横に寄り添う青き炎 (綾凪九尾)
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URA優勝の感動(第1レース)

俺は今葉勝馬。親子揃ってのトレーナーだ。父はもう引退をしたが父の意志を継ぎ今は東京にある【日本ウマ娘トレーニングセンター学園】に所属している。同期には『帝王』トウカイテイオーの担当「中山翔夢」や『怪物』オグリキャップの担当「坂本桜花」が居る。そして俺は『不死鳥』グラスワンダーの担当をしている。グラスとは色んなレースに出てもらった。特に最後の有馬記念はウマ娘史上最も熱いレースになったらしい。今でもそのことを思い出す。

 

「さぁ!最終コーナーだ!ここで抜け出したのはグラスワンダー!グラスワンダーが先頭だ!だが後ろから猛烈な勢いでスペシャルウィークが追いかける!グラスワンダー脅威の末脚!しかし、スペシャルウィークも追いつこうと必死に走る!残り200mを通過!グラスワンダー!強い!グラスワンダー!逃げる!1着はグラスワンダー!今年最後の勝利を飾ったのはグラスワンダー!2着はスペシャルウィーク!」

 

そして、その数日後にURAファイナルズ。グラスは順調に予選、準決勝と勝ち上がった。ついに最後のURAファイナルズ決勝。グラスは最終コーナーで差し切って見事1着を掴み取った。この時、同期の中山と坂本が見に来ていた。もちろん、担当ウマ娘も来ていた。俺は勝ったグラスに近寄り褒めた。

 

「さすがグラスだ。おめでとう」

 

「はぁ…はぁ…トレーナーさん…ありがとうございます。」

 

「グラスならやってくれると思ったよ。」

 

「全てはトレーナーさんのおかげ様ですよ。ふふふ」

 

俺はグラスの頭を撫でた。グラスは少し驚いた顔してから頬を少し紅くした。グラスはウイニングライブがあるので控え室に戻った。俺は中山と坂本に会いに行った。あいつらのウマ娘も強いウマ娘で中山のテイオーは『天皇賞・春』の時メジロマックイーンを押さえ1着。坂本のオグリは『天皇賞・秋』の時「白い稲妻の再来」のタマモクロスを押さえ1着と重賞で勝ちまくっているウマ娘だった。オグリは有マ記念に出走予定だが、その時間を割いてまで応援に来てくれた坂本には感謝しかない。俺は2人に話しかけた。

 

「中山!坂本!応援ありがとう!」

 

「おめでとう!今葉。今回のレースでテイオーも勉強になったと思うぞ。」

 

「もぉートレーナーはボクだけ見てたらいいんだよー」

 

「ごめんごめんテイオー。」

 

「今葉。おめでとう。これで今葉のウマ娘はマイル最強だな。」

 

「そんなことを言うがオグリもマイルだろ?」

 

「今回のレースで結構勉強になったから、トレーニングにも力を入れようと思う。」

 

「あまり力入れすぎてオグリを怪我させるなよ。」

 

「わかってる。」

 

「今葉。坂本。そろそろ始まるみたいだぞ。うまぴょい伝説だ。」

 

俺は踊るグラスを見て、グラスの担当トレーナーになって良かったと思った。あの二人はすぐに担当ウマ娘が決まって俺は途方に暮れていた時にたまたま弓道場を見つけたから中に入ってみたら、グラスが弓道をしていてその時俺はグラスに目を奪われた。この時俺はグラスの担当になるって決めてグラスをスカウトした。だが、断られ続けた。ある日俺はグラスに呼び出されトレセン内のターフに来た。グラスはダートでスタミナ作りをしていた。グラスは俺に気づき、トレーニングをやめてこっちに来た。

 

「トレーナーさん。突然呼んでしまいごめんなさい。伝えたいことがあるんです。」

 

「どうした?グラス。」

 

「数週間後に選抜レースがあります。その時に…」

 

「1着とるからその時スカウトしたらいいんだろ?わかった。そのレース見に行く。」

 

「ですが…私が1着取るとは限りませんよ?」

 

「グラスなら次は1着取れる」

 

「あらあらまぁ…そこまで言われたら…ふふふっ」

 

そして数週間後グラスは選抜レースに出た。選抜レースはグラスの圧勝だった。1着でゴールしたグラスにエルコンドルパサーとスペシャルウィークが駆け寄った。

 

「グラスぅぅぅぅ!」

 

「まぁ、驚きました。」

 

「グラスちゃんおめでとう!これからは同じレースに出れるね!」

 

「スペちゃんありがとうございます。あっ、ちょっと行ってきます。」

 

グラスは俺を見つけると俺の方に歩いてきた。そしてグラスは俺の前で立ち止まり、話しかけられるのを待った。

 

「おめでとうグラス。」

 

「ありがとうございますトレーナーさん。」

 

「それでスカウトの件だが…」

 

「はい。お受けします。改めまして、グラスワンダーと申します。ご指導ご鞭撻の程をよろしくお願いしますね。ウマ娘の頂点を目指すこの道…。その果てまで、お付き合いくださいませ。」

 

こうして、俺とグラスの二人三脚のトレーニングが始まった。

グラスは1着になるため、俺はグラスをウマ娘の頂点にするためと2人の想いはたった一つに重なり合った。それからグラスは同期のウマ娘達を倒していった。その伝説が始まったのは日本ダービーからだった。その時出走したのは『エルコンドルパサー』と『スペシャルウィーク』だった。この2人は中央競馬場を大いに盛り上げたウマ娘でグラスはこの時3番人気だった。この2人に勝つことは不可能に近いと言われていた。ファンたちの考えを裏切るようにグラスが最終コーナーで差し切って1着ゴール。グラスはダービーウマ娘として名前を挙げた。次のレースはジャパンカップだ。グラスはどんでん返しを期待され1番人気。『エルコンドルパサー』は2番人気だった。グラスは同期ウマ娘にも容赦はせず、最後も差し切って1着ゴールをした。このレースでまたグラスは名前を挙げどんどん成長し頂点へ進んで行った。しかし、ここで不運な事故が起きた。グラスが骨折をし休養期間に入ったのだ。グラスは落ち込み、ご飯も喉を通らない状況になってしまった。俺はできることをやろうと思いグラスを励ました。

 

「よぉ、グラス。足の調子はどうだ?」

 

「トレーナーさん…幻滅しましたよね…」

 

「何を言ってるんだ。俺も悪かったんだ、グラスのせいじゃない。」

 

「いえ、私が気を抜いてしまったから怪我をしてしまったんですよ?ごめんなさい。今は1人にしてください。」

 

「グラス…わかった。」

 

俺はグラスを励ますことも出来ずにレース場を出ていってしまった。俺は大樹のウロの元に来た。ここでは、悔しい気持ちやモヤモヤしたことを叫ぶことを許された切り株だった。俺は、大樹のウロに手を付き叫んだ。

 

「どうしてだ!グラス!お前はウマ娘の頂点に行くんだろ?俺はそれを支えるって決めたのに!どうして!1人で背負って、俺を居ないもの扱いするんだ…グラス…お前らしくないぞ!」

 

大の大人が大声で叫んだ。少し涙を浮かべながら叫んだ。グラスに対する想い全てを…誰に聞かれようが関係ない。すると後ろから声がした。

 

「…さん。トレーナーさん…もしも〜し。」

 

「グラス…?」

 

「トレーナーさんは私をそんな風に思ってたんですね〜。少し、感動してしまいました。トレーナーさんが…近くに居てくれることを忘れていました。ごめんなさい。これからも一緒に居てくれますか?」

 

「もちろんだ。グラスこれからも居てやる。お前を必ず、ウマ娘の頂点にしてやるからな。覚悟しとけよ。」

 

「ええ。これは私達のウマ娘の頂点になるための道です。ここで諦める気はありません。先程エルに怒られたばかりですし。」

 

珍しいこともあるようだ。いつも陽気のエルコンドルパサーがグラスのことを説教したらしい。だからグラスは俺の事を追いかけてきたとの事。今回はエルコンドルパサーのおかけで仲直りができたと思い、感謝した。そして、待ちに待った復活戦『毎日王冠』に出走する日になった。グラスはやる気満々で俺にこう言った。

 

「そろそろレースが始まりますよ。平常心で…ふふっ、いけませんね。楽しみでソワソワしちゃいます。」

 

グラスは控え室でそう言って、パドックに出た。

 

「1番人気はグラスワンダー。」

 

「骨折からの復帰戦。好レースに期待しましょう。」

 

「2番人気はサイレンススズカ」

 

「平均的な能力ですね。ここで大逃げが見れるのでしょうか。」

 

「3番人気はエルコンドルパサー。」

 

「前回のジャパンカップからあまり変わってませんが1着を狙える力はありますよ。」

 

パドックでは堂々の1番人気。グラスを待っていたファンがそこまで多いと言うことだ。宝塚記念から2〜3ヶ月ぐらい過ぎているがグラスの人気は衰えることを知らないようだ。グラスはここでも1着を取り、無敗の最強ウマ娘へまた1歩階段を昇った。グラスは笑顔でこっちに来た。

 

「ただいま戻りました。トレーナーさん」

 

「お疲れ様グラス。どうだった?久しぶりのターフは」

 

「はい。とても、楽しい時間でした。エル。これで貸しは返しましたよ。」

 

「もちろんデース!グラス!これからも頑張ってくだサーイ!」

 

「それはエルもでしょ。あっトレーナーさん。後で行きたい場所あるのでお時間いいですか?」

 

グラスは俺にどこかに行く約束を取り付け、控え室に戻っていた。俺は競馬場の外で待っていると、いつもの私服のグラスが立っていた。グラスは「トレーナーさん行きましょうか〜」と言って歩き出した。俺はグラスについて行った。グラスは淡々と山の方に向かい、トレセンとは反対方向に進んで行った。

 

「グラス?そっちは山だぞ?」

 

「山に用事があるんですよトレーナーさん♪」

 

「でも門限とかあるだろ?」

 

「もう、外泊届けは出してあります♪」

 

「用意周到だな…」

 

グラスの用意周到には驚きつつ、俺らは山を登った。登ってると空は暗くなり、真っ暗になってしまった。でも、道にはちゃんと街灯があって迷うことは無い。俺は看板を見つけてそれに近寄ろうとした瞬間頭が下を向いた。

 

「トレーナーさん。この先は目隠しをしましょうか〜。」

 

「グラス?それ目隠しじゃない…首痛い。」

 

「トレーナーさんこれで見えませんか?」

 

「そうだな…見えないな…。ここどこ?」

 

「あらあらまぁ、落ち着いてリラックスですよ?手を繋いで行きましょうか。」

 

俺はグラスの手を握り、山を登った。そしてグラスが止まったので俺は話しかけた。

 

「グラス?どうした?」

 

「目的地に着きましたよ。トレーナーさん目隠し取ってください。」

 

「え?あーわかった。」

 

俺は目隠しを取るとそこには満点の星空が輝いていた。俺は圧巻の星空を見て口が閉まらなかった。グラスはくすくすと笑って、こう言った。

 

「復活戦が決まった時、支えてくれたトレーナーさんになにか恩返しをと思い思いついたのがこの星空だったんです。私も初めて見た時は驚きましたが、久しぶりに来るとやっぱり綺麗ですねトレーナーさん。」

 

「綺麗だな。グラスも星空も。」

 

「何か言いましたか?トレーナーさん」

 

「いや、何も無い。なぁ、グラス」

 

「どうしました?トレーナーさん」

 

「頂点を取ったらどうしたい?」

 

「そうですね…決めていませんでした。うーん。トレーナーさんのお世話でもしましょうか?」

 

「してもらえるのならして欲しいな。じゃあ一生隣にいなきゃダメだな。」

 

「ふふっそうですねトレーナーさん。」

 

俺とグラスはそんなことを言いながら夜空を見たまでをうまぴょい伝説を聞いてる時に思い出した。グラスと会えてよかった。グラスを担当してよかったと思い、俺はカバンの中に入っている温泉旅館券を持ってグラスと温泉旅館に行く。その前に、坂本のURAファイナルズを見てから旅館に行くことになっているが…。




追試(9月15日より)
えっと…前に「有馬記念」の馬の字の修正依頼が来ました。
これ言わせてもらうと、私…綾凪も最初は馬の点2個のやつを探してました。
アプリでは2個なので。しかし、変換に出てこないんです。
だから仕方なく4つのやつなのです。
ついでに「有馬記念」はレースなので漢字にさせてください。
有マ記念ってダサいでしょ?なんか○マみたいでなんか卑猥ですし…とりあえず、この有馬記念の修正が来ても変えませんのでご理解頂けるとありがたいです。
それでは失礼します。
追伸(2022年1月4日より)
さて、1万人が読んでくれたこの小説。
今読んでるそこのあなた。「面白くない」とか「恋愛ないじゃん」って思ってるでしょ?
だって、これ1話だよ?試行錯誤してるに決まってますから続き見ましょう。
恋愛書いてますから。読みましょう。って言うより読んでください。
それからやめるか読むかを決めてください。
1話だけ読んでいくのははっきり言って心に来ます。
お願いですから続き。2話でも読んでから読むの辞めるのならやめてください。
お願いします


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温泉旅館(第2レース)

出す頻度上げろって思いました?
実の所無理です。
艦これもあるので無理です。
今回は5000文字あるのでそれで我慢してください。
それとこれを書いてるのはウマ娘でグラスを40回以上育成してる人なので頭おかしいです。
余裕でURAも行けます(優勝できるとは言ってない。)
ってことで楽しんでください。
絶対前書きこんな使い方違う気がするわ。


俺はグラスと共に京都に来ていた。理由は2つあって温泉に行くためと同期の坂本桜花トレーナーの「オグリキャップ」のURAファイナルズ決勝を見に来たのだ。まあ、たまたま決勝が京都だったので応援しに行くことにしたのとグラスの時も応援に来てくれたお礼も兼ねて見に行くことにもした。オグリキャップが出るのは11レースで今は6レース目だった。グラスは俺の顔みていた。

 

「グラス?どうした?」

 

「いえ、特には何も無いんですが…あるとしたら…少々お腹が減ってしまい…いいですか?」

 

「まあ、俺もお腹減ったし、何か買いに行くか?」

 

「本当ですか?ありがとうございます〜」

 

俺とグラスは競馬場内の店に来た。そこには、たくさんの焼きそばにたこ焼きがあった。グラスは不思議そうにたこ焼きを見ていた。

 

「あらあらまあ…これが大阪の伝統料理のたこ焼きですか〜。」

 

「そうだな。伝統かは分からないが。他にも明石焼きとか大判焼きとか〇〇焼きってものは多いんだぞ。」

 

「スペちゃんが来たら喜びそうですね。トレーナーさん。」

 

そんなことを話しながら昼食を買い、スタンドに座ってグラスと一緒に焼きそばと焼きそばを食べて待っているとやっと11レース目になった。本バ場入場の時間になった。それと同時に実況と解説の声が聞こえてきた。

 

「さぁ、本バ場入場です。1番人気タマモクロスいい表情ですね。ですが、2番人気のオグリキャップも負けてないですよ。」

 

「オグリキャップはURA制覇まであと一歩ですね。前回のURAファイナルズで花を飾ったのはグラスワンダーでしたね。」

 

「グラスワンダーの先輩オグリキャップ。ここで先輩としての風格を見せることはできるかですよ。」

 

「では、URAファンファーレです。」

 

実況の人がグラスのことを話していて思い出したが、オグリキャップは高等部だが、グラスは中等部。オグリキャップの方が先輩なのだ。そう思うと前回のURAファイナルズで頂点に立ったグラスの能力は高等部かもしくはそれ以上…かもしれない。そんなことを考えていると横から声がした。

 

「もしもーし?トレーナーさん?大丈夫ですか?レース始まっちゃいますよ?」

 

「あ、ああ…すまない。ファンファーレ終わったのか?」

 

「はい。先程、今からゲートインです。」

 

グラスが教えてくれたのでゲートインを見ていた。

 

「人気と実力を兼ね備えた3番人気はスーパークリーク。虎視眈々と上位を狙っているぞ。秋の三冠ウマ娘 オグリキャップ2番人気です。スタンドに押し詰めた、ファンの一心を背負って。1番人気タマモクロス。」

 

「火花散るデットヒートに期待しましょう。」

 

「各ウマ娘。ゲートイン完了。出走の準備が整いました。」

 

俺は双眼鏡でオグリキャップを探した。オグリキャップは4枠だった。俺はグラスに何枠かを伝え双眼鏡を渡した。グラスは双眼鏡を覗いたあと俺を呼んだ。

 

「トレーナーさんはいつもソワソワしていたんですか?」

 

「そうだな…担当が勝って欲しい。それだけだからな。」

 

「そうですか。私も同じようにソワソワしてます。オグリ先輩が勝ってくれると信じて。」

 

「そうだな。坂本も完璧の状態って言ってたからな。」

 

「はい。そろそろ始まりますよ。」

 

グラスにそう言われ、ゲートを見るとゲートが開いた。オグリは先行で4番手に居た。実況の方は大いに盛り上がっている。

 

「順位を振り返って行きましょう。先頭はサイレンススズカ。その後ろ8番。1バ身離れて4番。そして、オグリキャップ。その後ろ9番。2バ身離れてダイワスカーレット。そして、エルコンドルパサー。その後ろ17番。1番人気タマモクロス、前を狙っているぞ。」

 

このレースはマイルで強敵ばかり集まっていた。第3、第4コーナーを通って最後の直線に来た。ここでオグリキャップは先頭へ抜け出した。オグリキャップの勝ちを確信した人達が叫んでいると、後方からものすごい勢いでごぼう抜きをする白い稲妻が来た。実況の人は大いに盛り上がっていた。

 

「ここでタマモクロス!異名の通り『白い稲妻』のように走り込んできた!1着はタマモクロスか!それともオグリキャップか!残り200メートル!」

 

スタンドにいる全員が2人の接戦を焼き付けるように食い入った。俺とグラスもその戦いに目が離せなくなり、息をするのも忘れていた。俺たちの目の前でJRA史上最大のデットヒートなレースが行われた。タマモクロスとオグリキャップは抜いて追い抜かれてを繰り返し、ついにゴールボードの前を先に通過したのはタマモクロスだった。オグリキャップはクビ差で惜しくも2着だった。俺は立ち上がってしまった。グラスは俺の事を見て誘ってくれた。

 

「トレーナーさん。温泉行きませんか?」

 

たった一言だけグラスは俺に言った。俺は無言に頷き、温泉旅行に行った。俺とグラスはチェックインを済まし、部屋に向かった。部屋は和室で座椅子が2つに机の上には和菓子が入ったお皿があり、グラスは俺に熱いお茶を出してくれた。俺はグラスからお茶を受け取ったらグラスは俺の顔を見て質問した。

 

「トレーナーさん。何か隠していますか?私達は支え合っていくのが普通ですよ?」

 

「そうだな。ごめん。全て言うよ。」

 

俺はグラスに全て話した。

 

「俺は…坂本にトレーニング方法を教えていた。でも、俺はあいつの力になれなかった…あの時必要だったのはスピードだった…クソ!」

 

「トレーナーさん。一つ良いですか?」

 

「どうした?」

 

「トレーナーさんが責めることではないですよ。URAも『運がいい』ウマ娘が勝つんですよ?私はあの時運が良かっただけです。トレーナーさんはそれを忘れています。私たちが勝つ時は全てレースの女神様が見ています。それに、トレーナーさんの担当は私ですよ?オグリ先輩では無いですからそこまで責めることもないんですよ。」

 

グラスはそう言って俺の頭を撫でた。グラスはいつもしないことをした。俺はグラスの顔を見た。グラスはいつも通りニコニコしていた。グラスは「泣いても良いんですよ。私はいつでも横に居ますよ。だから、思う存分泣いても大丈夫ですよ。」と言って俺は年甲斐なく男泣きした。グラスは俺の横に居てくれた。目の奥に炎を宿して俺を見ていた。俺が泣き止むとグラスは「温泉行きましょうか〜」と言ってお風呂セットを持った。俺もお風呂セットを持って大浴場に向かった。ここの温泉は何故か混浴が出来るらしく、新婚やウマ娘とトレーナーがよく来る温泉旅館で人気があるらしい。俺はなんで混浴温泉にしたんだも思いつつ、温泉に入った。数分後、髪の毛を束ねたグラスが温泉に入ってきた。

 

「髪の毛を束ねると印象変わるなグラス」

 

「そうですか?お風呂に入る時は大体束ねていますよ?」

 

「なんだろうか…新鮮って感じだな。」

 

「あら…まあまあ、新鮮ですか〜。」

 

「ん?どうした?」

 

「トレーナーさんは…彼女さんとか居るんですか?」

 

「逆に居ると思うか?」

 

「そうですね〜。居ない方がありがたいですね。」

 

グラスはそう言って俺の背中にもたれた。俺は背中にグラスを感じながら冷静になろうと素数を数えた。

 

「(1,3,5,7,11,13,17,19)」

 

「トレーナーさん?なにか考えてますか?」

 

「え?あー…いや…月が綺麗だなって思って。」

 

「そうですね。」

 

「グラスは太陽と月どっちが好きなんだ?」

 

「え?そうですね。私は月の方でしょうか。」

 

「それはどうしてだ?」

 

「月が作り出す影が好きなんです。太陽が映し出すそれより仄かで風情があると思いませんか?」

 

「確かに、風情があるな。」

 

俺とグラスはこんなことを話しながら、混浴をした。もちろん、お互いの顔を見ずに。だが、1度だけ目が合った。その時俺はすぐに目を逸らした。グラスも逸らし、付き合いたてのカップルみたいな光景が少しの間流れたのも思い出だ。俺はグラスを待つために牛乳を買って脱衣場から出たところで待っていた。すると、頬を少し紅く染めたグラスが出てきた。俺は買っておいた牛乳をグラスに渡し、グラスは椅子に座って飲んでいた。

 

「やっぱり、温泉はいいですねトレーナーさん。」

 

「そうだな。最近行けてなかったからな。」

 

「トレーナーさん。少し、外歩きませんか?少しのぼせてしまって。」

 

「いいぞ。立てるか?」

 

「ありがとうございます。ちゃんと立てますよ。」

 

グラスは立ち上がり牛乳瓶を箱に入れた。俺はグラスに付いていき、外に出た。

 

「トレーナーさん。京都はいい所ですね。」

 

「俺の出身地が近いからよく来たけどな。」

 

「トレーナーさんは関西圏出身だったんですか?」

 

「そうだな…実家も一応近いな。」

 

「そうですか。そうだ。そのうち、ご挨拶しても良いですか?」

 

「構わないが…いいのか?」

 

「はい!1度会ってみたかったんです。」

 

グラスはそう言ってニコニコしていた。俺はグラスの異変には気づかなかったが、目の奥の炎は強く燃え盛っていた。俺は親に「そのうち実家に帰る。担当ウマ娘連れて」と言った。親は素っ気ない返事をして電話を切った。俺は、ベンチに待たせたグラスの所に戻った。

 

「すまんな。グラスお待たせ。」

 

「待っていませんよ。やっぱり月は綺麗ですね。」

 

「そうだな。綺麗だな。」

 

「トレーナーさん。月が綺麗ですね。」

 

「なんだよ。2回言って。でも満月で綺麗だな。」

 

「そうですね〜ふふふっ♪」

 

グラスはご機嫌だった。俺はご機嫌の理由は温泉に入れたと思っていたが実際は違った。その事に気づかなかった。グラスは俺の隣を歩き、たまに子供のようにお土産屋を見た。冷静なグラスがここまで柔らかくなったのも成長したからと思いつつ、グラスが見ていたネックレスを買ってあげた。

 

「トレーナーさん…それは…」

 

「グラスが欲しそうにしてたやつだ。」

 

「まさか…買ったんですか?」

 

「そうだ。グラスのためにな。それに優勝のプレゼントだ。」

 

「そうですか。ありがとうございます。大事にしますね。」

 

「喜んでくれて良かった。」

 

「(本当はトレーナーさんが欲しいって言いたいですけど…)」

 

俺とグラスは夜の京都の町を散策して旅館に戻った。部屋に戻るともう布団がセットされていて、あとは寝るだけになっていた。俺はずっと考えていたことをグラスに話した。

 

「俺が隣に寝るのは少し違うくないか?」

 

「そうですか?エルなんて前に『グラスはトレーナーさんと一緒に寝たことはありますか?』って聞いてきましたよ?」

 

「待って?その話詳しく聞かせてくれないか?」

 

「良いですけど…」

 

グラスは淡々と話していった。俺はそれを頷いて聞いていた。

 

「まず、トレーナーさんが昼寝していたらどうしますか?って話になりまして…」

 

(以下回想)

 

「グラスとスペちゃんに聞いたいことがありマース!」

 

「どうしたのエル。」

 

「何を聞きたいのエルちゃん。」

 

「トレーナーさんが寝ていたらどんなことをしたいか聞いたいデース!」

 

「トレーナーさんが寝ていたら…ブランケットを掛けてあげますね。」

 

「私もグラスちゃんと一緒だよ。エルちゃんはどうするの?」

 

「エルは…一緒に寝マース…/////」

 

「「!?!?」」

 

(回想終了)

 

「ってことがあったんです。」

 

エルコンドルパサーは積極的なウマ娘だった。グラスはだから隣で寝ても問題ないと思っているらしく離れようとしても布団を元の場所に戻された。

 

「トレーナーさん。私の隣で寝るのがそこまで嫌ですか?」

 

「嫌じゃないんだが…いいのかなって…」

 

「私が許可出してるんですよ?それで終わりです。」

 

「強引な終わらせ方だな。まあいいや、仕方ない。」

 

俺は元の場所に戻された布団の中に入り電気を消した。もちろん、すぐ寝れるわけでもなく俺はおめめパッチリ状態だった。隣からはグラスの寝息が聞こえ、俺は心臓の音しか聞こえない状況だった。グラスは寝息を立てて寝ているので物音を立てないように外が見える窓に移動した。満月の月が京都ので街を照らし、川に光が反射して綺麗だった。俺は、落ち着くために見ていると後ろから話しかけられた。

 

「トレーナーさん。」

 

「グラスか。どうした?」

 

「これからも隣に居てくれますか?」

 

「どうした?なんでこんなこと聞くんだ?」

 

「夢でトレーナーさんが居なくなるのを見てしまって…」

 

「なるほどな。大丈夫だ。俺は生涯グラスの担当トレーナーだからな。どこにも行かない。さぁ、寝ておいで」

 

「約束ですよ?指切りげんまんです。」

 

「指切りげんまんだ。」

 

俺はグラスと約束した。生涯グラスの担当トレーナーになることを。そして、グラスは布団の中に入りいい夢を見ているのだろうか寝顔は笑顔だった。俺は、月を見て独り言を言った。

 

「俺にとって光はグラスだ。一緒に夢を追いかけてくれるだろうか。夢を駆けてくれるだろうか。いや…愚問か。グラスなら駆けてくれる。だって3年間も一緒に居たんだからな。」

 

グラスはまだ起きていたらしく、その言葉を聞いて赤面していた。




あとがきに失礼します。
えー。先程前書きで「早めることは出来ない」と言いましたが、今(5月27日現在)では、3話の半分は書き終わっておりますので、ウマ娘で私のグラスがよく出ている安田記念に合わせて出させていただきます。
間に合わなかったらすみません。
艦これ書き終わってませんけど、何とか終わらせますのでご安心を。
なので、たまに出す日が変わることがありますのでご理解ご協力をお願いしますと共に私のTwitterをフォローお願いします。
私のツイートはだいたいウマ娘のことです。
例えばガチャ系になりますと。
私先月から今現在に至るまで約130連爆死しております。
そして、この小説を出し出した頃から10連の中にグラスが入るようになりました。そのことを呟いたりしてます。
そうです。何故かグラスワンダーに独占力がついてしまってます。困ってます。
えっと、最後の方は愚痴になりましたがどうぞ『隣に寄り添う青い炎』をお楽しみください。
そして次の話ですが、トウカイテイオーと中山トレーナーの話です。
どうゆう話になるかは、私のさじ加減ですね。
では、失礼します。


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同期トレーナーの寂しそうな目(第3レース)

間に合いました。
やりました。やったりました。
パクパクですわ!
糖分が欲しいですわ。
そんなことよりも、今回6000文字です。
やりましたね。やっちゃいました。
どんどん伸びていきますね。最終回にはどうなる事やら…もしかして1万文字とか?(笑)
いや、これは私の精神的に無理です(笑)
今回はトウカイテイオーと中山トレーナーが中心となっております。
理由としましては…単なる私の気分です。
次回は今回張った伏線を回収しに行きます。
でも読者の皆様の声を代行させていただきますと
「待てよ?5日に小説を出したってことは次の小説は3週間後の26日になる?」
と思ってる方もいると思います。ご安心ください。元からの予定の再来週には出させていただきます。
26日までに6話に行きたいですが…無理ですので、4話までとなりました。
そして、私事ではありますが…もしかしたらこれ以上に投稿頻度が落ちる可能性があります。
1度言った通り、私は学生です。
進路の時期になってきてしまっており…もしかしたら小説に割いている時間がなくなってしまう可能性があります。
なるべく、読んでいる皆様のために失踪はしたくないです。
ですので、ご理解頂けるとありがたいです。
そして、私の艦これ二次創作小説を読んでいる皆様がいるかもしれませんので一応、ここでも報告させていただきます。
今月いっぱい、艦これ休止とさせていただきます。
理由としては、この小説を出すことによって艦これに割く時間はあるのですが、精神的にきつくなってきております。
ですので、少しの休憩とさせていただきます。そして…新話の伸びがあまり宜しくないので…苦渋の決断です…。
前書きで長いのもどうかと思いますので!
この辺で失礼します。
横に寄り添う青い炎(第3レース)
出走です♪


俺とグラスは1泊2日の温泉旅館を楽しみ、トレセン学園に帰ってきた。学園には横断幕に「祝!トウカイテイオー&タマモクロスURAファイナルズ優勝!!!」と書かれていた。

どうやら、トウカイテイオーは『URAファイナルズ中距離』で頂点に立ったらしい。俺は中山に祝福の言葉を掛けようと探していると、トウカイテイオーの声が聞こえた。

 

「キタちゃん!ボクURAに勝ったんだよ!どうかな?」

 

「テイオーさんなら勝てるって信じてました!」

 

「そうでしょ!そうでしょ!ふふん!」

 

トウカイテイオーとあれは…キタサンブラックが話していた。中山は少し遠いところでトウカイテイオーを見ていた。俺は中山に話しかけた。

 

「おっす。帝王様がURA優勝だって?やるな。」

 

「そんな、今葉だって不死鳥の如くグラスワンダーを頂点に導いたじゃないか。」

 

「まあ、お互いよく一緒に考えたもんだよな。」

 

「そうだな。今となってはテイオーと話す機会も少なくなって、俺は寂しいよ。」

 

「そうなのか?なんかいつも通りイチャイチャしてるもんだと…」

 

「誰がイチャイチャしてるか!そんなお前はグラスワンダーと温泉旅館帰りか。」

 

「ああ。さっきな。」

 

中山は話を逸らしたが、多分寂しいのだろう。トウカイテイオーを見る目はまるで離れていく子供を見るような目だった。俺はグラスに相談した。

 

「グラス。相談していいか?」

 

「良いですよ〜?」

 

「同期のトレーナーがな。担当ウマ娘に放置されているらしいんだ。」

 

「なるほど。それでどうしたらいいかってことですか?」

 

「そうだな…。何か案あるか?」

 

グラスは少し考えるように顎に手を当てた。グラスは「ん〜…そうですね〜。」と言って俺を見た。

 

「お出かけとかどうですか〜?」

 

「つまりデートか。」

 

案が出ても俺とグラスは頭を抱えた。ここはトウカイテイオーのことを1番わかっているであろう『シンボリルドルフ』に会いに行くことにした。俺とグラスは生徒会室前まで来た。中からはシンボリルドルフとエアグルーヴの声がした。俺はノックをして「失礼します。」と言った。シンボリルドルフは「ああ。」と言って中に入れてくれた。

 

「突然すみません会長。」

 

「君は…あー『不死鳥』のトレーナー君か。なにか私に用か?」

 

「実は…トウカイテイオーの件なのですが…」

 

「む?テイオーがどうかしたのか?」

 

「最近、キタサンブラックとよく話していて担当トレーナーが放置されることが多くなりまして。」

 

「ふむ。それは大変な事だな。それで私に助けを求めに来た…と言うことか。」

 

「そうなります。」

 

「そうゆうことならば私も助けよう。しかし、その代わり…」

 

「その代わり…?」

 

「私の渾身のギャグを聞いてもらいたい。」

 

「ギャ…ギャグですか?」

 

「ああ、そうだ。」

 

俺とグラスは目が点になった。あの『皇帝』であるシンボリルドルフがギャグを聞いて欲しいと言ってきたのだ。誰でも目が点になるだろう。横にいたエアグルーヴを見ると頭を抱えていた。エアグルーヴも大変なのだろう。俺は少し考えた後に俺は承諾した。

 

「わかりました。聞きます。」

 

「では…最近、私は料理をしているのだが、生姜焼きを作ろうとしたのだ。」

 

シンボリルドルフは至って普通に話し出した。噂だと急にギャグを入れるらしいが…まずはシンボリルドルフの話に集中した。グラスはニコニコしながら話を聞いていない。俺は冷や汗をかきながらシンボリルドルフの話を聞いた。

 

「しかし、冷蔵庫を見るとあるものがないのだ。生姜焼きには必要不可欠のある食材の生姜が…私は本格的な方なので生姜をすり下ろすのだが…生姜がなかったのだ。だからしょうがないのでチューブの生姜を使ったのだ。生姜がなくてしょうがなくな。」

 

「あ…あはは…」

 

俺はシンボリルドルフのギャグを聞いて冷や汗が出まくった。俺はシンボリルドルフの隣に立っていたエアグルーヴを見ると頭を抱え、やる気も下がっていた。シンボリルドルフはドヤ顔して感想を聞いたそうな耳の動きをしている。俺は感想を言った。

 

「えっと…生姜としょうがないが上手く重なってますね。」

 

俺はオヤジギャグを褒めたことは無い。褒めること自体がないのだから。とりあえず思ったことを言ってみた。すると、シンボリルドルフは嬉しそうに「そうだろうそうだろう。」といいご機嫌だった。俺はシンボリルドルフにそろそろ本題について話し出した。

 

「会長、トウカイテイオーの件ですが···」

 

「そうだったな。ふむ、テイオーはよく私の所に来るがトレーナー君の話ばっかりしているぞ。」

 

「え?例えばどんな感じのことを言って居るんですか?」

 

「ふむ。よく聞くのは『トレーナーはボクのことを1番に考えてくれるんだ!』だったかな。」

 

「裏ではそんな…トウカイテイオーってツンデレですか?」

 

「いや、テイオーはどちらかと言うとデレデレであろう。」

 

「ですね。何か案ありますか?仲を元に戻す案。」

 

「一つだけ案はある。しかし、これは担当君ではないと出来ないことなのだが…少し耳を貸してもらえるだろうか?」

 

「はい?」

 

俺はシンボリルドルフに耳を傾けた。シンボリルドルフは耳元で囁く声で答えた。

 

「テイオーはトレーナー君と出掛けたいようだが、なかなか出掛けれないらしい。だがら出掛けれたら何かが変わるかもしれん。」

 

シンボリルドルフは俺に耳打ちをし、ソファに座った。俺はそれを聞いて行動に出ることにした。シンボリルドルフにお礼をいい生徒会室を後にした。グラスを先に寮に戻し俺は中山に話に行った。

 

「中山少しいいか?」

 

「ん?なんだお前か。」

 

「帝王様の件だ。」

 

「テイオーのこと?」

 

「出掛けてみたらどうだ?」

 

「出掛ける?どこに?」

 

「どっかしらに。」

 

「うーん。なら、今度の休みに行こうか。」

 

俺は中山に出掛けるように言った。そのあと俺はイヤホンを渡した。中山はそれを耳につけたら、急にペコペコしだした。今、中山と話しているのはシンボリルドルフで、トウカイテイオーと出掛ける時に俺らも付いて行くことにした。もちろん、エアグルーヴには止められたが会長が何とか押し切って行くこととなった。

トウカイテイオーと中山が出かける日になり、俺とグラスはマスクとサングラスを掛け、シンボリルドルフを待った。シンボリルドルフは皇帝オーラを消した私服姿だった。俺、グラス、シンボリルドルフは耳にイヤホンを付けて中山とトウカイテイオーのお出掛けを見守ることにした。中山にもイヤホンを渡しており、中山の会話がこちらに聞こえるようにしていた。中山はトウカイテイオーを待っているとトウカイテイオーが走って中山に話しかけた。

 

「トレーナーおまたせ〜!待った〜?」

 

「いや、今来たところだ。どこ行きたい?」

 

「ん〜…そうだね〜。服見に行ってもいいかな?」

 

「服か。いいな。」

 

トウカイテイオーと中山が話している内容を聞いていたシンボリルドルフはボソッと呟いた。

 

「服をデートの定番に含まれる…ふふふっ…」

 

俺とグラスは頭を抱えつつ、2人を追いかけた。

トウカイテイオーと中山は服屋を見に行き、トウカイテイオーが持ってきた服を中山が見て評価するというシーンが少し流れた。近くのカフェから俺らは見ていた。シンボリルドルフはトウカイテイオーと中山を見ていた。俺がシンボリルドルフに話しかけた。

 

「会長。」

 

「む?どうしたのだ?トレーナー君。」

 

「いえ、会長がすごく笑っていらっしゃるので…」

 

「そうか?だが、私でもあのテイオーの笑顔を見たことがない。まるで、乙女の笑顔だ。意中の人ができることはいいことだからな。」

 

「なるほど…」

 

中山とトウカイテイオーが服屋から出て歩道を歩いていると二人の会話が聞こえてきた。

 

「ねぇ、トレーナー。」

 

「どうしたテイオー?」

 

「今から言うことは誰にも言わない?」

 

「ゆ…言わない。」

 

トウカイテイオーは盗聴されてることを気づかず、話し続けた。

 

「実は、ネイチャを探して歩いてたらね?ネイチャとネイチャのトレーナーがハグしてたの。」

 

「な…なるほど…?」

 

俺は吹き出し、グラスは「まあ!」と言い、シンボリルドルフは「はぐれてしまったが最後にはハグをする…うむ。いいのができた。」と言っていた。俺は汗をかきながら中山達を見た。すると、1人近づいてくるウマ娘が居た。

 

「あら?テイオーでは無いですか。」

 

「マックイーンじゃーん!どこかに行くの〜?」

 

「え…私はちょっとした散歩ですわ。テイオーは何をしていましたの?」

 

「ボクはね〜。トレーナーとデートしてるんだ〜!」

 

「あなたがテイオーのトレーナーさんですか…。次の天皇賞は私、メジロマックイーンがいただきますわ!」

 

メジロマックイーンは中山に宣戦布告をした。俺とグラスは近年稀に見るトウカイテイオーとメジロマックイーンの火花散るレースを見ることになった。シンボリルドルフは「目白のマックにIN…ふふ」とまたまたギャグを作っていた。俺は飲み物を買いに行くために2人と少し離れた。俺は自動販売機に小銭を入れ、炭酸水を買った。すると後ろから「ちょっとそこの君。」と呼ばれた。俺は振り返るとそこには身長の高いウマ娘が立っていた。俺は「どうしました?」と話しかけた。そのウマ娘は俺の返事を聞いて話し出した。

 

「君は知っているかな?炭酸抜きの炭酸水を飲むマラソン選手もいるらしい。私は理論を組み立て検証してみたんのだが、実際に成果が出るんだ。これはすごい発見だと思わないかな?」

 

「え?あっはい。そうですね…」

 

「おっとすまない。こんなことを他人に言ってどうするのだろうな。」

 

「俺は…トレセンのトレーナーですけど…」

 

「それはすまない。一応だが、担当を聞いても大丈夫だろうか?」

「グラスワンダーだけど…」

 

「グラスワンダーだと?URA優勝したあのグラスワンダーなのか?」

 

「以外にいます?」

 

「確かにそうだな。取り乱してしまい申し訳ない。なら、今度学園内で話でも聞こうかと思う。君は…大丈夫か?」

 

「だ…いじょうぶだと思いますけど…」

 

「うん。それなら、また今度。名前を名乗ってなかったな。私は『ビワハヤヒデ』。まだデビューしていないから無名だがね。それじゃ、またゆっくり話を聞かせてもらおうとするよ。トレーナー君。」

 

「なんなんだろう。ビワハヤヒデとか言ったな…まあ、あの足ならそのうちスカウトが来るだろう。」

 

俺はビワハヤヒデとの出会いと約束を脳の片隅において、2人の元に戻った。2人はどうやら喫茶店の中に入って、休憩していた。俺たちとシンボリルドルフはこれ以上の偵察は不要とし、トレセンに戻ってきた。シンボリルドルフはトウカイテイオーの笑顔が見れて嬉しそうだった。シンボリルドルフは生徒会室に用事があるらしく、トレセンの前で別れた。俺はグラスを寮の玄関まで送ろうとグラスと歩き出すと、後ろからグラスを呼ぶ声がした。

 

「グラスぅぅぅ!」

 

「この声は…エル?」

 

「どこか行ってたんデスカ?」

 

「トレーナーさんとお出かけです♪」

 

「なるほど…ところで、お2人は恋仲なんデスカ?」

 

俺はエルコンドルパサーの一言に吹いてしまった。俺とグラスが恋仲のわけないのに、エルコンドルパサーは恋仲だと言い出した。グラスは少し固まり、理由を聞いた。

 

「エル?どうしてそんなことを聞くんですか〜?」

 

「さっき、エルのトレーナーさんと話してたんデスガ…」

 

(以下回想)

 

「トレーナーさん!トレーナーさん!」

 

「どうした?エル」

 

「グラスのトレーナーさんとグラスは出来てると思いますカ?」

 

「ん〜。出来てるか出来てないかって言ったら出来てるに近いんじゃないかな?なんか、プロポーズみたいな言葉をかけてもらったって噂は聞くが…」

 

(回想終わり)

 

「ってわけデース。どうなんデスカ?グラス〜」

 

「困りました…トレーナーさんどうしましょうか?」

 

「ここは真実を言ってもいいんじゃないか?グラス」

 

「わかりました。エルしっかり聞いてください。」

 

「了解デース!」

 

「確かに、プロポーズみたいな言葉は頂きました。ですが〜、まだ私たちは恋仲ではありませんよ〜?まだ指輪も貰っていませんから〜♪」

 

グラスは少々含みのある言い方をしたが、確かにあの時…星空を見た時のあのセリフはプロポーズみたいだった。グラスは俺の近くにいることを願っている。つまり、指輪という誓いが欲しいらしい。俺は、そのうちグラスにプレゼントしようと思いつつ、エルコンドルパサーと別れ、グラスを寮の玄関まで送るためにまた歩き出した。グラスはずっと黙っているので話しかけてみた。

 

「グラス?どうした?」

 

「すみませんトレーナーさん。勝手にあんなこと口走ってしまって…。ですが、この想いは本当ですよ?」

 

「そんなことか、大丈夫だ。グラスが言いたいことはわかってる。そのうち買いに行くか。」

 

「本当ですか?」

 

「ああ。本当だ。」

 

「嬉しいです〜♪」

 

こんな会話をしていると寮の玄関の前に着いた。グラスは数段の階段をぴょんぴょんして登り、頬を赤く染めた状態の笑顔で俺に言ってきた。

 

「トレーナーさん。この先もどうか一緒にトレーナーさんの隣で走らせてくださいね?」

 

俺はグラスがそんな告白みたいな言葉を言うと思ってなかったから、一瞬時が止まったがすぐに我を取り戻し返事した。

 

「もちろん。グラスが嫌って言うほど走ってもらうからな?覚悟しとけよ不死鳥」

 

「こちらこそですよ〜トレーナーさん」

 

グラスはそう言って寮の中に入っていた。最後に小さく手を振ってくれた。俺は振り返し、トレセンのトレーナー室に向かった。トレセンの正面玄関から入り、二階へ上がり自分のトレーナー室に入った。そこには、謎の手紙とファイルが置いてあった。ファイルの名前は『トレーナー不在ウマ娘』と書かれており、手紙の送り主は『理事長』だった。『理事長』はウマ娘トレーニングセンター学園の運営者であり、俺たちトレーナーの直属の上司だった。俺の他に同期も呼ばれているらしい。手紙に書いてある招集メンバーは「今葉 勝馬」「坂本桜花」「中山翔夢」「松風華麟」だった。「松風華麟」は『漆黒のスレイヤー』ライスシャワーのトレーナーで2回の天皇賞・春を連覇している同期だ。URAは今年のやつに出ると話は聞いたことあるが、松風は1つの場所に留まることがなく、いつもどこかに行ってはそこでトレーニングをしているらしい。それが今のライスシャワーの強さとなっている。グラスとライスシャワーなら、もしかしたらライスシャワーの方が強いかもしれないが、次グラスが出るレースは『宝塚記念』だ。去年、『日本総大将』スペシャルウィークを倒したあのレースにグラスは光栄なことに選ばれた、他に『怪物』オグリキャップや『帝王』トウカイテイオーも投票されているらしいが最も投票されているのは『皇帝』シンボリルドルフだ。まさかの、会長が宝塚記念に参加する予定らしい。

一応、ライスシャワーも参加するので同期トレーナーの担当が出るレースになってしまうようだ。俺はグラスを2度目の宝塚記念を優勝させるため、グラスのトレーニングを強化するのだった。



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グラス特製カレー(第4レース)

お待たせしましたー。
今(現在2021/06/20 02:26)完成です。
まだ4話目ですが…実のところ久しぶりの小説書きだったんです。
投稿してから1週間ほど休んでおりまして、今週から書き始めたこの小説。
どんな話だったのかも忘れてしまってます。しかし、皆さん。恋愛はお好きですよ?ってことで実験的でありますが視点移動をしてみました。まだ私も簡単に使えるって訳ではありません。ちゃんと練習して使えるようになりますので生暖かい目で見ててください。
今回の話は…なんだろ…
スリーマンセルが始まるようで始まらない話です。
まあ、グラスと主人公の話なんでね。
恋愛系はこれぐらいで次回からはオグリの復活ですね。
あらすじ的には
『URAでタマに負けたオグリと坂本はトレーニングに力が入っていなかったがオグリの一言で坂本がやる気になる』って感じです。
まあ、ほとんど私の妄想で夢の話です。
私みたいな人は多分いるでしょう。居なきゃこの小説は読まれませんね。
不快に思ってしまわれたらすみません。
次回以降はこんな不快にさせる言葉は前書き及び後書きには書きませんのでご安心を。
どうか、この小説をよろしくお願いします。
出来れば、感想または評価をつけて頂けたら幸いです。
それと、読者の皆様の友人や家族、ネッ友の方にも宣伝してもらえたら幸いです。
もちろん、ウマ娘を知っていなければ意味がありませんが…
では、そろそろ小説を読んでもらいたいので私はここで。
次回もどうぞよろしくお願いします。
綾凪九尾でした。


俺たち同期は今理事長室に居る。松風は「少し遅れる。すまないね。」とだけ連絡をして音信不通になった。理事長室の空気が重くなる中、松風が「渋滞に嵌ってしまってね。申し訳ない。」と言って中に入ってきた。理事長は外を見て待ってくれた。俺が理事長に話しかけると理事長はこちらを向いた。

 

「うむ!よく集まってくれた!今回招集したのは他でもない!2人目のウマ娘をトレーニングしてもらう!」

 

俺は、理事長に向かって「2人目ですか!?」と言うと理事長は返事してくれた。

 

「肯定!!トレセンを盛り上げるつもりでよろしく頼む!」

 

同期達は許諾したが俺はグラスだけをトレーニングすると決めていたが理事長の頼みならばと思い渋々承諾した。俺はそそくさと理事長室から出ていき、自分のトレーナー室に帰った。トレーナー室では、グラスがソファで寝ていた。俺は優しく起こした。

 

「グラス?ここで寝ると風邪引くぞ。」

 

「えっ…あ、トレーナーさん。すみません。テストなどが重なってしまい、寝てしまいました…。」

 

「勉強することはいいが…無理しないでくれよ?」

 

「わかってます〜♪ところで、理事長さんに呼ばれてたみたいですけど…どうされたんですか?」

 

「あー…スリーマンセルでトレーニングしろって言われた。」

 

「スリーマンセルですか。どなたをトレーニングするのか決めているんですか〜?」

 

「いや…まだ決めてないんだ。だが、この『ビワハヤヒデ』はどこかで…」

 

「私は心当たりがありませんが…」

 

「あっ、思い出した。」

 

「本当ですか?」

 

「前の中山の時に話しかけられたな。炭酸水がうんたらって言われたが…」

 

「炭酸水ですか?」

 

「ああ。炭酸水。」

 

「??」

 

グラスの頭の上にハテナマークが浮いているのが見えた。悩んでいるグラスもなかなか可愛いものだが、話が進まないので名残惜しいが話を進めようとした時トレーナー室のドアからノックする音が聞こえた。俺は「どうぞ〜」と外に聞こえるように返事をした。ドアを開けてきたのは『ビワハヤヒデ』だった。

 

「やぁ、トレーナー君。」

 

「どうした?ハヤヒデ」

 

「君との約束の件でね。ゆっくり話そうと思ってな。」

 

「そういえばそんな約束してましたな〜。」

 

「覚えていてくれたか。それならいいんだ。ん?君がワンダー君かな?」

 

「どうも〜♪グラスワンダーと申します♪」

 

「私はビワハヤヒデだ。よろしく頼む。」

 

「顔合わせは終わりか。んで、ハヤヒデは何を話に来たんだ?」

 

「ふむ。その件なのだが…私のトレーナーになる気は無いか?トレーナー君。」

 

「へえ?」

 

「ん?理解できなかったかな?難しくはないはずなのだが…もう一度言おう。私のトレーナーになる気は無いか?トレーナー君。」

 

「あらまあまあ…」

 

俺はビワハヤヒデからの逆スカウトを受けた。グラスはニコニコして口に手を押えていた。俺は少し考えた。

俺はグラスの生涯トレーナーとして生きると決めたが理事長からの命令と思いつつ…俺は考えた。その時間なんと1分。俺は覚悟を決め、ハヤヒデに返事をした。

 

「わかった。トレーナーの件受けよう。」

 

「そうか。理論上そうなると思っていた。よろしく頼むトレーナー君。もちろんワンダー君もだ。」

 

「よろしくお願いします〜♪」

 

グラスはハヤヒデに敵対オーラを出さずに挨拶をした。俺は修羅場を越えれたと思った。同期のトレーナー達は後日、担当ウマ娘が決まったと風の噂で聞いた。中山は『マルゼンスキー』。坂本は『マンハッタンカフェ』。松風は『アグネスタキオン』だった。

特にアグネスタキオンとマンハッタンカフェはクラシック三冠を狙うハヤヒデの大きな壁になるだろう。しかしそれでも、俺はハヤヒデをトレーニングすることを決めた。

そして数日後、グラスが俺の自室に来た。

理由を聞いたところ…

 

「トレーナーさんがちゃんとしたご飯食べてないと思ったんです〜♪ですから、私がご飯でも作ろうと思ったんです。」

 

どこかで、俺の食事がバランスの良くない食事と聞いたのだろうか俺とグラスはトレセン近くの商店街に来た。この商店街が『ハルウララ』や『ナイスネイチャ』がよく使っている商店街で、ウマ娘達には優しい店主さんが多い。

よく言われることは「お兄ちゃん…グラスちゃんの彼氏さんかい?」とよく聞かれる。俺は「まだ違いますよ〜」と躱す。グラスは俺の言葉を聞いて頬を紅く染める。それが商店街に行くと日常茶飯事になっている。商店街の人たちももうわかっているのか、聞いてくることは無くなったが花屋さんはよく花言葉が告白系の花を渡してくる。早くプロポーズしろってことだろうがウマ娘と結婚出来るのだろうか。俺はそんなことを考えながらグラスと買い物を進めた。俺は妄想でグラスにエプロン姿を見て「あっ尊い。」と思いつつ、意識を離さないように必死にしていた。グラスは俺の顔を見ずに黙々と野菜を選んでいた。グラスはいつも下ろしている髪の毛をポニーテールにして買い物に来ていてそんな姿のグラスが新鮮で口角が上がってしまう。

俺はそんなグラスを見ていると後ろから呼ばれた。

 

「やぁ、今葉。何をしているのかな?」

 

「ん。あー松風か。お前こそ何してるんだよ。」

 

「私か?私はだな。ふっ、少しタキオンの実験用具を買いに来たんだけどね…ん〜商店街にはないのかな?」

 

「逆にあると思う方が頭おかしいだろ。」

 

「それもそうだね。どこか知ってるかな?」

 

「知ってたらもう言ってる。」

 

「そうだね。おっと…デートの邪魔だったかな?」

 

「えっ?」

 

俺はグラスを見るとグラスは般若みたいな顔をして松風を睨みつけていた。松風は「すまないね。邪魔をしてしまって。」と言ってどこかに消えていった。グラスの方を見るといつものニコニコ顔に戻っていた。

 

「今のはどなたですか?トレーナーさん。」

 

「今のは同期だよ。ライスシャワーのトレーナーだ。」

 

「なるほどです〜。トレーナーさん今日はカレーにしましょうか。」

 

「カレーか。あっでも俺辛いの無理だぞ?」

 

「そうですか♪なら、甘口と中辛を混ぜましょうか♪」

 

「実家ではそうだったな…。」

 

新婚みたいな会話を商店街でしていた。周りの目は「早く結婚しろお前ら」みたいな感じだった。俺の本音としては「できるのならしたいよ?でも、していいものか。」と思ってしまう。グラスはそれを許すのだろうかなども考えてしまうが、遠くない未来にそうなるかもしれないと少し未来が楽しみになる。今はグラスが作るカレーライスがとても楽しみだった。グラスが会計を終わらせて「行きましょか〜♪」と言って俺らは俺の自室に戻った。俺は、最近の徹夜のせいで瞼が重くなった。グラスは俺の状況に気づき言葉をかけてくれた。

 

「トレーナーさん。お疲れのようですし、お休みになったほうがよろしいと思いますよ。ご飯の用意は私がしておきますので、出来たら起こしますね?」

 

俺はグラスの言葉を聞いてから意識を手放した。夢の中では、グラスが「ユメヲカケル」を踊っているシーンが流れている。隣にはハヤヒデが踊っていた。グラスとハヤヒデが背中を合わせてグータッチをするシーンが見えた。俺はそれを見て安心した。そのシーンがずっと流れていたが、急に目の前が暗くなり、俺の目の前からグラスが消えていた。ハヤヒデもどこかに消え俺は一人ぼっちになっていた。俺は孤独に襲われて泣いてしまった。その時に目が覚めると台所から「トントントン♪」とリズム良く野菜を切る音が聞こえる。何も考えずに俺は台所に向かった。グラスが俺に気づいて包丁をまな板の上に置いて話しかけてくれた。

 

「おはようございますトレーナーさん。意外とお早いですね。あら?どうしました?私の顔になにか付いですか?」

 

俺はグラスがいることを再確認するとグラスを抱きしめた。

グラスは「トレ…ナー…さん?」と戸惑っていた。俺は自分がしていることに気が付き、すぐにグラスを離した。すると逆にグラスが俺を抱きしめた。

 

「私はずっとこれをしたかったんですよ?でも、トレーナーさんは…いつまでも堅物で私の気持ちに…気づいてますか?/////」

 

グラスは頬を紅くしてそっぽを向きながらそう言ってきた。俺が怖がっていた結果がなかったようだった。グラスは居心地が悪くなったのか「トレーナーさん。待っててくださいね。すぐに作りますから〜。」と言ってまたまな板の方を向いた。俺は、刃物を使っているのでここで抱きつくのは違うも思いリビングに戻った。

 

《グラス視点》

どうしたらいいのでしょうか…まさかトレーナーさんに抱きつかれるとは思ってもいませんでした。匂いとか大丈夫でしょうか…念の為に香水を振っといて正解でした〜。キングさんには助けられました♪

しかし、私は少し暴走してしまいました…まさか、私から告白みたいな言葉を言ってしまうとは思ってもいませんでした。ですが、ここは大和撫子。落ち着いて取り乱したところは見せません。深呼吸をして、気持ちを入れ替え。無心でカレーライスを作る。それが今の私がすることです。でもダメ…トレーナーさんと結婚式を挙げているシーンが目に浮かぶ…ダメですよ!私の妄想…無心です。あっ愛情は忘れません♪

これだけは言えます。

トレーナーさんは誰にも渡しません♪

 

《今葉視点》

グラスのあの言葉はなんだ?告白…じゃないはずだが、でもグラスって意外と甘えっぽいところもあるから…んー?

まあ、グラス特製のカレーライスでも待つか。

俺は、グラスが作っているカレーライスを待ちながらテレビを見た。テレビでは大井競馬の第11レースが行われようとしていた。グラスが台所からリビングに来た。どうやら、グラスの同期『エルコンドルパサー』が出走しているようで応援のためにこっちに来たみたいだ。ダートのコースはグラスとは無関係だが同期のレースは別だ。ダートが出来るウマ娘と芝が出来るウマ娘。グラスは芝が出来るウマ娘だ。でも、エルコンドルパサーは芝もダートも出来るオールラウンダー的存在でもあった。俺とグラスは見入るようにテレビを見た。すると野菜を煮込んでいる鍋がお湯を吹いてしまいいい所でグラスが台所に走っていった。俺も後ろからついて行くとグラスは「ふぅ」と息を吐いて振り向くと俺が居たから下を向いた。俺は無言のままリビングに戻り座った。グラスは結果だけを見に来てカレーを作りに戻った。俺はお茶を飲みゆっくりしていた。グラスは台所からチラッとこっちを覗いて「トレーナーさん。カレー出来ましたので…準備してもらっても…いいですか?」と言ってきたので、俺は台所に行くとグラスと目が合った。俺は何もすることなくリビングに戻った。グラスは頬を紅くしてまま鍋の方を向いた。グラスは無言のままご飯を盛り付け、カレールーをかけた。グラスは両手にカレーライスをもってリビングに来た。俺の前にカレーライスを置き俺の隣に座った。グラスは手を合わせて俺の方を見た。俺は「いただきます」と言ってスプーンを取った。グラスは頬を赤くして俺の事をじっと見て食べるのを待っていた。感想を聞きたいのしっぽがソワソワしている。俺はグラス特製カレーを口に運んで食べる。味は母親のカレーとはまた違う味でこんなカレーを食べたのは初めてだった。俺はグラスに感想を言おうとスプーンを置いた。グラスは少しシュンとして、話しかけてきた。

 

「お口に…合いませんでしたか…?」

 

弱々しい声で俺に言う。勘違いをしているようだ。俺はすぐに誤解を解いた。

 

「その逆だ。お口に合いすぎて大好きだ。」

 

「トレーナーさん…お口がお上手ですよ♪」

 

さっきの落ち込んでいたのに俺の一言ですぐに顔に笑顔が戻る。ああ…癒しだ。

 

「ふぅ…食った食った。ところでグラスさんや。」

 

「どうされましたか〜?」

 

「そろそろ門限じゃないか?」

 

「そうですね〜。外泊届出してますよ〜。」

 

「相変わらず、用意周到…」

 

そろそろ俺が理事長に怒られるんじゃないかってぐらい外泊届を出している。寮長からはよく睨まれる。まあ、誤解を解くために毎回説明しているが…それでもグラスの寮の人達には「グラスさんの彼氏さんだ…」とか言われて毎回汗をかく。まあ、彼氏で済むのならいいが…。俺は時間を見るともう23時だったのでグラスにお風呂を勧めた。

 

「グラス。時間が時間だ。お風呂入っちゃってくれ。」

 

「いえ、トレーナーさんが先に入ってください♪」

 

「いや、俺は大丈夫d…」

 

「入ってください♪」

 

「あっ…はい。」

 

グラスの圧に俺は屈してお風呂に入った。もし結婚した時は大変だろう…と思いつつお風呂に向かうと…

 

「トレーナーさん。なにか考えてますか〜?」

 

グラスは何かを感じ取ったように俺に聞いてきた。俺がガクガクとして振り向くと、ニコニコと笑っているグラスがいるがあの笑顔を裏は鬼のような顔をしているはずだ。俺は刺激をしないように返事をした。

 

「は…ハハハ…まさか。グラスは可愛いなって思っただけだよ。」

 

「そ…そうですか〜♪それならいいです♪」

 

何とか機嫌を直し俺は脱衣場で服を脱いだ。グラスに支えてもらってもう3年と長いようで短い時間だった。これからもグラスに支えられながらトレーナーをするんだろう。俺は死ぬまでトレーナーとして生きていくつもりだ。もし結婚できなくても、その時はその時だ。養子でも取ろうかと軽く考える。洗濯物を洗濯機の中に入れ風呂場のドアを開ける。誰か居たらそれはそれで事件だが、誰も居るはずなく風呂場に入る。シャワーがお湯に変わるまで出して、シャワーを浴びた。俺はあることを思い出した。

 

「(この家…布団1つしかない!!)」

 

そう、かなりの緊急事態なのだ。今から布団を買いに行くか…いやもうホームセンターや布団屋は閉まってる。俺は目を見開いて焦に焦った。

 

《グラス視点》

先にお風呂に入ってもらいましたので、布団でも引いておきましょうか。トレーナーさんは「布団は押し入れの中だ。まあ、グラスに言っても泊まることないから言う必要ないか。ハハハ」と言っていたのを思い出した。私は『ユメヲカケル』を鼻歌で唄いながら押し入れに向かった。私は押し入れを開けて思い出した。

 

「(トレーナーさんのアパート…ってことは布団は1つ…?)」

 

押し入れに入っている布団が物語っていた。私は目をぐるぐるさせ、布団を持った。持っていく時布団に顔を埋もれてしまった。その時布団の匂いがトレーナーさんの匂いで私は布団に顔を埋もれさせて深呼吸をした。

トレーナーさんに包まれている感じでとても安心できた。

私は布団を床に引いて、リビングに戻った。トレーナーさんはまだお風呂に入ってる。私は最近付け出した日記を取り出して、今日あったことを書き記した。『2月○×日 今日はトレーナーさんにカレーを作った。口にあってよかった。』とだけ。恥ずかしいからここではあまり書かないでおこう。そろそろトレーナーさんが出てくるから日記を片付けてトレーナーさんが出てくるのを待つ。私もお風呂に入るのならパジャマが必要だと思い出し、カバンの中からパジャマを取りだした。トレーナーさんに見られても恥ずかしくないパジャマを。何を考えてるんだか…私は。暇あればトレーナーさんって私はトレーナーさんがいないことを良いことに呟きたいことを呟いた。

 

「はぁ…トレーナーさんの隣に入れればどれだけ幸せなんでしょうか…」

 

《今葉視点》

俺は体を洗い終えて、脱衣場に出た。バスタオルで拭いて下着を履きズボンだけを履いた。上半身はまだ冬だが暑いので裸のまま出た。リビングではグラスがボーッとしているが俺はそんなの関係なくリビングに戻った。グラスは俺に気づいて「あっ!おかえり…なさい…トレーナー…さん/////」と照れて言ってきた。何かおかしいことがあっただろうか?また今度中山とか坂本に聞いてみよう。俺はグラスにお風呂に入るように勧め、シャンプーやリンスの場所などを教えてからお風呂に入れた。俺は寝室に行き布団を引こうと思ったらもう引いてあったので俺は布団の上に寝っ転がった。しかし、根本的な解決はしていない。そう、布団が1つしかないことが解決していない。俺は考えに考えたが思い浮かばなかった。このままグラスと同じ布団で…いやいや。ダメに決まってる。そんなのスクープ物だ。とりあえず俺は、何とかして寝るとしよう。そうしよう。グラスには布団に入ってもらって…うん。我ながら最高の考え。自分を自分で褒め称える寂しさを噛み締めながらドライヤーで髪の毛を乾かす。グラスは俺の事をどう思っているのか…普通にトレーナーなのか…それとも友?仲間?もしかしたら好きな人?はっ自分の言葉に笑いが出る。そんな恋愛映画みたいなことが有り得るか。俺はグラスがいないことを良いことに呟いた。

 

「どう思っていようが…俺はグラスのことが好きなんだよな〜。」

 

グラスが出てきてないことを確認するために脱衣場のドアを見る。誰もいない。俺は立ち上がり現場犬のように「OK!」とポーズを取り座った。一応念の為だ…。聞かれたら活火山に飛び込みたい。

 

《グラス視点》

まさかトレーナーさんが上半身裸で出てくるとは思っていませんでした。しかし、トレーナーさんと同じシャンプーを使えて嬉しい限りです。しかし、これでいいのだろうかと考えてしまう。このままトレーナーと担当ウマ娘という関係のままで…私は自分の想いを伝えることが苦手だ。大和撫子のように自分の想いは隠してしまう。それが恋心であっても…トレーナーさんは私のことをどう思っているのだろうと思いつつ私は脱衣場へ出る。その時トレーナーさんの言葉が聞こえてきた。「どう思っていようが…俺はグラスのことが好きなんだよな〜。」と。私は確信した。私たちは両思いなのだと。私は、トレーナーさんにも見せたことの無い満面の笑みで喜んだ。しっぽも取れるんじゃないかとぐらいブンブンと揺れる。おかげさまでしっぽは振りすぎにより乾いていた。私はニヤニヤを止めるために精神統一をして、脱衣場から出た。

 

《今葉視点》

グラスが出てきて、数十分が立った。そろそろいい時間なので寝ようと話になった。俺とグラスは寝室に向かうが布団は1つ。グラスと俺は時が止まったが、グラスが布団に寝ればいいと言うとグラスは「トレーナーさんの方が疲れてますから布団で寝てください。」と言われた。しかし、俺はここは譲らない。グラスの方が疲れているのだからと半強制的に布団に入れた。するとグラスは顔を赤くしてそっぽを向いた。俺は今の状況を冷静に考えると年頃の女の子(ウマ娘)を布団に押し倒したやばい状況になっていたことを理解した。俺は直ぐに避けたがグラスは俺のパジャマの裾を掴んで一言言った。

 

「トレーナーさん。一緒に寝ませんか?」

 

「…えっ?」

 

俺は唾を飲み込んだ。まさかの添い寝のお誘いだった。前に温泉旅館の時もそうだがどうしてこうなる。俺は反論しようとしたが、グラスの眠たそうな顔に反論できず仕方なく一緒に布団の中に入った。

グラスは布団の中に入ると直ぐに寝てしまい寝息が聞こえてきた。俺は、グラスが横で寝ていて寝顔も見れる状況で寝れるわけでもなく、コンディション『寝不足気味』を翌日取得することになった。そして、グラスにも怒られ。グラスの寮の寮長『ヒシアマゾン』にも怒られた。会長は何も言わなかった。俺は次から気をつけようと思いつつトレーナー室で昼寝をする。グラスを想いながら…



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水族館での誓い(第5レース)

「トレーナーさん?もしもーし?」

 

俺は目を覚ますと、グラスがちょこんと机の縁から覗くように俺の顔を見ていた。俺は、そんなグラスを見て尊死仕掛けたが何とか持ち堪えて、起き上がった。グラスは少し俺のことが心配そうで顔をも出ていた。まあ、寝不足の理由は【グラスと一つ同じ布団で寝たから】だが。そのことをグラスは知らず、朝からぷりぷり怒っている。

朝からの説教があった。

 

「おはようございます。トレーナーさん。あら?目元にクマが…よく眠れませんでした?」

 

「えっ…あーちょっと天使が横に居て…だからねれませんでした。」

 

「問答無用です。睡眠は人には大切な生活習慣です。それをわかっているのですか?」

 

「はい…」

 

「トレーナーさんのことですから、私が授業中にでも寝るのでしょうか?」

 

「そ…うなりますね。」

 

「それならいいです。ちゃんと疲れを取らなかったら…トレーナーさんをぎゅぅぅぅぅぅっとしてあげますからね?」

 

「あっはい…(やばい…あの顔は激おこだ…)」

 

こんな感じにあった。本当に命の危険を感じのがさっきの朝。

グラスをが俺の顔を覗いていたから目を合わせる。

俺とグラスは目線が絡み合っていた。

そのときドアが開き。誰かトレーナー室に入ってきた。

 

「やあ、トレーナーくん。今日は…はや…い…ななな…何をしているんだ!トレーナーくん!」

 

「何って、見つめ合ってただけだが?」

 

「いや…そうなのだろう。いや…しかし…」

 

「ハヤヒデ。お前は何が言いたいんだ?その口で。」

 

俺は寝起きの謎テンションでハヤヒデに顎クイをした。ハヤヒデはメガネが爆発し倒れた。グラスは「トレーナーさん?」と言って圧をかけてきた。俺はすぐにグラスの方を向き説明した。

 

「いや…あのー…寝起きの謎テンションでやってしまいました。」

 

「それは別にいいですよ。ハヤヒデ先輩も担当ですから。その代わり…」

 

「その代わり?」

 

「私以外にそんなこともうしないでくださいね?トレーナーさん。」

 

グラスはそう言ってトレーナー室から出ていった。

俺はハヤヒデをソファの上に寝かせ布団を被せて、トレセンを散歩しに行った。

俺はターフの方に歩いていると後ろから話しかけられた。

 

「少しいいだろうか。今葉トレーナー」

 

「ん?その声はオグリンか。」

 

「オグリンと呼ぶのはやめて欲しいな。しかし、今は少し相談があるのだが…」

 

「んー。当てて見せよう。そうだな…URAで負けたからトレーニングに力が入らないってところだろうか?」

 

「ああ、さすがだな。その通りだ。どうすればいいのだろうか?」

 

「そうだな。出かけてみたらいいんじゃないか?」

 

「なるほど…では、トレーナーを誘って出かけてみよう。」

 

オグリンはそう言って、どこかに走っていた。俺は、グラスに連絡した。

 

「もしもし。グラスか?」

 

「違いますよ〜。」

 

電話からは見知らぬ声が聞こえてきた。グラスはエルコンドルパサーと同室だが、エルコンドルパサーの声ではなかったから質問した

 

「えっと…誰?」

 

「えっ?誰ってエルですよ。」

 

「ん?エル?エルコンドルパサー?」

 

「デース!」

 

「うん。エルコンドルパサーか。グラスは知らないか?」

 

「グラスなら…多分弓道場と思いますヨー。」

 

「弓道場か。ありがとう。」

 

「イイデース!たまには助け合いも必要デスよ!」

 

俺はエルコンドルパサーにお礼を言って電話を切った。エルコンドルパサーの素の声はあんな礼儀正しい声だったのは初めて知った。さて、グラスは弓道場に居ると言われたので行ってみた。

弓道場の中からは「バシュ」と音が聞こえてきた。中を覗くとグラスが静かに、弓道をしていた。俺は話しかけることを躊躇してしまい、背中を見続ける状況が続いた。

すると、グラスがこっちを向いて話しかけてきた。

 

「トレーナーさん?どうされましたか?」

 

「あー。いや、グラスを探しててな。」

 

「私を…ですか?どうしました?」

 

「どうやら坂本とオグリンが出掛けるらしい。後付けたいんだが…頼めるか?」

 

「んー。そうですね。多分大丈夫だったはずですよ。」

 

「そうか。じゃあよろしく頼む。」

 

「ところでトレーナーさんは弓道は出来ますか?」

 

「弓道か?したことが無いな。」

 

「あの時みたいに見ていきませんか?」

 

「あの時って…スカウトした日のことか?」

 

「はい。私とトレーナーさんにとって大事な思い出です。」

 

俺はグラスを見るが、太陽の逆光でグラスの顔が影になってよく見えなかったが少し頬が赤かった気がする。

 

【一方その頃オグリンは…】

「トレーナー!少しいいだろうか?」

 

「えっ?なに?オグリのご飯食べてないよ?」

 

「違う。そのことはどうでもいいんだ!」

 

「どっ…どうした?」

 

「明日出掛けないか?」

 

「えっ?出かける?明日?」

 

「ああ。たまには息抜きをと思ってな。」

 

「確かに、それは必要か。よし、行こうか。」

 

「どこに行くか決めといてくれよ?」

 

「わかった。」

 

【今葉視点に戻る】

俺は弓道場でグラスが弓道をしている姿を見ていた。静かな弓道場にグラスが放つ弓の音が反響してた。グラスはチラチラと俺の方を見るが、精神統一をして弓を放つ。

弓は見事に的の真ん中に刺さった。俺は拍手した。

 

「さすがだな。グラス」

 

グラスは的の方にお辞儀をし、こっちを向いた。

 

「ありがとうございます〜♪トレーナーさんに見られながらって言うのは少し難しいですね。まだまだ練習が必要です♪」

 

グラスはそう言って更衣室に消えていった。俺はグラスが出てくるまで外で待っていたら、ハヤヒデから電話がかかってきた。

 

「トレーナーくん。君は今どこのいるのかな?」

 

「今か?今なら弓道場だが?」

 

「そうか。すまないが少し図書室に来て貰えないだろうか?」

 

「図書室?」

 

「うむ。少し会いたい人が居てだな。」

 

「なるほど。ちょっとグラスに言ってから向かう。」

 

「すまないね。」

 

ハヤヒデは電話を切った。俺はグラスが出てくるまで待とうかと思って居たらグラスが出てきた。

 

「あっトレーナーさん待っててくれたんですか?」

 

「そうだが…少しハヤヒデに呼ばれたからいいか?」

 

「構いませんよ〜♪」

 

俺はグラスに伝えて、図書室に向かった。

走って向かっているとオグリンと坂本が居た。俺は、2人に話しかけた。

 

「おっ?坂本とオグリン」

 

「おー。どうした?今葉」

 

「俺はハヤヒデに呼ばれてな。お前は?」

 

「俺か?俺はな、オグリに出掛けようと誘われていたんだ。」

 

「なるほど、いいと思うぞ。そうだ!この水族館のペアチケット持って行ってくれ。俺には行く暇がなくてな。」

 

「いいのか?すまない。」

 

「同期だろ?いいってこさ。じゃ!」

 

「ああ。」

 

俺は坂本にチケットを渡し、また走り出した。

図書室の前に着くと、松風が話しかけてきた。

 

「おや?今葉じゃないか?」

 

「うわ…松風だ。」

 

「うわとはないんじゃないか?君は何をしにここに?」

 

「ハヤヒデに呼ばれたんだが?お前は?」

 

「私か?私はタキオンに呼ばれてね。ライスは今頃、ウララくんと遊びに行ってるはずなんだが…とりあえず入ろうか。」

 

「そうだな。」

 

松風が図書室のドアを開け、俺と松風が入るとそこにはタキオンとハヤヒデが向かい合って座っていた。俺はとりあえず、ハヤヒデの横に座り松風はタキオンの横に座った。少しの間、沈黙の時間が流れた。俺は冷や汗をかき始め、何を話せばいいのか考えているとハヤヒデが沈黙を破った。

 

「タキオン君。頼んでいたあれは出来ているのかな?」

 

タキオンはハヤヒデの質問に笑いながら答えた。

 

「ふぅん。もちろんだとも。なかなか、興味深いから作ってみたよ。モルモットくん、そこのフラスコを取ってくれるかな?」

 

タキオンは松風にフラスコを取ってもらっていた。

俺はもっと冷や汗を書いた。

このトレセンにはやばいアグネスが2人居ると聞いた。

1人は

【ウマ娘のカップリングを見て尊死する『アグネスデジタル』】で

もう1人は…

【色んな薬を作り人で試すマジでやべぇ方のアグネス『アグネスタキオン』】だ。

そのマジでやべぇ方のアグネスからハヤヒデはフラスコを受け取った。俺はハヤヒデにその液体を何か聞いた。

 

「あのー…ハヤヒデさん?その薬は何?」

「ん?この薬か?この薬は私がタキオン君に頼んでいた癖毛を無くすための薬だよ。トレーナーくんが担当になる前に頼んでいてね。」

 

「な…なるほど?今でも可愛いと思うが…?」

 

「…だ。」

 

「え?なに?」

 

「……倍だ。」

 

「え?」

 

「ストレートの方が5倍可愛い。」

 

「いや、癖毛ってところがかわい…あっ。」

 

「どうしたのだ?トレーナーくん」

 

俺は後ろからの気配を感じ取った。あの表情が伝わりずらい松風も口角がピクピクし苦笑いをしていた。

俺はゆっくり後ろを向くと、グラスがニコニコとしていた。俺は立ち上がり、トレーナー寮に走って帰った。

何とか、グラスから逃げ切り自分の部屋に入るとそこには坂本と中山が居た。

 

「人の部屋に入るなよお前ら。」

 

俺は少し呆れながら言うと中山が反論してきた。

 

「俺らは同期だろ?それに何かやばいもの置かれてる訳でもないんだからいいだろ?」

 

確かに、見られてやばいものは置いていない。俺のはだ。俺のは置いていない。しかし、一つやばいものが置かれているのだ。俺は、やばいものがないと言い返そうとしたができるはずがない。だって、グラスの薙刀が和室に飾られているのだがら…。俺は「そっ…そうだな!ははは…」と言って同期で机を囲んだ。松風は女子寮のためこっちに来れない。(たまに忍び込んで来るが…。)

酒盛り…が始まる訳ではなく、2人目の担当の話をしに来たらしい。坂本は違うことを聞いたそうにしていたが、話は盛り上がった。

中山がハヤヒデのことを聞いてきた。

 

「にしても、ビワハヤヒデって確か前の選抜でかなりスカウトあったんじゃなかったか?」

 

「らしいな。あっ焼きそばうま。それを断って俺の所に来たらしいが…」

 

「焼きそば食うのか、説明するのかどっちかにしろ…。だが、そこまでする意味があったのだろうか?今葉って数学の点数悪かっただろ?」

 

「それでも高校生時代最低点数は32点だ。」

 

「確か…確率のところだったか?」

 

「そうだ。ずっと授業中寝てたから理解出来てなかった。親にめちゃんこ怒られたぞ。」

 

「当たり前だろ。そうなるとますます、わからなくなるな。」

 

「んだんだ。ところで、坂本は明日オグリンとデートだろ?」

 

俺は坂本に話を振った。急な話題転換に中山や坂本は驚きつつ、坂本は答えた。

 

「そうだな。デート…では無いと思うが…。」

 

「おめかしして行くんか〜?」

 

「一応は。」

 

「「ほーん」」

 

「なんだその顔は!」

 

「「別に何も(ないよ)」」

 

俺は、水族館に行く時の注意点を説明した。

意外と、水族館で別れるカップルが多いからね。

 

「まずだ。坂本。」

 

「ん?」

 

「魚に見とれるな。絶対にオグリンから目を離すな。」

 

「わかった。」

 

「次に人が多い時は手を繋げ」

 

「は?」

 

「だから手を繋ぐんだよ!迷子になるぞ。特にあのオグリンなら…。」

 

「それも…そうか。」

 

俺が一つ一つ忠告している横で中山は「うんうん。」と頷く。

俺は、中山を見つつ何か言うのか待ってみた。しかし、中山は何も言わない。それもそのはず、前のテイオーとのデートの時ほとんどテイオーに手を引っ張られて行ったから中山は乙女心が分からないのだ。なんでだよ…。時計を見ると消灯時間が近くなっていたので、2人を追い出し鍵をしっかり閉めてお風呂に入った。

風呂に入っている時に思い出したことがあった。

 

「(しまった!グラスに何時集合か言うの忘れた!!ついでに、坂本に何時から行くかも聞いてねぇ!)」

 

今葉…一生の後悔。ちゃんとしとけば、今頃用意出来ていたんだが聞くのを忘れたので何も出来ない。俺は風呂に出てから坂本に電話をしようと思って風呂場から出た。誰か居たらそれで怖いが居るはずもなく、脱衣場で濡れた体を拭く。ため息を付きつつ、脱衣場を出ると誰もいるはずの無いリビングから一言言われた。

 

「ため息をつくと、幸せが逃げますよ〜♪」

 

「えっ?」

 

俺は誰もいないはずのリビングを見た。そこにはグラスが座っていた。俺はしっかり、鍵がかかっていることを確認してから風呂に入ったが何故かそこにはグラスがいる。俺はグラスに質問した。

 

「どっから入った?」

 

「そうですね〜。愛の力とだけ言っておきましょうか♪」

 

なるほど。愛の力(合鍵)ってか?やかましいわ。1人でツッコミを入れつつ、頭を抱えた。これは、寮に戻した方がいいのだろうかと考える。しかし、グラスに俺が勝てる訳がない。とりあえず、布団に入る。すると、グラスも入る。昨日を同じの見た気がするがもう慣れてしまい、すっかりと寝てしまった。

翌朝、起きると俺はグラスを抱きして寝ていた。それぐらい普通かと寝起きで捉え、坂本に電話した。

 

「もしもし?」

 

「ん〜…坂本だが?」

 

「デートいつから行くんだ?」

 

「そうだな…だいたい10時ぐらいかと思っているんだが…今何時?」

 

「今か?8時」

 

「2時間前か…おやすみ。」

 

「いや、用意しろよ。」

 

「9時からする…。」

 

坂本は二度寝をするために俺との電話を切った。電話を切れたのと同時にグラスが起きてきた。グラスは脱衣場の方に行き顔を洗っていた。俺は朝食を作ろうと台所に行く時、味噌汁と鮭が用意されていた。いつの間に作ったものだろうか?作ったのはグラスで間違いないのだがいつ作ったのか不明だ。しかし、この料理は美味しいはずだ。

そして、時間は流れ三女神像近くに陣取っていた。三女神像の近くに陣取った理由は『坂本たちの集合場所』だからだ。今回も双眼鏡を持ち、ギリギリバレなさそうなところで隠れながら確認する。グラスは耳をピクピクさせながら待つ。すると、坂本が腕時計を見ながら三女神像の前で止まった。坂本は携帯を取り出し、電話を掛けだした。誰に掛けているのかと思っていると俺の携帯がバイブレーションしているのを感じ取った。電話の相手を確認すると坂本だった。

 

「もしもし?どうした?」

 

「出かけるのって何すればいい?」

 

「いや、知らねぇよ。」

 

「いつもグラスとどんな感じな所行ってるかだけでも。」

 

「そうだな。俺の場合は俺が行きたい所あったら言って特になかったらグラスに任せてるって感じだ。グラスも俺の好みわかってるからな。」

 

「なるほどな。じゃあオグリの…」

 

「やめとけ。食しかないぞ。」

 

「それも…そうか。」

 

「んー…蹄鉄とか買いに行ってもいいかもしれんな。渡したチケットの水族館近くにはショッピングモールがあるからな。」

 

「そうか。わかった行ってみよう。助かった。」

 

坂本はお礼を言って切った。俺は汗を流した。近くで見ているのにまさか相談を受けるとは予想外すぎた。グラスはニコニコしているが俺の心臓はバックバクだった。すると、オグリンが来た。いつもの服ではなく、オシャレをしたワンピースだった。これもまた予想外なことでオグリンは少し頬を赤く染めていた。それは俺とグラスが確認した。2人が水族館に向かったので俺らも後ろから付いて行った。

坂本とオグリンはチケットをスタッフに見せるなり中に入っていた。

しかし、いつからチケットが坂本達しか持っていないと思っていた?残念。俺らも持っているのだと思いつつ、2人を追いかけて水族館の中に入る。

オグリンと坂本は遠くから見るとなかなかお似合いのカップルと思いつつグラスをよくよく見るとグラスもオシャレしていた。俺はそれに気づき「その服も可愛いじゃんか。俺のために選んだのか?」と言うと周りの目がこっちに向いた。グラスは俯き、問答無用に俺の腕に巻きついた。

 

「今日なこの腕離しません。覚悟してくださいねトレーナーさん 」

 

照れ隠しだろうか?そんなことをしていると俺らはオグリンと坂本を見失った。

 

【オグリンと坂本視点】

「トレーナー!マグロだ。」

 

「そうだな。そういえばマグロの豆知識知っているか?」

 

「いや、知らないな。どんなのだ?」

 

「マグロは泳ぎ続けなければ死ぬらしい。」

 

「そうか。なら私たちと一緒だな。」

 

「え?」

 

「ウマ娘は走らなければならない。それが例えトレーナーのためであっても。だからトレーナー!負けたことを負けたことだ。次に繋げて、レースに出よう。負けようが、私は諦めない。トレーナーが諦めない限り。」

 

「オグリ…そうだな。じゃあ次のレースに備えて蹄鉄買いに行くか。」

 

「ああ!」

 

【今葉視点】

見失っていた2人を見つけると何故か笑っている。何を話していたのだろうと思いつつ、ついて行く。グラスは未だに腕から離れない。本当に今日は離れない気だろう。俺はグラスの頭を撫で、オグリンと坂本を追いかけた。2人は水族館から出て、ショッピングモールに向かった。ショッピングモールに行くのならグラスに必要なものがないか聞いてみた。

 

「グラス、何か必要なものないか?」

 

「そうですね〜。では、指輪でも貰いましょうか♪」

 

「え?」

 

「ですから。指輪です♪」

 

「なんで?結婚する訳でもないの

 

「しなくてもです♪1度だけ大好きな人から欲しいものですよ?」

 

「なるほど。」

 

俺はグラスを押しに負け、宝石店に向かった。宝石店には、たくさんのネックレスや指輪、ブレスレットなどが売っていてなかなかのお値段をした。しかし、ここはグラスのためと思いつつ、グラスの好きなものを選んでもらった。

 

「そうですね…。この控えめの指輪出してもらってもいいですか〜?」

 

グラスは店員さんにそう言って指輪を出してもらった。出してもらった指輪をグラスは手に持ち薬指を付けてみた。それを俺に見せ子供のように「似合ってますか?」と笑顔で言う。俺は、その笑顔に何とか耐え「ああ。控えめでグラスと同じだな。よく似合ってるよ。」と感想を伝える。

その感想を聞いたグラスは恥ずかしくなったのか指輪を取り「トレーナーさんそろそろ追いかけましょう。」と言って宝石店から出た。俺は、グラスに隠れてその指輪を買った。バレないようにすぐに鞄の中に入れその時が来たら渡そうと思いつつ、グラスを追いかけた。

何とか追いつき、スポーツ店を覗くとオグリンと坂本が蹄鉄を選んでいた。遠くから、見ていると後ろから話しかけられた。

 

「なぁ、トレーナーくん。君はここで何をしているのだ?」

 

「何って、デートの監視。」

 

「そうか。うむ、許される行為では無いことはわかっているだろうな?」

 

「え?ハヤヒデ?なんでいるの?」

 

「この癖毛を直すヘアオイルを見に来ていたんだ。グラスくんも付き合わなくていいのだぞ?」

 

ハヤヒデはグラスにそう言って、目線を俺に戻した。

 

「全く、トレーナー君は…まあいい。少し理論を完成させたいんだが、この後トレーナー室で集合してくれないだろうか?」

 

「あっはい。」

 

俺はそれを承諾したが、この理論が完成するのは午前3時で次の日起きるのは8時。地味に必要最低限の睡眠時間の7時間ではなく、「寝不足気味」になるが一昨日もなっているので何も思わずトレーナー室で眠る。机の中にある指輪はある時を待っている。




はい!
綾凪さんです!
終わりました!書けました!
ギリギリ書き終わりました!
どうだ! 03:54です!
うーん。まさかの一日で5000文字書くとは…
いよいよ私もやばい人では…
実はの実は…今月だけで20000文字書く予定なんです…
艦これ3000文字×2
ウマ娘7000文字×2
です。
キツかったです。
今回の話はなんか…よく分かりません。深夜テンションで書いてしまったので色んな話がぶち込まれました。
すみません。
次の話は「宝塚記念」です。
なるべく、先月書きたかったんですけど…間に合いませんでした!
とりあえず!次の話は3週間後です。
多分、来週?にはナイスネイチャか新しい小説(ウマ娘)が出るはずです。
では失礼します。
凪の中に言葉の綾あり
綾凪九尾でした。


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宝塚記念ヲカケル(第6レース)

同期と同期の担当ウマ娘が生徒会長『シンボリルドルフ』に呼ばれ、生徒会室に来ていた。シンボリルドルフは俺らを睨みつけていた。

 

「ここに呼んだのは他でもない。君たち、重賞に勝っているようだね。」

 

重い空気に筋の通った声が生徒会室に響く。

俺らは少し後ずさりしてしまう。しかし、シンボリルドルフの睨みによって俺らは動けなくなる。

 

「私の異名は何かわかっているのかな?グラスワンダーのトレーナー君。」

 

シンボリルドルフは俺に質問してきた。俺はオドオドしながら答えた。

 

「あっ…えっと…『皇帝』です…か?」

 

「うむ、そうだ。それでだ。テイオーは『帝王』オグリキャップは『芦毛の怪物』ライスシャワーは『漆黒のステイヤー』グラスワンダーは『不死鳥』だ。」

 

シンボリルドルフは俺らの担当ウマ娘の異名を読み上げた。そして、圧をかけるように言葉を放った。

 

「少し君たち…中央を舐めてないか?いや、中央を舐めるな。」

 

生徒会室は一瞬で無音の空間となった。しかし、シンボリルドルフはある1人を見て汗を流した。その1人とは松風だった。

 

「ちょっと…君。眩しいんだが…」

 

「偉大な人が輝いて見えるものだよ。」

 

「「「「はっ?」」」」

 

担当ウマ娘達は震えるだけだったが同期トレーナー(松風を除き)とシンボリルドルフの言葉が重なった。

空気がまた重くなり俺は生徒会室から抜け出した。

 

「(あんな場所に居てられるか!!俺は逃げさせてもらう!)」

 

グラスも後を追って走ってきていた。トレーナー室はすぐに追いつかれる可能性があるのでトレーナー寮に走って向かった。

自分の部屋にグラスを入れ、2人で息を切らせて机を囲んだ。2人でお茶を飲み一息した時に電話がなった。電話番号的に担当記者のだった。俺はその電話を出た。

 

「はい?どうしました?」

 

「どうも今葉さん。グラスさんのレース決めました?」

 

「あー。この時期でしたら…宝塚とかですかね?」

 

「なるほど、わかりました。記事書かせてもらいます!」

 

「どうぞ〜。ん?…ってことはCMもする?」

 

「もちろんですよ〜。もちろん、同期に皇帝様も流れますので。」

 

「えっ…マジか。」

 

最後に恐ろしい言葉が聞こえた。会長のあの言葉は脅しではなく、警告だったのか?グラスの方を向くと覚悟を決めた顔で俺の目を見つめていた。

 

「トレーナーさん。私は会長さんに勝ちたいです。」

 

「強敵だぞ?それでもか?」

 

「もちろんです。(最後に)走りたいですから♪」

 

「そうか。わかった。」

 

この日の翌日からグラスとハヤヒデと俺のトレーニングが始まった。グラスは宝塚記念のために、ハヤヒデは菊花賞のためにトレーニングした。来る日来る日グラスは厳しいトレーニングをした。ある日、俺はトレーニング方法を考えていたら、ハヤヒデに話しかけられた。

 

「少しいいかな?トレーナー君。」

 

「ん?ハヤヒデ?どうした?」

 

「グラス君の件なんだが…」

 

「グラス?グラスがどうした?」

 

「明日、並走してみても良いだろうか?」

 

「んー。いいぞ。勝負してみるか?」

 

「いいのか?」

 

「久しぶりの並走だからな。グラスも喜ぶだろう。」

 

「そう…か。そうだな。負けないように努力するよ。」

 

「頑張ってくれ。」

 

ハヤヒデが寮に向かって歩いていった数分後トラックを1周してきたグラスが駆け寄ってきた。

 

「トレーナーさん。先程、ハヤヒデ先輩と話しているように見えたのですが…どうしたのですか?」

 

「ああ。そのことなら大丈夫だ。明日ハヤヒデと並走してみてくれ。もちろん本気でな。」

 

「良いんですか?」

 

「構わん。ハヤヒデからの提案だからな。」

 

「そうですか。なら、お相手します♪」

 

「手加減はするなよ。」

 

「そんな、無礼を働く私ではありませんよ♪」

 

グラスは笑顔で「お疲れ様でした〜♪」と言ってハヤヒデ同様寮に向かった。俺はベンチに置いていた書類を集めて、クリップで止めようとした時風が吹いた。1枚飛んでいってしまい、必死に追いかけた。すると、前を歩いているウマ娘に引っかかり止まった。そのウマ娘が書類を手に取ると周りを見渡してきたので話しかけた。

 

「ちょっとそこの君。それは俺のなんだ。取ってくれてありがt」

 

「ああ。お前が姉貴のトレーナーか。」

 

「姉貴?誰だ?ハヤヒデ?」

 

「姉貴のトレーナーのくせに私を知らないとはな。」

 

「あっ!ナリタブライアンか!」

 

「当たりだ。わからなかったのか?」

 

「わからなかったじゃなくて…ハヤヒデ曰く『ブライアンは私に似ているところがあってだな。髪の毛は…ブライアンの方がサラサラだが…ごにょごにょ』と。」

 

「似ているところか。まあ…あるだろうな。」

 

「てっきり、ハヤヒデと同じように芦毛なもんだと…」

 

「フッ。姉貴だけだよ。あの髪色は。あれはあれで綺麗と思うんだがな。」

 

「それはわからんこともない。」

 

「お前とは気が合いそうだな。UMANEはやっているか?」

 

「一応。業務連絡用だが。」

 

「なら貸せ。ふむ。これで登録できた。姉貴のことならなんでも聞いてくれ。それじゃな。」

 

「おつかれ。」

 

俺はナリタブライアンと話終わるとトレーナー寮にある自室のドア前に着くと中から騒がしい声が聞こえてきたので、ドアを開けると中に同期達がどんちゃん騒ぎしていた。

 

「おんどらぁ!何しとんじゃゴラァ!」

 

「何とはなんのことかな?今葉」

 

「黙れ!年中発情期発光野郎!」

 

「なっ…」

 

松風が部屋に隠し持っていた本のことは同期たちにバレていて俺はそのことを突きつけた。それを聞くなり、中山が反論してきた。

 

「今葉今のは言い過ぎだろ?」

 

「何言ってんだ!デートの時何も提案できずに帝王様に任せきりの奴が反論できるんか?えぇ?」

 

「あっ…すいません。」

 

中山は俺に反論され即座に謝った。次は流れ的に坂本だが坂本は何も言わず酒を飲んでいた。

 

「何も言わんのかい!」

 

「あえて言わない方向ってことだ。」

 

「意味がわからん。とりあえず、儂の部屋の合鍵作ったんか?!」

 

俺は中山と松風に問い詰めた。中山は萎縮し何も言わないが松風が口を開いた。

 

「えっとだね。まず、この2人が今葉の部屋で酒を飲んでいたんだよ。」

 

「なんでそうなるんだよ。」

 

「この萎縮した中山の言葉はこうだった。『同期愛が詰まった合鍵で開けた。』とか。」

 

「ここに来て洒落か?おもんねぇわ!もしここでエアグルーヴがいたらやる気下がってたぞ!」

 

「君は…何を言っているんだ?」

 

「わかんねぇよ!」

 

俺はキレ気味に返事しながら酒を飲んだ。酒を飲んで少しずつ落ち着いていった。松風が話しかけてきた。

 

「んで、今葉」

 

「ん?」

 

「宝塚…って言えばわかるかな?」

 

「ああ、宝塚ね。」

 

「シンボリルドルフが出るってことは私たちもそれなりの覚悟が必要だと思わないかな?」

 

「そうだな…って今日あれじゃないか?」

 

「あれ?えっと…ああ!私たちのCMの日だね。確か全員分が流れるやつだったかな?」

 

「そうだ。テレビ付けるか。」

 

「そうだね。」

 

俺と松風はテレビをつけるとそれを聞いていた中山と坂本が続いてテレビを見た。するとあるCMが始まった。

 

「2021年宝塚記念。阪神に皇帝が帰ってくる。皇帝を打ち倒すのは不死鳥か?それとも帝王か?または芦毛の怪物か?そのまたは刺客か?全国のファンが送る夢の舞台。ウマ娘たちの一瞬の判断で夢や未来が変わる。この伝説を今目に焼き付けろ。」

 

『標的はただ1人。七冠の皇帝だった。今、行くか?いや、まだか。いや、今か。不死鳥は皇帝を倒すことはできるのか。不死鳥の判断で未来が変わる。この不死鳥の名は【グラスワンダー】』

 

『七冠の皇帝を止めるのは帝王しか居ない。父たる皇帝のプレッシャーに勝ち、皇帝を止めれるのか。天才はいる。悔しいが。そのウマ娘の名は【トウカイテイオー】』

 

『【オグリキャップ】復活。安田記念を制し、全国にもう一度「芦毛の怪物」の名を轟かせた。この怪物は皇帝まで倒してしまうのか。安田記念を走るオグリキャップを見てファンは神はいる。そう思った。』

 

『人は言った。このウマ娘のことを「ヒール」と。だが違った。2度の天皇賞・春で王者に立った。皇帝シンボリルドルフの快進撃を阻もうとする漆黒のステイヤー。ヒールかヒーローか、悪夢か奇跡か。そのウマ娘の名は【ライスシャワー】』

 

『ある男は言った。「レースには絶対はないが、そのウマ娘には絶対がある。」勝利よりも3度の敗北を語りたくなるウマ娘。【シンボリルドルフ】。"永遠なる皇帝"。不死鳥などの並みいる強豪をねじ伏せ、日本をもう一度我が手に…』

 

宝塚記念のCMの後、宝塚記念に出るウマ娘の説明が入ったが…やはり同期たちの紹介文はすごいと思った。今回のレース最も厄介になりそうなウマ娘は全員だ。同期もシンボリルドルフも全員。手を抜いてトレーニングする訳にはいかないと思って周りを見ると全員が下を向きながら笑っていた。同期全員で武者震いをしていた。俺は翌日のトレーニングを考え直すために全員を叩き出した。

同期達を叩き出した後、俺はノートを広げ同期達やシンボリルドルフに勝てるためのトレーニングは何かを考え出した。

翌日、グラスとハヤヒデの併走を見るために各トレーナーやウマ娘達が見物に来ていた。グラスとハヤヒデは確認をするように話し合いをしていた。

 

「グラス君。君には最後の末脚がある。最終コーナーの所を少し早く勝負をかけてみるのはどうだろうか?」

 

「なるほど。確かにそれだと差ができますね。」

 

「ああ。グラス君にとってこのレースが最後なのは理解している。そのために私も手助けはするつもりだ。」

 

「気づいてたんですか?」

 

「何、そんなこと君の青い炎を見ればわかるさ。では、そろそろ時間だな。」

 

ハヤヒデはスタートラインとして立っているトウカイテイオーの前に立った時に俺に向かって叫ぶ。

 

「トレーナー君!!用意は大丈夫か?!?!」

 

「はぁぁい!!大丈夫だぁぁ!!」

 

ハヤヒデの確認を返し俺はゴールラインとしてタイマーを持った。

 

(グラス視点)

ハヤヒデ先輩は皐月賞、東京優駿を逃しているものの2着に付けている。気を抜けば負けてしまう相手…トレーナーさんとハヤヒデ先輩がしてくれたことやれることはやるだけ。

私が深呼吸をしてスタートラインに立つ。見物しにきた人達の声援がすごい…でも、それに目も当てれない。それほど手を抜けない相手だから。私は利き足に力を入れスタードダッシュに備える。そして

 

「よぉーいドン!」

 

大声でスタートコールがされ私とハヤヒデ先輩は走り出した。今回私は先行作戦で行く予定らしく先行トレーニングをした。しかし、ずっと先行で走っていたハヤヒデ先輩は先に行く。私はその後ろに付けて抜ける機会を待つ。コースは半周。早めに勝負をしなければ…。ここです!

 

「トレーナーさんのために!私は勝つ!!」

 

私はハヤヒデ先輩に言われた通り早めに勝負に出た。見物しに来た人達の声援なんて聴こえない。私は私だけのただ一つの世界。私こそが『青い』不死鳥になるのだから。

私はハヤヒデ先輩を追い抜きトレーナーさんの前を通過した。

心の高まりがよく聞こえる。でも、ここで勝たないと最後の最後で黒星が付いてしまう。だから、私は会長…いや、『皇帝《シンボリルドルフ》』に勝たなければならない。

 

(今葉視点)

グラスは最終コーナー前に勝負を仕掛けたと同時にグラスから青い炎のようなオーラが出てきた。たまによく目の奥に見えた炎と同じあの炎がオーラとして出てきていた。俺はついにグラスが最後の卵の殻を破った気がした。ついにグラスは無敗最強の不死鳥になる。ハヤヒデとグラスで話し合っていた。グラス達を寮に戻して俺は翌々日のレースに備えてトレーナー達と打ち上げをした。

 

「んー…なんで?」

 

「何が謎なのかな?」

 

「俺は坂本と中山と松風呼んだんだがな。」

 

「ふぅん。なるほどね。」

 

「誰だよお前!」

 

「すまないね。タキオンに薬飲まされてアイアンマンにさせられたんだがね。かっこよくなったと思わないかい?」

 

「アイアンマンって着るんじゃなかったっけ?」

 

「そんなことどうでもいいじゃないか。」

 

隣にアイアンマンが居る謎の空間になっている俺の部屋。酒を片手に話をしているが1人だけ「ジャキ!ウィーン。ギガガガガ」と音を鳴らし酒を飲んでいる。全員荷物を持って来たが1人だけ荷物持たずに部屋に来ていた。

 

「んー…松風。」

 

「ナンダ」

 

「あーロボットになってらっしゃる。」

 

「言イ方ガアルンジャナイカ?」

 

「いや、荷物は?」

 

「荷物?運送済み」

 

「早すぎんだろ。」

 

「君たちのもしてあるよ。もうないだろ?」

 

「いつの間に持って行った!?」

 

知らぬうちに持っていかれた荷物に気づいて俺、中山、坂本は立ち上がり松風を見た。

 

「驚いたかな?私の家御用達の運送会社が居てね。私の親がよく運送してもらうんだよ。」

 

「松風って何者なんだろう」

 

謎になりつつ全員を部屋から追い出した。1人で酒を飲んでいるとインターホンが鳴った。

 

「はいはい?誰だ?まぁーた松風が来たんか?」

 

「やぁトレーナー君。」

 

「ハヤヒデ?」

 

「ああ。トレーナー君ご飯食べたかな?」

 

「酒とつまみしか食べてないんだ。どうしてだ?」

 

「いや、先程ブライアンにカレーをせがまれてしまってな。余ったからトレーナー君にと思ったんだが。ふむ、飲んでたな?明日朝一の出発なのに飲んでいるとは、トレーナーとしての自覚がないのではないか?」

 

「すいません。以後気をつけます。」

 

「飲んでいるのなら仕方ない。私はここに泊まろう。」

 

「んー。帰れ。」

 

「起きれなかったらどうするつもりだ。」

 

「うっせ。帰れ」

 

「外泊届けのことを気にしているのか?トレーナーくん。」

 

「そりゃ気にするだろ。」

 

「大丈夫だ。取っている。」

 

「どうして俺の担当は全員事後報告してくるんだ!」

 

悲鳴にも似た俺の声はトレセンのトレーナー寮に響いた。

あとはもう記憶が無い。カレーを食べてからハヤヒデに「風呂に入ってさっぱりして来た方がいい」と言われ風呂に入った。出た時には布団が引いてあり、白いもふもふした塊をモフりながら寝たのを覚えている。(あれ?意外と記憶ある…?)

翌朝、セットしていたアラームがなる。

 

「ん…んー…じ…時間…か。」

 

「おはようトレーナーくん。」

 

「なんか…でけぇのいる。」

 

「でかいとはなんだ…でかいとは。ハイパー癖毛なのだから仕方ないだろう?」

 

「なら…早く寝癖直してください…朝食は新幹線で食べるから…」

 

「わかった。」

 

ハヤヒデがカバンの中に入れていたヘアオイルの匂いが部屋中に広がる。匂いは薔薇?っぽくハヤヒデはヘアオイルとドライヤーを持って鏡とにらめっこしていた。俺は歯を磨き、荷物は持っていかれたので必要最低限のものをリュックに入れて準備する。少ししてからグラスが来て、ハヤヒデとばったり会い少し修羅場ったが説明するとグラスはすんなりと怒りを収めた。ハヤヒデが髪の毛いじりが終わり、ハヤヒデを見るといつものもふもふハヤヒデだった。

 

「笑いたければ笑えばいい…」

 

「笑ってる訳では無い。あれだけしていつも通りなんだなって」

 

「トレーナー君は昨日の記憶が無いみたいだが、昨日髪の毛乾かしてる時はストレートなんだぞ?」

 

「へいへい。そろそろタクシー来るから準備して。」

 

トレセン前の道路に4台のタクシーが止まっていた。

外に出ると、坂本と中山が立ち話をしていた。

 

「今日こそはあいつのグラスに勝って俺のテイオーが強いことを証明させてやる。」

 

「それは無理だと思うが…」

 

「いいや。テイオーならしてくれるはずだ。」

 

何故か、グラスを倒すことを第1に考えているみたいだが…1番倒さなければならないのは"永遠なる皇帝"シンボリルドルフの方ではないかと俺とハヤヒデ、グラスは考える。

俺は荷物を持ってトレーナー寮を出る。タクシーの方に3人で歩いて向かっていると、見たことはある見てはいけない人がやばい方のタキオンと覚悟の決めた漆黒のスレイヤーを連れて男子トレーナー寮を見ている。

俺は目を合わさないようにしたが話しかけられた。

 

「うむ。朝日登る時我らの出陣なり。」

 

「どなた…ですか?」

 

「我、松風と申す。」

 

「俺の知ってる松風はもっとサイコパスみたいな話し方なんだけど…」

 

俺は混乱しているとやばい方のタキオンが話してくれた。

 

「やぁ、ハヤヒデ君のトレーナー君。」

 

「あっ…どうも。」

 

「なーに。少し新薬の実験さ。まさか、こんな副作用が出るって言うのは予想外だったが。ふぅん…モルモット君の身体は不思議だね。」

 

「俺からしたら…あなたが謎ですよ…」

 

俺らは松風達から逃げるように自分たちのタクシーへ向かう。そこで1人のウマ娘に会った。

 

「あっ…グラスワンダーさん…のトレーナーさん。」

 

「えっと…君は…マンハッタンカフェ…でいいのかな?坂本の担当ウマ娘で」

 

「はい。あっ、先程は大丈夫でしたか?」

 

「うーん。レース前に精神逝きそう。」

 

「ですよね…私のトレーナーさんはどこにいますか?」

 

「まだトレーナー寮…いや、降りてきてるな。まあ、俺らは行くから。あいつらに伝えといて。それじゃ」

 

「はい。また阪神競馬場で。」

 

タクシーに乗り込んだ俺らは東京駅までタクシーで向かい、新幹線で新大阪駅まで乗り電車で阪神競馬場ヘ向かった。2時間40分の新幹線、電車の旅。仁川駅に到着し、阪神競馬場がある街に着いた。しかし、レースは15:40からで今は12:30。昼ごはんの時間だった。グラスは自分で握ってきたと言うおにぎりを1つ駅で食べていた。時間もあることでハヤヒデとどうするかどうかをスマホで調べていると、松風から電話がかかってきた。

 

「やぁ!私の大事な同期よ!元気にしていたかな?」

 

「うーん。お前の声聞くとなんか…生きてるなーって思う気がしないですね。」

 

「ふぅん、なかなか面白い冗談を言うようだね。元気そうだ。ところで、君今暇だろ?」

 

「えっ…ああ。暇だな。」

 

「ホテルに向かうといい。早めにチェックインできるように私が手配しておいたからね。私の努力を無駄にしないでくれよ?それじゃ、ばいびー大事な同期野郎!」

 

嵐のように電話をかけ嵐のように電話を切っていった。

俺はどう相手すればいいのかわからず、何となくで返事していた。とりあえず、ホテルに向かうことにした。

仁川駅から宝塚駅に向かい、乗り越し精算をしてからホテル宝塚にチェックインした。

グラスをリラックスさせるために散歩を勧める。

 

「グラス。大丈夫か?」

 

「はい。覚悟はとうに決めています。」

 

「力むな。落ち着け。」

 

「あっ…すみません。トレーナーさんも一緒にお散歩行きませんか?」

 

「俺と一緒でいいのなら。」

 

俺とグラスはホテルを出て、少し散歩をする。

 

「トレーナーさんは、私が引退した時…どうしましたか?」

 

「それはまた難しい質問だな。そうだな…それでもグラスの隣に立っておきたいのが本音だな。グラスがいいのなら…ね?」

 

「もちろん。トレーナーさんは私やハヤヒデ先輩を支えてくれるトレーナーさんです。でも、こんな時しか言えません。」

 

「えっ…何を言うの?」

 

「トレーナーさん。心して聞いてください。」

 

「わかった。」

 

「私はトレーナーさんがいて走れたんです。だから…これからも支えになって、私をもっと支えてください。精神的にも…身体的にも…」

 

「なるほど。つまり結婚しろってことか。」

 

「誰もそんなことは言っていません!」

 

「いやいや、プロポーズぞ?今のは」

 

「違います。全く…トレーナーさんと話すと気が紛れます。今日のレース…怖いんです。」

 

「生徒会長が相手だもんな。」

 

「はい。生徒会長を倒せるか…その力が私にあるのか…そんなことを考えて頭から離れません。トレーナーさんどうすればいいと思います?」

 

「そうだな。勝てたら、何かプレゼントするよ。」

 

「プレゼント…ですか。はい!待ってますトレーナーさん♪」

 

いい時間帯になり、俺らトレーナーズと担当ウマ娘達は阪神競馬場に向かった。

 

「久しぶりだな。阪神競馬場…去年以来だ…」

 

「今葉はそうか。去年も確かグラスが1着だったか。」

 

「そうだ。スペシャルウィークを抑えて1着だ。これ写真。」

 

「グラスが泣いてるのか?」

 

「嬉し泣きだよ。とりあえず、自分たちの担当に会いに行こう。」

 

俺らは関係者通路を通り担当の部屋に向かう途中、放送が聞こえた。

 

「本日は阪神競馬場にお越しいただきありがとうございます。本日のメインレースである宝塚記念に出走予定の『トウカイテイオー』は鼻血により、出走取消となりました。繰り返します。宝塚記念へ出走予定の『トウカイテイオー』は鼻血により、出走取消となりました。」

 

突如、言われる重大な問題。今日は同期4人の担当ウマ娘が走る予定だったのに、まさかの事態にあたふたするもグラスは落ち着いていた。

 

「トレーナーさん。落ち着きましょう。トウカイテイオーさんは仕方ありません。私たちで会長を倒します。」

 

「ああ。倒してこい。」

 

グラスがまた椅子に座ると、ノックの音がしスタッフが「グラスワンダーさん。そろそろ本バ場入場です。」と言って、ドアを閉めた。

 

「では、トレーナーさん。行ってきます♪」

 

「ああ。行ってこい。」

 

俺とハヤヒデは客席に座り双眼鏡を覗いた。

宝塚記念が始まろうとする中観客は歓声をあげる。

グラスワンダーにライスシャワー、オグリキャップ…そしてシンボリルドルフに。

今勢いのある3人に生きる伝説が登場したのだ。当たり前だろう。時刻は15:20そろそろファンファーレが流れる頃だろうと思っていると真ん中のスクリーンに今回宝塚記念に出るウマ娘の紹介が始まった。これが終わる頃にファンファーレが流れる。グラスは落ち着いたように周りの同期の子たちと話している。スクリーンの紹介が終わると、合奏隊がファンファーレを鳴らした。

 

(この後、レースが始まりますが…ほとんど実況、解説のセリフしかありません。今回はレースに力を入れてますので)

 

実況「票に託されたファンの夢。想いを力にかえて走るグランプリ・宝塚記念!」

「現在1番人気は天皇賞・春連覇中のライスシャワー」

「虎視眈々と上位を狙っています。芦毛の怪物3番人気オグリキャップ」

「対抗するのは有馬記念連覇中のグラスワンダー。2番人気です。宝塚をも連覇するのか。」

「永遠なる皇帝シンボリルドルフ。惜しくも4番人気。3人を止められるのか。」

解説「火花散るデットヒートに期待しましょう。」

実況「ゲートイン完了。出走の準備が整いました。」

「スタートです。各ウマ娘キレイなスタートを切りました。」

解説「みんな集中してましたね。好レースが期待できそうです。」

実況「先行争いはセイウンスカイ、ライスシャワー、8番。さぁ、激しい先行争いはで前に出たのはセイウンスカイ。8番並びかけてきた。激しい先行争い。」

「ライスシャワーここにいます。3バ身離れてグラスワンダー。少し離れてシンボリルドルフ。差がなくてエルコンドルパサー。内9番。さらに内に4番。内から行く3番。外オグリキャップ。そして、その外スペシャルウィーク。」

「さぁ、1コーナーから2コーナーへ向かっていくウマ娘達。セイウンスカイ快調に飛ばしていきます。ライスシャワー、ペースが速い。先頭がやや速いのか隊列は縦長になっています。後方にいるウマ娘が差し替えせるのか。気になる開きです。」

「先頭は依然セイウンスカイ1バ身リード!続いて、ライスシャワー。そして8番。少し後ろから9番。すぐに続いてグラスワンダー。あとはシンボリルドルフ。」

「第2コーナーを抜け、向こう正面に入った。順位を振り返っていきましょう。」

「依然先頭はセイウンスカイ、続きましたライスシャワー。3番手に8番。4番手シンボリルドルフ。さらにグラスワンダー。そして外めを詰めます9番。さらに3番。すぐに続いてエルコンドルパサー。少し離れて4番。その後からオグリキャップ。その外並んでスペシャルウィーク。そしてその内を回ってタマモクロス。それを見るようにスーパークリーク。そして外を回って14番。10番追走。それを見るようにナリタタイシン。そしてその後ろを回って17番。」

 

「セイウンスカイ、先頭を進みますがこれは正解でしょうか?」

解説「セイウンスカイ、彼女の脚質には合っています。」

実況「まもなく第4コーナーカーブ。」

解説「ウマ娘達がどう動くか目が離せません!」

実況「まだ10バ身以上の差があるぞ!ここから捉えることは出来るのか!」

「いよいよ直線だ!どのタイミングで誰が仕掛けるのか!?」

「グラスワンダーここで抜け出した!最終コーナー最初に駆け抜けて来たのはグラスワンダー!」

「グラスワンダー!強い!強すぎる!完全に抜け出した!グラスワンダー!先頭は!グラスワンダー!これは強い!」

「200を通過。ライスシャワー、オグリキャップ、シンボリルドルフが仕掛けてくる。ライスシャワー追いすがる。これは強い!2番手争いはライスシャワー、オグリキャップ。グラスワンダー見事1着!有馬に続いて宝塚も連覇した!過去にこんなウマ娘はいただろうか!?2着はライスシャワー。3着オグリキャップ。4着にシンボリルドルフ!」

 

(レース実況はこれで終わりです。これだけに20分かけて写し書きです。(実話))

 

俺の目の前でグラスはゴール板を駆け抜けた。グラスは最後俺の方を見て笑ってゴール板を駆け抜けた。俺はターフに降りてグラスをハグをする。

 

「グラス!よくやった!お前ならできるって信じてたぞ!さすが俺の担当だ!可愛いヤツめ!撫でさせろ!」

 

「トレーナーさんやりました。やりましたよ。もっと褒めてください♪」

 

「よしよし!今日は宴会だな!」

 

「はい♪」

 

周りの目を顧みず、抱き合う2人。ライスシャワーは泣き。オグリキャップはシンボリルドルフと話す。こんな異様な宝塚記念はグラスワンダー1着。ライスシャワー2着。オグリキャップ3着で幕を閉じ、ライブをした。ライブの歌は『ユメヲカケル』。トレーナーと共に夢を追いかけて走るような歌だ。俺はグラスが歌って踊っているところを見ると、昔をフラッシュバックさせ目から水が流れる。ハヤヒデは黙って俺の背中を支えてくれた。グラスは笑顔で俺の方に踊りを見せる。

 

「君と夢をかけるよ♪何回だって 巻き起こせスパート♪」

 

グラスは俺と一緒に夢を走れただろうかと思っていたが…この歌を踊っているグラスを見るとそんなことを気にしなくても、グラスは満足しているように見えた。

全て俺の夢を変えたのはグラスワンダーだった。

グラスは時に厳しく、時に優しくしてくれた。

だけど、見捨てはしなかった。俺はそれにどれだけ助けられたか…ハヤヒデは「そうだな…そうだな。」と言って背中をさすってくれた。ライブが終わるとグラスはこっちに来た。

 

「トレーナーさん…」

 

「ズズズズズズ…どうじだグラス」

 

「もう…泣かないでくださいね。私はあなたを居て幸せですから。1つプレゼントをください。」

 

「なんでもぎぐぞ。」

 

「その前に、鼻水拭いてください。」

 

「アッハイ…」

 

鼻水を拭き、鼻をかんだ。改めてグラスの話を聞いた。

 

「それで…プレゼントの指定はなんだ?」

 

「それは1つです♪」

 

「えっ?」

 

「トレーナーさんです♪私と結婚してください♪」

 

「!?!?」

 

急なプロポーズに焦る俺。ハヤヒデの顔を見ると「なんだ。まだ結婚してないのか。」的な表情をしている。周りの同期たちと「は?結婚してないのかよ。」みたいな目で見てきた。しかし、1つ問題があった。

 

「グラス。その提案は嬉しいが俺らは付き合ってないぞ?」

 

「しっかり説明しないとダメですか?」

 

「ダメだな。」

 

「つまり、私が卒業するまでは付き合う。卒業したら結婚してくださいってことです。」

 

「なるほどなるほど。わかった。俺もグラスが好きだからな。」

 

「トレーナーさん!」

 

「グラス!」

 

「「大好きだぞ!(です!)」」




遅れたことを許してください。
まず、遅れた理由を一つ一つ説明していきます。
実は、この6話。
ギリギリまで資料がありませんでした。
私も「夏休み中だから徹夜して書けばええやん。」って思っておりました。
1つ目の遅くなった理由はこの資料(レース実況解説)のやつです。
2つ目が…高熱です。
8月5日に謎の寒気があり、熱を測ると37.8だったのでロキソニンを飲み、寝ようとしました。しかし、親が出かけ先から帰ってきてこのことを話すとまた体温計を持ってきて測ると38.2になっていました。
この熱の最高は39.4でして、出す日には熱で下がっていましたが病み上がりということで見送りとなりました。
そして3つ目。
モチベですね。
モチベがなくなりつつあります。小説を書くのは楽しいんですが…早く書かなければならないと言う考えの元やっているので、精神がついてこない感じですね。
この3つの件がありまして、投稿が遅れてしまったことを深く反省しております。
次の話の予定は決まっております。
スマホアプリ「ウマ娘」だと宝塚記念の次のイベントと言えば合宿です。ですので、次は夏系の話です。
最後に他のウマ娘の話がないのは疲れたからですね。
テイオーの話はまた今度にするとします。今回走れなかったテイオーはどうなっていたのかって感じで。
それではあとがきはこれぐらいにして、
この小説を読んで頂きありがとうございました。
この小説は私…綾凪九尾の主力にしますので、まだまだ続けますよ。
ところで、結婚するにしても指輪つけた方がいいですか?
婚約指輪ですけど…つけた方がいいですかね?
アンケートやってみるので回答お願いします。
それでは、お待ちくださりありがとうございました。
また3週間後お会いしましょう。
次は7000文字に戻します!


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夏だ!海だ!合宿だ!前半(第7レース)

「夏だね!海だね!合宿だね!」

 

「うるさい松風。こっちは朝から寝てねぇんだよ…」

 

「仕方ないだろう。こっちだってタキオンの実験でオール民だからね。テンションは高くて当たり前じゃないか?」

 

「坂本なんか見てみろ。耳栓して寝てるぞ。中山なんて。あいつ何してんの?」

 

「どうやら、バス酔いってやつでビニールを持っているみたいだね。」

 

「確かに、青白いか。」

 

「ところで隣の彼女さんと話さなくていいのかい?」

 

「グラスはあのレースからなかなか興奮が冷めなくて、今やっと寝れたって感じだな。合宿に行く時の荷物多かったけど。」

 

「それはあれだよ。私とグラスくんの合同出し物のせいだね。」

 

「何を考えているんだか…」

 

あのレース…宝塚記念から3週間後俺ら同期と担当ウマ娘達は合宿のためトレセン所有の山と海に来た。ある意味林間学校みたいで昔を思い出す。バスで1時間ほど揺られ続け、着いたのはトレセン学園とは違う古さを感じる木で建てられた校舎。校庭にバスが数台入ってくる。ほかの先輩トレーナーや後輩トレーナーなどが乗っていた。そのある中…1台目の前に止まる。ドアが開き飛んできたのはシンボリルドルフだった。

 

「トレーナー君。」

 

「会長?どうされました?」

 

「これを渡そうと思ってね。」

 

「これって…なんですか?」

 

「お祝いの品だよ。ダジャレ百選だ。」

 

「ンンンンンンン?何を言っておられる?」

 

「嘘だよ。ルナジョークだ。」

 

「とりあえず貰っときます。」

 

「うむ。ん?トレーナー君。君の恋人はどこに?」

 

「グラスですか?グラスなら今部屋で寝てますよ?」

 

「なるほど…昨晩は楽しんだのだな?」

 

「違いますね。いじらないで早く生徒会室行ってください。」

 

シンボリルドルフは苦笑いをしていると後ろからエアグルーヴが早く行けとシンボリルドルフを睨みつけるように見ていたことに気づき逃げるようにシンボリルドルフは生徒会室に向かった。

ほかのバスから色んなトレーナーが降りてくる。サクラバクシンオーのトレーナーや発光しているトレー…いや、あれは同期だな。眩しすぎてなんか腹立ってきたな。文句を言おう。

 

「おうおう。松風さんや。」

 

「なんだ君か。」

 

「眩しいんだけど…また薬飲まされた?」

 

「いや、自力で発光してる。」

 

「もう体自体がおかしくなってるじゃないか…同期のこいつだけどこに向かってるのか分からない…」

 

「そう言うな。ほら、他の同期はそこにいるよ。」

 

「あー…うん。そうだね。あいつ…特に中山は大丈夫なのか?」

 

「本音を言おう。中山は大丈夫だ。しかし…問題があるとしたらテイオー君だね。」

 

「今回ばかりは俺らに何も出来んな。」

 

「そうだね。ところで次の菊花賞だけど…」

 

「もちろん、ビワハヤヒデも参加するが?」

 

「こっちだってアグネスタキオンが出走するつもりだけど、噂だとマルゼンスキーは回避するらしい。」

 

「マルゼンスキーは短距離〜中距離ってイメージが強いな。」

 

「同感だよ。さて、そろそろ担当呼んであげよう。」

 

「そうだな。」

 

松風と別れて、俺はビワハヤヒデが待っているビーチに向かった。もちろんサングラスを掛けて。夏の砂浜…スクール水着…滴る汗…合宿だね!

 

「トレーナーさん…スクール水着は違うのでは…?」

 

「おはようグラス。ちゃんと寝れたか?」

 

「はい♪しっかりトレーナーさんの服を抱きしめながら寝ました♪」

 

「待って?シワになってない?」

 

「大丈夫です♪アイロンしてきました〜」

 

「もう嫁だな。」

 

グラスは俺の最後の言葉に赤面し、逃げるようにハヤヒデに話しかけた。2人で話しているので俺は今日のトレーニングプランを見直していた。すると、後ろから話しかけられた。

 

「綾凪トレーナー。少しいいですか?」

 

「はいはい?どちら様で…って樫本理事長代理!お疲れ様です。」

 

「お疲れ様です。本日はどのようなプランでやるのですか?」

 

「そうですね…次のレースが菊花賞なので、スタミナとパワーを中心かと思いますね。」

 

「いいと思います。菊花賞は3000mですので、しっかりスタミナを底上げすることをおすすめします。」

 

「ありがとうございます。」

 

「それと…もう1ついいでしょうか?」

 

「はい?」

 

「私の担当の子が『トレーナーは海に近づかないでください!見てるこっちがハラハラしますから。』と言うのですが…なにか理由があるのでしょうか?」

 

「えっと…そうですね…」

 

この理事長代理、つい最近赴任してきて今回の合宿に来れなかった秋川理事長の代理として来たのだが…噂によれば大の運動音痴らしい。体力もなければ運動センスもなし。カナヅチで泳げず溺れている姿を担当の子に見つけられたなどを噂されている。不便すぎて、頭を抱える。こんなクールに見えるが本当は運動音痴で心弱い人なのだ。まあ…逆にそういうところではファングループが出るなどの人気はあるらしいが…理事長代理にファングループって必要だろうか…?

 

「黙り込んでどうしました?」

 

「あっ…いえ、噂で聞いたのですが…樫本理事長代理は運動が苦手と聞いておりますが…本当でしょうか?」

 

「本当のわけないです。トレーナーたるもの運動ができなければならないでしょう?」

 

「そうですね。失礼な質問をしました。」

 

「いえ、そろそろ行きますね。それでは。」

 

「はい。」

 

俺はプラン表に目を移すとバタッ!と聞こえたので音のした方を見ると樫本理事長代理が倒れていた。

 

「理事長代理!?どうしたんですか?!」

 

「すみません、砂で足を取られてしまい…立ち上がりたいのですが…手を貸してもらってもよろしいでしょうか?」

 

「あっはい。」

 

「ありがとうございます。で…では、失礼します。」

 

「あっ…えっと…はい。お気をつけて?」

 

砂まみれの樫本理事長代理はよろけながら担当ウマ娘のところに帰っていた。プラン表を拾い、今日のプランを考えていると坂本がやってきた。

 

「……」

 

「坂本さんや。」

 

「どうした?」

 

「なにか話しましょうよ。無言で圧を掛けられましてもね?」

 

「それはすまん。このトレーニングプランを見て欲しいんだが…」

 

「ん?次のレースは?」

 

「菊花賞だが?」

 

「お前のところも菊花賞か。んで?マンハッタンカフェだっけ?大丈夫か?アグネスタキオンが出走するらしいが…」

 

「受けて立つ。」

 

「相変わらず、語らないな。じゃあ、まず初めての長距離なら、俺のところみたいにスタミナをあげることをおすすめするな。」

 

「長距離だからこそか。わかったやってみよう。」

 

「んー。頑張ってー」

 

坂本が戻って行く後ろ姿を見届け、俺はハヤヒデを呼んだ。

 

「ハヤヒデ。そろそろやるぞ。」

 

「ああ。すぐ行く。」

 

ハヤヒデで歩いて目の前に来た。身長が高くて俺(164cm)は上を向かなければならなかった。

 

「今日のプランだ。一応目を通してくれ。」

 

「うむ。今日はスタミナ底上げか。いいと思うぞ。」

 

「ありがとう。グラスは補佐を頼む。引退するんなら、後輩を助けてやれ。」

 

グラスは海を見ていたようで、名前を呼ばれてこっちを向いて「はい♪トレーナーさんの頼みでしたらしっかりやります♪」と言った。左手薬指にある指輪がキラリと光る。

 

「グラス。指輪取っとけよ。錆びるぞ…安物だからな…」

 

「どれぐらいなんですか?」

 

「えっ…えっと…俺の給料の数ヶ月分?」

 

「全然安物じゃないですか。怒りますよ?」

 

「ええ…」

 

ハヤヒデは俺らを横目に準備体操を始めていた。ハヤヒデは泳げるが、髪の毛のせいで泳げなくなるのでビート板を渡す。あのハイパー癖毛はさぞ大変なのだろう。グラスとの言い合いが終わり、グラスも準備体操に入った。俺はプラン表を見て、ハヤヒデにスタートとゴールを教えた。

 

「ハヤヒデ、あそこに浮きがあるな?青い旗の。」

 

「うむ。確認した。あの青い旗のところから向こうの赤い旗の浮きまで泳ぎ続けろってことだな?」

 

「そうだな。一応、つった場合は俺が迎えに行くつもりだ。そのためのゴムボートもある。まあ、しっかり準備運動しているのなら大丈夫だと思うが…」

 

「理論的に行けば、大丈夫だろう。では、行ってくる。グラス君行こうか。」

 

ハヤヒデとグラスは話しながら青い旗の浮きまで歩いて行った。俺はさっき言ったゴムボートを人力ポンプで膨らませていた。

 

「クソ…なんで人力なんだよ…松風の野郎持ってくるって言ってたのに…」

 

(回想シーン①)

 

「一応ゴムボートは持っていく必要があると思うが異議はあるか?」

 

「「「異議なーし」」」

 

「それと、ゴムボートを人力で膨らませるのは大変なので、エアポンプ持ってる人は持ってきてください。」

 

「なら、この私が持ってこよう。よく海には行くのでね。」

 

(回想シーン①終わり)

 

「って言ってたくせに…クソ。今日の朝になって…」

 

(回想シーン②)

 

「すまない。エアポンプだけど壊れていたんだ。本当に申し訳ないと思っているよ。」

 

「それなら仕方ないな。んで?代わりは?」

 

「これ。」

 

「結果的に人力かよ!」

 

「申し訳程度にみんなの分買ってきたからいいだろう?もちろん、百均だけどね。」

 

「ここで手を抜くとはクズの鏡だな!」

 

「クズは言い過ぎだろう?仕方ないじゃないか。タキ…家族が潰していたんだからね。」

 

「今タキオンって言いかけただろ…まあいい。頑張るか…」

 

(回想シーン②終わり)

 

「まあ…結構膨らんできたな。ふぅ…疲れた。塩分取らないと熱中症になるな。」

 

「グラスのトレーナー、ちょっといい?」

 

「んあ?あー。帝王様どうされました?」

 

「宝塚のこと聞いてもいい?」

 

「構いませんよ。どうぞ、パラソルの中へ。」

 

「ありがとう。あの宝塚でボク、出走取り消しになったじゃん?周りってどうだった?」

 

「んー…最初は驚いた。だけど、相手があの会長だから構ってる暇がなかった…ってのが俺を含めた周りの行動だった。 」

 

「そっか。じゃあ、みんなには迷惑かけてないだね。」

 

「そうだな。それだけですか?帝王様」

 

「んなわけないじゃん。ボクの次のレース聞いてる?」

 

「天皇賞・秋…だったな。会長を超えるためって聞いている。」

 

「天皇賞・秋って中距離じゃん?だから中距離最強のグラスに聞こうと思ったんだけど…もしかしてトレーニング中だったりする?」

 

「んー。なうだな。ほら、そこ。今泳いでるだろ?」

 

「あっ本当だ。じゃあ、トレーナーでいいや。どうしたらいい?」

 

「スピード上げたり、パワーを上げて道をこじ開けたりするのがいいな。一応、中山から天皇賞・秋の招待は来てるからな。」

 

「そっか。わかった、砂浜ダッシュしてくる。」

 

「頑張ってくださいね〜帝王様」

 

「ところで…その帝王様ってなんなの?」

 

「なんでだろう。まあ…悪い気はしないでしょ?」

 

「それはそうだけど…。」

 

「ほら、走ってこい。特にあいつの心を掴みたいのなら。」

 

「わかったよ。ボクやるから。」

 

「期待しておきますよ〜。」

 

話しながらわかったが、やはりあの宝塚がまだ心残りなのだろう。このことはシンボリルドルフに話した方がいいのだろうか?と思いつつ、塩分チャージを舐める。パラソルの影に入ってなお、砂浜の熱で汗が出る。海の家で休みたいのも本音だが…トレーナーとしてそれはあいつらが帰ってきてからにしようと思い、また塩分チャージを1つ口に放り込む。双眼鏡であの二人の様子を見て、怒涛の3年間を思い出す。

グラスが担当になって3年。今では婚約する仲までなった。出会った当初は、同期に勝つために必死だったあいつも今では、最強のウマ娘となって俺の横に立っている。俺がここまで来れたのもあいつのおかげ…だな。トレセン内では俺達同期は重鎮として会議に呼ばれることも多々ある。まあ…ほとんど黙っているが。それに噂によれば、俺の後輩がトレセンに来たって情報もある。そのへんも真偽を調べたいが…どうなんだろうか…。

 

「今葉先輩ですか?」

 

「ん?なんだおめぇ。」

 

「僕ですよ。トレーナー育成学校の時の後輩です。」

 

「本当に来てたんか…お前…」

 

「はい!今葉先輩は今何を?」

 

「担当達がトレーニングしてるからパラソルの中でぼっち生活楽しんでる。」

 

「相変わらずネガティブですね〜。あっ僕の担当のキングヘイローです。」

 

「キングヘイローとな?グラスと同期の?」

 

「はい。キング今葉先輩に挨拶して。」

 

後輩は後ろに待っていたキングヘイローを呼んだ。

 

「キングヘイローです。グラスさんにはいつもお世話に…」

 

「畏まらなくてもいいよ。逆に接しずらいから。」

 

「あ…はい。キングヘイローよ。」

 

「ん。よろしく。よくグラスから話は聞いているよ。エルコンドルパサーやスペシャルウィーク、セイウンスカイの勉強を見ているってね。この君たちの集合写真も結構いい感じに撮れてる。次のレース決まってるのかな?」

 

「次は…高松宮記念になっているわ。」

 

「短距離か。1200mだったっけ?」

 

「ええ。ここで勝ってお母様を見返すの。」

 

「なるほど、親を見返すか…いいと思うよ。俺もトレーナーになることは反対されたからね。今としては、もう止められる領域ではないから何も言われないけど。見返す気なら、しっかり頑張ること。あと、スタミナの底上げはしなくていいよ。スピードを上げることを目標にしてみたら、次のGI勝てると思う。後輩、これ今キングヘイローに必要なものだ。キングヘイロー。1つ俺から質問だ。」

 

「何よ?」

 

「君の言う。『一流』ってなんだ?重賞に勝つことか?周りから褒められることか?」

 

「あっ…いや…」

 

「難しい質問をしたね。君の今の願いは親を見返すことだったね。なら、それをバネにしてしっかりやりなさい。グラスも同期に負けたくない意志…そして頂点になると決めた意志の硬さで無敗になったんだから。グラスの同期なら君にもできるよ。これは君の友達のトレーナーが言うんだ。間違いない。」

 

「ええ…ええ!そうね!やってあげるわ!キングが貴方の言葉を信じる権利をあげましょう!」

 

「それはどうも。じゃあ後輩頑張れよ。俺は応援してるからな。」

 

「はい!先輩!ありがとうございます!キング行こうか。」

 

後輩がキングヘイローと歩いて帰っていくところを見ているとハヤヒデ達が帰ってきた。

 

「トレーナー君。終わったよ。」

 

「ん。お疲れ様。初日だからこれで終わりかな。明日から厳しくする予定だから。グラス少しいいか?」

 

「わかった。では、先に合宿先に戻らせてもらう。」

 

ハヤヒデが合宿先に戻っていくのを確認してからグラスに話しかけた。

 

「グラス。」

 

「どうしました?トレーナーさん」

 

「今日、ほかのトレーナーと会議があるんだ。担当を1人連れていくことが条件なんだ。来てくれるか?」

 

「はい♪もちろんです♪」

 

「じゃあ、今日の18時に俺の部屋来てくれ。少し仮眠する。」

 

「わかりました♪」

 

俺はグラスと一緒に合宿先に戻った。用意されたトレーナー専用の部屋に入り、仮眠するために布団の中に入る。そのまま俺は意識を手放した。

 

(時は飛んで。)

「…ナー…ん!トレ…さ…!トレーナーさん!」

 

「ん…んー…はい。なんでしょう。」

 

「18時ですよ〜。おはようございます。お寝坊さんになりかけましたよ。」

 

「それはそれは…んー…眠い。」

 

「起きてください。会議あるんですから。」

 

「わかった。」

 

俺は布団から出て会議室に向かった。寝癖などは付いてないのを確認し、会議室をノックした。

 

「失礼します。今葉及び担当ウマ娘グラスワンダー。今到着しました。」

 

「お疲れ様です。今葉トレーナー。」

 

「お疲れ様です。樫本理事長代理。」

 

「では、本日集まった理由を言わさせていただきます。本日の議題はこちらです。今葉トレーナーとグラスワンダーの婚約パーティーです。」

 

俺とグラスは止まった。会議と聞いていたのに、急に全トレーナーからの目線が俺らに集まったからだ。

 

「ということです。今葉トレーナー。おめでとう。」

 

「めでたいな!今葉!」

 

「プロポーズの言葉なんだ?言っちまえ!」

 

「幸せにするんだぞ!」

 

あちらこちらから祝福の声や盛り上げようにプロポーズの言葉を聞いてくる声。とても祝福されているようで、グラスと顔を合わせ笑った。そして、その場も持った盛り上がった。

その後、俺の部屋に戻ってお茶を飲んでいると…ノックされた。

 

「失礼しマース。グラス居マスカ?」

 

「あら?エル?どうしました?」

 

「帰ってこないので心配しただけデース。トレーナーさんとイチャイチャ中でしたか?それは失礼したデス。」

 

「エ〜ル〜?ここでストレッチしますか?ぎゅぅぅぅぅっとしますか?」

 

「ケ!?やめときマース!」

 

エルコンドルパサーは逃げるように部屋から出ていった。

 

「全くエルは…あっすみません。騒がしかったですか?」

 

「いいや。賑やかの方が俺は好きだからいいよ。」

 

「そうですか〜?」

 

「ああ。グラス、今日のトレーニングすまないな。参加してもらって。」

 

「大丈夫です♪明日の夏祭りに行けると思ったら全然です♪」

 

「そう言って貰うと嬉しいな。どうする?グラスここで寝るか?」

 

「そうですね…エルが来ましたし、今日は自室に戻ろうと思います。」

 

「そうか。グラス、その指輪取れないか?」

 

「はい♪しっかり指の大きさに合ってるので取れません♪」

 

「それならいい。じゃ、俺は少しトレーニングプランを練ってから寝るから夜更かししないようにな?」

 

「それはトレーナーさんもだと思いますが…遅くやらないぐらいに寝てくださいね?」

 

「それはもちろんだ。じゃあおやすみグラス。」

 

「おやすみなさい。」

 

グラスは俺の部屋から出て自室に戻った。俺はカバンの中に入れて持ってきたノートパソコンを開け、ハヤヒデのトレーニングプランを練る。クラシックレースの2冠を逃しているハヤヒデを菊の舞台で勝たせるために、俺は必死に考えた。

そして、一眠りもせず朝を迎えグラスにめちゃんこに怒られ、翌々日にウマネストの姿をし薙刀を持って校舎別館を追いかけ回される羽目になるとはまだ誰も知らない。




お久しぶりです。3週間ぶりですね。
綾凪九尾です。今回は私のウマ娘の話でもしようかな?
あっその前に2分割になってしまい申し訳ありません。元々1話で終わらせる予定でしたが…どうやら、ネタがどんどん思いついて、書いてしまいました。面白かったらいいんですけどね…汗
さて、私のウマ娘事情ですが…
私の最初の推しは『グラスワンダー』…ではなく、『サイレンススズカ』でした。スズカを調べて沈黙の日曜日を知って天皇賞・秋が少し嫌ですね。あと、ライスシャワーの天皇賞・春も少し嫌です。ウマが死ぬところは見たくないってことです。私の中でウマ達はすごくかっこいい印象があるからです。そんなかっこいい存在が消えるってことは私には耐えれられません。
話が逸れましたね。サイレンススズカが推しになって数週間?だったかな?グラスワンダーの存在に気づき、見てみると知らないうちに推しになり、今ではグラスワンダーを愛してますね。ええ、もちろん結婚するとかは言いませんが…
2次元と3次元でしっかり区切りをつけてます。
そろそろ次回予告と行きましょう。
松風が言う「合同出し物」とはなんのことでしょうかね。
そろそろ締めさせていただきます。
次回は来月?です。
今手元に手帳がなく…次の日にちがわかってないので少しカレンダーを見させていただきます。
次回は10月3日です。次こそ合宿回を終わらせて、ビワハヤヒデの話に入ろうと思います。
そして…皐月、ダービーが終わって次菊の舞台と行きたいのですが…書きたい話があるので菊の舞台は少し先になります。4話先になる予定です。申し訳ありません。
次回もお楽しみしてくださいませ。
読者の皆様がコロナにかからず健康にいることを願いつつ、執筆を終わらせていただきます。
凪の中に言葉の綾あり。
綾凪九尾でした。


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夏だ!海だ!合宿だ!後半(第8レース)

前回のあらすじ!
夏合宿に来た今葉&同期達
同期の1人は自力で発光する謎生物になってしまう!
ハヤヒデとグラスがトレーニング中に樫本理事長代理やトウカイテイオーなどと話をする。トウカイテイオーは落ち込んでいるようだが、天皇賞・秋に向けてトレーニングを励んでいた。
今葉も負けないようにハヤヒデのトレーニング方法を徹夜して作った結果グラスに怒られた。
この後どうなってしまうことですやら。


朝ドアを開けるとニコニコしたグラスが立っていた。

 

「トレーナーさん♪」

 

「あっグラスさんおはようございます…」

 

「申し開きはありますか?」

 

「担当のためだ。睡眠も削るのが道理だろう。」

 

「そうですか♪先程、アグネスタキオンさんから睡眠薬お借りしたんです♪」

 

「グラスさん?何考えていますの?」

 

「飲んでください♪」

 

「嫌です…」

 

「飲みなさい!睡眠を削るとは何事ですか!そこになおりなさい!」

 

「すみません!しっかり飲まさせてもらいます!」

 

「はい〜♪それで結構です♪」

 

俺はグラスに脅され睡眠薬を飲んだ。タキオン印の睡眠薬…何が起きるのか分からないがとりあえず飲む。

そして、飲んだ後視界が歪み出して睡眠薬のフラスコを落とす。俺は意識を手放した。

 

(グラス目線始まり)

さて、約束破りのトレーナーさんには眠ってもらいましたが…本日のトレーニング内容を聞いていませんでした。うっかりです♪確か…トレーナーさんパソコンに書いているはずですから見てみましょう。

この…小難しいようなフォルダーでしょうか?クリックしてみましょう…。

私は、軽い気持ちで小難しい名前のフォルダーをダブルクリックをした。フォルダーの中身は言葉に表せれないような大人の遊びでした。

 

「…トレーナーさん…ハレンチです。」

 

私はトレーナーさんの寝顔に軽蔑の目を向ける。そんなことも知らずすぅすぅ眠っているトレーナーさん。私は見ていたフォルダーをゴミ箱に捨てておいて次のトレーニング用のフォルダーを探す。この「菊花賞用フォルダー」の中身を見る。

やっぱり、合宿時用のトレーニング法がぎっちり書かれていた。私はこのトレーニング法を見て紙に写す。しかし、量が多すぎるので最終的には写真に収める。そして、パソコンをシャットダウンするためにホームに戻ると背景がトレーナーさんと私が宝塚記念に勝った時の私とトレーナーさんのツーショットだった。私はあの時を思い出しつつ、パソコンをシャットダウンした。

トレーナーさんは目覚める様子もない。だから何かイタズラをしようと思った。何がいいだろうか。こう言う時、何も知らないことに後悔する。しっかり同級生などに聞いとくべきだったと思う。だけど、前に読んだ小説に寝ている好きな人にキスをするシーンを思い出した。私もそれをすればいいのでは?と思い、私はトレーナーさんの頬に顔を近づける。トレーナーさんの顔がどんどん近くなっていき、心臓がうるさい。そして、トレーナーさんの寝息が顔に当たる時後ろから声がする。

 

「グラスぅ〜!焦れったいデース!一気に行くのがイイデス!」

 

急に話しかけられ、そして顔を押される。そして、頬に…ではなく口にキスをする。私は目をつぶってしまったからどこにキスしたのか理解できてなかった。すぐに振り返るとエルが両手でGoodポーズをしていた。

 

「さすがグラス!いい感じデス!」

 

「エ〜ルゥ〜?」

 

「ケ!?怒られることしてないと思ったのデスガ…もしかして、グラス怒ってマス?」

 

「怒ってはいませんが…怒っては…」

 

「グラス?大丈夫デスカ?」

 

「え?ええ。行きましょエル」

 

「ブエノ!それこそグラスデス!」

 

私はエルと一緒にトレーナーさんの部屋を後にしました。この後エルが来た理由を問い詰めることにします。そんなことを考えながら、水着に着替えているとハヤヒデ先輩が入ってきました。

 

「グラス君。少しいいだろうか?」

 

「はい?どうしましたか?ハヤヒデ先輩」

 

「いや、トレーナー君のことなのだが…時刻になっても来ないから電話をかけても出ないのだ。彼女の君なら何か知っているかと思い聞いたのだがわかるか?」

 

「その事ですか。トレーナーさんは眠らずにトレーニング方法を考えていたので強制的に薬で眠らせました。ですので、後でハヤヒデ先輩のスマホに写真送りますので待っててください。」

 

「そうだったのか。トレーナー君にも困ったもんだな。うむ、了解した。なら、今日は私たちでトレーニングだな?」

 

「はい〜♪そうなります。」

 

「先に行っている。グラス君も休んでもいいんだからな?」

 

「私は大丈夫です♪」

 

ハヤヒデ先輩は私のことを心配しているように見えましたが気のせいだと思いましょう。エルはもう着替えていたので私も着替えていきます。しかし、私の頭の中は2つのことで支配されていた。

1つ目は【どこにキスをしたのか】だった。もちろん、私的には頬のつもりなのだが、感触的に口だった気がする。そう思うと、私のファーストキスはエルによって口にしたってことになる。私はそのことを考えてしまい、耳まで熱くなる。

そして、2つ目の考えていることは【トレーナーさんは大きい方がいいのだろうか】だった。あの時あのフォルダーを見なければこんなことを考えずにいたかもしれないのに、あのフォルダーを見てから自分の胸の大きさを気にしてしまう。エルのはなかなかの大きさだが、同級生のスカーレットさんもなかなかだ。そう思うと自分は…と考える。

 

「グラス?何かありましたカ?」

 

「エル…どうしたら大きくなるの?」

 

「ケ!?グラスがそんなこと気にするのデスカ!?」

 

「私だって乙女ですよ?愛する人のためならば気にします。」

 

「グラスはグラスだと思いマス。トレーナーさんもグラスのことが好きだから今のグラスが1番だと思いますヨ?」

 

「エル…そう。そうよね。行きましょうかエル。」

 

「ええ!トレーニングの始まりデェェェェス!!」

 

私はエルに励まされて、更衣室から出る。色んなトレーナーとウマ娘達が砂浜や海の中に居る。この中からハヤヒデ先輩を見つけるのは一苦労だ。私はエルと話ながらハヤヒデ先輩を探す。エルはトレーナーを探しながら話す。エルが「あっトレーナーさん!グラス!また後で会いましょう!」と言って、走っていく。私は眩しい砂浜で1人ハヤヒデ先輩を探していた。

 

「ハヤヒデ先輩はどこでしょうか…場所聞いておくべきでした。」

 

私が独り言を言っていたら後ろから話しかけられた。

 

「ん。お前姉貴を探しているのか?」

 

私に話しかけられたと振り返ると後ろにハヤヒデ先輩の妹であるナリタブライアン先輩が立っていた。

 

「ブライアン先輩、ハヤヒデ先輩がどこにいるか知ってますか?」

 

「ああ。姉貴ならここだぞ。」

 

「え?」

 

私はどうやら、夏の暑さで見逃したらしい。よくよく見ればわかるのにその時は見つけれてなかった。

 

「姉貴、トレーナーの嫁が来たぞ。」

 

「そうか。グラス君場所を言い忘れてしまってすまない。」

 

ハヤヒデ先輩は私を見て謝る。しかし、髪の毛はボッサボサだった。

 

「この通り、私は癖毛なのだ。湿気が凄いところはこうなってしまう運命なのだ。」

 

「姉貴…前にトレーナーにストレートを見せたんじゃなかったか?」

 

「一応見せたのだがな…記憶がなかったらしい。」(第6レース参照)

 

「ふん。姉貴のトレーナーらしいな。」

 

姉妹話を聞いている時私はアメリカにいる妹のことを思い出していました。よくメールで「必ず次こそ倒す」とだけ来るので、次アメリカに里帰りする時は軽く捻ってあげようと思いました。

 

「そういえばグラスくんにも妹がいたのではなかったか?」

 

急に話しかけられ、私は現実に引き戻された。すぐに返事した。

 

「は、はい。アメリカの方に妹が。」

 

「なるほど。つまり、里帰りの時よく勝負を挑まれるのでは無いか?」

 

「そうですね。いつも挑まれすぎて飽きてしまいました。」

 

「私もいつかブライアンと走ってみたいと思うんだが…」

 

ハヤヒデ先輩はブライアン先輩の方を見て苦笑いをする。私はスペちゃんと宝塚、有馬と走ったからわかる。

知り合いやライバルと走ることはとても楽しいことだと言うことだ。楽しく悔しくそして認め合う。これがライバルとの戦いだと私は思っている。ハヤヒデ先輩はスマホを見て「トレーニング内容が来ていないようだが…?」みたいな顔でこちらを見る。私は直ぐにスマホを確認すると、写真は選択されているが送られてはなかった。

 

「すみません…ハヤヒデ先輩送り忘れていました。」

 

「いや、問題ない。グラス君、ここでゆっくりしといてくれ。トレーニング内容は確認したからな。」

 

「いいんですか?見とかないといけないはずでは?」

 

「何。疲れている者を無理やり付き合わせるほど阿呆では無いのでね。トレーナー君が来たらよろしく言っといてくれ。」

 

「分かりました〜。」

 

トレーナーさんが起きるのは夕方頃だろうか。今日は祭りの日だと聞いているから浴衣…持ってきた方が良かったのかもしれない。しかし、ハヤヒデ先輩のレースがあるからさすがに浮かれるのもどうだろうか。私がそう考えていると、近くからある噂話をしていた。

 

「ねぇこんな噂知ってる?理事長選にグラスさんのトレーナーさんが立候補するって話。」

 

「何それ、知らないんだけど。」

 

「噂なんだけどね?秋川理事長が理事長を辞めるらしいの。でも…数年間は続けるらしいけど理事長選があるらしいだけど、それに立候補するらしいよ〜。」

 

「あの人ってどんな人だっけ?」

 

「確か、同期からも慕われてて…そう考えるとあんまり関わったことないね。」

 

「ほんとだね。まあ…理事長が誰になろうとトレセンは残り続けるからいいかな。」

 

「だね。あっかき氷あるよ!」

 

私もそんな噂話聞いたことがなかった。トレーナーさんが理事長選に立候補?聞いたこともないし、考えている素振りも見たことない。それに秋川理事長が辞めるという話も聞いたことがない。どうしてそんな噂が流れているのだろうか。調べに行きたいが、デマ情報の可能性もあるので一旦忘れることにした。次に歩いてきたのはライスシャワーさんとキングちゃんだった。

 

「ねぇ、ライスシャワーさん。」

 

「どうしたの?キングヘイローさん」

 

「あなたのトレーナーって大丈夫なの?」

 

「大丈夫だよ。ちょっとゲームで課金したけど、欲しいキャラが出なかったからって遠泳してるけど。」

 

「ライスシャワーさんとアグネスタキオンさんを勝利に導いたトレーナーがこれでいいのかしら?」

 

「うん。お姉様はあれが普通なの。」

 

私はそれを聞いて「え?あれが普通なのですか?」と内心驚きつつ話を聞く。

 

「それでね。お姉様、もしかしたらあのままお姉様がやってるゲームの運営さんのところに乗り込むかもしれないんだって。

 

「それ…本当に大丈夫なのかしら…。今更だけどトレーナー変えるつもりは無いの?」

 

「うん。ライスはお姉様がトレーナーがいいから。」

 

「そう。それならいいのだけど。」

 

私はキングちゃんに向かって思ってることがある。

「そこで引き下がっちゃダメでしょ!」と思いつつ内心ツッコミを入れる。私は喉が渇いたのでお茶を取り出す。乾ききった喉に冷たいお茶が染み渡る。私にとっては幸せの時間だ。まあ、トレーナーさんと一緒にいる時の方が幸せと思うのだが…。次に歩いてきたのはトウカイテイオーさんのトレーナーさんとオグリ先輩のトレーナーさんだった。

 

「マルゼンスキーに菊花賞は無理だわ。うん。」

 

「…そうか。」

 

「お前無口だな。」

 

「…そうか?」

 

「そうだ。」

 

「…んー。そうなのか。」

 

「話が続かないじゃねぇか。」

 

「そうだな。」

 

この光景を見ていた私は苦笑いをする。オグリ先輩のトレーナーさんは無口なのは周知の事実だ。しかし、あまりにも喋らないからあだ名は【アイザック・ニュートン】だ。

理由も無口で逃げるように去ることが多いし、オグリ先輩やカフェ先輩は勝っているからある意味天才は天才なのかもしれない。ってことで昔居た偉人【アイザック・ニュートン】と名ずけられた。今では、使っている人を見たことは無いが…昔はよく使われていたらしい。中山トレーナーは坂本トレーナーに話し続ける。

 

「そういえば今葉と松風は?」

 

「あいつらなら…いや、どこに行った?」

 

「知らないのか…?」

 

「いや、松風は海を泳いでるのを見たぞ。」

 

「えっ何してるのあいつ…」

 

「わからん。」

 

「ですよね…」

 

同期トレーナーのことになると話すという謎の特性を持っていたりする。そして、後ろから話し声が聞こえてきた。

 

「お前…誰のトレーナーだ?」

 

「君はウオッカか?」

 

「ああ!俺はウオッカだ!こんなヒョロちいからには弱そうな担当なんだろうな!」

 

「言ってくれるね。」

 

後ろで私のトレーナーさんがいじめられている。私は青き炎を出して助けに行こうと思ったが、近くにいたダイワスカーレットさんがトレーナーさんとウオッカさんに気づいて話しかけた。

 

「何やってるのよウオッカ。」

 

「何って、こいつにトレセンの厳しさをだな。」

 

「あんた…この人を知らないわけ?」

 

「え?何言ってんだ?こんなやつ見たことないぞ?」

 

「あなたってバカね。」

 

「はぁ?バカってなんだよ。」

 

「この人はグラスワンダー先輩のトレーナーよ」

 

「は…?ってことは俺…さっきまで俺より強いやつにイキってたってことか?」

 

「そうよ。だから言ってたのよ。」

 

「すいませんでした!」

 

ウオッカさんはトレーナーさんに一礼して逃げるように走っていた。スカーレットさんはトレーナーさんに謝り、ウオッカさんを追いかける。後でどうなるかはご想像におまかせしておきます。

(グラス視点終わり)

 

起きて、顔を洗い砂浜に行くとウオッカに絡まれ、そしていじられた。無性にイライラする。もしかしたら、徹夜などでストレスが溜まっているのかもしれない。だから、俺は体を動かすことにした。まず、グラスに話しかけた。

 

「グラス。おはよう。いい薬だったよ。」

 

「そうですか〜。それなら良かったです♪トレーナーさん次から気をつけてくださいね?」

 

「あっはい…」

 

俺は強気でグラスに話しかけたが、グラスはまだあのことを怒っているらしくあのことを話すとニコニコして怒っているグラスの完成だ。俺はそれを見ると直ぐに委縮して謝る。これが俺たちの暗黙のルールだった。

時は流れて、何故かトレーナー対抗レースが行われることになった。参加者は俺、坂本、松風、中山、樫本理事長代理、そして後輩だ。全員白い線に乗らないように走る構えをした。もちろん、だいたい50mだ。ゴルシが見に来たウマ娘達に焼きそばを売る。いつものことだが、今回何故こんなことになったのか理由を説明しようと思う。

 

(回想)

「松風お前何してたんだ?」

 

「おや?今葉か。ナンパかと思ったよ。」

 

「お前なんかナンパする男なんて居ねぇよ。」

 

「本当にそうかな?」

 

「はいはい。そうですね。」

 

「そういえば、今葉。君、運動したいって言ってなかったかな?」

 

「言ったけど…どこで聞いてた?」

 

「私は地獄耳だから聞こえてしまうんだよ。」

 

「はいはいタキオンタキオン。」

 

「そうさ!タキオンの薬で地獄耳を手に入れたのさ。テレビの音量も2にしないとうるさいからね。」

 

「誰も聞こえないだろう普通…。」

 

「まあ…そんなことはいいさ。トレーナー対抗レースをしないか?」

 

「トレーナー対抗レース?」

 

「ああ。そうだ。前にしただろ?」

 

「あれか。いいだろう受けてたってやる。」

 

(回想終わり)

 

ということがあり、今に至る。

スタートを言うのはオグリン。ゴールに立っているのはライスとグラスだ。

 

「お姉様ガルバって!」

 

「トレーナーさん。勝ってくださいね。」

 

応援する2人が見える。俺はしっかり準備運動をして、構えた。

 

「トレーナー。用意はいいか?ではよーい!スタート!」

 

各一斉にトレーナーが走り抜けるはずだった。

1人ズドーンとコケるトレーナーありけり。名前は樫本理事長代理と言う。

そう。理事長代理が見事にすってんころりんとし顔面から砂浜にダイブしたのだ。樫本理事長代理のウマ娘達は頬を赤くして理事長代理を見続ける。そして、理事長代理は助けられ引きずられてテントに帰っていた。そんなことを知らず、走る中山と坂本。俺は2人の背中を追いかける。しかし、松風が走る気配がない。何をしているのだろうと振り返ると松風が人ではなく、チーターになっているではないか!

 

「誰だ!タキオンの薬飲ましたやつ!」

 

俺は走りながら叫ぶ。さすがにレースにチーターはやばい。いえば、レースにチーター(動物)というチーターが居るということだ。(あっみなさん読むの辞めないでください。)

俺は、とりあえず逃げるように走る。必死に走るうちに坂本と中山を抜いていたが後ろから「ガルル」と聞こえてきた。それに気づいた坂本と中山も逃げるように加速する。俺ら3人はチーター松風から逃げるために速度をあげるがゴールはもう通り過ぎていた。そして、俺たちはこう言う。

 

「「「止まれ…止まれ…なぁぁぁぁい!!」」」

 

俺たちはハモるってそう言い、3人とも海に突撃した。そして天高く水柱が立ち。俺らはずぶ濡れになった。

またまた時間は飛び、夜になる。

俺とグラス、ハヤヒデは近くでしていた祭りに来ていた。

 

「忙しかったから夏祭りとか何年ぶりだろ。ん…たこ焼き…か。」

 

「まぁ!たこ焼きですね〜」

 

グラスが俺の横からひょこっと出てきてたこ焼きを見る。食べたそうな顔をしているので「食べるか」と行ってたこ焼きを買った。もちろん、ハヤヒデのやつも。

 

「トレーナー君。すまないんだが、ブライアンと回ってもいいだろうか?」

 

「ん?あー…うん。いいよ。」

 

「すまない。では、行ってくる。」

 

ハヤヒデはたこ焼きだけ受け取り、ブライアンが居る方に歩いていった。俺とグラスは次行く屋台を見ながら歩く。しかし、周りのトレセンの生徒とトレーナーからの視線が痛い。ヒソヒソと何かを話している声が聞こえる。グラスも耳をピクピクさせて気になっているようだ。

 

「見て…グラスワンダーさんと担当トレーナーさんだよ。」

 

「ほんとだ。お似合いだよね〜。あの二人って。」

 

「わかる!」

 

「噂だけど、パソコンの背景宝塚記念時の写真なんだって。」

 

「何それ!ブラックコーヒー飲みたい!」

 

どうやら俺らの話をしているらしい。いや、わかっていたが…グラスと歩いていると見た事のある奴らが立っていた。

 

「お?松風に中山それに坂本じゃないか。お前たちも来てたのか?」

 

「今葉か。お前はあれか?デートか?」

 

「なぜそうなる?まあそうだけどな?」

 

「いいじゃないか。今葉も隅に置けないね。」

 

「うるさいな松風。お前、あの後どうなったんだ?」

 

「あの後…チーターになったあとかな?」

 

「そうだ。」

 

「あの後タキオンに戻る薬を飲まされて戻ったよ?」

 

「でも、そのタキオンが居ないがどこに?」

 

「実験だね。熱心だよね〜。」

 

俺はニコニコして笑っている松風の考えていることが分からないので昔からの付き合いらしい坂本に話しかけた。

 

「坂本さんや。この人何考えてはるん?」

 

「んー…そうだな。」

 

「…うん。」

 

「んー…わからん。」

 

「いや、困る。」

 

「仕方ないね。分からないんだから。」

 

坂本も無口で何を考えてるか分からないやつだが松風よりはマシの方なのだ。

同期トレーナーは担当ウマ娘を連れていて、担当ウマ娘達が話していた。

 

「オグリ先輩、次の有馬記念頑張ってください。」

 

「ああ。タマにも勝たなくては。」

 

「トウカイテイオーさんは天皇賞・秋だったよね?」

 

「うん。マックイーンも参戦するって言ってたからね!まあ、ボクが勝つに決まってるよ。」

 

テイオーの勝つ宣言に担当ウマ娘達は笑う。こう思うと担当ウマ娘達も仲がいいのかなと思いつつ、松風の話を聞き流す。

 

「今葉。君聞いているのかな?」

 

「はいはい聞いてますよー。聞いてる聞いてる。」

 

「だから、ジャパンカップにライスを出してみようと思うんだよ。今葉からなにかアドバイスとかないのかな?」

 

「ない。じゃ、お疲れ。グラス行こうか。」

 

俺は松風の話を聞き流して、移動する。もちろんグラスと一緒に。この後花火があるから、見えるところに移動しようと思ったが、だいたい決めていたところは人が多かったので砂浜に向かった。

 

「トレーナーさん。ここから見えるのですか?」

 

「見えるらしい。ブライアン情報だからな。」

 

「ちょっと見せてください。」

 

「どうぞ。」

 

(umain会話)

野菜嫌い「花火を見るのだろう?人が多いだろうから、砂浜に行くといい。アイツ曰く見えるらしいからな。」

今葉「アイツって?」

野菜嫌い「マヤノトップガンだ。去年トレーナーと行ったんだとさ。まあ、当の本人は今頃外国レースのために外国だがな。」

(終わり)

 

「なるほど〜。確かに、ここなら見えるかもしれませんね〜。あっもうすぐですね♪」

 

「ん。そうだな。」

 

俺はグラスに言われて携帯を見る。チラシで書いてあった20:00から花火の時刻が1分前に差し掛かっていた。

グラスはクルっと後ろを向き、月を見始めた。

 

「グラス?もうすぐで始まるぞ?」

 

「ええ。ですが、月が綺麗ですよ?トレーナーさん。」

 

「それは夏目漱石と同じ言葉として受け取ってもいいんだな?」

 

「んー。どうでしょう…と言いたいところですが、はい、トレーナーさん月が綺麗ですね。」

 

「ああ。綺麗だな。」

 

かつて夏目漱石が使ったと言われる言葉を使って愛を伝え合う俺とグラス。月に照らされているグラスの頬は少し紅く、少し恥ずかしそうにする。すると、後ろから「ヒュー…バァ-ン」と花火が咲いた音が聞こえてグラスの顔が花火によく照らされた。グラスは涙目になって俺を見ている。

 

「トレーナーさん。噂で聞いた話があるんですが聞いてもいいですか?」

 

「ああ。なんだグラス」

 

「トレーナーさんが理事長選に立候補するって聞いたのですが本当でしょうか?」

 

「んー。いや、するつもりは無いし。話で聞いているのはシンボリルドルフが立候補するって話ぐらいだな。」

 

「そうですか。もし、立候補する時はご相談くださいね?」

 

「もちろんだ。なんだ?そんなことで泣きかけていたのか?」

 

「違います!少し、目にゴミが入っただけですから。」

 

グラスと話している間も花火は後ろで打ち上がる。パーンパーンと色んな色でグラスの顔が照らされる。グラスは隣に来て、俺の手を握る。俺も握り返す。グラスはこっちを見て、少し気恥ずかしく俯く。

 

「トレーナーさん。これから先も支えますから絶対にこの手離さないでくださいね?約束…ですから。」

 

「もちろんだ。俺もお前を支える。だから離すつもりもないから覚悟しとけよ。」

 

「それは勝馬さんのほうですよ。」(主人公の名前【今葉勝馬】って名前です。)

 

グラスは下の名前で俺の事を呼ぶ。呼ばれた時ドキッとしグラスも恥ずかしそうにそっぽ向く。少し気まずい時間が流れたがその空気を壊すように話しかけられる。

 

「やぁ、ラブラブのそこのお2人。」

 

「またお前か!松風!」

 

「またとは酷いんじゃないかな?グラス君、今日やろうか。あれ。」

 

そういえばグラスと松風がなにか出し物をするって話を一日目に言っていた気がする。松風が「さぁ、会場に行こうか。」と言って歩き出した。俺とグラスは追いかけるように歩き出す。合宿所の前を通り過ぎて少しした所に旧校舎があった。旧校舎の前には坂本と中山もいた。

 

「んじゃ、私から説明させてもらうよ。」

 

松風は俺らの前に立って今からする出し物を説明した。

 

「今から肝試しをする。やっぱり夏といえば肝試しだよ。ってことでグラス君が徘徊しているのを隠れながら、この人形を持ってきてもらうよ。」

 

松風はポケットから旧校舎に置いてあるらしい人形を取り出す。人形のモデルは多分キングヘイローだろう。緑の服を着ていた。

俺は松風に質問した。

 

「ちょっと待て。これは1人ずつか?それとも3人で行くのか?」

 

「いい質問だね!3人ずつでも1人ずつでもどっちでもいいさ。」

 

3人でもいいと返事を貰ったので俺らはアイコンタクトをして、旧校舎の中に入った。

電気は付けておらず、懐中電灯しか明かりはない。俺が先頭で中山が真ん中、坂本が後ろと警戒しながら進む。俺が曲がり角を見た時に、光が反射して光るものがあった。その後、棒のようなものが早く動く時に聞こえる「ブン!」と聞こえた。俺はその音に聞き覚えがある。それは、グラスの薙刀だった。グラスの身長より長いゆえ、振り回すとき「ブンブン!」と風を切る音が聞こえる。

 

「やばい!グラスだ!逃げろ!」

 

俺らは走って逃げ出した。グラスは足音を頼りに追いかけてきた。

 

「トレーナーさん待ってくださーい!待ってくれないと切ります。待っても切ります。」

 

「それ結果的に死ぬやつじゃないですか!」

 

グラスは俺を追いかけて、走る。中山と坂本はどうやら先に脱出したらしく、俺は旧校舎に取り残された。

 

「ど…どうにかして…出口を…」

 

俺は物陰に隠れて状況を確認した。一応、グラスからの追跡は振り切れたらしい。息を切らしながら、俺はもう一度左右確認をする。グラスはどこにも居なく、一息付く。

 

「トレーナーさん♡どこですか〜♪出てきてくださーい♪」

 

どこからが聞こえるグラスの声。やはり、風を切る音が聞こえる。振り回しながら俺の事を探しているようだ。どうにかして、逃げることを考えなければ俺はやられてしまう。

 

「トレーナーさん?かくれんぼですか?いいですよ〜♪絶対に見つけてみせます♪そこですね!」

 

グラスは何かを話しながらこっちに向かってくる。もしやバレたのではも思い、しゃがみながら移動しようと思った瞬間横から薙刀の刃が壁を突き抜けて出てきた。薙刀の刃には俺の顔が写るぐらいに磨かれていた。

 

「トレーナーさん♡かくれんぼは終わりです♪」

 

肝試しは俺がグラスに捕まって幕を閉じた。松風は大笑いして、旧校舎の前で待っていた。グラスの服装は前に「ウマネスト」と言うゲームをした時に選んでいたヒーラーの服を着ていた。どこか見たことある気がするが、気のせいだろう。

俺とグラスは肝試しが終わってすぐに合宿先の俺の部屋に戻った。明日、空港に行くのに荷物を集める必要があったが何故か俺の部屋にグラスの荷物が置かれていた。

 

「誰でしょう…?私の荷物移動させたのは…」

 

「置き手紙ないか?」

 

(手紙)

「グラスへ 荷物はエルが集めておきました。合宿先最終日ぐらいはトレーナーさんと寝たらいい思ったからデース。あっ、あとエルの話し方が艦〇れの金剛って言った人はエルの寝技の刑デェェェェス! エルコンドルパサーより」

(終わり)

 

「「……」」

 

俺とグラスは2人して固まる。荷物があることはもう理解出来たからいい。しかし、1番謎なのは金剛のやつだった。なにか根に持っていることがあるのか?と思いつつ、また今度話聞いてやろうと思った。

俺が荷物をまとめてる間にグラスはお風呂に入り、グラスが出てきたら俺が次お風呂に入った。俺がお風呂から出てくるとグラスが俺の服を畳んでいたが、匂いを嗅いでいた。

 

「トレーナーさんの匂いはいいです…ね…あっ。」

 

「別に俺のことが大好きなのはよーくわかったから、続けたまえ。」

 

「やりません!寝ますよ!」

 

グラスは顔を真っ赤にして布団に入った。

俺は思った。

 

「またこの部屋布団が1つだ!!」

 

また同じ悩みを抱えなければながらず、俺はとりあえず外を見た。何も解決する訳もなく。どんどん時間だけが進んでいく。どうしようと考えても、グラスは布団に包まって出てこない。どうしたものかと思いつつ、また外を見る。月の光が海に反射して綺麗だった。しかし、それでは悩みは解決しない。そして時間がまた進む。すると、グラスが起きてきて俺の寝巻き袖を掴んだ。

 

「トレーナーさん寝ますよ。お布団に入ってください。今日、……私甘えたい気分ですから。」

 

グラスの小さく照れた声で言われ、俺は布団に入った。布団の中では、グラスが俺に抱きつき眠った。意外と寝心地がよく俺もすぐに寝た。

朝、起きると抱き合い向かい合っている状態で起きた。グラスも同じタイミングで起き目線が交差する。そして、グラスは「おはようございます。よく寝れましたか?勝馬さん。抱き枕の私はとても良かったと思いますよ?」と言って笑った。俺も「おはようグラス。ああ、よく眠らせてもらったよ。」と言って笑う。その後時間見て顔を洗った。

 

「トレーナーさんこの後は旅行ですね。」

 

「ああ、ハヤヒデにはトレーニング表送ってあるから1人でしてもらうしかない。お土産何がいいか聞いとかないとな。」

 

「そうですね。すみません。急に札幌に行きたいとか言い出してしまって…」

 

「いや、いいさ。グラスと旅行は楽しみだ。」

 

「私もです。旅行中は下の名前で呼びましょうか?」

 

「好きにしたらいい。グラスのな。」

 

「そうですか。わかりましたトレーナーさん。札幌に着いたら下の名前で呼ぼうと思います♪」

 

俺とグラスは合宿先を後にし、バスに乗り込む。そして、空港に向かい飛行機で札幌に向かった。




綾凪九尾です。
3週間ぶりの方はお久しぶりです。初めましての方は初めまして。
第7レースに続きの第8レースです。今回も1万文字超えてしまいました。合宿を終わらせるつもりだった結果こうなってしまいました。
まず、ネタ説明から参ります。
エルの「グラスゥ〜!焦れったいデース!(ry」はある同人誌のネタを取らさせてもらいました。私が好きな作家さんのネタでしたので使わさせて頂きました。
次にライスのセリフで「それでね。お姉様、もしかしたらこのままお姉様がやってるゲームの運営さんのところ乗り込むかもしれない」のところは松風の元の方がネタとして案を渡してくださいました。これには理由があり、今ウマ娘はライスシャワーとスーパークリークの新衣装が出てるんですが80連しても出なくて、乗り込んでやろうかと言ったからです。
続きまして、【アイザック・ニュートン】です。
これは本当の話らしく、本当に話さなかったらしいですね。詩人もなんか言っているらしいですし、それから拝借して【アイザック・ニュートン】のあだ名をつけさせていただきました。
4つめトレーナー対抗レースです。
これは日本ダービー前にまた行われます。理由は…まだ言えませんが日本ダービー前の話は少し重くなりますのでお気をつけください。
5つ目「止まれ…止まれ…なぁぁぁぁぁい!!」です。
これはアニメウマ娘であったシーンでして、サイレンススズカが坂からの急カーブを曲がれず、森に突っ込みチームスピカも同様で最後は海に突っ込むシーン真似してみました。
6つめ最後の肝試しです。
これは一応元ネタ?あります。
ひぐらしのなく頃にの竜宮レナの私服とグラスのウマネストの時の服が少し似てると私が思ったことにより発生したイベントです。鉈のところを薙刀に変えたのはグラスらしいさを残した結果ですね。
そろそろネタ解説は終わりにして、今回参照や説明を小説内に書かせていただきました。分からないなどがあってはいけない思い書いたのですが、分かりずらい場合はまた修正や感想で教えてください。
では次回予告に行きます。旅行…と行きたいですが違います。
時は4月まで戻ります。
そうですね。皐月賞まで戻ります。
皐月賞には「ハヤヒデ」「タキオン」「マルゼンスキー」が出走になります。展開だけ言っとくと「タキオン」を勝たせてから重い話に行こうかと思ってます。わかる人にはわかるです。
あっそれと、この小説によく松風が出てる理由ですけど
単なる松風なら何でもしていいって許可出てるのでネタを仕込んでるってことなんですよ。
あともう一つ。前回のあらすじを書いてみました。簡単に書いたのであんまり、参考にならないかと思いますけど…話の内容は繋がってるはずなので。
では、長くなりましたが。
今回「隣で寄り添う青き炎」を読んで頂きありがとうございます。
艦これには及びませんが、今読んでくださった方々は5600人を超えております。艦これは13000人です。頑張って抜こうと思ってます。
まあ、この後艦これも書くんですけどね。
覚えといてください。この小説…8000文字は一日で書いてますから。だから、誤字脱字あると思います。そして、キャラ崩壊ありまくりだと思います。認めます。ええ。だからこそ、暖かい目で読んで頂きたいと思いつつ終わらせていただきます。
次回も3週間後になります。皐月賞ですよ。次は。
では、またのご縁をお待ちしております。


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雨の皐月賞(第9レース)

時間は戻り、皐月賞前まで戻る。

 

「トレーナーくん。皐月賞に出走するようだが…誰が出るのか確認しているのか?」

 

ハヤヒデが話しかけてくる。俺はトレーナー室で積まれた書類の影で答えた。

 

「一応は…だ。机の上にあるだろう?確認してくれ。それと、グラスどこいった。」

 

「グラスくんなら、今頃道場だと思うけどね。さてと、ゆっくり見させてもらおうかな。」

 

ハヤヒデは机の上にあった書類を持って椅子に座る。髪の毛を踏まないように何回も何回も座り直して。俺は書類の山で見れなかったが、音で大体座り直しているのはわかる。

 

「ふぅ。髪の毛が長いのも考えものだな。」

 

ハヤヒデは少しため息を吐きながら書類に目を通した。

 

「ふむ。タキオンくんにマルゼンスキーくんが出ると。厳しい戦いじゃないか?トレーナーくん。」

 

「間違えなく厳しいな。でも、ハヤヒデさんならできるでしょ。とりあえず、書類手伝ってくれない?」

 

「グラスくんより『トレーナーさんが絶対助けを求めますから、絶対に助けないでくださいね。』と言われたのだ。悪く思わないでくれ。」

 

「これは徹夜コース確定かな…。ハヤヒデこれ。本日のトレーニングプラン。オーバーワークしないように。」

 

ハヤヒデはトレーニングプランの紙を受け取り、目を通して「了解した。」と答えてトレーナー室を出ていった。

俺は「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」と叫びながら書類を片付けようとしていた。

 

(ハヤヒデ視点)

トレーナーくんからトレーニングプランを渡してもらったが、スピードとパワー中心のトレーニングだと思っていなかった。スタミナも少し上げたりするらしいが、勝つために後ろから抜けるようにパワーを上げるのだろうか?それはそれでいい思う。さて、パワーを上げるためにトレーニングルームに向かう。色んなウマ娘が走ったり、歩いていたりする。

 

「バクシィィィィン!バクシンバクシン!バクシィィィィン!」

 

「バクシンオーさん廊下は走るものではありません。歩いてください。」

 

「ちょわ!学級委員長として失態!以後気をつけます。」

 

こんな会話も日常茶飯事でもある。私はスタスタ歩いて、トレーニングルームに行く。右見ても楽しそうな会話。左見ると教室の中で読書をするウマ娘。

トレーニングルームに行く前に着替えなければならないのを思い出した。だから、私は少し速足で更衣室に向かう。

 

「ほっほっ。トレーナー室から更衣室は意外と遠いのか。いつも外集合だったから遠いな。」

 

私が独り言を言いながら速足していると後ろから話しかけられた。

 

「やぁ、ハヤヒデくん君もトレーニングかな?」

 

「その声はタキオンくんか。君、皐月賞に出るのではなかったか?」

 

「そうだとも。今からトレーニングルームに向かっているんだか…いつも実験ばっかりでね。着替えるのを忘れていたのさ。」

 

「奇遇だな。私もだ。一緒に向かうとしよう。」

 

「いいとも。君のその髪のことも気になるからね。」

 

私はタキオンと速足で更衣室に向かった。

更衣室に着いてドアを開けるとカフェ君が着替えていた。

 

「あっ。ハヤヒデさんに…タキオンさんですか。」

 

「カフェ!私の顔を見る度にガッカリするのはやめた方がいい。それとも実験されたくてその顔なのかな?」

 

「やめてください。近づかないでください。にっこりしながら薬を出さないでください。どこから出してるんですか。」

 

「連続のツッコミ。君は相変わらず面白いね。」

 

「タキオンさんに褒められるのは嬉しくないです。」

 

タキオンくんとカフェくんの会話をしている間に私は着替えていた。

 

「また…小さくなったのだろうか?キツい気がする。」

 

私は体操服を着て思ったことを呟いた。すると隣で着替えていたスズカ君が「嘘でしょ…」と思っている顔でこちらを見ていた。私はどんな言葉をかければいいのかわからず更衣室から出た。外にはいつの間にか着替えていたタキオン君とカフェ君が話していた。

 

「ところでカフェ。君は皐月賞に出ないのかな?」

 

「はい。無理にきつい戦いに行く必要は無いとトレーナーさんより伝えられましたから。」

 

「そうなのかい。なんだか意外な判断だね…君のトレーナー君は。」

 

「そうですか?あの人結構慎重派ですよ?」

 

「ふぅん。なかなか興味深い。次のレースは何を行くのかな?」

 

「まだ決まってません。多分GⅡと思いますけど。」

 

私は話の中に入れずに更衣室のドアの前で立ち尽くしていた。私は静かに壁沿いへトレーニングルームに向かうと「やぁ、待っていたよハヤヒデくん!」と話しかけられた。さっきまで空気にしてたのにいい性格していると思った。

 

「うんうん。そうだね。君のことを空気にしたことを謝らないといけないな。すまない。」

 

「いや、いいんだが…勝手に人の内心を読み取らないでくれ。」

 

「すまないと言う思いを見せるためにこの実験データを見せよう。」

 

「これは…?」

 

「グラスワンダー君が君のトレーナーくんに思っている内容だよ。」

 

「見せられてもどうすることできないだろうが!」

 

私は実験データを取り上げて床に投げつけた。タキオン君が少し悲しそうな顔をして歩いていった。私はトレーニングルームにカフェ君と話しながら向かった。

 

「先程はすみません。タキオンさん私と話してると周りが見えなくなるみたいで。」

 

「いや、大丈夫だよ。いつもこの髪の毛で存在感があった私からしたら新鮮だった。さて、トレーナー君曰く本日のトレーニングは…っと。ふむ…スタミナ系か。」

 

「トレーニング表用意されているんですか?」

 

「ん?いや、トレーナー君が事前に作っといてくれるんだ。それを私はトレーナー室に取りに行くことになってる。今日は室内だがね。」

 

「いいですね。私のところはトレーニング表ないんです。口伝えで終わりです。まあ、覚えれられますからいいですけど。」

 

「そうか。しかし、忘れることは無いだろうか?」

 

「大丈夫ですよ。私の友達が覚えてますから。」

 

「そ…そうか。」

 

「ところで、ハヤヒデさんの次のレースは皐月賞ですか?」

 

「突然だね。ふむ、そうだが?」

 

「そうですか。トレーナーさんの同期ほとんどが参戦するのに私だけ不参加って少し悲しいような気がします。」

 

「仕方ないことだと思うがね。言えば強いウマ娘が集まっているのだから、あえて回避する方針にするトレーナー君達も居るだろう。さて、トレーニングルームに着いた。」

 

深く話し合っているとトレーニングルームに着いた。さほど遠くない距離なのに長く話し合った気がした。トレーニングルームのドアを開けると器具が並べてあり、サンドバッグやサイクリングマシンなど色んなものが置かれている。これ全て理事長の自腹と言うのだから恐ろしい。理事長は何者なのだろうか。お嬢様って情報は聞いたことがあるが…。カフェ君があとからトレーニングルームに入る。

 

「今日は少ないですね。」

 

カフェ君が指摘するように、いつもなら大勢のウマ娘達が居るのに今日に限って居ないのだ。ほとんど外でトレーニングはありえない。絶対に5人以上居るはずが2〜3人しかいない。私はメガネを掛け直し、周りを見渡した。すると、大体の原因がわかった。

原因はタキオン君だった。

 

「あの情報集めるの大変だったのだけど…まあ、ハヤヒデ君には要らない情報だったかもしれない。やはり、ちゃんと謝るべきだろうか?いや、でも…うーん。」

 

壁の方を向いて空気を重くしていた。それを不審に思ったウマ娘達が去っていったのだ。今でも1人また1人とトレーニングルームから出ていく。トレーニングルームには私達3人しか残っていない。とりあえず、タキオン君を戻すことを第1目標としタキオン君に近づいた。

 

(ハヤヒデ視点一旦終わり)

 

書類に埋まる机を片付けながら書類を見ていく時間か1番の苦痛だと俺は思う。山になっているからこそ、もっと苦痛になる。1枚1枚書類に目を通しては、カゴの中に入れて無くさないようにする。こんな作業を早朝から昼までしている。他のやつはちゃんとしているのだろうか。まあ…そんなこと考えている暇があるのなら書類をさばこう。

俺は書類の束を掴み取り1枚1枚見ていく。不備がある場合俺の方で訂正する。何故かトレセンの運営費などの書類が混じっており、その金額に吹き出す時もある。まあ…今回は入ってなかったと思いたかったが、「領収書」と書かれた書類がでてきた。俺はそれを恐る恐る書類の束から抜き取る。

 

「整地ローラー30万円及び花壇の工事50万円。支払い者秋山やよい…理事長80万も払ってる!?」

 

「どうしましたか〜?」

 

「おお。グラスか。いや、この書類見てくれ。」

 

「どれですか〜?」

 

「これだ。」

 

「はい。ちょっと待ってくださいね。えっと、これは領収書ですね。理事長さん凄いですね。」

 

「ほんとだよ。ところでグラス。手伝って。」

 

「んー…そうですね…。手伝ってもいいですけど、少し汗臭いかもしれせんよ?」

 

「気にしないから手伝って。これ終わんないよ。」

 

グラスの助けを勝ち取り、手伝ってくれることになった。

ハヤヒデに手伝ったらダメって言う癖には何気に優しいグラスだ。汗臭いぐらい俺は何も思わないと思いつつ、2人で書類を片付けていく。途中、松風が遊びに来たが追い返して書類を片付けた。だいたい、松風は元資本家だったらしく書類作業が得意中の得意らしい。資本家ってなんだよ。社長か?いや、あいつが社長ってありえないか。ほんと何者だろうか。

 

「トレーナーさん。これ、不備ですよ。」

 

「んー?あー、はいよ。これをちょいちょいと。はい。」

 

「ありがとうございます。」

 

「やっと半分かな?」

 

「そうですね〜。これ夜まで掛かりますね。」

 

「貯めてたわけじゃないんだが…なんでこうなった…」

 

「多分、発送忘れだと思います。たまにあるんですよ。各トレーナーに渡し忘れた書類を机の上に置いては放置していくらしいんですが…多分それかと」

 

「まあ。酷いですわね。全くですわ!」

 

「トレーナーさんふざけてますか?」

 

「いえ、ちゃんとやらさせていただきます。」

 

少しグラスに睨まれて俺は萎縮しながら書類に目を通す。グラスは俺が書類1枚に目を通す間に4枚見終わっていた。俺は「あれ?おかしくない?」と思いつつ、書類を見届ける。不備を直しながら書類を片付けた。何気に溜まっていた書類の山はもうなくなりつつあったのでグラスに休むように進めた。

 

「グラス。終わりそうだから休んでいいぞ。」

 

「それを言うのならトレーナーさんが先です。」

 

「いや、グラスだな。」

 

「トレーナーさんです!」

 

「グラスだ!」

 

「違います!トレーナーさんです!」

 

「グラスの方が疲れてるに決まってる!」

 

「どうしてわかるんですか!違うかもしれませんよ!」

 

「俺もグラスは以心伝心だからわかる!」

 

「それなら私もトレーナーさんと以心伝心ですから!」

 

「うん。こんなことで喧嘩って…一緒に休むか。」

 

「そうですね。仮眠室行きますか?」

 

「いや、寝たら完璧にやる気になれない。」

 

「そうですか。お茶入れてきますね。」

 

グラスはそう言って茶っぱを取りに行った。俺はトレーナー室から見える外を見た。外ではマルゼンスキーが走っていた。タイムを測っているのか早い。さすが『スポーツカー』が異名なだけはあると思いつつ、見続けた。2回目のタイムを測るのだろうか?中山と話している。俺は近くにあったストップウォッチを取り出し、マルゼンスキーの速さを測った。俺はその結果に絶句し、ハヤヒデの最終仕上げのトレーニング方法を考えた。

 

(ハヤヒデ視点にもどる)

タキオン君を元に戻し、トレーニングが始まった。ランニングマシンで走り、サンドバッグを殴り水分補給をしてまた同じことの繰り返し。タキオン君は紙を広げながらトレーニングをしていた。あれは自分に合ったトレーニング方法を探りながらやっているのだ。松風トレーナーはライス君に付きっきりでタキオン君は自分でトレーニング方法を考えると言ったらしい。なんとまぁ、すごいことを言ったことだと思う。私は理論しか組めないからその才能は欲しく感じる。カフェ君はと言うと、何ないところを見ながら話している。また友達だろうか?よく分からないが、仲良さそうだと思った。すると、生徒会長が入ってきた。

 

「やぁ、ハヤヒデ。ブライアンを探しているのかな?」

 

「いや、皐月賞に向けてトレーニングだ。」

 

「なるほど。そういえば、もうすぐだったね。あと…2週間後だったかな?」

 

「そうだ。しかし、会長がどうしてここに?」

 

「私だってウマ娘だ。トレーニングだってするさ。」

 

「ふむ。そうだったな。」

 

私と会長で話していると、戻ってきた他のウマ娘達がヒソヒソ話し出した。

 

「会長とハヤヒデさんが話してる。珍しいことあるんだね〜。」

 

「ね〜。1番相性悪そうだよね。」

 

「わかる〜。」

 

相性悪そうに見えるだろうか?逆にブライアンもの方が悪そうに見えるのは私だけだろうか?まあ…周りの意見など個人の考えの一つなのだから気にするだけ無駄だも思いつつ会長と話す。

 

「皐月賞に勝ちたいのなら、ある人を紹介してもいい。」

 

「?それは誰だ?」

 

「私のライバルである意味先輩でもある『ミスターシービー』だ。」

 

「生徒会長戦で票を取り合った相手か。ふむ、また会ってみよう。」

 

私は会長に言われた通りミスターシービーを探す。どこにいるのか分からないが会長曰く「シービーなら多分グラウンドに居るだろう」と言われたので向かってみた。

 

(ハヤヒデ視点一旦終わり)

何事も、全ては当日の天気による。芝の様子でトレーニング方法も変えなければならない…はずだ。だからこそ、今天気予報を見ている。皐月賞の日、天気は曇りのち雨。そうなるとだいたい芝は稍重になるか重になるかどちらかになる。さすがに不良にはならないと思う。俺は天気予報は時に変わるので確認を怠らない。その時ドアをノックされた。

 

「はい!どうぞ〜。」

 

俺は少し残ってる書類を見続けながら答えた。中に入ってきたのは会長だった。

 

「やぁトレーナーくん。」

 

「会長…?どうされました?」

 

「いや、先程ビワハヤヒデと話していてね。皐月賞に勝ちたいのでどうすればいいと相談を受けたのだが…」

 

「それで…なんて答えたんですか?」

 

「私のライバルを紹介してみたんだ。」

 

「ライバル…ですか?会長のライバル?」

 

「ああ。ライバルだ。ふふふ…悩んでいるようだが、私のライバルは1人だけだ。それは外を見てみるといい。」

 

「外ですか…?どれどれ。えっ…あのウマ娘は…」

 

俺は外を見てハヤヒデと話してるウマ娘を見て会長の方を見直した。会長はニコニコと笑っている。

 

「待ってください。あのウマ娘は『ミスターシービー』さんですよね!三冠ウマ娘の!『ミスターシービー』さんですよね!」

 

「トレーナーくん。何興奮しているのかな?」

 

「いや、だってあの『ミスターシービー』さんですよ!俺がトレーナーになろうと思ったのも『ミスターシービー』さんに会うためなんですから!」

 

「夢が叶ってよかったじゃないか。良かったら下に行ってみたらいいよ。」

 

「行きたいですけど…この書類が…」

 

「ふむ。これは…あはは。これは無理だな。」

 

「ですね…とりあえず、今回の用ってなんですか?」

 

「ああ。それなのだがね。今、小等部が見学に来ているのだ。それで今暇だろうと思って来てみたんだが…タイミングが悪かったかもしれないな。」

 

「いえ、大丈夫ですよ。どうぞ、見学するなら。」

 

「さすが今葉トレーナー君だ。じゃあちょっと呼んでくるよ。2人だけだから、気を使わなくていい。」

 

「わかりました。」

 

会長はそう言ってドアを閉めた。小等部が見学をしていると話は全然知らなかったが見学に来ているのなら拒絶するのも悪いことだ。頼むから松風のところには言って欲しくない俺がいた。会長がまたドアを開けた。

 

「じゃあトレーナー君。5分ぐらい説明と見学をさせてもらってもいいかな?」

 

「はい。大丈夫ですよ。んで、どなたが来たのでしょう?」

 

「小等部の『キタサンブラック』と『サトノダイヤモンド』だ。将来のトレセンの学生だから丁寧に扱ってくれたまえ。」

 

「わかりました。」

 

俺は後ろからこちらを覗いている2人の小さいウマ娘に話しかける。

 

「黒髪の君が『キタサンブラック』で栗毛でダイヤの模様がある君が『サトノダイヤモンド』かな?」

 

俺は2人の特徴を見て名前を確認した。2人の小さいウマ娘はお互いに顔を見合わせて頷いた。初々しくて可愛いものだ。俺は説明をした。

 

「ようこそ、今葉トレーナー室へ。さて、俺のことはわかってるかな?」

 

俺はわかりやすいように質問を受けながら説明する方針を固めた。サトノダイヤモンドが俺の質問に答えた。

 

「えっと…無敗伝説を作ったグラスワンダーさんのトレーナーさんです。」

 

「ダイヤちゃんしっかり勉強しているね。2人とも走るの好きかい?」

 

「「はい!」」

 

「こりゃ元気がいい。トレーナーの俺もこんな元気なウマ娘欲しいよ。っと、時間が無いから早足で説明していくね。」

 

「「お願いします!」」

 

「まず、ここは担当ウマ娘と作戦会議をする場所でもある。特に、今置いているホワイトボード。あれは皐月賞のことを書いている。俺の担当は次皐月賞だからな。もしかしたら、君たちも走るかもしれないね。そして、トレーナーの仕事はトレーニング方法を決めたり、オーバーワークをしてないかをしっかり確認すること。」

 

「し…質問いい…ですか?」

 

「はい。ダイヤちゃんどうぞ?」

 

「オーバーワークってなんですか?」

 

「小さい子には少し難しいかな。簡単に説明すると…んー…疲れているのに無理に走ったりすることかな。疲れているのに走ったらもっと疲れるだろ。それに怪我にも繋がるかもしれない。体を休めるためにも監視もしている。まあ…これでわかった…かな?」

 

「はい!ありがとうございます。」

 

「それと、トレーナーは担当と絆がないとダメだ。絆がなければ言うことを聞かないからな。んで、次だが…キタちゃんとダイヤちゃんには追いつきたいウマ娘はいるかな?」

 

俺はタラタラと説明するのは違うと思い、夢や理想の人を聞いてみることした。最初に口を開いたのは『キタサンブラック』だった。

 

「私は!テイオーさん!テイオーさんの走ってる姿がかっこいいんです!」

 

「確かに、帝王様の走りはみんなを魅了する力があるな。次の帝王様のレースは未定だったか。どのレース走るんだろうな。ダイヤちゃんは?」

 

俺はキタサンブラックとの話が終わったのでサトノダイヤモンドに話を振った。

 

「私はマックイーンさんです!マックイーンさんも走ってる姿がかっこいいからです!」

 

「マックイーンか。天皇賞を2度も邪魔されてるが、弱くはないな。2着に付けてることは強者ではあるな。じゃあ夢はあるかな?」

 

俺は追いつきたいウマ娘を聞いたので、次に夢を聞いてみた。先に答えたのはサトノダイヤモンドだった。

 

「私は…ジンクスを破ることです。」

 

「ジンクス?」

 

「はい。私の家系は『GIが勝てない』や『ヤギの呪い』と言われるジンクスがあります。それを破ることです!だからマックイーンさんみたいに勝ちたい!」

 

「なるほど。なら、中等部に来た時に俺がトレーナーになってあげたいな。必ず、勝たせてあげるよ。まあ…その時には居るか分からないけどね。」

 

「ありがとうございます。私の夢を聞いてくれて。」

 

「いやいや、聞くのは当たり前だよ。だって、グラスもウマ娘の頂点に立つって言う夢があったからね。夢には色んなものがある。キタちゃんにはあるかな?」

 

「私は…天皇賞春秋連覇です!」

 

「おっ!大きく出たね。」

 

「はい!テイオーさんを超えたいとずっと思ってますから!」

 

「大きく夢を持つことは大事だ。しっかり、それを忘れずにずっと持たせて闘志を燃やすことがレースに勝つことだよ。って感じでいいですか?会長」

 

俺は一通り話終わり、会長に話しかけた。会長は俺の話をしっかり聞いていたようで笑って返事してきた。

 

「ああ。いい説明にいい鼓舞だったよ。まさに、拳を上げて鼓舞する感じだった。」

 

俺は会長の洒落に気づき、冷や汗を流した。小等部の2人はよくわかってなかったのが幸いだったが会長は何か言って欲しそうにこちらを見ている。俺はどうするべきなのかと考えた。

 

「そ…そうですね!鼓舞するのなら拳を上げなくてはなりませんね!あははは…」

 

乾いた笑い声が静かなトレーナー室内で響く。会長は満足そうに「じゃあ、2人とも行こうか。」と言って出ていった。俺はその場でしゃがみこみ、数十分間落ち込んだ。

 

(ハヤヒデ視点)

私はミスターシービーと話している。掴みどころない本当に走るのが好きなんだろうと話していると伝わってくる。

 

「皐月賞は直線が短いから第3コーナー入る前に勝負を仕掛けるのがいいと思うよ。」

 

「なるほど。しかし、コーナーだと速度が落ちてしまうがそれはいいのか?」

 

「そんなこと大丈夫だよ。その足はなんのために走っているのかな?君を勝たせるためじゃないのかな?」

 

「なるほど。気合いを入れて前に出ろってことだな。ありがとう。参考になった。」

 

「いいよいいよ。強いウマ娘が出ることは私も嬉しいから。皐月賞絶対に勝ってよ。」

 

「もちろんだ。では、失礼する。」

 

私はそのアドバイスを試すために翌日グラスくんと併走した。もちろん、タイムを測っているから手は抜けない。トレーナーくんが「よぉいスタート!」とコールをして私とグラス君はスタートする。並ぶように走るが私が先頭に立つ。グラスくんはどうやら差しで勝負にするらしい。スタートする前に周りを見ているとミスターシービーがこちらを見ていた。少し遠目ではあるが、確実に見ていた。私はミスターシービーのアドバイス通りに第3コーナー前に勝負を仕掛けた。しかし、後ろから殺気と言うか睨まれている感じがした。グラスくんだ。グラス君が私…ではなく前を睨んでいるのだ。どこで勝負をかけるのか分からず、速度をあげる。それが仇となり、スタミナが無くなっていく。グラス君はそこと言わんばかりに私を外回りで追い抜いていく。どんどん距離を開けられ、グラス君に負けた。

 

「はぁはぁ…さっきのはなんだったんだ…はぁはぁ。」

 

「グラスの睨みに負けたか。見ててわかったぞ。」

 

「ああ。あれは確実に、王者の覇気ではなく…差し切る為の殺意だった。」

 

「グラスが無敗になった理由も少しはわかったか?それと、勝負所変えたな?いい場所だと思う。中山は直線短いからな。」

 

「ミスターシービーに教えてもらったのだ。今回のレース。第3コーナー前で勝負をかけさせてもらう。」

 

「ああ。頑張ってくれ。」

 

私たちは翌日が早いため早めに寮に戻った。

 

(ハヤヒデ視点終わり)

俺は全ての仕事を終わらせ、部屋に帰る。しかし、後ろから誰に付けられている感じがする。校舎内、校門前、寮通路。もうあいつらしかいない。バッと後ろを向くとびっくりしてすぐ隠れた影が2つ。堂々といる影一つあった。俺はその影たちに話しかけた。

 

「あのさ。着いてくるなら話しかけたらどう?同期の皆さん?」

 

「すまないね!さすがにこんな夜に話しかけたら不審者かと思われると思ってやめていたんだ。」

 

「大丈夫だ。お前は元から不審者だ。」

 

「ははは!今葉は面白いツッコミをしてくれるね。気に入ったよ。」

 

「お前に気に入られても困る。酒か?話か?発情か?いや、発情は困るな。それになんでおまえは隠れねぇんだよ」

 

「堂々とすべし、と前の仕事で習ったからね!」

 

「はぁ…いいや。とりあえず入れよ。」

 

俺は3人を俺の部屋に入れた。そして、酒飲みが始まる。

 

「今回の皐月賞雨らしいな!」

 

「…そうか。」

 

「お?どうした?坂本。お前のところは出ないんだろ?そんな落ち込むことないんだぞ★」

 

「…落ち込んではない。誰が勝つのか考えていた。」

 

坂本は酒を飲みながら、出走するウマ娘を見ていた。

 

「そりゃ、ビワハヤヒデよ!」

 

俺はそうやって答える。もちろん、中山は「いやいや、うちのマルゼンスキーだからな?」と言う。松風は「そんなぐらいで私のタキオンが負けると思っているのかな?」と言う。無駄に火花が散り、一触即発状態になる。こうなったら俺のすることは1つ。こいつら3人追い出すのみ。

 

「俺の部屋で喧嘩するなら出ていけ。」

 

と言ってポーンっと追い出す。俺はドアを直ぐに閉めて、鍵を閉め、チェーンをした。あとは風呂に入って寝るだけなので本日は終わり。

翌日、直ぐに中山競馬場に向かう。新しくデビューする子達を見るためだ。もしかしたら、この先対峙するかもしれないからこそ視察だ。レースを見て次は9レース目だった。ハヤヒデは控え室に向かった。松風もタキオンを送り出し、中山はマルゼンスキーと最後の作戦会議をしていた。俺は勝つことを信じているので、あえて作戦会議をせず。ハヤヒデの考えで勝ちに行くことにした。

時間は流れて次が11レース。皐月賞になった。パドックが始まり、ハヤヒデが肩に羽織っていたマントを掴んで飛ばした。周りの観客からは「おー!!」と言う声が聞こえる。次にマルゼンスキーが出てきて同じようにする。そして、声もまた同じ。アグネスタキオンも同じようにする。やはり、この3バがこのレースの鍵になるとファンたちからは理解されているのだろう。そして、本バ場入場。タキオンとハヤヒデが話しながら出てくる。気分は悪くなさそうだ。マルゼンスキーもファンたちに手を振っている。俺はハヤヒデを見ていた。すると後ろから話しかけられる。

 

「今日は一雨ありそうだね。君がハヤヒデのトレーナーかな?」

 

「あなたは…」

 

「走るのが大好きなウマ娘…と言いたいけど顔がバレてるから無理かな。」

 

「み、み、み、『ミスターシービー』さん!?」

 

「さん付けとはびっくりしたよ。」

 

「だだだだだって、俺…私?僕?『ミスターシービー』さんに会いたくてトレーナーになったんですから!」

 

「それはそれは。握手でもしてみる?」

 

「えっ?良いんですか?」

 

「もちろん。はい、初めましての握手だよ。」

 

俺は夢まで見たミスターシービーと握手をする。この手は必ず洗わない。そう誓う。

 

「さて、今日は一雨ありそうだね。少しさっき降ったから芝は不良。一波乱ありそうな展開だね。」

 

「ですね。」

 

俺とミスターシービーが話している時グラスはハヤヒデの入るゲートを見ていた。

 

「トレーナーさん。ハヤヒデ先輩は4枠です。」

 

「はい。4枠。チェック完了。さて、そろそろ始まるかな。」

 

皐月賞のファンファーレが始まり、クラシック三冠が始まったと理解する。これからのハヤヒデのレースがどうなるか期待する。

 

(またレースと実況を入れます。しかし、今回はしっかりと改変無しのやつですのでご安心を。)

実「最も『はやい』ウマ娘が勝つという皐月賞!成長を見せつけるのは誰だ!」

実「さぁ、1番人気の紹介です。ビワハヤヒデ。」

実「続く2番人気はマルゼンスキー。」

実「注目のウマ娘アグネスタキオン。現在3番人気です。」

解「気合十分。いい顔してますね!」

実「各ウマ娘ゲートに入って体勢整いました。」

実「さぁゲートが開いた。各ウマ娘綺麗なスタートを切りました。」

解「誰が抜け出すか注目してみましょう。」

実「先行争いはマルゼンスキー、アグネスタキオン、14番。」

実「期待通りの結果を出せるかビワハヤヒデ。」

実「マルゼンスキー快調に飛ばしていきます。先頭はマルゼンスキー単身で飛ばしていきます。」

実「2番手の位置で先頭を伺うのは2番」

実「1コーナーから2コーナーへ向かう。」

実「先頭集団を見てみましょう。」

実「ハナを奪っていったのは五番。続きましたマルゼンスキー。激しい先頭争い。内から14番。1番並びかけてくる。1バ身差18番。内から内から!8番。ビワハヤヒデここにいた。内から行く10番。アグネスタキオン追走。そしてその外から行ったのは17番。内12番。その後から3番。後ろ2番。少し後ろから9番。内から内から!7番。その後6番。」

実「2コーナーまわって向こう正面。」

実「現在1番手は14番。続いて5番。3番手にマルゼンスキー。少しうしろから1番。10番追走。1バ身離れて8番。それを見るようにアグネスタキオン。少し離れて18番。その内並んで12番。外を通りまして17番。その外並んでビワハヤヒデ。そしてその内まわって2番。少し後ろから9番。少し離れて7番。少し後ろから3番。そしてその後方には6番。後方2番手11番。13番最後方だ。」

実「まもなく第4コーナーだ!」

解「勝負所最後の直線へと駆けていきます!」

実「まだ先頭は変わらない!果たして抜け出すのは誰だ!?」

実「アグネスタキオン前を狙っているぞ!」

実「中山の直線は短いぞ!後ろの娘達は間に合うのか?」

実「並んでくるアグネスタキオン!アグネスタキオン!ここで抜け出した!アグネスタキオン、脚色は衰えない!」

実「残り200」

実「アグネスタキオンリードは2バ身。ビワハヤヒデ食い下がる。2番手争いはマルゼンスキー、ビワハヤヒデ。」

実「お見事!アグネスタキオン!着差以上の強さを見せた見事な勝利です!」

実「中山2000m!まず道を繋ぎました!アグネスタキオンまず1冠!」

実「2着はビワハヤヒデ!3着はマルゼンスキー!」

(実況終わり。実=実況、解=解説)

 

ハヤヒデは見事にタキオンに負けてしまった。しかし、タキオンは走りきったあと…蹲っている。俺と松風が駆け寄るとタキオンは笑ってこう言った。

 

「すまない。モルモットくんとハヤヒデくんのトレーナー君。肩を貸してくれないかな?足が痛くてね。」

 

足が吊ったのかと思いつつ、肩を貸す。普通負けた担当ウマ娘の方を優先すべきだが、同期の担当がこんな状態だと仕方ないと皆思うはずだ。医務室に運び、翌日病院に行ったらしい。

 

(松風視点)

さて、タキオンのあの痛がりようは吊ったのではない気がするのだが…とりあえず、検査待ちをしよう。病院内で私はその辺の紙を見る。そして、呼ばれ診断室の中に入る。そして、タキオンの骨のレントゲン見て驚く。骨密度が低い。医者から言われる言葉は容易に想像出来る。医者は重い口を開いた。

 

「アグネスタキオンさんの骨は…とても折れやすいです。昨日のは多分、骨に圧がかかったことによって痛みが出たのでしょう。これ以上の圧は掛けない方がいいでしょう。」

 

「つまり…どうゆうことかな?」

 

「これ以上走らないでください。次、走ったら二度と歩けなくなります。薬でどうにかする次元ではありません。現役を引退した方が身のためでしょう。」

 

「そう…ですか。」

 

私の口からは何も言えない。タキオンも静かに診断を聞く。私はとりあえず、今葉に電話する。

 

「やぁ…今葉少しいいかな?」

 

「そのトーンの暗さから的に悪かったんだな。とりあえず、理事長がお呼びだ。俺もどうやら呼ばれてるらしい。早く帰ってこい。」

 

「わかったよ。」

 

私は言われるがままトレセンに戻った。そして、理事長室に向かった。もちろん。タキオンを連れて。

 

「失礼します。」

 

「うむ!よくぞ来てくれた!今回のレースの結果聞いておるぞ!感謝ッ!またURAの人気も上がるだろう!しかし、アグネスタキオンの調子は悪いようだな。診断書も来ている。松風トレーナーに聞きたい。どうしたいのだ?」

 

この時の理事長はいつもの理事長ではなく、私を睨むような目だった。私はタキオンの夢を壊したくない。でも…どうすればいいのか。分からない。

 

「ふぅん。次走れば歩けなくなる。なんてスリルだと思わないかい?実験にはスリルが付き物さ。それに、理事長如きで私の実験を邪魔しないでもらいたいね。」

 

タキオンが理事長を睨んでいる。私はそれを見てこうゆった。

 

「私がほかのトレーナーに勝ったらダービーに出してもいいかい?」

 

理事長は私の目を見て答えた。

 

「肯定ッ!その覚悟しかと受け取った!するがいい!トレーナーダービーを!」

 

こうして、トレセン内でトレーナーダービーと言われる私とタキオンの最初で最後の大勝負が始まろうとしていた。




いつも読んでいる方。ありがとうございます。
初めての方。初めまして。
飽きたって方。ちゃんと出してるんだから読んで。
綾凪九尾です。
今回の遅れた理由を説明します。
理由は「艦これ」です。
私が艦これの小説を書いているのことはご存知ですか?
ご存知なくてもいいんですが、その艦これ小説に8990文字を書いてしまい。見事にウマ娘に向けるはずのやる気が艦これに使われました。これは私の責任でもあります。
すみませんでした。
謝罪ははこれぐらいにして。
今回は皐月賞…はほとんど最後。視点移動が多く、少し変わった感じになったと思います。そして、キタサンブラックとサトノダイヤモンドの登場。何か伏線のある会話。そして、あんまり出ていないグラスワンダー。
今回は色々とイレギュラーを混ぜこみました。私も初めてです。12000文字だなんて。私も書いたことないですよ。
えっ?なかったかな?あったっけ?まあいいや。
とりあえず、今回はここまでです。
次回はまた3週間後です。
来週は天皇賞・秋ですね。
一応、菊花賞が終わったあとは同じように天皇賞・秋の話になりますが、まだまだ先なのでお待ちください。
あと20話ぐらいこの小説は続きますので応援お願いします。
それでは締めさせて頂きます。
次回もよろしくお願いします!
綾凪九尾でした。


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外伝 ガイドラインについて。

えっと今回、あるアプリからウマ娘のR-18画像が多すぎる件についてガイドラインが変更になったのはご存知ですか?

はい、そうですね。この小説はガイドラインに沿ってやっております。恋愛はあってもR-18はありません。

期待もしないでください。絶対に書きませんから。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「グラスにハヤヒデ、最近R-18画像が増えているらしいな。」

 

「そうですね。私たちの尊厳や両親に迷惑がかかってしまいますね。」

 

「そのためのガイドラインのはずなのだが…あまり守られているようには見えないな。」

 

「ハヤヒデは確認したのか?新ガイドライン」

 

「うむ。一応にはしておいたが、もしかしたら禁止される可能性もあるかもしれないな。」

 

「それは困るな。俺らの話が終わってしまう。」

 

俺は困った顔で話すと扉が勢いよく開く。

 

「それならこっちも困りますよ!」

 

「お前は!『愛しき名脇役はこうして主役になった。』の主人公秋水トレーナー!」

 

「僕も忘れられたら困りますよ。今葉先輩!」

 

「お前は!『エメラルド色の思い出』の主人公佐渡じゃねぇか。」

 

「俺達も忘れるな。」

 

「お前らは!『隣で寄り添う青き炎』の同期トレーナー!坂本桜花と中山翔夢!」

 

「私を忘れたのかい?」

 

「お前は…。『隣で寄り添う青き炎』の同期でデジタルの本を隠し持ってる年中無休発情発光野郎じゃねぇか。」

 

「私だけ…名前で呼ばれないのだが?松風華麟だ。」

 

「いや、皆さん集まりでどうしました?」

 

「どうしたこうしたもないでしょ。」

 

「そうですよ。僕たちの小説忘れてますよね?それで公開中止になったらどうするんですか?1話で終わりですよ?」

 

「いやいや、『名脇役』の方はUA800いったし『思い出』の方はUA215じゃないか。知ってる?この作者全UA合計すると2万超えるからね?」

 

「知っているよ。最初は艦これから始まり今では艦これは17000UAに読まれているんだろう?実に鼻が高いようで。」

 

「作者いじめて面白いかお前ら!」

 

「んー。そうだな。よく俺の前に来てガチャの音楽を流すのはどうかと思う。」(坂本の中の人とのふざけ。)

 

「そうだな。俺なんか最近アプリウマ娘してないから。」(中山の中の人情報。)

 

「おっと。リアルのことは禁止だぞ〜?」

 

「そうだな。あとは作者に任せるとしよう。」

 

そうゆって扉を開けたのは狐耳をつけた中性の人だった。

 

「どうも。作者の綾凪九尾でーす。今回の『隣で寄り添う青き炎』、『愛しき名脇役はこうして主役になった』、『エメラルド色の思い出』を読んで下さり、ありがとうございます。今回、新ガイドラインが発行されたとのことなので二次創作を書いている私からしてら他人事ではございません。なので、ウマ娘のR-18を書いている人は今すぐおやめ下さい。じゃないと、一般の二次創作小説を書いている人が苦しみます。私ももうすぐウマ娘のイベントに参加する予定です。一般参加としてですが。そのイベントは必ず参加しなければならないと言う意思でおります。さて、話は流れましたが。本当にR-18を辞めていただきたい一心です。これからも綾凪九尾は旧ガイドライン及び新ガイドラインに沿って小説を出しますので、どうか応援をお願い致します。それでは、次の話は11月14日日曜日です。それでは失礼します。」

 

この小説の作者が宣伝してゆっくりドアを閉めた。



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思い強し東京優駿(第10レース)

「開催ッッ!トレーナーダービー!」

 

理事長の甲高い声がトレセン学園内に響く。そのセリフに耳を傾けるトレーナーがほとんどだ。そこで話しかけてきたのが沖田トレーナーだった。

 

「おい。今葉。」

 

「はい。あっ沖田さん!さっきの放送ですか?やっぱり。」

 

「お前なにか知ってるか?」

 

「もちろんです。決まった時その場にいましたから。」

 

「そうか。んで、開催される理由はなんだ?」

 

「簡単に言えばタキオンですよ。」

 

「タキオンって足の骨が折れやすくなってるアグネスタキオンか?」

 

「はい。それでも、レースに出たい本人とトレーナーの一心を見た理事長が開催に持ち込みました。」

 

「なるほどなぁ。お前は参加するのか?」

 

「多分そうなると思いますよ。沖田さんは?」

 

「俺はパスだ。ほら、あいつのトレーニングしないと…」

 

沖田トレーナーはあるウマ娘に指を指した。そこに居たのはゴールドシップだった。

 

「お?何見てんだ?このゴルシ様の能力を見抜いた天才か?ってなんだ。トレーナーか。」

 

沖田トレーナーの姿を見た途端落ち込み、セグウェイに乗ってどこかに行った。沖田トレーナーは「待て!ゴルシ!そろそろちゃんとトレーニングしろ!あっ、今葉。これからもよろしくな?」と言って慌てて追いかけて行った。

トレセン学園内で「トレーナーダービー」で話は持ち切りだった。ハヤヒデとグラスがトレーナー室に入ってきた。

 

「やぁ、トレーナー君。次のトレーニングの件だが…私に任せて貰えないだろうか?」

 

「え?どうして?」

 

「トレーナーダービー。といえば分かると思うんだが…。」

 

「あー…あれか。そうだな。お願いするよ。」

 

「わかった。少し紙を借りるよ。」

 

ハヤヒデはルーズリーフを手に取り、椅子に座って自分にあったトレーニングを考え出した。次に話しかけてきたのはグラスだった。

 

「タキオンさん…どうだったんですか?」

 

「噂で聞いてると思うけど…状態は深刻かも。」

 

「そうですか。私たちにできることは…ないですよね?」

 

「そうだな…ないな。どうすることも…アイツら次第だ。」

 

「そういえば知っていますか?トレセン学園初代生徒会会長を。」

 

「え?初代ってあの会長じゃないのか?」

 

「はい。私も噂でしか聞いたことないですが…初代はサンデーサイレンスさんって言うウマ娘らしく…調べてみたんですが…古い記事が出てきたんです。」

 

「古い記事…引退後行方不明って。」

 

「はい。突如現れて、突如消えたらしいです。会長職をシンボリルドルフ会長に渡し、世界を旅すると言ってたらしいですが…。」

 

「んで、どうしてその…サンデーサイレンスのことを?」

 

「いえ、話してみたかっただけです。あっ、こんな時間…弓道してきます。」

 

グラスは俺に一礼してトレーナー室から出ていった。俺はグラスが持ってきた古い記事を見ていた。トレーナー室には無言な時間が流れる。ハヤヒデの紙に書いている鉛筆の音しか聞こえない。そんな空気の時、ノックされた。

 

「はい?どうぞ。」

 

「失礼します。今葉トレーナー…少しいいですか?」

 

俺を呼んだのはたづなさんだった。秋川理事長の秘書をしていて、よく新人トレーナーに説明している方だった。俺は呼ばれてトレーナー室から出た。

 

「トレーナーダービーの日程が決まりました。一ヶ月後に東京優駿が控えていることもありますので、1週間後に開催されることになりました。」

 

「また…急ですね。」

 

「すみません。ですが、ウマ娘第1に考えてもらっても大丈夫です。それに、無理に参加することもないですよ?」

 

「いえ、これはアイツのためです。俺はやりますよ?」

 

「そうですか。なら、この紙にサインを。」

 

「他に誰が参加するんですか?」

 

俺は紙にサインしながら、たづなさんに聞いた。たづなさんは言ってもいいのだろうか?と少し考えてから口を開いた。

 

「今、参加表明しているのは…松風トレーナー、坂本トレーナー、中山トレーナーです。そして、今葉トレーナー。4人です。やはり、レースが近いと言うことで参加する人が少ない感じですね。」

 

「そうですか…。こちらでも当たってみましょうか?」

 

「いえいえ、私がやることなので。それに、2,3人心当たりがあるんです。」

 

「そうですか。わかりました。頑張ってください。」

 

「ありがとうございます。それでは。」

 

たづなさんは俺に一礼して走って階段へ消えていった。俺はそろそろ走る準備をしなければならないと、その日の夜から走り込みを始めた。

夜になり、トレーナーダービーのために外に出ると見た事のあるトレーナーが5人居た。

1人目は松風。2人目は坂本。3人目は中山。4人目は桐生院トレーナー。5人目は黒沼トレーナーだった。

 

「お疲れ様です。桐生院トレーナー。黒沼トレーナー。」

 

「あっ。お疲れ様です。今葉トレーナー。」

 

「ああ。お前も走り込みか?」

 

「はい!あの変人のためです。同期のためですから。」

 

「フッ。面白いことを言う。じゃあ、やるか。」

 

黒沼トレーナーの一声で全員がストレッチや準備体操を始めた。全員が走り出そうとしたその時、後ろから「ま…待ってくれぇー」と情けない声が聞こえてきた。

 

「誰だ?ストレッチで情けない声出してるのは…?」

 

「俺だよ…俺。」

 

「んぁ?沖田か。どうした?」

 

「俺も…はぁ…走るんだ。」

 

「はい?沖田トレーナー走らないって言ってたじゃないですか!」

 

俺は黒沼トレーナーと沖田トレーナーの話に割り込んだ。

 

「そうだったんだが…はぁ…ゴルシのやつ勝手に…サインしやがって…。」

 

「あっなるほど。じゃあ行きますか。黒沼トレーナー。」

 

俺は沖田トレーナーが息切れをしてしんどそうにしてるのを横目に黒沼トレーナーに走り込みを始めるように進言する。

 

「待ってくれ!今葉!俺を殺す気か?」

 

「違いますよ。皆さん待ってるからですよ。」

 

そう言って待ってた組は走り出した。夜をトレーナー6人で走るなかなか体験できないことだった。

俺は黒沼トレーナーにミホノブルボンのことを聞いた。

 

「黒沼トレーナー。」

 

「なんだ?」

 

「ミホノブルボンについていいですか?」

 

「ああ。」

 

「ライスシャワーと仲が良さそうですけど、黒沼トレーナー的には良いんですか?」

 

「んー…そうだな。ブルボンが誰と話していたとしても俺には関係ないことだから…と言ってもたまに無茶振りをしてくるから…んー。いや、あれは親のせいか?」

 

「えっと…なにかあったんですか?」

 

「いや、何も無かった。しっかり走れ。」

 

「はい!」

 

トレーナー6人で走り終わり、すぐ解散になったが桐生院トレーナーが話しかけてきた。

 

「お疲れ様です。今葉トレーナー」

 

「あっ、お疲れ様です。桐生院トレーナー」

 

「皐月賞…からですよね。松風トレーナーがおかしくなったのは…。」

 

「おかしくなったって表現は違いますよ。アイツ的にこれが必死なんです。今まで努力せずに出来たからこそのツケですよ。気軽にトレーナーになるって決めるものじゃないです。」

 

「それは…そうですけど…。」

 

「それにあいつがおかしいのは昔からですよ。」

 

「そうなんですか?」

 

「この辺は坂本の方が詳しいですし、また坂本と話してください。じゃあ、俺は明日早いので。」

 

「はい。おやすみなさい。」

 

「おやすみなさい。」

 

桐生院トレーナーと別れ、自室に戻っていると消したはずの部屋の電気が付いていた。俺は急いで自室に走り込み、ドアを開けた。そこに居たのは、グラスだった。

 

「あ。おかえりなさい。トレーナーさん。お疲れですか?お風呂入りますか?」

 

「あ…ああ。お風呂入ってくる前に。なんで居るの?」

 

「トレーナーさんが走り込みしていると風の噂で聞きまして。」

 

「まだ一日目ですけどね?」

 

「多分、ご飯も食べずに走っていると思ったので簡単なお料理をしようと思い、来たのですが…材料そのものがないのは予想外です。」

 

「それは…ごめんなさい?」

 

「大丈夫ですよ。夕方に買い物しといて良かったです♪」

 

「あれぇ?グラスさん?その野菜とか1回グラスさんの部屋持っていきましたの?」

 

「そうですよ〜?なにかまずいことありました?」

 

「いや、同室のエルは何も?」

 

「いえいえ、言われましたよ〜。『通い妻みたい』だと。」

 

「通い妻って…」

 

「ですから、少しぎゅぅぅぅぅぅっとしてあげました♪」

 

「そ…そうか。」

 

「とにかく、しっかり晩ご飯は食べてください。お味噌汁この味でいいですか?」

 

「ん?あー。味見してみるか。」

 

そう言ってグラスが作った味噌汁を味見する。そして俺に電撃が走る。

 

「トレーナーさん?」

 

「嫁に欲しい…。」

 

「はい?トレーナーさん?もしもーし…大丈夫ですか?」

 

「えっと…あー。はい。今葉…今、戻ってきました。」

 

「さっき嫁にって…言いましたよね?」

 

「記憶にございません。多分無意識です。」

 

「あらあら…まあまあ。トレーナーさんが求めるのならば、私はいいのですけど。」

 

「ん?なにか言ったか?」

 

「いえ、何も。」

 

「そうか。」

 

俺は汗を吸い込んだTシャツを洗濯機に放り込む。そして、洗剤を入れ洗濯機を回す。グラスは味噌汁を器に入れて机の上に置いていた。

 

「グラスさん。まさかまた取ってきた?」

 

「何をですか〜?」

 

「外泊届け。」

 

「んー…そうですね。そうなりますね♪」

 

「そうか。」

 

グラスは笑顔で外泊届けの紙を見せてくれた。理由は「トレーナーさんの面倒」だった。これで許可されるトレセン…そろそろどうにかして欲しい。とりあえず、また同じ布団で寝ることになった。

それから時間は飛び、「トレーナーダービー」当日。

 

「ついにこの時が来たのかぁ。まさか、ターフで走ることになるなんて…。勝てるのか?松風。」

 

「もちろんだよ。タキオンのためにやるって決めたからね。」

 

「そうか。じゃあ、ほかのトレーナーと話してくるわ。」

 

俺は松風から離れ、一緒に走り込みをしたトレーナー達と集まった。

 

「みなさん。今日までお疲れ様でした。わかる通り、アイツを勝たせることが第1優先です。作戦名は『ツインターボ作戦』です。最初の方は松風より先に走り、最後の直線で逆噴射をするんです。」

 

「それで行けるのでしょうか?」

 

「桐生院トレーナー、大丈夫です。アイツならできますから。」

 

「そうですか。」

 

「黒沼トレーナー、合図はお任せします。なるべく周りのウマ娘にバレないような合図でお願いします。」

 

「わかった。」

 

「坂本、中山は俺と一緒に横を走ってくれ。沖田トレーナーは…うん。大丈夫でしょう。」

 

「おいおい!俺だけ雑じゃねぇか?」

 

「作戦会議の時来なかった人が何を言いますか。さて、時間です。会議通りに行きましょう。」

 

俺らは松風を絶対に勝たせるため、日々考えていた。その時、思い浮かんだのが「ツインターボ作戦」だった。別名「逆噴射作戦」。ツインターボのレースを見て思いついた。「トレーナーダービー」の出走時間が近づき、ウマ娘達が集まりだした。

 

「何してるの?あれ。」

 

「噂だと、タキオンさん関係らしいよ。」

 

「あー。走れなくなったんだっけ?」

 

「うん。だから、タキオンさんのトレーナーさんがあのトレーナーさんたちに勝てたらタキオンさんの現役継続を約束させたらしいよ。」

 

「すごいね。じゃあ、見ていこ。」

 

どんどんウマ娘が集まり、あるイベントになりつつあった。

 

「トレーナーさん。頑張ってください。」

 

「お姉様。頑張って…。」

 

「マスター…」

 

「なんだぁ?アイツやる気あんのか?」

 

「ゴルシうるさーい。トレーナーを応援できないでしょ。」

 

「テイオーの方がうるせぇだろ。」

 

「まあまあ、落ち着いてください。ほら、もうすぐで始まりますよ。」

 

「ん?」

 

「オグリ先輩…」

 

「ああ。見ているぞ。」

 

担当ウマ娘達も見に来ていた。タキオンの姿はないが、俺たちはゲートを飛び出した。

まず、先頭に立ったのは黒沼トレーナー。その後ろに俺。そして、中山と坂本。外から沖田トレーナー。内から桐生院トレーナー。最後尾に松風が走っていた。

俺と黒沼トレーナーはアイコンタクトを何回もして、後ろの状態を確認した。そして、ターフ最終コーナー。黒沼トレーナーは空を見上げた。これが「逆噴射」の指示だったので、先頭組全員走る速度を下げた。そして、松風が先頭に立った。周りのウマ娘達からは歓声が上がる。そして、どこからか聞こえてくる。

 

「頑張れ!トレーナー君!君こそが私のトレーナー君だよ!」

 

逆噴射作戦をしていた全員がスタンドの方に目線を向ける。そこには、タキオンが手すりに捕まって叫んでいた。その声援を聞いた松風はそのままゴール板を走り抜け、タキオンの現役継続決定付けた。

 

「うむ!これこそ友情ッ!今葉トレーナーは後で私のところに!」

 

「はい。分かりました。理事長。」

 

理事長に呼ばれたので理事長室に向かった。

 

「失礼します。秋川理事長。」

 

「うむ。今回の件…今葉トレーナーから見てどう思う?」

 

「そうですね。タキオンの足の状態としか言えません。」

 

「その通りだ。しかし、私らでは何も出来ぬ。」

 

「そうですね。あっ、1つ質問していいですか?」

 

「んー…たづなを待たせているからな。だが、今葉トレーナーの質問…聞こう!。」

 

「ありがとうございます。『サンデーサイレンス』さんをご存知ですか?」

 

「む…。知っている。母の代の時の生徒会長だった。」

 

「シンボリルドルフ会長に生徒会長を渡してトレセンを辞めたと聞いております。」

 

「そう…だな。しかし、今葉トレーナーが気にすることでは無い。」

 

「そうですね。余計なことを聞いてしまい申し訳ないです。」

 

「否定ッ!人は気になる生き物!だから自信を持つことがいい!」

 

「ありがとうございます。では、失礼します。」

 

俺は理事長室を出た。廊下には松風が待っていた。

 

「やぁ、今葉勝馬くん。」

 

「フルネームで呼ぶな。」

 

「そうだね。今葉。話がしたい。屋上で話そうか。」

 

「ああ。」

 

俺と松風は校舎の屋上へ向かった。松風の雰囲気は明るくなく、逆に暗い感じに見える。タキオンの現役継続が約束されたのに、何故だろうか。

 

「ここなら誰にも聞かれないね。」

 

「なんだ?告白か?」

 

「あはは…面白いことを言うね。単刀直入に聞く。なぜ手を抜いた?」

 

「なんのことかわからんな。俺らはちゃんとレースをした。」

 

「そうだね。最初だけは!なぜ、最後の直線手を抜いたと聞いているんだ…。」

 

「逆にあの時勝てるビジョンあったのか?」

 

「なかった…なかったさ!じゃあ、手を抜いてもらう理由になるのかい?」

 

「お前とタキオンの覚悟を見た俺が決めたことだ。気を悪くしたのなら謝る。だが、その怒りをそのままではなくレースで見せてみろ。」

 

「ふぅん。生意気を言うようになったようだね。良いだろう。やってやる。」

 

「東京優駿の時に決着を付けよう。」

 

「受けて立つ。今葉。」

 

俺と松風は東京優駿で決着を付けることにした。本人相手に文句を言うのなら、ここはトレーナーらしくレースで勝って決着を付けることにした。

翌日、俺はハヤヒデをトレーナー室に呼び出した。

 

「どうしたんだ?トレーナーくん。」

 

「すまないな。来てもらって。」

 

「いや、構わない。日本ダービーのことだろうか?」

 

「そうだ。」

 

「今更、何を報告することがあるのか?」

 

「タキオンが走るのも知っているよな?」

 

「もちろんだ。皐月賞を逃した私からしたらここでタキオンくんに勝っておきたい。」

 

「ああ。気を引き締めてトレーニングをするように。」

 

「了解した。それだけなら、教室に戻りたいのだが?」

 

「ああ。すまないな…来てもらって。授業頑張ってくれ。」

 

「では、失礼する。」

 

ハヤヒデがトレーニング室を出ていき、俺は机の上にある書類を片付けようと手をつけた。手をつけて数分後、ドアが開いた。

 

「やぁ、今葉。」

 

「誰ですか〜?って…うわぁ…松風やん。」

 

「今葉…うわぁとはないと思うのだが…。それに関西弁出てるよ。」

 

「そうだな。どうした?薬の押し売りか?それとも薬のプレゼントか?」

 

「信用のないような目だね。大丈夫。今日は普通にこれを見せに来ただけだよ。」

 

「これは…?ビデオか?」

 

「すこーし古いから丁寧に使って欲しいな。」

 

「これは何?」

 

「これはサンデーサイレンスの走りを撮ったビデオだよ。何故か私の部屋にあったから持ってきただけさ。」

 

「ここには置けないぞ?」

 

「なーに、わかっているさ。ただ見せに来ただけだからね。」

 

「なんだそりゃ。」

 

「そんなことよりも、皐月賞でのビワハヤヒデ…。」

 

「なんだ?」

 

「スピード足りてなかったんじゃないか?」

 

「ん。ちゃんと的を射ってるから怖いんだよお前。」

 

「お褒めありがとう。光栄に思っておくよ。」

 

「なんだろう。すごく腹が立つぞ。あの笑顔。殴りたいあの笑顔。」

 

「ふふふ。殴れるのはライスとタキオンだけさ!」

 

「そんなことを俺の部屋で叫ぶなを俺まで変な目で見られるだろ。」

 

「そうかい。あっ知ってるかい?2年後に『アオハル杯』が開催されるらしいね。 」

 

「『アオハル杯』?なんだそれ?」

 

「私もまだ理解していないんだがね。大まかな情報を手に入れたよ。」

 

松風は『アオハル杯』の概要を説明しだした。

 

「まず『アオハル杯』は短距離、マイル、中距離、長距離、ダートと5種類に分かれて各レース3人出ることができるらしい。」

 

「それで?」

 

「この先がないんだ。どこ探しても出てこないからこそ悩んでいるんだよ。」

 

「はいはい。世間話は終わりか?こっちは書類終わってねぇんだわ。お帰り願えますか?」

 

「ふぅん。釣れないな。わかった帰ろう。」

 

松風は喋り飽きたのかすんなりと帰っていった。松風とすれ違いにグラスが入ってきた。

 

「お疲れ様ですトレーナーさん。」

 

「ん。おつかれグラス。」

 

「あっ…近づかないでください…。」

 

えっ?グラスに拒絶されたんだが?生きていけない。もう俺の未来は死しかないよ!拒絶されるとこんなに辛いんだ。と俺は内心考えた。

グラスは何か勘違いをさせたと気づき、すぐに修正した。

 

「と…トレーナーさんが臭いってわけじゃなく。私が汗をかいたので…ね?」

 

「あっそうなの?良かった。」

 

「勘違いをさせてしまいすみません。」

 

「いいよいいよ。俺はグラスの匂い好きだし。(臭くないから大丈夫だよ。)」

 

「トレーナーさん…///」

 

俺は今何かやばいことでも言っただろうか?至って普通なことを言ったはずだ。だって、お年頃の子に臭いと言ってはいけない。いや、臭くないのだが。ん?グラスの顔が赤くなる。あれ?俺…何かやばいこと言いました!?

 

「と…トレーナーさん…///」

 

「あっ…えっと。そのー…」

 

「トレーナーさんのお願いでしたら…私何でもしますからね?」

 

「グラス?あの、グラスさん?無言で外泊届を書かないで?これ、今日のトレーニング表!んじゃ、俺ハヤヒデ見てくるから!」

 

「トレーナーさん…?何を焦って行ったのでしょうか。」

 

トレーナー室から走ってジムルームに向かった。廊下を走っていると色んなウマ娘から話しかけられる。

 

「あっ、グラスのトレーナーさんデース!」

 

「あっ本当だ!お疲れ様です。」

 

「ああ。エルにスペちゃん。お疲れ様。これからトレーニング?」

 

「いえ、今からパフェ食べに行こうって話になって。」

 

「なるほどね。そうだ!スペちゃん質問いい?」

 

「はい!私で良ければですが…。」

 

「東京優駿についてだよ。」

 

「日本ダービー…ですか。」

 

「ハヤヒデが東京優駿でな。何か教えて貰えたらと思ってな。」

 

「そうですね。んー。気合いがあれば何でもできるとお母ちゃんによく言われてました!」

 

「わぁ、精神論。エルは何かあるか?」

 

「ンー。ちょっと難しいデスね。でも、ひとつ言えることがあるとしたら…スタミナとパワーは上げとくべきってことデスね。」

 

「それはなんで?」

 

「東京優駿…日本ダービーは2400mの中距離デス。つまり長丁場になるのですから、スタミナで高順位を取りつつ、最後パワーで跳ね飛ばす!これこそが日本ダービーの勝ち方デスね。あと、運が関わってくるとエルは予報します。」

 

「んー。そうか。エルが1番分かりやすかった。ありがとう

参考にしてみるよ!」

 

「良いってことデスよ!」

 

「頑張ってくださーい!」

 

エルとスペちゃん達と別れ、俺はジムルームに向かう。ジムルームに着いた時ドアを開けると目の前に白いもふもふがあった。

 

「ん?ああ、トレーナー君。どうしたのだ?」

 

「なんか…羊いる。」

 

「羊とは失礼だぞ。全く。」

 

「そうだな。今回のトレーニングはスピード、スタミナ、パワーの三点盛りでいきましょう。」

 

こうして、新トレーニング方法でトレーニングが始まった。ハヤヒデはよくダートを走り、目に泥が入ったら叫んでいた。タキオンはタキオンで骨を強くする薬を製作していると風の噂で聞いた。走るためにトレーニングを捨ててまで薬に情熱を注いでいるらしい。次にマルゼンスキーは皐月賞ではパワーが足りてなかったとし、パワー&スピードを強化しているらしい。1番の大敵になるであろう。同期たちは強い。だからこそ、勝ちたいと思ってしまうのだが…。

俺はベンチに座りながらハヤヒデのトレーニング姿を見ていた。すると、後ろから話しかけられた。

 

「熱心ですね…。…お疲れ様です。今葉トレーナーさん…。」

 

話しかけてきたのは幽霊のような見た目をしているが、本当は大人しいだけの子。マンハッタンカフェが話しかけたきた。

 

「カフェか。次のレースのため?」

 

「…はい。トレーナーさんは…日本ダービーを回避しました。…またGⅡです。」

 

「アイツらしいよな。本当。」

 

「お友達も『面白いやつ』って言ってるんですよ。今も。」

 

「見えないお友達か。そうか。」

 

「はい。…今葉トレーナーさん。菊花賞で会いましょう。それでは失礼します。」

 

カフェはジムルームから出ていきどこかへ消えていった。ハヤヒデの走っている音しかジムルームは聞こえなくなり、ハヤヒデはトレーニングをやめて隣に座った。

 

「誰もいなくなったのだな。そうか…もうこんな時間なのか。 」

 

「俺さ。知ってる。」

 

「何をだ?」

 

「この後すぐにレースになること知ってる。」

 

「トレーナーくんが言っていることは理解し難いが、とりあえず自室に戻るといい。」

 

「ん。ああ。」

 

そうして俺はハヤヒデに急かされるようち寮に戻された。

自分の部屋に入り鍵を閉めた。昨日にグラスが作り置きしてくれた料理をレンジで温めて食べた。そして、布団に入った。

そして!時間は飛ぶ!日本ダービー当日!

東京競馬場に来ていた。グラスも見に来てくれた。

 

「相変わらず、人が凄いですね〜。」

 

「グラスの時もこんなに人多かったんだぞ?」

 

「あらあら〜。あの時は頂点へ立つって決めていたので〜。今となったらいい思い出…ですよ?」

 

「そうだな。あの時は俺も初めてだったからなぁ。」

 

「その初めては私がもらいました♪」

 

「そうだな。」

 

スタンドで二人で話していると後ろから話しかけれた。

 

「グラス…ワンダーさんと今葉トレーナーさんですか?」

 

俺らはその声に気づき、後ろを向くと誰もいなかった。

 

「し、下です! 」

 

俺らは下を向くとそこにはダイヤちゃんが居た。

 

「おや、ダイヤちゃん。こんにちは。」

 

「こんにちは〜。お一人で来たんですか〜?」

 

「こんにちは。いえ、キタちゃんと一緒に。キタちゃんは今テイオーさんと話していて、周りを見ていたら今葉さんとグラスワンダーさんが居て。」

 

「そりゃ来るよ。ハヤヒデ出てるからな。」

 

「私もマックイーンさんみたいに勝ってみたいです。」

 

「それなら、トレーナーさんにトレーニングして貰えばいいんですよ〜。私の無敗伝説を作った張本人ですから〜♪」

 

「はい!待っててください!今葉トレーナーさん!」

 

「あはは…困ったなぁ。」

 

「いえいえ、トレーナーさんならできますよ♪」

 

「そ…そうか?」

 

「はい♪」

 

「グラスワンダーさんと今葉トレーナーさんってお似合いですよね!」

 

「それは…どう言う意味でかな…?」

 

「えっ?そのまま結婚しても大丈夫だと思いますよ。ふふふ。」

 

「結婚…ですか?そうですね。そのうちしますか?トレーナーさん。」

 

「ウマ娘と結婚できるんかな?」

 

「どうでしょう…?」

 

「あっ、キタちゃんが私の事探してますから、行ってきますね!」

 

「あ、うん。気をつけてね。」

 

「はい!それでは!」

 

「無邪気ですね〜。」

 

「そうだな。」

 

「「あんな子供欲しいなぁ。(ですね〜。)」」

 

「「えっ?」」

 

俺とグラスはお互いに言った言葉に驚いて目を合わせた。2人して顔を赤くして下を見る。

そして、同期達が集まってきた。

 

「イチャラブかい?」

 

「違うわ。ほら、本バ場入場だぞ。」

 

ハヤヒデ、マルゼンスキー、タキオンが一緒に出てくる。スタンドは大歓声をあげた。

 

「ふぅん。私の復活祭にはいい歓声だ。どんなところが歓声を上げるべきなのか実験してみたいものだ。」

 

「タキオン君。トレーナーくんから聞いている。すまないが君には勝つ。」

 

「こちらこそ挑むところさ。薬で何とか骨は強くしたからね。初めてだよ。そんな薬を作るなんてね。」

 

「ふん。タキオン君らしい。」

 

「私の気分はチョベリグよ〜!」

 

俺らの担当達は話していたり、ファンサービスしたりしていた。

 

「なぁ、中山。」

 

「なんだ?」

 

「マルゼンスキーってちょっと古くない?」

 

「古くない古くない」

 

「そ…そっか。」

 

「そんなことよりファンファーレだぞ。」

 

「ん。」

 

東京競馬場のファンファーレが流れる。そして、ゲートインが始まる。

 

(またまた実況です。今回もアプリウマ娘より抜き出しなので、本物?です!)

実況「全てのウマ娘が目指す頂点日本ダービー!歴史に蹄跡を残すのは誰だ!さぁ!1番人気の紹介です。ここまで無敗皐月賞ウマ娘アグネスタキオン。虎視眈々と上位を狙っているぞ。3番人気はビワハヤヒデ。この評価は少し不満か?マルゼンスキー2番人気です。」

解説「私が1番期待してるウマ娘ですね。気合い入れて欲しいです。」

実況「各ウマ娘。ゲートイン完了。体勢整いました。スタート!各ウマ娘キレイなスタートを切りました。」

解説「みんな集中してましたね。好レースが期待出来そうです。」

実況「先行争いはマルゼンスキー、18番、アグネスタキオン。期待通りの結果を出せるか?1番人気アグネスタキオン。マルゼンスキー快調に飛ばしていきます。長丁場のこのレースですが、マルゼンスキー早くも先頭に躍り出た。第1コーナー回って第2コーナー。先頭はマルゼンスキー単身で飛ばしていきます。2番手の位置で先頭をうかがうのは15番。さらに2番。差がなく18番。そのうち回って7番。この辺りまでで先頭集団を形成しています。マルゼンスキーまだリートをキープしています。続きました15番。内7番。あと2番。5番手18番。一バ身差アグネスタキオン。外からビワハヤヒデ。一バ身離れて11番。その後12番。内から行く4番。少し離れて17番。少し後ろから10番。2バ身、3バ身開いて5番。それを見るように16番。向こう正面に入って先頭からシンガリまでおよそ13バ身。現在1番手マルゼンスキー。2番手に外から行く15番。差がなく7番。一バ身差2番。そのうしろ18番。アグネスタキオン外から行く。そのうしろビワハヤヒデ。その後11番。すぐに続いて17番。その内並んで4番。一バ身差12番。少し離れて10番。一バ身差5番。少し離れて16番。内から内から!6番。14番追走。後方2番手には13番。残り1000mを通過。9番最後方からのレースになりました。マルゼンスキー、先頭を進みますがこれは正解でしょうか?」

解説「マルゼンスキー!彼女の脚質には合っていますよ。」

実況「大ケヤキを超えて4コーナーへ。さぁ、いよいよ直線たま。どのタイミングで誰が仕掛けるのか!?まだ1バ身以上の差があるぞ!ここから捉えることはできるのか?まだ差がある。ここから先頭を捉えることウマ娘は出てくるのか?マルゼンスキーハナを進む!さぁ、外から先頭をうかがうのはビワハヤヒデ。最終コーナー回って最後の直線へ駆け抜けてきたのはマルゼンスキー!400を切りました。ビワハヤヒデ食い下がる。マルゼンスキー速い!速い!もはや独走状態!マルゼンスキー!先頭はマルゼンスキー!これは強い!残り200。リードを開いていくマルゼンスキー。逃げるマルゼンスキー!マルゼンスキー突き放す!マルゼンスキー!ほかの追随を許さなかった!クラシック二冠目はマルゼンスキー!そして同期トレーナー達の勝負は秋の京都へ伝説は引き継がれていく!2着はビワハヤヒデ!3着はアグネスタキオン!」

(実況終わり。これ菊花賞の時もっとしんどいんじゃない?)

 

惜しくもハヤヒデは2着だった。グラスはその光景を見て、こう言った。

 

「今回な相手が悪かったですね。特にマルゼンさんの速さがレースを作った感じでした。」

 

グラスはしっかりと観察していた。マルゼンスキーのこともよくわかっていた。グラスがマルゼンスキーのファンだからだろう。俺はハヤヒデの控え室に向かった。

 

「ハヤヒデ入るぞ。」

 

「ああ。トレーナー君か。大丈夫だ。」

 

「お疲れ様。ハヤヒデ。」

 

「うむ。数式を間違えたようだ。しかし、次こそは必ず取る。」

 

「ハヤヒデ。レースに絶対はない。覚えておいて。」

 

「トレーナーくん?何を言っている?」

 

「レースで絶対があるのはシンボリルドルフ会長のみだ。俺らだって、あの人に勝てるか分からない。それを超えるのか?ハヤヒデ。」

 

「もちろんだ。超えてこそ私たちだろう?」

 

「そうだな。じゃあ、行っておいで。ウイニングライブ。」

 

「ああ。行ってくる。」

 

俺はハヤヒデの控え室に残った。グラスが来て、こう伝えてきた。

 

「トレーナーさん。シンボリルドルフ会長が私たちのことを呼んでいるらしいです。明日朝から生徒会室に来て欲しいだそうです。」

 

「そうか…。帰ろうか。グラス。」

 

「そうですね。置き手紙書いておきますね。」

 

「ああ。」

 

「こんな時にシンボリルドルフ会長はどんな話なんでしょうか。もしかして、宝塚記念で勝負することになる…とかでしょうか?」

 

「ありえないだろう。会長には誰も勝てないんだから。」

 

「いえ、私達なら勝てますよ。絶対に。」

 

「グラスの絶対なら勝てるな。」

 

「はい。」

 

そう言って俺とグラスはハヤヒデの控え室を後にした。その日、なぜかグラスのまた同じ布団で寝ることになった。そろそろ2枚目の布団を買わないといけない気がしてきた。




どもども。綾凪九尾です。
前の新ガイドラインのやつは見てくださったでしょうか?
困りますよね。このままだと二次創作自体が禁止されそうで。困りますよ。
多分、あれを見たことにより驚いたことあるでしょう。
これはほとんど決まってないんですが…これからする予定なことを書いてきます。
まず、ウマ娘企画として「隣に寄り添う青き炎」が開始されました。
そして第2弾とし、「愛しき名脇役はこうして主役になった」が開始されました。
次に第3弾として、「エメラルド色の思い出」が開始されました。
そして、第4弾として。「隣に寄り添う青き炎シリーズ」として『輝けるダイヤ』が開始される予定です。
しかし、これは青き炎が終わり次第なのです。つまり、時間的に青き炎の続きになります。各トレーナーの3人目の担当ウマ娘が出たり、アオハル杯予定だったりとかなり企画は決まりつつあります。ですので、この小説が投稿されているところに投稿予定です。
しかし、そうなるとあまり宜しくないのでは?と思い、皆さんにアンケートしようと思うんです。ですから、是非ともアンケートに答えてください。
それではそろそろ失礼します。
投稿しないとそろそろやばいので。
今回もご愛読ありがとうございます。今夜には艦これ出したいですね。ええ。はい。
それともFGOのしすぎてギリギリなったことも後悔してます。
アンケートお答えお願いします。
それでは失礼します


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札幌旅行(第11レース)

合宿していた所から成田空港まで少し時間がある。

成田空港で飛行機に乗る。向かう先は札幌にある新千歳空港だ。

 

「トレーナーさん。大丈夫ですか?」

 

「あ…ああ。中学生以来でな。グラスは大丈夫か?」

 

「はい。問題ないですよ。慣れていますから。」

 

「そういえば、グラスはアメリカ出身だったな」

 

「はい〜♪覚えてくれてたんですね。」

 

「そりゃな。そのうち行かないと?」

 

「いけませんね〜。」

 

俺らは札幌に旅行しに行くことにした。理由としてはある日、札幌競馬場の方から電話がかかってきた。

 

「もしもし。今葉トレーナーさんの電話で宜しいでしょうか?」

 

「はい。そうですよ。」

 

「私は札幌競馬場の奥村と言うものなんですが…お話聞いてもらってもよろしいでしょうか?」

 

「はい?大丈夫…ですけど?」

 

「ありがとうございます。実は…誘導担当のウマ娘が引退するんです。」

 

「引退はよくあることですね。」

 

「はい。それで…その娘がファンのウマ娘が居るんですが…」

 

「なるほど。その娘にサプライズでグラスを呼ぶってことですか。んー…わかりました。理事長とお話してから折り返し電話させてもらいます。 」

 

「本当ですか!ありがとうございます!」

 

「いえいえ、ファンのお願いならグラスだって駆けつけますよ。」

 

「そうですか!旅費はこちらが持ちますので。」

 

「それはありがたいです。それでは、また折り返し電話させていただきます。それでは。」

 

これが理由だった。グラスは横に居たので話を全て聞いていた。グラスは「行くが大丈夫か?」と聞く前から行く気満々だった。理事長にも話を通すとトレセンの評価などが上がるから行ってこいと言われ、今に至る。

 

「トレーナーさん。札幌と言えば何が有名ですか〜?」

 

「北海道で育ったグラスの方が詳しいんじゃないか?」

 

「そういえばそうでしたね。何があったかしら…。」

 

「そうだなぁ。札幌…。」

 

「「んー…。」」

 

2人で頭を悩ませる。グラスは久しぶりに北海道に帰るため何があるか忘れており、俺は北海道へ行くのが初めてなので何が名物なのかも分からない。だからこそ、悩んでいる。

 

「あっ!」

 

「どうされました〜?トレーナーさん。」

 

「北海道と言えば海鮮じゃないか?」

 

「そういえばそうでした。海鮮物食べたいですね〜♪」

 

「せっかく旅行なんだ。いいもの食べても文句は言われないだろ。」

 

「そうですね♪」

 

ご飯のことばかり話していると飛行機内のアナウンスが流れ出した。

「機長です。当機はもうすぐ離陸致しますのでシートベルトをしっかりお締めください。」

 

どうやらもうすぐで離陸するらしい。俺はゴクリと唾を飲み込む。グラスは緊張してる俺を見てクスクスとわらう。そして、俺の手にグラスは手を置いた。まるで「大丈夫」って言うように。飛行機は動き出し、滑走路に着いた。エンジンは轟音を鳴らし、フル回転している。外から「ゴゴゴゴゴゴ!!」と音が聞こえる。そして数分後、航空機はスピードを上げ出した。俺はシートに押し付けられるようなGに驚きついグラスの手を握ってしまった。グラスはその手を見て笑い、俺の耳元で「私は横にいますよ。」と優しい声で言ってくれた。この時航空機は飛び立っており、新千歳空港へ針路を向けていた。1時間半かかるので俺らは他愛のない話をしていた。

 

「トレーナーさん。札幌に着いたら下の名前で呼びますから覚えておいてくださいね〜。」

 

「まだ言ってるのか?」

 

「もちろんです♪付き合っているんですから♪」

 

「そうだけど。グラスがいいのなら別に…な?」

 

「私はいつでも大丈夫です♪」

 

「偉くご機嫌だな。」

 

「はい〜。だって、トレーナーさんとの旅行は京都以来ですから。」

 

「ああ…あれか。」

 

「いつになったらトレーナーさんのご両親に会えるでしょうか?」

 

「あー…そのうちだ。そのうち。」

 

「そうですか?それならいいんですが…。」

 

「そうゆうグラスの両親にも話に行かなきゃダメじゃねぇか。」

 

「そうですね〜。覚悟決めておいてください♪」

 

「その前に卒業だろ。」

 

「そう…ですね。」

 

「来年には高等部へ進学だろ?」

 

「ええ。後輩達に惨めな姿は見せられません。」

 

「偉く張り切るのはいいが…コケるなよ。」

 

「もちろんです♪ 」

 

「さて、少し寝てもいいか?」

 

「そうですね〜。トレーナーさんからしたら少し早い起床でしたから。」

 

「さすがに無理だ。すまん。」

 

「大丈夫ですよ〜。私も少し眠ります。おやすみなさい勝馬さん。」

 

「今それ言うか…。はぁ、おやすみグラス。」

 

こうして、朝早くから起きてはしゃぎ疲れた俺らは眠った。次起きた時は飛行機が着陸する前だった。俺はグラスを起こし、衝撃に備えた。

 

「おはようございます。トレー…勝馬さん。」

 

「ああ。おはようグラス。」

 

俺はグラスの頭を撫で挨拶をした。グラスは照れて下を向く。これもまた可愛い行動だ。飛行機は着陸し、ターミナルへ向かっていた。空港には札幌競馬場の奥村さんが待っているはずだ。飛行機がターミナルとドッキングし、乗客が荷物を取り出した。俺らも荷物を飛び出した。あとはベルトコンベアで流れてくる荷物を受け取るだけだ。俺とグラスは飛行機を後にし、ターミナル内へ入った。新千歳空港はU字の空港で、ターミナルが2つある空港らしい。俺らは出口に向かって歩いていると看板を持っている人を見つけた。

 

「あ!今葉トレーナーさんとグラスワンダーさん!札幌へようこそ!」

 

「お招きありがとうございます。改めて私が今葉勝馬です。こちらが私の担当ウマ娘のグラスワンダーです。」

 

「もちろん知っていますよ。それに、URA界隈では最も結婚して欲しいランキング2年連続1位じゃないですか。」

 

「なんですか…そのランキング…。」

 

「あれ?ご存知じゃなかったですか?」

 

「知らないです…。はい、一切。」

 

「あれま。とりあえず札幌方面へ行きましょうか。」

 

「えっと…はい?よろしいお願いします。」

 

俺とグラスは少し顔を赤くして奥村さんの後をついて行った。奥村さんの車に乗り込み、奥村さんの運転で札幌市内へ向かった。

 

「宝塚記念見てましたよ。」

 

「それはありがとうございます〜。」

 

「かの皇帝様を破る程の力を持っているグラスワンダーさんに1つ聞きたいことがあるんですがいいですか?」

 

「大丈夫ですよ。」

 

「グラスワンダーさんはどうして頂点を目指したんですか?」

 

「それは…ですね。」

 

「あっ、無理に答えて欲しいわけじゃないので無視してくださって構いませんよ。」

 

「いえ、これは答えなければなりません。そうですね。トレーナーさんのおかげと言いますか…。私は元々ウマ娘の頂点に立つことを目標にしていました。友達達と切磋琢磨し、レースで勝つ。そして、トレーナーさんに褒めてもらう。これが理由です。もし、トレーナーさんがトレーナーじゃなかったら私はこんな感じにはならなかったでしょう。」

 

「ははは。やっぱり似てますね。」

 

「え?」

 

「マイネルスケルツィですよ。今回引退する娘で、グラスワンダーさんによく似た性格でしてね。自主練もして、頑張ってたんですけどね。」

 

「そうですか。」

 

「だから、最後に僕達からも恩返しと思ってグラスワンダーさんに来てもらったんです。」

 

「私で良かったんですか?」

 

「マイネルスケルツィはグラスワンダーさんのファンですから。絶対喜びますよ。」

 

「そうですか。」

 

「さて、そろそろ着きますよ。札幌市内です。」

 

グラスと奥村さんの会話が終わり、札幌市内に入っていた。奥村さんは札幌市内を教えてくれた。

 

「あれがさっぽろテレビ塔です。多分、テレビ等で見たことあると思います。」

 

「あれがテレビ塔ですか。小さい東京タワーみたいですね。」

 

「東京に住んでいる人はそう思うかもしれませんね。んで、テレビ塔の前の公園でさっぽろ雪まつりが行われるんです。いつも凄いですよ。去年はグラスワンダーさんの雪像がありましたね。」

 

「それはありがたい話です♪」

 

「おつかれだと思いますので、このままホテルに向かいますね。」

 

奥村さんはそう言って札幌プリンスホテルへ向かって走り出した。俺らは札幌の光景を見ていた。

数十分してから、ホテルに着いた。

 

「さぁ、ホテルに着きました。札幌競馬場の名前を出してくれましたら、部屋に案内してくれると思うので。マイネルスケルツィの送別会の準備もしないといけないので私はここで。」

 

「観光などありがとうございます。」

 

「いえいえ、呼んだのはこちらなので。では、明日お迎えに参りますね。」

 

「はい。お願いします。」

 

奥村さんは車を進めた。最後にクラクションを鳴らし札幌競馬場へ向かっていった。俺らは札幌プリンスホテルに入っていった。受付カウンターに列が出来ていたのでゆっくり待っていると俺らの番になった。

 

「ようこそおいでなさいました。」

 

「はい。札幌競馬場と言えと言われたのですが…。」

 

「はい。受け付けております。今葉勝馬さんとグラスワンダーさんですね。スイートルームへご案内します。」

 

「え?スイートルーム?」

 

「はい。奥村様からそう言い伝えられております。」

 

「そ…そうですか…。」

 

俺らはスイートルームへ案内された。看板には「ロイヤルスイートルーム」と英語で書かれており、入るのも戸惑ってしまった。

 

「勝馬さん…。」

 

「わかってるグラス。俺だって緊張してんだ。」

 

「そう…ですね。入りましょう。」

 

「ああ。」

 

俺らは重い1歩を踏み出した。そこには俺の部屋よりも広いスイートルームだった。俺は空いた口が閉じず、色んなところを見て回った。

 

「なんじゃこりゃ!これがスイートルームってか!スゴすぎだろ!」

 

「勝馬さん…これはさすがに凄すぎますね。」

 

「んで、ベットは……。」

 

「1つですね。2人用です。」

 

「あらぁ…いつも通り…。」

 

「こればかりはどうもなりませんよ?私が一緒に寝て欲しいから誘ってるわけでなく、ベットが元から1つしかないです。」

 

「そ…そうだな。とりあえず…外見てみる?」

 

まだ明るいから部屋の窓からは札幌の景色が綺麗に見てた。グラスと俺は言葉を失い改めてスイートルームなんだなと思い出させられた。

 

「本当に…スイートルームなんだな。」

 

「ですね。」

 

「2人にしたら広くないか?」

 

「そうですね。」

 

「どうする?ちょうど昼食ぐらいだが…?」

 

「それなら、名産物を食べませんか?」

 

「それもそうだな。明日が本番みたいなもんだからな。」

 

「はい♪」

 

俺とグラスは部屋のロックをして、街に出た。

東京みたいに全てのビルが高いって訳では無いが、都市と言えば都市だろう。東京より少し涼しい札幌。近くに海鮮丼屋があったのでそこに向かうことにした。そこは人で賑わっていた。

「有名なお店なのかもしれませんねぇ。」

 

「クチコミ4.3だからな。人気で有名なんだろう。」

 

「待ちますか?」

 

「どうする?」

 

「私は別に待っても大丈夫ですよ?」

 

「なら待つか。」

 

俺らは列に並んだ。周りの人からは「グラスワンダーとトレーナーだ」と言う目で見られていたり、握手をお願いされたりと有名人だった。俺まで握手を求められるのはよく分からないが…。グラスは俺が思っていることを当ててきた。

 

「勝馬さんが悩んでいることは『どうして俺まで握手をお願いされたりするんだろう。』でしょうか?」

 

「笑顔で考えていること当ててこないでよ。」

 

「勝馬さん。あなたはURA界でも伝説を残したんですよ?」

 

「そう…なのか?」

 

「はい♪私を無敗で育て上げた勝馬さんだからこそ他の人から尊敬されるんですよ。ハヤヒデ先輩も2着以内ですから、勝馬さんは誇ってもいいんですよ?」

 

「そう…か。ありがとうグラス。」

 

「私たちは支え合っていくって京都の時約束しましたから♪」

 

「そうだな。本当にありがたいよグラス。」

 

「ふふっ。勝馬さんって繊細ですね。」

 

「よく言われる。」

 

そんなことを話していると、俺らの番になった。店の中に入ると人が多く店員さんが忙しく海鮮丼を作っていた。俺らも椅子に座り海鮮丼を頼む。グラスはいくら丼。俺はウニマグロ丼を頼んだ。

 

「そういえば、ハヤヒデ先輩大丈夫でしょうか?」

 

「んー。大丈夫だと思うが…?」

 

「オーバーワークしてないでしょうか…。」

 

「してない。ハヤヒデはそんなことするやつじゃないからな。」

 

「そうですか。」

 

ハヤヒデについて話していたら、海鮮丼が早く来た。

 

「おまたせしました。いくら丼ですね。そして、ウニマグロ丼です。」

 

「ありがとうございます♪さぁ、勝馬さん食べましょ?」

 

「そうだな。」

 

俺とグラスは海鮮丼を食べる。グラスがこっちの海鮮丼を欲しそうに見ていた。

 

「グラス?」

 

「…はい?」

 

「欲しいのか?」

 

「い、いえ。大和撫子たるもの、ここは我慢です。」

 

「はい。あーん。」

 

「トレーナーさん!?」

 

グラスは我慢しようとしたが俺はそんなことお構い無しにグラスにウニマグロ丼を食べさせようとする。グラスはそれを見て顔を紅くしながら口を開け食べた。

 

「えっと…その。美味しいです…。」

 

「なんだ?照れてどうした?」

 

「その…トレーナーさんも…どうぞ?/////」

 

「ん。あーん。」

 

俺もグラスのいくら丼を食べる。いくら丼はプチプチといくらが噛めば噛むほど美味しさが出る。そして、グラスは照れる。

 

「グラス?大丈夫か?」

 

「だいじょひゅです…。」

 

グラスはどうやらさっきのでキャパーオーバーしたらしく頭から湯気が出まくっている。俺は会計を終わらしてグラスをおんぶしてホテルに戻る。

 

「わっ!トトト…トレーナーさん!?」

 

「はいトレーナーさんですよ。」

 

「ふざけてないで下ろしてください!」

 

「無理だ。俺がホテルまで送るんだ。」

 

「トレーナーさんも同じ部屋じゃないんですか?」

 

「ん。それもそうだな。」

 

「でも…勝馬さんの背中って暖かいです。肌寒いですからね。」

 

「そうか。もうすぐでホテルだぞ。」

 

「はい。そろそろ…下ろしてもらっても…」

 

「んー。いいぞ。」

 

俺はグラスを背中から下ろし、グラスは俺の手を握った。

 

「グラスさん?」

 

「どうされました〜?」

 

「手繋ぐの?」

 

「そうですよ。」

 

「しっぽすごいね。」

 

「えっ…あっちょっと…。」

 

「いいと思うけどな。可愛いと思うよ。」

 

「そう…ですか?ありがとうございます〜♪」

 

俺らは手を繋いでホテルに向かった。グラスはニコニコしている。でも笑っていてもなにか悩んでいることがありそうだ。

 

「何か悩み事か?グラス」

 

「勝馬さん。明日私はなんて言えばいいと思いますか?初めて会うウマ娘に。」

 

「そうだな。ファンなんだからありがとうって言う気持ち伝えたらいいんじゃないか?」

 

「そうですね。わかりました。」

 

グラスは悩みの種が取れたようで、またニコニコしていた。

ホテルに入り、スイートルームに入った。俺はソファーに座った。

 

「ふぅ。初めての土地はよくわかんないな。グラス。」

 

「私は地元ですから♪」

 

「正しくは地元じゃないだろ。」

 

「北海道自体が地元です♪」

 

「ざっくりしてるんだな。」

 

「そうですよ。」

 

「そんなんでいいのか…?」

 

「大丈夫です。」

 

「夕食まで時間あるな。」

 

「そうですね。あっエルに電話してもいいですか?」

 

「え?ああ。大丈夫だぞ。」

 

「今エルはフランスにいるので。」

 

「そういえば、そんなこと聞いたな。」

 

「ちょっと掛けてみますね。」

 

グラスはそう言って俺のパソコンでエルコンドルパサーに電話をかけた。

 

「これどうするんデスカ?」

 

「エル〜♪」

 

「ケッ!?グラス!?」

 

「やぁ、エル。」

 

「あっ。グラスのトレーナーさん。」

 

「そっちはどう?」

 

「強豪ばっかりで強くなりそうデス!」

 

「私も行きたいけど…無理ですよね?勝馬さん。」

 

「んー…その気になれば行けると思うけど…?」

 

「本当ですか?」

 

「ケッ!?グラス来るんデスカ!?」

 

「行けたら行くです♪」

 

「あっこれ来ないやつデース。」

 

「ふふふ。」

 

グラスはエルコンドルパサーと電話していたので俺はテレビを見ていた。楽しく乙女同士の話で盛り上がっていると思っていたが、どうやらレースのことで盛り上がっているらしい。エルコンドルパサーはフランスで凱旋門賞に出ることを決定していた。グラスはそのレースを見に行きたそうにしているので、理事長に電話をした。

 

「もしもし、秋川理事長でしょうか?」

 

「肯定ッッ!私こそ秋川やよいである!」

 

「理事長、また旅行なんですけどいいですか?」

 

「む?それは何処へ?」

 

「フランスです。」

 

「フランスか。凱旋門賞であるな?」

 

「そうですね。」

 

「グラスワンダーがエルコンドルパサーの応援に行きたいって言っているで間違えないな?」

 

「はい。ダメでしょうか?」

 

「否ッッ!逆に行ってきて欲しいまである!」

 

「え?」

 

「実はな。私もフランスに行くことになった。」

 

「理事長が?」

 

「肯定ッッ!だからこそ、秘書を任せたい。」

 

「俺にですか?そんなの無理ですよ?」

 

「うむ。わかっている。」

 

「なら、どうして?」

 

「そう言っておけば大丈夫であろう?」

 

「ありがとうございます…。」

 

「うむ。それだけか?」

 

「はい。ありがとうございます。」

 

「それでは、待っておるぞ。」

 

俺は電話を切った。グラスとエルコンドルパサーはまだ話しているようでまた俺はテレビを見ていた。そして数時間後グラスが電話を終えてベットに乗ってきた。

 

「おはようございます。勝馬さん。」

 

「寝てはいないけどな。」

 

「知っていますよ。時間も時間ですから夕食食べに行きましょう?」

 

「そうだな。」

 

俺らはホテルで夕食を食べた。そして部屋に戻った。少しゆっくりしてからグラスにお風呂入るように勧めた。グラスは自分が先に入るのが嫌だったらしいが仕方なくって入っていった。俺はグラスが出るまでテレビを見て待っていた。どんどん暗くなっていく札幌の空に札幌の景色がどんどん夜景に変わっていく。函館の夜景も綺麗って聞くが、札幌の夜景も綺麗だった。その景色に見とれているとグラスが出てきた。

 

「勝馬さん次どうぞ。」

 

「ああ。ありがとう。」

 

「綺麗ですね。夜景」

 

「そうだな。じゃあ風呂に入ってくる。」

 

俺はお風呂に入った。グラスはその間夜景を見ているのだろうと思ってリラックスしていた。

 

「勝馬さん。」

 

「は!はい!?なんですか?」

 

「あっ。驚かしてしまいましたか?」

 

「大丈夫だ。どうした?」

 

「今しか言えないことを思い出しました。」

 

「ん?出てからじゃないとダメなのか?」

 

「えっ?あっ…すみません。あとでも大丈夫ですよ。」

 

「すまんな。」

 

「いえいえ。」

 

そう言ってグラスは洗面所から出ていった。俺はグラスを待たせないために急いで頭を洗い身体を洗いすぐに風呂から出た。

 

「勝馬さん。札幌の景色って綺麗ですね。」

 

「そうだな。」

 

「先程、パソコンにメールが来ていたので見てしまいました。」

 

「俺とグラスの間だ。構わないぞ?」

 

「フランスへのチケット。これはなんですか?2人分。」

 

「それは…だな。」

 

「もしかして、理事長さんとフランス旅行ですか?私と行かずに。」

 

「はははっ!なんだそんなことか。」

 

「答えてください。」

 

「そうだな。グラス、お前は何か一つ勘違いしてるぞ。」

 

「え?」

 

「それは俺らのチケットだ。」

 

「……!」

 

「つまり、グラスお前も行くんだ。」

 

「勝馬さん!いつの間に伝えたんですか?」

 

「グラスがエルと電話している時にちょちょいと。」

 

「さすがです。」

 

「さて、明日早いしそろそろ寝るか。」

 

「そうですね。」

 

俺とグラスは同じベットに入りお互い手を繋いで眠った。

翌朝、アラームがなる。横にグラスはいない。グラスはどこだろうと探しているとポニーテールにしたグラスが洗面所にいた。

 

「あっおはようございます。勝馬さん」

 

「おはようグラス。その髪型似合ってるぞ?」

 

「ありがとうございます。でも、札幌は肌寒いですから下ろしますけどね。」

 

「仕方ないな。」

 

俺はグラスの隣で歯を磨き出した。鏡に映った俺らは結婚したあとの夫婦みたいだった。グラスがトレセンを卒業する時にはこうなるのだろうかと考えつつ、歯を磨いた。口をゆすぎ、ゆったりとした服へ着替えた。

グラスはカバンに勝負服と俺のスーツを積めてくれていた。さして、チェックアウトした。

外には奥村さんが待っていた。

 

「おはようございます。今葉トレーナーさん、グラスワンダーさん。」

 

「おはようございます。奥村さん。」

 

「今日はレースはなく、引退式だけなので急いで行きますよ。」

 

「すみません。ありがとうございます。」

 

「いえいえ。来てもらってるので。」

 

奥村さんは札幌競馬場へ向かった。ホテルから競馬場まで近かいらしくすぐ着いた。札幌競馬場にはたくさんの登りが立っていた。書いているのは「ありがとうマイネルスケルィ」だった。俺らは裏口から入り、関係者にもバレずに控え室に入っていった。グラスが先に着替えると言ったので、俺が廊下で待つ。グラスが着替え終わるとドアから顔を出し「おまたせしました。」と言って俺が入る。グラスは俺の着替える姿に慣れているのか部屋から出ていこうとしない。俺もグラスの前で着替え出す。グラスはお茶を飲んで落ち着いていた。俺はスーツに着替えるが、ネクタイだけなかなかできない。するとグラスが俺の前に来てネクタイを締めてくれた。

 

「ありがとうグラス。」

 

「これからは私がする番ですから気にしないでください。」

 

グラスがネクタイを締めてくれたと同時に放送が聞こえてきた。

 

「まもなく引退式を致しますので、お客様はスタンドにお集まりください。」

 

奥村さんが控え室に入ってきて「そろそろ行きますよ。」と伝えてきてくれた。俺らはそれについて行った。ターフでは引退式が始まっていた。

 

「皆さん!誘導担当のウマ娘だった。私のために集まって貰ってありがとうございます。改めましてマイネルスケルツィです。」

 

歓声でマイネルスケルツィはすごく人気者だったらしい。

 

「勝手ながら私は引退してしまいますけど、同僚達にあとを任せたいと思います。これまで色んなレースを見ました。どれも心踊らせるレースばかりでした!でも、やっぱり1番はグラスワンダーさんのレースでした。私はあの人のレースはとてもいいレースで周りには強い人達ばかりで…。私はグラスワンダーさんのファンでした。」

 

そう言った時放送が聞こえた。

 

「レースに出るウマ娘とトレーナーは本バ場入場してください。」

 

観客からも不思議がる声が上がった。マイネルスケルツィも不思議そうに周りを見る。

俺らは奥村さんに「行ってください!」と言われたのでスタンドから出てきた。

観客からは大歓声が上がった。

 

「今回マイネルスケルツィ引退式のために無敗のウマ娘グラスワンダーさんとグラスワンダーのトレーナーである今葉勝馬さんに来てもらいました。」

 

俺らは観客に手を振った。

 

「どうして…グラスワンダーさんがここに…。」

 

「それは呼んでいただいたからです♪」

 

「本物…ですよね?」

 

「はい♪本物です。」

 

「私…ずっとグラスワンダーさんのファンで…。」

 

「ありがとうございます♪誘導お疲れ様でした。私はここでレースは出たことないですが、これからはURA職員として頑張ってください。」

 

「ありがとうございます。頑張っていきます!」

 

「トレーナーさんからは何かありますか?」

 

「んー。誘導担当お疲れ様でした。これからは辛いこと悲しいことあるかもしれませんが、マイネルスケルツィさんはまだこれから楽しいこと沢山あるの思うので頑張ってくださいね。」

 

「ありがとうございます。それと1つだけ質問いいですか?」

 

「大丈夫ですよ〜。」

 

「お2人はご結婚するんですか?」

 

「「は?」」

 

「宝塚記念の時プロポーズをしていたのでするのかなと?…思いまして」

 

「そうですね。そのうちしますよ。」

 

「そうですか!お幸せになってくださいね。」

 

「ありがとうございます♪」

 

 

マイネルスケルツィの引退式は大成功し、俺らは奥村さんの車で札幌競馬場を後にし、新千歳空港へ送ってもらった。

 

「本当にありがとうございます。マイネルスケルツィも喜んでいましたから。」

 

「こちらこそ、喜んでもらえて嬉しい限りです。そうだろ?グラス。」

 

「はい♪」

 

「また、機会がありましたら札幌へ来てください。」

 

「もちろです。ですけど、次はお忍びで来ますね。」

 

「そうですね。次はお忍びで。」

 

「それでは2日間ありがとうございました!」

 

「こちらこそですよ。それでは。」

 

「はい。それでは。」

 

俺らは奥村さんに手を振り成田空港行きの飛行機の搭乗口へ向かっていった。




どもども綾凪九尾です。
今回無理やり2週間で出すのですがかなりきついですね。
1万文字近く書いてしまったことを後悔しています。
さて、今回早めに出した理由はさておき。
この小説が出る日には無敗の三冠馬コントレイルが引退だそうですね。
私はつい最近競馬に興味を持っているのですが…有名馬が沢山引退する年なんですかね?今年は。
とりあえず、私は疲れたのでここで締めさせてもらいます。
今回も読んで頂きありがとうございます。
今回はラブコメ要素少なめです。すみません。
次は1週間後に出す予定ですのでよろしくお願いします。
それではさよならバイバイ。


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岩手旅行(特別編成レース)

前回のあらすじ!
全然関係ない!以上!


今日はオグリと一緒に岩手県に来た。

まず、なぜ岩手に行くことになったか説明していこう。

 

「トレーナー!」

 

「ん?どうした?」

 

「ユキノビジンに聞いたのだが、わんこそばと言う食べ物が岩手県にあるらしいんだ。」

 

「そうだな、有名だな。それがどうした?」

 

「私も食べてみたいのだが…いいだろうか?」

 

「ちょっと待てよ。オグリの次のレースは…」

 

「有馬記念だな。」

 

「年末か…よし。行こうか。」

 

「あっ、ついでに盛岡競馬場も見に行ってみたいんだがいいだろうか?」

 

「笠松競馬場時代の友人でもいるのか?」

 

「いや、いないのだが…1人、気になるウマ娘が居てだな。」

 

「なるほど。わかった。用意しておこう。」

 

とオグリのわんこそば食べたい欲によって旅行が敢行された。わんこそばは夕食と決めていたらしく、今は宮古市にある「道の駅みやこシートピアなあど」に来ている。盛岡からどうやってここまで来たか?それは俺が運転したからだ。車はレンタカーだ。オグリと道の駅を見ていると海鮮物が多くやはり海の近くは海鮮物が有名になるものかと考えていたら、オグリのお腹が鳴った。

 

「と…トレーナー。お腹が空いたぞ…。」

 

「なら、近くの海鮮市場食堂に行こうか。」

 

俺らは道の駅の目と鼻の先にある海鮮市場食堂に入ると店員さんが驚いていた。

 

「いらっしゃ…あら!オグリキャップさんじゃないですか!」

 

「ん?私を知っているのか?」

 

「知ってるも何も無いですよ!私の息子がファンなんですよ。」

 

「そうか。ありがとう。」

 

「オグリキャップさんが来たってことはサービスしなきゃ!」

 

「いや、そこまでしなくてもいい…のだが。」

 

「大丈夫ですって!海鮮物は横から仕入れたら良いんですから!」

 

「そうか…?それならいいのだが…。」

 

オグリは戸惑いながら注文をする。オグリはいくら丼と三色丼を頼み俺は刺身定食を頼む。

 

「トレーナー。明日はどこに行く予定だ?」

 

「えっと…盛岡競馬場に行ってオグリが気になってる娘を見に行くんだろ?」

 

「ああ、そうだったな。名前は確か…」

 

「ミンナノヒーローだな。」

 

「地方なれど2連勝しているウマ娘か。中央に来るのも近いのかもしれないな。」

 

「まあ、その場合トレセンが動くと思うけどな。」

 

「それもそうだな。」

 

俺とオグリが明日の話をしていると店員さんが丼と定食を持ってきてくれた。

 

「はい。オグリキャップさんのオグリ盛りね。」

 

「オグリ盛り?そんなもの無いはずだが…?」

 

「サービスです。これトレーナーさんの定食です。」

 

「ありがとうございます。」

 

「じゃあ、ごゆっくりです。」

 

俺はオグリ盛りを見て絶句する。ご飯が見えないぐらいいくらがかかっているからだ。オグリは目をキラキラさせながら食べる。

 

「上手い!上手い!上手い!」

 

「某アニメみたいな感想の言い方だ…。」

 

「どうした?トレーナー?」

 

「ん。いや、オグリの食べっぷりはさすがだと思ってな。」

 

「ふふっ。私を褒めても何も出ないぞ?」

 

「そうだな。」

 

俺が定食を食べ終わってもオグリは丼を食べていた。俺は外を見ていると、堤防で釣りをしている人を見つけた。緑色の髪の毛にウマ娘証の耳。俺はそのウマ娘の特徴に合う娘がいるか記憶を探した。たった1人俺の記憶の中で思い出す子がいた。一昨年の有馬記念でグラスワンダーに敗北したセイウンスカイだ。あの時の有馬記念はセイウンスカイが有利に見られていたがグラスワンダーが差し切って勝利を勝ち取った。その後セイウンスカイのトレーナーはその敗北に絶望し、トレセンから行方不明になったと聞いた。

俺はオグリに「すぐ戻る」と言って堤防に向かった。

堤防には数人の釣り人が居て、セイウンスカイはしっぽを振りながら魚を待っていた。

 

「セイウンスカイ…でいいのかな?」

 

「んー?セイちゃんを呼んだのはそこのトレーナーさんですかなぁ〜?」

 

「そうだ。」

 

「おやおや、よく見たらグラスちゃんのトレーナーさんの同期さんじゃないですかにゃ〜。」

 

「坂本桜花だ。」

 

「ご存知ですよ〜。オグリ先輩のトレーナーさんで…私に見事釣り上げられたトレーナーさん。」

 

「釣り上げられた?」

 

「知らないとは言わせませんよ?私には…トレーナーがいないの知ってますよね?」

 

「それは…もちろん。有名だからな。」

 

「やっぱり知ってる。セイちゃんに言わせた責任取ってくださいよ〜?」

 

「ん〜…。そうだな。」

 

「あっ、無理にとは言いませんよー?」

 

「わかった。トレーナーになろう。」

 

「え?」

 

「だからトレーナーになるって言ってるんだ。」

 

「私の次のレース何かわかって言ってます?」

 

「なんだ?」

 

「天皇賞・春ですよ?」

 

「なら、回避だ。」

 

「え?」

 

「ビワハヤヒデが出る。」

 

「いや、セイちゃんはやる時はやりますよっと。おっ!大きい引き!」

 

「大丈夫か?セイウンスカイ」

 

「んー。ありゃ、これは地球ですなぁ〜。がっちりハマっちゃってますなぁ。」

 

「切るしかない…な。」

 

「ですねぇ〜。」

 

「にしても、セイウンスカイはトレーナーがいないからここで釣りをしているのか?」

 

「そうなりますよ〜。ぴろぴろりん!トレーナーさんが話してくれるからセイちゃんの好感度が3上がりましたよ。」

 

「簡単に上がるんだな。」

 

「実はセイちゃん人に懐っこいんですよ〜。」

 

「なるほどな。」

 

「ところで、トレーナーさんはなぜ岩手に?」

 

「ああ、オグリの要望でな。旅行だ。」

 

「ほうほう、旅行ですか。どうゆう理由で?」

 

「わんこそば食べに。」

 

「ありゃ?セイちゃんの予想が外れちゃいました。」

 

「どんな予想してたんだ?」

 

「てっきり、『ミンナノヒーロー』の三連勝目を見に来たのかと思ってましたよ。」

 

「そんなに強いのか?」

 

「んー。私が走りを実際に見たわけじゃないですけど〜。オグリ先輩みたいなパワーがあるらしいですけどね。」

 

「意外と詳しいんだな。」

 

「一応、セイちゃんが岩手に来た理由は『ミンナノヒーロー』を見に来たってのもありますからねぇ〜。」

 

「そうなのか?」

 

「これならどんな成長をするのか予想するのが楽しいですから。ところでトレーナーさん。」

 

「ん?」

 

「オグリ先輩のところに戻らなくていいんですかな〜?」

 

「あー。そろそろ戻る。明日この時間に競馬場に居るな、一緒に見るのなら来てくれ。これ電話番号だ。」

 

「トレーナーさん。私の好感度上げようとしてます?」

 

「別にしてないよ?」

 

「なら、好感度上がりましたよ〜。」

 

「良いトレーナー関係を築けそうだな。それじゃまた明日。」

 

「はいはーい。」

 

俺はオグリの待っている海鮮市場食堂に戻った。

 

(セイウンスカイ視点)

 

「(遅かれ早かれセイちゃんにトレーナーが就くと思ってたけど思いのほか早かったなぁ。それに好感度爆上げすぎてほんとやばいよぉ。セイちゃんに釣り上げられたトレーナーさんはもう二度と離さないから。野良猫が近づくようなら私は容赦なく倒すだけだから。)」

 

(セイウンスカイ視点終わり)

 

海鮮市場食堂に戻ると全て食べ終わっていたオグリは俺の事を待っていた。

 

「おかえりトレーナー。何をしていたんだ?」

 

「セイウンスカイと話してた。」

 

「セイウンスカイってトレーナーが行方不明になったウマ娘か。」

 

「ああ。俺が担当しても文句ないよな?」

 

「トレーナーが決めたことなら私は何も言うつもりは無いからな。」

 

「いつものオグリらしい。」

 

そう言って俺らは会計をした海鮮市場食堂を出た。

レンタカーに乗った時に窓をノックされた。俺は「警察か?」と思って外を見るとセイウンスカイが笑って見ていた。

 

「ん?何しているんだ?」

 

「いやぁ〜、セイちゃん電車なんですけど。乗せて貰えたらありがたい…んですけどぉ。」

 

「なんだそんなことか。それならば乗ればいい。」

 

「ありがとうございますトレーナーさん。おや?オグリ先輩もご一緒ですか。なるほど〜。」

 

「言ってただろ。」

 

「そういえばそうでした。もしかしてセイちゃんお邪魔です?」

 

セイウンスカイは少し苦笑いをしながら聞いてきた。俺とオグリは顔を見合せた。アイコンタクトで会話をする。

 

「(これっては…どう言えばいいのだ?)」

 

「(俺に聞かれても…とりあえず邪魔じゃないって言うからな。)」

 

「(わかった。)」

 

俺はオグリから目を離しセイウンスカイを見て話す。

 

「邪魔じゃないよ。一緒にお風呂行くかな?」

 

と聞いてみる。セイウンスカイは少し悩んだ後に笑顔で返事をした。

 

「おおー…温泉ですかぁ。いいですねぇ〜。セイちゃんもご一緒しても大丈夫ですか?トレーナーさん?」

 

「大丈夫だ。なんとかなる。」

 

「本当ですか〜?少し冷や汗かいてますよ〜?」

 

「えっ!?ガチで?」

 

「嘘ですよ。全く、今回釣りあげたトレーナーさんは少しポンコツかねぇ〜。」

 

「ポンコツって…」

 

「ポンコツはポンコツですよ。いい意味のぽんこつですから。」

 

「それは…ポンコツでは無いのか?」

 

「にゃはは〜♪バレちゃいましたか〜。」

 

「よくわからんが…。」

 

「まあまあ、オグリ先輩にも書きたいことありますから温泉行きましょうよ〜。」

 

「そうだな。少し遠いからリラックスしててくれ。」

 

「わかりましたよぉ〜。」

 

俺は車を動かした。花巻温泉郷に向かった。

オグリはお腹が膨れたのか眠ってしまっていた。セイウンスカイが後ろから話かけてきた。

 

「トレーナーさんは今までどんなレースにオグリ先輩を出したんですか?」

 

「そうだな…NHKマイルカップ、マイルチャンピオンシップ、有馬記念2回、大阪杯、天皇賞・春、天皇賞・秋、安田記念、宝塚記念だな。」

 

「かなり出てますねぇ。セイちゃんも酷使されるんですか?」

 

「まだ担当になれるか分からないが…そうなるだろうな。」

 

「あっ知ってます?来年の新入生の時に『アオハル杯』が開催されるらしいですよ?」

 

「アオハル杯?そういえば今葉が言ってたな。ん…」

 

「じゃあ、トレーナーさんは同期の方々と組むんですかぁ?」

 

「ん…まあ、組んでいいのなら組むな。」

 

「そうですか。トレーナーさんの担当はオグリ先輩とマンハッタンカフェさん。今葉勝馬トレーナーはグラスちゃんとビワハヤヒデさん。松風華麟トレーナーはライスちゃんとアグネスタキオンさん。中山翔夢トレーナーはテイオーちゃんとマルゼンスキーさんでしたっけ?」

 

「そうだな。どうしてここまで知ってるのか知りたいところだが…」

 

「それはですねぇ〜。理事長からトレーナー一覧貰ったからですよ〜♪」

 

「あの理事長…一覧渡したのか…。」

「どうやら、前のトレーナーさんから退職届を受け取ったらしいですよ?まあ、私にはあまり説明なかったんですけどね。」

 

「多分…落ち込まないようにってことだろう。」

 

「違いますよ〜。多分前のトレーナーさんはグラスちゃんの気迫に負けちゃったんだと思いますよ?」

 

「確かにグラスワンダーの気迫と言うか…青い炎と言うか…。」

 

「あの炎ですよね。もう1人見たことありますよ?」

 

「誰だ?」

 

「ライスちゃんですよ。」

 

「天皇賞・春…か?」

 

「そうですよ〜。あの時私も見に行ってましたから。」

 

「そうか。」

 

「あの時のライスちゃんはグラスちゃん以上の炎だったんですよ…。」

 

「グラスワンダー以上の炎か。」

 

「とりあえず、セイちゃんも疲れたのでお休みさせてもらいますね〜。それじゃ。すぴー。」

 

セイウンスカイも寝てしまった。静かな車内で俺は花巻温泉郷に向かう。セイウンスカイのホテルはどこなのかと思いつつ、車を走らせる。秋が深くなって木の葉は赤くなっていた。温泉地に着いたのでオグリとセイウンスカイを起こす。2人は車から降りるとセイウンスカイに質問をした。

 

「セイウンスカイはホテルどうしてるんだ?」

 

「にゃはー♪どうしましょうかね〜。」

 

「緩すぎじゃないか…?」

 

「トレーナーさんの力で何とかなりません?」

 

「さすがにならないと思うんだが…?」

 

俺はセイウンスカイとの会話で汗を流しているとどこかに行っていたオグリが話しかけてきた。

 

「トレーナー。何とかなったぞ。」

 

「はい?」

 

「説明したら同室だが、布団を用意してくれるらしいぞ。」

 

「なるほど?待て!今、同室って言ったか?」

 

「言ったな。」

 

「担当でもない子と同室なのか!?」

 

「私も同室だが?」

 

「いやいや!別室を頼んでたはずだろ!」

 

「あー。そのことなら。このumainを見てくれ。」

 

「えっと…?『オグリに言われた通り別室から同室に変更しておきました。もしかしたら、ある人に会うかもしれないので3人泊まれるような大きな部屋に変更してもらいました。キャンセル代はこちらで払っておいたのでごゆっくりしといてください。』だと?これは誰から?」

 

「今葉トレーナーだ。」

 

「あいつ!やりやがったな!」

 

(その頃、今葉トレーナーは…)

 

「ハッ!クション!」

 

「あらぁ?トレーナーさん風邪ですか?」

 

「違う違う。多分今頃坂本が叫んでる頃だ。ちょっとしたイタズラとセイウンスカイの元トレーナーからの情報でセイウンスカイの居場所が割れた。必死に考えたグラスのおかげだぞ〜?パリに行った時好きなところ行ってもいいぞ?」

 

「そうですね…やっぱりチュイルリー庭園に行きたいですね。」

 

「なら、そこに行こうな。」

 

「そうですね〜♪」

 

(時は戻り岩手へ。)

 

俺は今葉から受けたいじめ?を諦めて大部屋に入る。

 

「トレーナー!広いな!」

 

「…そう…だな…。」

 

俺は興奮しているオグリを横目に外を見ながら懺悔する。

 

「(ああ。神さま…俺をお許しください。担当と担当じゃない子と同室なのをお許しください…。)」

 

俺は外を見ているとオグリとセイウンスカイが話していた。

 

「オグリ先輩はトレーナーさんのことお好きですか?」

 

「好きと…言えば好きだな。」

 

「(俺がいないところでしてくれ!!)」と思いつつ、お茶を飲んで落ち着くことにする。

 

「ズズズ。はぁ、いい天気だな。」

 

「トレーナー…曇りだぞ…?」

 

「そうだな。いい天気だな。」

 

「?どうしたんだ?」

 

「多分トレーナーさん現実逃避してますねぇ。ここはセイちゃんの腕の見せどころですなぁ。」

 

セイウンスカイはそう言って俺に近づいてきた。

 

「どうした?セイウンスカイ。」

 

「トレーナーさん。そろそろスカイって呼んでくださいよぉ〜。セイちゃんだけ仲間はずれですかぁ?」

 

「でも…担当じゃない…だから…。」

 

「それでも、フルネームで呼ばれるのは少し嫌ですよ?」

 

「そう…なのか?オグリ」

 

「私に聞かないでくれトレーナー…。」

 

「それもそうか…。」

 

「とりあえず、トレーナーさん。お風呂入りません?」

 

「風呂か…まあいいが?」

 

俺らは風呂に入る用意をして大浴場に向かった。混浴はないらしく自然的に男風呂と女風呂に別れた。俺は脱衣所でさっさと服を脱ぎ、大浴場に入る。少しの間の一人の時間だからゆっくりさせてもらう。

 

(一方セイウンスカイとオグリキャップは…。)

「オグリ先輩はトレーナーさんのこと好きですか?」

 

「それさっきも聞いただろう?好きって感情がわからないんだ。」

 

「まあ、私も言えたもんじゃないですけどねぇ〜。」

 

「ん?そうなのか?」

 

「私も恋愛弱者なので〜。」

 

「しかし、私より恋愛のことわかってるだろう?」

 

「にゃはは…なんですか?私が弱者に見えませんか?」

 

「ん、そうだな。見えないな。」

 

「にゃはは…困りましたなぁこれは…。」

 

「なら、セイウンスカイはトレーナーのことが好きなのか?」

 

「えっ!?オグリ先輩は何を言ってるんですかねぇ…?」

 

「君の視線を見たらわかるな。」

 

「えっと?オグリ先輩?」

 

「セイウンスカイ。セイウンスカイはトレーナーをどう思ってるんだ?」

 

「そうですねぇ〜。一言で言えば…優しい人…かなってセイちゃんは思いますけどね〜?」

 

「そうか。つまり、セイウンスカイも好きなんだな?」

 

「にゃ!?なっなななななな…何を言ってるのかセイちゃんにはわかりませんねぇ〜。あはは…。」

 

「?そうか?違ったのかすまない。」

 

「あはは…先出ますね?」

 

「ん?ああ、いいのか?」

 

「セイちゃんは…暑いの苦手ですから!それじゃ!お先に♪」

 

「…?おかしな奴だ。」

 

(坂本に視点が戻る。)

「はぁ〜…出るか。」

 

俺はゆっくり温泉に浸かるがなかなか疲れが取れない。多分身体的に疲労じゃなくて精神的疲労だったようで、寝るしか方法がないと思い大浴場から出る。バスタオルで体を拭き、浴衣に着替える。脱衣所から出ると同じタイミングでセイウンスカイが女風呂から出てきた。

 

「「あっ…。」」

 

謎の沈黙が続く。その間、視線を交差させる。セイウンスカイの顔がどんどん顔が赤くなる。

 

「えっと…えっと…私!先戻りますね〜。」

 

「お…おう?」

 

セイウンスカイはすごい速さで部屋に戻って行った。俺は、休憩ルームでゆっくりと牛乳を飲んで涼んでいた。遅れてオグリも出てきた。

「やぁ、トレーナー。」

 

「ん。おかえり。」

 

「先にセイウンスカイが出たと思うんだが?」

 

「ああ。会ったな。それが?」

 

「いや、そうか。」

 

オグリは何かを察したように俺の隣に座る。そして俺の牛乳瓶を取って飲む。

 

「それ俺のだが?」

 

「トレーナーのだったか。」

 

「そうだ。まあ、それも過去だがな?」

 

「すまない。喉が乾いてしまったから飲んでしまったんだ。」

 

「うん。俺半分も飲んでなかったぞ?」

 

「そうか。しかし、私に手持ちはないぞ?」

 

「だと思い、2本目の小銭持ってきてる。」

 

「用意周到だな。トレーナー。」

 

俺はソファから立ち上がり、牛乳が売ってる自販機の前に立つ。さっきオグリに飲まれた牛乳を買う。俺は呆れながらソファに戻った。

 

「それは…さっきと同じ牛乳なのか?」

 

「ああ。牛乳飲んだら戻るから先戻っといてくれ。それと、夕食はオグリだけわんこそばだ。」

 

「わかった。楽しみにしておく。」

 

「ああ。」

 

オグリはしっぽをブンブンと振り回しながら部屋に戻っていった。俺は牛乳を一気飲みすると携帯を取りだし電話をかけた。

 

「もしもし?楽しんでますか?」

 

「楽しんでるとかじゃない。」

 

「納得納得。」

 

「違う。なぜ、同室にした?」

 

「えっと…んー…。」

 

「どうした?歯切れ悪いぞ。」

 

「秘密。」

 

「こいつ…。」

 

「まあまあ、落ち着いて。」

 

「落ち着けるのはお前だけだけだろう?」

 

「今回の件考えた本人に変わりますから…ね?坂本さん。落ち着こう。」

 

「はぁ。わかった変わってくれ。」

 

「はい。お待ちを…。」

 

今葉はそう言って、保留中にした。数分ぐらい待っていると保留音が消え、声が聞こえてきた。

 

「変わりました。グラスワンダーです。」

 

「え?グラスワンダー?」

 

「はい。私ですが?」

 

「今回考えたのは君…か?」

 

「坂本トレーナーにしっかり説明しますね?」

 

「ああ。」

 

「まずは今年の夏からセイちゃんの行方がわからなくなってまして…それをセイちゃんの前のトレーナーさんに聞いたところ…『あいつは釣りが好きだから…今は秋前だから意外と岩手方面にいるんじゃないかな?』と教えてくださったので、坂本トレーナーにお迎えを頼もうってことになりまして…すみません。オグリ先輩との旅行でしたのに…。」

 

「いや、そう言うことなら先に言って欲しかったな。」

 

「すみません。トレーナーさんが内緒にしとけってうるさくて。」

 

「今葉らしいと言えばらしいな。」

 

「そうですか?すみません。じゃあ、よろしくお願いします。」

 

「ああ。頼まれた。」

 

俺はそう言って電話を切った。同室にされた理由もわかった?ので俺は部屋に戻った。

 

「トレーナー?遅かったんじゃないか?」

 

「少し電話を…ね?」

 

「なるほど。そうか。」

 

オグリはソワソワしながら俺と会話をする。俺はオグリとセイウンスカイと一緒に宴会場に向かった。

 

「ここでわんこそばが食べれるのか?トレーナー」

 

「そうだ。なるべく食べすぎないように。」

 

「わかった。」

 

俺の言葉があんな出来事がおるなどと今は誰も思わない。

時間は流れ、夕食を食べ終わった。オグリを見ると100杯は食べているのだろう。お腹は出ていて、妊婦さんと間違われそうになる。

 

「にゃはは。オグリ先輩、それ妊婦さんみたいですね〜。トレーナーさんとの子ですな?」

 

「こら、セイウンスカイ。そんなこと言うな。」

 

「とか言って、嬉しいくせにうりうり。」

 

「うるさい。ほら、部屋戻るぞ。」

 

「はーい。」

 

俺らは部屋に戻り、オグリを布団の中に入れた。

 

「トレーナー。すまない。先に寝させてもらう。」

 

「ああ。どうぞ寝てくれ。」

 

オグリが寝るために襖を閉める。隣の部屋では俺とセイウンスカイだけだ。

 

「セイウンスカイ。」

 

「セイウンスカイって呼ぶのはやめてくださいって。」

 

「なら、どう呼べばいい?」

 

「そうですねぇ。セイちゃん?ですかね?」

 

「聞かれても困るんだが…無難にスカイでいいか?」

 

「それでいいですよ〜。」

 

「なら、質問だ。」

 

「ドンと来いです。」

 

「なぜ、音信不通になった?」

 

「トレーナーさんはいきなり本題に触りに行く人なんですね〜。探偵には向いてませんよー?」

 

「俺は探偵を目指してる訳じゃない。」

 

「そうですか。なら、説明しますよ。」

 

セイウンスカイは淡々と音信不通になった理由を答えっていった。

 

「まず、前のトレーナーさんの辞任です。私からしたら信頼してた人が急に消えるってことですから、光を失った状態で…」

 

「まあ、俺も恩師が亡くなった時もそう思ったな。」

 

「そうなんですか。お互い似た者同士ですね。」

 

「そうだな。」

 

「トレーナーさんは私を担当にしてもご迷惑じゃないですか?」

 

「少し理事長を説得するのは時間かかるが…やってみる。」

 

「そうですか。それだけ…聞けてセイちゃんの好感度爆上がり…ですよ…。」

 

「スカイ…?」

 

「あれ?さっきの言葉聞いたら泣けてきましたね。トレーナーさん女の子を泣かすのはダメなんですよ?」

 

「ぐぅの音もない…。」

 

「じゃあ…セイちゃんも寝ますね。」

 

「ああ。」

 

「おやすみなさいトレーナーさん」

 

「おやすみスカイ。」

 

セイウンスカイは襖をあけオグリの寝ている部屋に入っていった。俺はお茶をすする。外を見ると綺麗な星が輝いていた。まるでダイヤのように…。

翌朝、俺が起きると布団がモッコリしている。主に人の大きさで。

 

「誰だ?入ってるのは。」

 

返事がない。よく耳を済ませると寝息が聞こえてくる。オグリの寝息では無いのがわかる。俺は布団を取るとそこには丸くなって寝てるセイウンスカイが居た。

 

「は…い?」

 

「んー…ん?あっトレーナーさんおはようございます〜。」

 

「何してるの?」

 

「何って一眠りですよ?それ以外に何かありますか?」

 

「いや…ないが…。」

 

「なら、また起こしてくださいね〜。」

 

セイウンスカイは俺が眠ってた布団で寝始めた。俺は布団から追い出された。とりあえず、盛岡競馬場に行く用意を始めた。オグリ起きてくる気配がない。セイウンスカイはもってのほかだ。少し時間があるのでたずなさんに電話をかけた。

 

「もしもし?どうかなされましたか?坂本トレーナー」

 

「いえ、セイウンスカイの件で。」

 

「見つかりましたか!?今葉トレーナーに相談して正解でしたね。」

 

「そうですか。それで理事長に繋いで欲しいのですが…。」

 

「理事長ですか…。理事長はですね。今、パリに行くための用意をしているのですが…それでもよろしいでしょうか?」

 

「構いません。」

 

「なら少しお待ちください。」

 

たずなさんは理事長に電話を変わってくれた。

 

「変わった!私だ!」

 

「理事長。お世話になっています。」

 

「うむ!さて、言いたいことがあるのではないか?」

 

「はい。理事長。」

 

「聞かせてもらおう。」

 

「理事長。セイウンスカイの担当権を俺にくださいませんか?」

 

「なるほど…そう来たか。」

 

「返事は待ちます。」

 

「わかっているのだ。セイウンスカイの担当を立候補してくれるのはありがたい。しかし、セイウンスカイは…本人はいいと言っているのか?」

 

「はい。」

 

「なるほどな。わかった。許可する。しかし、生徒会の方にも話を通すようにだ。」

 

「わかりました…。」

 

「ではな。パリに行かなければならないんだ。」

 

「はい。お手間をお掛けしました。」

 

俺は電話を切り、ため息を吐くと「どうした?トレーナー。」と後ろから話しかけられる。俺は驚いて振り向くとオグリが立っていた。

 

「おはようトレーナー。」

「おはようオグリ。」

「どうした?どこかに電話か?」

 

「セイウンスカイの件でな。」

 

「そう言うことか。」

 

「生徒会にも話を通さないといけなくなった。はぁ…胃が痛い…。」

 

「私がついて行こう。」

 

「あー…んー。今葉について来てもらう予定だったんだが…。」

 

「なら、私も行こう。」

 

「3人で生徒会に殴り込み?」

 

「話し合いでは無いのか?」

 

「話し合いです…。」

 

オグリと話しているとセイウンスカイも起きてきた。

 

「2回目のおはようございますトレーナーさん。」

 

「お…おはようスカイ。」

 

「どうしたんですか〜?トレーナーさん顔色悪いですよ〜?」

 

「スカイの件で生徒会に話を通さないといけなくなった。」

 

「ありゃりゃ…。えっ?本当ですか?」

 

「本当です…。」

 

「大丈夫なんですか?」

 

「何とかする。」

 

「そうですか。」

 

そう言ってその件の話は終わった。2人は盛岡競馬場に行くために用意を始めた。

数十分後2人は用意ができたようで話しかけてきた。

 

「トレーナー用意ができたぞ。」

 

「トレーナーさんおまたせしましたー。」

 

「ああ。今日には帰るから荷物もってくれ。」

 

「わかった。」

 

俺らは旅館を出た。何故か料金も今葉の名前で領収書が発行されていた。どこまであいつの予想通りなのかと思うと恐ろしくなる。既にグラスワンダーと言う最強を作り出した時点で恐ろしいがもっと恐ろしくなるので俺は考えることをやめた。

旅館から盛岡競馬場はかなり遠かった。ゆっくり向かった。途中オグリがお腹すいたと言ったのでご飯屋に寄る。数十分で食べ終わり盛岡競馬場へ向かう。そして俺の財布は寒くなる。セイウンスカイはニコニコしている。数時間後盛岡競馬場に着いた。

レースは始まっており、奇跡的に次のレースがオグリとセイウンスカイが見たがっていたウマ娘が出走する。オグリとセイウンスカイはスタンドの1番前に向かう。俺も2人について行く。レースはダート。地方では普通だが中央にいる俺からしたら不思議に思ってしまう。すると本バ場入場が開始された。

 

「あの子だトレーナー。」

 

「ん?あの芦毛の子か?オグリに似ているような?」

 

「似てる場合もある。名前は『ミンナノヒーロー』だ。」

 

「主な成績は?」

 

「今2連勝中だ。ここで勝てば中央に来るかもしれない。」

 

「なるほど。」

 

オグリに説明してもらった。スタンドに居る観客はミンナノヒーローの三連勝を望んでいるようで「ミンナノヒーロー!頑張れよ!」と大声で応援する人もいる。ミンナノヒーローは片手を上げ、歓声に答えた。

 

「オグリと同じ歓声への答え方だな。」

 

「やめてくれ。恥ずかしい。」

 

「トレーナーさん。ミンナノヒーローの作戦は逃げですよ。セイちゃんが気になるのも分かります?」

 

「そうだな。逃げのセイウンスカイだからか。」

 

ファンファーレが流れ、ゲートインが始まっていった。オグリとセイウンスカイはレースを見始めた。俺も地方レースを見るのは初めてなので見ていた。

レースは始まり、ミンナノヒーローが先頭に立つ。短距離なのですごく早くスタンド前に来た。ミンナノヒーローは逃げ切り1着でゴールする。

 

「見事!三連勝を果たしたミンナノヒーローさんにインタビューしてみましょう!」

 

「ありがとう皆。私が勝ったのは皆のおかげだ。」

 

「そうですか!中央からスカウトが来た場合、行きますか?」

 

「そうだな…って…」

 

「どうされました?」

 

ミンナノヒーローは言葉を詰まらせた。ミンナノヒーローの目線の先にはオグリキャップが居たのだ。

 

「オグリ…キャップ…?」

 

「えっ?オグリキャップさんがどうしま…ええ!?」

 

「えっと…私はオグリキャップさんのファンでして…その…えっと…。」

 

「ありがとう。ヒーロー。」

 

「あっ…いえ、私にそんな言葉…」

 

「そして、おめでとう。中央に来た時、私は歓迎するぞ。そうだろう?トレーナー。」

 

「そうだな。来たら歓迎する。」

 

「ありがとうございます。一生の思い出になります。」

 

ミンナノヒーローは泣き出した。オグリキャップと会えた上に話せたのだから、ミンナノヒーローは大々的に夢を語った。

 

「私は!オグリキャップと同じ舞台に立ってオグリキャップを倒すことが夢です!」

 

「そうか。ならば、私も頑張らないといけないな。」

 

オグリはそう言って「トレーナー。トレセンに戻ろう。負けてられないからな。」俺に伝えてきた。

 

「わかった。帰ろうか。」

 

セイウンスカイも俺の方見て帰ることにした。車で盛岡駅に向かう。レンタカーを返し、新幹線で東京に戻る。

俺はオグリの思いに答えるべく、有馬記念に向けてトレーニング方法を考える。セイウンスカイは理事長や生徒会に謝るために覚悟を決め、オグリは将来自分を倒すような後輩に心を躍らせ気合いを入れた。




どもども綾凪九尾です。
遅れてしまい申し訳ありません。
投稿日に神戸で開催された「神戸ファンブックステークス」に参加してまして…いや、ストック用意しとくのが普通ですって?にゃはは…グゥの音も出ないですぅ…。
さて、話は変わりまして本日は有馬記念との事。
私はクロノジェネシス、エフフォーリア、タイトルホルダーの3連複が来ると思ってるんですよね。
クロノジェネシスさんはお疲れ様でした。
タイトルホルダーもお疲れ様でした。
次に、『輝けるダイヤ』の件です。
主人公が誰?の投票多すぎなので説明しますね。
まず、この小説「横に寄り添う青き炎」は1年後に全ストーリーが終わります。その次が「輝けるダイヤ」です。
はっきり言ったら時系列的に「青き炎」のあとの話で主人公は変わらず今葉君です。同期達も相変わらず参戦。3人目の担当が出てくるのみです。
伏線は張ってるつもりなので、頑張って行きましょう。
そして、この小説は次投稿されるのは年末年始小説です。
時系列的におかしいですが気にしないでください。クリスマス?何とかしますよ。
それでは、次は1月1日に投稿します。
読者の皆さん!今年はありがとうございました!
良いお年を!そして!来年もよろしくお願いします!
以上!綾凪九尾でした!


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年末年始(特別編成レース)

前回のあらすじ!
関係ない!関係無さすぎて意味がない!あらすじする意味ない!


「トレーナーくん。ワンダーくんも連れて明日の朝初詣に行かないか?」

 

急なハヤヒデからの提案に俺は少し驚いた。有馬記念も終わり、年末に近づく世の中。ハヤヒデはそう言うイベント事は意外と大事にする娘なのだろう。俺はそう考え「構わないよ。グラスには言ったか?」と聞く。ハヤヒデはすぐに返事してきた。

 

「もちろんだ。ワンダーくんに聞いてからトレーナーくんに聞いているからね。」

 

「それもそうか…って俺1番最後かよ。」

 

「トレーナーくんはあれだろう?書類とかもう片付けているのに片付けてないって言うだろう?」

 

「なっ!?何故それを…?」

 

「ワンダーくんに聞いたぞ?書類ないのに『書類があるから初詣で無理だ。』って言ったそうじゃないか。」

 

「それは去年でありまして…今年はほら…ね?」

 

「ああ言えばこう言うだな。トレーナーくん。」

 

「はい。」

 

「今年こそ付き合ってもらうからな?」

 

「わかりました。」

 

「ついでに、初売りも見に行くから覚悟しておくように。」

 

「ヒェッ…」

 

「嫌な顔しても無駄だからな。」

 

そう言って、ハヤヒデはトレーナー室を出ていった。本日は大晦日。普通なら大掃除するのが普通だろう。何故か今年までの書類がトレーナー室に来たら置かれている始末、俺はそれを片付けるために掃除を諦めて書類の掃除をした。この後、理事長のミスで早めに俺に来るはずの書類が遅れて今になったことがわかった。

俺は息を吐く。トレーナー室はヒーターを付けている上に暖房をつけている。湿度は濡れタオルをハンガーに掛け湿度を保っている。俺は雪降る外を見て、明日のことを考える。雪が降る中走っているウマ娘がいたり、雪が積もって滑って転んだウマ娘がいたりと大晦日のトレセン賑やかだ。

俺はトレーナー室に鍵を閉め、ある場所に向かう。それは、体育館だった。

 

「トレーナーさん。遅かったですね。」

 

「すまないグラス。書類があってな。」

 

「そうですか。忘年会は始まってますよ。」

 

「ああ。楽しもう。」

 

「トレーナーくん。私のことも忘れないでくれ。」

 

「ハヤヒデ。サンタのコスプレの方がいいんじゃないか?ドレスより。」

 

「クリスマスの時にしただろう…。結構恥ずかしかったんだからな。」

 

「悪かったって。」

 

「トレーナーさん行きましょう。」

 

「ああ。」

 

俺らは体育館のドアを開ける。体育館の中は大勢のウマ娘やトレーナーが集まっていた。今、体育館で行われているイベントは『トレセン忘年会』で全ウマ娘と全トレーナーが参加するイベントだ。

 

「遅かったじゃないか今葉。」

 

「お前らみたいにすぐ来れるほど俺は暇じゃないんだ。」

 

「もちろん知ってるとも。書類があったんだって?災難だったね。」

 

「ほんとだよ…大晦日の日に仕事って…。」

 

「…ん。お疲れ様。」

 

「ありがとう坂本。」

 

同期たちといつも通りに話す。松風は相変わらず、何かを悟ってるように話しかけてくることがイラッとする。坂本はあまり喋らないが酒が入ると少し喋るようになる。中山は泣きやすくなる。特に今もテーブルで泣いていた。

 

「うわぁぁぁ…。俺がトレーナーになれて…担当の子達が幸せそうでよがっだ。」

 

「はいはい。落ち着こうな?中山。」

 

「お前はいいよな!グラスが嫁に来るんだろ?俺なんか!付き合ってる人もいないんだぞ!?」

 

中山が大声でそう言うから周りから注目を浴びる。すると後ろから冷たい声が聞こえてきた。

 

「トレーナー…今の言葉どうゆうことかな?」

 

「ん?あー。テイオーじゃないか。どうした?」

 

「トレーナーにはボクがいるから大丈夫だよね?」

 

「そうだな。」

 

「そっか!良かった!」

 

テイオーは声を元に戻し、ルームメイトのマヤノトップガンと話し出した。グラスも同級生たちと話している。俺は、次に沖田トレーナーと黒沼トレーナー、桐生院トレーナーと話していた。

 

「沖田さん、黒沼さん、桐生院さん。今年はお世話になりました。来年もよろしくお願いします。」

 

「ああ。よろしく今葉。」

 

「もちろんだ。今葉!今度飲みに行こう!」

 

「こちらこそです。今葉トレーナー。」

 

「私には…ないのですか?」

 

「わっ!?樫本理事長代理!」

 

「私には…挨拶…ないのですか?」

 

「理事長代理!来年もよろしくお願いします。」

 

「はい。こちらこそ、トレーナー同士助け合いましょう。来年もよろしくお願いします。」

 

樫本理事長代理はそう言って自分の担当ウマ娘達に話に行った。

 

「最近、理事長代理変わりましたよね?」

 

「ん?そうか?至って普通だと思うがな。」

 

「そんなことも理解できないから彼女も出来ず、ゴールドシップに髪の毛刈られるんですよ?」

 

「髪の毛の話はやめろ!寝てるうちに剃られてるんだ!」

 

「そうだったのか…。初めて知ったぞ。」

 

「前にそう言っただろ!黒沼!」

 

「桐生院トレーナーはこんな人になったらダメですよ。」

 

「わかってます。」

 

「みんなして俺の敵か?やるのか?ゴルシが相手になるぞ?」

 

「なら、僕はグラスで。」

 

「俺はブルボンだ。」

 

「私はミークで。」

 

「すまん!」

 

3対1の構図に沖田トレーナーは直ぐに謝った。沖田トレーナーが別のグループとの話があるからと俺らと別れた。俺はグラスに会いに行った。

 

「あっ、トレーナーさん。」

 

「よぉ。グラス。」

 

「グラスのトレーナーさんデェース!」

 

「来年もよろしくお願いします!グラスちゃんのトレーナーさん。」

 

「こちらこそよろしくお願いするよ。スペ。」

 

「エルにはないんですカ?」

 

「エルもよろしくな?グラスのこと。」

 

「もちろんデェース!」

 

「もぉ!トレーナーってば!」

 

「おやおや?グラスちゃんイチャイチャモードですな?」

 

「もう!セイちゃん、それ以上茶化すと…分かりますか?」

 

「「「ひぃ!」」」

 

俺とエル、スカイの声が重なる。俺らは、グラスが怒ると怖いことを知っているからこその声だった。スペは机に置かれたご馳走を食べていた。キングはハルウララと話していた。キングの近くには後輩が立っていた。後輩は俺に気づき走ってきた。

 

「今葉先輩!今年はお世話になりました!」

 

「ん。世話になったな。」

 

「レース相談なんですけど…いいですか?」

 

「今するのか?まあいいが…」

 

「次のレースは…短距離なんですけど…」

 

「はい!?無理!」

 

「どうしてですか!」

 

「短距離担当してねぇからだよ!俺の先輩教えるから!」

 

「えっ?本当ですか!!」

 

「わかったなら!そこにいる櫻井トレーナーって言う【サクラバクシンオー】のトレーナーとこにいけ!」

 

「ありがとうございます!今葉先輩!」

 

後輩から逃げるように俺は先輩トレーナーを教える。そして、忘年会会場の体育館から出る。寒い外に出て少し落ち着こうと思った。外は星が綺麗でじーっと眺めたいと話しかけられた。

 

「ここに居たのかトレーナーくん。」

 

「探しましたよ?トレーナーさん。」

 

「グラスにハヤヒデか。良かったのか?出てきて。」

 

「それはこっちのセリフだぞ。トレーナーくん、君の同期達が探していたぞ?」

 

「あはは…それはちっとやばいね。」

 

「まあ、ハヤヒデ先輩。トレーナーさんと話しませんか?」

 

「んー…そうだな。」

 

そう言って2人は俺を挟むように左右に座った。

 

「トレーナーくん。次のレースについてなんだが…。」

 

「ハヤヒデ先輩。こんな日はレースではなく別の話の方がいいと思いますよ?」

 

「む…そうか。」

 

「そういえばハヤヒデ。」

 

「ん?どうしたトレーナーくん。」

 

「初詣の件だが。」

 

「ああ。考えてくれたかな?」

 

「それはもちろん。それと君たち2人とも連れて実家に1回帰ろうと思う。」

 

「「え?」」

 

2人は驚いた顔で俺の顔を見る。それはそうだ。急に言っているからだろう。

 

「待て。トレーナーくん。急に言われてもどな…。スケジュール的に…空いている…だと?」

 

「グラスは…空いてるよね?」

 

「もちろんです♪」

 

「それは良かった。んじゃ、ここで俺らはお開き。明日朝早くに行くのなら早めに起きてろよ。それじゃおやすみ。」

 

「ゆっくり寝るんだぞ。トレーナーくん。」

 

「おやすみなさいトレーナーさん。」

 

俺は2人と別れ、体育館に居る人達に「担当達と初詣がある」と説明して寮に戻った。

寮に戻ると何故か俺の部屋から騒がしい声が聞こえる。俺は鍵か空いてるから確認する。

 

「開いていない…だと…!?」

 

開いていないのだ。俺は鍵を開け、部屋の中に入る。

 

「おんどれぇ!また俺の部屋で宴会しやがって!」

 

「おう。邪魔してるぞ。」

 

「…。」

 

俺は怒りながら入ると、同期組はもちろん居たがそこに2人プラスされていた。

 

「どうして…どうして!沖田トレーナーと黒沼トレーナーがいるんですか!」

 

「それはこいつに呼ばれたからだな。」

 

「やぁ、今葉。」

 

「またお前か!松風!」

 

「同期愛に溢れてると思わないかい?」

 

「同期愛が溢れてる合鍵ってか!?」

 

「くっ…トレーナーくん…それいいギャグだ…。」

 

「!?」

 

なんてことだ!俺の部屋に会長まで来てる!?どこから入ったんだ!俺は会長にどこから入ったか聞いた。

 

「会長?どこから入りました?」

 

「どこって窓からだが?」

 

「一応ここ2階なんですけど…?」

 

「トレーナーくん。私たちを舐めるな。」

 

「ならば、トレーナーとして実力で覆す!会長の常識とルールを!俺の担当で!」

 

「ふふっ。トレーナーくんなら乗ってくれると信じていたよ。」

 

会長はそう言って入ってきたと言っていた窓から出ていき帰っていた。

しかし、トレーナー達はどんちゃん騒ぎ。俺は寮から出る。

 

「んー…どうするべき…か。」

 

俺は1人で寒い夜空の中考える。今日のトレセンは入れない。年末年始で閉鎖されている。どうするべきかと考えているとたまたま外を見ていたグラスと目が合う。そして、グラスが窓の前から消えた。

俺はその場から動かずにいたら、グラスが寮から出てきた。俺もトレーナー寮から出てグラスと話す。

 

「トレーナーさん。どうしたんですか?」

 

「どうしたもこうしたも…俺の部屋占拠された。」

 

「あー…なるほどです。それで…どこに寝ようか決めかねているってことですね?」

 

「その通りなんだ…。」

 

グラスは説明しなくても理解してくれた。グラスは少し考えてから顔を赤くしてこう言った。

 

「トレーナーさん…もし…もしですが…私たちの部屋に…来ますか?」

 

「はい?いやいや、トレーナー立入禁止だろ?」

 

「そうですが…仕方ないってことも…ありますから?」

 

「俺絶対クビになる!絶対に!」

 

「なら、こうしましょう。」

 

「え?」

 

グラスは笑顔で寮に帰っていった。そして数分後ハヤヒデと共に荷物を持って出てきた。

 

「君たち?何持ってるの?」

 

俺は2人が持ってる荷物について聞く。2人は声を合わせてゆった。

 

「「トレーナーさん(くん)の故郷で初詣と思いまして。(思ってな。)」」

 

「んで?外泊届は?」

 

「「もちろん!出していますよ(出してある。)」」

 

俺はこの時無言でスマホを取り出し、ホテルが空いてるか確認する。旅館が空いていたので電話をして予約をとる。そして、2人を連れて俺の故郷へ向かう。

2人はなんだが張り切ってる間すごく東京駅では俺の両親にお土産を渡すために長時間見続け、俺は1人待ちぼうけになっている。2人が帰ってくるとそろそろ時間的にもやばい時間で走って新幹線の中に走り込み、故郷の近畿に向かった。




あけましておめでとうございます。
綾凪九尾です。
この小説が投稿される時には12月31日です。
明日にも投稿予定です。
そうですね。この続きです。
一旦短くて申し訳ないと思いつつ、次も楽しんでください。
それでは、次の小説にあとがきをしっかり書きますのでよろしくお願いします。
時刻は…んー。12:00にしときますかね?
できるだけ早く完成するように努力し続け、9400人の方に読んでもらってもらい感謝しております。
それでは次の小説でお話します。
失礼します


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担当と故郷へ(特別編成レース)

前回のあらすじ!
新年会と言いながらまだ年越してないことに気づいた作者!
どう弁明しようか考えた結果!
「年越してないけど、年越しは実家に帰るトレーナーが多いから先に新年会してることにすればいい」と思いつく!
さすが!意地汚い!
急遽!故郷に帰ることになった今葉トレーナー!
どんなことが待っているのか?


トレセンからバスと新幹線で京都まで帰ってきた。

ハヤヒデは髪の毛がシート型になってテンション下がっていた。

 

「はぁ…この後旅館だからって言っても少し気分が下がるものだな。」

 

ハヤヒデは独り言を言いながら自分の荷物を持つ。俺とグラスは苦笑いをしながらトレセンで予約した旅館に向かう。タクシーで行くしかないので駅でタクシーを捕まえて旅館に向かう。俺の故郷はN県にあって故郷に近いところに旅館の予約を取ってある。俺はその旅館に向かう途中にハヤヒデに京都での思い出を話していた。

 

「京都はな。俺らの思い出の場所でもあるんだ。」

 

「そうなのか?どんな思い出なんだ?」

 

「ああ。坂本がURAファイナルズ決勝で京都に来ていたんだ。」

 

「なるほど。結果はどうだったんだ?」

 

「タマモにクビ差で負けてしまった。」

 

「それでトレーナーさん。落ち込んだんですよ?私が居ながら。」

 

グラスは急に話に入ってきた。ハヤヒデはため息をついて考察した。

 

「それは多分、同期を助けようとしたトレーナーくんの動きだったのだろう。まあ、私たちがいるのに落ち込むのは少し酷いものだな。」

 

「返す言葉もありません…。」

 

「それから、私たちは旅館に行ったんです。落ち込んでる状態で。」

 

「そうだったのか。ワンダーくんが慰めたってことだな?」

 

「まあそうなるな。」

 

「ふむ、なるほど。」

 

思い出話に花を咲かせているとドライバーが「そろそろ着きますよ。」と教えてくれた。

俺は「ありがとうございます。」って言って2人に荷物確認をさせた。数分後タクシーは旅館前に着き、ドライバーが「2300円です。」と料金を言ってきたので財布から2300円出しドライバーに渡す。ドライバーはレシートを渡して「ありがとうございました。」と言ってドアを開けてくれた。2人は荷物を持って忘れ物がないように確認をしていた。俺も荷物を持ってタクシーから出た。

旅館は前に来たところよりも大きく、天然温泉と書かれていた。

 

「トレーナーさん。お高かったのではないですか?」

 

「いや…?ゼロが5個並ぶくらい…だな。」

 

「トレーナーくん。10万以上ってことかな?」

 

「んー、まあ入ろー。」

 

「もう!トレーナーさん!」

 

「ふふっ。仲のいい2人だ。」

 

俺とグラスは並んで旅館に入る。ハヤヒデは俺らのすぐ後に付いて入った。中に入ると仲居さんが出てきて「お旅お疲れ様です。当旅館をご予約ありがとうございます。」と言って深くお辞儀した。

 

「とてもいいところですね〜♪」

 

「ありがとうございます。もしかして、ウマ娘さんですか?」

 

「「そうです(そうだ)」」

 

「そうですか。じゃあ、トレーナーさんと旅行ですか?」

 

「いえ、里帰りです。」

 

「トレーナーさんの里帰りに担当ウマ娘を連れて帰るってことはご結婚報告ですか?」

 

仲居さんは笑いながら聞いてきた。グラスと俺はお互いの目を見て黙る。仲居さんが困ったようにあわあわし始めた時にハヤヒデが「そうではないんだ。だが、そのうちそうなると私は願っているんだがね。」と言ってくれる。仲居さんは「そうですか!」と言って部屋まで送ってくれた。

部屋に入り、広さを感じた。そしてグラスと俺は座布団のある場所に座る。

 

「ふぅ。グラス…そろそろ挨拶行かないとな…。」

 

「それが…。」

 

「ん?どうした?」

 

「どうやら、両親が来日してるらしいんですよ。妹も連れて。」

 

「え?ええ!?」

 

「そうなんです。」

 

俺はグラスからの衝撃発言に俺は口が閉まらなくなる。ハヤヒデは俺の隣に座り、俺をフォローする。

 

「まあ…トレーナーくん。行くことが省けたのだからいいと思うぞ?」

 

「まあ…そうなんだけど。大丈夫?こっちに来て?グラス。」

 

「はい。その辺は大丈夫だと思いますよ?日本好きな両親ですから。」

 

「なるほど?」

 

「はい♪」

 

一応俺は胸を撫で下ろす。トレセンに行ってグラスを探していたらどうしようと思っていたからだ。俺は心にゆとりができて、畳に寝転ぶ。

 

「こら、トレーナーくん。ゆっくりするのなら温泉に入ってからにしよう。」

 

「ん。わかった。」

 

そう言って俺らは温泉に向かった。グラスは楽しみにハヤヒデは少しソワソワしながら、俺は無心で温泉まで向かう。

 

「ここは混浴じゃないんですね〜。」

 

「あの旅館がおかしかったんだ。ほら、ゆっくり浸かってきなさい。」

 

「わかりました〜♪」

 

「じゃあ、行ってくるよ。トレーナーくん。」

 

俺とグラス達は脱衣所で離れ、温泉に入る。

(グラス視点。)

トレーナーさん1人で寂しくないでしょうか。とりあえず、ハヤヒデ先輩と温泉なので何か聞きたいこと聴いとかないといけませんね。

温泉に2人で入る。

 

「ハヤヒデ先輩。」

 

「ん?どうしたんだ?ワンダーくん。」

 

「いえ、ハヤヒデ先輩はトレーナーさんのことどう思っているのかと思いまして。」

 

「なるほど。彼女だからこそ気になることか?」

 

「誰もそんなこと…言ってません。」

 

ハヤヒデ先輩は少し意地悪そうな笑顔で私をいじる。私はハヤヒデ先輩の言葉で顔が熱くなる。多分これは「温泉のせいだ」と思いつつ、話を続ける。

 

「それでハヤヒデ先輩はどう思っているんですか?」

 

「うーん。難しいことを聞くな。トレーナーくんはトレーナーくんだが、それ以上のことはワンダーくんがいるから何も思わないんだ。」

 

「え?」

 

「もし、ワンダーくんとの仲が見かけずにいたらトレーナーくんのこと好きになっていたかもしれない。だが、ワンダーくんはずっとトレーナーくんの近くにいたから『ああ、私では勝てないんだろうな。』と思ってしまったんだ。だから、何も思ってない。」

 

「そうなんですか。なんか悪いことした気分ですね。」

 

「いや、悪くないと思うぞ。だって、もし色恋沙汰で負けた場合私は両親やブライアンに顔合わせができないからな。」

 

「そうですね。」

 

「次は私の質問だ。ワンダーくんはあの宝塚記念の時、プロポーズしたあの時をどう思っているんだ?」

 

「えっ…えっと…それは…ですね〜…。」

 

私は下を向く。あの時、トレーナーさんが欲しいからと思って言ったことと思うと私は頭の中がどんどん茹で上がる。

 

「えっと…その…あれです。」

 

「まあ、トレーナーくんから話は聞いているんだけどね。1つなんでも言うことを聞くって話を聞いたんだが…間違えはあるかな?」

 

「ないですよ。はい、あの時トレーナーさんは私が落ち着くようにそう言ってくれました。今となったら付き合う事よりほかのお願いの方が良かったのでは?と思ってます。」

 

「それは違うな。ワンダーくん。」

 

「そうですか?」

 

「じゃあ、今不幸かな?ワンダーくんは。」

 

「そんなわけないです!幸せです。」

 

「それが答えじゃないのか?だって、幸せならそれでいいのではないか?周りの人達も応援してくれるのに、今更別れました。では許されないことだと思うぞ。」

 

「そうですね。考え方変えます。」

 

「それがいい。さて、そろそろ頭洗ってこよう。私の髪の毛は癖毛だからね。」

 

ハヤヒデ先輩はそうやって湯船から出ていきました。私は1人、湯船に浸かってリラックスしながらハヤヒデ先輩が言ってたことを考える。

 

「(周りの人達…の応援ですか…。お父さんとお母さんは許してくれるかな…。)」

 

私はそんなことを考えながらハヤヒデ先輩の背中を見る。いつもなら髪の毛で見えない背中が湯船に髪の毛を入れないように上げていたためよく見える。私は見ながら考える。

 

「(トレーナーさんを誘惑するほどの体つきなんですけどね。しかし、ハヤヒデ先輩はトレーナーさんのことなんとも思ってないみたいですね。)」

 

私は考えるだけ無駄と考えつき、これ以降このことを考えることをやめた。

 

(今葉視点)

2人はまだ出てこない。コーヒー牛乳を飲み待つ。2人の声がしないからまだかかるだろうと思い、少し旅館内を歩き始めた。

 

「意外と歴史あるんだな。この旅館。」

 

俺は独り言で、旅館の歴史の本を読む。意外と面白くそれを読破してしまう。

さっきまでいたところに戻ると2人が座っていた。

 

「あっトレーナーさん。先出てたんですね。」

 

「ああ。すぐに身体とか洗えるからな。2人は長風呂だったな。」

 

「ああ。女子会ってやつだよ。」

 

「そうなのか?」

 

「はい♪そうです♪」

 

「そっか。じゃあ、部屋戻ろうか。」

 

俺らは部屋に戻った。数時間後、仲居さんが部屋に料理を持ってきてくれた。

 

「本日は日本海で取れたカニの茶碗蒸しです。」

 

「おお!」

 

俺は歓喜する。カニは実家に住んでいる時にしか食べれなかったからだ。今もその気になれば食べれるのが、貧乏性なのか、なかなか買おうと思えない。だからこそ、旅行などでたくさん食べるようにしている。

 

「すごく…濃厚で美味しいです!」

 

「そうだな。そうだな。」

 

「トレーナーくん?泣いてないか?」

 

「泣いてない。」

 

「そうか?それならいいのだが…?」

 

実際美味しさと懐かしさで涙が出そうになるが担当の前なので出さないようにする。俺は無言でカニを食す。

グラスとハヤヒデはお互いの顔を見てクスクスと笑った。

食事が終わり、俺はグラスが入れてくれたお茶を飲んで外を見る。月が綺麗に見えており、あることを思い出し2人を近くに呼んだ。

 

「グラス、ハヤヒデ。」

 

「どうした?トレーナーくん。」

 

「どうしましたか〜?」

 

「今年が終わるぞ。」

 

「あっ、そうですね。」

 

「トレーナーくん。今年はお世話になったね。」

 

「いや、俺の方がお世話になりっぱなしだよ。菊花賞おめでとう。」

 

「ふふっ。当然の結果さ。」

 

「トレーナーさん。今年はお疲れ様でした。来年は良き1年をです♪」

 

「ああ。グラスこれからもよろしくな。」

 

そうして、今年の挨拶を終わらせている時には1分前になっていた。俺らは外を見て来年に対する想いを心に思う。

 

「(グラスとハヤヒデが健康な1年になりますように。)」

 

「(トレーナーさんとハヤヒデ先輩が健康で勝利に満ちた一年になりますように。)」

 

「(トレーナーくんとワンダーくんが幸せになりますように。)」

 

俺らは互いに顔を合わせ、笑う。遠くの方から除夜の鐘がなり、ついに新年になった。

 

「グラス、ハヤヒデ。あけましておめでとう。」

 

「あけましておめでとう。トレーナーくん。」

 

「あけましておめでとうございます♪トレーナーさん。」

 

「「「今年もよろしくお願いします。(する。)」」」

 

俺らは新年の挨拶をして、布団の敷いてある部屋に行く。そして、また事件が起きる。

 

「待て。お前ら。」

 

「どうしました?トレーナーさん?」

 

「もしかして、俺は真ん中って言わないよな?」

 

「何を言っているんだ?トレーナーくんが真ん中に決まっているだろう?」

 

「なるほど。グラスはまだいいとしよう。ハヤヒデ?お前はどうなんだ?」

 

「ふっ。トレーナーくん。笑わせないでくれ。私たちはもう一緒の部屋で寝た仲じゃないか。」

 

「あれはお前が乗り込んできたからだろ!」

 

「そうだったかな?すまない、最近忘れぽくてな。」

 

「はい!嘘!」

 

「トレーナーくんと話していると話題が尽きないな。さて、明日は早いから寝よう。」

 

「そうですよ?早くしてください。」

 

「ぐぬぬ…。担当2人と添い寝だと…。」

 

「大丈夫です。誰にもバレませんから。」

 

「そうか?いやいや…ダメな気が…。」

 

「トレーナーさん!」

 

グラスが立ち上がり俺を布団の中に押し込んだ。

 

「何をするグラス!」

 

「寝ないからですよ?」

 

グラスは俺に抱きつき無理やり寝かそうとする。ハヤヒデは見て見ぬふりをしているようで笑っている。俺は逃げようと暴れるが「ウマ娘に勝てないですよ?」と言われ俺は暴れるのを諦める。そして、白いものがどんどん近づいてくる。

 

「待ったグラス。このモコモコの毛布は…?」

 

「ああ。すまないトレーナーくん。私の髪の毛だ。」

 

「すごい暖かいんだな。」

 

「夏場は最悪だよ。」

 

「そうか。」

 

そう言ってハヤヒデはメガネを取って寝始めた。グラスは口に人差し指を当てて「しぃー。」と微笑みながら俺に見せる。グラスも俺に抱きつきながら、寝息をたて始める。俺はグラスが力が弱まるのを待つ。あの時のようにさっき居た椅子に座る。

 

「ふぅ。さっきのはグラスなりの甘えかな。」

 

俺は独り言でそう言う。去年の冬に行くと言って、まさかの1年後に帰ってくるとは親も考えていなかっただろう。トレーナー業は大変なのがよくわかる。俺は去年のことを思い出す。

去年の1月からグラスと京都旅行に行き。2月にはハヤヒデのトレーナーを兼任。3月にはハヤヒデのトレーニングを初め。4月に皐月賞を2着。5月には日本ダービーで2着。6月に宝塚記念でグラスが1着と婚約発表。7月は合宿に行った。8月は札幌に行ったりパリに行ったり。9月は菊花賞に備えてハヤヒデのトレーニング。10月は菊花賞で1着。11月〜12月は天皇賞・春に備えてトレーニングを進める。来年からも忙しくなる。俺はそう思いながら、さっき入れたお茶を飲む。

 

「天皇賞・春…か。また、この地に来るのか。去年は2回来てるからな。」

 

俺はまた独り言で京都に来ることを言う。URAで来て、菊花賞で来ているのだ。来年は天皇賞・春で京都競馬場に行かなければならない。京都大好きか!と1人でツッコミを入れる。そして、月の光に照らされながらお茶飲む。色んなことを考えていたがお茶を飲むと少し落ち着く。そして、コップを置いた。

 

「トレーナーくん。」

 

暗闇の中から話しかけられる。白いモコモコが話しかけてくる。

 

「なんだハヤヒデか。どうした?」

 

「トレーナーくんが居なくて探していたんだが…まさかお茶を飲んでいたとはな。」

 

「あるあるだ。こうして落ち着くのもまた一興だ。」

 

「そうなら、私にもお茶を頂こう。」

 

俺はハヤヒデにもお茶を入れた。ハヤヒデは俺と向かい合うように座り、お茶を飲む。

 

「ふむ。落ち着くものだな。」

 

「そうだろ?」

 

「何を考えていたんだ?」

 

「天皇賞・春だ。」

 

「4月だろう?」

 

「ああ。だが、気にしてしまう。」

 

「まあ、トレーナーくんの気持ちも分からないつもりではない。ブライアンと戦うためにはな。それぐらいはやらないといけないんだ。」

 

「そうか。まあ、休みなんだからゆっくりしとくんだな。」

 

「まあ、それもそうだな。明日早いから早く寝るんだぞ?トレーナーくん。」

 

「わかってる。お前は俺の親か。」

 

「ふっ。親ではなくても担当ではあるがな?」

 

「そうか。ゆっくり寝ろよ。」

 

「ああ。おやすみトレーナーくん。」

 

ハヤヒデは布団の敷いてある部屋に戻り、布団の中に戻ってあった。俺は飲んでいたコップを片付けて、同じ部屋に入る。そして、グラスが占拠している布団の隣に敷いてある、布団に入り眠った。

翌朝、アラームが鳴る。

 

「ん…んー?何時…?」

 

「おはようございます。トレーナーさん。」

 

「ん。おはようグラス。どいてくれる?」

 

「嫌です。」

 

「早く起きたまえトレーナ…ああ、なるほど。」

 

「助けるとかしないんですかハヤヒデさん。」

 

「そうだな。しないでおこう。」

 

「助けて。」

 

「楽しんでくれ。」

 

そう言ってハヤヒデは部屋の襖を閉めた。俺はグラスをどかせようと必死になる。グラスを説得しようと話しかけた。

 

「グラスさん。1回落ち着こう。」

 

「私はいつでも冷静ですよ?」

 

「じゃあどけよう。」

 

「嫌です♪」

 

「どけぇぇぇぇぇ!」

 

朝の旅館に俺の叫び声が響く。少ししてグラスは離してくれたのでハヤヒデを叱りに行く。

 

「ハヤヒデ、どうゆう事だ?」

 

「ああ、トレーナーくん。お楽しみのようだったね。」

 

「楽しんでねぇわ。逆に疲れたわ。」

 

「ふふっ。そう言うことにしておくよ。」

 

「こいつ…。」

 

ハヤヒデを叱る気にもなれず、俺は実家に帰るために荷物を集める。忘れ物がないようなに確認していると電話が鳴った。

 

「はい?もしもし今葉です。」

 

「あっ、勝馬?もうすぐ泊まってるホテル着くからね。」

 

「母さん…来るの早くない?」

 

「そう?いつも通りだと思うけど?」

 

「そっか。わかった。外で待ってる。」

 

俺は親との電話を切り、2人に伝える。

 

「もうすぐで親が来るから荷物持って外出るよ。」

 

ハヤヒデとグラスはそれを聞くとそそくさと用意を始め、数分後には荷物を持って外に出た。

そして、すぐに親の車が来た。

 

「久しぶり勝馬。」

 

「ただいま母さん。」

 

「その2人が担当の子?」

 

「そうだよ。」

 

「いつも息子がお世話になっております。」

 

「いやいや、トレーナーくんにお世話になっているのは私の方だ。」

 

「そうです。トレーナーさんはしっかりしてますよ。」

 

「それならいいんだけどねぇ〜?勝馬。」

 

「あっはい。」

 

俺らは親の車に乗り俺の地元に帰る。車の中は俺の過去の話をされ顔を真っ赤にする。グラスはクスクスと笑っていた。そして、数時間後実家に着いた。

 

「さっ、入って。広くないけどね。」

 

「ただいまぁー。」

 

「「お邪魔します。」」

 

「おっ、帰ってきたか勝馬。」

 

「ただいま父さん。」

 

「その子たちが担当の子か。」

 

「ああ。この栗毛の子がグラスワンダー。白いモコモコはビワハヤヒデだ。」

 

「そういえば、年末番組でお前の名前出てたな。」

 

「そうなのか?」

 

「ああ。今葉勝馬の歴史ってな。」

 

「まあ、俺も有名人だしな。」

 

父親と話をしていると、渋い声が聞こえたきた。この家で渋い声を出す人はいないので誰か来ているのか?思っているとグラスがあわあわし出した。

 

「グラス?」

 

「トレーナーさん。ちょっと耳貸してください。」

 

「ん?」

 

「(両親ここに来てます。)」

 

「(えっ!?マジ?)」

 

「(はい。さっきの声はお父さんの声ですよ。)」

 

「(挨拶挨拶!)」

 

「(気楽にですよ?トレーナーさん。)」

 

「(あ…ああ。)」

 

会議が終わり、ドアを開けるとグラスと同じ髪色と女の人と外国人が座っていた。

 

「お久しぶりです。お父さん、お母さん。」

 

「久しぶりだね。グラス。君が…今葉くんだね。」

 

「はい。グラスさんの担当をしております。今葉勝馬です。」

 

「娘から聞いているよ。ちょっと外で話そうか。」

 

「はい。わかりました。」

 

グラスの父親はそう言って立ち上がった。俺より何倍も高く上を向かなければ顔が見えなかった。グラスの父親に連れられて外に出る。

 

「今葉くん。娘は可愛いかい?」

 

「それはもちろんです。」

 

「そうか。あの新聞の記事は見せてもらったよ。婚約してるんだって?」

 

「あっ…はい。」

 

「娘に婚約者と。」

 

「すみません。早く報告するべきでした。」

 

「いや、構わないんだ。日本とアメリカでは遠いからね。それに君はトレーナー業でなかなか日本から離れられないのも知っているから問題ではない。」

 

「では…なぜ二人で話しているんですか?」

 

「いや、実はな。そろそろコンビニから帰ってくるはずなんだ。」

 

「???」

 

グラスの父親が言ってることが理解できなかった。そして、無言の数分間が過ぎてグラスに似た子が俺の実家に入ってきた。

 

「ん?もしかして!お姉の彼氏?」

 

「今葉くん。この子はグラスの妹のワンダーアゲイン。アゲインって呼んでやってくれ。アゲイン、この人がグラスの彼氏で婚約者の今葉くんだ。」

 

「なるほどねぇ。お姉って可愛い?」

 

「えっと…可愛いですね。」

 

「ラブラブだね!」

 

「こらアゲイン。今葉くんが困っているだろ。グラスが中に居るから話しておいで。」

 

「はーいパパ。」

 

「すまないね。アゲインはグラスのことが好きなんだ。」

 

「そうですね。よく妹の話も聞いてました。」

 

「そうか。んで、話を元に戻すけど。娘と結婚するでいいのかな?」

 

「もちろんです。婚約したのですから。」

 

「その言葉を聞きたかったんだ。どうかグラスを幸せにしてやってくれ。」

 

グラスの父親は俺の前に手を出してきた。俺はそれに応じるように握手をする。

 

「これからもグラスをよろしく頼むよ今葉くん。」

 

「はい!トレーナーとして!彼氏として!婚約者として!頑張らせてもらいます!」

 

「ははは。元気のいい婚約者だな。」

 

そう言って「中に戻ろうか。」と中に戻った。

中ではグラスはアゲインに絡まれており、ハヤヒデは母さんと話していた。

 

「あっトレーナーさんおかえりなさい。お父さんとの話どうでした?」

 

「ああ。大丈夫だよ。少し、試験みたいなもんだ。」

 

「そうですか?」

 

「お姉!どこが好きなの?ねぇー!」

 

「アゲインうるさいですよ。」

 

「ブー!」

 

俺はグラスの隣に座りグラスの両親の顔を合わせる。少し無言の時間が進み、グラスの父親が口を開いた。

 

「今葉くんの覚悟は聞いたよ。お母さんからはあるかな?」

 

「ええ、そうね。まず、グラス。」

 

「はい。」

 

「今葉さんの迷惑にならないようにしなさい。そして、大和撫子のようになさい。」

 

「わかりました。」

 

「今葉さん。」

 

「はい。」

 

「まだグラスは半人前です。それでもよろしいですか?」

 

「いえ、グラスは1人前です。私が保証します。」

 

「その心構えよろしいですよ。わかりました。婚約を許可します。」

 

「ありがとうございます。」

 

俺とグラスは顔を合わせて笑い会う。ハヤヒデも「おめでとうトレーナーくんワンダーくん。」と言ってくれる。俺の両親も拍手してくれた。そして、俺らは実家の近くの神社に向かった。

 

「トレーナーさん?ここは?」

 

「大和神社だ。」

 

「どんなご利益があるんだ?」

 

「戦艦大和の艦内神社でもあったんだ。つまり勝ちだな。必勝祈願でもしようか。」

 

「ふふっ。私のためにか?」

 

「そうだな。」

 

「トレーナーさん行きましょ。」

 

「ああ。」

 

俺らは本殿の前に来て、3人で賽銭を入れ一礼二拍手する。

 

「(ハヤヒデが天皇賞・春で勝てますように。)」

 

「(ハヤヒデ先輩が天皇賞・春に勝てますように。)」

 

「(トレーナーくんとワンダーくんの幸せの道を誰にも邪魔されませんように。)」

 

3人で同じ間タイミング一礼をして顔を合わせる。そして、お守りを見る。

 

「トレーナーくん。勝守りがあるぞ。」

 

「ハヤヒデってそうゆうもの信じてたっけ?」

 

「理論上、あまり効果はなくとも心の中はあるのではないだろうか?」

 

「そうだろうか?」

 

お守りを見ていると、ダンボールを持った女の人が巫女さんと話していた。

 

「これ、紀伊鎮守府からの届け物だぜ。中身は勝守りだ。」

 

「ありがとうございます。戦艦信濃の廃材を使ってるって聞いております。」

 

「その辺はしっかりしてるよな。提督って。」

 

俺は口の悪い女の人を見ていて「紀伊鎮守府」の言葉が聞こえてきた。俺はその人に話しかけた。

 

「あの。すみません。」

 

「あ?なんだ?お前。」

 

「今、紀伊鎮守府って言いました?」

 

「言ったがなんだよ。」

 

「その鎮守府の提督は奥巻くんですか?」

 

「なんで提督の名前知ってるんだよ…ははん。まさか、お前提督のファンだな?」

 

「いえ、親戚です。」

 

「は?」

 

「だから親戚です。」

 

「そうか!なら、この勝守り持っていけ!」

 

「えっでも料金は…」

 

「いい!いい!私が払ってやるよ!巫女さんこれでいいか?」

 

「はい。きっちり頂きました。」

 

「んじゃな。」

 

「ありがとう。」

 

俺はその女の人と別れ、グラス達の元に戻った。

 

「トレーナーさん?さっきの人は?」

 

「多分、天龍型軽巡洋艦の天龍だな。」

 

「海軍知識あるんですか?」

 

「従兄弟が海軍で働いてるんだ。提督って職業しててだな。」

 

「そうなんですか。」

 

「とりあえず、ハヤヒデこの守りお前が持っとけ。」

 

「ああ。貰っておくよトレーナーくん。」

 

「これで天皇賞・春勝てるか?」

 

「勝ってみせるさ。なんだって私は『勝利の探求者』だからね。」




あけましておめでとうございます。
綾凪九尾であります。
今回遅れてしまったことを反省しております。
はい。遅れた理由は一日で小説が完成するわけないです。
この小説は31日に投稿されたその日に書かれ始めた小説です。出来るわけないですよ!
さて、今回は何をお話しましょうか。
あっ、近々人気トレーナーアンケート取ってみようと思うので参加お願いしますね?
じゃあ、この小説の話しますか。
この小説は本編より少し未来です。
本編の次回話はパリ遠征編です。
まあ、グラスがレースに出るのではなくエルコンドルパサーなんですけど。
あっ、輝けるダイヤの予告編見ていただきになられましたか?
あれは1番のお気に入りなんですがどうですか?
まあ…あの話はまだ先なので気にしないでください。
書くこと尽きてきました…。
そうですね。あっ『ウマ娘オンリー阪神ファンブックステークス』に参加してた読者の方いました?居たのなら会いたかったです。
一応私の服装は『コートにリュクサックでグラスとハヤヒデの缶バッチとキーホルダーをつけてた変人』です。
覚えているって人は感想で「おまえ!居てたな?見たぞ?」と書いてください。ちょっとお話しましょう。
ではでは、そろそろ書くことなくなってきたので締めさせていただきます。
昨年はありがとうございました!おかけで9700人に読んでもらえたこの小説はこれからも成長をしていく予定です!どうか!これからもこの小説を応援お願いします!
今年もどうかよろしくお願いします。
それでは、良き三が日を!
綾凪九尾でした!


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パリ遠征(第12レース)

前回のあらすじ!
正月?違う!岩手旅行?少し関わりある!札幌旅行?それだ!!
札幌旅行から帰ってきた今葉達はゆっくりする暇もなくパリへ。
パリは初の場所で焦る今葉。どうなってしまうのか!


俺とグラスは理事長室に来ていた。

 

「トレーナーさん。秋川理事長…まだでしょうか。」

 

「噂だとたづなさんに荷物確認されてるだとか。」

 

「見た目によりませんね…。」

 

グラスは俺の噂話を聞き苦笑いをする。ちょっとしてから秋川理事長が「失敬ッ!」と言って理事長室に入ってきた。

たづなさんは笑顔で秋川理事長の後から理事長室に入ってきた。

 

「お疲れ様です今葉さんトレーナー。」

 

「お疲れ様ですたづなさん。」

 

「いつもの事なので慣れてますよ?」

 

「慣れていいのですか?」

 

「まあ…ずっとしてきましたか。」

 

「たづな!それ以上は!私の赤恥では無いかッ!」

 

秋川理事長はたづなさんを怒るがたづなさんは「理事長が変なもの入れなければいいのですよ?」と反論し秋川理事長は言い返さなかった。

俺らはその光景に苦笑いした。改めて秋川理事長にフランスに行くことを説明される。

 

「今葉トレーナー!今回の件だが、私の付き添いのつもりでいてくれたまえ!フランスについてあちらのトレセンの学長と挨拶したら観光なり、エルコンドルパサーに会いに行くなり好きにしたまえ!」

 

「無理難題を受けていただきありがとうございます。」

 

「いいや!これは将来の幹部になるにはいい心がけだ!」

 

「幹部ですか?」

 

「肯定ッ!今葉トレーナーには将来的には理事長になってもらいたいと思っているッ!」

 

「ええ!?そんな…無理ですよ!」

 

「否定ッ!君ならできる!」

 

「そうですか?」

 

俺らが話しているとたづなさんが腕時計を見て焦りながら秋川理事長に話しかけた。

 

「理事長!時間がやばいですよ!」

 

「そうだな!行くぞ!今葉トレーナーとグラスワンダー!」

 

「「はい!」」

 

俺らは秋川理事長が乗る黒塗りの車に乗り猛スピードで空港へ行く。

1年に2回空港に来ることがあるのかと考えつつ、空港のVIPルームに通される。

 

「少しここで待っているがいい!」

 

そうゆって秋川理事長はソファに座って書類を見始めた。俺らは初めて入ったVIPルームに萎縮していた。

 

「トレーナーさん…ここVIPですよ…。」

 

「VIPルームだな…。俺らが入っていいところじゃないよな。」

 

「そうですね…。とりあえず…お茶飲みますか?」

 

「そうだな…。」

 

グラスは近くにいた人にお茶を注文した。すぐにお茶が来て俺とグラスはお茶を飲み落ち着こうとしてた。

すると、秋川理事長が声を上げ俺らに教えてくれた。

 

「刮目せよッ!このジェット機が私の所有物だッ!」

 

秋川理事長は扇子には「自慢!」と書かれており広げている。

俺らは「おー。」と歓喜の声が出る。普通の航空会社が持ってそうな大型ジェット機だった。

 

「グラス…俺らはあれに乗るのか?」

 

「多分…そうなりますね…。」

 

「うぅ…胃がが…」

 

「大丈夫ですか?トレーナーさん。」

 

「あ…ああ、大丈夫だ。」

 

「それならばいいのですが…。」

 

俺は少し蹲りながらも秋川理事長の話を聞く。途中から何を言っているかわからなくなってきたが、とりあえず聞いておく。

そして、秋川理事長が「うむ!最後に質問はあるかッ!」と聞いてきたので「ありません」と答えておいた。秋川理事長は満足そうに荷物を持ち「行くぞ!」と言って搭乗口に向かっていった。

 

「トレーナーさん行きましょう。」

 

「そうだな。」

 

俺らも秋川理事長の後を追って搭乗口へ向かう。

そして、飛行機に乗るとすぐに滑走路まで行く。俺はその速さに驚き秋川理事長に話しかける。

 

「早くないですか!?理事長!」

 

「肯定ッ!時間に遅れぬ様に早めに飛び立つことを心掛けている!」

 

「そ…そうなんですね…。」

 

俺はまだ飛行機に慣れていないのでキョロキョロと周りを見る。グラスは落ち着いたように話しかけてくる。

 

「トレーナーさん?まだ慣れてませんか?」

 

「どうしても慣れないんだ…うーん。慣れないとなぁ…。」

 

「大丈夫ですよ〜。私がいますから♪」

 

そう言ってグラスは札幌に行った時と同じように手を繋いでくれる。俺はそれだけで少し心に余裕が出来、目を閉じる。こうすれば怖くないと思うからだ。

 

「トレーナーさん。もうすぐ飛び立ちますよ。」

 

グラスからそう言われ、力が入る。グラスは強く握られても離さず俺の顔を見てくれていた。

そして、飛行機は飛び立ちグラスが話しかけてきた。

 

「トレーナーさん。飛び立ちましたよ。」

 

「あ…ああ。飛び立ったな。」

 

「あちらに着くのは12時間後です♪」

 

「結構掛かるな。」

 

「地球の反対側に行きますからね。エルは大丈夫かなっと心配しています。」

 

「エルなら大丈夫だと思うぞ。」

 

「それもそうですね♪」

 

こんな話をして、意識を手放し12時間40分後に時間は進む。

 

「…さん。…ナ…さん。トレ…さん。トレーナーさん。」

 

「ん…んー?どうした?」

 

「おはようございます♪パリですよ。」

 

「着いたのか?」

 

「はい♪パリの空港【シャルル・ド・ゴール国際空港】ですよ。」

 

「ここがパリ…か。」

 

秋川理事長も起き、俺らは荷物を集めて飛行機から降りる。搭乗口には「welcome to Tokyo trace」と英語で書かれており、グラスが読んでくれた。

 

「トレーナーさんって英語苦手だったんですね。」

 

「ああ…。高校生の時の点数悲惨だった…。」

 

「失礼かもしれませんが…点数は…?」

 

「最低30点だ。」

 

「エルよりマシだと思いますけど…。」

 

「え?そうなの?」

 

「ええ…確か…18点とかでしたよ?」

 

「そうなのか。」

 

俺らは会話しながら秋川理事長の後を追う。秋川理事長が足を止めた先にいたのはスーツを着た男が立っていた。

 

「Il venait souvent. toutes les personnes(よく来てくれました皆さん。)」

 

俺はフランス語を勉強してなかったので意味がわからなくグラスに聞く。

 

「あれ…なんて言ってるの?」

 

「すみませんトレーナーさん。私もフランス語は…。」

 

2人で悩んでいると秋川理事長が俺らに話しかけてくれた。

 

「今葉トレーナー!今の言葉は『よく来てくれました皆さん』と言う意味だッ!」

 

「なるほど!理事長ってフランス語出来るんですか?」

 

「肯定ッ!理事長たる物!外国語を使わなくてどうするのだ。」

 

「それもそうですね。」

 

こうして秋川理事長が男の人の言葉を翻訳してくれた。

 

「Vous serez fatigué d'un long voyage. Allons à l'école(長旅でお疲れでしょう。学園へ行きましょう。)」

 

「Oui(うむ)」

 

秋川理事長が振り向いて簡単に翻訳して、歩いていった。俺らはその理事長の後について行った。

黒い外国車に乗り、パリのトレセンへ向かう。数分後、パリの街並みに合うように建てられたトレセン校門が見えてきた。校門の門に【Centre de Formation de Paris】と書かれており、ゴージャスを感じる。

 

「Président Akikawa, qu'en est-il des personnes derrière vous et votre fille de cheval ?(秋川理事長、後ろの人とウマ娘は?)」

 

「Imaha Trainer et Grass Wonder(今葉トレーナーとグラスワンダーだ。)」

 

「Donc c'est tout. Je vous remercie(なるほど。よろしくお願いします。)」

 

俺は急に話しかけられて、オドオドする。俺はどうにか考えてもどうすることも出来ず、男の人も心配そうにこっちを見る。俺が口を開こうとした時。

 

「Thank you. But my trainer doesn't understand French.(よろしくお願いします。しかし、私のトレーナーはフランス語は分からないんです。)」

 

とグラスが英語で答えてくれた。男の人は驚いた顔をして「Sorry」と謝って来た。俺は「please do not worry(気にしないでください。)」とたどたどしい英語で返す。グラスもクスクス笑って安堵していた。理事長はこちらに親指を上げてokとしてくれていた。

 

「Je suis en retard. Jacques, Président du Centre de Formation de Paris(遅れました。パリトレーニングセンターの理事長のジャックです。)」

 

「Je suis Yayoi Akikawa, directrice de la Japan Uma Musume Training Center Academy(私は東京トレーニングセンター学園理事長の秋川やよいだ)」

 

2人が自己紹介している間に、車は校舎前に着き俺らは車からすぐに出て秋川理事長の荷物を持とうとすると「今葉トレーナー。観光に行ってくるのでは無いのか?あっ、少し待て。」と秋川理事長がパリの理事長と話し出した。

 

「Où est El Condor Pasa, un élève de notre école ?(当学園の生徒エルコンドルパサーはどこに?)」

 

「Euh...Je pense que je m'entraîne à Turf à cette époque.(えっと、確か今頃ターフでトレーニング中だと思う。)」

 

「merci(ありがとう)」

 

秋川理事長がこっちに戻ってきてエルコンドルパサーの居場所を教えてくれた。ついでにパリトレセンの地図も渡してくれた。

 

「エルコンドルパサーに会いたければここに行くと会えるぞ。」

 

「理事長?いつもの口調は?」

 

「えっ…うむ!心配させたようだなッ!心配無用ッ!」

 

「それなら良かったです。」

 

秋川理事長はそう言ってパリトレセンの中に入っていった。俺らは秋川理事長に教えてもらったタープに来てみると「デェェス!」と聞こえてきた。

 

「さっきの声は…エルですよね?」

 

「そうだな。今のはエルの声だな。」

 

グラスがそう言って走り出した。俺は小走りで追いかける。グラスが俺の事を待って居たので急いで合流すると「おい、今葉。」と話しかけられた。俺が振り返るとそこには岡本先輩が立っていた。

 

「あっ、岡本先輩。お疲れ様です。」

 

「ああ、あれか?グラスワンダーがエルに会いたがっていたって聞いたがそれか?」

 

「まあ…そうですね。」

 

「相変わらず嫁には弱いな今葉は!」

 

「ぐぅの音も出ません…。」

 

「まあいい!せっかく来たんだ!エルに会わせてやるよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

岡本先輩がそう言って「着いてこい。」と言って歩いていった。俺らはついて行くとエルコンドルパサーが準備運動していた。

 

「おい!エル!お前に客だぞ!」

 

「ケ?私に?」

 

エルコンドルパサーは岡本先輩の声でこっちに向き、グラスを視線に入れる。そしてエルコンドルパサーは走ってこっちに来た。

 

「グラスゥ!久しぶりデェース!」

 

「久しぶりエル、こっちの方々に迷惑かけてませんか?」

 

「かけてるわけないデェース!」

 

「それならいいのだけど。」

 

グラスとエルコンドルパサーが話している間、俺らトレーナーは和食とフランス料理の話をする。

 

「凱旋門賞が終われば日本に帰るが…意外とフランス料理って美味いんだよ」

 

「そうなんですか?和食の方が美味しいと思いますけど…?」

 

「いやいや、ここの料理も絶品だぞ?」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ、食べたらわかるぞ。」

 

フランス料理を食べたくなったが、グラスがエルコンドルパサーと話し込んでいるので俺はパリのトレセンのターフを確認する。トレセンとはまた違うターフで「(始めて来た子なら走りにくいだろう。)」と調べ、グラスのフランス遠征はやめておこうと考えた。

 

「トレーナーさん?難しい顔してどうしたんですか?」

 

「いや?何も無いぞ。」

 

「いえ、何か考えてましたね。私には分かりますよ?」

 

「えっと…ね?」

 

「ちゃんと私の顔見て言えますか?」

 

グラスは笑顔で俺に圧力をかけてくる。エルコンドルパサーと岡本先輩はその光景を見て「今葉は将来尻に敷かれるタイプだな。」としみじみ声に出していた。

 

「言えます…。もし、グラスがフランス遠征する場合…このターフはキツイかなって…思いまして…。」

 

「なるほど。私はもう走らないと言いましたよね?」

 

「いや、でもね?走ってもらわないと…。」

 

「なにか急を要するのなら走りますが…今はもう走りませんよ?」

 

「そこをなんとか〜!」

 

「そうですね〜。将来的にまたフランスに行きそうですけどね。」

 

「それは予想か?」

 

「そうですね。最強の勘ですかね。」

 

「最強の勘ってなんだ…?」

 

「勘は勘ですよ。」

 

「勘ってそんな都合のいいものだっけ?」

 

俺は少し悩むが考えるだけ無駄な気がしてきたから考えるのをやめた。そして、グラスは俺の手を繋いでパリ市街へ向かった。

 

「トレーナーさん、あれエッフェル塔ですよ。」

 

「テレビで見たあれだな。東京タワーみたいに見えるな。」

 

「ですね〜。」

 

「あれ?あそこにあるのって…松風じゃない?」

 

「本当ですね〜。何してるんでしょう?」

 

「近づいてみようか。」

 

俺らはエッフェル塔に近づいてみると日本語で書かれた看板に目がいく。看板には「ギネス!フランスパンでエッフェル塔を超え!」と書かれてあった。俺らはどうゆうことか少し考えて分からないので挑戦していることを見に行くとそこには松風とゴルシがフランスパンを立てていた。

 

「何してるんだ…こいつら…。」

 

「分かりません…。」

 

「これはアホだな…」

 

「どうすればいいんでしょうね」

 

「知らないフリしてあっちに行こうか。」

 

「ですね…。」

 

俺らはエッフェル塔から離れていった。

俺らは観光をするためにどこか行きたい所をグラスに聞く。

 

「グラスどこ行きたい?」

 

「トレーナーさん忘れたんですか?」

 

「あー…そういえば行きたいところ言ってたな。」

 

「はい♪【チュイルリー庭園】です♪」

 

「なら、今から向かうか。」

 

「その前に凱旋門見に行きません?」

 

「そうだな。行ってみようか。」

 

俺らは凱旋門へ向かった。凱旋門前で2人で写真を撮り、凱旋門の上に登る。

 

「高いですね〜。」

 

「パリの街並みが一望できるな」

 

「そうですね〜♪トレーナーさん綺麗ですね。歴史を感じます。」

 

俺らは凱旋門の上でも写真を撮る。2人で顔を合わせて笑い合う。

 

「やぁやぁ、フランスでもイチャイチャかな?今葉くーん?」

 

嫌な奴に絡まれてしまった。俺はゆっくり振り返る。そこには、3人の男の人を連れ凱旋門に来ていたバカ(松風)だった。

 

「フランスまで来て会いたくなかったけどな?」

 

「君を追いかけてるために来たってわけじゃないぞ?私の元会社がね、ほらあそこにトラックあるでしょ?」

 

松風に言われるがまま下を向く。そこにはトラックがあるのだがトラックの荷台に「ホワイトドックの扶桑便」と書かれていた。

 

「あれが前に私たちの荷物を持って行ってくれた会社。最近フランスにも上陸してね。その調査も兼ねてきて見たのさ。もちろん!あの理事長には許可もらってるから安心してくれ。」

 

「あなたっていつもそうですよね!自由気ままで!ライスのことどう思ってるんですか!」

 

「抱かせろパロやめたまえよ?もうそれ古いって言われただろう?」

 

「俺は言われてないからな。」

 

「今葉が私に言い返してきた…?明日は槍が降るだろうね。」

 

「なんだとゴラ?」

 

「まあ、ここらでさいなら。」

 

「待て。一つ話聞かせろ。」

 

「いいとも。何かな?」

 

「フランスパンどうなった?」

 

「お目が高い。いいだろう!聞かせてあげるよ。」

 

「結果は…?」

 

「それはもちろん…ククク。」

 

「どうなんだよ!」

「強風が来て失敗に終わったよ。いやぁ、もうちょっとフランスパンに重みがあれば良かったんだけどね?あれは惜しかったよ。」

 

「そうなのか。」

 

「んじゃ聞きたいことは聞いたようだし私はこの3人の師匠とお食事行ってくるから。理事長に会ったらよろしく頼むぞ。」

 

「お前のお願いは受理されません。」

 

松風は去っていき、グラスは空気になっていた。俺はそれに気づき話しかけた。

 

「すまんなグラス。」

 

「いえ、相変わらず…気ままな方ですね。」

 

「そうだな。」

 

俺らは凱旋門から降り、チュイルリー庭園を向かった。チュイルリー庭園は静かで噴水の音だけしか聞こえず、至って平和の庭園だった。

 

「トレーナーさん綺麗ですね〜♪」

 

「綺麗だな。あれは…?」

 

「【ルーブル美術館】ですよ。モナ・リザなどがあると言われる。」

 

「あれが有名な…か。」

 

「ええ。フランスの建物って歴史を感じますね。日本とはまた違う…と言いますか。」

 

「確かにな。確か凱旋門から放射線状に広がるのってナポレオン時代のやつだよな?」

 

「観光サイトにはそう書いてましたね〜。日本の歴史は得意なのですが…外国は少し苦手でして…。」

 

「そうか?なんでも出来ると思ったが…?」

 

「私にも得意不得意あるんですよ?」

 

「そうなのか?」

 

俺らは庭園でゆっくりしていると電話が掛かってきた。

 

「トレーナーさん携帯鳴ってますよ?」

 

「んー?あー坂本からだ。」

 

俺は電話を取り出し、坂本からの電話に出た。

 

「もしもし?楽しんでます?」

 

「楽しんでるとかじゃない。」

 

「納得納得。」

 

「違う。なぜ、同室にした?」

 

「えっと…んー。」

 

「なんだ?歯切れが悪いぞ?」

 

「秘密。」

 

「こいつ…」

 

「まあまあ、落ち着いて。」

 

「落ち着けるのはお前だけだろう?」

 

「今回の件を考えた本人に変わりますから…ね?坂本さん落ち着こう。」

 

「わかった変わってくれ。」

 

「はい。お待ちを…」

 

俺は保留音を流し、グラスに簡単に説明した。

 

「グラス、今坂本が今回の件で文句があるらしい。何とかしてくれないか?」

 

「そうですね〜。それなら…はい♪トレーナーさんのお願いですから私も一肌脱いでみせます♪」

 

そう言ってグラスは俺の携帯を持って電話に変わってくれた。

 

「はい。変わりましたグラスワンダーです。」

 

「え?グラスワンダー?」

 

「はい?私ですが?」

 

「今回考えたの…君か?」

 

「坂本トレーナーにしっかり説明しますね?」

 

「ああ。」

 

「まずは今年の夏からセイちゃんの行方がわからなくなってまして…それをセイちゃんの前のトレーナーさんに聞いたところ…『あいつは釣りが好きだから…今は秋前だから意外と岩手方面にいるんじゃないかな?』と教えてくださったので、坂本トレーナーにお迎えを頼もうってことになりまして…すみません。オグリ先輩との旅行でしたのに…。」

 

「いや、そう言うことなら先に言って欲しかったな。」

 

「すみません。トレーナーさんが内緒にしとけってうるさくて。」

 

「今葉らしいと言えばらしいな。」

 

「そうですか?すみません。じゃあ、よろしくお願いします。」

 

「ああ。頼まれた。」

 

グラスは坂本を説得し、電話を切った。そして、俺に携帯を渡す。

 

「すまないグラス。」

 

「いえいえ、私はトレーナーさんと一心同体から。」

 

「そう言って貰えると嬉しいよ。」

 

「そろそろ、理事長の所を戻りませんか?」

 

「そうだな。」

 

俺らはチュイルリー庭園からパリトレセンまでバスに乗って戻る。グラスの英語力で何とか帰ってこれた。

 

「ありがとうグラス。色々助かったよ。」

 

「いえいえ〜♪トレーナーさんの力になれて私は嬉しいです♪」

 

「相変わらず可愛いヤツめ。」

 

「トレーナーさん…ここトレセン内ですよ…?」

 

「それがなんだ。」

 

「いえ…別に意味はないんですけど…。」

 

こう話していると理事長が出てきた。

 

「衝撃ッ!?私のことを待っていたのかッ!?」

 

「そうですよ?俺らは付き添い人ですから。」

 

「否定ッ!!自由にしていいと言ったはずだ!」

 

「ホテルの場所聞いてないです…。」

 

「え?」

 

「ホテルの場所聞いてないです…。」

 

「謝罪ッ!ホテルの場所は…。」

 

秋川理事長からホテルの場所を聞き出し、3人でホテルに向かった。

 

「理事長。どんな話してたんですか?」

 

「うむ。ある生徒を留学させたいとの事だ。」

 

「その子は?」

 

「この書類を読んでみればわかるぞ。」

 

「えっと…エイシンフラッシュ?」

 

「肯定ッ!ドイツ出身のウマ娘らしく今日本語を勉強中らしい。」

 

「なるほど…いつ日本に留学に来るのですか?」

 

「未定ッ!だいたい2年〜3年後となっているんだが…。本人次第とところだろう。」

 

「そうですか。ところで一つ質問いいですか?」

 

「うむ。いいぞ!」

 

「どうして、グラスと同室でベットがダブルなんですか?」

 

「疑問ッ!逆にどうして同室だと悪いことがあるのか?」

 

「えっと…それは…。」

 

「許嫁同士に同じ部屋はおかしくないのではないか?」

 

「ぐぬぬ…」

 

「つまり、おかしいことは無いってことだ。」

 

そう言って理事長はホテルの一室に入っていった。俺らも部屋に入る。まさか理事長からのお墨付きで同じ部屋同じベットにされるとは予想もしてなかった。俺らは無言のまま数分間居た。

 

「……。」

 

「……。」

 

顔を合わせずらい。どうしても話す話題が見つからない。とりあえず、フランス語は分からないがテレビを付けてみる。テレビを付けた時にCMが流れていた。俺はそれを見ているとグラスも見始めた。

 

「トレーナーさん。これ…凱旋門賞ですね。」

 

「ああ。エルが走るレースだな。明日…か。」

 

「明日見に行きませんか?」

 

「そうだな。理事長にお願いしてみようか?」

 

「出来ますか?」

 

携帯を取り出し秋川理事長に電話を掛けようとした時に秋川理事長がドアを開けてきた。

 

「許可ッ!明日凱旋門賞を見てくるといい!」

 

「理事長!?えっと…ありがとうございます。」

 

秋川理事長は凱旋門賞を見に行く許可をくれてドアを閉めていった。俺らはその秋川理事長を見て顔を合わせて苦笑いをする。先程の黙っていた空気が馬鹿らしくなり、話し出す。

 

「グラス、綺麗だな。」

 

「そうですね。フランスの夜景ですから、いい思い出ですね〜。」

 

「これはいい思い出になるぞ。写真撮るか?」

 

「そうですね〜♪ツーショットにしませんか?」

 

「ツーショット!?えっと…グラスのお願いなら聞くぞ。」

 

「ありがとうございますトレーナーさん♪」

 

「どんな感じに撮るんだ?」

 

「それはですね〜。携帯をここにおいて…。」

 

グラスは机に携帯を立てかけて、シャッターのタイマーをセッティングして横に戻ってきた。

 

「じゃあ、時間もないですからいきますよ?」

 

グラスはそう言って俺に抱きつきピースをする。俺は驚いた時にシャッターが押された。グラスは携帯を取りに行き、写真を見る。

 

「トレーナーさん驚いた顔で写ってますね〜。これは流石に頂けませんよ?」

 

「じゃあもう1回か?」

 

「もう1回とも言わず、何回でも撮りませんか?」

 

グラスは今日すごく押しが強い。いつもより、わがままだった。グラスが気に入る写真が撮れるまで永遠と写真を撮られた。

翌日、朝起きるとグラスの顔が横にある。俺はすぐに起き上がり状況を察する。

 

「(ああ、ここパリか…。)」

 

いつも急に部屋に泊まられることが多すぎて一瞬、また侵入されたと思ったがここはパリだったことを思い出す。そして、時刻を見る。朝の9:00でグラスを起こす。

 

「んー…?」

 

「おはようグラス。」

 

「勝馬さんがいますね。夢ですか?」

 

「朝からトレーナーの名前呼び捨てか?」

 

「んー…えっと?」

 

グラスは目を擦る。服装は何故か彼シャツなのはあえて突っ込まないでおこう。昨日先に寝てしまったからわからないからだ。

グラスは目を擦りながら俺と目が合う。そして「え?」って顔してから自分の服装を見て赤面し布団を被った。

 

「お…おはようございます…トレーナーさん。/////」

 

「おはようグラス。よく寝れたか?」

 

「…はい。快眠でした。」

 

「そっか。じゃあ、これ服な。洗面所で顔洗ってくるからその間に着替えといて。」

 

「わかりました…。」

 

グラスは小さい声で返事をする。俺はそれを聞いたあと洗面所に入り歯を磨く。しっかり入念に。歯が磨き終わり洗面所に出るとグラスは着替えてパリの景色を見ていた。

 

「あっ、トレーナーさん。」

 

「どうした?」

 

「凱旋門から見たパリも綺麗でしたけど…ここから見るパリも綺麗ですね。」

 

「そうだな。でも、グラスの方が綺麗だぞ。」

 

「トレーナーさん。反則ですよ…////」

 

グラスはカーテンを持って顔を隠した。俺はベットに座り、グラスが落ち着くのを待った。数分してグラスが洗面所に歯を磨きに行ったので俺は荷物を集め出す。グラスが着ていたであろう俺のワイシャツを畳み、キャリーケースに入れ荷物の確認をした。グラスはまだ洗面所から出てこず、俺はフランス語のテレビを見る。

 

「フランス語わからない…。でも、また来るかもしれないから勉強はしとかないといけないよなぁ。」

 

俺は独り言で呟いているとグラスが洗面所から出てきた。俺は「遅かったな。」と言おうとしてグラスを見るとグラスが薄紅の口紅をし、少しソワソワしながら出てきた。

 

「グラス…お前…口紅してるのか?」

 

「やっぱりダメ…ですか?」

 

「いや、そう言う意味じゃないんだ。その…なんて言うか…あれだな。」

 

「なんですか?はっきり言ってください。」

 

「似合う…。」

 

俺はそっぽ向いて呟く。グラスはその呟きが聞こえたらしく、俺とは逆方向を向いて「ありがとうございます。」と呟く。そしてまた話さない時間が始まってしまったが数分してから秋川理事長が入ってきた。

 

「おはようッ!今日は凱旋門賞ゆえ!楽しむようにッ!」

 

秋川理事長は元気よくそう言うが俺らの状態を見て状況を察した。

 

「ふむふむ。いちゃらぶ?なるものをしていたのだな!」

 

「理事長〜…。」

 

こうして、秋川理事長に連れられて朝食をホテル外で食べに行く。秋川理事長が事前に決めておいた所に向かう。俺らは少し話しかけにくい空気を流してしまい秋川理事長はこっちを振り向かなかったが、仲を取り持とうとしてくれた。

 

「今葉トレーナー!昨日、坂本トレーナーから電話があった!」

 

「え?あいつからですか?」

 

「うむ!セイウンスカイが見つかったこととセイウンスカイのトレーナーになりたいと私に伝えてきた。私はもちろん!成績を残している君たち同期組には3人目の担当を付けようと思っている!」

 

「グラスにハヤヒデと忙しいですよ?」

 

「そこで坂本トレーナーに『生徒会』を説得するように言ったのだ!」

 

「理事長!それはいくらなんでも無茶です!」

 

「そうです!考え直してください理事長!」

 

「何か勘違いしているな。私はいつ、1人でも言った?」

 

秋川理事長の声のトーンが変わる。いつもは高い元気のいい声だが、今の声は理事長としての秋川やよいとなっていた。

 

「トレーナー不在のウマ娘。突然の休学。それで罰されないのもおかしな話かもしれない。だが、私は罰することをしたくないのが考えだ。だからこそ、君たちの力を借りたい。」

 

秋川理事長はそう言うといつもの声のトーンに戻して、朝食の場所に着いた。

 

「ここは…パン屋ですか?」

 

「肯定ッ!フランスといえばパンでは無いか?」

 

「いえば…そうですね。」

 

このパン屋で各々好きなパンを選び、パリトレセンに向かうまでの車の中で食す。

パリトレセンでは、パリトレセンの理事長を乗せパリロンシャン競馬場に向かう。時間はまだ早いが先に向かうことになった。パリロンシャン競馬場では人がごった返しになっており、テレビのインタビューを受けてる人などが居た。今回エルコンドルパサーが2回目の参加とことでたくさんの日本人も来ていた。俺らは裏口から競馬場の中に入り、VIPルームに通された。そこは競馬場を一望でき、スクリーンがよく見えた。そこには一つ椅子が置かれており、誰かが座っていた。

 

「理事長…誰か座ってますよね?」

 

「うむ。あれが今回の凱旋門賞に参加するウマ娘。前の凱旋門賞でエルコンドルパサーを2着に押え、ジャパンカップでスペシャルウィークに惜しくも負けてしまった欧州最強のウマ娘『ブロワイエ』だ。」

 

「この貫禄…凄すぎますね…。」

 

「グラス…これが世界だ。」

 

「私はスペちゃんを倒しました。ブロワイエさんを倒したスペちゃんを倒した私が最強ってことになりませんか?」

 

「んー…その考え方は…んー。」

 

「それならなると思うよ。日本最強のグラスワンダーくん」

 

ブロワイエが急に話に入ってきた。俺らは少し驚いた。日本語で話しかけれているかもっと驚く。

 

「君も走ってみたかったよ。」

 

ブロワイエは立ち上がりこっちを向く。そして、グラスに近づく。

 

「日本最強で負け無しの不死鳥と走ってみたかったが…」

 

「すみません。あいにく、私はもう走らないと決めたので。」

「それは残念だよ。ああ、あの子も強い。私が気を抜けば負けてしまうだろう。だけど、私は手を抜かないからね。」

 

「エルはもう二度とあなたには負けません。」

 

「ふっ。では楽しみにしておこうかな。」

 

ブロワイエは座っていた椅子に座り直し、俺らは隣の部屋に通された。

 

「あーーーー…。」

 

「グラス?」

 

「大口…叩いてしまいました…。」

 

「大丈夫だ。エルならやってくれるから。」

 

「でも…もし負けた場合…。」

 

「親友を信じなくてどうする。」

 

「それもそうですね。」

 

俺らはレース開始時刻までゆっくりしていた。

時間は流れ、レース時刻になった。バ場では本バ場入場が始まり、エルコンドルパサーが俺らに手を振ってくれた。ブロワイエも入場し、エルコンドルパサーと握手を交わした。各ウマ娘がゲートに入っていく。エルコンドルパサーも覚悟を決めたような顔で入っていく。ブロワイエは少し笑いながら入り、ゲートイン完了した。

レースは始まり、ブロワイエとエルコンドルパサーは列の後方の始まりだった。凱旋門賞は日本のレースの周回ではなく、直線からのカーブで直線と珍しいレースとなっている。最終コーナーカーブの時エルコンドルパサーが一気に勝負を仕掛けた。ブロワイエも同じタイミングで勝負を仕掛け、先頭はエルコンドルパサーとブロワイエの一騎討ちとなっていた。そしてゴール板の前を通過したのはエルコンドルパサーだった。

日本初の凱旋門賞優勝ウマ娘の誕生だった。スタンドは歓喜に溢れ、エルコンドルパサーは泣き顔を見せる。グラスは走って下に行く。俺もグラスについて行く。

グラスがエルコンドルパサーに話しかける。

 

 

「エル。ついに夢が叶いましたね。」

 

「グラスありがとう。私の夢を見に来てくれて。」

 

エルコンドルパサーはいつもの元気な声ではなく、大人しい声だった。

 

「グラスのトレーナーさんもエルの夢見てくれましたか?」

 

「ああ、しっかり見たぞ。岡本先輩今頃泣いてるだろ。」

 

「そうですね。」

 

エルコンドルパサーはそう言ってブロワイエの方に歩いていった。

何かを話しているようだが、歓声で聞こえなかった。俺らは元の部屋に戻ると秋川理事長が「歓喜」と書かれた扇子を広げていた。こうして、パリの地で日本のウマ娘の伝説が作られ、後世に伝えられていくことになった。

秋川理事長と俺らは【シャルル・ド・ゴール国際空港】でパリトレーニングセンターの理事長『ジャック』さんと別れ、日本へ帰路に着く。あの感動的なレースを見せられたのならば、次のハヤヒデのレースである『菊花賞』を勝たなければならないと心に決めた。

 

「トレーナーさん。」

 

「どうした?」

 

「この写真どうですか?」

 

「すごくいいと思うよ。」

 

俺らのツーショットの写真を見せてくるグラスは少し子供のように笑った。




はい。2日ぶりですね。綾凪九尾です。
今回はパリ編とさせて頂きました。札幌行ってパリに行くって控えめに言って弾丸ですね。私でもさすがに引きますよこれ。さて、今回のお話は…『トレーナー人気アンケート』ですね。
まあ見てわかる通り、今回の話は『今葉、坂本、松風』しか出てません。中山居るんですけど、中山の話は今はありませんのでご理解を。
しかし、次々の天皇賞・秋で出す予定です。天皇賞・秋の情報は控えさせてもらいますね。
とりあえず、トレーナーの人気アンケートをやりたいんですよ。期間は…そうですね〜。2月22日としましょう。私が小説投稿初めて1年になる日です。その日に締切にさせていただきます。
では、次に今回の小説について。
大変でした。フランス語…パリ近郊の観光地。本当に大変でした。
いつもならホテル名も書くのですが…今回、観光地を調べすぎて時間が無くなったのでなしにさせて頂きました。すみません。
ブロワイエに勝ったエルコンドルパサー。話的にはそうした方がいいと思い勝ちました。
史実ではまだ勝てていない『凱旋門賞』。あの日本最強だった『ディープインパクト』でさえ、2着だったのです。
欧州恐るべし…。今年はどの子が凱旋門賞に行くのか楽しみですね!え?気が早い?まだ7ヶ月ぐらいある?ははは…お恥ずかしい…。
あっ、もしかしたら今回恋愛系多めかもしれません。
理由としては、私のリア友が「恋愛小説の書き方を教えてくれ。」と言ってきたので少し意識して恋愛系多めにしてみました。
それと!「トレーナーさん…/////」の「/////」使っても問題ないですよね?調べるとあんまり使うべきじゃないって書いてあるんですけど…表現するには使うべきかな…?と考えてるんですけど…大丈夫ですよね?大丈夫だと思って次から入れてみますね。
さて、長くなってしまいました。申し訳ありません。
あっUA10000ありがとうございます。艦これ…は20000超えているので抜くために頑張ってるんですが…なかなか…。
これからも地道に頑張っていきますので応援お願いします。
それでは。
凪の中に言葉の綾あり綾凪九尾でした。


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全身全霊菊花賞(第13レース)

前回までのあらすじ!
合宿行って札幌行ってパリ行った。
レース久しぶりまじやばたにえん酷し。
ってことであらすじ全然関係ナッシングだけど何とかしていきましょう!


「おかえりトレーナーくん。パリはどうだったかな?」

 

「ただいまハヤヒデ。」

 

「ワンダーくんもパリはどうだったかな?いや、だいたい見たのだが…本人から聞いてみたいってのもあるんだ。」

 

「えっと…そうですね〜。」

 

グラスとハヤヒデが話す。俺はパリで見て来たものを書類にまとめて理事長に提出する予定だ。俺は帰ってきてそうそう、パソコンとにらめっこする。

 

「ハヤヒデ、何トレーニングしたか後で教えてくれ。まあ、大体でいいから。」

 

「わかった。後で手帳を持ってくる。」

 

「頼む。」

 

ハヤヒデは自室に手帳を取りに行き、俺はパソコンのキーボードを叩き文字を打っていく。グラスは俺の荷物を仕分けていた。

 

「トレーナーさん。休んだ方がいいがいい気がしますよ?」

 

「いや、急いだ方がいいだろ?」

 

「ダメです。休んでください。」

 

「でもさ…?」

 

「休みなさい。」

 

「あ…はい…。」

 

俺はグラスに念を押しされ渋々自分の部屋に戻る。部屋は至って普通で坂本と中山が遊びに来てた痕跡はなく、合宿から誰も入っていないようだ。俺は、スーツを脱ぎ捨てて布団に潜り込む。そして、俺は自分でも分からない内に体は疲れていたのだろう。強烈な睡魔に襲われ眠ってしまった。

そして、目を覚ます。携帯を確認すると『AM3:00』と書かれており、すぐに座る。

 

「やばい!ハヤヒデに悪い!待ってないよな?」

 

といい、スーツを拾おうとするがスカる。俺は暗い部屋で落ちているところが違うと思い電気をつける。しかし、そこにはあるはずのスーツがなく、スーツはハンガーに掛けられていた。俺はそのスーツを見て「(誰だ…?ハンガーにかけたのは…?)」と考えながらドアを開ける。そこには白いもふもふがあった。

 

「む?よく眠れたかな?トレーナーくん。」

 

「…は?ハヤヒデ?」

 

「何かおかしいことでもあるかな?」

 

「いやいや…ここトレーナー寮。なんで居るの。それに3時だぞ!?」

 

「いや、ワンダーくんも居るんだが…今は交代制でね。トレーナーくんが起きたら説明するつもりだったんだがね。」

 

「ん?」

 

「菊花賞の日にちが決まったそうだ。」

 

「それは…うん。情報入ってるが…?」

 

「場所も決まったそうだ。」

 

「京都だろ?」

 

「ああ…知らなかったのか…。」

 

「何?えっ?何?」

 

「京都は今、改装工事中だ。だから阪神でやるらしい。」

 

「あー…?あー…。グラスか。」

 

「まあ、そうなると思ってくれた方がいい。」

 

「そうだな…。いいけど…レースでない宣言してたが…?」

 

「ふむ。知っているよ。」

 

ハヤヒデとしっかり話すために俺は机の近くに来るとグラスが体操服を寝巻きに眠っていた。俺は「グラス!ここで寝ると風邪ひくだろ!」と叫び、グラスをお姫様抱っこをして俺が寝ていた布団に入れる。グラスは目を擦ったが「トレーナーさんの匂い…ふふっ♪」と言って眠った。俺はグラスが眠っていた場所に座り、ハヤヒデの話を聞く。

 

「阪神競馬場。ワンダーくんが歴史的快挙をした場所。私はそこで最後のクラシックの最後の1冠を取りに行く。何気に阪神競馬場では勝率高いからね。」

 

「確かに…高いよなぁ…。阪神競馬場に愛されてるって言うか…なんと言うか。ちゃんと言うのなら阪神競馬場の勝利の女神か?」

 

「そんな感じだろう。」

 

「ところで、外泊届は?最近リニューアルしてトレーナー印押さないと受理されないはずだが?」

 

「ああ。そのことなら大丈夫だ。ワンダーくんが教えてくれたからね。」

 

「あああ…あいつに俺の印鑑の場所教えてたから…隠さないと…。」

 

「ふふっ。大丈夫トレーナーくん。悪用はされないと思うぞ。」

 

「もうされてるじゃねぇか!」

 

「ん?ああ、そうだね。」

 

「呑気か!お前は!」

 

「私だって呑気に過ごしたいよ。それともトレーナーくんは忘れたのか?」

 

「いや、菊花賞だな。」

 

「そうだ。トレーナーくんに言われた通りのトレーニング法をしてシービーくんのトレーニング方法を聞いたりと沢山聞いておいたんだ。さすが三冠を取っているウマ娘だ。ふふっ、全てのトレーニング方法は違うな。」

 

「楽しんでるようで何よりだ。」

 

「こんな時間パソコンを開ける君は仕事病だな。」

 

「元々休む予定無かったんだがな。グラスに無理やり休まさせられたんだ。まあ、本人はあんな感じに寝てるがな。」

 

「そういえば、トレーナーくん。」

 

「ん?」

 

「いや、聞くべきではなかったな。」

 

「いや、そこまで言われると気になると言うか…?ねぇ?」

 

「いや、恋愛ってなんだろうと思ってだな。」

 

俺はハヤヒデを見て固まる。ハヤヒデから恋愛について聞かれるとは思わなかったからだ。俺はパソコンに打っていたデータを保存し、パソコンを閉じた。そして、ハヤヒデの方を見る。

 

「恋愛か。」

 

「ああ。ブライアンに『最近あいつに会うとあいつのトレーナーの話しかされないんだが…姉貴どう返事すればいいかわかるか?よくグラスワンダーから惚気られないのか?』と聞かれてな。あいにく、ワンダーくんは一切惚気ないから答えれなかったんだがね。」

 

「なるほど…そう言うことか。」

 

「ん?トレーナーくん。もしかして、私に好きな人が出来たと思っていたのか?そんなことないに決まっている。」

 

「いや…ウマ娘にも恋愛はしていいと思うんだがな?」

 

「まさにワンダーくんだな。」

 

「あいつは可愛いよ。ほんと、日々可愛くなるって言うか。」

 

「トレーナーくん。君が惚気けるのか?」

 

「うるせ。黙って聞いとけ。」

 

「ふむ。仕方ないか。」

 

ハヤヒデはそうやって立ち上がり台所にお茶を取りに行く。どうやら俺の分も入れてくれたらしく、戻ってきた時に2つコップを持っていた。

 

「トレーナーくん。わかってる通り明日もあるんだ。なるべく早めに終わらせてくれ。」

 

「わかってる。まずな、グラスの笑顔可愛くない? 」

 

「そうだな。 」

 

「それでな?おっとり系で優しくてほんと…いい。控えめに言って神!神だよ!あれは!」

 

「トレーナーくんがそう思うのならそうでいいと思うぞ。」

 

「それでそれで!」

 

俺の惚気は続きに続いて、ハヤヒデは最後まで聞いてくれた。そして俺はハヤヒデを前に買っておいた布団をハヤヒデに渡しグラスが寝てる部屋に入らせた。俺はリビングでテレビを見ながらお茶を飲む。そして、たまパソコンの電源をつけ明日のトレーニング方法とこれからのトレーニング方法を制作する。

 

「これまでの敗因はスピード…か?いや、でもスタミナの可能性も…日本ダービーのマルゼンスキーはスピードとスタミナか…。なら、ハヤヒデは今回差しでやるべき…か?」

 

俺は1人で「うーん。わからんわからんぞ!」と言い唸る。ハヤヒデも寝始めたのか隣の部屋からは2人の寝息が聞こえてきた。俺は「寝れたのか。」と思いつつ、パソコンと見つめ合う。グラスのトレーニング方法を確認しながら、どうすればいいかを確認する。グラスの時はパワーとスピードを集中的にトレーニングをしていた。最後の宝塚記念の時にしたトレーニング方法も見る。初めてグラスをトレーニングし出した時と宝塚記念の時のトレーニングを見ると初々しいと感じ、読み込んでしまう。しかし、すぐに思い出しパソコンにグラスがしたトレーニング方法を織り込みながらオリジナルトレーニング方法を考える。

 

「ん…これはえっと…オリジナル…の?」

 

俺は腕を組む。そして、窓を見ると光が差し込んでいる。

 

「なんで…どうして…朝なの…。」

 

俺は窓を見つつ呟く。そして、パソコンに目を通す。一旦、オリジナルトレーニング方法は諦めて過去グラスがしたトレーニング方法と今のハヤヒデがしているトレーニング方法を織り込んだトレーニング方法をパソコンに保存し、パソコンを閉じる。そして、どんどん視界が歪み出す。

 

「(ああ…眠い…少ししか寝てないのか…俺は…。)」

 

俺は歪んだ視界であるところに向かう。そして、倒れ込み眠った。

朝起きると、横にはグラスがニコニコして俺の事を見ていた。

 

「おわぁ!!おはようございます…。」

 

「はい〜♪おはようございますトレーナーさん♪」

 

「ハヤヒデは?」

 

「先に出ていきましたよ?」

 

「はぁ、俺昨日…?」

 

「多分疲れてたんですよ?ちゃんと寝ましたか? 」

 

「寝たんだけどな…?おかしいなぁ。」

 

「本当ですか?ハヤヒデ先輩に聞いても良いんですよ?」

 

「ぐぬぬ…夜中起きました。」

 

「はい♪知ってます♪」

 

「知ってて聞いてきたのかグラス…」

 

「そうですよ?」

 

「その笑顔が…。」

 

俺は言いかけた言葉を飲み込む。もちろん、言葉は「可愛い」なのだが、これ言えば絶対にグラスは照れて俺の顔を見なくなる。つまり、俺の癒しが無くなるってことなのだ!

 

「トレーナーさん?私の笑顔がどうしましたか?」

 

「いや?特に何も無いよ。」

 

「教えてください。」

 

グラスはくぷぅと頬を膨らめせて、俺の事を見る。俺はその顔を見て「ああ、俺の彼女可愛い(まだ彼女じゃないけど)」と考えた。この時間なんと0.7秒である。

 

「教えてくださーい!」

 

「いやだ。トレセン行く用意しよっと。」

 

俺の事をポカポカの叩くグラスを放置して用意を始める。グラスは時間を見て「トレーニングの時間ですね。」と呟いて立ち上がった。そして、俺の前に立ち俺の行く道を妨害する。

 

「あの…?グラスさん?何してます?」

 

「いいじゃないですか。邪魔させてください。最近構われしすぎて寂しいんですよ?」

 

「そう言われてもなぁ…。」

 

「寂しいんですよ!」

 

グラスは手を広げて俺の前に立ち続ける。横にズレてもグラスは俺の前に立ち続ける。俺は少し考えてた。

 

「(ここは…どう切り抜ければ…そろそろハヤヒデに渡された紙に書かれている時間だ…本当にやばい…。こうなったら最終方法しかないな。)」

 

俺は覚悟を決めて、グラスに言う。

 

「グラス?それはレッサーパンダの威嚇ポーズだな!!俺…威嚇されることしたかな!?」

 

「違いますから!私に抱きついてくれたら通してあげますよ?」

 

「そんな…ハグしてくださいポーズだなんて…グラス…成長したのか?それとも大和撫子はやめたのか?」

 

「トレーナーさんの前だけはしないって決めただけですよ?」

 

「そうか。」

 

俺は諦めてグラスに抱きついた。起きたばかりだからか少しグラスが暖かく感じる。

 

「あっやばい寝れるこれぇ…。」

 

「トレーナーさん?寝ますか?」

 

「寝たい…。でもだめぇ…。」

 

「寝てください。」

 

「はい!ダメ!」

 

俺はグラスから離れ、グラスはしょんぼりしてから俺と一緒に部屋から出る。俺は鍵を挿し、鍵を閉める。そして、廊下を見るとそこにはニヤニヤした松風が立っていた。

 

「おやおや〜?今葉くぅーん?朝帰り?」

 

「黙れ年中発情発光野郎。お前の本棚の…」

 

「まあ!待ちたまえよ!聞いてくればいい。」

 

「はぁ?まあいい、歩きながらでいいのなら。」

 

「構わないよ!じゃあ行こうか!」

 

「お前が仕切るなよ。」

 

3人で寮から出てトレセンに向かう。

 

「まず、君たちの愛し合い度を見てみたいのだがね?実験n」

 

「しない!」

 

「それは残念だ。調べたら面白い結果なりそうなのだが…ふぅん…仕方あるまい。坂本ペアの方を調べるとしよう。」

 

「あの二人に愛はあるのか…?」

 

「君たちほどではないとしてもあるだろう?」

 

「さて、お前の話を聞いてたら疲れてくるからここでさようならだ。До свидания。」

 

「いや!待て!なぜ、私の話を…!!」

 

どんどん松風の声が遠くなり、俺はハヤヒデが待っている場所に来るとハヤヒデはトラックを走っていた。

 

「遅かったじゃないのか?トレーナーくん。」

 

「すまない。グラスがなぁ…。」

 

「トレーナーさん!私は何もしてませんよ!」

 

「ワンダーくんはそう言っているみたいだが?」

 

「真相は闇の中です…。」

 

「それもそうだね。さて、今日のトレーニング方法は?」

 

「グラス任せていいか?パリ遠征時の資料作らないといけないんだ。」

 

「わかりましたトレーナーさん。見ておきますね。」

 

「頼む。」

 

俺はグラスにハヤヒデを見とくように言い、トレーナー室に入ってパリ遠征した時の資料を作り始めた。

まず、初めに書くことはパリトレセンの理事長名。そして、エルコンドルパサーのトレーニング方法、芝の硬さなどなどをパソコンで詳しく纏める。そして、コピー機でそれを刷る。俺は文字が抜けてないか確認し、理事長室へ向かった。

 

「失礼します秋川理事長。」

 

ドアの向こうから「ふむ!入れ!」と言われたので入る。理事長はいつも通り書類の山を片付けていた。

 

「理事長。パリ遠征時の資料完成したのでお渡しに来たのですが…すごい量ですね。」

 

「肯定ッ!しかし!これも学園の長の役目でもあるッ!」

 

「そうですね。頑張ってください。」

 

俺は理事長に書類を渡してすぐに理事長室を出る。そして、走ってグラスとハヤヒデの元へ行く。理事長室からトラックまで遠く、かなり息切れをする。周りはスタスタと早く行くウマ娘達。俺は少し壁に持たれ掛かった。

 

「おやおや?これはグラスちゃんのトレーナーさんじゃないですか〜?」

 

「ん…ああ…。セイウンスカイか。」

 

「セイちゃんのことはスカイって呼んでくださいよ〜。」

 

「はいはい。スカイスカイ。」

 

「雑いです。全く、この人が本当にグラスちゃんのトレーナーさんなのかって思いますなぁ〜。今頃、グラスちゃん落ち込んでたりして〜。」

 

「んなわけないだろ。」

 

「そうですねぇ〜。あっ、そういえば探してもらってたみたいですけど〜…良かったんです?」

 

「何がだ?」

 

「私と坂本さんを会わせたことです。」

 

「俺が提案したんじゃない。グラスだから俺には知らないことだ。」

 

「とか言って、支えたって聴きましたよー?」

 

数分間セイウンスカイからの質問攻めに合いながら、息を整える。そして、最後にセイウンスカイがちゃんと立って「心配かけました。」としっかりした声で俺に言う。俺は「別に俺に言うべきじゃないだろ?友達に言うべきだからな。」と言ってセイウンスカイの前から走り去る。セイウンスカイは俺を見て笑っていたと聞いた。

俺はやっとの思いで、トラックに着いた。

 

「はぁ…はぁ…いや、遠すぎるだろ…。」

 

「おかえりなさいですトレーナーさん♪」

 

「ただいまグラス…。はぁ…はぁ…。」

 

「走って帰ってきたんですね?」

 

「待たせる訳にはいかないからな。」

 

「そうですか?ゆっくり来ても良かったんですよ?」

 

「パリとか札幌とか行ってハヤヒデの現状を見れてないからこそ、急いで来たんだが…大丈夫そうか?」

 

「はい♪大丈夫そうですよ〜♪」

 

「それは良かった。」

 

俺はグラスからトレーニングの紙を貰って確認する。芝のトラック2周とダート一周を終わらせ休憩していた。

 

「お疲れ様ハヤヒデ。」

 

「お疲れ様トレーナーくん。君も走ってきたのか。」

 

「そりゃね。早く来ないと成長したところ見れないからな。さて、次のトレーニング方法は…っと…。」

 

「待ってくれトレーナーくん。少し私の考えた案を入れてみないか?」

 

「ほう?それは?」

 

「模擬レースだ。」

 

「模擬レース…か。」

 

「模擬レースがあればライバルたちにも劣ることは無いだろう?いい案だと思うんだが…。」

 

「そう言っても集まるわけじゃ…。」

 

「いや、集めておいたぞ。」

 

「は?」

 

「集めてみたんだが説明していくぞ。テイオーくん、グラスくん、ネイチャくん、カフェくん、私の感じなんだが…どうだろうか?」

 

「わぁ…恐ろしいメンツだぁ。」

 

「特にネイチャくんは私たちの先輩でもあるからこそ要注意って感じだな。」

 

「グラス…いいのか?」

 

「トレーニングを助けるのは私の役目ですし、それにトレーナーさんにいい所見せますから見ててください♪」

 

「さすがと言うか…無敗のウマ娘だな。」

 

「トレーナーさんがそうさせたんですよ?」

 

「それもそうだったわ。んじゃ、各自準備運動して1周だからな。」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

俺はストップウォッチを構えてスタートするのを待つ。たまたまそこにいた坂本がスタートの合図をする。

 

「行くぞ…。よーいドン。」

 

各ウマ娘が走り出す。俺は走り出したと同時にストップウォッチを押した。そして、第1コーナー第2コーナーを差し掛かって先頭はトウカイテイオーだった。テイオーが最終コーナーカーブまで行くが少し焦りだしている…と言うよりグラス以外全員焦っているようだ。多分グラスの得意技『青い炎の圧力』を掛けているんだろう。一気にグラスが先頭へ躍り出て俺の前を1番に駆け抜けた。その次にトウカイテイオー、次ナイスネイチャ、その次ビワハヤヒデ、最後マンハッタンカフェと先の時代のウマ娘と言うよりグラスの1人圧勝だった。

 

「いやぁ…これは無理ですわぁ。無理無理。私みたいな3着に無理ですよ〜。」

 

「いや、早かったぞ。ネイチャくん。」

 

「あはは…それはどうも…お馴染み3着ですけど…。」

 

「3着でも早いものは早いんだぞ?」

 

「そうですけど…。」

 

ハヤヒデとネイチャが話す。俺の前ではグラスとテイオーが話していた。

 

「ねぇ!さっきの何!?」

 

「えっと…何がですか?」

 

「さっきのゾワゾワってきたの!」

 

「私にもわかりませんよ?何故か皆さんが下がっていくんですが…。」

 

「ワケワカンナイヨ!」

 

俺はその光景を見てグラスが無意識にあれを出しているんだと初めて知った。そして、マンハッタンカフェは1人ぽつんとしている。俺はマンハッタンカフェに近づき話しかけた。

 

「あっ…お疲れ様です。皆さん速いですね。お友達も驚いてますよ?」

 

「グラスは破格だがな…。にしても、やっぱり短距離は辛いか?」

 

「…そう…ですね。多分私は短距離ではなく長距離を得意にするので…短距離はちょっと…。」

 

「そうか。そういえばもうそろそろ菊花賞だな。」

 

「そうですね。お友達も勝てって言ってます。」

 

「お友達か…。ふぅん。」

 

「その言い方タキオンさんみたいですよ?」

 

「ああ…失礼。意外とどんな見た目なのか気になってしまってね。 」

 

「普通ですけど…?黒いですよ?」

 

「君みたいに?」

 

「そう…ですね。」

 

「よくわかんないわ…。」

 

俺はそう言って「んじゃタイム報告していくぞ〜」と言って一人一人にタイムを報告する。グラスだけは破格でほかの皆は至って平均的なタイムだった。

 

「トレーナーくん、結果はどうだろうか?」

 

「速くはなってる。でもパワーが足りない。今から筋トレしようか。」

 

「わかった。」

 

こうしてハヤヒデの弱いところ(主にパワー)を補うためのトレーニングをすぐに組み立てる。それをグラスと見せながら提案をしてもらい最終的に草案から完成品にまで持っていく。ハヤヒデはその間ゆっくりと休んでもらい、翌日完成した。もちろん、グラスは2日連続外泊届で近々俺の部屋で泊まるためには外泊届が要らないようになるらしい。それはハヤヒデも適用されるとか。なんでだよと思いつつ、グラスを部屋に招いた。

 

「2日連続…来ちゃいましたね。」

 

「グラス…言い方あるでしょ…。」

 

「まるで、奥さんみたいですね♪」

 

「グラス…?どうした?今日…?」

 

「別に何も無いですよ〜。」

 

「まあ、座って座って。お茶出すから。」

 

「いえ〜♪お構いなく〜♪」

 

俺は台所に立ちお茶を入れる。何度も何度もグラスを部屋に入れていたが…今日は意識してしまう。「なぜだ?」と思い、過去数ヶ月を思い出す。しかし、思い当たる節がない。ならいつだ?今日だとなる。よく一緒に寝てるのになぜ?今日はグラスが可愛いから?ん?は?何それ。おかしいでしょ。

 

「すまないな。こんなお茶しかないんだ。」

 

「大丈夫です〜♪さてと、私がやってきたトレーニングを取り入れながらにすべきかと思いますよ。」

 

「やっぱりそうだよな。」

 

グラスはキリッとした目付きになり、真剣モードになる。それに対して俺は、資料を見ながらチラチラとグラスを見てしまう。今日のグラスに何故か目を離せない。

 

「トレーナーさん?もしかして…今日の朝のこと気にして意識しちゃいますか?」

 

「いや…そう言う訳じゃ…。」

 

「別に甘えてもいいんですよ?」

 

「いやいや、それならトレーニング方法まとめてから甘えるとしよう。」

 

「はい!大丈夫ですよ〜♪」

 

俺らは資料とパソコンを使ってトレーニング方法を考える。ハヤヒデに合うようにと考えた結果、最初は筋トレから坂道ダッシュ、ウサギ跳びと段階性にすることになった。

 

「これ…私だと音を上げてしまいそうです…。」

 

「いや、グラス普通に出来るんじゃ…?」

 

「んー…そうですね〜。」

 

「あっできるなこれ。」

 

「どうですかね〜♪」

 

俺はグラスの笑みを見ながらお茶を飲む。ずっとグラスを見続けると「どうしましたか?」と聞かれるのでコップを置く。

 

「甘えるって話あったでしょ?」

 

「ありましたね〜。」

 

「甘えるって何したらいいの?」

 

「そうですね〜。耳かき…とかどうです?」

 

「耳かきか…お願いしようかな…?」

 

「ちょっと待ってくださいね〜。」

 

グラスはそう言ってカバンをガサガサと漁り出した。そして、出したのは耳かき棒だった。

 

「じゃあ、トレーナーさん。こちらにどうぞ。」

 

「あれ?初膝枕じゃ?」

 

「そうですね…どうぞ…/////」

 

俺はグラスに言われるがまま、グラスに膝枕をしてもらう。ここでの感想はあえて言わない方向性にしようと思う。そして数分後終わり、何事もなく眠った。

翌日のハヤヒデに新トレーニング方法を試してみる。すると、効果はあるように見えた。それから数週間このトレーニングとスピードのトレーニングをやり、菊花賞に備えた。

菊花賞前日、俺らは既に阪神競馬場近くのホテルに泊まっていた。

 

「トレーナーくん。この展開はどうだろうか?」

 

「んー…もうちょっと早い目に勝負に出てみるのはどうだ?」

 

「これは…そうですねぇ…。この場面で勝負掛けてみるのも手ですよ。」

 

「たしかに、グラスはここからだったな。」

 

「はい。覚えていてくれたんですね〜。」

 

「一応はな。」

 

「さて、ならここで勝負を掛けるとしても差しでいいのだろうか?」

 

「構わないぞ。」

 

「わかった。なら、会議は終了だな。」

 

グラスとハヤヒデはベットで寝かせ、俺はソファで寝ようとしたらグラスが「こっちです。」と言って俺をグラスと同じベットに入り眠った。

そして、菊花賞当日。たくさんの人が競馬場に入っていく。俺らは関係者出入口の方から入り、控え室に入った。

 

「さて、最終確認だが…ここでいいんだな?」

 

「ああ。構わない。それと最後に差しから先行に変更してみてくれ。今のパワーなら先行でも引けは取らないと思うからな。」

 

「わかった。やってみるよ。」

 

競馬場の方ではレースが始まり、歓声が上がっている。ハヤヒデは最後の1冠を取るつもりで覚悟を決めていた。

そして、11レース『菊花賞』の時間になった。

 

「トレーナーくん。私は勝利を君にプレゼントするよ。」

 

「待ってるぞ。」

 

ハヤヒデが本場バ入場すると大歓声が起きた。クラシック2冠を2着で終えているハヤヒデは今回大人気だ。

 

(はい。これからレースです。)

実況「クラシックの終着点。菊花賞を制し最強の称号を手にするのは誰だ!人気と実力を兼ね備えたここまで無敗マンハッタンカフェ、今日は3番人気です。この評価は少し不満か?2番人気はこの娘、皐月賞ウマ娘アグネスタキオン。威風堂々とスタートを待つのはこのウマ娘本日の1番人気ビワハヤヒデ。」

 

解説「火花散るデットヒートに期待しましょう。」

 

実況「ゲートイン完了出走の準備が整いました。スタートです。各ウマ娘綺麗なスタートを切りました。」

 

解説「誰が先頭に抜け出すか注目していきましょう。」

 

実況「先行争いは6番、12番、1番。期待通りの結果を出せるか?1番人気ビワハヤヒデ!6番快調に飛ばしていきます。先頭集団を見てみましょう。激しい先行争いで前に出たのは6番、続いて1番、激しい先行争い。少し後ろから18番、12番4番手。ここまでが先頭集団。先行は1番単身で飛ばしていきます。2番手の位置から先頭を伺うのは6番!第4コーナーカーブ、先頭から後方まで縦長方法展開だ。」

 

解説「各自自分のペースを保っているようですね。」

 

実況「ここで先頭は6番。続きました1番。外を回りまして18番。1バ身差12番。5番手ビワハヤヒデ。そして、その後方にはアグネスタキオン。1個目のホームストレッチです。その後から2番。2バ身3バ身開いて3番。少し離れて11番。3バ身差5番。3バ身離れて4番。マンハッタンカフェ並びかけてきた。2バ身離れて14番。その外並んで13番。少し離れて15番。それを見るように7番。後方2番手に16番。最後方17番。1番先頭を進みますがこれは正解でしょうか?」

 

解説「1番!彼女の脚質には合ってますよ。」

 

実況「依然として1番。1コーナーから2コーナーへ向かう。さぁ、先頭に立ったのは6番。続いて1番。その外並んで18番。12番4番手。ビワハヤヒデ5番手。内からアグネスタキオン。さらには11番。少し離れて3番。外を回りましてマンハッタンカフェ。後には2番。2バ身3バ身離れて5番。それを見るように4番。2バ身3バ身離れて13番。さらには14番。それを見るように15番。2周目の向こう正面に入って変わらず先頭突き進みます6番。さらに6番。さらに内1番。外で18番。さらに12番。外でビワハヤヒデ。少し離れてアグネスタキオン。1バ身離れて11番。後ろ3番。少し後ろから2番。少し離れて5番。内から内から!マンハッタンカフェ。すぐに続いて4番。残り1000mを通過。その内から回って13番。1バ身離れて14番。外から行く15番。7番並びかけてきた。意気揚々と飛ばしていきますビワハヤヒデ!どうでしょうこの展開?」

 

解説「掛かってるかもしれません。息を入れるタイミングがあればいいのですが。」

 

実況「第4コーナーカーブ。」

 

解説「ここからスパート!一気にレースが動きます!」

 

実況「この直線で勝負が決まるぞ!まだ身があるここから先頭をとらえる娘は出てくるのか!ビワハヤヒデ、ハナを進む!さぁ、誰が最初に仕掛けるのか!?アグネスタキオン2番手について様子を見守る!残り400最終コーナーを曲がって最初に駆け抜けてきたのはビワハヤヒデ!アグネスタキオン追いすがる。マンハッタンカフェ見事なごぼう抜き!やはり最後の直線は同期トレーナーたちの三つ巴だ!ビワハヤヒデ速い!速い!もはや独走状態!残り200。ビワハヤヒデ脚色番衰えない!ビワハヤヒデリードは4バ身。先頭はビワハヤヒデ変わらない!速い!速い!ビワハヤヒデ強いとしか言えない見事な走りできた!菊花賞を制したのはビワハヤヒデ!2着はマンハッタンカフェ!3着はアグネスタキオン!」

 

(レース終わりです。)

 

「ふぅ。やったぞトレーナーさん。」

 

「おめでとうハヤヒデ。そういえば、お前の異名がかっこいいぞ。」

 

「ワンダーくん番『不死鳥』だったようだね。なら、私はどんなものだろうか。」

 

「『勝利の探求者』らしい。意外と合ってる気がするぞ?ハヤヒデ。」

 

「フッ。そうだねトレーナーくん。ワンダーくんもありがとう。これからも勝利のために探求者しようじゃないか。」

 

〜某所〜

「お姉様のためなら…マックイーンさんを倒す。」

 

「いい心構えだねライス。」

 

「ライスはお姉様のこと好きだから。」

 

「なら、近々出かけようか。」

 

「うん!ありがとうお姉様!」




はいはい綾凪九尾ですよ〜。
今回も読んでいただきありがとうございます〜。
1月最後の投稿となりますが、今回は報告するべきか悩みますが…全UAが3万6000超えなんですよ今。私の目標が3月までに4万人なんです。3ヶ月で4万人って思ってたんです。じゃあまさかの2月で4万人超えそうってなっちゃってます。
それなら2月22日には4万人行っときたいですねぇ。
私が小説を投稿し始めたのが2月22日だからです。
さて、今回はネタなし純度恋愛型ですね。パリに続いてって感じですけど…恋愛も好きでしょ?皆様。
今回はセンブリ茶を持ってうがいしつつ読むことをオヌヌメします。
それともブラックコーヒーでうがいしてください。
ネタもないので説明不要ですね。
それでは次回は…天皇賞・秋かな?
ライス、テイオー、マックイーンが出ますので楽しみにしててください!
いいですね!問答無用で投稿通知出しますからね!覚悟の準備をしといてください!いいですね!?
として締めさせていただきます。
何度も言いますが今回も読んでいただきありがとうございます。
これからも頑張っていくのでご愛読しといてください。
次回の日にちは…あっ、今回は1日ズレてますが…理由はTwitter見てください。
次の投稿は…2月20日予定です。
22日には1周年記念艦これ小説出すので楽しみしててください。
それではДо свидания


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この薔薇の花言葉は…(第14レース)

前回までの青き炎
菊花賞!そしてハヤヒデ勝つ!
最後ある人がデートに誘う?


「すまない松風。もう一度言ってくれ。」

 

俺は自分のトレーナー室ではなく、ちょっとした会議室にいた。理由としては松風に呼ばれてここに来たってことなんだが。今こいつなんと?

 

「だから!ライスとデートの約束をしたんだが…どうするかわからなくてね。情けは要らないが…恋愛が1番上手そうなのが君だったってわけさ!」

 

「ほーうほう?情け要らないのなら相談乗らなくていいな?」

 

「待て待て!私を見捨てる気か君は!」

 

「情け要らないんだろ?」

 

「ぐぬぬ…情けを…」

 

「まあ…いいんだが。さて、どこに行くつもりなのかまずは聞いても?」

 

「もちろんそれは…。」

 

◇◇◇◇◇◇◇

「ライスさん?今なんて言いましたか?」

 

私はライスさん呼ばれて、食堂に来てます。私ですか?グラスワンダーです♪なぜ呼ばれたのか分からないのですが…先程の言葉が少し引っかかりますね。

 

「だからね?ライス…お姉様とお出かけするんだけど!どうすれば分からないの。だからグラスさんに聞いたらわかるかなって…。」

 

「そうですね〜。私が1番適任かもしれませんね〜。」

 

「それで…グラスさん…どうしたらいいと思う?」

 

「そんなの簡単ですよ〜?それは…」

 

◇◇◇◇◇◇◇

「はぁぁぁぁ…お疲れグラス。」

 

「お疲れ様ですトレーナーさん。」

 

「今日…一切仕事できなかった…。」

 

「トレーナーくんとワンダーくんはどこに行っていたんだ?」

 

「俺は松風に相談された。」

 

「私はライスさんから相談されていましたよ?」

 

「ん?」「トレーナーさんも?」

 

「なるほど。相談内容はなんだったんだ?」

 

「「デート相談だ」です」

 

「そうか。君たちは大変だね。」

 

ハヤヒデは少し苦笑いしながら、椅子に座った。グラスもハヤヒデの前に座り俺の方を向いて話し続けた。

 

「どんな感じでした?」

 

「えっとな、デートプランを提案された。俺的には不備がなかったから口出しはしなかったんだが…。グラスはなにか提案したか?」

 

「私はライスさんの行きたい所を言ってみるのはどうか?と提案してみましたね。」

 

「これからどうなるのか…。わからんなぁ。」

 

「ですね〜。」

 

◇◇◇◇◇◇◇

「やぁ、ライス。このデートプランでいいかな?」

 

「う…うん。お姉様!ライス…行きたいところあるんだけど…いいかな?」

 

「もちろん。ライスの行きたいところ言ってみたらいいさ。」

 

「ライスはね?このバラ園に行きたいんだ。」

 

「これは…京都府立植物園…のバラ園?ふぅん、そういえばライスはバラが好きだったな。特に青色だったかな?」

 

「う、うん。ライスが好きな絵本に出てくるキャラクターがお姉様によく似てるの!」

 

「そう…なのか?私にしてない気がするが…?」

 

「そうだよ?お姉様。ところでどうして京都なの?」

 

ライスはまっすぐ私の顔を見て疑問をぶつけてきた。私はそれに答えるように答える。

 

「それはライスが天皇賞・春を2回制覇した場所だからさ。私からしてもライスからしても思い出になるはずだからね。」

 

「そっか!ありがとうお姉様!」

 

「まだ、お礼は早くないかライス?」

 

「そうだねお姉様!」

 

◇◇◇◇◇

「は?松風の野郎がライスとデート?はぁーん?」

 

俺は居酒屋で坂本と中山に松風から相談されたことを話していた。中山が大きな独り言で呟く。俺はそれに返事をする。

 

「お前も帝王様としてたくせに今更何を言うんだ?それにあいつはお前よりも上だからな上。」

 

「お前に相談する時点で俺より下だろ?俺は1人だったからな。」

 

「そっか。へぇー…。」

 

俺は中山がテイオーとのデートしてた時を思い出しながら中山を問い詰めた。

 

「まず1つ目に帝王様に行くところ任せてたのはだーれ?」

 

「ぐっ…俺だな。」

 

「2つ目、自分から提案しなかったのは?」

 

「…お…俺だ。」

 

「3つ目、松風は自分でデート行先提案したがお前は?」

 

「してない。」

 

「ほらな?何もしてないだろ?中山は。坂本もそう思わんかね?」

 

「…ん?あー…そうだな。」

 

「聞いてた?」

 

「聞いてた聞いてた。大丈夫だ。」

 

「それならいいが…。」

 

俺は本当に坂本が聞いていたのか不思議になりながらも半泣きになっている中山をなだめた。これは少しいじった罪からの意識なのかそれとも同期としての意識なのかは俺にもわからなかった。

 

「ほら、泣くなよ。最近マルゼンスキーと車デートしてるんだろ?」

 

「え?どうして知ってる…?」

 

「風の噂。まあ、その反応からして本当だったんだな。」

 

「いやいや!そんなわけないじゃないか。俺はテイオーの方が好きって言ってるじゃん?」

 

「そうかそうか。帝王様から手紙貰ってますよ?」

 

「え?マジ?」

 

「嘘。」

 

「なんだよ嘘かよ。怖いからやめろよ〜。」

 

「すまんすまん。って…あー…。」

 

「どうしたんだ?今葉?」

 

「えっとだな。その…えーっと。」

 

俺は気づいてしまった。外から覗く瞳と目が合ってしまった。扉から覗いていたのは俺らの担当だった。

 

「俺は先に出るぞ今葉、中山。それじゃ…おつかれ。」

 

「うぃーっす。おつかれー。」

 

「ごめん。中山。」

 

「?どうしたんだ?今葉」

 

「俺…少し用事思い出したかも。」

 

「はぁ?何言ってるんだ?お前は」

 

「なら…外を見ろよ…。」

 

俺は中山の耳元で囁き扉の方を指さした。その指先を見た後中山は俺に近づき「やべぇ…俺死んだわ。」と言って俺に笑顔を見せた。そして「トレーナー?さっきの会話は何?」と中山はテイオーに問い詰められて、大泣きしていた。俺とグラスはその中山を見ながら、少し会話をし食事をしてからトレセンに戻った。

 

「トレーナーさん。今回の松風トレーナーの件どうしますか?」

 

「そうなんだよなぁ…。っても…もう俺らが走るレース今年ないんだけどな。」

 

「そうですね〜。2021年ももう終わりですから。」

 

「まだ秋だけどな?」

 

「そうですね。そういえばライスさんここに行きたいって言ってましたよ?」

 

「『京都府立植物園』?何かあるのかここに?」

 

「バラ園ですよ。3000種類ぐらいあるらしいですし、それにライスさんバラ好きですから。」

 

「それもそうだな。今頃話してるんじゃないか?」

 

「それもそうですね。」

 

「今日の会話なんかオウム返しみたいだな。」

 

「ですね〜♪」

 

「それでそれで?バラが3000種類か。どこで調べたんだ?」

 

「どうやら、松風トレーナーが独り言を呟いているのをライスさんが聞いらしく、それでこの『京都府立植物園』を選んだそうですよ?」

 

「なるほどなぁ。そういえばバラの意味って色で変わるの知ってるか?」

 

「もちろんですよ?って言うより有名だと思うんですが…。」

 

「それもそうか。赤は?」

 

「情熱…だったはずですよ?」

 

「青は?」

 

「奇跡は起こるです。」

 

「黄色は?」

 

「確か…友情とかじゃなかったでしたっけ?」

 

俺はスマホでグラスが答えた花言葉があってるかを確認していた。答えは全て合っていてさすがだなと思いつつ、意地悪をすることにした。

 

「じゃあ虹のバラはなんだ?」

 

「ええっと…?なんでしたっけ?」

 

「俺も知らない。だから調べてる。」

 

「もぉ!トレーナーさんが分からない問題を出さないでください。」

 

「悪かったって。ええっと?虹のバラは…と。あっこれか。」

 

「どれですか?」

 

グラスは俺の隣に来てスマホを覗き見る。その時に俺は画面をグラスの写真に変え、グラスの反応を確認する。グラスは驚いた顔で俺の顔を見た。

 

「もぉ!トレーナーさん!今日は意地悪ですよ!」

 

「ごめんって。ええっと、これだよコレ。」

 

「えっと?『無限の可能性』ですか?」

 

「ああ、らしいな。」

 

俺はグラスと顔を合わせながら携帯を置いた。何も話すことも無く無言の時間が続いた。

 

◇◇◇◇◇◇

「おーい。モルモットくぅーん!む?何をしているんだい?」

 

「…え、ああ。タキオンか」

 

「さっきから呼んでいるんだが…忙しそうだね?まあ、私は容赦なく呼ぶけどね。それで?何を調べているのかな?」

 

「いや、何も無いから。タキオンは自分の研究をしてきたまえ。私は少し出かけるから。」

 

「ふぅん。」

 

私は自分の研究室を出てあるトレーナー室に来た。

 

「やぁ、モルモット君の同期君!」

 

「お…おお…?珍しいお客さんで…。こんな夜更け過ぎに…」

 

「なーに。少し質問があるだけさ。」

 

「その質問とは?」

 

私は疑心状態ではあるが確信にさせたいので聞いてみた。

 

「モルモット君は何を調べていたのか教えて欲しいんだ。いいだろうか?」

 

「ああ…その事か。これは…伝えてもいいんだろうか…?」

 

「大丈夫さ。私は口が堅いからね。」

 

何とかしてもモルモット君の情報が欲しいからここに聞きに来たわけだ。ここで引き下がるつもりもない。

 

「えっとだな?今あいつは…ライスとのデートプランを考えてるんだ。にしても…まだプランを考えてたのか…。あれでいいと思うんだけどなぁ…。」

 

「そんなことがあったのかい。ふーん…ふぅん。ところで君。」

 

「なんでしょう?」

 

私はこの大大イベントに参加出来ないことはさすがに…ないと思うからこそ、私は勇気を出してこの言葉を絞り出す。

 

「君たち…モルモット君のデートについて行くのならば私も連れて行って欲しいんだけどね!いいだろうか?」

 

「もちろんですよ?あいつのことわかってる奴が居たらどれだけ楽か…。大丈夫ですよ。チケット用意しときますね。」

 

「すまないね。助かるよ。」

 

私は感謝してモルモット君の同期君の部屋を出て自分の研究室に帰ってきた。あの研究大好きモルモット君にも恋の季節なのかな?そうなると私の研究材料になってもらわないといけないね。私はモルモットくんが残した紙を覗き見て、日にちを確認する。そして、写真を撮ってモルモット君の同期君に送っておいた。

 

◇◇◇◇◇◇

「ふぅ。書類のあと片付けが終わったが…タキオンが来るなんてな。とりあえず、酒も入ってるしここで寝るか。逆に危ないからな。」

 

俺はソファに寝っ転がりゆっくり眠った。

俺はすごく眩しい外の光をもろに受け起き上がった。俺はソファに座ると「やぁ。今葉君。良き朝だね。」と聞こえてきた。

 

「んぁ?誰だ?おめぇ?」

 

「やれやれ、少し髪を解いただけなんだがね。」

 

「なんだ…松風か。」

 

「なんだとはなんだ?なんだとは。」

 

「なんだって何回言うんだか…。携帯携帯…ん?タキオンからの写真?」

 

「ん?君?何を見ているんだ?」

 

「いやいや、何も無いぞ。」

 

俺はタキオンが送ってきた写真をよく見る。それはデート日と行先確定の紙だった。俺は一応この事を確認した。

 

「なぁ、松風か。」

 

「なんだい?」

 

「お前いつデート行くんだ?」

 

「ああ、そうだね。日帰りのつもりだから…明後日にも行こうかなって考えているんだが…。」

 

「なるほどね。」

 

俺は話を聞きながら、携帯に目を通す。そして新幹線のチケットを3枚予約した。そして、目線を松風に戻した。

 

「まあ、タキオンとかに隠すのが大変だね。」

 

「実験とか言われそうだもんなぁ。」

 

「そうだよ。はぁ…昨日も危なくてね〜。大体の草案や計画書は全て捨てたからね。大丈夫だと思うがね。」

 

「そうか。」

 

俺は「(こいつ…ちゃんとしてるように見えて抜けてるところあるんだな)」と思いつつ、暖かいお茶を取るために立った。お茶を取って長テーブルの椅子に座り松風の話を聞いた。

 

「京都競馬場に行き、バラ園に行ったらいいのかい?」

 

「んー…まぁ?そうじゃないか?」

 

「君のデートプランは?」

 

「大体グラスが行きたがってるところに俺が行きたいところがあるって感じだ。」

 

「ふ…ふぅーん。き…君たち、なかなかすごいカップルなんだね。」

 

「え…ええ?至って普通なんだが…?」

 

「ああ…君たちにとっては普通だったね…。はぁ…見本にならないね君たち。」

 

「お前が…勝手に見本にしてるんだろ…?」

 

「それもそうだね!うん!君たち!これからも期待してるよ!」

 

「ええ…困るんだが…。」

 

俺らが呑気に話していると、グラスとライスが入ってきた。俺とグラスは「やってしまった」と顔を見合わせた。そして松風とライスは「どうして!?」の顔をしていた。そして、俺らは声を揃えて「「さてと!トレーニングの時間だな!」ですね!」と言って俺は松風、グラスはライスをトレーナー室の外に連れていった。

◇◇◇◇◇◇◇

「グラスさん?今…お姉様居たけど…?」

 

「えっと…そうですね…。多分世間話だと思いますよ?」

 

「そうだよね!お姉様が1人で決めないとか有り得ないもんね!」

 

「そ…そうですね…。」

 

ライスさんからしたら松風トレーナーはすごい人ってイメージがあるらしいですね。そのせいで期待が重そうですし…だからトレーナーさんに相談しているのでしょうか?まあ、その辺は本人の心情のみ知るですし…気にする必要も無いですね。

 

「お姉様はすごいんですよ。トレーニングの方法とかも具体的で…でもたまに変な行動があって…困っちゃうこともあるけど…尊敬できるお姉様なんだ。えへへ。」

 

「ライスさんは松風トレーナーのことを信頼してますね。」

 

「グラスさんもグラスさんのトレーナーさんのこと信頼してますよ?」

 

「そうですね〜♪トレーナーさんは私がいないとダメですからね♪」

 

「ふふふ。グラスさんは本当にグラスさんのトレーナーさんの彼女になろうとしてるんだね。」

 

「え?そ…そ…そうですね…///」

 

私はライスさんの突然な言葉に顔が熱くなる。私はとりあえず話を逸らさなければならないと思い、ライスさんのデートの話に戻した。

 

「ライスさんはバラ園に行ったらどんなバラが見たいとかあるんですか?」

 

「えっと…ライスはね。青いバラが見たいかな。」

 

「青いバラですか?」

 

「うん!とっても綺麗なんだよ?グラスさんも好きになるはずだから見て見てね。」

 

「そうですね〜」

 

私はライスさんと校舎を歩きながらトレーナーさんから送られてきた写真を確認しスケジュールを開けた。

◇◇◇◇◇

「あっぶなかった。ここなら誰も来ないだろ。」

 

「結果的にこの件の話し合いは会議室しかないね。」

 

「ほんとだよ。なんで隠すのか…。」

 

「ああ。説明するとね。ライスがね…私のことを過剰評価しすぎでね…。それで…なかなか言い出せないと言うか。困ってるんだが…ねぇ?」

 

「うわぁ…大変そうな信頼感だな。」

 

「そうだねぇ…困ったもんだよ。」

 

「どうするんだ?まあ、いいや。デートの件だが…。」

 

「ああ。これが最終プランなんだけどなぁ…。」

 

「ほうほう。んー…なるほど?定食屋って言うのは違うくないか?」

 

「高級レストランに行けと言うのか?君は?」

 

「当たり前だろうが…。デートなら高級レストランは普通だろう…?」

 

「普通なのか?それは?」

 

「普通だろう? 」

 

俺は高級レストランがデート内に入るのは当たり前と思っていたからこそ衝撃を受けてしまった。松風もまた高級レストランがデートの1部なのを知り衝撃を受ける。そして会議室は静かな時間が続いた。俺は少し携帯を触り、グラスにタキオンから貰った写真を送った。

◇◇◇◇◇◇◇時間は流れて〜。

「さぁ行こうか。ライス。」

 

「うん!楽しもうね!お姉様!」

 

遠くで話してある会話を無線に入って聞こえる。俺とグラスで片耳にイヤホンを付けて状況を確認しながらタキオンに情報を渡す。そして、俺らは双眼鏡で確認しながら静かに動く。

 

「お前ら、尾行はバレたら行けないんだ。わかったか?」

 

「はい〜♪」

 

「わかったよ。」

 

俺らは松風らを追いかけて走る。タクシーに乗ったのならタクシーに乗り追いかける。新幹線もチケットを取ってあるので違う車両乗り込み、無線で聞く。なぜ、この無線があるかを説明しよう。松風に提案をするためにこの電話は繋がっている。この電話を別名無線として呼んでいるわけだ。

 

「トレーナーさん。あの黒スーツの人達も…?」

 

「俺は知らないぞ。」

 

「ああ!あれはモルモット君の元部下達だよ。たまにトレセンにも来てあるよ?隠れてだがね?」

 

「そうなのか…。あっ知ってるか?」

 

「なんですか?」

 

「前に松風がラ〇ュタで帰ってきた時あっただろ?」

 

「あ…ああ…ありましたね…。」

 

「その飛〇石をゴルシが悪用してエアグルーヴにげんこつ受けてたらしいぞ。」

 

「あらぁ…それは大変ですね。」

 

「〇行石…気になる物質だがね…もう悪用されてしまったのか。」

 

タキオンは少ししゅんと落ち込み、声も落ち込んだ感じになった。俺らは少し苦笑いしながら松風の会話に耳を傾ける。朝から出ているので眠くなってくる。どんどん睡魔が襲ってくる。しかし、松風は携帯に「会話が続かないのだか!?もうするべきなのだ!?」と送ってきた。俺は「何とかするんだよ。」と返しておく。すると「無理に決まっているだろう!?」と返ってくるので俺は仕方なく、助け舟を出した。松風に「友達の話とかどうだ?」と送り返す。そして「その手があったね!」と返ってきた。俺はため息をついて会話を聞いておく。凄いぎこちない話し方だった。

(この会話は幻想さんに任せておきますので読んでやってください。私はあんまり、松風の話書くつもりないので。)

 

そして京都に着くと松風たちはすぐに電車に乗り換えた。俺らもすぐに電車に乗り換えて追いかける。そして黒スーツの男たちもついて行くように乗り換えた。そして、京都競馬場に来たが…京都競馬場は改装工事中で中には入ることが出来なかった。2人は少し落ち込んでしまったが次の場所に向かった。俺らはそれについて行くが古本屋に入っていったので、一旦休憩となった。松風にもそれを伝え、自販機の前に立ち飲み物を見ていると黒スーツの男がこっちに来て自販機を見ていた。

 

「ん?」

 

「どうも。松風関係ですか?」

 

「あはは…そうですね…社長は人使いが荒いですから。」

 

「わかりますわかります。ここで話したことは秘密ですよ?それでは失礼しますね。」

 

「はい。」

 

俺は黒スーツと離れ、グラスとタキオンが待つベンチに向かった。そして、松風の会話を確認した。

 

『あっこの本…。』

 

『どうしたの?お姉様?』

 

『いや…この【僕と君と君の事情】じゃないか!』

 

『知ってるの?お姉様…?』

 

なんだよ?【僕と君と君の事情】ってと思いつつ俺はグラスたちと合流した。そして、数十分後松風たちが出てきて俺らも追いかけた。そして次に【京都府立植物園】に向かった。俺らも植物園に入り追いかける。双眼鏡を使って状態を確認する。なかなかいい感じ?なのかもしれないようだ。俺らも植物園を楽しむが、やっぱりバラ園を早くみたいと思ってしまう。遠くからバラ園を確認するととても綺麗なバラが一面に咲いていた。グラスも思わず「まぁ〜!」と声を漏らすほどに綺麗な光景だった。タキオンは植物園内のカフェで紅茶を飲みながら情報を仕入れていた。バラ園ではライスと松風が話しているようだ。俺らはその話を聞かずに俺らは俺らで話す。

 

「この辺の花は綺麗ですね〜♪」

 

「コスモスだな。秋桜って漢字で書くんだっけか?」

 

「そうですよ〜♪トレーナーさんは物知りですね〜♪」

 

「さすがにな。わかる。」

 

「分からない人も世の中には居るんですよ?」

 

「そうなのか。」

 

『君たちイチャイチャするのはいいんだけどね?モルモット君の情報を貰いたいんだがね?』

 

「繋いでませんでしたっけ?」

 

『おや?ああ、すまないね。』

 

「ちゃんとしてくださいよ。」

 

『ああ。えっと?モルモット君の鼓動の速さ及び気分の向上を確認っと。なるほどなぁ?』

 

俺はタキオンの話を聞かないように無線のスイッチを切る。そして、松風のことを見る。至って変わりなく話しているようだ。奴らの話を聞いてみよう。

 

『お姉様!この黄色いバラはなにかわかるかな?』

 

『えっと…。これは…だね?確か《友情》じゃなかったか?』

 

『お姉様当たり!』

 

『だろうね。』

 

バラの色の花言葉をわざわざ覚えたのかあいつは…いや、すごい精神だな。俺も見習わないといけないことだな。さて?俺らは遠くからバラ園に入る。そしてバラを見る。グラスもバラを見ているようで静かな時間が続く。そして、俺らはバラを見て会話をする。

 

「綺麗ですね〜♪バラは生け花には合いませんから使うことは無いんですが…こうやって見ると本当に綺麗ですね〜♪」

 

「確かに綺麗だな。」

 

「んー…綺麗ですけど…このトゲとかが危ないですね〜…。」

 

そして、俺らは松風のことを思い出し、覗き込む。松風たちはバラ園から出て出口に向かっていた。俺らもそれについて行くように出口に向かう。タキオンとの無線も繋ぎ、タキオンも出口に向かうように指示する。そして、東京に戻る。

東京に帰ってきて、もう夕暮れ時になっていた。松風らは帝国ホテルのレストランに入っていた。俺らはついて行こうとするがさすがにバレると思い、近くのカフェに入りコーヒーを飲みながら確認していた。そして、2時間後に帝国ホテルから出て駅に向かった。俺らも会計をして向かう。そして、先にトレセン内に入り遠目から確認する。

 

「トレーナーさん…。ここでなにか行われるんですか?」

 

「なんか…プレゼントするとか何とか?」

 

「プレゼントってなんですかね?」

 

「分からない…。」

 

「あっ、来ましたよ!」

 

松風達は駅から歩いて帰ってきた。俺らは隠れながら見る。そして、トレセンの校門前で話していた。

 

『ライス、急な誘いだったけど助かった。』

 

『いいのいいの!お姉様とのお出かけ楽しかったよ!』

 

『それは嬉しいことを言ってくれるね。これは君にプレゼントだ。私が書いた絵本なんだがね。あいにく絵が苦手だからデジタル君に手伝ってもらって書いたんだ。読んでくれたら嬉しいんだが…?』

 

『ありがとうお姉様!大事にするね!』

 

俺は親指を立ち上げ、グッドポーズをとる。そして、俺らも解散した。

翌日、タキオンに呼ばれ研究室に来た。

 

「やぁ!お疲れだね!今葉君!」

 

「タキオン…君まで名前で呼ぶようになったのか…。」

 

「なぁーに!一緒に出かけた仲だろう?」

 

「はぁ…?」

 

「これを見てくれたまえ!このモルモット君の鼓動の速さと体温の上がり具合!これは正しく恋だよ!恋!君たちをぜひ比較対象にしたいが無理なのだ。しかし、この感じは恋なのだよ!」

 

「ほう…恋か。」

 

「そして、これは問題なのだが…スカーレット君も恋をしているようなのだが…。調べてもらってもいいだろうか?」

 

「いいわけないだろ!そんなこと自分で調べろ!」

 

「ケチかい!?君は!」

 

「うっせ!俺をそんなことで呼ぶな!書類があるんだぞ!?」

 

「そんなのすぐ終わるだろう?」

 

「終わらないから終わらないからね!あの発光野郎と同じにすんな!」

 

「ふぅん。分からないねぇ、君と言う人は?」

 

俺はタキオンの研究室から出て自分のトレーナー室に帰った。やり残した書類を終わらすために。




どうもどうも、綾凪で綾凪九尾です(は?)
ってことでお久しぶりです。2週間ぶりですか?3週間ぶりかな?
今回、レースじゃないです。理由ですか?なんか、あれですよ。レースはやめとこうってなりました。なぜなら、松風の話で1話をまとめた方がいい気がしました。
そして松風の元ネタの方。『幻想』さんが小説にしやすいようにとしました。
文句なら幻想さんに言いましょう。私には言わないで。
あれですよ?松風の話を多めにしてるので、グラスとの会話は少ないです。許してくださいまし。
次は天皇賞・秋だと思います。
そして今月の22日は私が投稿を初めて1年目となります。皆様のおかげでやってこられたことを感謝しております。それでは次回もお楽しみにしておいてください。


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グラス誕生日(特別短編)

今葉「グラス!誕生日おめでとう!」

 

グラス「…?えっと…ああ…今日2月18日ですか。覚えてくださったんですね〜。ありがとうございます♪」

 

今葉「そりゃ当たり前だろ。担当の誕生日を覚えてるのは当たり前だろ?」

 

グラス「覚えてるのが普通なんですか?」

 

今葉「えっ?そうじゃないの? 」

 

ハヤヒデ「トレーナーくん…そこは自信を持った方がいいと思うよ…。」

 

今葉「そう…だなぁ。俺は覚えてる! 」

 

ハヤヒデ「じゃあトレーナーくん。私の誕生日はいつだ?」

 

今葉「?」

 

「ハヤヒデトレーナーくん?」グラス「トレーナーさん? 」

 

今葉「今日はいい天気だな。」

 

ハヤヒデ「わかりやすく話を変えたようだ。」

 

グラス「これはいけませんね〜♪」

 

ハヤヒデ「そうゆうワンダーくんは喜んでいるように見えるがね。」

 

グラス「そうですか〜?至って普通ですよ〜?」

 

ハヤヒデ「まるで彼氏に誕生日を覚えてもらえていた彼女みたいな声をしているよ。」

 

グラス「あら…それは…そうですね…。嬉しいですよ!」

 

ハヤヒデ「ちゃんと言えばいいものだよワンダーくん。」

 

グラス「トレーナーさん…黙っちゃってますね。」

 

今葉「……グラスこれ、プレゼント。」

 

グラス「ありがとうございます♪どんなプレゼントなんですか〜?」

 

今葉「グラスが喜ぶようなやつだよ。」

 

ハヤヒデ「(トレーナーくん…私たちで選んだものだ。多分ワンダーくんも喜ぶと思うんだがな…。フッ要らぬ心配かもしれんな。)」

 

今葉「多分グラスが使うやつだから」

 

グラス「これは…お茶セットですか?」

 

今葉「最近グラス…お茶立ててもあんまり混ざらないと言ってたのを思い出してな。」

 

グラス「まぁ!ありがとうございますトレーナーさん♪」

 

今葉「俺だけで選んだわけじゃないんだ。ハヤヒデにも選んでもらってな。その色を選んだのがハヤヒデだ。グラスの色似合っているのを探してくれたんだ。」

 

ハヤヒデ「トラーナーくん…それは秘密ではなかったのか?」

 

今葉「いいじゃないか。2人からのプレゼントってことにしたらいいじゃないか。」

 

ハヤヒデ「それもそうだな。ワンダーくん私たちからのプレゼントだ。」

 

グラス「ハヤヒデ先輩ありがとうございます♪せっかくですからそれを使ってお茶立ててみてもいいですか?」

 

今葉「えっ?えっと…い…いいよ?」

 

グラス「では、待っててください作ってきますので。」

 

今葉「あっ、ここで作らないんですね。」

 

グラス「ここにコンロ持ってきたら…書類燃えますよ?」

 

今葉「それはダメだ!」

 

ハヤヒデ「トレーナーくん…君…抹茶苦手じゃなかったかな?」

 

グラス「えっ?」

 

今葉「すまない…グラス。」

 

グラス「大丈夫ですよ〜トレーナーさん。それじゃ、部屋で飲んでみますね♪」

 

今葉「行ってらっしゃい。」




かんたーんな!短編小説〜(セリフのみ)でーす!
ハヤヒデ出すつもりなかったんですが…1000文字超えないといけないので出しました。
何気に2月18日はグラスワンダーの誕生日!そして4日後の2月22日が私が小説投稿して1年!
約2ヶ月後の4月に私の誕生日があります。
さて、今回なぜ短編を出したか?と言う話はですね。
皆さんこの小説グラスワンダーとトレーナーの恋物語って覚えてます?まあ?恋物語じゃないだろ!って人もいるでしょ。酷い!
まあ、いいですが。
とりあえず、今月出せるかな?わかんないですね。それではお疲れ様です。
え?どれぐらいで書いたかって?
えっと…えー…30分ぐらいです…。
君のような私のことを考えてくれる読者は好きだよ!
それじゃ!


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紅葉散る天皇賞(第15レース)

「今日もいい天気。まさにトレーニング日和だな!さて!今日のトレーニングはと。」

 

俺はいつも通り、パソコンのデータが保存されているか確認してからトレセンに行くようにしている。俺はパソコンの電源をつけ、パソコンを見るとちゃんと保存されていたのでパソコンを閉じたと同時に俺の部屋のドアが飛んできた。

 

「はい!?なんでー?ナンデー?」

 

「やぁ!モルモット君の同期くん!」

 

「うわぁ…マジでやばい方のアグネスじゃん…。」

 

「やばいとは酷くないかな?そんなことより、前の実験結果が出たんでね。付き合ってもらった君に教えておこうと思ってね。」

 

「前に聞いたが…変わったところがあるのなら聞いておこう。」

 

タキオンは飛ばしたドアを踏み、机の前に座った。そして、ダボダボの袖から実験結果の紙を取り出して説明しだした。

 

「まず、心拍数の上がり方について。特に変わりがなかったが…最後のプレゼントを渡す時の心拍数の上がり方は異常だね。」

 

「ふむ。緊張じゃないのか?」

 

「かもしれないね。しかし、あの絵本の話は誰が考えたんだろうね。」

 

「松風じゃないのか?」

 

「ふぅん。私が言うのは間違っているかもしれないがモルモット君に通常の頭の動きができるとは予想外だね。それに、私の知らないうちにデジタル君に助けを求めていただなんてね。」

 

「ドーベルとかでも良かったんだけどな?デジタルを選んだらしい。」

 

「モルモット君の部屋は本だらけなんだけど…ほとんどデジタル君が書いた本らしいんだ。」

 

まあ、でしょうねと言う情報に少し笑いが出てきた。アイツらしいと言えばアイツらしい。でも、ウマ娘の純恋愛の本を買うのはどうかどう思うが。

 

「ところで、ドーベル君が本を書いているとどこで知ったんだい?」

 

「風の噂。」

 

「嘘だね。」

 

「まあ、マックイーンかな。」

 

「なるほどね。ふぅん…浮気かい?」

 

「アホか。」

 

「アホとはなんだい!そう思ったから言ったのみだぞ!」

 

「ハイハイ。ドア戻しといてね。俺はそろそろトレセン行くから。」

 

「構っておくれよー。最近モルモット君が構ってくれないから君しか頼りが居ないんだよー。」

 

「俺はおめぇの担当じゃねぇから。」

 

「知り合いだろう?」

 

「まあ、間違ってはないが…。って!時間やばい!」

 

「全く、このドアどう戻せばいいのだろうか。」

 

俺はタキオンを部屋に放置して、パソコンを片手に走った。トレセンのトレーナー室に滑り込みチャイムがなる数秒前だった。

 

「トレーナーさん?どうされましたか?」

 

「あ…ああ、グラスか…。」

 

「おはようございます♪」

 

「おはよう…。」

 

「何かありましたか?」

 

「タキオンが俺の部屋のドアを…蹴破って…。」

 

「あらあら…それは…。」

 

「もしかしたらドア戻ってない可能性もあるからな…。俺の部屋使えねぇな。そのままだと。」

 

「そうですね〜。どうする予定なんですか?」

 

「ホテルかな…。寝る場所がないのなら安いホテルで…。」

 

「トレーナーさん…寮…ありますよ?」

 

「いや、ダメだから。」

 

「寮…ありますよ?」

 

「ダメです。」

 

「ありますよ?」

 

「ダメって言ってんでしょ!」

 

「そう言われましても…。」

 

「何とかするよ。」

 

「そうですか。」

 

グラスは少し残念そうにして、落ち込んでいた。しかし、トレーナーがウマ娘寮に入るのは禁忌である。どっかのアホはしたらしいが、俺はそんなことをしない。だって、あいつより俺は規則を守るからな。急に海を泳ぎ出すあいつとは違うんだから。少しして、グラスがHRのために教室に行った。俺は1人でパソコンを打ち、今日の仕事を終わらせようとする。しかし、仕事をしていても邪魔は入るものだ。

 

「邪魔するぞー。」

 

「松風!」

 

「なんだぁ?おめぇ?」

 

「私はムス○大佐だ」

 

「あなたまっくろ○ろ○け!」

 

「私はムスカ○佐だ」

 

「あなたまっ○ろくろ○け!」

 

「私をあまり怒らせない方がいい!」

 

「華麟怖くないもん!」

 

「なんだこれ?」

 

「ム○カ大佐VSメ○ちゃんだ。」

 

「急に紙を投げてくるから読んでしまったぞ。」

 

「そのくせに、意外と乗り気だったのは面白かったよ。」

 

「こんなやつと同類とか死んだ方が…。」

 

「おや、そんなことを言うのかい。今ここにラピュ○の雷を落としてもいいのだよ?」

 

「うわぁ…こいつが言うと本気でしそうだよ。」

 

「当たり前だろう?私はラ○ュタの王だからね。」

 

「俺の同期は本当にやばいのかもしれない。」

 

「前からだね。」

 

「間違ってないな。」

 

松風は俺のトレーナー室にある椅子に座り、話しかけてきた。

 

「次のレースわかっているだろう?」

 

「天皇賞・秋か?」

 

「そう。ライスが天皇賞春秋制覇するためには通らなければならない道なのだよ。無敗伝説を作った君に聞きたい。天皇賞・秋はどうすれば勝てる?」

 

「やったことないからなんとも言えんが、会長に聞いてみたらいいんじゃないか?」

 

「シンボリルドルフか。史上初の7冠ウマ娘ね…。」

 

「天皇賞・秋でも勝ったらしいから聞いてみてもいいと思うんだが…。」

 

「確かにそれもそうだね。でも、今は授業中だろう?」

 

「そうだな。」

 

「じゃあ覗きに行こう!」

 

「馬鹿野郎。そんなことする暇があるのなら天皇賞・秋のことでも考えとけ!」

 

「そう言われてもね…。うーん。」

 

「とりあえず、さっさと自分のトレーナー室に帰れよ。」

 

「最近タキオンを見ていないんだ。」

 

「タキオンがか?知らんぞ?」

 

「いや、情報によれば君の部屋に来そうじゃないか。」

 

「あー…ドアが…。」

 

「もちろんそれも知っているよ。すまないね。私の担当が。」

 

「ほんとだよ。全く。」

 

「まあ、お詫びとはなんだけどさ!ラピュ○の中行かないかい?」

 

「ぜってぇ行かねぇ!」

 

「ちぇ、釣れないな君は。」

 

「釣れなくて普通!帰れ!」

 

俺は松風をトレーナー室から追い出し、机の上に置いてあった書類を手に持つと中から手紙が出てきた。どうやら、書類をと共に置かれていたらしい。俺はそれを手に取り、誰宛かを見ると俺の名前が書いてあった。裏を見ると「奥巻」と書いてあった。奥巻の名前を見た時ピンッと頭の中にその名前の人を思い出した。

 

「あー…従兄弟だなぁ…。あいつ何してるんだっけ?」

 

と俺は呟き、封筒を破き中身を見てみる。手紙と写真が入っていた。

 

『勝馬へ。元気にしてますか?私は元気です。ウマ娘さんのトレーナーになったと聞きました。凄いですね。こっちでも君の担当の子が話題になりました。無敗伝説として勝馬が名前を残したことを光栄に思います。そう言う私は軍に入りました。知ってるかな?新しい鎮守府で提督をしているんだけど…これがまた辛い辛い。そう言う勝馬はどうかな?君にはデスクワーク似合わなすぎてトレセンに決まった時笑いが出てしまったよ。あのやんちゃ坊主がと思いつつね。いや、同い年だからね?忘れるなよ?』

 

急なノリツッコミ?で笑いが込み上げてきたが我慢する。どうやら、久しぶりに手紙を書いてみたって感じだった。俺も書かなければならないような気がしたので今日の夜でも百均で手紙用紙と封筒買おうと思いつつ、手紙を横に置き仕事を終わらせる。時計を見るとまだ昼前のようで、俺は久しぶりにトレセンを散歩することにした。

歩いても何も変わっていないんだが、木の下にセイウンスカイが寝ていたりナリタブライアンが寝ていたりと今日のトレセンも平和です。じゃなくて2人を叩き起す。

 

「サボり魔共!起きろ!授業は!?」

 

「ん?あぁ…姉貴のトレーナーか。」

 

「ダメですよ〜。授業中なら大きな声は〜。」

 

「おめぇらな…。とりあえず起きろ!目を覚ませ!」

 

「セイちゃんならいつでもおめめパッチリですよ〜。」

 

「おうそうか。」

 

俺はセイウンスカイの一言でイラッとしたので携帯を取りだした。セイウンスカイは「携帯取り出しても無駄ですよー。」と笑いながら言う。俺はある人に電話を掛け、すぐ来てもらうことにした。そして数分後、セイウンスカイは顔を青くして、俺の横に立っていた。

 

「って訳だ坂本。」

 

「うん。なるほど。」

 

「あの〜…セイちゃん用事思い出したんですけど〜。」

 

「ん?授業は?」

 

「あっトレーナーさんやめてください…。それはセイちゃんに一番効きます。」

 

「うん。知ってる。」

 

「それならやめましょうよー!トレーナーさん連れてくるのはセイちゃん憲法に違反しますよ〜?」

 

「憲法なんて大事な。」

 

「私からしたら大事なんですよー?」

 

「うん。それで?」

 

「それでってなんですか!?」

 

「そっか。」

 

「まあ、それぐらいにしとけ今葉。」

 

「じゃあ、連れて行ってくれ。」

 

「わかった。」

 

坂本はセイウンスカイを連れて行き、俺はナリタブライアンが残っていた。

 

「ああ。私には気にするな。」

 

「気にするよね。一応生徒会副会長だよね。」

 

「そうだな。」

 

「俺はブライアンを置いて、散歩を続けるとトラックで授業をしていた中等部を見つけた。」

 

俺は自販機で飲み物を飲みながら見てみる。すると、パッと目に入ったのはグラスだった。俺はとりあえず各ウマ娘を確認してみるとグラスが先生と話している。そして、グラスが俺の前に来て「トレーナーさん授業してみてください♪」と言い、俺の手を持って芝に下ろされた。

 

「この方はグラスワンダーさんのトレーナーさんです。」

 

「えっと?先生?」

 

「今葉トレーナー、どうすればレースで勝てるか教えて頂けませんか?」

 

「えー…。わかりました…。」

 

俺は急な無理難題なことを任せられ…ウマ娘達もグラスもキラキラとした目で見てくる。グラス…お前はもうレースでないだろ…と思いながら言葉を考えた。

 

「まず…えー…レースで勝ちたいと思うことが大事です。グラスが無敗伝説を作った理由は『ウマ娘の頂点に立つ』の意思があったからこそ強かったんです。そしてウマ娘とトレーナーは二人三脚です。トレーナーが考えたトレーニングに文句があるのなら文句を言ってもいいですよ。そしてあなた達が提案して、それを照らし合わせて合わせるのがいいのです。私もグラスがわがままで大変でした。でもこれからです。グラスはもう走らないって言ってますが、皆さんがグラスの後を継いでくれると信じてます。以上…です!」

 

「ありがとうございました!今葉トレーナー!急遽な話でしたけど上手くまとめてもらってありがたいです。」

 

「いえいえ、それでは。」

 

俺は逃げるようにトラックから道に戻り、散歩しているとチャイムがなりグラスが後ろから話しかけてきた。

 

「トレーナーさんありがとうございます♪」

 

「ほんと無理やりだよ。」

 

「ふふ♪かっこよかったですよ? 」

 

「それはありがとう。着替えておいで。」

 

「はい♪」

 

俺は散歩道を戻り、食堂に行く途中で木の葉がいい感じに紅葉を始め、俺は「もう秋か。」と思いながら食堂に着くと、ウマ娘達が食事を取っていた。席は空いてなさそうに見えたが制服に着替えたグラスが俺の事を呼んでくれた。

 

「トレーナーさんこっちです。」

 

「ん?」

 

「トレーナーさん、一緒に食事いかがですか?今なら私が食べさせてあげますよ?」

 

「さすがにみんなの前では?」

 

「そうですか?トレーナーさんは私のモノって見せつける必要がありませんか?」

 

「独占力ですか…?」

 

「違いますよ〜?普通の事じゃないですか?」

 

「グラス目が怖いデス…。」

 

「エェェルゥゥゥ?」

 

「ケ!?急にエルが睨ませマシタ!」

 

「相変わらずだな…」

 

「グラスちゃんのトレーナーさんってグラスのどこが好きなんですか!」

 

「「えっ?」」

 

スペシャルウィークはキョトンとしていた。俺らは顔を合わせて考える。

 

「(ここは食堂…バカ恥ずかしいことを言える場でもない。でも、スペシャルウィークにキングヘイロー、セイウンスカイ、エルコンドルパサー、グラスと居る。特にグラスが俺の横に居る。本人の前で早口でいい所をペラペラ言うと完全に引かれる…。うーん。)」

 

「トレーナー…さん。真剣にお願い…します…/////」

 

「(ちょ!?)」

 

グラスは俺の顔を見て顔を赤くなっている。俺はその顔に責められる。「どうもできないじゃん!」って言う状況で、周りの期待も高まる。キングヘイローだけが唯一別のことを考えているように見える。まあ、後輩と仲良くしているのならいいが。その前に自分の身を何とかしなければならない。

 

「そ…そうだな…。可愛らしくて、それで他人を第1に考えそして、大人しく可愛いかな!」

 

「「「わぁー!」」」

 

「トレーナー…さん。同じ言葉2個入ってますよ?」

 

「さすがにな?」

 

「それもそうですけど…。」

 

「な?」

 

俺はグラスにジェスチャーで「( ̄b ̄)シーッ」とする。グラスは何かを言おうとするがやめたようだ。

 

「やっぱりグラスちゃんのトレーナーさんとグラスちゃんは相思相愛ですね!」

 

「そうだな。」

 

「私…恋愛とか分からないんですよね。」

 

「スペちゃん、恋愛は簡単ですよ?『この人と一緒に居るとドキドキする』や『ワクワクする』ですね。」

 

「うーん。それじゃ、私の好きな人はみんなかな!」

 

「そう言うもんじゃないよスペ。」

 

「そうなると…やっぱりトレーナーさんかな?」

 

恋バナをしている時に、俺らの後ろをスペシャルウィークのトレーナーが通っていき、俺はたまたまそのトレーナーの顔見た。その顔は驚いた顔と嬉しい顔が半分に分かれていた。

 

「トレーナーさんどんな顔ですか。」

 

「あれ?心の声漏れた?」

 

俺とグラスが話している話題を聞いたスペシャルウィークは俺らの後ろを見て自分のトレーナーがいることを見て顔を真っ赤にした。俺らは目を合わせてそっと逃げた。

その後、スペシャルウィークとトレーナーは顔が合わせにくくなったと聞いた。

俺らは野外ステージに来て話していた。

 

「さっきのは大変だったわね。」

 

「そうだね〜。」

 

「確かに大変だった。」

 

「スペちゃん大丈夫でしょうか?」

 

「スペちゃんなら大丈夫デスヨグラス。」

 

「うーん…。」

 

「心配なら見に行けばいいのに。」

 

「そうですけど…ところでトレーナーさん電話鳴ってますよ?」

 

「ん?ああ。出てくる。」

 

俺はグラスに言われた通り携帯が鳴ってたので少しウマ娘達から離れ電話に出た。

 

「こちら今葉。」

 

『らりるれろ!らりるれろ!』

 

「はい?」

 

『すまん。俺だ俺。』

 

「ああ。たかし?どうしたの?」

 

『そうだよ母ちゃん!ちょっとお金じゃない!』

 

「うるさいぞ中山。」

 

『テイオーのトレーニング手伝ってくれ。』

 

「なんで。」

 

『俺じゃあ勝てないから。』

 

「ライス?」

 

『YESライス。』

 

「ふーん。頑張れ。」

 

『無慈悲な!』

 

「俺…松風にも相談されたから…なんとも。」

 

『なるほどな。じゃあ情報くれ。』

 

「こいつ正々堂々と勝負ってならんのか。」

 

『すまない…そんなものメルカリとAmazonで売ってしまった。』

 

「普通は売れないだろ…。」

 

『それが売れたぞ。松風にな。』

 

「あいつ頭おかしいだろ。」

 

『ってことで!来てくれよ?』

 

「へいへい。」

 

中山は電話を切り、俺は気疲れしていた。戻った時にグラスが赤面して座っていた。俺が電話している間に俺との経験談でも詰め寄られたのだろうか?いや、何もしてないけど。

 

「あっ…トレーナーさん。」

 

「どうした?風邪か?」

 

「あっいえ!なんでも…ありません…よ?」

 

「エルコンドルパサーさんが問い詰めたんですよ。やめといた方がいいと言ってたのだけどね?」

 

「ケ!?急の裏切りデース!キング!」

 

「裏切ってもないから…。」

 

「なるほど?つまり、エルが問い詰めたと。」

 

「待って欲しいデース!トレーナーさんだけには…。」

 

「無理。」(プルルルル)

 

「無慈悲デース!」

 

俺はエルコンドルパサーと話しながら、エルコンドルパサーのトレーナーに電話をかけエルコンドルパサーを連れていってもらった。

少ししてからグラスが元に戻り、中山との会話を伝え中山のトレーナー室向かった。特に誰にも絡まれることも無く、ハヤヒデも少しの間のオフレースなのでゆっくりしている頃だろうと考えつつ、トウカイテイオーがライスシャワーに勝てるかを片隅で考える。

 

「トレーナーさん。ライスさんに勝つのって難しいですか?」

 

「グラスなら普通に勝てるけどテイオーはどうだろうな。」

 

「そこまで難しいんですか?」

 

「難しいってわけじゃないんだ。まあ、これ松風から送られてきた映像な。」

 

グラスに携帯を渡し動画を見せた。そこに映っていたのは、ライスなのだがいつもの覇気が一味二味も違っていた。グラスも少し苦笑いをしていた。

 

「これがライスさんですか?」

 

「ああ。グラスと同じ青い炎が見えるが…炎が強くなってる気がするんだよ。」

 

「やっぱりマックイーンさんが関係してるんですか?」

 

「かもしれないし、違うかもしれない。そこはなんとも。」

 

「なるほど…。無敗伝説を作ったトレーナーさんでも分からないことはあるんですね。」

 

「もちろんだ。」

 

こうして話していると中山のトレーナー室に着いた。普通に開けて入るとトウカイテイオーと話している中山が居た。

 

「遅かったな。」

 

「すまない。グラスの同級生に絡まれてたんでな。」

 

「そうか。さて、このトレーニング方法を見てほしいんだが。」

 

「次は天皇賞・秋だったか。ライスにマックイーンと強い奴らが出るレース。勝算は?」

 

「はっきり言って五分五分だ。」

 

「五分五分じゃだめだ。もっと確率を上げるべきだな。」

 

「ふむ。じゃあどうすれば?」

 

「ライスはパワーとスタミナを上げてくる。それならテイオーはスピードとパワーだろう。」

 

「先行で逃げ切れってことか。」

 

「かなり厳しい作戦だ。無理そうならやめてくれても構わない。」

 

「いや、無敗伝説のお方の提案だ。その作戦で行く。テイオーそれでいいか?」

 

「トレーナーが決めたことにボクは文句ないよ!」

 

「相変わらず、テイオーは中山の言うこと聞くな。」

 

「へっへー。ボクとトレーナーは一心同体だからねー!」

 

「テイオー…さすがに…。」

 

「トレーナーさん…私達も…。」

 

「ダメです。」

 

「ダメですか…。」

 

「既婚者は違うな。」

 

「だね。甘々の甘太郎だよ。」

 

「テイオーに中山…俺らまだ結婚してない。」

 

「「えっ?」」

 

「えっじゃねぇーから。」

 

俺とグラスは中山のトレーナー室から出て、自分のトレーナー室に戻ってくるとハヤヒデが座っていた。

 

「ん?ああ、君か。」

「何しとん?君、今オフレースだよね?」

 

「そうだね。春までレースはないが休む訳には。」

 

「休んでくれ。」

 

「わかった。」

 

「トレーナーさん。先程たづなさんから手紙を頂いたんですが…。」

 

「どれどれ?えっ…嘘やん…。」

 

「何が書いてあったんですか?」

 

「天皇賞・秋が終わった2週間後に小学生をトレセンに招待するらしい。」

 

「忙し…くないですね。私たちは。」

 

「そうだな。でも、まだ続きがあってこの案内を俺ら同期でするらしい。」

 

「あー…なるほど…。」

 

「私の中で1番タキオン君のトレーナー君が危ないと思うんだが…。」

 

「俺もそう思う。」

 

この手紙を読み終わったあと、トレセンの地図を広げどこに行くかの話し合いが始まった。「ここに行くべきだろう。」とハヤヒデは芝を選ぶ。グラスは食堂を選ぶ。俺はトレセンの校舎を選ぶ。

 

「うん。どこも行かなくちゃいけないな。」

 

「ですね…。」

 

「全て行くのはどうだろうか?」

 

「それしかないよな。」

 

「そうなりますね。」

 

「なら、全て行く方針で行こう。」

 

この話し合いをしている間に外は夜になっていたのでグラスとハヤヒデを寮に戻し、俺はある集まりに参加していた。

 

「またせたな。」

 

「遅いじゃないか今葉。」

 

「担当を帰してたんだ。」

 

「まあ、いいと思うが。」

 

「中山がそう言うなんて珍しいこともあるんだね。」

 

「…。じゃあ始めようか。」

 

「坂本がしゃべったぁぁぁぁ!」

 

「俺は喋るぞ?」

 

「とりあえず、今回のトレセン観光に任せられた私たちだが…。各自決めてきてくれたかな?ついでに私は天皇賞・秋で忙しく決まっていないんだ。」

 

「松風に続き俺も忙しくて決めていない。」

 

「俺は決めてきたが…多分今葉と同じだろう。」

 

「ああ。全てだよな。」

 

「間違いないな。」

 

「じゃあ全ていいんじゃないか?」

 

「適当だな松風。」

 

「まあ、私たちがする意味がわからないんだがね。」

 

「1番下でもないな。」

 

「君の後輩が来ているんだろ?キングヘイローのトレーナーだったかな?」

 

「ああ…。そうだな。 」

 

「いいじゃないか。私のことを避けているようだけどね。」

 

「それはお前が悪い。今週末までに決めといてくれ。」

 

「天皇賞・秋までに?」

 

「そうだ。急に決めた理事長が悪い。」

 

「そうだな…。」

 

〜時間が飛び〜

天皇賞・秋の当日になった。相変わらず、東京競馬場に人がたくさん入っている。バ場は綺麗な芝でグラスとハヤヒデも見に来ている。

 

「さて、マックイーン対ライス対テイオーか。」

 

「有名なウマ娘達が一気に戦うんですから。例えるのなら、あの時の宝塚記念かと思いますよ。」

 

「ふむ。なるほどな。1番人気はやっぱりライス?」

 

「いえ、3番人気にライスさんです。そして、2番人気にテイオーさん。1番人気にマックイーンさんです。」

 

「ライスに天皇賞・春を負けさせられたから…あまり期待されてないようだな。」

 

「そうですね。マックイーンさんも強いんですけどライスさんが…やっぱり…。」

 

「だよね。」

 

「にしても、新しいウマ娘が初レースに参加するとかいいな。グラスは気になる子居たか?」

 

「そうですねぇ…。」

 

グラスが携帯を見ながら気になる子を確認する。

 

「やっぱり、あの子じゃないか?」

 

「松風…。お前来てたのか。」

 

「もちろんさ。私のライスのレースだよ?来るに決まってるじゃないか。」

 

「まあ、そうだな。んで?どの子?」

 

「あの子さ。名前は…と。ファインモーション…ね。」

 

「最近、アイルランドから転入してきた…えっとお嬢様だっけ?」

 

「そ。なんでも、アイルランドの有名な方の娘だとかでね。」

 

「そういえば…前に後輩が言ってたな…。『なんか、アイルランドから来たウマ娘を担当してる同期が居るんですけど…担当のこと【殿下】って呼んでるらしく。』だと。」

 

「ふぅん。また奇妙な話だね。本当にお嬢様だったりしてね。」

 

「そのまさかだ。」

 

「マクトレさんじゃないですかーヤダー。」

 

「その言葉失礼だぞ無敗伝説の今葉。」

 

「うわぁ…厨二臭い…」

 

「でも実際の話だろう?」

 

「間違っては…ないが。」

 

「メジロ家でもその話が行われたな。」

 

「何サラッと惚気話始めてんだ?この先輩は?」

 

「とりあえず聞けよ。」

 

「はい。」

 

「メジロ家でも会議が行われてだな。マックイーン、パーマ、ライアン等と話し合いでな。」

 

「なるほど。それで結果は…?」

 

「現状維持となった。」

 

「うん。でしょうね。」

 

「おい、松風。」

 

マクトレは松風を呼び、松風と話し出した。俺はグラスの横に戻り、グラスは「うーん。」と唸っていた。

 

「どうだ?決まったか?」

 

「そうですね…。確かにファインモーションさんは強い気がします。このまま1年間無敗になると思いますよ。」

 

「そうか。おっ、次がメインレースだな。」

 

「天皇賞・秋…ですか。スペちゃんも勝ったレースですね。」

 

「そういえばそうだな。」

 

「ところで…坂本トレーナーさんと中山トレーナーさんはどちらに?」

 

「中山は…その辺の客席に。坂本はトレセンで有馬記念のためにトレーニング中。」

 

「そうですか。」

 

俺とグラスが話していると「いやぁ、おまたせしたね。」っと松風が戻ってきた。

 

「もうレースかい。見ていこうかな。」

 

「ライスも強いからな。マックイーンもテイオーも強いからな。」

 

「もちろん、ライスが勝つのを信じているんだ。」

 

(レース実況に入ります )

実「ウマ娘達が追い求める1帖の盾。鍛えた脚を武器に往く栄光への道!天皇賞・秋!このレース最も人気を集めているのは秋の三冠ウマ娘トウカイテイオー!1番人気です。人気と実力を兼ね備えたライスシャワー3番人気です。さあ、ライスシャワーに2度天皇賞・春を勝てずにいるメジロマックイーン!2番人気です!ライスシャワーとの真っ向勝負に期待だ!」

解「火花散らすデットヒートに期待しましょう。」

実「各ウマ娘ゲートにはいって体勢整いました。スタートです。各ウマ娘揃ってキレイなスタートを切りました。」

解「これは位置取りが熾烈になりそうですね。」

実「先行争いはライスシャワー17番8番。トウカイテイオー落ち着かない様子。これから第2コーナーへかかっていきます。期待通りの結果を出せるか?1番人気トウカイテイオー!ライスシャワー快調に飛ばしていきます。さぁ、ハナに立ったのはライスシャワー!このままリードすることできるのか?第2コーナーを抜け、向こう正面に入った。先頭は9番単身で飛ばしていきます。続きました8番早くも激しい競り合い。3番手にライスシャワー。4番手17番。内には4番。メジロマックイーン並びかけてきた。そしてその内トウカイテイオー。うしろ6番。2番並びかけてきた。外から3番。外を通りまして13番。そしてその外マ18番。内を回って5番。一バ身差11番。あとは1番。外を回って14番。後方2番手に7番。15番現在シンガリだ。9番先頭を進みますがこれは正解でしょうか?」

解「9番!彼女の脚質に合っていますね。」

実「現在1番手は9番。続いて7番。トウカイテイオー並びかけてきた。4番手にメジロマックイーン。4番追走。内をついて8番。大ケヤキを越え4コーナーへ。互いに脚を溜めている展開!これは直線勝負になるか!?さぁ、外から先頭をうかがうのはトウカイテイオー!トウカイテイオーここで抜け出した!メジロマックイーン、ハナを進む!さぁ、誰が最初に仕掛けるのか!?最終コーナー最初に立ち上がったのはメジロマックイーン!栄光まで400。抜け出したのはメジロマックイーン!だが後続も追いすがる!メジロマックイーン脚色は衰えない!メジロマックイーンリードは二バ身トウカイテイオー追いすがる。200を通過。3番手争いはライスシャワー、4番。先頭をメジロマックイーン、変わらない!先頭をメジロマックイーン!お見事!メジロマックイーン!着差以上の強さを見せた勝利です。ついに!ライスシャワーを打ち破ったメジロマックイーン!1着です!2着はトウカイテイオー。3着はライスシャワー。」

(長いですね。終わり。)

 

「ライスが…負けた…?」

 

「なるほど。スタミナ切れと言うところか?」

 

「そうですね。最初に飛ばしすぎたと思いますね。」

 

「そうか…。はは…そうだね。私の作戦ミス…だったかな。」

 

「松風お前は先に帰れ。ライスはこっちで連れて帰るから。」

 

「そうかい…。今葉…今日は暇かい?」

 

「暇だな。酒か?」

 

「そう…だね。じゃあ、ライスは…うん。君に任せたよ。」

 

「わかった。」

 

松風は絶望したように人混みの中に消えていった。俺らはライスに会いに行った。

 

「あっ、お姉…あれ?グラスさんのトレーナーさん?」

 

「やぁ、ライス。レースお疲れ様。」

 

「お姉様はどこですか?」

 

「体調壊して先に戻った。」

 

「そうだよね…ライスが負けちゃったから。」

 

「違う。ライスは頑張ったからな。ほら、戻るぞ。」

 

「うん。」

 

俺らはライスを連れ、トレセンに戻った。寮にある俺の部屋を見るともう電気が付いていた。グラスにライスを任せて俺は自室に帰った。

 

「今戻りましたよーっと。誰がいるか点呼!」

 

「…1。」

 

「2!」

 

「3」

 

「…4かな。」

 

「俺で最後だな5!」

 

「えっと…?黒沼トレーナーに中山、坂本、松風、沖田トレーナーか。」

 

「ライスは…。」

 

「ちゃんと送ってきた。」

 

「なぁ、今葉。」

 

「どうしました?黒沼トレーナー。」

 

「いや、こいつ何があったんだ?」

 

「今日天皇賞・秋だったんですが…ライスが3着で終わったんです。」

 

「それは…気の毒だな。」

 

「その通りなんですよ。」

 

「とりあえず!飲んで忘れようぜ!松風!な?」

 

「君は元気だね…私は全然元気になれないよ。」

 

「こりゃだめだな。」

 

「すいません…沖田トレーナー…。」

 

「いや、いいんだ。こうゆう仕事は慣れてるからな。」

 

「そうですか。」

 

「そう言えば、俺はこいつについて教えておくが酒を飲むとめんどくさいやつだ。」

 

「そうなのか坂本…。」

 

「ああ。よく絡まれていたからな。」

 

「過去形…。」

 

「タキオンと会ってからあまり無くなったんだがな。今日の件はかなりきつかったらしい。」

 

「そうか。まあ、飲め。」

 

「私は飲むからな!飲むからなぁぁぁぁぁ!」

 

松風の叫びから始まった酒盛り。中山は早々に酔いつぶれ、坂本はゆっくり酒を飲むが松風にウイスキーストレートをコップに入れる。

 

「いや…これは飲めないからな?」

 

「私の酒が飲めないのかぁぁぁぁ!?」

 

「うっ…これだ。覚えておけ今葉…!さらばだ!」

 

坂本は遺言みたいなことに言いながらウイスキーを飲む。そして、コップを置いた坂本は顔を真っ赤にして話し出した。

 

「やっぱり、俺の担当は可愛いと思うんだよ。オグリもカフェもスカイもな。その中でもやっぱりスカイの驚き顔も可愛いよなぁ〜。つい最近だって今葉からの…」

 

坂本は担当に対する愛をペラペラを話し出した。その姿には黒沼トレーナーと沖田トレーナーはドン引きとは行かないが苦笑いになる。俺は酒をチビチビ飲みながら酔っ払いどもの様子を見とく。この酒盛りは一晩中続き、俺の部屋に残っていたのは黒沼トレーナーと沖田トレーナー以外のトレーナーだった。

〜時間は少し飛んで〜

「さて、同期皆に集まってもらったのは他でもない!今日!案内だな。」

 

「そうだね。」

 

「そうだな。」

 

「そうだ。」

 

「ってことで、行く場所は決まっているんだが、理事長よりコメントを頂いている。」

 

「読んでどうぞ。」

 

「『トレーナー諸君!今回の件は圧倒的感謝ッ!しかし、1人で連れていくのは大変だと思い!担当を連れていくことをここに決めた!』だと。」

 

「だから、各担当が1人ずつ居るんだね。」

 

「そうだ。だが、1つ言わせてくれ。」

 

「どうした?」

 

「1週間後にファン感謝祭あるよな?」

 

「あるね。」

 

「トレーナーダービー再びだそうです。」

 

「(´・ω・`;)」

 

「言いたいことは分かる坂本。」

 

「それと、担当の勝負服でするんだと。」

 

「(゚д゚lll)」

 

「坂本が喋らなくなったね。」

 

「そ、それで…参加するのは?」

 

「いい質問だ中山。参加するのは…。」

 

「いや、私に当てさせてくれ!」

 

「いいだろう。松風!やって見せろ!」

 

「黒沼トレーナー…。」

 

「正解。」

 

「(´^ω^`)ブフォww」

 

「松風…笑うな。わかってる。ミホノブルボンの勝負服でやるんだぞ…。」

 

「やめてくれwwwあの後ろだけには付きたくないwww」

 

「わかる。さすがにバレンタインだろ。」

 

「待て待て。ファン感謝祭ってウマ娘が走るんじゃなかったか?」

 

「なんか今回からは新イベントを作りたいらしい。」

 

「他には誰がいるんだい?」

 

「黒沼トレーナー、沖田トレーナー、俺、松風、坂本、中山、俺の後輩、マクトレ、ファイトレだ。」

 

「うわぁ…私だけがなんか…違和感ある。」

 

「とりあえず!みんな!予定通りに!」

 

「「「了解!」」」

 

俺らは会議室から出て、トレセンの校門の前で小学生を乗せたバスを待つ。

 

「ところで今葉、バスって何台で来るのかな?」

 

「2台。」

 

「ふぅん。そうかい。」

 

「そう言ってたらあれだな。」

 

観光バスがトレセンの前で止まる。小学生達が沢山降りてくる。その時に見たことがある2人がいた。

 

「あっ!グラスワンダーさんのトレーナーさん!お疲れ様です!」

 

「お疲れ様〜。ダイヤちゃん。」

 

「お疲れ様です!」

 

「はいお疲れ。キタちゃん。」

 

「またトレセンに来れて嬉しいです!」

 

「お2人はここはいるの決まってるもんね。」

 

「そうですね!トレーナーさんが私のトレーナーさんになるって約束してくれたんですもんね!」

 

「大々的に言わないでよダイヤちゃん。」

 

「いいなぁダイヤちゃん。」

 

「まあまあ、そのうちいい人見つかるよ。」

 

「そうですか…?」

 

「そうだよ。」

 

俺はキタちゃんの頭を撫でて、学校の人と話す。

 

「今回案内してもらえる…方々ですか?」

 

「はい。私たちが案内します。とりあえず、体育館に行きましょう。」

 

「わかりました。」

 

教師は小学生達に「みなさーん!いきますよー!」と叫び小学生達を並ばした。俺らはそれを見て、教師がこっちを向いたので俺らは歩き出した。

 

「にしても多いね。今葉。」

 

「そうだな。」

 

「担当達は体育館待機だったよな?」

 

「そうだね。」

 

コソコソと松風と話しながら、体育館に着く。そして、小学生達を体育館に入れ、俺らは担当たちと合流した。

 

「ってことで、俺たちが今回皆さんを案内するトレーナーさん達です。1人ずつ自己紹介する?」

 

「でいいんじゃないかな?」

 

「なら、俺から。えっと…グラスワンダーとビワハヤヒデを担当してます。今葉勝馬です。」

 

小学生達からは「あれが噂の…」と聞こえてくる。松風は「さすが今葉」とニヤニヤとこっちをみている。俺は他のやつに自己紹介を投げた。

 

「次にニヤニヤしてるこいつ。自己紹介。」

 

「ご紹介されました。松風華麟です。私の担当はライスシャワーとアグネスタキオンです。じゃあ、次は坂本かな?」

 

「ああ。俺は坂本桜花。担当はオグリキャップとマンハッタンカフェだ。次に中山。」

 

「はいはい。俺は中山翔夢!担当はトウカイテイオーとマルゼンスキー。」

 

「ってことで、俺らトレーナーの紹介だったわけだけど。次はウマ娘の紹介でもしようか。はい、任せたグラス。」

 

「わかりました〜。グラスワンダーです♪」

 

「オグリキャップだ。」

 

「ボクがトウカイテイオーだよ!」

 

「えっ!ええっと…ライスシャワーですぅ…。」

 

「どうして私まで連れてきたのかなトレーナーくん…。ビワハヤヒデだ。」

 

「今葉!ハヤヒデ連れてきてるのは聞いてないぞ!」

 

「なんか…そこにいたから…。」

 

「それなら大丈夫か。」

 

「私は大丈夫じゃないんだがね…。」

 

「大丈夫だ。さっき、理事長に連絡しといた。公欠になってるからな。」

 

「全く君は…。」

 

「すまないな。」

 

ハヤヒデを説得し終わり、子供たちの案内をするために分かれるように指示をする。何故か2分割にしかできない。どうしてだ?教師にはちゃんと言っておいたはずなのに…。

 

「え…えっと。これでいいのかな?」

 

「いいんじゃないかな」(イケボ)

 

「うるさい。松風。」

 

「はいはい。」

 

俺が案内する方にはキタちゃん、ダイヤちゃんがいた。すぐに先頭に来て俺に話しかけてくる。

 

「今日はどこに行くんですか?」

 

「そうだなぁ。色んなところ見に行こうか。」

 

子供たちは俺の言葉に笑顔を見せた。そして時間になり、子供たちを連れトレセンを回り始めた。まずは食堂。ウマ娘達が居ない間に回る。

 

「ここが私たちの食事を作ってくれる食堂ですよ〜。オグリ盛りやスペ盛りなど沢山大盛りの種類もありますね。」

 

グラスが説明してくれる。俺も大盛りの種類があるのは初めて知った。続けざまにライスが続ける。

 

「ここはね。みんなの憩いの場なんだよ。だから、ここはお昼時になるとみんなで食事をとるからみんな仲良いんだよ。」

 

ライスがウマ娘達全員が仲良い理由を説明した。松風は「ライスが…ライスが…説明してるよ…今葉。」とハンカチで目を抑えながら言う。俺はその時思ったのは「(こいつに…普通の感情ってあるんだな。)」だった。

次に向かったのはトレセン校内の教室だ。今は授業をしているから中には入れないが外から見れるように脚立が置かれていた。

 

「君たちは勉強は嫌いかな?」

 

ハヤヒデが子供たちに質問をする。子供たちは「きらーい!」と言う。

 

「ここは一応でも学校だからね。勉強は普通にあるんだ。」

 

子供達は「えー!」と言いながらも授業中のウマ娘達に興味津々だった。

 

「ここは中等部だから…キタサンブラックとサトノダイヤモンドはここになるな。」

 

ハヤヒデが2人を名指ししてそう言うと子供達から「すげぇー」や「絶対応援する」って言われて2人は恥ずかしそうに俯く。

 

「期待されるウマ娘ほど強いからな。頑張れよ2人とも。」

 

「「はい!」」

 

そして、教室ゾーンを抜け次にトレーナー室ゾーンに入った。トレセンの校舎はそこまで広いわけは無いので各一トレーナーにトレーナー室があるわけじゃない。俺らはたまたま手に入れた訳だが、今日の案内するトレーナー室は松風のだった。

 

「さぁ、入りたまえ。私のトレーナー室だ。」

 

松風とのトレーナー室と聞くと、アグネスタキオンのせいで薬品だらけのトレーナー室になっているんじゃないかとヒヤヒヤする。子供たちに影響するわけであるから…。

 

「今葉は大丈夫さ。私はしっかり掃除しておいたからね。」

 

「その言葉信じるぞ。」

 

「もちろんさー!」

 

そう言うと松風はトレーナー室のドアを開ける。中にはごく一般的なトレーナー室が用意されていた。

 

「ここが私達の部屋だよ。さぁ、ぐるりと見回るといいよ。分からないことは私かこの人に聞くといい。」

 

「俺でもわからんことはお前もわからんだろ。」

 

「それも…そうだね。なんとかなると思うよ。」

 

子供たちは松風のトレーナー室を順に見ていく。まずは真ん中に置かれたトレーナーの机と椅子。書類が死ぬほど積んであるのは夢だろうか?1枚取ってみると、最終的に俺に回ってくる書類も含まれている。「なるほど、いつも俺が多忙の理由はこいつのせいか。」と思いつつ、松風が意気揚々と子供たちに説明を続ける。

 

「私達も書類が来ればサインもしくは確認しなければならない。私はそれが苦手でね。」

 

「何が苦手だ。」と俺は小さく呟くと「聞こえているよ今葉くん。」と笑いながら、こっちを向く。地獄耳かあいつは。

次のホワイトボードを見ている子供たちに近づき、松風は書いている内容を説明した。

 

「これは先日あった天皇賞・秋の作戦内容さ。本当は他言無用なんだけど、こうしてた方が『仕事してます。』感出ていいと思ってね。」

 

「こいつアホだろ。他言無用って言ってるのに見せるのかよ。」

 

「その方が説明しやすいんじゃないかな?今葉。」

 

「そーですね。」

 

一通り見終わったのか子供たちはトレーナー室から出ていく。そして、俺も松風のトレーナー室から出ていき、子供たちの先頭に立った。

 

「次は…芝に案内します。今頃なら…誰か走ってる?グラス。」

 

「今なら…そうですね〜…。」

 

「会長のクラスが走っているんじゃないか?」

 

ハヤヒデが会話に入ってくる。俺は携帯を取り出してトレセンの時間割を確認する。

 

「あー…ほんとだな。」

 

こうして、俺らは会長のクラスが走っているであろうトラックに来た。

 

「さて、あそこに立っているのは誰かわかるかな?」

「はい!」

 

「はい。キタちゃん。」

 

「シンボリルドルフさんです!」

 

「じゃあ隣のは?」

 

「シリウスシンボリさんです!」

 

「さすがだね。あの二人はある意味ライバル…だよな?」

 

「ふむ。確かにそうだと思うぞ。」

 

シンボリルドルフがこちらに気づき、手を振ってくる。子供達も手を振り返す。そして、シンボリルドルフとシリウスシンボリがスタートするために位置に着いた。

 

「皇帝の走りか。久しぶりに見るなグラス。」

 

「ですね。」

 

シンボリルドルフとシリウスシンボリが走り出した。2人は並びながら走る。子供たちはシンボリルドルフとシリウスシンボリを応援する。俺らトレーナーとウマ娘は静かに見守った。

先にゴール板を通り抜けたのはシンボリルドルフだった。

 

「おお!」「すごーい!」

 

「予想通りだな。」

 

「そうだね。」

 

俺らトレーナーはシンボリルドルフが勝つと予想していた。子供たちは興奮しているようだった。

時間は流れ、全てを建物を回り終わり体育館に戻ってきた。

 

「改めて思うとトレセン広いな。」

 

「確かに広かったな。」

 

「ですね〜。」

 

俺とグラス、ハヤヒデが話していると教師がこっちに来て話しかけてきた。

 

「あの…生徒達と写真を…撮りたいのですが…」

 

「あー…大丈夫?みんな。」

 

全員頷いたので、教師に「大丈夫ですよ。」と伝えるとカメラマンを連れてきた。

 

「じゃあ並んでくださーい。グラスワンダーさんもうちょっと近寄ってください。」

 

「はい♪」

 

「こうして2人で撮るのは初めてだなグラス。」

 

「そうですね〜♪これからも撮りますから覚悟しといてくださいね♪」

 

「撮まーす!はいチーズ!」カチャ

 

この写真は俺ら同期と各担当の部屋に飾られた。




はいはい。( ゚∀゚)o彡゜徹甲弾!徹甲弾!
あっ違う。ども綾凪九尾です。
まず、2ヶ月ほど?休んでしまったことをここにお詫びします。理由としましては普通に忙しかったです。
学生から社会人にクラスチェンジしたのが第1の理由ですね。
本当に忙しかった…。
あっそうそう。2万文字行きたかったですけど…明日ってほら、この小説投稿されて1周年なので記念に合わせて記念小説なるものを書いておきました。その名も「作者に質問第1弾」なんですが。
はい。そうです。今葉くんが私に質問すると言う謎のやつです。
あーっと!その前に!
私、ある人をおすすめしなきゃいけないんだった。
「かっぱー」って言う小説書く人なんですけども…。
3ヶ月ほど約束の期限から過ぎてるんです!許せません…。私の中のブラックリスト名入りですよ。
そのかっぱーさんなんですが…。小説ジャンル異世界物かな?戦闘系とも言ってた気がする。(投稿場所はカクヨムらしい。)
まあ、容赦なく絞めます。
次のターゲットは「幻想薔薇組」だよなぁ?
小説出せないって文句垂れてるんですよね。私も忙しいってんのに!ほんとにもう!
とりあえず、こいつも絞めるとしよう。
さてさて、愚痴になってしまいましたが…お待ちしてもらって本当に申し訳ないと思います。
だって!だって!時間の流れ早いもん…。
次!次は!ファン感謝祭orクリスマスです!私の気分で決めます!でも…今日が天皇賞・春なのに…天皇賞・秋の投稿って…ええ....(困惑)ってなりますね。
じゃあ、まあ…時間が迫ってるので!ここで切ります!では!次回3週間後に出せたらいいね!
綾凪九尾でした!失礼します!


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1周年記念「今葉と綾凪質問大会(自分で自分に)」

今葉「さて!始まりました!皆様が疑問に思っていることを俺、今葉が作者の綾凪に質問していこうと思います。」

 

綾凪「急に呼ばれたと思えば…自分で自分に質問って痛い子じゃん…。」

 

今葉「大丈夫ですって。こんな小説達書いてる時点で痛いですから。」

 

綾凪「それもそうか。私…地味に心に薙刀が…。」

 

今葉「ってことで始めていきましょう。」

 

綾凪「ちょっとは…労わろう?」

 

(質問1)

今葉「小説を始めた理由は?」

 

綾凪「これが分からない。」

 

今葉「は?」

 

綾凪「えっとね。なんでだろうね?まず、艦これを書いててからウマ娘なんだけど…。」

 

今葉「なら、言い方変えますね。投稿始めた理由は?」

 

綾凪「それは…小説を書いているネッ友からの熱いアプローチで…。」

 

今葉「どんな感じに?」

 

綾凪「『綾凪さん!小説書いてるのなら出しましょうよ!』って。」

 

今葉「そ…そうですか…。」

 

綾凪「そこ!引かない。一応私の師匠的存在で私が投稿始めたきっかけの人なんだから。」

 

今葉「すいません。」

 

(質問2)

今葉「綾凪九尾の由来は?」

 

綾凪「えっと。これも師匠的存在の人が決めてくれたんですよね。まず、私はペンネームも決めずに小説を書こうとしてまして、その時にペンネームを何にするかをネッ友に相談してたら…師匠的存在の人が『アズールレーン』の『綾波』がかわいいかわいいと連呼してたんですよ。その時にピーン!って来て初期の名前が『綾』になって、いよいよ投稿しようかな?って時に『綾だけじゃ…なんか短くね?』ってネッ友に相談して、すると2人のネッ友が案を出してくれた時に『綾凪』って出たんです。そして、九尾に関しては私が狐好きってことで綾凪に九尾。『綾凪九尾』の完成です。」

 

今葉「なんか…ロマンチックの欠けらも無い…。」

 

綾凪「当たり前のクラッカーよ?」

 

今葉「言葉のチョイスがマルゼンスキー…。」

 

綾凪「うるさい。」

 

(質問3)

今葉「ウマ娘の小説を投稿した理由は?」

 

綾凪「出来心。」

 

(質問4)

今葉「ウマ娘サービス開始時の推しは?」

 

綾凪「サイレンススズカ。」

 

今葉「グラスじゃないんだ。」

 

綾凪「まあ、数ヶ月してからグラスに推しを変えたけどね。」

 

(質問5)

今葉「レース時の実況はどうしてるの?」

 

綾凪「ルームマッチを使ってます。」

 

今葉「ルームマッチで?」

 

綾凪「ルームマッチで小説に出てくるキャラをレースに出し、話が続くような結果になるまで続ける苦行です。」

 

今葉「でも、実況ってその時その時で違うはずでは?」

 

綾凪「なので、私は保存後ルーズリーフとシャーペンを持って、レースの実況と解説をルーズリーフに書き出してから小説を書いてます。」

 

今葉「二度手間では?」

 

綾凪「二度手間です。」

 

(質問6)

今葉「『横に寄り添う青き炎』の題名の由来?って言うか…決め方?」

 

綾凪「えっと?どう題名決めたか?だよね?」

 

今葉「だと思います?」

 

綾凪「えっとね。題名は小説を書く前に決めてます。青き炎はアニメグラスが宝塚記念で青い炎を纏っていたので青い炎です。横に寄り添うは書く前から『ラブコメ』にする気満々だったからです。」

 

今葉「する気満々じゃなくてラブコメ?しか書けないんでしょうが…。」

 

綾凪「そうとも言う。」

 

(質問7)

今葉「『横に寄り添う青き炎』の続き『輝けるダイヤ』を書くことが決まっているけど、どんな話にする予定?」

 

綾凪「えっと…アオハル杯予定。」

 

今葉「誰が出てくるか教えて貰っても?」

 

綾凪「同期組と他トレーナー。」

 

今葉「ほう?」

 

(質問8)

今葉「『輝けるダイヤ』の続きは書きますか?」

 

綾凪「書きます(確定)」

 

今葉「題名は?」

 

綾凪「『誰にも譲らない景色(仮)』です。題名はまだはっきりとは決まってません。」

 

今葉「その続きは?」

 

綾凪「ここで別シナリオが始まりまして、『黒き愛バを求めて』と言う新キャラの話が2話ぐらい書くつもりです。その続きが『スケジュールは厳守です』になりますね。」

 

今葉「あれ?パリ遠征時のあれって…。」

 

綾凪「そうだね。あの時にはこの話確定してたよ。」

 

今葉「この人やべぇ人だ。」

 

綾凪「大丈夫だ。問題ない。」

 

今葉「んじゃ…その後は?」

 

綾凪「青き炎シリーズとして最後?を飾るのは『一等星の輝きの強さ(仮)』かな。」

 

今葉「各話には担当するウマ娘が関係してる感じ?」

 

綾凪「そう。景色に関しては『サイレンススズカ』。スケジュールは『エイシンフラッシュ』。一等星は『アドマイヤベガ』ですね。」

 

今葉「わぁ、すごいネタばらし。」

 

綾凪「どうせ覚えてないって投稿される時には。」

 

今葉「そうですな。」

 

(質問9)

今葉「松風の中の人が松風の小説を出してるけど問題ないのか?」

 

綾凪「本人も書いてましたけど私は『許可』してます。でもね?松風改造までは『許可してない』んですよね。その件に関して松風さんから結構前にコメント貰ってます。」

 

松風「俺に任せるのが悪い。」

 

綾凪「シバいたろうかクソッタレ。」

 

今葉「まあまあ…。」

 

松風「悪いとは思ってる。」

 

綾凪「嘘こけバーカ!」

 

今葉「ちょ!カメラ止めてカメラ!」

 

(暫くお待ちください)

 

綾凪「ふぅ…ふぅ。」

 

今葉「落ち着きました?」

 

綾凪「すみません。質問続けてください。」

 

(質問10)

今葉「『愛しき名脇役はこうして主役になった』と『エメラルド色の思い出』の投稿はいつになりますか?」

 

綾凪「知るかバーカ!」

 

今葉「ええ....(困惑)」

 

綾凪「こちとら!仕事とか教習所で忙しいんだよ!」

 

今葉「ええ....(困惑)」

 

綾凪「1年過ぎる前には出す以上。」

 

(質問11)

今葉「トレーナー人気投票した結果を教えてください。」

 

綾凪「ん?なんて?」

 

今葉「人気投票…。」

 

綾凪「そんなもの無かった。いいね?」

 

今葉「あっはい。」

 

(質問12)

今葉「各トレーナーの名前の決め方を。」

 

綾凪「今葉くんは私が書いてたオリジナルキャラの名前から取りました。中山くんは中山くんの中の人が提案して採用です。松風?本人が決めた。坂本くんは…中の人の名前を少し文字って決めた。」

 

今葉「俺の下の名前雑じゃない?」

 

綾凪「雑だよ?」

 

今葉「え?」

 

綾凪「今葉に合う名前を探すの大変だったんだよね。それでインターネットで調べてたら『勝馬』って見つけてね。ウマ娘のトレーナーとしては問題ない気がするから使った。」

 

今葉「本当に雑だった。」

 

(質問13)

今葉「グラスグッズの数は?」

 

綾凪「ざっと…5以上ですね。ガチ勢の方はもっと持ってると思いますよ。私の場合最近まで学生だったからそこまでお金使えなかったし。」

 

今葉「5以上でも持ってると思うんだけどな…?」

 

綾凪「そうかな?」

 

(質問14)

今葉「ビワハヤヒデのどこに惹かれましたか?」

 

綾凪「もふもふ。」

 

今葉「え?」

 

綾凪「え?もふもふじゃろ?」

 

今葉「確かにもふもふだけども。」

 

綾凪「なんで知ってんの?」

 

今葉「え?」

 

(質問15)

今葉「有馬記念総勝利数は?」

 

綾凪「ガチ勢さんよりは少ないですよ?色んなウマ娘が走ってくれますからね。」

 

今葉「その数は?」

 

綾凪「228」

 

今葉「すげぇや。頭おかしい。」

 

綾凪「ガチ勢さんはもっと多いでしょ?」

 

今葉「その中でグラスで勝ったのは?」

 

綾凪「68」

 

今葉「68÷2で34回グラスを育成してると?」

 

綾凪「いえ、60回育成してます。」

 

今葉「ん?なんて?」

 

綾凪「だから60回育成。」

 

今葉「温泉旅行は?」

 

綾凪「ゼロ。」

 

今葉「(^Д^)m9プギャー」

 

綾凪「(自主規制)すんぞ!この(自主規制)!」

 

今葉「あっすいませんでした。」

 

(質問終わり。)

今葉「ってことで、今葉&綾凪でやりましたけど…なにかありますか?」

 

綾凪「これって、来年もするの?」

 

今葉「すると思いますよ?」

 

綾凪「次は…誰?」

 

今葉「トレーナーで行くのかウマ娘で行くのか…。決めるのはあなたですし。」

 

綾凪「それもそっか。」

 

今葉「今回の雑談コーナーを読んでいただきありがとうございます。」

 

綾凪「何せ、こうゆうものは初めてでありますから、変なところだらけです。皆様がコメントしないから悪いんですよ?」

 

今葉「募集もしてないくせに何を言うんだこいつは…。」

 

綾凪「とりあえず、私はこの雑談が投稿される前に投稿する小説を完成させないとダメなんです。」

 

今葉「あー…1万6000越えのあの小説ですね。」

 

綾凪「あれ書くのに1ヶ月費やしてるからね。」

 

今葉「正しくは2週間。」

 

綾凪「しー!それ言ったら『毎秒投稿できますね!』って松風の中の人にコメントされる!」

 

今葉「あっやべ。」

 

綾凪「もしコメントした場合、松風…お前を殺す。」

 

今葉「デデン!」

 

綾凪「まあ、冗談ですけどね〜。」

 

今葉「あっ最後に1つ、質問いいですか?」

 

綾凪「構いませんよ〜。」

 

(最終質問)

今葉「松風の異常さはどこネタですか?」

 

綾凪「だいたい私が考えてます。たまに松風の中の人…『幻想薔薇組』さんが通達してきますけどね?」

 

今葉「あの夏合宿のやつは?」

 

綾凪「あれこそ、幻想さんの提案ですよ。」

 

今葉「ええ....(困惑)」

 

綾凪「ラ○ュタネタも幻想さんの提案ですし、松風が狂ってる行動を取る理由も幻想さんから『狂ってるキャラにして』って言われたので。」

 

今葉「ええ....(困惑)」

 

綾凪「パリの時のフランスパンタワーでエッフェル塔を抜く挑戦は…あれは私が本人とLINEしてる時に提案して通った珍しい物です。」

 

今葉「あの謎行動は作者の考えだった時の悲しみ…。」

 

綾凪「実際そうですよ?」

 

今葉「そうですか。」

 

(質問終)

今葉「えっと、改めてお疲れ様でした。」

 

綾凪「お疲れ様です。」

 

今葉「どうです?1年前を振り返ってみた感想は。」

 

綾凪「振り返ってるの?これ…」

 

今葉「振り返って…ますよ。はい!」

 

綾凪「そうかな…?まあいいや、とりあえず!一言言えるとしたら松風参戦によって私のシナリオが全て崩れかかってるから幻想さん私に土下座してください。」

 

今葉「それでは!今葉と」

 

綾凪「綾凪がお送りした。」

 

今葉、綾凪「作者に質問第1弾でした!」

 

【完】




あとがき…?ないよそんなもの。


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クリスマスは今年もやってくる?(第16レース)

「クーリスマスが今年もやぁってくる♪」

 

「嬉しかった出来ごっとも♪」

 

「松風と…中山が歌ってる…。」

 

「そりゃ、私だって歌うよ?今葉」

 

「いや、うん。そりゃね?」

 

ノリノリでクリスマス用の飾り付けをする2人。坂本は飾り付けは来なくてもクリスマス会には来るらしい。同期全員でクリスマス会をすることになった理由としては松風が「同期達でクリスマス会をしようじゃないか!それに坂本も呼んでやるべきだね!」と言ったので俺のトレーナー室ですることになった。

 

「ふんふんふーん♪」

 

「機嫌がいいな松風?」

 

「そりゃそうだよ。クリスマスだよ?君、クリスマスだ。」

 

「クリスマスがなんだよ。な?中山。」

 

「こいつは元社長だからな。クリスマスは1番稼ぎ時だから…その頃のテンションが上がってるんだろうな。」

 

「なるほど?さっぱりわからん?」

 

「俺にもわからん。」

 

「さぁて!次はクリスマスツリーを飾り付けしようじゃないか!最後には星を上にね!」

 

「うーん…?」

 

「まあまあ。今葉今はあいつに合わせてやろうぜ?」

 

「そうだなぁ…。合わせたらいいんだろう?」

 

「まあ、そうだな。」

 

「さぁ!君たちもやろう!」

 

「じゃあ、俺は坂本との相談が行われるんで一旦ここで抜けるぞ。夜にまた集まろうじゃないか。」

 

「今葉も大変だな。」

 

「グラスが歴史を作ってしまったからな。それの代償かな?」

 

「代償とか言うなよ。」

 

「それもそうだな。じゃあ、行ってくる。」

 

「おう。松風が暴走しないように監視しておく。俺に任せろー!」

 

俺は中山に親指を上げて「任せた」と伝えてから自分のトレーナー室を出た。少し歩いていると、後ろから話しかけられた。

 

「あの…。」

 

「ん?ああ、カフェか。」

 

「どうも…トレーナーさん見ましたか?」

 

「いや、多分あいつなら…トレーナー室だろうな。一緒に行くか?」

 

「そうですね…。お友達も最近トレーナーさんの姿を見えないって言ってたので…。」

 

「そう言うことか。あいつは次の有馬記念で忙しいんだ。」

 

「そうですか…。わかりました。ありがとうございます。」

 

マンハッタンカフェは俺にお礼を言ってどこかに消えていった。俺は坂本のトレーナー室にの前に着いた。ノックをして「坂本入るぞ。」と言う。中からオグリが「ああ。入ってきてくれ。」と言って来たので入る。

 

「失礼するぞ…っと。ふむ…煮詰まってるな。」

 

「ああ…来てくれたか…。」

 

「もちろん。有馬記念は俺にも記憶に残ってるレースだからな。」

 

「グラスワンダー…2連覇だったな。」

 

「その通りだ。あの時のグラスは心がここに在らずだったからな。セイウンスカイに勝てたときは嬉しかったな。」

 

「菊花賞を大逃げで勝ったからな。あの差し切りはさすがとしか言えないな。」

 

「間違いなくそうだ。んで、有馬記念だが…。」

 

「ああ。私はタマに負けてきたが今回は勝つ。」

 

「やる気十分だな。でも、その前にクリスマスで食べすぎないようにな?」

 

「だそうだオグリ。」

 

「くっ…食べれないのか…。」

 

「食べれるけど量減らしなさい。」

 

「だそうだオグリ。」

 

「くっ…!」

 

「そんな顔して俺を見るな…。坂本…どうにかしろよ。」

 

「俺には無理だ。食べ物を近くに置くと直ぐに食べるからな。」

 

「こいつ…。」

 

「とにかくだ。最後のタマモの追い上げがすごいだろ?」

 

「そうだな。」

 

俺は坂本のトレーナー室にあった茶っぱを奪い、お茶を作りながら話を聞く。

 

「どうすればいいと思う?」

 

「スピードをあげたらいいんじゃないか。」

 

「その通りなんだよ…このやろう…。」

 

「どうしたいんだよ。」

 

「勝ちたいんだよ。」

 

「タマモよりも長距離強いやついるじゃねぇか。1人な。」

 

坂本は「は?」みたいな顔で俺を見るが、オグリは1人思いついたらしくそのウマ娘の名前を言う。

 

「クリークか…。」

 

「そうだ。タマモともタイマンを張れるほど強いぞ。」

 

「なるほどな。だが、今回はそのウマ娘が2人いるんだぞ?それにオグリは最近やっと勝ち始めて来たのに…。」

 

「それなら、ハヤヒデとかセイウンスカイとかと練習すればいいんじゃないか?」

 

「確かに…そうだな。長距離が得意なウマ娘は多いしな。」

 

「だから頑張ってもろて。」

 

「ぐぬぬ…何しに来たんだお前…。」

 

「レースについて教えに来た。」

 

「なら、ちゃんと教えてくれよ。」

 

「そうだな。距離は2500mで、レース場は中山だ。最後の直線が短いからな。最終コーナーで一気に後ろとの距離を空けるべきだな。」

 

「オグリできそうか?」

 

「ふむ…なかなか難しいな。」

 

「まあ、今日はクリスマスだし、今日だけ深く考えるのはやめよう。」

 

「そうだな。オグリ、今葉のトレーナー室でクリスマスの用意しに行こうか。」

 

「ああ、わかった。」

 

俺らは坂本のトレーナー室を出て廊下で少し話す。

 

「今葉はこれからどうするんだ?」

 

「担当たちとクリスマス会の必要なものを買いに。」

 

「グラスとデートだろ?」

 

「ハヤヒデ居るから…。」

 

「それでもデートとは変わらんだろ。」

 

「どうゆう事論だ…ほんと。」

 

いつも喋らない坂本がべらべらと喋る。クリスマスだからなのか、さっきの俺の返答に対しての嫌がらせなのだろうか。その辺は坂本と神のみ知るだ。

 

「とりあえず、俺はグラスとハヤヒデ呼ぶから。じゃあ、仲良くやれよ。」

 

「いらないお世話だ。」

 

俺は坂本と別れて電話を取り出した。

 

「あっ、グラス?」

 

『トレーナーさん?どうされましたか〜?』

 

「前に言ってたことなんだが…今大丈夫か?」

 

『えっと…今スペちゃん達とお出かけしてるんです。ショッピングモールに居るんですけど…。ショッピングモールでお買い物ですか?』

 

「ああ。ほら、クリスマス会なんだが…。」

 

『思い出しました。クリスマス会でしたね。トレーナーさん合流しますか?』

 

「ハヤヒデも呼ぶ予定なんだが…。」

 

『大丈夫ですよ〜。3人で出かけるのは初めてですね〜♪』

 

「そうだな。」

 

グラスが電話してると遠くから『グラスちゃん、誰と電話してるの?』とスペシャルウィークの声が聞こえてきた。続いて、セイウンスカイが『グラスちゃんの電話相手なんて今葉トレーナーさんでしょ〜。』と勘の鋭いことを言う。グラスが電話の先で『セイちゃんの言う通り、トレーナーさんですよ〜。デートのお誘いですよ♪』と俺に対するハードルを上げた。

 

「(グラスさん…急に俺に対するハードルを上げてきてますやん。)」

 

『トレーナーさん、ハヤヒデ先輩呼んでくださいね。ハードル上げたとか思ってると思いますけど。』

 

「俺の心を読んでくるあたりさすがグラスさん。」

 

『トレーナーさんのことは私が1番知ってますから♪』

 

電話先でセイウンスカイが『さすが…恋愛強者…。』とボソッ呟くが携帯はそれを聞き取る。キングヘイローは『ま、まあ?一流としては当たり前よねグラスさん。』と少し混乱しながら言う。グラスは『そうですよ〜。私たちは一流ですから〜♪』とキングヘイローに言う。それは俺がいない間にして欲しいものだ。とりあえず、俺はグラスに「ハヤヒデ呼ぶから電話切るぞ。」と言うとグラスは『はい〜♪』と言う。

俺はグラスとの電話を切って、ハヤヒデに電話をかける。

 

『なんだ?トレーナー君、君から連絡を寄越すとは何かあったのか?』

 

「いや、前に言ってたクリスマス会の件で…。」

 

『ああ…あれか。ふむ、理解したぞ。』

 

「買い物にな?行きたいんだが…。」

 

『ワンダー君も一緒だろう?』

 

「それはそうですな。」

 

『ならば、私は行かないでおこう。』

 

「なんでぇ?えっ…なんでぇ?」

 

『二人の時間を邪魔する訳にはいかんからな。』

 

「ええ…。」

 

ハヤヒデは前々から言っていた買い出しを断りだした。俺はこのままだとグラスとのデートになってしまう上にグラスが言っていた「デートのお誘い」になってしまうと考え、ハヤヒデを何とか引き止める。しかし、ハヤヒデは譲らない。俺は逃がさないために逃げけん制を発動させるが、ハヤヒデは持ち前の末脚を持って『では、この後タキオン君のところ行くから、2人で楽しんでくれ。』と言われ、電話を切られた。

 

「あの野郎!裏切りやがった!んぁぁぁぁぁ!」

 

俺は誰もいない校舎内で叫んだ。そして、少ししてから脳内を整理してショッピングモールに向かった。ショッピングモールはクリスマスのグッズばっかりで、リア充の巣窟になっていた。

 

「(チッ、こんな時間なのに人多すぎだろ。家に帰るか仕事しろよ。)」

 

などと思いつつ、グラスを探す。すると、人溜まりがあるのを見つけて、その中を掻き分けて見ると黄金世代の全員が囲まれていた。サインとかを欲しがる人達や写真を撮る人達と多い。各ウマ娘達は人々の要望をしっかりと答えていた。これがまさに神対応ってやつなのだろうか?

 

「ありがとうございます〜♪あっ、トレーナーさんが来ましたね♪」

 

グラスは俺を見つけると俺を見てそんなことを人々の前で言う。人々の目線は一瞬で俺の方を向き、「邪魔すんじゃねぇよ。」と言っている感じに聞こえてきた。俺はその中グラスと話す気になれず、「えっと…ごゆっくり〜…。」と言ってその場を急ぎ足で離れる。そして、近くの本屋に逃げ込む。

 

「グラスには悪いが…あんな観衆の前で話せるわけ…。」

 

「トレーナーさん♪大変ですね♪」

 

「ほんとだよ。なんで人溜まりができてるんだよ。全くだ。」

 

「あんな感じに見られるんですね〜。」

 

「なんであんな目で見られるんだろうな。グラs…えっ?」

 

「お待たせしました♪抜け出して来ましたよ〜。」

 

「ええ....(困惑)」

 

「大丈夫ですよ〜。気にするだけ無駄です♪」

 

「そうなのか…?そうなんだろうか…?」

 

「そうです♪」

 

こうして、グラスと合流する。いつも通りの服装なのだが、なんか違う感じがするのは何故だろうか?

 

「どうかされましたか〜?」

 

「いや?何も無いが…?うん?」

 

「あ!少しスペちゃん達にオシャレにされちゃいまして♪トレーナーさんどうですか?」

 

「う…うん。い、いいんじゃないか…?」

 

いつもとは違うグラスの姿を直視出来ず、顔を少し逸らしてしまう。その目線を追うようにグラスは俺の目線に入ってきた。なんだ?この可愛い生物は?と思ってしまう。

 

「どうして、目を逸らすんですか?」

 

「あっ、いや…えっと…。」

 

「ちゃんと私の事見てください」

 

グラスはグイッと俺の顔を持ってグラスの方を見せてくる。俺はグラスの姿をしっかりと見てしまい「あっ…あっ…。」しか言えなくなっていた。

 

◆◆◆◆◆

「今日のグラスは積極的デース…。」

 

「あんなグラスちゃん見たことないね。」

 

「にゃは♪今日はクリスマスだからちょっとおめかししてたのはこれが理由だったかにゃ〜?」

 

「ちょっと!静かになさい。グラスさんにバレたらやばいのよ。」

 

「キングが1番うるさいよ〜?」

 

「うぅ…。」

 

「あっ!移動したよ!追いかけなきゃ!」

 

「これ…ついて行く意味あるのかしら…?」

 

◆◆◆◆◆

「あの…グラスさん?この手は?」

 

「繋いでるんですよ〜♪たまにはいいかと思いまして♪」

 

「さいですか。」

 

この子…クリスマスになると強気になるのは毎年のことではあるが、ショッピングモールの人達は「グラスワンダーとトレーナーだ…。」や「クリスマスデート?」など聞こえてくる。やめて…俺が恥ずかしくて死ぬ。

 

「トレーナーさん。何が必要なんですか〜?」

 

「えっとな?飾り付けは終わってるらしいから食事かと思います…よ?」

 

「あのトレーナーさん。敬語やめてください。」

 

「あっ…はい。」

 

「クリスマスといえばケーキ…チキンですよね?」

 

「そうだな。ケン〇ッキーは人多いしな…。」

 

「ケーキは予約してるんですか?」

 

「一応…はな。」

 

「そうですか。ならチキンを先に仕入れましょうか♪」

 

「どこに行くんだ?」

 

「やっぱりデパートとかどうですか?」

 

「ふむ、なるほどな?いいんじゃないか?」

 

「善は急げです♪」

 

俺らはショッピングモールを後にして、デパートに向かった。外はまだ明るいが直ぐに暗くなるような時間帯だった。

 

「グラス。」

 

「どうしました?」

 

「寒くないか?」

 

「そうですね〜…。本音を言えば少し肌寒いですかね。」

 

「これ…俺が使ってるマフラー。風邪引かれたら困るしな。」

 

「ありがとうございます…。こうしてると本当に付き合ってる感じがしますね。」

 

「まあ、付き合っているんだけどな。」

 

「この指輪…。まだ綺麗に光ってますよ。このまま、私とトレーナーさんが結婚する時まで光っていますよね?」

 

「もちろんだ。」

 

そんなことを話しながら、歩いていると空は暗くなっていき、歩道にある木はイルミネーションでキラキラと光っていて幻想的な綺麗さだった。

 

「トレーナーさん…綺麗ですね〜♪」

 

「そうだな。やはりクリスマスだからなのか?」

 

「そうだと思いますよ〜。」

 

「んじゃ、あいつらも待ってると思うし急ぐか。」

 

「そうですね♪」

 

俺らは少し早足でデパートに向かむ。手を繋いだ手を俺のコートのポケットの中に入れて。

 

◆◆◆◆◆

「ふむ。なるほどな。」

 

「坂本?どうしたんだい?」

 

「この写真を見てくれ。」

 

「うわぁ…砂糖を食わされた気分だよ。」

 

「そこまで言うのか松風…。」

 

「そりゃそうだろう?こんな甘々を見せられた私の身にもなって見やがれだね。」

 

「なんだなんだ?」

 

「中山これ。」

 

「うぅぅぅわぁ…。ブラックコーヒー作りに行こ。」

 

「お前もか…。」

 

「ふぅん。なるほどねぇ、あの二人が…今葉とグラスがこんなに甘々だとは思わなかったよ。何回見てもこれは砂糖だね。うん。中山ー!私にもブラックコーヒー…いや!紅茶だね!」

 

「わかってるじゃないか!モルモットくん!」

 

「タキオンさんはまだ舌が子供なんですよ。」

 

「カフェ!この天才の私が子供だって言うのかい!」

 

「あーあ。松風と坂本の担当が喧嘩始めたよ。」

 

「まあ、クリスマスだから平和でいいじゃないか。」

 

「坂本がそう言うのなら俺はそれで構わんが…。」

 

◆◆◆◆◆

「さて、デパートに着いたが…チキンはあるのかが1番の気がかりだな。 」

 

「ですね。じゃあ、行きましょう。」

 

「そうだな。」

 

俺らは人の多いデパートに突撃をする。デパートの地下一階にそう言うものは集まっているイメージなので地下に行くともっと人がごった返しになっていた。

 

「グラス、ハグれるなよ。」

 

「トレーナーさんの方がですよ♪」

 

そう言ってグラスは「エスコートしてください♪」と手を俺に差し出す。俺は「さすがにここでは…」とは思ったが覚悟を決めて、差し出されたグラスの手を離さないようにしっかり握る。

 

「これなら離れられませんね♪」

 

「グラスが積極的だ…。」

 

「今日は少し羽目外しますよ♪」

 

「そうか。ってあったぞ。これなら文句もないだろう。」

 

「確かにこれだけあれば文句ないと思いますよ♪でも、オグリ先輩が居るので…。」

 

「多く買えばええんやね?」

 

「ですね〜。」

 

俺は店員さんに「このチキン2羽分ください。」と言うと店員さんは営業スマイルで「かしこまりました〜。」と言って黙々と包んでくれた。そして店員さんは入れ終わったあとに「もしかして…グラスワンダーさんとトレーナーさんですか?」と聞いてきたので「そうですよ。」と応えると、店員さんは「いつも応援してます!これからもお幸せに!」とさっきの営業スマイルではなく、満面の笑みで言ってくれた。俺らは「ありがとうございます。」と言ってその場を後にした。

 

「さっき程の店員さん…私たちのこと応援してるって言ってましたね。」

 

「俺らの仲って世の中的に容認なんだろうか…。」

 

「まあ、叩かれなかったらしいですからね。」

 

「マジか。普通なら叩かれるところなのに…。」

 

「それほど私たちがお似合いってことですよ♪」

 

「それもそうだな。とりあえず、ケーキ受け取ってからトレセンに帰るか。」

 

「ですね〜♪」

 

あいつらを待たせているので、クリスマスケーキをさっさと受け取りトレセンに戻る。戻る時に雪が降り始めた。

 

「ふむ…雪か。確かに寒いもんな。」

 

「トレーナーさん?寒いんですか?」

 

「いや、寒くない。」

 

「嘘はいけませんよ?鼻が赤くなってますから。マフラー長いですね〜♪」

 

「そりゃな。俺は寒がりだからな…あっ。」

 

「半分こしますから、こっちに近づいてください。」

 

「はい。」

 

俺らは1つのマフラーを2人で使い、手を繋ぎながらトレセンに戻ってきた。校舎にもイルミネーションが付けられており、それを見にウマ娘達が集まっていた。

 

「あれ見て!グラスさんとトレーナーさんだよ!」

 

「本当に隙がないぐらいお似合いだね…。」

 

「今付き合って何ヶ月目だっけ?」

 

「半年だよ。あの宝塚記念からだもん。」

 

「そっかぁ。倦怠期とかあるのかな? 」

 

「ないんじゃない?」

 

などと、聞こえてくる。そう言うことは俺らがいなくなってからやって欲しいものだが、グラスは満更でもないようなので、あえて放置して校舎の中に入る。どうやら、ウマ娘達でもクリスマス会をしているところがあるらしく、教室の電気が付いているところもあった。俺らは階段を上がり、俺のトレーナー室に着いた。

 

「はいお待たせー。クリスマス会の始まりだな。」

 

「「「おー!」」」

 

大の大人たちが声を高らかに上げて始まった同期たちと担当ウマ娘達によるクリスマス会が始まった。

 

「かなり遅かったじゃないか今葉くぅーん?」

 

「何?こいつ…もう酔ってる?どうなんだ?」

 

「スピリタスを1本飲んでるぞ。」

 

「うぅぅわぁ…引くわ。度数96%だろ?」

 

「今思えば…こいつ何者だ?」

 

「北欧人だろ。」

 

「それなら、納得だ。」

 

松風に絡まれながらも俺と坂本は松風が何者かの話を続ける。最終的には地球外生命体で終了した。そして、坂本との話は担当ウマ娘の話になっていった。

 

「なぁ、今葉。」

 

「どうした?坂本。」

 

「ハヤヒデの次のレースは?」

 

「天皇賞・春」

 

「3200mか。勝てる見込みは?」

 

「そう言うお前のカフェはどうなんだよ。」

 

「ハヤヒデには勝つつもりでおるぞ。」

 

「ほう?なるほどな?」

 

「そんなことより、スカイ見てないか?」

 

「セイちゃんをか?」

 

「そうだ。さっきまでメッセージが来てたんだが…急に来なくなってな?」

 

「知らないぞ?」

 

◆◆◆◆◆

「ねぇ〜キング〜戻ろうよ〜。」

 

「戻る訳にはいけないわ!トレーナーにプレゼント買わなきゃいけないの!これは一流としての当然の…。」

 

「キングちゃーんもう時間遅いよー?」

 

「ダメよ!ここで手を抜いたら…一流としての誇りが…。」

 

「じゃあキングをプレゼントすればいいよね〜。」

 

「どうしてそうなるの!?スカイさん!離しなさい!ちょっと!!」

◆◆◆◆◆

トレーナーさんは他のトレーナーさんと話し続けている。私はそのトレーナーさんを肴にジュースを1口。

 

「グラスさんはどんなクリスマスプレゼントを用意したのかな?」

 

「えっと…?ライスさん?」

 

「あっ、ごめんなさい!ライス…まだ距離感わからなくて…。」

 

「大丈夫ですよ〜。そういえば失念していましたね。」

 

「ええ!?どうするの!?」

 

「私がプレゼント…とかすればいいと思うんですけどね♪」

 

「ライスには真似出来ないよ。」

 

「じゃあ!ライスくんは何を選んだのかな?!」

 

「タキオンさんは何を選んだの?」

 

「質問を質問で返すのは宜しくないねぇ!でも、私は今すごく気分がいいんだ!仕方なく答えてあげようじゃないか!」

 

タキオンさんはいつも以上に興奮しているようで、ドヤ顔で松風トレーナーさんに対するプレゼントを取り出す。何かの紙切れのようだが。

 

「私はトレーナーくんにこれをプレゼントする気さ!」

 

「えっと…?『実験体験チケット』?いつも通りだね。」

 

「(ライスさん、分かりますよ。私だって苦笑いです。)」

 

「じゃあ、私が言ったのならライスくん!答えてみてくれ!」

 

「えっとね。ライスは…。ライスが考えた絵本…だよ。絵はドーベルさんに書いてもらってね。」

 

「(なるほど。前にライスさんは松風トレーナーさんから特製(絵はデジタルさん)の絵本を貰っていましたね。そのお返しと言った所でしょうか?)」

 

「いいじゃないか!恥ずかしがることじゃないよ!」

 

「その辺にしたらどうだ?タキオンくん。」

 

「その声はハヤヒデくんじゃないか!その癖毛のために作った薬はどうだったかな!」

 

「数分で元に戻った。」

 

その場にいたウマ娘達は驚きのあまり、口を閉じるのを忘れていた。唯一驚かなかったのはオグリ先輩のみだった。

 

◆◆◆◆◆

「よーし!やるぞ!」

 

「うるさい松風。」

 

「うるさいとは人外な!」

 

「人外はお前。それにその言葉なら心外だ。」

 

「とりあえず!今日はクリスマス!つまり、担当の子たちにプレゼントがあるんじゃないか?君達〜。」

 

松風は俺らを指差し、鬱陶しい動きをする。その事を聞いていたウマ娘達は急に静かになり、各担当トレーナーを見始めた。

 

「変な期待させてねぇか?松風。」

 

「ふむ。させているね。問題ないでしょ?君とグラスなら。」

 

「おっと?なんか今反応の違う言葉が帰ってきたぞー?(はっ!しまった…。こいつらのせいでグラスのプレゼント買いに行く暇なかったのに…。)」

 

「おやおや?この名探偵松風が君の思っていることを当てて見せようか?」

 

「名探偵じゃなくて実験体だろ。」

 

「そうとも言うね。とりあえず、君が思っていることは…ふむふむ。なるほどねぇ〜。」

 

「許してくれ。今葉トレーナーくん。このモルモットくんは私の薬の副作用で人の心を読めるようになってしまったんだ。明日まで副作用の効果は続くらしてね。」

 

タキオンが申し訳なさそうに俺に説明する。タキオンが普通の感情を持っているのは予想外だが。

 

「なーに。こんなの簡単さ。全く…トレーナーと担当は似るものなのかねぇ。」

 

「何を言って居るんだ…?」

 

「まあ、モルモットくん。これでも飲んで落ち着いた方がいいよ。」

 

「ん?あ〜、ありがとうタキオン。」

 

タキオンから渡された飲み物を不思議がらず飲む松風。そして直ぐに倒れ込む。俺は倒れた松風を一応確認する。すると、凄まじい酒の匂い。

 

「タキオンさん?何をお飲みになされた?」

 

「このスピリタスをね。」

 

「なんでスピリタスがあるのですか…?」

 

「さっきの会話を忘れたのかい…。」

 

「こいつが持ってきたんですね納得です。本当に引きました!ありがとうございます。」

 

「そ…そうかい。それなら私は何も言わないよ。」

 

タキオンに引かれたようで俺は何も悪いことして居ないのだがおかしいこともあるものだ。

 

「プレゼント交換会…するか。グラス…。」

 

各トレーナーは各担当の前に立つ。しかし、俺とグラスはプレゼントを持たずに向かい合う。ハヤヒデは「君達は何をしているんだ?」と言ってきた。

 

「クリスマスプレゼント買い忘れた!」「プレゼント買い忘れました。」

 

「君たちは…本当に何をしているんだ?」

 

「そう言われてもな?」

 

「困りますね。」

 

タキオンやハヤヒデはため息を吐いて、坂本はオグリに新しいシューズをプレゼントし、カフェにはコーヒー豆をプレゼントしていた。オグリは坂本に有馬記念のトロフィーをプレゼントすると約束し、カフェは万年筆をプレゼントする。中山はテイオーは生徒会のクリスマス会で来ず、マルゼンスキーは帰宅したので担当が居ないと言う寂しい状況になっていたので酒を飲みベロベロによって寝ている。松風は未だに寝ているので、ライスとタキオンが松風の上にプレゼントを置き、タキオンが松風カバンを漁りプレゼントを抜き取る。タキオンには紅茶の茶っぱをライスには新しい私服だったらしい。次に俺らなのだが、ハヤヒデにもプレゼントを買い忘れている。

 

「はぁ、全く。」

 

「すまない。今度一緒に出かけるか?」

 

「それなら、蹄鉄が少しヘタってきているんだ。」

 

「わかった。予定をあけておこう。」

 

ハヤヒデは一緒に買い物で手を打ってくれたが、彼女でもあるグラスは今からでも壁に架かってる薙刀を取り出しそうな気迫だった。

 

「トレーナーさん。」

 

「ほんとうに申し訳ない!」

 

「いえ、もうトレーナーさんからプレゼントは貰いましたよ。」

 

「ん?渡してない様な気がするが? 」

 

「トレーナーさんは鈍感ですね♪そう言うところも好きですけどね。」

 

中山が「お熱いねぇ!」と声をかける。坂本はちょっとニヤニヤしながら俺らのことを見る。そして、ハヤヒデがカメラを持ってきており、全員で写真を撮ることになった。

 

「やっぱり!真ん中はお前らだよな!」

 

「ちょっと?中山さん?」

 

「トレーナーさん。」

 

「仕方ない。」

 

「皆撮るぞ。」

 

「待て!松風はどうする? 」

 

「ふぅん。それなら椅子に座らせればいいんじゃないかな?」

 

「採用で。椅子持って来てからライスに座らせてもらおうかな。」

 

「は、はいぃ!」

 

ライスは松風を抱き抱えて椅子に座らせるが、その座っている姿はまるで…

 

「コ〇ンの小〇郎みたいだな。」

 

「思った。」

 

「これで問題ないね。ハヤヒデくん!これで撮ろう。」

 

「わかった。タイマーを付けて…。」

 

「カメラを見ろよ。目をつぶっても撮り直さねぇからな。」

 

俺のトレーナー室で1回のカメラのシャッター音がなる。そして、全員が撮った写真を見てからまた酒盛りと食事が始まった。




綾凪なる者です。
皆さん1ヶ月ぶりですね。本当に申し訳ないです。
今月につきましては「ウマ娘集中投稿期間」とし、なるべくウマ娘の小説を投稿していく予定です。
まず、予定としてはこの小説をから始まり、次にナイスネイチャの小説を書いて書き終わり次第、次の青い炎の話を書き始めます。3週間程しかもう今月は無いですが、3話出せるのなら問題ないかなって思いますね!ええ!
さてさて、今回のネタは…有馬記念前のクリスマスです。
テイオーとかマルゼンスキーの存在を忘れてたわけじゃないです。はい。絶対にそうです。多分。
実際は忘れてました。ほとんど終わりら辺で気づいたので諦めて来なかったことにしました。テイオーは会長優先したってことで問題ないと思います。
次こそ、有馬です。その次がバレンタイン、その次が大阪杯です。天春はまだですね。来月もウマ娘集中期間にしようかな…。なんて思い出してきてますね。
そろそろ締めさせてもらいます。
今回…お待ちしていただきありがとうございます。
本当に仕事…終わったら寝落ちしてるので書いてる暇がないんですよ。マジで。
まあ、今月はなるべく起きとくつもりなので!
お待ちしてください!本当に!
艦これは少しの間投稿しないので!よろしくお願いします!
では、1週間後に会えればいいっすね。


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有馬記念(第17レース)

前回のあらすじ…?
えっと?なんだっけ?


「なぁ、今葉。」

 

「なんだ、坂本」

 

「俺ら…なんで無人島にいるの?」

 

「いいじゃねぇか。担当もいるんだから。」

 

「うん。まあね?でもさ?理事長に話したら無人島で強制トレーニングって何?あと3日でレースだけど?」

 

「寒いな。毛布毛布。」

 

「なんでお前らは毛布とか持ってきてるんだよ。」

 

「これ毛布じゃなくてハヤヒデの髪の毛で作ったやつね。」

 

「もう意味がわからん。」

 

俺らは無人島に来ている。会話でわかる通り理事長にトレーニング方法を相談した結果である。急に飛行機に乗せられたと思えば目隠しをされ、船に乗せられてここに来た。まあ、それは坂本のみで俺らは目隠しもされずに連れてこられた。何故か、俺らとオグリ用の食材は用意されており、坂本の食材だけは現地で取ってくることになっているらしい。坂本はどうやらその事に怒っているのだろうか?

 

「いや、まだな?俺らならわかる。なんで、沖田トレーナーまでいるんですか!」

 

「すまないな!俺はゴルシに連れてこられたんだが…あいつ…どこ行った?」

 

「海の上走って帰りましたよ。」

 

「げっ!?俺置いていかれたのかよ…。今葉すまねぇが俺もいいか?」

 

「沖田トレーナーの為ならば仕方ないですね!坂本は自分で火作ってどうぞ。」

 

「なんだこいつ…。」

 

「ほれ、チャッカマン。」

 

「テンキュー。これで火が…。」

 

坂本はチャッカマンを点火しようとしたら、チャッカマンの先から「パフ」と旗が出てきた。旗には「残念!」と書かれていた。

 

「あんのロリ理事長がぁぁぁぁ!」

 

「叫ぶな。体温低くなるぞ。」

 

「トレーナー君。ここならば風から身を守れるぞ。」

 

「ありがとうハヤヒデ。グラス大丈夫か?」

 

「大丈夫ですよ〜。」

 

俺らは物陰で冬の海風を防いでいた。オグリもこっちに来ている。しかし、坂本だけは唯一砂浜で火をつけようと必死に木を擦る。だが、この風の中火がつく訳もなくしょんぼりとして帰ってきた。

 

「はぁぁ…マジマンマミーア」

 

「なんでぇイタリア語…?」

 

「…やな!この…うま…やないか!」

 

「なんか…聞こえんか?関西弁と言うか…?」

 

「聞こえたな。」

 

確かに聞こえた。関西弁で何かを話しているようだ。俺はグラスから隠し持っていた薙刀を借りて、その声が聞こえたところに突撃する。

 

「今葉何する気だ!?」

 

「ヤクザかもしれん!これを渡す。吹け!」

 

「そんな無茶を…何を吹けばいいんだよ。」

 

「突撃ラッパ。」

 

「えっ…?えっ?」

 

「分かりますよ。坂本トレーナーさん、これは至って普通です。」

 

「えっと…?」

 

「よし!皆!薙刀は持ったな!行くぞ!」

 

俺は走り出した。坂本はわからずながらも突撃ラッパを吹く。しかしそれは阪神のファンファーレだ。とりあえず、俺は突撃をする。そこにいたのは…。

 

「上手いやんトレーナー!」

 

「どうもどうも。」

 

「おりゃ…?」

 

「なんや?おっ、最強ちゃんのトレーナーやん。」

 

「タマモやんけ。」

 

「ウチやで。もしかしてあんたもここに飛ばされたんか?」

 

「いや?俺は坂本の付き添いでな?」

 

「あ〜…オグリか。なるほどなぁ。せや!このお好み焼き食うか?」

 

「ふむ。頂こう。」

 

「どや?美味いやろ?」

 

「せやな。」

 

「お前ら…何を話しているのか?」

 

「相変わらず、関西弁わからんねんな〜。ウチが教えてあげたるわ!」

 

「お…おう?頼むタマ。」

 

なんかお好み焼きを食べていると目の前でタマトレに関西弁を教えるタマモクロスが居る。あの方から来たグラスは不思議そうに薙刀を分解してカバンの中に入れた。

 

「ええか?まず、なんちゃらや!って言うのが関西弁の基礎やで!もちろん、〜〜やで!とかも使うからな!」

 

「なるほど…?」

 

「ふむふむ。せやな。」

 

「せやろ。トレーナーが理解するまでウチはトレーナーに教え続けるで!」

 

タマモクロスは俺らに目もくれずにタマトレに関西弁を教え続ける。タマトレはどんどん顔を青くしてフラフラしだした。まあ、関西弁は難しいのだろう。最初の砂浜に戻ってくると坂本が「うぉぉぉぉぉぉ!」と木を摩擦で火を付けようとしていた。

 

「まだしてたんだな。」

 

「戻ったのかトレーナー君。」

 

「どうだ?様子は?」

 

「ふむ、煙は出ているらしいがなかなか火種が出来てないようだ」

 

「ふーん。グラス。」

 

「はい?どうされました?」

 

「薙刀2本。」

 

「わかりました〜♪」

 

グラスはカバンの中から折りたたみ式の薙刀を用意する。そして、2本を組み立てくれた。

 

「グラスが1本。俺が1本使う。ハヤヒデ、枯れ草を近くに置いてから離れておいて。坂本!これが簡単な火の付け方だ!」

 

「いきますよトレーナーさん。」

 

「いくぞ!せーの!」

 

俺とグラスはタイミングを合わせて薙刀と薙刀をぶつける。そして、ぶつけた際に出た火花を枯れ草に付いた。枯れ草は燃えだし、今日の焚き火ができた。

 

「え?えっと…えっ?」

 

「練習しといてよかったなグラス!」

 

「そうですね〜♪」

 

「さすがだねトレーナー君。」

 

「やっぱりこいつおかしいよ…。松風とは違うやばさがあるような?」

 

「気の所為じゃねぇか?さてと、ご飯作ろっと…ん?」

 

「なにか聞こえますね。どうしますか?トレーナーさん。」

 

「そうだな…。坂本なにか聞こえるか?」

 

「いや、何も聞こえないが…。」

 

坂本達は聞こえてないようだが、確かに「カラカラ」と聞こえた。その後タマモクロスの声で「ウチは…ウチは絶対やらんからなぁぁぁぁぁ!ああああああああぁぁぁ!」と叫び声が聞こえた。その叫び声を聞いた坂本は「ああ…奴だ…奴がいる。」と震えながら影に座り込む。俺らはのんびり火を見ながら話す。

 

「奴だねぇ。」

 

「あの方ですねぇー」

 

「まあ、分かってはいたがやはり来ていたな。」

 

「さて、俺らは巻き込まれたくないし帰るか。」

 

「ですね。」

 

「薙刀でいいですか?」

 

「そうだな…うん。じゃあ薙刀用意しといて。」

 

「さっきのを分解してないので使えますよ〜♪」

 

「なら、海に向かって…。」

 

「トレーナー君、あれをするのなら剣の方がいいんじゃないかな?」

 

「剣なんて…ないぞ?」

 

「トレーナーさん。一応持ってきたんですが…。」

 

「よし。構えるぞ。」

 

俺はグラスから渡された剣を構えた。グラスとハヤヒデは後ろに離れていった。

 

「俺…魔術わかんないんだけどなぁ…。『束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流!受けるがいい!約束された勝利の剣《エクス〇リバー》!』」

 

剣を振り下ろすとビームが出て海を割る。見た目はモーセの奴だが、やっていることは全然違うのだが。

 

「よし。行くか。」

 

俺らは海底を歩いて本州まで帰る。そして、電車に乗ってトレセンに戻ってきた。戻ってきて思ったが無人島よりもトレセンで過ごした方が全然楽だった。

 

「休んでいくか?お二人さん。」

 

「そうですね…。トレーナーさんの方が疲れているんじゃないですか?」

 

「あ〜…あれか。なんとかなるでs…。」

 

俺はその時気を失った。グラスとハヤヒデは急いで俺の身体を抱き抱えてベットに入れる。

◇◇◇◇◇◇

「困りましたねぇ〜。」

 

「大丈夫だと思うんだがね。」

 

トレーナーさんは倒れてしまって、あまり話さないハヤヒデ先輩と2人っきりでトレーナーさんの部屋。私はとりあえず、お茶を飲む。

 

「ワンダー君。」

 

「どうされました?」

 

「もう走らないんだよね?君は。」

 

「そうですね〜…。私が走る意味はもうないと思うんですよね。」

 

「トレーナー君のために走っていたのかい?」

 

「いえ、最初はトレーナーさんのためではなく…ウマ娘の頂点を目指していたんですよ。そうですね…変わったのはスペちゃんと走った有馬記念からだと思います。」

 

「ふむ。しかし、その時はどう思うようになったんだ?」

 

「そうですね…。」

 

その時どう思っていたのは難しいですね。これって言う説明ができない。

 

「難しい話をしてしまったかな?」

 

「いえ、そうですね。説明しずらいって感じですが…スペちゃんと走ってわかったんです。私、トレーナーさんがいないと何も出来ないって。だから、大事な人なんだと思ったんですよ。だから、私はトレーナーさんを手に入れようと思ったんですよ。」

 

「そう言うことなんだな。私は恋愛が分からないんだ。まあ、私がトレーナー君の隣に立つことは無いようだ。」

 

「そうですね。しかし、未来的にどうなるか分かりませんよ?」

 

「君とトレーナーくんを見ているとわかるよ。君たちは今幸せそうだ。」

 

「幸せですよ。本当に未来がどうなるか分かりませんからね?」

 

ハヤヒデ先輩は少し落ち込んでいるように見える。しかし、憲法にも「トレーナーと担当ウマ娘が結婚した場合でも、別の担当ウマ娘との重婚は認められない」と書かれている。とても残念のような気がする。

 

「ワンダーくん…?何を考えているんだ?」

 

「いえ、なんでもありません。」

 

「ふっ。そうか。君、今眉間に凄い皺を作っていたから何かを考えていたと思ったんだがね。」

 

「私でも、悩み事はしますよ?」

 

「トレーナーくんのことかな?」

 

「違いますよ。毎日毎日トレーナーさんのこと考えてると思ってませんか?」

 

「実際思っているよ。」

 

「そうですけどね?」

 

「そうだろうね。」

 

少しからかわれた気がする。私は時計を見て「あっお昼時ですね。」とつぶやく。ハヤヒデ先輩も「そうだな。昼時か。」と返事をする。そして、会話がなくなる。私は何を話せばいいのだろうか。

 

「そういえば、知っているかい?」

 

「何をですか?」

 

「最近トレセンの近所で行われた「ウマ娘子供杯」を。」

 

そんなものをはトレセンに居れば情報が入ってくるはずなのに、一切私はそれを知らない件について。その前になんですか?そのネーミング‪✕‬のレース名は…。

 

「いえ、知りません。」

 

「そうか。そこでだな。キタサンくんが出たらしい。」

 

「珍しいですね。あの子優しそうですから、そんなレースに出ないものだと。」

 

「最近、おかしいそうだ。ダイヤくんとは仲がいいがなんかギスギスしてる感じがあるそうだが…。まあ、喧嘩でもしたのだろう。」

 

「ところで、どうしてハヤヒデ先輩はそんなこと知っているんですか?」

 

「どうしてって…このレースはトレセン生徒会主催だからな。ブライアンから聞いたんだが…。他の生徒は知らなくて当然だ。」

 

なるほど。そう言うことだったのか。生徒会主催ならば知っているウマ娘も一部だけと言うかことか。しかし、どうしてキタサンさんとダイヤさんがギスギスしているんだろうか。まあ、2人が入学するのはもうちょっと先になるはずだ。あれ?待って?今何月でしたっけ?

 

「今は12月だ。それにあの二人が入学するのはもうすぐだぞ。」

 

「あれ?私今声に出してました? 」

 

「そんなことを考えてそうな顔をしていたから答えたまでだよ。」

 

「そうですか。そういえば4月入学でしたか…。」

 

「そうだな。んで、そのレースには色んなトレーナーが見に来ていたそうだが、やはりキタサンくんは人気だったようだよ。」

 

「ふむ…。キタサンさんは何を考えているんですかね?」

 

「トレーナー君を呼ぶことを意識しているのか…それとも走りたいのか…分からないな。」

 

「そうですね…。」

 

そうだ。困ってる人を助けたいのが「キタサンブラック」と言う子。レースに負けて泣いている子を横目に見ていたのだから、いつもの「キタサンブラック」では無いことがよくわかった。何を考えているのだろう。

 

「とりあえずだ。2人はもうすぐ私たちの後輩になるのだから、気構えておいた方がいいと思うぞ。」

 

「それもそうですね。とりあえず、お昼にしましょうか。」

 

そう、私が言うとハヤヒデ先輩は「トレーナー君の冷蔵庫にバナナが入っているはずだ。私はそれで構わない。」と言ってトレーナーさんの冷蔵庫を開けた。本当にバナナが置かれており、それを机の上に置く。私は簡単なお昼ご飯を作り、机に置く。一応、トレーナーさんの分も作っておいたが起きる気配がないのでハヤヒデ先輩と2人でお昼を食べる。何も会話なく、お昼を食べ終わる。そして、ハヤヒデ先輩は「タキオン君に呼ばれているのを忘れていたよ。じゃあ、トレーナーくんのことを任せたよ。」と言ってトレーナー寮を出ていった。1人でトレーナーさんの部屋に座り込む私。一瞬でも気を抜くと「私は何をしているんだろう」と思ってしまう。とりあえず、目を閉じて瞑想でもしようか。

 

〜無人島〜

「ちょっと待てや!クリーク!ウチは絶対にせへんからな!話聞いとんのか!」

 

「暴れないでくださいねータマちゃん。」

 

「アカン…こいつ話聞かん…。」

 

「頑張ってくれタマ。」

 

「お前はウチを見てるだけか!」

 

「タマならできるはずだ。」

 

「オグリ!そう言って巻き込まれたくないだけやろ!トレーナー!助けてな!」

 

「うん?ああ、お好み焼き美味いぞー。」

 

「何してんねん!」

 

俺こと坂本桜花は奴ら(今葉)においていかれたため、クリークのトレーナーとタマモのトレーナーで話し合いをしていた。担当達は仲が良さそうで何よりだ。

 

「待て待て!ウチが楽しそうに見えるか!?」

 

「などと申しております。同志タマモトレーナー。」

 

「うむ。ばぶばぶの刑だな。」

 

「ちょ待てや!トレーナー!」

 

「はーい大人しくしましょうね〜。」

 

「嫌や…!こんなところでウチは…倫理観を失う訳には…アカンねん!」

 

「それで完成です!」

 

「やられた…。」

 

クリークの早業でタマモは服装を私服から幼稚園児の服装に変えられた。その前になんでそれを持っているのか小一時間問いたい。

 

「持っていくって聞かなかった。」

 

「こうなるのなら、俺ら参加したくなかった。」

 

各トレーナーは話し合い最終的には非バブバブ三原則を用意した。

 

「じゃあ、最年長のタマモトレーナーお願いします。」

 

「じゃあ、坂本のお願いなので俺から。1つ!『遠征時幼稚園児の服装を持ってこない。』」

 

「次にクリークトレーナー。」

 

「2つ!『クリークか参加する時はタマモを連れていない。』」

 

「3つ!『理事長に相談しない。』」

 

「これで非バブバブ三原則をここに刻む。俺らは同盟であり、良きトレーナー仲間だ。坂本、クリークトレーナー。何があろうと俺はお前らを裏切らない。ってことでみんな帰るためにどうする?」

 

「ふむ。エク〇カリバーするべきか?」

 

「待て待て坂本。それは違うだろ。」

 

ここは圏外であり、帰る方法がない。そんなことを考えていると、近くに船が通りかかった。俺らはその船に手を振ると、船がこちらに近づいてきた。

 

「やっと帰れるんだな。」

 

「帰りましょう…トレセンに!」

 

「理事長…のせいで…。」

 

どんどん近づいてくる船を見るとなんか見た事のある人物が操艦していた。

 

「やぁ!こんなところで会うなんて奇遇だね!坂本!それとも私を探していたのかな?」

 

「えっ…。」

 

「なーに。私たち同期だからね。問題ないよ?私はちょっと船で世界一周をしに向かってたんだけどね。」

 

「…えっと?バカ?」

 

「よし。君ら乗りまたえ!この船は空を飛べるからトレセンまですぐだよ!」

 

「その改造はどこ印ですか?」

 

「タキオン印さ!さぁ、乗ったかい!行くよ!」

 

俺ら各トレーナーは日記にこう書き残した。

 

『もう二度と、松風の船には乗らない。』

 

〜トレセン〜(今葉視点)

「!!!( ゚д゚)ハッ!!!!」

 

意味もなく目が開く。どうやら、寝すぎたようだ。2人は帰ったのか?と思い上半身を起き上がらせるとベッドに伏せるように眠っているグラスがいた。

 

「ンンンンンン?なんでェ?今何時?」

 

時計の針は20時を指している。もう夜らしい。いや、待てよ…?

 

「待て待て!今思ったら寮の門限過ぎてるやん!どうしよ!携帯携帯!」

 

携帯を見ると何も連絡が無い。とりあえずたづなさんに連絡を取る。

 

『もしもし?どうされましたか?今葉トレーナー』

 

「あのすみません!グラスが寮に戻ってなくて!理事長のあれで連れていかれたんですが!」

 

『大丈夫ですよ。その件なら問題ありません。グラスさんの門限ですが…もうありませんよ?』

 

「どうしてですか?」

 

『実は理事長との会議でグラスさんは婚約をしているので大体は今葉トレーナーの部屋に居るだろうとなりまして…それでもう必要ないのでは?と生徒会に話してみると《それもそうだな。》となり、なくなりました。』

 

話が飛躍してるぅぅぅぅ!?どうやったらそう言う考えに行き着くのか教えて欲しい!逆にどうなったらそうなるの!?俺はじたばたするとグラスが起きた。

 

「おはようございますトレーナーさん…いや、今はこんばんはですね。」

 

「う、うん。グラスさん帰らなくていいんですか?」

 

「そうですね…門限が無くなったのですけど…戻った方がいいのなら戻りますよ?」

 

「戻りたくないのならここに居たらいい。」

 

「ありがとうございます♪」

 

その場の勢いで言ってしまったことを自分で後悔する。なぜそんなことを言ってしまったのだろうと。しかし、ここは男として1度言ってしまったことを訂正することは出来ない。

 

「トレーナーさん…お腹は空きましたか?」

 

「あ〜…そうだな。なにかあるのなら欲しいな。」

 

「お昼に作ったもので良ければありますよ?」

 

「お昼ここで食べたのか…。ってことはバナナは…。」

 

「はい♪ハヤヒデ先輩が食べてましたよ?」

 

「だろうな…。まあ、いいんだが…。」

 

「じゃあ、温めてきますね。」

 

「ありがとう。」

 

グラスは立ち上がり、キッチンへ消えていく。俺は寝室で1人ポツンと天井を見上げる。

 

「見慣れた天井だ。」

 

某ロボットアニメの言葉を独り言で言う。そして、携帯を見ると坂本からの連絡があった。

 

『よくも置いていってくれたな。結果的に帰ってきたのはいいがもう二度と松風の船には乗らん。』

 

と書いてあり、俺にはさっぱりわからなかった。なぜ、松風が出てくるのかもわからなかった。する時電子レンジの「チンッ!」と言うとこが部屋内に響く。どうやら温め終わったらしく、グラスは小走りで色々用意をしていた。

 

「お待たせしましたトレーナーさん♪」

 

「簡単なもので良かったんだが…?」

 

「すみません。久しぶりのトレーナーさんの部屋でしたので少し…気合いを入れすぎました。」

 

「まあ、美味しそうだからいいんだけどな?」

 

「あらあら〜トレーナーさんはお口がお上手ですね〜♪」

 

「嘘じゃないからな。」

 

グラスに見つめられながらグラスが作ったご飯を食べる。これがまたちゃんと作られていた。

 

「いや、うめぇ。」

 

「簡単ですからね?」

 

「いやいや、これで簡単なら手の込んだものはどうなるんだよ。」

 

「ええっと…。お重箱に入って出てきますね。」

 

「すげぇ。」

 

「嘘ですよトレーナーさん。」

 

「さすがにな。」

 

そんなこんなを話していると俺の携帯が鳴る。せっかくのグラスとの時間なのだが、その電話相手を見て直ぐに出た。

 

「はい?どうされました坂本さん?」

 

『どうもこうもない!有馬までもうすぐなんだからもうちょっとは助けようと…』

 

「あ〜。その前にさ?」

 

『なんだ?』

 

「おかえりwww」

 

『バカにしてんのか。』

 

「してないしてない。とりあえず、俺が作ったメニュー表を見て考えてみたらどうだ?」

 

『うーん。まあ、そうなるよな。』

 

「そうしかない。」

 

『なら、明日俺のトレーナー室で。』

 

「へいへい。」

 

電話は坂本が切り、通話が終わる。そして、グラスの方を見てグッドポーズを取る。グラスはちょっと悩んだ後に俺の方を見て笑う。俺はグラスが作った料理を食べ終わり、グラスはその食器を持って台所に歩いていった。そして、書類の山の中に入っているある書類を取り出す。

 

『ファン感謝祭のお知らせ』

 

至って普通のファン感謝祭のお知らせの書類だ。生徒たちにも配られて、日頃の感謝をファン達に伝えるのがこのファン感謝祭だが、最後の1行がおかしい。

 

『伴い、ファン感謝祭の最後にはトレーナー達もファン達に感謝を伝えるためにトレーナーダービーを開催することをお伝えします。詳しいことは後にお伝えしますので、ご参加のトレーナー様はお待ちください。』

 

どう考えても俺らが走っても意味が無い気がするのは気のせいだろうか?グラスもこのことは知っており、すごいこの話をするのは嫌な事だ。しかし、どう思っているのかは聞かないといけないことだ。

 

「はぁ…。どうしたもんか。」

 

「トレーナーさん?どうしましたか?ため息なんか吐いて。」

 

「あぁ…これだよ。」

 

「あらあら。これはトレーナーダービーのことですね。スペちゃんやエルが楽しみにしてましたよ?」

 

「グラスはどう思ってんだ?」

 

「私ですか?そうですね…。」

 

グラスが答えようとしたその瞬間に俺の携帯が鳴る。俺は電話の音でグラスが何を言ったのかわからなかった。とりあえず、電話に出てる。

 

「はい?」

 

『私だ。』

 

「はい?松風さん?」

 

『私だ。』

 

「なるほど。私私詐欺。電話切ろ。」

 

『待ってくれたまえ!私だよ!アグネスタキオンさ!』

 

「なんでタキオンが俺の電話番号知ってるのかを小一時間問いたいが…まあ、いい。なんですか?」

 

『世間話をだね。』

 

「はい。切る。」

 

『それは残念だね。それともイチャラブタイムかな?』

 

「違う。そんなこと言うのやめてくれ。」

 

『そうなのかい?君のことだからそう言えば喜んで答えてくれると思ったのだけどね。』

 

「んなわけないだろ。要件は?」

 

『なーに。私は君に聞きたい。私のモルモットくんを知らないかい?』

 

「松風なら、坂本と一緒に帰ってきたんじゃ?」

 

『そうだったんだがね?トレーナー室を見ても居なかったのさ。』

 

「なら、部屋に戻ってるんじゃないか?」

 

『と思うんだがねぇ。ほら、今行くとかなりめんどくさいと思わないかい?』

 

「まあ…門限も過ぎてるし…うん。出れないよね。」

 

『そうなんだよねぇ。電話にも出ないかもしれないからねぇ〜。どーするべきか。』

 

タキオンと俺が話していると、グラスが入ってくる。

 

「それでしたら、隠れて抜け出せばいいのでは?」

 

『なるほど!その方法があったね!今すぐデジタル君に伝えてみよう!』

 

タキオンはグラスの提案を受け入れ電話を切る。グラスは「いいことしました〜♪」と頬に手を当てて笑っている。そして、その日はもう眠った。

翌日、俺は坂本のトレーナー室にまた来ている。

 

「おはよう坂本。」

 

「待ってたぞ今葉。」

 

「要件は?」

 

「ああ。昨日戻ってきた俺らは新たなトレーニング方法を思いついた。それは砂浜ダッシュだ!」

 

「うん。普通にするな。」

 

「その通りだ。だが、砂浜でレースをする。」

 

「ダートか。俺らの中にダートが得意のやつ居ないぞ?」

 

「大丈夫だ。オグリ1人でタイムを測る。」

 

「そうか。なら、俺はどうすればいい?」

 

「いや?報告だけだが? 」

 

「ん?」

 

「だから報告だけだが? 」

 

「ええ....(困惑)」

 

「そうなるだろう。そうだな。」

 

「なら、俺はそろそろ自分のトレーナー室に戻ろうかね。」

 

俺は坂本のトレーナー室から出て、廊下に出てきた。廊下にはマンハッタンカフェが立っていた。

 

「あ…。お疲れ様です。」

 

「カフェか。どうした?」

 

「いえ、明日はレースなのでそろそろトレーナーさんを見に行くつもりなんですが…。」

 

「そうか。中にいるからな。」

 

マンハッタンカフェは俺と話してから坂本のトレーナー室に入っていった。俺は自分のトレーナー室に戻るために廊下を歩く。トレーニング場はウマ娘とトレーナーの声が聞こえてくる。校舎からトレーニング場を見るとタマモクロスとスーパークリークがトレーニングしていた。

 

「ふむ。なかなか面白いな。」

 

「そうだねぇー。私もああやってトレーニングをさせたいもんだよ。」

 

「なら、ちゃんとやってくれないか?松風。」

 

「そう言われても、ちゃんとしてくれないんだよねぇ。」

 

「ちゃんとしない、トレーナーだもんな。」

 

「酷い言われようだよほんと。」

 

「そういえばもうすぐ年末だね。何か考えたかい?」

 

「何を考えろと?」

 

「帰省だよ帰省。私は帰省しないけど。」

 

「俺もそろそろ帰らないとなぁ。」

 

「君も大変だね。グラス君も帰るんだろ?」

 

「まあ、そうなるな。」

 

「なら、早く用意しておかないとね。」

 

「そうだな。そういえば、タキオンが心配してたぞ。」

 

「ああ、昨日はすまないね。タキオンやライスに報告するのを忘れていたよ。」

 

「タキオンが連絡してきたぞ?」

 

「君…どうしてタキオンが君の電話番号を知っているんだい?」

 

「お前の携帯のデータでも見たんじゃないか?」

 

「ふぅん。それは有り得そうだね。」

 

「ちゃんとデータは扱ってくれ。んじゃ、自分のトレーナー室に戻るわ。」

 

「明日、君はどうするんだい?」

 

「明日なぁ。待機でいいかな。わざわざ、中山まで行くのもなぁ。」

 

「でも、君が来たら中山は盛り上がると思うけど?」

 

「仕方ない。行くか。」

 

「盛り上がるからって行くんだね。」

 

「まあ、いいじゃねぇか。なら、用意しに行くか。」

 

俺は松風と離れ、自分のトレーナー室に入った。中にはグラスとハヤヒデが話していた。

 

「トレーナーさんって明日行くんですかね?」

 

「行く意味が無いが同期の力を見るためには行くのかもしれないな。」

 

「(おっと…結果的に行かないといけないやつじゃないですか…。)」

 

2人は俺に気づき、グラスが「明日どうするんですか?」と俺に話しかける。

 

「えっと…行きます。はい。」

 

「用意してきますね!」

 

「あっはい。ハヤヒデは?」

 

「ハヤヒデ先輩はもう出ていきましたよ?」

 

「はやーい…。」

 

「私も寮に戻りますね。」

 

「ああ。用意しといてくれ」

 

俺らは明日のために早めにトレセンから出て、中山競馬場に行く用意をする。

翌日、昼から中山競馬場に来た。年末の競馬場に人が集まる。俺とグラス、ハヤヒデは観客席でコースを見る。

 

「今日はオグリのリベンジ戦だからか、人が多いな。」

 

「URAですね。1年ぶりのリベンジですから…今回クリークさん来ているんですよね?」

 

「そうだ。今日のレースはオグリくんの復活を意味する。私もつい楽しみにしてしまっていたよ。」

 

「確かに同期の担当のレースだからな。」

 

俺らはそれを話していると周りにグラスとハヤヒデのファンが取り囲んでいた。

 

〜控え室〜

「トレーナー。いい気分だ。」

 

「それは良かったオグリ。落ち着いて勝ってきてくれ。」

 

「もちろんだ。トレーナーに勝利をプレゼントするから待っててくれ。」

 

オグリはそう言って、控え室を出ていった。数分後にタマモクロスが中に入ってくる。

 

「なんや?もうあいつ行ったんか?」

 

「行ったぞ。どうした?」

 

「いや、レース前に話したかったんやけど…まあ、ええわ。」

 

タマモクロスは「うちは負けへんからなオグリのトレーナー。」と言ってオグリの控え室から出ていった。俺も観客席に向かう。

 

〜本バ場〜

「おっすオグリ。」

 

「ああ、タマか。あの時のリベンジをさせてもらうからな。」

 

「オグリちゃんにタマちゃん私のことを忘れないでくださいね〜。」

 

「そういえばクリークも居るんやったな。ここでうちが勝ってもう二度とあの服着やんからな!ええな!」

 

「なら、私はタマちゃんの心を折るまでですからね。」

 

「待て待て、そんなことで本気出すことはないやろ!うちの事なんやと思ってるんや!」

 

「?タマちゃんはタマちゃんですよ?」

 

「当たり前やろ!」

 

「クリーク今日はよろしく頼む。」

 

「オグリちゃん、前回は負けましたけど今回は勝ちますからね。」

 

「ああ、私はクリークとタマに勝つからな。」

 

「やれるもんやらやってみ!うちはそう簡単に負けると思ってたら痛い目見るからな!」

 

こうして、話しながら3人はゲートインしていく。

 

『オグリキャップは前回のURAでタマモクロスに惜しくもクビ差で負けてしまいましたが、ここでリベンジをするのでしょうか?』

 

『昨年のレースと同じウマ娘が参加しています。しかし、彼女達も成長しているでしょう。特にスーパークリークは色んなレースに参戦し、勝ち続けていますから期待が大ですね。』

 

〜実況〜

実『年末の中山で争われる夢のグランプリ有馬記念!あなたの夢私の夢は叶うのか!このレース最も人気を集めているのは一昨年の菊花賞ウマ娘スーパークリーク。1番人気です。2番人気は有馬記念連覇中のオグリキャップ。満を持して3連覇に挑みます。3番人気はURAチャンピオンタマモクロス。実力は他には引けを取りません。』

解『私が1番期待しているウマ娘達ですね。気合入れて欲しいですね。』

実『各ウマ娘ゲートイン完了。出走の準備が整いました。スタートです。各ウマ娘綺麗なスタートを切りました!』

解『これは位置取りが熾烈になりそうです。』

実『先行争いは14番12番4番。期待通りの結果を出せるか?1番人気スーパークリーク!第4コーナーカーブ14番快調に飛ばしていきます。先頭集団を見ていきましょう。長丁場のこのレースですが14番早くも先頭に躍り出た。4番追走。4番14番2人の競り合いが続いています。』

解『いいライバル関係になりそうですね。』

実『まず1周目、正面スタンド前に入った。前からは大きく開きました。隊列は縦長になってます。』

解『仕掛けどころが難しいリースになりそうですね。』

実『現在1番手は4番。続いて14番。少し後ろから8番。それを見るように12番。ここまで先頭集団。先頭は依然4番。2バ身リード!第1コーナー回って第2コーナー。4番まだリードをキープしています。続きました12番。14番並びかけてきた。その後からは8番。1バ身離れてオグリキャップ。スーパークリークここにいます。その内を並んで3番。』

 

〜本バ場〜

「(クリークが後ろにピッタリ付いてくる…。)」

 

「(オグリちゃんの後ろに付いて、最後の直線の前で一気に抜く!)」

 

〜実況〜

実『少し離れて7番。その外並んで16番。内で10番。その後ろ2番。2バ身3バ身開いて13番。あとは11番。1バ身離れて9番。15番並んでくる。最後方タマモクロス。2コーナー回って向正面先頭は依然として4番。1バ身差14番。1バ身離れて12番。1000mを通過。1バ身離れて8番。オグリキャップ5番手。少し後ろから7番。3番続いている。外から16番。1バ身差スーパークリーク。2バ身3バ身開いて10番。2番並びかけてきた。2バ身差13番。外めを突いてタマモクロス。1バ身離れて11番。後方2番手に9番。15番最後方だ。第4コーナーを進んで直線へ向かう!』

解『ウマ娘達がどう動くのか目が離せません!』

実『まだ差がある。ここから先頭を捉える娘は出てくるのか!中山の直線は短いぞ!後ろの娘達は間に合うか?さぁ、いよいよ直線だ。どのタイミングで誰が仕掛けるのか!?』

 

〜本バ場〜

「オグリ!うちはお前に負けれへんねん!」

 

「タマ!それは私もだ!」

 

「2人とも私を忘れないでください!」

 

「うちが」「私が」「いえ、私が!」

 

「「「1番や」だ」です!」

 

〜実況〜

実『オグリキャップ!速い速い!タマモクロスも負けじとオグリキャップに追いつく。スーパークリークもタマモクロスの後ろから2人に近づく。この3人の勝負が続く。200を通過。先頭は少し頭出ているオグリキャップ!オグリキャップ!リベンジ達成なるか!2番手争いはタマモクロス、スーパークリーク。』

実『オグリ1着!オグリ1着!見事ファンの大声援に応えました!スーパーウマ娘!オグリキャップです!』

〜実況終わり〜

中山競馬場は大歓声だった。あのURAで負けたオグリキャップが完全復活を意味するレースだったからだ。ファンたちは大歓声を上げ、ある者は涙を流してオグリのウィニングランを見守った。

 

〜本バ場〜

 

「はぁ…はぁ…やったぞトレーナー!」

 

「はぁぁぁ…また負けてもーたわ。」

 

「いい勝負してたんですけどね。それにタマちゃんに負けてしまいました。」

 

「これであの服着ひんからな!」

 

「そんなー…。」

 

「2人とも。」

 

「なんや?」「どうしました?」

 

「楽しかったぞ。」

 

「ふん。それはうちもやで。オグリ!次は負けへんからな!」

 

「私もタマちゃんと同じ意見ですね。」

 

「次のレースでも負けないからな。」

 

「それはうちのセリフや。オグリ。」

 

中山競馬場は今日1日大歓声が消えることは無かったらしい。




やる気がマリアナ海溝に沈んで行った綾凪九尾です。
まず沈んだ理由として疲れました。はい。
仕事、教習所、仕事としんどいんです。だからこうしてのんびり出していくことになったんですが、この青き炎の終わらせる目標月が再来月なんです。もう無理です。マジ無理ぃ、連続投稿しよう。となって欲しかったのにあと1年分ぐらいの話が残ってます。HAHAHAクソッタレ。
なるべく早い投稿を心がけてここで後書き終わり
待ってた皆さん遅れてしまって申し訳ないどす。
タマモの関西弁が上手いのは私が関西人だからです。
それでは、see you♪


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バレンタイン(第18レース)

前回までの横に寄り添う青き炎!
やっと有馬記念が終わって、時間が元に戻る。
正月でもなく、バレンタインから始まるのはおかしい?いやおかしくない!


「困ってしまいました…。」

 

「困っちゃった…。」

 

「困ったなこれは…。」

 

ここはトレーナー寮の今葉の部屋。何故か、グラス、ハヤヒデにライスまでこの部屋にいる。どうやら、もうすぐバレンタインってことなのでバレンタインチョコを制作するために俺の部屋を借りに来たらしい。いや、まあ…一応そのうち作ろうと思ってお菓子の料理器具は買ってはあるが…まさか最初の使うのが担当と同期の担当だったとは…。

 

「いやぁ〜、いい光景だね〜。」

 

「お前はなんで俺の部屋に居るんだ。」

 

「なんか、タキオンに『君は今日バレンタインだぞ。私はチョコを作るからあっちに行っててくれたまえ。』って言われてしまってね。」

 

「何かの新薬の実験じゃねぇのか?」

 

「それはそれで面白そうだがね。」

 

「お前の頭はどうなってんだ。」

 

「それは私にも分からないね。」

 

2人で俺の部屋のテレビを見る。しかし、今日は何故か平日なのに休みの日。ニュースやヒル○ンデスなどしかやっていない。

 

「今葉、見てみなよ。今日はバレンタインだってさ。」

 

「そうだな。だから、3人がここに居るんだろ?」

 

「んー…まあ、そうなるね。」

 

「俺に申し訳ないとか思わないのか?お前は?」

 

「すまない今葉…てへペりんこ!」

 

「やめろ。お前がすると可愛くないんだから。」

 

「私の中でブームが来た気がする。」

 

「そう言って、1月から使ってるぞ。」

 

「あれ?私の中で結構長くブーム来てるんだね。」

 

そう話していると、台所3人組が帰ってきた。

 

「あら?てへぺりんこですか?トレーナーさん。」

 

「ぎゃぁぁぁ!伝染したぁぁぁぁぁ!やめろぉぉぉぉ!」

 

俺は松風が言った「てへぺりんこ」がグラスに伝染したことに対して叫ぶ。その後、ハヤヒデが話し出す。

 

「別にいいも思うんだがね?てへぺりんこぐらい。」

 

「また伝染したぁぁぁぁぁ!やめろぉぉぉぉ!」

 

「てへぺりんこだよね!お姉様!」

 

「もうダメだ…。死ぬ…俺が死ぬ…。」

 

「死んじゃうの?」

 

松風が俺の言った言葉に反応する。俺は松風と話す。

 

「死ぬ。」

 

「どうやって?」

 

「頭の血管が破裂してくも膜下出血で。」

 

「おいおい、マジかよ。」

 

「マジ。」

 

「今葉が言うのなら、マジだね…。」

 

「ああ。」

 

「わかったよ。」

 

「え?わかってくれたのか…?」

 

「あまり言わないようにする。」

 

「今更ぁーーー!そんな約束はとうに破られているーーー!!二度と言うなぁーーー!!」

 

「え?二度と?1ヶ月前から私の中で来てるんだよ?」

 

「わかってるのなら言うなぁーーー!」

 

「わかってて言ってるからね。君がさっき教えてくれたからだけど。でも、案外ハマってるんだね。」

 

「そうだよ。ずぶずぶにハマっちゃってるよ!?」

 

「そうかー、どうすっかなー。とりあえず次言ったらさ…。問答無用にぶっちゅーしてもいいよ。」

 

「うーわぁ…」

 

「引かないでくれるかい?」

 

「だって引いたもんだから…。」

 

「君は相変わらずそう奴だね。」

 

松風は「やれやれ」と言う感じに、テレビをまた見始めた。そして、担当たちが休憩のためにリビングに入ってくる。チョコは一旦冷蔵庫で冷やすらしい。

 

「なぁ、グラス。」

 

「どうされました?トレーナーさん。」

 

「なんで、俺の部屋で作ってんだ?」

 

「それは…寮の台所が使えなかったからです…。いつもなら使うのですが…今年は無理でして…。」

 

「使う人が増えたと?」

 

「言えばそうなりますね。」

 

「なるほどなぁ。」

 

俺はグラスの説明に納得し、またテレビを見始める。特にやることの無い日でもあるので、わざわざトレセンに行く意味もない。すると、家のチャイムが鳴る。俺はチャイムをちゃんと鳴らす人なんて知り合いにいないので、何かの宅配便かと思って開けると、そこにはサトノダイヤモンドとキタサンブラックが居た。

「あれ?ダイヤちゃんとキタサンじゃん。どうしたの?」

 

「ダイヤちゃん」「キタちゃん」

 

「「ハッピーバレンタイン!」」

 

「わざわざ渡しにきてくれたのかい。」

 

「ダイヤちゃんが渡そうって!」

 

「やめてよキタちゃん。」

 

「そうかそうか。ありがとうな2人とも。」

 

俺はサトノダイヤモンドとキタサンブラックの頭を撫でる。そしてサトノダイヤモンドが「少し中入っても大丈夫ですか?」と聞いてくるので、俺は「ちょっとまってて」と言い、グラス達に話を通した。

 

「私は良いですよ?」

 

「私も構わない。」

 

「私達も大丈夫だよ!ね?お姉様!」

 

「ん?ああ、私はなんでもいいからね。」

 

承諾を得られたので、サトノダイヤモンドとキタサンブラックを俺の部屋に入れた。

 

「お邪魔します!」「お邪魔します。」

 

「いらっしゃい。飲み物は…ココアでいいのかな?」

 

「あっはい!」

 

「キタサンも?」

 

「はい!ココア好きなんで!」

 

「んじゃ、作ってこようかな。松風失礼のないようにな?」

 

松風に釘を刺すと、テレビを見ながら俺に反論する。

 

「君は私のことをなんだと思ってるんだい?」

 

「人外。」

 

「んー…否定できないことを言わないでくれるかな?」

 

「じゃあ、グラスちょっと任せたよ。」

 

「はい♪」

 

俺は来客者の2人をグラス達に任せて、台所に向かった。

〜グラス視点〜

「お2人はよくトレーナーさんの部屋がわかりましたね。」

 

「ダイヤちゃんが調べてくれて… 」

 

「やめてよキタちゃん。」

 

「あらあら、ダイヤさんはトレーナーさんのこと好きなんですか?」

 

「別に…そんなんじゃないです/////」

 

「ダメだぞワンダーくん。子供をからかっては。」

 

「すみません。でも、トレーナーさんは優しいですから好きになってしまうのも仕方ないですよ?」

 

私はそう言って顔を赤くしているサトノダイヤモンドの頭を撫でる。そして、キタサンブラックも頭撫でてほしそうにしていたので、私は両手で2人を撫でる。

 

「「えへへ。」」

 

「お2人はこれからライバルになりますけど、それ以上にいい経験をしますよ。」

 

「グラスさん…。」

 

キタサンブラックは心配そうに私を見る。私は優しい顔でキタサンブラックに話す。

 

「大丈夫です。私とスペちゃんがそうですから。本気でぶつかって…そして、次こそ勝つ!ってなるんです。」

 

「私とダイヤちゃんもそうなるのかな?」

 

「なりますよ。トレセンはそう言う場所ですので。」

 

キタサンブラックとサトノダイヤモンドは顔を見合わせてにっこりと笑う。そして、トレーナーさんが戻ってきた。

 

〜トレーナー視点〜

「グラス、いいことを言ったな。」

 

「えっ…聞こえてたんですか?」

 

「まあ、この戸しか壁ないしな。はい。2人ともココア。寒かっただろうし。」

 

「「ありがとうございます!」」

 

俺は2人にココアを渡す。そして、元々居た場所に座る。2人はココアを飲んで、笑っている。

 

「なぁ、今葉。」

 

「ん?なんだ?年中発情期野郎。」

 

「私は一体いつまでここに居ればいいと思う? 」

 

「それは俺に聞かれてもわからん。」

 

「自分のトレーナー室が使えなくなると大変になるもんだね。」

 

「いつものことだろ。つーか、お前仕事してねぇじゃん。」

 

「おや?私が仕事してないって思っているのかい?」

 

「それだろ?」

 

「否定はしないね。」

 

「頼むから否定してくれ…。」

 

松風は肘を机について相変わらず、テレビを見ながら話す。そして、ライスが松風と話し出した。俺はテレビを見ていると、東京で雪が降っていると言っていた。そのインタビューに知っている人が映っていた。

 

『お2人はどうゆうご関係で?』

 

『トレーナーと担当です。』

 

『お名前は?』

 

『ボクの名前はトウカイテイオーだよ!』

 

『トウカイテイオーってあのトウカイテイオーですか?』

 

『そうだよ!』

 

たまたま出掛けていた中山とトウカイテイオーがインタビューを受けていた。俺は入れていた緑茶を飲んでそのテレビを見る。トウカイテイオーはガンガンインタビューに受けて、中山は一切話さない。「そこは話せよ」ってところで話さない。何してんだこいつは…。

 

「何してるんだろうねこいつは。」

 

「なんだ松風見てたのか。」

 

「ライスがチョコの固まり具合を見に行ったからね。」

 

「ふーん。どんな感じなんだろうな。」

 

「ふふん。それならば私が教えてあげようか?トレーナーくん。」

 

松風と話していると、スマホを触っていたハヤヒデが話に入ってきた。そして、松風はハヤヒデに「教えて欲しい。」と言う。ハヤヒデは話し出した。

 

「まず、ライスくんのチョコだが…見事なものだった。ライスくんの見た目をしたチョコだったよ。」

 

「なるほどねぇ。じゃあ、君は?」

 

「ん?私か?そうだね…。バナナにチョコを掛けたものだが?」

 

「ハヤヒデらしい。」

 

俺はハヤヒデの作ったチョコを聞いた時にハヤヒデらしいと思いそう話す。そして、松風は「大本命グラスのは?」と聞く。ハヤヒデも「ふふふ。聞きたいかい?」と松風と顔を近づけて話す。そして、ハヤヒデはグラスのチョコについて話し出した。

 

「まず、ワンダーくんのチョコだが…。」

 

「ハートかい?」

 

「ふふ。その通りだ。ワンダーくんはすごくハートを作るのに困っていたな。」

 

「ハートなのか…あのグラスが…。」

 

「トレーナーくん。予想外だからってそんな顔をするのはやめた方がいい。」

 

俺はどんな顔をしていたんだ?ハヤヒデは引いている訳では無いが、怒られた。そして、ライスが戻ってきた。

 

「ハヤヒデさん。チョコいい感じだよ!」

 

「そうか。ワンダーくん。どうする?」

 

「そうですねぇ…。」

 

グラスは頬に人差し指を当てて考え出す。そして、何かを思いついたのか、俺らに聞こえないように小さい声で話し出す。

 

「何話してると思う?」

 

「何を話しているんだろうね。」

 

「俺はそろそろ、用意しなきゃな。」

 

「なにかするのかい?」

 

「多分どこかに出かけるんだろう。着替えるんだ。」

 

「ふーん。君らしいようならしくない様な。」

 

俺は奥の部屋に入り服を着替える。着替えが終わり、奥の部屋から出てくるとグラスは考えていることが伝わったのかと思っているのか笑っていた。

数時間後、俺は今ハヤヒデとグラスを連れて近くの山を登っている。なぜこうなったのか俺にも分からない。

 

「トレーナーくん大丈夫かな?」

 

「ああ。なぜ山を登っているのか俺は知りたいんだがな。」

 

「それは…今の時期星が綺麗だと思ったんだ。」

 

そういえば、松風とライスを俺の部屋に置いてきたが大丈夫だろうか?何か調べられてないだろうか?部屋は爆破されてないだろうか?と考えつつ、山を登る。そして、グラスとハヤヒデが同じ場所で待っていた。

 

「トレーナーさん」「トレーナーくん。」

 

「一緒に登りましょうか。」「一緒に登ろうか。」

 

「全く、人のことを考えねぇ担当たちだな。」

 

「トレーナーさん、私たちは引退してもこのままですよね?」

 

「そんなの今聞くことか?」

 

「もちろんです。大事なことですからね?」

 

「ああ。その通りだトレーナーくん。これは私たちには大事なことだよ。」

 

「あー…お前らな…。頂上に着いたら言うから。」

 

「約束ですよ?」

 

俺らは山を登る。そして、頂上が見え始めた。そして、頂上に着いてグラスは体を伸ばす。

 

「良いですね〜山の頂上は。」

 

「そうだな。しかしだがな?トレーナーくん。私の髪の毛の中に入るのは違うと思うのだが…?」

 

「いいじゃん。別に。」

 

「良くないから言っているんだが?」

 

「なら、出るか。」

 

俺はハヤヒデの髪の毛から出て、腕を擦りながらハヤヒデとグラスの間に入った。

 

「寒い。山の中は寒すぎる…。」

 

「さすがに寒いですね〜。」

 

「ワンダーくん…。なぜ、山を登ったんだ?」

 

「夜景が綺麗で、渡すにはちょうどかと思ったんですが…そういえばトレーナーさん寒いの苦手でしたね。」

 

「すまない。」

 

俺は申し訳そうにグラスに言う。グラスは焦って「大丈夫ですよ〜」と言ってくれた。3人で夜景を見ているとグラスはカバンをガサゴソと見ている。俺は不思議そうにそれを見ていると、グラスはラッピングされた物を出て渡してきた。

 

「トレーナーさん…こちらバレンタインです。」

 

「おや?私はここはお邪魔かな。そこのベンチに座っておくから、楽しんでくれ。」

 

ハヤヒデは何かを察し、俺らから離れてベンチに座りスマホを見る。俺とグラスはハヤヒデを見てから顔を見合せた。そして、2人で笑いバレンタインの受け渡しを続けた。

「本日はお部屋を貸してもらってありがとうございます。おかげさまでとてもいい物が出来ました♪」

 

「それは良かった。」

 

「トレーナーさん。これは義理じゃないですよ?」

 

「わかってるわかってる。本命じゃろ?」

 

「違います♪」

 

「え?どうゆうことだ?」

 

「大本命です♪」

 

「そう言うことか…。」

 

グラスはハートの形をした箱を渡してくれる。そして、中のチョコについて説明してくれる。

 

「トレーナーさん。今回のチョコですが…複数種類を作ってみました♪」

 

「助かる。本命を貰ったことがあんまりなかったから…ありがたい。嬉しい…。」

 

「あらあら…なら、いい思い出になりましたね?でも、私が今まで渡してたバレンタインも本命ですよ?」

 

「えっ!?そうなの!?」

 

「そうですよ〜。」

 

グラスは笑顔をそう言う。俺はこれまでのバレンタインを思い出す。確かに、毎年ハートの形をした箱だった気がする…。今考えると本当に本命だったのかもしれないと思ってしまう。そして、また「ごめんなさい」と謝罪をする。グラスは頬を膨らませて「その言葉を聞きたいんじゃないです。物を貰った時に言うことを言ってください!」と言う。俺は「ありがとうグラス。好きだよ。」と言う。グラスは俺の言葉に顔を赤くして「トレーナーさんずるいです。」と言って、そっぽを向く。そして、ハヤヒデが戻ってきた。

「もう大丈夫そうだね。」

 

「あっ、そういえば…トレーナーさん。先程の質問に答えてください。ほら、早く答えてください!」

 

「あのな!お前らが引退しても!俺はお前らを誇りに思う!どうゆう進路を向かおうと俺はお前らの背中を押すからな!」

 

「トレーナーさん。一言いいですか?」

 

「なんだ?」

 

「私の進路はトレーナーさんと結婚ですが…?」

 

「oh......ソウダッタネ。」

 

俺はどうも返すことも出来ず、片言になる。グラスは真剣に話す。ハヤヒデは笑顔で俺らを見る。そして、ハヤヒデは「みんなで写真でも取らないか?」と言う。俺とグラスはハヤヒデの方を見て頷いて、写真を撮った。

 

「ところでこんな時間ですが…お二人さん。寮に帰るんですか?」

 

「外泊届を。」

「出してあります♪」

 

「こいつらぁぁぁぁぁ!」

 

俺の叫び声がこだまする。

 

〜坂本トレーナー室〜

「トレーナー。」

 

「ん?」

 

「バレンタインだ。」

 

オグリはバレンタインのチョコを取り出すが、少し欠けている。多分「あれだろうな」と思い、気付かないふりをする。

 

「この欠けている所は私がつまみ食いをしたんだ。」

 

俺は「だろうな」と思ってしまった。しかし、オグリからのバレンタインは嬉しいものだ。受け取っておく。するとトレーナー室のドアが開いて、そこには何かが浮いていた。それはバレンタインのチョコであり、これはカフェのお友達さんが持ってきてくれたのだろう。手紙がついており、どうやらカフェの手作りでお友達が代わりに渡しに来たらしい。まあ、それはいい。お友達とオグリに「ありがとう」と伝えた。

 

〜渋谷(中山)〜

「ねぇ!トレーナー!」

「どうした?テイオー。」

 

「今日はバレンタインだよ!」

 

「そう言えばそうだったわね。」

 

「マルゼンスキーは用意してるの?」

 

「もちのろんよ。トレーナー君これね。」

 

「あっ、ありがとうマルゼンスキー。」

 

「いいのよ。お返しは期待しとくわね。」

 

「トレーナー!僕のも受け取って!」

 

「いいぞってぐはぁ!」

 

俺はテイオーの投げたバレンタインチョコを顔面に食らって飛んでいく。テイオーは「ふふん!」とドヤ顔をしている。マルゼンスキーは駆け寄り「トレーナー君大丈夫?」と言って心配してくれた。俺は「我が生涯に一遍の悔いなし」と言って気絶した。




どうもほんとお久しぶりです。綾凪九尾です。
2ヶ月ぶりぐらいですね。申し訳ありません。
ある小説に手を掛かってしまっていまして。
その小説が終われば、問題なく前みたいに出せるはずです。
今回のネタはヘブンバーンズレッドのネタを入れております。
まあ、その辺はいいです。
ハヤヒデのチョコは寮に戻ってから渡されたってことで話は終わりです。
あっ、松風の方は幻想薔薇園が頑張ってくれますよ。もう5ヶ月出してないのは知ってますけど。
(・д・)チッ出せよ。
次回は大阪杯かな?多分、予定を見てないので後で見てくるとします。
今回は長い間待ってもらってありがとうございます。
私はこうして元気です。大丈夫です。コロナにならず元気に仕事をしていますので問題なく生きております。
それでは次回を首を長くしてお待ちしてください。
それでは、お疲れ様でした。


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大阪杯(第19レース)

前回のあらすじ!
バレンタイン!久しぶりに書いた小説は話の内容を忘れていた。
何やってんだよ!作者!
「なんだよ…結構読んでくれるじゃねぇか…。」
作者ぁぁぁぁ!
はい。作者のがキボウノハナしたので読んでください。


バレンタインが終わり、月日は流れ…3月となった。ハヤヒデの天皇賞・春に向けてトレーニングをキツめにしていく。他の同期はと言うと…。

 

「ほら!走ってるんだよ!タキオン!」

 

「いーやーだーよー!モルモット君!」

 

「キメ顔で言うんじゃない!」

 

松風は…うん。いつも通りだった。次に坂本は天皇賞・春のためにマンハッタンカフェをトレーニングをする。

 

「トレーナーさん…。悪い子が憑いてますよ…。」

 

「ん?ああ、可愛いだろ?」

 

「肩とか…重くないですか?」

 

「いや…?松風に見せてみようか。」

 

坂本は松風を近づくも松風は坂本を見て真っ青になり、松風は「悪霊退散!」と言って坂本を殴った。坂本は大空に飛び上がり星になった。残されたマンハッタンカフェはため息を吐いて、トレーナー室に戻っていった。次に居るのは中山だった。

 

「綺麗に飛んだな坂本…。」

 

「トレーナーくんあれ大丈夫なの? 」

 

「大丈夫だ。なんせ、坂本だからな。」

 

話の聞こえる場所で同期達の話や行動を見ていると問題児が多すぎると感じてしまった。特に松風は過去にも問題を起こして謹慎にもなり続けている。特にトレセン内を最も騒がせたのがクリスマスだ。奴はクリスマスにサンタの姿をして、トレセン内に居る全員にプレゼントを送ったのだが…それが問題だった。

 

「トレーナーさん…。あのことは思い出さないでください…。」

 

「トレーナーくん…どうして私のクリスマスプレゼントがゼクシィだったんだ…?」

 

「もう…思い出すのはやめよう…。あいつは…罰を受けたんだ。麻袋でミノムシにされた上、ウマ娘全員にタイキックをされてから…たずなさんのマジの説教と鉄製ハエたたきで100回以上殴られてるんだ…。」

 

「それでも…私は許せません…。」

 

「グラス落ち着こう。そして、薙刀を直そう。」

 

「ふぅー…大丈夫です。精神統一します。」

 

グラスは目を閉じて、精神統一を始めた。そして、グラスの周りにある物が揺れ始めた。

 

「グラスさん!?ちょっと待って!」

 

グラスは俺の話を聞かずに精神統一を続ける。草が揺れ、風が強くなっていく。松風は「ふはははははは!いい風ではないかぁぁぁぁ!ふーははははは!」と大声で笑う。その場にいるトレーナーは松風を見てドン引きをし、今葉はグラスを気づかせるために動くがグラスは全然見てくれない。そして、ある人が近づいてきた。

 

「やっぱりグラスが犯人デスカ。」

 

「その声エルコンドルパサー院」

 

「今葉トレーナーさん。顔がすごい…濃いです…。」

 

「すまない、顔が変わってしまったようだ。」

 

「ところで大丈夫デスカ?」

 

「大丈夫じゃないです。助けてください。」

 

「任せてくだサイ!」

 

エルコンドルパサーがグラスに近づくもグラスは目を開けて薙刀をエルコンドルパサーに向ける。

 

「腹を切りなさい!エルコンドルパサー!」

 

「ケ!?どうしてそうなるなデェス!?」

 

「私のトレーナーを弄んでますね!」

 

「やったことないデスヨ!グラス落ち着くデェス!」

 

「問答無用です!」

 

グラスが薙刀を振り上げる。俺はポケットに忍ばせておいた折りたたみ式薙刀を取り出して組み立てたが間に合わなさそうだった。俺はエルコンドルパサーを守るために走るが間に合わなさそうだ。俺は自分の足が壊れてもいいと思いながら走るが本当に間に合わない。そして、グラスが薙刀を振り下ろすと人影がグラスとエルコンドルパサーの間に入り、グラスの薙刀を止めた。

 

「次の薬の副作用が鋼鉄化…かぁ。」

 

グラスが振り下ろした薙刀は折れ、松風は薙刀が当たった所を摩り、俺に向かって「私だってやる時はやるんだぞ?」と言って、去っていった。その後、グラスが正座をして反省をしていた。俺は今回の行動について説教をする。その間、ハヤヒデは近くにいた沖田トレーナーに任せており、グラスへ説教を続ける。陽も傾き、夕方になりつつあったが説教を続ける。

 

「グラス、なんでエルに薙刀を振り下ろした?」

 

「トレーナーさんは私のですよ?」

 

「そうだな。それが理由か?」

 

「問題ないと思いますけど?」

 

「グラス…何があった。」

 

「トレーナーさん最近構ってくれないからですよ?小説もアプリも入ってくれないじゃないですか。最近あるゲームしてるんですよね?」

 

「あの〜…グラスさん?メタいよ?」

 

「本当の話ですよ?」

 

「ぐぬぬ…確かにそうだ。」

 

俺はグラスの言葉で黙ってしまう。実際その通りだからだ。しかし、俺はトレーナーとしてちゃんと指導をしたければならない。

 

「グラス。友達を切りつけるのはダメなんだぞ。」

 

「わかってます。私だってトレーナーさんが構ってくれたら、こんなことにならなかったんですよ!」

 

「わぁ、逆ギレ。いや、まあ…俺が悪いのかもしれないな。すまないグラス。」

 

俺はグラスの頭を撫でて謝る。グラスは「仕方なく許してあげます。あとでエルに謝っておきますね。」と言って走ってトレセンに戻って行った。俺は1人立って空を見ながら一言呟いた。

 

「ああ…これが乙女心か…。」

 

◇◇◇◇◇◇◇

はてさて、私がどうしてあの行動を取ったか説明します。

これはつい最近起き始めたことです。トレーナーさんがあるゲームを始めたんです。そのゲームの名前は『ミストトレインガールズ』です。デジタルさん曰く「あれはキャラ同士の掛け合いとかが萌えるんですよねぇ〜!」とヨダレを出してトレーナーさんが来なかった時にやっているゲームを説明してもらったがよくわからなかった。そして、構ってくれずにかれこれかなり月日が流れておりました。

 

「さて、トレーナーさんも帰ってきましたし、話が進む感じですね。1人でトレーナー室に戻って行きますか。 」

 

私は、怒られたがしてやったりと思いながらトレーナー室に戻って行く。トレーナー室には先客が来ていた。

 

「ん?グラスか。」

 

「黒沼トレーナーさん…?どうされたんですか?」

 

「ああ。ブルボンが前に『マスターを家に招きたいのですが。』と言ってたのでな。どうすればいいかと今葉に聞きに来たんだが…。グラスにも聞いとくのもありか…。」

 

「なるほど…。そうですね…。」

 

私は考えるポーズを取って考える。ミホノブルボンさんの性格上、ご両親に会わせたいのだろうけど人との関わりが少なかった黒沼トレーナーさんからしたら難しい話なのかもしれない。私は黒沼トレーナーさんに思ったことを伝えた。

 

「大丈夫ですよ。ミホノブルボンさんは黒沼トレーナーさんのことを信用していますから、あるとしたらちゃんとした服にすべきかと思いますが…。」

 

「そ…そうか。じゃあ、今葉にもまた伝えておいてくれ。」

 

「わかりました〜♪」

 

黒沼トレーナーさんはトレーナー室を出ていき、私だけになった。私はやることがないのでお茶を飲むために用意を始めた。

 

「確か…お茶がここにあった気がしますね…。」

 

なにせ、久しぶりにこうしてトレーナー室に来たのだ。前まで定期的に来てくれていたのだが、今となってはなかなか来ないトレーナーさんがどこに置いたのかも遠い過去だから記憶がないのだ。

 

「そう言えばまた違うキャラが可愛いって言ってた気がします…。なんのゲームでしたっけ…?」

 

私は前にトレーナーさんが言ってたキャラとゲームを思い出すが、過去にしていたゲームのキャラだったはずだ。私は必死に思い出そうとするが、出てこない。

 

「おやおや?コレはこれは悩み事グラスかな?」

 

そこにはトレーナー室のドアでポーズを取る松風トレーナーさんが立っていた。私は飾ってあった薙刀を取り出し向ける。

 

「急に登場とは感心しませんね松風トレーナーさん。」

 

「やめたまえよ。今の私には薙刀は効かないよ。」

 

「それもそうですね。 」

 

「それで、ミストレ以外に今葉が最近名前を呼んでるキャラだったか。」

 

「はい。」

 

「坂本なら知ってる気がするよ。呼んでやろう。」

 

松風トレーナーさんは指パッチンをするとゲートが出てきて飛ばされていた坂本トレーナーさんが出てきた。

 

「あいた!?」

 

「さて、坂本くぅーん?」

 

「は、はい?なんでしょう?」

 

「今葉が最近よく名前を呼んでるキャラは?」

 

「カールスルーエじゃない?」

 

「ミストレ以外。」

 

「ああ。ドルフロのUMP45だな。結構前から好きらしいぞ。」

 

UMP45…銃の名前だと思うんけど、私には分からない話だった。タイキさんに聞けばわかるだろうか?坂本トレーナーさんは話を続けた。

 

「UMP45は1950年代の西ドイツで作られた銃で、姉妹?にはUMP9ってものがある。」

 

「坂本トレーナーさんって銃に詳しいんですね。」

 

「ん…。まあそうだな。」

 

「じゃあ、トレーナーさんはこの…UMP45?さんのことが好きなんですか?」

 

「そう…だな。最近はよく名前を出してるが…何があったんだろうな?」

 

坂本トレーナーさんと話していると松風トレーナーさんが入ってきた。

 

「ドルフロ=UMP45ってことじゃないの?」

 

「「それだ。」」

 

「まあ、いいと思うけどね。キャラぐらいなら。」

 

「そう言えば、前にUMP45のパーカー買おうとしてたぞ。」

 

「聞き捨てならないね!」

 

「待て、落ち着け。松風。」

 

「落ち着いてられるか!いくらのを買おうとしてた!?」

 

「6000…。」

 

松風トレーナーさんは声を荒らげてこう言った。

 

「自分の趣味じゃなくて!自分の彼女に使えよ!」

 

ご最ものセリフを言ってトレーナー室を出ていく。私は別に趣味に走ることはいいことだと思うのだが…松風トレーナーさんからしたら許されないことらしい。

 

「今葉ぁぁぁぁ!どこじゃゴラァァァァァ!」

 

校舎内にいても聞こえる声で走り回る松風トレーナーさん。トレーナーさんは何かを感じとったのか、走ってトレーナーさんに帰ってきた。

 

「何事だ!?松風が追いかけてくるんだが…なぜなんだ?」

 

「どうしてですかね〜…。」

 

「ほんとにどうしてだ…?」

 

トレーナーさんは松風トレーナーさんの声が近づいてきたら、クローゼットの中に隠れて行った。そして、松風トレーナーさんが戻ってきた。

 

「あいつ…どこいった!」

 

「帰ってきてませんよ?」

 

「そう…。ここじゃないのか!」

 

松風トレーナーさんはまたトレーナー室を出ていき、走っていった。一息をついて椅子に座っていると、勢い良くドアが開いた。

 

「次は誰ですか?」

 

「アタシの氣がこのトレーナー室から『良くない』氣がします!」

 

「ああ…最近転校してきたコパノリッキーさんですか…。」

 

「ここかな!」

 

「ちょ…ちょっとコパノリッキーさん?」

 

「ここだ!」

 

コパノリッキーさんはクローゼットを開ける。そして、そこに隠れていたトレーナーさんを見つけた。

 

「風水的にトレーナーを助けてあげます!」

 

「君…だれぇ?」

 

そう言えばトレーナーさんはトレセンにあまり来ていなかったからコパノリッキーさんを知らないようで、コパノリッキーさんに向けて「だれぇ?」と言う。トレーナーさんは「マチカネフクキタル」さんしか風水などを好んでいるウマ娘を知らないようで、トレーナーさんの頭の上にはハテナが飛んでいた。

 

「アタシはコパノリッキー!あなたもこれからコパッとラッキー!」

 

「フクキタル?」

 

「アタシはフクキタルさんと違いますから。」

 

「そうなの?グラス…だれぇ?」

 

「先程名前言ってましたよ〜。この方はコパノリッキーさんです。フクキタルさんより風水や開運に特化している方です。主に走るレースはダートですが。」

 

「そっか。よろしく。」

 

「ところで、トレーナーさんはどうしてこんなところに隠れてたんですか?」

 

「ああ…悪魔に…ね?」

 

「悪魔…ですか?」

 

「コパノリッキーが何とかしてくれよ。」

 

トレーナーさんがコパノリッキーさんにお願いする。コパノリッキーさんは少し考える。

 

「ふーむ…。コパッと飛ばしてあげますね!」

 

次の瞬間、ドアが開き「今葉ぁぁぁぁ!見つけたぞぉぉぉぉぉ!」と松風トレーナーさんが走ってトレーナーさんに近づくとその間にコパノリッキーさんが立ちはだかり、何か手で印をして、そこからどこかのアニメで見た事のあるな構えもした。

「今葉ぁぁぁぁ!お前だけはゆるさぁぁぁん!」

 

「コ〜パ〜コ〜パ〜波ーーーーーー!」

 

コパノリッキーさんの手のひらからビームを出す。そして、松風トレーナーさんは「この氣はコパノリッキー!今葉貴様ぁぁぁぁぁ!」と言って飛んでいった。もちろん壁は貫かずに。

 

「ありがとう…コパノリッキー…。」

 

「トレーナーさん、アタシのことはコパって呼んでもいいよ!」

 

「ありがとうコパ。」

 

「どういたしまして!」

 

この先、コパノリッキーは今葉トレーナーさん専属の風水andボディガードとして、サブ担当になるのが確定するのは私が高等部に上がる時の話だった。

 

◇◇◇◇◇

そして、時間が流れた。何気にちゃんとトレーニングをしていた同期トレーナー達。俺らは阪神競馬場に来ている。

 

「コパ!」

 

「今葉。」

 

「なんだい松風。」

 

「どうしてコパノリッキーが居るのかな?」

 

「坂本説明してやれ。」

 

「コパノリッキーが着いてきてる理由を説明します。わかりませんでした。いかがでしたでしょうか?」

 

「クソまとめサイトやめろ。」

 

「アタシが着いてきてる理由?それは、トレーナーさんを守るためだよ!」

 

そう言ってコパノリッキーは俺の腕に巻き付く。なぜ巻き付くのか前に話を聞くと「今日はトレーナーさんの運気がいいから。」っと言っていた。うん…まあ、いいけども…。

 

「コパノリッキーさん。トレーナーさんは私のですよ?」

 

「この氣は『嫉妬』ですね。」

 

この睨み合いを見ていた松風と坂本はあることを思ったらしい。

 

「グラスに対抗できるのってスペ以外に居たんだな。」

 

「まさか、コパノリッキーだったとはね…。」

 

「これからの今葉正妻戦争は激化するだろうな。」

 

「そうだね。」

 

お前らは何を言ってんだ。困るのは俺なんだぞ。ちょっとは助けんかい。ところで中山はどこだよ。

 

「中山なら、マルゼンスキーの控え室だね。私もそろそろ行こうかな。」

 

「行ってら。俺らはここで見ておくよ。」

 

「ふん。私たちの劇をよーく見ときな。」

 

松風はそう言って光に包まれて消えていった。やっぱりあいつ人間じゃないんじゃね?俺らは話していた。

 

「グラスさん」

 

「どうされましたか?コパノリッキーさん。」

 

「アタシ…見てはいけないものを見たのかなって…。」

 

「ああ…松風トレーナーさんはいつもあれですよ…。引くのも分かりますし、見てはいけないものと思うのは当たり前です。慣れてください。」

 

「……。」

 

「絶句してますね〜。」

 

グラスとコパは仲良く話していたいた。俺らは何も特に話さず、レースを見る。デビュー戦は何気に波乱なレースだった。来年のクラシックは楽しくなりそうだ。

 

(レースコレカラオーケー?)

実況「早春の阪神に最強を自負するウマ娘が集う!春の中・長距離三冠、第1弾、大阪杯!このレース最も人気を集めているのは皐月賞ウマ娘、アグネスタキオン。1番人気です。」

解説「彼女を最後に見たのは菊の舞台以来です。どこまで成長しているか楽しみですね。」

実況「虎視眈々と上位を狙っています。三番人気6番。2番人気はダービーウマ娘マルゼンスキー。実力は1番人気にも引けを取りません。」

解説「マルゼンスキー、菊花賞を回避したので彼女がどこまで成長しているか未知数です。楽しみですね。火花散るデットヒートに期待しましょう。」

実況「各ウマ娘、ゲートイン完了。体勢整いました。さぁ、ゲートが開いた。各ウマ娘、綺麗なスタートを切りました。」

解説「誰が先頭に抜け出すか、注目してみましょう。」

実況「期待通りの結果を出せるか?1番人気アグネスタキオン!マルゼンスキー、快調に飛ばしていきます。さぁ、ハナに立ったのはマルゼンスキー、このままリードすることは出来るのか?2番手の位置で先頭をうかがうのは11番!1コーナーから2コーナーへ向かっていきます。先頭集団を見ていきましょう。先頭はマルゼンスキー、単身で飛ばしていきます。続きました8番。少し後ろから11番。少し離れた9番。そして、後方にはアグネスタキオン。それを見るように10番。内を回ります3番。外には6番。内をついて1番。3バ身差15番。内の方から13番。第2コーナーから向こう正面に入った。現在1番手8番。続いたマルゼンスキー。そのうしろから9番。その外並んで10番。外から13番。内で4番。12番並んでくる。その外並んで15番。2バ身3バ身開いて2番。後方2番手に14番。7番内から行く。8番先頭を進みますが、これは正解でしょうか?」

解説「8番!彼女の脚質に合ってますね。」

実況「第4コーナーを進んで直線へ向かう。」

解説「ここからスパート!一気にレースが動きます!」

実況「マルゼンスキーここで抜け出した!この直線で勝負が決まるぞ!マルゼンスキーハナを進む!最後のコーナー最初に立ち上がったのはマルゼンスキー。追い上げて来る娘はまだ2バ身後ろ!」

(レース内会話)

「タキオンちゃん私もガチでやってるのよ!」

 

「君は、まだ私の実力を見てないよ。なにせ、能ある鷹は爪を隠すって言うからね!」

 

マルゼンスキーは後ろを見た時、タキオンの目にはライスと同じような青い炎が見えた。

 

(レース実況戻る)

実況「抜け出したのはマルゼンスキーだが、後続も追いすがる!残り200。先頭はアグネスタキオン!しかし、その差はわずか!アグネスタキオン脚色は衰えない!アグネスタキオン!今1着でゴールイン!成長した姿をファン達に見せつけた!僅かな差で2着はマルゼンスキー!3着は10番!」

(終わり)

 

最後のアグネスタキオンの抜きはライスやグラスの執念によく似ていた。俺とグラスは「松風の担当は青い炎が好きだな。」と思い、コパノリッキーはこのレースを見てうずうずとしていた。坂本はため息を吐いて松風は大笑いをした。

 

「見たかい!ライス!タキオンまで執念の炎を手に入れたよ!ははは!実に面白い!面白いよ!これだから、トレーナー業は辞められない!さぁ!次のレースだ!タキオンのファン諸君楽しみにしとくといいよ!私達は最強になるんだからね!いつかはあのグラスまで倒してあげるよ!」

 

と言って、ライスを連れて光に包まれて消えていった。俺は松風の言葉を聞き流し、俺らもトレセンに戻った。中山はマルゼンスキーに近づき話していた。よく見るとマルゼンスキーは泣いていた。アグネスタキオンは空を見上げて「いい実験結果だったよ。」と言っていたことがモブウマ娘たちから伝えられた。

そのレースの夜。同期が再び集められていた。

 

「おい、どうして精神的に弱ってる俺まで呼ばれた。」

 

中山は文句をゆう。俺はそんな中山にもわかるように説明をした。

 

「大変だ…作者の勘違いで秋にファン感謝祭があると思っていたが、残念ながら春にあるらしい。つまり、俺はトレーナーダービーを走らないと行けなくなった。」

 

松風は笑いながら「つまり、天皇賞・春の次がファン感謝祭ってことかwww」と言う。俺はため息をついてコーヒーを飲んで渡された紙を見た。




どうも、前書きで死んだ作者こと綾凪さんですよ〜。
今回の小説はメタメタを中心に書いております。
私はマジでミストトレインしてますし、UMP45のパーカーを買おうと思ってます。
実際の話ですよ?最後のやつも実際のやつですから。
さて、今回の遅れてしまったことを謝罪します。
申し訳ありません。仕事&仕事で…( `ᾥ´ )クッ
では、1つ言わせてもらいますね。
あんの、クソ薔薇野郎ちゃんと投稿したんやから毎週投稿しろよ。
幻想薔薇園が毎週投稿しなくなったら、私に言ってください。デトロイト死刑やってきます。
では、次回もいつかは不明ですがよろしくお願いします。


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ネタ不足質問コーナー(2回目)

綾凪「どうも。綾凪です。今回の相方はこの方。」

 

??「控えよ愚民共。」

 

綾凪「誰ですか?ウマ娘の質問コーナーにフェッセン連れてきたの。」

 

??「すみませーん!私です!」

 

綾凪「デジタルか…。」

 

デジタル「同人誌に興味があるようで…ぐへへ。」

 

フェッセン「余の名はフェッセンなのだよ。」

 

綾凪「知ってます。没落貴族さん。」

 

フェッセン「もし、余が没落してなかったら君は死刑になっていたのだよ。」

 

綾凪「こわーいこわーい。」

 

デジタル「では、僭越ながら私アグネスデジタルが質問を読んでいきますね。」

 

質問①

デジタル「『青い炎とは具体的にどうゆうものなのか?執念なのか?』だそうですね。これはどう思われてます?綾凪トレーナーさん。」

 

綾凪「ふむ…。と言っても私も把握してることは少ないんですが…。ちゃんと言いますと、私は史実のレースが主に理由としか言えませんね。グラスならスペ。ライスならマックイーンって感じに『この子には勝ちたい!』と言うのが具現化したのが青い炎だと思いますよ?まあ、そんなところですかね?」

 

フェッセン「そんな、ざっくりでいいのかね?」

 

綾凪「構いませんよ。どうせ、この質問相手あの馬鹿薔薇組なんで。」

 

フェッセン「ふん。次に行くのだよ。」

 

質問②

デジタル「続編にあたる『輝けるダイヤ』に出てくるサトノダイヤモンド。その家であるサトノグループの規模はどれぐらいか?だそうです。この辺は…続編ですからね。決まってるんですか?綾凪トレーナーさん。」

 

綾凪「決まってるわけないじゃないですか〜。」

 

フェッセン「本当なのかね?」

 

綾凪「さすが貴族ですな。」

 

フェッセン「疑っているのかね?」

 

綾凪「いいえ?」

 

フェッセン「なら、説明したまえ。余はしっかり説明してやるのだよ。」

 

綾凪「あっ、私の仕事!」

 

フェッセン「まず、サトノグループについてなのだが、話的にかなりの大規模と思っていいと思うのだよ。例を出すのなら国に口出しできるぐらいには…だ。」

 

綾凪「その話が…あれっすよ。あれになってるんですよ。」

 

フェッセン「貴様が言いたいことを余が説明すると『伏線を張っている』と言うことなのだよ。」

 

綾凪「SPさん。フェッセンを連れて行って。」

 

フェッセン「余に触るのかね!余は偉大なる一族の末裔…。」

 

デジタル「良かったんですか?あれ。」

 

綾凪「構わん。あれでしょ?ある魔女っ子が召喚魔法したんでしょう」

 

デジタル「だといいてますねぇ〜。」

 

綾凪「次の質問に行きましょ。」

 

デジタル「ですね。」

 

質問③

デジタル「ネタ不足ですか?」

 

綾凪「ネタ不足です。」

 

デジタル「大丈夫なんですか?それ…。」

 

綾凪「大丈夫じゃないですなぁ。」

 

デジタル「私をネタにしてでも!」

 

綾凪「遠慮しときやす。」

 

質問④

デジタル「松風トレーナーさんの機体は活躍しますか?」

 

綾凪「逆に活躍すると思ってるのならあなたの頭はハッピーセットです。」

 

デジタル「辛辣ですねぇ〜。」

 

綾凪「ネタとしてはいいんだけど…松風の話書いてる奴は気に食わねぇから。」

 

質問⑤

デジタル「幻想薔薇組氏の小説に綾凪トレーナーさんが書いた小説を投稿しようとしているそうですが…どんな話にする予定ですか?」

 

綾凪「あいつの1周年記念として書くつもりで、話は恋愛でも良かったんだけど…別のやつ思いついたからそれで行こうって思ってます。それと綾凪の小説では出す予定は無いです。幻想薔薇組の方を見に行きましょう。」

 

デジタル「サラッと宣伝していきますね。ところで話は?」

 

綾凪「話はライスと松風の話です。それ以外に何も無いです。」

 

デジタル「そんなざっくりでいいんでふか!?」

 

綾凪「構わん。やれ。」

 

デジタル「流石ですトレーナーさん!」

 

綾凪「鼻血鼻血!」

 

デジタル「すみません…。」

 

質問⑥

デジタル「コパノリッキーを出した理由は?」

 

綾凪「気分。」

 

質問⑦

デジタル「11月6日の『阪神ファンブックステークス』には参加するのか?」

 

綾凪「それはどっちで?」

 

デジタル「多分…一般参加じゃないですかね?」

 

綾凪「参加予定ですよ?一応、私入れて4人で参加予定です。」

 

デジタル「サークル参加…は…?」

 

綾凪「そんなもの金がない。」

 

デジタル「そうですか…。」

 

質問⑧

デジタル「このコーナー意味ありますか?」

 

綾凪「ないですわ!オッホッホッホ!」

 

デジタル「ちょっとキングさん風なんですか?」

 

綾凪「キング好きです。はい。」

 

デジタル「そうなんですね。」

 

質問⑨

デジタル「逆に質問コーナーキツくないですか?」

 

綾凪「きついです…。終わりましょう。」

 

質問終わり。

 

デジタル「お疲れ様でした。綾凪トレーナーさん。」

 

綾凪「おつかれさん。」

 

フェッセン「余も忘れないで欲しいのだよ。」

 

綾凪「はい。お帰りくださいコパ特製お札でお帰りください。」

 

フェッセン「待つのだよ!車掌!貴様!や…やめ…やめたまえぇー!」

 

デジタル「せっかくの同人誌仲間だったんですけどね〜。」

綾凪「あいつはダメだ。」

 

デジタル「そうですか。」

 

綾凪「予定がかなり変わっている小説でありますが、これからも読んでいただけたらありがたいです。んじゃ、デジたん最後に何かあります?」

 

デジタル「私の出番まだですか?」

 

綾凪「秋雲さんと仲良くしてもらおうかなって思ってる。」

 

デジタル「あき…ぐもさん?」

 

綾凪「わからなくていいーよ。じゃあ、次は天皇賞・春どす。まだ、用意もできてないので投稿予定は未定です。電車風にいえば投稿が運転見合わせ中です。反対線路に小説が立ち往生してるので小説が運転見合わせております。」

 

デジタル「それって…地味にミストトレイン入ってませんか?」

 

綾凪「自分でも気づかなかったよ…。じゃあ、諸君また会おう!さらば!」




あとがきなんてものはないのだよ。
ん?余が誰かって?余の名前はフェッセンなのだよ。
今回はほとんど出されなかったが、車掌のためも思って来たのだが…ふむ。なーに。奴のあとがきを奪っただけなのだよ。次の綾凪の小説はミストトレインだね。余はそう見たのだよ。

フェッセン帰れ。勝手に言うんじゃない。


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クリスマス(特別レース)

「クリスマスですね〜」

 

「クリスマスだね。」

 

「クリスマスだな。」

 

「「「去年は…はぁ。」」」

 

俺らは去年のクリスマスのことを思い出す。

 

〜去年クリスマス〜

 

「はっはっはっ!メリーーー!クリスマース!はっはっはっ!」

 

「そこの松風トレーナーさん!落ち着いてくださーい!」

 

「私は松風じゃなーい!サンタクrrrrrス!」

 

「狂気ッッ!」

 

〜現在〜

と言うことがあった。その事があったことにより松風はクリスマスの日は謹慎となった。毎年クリスマス謹慎だそうだ。俺からしたら自業自得であろうと思ってしまった。

 

「さて、クリスマスパーティをするしかないよな?」

 

いつの間にか居た中山がそう言う。まあ、クリスマスパーティぐらいなら俺も参加する気だったから「まあいいが。」と言った。

 

「じゃあ、場所はここでいいか?」

 

「うーんまあ?」

 

クリスマスパーティ会場は俺のトレーナー室。買い出しは珍しく坂本が担当するらしい。中山はライスなどを呼びに行くのを担当して、俺はパーティ会場を作るのを担当にされた。まあ、畳とこたつなどを用意するだけなんだが…。

坂本がトレセンから出ていくのが窓から見える。連れていってるのはオグリではなくカフェを連れていた。まあ、オグリを連れて行くと大変になるからだろう。

 

「あの…トレーナーさん。」

 

「お?どうした?」

 

「本日は…スペちゃん達とクリスマスパーティ行っても…」

 

「構わん行け。」

 

「でも…。 」

 

「構わん行け。」

 

「わかりました〜。」

 

グラスは「すみません。」と言ってトレーナー室を出ていった。ハヤヒデは「仲のいい同期だな。」と言って手伝ってくれた。

 

「ハヤヒデは…パーティないのか?」

 

「ふむ…チケットはトレーナーくんにプレゼントを強請って買い物だ。タイシンは…どこだろうな。」

 

「ええ....どうゆうこと…?」

 

「ブライアンは焼肉パーティーがあるそうだ。まあ、今日は私はトレーナー君の近くに居るよ。」

 

「ああ…うん。」

 

「そういえば、サトノ君を呼ばなくていいのか?」

 

「知らない内に居るでしょ。」

 

「そうですよ!私はもう居ますよ!」

 

「な?」

 

「そ…そうだな。」

 

俺はダイヤがいることを気づいていた。なんだがワクワクしているようだ。

 

「トレーナーさん!どうして私を呼んでくれないんですか!」

 

「キタサンと出掛けてるもんだと…。」

 

「今日はトレーナーさんと出かけるために元から予定は開けてますよ!」

 

「…ウス。」

 

俺はダイヤの圧に負けて言葉を発することが出来なかった。ハヤヒデは「トレーナー君…君は大変だね。」と肩に手を置いて同情してくれた。するとドアが開いた。

 

「お待たせしました。トレーナーさん。」

 

「ん?えっ…アルダン…?」

 

「どうされました?」

 

「今日…メジロで集まってるんじゃ…?」

 

「そうですね。私はお断りしました。」

 

「…ウス。」

 

俺は再びアルダンの圧に負けて言葉を発することが出来なかった。ハヤヒデはさっきと同じように肩に手を置いて「トレーナー君…本当に大変だね。」と言って同情してくれた。

担当になっていない2人が参加する同期トレーナークリスマスパーティが夜に開催された。

 

「じゃあ!これより我ら同期組のクリスマスパーティーを開催する!」

 

「「「カンパーイ!」」」

 

トレーナー組がコップをぶつけ合ってテンションを上げていく。ウマ娘達はウマ娘達で話していた。

 

「アルダンさん!」

 

「どうされました?ダイヤさん。」

 

「トレーナーさんのことお好きなんですか!」

 

「そうですね…。そうなるかもしれませんね。」

 

「なら、私とライバルです。」

 

「そうですね。」

 

「トレーナー君は大変だな。」

 

「じゃあ、ハヤヒデさんはどうなんですか!」

 

ダイヤはハヤヒデに聞いているのを聞いているが、ハヤヒデは「私はまだ元気でね。そんなことを考えてる暇はないんだ。」と言ってダイヤは「そうですか…。」と落ち込んだ感じに耳が垂れる。次にカフェとライスが話していた。

 

「ライスさんは松風トレーナーさんのいい所ってどこですか?私にはタキオンさんが二人にいるように思うのですが…。」

 

「お姉様はね!確かにタキオンさんと同じような性格をしてるけど、ちゃんと分かれば優しいお姉様だよ。」

 

「そうですか。ところで…タキオンさんは?」

 

「タキオンさんは…多分、実験してるはずだよ?分からないけど。」

 

「そうですか。タキオンさんらしいですね。」

 

2人は2人で仲良く話しているようだった。すると、トレーナー室のドアが開いた。

 

「すみません!ここに松風トレーナーさんはいらっしゃいますか!?」

 

開けたのはたづなさんだった。松風は呼んでいないと伝えると「松風トレーナーさんが脱走しましたので、見つけた場合はご報告ください!」と言って、ドアを閉めた。

 

「あいつ…人間じゃないよな。」

 

「松風は人間じゃない。」

 

中山と坂本がそう言う。あいつはタキオン印の薬をキメすぎて人間の形をやめた奴だと俺は思っているんだが。

 

「ふぉっふぉっふぉっ!メリーーー!クリスマース!」

 

「この声、あいつだな。」

 

俺らはバズーカを取り出して「みんな!バズーカは持ったな!行くぞ!」と言ってトレーナー室を走って出ていく。ライス、ハヤヒデ、カフェは「いつもの捕獲作戦が始まったか。」と思いながらジュースを飲んでいた。

 

「坂本は練習場へ!中山は校門!俺はウマ娘寮に行く。」

 

「坂本了解。」

 

「中山わかった。」

 

3人で分かれて向かう。ウマ娘寮に来た。すると、赤い服を来た人物が俺の前に立った。

 

「ふぉっふぉっふぉっ!ふむ。君が追いかけてくるなんて予想外ではあるんだけどね。」

 

「お縄につけ松風。」

 

「それは無理なご相談だね。私はサンタクロースだから良い子にプレゼントをあげなければあげないからね。」

 

「それは本当にちゃんとしたプレゼントなのかい?」

 

「大体はね。」

 

「そうか。それなら、中身を見させてもらおう!」

 

俺は松風に向かって小型薙刀を取り出して、切りつけた。しかし、その薙刀は止められた。

 

「忘れたのかい?私は鋼鉄ぐらいに硬いのを。」

 

「それならば!」

 

俺は松風を殴り続ける。体をドンドンと殴るが、松風は無傷で俺の事を殴った。

 

「この世界は!サンタクロースを求めてる!俺がそのサンタクロースになるんだ!」

 

「ぐっ…。」

 

「お前にもわかるだろう?子供たちはサンタクロースを信じている。だから、俺もこうやってサンタクロースになった。わかるか?」

 

「そうだな。」

 

俺は握っていた拳を離した。すると、松風は「おお!わかってくれたのか!」と言って俺の手を握った。

 

「そうだろう?プレゼントを渡さなければ、子供達やウマ娘達が可哀想だろう?さっさ、俺と一緒にプレゼントを配ろうではないか。」

 

「ああ。わかったよ。」

 

「おお!」

 

「お前が…ブラックサンタってことがな!」

 

俺は松風を殴り飛ばした。松風は飛んで行ったが、すぐに着地をして「やはり、わかってくれなかったのか。」と言って、地面に手を置いた。地面からは黒いものが松風を包み込み、筋肉がムキムキになる。

 

「ふむ。これが我が社の特別兵器。名前はそうだな『ナノ○シーン』と言っておこうか。行くぞ!」

 

「受けて立つ!」

 

「「はぁぁぁぁぁ!」」

 

俺と松風は拳をぶつける。しかし、2人の力はほぼ同じだった。

 

「松風トレーナーさん見つけましたよ!」

 

とたづなさんが走ってきた。俺は「たづなさん危ない!」と言うが「お構いなく〜。」と言ってオーラを纏い始めた。俺はそのたづなさんを見て「あっ、これやばいやつだ。」と思い、撤退を始めた。

 

「ここがお前の死に場所だ!」

 

「受けて立とう。」

 

たづなさんは伝説のスーパー○イヤ人となって、松風を圧倒した。

 

「そんなはずでは!」

 

「なんなんだぁ?今のは?」

 

「待て!落ち着け!ぐっは!」

 

たづなさんが圧倒的に松風をボコボコにして、トレセンのお仕置部屋へ連れていかれた。

その後、寮前で疲れて座っていると「どうしたんですか〜?」と後ろから話しかけてくる聞き馴染みのある声が聞こえた。

 

「ちょっとあったんだ。それはそうとメリークリスマス。グラス。」

 

「メリークリスマスですトレーナーさん♪」

 

「サンタコスのグラスさん可愛いです。」

 

「ありがとうございます♪皆さんに着て欲しいって言われてしまって…。」

 

「うん。いいと思うよ。」

 

「では、来年のパーティーでまた着ますよ。」

 

「そうか。そう言えば、クリスマスプレゼントが…またないんだが。」

 

「構いませんよ?トレーナーさんが隣に居てくださるだけで、私からしたらプレゼントです。ですから、少しだけ手を握ってください。」

 

「ああ。グラスの手は暖かいな。」

 

「何を言ってるんですか。トレーナーさんも暖かいですよ。」

 

俺らがそう話していると、周りにポツポツと雪が降り出して、ホワイトクリスマスになっていた。色んなことがあったが、俺らの中では1番幸せのクリスマスになった。




どうも清く正しい綾凪です。
本日はクリスマース!ってことでクリスマス編です。
ネタにネタを詰め込んだクリスマス編
最後には恋愛をぶち込む当たり、何も考えずに書いてたのが丸わかり。
多くを語ってしまうとクリスマスが終わるのでここであとがきを終わらせていただきます。
それでは、本編は今年中に出ればいいね!
綾凪九尾でした!


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正月(特別レース)

出ないと思ったでしょ?
残念!出します!

現在2023/01/03 02:40


「君がここに居るって珍しいような気がするけど…?」

 

「至って普通。」

 

「そう言うわりには服装はスーツなんだね。」

 

「今からサトノとメジロの合同パーティーに呼ばれてるんだ。」

 

「誰を連れていくんのかな?」

 

「グラスだな。ハヤヒデはブライアンと一緒に実家に帰った。」

 

「グラスも帰るべきじゃないのかい?」

 

「グラスは家がアメリカだからね。そう簡単には帰れないのかな?」

 

「君も知らないって…いやいや知っとくべきでしょ。」

 

何気ない会話をしている俺と松風。クリスマスの時は全て過去として話が進んでいる。

 

「トレーナーさんお待たせしました〜♪」

 

ドレスを着たグラスが俺の方に走ってきた。

 

「綺麗だなグラス。」

 

「熱いなお前ら。」

 

「お前は今からどっかに行くんだろ? 」

 

「まあ、そうだね。初日の出でも見に行こうかな。」

 

松風はトレセン校舎へ歩いて消えていった。

俺とグラスはサトノメジロの合同パーティー会場へ車で向かった。

 

「トレーナーさん待ってましたよ!」

 

「トレーナーさんお待ちしていました。」

 

車から降りると、サトノダイヤモンドとメジロアルダンが俺とグラスを迎えに来てくれた。

 

「トレーナーさん、楽しみましょう?」

 

「そうだな。」

 

俺とグラスは会場へ入って、まずサトノダイヤモンドの両親に挨拶をする。

 

「初めまして。私が今葉勝馬です。」

 

「君がダイヤのトレーナーくんか!これからもよろしく頼むよ!」

 

「はい!応援ありがとうございます!」

 

「ダイヤをよろしくお願いします。あの子は色んなことに興味があるので、助けてあげてください。」

 

「わかりました。」

 

サトノダイヤモンドの両親と挨拶が終わったあと、グラスと合流した。

 

「堅苦しいトレーナーさん珍しいですね。」

 

「そりゃ…すごい人が相手だからな…。」

 

「トレーナーさんは誰にも強気って思っていましたが…トレーナーさんも大変ですね。」

 

「ははは…うん慣れた。」

 

俺とグラスが話しているとメジロアルダンが話に入ってきた。

 

「トレーナーさん。これからお祖母様がトレーナーさんとお話したいそうなんですが…大丈夫ですか?」

 

「あー…うん。大丈夫。」

 

「私もついて行きますよ〜♪」

 

メジロアルダンに連れられて俺とグラスはメジロのお祖母様に会いに行った。横にはメジロマックイーンとマクトレさんが立っていた。

 

「あなたが…今葉勝馬ですね。」

 

「はい。」

 

静かで落ち着いた声が聞こえて先程の空気よりも重い。

 

「思ってた以上に若いですね。アルダンは身体が弱いですが、体調をよく見てあげてくださいね。」

 

「わかりました。」

 

「それでは、私も挨拶回りがあるので。」

 

メジロのお祖母様は俺に一礼をして、人混みに消えていった。メジロマックイーンはメジロのお祖母様の目を盗んでスイーツを爆食いしていた。それを止めようと必死のマクトレがあったそうだ。

俺はやっと挨拶回りが終わると、会場のベランダでワインを少しずつ飲む。

 

「トレーナーさん。」

 

後ろから話しかける心地よい声に俺は振り返る。

 

「グラス。ごめんな。1人にして。」

 

「いえいえ〜♪トレーナーさんは人気者ですからね。」

 

「にしては、少し機嫌が悪そうだが?」

 

「トレーナーさんには嘘が付けませんね。少しだけ…いえ、かなり妬いてしまっていますよ?」

 

「ごめんな。」

 

俺は謝りながらグラスを抱きしめた。グラスは「ダイヤはんやアルダンさんにトレーナーさんはあげませんから!」と言って、俺を離そうとしない。俺も「俺だってグラスを誰にも渡すつもりは無い。」と言って抱きしめ合う。

抱きしめ合っていると、空がドンドン明るくなっていく。知らないうちに朝になりつつあった。

 

「トレーナーさん見てください。初日の出ですよ。」

 

「ああ。綺麗だな。」

 

「トレーナーさん。」

 

「ん?」

 

「たまには朝日見に行きませんか?」

 

「そうだな。」

 

そう言って唇に口付けをする。その口付けを後ろで見ていたサトノダイヤモンドはメジロアルダンに抑えられて見ていたらしい。

その後、パーティーが終わったあとサトノグループが運営するホテルで泊まることにした。何事もなく、1月2日にトレセン学園に帰ったが、松風が帰ってきてなくて捕獲しに行かないといけない作戦が発令されることを俺は知らない。




あけぇぇぇぇましてぇぇぇぇぇ!
おめでぇぇぇぇとぉぉぉぉ!
ございまぁぁぁぁぁすぅぅぅぅぅぅ!
クリスマス以来ですな!読者の皆さん!
綾凪九尾ですよ!
すいません…ニケとバンドリが私のことを離してくれなくて…なかなか小説を書く暇がなく…。
え?ゲームしてるだけって?やめろよそんなことゆうの!
私だって私で私なんですから!
あっそうそう。今私夢に向かって会社と話を進めています。
仕事を辞めないで夢に走るつもりです。
応援をお願いしたいですね!
長くなるのもあれなのでそろそろ締めますね。
それでは本編はまだかかりますがお待ちください。
申し訳ありません。現在原因不明のやる気に襲われてるので…
今回の話もかなり手抜きなので許してください…。
一日で書いてますので…一日で2作書いてるので…はい。
とりあえず…本編はお待ちください。
それでは!次回をお待ちください!
さよなら!


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桜舞う天皇賞(第20レース)

長かった天皇賞・春はこれで終わりです!


「はぁぁぁぁぁ!」

 

「こんな夜にも練習とは精が出るなハヤヒデ。」

 

俺は書類整理を終わり、外を見るとハヤヒデが走っていたから様子を見に来た。どうやら1人で走っているようだ。俺はトレセン校舎からコースに出る。

 

「ん?ああ、トレーナーくんか。」

 

「オーバーワークになってないか?」

 

ハヤヒデはベンチにメモを取りに行き確認にする。

 

「ふむ…少しオーバーワークだな。」

 

「それで怪我したら天皇賞・春出れないからな。」

 

「ふふ。私がそんなヘマをするわけないだろう?」

 

「そうやって慢心してると慢心王さん来るよ。」

 

「慢心王?誰だ?」

 

「あー…こっちの話だ。」

 

俺の『慢心王』については置いておいて、ハヤヒデのメモを覗く。どうやら、スタミナを中心的に向上させていくようだ。俺はハヤヒデのトレーニング方法に口を出そうとしたが、最近はハヤヒデに任せているので何も言わなかった。それで勝てると『勝利の探求者』が予想しているのなら、それでいいと思ったからだ。

 

「そろそろ寮の門限だぞ〜。ほら、帰った帰った。」

 

「待ってくれトレーナーくん!もう一周だけ走らせてくれ!」

 

「ダメでーす。寮に帰りなさーい。トレーナーさん怒っちゃうぞ〜?」

 

「ぐっ…なら、こちらも奥の手を出そう。」

 

「ほう?」

 

ハヤヒデはまたベンチへ行き携帯を取ってくる。そして、携帯をいじりこっちに携帯を見せてきた。

 

「トレーナーくん。ワンダーくんの秘蔵写真だ。全て君に渡す。これでどうかな?」

 

「…いや、その写真どうした。」

 

「ふっ、私にも色々あるんだよ。トレーナー君。」

 

「そっか。仕方ない。」

 

「認めてくれるのだな!」

 

ハヤヒデは目をきらきらさせて俺の事を見るが俺の答えはもう決まっていた。

 

「帰れ。」

 

「君には人の心ってものは無いのかい?」

 

「失礼だぞ。」

 

トレーナーとして、教師として、ここは心を鬼にしなければならなかった。もちろん、グラスの秘蔵写真は欲しい。しかしだ、グラスの写真ぐらいグラスにお願いすれば手に入るんだよ!灯台もと暗しだな!ハヤヒデ!

 

「そんなこと思っていたんだな。トレーナー君。」

 

「あれ?声に出てた?」

 

「灯台もと暗し…だと?」

 

ハヤヒデは下を見ながら、俺に近づいてくる。170cm越えのハヤヒデを前にすると俺の身長(165cm)が小さく見えてしまう。俺はデカいハヤヒデにビビる。

 

「あっちょっと待ってください。ハヤヒデさん話し合いましょ?」

 

「誰が頭デカいだ!」

 

「誰も言ってないです!つーか!帰れ!」

 

「君がそう言うのなら、仕方ないか。」

 

ハヤヒデはベンチにあるタオルを持って寮の方へ歩いていった。

 

「しっかり休むんだぞハヤヒデ。」

 

「それは君にも言えるだろう?おやすみトレーナーくん」

 

「おやすみハヤヒデ。」

 

芝のコースで1人になった俺は特にやることも無いから、トレセン校舎に戻る。しかし、俺の後ろにすごい違和感がある。ハヤヒデが戻ってからだ。振り返っても誰もいない。一体誰が居るんだ?

 

「トレーナーさん。もう…振り返ってはいけません。」

 

「どうゆう事だ?」

 

どこからか聞いたことのある声が聞こえた。俺は振り返ろうとするが「ダメ。」と声が聞こえて、首が前を向いて動かない。

 

「すみません…。お友達に今葉トレーナーさんの顔を掴んで貰ってるんです。あの…大丈夫ですか?」

 

「だいひょうぶにみえましゅ?」

 

俺は顔の掴まれているようで、ちゃんと喋れない。どうやら、カフェが助けてくれた?ようだった。

 

「ちょっと力強いみたいですね。あっもう離して大丈夫です。」

 

カフェがそう言うと、掴まれてた感覚が無くなった。俺は疑問になったことを聞いた。

 

「振り返ったらダメってどうゆう事だったんだ?カフェ。」

 

「そのままの意味ですよ。あのまま振り返って居たら…今葉トレーナーさん、あの子たちに連れて行かれてましたから。」

 

「あの子たち…?」

 

俺は振り返ってカフェが指を指している所を見る。なんか、黒いモヤが居るのがわかる。

 

「あの子たち…最近この辺に来たみたいで…。後でお友達に教育してもらいますから…。」

 

「すまないな。助かった。」

 

「いえ…夜には多くなるので気をつけてください。それでは。」

 

「ああ。また近くにいたら助けてくれ。」

 

「もちろんです。」

 

カフェも寮の方に歩いていき闇に消えていく。俺はトレセン校舎へ歩いていく。校舎に入ったと思ったら、また違和感がする。しかし、この違和感の正体は俺は知っている。

 

「はーい。不審者松風さん。出てきてくださーい。」

 

俺はどこからか出した懐中電灯で後ろを照らす。すると、壁の中から松風が出てきた。

 

「あれ?バレた?」

 

「しれっと壁の中から出てこないでもらいます?」

 

「いやぁ、今日のタキオンの薬の副作用が『物を通り抜けられる』って感じでね。今日1日、仕事も何も出来ないんだ。これは困ったね。」

 

「いや…待て!今日の書類は!」

 

「出来るわけないだろ?この状況だよ?」

 

「ここにコパ特製札があるんだ。」

 

「待って。それだけはやめよう?」

 

「お前…ほぼ悪霊みたいなもんだもんな?」

 

俺はコパが作った札を松風に近づける。すると、白い光に包まれ出した。

 

「ああ…これが極楽浄土…暖かそう。じゃないよ!」

 

「なんだ、成仏しないのか。」

 

「君は私のことをなんだと思ってるんだい!」

 

「変態年中発情発光通り抜け野郎。」

 

「あれ?なんか増えてないか?」

 

「いつも通りだな。」

 

「そうかい。じゃあ、私はこれからどんなものも通り抜けられるか試してくるから。」

 

松風は手を振りながら壁に向かって歩いていく。しかし、松風は壁とキスをする。

 

「わぁ…壁に発情したんかよ…。」

 

「違う違う!待って?どうして?」

 

どうやら、コパの札で副作用が消えたようで松風は物の通り抜けが出来なくなったみたいだ。

 

「いやいや、風水にそんな効果あったらタキオンがもう研究してるから。」

 

「謎だな。」

 

「まあ…私とコパの相性が悪いのもあるのかもしれないね。」

 

「ははは。松風吹き飛ばし事件。」

 

俺は大阪杯前の事件を思い出して笑う。松風は呆れ顔で「本当に大変だったんだから。」と言う。どこまで飛ばされたか聞いてみると。

 

「あ、あれ?フランスまで飛んでいってたね。」

 

あれ?こいつ、飛ばされた速度マッハ超えてるくね?

 

「おやおや、今葉くぅーん。その計算だけは早いんだね。」

 

「人の心を簡単に見抜くのやめて貰えません?」

 

「人の心を読んで何が悪い?」

 

どこかのロボットアニメの艦長のポーズで言われても…。そのポーズ通じる人居るんかな…。

 

「松風の名前で何が悪い!私は松風だよ!」

 

急に殴ってくる松風。だから某ロボットアニメの真似はやめろって。

 

「君はここで言わなくちゃ!『ぶったね!』って!」

 

「いや、なんで…。」

 

「ほらほら!」

 

松風の押しに負けて「ぶったね!」と言うとまた殴られた。

 

「ちょ待てや。」

 

「違う違う!次は『2度もぶった!親父にもぶたれたことないのに!』って言うんだ!」

 

マジでそのネタ何年前かわかってます?松風さん。

 

「ニドモブッタ!オヤジニモブタレタコトナイノニ!」

 

「すごい棒読み。」

 

「だって…何年前よ…。」

 

「あのロボットアニメでしょ?始まりが…えっと…。」

 

俺らが頭を悩ましていると、廊下の奥から声が聞こえた。

 

「1979年だ。」

 

松風は「ああ!1979年だから…それで今が2022年だから…?」と独り言を言う。俺は廊下の奥を懐中電灯で照らすとそこには中山が立っていた。

 

「中山!よくそんなこと知ってたな。」

 

「ふっ。ロボットアニメは男のロマンさ。」

 

「うわぁ…ジジイクセェ。」

 

「いや、ロボットアニメは永遠の男のロマンだからな?お前みたいなやつが異端児なんだよ。」

 

「いや…うん。それは認めざるを得ない。」

 

「ええ!?」

 

松風は急に叫ぶ。俺らはビック!として松風を見ると松風はアワアワした感じで話し出した。

 

「…あのロボットアニメ…43年前だって…。」

 

「じゃあ結構人気が続いてるんですなぁ。」

 

「どうして落ち着いて居られるんだい!」

 

松風は声を荒らげて言う。特に興味が無いからなんだけど…そのまま言うと文句言われるからあえて濁す言葉を言おうとすると中山が叫んだ。

 

「43年前ぇぇぇぇ!?ざけんな!数年前だろ!」

 

「お前何歳だよ。」

 

俺は無意識にツッコミを入れてしまった。今2022年だぞ。某ロボットアニメは1979年って言ってんだろ。

 

「でも、最近新しいの始まったよな?」

 

「ああ!水星の魔女だっけか!あれは私楽しく見させてもらってるよ!でも、何かが足りない気がするんだけど…な。」

 

2人で盛り上がってる所に入ること迷惑が掛かりそうなので俺は、コソッと影に入り闇に消えていった。やっとの思いで、トレーナー室に戻ってきて書類を確認し、俺も寮に戻る。廊下ではまだロボットアニメ談義をしている松風&中山。俺は黒いマントを被り闇に溶けつつ、バレないよう横を通り抜けた。外に出ると、ウマ娘達の寮はほぼ消灯されており、門限が過ぎたことを把握した。俺はのんびり、トレセンの校門の方へ歩いていくと桜の下に青髪の人影があるのに気づいた。ここはトレセン学園。さすがに不審者を入れるほど、不用心では無いはずだ。俺は恐る恐る近づくと、頭に耳があり、腰からは髪の毛と同じ青いしっぽがユラユラと揺れていた。

 

「あの…君…ウマ娘?」

 

俺は謎の青髪の子に話しかける。青髪の子は俺の声に気づいて「え?」と振り向く。

 

「こんな所で何してるんですか。門限は過ぎてますよ?」

 

俺は敬語で話す。すると、青髪の子はアワアワしだした。

 

「えっと…あれ?門限…あっ…過ぎてしまってますね。どうしましょう…。」

 

「ところで、君はウマ娘でいいんだよね?」

 

「はい。私、メジロアルダンと申します。」

 

「メジロ…ってことはマックイーンと家族?」

 

「そうですね。マックイーンさんとは家族です。」

 

これはまた、有名な所の子に話しかけてしまった。俺はとりあえず、アルダンをどうするか決めなくてはいけなかった。

 

「寮は…もう鍵締めてるだろうから…。」

 

「そうですね…。どうしましょう。」

 

「ここにいた理由ってあるのか?」

 

「ええっと…桜が綺麗だったもので。こうして、桜を見る機会ってあまり無かったので。」

 

そういえばマックイーンのトレーナー(先輩)から聞いたことがあった。

 

『マックイーンの家族にメジロアルダンと言う子がいてメジロラヌーモの妹だ。少しその子が問題があって…身体が生まれつき弱いらしい。メジロ家のお祖母様はアルダンをトレセンに入れるのは反対だったそうだが、本人の意思で行かせることを決めたらしい。そして、今葉。お前が今、メジロのお祖母様に目をつけられている。グラスの無敗伝説でな。いつでも、メジロ本家に呼ばれてもいい覚悟しとくんだな。すげぇ怖ぇから。』

 

なんだろう。すごい嫌なこと思い出した。

 

「あの…大丈夫ですか?」

 

「あ…ああ!大丈夫だ。アルダンの方こそ大丈夫か?」

 

「私ですか?」

 

「そうだ。君は生まれつき身体が弱いはずだろう?」

 

「どうしてそれを…?」

 

しまった…自分で墓穴を掘ったようだ。これは…諦めるしかないな。

 

「マックイーンのトレーナーから聞いた。」

 

「なるほど〜。ところで貴方の名前を聞いていませんでしたね。」

 

「俺…か。俺は…今葉勝馬だ。」

 

アルダンは俺の名前を聞いて目を大きく開いた。どうやら驚いたようだった。

 

「貴方が…おばあ様が言っていた…無敗伝説のトレーナーさん…?」

 

「そうです…。お恥ずかしながら。」

 

「1度会ってみたかったんです!そうですか。」

 

アルダンはニコニコ笑顔で顔の前で指を合わせる。

 

「どうしました?」

 

「あっ…いえ。合格だな〜って思いまして。」

 

「合格?」

 

「こちらの話ですので、またゆっくり話せる時に話しませんか?」

 

「まあ…いいですけど…?」

 

「では、またこちらから向かいます。それでは、おやすみなさい。私と共にの永遠を刻んでくれるトレーナーさん。」

 

アルダンの最後の方の言葉が聞こえなかった。まあ、女の子には何か隠し事はある物だ。気にしたら負けだと思い「ああ…身体に気をつけてアルダン。おやすみ。」と返す。

天皇賞・春後、マックイーンのトレーナーに会った時にアルダンがメジロのお祖母様に俺の話をしたことがわかった…。

俺はやっと寮に付き、自分の部屋の中に入る。

 

「ただいま〜って誰もいないか。」

 

俺はいつもの独り言を言う。すると、返事があった。

 

「おかえりなさい。トレーナーさん。」

 

「ああ、ただいま…あああああぁぁぁ!?」

 

そこには先程別れたはずのアルダンがいた。

 

「いやいや、何してるんだここで!いや待て!トレーナーでもない男の部屋に入ってるの!?」

 

「寮は入れませんから…ここならいいと…マックイーンさんのトレーナーさんが…。」

 

「待って…なんであの人俺の部屋の鍵持ってるの…?」

 

「とりあえず、ご飯にしましょうか。」

 

俺は荷物を放り投げて、アルダンを止める。

 

「メジロ様にそんなことさせられませんし、この部屋汚いんで!」

 

「少しお掃除しときましたから大丈夫ですよ?」

 

アルダンがそう言うので、俺はリビングの方を見ると綺麗に整頓されていた。

 

「やだこの子いい嫁になるよ!」

 

「そんな…トレーナーさん結婚は早いですよ?」

 

「どうして満更じゃないの君!?」

 

「本当ですね。私の事お嫁さんにしてくれませんか?」

 

「ここで逆プロポーズはおかしいでしょ!?とりあえず!メジロ様は座っててください!」

 

俺はアルダンをリビングへ連れていき、綺麗な座布団へ座らせた。そして、台所に行きもう帰っているのも承知でたづなさんに電話をかけた。すると、予想外にも出てくれた。

 

『もしもし?どうされましたか?今葉トレーナーさん』

 

「あっ夜分にすいません。あのご確認なんですけど…?」

 

たづなさんは何かを察して「大丈夫そうですね!」と言って電話を切ろうとする。

 

「待て待て!もしかしてあなたもグルか!グルなのか!?」

 

『私はグルじゃないですぅー。どっちかと言えば脅されてますね。メジロ家に。』

 

「どうしてそうなる。」

 

『今葉トレーナーさんには申し訳ないんですが…生贄になってもらうしかないんです。』

 

「生贄って酷い!!」

 

『大丈夫です。アルダンさんのトレーナー兼恋人になれば全て万事解決ですから。』

 

「トレーナーはまだわかる!でも、恋人は分からない!俺にはグラスが居るんですけど!?」

 

『ご結婚しますよね?重婚って知ってますか?』

 

「日本は重婚制度ないんですけど!」

 

『あー…大丈夫ですよ。そのうち無くなるんで。』

 

「それはそれでやばくないですか!?」

 

たづなさんは必死に逃げ道を探しているようで、言い訳が苦しい物ばっかりだった。たづなさんはこれ以上言い訳を続けると自分が辛くなるだけなので「では、ごゆっくり〜。」と言って電話を切る。

 

「何切ってるんだ!あの人!」

 

俺は1人台所で叫ぶ。その声に反応して、アルダンが台所とリビングを仕切っているドアを開ける。

 

「トレーナーさん?大丈夫ですか?」

 

「え?あーうん。大丈夫です。アルダンの方は何も無かったか?」

 

「はい?私は至って普通ですよ?」

 

「そうか。とりあえず、ご飯は食べたか?」

 

「はい。メジロの家で食べてきましたので。」

 

「そうか。」

 

俺はアルダンにリビングで座ってもらって台所に立つ。そして、冷蔵庫を開ける。

 

「あー…なんもない…。」

 

俺は時計を見るがスーパーはもう閉まっている。どうする…アルダンを1人部屋に置いておくのも…と考えとりあえず、リビングに戻った。

 

「トレーナーさん?大丈夫ですか?」

 

「あ…あっあっあっ…。」

 

俺はアルダンを改めて見ると「何をしてるんだ」と言う思考が頭を駆け回る。

 

「トレーナーさん!主治医!」

 

アルダンは叫ぶとドアが開いた。そこから入ってきたのは白い服を着た人だった。

 

「主治医です。アルダンお嬢様どうされましたか?」

 

「トレーナーさんが。」

 

「確認します。大丈夫ですか?主治医です。」

 

俺は主治医と言い続ける人に問診され、主治医はアルダンの方を見た。

 

「食事を取ってない上に精神的な疲れで発作が出てますね。精神的な発作です。よく休ませれば大丈夫だと思います。」

 

「分かりました。戻っていいですよ。」

 

「失礼します。」

 

主治医は部屋を出ていき、アルダンは心配そうに俺の事を見る。普通に神秘的で綺麗なんですけど?どうしたらいいんですか?俺は。

 

「よし!私が食事を作りますね。」

 

アルダンはそう言って立ち上がった。俺はアルダンの手を掴んで「あっ…材料ないんです…。」と言うとアルダンは「大丈夫ですよ。」と言って笑顔で俺の鼻をツンとする。俺は諦めてお嬢様に料理させたことを後悔して机に倒れ込む。

そして、頬をツンツンされている感触があり俺は目を覚ます。

 

「あっ、おはようございますトレーナーさん。」

 

アルダンの顔が俺の頭の方から出てくる。あれ?俺はアルダンと結婚してたかな?などと脳内お花畑になっていたが、よくよく考えたら結婚もしてなければ担当ウマ娘でもない。俺はすぐに座り込む。そして、後ろを向いて俺の置かれていた状況を把握した。

 

「膝枕…嫌でした?」

 

「あ…あっあっあっ…。」

 

グラスにも数回しかしてもらってない膝枕を担当じゃない子にしてもらっていた。いや、何してるんだ俺。まあ?気を失ってましたし?不可抗力ってやつじゃないんですかね?などと自己弁護を繰り返してアルダンに対しての言葉を探す。左脳が自己弁護、右脳が言葉探しを担当しフル回転していた。

 

「大丈夫ですか?トレーナーさん。」

 

「あ…ああ。問題ない。すまないな。」

 

「いえ〜♪私の方こそすみません。勝手に膝枕してるのはダメでしたよね。」

 

「いや!ダメじゃない。相手が俺でよかっただけだ。あっちこっちでしたらダメだからな?」

 

「もちろんです。あ…し…ま…ん…ど。」(なんの言葉が入る考えてみよう。ヒント:11文字です)

 

「え?さっき何を言ってた?」

 

「何もありませんよ〜。ふふふ。」

 

俺はアルダンの顔を見るがアルダンは頬ぐらいまで手で隠して笑う。そして、「お食事の用意が出来てますから食べてちゃってください。」と言って立ち上がった。俺も手伝わなければ思い立ち上がるが立ちくらみがしてしゃがみこむ。

 

「まだフラフラするのでしたら、座っておいてください。私は1人で出来ますから。」

 

不甲斐ない…。仕事のやりすぎでこんな姿を担当ウマ娘じゃない子に見られてしまうなど…男として…。なんてことを考えていた。お食事は美味しかったです。シェフが作ったのような高級感のあるお食事でした。このままメジロの担当になってもいい気がする。すると、ドアがバーン!と開いた。

 

「ここからラブでコメな氣がする!」

 

「コパ!?寮は?!」

 

「あっ、トレーナーさんんんンンンンンン!?」

 

どうやら、アルダンが目に入ったようだった。

 

「これは…どうゆうことですか…?」

 

「帰ってきたらアルダンがいた以上。」

 

「事は深刻ですね…精神病院…。」

 

「待て待て!」

 

アルダンは俺らを見て少し頬を膨らませてこちらを見ている。コパはそれに気づいて俺の肩をグイッと持って話出した。

 

「トレーナーさん。もしかして、あれってメジロアルダンさんですよね。」

 

「そうだな。アルダンだ。」

 

「トレーナーさん…間違ってたらあれですけど…アルダンさんトレーナーさんのこと好きだったりしません?」

 

「まさか?」

「だって、風水的に恋愛の実りやすい場所に座ってたり…片付けたあとの状態を見ると…これは…むむむ。」

 

「あれ?やばいのこれ?」

 

「なるほど…ラブでコメの氣はこの部屋からでしたか。失礼しますね。」

 

「待て待て!どこに行く!」

 

「ごゆっくりです。」

 

コパはドアを閉める時に手を振って「頑張ってくださいね!」と言ってドアを閉めた。そして、俺は振り返るとそこにはアルダンがニコニコとして座っていた。とりあえず、俺はリビングに戻り座る。

 

「あら?トレーナーさんもう大丈夫なんですか?」

 

「あ…ああ。問題ない。この通りだ。」

 

「んー?」

 

アルダンは首を傾げて俺の事を見る。どうやら、まだ疑っているようで異常を探しているのだろう。会ってさっきのトレーナーの異変を探すのもすごいことだと俺は思うが。アルダンが膝歩きをしてこちらに近づいてくる。頭を撫できた。

 

「頑張って偉いですね。」

 

「普通だよ。これぐらい。」

 

「いいえ、こんなに仕事をしてるのはトレーナーさんだけですよ?」

 

「書類を遅れて出す同期が居るんだよ。」

 

「まあ!それは大変ですね。」

 

アルダンは手を合わせて目をキラキラとさせる。アルダンは立ち上がり押し入れを開けた。

 

「アルダンさん?何を?」

 

「お布団を出すんですよ〜。よいっしょ…っておっとっと…」

 

「危ない!」

 

俺は躓いて転びかけてるアルダンに向かって俺は走った。布団は床へ落ち、俺はアルダンを抱き抱えていた。

 

「あ…あの…トレーナーさん?」

 

「大丈夫か?アルダン」

 

「は…はゆぅぅ…。」

 

「アルダン?アルダン!?」

 

アルダンは顔を真っ赤にし、口から煙を出して俺にもたれかかった。俺はアルダンを起こさないように慎重に布団をひいてた。アルダンを寝かせて、あれはパソコンの電源を付けてトレーニング方法を考えていながら寝落ちをした。

翌日、アルダンをメジロ家の執事に任せて俺は寮を出た。何事も無かったと思いつつ、ハヤヒデのトレーニングに顔を出した。

 

「ん?これはトレーナー君じゃないか。」

 

「すまんなトレーニング任せ切りで。」

 

「私がしたいって言ったのだが…」

 

「まあ、タイムを測ろうか。」

 

「わかった。」

 

ハヤヒデは走る用意を始めた。俺はストップウォッチを取り出した。

 

「走ってもいいかな?」

 

「いつでもどうぞ。」

 

「行くぞ!」

 

ハヤヒデの走り出しを俺は見逃さずにストップウォッチを押す。コースは1周のみでハヤヒデは向正面に入っていた。それと同じ頃にアルダンが練習場を見下ろすように観客席から見ていたことを俺は知らなかった。

ハヤヒデは最後のスパートで力強く土を蹴り、俺の前を通り過ぎた。

 

「うん。速くなってるな。」

 

「しかし、何かが違う気がするのだが…。」

「うーん…どうなんだろうな。」

 

俺とハヤヒデが悩んでいるとスタスタと「そう言う時は並走すべきだと思いますよ〜。」とグラスが練習場に来た。

 

「おはようグラス。」

 

「おはようございますトレーナーさん♪」

 

「ふむ…並走か。」

 

ハヤヒデは並走を相手を考えていた。グラスは無敗で相手にならない。であれば、天皇賞・春を走ったことのあるウマ娘を相手にするべきだった。

 

「ライス君かマックイーン君かな?」

 

「そうだな。連絡はこっちで入れておこう。」

 

「すまない。」

 

「あっ、そろそろチャイム鳴るぞ。ほら行った行った。」

 

ハヤヒデとグラスは話しながら校舎に歩いていった。俺は練習場で1人ハヤヒデのフォームを見ていた。

 

「ここで1人寂しくフォーム確認か?」

 

後ろから話しかける声が聞こえた。俺は振り向かずに「その声はマクトレさんですね。」と言った。マクトレは「当たりだ。」と言って俺の横に座った。

 

「ハヤヒデは速い。さすがは今葉の担当だな。」

「まだですよ。」

 

「んで?俺に言いたいことあるだろ?」

 

「あっはい。マックイーンと並走して欲しいんですが…。」

 

「うーん。すまない…マックイーンは今オフでスイーツを爆食いしていてな…。」

 

「そうですか…。」

 

俺は仕方なく思い引き下がった。悪いと思ったのかマクトレは「松風とかに話を通しておこう。」と言って松風に連絡をしてくれた。すると、指パッチンの音が聞こえたかと思うと松風が姿を表した。

 

「やぁ!待たせたね!並走だって!」

 

「朝から元気ですね…。」

 

「ふっふっふ。そりゃ!私は寝なくていいからね!」

 

「ハイハイ副作用副作用。」

 

「この後泥のように眠るけどね!」

 

よくよく松風の目を見ると松風の目はグルグル巻きになっていた。俺はこれでよく理解した。「ああ…こいつただただ寝てねぇだけだ。」と。

 

「んで、申し訳ないんだが…今葉。」

 

「ん?なんだ?」

 

「君…カレンダー見てないのかい?」

 

「はい?」

 

俺はスマホのカレンダーを見ると天皇賞・春は今週だった。

 

「並走って言ってももう時間が無いからやめておいた方がいい。ケガしないように見守るべきだ。」

 

松風は俺の顔の目の前を指を指してそう言った。松風の言っていることは的確に的を射ている。珍しく俺は松風の意見を受け入れた。

時間は時間で飛んでいき、阪神競バ場に俺らは来ていた。

 

「今日のレースは波乱の気が!」

 

「リッキー…キミィトレーナーは?」

 

「コパッ!」

リッキーは俺の話を聞かないように耳を畳んだ。それを見るようにグラスは苦笑いをしていた。そして、少し離れたところにアルダンが来ていた。もちろん、俺は知らなかった。

 

「トレーナーさん。京都競バ場はいつになったら改修工事が終わるんですか?」

 

「5月には終わるそうだ。」

 

「そうなんですか?」

 

「らしいぞ。」

 

俺とグラスは他愛のない話を続けているとついに天皇賞・春が始まった。

 

(いつもの実況パート)

実況「唯一無二、一帖の盾をかけた熱き戦い!最長距離GⅠ 天皇賞・春!虎視眈々と上位を狙っています。14番。実力は1番人気にも引けを取りません。マンハッタンカフェ。秋から姿を見せていなかったビワハヤヒデ!ファンたちの期待を胸に1番人気です。」

解説「私が1番期待してるウマ娘ですね。」

実況「各ウマ娘ゲートイン完了。出走よ準備が整いました。スタートです。各ウマ娘、綺麗なスタートを切りました。 」

解説「これは位置取りが熾烈になりそうですね。」

実況「先行争いは1番、13番、18番。期待通りの結果を出せるか?1番人気ビワハヤヒデ。先頭集団を見ていきましょう。さぁ、激しい先行争いで前に出たのは7番。すぐに続いて18番。早くも激しい競り合い。さらに4番。13番外から行く。1番、5番手。そしてその外をまわってビワハヤヒデ。1バ身離れて14番。1バ身差16番。少し後ろから12番。うしろ10番。およそ5バ身離れてマンハッタンカフェ。その後ろから5番。1バ身離れて9番。11番外から行く。第4コーナーから直線へ向かう。7番快調に飛ばしていきます。前から大きく開きました。隊列は縦長となっております。」

解説「仕掛け所の難しいレースになりそうですね。 」

実況「現在、1番手は7番。続きました13番。少し後ろから18番。4番、4番手。まずは1周目、正面スタンドに入った。この辺りまで先頭集団を形成しています。さらに7番。そしてその外に18番。その内並んで13番。そしてその外から行ったのは4番。そしてその内から行ったのは1番。あとからビワハヤヒデ。2バ身離れて12番。少し後ろから16番。少し離れて14番。そのあと3、4バ身開いて10番。2バ身、3バ身開いて5番。1コーナーから2コーナーへ向かう。更には13番。あとは18番。そのあと7番。4番並びかけてきた。そしてそのうちを回って1番。そのあと3、4バ身開いてビワハヤヒデ。そしてその後ろから行くのは16番。それを見るように12番。1バ身差14番。その後から10番。1バ身差5番。1バ身離れて11番。1バ身差15番。その後ろからマンハッタンカフェ。2週目の向正面に入って変わらずに先頭を突き進みます13番。依然として13番。続いて18番。1バ身離れて7番。少し後ろから4番。5番手には1番。ビワハヤヒデ、ここにいます。1バ身差16番。そして12番。外には14番。2バ身、3バ身離れて10番。少し後ろから5番。残り1000メートルを通過。そしてマンハッタンカフェ。6番並びかけてきた。意気揚々と先頭を行きます13番。どうでしょうこの展開?」

解説「少し掛かっているかもしれませんね。少し落ちつければ良いのですが。」

実況「まもなく第4コーナーカーブ。」

解説「をウマ娘達がどう動くか目が離せません!」

実況「まだ差がある。ここから先頭を捉える娘は出てくるのか?さぁ、いよいよ直線だ!どのタイミングで誰が仕掛けるのか!?さぁ、内から先頭を伺うのは13番。400を切りました。」

(レース中のウマ娘視点)

「(足が重い…肺が苦しい…。だが、これが私の覚悟だ!見ていてくれトレーナー君!)」

 

ビワハヤヒデは前を睨み、先頭の場所を確認したあと、ビワハヤヒデに残っている全ての体力と力を使って先頭へ突き進んだ。

 

「(これは覚悟の違い…ですね。ですが、私だっているってことを見せます!)」

 

マンハッタンカフェも同じくして、先頭へ駆け出した。

 

(実況へ戻ります。)

実況「最終コーナー先頭、先陣を切ったのはビワハヤヒデ!ビワハヤヒデ強い!強すぎる!彼女の勝利の方程式はこれで完成する!完全に抜け出した!200を通過!追いすがるマンハッタンカフェ。13番追走。ビワハヤヒデ、リードは6バ身!脚色は衰えない。ビワハヤヒデ!強いの一言しかない走り!彼女の方程式は完成した!これが勝利の探求者だ!マンハッタンカフェを寄せ付けない走りに天晴れです!2着にマンハッタンカフェ!」

(実況パート終わり。)

大歓声が上がる阪神競馬場。ビワハヤヒデは倒れかけるが、マンハッタンカフェに手を取られて倒れずに済んだ。

 

「すまない。カフェ君。」

 

「いえ、おめでとうございます。さすがの走りです。」

 

「そう言われると嬉しいものだよ。」

 

俺はレース終わりの2人に近づき会話をする。

 

「おつかれさん。2人とも、特にハヤヒデお前は最強だよ。」

 

俺はビワハヤヒデの頭を撫でて褒める。ビワハヤヒデはムスッとした顔をしたが、諦めたように「今日はもっと褒めてもらおうか?トレーナー君。」と言って、控え室へ戻って行った。

アルダンが別のところで見ていた。そして、独り言をつぶやく。

 

「これが…ビワハヤヒデさんの走り…ですか。私もこんな走りができるかな。」

 

「あなたなら出来ますわ。メジロですもの。」

 

「そうですね。マックイーンさん。」

 

「はい。身体が弱くても、支えてくれるトレーナーさんがいればそれはもう健康体です。だから、あのトレーナーさんにどんどん甘え…いえ、貴女の生涯を全て、今葉トレーナーに任せればいいんです。」

 

「はい。マックイーンさん。」

 

アルダンはマックイーンの言葉を聞くと、早歩きで阪神競馬場を後にした。

 

「おいおい…そんなこと勝手に言っていいのか?マックイーン。」

 

「構いません。これは、あの娘が決めることです。それに、私はもう生涯を貴方に捧げますから。」

 

「あはは…手厚い娘が来そうだな…。」




どうもー綾凪九尾でございます〜!
前は1月3日に投稿だそうですね?
つまり…28日ぶりの投稿…ッテコト!?
今回は申し訳ないのですが…私がアルダンを推しになってしまって、アルダン中心の前座になってしまったことをかなり反省しておりますが、私は謝りません。これが!ラブでコメ!と思っているので。
次回は宝塚記念…ではなく!入学式+ファン感謝祭をやりますね。
やっと書けるよ…ファン感謝祭。暖め続けたトレーナーダービー…3ヶ月眠ってたね。えっ?もう腐ってるって?やめなさい!投げつけますよ!!スパーキングですよ!?メジロで殴りますよ!?
さて、遅れた理由は仕事なので気にしないでください。
次回も未定になりますが、またお読みになってください!


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