかーなーり強い!」 改札のカードタッチに独特な癖がある。 よく叫ぶ。 変身はしない。

デジタル:語るときだけメンタルが強くなったパーフェクトデジたんになる。あとはいつものデジたん師匠。


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タキオンにデバフスキルをインストールしてみた

どうもどうも。
今回はタキオン短編集でございます。
筆が乗っていつもより長めにお送りいたします。
なお、各話はそれぞれ別世界でのお話だと思っていただければ。
あと念のため、ちょっとキャラ崩壊が著しかったりしますがまぁ…よろしくお願いいたします。

ではお品書きをば
・悩殺術
・リスタート
・独占力
・布石



 

タキオンin悩殺術

 

ある日のことである。

今日もタキオンはトレーニングをサボって実験をしているのか、トレーニング場に現れなかった。

さて来ないなら仕方ない。研究でもしてるだろうし付き合うかといつものラボに向かう。

 

しかしラボのドアを開け、中を見渡すもタキオンの姿が見えない。

だが机の上には飲みかけの紅茶があるし、作っている途中であろう試薬も見受けられる。

すこし席でも外しているのか? なんて思いながら備え付きのソファーに座ろうとしたとき、気が付いた。気が付いてしまった。

 

「タ、タキオン…?」

「…………」

 

机の裏、そこには____ぶかぶかの白衣に身を包まれ、こちらを上目遣いで見上げるタキオンの姿があった。しかし、なぜか………背丈が小さい。

 

そう、背丈が小さいのだ。*1

 

具体的には幼稚園~小学校低学年くらい。某死神高校生探偵が薬のせいで小学生にでもなったように、変わり果てた姿がそこにはあった。

 

 

ロリタキオンである。

 

 

これにはトレーナーも困惑……しながらもどこか納得していた。

あぁ、ついにやらかしたか、と。

 

なんせ普段が普段、ゲーミング発光するわ笑いが止まらなくなるわ声がアヒルのおもちゃの声になるわと妙ちきりんな薬ばかり飲まされているのだ。慣れもする。

恐らくは自分で薬の治験をしたところ、予想外の副作用が出てこうなってしまったのだろう。

 

しかしこれは困った。

本来なら今はタキオンのトレーニングを行う時間帯だし、トレーナーには原因となる薬の治療薬なんて作れはしない。タキオンと同じか、或いはそれ以上の知識を持っている人物など世界を探しても限られるだろう。

そもそもこの薬が意図的にできるとも限らないわけで。

 

こうなってしまうと彼にできるのは薬の効果が無くなるまでタキオンの面倒を見ることだけである。だがこのトレーナー、子供を育てた経験などありはしないし弟妹や従妹などの面倒を見たこともない。

そこに現れた救いの手。

 

「トレーナーさん…タキオンさんはいましたか…?」

「あ、カフェさん。それが…」

 

「………かへー?

「……?タキオンさんらしき声はしますが…どこから…?」

「あぁここです、ここ。」

 

ぎゅっとロリオンを抱きかかえ、カフェに見せるトレーナー。

 

「タキオンさん……小さく…」

「! かへ!かへー!

「……………」

かへ? かへー!かまえー!

「グハァッ!」

「カフェさん!?」

 

この後色々限界を迎えたカフェがトレーナーからロリオンを取り上げ構いまくるまで、あと5秒。

 

 

 

「( ´ー`)フゥー...」

「えーと…落ち着きましたか?カフェさん。」

「あ、はい。久しぶりにとてもリラックスできました…。」

 

あれからカフェは2時間ほどロリオン*2を撫でたり抱きしめたり高い高いと構い倒していた。

その被害者?でもあるロリオンは疲れ果て、カフェの膝の上でぐっすりと夢の中である。

これ当の本人が見たら発狂しそうだよなぁ…なんて考えているトレーナーもちゃっかり一眼レフを構え写真を撮りまくっていた。

 

 

「しかし…何故このような姿に…。いえ…とても可愛らしいですし、こちらに実害もないので良いのですが…。」

「まぁ…恐らく自爆?」

トレーナーが指さす先には二人分の紅茶と空っぽの試験管。

 

「恐らくだけど、私が来ることを見越して薬品入りの紅茶を淹れたはいいもの、自分のと間違えて飲んでしまった。そんなところじゃないでしょうか。」

ここ最近徹夜気味だったみたいですし判断力も鈍っていたんでしょうね。と付け加えながら、残った方の紅茶を飲むトレーナー。

 

「なるほど…。となると、解毒薬は…。」

「恐らくここのどk」ボフン!

「………え?」

 

残っていた方の紅茶を飲んだトレーナーが急に煙に包まれたと思ったら目の前から消えていた。何を言ってるかわからないかもしれないがカフェにもわからなかった。

 

まさかと予感(フラグ)めいたものを感じながら恐る恐るのぞき込むと

「………?ここ、どこー?

「あ、え、ト、トレーナーさん…?」

 

そこにはなんと、幼児化したトレーナ―が!

おぉ、なんとタキオンは二段構えに薬を準備していたのだ。ワザマエ!

 

おねーちゃん、だれー?

「ええっと…私はマンハッタンカフェ、です。」

かふぇおねーちゃん! ねぇかふぇおねーちゃん。ここってどこー?

「えっと…ここはトレセン学園、です。」

とえしぇんがくえん! オレおぼえたー! えらい? ねぇオレえらい!?

「ハウッ」トゥンク

 

 

 

「一先ずお二人が戻るまで、私が責任もって面倒を見なければ…!」

 

 

 

かくてここに、マンハッタンカフェの子育て奮闘記が幕を開けるのであった。

頑張れ、マンハッタンカフェ。負けるな、マンハッタンカフェ。

トレーナーとタキオンの社会的地位*3を、スーパークリークの魔の手から守るために!

 

次回 S(スーパー)クリーク大勝利!母性の未来へレディー・ゴーッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タキオンinリスタート

 

 

「やぁ、トレーナー君。今日も元気かい?」

「ん。まぁ、ね。」

「そう言う割には目に隈ができているじゃないか。君の健康状態は得られるデータに影響が出るんだから、しっかりと体調を整えて欲しいんだがねぇ。

「………ごめんなさい。」

 

トレセン学園に隠されたタキオンのラボにて二人の女性が会話をしていた。

一人はこのラボの主でもあるアグネスタキオン。

もう一人はアグネスタキオンの専属トレーナー。最も今は、トレセン学園の事務員兼タキオンのストッパーとしても働いているが。

 

朝にラボに来て、タキオンの淹れた紅茶を飲む。これがこの二人の習慣だった。

タキオンが自分用の紅茶を淹れながら尋ねる

 

「それで、何かあったのかい?」

「あぁ……いや…。」

 

「ねぇ、タキオン__」

 

___タキオンは、今走れるんだよね?

 

 

「っ…。それは、どういう意味かな?」

「ううん、その…最近夢を見るんだ。」

「シニア最後の有馬記念。あの場所でタキオンが、レース中に転倒して…。」

それで…あ、脚が……動かなく……ッ!」

 

「………トレーナー君。大丈夫だ。私はここにいる。ほら、私の脚は無事だろう?」

「で、でも…ごめ…ごめんなさい……っ」

「大丈夫だよトレーナー君。私は走れないからここにいるわけじゃない。君も知っているだろう?私の新しい夢を。」

「………新しい……夢…?」

「あぁ。私は君のおかげで可能性の果てを見れた。だから私は、次に繋ぐことを決めたんだ。私の後輩たちが、安心して走れるようにと。」

「あ……あぁ……。」

 

顔は青ざめ、体は震え、涙をボロボロと流し、タキオンに縋りつくトレーナー。

そんな自分のトレーナーをタキオンはそっと抱きしめ、子供をあやすように優しく頭を撫でる。

 

「私…私のせいでタキオンが走れなくなって…!」

「違う、違うよトレーナー君。それは悪い夢だ。君は私と共にトゥインクルシリーズを駆け抜けて終わらせた。その道のりに悲劇なんてものはなかったじゃないか。」

「でも……私は……。ごめんなさい…ごめんなさい…っ。」

「……少し待っていてくれ、すぐに紅茶を淹れるよ。ほら、君の好きな茶葉が入ってね。これを飲めば落ち着くだろうさ。」

 

 

 

「ほら、冷めないうちに飲みたまえ。」

「うん…ごめん…タキオン…。」

「………いや、大丈夫さ。それに謝るべきなのは___」

「あ……え……急に……目が…おも…く……。」

 

 

すまないトレーナー君。おやすみ。

 

 

《《突然》眠りについたトレーナーをラボのソファへと運び、そっとタオルケットをかける。

飲みかけの紅茶を捨て空になった試験管を洗浄機へと突っ込み綺麗さっぱりと後片付け、タキオンは再び研究に戻った。

 

 

それからしばらくして。

 

「う、う~~ん…。んぁ…ここ…どこ…?」

「おや、おはようトレーナー君。随分ぐっすりと寝ていたようだねぇ。」

「え、タキオン!? なんでここに…ってここ、ラボ!? いつの間に!?」

「おやおや、だいぶ寝ぼけてるみたいじゃないか。君が朝ここにきて、そのまま寝てしまったんだよ。()()()()()()()()?」

「えー…?そうだっけ…?…あーでも、なんかそうだった気がするような…そうでないような…。」

「まったく、君はもう少し自分の体調を気にしていたまえ。毎回私が運ぶ羽目になるじゃないか。」

「あ~、ごめんごめん。ありがとうね。」

「なに、君と私の仲だ。お礼は実験に付き合ってくれれば構わないさ。」

「はいはい、お姫様の仰せのままに。」

 

彼女たちの()()()()()日常は続いていく___

 

 

 

 

とある研究者のレポート

 

20xx年◎月◇日

今日で14本目。最近はフラッシュバックの頻度も増えてきている。薬の効果に耐性がついているものと思われる。

効果を強める?→彼女の健康状態に悪影響を及ぼす可能性が高いため慎重に行うように。

 

脚の調子は依然変わらず。全盛期とまでは行かずとも、模擬レース位は走れるようになってほしいものだが。

 

 

20xx年×月○□日

今日で16本目。そろそろストックが切れそうなため彼女が不在の間に精製しておかねば。

前々回と比べると、前回の治療から投与までの日数は長くなったが…。彼女が私に隠していた可能性があるため、理事長及び理事長秘書にも気に掛けるようお願いしておくこと。

 

こんな方法では彼女は救われないのは分かっている。だが、私にはこうするしか方法が思いつかなかったんだ。

 

 

 

20xx年△月☆〇日

今日で20本目に。案の定隠していたようで、だんだんと間隔が短くなっている。このままだと不味い。

以前の物より少しだけ強度を増したがどれだけ保つだろうか。今回は悪夢という形で表れたようだが。

 

経過観察と並行して『プランB』を進める。

君は優しすぎるんだ。例えあの結果に終わろうと、私は何の悔いもないと言うのに。

 

 

20xx年@月*日

今日で29本目。あれから少しずつ強くしているがそれでも頻度は増えていく。

寝ている間にも無意識的に謝罪の言葉が聞こえてくる。私が聞きたいのはそんな言葉ではないというのに。

 

 

20xx年@月☆☆日

プランBが完成した。まだフラッシュバックは起きていないが、彼女の体調面を加味すればもうそろそろ限界だろう。

既に理事長方には後のことを託した。カフェ君には事情を説明し、何かあったときのフォローをお願いしておいた。

シャカール君や彼女を慕っている桐生院家のトレーナー君にもデータと引き換えに依頼をしてあるから、大丈夫だと思いたい。

 

 

20xx年□月△日

統計データから言えば、明日が彼女と一緒にいれる最後の日になるだろう。

後悔も悔いもあるが、それでも彼女のためと思えばまぁ、飲み込める。

それに未来永劫会えなくなる訳ではない。ほんの僅かな可能性に賭ければ___シャカール君に言わせれば『神にダイスを振らせれば』___また、彼女と。

 

 

20xx年□月×日

プランBを実行。これで彼女の記憶から私という存在は失われた。これでいい。これでいいんだ。

今は保健室で眠る彼女の隣でこれを書いている。きっと彼女が目覚めればそこに私はおらず、いきなり4年の歳月が経ったように思うんだろうね。

もうラボは空け、部屋は返却している。まぁ勝手に私が借りていただけだが。

あとはこのままこの学園を離れるだけだ。幸いにも米国の信頼できる研究機関からのオファーも来ている。

数年はそっちで研究をするつもりだから、彼女の耳に私の名前が入ることも……まぁ少ないだろう。

 

 

 

今までありがとう、トレーナー君。さようなら。

 

 

ふっ、と意識が覚醒していく。目を開ければ、知らない天井と知らない部屋。

「知らない天井だ…。」

「! 目を覚まされましたか?」

 

声のする方を見れば、緑の帽子を被り緑の服を着こんだ女性が一人、備え付けであろう椅子に座っていた。

 

「あの…ここは…?」

「ここはトレセン学園です。○○さん。」

「トレセン学園って…あのトレセン学園ですか?」

「えぇ、恐らくあなたが思っているトレセン学園ですよ。」

 

「色々と混乱しているかと思いますが…説明いたしますので、どうか落ち着いて聞いてください。」

「先ず○○さん。貴女は___」

 

 

 

 

 

 

記憶喪失(Restart)になったんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タキオンin独占力

 

シニア1年目の有記念。トゥインクルシリーズ最初の3年間の締めくくりであるこのレースにおいて、アグネスタキオンは走りきった。

タキオンの脆くも才能に溢れたその足は、トレーナーの献身と彼女の研究の成果によって壊れることはなく。

彼女は可能性の先と共に、シニア級2年目という未来を見ることができたのである。

 

 

季節は春、4月。

多くの者に変化が訪れる時期だが、タキオンとそのトレーナーの周りにも変化が訪れていた。

 

 

元々タキオンのトレーナーはトレセン学園にきて六年ほど経っているいわゆる中堅トレーナーであり、今まではGⅡを何勝かする程の成績しか残せていなかった。

それがタキオンを担当として迎え専属として担当すること三年間。

クラシック三冠、秋シニア三冠とを達成するという成績を叩き出したのだ。

 

当然、トレセン学園が黙っているはずがない。

タキオンのトレーナーは理事長からのお願いもあり__トレーナーの絶対数が足りていないことを知っているからこそ__チームを設立することとなる。

いきなり大人数は難しいだろうからと、新たに二人*4の担当を迎え入れ発足したチーム。

 

当初はタキオンも様々なデータが取れると受け入れていたが、5月、6月、7月…と時間が過ぎていくにつれ、胸の中に何とも言いようのない感覚を覚えていた。

例えば夜に一日のことを思い返しているとき、何かが引っかかって気になったり。

例えばミーティングをしているとき、理由もなくデータが受け入れがたかったり。

例えばトレーニングを行っているとき、何故か思考に霧がかかったかのようにうまく走れなかったり。

宝塚記念。アグネスタキオンは冷静さを欠いた走りをしてしまい、着外6着という結果に。

 

苦しみの理由もわからないままに、9月。

チームの後輩がスプリンターズステークスに出場するため、トレーナーはほぼほぼ付きっ切りでトレーニングを見ていた。胸の中がちくりと傷んだ。

スプリンターズステークスで、後輩が優勝した。嬉し涙でトレーナーに抱き着く後輩を見て、苛立ちを覚えた。トレーナーと後輩が三人で喜び泣いているのを見て、不安を覚えた。

 

だがここにきてようやく、()はこの感情の正体に気が付いた。

 

恐怖だ。

失うことへの恐怖だ。

私が久しく忘れていた、この感情。

愛するものを奪われることへの恐怖

手放したくないものを失うことへの恐怖

それが___私が抱くこの感情の正体だと、私は結論付けた。

 

 

12月、2回目の有馬記念。私はここをラストランと決めた。

終わらせるにはちょうどいい場所だ。

このことはカフェ君にも、トレーナー君にすらも言っていない。私が勝手に決めたこと。でも、仕方がないじゃないか。私には___

 

パドックを終え、ゲートに入る。カフェは怪訝な目でこちらを見ていたからバレてしまっているかもしれないな。

 

この有馬記念において、アグネスタキオンはゴール後に激しく転倒し骨折。その有り様はいつかのサイレンススズカを思い浮かばせるようで、翌日の紙面の殆どは彼女の勝利と悲劇で占められていた。

ファンの多くは悲劇を嘆き、しかして彼女が再び、それこそスズカのようにターフに戻ってくることを祈った。

 

それからしばらく。

祈りも届かず、アグネスタキオンの折れた両脚は二度と治ることはなく。

そのままトゥインクルシリーズを引退し、長期療養の後に車椅子での生活を余儀なくされた。

彼女のトレーナーはもう二人の担当の引退を見届けると、アグネスタキオンと共に姿を消した。

 

 

 

 

『とある病室での会話』

 

「……やぁ、トレーナー君。」

「タキオン…。どうして…。」

「あんな走りをしたのか、かい?」

「………あぁ。」

「可能性の先、限界の向こう側を見たかった。それじゃぁ、ダメかな?」

「………」

「……すまないね、トレーナー君。正直に話そう。」

 

私は怖かったんだ。

最初は、君のことをどうとも思っていなかった。

君はただのモルモットでトレーナー。それだけだったんだ。

でもね。

あの三年間で、私は君に対する認識を大きく変えてしまった。

君に何度も助けられて、救われた。

君がいなければ私はここにいない。仮にトレセンを退学していなくても、私はプランBを選び、諦めていただろうね。

君はまさしく唯一無二の、()()トレーナー君なんだ。

 

「そうだ。君は()()()()()()()なんだ!」

「お、おいタキオン?」

「君は…私のトレーナーで私のモルモットなんだ!だから…だから…何処にも行かないでくれ…。わたしを…捨てないで…。」

 

「そんな、捨てるなんてこt「だが君はチームを作ったじゃないか!」

「それは理事長に頼まれたからで、別にお前を捨てるとかじゃない!」

「分かってる!だが君は確かに私を見てくれなくなった! いつも隣にいてくれていたのに。いつも私を見てくれていたのに!」

「それだけじゃない!私は今、学生としてあのトレセン学園にいる。でも卒業したら…君と離れ離れになるじゃないか! 私にはもう、それが耐えがたい。君がいないことが、私には…もう…。」

「分かっている。これがただの私のわがままだと言うことも、それで君に迷惑がかかることも。でも私には受け止めきれなかった。君がこのまま私から離れていくことが!」

 

だからこんなことをしたんだ。こうすれば…君が私だけを見てくれるんじゃないかと思って、さ。

そう力なく笑い静かに涙を零す彼女は、いつもの狂気を浮かべる研究者でも、レースに全力を賭ける勝負師でもなく、一人のか弱い幼子のように。

 

 

「………タキオン。」

「………なんだい、トレーナー君。」

「ごめん。ずっと気づかなくて。」

「いや、いいさ。私もこの感情を自覚したのは最近のことだからね。」

「………」

「トレーナー君。見ての通り私はもう走れない。それどころか、日常生活で足を動かすこともできないだろうね。医者にも言われたが…車椅子での生活は避けられないんだと。」

「もう、私は君の愛バである資格はないんだよ。」

「そんなことっ!」

いいんだ(いやだ)これで(こんなんじゃ)いいんだよ(いやなんだ)全て私の自己満足なんだから(私には君しかいないんだから)。」

「だから、もう(お願い)さようならだよ(ずっと一緒にいて)。トレーナー君。」

「ズルいな。タキオンは。」

「………はは、あぁ。そうだよ。私はとてもズル賢いんだ。欲しいものを手に入れるために、こんなことをするくらいだからね。」

「あぁ。本当に、ズルいよタキオン___」

 

 

 

その後の彼女たちの行方は、彼らのみぞ知る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タキオンin布石

 

「タキオンの様子がおかしい?」

「ええ、先ほど私を見るなり奇声を上げながら逃げ出しまして…」

 

 

とある日の午後、トレセン学園の食堂でアグネスタキオンのトレーナー*5は、マンハッタンカフェからそんな話を聞いた。

 

「カフェが逃げるならまだしも、タキオンが逃げるなんて確かに変ねぇ。」

「ええまあ、否定はしません。流石に奇声は上げませんが。」

 

などと口では言うものの2人とも原因に関しては目星が付いていた。

まぁ、トレセン学園ではよくある事だし。

 

「「タキオン(さん)がまた実験で自爆したわね(のでしょう)」」

 

トレセン学園の問題児筆頭でもあるアグネスタキオン。その彼女に振り回される二人だからこそ、最早日常茶飯事であり慣れ切っていた。

元に戻るのは3日後か1週間後か、などど話しながらもまぁとりあえず捕まえますかと捜索を開始する。

 

で、1時間後。トレセン学園、大樹のウロにて。

 

「あ、タキオン見っけ。」

「む、トレーナー君か……。」

「カフェから聞いたけどどったのタキオン? 急に奇声を挙げて逃げ回るなんて。」

「いやぁ…実はね。」

 

私と同室のアグネスデジタル君がいるだろう?彼女は私から見て、なかなか不可解な子でね。

それで色々と実験をしていたんだ。おっと、ちゃんと本人から許可は取っているし身体的被害が及ぶような危険なものはしていないから安心してくれ。

で、その一環として彼女のDNAをいくらか採取してね。

それを基に色々と実験をしていたんだが……その中の試薬を一本、手違いで飲んでしまってねぇ。

 

それからだ。

しばらくは特に変化はなく、まぁ無害だろうと結論付けたんだが…。

こう、カフェ君に話しかけられたときに体の内側からこう…、私の言葉では言い表せない感情が湧いてきてね。心拍数の大幅な増加や体温の上昇、それから……あー、まぁ色々と急激に変化が起こったんだ。

でまぁ、それに()()()が耐えきれなくなったというか…。思わず逃げ出したんだが……

 

 

「逃げ出した先にスカーレット君がいてね。彼女に話しかけられても全く同じ現象が起きるし、それで逃げ出した先には沢山の()()()()()()たちだろう?それであちこち逃げ回った結果、誰もいないここに落ち着いたと言う訳さ。」

「なるほどねぇ…。(なんか色々とツッコミたいところはあったような…)」

「しかし…ふむ。トレーナー君だと特に何も湧いてこないのか。やはりウマ娘ちゃんたち限定で起きる現象なのか…?」

「あー、考察中のところ悪いけどさ。それって効果の期限とかあるの?」

「む、あぁ。それは分からないが、私のラボに何本か解毒薬は置いてあるよ。」

「んじゃぁ先にそれ飲んでからにしない?今だとまともに研究もできないでしょ。」

「ふむ、それもそうだが…。どうやって戻ろうかを悩んでいて「Hey、ゴールドシップ。タキオン`sラボまでタクシー一丁!」

「アイアイサー!お代はスベスベマンジュウガニのマンジュウ1ヶ月分でいいぜ!」

「え、ちょ、ま、前が見えないってこの()()はまさかゴゴゴゴールドシップくぅぅぅぅん!? お、おろしてくだしあぁぁ~~~~

 

 

トレーナーの指パッチン一つでタキオンの背後より現れたゴールドシップは、黒い袋をかぶせると嵐のようにラボへと運んで行った。

それを見届けたトレーナーはマンハッタンカフェに見つかった報告だけ済ませると、のんびりと自分もラボへと戻っていくのだった。

 

 

「んー、たぶんアレ摂取した人がデジたん化(ウマ娘ちゃん限界化)するって感じかな? また変なものを作った…。あれ、これゴルシに頼んだら不味くない?あの二人で化学反応起こしたりしないよね?」

「………まぁいっか!多分大丈夫でしょ♪」

 

 

 

この後案の定二人がやらかしてトレセン学園を巻き込んだ大事件に発展することはまだ、誰も知らない。

 

 

 

 

 

*1
大事なことなので二回言いました。

*2
ロリのアグネスタキオン、略してロリオン

*3
はいそこ、そもそもあるのかとかもう既に無くなったんじゃないかとか言わない()

*4
本来、チーム設立には5人以上のメンバーがいる

*5
女性。年齢はピー歳独身。悪ノリが良くタキオンと並ぶくらいの問題児とされている。担当はアグネスタキオン、エアシャカール、マンハッタンカフェ、ゴールドシップ、ナカヤマフェスタ




ちょっとした解説的なアレ

・悩殺術
この後戻るまで1週間かかったしトレーナーはクリークに襲われた()し戻った後も記憶が残っていることがバレたタキオンはカフェに勝てなくなるし開き直って甘えたりした。

・リスタート
有馬記念で『ゴール前に』走れなくなったタキオンと女性トレーナーのお話。
記憶処理とタキオンを絡ませたくてこうなった。

・独占力
みんな大好き独占力!以上! あ、はい。ちゃんと書きます。
タキオンはこれでトレーナー君が離れるならそれでいいと思ってたしそうなったらひっそりと消える予定だった。
タキオンの設定に『親が放任主義だった』ってのがあったのでこのタキオンは『愛情』に飢えています(無自覚)。


・布石
布石というかなんというか。まぁ、はい。あちらを読んだ方にはお察しの通りかと(笑)


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バイオトレセン2

明けましておめでとうございます。だいぶん間が空きましたが元気です。
カフェ爆死しましたがタマモが無料で来たのと公式が浴衣のタキカフェイラストを投下してくださったので致命傷で済みましたわ!()

今回はhttps://syosetu.org/novel/255716/12.htmlの続き的な? 毎度の事ながらキャラ崩壊注意です
カフェネイチャんも近いうちに載せたい。




ナイスなネイチャんの手記①

 

一先ず、守衛さんを説得して門を閉ざすことはできた

イクノも全体放送はできたみたいだけど…最後の放送…

ううん、きっとな無事だよね

今はカノープスの部室でこれを書いてる。今のところは奴らもここまで来ていないみたいだし、ちょっとしたセーフルームってやつ?

 

 

今回の事件?の元凶には心当たりはある

この前見た映画ではゾンビになるウィルスが蔓延してパニックになったっていう設定だった

そしてアタシは、というかトレセン学園の大体の人はそんなことができる人を知っている

 

アグネスタキオン先輩とゴールドシップ先輩

 

片や普段から変な薬で実験して自分の担当トレーナーを光らせてるやべー人、片や奇行と奇行を繰り返すやべー人

二人ともトレセン学園問題児の筆頭だ

こんな事態を引き起こせるのは正直この二人しかいないと思う

 

とりあえず私も私なりに解決のために動いてみようと思う

他の皆も心配だし…ターボとか特に

一先ずは他の無事な人を探しつつ、タキオン先輩を探そう。たしか学園のどこかに研究室を持ってるって聞いたことがある

 

 

このメモ?日記?はここに残しておく。もし誰か見ることがあれば、助けになるかもしれない

 

 

 

それにこういうのってちょっと憧れが…

 

 

 

 

―――

 

 

トレセンハザード、前回までの三つの出来事。

一つ、トレセン学園でゾンビ?パニックが発生。イクノディクタスの機転により学園が封鎖される。

二つ、メジロマックイーン、覚醒する(ボケ側になる)ことで窮地を脱し、生徒会に保護される。

三つ、エアシャカール、被害者に。タキオントレーナーが要請した救助待ち。

 

 

~~~~~~

 

生徒会室にて

 

 

「「VIPの救出(ですか)?」」

「あぁ、先ほど連絡があってな。それをお前たちに頼みたい。」

 

デジ叫喚となったトレセン学園における最大にして最後の抵抗勢力、生徒会。

その拠点たる生徒会にて、臨時生徒会長たるエアグルーヴはメジロマックイーンとトウカイテイオーにある任務を任せようとしていた。

 

 

「お前たちが来る少し前の話だ。とある人物から救助要請が届いた。今回の事件を解決する方法がある、とな。」

「現状、我々生徒会はここの防衛と生存者の保護に戦力を割いていて人手が足りん。更に言えば今ヤツらに対抗できるのもマックイーンだけだ。」

「確かに私のメジロ一〇八神拳ならば彼女たちを無力化できます。だから私にVIPの保護を…というわけですわね。」

「あぁ、頼めるか?」

「えぇ、任してくださいまし。メジロ家次期投手の名にかけて、必ずや!」

「マックイーン、それだと野球になってるよ…。で、だれを救出すればいいのエアグルーヴ?」

 

テイオーがそれを聞くと、エアグルーヴは頭を押さえ苦々しく顔を歪める。

 

「……アグネスタキオンのトレーナーだ。」

「「あー……」」

「案の定というべきか…今回も奴らの仕業らしい。どう責任を取らせてやろうか…」

 

 

アグネスタキオン。高等部に所属するウマ娘で名門アグネス家の生まれ。

しかしながら普段は奇妙な薬を作っては投薬実験を行うという、トレセンきっての問題児である。

基本的に薬自体は無害*1だが、極稀に、そう、極稀にではあるがとんでも劇物を作り出してしまうのである。

過去に起きた事例では

「飲んでしまった者が幼児化し、周りの母性を増加させるフェロモンを発する薬」による"ハイパームテキクリーク"事件、

「飲んだ者が匂いを嗅ぐとどんな匂いも美味しくなる匂いになる薬」によるトレセン学園及び学園周辺の食料が消えてしまった"ウマ娘ピンクの怪物化"事件、

「飲んだ者は一時的に視力が強化される薬」を作成したつもりが「飲んだ者の個性が強くなる薬」になっており、知らずに飲んだマーベラスサンデーが引き起こした"トレセン学園マーベラス化"事件などが挙げられる。

 

閑話休題

 

 

そのタキオンのトレーナーから連絡がきたということは、十中八九アグネスタキオンの仕業なのだろう。

だが、大きな問題が一つある。とエアグルーヴは続ける。

 

「奴は学園内に幾つもラボを抱えている。それも我々には秘密裏に作成したものばかりでな…。幾つかのラボは我々生徒会が発見した際に取り壊したのだが、未だにすべて見つかったわけではない。」

「え"、てことはもしかして、どこにいるか分からないってこと!?」

「……あぁ、その通りだテイオー。通信が悪い場所にいるらしく場所までは聞き取れなかった。こちらから連絡もかけようとしているが…いまだにつながらん。」

 

「本来なら我々で行わなければならない、とても危険な任務だ。それを貴様らに頼むのは気が引けるが……今は猫の手も借りたい。どうか、引き受けてくれないか。」

 

「わかりました。このメジロマックイーン、その任務引き受けさせていただきますわ。」

「マックイーン…!すまない、感謝する。」

「ねぇマックイーン、本当に大丈夫なの?ここに来るまででも結構な数いたじゃん…」

 

 

大丈夫だ、問題ありませんわ!

 

今のでだいぶ不安になったよボク!?!?

 

「何を心配しているのですかテイオー? 私のメジロ一〇八神拳を受けて生き残った者はいませんわ!余裕でパクパクですわ!」

「ねぇそれ本当に大丈夫なの!? 色々と積みあがっているようにしか見えないけど!?」

「この戦いが終わったら私、食堂の限定パフェをお腹一杯食べるんですわ! 」

「もうだめだぁ、お終いだよぉ!!」

 

「(不安だ…不安でしかない…)」

エアグルーヴ、思わずため息。

 

 

 

 

~~生徒会室校舎、2F~~

 

 

「で、とりあえずどうしようマックイーン?」

「そうですわね…」

 

『ここが今我々がいる生徒会室、そして現在確保できている範囲がここまでだ。これのラインから外へ出れば連中が襲ってくる。』

『タキオンの研究室でこちらが把握している場所を記しておいた。何か役に立つものがあるかもしれん。』

『それと、まだ感染していない前提ではあるがマンハッタンカフェを保護してほしい。彼女は対タキオンの鍵だ。研究室の場所も把握している可能性が高いからな。』

 

「ひとまず当面の目標はタキオンさんの古い研究室を巡りましょう。カフェさんは見つけ次第確保で。」

「はーい。…はぁ。エアグルーヴ、絶対僕にツッコミ押し付けたよねこれ。」

「? 何か言いましたかテイオー。」

「んーん、なんにもー。」

 

 

生徒会室を出て左の廊下を歩く。道中にある扉が開け放された部屋は、どの部屋も少なくはない数の生徒たちが死んだように眠っている。交代交代で見張りをしているらしい。

部屋にある家具のほとんどはバリケードに使われ運び出されているらしい。

 

ひとまず隣の校舎に行くために渡り廊下に行こうと廊下を曲がると、机や椅子によって作られたバリケードと、その先を睨みつけているナリタブライアンがいた。

 

「む…お前たちか。外へ向かうのか?」

「えぇ、タキオンさんのトレーナーさんを救助しにまいりますわ。」

「そうか…悪いが私も奴の居場所は知らん。…代わりに、少し餞別だ。」

そういってブライアンは懐から緑色のニンジン2本を取り出す。

 

「うわ、なにそのニンジン。美味しくなさそう…」

「私にもよく分らんが、食べると感染を抑える効果があるらしい。既に実地検証済みだ。持っていけ。」

「まぁ…でも、よろしいんですの?」

「構わん。お前たちのほうが必要になるだろう。」

 

>>グリーンニンジンを 2個手に入れた<<

 

「それと、噂ではあるが赤いニンジンと組み合わせるとさらに回復効果が上がるらしい。…組み合わせる、というのがどういう意味かは知らんがな。」

「ありがとうございます。何となくわかるので大丈夫ですわ。アイテム画面からAボタンで選択して組み合わせる、ですわ!!」

「?????…まぁいい。ここもそう長くは保たん。さっさと行ってこい。」

 

 

「ツッコまない…ツッコみたくないよ…」

 

 

 

 

〜〜生徒会室校舎、1F〜〜

 

「ふぅ。少し手こずりましたわね…。怪我なく来れたのは幸いですわ。しかし、トレセン学園の生徒数は2000人とはいえ感染者がこれ程までに多いとは…」

「あのさぁマックイーン。」

 

「君がふざけたことしなければ向こう側に行けてたからね⁉︎」

 

そう。今テイオーたちがいるのは目指していた研究室とは反対側の校舎。その一階の空き教室である。

というのもバリケードを越え階段を降りた段階まではまだ良かった。が、階段を降りきった途端にマックイーンの体が震え、気持ち体が角張るとその動きもカクカクとし始めた。

走り方が妙に遅く真っ直ぐに突っ込み、方向を変える時はその場で足踏みをし、飾ってある花瓶や棚の前で立ち止まりじっと見つめ……。

 

当然だが感染者はそんなことお構いなしに襲ってくるので慌ててテイオーが手を引っ張り反対側の校舎まで逃げ切ったのだ。

 

「本当になんなのさあの歩き方! なんであんなカクカクした方向転換と歩き方するのさ扉の前では無駄に足踏みしてるし逐一花瓶とか調べてたし‼︎ おかげでここ反対側じゃん‼︎」

「ふざけた歩き方とは何ですのテイオー‼︎ あれはゾンビやクリーチャーを容易く避け、或いは戦いやすいようにする為に開発された、由緒正しき米国特殊作戦部隊S.T.◯.R.Sの訓練された歩き方ですわよ!」

「初代プ◯ステゲームみたいな歩き方で⁉︎」

「お黙りっ‼︎ それ以上言うなら、バターにして食べて差し上げますわよっ!」

「モウワケワカンナイヨー!」

 

 

はぁ、とため息ひとつ吐き教卓にもたれかかるテイオー。それを気にしながらマックイーンは教室の散策を始める。

不思議なことにこの教室には感染者が入って来ず安全地帯のようになっていた。バリケードもなければ外の廊下には普通に彷徨いていることは気にしてはいけない。

 

もっとも、ただの空き教室ゆえに役に立ちそうな物も手がかりも無……

 

「あら?これは…メモ、でしょうか?」

「どうしたのマックイーン。おやつの拾い食いはダメだよ?」

 

マックイーンは教室の隅に落ちているメモを見つけ拾い上げる。

どうやらこの騒動に巻き込まれた誰かが、わざわざ書き残したメモのようだ。

 

 

ナイスなネイチャんの手記③

 

なんとか校舎にまで来れた。

今はまだ、奴らもそこまでの数は校舎内に入ってきていないみたい。

ただ生徒会室に向かおうとしたけど階段前にいる奴らの数が異様に多くて断念。

確かあの子たち、生徒会長さんのガチ恋勢だー!とか言ってたけど……まさかね。

 

 

ところで、時々何とか様って声が聞こえるんだけどなんなんだろうか。

どこかで聞いたことがある声なんだけど…

ただこの声が聞こえた後に悲鳴が上がってたりするから、気を付けたほうがいいんだろうね。

関係があるのかは分からないけど、感染してるにも関わらず動かない子が偶にいる。

 

そういう子は大抵横たわってるんだけど、皆首元に変な傷がついてるんだよね。

あ、また聞こえた。

なんて言ってるんだろう。『オ…何とか様、どこ』って言っ

 

 

 

きこえたらにげて

 

 

 

「うーん…?」

「なんだろうねこれ。オ……何とか様って、マックイーン心当たりある?」

「いえ…強いて言うならマチカネフクキタルさんの『シラオキ様』なるものですが、それだと行間の空きが多すぎます。」

 

「オ……サ…。」

 

「ん?」「あら?」

「マックイーン、なんか言った?」

「いい何も?テイオーのお腹の音ではなくって?」

 

「オ…イサ…。…コ…」

 

いつの間にか廊下にいた感染者は姿を消し、カツン、カツン、と何者かがこの廊下を歩いている音だけが木霊する。

 

 

「ワタ………オ…イサ…。…コ……ルノ…。」

 

「ねぇマックイーン、なんか近くに来てない…? これメモに書いてあるやつじゃない…?」

「そう、ですわね…。」

「ま、不味いよマックイーン。早く逃げないと…!」

「おおお落ち着きなさいテイオー。先ずは素数、素数を数えるのですわ! パフェが一つパフェが二つパフェが三つパフェが…」

「ねぇ今ふざけてる場合じゃないよね⁉︎あとそれ羊のやつ! というか静かに!聞こえちゃうよぉ!」

「パフェが六つパフェが七つパフェが… 一個足りませんわ!ゴールドシップさん貴女また勝手に食べやがりましたわね!」

「しーっ!しーっ!マックイーン落ち着いて‼︎」

「凄くもちついた」

 

カツン、カツン、カツン、カツン、カツン

 

「………ふぁっ…」

「え″まさかマックイーン、こんなベタなところで…?」

「………ふぁっ…ぶぇあっくしょい‼︎

 

「ソコニ…イルノ?」

「あ″…あぁ…。」

「や、やってしまいましたわ…。」

 

 

ガラリ、と教室のドアが開けられる。

黒く長い髪はボサボサになり、トレセン学園の制服を鮮血に染め、蒼く昏い眼差しと、赤黒く染めた小さな刃を持ち、貪欲に獲物を求め嗤う。それはまさに___

 

 

 

「オニイサマァァァ!!!」「「ぴぎゃぁぁぁぁ!?!?」」

 

 

 

まさに、青薔薇の捕食者(ブルーローズチェイサー)

 

 

 

次回、トレセンハザード。

ライスシャワー大勝利!お兄様との未来へレディー・ゴー!

 

 

 

 

 

  

制作・著作

━━━━━

メジロ家

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「特殊感染者だァ?」

「そう。あの薬…仮称、D(デジたん)ウィルスとしようか。あれはアグネスデジタルのウマ娘ちゃん愛が強く影響してるわけなんだけど、当然、愛の形は人それぞれでしょう?」

「……まぁ、そうだな。(深く考えない方がいいやつだなこれ)」

「普通の人間やウマ娘はデジタル君のウマ娘ちゃん愛の衝動に負けてゾンビっぽくなるわけだけど、もしその衝動を捻じ伏せれる精神力と衝動があった場合……Dウィルスはウマ娘ちゃん愛ではなくその子が持つ衝動を強くする方に作用するんだ。」

 

デジタル君らしいよねぇ。なんて呑気に笑ってるがコイツは……

「その特殊感染者とやらになった場合、どうなるンだよ。」

「身体能力の強化五感の大幅強化欲望の増大異常なまでの第六感の強化物理法則の無視…考えられるのはこのくらいかな?」

「オイ最後。つか根拠は何なンだよ。」

「………何回か同じことが起きてるんだよ過去に。覚えてない?マーベラスとかでちゅねとかさぁ…。」

「あぁ…」

 

 

 

 

トレセン学園の明日はどっちだ‼︎

 

 

 

 

 

*1
ゲーミング発光したりめちゃくちゃ苦かったりするくらい




マックイーンがバリバリのゲーマーでレッ◯ブルキメながら配信してるのを見たい。中の上くらいの腕前だからキレ散らかしてるのも見たい。ゲーミングお嬢様は良い文化ですわ!


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