ユメヲカケル!(仮) (絡操武者)
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01 いらっしゃいませ


 ワールドトリガー書いてたけど筆が乗らなくなって1年以上経過。ウマ娘2期の最終話を繰り返し見て泣いてる作者です。
 現実の競走馬には詳しくなく名前もそこまで知らないが、ウマ娘はアニメ1期2期をみて、遂に配信された神アプリにも嵌るものの、育成が難しいんじゃ……と、最近やっとAランクが2人目作れた程度の作者です。

 最近このサイトでウマ娘の小説増えたなーと思い、勝負服の話は見かけないなー(あるかもしれないけど見てない)と思い書いてみた。
 タイトルを含め、思い付きの見切り発車で書き殴ったレベルなので続くか分からないが、続くのであれば後々書いていくことになる主人公の有り得ない設定もあったりする。分かる人はすぐに、あ、そういう設定の人ね。と分かるかもしれない一言も入っているが、これで始めて見ることにした。

 現実のお馬さんの事も知らないけど、ウマ娘関係の界隈で流れてる噂とかも多少知識として、また、ネタとしても入れつつ出走します。



 

 

 

 あれは、私が日本にやって来て自分の店を始めて少しした頃である。

 

「シンボリルドルフと言います。本日はよろしくお願いします」

 

 あの日、私の元にやって来たのは1人のウマ娘。その子はまだあどけなさや硬さを感じさせつつも完成間近と言えるような、風格やオーラとでも言えば良いのだろうか、貫禄の様なものを感じさせてくれた。彼女が店に来ることは私にこの店を持たせてくれたシンザンさんから聞いていた。

 

 聞けば彼女は入学したばかりで、これからデビュー戦だと言う。私が一眼見た印象をそのまま伝えると、彼女は少し照れる様に微笑んだ。年相応な感情もチラホラ、大人びた印象もチラホラ。会話のキャッチボールを楽しみながら彼女を採寸しメモを取っていく。

 

「---OKかな。じゃあ今度の日曜に学園に届けに行くから」

「聞いてはいましたが、早いんですね」

 

「ふふ、君の脚ほどではないさ。まぁ、まだどんな脚かは知らないんだけどね」

「あの……」

 

「何か希望があるのかな? 色とか?」

 

 先程、会話しながらも明る過ぎる色だと合わないと思いつつ、少し深い色合いでメモの端に軽く線を入れていたが、希望があれば出来るだけ叶えてあげたい。……叶えてあげたいが、中にはセンスがなく、自分に合わないデザインや色を希望する子もいたりする。その場合は一応、希望通りのモノと、私が個人的に合うと思ったモノを作って選ばせている。決めるのは彼女達だし、どっちを選んでも私に文句はない。まぁ、これまで希望通りのものの全ては展示様などのサンプルになっているので実際に逆を行かれたら文句が出てくるかも自分にも分からないのだが。そんなことを考えていると想像とは違う質問が飛んできた。

 

「デビュー戦から全ての試合で着ても良いでしょうか?」

「……ふふふ、それは目立つね。でも、まだ出来上がって無いからね。試着した時に聞かせてね」

 

 GI以外のレースは体操着にゼッケンが普通だ。服が傷むとか勿体ないとか色々あったりするが、確かに言われてみればそうだ。ここぞという時に着るから勝負服。デビュー戦だろうが試合なのだから勝負服でも間違いではないか。彼女達にとって負けても良いレースなんて無いだろう。しかし、全てのレースで着てくれるのはありがたいが彼女が浮いてしまわないだろうか……。いや、それすらも乗り越えられる服を作れば良かろうなのだ。

 

 

 

 その後、彼女は言葉通り着続けてくれた。更に強く勝ち続けた。テレビで見るその姿は正しく皇帝。あぁ、やっぱりその色が君には似合うね。

 試合が終わる度に勝負服を持って直しを依頼しに来たりもしたが、彼女自身も更に美人になっていった。洗練されて行くとはこう言う事を言うのだろう。

 しかし、耐久度が5%も減ってない事もあり、急ぎで直すところも特には無いのだが、まぁ、この服を大事に想ってくれて何よりである。

 

「ルドルフちゃん更に美人になったね」

「そ、そんなことはっ---」

 

「あ、もうこんな時間か。そろそろ私お昼ご飯食べるんだけど、ルドルフちゃんも食べてく? にんじんハンバーグでいい?」

「て、手料理をご馳走していただけるんですか?」

 

「そんな大層なもんじゃ無いけどね。(体操着だけにね)」

 

 私はルドルフちゃんに聞こえないように依頼のあった学園指定体操着を見て呟く。大層じゃない体操着などとくだらない駄洒落を頭の中で思い浮かべながら、あ、そっか体操着の納品も来週が納期だったかとスケジュールも思い浮かべつつ、ふとルドルフちゃんを奥のリビングに呼ぶために振り向くと、ルドルフちゃんは真剣な面持ちでブツブツと何かを言っている。

 

(なるほど、大層と体操着が掛かっているのか。興味深い。いや、しかしにんじんハンバーグとは関係無い、いや体操着を見た視覚情報と思考で直結させた高度な言語!これが、ダジャレ……!)

 

 シンボリルドルフの賢さが10上がった。

 にんじんハンバーグを食べて体力が20回復した。

 シンボリルドルフはダジャレに興味を持った。

 

 

 

 

 

 

 あれから何年か経つけど。デビュー戦から引退まで勝負服を着るって子が少し増えた気がする。依頼のあった少し傷んだ勝負服の補修をしながらしみじみ思う。

 補修を終わらせると伸びをして昼ご飯でも作るかと立ち上がる。そこでタイミングよく店の呼び鈴がカランコロンと鳴った。

 

「すみませーん! 勝負服ならこのお店だと教えて貰ったんですけどー!」

「ふふ、いらっしゃい。にんじんハンバーグで良いかい?」

 

「あれ!? 定食屋さんでした!?」

 

これはウマ娘専用勝負服専門店(兼何でも屋)のお話。

 

「【Winning Run】へようこそ」

 

 

 





 凄く文章量が少ないことに気づいた。けどそれは怒らないでほしい。作者はメンタル弱いのだ。ワートリ書いてた時は倍以上は書いていたけど、文章力というか書く力が衰えたのかもしれない。しばらく書いてないからね。
 筆が乗って楽しんで書けるようになるかもしれないし、自他ともに認める駄作になるかもしれないのであしからず。


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02 シンザン

 少し筆が乗った。もう少し伸ばしていきたい。
 今回、店長の正体が明らかに……。



 

 

 ここはウマ娘の勝負服専門店【Winning Run】

 

 今回のお話は、まだ勝負服を作ってなかった頃のお話である。

 店といってもお客さんはほとんど来ない。何故と言われれば、トレセン学園の中には購買があり、必要なものはある程度はそこで手に入るし、街に出ればウマ娘専用のレースシューズやウマ娘の耳や尻尾に対応した服だって売られてないわけではない。で、あるならば、こじんまりとした小さくて聞いた事もないような個人商店に行くウマ娘はよほどの物好きか、誰かに薦められて行くかのどちらかぐらいだった。

 そんな売り上げもほぼ無いようなお店が継続出来ている理由。それは今は引退しているがトレセン学園にとても強い発言力、影響力を持つシンザンさんのおかげである。本日ご来店であります。

 

「シンザンさんはにんじんハンバーグまだ食べられるんですか?」

「いやぁ若い頃ほどは食べられないねぇ」

 

 やはり高齢にもなるとお肉や油というものは欲しくても身体には辛いらしい。喫茶スペースで店長によってカットされたバナナとリンゴをゆっくりと咀嚼するシンザン。

 

「んー、やっぱり美味いわこっちの果物。どうもスーパーで買うのとは違うんだよなぁ」

「ウチの食材はトレセン学園から分けてもらってますからね。懐かしい味ってやつでしょうか?」

 

「そうかもなー。でも学園に入ると畏まられちゃうからよ。食堂の御飯が恋しいよ。重くて食べられないけどな。そう考えればここに店を作って正解だったわけだ」

「ふふふ、そうですね。ありがとうございます」

 

 

 

 

 回想シーンということで、時は遡って数年前のアメリカはケンタッキー州の広大な敷地。最強のウマ娘は私だと日夜切磋琢磨し合うアメリカのウマ娘達。そこはウマ娘のトレーニングセンター。アメリカのトレセン学園であった。外部からの人間はそう簡単には入れないところなのだが、後のWinning Runの店主、彼女は居た。というか模擬レース場で寝ていた。

 

「おい、いつの間にいたんだコイツ? さっき走った時はいなかったよな?」

「SFアクション映画みたいな格好してるな」

「誰かトレーナーか先生呼んで来いよ」

 

 当然のことながら先ずは捕獲。そして起き抜けに尋問。そして結果は。

 

「今日からこの学園で臨時用務員をすることになりました。名前は思い出せないのでナナシか用務員で呼んでください」

 

 何故か言葉は通じたので用務員になった。尋問の際に彼女が話したことは世間一般で言うところのイカレになるかもしれないが、分かりやすくいうのであれば、ゲームの世界から来ました。といったところだろうか。それでも分からない方に簡単に説明するなら下記の様になる。

 

戦えます → 何と戦う気だね? ここは戦場でもエリア51でもないぞHAHAHA!

 

魔法が使えます → 手品師だというのか? イリュージョンで転移してきたのか? ではすぐに帰りたまえ! ……テレポもデジョンも使えない? 転移魔法? 転移先が設定されてないと無理? 設定細かいな君。

 

モノ造りが得意です → ふむ……ではそうだな、コレを作ってみたまえ。今道具を……なっ!? どこから出した!? え!? もう出来た!? HQ!? HQってなんだ!? ヘッドクォーター!? え、違う? ハイクオリティ? こっちがノーマルクオリティ? た、確かに質が違う様だが、……えぇ? ……マジでぇ? 誰か学園長呼んでくれないか? ドッキリとかじゃないよね?

 

 そんなこんなで彼女に与えられた仕事は最初はウマ娘達の予備の蹄鉄だった。しばらくして少し信頼を得ると運動用の服を、靴をと任される仕事は増えていき……。

 

「ナナシさーん。これでいいですかー?」

「はーいOKでーす」

 

 じゃじゃーん! といった感じに学園が綺麗に建て直されていた。なんという事でしょう劣化で酷かった学園が綺麗になり、生徒達からも先生方からも信頼厚く迎えられる存在になったではありませんか。

 

 そして、時は流れ、ウマ娘の一人からふとした疑問が上がった。

 

「そういえばナナシさんって、自分の名前が思い出せないって言ってませんでした?」

「はいそうですね。思い出せません」

 

「ナナシが名前じゃないんですか?」

「ナナシって言うのは日本語で、アメリカで言うところの【ジョン・ドゥ】みたいなものです」

 

 これが切っ掛けでナナシは日本人では? となって、日本で行われるジャパンカップへ出走するウマ娘と一緒に日本へ行き、日本で知ってることも多かったため日本のトレセン学園に引き取られた。

 

「うぅ、ナナシさん元気でねぇ!」

「メアジーもありがとう。アメリカのみんなにもありがとうって伝えてくれると嬉しいよ」

 

 ちゃっかりジャパンカップの一着を搔っ攫いつつ日本観光をナナシと楽しんだ後に、抱き合い別れを言うメアジードーツ。最後にナナシはアメリカのみんなに別れの品を置いて来てあると隠し場所を伝えて別れるのであった。

 

 

 

 さて、ナナシは日本のトレセン学園では、アメリカの時はやり過ぎたのかもしれないと思い、表立ってファンタジーなことはしなくなった。一時期は食堂や購買で働いたりしたが、少しばかり事情をアメリカ側から聞いて知っていたシンザンは自分の店を出さないかと話を持ち掛けてきた。

 

「お前さん魔法が使えるんだろ? 私には良く分からないが、やれることをやれないってぇのはストレスなんじゃないか? ウマ娘だって走れる足があるのに走れない環境に置かれたらまいっちまうんだ。そういう奴は何人も見てきたよ」

 

 こうして、ナナシはWinning Runの店長となった。

 しかし、最初こそ顔見知りのウマ娘たちが来てはくれたが、すぐに来なくなり、蹄鉄を作っては納品、体操着やジャージ等を作っては納品と、まるで工房の様な事になった。

 

「この店は客が来てもニンジンジュースも出ないのか?」

「シンザンさん……喫茶店じゃないんですが……」

 

 シンザンさんが定期的に来てくれて、学園から用具造りの素材だけではなく、シンザンさんから口添えがあったのだろう食材まで届くようになった。シンザンさんがオーナーだしいっかと思いつつ、料理も作るようになり、そして、服を作るようになった。

 

「良いモンだっていうのは分かる。私は着たいとも思う。もう歳だからここまで可愛いのは着れないが、でも、多分これだけじゃダメだな。……勝負服はどうだ?」

「あー……一回作ったんですが」

 

「何か問題があるのか?」

 

 店長は無言で奥に向かい、ハンガーに掛かる勝負服らしきものを持ってきた。

 

「これなんですが……」

「……なるほど」

 

 シンザンは勝負服を手に取り、確かにこれはを顔をしかめるが、真面目な顔に変わり、服を置いて言った。

 

「良いんじゃねーか?」

「良いんですか!? 分かって言ってますか!?」

 

 デザインとかの話ではない。問題提起は服の能力だ。店長の目で見るのであれば元居た世界の装備品なのだ。違うのは数値がSTRやVITという表記ではなく、【スピード】【スタミナ】【パワー】【根性】【賢さ】という様な表記で店長の目には映っている。これを着て走れば本来よりも何かしらの恩恵があって走れるということだ。疲れにくいとか力を出しやすいとか。つまりそれってレースを壊してしまうのではないだろうか?

 

「力を欲してない奴なんていないさ。だから、お前が選んだ奴になら作ってやっていいんじゃねーか?」

「私が?」

 

「この服を持った感覚の話だが、速く走れそうだ。確かにレースを左右するかもしれない。だが、それはどの勝負服でも同じだ。結局はどれだけトレーニングしてきたか、そのトレーニングで間違ってなかったか、足りていたのか、トレーナーを信じられたのかって話だ。この服を着ても負ける奴は負ける。お前さんはこの店で勝負服が欲しいって奴を見て、自分で売るか決めればいい。お前が信じれば売る。それでいいんじゃねーか? ただ一つアドバイスするとしたら」

「……するとしたら?」

 

「この服だから勝てたなんてお前が思わないことだ。背中を押してやるぐらいの気持ちで作れ」

「……はい!」

 

 こうして勝負服専門店【Winning Run】になった。

 

 







 読んでも分からなかった読者の方へ

店長(ナナシ)は所謂【光の戦士】
FF14(ファイナルファンタジー14)の自分の名前を忘れているプレーヤーキャラです。名前を思い出すこともありません。必要ないし。
アメリカでも言葉が通じたのは【超える力】だと思ってください。
転移するには目標地点にクリスタルが無いと出来ず、転移することも出来ない。戦闘スキルや魔法などは(エーテルとか無いけど深いとこまで決めてないので)使えることにしてますが、使用する機会が無いのではないだろうか。と言ったところ。彼女が出来るのはクラフター・ギャザラーという製作・収集系統。そして修理ぐらいです。余談ですが、ほぼ引退してるので最近大型アップデートされたみたいですが、多分続きはやらないかもしれない。ストーリーだけみたいな。。。




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