海賊な蛇王龍様 (エルにー)
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原作開始前
1ジャオ ポロロ〜グ♪


?「何故こうなった……」

 

そう絶望する青年の名前はラダン・クラネル。この世界風に言うとクラネル・ラダン。

神が存在し自分のファミリアを持つ世界に降り立った、天彗龍の子である。

 

ラダン「親父に冒険してこいって言われてもなぁ……」

 

ラダンは父親の天彗龍に冒険してこいと言われてこの世界に放り出された。

 

ラダン「んまぁ、とりあえずこの世界を数百年探検すればいいか。そう長くないし。それに兄貴や姉貴は異世界に行ったって言ってたし」

 

因みにラダンの年齢は優に千年を超えている。ラダンの兄弟姉妹も大体同じぐらいである。そして数人異世界に行ったものもいる。

 

ラダン「とりあえず、この世界について情報を集めねぇとな」

 

しかしラダンのいるところは孤島である。そしてどこを見渡しても海海海海。そしてラダンは飛べないタイプの龍である。

 

ラダン「まずは人の住んでいる島を探すか。しかし、これを覚えておいてよかったぜ」

 

ラダンはそう言うとジャンプをし、空中を蹴るようにして空を駆けた。それもとんでもないスピードで。

ラダンは翼を持たない龍故に空を飛ぶ方法を探った。そして空中を蹴り進むことに行き着いた。それがここで役立つとは誰も思わなかっただろう。

 

さて、それは置いておいて、空を駆けること数時間、ラダンはシャボン玉が大量にある島を見つけた。

 

ラダン「シャボン玉?とりあえずあそこに行ってみよう」

 

ラダンは誰もいない海岸沿いに降りた。

 

ラダン「本当にシャボン玉が大量にある……それにこれ巨大な木の集まりだ……」

 

ラダンはその光景に唖然とした。周りを見渡すと丘の上にポツンとある建物を見つけた。

 

ラダン「あそこで情報収集するか。てか、シャッキー‘SぼったくりBARって……まぁいい、とにかく入ろう」

 

ガチャ

 

?「あら、いらっしゃい。適当にかけて」

 

ラダン「ありがとう」

 

ラダンはそう言って白髪の男性の隣のカウンター席に座る。

 

?「私はシャッキー。このバーの店長よ。今日はどうしたのかしら」

 

ラダン「あぁ、この世界について教えてほしくてな」

 

シャッキー「この世界?不思議なことを言う子ね」

 

ラダン「一応事実だしな。それで、教えてくれるか?」

 

?「それは私が教えよう」

 

ラダンがシャッキーから聞こうとすると隣の男性が話しかけてきた。

 

ラダン「あんたは?」

 

?「私はシルバーズ・レイリー。海賊王の副船長をしていた」

 

ラダン「海賊王?」

 

レイリー「ふむ、知らないか……まぁ、そこは聞けばいい。それでこの世界だったね」

 

ラダン「あぁ、頼む」

 

レイリー「まずは……」

 

レイリーからこの世界について聞いた。この世界は大陸はなく大小の島だけが存在する。これをレッド・ラインという。そして世界を縦に巨大な崖が一周している。海はいくつかに別れていて、北の海(ノース・ブルー)西の海(ウェスト・ブルー)南の海(サウス・ブルー)そして東の海(イースト・ブルー)。因みに海賊王は東の海(イースト・ブルー)出身らしい。

レッドラインのある部分にはリヴァース・マウンテンと呼ばれる四つの海から偉大なる航路(グランドライン)への入り口が存在する。グランドラインは凪の帯(カームベルト)と呼ばれる風の発生しない海域に挟まれている。そしてグランドラインの後半の海、レッドラインを超えたその先は新世界と呼ばれている。この島、シャボンディ諸島はグランドラインに存在する。その中でも新世界の直前の島である。

次に、この世界には「天竜人」と呼ばれる世界貴族がいる。レイリー曰くそいつらはクソである。そいつらはレッドライン上にある聖地マリージョアに住んでいる。

次に、海賊。略奪を行い、宝を探すもの達のことである。中には略奪を行わないものもいるが。他にその海賊を捕まえたり治安の維持を行う海軍がいる。そして革命軍と呼ばれる組織もある。この三つが大きな派閥となっている。まぁ、海賊には多くの海賊団があるが。

海賊には海軍が指定してる中に、最も関わりたくない海賊団は三つある。カイドウ率いる百獣海賊団、エドワード・ニューゲート別名白ひげ率いる白ひげ海賊団、そして紅一点のビッグマム率いるビッグマム海賊団。

そして政府が略奪を認めた7人の海賊、王下七武海がある。(この時期にはもうあったことにします)七武海は政府に協力することを条件にしている。

 

 

ラダン「なるほどな。面白い地形をしているな」

 

レイリー「君は面白いことを言うね。まるで別世界から来たみたいに」

 

ラダン「実際に異世界から来ているからな」

 

シャ「へぇ、世界は広いわね。まさか異世界から来た子と会えるなんてね」

 

レイリー「確かにな」

 

ラダン「それに、俺は人間じゃねぇ」

 

レイリー「ほう、それはどう言うことかね?」

 

ラダン「俺は……」

 

ラダンは自分が龍である父親と半竜である母親の間に生まれたハーフ?であることと年齢、この世界に来た経緯を教えた。

 

シャッキー「驚きを隠せないわね……1000年も生きてるなんて……」

 

レイリー「私もだ……」

 

シャッキーとレイリーは驚きを隠せなかった。無理もない。この世界には魚人などがいるが人間状態の龍などいないから。

 

レイリー「しかし、冒険か……」

 

ラダン「時間は沢山あるからこの世界の歴史を解明するつもりでいる」

 

レイリー「それは大変だね。そうだ。この世界にある力についても話そう」

 

ラダン「力?」

 

レイリーからこの世界にある力についても教えてもらった。

この世界には悪魔の実と呼ばれる実が存在する。それを食べると能力者になれる。三つカテゴリーがあり、超人系(パラシア)動物系(ゾオン)自然系(ロギア)がある。

中身は物理無効のもあり、無敵のように思えるが弱点はある。それはまず泳げなくなる。悪魔の実を食べたものは海に嫌われるらしく、泳げなくなる。他に海と似た性質を持つ海楼石に触れると力が抜ける。最後に覇気がある。

次に覇気、この覇気には二つある。まず、覇気は誰もが持っている。しかし使えるようになるものは少ない。一つは見聞色の覇気。これは攻撃を察知したり気配を察知したりできる。極めたものは未来が見れるそうだ。次に武装色の覇気。薄い鎧を纏うようなもので例え物理無効の能力者でも攻撃できる。武器に纏う事もできる。

最後に、100万人に一人使えると言われる覇王色の覇気がある。これは相手を威嚇し気絶させることができる。

あとは、この世界にはワノ国で作られた刀がいくつも業物としている。

 

ラダン「なるほど、覇気は俺でもできるか?」

 

レイリー「異世界のものにもあるかわからんが、おそらくできるだろう」

 

ラダン「なら、しばらくはその覇気の体得に勤しむか。教えてくれるか?」

 

レイリー「もちろん、君は私より強いだろうけど、龍を教示するのも一興だろう」

 

ラダン「んじゃ、頼む」

 

レイリー「これからよろしく頼むよ、ラダン君」

 

ラダン「あぁ、レイリー」

 

こうしてラダンの異世界での幸先は良いものだった。

 




今回はここまで。
どうだったでしょうか?誤字や足りないところがあったら指摘をお願いします。
では、次回もお楽しみ〜


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スェッテイ!

ラダン・クラネル(クラネル・ラダン)

 

今作も主人公。回復、防御特化主人公。ONE PIECE界では一番強いけど。

前作、赫き彗星のオリ主バル・クラネルとアミッド・テアサナーレの息子。歳は1027歳。次男で上に兄と姉が一人ずついる。

髪色は黒。これが理由で一時大荒れしたとか。血が繋がってないと。けど、そんことはなく龍の状態に引っ張られるから髪色は黒である。

モデルは蛇王龍ダラ・アマデュラ。モデルはランダムで生まれた時に決まっている。

龍の時の大きさは440メートルぐらい。侵入任務でミミズ程の大きさになったことがある。人化しているときの身長は195cm。ONE PIECEの世界では妥当な身長のはず。

母親の遺伝で回復魔法が使える。アミッド以上の才能があるとのこと。

バルに突然冒険してこいと言われワンピースの世界に放り出された。最初は一人で世界を回ってその後に誰かと一緒に回ろうと考えている。

多数兄弟姉妹がいて、その中では3番目に強い。一番目は長男で二番目は長女。ただ、防御系では一番。オラリオでは従姉妹兄弟を合わせて最強の兄弟姉妹と言われている。

翼を持たないタイプ故に飛ぶ方法を探して月歩を習得した。六式は基本これしか使わない。

 

ヒロインはハーレムで 

くいな

ナミ

ヤマト

光月日和 

ハンコック

ロビン 

モネ 

カリーナ 

レイジュ 

後、ヒロインではありませんが、姉妹なのでシュガーを味方にします。ドレスローザ編で仲間になるという感じで。

ヒロインを前作と同じく半竜にする場合、モデルはなしの方向でいきます。理由はモデルとの戦闘で躓いて前作を投稿できていないので。

 

プロローグでの時系列は2年後での16年前、原作開始の14年前フィッシャー・タイガーが聖地マリージョアから脱出する時期。主人公にはフィッシャー・タイガーと共に奴隷解放に参加させるつもり。

 

原作にはなかった自分の中とリクエストにあったカップリングを進める。後に増やすかもしれません。

サンジとプリン

ウソップとカヤ 等 リクエストが有れば増やすと思います。ヒロインに関しては、オリ主もそれ以外も原作に突入したら締切にします。

 

 

今考えている大まかな流れ

 

15年前 フィッシャー・タイガーと共に奴隷解放を行う。この時にテゾーロととステラを助ける。この時点でステラは5年も前に亡くなってますがここを改変します。

ガープとセンゴクと戦い勝つ。パンゲア城に入りイムと冷凍保蔵されている巨大な麦わら帽子を発見する。これにより賞金首になる。どれくらいにしよう……。

 ↓

15年前 ビッグマムに喧嘩を売り、ビッグマムを海軍本部にポイ捨て。

 ↓

15年前 白ひげと酒を飲む。(話し合い)

 ↓

15年前 カイドウと龍合戦をする。それ以来カイドウにスカウトされている。ヤマトと日和に懐かれる。ここで色々やろうかな。

 ↓

13年前 妹シュガーと逸れたモネを助け、蛇王龍島で保護。

 ↓

12年前 たまたまタイガーと再会し、コアラを故郷に送るのを手伝う。負傷したタイガーに自分の血を輸血して助ける。半龍(竜)にはならない。さらにタイガーに招待されて魚人島に行く。そこで王族に加護を付与。これでオトヒメ王妃の殺害を回避。

 ↓

11年前 偶然辿り着いた島でコウシロウと知り合い、その繋がりでゾロとくいなと知り合う。そして転落したくいなを助け一命を取り留める。くいながゾロに「和道一文字」を渡す代わりにダラ素材で作った刀を渡す。大業物と遜色ないものである。

 ↓

千年竜と出会い少し話す。(もっと早い段階でやるかも)

 ↓

11年前 アマゾン・リリーで眠りにつく。

 ↓

原作中2年前 ルフィの無意識の覇王色で起きる。

 ↓

面白そうだからルフィについていく。インペルダウンの騒動と頂上決戦に参加。

 ↓

ルフィ達の2年の修行中に知り合い達に会いにいく。くいなとか。

 ↓

他の一味同様シャボンディ諸島で合流。

 

 

と言うん感じです。それ以降はその時に考えます。

 

設定は随時変更や更新します。

 




次回もお楽しみに〜


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2ジャオ マリージョア襲撃

タグには載せませんが綺麗なテゾーロの要素があります。


ラダンside

 

ラダン「思ったよりきつかった……」

 

親父にこの世界に放り込まれて、レイリーと出会って覇気を教えてもらってはや3ヶ月。やっと覇気を完全に習得できた。覇王色が一番むずかった。

武装色と見聞色は一ヶ月でできたが覇王色は二ヶ月かかった。親父ならもっと早く習得できそうだな……。

 

レイリー「いやはやまさか三ヶ月で完全に習得するとはね」

 

ラダン「俺からしたらやっとなんだがな」

 

レイリー「焦る必要はない。君の場合は時間は私たちよりはるかにある。例え相手がロギア系だとしても君なら問題なく覇気なしで倒せるだろう」

 

ラダン「まぁ、そうだな。それで、一応は習得したがまだ全然成長できるんだよな?」

 

レイリー「あぁ、見聞色は未来が見えたりできるし、ワノ国では変わった武装色の使い方があると聞く。覇王色も他に使い方があるはずだ」

 

ラダン「まぁ、そこは地道にやってくよ」

 

今の段階でほぼ最低限な状態……おもしれぇ。極めてやろうじゃねぇか。

 

レイリー「さて、覇気の習得は終わったところで、次は何をするんだい?」

 

ラダン「次は聖地マリージョアを見に行こうと思ってる」

 

俺がそう言うとレイリーは少し驚く。それもそうだな。()()()ではファミリアのホームに無断で入るようなものだしな。

 

レイリー「相変わらず君は突拍子もないね。君なら大丈夫だろうけど、天竜人にはくれぐれも気をつけてくれよ」

 

ラダン「あちらから何もしなければな」

 

レイリー「ものすごく不安でしかないな……」

 

レイリーは呆れた表情をする。

 

ラダン「すぐに戻るかもしれんが、シャッキーに挨拶してからいくわ」

 

俺はバーに向かった。

 

ガチャ

 

シャ「あら、ラダン君。もう修行は終わったのかしら?」

 

ラダン「あぁ、無事習得できた」

 

シャ「おめでとう。それで、もう行っちゃうのね?」

 

ラダン「鋭いな……すぐにこっちに戻るかもしれんが、聖地マリージョアを観光してくる」

 

そう言うとシャッキーもレイリー同様驚いた。

 

シャ「やれやれ、気をつけてね。ここはもうあなたの家でもあるんだから」

 

ははは、嬉しいことを言ってくれるな。

 

ラダン「ありがとうな、シャッキー」ニカッ

 

シャ「ふふふ、いってらっしゃい」

 

ラダン「あぁ、行ってきます!」

 

レイリー「いってらっしゃい」

 

二人に見送られて俺は月歩でとりあえずレッドラインに向けて駆けた。これだが、この世界には六式と呼ばれる武術があって、これはその中の空気を蹴って空中を動き回る月歩だった。ついでにレイリーから他の六式も学んだ。主に使うのは月歩だけだろうけど。

そうしてうちにレッドラインが見えてきた。その上に都市らしきものも見つけた。

 

ラダン「おお、見事に断崖絶壁だな。聖地マリージョアもここからでも綺麗に見える。ん?あれ……」

 

人か?

俺はレッドラインをロッククライミングばりに登ってる人を見つけた。いや、人にしてはでかいな。まさか魚人か?

とりあえず奴が登るであろう場所で待ち伏せするか。

俺は魚人の真上のところに降りた。てか、この地面の成分は何でできてんだ?それになぜ縦に縦断しているのか……。

そう思ってると

 

ガッ

 

?「ゼラァァ!!」

 

バタンッ

 

魚人は最後に一気に上がり横に倒れた。しかしでかいな。520cか。いや、ここではセンチか。

 

ラダン「自力でこの崖を登ってお疲れさん」

 

?「!?貴様は誰だ!まさか海兵か!?」

 

ラダン「違う。ただここに向かってたらこの崖を登ってたから気になってここで待ってた」

 

?「……どうやら嘘ではないようだな。俺はフィッシャー・タイガー。お前は?」

 

ラダン「俺はクラネル・ラダン。マリージョアに観光できた」

 

タイガー「は……?」

 

タイガーは俺の言葉で固まった。

 

タイガー「お前は馬鹿なのか?」

 

ラダン「長生きするし、滅多なことでは死なないし一回ぐらいいいだろ」

 

タイガー「いや、どう見てもお前は人間だろ。生きても精々100年だろ。俺たち魚人もそう変わらんが」

 

ラダン「まぁそれはいい。それで、タイガーお前はなぜレッドラインを?」

 

俺がそう聞くとタイガーは俯く。話していいかわからんか流石に。

 

ラダン「お前がどんな理由だろうと俺は他言はしん。他言したら大人しくお前に殺される」

 

タイガーは顔を上げて俺の目を見る。

 

タイガー「……はぁ、まぁいいだろう。俺はこのマリージョアにいる奴隷を解放するために登った」

 

ラダン「奴隷……だと……?」

 

タイガー「なんだ知らないのか?天竜人は天竜人以外のものを家畜としか見ていない。奴隷など十数人は当たり前だ」

 

俺は奴隷という言葉に絶句した。オラリオでは奴隷はいない。奴隷同様な扱いを受けてるものはいたし、売られるものもいた。しかしそれは秘密裏に行われていた。それがこの世界では当たり前のようにと知って絶句した。

観光のつもりだったが予定変更だ。

 

ラダン「タイガー、その奴隷解放に俺も参加する」

 

俺がそういうとタイガーは驚く。

 

ラダン「俺のいたところではそれは秘密裏に行われていた。親父もそれは嫌いで見つけ次第解放して売り場を潰していた。それが当たり前だと!?人をなんだと思ってる!!」

 

タイガー「お前……」

 

ラダン「それが許せない。だから、俺もそれに参加させろ。いや、無理矢理にでも参加する」

 

そうタイガーに宣言した。

 

タイガー「フン、好きにしろ。ただし指示には従ってもらうぞ。それとお前の腕を見込んで海軍はお前に任せる特に中将以上は」

 

ラダン「任せろ!その気になればここ一帯を破壊できるからな!」

 

タイガー「本当にできそうに聞こえるな」

 

事実だしな。

 

タイガー「さて、作戦だが海軍が来る前にさっさと終わらせるだ。時間がかかればかかるほどこっちが不利になる。だからといって一部の奴隷を見逃すことはできん。だから出来るだけ素早くやれ」

 

ラダン「わかった。俺も声をかけまくるが、逃げる気のない奴には構えないぞ」

 

タイガー「そういう奴らも連れて行きてぇが……それは仕方がない。そういう奴らは無視してくれ」

 

ラダン「わかった」

 

奴隷解放の作戦も立てて、俺たちはマリージョアに走って向かった。早速作戦開始だ。

 

最初にマリージョアの門を吹き飛ばした。

 

ガァァァァンッ

 

「な、なんだ!?」

 

「門が壊されたぞ!」

 

タイガー「手筈通りに奴隷の解放を行え!」

 

ラダン「了解!」

 

俺は月歩で慌てふためく天竜人らの上を通り牢を探す。最初の牢を見つけてそれを壊した。

 

ガンッ

 

ラダン「お前達を解放しに来た!逃げる気のある奴は南の門から逃げろ!」

 

「な、なんで、俺たちを……?」

 

ラダン「理由はねぇ!奴隷が存在するには胸糞悪いだけだ!」

 

俺は奴隷達の手枷を取り次の牢に向かった。

 

?「ステラ!」

 

ステラ「テゾーロ!」

 

ラダン「お前らも南に向かえ!」

 

テゾーロ「ありがとうございます!」

 

ステラ「ありがとうございます!」

 

テゾーロか……あいつは後々デカくなるな。さて、そろそろ来るはずだ。

俺は気配を察知し海軍らしき気配を探した。やっぱもう来てるな。俺は気配の元に向かった。

 

スタッ

 

ラダン「止まってもらうぞ」

 

?「貴様は誰だ」

 

?「まさかこの騒動の首謀者ではなかろうな」

 

この二人は確か、英雄ガープにセンゴクか。ガープは中将でセンゴクは大将。レイリーとどっちが強いんだろう。

 

ラダン「俺はクラネル・ラダン。まぁ、首謀者というのは合ってる」

 

ガープ「ならここで捕まえてやる」

 

センゴク「私も一緒に捕まえるぞ」

 

ラダン「奴隷解放の何が悪いんだか……」

 

ガープ「ワシもそう思うが、お前さんを捕まえればならん。大人しく投降しろ」

 

ふむ、ガープとセンゴクの反応から奴隷には反対のようだ。だからといって捕まえられるわけにはいかんがな。

 

ラダン「断る。捕まえたいならかかってこい。相手してやる」

 

ガープ「フン、随分大胆なことをいう若造めが」

 

センゴク「私たち二人を相手取れると思うなよ青二才が!」

 

ラダン「残念ながらこう見えてもお前らよりずっと年上なんだよな。まぁ、それはいい」シュンッ

 

俺はセンゴクの目の前に移動する。そして

 

ラダン「戦いはもう始まってるぞ」ドゴッ

 

センゴク「グッ…!」ズザザザザァァ

 

ガープ「センゴク!」

 

センゴク「問題ない!しかし此奴は手強いぞ!油断していたら一瞬で負けるぞ!」

 

ガープ「わかっとるわい!」ガンッ パシッ

 

ラダン「軽い!」ブンッ

 

ガープ「うおおぉぉ!?」

 

俺はガープの拳を掴み投げる。

 

センゴク「ガープ!」

 

ガープ「ワシも大丈夫だ!全力でやらんとこちらが負けそうだ」

 

センゴク「ハァァ!」ピカー

 

センゴクの体は金色になり大きくなった。これは……大仏か。あまり時間をかけられん。あの城も気になるし早く片付けよう。

俺は青い火の玉のようなものを二つ生成する。まずはガープに一瞬で詰め寄り片方をぶつける。

 

ボンッ

 

ガープに直撃した火の玉は破裂してガープは吹き飛び倒れる。どうやら気絶したようだ。

 

センゴク「ガープ!貴様ぁ!!」

 

センゴクは俺に拳を降りかかるが、その前にもう片方の火の玉をぶつけ気絶させる。

奴隷の方はタイガーがいれば問題ないだろう。

俺は気になっている城に向かった。

 

中に入ると早速玉座を見つけた。だが、そこには誰もいなく20個の武器が地面に刺さっている。何か意味があるのか。俺は玉座に近づき隣に立つ。

 

「貴様!そこで何をしている!!」

 

声のする方を見ると5人の老人がいた。こいつらも天竜人か。しかし、そこそこに手練れだな。

 

ラダン「ついでの観光だ」

 

「ここに観光で来れるわけないだろ!そこから出ろ!それは虚の玉座だぞ!!」

 

これそんな名前があるのか。ここはもう見たし、城の中にいる気になる気配に元に行こう。まずはこいつらを撒くか。

 

ラダン「それはすまんかった。それじゃ」シュンッ

 

「な!?私でも見えなかっただと……?」

 

一瞬で老人達から離れ気配の元に向かった。

着くと

 

ラダン「子ども……?」

 

?「……」

 

ラダン「喋らんか」

 

?「………」

 

ラダン「まぁ、いい。てか、なんで麦わら帽子が冷凍保存されてんだ?しかもでかいし」

 

?「………」

 

ラダン「ふーん、お前イムっていうのか。俺はクラネル・ラダン。別世界の龍だ。何かと因縁がありそうだから末長くよろしくな」

 

俺はそう言って手を差し出す。

 

イム「………」ギュッ

 

イムは黙ったまま俺の手を握り握手をする。

 

ラダン「俺はもう行く。また会おうな」

 

イム「………」ノツ

 

イムはこちらに手を振った。俺はそれを返してタイガーと合流した。

タイガーは案の定南の門にいた。

 

タイガー「来たか。奴隷は無事全員解放した。次はどうやって降ろすかだが……」

 

ラダン「それは俺に任せろ」

 

俺はタイガー達から離れ

 

ラダン「人化解除」

 

そういうと俺は光に包まれる。光は凄まじくタイガー達は顔を覆った。

 

side out

 

 

タイガーside

 

俺は人間が嫌いだ。しかしそんな人間でも奴隷から解放したいと思った。だが、あいも変わらず俺の中には人間を憎んでいる鬼が住んでいる。俺は日頃からそれが怖くて仕方がなかった。

俺は奴隷を解放するために自力でレッドラインを登った。するとそこには人間がいた。だが、そいつからは人間の感じを感じなかった。

なんやかんやそいつも奴隷解放に参加することになった。二手に分かれ俺の方は順調に進んだ。あらかた解放し終えたのを確認して南の門に向かった。そこには解放した奴隷達がいた。俺はどうやってここから出るかを考えていた。そうしているうちに奴、ラダンが戻ってきた。

悩んでいることを話すと「任せろ」といって俺たちからだいぶ離れたところに行った。すると奴から凄まじい光が放たれ俺は腕で目を覆う。光が止むと

 

タイガー「な……!?」

 

巨大な変わった大蛇がいた。ラダンの言っていたことはこういうことか。

 

?『タイガー』

 

タイガー「お、お前、本当にラダンか…?」

 

ラダン『あぁ、そうだ』

 

タイガー「お前悪魔の実の能力者だったのか」

 

ラダン『違う。俺は元々この姿だ。ただ人に変化できるだけだ』

 

俺はそれを信じられなかった。だが、実際に目の前にある。悪魔の実の能力者でもないから海に浸かっても問題ない。

 

ラダン『全員俺に乗れ。お前らを乗せてレッドラインを降りる』

 

タイガー「わかった!お前ら!ラダンに乗れ!大丈夫だ!あいつは危険じゃねぇ!」

 

だが、それでも怖いのか誰も乗ろうとしない。そうしてると

 

テゾーロ「奴は俺たちを助けてくれた!怖がるなんぞするか!」

 

ステラ「私も!」

 

二人の人間がそう言ってラダンに乗る。今更だがこんなにでかいのは初めて見たぞ。海王類にもいないぞ。

 

「だ、だよな!俺たちも乗るぞ!」

 

「えぇ!」

 

二人に続いて他の奴らも続々乗った。巨人も乗せれるのか……。最後に俺もラダンに乗った。

 

ラダン『しっかり掴まれよ!だが、その前に……』

 

ラダンはマリージョアの方を向き

 

グララアアアアアァァァァァァ

 

咆哮を上げる。俺たちはそれに耳を塞ぐ。何をやりたいんだ?

 

ゴゴゴゴゴ

 

聞こえる音に身の危険を感じ探すが見つからない。まさか……!上を見ると

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

複数の隕石が降ってきていた。こいつ空の果てから隕石を呼べるのか!?

隕石はマリージョアに次々降り注ぎマリージョアは壊滅状態になった。これでラダンは政府から執念に追いかけ回されるな。

 

ラダン『これからレッドラインを降りる。しっかり掴まっとけよ』

 

ズルズルズル ガンッ ズルズルズル ガンッ

 

ラダンは前足で崖を掴みゆっくり降りる。だが、俺が登る時より早く降りている。かかること30分ほどで海の直前まで降りた。

 

タイガー「ここからどうする。船はないぞ」

 

ラダン『このまま近くの島まで泳ぐ』

 

ラダンは海に浸かり泳ぎ始めた。これを見て俺はこいつは本当に龍だと確信した。元奴隷らはなぜ泳げるのか疑問でいっぱいのようだ。

しかし、そこそこ速いな。これはこれで楽しい航海ができそうだな。

しばらくすると孤島が見えた。それもこいつら全員が上陸できるほどの大きさだ。ラダンは孤島に横向きで止まる。

 

ラダン『ここでいいだろう。降りてくれ』

 

俺も含めて全員がラダンの指示に従って降りる。全員が降りるとラダンはまた光に包まれた。光が止むと人間状態のラダンがいた。

 

side out

 

 




今回はここまで。
ワンピースって悪役でもしっかりとした悪人になった理由があるんですよね。テゾーロは自分の中でも幸せになって欲しかったので、ステラをまだ生きてることにして主人公が助けることにしました。
ダラ・アマデュラの大きさなら解放した奴隷全員を乗せれますよね?あんだけ大きいわけですし。あと、巨人族も。
次回は奴隷紋の消去と待遇ですかね。奴隷紋は回復魔法を使える主人公なら消せるはず!
次回、元奴隷の処遇
お楽しみに〜


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3ジャオ 解放した奴隷達の処遇

マリージョア襲撃後、ラダンは人化を解き大蛇の姿になり解放した奴隷達を乗せて孤島(リトルガーデンの半分くらいの大きさ)についておろした。

そしてまた人化をしてタイガーに話しかけた。

 

ラダン「ふぅ、あの姿で初めて泳いだけど意外に疲れるな」

 

タイガー「泳ぎは全身の筋肉を使うと言われてるからな。しかし、本当に驚いたぞ。本当に龍だとわな」

 

ラダン「こっちには龍はいねぇのか?」

 

タイガー「話には聞いたことはあるが、お前ほど知性は高くないし悪魔の実でも食べない限り人の姿にはなれん」

 

ラダン「まぁ、だろうな。親父もイレギュラーな存在って言っとったしな。さて」

 

ラダンは一拍おいて

 

ラダン「解放したはいいが、こいつらはどうするんだ?幸い島もでかいから自活はできるが、自分の島に戻りたいやつもいるはずだ」

 

タイガー「ううむ……返すことには賛成だが、奴隷紋がな……」

 

解放された奴隷達はそれを聞いて俯いた。

 

ラダン「奴隷紋か……これなら消せるぞ」

 

「本当か!?」

 

ラダンがそう言うと大勢が反応する。

 

ラダン「あぁ、少し痛むかもしれんが奴隷紋のない元の状態にできるぞ」

 

「頼む!この忌々しい奴隷紋を消してくれ!お願いだ!」

 

「私もお願い!」  「俺もだ!」

 

一人が懇願すると次々に自分もと声が上がる。

 

タイガー「静かに!!!」

 

タイガーは大声を上げて静かにする。

 

タイガー「いくらラダンでも一斉にはできん。しっかり全員消すから順番に並べ」

 

タイガーがそう言うと元奴隷らは素直に一列に並んだ。

 

ラダン「早速始めるぞ」

 

そう言ってラダンは一人目の奴隷紋に手をかざす。すると

 

パァァァ

 

ラダンの手から緑の光が出て奴隷紋がみるみるうちに消えた。

 

ラダン「よし、消したぞ。確認してみろ」

 

そう言われた一人目の男はすぐさま確認する。

 

「おぉ……おおぉぉ!!奴隷紋が消えてる!!ありがとうございます!ありがとうございます!!」

 

ラダン「礼はいい。それより次がつっかえてんだ」

 

「あ、すみません」

 

男はラダンに礼を言い、ラダンに言われて離れる。ラダンはそのようにして次々に奴隷紋を消していく。

並んだ元奴隷の最後が終わると

 

ラダン「さて、残りはお前らだが、どうする?消すか消さないかはお前ら次第だ」

 

残ったのはテゾーロにステラ、姉妹であろう3人に魚人達である。

 

テゾーロ「お前は消さないのか?ステラ」

 

ステラ「ううん、これは戒めとして残そうと思うの」

 

テゾーロ「そうか。なら、俺も戒めとして残す!」

 

ラダン「(こいつがどう成長するか楽しみだ。見てる感じ悪の道には堕ちんだろう。あ!そうだ)」

 

ラダンは何かを思いついて持っていた袋から何かを探す。これはマリージョアで面白そうなものを見つけたら持っていこうと思っていたようだ。

ラダンは袋から金色の果実を取り出す。

 

ラダン「これをお前に渡す」

 

その果実をテゾーロに渡した。

 

テゾーロ「俺に……?」

 

ラダン「そうだ。それでお前の女を守れ」

 

ラダンがそう言うとテゾーロは顔を赤くする。ステラも少し赤くする。

 

テゾーロ「は、はい……///」

 

ステラ「ふふふ///」

 

周りはそんな二人を温かい目で見る。

 

さて、話は戻って

 

ラダン「他は?」

 

?「妾も同じだ。これは許せないが、戒めとして残す!」

 

?「「私たちもお姉さまと同じです!」」

 

三姉妹も戒めとして残すことにした。魚人達も同じようだ。

 

ラダン「奴隷紋のことは終わりにして、これからのことだ。まず、自分の島に戻りたい奴らは挙手してくれ」

 

手を挙げたのは三姉妹に魚人達、その他数名だった。(コアラもいるよ!)

 

ラダン「了解だ。手を挙げてない奴らはここはそこそこ大きいから自活もできる。海に出たい奴らも船ぐらいは提供する。一週間ほどここに滞在するつもりだからその間に決めてくれ」

 

元奴隷達はうなづく。ラダンはそれを見てタイガーに話しかけた。

 

ラダン「魚人達はタイガーに任せる。一応一週間後にはここに来てくれ」

 

タイガー「わかった。俺は先にこいつらを魚人島に連れて行く」

 

ラダン「あぁ」

 

ラダンはそう返事しタイガーは魚人達のところに向かった。数時間後タイガー達は魚人島に向けて出発した。

そしてラダンも

 

ラダン「俺も少し出てくる。明日までには帰ってくる」

 

「わかりました。俺たちは引き続き作業を続けます」

 

元奴隷達は家を作る組と食料を集める組に分かれて作業をしている。

ラダンは一人の返事を聞いてシャボンディ諸島に向けて出発した。スピードは行きより早く僅か20分で着いた。

 

スタッ

 

ラダン「まだ新聞が出てないといいが……」

 

ラダンはすぐそばのぼったくりBAR()に入る。

 

ガチャッ

 

レイリー「おぉ、ラダン君。早かったじゃないか」

 

シャ「おかえりなさい、ラダン君」

 

ラダン「あぁ、ただいま」

 

やっぱただいまって言える相手がいるのはいいな……。そう思うラダンであった。

レイリーとシャッキーの反応からまだ新聞は来てないとわかった。だが、遅かれ早かれ知らせはくる。今にも……

 

クエ〜〜

 

シャ「あら、新聞ね。どうしたのかしら?時間帯的におかしいわね…」

 

こっちを見ないでください。まさかフラグを建ててしまうとは……。

シャッキーは新聞を開いて読み始める。その顔色はドンドン悪くなっていった。

 

レイリー「どうしたんだい?シャッキー」

 

シャ「ラダン君、貴方ねぇ……これを読めばわかるわ」

 

シャッキーは新聞を見出しをレイリーも方に向けてカウンターに置く。レイリーはそれを読んで

 

レイリー「はっはっはっは、修行終わってすぐにやらかすとはね」

 

ラダン「同じ目的のフィッシャータイガーと共に奴隷解放を行っただけだ」

 

シャ「そういう問題じゃないのよ……でも、貴方にとっては関係無いことだったわね」

 

レイリー「私たちの予想を遥かに超えるほど生きるラダン君からしたらね」

 

ラダン「それで、ある島に解放した奴隷達の一部を除いて奴隷紋を消して自活している」

 

レイリー「そういえば、君は母君の遺伝で回復魔法が使えたね。それで、どうするつもりだい?」

 

ラダン「一週間後に自分の島に戻りたい奴は連れてって、そのまま暮らすものはそのままに、海に出るものは船の設計図の提供をする。流石に全部俺たちがやるわけにはいかんからな」

 

レイリー「なるほどなるほど。君の判断は正しい。それじゃ、私もその島に行ってみるとしよう。知り合いがいるかもしれないからね」

 

ラダンはレイリーとシャッキーと共に船で孤島に戻った。その船に人影が乗り込んだことを気にせずに。

 

船が進むこと数時間、例の孤島にたどり着いた。

 

ラダン「この島だ。そこそこ大きいし食料も問題ない。人が住むには十分な島だ」

 

レイリー「ふむ、解放された彼らが心配だったが、見てる感じ精神的に追い詰められてるものはさほどいないな。一部の追い詰められてるものも時間の経過で立ち直れるだろう」

 

シャ「そうね。それにしても、どうやってこんな人数を連れて来れたのかしら?」

 

ラダン「人化を解き龍の状態でレッドラインを降りてここまで泳いだ。なかなかにいい運動だった」

 

シャ「そんなに大きいの?」

 

レイリー「私は見たことあるが、あの大きさは異常だね。海王類よりデカいと思うよ」

 

ラダン「未だに海王類に会ったことないから分からんがな」

 

「あ!ラダンさん!おかえりなさい!」

 

ラダン「ただいま。この二人は俺の知り合いだ。政府とは一切関わりはないから大丈夫だ」

 

テゾーロ「ラダンさんが連れてきたんですからわかってますよ」

 

ラダン「テゾーロか。作業はどうだ?」

 

テゾーロ「はい、巨人族のおかげで思ったより進んでます」

 

ラダン「ならよかった。引き続き作業を進めてくれ」

 

ラダンがそういうとテゾーロは返事をして作業に戻った。

 

レイリー「慕われてるね」

 

シャ「それにリーダーの気質もあるわね」

 

ラダン「まぁ、()()()で指揮を執ることもしばしばあったからな。それより、レイリーはともかくシャッキーは一週間もここに滞在するのか?」

 

シャ「えぇ、そうするわ。バーは一週間開いてなくても問題ないからね。それに参ってる子のカウンセリングもできるからね」

 

こう見えてシャッキーはカウンセリングに関しては相当な実績がある。(オリジナルで〜すby作者)自殺しそうな者を立ち直らせ、海に出したことがある。そのものは今は海軍にいるとか。

 

ラダン「頼む。俺は心までは救えないからな」

 

シャ「任せて」

 

ラダンは近くに人にシャッキーを案内するように指示して、シャッキーは案内のもと向かった。

 

ラダン「さて、次はそこに隠れてるやつからだ」

 

?ビクッ

 

レイリー「ははは、やはり気づくか。君も隠れてないで出てきなさい、グロリオーサ」

 

グロリオーサと呼ばれたものが出てくる。

 

?「トウ!」

 

しかし、派手な出方であった。人影は高く飛び空中で周り

 

スタッ

 

?「我こそは!いd……」

 

ラダン「そういうのはいいから」

 

?「む、自己紹介ぐらいいいだろ」

 

出てきたのは老婆。

 

?「わしは元女ヶ島の女王グロリオーサじゃ。元だしワシは私情で島から飛び出したから裏切り者だろうがにょ」

 

レイリー「紹介の通りだ。島を出てからシャッキーの店で生活していたが、君がくる少し前からどこかに行っていてね」

 

ラダン「そうか。で、なぜ着いてきた?」

 

グロリ(のちにニョンに変えますby作者)「何、珍しくレイリーがシャッキーと共に船に乗ったからにょ。そのものも気になるから着いてきたんだ」

 

ラダン「そうか。んじゃ、俺も自己紹介しないとな。俺はクラネル・ラダン。異世界から来た四分の一人間の龍だ。悪魔の実は食べてないから普通に泳げる。以後、お見知り置きを」

 

レイリー「そして、つい十数時間前にマリージョアを襲った張本人だ」

 

グロリオーサ以後ニョンは驚愕し、固まった。

 

レイリー「さらにいうと私や君よりずっと長く生きている。確か千年だったか?」

 

ラダン「大体それぐらいだ」

 

しかし、ニョンは聞いていなかった。

 

レイリー「気絶したか。彼女は私が船まで運ぶよ」

 

ラダン「わかった。夕食になったら起こすか」

 

その後夕食の時間になり、タイミングよくニョンは起きた。

 

ラダン「起きたか。ほら、飯だ」

 

そう言ってラダンはニョンにシチューの入った皿を渡す。素材は船に積んであった食材を使った。元奴隷達はそれを涙を流して食べている。

 

ニョン「大勢が涙を流しながらシチューを食べてる絵はシュールじゃにょ。ん?」

 

ニョンは見覚えのある者を見つけて近づく。

 

ニョン「お主達、もしかして女ヶ島の者ではないか?」

 

?「!なぜそれを!?もしかして貴方も……」

 

ニョン「うむ、ワシは元女王のグロリオーサじゃ。名ぐらいは聞いたことがあろう」

 

?「確か、「裏切り者」だったけ?」

 

ニョン「むう……間違ってないが、そう言われると傷つくにょう……」

 

ラダン「三姉妹はニョンの島出身か?」

 

ニョン「ニョンとはなんじゃ!ニョンとは!まぁ、でも。そうじゃ。手紙で三姉妹の子供が拐われたことを知っていたし、同族のオーラを感じてにょ」

 

ラダン「ニョンは語尾ににょをつけてるだろ。三姉妹はその女々島の出身ならニョンが連れてってくれ」

 

ニョン「うむ、そのつもりだ。小娘ども。お主らは島に帰りたいか?」

 

?「もちろん!」

 

?「「私たちも!」」

 

ニョン「宜しい。ワシが責任を持って送り返す」

 

ラダン「それと、お前ら3人は戒めのために奴隷紋を残したが、絶対にそれを見られてはいかん。いいな?」

 

?「「「はい!」」」

 

ニョン「どういうことだ?」

 

レイリー「ラダン君は彼の能力で希望するものの奴隷紋を消したのだ。そこの三姉妹と他に数名戒めとして残してるんだ」

 

ニョン「もう驚くのが馬鹿馬鹿しくなったワイ……」

 

その後、島のものに説明をして三姉妹は先にニョンが責任を持って故郷に送った。

そしてやってきた約束の日。ラダンはタイガーを海岸で待っていた。

 

ザパンッ

 

ラダン「きたか」

 

タイガー「あぁ、約束通りな」

 

ラダン「今日は全員に集まってもらうように言ってる。行くぞ」

 

ラダンはタイガーを連れて全員の集まってる場所に向かった。集会場みたいな場所に全員の前に立った。

 

ラダン「今日は一週間前に言った通り、故郷に戻りたい者とここに残りたい者、はたまた海に出たい者を確認する。俺たちは最大限援助するが、やるのはお前達でやってもらいたい。故郷に戻りたい者と海に出たい者には船の設計図などを渡す」

 

タイガー「俺もお前達を連れ出した以上確認をしないといかん」

 

ラダン「まず、故郷に戻りたい者はお前達から見て右側に海に出たい者は中央に、残りたいものは左側に分かれてくれ」

 

ラダンがそういうと全員動き三つに分かれた。割合は残りたい者が多く七割。これはおそらく売られたものが多かったりここに生活が居心地がいいのだろう。故郷に戻りたい者が二割で海に出たい者が一割だった。テゾーロとステラは海に出たい者の方にいた。テゾーロとステラや三姉妹以外の戒めのために奴隷紋を残した者のほとんどは海に出たい者だった。

 

ラダン「これでいいんだな?設計図は残していくから別に後から海に出たいと思ってもいいが。とりあえずこれで決定だ」

 

その後、全員に幾つかの設計図を渡した。船のほかに家などもあった。

 

ラダン「さて、これで俺はもういく。元気に過ごしてくれよ」

 

テゾーロ「ありがとうございます!ラダンさん!」

 

ラダン「俺はお前がいつかデカい男になると思ってる。また会った時期待しているぞ」

 

テゾーロ「はい!」

 

ラダン「それと、ステラと幸せにな」

 

テゾーロ「ははは……///ありがとうございます……///」

 

ラダンはその反応に満足して皆に手を振り月歩で旅立った。タイガーもその後すぐ魚人島に戻った。

 

解放した奴隷達は三姉妹の長女は女々島の女王に若くしてなり、王下七武海になった。テゾーロはステラと結婚し世界最大のカジノ島のオーナーになった。他にも海軍、海賊、革命軍などになったものもいる。中には王族と結婚したものもいたりする。

全員共にタイガーとラダンに多大な恩を感じ、敵対するようなことをしないと誓った。海軍、海賊、革命軍と敵同士ではあるが一週間とはいえ一緒に過ごし、辛い奴隷の日々を過ごした仲。戦うようなことはなかったとのこと。

島に残ったものも島を発展させ、のどかながら平和な島になった。攻めてきた海賊も悉く撃ち返して海軍と海賊から一眼置かれている。さらに不思議なことに天竜人が近づくと全員苦しみ出した。それによってバスターコールされそうになったが、判断を下したところでその場に全員が苦しみ出した。それによってその島は最悪の大蛇からちなんで蛇王龍島又はアマンデュ島と呼ばれるようになった。

 

 




今回はここまで。
ほど全員の奴隷紋を消してみました。なるべくハンコックが原作に近くなるように、絶対に見られてはいけないと主人公から言うことによってそれを忠実に守ることにしました。
コアラは船に乗ったがその船が沈没してしまい、タイガー達に拾われることにします。
少しテゾーロを贔屓しすぎたでしょうか?前回の後書きに書きましたが、悪人の中では比較的好きな方で救われてほしっかたのでこうしましたが……。
さて、次はビッグマムに喧嘩を売るところですね。海軍本部にポイ捨てします。
次回、ビッグマムをポイ捨て
それでは、次回もお楽しみに〜


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4ジャオ ビッグマムをポイ捨て イェイッ!!

孤島から離れたラダンはとりあえず新世界に行くことにした。

 

ラダン「新世界には来たものの、どこから回るか……」

 

ん〜……どうしよう……。

ラダンはまずどこから行くか悩んでいた。

 

ラダン「あ!そういえばレイリーから海軍が避けている三皇(原作開始の十三年前なので三皇のはず)の話を聞いたな。そいつ達あってみるか一回」

 

三皇に会うと目標を定めたラダンはまず、拠点からあまり動かない四皇ビッグマムの拠点・ホールケーキアイランドに向けて出発した。移動方法は当然月歩である。

そうしているとホールケーキアイランドとその周辺の島々の海域、万国(トットランド)に入った。その海はなんと水あめだった。万国(トットランド)ではこういった不思議な現象が起こるようだ。

 

ラダン「美味いな。海だからしょっぱいかと思ったが、そうでもないな。まぁ、それでも能力者は泳げないだろうがな」

 

海であることに変わりはないからそうであろう。

 

ラダン「ここからは人化を解いて進もうかね」

 

ラダンは人化を解き、大蛇の状態で泳いだ。

しばらく泳いでると巨大なホールケーキぼような城のある島に着いた。この島こそ三皇ビッグマムのいるホールケーキアイランドである。ラダンはそのまま人のいる港から上陸した。

すると当然島民が騒ぎ始めた。ラダンはそれを気にせず大通りを進んだ。

 

ラダン「(やっぱり騒ぎになるか。ま、今更か。マリージョアで散々騒いだしな)」

 

しばらく進んでると道を塞ぐ一団がいた。

 

?「止まれ!」

 

手にペロペロキャンディーの杖を持った男がラダンに向けて警告する。ラダンは言われた通り止まった。このまま進んで潰すわけにはいかないからだ。

 

?「ふむ、言葉が通じるのか。貴様は誰だ!そしてなぜここに来た!」

 

ラダン『俺はクラネル・ラダン。三皇ビッグマムに会いに来た』

 

ラダンが喋ると一団は驚愕した。そしてビッグマムに会いに来たことにも驚いた。いうのを忘れたが、ラダンは父親と違って人化を解いても口調は変わらない。

 

?「喋った上にママに会いに来ただと?」

 

そういうのは身長の高い短髪で目つきの悪い男だった。

 

ラダン『別に戦いに来たわけじゃねぇ、俺はとりあえず三皇に会うという目標のために来ただけだ』

 

?「理解しきれないが、貴様は何者だ?」

 

ラダン『名前はさっき言った通りで、種族は龍だな』

 

ラダンがそういうと一団はまたも驚愕する。龍という種族はここでも伝説のようなものだからだ。

 

?「龍……だと……?だが、これを知ればママは喜ぶはず……」

 

?「ママの夢の実現にも大きくつ近づくかもしれん」

 

一団は集まって話をし始めた。しばらくすると

 

?「ラダン、と言ったな。ママ、三皇ビッグマムの元に私たちが案内する」

 

ラダン『それはありがたい。このままでは不法侵入も大概だからな。なら、この姿では邪魔だな』

 

ラダンはそう言って人化した。人化した時の光で一団は顔を抑える。

 

ラダン「よし、案内を頼む」

 

?「貴様は能力者なのか……?」

 

ラダン「違う。俺のことはビッグマムと話す時にでも言う」

 

?「ふむ……まぁ、仕方がない。私はシャーロット・ペロスペロー。シャーロット・リンリン、別名ビッグマムの長男だ」

 

?「同じくカタクリ。次男だ」

 

?「俺はオーブン。四男だ」

 

ペロスペロー「今のところ、シャーロット家には76人の子供がいる」

 

ラダン「すごい大世帯だな」

 

カタクリ「ママの夢のためでもある」

 

ラダン「その夢はビッグマムとあった時にでも聞こう」

 

ラダンはペロスペローらの案内でホールケーキ城に入り、女王の間に案内された。

 

ペロスペロー「ここにママがいる。くれぐれも粗相のないように」

 

ビッグマムと戦うことになってもラダンが勝ってしまうが、ラダンは忠告通り粗相のないように気をつけることにした。当然の礼儀である。

 

ギイイィぃ

 

?「マッママ〜ッマ、ペロスペローじゃないか。どうしたんだい?港の方が騒がしかったが」

 

ペロスペロー「はい、ママ。実はこの者のことでして」

 

ビッグマム「後ろの奴か?初めて見る顔だな。ん?その顔……そうだ!お前、つい先日マリージョアを襲った賊じゃないか!」

 

ビッグマムがそう言うとその場のじゃ全員が驚愕した。ペロスペロー達はまだ新聞を見てない故にラダンのことに気がつかなかった。

 

ラダン「やっとか。一週間も前のことだし知ってると思ったが、誰も気づかないしどうしたもんかと思ったぞ」

 

ペロ「い、いや、ここ最近新聞を見る暇がなかったもので……」

 

ラダン「まぁ、いい」

 

マム「それで、アンタはどうしてここに?」

 

ラダン「三皇に会いたいだけだ」

 

マム「マッママ〜ッマ!面白い!気に入ったよお前!」

 

ペロ「それとママ」

 

マム「なんだい?」

 

ペロ「どうやらはこの者は人間じゃなく、龍のようです」

 

マム「何……?龍……?」

 

ペロ「はい。そして能力者でもないのに人に変化ができるようです。能力者ではないのでカナヅチでもない」

 

ラダン「説明した方が良いか?別に秘密にしてるわけじゃねぇし」

 

マム「あぁ、お前のことを教えてくれ」

 

ラダン「了解。一から説明すると……」

 

ラダンは自分の父親のことから家族、自分のこと、この世界に来た経緯。そしてこの世界に来てからのことを話した。

当然、ビッグマム達は驚愕した。

 

ラダン「とまぁ、こんなもんだな」

 

ペロ「どういえばいいか……」

 

カタクリ「驚愕としか言えん……」

 

マム「マッママ〜ッマ!!龍!ドラゴン!それも千年も生きている!ぜひオレのコレクションにしたい!」

 

ラダン「コレクション?お前の道具にはならんぞ」

 

マム「おっと、これは失礼」

 

ペロ「ママは全ての種族が差別なく暮らす国を作りたいという夢がありましてね。珍しい生物を集めるのが趣味でして、ラダン殿が龍なのでついコレクションと言ってしまった次第であります」

 

ラダン「ほぉ、全種族が差別なく暮らす国か。いい夢だと思うぞ」

 

マム「マッママ〜ッマ、ありがとう。それで、うちの国民になるか?」

 

ラダン「いや、俺はこの世界を回るのが親父に言われたことだし、最終的には元の世界に戻るつもりだから断る」

 

マム「そう、残念だ」

 

ラダン「ところで、上陸した時に島民の生命力が比較的に低かったが、どうしてだ?」

 

ペロ「それはですね、ママの能力で木や岩、コーヒーカップといった無生物に命を吹き込むために半年に一ヶ月分、一年で二ヶ月分の寿命を取っているのです。「Leave or Life」安全と引き換えに取っています」

 

それを聞いたラダンは

 

ラダン「は?ふざけてんのか?」

 

寿命を取るという行為を許せなかった。

 

ペロ「この万国(トットランド)で生きていくんだ。対価をもらうのは当然です」

 

カタクリ「そして命を与えたホーミーズが人間同様暮らす」

 

マム「オレの夢の実現に繋がるんだ!マ〜ッママ〜ッマ!」

 

ラダン「国民は幸せだろうが、トップは腐ってるな。恐怖で支配など」

 

マム「これがこの国の決まりだ。お前も大人しくこの国の民に……」

 

ラダン「ウルセェ」

 

ブウウウゥゥゥゥンッ

 

ラダンは覇王色の覇気で黙らせた。その影響でホーミーズは気絶。その場にいたペロスペローらは膝をつき、ビッグマムでさえ硬直した。

 

ラダン「これも一つの正解だろう。が、俺は到底受け入れられねぇ」

 

ペロ「グッ、な……なんていう覇王色の威力だ……」

 

カタクリ「ママより上かもしれん……」

 

ラダンは一歩前に出る。

 

ラダン「ビッグマム」

 

マム「……」

 

ラダン「俺はお前と敵対する。それに懸賞金も欲しいし、お前を海軍に贈れば丁度いいな」

 

マム「オレを倒すだと?」

 

ラダン「お前を倒すなど簡単だ。だが、まぁハンデをやろう。一回だけ好きなだけ寿命を取って見せろ」

 

マム「マッママ〜ッマ、わざわざ死ぬ行為をするなんてな。いいだろう。全寿命奪ってやるよ!!」

 

ビッグマムは能力でラダンの体に手を突っ込み寿命を奪おうとするが

 

バチイイイィィィンッ

 

マム「ぎゃああぁぁ!」

 

「「「ママ!!」」」

 

ラダンの有するエネルギーによって弾かれ、ビッグマムはダメージを受けた。

 

ラダン「やっぱ無理だったか」

 

オーブン「貴様!何をやった!」

 

ラダン「何も、ビッグマムが俺の寿命を取れなかっただけだ」

 

するとビッグマムは起き上がり

 

マム「やろう……まさか寿命が奪えないとは……」

 

ラダン「簡単だ。お前が俺より弱いだけだ」

 

マム「絶対奪ってやる!ゼウス!プロメテウス!ナポレオン!」

 

「「「はい、ママ」」」

 

帽子を被った雲は黒くなり雷を発生させ、にこやかな太陽の形のやつは猛々しい炎になり、ビッグマムの帽子は湾曲剣になった。

 

ラダン「ビッグマムと同じ波長を感じるからビッグマムの寿命で作った奴か」

 

ゼウス「感電させてやる〜!!」

 

バアアァァァンッ

 

ゼウスは雷を撃つが、ラダンはそれを難なく避ける。

 

ラダン「中では戦いにくいな。外に出てもらうぞ」シュンッ

 

マム「ナッ!?」ガシッ

 

ラダンはビッグマムの顔を掴みそのまま壁をぶち破って外に出る。そしてビッグマムを地面に投げた。

 

ガアアァァァンッ

 

ラダン「人化解除!」

 

さらに追撃にラダンは人化を解き、ビッグマムに落ちた。

 

ドガアアアアァァァァァァァァァンッ

 

砂埃が止むと気絶したビッグマムを持っている大蛇がいた。

 

ラダン『こんなもんか。三皇も大したことないな。他の二人に期待するか』

 

ズルズルズル

 

ラダンはビッグマムを口に咥え、水あめの海に入り海軍本部まで泳ぎ始めた。ペロスペローらはすぐさま船で追いかけるがラダンの方が速く、全く追いつけなかった。

1時間後、海軍本部にて

 

ガープ「かああぁぁ!全く敵わんかった!」

 

センゴク「まさか一撃でやられるとはな……」

 

ガープ「奴は三皇より強いぞ。ロジャーよりもな」

 

センゴク「おそらくそうだろう。懸賞金をかけないといかんが、どれほどにするか……」

 

ドタドタ バタンッ

 

「大変です!」

 

ガープ「どうした」

 

「港の奥から何かを咥えた大蛇がこちらに向けて泳いでます!」

 

「「大蛇じゃと!?」」

 

ガープ「センゴク!」

 

センゴク「あぁ!おそらく奴だ!だがなぜだ……」

 

ガープ「ダメ元で話をしてみるか?」

 

センゴク「それしかない。この状態で戦うなど出来ん」

 

ガープとセンゴクは先日の戦いで大怪我し、二人とも松葉杖を付いている。

二人は本部の者全員に指示を出し、港で待機した。

 

ザパアアァァンッ

 

ラダン『流石に気付いて陣形を組むか』

 

ガープ「久しぶりじゃのう、ラダンや」

 

ラダン『一週間ぶりだな」

 

センゴク「単刀直入で聞くが、何故ここに来た」

 

ラダン『懸賞金が欲しいからコイツを連れてきた』

 

ラダンは咥えていたビッグマムを落とす。

 

バンッ

 

ガープ「な!?ビッグマムじゃと!?」

 

ラダン『三皇のくせに弱いけどな』

 

センゴク「ビッグマムで弱い……」

 

ガープ「この世界にお主に勝てる奴はいるのか?」

 

ラダン『この世界にはいねぇな。少し話をしたいが、応接室のような部屋はあるか?』

 

ガープ「あるぞ」

 

ラダン「なら……』

 

ラダンは人化し

 

ラダン「そこを借りれるか?」

 

センゴク「お前は能力者か?」

 

ラダン「それを含めて話をしたい」

 

ガープ「まぁ、ええじゃろう。お主に敵対の意思は感じんしな」

 

センゴク「この状態では何も出来ん。案内する」

 

ラダンは二人について行った。他の海軍も素直に道を開けた。

応接室にて

 

ガープ「んじゃ、早速お主の経歴を教えてくれ」

 

ラダン「その前に」

 

ラダンは二人に手を向け

 

パアアァァァ

 

ガープ「おぉ……おおぉぉぉ!足の骨折が治ったぞ!」

 

センゴク「私もだ……これは一体……」

 

ラダン「さて、俺のことだが……」

 

ラダンはビッグマムにした説明と同じことを二人に話した。そして、プラスして身内内の強さも話した。当然二人は驚愕した。

 

ガープ「色々驚きじゃぞ……他の世界から来たとか兄弟姉妹の中では三番手とか……それにワシらより圧倒的に年上……」

 

センゴク「私としては息子を別世界に放り込む方が驚きだ……」

 

ラダン「俺のことはこんなもんだ。俺は俺や仲間を傷つけるなら許さんが、そうじゃないなら敵対せん。まぁ、ビッグマムとは敵対したわけだが」

 

ガープ「おそらくビッグマムの能力じゃろうな」

 

ラダン「そうだ。天竜人は……言わなくてもいいよな?」

 

センゴク「あぁ、十分に理解している」

 

ラダン「んじゃ、俺はもう行く。懸賞金頼んだぞ〜」

 

ラダンはそう言って窓から出て月歩で去って行った。

 

ガープ「はー……」

 

センゴク「とんでもない人物だ……」

 

ガープ「こちらに敵対意思さえなければ敵対するようなことはない。奴は三皇とは別に絶対に、何があっても敵対してはいけないように扱おう」

 

センゴク「賛成だ。早速元帥にかけあうぞ」

 

二人は元帥にかけあい、政府とも話し合った結果懸賞金は65億!!この世の全てを手に入れた男と言われたゴール・D・ロジャーよりも高いものだった。ロジャーや三皇とは違う危険度。カイドウを圧倒的に上回る生物としての能力、能力者じゃない故に海も泳げる。よって海楼石も効かない。

海軍はラダンを三皇とは違う、何があっても絶対に手を出してはいけないことから、禁忌と枠組みした。指名手配にも「何があっても敵対に手を出してはいけない」「禁忌」と記述されている。これ以降ラダンは禁忌のラダンと呼ばれるようになった。写真も2枚あり、人間状態と龍状態と二つとも指名手配にある。

 

因みに、ビッグマムは海軍本部にポイ捨てされた三日後に起き、収容されていたインペルダウンから脱獄した。ビッグマムはラダンを許さないと宣言しているが、瞬殺されたこともあって手を出せない状態であった。

 

ラダンのことは瞬く間に世界中に広まり、三皇などに海賊、革命軍、天竜人や政府、一般人も知るところになった。さらに大蛇のところをとってお伽話もできた。

 

「かの禁忌には絶対に触れてはいけない。かの者はこの世界とは違うところから来て、天翔ける竜をも喰らう黒い大蛇。その体はリヴァース・マウンテンをも包み、背中の扇刃は赤い壁を裂き、尻尾は大型海王類を簡単に吹き飛ばし、吐く青白い光線は島を一瞬で消滅させる。かの者は蛇王龍ダラ・アマデュラ。禁忌の大蛇である」

 

さぁ、皆は彼をどう扱うか。軽い気持ちで手を出したが最後、禁忌の闇に飲まれるだろう。

 




「かの者は禁忌と呼ばれた大蛇の父。空を光の如く飛び、赫い跡を残す。その腕は山をも砕き、槍のような翼は金剛石を最も簡単に貫き、そのブレスは全てを消滅させる。かの者は天彗龍バルファルク。龍の王である」

「かの者は禁忌の大蛇の兄。父と同じく、空を音を超える速さで飛び、通った場所を一瞬で極寒の地に変える。触れたものを一瞬で凍らせ、そのブレスは地獄の炎をも凍らせる。かの者は冰彗龍イスルク。氷の支配者である」

「かの者は禁忌の大蛇の姉。銀を扱い、全てを液体の銀で飲み込む。槍の形にした銀は山をも貫く。かの者は司銀龍ハルドメルグ。銀の皇女である」

ノリで父のバルに兄と姉も書いてみました。姉が少し雑になりましたが、自分に中では長男は氷属性のバルファルクです。母親は誰かと言いますと、長男はリヴェリア。長女はオリキャラのアイです。

さて、今回はどうだったでしょうか。
一応タイトル通りビッグマムのポイ捨てになってるはずです。懸賞金もどうでしょう?誰も敵わない、手を出してはいけない禁忌だから妥当だと思いますが。
次回、三皇に会うと決め、ビッグマムを海軍本部にポイ捨てしたラダン。次の三皇を探し始めた。今度は月歩ではなく造った小舟で新世界を進んだ。そしてあったのは……
次回、その髭って本当に毛か?
タイトルかもわかる彼です。お楽しみに〜


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5ジャオ そのヒゲ、本当に毛か?

ラダンがビッグマムを海軍本部マリンフォードにポイ捨てしてから二ヶ月、三皇の一人、エドワード・ニューゲート。通称白ひげを探してながらも、小舟で新世界を渡っていた。もちろん、通りかかった島に降りて探検もしていた。船はダラ素材で作ったから頑丈で、海の生物に狙われることもない。

 

ラダン「全く見つからねぇな……新世界だけとはいえ、片っ端から探すには無理があったか……」

 

拠点なんか有ればよかったが……。

そうラダンが思ってると

 

ラダン「お、船か。今度こそ白ひげ海賊団か?」

 

ラダンは見つけた。海賊船に近づき旗を見た。すると

 

ラダン「っシャ!やっと見つけた!」

 

探してた通り白ひげ海賊団にものだった。ラダンは早速その船に小舟とともに飛び乗った。

 

スタッ

 

?「誰だ」

 

ラダン「クラネル・ラダンだ。以後、お見知り置きを」

 

?「ほう、貴様があのビッグマムをマリンフォードに置いておき、さらにマリージョアを襲撃して壊滅させた禁忌のラダンか」

 

?「こいつが……ですか?指名手配も変わったもので顔と何故か大蛇の写真があったが、どういうことだ?」

 

ラダン「噂にあるかわからんが、俺は人間じゃなく、人間の部分も多少ある龍だからだ」

 

?「にわかに信じがたいな」

 

ラダン「ま、当然だ。だが、事実でもある。だから禁忌なんてつけられたんだろうな」

 

?「まぁいい。俺は知っての通り白ひげ海賊団の船長、エドワード・ニューゲート。基本的に二つ名の白ひげで呼ばれるとこが多い」

 

?「俺はマルコ。一番隊隊長だ。トリトリの実モデルフェニックスの能力者だ。親父共々よろしくな」

 

ラダン「親父?」

 

マルコ「あぁ、親父は船員を家族として扱ってくれんだ。俺たちの多くは行き場のないものたちでな、そんな時に親父が俺たちを拾ってくれて息子と言ってくれるんだ。だから俺たちも親父って呼んでんだ」

 

ラダン「ほう、家族か。確かに家族はいいもんだ。俺はまだ愛するものができたことはないが、兄弟は多くてな。騒がしいが、暖かいものだ」

 

白ひげ「グラララララ、それには同意見だ。気に入った。お前も俺の息子になれ」

 

白ひげの発言にラダンも含めて全員が驚いた。あのゴール・D・ロジャーよりも高い金賞金で禁忌と呼ばれるほどに海軍から絶対に手を出したくない相手だ。それを息子になれって言うんだからいくら慣れていても驚かないわけがない。

 

ラダン「まさかこんな得体の知れない奴を息子になれなんて言うとはな」

 

白ひげ「グラララララ、俺は気に入った奴を息子にしたいからな」

 

ラダン「400メートルは超える巨体の大蛇に変身できる、千年も生きているお前達から見たら老人だぞ。これでもまだ全然若いが」

 

白ひげ「それは驚きだ。ずっと年上の息子がいてもいいだろ。例えどんな奴だろうと、悪人でもない限り気に入った奴は息子にすると決めてるんだ」

 

ラダン「覚悟が固いこって。とりあえず、俺はニューゲートの息子にはならん。年もあるし俺の親父はただ一人だけだ」

 

ラダンはそう白ひげに言い放った。

 

白ひげ「そうか。残念だ。俺の息子になりたかったらいつでも来い」

 

ラダン「その気になったらな」

 

白ひげ「それと、ついでだ。お前と会った記念に今日は宴を開こう」

 

ラダン「記念にしなくてもいいんだが」

 

白ひげ「人間になれる龍に出会えたんだ。宴にしないわけないだろう。野郎ども!今日は宴だ!」

 

オオオォォォォォ

 

マルコ「やれやれ、親父にも困ったもんだ。ま、俺もせっかくだし楽しむがな」

 

白ひげ海賊団の船、モビー・ディック号では二日間宴が行われた。ラダンは主に白ひげと酒を飲んでた。そこで昔の話をし合っていた。

 

白ひげ「グラララララ、髪色が違うから子供ではないと荒れたとな」

 

ラダン「同じ種類ならともかく、異種族同士ではランダムで生まれるとは知れなくてな。700年前についに爆発して親父と大喧嘩をした。300年は本当に持ったと思ったよ」

 

白ひげ「喧嘩か。うちではあまり起こらんな。ましては、俺とあいつらではな」

 

ラダン「喧嘩をして本当にスッキリした。うちに秘めた思いを親父にぶつけて、親父はそれを受け止めてくれて俺への愛情をぶつけてくれたからな。本当に親父は偉大で俺にとっては英雄だよ」

 

白ひげ「英雄か。ますますお前の親に会いたいもんだ」

 

ラダン「難しいな。さっきも言った通り俺は別世界から来たし、親父が時折り俺を見ていて、今も見ているなら呼べるかもしれんが……」

 

そういえば……とラダンは何かを思い出したようだ。

ラダンは遺伝で使える魔法であるものを取り出した。

 

白ひげ「水晶か?」

 

ラダン「これは家族全員のエネルギーを集めて親父が作ったものだ。400年前に作ったから忘れていたが、これは離れていても話ができるものだ。例え別世界だろうとな」

 

白ひげ「ほう、デンデンムシの上位互換か。それで父親を呼べるのか?」

 

ラダン「そのはずだ。貰ってから使ったことないがな」

 

ラダンは水晶に自分の古龍エネルギー、ここではダラエネルギーとでも言おう、それを流した。水晶は赫色に輝いた。

 

?『ラダンか?』

 

ラダン「お、繋がった。そうだ、俺だ親父」

 

繋がったのは今作主人公のラダンの父親、ずっとストップ中の前作赫き彗星の主人公、バル・クラネルである。

 

バル『久しぶりだな』

 

ラダン「あぁ、勝手にこの世界に放り出しやがって」

 

バル『まぁ、いいだろ。オラリオのある世界だけでなく、他の世界を探検すれば成長するだろうし』

 

ラダン「もう俺は千年も生きてるんだが?龍の中では若いとはいえ、知性がある分十分成長したと思うが?」

 

バル『だが、お前愛する者も子供いないだろ』

 

ラダン「まぁ、そうだが……」

 

バル『俺はこの世界に来たことで半龍にする力があったが、今はない。そこから、俺の息子や娘も他の世界に行けばその力を得ると思った。実際、それは当たりだった。お前をその世界に送ったのはそう言う意味もある』

 

ラダン「なるほど……そういうことか……」

 

白ひげ「グラララララ、意外にも愉快な父親だな」

 

ラダン「まぁ……愉快って言うか、強引って言うか……」

 

バル『今の声は誰だ?』

 

ラダン「その前にこの世界の説明から入るけど……」

 

ラダンは父親バルにこの世界のことと、来てからやってきた事を話した。

 

バル『やっぱお前は俺の息子だな。奴隷がいることが嫌でその本拠地に攻めるとか』

 

ラダン「それは思う。やっぱ親子だって」

 

バル『んで、その白ひげから息子になれと言われたと』

 

ラダン「あとは、一緒に酒を飲みたいとかだな」

 

バル『まぁ、別に忙しいわけじゃないし────

 

────全然いいぞ」

 

「「「「「!?」」」」」

 

ラダン「はえぇよ……」

 

白ひげ「ほう、貴様がラダンの父親か」

 

バル「あぁ、クラネル・バル。ラダンと違って純粋な龍だ」

 

白ひげ「確かに顔は似てるな」

 

バル「そりゃ、親子だからな。俺の髪色は銀で、こいつの母親、アミッドも銀髪だから余計に荒れ具合が酷くてな」

 

白ひげ「グラララララ、それはわかる。息子にした当初荒れていた者もいたからな」

 

バル「そう言う面ではお前と話が合いそうだ」

 

その後バルも含めて3人で酒を飲んだ。

 

宴が2日も続き、マルコも含めて3人以外が潰れた頃

 

バル「随分長く話したなニューゲート」

 

白ひげ「グラララララ、俺としては親同士の話ができて有意義だったぞ」

 

ラダン「途中から話に参加出来んかったが、俺も楽しかった。またこうして酒を飲みたいものだ」

 

白ひげ「なら、その時を楽しみにしよう」

 

バル「では、俺はもう戻る。また会おう」

 

白ひげ「あぁ、今度はお前の娘の話を中心にしてくれ」

 

バル「了解。ラダンも元気では」

 

ラダン「あぁ、親父達もな」

 

バルはラダンの言葉を聞いて笑顔を浮かべ消えていった。

 

白ひげ「いい父親じゃねぇか」

 

ラダン「あぁ、自慢の親父だよ。少し娘に好かれすぎな気もするがな」

 

白ひげ「いいことじゃねぇか。父親ってのは娘に嫌われやすいと聞くし、嫌われるよりかは好かれすぎな方がいいだろ」

 

ラダン「ま、そうかもな」

 

少し沈黙が流れ

 

ラダン「俺もそろそろ行くわ。焦ってるわけじゃないが、いつまでも居座るわけにはいかねぇからな」

 

白ひげ「そうか。そういえば、お前は海賊ではないんだったな」

 

ラダン「あぁ、探検家が正しいな。指名手配が出てる探検家だがな」クックックッ

 

白ひげ「グラララララ、それは奇妙なものだ。マリージョアを襲った罪があるとはいえ、海賊でも山賊でもないからな」

 

ラダン「まぁ、海賊になるようなことが有れば旗でも考えとく」

 

白ひげ「それは楽しみだ」

 

ラダン「それじゃ、もう行く。また会おう。ニューゲート」

 

白ひげ「あぁ、美味い酒でも準備して待ってる。またな、ラダン」

 

ラダンは船を降り、また小舟で旅を続けた。

 

ラダン「さぁて、次はカイドウだったな。こっちも楽しみだ」

 

因みに、あの髭は付け髭だったらしい。(そういう記実がなかったので、毎度お馴染みのオリジナルでっせby作者)




今回はここまで。
少し短い気もしますが、ここまでにします。白ひげとオリ主のラダンが酒を飲んで喋り、さらに今挫折中の赫き彗星のオリ主バルを登場させました。バルはまた登場するかも知れませんが、他の家族は登場させるつもりはありません。
一章終わりにまた白ひげと酒を飲む事にするつもりです。
ここで、アンケートを取りたいと思います。内容はフィッシャータイガーを助けるか、原作のまま進むかです。
前者はたまたまコアラを故郷に送ってるタイガーと会い、同行する感じです。こっちでもさらに分けて、タイガーを無傷で助けるか、タイガーに人間の血の代わりに自分の血を輸血する。この場合、半龍にはなりません。
後者も別の場所にいて、後にタイガーの死を知るか。タイガーが輸血を拒否して死ぬ。の四つを取ります。
どっちにしろ捕まえにきた黄猿の腕を斬り落とします。当然、後で直しますが。
原作の通りタイガーが死ぬ場合、アーロンを更生させようと思いましたが、そうしたらナミがルフィと会うことがないのでなしにします。
タイガーが生きてる方も、アーロンは自らタイヨウの海賊団から離れ、ハッチを含めて数名の魚人を無理矢理連れて行く事にします。
ベルメールを助けようと思いましたが、自分では無理です。意見が有ればそれを取り入れようと思います。なるべくベルメールが生きてるルートにしたいので。
四つ共通なのは黄猿の腕を斬り落とす事です。それと、アーロンの船を降りる事ですね。後者は本当に意見が有れば変えます。
次はカイドウと会う場面です。そこでヤマトと光月日和とのフラグを建てます。
次回、カイドウとの龍合戦
次回もお楽しみに〜


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6ジャオ 一瞬の龍合戦

ながらくお待たせしました。


ラダンがエドワード・ニューゲート、別名白ひげと酒を飲んでから一ヶ月。最後の三皇、百獣のカイドウが拠点を置くワノ国に着いた。

 

ラダン「ここがワノ国か……これ、どうやって登るんだ?」

 

ラダンはワノ国にやってきたが、目の前の巨大な滝に唖然としていた。

 

ラダン「ここも、人化を解いて行くか?」

 

悩んでも仕方がない。ラダンは人化を解き、そのまま滝を登り始めた。意外にも泳ぎは得意なようだ。巨大な鯉と並列して、変なタコに邪魔されながらも登り切った。

 

ラダン『港がここにあるわけじゃないか……とりあえず、このまま街を探そう。ワノ国が行ったことのある極東と同じなら、後で和服を見繕わないと。タケミカヅチは元気にしてるかな……』

 

ズルズルズルズル

 

ラダンはそんなことを考えながら森を抜けることを優先に進み始めた。

巨体故に進むスピードが早いため、1時間もせずに森を抜け荒野に出た。

 

ラダン『見渡しがいいのはいいな。さて、あの大樹があるところが都というところだろう。このまま進んだ方がカイドウに会えそうだし、このまま進もう』

 

ラダンはカイドウを呼び寄せるために大蛇のまま進んだ。あの巨体がバレないわけがなく、とっくにカイドウにバレている。

 

そのまま進んでると

 

ズドーーーン

 

何かが空から落ちてきた。衝撃で舞った砂埃が晴れると

 

?「ウォロロロロ、とんでもねぇ気配と部下からの情報で来てみたら、とんでもねぇ奴に会えたもんだ」

 

ラダン『お前が三皇・百獣のカイドウか』

 

カイドウ「そうだ。貴様はマリージョアを襲い、リンリンを海軍本部にポイ捨てした禁忌のラダンか」

 

ラダン『当たりだ』

 

カイドウ「ウォロロロロ、おもしれぇ野郎だ。そして、俺よりも強いとわかる」

 

ラダン『悪魔の実で龍になった奴と本物の龍で違いがあるのは当然だ』

 

カイドウ「ほう、本物の龍か」

 

ラダン『自己紹介がまだだったな。俺はクラネル・ラダン。親父にこの世界に放り込まれた、純粋な龍の親父と人から竜になった半竜のお袋の間に生まれた人間の部分が少しある龍だ。以後、お見知り置きを』

 

カイドウ「面白い。俺の海賊船に欲しい」

 

ラダン『それは断る。俺はこの世界を探検する探検家なんでな』

 

カイドウ「それは残念だ」

 

ラダン『そうだ。龍の姿になってくれよ。場合によっちゃ戦いたいし』

 

カイドウ『ウォロロロロ、いいだろう。うおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

カイドウが叫ぶと肌の色が青くなり、鱗が生え、やがて胴の長い龍の姿になった。長さは人化を解いたラダンと同じだろう。

 

カイドウ『こんなもんだ』

 

ラダン『ほう、翼がないのに飛べるのか。悪魔の実だから出来る芸当か。長さは俺と同じと』

 

カイドウ『逆にお前は飛べねぇのか』

 

ラダン『物理的に無理だろ。翼が無くても飛べる種類はあるが、俺は無理だ』

 

同じ大きさの龍と大蛇が喋ってる絵はシュールであろう。

 

ラダン『んじゃ、このまま戦おうか。兄弟姉妹で戦うことはあるが、俺と同じ大きさの奴と戦うのは初めてだ』

 

カイドウ『ウォロロロロ、楽しい戦いになりそうだ』

 

戦うことが決定し、両者の間に緊張が走った。

 

先に動いたのはカイドウだった。カイドウは口を開け炎を溜め始めた。

 

ラダン『やっぱ、最初はブレスだよな』

 

ラダンも口に青いエネルギーを溜め始めた。

 

そして

 

カイドウ『ボロブレス!!』

 

ラダン『蛇王龍の号砲!!』

 

カイドウの放った赤いブレスとラダンの放った青いブレスがぶつかり

 

ドオオオオオオオォォォォォォン

 

ぶつかった影響で爆風が生じ、大地が揺れた。都にもその影響は強かった。建築中の建物は吹き飛び、そうではない建物も複数崩れた。

ブレスは止むことはなく、逆に激しさを増した。それに比例して被害も大きくなる。

流石に被害が大きすぎると察したラダンはブレスを何倍にもした。それによってカイドウのボロブレスは一気に押し返され、カイドウはラダンのブレスに包み込まれた。

 

ヒュウウゥゥゥゥ

 

ドオオオォォォン

 

負けたカイドウは龍の状態から解除されて落ちた。

 

カイドウ「ぐっ………まさかこの俺が押し負けるとはな」

 

ラダン『ブレスを最初の攻撃に選んだのが運のつきだったな』

 

カイドウ「貴様の本気はとんでもないな」

 

ラダン『まだ威力は上げれるがな』

 

カイドウ「それほどか……何故最後に威力をあれほど上げた?」

 

ラダン『周りの被害を見てみろ』

 

カイドウはラダンに言われるがまま周囲を見る。

 

カイドウ「なるほどな。勝負をするには場所が悪いか」

 

ラダン『そうだ』

 

ラダンはそう言い、人化をする。

 

ラダン「今回はほぼ瞬殺だったから、今度は違うところでやろうか」

 

カイドウ「そうしよう」

 

龍合戦はほぼ一瞬で終わってしまったが、また今度やることを約束した。

 

カイドウ「貴様は何故ここにきた」

 

ラダン「三皇に会いにきただけだ。先にビッグマムで次にニューゲート、で最後にお前だ」

 

カイドウ「そうか。お前、俺の部下になれ」

 

ラダン「誰がなるか。てか、負けた相手に部下になれって言うのか」

 

カイドウ「細かいことは気にするな」

 

ラダン「細くねぇわ」

 

カイドウ「まぁいい。ちょうどいい、お前を鬼ヶ島に招待する」

 

ラダン「鬼ヶ島か。気になる場所だな」

 

「カイドウ様〜〜!」

 

ラダン「お前の部下か」

 

カイドウ「そうだ」

 

「突然飛び出さないでください!」

 

カイドウ「うるさい。俺より強い気配を感じたから飛び出したまでだ」

 

「はぁ……所でそいつは誰ですか?」

 

カイドウ「お前達も知ってるはずだ。マリージョアを襲撃し、リンリンを海軍本部に捨てていった。禁忌のラダンだ」

 

「な!?そいつが!?でも確かに顔は同じ……」

 

カイドウの部下は手配書を取り出し比べる。

 

カイドウ「こいつは鬼ヶ島に招待する。さっさと行くぞ」

 

歩き出すカイドウにラダンはついて行く。部下も慌てて後を追う。

 

船で鬼ヶ島に向かった。

 

カイドウ「さて」

 

おそらくカイドウのいつもいる場所にラダンはカイドウと向かい合う。

 

カイドウ「お互いに自己紹介をしよう。知っての通り、俺はカイドウ。百獣のカイドウと呼ばれている。趣味は自殺。能力はウオウオの実モデル青龍だ」

 

ラダン「ご丁寧にどうも。俺はラダン・クラネル。純粋な龍の親父と人から半竜になったお袋の息子だ。次男で上に兄と姉がいる。二人とも俺より強い。龍のモデルは蛇王龍ダラ・アマデュラと呼ばれる古龍だ。趣味は読書。以後お見知り置きを」

 

カイドウ「モデルとはどう言うことだ」

 

ラダン「異種族同士で生まれた場合、ランダムで産まれる。親と同じかもしれないし、違うかもしれん」

 

カイドウ「ようは犬と猫の間にワニが産まれるようなものか」

 

ラダン「極端だがそうだ」

 

カイドウ「ゴクッゴクッゴクッ、ぐうゥゥ。面白い産まれ方だな」

 

ラダン「その影響で両親の髪は両者銀色だが、俺は黒髪になってる。昔はそのせいで荒れた時期もあったがな」

 

カイドウ「ほーう」

 

あ、これ聞いてねぇわ。そう思ったラダンは話題を変える。

 

ラダン「それで、何故俺をスカウトするんだ?」

 

カイドウ「単純に気に入ったからだ。俺を超える懸賞金。手配書にある蛇の姿。何より二つ名だ」

 

ラダン「蛇の姿だが龍だ。二つ名の禁忌はそのまんまだろう。この世界に俺より強いやつはいないだろうし」

 

カイドウ「だろうな。あの威力のブレスを見れば一目瞭然だ」

 

ラダン「とりあえず、これで三皇に会うという目的は達成したが、しばらくはこの国に滞在する」

 

カイドウ「ほう、俺の部下になるのか」

 

ラダン「違う。元の世界にもここに似た場所があるが、俺は好きでな。あえて言うなら和風というのか。それが好きだ。だからしばらく滞在する」

 

カイドウ「わかった。どれぐらい滞在するかわからんが、その間に部下にしてやる」

 

ラダン「どんな方法かわからんが、楽しみにしてる」

 

その後、ラダンはカイドウと数時間酒を飲んだ。ラダン曰く、元はあまり飲まなかったがここに来てから飲む時は結構飲んでるだとか。その量は結構で済むには多すぎるが。

酒癖の悪いカイドウを見るのは面白いようだ。泣き上戸になったと思ったら怒り上戸になったり。暴れ出しそうになったら無理矢理落ち着かせてた。

 

 

 

その様子を枷をつけた少女が見ていた。




今回はここまで。
龍合戦はありましたが、一瞬で終わらせました。こういう感じの戦いもあっていいかなと思って。
さて、前回から取っていたアンケートですが、合計票数は132!ご協力ありがとうございます!
結果は無傷の状態で助ける 58票 タイガーに自分の血を輸血する 62票
タイガーが輸血を拒否 4票 後にタイガーの死を知る 10票
で、62票のタイガーに血を輸血するになりました!この場合、半龍にはなりません。
更新スピードはすごく遅いですが、気長に読んでくれるとありがたいです。
次回はラダンがワノ国を見て回る回になります。ここで光月日和と会わせます。ワノ国編の情報が全くないので、想像になります。Net○ixにもないですし、テレビも見れないので今のアニメの状況も分からないので。もちろん、調べますがそれでもわからないところは想像になります。
次回、ワノ国を散策
お楽しみに〜


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7ジャオ ワノ国散策

ラダンはカイドウと酒を飲んだ翌朝に月歩で鬼ヶ島を出た。

 

カイドウ「なんとかしてヤツを部下にできないだろうか……」

 

「難しいですね。力づくではできませんし、他にも興味を持ちそうなものはないですし」

 

カイドウ「俺の息子を預けるというのはできるかもしれんが」

 

「ヤマト様をですか?」

 

カイドウ「そうだ」

 

「ヤマト様が彼に懐けばあるいは」

 

カイドウ「どちにしろまたヤツがここにくれば会わせてみよう」

 

カイドウはそんなことを考えていた。

一方、海岸に着いたラダンは

 

ラダン「もらった地図を見る限り、ここは兎丼か。それに、囚人採掘場も見えるしな」

 

ラダンが降り立ったのはワノ国の兎丼と呼ばれる地区である。

 

ラダン「ここに降りたけど、ここはあまり散策する場所はねぇな。囚人採掘場を上から一回見て次に行こう」

 

ラダンは早速月歩で飛び、囚人採掘場を見渡す。

 

ラダン「そういえばカイドウから部下、幹部に会ったら話しかけとけって言われたな。大看板のキングとジャックにはあったが、クイーンには合ってないな。基本兎丼にいるらしいし、話しかけるか」

 

ラダンはクイーンを探してそこに降りた。

 

スタッ

 

ラダン「見つけた」

 

クイーン「誰だ」

 

ラダン「初めまして、クラネル・ラダンだ。一応カイドウの客だ」

 

クイーン「カイドウ様の?」

 

ラダン「ワノ国を散策がてらまだ会っていない大看板に会おうと思ってな。キングとジャックは昨日鬼ヶ島であった」

 

クイーン「なるほど。お前があの禁忌のラダンか」

 

ラダン「そうだ」

 

クイーン「一応言っておこう、俺は疫災のクイーン。リュウリュウの実モデルブラキオサウルスの能力者だ」

 

ラダン「よろしく」

 

クイーン「それで、それだけか?」

 

ラダン「それだけだ。んじゃ、もう行く」

 

クイーン「おう。カイドウ様の怒りに触れることがないようにな」

 

ラダン「気をつける」

 

カイドウの怒りに触れたとしても倒せるから問題だろう。だからといって悪さをするつもりは毛頭ない。

兎丼を離れた後、花の都を最後にして九里に向かった。

 

ラダン「九里は基本的に自然豊かな場所か」

 

一旦九里を上から見てみる。

 

ラダン「さて、ゆっくり進むとするか」

 

降り立ったラダンはゆっくり森の中を進み始めた。

 

グラァァァァ!!

 

ラダン「おぉ、初めてみる動物だな」

 

グアアァァ ガキンッ

 

ラダン「確かこれは……獅子狛だったか?」

 

グアアァァ ガキンッ

 

ラダン「腹でも減ってるのか?」

 

グルルル…… グラァァァァ!!

 

ラダンに襲いかかってた獅子狛は一回ためて襲いかかった。しかし

 

ラダン「伏せ」

 

ラダンは威圧をして言う。古龍の、それもトップレベルに威圧されて伏せと言われたら

 

キャウンッ!

 

従う他ない。

 

ラダン「よしよし、意外にも可愛いな」ワシャワシャ

 

グラアァァ!

 

獅子狛は立ち上がってラダンに背中を見せる。

 

ラダン「ん?背中に乗れって意味か?」

 

グラァ!

 

ラダン「おぉ、それもいいな!んじゃ、早速……」

 

ラダンはそう言って獅子狛の背中に飛び乗る。

 

ラダン「このまま森を進んでくれ。走らなくていいぞ。俺はじっくり見たいからさ」

 

グラァ!

 

獅子狛はそう返事をして歩いて森を進んでゆく。

しばらくしていると

 

ヒッグッ……ウゥゥ……

 

ラダン「泣き声?獅子狛、この声の聞こえる方に向かってくれ」

 

獅子狛は頷いて泣き声の主のところに向かう。しばらく進むと開いた場所に着いた。そしてある木の下で女の子が蹲って泣いていた。

ラダンは父親の遺伝である困ってる人をほっとけない性でその女の子に話しかける。

 

ラダン「大丈夫か?」

 

?「グスッ……誰……?」

 

ラダン「ただの通りすがりの困った人をほおて置けない旅人だ」

 

?「旅人……?ということはワノ国の外から来たの?」

 

ラダン「まぁ、そうだ。これでも外では有名ではある」

 

?「そうなんだ」

 

ラダン「それで、どうして泣いていたんだ?」

 

ラダンがそう聞くと女の子は暗い顔をして俯く。その目には涙が浮かんでいた。

 

?「私の名前は光月日和……少し前までここ九里の大名の娘だったの……けど……けど……」ポロポロ

 

ポン

 

日和「え…?」

 

ラダン「無理して話さなくていい。一端しか知れてないが、とても辛いことだったのはわかった」

 

ナデナデ

 

ラダン「君の感じから思いっきり泣いていないだろ?通りすがりの旅人の俺でいいなら胸を貸すぞ?」

 

日和「うぅ……うわーーーーん!!」ダキッ

 

日和はラダンに抱きついて泣いた。これまで我慢してきた分を解放して泣いた。抱きつかれたラダンは右手で撫でるのをやめず、もう片方の手を日和の背中に回した。

数十分泣き続けた日和は泣き疲れて眠ってしまった。

 

ラダン「やっぱりどこの世界でもこういう不幸な子供はいるのか……」

 

ラダンはこれまでの生で見てきた不幸な子供達を思い出す。

 

ラダン「しかし、九里の大名か……カイドウから聞いた通りなら光月おでんがだったはず。カイドウに唯一傷を負わせた男だったっけ。そして光月日和。調べてみるか。全く、散策のつもりだったのに。どうして俺はこうもトラブルを呼んでしまうんだ?それに癖でそこに突っ込んでしまうし」

 

日和「んん……旅人さん……」

 

日和は寝言でそう言い、ラダンの服をなお強く握った。

 

ラダン「言ってもしょうがないか。この子が起きるのを待とう」

 

そのまま5分ほどすると

 

ガサガサッ

 

?「姫!今日の昼を……」

 

茂みから出てきたのは河童だった。河童は食べ物の入った籠を持っていた。

 

?「貴様は誰だ!姫をどうした!」

 

河童は刀を抜いてラダンに向ける。

 

ラダン「落ち着け。俺はただの旅人だ。この子が泣いていたから泣きやましただけだ」

 

?「本当にか?」

 

ラダン「本当だ。やましい理由はない」

 

ラダンは真っ直ぐ河童の目を見て言う。しばらく見つめ合ってると

 

日和「ん……んん……河松?」

 

河松「姫!お気づきになりましたか!」

 

日和「うん」

 

ラダン「起きたか」

 

日和「あっ、すみません!泣きついてしまって……」

 

ラダン「別にいいさ。溜まったものを吐き出さないと壊れてしまうからな」

 

河松「姫。そのものが姫をあやしていたのは本当何ですか?」

 

日和「うん。本当だよ」

 

河松「そうでしたか……旅人殿、姫様をあやしてくださり感謝します」

 

河松は頭を下げる。

 

ラダン「頭を上げてくれ。俺はただ人として当然のことをしただけだ」

 

河松「それでもでございます。今の姫様は今朝の姫様より元気になっています。貴方様のおかげでございます」

 

ラダン「とにかく頭を上げてくれ。さっきも言った通り当然のことをしただけだ」

 

ラダンがそう言って河松はやっと頭を上げた。

 

日和「所で、さっきは旅人としか言ってないけど、名前は?」

 

ラダン「クラネル・ラダンだ。名前の通りワノ国の外から来た」

 

河松「なんと!ワノ国の外からですか!どのような動機で?」

 

ラダン「外で三皇と呼ばれている海賊達に会うのが目的でここに来た」

 

河松「三皇……聞いたことがあります。ここは基本外の情報は来ないが、随分前に流れ着いたものから聞いたことがあります。しかし……」

 

ラダン「ビッグマム海賊団のシャーロット・リンリン。別名ビッグマム。白ひげ海賊団のエドワード・ニューゲート。別名白ひげ。そして、百獣海賊団の百獣のカイドウ。この3人だ」

 

日和「カイドウ……」

 

カイドウの名を聞くと日和は俯き、河松は血が出るほどに手を握りしめていた。

 

ラダン「やっぱりカイドウ、ワノ国で何かやっていたか」

 

河松「やっぱり?どういうことですか?」

 

ラダンはここに来てすぐのことを話した。上陸して荒野でカイドウと会い、戦って圧勝したこと。ついでに自分の出生も話した。

 

河松「なんと……俄に信じがたい事です……ラダン殿が龍でカイドウに圧勝した事……」

 

日和「貴方がいたらお父様もお母様も死ぬことはなかったのに……」

 

ラダン「俺もそこまで万能ではない。目の前で起きたことしか対処できない」

 

日和「うん……ごめんなさい……」

 

ポン ナデナデ

 

ラダン「気にするな。俺もこんなことがあるたびに自分を呪ってるから」

 

日和「うん……」

 

ラダンはしばらく日和の頭を撫でていた。日和も嫌がらず気持ちよさそうにしていた。河松は日和が元気になって嬉しい気持ちと自分では元気にできなかったと悔しい気持ちが混ざっていて複雑だった。

 

ラダン「(さて、この問題をどう解決するか)」

 

またカイドウと戦うことになるのか、それとも部下も含めてか。どちしろ邪魔するなら叩き潰すとラダンは心に決めた。

 




今回はここまで。
丁度いい所だったので続きは次回に。
散策のつもりが早速トラブルに会い、そこに突っ込んでいくラダン。さて、どうなるでしょう。
次回は日和と河松から詳しい事情を聞き、カイドウの元に向かったラダン。
問題をどう解決するか そしてカイドウの頼みとは
次回、監禁された息子(娘)
次回も楽しみに〜♫


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8ジャオ 百獣海賊団の撤退の決定と手枷をつけた少女

ワノ国を散策するつもりだったが、親譲りのトラブルを呼び、そこに突っ込む性のおかげ(せい?)でまたも突っ込んでしまった。

 

ラダン「さて、乗りかかった船だ。お前たちの状況を教えてくれ」

 

河松「ラダン殿、姫様を元気にしてくれたことには感謝してますが、それは言えませぬ」

 

日和「河松、ラダンさんならいいよ」

 

河松「姫様!?」

 

日和「なんとなくだけど、この人なら助けてくれると思う」

 

ラダン「元からそのつもりだ。子供は何よりも大事な宝だ。そんな子供が不幸にあってるのに助けないわけがない。偽善だが、やらない善よりかはマシだ」

 

ラダンはそう言いきる。子供は宝。間違いではない。

 

河松「………わかりました。全部、お話しいたします」

 

ラダンは河松から経緯を聞いた。

九里の元大名、光月おでんは15年前にニューゲートの海賊団に入り、妻の天月トキ、のちの光月トキと出会い、航海中に長男のモモの助、海賊王ゴール・D・ロジャーの海賊団に移った後に日和が産まれた。その5年後に色々あったがワノ国に戻った。

戻ってからは辛いことばっかりだったそうだ。そしてそのまた5年後におでんはカイドウを討つ決心をし、襲撃したが失敗した。おでんは釜茹での刑で亡くなった。

それだけに留まらず百獣海賊団はおでん城を襲い、モモの助、綿えもん、カン十郎雷ぞう、雪の丞はトキの能力で20年後に飛ばされた。日和は飛ばされず河松によって城から脱出し、逃亡生活が続いている。

 

ラダン「なるほど……お前たちはどうしたい」

 

河松「どうとは……どういうことですか?」

 

ラダン「光月トキの言う通り後15年経つのを待つのか、それとも黒炭オロチを討つか。どっちでも協力するぞ。待つなら安全な場所に連れて行くし、オロチを討つなら俺がやってもいいし。カイドウのことは気にしなくていい。襲ってくるなら……あいつの望む死を与える

 

そう言ったラダンに河松と日和はゾッとした。

 

ラダン「さぁ、どっちにする。それとも違うことか?」

 

二人はしばらく考え込む。しばらくすると日和は話し出した。

 

日和「私は……もうこの逃亡生活が嫌……15年後のためとは言え、年々痩せ細っていく河松を見たくない……」ポロポロ

 

河松「姫様……」

 

日和は涙を流しながら言う。

 

日和「お父様やお母様が亡くなって……お兄様たちは20年後に飛んで……河松がいるけど、独りになりたくない…グスッ…河松は私だけに食べ物をくれて自分は食べないし……ヒッグ……こんな生活、もうやだよぉ……」ポロポロ

 

河松「申し訳ございません、姫様……拙者は姫様に生きて欲しくて……」

 

日和「河松が死んじゃったら元も子もないよ!」ポロポロ

 

河松「ですが……」

 

ラダン「ストップだ」

 

ラダンはこのまま喧嘩になりそうだったから二人を止めた。

 

ラダン「とりあえず、日和はこの逃亡生活をやめたい。河松は日和に生きてて欲しい。あってるか?」

 

二人は頷く。

 

ラダン「どちらも安全な場所、食料も充実している場所に連れていけば解決する。ワノ国への帰還の場合には俺が同行する必要があるが」

 

河松「安全な場所とはどこでありますか?」

 

ラダン「ここからだと遠いな。普通の方法ではまず辿り着けない場所だ」

 

河松「そんな場所が……」

 

ラダン「だが、聞いてる感じそこに15年もいられないんだろう?オロチを、カイドウを討つために」

 

河松「そうでございます。モモの助様達が戻るまでに準備をしなければなりませぬ」

 

ラダン「ふむ、なるほど……」

 

ラダンはしばらく考え込む。それを河松と泣き止んだ日和が見ている。

 

ラダン「オロチのことは別に問題ないが、その後のカイドウの動きが問題だな……。カイドウはワノ国を天然の要塞として欲している。俺としてはワノ国の統治をオロチから日和達に移して、カイドウはそのままに協力体制を気付けばいいと思うが……」

 

河松「カイドウをそのままにですか?」

 

ラダン「カイドウの利点は外の情報が入る。外から来る者への威嚇にもなる。カイドウを追い出すというのは無理だな」

 

河松「ぐっ…しかし……」

 

ラダン「自然が汚染されないように工場の位置は、変えさせる。最悪、俺が壊す。カイドウと対立しても問題ない」

 

河松「カイドウを討てないのは悔しいが、姫様のためだ」

 

河松は頭を下げる。

 

河松「ラダン殿。どうかオロチを討ち、姫様に安全な生活を送らせてください」

 

日和「河松……」

 

ラダン「当然だ。俺に任せてくれ」

 

ラダンは二人にその場を離れないように言い、カイドウのいる鬼ヶ島に戻った。

 

ラダン「カイドウ」

 

カイドウ「ラダンか。早い散策だったな」

 

ラダン「ちょっとしたトラブルにあっただけだ。単刀直入に言う、ワノ国をどうするつもりだ?」

 

カイドウ「前にも言った通り拠点にするだけだ。後にオロチには死んでもらう」

 

ラダン「だろうな。てことはワノ国の将軍が変わっても問題ないな?」

 

カイドウ「工場が稼働さえすればいい」

 

ラダン「なら、その工場も場所を移してもらう」

 

ラダンの発言にカイドウは顔を顰める。

 

カイドウ「何故だ」

 

ラダン「ワノ国全体を探知した時に、花の都以外の地は荒れ果てていた。花の都周辺も荒れ果てているがな。それに川の水が汚染されている。それを飲む動物達も毒の侵されている。人間が食べれば人間も毒に侵される」

 

カイドウ「お前はワノ国が欲しいのか?」

 

ラダン「違う。ある少女に幸せになって欲しいだけだ。出来るのか?」

 

ラダンはそうカイドウに聞く。カイドウはその質問にプレッシャーを感じた。回答次第ではカイドウが死ぬことになる。カイドウはそれを知らないが自然とそう思った。

 

カイドウ「……場所が有れば移す」

 

ラダン「そう。それを聞けただけ収穫はある」

 

カイドウ「どうするつもりだ?」

 

そんなの

 

ラダン「そんなの地面を隆起させればいい」

 

そんなこと出来るんだー(棒)さすが古龍ー(棒)

 

カイドウ「お前も突拍子もないことをやるな」

 

ラダン「うちの家系は強引が取り柄だしな」

 

カイドウ「そうか。そういえばちょうどいい。お前に紹介しようと思ってるやつがいる」

 

ラダン「へぇ、誰だ?幹部は大体会ってるが」

 

カイドウ「俺の息子だ」

 

ラダン「お前に息子なんていたんだな」

 

ラダンは目を見開いて言う。

 

カイドウ「フン、あのバカ息子は俺の言うことは全く聞かないがな」

 

ラダン「年頃だろ。俺もそういう時期あったし」

 

カイドウ「まぁいい。反抗ばかりするから監禁している。しょっちゅう脱走しているが」

 

ラダン「子供を監禁しているのかよ……」

 

カイドウ「反抗するヤツが悪い」

 

ラダン「はぁ…まぁいい。とりあえずその息子の所まで案内してくれ。ところで名前は?」

 

カイドウ「ヤマトだ」

 

ラダン「ヤマトだな。覚えた」

 

カイドウ「ついてこい」

 

ラダンはカイドウに牢屋に案内された。中には手枷をつけた

 

ラダン「女の子……?息子じゃなかったのか?」

 

ラダンがそう聞くとその場にいたものが疲れた顔をする。少女の身長は142cmほど。

 

カイドウ「このバカ息子が頑なに男として生きると宣言するからだ。このバカ息子が」

 

カイドウは中にいる息子(娘)に向けて言う。

 

ヤマト「うるさいクソオヤジ!何回も言ってるだろ!」

 

ラダン「なるほど。相当嫌われてるな」

 

カイドウ「このバカ息子に好かれようとも思わん」

 

ヤマト「それはこっちの話だ!」

 

ラダン「とりあえず、お前がヤマトだな?」

 

ヤマト「あぁ!三皇百獣のカイドウの息子、ヤマトだ!将来は光月おでんのようになるのが夢だ!」

 

ラダン「ほう、光月おでんか。俺は詳しく知らないが。何故男として扱ってるんだ?」

 

ヤマト「おでんに憧れているから、彼と同じ男として生きないとおでんのようになれないからだ!」

 

カイドウ「こういうことだ。部下どもも意思を汲み取ったのか根負けしたのか男として扱っている」

 

ラダン「なるほど……まぁ、いいんじゃないか?その憧れの心は痛いほどわかるから。俺も親父と叔父さんに憧れてたし」

 

ヤマト「おぉ!わかるか!」

 

ラダン「まぁな」

 

一方カイドウの方

 

「思ってたよりヤマト様懐きましたね」

 

カイドウ「そうだな」

 

「彼を押し留める道具にできるかわかりませんが、可能性はあるかと」

 

カイドウ「この際、二人を婚姻関係にすれば……」

 

「それもありですね。ヤマト様も落ち着くかもしれませんね」

 

カイドウ「だといいがな……」

 

こんなことが話されていた。

ラダンの方に戻って

 

ラダン「〜〜という感じで俺は憧れたな」

 

ヤマト「おぉ!すごい!ヒーローみたいだ!」キラキラ

 

ヤマトは目をキラキラさせていう。

 

ラダン「手枷つけたままで不自由じゃないか?」

 

ヤマト「正直言って邪魔」

 

ラダン「なら、取るか」

 

ラダンの発言にカイドウ達は驚く。

 

カイドウ「おい、手枷は取るな」

 

ラダン「何故だ?」

 

カイドウ「それはバカ息子を縛るためのものだからだ」

 

ラダン「話にならんな。そんな理由なら俺は取る」

 

ラダンはカイドウの言うことを無視して手枷に手をかざす。すると

 

ガチャンッ

 

ヤマトの手にあった手枷が落ちた。

 

ヤマト「お、おぉ……おぉぉぉ!!手枷が取れた!ありがとう!ええっと……」

 

ラダン「クラネル・ラダンだ。よろしくな」

 

ヤマト「ラダン!昨日クソオヤジと酒を飲んでた時は悪いヤツだと思ったけど、いいヤツだな!」

 

ラダン「そう言って貰って何よりだ」フッ

 

ヤマト「少し走ってくる!」ダッ

 

「ちょっ、ヤマト様!?」

 

カイドウ「行かせてやれ」

 

「ですが……」

 

カイドウ「いいからそうしろ!」

 

「は、はい!」

 

カイドウは声を荒げて部下に命令する。そこにラダンが近づく。

 

ラダン「よかったな、手枷が取れたら爆発する物だとばれなくてさ」

 

カイドウ「……チッ……」

 

ラダンの皮肉にカイドウは舌打ちをする。カイドウはそこそこイラついてるように見える。

 

ラダン「今後の行動次第で親子の縁を切られるぞ。今はまだ親子の情を信じている。バカな真似をするなよ」

 

カイドウ「……気をつける」

 

これで少しでもこの親子の仲が改善すればいいが……。

 

ラダン「ヤマトがいないうちに言っておこう、黒炭オロチはお前の計画関係なく殺すつもりでいる。代わりの将軍は光月家の生き残りがいる」

 

カイドウ「光月家、まだ生きていたのか」

 

ラダン「そこそこ居ると思うぞ。少なくともワノ国の半分は光月家の味方をする」

 

カイドウ「そこまでか。まぁいい。好きにしろ。工場はこの鬼ヶ島に移す。ワノ国を乗っ取るようなことはしない」

 

ラダン「別にこのままワノ国にはいてもいい。ワノ国と協力体制であって欲しい。お前達も拠点は欲しいだろうからな。それと工場はこれから増やす鬼ヶ島周辺の島に移せばいい」

 

カイドウ「わかった。おい!」

 

「はっ!」

 

カイドウ「全員に伝えろ!ワノ国から撤退すると。工場も解体して撤退だ!兎丼にいるクイーンもだ!」

 

「わかりました!」

 

カイドウの部下は走り去った。

 

カイドウ「これでいいだろう」

 

ラダン「あぁ、ワノ国に関してはこっちがやる。ありがとうな」

 

カイドウ「フン」

 

こうしてカイドウ率いる百獣海賊団は全面的にワノ国から撤退することになった。

 

ラダン「次は将軍オロチか。こっちの方がまだ楽だろう」

 

ワノ国がオロチの悪の手から解放されるまで、

 

 

後 三時間

 




今回はここまで。
カイドウを一応主人公の味方ということにしました。ことが起きる15年前ならそこまで悪いヤツということにはならないだろう。光月家とはしばらく溝があるけど、まぁ、問題ないでしょう。
ヤマトって結構でかいから13歳の時点で142cmにしました。
カイドウが味方(一応)になったわけなので、タグにカイドウは味方(一応)をプラスします。
次回は将軍オロチを失脚もとい消します。討ち入りには河松と日和を同行させます。それと、タイミングよく狂死郎がオロチ城にいたことにします。
次回、黒炭オロチの最後
おたのsヤマト「楽しみにしてけな!」 ワリコマナイデ……


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9ジャオ 黒炭オロチ討ち入り最終準備

カイドウがワノ国から百獣海賊団の撤退を決定した。あとは将軍オロチさえどうにかすればひとまず安心だ。

そんなことを考えてるとヤマトが走って戻ってきた。

 

ヤマト「ラダーーン!」ギュッ

 

ラダン「おっと」ダキトメ

 

ヤマトはラダンに飛び付き抱きついた。

 

ラダン「戻ってきたか」

 

ヤマト「うん!久しぶりに自由に走れた!」

 

ラダン「そうか。それはよかった」ナデナデ

 

ヤマト「むふ〜……」

 

ラダンは微笑みヤマトの頭を撫でる。ヤマトは気持ちよさそうにしている。

 

「あんなヤマト様は初めて見ました……」

 

カイドウ「俺もない。そもそも、俺の子供として接してことさえない」

 

「では、今後はせめて少し仲が悪い程度の親子関係を目指しましょう。ラダンさんのおかげでその機会はたくさんありますし」

 

カイドウ「……今更な気もするがな」

 

「これから頑張っていけばいいでと思います。私に子供はいませんが、どうにかなるでしょう」

 

カイドウ「……ふむ……」

 

少しはヤマトに向き合ってみようと、一歩前進したカイドウであった。

 

ラダン「さて、俺はそろそろ行く」

 

ヤマト「え、もう行くのか?」

 

ラダン「やらないといけない事が多いからな」

 

ヤマト「え〜……」

 

ラダン「またこっちに来るからさ」

 

ヤマト「本当…?」

 

ラダン「本当だ」

 

ヤマト「……約束……」

 

ラダン「ん?」

 

ヤマト「約束してくれるなら…」

 

ラダン「あぁ、約束する。ほら」

 

ヤマト「!うん!」

 

ラダンは小指を出す。いわゆる指切りである。

 

「「ゆ〜びきりげんまんうそつ〜いついたら針千本の〜ます。指切った!」」

 

ラダン「こっちにもこれあったんだな。とりあえず、これで安心か?」

 

ヤマト「うん!」

 

ラダン「そうか。んじゃ、じゃあな」ノツ

 

ヤマト「ばいば〜い!」ノツ

 

カイドウの方に行き

 

ラダン「それじゃぁ、もう行くわ。終わったらまたこっちに来る。次の将軍を担う奴らを連れてな」

 

カイドウ「わかった。こっちも急いで工場を解体して撤退する」

 

ラダン「頼んだ」

 

ラダンはそう言い残し飛び去った。

 

「嵐のような人ですね」

 

カイドウ「言い得て妙だ。奴の家系全員が嵐だろう」

 

「あり得そうですね。絶対に敵に回したくないですね」

 

カイドウ「敵になど回せるか。回したら百獣海賊団は一瞬で滅ぶ」

 

「この世界にあの人に勝てるものはいませんね」

 

カイドウ「兄と姉、父親には勝てないそうだ。そんなことより、工場の解体を速やかに済ませ」

 

「了解です」ビシッ

 

部下に工場の解体の命令を出した少し丸くなった(?)カイドウであった。ヤマトはぼうっとラダンの行った方を見ていた。

 

飛び去ったラダンは日和達の所に戻ってきた。

 

スタッ

 

ラダン「ただいま」

 

河松「おぉ、ラダン殿。思っていたより早かったですな」

 

ラダン「思ったよりスムーズに行ったからな」

 

ラダンはそう言い、獅子狛と戯れていた日和を見た。日和は楽しそうに笑っていた。

 

ラダン「(よかった。楽しそうに笑っていてよかった。ナイス獅子狛)」サムズアップ

 

「ガウッ!」サムズアップ

 

河松「姫様も久方ぶりに楽しく遊んでいます。久しぶりに姫様の笑顔を見ました。この河松……!感激にございます……!」

 

河松は楽しそうな日和を見て涙を流している。

 

日和「あ!ラダンさん!」テクテク

 

日和はラダンを見つけて近寄った。

 

日和「カイドウの件はどうなりました?」

 

河松「っと、そうでした。どうなりました?」

 

ラダン「結果から言うと、百獣海賊団はワノ国から全面的に撤退する事になった。工場もワノ国から鬼ヶ島に移すそうだ」

 

河松「おぉ!あのカイドウが撤退ですと!して、オロチは?」

 

ラダン「元々オロチは後に殺すつもりだったそうだ。だから、オロチは俺たちで討ち、新将軍を建てる必要がある」

 

河松「なるほど。もうオロチにカイドウの後ろ盾はないということですな」

 

ラダン「オロチを討つのはすぐやった方がいいだろう。今からでもな」

 

河松「そう上手く行くのでしょうか?」

 

ラダン「百獣海賊団はいないからオロチ直属の部下だけ気をつければいい。それぐらいは俺でも十分だ」

 

河松「という事は、気をつけるべきはお庭番衆と狂死郎一家ですな」

 

ラダン「そんなに少ないのか。あ、後、兎丼に捕まっている者達は百獣海賊団の撤退と同時に釈放されるはずだ」

 

河松「それは誠ですか!?」

 

ラダン「あぁ、わざわざ殺すこともないだろうからな。それに、カイドウもわかってるはずだ。無駄な殺しをすれば俺の怒りを買うことになるとな」

 

河松「よかった……これで味方が増える……!」

 

ラダン「オロチを討った後のことも考えよう。まず、次の将軍だ」

 

河松「おでん様の実子である未来に飛ばされたモモの助様がいいでしょうけど、それまでのつなぎは生き残った赤鞘九人男。もしくは生き残った大名にやってもらうことになります」

 

ラダン「なら、その赤鞘九人男と生き残った大名がいればそいつも探すとしよう」

 

日和「ですが、探すのは困難かと思いますが……」

 

ラダン「それなら問題ない。赤鞘九人男や大名ってのは普通の人より気配が濃い。それを探せばいい」

 

河松「どうやってですか?」

 

ラダン「おいおい。俺がいるだろ。禁忌と呼ばれるこの世の常識に当てはまらない龍がよ」

 

河松「まさかワノ国全体を察知できると…?」

 

ラダン「当然」

 

河松「……ラダン殿の驚くべきことに慣れた方が良さそうだ」

 

ラダン「そうした方がいい。一々驚いてたら身が持たんぞ」

 

河松「そうします。それで、わかりましたか?」

 

ラダン「それらしいのは二人見つけた。それもたまたまか二人は同じ場所にいる」

 

河松「おぉ!では早速!」

 

ラダン「折角だし俺に乗って行くぞ」

 

日和「乗る?」

 

ラダン「あぁ、少し離れていてくれ」

 

ラダンは二人と獅子狛から少し離れる。そしてラダンは人化を解いた。

 

河松「これが……ラダン殿の本当の姿……」

 

日和「スゴイ……」

 

ラダン『さ、頭に乗れ』

 

ラダンは頭を地につけ二人に乗るように促す。二人とついでに獅子狛もラダンの頭に乗った。

 

ラダン『しっかり掴まっておけ。行くぞ』

 

蛇の巨体は木の間を通り、進んだ。

 

ズルズル バキッ ガサガサ

 

 

九里、おこぼれ町の近く。荒野を蛇の巨体が進んでいた。

 

「巨大な蛇がこっちに真っ直ぐきてるぞー!」

 

「なんだあの蛇は!?」 「あんなのいたか!?」

 

おこぼれ町の皆は慌て喚いていた。

 

?「なんだ〜?巨大な蛇だ?何が起きている…」

 

着物を着崩した大男は顔を顰めていた。

 

?「おっほっほっ!巨大な黒い蛇とな!こりゃぁ面白い!」

 

青髭の濃い頭巾を被った男は笑いながら見ていた。

 

?「また何か起こるのでしょうか……」

 

店を営む女性は不安を感じていた。

 

「お、おい!あれ!誰か頭に乗ってるぞ!」

 

巨大な蛇が近づくと、その頭に誰かが乗ってるのが見えた。ボンヤリと見えていたのが蛇が近づいた事でハッキリした。

 

「女の子と獅子狛に……河童…?」

 

?「なんだと?」

 

?「何?河童?」

 

?「河童ってもしかして……」

 

蛇はおこぼれ町ののすぐ前で止まった。その頭から女の子と河童、獅子狛が降りた。すると蛇は光に包まれた。おこぼれ町の皆は目を腕で覆った。光が止むとそこには男がいた。

そう、ラダンである。

 

ラダン「ここにいるぞ」

 

河松「えぇ、一人は目の前にいます」

 

?「河松!」

 

着物を着崩した大男がズンズンと巨体を河松に近づかせた。

 

?「お前、河松か?本当に河松か!?」

 

大男は河松の肩を掴みそう言う。

 

河松「久方ぶりですな、アシュラ童子殿」

 

アシュラ「と言うことは……姫……様……?」

 

日和「お久しぶりです。アシュラ童子さん」ニッコリ

 

アシュラ「お…おぉ……ご無事で何よりです……!」ポロポロ

 

アシュラ童子は涙を流しながら言う。

 

?「日和ちゃん……?」

 

女性が日和に話しかけた。

 

日和「お鶴……さん……?」

 

お鶴「日和ちゃん!よかった!無事でよかった!」ギュッ ポロポロ

 

日和「うん!お鶴さんも……無事でよかった!」ポロポロ

 

お鶴と呼ばれた女性と日和は抱き合い、涙を流した。

 

そこに

 

?「いやはや。感動的な話で私、感激です!」

 

ラダン「お前が最後か」

 

河松「え、ラダン殿、このものがアシュラ童子殿ではないもう一人…?」

 

ラダン「あぁ、そうだ」

 

河松はいきなり話しかけた胡散臭い男を注視した。

 

河松「!まさか!」

 

?「……気づいてしまったか」

 

河松「何故貴方様がそのような……!」

 

アシュラ「おい河松。どういうことだ」

 

河松「気づかないのか!?この方は…!元々白舞の大名…!霜月康イエ殿だ!」

 

アシュラ「何!?」

 

康イエ「気づいてしまったのなら隠す必要もない。たしかに俺が霜月康イエだ」

 

アシュラ「生きて……いたのですか……」

 

康イエ「正確には生き延びてしまった…だろう。して、何故ここに?俺の記憶が正しければトキ殿の預言のために逃亡生活をしてると思ってたのだが?」

 

河松「えぇ、確かにそうでございます。しかし、その必要が無くなったのです」

 

アシュラ「無くなった?どういうことだ。それに、そいつは誰だ。あの蛇がいた所にいたが……」

 

河松「この方はクラネル・ラダン殿。ワノ国の外から来たものです。そして、我々の協力者です」

 

康イエ「協力者……確かに計り知れぬ力を持ってるのはわかるが……」

 

河松「ラダン殿はつい先日、あのカイドウと戦い、圧勝するほどの力を持っています」

 

アシュラ「な!?あのカイドウを!?」

 

ラダン「本当だ。俺がこの国にきた経緯、そして河松らといる経緯は……」

 

ラダンはこの世界に来たこと、自分の正体、そしてワノ国に来てからの事を話した。

 

康イエ「何もかもが信じられぬ……だが、カイドウ率いる百獣海賊団が本当に撤退してたとしたら……」

 

アシュラ「後15年も待たなくてもオロチを討てる……!」

 

ラダン「酷ではあるが、カイドウを討つのはやめて欲しい。カイドウと協力関係を築いてワノ国を統治する。それが最善だ」

 

しかしアシュラ童子と康イエは険しい顔をしていた。

 

アシュラ「それは……難しい……カイドウに恨みのある奴は多い。協力関係を築いてたら変わらずカイドウの傀儡と思われかねない……」

 

ラダン「なるほど……」

 

ラダンは考え込んだ。

 

今のままでは無理……だが、カイドウはここにいた方がいいのは事実。今のワノ国自身に戦力はほぼない……。

!第三者が味方してオロチを討ち、カイドウを倒してその上でカイドウと協力関係になれと言った場合、それも人間では到底敵わない例えば龍とか、な。

 

ラダン「一つ思いついた」

 

皆ラダンの話に耳を傾けた。

 

作戦はこうだ。

人化を解いた状態で日和達を乗せ花の都に乗り込む。大きさは調節して都内に入り、オロチ城に強行突破。そのままの勢いでオロチを討つ。さらに、そのままカイドウを討つと宣言する。俺は神の使いとでも言えばいい。そうすればカイドウを倒した俺がカイドウと協力関係を築け。さらにダメ押しにメリットを言えばカイドウを恨むものも納得するはずだ。

 

ラダン「──という感じだ。どうだ?」

 

河松「なるほど!それなら!」

 

康イエ「うむ、出来ないことはないだろう」

 

アシュラ「無理矢理な気もするがな」

 

ラダン「強引なのはうちの家系の特徴だしな」

 

日和「けど、作戦はいいと思います」

 

ラダン「やるにはカイドウに作戦を伝える必要がある。その間に仲間集めは頼んだ。少人数でも大丈夫だ」

 

アシュラ「わかった。それは俺に任せてくれ」

 

ラダン「なら、俺はカイドウの所に行ってくる。決行は2時間後。場所はここだ」

 

打ち合わせが終わり、ラダンはまたカイドウの所に向かった。

 

オロチ討ち入りまで

 

後 2時間




長らくお待たせしました。
今回でオロチを討つつもりでしたが、先延ばしになっちゃいましたした。次回こそは……!


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10ジャオ オロチの最期

河松達と別れ、ラダンはまたカイドウの所に向かった。幸運なことにカイドウは海岸沿いにいた。

 

カイドウ「早い帰りだったな」

 

ラダン「俺もまさかオロチを討つ前にここに来るとは思わんかったわ」

 

カイドウ「まぁいい。今度はなんのようだ」

 

ラダン「それはな……」

 

ラダンはカイドウに作戦の事を伝えた。

 

カイドウ「なるほど……そんなの力付くで抑えればいいと思うがな」

 

ラダン「力付くでやるわけにはいかんからな」

 

カイドウ「まぁいい。わかった。協力してやる」

 

ラダン「おぉ、そうか。ありがとう」

 

カイドウ「だが、そのかわり、こちらの要求を一つ聞いて貰うぞ」

 

ラダン「世界を全部回るつもりだから、一生ワノ国に居ろじゃない限りはいいぞ」

 

カイドウ「なら問題ない。二、三年はいる事になるかもしれんが」

 

ラダン「それぐらいならいい」

 

ラダンはカイドウから協力を取り付けて足早に去った。

 

「彼とヤマト様の婚約を締結できましたね」

 

カイドウ「騙し打ちみたいなものだがな」

 

「まぁ、問題ないでしょう。彼の性格からヤマト様が了承していれば大丈夫でしょう。それに、ヤマト様も満更でもないでしょう」

 

カイドウ「かもな」

 

知らず知らずの内にヤマトとの婚約が結ばれたラダンであった。

 

 

河松達の元に戻ったラダンは

 

ラダン「戻ったぞ」

 

日和「おかえりなさい、ラダンさん」

 

河松「ラダン殿。早い帰りでしたな」

 

ラダン「俺があちらの要求を一つ聞く代わりに協力を得た」

 

アシュラ「要求……損の方がデカい気がするが……」

 

ラダン「俺としては一生縛られない限りはいい。縛られたとしても最長10年まで許容範囲だ」

 

河松「そういえば、ラダン殿は世界を見て回るのが目的でしたな」

 

康イエ「カイドウの要求はラダンに向けてだからこちらが心配する必要は無かろう」

 

ラダン「その通りだ。さて」

 

ラダンは一拍置いて

 

ラダン「カイドウから協力を取り付けた。あとは討ち入りのメンバーだけだ」

 

アシュラ「それなら問題ねぇ。隠れ家に大人数いる。人数不足にはならねぇ」

 

ラダン「なら、あとは時間になるのを待つだけか。後、俺は巨大な蛇として現れる事にする。くれぐれも名前で呼ばんでくれ」

 

河松「わかりました。呼び方はこちらで決めておきます」

 

ラダン「そうしてくれ。それまで、待機しておこう」

 

そう言ってラダンはお鶴の営む店の前のベンチに座る。そこにお鶴がお盆を持って現れる。

 

お鶴「こちらをどうぞ」コト

 

ラダン「これは……おしるこか。懐かしいな……」

 

お鶴「あら、知っていらしたのですね」

 

ラダン「元の世界にもここと似た国があったからな」ズズズッ

 

日和「では、時間になるまで元の世界の事を話してくれませんか?」

 

ラダン「あぁ、もちろんいいぞ」ニコッ

 

日和「ありがとうございます!」パアァァッ

 

日和はラダンの隣に座り、ラダンの話に耳を傾ける。

 

河松「姫さまはもうすっかり元気ですね」

 

アシュラ「ラダンと一緒にここに来るまで姫様の生死自体知れなかったが、やっぱり落ち込んでたのか?」

 

河松「毎日涙を流しておられました。ラダン殿が現れなければ姫さまは自分から姿を眩ませる可能性がありました」

 

アシュラ「そこまでか……てか、お前も随分痩せてるぞ。まともに食ってねぇだろ」

 

河松「いやはや……姫さまの身の安全ばかりで某の事を疎かしにしていました…」

 

アシュラ「それも姫さまが姿を眩ませる可能性の一つだろ」

 

河松「その通りでございます。これから気をつけます」

 

アシュラ「とは言え、姫さまは随分ラダンに懐いたな」

 

河松「ラダン殿が子供の扱い方が上手いからでしょう」

 

康イエ「奴を日和姫と婚約させてもいいかもな」

 

河松「康イエ様!?」

 

康イエ「ただの冗談だ」

 

アシュラ「あの霜月康イエ様が冗談を言うとは……」

 

河松「姫さまは満更でもないかも知れませんが、ラダン殿を縛り付けるのはよくありません」

 

康イエ「受け入れそうな気がするがな」

 

河松「………あり得ますね。姫さまが前向きなら……」

 

康イエ「とは言え、それは全てが終わった後にしよう」

 

河松「そうしましょう」

 

こちらでもラダンと日和の婚約の話が進んでいた。

 

 

しばらく経って作戦決行の数分前

 

ラダン「さて」

 

日和に元の世界の事を言うのを中断してラダンは立ち上がった。

 

ラダン「そろそろ先に行っとく。味方の巨大な蛇として現れないといかんからな」

 

康イエ「どのように登場するか知らんが、作戦はお主に委ねられておる。オロチの討ち入りを頼んだ」<(_ _)>〈 ゴン!〕

 

河松 「康イエ様!?」

 

康イエ「どうか……」

 

ラダン「康イエ。そこまでしなくても元からそのつもりだ。だから頭を上げてくれ」

 

ラダンに言われるがまま康イエは頭を上げる。

 

ラダン「先に行ってる。そっちも作戦通り頼む」

 

康イエ「勿論!」

 

ラダンは頷いて持ち場に向かった。

そして数分後、オロチ討ち入りの決行時刻になった。おこぼれ町の前に300人余りの人が集まっていた。

 

アシュラ「静粛に!!」

 

アシュラが大声でそう言って注目を集める。そして置いてあった台に日和が登り、喋り始める。

 

「あの方はまさか…!」

 

日和「皆さま、こうして姿を見せるのは初めてです。私は元九里の大名光月おでんの娘、光月日和です」

 

「生きておられたのか……」

 

日和「まずは、集まってくれた事に感謝します。ありがとうございます」

 

日和は一礼する。

 

日和「今日はカイドウを後ろ盾に将軍を語るオロチの討ち入りを決行いたします!」

 

日和がそういうとざわつき始める。

 

日和「とある情報筋からカイドウはオロチを見限った事がわかりました!その証拠に九里、花の都に百獣海賊団は一人もいません!」

 

カイドウがオロチを見限った事、九里、そして花の都に百獣海賊団が誰もいない事からざわつきが大きくなる。

 

日和「お母様、光月トキの予言は20年後にワノ国は解放されるという事でしたが、中にはあの時より20年も待てないという方が多いでしょう。オロチの後ろにカイドウはいない。この絶好の機会を逃すわけにはいきません!」

 

「そうだ……いつまたカイドウがオロチの後ろ盾になるかわからない。なら、今のうちに……」

 

日和「どうか……逆賊オロチを討つ事に力を貸してください!」

 

「勿論です!」  「共にオロチを討ちましょう!」

 

オオオオォォォォォ!!

 

日和は下がり、かわり河松が前に出る。

 

河松「某は光月おでん様の家臣、赤鞘九人男が一人、河童の河松でございます!花n……」

 

その時

 

グラァッ

 

「地揺れ!?」 「こんな時に……!」

 

ガガガガガガガガガッ  ガアァァァンッ  パラパラッ

 

一際大きい地揺れの後に大穴がすぐそばにできた。そこから

 

ズルズル ズルズル

 

何かが引きずる音がした。そして

 

「へ、蛇だぁ!!巨大な蛇が現れたぞ!」  「またか!!」

 

河松「(ラダン殿……現れるならもう少し大人しく現れてほしかった……)」

 

現れた巨大な蛇、基ラダンは体全部を穴から出してジッとオロチ討ち入りメンバーを見ていた。

 

「何故こちらをジッと見ているんだ……?」 「あり得ないかもしれんが、俺たちの味方……とか……?」

 

一人がそう言うと

 

ラダン コクン

 

ラダンは頷いた。それによってざわつきが始まった。

 

「まさか本当に味方か?」 「だが、蛇だぞ?蛇にしては姿がおかしいが……」

 

ざわつきに中、日和はラダンに近づいた。

 

「姫さま!危険です!」

 

日和「大丈夫です」

 

日和はそう言ってラダンを見上げる。

 

日和「あなたは、私たちに味方ですか?」

 

ラダン コクン

 

日和「オロチを、カイドウを倒す事を手伝ってくださいますか?」

 

ラダン コクン

 

「ほ、本当に味方だぞ」 「まさか、神の御使……」 「我らに神が味方したと言うことか!?」

 

シャララアァァァァァァァ!!

 

ラダンは咆哮をあげ、己の体を指す。

 

日和「もしかして、乗れ。ということとですか?」

 

ラダン コクン

 

「おぉ!これなら移動が速くなるぞ!」 「それに乗っていればあちらも戦意がなくなるはず!」

 

「乗るぞ!!」

 

数人が梯子を持って来てラダンに乗り始める。勿論、日和、河松、アシュラそして康イエが乗り

 

河松「いざ!逆賊オロチの討ち入り開始!」

 

河松の声を聞いてラダンは進み始める。

 

場所は移ってオロチ城

 

?「なんじゃと!?もう一度言え!」

 

「で、ですから……明王様からの書状で短く『お前とはきる』と……」

 

?「どういうことじゃ……ワシとはもうきるということか……?」

 

頭を抱えているのは黒炭オロチ。カイドウと通じ、ワノ国を牛耳っている本人である。

そんなオロチは部下からカイドウからの書状の内容を聞いて頭を抱えている。

 

オロチ「奴を呼び出せ!書状を送って呼び出せ!」

 

「し、しかし応じるかどうか……」

 

オロチ「いいからさっさとやれ!」

 

「は、はっ!」

 

オロチの部下は下がっていった。

 

オロチ「一体何が起こっている……」

 

?「大丈夫でございますか?」

 

オロチ「おぉ、狂死郎。すまないな、取り乱して」

 

狂死郎「いえいえ」

 

狂死郎と呼ばれた男は表向きは将軍御用達の両替屋。だが、裏では花の都を牛耳っているヤクザの頭領である。異名は居眠り狂死郎。酒を飲むと眠ってしまうことから来ている。

だが、狂死郎自身にも秘密がある。それは……

 

狂死郎「(まさかカイドウがオロチ見捨てるとは……これは、もしかしたらトキ様の予言よりも速く事が終わるかもしれん)」

 

狂死郎、本名は傳ジロー。元光月おでんに使える赤鞘九人男の一人である。傳ジローはおでんが亡くなり、おでん城が襲撃されトキが亡くなった後、悔しさと不甲斐なさ、怒りから来るストレスによって髪色は変化し、顔も変わった。それによって傳ジローとバレなかった。

傳ジローは腕っ節で仲間を集め、オロチ気に入られるようにした。今ではオロチの次に権力が強いほどである。

 

狂死郎「(何があったかわからんが、これはチャンスだ)」

 

傳ジローがそう思っていると

 

「お、オロチ様ー!」

 

オロチ「なんじゃ!次から次へと!」

 

「く、九里の方面から巨大な蛇が近づいております!」

 

オロチ「巨大な蛇じゃと?」

 

「は、はい!それと、うっすらですがその蛇の上に人影も複数あります!」

 

狂死郎「(人影…?まさか……いや、だが……)」

 

オロチ「ええい!そんな蛇など討ってしまえ!兵は幾らでも連れていけ!」

 

「は、はっ!」

 

そう言われた部下は急いで下り、準備を始めた。

 

オロチ「ったく、こんな忙しい時に…!」

 

狂死郎「まぁまぁ、オロチ様どんな蛇かわかりませんが、オロチ様の兵を持ってすれば問題ありません」

 

オロチ「ムハハハハ!お主もそう思うか!」

 

狂死郎「えぇ、勿論」ニコッ

 

だが、オロチが安心してるのを裏切るように事態は進んでいた。

 

 

河松「あちらにある城が目的地でございます!」

 

ラダン シュルルゥゥ

 

龍状態のラダンは河松の指示を聞いて花の都内を進んでいる。途中オロチの兵らしきサムライが攻めて来たが、討ち入りのメンバーがその度に降りて交戦している。それが度々起こり、ラダンに乗っているのは日和、河松、アシュラに康イエの中枢メンバーだけになった。

やがてラダンはオロチ城のすぐ手前に着くと、右回りにオロチ城を回りながら登り始める。

 

河松「皆さん!いよいよオロチの元に着きます!オロチ自身も何かの能力を持っている可能性があります!くれぐれもお気をつけください!」

 

アシュラ「わかっている!せめて姫さまに危害が行かないようにする!」

 

康イエ「さぁ、いよいよだ。待っていろ、オロチ…!」

 

そしてラダンは頂上まで登るとオロチのいる部屋の壁を壊した。

 

グシャァァッ パラパラッ

 

オロチ「な、何事だ!?」

 

日和はラダンの頭の先端に立ち、喋り始める。

 

日和「逆賊オロチ!」

 

狂死郎「まさか、あの方は……!」

 

日和「5年前に百獣海賊団船長のカイドウを後ろ盾にワノ国の大名達を亡き者にし、将軍を偽り暴虐の限りを尽くした!それにより自然豊かだったワノ国は工場によって汚染され、安全な食料も取れなくなった!そんなあなたはワノ国を統べる将軍に相応しくない!よって、あなたを今日、討ちます!」

 

オロチ「ワシが逆賊じゃと……?この小娘が!今すぐ貴様を打首にしてくれるわ!」

 

康イエ「させねぇよ」

 

オロチ「誰じゃ!貴様!」

 

康イエ「オイオイ。覚えてねぇのか?黒炭オロチよ」

 

オロチ「っ!まさか!貴様は死んだはずじゃ!」

 

康イエ「だがこうして生きている。つめが甘いなオロチ」

 

オロチ「霜月康イエ!よもや生きていたとは!」

 

康イエ「はっはっはっはっ!驚く貴様を見れただけでも僥倖だ!」

 

オロチ「おのれ……おのれぇーーー!!」

 

オロチの怒りは天元突破した。オロチの姿をみるみるかわり、八つの首がある龍になった。オロチはヘビヘビの実幻獣種モデルヤマタノオロチの能力者である。だが、大きさはラダンに遠く及ばない。

 

オロチ「貴様ら全員噛み砕いてやらぁぁ!」

 

康イエ「そんな小さい頭でか?」

 

オロチ「だまれぇぇ!!まずは小娘……を……」

 

オロチが飛びかかろうとした瞬間

 

スパンッ

 

傳ジローが刀を抜き、オロチの八つの首を切った。

 

オロチ「きょ……狂……死ろ……う……き……さま……も……」

 

ドサドサドサッ

 

オロチの全ての首は落ち、オロチは絶命した。

 

河松「い、一体何が起こっているのでありますか……?」

 

アシュラ「あいつぁオロチの部下じゃなかったか?」

 

傳ジローは刀を納刀しラダンたちに近づいた。河松たちは警戒し刀に手を置いた。

 

狂死郎「お久しぶりでございます」

 

河松「久しぶり……?」

 

狂死郎「やはりわかりませんか……私です。赤鞘九人男が一人、傳ジローでございます」

 

河松「傳ジロー殿!?だが…確かに面影はある……」

 

アシュラ「お前に何があったんだ……」

 

傳ジロー「私は……」

 

傳ジローはおでん城襲撃の後からあった事を話した。

 

日和「それでオロチ城に……」

 

傳ジロー「えぇ、姫様が無事で何よりです。しかし、どうしてカイドウがオロチを見捨てたタイミングで討ち入りを?」

 

日和「それは……」

 

日和は今日あった事、ラダンの事も含めて話した。途中ラダンが代わったりして真相を話した。

 

傳ジロー「まさかそんな事が……」

 

ラダン『信じられんかもしれんが、本当のことだ』

 

傳ジロー「まだ信じられませんが、それは一旦置いておきましょう。先程話した作戦の通り、このままカイドウと?」

 

日和「はい。表向きはカイドウの討ち入り。本当はラダンさんの発言でカイドウと協力関係になるために」

 

傳ジロー「他にも方法はありそうですが……」

 

ラダン『第一の理由は俺がカイドウは嫌いじゃないからだ。それに、カイドウの子供、ヤマトもいるから』

 

河松「カイドウに子供がいたのですか!?」

 

ラダン『あぁ、息子と言ってるがな』

 

河松「?どういうことですか?」

 

ラダン『まぁ、それは後でいいだろう。とにかく、そういう理由だ』

 

傳ジロー「はぁ、姫さまを救ってもらった手前、文句はありませんが……」

 

ラダン『無責任なことだが、その後はお前たちの頑張り次第だ。全部俺が干渉するわけにはいかん』

 

康イエ「正論だな」

 

ラダン『たとえカイドウがワノ国を去る事になっても、この国に危険が来ないようにはする』

 

正直、カイドウがいても居なくてもワノ国はラダンの加護で守られている。アマンデュ島と同じ状態である。カイドウがワノ国にいるように動いているには上にある通り、ラダンはカイドウが嫌いじゃない。悪党ではあるが、今のところワノ国以外で悪いことはやっていない。

ラダンにとってカイドウは友でもある。それにヤマトの事もある。

 

傳ジロー「そうですか……私もその作戦に参加したいですが、私はここに残って後処理を行います」

 

日和「お願いしていいですか?」

 

傳ジロー「勿論です」

 

日和「では、傳ジロー。後処理をお願いします。私たちは作戦を続行します」

 

傳ジロー「どうかお気をつけを」

 

それを聞いてラダンはオロチ城を降り始める。

作戦は遂に難関の第二段階に入った。

 




やっとオロチ討伐がおまりました。
このままカイドウの所も行くと思いましたが、長くなりすぎると思ったのでここまでにします。
ちょくちょく主人公の口調が迷走しがちな気がしますが、どうでしょうか?いかんせん、自分に文才がないので。
後、康イエもこんな口調でいいでしょうか。オロチの所で口調が変わった気がしますし……。
次回は作戦も遂に困難の第二段階。上手く皆が納得できるカイドウとの協力関係になれるのか。そして二人の少女の気持ちは…
次回神の御使・蛇王龍
次回もお楽しみに〜


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11ジャオ 神の御使・蛇王龍

オロチ城を降りると討ち入りメンバーのサムライ達が集まっていた。どうやらオロチの部下はそこまで多くなかったようだ。

 

河松「あまり消耗していませんね」

 

アシュラ「オロチ自身の部下は弱いってことだろ。そういえば御庭番衆はどうしたんだ?」

 

河松「それなら傳ジロー殿がもう斬っていました」

 

アシュラ「いつの間に……」

 

日和「それは後にしましょう。まずはオロチを討ったことを伝えましょう」

 

日和はラダンの頭の先端に立ち、高らかに宣言する。

 

日和「将軍を語る逆賊オロチはたった今討たれました!」

 

オオオオォォォォォ!!

 

「遂に!遂にオロチを倒したぞおぉぉ!!」 「後はカイドウだけだ!!」

 

サムライ達はオロチが討たれたことに沸き上がり、次はカイドウと声をあげていた。

 

日和「この勢いのままカイドウも討ちます!海を渡る方法はまた神の御使様に乗り渡ります!」

 

「急いで乗るぞ!」 

 

サムライ達は急いでラダンに乗り始めた。全員が乗ると

 

河松「目的地は鬼ヶ島!カイドウの根城でございます!」

 

河松の声を聞いてラダンは進み始めた。

 

 

場所は移って鬼ヶ島。

 

「カイドウ様!」

 

カイドウ「どうした」

 

「ワノ国の将軍オロチが謀反で討たれました!謀反を起こした者たちは勢いのままこちらに向かって来ています!」

 

カイドウ「来たか。迎撃の準備をしろ。ただし最低限だ」

 

「さ、最低限ですか?」

 

カイドウ「あぁ、最低限だ」

 

「わ、わかりました!」

 

カイドウの部下はそう言って下がっていった。

 

「遂に来ましたね」

 

カイドウ「こちらの被害が小さくなるようにするには俺と大看板の三人だけで対応することだ」

 

「だから最低限なんですね」

 

カイドウと部下が話していると

 

ヤマト「バカ親父!」

 

カイドウ「何事だ」

 

ヤマト「聞いたぞ!オロチを討った奴らが来ているってな!」

 

カイドウ「それがどうした」

 

ヤマト「ワノ国はおでんの故郷、戦うな!」

 

カイドウ「お前の一存で決められん。それにこれはラダンの作戦だ」

 

ヤマト「ラダンの……?」

 

カイドウ「そうだ」

 

カイドウはヤマトに作戦の全容を伝えた。そして実際に戦うのはラダンとカイドウ、大看板の三人だけという事も。

 

ヤマト「なるほど!ワノ国のためにか!さすがラダン!」

 

カイドウ「他言するな」

 

ヤマト「当たり前だ!ラダンの作戦だもん」

 

「随分ラダン殿に懐いていますね」

 

ヤマト「ラダンは僕のおでんと同じ憧れだ!」

 

「そうですか。ちょうどいいですし、今伝えましょう」

 

カイドウ「確かにな」

 

ヤマト「なんのことだ?」

 

カイドウ「率直にいうとお前とラダンの婚姻だ」

 

ヤマト「ぼ、ぼぼボクとラダンの!?///」

 

「いくら男として過ごしていても中は女の子。ラダン殿を見る目は乙女のそれでしたよ?」フフフ

 

ヤマト「だ、だけど……///」

 

「いいじゃないですか。好きなのでしょう?」

 

ヤマト「///」コクン

 

「なら、決まりですね」

 

カイドウ「この作戦に協力するかわりこちらの要求を聞いてもらうことになっている。それがさっきの婚姻だ。だが、ヤツは世界を回る事が目的だ。誰かを連れて行く事もないだろう」

 

「だからいわゆる現地妻っていうやつね。それで、どうですか?」

 

ヤマト「…なかなか会えないのは嫌だけど……ラダンが会いに来てくれるのなら…///」

 

カイドウ「なら決まりだ。作戦の後に詳しいことを決める。それまで出てくるな」

 

ヤマト「親父に指示されるのは嫌だが、わかった」

 

ヤマトは嫌な顔をして部屋から出ていった。

 

 

一方、ラダン達は鬼ヶ島に上陸した。上陸とともにサムライ達と日和達はラダンから降りた。

前方には百獣海賊団が隊列を組んでいた。そしてカイドウに大看板の三人、火災のキング、疫災のクイーンそして旱害のジャック。

幹部クラスの真打ちは居ない。因みに、作戦を知っているのはカイドウに大看板、カイドウの秘書的立場の部下(オリジナル)とヤマトだけ。

 

日和「遂に、ですね……」

 

河松「ラダン殿が上手くやってくれます。我々は見守りましょう」

 

アシュラ「そうです。姫さまが信じなくて誰が信じるんですか」

 

康イエ「ラダンからはおでんに似た何かを感じる。ここは堂々といよう」

 

日和「そう…ですね。ありがとうございます」

 

康イエ「何、当たり前の事をしただけだ」

 

日和「(ラダンさん。お願いします……)」

 

日和は静かに祈る。

 

嵐の前の静けさを纏っていた戦場は

 

カイドウ「ウオオオォォォ!!」

 

ピシャァンッ

 

雷が落ちるとともに、カイドウは龍に変身し、動き出した。キング、クイーン、ジャックがそれぞれプテラノドン、ブラキオサウルス、マンモスに変身し突撃した。

 

日和「お願いします!大蛇様!」

 

ラダン シャララアァァァァァァァ!!

 

日和の声でラダンも突撃した。

先に攻撃を仕掛けたのは空を飛ぶというアドバンテージを持っているキングだった。

 

キング「堕ちろ!」 ドゴオォンッ

 

キングはその強靭な脚力でラダンの頭に踵落としをするが

 

ラダン シャララァァ

 

ラダンはびくともしなかった。キングが驚きで固まった隙を突いてラダンはキングを咥え、高速で投げた。

 

ガアアァァァンッ

 

「キング様!!」

 

数十メートル投げ飛ばされたキングは変身が解かれ気絶していた。

次に仕掛けたのはクイーンとジャックの同時攻撃だった。

 

クイーン「キングがやられた!同時に仕掛けるぞ!」

 

ジャック「了解!」

 

だが、ラダンはクルッと周りその遠心力で尻尾で横に払った。反応できなかったジャックは飛ばされキング同様変身が解かれ気絶していた。

クイーンは間一髪跳んで避けるが

 

ラダン『(蛇王龍の咆哮!)』

 

空中で逃げ場のないクイーンをラダンの青いブレスが襲った。他の二人同様クイーンも吹き飛び、変身が解かれ気絶していた。

 

「い、一瞬で大看板がやられた……」 「なんなんだ、あの大蛇……」

 

百獣海賊団は大看板が一瞬でやられた事に唖然としていた。逆にワノ国の方は

 

「最高幹部三人が一瞬でやられたぞ!」 「これなら行ける!」

 

一瞬で最高幹部三人を倒した事に歓声をあげていた。

残ったのは青い龍のカイドウのみ。

 

カイドウ『(あの時はブレスを選んだから一発でやられたが、今度はそうはいかん)』

 

カイドウはラダンに向けて突撃した。

 

ラダン『(そうくるか)』

 

ラダンもそれに応えて突撃し、頭突きした。その影響で爆風が発生した。さらにお互いの覇王色の覇気もぶつかり、百獣海賊団の下っ端とサムライの大半は気絶した。

 

バチバチバチッ

 

河松「グッ……流石に風がきついですね……」

 

アシュラ「あの巨体同士がぶつかりゃ、そうなる」

 

頭突きに押し合いでラダンが押し勝ち、カイドウは後ろに吹き飛ぶ。吹き飛んだカイドウはラダンに向けて炎の弾複数はき、ぶつける。

 

ドオオォォンドオオォォン

 

しかし、ラダンには全く効かなく、高速でカイドウに近寄る。そして腕でカイドウにアッパーを見舞う。

 

カイドウ『グッ……』

 

さらに尻尾を踵落としの要領で振り落とし、カイドウを地面に落とす。

 

ドガアアァァァンッ

 

さらにダメ押しに

 

ラダン シャララアァァァァァァァ!!

 

ラダンが呼び出した隕石が複数カイドウにぶつかり爆発した。

 

ドッガアアァァァァァァンッ

 

爆発でまった砂埃が晴れると、変身が解かれたカイドウが倒れていた。つまり

 

「やった……のか……」 「あぁ……!カイドウが倒れた……!俺たちの勝利だ…!」

 

「そんな……頭領様が……」

 

ラダン シャララアァァァァァァァ!!

 

ラダンは勝利の雄叫びをあげる。それに続いてサムライ達も勝利の雄叫びをあげる。

 

オオオオォォォォォ!!

 

日和「(ですが、ここからです。ラダンさん。お願いします……)」

 

カイドウ「ぐっ……」

 

倒れていたカイドウが起き上がった。

 

「カイドウが起き上がったぞ!」 「疲弊している今が好機だ!畳かかるぞ!」

 

一人がそう言うとサムライ達はカイドウを討とうと走り出す。しかしラダンが脚でそれを阻む。

 

「な!?何故邪魔をする!」 「そうだ!今がカイドウを討つ絶好の好機だぞ!」

 

ラダン『それはダメです(敬語で喋るのは変な感じだが、今はこのままいこう)』

 

「は……しゃ、喋った……」

 

ラダン『まずは自己紹介をします。私はワノ国を見守る神、アマテラス様の使い、蛇王龍ダラ・アマデュラでございます(勝手に名前を使わせて貰うぞ)』

 

「アマテラス……ワノ国を見守る神……」

 

ラダン『こうして貴方達と共にここまで来ましたが、カイドウを討つのはワノ国にとってよくありません』

 

「何故だ!カイドウによってワノ国はめちゃくちゃにされたんだぞ!」

 

ラダン『たしかにそうでしょう。ですが、カイドウは外への抑止力になります』

 

「抑止……力……?」

 

ラダン『ワノ国の外には海賊がありふれています。百獣海賊団に及ばないにしろ十分脅威な海賊もあります。その海賊への抑止力になります』

 

「だが……」

 

ラダン『アマテラス様も私もカイドウを嫌っていません。確かにワノ国を支配し、自然を汚染しました。ですが、やはりカイドウの抑止力は必要です』

 

「………」

 

サムライ達は黙り込む。そこに

 

日和「蛇王龍様」

 

日和が喋り始める。

 

日和「カイドウの必要性はわかりました。ですが、カイドウを許すことはできないと思います」

 

ラダン『それはそうでしょう。アマテラス様も私もあまり干渉はできませんが、契約をすることはできます』

 

日和「契約……ですか?」

 

ラダン『えぇ、この契約はアマテラス様の絶対の契約、太陽の契約です』

 

日和「太陽の契約……それはどのようなものでしょうか?」

 

ラダン『太陽の契約は絶対の契約。太陽の化身であるアマテラス様に誓うものです。破れば命はないでしょう』

 

日和「では、その契約が有れば……」

 

ラダン『契約に「ワノ国に危害を加える事を禁ずる」と有ればカイドウがワノ国に危害を加えることはありません』

 

日和「……私はその契約をカイドウと結びたいと思います」

 

「姫さま!?」

 

日和「作戦の前から思っていた事です。カイドウを討った後、この痩せ細ったワノ国に外から来た者への対応ができるのかと。ワノ国は断崖絶壁に覆われて越えるのはほぼ不可能です。ですが、絶対ではありません。もし、略奪など、危害を加える目的できた者が来た場合、私たちに対処が出来るとは思えません」

 

「………」

 

日和の考えにサムライ達は黙り込む。正論である。作戦に参加したラダンはたまたまワノ国にいただけ。本当に神がいて、使いをよこしたとしても、その使いはその時のみである。痩せ細ったワノ国はある程度までは対処できるにしろ。やはり力がない。

 

日和「納得はいかないでしょう。ですが、これはワノ国の未来のために必要な事です。オロチの時と同じ実質カイドウの支配人ならないように契約を決めます。ですから、どうか契約を結ぶ事を許しください」

 

「……カイドウは許せませんが、ワノ国の将来のため、姫さまに従います」

 

サムライ達は納得はしてないが、ワノ国の将来のために渋々同意した。

 

ラダン『契約の調印は行った方がいいでしょう。百獣海賊団の本拠で行いましょう。ワノ国側は私が命をかけてお守りいたします。いいですね?カイドウも』

 

カイドウ「……敗者は勝者に従う。海賊の決まりみたいなものだ」

 

ラダン『よろしい。では、参りましょう』

 

ラダンは頭に日和、河松、アシュラに康イエを乗せカイドウの本拠に向かう。入る時は小さくなりいわゆる総督室に入った。外に聞こえないように結界も張った。

 

ラダン『ふぅ、とりあえずは問題ないはず』

 

日和「お疲れ様です、ラダンさん」

 

ラダン『ありがとう。慣れないかもしれんが、また人化を解くにはめんどいからこのまま話を進めるぞ』

 

河松「まぁ、一番大変なのはラダン殿ですから」

 

康イエ「所で、ラダン。契約は本当か?」

 

ラダン『神が関わってるのは嘘だが、契約違反の罰はできない事はない』

 

康イエ「……規格外だな」

 

ラダン『よく言われる』

 

カイドウ「その小娘がおでんの娘か」

 

ラダン『そういえば、カイドウは見た事なかったな。光月日和。俺がワノ国に干渉するきっかけの子だ。ほかにおでんの家臣の河童の河松にアシュラ童子。元白舞の大名、霜月康イエだ』

 

カイドウ「大名か。オロチが全員殺したと思っていたが、生き残りがいたか」

 

ラダン『んで、俺としては契約は必要ないと思うが、どうする?』

 

日和「ラダンさんがカイドウを信用してるみたいなので、私も必要ないかと」

 

河松「ううむ……某もラダン殿を信じて必要でござる」

 

アシュラ「ラダンを信じたいが、俺は契約は必要と思ってる」

 

康イエ「俺もだ。保険は必要だからな」

 

ラダン『OK、ならカイドウが破ったら鬼ヶ島、鬼ヶ島にいない場合はカイドウと大看板、幹部クラスの真打ちに隕石が直接落ちるようにする。これは例えカイドウでも生き残れないぞ』

 

カイドウ「元は色々やらかした俺のせいだ。甘んじて受ける」

 

ラダン『協力関係はワノ国からは

 

1、ワノ国に危害を加えない。

2、ワノ国の外からの抑止力になる。

3、工場を鬼ヶ島周辺におさめる。

 

カイドウからは

 

1、資源の提供。作ったものはワノ国にも渡す。

2、鬼ヶ島周辺に島をいくつか生成。

3、ラダンに一つ要求を呑んでもらう。

 

俺からは

 

1、カイドウにワノ国を守って欲しい。

2、何年、何十年かかってもいいからワノ国からカイドウへの恨みを無くす。

3、もし、カイドウへの恨みで攻めたものがいた場合、処遇はカイドウに任せる。

4、百獣海賊団への差別を禁ずる。

 

こんな所か』

 

康イエ「最後の二つはどういう事だ?」

 

ラダン『恨みを捨てきれないものは居るはずだ。カイドウを討つつもりなら自己責任という事だ。カイドウにも自衛権はあるからな。当然、カイドウだけじゃなく百獣海賊団全員が対象だ。最後のは百獣海賊団がワノ国に危害を加えないからと言って、差別したり、横暴をしてはいけないという事だ。カイドウ側への負担が多いにしろ、対等な協力関係を結ぶつもりだからな』

 

日和「ワノ国の負担は恨みを無くす事、資源の提供だけですね。差別はもし起きても恨みを無くす事と同時進行で消せますね」

 

カイドウ「こちらは実質負担はゼロだな。破ったら死ぬから五分ではある」

 

ラダン『俺もだな。要求が何かは知らんが、島ぐらいならどんだけでも作れる。まぁ、バスターコールには対応できんから俺の加護も付与するが』

 

日和「ラダンさんの加護……ですか?」

 

ラダン『そうだ。どんなものかと言うと………』

 

ラダンはマリージョアで救出した者たちが住んでいるアマンデュ島に付与した加護を話した。

 

アシュラ「……これ、カイドウ必要か?」

 

「「「(同じくそう思った(いました))」」」

 

ラダン『だから言っただろ、カイドウは嫌いじゃない。それにヤマトもいるって』

 

カイドウ「ウォロロロロ、ヤマトを気に入ってもらって何よりだ」

 

ラダン『ちょうどいい、要求はなんだ?』

 

カイドウ「こっちの要求はラダン。お前とヤマトの婚約だ」

 

「「「!?」」」

 

ラダン『婚約……?』

 

ラダンが唖然としていると

 

バタンッ

 

ヤマト「バカ親父!遅いから来たぞ!」

 

タイミング良いのか悪いかヤマトが扉を開けて入ってきた。

 

ヤマト「あれ?邪魔しちゃった?」

 

ラダン『いや、俺としてはナイスタイミングだ』

 

ヤマト「まさか…ラダン……?」

 

ラダン『あぁ、そうだ』

 

ヤマト「おぉ!カッコいい!」

 

ラダン『そういえば、この姿を見せるのは初めてだったな』

 

河松「ラダン殿。その少女は?」

 

ラダン『カイドウの娘、ヤマトだ。本人はおでんに憧れて男を名乗ってるがな』

 

アシュラ「なるほど。これがラダンの言っていた一応息子か」

 

ラダン『そういう事だ。んで、カイドウの要求は俺とヤマトの婚約と』

 

カイドウ「そうだ。いいタイミングで来た事だし、丁度いい」

 

ヤマトは顔を赤らめていた。

 

ラダン『ヤマトの意思は?』

 

ヤマト「その……ボクはラダンが嫌じゃないなら……」チョンチョン

 

ヤマトは恥ずかしそうに指をチョンチョンしながら言う。

 

ラダン『俺の目的は世界を見る事で一旦一人で回るつもりだ。なかなか会えないぞ』

 

ヤマト「それでもいい!ボクはラダンが好きになった!会ったときには思いっきり甘える!」

 

ヤマトはそう強く言う。

 

ラダン『………わかった。俺の負けだ。詳しいことは後だ。まずは外の連中に契約成立を言おう』

 

婚約の話は後にしてヤマト以外はカイドウの本拠から出た。日和はラダンの婚約の話が出てからずっと俯いていた。

本拠から出てラダンは元の大きさに戻った。

 

ラダン『契約は成立しました。双方の対等な協力関係が長く続く事を祈ります。カイドウ側は勿論。ワノ国側も契約を破れば罰はあります。それをくれぐれも忘れないでください』

 

そう言うとラダンは光に包まれ、光は空に向かって登った。鬼ヶ島の上にあった雲を突き抜けて光は太陽に向かった。光が鬼ヶ島の上の雲を突き抜けた影響で一ヶ月ほど晴れが続いたとか。ラダンは人化して先にヤマトの所に向かった。

日和達はカイドウと詳しい同盟を決めるためとサムライ達に言いヤマトとラダンのいる部屋に戻った。

 

ラダン「さて、改めて言うと俺は人の部分もあるが龍だ。そのため寿命は果てしなく長い。親父もそうだったが、番ができた場合、その者には強制ではないが半竜になってもらう。俺としては番が先にいってしまってその後何千年も生きるのは辛い」

 

カイドウ「その半竜は何年生きる?」

 

ラダン「さぁ。親父曰く少なくとも五千年以上は生きるようだ。多少は元の種族に引っ張られるかもしれんが、一万年は普通に生きると思う」

 

カイドウ「なるほど…ほかには?」

 

ラダン「体が超丈夫になる。再生能力もあるから普通のことでは死なない。ひどい怪我も3日有れば治るんじゃないか?」

 

康イエ「所でラダン」

 

ラダン「どうした?」

 

康イエ「お主は番は一生ひとりのつもりか?」

 

ラダン「そうしても無意味だと思ってる。弟の一人が1人だけにするつもりだったが丸め込まれて複数いる。多分、うちの家系の男は女に弱いと思う」

 

康イエ「なるほどの。なら日和姫とも婚約してくれぬか?」

 

日和「康イエ様!?///」

 

康イエ「日和姫のラダンを見る目は乙女のそれだぞ」

 

日和「でもラダンさんの前で言わなくても……///」

 

康イエ「今言わなくていつ言うというんだ」

 

日和「あうぅ……///」

 

康イエ「それで、やってくれるか?」

 

ラダン「俺も弱いのかな……日和がいいのならな。ただ、なかなか会えにいけないぞ」

 

日和「その……私はラダンさんが好き……です……父様と母様が亡くなって、いつも悲しくて……河松も私ばかりでドンドン痩せていって……そんなときにラダンさんのおかげで久しぶりに楽しい時間を過ごしました。今はまだ子供ですが、大人になったら迎えに来てくれますか……?」

 

ラダン「あぁ、勿論だ」ナデナデ

 

日和「わわっ、うにゅぅ〜……」

 

ヤマト「あ!ズルい!ボクにも!」

 

ラダン「はいはい」ナデナデ×2

 

ヤマト「わふぅ〜……」

 

カイドウ「これが子供が幸せで嬉しい親の気持ちか……」

 

河松「カイドウ殿にも人の心があったのだな」

 

カイドウ「これでも人間だがな」

 

康イエ「しかし、ラダンを慕う者は多くいそうだな」

 

アシュラ「まりーじょあなる場所から助けた元奴隷の事か」

 

康イエ「それ以外にもいそうだがな」

 

こうしてラダンはワノ国の問題を解決した。まだカイドウへの恨みが残っているが、それは時間の経過とともに無くなるだろう。

花の都は傳ジローのおかげもあって混乱はすぐに止み、いつもの日常に戻った。ラダンの回復魔法で数カ所の土地を豊かな地にしてそこで作物を作っている。オロチが独占していた安全な食料はおこぼれ町にも分けられている。

ほかに鍛治士を訪ねて自身の素材で作った刀を数本、小太刀も数本と太刀を一本作った。刀はどれも大業物に分類されるもので、一本は最上大業物。小太刀は全て大業物。太刀も最上大業物である。大業物の刀一本と小太刀一本をワノ国に献上した。刀はヤマトに小太刀は日和に護身のために。ほかに剣から斧に姿を変えるチャージアックスにスラッシュアックスも作った。二つとも最上大業物に分類される。

その後に鍛治士に設計図を渡したが、鍛治士達は頭を悩ませながら五年後にやっと試作品を作ったとか。

ラダンはその後二週間滞在してワノ国から出発した。ラダンが出発するまで日和とヤマトはずっとラダンにくっついていた。

 

後のワノ国にはこんな伝説が残ったと言う。

 

『かの大蛇はワノ国を見守る神、アマテラスの使いで、逆賊オロチと明王を降し、明王にワノ国と対等な同盟を結ばせた。その者の名は蛇王龍ダラ・アマデュラ』

 

ワノ国の外の御伽噺に似たようなものだった。




今日はここまで。
まさかここまで長くなるとは思わなかった。
日和とヤマトが主人公と結ばれました。カイドウに少し心境の変化があったようですね。ヤマトと仲の良い親子になればいいですね。
次回は妹のシュガーと逸れたモネとの出会いです。アマンデュ島で保護するつもりです。
次回、妹と逸れた姉
お楽しみに〜


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12ジャオ 妹と逸れた姉

今回はオリジナル要素多めです。なにせモネの情報が少ないので。


カイドウに会うつもりが、ワノ国で色々やる事になった。おかげでいい出会いがあったからよかったが。

そんなこんなであれから一年。この世界に来て一年半。今は北の海(ノース・ブルー)を回っている。飛んでいると海上を漂う何かを見つけた。

 

ラダン「なんだ?」

 

近いづいてみると緑髪の女が気絶していた。身長は170cmほどで、痩せ細っている。

 

ラダン「な!?女!?急いで助けねぇと!」

 

ラダンは女性を抱え、女性になるべく負担がかからないように近くの島まで飛んだ。

幸いすぐ近くに小さい島があったのでそこに降りて、女性を砂の上に置いた。

 

ラダン「脈は……チッ、遅い。それに体が冷たい……。あの時見つけていなかったら確実に死んでたな。暖かい毛布に熱を逃がさない空間を作らないと」

 

ラダンは女性に毛布をかけ、女性の周りに熱を逃がさない空間を作った。

 

ラダン「回復魔法で外傷や内臓の傷などは治したが、後はこいつの気力次第だ。起きるまであったかい飯でも準備しておこう。痩せ細っているから栄養価の高いものを準備しねぇとな」

 

ラダンは食材を集めに海に潜った。釣りではなく素潜りなのですね……。

 

 

さて、ここで女性の話に移ろう。

 

女性、名前はモネ。彼女は8つ離れた妹と北の海(ノース・ブルー)にある、とある島に住んでいた。島はそこそこ栄えていた。モネ姉妹はその島の娼婦の娘だった。いわゆる望まれぬ子供であった。そのためろくに食べ物は与えられなく、いつも飢えていた。

だが、ある日。その島に海賊が財宝目的で襲撃してきた。街が火に包まれ、モネは妹のシュガーの手を掴んで逃げていた。しかし、すぐ近くに砲弾が直撃してモネはシュガーの手を離してしまった。逃げ惑う人並みに揉まれてモネはシュガーと逸れてしまった。そしてまた近くに砲弾が直撃してモネは海に投げ出された。

その後はご存知の通り、潮に流されてた所をラダンが助けたという事だ。

 

 

説明はここまでにして、ラダンがモネを応急処置して半日、モネに反応があった。

 

モネ「うっ……ここは………」

 

ラダン「お、起きたか」

 

モネ「っ!?あなたは誰!まさか海賊!?」

 

ラダン「海賊ではない。海を漂流しているお前を見つけてここに連れてきたんだ。しかし、何があったんだ?軽いが栄養失調に酷い怪我、内臓も損傷していたぞ」

 

モネ「では……本当に私を……」

 

ラダン「これでも母親の影響で医学には詳しいからな」

 

モネ「あ……あの!あ、あr……」

 

ぐううぅぅぅぅ

 

モネが礼を言おうとするとお腹の虫が鳴ってしまった。

 

モネ「う、うぅぅ……///」

 

ラダン「ははは!飯の準備をして良かった。ほら、消化にいいシチューだ」

 

ラダンはそう言って木の器にシチューを注いで渡した。

 

モネ「あ、ありがとうございます……い、いただきます」パク

 

モネはシチューを口に入れると

 

モネ「!」ポロポロ

 

ラダン「ど、どうした?舌に合わなかったか?」

 

モネ「いえ……」フルフル

 

ラダン「なら……」

 

モネ「こんな美味しいものは久しぶりで……できることなら妹にも食べさせたかった……」ポロポロ パク パク

 

モネは涙を流しながらシチューを食べていた。

 

ラダン「そうか……また、会えるといいな。妹さんに」

 

モネ「きっと見つけます!」

 

ラダン「そうか。だが、今はダメだ」

 

モネ「な、なんでですか……?」

 

ラダン「お前の体はまだ弱ってる。万全になるまで医学を嗜む者としては許可できん」

 

モネ「そんな……」

 

ラダン「心配するな。万全の状態までリハビリすれば海に出てもいい。それにぴったりな島がある」

 

モネ「その島は…?」

 

ラダン「名前はまだないが、訳ありの奴らが住んでいる。衣食住は完備されているから不自由はないはずだ」

 

モネ「……では、お願いします!私をその島に連れて行ってください!」

 

ラダン「あぁ、勿論だ。そういえば自己紹介がまだだったな。俺はクラネル・ラダン。これでも世界的に有名だ悪名高い方だがな」

 

モネ「クラネル・ラダンって……あの!?」

 

ラダン「そのクラネル・ラダンだ。禁忌という異名を持っている」

 

モネ「やはり……」

 

ラダン「んで、腹はいっぱいになったか?」

 

モネ「あ……す、すみません!美味しくてつい……」

 

ラダン「まぁ、別にいいぞ。それだけ美味かったってわけだし。腹いっぱいになったんなら早く島に向かうぞ。早くリハビリを始めるのは損じゃないし」

 

モネ「は、はい!」

 

ラダン「失礼するぞ」ダキッ

 

モネ「え……?」

 

ラダンはモネをお姫様抱っこして

 

ラダン「しっかり掴まっておけよ!ある程度全力で飛ぶぞ!」

 

モネ「え、ちょっ、きゃああああああぁぁぁぁぁ!!」

 

ラダンの高速の飛行にモネは悲鳴をあげた。無理もないな……。当然、モネに負担がかからないように結界を張っている。

 

 

飛んで2時間。モネをお姫様抱っこしたラダンが例の元奴隷達が住んでいる島、後の蛇王龍島アマンデュ島に着いた。

 

ラダン「着いたぞー……って、ありゃぁ……」

 

モネ「……」タマシイヌケダシィ

 

ラダン「とりあえず、運ぶか」

 

ラダンはそのまま集落に向かう。そこには立派な村があった。

 

ラダン「(一年は経ったが、よくここまで発展できたな)」

 

「あ!ラダンさん!ラダンさん戻ってきたぞ!!」

 

「ラダンさんだ!」 「戻ってきたのね!」

 

ラダン「久しぶりだな。今日は用があってな」

 

「その抱っこしている女性は?」

 

ラダン「こいつが用事のやつだが……いい加減起きてくれ、モネ」

 

モネ「……はっ!こ、ここは……?」

 

ラダン「俺の言っていた島だ」

 

モネ「こ、ここが……」

 

「それで、この女性が何か?」

 

ラダン「率直に言えばリハビリだ。モネは妹と逸れて海を漂流していて、偶々通りかかった俺が助けてな。医学を嗜む者としては今の状態のモネに海に出る許可は出せない。だからこの島に連れてきてリハビリをさせようと思ってな」

 

「なるほど!そういう事ですか!」

 

ラダン「俺は旅があるから付きっきりにはなれんから頼んでいいか?」

 

「えぇ!勿論!」

 

モネ「え……行ってしまうのですか…?」

 

ラダン「すまんな。俺には俺の目的があってな」

 

モネ「そう……ですか……また、会えますよね?」

 

ラダン「勿論だ」

 

モネ「なら……その時はお嫁さんにしてくれますか?」

 

ラダン「は……?」

 

「おぉ!ラダンさんに恋か!これは応援しねぇと!」 「当然よ!」

 

モネ「ダメ……ですか?」ウルウル

 

モネは涙目(プラス上目遣い!)でラダンに言う。正直ずるいと思う。だって、女性の涙目で上目遣いなど断れるか!!by作者

 

ラダン「ずるいぞ、それ……はぁ……俺は構わないが、俺の事情で振り回されるぞ?」

 

モネ「承知の上です!」

 

ラダン「……わかった。この後俺の事情を詳しく話す。それを聞いてからまた聞く」

 

モネ「はい!」

 

「これは、確定かね」 「モネちゃんを悲しませたらラダンさんでも許しませんよ!」

 

ラダン「とりあえず、空いてる家はあるか?」

 

「あ、案内します!ラダンさんがここに戻ってきた時用の家を準備をしています!」

 

ラダンはモネをお姫様抱っこしたままラダンの家に案内された。他の家に比べて一際立派なものだった。案内人に礼を言って家に入る。家具も十分にあった。ソファにモネを座らせやっとお姫様抱っこをやめた。モネは少し不機嫌そうだったけど。

 

ラダン「さて、最初から話すか。まず……」

 

ラダンはモネにいつものように自分の事、この世界に来てからやってきた事、そして許嫁の日和とヤマトの事に自分を好きになった女性は拒まない事を話した。

 

モネ「拒まない……ですか?」

 

ラダン「龍は寿命が途方もなく長い。寂しいものは寂しいんだ。拒まないからと言って20も30も作らん。多くても10人だ。それぐらいいれば寂しくはないだろう」

 

モネ「そういう事ですね……」

 

ラダン「それで、これを聞いても俺の嫁になりたいのか?」

 

モネの回答は

 

モネ「──当然です。この想いは変わりません!」

 

ラダン「……そうか。なかなか会えないが、よろしく頼む」

 

ラダンはモネの回答に笑顔で返した。

 

モネ「っ、はい!」

 

ラダン「急ぐ旅じゃない。今日明日はそばにいるつもりだ」

 

モネ「ほ、本当ですか!?」ズイッ

 

ラダン「お、おう……」

 

モネ「やったぁ!」

 

モネは子供みたいに飛び跳ねて喜んでいた。だが、栄養失調の体でそんな激しい運動が出来るわけがなく。

 

ツルッ

 

モネ「あっ……」

 

ラダン「っモネ!」

 

足を滑らせて倒れそうなモネをラダンは抱き抱える。しかも顔がすごく近い。

 

モネ「〜〜///」

 

ラダン「大丈夫か?栄養失調なんだからそんな飛び回るな」

 

モネ「す、すみません……///」

 

ラダン「次からは気をつけてくれよ?」チュッ

 

ラダンはそう言ってモネのデコにキスをする。

 

モネ「キュー……///」キューバタン

 

ラダン「ありゃりゃ。倒れてしもうた。ま、これからよろしくな、モネ」ナデナデ

 

ラダンは愛しそうにモネを撫でる。若干モネの口が緩んだ気がするが、気のせいだろう。

 

 

次の日のモネは終始モジモジしていて、先日のことがあってラダンの顔をまともに見れなかったそう。それを後悔したモネは次にラダンが島に来た時からすごく積極的になったとか。

ともあれ、本人は幸せそうで良かった良かった。

 




今日はここまで。
今回のモネ回どうだったでしょうか?オリジナル要素が多く、原作より若いので言葉遣いもちがいます。オリジナル過去が過去なので若干子供っぽいかも。
モネは原作通り、後に後からドンキホーテファミリーに入ります。理由は主人公の役に立つために。だいぶ先ですが、パンクハザードではオリジナルに進めます。魚人島も同じですね。
次回はタイガーと再会してコアラを故郷に届けます。そこでアンケートを取って決めた主人公の血を輸血させます。アンケートにも書きましたが、半竜にはなりません。
次回、タイガー命の危機!果たしてラダンの提案を受け入れるか!
次回もお楽しみに〜


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13ジャオ 少女の故郷を訪ねて三千里

お待たせしました。やっととったアンケートの結果を使えます。
前回の次回予告でのサブタイトルを変えます。少し違う気がするので。まぁ、どっちにしろ変な気がしますが。


ラダンがモネを助けてから約一年。大分世界を回って、もう全部見たんじゃないかと本人は思っている。そんな彼は今、偉大なる航路(グランド・ライン)上空を飛び回っている。理由?暇だからだそうだ。

当てもなく飛び回っているとラダンは懐かしい気配を感じた。その相手の反応を楽しみに気配のする方に向かった。しばらく飛ぶと魚を模した太陽の旗を掲げた船を見つけた。そしてそのままその船に迷いなく降りた。

 

スタッ

 

「誰だ!」 「空から来たぞ!?」 「敵だぁ!!」

 

突然人が降りてきたら警戒しないはずもなく、船に乗っていた魚人たちは武器をラダンに向ける。

 

ラダン「突然すまんな。懐かしい気配がしたもんだからよ」

 

「何を言っているんだ?こいつ……」

 

「オイ!どうした!?……ってラダンさん!?」

 

「オイ、この人間を知っているのか?」

 

「知っているも何も、奴隷だった俺たちをフィッシャータイガーの兄貴と一緒に助けてくれた人だ!それに人間じゃなく、ラダンさんは龍だ!指名手配もあるだろ?禁忌のラダンって」

 

「な!?この人は多くの魚人族を助けてくれた英雄なのか!?」

 

甲板で魚人たちがさわでいると、船長室の扉が開いた。

 

タイガー「何事だ!敵……か……」

 

ラダン「久しぶりだな、タイガー。懐かしい気配を感じたから来たぞ」

 

タイガー「おぉ!ラダン!三年振りじゃないか!」

 

ラダン「こうもそれに世界が広いとなかなか出くわさないもんなんだな」

 

タイガー「当たり前だ!まぁ、お前らしいな!ハッハッハッハ!」

 

二人が再会に華を咲かせていると

 

?「あの……」

 

ワンピースを着た女の子が話しかけた。

 

タイガー「あぁ、コアラ。こいつはラダン。お前も覚えているはずだ」

 

コアラ「あ!私たちを解放して、奴隷紋を消してくれた!!」

 

タイガー「そうだ。そのラダンだ」

 

コアラ「あ、あの!解放してくださりありがとうございました!」

 

ラダン「気にするな。俺がやりたくてやったんだからな。ところで、どうしてコアラはタイガー達と一緒に?」

 

タイガー「うむ、漂流しているのを助けた。さらに話を聞くとあの時解放した元奴隷の一人だった。詳しく聞くと故郷に向かっていた船は運悪く海王類に襲撃されて沈んだようだ。解放した身としてすごく気の毒だった。償いも込めてコアラを故郷に送り届けようと思った次第だ」

 

ラダン「なるほど……海に出る以上、危険は必ず伴うが、解放した元奴隷達を乗せた船が沈んだのは気の毒だ……無事だといいが……」

 

タイガー「全員は、どうだろうな……」

 

ラダン「とりあえず、タイガーはコアラを故郷に連れて行くのが目的てことだ」

 

タイガー「そうだ」

 

ラダン「なら、俺も乗せてくれ。俺もあの作戦に加担した身だからな」

 

タイガー「俺としてはありがたいが……いいのか?」

 

ラダン「あぁ、勿論。そろそろ世界を周り終わるしな」

 

それを聞いたタイガーは目を見開いた。

 

タイガー「もうか……やはりお前は規格外だな。まぁ、お前を太陽の海賊団に歓迎するぞ!お前ら!しばらく、コアラを故郷に送り届けるまでラダンも同行する事になった!」

 

ラダン「知ってると思うが、禁忌のラダンだ。しばらく厄介になる」

 

こうしてラダンはコアラの故郷まで同行する事になった。

その途中の道は船員曰く、とても大変だったそうだ。主にラダンの悪ふざけで死にかけたり、船が壊れることは何回もあった。

大型の海王類を連れてきたり、龍状態で船を上に押し上げ空を飛ぶ事になったりで。コアラは毎回立ったまま気絶、タイガーは終始笑って見ていた。アーロンを中心にラダンに突っかかる事はあったが、ラダンはどこ吹く風。適当にあしらっていた。ジンベイはラダンがやらかすごとに驚愕して呆れていた。うん、大人な対応!

とまぁ、主にラダンの遊びで大変だったが、太陽の海賊団は無事コアラの故郷、フールシャウト島に着いた。フールシャウト島はサバンナに近い気候で、デカいサボテンがあちこちに生えていた。

 

ラダン「ここか……面白い島だなと思って来たことある。島民には会わず野宿で一泊して次の島に向かったが」

 

タイガー「あるのか。とりあえず、コアラ。ここがお前の故郷だ」

 

コアラ「わあぁ……!」

 

コアラは久しぶりに見るであろう景色に感動していた。

 

タイガー「お前の村はどこだ?入り口まで連れて行こう」

 

ラダン「なら、俺も同行しよう」

 

コアラ「あ、うん!」

 

コアラは階段を降りてタイガーについて行った。太陽の海賊団の魚人たちはすっかりコアラと仲良くなって、別れを惜しんでいた。

 

ラダン「いいな、この光景……コアラのように人間と魚人が仲良くなればいいな……」

 

タイガー「今の世代じゃダメだな。コアラのような次の世代が、それでもダメならさらに次の世代でしかそれは叶わないだろうな……」

 

ラダン「天竜人が考え方を変えない限りは無理だろうな……奴らが魚人、又は人魚を攫って奴隷にしてのだからな……」

 

タイガー「やはり天竜人か……」

 

ラダン「でもま。そう遠くないうちにそれも叶う気がする」

 

タイガー「ラダンが言うのなら確実だな。コアラ。行くぞ」

 

コアラ「あ、今行きます!みーーんなーーーまたねーーー!!」

 

コアラは太陽の海賊団に手を振ってタイガーの元に向かう。3人はそのままコアラの案内でコアラの生まれた村に向かった。コアラがタイガーの手を握るがタイガーはそれを振り払うが、コアラが頑なに握るのでタイガーは折れて手を繋いで歩いていた。ラダンはもう片方のコアラの手を繋いでいる。

 

ラダン「(しかし……なんで海軍の気配がこの島に……誰だ?まさか魚人が……?なんにせよ。まずはコアラを送り届けることを優先しよう)」

 

海軍が出ることもなく、コアラの村に着き、コアラとコアラの母親が涙を流して抱き合っていた。

 

ラダン「無事再会できてよかったな……」

 

タイガー「あぁ……」

 

だが

 

「あいつは太陽の海賊団船長……」 「フィッシャータイガー……それに」 「あぁ……御伽噺でしか思ってなかった禁忌のラダン……」

 

「あの二人って悪い人なんだよね?片方は魚人だし……」 「しっ!」

 

ラダン「やはり歓迎はされんか……」

 

タイガー「……行こう」

 

コアラの感動の再会の邪魔をしないためと、村人の反応からラダンとタイガーはその場を去るため歩き出した。

 

「よかったね……辛かったよね……」

 

コアラ「でもね。悪い人ばかりじゃなかった」

 

「え……」

 

コアラ「ラダンさんとタイガーのおじさんのおかげで解放されて、一生消えることのない奴隷紋も消してくれて、魚人の人たちもいい人達だった!」ニッコリ

 

「お前はまだ子供だから……!」

 

コアラ「ううん!私わかるよ!一緒に暮らしたらきっとわかるよ!」

 

ラダン「(コアラだけ……じゃないか。一部しか見ていないが、次世代はしっかりと育っている。あの子の代で何が起きるのやら。今から楽しみだ)」

 

コアラ「タイガーのおじさーーん!!」

 

ラダン「呼ばれてるぞ」

 

タイガー「……」

 

コアラ「約束守ってくれてありがと──う!!」ポロポロ

 

コアラはまだ色々言っているが、タイガーは片手を上げ、少し歩くと振り返り、手を振り返した。ラダンも一緒に振り返した。そして、そのまま船に向かって歩き出した。

 

だが

 

ラダン「来たか……」

 

しばらく歩いた所で隠れていた海兵が姿を現して銃を構えた。

 

タイガー「(海軍!?)」

 

「私は海軍本部ストロベリー少将である。君たちがここに来る事はとある島の者から聞いている。あの村のもの達にも少々騒がしくなることを承知してくれている。天竜人の所有物である娘を見逃す。と言う条件でね」

 

ラダン「やはりこうなるか……」

 

タイガー「わかっていたのか?」

 

ラダン「島に上陸した時に気配がしてな……黙っていてすまん」

 

タイガー「……」

 

「太陽の海賊団船長フィッシャータイガー、そして禁忌のラダン。君たちには二つの罪名がある。襲撃と、フィッシャータイガー、君には逃亡。ラダン、君は知ってはいけないことを知った」

 

タイガー「人間が……っ」

 

二人を包囲した海兵達は一斉に引き金を引いた。

 

場所は変わって太陽の海賊団の船で

 

ジンベイ「なんじゃ、今の銃声は…!」

 

「お頭達が向かった陸からだ!」

 

「おい!あれを見ろ!」

 

「海軍だ!取り囲まれてる……!」

 

「何故、海軍が……!」

 

アーロン「あのガキを餌に俺たちをここに誘き寄せる。タイの大兄貴も俺たちもまんまと食いついてしまったわけだ!見ろ!これが人間だ!」

 

海軍の船は太陽の海賊団に大砲を撃ち始める。

 

ジンベイ「っ!タイの兄貴が危ない!ワシはお頭を助けに行く!」

 

?「その心配はねぇぞ」

 

「「「!?」」」

 

スタッ

 

ラダン「タイガーは無事だ」

 

降りてきたのはタイガーを抱えたラダンだった。ラダンは飛んできた銃弾を刀で切り落とし、ストロなんちゃら少将を一発殴ってタイガーを抱えて月歩で戻ってきた。

 

ジンベイ「お頭!大丈夫か!」

 

タイガー「オレは……間違っていたのか……人間を信用し、いつか共に笑い合える未来が来ると信じて……」

 

ジンベイ「お頭……」

 

ラダン「間違ってねぇよ」

 

人間を信用できなくなってきたタイガーにラダンがそう言う。

 

ラダン「今回は間が悪かっただけだ。あの村はコアラの安全の保証が欲しかった。大事な娘に比べたら俺たちは助けはしたにしろ、ただの他人だ。お前も言っていただろ。魚人と人間が共に暮らせるのは今の世代では無理だ。コアラのような次の世代でしか出来ないとな」

 

タイガー「ラダン……」

 

ラダン「それをお前。こんなことが一回あった程度で挫けそうになりやがって。レッド・ラインを登りきる方がずっと辛いだろうが、ドアホ」

 

タイガー「一回程度……」

 

ラダン「お前の理想を叶うためにはこれが何回、何十回、何百回も起こる。それも人間だけでなく、魚人からもな」

 

タイガー「……」

 

ラダン「まぁ、いい。お前がこれからどうするか分からんが、願わくば、理想を求め続けることを祈るぞ」

 

タイガー「オレは……」

 

『おじさん!』

 

そう……だったな……コアラ。こんな馬鹿げた理想を求める以上こんなこと数えきれんほど起きる。それにたった一回程度。

 

タイガー「たった一回程度で折れてたまるか!」

 

ラダン「フッ、信じてたぞ、タイガー」

 

タイガー「心配をかけてすまんな、ラダン。すぐに……」

 

その時

 

パシュンッ

 

一筋の光がタイガーを貫いた。

 

?「目標(ターゲット)フィッシャータイガー。君はもう終わりだよ」

 

「「「「タイガー(タイの兄貴、お頭)!!」」」」

 

ラダン「誰だ!(クソっ!油断した!)」

 

?「君は禁忌のラダンだね。わっしは海軍本部中将ボルサリーノ。黄猿なんて呼ばれてるよ」

 

ラダン「テメェがっ!!」

 

ラダンは怒りのままに黄猿に刀で斬りつける。だが

 

スカッ

 

黄猿は体を光にして通り過ぎた。

 

ボルサ「わっしは自然系(ロギア)のピカピカの実の光人間なんだ。そんな攻撃喰らわないよ」

 

ラダン「それはどうだろうな」

 

スパンッ

 

ボトッ

 

ラダン「おかげで冷静になれたぜ。礼を言うぜ、ボルサリーノ」

 

ボルサ「わ、わっしの左腕が……」

 

ラダン「これで軽いと思え」ドゴッ

 

ラダンは黄猿に蹴りを入れ、海軍船まで吹き飛ばした。切り落とした腕は普通に海に投げ捨てた。

処理し終えたラダンは急いでタイガーの元に向かう。太陽の海賊団の船は使い物にならなくなったから奪い取った海軍船にいる。タイガーは医療室に寝かせている。

 

ガチャッ

 

タイガー「頭では分かっていても体が受け付けねぇんだ!!頼む……島には何も伝えるな…っ!」

 

ラダン「ここで死ぬつもりか、タイガー」

 

タイガー「ラダン……」

 

ラダンは魚人達を掻い潜ってタイガーのそばによる。

 

ラダン「また諦めるのか」

 

タイガー「わかっている!わかっているが、体が受け付けねぇんだ!どうしようもねぇ!」

 

ラダン「──なら、俺の血を使えばいい」

 

「ラダンの、血……」

 

ラダン「龍の血ってのは不思議でな。型が存在しねぇんだ。どんな型のやつにも使える。さらに副作用もない。人間の血は受け付けなくても龍の血は受け付けれるだろう?」

 

タイガー「ラダン……すまない……毎回助けられっぱなしだ……」

 

ラダン「気にすんな。俺がやりたくてやってるだけだ」

 

タイガー「そうか……そうだったな……」

 

その後、ラダンからタイガーに輸血が行われた。本当にタイガーに副作用はなく、ラダンの回復魔法でタイガーは完治した。

 

タイガー「ありがとう、ラダン。今回は本当に助けられた。道を見失いそうになったのを導いてくれて、人間の血を受け入れられなかった俺の体に代わりに輸血してくれて。さらに傷も治してくれた。本当にありがとう」ペコ

 

ラダン「いいって。そんな畏まるな」

 

タイガー「そうだったな。お前はそんなやつだったな」

 

ラダン「さて、俺はもう行く。またどこかで会おう」

 

タイガー「あぁ、また、どこかでな」

 

ラダンはタイガーに別れの言葉を告げ、月歩で空に飛び出した。

 

飛んだラダンだが、実はセンゴクから呼び出しされている。ビッグマムの一件以来、ガープとはよく話をしている。センゴクはガープに巻き込まれる形で話をするのがほとんどだ。今回はそんな珍しいセンゴクからの呼び出しである。

珍しいセンゴクからの呼び出しにラダンはドキをムネムネさせながら向かった。

 

海軍本部に着き、顔パスで元帥の部屋に向かった。

 

センゴク「来たか……」

 

ラダン「あぁ。センゴクからの呼び出しなんて珍しいな。何かあったのか」

 

センゴク「あぁ、あった。お前が黄猿の左腕を切り落としてくれたおかげでね」

 

ラダン「おっと、それは失礼」

 

センゴク「まぁ、いい。黄猿はすぐそこにいる。叶うなら治してくれるとありがたい」

 

ラダン「へぇ……まぁ、いいよ。その代わり、次似たようなことがあれば敵として、腕だけでなく、その命貰い受けるぞ」

 

ボルサ「あ、あははは……今じゃ君がトラウマだよ」

 

ぱああぁぁぁぁ

 

ラダンは黄猿に向けて手をかざすと、手から緑色の光が出る。その光は黄猿の無くなった左腕のところに集まり、腕を形作る。そして光が止むと、そこには黄猿の腕が何もない状態であった。

 

ボルサ「おぉ……ありがとうね。願わくば、もう君に出くわしたくないね」

 

ガチャンッ

 

黄猿はそう言って部屋から出て行く。

 

センゴク「無理を言ってすまない。お前の友人を殺しかけたのに……」

 

ラダン「ま、いいことよ。結果オーライだ。終わりよければ全てよし。今回のことはもうこれ以上掘り返すことはしない。もういいか?」

 

センゴク「あぁ、すまん」

 

ラダンは元帥の部屋から出て、海軍本部から去っていった。

 

今日は久しぶりの激動の日だった。毎日は嫌だが、時々あって欲しいものだ。




今回はここまで。
今回はオリジナルが濃い目ですね。タイガーは生きていて、黄ザルの腕を切り落として、その後に治したので。
やっと、アンケートで取った部分が終わりました。あと少しで原作に突入になります。したがって、ヒロインももう少しで締め切りにしてこちらでヒロインにするか、しないかを決めます。
次回、たまたま通りかかった島でとある剣豪を目指すも、女であることにコンプレックスを抱いている少女に出会う。
そのコンプレックスを無くせるのか。
次回、剣豪を目指す少女
お楽しみに〜


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14ジャオ 魚人島と千年竜そして剣豪を目指す少女

今回は魚人島の国王と王妃との邂逅。千年竜との語り。くいなの転落死を阻止の三本立てで行きます。


ラダンがタイガーと共にコアラを故郷に送り届けてから10日ほど。

 

プルルルルルル プルルルルルル

 

ラダン「電伝虫か」

 

ラダンは電伝虫を取り出して電話に出た。というかこれは電伝虫と呼べるのだろうか?なぜなら電伝虫に鱗が生えているし、背中の甲羅はなくダラ・アマデュラの扇刃が付いている。目も爬虫類の瞳孔が縦に開いている目をしている。

 

ガチャ

 

?『よう、ラダン』

 

ラダン「その声は……タイガーか!あの後どうだったんだ?副作用はなかったか?」

 

タイガー『あぁ、後遺症も副作用もなかったぞ。今は元気だが国王から大事をとってしばらく療養するつもりだ』

 

ラダン「それはよかった」

 

タイガー『それでだ。国王のネプチューン様と王妃のオトヒメ様からお前に会いたいと言われてな。俺も是非お前を魚人島に招待したい。お前まだ魚人島に来たことないだろ?』

 

ラダン「たしかにねぇな。魚人島は外界と壁を作ってる感じだからな。それに俺は魚人に変化出来ないし」

 

タイガー『確かにな。人間ではないと証明するために龍の状態で来てくれ。魚人島全域にお前の事を知らしめるためにもない』

 

ラダン「わかった。明日の朝に着くようにする」

 

タイガー『わかった。楽しみにしてるぞ』

 

ラダン「俺もだ」

 

ガチャ

 

ラダン「さて、話すことも多いだろうし2日は滞在すると考えた方が良さそうだ」

 

ラダンはそう呟いて魚人島の方面に飛んだ。

 

 

途中、シャボンディ諸島によってシャッキーとレイリーと少し話したラダンはレッドラインの頂上にいる。

 

ラダン「せっかくだ。この高さから飛び込みをしてみよう」

 

ラダンは人化を解き、龍の状態になった。そしてそのまま海に向かって頭から落ちた。

 

ザパアアアァァァァンッ

 

海に飛び込んだ影響で跳んだ水飛沫はレッドラインを超えた。さらに発生した高波はシャボンディ諸島にまで届いた。

 

ラダン『(あまり息苦しくないもんだな)』

 

ラダンはそう思いながら真下に泳ぎ続ける。

 

 

泳ぎ続けて十数分、海底1万メートル。魚人島のある場所に辿り着いた。

 

ラダン『おぉ……海の底にこんな美しい場所があったのか……これは親父達にも見せたいぜ。さて、あそこが入り口か?とりあえずあそこに向かおう』

 

ラダンはそのまま入り口らしきところに向かって泳いだ。近づいていくと人が集まってるのが見える。

円形の入り口を通り水から顔を出すと

 

「すげぇ……本物だ!」 「あんなに巨大なのか!」

 

魚人に人魚と人魚が集まってラダンを見ていた。

 

ラダン『(どうすればいいんだ?)』

 

そう困惑していると

 

?「来たか、ラダン!」

 

ラダン『言った通り来たぞ、タイガー』

 

「おぉ、こんな感じの声なのか……」 

 

タイガー「その姿だと色々不便だろう。龍形態を見せたし人化していいぞ」

 

ラダン『助かる。小さくなれるが、国王に会うのならこの姿がいいだろう」

 

「手配書通りだ……だが、人間の姿なのに人間と感じないな」 「龍の状態を見たからじゃない?」

 

タイガー「国王と王妃がお待ちだ。ついてこい」

 

ラダンは先に行くタイガーについていく。

ラダン達はそのまま国王と王妃のいる竜宮城に着いた。二人は扉の前に止まる。

 

タイガー「この奥に国王と王妃がいる。お前にとってさして問題ではないが、無礼のないように頼む」

 

ラダン「当然だ。王族に無礼を働いて魚人島に睨まれたくない」

 

それ聞いてタイガーは笑みを浮かべ扉を開けた。

中には巨体の下半身魚の髭がモジャモジャの男に、その隣に一見人間に見える羽衣を来た女がいた。二人とも玉座に座っていた。他に男の左隣にナマズの魚人が、女の右隣にはタツノオトシゴの魚人が立っていた。

 

?「初めましてじゃもん。私はネプチューン。この魚人島の王じゃもん。ワシの左にいるのが左大臣、反対側にいるのは右大臣じゃ。そして」

 

?「私は王妃のオトヒメです」

 

ラダン「俺はクラネル・ラダン。知っての通り禁忌のラダンと言われている。以後、お見知り置きを」ペコ

 

ラダンはそう自己紹介をして頭を下げる。

 

ネプ「じゃももも。頭を上げてくれ。ワシはお主に礼を言いたいのだ」

 

ラダン「礼?」

 

ネプ「そうじゃもん。3年前にフィッシャータイガーと共に聖地マリージョアを襲撃し、囚われていた全ての奴隷を解放した。その中に魚人島から攫われた者は少なくない。他に10日前にフィッシャータイガーを救ってくれたことも感謝している」

 

ラダン「マリージョアの件は俺が許せなかっただけだ。タイガーも友人だから助けたまで。礼を言われたくてやった訳ではない」

 

ネプ「それでもじゃ。さらに言うとお主。ここ三年囚われていた人魚を助けてくれたのだろう?行方知らずだった者達は皆同じ特徴を述べている。黒髪で黒目。青い不思議な力を使うとな」

 

タイガー「そんなことが……!」

 

事情を知らなかったタイガーはラダンの方を見る。

 

ラダン「弱ったな……偶然気配を感じて解放しただけだ。遠かったりしたから魚人島の真上まで運んだりしたが」

 

オトヒメ「あなたのおかげで行方不明だった殆どの人が帰ってきました。本当にありがとうございます!」ペコ

 

ネプ「ワシからも感謝する!」ペコ

 

「私からも感謝する!」ペコ 「私からもです!」ペコ

 

魚人島のトップが一人に頭を下げている。普通じゃ考えれないことだ。それほど人魚や魚人が攫われる事は問題だったのだ。

 

ラダン「頭を上げてくれ。さっきも言ったが礼を言われたくてやった訳じゃない。俺がやりたくてやっただけだ」

 

四人は頭を上げる。

 

ネプ「じゃももも。お主は変わった龍じゃの」

 

オトヒメ「龍ということ自体疑いたくなりますね」

 

ラダン「まあ、この世界に知性を持った龍はいないだろうしな。千年竜というのが存在すると聞いたが、未だに会ったことないしな」

 

ネプ「じゃももも。そうかそうか。堅っ苦しいのはやめじゃ!せっかくだお主の事を聞かせてくれまいか?」

 

オトヒメ「それは私も聞きたいわね」

 

「この王は……」 「まぁ、いいじゃありませんか」

 

右大臣と左大臣が気になるが、ラダンはネプチューンとオトヒメに自分の事を伝えた。

 

ネプ「なるほどの。見聞を広めるためにこの世界に放り込まれたと」

 

ラダン「大体そんな感じだ。嫁探しの一環もあるだろうけど」

 

ネプ「ふむ、嫁探しとな?」

 

ラダン「理屈はわからないが、俺達龍は他の世界に行くと百年の間認めた相手を半竜にできる。もちろん相手の同意で。メリットは寿命だ。少なくとも五千年は生きれる。上限は分からん」

 

オトヒメ「確か聞いたことのある竜は寿命は途方もなく長いと聞いたことがあります。そういうことでしょうか?」

 

ラダン「その通りだ。半竜のシステムは番になるべく自分と長くいるためのものだ。まぁ、親父は親父の弟の叔父などにも使ったが」

 

ネプ「なるほどの……因みにお主は?」

 

ラダン「今の所候補が3人だな」

 

オトヒメ「意外にモテるのですね」

 

ラダン「どうだろうな」

 

その後、1時間ぐらい喋った後にネプチューンから「是非子供達にも会ってくれ」と言われて4人の子供に会った。男の子3人に末っ子に長女の女の子。長女が兄よりデカいのが不思議だった。この子どうやって産まれたんだ?

昼をご馳走になって、午後は子供達の遊びに付き合った。強請られて人化を解いたりした。あ、勿論大きさは変えたぞ。一晩止まって翌日の午前も子供達の遊びに付き合った。2日目も昼をご馳走になって帰ろうとした。だが、子供達。特に長女のしらほしが泣くわ泣くわ。四人にダラ素材で作ったブローチをあげてまた来ると約束してなんとか泣き止んでくれた。

最後にネプチューン王にオトヒメ王妃、タイガーに俺の加護を付与した。この加護は危険から守ってくれるものだ。タイガーの一件を反省して狙われる3人に加護を付与した。子供達はブローチに加護を付与している。

 

 

そんなこんなで魚人島から出たラダンはいつもより高い高度で飛んでいる。

 

ラダン「あの加護が有れば滅多なことじゃない限り大丈夫だろう」

 

そう考えながら飛んでいると

 

キュオオオォォォォォ

 

ラダン「!鳴き声!?」

 

鳴き声のする方を見ると

 

キュオオオォォォォォ

 

そこに緑色の竜が何体も飛んでいた。

 

ラダン「やっと……やっと出会えたぞ!千年竜!」

 

ラダンは一体の千年竜に降り立つ。

 

ラダン「お前達が千年竜なのか。やっと出会えたぞ」

 

クォォォ

 

ラダン「はは、流石に気付くか。別にお前達を害しにきたわけじゃねぇ。この世界の竜に会いたかっただけだ」

 

キュオォォ

 

ラダン「うぉっ!急降下しないでくれよ。あぁ、降りるのか。なら、少し付いていかせてもらうぜ」

 

ラダンが乗っていた千年竜は分かったのかうなづいて地下の島に降りた。

 

バサッバサッ ストンッ

 

スタッ

 

ラダン「さ、この島に間だけでいい。話をしようか」

 

クォォ

 

他の千年竜も集まって話をした。

 

ラダン「なるほどな。千年竜というのは千年に一度ロストアイランドという場所に行くからそう名付けられたのか。そのロストアイランドは竜の巣でもあり墓場でもある。そして千年竜は死んでまた卵から産まれると。はは、すごい竜がいたもんだ」

 

キュオォォ

 

ラダン「ん?俺の方がすごいだ?産まれた世界が違うからな。親父の住んでいた世界の竜は長くともそこまで生きれないぞ。何体か古代から生きている個体はいるが」

 

クォォォ

 

ラダン「おいおい、ここで家庭の愚痴を言わないでくれよ。構ってくれないなら逆に構ってやれ。親父はそこをうまく使いこなしていたぞ。お袋達を甘えさせたり、逆に甘えたりして」

 

クォォォ

 

ラダン「『思い立ったが吉日。それ以外は凶日』お袋が親父と知り合った時言われた言葉だ。思い立ったら行動しろ。それ以降はうまくいかないって意味だ」

 

キュオォォ

 

ラダン「礼はいい。次の周期に元気な子供が産まれるのを祈ってるぞ」

 

クォォォ

 

ラダン「リーダーも大変なんだな。しかし、リーダーは最年長が務めるのか。あんたは相当生きてるだろ?」

 

クォォォ

 

ラダン「俺よりも上……もうすぐで四千か?だがおそらくお前はその次の周期では……」

 

キュオォォ

 

ラダン「……そうか。分かってるか。怖くないのか?」

 

キュオォォ

 

ラダン「流石に怖いか。だが不思議と次の翼を持つ事を望んでる。か……その感覚は俺にも、親父にも分からないだろうな」

 

キュオォォ

 

ラダン「『そういうものだ』本当にその通りだな。ありがとう。少し勉強なった」

 

キュオォォ

 

ラダン「ありがとうな。楽しい時間を過ごせた。また会おうぜ」

 

キュオオオォォォォォ

 

ラダンが跳び去る時に千年竜全員で咆哮をあげた。まるで「あなたに幸あらん事を」というように。

 

 

あれから数ヶ月、ラダンは最後に東の海(イーストブルー)を飛んでいた。

 

ラダン「最後にここを飛んであそこに行くか……ん?」

 

ラダンは飛んでいるとある島に目がいった。正確には島の山にある建物だ。

 

ラダン「こんな所にもワノ国風の建物があるんだな。そういえばここにきた覚えないな。降りてみよう」

 

ラダンは山に降り、建物のあった方に向かった。建物を見つけ入ると

 

?「何者!」

 

140cmほどの女の子が竹刀をラダンに向けていた。

 

ラダン「勝手に入って悪い。ここの建物が気になって入ったんだ」

 

?「……嘘じゃないみたいね」

 

女の子はそう言って竹刀を下げる。

 

?「くいな。どうしたんだ?」

 

くいな「お父さん。この人が入ってきた理由を聞いていただけよ」

 

?「これはこれは。私はこの道場を営んでいるコウシロウです。こちらは私の娘のくいなです」

 

ラダン「俺はクラネル・ラダン。名前を聞けばわかるはずだ」

 

くいな「海賊!」

 

ラダン「あぁ……そうなっちまうか……」

 

くいなは改めて竹刀をラダンに向け、コウシロウは武器を握ってないがそのプレッシャーはアシュラに準ずるものだった。

 

ラダン「海賊ではない。ただ世界貴族を滅ぼしかけた危険人物だ」

 

くいな「どっちも変わらないわよ!」

 

ラダン「やれやれ。しかし、ここってすごくワノ国に似てるな」

 

ラダンがそう言うとコウシロウの表情に変化があった。

 

ラダン「日和達はどうしてるんだろうな……おこぼれ町がなくなってるといいが……」

 

コウシロウ「何故……あなたがそれを……」

 

ラダン「ワノ国は少しずつ開国に進んでいる。オロチもいないしカイドウは味方だ」

 

コウシロウ「……そうですか……立ってるのもなんですし、中にお入りください」

 

くいな「お父さん!?ワノ国がどうして出てくるのか分からないけど、この人は犯罪者だよ!」

 

コウシロウ「いいから。お父さんを信じなさい」

 

くいな「っ……わかった……」

 

くいなはそう言ってどこかに行ってしまった。

 

コウシロウ「ごめんなさい。色々複雑な年頃なので」

 

ラダン「いや、大丈夫だ。妹達にもああいう時期あったからよくわかる」

 

コウシロウ「ありがとうございます。ささ、お入りください」

 

ラダンはコウシロウに案内されて中に入った。

 

ラダン「つくづくワノ国と同じだな」

 

コウシロウ「そうでしょうね。では、ワノ国の事。お話願いますか?」

 

ラダン「当然だ」

 

ラダンはコウシロウにワノ国であった事を話した。日和は無事でカイドウはもう敵じゃない。オロチはもういない事。最後に日和とカイドウの娘であるヤマトと婚約関係である事。

 

コウシロウ「なるほど。色々あったのですね」

 

ラダン「あぁ、本当にな。だが、日和が笑えるのなら軽いものだ」

 

コウシロウ「姫のことお願いします」

 

ラダン「あぁ、寿命が尽きるその最後の時まで守り続ける」

 

ラダンはそう決意をコウシロウに伝える。コウシロウはそれを聞いて満面の笑みを浮かべる。

 

コウシロウ「さて、うちの道場の様子を見てきますか?」

 

ラダン「そうだな。せっかくだ見学させてもらう」

 

ラダンはコウシロウに案内されて道場のところに向かう。

 

ヤッ ヤッ ヤッ

 

コウシロウ「基本は素振り。大分経ってから試合をする様になります」

 

ラダン「剣か……俺も刀を使うが、流派のない実戦と親父との鍛錬で気づいた我流だしな……それにどちらかと言えば俺は医者だし」

 

コウシロウ「あの実績で、ですか!?」

 

ラダン「初めて大声をあげたな。俺のお袋は医療機関に勤める医師で薬師だ。その影響で俺もその道を修めてる。戦闘もできるがな」

 

コウシロウ「驚きです。まさかあなたほどの強者が医者とは……」

 

ラダン「ま、見えないよな」

 

コウシロウ「所で、試合に混ざりますか?今日は私もやろうと思っていたので」

 

ラダン「なら言葉に甘えようか」

 

コウシロウ「はい皆さん注目!」

 

コウシロウがそう言うと道場内の全員がコウシロウに注目した。

 

コウシロウ「今日は特別ゲストが来ています。名前はラダン。私より強いですよ?」

 

くいな「っ……」プルプル

 

くいなはラダンを殺気の籠もった目で見ている。

 

コウシロウ「まずは誰から行きますか?」

 

くいな「私から行きます」

 

コウシロウ「くいなか、ではラダンさん。お願いします」

 

ラダン「分かった」

 

ラダンはコウシロウから竹刀を受け取り構える。

 

コウシロウ「はじめ!」

 

くいな「ハァッ!」

 

バシッ

 

ラダン「筋はいいな。よく鍛えられている。だが迷いが感じられるな」

 

くいな「っ、知った口を!」

 

バシンッ

 

バサンッ

 

くいな「あ……」

 

コウシロウ「終わり!勝者ラダン!」

 

ラダン「流石に無理があるだろ。俺と試合なんて」

 

コウシロウ「うーん、確かに無理があったね。さて、次に挑みたい人は?」

 

シーン……

 

コウシロウ「いないか……なら私が相手をしよう」

 

くいな「!?」

 

ラダン「お、楽しみだな」

 

コウシロウ「くいな、合図をお願い」

 

くいな「っ、はい……」

 

ラダンとコウシロウは竹刀を構える。

 

くいな「はじめ!」

 

ヒュンッ バキッ!

 

ラダン「あぁ……こうなるか…」

 

コウシロウ「竹刀じゃ仕方がないね」

 

説明しよう!何があったかと言うと、試合が始まったと同時に両者目で見えないスピードで竹刀を振り、竹刀同士が当たったと同時に壊れたのだ!

 

ラダン「真剣ならもっといけると思うがな」

 

コウシロウ「できるでしょうね。さて、早いけど今日はここまで。自主的にやるなら構わないよ」

 

コウシロウはそう言って道場から出て行く。ラダンもその後を追う。

 

 

時は飛んでその日の夜。夜の散歩に出かけようとしていると

 

きゃあぁぁぁ

 

ラダン「!」

 

悲鳴が聞こえたラダンは急いで悲鳴のする方へ向かった。そこで見たのは階段から落ちているくいなだった。

 

ラダン「危ない!」

 

ドサ ドンッ

 

ラダン「な、なんとか受け止めれた……」

 

ラダンは間一髪くいなを受け止めて仰向けで倒れていた。

 

ラダン「大丈夫か?」

 

くいな「え……あ……あ、ありがとう……」

 

ラダン「ここの階段の構造上危ないから次から気をつけてくれよ」

 

くいな「うん……」

 

ラダン「(昼の時の威勢はどこいったんだ?それとも何か悩んでいるのか?)何か悩んでいるのか?」

 

くいな「っ、あなたには関係ない……」

 

ラダン「聞くぐらいいいだろ。誰かに話して楽になれることもあるし」

 

くいな「っ……なら……少し……」

 

纏めると、くいなは世界一の剣豪になるのが夢のようだ。しかし、女という性別が邪魔をしている。男のように筋肉はつきにくく、胸も大きくなってきてるからそれも邪魔。

 

ラダン「なるほどねぇ。俺の知ってる強い女は多いけどな。例えば三皇……今は四皇か。四皇ビッグマムとか。姉貴に俺は勝てねぇし」

 

くいな「それはあなたが……」

 

ラダン「特殊……だろ。確かにそうだ。手配書の通り、俺は龍だ。だがそれはお前の夢に関係あるか?」

 

くいな「それは……」

 

ラダン「この世界には覇気というものがある。覇気は凄くてな、それを使いこなせるものは例え非力でも軍艦一隻を真っ二つにできる」

 

くいな「覇気……」

 

ラダン「教えようか?」

 

くいな「お願い……私にその覇気を教えて!」

 

ラダン「あぁ、わかった。けどその前に、どいてくれないか?」

 

くいな「え、あ、ご、ごめんなさい!///」

 

ラダン「とりあえず明日の朝、北の海岸で待っているぞ」

 

くいな「うん……///」

 

その後、ラダンは少し散歩をして眠りについた。

翌朝

 

ザアァァァ……

 

ラダン「来たか」

 

くいな「うん」

 

ラダン「コウシロウに門下生がいるのは予想外だがな」

 

コウシロウ「あはは、君がくいなに教えるものが気になってね。この子はゾロ。道場で一番素質がある子だよ」

 

ラダン「なるほどな。まぁいい。まずは覇気についてから教える。覇気は人間誰しもが持っている。だが発現できるのはごく一部だけだ。大いなる航路(グランドライン)の後半、新世界にいるやつは大抵これを使える」

 

くいな「ごく一部……」

 

ラダン「覇気には二つある。一つ目は見聞色。これは気配を感知して避けるものだ。極めると未来が見えたり、遠くの気配がハッキリとわかったりする。二つ目は武装色。薄い鎧を纏う感じに使う。これを使うとロギア系の能力者でも攻撃できる。さらにこれは武器に纏うこともできる。この武装色を纏うだけで……」

 

ラダンは刀に武装色を纏ってゆっくり振り下ろす。刀を振り切ると

 

ザアアァァァンッ

 

目の前の海が遠くまで割れた。

 

ラダン「今回はこれを教える」

 

くいな「お願いします!」ペコ

 

ラダン「まずは……」

 

ラダンはくいなにレイリーに教えてもらった事をくいなようにアレンジして教えた。

 

 

くいなに覇気を教え始めてから一週間。

 

くいな「……」

 

シュウウゥゥン

 

ラダン「すごいな。まさか一週間で武器を黒刀化できるとは……」

 

くいな「ふう……どう?上手くできたと思うけど……」

 

ラダン「あぁ、完璧……と言いたい所だがまだムラがある。だが、筋はいい。そのまま鍛錬を続ければ剣豪になるのも夢じゃないぞ」

 

くいな「うん!」

 

ラダン「さて、コウシロウのところに向かうか」

 

ラダンとくいなはコウシロウのところに向かった。

 

コウシロウ「あら、くいなにラダンさん。どうしたんだい?」

 

ラダン「くいなの修行は終わりだ。残りはくいな自身が極めればいい。俺はそろそろ行こうと思ってる」

 

くいな「えっ……」

 

コウシロウ「そうか……残念だけど君を引き止めるわけにはいかない。くいなのことありがとう」ペコ

 

ラダン「頭を上げてくれ。俺はただ……」

 

くいな「ヤダ……」

 

ラダン「くいな?」

 

くいな「ヤダ!まだ居て!わたしにもっと教えてよ!」ギュッ

 

コウシロウ「くいな、よしなさい。ラダンさんはラダンさんのやる事があるんだ」

 

くいな「ヤダ!もっと一緒にいてよ……」ポロポロ

 

ラダン「はぁ……また来る。それじゃダメか?」

 

くいな「絶対?」ナミダメ

 

ラダン「約束する」

 

くいな「その時は妻にしてくれる?」

 

ラダン「お前もかよ……前にも言ったが……」

 

くいな「それでもいい!」

 

ラダン「……いいんだな?」

 

くいな「うん!」

 

ラダン「……わかった。その時にな」

 

くいな パァァ

 

くいなは満面の笑みを浮かべる。

 

ラダン「なんかすまんな」

 

コウシロウ「ははは、別にいいよ。ただ、くいなを悲しませたら許さないよ?」

 

ラダン「当然だ」

 

コウシロウ「うん、ならよかったでは……」

 

ゾロ「くいな!」

 

コウシロウが喋ろうとするとゾロが入ってきた。

 

コウシロウ「どうしたんだい?ゾロ」

 

ゾロ「えっとだな……くいな!その刀を俺をくれ!俺はその刀で剣豪を目指したい!」

 

くいな「この和同一文字を?」

 

ゾロ「あぁ!」

 

くいな「……いいよ」

 

ラダン「いいのか?」

 

くいな「うん、けど代わりにラダンの刀を頂戴」

 

ラダン「そうくるか。たく、こいつめ」ワシャワシャ

 

くいな「きゃああぁぁ」

 

ラダン「とりあえず、ほら。ワノ国で作った和同一文字と同じ大業物だ」

 

くいな「ありがとう!はいゾロ。大事に使ってね」

 

ゾロ「当たり前だ!」

 

ラダン「この刀に銘はないが、どうする?」

 

くいな「そうね……秧鶏……どうかな?」

 

ラダン「秧鶏(くいな)……あんな甲高い音はしないが、いいな。俺の作った刀に自分の名前をつけてくれるとは嬉しいぞ」

 

くいな「う、うん……///」

 

ラダン「それじゃぁ、くいなもゾロも剣豪になれるのを祈ってるぞ」

 

「「うん(あぁ)!」」

 

ラダン「それじゃぁ、俺はもう行く。また会おうぜ」

 

コウシロウ「えぇ、またいつか」

 

ラダンは3人に別れを告げて飛び去った。

 

ラダン「一人でこの世界は見て回ったな。ラフテルには行ってないが、あそこには仲間と行きてぇな。さて、あそこには向かうか」

 

ラダンは大いなる航路(グランドライン)にあるとある島に降りた。そして人化を解き

 

ラダン『(何年後か知らないが、また会おうぜ、みんな)』

 

ラダンはそう心の中でつぶやいて山を掘り始め、中に入りきると出口を塞いだ。

 

ラダン『(また会った時皆はどれくらい成長してるだろうな……)』

 

ラダンはゆっくりを瞼を閉じ、長い眠りについた。

 

 

 

ラダンが目覚めるまで、

 

 

 

 

 

 

後九年

 

 

 




やっと序章が終わりました。
三本立てだったので九千字近く行きました。序章が終わったと同時にヒロインも締め切りにします。
確定したヒロインはくいな、ナミ、ニコ・ロビン、ヤマト、光月日和、ボア・ハンコック、モネ、カリーナ、レイジュになります。
しらほしをヒロインにという意見もありましたが、体の大きさ的に無理です。強いて言うなら兄的存在ですね。
次回はアマゾン・リリーで眠っているとルフィの無意識に放った覇王色の覇気で目覚めます。
ついでにハンコックもヒロインに……
次回、蛇王龍の目覚め。
お楽しみに〜


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麦わら帽との出会い
15ジャオ 蛇王龍の目覚め


ここからは原作に入ります。場所は女ヶ島からです。

では、どうぞ。


ギリギリィ

 

サンダーソニア「3」

 

ルフィ「おい!やめろ!馬鹿なのか!」

 

ソニア「2」

 

ルフィ「やめろー!があぁぁ!」

 

マリーゴールド「無駄よ」

 

ソニア「1」

 

「マーガレット!」

 

ソニア「 」

 

ソニアは尻尾で掴んでいた石像、マーガレットを地面にぶつけて壊そうとする。

だが、その時

 

ルフィ「やめろって言ってんだろうがぁぁ!」

 

ギイイィィィン

 

ルフィは叫ぶと共に無意識に覇王色の覇気を発動した。その覇気で観客の大半は気絶し、ソニアにマリーも硬直しマーガレットを地面に置いた。

 

しかし、それだけではなかった。厚い岩の壁の中に眠っていたかの龍が目覚めた。

 

 

?『ん……覇気……?それも今は弱いが将来性を感じる。誰だ?』

 

目覚めた龍、クラネル・ラダンは感知で覇気の主を調べた。

 

ラダン『こいつか。ふむ……潜在能力は高いな。そして戦っているな。この気配は……なんか懐かしいな……あぁ、そうか。あの三姉妹の次女と三女か。そして少し離れたところに長女もいるな。理由は分からねぇが、元気でよかった……』

 

ラダンが感傷に浸っていると上で勝負がついた。

 

ラダン『あの男……俺が三姉妹に言った奴隷紋を……意味は知らないだろうけど、助けてくれたか……ふっ、気配だけだがいいやつだな。そろそろ俺も出るとするか。さて、一体何年経ったことか』

 

ズルズル ガリガリッ

 

ラダンは岩を壊しながら進む。

 

 

闘技場では女ヶ島の皇帝、女帝ボア・ハンコックが石にされた3人の女性を元に戻した。その時

 

グラァ ゴゴゴゴゴゴッ

 

ハンコック「な、何事だ!何が起こっているのだ!」

 

ルフィ「うおぉ…!」

 

ニョン「何故地震が……」

 

ドオォォォォォンッ

 

凄まじい音が起こるとそこから巨大な黒い大蛇が現れた。

 

ラダン シャララアァァァァァァァ!!

 

ニョン「黒い……大蛇……まさか!」

 

ハン「何故…何故あの方が……!」

 

黒い大蛇、ラダンは闘技場に顔を覗かせる。

 

ルフィ「な…なんだコイツ……」

 

ソニア「無礼者!」

 

ルフィ「え!?」

 

マリー「あの方を誰と試みる!あの方は……」

 

ハン「あ…あ……やっと会えた……」

 

ラダン『久しいな、まさかこの島が三姉妹の故郷だったとはな。それにニョンもいるし』

 

ルフィ「喋った!?」

 

ニョン「誰がニョンじゃ!それより、ラダン!お主姿を消したと思っていたらここにいたのか!」

 

ラダン『まぁな。数年休眠するのも一興だろう?』

 

ニョン「知らにゅわ!ワシら人間にそんなこと聞くにゃ!」

 

ラダン『ハッハッハッハッ、やっぱりニョンはおもしれぇな。さて、ずっとこの姿も邪魔だろう』

 

ラダンから眩しい光が発せられる。光が止むと人化したラダンがいた。

 

ラダン「ん……数年ぶりに人化するから少し違和感があるな」

 

ルフィ「人になった……」

 

ラダン「お前だな。俺を起こしたのは」

 

ルフィ「え…?」

 

ニョン「何……?どういうことじゃ」

 

ラダン「俺が起きたのはコイツの覇気だ。まだ弱いが素質が高いぞ」

 

ニョン「そんなことが……」

 

ラダン「とりあえずは礼が言いたい」

 

ルフィ「礼……?」

 

ラダン「そこの緑髪のことだ。すまんな名前を知らなくてさ」

 

ソニア「そ、そんな……!もったいないお言葉です……」

 

ルフィ「あぁ!背中のことか!」

 

ラダン「そうだ。ここじゃ話しづらいな。場所を移さないか?」

 

ハン「は……はい……」

 

石にされた3人は外に出し、ラダン一行はハンコックの城、九蛇城に向かった。

 

 

ガチャ

 

「マーガレット!」

 

マーガ「皆!ここにいたのね!」

 

「石化を解いてもらったのね!それに地震が起きてスッゴイ大きい蛇が現れたけど大丈夫だった!?」

 

「全く、一時はどうなるかと思ったぞ」

 

マーガ「それが……気がついたら男がすごく喜んでてて……その後すぐに地震が起きてあのデカい蛇が現れたの。それでこっちに近いづいてきて喋ったの」

 

「喋った!?」

 

マーガ「うん。それに蛇姫様と妹君達にニョン婆と知り合いだったの」

 

「蛇姫様と!?それにニョン婆も!?」

 

マーガ「更に光ったと思ったらもう1人男が現れてゴムの男に礼を言ってて、話があるから蛇姫様に場所を移さないかって言って九蛇城に向かったの」

 

「「「えぇ!?」」」

 

 

九蛇城にて

 

ラダン「しかし、大きくなったなぁお前たち。綺麗になったじゃねぇか」

 

ハン「あ、ありがとうございます……///」

 

ラダン「そういえば名前を聞いてなかったな。教えてくれるか?そこの男も」

 

ルフィ「俺はモンキー・D・ルフィ!海賊王になる男だ!」

 

ラダン「海賊王……確かゴール・D・ロジャーだったか?ニューゲートからどんな奴かは聞いている」

 

ニョン「お主、白ひげとも知り合いじゃったにょか」

 

ラダン「まぁな。それで三姉妹は?」

 

ハン「妾はボア・ハンコック。この国の皇帝をしている」

 

ソニア「私はサンダーソニア」

 

マリー「私はマリーゴールド」

 

ラダン「ボア・ハンコック……あぁ!七武海の女帝ボア・ハンコックか!絶世の美女と聞いていたけど確かにそうだな」

 

ハン「は、恥ずかしいのでやめてください……///」

 

ラダン「敬語じゃなくていいぞ。それともう一つ。数年前にこの島で眠ったが、何年寝ていたのかが分からん。あの襲撃があったのは何年前だ?」

 

ハン「貴方は私たちの恩人です。タメ口などできません。私たちが解放されたのは13年前です」

 

ラダン「13年前……という事は9年も眠っていたのか……」

 

ニョン「そんな前にお主はこの島に来ていたのか!そういえばその時期に地震があったと聞いたにょ……」

 

ラダン「それが俺だな」

 

ニョン「お主は……」

 

ラダンの回答にニョンが呆れていると

 

ルフィ「なぁなぁ、話ってなんだよ〜」

 

ラダン「と、すまんすまん。あの3人がいる前ではできない話でな」

 

ルフィ「マーガレットたちのことか?」

 

ラダン「まぁ、そうだな。まずは礼を言う。ソニアを守ってくれてありがとう」

 

ラダンはそう言って頭を下げる。

 

ルフィ「別にいいって、俺が間違えてコイツの背中を見てしまった時に死んでも見られたくないと言っていたからよ」

 

ラダン「なるほど、それで闘技場にいたのか」

 

ニョン「それに其奴。つい先日シャボンディ諸島で神も恐れる所業、天竜人を殴り飛ばしたのじゃ」

 

「「「な!?」」」

 

ラダン「そんなことやったのかお前。度胸のある奴だな!」

 

ニョン「お主はその天竜人の住む聖地マリージョアを襲撃したしの。お主、13年前に起きた聖地マリージョア襲撃事件を知らにゅか?」

 

ルフィ「ん〜……あ、そういえばハチが大兄貴と友達が一緒に奴隷を解放したって聞いたな」

 

ニョン「それが此奴じゃ」

 

ルフィ「ええぇぇ!?まじ!?」

 

ニョン「本当じゃ」

 

ルフィ「スッゲェな!」

 

ラダン「ただの自己満足だ。さて、話を続けるぞお前が見たというのはこれか?」

 

ラダンはそう言って青いエネルギー(以降ダラエネルギー)でいつか見た奴隷紋を空中に作る。それ見て三姉妹は顔色が悪くなる。

 

ラダン「これを見たのか?」

 

ルフィ「ん〜……」

 

ハン「っ……」

 

ルフィ「やっぱり違うな。俺が見たのとは違う」

 

ラダン「という事はこれか」

 

ラダンは奴隷紋を消して再びダラエネルギーで太陽のマークを作る。

 

ルフィ「そうそう!これこれ!」

 

ラダン「なるほど。ハンコック、ソニア、マリー、悪かったなルフィに見せるとはいえ嫌なものを見せて」

 

ハン「いえ、まだあれを見てられぬ妾たちが弱いのだ……」

 

ラダン「なら、今ここで消すか?」

 

ハン「え……」

 

ラダン「あの時は戒めとして残したが、辛いなら今でも消すぞ」

 

ハン「それ……は……」

 

ラダン「ソニアとマリーも辛いなら消せるぞ」

 

ハン「……」

 

そう言われてハンコックたちは俯く。戒めとして残すと言ったが、やはり辛いものは辛い。

しばらくしてハンコック、それにソニアとマリーが顔を上げた。

 

ハン「心遣いは嬉しいですが、このまま残します」

 

「「私たちもです」」

 

ラダン「……そうか。ならせめてお前たちに不幸が起きないように俺の加護を与える」

 

パアアァァ

 

ラダンは3人に手をかざすと3人の周りに光が舞う。

 

ルフィ「おぉ!スゲェ!!」

 

ラダン「ははは、これからも辛い事はあるだろうけど、姉妹仲良くしてくれ。国も平和であることを祈る」

 

ハン「はい……はい……!」ポロポロ

 

ソニア「ありがとうございます……!」ポロポロ

 

マリー「勿論です……!」ポロポロ

 

ラダン「泣かないでくれ。美人が勿体無いぞ、ほら」

 

そう言ってラダンはハンカチで3人の涙を順に拭う。

 

ハン「あ、ありがとうございます///」ニコッ

 

ラダン「うん、笑った方が綺麗だな」

 

ハン「そんな……綺麗なんて……///」

 

ニョン「話を続けないにょか?」

 

ラダン「そうだったな。ハンコックにソニア、マリー、聞きたくないなら耳を塞いでくれ。お前たちにとって辛い話だから」

 

ハン「いえ、このまま聞きます。私たちにはラダン様の加護があるので」

 

ハンコックの言葉にソニアとマリーは頷く。

 

ラダン「そうか」ニコッ

 

ハン「///」

 

ルフィ「ラダン?」

 

ラダン「そういえば名乗ってなかったな。俺はクラネル・ラダン。懸賞金65億ベリー、禁忌のラダンだ」

 

ルフィ「懸賞金あるのか!それも65億!?スッゲェー!!」

 

ラダン「ははは、まぁ色々とやったからな。さて」

 

ラダンは真剣な顔になる。ルフィも感づいて真面目に聞く。

 

ラダン「最初に見せた奴隷紋ともう一つ見せたお前が知っているもの。まず奴隷紋は、ほぼそのままだ。世界貴族天竜人の奴隷である印だ」

 

ルフィ「な!?」

 

ルフィは驚愕した。国のトップに奴隷の印である奴隷紋があるから。

 

ラダン「ハンコックたちは誘拐されて奴隷になった。その数年後に俺がフィッシャータイガーという魚人の友人と共にマリージョアを襲撃して解放した。解放した奴隷の多くは連れて行った島で暮らしている。その他は故郷に戻ったり海に出た」

 

ルフィ「そんなことが……」

 

ラダン「ハンコックたちはニョンに頼んで故郷に帰してもらった。あの三姉妹がここまで大きくなるなんてなぁ……まるで大きくなった娘を見てるみたいで感慨深いものだ」

 

ハン「……娘じゃなくて妻がいいな……」

 

ラダン「と、悪いな。それで、太陽の方だったな。それは魚人の海賊団、太陽の海賊団の証だ。今はもうないかもしれんが。タイガーは奴隷紋を掻き消すようにその上に太陽の烙印をつけた」

 

ルフィ「じゃぁ、ハチは元々奴隷だったのか……」

 

ラダン「必ず元奴隷だったわけじゃない。タイガーは区別をつけないために全員に烙印をつけた。てかハチか。懐かしいな。ある時しばらく太陽の海賊団の船に乗っていたけど、ハチというタコの魚人がいたな」

 

ルフィ「多分そのハチだと思う」

 

ラダン「そうか……あいつが……そういえば太陽の海賊団は今はどうなっているんだ?タイガーはネプチューン王から魚人島にいてくれと言われてたから解散したと思うが……」

 

ニョン「噂でしかにゃいが、解散する時に人間に恨みのある者ない者で分かれたのじゃ。とはいえ、その魚人海賊団も其奴が壊滅させたしの」

 

ラダン「ルフィが?」

 

ルフィ「だってよ〜。あのアーロンって奴がうちの航海士に酷いことをしてたからよ。だからぶっ飛ばした」

 

ラダン「アーロン……やっぱりあいつか……きっかけはあれだろうな」

 

ニョン「海軍大将黄猿の腕が切り落とされた事件のことかにょ?」

 

ラダン「そう、それだ」

 

ルフィ「黄猿が!?」

 

ラダン「あいつはタイガーに致命傷を与えたからな。だから腕を斬り落とした。そのあと元帥の頼みで戻したがな。もし、また俺の知り合いを傷つけるようなことが有れば……まぁ、言わなくていいだろう」

 

ニョン「怖いにょう」

 

ラダン「(そういえばハンコックたちは顔色を変えずに話を聞けていたな。よかった……)とまぁ、こんな所か。ここ9年の情勢は知らないが、それは追々聞くとしよう」

 

ニョン「そうじゃにょ。しかし……」

 

ニョンはそう言って杖の上に乗る。

 

ニョン「久しぶりよにょう〜、お主がこうも感情を表に出すとはにょ。ラダンもいるからかにょ。近年ではもはや蛇姫は凍ってしまったのかと思ったぞ」

 

ハン「黙れ!国を捨てた裏切り者!」

 

ニョン「仕方がないとは言え、もう少し感情を出してもいいと思うのがにょ」

 

ラダン「確かにな。ハンコックは綺麗だし、笑えばもっと綺麗だぞ?」

 

ハン「え、あ、そ、その……そう言われると流石に恥ずかしい……///」

 

ニョン「全く、この乙女が」

 

ハン「えぇい!この口を閉じよ!」

 

ニョン「asgxbhujsba!(その手をはにゃせ〜!)」

 

ハンコックはニョンのほっぺを掴みニョンを黙らせようとしている。

 

ラダン「ハハハハハ!」

 

ルフィ「楽しそうだな!ははは!」

 

oh……カオス……

 

 




今回はここまで。
やっと原作に入った!ルフィも登場した!
とりあえず、ハンコックがラダンを気になってる感じは出てきたかな。次回当たりには恋煩いになるかな。
因みに、ジンベェですが、アーロンをほっとけなくてアーロンが捕まった時に原作同様のことが起きています。しかも奇しくも捕まえたのが黄猿というセットで。
ソニアとマリーはヒロインではなく、ラダンを兄として慕っている感じにします。
さて、次回はハンコックの恋煩いとルフィがエースの公開処刑を知る所です。エースは原作同様死ぬ方向で行きます。もうそこまでの構想はハッキリとしているので。
次回、蛇姫の恋煩いと火拳の処刑
お楽しみに〜


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16ジャオ 蛇姫も恋煩いそして火拳の処刑

恋煩い……どうしましょう?ラダンの性格から言って「また来る」とか言いそうですし……



んーー………やっぱ恋煩いはなしで。


なんとかその場を収めてルフィとラダンは城下町の食堂に来ていた。

大量に料理が準備されていてルフィは手掴みで食べている。

 

ルフィ「うめぇ!お、これもうめぇ!あ!これも!」

 

ラダン「行儀悪いぞ、ルフィ」

 

ルフィ「別にいいじゃねぇか」

 

ラダン「全く」

 

バクバク食べてるルフィの横でラダンは黙々と食べていた。母親の1人に礼儀作法にうるさい人がいるので綺麗に食べている。

何回かルフィが手を伸ばして奪おうとするもラダンはそれを叩き落としている。

 

ルフィ「ん?オメェらこんな上手いみょんぎゃあんにょに食わんのか?」

 

ラダン「そうだな。俺たちは気にせずに各々の食事を進めておけ。じゃないとこいつに奪われるかもしれないぞ?」バシッ

 

ラダンは自分の料理に忍び寄るルフィの手を叩き落としてそう言う。

 

ルフィ「なんだ〜俺がもりゃってもいいでゃな」モグモグ

 

ルフィは食べていない九蛇の女性達の料理を食べ始めた。

 

ラダン「だから言っただろ」モグモグ

 

 

 

離れた席でマーガレット達が話していた。

 

スイトピー「あれが私たちの命恩人……それにあの大蛇が変化した姿……」

 

アフェランドラ「明朝2人とも島を出るんだって。それにしても……」

 

スイ「元大蛇の方は例え全員でかかっても勝てないわね……」

 

マーガレット「……」

 

 

 

「男の体って変だって噂本当だったのね」 「もう1人の男は誰なんだろう?」 「さぁ?」

 

 

「馬鹿馬鹿しい。何故一時は死刑が決まった男が、それももう1人突然現れた男と一緒にいるわけ?」

 

「しかもこんな祝いの場に!」

 

「……ワナなのかも知れないわ」

 

「「「ワナ?」」」

 

「闘技場ではよもやの苦戦を強いられてしまった。そこであの男にたらふくご馳走を食べさせておき、油断した隙に地獄に叩き落とす」

 

「その役目を私たちがやるってことね。ザハハハハ」

 

 

ラダン「(聞こえてるぞ。ハンコックがそんなことするわけないはずなんだがな。まぁ、ニョン曰くここ数年は氷のような感じだったそうだしな)」モグモグ

 

 

九蛇の女性達は隠し持っていたナイフを取り出す。

 

「準備はいい?」

 

コクッ

 

「男を始末する!」

 

そう言って飛び出すが、異変を感じて待ての命令を下した。

異変というにはルフィだ。ルフィは卓に立ち、何か気に入らない様子だった。

 

ルフィ「んん!ふざけんなよよお前ら!いい加減にしろ!」

 

ラダン「なんだ突然」

 

ラダンは鍋とお玉を持って奇行に走るルフィに驚く。逆に九蛇の戦士はバレたと焦っていた。

 

「所詮バカな男のすること!遅れをとるな!」

 

九蛇の戦士達はそのままルフィに突撃する。しかし

 

ルフィ「なんで歌わねぇんだよ!」

 

「はっ?」

 

先頭にいた戦士が急停止した影響で後続がぶつかり、前に崩れる。

 

ドシンッ

 

ルフィ「な〜にやってんだよ?」

 

ラダン「それはお前にも言えることだぞ」

 

ルフィ「だってよ〜、宴ってのに静かなんだからよ」

 

ラダン「そういうことか」

 

ルフィ「いいから!お前ら!宴ってのはなこうするもんだろうが!ヨホホホ〜ヨホホホ〜♪」

 

ルフィは鍋とお玉を打ち合い、歌い始めた。

 

ラダン「ビンクスの酒か。懐かしいな」

 

ルフィは歌い続けてると笑い声が起き始める。ある程度馬鹿騒ぎするとルフィはまた食べ始めた。その間ラダンはずっと黙々と食べていた。量にして20人前は食べている。

 

「はい、女ヶ島の名物よ」

 

ルフィ「ん?めいぶちゅ?」モグモグ

 

「海王類入りペンネゴルゴンゾーラ」

 

ルフィ「おぉ!うめぇなこれ!」

 

「あなたもどうぞ」

 

ラダン「おぉ、ありがとうな」

 

「いえいえ」

 

ラダン「しかし、9年ぶりの食事にしては重いな……まぁいいや、このまま食べよう」

 

するとルフィとラダンに九蛇の女性達が近づき、つついたり引っ張ったりし始めた。

 

ラダン「俺は伸びねぇぞ」

 

ルフィ「もうなんなんだよお前ら!人の体つついたり伸ばしたりしてよ!」

 

「仕方ないじゃない。あなた達もう明日出航でしょ?記念に一度男に触りたいって子達に……ほら!」

 

女性の指した方を見ると長蛇の列ができていた。

 

「ねぇ〜!早く!」 「早く触りたい〜!」 「私も!」

 

「大人気」

 

女性の手には「1タッチ20ゴル」と書いてある看板を持っていた。ちゃっかり商売をしていた。

 

ルフィ「お前、何勝手に商売してんだよ!」

 

ラダン「困るなそれは」

 

すると大勢の女性にラダンは埋もれ、ルフィは押されてそのまま壁にぶつかってしまった。

 

ラダン「ルフィは……逃げ切れたか」グイグイ

 

ラダンは埋もれて主に引っ張られていた。

 

ラダン「俺も向かうとしようか。ピューイ」

 

キシー

 

ラダンが口笛を吹くと九蛇達の相棒である蛇達が女性を拘束する。

 

「ちょっと〜話してよ〜!」 「なんで言うことを聞いてくれないの!?」

 

ラダン「今の隙に出るか」

 

女性達が蛇に拘束されてる隙にラダンは九蛇城に向かうことにした。

 

 

九蛇城にて

 

ハン「はぁ……はぁ……」

 

九蛇城のベランダみたいな場所でハンコックが息を荒くして胸を押さえていた。

 

ラダン「よっと、ようハンコック……って大丈夫か?」

 

ハン「はぁ……はぁ……ラ、ラダンさん……わ、妾は大丈夫じゃ……」

 

ラダン「何を言ってるんだ。顔も赤いし呼吸も荒いじゃねぇか。ほら、部屋に入れ。これでも治療院に勤めていたから診察するぞ」

 

ハン「あ、ありがとう……」

 

ラダンはハンコックを支えて部屋のベッドにハンコックを寝かせる。

 

ラダン「どこが苦しいんだ?」

 

ハン「む、胸が痛いほどに締め付けられるんじゃ……」

 

ラダン「胸か……何百年と患者を見てきたが、こう言ったのは初めてだな。体に異常があるわけでもねぇし……いや、確か女性しか存在しない種族で似たような症状があったな……」

 

ハン「そ、それはなんなのじゃ……?」

 

ラダン「昔に聞いたことあるだけだったからな……確か……恋煩いだったか?」

 

ハン「恋……煩い……?」

 

ラダン「結ばれたいのに結ばれない。そんな儚い恋が体を蝕むと言うものだ」

 

ハン「恋……そうか……これが恋なのか……」

 

ラダン「それで、誰に恋してるんだ?ハンコックは娘みたいなものだから応援させてくれ」

 

ハン「……さんなのじゃ……」

 

ラダン「ん?」

 

ハン「じゃ、じゃから……ラダンさんのことなのじゃ!///」

 

ラダン「俺……?」

 

ハン「そ、そうなのじゃ……///」

 

ラダン「俺か……」

 

ハン「う、うむ///」

 

ラダン「俺は龍だぞ?」

 

ハン「好きになれば種族など関係はない!///」

 

ラダン「千も年上だぞ?」

 

ハン「それも関係ない!それにそう見えぬし……///」

 

ラダン「他にも妻にする予定のやつはいるぞ?それに寿命も俺に近くなってソニアとかマリーが先に亡くなるんだぞ?」

 

ハン「構わぬ。独占したい気持ちはあるが、其奴らと気持ちを共有するのも楽しそうだ。寿命も覚悟は出来てる」

 

ラダン「………」

 

ハンコックはラダンに真剣な顔を向ける。そして

 

ラダン「……わかった。これから妻としてよろしくな、ハンコック」ニコッ

 

ラダンは了承した。

 

ハン「!はい!」ニコッ

 

ラダン「それじゃ、早速寿命を伸ばすとするか」

 

ハン「それはどうやってやるのじゃ?」

 

ラダン「簡単だ。俺の血を飲めばいい」

 

ラダンはコップを取り、自分の腕に傷をつけて血を垂らす。ある程度入れると腕の傷を治してコップをハンコックに渡す。

 

ラダン「これを飲めば寿命が伸びる。少し痛みが走るかもしれん」

 

ハン「ふぅ……覚悟は出来てる。ラダンさんと一緒にいるため頑張る!」ゴクゴク

 

ハンコックは血を一気に飲み干す。

 

ハン「うぐっ!」

 

ラダン「耐えろ!」ギュッ

 

ハン「うっ……う……」ギュッ

 

ラダンはハンコックを抱きしめ、ハンコックは痛みから強く抱きしめる。しばらくすると痛みが引いたハンコックはラダンから離れた。

 

ラダン「大丈夫か?」

 

ハン「えぇ、大丈夫じゃ。それに力が底上げされてるのを感じるのじゃ……」

 

ラダン「半竜となるからな。ある程度は強化される。今のハンコックは9年前の時点の黄猿に勝てるな。あいつは速度さえ見極めれば簡単だ」

 

ハン「あの黄猿をそう簡単に……」

 

ラダン「ま、9年前の時点だからもっと強くなってるだろうがな」

 

ハン「そうか……」

 

ラダン「そう落ち込むな。俺はハンコックが俺の妻になってくれるのが嬉しいんだ」ギュッ

 

ハン「ラ、ラダンさん!?」

 

ラダン「ラダンでいい。まぁ、ハンコックの呼びたいようにすればいい」

 

ハン「で、ではラダン……」

 

ラダン「呼んだ?」

 

ハン「こんな気持ちは初めてじゃ……嬉しいと言う言葉だけで終わらせたくない。この気持ちはなんなのじゃ?」

 

ラダン「その気持ちは幸せと言う気持ちだ」

 

ハン「幸せ……そうか妾は幸せなのか……」

 

ラダン「それからその幸せをもっと感じるようになる。夫婦は幸せを分かち合い、作っていくものだからな」

 

ハン「これからも……」

 

ラダン「あぁ、だから」

 

ラダンはハンコックの目を真っ直ぐ見る。

 

ラダン「俺は俺が死ぬまでハンコックを想い続け、ハンコックを幸せにすると誓う」

 

ラダンがそう言うとハンコックは涙を流し始める。

 

ハン「妾も……妾も妾が死ぬまでラダンを想い続け、幸せにすると誓う!」ポロポロ

 

ラダン「これから何千、何万年よろしくな、ハンコック」

 

チュッ

 

ハン「ハイ!」ニコッ

 

ハンコックは涙を流しながらとても綺麗な笑顔で応えた。そして二つの影は近づき、またくっついた。

 

 

 

 

 

バタンッ

 

ニョン「蛇姫!……て何をしとるんじゃ?」

 

ニョンとルフィが扉を蹴破るように開けるとハンコックを膝枕して、ハンコックの相棒の蛇、サロメに巻き付けれている。

 

ラダン「どうした?ニョンにルフィ」ナデナデ

 

ニョン「まずはこっちの質問に答えてくれるにゅか?」

 

ラダン「妻を甘えさせるのに理由はいるか?」ナデナデ

 

ニョン「妻じゃと!?」

 

ラダン「ついさっきにな。ソニアもマリーも知ってるぞ。気を遣ってどこかに行ってしまったが」ナデナデ

 

ニョン「なるほどにょう……まぁ、薄々気づいとったがにょ。とりあえずはおめでとう。じゃが、少し間が悪かったにょ」

 

ラダン「どう言うことだ?ハンコック、真面目な話のようだからな起きろ」

 

ラダンはハンコックを愛しそうに見つめ、残念そうに起こす。

 

ハン「ん……なに〜……?」

 

ラダン「ニョンが真面目な話があるみたいでな」

 

ハン「もう……わかった……」

 

ハンコックは起き上がり、胡座に姿勢を変えたラダンの足の間に座る。

 

ニョン「ラブラブじゃにょう……」

 

ハン「それで、なんのようじゃ」

 

ニョン「ようがあるのは麦わらじゃ」

 

ニョンはそう言ってルフィを指す。

 

ルフィ「今度処刑されるエースってのは俺の兄ちゃんなんだ!そいつを助けたいんだ!」

 

ラダン「エースって誰だ?」

 

ニョン「白ひげ海賊団2番隊隊長じゃよ。黒ひげとかいうやつに負けて捕まったんじゃ」

 

ラダン「白ひげ……ニューゲートのか!」

 

ニョン「やはり知り合いじゃったか」

 

ラダン「最後に会ったのは10年も前だがな。それでそのエースを助けたいと」

 

ルフィ「そうだ!けど海賊船じゃ間に合わねぇんだ!お前、海軍の迎えの船に乗って俺を監獄へ送ってくんねぇか!?」

 

ハン「それが頼みなのか?」

 

ルフィ「あぁ!シャボンディ諸島に送るのはなしでいいから頼む!」

 

ルフィは土下座をして頼む。

 

ラダン「インペルダウンに向かうなら海軍本部マリンフォードにも向かうのか……行くなら俺も行くぞ。ガープとセンゴクに会いたいしな」

 

ハン「ラダンがそう言うならよかろう。其方をインペルダウンに送ろう」

 

ルフィ「いいのか!?」

 

ハン「勿論じゃ」

 

ルフィ「ありがとう!」

 

ニョン「おかしなものじゃにょ。海賊が大監獄へ行きたいと願って行き着く手段など捕まる他ないにないと言うのににょう……」

 

ラダン「ルフィは特殊な海賊ってことだろ」

 

ニョン「そうなのがにょ……」

 

 

 

 

 

 

プルプルプル プルプルプル ガチャッ

 

ハン「妾じゃ」

 

「ボア・ハンコックか?」

 

ハン「此度の召集の件応じることにした」

 

「おぉ」

 

ハン「ただし、条件がある。それを守らなければ……」

 

「……聞かせてもらおうか。その条件とやらを」

 

 




今回はここまで。
結局恋煩いを少し出しました。
蛇王龍なら蛇に命令を出すぐらい楽勝ですよね。蛇繋がりならラダンとハンコックってお似合いですね。勿論、ハンコックはすごく甘えん坊です。
さらに、半竜になったので強化しました。七武海最強になった感じですかね。9年前の黄猿がどれくらい強いかわかりませんが、少なくとも七武海よりは強いはず。
次回はルフィをインペルダウンに置いてマリンフォードに向かいます。
次回、蛇王龍一行の海軍ドナドナ


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17ジャオ 蛇王龍一行の海軍ドナドナ

お待たせしました。


ハンコックが海軍の要請を受諾した事、ルフィとラダンもついていく事は瞬く間に女々島に広まった。すぐに出発する事になった。

因みに、ハンコックら三姉妹の奴隷紋はラダンが「妻とその妹達にあんなものを残すわけにはいかない」と言って消した。ソニアとマリーはラダンのことを「お兄様」と呼ぶようになった。

 

港ににて

 

「出航は明朝じゃなかったけ?」 「行き先が変わったらしいよ」

 

「蛇姫様と一緒に中枢の船に乗るんだって」

 

マーガ「ルフィ!」

 

ルフィ「お前ら!」

 

ラダン「仲良さそうだな」

 

ハン「彼は不思議だ。他の男とは全く違う。どこか惹きつけられるものを持っている。覇王色を持っているのも頷けるほどに」

 

ラダン「9年前の時点で俺が知ってる誰よりも素質がある。しかし、久々に海を見るな」

 

ハン「ラダンは9年も寝ていたからの」

 

ラダン「久しぶりに泳いでみるか」

 

ハン「泳ぐ?……あぁ、あの時のか」

 

ラダン「そうだ。あれだ。それじゃ」

 

ザパンッ

 

ラダンは海に飛び込んだ。すると

 

カッ

 

ザパアアアァァッ

 

強い光が発生すると水面が突き上げられ、黒い大蛇が現れた。

 

シュルルルル

 

ルフィ「確か……ラダン?」

 

ラダン『そうだ』

 

「喋った!」 「この声って……もう1人の男!?」 「嘘でしょ!?」

 

ルフィ「海に入っても大丈夫なのはホントだったんだ……」

 

ラダン『能力者ではないからな』

 

ルフィ「てか、なんでその姿になってんだ?」

 

ラダン『久しぶりに海を泳ごうと思っただけだ。なんなら頭に乗っていくか?』

 

ルフィ「お、いいのか!?」キラキラ

 

ルフィは目をキラキラさせてそう言う。

 

ラダン『構わんぞ。特に重さを感じるわけでもないし』

 

ルフィ「よっしゃー!早速乗るぞ!」ピョーン

 

スタッ

 

ルフィ「おぉ、硬ぇ。てか、背中の棘カッケェー!」キラキラ

 

ラダン『子供みたいだな。ハンコックも乗ってみるか?』

 

ハン「では、言葉に甘えて」

 

ハンコックもラダンの頭に跳んで乗る。

 

ハン「懐かしい……最初は怖かったな……」

 

ラダン『そう言うものだ。そろそろ出航したほうがいいんじゃねぇのか?』

 

ハン「そうだな。出航だ!」

 

「「「ハイッ」」」

 

ルフィ「おぉ!乗り心地いいな!これ!」

 

ラダン『親友にも同じことを言われたよ』

 

ハンコックの船とラダンは並行して海を進んだ。

 

 

因みに、

 

「蛇姫様の笑顔よ!今の何カラット?ねぇ、何カラット!?」

 

「蛇姫様の懐かしむお顔もまたお美しい……」 「あぁ……美しすぎて倒れちゃうわ……」ドサッ

 

などでそこそこの数の九蛇の女性が倒れている。ハンコックの満面の笑みを見た日には……ラダンが駆り出される事態になるだろう。

 

 

 

少ししてハンコックは船に戻り、ラダンは何かを企んで海に潜った。ルフィは姿を隠すためにある所に入っている。サロメが壺を巻きつけているが……

 

?「待ち侘びたぞ、ボア・ハンコック」

 

そう言ったのは海軍中将のモモンガであった。

 

ハン「条件はわかってるな」

 

モモンガ「あぁ、大監獄インペルダウンに立ち寄りたいと同行者が誰であろうと手を出さないだったな。許可は降りている。それで、その同行者は?」

 

ハン「もう来ている」

 

ザパアアアァァッ

 

シュルルルル

 

モモンガ「なっ!?」

 

ラダンは海を突き上げて登場した。こう登場したのはただのラダンの遊びである。

 

モモンガ「こいつは!13年前、聖地マリージョアを襲撃し、四皇ビッグマムを海軍に差し出して脅威の65億ベリーの懸賞金をつけられた!禁忌のラダン!何故こいつがここにいる!9年前から行方が知れていなかったぞ!」

 

ラダン『女々島で休眠に入っていただけだ』

 

モモンガ「休眠……だと……?」

 

ラダン『何年か眠りに付くのも一興と思ってな』

 

モモンガ「理解できん……」

 

ラダン『理解できるに越した事はないがな』

 

カッ

 

スタッ

 

ラダンから眩しい光が発生すると、ラダンは人の姿でハンコックの隣に立っていた。

 

モモンガ「そいつが同行者だと?そんなの許可できるか!」

 

ラダン「安心しろ。ただ友人に会いに行くだけだ。それとだ」

 

ラダンはハンコックを抱き寄せる。

 

ラダン「ハンコックは俺の妻だ。手を出したら俺と敵対する事になると肝に銘じておけ」

 

モモンガ「なん……だと!?」

 

ラダン「それともう一つ。女々島アマゾン・リリーは俺の加護を施した。蛇王龍島アマンデュ島と同じ状態だ。手を出そうとしたら、禁忌の闇が貴様らを飲み込むぞ

 

モモンガ「くっ……」

 

ラダンの威圧にモモンガは顔を青くする。因みに、ハンコックは顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。

 

モモンガ「……仕方がない。時間がない。早く乗れ」

 

ハン「うむ」

 

ソニア「お姉さま!お気をつけて!お兄様も!」

 

マリー「国のことはお任せください!」

 

ハン「行ってくる。しばし、国のことを任せる」

 

「「「はい!」」」

 

ハンコックとラダンは海軍の軍艦に乗り込む。

 

モモンガ「しかし、あんなに頑なに拒んでいたのに、何が貴様を突き動かしたのやら。まぁ、そこの男が一番可能性があるが」

 

ぐーー

 

ラダン「……すまない、色々とあって忙しかったのと、俺は今日、九年の休眠から起きたばかりで腹が減っている。何か食べるものを用意してもらっていいか?」

 

モモンガ「……海賊に食べ物など恵んでやる義理はないが、まぁ、いいだろう」

 

ラダン「ありがとう。それと、俺は海賊じゃねぇ。探検家だ。犯罪者ではあるが」

 

モモンガ「それはどうでもいい」

 

ラダン「あっ、そう」

 

ラダンはそう答えてハンコックと並んで歩く。

 

ラダン「あのバカ。まだ食い足りなかったのか?確かに俺も何か食いたいが」コゴエ

 

ハン「妾としてはよくあの壺に入れてると思ってる」コゴエ

 

ラダン「ゴムなら入れるだろうと思ったんだ。案の定入れたからよかった。あの壺はサロメのお気に入りという事にできるしな」コゴエ

 

ハン「そうじゃの」コゴエ

 

 

 

壺の中にて

 

ルフィ「せ、せみゃい〜……」

 

 

 

モモンガ「ところで、こいつらはどうにかできないのか?」

 

ハン「それぐらい容易い事じゃ」

 

ハンコックは一瞬のうちに石化した海兵達を元に戻す。海兵達は戻ると共にずっこけた。

 

モモンガ「船を出せ!バカもの!」

 

「「「は、はい!」」」

 

ラダン「やっと出たか。さて、どんな事件が起こるのやら」

 

ハン「楽しそうじゃな」

 

ラダン「そりゃぁな。それに、海軍の軍艦とはいえ、妻との遠出だからな」

 

ハン「ふふ、確かにな」

 

ハンコックはラダンの方に頭を乗せて寄り添った。

 

「誰なんだあいつ……あの海賊女帝があんな顔をするなんて……」 「く〜〜!悔しい!海王類に食べられて死んでしまえ!」

 

モモンガ「口より手を動かせ!」

 

「「は、はい〜!」」

 

 

 

 

海軍本部にて

 

ドタドタッ

 

「センゴク元帥!モモンガ中将から連絡が!ついに折れてこちらに向かってきてるとのことです!」

 

センゴク「やっとか。これで七武海は6人。鷹の目ミホーク、バーソロミュー・くま、ドンキホーテ・ドフラミンゴ、ゲッコー・モリア、マーシャル・D・ティーチ。そしてボア・ハンコック」

 

「実は、もう一つありまして……」

 

センゴク「なんだ」

 

「ボア・ハンコックの同行者は9年前から行方知らずの……」

 

センゴク「まさか!」

 

「はい。懸賞金65億ベリー 禁忌のラダンです!」

 

センゴク「あやつ……何故今になって現れたのだ……」

 

「モモンガ中将が聞いたところ、「何年か眠るのも一興」とのことです」

 

センゴク「……そうであった。あやつはそんな奴だった……全く、度々神出鬼没で現れたくせに、パタンと来なくなったと思ったら休眠とはな。今後の展開次第ではあやつと敵対する事になるな」

 

「さらにもう一つ」

 

センゴク「なんとなく予想できるが、言ってみろ」

 

「ボア・ハンコックはラダンの妻らしく、女々島アマゾン・リリーは蛇王龍島アマンデュ島と同じ状態とのことです」

 

センゴク「想像の通りだったわ。世界政府には私から伝える。報告ご苦労」

 

「ハッ!」ビシッ

 

センゴク「めんどいものだ……はぁ……休みが欲しいの……」

 

苦労が絶えないセンゴクであった。

 

 

 

 

ザザアアァァン……

 

ルフィ「ふう、やっと出れた!」

 

ラダン「押し込んだ俺が言うことではないが、よくあんな壺に入れたな」

 

ルフィ「俺もビックリしたよ!」

 

ラダン「数日でインペルダウンにつくみたいだ。一緒には行けんが、頑張れよ」

 

ルフィ「おう!もちろん!」

 

ラダン「しかし、九年か……タイガーはどうしてんだろうな……魚人島にも行かんとな。子供達にまた会いに行くと言ってしまったしな」

 

ルフィ「お前、魚人島に行ったことあんのか!?」

 

ラダン「ある。あそこの王と王妃、その子供達とは知り合いだ」

 

ルフィ「へぇ!」

 

ラダン「会いたい奴は多い。妻にしてと言われた日和、ヤマト、くいな。千年竜のあの群れとも会いたいな」

 

ルフィ「千年竜に会ったことあるのか!」

 

ハン「千年竜とはなんなのだ?」

 

ラダン「千年竜は千年ごとにロストアイランドと呼ばれる島で産卵する場所で死ぬ場所だ」

 

ハン「死ぬ?」

 

ラダン「ロストアイランドはあいつらの生まれ故郷でもあり、墓場でもある。俺が知り合った千年竜の群れのリーダーは次の周期で寿命が尽きる」

 

ハン「この世界にそんな生物が居たとは……」

 

ルフィ「千年竜か〜……また会いてぇな〜……」

 

ハン「ところで、ラダンの妻になりたいと言う日和にヤマト、そしてくいなとは誰じゃ?」

 

ラダン「日和とヤマトは……」

 

ルフィ「……」

 

チリチリ

 

ラダンがハンコックに3人の事を話している間、ルフィは燃えているエースのビブルカードを見ていた。

 

ルフィ「エース……」

 

ラダン「さて、腹が減ってきたな。飯を……30人分で十分か?正直、ルフィの腹の底がわからん」

 

ハン「おそらくそれで十分だ。妾が用意する様に言ってこよう」

 

ラダン「頼んだ。食材が足りないなら俺が取ってくるとも言ってくれ」

 

ハン「わかったのじゃ」

 

ラダン「それと、別に思う存分甘えていいんだぞ?」

 

ハン「!はい……///」

 

ハンコックは小さくそう言って扉から出て行く。

 

ラダン「やっぱり可愛いな」

 

ルフィ「よくわかんねぇな」

 

ラダン「ま、いつかわかる。誰かを愛するというのは嬉しいものだ」

 

ルフィ「へぇー」

 

ラダン「それはそうと、エースのこと知らねぇんだけどさ。どんな奴なんだ?」

 

ルフィ「エースは俺がいた島で兄弟の盃って奴をやって、兄弟になったんだ。親は違くてもう俺たちは義兄弟だってな」

 

ラダン「ほう、いいなそういうの」

 

ルフィ「メラメラの実を食べた炎人間で、すんっごく強えんだ!それで白ひげ海賊団って所の2番隊隊長らしい!」

 

ラダン「ニューゲートのところのか。あいつも元気かな……病気だったらしいから多分、長くはないだろうけど」

 

ルフィ「へぇーそうなんだ」

 

ラダン「さて、そろそろハンコック戻って来るかな」

 

ガチャ

 

ハン「戻ったぞ」

 

ラダン「お帰り」

 

ハン「た、ただいまなのじゃ……///」

 

ルフィ「なんか面白えな!ははは!」

 

数分後に料理ができて主にルフィが食べ尽くした。皿を返して部屋の中で寛いでいた。

 

ハン「///」ギュッ

 

ラダン「(可愛いな〜)」ギュッ ナデナデ

 

胡座で座っているラダンの足の間にハンコックは対面で座って抱きしめている。ついでに足でも。頭は肩に置いている。

 

ルフィ「くっつき虫みてえだな!」

 

ラダン「違いないな。可愛い可愛いくっつき虫だ」ナデナデ

 

ハン「むうっ///」

 

シュルルルル

 

ラダン「サロメもか?ほら、来ていいぞ」

 

シュルルルル♪

 

サロメは2人ごと巻きついてラダンの頭に頭を置いた。

 

ラダン「可愛い奴め」ナデナデ

 

シュルルルル♪

 

ルフィ「なーんか緊張感ねぇ気がするなー」うーん

 

こんな感じでハンコックはずっとラダンにくっついて甘えていた。寝る時も抱きついたまま眠った。

 

 

そんな日々を過ごして大監獄インペルダウンについた。

 

ドナドナド〜ナ〜ド〜ナ〜おん




今回はここまで。
ハンコックかわええの〜う!もっと甘々にしてみるか。けど、どうやってやるか……とりあえず、ずっと抱きついてる感じにしよう。
ルフィはゴムだし、壺に押し込むことぐらい出来ますよね?
次回はインペルダウンに到着。ルフィを置いてラダンとハンコックは署長のマゼラン、そしてエースに会います。
次回、大監獄インペルダウンの毒人間と火拳


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18ジャオ 大監獄インペルダウンの毒人間と火拳

出発して4日程。遂に大監獄インペルダウンに到着した。ルフィを壺に押し込んで甲板にラダンとハンコックは立っていた。

 

ラダン「あれが正義の門か……造るの大変そうだな。一体、何年かかったんだ」

 

モモンガ「あれは正義の門。司法の島、エニエス・ロビー。大監獄インペルダウン。海軍本部マリンフォードを結ぶ政府専用タライ海流の三箇所に存在する。何年かかったかは知らん。大きさ的に巨人族は関わってるだろうがな。誰であろうと壊せないらしいが……まぁ、貴様なら壊せないことはないだろうがな」

 

ラダン「余裕だな」

 

モモンガ「つくづく敵対したくない奴だ。それと、貴様は海軍本部に着いたら元帥のところに来るように言われている。覚えておけ」

 

ラダン「了解だ」

 

モモンガ「それはそうと……」

 

「「ぎぎぎっ……!」」

 

ラダン「?」

 

ハン「」ギュッ

 

モモンガ「はぁ……仲がいいな。まさか、あの女帝ボア・ハンコックがここまで男に入れ込むとは思いもしなかった。ボア・ハンコックはある意味海賊のアイドル的存在。その美貌故に惚れるものは後をたたない。そんな奴らがこれを見れば発狂し、貴様を襲うだろうな。うちの海兵らも鬱陶しいほどに恨みと殺気の篭った目で貴様を見ている」

 

ラダン「本当に鬱陶しいな」

 

ハン「ホントじゃ。汚らわしい」

 

「「「褒め言葉です!」」」

 

海兵達はハンコックの罵倒にハートを飛ばしながら喜びを叫ぶ。

 

ハン「ラダン以外の男は信用出来んな(ルフィは信用出来るが)」

 

ラダン「それは嬉しい限りだ、このこの」ワシャワシャ

 

ハン「キャッ、もう……髪が崩れるではないか……///」

 

ラダン「可愛いハンコックが悪い」

 

ハン「ムウ……」ギュッ

 

ラダン「(今更だが、ハンコックはスタイルがいいから腕に柔らかい部分が当たるんだよな〜。座ってる時も別の柔らかい部分が足に当たるし。それに、ハンコックからは甘いいい匂いがするんだよな。いやいや、何を考えてんだ俺は。これじゃ、ハンコックが嫌うそこら辺の男と同じだ)」

 

ハン「(むう……難しい……甘えた事ないから甘え方が分からない……とりあえずこうやって抱きついているが……ニョン曰く「お主はスタイルが良いし、体でせめてしろ。多少違いはあるが、男は誰しも女の体が好きじゃからにょ。特に胸と尻が」らしいが……いや、迷ってるわけにはいかん。このまま攻めてみよう)」

 

少しすれ違っているバカップルである。まぁ、夫婦なのだし、いつか夜の営みをするだろう。

 

「「「コロス……コロス……ゼッタイニコロス……」」」

 

モモンガ「うるさいぞ!貴様ら!」

 

「「「すみませんでした!」」」

 

ラダン「切り替え早っ」

 

モモンガ「全く。と、見えてきたな。あれが大監獄インペルダウン。確か、火拳のエースを一目見ることが条件だったな。禁忌のラダンがいるから不安ではあるが、まぁ、いいだろう。そいつを止めれるものは誰一人いない。暴れたとしても天災が起きたと思うしかなかろう。それと、七武海とて海賊を中に入れるわけにはいかない。中に入る際には海楼石の錠を。更に、厳重なボディチェックをさせてもらう。禁忌のラダンには錠など意味ないだろうがな」

 

ハン「錠など囚人みたいで嫌じゃが、承知じゃ」

 

ラダン「構わんぞ」

 

2人は了承してモモンガの後ろをついていって門を進む。

 

「あぁ!か、かか可愛い!絶世の美女だ!」 「だが、隣のあいつは誰だ?あんな美女に抱きつかれやがって……!」

 

ハン「はぁ……」

 

ラダン「」ナデナデ

 

ハン「ぁ……ふふ///」ギュッ スリスリ

 

「ぐはあ!」 「可愛い!けど恨めしい!」

 

そんな雑音は無視して中に入る。入った瞬間に異様な空気の重さを感じた。そして囚人の助けを求める声と悲鳴が鳴り響く。

 

 

ルフィ「やっと入ったか。ラダンが壺を壊すのが合図だったな。しかし、せみゃい〜〜……」

 

 

進むと悪もの槍を持った半裸の男と生真面目な女性が立っていた。

 

?「ようこそ、我がインペルダウンへ。あ、間違えた!『我が』ってちょっと野心が出ちゃった!」

 

ラダン「(お茶目なのかわざとなのか、よう分からんな)」

 

?「私はまだ副署長のハンニャバルです。よろしくお願いスマッシュ」

 

モモンガ「モモンガだ」

 

ハンニャバルと名乗った男はモモンガに手を差し出して握手をする。

 

ハンニャ「そちらが私のハンコック殿で?」

 

ラダン「」ギッ

 

ハンニャ「ひいぃ!!しゅみません!しゅみません!野心が出てしまいました!」

 

ラダン「……二度は許さんぞ。俺はクラネル・ラダン。禁忌のラダンと呼ばれている。で、そっちの女は」

 

ハンニャ「こここちらは副看守長のドミノです!私と一緒に署長のマゼランのところまでご案内しまマッシュ!」

 

ドミノと呼ばれた女性はラダンの殺気を少し浴びてぎこちない敬礼をした。よく見れば顔面が蒼白している。

 

ドミノ「じ、時間がないので案内をいたします。中将はあちらに、ボディチェックを行います。どうぞ、こちらに」

 

ラダン「一緒でいいんだな」

 

ドミノ「あくまでボディチェックなので服まで脱いでもらうわけではありません。ただ、脱いでもらう可能性はありますのでご了承を。あと、その壺は?」

 

ハン「壺はサロメのお気に入りで生きた状態のネズミが入っている」

 

ドミノ「そ、そうですか。壺は最後に確認いたしましょう、副署長が」

 

ハンニャ「ええ!?なんで私!?」

 

どうやら、ドミノという女性はネズミが嫌いらしい。ラダンとハンコックはドミノに案内されて個室に入った。部屋の中には監視電伝虫が配置されている。

 

ラダン「服を脱ぐことになったらどうするつもりなんだ?女への配慮はないのか?」

 

ドミノ「そうなったら監視官を炙り出して目を潰します」

 

ラダン「おお、怖い。俺の持ってる荷物はこの刀だけだ」ゴトッ

 

ラダンは持っている刀をテーブルの上に置く。この刀は一番出来のいいやつで最上大業物である。銘は蛇扇刀シゲン。扇刃を圧縮して打ったからこの名だ。

 

ハン「妾は寒さ対策にこのマントぐらいじゃ。特に何か隠すようなものはない」

 

ドミノ「こちらも疑っているわけではありませんが、規則と念のためです。では、ボディチェックを行います」

 

 

 

 

ハンニャ「あいつはなんだったんだ?」

 

モモンガ「知らないのか?連絡は行ってるはずだが……」

 

ハンニャ「いいんにゃ、何も来てないぞ」

 

モモンガ「聞いてるはずだが、奴は禁忌のラダン。インペルダウン関係では13年前に四皇ビッグマムを海軍本部に連れてきた張本人だ」

 

ハンニャ「ああ!あの時の!あん時はインペルダウン史上二度目の脱獄で、二度目とは言えパニックになった記憶がある。その張本人か」

 

モモンガ「それと、ボア・ハンコックは奴の妻だから手を出そうなどと考えるなよ」

 

ハンニャ「そんにゃ事いいのか?」

 

モモンガ「奴は天災そのもの。私たち人間に天災をどうのこうのする力はない」

 

ギイイィィ

 

扉が開くと手錠をつけたハンコックとラダンが出てきた。

 

ドミノ「副署長、ボディチェック終わりました。壺の中身は副署長がお願いします」

 

ハンニャ「むう……私もネズミは得意んじゃないんだけどな……」

 

ラダン「……」パアンッ

 

ラダンは突然拍手した。しかし、ただの拍手ではない。両手に覇王色を纏った状態で拍手をした。するとどうでしょう。覇王色を纏った衝撃波がインペルダウン全域を襲った。

 

ブウウゥゥゥンッ

 

その場にいたハンコックとルフィ、サロメ以外立ったままを意識を無くしている。周辺の海王類も気絶した。海王類だけではない。署長のマゼラン、レベル5、5.5、6の凶暴な囚人達でさえ気絶した。エースやジンベエも例外ではない。

 

ハン「すごい覇王色だな……」

 

ラダン「威圧に関しては覇王色を学ぶ前にもやってたからな。さて、ルフィ、出てこい」

 

ラダンは壺の蓋を取ってルフィを引き摺り出した。

 

ルフィ「あれ?壊すのが合図じゃねえのか?」

 

ラダン「作戦を変更しただけだ。二回は言わん。騒ぎを起こさないように気をつけろ」

 

ルフィ「おう!」

 

ラダン「なら隠れろ。全員を起こすから」

 

ルフィ「わかった!」ピョン

 

ルフィは天井に向かってジャンプして木材に乗って身を隠した。

 

ラダン「よし」パアンッ ガキンッ

 

「あっ」

 

ラダンがもう一度拍手すると全てが元に戻った。

 

ハンニャ「んにゃ?なんか気を失ったような……まぁ、いいか。てか、なんでお前の手錠が壊れたんだ!?」

 

ラダン「拍手をしたらこうなった」

 

ハンニャ「意味が分からん…… まぁ、いい。壺だったな」

 

ハンニャバルが壺に触れると

 

シュルルルル!?

 

突然サロメが何かに驚き壺を離して、壺は地面に落ちた。

 

パリンッ

 

ドミノ「ひい!?」

 

ドミノはネズミが入っていると思っているから悲鳴を上げた。しかし

 

ハンニャ「あれ?何も入ってない……」

 

ハン「おかしい……女々島を出る前に担当のものに一杯に入れたと聞いたのに……」

 

モモンガ「もう全部食べてしまったというわけか。全く、時間がないっていうのに」

 

シュルルルル……

 

ラダン「お気に入りだったんだな。よしよし」ナデナデ

 

シュルルルル♪

 

ハンニャ「とりあえず、何もなかったみたいだし、署長のところに案内しましょう。あちらの大型リフトから下に向かいマッシュ」

 

ハンニャバルの案内で大型リフトに乗った。降りる直前ルフィが口パクでありがとうと言ってるのが確認できた。

 

ガチャンッ ゴゴゴゴゴゴ……

 

ハンニャ「さて、ここでこのインペルダウンについて説明いたしマッシュ。地下一階はレベル1その名も紅蓮地獄」

 

ハン「何故に紅蓮地獄と?」

 

ハンニャ「それは後に説明いたしマッシュ。続いてレベル2は猛獣地獄。その次はレベル3飢餓地獄。その次が目的地のレベル4灼熱地獄。暑いのでお気をつけを」

 

そのまま囚人達の悲鳴を聞きながら降りていく。因みに、ラダンは新しい手錠をつけている。暑く感じていると

 

ドミノ「そろそろ署長室になります。と、つきました」

 

扉が開いて一行は降りる。

 

モモンガ「ん?マゼラン署長は?」

 

ドミノ「マゼラン署長はその日の10時間はお腹を下し、睡眠を8時間取るので休憩と食事時間を差し引いて4時間ほどが勤務時間になります」

 

ラダン「署長としていいのか?それ」

 

ドミノ「いざとなれば頼れるお方です。と、お待たせしました。出てこられます。それと、言い忘れましたが、署長はドクドクの実を食べて毒人間です。十分お気をつけください」

 

トイレの水が流れる音を聞いてドミノが言う。足音が聞こえ、扉が開かれた。

 

ラダン「毒人間ねぇー」

 

ガチャ

 

?「あ〜、今日も激しい戦いだった。客人だな。署長のマゼランです」

 

悪魔のような姿をした大男が出てきた。

 

マゼラン「ああ!眩しい!部屋が眩しい!部屋を暗くしたい。できれば心も閉ざしたい」

 

ハンニャ「何、馬鹿な事言ってんですか。署長。モモンガ中将と王下七武海ボア・ハンコック殿。そして禁忌のラダンがお待ちです」

 

マゼラン「ん?おお、お前が四皇ビッグマムをインペルダウンに収容したラダンか!ま、脱獄されたがな!」

 

ハンニャ「そんな楽しく言うことではありませんよ」

 

マゼラン「当時は大変だったな〜今思い出すだけでため息ついてしまうわ。はぁ〜」

 

マゼランはため息を毒ガスと共に吐き出した。ドミノはすぐさま3人にガスマスクを渡して自分もガスマスクをつけた。ラダン以外はガスマスクをつけた。

 

ラダン「ふむ……ため息でこれなら毒の威力はすごいようだな。まぁ、俺が知ってる毒使いよりずっと下だが」

 

マゼラン「何?お前の知り合いに毒使いがいるのか」

 

ラダン「妹がな。従兄弟姉妹の中にも数人いるが。どれも使う毒は劇毒。一滴垂らすだけで一瞬にして周囲一帯の草花を犯す奴もいるな」

 

マゼラン「それはすごい」

 

すると突然ハンコックがマゼランを蹴ってお得意の見上げるまでの見下ろすポーズをした。

 

ハン「貴様!妾にまで一体何を吸わせようとしたのじゃ!無礼な!」

 

マゼラン「うお!何という美女!好きになった!」

 

ラダン「この世には美女に踏まれたいという奴しか居らんのか?」

 

モモンガ「それはない。たまたまそういう奴が多かっただけだ」

 

プルプルプル

 

ハンニャ「はい、こちら署長室」

 

マゼラン「何故貴様が出るんだ?ハァ〜」

 

ハンニャ「にゃあ!毒霧!ちくしょう……」バタンッ

 

マゼラン「どうした?なに?我がインペルダウンに侵入者?」

 

ラダン「(ルフィ……やっぱり騒ぎを起こさずには無理だったか)」

 

どうマゼランの気を逸らそうかと考えていると

 

ハン「署長」

 

ハンコックが前に出る。

 

ハン「妾は早う囚人のもとに行きたいと存じます」

 

と、可愛いポーズを取って言う。

 

マゼラン「よし行こう!すぐ行こう!」

 

効果は抜群でマゼランは目をハートにした。

 

ラダン「クックックッ」プルプル

 

ハン「む、何故笑っているのだ、ラダン」

 

ラダン「いや、すごく可愛いくてな。それにやられたマゼランが面白いだけだ。ククク」

 

ハン「むう〜!」

 

ハンコックは不機嫌そうにラダンに訴える。

 

ラダン「すまんすまん。たまには俺にもあれをやって欲しいな。可愛いからよ」

 

ハン「た、たまになら……///」

 

ラダン「そうか」ニコッ

 

ハン「えぇ……///」ギュッ

 

マゼラン「私は何を見せられてるんだ?」

 

モモンガ「知らん。時間がない。さっさとしろ」

 

その後、大型リフトに乗ってエースのいる階層に向かった。そして最下層について降りた。

 

カツン カツン

 

「ハンニャバル?」 「マゼランまでいるぞ。何が起こっている」

 

?「ん?」

 

?「……」

 

ハンニャ「特別面会だぞ、エース。誰が来たと思う?ジンベエ」

 

ハンニャバルは勿体ぶりながら言う。

 

ハンニャ「今日いらしたのは戦闘民族九蛇の皇帝、王下七武海の一角。気高き世界一の美女、海賊女帝ボア・ハンコックその人だ!」

 

ジンベエ「んん?」

 

エース「ん?」

 

ハンニャ「更にもう1人。13年前に聖地マリージョア襲撃、四皇ビッグマムの引渡しをして一躍有名になった伝説の大蛇。禁忌のラダン!」

 

ジンベエ「何?」

 

エース「奴が……」

 

「あの禁忌のラダンだと?」 「確か、9年前に行方知らずじゃなかったか?」

 

ハンニャ「この2人がエースの面会に来てるぞ」

 

「いい女だぞ!」 「ハンコックちゃ〜ん!」 「こっちの檻に来てくれよ!優しくもてなしあげるぜ!」

 

おっおっおっおっおっ!!

 

女に飢えた男のように囚人達は騒ぎ出す。

 

エース「何ようだ」

 

ハン「一目見に来ただけだ。妾が参加する戦争の引き金となる男をな」

 

ラダン「俺は、ニューゲートの息子を見に来た。聞きたいが、ニューゲートは元気か?」

 

エース「オヤジのことか?オヤジは病気だ。昔から病気になっては治るを繰り返しているが、今回のは年もあって重いようだ」

 

ラダン「年か……それも仕方がないことか……」

 

ジンベエ「どれほどの要請でも応じなかったあの女帝が出てくるとはな。七武海の称号でも惜しくなったか!」

 

ハン「其方がジンベエか。そう牙をむくな」

 

「おい!下痢野郎!早くその女をよこせ!」 「女々島は男に飢えてんだろ?なら俺を連れてけよ!」 「早く檻ん中入ってこいって言ってんだろ!」

 

ラダン「黙れ

 

ブウウゥゥゥン

 

ジンベエ「何!?」

 

エース「これは……!」

 

モモンガ「やはり持っていたか……」

 

ドサドサッ

 

騒いでいた囚人達は次々に倒れていった。

 

ラダン「ハンコックは俺の女だ。誰でもあろうと手を出させん

 

スッ ギュッ

 

ハンコックはラダンの後ろから抱きしめる。

 

ハン「ありがとう、ラダン。妾はとても嬉しいぞ」

 

ラダン「……そうか。怖がらせたのならすまん」

 

ハンコックはその言葉に首を横に振る。

 

ハン「怖くなどない。其方のカッコいいところを見れて嬉しい気持ちしかない」

 

ラダン「ははは、ホント、よくできた嫁だ」

 

ハン「ふふふ、当たり前じゃ」

 

2人を中心に幸せな空間ができた。

 

ジンベエ「なるほどの。ラダンさんのおかげというところか」

 

エース「なん……だと……」

 

エースがこうなっている原因は、ラダンが覇王色の覇気を放った時にエースに聞こえる声でルフィのことを伝えたからだ。

 

マゼラン「……さて、静かになったところでお話をどうぞ」

 

ハン「妾はもう良い。ラダンは?」

 

ラダン「んじゃぁ、ジンベエ。魚人なら知ってるはずだが、タイガーは元気か?」

 

ジンベエ「やはり!あなたはタイガーの兄貴の親友のラダンさんか!」

 

ラダン「輸血が必要だったタイガーに輸血したラダンならそうだ」

 

ジンベエ「我ら魚人はあなた様に感謝しております!タイガーの兄貴は魚人島で元気にしています。今は魚人島の警備の仕事と荒くれ集団の統括をしています」

 

ラダン「ははは、タイガーらしいな。続きはこの目で見るよ。ありがとうな」

 

ジンベエ「いえ。これぐらい貴方様からの恩に比べたらちっぽけです」

 

ラダン「俺も以上だ(一瞬マゼランの力を感じたが、この世界においては危険だな)」

 

用事を終えた2人はマゼランの案内で地上に戻った。

 

ドミノ「ご理解いただきありがとうございました」

 

ドミノはそう言ってハンコックの手錠を取った。ラダンはその間に壊してとった。

 

ドミノ「やはり貴方には無意味でしたね」

 

ラダン「俺を捉えるなら、それこそ最終兵器級でもないと無理だ」

 

モモンガ「それならこの世に貴様を拘束出来る物はないな。さて、海軍本部に向かうぞ。他の七武海はとっくに集まっている」

 

ハン「わかったのじゃ」

 

ラダンとハンコックは軍艦に乗り込んで海軍本部に向かった。

 

 

 

 

海軍本部にて

 

センゴク「奴が戻ってきたぞ、ガープ」

 

ガープ「ん?奴?誰のことじゃい」

 

センゴク「ラダンだ」

 

バサッ

 

ガープは持っていたせんべいの袋を落とした。それほど衝撃的だったということだ。

 

ガープ「そうか……奴が戻ってきたのか……これから、楽しくなりそうじゃの!ガハハハハ!」

 

センゴク「笑い話ではない!と、言いたいところだが、楽しみである私がいるのも事実だ」

 

ガープ「あやつはイレギュラー中のイレギュラー。今回の戦争はあやつ次第ですぐにも終わりそうじゃな」

 

センゴク「違いない。更に言うなら展開次第では敵対することになる」

 

ガープ「全く、嫌な星の下に生まれてしまったもんじゃ」

 

センゴク「否定はしない」

 

着々とエースの処刑が迫っていた。エース処刑まで

 

 

 

 

後、約30時間




気が乗って2話続けて投稿しました。
やはり難しい……番外編で1話丸々練習用にイチャイチャ回にしてみてもいいな……
覇王色を纏った手で拍手すると、あら不思議。立ったまま気絶してしまいました!実際にやったらラダンほどの規模はなくとも、気絶は出来ますよね?
囚人に切れて覇王色を放ったラダン。カッコいいですね!しかも「俺の女」と言いましたしね!ラダンは可愛いなどは簡単に言えますが、好きだとか愛してるとかの愛情表現は苦手ですね。その分、行動で示してますが。
ジンベエは仁義を重んじるので、ラダンにはこれ以上無いほどに恩を感じてますよね。てか、コアラを届ける時に同行していましたし。
さて、次回は海軍本部について9年ぶりのセンゴクとガープとの再会。他の七武海ともあって戦争の開始直前まで行きます。
次回、海軍本部マリンフォード。再会と邂逅
お楽しみに〜


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19ジャオ 海軍本部マリンフォードでの再会と邂逅

長らくお待たせしました!


ラダン達は大監獄インペルダウンから出て、海軍本部マリンフォードを目指していた。

 

ザザアアァァン

 

モモンガ「そういえば、気になっていたが」

 

ラダン「ん?何がだ?」

 

モモンガ「その刀、相当な業物ではないのか?。一剣士として世の中の業物は最上大業物、大業物は把握しているが……それは初めて見た」

 

ラダン「これはワノ国に行った時に打ったものだ。だから知らなくて当然だ」

 

モモンガ「貴様は鍛治もできるのか?」

 

ラダン「これでも千年以上は生きてるんでな。その間に色々とやってる。まぁ、回復師、医者をかれこれ千年やって、その傍に他の事をやったぐらいだ。鍛治士や料理人、大工などなど」

 

モモンガ「なるほど……やはり千年というのは想像以上に長いのか」

 

ラダン「長い、果てしくな。世代で言えば……三十年ごとに次が生まれると仮定して34世代目か……人間の限界寿命は150歳と聞いた事があるからそれでも六回分と三分のニだな。文明一つ分生きてるな」

 

モモンガ「34世代目……それは果てしないな……長寿の種族でも聞くが、友人などが先に逝ってしまうのはやはりキツイのか?」

 

ラダン「そりゃぁな。俺はこれまで子供が何人かいたが、やはりキツイ」

 

ハン「ラダンに子供?」

 

ラダン「と言っても捨て子だったのを俺が引き取っただけだ。中には元奴隷もいたりする」

 

ハン「奴隷……どこにもいる者なのか……」

 

ラダン「悪を根本的に滅ぼすことはできない。必ず根先が残る。そしてそこからさらに悪が生まれる。それが事実で自然の摂理だ」

 

モモンガ「海軍としては耳の痛い話だ」

 

ラダン「どこまで行っても悪と正義は表裏一体。悪無くして正義はない。そもそも正義はその者の信じる事、目標、モットー。例えば、極論ではあるが、物を押して運ぶのが正義なら物を引いて運ぶのは悪になる」

 

ハン「面倒なものだな」

 

ラダン「だが、それが真実だ。女々島では男を入れるのは禁止だろ?それが正義で男を入れたら悪になる。そんな簡単に悪が生まれる。さらに、悪と正義がひっくり返ることもある。さっきの例で言うなら、押すより引く方が効率がいいから引くが正義、押すが悪。なんて言うこともある」

 

モモンガ「それでも、私たちは私たちの信じる正義を貫き通すのみだ」

 

ラダン「行き過ぎた正義には気をつけろ」

 

モモンガ「十分理解している」

 

ハン「海軍はいつかなくなるのだろうか」

 

ラダン「海軍がなくなるのは海軍の存在理由がなくなった時。つまり、海賊がいなくなった時だろうな。いや、ないな。海軍は海の見守りもあるからなくならないな」

 

ハン「なら、政府が崩壊した時か」

 

ラダン「また違った形で産まれるだろうが、たしかに一回いなくなるな」

 

モモンガ「縁起でもない事を言うな。そうこうしているうちに見えてきたぞ、海軍本部マリンフォードが」

 

前を見ると、大半が石造りで、ワノ国にあった天守閣がその上にあった。形的に三日月の形をしている。

 

モモンガ「インペルダウンでも言ったが、貴様にはまず元帥のところに行ってもらう。内容はわからんが、ボア・ハンコックも行ったほうがいいだろう」

 

ラダン「元気にしてるんだろうか。ガープは元気だろうけど」

 

ハン「了解じゃ」

 

軍艦は湾内に入りラダン達は降りた。因みに、ラダンとハンコックはずっと手を繋いでいる。それも恋人繋ぎで。

 

「落ち着いて避難してください!」 「そこ!押さないで!」

 

ラダン「避難中か」

 

モモンガ「マリンフォードには海兵達の家族も住んでいる。ここは戦場になるから安全な場所へ避難してもらっている」

 

ラダン「当然だな。最悪マリンフォードが壊滅するかもしれんしな」

 

モモンガ「長く喋り過ぎた。元帥室に案内するついてこい」

 

ラダンとハンコックはモモンガの案内の元センゴクのところについた。

 

 

モモンガ「モモンガ中将ただいま帰還いたしました!」バッ

 

モモンガは敬礼をして帰還した事を報告する。

 

センゴク「ご苦労。要件を言え」

 

モモンガ「ハッ、ボア・ハンコック並びに禁忌のラダンを連れてきました!」

 

センゴク「通せ」

 

センゴクがそう言うとモモンガは下がり、ラダンとハンコックが入った。

 

ラダン「久しぶりだな、センゴク。それにガープ」

 

センゴク「久しぶりだな。九年前に行方が掴めなかったと思えばまさか眠っていたとはな」

 

ガープ「ガハハハハッ!お前さんらしいな!ラダン!」

 

センゴク「それも海賊女帝ボア・ハンコックを妻にしたときた。お前は落ち着く事を知らないのか?九年前もそうだ。こっちにきては手土産に海賊を置いてきたり、年に一回は広場で大蛇の状態で寝たりと。勝手もいいところだ。当時は貴様がくるのは恒例行事になっていたぞ」

 

ハン「そんな事が……」

 

センゴク「貴様が惚れた男はそんな勝手でふざけた男だ。全く」

 

ハン「妾はそこも含めてラダンに惚れてるのじゃ。驚きはするが幻滅することは一生ない」

 

ガープ「ガハハハハッ!ラダン。お前はいい女を捕まえたな!」

 

ラダン「俺もそう思っている。ハンコックほホントにいい嫁だ」ギュッ

 

ラダンは手を解いて肩を抱き寄せる。

 

センゴク「全く。まぁ、いい。女々島も蛇王龍島アマンデュ島と同じ扱いにする。例えば貴様の王下七武海の称号を剥奪する事になっても攻め入ることはしない。ただし、貴様が海賊である事には変わりない。海の上で見つかれば問答無用で捕まえに行く」

 

ハン「妾はそれで構わない。妾の国の無事が保障されているのなら構わない」

 

ラダン「俺も構わない。それで捕まるような女ではないのがハンコックだからな」ニッ

 

ハン「そう信頼されると妾も嬉しい」ニコッ

 

センゴク「ラダン。貴様はこの戦争をどうする」

 

ラダン「どうにもしない。俺は傍観者に徹する。ただ、邪魔はするかもしれん。展開次第では参加もする」

 

センゴク「本音を言えば貴様には完全に傍観者に徹してほしいが、まぁ、いいだろう。貴様の性格的に赤犬、それに黒ひげは合わないだろう。ラダンが動く何かがあるとすればその2人ぐらいか」

 

ガープ「有り得るな。赤犬は優秀だが行き過ぎるところがある。黒ひげなんかは存在自体だろうな」

 

ラダン「よくわからんが、確かに赤犬は無理だな。こっちに来るたびに襲ってくるし。それを黄猿と青キジが見ているというな」

 

センゴク「あやつのああいうところが問題でもある」

 

ガープ「この戦争のいく先を神のみぞ知るってところじゃな」

 

ラダン「親父ならわかりそうだがな。予知能力があるし」

 

ガープ「お前の親父さんも規格外じゃな」

 

ラダン「今更だろ。さて、九年ぶりで積もる話もあるが、忙しいだろ?」

 

センゴク「当然だ。貴様らは七武海の控室に行っておけ。くれぐれも他の七武海と喧嘩しないように」

 

ラダン「俺に言ってるのか?喧嘩が起こりそうなら俺が止めるから安心しろ」

 

センゴク「場合によるが、貴様の安心しろ以上に信用できない言葉はない」

 

ラダン「ひでぇな」

 

ラダンとハンコックは元帥室から出ていった。

 

ガープ「あやつは元気そうじゃな」

 

センゴク「全くだ。こっちの気も知らずに」

 

ガープ「センゴクもなんやかんやあやつを友と思ってるの」

 

センゴク「ふん」

 

ガープ「ハッハッハッハッ!お前は素直じゃないな!」

 

センゴク「黙れ!ガープ!」ヒョイッ

 

ガープ「あっ!」

 

センゴクはガープの煎餅を盗んで全部食べた。

 

 

 

ガチャ

 

?「ほう、あの海賊女帝が政府の要請に承諾するとはな。だが、そいつは誰だ?」

 

そう言うのは王下七武海が1人、ドンキホーテ・ドフラミンゴ。イトイトの実の能力者。

 

?「キッシッシッシッシッ、知らんなぁ」

 

答えるのはゲッコー・モリア。カゲカゲの実の能力者。

 

?「……」

 

ラダンを見つめるのはジュラキュール・ミホーク。別名鷹の目。最上大業物黒刀夜を使う世界最強の剣豪。

 

?「……懸賞金65億。禁忌のラダン」

 

ラダンの正体を知るのはバーソロミュー・くま。ニキュニキュの実の能力者。

 

ドフラ「ほう……九年前に行方知らずだったあの……」

 

モリア「禁忌のラダン!その影が有れば最強のゾンビが作れる!欲しい……欲しい……!」

 

ミホーク「貴様が……」

 

ラダン「よく知っているな」

 

くま「……」

 

ラダン「……自我がないのか。大方、自ら志願して徐々に体を改造して今は完全に人間兵器ってところか……くだらんな」

 

ズンッ

 

「「「「!?」」」」

 

ハンコックを除き全員が後退り、臨戦態勢を取った。ドフラミンゴは手を動かし、モリアはコウモリみたいなのを出し、ミホークは剣に手を添え、くまは手袋に手をかけた。

 

ラダン「どこにも人を人と思わない奴がいるもんだな」

 

ドフラ「は、ハハハハ!こんな体験は初めてだ!俺より小さいのに聳え立つ壁のように見えるぞ!」

 

モリア「やはり欲しい!その影が欲しいぞ!」

 

ミホーク「ここまでとは……」

 

くま「認識を変更。最要注意人物から天災に変更。何があっても対峙しないと認識」

 

ラダン「……まぁ、いい。少し歩いてくる」

 

ハン「わかった。妾はここに残る」

 

ラダン「すまんな」

 

ハン「何を謝るのじゃ。夫は妻に迷惑をかけるものだ」

 

ラダン「フッ、ありがとうな」

 

ハン「どういたしまして」ニコッ

 

ラダンは笑顔で返して部屋から出て行く。

 

ドフラ「面白いことになってきたな」

 

モリア「キッシッシッシッシッ。そのようだな」

 

ミホーク「……強い力を感じる。貴様の身に何があった」

 

ハン「フン、答えるものか」

 

ミホーク「……そうか」

 

ハン「(ラダン以外信用ならんな。いや、ルフィは不思議と信用できるが……あのものが覇王色の覇気を持ってるからか?ラダンも奴の仲間になりたいと言っていたし……)」

 

 

 

ラダン「(人間兵器……政府も面倒臭いな……)」

 

……ん……

 

ラダン「(ハンコックにも迷惑をかけてしまったな……)」

 

……ラ……さ……

 

ラダン「(夫としてしっかりしないとな)」

 

……ダ…さ……ん

 

ラダン「(ん?なんだ?)」

 

声のする方を見ると

 

?「ラダンさーーん!」

 

ドンッ

 

ラダン「うお!?」

 

女性の海兵がラダンに飛びついてきた。それによってラダンは後ろに倒れる。

 

ラダン「いつつ……誰だ?」

 

?「私ですよ!ラダンさん!」

 

ラダン「(短い黒髪……いや、髪だけではわからんか。けど……どこか見覚えが……)」

 

ラダンはある少女と目の前の女性を重ねた。そして誰か気づいた。

 

ラダン「まさか……くいな……?」

 

くいな「そうだよ!九年前に一週間覇気を教えたくいなだよ!」

 

そう、この女性は九年前に剣豪を目指していたが、女性故のコンプレックスで悩んでいた少女であった。

 

ラダン「あの時のくいながこんなに大きくなるなんてな……それより、久しぶり」

 

くいな「うん!久しぶり!」

 

ラダン「俺が渡した刀も大事に使ってるようだな」

 

くいな「わかるの?」

 

ラダン「当然だ。俺が打った武器だからな」

 

くいな「そうなんだ!」

 

ラダン「ところで、何故マリンフォードに?」

 

くいな「剣豪を目指す道としていろんな海賊と戦う海兵を選んだんだ。海軍にもいろんな剣士がいるし、もしかしたら七武海の鷹の目のミホークとも戦えるかも知れないから」

 

ラダン「なるほど、そう言うことか。ゾロは?」

 

くいな「ゾロは海賊狩りをしながら旅をしていたけど、少し前に麦わらの一味に入って海賊になったよ」

 

ラダン「なるほどな。それと」

 

くいな「?」

 

くいなは首を傾げる。可愛い。

 

ラダン「上から退いてくれないか?」

 

くいな「あ、ごめんなさい!」

 

くいなはラダンの上から退いてラダンは起き上がる。

 

ラダン「まぁいいよ。剣豪への道はどうだ?」

 

くいな「実はね!ちょっと前に鷹の目のミホークが手合わせをしてくれたんだ!負けちゃったけど、「素質はある。ここまで登ってこい。強き者よ」と言ってくれたの!」

 

ラダン「おぉ!よかったな」

 

くいな「うん!これもラダンさんのおかげだよ!あの時のラダンさんに会ってなかったらと思うと……」

 

ラダン「なにしろ、剣豪から認められたんだ。めでたいことだ」

 

くいな「うん、ありがとう!それで、ラダンさんはどうしてここに?」

 

ラダン「俺は……」

 

ラダンはくいなと別れた後から今までのことを話した。

 

くいな「九年は眠り過ぎだよ……」

 

ラダン「それは自覚している」

 

くいな「ところで……さ……///」モジモジ

 

くいなは顔を赤くしてモジモジしている。

 

くいな「あの時の約束……覚えてる?///」

 

ラダン「当たり前だ。忘れるわけないだろ」

 

くいな「なら……さ……その……お嫁さんに……してくれる……?///」

 

くいなは上目遣いで尋ねる。ラダンの答えは

 

ラダン「俺でいいなら」

 

ラダンは微笑みを浮かべて答える。

 

くいな「!うん!ラダンさんじゃないといや!」ギュッ

 

ラダン「っと、全く。甘えん坊さんめ」ナデナデ

 

くいな「ん〜♪」

 

こうしてくいなはラダンのハーレムに入った。その後、ハンコックに紹介するとハンコックとくいなは意気投合して仲良しになった。

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなしているうちにエース処刑に近づいている。エース処刑まで

 

 

 

 

 

 

後、3時間

 

 




一週間も放置してしまってすみませんでした。魔法科を投稿するつもりでしたが、こっちにしました。
ガープとセンゴクとの再会。それに黒ひげを除いた王下七武海との邂逅。そしてくいなとの再会。
くいなは海軍に入ったことにしました。ゾロが旅にでて、くいなは海軍に入った。旅に出ても、海軍に入っても色んな剣士に会いそうなのでラダンと会いやすい海軍にしました。
くいなは海兵の中ではまだ新人ですかね。五年目……でしょうか。ラダンと別れてから鍛錬を続けて黒刀化までできるようになりました。
海軍に入ってもからも鍛錬を続けて、素質から中将からも手合わせをして貰って、さらに鷹の目から手合わせを受けた。
階級は大尉。鷹の目が認める実力、多くに海賊を捕まえた実績から大出世した。
たしぎとそっくりなことから姉妹剣士と言われている。たしぎと本当の姉妹のように仲がいい。よくたしぎと鍛錬をしている。

次回はついに戦争が開始。白ひげとも再開し、世界にラダンの姿が露わになる。
次回、戦争の勃発と白ひげとの再会
お楽しみに〜


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20ジャオ 戦争の開始

長らくお待たせしました。


火拳のエース処刑まで3時間を切った。

海軍本部は厳戒態勢をとり、緊張がこれまで以上に高まっていた。

 

 

元帥室

 

 

バンッ

 

ガープ「ワシは……ワシは納得できんぞ……っ!」

 

センゴク「これは一海賊の処刑ではない。今後の世界に行方にとってどれほど大きな意義を持つか。貴様もわかってる筈だ」

 

ガープ「っ……!」

 

ガープは静かに部屋から出ていった。

 

ラダン「海軍も大変だな」

 

センゴク「今更始まった事ではない。大犯罪者とは、その血筋にまで及ぶのだ」

 

ラダン「エースも不幸な星の下に生まれたものだ」

 

センゴク「そうかもしれぬな。はぁ……」

 

ラダン「全部片付いたらバカンスにでも連れて行こうか?」

 

センゴク「……前向きに検討しておく」

 

ラダン「ククク、了解」ニッ

 

随分ラダンに毒されたセンゴクであった。

 

 

 

 

 

 

三日月型の海軍本部の周辺に五十隻の軍艦、最前列には五名の王下七武海。そして、処刑台は海軍本部大将三名が守っている。左から青雉 クザン、赤犬 サカズキ、黄猿 ボルサリーノ。

海軍の持てる最大の正義の力が待ち構えている。

 

そして、ついにエース登場。

 

 

センゴク「いいな、ガープ。全てを伝えるぞ」

 

ガープ「勝手にせい。ワシは下におるぞ」

 

ラダン「ガープにとっては凄く複雑な戦争なんだろうな。孫同然に育てたと聞くし」

 

センゴク「例え身内でも、それが犯罪者なら全て同じだ。正義に私情を挟むとそれは正義でなくなる」

 

ラダン「俺の場合はどうなるんだ?」

 

センゴク「貴様は色々と規格外だ。貴様も上に来い。貴様の復活を世界に伝えるいい機会だ。それ以降は好きにせい」

 

ラダン「わかった」

 

ラダンはセンゴクと共に処刑台に登る。

 

「センゴク元帥……」 「なんだ?そして隣のやつは誰だ?」 「海兵か?だが、服装から違う筈……」

 

センゴクは海兵から電伝虫をもらい、喋り出した。

 

センゴク「諸君らに話したいことがある。まず、一つ目は私の隣にいるこの男のことだ」

 

ーーーーーー

 

「あの男のことか。海軍元帥が言うほどだから、相当な人物の筈だ」 「だけど、どこかで見たことが……」

 

ーーーーーー

 

センゴク「諸君らも謎に思った筈だ。何故ここにいるのかと。だが、こいつは油断できない、四皇以上に事を構えたくない人物だ」

 

「四皇以上……」 「おい、それって……」

 

海軍将校達が徐々にざわつき始める。

 

センゴク「大半は気づいただろう。こいつは十三年前、聖地マリージョアを壊滅に追い込み、その後四皇ビッグマムを海軍本部に引き渡して脅威の65億の懸賞金をかけられ、九年前に忽然と姿を消した男。その名は禁忌のラダン」ドンッ

 

ラダン「あーあ、ついに世界に姿がバレたな」

 

「なんだと!?あの禁忌のラダンだと!?」 「あの一年に一回広場で眠っていた大蛇!?」

 

ーーーーーー

 

「禁忌のラダン!?」 「九年前に姿を消して以来、ただの御伽噺になっていたやつが!?」 「何故こんな時期に……」

 

ーーーーーー

 

センゴク「私もこいつがこの時期に目覚めたことに度肝を抜かれた。さらに、最悪なことにこいつと白ひげは友人でもある。ラダン、もう一度聞くぞ。貴様はこの戦争をどうするつもりだ」

 

センゴクはラダンに向き、電伝虫越しに言う。海兵、そして一般人も汗を流して喉を鳴らす。

ラダンはセンゴクから電伝虫をとって喋り出す。

 

ラダン「俺は戦争に参加するつもりはねぇ。完全にとは断言できんが、傍観者でいるつもりだ」

 

センゴク「なら、火拳のエースに関しては絶対に手を出さないと誓え」

 

ラダン「それなら構わない。他のやつの邪魔はするかもしれないが、エースに関して手を出さないと誓う」

 

センゴク「信用していいんだな?」

 

ラダン「あぁ、家族に誓って」

 

センゴクとラダンは睨み合う。そのプレッシャーに海兵はたじろぐ。ラダンにとって家族に誓うことは命より重い。ラダン一家はなによりも家族を大事にする。誓いを破ることは尊敬する父親の、産んでくれた母親にの、共に育った兄弟の顔に泥を塗ることになる。

 

センゴク「……貴様の誓いは受け取った。しっかりと守れ」

 

ラダン「わかってる」

 

ラダンはそう言って処刑台から降りる。

 

ガープ「お主も降りてきたか」

 

ラダン「いつまでも上にいても仕方がねぇからな」

 

ガープ「そうか」

 

?「あんたは元気そうだね」

 

ラダン「おつるか。久しぶりだな」

 

おつる「本当にそうだよ。急に姿を消したと思ったら、嫁さんを連れて現れるなんてね」

 

ラダン「それはすまん。と、そろそろか」

 

センゴクはまた喋り出し、エースの出生に関して話し出した。

 

センゴク「お前の父親は、海賊王、ゴールド・ロジャーだ!」

 

ラダン「ほう、かの海賊王のか」

 

おつる「あんたは知らんかったね」

 

ラダン「九年前にはエースなんて名は聞かなかったし(しかし、ルフィの実の兄ではなかったのか……ルフィもとんでもない血筋だろうな。にしても、十ヶ月も出産を先延ばすとはな……母親は強し、か……)」

 

 

 

センゴクの発表から数十秒。白ひげ傘下の海賊の大艦隊が出現した。白ひげ海賊団もどこから現れるか探す。しかし、見つからない。

だが

 

ラダン「へぇ、面白ぇ場所から現れたな」

 

白ひげ海賊団は海中か湾内に現れた。その数は4隻。14人の隊長に白ひげ本人が現れた。

 

ラダン「当然だが、老いたなニューゲートも。何年振りだろうか」

 

 

白ひげ「グラララ、ちょっと待ってなエース」

 

エース「っ、親父いぃ!!」

 

白ひげは薙刀を地面に刺して、両手を横に殴りつけるように広げる。それによって空中にヒビが入る。

 

ビキキッ バキッ

 

海震。白ひげの能力で海軍本部の正面と後ろの海が盛り上がる。白ひげの能力はグラグラの実。曰く、世界を滅ぼす力。

 

 

ラダン「久しぶりだな、ニューゲート!」

 

白ひげ「グラララララ!十年振りじゃねぇか、ラダン!」

 

マルコ「十年もなーにやってたんだよい」

 

ラダン「九年ぐらい休眠していただけだ。長生きには一興だろ?」

 

白ひげ「知らねぇし、知りたくもねぇな」

 

ラダン「それは残念だ。俺はこの戦争、というより、エースに関しては手を出さないと誓っている。友人であるお前に悪いが、わかってくれ」

 

白ひげ「グラララララ、わかってる。お前が参加してくれればすぐ終わるが、仕方ねぇ」

 

ラダン「ま、エースに関してだけ手を出さないだけで、それ以外は何も言われてねぇ。気になるものが有れば邪魔はする」

 

白ひげ「グラララララ、それは楽しみだ」

 

マルコ「やれやれ、ラダンも勝手なことをするもんだ」

 

 

そうこうしていると、海が引いていき、水位が下がっていく。少しすると

 

ゴゴゴゴゴ……

 

ハン「地鳴り?」

 

地震の後にこれまでに類を見ない、海軍本部を軽く飲み込めるほど巨大な津波が押し寄せてきた。

 

ラダン「これはデカいな」

 

津波に飲まれると思ってると、青雉が飛び出し、手から津波に向かって氷を伸ばして瞬く間に津波を凍らした。

 

クザン「アイスエイジ」

 

白ひげ「青雉。若造が」

 

そのまま青雉は白ひげに向かって氷の槍を飛ばすがあっさり壊され、青雉は粉々の氷になって湾内に落ちて湾内の海を凍らした。ある意味戦いのステージを作った。

 

「我らには最高戦力の海軍大将がいる!」 「モビー・ディック号を破壊しろ!」

 

白ひげ海賊団は氷の足場に降りて進撃を始める。

 

ラダン「ついに始まったな」ナデナデ

 

くいな「そうね」

 

ラダン「参加しなくていいのか?」ナデナデ

 

くいな「うん。もう海軍にいる意味がないからね。ラダンのお嫁さんになれるし」フフン

 

ラダン「この小娘が」クシャクシャ

 

くいな「キャー。もう、髪が崩れるじゃん。私は好きだけどさ」

 

ラダンは青雉の座っていた椅子に座り、くいながその膝に座っている。

 

赤犬「貴様ら……」

 

黄猿「あらら、くいなちゃんが裏切っちゃったね〜。ワッチはラダンが怖くて手を出さないけど」

 

ラダン「いい判断だ。向かってくるなら四股を全て切り落とすところだ」

 

黄猿「お〜、怖い怖い」

 

口先では軽く言ってるが、黄猿の足はたしかに震えている。寒さや身震いではなく、ラダンに対する恐怖で、だ。

 

赤犬「裏切りモンが……」

 

くいな「どうとでも言ってください」

 

4人がやり取りしてる一方で

 

ハン「はぁ……ラダンの元へ向かいたい。むさ苦しい男どもに囲まれてるストレスをラダンに甘えることで解消したい」

 

ドフラ「クックックッ、かの海賊女帝が随分毒されてるな」

 

ハン「ラダンになら毒されても構わない。一生添い遂げるのだからな」

 

ドフラ「お熱いこって」ヤレヤレ

 

トン

 

ドフラ「ん?」

 

ミホークが一歩前に出た。

 

 

くいな「ミホークさんが珍しい」

 

ラダン「そうなのか?」

 

くいな「うん。彼は世界でもトップクラスの実力で、彼は認めた相手以外には興味ないから。それだけ白ひげは強いってことかな」

 

ラダン「だろうな。おそらく、現時点で人間最強は白ひげだ」

 

くいな「ラダンさんも認める実力……」

 

 

ドフラ「フン、なんだやんのかお前?」

 

ミホーク「推し量るだけだ」

 

ミホークは黒刀 夜はぬく。世界に12工しかない最上大業物の一本。ラダンはその最上大業物を量産できてしまうわけだが……。

ミホークは黒刀を抜くと縦に一振りする。それによって斬撃が生じて白ひげに向かって一直線に飛ぶ。

 

だが

 

 

ラダン「試すのにちょうどいいな」

 

くいな「何を?」

 

ラダン「まぁ見てろ」

 

ラダンは手に覇王色を纏う。そして

 

パアン

 

ただ拍手した。その音は戦闘音で騒がしい戦場に静かながらも全員の耳に届いた。だが、ラダンの拍手がただの拍手な訳がなく

 

パン

 

ミホークが放った斬撃が弾けて無くなった。それだけではない。ガープもセンゴク、白ひげもラダンの拍手で体が硬直した。

ミホークは目を見開いて硬直していた。そして、察した。

 

ミホーク「(生涯鍛えてもこの者には敵わない)」

 

と。

最初に硬直から抜け出したのは半竜になったハンコックだった。

 

ハン「相変わらず凄まじい力じゃ」

 

 

ラダン「ほら、戻ってこい」

 

くいな「あっ……」

 

くいなはラダンが硬直から抜け出させた。

 

くいな「やっぱりラダンさんはすごいね……想像より遥か遠くにいるよ」

 

ラダン「簡単に俺の千年の努力を覆らせたりはしねぇよ」

 

 

ーーーーーー

 

「拍手しただけで戦場を停止させた……」 「化け物だ」

 

ーーーーーー

 

?「あら、何年も現れないと思ったら」

 

?「ハハハ、彼に常識は通用しないからね。君もわかってるだろう?シャッキー」

 

シャ「フフフ、そうね。一応師匠である貴方の方が彼を知ってるわね、レイリー」

 

レイリー「ハハハ!かもしれないな。彼との再会用にいい酒を調達しないとね」

 

シャ「調達は私に任せて」

 

レイリー「では、任せた」

 

ーーーーーー

 

 

数十秒してやっと全員の硬直が取れた。

 

センゴク「全く。火拳には手を出さないが、まさか戦場を停止させるとは」

 

ラダン「不満か?」

 

センゴク「複雑だ」

 

ラダン「それはすまん。こうしたこともやる筈だから悪しからず」

 

センゴク「この戦争は貴様の遊戯場ではない」

 

ラダン「簡単に操作されるお前らが悪い。もっと鍛えろ」

 

センゴク「一生鍛えても無理だ」

 

ラダン「残念」

 

 

ミホーク「禁忌のラダン、敵に回したくない相手だ」

 

ハン「当然じゃ。妾の夫に敵う相手など、この世界に居らぬわ」

 

 

黄猿「ラダンも白ひげもとことん化け物じみてるね〜。被害少なくすむにゃ、ちゃっちゃと頭取らないとね〜」

 

黄猿はそう言って飛んでいった。空中に浮かぶと

 

黄猿「八尺瓊勾玉」

 

手から無数の光を白ひげに向かって放った。だが、それを何かが飛んできて全て受け止めた。

その人物は白ひげ海賊団1番隊隊長、不死鳥マルコ。トリトリの実幻獣種モデル不死鳥の能力者だ。

 

マルコ「いきなり、キングは……とれねぇだろうよい」

 

マルコは黄猿に急接近して黄猿を足で蹴って吹き飛ばした。

 

黄猿「そう簡単には、いかないね〜」

 

 

ラダンが傍観しているとデカい氷塊が飛んできた。危ないから処理しようと思ってると

 

赤犬「大噴火!」

 

赤犬が氷塊を蒸発させた。そして無数の火山弾を放った。

 

戦争は更に激化し始めた。毎秒誰かが倒れ、毎秒誰かが死んでいく。戦争ていうのは

 

ラダン「不毛なもんだな」

 

ズン

 

ラダン「ん?随分デカい気配だな。巨人よりデカいな」

 

くいな「巨大より?それって……」

 

ズン ズン

 

「来たきたぁ!」

 

?「おおぉぉ!!」

 

その巨人より大きなものは軍艦一隻をあっさり破壊した。圧倒的な巨体、鬼を思わせる顔、頭から伸びる長い角。

その者の名はリトルオーズjr.国引きオーズの子孫である。

 

モリア「オーズの子孫!まだ生き残っていたのか!欲しい……あの死体が欲しい……!」

 

オーズ「エースぐん、ぜってぇ死なせねぇ!」

 

 

ラダン「オーズか。聞いたことあるが、よくあの大きさで子孫を残せたな。リトルって事は国引きオーズよりかは小さいんだよな?」

 

くいな「多分?」

 

ラダン「世界は広いなー」

 

オーズは着実に処刑台に向かって歩いていく。

 

白ひげ「オーズのやつ。仕様のねぇやつだ。死にたがりと勇者は違うぞ!」

 

オーズ「止めねぇで欲じいおやっざん!オイダは助けテェんだ。一刻も早くエースぐんを助けテェんだよ!」

 

白ひげ「わかってらぁ、テメェら!尻拭いをしてやれ!オーズを援護しろ!」

 

 

一方

 

ハン「スレイブアロー!」

 

ハンコックはハートを生み出し、弓を引くようにすると無数の矢が無造作に飛んでいく。そして氷の舞台に降りて

 

ハン「パフュームフェムル!」

 

海賊海軍関係なく蹴っていく。蹴った場所が石になり、砕ける。軽く一掃するとサロメに乗る。

 

「貴様!海兵にまで手を!」

 

ハン「白ひげと戦うことには承諾したが、妾は貴様らの味方になるとは一言も言うておらぬ。男などどれも同じじゃ。あの方以外ともう1人以外は」

 

「ぐっ…ううっ……」

 

ハン「ハァ……妾の美しさに免じて」

 

「お……お前!」

 

海兵はそう異論を発するが頬を染めているから説得力はない。

 

ラダン「全くハンコックは、魔性の女とはまさにハンコックのための言葉だな」

 

くいな「同じお嫁さんなのに負けてる気がするよ……」

 

ラダン「外野がそう言おうと、俺にとってはハンコックもくいなも同じ愛する妻だ」ギュッ

 

くいな「あっ……えへへ///」

 

赤犬「ぬう……」

 

少し居心地が悪い赤犬であった。

 

 

ギュン ギュン ギュン

 

くま「ウルススショック」

 

キュオッ ドオオオォォォォォォォッ

 

くまが作った肉球型のものはオーズに当たり、爆発して爆風を放った。

オーズは少し後ずさる。さが、相当ダメージを受けたようで膝をついた。

 

エース「オーズゥ!!」

 

オーズは立ち上がって砲撃を喰らいながらも進む。意識が朦朧としながらも前へ前へと。

 

オーズ「せめて……ハァ……ハァ……七武海1人でも……!」

 

ドゴンッ

 

オーズはドフラミンゴに向かって殴りつけるが、ドフラミンゴは空中に浮いて避ける。

 

オーズ「……っ」

 

ドフラ「どうかしたか?魔人」

 

オーズ「あ、足が……」

 

オーズの足は何かに引っかかって動かない。そして

 

スパン

 

オーズの右足は斬り落とされた。それによってオーズはバランスを崩す。膝立ちになりながらもエースに手を伸ばす。

 

オーズ「もう少し……エースぐんまで……もう少し……」

 

モリア「ドフラミンゴのやつ!貴重な死体を台無しにしやがって!ドッペルマン!行け〜!ツノトカゲ!」

 

グサッ

 

モリアの出したコウモリが一本の角になってオーズを貫いた。

 

エース「オーズーー!」

 

オーズは貫かれても手をエースに伸ばす。

 

オーズ「エースぐんっ……」

 

だが

 

ドスンッ

 

オーズは倒れてしまう。

 

ラダン「まだ心臓が動いている。生きてはいるが、長くは持たんな……」

 

 

これで白ひげ海賊団が止まると思いきや、その逆。

 

白ひげ「オーズを踏み越えて進め!」

 

ウオオオォォォォォ!!

 

 

ドフラ「フフフフ……たまらねぇ」

 

「ドフラミンゴ!よくもオーズをっ!お前だけは絶対に許さん!」

 

ドフラ「フフフフ」

 

「何がおかしい!」

 

白ひげ海賊団の隊長一人がドフラミンゴに攻撃する。ドフラミンゴはそれを避ける。追撃をしようとするとドフラミンゴは中指の先を曲げる。

 

パン

 

「ウオオオォォォォォ!!」

 

ドフラ「ん?」クイッ

 

ドフラミンゴはまた避けて同じことをする。しかし

 

パン

 

ドフラ「……おかしい。しっかりと刺してるはずだ」

 

パン

 

ドオオォォ

 

ドフラ「ぬうっ……!」

 

パン

 

ヒュウウ ドオンッ

 

ドフラ「ガハッ!」

 

「何が起こっている……」 「なんか手を叩く音がした気が……」

 

ムクッ

 

壁にめり込んだドフラミンゴは起き上がる。その頭からは血が流れている。

 

ドフラ「ククク……そう言うことか。俺の邪魔をするとはな……禁忌のラダン」

 

ドフラミンゴはラダンを睨みながら呟く。貴様に名言を言う余地など与えんby作者

 

 

ラダン「フッ」

 

くいな「何やってたの?」

 

ラダン「頭のおかしいやつの攻撃を無効化してただけだ」

 

くいな「そう?」

 

ラダン「あぁ」

 

くいな「そ。戦争っていつまで続くんだろうね……始まってそんなに経ってないのにもう大分経った気がするよ」

 

ラダン「確かにな。それに、センゴクは何かを仕掛けようとしてようだしな」

 

あちこちで電伝虫が鳴って命令が伝わっていく。

そうしてるとガープが処刑台に上がっていく。エースの右に立つ。

 

センゴク「何をしにきた?作戦に異論でも?」

 

ガープ「いや、相手は海賊に同情の余地はない」

 

センゴク「ならば……「黙れ!」」

 

ガープ「よかろう、ここにおるぐらい」

 

ガープは座りながらそう言う。ガープは目の前の戦場を見ながら過去を思い出す。

 

ガープ「悪党に同情はねぇが……家族は違う……」

 

ガープは静かにそう言葉を零す。

 

ガープ「ぐっ、くくっ……わしゃ、どうすればええんじゃい。ぐっ……!」

 

ガープは肩を震わせ、涙を浮かべる。

 

ガープ「エース貴様!何故ワシの言う通りに生きなんだ!ぐうっ、くっ……」

 

ガープは涙を流しながら言う。任務を取ればいいか、家族を取ればいいか。どちらを選んでも不正解の難しい問題だ。

 

エース「ジジイ……っ」

 

エースの中で覚悟が激しく揺れる。

 

センゴク「今更妙な気を起こせば、お前とて容赦はせんぞガープ」

 

ガープ「フンッやるならとうにやっとるわ!」

 

ただの強がりである。

 

 

ラダン「ん?」

 

くいな「あれ、何かが……軍艦?」

 

ラダン「これは……ふ、ハハハハハハ!」

 

くいな「ラダンさん?」

 

ラダン「ハハハハハハ!どう登場するか気になっていたが、まさかこう来るとはな!俺の船長候補は面白い星の下に生まれたな!」

 

ラダンはそう言って笑い続ける。上空を見ると軍艦が落ちてきている。

 

わあ〜〜〜!!

 

落ちてくるやつの中に麦わら帽子を持ってるやつがいる。

 

エース「はっ……え?」

 

 

?「だーからお前はやり過ぎだってんだよ!」

 

?「こいつの瞬きのせいだ!」

 

?「ヴァターシのせいにする気?クロコ!」

 

?「どうでもいいけど、これ死ぬぞ!下は氷の張ってんだぞ!」

 

 

 

ラダン「やっと来たか。ルフィ!」

 

 

ルフィ「うわあ〜〜!あっ!俺ゴムだから大丈夫だ!」

 

Mr.3「貴様1人助かる気カネ!?なんとかするガネ〜!」

 

イワ「こんな死に方ヤダッチャブル!誰か止めてんぬ〜!」

 

バギー「テメェの提案なんて聞くんじゃなかったぜ!麦わら!ちくしょう!」

 

 

全員上を見てただ呆然としていた。

 

ハン「我が夫の船長候補は変わった男のようだな」

 

くいな「ラダンさんが船長に選んだからどんな人か気になってたけど、ゾロの船長だったんだ。面白い人だねー」

 

ラダン「だろ?面白ぇんだ本当に」

 

 

ルフィ「エース〜〜!」

 

 

次回に続く!




今回はここまで。
戦争中は原作通りは飛ばして、ガープのところのような好きなシーンや、オリジナル要素のあるシーンを飛ばし飛ばしで書いていきます。
戦争開幕早々ラダンやらかしちゃいましたね〜。握手で鷹の目の斬撃を消して、戦争を停止させたし。
ドフラミンゴのは嫌がらせです。私は奴があまり好きではないので。
オーズ……必ずラダンが治療するから待っててくれ。エースに関しては……ラダンが家族に誓って傍観に徹すると宣言したし……今後の展開的に無理。
一瞬ではあるけど、シャッキーとレイリーも登場!
この戦争でガープが一番可哀想ですよね。孫同然に育てたエースの処刑に任務を取るか家族を取るか葛藤し、最終的にはエースは死んでルフィも大怪我を覆った。本当に難しい問題だ。

次回はルフィ上空から登場!更に激化する戦争。ラダンはどんな嫌がらせをするか。
次回、ルフィ登場!蛇王龍の遊戯場と化す戦場
お楽しミニミニ


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21ジャオ ルフィ登場!蛇王龍の遊戯場と化す戦場

ルフィ「エース〜〜!!」

 

エース「ルフィ〜!!」

 

上空から落ちてきた軍艦は白ひげ海賊団の隊長の1人がくり抜いた氷の穴に落ちた。そして落ちた拍子に割れた軍艦の甲板にルフィが現れた。そのほかにインペルダウンから脱獄した者たちがいた。

 

センゴク「ガープ!また貴様の家族だぞ!」

 

ガープ「ルフィ〜……!」

 

ラダン「面白い孫じゃねぇか、ガープ。俺が仲間に入れて欲しいぐらいだ」

 

センゴク「こちらとしては辞めて欲しいが……言っても無駄だろう」

 

ラダン「よくわかってるな」

 

 

しばらくするとクロコダイルは白ひげを見つけて襲いかかった。

 

クロコ「久しぶりだなぁ」

 

白ひげ「懲りねぇ奴だなぁ」

 

クロコ「っ」

 

クロコダイルは左手のフックを振り下ろした。しかし

 

ギュンッ ドンッ

 

クロコ「麦わら……!」

 

ルフィが蹴ってそれを阻止した。更にそれだけでなく

 

ルフィ「んん……うるさい!お前がそんな事決めんな!俺知ってんだぞ。お前、海賊王になりてぇんだろ!海賊王になるのは俺だ〜!」

 

白ひげの威圧に屈しない胆力。

 

ラダン「本当に、面白い奴だ」フッ

 

くいな「そうだね。ゾロが彼の仲間になったのも頷けるよ」

 

ラダン「ニューゲートも気にいる筈だ」

 

くいな「ラダンさんがそこまで推しているのなら、彼が次の海賊王になるのかな?」

 

ラダン「それはわからんぞ。俺は全ての島を回ったつもりだが、解き明かしてない謎が多いし」

 

くいな「そうなんだ。それにしても、彼って怖いものないのかな?白ひげにも啖呵を切るし」

 

ラダン「あるだろうけど、そんな大きいものじゃねぇだろうな。俺だって怖いものはあるし」

 

くいな「意外。何が怖いの?」

 

ラダン「お袋の怒り。子供は母親に勝てねぇって事だ。親父が怒った時が今までで一番怖いがな」

 

ラダンはそのシーンを思い出して顔を青くする。

 

くいな「……何があったの?」

 

ラダン「いつだったか……少なくとも700年前だと思うが、ある馬鹿な奴が妹を攫ったんだ。妹も龍だから簡単には捕まらないが、その妹が比較的弱かったのと、そいつらが特殊な鎖を使って攫ったんだ」

 

くいな「大丈夫だったの?」

 

ラダン「結果的にな。だが、それを知った時の親父は……っ、あれがこっちに向けられたと考えるだけで命の危険を感じる」ブルブル

 

ラダンの手は恐怖で震えている。

 

くいな「……」

 

ラダン「あれ以上の恐怖は一生ないだろうな」

 

 

 

そうこうしているとルフィが突撃し始めた。

 

黄猿「む〜ぎ〜わ〜ら〜。お前を捕まえねぇと天竜人がうるさくてね〜」

 

黄猿は片足を上げて光を集め始めた。

 

イワ「チョット!どきなさんッチャブル!」

 

黄猿「登場早々、ご退場願おう」

 

ラダン「させねぇよ」

 

ボオォッ

 

黄猿が光線を放とうとすると黄猿はラダンが作ったダラエネルギーの檻に閉じ込められた。

 

黄猿「禁忌のラダン……」

 

ルフィ「ラダンっ!」

 

ラダン「よう、ルフィ。面白ぇ登場の仕方だったな」

 

ルフィ「あれしかなかったんだよ!」

 

ラダン「ほら、さっさと行け。俺はエースに関しては手を出せねぇ」

 

ルフィ「よく分からねぇが、ありがとうな!」

 

ピピピピ……

 

ラダン「くまか。まぁ、問題ない」

 

チュドンッ

 

くまはルフィに向けてビームを発射するが、球のダラエネルギーに当たって吸収された。

 

ラダン「さーて、次は誰で遊ぶか」

 

ここからラダンのお遊びが始まる。

 

 

「おおぉぉぉ……」

 

ラダン「ゾンビか」

 

モリア「禁忌のラダン!味方でも敵でもない貴様から影を貰うぞ!」

 

ラダン「やれるもんならやってみろ」

 

?「させない!」

 

シュバババッ

 

「おおおぉぉ……」 「石ぃ……」

 

ラダン「ハンコックか」

 

ギュッ

 

ハン「ハァ……離れていてどれだけ辛かったことか……」

 

ハンコックはそう言ってラダンに抱きつく。

 

ラダン「まだ1時間も経ってないだろ」ギュッ

 

ハン「近くにいるからこそ辛いのじゃ!」

 

ラダン「それは……すまん。配慮が足りなかった」ナデナデ

 

ハン「良いのじゃ。こうして妾のそばにいてくれるだけで……」

 

モリア「貴様らーー!俺を無視して何やってんだ!」

 

ハン「っ」ギッ

 

ハンコックはラダンとのイチャイチャを邪魔したモリアを睨みつける。

 

ラダン「そうだ。ここは共同作業といかねぇか?」

 

ハン「共同……初の夫婦共同作業…!もちろんじゃ!」

 

ラダン「なら、ハンコックに合わせて俺も蹴りで行こうか。背中は任せたぞ、我が妻よ(ハンコック)

 

ハン「っ!もちろんじゃ!我が夫(ラダン)!」

 

ハンコックとラダンは背中合わせになり、迫り来るゾンビすごい連携で倒していく。お互いの死角から迫るゾンビを蹴ったり、ハンコックが回転するタイミングで上空に飛んだり、最後にはハンコックを抱えて空中に飛んでゾンビを一掃した。

そのタイミングでハンコックは嬉しさからラダンにキスする。

 

チュッ

 

ラダン「ん、いきなりだな」

 

ハン「たまにはこう言うのもいいだろう?」

 

ラダン「違いない」ニッ

 

ハン「フフフ」ニコッ

 

ラダンとハンコックはおでこをくっつけて笑いあう。なお、拗ねていたくいなに同じことをしたのは別の話。

 

 

センゴク「ラダン。奴め。この戦場を遊戯場にする気か」

 

ガープ「言っても仕方なかろう。ワシとしては何故あの場面が世界中に見られていないのか気になってしょうがない。周りの海兵も気付いておらんようだし」

 

センゴク「それは私も気になっているが、気にしてもしょうがない」

 

 

エース「来るな!ルフィ!」

 

ルフィ「え?」

 

エース「わかってる筈だぞ!俺とお前も海賊なんだ!思うままの海へ進んだ筈だ、俺には俺の冒険がある!俺には俺の仲間がいる!そこにお前の立ち入る筋はねぇ!帰れ!ルフィ!!」

 

エースはルフィに自分のせいで起きた戦争で死んでほしくない一心で叫ぶ。だが、ルフィの返答は

 

ルフィ「俺はっ!弟だ!!」

 

エース「……っ!」

 

ルフィ「海賊のルールなんて、俺は知らねぇ!」

 

エース「分からず屋が!」

 

 

センゴク「その男もまた未来の有害因子。幼い頃エースと共に育った義兄弟であり、その血筋は革命家ドラゴンの実の息子だ!」

 

ラダン「おぉ、ルフィもとんでもない血筋だな。祖父が海軍の英雄、父親が世界最悪の犯罪者、その本人は恐らくロジャーをも上回る潜在能力を持つ超大型ルーキー。3代で三つの派閥が揃ったな」

 

くいな「でも、彼って父親を知らないんでしょ?」

 

ラダン「名前は知っていても顔は知らねぇだろうな」

 

 

白ひげ傘下の海賊団は白ひげの指示で左右に散開し始める。

 

センゴク「つまらん誘導にも乗らんか。少々野暮だったか。だが、勘を働かせても防げるものじゃぁない」

 

ラダン「そろそろセンゴクの策が始まるか。む、また少し行ってくる」

 

くいな「うん。行ってらしゃーい!」ノシ

 

 

スモー「ローグタウンで何故ドラゴンがテメェを助けたか。よーくわかったぜ、麦わら」

 

ルフィ「く、くそぉ……」

 

スモー「あの時は逃げられたが、今回はそうはいかねぇか」

 

ラダン「離れてもらうぞ」

 

ドンッ

 

スモー「ぐおっ……!」

 

ラダン「無事か?ルフィ」

 

ルフィ「あ、ありがとうラダン」

 

ラダン「構わねぇよ。そうだ。ハンコックからこれを預かっている」

 

ラダンはそう言ってルフィに鍵を渡す。

 

ラダン「それはエースの手錠の鍵だ。これぐらいはいい筈だ」

 

ルフィ「おぉ!ありがとう!」

 

ラダン「礼はいいからさっさと行ってこい」

 

ラダンに促されてルフィは走っていく。

 

スモー「待ちやがれ!麦わら!」

 

ラダン「行かさねぇよ」

 

ガシッ ドゴンッ

 

スモー「がはっ!」

 

ラダンはルフィを追いかけようとしていたスモーカーの頭を掴んで氷にめり込ませる。

 

ラダン「さーて。一旦戻るか」

 

 

 

ミホーク「意外に冷静じゃないか」

 

スパンッ

 

ミホークの斬撃によって凍った津波の上半分が斬られて分裂した。

 

ラダン「やっぱりすげぇな」

 

くいな「それはもちろん。だって鷹の目のミホークは世界一の剣豪だもん」

 

ラダン「そういえば、くいなの剣の腕はどうなんだ?」

 

くいな「そうだね……じゃぁ見せるよ!」

 

くいなはラダンの膝から降りた。

 

くいな「ラダンさんの前でこの子を使えるなんて、夢みたいだよ」

 

くいなは自分の愛刀、秧鶏を撫でる。

 

くいな「行くよ……」

 

そして居合の構えを取る。

 

くいな「フゥー……居合・乱れ鳴き!」

 

スパパパパンッ

 

スゥ……チャンッ ドゴンッ

 

くいなの居合で切り分けられた氷が小さく切り分けられた。

 

ラダン「すごいな……くいなも十分達人の域だな」

 

くいな「これでもまだ鷹の目のミホークには敵わないけどね」ハハハ……

 

ラダン「これから鍛えていけばいいだけだ」ナデナデ

 

くいな「あっ……うん!」

 

 

ミホーク「『地翔鳥くいな』また腕を上げたな。俺に勝つのも時間の問題だろう」

 

くいなを相当評価しておるミホークであった。

 

 

センゴク「この戦争は我々海軍と世界政府が、絶対的正義の名において遂行し、必ず勝たねばならない。どんな手段を用いようともだ」

 

ラダン「随分焦ってるな」

 

センゴク「貴様には到底わかるはずがない。か弱い市民のために我々は悪をこの世から滅ぼす必要がある」

 

ラダン「お前も知ってるだろうが、黒から白が生まれることもあれば、白から黒が生まれることもある。悪と正義は紙一重だ。純粋な混じりっけの無い正義は海軍の中でもほんのひと握りだろうな」

 

センゴク「嫌なほどわかってる。それを承知で私は元帥をしているのだ」

 

そう言うセンゴクの顔にはやつれが見える。

 

ラダン「戦争中で不用意な発言だが、後片付けも終わったら休暇がてらバカンスに行くぞ」

 

センゴク「……その心遣いが今は辛いものだ」

 

ガープ「ワシは正気でいる自信はないぞい……」

 

エース「……」

 

3人の会話についていけないエースであった。

 

 

ラダン「人間兵器か……結構な数がいるし、半数は俺に付き合って貰おう」

 

ラダンは人間兵器パシフィスタの近くに移動した。

 

ラダン「これは完全に機械だな。さて、一緒に遊ぼうじゃねぇか。人化解除」

 

ラダンから眩しい光が発生してラダンは人化を解いた。そこには規格外の巨体を誇る、背中に大きな扇刃があり、腕がある黒い大蛇が姿を現した。

 

シャララアァァァァァァァ!!

 

「あ……あれが蛇王龍……」 「あんなに勝てるわけがねぇ……」

 

「ちぃっ!パシフィスタ!」

 

パシフィスタ数体が構える。

 

ピピピピ……チュドーンッ ドオォンッ ドオォンッ

 

無数のビームがラダンに当たるが、ラダンは無傷だった。

 

「無傷だぞ!」 「パシフィスタでも無理なら手段はほぼないぞ!」

 

クザン「アイス(ブロック)両棘矛(パルチザン)』!」

 

青雉は複数の氷の矛をラダンの全身に当たる。

 

ガンッ ガキンッ パキパキッ

 

ダメージは無いがラダンの全身を凍らせていく。そしてラダンは氷漬けになった。

 

「おおぉぉ!!クザン大将がやったぞ!」

 

クザン「……ちっ」

 

バキッ バキンッ

 

氷は粉々に砕けて全くダメージを受けていないラダンが現れた。

 

ラダン ギロッ

 

クザン「っ!?」ゾクッ

 

青雉は身の危険を感じて後ろに遠く下がった。

 

黄猿「やれやれ、君とは戦いたく無いけど、戦争だからね〜。いく……」

 

黄猿は途中で喋るのをやめた。なぜなら目の前に自分に向かって大口を開けてるラダンがいるからだ。

 

バクンッ

 

「黄猿大将ーー!!」

 

グルンッ ペッ  ドオオォォォォォンッ

 

ラダンはそのまま首を回して黄猿を吐き出した。黄猿は壁にぶつかりぐったりとしていた。

 

シャララアァァァァァァァ!!

 

「ぐおおぉぉ……!」 「ウルセェ……っ!」

 

ラダンがもう一度咆哮を上げると全員が耳を塞いだ。そしてついでとばかりにパシフィスタを踏みつけたり、握りつぶしたり、溶かしたりとパシフィスタで遊び始めた。

 

センゴク「これが禁忌のラダンだ!」

 

センゴクはまた電伝虫を取って喋り出す。

 

センゴク「奴の恐ろしいところはその常識を上回る巨体だ。その巨体故に有効なダメージを与える術がない。そして通るだけでその場所を破壊する。それが奴だ!」

 

センゴクがそう言ってる間にもラダンはパシフィスタを破壊していく。半数を破壊すると人化し、元の場所に戻った。

 

 

 

ラダン「!!」シュンッ

 

ガキンッ

 

スク「なっ……禁忌のラダン!」

 

ラダン「あと一歩遅れてたら刺されてたぞ、ニューゲート」

 

白ひげ「……っ」

 

マルコ「スクアードぉ!!」ドンッ

 

マルコはスクアードの頭を掴んで甲板に打ち付ける。

 

ラダン「さて、どうして己の親父を刺そうとしたか話して貰おうか」

 

スク「う、ウルセェ!こうさせたのはお前らじゃねぇか!」

 

マルコ「なんだと?」

 

話はこうだ。スクアードはかつて仲間をロジャー海賊団に滅ぼされた。エースがロジャーの息子とも知らずに仲良くしてた。最初から白ひげに裏切られてた。傘下の海賊団43人の首を売ってエースを買った。それを赤犬から言われたと。

 

ラダン「赤犬……アイツの正義は行き過ぎてる」

 

センゴク「包囲壁作動!」

 

「はっ!」

 

ラダン「しかし、お前も大分弱ったなニューゲート。長くても三年ってところか……ま、無理をするだろうからこの戦争が終われば……友人として悲しいもんだ」

 

ラダンは空を仰いで呟く。

 

白ひげ「自分が何をしたか、わかってるよな?スクアード」

 

スク「うっ」

 

白ひげ「仮にも親に刃物を突き立てるとは、とんでもねぇバカ息子だ!」

 

白ひげはそう言って腕を振り下ろす。スクアードは死を覚悟して目を閉じる。しかし

 

ギュッ

 

スク「なっ…」

 

白ひげ「馬鹿な息子をそれでも愛そう」

 

ラダン「やはり親というのは偉大だな。子供を愛する。あぁ、経験はあるぞ」

 

ラダンはこれまで育てた捨て子だった我が子達を思い出す。

 

スク「ふ、ふざけんな……お前は俺たちの命を……」

 

白ひげ「忠義心の強ぇオメェらの真っ直ぐな心さえ闇に引きずり落としたのは、一体誰だ?」

 

ラダン「恐らく赤犬だ」

 

スク「白ひげを刺せば傘下の海賊達は助けると……」

 

白ひげ「赤犬がそう言ったのか?オメェがロジャーをどれほど恨んでいるか、それは痛いほど知っている。だが、スクアード。親の罪を子に晴らすなんて滑稽だ。エースがオメェに何をした。オメェとエースは苦しいことも、楽しいことも、辛いことも、何度も何度も仲間達と共に乗り越えてきたじゃねぇか」

 

ラダン「仲間か……家族で言うなら親父達とハンコック、そしてくいな。それに、日和もヤマトもいるか……」

 

白ひげ「エースが誰の子だろうが関係ねぇ。この広い海で俺たちは出会ったんだ。お前たち2人だけじゃねぇ、全員俺の息子なんだ。なぁスクアード。仲良くやんな。決して、エースだけが特別じゃねぇ。みんな、俺の家族だぜ」

 

スク「あっ……ぐっ……」

 

白ひげ「それにしても……全く……衰えてねぇな、センゴク。見事に引っ掻き回しやがって」

 

ラダン「これは俺も我慢ならねぇな。子供を売るだと?馬鹿いいやがって、ドアホが」

 

白ひげ「なんだ。貴様にも子供がいたのか」

 

ラダン「養子だがな。全員生きた時代は違えど、愛情に差をつけたことはねぇ」

 

パン

 

ドシャアァァンッ

 

ラダンの拍手で残っていた津波の氷は砕け散った。

 

センゴク「海賊どもに退路を与えたか。ラダンを敵に回したか?」

 

ガープ「いや……奴が敵対しても恐らく赤犬だけじゃろう。ラダンは昔から赤犬を嫌ってる節があるしの」

 

白ひげ「海賊なら信じるもんはテメェで決めろ!」

 

スク「あ…ああぁぁ……うああああぁぁぁぁ!!」

 

スクアードは自分の犯した罪に涙を零す。

 

ラダン「さて、あぁ言ったが、俺はここからは参加出来ねぇ。精々赤犬に悪夢を見せるぐらいだ」

 

白ひげ「それでも十分だ。ありがとうな、ラダン」

 

ラダン「フンッ、お前はこの戦争で死ぬつもりなんだろう。これぐらいさせろ、バカ息子が」

 

白ひげ「!」

 

ラダン「これまで何人育ててきたと思ってる。今更老体の1人が増えようが変わりはしねぇ。全力で暴れてこい」

 

白ひげ「フッ、子供を何人も持っているのに今更親父か。だが、オメェが親父でもいいかもな」

 

白ひげはラダンにバカ息子と呼ばれて確かな温かみを胸に感じる。そしてそれが息子たちが感じるものと察する。

 

バサッ

 

白ひげ「行ってくるぜ、バカ親父!野郎ども!いくぞ〜〜!!」

 

オオオオォォォォォ!!

 

白ひげはラダンをバカ親父と呼び、船から降りて戦場に参加した。

 

ラダン「ハァ……医者でも寿命と末期の病はどうにもならん。竜になればそれは解消されるだろうが、あのバカ息子が応じるわけがねぇ。せっかくまた出来た息子なのに俺は無力だな」

 

ラダンはため息をつきながらそう言う。

 

ラダン「心置きなく暴れてこい、バカ息子が。願うなら、親子で酒を飲みたいものだ」

 

 

 

 




今回はここまで。
今回はラダンが大分海軍の邪魔をして、遊んでいました。少し、やり過ぎたかな?
初のハンコックとの夫婦共同作業!ドンドンイチャイチャシーンは書けてるだろうか。
くいなは現時点でゾロより大分強いですね。因みに、まだ半竜ではありません。くいなは一刀流で居合が得意という感じです。秧鶏は飛べない鳥なのでそこから取って血を翔ける鳥で地翔鳥。

遊びの一環で人化を解いてパシフィスタで遊ばせました。本来の大きさだとデカすぎるので半分に抑えています。ついでに黄猿も戦闘不能で出来ましたし。
さーて、赤犬をどう料理しようか。ニヤァ

ラダンはこれまで捨て子を何人も育ててきたので、今更1人増えても問題ない。ということでたった数時間、いや、1時間未満か?白ひげがラダンの息子になりました。
白ひげの欲しい家族に子供以外にも親がいてもいいと思った所存です。あっ、でも親戚が足りませんね。ラダンの兄弟と従兄弟らを連れて来ましょうか。

ま、それは置いといて
次回は白ひげが参戦!時間を大幅に早めて執行されるエースの処刑。
ルフィ達は包囲壁を突破できるか。エースを救出できるか。
次回、包囲壁と突破せよ!またも炸裂するルフィの覇王色
お楽しみニンニク


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22ジャオ 包囲壁を突破せよ!またも炸裂するルフィの覇王色

戦争が始まってだいぶ経ったように感じる。

 

白ひげ「ウオオオォォォォォ!!」

 

白ひげは空を掴み、それを下に振り下ろす。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 

それによって地面が傾いた。それだけではなかった。周辺の海も傾いていた。

 

ラダン「本当に人間とは思えねぇ力だな」

 

くいな「流石は最強の海賊、って所かな」

 

モビーディック号にいたラダンはくいなの下に戻っていた。

 

ラダン「すまんな、突然飛び出して」

 

くいな「いいよいいよ。少しびっくりしちゃったけど」

 

ラダン「しっかし、周りの被害がでかいな。む」

 

くいな「どうしたの?って、きゃっ!」

 

ラダンはくいなを抱えてそこから離れた。理由は

 

ビキビキッ

 

「処刑台に届くぞ!」 「行けえぇぇ!」

 

白ひげの放った衝撃波が来ていたからだ。

 

ドオォォーーンッ

 

その衝撃波で処刑台が壊れたように思えた。しかし

 

「おい!あれ!」 「さ、三大将……!」

 

黄猿「いてて、流石に痛かったね〜」

 

赤犬「何をやってんじゃ、貴様は」

 

青雉「奴の攻撃だから仕方ないじゃないか?」

 

そう。青雉、赤犬、黄猿の3人が防いだのだ。

 

ラダン「危な」

 

くいな「おぉ、流石三大将。というか、ラダンさんが避ける必要あったの?」

 

ラダン「俺は基本的に傍観者でいるつもりだからな。まぁ、随分と遊んだけど。兎に角、さっきのを防いだら契約違反になるからだ」

 

くいな「なるほど。そう言うことね」

 

ラダン「さて、降りるか」

 

ギュッ

 

ラダン「ん?どうした?」

 

くいなはさらに抱きついて密着して頭をラダンの肩に置く。

 

くいな「……もう少し、このまま……」

 

ラダン「……やれやれ、この甘えん坊さんめが。少しだぞ」

 

くいな「……うん」

 

仲睦まじい2人である。

 

 

ギュイィーン ドゴンッ

 

ルフィ「なんだ!?」

 

巨人よりデカい壁が氷を突き破って現れた。

 

ラダン「包囲壁か?なるほど。これがセンゴクの作戦か」

 

くいな「みたい。けど」

 

センゴク「おい!どうなっている!完璧に作動させろ!」

 

「そ、それが……包囲壁がオーズの巨体を持ち上げきれず、どうやらオーズの血がシステムに入り込み、パワーダウンしてる模様で……!」

 

センゴク「ぐっ……魔人め……!」

 

白ひげ「勝機ありだ」

 

海軍は完全に海賊を囲もうとしたが、それは倒れてなお戦い続けているオーズによって防がれた。

 

センゴク「くっ、仕方がない。やれ、赤犬!」

 

センゴクに言われて赤犬が前に出る。

 

赤犬「流星火山!」

 

両手から溶岩を出して空に向けて放った。

 

ラダン「……これはヤバいな」

 

くいな「……うん。すごくヤバいね」

 

少しすると拳の形をした溶岩の流星群が降ってきた。

 

ドオオォンッ ドオオォンッ

 

それは湾内の氷にあったて徐々に氷を溶かしていく。海賊の足場を無くす気だ。

そしてさらに

 

「早く!岸へ」

 

ガコンッ ガコンッ

 

「あ……あぁ……」

 

ドドドドドンッ

 

「ぎゃああぁぁ!」

 

残った氷に上がっても包囲壁の砲門から狙撃される。

 

「逃げろー!」 「な!?」 「こっちも塞がれてる!」

 

キイィンッ キイィンッ チュドーンッ

 

逆側に逃げてもパシフィスタの猛攻撃を受ける。完全に絶体絶命である。

 

赤犬「終いじゃ!」

 

ヒュオオォォ ドオオォンッ

 

白ひげ「!」

 

「モビー・ディック号が!」

 

ドオォォーーンッ

 

 

ラダン「……一気に形勢が逆転したな」

 

くいな「辛い?」

 

ラダン「………そう、だな。辛くないと言ったら嘘になる。だからといって助けるわけにもいかねぇ。これは、あいつらの戦いだから」

 

くいな「……ごめん。こんなこと聞いて……」

 

ラダン「構わねぇよ。それより、くいなは辛くねぇのか?」

 

くいな「えっ……」

 

ラダン「実質的に海軍を裏切るんだろ?仲の良かった奴ぐらいいるだろ。そいつを裏切って辛くないのか?」

 

くいな「……辛くないなんてないよ」ポロポロ

 

くいなはそう言って涙を流し始める。

 

くいな「実はさ、私にそっくりな子がいるの。私の後輩でよく一緒にいたの。美人剣士姉妹なんて言われてたぐらいだからね。その子を裏切るんだから辛くないわけがないよ……」ポロポロ

 

ラダン「……何回も聞きようで悪いが、本当に俺についてきていいんだな?」

 

ラダンがそう聞くと。

 

くいな「それは勿論だよ」

 

くいなは即答する。

 

くいな「私は9年前からあなたが好き。ううん、愛している。あの子を裏切るのは辛いけど、それでも私はあなたについていきたい。いや、ついていく。その覚悟はとっくに出来てるよ」

 

くいなはラダンの目を真っ直ぐ見て言う。

 

ラダン「ふっ、そうか。ありがとうな」

 

ギュッ

 

くいな「うん」ニコッ

 

ギュッ

 

赤犬「……ムウ……」

 

青雉「あーらら」

 

黄猿「これは〜、居心地が悪いね〜」

 

三大将を無視して2人だけの空間を作るラダンとくいなであった。

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴ……

 

オーズ「エース……ぐん……」

 

エース「あぁ……」

 

倒れていたオーズが起き上がった。

 

オーズ「エースぐん……うっ……」

 

エース「オーズ……」

 

オーズ「おいら、エースぐん守る……!」

 

白ひげ「オーズ……」

 

センゴク「砲撃準備!」

 

無数の銃口と砲門がオーズに狙いを定め

 

「撃てぇ!」

 

エース「オーズ!」

 

 

ルフィ「早くしねぇと!あいつらはもうエースを処刑する気だ!」

 

ジンベエ「あぁ、なんとかせねば」

 

ルフィ「ジンベエ!」

 

ジンベエ「ん?」

 

ルフィ「ハァ、ハァ、お前に、頼みがある!」

 

ルフィはジンベエに何かを頼んだ。それが何かはすぐわかる。

 

 

オーズ「うぅっ……エースぐん……」

 

黄猿「しぶといね〜」

 

「奴は虫の息だ!撃ち続けるぞ!」

 

黄猿「あ〜いいよいいよ。わっしがやるから。こう言う時は〜頭を狙うのがいいんだよね〜」キュイイィー

 

黄猿は指に光を溜めてオーズの頭に狙いを定める。そこに

 

くいな「海水……?」

 

ラダン「……来たか」

 

ドオオォンッ ザアアァァァッ

 

エース「ルフィ!」

 

ルフィが木の柱を持って現れた。

 

青雉「あーらら。とうとうここまで来たか」

 

赤犬「堂々としちょるの」

 

黄猿「怖いね〜この若さ」

 

そう、ルフィの頼みはジンベエに包囲壁の向こうまで飛ばして貰うことだった。

 

「今、壁の向こうに飛び込んだのエースの弟だ!」

 

白ひげ「フッ、小僧」

 

赤犬「お前さんの執念だけは褒めちゃろう」

 

青雉「だけど、お前にはまだこのステージは早すぎるよ」

 

黄猿「わしらに勝てるわけないでしょう」

 

ルフィ「エースを……返して貰うぞぉ!」

 

ルフィはそう言って木の柱を3人に向けて投げた。

 

白ひげ「あの無鉄砲さ。兄にそっくりだ。オーズ、そこにいろ。オメェの力が必要だ」

 

オーズ「おやっさん」

 

白ひげ「ジョズ切り札だ!」

 

ジョズ「おう!」

 

白ひげ「全員準備を!広場へ突入するぞ!!」

 

 

ガープ「ううっ……」

 

センゴク「構えろ!」

 

「「ハッ!」」

 

執行人2人はセンゴクの合図で処刑用の刀を構える。そして

 

センゴク「やれ!」

 

ルフィ「エースー!!」

 

執行人が刀を振り下ろして、エースに当たる寸前。

 

ザンッ

 

「「があぁっ……」」

 

センゴク「誰だ!」

 

?「フンッ」

 

センゴク「くっ、貴様だけは、白ひげに因縁あるお前は我らに都合良しと思っていたが……クロコダイル!」

 

ルフィ「あっ、あいつ!」

 

ラダン「ほー、あいつはニューゲートと因縁があるから、まさか手助けをするとは思わなかった」

 

かつて、何があったかはわからないが、白ひげに因縁のあるクロコダイルが白ひげの手助けをした。これには誰もが度肝を抜かれた。

 

クロコ「あの瀕死のジジイは後で殺すさ。……その前に、お前らの喜ぶ顔が見たくねぇんだよ」

 

スパンッ

 

ドフラ「おいおい、ワニ野郎」

 

「ど、ドフラミンゴ……」

 

ドフラ「俺をフッて白ひげと組む気か?」

 

クロコ「俺は誰とも組みはしねぇよ」

 

ドフラ「俺を袖にすることには変わりねぇってじゃねぇか」

 

クロコ「まぁな」

 

ドオォォーーンッ

 

「わあぁぁっ!」

 

 

「元帥殿!湾内の海賊達が妙な動きを!」

 

センゴク「なに?」

 

「オーズに向かって進めー!」 「何としても広場へ上がるんだ!」

 

ゴゴゴゴゴゴ……

 

ドンッ

 

「船へ乗り込めぇ!」

 

センゴク「ぐっ」

 

白ひげ「うちの船が出揃ったといった覚えはねぇぞ」

 

海中に潜んでいた白ひげ海賊団の船もう一隻が姿を現した。湾内の海賊はそれに乗り込んで広場を目指して進む。

 

「パドルシップです!こちらに真っ直ぐ突っ込んできます!」

 

センゴク「なに!」

 

「うち沈めろ!モビー・ディックのように!」

 

ドドドドドンッ ドォンッ ドォンッ

 

センゴク「違う!オーズを狙え!」

 

「え?オーズを?」

 

センゴクは海兵にそう言うが、もう遅い。

 

オーズ「いくぞ、みんな!」

 

突っ込んできた船をオーズは掴んで

 

オーズ「うお〜〜!!」

 

そのまま広場へ船を引き上げた。

 

センゴク「あぁ……」

 

ラダン「戦争は最終局面に移ったな」

 

くいな「戦争はさらに熾烈を極めるね」

 

ガープ「う〜ん。やられたな。僅かなネズミの穴1つ抜け目なく狙ってきよった。包囲壁はわしらの障害になりかねんぞ」

 

エース「オヤジ〜〜!!」

 

オーズ「やった……これで……エースぐんを助け……」ドンッ

 

ドドドドドンッ ドォンッ ドォンッ

 

「オーズ!!」

 

複数の大砲を受けたオーズは倒れそうになる。

 

オーズ「エースぐんを、必ず……!」

 

ドオオォンッ

 

オーズはそう言い残して倒れた。

 

エース「くうっ……オーズ……」

 

 

くいな「今度こそ、リトルオーズjrはやられたのかな……」

 

ラダン「いや、まだ生きている。流石はあの巨体と言ったところか。だが、ほっといたら死ぬのは変わらねぇ。持って4時間ってところか」

 

くいな「流石は魔人……」

 

 

そうこうしていると白ひげが広場へ降りた。

 

白ひげ「下がっていろよ、息子達」

 

白ひげはそう言って薙刀を構えて、薙刀に能力をのせて振り下ろした。

 

白ひげ「うおぉぉ〜!!」

 

ビキビキッ ドオォォーーンッ

 

白ひげ「野郎ども!エースを救い出し、海軍を滅ぼせえぇぇ!!」

 

 

 

青雉「アイスボール!」

 

またも構えた白ひげを青雉は氷に閉ざす。しかし

 

ビキッ バキッ

 

青雉「あらら。振動は凍らねねぇな、どうも。」

 

グサッ

 

「覇気で刺した!」 「やったか?」

 

青雉「バカいっちゃお終いよ」

 

パキパキッ

 

白ひげ「ん?」

 

青雉「アイス(ブロック)両棘矛(パルチザン)』!」

 

ジョズ「ぬおォォ!!」

 

ドゴンッ

 

槍を放とうとした青雉をジョズが吹き飛ばした。しかも能力の相性からか口から血を流している。

 

「処刑台は見えてるぞ!この混戦を制すれば!」 「貴様ら海賊にここを通さん!」

 

 

モモンガ「麦わら。海軍中将の名に掛けてここは通さん!」

 

ルフィ「ぐっ、ギア……2(セカンド)……ぐっ……」

 

「限界のようだな、麦わら!『指銃(シガン)』!」ドゴッ

 

ルフィ「があぁっ!!」

 

 

ラダン「ルフィも限界か」

 

くいな「仕方ないよ。まだルーキーなんだし」

 

ガープ「ううっ……」

 

ガープは拳を振るわせていた。

 

センゴク「ガープ。自分の立場をわきまえろ」

 

ガープ「!うっ……」

 

 

ドゴンッ ヒュー ガシッ

 

黄猿によって蹴り飛ばされたルフィを白ひげが掴んだ。

 

黄猿「お〜お〜、白ひげの采配にも焼きが回ったね〜。まさかそんな無謀なだけのクソ雑魚に先陣を切らすとはね〜」

 

?「いたッチャブル!ジンベエあそこよ!」

 

どこからかその声が聞こえた。

 

「どこだ?」 「影?」 「いた!あそこだ!」

 

影の出先を見ると頭がとんでもなくデカいイワンコフがいた。

 

イワ「それ見たことか!だから言わんコフッチャナッシブル!」

 

ジンベエ「ルフィ君!」

 

 

ラダン「あの頭の大きさどうなってんだ?」

 

くいな「さぁ?」

 

 

白ひげ「こいつは十分やった。手当てしてやれ」

 

白ひげはそう言って船員にルフィを放り投げる。ルフィはそれでもエースの元に行こうとするが、無理が重なってついに倒れてしまった。

 

ジンベエ「ルフィ君!おい!」

 

「これはひどい……」

 

ジンベエ「すまん船医。なんとか命をつないでくれ!ルフィ君、ルフィ君!しっかりしろ、ルフィ君!」

 

白ひげ「ほざくだけの威勢の塊。若く無様……」

 

白ひげは処刑台のエースを見上げる。

 

白ひげ「そういうバカは好きだぜ」

 

白ひげは一歩前に出る。

 

白ひげ「グララララ……命のいらねぇ奴は前に出ろ!」

 

「来るぞ!白ひげだ!」

 

白ひげは薙刀を構えてさっきと同じように振った。しかし

 

ガキィンッ

 

赤犬「そう好き勝手暴れてもらっちゃ、この島がもたんわい!」

 

白ひげ「グララララ、守ってみろ!」

 

白ひげと赤犬の圧倒的力がぶつかり合う。

それを皮切りに戦争は熾烈を極めた。傘下の海賊も広場に上がり、パシフィスタもほぼ無差別攻撃を始めた。

 

マルコ「待ってろよい、エース!」

 

マルコはエースに向かって一直線に飛んだ。

 

センゴク「何をしている!撃ち落とせ!」

 

パシュンッ パシュンッ

 

「銃が効きません!」

 

センゴク「構わんから撃ち続けろ!」

 

マルコがエースに届きそうになったその時。

 

ガープ「うらあぁっ!」

 

ドゴンッ

 

ヒュンッ ドガアァンッ

 

「マルコ隊長!」

 

ついにガープが動いた。流石は英雄。

 

ラダン「あんなに悩んでいたのによく自分から出たな」

 

ガープ「これは戦争じゃい。敵が向かってきたら倒す。当然のことだ」

 

ラダン「……未だに葛藤しているようだな。難しいものだ」

 

ガープ「……」

 

エース奪還への大きな壁。それは大勢の海兵と三大将だけではない。三大将をも上回る実力を持つ英雄・ガープ。そして海軍本部元帥・センゴク。その2枚の壁が未だに残っている。

 

ガープ「ここを通りたきゃ、わしを殺していけ!ガキども」

 

 

ラダン「ルフィは消耗が激しいな。まだ動ける切り札があったとしても、戦争が終わった時にはルフィの体はボロボロだろうな」

 

くいな「船長候補君大丈夫かな……」

 

ラダン「まぁ、問題ないだろう。どうやら、家族揃ってしぶといらしいからな」

 

ガープ「……」

 

ラダンはそう言ってガープを見るが、ガープは沈黙を貫く。

 

 

エース「くそッ……俺は歪んでる……こんな時に……!」

 

ガープ「うん?」

 

「今行くぞ!エース!」

 

「すぐ助けてやる!」 「諦めんじゃねぇぞー!」

 

エース「オヤジが、弟が、仲間達が……血を流して倒れていくのに……俺は嬉しくて、涙が止まらねぇ……!」

 

エースは涙を流し始める。

 

エース「今になって……命が惜しい……!」

 

ガープ「ぐっ……」

 

 

 

一方で白ひげは赤犬と戦っていた。その時

 

白ひげ「ぐ……ぐおっ」

 

ポタポタ

 

白ひげは胸を押さえて膝をついた。さらに吐血してしまった。

 

白ひげ「クソッタレ……!」

 

赤犬「寄る年波は越えられんか、白ひげ」

 

ラダン「ニューゲート……」

 

赤犬「冥土への引導。このわしが渡しちゃろうかいのう!」

 

赤犬は溶岩の腕で膝をついた白ひげに殴り掛かった。

 

ドゴッ ドガアァンッ

 

白ひげ「ぐおぉ!!」

 

赤犬の攻撃に白ひげはダメージを負う。

 

ラダン「っ……」グググ……バキンッ

 

くいな「ラダンさん……」

 

ラダン「傍観するのも辛ぇな……」

 

くいな「……うん。そうだね……」

 

くいなは少しでもラダンの気持ちを和らげるためにラダンの手に自分の手を重ねた。

 

ラダン「ありがとうな」

 

くいな「ううん。お嫁さんとして当然のことだよ」ニコッ

 

ラダン「……ありがとう」

 

くいなの笑顔にラダンは微笑みで返した。

 

 

しばらくすると新しい執行人が処刑台に上がり、処刑の準備を始めた。

 

ルフィ「クソぉ!いそがねぇと!」

 

チュドーンッ

 

ルフィ「うおっ!」

 

ピピピピピ……

 

ルフィ「今度はなんだ!」

 

「モンキー・D・ルフィ」

 

ルフィ「しまった!こいつら厄介だ!」

 

パシフィスタが光線を放とうとしたその時。

 

スタッ バッ

 

ルフィ「危ねぇぞ、お前!」

 

「ボア・ハンコック。七武海。攻撃中止。味方だ」

 

パシフィスタはハンコックを認識して攻撃をやめた。

 

ルフィ「そうか。お前達は仲間か。ありがとう、ハンコック!」

 

ハン「早く行け!其方はラダンの船長になる男なのだから!」

 

ハンコックはそう言ってルフィをせかす。

 

ハン「クソッ。ラダンが辛い思いをしているのに妾は何も出来ない。これほど自分が無力と感じたことはない……!」

 

ハンコックは辛い思いをしているラダンに対して何もできないことを悔いている。

 

 

ラダン「ハンコック……すまねぇ、俺が不甲斐ないだけに……」

 

くいな「ラダンさん。そこは謝罪じゃないよ?」

 

ラダン「……フッ、そうだな。後でハンコックには感謝しねぇとな」ナデナデ

 

くいな「ん。えへへ」ニコッ

 

 

白ひげ「ぐっ、うぅぅ……」ジュウゥゥ……

 

青雉「崩れたな、白ひげ海賊団」

 

センゴク「ぐずぐずするな!一気にたたみかけろ!」

 

「白ひげの首を取れえぇー!」

 

「「ウオオオォォォォォ!!」」

 

ドンッ ドンッ

 

グサッ グサッ

 

「「オヤジイィィ!!」」

 

数人に刺され、さらに顔に砲撃を受けた白ひげは倒れそうになる。しかし

 

ザッ

 

白ひげ「来るな!」

 

「なっ」

 

白ひげ「こいつら……これしきで……この俺を殺せると思ったのか」

 

白ひげは徐々に上半身を上げる。

 

白ひげ「助けなんざいらねぇよ。俺は……俺は……俺は白ひげだ〜〜!!」

 

白ひげは薙刀を振り回して周囲の海兵を吹き飛ばす。

 

センゴク「怯むな!奴は手負いだ!」

 

白ひげ「手負いだと……?フッ、笑わせてくれる。この程度で死んでたまるか」ズザッ

 

エース「オヤジ……」

 

白ひげ「俺が死ぬこと。それが何を意味するか。俺は知ってる」

 

ラダン「ニューゲート……」

 

白ひげ「だったらオメェ。息子達の明るい未来を見届かねぇと、俺は死ぬわけにはいかねぇじゃねぇか」

 

エース「あぁ……」

 

白ひげ「なぁ、エース」

 

「死に損ないが!」

 

ドオオォンッ

 

ギャアァァッ!!

 

「なんだ!?」

 

ドオオォンッ

 

ギャアァァッ!

 

「あ、アイツらはなんだ……白ひげと心中する気か!」

 

ジンベエ「ハァ、ハァ、貴様らがわからんでもええわい!」

 

白ひげ海賊団の隊長達とジンベエが白ひげのする中を守るように立つ。

 

センゴク「未来が見たければ見せてやる、白ひげ。やれ」

 

センゴクの合図で執行人が刀を構える。

 

白ひげ「無駄だ!それを俺が止めれねぇとでも……ぐおっ」

 

ドサッ

 

白ひげはまた膝をついて吐血した。赤犬のダメージが相当デカいようだ。

 

白ひげ「ぐうっ……」

 

ルフィ「やめろ!」

 

ルフィもまた阻まれながらも処刑台を目指す。

執行人が刀を振り下ろしたその時。

 

ルフィ「やめろおおぉぉぉ!!」

 

ギイイィィィン

 

ドサッドサッ

 

ルフィの無意識の覇王色の覇気によって執行人、さらに大勢の海兵、海賊が気絶した。

 

ラダン「相変わらず、素質を感じる覇気だな」

 

くいな「これが彼の覇王色……」

 

ラダン「しかもまた無意識ときた。にしても、だいぶ人数を減らしたな。後から起きてくるやつがいるとはいえ、道が切り開かれたな」

 

青雉「おいおい。まじかよ」

 

黄猿「怖いね〜」

 

白ひげ「あの小僧」

 

ルフィ「うおおおおぉぉ!!」

 

ルフィの無意識の覇王色によって切り開かれた道。エース奪還はラストスパートに入った。

 

 




今回はここまで。
場面を飛ばし飛ばしで意外にも書きたい場面が多くて長引きました。
隙があればラダンとくいながイチャつくように書きました。しばらくイチャイチャシーンが有ればラダンとくいながメインになると思います。(女帝に踏まれたくないので頑張ってハンコックとのイチャつきもいれます)ヒソヒソ

マリンフォード編もあと3話ほどで終わる見込みです。その後はちょっとした幕間で2年後になります。
幕間は詰め込めば1話か2話になると思うます。

次回はエース救出からエースの死まで。まさか1話内で救出から死になるとは……
次回、火拳の救出。そして最期
次回までニョロっと待ちましょうま。はて、ニョロっととはなんなのだろう?


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