遊戯王で遊ぶウマ娘たち (タク@DMP)
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「おい、デュエルしろよ」「いや、レースしなさいな」
「──えいやー!! 《帝王の烈旋》で相手モンスターがリリースできるようになるよ! マックイーンの《フルアーマード・ウイング》をリリースして《天帝アイテール》をアドバンス召喚だー!」
「嫌ぁぁぁぁ!? 私のメジロ流完全耐性モンスターがあああああ!?」
「──あれぇー、マックイーンちゃん来てたんだ」
──とある日の寮の一室。
そこには、カードを広げて遊んでいるテイオーとマックイーンの姿があった。
遊戯王OCG──ウマ娘がいるこの世界でも流行りのカードゲームだ。
よりによって三冠ウマ娘たちがそれに興じているのをマヤノトップガンは意外に思ったが、恐らくテイオーが誘ったのだろうと納得する。
しかし。
「あっこれマックイーンがボクの所に持ってきたんだぁ!」
「へーえ意っ外~!」
「なっ、意外ではありません! メジロ家は例え盤上の遊戯であっても手を抜かないのです! 遊戯王は頭脳の格闘技ですわ!」
(まあメジロ家で嗜んでいるのは私だけですけども……)
それで、ダメ元でテイオーを誘ったのだ。
負けず嫌いの彼女は、案外簡単に受け入れてくれた。
その結果、今ではこうして度々マックイーンの相手をするようになっていた。
「最初は難しくてよく分からなかったけど、自分でカードを集め出したらマックイーンにも勝てるようになったんだよね!」
「へーえ、テイオーちゃん天才だからねえ」
「わ、私は負けてませんわ! もう1戦! もう1戦!」
「だぁめだよ~! マックイーンの【ブラックフェザー】じゃ、ボクの【帝王】には何度やっても勝てないじゃんかさ~、遊戯王って簡単だよね! 先攻で《虚無魔人》か《真帝王領域》立てれば勝てちゃうんだもん! 強いモンスターも《烈旋》でリリースすれば良いし」
──帝王。
それは、相手の動きを徹底的に封じるデッキだ。
その代わり、融合モンスターやシンクロモンスターといったEXデッキのモンスターが使えないという制約のカードでデッキを埋めなければならない縛りがある。
しかし、その縛りを越えて尚、最新のデッキの穴を突くような強力な制圧力を誇るデッキである。
使えるカードが大きく限られるが、使いこなせればこのように対戦相手を一方的に叩きのめせるまさに「帝王」という名にふさわしいデッキだ。
「うわ、えっぐ……」
「《虚無魔人》なんて立てたら大概のデッキに勝てるに決まってるじゃないですの! 《烈旋》で除去できないモンスターも殆ど居ませんわ! あーあ、テイオーに遊戯王なんて教えなければよかった……」
「テイオーちゃん、そんなデッキ握ってるんだ……」
「マヤノ、分かるの?」
「分かる、うん、分かるよ……最近トレセン学園でも流行ってるみたいだしね、遊戯王」
「んじゃあ、他の対戦相手見つけにいっこおーっと! マックイーンの相手飽きちゃったし」
「ぐっ……覚えておきなさいテイオー……!」
「テイオーちゃん、こんなに調子に乗ってるの久しぶりだなあ……」
※※※
「──オーッホッホッホッホ!! キングはデュエルも一流!! キングの名に相応しいこのデッキで相手をするわ、トウカイテイオー!!」
「へーえ、キングヘイローのデッキ、楽しみだなあ!」
──画して。
片やマヤノとマックイーン。片や取り巻きーズが見守る中、テイオーとキングヘイローのデュエルが始まろうとしていた。
一流を決して譲らないキングヘイローは、例えどんな勝負であっても妥協はしない。
「──EXデッキをたったの8枚しか使わないなんて、キングへの挑戦と受け取って良いのよねえ?」
「どうぞご自由に~、ボクは負ける気がしないからねー!」
「果たしてどっちが勝つのやら……」
「うーん、どっちだろー? キングちゃんも強いって聞いてるし!」
「先攻はキングが頂くわ! 《光天使セプター》を召喚し、デッキから《光天使スローネ》をサーチ! そして、手札から《光天使スローネ》2体を特殊召喚!」
──所謂、「セプスロ」である。
光天使はデッキから同族をサーチすることに長けたカテゴリ。
この一連の流れにより、キングヘイローの場には3体もの天使族モンスターが並んだ。
それを見て、マックイーンの額に伝う冷や汗。
「レベル4モンスターが3体……!? 来ますわテイオー!」
「──オーッホッホッホ!! キングの輝かしき栄光の勝利に立ち会う権利をくれてやるんだから!! エクシーズ召喚ッ!!」
同じレベルのモンスターを揃えることで行う。
それがエクシーズ召喚だ。
非常に汎用性が高いモンスターも多数存在し、同じレベルさえ揃えればいいので何が出てくるかは分からない。
(しかし先攻で雑に投げて強いレベル4×3素材のエクシーズは少ない……何を出すつもりなのでしょう、ヘイローさんは……ッ!!)
「──現れなさい! ランク4《
──この時、マックイーンの頭に衝撃が走る。
ヘイローが連続でエクシーズ召喚を行ったことに対して、ではなく──
(《グローリアス・ヘイロー》ではないッ……!?)
──こっちだった。
幾ら名前繋がりと言えど、先攻で出すカードではないので当然だった。
そして、現れた《デルタクロス》は強力な制圧効果を持つエクシーズモンスターだ。
「効果で相手はデッキからカードを墓地へ送る事はできず、墓地から手札に戻るカードは手札に戻らず除外されるわ! 更に闇のモンスターの効果が発動したら、エクシーズ素材を取り除くことで効果を無効にして破壊する!」
「テイオーちゃんの帝王デッキって闇属性のモンスター、結構いなかったっけ?」
「半分くらいですわね、結構この効果でおっ死ぬカードありますわよ」
「流石キング!!」
「一流!!」
「切札も麗しい!!」
「オーッホッホッホ!! カードを2枚伏せて伏せて、私はターンエンド!!」
ごくり、と連続展開にテイオーは息を呑む。
確かに、闇属性モンスターの効果発動を封じられたのは痛い。
しかし──所詮はそれだけだ、と言える余裕が彼女にはあった。
(今は引けてないけど……引いてみせるよ。ボクは、テイオーだからね!)
「流石キングヘイロー……でも、幾らキングでも帝王には敵わないことを教えてあげるよ!」
「言ってなさい! 私は相手スタンバイフェイズに永続罠《安全地帯》を発動! これで《セイクリッド・ダイヤ》は相手の効果の対象にならず、戦闘及び相手の効果では破壊されない!」
これで《セイクリッド・ダイヤ》は強固な耐性持ちモンスターと化した。
(恐らく狙いは、生き残らせた《セイクリッド・ダイヤ》に更なるエクシーズモンスターを重ねる事でしょうね……《アーゼウス》とか)
(ええ!? 《アーゼウス》って相手ターンにカードを全部破壊するアレでしょ!? 出されたらテイオーちゃん負けちゃわない!?)
(まあそもそもテイオーは出させないはずですわ)
「まず、《カイザー・ブラッド・ヴォルス》を特殊召喚! この効果は発動じゃないから《セイクリッド・ダイヤ》じゃあ止められないよ!」
「ふん、通すわよ」
「そしてボクは《汎神の帝王》でカードを2枚引いて手札から《真源の帝王》を捨てるよ! そして、《帝王の烈旋》発動!! 効果で相手モンスターをリリースできるようにするよ!!」
「リリースは除去を貫通するし……それは《神の宣告》で無効にして破壊!!」
「分かってたよ~! 止められるのはさっ! 《帝王の烈旋》を除外して《真源の帝王》をモンスター扱いで特殊召喚だ!」
「なっ!? 罠カードがモンスターに!?」
《真源の帝王》は墓地の帝王魔法・罠を除外する事でモンスターとなり、現れる。
それは、アドバンス召喚を多用するテイオーのデッキにとっては、強力なリリース元となる。
「にっしし!! びっくりしたでしょ!! そしてボクは墓地の《汎神の帝王》を除外して効果発動! デッキから帝王魔法・罠を3枚選んで、相手に見せるよ! じゃあヘイロー、この中から1つ選んで!」
「選んだらどうなるの……ッ!?」
「それをボクが手札に加えるよ!」
「なぁんだ、相手に選ばせるなんて随分と手ぬるいのね! オーッホッホッホ!!」
1枚目《真帝王領域》。
2枚目《真帝王領域》。
3枚目《真帝王領域》。
何てことは無かった。
結局選択権はテイオーにあるので、同じカードを3つ選べばいいだけなのである。
「キィーッッッ!! だ、騙したわねえ!! このキングを!!」
「性格悪いのが出てますわ、テイオー……」
「テイオーちゃん……」
「ふーはっはっはっは! テイオー様は無敵なのだー! フィールド魔法《真帝王領域》を手札に加えて、そのまま発動だよッ!」
《真帝王領域》。
それは、アドバンス召喚されたモンスターの攻撃力を800底上げするだけではなく、自分のEXデッキにカードが無い時、相手にEXデッキからモンスターを特殊召喚出来なくさせる永続効果も持つ。
「あれ? でもテイオーちゃんエクストラデッキにカードが8枚あるよね? このままじゃロック出来なくない?」
「いや、どうせすぐ無くなりますわ」
「え?」
だが、本領はそれだけではなかった。
帝王は一方的にデュエルを蹂躙する。
「ボクは《真源の帝王》と《カイザー・ブラッド・ヴォルス》をリリースしてアドバンス召喚だー!」
雷鳴が鳴り響く音が聞こえてくる。
全てを引き裂く帝王の稲光だ。
「──出てきてー、《轟雷帝ザボルグ》ッ!!」
マックイーンはげんなりした。
最上級帝の中でも屈指の凶悪効果を持つ《ザボルグ》。
その能力は──
「《ザボルグ》の効果発動ッ! 自分の光のモンスターをリリースして、そのレベルの数だけ互いのエクストラデッキのカードを墓地に送るよ!」
「……へ?」
「ボクはレベル8の《ザボルグ》をリリースして、8枚EXデッキから墓地に送るよ! そっちも8枚墓地に送るね!」
「え、え? え?」
「ちなみに《ザボルグ》は光のモンスターをリリースして特殊召喚したから、墓地に送るカードはボクが全部選ぶよ! ランク4エクシーズ8枚、墓地に送ろうかな!」
「「「キングゥゥゥーッッッ!?」」」
ヘイローの口から魂が抜けていく。
未使用のEXデッキのカードがまとめて墓地に送られていく。
そしてテイオーのEXデッキも丁度消失したが──
「──あ、EXデッキから墓地に送られた《旧神ヌトス》の効果で《安全地帯》を破壊! 《安全地帯》が破壊されたら《セイクリッド・ダイヤ》も破壊されるよ!」
「あれ光属性のカードだから止められませんわね」
「テイオーちゃん……勝利をリスペクトしすぎ……」
「そして《虹光の宣告者》3枚が墓地に送られたから、《サイバー・エンジェル・弁天》、《宣告者の預言》、《神光の宣告者》をサーチして──」
──そこから先は、テイオーのやりたい放題であった。
当然、主力とリソースを全て消し飛ばされたキングヘイローは、成す術なく膝を突くしかなかったのである。
「くっ、悔しい……ッ!! このキングが負けるなんてッ……!!」
「やったやったーっ!! ボクの勝ちーっ!!」
「……なんてね」
「ッ……!?」
テイオーは感じ取る。
このキングヘイローというウマ娘。あれだけ蹂躙されてもまだ、息絶えてはいない。
マックイーンと同じ。いや、それ以上だった。
彼女は取り巻きにアタッシュケースを持ってこさせると──すぐさまそれを開く。
「今のは、一流・キングヘイローのデッキの一角に過ぎないのよ!」
「な、なんだってぇぇぇー!?」
「げっ、アタッシュケースにデッキ入れてる人アニメ以外で初めて見ましたわ……!」
「え、もしかしてまだやるのコレ……!」
「よーし、どんなデッキが来ようが負けないぞーっ!!」
──そこからはキングヘイローも強かった。
「──《V.F.D.》でテイオーのモンスターの効果を全て無効にーっ!!」
「ぴゃーっっっ!?」
──ある時は本気を出したキングが蹂躙し。
「──《虚無魔人》で特殊召喚を封じるぞーっ!!」
「ぐぬぬ……ッ!!」
──ある時はテイオーが負けじと逆転し。
そんな激戦が何戦も続いた──
※※※
そんな激しいデュエルを終えた帰り道のこと。
テイオー、マックイーン、マヤノは今日一日について振り返っていた。
「──いやー、楽しかったなー、ヘイローとのデュエル! またやりたいよ!」
「私も参考になることが多かったですわ。帝王デッキの崩し方、しっかり覚えましてよ!」
「何だとう!? ボク、マックイーンには負けないぞー!」
「マックイーンちゃんのブラックフェザーも良い感じに戦えてたよねー! マヤも遊戯王やってみよーかなー!」
「──おい、デュエルしろよ。あたしはレアだぜ?」
ふと、声が聞こえた。
3人は思わず振り返る。
背後からスッと現れたのは──いつもの黄金船ことゴールドシップ。
「……闇のゲームか……何時おっ始める? あたしも同行する」
「ゴルシ……!!」
「クックックッ……負けたヤツは魂を取られる……それがカードゲームのお約束だぜ。さあ、マックイーンの命を懸けてあたしと勝負しろ!!」
「勝手に私の命を懸けないでくださいまし!」
「じゃあマヤもマックイーンの魂をBETするね!」
「マヤノさん!?」
「……負けないぞ! マックイーンはボクが助け出す!」
「ええ……」
マックイーンは頭を抱える。
しかし、よもやゴルシも遊戯王をやっていたとは。
否、アナログゲームに興じていることが多い彼女ならば然程驚くことではなかったが。
「──行くぞテイオー。覚悟は良いか?」
「いいよ、かかっておいでゴルシッ!!」
「マックイーンちゃんの命が掛かったこの一戦、絶対負けられないね……!」
「私どうなるんですの?」
「テイオーちゃんが負けたらマインドクラッシュかなー」
「何それこわい」
「「
その場でデュエルをおっ始めるテイオーとゴルシ。
早速仕掛けたのは──ゴルシだった。
以下略。以下略以下略。
ゴルシの場には──融合カードをデッキから墓地に落として、その効果を使える《ヴェルテ・アナコンダ》が出ていた。
「じゃあ《真紅眼融合》の効果を《ヴェルテ・アナコンダ》の効果で適用するぜ」
「レッドアイズデッキ……!?」
「ああそうだぜ──あたしはデッキから《ブラック・マジシャン》と《真紅眼の黒竜》で融合召喚じゃーい!!」
「あっ」
蒼褪めるマックイーン。
全てを察したマヤノトップガン。
ゴールドシップが問答無用で叩きつけたのは──
「──《超魔導騎士─ドラグーン・オブ・レッドアイズ》ッ!!」
「……」
「……」
「……」
「「「禁止カードじゃんッッッ!!」」」
「大会じゃないからセーフなんだよ!! しかも、言っただろーが!! これは闇のゲームだってなぁぁぁ!!」
「別の意味で闇のゲームじゃありませんの!!」
高笑いするゴルシ。
彼女が繰り出したのは──よりによってインチキ禁止カードの《ドラグーン》。
効果耐性に加え、ターン1で相手の効果を何でも無効にして破壊出来るのである。
そして攻撃力は脅威の3000。
突破は非常に難しいカードだ。
「……《烈旋》は無効にされる……ッ!!」
「そーゆーこと。お得意のリリースは効かないぜ」
「ぐぅっ……!!」
「《ヌトス》の効果も効かないし、対処不能ですわ!」
「……ボクは、負けない。ボクは……無敵の帝王だ」
彼女は拳を握り締める。
例えどんな逆境であっても。
ウマ娘である以上、諦めるわけにはいかないのだ。
「──ボクのターン! 《帝王の烈旋》を発動だぁ!」
「ハッハッハ!! 無敵の《ドラグーン》には効かないぜ!! 無効にして破壊!! 更に攻撃力は4000にアップじゃーい!!」
「何でアレ、攻撃力上がるんですの……?」
「だから禁止になったんじゃない……?」
何度見ても頭の可笑しいカードである。
「……引く。引く。引くしか、ないッ……!! 《汎神の帝王》でカードを1枚捨てて2枚ドロー!」
「ハッハッハ!! 無駄無駄ァ!! 帝で《ドラグーン》除去できるカードなんて居ないだろ!! 《烈旋》も1ターンに1回限りだぜ! ゴルシちゃん、ちゃんと調べたんだぞー?」
「……まだまだ!! 《天帝従騎イデア》召喚! 効果で《エイドス》を呼びよせる!」
「《エイドス》の効果で、このターン、あと1回だけアドバンス召喚できますわ……!」
「でも帝に《ドラグーン》を倒せるカードなんて──」
「ありませんわね。大体対象に取るか破壊の除去ですわ。対象に取らない破壊以外の除去は限られてきますの」
「そんな……テイオーちゃん、勝てないの!?」
「……ええ、このままだと」
マックイーンは断言してみせる。
最も……帝のカードならば、の話だが。
(テイオーがあのカードを引いているか否かで、変わってくる……信じていますわよ、ライバル!!)
「ボクは……折れても何度でも立ち上がる……ッ!! 絶対にッ!!」
「ッ……コイツ、何をする気だ!?」
「ボクは場のモンスター2体でアドバンス召喚!!」
生贄に捧げられる《イデア》と《エイドス》。
そこから現れたのは──不死鳥だった。
「ッ……何だ!?」
「これがボクの、諦めない意思だぁ!!」
ゴルシは彼女の背中に──翼を見た。
決して燃え尽きぬ、炎の不死鳥。
「──絶対は此処にあるッ!! 来て、《ゴッドフェニックス・ギア・フリード》!!」
不尭不屈の戦士が、そこに降り立ったのである。
「攻撃力3000……でも《ドラグーン》は4000だぜぃ!! 突破できねえよ!!」
「それはどうかな?」
「何だってェ!?」
「《ギア・フリード》で《ドラグーン》に攻撃──ダメージステップ開始時に効果発動ッ!!」
斬り合う《ギア・フリード》と《ドラグーン》。
確かに、効果も、スペックも、超えているかもしれない。
しかし──不死鳥の戦士は決して屈しはしない。
「──《ギア・フリード》に《ドラグーン》を装備カード扱いとして装備するよ!!」
「な、なんだってええええええ!?」
「この効果は対象に取らない破壊以外の除去ですわ!」
「すごいよテイオーちゃん! 《ドラグーン》を倒した……!」
「ッ……残念だったなあ!! ゴルシちゃんにはまだ《アナコンダ》が残ってんだよ!!」
「あ、永続罠《帝王の溶撃》で、ボクのフィールドにアドバンス召喚したモンスターがいるからゴルシはモンスターの効果を発動できないよ」
「ぎゃあああああ!! お前なんて酷いことをするんだああああ!?」
──斯くして。
手札のカードが全て死んだゴルシは、そのまま《ギア・フリード》に一刀両断されたのだった。
※※※
「フッ、負けたぜテイオー……約束通り、マックイーンの魂は返してやるよ」
「うん、ボクも楽しいデュエルだったよ! たまにはこういうのも良いよね!」
すっ、と握手の手を差し出すゴルシ。
その手を握ったのは──鬼のような形相のマックイーンだった。
「!? あれっ、マックイーン!?」
「ゴールドシップ。貴女にはデュエリストの高潔な精神を教えなければならないようですわね」
「あっ、いやっ、ちょっと待って──」
「禁止カードを何も言わずに使うなんて言語道断……メジロ家総出で会議ですわ」
「イヤああああああああ!! まだドラグーン使いたいんだよおおおおおおう!!」
哀れ、マックイーンに引きずられていくゴールドシップ。
あれはしばらくお説教コース間違いないだろう。
「……取り敢えず、ルールを守って楽しくデュエル! ってことで!」
「ゴルシちゃん、かわいそ……」
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