七つの世界と七つの聖剣 (伊勢村誠三)
しおりを挟む

絶対に俺の決断はまちがってない。

ある世界に七本の聖剣在り。

一つ、紅蓮の炎の火炎剣

一つ、大地をも穿つ水勢剣

一つ、天をも焦がす雷鳴剣

一つ、金剛の如き毀れずの土豪剣

一つ、駆け抜ける疾風の風双剣

一つ、響き渡る調の音銃剣

一つ、封印と新月の闇黒剣

聖剣の世界、解けし時、
七つの世界にて聖剣の担い手現れ、
世界をめぐり再び七本そろう時……


「ねえヒッキー。ゆきのんに謝ろうよ。」

 

またこれか。彼、比企谷八幡は横を並んで歩く少女、由比ヶ浜結衣のセリフに地獄よりも深いため息が出そうになる。

 

自分のあの時の判断を間違ってると思ってないというのも勿論有るが、それ以上にこれから向かう先に待ってると分かりきってるものが何度体験しても慣れるものではないからだ。

 

「とにかく、行こう。」

 

「……うん。」

 

そうして奉仕部の部室に向かうとやはり雪ノ下雪乃は部室の外で中の様子をうかがっていた。

八幡は彼女を押しのけると部屋の真ん中に刺さっている剣、闇黒剣(あんこくけん)月闇(くらやみ)を何のためらいもなく引き抜いた。

 

瞬間、腰に現れたベルト、邪剣カリバードライバーに一度剣を納刀し、ホルスターについていた神秘の本、ワンダーライドブックを取り出す。

 

「くっそ……また、またなのかよ?」

 

何度シミュレーションして未来を疑似体験してもどうしてもだめだ。

絶対に自分はこの剣を手にするし、この世界は崩壊寸前まで行く。

どんなに自分が知恵を絞って死力を尽くしてもこの世界を救えない。

 

(やるしかないのか?ほかの…聖剣使い達に助けを求めるしか…。)

 

ついこの前のシミュレーションにて、八幡は初めて手を差し伸べられた。

 

『どうか一緒に戦ってくれ。

カリバー、あなたの力が必要なんだ。』

 

眩しい、炎のような、赤。

この闇黒剣をベースに作られた火炎剣烈火の騎士は仮面越しに八幡の目をまっすぐ見据えて手を差し伸べた。

共に居た風双剣の騎士と雷鳴剣の騎士も頷く。

 

それでも、八幡は手を取れなかった。

なぜならそれはあまりにも、八幡の身を焦がすほど眩しく、

 

(認められない……ここに来て、まだ本物なんかじゃないあいつらを頼るなんて…)

 

<ジャアクドラゴン!>

 

ワンダーライドブックを開き、物語の朗読が始まる。

 

<かつて、世界を包み込んだ暗闇を生んだのはたった1体の神獣だった…>

 

本を閉じ、闇黒剣月闇に読み込ませる。

 

<ジャアクリード!>

 

本をバックルにセット。

両手で持った闇黒剣のそこでスイッチを押す!

 

「変身!」

 

<闇黒剣月闇!>

 

<Get go under conquer than get keen.>

 

背後に出現した巨大な闇黒剣型のゲートから出てきたドラゴン型のエネルギーをまとい、八幡は仮面ライダーカリバーに変身した。

 

<ジャアクドラゴン!>

 

<月闇翻訳!光を奪いし漆黒の剣が、冷酷無情に暗黒竜を支配する!>

 

「じゃあな」

 

ただただ目を丸くして動けない二人にじゃあなと短く告げて八幡はその場を後にした。




仮面ライダー解説 その1

仮面ライダーカリバー=比企谷八幡

・プロフィール
性別:男性
年齢:17歳
趣味:忘れた
特技:どうでもいい
聖剣:闇黒剣月闇
好きなもの:わかったら苦労しない
嫌いなもの:欺瞞

・概要
闇黒剣に選ばれてしまった青少年。
未来を疑似体験できる闇黒剣の特性上、何度も自分一人でどうにもならない現実を突きつけられており、他の聖剣使いと協力する以外のすべての方法を試しきるころにはそこに至るまでの心労やその他もろもろで腐り目は悪化しきり、まるで幽鬼のような雰囲気を持つように変わってしまう。
それでも彼は踏み出せない。

・他のメンバーからの評価
セイバー「強いのに全然頼れそうじゃない。」

ブレイズ「初対面の人は生きてると認識するのに最低五秒かかる。」

エスパーダ「全身で『不幸です』って言ってる。」

バスター「気配まで辛気臭い。」

剣斬「一時の俺の最低と比べてもあっちの方が100億倍酷いメンタルしてる。」

スラッシュ「思いつく限りの非人道的実験を人間に施したらあんな目になる。」

雪乃「…………どうしてこんなになってしまったの?」

結衣「」(絶句)

・総評
戦闘経験や純粋な能力だけならブッチギリで聖剣使い一、二位を競うレベルだが、メンタル面では最悪かつ最弱。
同情しても慰めても叱ってもぶっ壊れるレベルまで来てる。
ほっといてもそのうち勝手に壊れる。
人類や危機にさらされる世界のことを思うならこいつを殺して新しい担い手見つけたほうが効率的。
それを実行しようと思えば聖剣の騎士は同士討ちで全滅するが。
長々書いたが一言で言えば『敵にとっても味方にとっても爆弾』。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

この二本の忍者剣に祝福を!

ある世界に七本の聖剣在り。

一つ、紅蓮の炎の火炎剣

一つ、大地をも穿つ水勢剣

一つ、天をも焦がす雷鳴剣

一つ、金剛の如き毀れずの土豪剣

一つ、駆け抜ける疾風の風双剣

一つ、響き渡る調の音銃剣

一つ、封印と新月の闇黒剣、月闇。

聖剣の世界、解けし時、
七つの世界にて聖剣の担い手現れ、
世界をめぐり再び七本そろう時……


あの日のことはあんまりにも鮮明に覚えている。

 

「貴様程度の剣は当たらん!」

 

そんなことはわかってる。

自分の腕はせいぜい並みだ。ならどうするか?

武器は全部足元にある!

 

「カズマ!」

 

「カズマよせ!正面からでは敵わない!」

 

猿飛(さるとび)忍者(にんじゃ)(でん)!ニン!ニン!>

 

俺、佐藤和真は手にした聖剣、風双剣翠風(はやて)に『猿飛忍者伝』のワンダーライドブックを押し込む!

 

「くらえ!」

 

誰もが目を伏せた。

この街の全員、俺のことをたまたま聖剣が抜けただけの奴と思ってるからな。

でも、それでいい。それで正しい。だから俺は…

 

「やぁあああああ!」

 

<翠風!速読激!ニン!ニン!>

 

体をひねりながらジャンプ!風の連撃で地面のあちこちに出来た水たまりを舞い上がらせる!

 

「な!?これはぁあああああああ!」

 

流石に避けきれなかった敵、デュラハーンのベルディアが絶叫を上げて苦しみだす。

その様子を見た後ろのほかの冒険者たちはポカーンと口を開けて驚いている。

 

「いまだ!カズマが作った隙を逃すな!」

 

冒険者仲間のキースの号令が響く!

一同が武器を持って前に出る。

 

「ま、待てよせ!来るんじゃない!」

 

何やらそれっぽい詠唱をアクアが、あのアホ女神が唱えだすと周囲から水が集まり、

巨大な塊、それも元気玉みたいなサイズになりそれを発射しようと…

 

「『セイクリッド・クリエイトウォーター』!!」

 

遅かった。

走り出していた冒険者たちを巻き込み

 

「ああ、くそっ………」

 

もろとも洗い流された俺は意識を手放した。

 

 

 

目が覚めたのは翌日、拠点にしてる屋敷の自室でだった。

 

 

「あの後ベルディアは討伐が確認された。

最大の功労者であるカズマとアクアには町から感謝状が来てるぞ?」

 

聖剣使いだなんだと持て囃しておいて冒険者にしかなれないと知るとすぐに見放し、いざ聖剣を使いこなせば感謝状。

調子のいい奴らだと思いながらもそれを伝えに来た仲間のドМ聖騎士のダクネスにそっか、と告げて立ち上がる。

 

「あれ?俺の剣は?」

 

「また例によってお前しか持てないからな。

これは持ってきたから散歩がてら取ってくるといい。」

 

そう言ってダクネスは猿飛忍者伝を手渡す。

それを受け取ると着替えてまっすぐ街の外に向かった。

思った通り昨日ベルディアと戦ったのと同じ場所に翠風は2本とも刺さっていた。

 

「懐かしいわね。あなたそれを初期装備と勘違いして簡単に引き抜いて街中からすごい目で見られてたわよね?」

 

「アクア、ついてきてたのか?

今更俺がこれ言引き抜いたところで珍しくもなんともないだろ?」

 

そう言って俺は二本の剣を引き抜き、一本にまとめると腰のホルダーに納刀してその場を後にした。




仮面ライダー解説 その2

仮面ライダー剣斬=佐藤和真

・プロフィール
性別:男性
年齢:16歳
趣味:サブカル全般
特技:じゃんけん、家事、悪知恵
聖剣:風双剣翠風
好きなもの:ゲーム、楽して稼げること
嫌いなもの:不要な苦労、面倒ごと

・概要
風双剣に選ばれた転生者の日本人青少年。
たまたま適合し、たまたま剣をぬけて、
勝手に期待されたが、本人のスペックはそんなでもない為勝手に見放されて一時期やさぐれていたが、仲間たちが離れなかったおかげで腐りはしなかった。
今も少し捻くれた言動をすることはあるが、どっかの腐り目みたいに人間不信ではない。
一応清濁は呑み込めている。
アホな女神に爆裂馬鹿にドM聖騎士。
愉快な仲間たちと共に我らがゲスマは今日も征く!

・他のメンバーからの評価
セイバー「弱いのに強い不思議な人。」

ブレイズ「風双剣に相応しい大胆になるべき時に大胆になれる優れた策士です。」

エスパーダ「集団を動かす事で真価を発揮する。
彼の実力は仲間の数と質、そして絆で大きく変わる。」

バスター「小賢しい悪ガキだ。けど何処か憎めないんだよな…。」

スラッシュ「罰当たりな人。けどそうなっても狡い手段であがいて最終的にピンピンしてそう。」

八幡「…………(羨ましい)」

アクア「カズマ?そうね…私を下界に引き摺り下ろした事に対しては思うとこあるけど、彼のおかげで退屈はしないわ。」

めぐみん「我が爆裂道の理解者です!剣も変身もかっこいいですし!」

ダクネス「あんな奴で、あんな奴だが、悪人ではない。ま、善人でもないがな。」

・総評
悪知恵とズルと運であらゆる状況を打開できる悪童。
参謀役、指揮役に向いているがめんどくさがり屋。
しかしなんだかんだ責任は強く、途中で投げ出したりはしない。
総じて憎めない小悪党。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

聖剣絶奏ライダースラッシュJIK(銃でGOGO!否!剣で行くぞ!)

ある世界に七本の聖剣在り。

一つ、紅蓮の炎の火炎剣

一つ、大地をも穿つ水勢剣

一つ、天をも焦がす雷鳴剣

一つ、金剛の如き毀れずの土豪剣

一つ、駆け抜ける疾風の風双剣、翠風。

一つ、響き渡る調の音銃剣

一つ、封印と新月の闇黒剣、月闇。

聖剣の世界、解けし時、
七つの世界にて聖剣の担い手現れ、
世界をめぐり再び七本そろう時……


「これで!」

 

「終わりデース!」

 

刃のついたヨーヨーと大鎌が彼女、立花響に振り下ろされる。

 

「立花!」

 

「よそ見とは感心しないな!」

 

風鳴翼はマリア・カデンツァヴナ・イヴに、雪音クリスはノイズに邪魔されて迎えない。

 

(私、死んじゃう?)

 

彼女がやけにゆっくりと迫るように見える刃を見ながら思ったその時

 

<銃奏>

 

二つの刃が数発のエネルギー弾に防がれる。

響の背後から白いローブに黒いのっぺらぼうの様な面を被った何者かが躍り出る。

 

「な!?」

 

「何者デス!?」

 

<剣盤!>

 

手にした武器を変形させ、剣型にするとそのまま二人、月読調に暁切歌に斬りかかる。

 

「しばらく見ない間に随分と野蛮な真似をするようになりましたね。

月読さん、暁さん。」

 

「そ、その声は!」

 

何者かはフードと仮面を外してその素顔をさらす。

 

「セレナ!?」

 

彼女たちにとってはもう一人の姉ともいえる少女、数年前ある惨劇を止めるために一瞬だけ出現した完全聖遺物を使って、死亡したはずだったセレナだった。

 

「あなたが立花さんですね?妹分がご迷惑を。」

 

「え? あ、あの……」

 

「ご心配なく。落とし前はしっかりお付けますので。」

 

混乱する響を無視してセレナは手にした武器、(おん)(じゅう)(けん)(すず)()を逆手に持ち、片手でワンダーライドブックを開く。

 

<ヘンゼルナッツとグレーテル!>

 

<とある森に迷い込んだ、小さな兄妹のおかしな冒険のお話…>

 

「変身!」

 

スロットにブックをセット。

順手に持ち直し剣を突き出す!

 

<銃剣撃弾!銃でGO!GO!否!剣でいくぞ!音銃剣錫音!>

 

<錫音楽章!甘い魅惑の銃剣が、おかしなリズムでビートを斬り刻む!>

 

派手派手なショッキングピンクにコミックのカラーページのような派手なエフェクトを落とし込んだような仮面。

そしてアーマーのあちこちに見られるお菓子の意匠。

 

「遠からん者は音に聞けぇええええええええ!

近くば寄って目にも焼き付けろぉおおおおお!

この私こそがぁあああ!七つの聖剣の騎士が一人!

仮面ライダースラッシュ様だぁあああああああ!ベイベー!」

 

YOROSIKUUUUUUUUU!と叫び終えるとさらに奇声を上げて切歌にとびかかり、パワーで強引に詰め寄り、首筋に刃を押し当て、思い切り引き下ろす!

 

「ぎゃあああああ!」

 

「切ちゃん!」

 

「あなたもです、月読さん!」

 

<銃奏!>

 

すかさずモードチェンジした武器でスラッシュは極めて冷静に調の両足、両肩、さらに発射寸前だったヨーヨーを撃ち落とす。

 

「が、がふ……」

 

「悪い子は、お尻ぺんぺんだぜぇ!」

 

そう言ってスラッシュはまだダメージの抜けきらない切歌をつかんで調のほうに放り投げる。

そして一度スロットからワンダーライドブックを取り出し、剣に読み込ませる。

 

<ヘンゼルナッツとグレーテル!イェーイ!>

 

「ママより怖ーいお仕置きです。お覚悟を。」

 

<錫音音読撃!>

 

「はぁあああああ!はぁ!」

 

収束されたエネルギーを思いきり突き出す!

超広範囲の衝撃波が二人を吹っ飛ばし、変身解除させるほどのダメージを爆炎とともに与えた!

 

<イェーイ!>

 

「「うわぁああああああ!」」

 

「闇黒剣月闇があればあなたたちのギアを封印した所ですが、今日は見逃します。」

 

「せ、セレナ……いったいどうしちゃったデスか!?

まさか…その完全聖遺物に何かされたデスか!?」

 

「ギアに狂わされているのはあなたたちの方でしょう!?

聖剣は違う!あんな腐れ外道の自己満足のために誂えられた物じゃない!

たった七本ある聖剣だけが比喩でもなんでもなく世界を救える!

ルナアタックや衛星落下なんか目じゃない悲劇から!」

 

その場にいた全員が目を向いた。

その時始めてスラッシュの仮面が涙無理やりぬぐった後の顔のように見えたからだ。

 

「猶予をあげましょう。

あの外道に良いように従わされ、この世界と心中するか。

二課の詰めの甘い連中と仲好になって騙し騙し世界を延命させるか。

それとも我ら聖剣の騎士のと共に戦いこの世界を根底から救うか。

賢明な回答を期待します。」

 

そういうと彼女は仮面ライダー専用層の一つ、ライドガトライカーをマシンモード、三輪自動車型に変形させてそれに乗るとその場を後にした。

 




仮面ライダー解説 その3

仮面ライダースラッシュ=セレナ・カデンツァヴナ・イヴ

・プロフィール
性別:女性
年齢:19歳
趣味:音楽
特技:歌
聖剣:音銃剣錫音
好きなもの:家族
嫌いなもの:争いごと

・概要
姉と共に民族紛争や領土問題の戦禍に翻弄され続け、難民として過ごした過去を持つレセプターチルドレンの一人。
ネフィリムの暴走を止めるべく絶唱を使ったその時、彼女の魂の旋律にひかれた音銃剣錫音に助けられ、並行世界を渡り歩きながら武者修行をしていたところ偶々元の世界に帰還することに成功。
武装組織フィーネに所属する『家族』たちにこれ以上罪を重ねさせないため共闘を申し込んできた立花響たち二課と共に戦う。

・他のメンバーからの評価
セイバー「なんだかすっごく年下扱いされてる気がする。」

ブレイズ「いつもちょっとだけ悲しそう…。」

エスパーダ「聖剣の力なのかもしれないけど…たまにハイテンションになるの心臓に悪いからやめてほしいな。」

バスター「あんま抱え込み過ぎても仕方ねぇんだと思うけどねぇ?
ま、本当にダメな時にちゃんと他人を頼れるならいいんだけどな。」

和真「小うるさい。まあ、ワンダーライドブック取るつもりでパンツ盗った俺も悪いけど。」

八幡「妹、か………。」

響「正直、あんまり戦ってほしくないです。
……未来もこんな気持ちだったのかな?」

翼「剣士としては尊敬に値する。
が、どうにも壁を作られてる気がしてならん。」

クリス「他の聖剣の奴らとアタシらとで明らかに態度が違う気がするんだよな。」

・総評
シンフィギア奏者やそれを運営する組織に対しての不信感がどうしても拭えない上にあの日失ったF.I.S.での日々の代わりを同じ境遇の聖剣の騎士に求めてる節がある。
戦闘能力自体はシンフォギアと親和性の高い音銃剣が武器とあって高いが、やはり精神性に少し問題があると言わざるを得ない。
とは言えそれは八幡ほど深刻なそれでは無い(そのうえ一部は聖剣の特性上仕方ない面がある)為、時間と適切な交流があれば改善可能な問題である。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

水勢剣と三人のプリンセス

ある世界に七本の聖剣在り。

一つ、紅蓮の炎の火炎剣

一つ、大地をも穿つ水勢剣

一つ、天をも焦がす雷鳴剣

一つ、金剛の如き毀れずの土豪剣

一つ、駆け抜ける疾風の風双剣

一つ、響き渡る調の音銃剣、錫音。

一つ、封印と新月の闇黒剣、月闇。

聖剣の世界、解けし時、
七つの世界にて聖剣の担い手現れ、
世界をめぐり再び七本そろう時……



「ユウキ!」

 

「王子はん!」

 

「あ、主、さま………え?」

 

「なんだ、何かあると思えばこの程度か。つまらん。」

 

やけにゆっくりと沈んでいく完全に致命傷を負った自分の体と、置いて行かれたようにゆっくりと遅れて落ちてくる真っ赤な血を見つめながら少年、ユウキは頭の自棄に冷静な部分でこの状態をどうにかしようとしていた。

 

(クリスティーナからコッコロを守るために体ごと盾になったのはいいけど…これは、死んだかも。

左肩からバッサリ……前にぺコさんがやっつけた魔物もこんな風にやられてたっけ?)

 

もう、どうしようもない。

マホに直してもらう?駄目だ。失敗する確率の方が高い。

コッコロは?駄目だ。魔法を使うという選択肢が上がるような精神状態じゃない。

 

(終われない。こんなところじゃ終われない!絶対に!絶対に!)

 

手を伸ばす。

何とか剣を杖代わりに立つことぐらいはと思うが、腕が石のように重い。

瞼も、体も同じだ。

動かなきゃいけない。それなのにそのまま彼は意識を手放した。

 

 

 

「その言葉に偽りはありませんか?」

 

気が付くとそこはどこかの街中。

そこら中にシャボン玉が飛び、空には竜の姿も見える。

ユウキに声をかけたのはそんな不思議な世界に不思議とマッチした青い革のコートの男性だった。

 

「私なら、あなたに力を託すことができます。

ですがそれは、あなたをさらに過酷な運命にいざない、

あなたの大事な人たちをも巻き込みかねない。

でも、あなたはこの力を手にしなければ間も無く死ぬでしょう。

時間はあります。よく考えて…」

 

男がいい終えないうちにユウキは手を伸ばした。

男は暫くユウキをじっと見ていたがやがて

 

「この剣を抜いてください。」

 

男はユウキの背後を指す。

ブロックノイズのような光と共にユウキの背後に一筋の水柱が立った。

ユウキは一瞬面食らったがゆっくりと息を吐き、それをつかむ。

 

水勢剣(すいせいけん)流水(ながれ)!>

 

 

 

「はっ!」

 

ユウキは自分が前のめりに倒れそうになっていることに気づいて踏ん張った。

彼含めて全員が目を向いている。

傷口に指を這わせると、そこからおびただしい量の水が噴き出し、ユウキの腰に巻きつく。

 

<聖剣!ソードライバー!>

 

赤い帯に黒いスロットが三つ着いたバックル、聖剣ソードライバーに何かを横向きに差し込むスロットを見つけたユウキは立ち上がり、背中の剣を引き抜く。

 

剣にブロックノイズ上の光が走り、その姿を水勢剣流水に変えた。

納刀し、サイドのホルダーにマウントされていたワンダーライドブックを開く。

 

<ライオン戦記!>

 

<この蒼き鬣が新たに記す、気高き王者の戦いの歴史…>

 

「ほう?犬に狐ときて今度は獅子か?動物ならより取り見取りだな?」

 

そう言って好戦的に笑うクリスティーナにユウキは静かに言った。

 

「この聖剣に誓う……皆も世界も、僕が救って見せる!」

 

バックル中央のスロットに閉じたライドブックをセットクリスティーナが走ってきたのに合わせて剣を引き抜く!

 

<流水、抜刀!>

 

「変身!」

 

クリスティーナの剣をはじいてポーズを取る!

背後に出現した本型のゲートから飛び出した青い獅子のエネルギーがユウキを包む!

 

<ライオン戦記!>

 

<流水一冊!百獣の王と水勢剣流水が交わる時、紺碧の剣が牙を剥く!>

 

仮面ライダーブレイズに変身を果たしたユウキはクリスティーナに向かっていく!

 

(面白いな…本人の剣の腕はせいぜい並み。

だが避けれる攻撃は全て避け、受けれる攻撃は全て受けきれている。)

 

そして当てれる攻撃は全て当てている。

ブレイズには乱数聖域が通用していない。

 

「面白い!お前も倒してその鎧も剣もエルフの子供もバラバラにしてドロドロに溶けるまで研究してやる!」

 

両者剣の冴えが増す。だが絶対値と年季で圧倒するクリスティーナにだんだんとブレイズが推され始める。

 

「なあ、あれ、なんなんだ?」

 

戦いを見ていたコッコロにマコトが尋ねる。

しかしコッコロも首を振る。

 

「アメス様にも、あのような力はありません。

あれは恐らく、もっと別の聖なる力です。

聖剣ナガレ…主様、あなたは本当に一体……。」

 

「どうしたどうした!そんあものかぁあ!」

 

振り下ろされた剣についにブレイズが膝をつく。

だがブレイズは負けじとベルトのライドブックをタップ!

 

<ライオン戦記!>

 

クリスティーナとブレイズのちょうど間から青いライオンが現れる。

ライオンは彼女にかみつくとそのまま思い切り壁にたたきつける!

クリスティーナは崩れた壁の瓦礫と共に放りだされた。

 

「おお!」

 

「あんなことまで……」

 

そのままクリスティーナを追おうとするブレイズ。

しかし

 

「王子はん!これ!」

 

マホが彼を引き留め、何かを握らす。

 

「それって!」

 

「ライオン戦記にそっくりさー!」

 

「マホマホ王国に伝わる秘宝どすえー。

王子はん。これであいつを懲らしめとぉくれやす。」

 

ブレイズは頷いてバックルの本を閉じると手にした新たなワンダーライドブックを開く。

 

<天空のペガサス!>

 

<かつて蒼白の翼を持つ神獣が天から輝き舞い降りた…>

 

スロットの右側に装填し、もう一度剣を引き抜きながら飛び降りる!

 

<流水抜刀!聖なるライオンペガサス!>

 

<流水二冊!夜空を彩る獅子座が、流星の如く降り注ぐ!>

 

新たに右肩の装甲を追加されたブレイズは腰のホルダーに剣を納刀し、居合斬りのような構えを取る。

 

「いい。お互い、命を張るとしようじゃないか!」

 

2人は同時に走り出し剣を振りぬく!

 

<天空のペガサス!>

 

しかしそれより早くブレイズはバックルのライドブックをタップし、剣を持つ手とは反対の手にエネルギをため、クリスティーナの剣を肩で受け、手で押さえつける!

 

(引けない!しまった!)

 

<必殺読破!ペガサス!ライオン!二冊撃!

ウォ・ウォ・ウォーター!>

 

振りぬいた剣がクリスティーナの腹部を一閃。

さらにもう一撃右肩に深々と一撃。

 

クリスティーナが剣を落とすのとブレイズの変身が解除されるのは同時だった。

 

「は、ははははは!あーーーっはっはっはっは!

まさかこんな坊やに完全敗北を喫するとは!このクリスティーナ・モーガンも落ちたものだな!」

 

ダメージ量で言えば完全にクリスティーナの方が上だろう。

だが、今彼女の利き手は完全に動かない。

剣士としてこれ以上致命的な傷はないのだ。

 

「名前は覚えておくよ。えーっと?」

 

「ブレイズ……水の騎士、仮面ライダーブレイズ!」

 

ブレイズ、ブレイズか。と何度かその名を反芻するとクリスティーナはその場を後にした。

サレンが駆け付けたのはその少し後のことだった。




仮面ライダー解説 その4

仮面ライダーブレイズ=ユウキ

・プロフィール
性別:男性
年齢:16歳
趣味:手伝い、人助け
特技:女を落す(無自覚)
聖剣:水勢剣流水
好きなもの:たくさん
嫌いなもの:覇瞳皇帝(カイザーインサイト)(直球)

・概要
かすかに残っていた先代ブレイズの魂に見込まれ、水勢剣流水を手にした少年。
電脳世界にデータ化して入ってきた水勢剣流水は下手したらバグとして処理されかねないので、彼のもともと持っていた剣と融合する形で彼の手に渡った。

・他のメンバーからの評価
セイバー「抜けてるんだか鋭いんだか…んー、天然?」

エスパーダ「聖剣の騎士やその周りの人間はどうにも人たらしや魔性の奴らが多い気がするが、彼はその最たる例だろう。」

バスター「あー、あいつね?悪い奴じゃねえけどそのうち刺されそうなのだきゃ心配だな。」

和真「リア充爆発しろ!うちの馬鹿どもと違って癖は強いけど優秀な仲間ばっかじゃん!不公平だ!」

セレナ「彼は不思議な子よね。時々すごく子供っぽいんだけど、時々誰よりも大人なのよね。」

八幡「………別に。どうでもいい。」

ぺコリーヌ「世界を救う勇者なんてやばいですね☆
けど、普通の狩とかの時は変身したり本を使わないんですよ。
なんででしょうね?」

キャル「あいつ?まあ面倒な奴だけど悪い奴じゃないわよ?」

コッコロ「謎の多い方です。けど間違いなく選ばれた立派な方です!」

・総評
記憶喪失ゆえの奇行や常識のない部分がなくはないが、人として大事なものはもう持っており、誰かのために戦うことをためらわない騎士然とした部分もしっかりあり、総じて色物ぞろいの聖剣の使い手たちの中ではまともな部類、かもしれない。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

聖剣剣士ランプ☆ド☆エスパーダ

ある世界に七本の聖剣在り。

一つ、紅蓮の炎の火炎剣

一つ、大地をも穿つ水勢剣、流水。

一つ、天をも焦がす雷鳴剣

一つ、金剛の如き毀れずの土豪剣

一つ、駆け抜ける疾風の風双剣

一つ、響き渡る調の音銃剣、錫音。

一つ、封印と新月の闇黒剣、月闇。

聖剣の世界、解けし時、
七つの世界にて聖剣の担い手現れ、
世界をめぐり再び七本そろう時……



<必殺読破!

黄雷抜刀!ケルベロス!ヘッジホッグ!アランジーナ!三冊斬り!

サ・サ・サ・サンダー!>

 

「トルエノ・デル・ソル!」

 

オラクルレイを足場代わりに電光石火の速さで距離を詰めてきた敵、仮面ライダーエスパーダゴールデンアランジーナは、腰のバックルから聖剣、雷鳴剣(らいめいけん)黄雷(いかづち)を寸分の狂いもなく彼女、美国(みくに)織莉子(おりこ)のソウルジェムめがけて振り下ろす。

 

覚悟して目をつむるが、肉を切る音も骨を断つ音も聞こえるが、いつまでたっても痛みは来ない。

目を開けると、そこには真っ二つになった相棒が重力に従って落ちていく場面だった。

 

(キリカ!?嘘…体ごと盾に?)

 

「無駄だ!」

 

エスパーダはすぐさま次の行動に切り替え、左の肩アーマーからランプの魔人を召喚。

織莉子の背後を取らせて頭から真っ逆さまに落とされる。

魔法少女故、常人よりパワーは有るが、近接戦特化ではない彼女には振り払うことはかなわない。

 

<必殺読破!

ケルベロス!ヘッジホッグ!アランジーナ!三冊撃!

サ・サ・サ・サンダー!>

 

「オーロ・ボンバルデーロ!」

 

その場で体をひねったエスパーダの尖った雷をまとったキックが織莉子の上半身をえぐり飛ばした。

 

べちゃ!と汚い音を立てて残った下半身は断面から地面と激突する。

 

「世界を救うのは、俺だ……。」

 

 

 

「いやぁああああ!はぁ……はぁ……うぷっ!」

 

ベッドから飛び起きた美国織莉子はくっついて寝ていた親友、呉キリカをやや乱暴に振り払うとトイレに駆け込み、こみ上げていた全てを吐き出した。

 

(また、この夢…違う、未来。)

 

どれだけ選択を変えても、必ず奴が、仮面ライダーエスパーダが自分もキリカをも斬る。

最初は相打ちまで持ち込めていたが、どうゆうわけか彼は次々新しい力を、仲間を手に入れていき、最初は一冊だけだった本の力も三冊。

最初はいても巴マミしかいなかった協力者も予知を重ねるたびに佐倉杏子、千歳ゆま、果ては何度も殺し合ったはずの暁美ほむらとも手を組み立ちはだかった。

 

「お前らでは世界を救えない。

世界を救うのはこの俺と雷鳴剣黄雷!

仮面ライダーエスパーダだ!」

 

不敵に言い放つ奴の姿が何度もフラッシュバックする。

それにつられて何度でも鮮明によみがえる崩れ落ちる自分と、キリカ。

 

「エスパーダぁああああ!」

 

織莉子は吐き気と戦いながら憎々しげにその名をつぶやいた。

 

 

 

 

いつも夢に見る。

いや、夢だけではない。

昼起きていてもふとした時に思い出す。

それは滅んでしまったあの世界の記憶。

 

冨加(ふか)(みや)…剣に、無茶をさせるなよ?お前は親父そっくりだからな…』

 

先代スラッシュは敵の幹部と相打ちになり

 

『お前ら!未来は、お前ら若いのに任せたぞ!』

 

先代バスターは殿を務めて

 

(けん)()…芽衣さんを、頼みました……。

鍛錬は怠らず、甘いものはちゃんと節制してくださいね?』

 

先代ブレイズは愛した女性を守って

 

『くそ……くそぉ!賢人君…俺、悔しいよぉ。

賢人君みたいにもっともっと強くなりたかったのに!

こんな所で終わりなんて…くやしいよぉおお!』

 

先代剣斬は自分の腕の中で

 

『賢人ぉ!やれぇえええええ!』

 

先代セイバーは、裏切りの騎士、カリバーの隙を作るために、息絶えた。

皆、目の前で死んでいった。

そしてカリバーを倒し、残る幹部たちも倒した。

けど、間に合わなかった。

 

「ああ……ああああああーーーーーー!

ごめん、ごめんよ皆!俺は、俺は世界を救えなかったぁ!

うわぁあああああーーーーーー!」

 

他の世界に散らばっていく聖剣を掴むことはできなかった。

自分の雷鳴剣が飛んで行かないようにするので精一杯だったのだ。

そして気が付けば自分は、剣ごと別世界に飛ばされていた。

 

『……と君。賢人君!』

 

「……蓮?」

 

「? ゆまはゆまだよ?」

 

どうやら転寝をしていたらしく、エスパーダ、富加宮賢人は起き上がりながら自己嫌悪に陥った。

 

(馬鹿か。蓮がこんな奇麗なソプラノボイスの女の子な訳ないだろ。

あれは、夢だ。過去の、夢だ……。)

 

「ぐあいわるいの?」

 

「いや、平気だ。少し寝ぼけてるだけで、いたって健康だ。

ゆま、お前こそ毎晩遅いんだから寝れるときにしっかり寝ておけ。」

 

「じゃあ賢人君!またご本よんで!」

 

「いいぞ?何がいい?」

 

「トライケルベロス!」

 

「わ、ワンダーライドブック!?」

 

「だめ?」

 

「駄目じゃないが……。

その注文はちょっと予想外だったな…。」

 

ちゃんとした寝床に向かいながら賢人はどうやったらこの本を読み切れるものかと思案した。




仮面ライダー解説 その5

仮面ライダーエスパーダ=富加宮賢人

・プロフィール
性別:男性
年齢:19歳
趣味:童話鑑賞
特技:強いて言えば剣術
聖剣:雷鳴剣黄雷
好きなもの:信頼、剣士らしい行為
嫌いなもの:裏切り、剣士らしくない行為

・概要
かつて存在した聖剣の世界の最後の生き残り。
そして現状唯一の正規の訓練を積んだ聖剣の騎士でもある。
雷鳴剣黄雷ごとおりこ☆マギカの世界に転移し、世界を救うべく行動する。
かつて仮面ライダーカリバーだった父がおり、そのためか『闇』や『時間』に作用する能力に敏感。
暁美ほむらの時間逆行にもある程度耐性があり、完全に記憶を引き継ぐことは不可能だが、体感やなんとなくの記憶は引き継げる。

・他のメンバーからの評価
セイバー「怖い先輩。けど頼りになるし、良い人だと思う。」

ユウキ「賢人さんはいい人。ペコさんたちとも仲良し!」

バスター「悪い奴じゃねえけど母ちゃんかってぐらいうるさい。
そーゆーのはセレナだけでお腹いっぱいだっての。」

和真「時々俺と先代を重ねて見て勝手に落ち込むのはやめてほしいかな?
普段時間にめっちゃ厳しかったりスティール使うたびにぐちぐち言うのはまあ、風紀上仕方ないけどさ…」

セレナ「仲はいい方ですよ。
よく一緒に訓練と、ご飯作ったりしますし。
なんて言うか、話してて親近感沸きます」

八幡「嫌いだ。金色とか生まれついての剣士とか…。
俺の大嫌いなあいつを思い出す。」

マミ「久しぶりに、一緒に戦ってくれた仲間です。
歳は離れてんすけど、友達と言ってくれた人です。」

杏子「あいつのお節介がなかったらマミともこう…喧嘩別れしたまんまだったし、まあ、感謝はしてるよ。
あ、でもことあるごとにお菓子取り上げんのは許してないからな。」

ゆま「やさいいよ。ときどきこわいけど、
ねるまえにご本よんでくれる。」

ほむら「利害が一致してるだけの関係よ。
それ以上でもそれ以下でもないわ。」

・総評
他の聖剣の騎士に対しては『騎士らしい行為』を求め、厳しく接する。。
しかし八幡のようにあからさまに拒絶したりしないし、実際に先代ブレイズから剣を託されたユウキやその仲間に非常に好意的に接したりと、真面目だが頑固ではない。
使命感と過去に葛藤しながらも突き進む実直な人物、といったところだろう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

銀魂聖剣乱舞

ある世界に七本の聖剣在り。

一つ、紅蓮の炎の火炎剣

一つ、大地をも穿つ水勢剣、流水。

一つ、天をも焦がす雷鳴剣、黄雷。

一つ、金剛の如き毀れずの土豪剣

一つ、駆け抜ける疾風の風双剣、翠風

一つ、響き渡る調の音銃剣、錫音。

一つ、封印と新月の闇黒剣、月闇。

聖剣の世界、解けし時、
七つの世界にて聖剣の担い手現れ、
世界をめぐり再び七本そろう時……


 

「無駄だ無駄だぁ!」

 

ズオス・プレデターが二本の短剣を振るう。

発された衝撃はが剣斬、スラッシュ、そして一緒に戦うことになった夜兎という種族の少女、神楽を吹き飛ばし二人のライダーを変身解除させた。

 

「神楽ちゃん!和真君!セレナさん!」

 

協力者の青少年、志村(しむら)新八(しんぱち)と超大型犬の定春(さだはる)が駆け寄る。

彼がすぐに逃げてくれれば三人は助かるだろうが、それはない。

真っ先にやられて動けない比企谷八幡、仮面ライダーカリバーは何度も見た、ついに現実となった未来にうんざりした。

 

(過程も結果も変わらない。

まず俺はあの世界を守り損ねて他の世界を救ってきた富加宮に出会って、

勝手についてきた雪ノ下、由比ヶ浜と異世界に行く。

そして佐藤達と会って、カデン…なんとかと出会って、

そしてなぜかこの世界についた時点で富加宮とはぐれて…こうして全滅させられる。)

 

自分なりに足掻いたつもりだったが、

所詮自分など、聖剣が振るえてしまっただけの男。

何かを成し遂げることなど不可能だった。

 

(あーあ。詰まんねえ人生だった。)

 

「くっそ!」

 

「前よりも、強い!」

 

「当然!俺に一度見た攻撃は通用しない!

お前たちは所詮!俺が強くなるための餌なんだよ!」

 

そう言い放ってズオス・プレデターは生身になった二人に斬りかかる!

が、その脳天に細長い何かが投げつけられる。

『洞爺湖』と銘が、いや、銘じゃない。売られていた場所が刻まれた木刀だ。

 

「久しぶりに帰ってみれば人様の家の前でギャーギャーギャーギャー騒ぎやがって。

野良だけに発情期ですかコノヤロー。」

 

そう言って現れた独特な声音の持ち主は変な格好の男だった。

肩肌脱ぎの着物と黒い半袖に長ズボンにブーツのコスプレの様な恰好。

銀髪の天然パーマ。

そして八幡にも劣らない腐った眼。

しかしそれは確かな光を宿しまっすぐ前を見つめている。

 

「銀さん!」

 

「銀ちゃん!」

 

その男こそが、二人が働く『万事屋銀ちゃん』のオーナーにして行方不明だった侍。

坂田銀時だった。

 

(馬鹿な!こんなの、俺が見た未来には…)

 

「新八!神楽!どうやらしっかりやってたみたいだな。

引き立て役はそろそろ引っ込んであとは主役に任せときな。」

 

「任せときなって…銀さんもしかして背中にしょってる剣は!」

 

「ああ。俺もジャンプ主人公の端くれ。

敵と会うたび進化する。

かめはめ波の続いて卍解までしっかり習得してきた!」

 

「いやそれ斬魄刀というには最初から刀から離れすぎでしょ?

おもきし西洋大剣じゃないですか!それタイトル詐欺になりません?」

 

「別にいだろ?斬魄刀だって始解の段階で槍になったりするやつもあるんだこれぐらい…」

 

「だーかーら!聖剣だって言ってるでしょ!いい加減名前覚えろ!

卍解じゃなくて変身だって何度言ったら分かる!」

 

肩で息をしながら全力ダッシュで追い付いて来た賢人が最後の域を全部吐き出すように突っ込む。

 

「おー賢人、ようやく追いついたか。

オイ新八。こいつ、行った先で会ってなかなか才能あるやつでな。

次期ツッコミ王とも目され…」

 

「アンタが勝手に言ってるだけだろ!

ここ敵の前なんだよ!もっとまじめにやれ!世界の危機だぞ!?

なああんた!この甘党テンパ侍はいつもこんなんなのか!?」

 

「新八、銀ちゃんどっか行ってた間もやることなんも変わってなかったみたいアル。」

 

「そうだね…そしてちゃっかりあの賢人って人にも迷惑かけまくってたみたい。

みてよ。賢人さんのバック、お菓子とかジャンプがはみ出てる。」

 

しっかりと銀魂に毒された賢人になぜか新八はサムズアップを送った。

 

「はぁーーー!まあ、いい。

とにかく俺たちが来るまでよく耐えてくれた。

あとは任せろ!」

 

<ランプ・ド・アランジーナ!>

 

<ニードルヘッジホッグ!>

 

賢人はソードライバーに二冊の本を、銀時は背中から抜いた土豪剣激土に

 

<玄武神話!>

 

<かつて、四聖獣の一角を担う強靭な鎧の神獣がいた…>

 

ブックをセット。

大上段に構えて振り下ろす!

 

<一刀両断!>

 

<黄雷抜刀!黄雷二冊!>

 

<トゲ!トゲ!ランプドヘッジホッグ!>

 

<ブッた斬れ!ドゴ!ドゴ!土豪剣激土!

激土重版!絶対装甲の大剣が、北方より大いなる一撃を叩き込む!>

 

賢人は仮面ライダーエスパーダ、ランプドヘッジホッグに。

銀時は土灰色の重装甲にオレンジ色の複眼の仮面ライダーバスターに変身する。

 

「新しいライダーか。まとめて喰らってやる!」

 

「飲まれんのは酒とパフェだけって決めてるんでな。

悪いがさっさとおかえり願うぜ!にゃんこちゃんよぉ!」

 

走り出すバスターとエスパーダ。

 

全くの未知の事態への混乱。

言い知れぬ敗北感。

そして自分自身に対する怒りとやるせなさ。

そのすべてを一度に感じながら八幡は空を仰いだ。





仮面ライダー解説 その6

仮面ライダーバスター=坂田銀時

・プロフィール
性別:男
年齢:27
趣味:ジャンプ鑑賞
特技:ボケ倒し
聖剣:土豪剣激土
好きなもの:甘い物
嫌いなもの:怖い話

・概要
死んだ目のニート侍。
普段の素行があまり良くないので憎まれ口をたたかれるが、
芯は一本通っており、なんだかんだで愛される。
受難体質で、切り盛りする万事屋銀ちゃんには面倒ごとしか転がってこない。
地球レベルの危機に巻き込まれることもしばしば。
今回も聖剣に見いだされ盛大に巻き込まれた。

・他のメンバーからの評価
セイバー「ジャンプ好きに悪い人はいない!」

ユウキ「酔った時のユカリさんそっくり。
いつも変なこと言ってる。」

賢人「とても剣士らしくない人物だ。
だが、チンピラというには聊か礼節に欠ける。
どう評すべきか…駄目な大人だがいい人…とでも言っておくかな。」

和真「漫画の話や気も合うし、良い人だよ。
儲け話にもすぐ食いついてくれるし。まあ、相手にすんのは疲れるけど。」

セレナ「まーったこんない甘いもの食べて!
糖尿病寸前って自分でも言ってましたよね!?
それに稼ぎも大してないんだからもっと節制して…(以下、説教)」

八幡「……別に。大してかかわりもないし。」

新八「急に行方不明になったかと思えばなんかまたとんでもない案件抱えて戻ってきてくれちゃったけど、やっぱり銀さんがいないと始まらないからね。」

神楽「そうアル!これでようやくいつもの万事屋ね!」

・総評
大人としてはマネしたいなどと思わないが、
かっこよく決めれてる部分は人として尊敬される自堕落な侍。
他の騎士やその仲間からも評価は一定しないが、総じて悪くは思われてない。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

はじめに炎の剣士あり

ある世界に七本の聖剣在り。

一つ、紅蓮の炎の火炎剣

一つ、大地をも穿つ水勢剣、流水。

一つ、天をも焦がす雷鳴剣、黄雷。

一つ、金剛の如き毀れずの土豪剣、激土。

一つ、駆け抜ける疾風の風双剣、翠風。

一つ、響き渡る調の音銃剣、錫音。

一つ、封印と新月の闇黒剣、月闇。

聖剣の世界、解けし時、
七つの世界にて聖剣の担い手現れ、
世界をめぐり再び七本そろう時……


彼女(かれ)は、同じ顔の者が後二人いるとしても、

当然ながらこの世に一人しかいない存在だが、最も適切な評価が『どこにでもいるややオタク気質な高校生』としか言えない存在だった。

 

部活には所属せず、図書委員の仕事に精を出し、

勉強は極端に出来ないのは英語ぐらいで、

他は上の下から中の下まで様々。

欠点らしい欠点と言えばやや機械音痴なぐらい。

 

恐らくよっぽど荒れて無い限りどの学校にも一人は居そうな存在。

それが『トウマ』という少年(しょうじょ)だ。

あの日、世界がほどけるまでは。

 

『はぁ………はぁ………。』

 

地面が黒く染まり、白く光る大地の内側に吸い込まれていく。

まるで少し前に見た映画の主人公が追いかけてくるクレバスから逃げるように『トウマ』は逃げていた。

 

『こんな、こんなところで…』

 

死にたくない。

 

足がもつれて倒れる。

多分、全身が地面と熱烈にハグするより日々に巻き込まれて落っこちるのが早い。

 

『それでも!あきらめない!

こんなところで、物語を終わらせない!』

 

虚空を掴む。

じゅっ!と、自分の手から熱したフライパンに水を入れた時のような音がした。

いつの間にかその手は、真っ赤に燃える鋼の剣を掴んでいる。

反射的に手放しそうになるのをこらえた。

大火傷をする羽目にはなるが、これを支えに立てば逃げ続けれる。

 

『あああああああああああああ!』

 

剣を強く握りしめ、どうにか踏み出した次の一歩でまだギリギリ地面になってくれている石段を踏みしめる。

 

<聖剣!ソードライバー!>

 

<火炎剣烈火!>

 

『え?』

 

気付けば手の火傷も剣の炎も消えていた。

代わりにその手には見慣れない両刃剣が、その腰には黒いすろっつが三つついたベルトが装着されていた。

驚く間に崩れた地面の下に落ちていく。

けど不思議と『トウマ』に焦りはなかった。

 

『ふっ!』

 

バックルに剣を差し込み、ベルトの脇のホルダーに刺さっていた四角い物に手を伸ばす。

赤い手のひらサイズの物の表面には、まるでファンタジー小説の表紙のように赤い龍の絵と『BRAVE DRAGON』と英字で書かれている。

 

(本だ…)

 

<ブレイブドラゴン!>

 

<かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた…>

 

ベルトにブックを刺し込み、納刀していた火炎剣を引き抜く!

 

「変身!」

 

<烈火抜刀!ブレイブドラゴン!>

 

<烈火一冊!勇気の龍と!火炎剣烈火が交わる時!

真紅の剣が!悪を貫く!>

 

トウマの姿が赤い龍を模した右半身を持つ戦士に変わった。

黄色い複眼が遠ざかる地面だった場所を睨む。

 

『飛び上がる!』

 

<ストームイーグル!>

 

<ふーむふむ!習得一閃!>

 

ホルスターにもう一つはまっていたブックを剣先に読み込ませる。

アーマーの背中に赤い翼が生え、裂け目に向かって飛び向かう。

 

『ふっ!……!?これは…』

 

「世界の終わりさ」

 

誰にも向けていなかったつぶやきに返答があった。

ふり返るとそこに金色に輝く剣があった。

中心部分の四角い所によく見ると小さく顔のような物が有る。

 

「このままでは世界がすべてほどけ切ってしまう。

まあ、そのおかげで世界の裏側にいた俺も巻き込まれず以上を察知して脱出できたわけだが…」

 

『あなたは一体…』

 

「おっと、申し遅れた。

俺は仮面ライダー最光。世界の守護者たる聖剣使いの一人だ。」

 

『聖剣そのものではなく?』

 

「まあ、そこら辺は俺自らが望んでやったことと不可抗力が絡み合ったひどく厄介な理由があってな。

そんな事より、今代のセイバー。世界を救うために俺と共に戦ってほしい。

俺は見ての通り剣士としての力を十全に発揮できない!」

 

頼むこの通りだ!と、いって浮遊する生きた剣は頭を下げた。

刃が当たりそうになって危なかった。

 

『…(ぼく)は、自分の物語をまだ終わらせたくない。

戦い方を教えて!ブックの使い方と違ってこっちは何も教えてくれない。

むしろこっちからお願いする!戦い方を教えて!』

 

「…いいだろう。俺を掴め!」

 

セイバーが最光を掴む。

その瞬間、二人の姿はその世界から消えた。




仮面ライダー解説 その7

仮面ライダーセイバー=あなた(デフォルトネーム『トウマ』)

・プロフィール
性別:男/女
年齢:17
趣味:本集め(ジャンルは問わない。流石にカルト宗教とか根拠ない陰謀論みたいなのは読まないが)
特技:作文、早食い(男)/柔軟(女)
聖剣:火炎剣烈火
好きなもの:ファンタジー作品、甘い物
嫌いなもの:あんまりにも救いのないバッドエンド

・概要
どこにでもいる若干オタク気質な高校生。
特筆すべきことのない平凡な毎日を送っていたが世界の崩壊と同時に聖剣を手にして戦いに身を投じていくこととなる。
性別は読み手に委ねられる。

・他のメンバーからの評価
ユウキ「友達。好きな漫画の話とかよくするし、
剣の稽古も一緒にする!」

賢人「本人の伸びしろも、上昇志向も強く先が楽しみな剣士だ。
まあ、素直すぎるところが不安では有るが…」

銀時「あいつ?ジャンプ仲間だよ。
隙あらばパフェを取り上げようとしてくるが、
この銀さん相手にゃ100年早ぇな。」

和真「んー、まあ仲は悪くないと思う。
なんて言うか、普通?」

セレナ「手のかかる下の子って感じかしら。
ユウキ君とは別ベクトルでね。
いい意味でほっとけない感じかな?」

八幡「あいつの話は二度とするなっ!
……嫌いだよ。あんな奴。」

・総評
やや先輩受けの良い傾向はあるかもしれないが、
いたって普通。
だが刃王剣の核たる火炎剣に選ばれるだけとてつもない才能と、
覚悟を秘めている。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。