異世界転生は3つのタレントと今までプレイしてきたゲームのアイテムと共に (色々残念)
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王国の第一王子フレイム

自分は死んだ筈でしたが、どうやら赤子として、また生きることになったようです。死を迎えて一度失った意識がはっきりしたのは産声を上げてからですが、母親らしき人に抱えられながら涙を流す父親らしき人の顔を見ました。

 

そして父親らしき人は「この子の名はフレイム・アルトロン・ドライグ・ライル・ヴァイセルフだ」と言ったので今生の自分の名がやたら長いことと、ライル・ヴァイセルフという名がオーバーロードに出てくるバルブロやザナックにラナーと一緒だという事に気付いて、オーバーロードの王国に王族として転生してしまったと理解しましたね。

 

自分の未来は暗いかもしません。既に王国は腐敗しているでしょうし、ランポッサがかなり若いのでモモンガさんがナザリックごと転移してくる何十年か前ということは解りますが、正確な年代が解ってもナザリックに対抗できるとは思いませんね。それに今はただの赤子に過ぎない自分に出来ることは何もありません。とりあえず自分で動けるようになってから考えましょう。

 

そんなこんなで5歳になったフレイムでございますが、自分に何か出来ることがないか考えてたらアイテムボックスを開けるようになっていて、前世でプレイしていた全てのゲームのアイテムをなんか取り出せるようになったので、クライシスコアのライブラのマテリアで自分のステータスを確めていたら、アイテムマスターの職業と全てのアイテムを使えるというンフィーレアと被っているタレントとレベル限界突破に全職業適性という3つのタレントが自分にあることが解りました。

 

レベル限界突破は100レベル以上にレベルを上げることが出来るというタレントですね。全職業適性はその名の通り、全ての職業に適性があるというもののようです。そんなわけでドラクエ系の能力をアップさせる種やきのみ各種を使ってドーピングした結果として力、素早さ、守り、賢さ、体力、魔力が全て300を超えるステータスとなったので、自身の身の丈以上の大剣、モンハンのカブレライトソードを片手で小枝のように軽々と振るえるようになりましたよ。

 

王族としての勉強も賢さのおかげで楽勝ですね。毒殺などを警戒して常に指にはドラクエ8のスーパーリングを装着しています。まだブカブカですが、布を巻くことでフィットさせるようにしているので大丈夫。暇な時は絶えず風来のシレン外伝女剣士アスカ見参に登場する根性の竹刀で素振りをして力を増やしています。

 

ちなみに最近フリーゲームのジョジョの奇妙な冒険七人目のスタンド使いに登場する波紋に関する本を全て自分に使ってみると波紋を習得できました。ライブラのマテリアで自分を見てみるとアイテムマスター以外にも職業が増えていてファイターにソードマスターと波紋戦士という職業になっています。

 

アイテムを使うことで職業が増えることが理解できたのでこれからは積極的にアイテムを使っていこうと思うフレイムです。風来のシレンのしあわせの腕輪を両腕に装着できるだけ装着して走り回っていると、経験値が増えていくことが判明したので多分城内に敵となる人がいるんだと思いますが、とりあえず襲ってこないなら問題はないでしょう。

 

冴え渡る頭を働かせれば敵が誰なのか直ぐに理解できましたが、経験値が安全な城内で入るのは美味しいので放置します。波紋戦士の職業を習得した影響か意識せずとも波紋の呼吸が使えるようになっておりますが使い過ぎると成長が遅れそうなので、ある程度の年齢になるまで常に波紋の呼吸を行なうことは止めておくとしましょう。それでも波紋戦士は老化が遅くなるため全盛期が長く続くことになるでしょうね。

 

どうもフレイムです。10歳になりましたが弟のバルブロがまだ可愛い顔をしていますね。これがあの厳ついオッサンになるとは驚きです。バルブロはかなりのやんちゃ坊主ですが使用人や貴族達には第二王子のバルブロを止められないので、兄である自分が止めることになっていますね。父は多忙なので役割分担ということで納得はしています。

 

身体能力を加減してバルブロを捕まえて悪いことをしたら謝るようにしつけていたら、バルブロが何か仕出かす度に呼ばれるようになって鍛錬の時間が少し減りました。そしてザナックが生まれましたね。皆が寝静まった夜メタルギアソリッド4のステルス迷彩を起動してから透明になり高まった身体能力を駆使して腐敗貴族を暗殺しに行きますよ。

 

人を殺しても何も感じないあたり自分はけっこう人でなしだなと思いますが、それでも王国が少しでも良くなれば良いと考えての行動です。ドラクエシリーズのアサシンダガーで殺害を終えてから外に出てドラクエ8の風のぼうしを使ってルーラの効果で王城に帰還しました。それからライブラのマテリアで自分を調べるとマーセナリー、チャンピオン、スカウト、ハンター、ソルジャー、マテリアマスター、ブレイドマスター、サムライ、セイバー、アサシンの職業が増えていましたね。

 

15歳になったフレイムです。10歳になったバルブロが剣に興味を持ちはじめて「兄上兄上」言いながら剣を教えてほしいと言ってきました。王国で自分以上に剣を扱える者はいないので人選としては間違ってはいません。とりあえずバルブロには根性の竹刀を手渡して素振りからはじめさせました。素振りに慣れた頃に根性の竹刀同士で打ち合いをはじめます。

 

 

ライブラのマテリアでチェックしてみたところバルブロには剣の才能はそれなりにあるようですね。心身ともに鍛え上げて真っ当な人間に変えてみるとしましょう。ザナックは5歳ですが、既にぽっちゃりしています。生まれつき太りやすいのかもしれません。それはそうと風のぼうしを有効活用して八本指という王国の裏組織を根切りにしました。

 

王国の五宝物の一つである疲労無効の小手を拝借してから暗殺に行ってみましたがだいぶ捗りましたね。また今度借りましょう。そしてライブラのマテリアで自分のステータスを調べてみると新たな職業であるエクスキューショナー、トリックスター、ダークスレイヤー、が増えていますね。順調です。

 

20歳になったフレイムです。充分に成長したので常に波紋の呼吸をするようになりました。帝国との戦争に参加してかなりの痛手を帝国に与えたので暫くは戦争はないでしょう。15歳になったバルブロは武闘派になっていましたが腐敗貴族達のようにはなっていません。教育には成功したようです。根性の竹刀のおかげで軽々と大剣を振るえる力を手に入れたバルブロは、かなり手加減した自分ともある程度は打ち合えるようにはなりました。

 

10歳になったザナックはやっぱり太っていましたが、頭はそれなりに回るみたいです。栄養がしっかりと脳に行き渡っているようで何よりですね。デビルメイクライ1の時の腕輪を使用していると新たな力を手に入れた感覚がしたので、ライブラで自分を調べてみると新たな職業が増えていました。

 

 

最近習得した数多の武器を使いこなすウェポンマスターという職業に加えて、新たな職業はクイックシルバーという職業で時間停止を無効にできるようですが、自分の時間を加速させることもできるようです。まんまデビルメイクライ3のクイックシルバーですね。

 

23歳になったフレイムでございます。遂にラナーが生まれました。これであと16年でモモンガさんがナザリックごと転移してくることが解りましたね。バルブロとザナックの年齢は不明でしたが、オーバーロードの原作開始時にラナーが16歳でランポッサが60歳であることはわかっているのでまだまだ時間的には余裕があります。

 

腐敗貴族は徹底的に消し去ってある程度まともな貴族だけ残したら風通しが随分と良くなりましたね。姉が貴族に拐われることも無くなったのでニニャが姉を探すことは無くなったでしょう。18歳になったバルブロが結婚することになりましたので祝いの品としてドラクエ8のプラチナソードとアルゴンハートをプレゼントしました。バルブロは「兄上から宝物を頂いた」と大喜びしていましたね。

 

13歳になったザナックは相変わらず太っていますが、痩せる気はなさそうです。夜中にステルス迷彩で王城を脱け出して人気のない所で空に向け、実験としてファイナルファンタジー7ダージュオブケルベロスに登場する銃デスペナルティをメタルギアソリッド4の無限バンダナを装着して発射してみたりしました。試してみた結果は成功でデスペナルティの残弾が減ることなく発射ができていましたね。その後、ライブラのマテリアで自分を調べてみるとガンスリンガーの職業を習得していました。

 

24歳になったフレイムですがとりあえず自分が取得している職業を上げてみます。アイテムマスター(ジーニアス)、レベル10、ファイター、レベル15、ソードマスター、レベル10、波紋戦士、レベル10、マーセナリー、レベル10、チャンピオン、レベル10、スカウト、レベル10、ハンター、レベル10、ソルジャー、レベル10、マテリアマスター、レベル10、ブレイドマスター、レベル10、サムライ、レベル10、セイバー、レベル10、アサシン、レベル10、エクスキューショナー、レベル10、トリックスター、レベル10、ダークスレイヤー、レベル10、ウェポンマスター、レベル4、クイックシルバー、レベル2、ガンスリンガー、レベル2で合計レベルが183となっていますが一部の職業はカンストまではいっていません。

 

これから経験値を積む為に竜王国に行ってビーストマンを狩るとしましょう。風来のシレンのしあわせの腕輪を両腕に装着できるだけ装着してから、宝物庫に侵入して疲労無効の小手をまた借りて、クイックシルバーの能力を発動させながら侍道4の不壊の名がついた刀でビーストマンをひたすら斬り殺しまくったり、ドラクエ8のデーモンスピアで刺殺してみたり、ドラクエ8のオーディンボウで脳天を撃ち抜いたりデスペナルティで一掃したりしましたね。

 

3万を超えるビーストマンの死骸を築き上げ、積み重なった経験値でカンストまでまっしぐらとなりました。そしてランサー、レベル10とアーチャー、レベル10を習得して合計レベルは225となります。後は武技を鍛え上げるとしましょうか。とりあえずブレインが使えるようになる「爪切り」は出来るようになっているので更に上を目指しますかね。

 

25歳になるフレイムです。20歳になったバルブロがだいぶ爽やかな感じになっていて原作と違い過ぎるのが少し笑えますね。ある実験の結果としてバルブロはレベルで言えば35位になっていますので一般的な兵士に比べればだいぶ強くなっています。今のガゼフよりも強いかもしれません。力だけなら40レベル並みはありますしね。

 

15歳になったザナックは少し痩せたかもしれませんがまだまだ太っています。2歳になったラナーはまだ幼いですが、ライブラのマテリアで確めてみると賢さが異様に高かったですね。それと刀を使った武技として「次元斬」を編み出しました。居合いから連続で放たれる次元を切り裂く斬撃です。ぶっちゃけるとデビルメイクライのバージル兄さんの真似ですね。

 

 

実際にデビルメイクライ3スペシャルエディションをプレイしていたから閻魔刀も持っているので使えますが、人間を相手には使わないように気をつけています。やっぱりデビルメイクライの武器は悪魔を相手に使うのが合っていると思いますからね。それと最近鍛冶を習いはじめてみたらブラックスミスの職業とエンチャンターの職業を習得していました。

 

26歳になりましたフレイムです。鍛冶仕事にドラクエ8のメガトンハンマーを使っていたりしながら鍛え上げていくと武器や盾に鎧とアクセサリーに不壊を付与することが出来るようになりました。ドラクエ8のキメラのつばさと現地のミスリルを組み合わせてダイの大冒険のトベルーラを発動出来るネックレスを作り出すことにも成功しましたよ。

 

後は石化無効の効果がある指輪を制作しましたね。とりあえず石化無効も常に装備しておくことにします。21歳になったバルブロに鍛え上げた大剣を手渡してみると直ぐに使いこなしてみせました。16歳になったザナックはやっぱり太めの体型をしていますね。3歳になったラナーは「フレイムお兄さま教えて下さい」と言って色々と気になる内容を質問してくるようになりました。

 

クライムとはまだ出会ってはいないようですが、ラナーは3歳の知能ではありませんね。森に入りハンターやスカウトのスキルで薬草を採取してドラクエ8の錬金釜に投入して上薬草やいやし草を作成していたらアルケミストの職業を取得していました。

 

27歳になったフレイムですが、22歳のバルブロに自分がプレゼントした石化無効の指輪と大剣がありました。それを装備してギガントバジリスクに戦いを挑んだようです。結果はバルブロの勝利で絶命したギガントバジリスクを背負って帰ってきたバルブロに王城が騒がしくなりました。

 

ギガントバジリスクの死体は自分へのプレゼントだったそうなのでありがたく有効活用させてもらいます。アイテムボックスに丸々しまっておけば腐敗することもなく保存が出来ますね。17歳になったザナックもバルブロが持ち帰ってきたギガントバジリスクには驚いていたようです。4歳になるラナーは遂にクライムを拾ってきました。精神が異形種にはなってはいないようですが、クライムとラナーは出会う運命にあるということでしょうか。

 

それとドラクエシリーズの各種の杖を使うことでウィザードの職業が、ドラクエ8のまよけの聖印と金のロザリオを装備して戦闘したことでプリーストの職業を、ドラクエ8の騎士団長の指輪を装備した状態で戦ったことでナイトの職業を取得しました。

 

28歳になったフレイムでございます。ウィザードからアークウィザードになりプリーストからアークプリーストになってナイトからロイヤルガードになりました。

 

以前の職業に加えてブラックスミス、レベル10、エンチャンター、レベル10、アルケミスト、レベル10、ウィザード、レベル15、アークウィザード、レベル10、プリースト、レベル15、アークプリースト、レベル10、ナイト、レベル15、ロイヤルガード、レベル10、となり合計レベルは330ですね。

 

23歳になったバルブロもレベルが50となり55レベル並みの力を持っています。クレマンティーヌよりもバルブロのレベルが上になってますね。とりあえずアークウィザードとアークプリーストになった記念に以前バルブロから提供されたギガントバジリスクの皮を使ってスクロールを作成してみました。

 

18歳になったザナックに縁談の話が舞い込んでくることはありません。そういう話は本人がきっぱりと断っているようなので周囲もあまり動くことはないようです。5歳になったラナーから「将来クライムの鎧はフレイムお兄さまが作って下さい、勿論不壊で総オリハルコン製でお願いしますね」と注文を受けました。かわいい妹の頼みなので引き受けておきましょう。精神が異形種というよりは図太い神経をしているという感じにラナーはなりましたね。

 

29歳になったフレイムです。24歳になったバルブロと模擬戦しましたがだいぶ武技の使い方が上手くなっていましたね。此方は龍が如く0に登場するとても頑丈な木刀で、バルブロは不壊の大剣で勝負をしましたが、だいぶ加減をしないとバルブロが死んでしまうので、そこは気をつけて頑張りました。「不落要塞」を「金剛不落要塞」に進化させていたバルブロでしたが木刀の一撃に沈みましたね。

 

クライシスコアのケアルガのマテリアで回復させてから模擬戦が終わった後に、ライブラのマテリアでバルブロを調べるとレベルが5レベル上がって55レベルになっていました。19歳のザナックはレエブン公と接触しているようです。第三王子であるザナックはザナックなりに色々と考えているみたいですね。

 

6歳になったラナーはクライムと2人でいると幸せの絶頂という顔をしています。クライムが顔を向ける度に素早く顔をいつもの顔に戻すという早業をラナーは会得していましたね。モンハンシリーズの武器と防具を装着してモンスターと戦っているとモンスターハンターの職業が取得できました。デビルメイクライ3の魔具であるベオウルフを使用して悪魔と戦うとモンクとデビルハンターの職業を習得することができるようです。

 

30歳になったフレイムでございます。風来のシレンシリーズの武器と盾に腕輪を装備して戦うと風来人という職業が取得できました。ドラクエ8のホーリーランスを装備して戦ったところ、パラディンの職業を習得することになりましたね。アークウィザードとしてマジックミサイル等の撃ち出す魔法を使っているとマジックガンナーの職業を取得しました。25歳のバルブロは鍛錬を欠かしていないようで60レベルになっていましたね。

 

完全にクレマンティーヌよりも今のバルブロの方が強いでしょう。バルブロに提供しているしあわせの腕輪が機能しているということは城内にバルブロの敵となる相手がいることになりますが、自分が提供しているアクセサリーを装備した今のバルブロを殺せる可能性があるのは、蒼の薔薇のイビルアイか、法国の漆黒聖典の隊長か番外席次に評議国のツアーか、トブの大森林で眠る破滅の竜王ぐらいでしょう。

 

ナザリックが来た場合は今のバルブロなら戦闘メイドプレアデスと良い勝負はできるかもしれません。モモンガさんと階層守護者には叶わないでしょうがね。20歳になったザナックに目の前で焼いたモンハンのこんがり肉を提供してみると美味い美味い言いながら瞬く間に平らげていました。

 

毒見をしなくても平気なのかを聞くと「兄上がその気なら俺はとっくの昔に死んでるからな、今更気にしても仕方ないさ、たまには温かい物を食わせてくれ」と笑顔で言ってきます。今生の家族を殺す気は自分にはないので毒を盛ったりはしませんが、信頼されているとみていいんでしょうね。

 

7歳になったラナーに「フレイムお兄さまは、そこまで強くなって何をなさるのですか?」と質問をされたので「そうたいそうな理由じゃないよ。何故強くなるのかと聞かれたら、王国を守る為に鍛えているのと、強くなることが単純に楽しいからだろうな」と答えると呆れたような顔をされてしまいました。ラナーもだいぶ表情が豊かになりましたね。作った顔じゃなくて素の顔を見せてくれるのは信頼されているからでしょうか。

 

31歳になったフレイムです。父上からそろそろお前も結婚したらどうなんだということを遠回しに言われましたが、王家の血筋はバルブロが残してくれると思うので自分は結婚しなくても大丈夫だと思います。何回目になるかはわかりませんが縁談の話は無しということでお願いしますね父上。それにレベル差が有りすぎて普通の女性の相手は無理なんじゃないですかね。

 

26歳になったバルブロと素手で手合わせをしましたが即死させないように気をつけて相手をしました。ある程度の怪我を負うことになろうとも、何度でも立ち上がり戦うバルブロの根性はかなりのものです。怪我を治療しながらライブラのマテリアでバルブロを調べてみると70レベルに上がっていました。かなりの実力差がある相手と戦うことで得られる経験値は多いようですね。

 

21歳になったザナックに色々なゲームの食料を食べさせてみると美食家という職業を取得していました。ザナックは「兄上のおかげで舌が肥えてしまった」と笑っていましたが、美食家という職業を取得する方法が解ったのは朗報ですね。8歳のラナーとクライムが揃って自分の元に来ました。身を守る術を教えて下さいということでしたがラナーもクライムも実戦ができるような状態ではなかったので、自分が新しく作ったアクセサリーの数々を装備してもらうことにします。

 

それとラナーとクライムにはモンハンの力の護符と力の爪、守りの護符に守りの爪を手渡しておきました。持っているだけで効果がある御守りだと教えて常に持っておくように言っておきます。ゲームの食料を食べて美食家の職業とパラディンからの昇格でロイヤルパラディンという職業を取得しました。

 

32歳になりましたフレイムです。以前から風のぼうしを使って定期的に竜王国に行って、しあわせの腕輪を装備できるだけ装備してビーストマンを狩りまくっていました。竜王国の女王とも随分と昔から顔馴染みになっています。大人バージョンの女王と酒を一緒に飲んだこともありますね。随分と無防備な姿を見せてくれるようにはなっていますがそれだけ親しくなったということでしょう。

 

27歳になったバルブロに槍と弓を教えることになりました。実戦形式で教えたので怪我だらけになったバルブロですが、根を上げることはありませんでしたね。訓練が終わった頃にはバルブロは倒れ込んでいましたが、バルブロのレベルは80になっていました。遂にバルブロが漆黒聖典の隊長と破滅の竜王と同レベルになりましたね。これでイビルアイにもナザリックのプレアデスにも負けることは無くなったでしょう。ケアルガのマテリアで怪我を治療してからバルブロを起こします。

 

何故バルブロが槍と弓を教えてほしいと頼んできたのかを聞いてみると「兄上が不思議な道具で竜王国に行っているのは知っているが、それについて行きたいと思ってな。竜王国はビーストマンの被害が甚大だと聞く、戦うことしか能のない俺でも強くなれば役に立てるかと考えたんだ」とバルブロは言いました。今のバルブロなら連れて行っても足手まといになることはないでしょう。王国の第一王子と第二王子が他国の前線で戦っても良いのかという考えも思い浮かびますが、優秀な第三王子がいるのでもしもの時は大丈夫でしょう。

 

自分もバルブロも死ぬつもりは毛頭ありませんがね。22歳のザナックは少し痩せたようです。美食家の職業を取得してから身体が軽いと言って珍しく運動をしていたからでしょうね。運動した後は食事が美味いと言って普段よりも大目に食べていたからまた太る可能性が高いと思います。

 

9歳になったラナーとクライムがやって来て、ラナーが「フレイムお兄さま、ザナックお兄さまが食べたという珍しい物は、まだありますよね。わたしとクライムにもくれませんか」と言ってきました。

 

とりあえず数がかなりあるモンハンの生肉を目の前で焼いてやり、できあがったこんがり肉をナイフで切り分けて皿に載せて提供してみます。美味しいですと素直に言っていたクライム。まだありますよねと目線が言っているラナーという感じでしたね。減っても問題のない量を提供すると、ラナーにも満足してもらえたようです。

 

ラナーに情報を漏らしたザナックには暫くこんがり肉は禁止としておきましょう。竜王国で新たに習得した職業はグランドセイバー、グランドアサシン、グランドランサー、グランドアーチャー、の4つとなります。以前のレベルに加えてモンスターハンター、レベル10、モンク、レベル15、デビルハンター、レベル10、風来人、レベル10、パラディン、レベル10、マジックガンナーレベル10、美食家、レベル15、ロイヤルパラディン、レベル10、グランドセイバー、レベル10、グランドアサシン、レベル10、グランドランサー、レベル10、グランドアーチャー、レベル10、で合計レベル460となりますね。

 

とりあえずこれだけのレベルがあればナザリックも敵対を直ぐに選ぶということはないでしょう。流石にそこまで好戦的ということはないと思いたいですね。モモンガさんの地雷を踏み抜くことがなければ敵対ということはないと考えていますが、普通に接すれば大丈夫な筈です。

 

ピンポイントで地雷を踏むような馬鹿をナザリックに近付けさせなければいいのではないでしょうか。王国の腐敗貴族はもういませんが、馬鹿がいないとは限りません。ナザリックが出現した時に第一村人ならぬ第一王族として一番最初に接触できればいいのですが。それはまだまだ先の話ですね。

 

33歳になったフレイムです。竜王国に28歳になったバルブロを連れて風のぼうしで移動しました。ビーストマンに物怖じすることなく立ち向かうバルブロに敵うビーストマンはいません。破竹の勢いでビーストマンを蹴散らしたバルブロは両腕に装着できるだけしあわせの腕輪を装着していたので歩くだけでそれなりに経験値が入っていきます。

 

自分もビーストマンを蹴散らしていくとビーストマンが逃げていったので追撃しました。侵攻してきたビーストマンを狩り終えると評議国の竜王であるツアーが鎧を遠隔操作して話しかけてきます。

 

 

「君はユグドラシルのプレイヤーかい?」と聞かれたので「ユグドラシルが何かは知らないが、プレイヤーがゲームのプレイヤーということを指しているなら、複数のゲームをプレイしていたことはあるからプレイヤーではあっている。しかし王国の王子として生まれたことは確かなのでプレイヤーの過去を持つ現地の人間だと自分は思っている」と答えました。

 

 

「そんな桁外れの力を持って何をする気だい?」とツアーが警戒した様子で聞いてきたので「人類が生存できるように人を喰らうビーストマンは倒させてもらうが、それ以外の種族は襲い掛かってこなければ戦うことはない。それと私が住むこの世界に危害を加えるようなことはするつもりはないからな。あとは王国がそれなりに繁栄すれば良いとは思っているよ。一応私は王国の第一王子だからね」と正直に答えます。

 

ツアーは「嘘はついていないようだね」と安心した様子でした。それからツアーと少し話をしてユグドラシルのプレイヤーについての話を教えてもらいましたよ。これでモモンガさんにユグドラシルのプレイヤーについて何故知っているかを聞かれた時にツアーに教えてもらったと言い訳が出来ますね。バルブロが追い付いてきたところでツアーが立ち去っていきます。

 

竜王国の女王にビーストマンを倒したことを伝えてから王国に帰ることにしました。23歳になったザナックにバルブロと一緒に竜王国に行ってきたことを伝えると「俺まで連れていったりはしないよな、兄上」と深刻そうな顔で言われたので、そんなことはしないと言っておきます。

 

10歳になったラナーとクライムがやって来て、ラナーが「フレイムお兄さま、クライムに剣を教えてあげて下さい」と言ってきました。ドラクエシリーズのひのきのぼうを手渡して軽く素振りをさせてみます。

 

何十回も振らせてようやくまともに振れるようになったあたり、クライムに根性はありますが剣の才能は無いようです。剣を習う理由は何かと聞かれたクライムが「ラナー様をお守りする為です」と真っ直ぐな眼で答えたので彼の手伝いをすることに決めました。そんなクライムをヤバめな表情で眺めるラナーに「顔、顔」と言うとラナーは表情を元に戻します。

 

クライムに根性の竹刀を手渡して素振りをするように言っておきました。これである程度力をつけてからですね。力の護符と力の爪で少し底上げされているとはいえまだまだ力が足りません。理想としては片手で身の丈以上の大剣を小枝のように振るえるようになってからです。そうやってクライムに丁寧に教育をしていくと新たな職業を習得していました。

 

ミリタリーインストラクターとティーチャーの職業です。バルブロに教えていた方法とは別のやり方でやっていた成果が出たということになりますね。流石に10歳の子供にあんな方法はできませんから仕方ありません。そういえば原作でクライムに剣を教えていたガゼフはいつ頃になったら登場するんでしょうか。

 

色々と土地は見回りましたがそれらしき存在と出会うことはありませんでした。これから先に王が御前試合を開いた時、ついでにブレインも強引に召し抱えてしまいましょう。盗賊の用心棒になられては治安に問題がありますからね。

 

34歳になりましたフレイムです。王が遂に御前試合を開きました。王国の在野の人材を発掘するという目的になっています。腐敗貴族が消えて豊かになったからかはわかりませんが王都御前試合には結構な人数が参加しました。八本指は壊滅していますので王国に裏組織は無くなっています。御前試合には原作の六腕らしき姿もありました。

 

中でも素手で戦うゼロにはそれなりに人気がありましたがガゼフには敵わなかったようです。試合が終わる度に自分がドラクエ8の賢者の石で広域回復を行い治療していきました。おかげでガゼフもブレインも全快して最後の試合を始めることができたようです。試合の結果としてガゼフがブレインに勝ちました。王自らが見届けた御前試合の結果としてガゼフを王国戦士長として迎えいれることになります。

 

腐敗貴族は一掃しているので反対の声を上げる者達はいませんが自分とバルブロをちらりと見て本当にいりますかね王国戦士長というような顔をするのは止めてくれませんかね。以前の帝国との戦と、普段のバルブロとの鍛錬を見慣れてるからそんな顔をしているんですか。すいませんガゼフ、これは自分の責任です。責任をとってガゼフは強くしてあげましょう。強くなりたがっていたブレインも強くしてみるとしましょうか。

 

とりあえずガゼフに負けてうちひしがれてるブレインに加減した力を見せつけて力が欲しいなら着いてこいと言ったら着いてきたので訓練を開始します。29歳のバルブロはレベル90に到達しています。ブレインは本気でバルブロは手加減した状態で模擬戦をさせてみました。ブレインのボロボロになりながらも立ち上がる根性は確かなものです。

 

動けなくなる度に回復してまた立ち上がらせて模擬戦しての繰り返しでブレインのレベルは10ほど上がっていました。これでガゼフよりも強くはなりましたが、ブレインには更に上を目指してもらいます。ミリタリーインストラクターの職業を習得した影響か的確な訓練方法が頭に浮かびますね。根性の竹刀を使った素振りも訓練に加えておきましょう。

 

24歳になったザナックが「ガゼフ・ストロノーフやブレイン・アングラウスもバルブロ兄上のように鍛え上げるつもりかフレイム兄上」と聞いてきたので「その通りだが、バルブロよりも厳しくするつもりだ」と言いましたが「いや死ぬぞ2人とも」と言ってきましたので「死なない程度の加減はできるさ」と笑いかけてみますと「そうか、死ぬこともできんか」と哀れなものを見るような顔をしていました。

 

11歳のラナーとクライムがブレインとバルブロを鍛えている自分の元にやってきて、ラナーが「フレイムお兄さま、クライムも鍛えてあげて下さい」と言ってきます。クライムは真面目に根性の竹刀で素振りをしていたようで今のブレインよりも力がありました。11歳のクライム少年に力で負けていることがショックだったのか落ち込んでいるブレインに根性の竹刀は、100回振れば振った者の力を上昇させる効果があると説明して、クライムの力はクライムの努力の結晶だと教えるとブレインは「何万回だろうが何億回だろうが振ってやる」と気合いを入れ直して根性の竹刀を振っています。

 

そんなブレインは暫く放っておくとして充分な力を持っているクライムに打ち込んでくると良いと言って大剣を手渡しました。龍が如く0の頑丈な木刀を取り出して構える自分に斬りかかってくるクライムの剣を受け止めながら、悪いところを口頭で説明したあとに良いところを褒めていきます。見本となる動きを手加減して見せていきながらクライムの動きを修正していきました。

 

訓練で減っていく体力を賢者の石の広域回復で癒しながら訓練を続けていくとクライムの動きは見違えるほど良くなっていきます。ライブラのマテリアで調べてみるとレベルも5程度上がっているようでした。ミリタリーインストラクターの職業の効果でしょうか。

 

ふと気になったのでライブラのマテリアで自分を調べてみるとグレートミリタリーインストラクターとグレートティーチャーという職業が増えていました。いつの間にか職業がクラスアップしていたようです。グレートティーチャーと聞くとGTOを思い出すのはこの世界では自分だけなんでしょうね。少々寂しい気持ちになりますが、バルブロが素振りを止めて此方に向かってきたので思考はこれまでにしましょう。

 

クライムに自分とバルブロの戦いを見るように言っておき、バルブロにはクライムに見えるように加減して動くと言っておきました。始まった戦いは互いに加減したものでしたがブレインとクライムには得るものがあったようです。ブレインとクライムがちょっと仲良くなっていましたがそれに気付いたラナーがまたヤバめの顔をしていたので「顔、顔」と言うと表情を元に戻すラナーは感情が豊かになりましたね。

 

そんなやり取りがバルブロのツボに入ったのか吹き出して笑うバルブロにきょとんとしているクライムとブレインに更に笑いを煽られたのか大笑いするバルブロでした。そんな感じで訓練をしているとガゼフが現れます。現れたガゼフにブレインが勝負を吹っ掛けました。王城の訓練施設に居るブレインの姿に困惑しているガゼフに「ブレインの挑戦を受けてくれないか王国戦士長」と言うと困惑しながらも「フレイム王子、承知しました」と引き受けてくれましたね。

 

始まった勝負は自分が貸し出した頑丈な木刀によるものになりましたが、終始ブレインがガゼフを圧倒していました。ガゼフが倒れ伏したところで勝負は終わりとなります。ケアルガのマテリアでガゼフを治療して立たせると、腕を上げたブレインに「この短期間にここまで腕を上げるとは、完敗だブレイン」と清々しい顔で言っていました。そんなガゼフにブレインは「この人達は俺なんかと比べ物にならないほど強いぞ、俺はこの人達に鍛えられて強くなったが、まだまだ届く気がしない」と自分とバルブロを指差してそう言います。

 

それを聞いたガゼフは「王国戦士長となったからには弱いままではいられません。どうか自分も鍛えてはもらえないでしょうかフレイム王子、バルブロ王子」と頭を下げました。「勿論、嫌でも鍛えるから安心してくれ王国戦士長」と言った自分にバルブロが「俺も手伝わせてもらうぞ兄上」と言ってやる気になっています。とりあえずガゼフには手加減したバルブロとひたすら模擬戦から始めさせましょうか。

 

35歳になったフレイムです。王族としての義務を果たした後は30歳になったバルブロと共にガゼフとブレインを鍛える日々を過ごしています。ガゼフとブレインは強くなることに貪欲でみるみる内にレベルが上がっていきました。どうにかブレインに追いついたガゼフが必死に喰らい付いているところですね。バルブロもレベルが95に上がっていて100まで後少しです。

 

誰かを育てるというのはバルブロにとっても良い経験となるでしょう。バルブロとガゼフにブレインの3人を相手に模擬戦をして1人1人に違うことを教えていきます。模擬戦が1回終わった頃には3人は倒れ込んでいましたが賢者の石を何回か使って立たせて再び模擬戦を繰り返しました。それを繰り返しているとガゼフとブレインは更に20レベルも上がっていましたね。2人ともこれで60レベルには到達したようです。

 

バルブロは5レベル上がって遂に100レベルになりました。現地の純粋な人間で100レベルに到達した初めての男ですね。自分は魂が現地の人間ではないので純粋とは言えませんから除外です。25歳のザナックが「フレイム兄上の訓練に着いていけるガゼフとブレインは才能があるな、帝国との戦となった時は頼りにさせてもらおう」と言ってきたので「帝国との戦には王国戦士長のガゼフはともかくとしてブレインは参加するとは限らないぞ」と言いました。

 

 

ザナックが「フレイム兄上、ブレインはどういう立場なんだ?」と聞いてきたので「私とバルブロの弟子ということにはなるが、私とバルブロは強制させるつもりは無いからな。立場があるガゼフとは違って気楽なものさ」と正直に言うと「フレイム兄上とバルブロ兄上はそれでいいかもしれないがなあ」と困っている様子でしたので「帝国との戦となれば私とバルブロにガゼフがいれば充分だ、それ以上は過剰だよ」と言っておきます。

 

ザナックは深々と溜め息をはいた後に「まあ、フレイム兄上がそう言うならそうなんだろうな」と納得してくれたようでした。12歳になったラナーが珍しくクライムを連れずに自分の元に来ましたが、クライムが居ては聞きづらいことでも聞きに来たのでしょうか。

 

その予想は当たっていたようでラナーは「フレイムお兄さま、クライムが簡単に強くなる手段を持っていますね、そしてそれは誰にでも効果があるのでしょう」と断言してきました。確かに簡単にレベルアップさせることができるアイテムは持っていますが「確かにあるが、クライムの為にはならないよ、だから使ってはいなかったんだ」と正直に答えます。

 

それを聞いたラナーは笑顔で「その手段はわたしに使って下さい、クライムと同等になる位でお願いしますね」と言ってきました。ラナーは最初からそれが目的だったようですね。25レベルになっているクライムに追いつくようにラナーへ風来のシレンに登場するしあわせの杖を振りました。杖から放たれる光弾が当たる度にラナーのレベルが上がっていきます。25レベルになったラナーは軽く動いて、身体能力が向上した身体の感覚を慣らしていましたが直ぐには慣れないようでしたね。

 

もっと高レベルだったら更に苦労することになります。そこは訓練していくしかありませんね。簡単にレベルアップできると言っても良いことばかりだとは言えません。だからバルブロやガゼフにブレインとクライムには使わなかったんですがね。素手でガゼフやブレインとバルブロを相手にしているとグラップラーとバトルマスターという職業を習得していました。どちらも格闘に関する職業のようです。これまで以上に素手で戦うことが得意になった気がしますね。

 

36歳になったフレイムでございます。遂にガゼフとブレインが80レベルに到達しました。31歳になったバルブロと一緒にしごいてきた甲斐がありますね。これでガゼフとブレインもナザリックの戦闘メイドプレアデスに余裕で勝てるレベルになりました。あと20レベルを上げられるように頑張っていきましょう。

 

26歳になったザナックが「フレイム兄上とバルブロ兄上、どちらが王となっても問題はなさそうだ。だからこそ俺はこうして安心して食事が出来るよ。いやはや優秀な兄上達で本当に助かる」と豪勢な食事を食べながらそう言っています。そんなザナックに「父上から何か言われたのか?」と聞くと「鋭いな、流石はフレイム兄上だ。まあ何だ、父上もそろそろ王位を継承したがっているということさ。俺は選ばれなかったようだがね」と言って笑うザナックは気にしてはいないようでした。

 

「私が帝国との戦で派手にやり過ぎたからか」と言うと「その通りだよフレイム兄上、帝国兵をものともせず逸脱者フールーダまで容易く退けたフレイム兄上が王となれば、帝国は震え上がること間違いなしだ。フレイム兄上に劣るとはいえバルブロ兄上も捨てたものではない。フレイム兄上とバルブロ兄上の戦いは正に神の領域だ。バルブロ兄上1人でも帝国兵を根絶やしにできる筈だと俺は確信しているよ。どちらの兄上が王となろうと王国は強大な王を得ることになる。それが最善だと父上は判断したんだ。俺もそうなればいいと思った。だから納得できたんだ。俺は兄上達にこの国を任せるよ」とザナックは言い切ります。

 

 

「私達の中で王族として血を残しているのはバルブロだけだな」と自分が笑いながら言いますとザナックは「ああ、そうだなフレイム兄上」と笑いました。「王族の義務を果たしているのはバルブロだけだと言えるのではないかな」と自分は続けて言います。それにザナックも「全くもってその通りだなフレイム兄上」と乗ってきました。「王に相応しいのは私ではなくバルブロではないだろうか、ザナックよ」と笑顔で聞きますと「そうかもしれないなフレイム兄上」とザナックも笑顔で言います。自分とザナックはバルブロに王位を継がせることを決めました。

 

13歳になったラナーとクライムがガゼフとブレインにバルブロを鍛える自分の元へやってきて、ラナーが「わたし達を鍛えて下さいフレイムお兄さま」と言ってきます。ラナーもクライムがレベルを上げる度にしあわせの杖でレベルアップさせていたため、40レベルにはなっているので並みの兵士以上の実力を持っていますね。ラナーにはレイピアとまどうしの杖を持たせ、クライムには大剣を渡して自由に攻撃を仕掛けてくるように言っておきます。

 

ラナーとクライムの拙い連携が巧みな連携になるまで模擬戦を繰り返していくとラナーとクライムのレベルが10上がって50になりました。ラナーにレイピアの扱いを教えていたことで自分はフェンサーとライトフェンサーの職業を習得したようです。

 

それにこれまでの職業を加えると、ミリタリーインストラクター、レベル10、ティーチャー、レベル10、グレートミリタリーインストラクター、レベル10、グレートティーチャー、レベル10、グラップラー、レベル10、バトルマスター、レベル10、フェンサー、レベル10、ライトフェンサー、レベル10、で合計レベルは540となりますね。

 

遂に500レベルを越えました。ナザリックと敵対してもどうにかなりそうな気がしてきましたが油断は禁物ですね。ワールドアイテムと超位魔法に課金アイテムと色々な手札があるモモンガさんは要注意です。それに敵対しなくていいなら出来る限り敵対はしたくありません。原作と同じく王国でデミウルゴス主導でゲヘナを起こされたら敵対しても良いかもしれませんがね。

 

まあ今の腐敗貴族や八本指がいない王国は後ろ暗いところが無くなっているので、王国を裏から支配するには王を操る必要があります。100レベルのバルブロが王となるからには、手を出すにはリスクが高いと見るでしょうが単純に家族を人質にとるという搦め手でくる可能性もありますね。まあそんなことをするような相手であれば此方も容赦をする必要はありません。もしかしたらの話ですから杞憂で済めばいいんですがね。

 

37歳になりましたフレイムです。32歳のバルブロが武技を複数編み出しました。そしてガゼフとブレインが2人とも90レベルに到達して真正面から1対1でバルブロと打ち合えるようになりましたね。強くなっている実感があるガゼフとブレインは笑みを浮かべながら戦っています。バルブロも「兄上以外で本気の俺と打ち合える奴等が2人もいるとは嬉しいぞ」と笑いながら剣を振るっていました。

 

そんなバルブロとガゼフにブレインを相手に手加減した状態で圧倒していくとブレインに「強くなればなるほど貴方がとてつもない高みにいることが解る」と言われます。ガゼフにも「フレイム王子は戦士の極みすらも越えておられる」と褒め言葉を頂きました。バルブロは「まあ、兄上は兄上だからな」と頷いています。反応が違う3人を相手に戦っているとゴッドハンドという職業を習得していました。ゴッドハンドと聞くとゲームのゴッドハンドを思い出しますね。

 

エンディングで流れる俺の右手はゴッドハンドは良い曲です。それから数日後27歳のザナックと共謀してバルブロを王にすることに成功しました。バルブロはすんなりと王になることを受け入れていましたが、バルブロは「兄上が王に縛られるのは似合ってないから俺が代わりに頑張るよ」と言ってくれます。押し付けてしまったようで罪悪感が少しありますが、本人が嫌がってないのでセーフでしょう。王位を退いた父上は肩の荷が降りたような顔をして、バルブロの即位を見ています。

 

バルブロの頭に王冠がのせられて王位を継承したことが良く解りました。原作とはだいぶ違うまともなバルブロだからこそ王位を継承させたんですが、これで王国の王を害することが出来るのは、レベル100の者達だけです。自分が提供した武器と作成したアクセサリーを装備したバルブロを殺すのはカンストしたプレイヤーでも手こずるでしょう。

 

強い王が即位した王国の未来は明るいですね。忙しくなったバルブロは抜きでガゼフとブレインを鍛える自分の元へ14歳になったラナーとクライムがやって来て、ラナーが「今日も宜しくお願いしますね、フレイムお兄さま」と笑顔で言ってきます。

 

そしてガゼフとブレインにラナーとクライムを加えた4人組で連携して戦いを挑んできました。今回はいつもと違って此方はドラクエシリーズの杖を使って攻撃していきます。時には杖を使って突きを繰り出して、杖で打ちました。杖を使って魔法を使ってみたりもしましたね。普段は杖を使わずに魔法を使っているので普段よりも手加減していても少し威力が上がりました。それでも4人は根を上げることなく戦いを続けます。

 

ドラクエ8の賢者の石を何回も使って治療を行って、倒れた4人を立ち上がらせたのは数え切れないほどの回数でした。その成果があったのかラナーとクライムは70レベルに到達します。そしてガゼフとブレインも遂に100レベルとなりました。自分も新たな職業としてバトルメイジとドルイドにアークドルイドを習得していましたね。

 

ガゼフとブレインが100レベルになったのでこれで現地の人間で100レベルになったのが3人に増えました。これでラナーとクライムまでもが100レベルになれば王国に勝てる可能性があるのは評議国と法国だけになります。積極的に敵対したい訳ではありませんが敵となることも考えておいた方がよさそうですね。時は流れて王としての仕事を終えたバルブロが現れてガゼフとブレインに話しかけています。1対1での全力の戦いを挑むバルブロにそれを受けたブレインが刀を居合い腰に構えました。

 

ブレインが持つ刀とバルブロが持つ大剣はモンハンのカブレライト鉱石で自分が作ったものです。どちらも不壊以外に特殊な効果をエンチャントしてありますね。始まった戦いは苛烈なもので、互いの踏み込みで王城訓練施設の頑丈な石畳が大きくひび割れるほどでした。戦いは互角と言えるものでどちらが勝ってもおかしくない勝負です。最後は大剣を弾き飛ばされながらも素手で一撃を叩き込んだバルブロの勝利となりました。剣を弾いて勝ったと思ってしまったのがブレインの敗因ですね。2人の怪我を賢者の石とケアルガのマテリアで治療しながら「良い勝負だった」と声をかけます。

 

38歳になったフレイムです。33歳になったバルブロは真っ当な王として国を支えていますね。退位した父上は自分のところに来て「ザナックが言っておったが、不思議な食べ物を持っておるそうじゃの。どれ父にも食べさせてくれんか」と言ってきました。ザナックの口の軽さには困ったものです。とりあえず老いた父上でも食べやすい物を中心に取り出して食べさせてみました。父上の反応はかなりのもので、とても喜んでいましたね。父上は特にドラクエ8のチーズ系が気に入ったようでした。

 

数には限りがありますが今度また食べさせてあげましょう。口の軽い28歳のザナックにこんがり肉Gは暫くお預けだと言うと「フレイム兄上は鬼か」と嘆いていました。「一生お預けにしていないだけありがたいと思え」と言うと「あんなに俺の舌を肥えさせておいて、酷いぞフレイム兄上」とザナックは言ってきます。「目の前で焼いてから目の前で食うなんて嫌がらせをしないだけ温情だと思え」と言うと「そんなことをやられたら泣き叫ぶぞ俺は」とザナックは言いました。

 

「身内だけだとして情報を筒抜けにするのは良くないことだとは思わないか」と言うと「それはその通りかもしれないが、家族にだけは自慢したかったんだよ俺は」とザナックは言います。「家族ではもうバルブロ以外は全員知っているから、他の面々からバレるのは仕方ないが、せめてお前からはバルブロには言わないようにしろよ」と言うと「ああ、肝に命じるよフレイム兄上」と真剣な顔でザナックは頷きました。

 

100レベルのガゼフとブレインを相手にして手加減して戦っていたら、15歳になったラナーとクライムがやってきて、ラナーが「フレイムお兄さま、限界まで挑戦させてもらいますね」と言ってきます。始まった4対1の模擬戦は激しいものになり、幾度も倒れる4人を賢者の石を何回も使って回復させて立ち上がらせて幾度も模擬戦を続けました。結果としてガゼフとブレインは数多の武技を習得しましたね。

 

ラナーとクライムも遂に100レベルにレベルアップしていました。とりあえずこれで純粋な現地の人間でレベル100に到達した者達が5人に増えて、ラナーはレベル100に到達した唯一の純粋な人間の女性になりましたよ。漆黒聖典の番外席次はレベルがカンストしてるんでしょうが、プレイヤーの血を受け継ぐ神人の娘だそうですから除外です。

 

今回の4人との戦いで自分もグラディエーターとガーディアンの職業を習得していました。それから王としての仕事を終えたバルブロが王城訓練施設に現れてラナーとクライムに「お前達も限界まで到達したか、よく頑張ったな」と話しかけています。そしてガゼフに「王国戦士長ガゼフ・ストロノーフよ、お前の力を見せてくれ」と言って剣を構えました。それを見たガゼフは「お望みとあらば、王よ」と答えて剣を構えます。

 

100レベルのぶつかり合いはこの世界では高レベルの戦いですね。多彩な武技の応酬が繰り広げられていきます。長い長い戦いにも遂に終わりがきて、最後は互いに剣を弾かれて素手の殴り合いとなり、腕が交差するクロスカウンターで僅かに腕が長かったガゼフの勝利となりました。

 

39歳になりましたフレイムでございます。遂にモモンガさんがナザリックごと転移してくる年になりました。王国は34歳のバルブロに任せているので自分は自由に動けます。そんなこんなでナザリックが転移してくるであろう場所を毎日見回りする日々をおくっていますね。まだナザリックは転移してきてはいないようです。

 

自分の今の職業は、ゴッドハンド、レベル10、バトルメイジ、レベル10、ドルイド、レベル10、アークドルイド、レベル10、グラディエーター、レベル10、ガーディアン、レベル10、となり合計レベルは600ということになりました。遂にレベル600ですが油断はしてはいけません。敵となった相手は全力で倒しましょう。日課のナザリック捜索を終えてから、29歳になったザナックの目の前でモンハンのこんがり肉Gを焼き上げて提供します。

 

かぶりついて美味い美味い言っているザナックはこんがり肉Gが大好物になっていました。週に1回は食べさせてほしいと言ってきています。ザナックにこんがり肉Gを提供してからその場を後にして王城訓練施設に向かうとガゼフとブレインが剣を合わせていました。2人の手合わせを見守っていると16歳になったラナーとクライムがやってきて、ラナーが「フレイムお兄さま、お相手して下さい」と言ってきます。ラナーの頼みを引き受けてラナーとクライムの相手をすることにしました。

 

完璧な連携を見せつけてくるラナーとクライムに関心しながら、龍が如く0の頑丈な木刀で2人の攻撃を受け止めて反撃をしていきます。2人が倒れ込むまで模擬戦を続けていくと、今度はガゼフとブレインの2人が戦いを挑んできたので受けて立ちました。

 

複数の武技を編み出したガゼフとブレインは武技を組み合わせて新たな武技を放ってきます。その全てを受けきり反撃してガゼフとブレインを地に沈めていきました。倒れた2人を賢者の石の広域回復でまとめて回復させて立たせて、良かったところと悪かったところを指摘していきます。

 

そんなことを繰り返していたある日、ある予感がしてナザリックが転移してくるらしき場所に向かうと、ナザリック地下大墳墓らしき建築物が現れていて入り口から執事の格好をした体格のいい老人の外見をした異形種が姿を現しました。此方を発見した異形種が話しかけてきたので「私の名前はフレイム・アルトロン・ドライグ・ライル・ヴァイセルフだ。長いだろうからフレイムで構わない」と名を名乗ります。

 

異形種は「自分はセバスと申します」と言ってきました。セバスは「主の命により貴方をご招待したいと思いますが、宜しいですか」と聞いてきたので「ああ、構わないよ」と頷いておきます。さてナザリックの者と最初に接触することができましたが、ここからが肝心 ですね。モモンガさんと敵対しないように気をつけて会話をしなければいけません。

 

この世界の情報を包み隠さず伝えることは構いませんが、自分が他のゲームのプレイヤーだったことまでは話すとして、オーバーロードの原作を知っているという情報は漏らさないようにしましょう。セバスの先導でナザリックに踏み込んで、さて遂にモモンガさんと対面です。第一印象は大事ですね。とりあえず笑顔で話しかけましょうか。「はじめまして、私はフレイム、王国の王子だ、貴方がセバスの主かな」と此方を無言で警戒する階層守護者達に囲まれたオーバーロードのモモンガさんに話しかけました。モモンガさんは顎をがっくりと開けて驚いた様子でしたね。



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異世界で遭遇した第一村人(王族)がレベル600だった時のモモンガさん

ナザリック第六階層で魔法が使えるかどうかとスタッフ・オブ・アインズウールゴウンの性能を確めてから、階層守護者達を集めて自分に対する評価を聞いていたモモンガだったが、思わぬ高評価に内心困惑しながらも敵対の意思はなさそうだとほっとしていた。そんなモモンガにナザリックの周囲を探索させていたセバスから伝言で連絡が入り、ナザリックの周囲が草原になっていたことと人間らしき知的生命体を発見したとの報告がされる。

 

モモンガは貴重な情報源であると判断して丁重に連れてくるように言った。万が一相手と敵対することになった時の為に会話の場には守護者達を同席させることにしたモモンガは第六階層にナザリックの外でセバスが発見した人間を招く。守護者達には事前に対話はわたしが行うと言い含めておきカルマ値極悪の階層守護者達が余計なことをしないようにしておいた。

 

 

現れた人間は金髪で外見年齢は18歳ぐらい に見えるが、見た目がかなり整っていて一目見て思わずモモンガが顎をがっくりと開いてしまうほどの美形だったが気さくに挨拶をしてきたのでそれに答えることにするモモンガ。「その通り、わたしがセバスの主のモモンガだ」と名乗ったがモモンガの内心は王国の王子ってことは結構な重要人物じゃないか、なんでそんなのと最初に接触しちゃうんだ、第一村人(王族)とかどういうことだよ、という感じに焦っていた。

 

フレイムと名乗った王子はその後に「モモンガ殿はユグドラシルのプレイヤーかな」と聞き逃せないことを口にする。内心パニックになり精神が安定化されながらも「ほう、どうしてそう思ったのかな」と余裕そうに答えるモモンガに「以前はあんな建築物は存在していなかったからな、モモンガ殿はギルド拠点ごと転位してきたのだろう。この世界には同じくギルド拠点ごと転移してきた八欲王という前例がある」とフレイムが語った。モモンガは「八欲王とはなんだ?」と質問をする。

 

それにフレイムは「八欲王とはこの世界に何百年も前にギルド拠点ごと転移してきた悪辣なユグドラシルのプレイヤー達のことを言うらしい。この世界を随分と好き勝手に荒らしまわったあげくに死んだ傍迷惑な奴等だったと私に教えてくれた存在は言っていたよ」と答えた。「フレイムに教えてくれた存在とは誰のことだ?」と聞くモモンガに「ツアーと名乗った鎧を遠隔操作している何者かだな、恐らくは人間ではないだろう」と伝えるフレイム。

 

それからはモモンガが質問してフレイムが答えるということを繰り返した後に、リ・エスティーゼ王国、バハルス帝国、スレイン法国、アーグランド評議国、竜王国に関するフレイムが知るだいたいのことをモモンガに教えた。王国で使われている貨幣もサンプルとして全種類1枚ずつ提供してからフレイムは「モモンガ殿にはこれも提供しておこう」とモンハンのドラグライト鉱石を10個手渡す。

 

ユグドラシルでも見たことのないアイテムに興奮するモモンガは「この鉱石は王国で産出されるものなのか?」と聞いたが「いやこの世界では私しか持っていないアイテムだ」と答えるフレイム。「何故そんなアイテムをフレイムは持っているんだ?」と聞くモモンガに「私の前世がユグドラシルとは違うゲームのプレイヤーだったからだな、どういう訳かは知らんが前世でプレイしていた複数のゲームのアイテムをアイテムボックスに持って、この世界に転生してきたのが私だ」とフレイムは正直に答えた。

 

モモンガは「そんなことがあるとは、いやわたしも他人のことはいえないか。それで、複数のゲームと言ったな、それなら他のゲームのアイテムも見せてもらえないか」とワクワクしながら聞く。それにフレイムは「勿論構わないよ」と快く応じる。

 

ドラクエシリーズのアイテムやFFシリーズのアイテムに大興奮のモモンガは度々精神が安定化されながらも満足していたようで「素晴らしいな、良いものを見れた」と喜んでいたが、フレイムが「この剣は複数本持っているから差し上げよう」と風来のシレンの秘剣カブラステギ+99をモモンガに手渡したところ「良いんですか!オホン、いや良いのか!こんな良い剣を貰っても」ちょっと素が出るくらい狂喜していたモモンガに「ああ、構わないよ」と頷いていたフレイム。

 

和やかな会話とアイテム提供が終わった後にフレイムが各種能力隠蔽の効果がある指輪を外してモモンガに「私のレベルを計測してみてくれないか」と聞く。それを聞いたモモンガは不思議に思いながらも「ああ、構わない」と気軽に魔法を使った。そして計測結果に驚愕する。「レベル600だと!」と思わず声を上げるモモンガに驚愕する階層守護者達。

 

悪戯が成功した子供のような顔をしたフレイムは「驚いてくれたようだな、私はレベル限界突破のタレントを持っていてね。まあ努力した結果だと思っていてくれ」と言う。モモンガは「フレイムが600レベルだとは思いもよらなかった、まさか他にも600レベルはいないよな」と恐る恐る聞く。

 

 

「私以外にはいないと思うぞ、少なくとも私が知る範囲ではな」と答えるフレイムに「だとしてもこの世界の人間に油断してはいけないと他のしもべ達に伝えておかなければいけないな。フレイムのような奴が他にもいないとは限らない」とモモンガは物事を重大に受け止めた。

 

フレイムは真剣な顔で「モモンガ殿はこの世界でどう生きるつもりかな?」と聞く。「そうだな、わたしはナザリックを守らなければいけない。まずはナザリックを維持する為に稼がなければならないが、それには外に出る必要がある。未知の世界に惹かれるものはあるが、安全を考えるならナザリックに居るのが一番だ。安全に金銭を稼ぐ為にはどうすれば良いかと考えれば商売が思い浮かぶが、どうなんだろうな」と答えたモモンガ。

 

「ユグドラシルではゴミのようなアイテムでもこの世界では高い価値となるアイテムは多い筈だ。いらないアイテムを売るだけでそれなりには稼げるだろうな。それと質の高い食料品はどこでも売れると思うよ」とフレイムは言った。モモンガは「なるほど参考にしよう、後はポーションが紅くなくて劣化するとも言っていたな。劣化しないポーションを作り上げて売れば、かなりの稼ぎにはなりそうだ」と頷く。

 

フレイムが「方針は決まったかな」と聞くとモモンガは「ああ、わたしはこの世界では商売をやっていこうと思っている。王国とも取引をしたいと思っているがどうかな?」と聞いた。フレイムは頷いて「是非とも受け入れよう、王国もかなりの利益を得られそうだ」と笑った。

 

「それではそろそろ失礼させてもらうよモモンガ殿」と言ったフレイムに「セバス、客人がお帰りだ、案内してやれ」とモモンガがセバスに命じる。セバスがモモンガに一礼してから「着いてきて下さい」とフレイムの前を歩く。フレイムが立ち去ってから守護者達と会話をするモモンガは「基本方針はフレイムに話した通りに商売を主に行うことにする。王国にはフレイムがいることから敵対は避けろ。600レベルと敵対することは避けなければならない。ナザリックの総力を以てしても敵わない可能性があるだろう。更にフレイムは多種多様なアイテムを所持している。先ほど見せたあれが全てではない筈だ。ワールドアイテムに匹敵するか、それを凌駕するアイテムを持っている可能性もあるからな。だからこそフレイムと王国に住む者達を害することは禁止する。これは後ほどナザリックの全てのしもべにも伝えておけ」と指示を出した。

 

それから守護者達と別れたモモンガは自室に入りベッドに倒れ込むと「ああもう、第一村人が王族で前世が他のゲームのプレイヤーで600レベルとかどういうことだよ!セバスに知的生命体がいれば友好的に連れて来いって言ってたから敵対になんなくて良かったよ本当に!というか初っぱなから600レベルとか、この世界怖いな!ああ、でもこのドラグライト鉱石10個と秘剣カブラステギ+99をぽんっとくれたからフレイムは悪い人ではないんだよなあ。話してくれた内容も嘘はないだろうし善人なんだろうな。ナザリックのNPC達はほとんどカルマ値が極悪で人間を見下してる奴等ばっかりだよ、どうしよう。一応王国には手を出さないようには命じてあるけど、もしも手を出したらレベル600と戦うことになるぞ。ヤバいって絶対に!フレイムのあのあり得ないステータスにはたっちさんでもルベドでも敵わないよな間違いなく。ああもう、アンデッドになっても気疲れするんだなあ。これからどうしようかな。勢いで商売するって言っちゃったけどほとんど無計画だよ。でもナザリックの維持費が必要なのは本当だからなあ。今は大丈夫でもこれから先は解らないし、フレイムが言ってた通りにゴミアイテムから売りに出してみようかな。よし、とりあえずそうしよう」と完全に素の声で長々と独り言を喋る。後日セバスにユグドラシルではゴミアイテムを持たせて、王国で売りに出したところかなりの高額で取引されたことに驚くモモンガだった。



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城塞都市エ・ランテル

セバスに色々な説明をしながら城塞都市エ・ランテルを案内するフレイムとフレイムの護衛として付き添うブレイン。セバスを一目見て、人間じゃないなと見抜いたブレインだったが、フレイムが気にしていないようなので、それを追求したりはしなかった。

 

劣化しないポーションを作るにあたって、現地の王国の人間でポーションに詳しい者がいないか気になったモモンガが、フレイムに聞くとエ・ランテルに店を構えるリィジー・バレアレの名が上がったので、ナザリックでも珍しくカルマ値が善のセバスがエ・ランテルに派遣されることになったのだ。

 

 

エ・ランテルで一番の薬師と言われるリィジー・バレアレの店に到着した3人が店内に入るとンフィーレア・バレアレが3人を出迎えた。「いらっしゃいませ、お客さ、フ、フレイム王子!」と驚いた様子のンフィーレアに背を向けてポーションを調合していたリィジーも驚いて振り返る。

 

「フレイム王子、何故このようなところに」と困惑しているリィジーに「新しく知り合った友人がポーションに興味があるようでね。エ・ランテル一番の薬師として名高いリィジー殿を紹介しようと思ったまでさ。ああ、勿論冷やかしではない。ポーションは一揃い買わせてもらうよ」とフレイムは笑顔で言った。

 

購入したポーション一揃いをブレインに手渡して下がったフレイムと前に出たセバス。リィジーの目の前で懐からモモンガに手渡されたマイナーヒーリングポーションを取り出したセバスは「貴女ならこれの価値が解る筈ですね」と言って紅い液体が詰まった瓶をカウンターの上に置いた。

 

勢いよく身を乗り出して瓶を恐る恐る掴んだリィジーは「か、神の血!これを何処で手に入れたんじゃ!」と声を荒げる。セバスは「詳細を教えることはできませんが、あることに協力していただけるなら、それは差し上げましょう」と冷静に言う。

 

リィジーは鬼気迫る様子で「何じゃ!孫を殺せという願い以外なら何でもするぞ!」と答えた。セバスは「そのポーションを参考にして劣化しないポーションを作り上げて、販売してほしいのですよ。売り上げの半分は此方にも回収させてもらいます。それが貴女に望むことですが、よろしいですか?」と聞く。

 

リィジーは「神の血が頂けるなら、その程度は些細なことじゃ!必ず劣化しないポーションを作り上げてみせますぞ!」気合いの入った声で宣言する。セバスは頷いてから「交渉は成立ですね。後日再び伺わせていただきます」と言った。

 

「用は済んだようだな、それでは失礼」と言ってから踵を返したフレイムにブレインとセバスは着いていく。それからエ・ランテルの外に出てかなり離れたところでフレイムがブレインに、持っているポーションをセバスに渡すように言った。

 

「とりあえずそのポーション一揃いは差し上げよう。現地のポーションがそちらの参考になればいいがな。それでは私達はエ・ランテルに戻るとするよ」と言ったフレイムはブレインを連れてその場から風のぼうしの効果で 一瞬でエ・ランテルまで移動する。

 

1人残されたセバスをゲートで迎えにきたナザリックのしもべに連れられてナザリックにセバスは帰還した。帰還したセバスを出迎えたモモンガは無事に現地の協力者がつくれたことを喜び、現地のポーション一揃いを買ってくれたフレイムに感謝する。

 

劣化するポーションであることから迅速に効果を確める必要があると判断したモモンガはナザリックのしもべ達に命じて、現地のポーションの効果を確めさせることにした。結果としては直ぐに効果が現れる物は最高額の物だけだと判明。

 

あとは値段に応じて回復量に差があり、回復自体に時間がかかるということが解った。劣化しないポーションを作り上げれば莫大な利益が得られると確信したモモンガはフレイムとの縁は大切にしようと心に決める。

 

その頃エ・ランテルではブレインとクレマンティーヌが対峙していた。冒険者を襲おうとしていたクレマンティーヌを発見したフレイムとブレインがクレマンティーヌに話しかけると襲い掛かってきたクレマンティーヌ。

 

仕方なく手を出そうとしたフレイムを制して「今日は俺が貴方の護衛なんだろう?仕事を奪わないでくれ」と言ったブレインのカブレライト製の刀が、クレマンティーヌのオリハルコンコーティングがされたミスリルのスティレットをバターの様に両断した。

 

「てめぇっブレイン・アングラウスか!」距離を取って叫ぶクレマンティーヌに「そういうあんたは誰だ?」と居合いの構えで問うブレイン。「このクレマンティーヌ様が、てめぇのような奴に負ける訳がねぇんだよぉ!」と獅子が獲物に飛び掛かる前の様な前傾姿勢になりながら吼えるクレマンティーヌ。

 

その態勢から武技の流水加速を用いて疾走するクレマンティーヌがスティレットをブレインの額を狙って突き出したが、100レベルである今のブレインには止まって見えるほどスローな動きに見えていた。容易くそれは避けられて、鞘から抜き放たれた刃が煌めく。

 

武技ですらない4連斬が放たれて四肢を斬り落とされたクレマンティーヌが地に転がる。盛大に噴き出した血液が地を染めていく。ブレインは「過去の俺だったら額に穴が開いてたかもな」と冷静に言う。クレマンティーヌに血が止まる程度の最低限の外傷治療を施しているとドクターの職業を習得したフレイムだった。

 

思わぬ職業習得に気分が上向きになりながらも「さて生殺与奪の権は此方にあるわけだが、何故冒険者を襲おうとしていたのかな君は」と本人にとってはかなり軽い殺気を放ってクレマンティーヌに質問するフレイム。「ひぃっ!こ、殺して冒険者プレートを奪おうと考えてました!」と感じる殺気の圧力に失禁しながら素直に質問に答えるクレマンティーヌ。

 

 

「何故そんなことをするのかといえば、ハンティングトロフィーのようなものかな」と言いながらクレマンティーヌの髪を掴み上げて顔を覗き込むフレイム。「そ、そうですぅ!」と恐怖に涙を流しながら肯定するクレマンティーヌ。「さて、このエ・ランテルに 何をしにきたのかな?正直に答えてくれると嬉しいのだが」と質問するフレイム。

 

「ズーラーノーンのカジットと共にエ・ランテルに死の螺旋を起こしにきましたぁ!」とあっさりと白状したクレマンティーヌ。「どうやって死の螺旋を起こすつもりだ?」と無表情で聞くフレイム。「リィジー・バレアレの孫にわたしが持ってる叡者の額冠を被せてから墓地で魔法を使わせて死の螺旋を起こすつもりでした!」とすらすらと答えるクレマンティーヌ。

 

「それだけ聞ければ充分だ。貴様を生かしておく必要はない。王国の害となりえる貴様とカジットとやらには消えてもらおう。跡形もなく消えろ」と言って魔法を唱えたフレイム。文字通り跡形もなく消え去るクレマンティーヌ。

 

クレマンティーヌが居た場所に落ちる叡者の額冠がクレマンティーヌがそこに居たことを現していた。叡者の額冠を拾い上げてアイテムボックスにしまいこんだフレイムはブレインに「行くぞ、次はカジットだ」と言って墓地へと向かう。

 

墓地に潜んでいたカジットを発見したフレイムとブレイン。フレイムが「貴様がカジットか?」と聞くと「何故わしの名を知っている」とカジットは困惑している様子だった。「クレマンティーヌが白状したぞ、貴様が死の螺旋を起こそうとしていることもな」とフレイムが言うと「口の軽い奴め、クレマンティーヌはどうした?」と問うカジット。

 

「殺したよ、次は貴様の番だ」と言い放つフレイム。「クレマンティーヌを殺せるほどには腕が立つようだが、わしを甘くみるなよ!」と言ったカジットは死の宝珠を掲げてアンデットの召喚を始めた。現れたスケリトルドラゴン2体が咆哮を上げながら接近してくるが、ブレインが居合いの構えで前に出たかと思えば、スケリトルドラゴンは粉微塵に切り裂かれて微細な欠片しか残らない。

 

「馬鹿なっ!」と叫ぶカジットの眼前にいつの間にか立っていたブレインが抜き放っていた刀を鞘に納めた瞬間、カジットが反応出来ない速度でいつの間にか十字に切り裂かれていたカジットが4つに両断される。

 

両断されたカジットの死体から死の宝珠を回収してアイテムボックスにしまいこんだフレイムは、カジットの死体と衣服を残さず魔法で消滅させた。「さて、宿に帰るかブレイン」と言って墓地を後にするフレイムにブレインは着いていく。

 

それから数日後、エ・ランテルを歩くフレイムとブレインに話しかけてくる男達と女が1人いた。王国のアダマンタイト級の冒険者チーム四腕のリーダーであるゼロが「久しぶりだな、ブレイン・アングラウス」と声をかけたことから始まり、ペシュリアンとマルムヴィストが「御前試合以来だな!」と会話に入ってきて、エドストレームが「初めましてフレイム王子、リーダーがブレインしか目に入ってなかったみたいで、すいません」と挨拶と謝罪をしている。

 

 

そんなエドストレームに「ああ、構わないよ」とフレイムが笑顔で返事をしていると、そんなフレイムを横目で見ながら「フレイム王子の護衛とは、出世したなブレイン」と言ったゼロに「そちらこそ、四腕はアダマンタイトだろう。冒険者の最高位じゃないか」と言うブレイン。

 

「互いにガゼフに負けた者同士、あのままではない筈だ。勝負しないかブレイン」と言ったゼロに「フレイム王子、構いませんか?」とブレインはフレイムに聞く。「構わないよ、好きにするといい」と了承するフレイム。「決まりだな、エ・ランテルでやると止められそうだ。外に出るぞブレイン」と言って歩き出すゼロ。そんなゼロに四腕の3人が着いていく。

 

フレイムとブレインもその後に続いた。エ・ランテルから離れた場所で対峙するゼロとブレイン。構えるゼロにブレインはフレイムから手渡された手加減する為の刀を抜き、柄を時計回りに回して刀身を峰打ちにかえた。踏み込んだゼロの腕をブレインは峰で軽く叩く。

 

ブレインにとっては壊れ物を扱うかのようにそれは優しく叩いたのだが、レベル差が有り過ぎてゼロにとっては剛打の一撃に等しかった。骨が折れていないことが奇跡に感じるゼロは、受けた一撃の重さから実力差を感じ取ったが、それでも退かずに立ち向かう。頭を峰打ちだとしても打たないように気をつけながらブレインはゼロの身体を打ちのめしていく。

 

数十分でゼロは立てなくなった。意識がはっきりしていても身体が言うことをきかないという状態にまで追い詰められたゼロ。そんなゼロに「勝負ありだ」と言ったブレイン。「これほど迄に差があるとはな」と悔しそうな声を出すゼロ。そんなゼロをケアルガのマテリアを使って回復させるフレイム。

 

「感謝する、フレイム王子」と頭を下げたゼロ。ブレインは「まだやるか?」と聞いた。ゼロは「いや俺の完敗だ。実力に差が有り過ぎて実感が湧かないが、お前は俺の遥か先にいるということは確かだろう」と素直に負けを認める。

 

マルムヴィストとペシュリアンは「リーダーが手も足も出ないなんて格が違う」と戦慄している。エドストレームは「アダマンタイトになってもまだまだ上がいるんだね」と頷いていた。ゼロは「ブレイン、どうやってそこまで強くなったんだ?」とブレインに問う。

 

 

ブレインは「話しても構いませんかフレイム王子」とフレイムに聞いた。フレイムは「特に秘密にしている訳ではないから、問題はないよ」と答える。

 

ブレインは「俺が強くなれたのはガゼフよりも強いフレイム王子とバルブロ王子のおかげだ。ひたすら自分よりも強い王子と戦い続けていたら、強くなっていた。自分の限界以上に強くなれたのは王子達が先にいたから、追い付こうと思って頑張れたんだ」とゼロに自分が強くなれた理由を話す。

 

ゼロはフレイムを見て「貴方の元でなら俺も強くなれるだろうか」と言った。フレイムは「諦めなければ必ず強くしてみせるさ」と力強く断言する。ゼロは頭を深々と下げて「俺を強くしてくれ!俺はもっと強くなりたい!」と叫んだ。

 

マルムヴィストとペシュリアンは「リーダーがそうするなら俺達も着いていく!」と言い出した。エドストレームは「こりゃ冒険者稼業はしばらくお休みかね、あたしもよろしくお願いしますフレイム王子」と頭を下げる。フレイムは「やる気があるなら早速今日から始めるが、厳しくいくから覚悟しておけよ」と言って笑う。

 

ブレインは「頑張れよお前ら」と自分の過去を思い出しながら四腕を激励した。後日四腕は全員がレベル50に到達するが、フレイム王子の訓練内容が地獄だったと語ったらしい。



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トブの大森林

レベル70になった四腕の面々を連れてトブの大森林に移動したフレイムは、四腕に風来のシレンのしあわせの腕輪を貸し出して両腕に装備できるだけ装備させる。

 

 

「今日の訓練は森の中で行うが、食事は此方で用意するので現地調達する必要はない。とりあえず今日は西の魔蛇と東の巨人に森の賢王と戦ってもらう。前日から全員に話は通して快く了承はされているので遠慮なく戦え。まあ、人間相手とは勝手が違うだろうが死ななければいくらでも回復してやるので問題はないな」と言ったフレイム。

 

そんなフレイムに四腕のリーダーであるゼロが「森の賢王は聞いたことがあるが、西の魔蛇と東の巨人とはどういう奴等なんだ?」と質問する。「西の魔蛇はリュラリュース・スペニア・アイ・インダルンという名のナーガラージャで身体の透明化ができる。東の巨人はグという名のウォートロールキングで、並みの人間とは比べ物にならない力と耐久力を持っているな。森の賢王も含めて全員人語を喋れる知能は持っていて、一番頭が悪いのがグで一番頭が良いのがリュラリュースだ。そして一番素直なのが森の賢王だろう。全員私がある程度まで鍛えたので今の君達とちょうど同じくらいの強さだぞ。難度で言えば210と言ったところかな。どの程度の能力かは実際に戦って確めてみてくれ」とフレイムは答えた。

 

「同格の相手との勝負か、燃えてきた」と武者震いするゼロに「難度210と同格になれるとは思ってもみなかったな」と感慨深く呟くペシュリアンとマルムヴィストに「冒険者稼業やってれば人間以外の相手もするけど、同格相手は初めてかもしれないね」と戦歴を改めて思い起こすエドストレーム。

 

フレイムが四腕を連れてまず先に向かったのは西の魔蛇の元だった。現れた西の魔蛇、ナーガラージャのリュラリュースが「フレイム様、よくぞお越しになられましたな」と丁寧に話しかけてくる。「リュラリュース、西には異常はないか?」とフレイムが聞くと「わしの縄張りである西には何の異常もありませんが、大森林の奥地に何かを感じます。わしの手には終えない可能性が高そうなのでフレイム様にお願いしたいのですが」と答えるリュラリュース。

 

 

「わかった、後で見に行こう。それでは前日に話した人間の冒険者達だ。1人1人相手をしてやってくれ」と言ったフレイム。まずは俺からだと前に出たゼロに身構えるリュラリュース。「フレイム様にお主らはわしと同格だと聞いておる。油断はせん」と言ったリュラリュースは透明化をしてゼロに襲い掛かる。

 

見えなくなった相手に音で反応して戦うゼロと頑丈なゼロに手こずるリュラリュース。一瞬の間にマカライト鉱石で作られたガントレットを装着したゼロの両拳がリュラリュースに叩きこまれて透明化が解除され、リュラリュースの頭部に拳が連続で叩き込まれて倒れ込む。

 

倒れたリュラリュースの眼前で拳を止めたゼロが「俺の勝ちか?」と聞くと「わしの負けじゃ」と敗北を認めるリュラリュース。ドラクエ8の賢者の石を複数回使いゼロとリュラリュースを回復させたその後、ペシュリアンとマルムヴィストには勝利したリュラリュースだったが、エドストレームが操るマカライト製のシミターには敗北することになる。

 

2対2で引き分けとなった今回の勝負に悔しそうなリュラリュースへと「鍛錬を怠るなよ」と声をかけたフレイム。四腕を連れてその場を後にするフレイムにリュラリュースは深く頭を下げていた。

 

次にフレイムが向かったのは東の巨人の元だ。大剣を振るって鍛錬していたグがフレイムに気付いて「フレイムか、その者達が俺と同格という奴等だな」と四腕を見てそう言う。「このグが相手をしてやろう、一番手は誰だ?」と言ったグにゼロが「俺からだ」と勝負を挑む。振り下ろされた大剣を両腕を交差して手甲で受け止めるゼロ。拮抗する力と力。

 

両腕を開いて弾き上げられた大剣が再び振り下ろされた時には既に、ゼロはグの懐に入りこんでいた。グの腹部と顎を狙った拳打が連続で叩き込まれていく。ダメージを受けながらも大剣を凪ぎ払うグ。振るわれた大剣を潜り抜けて飛び膝蹴りをグの顔面に叩き込むゼロ。その状態から両拳でグの頭部を挟み込み、渾身の力で引くとグの身体が宙に浮く。

 

宙に浮いたグの身体が地に落ちる前に、ゼロは両拳で挟んだグの頭部へと膝蹴りを再び叩き込む。そしてグの体重が全てかかったゼロの膝の一撃が、グの顔面にめり込んだ。鼻血を噴き出しながらも立ち上がったグだったが、先ほどの一撃が効いており少々足元がふらついている。それでもグは大剣を構えて踏み込んだ。

 

斜めに振り下ろされる切り下ろしを手甲で弾いたゼロは大地が陥没するほどの踏み込みから、真正面に真っ直ぐ進むストレートを繰り出す。直撃したそれはタフなグをノックアウトする一発だった。気絶して倒れたグとゼロを治療したフレイムは、グを起こして「まだやれるか?」と聞く。

 

グは「まだやれる、俺はもっと強くなるのだ」と力強く答えた。次に始まったマルムヴィストととの戦いは、マカライト製のレイピアを装備したマルムヴィストに一歩も退かずに勝負を挑んだグの勝利となる。次のペシュリアンとの戦いは、マカライト製のウルミという慣れない武器に苦戦し、敗北となったグ。

 

最後のエドストレームとの戦いはシミターを操るエドストレームに、身体中にシミターを突き刺されながらも立ち向かったグの勝ちとなる。勝負の結果は2対2で「俺はまだまだ弱いな」と言葉を漏らすグだった。

 

勝負が終わった後にフレイムがグに「東に異常はないか?」と森の状態を聞くと「東は特に変わりはないが、森の奥に何かがいるのは確かだ。今の俺では勝てぬかもしれん。それだけの力は感じた。フレイム、お前に任せるぞ」とグは答える。

 

「リュラリュースも同じことを言っていたな。森の奥に何かがいるのは確かか。わかった、私が見てこよう」とフレイムは言う。再び大剣を振るい始めるグに背を向けてフレイムは四腕を連れて去っていく。グはそんなフレイムの背中を見て「名が長き者でも強者は強者だ、知らぬことを知れたことに感謝する」と呟いた。

 

次にフレイムと四腕が向かったのは森の賢王の元だ。森の賢王の縄張りに到着したところで「フレイム殿!待っていたでござるよ!」と話しかけてくる森の賢王。尾っぽが少し違うだけで巨大なジャンガリアンハムスターにしか見えない森の賢王に微笑ましい気持ちになりながら「元気そうだな森の賢王。今日はよろしく頼む」と言ったフレイム。「任せるでござるよ!」と張り切っている森の賢王。

 

「最初は誰でござるか?」と聞いてくる森の賢王にゼロが「俺から頼む」と言って構えた。ゼロからの攻撃で始まった戦いは一進一退の攻防となり、激戦となる。拳と尻尾を打ち合わせるゼロと森の賢王。「なかなかの腕前でござるな。名はなんというのでござるか?」と聞く森の賢王に「俺はゼロだ!」と答えるゼロ。「わかったでござるよゼロ、今度はこっちから行くでござる」と言いながら回転して体当たりをする森の賢王。

 

直撃して吹き飛ばされたゼロが空中で体勢を立て直して着地した。今度はゼロが拳を森の賢王の腹部に連続で叩き込み、強制的に息を吐かせる。マカライト製の手甲はゼロの拳の威力を増大させており、森の賢王の分厚い毛皮越しにでもダメージを与えていた。森の賢王の尻尾による攻撃を回避したゼロは息が当たるほどの近距離で、フックを繰り出して森の賢王の腹部にめり込ませる。

 

血を吐きながらもゼロの腕を掴んだ森の賢王は回転して、ゼロを大地に投げ飛ばす。地に倒れたゼロに追い討ちをしようとした森の賢王だったが、ゼロが素早く立ち上がったので追い討ちは出来なかった。互いにボロボロになりながらも闘志は衰えず、ゼロと森の賢王はぶつかりあう。

 

回転しながら尾を振り回す森の賢王に拳で尾を迎撃するゼロ。アダマンタイトよりも硬いマカライトに強度で負けている尾が痛んでいるが、それでも森の賢王は攻撃を止めない。フレイムとの訓練を経験した森の賢王は、多少の痛みでは動じることはなく、問題なく動ける。

 

しかしそれはゼロも同じことで、ダメージを負いながらも問題なく身体は動く。森の賢王が縦に大回転しながら尾を振り下ろしてきたのをゼロは手甲を使い、受け流していった。そして攻撃の隙を突き全身全霊の一撃を放ったゼロ。それは森の賢王に直撃して、森の賢王を吹き飛ばす。

 

大木に叩きつけられてずり落ちてきた森の賢王は「降参でござる。某の負けでござるよ」と地面に転がりながら言った。疲れきったゼロと森の賢王を回復させたフレイム。次の戦いはペシュリアンとなり、ウルミと尾がぶつかり合ったかと思えば、距離をつめた森の賢王の体当たりが連続でペシュリアンに直撃し、ペシュリアンの負けとなる。

 

その次はマルムヴィストとの戦いで、レイピアによる刺突を尾で受け流した森の賢王による尾の攻撃がマルムヴィストに叩き込まれて、マルムヴィストの敗北となった。なお、マルムヴィストは全敗している為、フレイムによる特別強制訓練が決定。嫌な予感しかしないそれにマルムヴィストは絶望の声を上げた。

 

最後のエドストレームは宙に浮いたシミターを器用に操り善戦したが、森の賢王の粘り勝ちという結果となる。四腕と森の賢王の戦いは、3対1で森の賢王の勝ち越しとなったが「勝ち越せたが、危ないところが何回もあったでござる。まだまだ精進が足りないでござるな」と森の賢王は自分を戒めた。

 

全ての勝負が終わってからフレイムは「森に異常はないか?」と森の賢王に聞く。「森から出ようとするモンスターは間引いてるでござるし、森に入ってきた人間も特に問題は起こしてないでござるな。ああ、でも森の奥に何かの気配を感じるでござる。某よりも強い相手なのは確かでござるな」と森の賢王は答えた。

 

「リュラリュースもグと君も同じことを言っているな。それに関しては任せておいてくれ。感じる気配から察して私なら問題なく対処できるから、安心してくれよ」とフレイムは言う。「フレイム殿ならば問題ないでござるな!よろしく頼むでござるよ!」と言った森の賢王。四腕を連れて去っていくフレイムの後ろ姿を見て「フレイム殿、某を強くしてくれて、ありがとうでござるよ」と森の賢王は手を振った。

 

トブの大森林でフレイムが提供した、こんがり焼いた肉と魚を腹いっぱい食べた四腕が水を飲みながら会話をする。ゼロが全勝したこととマルムヴィストが全敗したことに加えて、ウルミの扱い方が更に解ってきたと言うペシュリアンにシミターを操る数が増やせそうだと言ったエドストレーム。それぞれ得るものはあったようで来てよかったと四腕全員が言っていた。

 

調べてみるとゼロはレベル75になっていて、ペシュリアンとエドストレームは73でマルムヴィストが72という結果となっている。これからはもっと鍛えてやるとしようと決めていたフレイムが「さて、これから私は森の奥に向かうが。君達はどうする?」と四腕に声をかけた。「勿論着いていくさ、あんたの戦いが見られるんだろう」と言ったゼロにペシュリアンとマルムヴィストも「リーダーがそう言うなら」と頷く。

 

エドストレームは「森の奥に何がいるのかは知らないけどフレイム王子が対処できるって言ってたから、問題はないんだろうね。でも、少しは考えなよあんたら」とペシュリアンとマルムヴィストの頭を小突いた。それからフレイムと四腕は、トブの大森林の奥地へと歩みを進める。進んだ先でフレイムに話しかけてくる存在がいた。

 

それはピニスン・ポール・ペルリアという名のドライアード。魔樹が復活しようとしていると焦った様子のピニスンに「私が倒すから安心しろ」とだけ伝えて先に進むフレイムの後に着いていく四腕。到着した魔樹の元でアイテムボックスから1本の刀を取り出したフレイム。

 

封印から解かれた魔樹が襲い掛かってきた瞬間、放たれた特大の次元斬が魔樹を一撃で切り裂いていた。抜刀を見ることができた者は監視していたスレイン法国の者達にも、ナザリックにも誰もおらず。鞘に納められた鍔鳴りの音だけが静かに鳴り響いた。

 

80レベルとはいえ体力が測定不能だった相手を一撃で仕留めたフレイム。常識外れの光景に開いた口が塞がらない四腕の面々。まさしく神の一撃と言い、やはり神は既に降臨していたと頷くスレイン法国の者達。

 

実際にフレイムの実力を見て、警戒を深めるナザリックの者達に「ワールドブレイク!?いやちょっと違うから武技って奴か!ああ、やっぱり敵対しなくて良かった!あんなとんでもない技喰らいたくない!80レベルとはいえ測定不能の体力が一撃で削れるってどういうこと!」と内心はテンパっているモモンガ。残った魔樹の頭部から貴重な薬草を採取したフレイムは「帰るか」と四腕に言った。



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バハルス帝国

「ちょっと帝国を見てきてくれ、費用は国が持つから」とバルブロに言われ、80レベルになった四腕を連れて風のぼうしで帝国に到着したフレイム。マジックアイテムで髪の色を金髪から銀髪に変えて変装してはいるが、見る人が見ればフレイムだと気付ける程度の変装だ。

 

王国の城内にわざと残しておいた帝国の間者にフレイムにバルブロやガゼフの強さを見せつけてきたことから、帝国は戦争に踏み切ることはないと確信しているバルブロだったが一応は確める必要があるとしてフレイムを帝国に送り込ませてみることにしたようだ。初っぱなから最強戦力を投入するあたりバルブロの思い切りはかなりのものらしい。

 

「襲い掛かってくる者がいたなら徹底的に反撃して構わない」とフレイムに言ったバルブロはどうせ困るのは帝国だからと考えているようだった。帝国は一応敵国なのでバルブロに容赦という考えはないようだ。そんな訳で帝国を歩くフレイムは、風のぼうしの登録先に一度訪れただけで、あまり見て回ってはいない帝国を観光することにした。

 

王国のアダマンタイトとはいえ有名な冒険者達である四腕を護衛に連れて歩くフレイムは目立っていたが、目立つのが仕事だと理解しているのでとくに四腕に変装はさせないで帝国を練り歩く。当然帝国の皇帝であるジルクニフにフレイムと四腕の存在は伝わり、ジルクニフは頭痛でもしているのか頭を押さえて「フレイム王子が四腕を連れて帝国に来ているのか」と声を絞り出す。

 

「監視は付けろ、だが絶対に近付くな。馬鹿を近付けさせるのも止めろ。フレイムが暴れたら帝国四騎士だろうとフールーダだろうが絶対に止められん。奴は1人で帝国を落とせるぞ、わかったな」とジルクニフは戦慄に冷や汗を垂れ流しながら言う。「何故フレイムが帝国に」と絶望的な顔色で言ったジルクニフは一瞬でやつれたかのように見えた。

 

皇帝が頭皮にストレスでダメージを与えていることなど知らずに帝国観光を楽しんでいるフレイムと四腕。「王国とはまた違って楽しいな」と笑うフレイムに「そうですね、帝国も捨てたもんじゃないですよ」と屋台で買った串焼きをほうばりながら言ったマルムヴィスト。ペシュリアンは買ってきた果物をかじって「これ結構いけるぞゼロ」とゼロに1個放り渡す。受け取ったゼロが「どれ、ほう、なかなか」と果物をかじって頷く。

 

エドストレームが「あれも良いけどこっちも捨てがたいね、どうしようか」とアクセサリーを見比べていた。それを見ていたフレイムが「君には此方が似合うと思うよ」と言ってあるアクセサリーを差し出す。受け取ったエドストレームは「フレイム王子、ありがとうございます」と笑顔になった。

 

 

そんなやり取りを見ていたマルムヴィストが「エドが乙女の顔してやがる」とからかい。ペシュリアンが「エドが乙女、ぶふっ」とふきだして笑う。リーダーのゼロは「良いものをもらったなエド、大事にしろよ」と真面目な反応をしていた。「ゼロとフレイム王子以外は後でシミターの的にしてやるからね、覚悟しときな」とドスの効いた声でエドストレームは言う。

 

帝国のワーカーであるフォーサイトが4人で行動を共にしているとアダマンタイト級の冒険者チーム、四腕を連れた銀髪の男に話しかけられる。帝国の案内を頼みたいと言った銀髪の男はブレイドと名乗った。報酬はこれでどうかなと金貨が何百枚も詰まった袋を4人分渡されたフォーサイトは、ブレイドを怪しいと思いながらも報酬に惹かれて帝国の案内を引き受ける。

 

細やかなことから何から何まで聞いてくるブレイドに丁寧に説明するヘッケラン。エドストレームと会話するイミーナとアルシェ。ペシュリアンとマルムヴィストはロバーデイクと買い食いする。ゼロは遠巻きに此方を見ている帝国の監視を見つけていたが、ブレイドとフォーサイトに名乗ったフレイムが無視しろと言っていたので無視する。

 

ある程度帝国を見て回ってから報酬を更に上乗せしたブレイドにフォーサイトは困惑していたが「受け取っておけ、金があればできることは沢山あるぞ。例えば、借金を返したりとかな」とアルシェを見ながら言ったブレイドに「貴方はわたしのことを知ってるの?」と問いかけるアルシェ。

 

「初対面だ、知るはずもない。まあ、何かに困っていそうな顔をしているのは確かだがね。私が君に言うとすれば、大切なものだけ持って逃げてしまえばいいと言っておこうか。時には切り捨てることも必要だ、どうしようもない奴等は同じことを繰り返すものだからな」と言ったブレイドにアルシェは考え込んだ。

 

「それでは失礼するよ、帝国の案内をありがとう」と言って去っていくブレイドと四腕。考えが纏まったアルシェは「皆に話したいことがある」と話し出す。その日ブレイドから渡された金貨で借金を返し終わったアルシェは両親を見捨て、妹2人とフォーサイトの仲間達と共に帝国を出た。

 

行き先は王国。そこでフォーサイトは後日ブレイドと再会するが、ブレイドの正体が王国の王子フレイムだと知って驚くことになる。

 

楽しみながらフレイムと四腕が帝国を歩いていると不快な光景が目に入る。それは奴隷となったエルフを連れたワーカーだった。チームとは言えないワーカーチームである天武のリーダーであるエルヤーが躓いて転んで立ち上がれないエルフの顔面を殴打しようとした瞬間、高速で間に割り込んでいたフレイムがエルヤーの左拳を受け止めて握り潰していた。

 

苦悶の声を上げるエルヤーに「おや、力加減を間違えてしまったか。貴様の様な雑魚は容易く壊れてしまうから、壊れ物の様に扱ってやらなければいけないのを忘れていたよ」とわざと力加減を失敗したフレイムは言う。「わたしが雑魚だと!多少力が強い程度で思い上がるな!わたしは天才剣士のエルヤーだぞ!」と無事な右手で剣を抜き放って斬りかかるエルヤーだが、フレイムの素手の手刀で剣身を切り裂かれて断たれてしまう。

 

「自称天才はやはりその程度か、そして持ち主にふさわしいナマクラだ。私の手刀以下だったんだからな」と言ったフレイムに「馬鹿な馬鹿な馬鹿な!お前は何者だ!」と叫ぶエルヤー。「名乗る価値もない相手に何故名乗る必要があるのかね」とフレイムは言って、エルヤーの眼前に瞬時に移動して身体を軽く叩く。

 

フレイムにとっては軽くでもエルヤーにとっては馬車に轢かれたようなもので血を吐きながら吹き飛び失神したエルヤーだった。失神したエルヤーの身体を魔法で完全に治療してから奴隷のエルフ達に向き直るフレイム。エルヤーを瞬殺した相手に怯えた様子のエルフ達に魔法で治療を施して身体の怪我や切り落とされた耳まで完璧に治したフレイムへ、心の底から感謝する奴隷のエルフ達。

 

「君達さえ良ければ王国に来るか?王国では奴隷は違法だから、王国に入った瞬間、捕まるのはエルヤーになるのでな。王国なら安全だぞ」と言ったフレイムに「着いていっても良いんでしょうか」と言うエルフ達。「エルヤーの奴隷でいるよりも断然いい暮らしをさせると約束しよう」と手を差し伸べるフレイムの手を掴んだエルフ達は「よろしくお願いします」と頭を下げる。

 

ボロボロだったエルフ達の服をエドストレームに選んでもらい、エルフ達が着替えているのを男達が店の外で待っている最中に帝国四騎士のレイナースが息を切らして飛び込んできた。疲れきったレイナースに水を提供するフレイム。飲み干して一息ついたレイナースがフレイムに「フレイム王子は魔法もフールーダ以上と聞きます!解呪の魔法は使えますか!」と迫りながら話しかけてきた。

 

「ああ、使えるが解呪が必要な誰かがいるのか?」と言ったフレイムに「わたしに解呪を使ってもらえないでしょうか。報酬はわたしの全てを約束します」と食い気味に迫るレイナースに「全てを渡す必要はないがきみの願いは叶えよう」と言って高位の解呪魔法を唱えたフレイム。レイナースの呪いは解呪され、綺麗になった顔に自身の手で触れて涙を流したレイナース。

 

「貴方に全てを捧げます」と言ったレイナースに「全てはいらんと言っただろう、もっと自分を大事にしなさい」と言うフレイム。「しかし」と言って難色を示すレイナースに「私はこれから王国に帰るが、着いてきたいなら着いてくるといい」とフレイムは言った。

 

それを聞いたレイナースは「皇帝に帝国四騎士の辞職を言ってきます」と身を翻して駆けていく。瞬く間に姿を消したレイナースに「嵐の様な女だな」とマルムヴィストが言い、ペシュリアンが「ああ、そうだな」と頷く。ゼロは「随分と連れていく人数が増えたな」と呟いた。

 

帝国の皇帝の前で「辞めます」とだけ言って去っていくレイナース。追いかける間もなく全速力で駆けていくレイナースに追いつけるのは同じ四騎士かフールーダくらいだが、四騎士は出揃っていてフールーダは「レイナースを解呪できるとは、わし以上の魔法の使い手であることは確かじゃ!今行くぞフレイム王子!そして共に魔導の深淵を!」と言っていてレイナースを連れ戻すには役に立ちそうもない。

 

というかフールーダまで王国に着いていきそうな勢いだったことにジルクニフは頭を抱えた。「どうしてこうなった!」頭を抱えながら叫ぶジルクニフ。飛行の魔法で空を飛び、レイナースを追い越したフールーダはフレイム一行を見つけると空から舞い降りてフレイムに近寄りながら「久しぶりじゃなフレイム。相変わらずの若々しさじゃ。それはそうとレイナースの呪いを解呪した魔法はどんな魔法じゃフレイム」と矢継ぎ早に言葉を発する。

 

それに対してフレイムは「久しぶりだなフールーダ、レイナースを解呪した魔法は高位の解呪魔法だ。それ以上は帝国の人間であるフールーダには教えることはできないよ」と言って詳細を明かすことはしない。「そこは何とかならんか」と言うフールーダに「ならない」と断るフレイム。

 

そんな問答を続けていると息を切らしたレイナースが到着して「お待たせしました!行きましょうフレイム王子!」と言ってフールーダとフレイムの間に入り込んだ。レイナースの影からフールーダがひょっこり顔を出して「どかんかレイナース!今フレイムと交渉をしておるところじゃ!」と声を上げた。

 

「既にわたしは帝国の四騎士ではないので、その命令は聞けませんね。今の主はフレイム王子なので、フレイム王子の命令ならば聞きますが、どうしますかフレイム王子」と言うレイナースに「そのまま壁になっていてくれ、フールーダは諦めが悪過ぎる」と言ったフレイム。

 

「了解しました」と壁になるレイナースに「共に魔導の深淵を望むことの何が悪いのじゃフレイム!」とレイナースを突破しようとするフールーダ。そうこうしている内にエルフ達の服が決まり、見違えたエルフ達にマルムヴィストとペシュリアンが見とれたりしながらも帝国から移動する時がやってきた。

 

全員を集めてから一緒に並んでいたフールーダを手早くフレイムが空に放り投げて「フレイム!わしは諦めんからな!」と飛んでいきながらも叫んだフールーダに「元気な爺さんだ」と言ったフレイムは風のぼうしを使って四腕とエルフ達にレイナースを連れて王国に帰還する。

 

辿り着いた王城でバルブロの元まで歩いていったフレイムは「兄上、帝国はどうだった?」と聞いてくるバルブロに「景気は良かったし、活気もあるな。よほど皇帝がうまくやっているらしい。まあ、王国も負けてはいないが、悪くない国だった。奴隷は気に入らんがな」と答える。

 

「奴隷か、王国では違法だが、帝国では合法だからな。むう」と唸りながら腕を組むバルブロに「奴隷となったエルフの顔を殴ろうとしている奴がいたから、左手を潰して剣を断って軽く叩いてやったが。全部治してやったから問題はないな」と言ったフレイム。

 

「ああ、兄上にとっては軽くなんだろうな。まあ、兄上の前でそんなことした馬鹿が悪いか。馬鹿の名前は?王国にきたら捕まえておく」と言うバルブロに「エルヤーと言っていたな」と名前を伝えるフレイム。「ん?天武のエルヤーか?ワーカーの」と言ったバルブロに「多分そうだろうな」とフレイムは頷く。

 

「天才剣士も兄上には敵わないか、まあ当然だな」と笑うバルブロに「あれはただの自称天才だぞ、ブレインの方が天才剣士だ」と言ったフレイム。「それで、奴隷のエルフ達は連れて帰ってきたんだろう。どうしたんだ?」と言うバルブロに「報告が終わるまで四腕に任せてきた、エドストレームが張り切っていたから問題はない」とフレイムは答える。

 

「それで先ほどから気になっていたんだが兄上の隣にいる女性は誰だ?騎士のようだが」と聞くバルブロに「元帝国四騎士のレイナースだ、バルブロ国王に挨拶をしてくれ」と言うフレイム。

 

「フレイム王子に仕える騎士のレイナースです。よろしくお願いしますバルブロ国王」と言ったレイナース。「帝国四騎士の1人を連れてくるとは思ってもみなかったぞ兄上。てっきり嫁でも連れてきたのかと思っていたんだが」と驚くバルブロに「嫁ですか、それも魅力的ですね。フレイム王子が望まれるならですが」と熱っぽい目でフレイムを見つめるレイナースを「とりあえず今は望まないから落ち着きなさい」とたしなめるフレイム。

 

「まあ、これで帝国の戦力は落ちた。帝国が王国との戦争に踏み切ることはあるまい」と頷くバルブロに「今のガゼフに勝てる者は帝国にはいないからな、皇帝も馬鹿ではない筈だ」とフレイムは笑う。そんなフレイムの横顔をうっとりと眺めるレイナースはとても幸せそうであった。兄弟の会話が終わり、王城の訓練施設に移動したフレイムとレイナース。

 

「まずは君の実力を見ていこう。私の騎士を名乗るからには相応の実力が必要となる」と言ったフレイム。「わかりましたフレイム王子。参ります」と槍を構えたレイナース。始まった戦いはレイナースのスタミナ切れで終わり、賢者の石と魔法で全快したレイナースは「根性は充分あるが実力が足りていない。鍛え上げるから覚悟しておけ」とフレイムに言われて「はい!」と元気よく返事をする。それから王城の訓練施設ではフレイムに挑むレイナースの姿が度々目撃されるようになった。



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リ・エスティーゼ王国

レイナースのレベルが30になったあたりでしばらく休憩をさせることに決め、レイナースを連れて食事に行くことにしたフレイム。王都でも有名な飲食店に入り、フレイム達は料理を注文した。肥沃な土地で育てられた食物を調理した料理はレイナースの口にも合ったようで笑みがこぼれている。

 

食事を終えてから支払いを済ませて、レイナースに王都を案内するフレイム。王都を巡るフレイムとレイナース。そんな2人と遭遇したフォーサイトの4人とアルシェの妹2人。

 

ヘッケランが「ブレイド!?何故王国の王都に!?しかも帝国四騎士を連れて!?」と困惑している。そんなヘッケランに「この方はリ・エスティーゼ王国の王子であるフレイム王子ですよ。そしてわたしは元帝国四騎士にしてフレイム王子の騎士のレイナースです」と訂正するレイナース。

 

「ちなみにブレイドは偽名だよ。銀髪も変装で本来は金髪だ。後はレイナースが言った通りだな」と補足するフレイム。ヘッケランが「王国の王子とは知らず失礼を!」と畏まって言ったので「ああ、そう畏まる必要もない。国王を相手にするならともかく、私は王国の不利益にならなければ多少のことは気にしないよ。だから口調も普段通りで構わない」とフレイムは言う。

 

それを聞いたアルシェが「ありがとう、貴方に渡された報酬と言葉のおかげで踏ん切りがついた」とフレイムに言って頭を下げる。「気にする必要はない。報酬は支払われるべきだと思った金額を払ったまでだよ。君達は今日、王都観光に来たといったところのようだが、王都を案内しようか?ちょうど今レイナースを案内しているところだ。1人も7人も対して変わらないからな、費用は私持ちで存分に観光させようじゃないか」とフレイムは言う。

 

ヘッケランが「費用を貴方が持ってくれるのは助かりますが、良いんですか?」と聞いてくる。「ああ、何も問題はない」と答えるフレイム。フォーサイトとアルシェの妹2人が加わり総勢7名を連れてフレイムは王都を歩く。フレイムの紹介の元、王都を観光する7名は思う存分王都を満喫した。

 

帰る時間になったフォーサイトとアルシェの妹達がフレイムに感謝しながら去っていく。「では、私達も帰るかレイナース」と言ったフレイムに「ええ、帰りましょうフレイム王子。随分と賑やかになりましたが、今日はとても楽しかったです」と笑顔で言うレイナースだった。

 

バルブロに頼まれて定期的に王国内を風のぼうしで飛び回るフレイムに騎士として着いていくレイナース。治安が悪化していないか、貴族が領民を酷使していないかを抜き打ちで調査していくフレイム。肥沃な土地を持つ王国ではよほどのことがなければ食えなくなるということがないので、腐敗貴族がいた頃に比べて賊になる者は少ない。

 

少ないが全くいないという訳ではないので、こうして自由に王国を見て回れるフレイムが見つけて始末している。農村から食料の略奪を行なった賊の集団がいるという洞窟に入り込み、風来のシレンの透視の腕輪に、罠師の腕輪を装備したフレイム。

 

腕輪の効果で洞窟内の形状と賊の位置を把握して罠も作動させなくしたフレイムは迷わず洞窟内を進む。そんなフレイムに着いていくレイナースに不安は欠片もない。賊の集団がいる場所に踏み込んだフレイムは一瞬で賊を撃滅する。死体も残さず魔法で消して、奪われた食料を回収してから農村に戻り食料を返却する。

 

同様のことを2回ほど繰り返し、今回の王国内の見回りは終了となった。「フレイム王子がいつもこのようなことを?」と聞くレイナースに「私がやった方が早いとバルブロも判断したのだろう、実際に王国の全域の見回りを日帰りで終わらせることができるのは私だけだからな。適材適所という奴さ」と答えるフレイム。

 

「王国は腐敗貴族がいなくなってから豊かな国になったが、それでもこうして賊が現れる。だからこそ定期的に見回る必要があるんだ。民が困っているなら王国の王子として助けなければいけないからな」と語るフレイムに「流石は王国の王子ですね。フレイム王子がいればこの国の民は安心できるでしょう。そういえば王国の腐敗貴族は手練れの暗殺者に暗殺されたと聞きますが、依頼したものは誰だったのでしょうか?」と聞くレイナース。

 

「さて、誰だろうな」と笑うフレイムこそが腐敗貴族を暗殺した張本人だが、それをレイナースに教えるつもりはないようだった。

 

ラナーとクライムがフレイムの元にやってきて、ラナーが「フレイムお兄さま、その方が元帝国四騎士のレイナースさんですね」とフレイムの後ろに控えるレイナースを見ながらそう言う。

 

「それはそうだが、何の用かなラナー」と聞くフレイム。ラナーは「元帝国四騎士であるレイナースさんに帝国のことで聞きたいことがありまして、よろしいですかフレイムお兄さま」と言ってフレイムに承諾を得ようとする。

 

フレイムが「レイナースが構わないならな、嫌なら断ってもいいぞレイナース」と言うと「構いませんフレイム王子。帝国に関してわたしが知る全てをお話しましょうラナー王女。何が聞きたいのですか?」と言ったレイナース。

 

「帝国は実力主義と聞きます。貴族であるかではなく実力で全てが判断されるのでしょう。それで聞きたいのは実力さえあれば、貴族と平民が婚姻することも帝国では可能であったのか聞きたいのです」とラナーは言う。「可能ではありますね。優秀であればすんなりと認められたでしょう。皇帝からの後押しもある筈です。しかし貴女は帝国に亡命するのは止めた方が良いと思いますよ。皇帝は貴女を嫌っていますからね」とレイナースは言った。

 

「確かにフレイムお兄さまがいなければ王国を出ることも考えていたでしょう。でも今のわたしはそんなことは考えていませんよ。帝国の良いところを王国も取り入れてはどうかと国王に進言するだけです」とラナーは笑う。

 

「おや知らないのはラナーだけか、ラナーはクライムとはもう結婚できるぞ」とあっさりと言うフレイムを凄い目で見ながら「どういうことですかフレイムお兄さま!」とラナーは詰め寄る。

 

「まあ、落ち着け。バルブロとザナックと3人で話した結果、ラナーはクライム以外と結婚はしないだろうなと全員が考えたから。もうラナーとクライムは国王が認めた特例の第1号ということで結婚させようってことになったんだ。もう国庫から式の費用は用意されてるので、いつでも結婚できるぞラナー」と言うフレイムに「いつの間に決まっていたのかしら、1週間前あたり?まあ、クライムと結婚できるなら良しとしておきます。ありがとうございますフレイムお兄さま」とラナーは瞬時に切り替えた。

 

クライムが「ラナー様と結婚!」と顔を赤らめるのをラナーがヤバい目で見ていたので「目、目」と言うフレイムに普通の目に戻すラナーだったがやはり目の奥に危険な光が見える。これは駄目だなと首を左右に振るフレイムだった。

 

それから数日後、ラナーとクライムの結婚式が開かれる。王族の結婚式というには質素なものになったが、ラナーとクライムにはそれで充分だったらしい。

 

王族とラキュースを含む僅かな貴族に王国戦士長であるガゼフと何故かブレインだけが集められた式場で式の最中に誓いのキスをするラナーが、がっしりと組み付いてクライムから離れないという事態になり、バルブロでも引き剥がせなかったので急遽フレイムが引き剥がすということもあったが、それ以外は問題なく式は進行。フレイムが特別にモンハンの紅玉とカブレライト鉱石で作成した指輪を交換したラナーとクライムは、夫婦となる。

 

式が終わった後に王国の黄金を射止めた平民としてクライムは有名になったが披露されたフレイムとクライムの戦いを見た者達からは祝福されているようだった。御前試合で披露されたガゼフとブレインの戦いを越える戦いを見せつけたことで、あまり表舞台に出ることのなかったクライムの実力は評価されることになる。

 

これで王国の王族で結婚していない者はフレイムとザナックだけになったが、2人とも結婚する予定はないとのことだ。ラナーとクライムの結婚式を見て、何かを期待するかのようなレイナースの視線は無視することにしたフレイムだった。

 

結婚式が終わった後にラキュースに話しかけられたフレイム。アダマンタイト級の冒険者チームである蒼の薔薇のリーダーであるラキュースは、ラナー1人対蒼の薔薇で戦い敗北したらしい。

 

「ラナーが短期間であれほどまでに強くなった理由であるフレイム王子に自分と蒼の薔薇も鍛えてもらいたいのです」と言ったラキュース。それを聞いたフレイムは「今はレイナースを鍛えているところなんだが、彼女と一緒で良ければ鍛えよう」と答える。それに「よろしくお願いしますフレイム王子!」と元気よく返事をしたラキュース。

 

2日後、王城の訓練施設に案内された蒼の薔薇。40レベルに到達したレイナースと手加減したフレイムの戦いを見たガガーランが「英雄の領域を越えていやがる」と声を漏らした。

 

「しかし手加減しているな、クライムとの戦いの時ほどの動きじゃない」と言うイビルアイ。レイナースとの戦いを一旦止めて蒼の薔薇に向き直るフレイムに、双子の忍者の片割れが「もう少し幼ければストライク」と言い、もう片割れが「女だったらストライク」と言った。

 

ラキュースがそんな双子に「フレイム王子に失礼なこと言わないの!」と怒る。そんなやり取りを挟みながらも始まったフレイムと蒼の薔薇の戦い。蒼の薔薇の全員が女性であろうが、お構い無しに模擬戦を繰り返す。

 

ある程度実力があることからフレイム王子が遥かに格上であることに気付いたイビルアイは戦力差に愕然とした。隙だらけのイビルアイにかなり手加減したフレイムの攻撃が直撃して宙を舞うイビルアイ。

 

ポーションや回復魔法が効かないイビルアイにもドラクエ8の賢者の石の回復は効果があり、遠慮なくイビルアイは痛め付けられた。双子の忍者の1人が倒れ伏しながら「フレイム王子は鬼畜」と言い、もう1人が「鬼ボスより鬼畜」と言う。

 

そんな双子に「まだ元気があるようだな、次はもっと強めに行くぞ」とフレイムが言った。「間違った、フレイム王子は超鬼畜」と言って震える双子の忍者の1人と「どいひー」と言って微震動するもう1人。

 

模擬戦が再び繰り返されていき、ガガーランが「確かに成長していくのが解るが、かなりキツいぜ」と言って額の汗を腕で拭う。ラキュースが「頑張りましょう。これを乗り越えれば、わたし達はもっと強くなれる筈」と決意を露にする。イビルアイは「仕方ないな、付き合おう」と言って立ち上がった。

 

それから始まった戦いは凄まじいものとなり、イビルアイは70レベルに到達する。蒼の薔薇の面々も軒並み40レベルにまでなり、ラキュースは45レベルになってレイナースは55レベルとなった。

 

休憩の時間となり、蒼の薔薇の各々がのんびりとしている最中。双子の忍者の1人がガガーランに「そういえば聞きたいことがある」と言ってから「フレイム王子は童貞?」と聞いた。ガガーランは両腕を組んで「フレイム王子が童貞かは、俺にも何故かわからん」と真剣に語る。

 

「ガガーランにもわからないなんて凄い」と言った双子の忍者の1人に「そういうところも規格外」と言うもう1人。「まあ、童貞じゃなくても相手をしてもらいたい人ではあるが。いい男だしな」と笑うガガーラン。「貴女達はなんて話をしているの!ああ、これがフレイム王子に聞かれていたらどうしましょう」と怒りながら焦るラキュース。

 

イビルアイはそんな蒼の薔薇の面々に呆れていた。「食事を持ってきたぞ」と言って訓練施設に戻ってきたフレイムと付き従うレイナース。ラキュースが「フ、フレイム王子、聞こえてましたか?」と震えた声で聞くと「何のことかな。私は来たばかりだから何も聞いていないよ」と聞こえていたけど聞かなかったことにしておくフレイム。

 

アイテムボックスからテーブルと椅子を取り出して、できたての料理をテーブルに置くフレイムにイビルアイが「フレイム王子、貴方はプレイヤーなのか?」と問いかける。「ユグドラシルのプレイヤーではないが、前世は他のゲームのプレイヤーではあったかな。今の私は王国のフレイムだがね」と答えたフレイムに「前世!」と何かに反応するラキュース。

 

そんなラキュースとイビルアイを置いて食事を始める蒼の薔薇の面々。戦いの後は皆腹が減っていたらしい。出遅れたラキュースが慌てて席に座り食事を食べ始めた。イビルアイにフレイムが「人化の指輪だ、これを着けて君も食事に参加したらいい」と言ってフレイムが作成した指輪を差し出す。

 

イビルアイは、それを受け取って指にはめると仮面を外して食事に参加した。足りなくなって追加した料理を一番食べたのはイビルアイだったようだ。人化の指輪を返そうとするイビルアイに「それは君に差し上げよう」と言って笑うフレイムに「感謝する」と言ったイビルアイ。

 

リーダーのラキュースが深々と頭を下げてから去っていく蒼の薔薇の面々。「あれが蒼の薔薇ですか」と言うレイナースに「愉快な面々だったろう。いい刺激にはなったんじゃないか?」と聞くフレイム。「そうですね、後から来た者達には負けられないという気持ちにはなりました」と素直に答えるレイナース。

 

フレイムは「向上心があることは良いことだ」と言って笑う。「フレイム王子の騎士として相応しくなるまで、ご指導よろしくお願いします」と礼儀正しく頭を下げるレイナース。「まあ、根を詰めすぎても良くはない。今日のこれからの時間は休みにしよう」と言うフレイム。

 

「それでは微力ながら、フレイム王子の騎士として付き従わせてもらいます」とレイナースは言った。「ああ、構わないよ。着いてくるといい」と言って歩き出したフレイム。そんなフレイムに付き従うレイナースは帝国四騎士だった頃よりも幸せそうであった。

 

いつか呪いが解かれることを夢見ていたレイナースにとって呪いを解呪してくれたフレイムは夢を叶えてくれた恩人である。フレイムに付き従うことに喜びを感じるレイナースは、幸せの絶頂にあった。主であるフレイムに不満はなく、報酬も高額を定期的にフレイムから支払われている為に懐は帝国四騎士であった頃よりも暖かい。

 

何の憂いもなく忠誠を捧げられる主がいることに感謝するレイナース。王国の国民からの信頼も厚い自慢の主に、レイナースは機嫌良く主の後ろを歩く。フレイムが振り返り、レイナースを見て笑う。それを見るだけでレイナースの心は全てが満たされた様な気持ちになる。主であるフレイム王子が望まれるまでは、この気持ちには蓋をしようと決めたレイナース。

 

そうしてフレイムに更なる忠誠を誓うレイナースは「強くなります、貴方の騎士として」と改めて決意を言葉にした。それを聞いたフレイムは「ああ、強くなれレイナース。私の騎士としてな」とレイナースの顔を真剣な眼差しで見ながら言って、踵を返す。背を向けたフレイムを追うレイナースの顔はとても晴れやかなものだった。



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スレイン法国

レイナースのレベルが60になった頃、スレイン法国から王国に使者がやってきた。バルブロが応対していたが、どうやらスレイン法国の使者はフレイムに用があるらしい。王城の訓練施設にいたフレイムとレイナースは、バルブロが案内してきたスレイン法国の使者と対面する。

 

フレイムの目の前で跪いたスレイン法国の使者は「新たなる神よ、ご尊顔を拝見できて光栄でございます」と畏まって言った。「待て待て、神になったつもりはないぞ」と言うフレイム。「まあ、兄上だからな。また何かやったんだろう」と頷くバルブロ。「我が主は、神の如き力は確かに持っていますね」と納得するレイナース。

 

 

「トブの大森林にて、世界を滅ぼしうる力を持った魔樹を一撃で屠る御力をお持ちであるフレイム様こそ、新たな神であるとスレイン法国は確信しております」と目を輝かせながら言ったスレイン法国の使者。

 

「ああ、見ていたのは君達か、監視には気付いていたよ。見られたところで特に問題はないと思っていたんだが、こうして王国まで来るとは、隠蔽しておけばよかったかもしれないな」と言いながらもフレイムは内心では「実際はナザリックの監視もあったから、ナザリックの者達とモモンガさんに私の実力の一端を見せつけて敵対を躊躇わせるという目的を達成する為に隠蔽は、するつもりはなかったがな」と考えていた。

 

「おお、気付いておられましたか、流石はフレイム様です。隠蔽の術まで持っておられるとは多彩なのですね」と言うスレイン法国の使者。「それで、兄上に結局は何の用だ?会わせていただきたいと言っていたから会わせたが、顔を見て跪いて終わりという訳もあるまい」とバルブロはスレイン法国の使者に問いかける。

 

「それでは本題に入らせていただきます。フレイム様にはスレイン法国に来ていただきたいのですよ。新たなる神をスレイン法国の民全てがお待ちしております。どうかフレイム様には新たな神としてスレイン法国を導いていただきたい。人間はこの世界では弱者なのですよ。だからこそフレイム様のような強大なる神の御力が必要なのでございます!どうか!どうか!フレイム様!スレイン法国を!いや、全ての人々を導いていただきたい!」フレイムの眼前で跪いたままスレイン法国の使者は、熱烈に語った。

 

「私は神ではないが、助けが必要なら応えよう。しかし、立ち上がるのは君達だ。私が鍛え上げよう、人々の為に戦う者達をな。限界の更に先へと連れていってやる。それから先、どうするかは君達次第だ。それでもいいなら、この手を取れ」と言ってスレイン法国の使者に手を差し伸べるフレイム。「おお、神よ!感謝致します!」と言ってフレイムの手を取ったスレイン法国の使者は涙を流した。

 

「まあ、兄上が良いなら任せるぞ」と言って訓練施設を出ていくバルブロ。「旅支度を整えておきます、少々お待ちを我が主」と言って訓練施設から飛び出していったレイナース。それから数十分後、スレイン法国の使者が乗ってきた馬車の前で合流したフレイムとレイナース。大荷物を背負ってきたレイナースの荷物を受け取り、アイテムボックスにしまいこんだフレイムに「神の御力の一端でございますね」と頷くスレイン法国の使者。

 

全員が魔法の施された豪華な馬車に乗り、スレイン法国への旅が始まった。道中問題が起こることもなくスレイン法国に近付いていく。そして10日後、スレイン法国へと到着する。到着したフレイムは歓迎で迎えられた。歓迎もそこそこにフレイムはスレイン法国の戦闘訓練施設に案内するように、王国に来たスレイン法国の使者であった神官長に言う。

 

到着した戦闘訓練施設には陽光聖典の姿があり、フレイムの姿を見た陽光聖典は一斉に跪いた。陽光聖典の隊長であるニグンが代表として「新たなる神よ、何故このような所に」とフレイムに質問してきたので「スレイン法国の者達を鍛え上げにきたからだな」と答えるフレイム。「おお!神直々に鍛え上げてもらえるとは光栄です!」と喜色満面の笑みを浮かべるニグンに「では先ずは君達から鍛えるとしようか」とフレイムも笑顔になった。

 

それから陽光聖典は地獄を体験することになるが、これが神の試練!と奮起する者達ばかりだったので脱落者は皆無となる。その甲斐があったのか陽光聖典は隊員が全て40レベルを越えて、ニグンに至っては50レベルにまで到達していた。

 

以前とは比べ物にならない力を手に入れた陽光聖典は、これまで以上に活躍していくことになる。特に竜王国でビーストマン相手にその力が発揮され、ビーストマンは陽光聖典が召喚する天使を見ただけで逃げ惑うようになったらしい。

 

陽光聖典の訓練が終わり次第他の聖典の訓練も開始されていき、軒並み40レベルまでレベルアップさせたフレイム。レイナースの訓練も合間に続けていて、70レベルに到達するレイナース。最後の聖典として漆黒聖典の面々がフレイムとの訓練に参加することになり、漆黒聖典がスレイン法国最強の部隊と聞いていたフレイムは、これまで以上に厳しい訓練を開始した。

 

倒れるまでかなり手加減したフレイムとの模擬戦を繰り返し、倒れても回復させられて強制的に立ち上がらせて、また模擬戦を繰り返す。血を吐こうが、腕や足や肋骨が折れようとも完全に治療されて元通りになったら、また戦う。ひたすら戦って戦って戦い続けて、気がつけば日が暮れている。食事の後の休憩は消化が終わるまで待ってもらえるが、消化が終わったら戦いが再び始まった。

 

過酷な模擬戦であろうとも挫ける者は漆黒聖典には誰1人もおらず、心折れることなく戦いを続ける。その成果は確かに実り、漆黒聖典の面々は70レベルにまで到達し、漆黒聖典の隊長は95レベルに到達した。漆黒聖典が休憩している合間に訓練していたレイナースも80レベルとなり、ドラグライト鉱石で作成された槍を授けられることになる。

 

そんなレイナースを羨ましそうに眺めていた漆黒聖典の隊長に「君のその槍との交換で、レイナースに渡したものと同じ素材の槍を私が1本作ってやろうか?」と言ったフレイム。「よろしいのですか、フレイム様!このようなみすぼらしい槍との交換で、あのような至宝とも言える槍を頂けるなら是非ともお願いします!」と頭を下げる漆黒聖典の隊長。

 

「それでは鍛冶場を少し借りるぞ、案内してくれ」と言うフレイムに「かしこまりましたフレイム様!」と漆黒聖典の隊長自ら案内を引き受けた。それから漆黒聖典の隊長の手を見て、彼の手に馴染むようにフレイムが作り上げたドラグライト製の槍は、漆黒聖典の隊長にとって何よりの宝となる。そしてアイテムボックス内に大量に存在するドラグライト鉱石を少々使った程度でユグドラシルのワールドアイテムであるロンギヌスを手に入れたフレイムだった。

 

スレイン法国の六色聖典の訓練も一段落したところで、そろそろ一旦帰宅しようかと考えているフレイムだったが、訓練施設に入り込んできた頭部の中心から白と黒で別れた髪を持つ女性が戦鎌を片手に笑いながらフレイムに斬りかってきたので、すんなりとそれを避けるフレイム。

 

レイナースが槍で女性に突きを入れようとしたのを「今の君では敵わない相手だ、ここは私に任せろ」とフレイムが止める。「当たらない、当たらない、ふふっ」と嬉しそうにそう言いながら戦鎌を振るう手を止めることのない女性に「それで君は誰なのかな?」とビルドが滅茶苦茶だとしても100レベルの力で振るわれる戦鎌を余裕で回避しながら聞くフレイム。

 

「漆黒聖典番外席次、絶死絶命。貴方が新たな神のフレイムでしょう?全力で振っても当たらないなんて初めてよ」と言った絶死絶命はとても楽しそうだった。単純に振っても当たらないと判断したのか技を交えて戦鎌を振るう絶死絶命にフレイムは躱し続けていく。遂には武技まで使い始めた絶死絶命に難なく避けるフレイム。そんなフレイムに「神様は避けるだけなのかしら?」と笑う絶死絶命に「君がどの程度頑丈か確めていたが、難度300程度だと解ったからそろそろ攻撃していくぞ」とフレイムは言った。

 

「それは楽しみね」と戦鎌をフレイムに真正面から出せる限りの最高速度で振り下ろす絶死絶命。そんな絶死絶命の視界から消えて、絶死絶命にとっては瞬間移動をされたかのように背後に一瞬で移動したフレイムは絶死絶命の背中を手加減してドアをノックするように叩いた。

 

あまりの威力に背筋が反り返った状態で吹き飛ぶ絶死絶命。初めて受けたフレイムからの手加減された攻撃は実力差がはっきりと解るものであったが、それでも絶死絶命はフレイムに立ち向かう。幾度も幾度も吹き飛ばされた絶死絶命はボロボロになりながらも立ち上がった。

 

完全に息が上がった絶死絶命に「そろそろ休憩するか?」と聞くフレイム。それでも首を横に振り、最初に比べて勢いの落ちた戦鎌を振るう絶死絶命。手加減した攻撃を繰り出すフレイム。遂に立ち上がることのできなくなった漆黒聖典番外席次、絶死絶命。しかしその顔はとても嬉しそうな顔であった。

 

倒れた絶死絶命を見て「法国の人間にしては、あまりにも異質です。彼女はいったい」と疑問を口にするレイナース。「さてな、法国にも色々と隠し事はあるんだろう。まあ、私は王国の人間だからな。他国の事情に深く突っ込んだりはしないさ」と言ったフレイム。

 

「フレイム王子、貴方の騎士としてわたしは強くなります。彼女にも勝てるようにならなくてはいけません。フレイム王子を害する者達から、守るべき騎士が守られているようでは駄目ですから」と絶死絶命を見ながら決意するレイナース。

 

「それでは王国に帰るとしよう。レイナースが限界以上に強くなれるように鍛え上げるのが私の責務だ。期待しているよ、レイナース」とフレイムは言った。その後は神官長や神器を預かるカイレと会話をして、引き止めてくる神官長達に「また来る」と言って引き下がらせてから風のぼうしで王国に帰還したフレイムとレイナース。

 

法国の六色聖典の実力を底上げしてきたことをバルブロに報告し、それぞれの能力の詳細も伝えておくフレイム。フレイムを除いた現在の王国の戦力で対処可能であると判断したバルブロは「スレイン法国が丸裸になったな。感謝するぞ兄上」と笑う。

 

バルブロとの会話が終わった後に王城の訓練施設に行くと、ガゼフとブレインが勝負をしているところだった。フレイムはレイナースと一緒にそれを見学して、レイナースには見えなかったであろうところを解説していく。今回の勝負はガゼフの勝ちに終わり、今のところ同点の引き分けとなっているようだった。

 

ガゼフとブレインの負傷をフレイムが治療して全快の状態にしてから、レイナースに「ガゼフとブレインと一緒に私と戦ってみるか?」と聞くフレイム。「挑ませていただきますフレイム王子」と言ったレイナース。

 

3対1の戦いで終始圧倒するフレイム。フレイムとの模擬戦に慣れている3人は喰らいついていく。新たな武技を披露したガゼフとブレインにレベル90に到達したレイナース。各々が満足する模擬戦になったようだった。

 

それから数日後、王国の王城にスレイン法国から来客が現れる。その正体は漆黒聖典番外席次、絶死絶命であった。王城の訓練施設でレイナースと訓練しているフレイムの元に「スレイン法国から、また来客だぞ、兄上」と絶死絶命を背後に連れたバルブロがやって来る。

 

「数日ぶりね、新たな神様」と言って笑う絶死絶命に「神と呼ぶのは止めてもらいたいんだが」と顔をしかめてフレイムは言う。「じゃあフレイムって呼ぶわね」と言った絶死絶命。「それで何の用かな」と聞いたフレイム。「貴方の子供が欲しいの」と言う絶死絶命。

 

「何故?」と困惑しているフレイム。槍を握りしめたレイナース。「わたしに勝った、わたしより強い相手の子供が欲しいの。育てるのはわたしがやるから、フレイムは気にしなくていいわ」と言った絶死絶命に「そんな無責任なことはしないし、断るよ。他の相手を探しなさい」と断るフレイム。

 

レイナースはそれを聞いて槍を握りしめていた力を弱めた。「他の相手と言っても貴方以上の相手が見つかるとはとても思えないわ。この国の王様も悪くないけど、貴方の方がきっと強いのでしょう?妥協したくないのよ」と言う絶死絶命。

 

「私の意思は変わらないよ、それに君は法国の人間だろう」と言ったフレイム。「法国の人間じゃあなくなれば、貴方の子供を産めるのかしら」と笑う絶死絶命。「初対面で頭部を狙って戦鎌を振るうような相手と子供を作りたいとは思わないよ」とため息をはくフレイム。

 

「そう、でもわたしは絶対に諦めないからね」と言ってフレイムに手を伸ばそうとした絶死絶命を「そこまで!それ以上フレイム王子に近付くなら槍を振るうことになります!」と最近100レベルに到達したレイナースが槍で遮る。

 

「貴女は邪魔ね」と言って背負っていた戦鎌を振るう絶死絶命に「フレイム王子に手は出させません!」と戦鎌を槍で受け止めるレイナース。始まった戦いは苛烈なもので、戦鎌と槍が常人では見切れない速度で繰り出され続ける。

 

 

それを全て見切っているバルブロとフレイムは「おいおい、兄上を巡って女の戦いが始まったぞ。どうするんだ兄上」と言ったバルブロに「レイナースは力と技と速度に耐久力で勝り、絶死絶命は経験で勝っている。互いに難度は300。レイナースにはいい経験になるだろう」と言うフレイム。

 

「いや兄上、そうじゃなくてだな」と言うバルブロに「まあ、レイナースが勝つだろう。敗北を理由に絶死絶命は追い返すさ」とフレイムは言った。

 

戦いを見ていたバルブロは「まあ、確かにレイナースが勝つだろうな」と頷く。戦鎌と槍が交差して力で勝るレイナースが戦鎌を弾き上げる。絶死絶命の、がら空きの腹部へと槍を突き出したレイナース。穂先を掴んでそれを止めようとする絶死絶命。

 

鋭い穂先に手の平を切り裂かれながらも槍を止めた絶死絶命だったが、力で負けていることから徐々に槍を押し込まれて穂先が腹部にじわりじわりと刺さっていく。穂先を掴んでいる左手をそのままに右手で戦鎌を振るう絶死絶命。瞬時に槍を引き、戦鎌を弾いたレイナース。負傷したのは絶死絶命のみで、レイナースは無傷だった。明らかに負けていることに気付きながらも絶死絶命は止まらない。

 

 

レイナースは冷静に槍を振るい絶死絶命に傷をつけていく。全身に裂傷を負いながらも戦うことを止めない絶死絶命。身体中から血を流しながらも立ち止まらず戦い続けていくが、遂には流した血が多すぎて動けなくなった。

 

倒れ込みながらも顔を上げる絶死絶命の眉間に向けてレイナースが槍を突き出そうとした瞬間「そこまでだ、もういい」とレイナースの槍を止めるフレイム。「フレイム王子、承知しました」と槍を引くレイナース。

 

魔法を使って絶死絶命を完全に治療したフレイムは「今日は大人しく帰るんだ、法国までは私が連れていってやる」と言って絶死絶命を連れて風のぼうしでスレイン法国まで移動した。スレイン法国では漆黒聖典が全員ボロボロになっており、数日前に国外に出ようとした番外席次を止めようとしたことが判明。

 

フレイムが魔法で漆黒聖典全員を治療すると「神よ!感謝します!」と深く祈りを捧げる漆黒聖典だった。絶死絶命を彼女の居場所に送り届けて「もっと強くなりたいと思ったのは初めてよ、あの女に負けてるようじゃ駄目ってことよね。鍛え直すわ」と言っていた絶死絶命に「その頃にはレイナースはもっと強くなっているさ」と言ったフレイム。

 

「そう、それでもわたしは諦めないから」と言う絶死絶命。「諦めてもらいたいところだな」とフレイムは言って去っていく。そんなフレイムの後ろ姿を眺めながら「諦めないからね、フレイム」と笑う絶死絶命だった。



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竜王国

竜王国の女王ドラウディロン・オーリウクルスは待っていた。竜王国のアダマンタイト級冒険者チームであるクリスタル・ティアでもスレイン法国の陽光聖典でもなく、ただ1人の男を待っている。ふらりと竜王国に立ち寄って万を越えるビーストマンを打ち倒しては、無償で竜王国の民に魔法や不思議な道具で治療を施して去っていく。

 

たまに女王の元に出向いて酒を酌み交わして立ち去ることもある男。その男の名はフレイム・アルトロン・ドライグ・ライル・ヴァイセルフ。リ・エスティーゼ王国の王子。ドラウディロンは酒を用意して、フレイムを待っていた。そろそろフレイムが竜王国にやってくる頃だろうと予想していたドラウディロン。

 

その予想は的中し「竜王国を襲撃しようとしたビーストマンを殲滅したフレイム王子が参られました」とドラウディロンに連絡が入る。「フレイムなら問題ない、そのまま通せ」と伝えたドラウディロンに「フレイム王子以外にもお連れの方がいらっしゃいますがどうしますか」と言われたので「構わん通せ」とドラウディロンは答える。

 

現れたフレイムの背後にいるレイナースに一瞬凄い目をしたドラウディロンだったが気を取り直して「久しぶりだなフレイム」と言ったドラウディロン。「ああ、久しぶりだなドラウディロン」と返事をするフレイム。「それでその、フレイムの後ろの女性は?」と質問するドラウディロン。

 

「私の騎士のレイナースだよ。レイナース、彼女が竜王国の女王のドラウディロンだ、挨拶をしてくれ」と背後を振り返りそう言ったフレイムに「フレイム王子の騎士のレイナースです。お初にお目にかかりますドラウディロン女王」と挨拶をしたレイナース。「うむ、フレイムの騎士。騎士か。フレイムの騎士ならばレイナースは強いのだろうな。よろしく頼む」と言ったドラウディロンは騎士で良かったと内心思っていた。

 

竜王国の女王であるドラウディロンに挨拶を終えてからレイナースを客室に案内して休んでおくように伝えたフレイムは、再びドラウディロンの元に出向いて酒盛りを始める。酒が入ったドラウディロンは「うちのアダマンタイト級冒険者チームのクリスタル・ティアのリーダーであるセラブライトがなぁ、少女の姿をしているわたしを凄い目で見てきて身の危険を感じるんだ。どうすればいいと思うフレイム」と酒瓶片手に悩みを言っていた。

 

それに対して「少女の姿に興味があるようだから、大人の姿に目の前で変わってやれば冷めるんじゃないか」とフレイムは提案する。「冷められてもそれはそれで問題がある。あんなのでも竜王国から出て行かれると困るんだ。数少ないアダマンタイト級冒険者チームだからな」と言って首を左右に振るドラウディロン。

 

「ある程度は興味を引かないといけない訳か。それでいて身の危険がないようにするには、アダマンタイト級をものともしない護衛が必要になるな」と言ったフレイム。「そんな奴は竜王国にはおらん。ああ、どうすればいいんだ」と頭を抱えるドラウディロン。「私が竜王国に居る間はドラウディロンの護衛をしてもいいが」と言うフレイム。

 

「本当かフレイム!助かるぞ!」と満面の笑みを浮かべるドラウディロン。「問題の先伸ばしにしかならないから、早急に手を打つ必要があるとは思うがな」とフレイムは言った。「それでもありがたい」と酒瓶片手にはしゃぐドラウディロン。そんな女王に「ドラウディロン、自分の身は自分で守れるようになってみるか?」と聞くフレイム。

 

「そう簡単に強くなれるなら苦労してないが、フレイムがそう言うなら何か手があるのか」と言うドラウディロン。「慣れるまで少し時間がかかるし暫く身体を動かす必要があるが、今すぐにでも強くなれる方法がある」と言ったフレイム。「多少身体を動かす程度でセラブライトに怯える日々を過ごすことがなくなるなら、やってくれフレイム」と言うドラウディロン。

 

「わかった、今から杖を振るが放たれる光弾をその身に受けるだけでいい。痛みはないから安心してくれ」と言って風来のシレンのしあわせの杖を取り出したフレイム。それをドラウディロンに向けて50回振り、放たれる光弾が命中する度にレベルアップしていくドラウディロン。以前のレベルに加えて50レベルプラスされたドラウディロンはセラブライトを遥かに越えて強くなった。

 

急激にレベルアップした身体に慣れる為にフレイムの指導の元に身体を動かすドラウディロンは、キレのいい動きを見せる自分の身体に驚く。竜王国を襲うビーストマンは人間の10倍の身体能力を持っているが、自分の今の動きはそれ以上だと確信したドラウディロン。

 

そしてその動きに軽々と着いていくフレイムがどれほど規格外なのか改めて実感したドラウディロンは、フレイムが味方で良かったと心から思う。飲んでいた酒が完全に抜ける頃には、ドラウディロンはレベルアップした自らの身体を完全に掌握していた。これでセラブライトに襲われても自分で撃退ができるようになったと心に余裕ができたドラウディロン。

 

フレイムに感謝を伝えて酒を飲み直そうとしたところで、部下に「仕事の時間です」とドラウディロンは呼び出される。フレイムに「ありがとうフレイム。仕事が終わったらまた酒を飲もう」と言って走り去るドラウディロン。残されたフレイムは「ドラウディロンは忙しいな」と言って笑う。

 

睡眠をとっていなくても元気なフレイムは客室で休んでいたレイナースと合流し、再び竜王国に襲い来るビーストマンを退治に出かけた。フレイムとレイナースに敵うビーストマンはおらず、瞬く間に死体を晒すことになるビーストマン。死体すらも魔法で消滅させるフレイムに怖じ気付いたビーストマン達が逃げ始めるが、容赦なく追撃していくフレイム。

 

フレイムとの戦いで死んだビーストマンの数は合計で5万を越えていた。そしてビーストマンをそれだけ倒したことで新たな職業を習得したフレイム。ケンセイとウォーリアーにウォーリアーから昇格してウォーリア・オブ・ライトとアスラにルーン・キャスターの職業をレベルマックスまで習得したようだ。今回の戦いでレイナースも新たな武技を編み出していたらしく。それを駆使してビーストマンを駆逐していたレイナースだった。

 

戦いが終わり怪我をしていた竜王国の民や兵士に冒険者達を魔法やドラクエ8の賢者の石で回復させていったフレイム。感謝しながら去っていく人々。竜王国の女王の元に出向いたフレイムとレイナース。「此度の活躍も見事だったぞフレイム。これでしばらくはビーストマンの連中も竜王国には来ないだろう」と言ったドラウディロン。

 

「先に言っておくが今回も報酬は必要ないぞドラウディロン。勝手に私がやったことだからな」と言うフレイム。「竜王国としては正直ありがたいが、良いのか?」と聞くドラウディロン。「ああ、私よりも竜王国の兵士や冒険者を労ってやってくれ」とフレイムは答える。「竜王国を代表して感謝するフレイム」とドラウディロンは頭を下げた。

 

そんなドラウディロンの隣に移動して「さて、次はクリスタル・ティアが来るんだろう。もう大丈夫だとは思うが一応護衛として横に控えておこうかドラウディロン」と言ったフレイム。更にそのフレイムの背後にレイナースが控えていた。600レベル越えと100レベルの護衛というこの世界では過剰な戦力の護衛が控えているドラウディロンに手を出せる者など、この世には存在しない。

 

ドラウディロンの前に現れたクリスタル・ティアのリーダーであるセラブライトも、フレイムが護衛だと知ると顔を青くして少女の姿をしたドラウディロンをいつものような目で見ることはなかった。おかげでドラウディロンの機嫌は最高に良かったようだ。護衛の仕事を終えたフレイムとレイナースは竜王国を歩き回り、復興に力を貸していた。

 

そんなフレイム達の前に現れた陽光聖典。一斉にフレイムの前で跪き「神よ!」と祈りを捧げ始めたので「やめなさい」と言って止めさせたフレイム。「それで、君達は何をしに来たんだ。竜王国に来たビーストマンなら私とレイナースが倒したぞ」とフレイムが言うと代表してニグンが「おお!人々の為に戦っていただけたのですね神よ!我々はこれからビーストマンの国に攻め入るところでございます!神より与えられし試練を乗り越えたこの身は新たなる力を手に入れました!この力があればビーストマンなぞ恐れることはありません!感謝致します神よ!我々陽光聖典で竜王国を襲おうとするビーストマンを根絶やしにしてみせます!」と言った。

 

「そうか、気をつけて行け」と言うフレイム。「それでは失礼致します神よ!」と言って去っていく陽光聖典。「これで竜王国を襲おうとするビーストマンも終わりだな」と言うフレイム。

 

「確かに今の彼等の力があればビーストマンは敵いませんね」と頷くレイナース。「まあ、竜王国に人間を喰らいにくるビーストマンが今度は人間に逆襲されるだけだからな。ビーストマンの自業自得だ。竜王国を襲っていたビーストマンが絶滅しても哀れだとは思わんな」と言ったフレイム。

 

「竜王国の人間にとってビーストマンは敵対種族ですからね。人に害をなす相手が消えるなら良いことなのかもしれません」と言うレイナース。「さて、復興の作業に戻ろうかレイナース」と言ってフレイムは動き出した。「ええ、戻りましょう」と言いながらレイナースはフレイムに着いていく。レベル600越えとレベル100が能力を活用して全力で復興の支援を行なった結果として竜王国の復興はかなり早くなった。

 

竜王国を回り大体は復興が完了したと判断したフレイムは一度ドラウディロンの元に戻ることにする。レイナースを連れて風のぼうしで移動したフレイム。到着した竜王国の女王であるドラウディロンの元で復興を手伝ってきたことを伝えていると、ドラウディロンはフレイムとレイナースに深く感謝をした。

 

「疲れただろう、しっかりと休んでくれ」と言ったドラウディロン。客室にレイナースを連れていき、休むようにフレイムは言うとドラウディロンの元へと行く。酒を用意して待っていたドラウディロンが「復興が終わった祝酒だ!飲むぞフレイム」と酒瓶を掲げていた。ドラウディロンの正面に座り酒を飲み始めたフレイム。

 

「フレイムとレイナースのおかげでビーストマンは倒されたし、復興も終わったか。これで竜王国もしばらくは安泰だ」と安堵しているドラウディロン。「竜王国を襲うビーストマンの国に陽光聖典が攻めに行ったから、ビーストマン自体が竜王国に来なくなるかもしれないな」と言ったフレイムに「今の陽光聖典にならそこまでの力があるかもしれんな、竜王国を襲いに来るビーストマンなぞ絶滅してしまえ」とつまみをかじりながらドラウディロンは言う。

 

「竜王国の防衛以外にも国の予算が使えるようになったらどうするんだドラウディロン」と聞くフレイム。「そうだな、竜王国内で酒でも造らせてみるか。ビーストマンに襲われてて酒なんて造ってる余裕なんてなかったから、飲んでる酒も他国の輸入品だからな。竜王国の酒を飲んでみたい」と言ってドラウディロンは持っていた酒瓶を揺らす。

 

「それは良いかもしれないな。竜王国の酒ができたら是非とも飲ませてほしい」とフレイムは笑う。「ビーストマンの被害が無くなったらやりたいことが他にも沢山ある。竜王国の民に笑顔を取り戻してやらなくてはいけない。それが女王としての責務だ」と言ったドラウディロン。

 

「竜王国が発展していけるように私も手伝えることはしよう」と言うフレイム。「ありがとうフレイム。今日は酒が美味い。自棄になって飲んで酔っ払ってた酒がこんなに美味いなんてな」と酒瓶を片手に微笑むドラウディロン。「自棄酒と祝酒が一緒の味わいにはならないと思うよドラウディロン。まあ、飲んでいる時の気分の問題だろうな」とフレイムは頷く。

 

酒盛りはしばらくは続き、遂には酒瓶を抱えて寝始めたドラウディロンに毛布をかけてやったフレイムは部屋を静かに出ていった。酒瓶を抱えていたドラウディロンは寝ながら「本当にありがとうなフレイム」と呟く。夜遅くになったがフレイムはフレイムに用意された客室に行き、ベッドに横になると就寝した。

 

翌朝レイナースを迎えに行き、レイナースと一緒に身体を100レベル基準で軽く動かしたらドラウディロンに挨拶をして竜王国を後にするフレイムとレイナース。風のぼうしを使い一瞬で王国に帰還したフレイムとレイナースはバルブロに報告に行く。「竜王国でまた派手にやったようだな兄上」と笑うバルブロに「竜王国ではいつものことだ」と言ったフレイム。

 

 

「確かにな。それでスレイン法国の陽光聖典がビーストマンの国に攻め入ったようだが。どうなると思う?」と聞くバルブロ。「陽光聖典が勝つだろうな、隊長のニグンに勝てるビーストマンはいないだろう」と言ったフレイムは竜王国で遭遇した時にニグンをライブラのマテリアで調べていて、レベル60になっていたニグンと50レベルに到達していた陽光聖典達が負けることはないと確信していた。

 

「そうなると竜王国を襲っていたビーストマンはほぼ絶滅ということになるか。竜王国はこれから発展していくかもしれんな。王国が最初に恩を売っておくか。食料を支援するとしよう。兄上、運ぶのは任せたぞ」と言って必要な書類を手早く書いたバルブロ。

 

「ああ、任せろバルブロ」とフレイムは頷く。「それにしても竜王国か」と呟いたバルブロに「竜王国で一緒に戦った日々が懐かしいかバルブロ」と言うフレイム。「ああ、あの時はこんな過酷な国で良く生きられるなと思ったものだ」としみじみと言ったバルブロ。

 

「人間には順応性というものがあるからな。過酷な環境でもどうにか生き抜いていこうとする力がある」とフレイムは言う。「竜王国の民は逞しいな。今まで生き抜いてきた竜王国の民がビーストマンに怯えることがなくなれば、竜王国は素晴らしい国に生まれ変わるかもしれん」とバルブロは言った。

 

「王国として食料を支援するとするならどれぐらいになるんだバルブロ」とフレイムは聞く。「とりあえず万は越える数は出せるぞ」と言ってバルブロはフレイムに書類を見せる。書類を確認したフレイムは「これだけ出して王国の民は大丈夫なのか」と言った。バルブロは「今年は豊作過ぎたからな。寧ろ余っていた食料の使い道が出来て助かるぐらいだ」と言って笑う。

 

「それなら問題はないな。食料はいつ頃用意できるんだ」と言ったフレイムに「急いでも1週間はかかるが、兄上が手伝ってくれるならもっと早く済むぞ」とバルブロは答える。「わかった、手伝えばいいんだな。まずは何処に向かえばいい」とフレイムは言う。

 

詳細な王国の地図を取り出したバルブロは「まずはここに行ってくれ兄上」と、ある場所を指差してから必要な書類をフレイムに渡す。書類を受け取ってアイテムボックスにしまってから「なるほど、そこだな」と言ったフレイムは風のぼうしを取り出して部屋の窓から飛び出した。

 

空中で風のぼうしを使用して指定された場所に行き、書類を見せて食料を受け取ってアイテムボックスにしまい込むと風のぼうしで王城に戻り再び指定された場所に行く。それを数十回繰り返したフレイム。

 

膨大な食料を回収したフレイムは最後にバルブロから竜王国の女王であるドラウディロンに渡す正式な書類を受け取り、竜王国に風のぼうしで飛んだ。王国からの支援として大量の食料をアイテムボックスから取り出して積み上げるフレイムにドラウディロンは狂喜の雄叫びを上げた。

 

直ぐ様竜王国の各地に配られた食料は竜王国に住まう者達に行き渡り、腹を満たす。「王国に恩を返すにはどうすればいい」と言ったドラウディロンに「竜王国を発展させてから返してくれればそれでいいさ。渡した書類にもそう書いてあるだろう」と答えるフレイム。

 

「バルブロ国王に感謝の言葉を伝えてくれフレイム」と言うドラウディロンに「伝えておこうドラウディロン」とフレイムは言って竜王国の王城から去っていく。風のぼうしで空を一瞬で飛び王国に帰っていくフレイムに「竜王国を必ず発展させてみせよう」と決意したドラウディロンだった。



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紫色のポーションが出来て喜んでいたところにノーリスクで人化が可能となる指輪を渡されて食事ができるとモモンガさんがはしゃいでいたら

リィジー・バレアレが作成した紫色のポーションは劣化をすることのない新たなポーションとして発売され売れに売れていた。その売り上げの半分は、ナザリックの物となり財政を潤していく。手に入れた王国の貨幣を元にセバスに命じて穀物を大量に購入し、エクスチェンジボックスに入れてユグドラシルの金貨に変えていくモモンガ。

 

リィジー・バレアレは高齢の為、後継者のンフィーレア・バレアレに紫色のポーションの作成方法を教えこんでいるようだ。リィジーの死後はンフィーレアが紫色のポーションを作成していくことになるだろう。ンフィーレアが死ぬまでは安定した収入が得られるであろうことにモモンガは喜んだ。

 

ユグドラシルにも存在しない紫色のポーションを作り上げたリィジーに、現地の協力者は意外と優秀なのかもしれないなと評価を上方修正したモモンガ。ンフィーレアの子孫が紫色のポーションを作り上げてくれればいいんだけどなと考えているモモンガはンフィーレアにそういう相手はいないのか気になっていた。

 

セバスを通じてそのあたりを探ってみたが、リィジーが言うにはカルネ村のエンリ・エモットという少女に惚れているらしい。調べてみると奥手なンフィーレアがエンリに片思い中ということになっていてエンリの方はンフィーレアを仲の良い友達としか思っていないのではないかという調査結果になった。

 

ンフィーレアの恋を後押ししてやるかナザリックの為にと考えたモモンガは、モモンガなりに色々と考えて実行してみる。結果としてはンフィーレアとエンリは付き合うことになったが、想定外のことばかり起こって精神が何回も安定化されたモモンガだった。

 

それから数日後ポーションの売り上げの回収にリィジーの店を訪れて売り上げを回収し、ナザリックに帰還しようとエ・ランテルを歩くセバスを呼び止めてフレイムがある物を手渡す。

 

「これは何でしょうか」と問いかけるセバスに「デメリット無しで人化が可能となる指輪だ。私が作った物だが、モモンガ殿が食事をする為に必要になるだろう。渡しておいてくれ」と答えるフレイム。

 

「なるほど、確かに預かりました」と言ってセバスは去っていく。ナザリックに帰還したセバスがポーションの売り上げをモモンガに渡してから「モモンガ様、フレイム王子からデメリット無しで人化が可能という指輪を預かっております」と言って指輪を差し出すセバス。

 

「本当かセバス!フレイムからそれを渡されたのか」と言いながら道具鑑定の魔法を発動させるモモンガ。「ははっ!確かにデメリット無しで人化が可能だなこれは。しかも作成者がフレイムじゃないか。アイテム作成も出来るとは多才だな」とモモンガは楽しそうに言った。

 

「危険がないか実際に使って確めましたが問題はないようです。どうぞお受け取り下さい」と言ったセバス。「ああ、フレイムからの贈り物を受け取ろう。それとセバス、これからはアイテムを使う前に事前に報告するように。鑑定をしてからでも遅くはないのだからな」と指輪を受け取りながらセバスに忠告するモモンガ。

 

「申し訳ありませんモモンガ様」とセバスは頭を下げた。「さて、ポーションの売り上げは上々だな。これで王国で穀物がまた大量に購入できる。穀物をエクスチェンジボックスに入れればユグドラシル金貨に変わり、我がナザリックの維持費となるだろう。セバス、お前の働きには報いなければいけないな。望むものはあるか?」とモモンガは聞く。

 

「望むものなど!モモンガ様にお仕えすることができるだけで充分でございます!」と言うセバス。「それは困るなセバスよ、これまでのお前の働きにわたしは感謝しているのだ。そうだな、お前にはたっちさんが使っていたアイテムを1つやろう。それを褒美とする」と言ったモモンガ。

 

「たっち・みー様が使っていたアイテム!そのような至宝を!宜しいのですかモモンガ様!」と言うセバス。「ああ、構わん。たっちさんもお前に渡したのならば納得するだろう。セバスよ、受け取るがいい」と言ってモモンガはアイテムボックスから取り出したアイテムをセバスに手渡す。

 

「おお!感謝致しますモモンガ様!」と言って受け取ったアイテムを大切そうにアイテムボックスにしまいこんだセバス。「うむ、それではセバスよナザリックで英気を養ってから、この貨幣で穀物を購入してくるのだ。ナザリックの維持はお前の手腕にかかっている。任せたぞセバス」と言ってから自室に移動したモモンガ。

 

ベッドに倒れ込んで「うーん、俺もナザリックの支配者っぽく振る舞えるようになってきたのかな。とりあえず紫色のポーションを作り上げたリィジーには感謝しよう。安定してナザリックの維持費が稼げるようになったのは大きいな。ンフィーレアもエンリとくっつけたし将来も安心だ。まあ、なんであれがああなったのかはわからないけど結果的にンフィーレアとエンリが付き合ったんだから良しとしておこう。想定外のことが起こり過ぎて何回も精神が安定化したのには困ったけどなあ。それはそうとセバスをちょっと働かせ過ぎてたりはしないかな。でもナザリックでカルマ値が善でレベル100なのはセバスしかいないんだよ。他の面々はカルマ値マイナスの悪しかいないからなあ。ナザリックにいる分には問題ないんだけど外に出すのはちょっと危険な気がする。だからセバスに外の活動は全て任せてるけど、やっぱり働かせ過ぎかな。休みを上げた方がいいかもしれない。今度セバスを休ませようか。うん、そうしよう。ナザリックの為に働くのが嬉しいんだとしても休みを与えないとかブラック過ぎるからな。ナザリックはホワイトな職場にしないといけない。上司の俺が休ませないとあいつら全員休まず働き続けるよ絶対に。それは駄目だ。全員に定期的に休日与えて休ませよう。そういえばドルイドのマーレに第六階層で試験的に育てさせている果実はどうなっているか確かめにいかないといけないな。うまく育ったらセバスに売りに出させてみよう。新たな収入源になればいいな。ナザリックの内部でどれだけ育てられるかが問題だが、マーレは優秀なドルイドだから結構いけるかもしれないぞ。うん、商売ってうまくいくと楽しいものなんだなあ。フレイムも良くしてくれるし、最初に出会ったのがフレイムで良かった。あ、そうだフレイムから人化の指輪を渡されたんだったな。デメリット無しで人化が可能なのがいい仕事してるよフレイム。よし、これで俺も食事ができるぞ。後で食堂に行ってこよう。何を食べようかなあ。うーん、迷うなこれは」と長々と独り言を言っていたモモンガ。

 

とりあえず人化の指輪を装備してみて人化の状態を確かめていると部屋の入り口をノックされたモモンガは「誰だ?」と聞いた。「アルベドです、モモンガ様。お話したいことがありまして」と言ったアルベド。

 

「アルベドか、構わん。入ってこい、わたしの姿を見て驚くかもしれんがな」と言うモモンガ。「失礼します。モモンガ様」とモモンガの自室に入ったアルベドは驚きに目を見開いた。「驚いたかアルベド。フレイムが提供してくれた人化の指輪で人化をしてみたんだが。どうだろうか」と笑うモモンガ。そんなモモンガに「モモンガ様ァァァァァァ!」と叫びながら飛び付いたアルベド。

 

そのままの勢いでモモンガをベッドに押し倒そうとするアルベドにモモンガは抵抗する。「待て!アルベド!待つのだ!」と言いながらも内心は焦っているモモンガ。

 

 

「ああ、モモンガ様!御肌をそのように露出なさってはアルベドはもう辛抱たまりません!くっふぅぅぅぅぅぅぅ!モモンガ様が人化なさっているということはそういうことなのですね!ご安心をモモンガ様!天井を眺めている間に終わります!さあ、ベッドに横になって下さい!」と言ってモモンガに組み付くアルベド。

 

「何をするつもりだアルベドォォォォ!」と叫ぶモモンガ。「ナニですわ!」と言ってモモンガを押すアルベド。「うおおおおおおおおおおおおお!パーフェクトウォーリアー!」と呪文を唱えてアルベドを押し返したモモンガ。そしてそのままアルベドを部屋の外に追い出して「アルベド謹慎1週間!」と言って自室から素早く避難したモモンガだった。



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異世界転生は3つのタレントと今までプレイしてきたゲームのアイテムと共に

感想をくださった方々、評価してくださった方々、お気に入り登録してくださった方々、ありがとうございました
これでこの話は完結です


インベンターの職業を取得したフレイムは色々なアイテムを作り上げることになり、王国の人々の暮らしを豊かにしていくことになった。度重なる発明を行ったフレイムは王国を更に発展させていき、その功績からかバルブロから大公の位を与えられることになってフレイム大公と呼ばれるようになったようだ。

 

フレイムがフレイム大公と呼ばれるようになった頃にはインベンターの更に上の職業であるマスターインベンターになっていたフレイム大公。ルーンの研究も続けていてルーンマスターにもなったフレイムは、王国の兵士達が使う武具にルーンを刻み、強度を高めておいたりもしていたらしい。

 

波紋戦士として凄まじい高みにまで到達しているフレイムは究極生命体カーズ並みの波紋を生み出すことも可能になっていて、仙道である波紋を完璧に極めることに成功した。それがきっかけとなったのか仙人という職業を取得することになったフレイム。

 

仙人の職業を取得したフレイムは不老となり老いることがなくなったようで、長い付き合いがしたいフレイムに種族を変更するアイテムを渡そうと思っていたモモンガは、種族変更アイテムの使い道を考えることになってしまって頭を悩ませる。

 

モモンガとしては余っている種族変更アイテムを使いたい気持ちもあったが、フレイムが人間のままでいてくれることを嬉しく思う気持ちもあり、色々と複雑な気持ちを抱いていて、この世界に来て初めて会った外部の人間であるフレイムのことをかなり気に入っていることに気付いたモモンガ。

 

余っている種族を変更するアイテムの使い道に関してフレイムへ話してみたモモンガに「私は使わないが、たぶん欲しがる相手がいるからいくつか購入させてもらっても構わないかな」と言ったフレイムが提示した金額はモモンガの想像以上であり、即決で「売ろう」とモモンガは言い出す。

 

これでしばらくナザリックの維持費には困らないぞと物凄く喜んでいたモモンガへ「金銭だけでは悪いからこれもプレゼントしようモモンガ殿」と独自に作ったワインの瓶に似た形をしたアイテムもモモンガの近くに控えていたセバスを経由して渡したフレイム。

 

「これは何だろうかフレイム」と聞いてきたモモンガに「高級酒を無尽蔵に出すボトルだよ。リザードマンの無限に酒を出す宝を参考に私が作ったアイテムだ。ボトルを傾けてその中身をエクスチェンジボックスに注ぐだけで、ボトルが壊れない限り永久的にユグドラシル金貨が手に入るんじゃないかな」と答えたフレイム。

 

「なるほど、これは素晴らしいアイテムだ。まさしく宝だな。ナザリックの維持費を稼ぐことに関してはフレイムの手ばかり借りてしまっているような気がしてしまうが、何か望みはないかフレイム、叶えられるものなら叶えよう」とモモンガは言う。

 

「ナザリックの主としてモモンガ殿が健在でいてくれるだけで充分さ」と遠回しにナザリックのNPC達の手綱を握っておいてくれよと言ったフレイムだがモモンガは気付いておらず、本当にフレイムは欲がないなあ、凄く良い人だよフレイムと内心で思っていたモモンガだった。

 

モモンガから購入した種族変更のアイテムをアイテムボックスにしまったフレイムが向かった先は、ラナーとクライムの元であり、フレイムが「クライムと一緒に永遠に生きられるとしたらどうするラナー?」と問いかけると「フレイムお兄さまとは違う手段ですね」と悟ったラナーは頷く。

 

「バルブロが寿命で死ぬまで王国の為に働くことを条件に、人間から天使に種族を変えるアイテムと人化を可能にする指輪を2人に提供するが、どうかなラナー」と聞いてみたフレイムに「永遠に王国の為に働けとは言わないのですねフレイムお兄さま」とラナーは言って笑う。

 

「私は妹を永遠に国に縛りつけるつもりはないよ、これでも家族には幸せになってもらいたいと思っているからね。クライムと永遠に2人で生きることはラナーの望みでもあるんじゃないかな」と言ったフレイムは確信を持っているようでラナーの言葉を待つ。

 

「フレイムお兄さまの提案をお受けしようと思います、クライム、わたしと共に永遠を生きてくれますね」と言い切ったラナーに「貴女が望むのなら喜んで」とクライムは言うとラナーに向けて微笑んだ。それを見たラナーの顔が凄いことになっていたので「顔、顔」と注意したフレイムだった。

 

なんとか顔を元に戻したラナーが「それではさっそくやってくれますかフレイムお兄さま」と言い出したので天使に種族変更するアイテムをラナーとクライムに手渡したフレイムは、それを使えば人間から天使に種族を変更できると言ってラナーとクライムがアイテムを使う姿を見る。

 

純白の翼が背から生えたクライムと同じく純白の翼が背に生えたかと思えば瞬く間に羽根が漆黒に染まっていくラナーは間違いなく堕天使になっていたようだ。ラナーは堕天使になるかもしれないなと思っていたフレイムは慌てることなくデメリットなく人化が可能な指輪を2人に渡す。

 

指輪をはめて人化をしたラナーとクライムは、種族が変更されて少し変わった意識が人化をして落ち着いたことを感じて、人化の指輪は手離さない方が良いと思っていたらしく、フレイムに人化の指輪が不壊であることを聞き、壊れることはないから無くさないように気をつけなければいけないと考えていた2人。

 

ラナーとクライムが落ち着いたところでレイナースの元に向かったフレイムは、不老となって老いることがない自分に人間を辞めてまで着いてくる気があるかを聞くと「わたしはフレイム様に呪いを解呪してもらったことで救われました、人を辞めることになろうともフレイム様の騎士として傍に居させてくださるなら、何も問題はありません」と答えたレイナース。

 

人間から天使に種族変更するアイテムを使ったレイナースの羽根も漆黒に染まることになったが、レイナースが堕天使になったことにも驚くことはなかったフレイムは「それでは人化の指輪も渡しておくので、普段はそれを使って人化をしておきなさい」と言うと人化の指輪をレイナースに渡した。

 

バハルス帝国で保護したエルフ達にもマスターインベンターとして発明したアイテムをしっかり3人分渡しておいたフレイムは、無限に数多の食料を出せる釜と無尽蔵に水を出せる瓶に常時発動する防御魔法が仕込まれた指輪と回復魔法が何回でも使える杖にアイテムをしまっても大きさと軽さは変わらない袋の使い方をエルフ達に教えていく。

 

ちなみにフレイムが大公となって与えられた領地にはまったく人がおらず開拓すらされていなかったが、700レベルすら超えたフレイムと堕天使となり100レベルの壁を越えて120レベルとなったレイナースに魔法で強化されたエルフ3人と100レベルになった四腕も雇われて荒れ果てた土地を開拓すると瞬く間に土地が整備されていったようだ。

 

100レベルになった四腕にはドラグライト製で不壊の武具や防具がフレイムから渡されていて、使い慣れたマカライト製の武具や防具は予備として持ち、これからはドラグライト製の武具や防具を使っていくつもりなアダマンタイト級冒険者の四腕。

 

魔法を使って一瞬で豪邸を作りあげたフレイムに驚きながらも開拓が完了した祝いをすることになったレイナースとエルフ達に四腕の全員は、フレイムが手早く用意した豪勢な食事と高級な酒で宴会をすることになり、豪邸の中で始まった宴会は物凄く盛り上がったらしい。

 

無尽蔵に水を出せる瓶を傾けて出した水を全て魔法で自在に操り、宴会芸として水だけで形作られた美しい演劇を即興で披露してみせたフレイムが作り上げた幻想的な光景は、宴会に参加した四腕とレイナースにエルフ達の心に残ったようだ。

 

四腕を風のぼうしで拠点にしている町まで送り届けたフレイムは自分に与えられた領地に戻り、そこでレイナースやエルフ達が不自由なく暮らせるように様々なアイテムを発明していき、許可された者しか入れないように魔法とアイテムで厳重に守りも固めることにして、完全に土地の主となったフレイム。

 

許可された者しか土地に入れないようにする守りのアイテムはモモンガにも提供されて、王国の土地にあるナザリック地下大墳墓にも勝手に侵入することはできなくなっており、大切なナザリック地下大墳墓に余計な侵入者が来ることが完全になくなってモモンガも大喜びしていた。

 

マーレに作物や果実を作らせていたモモンガだが、その話を聞いたフレイムにペルソナ4の宝石メロンの苗を渡されて、宝石メロンを作ってみることにしたようで、菜園で作られた宝石メロンを鑑定してから人化の指輪で人化してマーレと一緒に食べてみたモモンガは「美味い!」と思わず叫ぶ。

 

宝石メロンの種から宝石メロンを作ることが可能であるかマーレと一緒に確かめていくモモンガは、量産が可能になれば売れる商品になりそうだぞと考えて、宝石メロンの苗を渡してくれたフレイムに内心で感謝をしていく。

 

穏やかな日々を過ごしていたフレイムだったが、ワールドアイテムである永劫の蛇の指輪によって数十年の時を越え、この世界に現れたユグドラシルプレイヤーの1人の男が巻き起こした騒動に巻き込まれることになる。

 

100年の揺り返しで数十年後の世界に現れたプレイヤーは世界の支配者になろうとしたが1000レベルすらも超えたフレイムに敗北して勝てないと悟り、数十年前は今ほど強くはなかったというフレイムの言葉を信じて、永劫の蛇の指輪の力で数十年前に時間移動すればフレイムに勝てると考えて数十年前に移動した。

 

フレイムに味方する者を全て殺してしまおうと考えて、ユグドラシルの末期に購入した豊富なアイテムを使って大量の悪魔とアンデットを召喚したプレイヤーは王国を軍勢に襲わせることにしたようであり、王国は危機に陥ることになったが、各地で悪魔やアンデットと勇敢に戦う者達は1歩も退くことはない。

 

王国の全ての兵士達の武器と防具に、強度上昇のルーンと万が一の時に備えて強い魔除けを施し、兵士達のレベルを訓練で40にまで上げていたフレイムの行動は、悪魔やアンデットと戦う兵士達にとってかなりの助けとなり、冒険者の魔法使いから勇気を与える魔法を受けた兵士達は悪魔やアンデットを集団で相手していく。

 

兵士達以上に活躍していたアダマンタイト級冒険者チームの蒼の薔薇は、全員が80レベルにまで到達しており、悪魔に向けてフレイム大公から教わった武技の1つである「スティンガー」という突進突きを放つ蒼の薔薇のリーダーは「さあ、来なさい!わたしがフレイム大公から教わった技は後107個はあります!」と言い出す。

 

それを見ていた蒼の薔薇の他のメンバーが「いやそこまで教わってねぇだろ、後4つくらいじゃねぇか」と冷静に言ったり「鬼ボス絶好調」と楽しげに頷いたり「いいからさっさと手を動かせ!お前らもだ!」と普通に怒っていたりもしたようだ。

 

拠点としている町を悪魔とアンデットの軍勢に襲われた四腕はドラグライト製の武具で戦っていき、レイピア、ウルミ、シミターが振るわれて、四腕のリーダーであるゼロがドラグライト製の手甲を装着した拳で悪魔やアンデットの頭部を容赦なく砕いた。

 

アークプリーストでもあるフレイムから渡されていた祝福された聖水も投げていく四腕は、聖水で浄化されていく悪魔やアンデット達を見て効果があることを確かめたが相手の数が多すぎることにから普通に戦った方が早いと判断し、聖水は武具や防具にかけて戦っていく四腕。

 

王であるバルブロが先頭に立って戦っていくとガゼフとブレインが横に立ち、カブレライト製の武具でバルブロと共に戦うガゼフとブレインの2人。大軍の悪魔やアンデットに向けてガゼフが「百光連斬」と百の斬撃を1度に放つ武技を繰り出す。

 

「秘剣、百虎」と居合いの姿勢から連続で鋭い百の斬撃を放ち、武技を使わずに悪魔やアンデットを斬っていったブレイン。バルブロが大剣を振るって巨大な斬撃を飛ばす「周断」という武技を使って悪魔やアンデットを大量に斬り裂いて王の力を見せつける。

 

各地で戦う兵士や冒険者達はフレイムによってレベルアップさせられていて、実力が底上げされていたが、悪魔とアンデットの軍勢は多すぎるほどに存在していて、王国に危機が訪れていたことは間違いなかった。

 

しかしフレイムが使った魔法により戦況は一変していく。フレイムが全力で行った魔除けの祝福がこれでもかと込められた大量の聖水を王国の土地に雨として降らせる魔法を使ったフレイムによって、召喚された大量の悪魔やアンデットは浄化されていき、王国を襲う軍勢は瞬く間に消え去ることになったようだ。

 

ちなみに人化の指輪で素早く人化していなければ蒼の薔薇のイビルアイも浄化されていたであろう強力な聖水であり、オーバーロードであるモモンガにも確実にダメージを与えることが可能な凄まじい威力の聖水を雨として降らせることができるフレイムを更に警戒するナザリックの面々。

 

モモンガ様がフレイムと敵対するなと言っていたことは、これを見越してのことでしたかと勘違いしているデミウルゴス。そんな勘違いをしていることにも気付いていないモモンガは素直に、うわ、フレイム凄いな、聖水の雨降らしてるよと思っていたようで、完全にすれ違っているモモンガとナザリックの面々の思考。

 

フレイムの手助けをする者を殺そうと王国を狙ったプレイヤーは悪魔とアンデットの軍勢が消え去ったことを悟り、直接フレイムを殺そうと向かった先でフレイムと対峙することになって、数十年前でもプレイヤーでは敵わない圧倒的な力を持つフレイムに「ふざけるな!ふざけるな馬鹿野郎!」と叫びながらやけくそで突撃する。

 

飛びかかってきたプレイヤーに放たれたフレイムの拳の一撃で、武器も武技も使うまでなく粉微塵になったプレイヤーの背後にあった大空の雲が凄まじい勢いで裂けていき、雨が降っていた天候を拳の一撃で強引に変えたフレイム。

 

そんなフレイムを見ていたナザリックとスレイン法国は、それぞれ違う感想を抱くことになった。ナザリックの面々は、この力が至高の御方に向けられることがないようにしなければと警戒し、スレイン法国は、あれこそまさしく神の力であると喜ばしく思っていたらしい。

 

王国の危機が去って落ち着きを取り戻した王国は、バルブロを王として長く繁栄していったようで、レベル100であるバルブロは100歳を超えて長生きし、ガゼフも王国戦士長としてバルブロに長く仕える。

 

ブレインは技量を極限まで鍛え上げて、肉体が衰える前に全力でフレイムに真正面から挑み、1人の剣士として散ることを選んだ。技量だけならフレイムにもっとも近付いたブレインは、互いに居合いの姿勢から放たれる一撃で決着をつけることになり、瞬く間よりも速く決着が着いた。

 

フレイムに斬り裂かれたブレインは、ああ、やっぱり強いなあんたはと最期に思いながら倒れ込むともう動くことはない。ブレインの武技によって斬られたフレイムの頬に一筋の傷があったが、そこから垂れた血の雫は、まるで涙のように見えていて「強くなったなブレイン」と噛み締めるように言ってフレイムは笑う。

 

初めて身体に傷がついたフレイムは魔法で傷を治すと、死んでいるブレインを自分の領地の土地に埋葬していく。俺が死んだらそうしてくれと頼まれていたことを果たしたフレイムは、バルブロとガゼフには長生きしてもらいたいなと考えていたようだ。

 

父上とザナックはもう死んでしまったからな、バルブロが死んだらラナーだけが残った家族ということになるかと思いながらフレイムは自分の領地を歩き、保護を続けている内に増えた住人達に挨拶をしていった。

 

エルフやリザードマンにフロストドラゴンのヘジンマールと森の賢王が暮らすフレイムの領地は、かつてと比べれば随分と賑やかになっており、フレイムが作り出したアイテムによって飢えることのない面々は、日々を楽しく過ごしている。

 

世界を回っていたラナーとクライムも安住の地を求めてフレイムの領地に辿り着き、単なる領民として生きるつもりであるようだが、フレイムの領地で暮らすものに必ず与えられる様々な食料を無限に出せる釜と無尽蔵に綺麗な水を出すことが可能な瓶にクライムは驚いていた。

 

ラナーは特に驚くことなくフレイムお兄さまですからねと納得しており、フレイムに釜の使い方を聞いて直ぐに使いこなして1度に出せる食料の限界も把握したラナーは、フレイムお兄さまが生きている限りは不具合が起こっても直してもらえるから心配はいりませんねと頷く。

 

許可されなければ入れないフレイムの領地にラナーとクライムが入れたのは、いずれラナーとクライムが訪れるだろうとフレイムが予測して、事前にラナーとクライムが入れるように許可を出していたからであり、それを知ってフレイムに感謝したラナーとクライム。

 

エルフにリザードマンやフロストドラゴンに森の賢王までが暮らすフレイムの領地は、しっかりと開拓されていて、フレイムが発明した様々なアイテムが領地の各所に置いてあり、領地に住まうものはアイテムを自由に使えるようになっている。

 

思っていたよりも快適な暮らしができることを喜んだラナーとクライムは、フレイムが生きている限りはフレイムの領地で生きることを決めていた。かなり発展した王国の中でも1番快適な暮らしができる場所であることは間違いないフレイム大公の領地。

 

バルブロが寿命で死んでからも基本的には王国の領地で過ごしていたフレイムは、王国の貴族が腐敗しないように鑑定士という職業の力を使って、人物鑑定でまともな人間だけを残して腐りかけていた貴族を処分したりもしていき、王国を存続させる為に活動を続けていったフレイム。

 

バルブロは教育をしっかりとしていたようで王となったバルブロの曾孫は、老けることのないフレイムを不気味がることもなく王国の為に基本的にはフレイムを自由にさせていて、有事の際だけは王国の為に働いてもらえないかとフレイムに頼んでいた。

 

バルブロの曾孫の頼みを引き受けたフレイムは王国に攻めこんできたバハルス帝国の軍勢を相手に1人だけで向かっていき、2万を超えるバハルス帝国の軍にあっさりと1人で勝ってしまったフレイムを見ながら「爺様が言っていたことは本当だったな」と笑うバルブロの曾孫。

 

バルブロは曾孫に「フレイム兄上は老けないが人間だ、しかしとてつもなく強いので絶対に戦ってはならん、フレイム兄上に王国の為に働いてもらえるような立派な王となれ、見捨てられたら王国は終わりだと思っておくのだぞ」といつも言っていたようだ。

 

ちなみに帝国と王国の戦いが始まる直前、まだ元気に生きていたフールーダは魔導を極めることを全く諦めておらず、フレイムの部下になろうと考えており、空を飛んでフレイムに近付こうとしたがレイナースに打ち落とされて半死半生の状態になって帝国まで運ばれていったらしい。

 

バレアレ家は劣化しない紫色のポーションを作り出す家系として続いており、紫色のポーションの売り上げの半分をいつもやってくる執事に必ず渡すということが家訓として残っている。善良なバレアレの血筋は売り上げの半分をきっちりと渡し続けていて、その姿をモモンガは見守っていた。

 

バレアレ家に後継ぎが生まれるとモモンガは毎回祝いの品をセバスに持たせて渡しており、バレアレ家にとっては家族ぐるみの付き合いとなっているセバスに好意を抱いていて、売り上げを回収にきたセバスに「お茶でも飲んでいきませんか?」とバレアレ家の人間は毎回聞いているみたいだが「仕事がありますので」と毎回セバスには断られているようだ。

 

モモンガ達がこの世界に来て100年が経過して、100年の揺り返しにより新たなプレイヤーがこの世界に現れたが、直ぐ様探知したフレイムが真っ先に向かい、以前拳の一撃で倒したプレイヤーだと気付いたフレイムは、「貴様を殺す為に時間を越えて過去に戻った」と言っていたプレイヤーが過去に戻る前に殺しておく。

 

世界はこれで分岐していき、プレイヤーが数十年前に戻らなかった世界もできたが、過去の記憶が全く変わっていないことから、この世界では数十年前にプレイヤーが過去に戻って現れたことは変わらないみたいだと思ったフレイム。

 

タイムパラドックスになるんじゃないかと思ったが特に何も起こらなくて良かったと考えていたフレイムはプレイヤーが持っていたアイテムを入手することになり、プレイヤーを殺して手に入れた永劫の蛇の指輪というワールドアイテムは、世界の理を簡単に変えてしまうことができる凄まじいアイテムだったが、フレイムは万が一の時以外に使うつもりはない。

 

これを切り札として持っておくのは悪くないと思ったフレイムは、友人と言える存在のモモンガにも永劫の蛇の指輪を入手したことを伝えることはなかった。モモンガに伝わればその部下のNPC達にも間違いなく伝わると考えていたからであり、仮想敵であるNPCに伝えていい情報ではないと判断するフレイム。

 

モモンガを信頼していない訳ではないがモモンガの部下であるNPC達をフレイムは全く信用しておらず、モモンガが居なければ何をするかわかったものではないとフレイムは完全に警戒している。人間である自分をナザリックのもの達が受け入れることはないとフレイムは理解しているからだ。

 

プレイヤーの死体も魔法で完全に消し去ったフレイムが1人で歩いていくとツアーが操る鎧が近付いてきて「あのプレイヤーを見たのは2度目になるけど、どちらもきみが殺したね」と話しかけてきたが「同一人物であることは確かではあるが、蘇生された訳ではないよツアー」と言ったフレイムはワールドアイテムに関しては話さずに詳しく説明していく。

 

「時を越えるか、プレイヤーはとんでもないね」と言ってきたツアーに「まあ、これで100年はプレイヤーが現れることはないだろうさ、ツアーも安心できるんじゃないかな」と笑うフレイムを見て「安心できない存在であるきみが生きているのが問題なんだけど、また強くなってるし」と言いながらツアーが操る鎧が肩を落とす。

 

「きみはどこまで強くなるつもりなんだいフレイム」と聞いてきたツアーへ「強くなることに私が飽きるまで強くなるつもりだよ」と答えたフレイムは1000レベルを超えており、この世界に勝てる存在はいない強さを持っていても満足していない。

 

風のぼうしで飛び去っていったフレイムを見ていたツアーは、今のフレイムに世界を滅ぼすつもりは無さそうだから静観しておこう、もしフレイムと戦わなければいけなくなった時がきたとして、始源の魔法でもフレイムを倒せる気がしないけど、どうしようかなと本体のツアーはため息をつく。

 

自分の領地に戻ったフレイムは珍しい来客であるモモンガとセバスに驚いていたが丁重にもてなしていき、フレイムが住まう豪邸にてこんがり肉Gを人化して食べたモモンガは「美味すぎる」と言って笑顔になっており、もてなしは成功したなと思っていたフレイム。

 

「フレイムの領地を見てみたくなってきてみたが異種族が穏やかに暮らしているようだな」と言ったモモンガは流石に100年が経過すればナザリックの支配者ロールが板についてきていて、随分と落ち着いた様子で様々なものを見ることができるようになっていたらしい。

 

「この領地に住まうもの達には笑顔が溢れているようだ、とてもいい場所なのだろうな」と言うモモンガに「モモンガ殿に褒められるとは、この領地を開拓したものとしては嬉しい限りだよ」と言ったフレイムは本当に嬉しそうな顔で笑う。

 

「それとこの領地のもの達が釜から様々な食料を取り出している姿が見えたが、あのマジックアイテムはフレイムが作ったのだろう?1つで構わないのでナザリックにも欲しいのだが」と言い出したモモンガに「ああ、構わないよモモンガ殿」とフレイムは快く応じてアイテムボックスから取り戻した釜を1つ渡す。

 

「感謝するフレイム、この釜は個人的に使わせてもらうが解析して商品として売り出すことは絶対にないと、誓おう。部下達にもしっかりと言い聞かせておく」と断言したモモンガは、はっきり言っておかないと勝手に俺の考えを深読みして想像して凄いことしでかしたりするからなあ特にデミウルゴスと考えていたようだ。

 

流石ですモモンガ様じゃないよ、俺そんなこと考えてないよ本当はね、でもそんなこと言えないからデミウルゴスにみんなにわかるように説明してあげなさいって言って、俺にもわかるように説明してもらわないと何にもわかんないからね、俺はデミウルゴスより頭悪いんだよ、普通のサラリーマンだったんだから、ああ、友達のフレイムと話してると癒されるなあ、フレイムは無茶ぶりしてこないから良いねと内心で思っていたモモンガ。

 

しばらくフレイムの領地で過ごして充分に癒されたモモンガはナザリック地下大墳墓へ帰る前に「世話になったなフレイム」とフレイムに感謝をする。モモンガがナザリック地下大墳墓に戻る前に聞いておきたいことがあったフレイムはモモンガを呼び止めた。

 

「モモンガ殿は、この世界に来たことを後悔していないか?」と聞いたフレイムに真剣に考えて「仲間達と作ったナザリック地下大墳墓があり、仲間達の子どもと言える存在もいる、1人ではないからこの世界に来れて良かったと思っているよ、それにきみに出会えたことも嬉しい出来事の1つだ、この世界できみに出会えて良かったよフレイム」と答えたモモンガは嘘は言わない。

 

「それではまた会おうフレイム、次は土産を持ってくる」と言って背を向けたモモンガに「私もモモンガ殿に出会えて良かったと思っているよ」と言ったフレイムに骸骨の顔で確かに嬉しそうに笑ったモモンガはセバスを連れて去っていく。

 

モモンガが居なくなったところで領地に住まうもの達がフレイムの元へやってきて、それぞれの困り事を相談しにきたので、困っている人がいたら助けるのが当たり前だったかと、とあるユグドラシルプレイヤーの言葉を思い出して笑ったフレイム。

 

異世界に転生したけれど3つのタレントと今までプレイしてきたゲームのアイテムを使って生きてこれたことは悪いことじゃないなと思ったフレイムは今日も楽しく生きていく。3つのタレントと今までプレイしてきたゲームのアイテムと共に。




けっこう放置してた作品ですが思いついたので終わりを投稿してみました
ナザリック敵対ルートとかも考えていましたが、モモンガさんが可哀想だなと思って止めておきました
最後まで読んでくださってありがとうございます


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