ウマ娘耳かき小説 (雨宮季弥99)
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ミホノブルボン

 マスター……マスター……、マスター、聞こえていますか?

 

 驚かせてしまって申し訳ありません。しかし、先程より何回もお呼びしても反応がなかったので。どうかされたのですか?

 

 ……なるほど、最近耳の調子が良くないと。失礼ですが、少し耳の中を見せて頂いても宜しいでしょうか。

 

 では、失礼して……マスター。かなり耳垢が溜まっています。反応が遅かった原因は、耳垢による難聴が原因であると推測されます。

 

 病院に行かれることをお勧めしますが……なるほど、器具の音がキツくてあまり行きたくないと……。では、僭越ながら、私が耳かきを致しましょう。

 

 遠慮などされないでください。マスターが今の調子では私としても困りますので。どうか、このまま膝枕の上に頭を置いてください。

 

 ……はい、素直になっていただけて感謝します。では、早速耳かきを始めますね。

 

 まずは外側からやっていきましょう。綿棒でゴシゴシ……外側の粉の部分を擦っていって……ゴシゴシ……ゴシゴシ……グシグシ……凄い汚れです、マスター。もう綿棒が黄色く染まっています。

 

 耳のケアを怠る事は推奨できません。お風呂上りにはかならず外側もしっかりと拭いてください。そうでなければ、今後もこうして粉が噴いてしまいます。

 

 え……、なんで詳しいのかですか? 父もマスターと同じで、母がよく耳かきをしてあげていましたので、私も、自然と勉強しました。

 

 さ、さぁ、続きをしていきましょう。次は、耳の中を掃除していきます。

 

 耳かきで……カリカリカリ……小さい耳垢はそのまま……カリカリと端から掻いていって……すぐに取れますね。まずはこの辺りの小さいのから……カリカリカリ……カリカリカリ……。

 

 え……なんで口にしてるかですか? その、父がこういうのが好きなので……マスターは嫌いですか? え、好き? そ、そうですか……それでは……続けます。

 

 カリカリカリ……コリコリコリ……剥がれてきたので力を入れて……ペリッ……ペリッ……はい、取れました。

 

 どうでしょうか? 痛く……ないですか? 少しむず痒い。申し訳ありませんが、それは我慢してください。次……始めます。

 

 コリコリ……カリカリカリ……少し固いですね、慎重に……あ、マスター、頭を動かさないで。……そんなに痒いんですか? では……。

 

 こうして……頭を撫でて……心を鎮めて……、痒み、少しは収まりましたか? そうですか。では、耳かきを再開します。それでも我慢できないのなら、私のスカートを掴んでいてください。

 

 カリカリ……ペリッ……はい、端が剥がれてきましたので、もう少しです。頭を撫でて欲しい? いえ、ここはこのまま一息に剥がしてしまいましょう。そう、スカートをしっかり掴んで……。

 

 ガリガリ……ガリガリガリ……ベリッ……ベリッ……っ、と。もう少しですマスター。もう少し……で……っ!

 

 はい、無事に取れました。一番大きい物です。こんな大きい物、初めて見ました。マスター、改めて、耳のケアをすることを強く勧めます。

 

 ……そうですか、そんなに病院に行かれたくないのですか。それなら、私が今後、マスターの耳かきをさせていただきます。

 

 え? 悪い……ですか。いえ、問題ありません。マスターにはお世話になっていますから、これぐらいはさせてください。それに……私もマスターの耳かきを……したいと思って……いますので。

 

 ……ありがとうございます、マスター。では、こちら側の耳かきが終わったら、反対側もしましょう。……いえ、大丈夫です、別にマスターの頭が乗っていても足が痺れたりという事はありませんので。

 

 では、こちら側の残りを……カリカリと……少しずつ取っていって……幸い、もう大きいのはないのでこのまま……はい、痒かったらスカートを掴んでいてください。

 

 このまま……全部取っていって……はい、問題はありません。あと少しで、全部……取れました。痒みを我慢されて、マスターもお疲れ様です。

 

 では、アフターケアとして、耳の中にローションを塗ります。これを塗っておけば耳の荒れも防げます。冷たい……? すみません、次からは温めたものを使用します。

 

 ……はい、塗り終わりました。では、反対側を向いてください。え、恥ずかしい……ですか? 大丈夫です、マスターなら……私は大丈夫……ですから。

 

 ……ありがとうございます。でも……はい、恥ずかしいので……できれば目を瞑っていただければ……ありがとうございます。では、耳かきを始めます。

 

 こちらも……汚れていますね。外側の粉を綿棒で……ゴシゴシゴシ……グリグリ……グシグシ……耳の粉をこうして掻き出して……耳の中の耳垢を……カリカリカリ……カ~リカリ……ペリッペリッ。

 

 ガリガリ……ゴリゴリ……ベリッベリッ……はい、我慢してくださいマスター。そうして我慢して……はい、もう少し……もう少しで終わりますから。

 

 ……お疲れ様ですマスター。よく頑張られました。耳かき、修了です。では、次はお昼寝に移行します。

 

 ……何かおかしなことを言ったでしょうか? 父も、よく母に耳かきをしてもらった後にそのまま寝ていました。マスターも、少し眠そうに見えます。ですので、このままお昼寝しましょう。

 

 ……ですから、大丈夫です。ウマ娘の足なら、人間の頭部を何時間乗せても大した負担にはなりません。ですから、マスターは安心してお昼寝して大丈夫です。

 

 ほら、もう眠くなっているじゃないですか。このまま目を瞑って……私の手を握って……お休みなさいマスター。良い夢を。



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ダイワスカーレット

今回、ダイワスカーレットが耳かきを「してもらう」側となっております。


感想によりウマ娘の耳は真っすぐで体の位置を変える必要はないとのご指摘がありましたが、これは作者が普段の耳かき小説の癖で人間と同じ部分の耳掃除を前提で書いたためです。

コメントを頂いてから改めて調べましたが、ウマ娘のウマ耳部分が普通聴覚器官として働いてるようですが、人間部分の耳がないという明確な描写はなく、またウマ耳部分の耳掃除は現実では温めたタオル等で掃除するものだという記述がありましたので、基本的には描写がない限りはウマ娘に耳掃除をする場合、人間と同じ部分の耳をしているという事でお願いします。


 ん~……なんか、最近耳の調子が良くないわね。お医者さん、行った方がいいかしら?

 

 ん? ああ、トレーナー、どうかした? え、耳に指突っ込んでどうしてるかですって? あ~……最近、耳がやけに痒かったりするのよ。

 

 ……い、言いたいことはわかるけど、あんたに耳の中を見られるのは……うう、わかったわよ。早めに済ませてちょうだい。

 

 なによ、その顔は。……耳垢が溜まってる!? そんな、私何もしてないわよ!? え、指を突っ込みすぎて耳垢を奥に押し込んだかもしれないですって? そんなぁ……。

 

 うう……どうしよう、お医者さん、行った方がいいかしら? ……え、トレーナーが耳掃除するって? そ、それは……。え、こ、怖くなんてないわよ! さ、さぁ、さっさとやりなさいよ!

 

 ちょ、ちょっと……本当にあんたの膝の上に寝ないといけないの? そ、そうじゃないとやりづらい? わかったわよ……じゃぁ、よいしょ……っと。

 

 うん……悪くはない……わ。ほ、ほら、早く始めなさいったら!

 

 んん……外側、そんなに擦るものなの? え、外側も埃とかで汚れてるもの? た、確かにそうかもしれないわね。でも、こんなゴシゴシされると、なんだか耳が熱くなって……。

 

 はぁ……な、なんか、耳が熱くて……あ、もう終わり? そ、そう。……ざ、残念とかじゃないわよ! それより、耳の中……早くしてよ。この体勢……恥ずかしいんだから。

 

 ひぅッ……お、驚いてなんてないわよ! それより、どうなのよ耳の中は。ん? 結構汚れてる? わ、悪かったわね!

 

 あ、そこ……カリカリされるの……すごいこそばい。は、早く取ってよぉ……痛くしちゃうから慎重に? ううう……もどかしい……。

 

 ん……あ……耳の中……カリカリ……音が響いて……むず痒くて……ああ……早く取って……よぉ。

 

 いッ……ち、違うわよ。ちょっと痛かっただけだから、気にしないで……続けて。

 

 はぁ……コリコリ……音がして……もうちょっと? ん、わかったわ……ん、ッ……あ、剥がれてるのが……わかっ……ッッ。

 

 ふぅ……ふぅ……な、泣いてなんていないわよ! って、うわ……けっこう大きいの、あったのね。

 

 これで終わり? あ、塊は取れたけど、小さいのも掃除するのね。じゃぁ、まだこの体勢なのね。

 

 んん……綿棒で擦られると……こそばい。あ、も、もう終わり? そ、そうよね、粉だけだもんね。

 

 じゃぁ、反対側? わかったわ、よっと……。馬鹿言わないでよ! トレーナーのお腹側を向くなんて……恥ずかしいじゃないの!

 

 んしょと。じゃぁ、お願いね……ん……やっぱり外側からするんだ。べ、別に嫌じゃないわよ! ほら、早くやりなさいよ!

 

 んぁ……こ、こっちも汚れてるのね……わかってるわよ、ちゃんと……今日からは洗うから。

 

 ひゃんっ! う、煩いわね。耳の中は敏感なの! それで、どうなのよこっち側の耳の中は!

 

 んー、やっぱり、耳垢あるのね。ほら、さっさと取ってちょうだいよ。

 

 ふ……んぁ……あぁ……こそばい。癖になっちゃいそう……。

 

 ふ……ん……耳垢……カリカリって……コリコリって……音も気持ちいい……もっと……掻いて……。

 

 あ、背筋……なんか走って……ゾクゾクしちゃう。体が震えちゃう。こんなの……私、知らない……。

 

 ぁ、カリカリが、ペリッて……ペリペリッて……剥がれてく……ふ……アッ!

 

 ふぅ……はぁ……痛い……けど、気持ちいい……。トレーナー……耳かき上手なのね……。

 

 ふぇ……これからは自分が耳かきをしていっても良いって……うん、お願いしても……いいかしら。

 

 ふぁ……眠……ごめん……眠いから……寝ても良い? ……うん、ありが……と。ふぁ……お休……み……。



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サイレンススズカ

 トレーナーさん。最近、耳を良く搔いてますが、どうかされましたか?

 

 耳が痒い……ですか。あの、もしよければ……耳の中を見せて頂いてもよろしいですか?

 

 ええ、恥ずかしいという気持ちはわかります。でも、そんな頻繁に掻いてるのはどこか悪いかもしれません。お医者様に行く前に見ておくほうが良いと思います。

 

 では、失礼しますね。……原因が分かりました、耳垢ですね。

 

 そうですね、お医者様で取ってもらうのが良いと思いますが……もしよければ、私が耳かきをしましょうか?

 

 大丈夫か……ですか? はい、実は私、両親によく耳かきをしていたんです。ですから、トレーナーさんも遠慮せず、安心してくださって大丈夫ですよ。

 

 では、早速見させてもらいますね。……ふむふむ、そうですねぇ……見たところ、そこまで大きな汚れとかはありませんが……少し、お肌が荒れてるようです。耳かきと一緒に保湿ローションを塗っておきましょうか。

 

 え? ローションなんか塗るのかですか? はい、耳の保湿用として、専用のローションもあるんですよ、用意してきますので、ちょっと待っててください。

 

 

 

 お待たせしました。では、こちらにどうぞ……大丈夫ですよ、トレーナーさんなら膝枕してても大丈夫です。

 

 では早速耳かき、始めますね。ん~……まずはお耳の外側から、綿棒で汚れを取りましょう。

 

 ゴシゴシ♪ ゴシゴシ♪ え? 楽しそう……ですか? はい、耳かきをするのって楽しいんですよ。こうして汚れを落としていると……。

 

 はい、見てくださいトレーナーさん。綿棒がこんなに黄色に。外側も、埃とかで意外と汚れるんですよ。

 

 では、次は耳のツボを押しましょうか。私はまだ外側のツボしか覚えていないんですが、この辺りのとか……どうですか? じんわり耳が暖かくなってると効果があるみたいですよ♪

 

 では、ツボも押したので中の方を……始めていきますね。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……あら? どうしましたトレーナーさん? え? 私が耳元で呟いてると……背筋がゾクゾクする? それじゃぁ……もっとやってあげますね♪

 

 耳かきでカリカリ……カリカリ……小さい塊がもう少しで……カリカリカリと掻いていって……ペリッてちょっと剥がれましたね。それを下から、カリカリカリ……ペリペリっ……

 

 ペリペリ……はい、取れました♪ では、次のちょっと大きいのに取り掛かりますね。

 

 ……あら? トレーナーさん、顔が真っ赤ですね。ふふ、恥ずかしがらないでください。ほら、こうして……息遣いが聞こえるぐらいの耳元で……じっくり……と呟いてあげますからね♪ 

 

 ちょっと大きめの耳垢……カリカリカリ……周りの粉もザリザリと掃除して……この耳垢は素直に取れますね、ガリガリ……カリカリ……

 

 剥がれてきた所に耳かきを差し込んで……ぐっと力を入れてペリペリ……ペリペリ……後ちょっと……後ちょっとで……はい、取れました♪

 

 うん、これで綺麗になりました。後は……ローションを塗りますね。綿棒にローションを塗って、それから、耳垢を取った場所を中心に塗っていきますね。

 

 ん……冷たいですか? ごめんなさい、次からは温めたものを用意しますね。代わりに……耳元で、囁きますね。

 

 ぬりぬり……耳垢を取って熱い所に冷たいローションをぬりぬり……ひんやりひんやり……耳垢を取って熱い部分をひんやりと冷やしてあげます。

 

 ……はい、塗り終わりました。それでは反対側もしますね。

 

 え、眠い……んですか? では、先にひと眠り、しますか? 良いですよ、一度お休みされて、それから耳かきを始めても……あ、頑張る……んですね。わかりました……え、べ、別に残念になんて思っていませんよ?

 

 はい、それでは反対側を……ここはそんなに荒れてないですね。それではこちらは手早く終わらせましょう。

 

 外側をザリザリ……ザリザリ……内側はちょっと念入りに……粉はありますからこちらを綿棒でザリザリ……小さい欠片をカリカリ……カリカリ……ふふ、トレーナーさん、やっぱり眠くて仕方ないんですね。ではローションも早く塗ってしまいますね。ぬりぬり……ぬりぬり……。

 

 あ、ほら、もう瞼が落ちてきてる……我慢しないで、トレーナーさん。ほら、力を抜いて……スヤスヤ……スヤスヤ……手、握ってあげますから、楽にして……そのままそのまま……。

 

 ……お休みなさい、トレーナーさん。このまま膝枕……してあげますからね。



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ゴールドシップ

ゴルシの口調が怪しいのと耳揉みが書き慣れていないので短めとなっています。


 よートレーナー。元気してるかー?

 

 おいおい、どうしたんだよなんだか疲れた顔してさー。このゴルシちゃんが構ってるんだぜー。

 

 ……えー? 最近寝不足なのかよー。駄目だぞー、健康は大事にしなきゃなー。

 

 ……よっし、ちょっと待ってろよー。このゴルシちゃんが、トレーナーを二度と目覚めないぐらいの眠りに誘ってやるからなー。

 

 ……よしよし、待たせたなトレーナー。んん? なんだよ、なーに身構えてんだよ? 耳かきするだけだぞー。

 

 ほら、今日はサービスでこのゴルシちゃんの膝枕で耳かきしてやるから。あ? 私の耳かきは怖いだってー? おー、良い度胸だ、ぜってー寝落ちさせてやるかんな。

 

 ほら、観念して頭置けってーの……まったくてこずらせやがって。おら、動くんじゃねーぞ。

 

 あー? なんだよトレーナー、そんな汚れてもねーじゃんか。仕方ねーなー、耳ツボマッサージだなこりゃ。

 

 ほら、まずは外側。耳には色んなツボがあって、外側にもいくつもあるんだぜ。一つ一つ丁寧に、耳かきでギュッギュっと押してると……おう、耳が熱くなってんだろ? 血流が良くなってる証拠だ。

 

 ギュッギュッギュー。お? なんだなんだ、もうトロンとしてきてるじゃねーか。だらしない顔つきしてるぜー? よしよし、じゃぁ、次は耳の中やるかんなー。動くなよー?

 

 まぁ、中はちょっと汚れてるし、先に取っちまうか。粉は綿棒でガサガサと擦り取っていって……小さい耳垢も一緒に取っていってやるぜー。ほーら、ガッサガサ、ゴーソゴソ。ちょっと長細い耳垢とかも、ペリペリッて剥がしていってやるぜー。

 

 よーし、全部とれた。じゃ、耳の中に指突っ込む……あ? なんだよ怖がるんじゃねーよ、ほら、じっとしてろー。

 

 よしよし、まったく、ゴルシ様に力で勝てるわけないだろ、じゃ、こっちの穴に指突っ込んで、そのまま外側の指と一緒に揉み揉み。揉み揉み。ギュッギュッと、指圧もしてくぜ。

 

 お? 不思議そうな顔してるなー。これは耳の穴揉みって言ってな、これもツボ押すマッサージの一種なんだぜー。

 

 ほーら、ちょっとばかし痛いかもしれないけど、徐々に気持ちよくなってんだろー。ゴルシちゃんにここまでしてもらえるなんて、トレーナー冥利ってやるだぜ。

 

 んじゃ、反対側やるからなー。ひょいっとトレーナーひっくり返して……なんだよー、顔赤くしちゃってさ。そんなに私のお腹見るのが恥ずかしいってかー? じゃ、目瞑ってろー。

 

 どれー? なんだぁ、別に汚れてもねーじゃん。つまんねーの。そんじゃぁ体勢変えるかー。ほら、横じゃなくて縦になれートレーナー。

 

 よーしよし、縦に仰向けになったなー。じゃ、両耳に指突っ込んで、揉み揉み、揉み揉み。ほれほれー、ゴルシちゃんの指は暖かいだろー、気持ちいいだろー。こーして耳の敏感なとこ、グリグリ揉んでやるからなー。

 

 揉み揉み。グッグッと耳の中を押して、血流を刺激したらあら不思議、どんどん疲労が取れてくんだってなぁ。どうよ? ゴルシちゃん博識だろー? 惚れてもいいんだぜトレーナー。

 

 んぁー? おいおいなんだよ、トレーナーいつの間に寝てるんだよぉー。反応がないから全然気づかなかったじゃんか。まったく、ゴルシちゃんにかかったらトレーナーなんかあっさり骨抜きだなー。

 

 ……なんて、最近疲れた顔してたもんなぁ。もうすぐ大勝負だからってなんで私より気を張ってるのかねぇ。このゴルシちゃんのトレーナーなんだから、もっとドンと構えてりゃいいのによ。

 

 ……今日は特別なんだぞー。ゴルシちゃんの膝枕で寝れるなんてトレーナー冥利に尽きるんだから、精々幸せな夢見るんだぞトレーナー。起きたら、私の気が済むまで付き合ってもらうからな。



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アグネスタキオン

アグネスタキオンで書いてみました。

タキオン、なんていうか正統派とは違う路線なんですけど、可愛いですよね、色んな人がイラストとか描いてるから猶更伝わってきますし。


 あー、居た居たモルモット君、ちょっと君に用事があるんだよ。

 

 なんだいそんな腰が引けて。ははは、別に今日はモルモット君で実験するわけじゃないから安心したまえ。

 

 実は、ちょっとモルモット君の生体の一部が欲しくてね。……だから、腰が引けてるぞモルモット君、別に痛い思いをさせるわけじゃないさ。

 

 簡単な話だ、君を私が耳かきする。私はそこからサンプルを取る。君は耳が綺麗になってスッキリする。どうだい、winーwinというやつさ。

 

 え? 耳垢なんかがなんのサンプルになるかだって? ふふ、それは秘密さ。さ、早く私の膝に頭を乗せたまえ。

 

 ふふ、どうだいモルモット君、普段から走ってる私の膝枕は。ん? 思ったよりも柔らかくて気持ちよい? ふふ、口が上手いねぇ。悪い気はしないよ。

 

 さて、では早速始めよう。まずは耳の外側だ。粉はさすがに生体サンプルにはならないが、なについでというやつだ、気にすることはない。

 

 ふむふむ、意外と汚れてないな、ちゃんとお風呂で洗ってるのだな。良い事だ、こういう目立たない部分の身だしなみは疎かにしがちだからね。

 

 では、生体サンプル採集の礼だ、君のツボを押してあげよう。なに、変な場所ではないぞ? ちゃんとネットで調べて出てくる程度の一般知識だ。なにせ耳にはかなりのツボが存在する。いくらでも押せるというものさ。

 

 ここは胃に効くし、ここは肺、ここなら食べ過ぎ防止だし、膝の痛みに効くものある。耳かきでやっても良いが、折角だから指で押してあげよう。ほーら、ギュッギュっと、どうだい私の指使い、気持ちよくなっているかい?

 

 そーかそーか、それは良かった。さて、いつまでもここで時間を食うわけにはいかない、早速耳の中を掃除していくぞ。ふーむ、これは中々、汚れが溜まっているね。外が綺麗だっただけに、汚れが際立っているじゃないか。

 

 では、早速掃除と行こうじゃないか。まずは耳かきで小さい汚れから取っていくぞ。カリカリカリ……カリカリ……おや、なんだいモルモット君、私の囁きが気になるのかい?

 

 気にする必要はない、単なる私の癖だ。それとも、もしかしてイヤかい? そうかそうか、むしろ聞いていたいか。なら、期待に答えてあげようじゃないか。

 

 カリカリカリ……カ~リカリ、カッカッ、カリカリ……うん、ペリッと剥がれたようだ。この調子で小さい耳垢をペリペリ、ペリペリ、カリッカリッ。ふーむ、君の耳垢はけっこう素直に取れるようだね、重畳重畳。

 

 ふむふむ、大きさも問題はなさそうだ。しかしまぁ、君はもう少し耳の中にもケアするようにするべきだな、耳垢は少ないが、所処の肌が荒れている。これではそのうち耳垢で耳が詰まってしまうぞ。まぁ、私は生体サンプルが取れるから問題はないが……普段の会話に支障が来るようではこまるのだよモルモット君。

 

 まぁ、安心したまえ、そうなる前に私がこうして耳掃除をしてあげようではないか……ふむ、こちらは大まかに終わったようだ。さて、反対側を向き給えモルモット君。

 

 おやぁ? どうしたんだいモルモット君、耳どころか顔まで真っ赤じゃないか。耳が赤いのはツボを押したからだろうけど、こんなに顔を赤くしてるのはなんでだろうねぇ? 嫌々、皆まで言わなくても良い。長い付き合いだ、君の考えぐらいはわかってるつもりだよ。ふふ、しかし、私を女として見てるとは、意外だね。

 

 まぁ、それは追々話を聞くとしよう。こっちの耳垢もちゃんと掃除しなければ、サンプルが取れないからね。ふーむこちらもそんなに汚れてはないな。だが、肌荒れは所々にあるし、今度は保湿ケア用のローションを塗ってあげよう。あいにく今日は用意してないんだ。

 

 ああ、そうだ、私の唾液でも塗ってみようか? ……いやいや、冗談さ、流石に私もそんな事はしないさ。さ、冗談は置いておくぞモルモット君。

 

 こちらも、大きな汚れはなさそうだ。ではツボを押してあげよう。ギューッ、ギューッ、ギュッギュッ。ふふふ、赤くて熱いなぁ、ちゃんとツボが効いてるようだねモルモット君。

 

 では、中も進めていこう……ふむ、モルモット君、どうやら君は眠くなっているようだね。隠さなくても良い、こんなに体が弛緩して、瞼も落ちているではないか。構わないさ、耳掃除が終わったらこのまま眠ればいい。……いったい何を警戒しているんだい? 流石の私も寝込みの君に何かをすることはないさ……多分ね。

 

 さ、中の掃除を続けようではないか。カリカリ……ガリザリ……カリカリカリ……耳元でこうして囁かれるのはどうだい? 背筋がゾクゾクする? ふふ、面白い反応だなモルモット君。耳には快感を司る神経が走っているからね。こうして、耳垢が取れて敏感になってる所にフーッ……ははは、ビクンと体が震えたじゃないか。そうそう、気持ちいいだろモルモット君。だが残念だが、それは主題ではないのだよ。

 

 ふむふむ、カリカリカリ……ガリっと横から耳垢の下に耳かきを差し込んで……グッグッと力を込めて……よーしよし、我慢したまえモルモット君。もうちょっと、もうちょっと……よしよし、これは思ったより手強かったかな。

 

 ふーむ、うん、後はもう目ぼしい耳垢はないようだ。さて、それではモルモット君、お昼寝タイムだ。このまま私の膝枕でゆっくりと眠るが良い。なに、私の手を握って、全てを私に委ねるがいい。

 

 ……おやおや、あっさりと寝てしまったか。そんなに私の事を信用しているのかい? ふふ、君にウソをついてる私を、そんなに信用していいのかな?

 

 ……まさか、生体サンプル採取なんて嘘っぱちで、君に耳かきと膝枕をしたかっただけなんて聞いたら君はどんな顔をするのかな? まぁ……絶対に言うつもりはないから、このままゆっくり寝ているんだぞ、トレーナー君。



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マルゼンスキー

マルゼンスキーはお姉ちゃんキャラ。なのでスーパークリークとは違う視点からの甘やかしが似合うと思いました(小並感)


 はーい、どうしたのトレーナー君? なんだか浮かない顔をしてるわね。

 

 耳の中が痒い? どれどれ? お姉さんに見せてごらんなさい。恥ずかしい? 何言ってるの、これぐらい気にしない気にしない。

 

 ……もう、駄目じゃないのトレーナー君。こんなに耳の中を汚しちゃって。見えないところをケアするのだって、大切な事なんだから。

 

 良いわ、お姉さんが耳かきしてあげる。なによー、私達の仲じゃないの、気にしちゃだめよ。ほらほら、早く私の膝枕に頭を乗せなさい。

 

 さ、それじゃぁ早速始めるわよ。耳かきしたらトレーナー君の調子も絶好調のノリノリになるんだから、楽しみにしてなさい。

 

 ふんふん、外側はそんなに汚れてないわね。それじゃぁ外側は飛ばして、中から始めていくわ。

 

 んー。駄目ねぇ、改めて見てもやっぱり耳垢だらけじゃないの。ダメダメよトレーナー君。

 

 それじゃぁ、早速始めていくわね。まずは……綿棒で細かい粉を取っていくわ。

 

 ザラザラ……クルクル……綿棒に粉や欠片を絡めていって……ザリザリ……耳垢もこのまま取れたら良かったんだけど……んー。これは耳かきのほうが良いかしらね。

 

 はい、まずは小さい汚れを取ったわ。ほら、見なさい、白い綿棒がこんなに真っ黄色。これだけ汚れてるのよ貴方の耳の中。お風呂上りにちゃんとタオルで拭きなさい。

 

 さ、次は耳かきだけど……木と金属とどっちのほうがいい? あ、金属のほうが良いのね、分かったわ。

 

 それじゃぁ、始めるわね。カリカリ……ガリカリ……んー、頑固な耳垢ねぇ。トレーナー君痛くない? 大丈夫ね? それじゃぁちょっと力を入れるわね。

 

 ガリガリ……んー、下……横……いや、上からのほうが良いかしら。少しづつ、ガリガリと剥がしていって……空いた隙間に耳かきを差し込んで……ベリベリって剥がれてきたわ。むず痒い? 大丈夫よ、もうちょっとだから、焦らないの。

 

 無理に剥がしたら血が出ちゃうから、ちょっとづつ……隙間に耳かきを差し込んで……うん、あとちょっとで……よし、取れたわよトレーナー君。

 

 ほら、見て頂戴トレーナー君。こんなに大きいのがあったのよ。こんなの放ってたら大変な事になってたかもしれないんだから。だ・か・ら、ちゃんと掃除しないと駄目なのよ。

 

 それじゃぁ次ね。これもけっこう大きいわね。取り合えず下から……んー、まだ剥がれやすいかな? よしよし、これなら無理に力を入れなくてよさそうね。ペリペリ……ペリペリ……ガリガリ……。

 

 これもちょっと……カリカリ……と、ペリペリ……と。よし、もうちょっとでベリッと一気に……剥がれたわ!

 

 よしよし、偉いわトレーナー君、動くのを我慢できたおかげでスムーズに耳垢が取れたわよ。うーん、後は問題なさそうね。それじゃぁ、綿棒でガサガサ……と、残りの汚れを取っていって……最後に。

 

 フ~……フ~……どうしたのよ、耳を真っ赤にしちゃって、これは耳掃除のお約束でしょ? 恥ずかしがらなくていいわよ。ほら、もう一度……フ~……フ~……

 

 ウフフ、これで終わったわ。さ、反対反対。グズグズしてないで反対側を向いてちょうだい。

 

 うん、素直なトレーナー君は素敵よ。あらあら、そんなに耳を真っ赤にしちゃって、恥ずかしがらなくても良いじゃない、私達の仲なんだから。

 

 さ、それじゃぁ続きを始めるわ。こっちは外側も汚れてるから、綿棒でザリザリ♪ ザリザリ♪

 

 ん? 楽しそう? ええ、勿論楽しいわよ。トレーナー君の耳掃除、思ったよりも楽しいのよね。

 

 ザーリザリザリ♪ よしよし、汚れも十分取れたから、中の掃除に行くわよー。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……ガリッペリッ……

 

 ザリザリ……カリカリカリ……ペリッペリッ……

 

 ほらほら、トレーナ君、どんどん汚れが取れていってるわ。気持ちいい? そう、とても気持ちいいのね。

 

 じゃぁ、もうちょっとやってあげる。やり過ぎたら余計に耳が荒れちゃうから、もうちょっとだけね。

 

 ガリガリ……ペリッ……ズズズ……

 

 ズズ……カリカリカリ……ガリッ……ガリッ

 

 ん……? あら、眠そうねトレーナー君。そんなに眠いの? そう、それじゃぁ仕方ないわね。

 

 それじゃぁ、このままお眠しましょうか。大丈夫よぉ、トレーナー君は心配なんてしなくていいの。お姉さんに身を委ねなさい。

 

 良い子、良い子、いっつも頑張ってるんだもの。頭を撫でられるのって気持ちいいでしょ? たまには素直になって休みなさいな。

 

 手もギュッと握ってあげるわ。安心できるでしょ? お母さんに甘えてるみたいに甘えても良いのよ?

 

 よしよし、よしよし……お休みなさい、トレーナー君。



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サクラバクシンオー

バクシンオーは力押しタイプですが、こういうところで意外と繊細な指さばきができたら可愛いなと思います(小並感)


 バクシーン。さぁトレーナーさん、今日も張り切ってトレーニングです!

 

 ん? どうしましたトレーナーさん? それは……耳かきでしょうか。え、こないだから耳の中に違和感があるんですか。

 

 むむむ、それは放っておけませんね。わかりました、この委員長が、トレーナーさんの耳掃除をして差し上げます!

 

 おや? 何を体を引いているんですか? ご自分でやるより私がやる方が効率が良いですよ。ほら、はやく私の膝枕に頭を置いてください。

 

 ふう、やっとおとなしくなってくれましたね。それでは、早速耳かきを始めましょう。

 

 まずは、外側ですね、綿棒で慎重に……ザリッ……ザリッ……んー、粉が少々ありますね。全部取っていきましょう。

 

 ザリッ……ザリッ……ザリザリ……

 

 ザリリ……ザッザッザッ……

 

 んー、ちょっとこの綿棒はもう駄目ですね。捨てて次のやつを使いましょう。

 

 え、意外と丁寧にやってる? 失敬ですね、委員長である私が変な指先捌きをするわけないじゃないですか。耳は繊細な器官なんですから。

 

 さぁ、中をやっていきますよぉ、動いちゃだめですからね。痒かったりしたら都度都度ちゃんと言ってくださいね。

 

 では……ふーむ、トレーナーさんは粉が多そうですね。では綿棒で取っていきましょう。

 

 ザリザリ……ザザ……ザリリ……ゴシゴシ……

 

 ゴシゴシ……ゴーシゴシ……ザリザリ……

 

 んー、いやいや、思ったよりも粉が多いですね。綿棒一本使っても取り切れていないですね。それに、粉に隠れていた耳垢も出てきましたね。

 

 耳垢のほうも纏めて取っていきましょう。そんなに大きくないですから、ささっと行きますね。

 

 クルクル……ガリガリ……ザリザリ……

 

 グリグリ……ザザ……ザリリ……

 

 ふむふむ……トレーナーさん、どうやら粗方取れてきたみたいですね。粉だけなら、やっぱり早く終わりそうですねぇ。

 

 え、思ったより上手だって? そりゃぁ私、委員長ですから。耳かきだって一番です。

 

 まったく、私の事を信用してくれないトレーナーさんにはお仕置きですね。ふ~……ふ~……

 

 ふふふ、逃げられませんよトレーナーさん、むず痒くても、このまま息を吹きかけます。

 

 ふ~……ふ~……ふ~……

 

 ふっふっふっ。観念しましたねトレーナーさん。では、反対側も片付けましょう。それでは失礼して……よいしょー。

 

 む、なんですか? ひっくり返されたのが恥ずかしい? 何を言ってるんですか、ウマ娘の力なら当然です。さぁ、おとなしく……何を逃げようとしているのですか。逃げようとするトレーナーさんにはお仕置きです。

 

 ほらほら、こうして押えたら逃げられませんよー。……え、私のお腹とか見えてるの恥ずかしくないのかですって? 何言ってるんですか、トレーナーさんなら恥ずかしくなんてないですよ。

 

 さぁ、そんなことより耳かき再開です。こちらも……粉が中心ですね、では綿棒でやっていきます。

 

 ゴシゴシゴシ……ゴシゴシ……ザリザリ……

 

 ザッザッザッ……ザリザリ……ベリベリ……

 

 んー、薄い耳垢ならそのままこそぎ落せますね、大きい耳垢がないのは幸いですね。

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 ゴシゴシ……クルクル……

 

 んー。よしよし、こっちは簡単に終わりましたね。では、息を吹きかけます。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 よしよし、これで耳掃除終わりです。では、ここからはお休みのお時間です。

 

 え、何を言っているのかですって? トレーナーさんこそ何を言っているんですか。耳かきの後はそのままお休みする。これもお約束じゃないですか。

 

 そんなに眠くない? いえいえ、トレーナーさん、最近は夜遅くまで起きてたりするじゃないですか。目を瞑ってるだけでも、体を休めたほうが良いですよ。

 

 むー……わかりました、そんなに言うなら私、子守唄を歌いましょう。

 

 バクシン バクシン バクシン バクシン バクシン バクシン バクシン バクシン バクシンシーン バクシン バクシン……

 

 ……もう、眠くないとか言ったのに、もう寝てるじゃないですか。だからお休みしないといけないんですよ、トレーナーさん。



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エアグルーヴ

普段ツンツンしてる人が優しくしてくれるとギャップが凄い。


トレーナー、何を耳に指を突っ込んでいる。汚いぞ。

 

 なに? 耳が無性に痒いだと? 貴様、まさか病気ではあるまいな? 少し見せてみろ。

 

 ……なんだこれは、耳垢だらけではないか。大方、碌に手入れもせずにいるんだろ。まったく情けない、それでも私のトレーナーなのか。

 

 仕方あるまい、私が耳かきをしよう。おい逃げるな、こんな耳のままで私のトレーナーを続けようなど言語道断だ、観念しろ。

 

 ……まったく、ウマ娘から逃げれるわけがないだろうに本気で逃げようとして……その根性を仕事に活かせないのかまったく。

 

 ほら、おとなしくしろ。耳垢を取るだけでは気が済まん、他の手入れもするぞ。

 

 なに? この体勢はマズイ? 誰にも見られなければ問題はない。良いから大人しくしていろ。

 

 まずは、耳の周りからだ。貴様、風呂に入った後にこの辺を拭いていないだろう、汚れが溜まっているぞ。まずはここをウェットティッシュで拭いていく。……一枚目で随分汚れが取れたな、あともう一枚で丁寧に……よし、こんなものか。

 

 次に耳の外側だ。まったく、ここも粉が多いな。綿棒で取っていって……真っ黄色になったぞ、ここも風呂上りにはちゃんと拭かないからこうなるんだぞ。

 

 ガサガサ……ガサガサ……

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 よし、外側は粗方取り終えたぞ。さぁ、耳の中だ。

 

 ……まったく、改めて見るとやはり汚いな。大きい耳垢がそこかしこにあるぞ。では、始めるから大人しくしているんだぞ。

 

 ガリガリガリ……ガリガリ……

 

 カリカリ……ペリペリペリ……

 

 大きい物が手間がかかるな、ヘタに剥がせば痛みが酷く……おい、動くな、危ないだろう。なに? むず痒くて仕方がないだと? 我慢しろ、我慢ができないなら私のスカートでも掴んでいるんだ……そうそう、それで我慢しているんだぞ。

 

 ペリペリ……カリカリ……ガリガリ……

 

 カリカリカリ……ペリペリ……

 

 薄い物は容易に取れるんだがな、小さいものでも固い物は中々……手間がかかるな、痛くないかトレーナー? 痛かったらちゃんと言うんだぞ。

 

 ガリガリガリ……ガリガリ……

 

 ガッガッ……ペリペリ……ザザザ

 

 よし、なんとか取れていってるな、大きい物はそこそこ頑固ではあるが……我慢してくれよトレーナー。

 

 メヂッ……ガリガリ……メヂヂ……

 

 メリッ……メリッ……ザリッ

 

 ふぅ、大きい物もようやく取れたか。後は……周りの残った物を取っていって……よしよし、これで取り終えたな。では、後は保湿処置だけだ。

 

 なんだと、そんなものは要らないだと? 馬鹿な事を言うな、保湿処置をしなければ耳の中が荒れたままではないか、それではまた耳垢ができてしまうぞ。おとなしく身を委ねろ。

 

 保湿用のローションだ、冷たいが動くんじゃないぞ

 

 ヒヤッ……ヌリヌリ……ヌリヌリ……

 

 ペタッ……ヌリヌリ……ヌリヌリ……

 

 よし、こんなもので大丈夫だろう。しばらくは違和感が残るだろうが、我慢するんだぞ。

 

 さぁ、反対側だ。……おい、何を逃げようとしている? 何? 反対は別にいいだと? バ鹿者、ここまでやって反対側を見ない理由があるか。さぁ、さっさと反対側を向け。こら、逃げるな。

 

 まったく、なぜ逃げようとするか……ふむ、こちらも……あるな。早速始めるぞ。

 

 外側は特に粉はないな。なに? さっき爪で取ってただと? そんな汚い事をするんじゃない。手はもう洗ってる? そう言う問題ではない。

 

 ……取り合えず外側は大丈夫そうだな、中は……ふむ、こっちにも中々に溜まっているか。では、さっそく取り掛かろう。

 

 メヂッ……メヂッ……バリバリ……

 

 カリカリ……ペリッ……ガッガッ……

 

 まったく……乾いて砕けやすいのならまだ取りやすいのだが……しっかりと引っ付いているな。手間取ると負担をかけることになるが……

 

 我慢しろよトレーナー。剥がれてきてるからな。

 

 ガリガリガリ……メヂメヂ……ガッガッ……

 

 ベリベリ……カリカリ……メヂヂ……

 

 ふぅ、でかいのは取れたぞ。まったく、手間取ってしまったか。後は大きいのはない、手早く済ませるか。

 

 カリカリ……ザリザリ……よしよし、小さいのも取れたし……これ以上やったら痛そうだな、やりすぎはよくないし、この辺りにしておこうか。

 

 では最後はもう一度ローションを塗る。

 

 ペタッ……ヌリヌリ……グチュ……グチュ……

 

 グチュ……ヌリヌリ……ヒヤリ……

 

 ふぅ、これで全部終わりだ。さ、もう起きても良いぞトレーナー……おい、なぜ私のスカートを掴んでいる?

 

 なに? 眠いからこのまま寝させろ? 貴様、調子に乗るんじゃ……はぁ、もういい。

 

 まったく、私の膝のどこが良いのか……。なに、柔らかくて気持ちいいだと? 貴様、訴えられたいのか?

 

 ……ああ、もういい。このままおとなしく寝ていろ。私も今日は休養にする。どうせ貴様も仕事で疲れているんだろう? 一眠りするのには付き合ってやる。

 

 ……はぁ、いつの間に寝ているんだこいつは。私のトレーナーならもっとちゃんとして欲しい物だ……まったく。

 

 ……そんな奴にわざわざトレーニングを潰してまで付き合うとはな、私も、こいつに染められてしまったか。

 



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キングヘイロー

お嬢様に耳かきしてもらえるのって、なんだかとても気持ちいい事なんじゃないだろうかと思いました。



6/28
コメントにてキングはですわ口調だったか? という指摘があり、改めて見直すと確かにとくにですわ口調ではないようなので文章の一部を修正しました。


 あら、何をしてるのかしらトレーナー?

 

 なんですって? 耳の中に違和感? 大変じゃないの、ほら、さっさとこっちに来なさい。

 

 何をするかって? 耳掃除に決まっているじゃないの、キングのトレーナーが体に異変なんて許されないわ。ほら、さっさと来なさい。

 

 ここなら大丈夫ね、さぁ、さっそく始めるから、膝の上に頭を置きなさい。ほら、早くして。

 

そうそう、素直に置いたわね。え、私が耳かきできるのかですって? 勿論よ、キングがそれぐらいできないわけがないでしょう。

 

 さぁ、さっそく始めるわよ……何よこれ、粉だらけじゃないの。まったく、一流のウマ娘である私のトレーナーが、こんなはしたない……。

 

 まったくもう……えーと、あったわ。取り合えずウェットティッシュで耳を拭くわよ。もう、今度からはちゃんと、お風呂上りにタオルで擦るのよ。

 

 面倒くさい、じゃないの。このキングのトレーナーが身だしなみも整えられないなんて許さないんだから。

 

 ……はい、終わったわ。それじゃぁ中をしていくから、動くんじゃないわよ。

 

 ふむ……うん、大したことはなさそうね。これなら耳かきで取るだけで十分ね。早速やっていくわよ。

 

 ……何かしら? え、本当に大丈夫かですって? しつこいわね、しつこい男は嫌われるのを知らないの?

 

 カリカリカリ……メヂッ……メヂッ……

 

 ガリガリ……ペリッ……ズズズ……

 

 うん、まずは一つ目ね。ほら、こんな大きさのがあったのよ。この辺が違和感の正体かしらね。

 

 え、本当にちゃんとできたんだって? 本当に失礼ね、なんで貴方が私のトレーナーなのかしら。

 

 さぁ、残りも取っていくから、おとなしくしてなさい。動くんじゃないわよ。

 

 カリカリ……ザリザリ……カリッ、ペリペリ……

 

 ズゾゾ……ガリガリ……カリカリカリ……

 

 ふぅ……だいぶ取れてきたわね。どう? 痛くはない? そう、大丈夫そうね。

 

 じゃぁ、これはどう? カリカリ……え、痛い? そう……それなら無理には取れないわね。諦めましょう。

 

 さぁ、反対側に行くわよ。……ちょっと! そのまま反対を向くんじゃなくて、体の位置を入れ替えなさい! まったくもう……。

 

 こちらもそこそこ溜まっているわね。さぁ、気合入れて取っていくわ。

 

 メヂッ、メヂッ、ガリガリ……ペリペリッ

 

 ガッガッ……ガリガリ……ガリガリガリ……

 

 ふふん、こっちは素直な耳垢で宜しい。まったく、トレーナーの性根も、こう素直なら嬉しいのに……。

 

 な、なんでもないわよ。それよりほら、頭を動かさない。中が見えなくなるじゃないの。

 

 カリカリ……ガッガッ……ガリッ、ベリッ

 

 ガッガッ、ガリガリ……ゴリ……ベリベリッ

 

 ん……固い……わ……ね。ちょ、トレーナー、いきなり手を……え、めちゃくちゃ痛い? ご、ごめんなさい。つい夢中になって……。

 

 ……そうね、今日はこの辺りにしておきましょう。……ちょっとトレーナー、いつまで私の膝の上に居るつもりなの? もう終わったんだからどきなさいよ。

 

 え。痛くされたからこのまま膝枕をしてほしい? し、仕方ないわね、ミスを認めるのもキングの務めね。

 

 え、このまま寝てもいいかですって? も、もう、こうなればヤケよヤケ。このまま寝ちゃいなさい。ほら、子供みたいに頭を撫でて上げますし、手も握ってあげるから。

 

 ……本当に寝てしまったのね。まったくもう、いくらキングの膝枕が気持ちいいからって、本当に寝る必要はないでしょう。

 

 ……一応言っておきますが、トレーナーだからこんな事も許しているんですよ、ちゃんと理解してくださいねトレーナー。



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ナイスネイチャ

ナイスネイチャは世話焼きお姉さん的イメージ。


 んー。トレーナーさん、おはよう、今日はどしたの?

 

 ええ? 耳の中が変だから耳かきしてくれ? いやいや、ちゃんと耳鼻科行きなさいよ、ネイチャさん素人だから見てもわからないよー。

 

 ……もう、仕方ないなぁ。ほら、ここに頭置いて置いて。

 

 さーてさて、どうなのかなーっと……うーん、見づらい……うーんと……。

 

 ……そんなに溜まってはないんだけど、どっか変な所に耳垢が引っかかってるとか? やっぱお医者さん……はいはい、わかりましたよもう、トレーナーさん、甘えん坊過ぎじゃない?

 

 えーと、耳かき耳かき……あったあった。じゃ、パパッと片付けちゃいましょうか。……いやいや、ゆっくりやる必要はないって。

 

 さーてと……ん-……まずは外側……うわー、耳かきで掻いたら粉だらけじゃん。先に粉取らないと駄目だねー。

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 うん、こんなもんでしょ。まぁ外側はそこまで念入りにしなくてもいいかな。さて、中も掃除していきますか。

 

 ガリガリ……カリカリ……メヂッ

 

 メヂヂッ……ガリガリ……ベリッ、ベリッ……

 

 よしよし、耳垢はトレーナーさんと違って手がかからないね。え、自分も手間がかからない? どの口が言ってるんだか。手間がかからないならネイチャさんに耳かきを頼まないでしょ。

 

 ザリザリ……スーッ……ペリッ

 

 ベリベリ……カリカリ……

 

 はい、これで大体取れたと思うよ。じゃぁ、次は梵天で残った粉を取っていくよー。

 

 ガサガサ……ガサガサ……

 

 ガザゴゾ……ザザ……ガサガサ……

 

 んー? くすぐったい? だよねー、柔らかくてくすぐったいと思うけど……我慢してね、すぐに終わるから。

 

 はい、梵天も終わり、それじゃ最後はお約束行くよ。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 お約束もお終い、これで完了だね。え、手馴れてるって? まあねー、昔から年下の子とか、店のお客さんにしたりしてたんだ。だから慣れたもんだよ。

 

 ……いやいや、なにふくれっ面してるのさ。え、子供はともかく大人にしてたのが不満だって? あのさー、別にいやらしいことしてるんじゃないんですよー、トレーナーさん?

 

 ……いやぁ、今日から別の人に耳かきは禁止って……大人げないよトレーナーさん。……だからぁ、大人げなくてもいいんですー。じゃなくてさ。

 

 そもそも、そんな縛りしちゃったら私達の子供にはどうす……あ、な、なんでもない! なんでもないから!

 

 ほら! さっさと耳かき終わらせるから! 反対向いて! 早く!

 

 はぁ~……ん? 何を慌ててるって? あー……いや、聞こえてなかったんなら別にいいよ、うん、気にしないで。

 

 さぁ、こっちやってくよー、んー……でもなぁ、そんな汚れてもないんだよねー。外側も、ちょっと掻いても粉が出ないし。

 

 まぁ、小さいのだけでも取っていっておくから。物欲しそうにこっち見ないでよ。

 

 カリカリカリ……ペリッ……カリカリ……

 

 ザリザリ……ズズズ……カリカリ……

 

 うん、小さいのはやっぱり取れやすいかな。でもたまにめっちゃ取りづらいのもあるんだよねー。そう言うのは結構苦労するんだよ。

 

 ガリガリ……ペリペリ……ズズズ……

 

 メヂッ、メヂッ……ガリガリ……

 

 はいっと、こんなもんでしょ。え、早すぎる? あのねトレーナーさん、耳かきはやりすぎたら余計に耳に悪いの、やりすぎ注意なんだから、文句言わないの。

 

 ほらほら、梵天しちゃうから、おとなしくしといてね。

 

 ガザガザ……ゴシゴシ……ザシュッ

 

 ザッシュザッシュ……ガザガザ……

 

 ん、これでお終いねトレーナーさん。じゃぁ最後は……。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 はい、これでお終い。ちょ、お終いだって、もうやることはないからさっさと起きた起きた。

 

 えー、このまま寝る? ちょっとぉ、それは流石に……こら! 腰に抱き着くな! お腹に顔埋めるな! そのままグリグリ押し付けてくるなー!

 

 はいはい、わかりましたよ。もう寝ちゃっていいから。はぁ? 子守歌? ……はいはい、わかりましたよもう。

 

 ♪~~♪~~

 

 ♪~~♪~~

 

 ……ようやく寝てくれた。もう、勝手なんだよねトレーナーさん。

 

 ……子供もこんなんになるのかなぁ。いやいや、私の子でもあるはずだから……もすこし真面な性格になるはず……なるはずよね。ね、トレーナーさん。

 



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スペシャルウィーク

一所懸命なスペちゃん、個人的には大好きです。


遅くなりましたが、多くの方に閲覧、評価、誤字報告、コメント等々、して頂き誠にありがとうございます。今後もネタとリアル体力に余裕がある限り書き続ければと思いますので、今後も読んで頂ければ幸いです。


 トレーナーさん、今日のトレーニングの指示をお願いします。

 

 わかりました、では行きま……あれ? どうしたんですか? そんなに眉間に皺を寄せて。

 

 ええ!? 耳の中がずっと痒い!? 大変! それ、耳垢が溜まってるかもしれませんよ! すぐに掃除しましょう。

 

 なんかやだ、じゃありません! ほら、トレーナー室なら横になっても大丈夫ですから早く行きましょうトレーナーさん! 早く早く!

 

 はい、ここでしましょう、耳かきはどこですか? ええ!? 置いてないんですか? わかりました、すぐに取ってきます。

 

 お待たせしました! では早速やっていきましょう。ほら、早く膝に頭を置いてください。

 

 本当に掃除でどうにかなるのかですって? 多分大丈夫……だと思いますよ。私もよくお母ちゃんにやってもらいましたから。

 

 では……あー、やっぱり。トレーナーさん、奥で耳垢が固まってますよ。痒いからって指を入れてるから、奥に押し固められたんですね。

 

 そうですね……幸いそんなに大きいのじゃないので、ここで取れると思います。でも、痛すぎる場合には言ってくださいね、その時はお医者さんに行きましょう。

 

 では、まずは……水で湿らせた綿棒で耳垢をふやけさせます。

 

 ゴジュゴジュ……ゴジュゴジュ……

 

 ズジュ……ズジュ……

 

 このまま、周りから少しずつ……剥がしていって……

 

 メヂッ……メヂッ……

 

 ズジュ……ガジュ……

 

 ペリペリ……ペリペリ……

 

 ペリペリ……ペリペリ……

 

 ん、これぐらい……ですね、痒さは大丈夫ですか? はい、我慢できるトレーナーさんは大好きです。

 

 では、本格的に取り除きますよ。痒いですし、多分一気に耳垢が取れる音が凄いと思いますけど、動かないでくださいね。ピンセットを使いますから、動いたら耳かきより危ないですから、動かないでくださいね。

 

 こう……耳垢の剥がれてる部分をピンセットで摘まんで……うん、動きそうですね。あ、痒みが酷くなった? ご、ごめんなさい、すぐに取りますから。

 

 ズゾ……ズゾゾゾ……

 

 ズゾゾゾゾゾ……!

 

 よし……よし、取れました! うわぁ……これ、本当に大きいですよ。こんな大きいのが耳に詰まっていたら、眉間に皺も寄りますよトレーナーさん。

 

 まだ痒い? あ、まだ周りの汚れが取れ切れてないからですね。すぐに残りも取りますね。

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 ズゾゾ……ザリザリ……

 

 どうですか? あ、痒み、収まってきたんですね。はい、これで掃除は終わりですね。それじゃぁ最後に。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 はい、これで完了です。え、耳の中がすっきりしてとても気持ちがいいって……嬉しいです! 頑張った甲斐がありました!

 

 では、反対側も見ておきましょう。これ以上はなんか悪い? いえいえ、片方だけなんて中途半端ですし、やっちゃいましょう。

 

 えーと……んー……あー、こっちは特に汚れてないですね。んー……そうだ、トレーナーさん、このままお昼寝しましょうよ。ね? ね?

 

 いえいえ、そんな、悪くないですよ。こうしてトレーナーさんと触れ合うのもウマ娘にとって大切な事なんですから。さぁさぁさぁさぁ! トレーニング? 明日今日の分も合わせて頑張りますから!

 

 はい、それじゃぁこのままお休みなさい。手握ってあげますからね。

 

 ……お休み……したかな? ふふ、トレーナーさんの寝顔可愛いなぁ。

 

 これからも、トレーナーさんがけっぱれるように、耳かき、してあげますからね。

 



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マチカネフクキタル

フクキタルの声は最初は慣れなかったので育成してませんでしたが、慣れたら普通に聞けるようになったので育成するようになりました。


 ふーむ、風水的にはこれはここに置いて……ここはこの色で……よしよし、これでハッピーカムカム、福が来ますよ来ますよー。

 

 ところでトレーナーさん、耳の中、痒かったりしませんか? え、突然どうしたって? 

 

 実は今朝の水晶占いでトレーナーさんに耳かきをするのが吉と出たんですよ。で、トレーナーさん、どうでしょうか?

 

 ああ、やっぱり痒いんですね。わかりました、このフクキタルにお任せください。

 

 ふっふっふっ、スピリチュアルパワーに溢れる物品でお世話してあげますからねー。それじゃ、準備してくるのでちょっとお待ちください。

 

 お待たせしました。ではでは、行きますよー。まずは霊験あらたかな富士の水を温めたお湯で濡らしたタオルで、トレーナーさんの耳を拭いていきます。

 

 んー、良い感じに熱が篭って、汗で汚れが浮いていますね。では、浮いた汚れは綿棒で取っていきます。

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 ふむふむ、トレーナーさん、耳のお手入れをあまりしてないですね? いけません、耳は大事な器官なんですから、ちゃんと手入れをしないと。

 

 さて、外側はこんなものでしょう。では、いよいよ内側、そしてここでとっておきのスピリチュアルアイテム登場!

 

 じゃーん、どうですかトレーナさん? なんと純金の耳かきですよ。金は古来よりありがたい物として、色んなラッキーアイテムとしても認識されているのです!

 

 え? いくらしたかですか? そうですねぇ、今の金価格よりは安かったですが……確か加工費込みで……5万円程でしたね。

 

 いやいや、最高のスピリチュアルパワーのためならこれぐらい安い物ですよ。ささ、中の掃除していきますよー。

 

 サリサリ……サリサリ……

 

 カリカリ……カリカリ……

 

 どうですトレーナーさん? 金の柔らかい感触は。金は金属としては柔らかいですから、優しい感触なんですよ。まぁ、これはちょっとだけ他の金属を混ぜてある程度の硬度は保っていますが。

 

 え、慣れない感覚で落ち着かない? それでは、これからの為に今日慣れておきましょう。

 

 サリサリ……カリカリ……

 

 カリ……ペリペリ……ススス……

 

 はい、一個取れました。ふむふむ、後はそんな大きいのもないですし、簡単に取れそうですね。

 

 カリカリ……サリサリ……

 

 ペリペリ……カリカリ……

 

 カリカリ……ペリペリ……

 

 ほいほいほいっと。うん、これで完了です。いやぁ、小さい欠片みたいなのも大体取れましたね。さてさて、それでは反対側をやりましょう。

 

 んー、ふむふむ、ここも早く終わりそうですね。ではでは、始めましょう。

 

 先程と同じように、耳をタオルでゴシゴシ……ゴシゴシ……よしよし、よーく汚れが取れましたね。後は綿棒で……

 

 ザリザリ……ガサガサ……

 

 ザッザッ……ザッザッ……

 

よしよしよし、浮き出た汚れも粗方取れましたので……中の掃除をしていきますよ~……。

 

 はい、こっちもそんなに汚れてないですから、そんなに時間はかからないですからね。

 

 サリサリサリ……カリカリ……

 

 ペリ……ペリ……ススス……

 

 ハッピーカムカム、ハッピーカムカム。福よ来い~福よ来い~

 

 トレーナーさんに福よ一杯こ~い♪

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 サリサリ……ペリペリ……

 

 んー、これぐらいですね。お疲れ様ですトレーナーさん。あら、眠くなったんですか? それじゃぁこのままお昼寝しましょう。

 

 えへへ、スピリチュアルパワー全開な耳かきはどうでしたか? 今度はもっと風水的にも万全な状態で……。

 

 え、私が耳かきしてくれたことがどんなスピリチュアルパワーよりも力になる? そそそ、そんな恥ずかしい事言わないでください!

 

 ほ、ほらほら、お眠しましょうお眠! ほら、早く早く!

 

 ……や、やっと寝てくれました? ……うう……ハッピーカムカムしすぎですよ~……。

 



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マルルド物

今回初のCPもので、マルルドで書いてみました。

個人的にマルゼン姐さんはクリークの母性とは別の、年上としての包容力を持っていて欲しいと思う。思いません?

この形式に関して等、感想を頂ければ幸いです。


「疲れた……な」

 

 生徒会室の中、椅子に座り一人仕事をしているシンボリルドルフの口からそんな言葉が漏れた。

 

「はぁ……」

 

 ため息をつく彼女の目の前に置かれているのは生徒会の仕事の書類。それに加えて彼女自身のトレーニングメニューや体の調整メニュー等だ。

 

 皇帝と呼ばれ、最強とまで噂される彼女。そんな彼女にはそれ相応の振る舞いが求められ、彼女はそれをこなしてきた。だが、それは同時に彼女に多大なる疲労を与えていた。

 

 並みのウマ娘ならば疾うに潰れていてもおかしくないストレス。彼女はそれらを全て受け止めていた。だが、受け止め続けるには限界がある。それは皇帝であっても同じだ。

 

「……疲れた……」

 

 椅子に体を預け、天井を見上げる彼女の口からもう一度、言葉が漏れた。一度口から出てしまった気持ちは、彼女の疲労を自覚させるのに十分で、そんな彼女はそのまま天井を見続けて……。

 

「ハーイ、ルドルフ、居るかしら?」

 

 ふと、そんなシンボリルドルフの元に訪れたのはマルゼンスキーであった。肩からは鞄をかけてるという事は授業終わりなのだろう。それにしては鞄が大きく膨らんでいる事がシンボリルドルフには気になったが、彼女はそれを置いてマルゼンスキーに声をかけた。

 

「マルゼンスキー、どうかしたのか?」

 

「んー、ちょっと最近のルドルフ疲れてるかなぁと思って。お姉さん、疲れを取ってあげようって思ったのよ」

 

 突然のマルゼンスキーの言葉にシンボリルドルフは首を傾げる。

 

「ふむ……心遣いはありがたいが、私も自分の体調管理ぐらいはしてるつもりだ。そんなに疲れてなどいないさ」

 

 マルゼンスキーの言葉をありがたいと思いつつ、反射的に出てきたのは皇帝としての言葉であった。

 

「ふーん? 本当かしら?」

 

 不意にシンボリルドルフに近づいたマルゼンスキーはシンボリルドルフの額に自分の額をくっつける。突然の彼女の行動に、シンボリルドルフは思わず椅子の上で仰け反ってしまった。

 

「な、何をする!?」

 

「ほら、絶好調の貴女ならもっと早く行動できたはずよ。さ、こっちに来なさいな」

 

 狼狽するシンボリルドルフを立たせると、マルゼンスキーはソファーまで彼女を引っ張り、そのままソファーに寝かせると、生徒会室の扉にしっかりと鍵をかけ、それからシンボリルドルフの隣に座り込んだ。

 

「マルゼンスキー……私にはまだ仕事があるんだ、これ以上付き合っては……」

 

「あら、普段の貴女ならこうなるまでに抵抗できたでしょ? おとなしくされるがままになってる時点で体調不良は確定的に明らかなんだから、おとなしくお姉さんの言う通りにしなさいね」

 

 そう言われ、シンボリルドルフは内心で認めざるを得なかった。彼女の体調が万全なら、確かにここに来るまでに抵抗してたはずなのだから。

 

「わかった……おとなしくしよ……む?」

 

 不意にマルゼンスキーがシンボリルドルフの背中に手を回したと思うと、そのまま彼女の上半身を持ち上げ、自分の膝の上に頭を乗せた。

 

「素直になったご褒美にお姉さんの膝枕よ。それと、サービスで耳かきもしてあげちゃうんだから」

 

「む……いや、流石にそれは悪いが……」

 

「良いの良いの。今日のルドルフはお休みモードよ。お姉さんに任せなさい」

 

 シンボリルドルフの言葉を意に介さず、マルゼンスキーは鞄の中から物を取り出す。それはプラスチック製の桶に大型の魔法瓶、タオルであった。

 

「じゃ、しっかりマッサージしてあげるから。体の力を抜いて頂戴ね」

 

 そう言うと、マルゼンスキーは机の上に桶を置き、中に魔法瓶から出したお湯を注いでいく。そして、タオルをお湯にタップリと浸けると、固く絞り、そしてシンボリルドルフの耳に被せた。

 

「熱さ、これぐらいで大丈夫かしら?」

 

「ああ……ちょうどいい」

 

 被せられたタオルから伝わる熱が心地よくシンボリルドルフの耳を覆っていく。

 

「ふふ、気持ちよさそうね。それじゃ、擦っていくわよ」

 

 そう言うと、マルゼンスキーは被せていたタオルをもう一度お湯に浸け、固く絞ると、シンボリルドルフの耳を擦っていく。ゆっくりと、痛くない程度の力加減で擦られるたび、シンボリルドルフの口から小さく息が漏れ出る。

 

「お客さん、痒いところはないですかー?」

 

「ああ……大丈夫……」

 

 ギュッギュッ。と、耳が軽く揉まれ、タオルからの熱だけでなく、耳そのものにも熱が篭っていく。更に、固まっていた耳の筋肉が揉み解される事により、滞り気味だった血液が循環されていく。

 

「もう、耳がこんなに凝っちゃって。だめよー、こんな若いのに耳バッキバキに固くしちゃったら」

 

「それは……いや……そんな大袈裟な事ではないだろう」

 

「何言ってるの。若い内から体のケアは大切でしょ。こんなに耳が凝ってるって事は、首とかも凝ってるんじゃないの? 耳のマッサージが終わったら、そっちも確認するわね」

 

 そう言いつつ、マルゼンスキーは耳のマッサージを続ける。ギュッギュッと凝っている部分を念入りに指圧され、血が巡るたび、シンボリルドルフの頭が僅かに揺らぎ、口からは小さな喘ぎ声が漏れ出す。

 

「ん……ふ……ぁ……」

 

「あらあら、可愛い声。皇帝も、こうなったら形無しね」

 

「ああ……マルゼンスキーのマッサージが気持ちいいからな……力が抜けてしまう……」

 

 自分で揉むことがぐらいはある。だが、他人からこうしてマッサージを受ける事の格別さ。長い事忘れていたこの気持ち良さに、シンボリルドルフの皇帝として仮面が剥がれ落ちていく。

 

「ねぇ……ルドルフ? ルナって、呼んでもいいかしら?」

 

「んな!? な、なぜその名前を!?」

 

 気持ちよくマッサージを受けていたシンボリルドルフだが、マルゼンスキーの言葉に目を見開く。

 

「この間、シリウスが教えてくれたわよ」

 

「あいつ……!」

 

 シリウスシンボリに対して怒りを覚えるシンボリルドルフ。だが、そんな彼女の頭を撫でながら、マルゼンスキーは言葉を続けた。

 

「それで、良いかしら?」

 

「いや……それは流石に……」

 

「遠慮しないの。こんなにふにゃふにゃになってるんだから。今だけよ、今だけ」

 

だから、今だけはルナになりなさいな。皇帝じゃなくて、ルナに。

 

 不意にシンボリルドルフの耳元で囁かれた言葉。それは、皇帝という仮面が剥がれつつある彼女の心にどこまでも沁みていく。

 

「それ……は……」

 

「良いじゃないの。ここには私達しかいない。エアグルーヴも、テイオーちゃんも、理事長たちも、貴女のファンの子達も、誰も居ない、私達だけ。私しか見てないんだから」

 

 耳元で囁きながら、マルゼンスキーはマッサージを続ける。彼女の指がシンボリルドルフの耳を揉み解すのに合わせるように、シンボリルドルフの心までも揉み解されていく。

 

「マルゼ……ン……!」

 

「お姉ちゃん、よ、ルナ。お姉ちゃんって呼んで頂戴ね、ルナ」

 

「お姉ちゃ……ん……」

 

「ふふ、良い子良い子」

 

 ついに堕ちたシンボリルドルフ……ルナ。それを確認したマルゼンスキーは優しく、ルナの頭を撫でた。

 

「それじゃぁ、マッサージも程よく終わったし、次は耳かきをしていこうかしら」

 

 そう言うと、マルゼンスキーはタオルを横に置き、耳かきを鞄から取り出した。そして、ルナの耳に顔を近づけ、穴の中を覗き込む。

 

「うん、良く見えるわね。それじゃぁ、耳かき始めるわよ」

 

 カリカリカリ……カキカキ……

 

 コリコリ……ガリガリ……

 

 先程までお湯で温めたタオルで拭いていたおかげで、ルナの耳は程よく汗をかいている。それによって浮き出た汚れをマルゼンスキーは一つ一つ、耳かきで取り除いていった。

 

 耳かきが動くたび、ルナの口からは小さな喘ぎと、妖しい吐息が漏れ出る。今の彼女を誰かに見られれば、彼女のイメージは一気に変わってしまうだろう。だが、この場には二人しかいない。居ないのだ。

 

「お姉ちゃん……気持ちいい……」

 

「ふふ、嬉しいわルナ。それじゃぁ、お姉ちゃんも張り切っちゃおうかしら。この辺、気持ちいい?」

 

「ふぁ……ぁ……ん……」

 

 コリコリ……カリカリ……

 

 ゾリゾリ……ペリペリ……

 

 既に耳垢はほとんど取れていた。元々ルナは身だしなみを整えるほうであり、それは当然耳にも及んでいる。その上、発汗によって浮き出た汚れは非常に取れやすく、労せずマルゼンスキーは耳かきを終えていたのだ。

 

 故に、ここからは耳かきを使って、ルナを気持ちよくさせている。

 

「ほら、ルナはこの辺が弱いみたいねぇ」

 

「んんっ……もっとつよ……く……」

 

「んー、あまりやりすぎるのも良くないわよ。ほら、この辺をコシコシって擦ってあげるわ」

 

「ひぁ……ひゃ……ん」

 

 耳かきが動くたびに、顔を赤くして悶えるルナ。5分ほどだろうか、マルゼンスキーが耳かきを動かすのを辞めた時にはルナは呼吸を荒げ、力が完全に抜けていた。

 

「あらあら、すっかり蕩けちゃったわね。お茶、飲む?」

 

「ん……飲む……」

 

 マルゼンスキーが新しく取り出した水筒のコップにお茶が注がれ、ルナの口元に運ばれる。そして、ルナはゆっくりとお茶を飲み干した。

 

「ふふ、可愛いわね、ルナ。でも、眠いのかしら? もう目元がトロンとしてるわね。お休みしちゃう?」

 

「うん……お姉ちゃん……手……握って……」

 

「ええ、良いわよ。ルナが起きるまで、お姉ちゃんずっと居てあげるからね」

 

 そう言って、手を握るマルゼンスキー。その温もりに安堵したのか、ルナは徐々に自分の意識を手放していき……そして、完全に眠りに落ちた。

 

「ふふ、可愛いわね、ルナ……もう、肌もよく見たら荒れてるわね。今度お休み取らせて、ケアさせないと」

 

 眠りに落ちたのを確認したマルゼンスキーは、ルナの頭を撫でつつ、もう片方の手でルナの顔を撫で、肌の具合を確認していく。その時、唇をなぞっていたマルゼンスキーの指に、不意にルナが吸い付いた。

 

「……あらあら、赤ちゃんみたい」

 

 吸い付いた指を口に含み、舌を絡めるルナ。それを眺めるマルゼンスキーは、ルナの頭を撫でつつ、微笑みを浮かべながら彼女の好きにさせるのだった。

 

 

 

 

 後日、チームリギルのトレーニングルームにて、シンボリルドルフ、マルゼンスキー、エアグルーヴの三人が、今後の事について話し合っていた。

 

「それで、今度のレースですが……私としてはスタミナを重点的に鍛えて挑むのが良いと思いますが……会長はどう思いますか?」

 

「そうだな、次のレースは長距離だし、他に出場するであろうウマ娘達も相応のスタミナがあるはずだ。私もそうすべきだと思うが……お姉ちゃんはどう……あ……」

 

 シンボリルドルフがマルゼンスキーに視線を向けてはなった言葉。その中に含まれた普段のシンボリルドルフなら絶対に言わないであろう言葉にエアグルーブは目を見開く。

 

「あらぁ、ルドルフったら、私の事そんな風に見てたの? お姉ちゃん、嬉しいわぁ」

 

「た、単なる言い間違いだ!」

 

 当のマルゼンスキーはシンボリルドルフの言葉に笑顔を浮かべ、シンボリルドルフに抱き着き、シンボリルドルフは顔を赤くして慌てる。そんな二人を見てエアグルーブはため息をついた。

 

「……会長、お疲れのようですね。最近は仕事も立て込んでいましたし……今日はもう休みましょう。私も……そうします」

 

 そう言うと、エアグルーヴはため息をつきながら部屋を出ていった。それを止めようとしたシンボリルドルフだが、マルゼンスキーが抱き着いているために動くことができなかった。

 

「あららぁ、エアグルーヴったら、本当に行っちゃった」

 

「誰のせいだと……いい加減離れろ」

 

「もう、怒らないのルドルフ……あ、でもね」

 

 いつでもルナになっていいのよ。お姉ちゃんが、癒してあげるからね

 

 不意にシンボリルドルフの耳元で囁かれた優しい声。その声にシンボリルドルフの顔に一機に血が上る。

 

「それじゃ、エアグルーヴ呼び戻してくるわ」

 

 そう言って部屋を出ていくマルゼンスキー。シンボリルドルフはしばし呆然とし、そして、体から力が抜け、その場にへたり込んだ。

 

「く……ずるいぞ……マルゼンスキー……」

 

 耳まで真っ赤に染めながら、シンボリルドルフは扉を睨み続けるのだった。



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ウオッカ

今回はリアルの馬の耳掃除風景を元に書いています。耳かきが出てきません。

こちらの形式に関しても良ければ感想をください。


 ん? どうしたんだよトレーナー? なにスマホ見てるんだよ? なんか面白い事でもあったのかよ?

 

 はぁ? スカーレットんとこのトレーナーが、あいつに耳かきした話だぁ? あいつ、何やってんだよ。

 

 え、すっごい気持ちよさそうにして、自分の膝の上で寝るスカーレットが可愛いってノロケられたって……。

 

 うわ、画像まで送られて……おいおい、これがあいつかよ……こんな寝顔、オレでも見た事ないぞ。

 

 ……な、なぁ、トレーナー? トレーナーはどう思うんだよ、その……ウマ娘の耳かきをするって……やってみたいとか……思うのか?

 

 ……きょ、興味あるのかよ……な、なら……オレ……が……オレが立候補……してやるよ。

 

 はぁ? 無理にやりたくはないから、別に無理はしなくていい? ち、チゲーよ! オ、オレだってその……興味ないわけじゃないんだよ……。

 

 ほ、ほら! 早いとこ始めてくれよ! オ、オレの気が変わらないうちによ!

 

 うう……トレーナーの顔見上げながらって……やっぱ恥ずかしい……は、早くやってくれよぉ……。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ん……すげ……温めたタオルで耳拭かれるの……気持ちいいな。

 

 いや、オレだって風呂上りとか拭くけどよ……その……トレーナーにしてもらうと……普段より気持ち良い。

 

 んん……! だ、大丈夫だよ、痛かったわけじゃねーから。

 

 ん……ヤベ……顔……赤くなってないか? ト、トレーナーの手つき、いやらしいんだよ……。

 

 ゴシゴシ……グッグッ……サスサス

 

 ゴシゴシ……ギュッギュッ……グリグリ

 

 ふ……ん……そこ……痒いとこ……んぁ……。

 

 タオルも暖かいけどよ……トレーナーの手が……あ、安心しちまう……。

 

 耳の後ろ側も……こんな丁寧にされたの初めてだよ……。

 

 汚れてるって……し、仕方ねーだろ! 人間の耳に比べるとでかいんだから……汚れやすいんだよ。

 

 はぁ!? これなら毎日やってあげたほうがいいかって! や、ヤメロヤメロ! そこまで子供じゃねーよ!

 

 あ、あたりめーだろ……まったくもう……。

 

 んぁぁ……そんな……優しく擦られると……ゾクゾクしちまう……。

 

 んぁ? 耳の奥……? そ、そこはそんなやったことねーよ……。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ズズ……ズボッ……グル……グル……

 

 ちょ……ん……ふぁ……中、掻き出されるの……慣れてねーんだよぉ……。

 

 ふぅ……はぁ……はぁ~……や、やべーなこれ。スカーレットが蕩けるのもわかっちまう。

 

 あ、も、もう終わりか……じゃぁ、降りるからな……。

 

 はぁ!? あいつみたいに寝ないのかって? ばかやろう! そ、そんな恥ずかしい事できるかよ!

 

 ……ッわーったよ! そんな物欲しそうな顔で見るんじゃねーよ! 変な事したらぶっ飛ばすからな!

 

 んぁ……頭とか耳撫でられると……安心しちまうじゃねーかよ。ちくしょぅ……オレはそんな安い女じゃ……でも……毎日してほしい……かも……

 

 zzz……zzz……

 



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トウカイテイオー

なんか二次創作見てるとやけにしっとりしてるのをよく見かけるんですが、個人的にはテイオーはしっとりと言うより、無邪気な子供っぽい独占欲なんじゃないのかなー? と思ったりする今日この頃。


 ふふふ~ふふふ~ふっふっふっ~♪

 

 あ、トレーナー見つけた。ねぇねぇトレーナー、見てみてー、耳かきー。

 

 え、何でそんなの持ってるかって? ナイスネイチャがくれたんだー。

 

 ねぇねぇトレーナー。折角もらったからさ、耳かきさせてよ耳かき。僕、自分でやってるから、他の人にもちゃんとできるんだー。

 

 ほらほら、僕の膝の上に頭置いてよ、ほら、早く早く、置いてったらー。

 

 うん、じゃさっそく始めるよー……んー、トレーナーの耳の中見辛い!

 

 穴が曲がってるから見辛いよぉ。えーと、確かこの辺にペンライトが……あったあった。

 

 よし、これなら見えるから、今度こそ始めるよー。

 

 んー、カリカリカリ……カリカリカリ……トレーナーの耳垢をカリカリカリ♪

 

 コリコリコリ……ペリペリ……うん、取れる取れる。もうちょっとで取れるよトレーナー。

 

 こうして下の方から耳かきを引っかけて、ペリペリペリって剥がしていって……うん、もうちょっとで取れるよトレーナー。もう半分ぐらいは剥がれてるからね。

 

 カリカリカリって……行って……よーし、取れたー。

 

 どうどう? トレーナー、僕、耳かき上手? 本当? 良かったー。

 

 じゃぁ、次行くからねー。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……ペリペリ……

 

 んー、ちょっと固いなぁ。もうちょっと……力入れて……んっ、よし、取れたよ!

 

 んふふー、僕ってやっぱり天才だよねー。じゃ、他は目ぼしい耳垢もないし、反対向いてよトレーナー。

 

 わわっ、流石にこっち向かれるのは恥ずかしいから。反対向いたまま。えーじゃないよ!

 

 まったくもう、トレーナーはちょっと調子に乗る所とかあるよねぇ。それに、僕の事軽く見てる節があるっていうか。

 

 そんなことないって? じゃぁ、僕以外のレースを見に行ってたりするのはなにさー。……他の子の偵察? じゃぁ、なんでライブまで見てるわけ?

 

 もー、トレーナーは僕のトレーナーなの。他の子より僕を見てよ、もう、僕激おこだよ、激おこぷんぷん丸だよ。激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームだよ。

 

 ……良いもん、そんなトレーナーは、僕の耳かきで虜にしちゃうんだから。

 

 ほら、カリカリカリ……カリカリカリ……んー……なにこれ、かったいなぁ……。んー……。

 

 この……このー……うわっ! ト、トレーナー!?

 

 ご、ごめんなさい! 僕、取るのに夢中になってて……本当にごめん……!

 

 あ、もう耳かきはいい? そ、そうだね……あ、それじゃぁお昼寝、お昼寝しようよ、耳かきの後はお昼寝がお約束でしょ?

 

 僕、バクシンオーから子守歌教えてもらったから、テイオーテイオーテイ……わっ。

 

 ト、トレーナー? 無理しなくていい? ……うん、ごめん……僕、ちょっと不安だったんだ……。

 

 トレーナーって優秀だから、もしかしたら僕以外にも目移りして、僕より他の子のほうが気に行っちゃったらって……。

 

 ……本当? その内別の子を担当することもあるだろうけど、僕が一番? 僕、その言葉信じるからね。

 

 うわっ!? ト、トレーナー、だから、僕のお腹に顔を埋めないでよ!

 

 え、このまま寝るから、頭撫でてて欲しい? テイオーだからやってほしい? も、もう、仕方ないなぁ。トレーナーは特別だからね。

 

 ……うん、お休み、トレーナー……ありがとう。



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メジロライアン

メジロライアンは優しくて良い子だと思う今日この頃。後、筋肉質な分体温高くて暖かそう。


 ふぅ……ふぅ……あ、トレーナーさん、こんにちは。

 

 いやぁ、今日は気分が乗って、普段以上に筋トレが捗ってますよ。あ、でも、そろそろクールダウンの時間ですね。ふぅ、いい汗かいたなぁ。

 

 ん? 耳も自分でマッサージするんだって? 当然ですよ。耳だってちゃんとケアしないと。トレーナーさんはちゃんとしてますか?

 

 もう、駄目ですよトレーナーさん。人間だって、耳は凝るんですから。ちょうどいいです、私がマッサージしてあげましょう。ほらほら、遠慮しないでください。

 

 それじゃぁ、行きますよー。人間の耳は……え? なんで膝枕なのかって? こっちの方がトレーナーさんもリラックスできるじゃないですか。ほらほら、力を抜いててくださいね。

 

 まずは、全体的に外側に軽く引っ張って……上下左右にクルクルって回していって……どうですか? 痛い所は……大丈夫なんですね。

 

 次は耳の皮膚を摘まんで……色々と動かして……耳たぶを指で挟んで押しまわして……え? 手が暖かくて気持ちいい? ありがとうございます。あたし、筋肉質ですから、体温高めなんですよ。

 

 手の暖かさだけで心地よい? このまま包まれていたい? そこまで言われると照れちゃいますよ。まだ、マッサージ残ってるんですから、堪能してください。

 

 耳を鼻の方向に倒して……それが終わったら、ツボの部分をギュッギュって押して……うん、耳が十分熱くなってますね。血の巡りが良くなったからですよ。あ、汗もかいてますね。

 

 それでは、次は耳かきしていきます。え? マッサージだけじゃないのかって? いやいや、やるなら徹底的にしましょう。では耳かき取ってきますね。

 

 ふんふんふん♪ それでは、さっそく始めましょう。んー、マッサージした時に外側は特に汚れてはなさそうな感じがしましたし……中は……と。あ、耳垢がありますね。

 

 では早速行きますよー。

 

 カリカリ……グヂュ……ベリ……ベリ……

 

 ペリペリ……ズルズル……ズズズ……

 

 うん、程よく汗を吸って湿ってますから、簡単に取れますね。痛くなかったですか? それなら良かったです。

 

 んー、粉も湿ってる分を纏めて掻き出して……カリカリっと……ズズズっと……んー、ちょっと残っちゃいますね。

 

 それでは、梵天で残ってるのを取っていっちゃいますねー。

 

 ガサガサ……ガサガサ……

 

 ゴソゴソ……クルクル……ギュッギュッ……

 

 よしよし、梵天にうまく絡み付きましたよ。では最後は、ちょっと失礼して……。

 

 ふ~……ふ~……

 

 フッ……フッ……

 

 はい、これで右側は完了です。では、左耳もしていきますので、はい、ごろんと。

 

 え? そんな簡単に転がされると複雑? あっはっはっ、私の鍛えたマッスルの前には、トレーナーさんだって軽いものですよ。マッスルマッスル。

 

 さぁ、そんなことより耳かき、続きしますよ。早くしないと、折角取りやすくなった耳垢が渇いちゃいますから。

 

 カリカリカリ……ズグッ……カリカリ……

 

 ズッ……ズッ……ズズズ……

 

 うん、うん、こっちも簡単に終わりそうです。大きな塊がなくて良かったですね。大きいのだと、取るの大変ですから。

 

 え、何か勿体ない……ですか? いやいや、大丈夫ですよ。トレーナーさんが耳かきして欲しいなら、またいつでも耳かきしてあげますよ。ほらほら、行きますよ。

 

 カリカリ……ススス……

 

 ズリッ……ズリッ……ズズズ……

 

 では、最後にお約束を。

 

 ふ~ふ~……ふ~ふ~……

 

 フッ……フッ……

 

 はい、終わりました。え、このままお昼寝したいんですか? 良いですよ、どうぞどうぞ。

 

 ……あれれ、もう寝ちゃった……トレーナーさんも疲れてるのかなぁ……。お腹に顔埋めちゃって……あ。

 

 あ……あ……ああああ" あたし……トレーニング終わりで汗拭いてないじゃん……うう、ト、トレーナーさん下ろして着替え……って、トレーナーさん、なんで服しっかり握ってるんですかぁ……。

 

 これじゃぁ……動けないですよ……トレーナーさんのばかぁ……。



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メジロマックイーン

お嬢様に耳かきしてもらうのってなんか特別な感じしません? 私はします。


 んー、今日も減量……ああ、スイーツが食べたい……。

 

 ッ、ト、トレーナーさん!? い、今のは聞かなかったことにしてください!

 

 そ、それで……何か御用ですの? え、耳の中が違和感あるから少し見て欲しいのですか? わかりましたわ、どれどれ……。

 

 ……ああ、耳垢が中途半端に剥がれてて、それが耳の中を擦ってますわね。仕方がありません、私がとって差し上げます。

 

 ……なんでしょうか? その目……まさか、私を信用できないと? 甘く見ないでください、メジロ家に代々伝わる殿方への耳かき方法を用いれば、なんの問題もありませんわ。

 

 では、早速始めましょう、幸い耳かきはそこにありますし……あら、どこへ行くのですトレーナーさん? まさか逃げるおつもりで? 逃がしませんわよ。

 

 まったく……誰がポンコツお嬢様ですか。そのような不名誉なあだ名の返上の為にも、ここでおとなしくしてください。では、手始めにウェットティッシュで耳の周りをゴシゴシ……ふぅ、やはり汚れてますわね。こういうところの身だしなみもちゃんとするのがメジロの家のウマ娘のトレーナーですわよ。

 

 さて、それでは……まずは耳の外側を……カリカリカリ……ザリザリ……サリサリ……窪みに溜まっている粉もちゃんと、カリカリと掻いて取り出して……

 

 サリサリ……サリサリ……広い面も余すところなく粉を取っていって……外側のツボを耳かきでギュッギュッギュッ……

 

 トレーナーさんが仕事で疲れてるのはご存知ですわ。これで、少しは疲れが取れると良いのですが……。

 

 さぁ、では耳垢を取りますわよ。動いてはダメですから、気を付けてくださいまし。

 

 まずは中途半端になってる耳垢をペリペリ……ペリペリ…カリカリ……カリカリ……ふぅ、取れましたわ。薄くて長いのが中途半端に剥がれていたのですわね。

 

 次に……周りの残りかすをカリカリ……カリカリ……ペリペリっと取っていって……他には目立った耳垢はありませんわね。では、後は粉の塊をザリザリ……サリサリ……と、掬い上げていって……。

 

 ん? あら、どうしましたのトレーナーさん? ここを掻かれるのが気持ちいい? ふふ、ダーメ、ですわ。無暗に耳かきをしたら肌が荒れてしまいますもの。ほら、梵天をしますから、落ち着いてください。

 

 梵天で……ガシュガシュ……ゴシュゴシュ……クールクル……クールクル……梵天に細かい粉を巻き取っていかせて……。

 

 ふ~……

 

 あら、驚きました? 梵天で敏感になった耳の中に吐息は少々刺激が強かったですの? ふふ、止めませんわよ、観念してください。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 もう、駄目ですわよ、逃げようとするなんて。ほら、もう一度、梵天で粉を取りますから、大人しくしてください。

 

 ガシュガシュ……ゴゾゴゾ……こうして……粉もちゃんと取っておかないと……そして、もう一度息を……ふ~……ふ~……

 

 はい、これでこちら側はお終いですわ。さぁ、反対側をしますから、このまま体をクルッと……回転させましたわよ。え、恥ずかしい? 何を言っているのですか、私達は二人三脚で歩んでいるんですのよ、これぐらいが何だというのですか。もしかして、さっきまで逃げようとしたのも? ……はぁ……。

 

 トレーナー、この程度で恥ずかしがっていては私のトレーナー等務まりませんから、腹をくくってください。ほら、外側を掃除しますわよ。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……垢が溜まってますわね。お風呂上りにはちゃんとタオルで擦ってください。……さて、それでは耳も行きますわよ。

 

 外側をカリカリカリ……カリカリカリ……窪みの粉も掻き出して……カリカリカリ……サリサリサリ……

 

 ツボをギューッ、ギューッ……耳に熱が篭ってきましたわね。血流が良くなっている証拠ですわ。ではこのまま、全体を満遍なく、カリカリカリ……カリカリカリ……ほらほら、我慢してください。動くと危ないですよ。カリカリカリ……カリカリカリ……。

 

 小さい耳垢をカリカリ……浮いてできた隙間に差し込んで……グッグッグッ……剥がれてきたのをペリッと剥がしてスーッと掻きあげて。

 

 大きい物も同じ要領で……ガリガリガリ……ガリガリガリ……あら、もっと耳元で囁いて欲しいのですか? もう、そう言う事はもっと早く言ってください、もう、終わっちゃいますわ。

 

 ガリガリ……ガリガリ……グッグッと耳かきを差し込んで……グーッ……グーッ……ベリッと剥がして……ズズズと引き上げて……。

 

 後は、残った粉を梵天で。ガシュガシュ……ガシュガシュ……クルクルクル……ゴシュゴシュ……はい、綺麗に取れましたわ。では最後に。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 はい、これでお終いですわ。さて……おや、トレーナーさん、どかないのですか? え? このまま寝たい……ですって?

 

 ふふ、良いですわよ。私の膝の上でお眠りなさいな。子守歌も歌って差し上げますわよ。いつもお世話になっていますもの。

 

 さ、お休みなさいトレーナー。良い夢を。



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ゴルマク物

大抵の作品ではゴルシが攻めてマックイーンが受ける側であるタイプのものが多い印象があったので逆にしてみました。

ゴルマクは良いものです。


「さて、ゴールドシップさん。なぜこうなっているか、お分かりですか?」

 

 薄暗いマックイーンの部屋の中、ゴールドシップはロープでしっかりと椅子に縛り付けられている。そしてマックイーンはその正面から、彼女の事を座った目で見ていた。

 

「わ、悪かったって! だってマックイーン、いつも減量に失敗してるから、あのケーキはこの世から消したほうが良いと思ってよ……」

 

「ええ、これが普通のケーキなら私も何も言いませんでしたわ。でも……あれはこの間のレース勝利達成の暁に必ず食べようと思っていた……特製品ですの」

 

「それも……当分は手に入らない特製品……ゴールドシップさん、貴女にはいつも振り回されてきましたが……今回という今回は許すことができません」

 

 正面から後ろに回り、ゴールドシップの耳元で囁くマックイーン。その言葉にゴールドシップは思わず背筋に冷たい物が走るものを感じた。

 

「マママ、マックイーン、わ、私が悪かった、悪かった!」

 

「もう、謝っても遅いのでしてよ。ゴールドシップさん、貴女には罰を受けてもらいます」

 

「な、何をする気だ! まさか、このまま拷問を!?」

 

 ゴールドシップの悲痛な叫びにマックイーンは首を横に振る。

 

「いいえ。いくら怒っているとはいえ、そのような事はしませんわ。貴女に与える罰は……これですのよ」

 

 そう言うと、マックイーンは部屋の大型ポットからお湯を風呂桶に注ぎ込む。

 

「い、いつの間にそんなの用意してたんだよ? てか、熱湯責めじゃねえか! しかも、ビデオまで用意してやがんのか!?」

 

 ゴールドシップの視線の先には、彼女を映すビデオカメラの存在があった。いつの間に用意されていたのか、縛られ、てんぱっている彼女は存在に気づかなかったのだ。

 

「静かにしてくださいまし。さぁ、準備はできましたわ」

 

 風呂桶に注がれたお湯にタオルを浸し、良く絞ったタオルを持ち、マックイーンはゴールドシップの正面に立った。

 

「さぁ、観念して……おとなしくしていなさい」

 

「や、やめろマックイーン! やめ……んぁ?」

 

 マックイーンは温めたタオルをゴールドシップの耳に蔽いかぶせると、そのままゴシゴシと、彼女の耳を優しく擦り始めた。

 

「やはり凝っていますわね。あちこちが凝っているから固くなっていて……やりがいがありますわね」

 

 耳全体を摩り、凝り固まっているところをぐいと力を入れて揉んでいく。最初は戸惑っていたゴールドシップであったが、凝りが揉み解され、滞っていて血流が循環していくにつれ、戸惑いよりも気持ち良さの方が勝っていた。

 

「ん……んぁ……な、なぁ……これ、どういう……」

 

「ふふ。ゴールドシップさん、貴女、凄い顔が蕩けてますわよ」

 

「へ……ぇ……?」

 

 顔を上げると、自分を見つめるマックイーンと目が合う。そして彼女の瞳に映る自身の姿はとてもだらしなく蕩け切っていて……それに気づいたゴールドシップは慌てて顔を逸らした。

 

「や、やめろマックイーン! 見るんじゃねえ!」

 

「駄目ですわよ、それでは罰になりませんもの」

 

 背けた顔の前に立ち、マックイーンは再び目を合わせる。それから再び視線を逸らそうとするゴールドシップだが、不意に力強く揉まれた耳からの心地よさに、思わず力が抜ける。

 

「な……何言ってやがんだ……」

 

「ですから、これが罰ですのよ。貴女のその蕩け切った顔、私の頭にも、ビデオにも残して、じっくり鑑賞してあげますわ」

 

「や、やめろ……んぁぁ!」

 

 反論しようとするゴールドシップを黙らせるかのように、マックイーンの指が、ゴールドシップの敏感な耳の中を揉み解していく。

 

「まったく、普段からハチャメチャしてるから、レースや練習以外でも疲労が溜まってるんですわよ。ほらほら、こことか……」

 

 ゴールドシップの耳の内側を、丁寧に、力を込めてグッグッと擦り、垢を落としていくマックイーン。そして、こそぎ落し、手に着いた垢を自分のハンカチで拭いている様子に、ゴールドシップは更に顔が赤くなる。

 

「やめろよぉ……そんな……汚ねえだろ……やめてくれよぉ……マックイーンの指……汚れちまうだろ……」

 

「問答無用、ですわよ」

 

 ゴールドシップはイヤイヤと首を横に振るが、マックイーンは容赦なく耳のケアをしていく。やがて、ひと段落したのか、マックイーンは耳から手を離した。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 手を離されてなお、息の荒いゴールドシップ。それも仕方ないのだろう、彼女はマックイーンに対して特別な感情を抱いている。そんな相手に自分の蕩けた顔を凝視され続けるのだ、普段は奇想天外な行動する彼女でも、この状況は耐えられるものではないのだろう。

 

「さぁ、次は肩揉みですわ。その前に、これも用意して……」

 

 そう言って、マックイーンはキャスター付きの大鏡をゴールドシップの前に置き、その隣にカメラも移動させた。そして、彼女の後ろに回ると、両肩を丹念に揉み始めた。

 

「んぁ……そ……こぉ……」

 

「肩もだいぶ凝ってますわね。石みたいにバキバキですわ」

 

 グイッ、グイッ。と、力を籠め、マックイーンが肩を揉む。特に僧帽筋や肩甲骨と言った重要な部分を重点的に、血やリンパの巡りを良くするように力を籠める。そして、彼女の指が動くたび、ゴールドシップの口から艶のある声が漏れ出ていた。

 

「ん……マ……やめ……てぇ……」

 

「ふふふ。ゴールドシップさん、鏡を見てくださいな、貴女の顔……とても蕩けて気持ちよさそうですわ」

 

 そう言われ、ゴールドシップは鏡を見た。そこには、だらしなく口の端から涎すら垂らしつつ惚けている自分の顔を、それを見つめるマックイーンの姿が映し出されていた。客観的に自分の状態を見せつけられたゴールドシップの羞恥心は一気に高まっていく。

 

「やめ……ほんと……ごめん……」

 

「許しませんわよゴールドシップさん、さぁ、もっとふにゃふにゃになるぐらいに解して差し上げますわ」

 

 謝る涙目になりながら謝るゴールドシップを許すことなく、マックイーンは丹念に、丁寧に、ゴールドシップの肩を解していく。ゴールドシップの肩を、マックイーンの手が揉み、叩き、凝りを解すたび、彼女は血流が良くなる事以上の熱を帯びていく。

 

「さぁ……肩も程よく凝りましたわね。次は……」

 

 肩揉みが終わるころにはぐったりと息も絶え絶えになっているゴールドシップ。だが、マックイーンは更に次の行動を起こす。ゴールドシップの縄を解くと、そのまま彼女を抱き上げ、ベッドに寝かせ、そのまま膝枕をする。

 

「それでは、次は耳かきをしますわ。動いたら危ないですから、動かないようにするのですよ」

 

 そう言うと、マックイーンはゴールドシップの耳を軽く摘まみつつ、穴の中へ耳かきを入れていく。既に表面はマッサージの際に垢を落としているので、残っているのは穴の中だけだ。

 

「ん……ぁ……もう……やめてぇ……」

 

「あら、まだ反省の姿勢が足りませんわね。それでは……」

 

 マックイーンは体を屈め、ゴールドシップの耳に口を近づける。そして。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……ふふ、ゴールドシップさんの耳垢を、こうしてカリカリカリ」

 

 耳元で細く、だが確実に届く大きさで囁かれるマックイーンの言葉。それを聞いたゴールドシップは、耳に走る快感に思わず仰け反りそうになる。

 

「ふふ、可愛いわねゴールドシップさん、普段の破天荒ぶりが嘘みたい。ほら、カリカリカリ……カリカリカリ……ペリペリ……ペリッペリッ♡」

 

「ひゃぁ……もう……やめてくれよぉ……頼む……よぉ……」

 

 垢が落とされ、敏感になっている耳。ただでさえウマ娘の耳は敏感なのが更に敏感になっている状態で、更に相手は好きな相手。逃げたい、恥ずかしい、という気持ち以上に、このままでいたいという気持ちも生まれていた。

 

「あらあら、奥の方にも耳垢がありますわね。ここもカリカリカリ……ガリッガリッ……ペリッ♡ ペリッ♡ ようやく取れてきましたわね」

 

「んっ……んん……マック……♡」

 

 もはやゴールドシップの口から出る制止の言葉にすら、甘く蕩けている。それを感じたマックイーンは優しく笑みを浮かべ、ゴールドシップの頭を撫でた。

 

「ふふふ、もう蕩け切ってきましたわね。さぁ、もっと続けますわよ、カリカリカリ♡」

 

 その宣言通り、マックイーンはゴールドシップの両耳の耳かきを続けていく。耳垢が取れていくたびにゴールドシップの背筋に快感が走り、体がビクビクと震え、そして。

 

「ふ~……ふ~……」

 

「ひゃう!?」

 

 耳かき終わりの息の吹きかけに、ゴールドシップの体が一段と大きく震える。それを見たマックイーンはゴールドシップの頭を撫でながら言葉を発した。

 

「さぁ、耳かきも終わりましたし、次に行きますわよ」

 

「も……もう……勘弁して……」

 

 ゴールドシップが片手を上げてマックイーンに懇願する。だが、マックイーンは伸ばされたゴールドシップの手に手四つ……別の言い方では恋人繋ぎでがっしりと掴んだ。

 

「あらあら、自分からマッサージして欲しい場所を出してくださるとは、ゴールドシップさんも観念したようですね。では、まずはこちらの手と腕をマッサージしましょうか」

 

「そん……な……やめ……」

 

 しっかりと繋がれ、マックイーンの体温を感じる事に胸が高鳴りつつも、彼女の言葉に絶望すら浮かべるゴールドシップ。それを見下ろすマックイーンは、ゴールドシップの瞳に映る彼女の顔は、トテモトテモ、良い笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よー、スカーレット、ウオッカ、遊ぼうぜー」

 

「おう、良いぜ。何して遊ぶ?」

 

「こら、トレーニングがあるでしょうが。遊ぶのは後よ、ゴールドシップも、トレーニングあるでしょ」

 

 チームスピカの部室で三人が騒いでいると、部室の扉が開かれ、マックイーンが入ってきた。

 

「あら、騒がしいけど、何かあったのかしら?」

 

「んぐっ!?」

 

 マックイーンに気づいたゴールドシップが後ろを向き……そして、みるみる顔を真っ赤に染めたと思うと、スロースターターであるはずなのに、逃げウマ娘もかくやといわんばかりの初速で持って部室から走りだしていった。

 

「んぁ……? どうしたんだよ一体?」

 

「何なのよ……。マックイーンさん、何かあったんですか?」

 

「別に、何もありませんわよ。まぁ、しばらくはあの調子かもしれませんわ」

 

 二人の視線を受けたマックイーンは微笑みを浮かべ、ゴールドシップの走り去った方向を見る。二人は彼女のその態度に首を傾げるばかりであった。



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ハルウララ

純粋な良い子のウララは可愛いし安心できる。



追記

多くのコメント、評価、誤字報告等々、いつもありがとうございます。これからも頑張りたいと思います。


 おいっちにー、おいっちにー。よーし、今日もガンバルゾー。

 

 あ、トレーナー。今日も宜しくお願いします。あれれ? どうしたの? すっごい眉間に皺が寄ってるよ。

 

 え? 耳の中が痒くて仕方ない? 大変、トレーナー、ちょっと待っててね。

 

 お待たせー。じゃぁお耳を見せて……え、何をするつもりかって? 耳かきだよー。

 

 耳の中が痒いって事は多分耳垢が変に引っかかってるって事だから、ウララが耳かきしてあげる。え? トレーニングはどうするかって? んー、走りたい……けど、トレーナーがそんな眉間に皺寄せてるの、あんまり見たくないよー。

 

 ほら、こっちこっち。耳かきで掃除してあげるから、トレーナー室に行こう。

 

 とうちゃーく、えーと、確かここにー……あったあった。それじゃ、早速はじめよー。はい、お膝の上に頭を置いてねー。

 

 えー? なんでー? え、自分でできる? 駄目だよー、ほら、早く早く。はーやーくー。

 

 えへへー、それじゃぁ、始めるね。動いちゃだめだよー、動いたら、耳の中に突き刺さっちゃうからね。

 

 ガリガリ……ガリガリ……んー、トレーナーの耳垢、細長いのがプラーンってなってるよー。根元の方をガリガリ擦ってー。はい、取れたー。ほら、見てみてー。こーんな長いのだよ。

 

 取れたらスッとした? えへへー、良かったー。それじゃぁ、このまま全部掃除しちゃうねー。

 

 カリカリ……カリカリ……んー。トレーナーの耳垢ってとっても頑固だねー。ガリガリ……ミヂリ……ミヂリ……うんしょ……うんしょ……

 

 うん、やっと少し剥がれたから、そこに耳かきを差し込んで……んー……トレーナー、痛くない? 大丈夫? うん、このまま続けるねー。

 

 うんしょっ、うんしょっ。うーん、トレーナー、改めて見ると、耳が汚いよー。ちゃんとお風呂上りに拭いてるー?

 

 ほら、ここもこんなに粉まみれ……ここの耳垢は、こうしてカリカリ……ガリガリガリ……ガーリガリ……ベリッ……ベリィッ……うーん、うーん。

 

 ちょっと力入れてるけど、大丈夫? よーし、それならこのまま力を入れてー。ベリベリ……ベリッ……ズズズ……よーし、こっちも取れたー。

 

 ほらほらー見てー。トレーナーの耳の中に、こーんなおっきいのがあったんだよー。ちゃんと、耳の中も掃除しないと駄目なんだよー。

 

 じゃぁ、次行くよー。ガリガリ……ガリガリ……グッグッ……グーッ……ビリッビリ……

 

 カリカリカリ……ガッ……ベリベリ……ズズズ……

 

 うん、次のも取れた取れたー。じゃぁ、後は粉掃除行くよー。

 

 梵天でー、クールクル、クールクル。ガッサガッサと前後に動かしてー。粉を纏めて絡めちゃおー。ガッサガサ、ガッサガサ。

 

 うんうん、綺麗になったー。それじゃぁ最後はお約束ー、お耳をふーふーしてくねー。

 

 ふ~……ふ~……えへへー、トレーナーの体がビクッてしてるー。気持ちいい? 良かったー。

 

 それじゃぁお約束も終わったから、次は反対側ー。やっていこー。

 

 そーれ。コローン。えへへー、トレーナー軽いねー。それじゃぁ早速やってくよー。

 

 うんしょ、うんしょ、カリカリ……カリカリ……んー、こっちの耳垢も頑固ー。なんでこんなに固いんだろー。

 

 ガリガリガリ……グーッ……グーッ……ガリガリガリ……ベリッ……

 

 ビリッ……ベリリッ……ズズズ……ズー……

 

 うんしょ、うんしょ……落とさないように慎重に……よーし、取れた取れたー。むふふー、トレーナー、偉い? 偉い? えへへー、ありがとー。

 

 んー、でも、こっちはもうないかなー。残念だなー。じゃぁ、後はさっきと同じように、梵天でー。

 

 ゴシュゴシュ……ガッシュガッシュ……グルグル……ズボッ……ズボッ……

 

 グッグッ……ガッシュガッシュ……ゴシゴシ……

 

 はーい、粉も全部取れましたー。それじゃぁお約束……えー? 耳がこそばゆい? それがいいんだよトレーナー。ほらほら、逃げないのー。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 えへへー、これが終わり! どう? トレーナー、お耳、楽になったー? そっかー、良かったー。

 

それじゃぁ後はこのままお昼寝だねー。えー? だってトレーナー、最近なんだか疲れた顔してるよー。ほら、お眠しようお眠。だーめ、絶対に逃がさないからね。

 

えへへー、観念したねトレーナー。それじゃお休みー。ウララも、このままお休みしちゃうねー。起きたら改めてトレーニング頑張るぞー。……zzzz



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ライスシャワー

気弱でおどおどしてるライスシャワーが自分から積極的になろうとして耳かきしてくる様って可愛いと思いませんか? 私は思います。


 あ、お兄さま……少し、良い? あ、あのね。さっき、ウララちゃんから聞いたんだけど。ウララちゃんのトレーナーさんが、耳かきですごく気持ちよくなったんだって。

 

 だ、だから……ライスも……今日はお兄さまに耳かき……してあげたいの。いつも、お世話になってるから。……ダメ?

 

 う、うん! ライス、一生懸命やるね! えーと、ウララちゃんが言ってたのは……耳かきと綿棒と……お湯も必要なんだっけ。

 

 じゅ、準備できたよ、お兄さま。あ、やっぱりちょっと恥ずかしいけど……ライス、頑張るね。

 

 まずはお湯で温めたタオルで……お兄さま、どう? 気持ちいい? 良かったなぁ。それじゃぁ、このままゴシゴシ……ゴシゴシ……お兄さまの耳をゴシゴシ……

 

 えっと、これが終わったら……綿棒で、まずは外側……ゴシゴシ……ゴシゴシ……湿った粉を綿棒で擦って……落としていって。

 

 ひゃえっ!? お兄さま? え、耳元で囁かれるのがくすぐったくてつい? ご、ごめんなさい。やめる……え。やめるな? わ、わかった。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……湿った粉を綿棒でゴシゴシ……うわ、凄い……お兄さま、ほら、綿棒がこんな黄色になっちゃった。お兄さまの耳垢って粉っぽいのかな?

 

 これはもう捨てて……一応もう一本でもう一回、ゴシゴシ……ゴシゴシ……窪みも念入りにギュっと押し込んで、ゴシゴシ……取れた……かな。

 

 それじゃぁ……中、見ていくね。んー……そんなには溜まってない……かな。でも、一つちょっと大きいかも……ライス、頑張って掃除していくね。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……小さいやつは、そのまま下からカリカリしていったらすぐに取れるから……カリカリ……カリカリ……

 

 剥がれたらそれをズズズ……と引っ張っていって……落とさないように……よし、取れた。ほら、お兄さま、ライス、上手に取れたよ。

 

 えへへ、ありがとうお兄さま。それじゃ次も頑張って取るね。

 

 カリカリ……ガリガリ……んー、固いやつはちょっと力を入れて……お兄さま、痛くなったら言ってね? ……カリカリ……端っこからカリカリ……カリカリ……

 

 少しづつ剥がれてきたら、耳かきの先端を差し込んで……グッ……グッ……ベリ……ベリ……んー、あとちょっと……あとちょっとぉ……え、痒いから早くしてほしい? ま、待ってー。

 

 ガリガリ……ガリ……取れたー! 後は……お兄さま、この辺? 耳かきでカリカリカリって……痒みも収まったんだ、良かった。

 

 ……うん、綺麗になったよ。最後は梵天でぐるぐる~……ぐるぐる~……ガサガサ……ガサガサ……粉も綺麗に取れて……ふ~……ふ~……

 

 い、息吹きかけるのって……恥ずかしいね。そ、それじゃぁ、今度は反対がわ……お、お兄さま! 反対向いちゃダメ! ダメだよー!

 

 もう……体の位置を入れ替えてくれたらいいんだから……お腹が見たい? は、恥ずかしいからダメなの!

 

 もう……それじゃぁこっち側やるから……お、お腹の方向いたりしちゃだめなんだからね。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……お耳をタオルでゴシゴシ……取り切れなかった粉を綿棒でガサガサ……ゴシゴシ……え? ライスの柔らかい指で擦ってほしい? だ、ダメダメダメ!

 

 変な事言わないでよぉ……き、気を取り直して……んー、ちょっと見辛いけど……うん、なんとか見えたね。

 

 カリカリ……カリカリ……カ……んー、ちょっと固い……かなぁ。お兄さま、大丈夫? 痛くない? ……うん、ちょっと力入れるけど、痛かったら言ってね。

 

 上……右……んー……中々剥がれないよぉ……カリカリカリ……ガリガリ……んー……下から……なんとか差し込んで……よいしょ……よいしょー……。

 

 ベリベリって……なんとか……なんとかー……と、取れたー。ふー、お兄さま、固かったよー。

 

 痛くなかった? 大丈夫だったんだね。ふぅ……お兄さまの耳かき、次からはもっと耳垢がふやけるようにしないといけないかなぁ。

 

 え? う、うん……お兄さまが良いなら……また、耳かきさせて欲しいな。ダメ? ……うん、ありがとうお兄さま!

 

 それじゃぁ、掃除終わらせるね。後はもう大きいのはないから、梵天でグ~ルグ~ル、ガサガサガサ、ズッボズボ……最後は、ふ~……ふ~……うん、綺麗になったよお兄さま。

 

 それじゃぁ、道具を片付けて……ふぇ? お、お兄さま? なんで服を掴んで……え? お昼寝までやってこそ? そ、そんなの、聞いてないよー。

 

うう……お、お兄さまの頼みなら……。

 

 ……本当に寝ちゃった……お兄さま……嬉しいけど……恥ずかしい……ううー、お兄さま早く起きてー。



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グラスワンダー

日本の伝統を愛するグラスなら耳かき一つでも他のウマ娘とは違うものをしてくれそうな印象です。


 あら、トレーナーさん、どうかされましたか?

 

 ええ、良いですよ。耳かき、トレーナーさんのお耳、綺麗にしてさしあげますね。

 

 では、まずは準備の方をしてきますので、少々お待ちください。

 

 はい、準備できましたよ。それでは、こちらへどうぞ……あの? トレーナーさん? どうかしましたか?

 

 まぁ、正座姿が綺麗だなんて、お上手です事。褒めても何も出ませんよ。さ、早くこちらへどうぞ。

 

 では、まずは耳の後ろ側をウェットティッシュでザリザリ……もう、汚れが溜まってますよトレーナーさん。耳の後ろは加齢臭の元になりますから、ちゃんと洗ってくださいね。

 

さて~、耳の後ろも終わりましたので……今日は、耳の毛も剃りましょうか。まずは……耳たぶの薄毛を剃っていきますね。

 

 ショリショリ……ショリショリ……薄毛ですから、力を入れず、撫でるようにショリショリ……と。

 

 くすぐったいですか? 我慢……してくださいね? 次は、耳の外側、淵の部分の薄毛をショリショリ……。

 

 え、そんなところも生えてるのかって? ええ、薄いですけど、良く見たら意外と生えてるんですよ。ですのでここもショリショリ……ショリショリ……

 

 はい、外側は終わりました。なので、濡れたタオルで拭いて、取り残しが無いようにして……では、次からは耳の中を剃っていきますね。

 

 んー、トレーナーさんの耳毛はちょっと濃いですから、多少力を入れてやりますので……痛かったら言ってくださいね。

 

 まずは穴の近くをショリショリ……ショリショリ……ふふ、どうです? これまでの薄い毛とは違う、ちょっと濃い目の毛ですよね。これが、耳垢を外に運び出すのに役に立っているんですよ。だから、全部剃ったりはしませんので……。

 

 駄目ですよ、そんな物欲しそうな顔をしても。健康を害するようなことではできませんから。その代わり……これからもトレーナーさんが希望したらちゃんと耳剃り……してあげますから。我慢してくださいね♪

 

 さ、続きをしていきましょう。ショリショリ……プチプチ……穴を広げて……あまり大きく動かさず……ちょっとづつ確実に……

 

 プチプチ……ショリショリ……耳の中がスーッとしますか? 気持ちよさそうですね。私もその顔を見ていたら嬉しくなってきます。

 

 ショリショリ……ショリショリ……ふむ、この辺りにしましょうか。では、次は耳かきをしましょうか。耳毛を剃った奥にはまだ耳垢が残っていますからね。

 

 カリカリ……ガリガリ……ペリッ……ズズ……

 

 ズズ……スー……カリカリ……カリカリ……

 

 耳毛を剃った時にある程度耳垢も取れてますから、そんなに耳垢は残ってないですね。カリカリ……カリカリ……

 

 ふふ、耳毛が剃られた後で敏感になってる所に声をかけられると気持ちいいですか? ほら、カリカリ……ペリペリ……ふふ、気持ちよさそうですよ、トレーナーさん。

 

 とは言え、やりすぎて耳を痛めては元も子もないので、この辺りで終わりましょうか。後は、綿棒で、細かく残っている耳毛をクルクル……クルクル……

 

 取り終えたら、新しい綿棒にローションを塗って、耳の中をぐちゅぐちゅ、ぐちゅぐちゅ、荒れた耳壁を保湿していきます。

 

 そして最後に……ふ~……ふ~…… 毛を剃って、ローションを塗って、これだけしてる耳の中に息を吹きかけられると、とても気持ちいいですよね。

 

 では、反対側をしましょう。トレーナーさんをころん、と反対側を向いてもらって……耳の後ろ側をウェットティッシュで拭いたら、耳たぶや淵の毛をショリショリ……ショリショリ……

 

 剃り終わったらタオルで念入りに拭いて、落とした毛も取り残さないようにして、耳の中もちょっと力を入れて、ショリショリ、プチプチ、耳垢と一緒に綿棒で掻き出していって……。

 

 奥は耳垢をカリカリカリ……カリカリカリ……固いのがあるのでちょっと力を入れますね。ガリガリ……ベリッ……ベリッ……耳かきの先端で端っこから剥がしていって……

 

 空いた隙間に先端をねじ込んで、そのまま力を入れて……ベリッ……ベリッ……ズズズ……ズズ……はい、取れましたー。

 

 後は……粉や落とした毛を綿棒で取り出していってー……ローションをグチュグチュとトレーナーさんの耳に塗っていってー、最後は耳元でふ~……ふ~……ふふ、これで完了ですぅ。

 

 さぁ、最後はこのままお昼寝しましょうね。大丈夫ですよ、誰にも見られないよう、準備はしていますから。

 

 いつも、トレーナーさんにはお世話になっていますから、こんな時ぐらい、私に甘えてもらっても大丈夫ですよ。

 

 ええ、お休みなさいトレーナーさん。良い夢を。



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タキスカ

まずは、先週の月曜日、日刊ランキング19位、また、先日は総合評価1000を超えました。この作品を読んで頂いている皆様、沢山の閲覧、お気に入り、評価、感想誠にありがとうございます。




タキスカで書きました。この二人のCPも大好きです。スカーレットに懐かれて満更でもないタキオンとか皆さん好きじゃないですか? 私は好きです。


「はぁ……はぁ……」

 

 トレセン学園のとあるターフ。そこで今、一人のウマ娘が大きく、荒く呼吸していた。彼女の名はダイワスカーレット。既にいくつかのレースにて勝利している優駿である。

 

 だが、彼女は特訓を、努力を、緩めることはない、常に一番を目指す彼女にとって、特訓する事、努力することは当たり前なのだから。故に、今日もトレーナーから下された内容を超えるトレーニングを行っている。本来ならそう言うオーバーワーウはトレーナーが止めるのだが、生憎今日トレーナーは所用によってトレセン学園を離れているため、彼女のオーバーワークを止める存在は居ない。

 

「まだ……頑張れる」

 

 呼吸が整った彼女は再び走り出そうと構える。だが、そんな彼女に不意に背後から抱き着くウマ娘が居た。

 

「やぁやぁスカーレット君、元気そうでなによりだ」

 

「ひょああああ!?」

 

 慌てて後ろを向くと、そこには白衣を着たウマ娘、アグネスタキオンが居た。

 

「タ、タキオンさん!?」

 

「いやぁ、すまないすまない。君にはついつい抱き着きたくなるんだ、許してくれたまえ」

 

 そう言って謝るタキオン、だが、笑みを浮かべている彼女からは特に悪びれている様子はない。

 

「それは良いですけど……どうしたんですか?」

 

「何、君にちょっと新薬の試飲をしてほしいんだよ。どうしても君でなくては行けなくてねぇ」

 

「えっと……すみません、今日はトレーニングが……」

 

「何、君の意見は求めていない。これは決定事項だ」

 

 断ろうとするスカーレット。だが、タキオンはそんな彼女をひょいと持ち上げると、そのまま米俵を持つかのように肩に載せ、歩き出す。

 

「ちょっ!? タキオンさん! 離してください!」

 

「いやいや、そう言うわけにはいかないさ。ああ、君のトレーナー君には話を付けてるから、心配しなくていいよ」

 

「そうじゃなくてー!」

 

 暴れるスカーレットをいなしつつ、タキオンは自分の研究室まで彼女を連れていくと、ベッドの上に座らせた。

 

「何、簡単な治験さ。これを呑めばすぐに効果が現れるから、遠慮なく飲みたまえ」

 

 そう言って、試験管を差し出すタキオン。中には無色の液体が入っており、それをスカーレットはジト目で睨む。

 

「……わかりました。でも、早く戻してくださいね」

 

 諦めたスカーレットは、タキオンから試験管を受け取り一息に中身を飲み干す。

 

「さぁ、呑みましたよ。これでしつれ……い……しま……」

 

 ベッドから立ち上がり、ドアへ向けて歩こうとするスカーレット。だが、足が動くよりも先に、彼女の頭の中は靄がかかったように不明瞭になり、瞼が力なく降りてくる。

 

「おおっと、大丈夫かいスカーレット君、どうやら君はお疲れのようだ、このまま横になると良い」

 

 倒れそうになるスカーレットを支えたタキオンは彼女をベッドに横にして、自分もベッドに座り込むと、彼女の頭を膝の上に置く。

 

「ふゃ……わた……し……れん……しゅ……」

 

「まぁ待ちたまえ待ちたまえ。今君は疲れている、私が言うんだから間違いない。だからこのままで居なさい。ほら、耳かきでもしてあげるから……ね」

 

 そう言うと、タキオンはベッドの隣にある棚に手を入れる。すると、どういうわけか、そこから湯気が立つタオルを取り出した。

 

「まずは温めたタオルで耳を拭いてあげよう、気持ちいいよ」

 

 そう言ってタキオンはスカーレットの耳を拭いていく。熱を帯びたタオルはスカーレットの耳を包み、全体的に優しく、しかし凝っている部分は強く、タオルの熱を移すかのように摩り、揉み上げ、コリを解していく。

 

「ん……ぁ……そこ……」

 

「ふむふむ、この辺りだな。痒いとこは大丈夫かな?」

 

「そこ……もっとぉ……」

 

 蕩けた顔でタキオンを見上げるスカーレット。だが、その瞼もどんどんと下がっていき、やがて完全に閉じられると、そのまま穏やかに寝息を立て始めた。

 

「ふむ、服用から大体5分か。やはり相当疲れているようだなスカーレット君」

 

 そう呟きながら、タキオンはスカーレットの耳のマッサージと続けていく。

 

「ん……んん……」

 

 タキオンの指がスカーレットの耳を擦り、ツボを押し、固くなっている部分を指圧で解していく。そのたびにスカーレットは気持ちよさそうに体を震わせ、熱い息を吐く。

 

「ふむ、眠りも深いな。これならしばらく起きる事はなさそうだ。さて……耳かきも始めようか」

 

 タオルを片付けると、タキオンは耳かきを取り出す。まずは耳の穴の中に先端を差し込んでいく。

 

「クリーク程上手にはいかないが……まぁ、許してくれたまえ。その代わり……耳元でタップリと囁いてあげよう。なんでも、ASMRでは、その声も催眠効果があるようだからね」

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ペリッ……ペリッ……カリカリカリ……

 

 スカーレットの耳元で、耳垢を掃除しつつ囁くタキオン。小さく細く、だが、確実に届く音量で囁き続けられるその声に、スカーレットの吐息が少しづつ荒くなっていく。

 

「ん……やぁ……やぁ……ん」

 

「ふむ、安眠効果だと聞いたが、なんだか息が荒くなっているようだね、顔も赤みが差しているが……起きる様子はなさそうか。では、続けよう、カリカリカリ……」

 

 スカーレットの様子に少し首を傾げるが、囁きを再開するタキオン。耳かきの動きに合わせ、擦る音、剥がす音、引きずる音、それらを声で表現し、囁き続ける。

 

「ほら、スカーレット君中々大きな塊だよ。これは少々とるのに手間がかかりそうだが、その分タップリ囁いてあげよう。カリカリカリ……ガリ……カリカリ……」

 

「ひゃぁ……ん……ぁぁ……」

 

「よしよし、もうちょっとで取れそうだ。ガリガリガリ……ガリガリガリ……さぁ、これで全部剥がれる……ぞ」

 

「んっ……あっ……♡」

 

 ベリベリ……とひと際大きな音を立てて剥がれる耳垢。その途端、スカーレットは体を逸らせたと思うと、大きく息を吐いた。

 

「ふむ、気持ちよさそうで何よりだスカーレット君。しかし、これでも起きないとなると……どうやら、私の予想以上に疲れが溜まっていたようだ。やれやれ、困ったものだね」

 

 片耳の耳垢を取り終えたタキオンは一息つくと、改めてスカーレットの顔を覗き込む。

 

「ふむ……肌荒れもしてるな。まったく、傍から見ていても相当な練習量だ、体がもたなくなっては仕方ないだろうに」

 

「ん……パパぁ……」

 

「ッ!!」

 

 それは何気ない一言、寝言だった。勿論スカーレットがタキオンの事を父親と認識しているわけではない。だが、その一言にタキオンは自分の心臓が高鳴り、顔に熱が篭るのを自覚した。

 

「これ……は……なんだ? パパと呼ばれて……父性……とでもいうのか? 私が、スカーレット君に?」

 

 自分に戸惑うタキオン。だが、見下ろし眺めるスカーレットの寝顔を見続けるうちに、やがて諦めたように息を吐いた。

 

「……いや、悪い気はしないな。そうか、スカーレット君の父親か……初めて会った時から他人の気がしなかったが、もしや、前世のウマソウルが、私とスカーレット君が親子だったのかもしれないな」

 

 だとすれば、自分が思った以上に彼女に入れ込むのも頷ける。勿論彼女の両親が普通に生きているためタキオンが父親になるなどできるはずもないが……それでも、この学園にいる間は代わりぐらいはできるだろう。

 

 そう思っていると、不意にタキオンの携帯が振動する。確認すると、そこにはウオッカからの着信の知らせが表示されていた。

 

「やぁウオッカ君、どうかしたのかい?」

 

「あ、タキオンさん。スカーレットのやつを知りませんか? 一緒にトレーニングする予定なんですけど見当たらなくて。電話しても出ないしで」

 

 どうやら、スカーレットはウオッカとトレーニングの予定を組んでいたようだ。タキオンは申し訳ない事をしたなと一瞬思ったが、疲労が溜まっているスカーレットに気づかずにトレーニングをしようとするウオッカに少々苛立ちを覚えた。

 

「すまないね、彼女には新薬の治験をお願いしたのだが……副作用でしばらく寝てしまっているんだ。今度、私がトレーニングに付き合うから、今日は彼女を寝かせてやってくれないか?」

 

「あ、ああ……わかりました。その時はお願いします」

 

 ウオッカが了解の返事をしたのを確認すると、タキオンは通話を切って再びスカーレットの顔を覗き込む。

 

「まったく、同室でライバルと言うならもう少し相手の体調にも気づくべきではないのかね……まぁいい。私が適宜検査すれば済む話か」

 

 タキオンの視界の先に移るスカーレットの顔。よく見れば肌荒れ等、疲労によるであろう症状がいくつか見て取れる。既にいくつかのレースで好成績を収める彼女だが、彼女自身はまだまだ子供なのだ。自分が見守ってあげなければ。とタキオンは強く思った。

 

「んん……パパぁ……♪」

 

 不意にスカーレットが体を動かし、タキオンのお腹に顔を埋めてくる。その拍子に彼女の髪が動き、僅かだが側面にある耳が髪の中から出てくる。タキオンはそれを見て、彼女の髪を掻き揚げ、側面の耳を覗き込む。

 

「……ふむ、そう言えばここの耳もあるんだったな」

 

 現れた耳を見てタキオンが呟く。人間と同じ部分にある耳……だが、これは正確には耳ではなく、外側や穴があるのは人間と同じだが、奥には鼓膜もなく、途中で塞がっている。恐らくは人間とウマ娘は同じ祖先を有しており、進化の過程で残った名残であると言われている。

 

「……ここの掃除をしてあげるのもいいかもしれないな。こうして……お腹に顔を埋められるのも良いものだ、まったく、可愛い子だなスカーレット君」

 

 タキオンの腹に顔を埋めたまま、幸せそうに寝息を立てるスカーレットの頭を優しく撫でるタキオン。それは普段の彼女を知るものからは少し想像し辛い、愛情に溢れる笑顔であった。



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ナリタタイシン

ナリタタイシン未所持なので口調等妖しい所がありますが、二次創作で見る範囲だとなんやかんやで可愛いんじゃないかと思う今日この頃です。


口調に違和感があるとの複数の声を頂いたため、一部文章を修正しました。


 ん……? 何よ、何か用?

 

 はぁ? 耳かきを頼みたいって……あんたねぇ、なんでアタシがそんなのやらなくちゃいけないの、バ鹿らしい

 

 ……ちょっと、どこいくつもり? はぁ? チケットかハヤヒデに頼む? ……あんた……。

 

 ……わかった、ほら、さっさとこっち来て、やってあげるから。……大袈裟に喜ばないでよ、まったく。

 

 えーと……まずは外側。綿棒でゴシゴシ……うっわ汚……粉だらけじゃん、もっとちゃんと耳、洗いなよ。こんなんでアタシのトレーナーとか、アタシが恥ずかしいんだけど。

 

 まったく……ガサガサ……ゴソゴソ……は? 耳元で囁かれるとむず痒い? 煩い、黙ってて、気が散るから。

 

ガサガサ……ガサガサ……綿棒であんたの耳の粉、擦って削って落としていって……あーもう、黄色から茶色になってるんだけど。汚れすぎでしょ全く。

 

 ガザガザ……ガザ……はい、終わり。外終わったから次は中やってくから。変に動いたら耳かきが刺さるから、動かないでよ。

 

 まったく……どうしてアタシがここまで……んー……こっちもそこそこには汚いじゃん。塊もあるし……さっさと掃除するから。

 

 カリカリ……カリカリ……カリカリ……

 

 ガサガサ……ガリッ……ズズ……

 

 はぁ、粉も塊もけっこうあって面倒なんだけど……もっと普段から綺麗にしといてよね。こういうの、見る人はちゃんと見るんだから。

 

 耳の中まで見る奴なんかいない? そうじゃなくて、こういうところを疎かにするずぼらな所治さないと、他の部分でもずぼらになるって事。気を付けてよね、本当。

 

 カリカリ……カリカリ……カリカリ……

 

 カリカリ……ガリガリ……

 

 ふぅ、小さい耳垢はこんなものかな。耳毛も濃いから探しにくくて……絡まってる粉を綿棒で……ガサガサ……ガサガサ……

 

 ん……耳毛もちょっと絡まってるけど、痛い? あ、大丈夫なんだ。ちょっと抜けると思うけど、我慢してて。え? やだよ、耳毛剃るとか……怖いし。

 

 ほ、ほら、大きいのに取り掛かるから、動かないで。動いたら変なとこ引っかけるから。

 

 ガリガリ……ガリガリ……ビリッ……んん……ちょっと、動かないでって……ほら、もうちょっとで取れるから、大人しくしててよ。

 

 グッって耳垢の端に力をかけて……よしよし、ようやく剥がれてきたから……よっし、やっと取れた。

 

 大きかったから大変だっけど……なに涙目になってんの、そこまで痛くは……あー……うん……ちょっとごめん。

 

 ……ほら、後は梵天で掃除するだけだから。さっさと終わらせるからね。

 

 ゴシュゴシュ……ゴシゴシ……

 

 クルクル……ザシュザシュ……

 

 はい、お終い。ほら、さっさとどいて……はぁ? 息吹きかけるって……馬鹿じゃないの? ……あーもう。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 ……ほら、もういいでしょ? やったんだからさっさとどい……はぁ? 反対側も? あんたねぇ、いい加減に……って、体動かすな、反対向くな、服を握りしめるな!

 

 ……あーもう、わかったから、やるから上目づかいで見ないでよよ! まったくもう……って、そのままこっち向くな! 体の位置変えて!

 

 ウマ娘のお腹に顔突っ込むとか変態じゃん……次やったら怒るからね。

 

 じゃぁ、もうさっさと済ませちゃうからね。外側を綿棒でザリザリ……ガサガサ……黄色くなったら新しいのに交換して……

 

 内側も……取りあえず綿棒で粉をザリザリ……見えやすくなったら耳かきで……

 

 カリカリ……ガリッ……ベリッ……

 

 ズズ……ズルッ……カリカリ……

 

 こっちはそんなになさそう……少ないのはいいけど、変に偏ってるってのも気になるんだけど。片耳に負担が集中してるんじゃないの? 変な使い方して、体調崩したりしないでよ。

 

 ……別に心配してるとか、そういうのじゃないから。それより、終わったから、じっとしてて。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 はい、おしまい。それじゃさっさとどいて……はぁ? このまま寝る? あんたねえ、調子に乗るんじゃ……って、なにお腹に顔を埋めてるわけ? 人間の腕力なんて、ウマ娘は簡単に引き剥がせるって理解してないの?

 

 ……もういいや、寝たかったらそのまま寝たら? でも私が動くときには問答無用で落とすから……。

 

 はぁ……もう寝息立ててるとかどんだけ寝るの早いのよ……あーあ、今日は出かける予定だったのに……もう……バカ♪

 



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タマモクロス

タマモクロスは大阪のおばちゃん的距離感で接したい。でも、膝の上に乗せて頭を撫でたいとも思う今日この頃。でも恥ずかしがるタマちゃんも大好きです。

今回作品の作成にあたり、こちらのじょん・どぅ様より関西弁の監修をお願いしております。この方の作品も是非とも読んでください。

(https://www.pixiv.net/users/5268319)


 お、トレーナー。どうしたんや? ウチになんかようか?

 

 ……はぁ? 耳かきして欲しいって……あんた、子供やないんやから自分ですればええやん。はぁ? 自分でやるのは怖い? それが大人の言うことかいな。ウチのチビ達のほうが大人な態度しとるで。

 

 ……まぁ、ええわ。トレーナーには世話になっとるし、やったるやったる。ちょっと道具持ってくるから待っといて。

 

 ほい、お待たせ。それじゃさっさっとやったるから、膝の上に頭置いてーな。

 

 まずは外側から、ウェットティッシュでしっかり拭いて……あんま汚れはないな、ええことや。

 

 んじゃ、外側の部分はーと……綿棒でゴッシゴッシ……んー、こっちもそんな汚れとらんな。じゃぁついでやし、耳のツボでも押したるわ。

 

ほーれ、耳たぶのツボをギュッギュッギュ、顔の小じわや美肌に効果あるんやでー。ほれギュッギュッギュ。ほれほれ、血流がようなっとるやろ。

 

 それじゃ、次いくで。次は神門をギューッ、ギューッ、トレーナー最近肉ついて来とるからな。これで少しはダイエットしいな。

 

 ん? 耳つぼより耳かき? そんなん言うてもなぁ、耳ん中……そんな汚れてへんで。変にやっても耳ん中荒れるだけやからあんまやらんほうがええんやけどなぁ。

 

 わーかったわかったって。まったく、ウチのチビ達より我儘なんやから。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……小さいけど、耳垢をカリカリカリ……

 

 んー……ちょい固いけど、そこまでてこずるもんでもないなぁ、このままガリガリ……ガリガリ……

 

 カリッ……ペリッ……ほれ、取れてきたで。このまま落とさんように確実に剥がしていって……ペリッ……ペリッ……

 

 よっしゃ、剥がれたわ。このままスススーっと運んでと。ほい、一個取れたでトレーナー。

 

 まぁ、一個取れた言うか、一個しかないというか。後は梵天で、ガサガサ……ガサガサ……

 

 クルクル……ガザガザ……ゴシゴシ……

 

 ゴシゴシ……ザシュザシュ……クルクル……

 

 ほい、粉掃除も終わりや。ほれ、終わったからさっさと起き……うおい! 制服掴むんやないで!

 

 反対側……どうせ大差ないやろ。……うん、やっぱ大差ないわ。さっさと終わらせるで。

 

 外側を、ウェットティッシュで拭いた後、綿棒でゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 耳つぼ……ギューッと押して、血流を良うしてく。トレーナーかて肉体資本の仕事や、体は大切にしてもらわな困るで。

 

 心配してくれるのが嬉しい? 当たり前やん。ウチらは人バ一体、二人三脚で歩んでるんや、体壊されたらたまらんわ。

 

 ほれほれ、耳ツボ、知っとる範囲だけやけど、ギューッと押したるからな。は? 手が小さくて暖かいから気持ちいい? そ、そんなん言われたら照れるやん!

 

 もう終わり終わり! さっさと耳かきしたるから、ツボ押しはここまでや! そんな残念がるなや!

 

 んーと……うん、やっぱそんな汚れとらんわ。さっさと終わらせるで。ほれ、耳かきで小さい耳垢をカリカリ……ペリペリ……ズズズ……

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ペリペリ……スー……ススー……

 

 耳垢掻き出したら、粉を梵天でコシュコシュ……グシグシ……クールクル……

 

 全部終わった後は息を……ふ~……ふ~……ほい、お終いやおしま……うおーい! 腹に顔埋めんなや!

 

 はぁ? 今日はウチに癒されたい? お願い? ……わかったわかった。ウチも吐いた唾は飲み込まん、体壊されるわけにはいかんからな。

 

 ほれ、子守歌歌ったるから、今日はお休みや。お休みして、明日からまた一緒に頑張るで、トレーナー。、



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ダイワスカーレットⅡ

今回は前回のダイワスカーレットとは別の、ダイワスカーレットが耳かきをする側のお話となります。

ダスカママ概念はもっと流行ってもいいと思う。思わない?


んー、今日は勉強しないと……レース中、どう動くべきかとか、ちゃんと勉強しないとね。

 

 ねぇトレーナー。エリザベス杯の映像って……なによ、ちゃんと聞いてるの?

 

 ごめんじゃなくて。なんかこないだから妙に気もそぞろになってるじゃない、何かあったわけ?

 

 ……耳の中が妙にかゆい? ちょっと見せてみなさいよ……あー、なるほどね。単純に耳垢が取れてないのね。

 

 良いわ、私が耳かきしてあげる。はぁ? 勘違いしないでよ、このまま話が通じないままじゃ困るだけなんだから。ほら、バ鹿な事言ってないで、さっさと膝の上に頭置いてちょうだい。

 

 えーと……まずは外側、温めたタオルで丁寧に拭いて行って……これだけで気持ちいい? それは嬉しいけど、まだ始まったばかりなんだから。

 

 タオルで念入りにゴシゴシ……熱を伝えるためにゆっくりと……ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 はい、タオルお終い。次は綿棒で掃除していくわ。こーら、変に動かないでよ、ちゃんとできないでしょ。

 

 外側、綿棒でゴシゴシ……ふやけた粉を先端でゴシゴシ……ゴシゴシ……うっわ、汚いわね。あっという間に黄色くなっちゃったじゃない。

 

 人間って、どうして耳のケアを疎かにするのかしら。信じらんない。あんたも私のトレーナーなんだから、もっとちゃんとしなさいよ。

 

ゴシゴシ……ゴシゴシ……ん、こんなものかしら。ほら、こんなに汚れてたわよ。お風呂入ったらちゃんと拭きなさいよね。

 

 さ、中もしていくか……うっわ、汚な。なんでこんな耳垢溜まってるのよ。これじゃぁ聞こえないのも仕方ないわね。

 

 まずは手前から……カリカリ……カリカリ……カリカリ……

 

 硬いわねぇ……ガリガリ……ガリガリ……ん、ちょっと剥がれてきた。

 

 剥がれてきたところに耳かきの先端を差し込んで……グッグッ……痛くないわね? ならこのまま……

 

 梃子の原理で少しづつ剥がしていって……ペリッ……ペリッ……よっし、取れた。

 

 取れたやつは、このままズズズーって引っ張り上げて。はい、一つ目。ほら見なさい、こんなに大きいのよ、一つ目でこれなんだから。

 

 次、二つ目……ガリ……ガリ……これも堅いわねぇ。ガリガリ……ガリガリ……んー、表面だけ削ってる感じがする。

 

 あ、上からならちょっと剥がれてきた。上からなら見やすいから、このまま力を入れて剥がしていって……

 

 うん、半分ぐらい剥がれた。このまま一気に、ガリガリ……ベリベリ……ベリッ……ビリッ……っし、取れたわ。

 

 はぁ、神経使うわねぇ。まだあるから、ちょっとペースアップしていくわよ。

 

 カリカリ……ガリガリガリ……ズズ……

 

 ベリッ……ガリッ……ベリベリ……ズズズ……

 

 ふぅ、やっと粗方取れたわね。後は梵天で粉を取っていくわ。

 

 ゴシュゴシュ……ズボズボ……クルクル……

 

 ズッボズッボ……クルクル……

 

 ふぅ、粉も取れたわ。はー、疲れた……なによ、変に力入れたら痛い思いさせるんだから、気を使って当然でしょ。

 

 ほら、反対側を……はぁ!? 息も吹きかけるの!? ……わかったわよ、やればいいんでしょやれば。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 ……はい、やったからね。ほら、さっさと反対向いてちょうだい。もう、このままお腹のほう向いていいから。

 

 はい、じゃぁこっち側やっていくわよ。こっちも、同じようにまずはタオルで外側全般をゴシゴシ……ゴシゴシ……念入りに擦ったら、綿棒で浮き出た粉をゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ……こっちも汚れてるわね。まったくもう、綿棒何本も持ってきといてよかったわ。……ゴシゴシ……ゴシゴシ……はい、外側終わり。次は中ね。

 

 耳垢を耳かきでカリカリ……カリカリ……ゴリゴリ……ガッ……固い……ガッガッ……ガリッ……ベリッ……

 

 ゴリゴリ……ズズ……ガリガリ……力加減が難しいわね……ガリガリ……ガリガリ……

 

 ん? 何よ、いきなりスカート掴んで……痒くて我慢してる? だからって私のスカート掴むのは……ああ、もう、わかったわよ、さっさとしてあげるから。

 

 ガリガリ……ズズ……ペリペリ……

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ん、やっと取り終えたわね。じゃぁ、後は梵天でゴシュゴシュ……ガサガサ……グールグル……グールグル

 

 最後は……やっぱり息吹きかけなきゃ駄目なのね。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 はい、終わり。はぁ、疲れたぁ……なによ、けっこう神経使うんだから。ほら、早くどい……はぁ!? お昼寝!?

 

 あんたねぇ……いい加減にしないと……ちょっと! スカート掴まないでよ! お腹に顔埋めるな!

 

 ……あーもう! わかったわよ! もういいから、さっさと寝なさいよ! 

 

 ……頭撫でて欲しいとか、子守歌とか……どんだけ贅沢なのよ……わかったわよ!

 

 まったく……ここまでしてあげるのはあんたぐらいなんだから……勘違いしないでよね!



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スマートファルコン

純粋なウマドルであるスマートファルコンは枕営業なんて言葉知らないし、友達も知らない、イイネ?


 トレーナーさん、今ちょっといいかな? 大丈夫? ありがとー。

 

 トレーナーさん、ちょっと耳かきさせてもらってもいい? え? えーと……突然耳かきしたくなっちゃって。

 

 本当? ありがとー。じゃぁ、さっそく準備してくるね。

 

 えーと……まずは、耳の外側を綿棒でゴシゴシ……ゴシゴシ……え、こんなに汚れって取れるの?

 

 あ、あはは、別にトレーナーさんが汚いとか思ってないよ。ほら、続けるね。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……うわぁ、溝とかに粉が溜まってっちゃってるし、広い所も、擦ったらどんどん粉が取れるんだね。

 

 やっぱり人間もちゃんと耳の手入れしないと駄目なのかなぁ。ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 はい、外側全部擦り終わったよ。じゃぁ、次は中の掃除をしていくね。綿棒は、新しい物と交換するね。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……トレーナーさん、大丈夫? 痛くない? ファル子、初めてだから心配なの。

 

 大丈夫? 良かった。じゃぁ、続けていくね。

 

 ゴシゴシ……ゴジ……ザリザリ……

 

 ベリッ……ズズ……ズズズ……

 

 やった、一つ目取れたよ。え? 綿棒でやってもらうのは新鮮だった? あ、そっか、耳かきでやらなくちゃ駄目なんだ……え、綿棒でも大丈夫? じゃぁ、このままするね。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……ザリザリ……

 

 ザリザリ……ベリッ……ザザザ……

 

 綿棒で、粉と一緒に絡めとるように……ザリザリ……ザリザリ……え? ファル子の声聞いてるだけで気持ちいい? えへへ、ありがとートレーナーさん。

 

 それじゃぁ、続きして……あれ、もう耳垢なさそうだよ。んー、もう終わり?

 

 あ、反対側もあるんだった。それじゃぁ先に……お耳にふーってするねー。

 

 ふー、ふー

 

 ふー、ふー

 

 えへへ、どうだった? 気持ちよかった? 良かったー。

 

 じゃぁ、反対側をするね、よいしょー。えへへー、トレーナーさん、軽いねー。

 

 それじゃぁ、反対側やっていくねー。綿棒でゴシゴシ……ゴシゴシ……ゴーシゴシ……

 

 綿棒で擦ると、粉で綿棒が黄色くなっていくねー。最初は汚れてるなーって思ったけど、トレーナーさんの汚れを取ってるって考えると頑張ろうって気持ちになれるね。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……んー、もうちょっと擦っておこうかなー。ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 うん、外側終了。新しい綿棒に変えて、次は中やってくねー。

 

 ゴシゴシ……ザッ……ザリザリ……ザリザリ……

 

 ズズ……ザッザッ……ザリッ……ズズズ……

 

 ふんふんふん♪ トレーナーさんの耳の中をザリザリザリ♪ トレーナーさん、お顔がトロッとしててとても気持ちよさそう、ファル子、頑張っちゃうよー。

 

 ザリザリザリ……ザリザリザリ……

 

 ザリッ……ズズズ……ズズ……

 

 うん、耳垢は大体取れたかなー。じゃあー、後は息吹きかけ、行くよー。

 

 ふー、ふー

 

 ふー、ふー

 

 えへへ、これでファル子ちゃんの耳かきはお終い、トレーナーさん、どうだった? またやってほしい? えへへ、ありがとー。

 

 え? それで、なんで突然耳かきをしようと思ったのかって? どうせならちゃんと教えて欲しい……確かにそうだね、うん。

 

 あのね、ウマドルって、枕営業しないといけないんでしょ? 意味が良くわからなくて他の子にも聞いたんだけど、皆よくわからないって。でも、膝枕とかの事じゃないかって? って言われたの。それで、ちょっと調べてみたら、耳かき屋さんって、膝枕しながら耳かきするお店があったから、それの事かなって。

 

 え? 意味が違う? じゃあ、どうすればいいの? ウマドルにはそんなの必要ないしやらなくていいから教えない? え、要らないの? なんだー、そうだったんだー。

 

 それでトレーナーさん、本当の枕営業って何? え、トレーナーさん? どこいくのー? 待ってよー。逃げてもすぐに追いついちゃうよー。



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ハッピーミーク

pixiv側と歩調合せようかなと思い、今週、来週は水曜日にも投稿します。

なお、その分エタる時は諸共にエタる模様。



ハッピーミークで書きました。いやぁ、前々からずっと書きたいと思ってたんですよ、ミーク。

可愛くないですか? 可愛いですよね、ミーク。はよ、ミーク育成はよ。


 ……トレーナー、今、時間良い?

 

 ……最近、ウマ娘達の間で、トレーナーに耳かきをするのが流行ってるの知ってる? ……そう、知ってる。なら、私もトレーナーにしてあげたい。

 

 ……大丈夫、ちゃんと勉強と練習してきたから……トレーナー……お願い……。ありがとう。

 

 じゃぁ、まずは膝の上に頭を置いて……そうそう、それじゃぁ、始めるね。

 

 ……お湯で温めたタオルで……トレーナーの耳をゴシゴシ……汚れを拭きとっていく……ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ……トレーナー……気持ちよさそう……耳の窪みとか、溝とか、そう言うところもギュッギュっと擦っていって……

 

 ……タオルが終わったら、次は綿棒……ゴシゴシ……ゴシゴシ……汗と水気で取れやすくなった汚れをゴシゴシ……

 

 ついでに……耳のツボをギューッ……ギューッ……トレーナー気持ちよさそう、ツボの場所、勉強してよかった。

 

 ……トレーナーの耳、私でもわかるぐらい温かくなってる。ツボってちゃんと効果あるんだ……

 

 ……ツボも押したし、掃除も終わったので、次は中をやっていきます。トレーナーの耳の中は……見えづらい……です。

 

 ……でも大丈夫、こんなこともあろうかと先端が光る耳かきを用意しています……これで暗くても大丈夫。

 

 ……カキカキカカキ……耳垢をカキカキ……カキカキ……

 

 痛くないように……でも、ちゃんと剥がれるように……カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 剥がれてきた所を集中的に……カリカリ……ガリガリ……剥がれてきました。

 

 ペリペリ……ベリッ……ズズ……ズズ……

 

 あ……取れました……痛く……なかったです? ……そうですか、良かった。

 

 さ……次……行きますよ。痒かったら、言ってください。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……トレーナーの耳の中をカリカリカリ……カリカリカリ……

 

 我慢してるトレーナーの顔……新鮮です。もっと見てみたいかも……カリカリカリ……

 

 ……いじわるじゃないですよ。それじゃぁ、もう取りますね。カリカリカリ……

 

 ガッ……ガッ……ベリベリ……ズズ……ズー……

 

 はい、取れました……何か勿体なさそうな顔してますね……大丈夫、まだもう片方残ってますから。

 

 ……でも、先にこっち、ちゃんと終わらせますね……綿棒で粉をゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 粉もけっこうある……トレーナー、お風呂上りには耳の中もちゃんと拭いたほうが良い。

 

 ……はい、粉掃除終わり……あとちょっと、待ってね。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 ……はい、お終い。それじゃぁ……反対側もしていくから……

 

 ……じゃぁ、反対側、始めていくから……トレーナー……おとなしくしててね。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……人間も、耳を擦られると気持ち良いのがよくわかる……ゴシゴシ……

 

 温まった耳の外側を、綿棒でゴシゴシ……ゴシゴシ……・水分を吸った粉をゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 耳ツボをギュッギュッギュッ……ギュっギュッギュ……トレーナーの顔、もう蕩けてきてる。

 

 ……耳ツボはここでお終い……今度はもうちょっと勉強してくる……それじゃぁ、中の掃除していくね。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ……ちょっと細めの耳垢をカリカリカリ……ペリペリペリ……

 

 薄い耳垢をズズズっと引き上げて……うん、取れた。

 

 後は、小さめのをカリカリカリ……カリカリカリ……

 

 トレーナー……痒いからって動いちゃダメ……我慢して……。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……ペリッ……ペリッ……

 

 ……うん、これで大体取れた。トレーナー、我慢できてえらいえらい。後は、粉掃除……。

 

 綿棒でゴシゴシ……ゴシゴシ……ゴシゴシゴシゴシ……

 

 ……はい、終わり。後は耳の穴を広げて……

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 ……はい、お終い。それじゃぁ後はお昼寝、トレーナー、最近目の下に隈できてるから、睡眠が必要。

 

 ……だめ、逃がさない。トレーナーはここで寝る。これは決定事項。絶対に逃がさない。

 

 ……諦めて良かった。それじゃぁ……お休み、トレーナー。トレーナーが起きるまで、ずっとこのままで居るから。



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カレンチャン

カレンチャンは今どきの女子なので、SNSや動画サイトで耳かきに関する情報を集めるのが得意そうなイメージです。


 ハーイ、お兄ちゃん、カレンだよー。

 

 ねぇねぇお兄ちゃん、最近寝不足とか疲れが溜まったりとかしてない? してるよね? だって、目の下に隈ができてるもん。

 

お兄ちゃん、カレンね、最近色々と調べてみたんだけど、耳かきってASMR効果もあって、安眠できるんだって。だから、カレンが耳かきしてあげる。

 

 え? 恥ずかしい? もう、気にしない気にしない。カレン、お兄ちゃんへの耳かきなら喜んでするから。ほら、お部屋行こ。

 

 ハーイ、それじゃぁ始めていきまーす。お兄ちゃん、動いちゃダメだよー。

 

 まずはー、お耳をウェットティッシュでゴシゴシ、ゴシゴシ、汚れを取っていきまーす。

 

お兄ちゃん、お耳汚れすぎ。ちゃんとお風呂に入ったら洗わなきゃダメだよ。ほら、見て、こんなに汚れが取れたんだから。

 

 今どきは写真やテレビ出演も増えてるんだから、こういうところもちゃんと整えないとダメなんだよ、わかった?

 

 はーい、元気なお返事、カレン嬉しい。じゃぁ、お耳の掃除していくね。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……お兄ちゃんのお耳、大きいから掃除のし甲斐があるよ。ゴシゴシ……ゴシゴシ……。

 

 でもお兄ちゃん、お耳が汚れてるのやっぱりダメだよー。ほらほら、綿棒が真っ黄色、お風呂上りにちゃんとお耳拭いてないでしょ? 今度から、ちゃんと拭いてね。

 

 それじゃぁ、外側の掃除も終わったから。中、していくね。うーんよ、あー、大きい耳垢発見。これ、ウマッターに上げたらバズるかもー。

 

 もー、冗談だよ冗談。そんなのしないから。じゃぁ、取り掛かるね。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ガリ……ガリ……ガッ……ガッ……

 

 んー、頑固な耳垢だね、お兄ちゃん。え? 無理に取れない事はないけど……多分、力一杯やったらお兄ちゃんの耳に耳かき刺さっちゃうよ? ね、だから、ちゃんと加減して取っていくからね。

 

 ガリガリ……ガリガリ……あー、ちょっと剥がれてきたよ。じゃぁ、剥がれてきた所に先端を食い込ませて、そのまま力を入れていくね。

 

 グッグッ……グッグッ……うん、剥がれてきたよ。このまま、落とさないように気を付けて……はい、取れたー。

 

 ほらほら、見てよお兄ちゃん。こんなに固くて大きいのがあったんだから。取りがいがあったよ。

 

 ささ、掃除を続けていくね。ガサガサ……ガサガサ……粉を掻きあげていって……あー、壁だと思ったら、薄い耳垢が付いてるよ、お兄ちゃん。

 

 ペリペリ……ペリペリ……

 

 ズズ……ズズズ……

 

 ほら、見て見てお兄ちゃん。これが耳の壁にそっくりだったんだ。お兄ちゃんの耳垢って面白いのが多いね。カレン、もっと普通の耳垢想像してたよ。

 

 後は……念のためもうちょっとお耳の中をカリカリカリ……うん、もう隠れている耳垢はなさそうだね。それじゃぁ、梵天してくね。

 

 ゴシュゴシュ……ガッシュガッシュ……

 

 クールクル……クールクル

 

 うん、粉も大体取れたから……後はこれだね。じゃーん、耳かきローション、お耳のケアもバッチリしてくよ。

 

 ぬりぬり……ぬりぬり……ひんやりローションぬーりぬり。

 

 はい、ローションも終わり。さ・い・ご・は、お約束。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 はーい、こっちのお耳はお終い。それじゃぁ反対向いてねお兄ちゃん。ほら、早く早く。

 

 ウフフ、お兄ちゃんが動くとちょっとくすぐったいかな。あ、服を捲ったりしたらダメだからね。

 

 それじゃぁ、反対側もしてくね。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……ウェットティッシュでお耳をゴシゴシ、汚れをしっかり落としていくね。

 

 ハイ、外側を擦るのお終い。次は、綿棒で粉を取っていくね。

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 うん、これも無事終了。ここまでは順調だけど、お耳の中はどうなってるかなー? んーと……。

 

 あ、こっちは大きいのはないね。んー、取りがいはないけど……取りやすい方が、お兄ちゃんも痛くなくていいでしょ? お耳の掃除してお手入れするのにお兄ちゃんに痛い思いをさせたら本末転倒だからね。

 

 小さいのをカリカリカリ……カリカリカリ……うん、こっちはすぐに取れそうだよお兄ちゃん。

 

 カリカリ……ペリッ……ズズズ……はい、一つ目お終い。

 

 二つ目は……カリカ……んー、小さいのに固いなぁ。カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 んー……お兄ちゃん、ちょっとピンセットでやってみるね。

 

 よし、うまく掴んだから……んー……左右に振って……引っ張って……

 

 あ、取れた取れた。ふぅ、手強かったねこの耳垢。

 

 後は……うん、問題ないから、梵天でコショコショーってしてくね。

 

 コショコショ……コショコショ……

 

 コショコショ……コショコショ……

 

 後は……ローションをぬりぬり……ピチャピチャ……ぬりぬり……

 

 お耳をふ~……ふ~……。ふ~……ふ~……

 

 はい、耳かきお終い。それじゃぁ、ここからはお昼寝の時間だよ。 え? お昼寝はマズイ? でも、ここならカレン達だけだから、誰にも見られないよ? あ、もしかしてまだ眠くないのかな? それじゃぁ、お兄ちゃんが寝られるよう、カレンが呟いてあげるね。

 

 大好き……お兄ちゃん、大好き♡。大好きなお兄ちゃん、一緒にお昼寝しよ? ね、いいでしょ?

 

 もー、お兄ちゃん逃げちゃダメダメ。ほらお兄ちゃん、お昼寝するまでこうして押さえつけて、ズーッと耳元で囁くからね。だ・か・ら……お昼寝……しよ?♡

 

 うん、やっとお昼寝してくれる気になって良かった。お兄ちゃんが寝るまで、カレンずっと見ててあげるからね。

 

 ……寝た……かな? うん、寝てる。えーと、スマホスマホ……写真モードで、はい、チーズ。うん、お兄ちゃんの寝顔とカレン、ちゃんと撮れてるね。

 

 ……ウマスタには上げれないけど、私の中で一番バズッた写真が撮れちゃった。待ち受け……は見られたら困るから、パソコンのトップ画面にしよっと♪

 



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タキスカで両耳耳かき

タキスカから耳かきしてもらう話を書きました。

両耳を一度に耳かきされるというのは経験したことはないですが、一度経験してみたいですね。

この二人、私的にかなり書きやすいので、今後の登場頻度も高くなるかもしれません。


 やぁ、起きたかいモルモット君。おはよう……いや、おそようのほうが正しいかな?

 

 本当、こんなに寝るなんて疲れが溜まってる証拠よ。

 

 ん? どうやら状況が理解できてないようだね。私達は君に用事があって来たんだけど、ノックしても返事はなく、ドアを開けたらそこに居たのは机に突っ伏して寝入っている君だったのだよ。

 

 それで、私とタキオンさんであんたをソファーまで運んだの。でも、このソファー背もたれ倒せたのね、知らなかったわ。

 

 所謂ソファーベッドだからね。さて、机を見させてもらったところ、君が寝入っていたのは私達への訓練メニュー、今後の予定等々……ともかく、私達に関する作業のせいなのだとわかったわけで。

 

 でも、私達、あんたに倒れて欲しいとかなんて思ってないのよ。だからこのまま寝てて欲しいんだけど……。

 

 ふむ、やはり仕事が残っているから起きると。やれやれ、こうも予想通りの反応では面白くないが、仕事を大切にする君の気持ちをないがしろにしたいとは思わない。だが、私達の気持ちをないがしろにされるのも面白くないのだよ。

 

 だから、これから私達であんたが安眠できるようにするから。仕事するのはそれからにしてよね。

 

 さて、というわけで早速始めよう。スカーレット君、道具の準備はできてるかな?

 

 勿論ですタキオンさん。はい、これがタキオンさんの分です。

 

 ああ、ありがとう。おや、不思議そうな顔をしてるね。なぜ耳かきなのかと? 君は耳かきが安眠効果等を発生させるという事を知らないようだ。ならちょうどいい、この機会に覚えておきたまえ。

 

 あんたのために私達で調べたんだから、感謝しなさいよね。

 

 そう言う事だ。さて、早速やっていこう。ああ、君はそのままの仰向けの体勢でいてくれたまえ。動くんじゃないぞ、動けば耳を傷つけてしまうかもしれない。

 

 そう言うわけだから、おとなしくしてなさい。じゃぁ、まずは耳をタオルでゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 温めたタオルで拭くことで熱を上げ、血流を良くすると同時に汗で汚れを浮かせるのだ。気持ちいだろ? ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ゴシゴシ……ギュッギュッ……

 

 タオルはこんなところかしら。それじゃぁ、次は綿棒で外側擦っていくわ。

 

 タオルで取り切れなかった粉を取っていくと同時に、ツボも押すのだよ。ウマ娘もトレーナーも健康第一だ。これぐらいしても良いだろう?

 

 ゴシゴシ……ギュッギュッ……ゴシゴシ……

 

 ザリザリ……ザリザリ……ギューッ……ギューッ……

 

 どうよ? 耳が赤くなってきたわね。熱を帯びてるのよ。

 

 これで耳の中も汗をかいて汚れが浮きやすくなってるだろう。さぁさぁ、耳の中をやっていこうじゃないか。

 

 えーと……んー……ちょっと見辛いわねぇ……タキオンさん、そっちはどうです?

 

 こちらも少々見辛いかな。どうやらトレーナー君の耳の穴は曲がっているようだ。スカーレット君、先端が光る耳かきを使いたまえ。

 

 わかりました。あ、これなら見やすい。んー……ゲッ、汚い耳垢があるじゃないの。なによこれ、ちゃんと耳の掃除してるの?

 

 まぁ、そう言わないでおこうじゃないかスカーレット君、人間はウマ娘より耳かきは重要じゃないようだからね。それに、これからは私達でやってあげればいいだけだ。そうだろう?

 

 ……それもそうですね。それじゃぁやってくから、おとなしくしてなさい。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ザリザリ……ズズ……ガリガリ……

 

 んー、黄色い小さい垢が固まってるのを少しづつ掻き出して……耳毛に引っかからないようにして……ザリザリ……ザリザリ……

 

 固いのは丁寧に耳から剥がしていくのが一番だろう。カリカリカリ……カリカリカリ……ふむ、剥がれてきたな、よしよし、ペリペリ……ペリペリ……

 

 ガザガザ……ガザガザ……ザリザリ……ズリズリ……

 

 カキカキ……カキカキ……ガリガリ……ガリガリ……

 

 んー、柔らかいのは大体取れてきたかしら。固いのは……ちょっとやりづらいわね。

 

 そこは根気よくやってあげようじゃないか。ほら、トレーナー君の顔を見てみたまえ、普段の真面目な顔がこんなに緩くなっているぞ。

 

 え……? わ、本当。ちょっとあんた、気持ちいいからってあんまりデレデレしてんじゃないわよ。ほら、あんたの耳垢、こんなに溜まってるんだから。

 

 はは、許してあげようじゃないか。それだけ気持ちいいという事なんだ。そして、気持ちよくしてあげてるのが私達なんだしね。

 

 そう……ですね、こいつがこんなに目が蕩けてるのも、私達のおかげなんですから。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ザリザリ……ズゾゾ……ベリベリ……

 

 これはいけないなぁトレーナー君。人間の耳は耳かきをしなくても耳垢が外に出るから耳かきはしなくても大丈夫……とは言うが、これは少々手入れを怠りすぎではないかね?

 

 本当、動画で出てくる汚い耳の中みたいじゃない。よくこれだけ耳垢を溜めれるわね、信じらんない。

 

 ゴリゴリ……ガリガリ……ガリガリ……

 

 ペリペリ……カリカリ……ペリペリ……

 

 ふふ、そうこう言ってる間に、粗方取れたようだ。耳垢栓塞のような大変な事になってなくてなによりだよトレーナー君。

 

 そうですね。ほら、こっちも大体取れたわよ。

 

 では、後は梵天で粉の掃除、ローションで耳のケアだ。

 

 ゴシュゴシュ……クルクル……

 

 ズボズボ……ゴシュゴシュ……

 

 さて、梵天も終わりだ。なんだ、物足りなさそうな顔をしてるじゃないか。でも、やりすぎはしないよ、トレーナー君。

 

 調子に乗るんじゃないわよ。ほら、次はローション塗るから、そのままでいなさい。

 

 ヌリヌリ……ヌリヌリ……

 

 グチュグチュ……ペタペタ……

 

 さて、ローションも塗り終わった。ではお約束だ。スカーレット君、どうせだから息を合わせてやろうじゃないか。

 

 はい、タキオンさん。せーの。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 どうしたトレーナー君、掃除したて、ローション塗りたての耳への息の吹きかけ。最高だろう?

 

 背筋がゾクゾクした? それって、褒められてるのかしら?

 

 さぁ、では最後だ。こうして両側から手を握って、子守歌を歌ってあげよう。なに、遠慮は必要ない。君が心地よく寝るためなんだから。

 

 抵抗なんかするんじゃないわよ。逃げようとしても、押さえつけてでも寝かせるんだから。

 

 そう言うわけだ。さぁ、おとなしく身を委ねたまえ。安心するんだ、私達は人バ一体、これも君への信頼の証だと思ってくれたまえ。愛バに囲まれて安らかに眠りに落ちる。トレーナー冥利じゃないか。

 

 タキオンさん……それじゃ死ぬみたいじゃないですか。

 

 おっと失敬。さぁ、眠りにつき給えトレーナー君。君がどんな寝顔をしていても私達は気にしないさ。

 

 そうよ、これでも私達、ちゃんとあんたの事信頼してるんだから。だから……。

 

 お休みトレーナー君、良い夢を。

 

 お休みなさいトレーナー。私達が傍に居るんだから、良い夢見なさいよ。



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セイウンスカイ

セイウンスカイで書きました。

サボり癖のある彼女ですが、だからこそのゆるい感じが好きな人は居るんじゃないでしょうか。多分。


 やっほー、トレーナーさん。もうお昼なのに寝てるなんて、お寝坊さんだねー。

 

 ほらほら、もう1時だよ。今日は勉強に付き合ってくれるって言うから、セイちゃん久しぶりにちゃーんと時間通りに図書室来てたのに、トレーナーさんがさぼってどうするの?

 

 ……あはは、焦って転んでるじゃん、ほら、落ち着いてよトレーナーさん、怒ってないよ。

 

 それで、トレーナーさん? お昼寝しちゃうほどセイちゃんの個人情報に夢中になるのはちょーっと怖いかな? じょーだんじょーだん、次のレースへの調整でしょ? わかってるって。

 

 トレーナーさん、そこまで一所懸命してくれるのは嬉しいけどさ。トレーナーさんに倒れられたらセイちゃん、心配でトレーニングなんてできなくなるよー。それでもいいのー? え? このトレーニングメニューの完成だけでも?

 

 はー、頑固だねぇ。私みたいにサボるのも時には大事なんだよ? いつまでも張り続けてる弦ほど、すぐにピーンって切れちゃうもんなんだよ?

 

 はぁー、本当頑固だねぇ。じゃぁいいよ、セイちゃん今日は自主休業するから。じゃーねー。

 

 んっふふー、トレーニングして欲しい? それじゃぁ、セイちゃんの言う事一つ聞いてもらおうかなー。そうしたらトレーニング、ちゃんと受けるよ。

 

 大丈夫大丈夫。無茶な事は言わないから。ちょっと待っててねー。

 

 はいはーい、お待たせー。え? なんで耳かきかって? もー、そんなの決まってるじゃん。トレーナーさんの耳かきだよ。

 

 今から耳かきして、それで寝ちゃうようだったらもうトレーナーさんの集中力とかもそんなもんって事でしょ。そんな状態で手伝ってもらっても効率悪いからねー。その時は大人しく寝てもらうよ、トレーナーさん。

 

 さーて、さてさてと、トレーナーさんの耳は……んー、これが普通なのかな? 取り合えず綿棒で擦ってみようかな。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 おおー、パッと見わからなかったけど、擦ると汚れが落ちてくねー。見てよこれ、白い綿棒が黄色くなってるよー。トレーナーさん、私の事より自分の事もうちょっと心配したほうがいいんじゃない?

 

 ……あははー、私の方が大事なんて事言われると照れちゃうよ。ほら、耳掃除続けてくよー。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 グリグリ……ギュッギュッ……

 

 溝の部分も念入りにグリグリと……うん、終わった終わった。いやー、トレーナーさんの耳はやりがいがあるねぇ。

 

 さーて、それではお待ちかね、中の方をやっていきましょうかー。どれどれー? んー……んー。

 

 まぁ、そこそこ、かな。うん、そんなに手間は取らないよ。ほら、カリカリカリカリ……

 

 カリカリ……カリカリ……

 

 ガリガリ……ガッ……ガッ……

 

 ちょーっと固い塊があるかな。こういうのって無理に取ろうとしたら皮膚が痛んじゃうから、けっこう慎重にやらなきゃいけないんだよねぇ、大変なんだよ、こういうのを取るのは。

 

 ガリガリ……ガリガリ……

 

 ガリガリ……ガッ……ベリッ……

 

 お? ちょっと剥がれてきたねー。え? 痒いから早くしてくれ? んー、それじゃぁちょっとペース上げるけど、痛かったらちゃんと言ってね。

 

 ガリガリ……ガッガッ……ベリッ……

 

 ベリッ……ベリッ……ザッ……ズズズ……

 

 はいはーい、一つようやくとれたねー。うーん、黄色くて固い……こんなのがいくつもあったら大変だけど……。

 

 ちょんちょんっと……あー、残りのはすぐに剥がれそうだね。じゃぁちゃちゃっと取っていっちゃいますか。

 

 ガザガザ……ガザガザ……

 

 ズゾゾ……ゴシゴシ……

 

 うん、これぐらいのなら取りやすくて良いねー。トレーナーさんも、痛くなさそうだね。

 

 んー……うん、こんなもんかな。どう? トレーナーさん? ……ありゃ、もう半分寝そうになってるよ。

 

 おーい、トレーナーさーん? まだ反対側残ってるよー。流石にここで寝ちゃうのはセイちゃん困っちゃうよー。

 

 ほらほら、反対側向かせるからねー。ほいっと、それじゃ、こっちも手早く済ませちゃおうかな。そうじゃないとトレーナーさん完全に寝落ちしちゃいそうだし。

 

 外側、ザリザリ……ザリザリ……、ザリザリ……ザリザリ……んー、こっちも綿棒が真っ黄色だよトレーナーさん。

 

 外側の掃除はこんなものかな。さ、中やっていくよ。んー、あ、こっちは固いのはなさそうだね。じゃぁ、柔らかいのを掻き出していきますかー。

 

 ガサガサ……ガサガサ……

 

 クルクル……ズリリ……ズズ……

 

 んー、柔らかいのはやっぱり楽だねぇ。トレーナーさん、今後もこのタイプの耳垢で居てくれない? 固いのは大変だからさぁ。

 

 ガザガザ……ガザガザ……

 

 クルクル……ズズズ……

 

 はいはーい、量は多かったけど、早く終わったよー。……あれ? おーい、もしもーし、トレーナーさん?

 

 ありゃりゃ……耳かき終わる前に寝ちゃってるんだけど。そんなにセイちゃんの御膝は寝心地良かったんですかねー? ……息吹きかけて、ビクッてするトレーナーさん見たかったんだけどなぁ。

 

 ……まぁ、仕方ないか。それは次のお楽しみにして、と。今は……トレーナーさんの寝顔を見るだけで満足しときますか。

 

 ふっふっふっ、これでこれをネタにまた耳かきしても良いし、サボる口実にしても良いし、策士相手に隙を見せたらだめですよ~、トレーナーさん。



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スーパークリーク

30作品を超え、満を持してスーパークリークの登場です。まさに王道、彼女失くしてウマ娘における耳かきは語れません。彼女の包容力なら存分に甘えても許されるでしょう。

いやぁ、ここまで長かった。私、頑張りました。半年以上週一更新してきました。だから。

もう、ゴールしても、良いよね?


 

 トレーナーさーん、耳かき、しましょうよ。

 

 え? なんでって? だってトレーナーさん、最近お疲れじゃないですか。なのに、いつも頑張ってらっしゃいますから、今日は私がたーくさん、甘やかしてさしあげますね。

 

 それに、トレーナーさん、いつも耳かきは自分でしてるって言って、私に耳かきさせてくれませんものぉ。やってあげたくてうずうずしてるんですよぉ。

 

 あらあら、逃げても無駄ですよトレーナーさん。逃げても抵抗しても、ウマ娘に勝てるわけないじゃないですか。さぁ、こっちに来てくださいね。

 

 うふふ、ここならもう逃げられませんよ。鍵もしっかりかけましたから、誰も入ってこれません。さぁ、諦めてくださいトレーナーさん♪

 

 うふふ、それじゃぁ早速中をかくに……あら。あらあら。これは……大変ですよトレーナーさん。

 

 何が大変か? だってトレーナーさんの耳の奥、耳垢で塞がってますもの。耳垢栓塞になってますね。このままだと難聴や耳閉感になってしまいます。

 

 これは……ちょっと本気で取り掛からないといけないですね。準備してきますから、トレーナーさんはここに居てください。動いちゃだめですよ。

 

 さぁ、お待たせしました。今回はちょっと集中して耳かきしますので……トレーナーさん、動かないよう、お願いしますね。

 

 まずは、普通に外側を掃除しますね。ちょっと熱いぐらいまで熱したタオルで耳をゴシゴシ……耳垢を取るためにも、多目に汗をかいてもらうほうがいいので、少し時間をかけて、汗をたくさんかいて貰いますね。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 グッグッ……ギュッギュッ……

 

 こうして、よーく擦っていって……それじゃぁ、次は耳かきでトレーナーさんの耳ツボを押して行きますね~。

 

 グッグッ……グッグッ……

 

 グッグッ……グッグッ……

 

 はーい、こうして耳の血流を良くして、汗をたくさんかいて貰って……では~、耳垢の周りから掃除していきましょうか~。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ペリペリ……ズズズ……

 

 ん~、周りを掃除してちゃんと見えるようになりましたねぇ。あ、痒いんですか? それでは、私のスカートを掴んでいてください。

 

 それでは、まずは剥がれそうなところがないか突いてみましょうかぁ。無理に剥がすと皮ごと剥がれちゃうから、慎重にしていきますね~。

 

 コツコツ……コツコツ……んー、表面は剥がれそうですから、このまま掻いて、剥がしていきますね・

 

 ガリガリ……ガリガリ……

 

 ゴリッ……ゴリッ……

 

 ガッ……ガリッ……ゴゾッ

 

 あ、表面が剥がれてきましたよ。このまま削っていって……ガリガリ……ガリガリ……

 

 は~い、表面が崩れましたよぉ。ほら、見てください。表面の削れたのだけで耳かきの匙部分ぐらい大きいですよぉ。

 

 こ~んな大きな耳垢ができるなんて……トレーナーさん、どんな耳かきしてたんですか~? ふふ、後でタップリ、教えてもらいますからね。

 

 さてと、表面は崩れましたけど……んー、これは、全部こり固まってるかもしれませんねぇ。一息に、全部取るほうが良いかもしれません。

 

 念入りに周りからカリカリカリ……と、耳から剥がしていって……動いちゃだめですよぉ。カリカリカリ……ザリザリザリ……

 

 あ、少しづつ剥がれてきましたね。少しづつ、左右から回しながらクルクルと……少しづつ浮かせていって……

 

 もう少しですよぉ。このまま、一気に根元から全部……引っ張り出して……・はい、取れましたー。

 

 ほら、見てくださいトレーナーさん。匙の部分どころじゃありません。1センチ以上あるかしらぁ。こんなのが耳の中にあったんですよぉ?

 

 え、一気に出されるのが気持ち良かった? もー、そんなのダメですよぉ。耳の中が詰まってるんですから、色んな体調不良の原因になるんですからね。

 

 まだ動いちゃだめですよぉ、根本は取れましたけど、まだまだ小さい汚れが残ってますから、それも掃除していきますねぇ。

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 ズリズリ……ペリペリ……

 

 え? 耳垢が取れて私の声が良く聞こえるのが気持ちい? ウフフ、ありがとうございます、トレーナーさん。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ペリペリペリ……ズリズリ……

 

 ほら、見てくださいトレーナーさん、残っていた物を集めただけでもこんなに。これでもう、痒みは大丈夫ですか? ええ、良かったです。声もよく聞こえるようになって気持ちいい? ウフフ、それも良かったです。

 

 それじゃぁ。後はローションをしっかり塗りますねぇ。え、耳毛剃り? ダメですよぉ。あんな大きい耳垢がついてたんですから、耳毛剃りなんてしたらヒリヒリしちゃいますよぉ。

 

 ヌリヌリ……ヌリヌリ……

 

 グチュグチュ……ヌリヌリ……

 

 はーい、これでローションもしっかり塗りましたよぉ。耳垢が取れた部分が塗られると気持ちいい? ふふ、良かったですトレーナーさん。それじゃぁ、お約束していきますねー。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

ウフフ、気持ちよかったですかぁ? もうトロトロですねトレーナーさん。それではぁ、反対側をもしていきましょうかぁ。

 

 えーと、こちらは……あらぁ、こっちも耳垢で塞がってますねぇ。両耳とも塞がってるから、気づかなかったんですねぇ。

 

 それではぁ、こちらの掃除もしていきますね~。

 

 耳の外側を温かくしたタオルでゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 外側を温かくした後は、ローションを中に垂らして、耳垢を徐々にふやかしていって……その間、手前側まで掃除して……

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……・

 

 はーい、そろそろふやけてきたと思うので、大物の掃除に取り掛かりますよー。

 

 ガリ……ガリ……ガリ……ガリ……

 

 これは……表面を崩すのも時間がかかりそうなので……一息に掻き出していきましょうかぁ。

 

 ゴリゴリ……ガリガリ……

 

 グッグッ……ズズ……ズズ……

 

 耳の肌から少しづつ剥がしていって……んー、グルグルと左右に動かして……もうちょっと……

 

 ガリガリ……ズズ……

 

 ズズズ……ゴシゴシ……ズズ……ズズズ……!

 

 はーい、塊が取れましたよー。割と簡単に取れて良かったです。本当に酷い時ですと、病院で処置してもらわないといけませんからぁ。

 

 では、残りの掃除をしていきますねぇ。

 

 カリカリ……カリカリ……カリカリ……

 

 ズゾゾ……ズズズ……ペリペリ……

 

 周りの小さい欠片とかも、元が大きいだけで、これだけで見ると普通に取れる耳垢ぐらい大きいですねぇ。トレーナーさん、痒くないですかぁ? 大丈夫なんですね。

 

 カリカリ……カリカリ……

 

 カリカリ……カリカリ……

 

 はーい、これで耳垢は全部取れましたぁ。ローションを塗っていきますねぇ。

 

 ヌリヌリ……ヌリヌリ……

 

 グチュグチュ……ズリュズリュ…・・・

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 ウフフ、予告無しの息吹きかけは驚きました? ちょっとした悪戯ですよ。

 

 さてと。それでトレーナーさん? 自分で耳かきしてたのに、耳垢栓塞になったんですよね。なぜだかわかりますか?

 

 わからないんですねぇ。実は、自分で耳かきをすると、自分で耳垢や粉を押し固めてしまって、こうして耳垢で耳が塞がってしまう事があるんですよ。知らなかったんですねぇ。

 

 だから……トレーナーさんのお耳の掃除は私がしっかりやってあげますからねぇ。大丈夫ですよぉ、遠慮しなくても、ママに甘えていいでちゅからねぇ。

 

 うふふ、ダメでちゅよー、トレーナーさんは自分で耳かきしていてこうなったんでちゅから、今日からは私がしーっかり、トレーナーさんのお耳のお世話をしてあげまちゅからねー。



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ミホノブルボン(地の文あり)

ミホノブルボンで説明文込みで書きました。彼女でウマ娘で耳かき小説を書き始めて半年以上たちましたが、今でも彼女の事が好きなままなので、これからも書き続ければと思います。


追記

日刊ランキング43位に入る事ができました。これも皆々様のおかげです。ありがとうございます。

また、感想、誤字報告、お気に入り登録、評価等々も誠にありがとうございます。


 ライスさんとの戦いを終え、私は無事に三冠を達成しました。これも全てマスターのおかげです。その為、今日は彼にお礼をするつもりです。その為にも……

 

「耳かきよし、ローションよし、蒸しタオルよし、綿棒、ピンセットよし」

 

 一つ一つ、耳かきの道具の確認をしつつ、マスターを待ちます。三冠達成までの間、耳かきをする暇もなく私達はトレーニングに励みました。きっと、マスターの耳の中には多くの耳垢があるでしょう。それを掃除しなければなりません。

 

「ブルボン、待たせたな」

 

 不意に部屋の扉が開かれ、マスターが入ってきました。

 

「いえ、大丈夫です。それでは早速、マスターの耳かきを始めたいと思います」

 

 そう言って、私はまず部屋の鍵を確認。それからカーテンが開いてないかも確認します。マスターは耳かきをしている姿を誰かに見られたくないと仰っていたので、この辺りは念入りに確認を行います。

 

「チェック項目の確認を終了、耳かきに最適な環境を確認しました。それではマスター、こちらへどうぞ」

 

「ああ、頼むよ」

 

 正座をし、膝を叩くと、マスターは恥ずかしそうに頭を掻きながらも、大人しく頭を載せてくれました。さぁ、いよいよ耳かきの開始です。

 

「まずは、耳周りの掃除を開始します。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 蒸したタオルでマスターの耳の外側、裏側を丁寧に擦っていきます。この辺りは加齢臭の元にもなるので、念入りに掃除をしなくてはなりません。

 

「マスター、耳の後ろに汚れが溜まっています。最近は体をちゃんと洗っていらっしゃるのでしょうか?」

 

「あー……ブルボンのレースの調整であれこれしてたからなぁ……」

 

「では、これからはちゃんと洗う事を強く進言します。私は三冠ウマ娘になりました。マスターも今後は一層テレビへの出演などが増えるはずです」

 

 マスターが不潔である。等と思われるのは不本意です、ここは私がしっかりと掃除してあげなければ。

 

「耳の外側のタオル拭き、完了しました。これより綿棒による掃除に移ります」

 

 タオルを脇に除け、綿棒を使って耳の外側を掃除していきます。

 

「ゴシゴシ……ゴシゴシ……ギュッギュッ……ギュッギュッ……」

 

 熱気で浮かび上がり、水分を吸ってペースト状になった汚れを綿棒で擦り、落としていき、その途中で各所の耳ツボを押して、マスターの耳に刺激を与えていきます。

 

「マスター、痛かったりしないですか?」

 

「ああ……大丈夫だよ」

 

 その言葉に安心を覚え、私は外側の掃除を続けていきます。汚れを取りすぎた綿棒を捨てるころには、十分に汚れが取れたと判断します。

 

「外側の汚れはほぼ取れました。これより、耳の中の掃除を開始します」

 

そう言って、私はマスターの耳の中に耳かきを差し込んでいきます。金属製の耳かきが耳の中に触れた瞬間、マスターの体が少しだけ震えました。

 

「マスター、大丈夫ですか?」

 

「いや、大丈夫。ちょっと驚いただけだ、続けてくれ」

 

 マスターがそう言ってくれたので、耳かきを再開します。まずは手前、小さな奴から。

 

「カリカリ……カリカリ……カリカリ……」

 

 耳かきの動きに合わせ、マスターの耳元で呟いていると、マスターの口元が僅かに緩んできました。すると、私の中の心もざわついてきます。

 

(これは、レースには無用の感情。でも、今は……)

 

「カリカリ……ガリガリ……マスターの耳垢、もうすぐ取れます……ガリッ……ガリッ……」

 

 この感情をもっと味わいたいと、囁きながら耳かきを続けていき、しかし、耳垢はあっさりと取れてしまいました。

 

「一つ目の耳垢の除去を完了。マスター、いかがですか?」

 

「ああ……痛気持ちいいな……」

 

 すぐに取れたのは残念ですが、マスターの緩んだ顔を見れた事に心が満足感を覚えます。さぁ、次に取り掛かりましょう。

 

「次は……パッと見える範囲には確認できません」

 

 改めて中を見ますが、どうやらマスターの耳の中はそんなに汚れていません。それ自体は嬉しい事なのですが、物足りないです。どこかにないでしょうか?

 

「マスター、少し奥の方を調べてみます。宜しいですか?」

 

「ん? ああ、任せるよ」

 

 マスターからの承諾を得て、私は耳かきを奥の方、見え辛い所に伸ばしていきます。ん? これは……。

 

「な、なぁブルボン、何かその辺……耳かき差し込まれたらやけに痒くなってきたんだが……」

 

「はい、見え辛いですが、恐らく大型の耳垢があります。これよりこの耳垢の除去に集中します」

 

 見え辛いため、耳かきから伝わる感覚に意識を集中させます。上部をなぞり、端の部分を何回かひっかき、大きさと固さを確認します。

 

「これは、かなり硬いと判断します。少しづつ、時間をかけて取り除きます」

 

「マジか……集中って事は、囁きは?」

 

 そう言ってきたマスターの声音は物足りないというのを多分に含んだ声音でした。これは、囁かないわけにはいかないです。

 

「マスターのご要望ならば、囁きながら耳垢を取り除きます」

 

「じゃぁ、それで頼む」

 

「了解しました……ガリッ……ガリッ……」

 

 マスターの要望に従い、再び囁きながらの耳かきとなります。耳垢は表面を掻いても剥がれる気配がないため、端を少しでも剥がし、そこから少しづつ剥がしていきます。

 

「ガリッ……ガリッ……ガッ……ガッ……」

 

 耳垢をひっかくたびにマスターの眉間に皺が寄りますが、追撃の手を緩めるわけにはいきません。中途半端な所でやめたほうが余計に痒いですから。

 

「マスター、我慢が辛かったら私のスカートを握ってください」

 

「う……すまん」

 

 一言謝ると、マスターはしっかりとスカートを握りました。これで、少しは我慢できればいいのですが。

 

「ガリッ……ガリッ……ガ……リッ……」

 

 再開した耳かきで、ついに端が少しづつ捲れはじめました。このまま、剥がれた部分に耳かきを差し込んで、一気にクイッと持ち上げて……。

 

「ベリッ……ベリッ……ベリッ……!」

 

 剥がれ始めた耳垢はそのまま一気に剥がすことができました。そのまま、落とさないように慎重に持ち上げ、ティッシュの上に捨てて改めて観察します。

 

「ミッションクリア。かなりの大物が取れました」

 

 ティッシュの上に捨てられた耳垢は、先程とった小さい物よりもかなり大きく、耳かきの先端部分を隠す程の大きさをしており、分厚さもかなりのものです。色も薄い黄色っぽいものでなく、こり固まった濃い茶色をしています。

 

「おいおい……こんなのがあったのかよ」

 

「はい。恐らくこれが最大の大物となると思います。引き続き耳掃除を継続します」

 

大きい耳垢を取り除いた周辺に残っている小さい欠片や粉を掻き出していき、改めて中を覗き、耳垢の除去が終わった事を確認します。

 

「耳垢の除去を確認。これより梵天の使用、その後ローションの使用に移行します」

 

 耳かきを置き、梵天を手に取ります。

 

「クルクル……ゴシゴシ……クルクル……ゴシゴシ……」

 

 マスターの耳の中を上下に擦り、左右に回し、梵天によって耳かきでは取り切れない粉を絡めとっていきます。しばらくの後に梵天を縫うと、白い毛の一部が黄色くなっているのを確認しました。

 

「梵天終了、ローションに移行します……ヌリヌリ……ヌリヌリ……ペチャペチャ……」

 

 綿棒にローションを絡め、耳垢を取った部分に念入りに塗っていきます。こうすれば、耳垢を取った後の耳の肌荒れを防げますから、念入りに、念入りに。

 

「……なぁ、ブルボン、流石に塗りすぎじゃないか?」

 

「あ……申し訳ありません」

 

 気づけば少々塗りすぎていました。今後は注意しないといけません。

 

「それでは、最後に失礼して……ふ~……ふ~……」

 

 耳かきの一番最後、ローションを塗った部分への息の吹きかけ。息を吹きかけるたびにマスターの肩が僅かに動きます。

 

「ミッション完了。これより反対側の耳掃除に移行します。マスター、反対側を向いてください」

 

 そうお願いすると、マスターは一度体を起こし、反対側を向いてくれます。さぁ、反対側に取り掛かりましょう。

 

「タオルでゴシゴシ……ゴシゴシ……綿棒でゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 最初と同じ手順でまずは耳の外側をタオルと面倒で掃除していき、さぁ、耳の中……を……。

 

「……こちらも、あまり汚れはありません」

 

 覗き込んだ耳の中には小さな耳垢が見えるぐらいで、いたって綺麗な状態となっています。マスターの耳掃除はしばらくやっていないので、ここまで綺麗なはずはないのですが……。

 

 内心で首を傾げながらも、取り合えず目に付いた汚れを取っていきますが、正直囁く必要すらないぐらいの簡単な掃除です。後は……。

 

「では、奥の確認をしていきます」

 

 耳かきを奥の方に差し込み、感触を頼りに探っていくと……ありました。前の耳の中にあったような、固い感覚が。

 

「奥に耳垢を確認。これより除去を開始します……カリカリ……カリカリ……」

 

 先程と同じように耳垢の周りを耳かきで掻きながら探りつつ、耳垢の除去に取り掛かりますが、こちらは表面が多少崩れこそすれど、やはり簡単に剥がれそうにありません。

 

「カリカリ……ガリガリ……ガリガリ……ズズズ……」

 

 表面の剥がれた耳垢を掻き出しつつも本体を取ろうとしますが、マスターも痒いのを我慢しているのが、口に力が入ってしまっています。これはなんとかしなければ。

 

「マスター……我慢をお願いします。我慢……我慢……」

 

 マスターの耳元で囁きながら、頭を撫でていきます。少しでも力を抜いてもらえるように我慢……我慢……と呟いていると、マスターの体から少しづつ力が抜けていってくれます。

 

「では、処置を再開します」

 

 マスターから力が抜けたのを確認し、耳かきを再開します。こちらも端から少しづつ剥がしていきます。

 

「カリカリ……ガリガリ……ガッ……ベリッ……」

 

「ガリガリ……ガリガリ……ガリガリ……」

 

 集中的に同じ場所から剥がしていったおかげか、少しづつ剥がれてきました。このまま、力を入れて、グッと……。

 

「耳垢が剥がれたのを確認。このまま引き揚げます」

 

 引き上げた耳垢は、こちらもかなり大きく分厚いもので、先に掃除した方も含め、なぜこれだけが大きいのか疑問が残ります。もしかしたら……。

 

「耳垢の除去を完了。これより周囲の掃除及び梵天、ローションの順番で移行していきます」

 

 疑問を一度置いて置き、先の耳掃除と同じ手順で掃除を続けていきます。

 

「ふ~……ふ~……マスター、耳かき、完了です」

 

「はぁ~……今回は、色々と凄かったな。まさかあんな塊が出てくるなんてな」

 

 息の吹きかけを終えると、マスターも大きく息を吐き、安心したように脱力します。さぁ、ここから疑問を解消させなければ。

 

「ところでマスター。私が耳かきをしていない間、もしかしてご自身で耳かきをしていましたか?」

 

「あ? ああ……流石にレースに集中してる時に頼むのも悪いからな。一応自分で調べてやってみたんだが」

 

「耳垢の原因はそれです」

 

「へ!?」

 

 私の言葉にマスターは驚いた顔をでこちらを向いてきました。

 

「耳かきは繊細な作業です。今回はマスターが無暗に耳かきを入れていたせいで奥に細かい耳垢が押し込まれ、固まったと予想されます。もしそのまま続けていたら完全に耳穴が塞がっていた可能性もあります」

 

「マジかぁ……え、それじゃぁ俺、自分で耳かきやらないほうがいいのか?」

 

「はい。ですので、今後もマスターの耳かきは定期的に私が行います」

 

「いや、それは流石に……」

 

「わ、た、し、が。行いますので、マスターはそれに従ってください」

 

「……はい」

 

 申し訳なさそうにするマスターに改めて宣言すると、マスターはどこか諦めたように息を吐いて、顔を横に向けました。

 

「それでは、これよりお昼寝に移行します。マスター、何か希望はありますか?」

 

「そうだな……手を握っていてくれるか?」

 

「了解です、マスター」

 

 マスターの手を握り、それから、頭を撫でていきます。そうすると、マスターは静かに目を閉じ……やがて、寝息を立て始めました。

 

「……おやすみなさい、マスター。どうか良い夢を」




なお、今回初めて活動報告を書きましたので、そちらも見て頂ければ幸いです。


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ミホノブルボン(地の文あり、男トレーナー視点)

前作のミホノブルボン(地の文あり)の男トレーナー視点となります。

ウマ娘ではやってもらう側の視点は全然書いてきませんでしたが、今回、久しぶりに書いてみました。

この形式に関してどう思われたかコメントしていただければ幸いです。


ライスシャワーとの戦いを終え、ミホノブルボンは無事三冠を達成した。トレーナーとしてこれほどの充実感はないだろう。彼女もまた嬉しそうだ。これも彼女の実力故の成果なのだが、嬉しい事に彼女は今日、俺にお礼をしたいと言ってきた。どんなお礼をしてくれるのかと思っていたが……。 

 

「耳かきよし、ローションよし、蒸しタオルよし、綿棒、ピンセットよし」

 

 扉を開けた時、彼女はそんな事を呟きながら耳かきの道具を用意していた。これが本お礼ではないそうだが、それでもやってくれるというのは嬉しいものだ。

 

「ブルボン、待たせたな」

 

 中に入りそう声をかけると、彼女は俺の事に気づいてこちらを向いていた。

 

「いえ、大丈夫です。それでは早速、マスターの耳かきを始めたいと思います」

 

 そう言うと、彼女はまず部屋の鍵をしっかりと確認し、更にカーテンも閉じられているか確認。まぁ、見られたら恥ずかしいじゃ済まないからな

 

「チェック項目の確認を終了、耳かきに最適な環境を確認しました。それではマスター、こちらへどうぞ」

 

「ああ、頼むよ」

 

 正座した彼女の膝の上に頭を置く。レースの為に鍛えられているしっかりとした弾力と筋肉が多いが故の熱の高さが服越しに伝わってくるが、できる限り意識しないように努める。

 

「まずは、耳周りの掃除を開始します。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 温められたタオルに擦られるとじんわりと熱が伝わってきて、それが心地よくてそれだけで力が抜けそうになる。

 

「マスター、耳の後ろに汚れが溜まっています。最近は体をちゃんと洗っていらっしゃるのでしょうか?」

 

「あー……ブルボンのレースの調整であれこれしてたからなぁ……」

 

 一応風呂に入っていた。いたが、細かい身なりまで気にする余裕はなかったなぁ。三冠を取るまでは、頭の中はほぼ全部ブルボンの事ばっかりだった。

 

「では、これからはちゃんと洗う事を強く進言します。私は三冠ウマ娘になりました。マスターも今後は一層テレビへの出演などが増えるはずです」

 

 う……確かに、最近は雑誌の取材やらなんやら色々と増えたんだよな。俺としては正直今後のレースの事に頭を使いたいんだが、これも仕方ない事か。

 

「耳の外側のタオル拭き、完了しました。これより綿棒による掃除に移ります」

 

 取材の事を考えている間にタオル拭きが終わったようだ。さて、ここから耳かきだ。正直楽しみだ。

 

「ゴシゴシ……ゴシゴシ……ギュッギュッ……ギュッギュッ……」

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 グッグッ……ゴシゴシ……

 

 耳の外側を全体的に、それでいて窪みなども丁寧に綿棒で擦られていく。正直ここをこんなに丁寧に掃除されるだけでも嬉しい物だな。

 

「マスター、痛かったりしないですか?」

 

「ああ……大丈夫だよ」

 

 こちらを気遣ってくれる彼女の声に大丈夫だと答える。そうするとなんとなくだけど、ブルボンが安心したような、そんな気配を感じた。

 

「外側の汚れはほぼ取れました。これより、耳の中の掃除を開始します」

 

 しばらく外側を掃除していたブルボンがそう言って綿棒を捨てるのを横目で見る。さぁ、来るぞ。そう覚悟を決めていると、耳かきが耳の中に入ってきた。それが触れた瞬間、慣れぬ感覚に思わず体が震えてしまった。

 

「マスター、大丈夫ですか?」

 

「いや、大丈夫。ちょっと驚いただけだ、続けてくれ」

 

 ブルボンの言葉に努めて平静に答える。変に慌ててる姿なんて見せたら心配させるからな。

 

「マスターがそう言ってくれたので、耳かきを再開します。まずは手前、小さな奴から」

 

「カリカリ……カリカリ……カリカリ……」

 

 カリカリ……カリカリ……

 

 ガリガリ……ガリッ、ガリッ

 

 耳の中の浅い所から、ブルボンの耳かきが始まっていく。カリカリと、耳かきの動きに合わせて呟かれる言葉が心地よく、気を抜けば目が閉じそうになるのをなんとか耐える。

 

(これ、気持ちいいんだよなぁ)

 

 普段の表情に似合わない、綺麗で優しい声を聴き続ける。これだけでもう気持ちよくなってしまい、自然と頬が緩くなっていく。

 

「カリカリ……ガリガリ……マスターの耳垢、もうすぐ取れます……ガリッ……ガリッ……」

 

 ガリガリ……ガリガリ……

 

 ガリッ……ガッ、ガッ……

 

 耳かきの動きが激しくなり、耳垢を引っかかれるたびに痛痒いような間隔を味わう。そして、少ししてペリペリという音と共に耳垢が剥がされた。

 

「一つ目の耳垢の除去を完了。マスター、いかがですか?」

 

「ああ……痛気持ちいいな……」

 

 かさぶたを剥がした時のような、スッとした感覚を味わいながら彼女の言葉に答える。まだ耳垢は残ってるのだろうか? できればもっと味わい所だが。

 

「次は……パッと見える範囲には確認できません」

 

 そんな風に思っていたが、まさか耳垢がないとは。いや、それも仕方ないか。あんまりブルボンに頼るのも悪いと思ってちょくちょく自分で掃除してたからなぁ。

 

「マスター、少し奥の方を調べてみます。宜しいですか?」

 

「ん? ああ、任せるよ」

 

 残念に思ってるとブルボンがそんな提案をしてきたので了承すると、自分では入れたことがないような奥まで耳かきが入っていく。うお、これ、怖いなって……ん、なんだこの痒み……!

 

「な、なぁブルボン、何かその辺……耳かき差し込まれたらやけに痒くなってきたんだが……」

 

 耳かきの先端が当たった部分が妙に痒くなって来た。なんだこれ? ヤバくないか?

 

「はい、見え辛いですが、恐らく大型の耳垢があります。これよりこの耳垢の除去に集中します」

 

 おいおい、そんなのあるのかよ。こんな奥にあると流石に怖いものがあるが……ブルボンならきっとちゃんと取ってくれる。そうだ、自分の愛バを信じなくてどうする。

 

 そう思っていると、耳かきがその部分を何回も掻き出した。だけど、なんというか上を滑っている感じで、取れそうな気配が全然ない。

 

「これは、かなり硬いと判断します。少しづつ、時間をかけて取り除きます」

 

「マジか……集中って事は、囁きは?」

 

 言ってから自分でも驚いたが、俺はどうも、もう彼女の囁きがないと物足りないらしい。

 

「マスターのご要望ならば、囁きながら耳垢を取り除きます」

 

「じゃぁ、それで頼む」

 

「了解しました……ガリッ……ガリッ……」

 

 ガリガリ……メヂッ……メヂッ……

 

 ガッ、ガッ、……ガリガリ……

 

 ああ、囁いてくれるとやっぱりいいな。これでなんとか痒みを我慢できればいいんだが。ヤバいな、強烈に痒いぞ。

 

「ガリッ……ガリッ……ガッ……ガッ……」

 

 ゴヅッ……ゴヅッ……

 

 ガッ……メヂッ……ガリッ……

 

 一応、少しづつだが剥がれていっているとは思う。だが、中途半端に剥がれるほうが痒みが増してきて、思わず眉間に皺が寄ってしまう。

 

「マスター、我慢が辛かったら私のスカートを握ってください」

 

「う……すまん」

 

 恥ずかしいが、もはやそれを気にする余裕もない。俺はしっかりとブルボンのスカートを掴み、痒みに耐える。

 

「ガリッ……ガリッ……ガ……リッ……」

 

 ガガ……ガリガリ……ガリガリ……

 

 ベリッ……ガッ……ガッ……

 

 耳かきが耳垢を剥がそうと端っこから攻めていく。そして少し剥がれたかと思ったら、そこに一気に耳かきの先端が食い込んできた。

 

「ベリッ……ベリッ……ベリッ……!」

 

 ベリッ……メヂ……メヂッ……

 

 ベリベリ……ベリッ……ゴゾッ……

 

 梃子のように耳かきが持ち上がると、そのまま耳垢が一気に剥がされていく。分厚いかさぶたを一気に剥がしていくようなその感触に、思わず体に力が入り、拳を強く握りしめる。だが、完全に剥がされた時の解放感によって一気に脱力した。

 

(うわ……めちゃくちゃ気持ちよかったぁ……)

 

 内心でそう思っていると、ティッシュに例の耳垢が捨てられた。分厚く、茶色く変色した耳垢は、これまで見た事のない大物だ。

 

「ミッションクリア。かなりの大物が取れました」

 

 どこか満足げに言うミホノブルボンだが、俺としてはこんなのが耳の中にあった事に驚きを隠せない。

 

「おいおい……こんなのがあったのかよ」

 

「はい。恐らくこれが最大の大物となると思います。引き続き耳掃除を継続します」

 

 俺が衝撃を受けている間にも耳かきは続く。でかい耳垢を取った後の汚れを彼女は器用に掻き出していき、中途半端な痒みの元を全て取り除いてくれた。

 

「耳垢の除去を確認。これより梵天の使用、その後ローションの使用に移行します」

 

 そう言って、彼女は耳かきを横に置くと梵天を手に取った。

 

「クルクル……ゴシゴシ……クルクル……ゴシゴシ……」

 

 梵天の柔らかい毛が耳の中をかき回していき、それがくすぐったくて気持ちよくて、思わずほうっ……と息が漏れていた。

 

「梵天終了、ローションに移行します……ヌリヌリ……ヌリヌリ……ペチャペチャ……」

 

 梵天が終わり、次にローションが塗られる。耳垢が剥がされて熱を帯びている部分を冷たいローションが優しく冷やしてくれる。それはいい、良いんだが……なんか量多くないか?

 

「……なぁ、ブルボン、流石に塗りすぎじゃないか?」

 

「あ……申し訳ありません」

 

 俺が聞くと、彼女は慌てて綿棒を引き抜いた。うん、やっぱり塗りすぎだよな。

 

「それでは、最後に失礼して……ふ~……ふ~……」

 

 ブルボンの吐息が耳の中を満たしていく。ローションを塗られてる部分に吹きかけれた息が熱を奪い、ひんやりとした感触に思わず肩が震え

 

「ミッション完了。これより反対側の耳掃除に移行します。マスター、反対側を向いてください」

 

 そう促されたため、俺は体を起こして反対側を向く。いや、そのまま反対側を向くのは流石にマズイだろ。

 

「タオルでゴシゴシ……ゴシゴシ……綿棒でゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 先にやったのと同じ手順で耳かきが進められていく。温かいタオルで擦られ、綿棒で浮いた汚れをこそぎ落していく。ゴシゴシと、囁かれる声が、汚れを落とした耳に心地よい。

 

やがてタオルがどかされ、彼女が耳を除いているのが気配でわかった。

 

「……こちらも、あまり汚れはありません」

 

 そう呟くブルボンの声音はやはり残念そうなもの……だと思ったが、なんだ? なんか、不審に思ってる?

 

 そんな風に思ってる間にも耳の中の掃除が進んでいく。と言っても小さいのが取られるばかりで、先程の大物に比べるとどうにも物足りない。

 

「では、奥の確認をしていきます」

 

 そして再び差し込まれた耳かきが、先程と同じように奥に奥に、手探りのように進んでいく。そして少しして、耳かきの先端が擦ったその部分が猛烈に痒くなった。

 

「奥に耳垢を確認。これより除去を開始します……カリカリ……カリカリ……」

 

再び大物に取り掛かってもらうが、これも引っかかれるほどに痒みが増していく。早く……取ってくれええ。

 

「カリカリ……ガリガリ……ガリガリ……ズズズ……」

 

 カリカリ……カリカリ……メヂッ

 

 ゴゾゴゾ……バリッ……ズゾゾ……

 

 ブルボンが耳垢を引っ搔いていって、たまに欠片みたいなのが引きずり出されているが、痒みは収まる気配がない。知らず知らず、歯を食いしばり、動くまいと必死になってしまう。

 

「マスター……我慢をお願いします。我慢……我慢……」

 

 そんな時、不意にブルボンが頭を撫でて我慢と囁いてきた。それを聞いていると、不思議と体から力が抜けていく。痒みは収まらないが、それでも我慢できない程ではなくなっていった。

 

「では、処置を再開します」

 

 俺の力が抜けたのを確認したのか、ブルボンが耳かきを再開した。

 

「カリカリ……ガリガリ……ガッ……ベリッ……」

 

「ガリガリ……ガリガリ……ガリガリ……」

 

 メヂリ……ガリガリ……ガッ、ガッ……

 

 メヂ……メヂ……メヂッ……!

 

 耳かきが同じ場所を集中的に引っかけていく。そのおかげか徐々に剥がれてきてるのが自分でもわかってきて、痛痒い感覚に早く取ってほしい、早く取れてくれ。と心の中で叫んでいると、剥がれてきた所に耳かきが差し込まれた。

 

(あ、これこのまま剥がれるか?)

 

 そんな風に思っている間に差し込まれた耳かきの先端がグッと持ち上げられ、そのままメヂメヂと言う音と共に耳垢が一気に引き剥がされた。

 

(う……お……ッ)

 

 痒みから一気に解放される快感に、俺は大きく息を吸い込み……そのままホウッ……と息を吐いた。ヤバいなぁ、気持ちよすぎる。

 

「耳垢が剥がれたのを確認。このまま引き揚げます」

 

 引き上げられた耳垢は先に取られた大物に負けず劣らずの大きさと分厚さをしていて、こんなでかいのが取れたのだという満足感が俺を満たしていく。

 

「耳垢の除去を完了。これより周囲の掃除及び梵天、ローションの順番で移行していきます」

 

 そして、ブルボンが最初と同じように残る汚れの掃除と、ローションによるケアを行ってくれて、最後に。

 

「ふ~……ふ~……マスター、耳かき、完了です」

 

 息が吹きかけられ、ゾクゾクとした快感を味わって耳かきが終わった。いやぁ、気持ち良かったなぁ。

 

「はぁ~……今回は、色々と凄かったな。まさかあんな塊が出てくるなんてな」

 

 痒みからの解放感、耳が綺麗になった快感、彼女の膝の上という心地よさ、それら全てを味わいながら、俺は至福に包まれていた。

 

「ところでマスター。私が耳かきをしていない間、もしかしてご自身で耳かきをしていましたか?」

 

「あ? ああ……流石にレースに集中してる時に頼むのも悪いからな。一応自分で調べてやってみたんだが」

 

 実のところ、ブルボンの耳かきが気持ち良くて自分でも味わいたくなったというのが本音だが。

 

「耳垢の原因はそれです」

 

「へ!?」

 

 思わぬ言葉に俺は思わず彼女を見上げた。

 

「耳かきは繊細な作業です。今回はマスターが無暗に耳かきを入れていたせいで奥に細かい耳垢が押し込まれ、固まったと予想されます。もしそのまま続けていたら完全に耳穴が塞がっていた可能性もあります」

 

 え……マジか、掃除してるつもりで全然掃除できてなかったのかよ。てか耳が塞がるとかもあり得るのかよ。

 

「マジかぁ……え、それじゃぁ俺、自分で耳かきやらないほうがいいのか?」

 

「はい。ですので、今後もマスターの耳かきは定期的に私が行います」

 

 ブルボンはそう言ってきたが、流石にそれは不味い。そこまで手間をかけさせるのが悪いというのもあるが、最近はウマ娘との肉体的接触に関して厳しい目が向けられるし、万が一ばれたらどうなるか。

 

「いや、それは流石に……」

 

「わ、た、し、が。行いますので、マスターはそれに従ってください」

 

「……はい」

 

 断ろうとしたら無表情ですっごい圧をかけられた。レースで見せるような気迫をこんなところで見せなくてもいいのに、何が彼女をここまで駆り立てているんだ? ……まぁ、仕方ない、諦めよう。

 

「それでは、これよりお昼寝に移行します。マスター、何か希望はありますか?」

 

「そうだな……手を握っていてくれるか?」

 

「了解です、マスター」

 

 ギュッと彼女の手が俺の手を握ってくる。サイボーグだとか言われる彼女だけど、その手はとても暖かくて、こうして握り合っていると、心まで温かくなり、安心してしまう。

 

 そんな安心に包まれていると徐々に瞼が落ちていき、俺は心地よい温もりを感じながら眠りに落ちていった。

 

「……おやすみなさい、マスター。どうか良い夢を」

 

 意識を手放す直前、そんな彼女の優しい声が聞こえた気がした。



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ミホノブルボン(地の文あり、女トレーナー視点)

ミホノブルボン(地の文あり)の女トレーナー視点となります。

男トレーナー視点だけのつもりでしたが、女トレーナー視点だとどんな感じになるか、試作を兼ねて書いてみました。今後のウマ娘でも書くかもしれません。

追記 書き溜め全て放出しました。仕事関係が忙しいので、来週にアップできるかは未定です。

以前書いた活動報告に追記を追加しました。


 ブルボンがライスシャワーとの戦いを終え無事に三冠を達成した。私のトレーナー人生の中でここまで誇らしい事なんてなかっただろう。だから私には彼女に対して感謝しかない。

 

 それなのに、今日は彼女が耳かきをしてくれるという。以前耳が詰まるぐらい耳垢が詰まってるのを掃除してくれただけでも嬉しいのに、もう、私の愛バは世界一ね!

 

「耳かきよし、ローションよし、蒸しタオルよし、綿棒、ピンセットよし」

 

 鼻歌交じりに私達のトレーナー室に入ると、既にブルボンが中に居て、耳かきの道具の確認をしていた。

 

「ブルボン、ごめんね、待たせちゃった」

 

 声をかけるとブルボンが顔を上げてこちらを向いてくれた。

 

「いえ、大丈夫です。それでは早速、マスターの耳かきを始めたいと思います」

 

 そう言うと、彼女は部屋のカーテンや鍵を念入りにチェックする。うん、いくら同性とは言え、流石に耳かきしてる姿を見られるのは色々不味いからね。

 

「チェック項目の確認を終了、耳かきに最適な環境を確認しました。それではマスター、こちらへどうぞ」

 

「うん、お願いね」

 

 正座をして膝をポンポンと叩く彼女に従って膝枕に頭を置く。うーん、やっぱり恥ずかしい。

 

「まずは、耳周りの掃除を開始します。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 ゴシゴシ……ギュッギュッ……

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 オトマトペを口にしながらブルボンは温かいタオルで耳を拭いてくれる。ああ、もう、これだけでも気持ちいい。

 

「マスター、耳の後ろに汚れが溜まっています。最近は体をちゃんと洗っていらっしゃるのでしょうか?」

 

「あー……最近はブルボンのレースで頭が一杯だったから……アハハー」

 

「では、これからはちゃんとと洗う事を強く進言します。私は三冠ウマ娘になりました。マスターも今後は一層テレビへの出演などが増えるはずです」

 

 うう、そうなのよねぇ、雑誌にテレビに、メディアに出る回数が増えたから、身だしなみはしっかりしないと。あー、面倒だなぁ。

 

「耳の外側のタオル拭き、完了しました。これより綿棒による掃除に移ります」

 

 嫌な事を思い出している間にタオル拭きが終わっていて、ああ、ここから耳掃除が始まるんだ。

 

「ゴシゴシ……ゴシゴシ……ギュッギュッ……ギュッギュッ……」

 

 綿棒で耳を擦られ、窪みなどにもグリグリと汚れを掘り返していき、ツボをギューッと押してもらうと耳が熱くなっていく。

 

「マスター、痛かったりしないですか?」

 

「うん……大丈夫だよ」

 

 私の痛くしないよう丁寧にしてくれる彼女の心遣い。ああ、この子のトレーナーになって良かったと実感しちゃうなぁ。

 

「外側の汚れはほぼ取れました。これより、耳の中の掃除を開始します」

 

 ついに耳かきが耳の中に入ってきた。一瞬耳かきが触れた時に冷たくて思わず体が震えた。

 

「マスター、大丈夫ですか?」

 

「いや、大丈夫。ちょっと驚いただけだから、続けてちょうだい」

 

 ふぅ、ブルボンを心配させちゃったかな。反省反省。

 

「カリカリ……カリカリ……カリカリ……」

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ああ、良いなぁ。ブルボンの声で呟かれるオトマトペとシンクロしている耳かきの音。これを聞いてるだけで寝れそうだ。

 

「カリカリ……ガリガリ……マスターの耳垢、もうすぐ取れます……ガリッ……ガリッ……」

 

 ガリガリ……ガリガリ……

 

 カリカリ……ガリガリ……

 

 あー、もう終わっちゃうのかぁ。んー、これならブルボンに悪いからって自分で掃除したりしなけりゃよかったかなぁ。でも、汚い耳の中見せるのもいやだしなぁ。

 

「一つ目の耳垢の除去を完了。マスター、いかがですか?」

 

「あー……気持ちいいよ、ブルボン」

 

 小さいとはいえ、耳垢が取れる瞬間は気持ちいい。なんか自分でやるよりもやっぱりやってもらうのって良いなぁ。

 

「次は……パッと見える範囲には確認できません」

 

 あー、やっぱりそうなっちゃう? そうなっちゃうよなぁ。私が残念なのもあるけど、ブルボンにも悪い事したかも。

 

「マスター、少し奥の方を調べてみます。宜しいですか?」

 

「ん? 良いよー」

 

 奥かぁ。奥に耳かき入れるの怖くて全然やってなかったっけ。そこならまだ耳垢残ってるかも。

 

 耳かきが奥の方をコツコツと手探りで進んでいくけど、あー……うん、怖い。怖いわこれ……って痒い! 痒い!

 

「ちょ、ブルボン! その辺り痒い! 猛烈に痒い!」

 

「はい、見え辛いですが、恐らく大型の耳垢があります。これよりこの耳垢の除去に集中します」

 

ちょ、こんな所にそんな大きいのあるの!? は、早く取ってー!

 

 そんな私の内心と裏腹に、耳かきは痒い場所を何度も往復するけど取れる気配がない。

 

「これは、かなり硬いと判断します。少しづつ、時間をかけて取り除きます」

 

「うう……そ、それじゃぁ、囁きは? 囁きない?」

 

 こ、こんな痒い状態、このまんまじゃ耐えられないよー。

 

「マスターのご要望ならば、囁きながら耳垢を取り除きます」

 

「じゃぁ、それでお願い!」

 

「了解しました……ガリッ……ガリッ……」

 

 ブルボンは頷くと、再びオトマトペを口にしながら耳かきを始めてくれた。同じ場所を何回も耳かきが往復し、なんとか剥がそうと頑張ってくれる。

 

「ガリッ……ガリッ……ガッ……ガッ……」

 

 ガッ、ガッ、ガッ

 

 ガリガリ……ガリガリ……

 

 一か所に狙いを定め、そこから少しづつ、少しづつ剥がれてるのはわかる、わかるんだけど。こうして中途半端に剥がれてる時が一番痒いの! もう無理やり指突っ込みたいよー!

 

「マスター、我慢が辛かったら私のスカートを握ってください」

 

「う……ごめん」

 

 私の様子から察したのがブルボンがそんな提案をしてくれたので甘えて思い切り彼女のスカートを掴む。あー、早く早く早くー!

 

「ガリッ……ガリッ……ガ……リッ……」

 

ブルボンの力の籠った声が聞こえたと思うと、耳垢が少し剥がれた。ちょっと痛いけど、その痛みを我慢している間に耳かきが耳垢と耳の間に差し込まれる。

 

 再開した耳かきで、ついに端が少しづつ捲れはじめました。このまま、剥がれた部分に耳かきを差し込んで、一気にクイッと持ち上げて……。

 

「ベリッ……ベリッ……ベリッ……!」

 

 差し込まれた耳かきが梃子のように傾くと、そのまま耳垢が大きな音を立てて剥がれた。その痛気持ち良さに息が止まっている間に、ズズズと耳垢が引き上げられる。

 

「ミッションクリア。かなりの大物が取れました」

 

「ッ……はぁ……はぁ……で、でっかぁい」

 

 ティッシュの上に捨てられた耳垢がでかいし分厚いし、こんなの私見た事ないんだけど。これが私の耳の中にあったの? すっごいえぐい茶色してるんだけど。

 

「えー……ブルボン、これ、本当に私の中にあったの?」

 

「はい。恐らくこれが最大の大物となると思います。引き続き耳掃除を継続します」

 

 そう言うとブルボンは再び耳かきを入れてきて、カキカキと巨大な耳垢があった周辺を掻いていってくれて、引き上げられたびに耳垢や粉がでてくる。

 

「耳垢の除去を確認。これより梵天の使用、その後ローションの使用に移行します」

 

 ふぅ~、やっと終わったかぁ。いや、残念なんだけどね。でも、あんな耳垢があったって考えるとちょっと落ち着かないというかなんというか……。

 

「クルクル……ゴシゴシ……クルクル……ゴシゴシ……」

 

 そんな複雑な気分の私だけど、梵天が耳の中をコショコショとくすぐるように動いていると、気持ちよくてはふぅ……と息を吐いてしまう。

 

「梵天終了、ローションに移行します……ヌリヌリ……ヌリヌリ……ペチャペチャ……」

 

 そして次がローションだ。んー、正直耳の中に液体があるのってそんなに好きじゃないけど、それでも必要だから我慢しなきゃ……ん……んー……?

 

「……ねぇ、ブルボン、流石に塗りすぎじゃないの?」

 

「あ……申し訳ありません」

 

 そう言ってブルボンはローションを塗るのをやめてくれたけど、流石にちょっと耳の中がべっちょりしてる感じ。しかも奥の方だから多分ティッシュとかで取るのも無理だよね。んー、でも我慢しなくちゃ。それだけ大きな耳垢だったんだから。

 

「それでは、最後に失礼して……ふ~……ふ~……」

 

 彼女の吐息が耳の中を走ると、特にローションを塗ったところがひんやりとして思わず肩が動く。ん、はぁ……これ、癖になるのよね。

 

「ミッション完了。これより反対側の耳掃除に移行します。マスター、反対側を向いてください」

 

 そう言われてブルボンに反対側の耳を見せるように体勢を変える。

 

「タオルでゴシゴシ……ゴシゴシ……綿棒でゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 最初と同じように、耳が暖かいタオルで包まれ、念入りに擦られる。あー、癒されるわー。しばらくしてタオルが取られて、ブルボンの顔が耳に近づいてくる。

 

「……こちらも、あまり汚れはありません」

 

 あ、うん。さっき大物撮ったから余計に残念そうな感じがする。今度からは彼女の為にももうちょっと耳かき控えたほうが良いのかな? そんな風に思ってる間にもブルボンがカリカリと耳の中をいくつか掻いてくれるけど……うん、すぐに終わっちゃう。横目で彼女の顔を見てみると、無表情な中に残念さがにじみ出てた。

 

「では、奥の確認をしていきます」

 

 そして再び耳の奥へ耳かきが差し込まれていく。あー……さっきやったことだけど、やっぱり怖いよぉ。……って、え、また奥が痒いんだけど。

 

「奥に耳垢を確認。これより除去を開始します……カリカリ……カリカリ……」

 

 うそぉ、こっちにも同じようなのがあるの? なんでー。自分でちゃんと耳掃除してるのに、なんでこんなところにでっかいのがあるのよー。

 

 そんな風に困惑してるけど、その間にもブルボンは手際よく耳かきを動かして耳垢を取り出しにかかってくれている。

 

「カリカリ……ガリガリ……ガリガリ……ズズズ……」

 

 あー、痒い、痒い、痒い! 彼女のオトマトペを聞いてても我慢できないぐらい痒い!

 

 必死に我慢して、なんとか耐えようと気合を入れていると、不意に耳かきが止まり、代わりにブルボンが頭を撫でてきた。

 

「マスター……我慢をお願いします。我慢……我慢……」

 

 はぅぅ……ブルボンの優しい声を耳元で囁かれるのが、気持ちい……脳みそまで蕩けちゃう……。頭を撫でられると思わず安心しちゃって、体から力が抜けちゃうよぉ……。

 

「では、処置を再開します」

 

 弛緩していると、彼女の声音が普段通りに戻って耳かきが再開された。痒……でも、動けない。

 

「カリカリ……ガリガリ……ガッ……ベリッ……」

 

「ガリガリ……ガリガリ……ガリガリ……」

 

 耳かきが一点に集中して動いていて、痒みは継続しているけど、でも、それでも少しづつ剥がれていってるのがわかる。あとちょっと……あとちょっとぉ……!

 

「耳垢が剥がれたのを確認。このまま引き揚げます」

 

 ベリベリッて音がしたと思うと、そのまま一気にベリッ! って音がして、そのまま耳垢は引き上げられる。あー……快感……すっご……。

 

「耳垢の除去を完了。これより周囲の掃除及び梵天、ローションの順番で移行していきます」

 

 快感の余韻に浸っていると、先の掃除と同じように周りの掃除、梵天、ローションの順で掃除が続いていき、そして。

 

「ふ~……ふ~……マスター、耳かき、完了です」

 

 ローションのひんやりした部分に息を吹きかけられゾクゾクとした快感の余韻に浸りながら、大きく息を吐いた。

 

「はぁ~……気持ちよかったぁ……でも、なんであんな大きいのがあったんだろう?」

 

 私が疑問に思っていると、ブルボンが私の顔を覗き込んできた。

 

「ところでマスター。私が耳かきをしていない間、もしかしてご自身で耳かきをしていましたか?」

 

「え? うん……大事なレースだし、ブルボンにはレースに集中して欲しかったから、自分でやってたよぉ」

 

「耳垢の原因はそれです」

 

「へ!?」

 

 え? 何々、どういう事? なんで掃除してるのに、それが原因であんな耳垢ができたっていうの!?

 

「耳かきは繊細な作業です。今回はマスターが無暗に耳かきを入れていたせいで奥に細かい耳垢が押し込まれ、固まったと予想されます。もしそのまま続けていたら完全に耳穴が塞がっていた可能性もあります」

 

「ええぇ……え、それじゃぁ私、自分で耳かきやらないほうがいいってこと?」

 

「はい。ですので、今後もマスターの耳かきは定期的に私が行います」

 

「いや、それは流石に……」

 

「わ、た、し、が。行いますので、マスターはそれに従ってください」

 

「……はい」

 

 ズイっと顔を近づけて変わらない表情で押してくるブルボンに圧力に屈して頷いてしまった。えーと……これ、良いのかなぁ。

 

「それでは、これよりお昼寝に移行します。マスター、何か希望はありますか?」

 

「え? う、うん……それじゃぁ、手、手握っててくれる?」

 

「了解です、マスター」

 

 ギュッと手が握られると、ブルボンの手の暖かさに、取り合えずさっきまで考えてたことを横に置いて置くことにした。うん、もういいや、後で考えよう。

 

 現実逃避を含めてそう考えた私は目を閉じてブルボンに体重を預ける。あー、暖かいなぁ……。あ、なんか意識したらどんどん眠くなって……。

 

「……おやすみなさい、マスター。どうか良い夢を」

 

 ボヤッとしていく意識の中、そんな声が聞こえた気がした。

 



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マヤノトップガン

マヤノトップガンで書いてみました。以前から書きたいと思ってましたが、どうも漠然としたイメージが固まらなかったので時間がかかってしまいました。

マヤのみたいな子に慕われるのって良いですよね。


トレーナーちゃーん。遊ぼうよー。

 

 えー? 突然飛び掛かるんじゃない? だって、トレーナーちゃん、いっつも仕事を理由にしてマヤから逃げるんだからー。こうしてギューって抱きしめてるんだよ。

 

 今日は逃がさないからね……ん? んー……トレーナーちゃん! 耳、汚い!

 

 なんでこんなに汚いの? え? そんなに耳掃除なんてしなくていい? もー! 人間だって耳のケアはしないとダメだよ! マヤのトレーナーちゃんがそんなガサツだなんて許せない!

 

 待っててねトレーナーちゃん、すぐに耳掃除の準備してくるから。

 

 はい、お待たせ。え? 本当にするのかって? もー、するに決まってるじゃん。ほらほら、早くマヤのお膝に頭乗せてね。

 

 それじゃぁ早速始めるね。まずは、耳の周りをタオルでゴシゴシ。んー、トレーナーちゃん、耳の周りも汚いよー。ダメだよ、もー。

 

 はい、それじゃぁ、中をやっていくね……って、その前に外側もタオルでゴシゴシ! トレーナーちゃん、こっちも汚いよー。

 

 ふぅ、やっと擦り終えたねー。さぁ、今度こそ耳の中をやっていくよー。

 

 ガリガリ……ガリガリ……

 

 カリカリ……カリカリ……

 

 んー、トレーナーちゃんの耳の中、細かい粉が多い感じ。塊になりにくいのかなぁ。ピンセットとかは使う必要はなさそうだね。次からは綿棒のほうがいいかも。

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 カリカリ……カリカリ……

 

 うんうん、それでもだいぶ取れてきたね。さぁ、ここから一気に取っていくよー。

 

 ガザガザ……ガザガザ……

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 うん、粉は大体取れたかな。後は、塊で取れそうなのを取っていくからね。トレーナーちゃん、動いちゃだめだよ。

 

 ガリガリ……カリカリ……

 

 カリカリ……ペリペリ……

 

 はい、塊も取れたよトレーナーちゃん。次は梵天で残りの粉を取っていくから、おとなしくしててね。

 

 ゴゾゴゾ……クルクル……

 

 クルクル……クルクル……

 

 はい、これでお終い。んー、トレーナーちゃんの耳、粉っぽいから、こまめに掃除しなきゃダメだよー。そうじゃないとすぐに粉で汚れちゃうからね。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 えへへ、驚いた? もー、息を吹きかけるまでが耳かきのお約束でしょ。油断してるトレーナーちゃんが悪いんだよー。

 

 さぁ、もう片方もしちゃうからね。あー、遠慮なんてしないでよトレーナーちゃん。ここまで来たら、両方やらないとマヤの気が済まないの。

 

 はい、素直になったトレーナーちゃんは大好きだよ。それじゃぁ、さっそくやっていくね。

 

 んー、こっちの耳の外側も汚い! トレーナーちゃん、今日からはちゃんとお風呂上りにここも拭いてね!

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ギュッ……ギュッ……ゴシゴシ……

 

 はい、外側のお掃除終了。このまま中も一気に掃除しちゃうよー。

 

 ガリガリ……カリカリ……

 

 ペリッ……ペリッ……

 

 うんうん、トレーナーちゃんの耳垢は粉っぽいのもあって、けっこう取れやすいね。これならこっちも早めに終わるかな。

 

 ザリザリ……ガリガリ……

 

 ガッ……ベリッ……

 

 んーでも、やっぱり粉が多いから、時間かかるかも。もうちょっと我慢しててね、トレーナーちゃん。

 

 ゴシゴシ……ザリザリ……

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 うんうん、大分綺麗になったねー。これなら、マヤのトレーナーとして恥ずかしくないよー。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 えへへ、トレーナーちゃん、驚きすぎ。そんなに驚いたら、マヤも驚いちゃうよ。

 

 はい、これでお掃除お終い。綺麗になったよトレーナーちゃん。あ、まだ動いちゃだめだよー。

 

 え? 何をするのかって、お昼寝でしょ? 耳かきの後にはお昼寝が定番じゃん。それに、最近トレーナーちゃんも疲れてるみたいだから、今日はこのままお昼寝しようね。

 

 だーめ、絶対に逃がさないからね。今日はマヤと一緒って決めたから、観念しちゃうほうが良いよ。

 

 うんうん、素直なトレーナーちゃん大好き。それじゃぁお休みトレーナーちゃん。マヤ、トレーナーちゃんが起きるまでずっと一緒に居るからね。 



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エアグルーヴ’(地の文あり)

エアグルーヴで書いてみました。彼女って何気に嫁力高いのでは? と思うのは私だけでしょうか?

夫を尻に引いて、なおかつ献身的に尽くしてくれるような気がします。


 12月。年末年始も近く、私達もレースや行事など様々な事を片付けなければ行けない季節。私も会長と共に様々な事をこなしてきたが、それはそれとして、今日はトレーナーの部屋の片づけを行っている。

 

 というのも、以前来た時には既に相当物が散らばっており、その頃は私も大事なレースを控えていた故に諦めていたが……だからこそ、この時期に大掃除をしてやろうと、計画は立てていたのだ。

 

「まったく、貴様はどうしてこうも部屋の片づけができないのだ、まったく」

 

「あー……すまんな、面目ない」

 

 トレーナーはそう言って謝ってくるが、それならば少しは掃除をしてほしい。大体何なんだ、上着やズボンを脱ぎっぱなし、仕事机こそ整理されているが、それ以外は足の踏み場もないほどにごちゃごちゃと物が散乱しており、台所を覗けばレトルトやカップラーメンの山。これでよく私の体調管理等できていたものだ。

 

「これもゴミ、これもゴミ。これももう使わないなら捨てろ。物が多いから部屋が片付かないんだとなぜわからない」

 

「いや、だって、最近はエアグルーヴのレースで頭が一杯でさ。どうしてもこっちのほうが……」

 

「ならば猶更自分の事もちゃんとしろ。トレーナーがウマ娘より先に倒れては本末転倒ではないか、たわけが」

 

「……返す言葉もない」

 

 まったく、私のトレーナーと言うのなら、もう少しちゃんとして欲しいものだが……こうして片付けている中で見つかる、私のレースに関係する情報や計画等、そう言ったものを見つけるとどうしても強くは言えなくなってしまう。実際、私がもっと強ければこいつももう少し時間の余裕もあったのだろう。まったく、度し難いな。

 

 ……だからこそ、たまには私が礼をせねばなるまい。私だけが恩恵を受ける等と言う関係は公平とは言えないからな。

 

「ふぅ……これで大体片付いたか?」

 

 ゴミを纏め、服や必要な物を纏め、天井や壁の埃を取り、床の掃除をしていき、窓やベランダを全開にして換気をする。そしてゴミをゴミ捨て場に持っていっている間にある程度の換気を終えたので窓やベランダを閉めて暖房を付ける。

 

「いやー……綺麗になったねぇ」

 

 大体の掃除を終えた部屋の中でトレーナーが嬉しそうに呟いている。ふふ、頑張った甲斐があるな。だが、今日はそれだけでは終わらないぞ。

 

「さぁ、こっちにこい。後はお前の耳の中も掃除するぞ」

 

「あー……マジでするの? 部屋の掃除だけでも申し訳ないんだが」

 

「気にするな。貴様が難聴になっても困るからな」

 

 申し訳なさそうにしているが、私は忘れていないぞ。貴様が前に耳かきした時に、そのまま昼寝したいと言い出して昼寝したという事を。

 

「さぁ、準備をするから少し待っていろ。言っておくが、前みたいに逃げようなどと考えるなよ」

 

 念のためそう釘を刺しておいて、私は準備を整えていく。事前準備をちゃんとしておかなくては、準備をしておらずにこいつの頭をどかす事は避けたいからな。

 

「さぁ、準備はできたぞ。さっさと頭を乗せろ」

 

 正座をして膝を叩くと、トレーナーはおとなしく頭を置いた。さぁ、始めるぞ。

 

「さて……まずはタオルで拭いていくぞ」

 

 事前に温めておいたタオルでこいつの耳を拭いていく。人間の耳はどうも私達とは形が違うが……窪みもちゃんと掃除しなければならないな。

 

「あー……気持ちいい……」

 

「年より臭い態度をするな。お爺ちゃんか」

 

 気持ちよさそうに息を吐いているトレーナーに私は思わず突っ込みを入れた。

 

「いや……なんかさ、社会人してると、しんどいんだよ。特にこの仕事はお前達の人生を背負ってるようなもんだから、気を抜くわけにはいかないだろ?」

 

 緩んだ顔で言われても少々説得力はないが、だが、確かに普段のトレーナーは真面目に仕事をこなしてくれている。だからこそ私も信頼しているし、こう、私の事に強く責任を感じているというその姿勢も好きだ。

 

「ああ、そう言ってくれるのは嬉しいが。だからこそ、お前自身も健康でいて欲しいのだ。だから、あまり年寄り臭い事を言うな。気持ちがそちらに傾けば、体も傾くならな」

 

「……善処する」

 

 さて、そうしているうちに耳の外側は拭き終わったか。さて、それでは次は綿棒だな。

 

「それじゃぁ、外側をやっていくぞ」

 

 綿棒で耳の外の内側、広い所も窪みの所も満遍なく綿棒で擦っていく。水分を吸って湿っている粉はすぐに綿棒に絡みつき、黄色く汚していく。

 

「ふぅ、相変わらず粉が多いな。ツボは……この辺りとかどうだ?」

 

「あー……なんか耳が暖かくなってきてるな……気持ちいいよ」

 

「うむ、ちゃんとツボを押せてるようだな。さぁ、それじゃぁ中をやっていくぞ。動くなよ」

 

 耳かきを中に入れ、耳垢に引っ掻けていく。ふむ、今回は……大きくはないが、少々量があるな。

 

「片っ端から取っていくぞ。痒くてもいきなり動き出したりするんじゃないぞ」

 

「善処する」

 

 了解も得たのでまずは一番手前。ふむ、少々粉っぽいな、これなら引っ掻いているだけで崩れ落ちるだろう。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 耳かきを動かすのに合わせ、擬音を呟いていく。以前耳かきをするときには擬音を呟いてくれると嬉しい。という風に言われた時には何を言っているのかと思ったが……。

 

 どういうものか調べるために自分で耳かき動画とやらを見ている時にこの擬音を聞いてみたが、確かにこれは悪くない。だが、私が呟いても気持ちいい物だろうか?

 

「トレーナー、本当にこうやって呟きを聞くのが気持ちいいのか? 私はプロではない、なんならプロの音声でも聞いてみるほうが……」

 

「いやいやいやいや、エアグルーヴがしてくれてるのにお前が呟いてくれなきゃ意味ないだろ。頼むよ」

 

「……まったく、我儘だな」

 

 まったく、本当に我儘だなこのトレーナーは。だが、こうして我儘を言ってくれるというのも嬉しい物だ。これぐらいの我儘なら付き合ってやれるというものだ。

 

「ガリガリガリ……カリカリカリ……」

 

 耳垢を削って行くと、ポロポロと欠片になっていき、下に落ちたものや小さくなった耳垢を掻き出していく。

 

「あー……うん、良いなぁ。前のでかいのを取ってもらうのも気持ち良かったけど、こうして何回も耳の中を掻いてもらうのもいいな」

 

「たわけた事を言うな。何回も掻いていたら耳の中が荒れる。できれば私としては普通にやりたいんだぞ」

 

 バカな事を言うタワケに付き合っていてはいつまでも終わらぬな。まったく。

 

「ガリガリガリ……ガリガリガリ……」

 

 最初はいくつも見えた耳垢だが、どれも崩れやすいのとそこまで大きいのが無いのとで、少しづつ崩しつつ、確実に掻き上げていく。おかげで随分と見やすくなった。この調子ならそろそろ終わるだろう。

 

「ザリザリ……ザリザリ……よし、もう少しだぞトレーナー。もう少しでほぼ取り終われる」

 

「ん……そうかぁ……もうちょっとやってほしいかなぁ……」

 

「たわけた事を言うな。まったく」

 

 軽くトレーナーの頭を叩き、耳かきを再開する。よし、塊はほぼ取れたな。後は、綿棒で粉を絡めとっていくか。

 

「ザリザリ……ザリザリ……ザリザリ……ザリザリ……」

 

 塊を大体取り終えた耳の中を綿棒で擦っていき、小さい粉や欠片をかき集めていく。外側を掃除したように真っ白であった綿棒が瞬く間に汚れていくのを見るとなぜか達成感を感じてしまうな。

 

「よし、これで小さい物も取り終えたぞ。後はローションでケアをしていくから、まだ動くんじゃないぞ」

 

 汚れた綿棒を捨て、タオルで温めておいたローションを別の綿棒に付ける。そして、そのままトレーナーの耳の中を塗っていく。

 

「ん? 冷たくないんだなローション」

 

「ああ。ある程度暖めておいた。前に冷たいのでやった時は少し驚いていただろ? 今回は大丈夫か?」

 

「ああ、気持ちいいよ。やっぱり、エアグルーヴは心遣いができる良いやつだなぁ……お前みたいなのが嫁に来てくれると嬉しいよ」

 

 突然そんな事を言われると、心臓が高鳴ってしまう。自分の顔に熱が篭るのを自覚してしまい、思わず綿棒の力加減を誤ってしまった。

 

「いっだ! いった!」

 

「と、突然バカな事を言うな! まったく……他の者にそう言う事を言うんじゃないぞ」

 

 嫁に来てほしいなど……いや、こいつにそんな気が無いのはわかってる。わかってはいるが……それでも動揺するなというのは無理があるだろ。

 

「……ほら、どうだ? 大体塗り終えたぞ」

 

 耳垢の量が多かったために全体的に塗る事になったが、まぁ大丈夫だろう。これで耳の中が荒れる事もないだろう。

 

「ああ、多分大丈夫……だと思う。これで終わりか?」

 

「む……わかってる、そんな期待した目で見るな」

 

 横目でこちらを見上げるトレーナーにため息をつきつつも、私は顔を近づけ、そして、そっと息を吹きかけた。

 

「ふ~……ふ~……まったく、これのどこがいいのか……ふ~……ふ~……」

 

「うお……いやぁ、これしてもらうと背筋がゾクッ……って感じがして気持ちいんだよ。ローション付きだと猶更な」

 

そう言っているトレーナーの口元の緩み具合を見ていると本当に気持ちいいんだろうが……まったく、普段のこいつとはギャップがありすぎるな。少なくとも人前でこんな顔などしたことがないくせに、私には見せてくるんだから。

 

「さて、こちら側は終わりだ。反対の耳を出してくれ」

 

「ん、わかった」

 

 体を入れ替え、反対側の耳をこちらに向けたトレーナーの耳をよく見ていく。どうやらこちらも汚れ具合は似たり寄ったりと言ったところか。

 

「こちらもタオルで外側からだな。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 耳の外側をタオルで包んで熱を伝えつつ、裏側を擦り、表側の窪みを指にタオルを纏わせてギュッギュッと押し込んで擦っていく。

 

「あー、痒い所もそうやって擦られると気持ちいいんだなぁ……人にやってもらうのって気持ちいいんだよなぁ……」

 

「まったく……だらしがない」

 

 緩んだ頬でそんな事を呟くトレーナーに呆れつつ……だけど、どこか心が温かくなるのを感じながら、タオルを置いて綿棒を手に取る。

 

「さぁ、中の掃除に移るぞ。ふむ、こっちの耳垢も崩れやすいな。突いて崩して取りやすくして……」

 

 崩さずに取る。というのは難しい。なので、いっそのこと、崩れる分はそのままにして、崩れなかった分を掻きとった後に、下に落ちた分をかき集める。これが耳かきがもっと上手なものならうまく崩さずに掃除できるのだろうが、ままならないものだ。

 

「ザリザリ……カリカリ……ガリガリ……」

 

「ガザガザ……ガザッ……ゴゾッ……」

 

 耳垢の取れ方に合わせて囁く言葉を選びつつ、掃除を続けていく。ふぅ、改めて掃除していて思うが、こいつは耳の掃除が疎かになっているな。部屋の掃除もそうだが、私がもっとキチンと世話をしてやらなければならないな。

 

「ガザガザ……ふぅ、こっちも大体取れてきたか。痒い所か、そう言うのは大丈夫か?」

 

「ん。ああ、大丈夫大丈夫。特に痒いとかはないよ」

 

「それなら良かった。さて、仕上げに取り掛かろう」

 

 今回は特にしつこい耳垢もなかったから順調に追われそうだ。さて、新しい綿棒にローションを付けて……と。

 

「耳垢を取ったところを重点的に……ヌリヌリ……ヌリヌリ……」

 

 耳垢を取って赤くなってる部分を塗りつつ、トレーナーの反応を確認するが……うん、反対の耳をした時と同じようだな。安心した。

 

「さぁ、ローションも塗り終わったぞ。このまま、まだ動くなよ……ふ~……ふ~……」

 

 顔を近づけ、静かに息を吹きかけて……よし、これで終わりだな。

 

「ふぅ、これで耳かきは終了だ。さて、どうせこのまま昼寝するつもりだろ?」

 

「んぐ……バレた?」

 

 困ったように私を見上げるトレーナーに私はため息が出そうになるが堪える。

 

「バレないでか。前は私のスカートを掴んでまで昼寝をしたくせに……構わないから、今日もこのまま寝ていろ」

 

「う……悪いとは思うんだけど、エアグルーヴの膝枕も耳かきも気持ちよくて眠くなって……」

 

「構わないと言っているだろ。さぁ、さっさと寝てしまえ」

 

 そう言って私は子守歌を歌いながらトレーナーの肩を一定のリズムで叩いてやる。すると、徐々にトレーナーの目が閉じていき……程なくして閉じきり、穏やかな寝息を立て始めた。

 

「……まったく、この寝顔を見たいと思ってるなんて言ったら、頭に乗りそうだな」

 

 申し訳なさそうな顔をしているこいつについ言いそうになったが、あまり頭に乗られても困るからな。とは言え。

 

「……こういう時ぐらい、ゆっくり見続けても良いよな」

 

 寝続けるトレーナーの顔を見ながら、私は自分の口元が緩んでいるのを自覚していた。

 



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エアグルーヴ’(地の文あり、男トレーナー視点)

エアグルーヴ(描写文あり)の男トレーナー視点となります。

こんな風に彼女に甘えたりできるぐらいの信頼関係を築いてみたいですね。


 12月。年末年始も近く、世間と同じように、俺達トレーナーも忙しい時期を送っている。とは言え完全に働き詰めと言うのは不可能であり、今日はあえてリフレッシュのために一日休みを入れていたのだが……。

 

(どうしてこうなった?)

 

 今、俺は愛バのエアグルーヴと共に自分の部屋の掃除をしている。今日は惰眠を貪るぞ、と布団で寝ていたのをたたき起こされた時は何事かと思ったが、部屋に上げた彼女によってあれよあれよと掃除を始めていったのだ。

 

「まったく、貴様はどうしてこうも部屋の片づけができないのだ、まったく」

 

「あー……すまんな、面目ない」

 

 服や要らない書類等をどんどん片付けていく姿は実家の母親を思い出してしまう。けっこうな年下に対してそんな事を思い出すのもおかしい話だが、彼女の手際の良さはどう考えても年不相応な熟練さだ。

 

「これもゴミ、これもゴミ。これももう使わないなら捨てろ。物が多いから部屋が片付かないんだとなぜわからない」

 

「いや、だって、最近はエアグルーヴのレースで頭が一杯でさ。どうしてもこっちのほうが……」

 

「ならば猶更自分の事もちゃんとしろ。トレーナーがウマ娘より先に倒れては本末転倒ではないか、たわけが」

 

「……返す言葉もない」

 

 エアグルーヴに怒られ、俺は頭を下げざるを得なかった。いや、でも本当大変だったんだぞ。トリプルティアラをお前に取らせるの。お前は非常に優秀だけど、他のウマ娘だって誰もかれも優秀なんだから。マジで毎日お前の事しか頭になかったんだぞ。

 

 なんて事を言ったらなんか恩着せがましいし、自分の能力不足をぶちまけてるようにも感じるしで、俺は何も言わずに彼女の言う事に従って掃除を続ける。

 

「ふぅ……これで大体片付いたか?」

 

 大体2時間……3時間か? 片づけやごみ捨てだけじゃなくて埃取りから換気までの一通りを終えた部屋は見違えるほど綺麗になっていた。俺一人だとだるくて途中で投げ出しそうだったけど、ウマ娘の身体能力の高さを改めて思い知らされたな。

 

「いやー……綺麗になったねぇ」

 

 換気を終えて暖房で暖かくなった部屋で俺はそんな事を呟いていた。ああ、これなら気持ちよく新年を迎えられそうだな。

 

「さぁ、こっちにこい。後はお前の耳の中も掃除するぞ」

 

 そう言ってきたエアグルーヴに俺は思わず聞き返してしまう。

 

「あー……マジでするの? 部屋の掃除だけでも申し訳ないんだが」

 

「気にするな。貴様が難聴になっても困るからな」

 

 確かに部屋の掃除をする前から言ってたよ、今日は耳かきもするって。そりゃ、以前もしてもらったし、ついそのまま昼寝まで強請ったけど。それでも羞恥心が無くなってるわけじゃないんだよなぁ。

 

「さぁ、準備をするから少し待っていろ。言っておくが、前みたいに逃げようなどと考えるなよ」

 

 釘を刺された俺はおとなしく彼女の準備が終わるのを待つことにする。逃げても普通に掴まるしな。諦めるしかないか。

 

「さぁ、準備はできたぞ。さっさと頭を乗せろ」

 

 正座をして膝を叩く彼女の元に行き、俺ははおとなしく頭を置いた。うーん、服の生地が厚くなってるはずなんだが、なんでこいつの柔らかさが伝わってきてる気がするんだろう。

 

「さて……まずはタオルで拭いていくぞ」

 

 そう言ってエアグルーヴがお湯で温めたタオルで耳を拭いてくれる。裏側、外側の窪み等、優しく余すところなくタオルで擦ってくれて気持ちいい。

 

「あー……気持ちいい……」

 

 いや、これだけで十分気持ちいいんだよ。これだけで惚けそうになる。

 

「年より臭い態度をするな。お爺ちゃんか」

 

 そんな俺にエアグルーヴが突っ込みを入れてきたが、仕方ないだろ、気持ちいいんだから。

 

「いや……なんかさ、社会人してると、しんどいんだよ。特にこの仕事はお前達の人生を背負ってるようなもんだから、気を抜くわけにはいかないだろ?」

 

 社会人になると仕事が生活のほとんどを占めるようになる。おまけに、俺達の仕事はウマ娘の人生を諸に左右するから手を抜くとかできないんだよ。

 

「ああ、そう言ってくれるのは嬉しいが。だからこそ、お前自身も健康でいて欲しいのだ。だから、あまり年寄り臭い事を言うな。気持ちがそちらに傾けば、体も傾くからな」

 

「……善処する」

 

 そりゃまぁ、気持ちが老けたら体も老けるかもってのはわかるけど……いや、エアグルーヴに心配かけるのもあれだし、頑張るかなぁ。

 

 そんな事を考えてる間にタオルが耳から離れた。ここから耳かきだな。

 

「それじゃぁ、外側をやっていくぞ」

 

 耳を抑えられ、汗やタオルの水分で濡れた耳を綿棒で擦られていく。風呂上りに耳を擦った時のように湿ってペースト状になった粉が綿棒に絡みついていくのだろう。視界の端で黄色く変色した綿棒が捨てられるのが映る。

 

「ふぅ、相変わらず粉が多いな。ツボは……この辺りとかどうだ?」

 

 窪みや広い所を所々綿棒でグッグッと押されるたびに耳が熱くなるのを自覚する。タオルの熱よりも熱い熱が耳に篭っていく。

 

「あー……なんか耳が暖かくなってきてるな……気持ちいいよ」

 

「うむ、ちゃんとツボを押せてるようだな。さぁ、それじゃぁ中をやっていくぞ。動くなよ」

 

 熱の気持ち良さを堪能していると、ついに耳かきが中に入っていく。そのまま、浅い所の部分に引っかかったと思うと、カリカリと耳垢を掻き出し始めた。

 

「片っ端から取っていくぞ。痒くてもいきなり動き出したりするんじゃないぞ」

 

「善処する」

 

 そう言う風に言われた後、耳かきが本格的に動き始めた。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 耳かきが動くのに合わせて、エアグルーヴが呟き始めた。普段の大人びた声からはちょっと想像がしにくい柔らかい声が気持ちいい。耳かきなくてもこの声だけでも安らかに気持ちになってしまう。

 

「トレーナー、本当にこうやって呟きを聞くのが気持ちいいのか? 私はプロではない、なんならプロの音声でも聞いてみるほうが……」

 

「いやいやいやいや、エアグルーヴがしてくれてるのにお前が呟いてくれなきゃ意味ないだろ。頼むよ」

 

 とんでもない事を言ってくるエアグルーヴに慌てて待ったをかける。彼女に囁いて貰らえないとか本気で嫌だぞ。

 

「……まったく、我儘だな」

 

 苦笑しながらも、エアグルーヴは囁きながら耳かきを続けてくれる。うん、世話焼き女房ってこんなんじゃないのかな?

 

「ガリガリガリ……カリカリカリ……」

 

 囁きと共に動く耳かきによって、耳垢がぼろぼろと崩れていくのが分かる。そして、崩れ落ちたものが掻き出されていく。

 

「あー……うん、良いなぁ。前のでかいのを取ってもらうのも気持ち良かったけど、こうして何回も耳の中を掻いてもらうのもいいな」

 

 耳かきが何回も耳の中を往復し、耳の中を擦るたびに言葉にし辛い気持ち良さを感じ、俺はついついそんな事を言ってしまった。

 

「たわけた事を言うな。何回も掻いていたら耳の中が荒れる。できれば私としては普通にやりたいんだぞ」

 

 俺のそんな言葉にエアグルーヴが呆れたような声で返してきたが、気持ちいい物は気持ちいいんだ仕方ないだろ。

 

「ガリガリガリ……ガリガリガリ……」

 

 そんなやり取りをしつつもエアグルーヴの手は止まらない。どうも量があるようで、次々に耳かきが耳垢を掻き出していってくれている。このままもっと耳かきが続けばいいんだがなぁ。

 

「ザリザリ……ザリザリ……よし、もう少しだぞトレーナー。もう少しでほぼ取り終われる」

 

 そう思っていると、告げられたのは非情な言葉だった。

 

「ん……そうかぁ……もうちょっとやってほしいかなぁ……」

 

「たわけた事を言うな。まったく」

 

 呆れたように頭を叩かれた後に耳かきが再開される。だが、耳垢はほぼ取られていたのか、耳かきでなく綿棒が耳の中に入ってきた

 

「ザリザリ……ザリザリ……ザリザリ……ザリザリ……」

 

 綿棒でゴソゴソと粉を掻き出されるのも悪くはないんだけど、やっぱり耳かきの方が好きなんだよなぁ……名残惜しい。

 

「よし、これで小さい物も取り終えたぞ。後はローションでケアをしていくから、まだ動くんじゃないぞ」

 

 ローションかぁ。前にやってもらったのは冷たかったからびっくりしたんだよな。今回も冷たいかもしれないからそれに備えておくか。お、耳の中に冷たいローショ……ん?

 

「ん? 冷たくないんだなローション」

 

 横目でエアグルーヴを見上げながら訪ねると、彼女は少し得意げに口元に笑みを浮かべていた。

 

「ああ。ある程度暖めておいた。前に冷たいのでやった時は少し驚いていただろ? 今回は大丈夫か?」

 

「ああ、気持ちいいよ。やっぱり、エアグルーヴは心遣いができる良いやつだなぁ……お前みたいなのが嫁に来てくれると嬉しいよ」

 

 もし彼女が嫁に来てくれたら……なんて考えてついそんな事を口走った途端、耳に思い切り痛みが走り、思わず声を上げた。

 

「いっだ! いった!」

 

「と、突然バカな事を言うな! まったく……他の者にそう言う事を言うんじゃないぞ」

 

 エアグルーヴが怒っているが、それどころじゃない。あまりの痛みに涙が出そうだ。いくらなんでも過剰反応しすぎだろ!

 

 だが、痛みに悶える俺を他所にエアグルーヴは順繰りにローションを塗っていき、あっという間に塗り終えてしまった。

 

「……ほら、どうだ? 大体塗り終えたぞ」

 

「ああ、多分大丈夫……だと思う。これで終わりか?」

 

 まだあれが残ってるよな? あれも楽しみなんだから、これで終わりだなんていうなよ?

 

「む……わかってる、そんな期待した目で見るな」

 

 なんかため息をつかれたけど、エアグルーヴは体を屈め、俺の耳元に口を近づけてきて、そして。

 

「ふ~……ふ~……まったく、これのどこがいいのか……ふ~……ふ~……」

 

 なんて文句を言いながらも息を吹き替えてきた。ローションに吹きかけられ、その冷たさに思わず体が身震いしてしまう。

 

「うお……いやぁ、これしてもらうと背筋がゾクッ……って感じがして気持ちいんだよ。ローション付きだと猶更な」

 

 そう言ってエアグルーヴを見上げると、彼女は小首を傾げながらも……取り合えず納得してくれたようではあった。

 

「さて、こちら側は終わりだ。反対の耳を出してくれ」

 

「ん、わかった」

 

 息の吹きかけも終わり、彼女に促されて体を入れ替えて反対側の耳を上に向ける。こっちの耳かきはどれだけ気持ちよくなれるんだろうな?

 

「こちらもタオルで外側からだな。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 最初のタオルで耳を擦られ、窪みも上手に擦られる。ちょうど痒かったところが擦られるのが気持ちいい。

 

「あー、痒い所もそうやって擦られると気持ちいいんだなぁ……人にやってもらうのって気持ちいいんだよなぁ……」

 

「まったく……だらしがない」

 

 呆れながらも手を抜かないのが彼女の美点だ。だからこそこっちも安心して素の状態を晒せるわけだが。

 

「さぁ、中の掃除に移るぞ。ふむ、こっちの耳垢も崩れやすいな。突いて崩して取りやすくして……」

 

「ザリザリ……カリカリ……ガリガリ……」

 

「ガザガザ……ガザッ……ゴゾッ……」

 

 耳かきが動き、耳垢が崩れ、崩れた耳垢を掻き出していく。耳かきが耳の中を擦る感触、耳の中に響く彼女の声と息遣い、頭や肩に伝わってくる彼女の熱。全てが心地よく、いつまでも味わいたい。だが、至福の時間は終わるのも早かった。

 

「ガザガザ……ふぅ、こっちも大体取れてきたか。痒い所か、そう言うのは大丈夫か?」

 

「ん。ああ、大丈夫大丈夫。特に痒いとかはないよ」

 

「それなら良かった。さて、仕上げに取り掛かろう」

 

 耳かきが引き抜かれ、ローションの塗られた綿棒が入ってくる。そして、熱を帯びた部分を中心に、ローションが塗られ始めた。

 

「耳垢を取ったところを重点的に……ヌリヌリ……ヌリヌリ……」

 

「さぁ、ローションも塗り終わったぞ。このまま、まだ動くなよ……ふ~……ふ~……」

 

 最後の息吹きかけによるゾクゾクを味わい、耳かきは終わってしまった。非常に残念だが仕方がない。後はこのまま昼寝したいところだが、今日のエアグルーヴはそこまで許してくれるかどうか……。

 

「ふぅ、これで耳かきは終了だ。さて、どうせこのまま昼寝するつもりだろ?」

 

「んぐ……バレた?」

 

 どう切り出そうかと思っていたら、まさかの彼女からの指摘を受けて俺は言葉を詰まらせてしまう。

 

「なぜバレないと思った。前は私のスカートを掴んでまで昼寝をしたくせに……構わないから、今日もこのまま寝ていろ」

 

「う……悪いとは思うんだけど、エアグルーヴの膝枕も耳かきも気持ちよくて眠くなって……」

 

「構わないと言っているだろ。さぁ、さっさと寝てしまえ」

 

 ポンポンと頭を叩かれ、俺は安心して眠気に身を委ねる。あー、愛バの膝枕って最高の枕だよなぁ。こうして膝枕をしてもらえるだけで俺は本当に幸せだよ。来年も、この関係が続けば……いい……な……。



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エアグルーヴ’(地の文あり、女トレーナー視点)

エアグルーヴ(描写文あり)の女トレーナー視点となります。

今回が今年の初等となりますが、今年も頑張って投稿を続けれたらと思います。


 12月。年末年始も近く、私達トレーナーも愛バのために色んな仕事が山積みになる時期だ。それは当然彼女達もなんだけど、その合間を縫って、今日はエアグルーヴが私の部屋の掃除に来てくれた。

 

「まったく、貴様はどうしてこうも部屋の片づけができないのだ、まったく」

 

「うう……返す言葉もございません」

 

 まるでお母さん。と言った風貌で、エアグルーヴがてきぱきと散らかった部屋を掃除していく。だってだって、社会人してるとプライベートの余裕なんて減る一方なんだよー。もっと時間が欲しいんだよー……なんて泣き言もスルーされて、エアグルーヴは掃除を続けていく。

 

「これもゴミ、これもゴミ。これももう使わないなら捨てろ。物が多いから部屋が片付かないんだとなぜわからない」

 

「いや、だってだって、最近はエアグルーヴのレースで頭が一杯だったんだもん。私よりエアグルーヴのほうが大事だもん」

 

「ならば猶更自分の事もちゃんとしろ。トレーナーがウマ娘より先に倒れては本末転倒ではないか、たわけが」

 

「……はい、そうします」

 

 うう……私のトレーナーとしての立場ってなんなんだろう……実家でお母さんに怒られてた記憶ばっかりぶり返すんだけど……そんなん言ったら怒られそうだし、おとなしく掃除しよう……。

 

 そうして掃除をしていくけど、ほとんどエアグルーヴが手際よくやっていくからあっという間に部屋は片付き、天井や壁の埃も落とされて大々的に換気されて、掃除前と比べたら比べ物にならない程綺麗になった。

 

「ふぅ……これで大体片付いたか?」

 

 額の汗を拭いて呟くエアグルーヴ。いや、申し訳ないなぁ。

 

「いやー……綺麗になったねぇ」

 

 エアグルーヴには申し訳ないとは思いつつ、綺麗になった部屋がとても嬉しい。ちょっと、この状態を維持できるように頑張らないとなぁ。

 

「さぁ、こっちにこい。後はお前の耳の中も掃除するぞ」

 

「えーと……え、本当にするの? 流石に申し訳ないんだけど」

 

 そう、今日は部屋だけでなく、私の耳掃除をするとまで言われてるのだ。うーん、部屋の掃除だけでも十分だからこれ以上手間をかけさせるのもなぁ……。

 

「気にするな。貴様が難聴になっても困るからな」

 

 断ろうとした私を一刀両断に切り捨てられた。あれ、私の発言権ってなくない?

 

「さぁ、準備をするから少し待っていろ。言っておくが、前みたいに逃げようなどと考えるなよ」

 

 うっ、しっかりと釘まで刺された。いや、確かに前回は逃げようとしたけど。でも、年下の女の子に耳かきしてもらうのって抵抗あるんだよ。

 

「さぁ、準備はできたぞ。さっさと頭を乗せろ」

 

 そんな私を置いて、エアグルーヴは準備を終えると、正座して膝をポンポンと叩く。諦めた私はおとなしく彼女の膝に頭を置いた。

 

「さて……まずはタオルで拭いていくぞ」

 

 温められたタオルで耳をゴシゴシと拭かれていく、タオル越しに彼女の指が動き、上手に耳を拭かれているのがわかる。

 

「あー……気持ちいい……」

 

 伝わってくる温かさに思わずほう……と息が漏れ出した。

 

「年より臭い態度をするな。お婆ちゃんか」

 

 グサッ! わ、私お婆ちゃんどころかおばちゃんでもないもん! お姉ちゃんだもん! 

 

「グ……グルーヴ? それは流石に酷い……というか、トレーナー業が過酷だから疲れが溜まってるの! 大変だよ、グルーヴのレースの為にあれこれしたり、インタビューや雑誌の取材のタイムスケジュールとか……私、頑張ってるもん! だからちょっとため息が出ただけだもん!」

 

 そう言って彼女を見上げると、彼女はやれやれと言わんばかりにため息をついていた。なんでえ!?

 

「ああ、そう言ってくれるのは嬉しいが。だからこそ、お前自身も健康でいて欲しいのだ。だから、あまり年寄り臭い事を言うな。気持ちがそちらに傾けば、体も傾くならな」

 

「……善処します」

 

 うう、反論できない。病は気からなんても言うし、確かに気持ちに体が引きずられるのはあるけどさ。

 

 そんなやり取りをしている間にもタオルは動いていて、程なくして外側は拭き終わったのか、タオルが離れていった。

 

「それじゃぁ、外側をやっていくぞ」

 

 そう言って、彼女は綿棒で外側をゴシゴシと擦っていく。少しして視界の端の方に捨てられた綿棒が見えたけど、かなり黄色くなってた。あー、お風呂上りの耳を掻いてるとあれぐらい粉がゲル状になってたりするのよね

 

「ふぅ、相変わらず粉が多いな。ツボは……この辺りとかどうだ?」

 

「あー……なんか耳が暖かくなってきてる……気持ちいい……」

 

 綿棒で押された場所から、耳がジンワリと温かくなる。これも気持ちいいなぁ。エアグルーヴって耳ツボ推すのも上手なのよねぇ。

 

「うむ、ちゃんとツボを押せてるようだな。さぁ、それじゃぁ中をやっていくぞ。動くなよ」

 

 綿棒が離れ、耳かきが中に入ってくる。ちょっと怖いんだけど……同時に期待もしちゃう。

 

「片っ端から取っていくぞ。痒くてもいきなり動き出したりするんじゃないぞ」

 

「善処しまーす」

 

 大丈夫大丈夫、エアグルーヴならきっと上手にやってくれるから。だって、私の自慢の愛バだからね。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 私の期待を裏切らず、エアグルーヴは上手に耳かきをしてくれる。耳かきの動きに合わせて囁かれるオノマトペも、耳を抑えるしなやかな彼女の指も、オノマトペの合間に聞こえてくる彼女の息遣いも、全てが私を気持ちよくしてくれる。

 

「トレーナー、本当にこうやって呟きを聞くのが気持ちいいのか? 私はプロではない、なんならプロの音声でも聞いてみるほうが……」

 

「いやいやいやいや、エアグルーヴがしてくれてるのに貴女が呟いてくれなきゃダメダメ! ぜーったいダメ!」

 

 とんでもない事を言うエアグルーヴを慌てて止める。なんで他の人のオノマトペなんて聞かなきゃだめなのよ、こんな至福の時に!

 

「……まったく、我儘だな」

 

 ふぅ、とため息をつかれたと思ったけど、エアグルーヴは耳かきを再開してくれた。あー、良かったぁ。

 

「ガリガリガリ……カリカリカリ……」

 

 再び聞こえてきたオノマトペと共に、耳かきの動きに合わせるように耳垢が取れていく。と言ってもなんかポロポロ下に落ちるんだけど、エアグルーヴはそれを上手に掻きあげてくれる。

 

「あー……うん、凄く良い。前の大きいのを取ってもらったのもすっごい気持ち良かったけど、こうして何回も耳の中を掻いてもらうのもいいわね」

 

「たわけた事を言うな。何回も掻いていたら耳の中が荒れる。できれば私としては普通にやりたいんだぞ」

 

んー。そんなこと言われても気持ちいいのは気持ちいいのにぃ。でも、文句言ってエアグルーヴの機嫌を損ねるのも嫌だし黙っておこう。

 

「ガリガリガリ……ガリガリガリ……」

 

 そんな事をしつつも彼女の耳かきは続く。脆い耳垢が崩され、下に落ちた欠片が書き上げられ、固い耳垢はそのまま剥がされ、耳の中が綺麗になっていき、通りが良くなった分、彼女の囁きがよく聞こえるようになる。とても綺麗で、とても優しい声だ。

 

「ザリザリ……ザリザリ……よし、もう少しだぞトレーナー。もう少しでほぼ取り終われる」

 

「ん……そうかぁ……もうちょっとやってほしいかなぁ……」

 

「たわけた事を言うな。まったく」

 

 名残惜しそうに呟くけど、彼女は呆れるだけで取り合ってくれそうにない。残念。そうこうしていると、耳かきが抜かれ、代わりに綿棒が入ってきた。

 

「ザリザリ……ザリザリ……ザリザリ……ザリザリ……」

 

 耳かきとは違う感触で耳の中を擦られ、粉が掻き出されていく。んー、捨てられた綿棒がこれでもかというほど黄色いと、なんか微妙な気分。

 

「よし、これで小さい物も取り終えたぞ。後はローションでケアをしていくから、まだ動くんじゃないぞ」

 

 あ、ローションだ。これ、気持ちいいんだけど、冷たいんだよねぇ。いやいや、それでも冷たいのが来るのがわかっていたら驚いたりなんてしないから、ドーンとこーい……あれれ?

 

 塗られていくローションは冷たくない。いや、程々に温かいからこれはこれで気持ちいいんだけど。

 

「ねぇ? 冷たくないの? このローション」

 

「ああ。ある程度暖めておいた。前に冷たいのでやった時は少し驚いていただろ? 今回は大丈夫か?」

 

 あ、前の時に冷たくて驚いたの覚えててくれたんだ。んー、これだからエアグルーヴは、気配りができるんだよね。お嫁さんになってほしい。いや、なって!

 

「んー、気持ちいいし、心遣いのできる愛バがとっても嬉しい。ねぇグルーヴ、私のお嫁さんになってよ。ねぇねぇ。大事にするからさ」

 

 気持ちのままにエアグルーヴにそんな事を言うと、いきなり綿棒が思い切り耳の中を擦ってきた。

 

「いっだ! いった!」

 

 突然のあまりの痛みに思わず声が上がり、耳を抑えそうになる。うう……な、なんでぇ……。

 

「と、突然バカな事を言うな! まったく……他の者にそう言う事を言うんじゃないぞ」

 

 なんか怒られたんだけど。なんでー。私、そんな怒られること言ってないのにー。

 

そんな抗議をよそにエアグルーヴはローションを塗り続け、あっさりと塗り終えてしまった。

 

「……ほら、どうだ? 大体塗り終えたぞ」

 

「んー、多分大丈夫……だと思うけど……ねぇ、終わり」

 

「む……わかってる、そんな期待した目で見るな」

 

 私の視線からプイと横を向いて彼女だけど、軽くため息をついた後に私の耳元に顔を近づけてきて……。

 

「ふ~……ふ~……まったく、これのどこがいいのか……ふ~……ふ~……」

 

 そんな事を言いながらも息を吹きかけてくれる私の愛バマジ愛バ。

 

「はふぅ……いやぁこれがないとダメなんだって。こう、背筋がゾクッ……てして気持ちいいんだから。ローション付きだと猶更気持ちいいんだって」

 

エアグルーヴにそう伝えると、彼女は理解できない物を見るような、怪訝な表情を浮かべるが、それ以上は突っ込みを入れてこず、優しく息を吹きかけてくれた。

 

「さて、こちら側は終わりだ。反対の耳を出してくれ」

 

「ん、わかった」

 

 体を入れ替えて反対側の耳を上にする。すると、エアグルーヴはジッと私の耳の中を観察してきた。

 

「こちらもタオルで外側からだな。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 最初と同じように、まずタオルで耳の外側や裏側を丹念に擦ってもらう。ふやぁ……気持ちいい……。

 

「あー、痒い所もそうやって擦られると気持ちいいなぁ……やっぱり人にやってもらうのって気持ちいいんだよぉ……」

 

「まったく……だらしがない」

 

 緩んだ顔になってるのが自分でもよくわかるけど、エアグルーブは口では呆れながらもタオルで擦り続けてくれる。

 

「さぁ、中の掃除に移るぞ。ふむ、こっちの耳垢も崩れやすいな。突いて崩して取りやすくして……」

 

 中に耳かきが入ってきて、最初と同じように耳垢が擦られる。耳垢が崩れる音ですら心地よさを感じてしまう。

 

「ザリザリ……カリカリ……ガリガリ……」

 

「ガザガザ……ガザッ……ゴゾッ……」

 

 耳垢が取れる時、耳かきが動く時、エアグルーヴのオノマトペが耳の中に響き、徐々に大きくなるのが楽しい。もっと、もっと聞いていたい。

 

「ガザガザ……ふぅ、こっちも大体取れてきたか。痒い所か、そう言うのは大丈夫か?」

 

「ん。うん、大丈夫大丈夫。特に痒いとかはないよ」

 

「それなら良かった。さて、仕上げに取り掛かろう」

 

 もっと聞いていたいのに、もう終わっちゃうのが名残惜しくて、勿体なくて。でも、この後のローションや息の吹きかけを早くして欲しくて、矛盾した気持ちが自分の中に生まれている。

 

「耳垢を取ったところを重点的に……ヌリヌリ……ヌリヌリ……」

 

 そんな事を思っている間に耳垢は全部取れていたようで、ローションが塗られていた。ああん、考え事なんてするんじゃなかった。

 

「さぁ、ローションも塗り終わったぞ。このまま、まだ動くなよ……ふ~……ふ~……」

 

 今度は考え事なんかせず、エアグルーヴの息吹きかけを堪能する。はふぅ……ゾクッてしちゃうよぉ。さぁ、後はお昼寝だ。何と言われようと断固として動かないからね。

 

「ふぅ、これで耳かきは終了だ。さて、どうせこのまま昼寝するつもりだろ?」

 

「んぐ……バレた?」

 

 心の中で決意を固めてるとズバリ、図星を突かれてしまった。あっれー、バレてた?

 

「バレないわけが無いだろう。前は私のスカートを掴んでまで昼寝をしたくせに……構わないから、今日もこのまま寝ていろ」

 

「う……悪いとは思うんだけど、エアグルーヴの膝枕も耳かきも気持ちよくて眠くなって……」

 

 うん、普通に重いだろうし退屈な思いをさせると思ってるよ? 思ってるけど、愛バとの触れ合いが嫌なトレーナーなんかいないじゃん。つまりそう言う事なの。

 

「構わないと言っているだろ。さぁ、さっさと寝てしまえ」

 

 そう言って、彼女は肩を一定のリズムで叩きながら子守歌を歌ってくれる。あー、これ、お母さんがやってくれたなぁ……あー……ねむ……ねむ……。

 

 襲ってくる睡魔に抗うことなく、私は眠りに落ちていった。



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マヤノトップガン(特別編)

注意 コメントにて、前書きが発想元となった作品の作者様に対して失礼な書き方になっているとの指摘がありましたので修正しました。発想元の作者様及び、不快に思われた方に心よりお詫び申し上げます。

マヤノトップガンで耳かきを書きました……が、今回はかなり毛色が違う作品となります。

以前、ツイッター上で色々と物議を醸したマヤノトップガンの漫画がありますが、あれを見て、感じた色んな感情を自分なりに纏めたのが今回の作品となります。

来週からは普段通りの作品に戻りますので、どうか大目に見てください。


夏の合宿。菊花賞を控えた俺とマヤノトップガンは今回の合宿で一気に基礎能力の向上になるよう励んでいた。

 

 というのも、マヤは最近勝ちに恵まれていないのだ。ホープフルこそ一着になれたが、皐月、ダービー、共に三着と入賞こそしているが一着は取れていない。彼女自身は落ち込んでいる様子はないんだが……。

 

(俺、本当にマヤのトレーナーで良いのか? 俺じゃなくて、もっと別のトレーナーなら……)

 

 俺の眼から見て彼女はかなりの才能を秘めている。皐月もダービーも一着を十分に狙えたはずだ。だが、取らせることができなかった。今回の合宿で菊花賞を取れるようにトレーニングを積んでいるが、もし、取らせることができなかったら……。

 

 ……ダメだ、嫌な事しか思い浮かばない。そう言えば、最近は碌に休みも取らずにマヤのトレーニングの事とかだけ考えていたっけ。

 

 ちょっと気分転換に外にでも出るか。そう思い立ち、俺は自室を出て砂浜のほうに足を運ぶ。既に日も落ち、昼間は光を反射して眩しいほどだった海も、今は暗く、全てを飲み込む闇のように見えてしまう。

 

「あれ……あれは……?」

 

 そんな暗闇のような海から、水を掻き分ける時の音が聞こえてくる。こんな時間に誰か居るのか? 気になって音の方向に進んでいくと、そこには先程まで頭の中で考えていたウマ娘……マヤの姿があった。

 

「マヤ……?」

 

 ひざ下まで海の中に入っている彼女はそのまま何をするでもなく海を見つめていた。月明りの元、普段よりも薄ぼんやりとしか見えない彼女を見ていると、まるで彼女がこのまま海へ消えてしまうのではないか? そんな気がしてならない。それは、一瞬で自分の心を支配し、気づけば俺はマヤに向かって走り出していた。

 

「マヤ……マヤ……!」

 

「ん? トレーナーちゃん……? わひゃっ!?」

 

 俺は振り向いたマヤを抱きしめていた。やめろ、消えないでくれ、行かないでくれ!

 

「マヤ……マヤ……消えるな……消えないでくれ……!」

 

「ト、トレーナーちゃん? どうしたの? 何かあったの?」

 

 戸惑うマヤをよそに俺はそのまま彼女を抱きしめ続け……しばらくして慌てて離れた。

 

「わ、悪いマヤ。俺、どうかしてたみたいで……」

 

「んーん。マヤ、怒ってないよ。それより……トレーナーちゃん、どうしたの? 何かあったの?」

 

 離れた俺の手を掴んでマヤが見上げてくる。視線を逸らそうとしても、彼女から視線を逸らせない。

 

「……マヤが……このまま消えそうな気がしたんだ。暗い海の中に……そのまま……」

 

「んー……もしかしてトレーナーちゃん、疲れてる? マヤがそんな事するわけないじゃん」

 

「はは……そうだよな」

 

 呆れている様子のマヤを見て、俺は乾いた笑みが浮かんでくる。はぁ……何やってるんだろうな……。

 

「んー。トレーナーちゃん、お部屋行こう? 今日はもうお休みしたほうが良いよ」

 

「ああ、そうするよ」

 

 そう言って俺はマヤから離れようとしたが、マヤは心配だからと、俺の部屋まで一緒に付いてきた。

 

「ねぇトレーナーちゃん、本当に大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫だよマヤ」

 

 部屋についてからもマヤは心配そうに俺を見てくる。時間も時間だからなんとか返そうとするが、マヤは部屋から出ていかずにキョロキョロと部屋の中を見ている。

 

「んー、何かあれば……あ、ねぇねぇトレーナーちゃん。あれ、使っても良い?」

 

 そう言ってマヤが指差したのは耳かきだった。

 

「ん? まぁ、マヤが使いたいなら持っていっても良いぞ。俺は使うつもりはないからな」

 

「……トレーナーちゃん、何か勘違いしてない? 今からマヤがあれを使ってトレーナーちゃんの耳かきをするんだよ?」

 

 は? 何を言っているんだ? なんで今から耳かきを……。

 

 そんな俺の困惑をよそにマヤは耳かきを手にすると、ベッドに腰掛けて膝をポンポンと叩いてきた。

 

「ほら、トレーナーちゃん、早く早く」

 

「いや、別に俺は耳かきするつもりなんてないし、もう夜だからマヤは早く部屋に帰りなさい」

 

「むー。トレーナーちゃんの耳かきをするまで、マヤここを動かないんだから!」

 

 頬を膨らませて抗議するマヤ。困ったな、ここで下手に部屋に帰えそうとして意固地になられても困るな……。仕方ない、付き合うとしよう。

 

「……耳かきが終わったらすぐに帰るんだぞ」

 

「んも~、子ども扱いしないの。ほら、早く早く」

 

 子供みたいな態度をするマヤにツッコみを入れず、俺は彼女の膝の上に頭を乗せる。幼く見える彼女だが、人間をはるかに上回る脚力を生み出すその脚はしっかりとした筋肉の弾力で俺を迎えてくれた。

 

「んー、トレーナーちゃん、最近耳かきしてないでしょ? 耳が汚れてるよ?」

 

「ん。いや、人間はウマ娘より耳の手入れが必要なわけじゃないから、そんなやらなくて大丈夫なんだよ」

 

「むー。でもダメ! マヤのトレーナーが汚い耳のままとかダメなんだから!」

 

 はぁ、本当にそんなに手入れをしなくてもいいだけどなぁ……。でも、変に反論したら意固地になりそうだし、黙っておこう。

 

「ほら、まずは外側をゴシゴシ……ゴシゴシ……んー。トレーナーちゃんの耳、粉も多いよ。ちゃんと掃除しなきゃやっぱりダメだよ」

 

 そう言ってマヤが耳かきを目の前に異動させてくると、確かにこんもりと粉が積まれていた。うおっ、生で見ると確かに汚いんだなって実感してしまう。

 

「ほら、汚いでしょ? だから、これからちゃんと掃除してあげるからね」

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ガリガリ……ガリガリ……

 

 マヤがそんな音を呟きながら耳かきを動かしていく。耳の外側を掃除する事なんて全然ないから、なんとも新鮮な感覚か。それも、愛バにやってもらってるんだから猶更だ。

 

「ほら、またこんなに粉が溜まったよトレーナーちゃん」

 

 そう言って耳かきの上に乗った粉をティッシュの上に捨てていく。黄色い粉が白いティッシュの上で非常に目立っていて、なんとも言えない気分になる。

 

「はい、外側はこれぐらいで。次は中をしていくよー」

 

 外側をの掃除が終わった事を告げるマヤの声と共に耳かきが穴の中に入ってきた。そのまま耳の真ん中ぐらいまできたと思うと、そのまま壁に沿って動き始めた。

 

「カリカリ……カリカリ……カリカリ……」

 

 彼女の声を聴きながら身を任せていると、不意に、バリバリッと大きな音が耳の中に響いた。

 

「ん!? なんだ今の音?」

 

「あ、大丈夫だよトレーナーちゃん。耳垢が剥がれてきてるからその音だね。このまま取っちゃうから、大人しくしててね」

 

 マヤはそう言うと、耳かきを動かしていく。そのたびにバリバリっと音が響いたと思うと、ついに音が止んで、耳かきが引き抜かれた。

 

「ほら、こんなのがあったよ、トレーナーちゃん」

 

 そう言ってマヤがティッシュの上に捨てたのは、平べったく、茶色に変色した耳垢だった。

 

「あれが剥がれた時の音だったのか。凄い音がしたよ」

 

「うんうん、耳垢が剥がれる時って音が凄いよね。さ、耳かきを再開するね」

 

 その後もマヤは警戒に耳かきを動かしていき、似たような平べったい耳垢や粉を上手にとっていく。

 

「はい、これで耳垢は大体取れたよ、トレーナーちゃん」

 

「ああ、耳が軽くてスッとするよ。なんだか、眠くもなってきたかな……」

 

「もー、トレーナーちゃん、反対側もあるんだから、まだ寝ちゃだめだよー」

 

 背中をポンポンと叩かれた俺は、寝そうな頭のまま、体を入れ替えて反対側の耳を上に向ける。

 

「ふんふん。むー、こっちも汚れてる。トレーナーちゃん、ちゃんとお風呂入ってるの? シャワーだけじゃだめだよ」

 

 風呂……そう言えば、ちゃんと湯船に漬かったのどれだけ前だったかな……なんか、思い出せないような……。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……トレーナーちゃんは、マヤが居ないとダメだね。もう」

 

 外側を掃除してた耳かきが耳の中に入ってくる。壁をカリカリと擦られると、徐々に眠気が襲ってくる。いかん、このまま寝たら……でも……心地よい……。

 

「……トレーナーちゃん、すっごいトロトロな顔してるよ。きっと、今夢だからだね。夢じゃなかったら、トレーナーちゃん、こんなトロトロじゃないもんね」

 

 何を……言って……? いや、そうか……夢か……夢……。

 

「真面目なトレーナーちゃんが、マヤの膝枕で耳かきしてるのも全部夢だからだね。ねー、トレーナーちゃん」

 

 夢……夢……なのかな……? 夢……?

 

 なんだか、頭がふやふやになっている気がする。これは夢……夢……?

 

「ねぇトレーナーちゃん。トレーナーちゃんはマヤが消えそうだって言ってたけど、何でそんな事思ったの?」

 

「それ……は……」

 

「ねー、トレーナーちゃん。なんでー?」

 

 カリカリカリという耳かきの音と、マヤの声。耳から入ってくる音が脳の中に入っていくたびに頭が回らなくなっていく……。

 

「俺……マヤを活躍させられてない……だから……マヤが俺の前から……消えそうで……俺から……消えていきそうで……」

 

 意識しないうちに口からポロポロと言葉が零れていく。でも、夢だよな、夢だから大丈夫だよな……。

 

「んー、大丈夫だよトレーナーちゃん。マヤは絶対に居なくならないからね。マヤも頑張るから……トレーナーちゃんは考えすぎないで良いんだよ」

 

 耳かきが抜かれ、頭が撫でられる。あー……気持ちいい……こんな都合のいい夢を見てていいのかな……? 俺、頑張らないと……。

 

「大丈夫……大丈夫……マヤが一緒に居るからね、トレーナーちゃん」

 

 マヤの声を聴きながら、俺の意識がふわふわと飛んでいく……でも夢だからいい……かな……。

 

 

 

 

 

 トレーナーちゃんの瞼が閉じられ、完全な寝息を立ててるのを確認して、マヤはゆっくりとトレーナーちゃんの頭を膝から降ろして、ベッドに寝かせて上げる。

 

「お休みトレーナーちゃん。また明日ね」

 

 トレーナーちゃんに布団を被せて部屋を出て、マヤは自分の部屋に向けて歩いていく。でも、トレーナーちゃん、あんなに悩んでたんだなぁ。

 

「んー、悔しいけど……でも、トレーナーちゃんをあんなに悩ませる程悔しいとは思ってなかったんだけどなぁ」

 

 マヤに抱き着いたトレーナーちゃんの様子がおかしすぎて、こないだ本で読んだやり方で本音を聞いてみたけど、あんなに悩んでるなんてなぁ。

 

「……でも、マヤがあんなことしてたから、余計に不安に思わせちゃったのかな?」

 

 マヤが夜の海に居たのは、何か声が聞こえたから。海の方から、良く聞こえはしなかったけど、どこかマヤを誘ってるような、そんな声だった気がする。もし、マヤが本気で悩んでいて、落ち込んでいて、そんな時にトレーナーちゃんと会ってたら、どうしてただろう。

 

 そう言えば、こないだスカーレットちゃん達と見たドラマで心中なんてのがあったっけ。別れさせられそうになった二人が、海に飛び込んで心中するシーンがあったけど、あれを見たせいかな?

 

 そこまで思いついた時、マヤは窓の外に広がる海に視線を向ける。月明りに照らされた夜の海はどこか神秘的で、見ているとどんどん飲み込まれていきそうな、そんな雰囲気を感じてしまう。

 

「……もしかして、マヤ、誘われたのかな?」

 

 だとしたら迷惑なんだけどなぁ。マヤ、そう言う気は一切ないんだよ?

 

「べーっ、だ。マヤは絶対にそっちには行かないからね。トレーナーちゃんも、そっちには絶対に行かせないんだから」

 

 海に向かってアッカンベーをして、ちょっと気が晴れたから、早い所寝ちゃおうっと。明日からは、もっとトレーニング頑張るんだから。



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サイレンススズカ(地の文あり、♪多目)

サイレンススズカで耳かき小説書きました。

今回、スズカがちょっとSっ気が多くなってるかもしれません。勿論、ガイドラインに触れる方面ではないのでご安心ください。

囁かれてゾクゾクしてるトレーナーを見てちょっと楽しくなってるスズカは可愛いと思う。




 私の名前はサイレンススズカ。このトレセン学園に所属するウマ娘で、この間、天皇賞秋で一着を取ることができた。これも全部、私の走りを理解してくれて、指導してくれたトレーナーさんのおかげ。

 

 でも、私は走り足りない。もっともっと走りたい、走っていたい。だから今日も走ろうと思ったのに。

 

「スズカ、今日は走ったらダメだって言ったよな?」

 

「でもトレーナーさん、私走りたいんです」

 

「走りすぎたら体を壊すって言ってるだろ。スズカが体を壊したらどうするつもりだ」

 

「むー……」

 

 思わずふくれっ面になってしまったけど、トレーナーさんは頑として首を縦に振ってくれない。折角、リラックスしようと思っていたのに……。

 

「……わかりました、走るのは今日は控えます」

 

「お、わかってくれたか。それじゃぁ今日は……」

 

「その代わり、トレーナーさんの耳かきさせてください!」

 

 私がそう言うと、トレーナーさんは口を開けてポカンとこちらを見つめてきました。

 

「え……なんで?」

 

「私はトレーナーさんの耳かきをしてリラックスする。トレーナーさんは耳かきで気持ち良くなってリラックスする。winwinというやつです。さぁ、行きましょう」

 

「ちょ、まっ、ちょおおお」

 

 トレーナーさんの手を取って強引に彼の部屋まで連れていきます。そして部屋に入ると、トレーナーさんをベッドの上に連れていきます。

 

「さぁ、少し待っていてくださいね。用意しますから」

 

「いやいやいやいや、説明! 説明してくれ!」

 

「問答無用です。おとなしくしていてください」

 

 慌てるトレーナーさんを勢いで置いてけぼりにしながら耳かきの準備をしていきます。もう、私のリラックスを邪魔するんですから、これぐらいはしてもらわないと。

 

「はい、準備ができたので、トレーナーさん、頭を置いてください」

 

 トレーナーさんの横に座って膝を叩くと、トレーナーさんはまだ何か言いたそうにしていますが、微笑みながらもう一度膝を叩くと、観念したのか、頭を置いてくれました。

 

「ありがとうございます、トレーナーさん。それでは、まずは外側を掃除していきますね」

 

 ウェットティッシュを手にして、トレーナーさんの耳の裏側や、周りを拭いていくと、ザラザラとした垢が取れました。もう、もっとちゃんと体を洗って欲しいです。

 

「トレーナーさん、お風呂上りはちゃんと拭いてくださいね。垢、残ってますよ」

 

「あー……うん、そうする」

 

 念入りにごしごしと拭いていって……うん、これで大丈夫。

 

「それじゃぁ、外側もこれで擦りますね。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 耳の外側もウェットティッシュで拭いていきます。以前は綿棒で擦ってみましたが、ウェットティッシュの方が窪みまで擦りやすい。今度から綿棒よりもこっちでやるようにしようかな。

 

「おおう……スズカの指で擦られるのって変な気分になるな……」

 

「もう、変な事言わないでください」

 

 外側を擦り終えたから、次は中。今日のトレーナーさんの耳の中はどうなってるのかしら?

 

「うーんと……今回は……難しくなさそうです」

 

 そんなに汚れてはなかったです。うーん、嬉しいような、残念なような。

 

「それでは、始めます。ガリガリ……ガリガリ……♪」

 

 耳かきを動かして、耳垢を取っていくのはやっていてとても楽しいです。固い耳垢をカリカリと掻いていって、少しづつ剥がれていったものを一気に剥がしていく。とても楽しいです。

 

「ふぉぉ……スズカ……あんまり囁かないで欲しいんだが……」

 

「あら? トレーナーさん、私が囁くと……何が嫌なんですか?」

 

 つい意地悪して、トレーナーさんの耳元で小さく囁いてあげると、トレーナーさんが体をビクッと震わせました。ふふ、いつもはしっかりしてるのに、なんだか可愛いです。

 

「トレーナーさん……? ダメ……ですか? 私……ちょっと寂しいです」

 

「お……おぅ……わ、わかった……囁いてもいいから……少なめにしてくれぇ……」

 

 背中をもぞもぞさせるトレーナーさんも可愛いですが、このまま続けてへそを曲げられても困りますので、この辺りで自重しましょうか。

 

「わかりました、それじゃあ、少なめにしますね。カリカリカリ……」

 

 囁きを少なめにして、耳かきを動かしていく。カリカリと耳垢を引っ掻いていき、少しづつ剥がれていくのはまるで瘡蓋を剥がしてるような気分になっていく。あれ、痛いけどついやっちゃうのよね。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……はい、取れました。トレーナーさんの耳垢は、ちょっと固めですね」

 

 取れた耳垢をティッシュの上に捨てて、次の耳垢に取り掛かる。カリカリカリ……カリカリカリ……

 

「カリカリカリ……ほら、トレーナーさん……もうちょっとで取れそうですよ。カリカリカリ……ガリガリガリ……♪」

 

 次いで、黄色く固まった耳垢を取ると、トレーナーさんから息が吐かれました。ふふ、痛気持ちいいんですよね、トレーナーさん。

 

「耳垢はこれぐらいなので、次は粉を掃除しますね。ゴーシゴシ、グールグル♪」

 

 綿棒でトレーナーさんの耳の中の粉をクルクルと絡めとっていきます。でも、トレーナーさんの耳の中って粉はそんなにないんですよね。

 

「はい、粉も取れましたよトレーナーさん。気分の方はどうですか?」

 

「ああ、スッキリして、スズカの声もよく聞こえるようになったと思うよ。それじゃぁ、俺はこの辺で……」

 

「ま・だ。ですよ、トレーナーさん。もう、知ってる癖に♪」

 

 立とうとするトレーナーさんの頭を押さえて、まずはローションを耳の中に塗っていきます。前は冷たいって言われたので、今回はちゃんと温めてますよ、トレーナーさん。

 

「ぬちゃぬちゃ……ぬちゃぬちゃ……あら、どうしたんですか? トレーナーさん、耳だけじゃなくて顔まで真っ赤ですよ」

 

「言うな……言わないでくれ……」

 

 顔を赤くして恥ずかしそうにするトレーナーさんが可愛い。でも、あんまり塗りすぎるのもいけないから、ここまでにしておかないと。

 

「はい、ローションも塗り終わりましたよ。それでは……ふー……ふー……」

 

 トレーナーさんの耳元に口を近づけ、静かに息を吹きかける。うふふ、こうして体が密着してると、トレーナーさんの体の動きが手に取るようにわかるわ。

 

「はい、それでは反対側をしていきましょうか」

 

「お……おう……」

 

 体を起こして反対側を向いて貰ったトレーナーさんの耳を見てみると、うん、こっちも掃除のし甲斐がありそう。

 

「ところでトレーナーさん? 今回は先にひと眠り、先にしておきます?」

 

「い、いや、大丈夫。大丈夫だから」

 

 うふふ、そう言ってるトレーナーさんですけど、眠そうなのバレバレですよ。

 

「それじゃぁ、こっちもやっていきますね。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 ウェットティッシュで裏側、外側をゴシゴシ、ゴシゴシ。トレーナーさんの耳の汚れを擦って落としていって……

 

「耳の中、こっちも汚れてますから、念入りに……やっていきます♪ カリカリ……カリカリ……♪」

 

 耳垢を、耳かきでカリカリと引っ掻いていって……トレーナーさんの瞼が、重くなってますね♪

 

 耳垢を取り終えたら、梵天でゴシゴシ……ゴシゴシ……クルクルっと擦って、回して、粉を絡めとっていって……♪

 

 温めたローションを、ぬちゃぬちゃ……ぬちゃぬちゃ……これを呟いてる時のトレーナーさんの顔が、一番赤いかも♪

 

 最後に、耳の中にふ~……ふ~……♪ ああ、ゾクゾクと体を震わせてるトレーナーさん、可愛い♪

 

「はい、耳かき終了です。お疲れ様でした」

 

「ああ、スッキリしたよ。これで、リラックスできたのか?」

 

「ええ。後は、このままトレーナーさんがお昼寝してくれたら完璧です」

 

 私が答えると、トレーナーさんは困ったように視線をさ迷わせます。

 

「……やっぱ、そこまでしないとダメ?」

 

「はい♪」

 

 笑顔をで答えると、トレーナーさんはしばらく迷った後に、おとなしく目を閉じてくれました。ふふ、でもわかってるんですよ、トレーナーさんが、もう眠いんだってことぐらい。

 

「お休みなさい、トレーナーさん。また耳かき……させてくださいね♪」

 



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サイレンススズカ(地の文あり、♪多目、男トレーナー視点)

サイレンススズカ(描写文あり、♪多目)の男トレーナー視点となります。

果たして、彼は今後もスズカの耳かきを堪能する事になるのでしょうか?


 俺の愛バ、サイレンススズカは独特の考え方と、特別な逃げの適正で他を圧倒する逃げ走りでターフを駆け抜ける。常に先頭を突っ走る彼女は多くの人を魅了する。

 

 そんな彼女だが困った悪癖がある。それはともかく走る事が好きだという事だ。ウマ娘は全員が走るのが好きだと言っても過言ではないんだが、彼女は群を抜きすぎている。

 

 休息日にすら放っておいたら勝手に何キロと走っているので、常にオーバーワークを心配しなくてはならない。特に、先日天皇賞秋に出場し、一着となったところだ。しばらくはゆっくり休んで、疲労を抜かせなければならないのだが……。

 

「スズカ、今日は走ったらダメだって言ったよな?」

 

 俺の目の前にいるスズカはジャージ姿。走る気満々である。今日は休息日だって言ったよな? なんで走ろうとしてるんだ。

 

「でもトレーナーさん、私走りたいんです」

 

「走りすぎたら体を壊すって言ってるだろ。スズカが体を壊したらどうするつもりだ」

 

「むー……」

 

 頬を膨らませてふくれっ面になってるスズカは可愛い。だが彼女の体調の為、俺は心を鬼にして引き留める。

 

「……わかりました、走るのは今日は控えます」

 

「お、わかってくれたか。それじゃぁ今日は……」

 

 しゅんとした彼女には申し訳ないが、わかってくれて良かった。今日はゆっくり休んでもらって、明日からトレーニングを……。

 

「その代わり、トレーナーさんの耳かきさせてください!」

 

 そう思っていた俺に向けて、彼女は理解できない事を言ってきた。

 

「え……なんで?」

 

 思わず聞き返すと、彼女は真剣な表情で言葉を続ける。

 

「私はトレーナーさんの耳かきをしてリラックスする。トレーナーさんは耳かきで気持ち良くなってリラックスする。winwinというやつです。さぁ、行きましょう」

 

「ちょ、まっ、ちょおおお」

 

 俺が反論するよりも先に、手を取られて引きずられていく。見た目は華奢に見えても彼女は優秀なウマ娘、人間の俺では抵抗できず、なすがまま、引きずられていく。

 

 そのまま俺は自分の部屋まで連れていかれると、ベッドの上に強引に座らされた。

 

「さぁ、少し待っていてくださいね。用意しますから」

 

「いやいやいやいや、説明! 説明してくれ!」

 

「問答無用です。おとなしくしていてください」

 

 何がどうしてこういう事になるのか説明を求めても、スズカは問答無用とバッサリと切り捨てて耳かきの準備を始める。ダメだ、完全に掛かってる。こうなったら話を聞いてくれないんだよスズカは。

 

 そんな風に思ってる間に準備を終えた彼女が俺の隣に座ってきた。

 

「はい、準備ができたので、トレーナーさん、頭を置いてください」

 

 そう言って膝を叩く彼女。逃げようかと思ったが、すぐに追いつかれるし、そんなのしたら彼女を休ませることもできない。仕方がないので諦めて膝枕に頭を置いた。置くべきか迷ってる時に微笑んでたのが妙に怖かったし。

 

「ありがとうございます、トレーナーさん。それでは、まずは外側を掃除していきますね」

 

 そう言って、彼女はウェットティッシュで裏側を擦ってきた。薄いティッシュ越しに感じる彼女の指をどうしても意識してしまう。前も、そうだった。普段は触れる事のない、彼女の指が今、俺の耳を掃除しているのだ

 

「トレーナーさん、お風呂上りはちゃんと拭いてくださいね。垢、残ってますよ」

 

「あー……うん、そうする」

 

 スズカに注意されて、慌てて意識を戻す。ふう、こんなことを考えてるのがばれたら何を言われるか……。

 

「それじゃぁ、外側もこれで擦りますね。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 裏側が終わり、次は外側を擦られていく。窪みの中にまで入り込み、ゴシゴシと擦られる。うう、普段は感じないような感覚、それをスズカにしてもらってるというのがまた……。

 

「おおう……スズカの指で擦られるのって変な気分になるな……」

 

「もう、変な事言わないでください」

 

 思わず声に出てしまったらツッコミを入れられた。ツッコミ程度で良かった。ドン引きされたら泣いてるぞ。

 

 そんな事を思っていると、スズカの視線を思い切り感じる。仕方がないんだけど、耳の中を凝視されるのは流石に恥ずかしい。しかも年頃の女の子にだ。羞恥に悶えそうだ。

 

「うーんと……今回は……難しくなさそうです」

 

 どうやらそんなに汚れてなさそうだな。スズカはどこか残念そうに呟くが、俺としては早めに終わってくれそうでありがたい。

 

「それでは、始めます。ガリガリ……ガリガリ……♪」

 

 どこか楽しそうに呟くスズカの耳かきが耳の中を掻いていく。耳垢に先端が引っかかり、何回か掻き続ける事で少しづつ剥がれていって、ちょっと痛いが、同時に瘡蓋を剥がすときのようなドキドキも感じて、それはそれでいいんだが……。

 

 耳垢を剥がされる快感以上にスズカの囁きが耳に気持ちよすぎる。彼女の名前のように、鈴を転がしたような透明感のある声に脳みそが溶けそうだ。

 

「ふぉぉ……スズカ……あんまり囁かないで欲しいんだが……」

 

「あら? トレーナーさん、私が囁くと……何が嫌なんですか?」

 

 俺の要望に答えてくれず、むしろ耳元で更に囁かれると、体がビクリと震える。ヤバイ、本当にヤバイ。

 

「トレーナーさん……? ダメ……ですか? 私……ちょっと寂しいです」

 

「お……おぅ……わ、わかった……囁いてもいいから……少なめにしてくれぇ……」

 

 抵抗もできず、かと言ってこれ以上この調子で続けられたら色々とマズいので、せめて減らすようにお願いする。

 

「わかりました、それじゃぁ、少なめにしますね。カリカリカリ……」

 

 どうやらわかってくれたようで、スズカは囁きを少なめにして耳かきを再開してくれた。よし、これなら耐えられそうだ。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……はい、取れました。トレーナーさんの耳垢は、ちょっと固めですね」

 

 そう言って彼女がティッシュに捨てた耳垢を見てみると、確かに小さいながらも分厚く、固さがありそうだ。

 

 それを見ている間に次の耳垢を剥がすのに取り掛かるスズカ。カリカリと囁かれるが、先程よりも量が少ないから、まだ少し楽しむ余裕がある。それでも、気が向けば脳が溶かされそうで怖いんだが。

 

「カリカリカリ……ほら、トレーナーさん……もうちょっとで取れそうですよ。カリカリカリ……ガリガリガリ……♪」

 

 楽しそうな声と共に耳垢がベリッと剥がされた。今度の耳垢は黄色に固まっていて、粉がそのまま固まったような感じで、剥がされた時の気持ち良さに思わず息を吐いてしまう。

 

「耳垢はこれぐらいなので、次は粉を掃除しますね。ゴーシゴシ、グールグル♪」

 

耳垢の掃除とは違う、耳垢だけじゃない全体を擦ると言うのは耳垢掃除とはまた違う気持ち良さを感じる。というか、彼女の動かし方が上手なんだ。そんな梵天の気持ち良さも、耳かきに比べるとあっさりと終わってしまった。

 

「はい、粉も取れましたよトレーナーさん。気分の方はどうですか?」

 

「ああ、スッキリして、スズカの声もよく聞こえるようになったと思うよ。それじゃぁ、俺はこの辺で……」

 

 よし、耳かきが終わったな。これ以上俺の脳が破壊される前に早く退散しなくて……ぬおおおお。

 

「ま・だ。ですよ、トレーナーさん。もう、知ってる癖に♪」

 

 立ち上がろうとしたが、頭をしっかりと抑え込まれた。全力で逃げようとしてるのに片手だけで抑え込まれるとか、くそ、筋力のトレーニングをし過ぎたか。

 

 そんな後悔をしていると、耳の中をヌルヌルとしたものが塗られていく。これは……ローションか。前に塗ってもらったのと違って、人肌程度に温められている。擦られて熱を帯びてる部分にローションが塗られるとジンジンとした熱が大人しくなってる気がして気持ちいい、気持ちいいんだが……。

 

「ぬちゃぬちゃ……ぬちゃぬちゃ……あら、どうしたんですか? トレーナーさん、耳だけじゃなくて顔まで真っ赤ですよ」

 

「言うな……言わないでくれ……」

 

 スズカの声で聞かされるぬちゃぬちゃという擬音を聞いていると、なんだかイケナイ言葉を聞いている気がして仕方がない。めちゃくちゃ恥ずかしくなってくる。

 

「はい、ローションも塗り終わりましたよ。それでは……ふー……ふー……」

 

 ローションが終わり、息を吹きかけられる。濡れた耳の中に息を吹きかけられるとゾクゾクッとして、何回もしてほしいと思ってしまった俺が悪くない。スズカが悪いんだ。

 

「はい、それでは反対側をしていきましょうか」

 

「お……おう……」

 

 頭から手が放されたので、体を入れ替える。逃げようかとも思ったけど、多分、いや、絶対逃げれない。最速の逃げウマ娘のスズカから、この状況で逃げるのは無理だ。というか、俺も気持ち良さと眠さのせいで体の動きが鈍ってる。気を抜けばすぐにでも寝そうだ。

 

「ところでトレーナーさん? 今回は先にひと眠り、しておきます?」

 

「い、いや、大丈夫。大丈夫だから」

 

 そんな俺の心情を察したのか、スズカがそんな事を言ってくるが慌てて否定する。

 

「それじゃぁ、こっちもやっていきますね。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 ウェットティッシュで耳の外側、裏側を擦られ、垢をこすり落としてもらい……。

 

「耳の中、こっちも汚れてますから、念入りに……やっていきます♪ カリカリ……カリカリ……♪」

 

 鈴が鳴るような、透明で、綺麗な音のような声を聴きながら、耳かきで垢を取ってもらい。

 

「耳垢を取り終えたら、梵天でゴシゴシ……ゴシゴシ……クルクルっと擦って、回して、粉を絡めとっていって……♪」

 

 梵天のフワフワとした毛で粉を全部絡めとられていき、柔らかい感触を堪能し。

 

「温めたローションを、ぬちゃぬちゃ……ぬちゃぬちゃ……これを呟いてる時のトレーナーさんの顔が、一番赤いかも♪」

 

 聞いていると何か恥ずかしくなってくる擬音と共に、温められたローションを満遍なく塗っていかれ。

 

「最後に、耳の中にふ~……ふ~……♪ ああ、ゾクゾクと体を震わせてるトレーナーさん、可愛い♪」

 

 息を吹きかけられ、ゾクゾクとした感覚を味わう。はぁ……やばいなこれ、正直、癖になりそうだ。

 

「はい、耳かき終了です。お疲れ様でした」

 

「ああ、スッキリしたよ。これで、リラックスできたのか?」

 

 俺が尋ねながら横目で彼女を見上げると、そこには満面の笑みを浮かべる彼女の顔があった。

 

「ええ。後は、このままトレーナーさんがお昼寝してくれたら完璧です」

 

 ……昼寝からは逃げられないのか? どうにか逃げられ……いや、無理だ。さっき、逃げられないって思ったじゃないか。

 

「……やっぱ、そこまでしないとダメ?」

 

「はい♪」

 

 再度の満面の笑みに、俺はもう諦めるしかなかった。目を閉じ、彼女の膝から感じる温かさを感じつつ、意識を手放していく。緊張はしてるんだが、それ以上に耳かき屋膝枕の気持ち良さによる眠気が勝る。そう言えば、俺も、最近は仕事で疲れが溜まってたんだっけ……。

 

「お休みなさい、トレーナーさん。また耳かき……させてくださいね」

 

 そんな声を聴きながら、俺は眠りに落ちていっていた。



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サイレンススズカ(地の文あり、♪多目、女トレーナー視点)

サイレンススズカ(描写文あり、♪多目)の女トレーナー視点となります。

スズカの声音は女性であっても魅了されてしまう。そう思う今日この頃です。


 私の愛バ、サイレンススズカはとても可愛くて、とても強くて、私には勿体ないくらいにできたウマ娘。でも、トレーナーとして慕われている以上、私は全力で彼女のサポートをするのだ。

 

 さて、その為にも今日は絶対に、彼女を走らせるわけにはいかない。こないだ秋の天皇賞で優勝した彼女は次のレースに備えて調整しないといけない。だから、ここで無暗に何キロも走っちゃうととても困る……って、何回も説明したはずなのに。

 

「スズカ、今日は走ったらダメだって言ったよね?」

 

 私の目の前のスズカはジャージ姿で、今にもターフで走りそうだ。ダメダメダメ、今日走っちゃったら今後のスケジュールが狂っちゃう。

 

「でもトレーナーさん、私走りたいんです」

 

「走りすぎたら体を壊すって言ってるじゃん。スズカが体を壊したらどうするつもりなのよ」

 

「むー……」

 

 頬を膨らませて私を睨むスズカ。か、可愛い! 可愛すぎる……けど、ダメ! 今日は許可できません!

 

「……わかりました、走るのは今日は控えます」

 

「わ、わかってくれた? それじゃぁ今日は……」

 

 耳を垂れてシュンとするスズカを見てると罪悪感が半端ないんだけど。ダメダメ、今日は心を鬼にしてでも、スズカの疲労抜きをしないといけないの。耐えろ私。

 

「その代わり、トレーナーさんの耳かきさせてください!」

 

 そう自分に言い聞かせてると、なんだか理解不能な事を言われてしまった。……ええ?

 

「え……なんで?」

 

 スズカの言葉の意味が理解できず思わず聞き返すと、彼女は真剣な表情で言葉を続けた。

 

「私はトレーナーさんの耳かきをしてリラックスする。トレーナーさんは耳かきで気持ち良くなってリラックスする。winwinというやつです。さぁ、行きましょう」

 

「ちょ、まっ、ままままっ」

 

 私が何か言うより先にスズカが両手を掴んできて、そのまま引っ張ってきた。抵抗しようにも彼女に対抗できるわけもなく、そのままあれよあれよという間に連れていかれたのは私の部屋だった。

 

 片手で私を掴んだまま扉を開けられ、私は抵抗むなしくベッドに座らされることになった。

 

「さぁ、少し待っていてくださいね。用意しますから」

 

「いやいやいやいや、説明! 説明プリーズ!」

 

「問答無用です。おとなしくしていてください」

 

 説明を求めてもばっかりと切り捨てられて、スズカはそのまま耳かきの用意をし始めるんだけど。えー、私の愛バってこんな強引だっけー? なんでー?

 

 そんな疑問を頭に浮かべてると、程なくして準備を終えたスズカが私の隣に座ってきた。

 

「はい、準備ができたので、トレーナーさん、頭を置いてください」

 

 そう言って彼女は自分の膝をポンポンと叩いてきた。うーん、逃げても掴まるし、それでスズカの負担を増やしても仕方ないし……うん、仕方ない、仕方ない事なんだ。そう自分に言い聞かせ、私はおとなしく彼女の膝枕に頭を置いた。

 

「ありがとうございます、トレーナーさん。それでは、まずは外側を掃除していきますね」

 

 そう言うと、彼女はウェットティッシュで裏側やを擦ってきた。ひんやりしたティッシュの薄い生地越しでも伝わる彼女の指の動き。あの白くて綺麗な指が私の耳を掃除してるんだと思うと、なんだか心臓がドキドキしてくる。

 

「トレーナーさん、お風呂上りはちゃんと拭いてくださいね。垢、残ってますよ」

 

「あー……うん、気を付ける……」

 

 スズカの注意に返事するけど、自分のドキドキが伝わってないかと心配になる。

 

「それじゃぁ、外側もこれで擦りますね。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 裏側が終わって、次は外側だ。窪み、溝、そう言ったところにも隙間なく彼女の指が潜り込んで擦ってくる。ひゃぁぁぁ、そんなところを擦らないでぇぇ。

 

「あうう……スズカの指で擦られるのって変な気分になるよぉ……」

 

「もう、変な事言わないでください」

 

 思わず出た声にツッコミが入った。えーと、引かれてない……よね? 大丈夫だよね?

 

  内心ドキドキしてると、彼女の視線が耳の中に注がれる。はぅぅ……恥ずかしい……

 

「うーんと……今回は……難しくなさそうです」

 

 あ、そんなに汚れてないんだ。は、早く終わるって事だよね? 嬉しいような、残念なような……。

 

「それでは、始めます。ガリガリ……ガリガリ……♪」

 

 楽しそうな声音でオノマトペを呟きながら耳かきを始めた。耳垢がガリガリと引っ掛かれ、剥がれてきた所に耳かきの先端が少しづつ差し込まれていく。痛いけど、同時に気持ち良くて、剥がれる瞬間を今か今かと待ちわびる。

 

 でも、このまま囁かれ続けるなら、耳垢が剥がれなくてもいいかも……なんて思ってしまうけど、私は悪くない。綺麗な声のスズカが悪いんだ。

 

「あひぃぃ……スズカァ……あんまり囁かないでぇ……」

 

「あら? トレーナーさん、私が囁くと……何が嫌なんですか?」

 

 懇願したら余計に耳に口が近づき、囁きが続く。ほああああ、言葉だけじゃなくて、息が、吐息がぁぁぁ。スズカの息遣いまではっきり聞こえちゃう。体が勝手に震えちゃう。

 

「トレーナーさん……? ダメ……ですか? 私……ちょっと寂しいです」

 

「や……やめ……わ、わかった……囁いてもいいから……少なく……少なくしてぇぇぇ」

 

 抵抗する気勅を奪われ、でもこれ以上過激になったら絶対に落ちちゃいけない所を落ちちゃうから、せめて少なくしてくれと懇願する。

 

「わかりました、それじゃぁ、少なめにしますね。カリカリカリ……」

 

 ああ、良かった。わかってくれた。少し離れた口から囁かれるオノマトペはさっきよりも少な目、息遣いの音も遠くなったし、これなら耐えられる。ふぅ、担当に落とされるとか、トレーナーとして流石に……ね。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……はい、取れました。トレーナーさんの耳垢は、ちょっと固めですね」

 

そう言って、彼女が耳垢をティッシュの上に捨てたから見てみると……うん、確かに小さいんだけど、分厚いし、形が崩れてないって事は、それだけ固いって事だよね。

 

 あんまり、自分の耳の中にそう言うのがあるって考えたくないなぁ。なんて思ってる間にもスズカは次の耳垢に取り掛かってた。カリカリカリと囁かれる量が少なくなったから、彼女の声や耳かきを楽しむ余裕ができた。だから、堪能できるところまで堪能しよう、そうしよう。

 

「カリカリカリ……ほら、トレーナーさん……もうちょっとで取れそうですよ。カリカリカリ……ガリガリガリ……♪」

 

 どこか楽しそうな、弾んだ声音で囁かれる声に合わせるかのように、耳垢がペリペリッと剥がされた。うーん、黄色い、耳の粉がそのまま固まりましたって感じ。汚いなぁ、と思う反面、これがあるおかげで耳かきを堪能してるんだよねぇ。って、なんか複雑な気持ちになる。

 

「耳垢はこれぐらいなので、次は粉を掃除しますね。ゴーシゴシ、グールグル♪」

 

 梵天でゴシゴシと耳の中を掻きまわされる。耳かきの固いのとは違う、ふわふわの毛の感触は、耳垢を取って熱を帯びてる部分にも柔らかい肌触りで癒しを与えてくれる。ちょっとむず痒いけど。

 

「はい、粉も取れましたよトレーナーさん。気分の方はどうですか?」

 

「んー、スッキリして、スズカの声もよく聞こえるようになったと思う。ありがとうねースズカ。それじゃぁ、私はこの辺で……」

 

 うん、耳かきは終わった、スズカは満足しただろう。このままフェードアウトするぞ、そうじゃないと脳みそが破壊つくされちゃ……ぬああああ。

 

「ま・だ。ですよ、トレーナーさん。もう、知ってる癖に♪」

 

 立って逃げようとするより先に頭を抑えられた。ちょ、逃げれない、ジタバタ藻掻くけど頭をしっかりと押えられてる。いや、いくらなんでも片手で押えてるだけなのに、なんでこんなしっかり押えられてるの私!?

 

 私が驚愕してる間に耳の中にヌルヌルしたものが塗られていく。これ、ローション? ふああ、温かくて、気持ちいい、気持ちいいんだけど……。

 

「ぬちゃぬちゃ……ぬちゃぬちゃ……あら、どうしたんですか? トレーナーさん、耳だけじゃなくて顔まで真っ赤ですよ」

 

「うう……言わないでぇ……触れないでぇ……」

 

 スズカの声でぬちゃぬちゃとか言われると、変な事を想像してしまう。やだぁ、こんな想像してるって気づかれたらドン引きじゃ済まないよぉ。

 

「はい、ローションも塗り終わりましたよ。それでは……ふー……ふー……」

 

 おおおおおぉ、ゾクッて、ゾクッてするぅ。濡れてる所に息を吹きかけられると、背筋をゾクゾクッと気持ちいいが走っていく。

 

「はい、それでは反対側をしていきましょうか」

 

「は……はいぃ……」

 

 頭から手が放されたので、もぞもぞと体を動かして体勢を変える。も、もう体に力が入らないよぉ……もう、スズカの為すがままになるしかない……。

 

「ところでトレーナーさん? 今回は先にひと眠り、しておきます?」

 

「だ、大丈夫。大丈夫……」

 

 ね、寝そう、寝そうだけど……片耳だけでお昼寝しちゃったら、もう片方でもお昼寝しちゃいそう……が、我慢、我慢……!

 

「それじゃぁ、こっちもやっていきますね。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 残りの耳も、まずは外側、裏側をウェットティッシュでゴシゴシと擦られていって……

 

「耳の中、こっちも汚れてますから、念入りに……やっていきます♪ カリカリ……カリカリ……♪」

 

 鈴が鳴るような、そんな透明なオノマトペを囁いてもらいながら、耳かきで耳垢を取ってもらって……

 

「耳垢を取り終えたら、梵天でゴシゴシ……ゴシゴシ……クルクルっと擦って、回して、粉を絡めとっていって……♪」

 

 梵天で優しく、耳の中の粉を絡めとられていって……。

 

「温めたローションを、ぬちゃぬちゃ……ぬちゃぬちゃ……これを呟いてる時のトレーナーさんの顔が、一番赤いかも♪」

 

 聞いていると恥ずかしくてどんどん顔に血が集まってるのがわかるぐらいの、彼女のオノマトペを耳にしながらローションを塗られていって……。

 

「最後に、耳の中にふ~……ふ~……♪ ああ、ゾクゾクと体を震わせてるトレーナーさん、可愛い♪」

 

 うう、スズカが何か恥ずかしい事言ってくる。でも、感じるのを止められない。

 

「はい、耳かき終了です。お疲れ様でした」

 

 お、終わったぁ。こ、これで解放される。冷たい水で頭冷やさないと。

 

「うん……スッキリしたよ。スズカも、これで満足したでしょ?」

 

 私がスズカを見上げると、そこには満面の笑みを浮かべる彼女の顔があった。

 

「ええ。後は、このままトレーナーさんがお昼寝してくれたら完璧です」

 

 ……マジですか、いや、いいじゃん。もういいじゃん。ここまでやればもう満足でしょ?

 

「……えーと、そこまでしないと……ダメ?」

 

「はい♪」

 

 満面の笑みで頷かれてしまった。うう、こうされたら仕方ない……というか、うん、私も眠い。恥ずかしいとかゾクゾクするとか色んな事を味わったのに、今感じてるのは心地よい眠気だ。スズカのスレンダーな膝枕も寝心地が良くて、眠気を助長してくる。うう……次は……次こそは、逃げてやるんだから。

 

「お休みなさい、トレーナーさん。また耳かき……させてくださいね」

 

 そんな声を聴きながら、私は心地よい眠りに落ちていっていた。



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マチカネフクキタル(地の文あり)

マチカネフクキタルで書きました。口調がちょっと怪しいかもしれません。でも、なんか可愛いですよねフクキタル。頭ワシャワシャしたい。そして、カリカリカリという擬音を呟くの似合ってると思います。


お……おお……今日は、シラオキ様からのお告げがありました!

 

 ベッドから起きた私は、夢の内容を反復します。耳かき……今日はトレーナーさんに耳かきをしてあげるのが今後にも続く最高の吉になると!

 

 これはのんびりとはしていられません。幸い今日は休日、トレーナーさんも自室でぐっすりでしょう。さぁ、準備しますよー。

 

「というわけでトレーナーさん、耳かきしましょう」

 

「……休日にいきなりなんなんだ……」

 

 朝食諸々を終えた私はさっそくトレーナーさんの元に行きました。ムム、この様子、トレーナーさんはまだ寝起きですね。

 

「トレーナーさーん、良いですよね、耳かきしても。シラオキ様も夢でお告げしてくれたんですよ」

 

「いや……寝起きでするもんじゃないような……というか、シラオキ様のお告げって本当か?」

 

「本当です! さぁさぁ、こっちに来てください」

 

トレーナーさんの手を掴んでぐいぐいとベッドに連れていきます。さぁさぁ、やりますよー。

 

「……というか、耳かきってあの金の耳かき使うのか? あれ、壊れたりしたら怖いんだけどなぁ……普通の耳かきじゃダメなのか?」

 

「何を言うんですか、道具は使ってこそです。それにあれは特注の純金耳かきなんですから、使わなかったら意味ないじゃないですか」

 

「いや、確かちょっと混ぜ物してるんだろ? それって純金じゃないんじゃ……」

 

「いいえ、日本では99.99%あれば純金ですので純金で間違いありません。そもそも、金は柔らかいので、硬度維持のためにちょっとの混ぜ物をするのはおかしい事ではないのです。さぁ、ごちゃごちゃ言わず、おとなしく耳かきを受けるのです」

 

 色々と言ってくるトレーナーさんを抑え込んで。さぁ、耳かきをしていきますよー。

 

「まずはこの、富士の水をお湯にして、温めたタオルで擦っていきますよ」

 

「だから、それは別に市販の水だから霊験も何もないんじゃ……」

 

 トレーナーさんからの文句を無視して、耳の外側を拭いていきます。ムムム、こうしてみるとトレーナーさんってけっこう耳毛が濃いんですよね。今度耳毛剃りでもやってみましょうか。

 

「ゴシゴシ……ゴシゴシ……どうですかトレーナーさん? 痒い所はないですか?」

 

「ん、ああ、大丈夫だ。痒くはないよ。このままやってくれ」

 

「はい、わかりました」

 

 そのままゴシゴシと擦っていって。よし、これで大丈夫そうですね。

 

「さて、それでは。お待ちかね、この純金の耳かきを使いますよ」

 

「……やっぱ使うのかぁ」

 

「勿論です!」

 

 未だに渋るトレーナーさんですが、気づいているんですよ? この耳かきの触れ心地を気に入っているでしょう? 私にはお見通しです。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……どうです? トレーナーさん、この黄金の触れ心地は」

 

「ああ……うん、馴染みはないが、気持ちいいよ」

 

 むっふー、そうでしょうそうでしょう。金の触り心地に慣れてる人なんて早々居ませんからね。存分に味わってください。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……トレーナーさんの耳垢を、カリカリっと掻いていきますよー。カリカリカリ」

 

 耳かきでカリカリと掻いていくと、小さい耳垢はポロッと匙の部分に落ちます。そのままティッシュに捨てて、次をカリカリカリ。

 

「やはり、シラオキ様のお告げは正しいのです。トレーナーさんの耳の中、ちょうど掃除頃ですよ。ほら、次の耳垢に、カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

「本当なんだろうな……?」

 

 むぅ、トレーナーさん、少し疑いすぎじゃないでしょうか。でも構いません、これからもじっくり、シラオキ様の素晴らしさをお伝えするだけです。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……次の耳垢も、カリカリカリ……ペリッといって……はい、取れましたよ、トレーナーさん」

 

 順調の耳垢を掃除していき……うん、こんなものですね。さぁ、次は、新兵器の登場です。

 

「ではトレーナーさん、次は梵天をしていきましょう」

 

「ん。ああ、わかったよ」

 

 ふっふっふっ。さぁトレーナーさん、このマチカネフクキタルとっておきの梵天を味わっていただきます!

 

「ゴーシゴシ、グールグル、トレーナーさんの耳の中をゴシゴシ、ゴシゴシ」

 

「おお……おぉ……なんだこの梵天……気持ちよすぎる……」

 

 ふふふ、どうやら気に入ったようですね。勿論、これは市販の物とは一味違いますからね、当然です。

 

「ふふふ、トレーナーさん、そんなにこの梵天が気に入りましたか?」

 

「ああ。これ、本当に気持ちいいな。ふわふわして……柔らかくて……耳の中が幸せって感じがする。こんな梵天、どこで手に入れたんだ?」

 

「んー。では、実物を見せるので、当ててみてください」

 

 そう言って梵天をトレーナーさんの前に持っていきます。さぁ、この栗毛色の梵天、見覚えがないとは言わせませんよ。

 

「ん? なんだこれ? フクキタルの尻尾とまったく同じ色……え、これってまさか」

 

「はい、トレーナーさんの想像通り、これは私の尻尾の毛を使った梵天です」

 

 ふふふ、この為に、毎日しっかりと手入れして、信用できる所で加工してもらいましたから、市販の物なんて比べ物になるはずがありません。

 

「え……いいのか? お前、自分の尻尾の毛をこんなのに使って」

 

「良いんです。トレーナーさんが気持ち良くなってくれてるんですから、これぐらい、貴方の愛バとして当然の範疇です! さートレーナーさん、もっと気持ち良くなってください」

 

 ゴーシゴシ、グールグル。トレーナーさんの耳の中を、梵天でグルグルグル。

 

「さて~、それでは掃除は終わったので……顔を近づけてと……ふ~……ふ~……」

 

 顔を近づけ優しく息を吹きかけると、おや? トレーナーさん、前に耳かきした時より背中がゾクッて動きましたね。

 

「ふっふっふっ。トレーナーさん、気持ちよさそうですねぇ。さぁ、反対側もしましょうねー」

 

「お……おう。頼む」

 

 ふっふっふっ、やはりトレーナーさんはこの梵天にメロメロですねぇ。さぁ、気合入れてやりましょう。

 

 さてさて、また耳の外側、裏側をタオルでゴシゴシしまして……溝の部分も指を突っ込んでしっかりと擦ります。

 

「なぁ、フクキタル。その……あんまり指でゴシゴシされるのって恥ずかしいんだぞ」

 

「むむ、何を言ってるのですかトレーナーさん。これは健全なマッサージの一種であり、何一つやましい事はありません」

 

 まったく、何を変な事を言ってるのでしょう。さぁ、外の掃除も終わりましたし、中をやりましょう。純金の耳かきで掃除です。んー、カリカリカリ……カリカリカリ……耳垢が取れた時のトレーナーさんのホッとした表情、見ていて私も嬉しくなります。

 

「ふふ、トレーナーさん、なんだかんだと言いながらも、やはりこの耳かきはお気に入りですね。作った甲斐があるというものです」

 

「そりゃまぁ……気持ちいいし。お前が用意してくれたものなら猶更だし」

 

「……トレーナーさん、真顔で凄い事言わないでください」

 

 まったく、トレーナーさんはたまにこういうのを真顔で言ってきます。心臓に悪いです。

 

「さぁさぁ、気を取り直して耳掃除しますよ。カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 んーとは言え、正直言えばそんなに汚れてもないので……残念、もう終わってしまいました。ですが、この後ですよ、大事なのは。

 

「ではでは、梵天でクシュクシュ……ゴーシゴシ……」

 

 むっふー、気持ちよさそうにするトレーナーさんの顔、見ていて気持ちいいです。この為に、何か月もきちんと尻尾の手入れをしてきた甲斐がありました。シラオキ様のお告げの通りです。

 

「さぁ、梵天も終わりましたので……ふ~……ふ~……。はい、これで耳かきお終いです。トレーナーさん、どうでしたか? 癖になりそうですか?」

 

「む……いや、耳かきは癖にはできないんだよ。わかるだろ?」

 

「ええ、勿論。耳かきそのものは癖にはできませんが……ですので、こちらを差し上げます」

 

 そう言って、私はトレーナーさんの手に梵天を握らせました。

 

「ん? 良いのか? これ、作るのに相当手間がかかっただろ?」

 

「ええ。勿論手間はとてもかかりました。この毛の質を維持するのに何か月も手入れをしましたからね。大変なんですよ、これだけの艶を出すのって」

 

 で、も。そこまでしたやつだからこそ、トレーナーさんに持っていて欲しいのです。

 

「トレーナーさん、これだけ手間暇かけて作られた梵天……気持ち良かったですよね? これなら、頻繁に使っても耳を傷めませんし、何より、これでいつでもどこに居ても私の存在を感じられますよ」

 

「いや、そこまで深い意味を与えられても困るんだが……まぁいいや。ありがたく頂くよ」

 

 むっふー! やりましたよシラオキ様。やはり、シラオキ様のお告げは絶対です。さぁ、これでトレーナーさんはずっと私の存在を感じられますよー。



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マチカネフクキタル(男トレーナー視点

マチカネフクキタルの男トレーナー視点となります。

フクキタルのトレーナーってラッキーアイテム関連でけっこう振り回されてそうですけど、なんだかんだ言ってもフクキタルは一途なのでヨシ。


 はぁー……今日はやっと休みだ。最近本気で疲れが溜まってたからなぁ。今日はゆっくりするぞ。

 

 大体、その原因はどう考えてもフクキタルなんだよ。あいつ、何かにつけてラッキーアイテムだのなんだのといって変な物持ってくるからなぁ……サイレンススズカも困ってるんだっけ。

 

寝起きの頭で今度向こうさんにどうお詫びをすべきかと考えていると、部屋の扉がノックされた。服を整えてから扉を開けると、そこには元凶であるマチカネフクキタルが立っていた。

 

「というわけでトレーナーさん、耳かきしましょう」

 

「……休日にいきなりなんなんだ……」

 

 開口一番の耳かき発言に俺は頭を抱えそうになる。なんなんだよ……なんでいきなり耳かきなんだ、わけがわからないよ。

 

「トレーナーさーん、良いですよね、耳かきしても。シラオキ様も夢でお告げしてくれたんですよ」

 

「いや……寝起きでするもんじゃないような……というか、シラオキ様のお告げって本当か?」

 

「本当です! さぁさぁ、こっちに来てください」

 

 俺の疑いの視線をものともせず、フクキタルは腕を掴んできてぐいぐいと引っ張って、そのままベッドに俺を座らせた。 

 

「……というか、耳かきってあの金の耳かき使うのか? あれ、壊れたりしたら怖いんだけどなぁ……普通の耳かきじゃダメなのか?」

 

 俺の言葉を聞いたフクキタルは、手は耳かきの準備のために動かしながらも、顔だけこちらを振り向いてきた。 

 

「何を言うんですか、道具は使ってこそです。それにあれは特注の純金耳かきなんですから、使わなかったら意味ないじゃないですか」

 

「いや、確かちょっと混ぜ物してるんだろ? それって純金じゃないんじゃ……」

 

「いいえ、日本では99.99%あれば純金ですので純金で間違いありません。そもそも、金は柔らかいので、硬度維持のためにちょっとの混ぜ物をするのはおかしい事ではないのです。さぁ、ごちゃごちゃ言わず、おとなしく耳かきを受けるのです」

 

 俺の問いを強引に打ち切り、準備を終えたフクキタルは俺を抑え込んで彼女の膝の上に俺の頭を乗せてくる。仕方ない、こうなったらもう逃げようがない。

 

「まずはこの、富士の水をお湯にして、温めたタオルで擦っていきますよ」

 

「だから、それは別に市販の水だから霊験も何もないんじゃ……」

 

 俺が疑問を呈するが、フクキタルは聞く耳を持たずに準備を続ける。仕方がないので、俺もそれ以上は言わないことにした。

 

「ゴシゴシ……ゴシゴシ……どうですかトレーナーさん? 痒い所はないですか?」

 

 温められたタオルが耳をゴシゴシと擦ってくれる。ホカホカと熱を帯びたタオルにくるまれ、フクキタルの指の動きに合わせて形を変えるそれの感触がとても気持ちいい。

 

「ん、ああ、大丈夫だ。痒くはないよ。このままやってくれ」 

 

「はい、わかりました」

 

 ゴシゴシ、ゴシゴシ。とタオルの気持ち良さに浸りながらフクキタルの膝枕を楽しむ。……あれ、これって傍から見たらかなりやばくないか? 

 

「さて、それでは。お待ちかね、この純金の耳かきを使いますよ」

 

 そんな俺の疑問をよそに、タオルが取られる。そして横目に見えたのは、窓から差し込む光を反射して輝く金の耳かきだった。

 

「……やっぱ使うのかぁ」

 

 見覚えのある金の耳かきに俺はため息がでそうになる。いや、嫌いじゃないんだけどな。嫌いじゃないんだが、いかんせん俺みたいな小市民には馴染みが無さ過ぎる。

 

「勿論です!」

 

 俺の言葉にフクキタルは実に良い笑顔で答えた。今はその笑顔が無性に腹立つ。 

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……どうです? トレーナーさん、この黄金の触れ心地は」

 

「ああ……うん、馴染みはないが、気持ちいいよ」

 

 金の柔らかくしなやかで、それでいて確かな硬さを感じるその感触は、ステンレスや鉄製の耳かきよりも優しくて、俺は耳かきの気持ち良さと共にこの感触を楽しむ。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……トレーナーさんの耳垢を、カリカリっと掻いていきますよー。カリカリカリ」

 

 耳かきが掃除するたび、耳垢を取るたびにフクキタルのカリカリという言葉も良く聞こえるようになる。ああ、くそ、気持ちいいなぁ。こうして耳かきされていると、聞き慣れているはずのこいつの声ですら気持ちよく感じてしまう。

 

そうして気持ち良さに浸っていると、ペリッという音と共に耳垢が取れた。瘡蓋を剥がすような気持ち良さを感じている間に、ティッシュに耳垢が捨てられた。茶色く濁った耳垢が金の耳かきの上に乗っているという光景がどこか背徳的な感じがしてしまう。

 

「やはり、シラオキ様のお告げは正しいのです。トレーナーさんの耳の中、ちょうど掃除頃ですよ。ほら、次の耳垢に、カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 そう言ってフクキタルが次の耳垢に取り掛かる。こいつ、何かにつけてシラオキ様のお告げって言ってくるけど、実際どうなんだか……。

 

「本当なんだろうな……?」

 

 尋ねてみるが、フクキタルは俺の言葉を無視して耳かきに取り組んでいる。これ以上あれこれ言っても仕方なさそうだな。追及は諦めるか・

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……次の耳垢も、カリカリカリ……ペリッといって……はい、取れましたよ、トレーナーさん」

 

 そんな事を思っている間に、次の耳垢はあっさりと取れて、最初に取れた耳垢の隣に捨てられた。うーん、これなら耳かきに集中してたほうが良かったかな。

 

「ではトレーナーさん、次は梵天をしていきましょう」 

 

「ん。ああ、わかったよ」

 

 軽く後悔してる間に耳かきは終わったようで、次は梵天をしてくれる。耳かきで熱くなったところをコショコショと梵天が擦るのは気持ちいいし、梵天が入ってくるのを待っていると……お、おおお!? 

 

「ゴーシゴシ、グールグル、トレーナーさんの耳の中をゴシゴシ、ゴシゴシ」

 

「おお……おぉ……なんだこの梵天……気持ちよすぎる……」

 

 なんだこれ? なんだこれ!? 今までの梵天なんかと比べ物にならない。フワッフワで、それでいて滑らかに耳の中を擦っていく。こんな極上の梵天、俺は知らないぞ。 

 

 ああ、ヤバ……これ、耳かきより気持ちいいかもしれない。これだけでもう幸せだ……。

 

「ふふふ、トレーナーさん、そんなにこの梵天が気に入りましたか?」

 

「ああ。これ、本当に気持ちいいな。ふわふわして……柔らかくて……耳の中が幸せって感じがする。こんな梵天、どこで手に入れたんだ?」

 

 こんな梵天があるなら、どれだけ高くても買ってしまうだろう。というか、今日休みなんだし、即買いに行くぞ。

 

「んー。では、実物を見せるので、当ててみてください」

 

 ん? 当てる? どういうことだ? お、これがその梵天か。ん? 白じゃなくて栗毛色? 珍しいな。

 

「ん? なんだこれ? フクキタルの尻尾とまったく同じ色……え、これってまさか」

 

 思わず頭を上に向けると、俺の愛バは実にいい笑顔を浮かべていた。 

 

「はい、トレーナーさんの想像通り、これは私の尻尾の毛を使った梵天です」

 

 ……え? マジで? これ、お前の尻尾の毛使ったのか? え、ウマ娘にとって尻尾ってめちゃくちゃ大事じゃん。え、本当に使ったの?

 

「え……いいのか? お前、自分の尻尾の毛をこんなのに使って」

 

 思わずそう聞くと、フクキタルは笑みを浮かべたまま答えてくれた・

 

「良いんです。トレーナーさんが気持ち良くなってくれてるんですから、これぐらい、貴方の愛バとして当然の範疇です! さートレーナーさん、もっと気持ち良くなってください」

 

 そう言うと、彼女は俺の頭の向きを戻して、再び梵天で耳の中を掃除する。グルグルと耳の中で梵天が開店するたび、ゴシゴシと上下に動くたびにふわふわで滑らかで、優しい肌触りの梵天の感触に、俺は癒される。

 

「さて~、それでは掃除は終わったので……顔を近づけてと……ふ~……ふ~……」

 

 おおお……フクキタルの吐息が……前の耳かきの時よりも直に感じてる……梵天で耳が気持ちよくなったところでのこれは反則だろ……。

 

「ふっふっふっ。トレーナーさん、気持ちよさそうですねぇ。さぁ、反対側もしましょうねー」

 

「お……おう。頼む」

 

 促されるまま、反対側の耳を上に迎えると、最初と同じように、温められたタオルで耳が噴かれていく。タオル越しでもわかるフクキタルの指の動き。なんか、恥ずかしいんだよなぁ・

 

「なぁ、フクキタル。その……あんまり指でゴシゴシされるのって恥ずかしいんだぞ」 

 

「むむ、何を言ってるのですかトレーナーさん。これは健全なマッサージの一種であり、何一つやましい事はありません」

 

 俺の言葉にフクキタルはド正論で返してきた。クソッ、普段は頓珍漢な事を言うくせに……!

 

 俺の憤りをよそにフクキタルは再び金の耳かきで耳かきを始めた。

 

 あの、金の慣れない感触と、耳かきによる気持ちのいい感覚に、俺は今度は無言で味わっていく。

 

「ふふ、トレーナーさん、なんだかんだと言いながらも、やはりこの耳かきはお気に入りですね。作った甲斐があるというものです」

 

「そりゃまぁ……気持ちいいし。お前が用意してくれたものなら猶更だし」

 

「……トレーナーさん、真顔で凄い事言わないでください」

 

 俺の返答にフクキタルが一瞬声が詰まったんだが、俺何か変な事言ったか? 

 

「さぁさぁ、気を取り直して耳掃除しますよ。カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 そんな俺の疑問をよそに耳かきは進んでいくが、そんなに汚れてなかったのだろう、耳かきは比較的あっさりと終わった。そして、俺はそれをそんなに残念だと思わなかった。もうすぐ、あの梵天を味わえるんだ。

 

「ではでは、梵天でクシュクシュ……ゴーシゴシ……」

 

 あー……やばいなこれ、この梵天だけがもう、気持ちよすぎてこれだけをずっと味わいたい。耳の中までフクキタルで満たされるような、そんな錯覚すら覚えそうで、もう市販の梵天を使うなんて考えられない。 

 

「さぁ、梵天も終わりましたので……ふ~……ふ~……。はい、これで耳かきお終いです。トレーナーさん、どうでしたか? 癖になりそうですか?」

 

「む……いや、耳かきは癖にはできないんだよ。わかるだろ?」

 

 至福の時間だったが、耳かきはやりすぎると耳の中を傷める。ウマ娘に体調管理を徹底するよう指導してるトレーナーが、自分から体調を崩すような真似はできない。というか耳の中の異常って正直怖すぎて、いくら梵天が気持ち良くても、それよりも恐怖のほうが勝る。

 

「ええ、勿論。耳かきそのものは癖にはできませんが……ですので、こちらを差し上げます」

 

 そう言うと、フクキタルは梵天を俺の手に握らせてきた。

 

「ん? 良いのか? これ、作るのに相当手間がかかっただろ?」

 

「ええ。勿論手間はとてもかかりました。この毛の質を維持するのに何か月も手入れをしましたからね。大変なんですよ、これだけの艶を出すのって」

 

 実際その通りなんだろう。これだけ気持ちいい梵天が、普通の手入れがされてるだけの尻尾の毛で作れるとは思えない。相当手間暇がかかっていたはずだ。本当に良いのか?

 

「トレーナーさん、これだけ手間暇かけて作られた梵天……気持ち良かったですよね? これなら、頻繁に使っても耳を傷めませんし、何より、これでいつでもどこに居ても私の存在を感じられますよ」

 

 俺の葛藤を気にしないかのように、フクキタルは梵天を握った俺の手を握ってくる。いや、気持ちは嬉しいんだが、後半なにか重い事言ってないか? 大丈夫か?

 

「いや、そこまで深い意味を与えられても困るんだが……まぁいいや。ありがたく頂くよ」

 

 ここまで言われては断るのも申し訳なく、俺はありがたくフクキタルの梵天を貰う事にした。これでいつでも梵天の感触を味わえるが……これからもフクキタルが何かにつけて耳かきしてきそうなのは、やはりトレーナーと生徒という立場状、困った事なんだよなぁ。他のトレーナーはこんな事してないだろうなぁ。



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マチカネフクキタル(地の文あり、女トレーナー視点)

マチカネフクキタル(地の文あり)の女トレーナー視点となります。

女トレーナーだと、彼女の身だしなみとか、そう言うものにもラッキーアイテム関連を提案してきてる気がしますね、フクキタル。



個人ごとですが、間違っていなければ、先日ハーメルンの一ページ内の検索表示件数が10件に減りましたね。

20件で慣れてたせいか、10件になってからちょっと使い辛い。前の表示なら5ページぐらいで表示されてた作品が、10ページ以上遡らないといけないのが面倒くさいですね。


 んー……お布団さいこー。今日は休みだから、お昼までゴロゴロするぞー。

 

 こないだまでフクキタルのレースの為にあれこれしてたからなぁ……うん、今日は徹底的にお休みする。リフレッシュ休暇だもん。さて、それじゃぁ二度寝でも……。

 

 なんて思ってたのに、なんかインターホンが鳴ってるんですけど。誰よー……まだ朝じゃーん。起こさないで欲しいのにー。

 

 そんな事を思いながら扉を開けると、そこに居たのはフクキタルであった。

 

「というわけでトレーナーさん、耳かきしましょう」

 

「……ごめん、何言ってるかわからない……」

 

 開口一番の耳かき宣言に頭の上に?マークがダンスし始める。なに? 前々から突然変な事を言ったりしてたけど、その延長?

 

「トレーナーさーん、良いですよね、耳かきしても。シラオキ様も夢でお告げしてくれたんですよ」

 

「いや……寝起きでするもんじゃないよね? ……というか、シラオキ様のお告げなの?」

 

 この子、何かにつけてシラオキ様って言うけど、シラオキ様って本当、なんなの? 新手の宗教?

 

「本当です! さぁさぁ、こっちに来てください」

 

 私の疑問をよそにフクキタルは腕を掴んで部屋の中を進み、ベッドに座らされた。 

 

「……ねぇ、耳かきってあの金の耳かき使うの? あれ、壊れたりしたら怖いんだけどなぁ……普通の耳かきじゃダメなの?」

 

 私の呟きを聞いたフクキタルは手を動かしながら器用に後ろを振り向いた。

 

「何を言うんですか、道具は使ってこそです。それにあれは特注の純金耳かきなんですから、使わなかったら意味ないじゃないですか」

 

「いや、怖いのは怖いし? というか、混ぜ物してるって事は純金じゃないんじゃないの?」

 

「いいえ、日本では99.99%あれば純金ですので純金で間違いありません。そもそも、金は柔らかいので、硬度維持のためにちょっとの混ぜ物をするのはおかしい事ではないのです。さぁ、ごちゃごちゃ言わず、おとなしく耳かきを受けるのです」

 

 そう言うと、フクキタルはこれ以上の問答は無用とばかりに正面を向き直った。あー、これダメだ、こっちの言う事聞いてくれないや。仕方ないなぁ、もう。

 

 そんな風に諦めていると、彼女が用意した道具を持って私の隣に座ったので、大人しくその膝の上に頭を置く。……なんであれだけ鍛えてるのに、心地よい弾力なんだろ、なんかくやしい。

 

「まずはこの、富士の水をお湯にして、温めたタオルで擦っていきますよ」

 

「だから、それは別に市販の水だから霊験も何もないんじゃ……」

 

 私が疑問を呈するが、彼女は反応しない。うん、これももう言っても聞いてくれないのね。まぁ、いいけど。

 

「ゴシゴシ……ゴシゴシ……どうですかトレーナーさん? 痒い所はないですか?」

 

 霊験云々は置いといて。温められたタオルで優しく擦られると、それだけで十分気持ちいい。やっぱ、女の子だから手の動かし方も柔らかくて痛くないのもありがたい。小さい頃にお父さんに頭拭かれた時は痛かったなぁ。

 

「うん大丈夫、この力加減で擦ってくれたら大丈夫だよ」 

 

「はい、わかりました」

 

 ゴシゴシ、ゴシゴシ。耳を優しく擦られ、反対側ではフクキタルの頭のお着心地の良い膝枕を堪能する。んー、同性同士だからこそ楽しめる至福の時間よね。寝起きにするもんじゃないと思うけど。

 

「さて、それでは。お待ちかね、この純金の耳かきを使いますよ」

 

 あー……来ちゃったー。考えないようにしてたけど、金製品なんて馴染みなさすぎるんだよねぇ。

 

「……やっぱ使うのかぁ」

 

 非常に見おぼえある耳かきに思わずため息が出る。んー、綺麗すぎて使うのが勿体ないというか、恐れ多いというか。だってこれ、お値段十万ぐらいはするんでしょ? 使い辛いよー。

 

「勿論です!」

 

 そんな私の葛藤をわかってるのかわかってないのか、フクキタルは実にいい笑顔で答えた。ちくしょう。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……どうです? トレーナーさん、この黄金の触れ心地は」

 

「……うん、気持ちいいんだよね。うん、それは認めるよ」

 

 うう、確かになんか柔らかくて、金属製の耳かきって思い辛いぐらいだけど、やっぱり慣れないよぉ。でも気持ちいい。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……トレーナーさんの耳垢を、カリカリっと掻いていきますよー。カリカリカリ」

 

 カリカリと、ゴリゴリと、耳掃除が進むたび、フクキタルの声がどんどん聞こえやすくなっていく。あー、この子、耳かき上手なのよねー。どんどん気持ちよくされちゃってるのが自分でもよくわかる。

 

 そんな気持ち良さに身を委ねていると、ガリガリ……ベリッて音が聞こえたと思うと、そのまま耳かきが引き抜かれ、耳垢がティッシュに捨てられた。うーん……やっぱり、こんな綺麗な耳かきが自分の耳垢で汚れるのは見たくないなぁ・

 

「やはり、シラオキ様のお告げは正しいのです。トレーナーさんの耳の中、ちょうど掃除頃ですよ。ほら、次の耳垢に、カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 そう言うと、再び耳かきが掃除を始める。ていうか、本当にシラオキ様とやらのお告げなの? フクキタルがやりたいから言ってるだけなんじゃないの?

 

「ねぇフクキタル。本当なの?」

 

 疑問に思ったから聞いてみたけど、彼女は集中してるのか、返答は帰ってこなかった。うーん、これはこれ以上返事を期待してもしかたないかな。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……次の耳垢も、カリカリカリ……ペリッといって……はい、取れましたよ、トレーナーさん」

 

 そんなこんなで次の耳垢も無事に取れて、再びティッシュの上に捨てられた。ふぅ、順調に耳掃除、進んでるね。

 

「ではトレーナーさん、次は梵天をしていきましょう」 

 

「ん。うん、わかった」

 

 ありゃ、もう耳掃除終わったんだ。んー、耳掃除の頃合いって言ってた割に、終わるの早かったなぁ。あー、でも、梵天も気持ちいいんだよねえ。コショコショーってされるのが楽し……ふええええ!? 

 

「ゴーシゴシ、グールグル、トレーナーさんの耳の中をゴシゴシ、ゴシゴシ」

 

「ああ……あひぃ……ちょ、この梵天なに……? フワッフワ……」

 

 何これ? 私、こんな気持ちいい梵天知らないよぉ。滑らかーに動いて、柔らかく擦ってくれて……あああ……耳の中が幸せー。

 

「ふふふ、トレーナーさん、そんなにこの梵天が気に入りましたか?」

 

「うん……こんなにふわふわして……柔らかくて……こしょこしょされると耳の中が幸せいっぱいになっちゃう……こんな梵天、どこで手に入れたの?」

 

 多分金の耳かき同様特注品なんだと思うけど、これは本気で欲しい。一度使ったら、もう市販の梵天なんかに戻れないよ。

 

「んー。では、実物を見せるので、当ててみてください」

 

 当てる? え? 何々? どういう事? あ、これがその梵天なん……んー?

 

「え、何これ? 白色じゃなくて……フクキタルの尻尾と同じ色合い? ……え、え? これ、ってまさか……」

 

 思わず頭を上に向けると、俺の愛バは実にいい笑顔を浮かべていた。 

 

「はい、トレーナーさんの想像通り、これは私の尻尾の毛を使った梵天です」

 

 ……はい? マジ? この梵天、フクキタルの尻尾の毛で作ってるの!? え、ええーー!? 

 

「ま、待って、待って! え、フクキタル? 良いの? こんな……梵天作るのに自分の毛使って、本当に良かったの?」

 

 思わずそう聞くと、フクキタルは笑みを浮かべたまま答えてくれた。

 

「良いんです。トレーナーさんが気持ち良くなってくれてるんですから、これぐらい、貴方の愛バとして当然の範疇です! さートレーナーさん、もっと気持ち良くなってください」

 

 そう言ってフクキタルは私の頭の向きを優しく戻すと再び梵天を入れてきた。ふぁぁ……フクキタルの健気な言葉に、それを象徴する梵天がゴシゴシと耳の中を擦ってくれるたびに背中に気持ちいい。が走っていく。はうう……癒されるぅ……。

 

「さて~、それでは掃除は終わったので……顔を近づけてと……ふ~……ふ~……」

 

 ふぁ……フクキタルの吐息が耳の中を走っていく。ゾクゾクッて、ゾクゾクッてしちゃうよぉ。

 

「ふっふっふっ。トレーナーさん、気持ちよさそうですねぇ。さぁ、反対側もしましょうねー」

 

「お、お願い……します」

 

 思わず敬語でお願いしちゃうぐらい、私はいそいそと反対側の耳を上に向ける。ああ、早く早く。と思ってる間に、温かいタオルが耳を優しく包んでくれて、そのまま揉み解してくれる。

 

「んん……なんか、さっきよりも気持ちいいかも……フク、何か変な揉み方とか、してないよね?」 

 

「むむ、何を言ってるのですかトレーナーさん。これは健全なマッサージの一種であり、何一つやましい事はありません」

 

 私の言葉はフクキタルはド正論で返えされた。うう、、普段は頓珍漢な事を言うフクキタルにツッコミを入れる側なのに……!

 

 そんな私の内心をよそに、いつの間にかタオルが無くなっていて、金の耳かきが耳の中に入ってきた。温かいタオルで温められた耳の中に入った耳かきは、最初こそひんやりしたが、すぐに熱が移って、程よい暖かさで耳の中を掃除していく。

 

「ふふ、トレーナーさん、なんだかんだと言いながらも、やはりこの耳かきはお気に入りですね。作った甲斐があるというものです」

 

「そりゃぁ……気持ちいいもん。それも、フクが用意してくれたんだから猶更じゃん」

 

「……トレーナーさん、真顔で凄い事言わないでください」

 

 私の言葉にフクキタルが妙にまじめに返してきた。えーと、そんな調子で返されるとこっちも反応に困るなぁ……。

 

「さぁさぁ、気を取り直して耳掃除しますよ。カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 少ししていつもの調子に戻ったフクキタルが耳かきを再開した。カリカリカリ……と呟かれる彼女の声を聴いていたら、思いのほかあっさりと終わってしまった。あーん、ちょっと物足りない。

 

「ではでは、梵天でクシュクシュ……ゴーシゴシ……」

 

 そんな耳かきの物足りなさを補い余りある程に、梵天が気持ちいい。ちょっと……これ、反則……。 

 

「さぁ、梵天も終わりましたので……ふ~……ふ~……。はい、これで耳かきお終いです。トレーナーさん、どうでしたか? 癖になりそうですか?」

 

「んー……いや、耳かきは癖にはできないからさぁ……耳、痛めるのも怖いし」

 

 すぐに終わってしまった至福の時間は至極残念だけど……怖いんだよねぇ。耳かきのし過ぎで耳傷めるとかさ。だって、耳の調子が悪いのってなんか怖くない? 私は怖い。

 

「ええ、勿論。耳かきそのものは癖にはできませんが……ですので、こちらを差し上げます」

 

 そう言ってフクキタルは梵天を私の手に握らせてくれた。

 

「え? い、良いの? これ、気軽に作れるようなものじゃないでしょ?」

 

「ええ。勿論手間はとてもかかりました。この毛の質を維持するのに何か月も手入れをしましたからね。大変なんですよ、これだけの艶を出すのって」

 

 うん、こうやってまじまじと見てるとわかるけど。この梵天に使われてる毛は相当に手入れがされてる上質な毛だ。普段レースやトレーニングで走っているフクキタルがこれだけの質を維持しようと思ったら相当な手間暇がかかるはず。

 

「トレーナーさん、これだけ手間暇かけて作られた梵天……気持ち良かったですよね? これなら、頻繁に使っても耳を傷めませんし、何より、これでいつでもどこに居ても私の存在を感じられますよ」

 

 うぐ……なにも否定できない。だって本当に気持ち良かったし。でも、最後らへん、なんか重くない?

 

「えーと、そこまで深い意味を与えられても困るんだけど……まぁいいや。ありがたく頂戴します」

 

 これをくれる。と言うならこれ以上は何も言わない。ありがたく頂こう。あー、良いなぁ、手で撫でても柔らかい触感が気持ちいい。うん、これから毎晩これで耳掃除するかも。あー、でも、使いすぎるとすぐに劣化しちゃうよね。どうしよう、フクキタルにもう一度作って貰うのも申しないし……どうしよー。



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マンハッタンカフェ

マンハッタンカフェで書いてみました。ようやく久しぶりに新規のウマ娘で書けました。こういう口数が少ない系って、表現が少なくても愛情が多少重いタイプだと個人的に嬉しいですね(なお、病までは言って欲しくない模様)


 トレーナーさん、少々……宜しいでしょうか?

 

 ありがとうございます……実は……お友達から聞いたのですが……最近、よく耳に指を突っ込んでおられるとか……

 

 え……いえ、いつもお友達がトレーナーさんを見てるわけではないですが……それでも、よく見るぐらいには耳に指を突っ込んでいると……

 

 はい……それで……日頃のお礼を兼ねて、耳かきをさせて頂きたいのです。

 

 いえ……お気になさらないでください。トレーナーさんには……良くしてもらってますから……ダメ、ですか?

 

 ありがとうございます……それでは……こちらへどうぞ。

 

 ふむ……なるほど。確かにこれは……痒くなりそうです……早速……始めますね。

 

 まずは、ウェットティッシュで耳を拭かせてもらいます……ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ゴシゴシ……はい、粗方取れましたね……では、耳のツボを押しますね……ギュッ……ギュッ……

 

 ……私の指で触られると恥ずかしい……? そんな事を言われたら、私も恥ずかしくなりますから……どうかお控えください……。

 

 ギュッギュッ……ギュッギュッ……耳の血流が良くなってますね……赤く……染まってきましたよ……

 

 さぁ……ツボをギュッギュッとするのもこの辺りにしましょう……耳の中を掃除しますので……動かないでくださいね。

 

 ん……まずは……この中途半端に剥がれてる……細い物を取りますね……カリカリカリ……ペリペリペリ……

 

 ペリペリ……ズルズル……はい、まずは一つ目です……これが微妙に耳の中に引っ掛かっていたようです……。

 

 それでは……次に取り掛かりましょう……次は……大きくないですね……カリカリ……カリカリ……

 

 カリカリ……ペリッ……ズズ……ズズ……

 

 はい、次も無事に取れました……これは……ちょっと色が濃いですね。少し長い間……あったのかもしれません。

 

 トレーナーさんは……普段耳掃除はされない……のですね。わかりました……。

 

 さぁ、次です……ガリガリ……ガリガリ……少し大きめの、固目の耳垢をガリガリガリ……

 

 どうですか……? はい、力加減は大丈夫ですね。それではこのまま……ガリガリ……ガリガリ……

 

 もう少しで……よし、あとちょっとで……はい、取れました。

 

 はい……これで、耳かきはお終いです……え? これで終わりか……ですって? えっと……他に、何があるのでしょうか?

 

 え……耳に息を吹きかけるのがお約束? そ、そんな……それは……恥ずかしい……です。

 

 ……わかりましたから、そんな目で……見ないでください。それでは……

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 ……はい、これで、本当にお終いです。それでは……反対側をしていきますので……よいしょ。

 

 下半身の方が勝手に浮いた……? ああ、お友達に手伝ってもらいましたので……それでは、こちら側を……

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……こちらも、粉がついてますので……ウェットティッシュでゴシゴシ……

 

 トレーナーさん……外側も、お風呂上りにちゃんと拭いてくださいね? こういうところが……意外と見られるものですから。

 

 ギュッギュッ……ギュッギュッ……綺麗になった外側を……マッサージして……ツボ押しして……ギュッギュッ……ギュッギュッ……

 

 適度にほぐれて、汗をかいて貰って……ふやけ始めた耳垢を、掃除していきます。

 

 カリカリ……カリカリ……ふふ、トレーナーさん……顔、にやけてますよ。そんなに気持ちいいんですか?

 

 はい……嬉しいです。耳かきをしている甲斐が、あるというものです。

 

 ガリガリ……カリカリ……ほら、もうちょっとで……取れそうですよ。カリカリ……カリカリ……

 

 ……はい、これでお終いです。こっちは……そんなに汚れていませんでしたから。

 

 ……で、では……最後……行きますね。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 ……これで、その……お終いです……お疲れ様でした……それでは、どいてもら……え? ええ?

 

 そんな、そこまで……うん、わかった……トレーナーさん、どくのはやめて……このままお昼寝してください。

 

 えっと……お友達が……耳かきの後はお昼寝までがセットだと……あ、動けないですよ……お友達が押さえてますので……

 

 はい……観念してください……私も、恥ずかしいですから……抵抗しないで……。

 

 ……諦めてくれましたね。それでは、このまま……私の方を向いたまま……お休みなさい、トレーナーさん……良い夢を。



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メジロライアン(地の文あり)

メジロライアンで書いてみました。マッスルな彼女の体はきっと他のウマ娘に比べて基礎体温が高くて暖かいんじゃないかと思う今日この頃です。

後、何気に名家のお嬢様としてしっかりしてそう。マッスルって言ってますけど。




「ふぅ、ふぅ……ふー、今日もいい汗かいたなぁ」

 

 トレーナーさんとのミーティングルームでヒンズースクワットを終えたあたしは疲労を取るための体操をしつつ、満足感を覚える。やっぱり筋肉。筋肉を鍛えれば全て解決します……なーんてね。

 

「お、ここに居たのかライアン。ちょっといいか?」

 

「あ、トレーナーさん。どうかしましたか?」

 

 体操をしていると部屋のドアが開いてトレーナーさんが入ってきました。何かあったのでしょうか?

 

「悪い、ライアン。その……耳かき、頼めるか? どうも耳の中に違和感があってな」

 

「はい、わかりました」

 

 以前に耳かきをしてからトレーナーさんは時々こうして耳かきをお願いするようになってくれて、あたしは嬉しいです。あ、でもその前に。

 

「それじゃぁ、ちょっとシャワー浴びてきますので、待っていてください」

 

「え? 別に俺は気にしないけど」

 

「あたしが気にするんです!」

 

 もう、トレーナーさんはデリカシーがないんだから。前みたいに汗をかいたまま耳かきしちゃったら恥ずかしすぎるじゃないですか。

 

 ちょっと怒りながらですけど、ささっとシャワーを浴びたあたしは、いくつかの準備を終えてトレーナーさんの元に戻りました。

 

「さぁ、それでは耳かきをしていきましょう。どうぞこちらへ」

 

 そう言って正座した膝をポンポンと叩くと、トレーナーさんは頭を置いてくれました。さぁ、まずは耳かきの前に。

 

「では、まずはマッサージしますね。耳をグッグッと……指圧して……」

 

 耳たぶや耳の外側には多くのツボがありますので、それをギュッギュッと指で丁寧に押して行き、それと同時に凝っている部分を丹念に揉み解します。人の耳はあたし達の耳と形は違いますが、一応の勉強はしてますので、ツボの位置は大体把握しています。

 

 耳たぶなんかは、柔らかくて、あたし達の耳にはない部分ですから、ついつい揉みすぎてしまいます。あはは、トレーナーさんに怒られないようにしないと。でも、けっこう凝ってるなぁ。トレーナーさん、ちゃんとケアしてないんじゃないのかな。

 

「トレーナーさん、以前も言いましたが、耳もちゃんとケアをしないといけませんよ」

 

「んー……ライアンがマッサージしてくれるから、いいかなぁって」

 

「もう、そんなこと言わないでください」

 

 それだけ信用されているのは嬉しいですが、やはり体のケアは自分が真剣にならなければいけません。トレーナーさんにはもうちょっと言い聞かせたほうが良いかも。

 

 それはさておき、外側のマッサージはひと段落したので、次は耳の前からちょっと前の部分、耳門を押さえてグッグッグッ。

 

「お……おお? そんなところもマッサージするのか?」

 

「はい。ここは顔のたるみやむくみを押さえる効果があります。トレーナーさんも、小顔効果がありますよ」

 

「お……おう? 嬉しいような、そうでもないような……?」

 

なんだか微妙な反応をされてしまいましたが、マッサージはこの辺りにしておきましょう。

 

「では、マッサージはこの辺で……うん、程よく汗が出てますね。このまま耳かきをしていきましょう」

 

程よく汗をかいた耳の表面は、水分を吸ってペースト状になった粉が見えるので、まずはそれを綿棒で掃除掃除。

 

「ゴゾッ……ゴゾッ……水分を吸ったら随分と取りやすくなりますね」

 

「そうかぁ。じゃぁ、次の耳かきの時にもマッサージを受けないとな」

 

「もう、その前にちゃんと自分でケアをしてください」

 

 もう、普段はちゃんとしてるのに、なんであたしと二人きりの時には少しずぼらになるんだろう。少しため息がでますが、耳かきを手に取って、さぁ、耳かき開始です。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……どうです? 痛かったりししません?」

 

「ああ、大丈夫。このまま続けてくれ」

 

うん、トレーナーさんの顔が少しずつ緩くなってますね。気持ちよさそうで何よりです。

 

「カリカリ……カリカリ……ちょっと固いですけど、このまま、カリカリ……ガリガリ……」

 

 固目の耳垢とは言え、無暗に力を入れたら耳を傷めますから、少しずつ、端っこの方から丁寧にやっていきます。カリカリカリ……。

 

「お、もうちょっとで……はい、取れました。後は……うーん、なさそうですね。トレーナーさん、そんなに耳垢が溜まらない体質なんでしょうか?」

 

「どうなんだろうな? 言われてみたらそんなに耳かきとかしたことないような……でも、なんか違和感あるんだよなぁ……」

 

 違和感ですか。もしかして耳垢とは別の病気とか? いや、その前にもう一度見直して……あれ?

 

「よく見たら……奥の方、あるっぽいかも? ちょっと試してみますけど、深めですから、怖くなったらすぐに言ってくださいね」

 

「お、おう」

 

 トレーナーさんからの了解も得たので、深めに耳かきを差し込みます。この辺……いや、もうちょっと……あ、これかな。

 

「どうです? この辺り、痒いですか?」

 

「うおお……痒……マジで痒い」

 

「なるほど、この辺りに耳垢がありそうですね。では、このままやっていきます」

 

 見えにくいので耳かきから伝わる感触を頼りに、慎重に取り掛かります。ここを……こうして……。

 

「カリカリ……ガッ……ガッ……うん、少しづつ取れてきてますから……トレーナーさん、動かないでください」

 

「は、早く……痒いし怖いし……は、早く取ってくれええ」

 

 う、やっぱりここまで深いと怖いですよね。でも、焦ったら余計に危ないから、ここは慎重に……!

 

「ガリガリ……ガリガリ……ん、剥がれてきましたから……このまま一気に……よしっ!」

 

 ベリッて音が聞こえたようなきする。そんな感触の元、耳垢は無事に取れました。あー、茶色く変色してるって事は長い間ここにあったのかな?

 

「おお……違和感が無くなって……なんか、一気に耳の通りが良くなった気がするぞ」

 

「それは良かったです。その様子ですと他にはなさそうですし、梵天で軽く掃除していきますね」

 

 気持ちよさそうにホウッと息を吐いたトレーナーさんの様子ですと、もう耳垢はなさそうですから、後は梵天で仕上げしていきましょう。

 

「コシュコシュ……コシュコシュ……トレーナーさん、そんなに気持ちいいんですか?」

 

「ああ。違和感が無くなって……爽快な気持ちだし、このまま寝てしまいたいよ……」

 

「もう、反対側も残ってるんですから、寝るには早いですよ」

 

 そんな事を話しているうちに梵天による掃除も終わり、あたしはトレーナーさんの耳にお約束の息吹きかけを行うと、そのままトレーナーさんを持ち上げてコロン、と反対側を向いてもらいました。

 

「……なんかなぁ、いや、わかってはいるんだが、自分よりも年下の女の子に簡単にひっくり返されるのは違和感があるな」

 

「あはは、前も言ってましたねトレーナーさん。でも私の鍛え上げた筋肉の前には、トレーナーさんをひっくり返すぐらい朝飯前です。マッスルマッスル」

 

 さぁ、反対側もしていきましょう。まずは、耳のマッサージから。ギュッギュッ、グッグッ。

 

「おー……やっぱ、ライアンの手は暖かいから気持ちいいなぁ……やっぱ、これからもライアンにマッサージ頼みたい」

 

「もう、あんまり恥ずかしい事言わないでください」

 

 そ、そりゃぁ、あたしだってこれからもトレーナーさんのケアとかしたいと思うけど……ダメダメ、今はそんな事考えちゃダメ。

 

「さ、さぁ、耳かきしていきますよ」

 

 恥ずかしさを誤魔化すため、手早くマッサージを終えて、そのまま耳かきを始めていく。か、顔赤くなってるのバレないかな?

 

「ペースト状になった粉を掬って行って……外側が綺麗になったら中を……」

 

 外側を掃除している間に少し落ち着けたので、中はじっくりとやっていきましょう。さて、こっちはと……。

 

「うー……ん。んー……と、うん、こっちは汚れてないですから、掃除の必要はないですね」

 

「あ、本当? 奥の方とかも大丈夫か?」

 

「ええ。よく見てみましたが、奥の方も大丈夫です。良かったですね、トレーナーさん」

 

 あたしがそう言うと、トレーナーさんはなぜかすごく微妙な顔をしました。

 

「いや、汚れてないのは良い事なんだけど……ライアン、梵天だけでもしてくれないか?」

 

「え? ええと……良いですけど」

 

 する必要はないんですが、取り合えず、トレーナーさんの耳の中を梵天で擦り、そして最後に息を吹きかけます。これでお終いですね。

 

「ふ~……ふ~……はい、これで終わりました」

 

 うん、今回もちゃんと耳かきできましたね。さて、後はトレーナーさんを起こすだけなんです……が。

 

「なぁ、ライアン。このまま寝たいんだが、ダメか?」

 

「え? えーと……トレーナーさん、片耳だけでしたし、そんなに眠くないですよ……ね?」

 

「いや……悪い、最近疲れが溜まっててな……ダメか?」

 

「うう、そ、そんな上目遣いで見ないでください。わかりましたけど……早めに起きてくださいね」

 

「悪いな……」

 

 そう呟くとトレーナーさんは目を閉じて……しばらくして、スヤスヤと寝息を立てました。どうやら本当に疲れてたみたいです。

 

「……お疲れ様です、トレーナーさん」

 

 はぁ、シャワーを浴びてからで良かった。汗拭きシートだけだと全部の汗を取るのは無理だから、前みたいに汗の匂いをさせたままになる所だった。トレーナーさん、そう言うのをちゃんと気にするようにしてくださいよ。そうじゃなきゃ……恥ずかしいんですから。



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メジロライアン(地の文あり、男トレーナー視点)

メジロライアンで男トレーナー視点で書きました。

シャワーを浴びた後のスッキリとした彼女の膝枕とか憧れます。憧れません?


ツイッターにてウマ娘ウェブ上耳かき小説合同の参加者を募集しています。もしよければ活動報告に内容が書いていますので読んでみてください。

そしてさらに宜しければ参加していただければ非常にありがたいです。


「んー……なんだろうなぁ、なんか痒いんだよなぁ……」

 

 耳の奥、どうにも言い表しにくい所がこないだから痒いというか、違和感を感じる。指じゃ届かないし、かと言って自分で耳かきを突っ込むのも怖いし。という事で、ライアンに頼むことにした。

 

 異性の教え子にこんなことを頼むってのも世間体が怖いんだが、そもそも一番最初にやったのはライアン側だし。だからライアンのせいなんだ、うん。

 

 そんな風に自分の中で納得させつつミーティンググルームに入ると、ちょうどそこにはライアンが居てくれた。トレーニングでもしてたんだろうな、今やってるのはトレーニング後のストレッチだし。

 

「お、ここに居たのかライアン。ちょっといいか?」

 

「あ、トレーナーさん。どうかしましたか?」

 

 ストレッチを行っていたライアンがこちらを向いた。汗を拭いているライアンは、最初の頃は思わず見惚れなそうな程の健康的な魅力を感じたものだな。なんて事を思い出したがそれは置いて置こう。

 

「悪い、ライアン。その……耳かき、頼めるか? どうも耳の中に違和感があってな」

 

「はい、わかりました」

 

 申し訳なさそうに言うと、ライアンは笑顔で了承してくれた。嬉しそうに了承してくれると、俺としてもありがたい。

 

「それじゃぁ、ちょっとシャワー浴びてきますので、待っていてください」

 

「え? 別に俺は気にしないけど」

 

 トレーニングに付き添ってると大抵汗まみれの彼女と接するんだから、今の汗ぐらいなら本当、気にしないんだが。

 

「私が気にするんです!」

 

 そう叫んでライアンは部屋を出ていった。うーん、思春期の異性は難しいな。

 

 そんな事を思っていながら彼女が戻ってくるのを待っていると、程なくして彼女が戻ってきた。

 

「さぁ、それでは耳かきをしていきましょう。どうぞこちらへ」

 

 正座をしてポンポンと膝を叩く彼女の膝の上に頭を置く。んー、ライアンってウマ娘の中でも筋肉質だからなぁ。固目の暖かい枕に頭を置いてる気分になる。

 

「では、まずはマッサージしますね。耳をグッグッと……指圧して……」

 

 ライアンの筋肉があるわりに柔らかい彼女の指が俺の耳を指圧したり、揉んだりしてマッサージしてくれる。ツボをギューッと指圧され、全体的に揉み解されて、耳が熱くなるのが自分でもよくわかる。あー、安心できるなー。

 

「トレーナーさん、以前も言いましたが、耳もちゃんとケアをしないといけませんよ」

 

 俺が安心しきってボーっとしてるとそんな事を言われてしまった。いや、言いたいことはわかるんだがな。

 

「んー……ライアンがマッサージしてくれるから、いいかなぁって」

 

「もう、そんなこと言わないでください」

 

 いやだってなぁ。ライアンのマッサージ気持ちいいし。頼んだらやってくれるし。別にいいんじゃないか? 俺自身がやらなくても。なんて思っても仕方ないと思うんだが。

 

 そんな事を思っている間にマッサージは続いていき、耳から手が離れたと思うと、今度は耳から少し離れた前の方をグッグッと指圧されていく。

 

「お……おお? そんなところもマッサージするのか?」

 

「はい。ここは顔のたるみやむくみを押さえる効果があります。トレーナーさんも、小顔効果がありますよ」

 

「お……おう? 嬉しいような、そうでもないような……?」

 

 小顔なんて言われても正直ピンとは来ない。でもまぁ、たるんだりしてると印象は悪いからそこのところはありがたいか。

 

「では、マッサージはこの辺で……うん、程よく汗が出てますね。このまま耳かきをしていきましょう」

 

 と、そんな事を考えていたらマッサージが終わって、綿棒が耳の外側を擦っていっている。おー……ゾリッ、ゾリッ、とドロッとした汚れが掻き出されていくとなんとも言えない気持ち良さを感じるな。

 

「ゴゾッ……ゴゾッ……水分を吸ったら随分と取りやすくなりますね」

 

「そうかぁ。じゃぁ、次の耳かきの時にもマッサージを受けないとな」

 

「もう、その前にちゃんと自分でケアをしてください」

 

 うーん、あんまりおねだりすると流石に怒られるか? 流石に少しぐらいは自分でやるほうがいいかも。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……どうです? 痛かったりししません?」

 

「ああ、大丈夫。このまま続けてくれ」

 

 耳かきが耳の中を掻くと、湿った粉を取っていた時とは違う、軽快な音が耳の中に響く。そのまま耳垢をコリコリと掻き取ろうとする動きそのもので気持ちよくなれる。

 

「カリカリ……カリカリ……ちょっと固いですけど、このまま、カリカリ……ガリガリ……」

 

 端っこのほうから丁寧に剥がしていき、剥がれてきた隙間にグッと耳かきの先端が入り込む。そのままグイッ、グイッとてこの原理で剥がされていく耳垢。そしてそのまま耳かきに引っ張られ、耳の中をズリーッと引き上げられていく。

 

「お、もうちょっとで……はい、取れました。後は……うーん、なさそうですね。トレーナーさん、そんなに耳垢が溜まらない体質なんでしょうか?」

 

「どうなんだろうな? 言われてみたらそんなに耳かきとかしたことないような……でも、なんか違和感あるんだよなぁ……」

 

 確かに昔から耳かきはほとんどしたことはないし、それで不自由したこともない。でも、今回は奥の方になんかあるんだよなぁ。こう、なんか、微妙に何かが引っかかってるような、そんな違和感が。

 

 そう訴えるとライアンが顔を近づけて、耳の中をよく見てくる。彼女の吐息が感じられると、それだけ距離が近い事を自覚してしまう。おおう……ちょ、恥ずかし……。

 

「よく見たら……奥の方、あるっぽいかも? ちょっと試してみますけど、深めですから、怖くなったらすぐに言ってくださいね」

 

「お、おう」

 

 あれ、そんな奥の方にあるの? もしかして医者案件とかじゃないよな? 大丈夫かな?

 

 そう思ってると、耳かきがこれまでにないほど奥に、深く入り込んでいく。これ、鼓膜まで行ってないよな? 大丈夫だよな? ……って、痒、痒いぞそこ。

 

「どうです? この辺り、痒いですか?」

 

「うおお……痒……マジで痒い」

 

「なるほど、この辺りに耳垢がありそうですね。では、このままやっていきます」

 

 耳かきが痒い部分を中心にカリカリと引っ掻いていく。早く……早く取ってくれええ。もう、耳かきが奥に入ってる恐怖よりも、この痒みを取ってほしいという気持ちの方が強い。

 

「カリカリ……ガッ……ガッ……うん、少しづつ取れてきてますから……トレーナーさん、動かないでください」

 

「は、早く……痒いし怖いし……は、早く取ってくれええ」

 

 早く早くと急かすが、ライアンは中々耳垢を取ってくれない。ぬおおおお、痒い所を刺激されて余計に痒いんだ。早く、マジで早くしてくれー。

 

「ガリガリ……ガリガリ……ん、剥がれてきましたから……このまま一気に……よしっ!」

 

 お、よし、よし。取れてきた。取れてきた。ベリッ、ベリッて音と共に耳垢が剥がれてきたぞ。よし……よし、取れた。

 

「おお……違和感が無くなって……なんか、一気に耳の通りが良くなった気がするぞ」

 

 耳垢と、その周りの汚れとを掻き出されると、耳の中を風が通ったような、そんな錯覚を覚える。それぐらい爽快だ。

 

「それは良かったです。その様子ですと他にはなさそうですし、梵天で軽く掃除していきますね」

 

 どうやらあれで最後らしい。はぁ~……痒みから解放されて思わず深く息を吐いてしまう。マジで痒かったからなぁ。あんなのが二個も三個もあってたまるか。

 

「コシュコシュ……コシュコシュ……トレーナーさん、そんなに気持ちいいんですか?」

 

 梵天で耳の中を擦られ、多少くすぐったい感触を味わう。あー……このまま寝そう。寝てもいいかな?

 

「ああ。違和感が無くなって……爽快な気持ちだし、このまま寝てしまいたいよ……」

 

「もう、反対側も残ってるんですから、寝るには早いですよ」

 

 そう言えばまだ片耳残ってたな。さっきのが強烈過ぎてつい終わった気分でいたけど。そうだ、反対側の奥にもあんなのがあるかもしれないな。アッ欲しいような、ないほうが良いような……。

 

 妙な悩みを感じていると、ライアンの手が体の下に入ってきた……と思ったとたん、まるで子供のように簡単に俺の体は簡単に持ち上げられ、ライアンの方に向きなおされる。

 

「……なんかなぁ、いや、わかってはいるんだが、自分よりも年下の女の子に簡単にひっくり返されるのは違和感があるな」

 

「あはは、前も言ってましたねトレーナーさん。でも私の鍛え上げた筋肉の前には、トレーナーさんをひっくり返すぐらい朝飯前です。マッスルマッスル」

 

 そう言って力こぶを作るライアン。良家の淑女のはずだが、こうしているととてもそんなイメージが浮かばない。でも、、マッサージするときの力加減や指の柔らかさから、その片鱗はなんとなく感じた。

 

「おー……やっぱ、ライアンの手は暖かいから気持ちいいなぁ……やっぱ、これからもライアンにマッサージ頼みたい」

 

「もう、あんまり恥ずかしい事言わないでください」

 

 そう言われても、やっぱりライアンにこうして貰っていると、その辺のマッサージ店とかじゃ満足できなくなりそうなんだよ。俺の愛バからのマッサージなんだぞ。

 

「さ、さぁ、耳かきしていきますよ」

 

 なんて思ってたらなんかあっさりマッサージが終わってしまった。あれ、さっきはもうちょっとやってたよな? もしかして怒ったか? 

 

「ペースト状になった粉を掬って行って……外側が綺麗になったら中を……」

 

 でも、外側を掃除する手つきとかはさっきと変わらない。んー、もしかしてこっちの耳はそんなに凝ってなかったのか? ……まぁ、いいか。それより、耳かきが耳の中に入ってきた。

 

 ……んー? なんだ? 耳かきが入ったはいいが、全然動かない。どうかしたのか?

 

「うー……ん。んー……と、うん、こっちは汚れてないですから、掃除の必要はないですね」

 

「あ、本当? 奥の方とかも大丈夫か?」

 

「ええ。よく見てみましたが、奥の方も大丈夫です。良かったですね、トレーナーさん」

 

 うーん……反対の耳の中が中だっただけに肩透かしが半端ない。それに、あの奥の耳垢程じゃなくても耳垢を取る事になると思ってたのに。残念だ。

 

「いや、汚れてないのは良い事なんだけど……ライアン、梵天だけでもしてくれないか?」

 

「え? ええと……良いですけど」

 

 せめてもと梵天だけでもとお願いしたら、ライアンは梵天を耳の中に差し込んできた。耳垢を取ってない中での梵天は、さっきと同じ物のはずなのにどこか物足りない。物足りないまま梵天は終わり、最後の息の吹きかけも行われたが……うーん、物足りないなぁ。

 

「ふ~……ふ~……はい、これで終わりました」

 

「なぁ、ライアン。このまま寝たいんだが、ダメか?」

 

「え? えーと……トレーナーさん、片耳だけでしたし、そんなに眠くないですよ……ね?」

 

「いや……悪い、最近疲れが溜まっててな……ダメか?」

 

 困ったような顔をしているライアンを横目で見上げながら懇願する。こうなったらせめてこのまま昼寝をさせてもらわないと消化不良が半端ない。頼むぞ、ライアン。

 

「うう、そ、そんな上目遣いで見ないでください。わかりましたけど……早めに起きてくださいね」

 

「悪いな……」

 

 罪悪感が半端ないが……すまん、ライアン。疲れが溜まってるのは事実だし、このまま昼寝できずに終わったら正直悶々と過ごす事になるのが自分でもわかってるんだ。

 

 そう思いながら値を瞑っていると、自分でも思った以上にあっさりと眠気が襲ってきて……そのまま、俺は眠気に身を任せた。

 

「……お疲れ様です、トレーナーさん」

 

 意識が落ちる寸前、そんな声が聞こえた気がした。



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メジロライアン(地の文あり、女トレーナー視点)

メジロライアン(地の文あり)の女トレーナー視点となります。

多分ライアンのマッスルなら女性であっても虜にできる。そう思う今日この頃です。


「うー……痒い……痒い……」

 

 耳の奥の方から痒みを感じるようになってから数日。何日経っても痒みが収まる気配はない。かと言って自分で耳かき突っ込むとか怖くてやりたくない。でもお医者さんに行こうにもライアンのレースの事を考えたら時間もない。うーん……仕方ない、ライアンに頼もう。

 

 いや、教え子にこんなの頼むはどうかとは思うんですよ。でも、ライアンが悪いの。ライアンが自分から耳かきをしましょうか? なんて言ってくるからこんな発想が出てくるんであって、私は悪くない。私は悪くないんだ。

 

 誰に対しての言い訳かもわからないまま、ブツブツとそんなことを呟きながらミーティングルームに入ると、そこではライアンがストレッチしていた。あ、ちょうどいいじゃん。

 

「あー、ライアン、良い所に居てくれた。ねぇ、今時間ある?」

 

「あ、トレーナーさん。どうかしましたか?」

 

 ストレッチを止めたライアンがこっちを向いた。あー、トレーニングでもしてたのかな? なんか汗かいてるし。わざわざミーティングルームでまでやらなくていいと思うけど、ライアンだしなぁ。いっつもマッスルって言ってるし。

 

「ごめん、ライアン。そのー……耳かきお願いしたいの。こないだから耳の奥が痒くて痒くて……」

 

「はい、わかりました」

 

 う、笑顔が眩しい。私が悶々と悩んでいたのを全部吹き飛ばすかのような眩しい笑顔。うーん、マッスルマッスル言ってるけど、良い子なんだよねぇライアン。

 

「それじゃぁ、ちょっとシャワー浴びてきますので、待っていてください」

 

「え? 私、別に気にしないけど」

 

 そりゃ異性ならともかく同性だし。それに普段トレーニングに付き合ってたらこれ以上の汗だくのライアンと接するのも普通だし。

 

「私が気にするんです!」

 

 そう叫んでライアンは部屋から出ていった。えーと……本当、気にしないんだけどなぁ。

 

 そんな事を思っていながら彼女が戻ってくるのを待っていると、程なくして彼女が戻ってきた。

 

「さぁ、それでは耳かきをしていきましょう。どうぞこちらへ」

 

 正座をしてポンポンと膝を叩く彼女の膝の上に頭を置く。んー、固柔らかい……? 基本的にウマ娘って全員筋肉あるんだけど、ライアンはその中でも更に筋肉質で。でも、女の子特有の柔らかさもあるし……うう、なんだか女として負けた気分にある。

 

「では、まずはマッサージしますね。耳をグッグッと……指圧して……」

 

 彼女の滑らかな指先が私の耳を摘まんで、そのまま揉み解したり、ツボと思われる場所をギューッと指圧してくれる。あー……これだけでもすっごい気持ちいいなぁ。

 

「トレーナーさん、以前も言いましたが、耳もちゃんとケアをしないといけませんよ」

 

 体から力を抜いて安心しきってるとそんな事を言われた。んー、言いたいことはわかる。わかるんだけど。

 

「んー……ライアンがマッサージしてくれるから、いいかなぁって……変な人に当たるよりライアンのほうが安心できるし」

 

「もう、そんなこと言わないでください」

 

 だってぇ、ライアンのマッサージが気持ちいいのがいけないんだと思う。自分で下手なマッサージするよりライアンの方が手慣れてるんだし。

 

 あー……マッサージ気持ちいいー……今は耳からちょっと前の方をグッグッと指圧されてる。耳と言うかちょっと顔じゃないここ?

 

「んー? ……ライアン、そこもマッサージするの?」

 

「はい。ここは顔のたるみやむくみを押さえる効果があります。トレーナーさんも、小顔効果がありますよ」

 

「え、小顔効果? 本当?」

 

 小顔効果かぁ。やっぱり私も可愛らしく思われたいのよね。……いっつもライアンと比較されて微妙な感じにされちゃうけど。ここだけなら私も自分でマッサージしようかなぁ。

 

「では、マッサージはこの辺で……うん、程よく汗が出てますね。このまま耳かきをしていきましょう」

 

 あ、マッサージ終わっちゃった。いやいや、本目的は耳かきだから、ここからが本番じゃん……お、おお……ゾリッて……耳の外側をゾリッ、ゾリッと綿棒で擦られると自分でもよくわかるほどドロッとした汚れが掻き取られていく。

 

「ゴゾッ……ゴゾッ……水分を吸ったら随分と取りやすくなりますね」

 

「うわぁ……なんていうか、普通に耳かきするよりも別の意味で気持ちいい……次の耳かきでもマッサージお願いしね、ライアン」

 

「もう、その前にちゃんと自分でケアをしてください」

 

 ありゃ、怒らせたかな? いやいや、ライアンがこんな事で怒るわけないし。大丈夫大丈夫。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……どうです? 痛かったりししません?」

 

「ん、大丈夫。このまま続けてくれる?」

 

 ドロッとした汚れを取り終えた後、耳の中をカリカリと掻かれていくと、軽快な音が耳垢を取る過程が良くわかる。その動き、音の変化、それだけで気持ちいい。

 

「カリカリ……カリカリ……ちょっと固いですけど、このまま、カリカリ……ガリガリ……」

 

 ん、端っこの方から少しずつ剥がされていって、大きく剥がれてきた所に耳かきの先端が潜り込む。そのままグイッ、グイッとてこの原理で上に持ち上げられ、剥がされていく耳垢。そのまま耳かきに剥がされ、下に落ちないようにズリーッと耳の中を引っ張り上げられていく。

 

「お、もうちょっとで……はい、取れました。後は……うーん、なさそうですね。トレーナーさん、そんなに耳垢が溜まらない体質なんでしょうか?」

 

「んー? 確かにそんなに耳かきはしないけど……でも、今日は耳の奥の方が痒いのよ。ライアン、奥の方に何かない?」

 

 言われてみれば耳かきなんて普段はほとんどやらない。でも、今日は本当に奥の方が痒い。我慢できなくはないけど四六時中ずっとこの痒みが続くと流石に辛い。だから、できればすぐにでも取ってほしいんだけど……。

 

 痒みを訴えると、ライアンが耳の中をもう一度見直してくれている。んー……あー……ちょっと……恥ずかしい……かも。

 

「よく見たら……奥の方、あるっぽいかも? ちょっと試してみますけど、深めですから、怖くなったらすぐに言ってくださいね」

 

「う、うん……」

 

 んー、わかってたつもりだけど、やっぱり奥のほうなんだ……が、我慢。ライアンならうまく取ってくれるから、怖くない、怖くない……。

 

「どうです? この辺り、痒いですか?」

 

「はうう……痒い……そこ、本気で痒いいいいい」

 

「なるほど、この辺りに耳垢がありそうですね。では、このままやっていきます」

 

 おあああ……これまで何も入った事がないような、奥のほうに耳かきが入っていき、痒い部分をガリガリと引っ掻かれていく。搔かれれば掻かれるほど痒みが酷くなっていく。取って、早く取ってー。

 

「カリカリ……ガッ……ガッ……うん、少しづつ取れてきてますから……トレーナーさん、動かないでください」

 

「は、早く……これ、本当に怖いから……は、早く取って……お願いッ」

 

 早く取ってほしいと急かすけど、耳かきは中々取れず、時間だけが過ぎていく。早く、お願い、本当に早くして……!

 

「ガリガリ……ガリガリ……ん、剥がれてきましたから……このまま一気に……よしっ!」

 

 あ、剥がれてきた。うん、このまま、このまま、早く取れて……取れて……取れ……ッた!

 

「ああ……すご……痒みが取れて……耳の中の風通しが一気にスッとなった気がする……」

 

 耳垢が取られ、それからもう一度耳かきが耳垢のあった周辺の汚れを改めて掻き出すと、詰まってた耳の中がスーッと風通しが一気によくなる。ふあぁぁぁ、これこれ、これを待っていたのよ。

 

「それは良かったです。その様子ですと他にはなさそうですし、梵天で軽く掃除していきますね」

 

はー、もう無いと言われてほっとして、梵天でコシュコシューって擦られるのに身を任せる。あー……幸せ、解放感が半端ない。

 

「コシュコシュ……コシュコシュ……トレーナーさん、そんなに気持ちいいんですか?」

 

 そんな声が聞こえたけど、気持ちいいに決まってるじゃん。痒くて痒くて仕方なかった部分が解消され、柔らかい梵天でコショコショされる。これが気持ちよくないわけがない。

 

「うん。痒みもなくて、コショコショが気持ち良くて……あ……お休みぃ……」

 

「もう、反対側も残ってるんですから、寝るには早いですよ」

 

 ハッ、そうだ、まだ反対側があるんだ。すっかり終わった気分だった。んー、反対側にはあんな耳垢、無いと良い……あるほうが嬉しいかも……うーん、悩ましい。

 

 うんうん唸っていると、ふとライアンの手が私の下に潜り込んだ……と思った時にはコロン、と転がされ、彼女のお腹の方を向いていた。

 

「……なんかなぁ、いくらウマ娘って言っても、私より年下の子に簡単に転がされると……もにょる」

 

「あはは、前も言ってましたねトレーナーさん。でも私の鍛え上げた筋肉の前には、トレーナーさんをひっくり返すぐらい朝飯前です。マッスルマッスル」

 

 力こぶを作りながらそんなこと言うけど……ライアン、あなたメジロ家のお嬢様なんだよ? そりゃ、マックイーンとかダルアンとかのが目立つけど、貴女だって立派なお嬢様なんだよ? マッスルマッスル言ってて本当に大丈夫?

 

 ……あー、そんなのどうでもいいや。ライアンのマッサージだけで惚けちゃいそう……本当にライアンのマッサージ気持ちいい……。

 

「あー……やっぱりライアンのマッサージが気持ちいい……指が暖かくて、揉まれてるだけでため息が出ちゃう……ライアンのマッサージなしだと生きていけない体にされちゃうよぉ……」

 

「もう、あんまり恥ずかしい事言わないでください」

 

 んにゃー……恥ずかしそうなライアンの顔が可愛い。どうして私の愛バはこんなに可愛いんだろう……幸せすぎる。

 

「さ、さぁ、耳かきしていきますよ」

 

 なんて事を考えていたらマッサージが終わった。あちゃー、バカな事考えてないでもっとマッサージに集中すれば良かった。 

 

「ペースト状になった粉を掬って行って……外側が綺麗になったら中を……」

 

 ん~……今度は集中集中。普段は聞き逃しそうな音まで聞こえるように、ゾリッ、ゾリッという音と共に粉が掻き出されていき、外側が綺麗になっていくのを感じる。あー、これが終わったら次は耳の中だぁ。

 

 あ、耳の中に耳かきが入ってきた。よし、集中集中。耳垢が剥がされる瞬間を、今か今かと待ち続けて……あれ? なんか、耳かき全然動いてなくない?

 

「うー……ん。んー……と、うん、こっちは汚れてないですから、掃除の必要はないですね」

 

「え? 嘘? 本当に」

 

「ええ。よく見てみましたが、奥の方も大丈夫です。良かったですね、トレーナーさん」

 

 ええー! 肩透かしも良い所だよぉ……折角集中してたのに……残念過ぎる。

 

「むー……ライアン、梵天。梵天だけでもお願い! 梵天して!」

 

「え? ええと……良いですけど」

 

 これじゃぁ生殺しもいいところだとライアンに梵天をお願いすると、困惑したまま了解してくれた。ごめんねライアン。でに、あれだけ期待してたのに何もなし。は寂しすぎるの。

 

 というわけで梵天をしてもらって、息の吹きかけも、今してもらってるけど……物足りない。期待が大きかった分、物足りなさが半端ない、不完全燃焼この上ない。

 

「ふ~……ふ~……はい、これで終わりました」

 

 耳かきが終わってしまった。いや、まだお昼寝、お昼寝がある。せめてこれだけでもやってもらわないと、悶々として仕事なんて手が付かないよ!

 

「ねぇ、ライアン。このままお昼寝……しちゃだめ?」

 

「え? えーと……トレーナーさん、片耳だけでしたし、そんなに眠くないですよ……ね?」

 

「それはそう……だけど……最近仕事で疲れが取れなくて……お願い、ライアン」

 

 困ったような顔をしているライアンを横目で見上げながら懇願する。こうなったらせめてこのまま昼寝をさせてもらわないと不完全燃焼もいい所だよ。お願い、ライアン。

 

「うう、そ、そんな上目遣いで見ないでください。わかりましたけど……早めに起きてくださいね」

 

「ありがとう……流石私の愛バだね」

 

 困った顔をしてるライアンに罪悪感を覚えるけど、それはそれ、これはこれ。やったー、これでライアンの膝枕でお昼寝できる!

 

 半分以上彼てながら目を瞑り……浮かれてるからすぐには寝れないと思ってたけど、意外なほどにあっさりと襲ってきた眠気。私はそれに身を任せながら、ライアンの膝の上でゆっくりと自分の意識を手放した。

 

「……お疲れ様です、トレーナーさん」

 

 ……なんだろう、何か聞こえたような……なんだったんだろう……



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サクラバクシンオー(地の文あり)

サクラバクシンオーで地の文ありの耳かき小説を書きました。

最初に書いたころから時間が経ちましたが、最初の頃より好きになりましたねこのウマ娘。頭撫でたら全力で喜びを表現しそう。

公式でキタサンブラックとの交流が描かれたので、その内そちらも書きたいです。


「バックシーン! さぁ、今日もトレーニングを頑張りましょう!」

 

 今日の授業を終えた私は早速トレーナーさんの元に向かいます。先日スプリンターズステークスにて一着となった私はまさに最強! これからも皆さんの為に、欠かさぬ努力を続けなければなりません!

 

「トレーナーさん! 今日のトレーニングは一体……おや?」

 

 ミーティングルームを開けけた時に私の目に入ってきたのは、机に突っ伏して寝息を立てるトレーナーさんでした。

 

「ふむ。トレーナーさん、居眠りでしょうか? どれどれ……」

 

 後ろから覗き込んでみると、机には今後の私のトレーニングやレースに関する資料やスケジュールに関する書類が何枚も置かれていました。そして、トレーナーさんの目元には黒く浮かぶ隈。トレーナーさん、そこまで私の事を……!

 

「私、感動しました。これは、お礼をせねばなりません!」

 

 さて、お礼ですがどうしましょうか。レースに勝つ? それは当然の事です。ですからそれ以外……ふむ……そうだ、耳かきが良いでしょう。

 

「委員長たる私は耳かきも習得していますから、トレーナーさんは以前と同じように骨抜きになるでしょう。さぁ、早速準備です」

 

 静かにミーティングルームを出た私はバクシン的速度で耳かきの道具を用意します。そして戻ってきてトレーナーさんがまだ起きてない事を確認して、彼を仮眠用ベッドの上に運びます。

 

「さてさて、それではまずは膝枕から……ふふ、可愛らしい寝顔ですね、トレーナーさん」

 

 寝入っている彼の顔は、普段見せる事のない穏やかな顔をしています。こうして彼の普段見ない表情を独占できるというのはなんとも嬉しくて、彼が起きるまで、私はズッと見入っていました。

 

「ん……ん……? な、なんだ……?」

 

「おはようございますトレーナーさん。どうやらお疲れのようですね」

 

「うおっ! バ、バクシンオー!?」

 

 目を覚ましたトレーナーさんに声をかけると、トレーナーさんは驚いてベッドから転げ落ちそうになったのでしっかりと支えて上げます。

 

「本日のトレーニング内容を聞くためにここに来たところ、トレーナーさんが机に突っ伏して寝入っていたのでここまで運びました。どうですかトレーナーさん? 私の膝枕は気持ちいいでしょう」

 

「お……おう、そうなのか。あ、そうだな……確かに気持ち良かったよ。じゃぁ起きた事だし俺はどくから……」

 

「では、トレーナーさんも起きたのでここから耳かきを始めましょうか」

 

 どこうとするトレーナーさんの頭を押さえて、耳の中を覗いてみます。うーん、やはり耳垢が溜まってるようですね。

 

「ちょ、バクシンオー。い、いきなりすぎて何が何だか……」

 

 そう言ってトレーナーさんはジタバタと暴れます。おっと、自分としたことが説明を忘れていましたね。

 

「トレーナーさん、私は日頃トレーナーさんに大変お世話になっています。なので、今日はそのお礼も兼ねてトレーナーさんに耳かきをしたいと思います。トレーナーさんも、耳かきをするのは随分と久しぶりのようなのでちょうどいいわけです」

 

「あ……? ああ、そう言えば前にやってもらってからけっこう時間は経ってるが……いや、だからって寝込みを襲うな。本気で何事かと思ったぞ」

 

「はい、大変失礼しました。では、説明もしたのでこのまま耳かきをしていきましょう!」

 

 さて、まずは耳の外側……以前ミホノブルボンさんから聞いた時には外側や裏側をタオルで拭くがの良いと仰っていましたので、熱いタオルで拭いていきましょう。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ギュッギュッ……ゴシゴシ……

 

「うお……前はこんなのなかったよな? どうしたんだ?」

 

「以前ミホノブルボンさんから教えてもらいました。その様子ではトレーナーさんも気持ちよさそうで何よりです」

 

 ふむふむ、これは今後の耳かきでも活用すべきですね。さて、そろそろタオルも切り上げて、掃除に掛かりましょう。

 

「トレーナーさんの耳垢は粉っぽいので、綿棒で絡めとっていきますね……ふむふむ、水分を吸った分、粉がペースト状になっていますね。なるほど、これは取りやすいです」

 

 これは一つの発見です。これがベストのやり方かは検証が必要ですが、今後はこれも視野に入れていいかもしれません。

 

「ゾリッ……ゾリッ……ふむふむ、外側の広い部分も、窪みの部分も、綿棒で念入りに、掃除をしていって……」

 

 ゾリッ……ゾリッ……

 

 ズリッ……ザリッ……

 

「あー……風呂上りの耳垢みたいな感じだな。耳かきでこんなの見ることないから、なんか新鮮な感じだな」

 

「ふむふむ、そう言う視点もあるのですね。さて、外側はこれぐらいにして、中を掃除していきましょう」

 

 外側を掃除して汚れた綿棒は捨てて、新しい綿棒でいざ、掃除です。ふむ、中も粉がペースト状になっているようですね。どうやらトレーナーさんは少々汗かきなのかもしれません。

 

「ゾリゾリ……ザリザリ……トレーナーさんの耳の中をお掃除していきますよー」

 

 ザリッ……ザリッ……

 

 ゾリッ……ゾリッ……

 

「くぅ……耳の中をそう擦られると……ゾクッてするな」

 

「それは迷走神経を刺激してるからですね。トレーナーさんが気持ち良くなって何よりです」

 

 やはり、耳かきというのは気持ち良くなければなりませんね。さぁ、このままどんどん汚れを取っていきましょう。

 

「ゾリゾリ……んー、やはりトレーナーさんの耳垢は粉っぽい為か、大きい塊になる前に崩れているようですね。ザリザリ……」

 

 大きい耳垢を取るというのも一つの快感ですが、やはり耳の中は綺麗な方が良いですね。

 

「そう言えば、昔から大きい耳垢が取れたことは確かにないなぁ……。そうか、でかくなる前に崩れるんだな」

 

「はい、ですのでこのまま、綿棒で擦り取っていきますね」

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 ガッ……ペリッ……ベリッ……

 

「ふむふむ……ふーむ、粗方取れたでしょうか。やりすぎては耳の中を傷めますので、この辺りで終わりましょう」

 

 大体の汚れは取れたので、綿棒を捨てて、次はローションを塗っていきましょう。

 

「お、これで終わりか……うおっ、冷たッ」

 

「後は肌荒れ対策のローションを塗っていきますので、もう少しお待ちください」

 

 ヌリヌリ……ペチャペチャ……

 

 ズチュ……ヌリヌリ……

 

「はい、これでローションもお終いです。では、最後に……」

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

「ッ……! み、耳の中が濡れてる状態のそれは……ちょっとクルものがあるな」

 

「なるほど。では、もう一度行きますね」

 

「ちょ、まっ……」

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

「ッ……つ、次はもうやるな、頼むから……」

 

「おや、気持ち良いと思うのですが……仕方ないですね。それでは、反対側もやっていきましょう」

 

 なぜかこれ以上を拒否されてしまいましたが、気を取り直して反対側をやっていきましょう。トレーナーさんをコロンと転がして、さぁ、反対側です。

 

「さてさて、こちらも……粉が多いですね。では、先程と同じようにしていきますよー」

 

「あ、ああ。頼むぞ」

 

 さてさて、それでは先程と同じ手順でやっていきましょう。まずは、トレーナーさんの耳をタオルでゴシゴシと拭いていきます。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ギュッギュッ……グリグリ……

 

 うーん、窪みまでしっかりとタオルで擦る事が出来ました。次は、綿棒で残った粉を掃除していきます。

 

 ゾリッ……ゾリッ……

 

 ザリザリ……ゴシゴシ……

 

 よしよし、タオルで取り切れなかったドロドロの粉もちゃんと取れましたね。では、新しい綿棒で、中を掃除していきましょう。

 

 ザリザリ……ガリガリ……

 

 ゾリッ……ベリッ……ガリッ……

 

 んー。こちらはちょっと固い耳垢がありますね。綿棒でゴリゴリと擦っていって……おっと危ない、落としそうになりましたが無事に取れました。

 

 さて、それではこのまま、ローションをヌリヌリ、ヌリヌリ。ヌリヌリ、ヌリヌリ。完璧です。後は、息の吹きかけだけです。

 

「な、なぁ、バクシンオー。ここまででいいから。な? ここまででいいから」

 

「何を言うのですかトレーナーさん。さぁ、おとなしくしてください」

 

 なぜか逃げようとするトレーナーさんを抑え込み、そのまま息を吹きかけていきます。ふ~……ふ~……おや、トレーナーさんの背中がビクッと大きく動きましたね。

 

「ふむふむ……トレーナーさんは耳が弱いのですね。んー、でもここまでするのが耳かきのお約束ですから、次からもしていきますね」

 

「ちょ……えぇ……」

 

 さて、それではこのままお昼寝です。寝落ちしていたトレーナーさんに必要なのは睡眠ですから。

 

「それではトレーナーさん。このままお昼寝をしましょう。大丈夫、私がこのまま膝枕をしてさしあげますから」

 

「……いや、ここまで来たらもう諦めるけど。で……もしかして、また子守歌か?」

 

「勿論です。さぁ、トレーナーさん、行きますよー。バクシンバクシンバクシーン」

 

 トレーナーさんの手をギュっと握り、子守歌を歌い続けていると、気づけばトレーナーさんから寝息が立っていました。ふふ、お休みなさいトレーナーさん。

 

「バクシンバクシンバクシン、バクシンバクシンバクシン、バクシン、バクシン、バクシンシーン♪」



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サクラバクシンオー(地の文あり、男トレーナー)

サクラバクシンオーで地の文ありの男トレーナー視点で書きました。

彼は特殊な訓練を受けています。他の方がバクシンで寝れる保証はありません。でも、戦場で生まれて銃声とかが子守歌替わりだった。なんてキャラをたまに見ることがありますので不可能ではないと思います。


 ん……うーん……眠い……まだ昼間だってのに妙に眠い……。そう言えば、最近は睡眠時間も中途にしか取れてないから、それのせいか……?

 

 いや、こないだスプリンターズーステークスを終えたばかり、次はマイルチャンピオンシップに向けて、必要なレースへの勝利、トレーニング。それから、インタビューとかも入ってるから、それへの対応……。

 

 やることが多いが、バクシンオーにレースに集中してもらうためにも頑張らなきゃ……頑張らな……じきゃ……

 

 ……あれ? なんだ? なんか、視界がおかしい……頭の横……柔らかい何かに頭を乗せてるし、良い匂いがしてきて……なん……だ?

 

「ん……ん……? な、なんだ……?」

 

「おはようございますトレーナーさん。どうやらお疲れのようですね」

 

「うおっ! バ、バクシンオー!?」

 

 ボーっとした頭の中に突然聞こえてきたバクシンオーの声に意識が覚醒し、上を向こうとして変な動きをしたせいで体が下に落ちそうになるのをバクシンオーに支えられる。な、なんだ? なんなんだ!?

 

「本日のトレーニング内容を聞くためにここに来たところ、トレーナーさんが机に突っ伏して寝入っていたのでここまで運びました。どうですかトレーナーさん? 私の膝枕は気持ちいいでしょう」

 

「お……おう、そうなのか。あ、そうだな……確かに気持ち良かったよ。じゃぁ起きた事だし俺はどくから……」

 

 説明を聞いて、ようやく自分がベッドの上でバクシンオーに膝枕をされてる事に気づいた。そりゃ気持ち良いわけだが……起きるか。このままじゃ心臓に悪い。

 

「では、トレーナーさんも起きたのでここから耳かきを始めましょうか」

 

 起き上がろうとした頭を抑え込まれ、そのままバクシンオーの顔が俺の耳に近づいた。う、耳にあいつの息遣いが聞こえてきて、さっき以上に心臓に悪い。

 

「ちょ、バクシンオー。い、いきなりすぎて何が何だか……」

 

 なんとか起き上がろうとするが、バクシンオーに抑えられてたらどうしようもない。くそ、加速力の為に最近は筋力強化のトレーニングを積ませていたのがこんな形で仇になるとは。

 

「トレーナーさん、私は日頃トレーナーさんに大変お世話になっています。なので、今日はそのお礼も兼ねてトレーナーさんに耳かきをしたいと思います。トレーナーさんも、耳かきをするのは随分と久しぶりのようなのでちょうどいいわけです」

 

「あ……? ああ、そう言えば前にやってもらってからけっこう時間は経ってるが……いや、だからって寝込みを襲うな。本気で何事かと思ったぞ」

 

 机で仕事してたはずが気づけば愛バの膝枕で寝てたとか、本気でわけがわからなかったからな。次はもうやらないでほしい、心臓に悪すぎる。

 

「はい、大変失礼しました。では、説明もしたのでこのまま耳かきをしていきましょう!」

 

 こいつ……反省してないだろ。そんな俺が考えているのをよそに、バクシンオーはタオルを手に取って俺の耳を拭いてきた。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ギュッギュッ……ゴシゴシ……

 

 暖かいタオルにくるまれ、耳を全体的に、それでいて窪みなども念入りにゴシゴシと擦られる。凄い気持ち良いんだが……前に耳かきしてもらった時にはこれ、なかったよな。

 

「うお……前はこんなのなかったよな? どうしたんだ?」

 

「以前ミホノブルボンさんから教えてもらいました。その様子ではトレーナーさんも気持ちよさそうで何よりです」

 

 そう言えばミホノブルボンとは仲が良いんだったな。仲が良いというか、バクシンオーの方からぐいぐい行ってると言うか……彼女、感情が良くわからないんだよなぁ。

 

 なんてことを考えてると、タオルが耳から離れた。水で濡れ、さっきまで温かさに包まれていた耳が外気に触れてひんやりとする。

 

「トレーナーさんの耳垢は粉っぽいので、綿棒で絡めとっていきますね……ふむふむ、水分を吸った分、粉がペースト状になっていますね。なるほど、これは取りやすいです」

 

 ……なんというか、耳の中にどろッとした汚れがこびりついてると思うとなんかやだな。早く取ってくれるといいんだが。

 

「ゾリッ……ゾリッ……ふむふむ、外側の広い部分も、窪みの部分も、綿棒で念入りに、掃除をしていって……」

 

 ゾリッ……ゾリッ……

 

 ズリッ……ザリッ……

 

 綿棒が耳の中でドロドロの汚れをこそぎ落していくたびにそんな音が耳の中に響く。前に乾いた状態で掃除してもらった時よりも湿っていて……うん、聞いててそんな愉快な音じゃないな。でも、タオルマッサージは気持ち良かったんだよなぁ。でも、普段の耳かきに比べると新鮮さはあるな。

 

「あー……風呂上りの耳垢みたいな感じだな。耳かきでこんなの見ることないから、なんか新鮮な感じだな」

 

「ふむふむ、そう言う視点もあるのですね。さて、外側はこれぐらいにして、中を掃除していきましょう」

 

 そう言うと、バクシンオーは外側を掃除していた綿棒を捨てて、新しい綿棒を中に差し込んできた。

 

「ゾリゾリ……ザリザリ……トレーナーさんの耳の中をお掃除していきますよー」

 

 ザリッ……ザリッ……

 

 ゾリッ……ゾリッ……

 

 外側の時よりも大きく響くドロドロの粉を掻き出していく音。そして、綿棒が耳の中を擦るたびにゾクリ、ゾクリ、と背筋に気持ち良さが走る。

 

「くぅ……耳の中をそう擦られると……ゾクッてするな」

 

「それは迷走神経を刺激してるからですね。トレーナーさんが気持ち良くなって何よりです」

 

 俺の言葉にバクシンオーは笑顔で答えたけど、こいつ迷走神経の気持ち良さが何なのか知ってるのか? 知らないで言ってる気がするんだが。

 

「ゾリゾリ……んー、やはりトレーナーさんの耳垢は粉っぽい為か、大きい塊になる前に崩れているようですね。ザリザリ……」

 

「そう言えば、昔から大きい耳垢が取れたことは確かにないなぁ……。そうか、でかくなる前に崩れるんだな」

 

 どうりで、今まで耳垢が詰まったとか、そう言うのがなかったわけだ。同期の連中に聞くとちょこちょこ耳垢で痒くなったりとかあるって言ってたけど、俺は全然ないもんなぁ。

 

「はい、ですのでこのまま、綿棒で擦り取っていきますね」

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 ガッ……ペリッ……ベリッ……

 

 綿棒で擦られていると、時折僅かな痛みと共に固い物が剥がれる音がするのは崩れていない耳垢が剥がれた証拠だろう。耳かきじゃなくて綿棒で取れる当たり、やっぱり取れやすい耳垢なんだろうな。

 

「ふむふむ……ふーむ、粗方取れたでしょうか。やりすぎては耳の中を傷めますので、この辺りで終わりましょう」

 

「お、これで終わりか……うおっ、冷たッ」

 

 終わったと思って安心していたら急に耳の中に冷たい物が塗られた。なんだこれ?

 

「後は肌荒れ対策のローションを塗っていきますので、もう少しお待ちください」

 

 ヌリヌリ……ペチャペチャ……

 

 ズチュ……ヌリヌリ……

 

「はい、これでローションもお終いです。では、最後に……」

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 うおおっ! 濡れてる耳の中に息吹きかけるな! ビ、ビックリしたぁ……。

 

「ッ……! み、耳の中が濡れてる状態のそれは……ちょっとクルものがあるな」

 

「なるほど。では、もう一度行きますね」

 

「ちょ、まっ……」

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 止めようとしたのを問答無用に息を吹きかけられ、背筋がビクッと動く。ちょ、これは本当にキツイ。

 

「ッ……つ、次はもうやるな、頼むから……」

 

「おや、気持ち良いと思うのですが……仕方ないですね。それでは、反対側もやっていきましょう」

 

 なんでそこで不思議そうな顔をするんだよ、ウマ娘だって耳は敏感だろ。察してくれよ。

 

 なんて思ってると、今度はゴロンとひっくり返されてバクシンオーの腹の方を向かされる。問答無用でやるなよ……。

 

「さてさて、こちらも……粉が多いですね。では、先程と同じようにしていきますよー」

 

「あ、ああ。頼むぞ」

 

 もはや反論にも疲れた俺はそのまま身を任せることにした。そうだよな、こいつはこういうやつだよな。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ギュッギュッ……グリグリ……

 

 気疲れしている俺の耳が暖かいタオルで擦られ、気が抜けていく。

 

 ゾリッ……ゾリッ……

 

 ザリザリ……ゴシゴシ……

 

 水気が残る耳の外側を、綿棒でゴシゴシと擦られ、汚れを削ぎ取られていき。

 

 ザリザリ……ガリガリ……

 

 ゾリッ……ベリッ……ガリッ……

 

 綿棒でドロドロになった粉と、固い目の耳垢を一緒に掃除されていき……固い耳垢はちょっと取りにくかったのか、ガリガリと何回も擦られる事になったけど。

 

 そして、ローションを耳の中にペタペタと塗られていき……よし、ここだ。ここで止めるぞ。

 

「な、なぁ、バクシンオー。ここまででいいから。な? ここまででいいから」

 

「何を言うのですかトレーナーさん。さぁ、おとなしくしてください」

 

 身を捩り、全力で逃げようとするのを強引に抑え込まれ、それでも頭をずらそうとするも、それも片手で抑え込まれる。待て、おい、マジで待ってくれ……ッ。ヤバッ、今までで一番、背筋がビクッて動いたぞ。

 

「ふむふむ……トレーナーさんは耳が弱いのですね。んー、でもここまでするのが耳かきのお約束ですから、次からもしていきますね」

 

 息の吹きかけが終わった後にバクシンオーに真顔で言われてしまった。

 

「ちょ……えぇ……」

 

 なんでこいつはそこに拘るんだよ……明らかな短距離向きなのに長距離走りたがるくせに、なんでそこは律義にお約束を履行しようとするんだ。

 

「それではトレーナーさん。このままお昼寝をしましょう。大丈夫、私がこのまま膝枕をしてさしあげますから」

 

「……いや、ここまで来たらもう諦めるけど。で……もしかして、また子守歌か?」

 

「勿論です。さぁ、トレーナーさん、行きますよー。バクシンバクシンバクシーン」

 

 ああ、そうだよな、こいつの子守歌ってこうなんだよなぁ……でも、聞かされ続けたせいか、それともこいつはこういうやつだという安心感からか、なんだか……ねむ……く……。

 

「バクシンバクシンバクシン、バクシンバクシンバクシン、バクシン、バクシン、バクシンシーン♪」



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サクラバクシンオー(地の文あり、女トレーナー)

トレーナーとして彼女と何年もみっちり付き合うというのは、ある意味では一般ではない特殊な訓練を受けるのと同義ではないだろうか? そんな事を思ってしまった今日この頃です。


 

 むー……やっば……寝そう……昼間なのに寝落ちしそう……やっぱ、夜にちゃんと寝ないとダメっぽいかも……。

 

いやいや、気を抜いちゃだめよ私。バクシンオーはG1ウマ娘。彼女の今後の為にも私が気を抜いちゃいけないの。あの子の今後は私にかかってるんだから、集中集中。

 

 ……うーん、トレーニングメニューはこれでいいかなぁ……雑誌の取材やテレビ出演が邪魔くさいけど、ファンの為にもメディア出演は欠かせないし、それから……それから……

 

 ……う……ん? なに? なんだろう……視界が横向いてる気がする……し、なんだか柔らかい物が頬に当たってて……あ、良い匂いが……なん……だろう……

 

「ん……ん……? な、なに……?」

 

「おはようございますトレーナーさん。どうやらお疲れのようですね」

 

「わああああ! バ、バクシンオー!?」

 

 思いもよらぬ声に私は体が浮き上がり、そのまま下に転げ落ちようとしたのをバクシンオーに支えられた。そのまま周りを見渡して、ようやく、ベッドの上で彼女に膝枕されてる事を理解した。

 

「本日のトレーニング内容を聞くためにここに来たところ、トレーナーさんが机に突っ伏して寝入っていたのでここまで運びました。どうですかトレーナーさん? 私の膝枕は気持ちいいでしょう」

 

「う……うん、ごめんね、寝ちゃってて。す、すぐに起きてトレーニングの準備を……」

 

 慌てて起きようとしたけど、バクシンオーが片手であっさりと私を抑え込む。ちょ、離し……離して……。

 

「では、トレーナーさんも起きたのでここから耳かきを始めましょうか」

 

抵抗する私をよそにバクシンオーの顔が近づいてきて、耳の中を覗き込むのが横目に見えた。耳にかかる彼女の吐息がくすぐったくて、恥ずかしくて……。

 

「ね、ねぇ、バクシンオー。い、いきなりすぎて何が何だかわからないんだけど……」

 

 私が説明を求めると、彼女も納得したのか、説明を始めてくれた。

 

「トレーナーさん、私は日頃トレーナーさんに大変お世話になっています。なので、今日はそのお礼も兼ねてトレーナーさんに耳かきをしたいと思います。トレーナーさんも、耳かきをするのは随分と久しぶりのようなのでちょうどいいわけです」

 

「あー……? そう言えば、前にしてもらってからけっこう日にち開いたっけ……って、それでも寝込みを襲うのはやめて欲しいかなぁ……」

 

 机で仕事をしていたはずが、気づけばベッドで膝枕されてるとか、普通に混乱する。ワケガワカラナイヨ。になっちゃうよ。

 

「はい、大変失礼しました。では、説明もしたのでこのまま耳かきをしていきましょう!」

 

 あ、もうわかった。これ、次も同じ事するパターンだ。愛バだもん、わかっちゃったよ……なんて現実逃避してる間にも、温かいタオルが耳を包み込んでくる。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ギュッギュッ……ゴシゴシ……

 

 タオルの熱に包まれた耳全体を、窪みも念入りに、ゴシゴシ、ギュッギュと擦られて気持ちよくなっちゃう。んー、おしぼりで顔とかを拭く人の気持ちが分かっちゃうけど……前にはこれ、してなかったよね?

 

「ん……んー……気持ち良いんだけど、バクシンオー、これって前はやってなかったよね? どこで覚えたの?」

 

「以前ミホノブルボンさんから教えてもらいました。その様子ではトレーナーさんも気持ちよさそうで何よりです」

 

 へー、ミホノブルボンかぁ。仲が良いというか、バクシンオーの押しが強いというか……キタサンブラックちゃんにもグイグイ行ってるもんねぇ、バクシンオー。

 

 そんな事を考えてると耳からタオルが離されて、熱が離れて、代わりに濡れた耳に当たる外気のおかげでひんやりとした感じがする。

 

「トレーナーさんの耳垢は粉っぽいので、綿棒で絡めとっていきますね……ふむふむ、水分を吸った分、粉がペースト状になっていますね。なるほど、これは取りやすいです」

 

 ……うわ、嫌な想像しちゃったじゃん。バクシンオー、もうちょっと言葉選んでほしかったなぁ。

 

「ゾリッ……ゾリッ……ふむふむ、外側の広い部分も、窪みの部分も、綿棒で念入りに、掃除をしていって……」

 

 ゾリッ……ゾリッ……

 

 ズリッ……ザリッ……

 

ん……綿棒が耳を擦っていくと、なんだか変な感じがしちゃう。感触だけでもそうなのに、聞こえてくる音が、嫌でも自分の耳のドロッとした汚れを絡めとっているんだというのを想像しちゃって、思わず身震いしてしまう。うう……不快な音のはずなのに、掃除が進んでいくと気持ちよくなっちゃう……。

 

「ん……風呂上りの耳垢を掃除してるみたい。普段はこんな耳垢の状態で掃除することがないから……ちょっと慣れてないかも……」

 

「ふむふむ、そう言う視点もあるのですね。さて、外側はこれぐらいにして、中を掃除していきましょう」

 

 そう言うと、バクシンオーは外側を掃除していた綿棒を捨てて、新しい綿棒を中に差し込んできた。

 

「ゾリゾリ……ザリザリ……トレーナーさんの耳の中をお掃除していきますよー」

 

 ザリッ……ザリッ……

 

 ゾリッ……ゾリッ……

 

 外側を掃除ていたときよりも大きい音が耳の中に木霊する。ドロッとした耳垢を綿棒で絡めとっていくたびに背筋にゾクッとした気持ち良さが走る。

 

「ふぅ……耳の中をそうやって擦られると……ゾクッてしちゃうよ……」

 

「それは迷走神経を刺激してるからですね。トレーナーさんが気持ち良くなって何よりです」

 

 ……ねぇバクシンオー。それ、意味わかってる? 分かっていってるの? 私、貴女に対してそう言うイメージないんだけど。

 

「ゾリゾリ……んー、やはりトレーナーさんの耳垢は粉っぽい為か、大きい塊になる前に崩れているようですね。ザリザリ……」

 

「んー……確かに、昔から耳かきで大きな耳垢が取れたことって全然ないけど……大きくなる前に崩れてるのかぁ」

 

 うん、そう言えば今まで耳垢が詰まったとか、そう言うのになった事なかったけど、そう言う事ね。たまに耳垢が詰まって耳鼻科行った人の話聞いた事あるけど、私は全くそう言うのなかったし。

 

「はい、ですのでこのまま、綿棒で擦り取っていきますね」

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 ガッ……ペリッ……ベリッ……

 

 綿棒で耳の中を擦られると、たまに微妙な痛みと一緒に固い物がベリッて剥がれてるのがわかる。でも、綿棒で取れるって事は、やっぱり取れやすいのかな? 崩れやすいって事は脆いって事だし。

 

「ふむふむ……ふーむ、粗方取れたでしょうか。やりすぎては耳の中を傷めますので、この辺りで終わりましょう」

 

「ふー……これでお終いかぁ……ヒャッ! つめ……たッ」

 

 終わったと思って、ハーッ……ってため息をついてると、いきなり耳の中に冷たい物が塗られ始めた。な、何? 何これ?

 

「後は肌荒れ対策のローションを塗っていきますので、もう少しお待ちください」

 

 ヌリヌリ……ペチャペチャ……

 

 ズチュ……ヌリヌリ……

 

「はい、これでローションもお終いです。では、最後に……」

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 ひょおおっ!? 濡れてる耳の中に息を吹きかけられると背筋がゾクッて、ゾクッ……てっ! ビ、ビックリしたよぉ……。

 

「ッ……! み、耳の中が濡れてる状態のそれは……ちょっとビックリしちゃうなぁ……アハハ」

 

「なるほど。では、もう一度行きますね」

 

「え、ちょ、まっ……」

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 止めようとしたのを問答無用に息を吹きかけられ、背筋がビクッと動く。ちょ、これは本当にクル、きちゃうから。

 

「ッ……つ、次はもうやらないで、お願い……本当にお願いだから……」

 

「おや、気持ち良いと思うのですが……仕方ないですね。それでは、反対側もやっていきましょう」

 

 ねぇ、バクシンオー、なんで不思議そうな顔するの? わかるでしょ? 貴女も女の子なんだからわかるでしょ? 察してよ。

 

 そんな無言の訴えを通じず、私はゴロンと体を反転させられ、彼女のお腹側を向く形になった。

 

「さてさて、こちらも……粉が多いですね。では、先程と同じようにしていきますよー」

 

「う、うん……宜しく」

 

 何を言っても通じそうにない気配にため息をつきながらも、身を任せる。うん、こうなったらもう諦めたほうがいいかも。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ギュッギュッ……グリグリ……

 

 そんな気疲れしてる私だけど、耳がタオルで優しく擦られていくと、気が抜けていく。

 

 ゾリッ……ゾリッ……

 

 ザリザリ……ゴシゴシ……

 

 水気によって浮かび上がった耳の外側の汚れを、綿棒でゴシゴシと擦られ、こそぎ落されていき。

 

 ザリザリ……ガリガリ……

 

 ゾリッ……ベリッ……ガリッ……

 

 耳の中の、水気でドロドロになった粉と取れやすくなった耳垢を、これも綿棒で纏めて掻き取られていく……耳垢はちょっと手間取ったせいで少し痛かったけど。

 

 汚れた綿棒が捨てられて……よし、ローションは止める。絶対に止めるんだ。トレーナーがウマ娘に負けちゃいけないんだ。

 

「ねぇ……ねぇ、バクシンオー? ここまでにしよ? ほら、私、もうここまでで十分気持ち良かったしさ。ね?」

 

「何を言うのですかトレーナーさん。さぁ、おとなしくしてください」

 

 ウマ娘には勝てなかったよ……。全力で逃げようとするのを片手で抑え込まれるとか、ウマ娘に人間が勝てるわけないんだよなぁ……。あ、そんなに息を吹きかけられると……ヤバッ……

 

「ふむふむ……トレーナーさんは耳が弱いのですね。んー、でもここまでするのが耳かきのお約束ですから、次からもしていきますね」

 

 ええ……真顔でそんな事言われても……。

 

「ちょ……えぇ……」

 

 いや、割と真面目にヤメテ欲しいんだけど……この子、良い子なんだけど、なんでこんな直線的なんだろう。短距離走型だから? でもそれならカレンチャンとかどうなるの?

 

「それではトレーナーさん。このままお昼寝をしましょう。大丈夫、私がこのまま膝枕をしてさしあげますから」

 

「……うん、ここまで来たらもう諦めるけど。で……もしかして、また子守歌?」

 

「勿論です。さぁ、トレーナーさん、行きますよー。バクシンバクシンバクシーン」

 

 ……ねぇ、それで本気で寝れると思うの? バクシンオーの子供なら寝れるかもしれないけど、私はそうじゃないよ? それで寝るのってけっこう特訓が必要だよ? ……あー……でも、うん。なんだか眠くなってきてるって事は、私も特殊な訓練を受けてきたのかな……。

 

「バクシンバクシンバクシン、バクシンバクシンバクシン、バクシン、バクシン、バクシンシーン♪」



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ミホノブルボン(温泉旅行)

シリーズ開始1周年記念(最初に投稿したのがピクシブで4月13日のため)として、やはりウマ娘には外せない、温泉旅行でのミホノブルボンを書きました。

1年、週1更新で頑張ってきました。これからも頑張れればと思いますので、どうか皆さん、これからもどうか宜しくお願いします。

久しぶりに活動報告も更新しますので、そちらも見て頂ければ幸いです。

追記 
本来なら作品投稿時に投稿する予定の活動報告でしたが、ネット切断によって投稿がこの時間まで遅れてしまい申し訳ありません。



注意 作中のギンシャリボーイはギンシャリボーイ主役で小説を書きたいけど書いてる暇と文章力がないために溜まったモヤモヤと、実際に育成ストーリとURA優勝クリアしたウマ娘なんて絶対にすぐに温泉旅行へ行けるほどの時間的余裕ないだろうなぁ。なんて考えが組み合わさった結果なので特に気にしないでください。


「つ……疲れた……」

 

 真昼のトレーナ室で一人のトレーナーが机の上に山積みされた書類の前でそう呟いた。彼は、先日、新設されたGIレースであるURAファイナルで優勝したミホノブルボンのトレーナーである。

 

 ミホノブルボンは現在の日本ウマ娘界における歴史的名ウマ娘であり、無敗三冠、天皇賞春秋、宝塚記念、有馬記念と言った数々の名レースにおいて勝利している。そんな彼女は当然世間から最も注目されているウマ娘であり、今後のレースをどうするか……特に海外遠征に関して注目されている。

 

 同時に雑誌やテレビ等、メディアへの出演も飛躍的に数が増えており、そして、当然ながらそんな彼女のトレーナーである彼自身もそれらへの対応として多忙な生活を送っていた。

 

 勿論、時間が過ぎればやがて世間の目は他へ行く。今年は既に朝日杯FS、ホープフルステークスの連覇を果たし、そのまま無敗で皐月賞を勝ち抜いたギンシャリボーイというウマ娘が話題に上がっている。それゆえに最近は多少なりとマシになってはいるが、それでも落ち着けるのは先になりそうだと、トレーナーは眠気に襲われながら考える。

 

「……とは言え、そろそろブルボンも気晴らしがしたいだろうな……前にアイツの実家にお邪魔してから、全然遊びに行ったりできてないみたいだし……」

 

 世間で最も注目を集めるウマ娘とは言え、彼女自身は未成年の少女だ。そろそろ何か気分転換をさせてやりたいとトレーナーは考えるも、すぐには妙案が思い浮かぶ様子はない。

 

 うんうんと悩みながらも彼が仕事を続けていると、トレーナー室の扉がノックされた。それに気づいたトレーナーが入室を促すと、彼の愛バ、ミホノブルボンが部屋の中に入ってきた。

 

「お忙しい所申し訳ありません。マスター、少しよろしいでしょうか?」

 

「ああ、大丈夫だよ。何の用だ?」

 

 トレーナーが答えるとミホノブルボンは彼の傍に来て、そして懐から何かを取り出した。

 

「マスター。最近仕事続きでお疲れかと思います。なので、今こそこれを使う時ではないかと」

 

 そう言って彼女が差し出したのは、以前彼女達が一緒に回した商店街の福引で当たった温泉旅行券だった。

 

「……すっかり忘れてた。そうか、これがあったなぁ」

 

 マジマジと旅行券を見つめるトレーナーあのくじ引き以降は多くのGIレースへの対策に奔放していたため、彼はすっかりと忘れていたのだ。

 

「はい。私はマスターと一緒にこの温泉旅行に行きたいと思っています。ダメ……でしょうか?」

 

 不安そうにトレーナーを見つめるミホノブルボンに彼はすぐに返答できず、しばし悩む。トレーナーと愛バである二人はレース等で外泊することはあるが、温泉旅行は完全なプライベートである。未成年の異性との外泊は世間から当然良い顔はされない。下手をすれば醜聞になる可能性すらある。だが、と、トレーナーはミホノブルボンに視線を向けた。

 

 「……?」

 

 彼の視線の先にいるミホノブルボンは視線を向けられ小首を傾げる。

 

(今やブルボンと親しいウマ娘も大半がGIレースの勝利者という事で色々と忙しいみたいだし、そうじゃなくてもこの時期には色々忙しいだろう。日を跨ぐ用事を一緒にできる時間があるかどうか……)

 

(かと言って一人旅なんて危ない事はさせれない。特にこいつ機械音痴だから、スマホが旅先で壊れたら危ないし……ああ、俺が一緒に行くべきだよな)

 

 等と心の内で考えるトレーナーだが、実際の所は彼自身ミホノブルボンと一緒に温泉に行きたいと思っていて、それの理由付けに色々と考えているに過ぎないのだが。

 

「ああ、俺で良ければご一緒させてもらうよ……とは言え、理事長とかに話を通しておきたいし、色々と調整も必要だろうから、しばらくは待っていてくれ」

 

「……! ありがとうございます、マスター。是非、楽しい旅行にしましょう」

 

 不安な表情から一転、笑顔を浮かべるミホノブルボン。普段はサイボーグだ何だと言われている彼女だが、実際は感情豊かで、親しくなればこうして笑顔を見せるようになる。そして、この笑顔を守りたいと思ったトレーナーは早速翌日から行動を開始した。

 

 レース及びその練習の調整、並びに仕事関連のスケジュールも調整し、理事長やたづなに話を通しておくことで世間への対応も根回ししていく。そして二人にとってラッキーな事に、皐月賞まで無敗であったギンシャリボーイがそこから更にNHKマイルカップ、日本ダービー、そして菊花賞まで全てを無敗で勝ち進んだため、世間の目はギンシャリボーイに向けられていた。その間に、二人は温泉旅行へと出発することに成功したのだった。

 

 道中、新幹線やバスを使い、外の景色を楽しんだり、駅弁や地域の土産物等を楽しむ二人は昼頃には温泉街に到着していた。商店街のくじびきとあって人気の温泉街と言うわけではないが、逆に、人通りが少なく、静かなこの温泉街はレース、そしてその後の様々な仕事、活動によって疲れ切っていた二人にとってとても心地よく感じられる静けさであった。

 

「とても静かですねマスター。心地良さを感じます」

 

「ああ。都会に疲れた人間が田舎に憧れる……なんて良く言うけど、今はその気持ちが良くわかるよ。さ、取り合えず旅館に行くか」

 

 互いに荷物を持ちながら道を歩いていく。程なくして目的の旅館に着いた二人はさっそくチェックインを済ませた後、荷物を部屋に置いて街の散策に出た。

 

 普段トレセン学園を中心とした生活をしている二人、特に学生であるミホノブルボンにとっては温泉街で見かける物の多くが新鮮で、道のあちこちで見られる源泉を使った名物や、土産物屋に並ぶ様々なお土産……特に食べ物に強く興味を惹かれ、散策の途中に難度も道草を食い、それを楽しみながら二人は歩いていく。

 

 そうして普段ならば味わう事のない様々なものを味わっているうちに徐々に日が落ちていき、二人は旅館へと戻った。

 

「あー……良い意味で疲れたなぁ……」

 

 男性用露天風呂に浸かりながらトレーナーは大きく伸びをする。長距離の移動に、慣れない場所の散策と、疲労はあるが、それ以上の楽しいを得ることができた。トレーナーは今日の事を思い返しながらそう結論付けていた。

 

「ブルボンも、これで良い気分転換になってるだろう……あの時、温泉チケットが当たってくれていて良かった良かった」

 

 あの日商店街に行き、くじ引きで特賞を当てれた幸運に感謝を込めていると、ふと後ろから水音がトレーナーの耳に届いた。

 

「もしかして、そちらに居るのはマスターですか?」

 

「え? ブルボンか? そっち、女湯か」

 

 トレーナーが寄りかかっている竹の柵。その後ろは女湯のようだ。もちろん、柵は3m近い高さであり、直接の姿の確認はできないが、聞こえてくる声は確かにミホノブルボンの声である。

 

「はい、そちらは男湯なのですね……マスター。今日はとても楽しかったです。こんな楽しい一日、とても久しぶりで……」

 

「ああ……俺も久しぶりだよ。最近は本当、忙しかったからな……」

 

 URAファイナルで勝利してから数か月。二人は多忙を極めた。こうして温泉旅行に来れたのも、ギンシャリボーイという特級のウマ娘の登場によって世間の注目がそちらに向かったという偶然も大きい。もし彼女が居なければ、温泉旅行も更に先になっていたかもしれないのだ。

 

「あのギンシャリボーイには感謝だな……だけど、同時に強力なライバルにもなりそうだ……ブルボン、お前はどう思う?」

 

「私もマスターと同意見です。トゥインクルシリーズは終わりましたが……今後、海外遠征やドリームトロフィーリーグ等も考えれば、いずれ彼女と戦う時は来ると思います。ですが……私は、負けません。マスターと一緒である限り」

 

 顔は見えない。だが、絶対の自信が込められたその言葉にトレーナーは思わず涙がでそうになった。

 

「……そうだな、俺も頑張るよ、ブルボンがここからも更に上へ行けるように……俺は、本気で行くから」

 

「はい。私も、マスターの期待に応えてみせます」

 

 互いに決心を固める二人。その二人を、満天の星空だけが見下ろしていた。

 

 露天風呂から出た二人が部屋に戻ると、そこには旅館が用意した夜食が二人を出迎えた。海の幸をふんだんに使用した料理の数々はトレセン学園の食堂に負けずとも劣らずの出来栄えであり、普段口にすることのない料理の数々に二人は舌鼓を打ちながら食事を楽しむ。そして食事を終えた後、一息ついているトレーナーにミホノブルボンが見せたのは一本の耳かきであった。

 

「マスター。そろそろ以前に耳かきをしてから3週間が経ちます。最近は忙しくて耳かきをする暇がありませんでしたので、このまま耳かきを行っても宜しいでしょうか?」

 

「えーと。別に無理にしなくて良いんだぞ? 折角の旅行なんだし、もっとのんびりしても……」

 

「学園に戻れば再び忙しくなる可能性は高いです。それに、今のマスターは非常にリラックスしていますので、耳かきを行うのに最適なコンディションだと判断します……ダメ、でしょうか?」

 

 普段は見せない、不安そうなブルボンの表情に、トレーナーは降参とばかりに両手を上げる。

 

「そんな顔をされたらお願いしないわけにはいかないだろ……それじゃぁ、頼むよ」

 

「はい、お任せください。それでは、道具を用意しますので少々お待ちください」

 

そう言うとブルボンは一度部屋から出る。そしてしばらくすると、桶に幾つかの道具を入れて戻ってきた。そして、桶の中の道具を全て出すと、内風呂から源泉を入れて戻ってくる。

 

「では、これよりマスターの耳かきを開始します。今回はここの工房で販売されていた特注の耳かきを使用しますので、このまま膝の上に頭を置いてください」

 

 そう言って正座したミホノブルボンの膝にトレーナーは頭を置いた。普段の制服やジャージとは違う、浴衣の滑らかな感触、そして、横たわる畳から薫る草の香りや、ミホノブルボンから漂う石鹸の香りに学園とは違う新鮮さを覚えるトレーナーの頭にブルボンの手が置かれる。

 

「では、まずはこの源泉から直接引かれているお湯で温めたタオルでマスターの耳をマッサージします。既にお風呂で外側の汚れは取っていると思うので、今回はマッサージを重点的に行います」

 

 そう言うと、ブルボンは温めたタオルでトレーナーの耳を包み込む。温められたタオルから伝わる熱はじんわりと耳を温め、そのままギュッギュッとタオル越しにツボを押され、凝っている部分を念入りに指圧で解されていく。

 

「あー……温かいなぁ……」

 

「お気に召したようで何よりです、マスター」

 

 学園では見られないような蕩けた顔をするトレーナー。そんな彼を見下ろすブルボンの口元もまた僅かながらに緩んでいる。

 

「ギューッ……ギューッ……マスターはこれぐらいの力加減が好きですが、どうでしょうか?」

 

「ああ、これぐらいで頼む……あー……気持ちいい……」

 

 いつの間にかタオルは外され、ミホノブルボンの指によって直接マッサージされていく。サイボーグ等とあだ名を付けられる彼女だが、機械にはあり得ない暖かな体温は温泉の熱に負けない優しさを持って、トレーナーの耳を癒していく。

 

「マスター。マスターの耳の凝りの解消を確認しました。マッサージを継続しますか? それとも、耳かきの方に移行しますか?」

 

「ん……それじゃぁ、耳かきを頼む」

 

「了解しました。それでは、これより耳かきを開始します」

 

 耳かきを手にしたミホノブルボンがトレーナーの耳に顔を近づける。耳に手を置き、穴を広げた彼女は真剣な表情で中を覗き込んだ。

 

「対象、奥に大きめの物。そして、途中でいくつかの小さい物を確認しました。これより、耳垢の除去を開始します」

 

 その言葉が聞こえたと思うと、耳かきがトレーナーの耳の中に差し込まれる。普段使われている耳かきと異なる感触が、まずは手前の耳垢に触れた。

 

 カリカリカリ……ガリガリ……

 

 感触は異なるが、聞き慣れた音がトレーナーの耳の中に木霊する。耳かきが小気味よく動き、痛気持ちいい感覚と、いつ取れるのかと言う心の高鳴りを感じさせる。

 

「カリカリカリ……ペリッ……ガリッ……マスター、取れました」

 

 心地よい感触と共に耳垢が剥がれ、耳から掻き出されていく。ティッシュの上に捨てられた耳垢を見て、ふぅ……と息が漏れた。

 

「マスターの安堵を確認。引き続き、耳垢の除去を行います」

 

 再び耳かきが耳の中に入っていき、耳垢を引っ掻き始めた。

 

 ガリガリ……ゴゾッ……ミヂッ……

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

「少し奥の方を掃除していきます。このまま、動かないでください」

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 カリカリ……ガッ……ミヂッ……

 

 トレーナーの耳の中、ピンポイントで耳かきが汚れを掻き取っていく。それによって生じる痒みもそのまま一緒に掻き出されていくかのように、痒みが収まるように耳かきが掻いていく。

 

 ガリガリ……ガリガリ……

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 痒みが快感に変わる瞬間が耳かきの良い所だと、トレーナーは感じていた。それが、自分の愛バによってもたらされているならば猶更だ。今も、絶妙な力加減で、耳垢が剥がされていく。

 

「次の耳垢は……このまま……力を加えれば……」

 

 ガリ……ミヂッ……ベリッ……

 

 軽い音でなく、重く、湿った音がトレーナーの耳の中に響く。

 

「どうやら、温泉の湯気でかなり湿っていたようです。このまま、引き剥がしていきます……ガリ……メヂッ……」

 

 そのまま、ガリガリ……ミヂッ……ミヂッ……と音を響かせながら耳垢が剥がされていく。やがて、メヂヂッと鈍い音と共に耳垢が剥がれていった。

 

「うお……やば……癖になるぐらい気持ちいい……」

 

「それは良かったです、マスター。それでは……あと一つ、固そうな物が見えますので、恐らくそれで最後だと思います」

 

 そう言うと、ミホノブルボンは真剣な表情で耳かきを差し込んでいく。奥の、少し曲がった先にある耳垢は、湿気がそこまで届いていなかったのか、耳かきに確かな固さを伝えてくる。

 

 ガリ……ガリ……

 

 ゴリ……ガリ……

 

 先程の湿気ていた耳垢とは比べ物にならない、固さ故の感触にミホノブルボンは慎重に耳かきを動かしていく。まるで化石を採掘しているかのように慎重に、丁寧に、耳垢の掃除を行っていく。

 

「おおお……痒……ってか、なんで、これだけこんな……」

 

「恐らく、掃除をしていない間に窪みに溜まった耳垢が、汗などを吸った後に更に固まったものだと予想されます。これが最後と思われるので、どうか我慢してください」

 

 ガリガリ……ゴリゴリ……

 

 ガッガッ……ガリ……ガリ……

 

 固い耳垢を耳かきで何回も引っ掻き、上辺を削りつつ、耳に引っ付いている部分を少しづつ剥がしていく。

 

 ゴリっ……ゴリッ……

 

 ゴッ……ガッ……ガッ……

 

「ガリ……カリ……かた……固い……です」

 

 耳垢の固さにミホノブルボンは手間取る。力を入れて無理やり剥がす事もできるが、それをすればかならずトレーナーに相応の痛みを与えるだろう。下手をすれば耳を傷つける恐れもある。その為、彼女は少しずつ、丁寧に力を込めて耳垢を剥がしていく。

 

 ミヂッ……ベリッ……ミヂッ……

 

 少しずつ、耳垢が剥がれていくのが、音ではなく感触で伝わってくる。それに伴い、痛い、痒い、でも気持ちいい。と言う感覚も強くなっていく。トレーナーはその感覚を楽しみつつも、最後の解放を今か今かと待ち望んだ。

 

 ズッ……ゴズッ……

 

 浮き上がってきた縁の部分に、耳かきの先端が差し込まれる。そして……。

 

 ベリッ……ベリッ……!

 

「耳垢の浮き上がりを確認。このまま持ち上げます」

 

 そのままスーッと耳垢が引き上げられ、トレーナーの耳の中から運び出される。ティッシュの上に捨てられた耳垢を確認し、トレーナーは大きく息を吐いた。

 

「かなりの大きさです。痒みを実感する前に取ることができて良かったと判断します」

 

 そう言ってミホノブルボンが捨てたのは、耳かきの先端にしっかりと乗るほどの大きさの、茶色く変色した耳垢であった。彼女が耳かきで突くと、形が崩れることなく転がる。

 

「うーん。俺の耳の中、こういうのができやすいのかな。確か、前にもあったよなこんなの」

 

「はい。やはりマスターの耳は定期的に掃除をする必要があると判断します。それでは、梵天による清掃に移行します」

 

 耳かきの反対側の梵天を下に向け、彼女はそのままトレーナーの耳の中に差し込んだ。そして、上下に動かし、左右にクルクルと回し、耳の中の細かい粉を絡めとっていく。

 

「おお……おおー……癒される……」

 

「マスターの顔の蕩け具合を確認。気持ち良くて何よりです、マスター」

 

 先程まで耳かきで引っ掛かれ、熱を帯びていた耳の中を柔らかく繊細な梵天が優しく撫でていく。その感触の心地よさを感じ、トレーナーの口元はどんどんと緩んでいく。

 

「梵天による清掃の完了を確認。これより吐息に移行します……ふ~……ふ~」

 

 そして、梵天の清掃が終わると、最後にミホノブルボンが耳の中に息を吹きかける。梵天で敏感になり、耳垢が取れて通りが良くなった耳の中、ミホノブルボンの吐息が通り過ぎていく。

 

「おお……なんか、普段よりも気持ちいいような……」

 

「それは良かったです、マスター。さて、それでは、反対側の掃除に移行します」

 

 そう言うと、ミホノブルボンはくるん、とトレーナーを持ち上げ、反対向きに転がす。トレーナーも何も言わず、されるがままに反対側を向いた。

 

 反対側を向いたトレーナーの視界にミホノブルボンの腹部がアップで映る。しっかりと帯を結ばれ、閉じられているが、それでも先程まで温泉に入っていたこともあり、一瞬温泉に入る彼女の姿を想像した事を咎める事は無粋なのだろう。

 

「では、こちらもマッサージから始めていきます。耳のツボ、凝りを指圧、揉み解しで刺激を与えて……」

 

 再び、ミホノブルボンによるマッサージが行われる。先にやった耳と同じように、指圧、揉みによって耳の凝りを解消し、ツボを刺激することで血流を促す。耳の全体が仄かに赤くなってきた所で、彼女はマッサージを止めた。

 

「耳の中を確認します……細かい物はありません。手前に少しあるぐらいなので、今回は手早く終わらせたいと思います」

 

 その言葉と共に、耳かきがトレーナーの耳の中に差し込まれていく。そして、程なくして耳垢に触れると、そのまま耳垢を剥がすために動き始めた。

 

「カリカリ……カリカリ……こちらも、固そうです。カリカリ……」

 

 先程の耳垢と同じように、しっかりとした固さの耳垢らしく、ミホノブルボンは何回も耳かきを動かしていく。だが、取れそうな気配を感じないのか、彼女は耳かきを耳から抜いた。

 

「プラン変更。ピンセットを試したいと思います」

 

 そう言うと、ミホノブルボンは耳かきを横に置き、代わりにピンセットを手に取った。

 

「ピンセットを挿入します。冷たいと思いますが、どうか我慢してください」

 

 差し込まれたピンセットが耳の中に触れると、木製の耳かきにはなかった冷たさに一瞬トレーナーの体が硬くなる。だが、すぐに力を抜いたのを確認すると、ミホノブルボンは耳垢をピンセットで摘まんだ。

 

「このまま引っ張って……マスター、痛くはないですか?」

 

「ん……うーん……違和感はあるけど……大丈夫……」

 

 普段使われる事のないピンセットによる耳掃除に違和感を覚えつつも、トレーナーは耳かきを続ける意思を見せる。それに答えてミホノブルボンは耳垢を摘まんだまま、上下左右に揺らし、少しずつ剥がしていく。

 

 メヂリ……メヂリ……

 

 ビリッ……ビチッ……

 

「全体的に少しづつ剥離していくのを確認。このまま一気に剥がします」

 

 少しづつ剥がれていく耳垢の様子を見つつ、ミホノブルボンは一気に耳垢を剥がしにかかる。

 

 メヂ……メヂ……メヂ……

 

 ビリッ……メヂ……メヂィ……

 

 耳かきとは違う剥がれかたにトレーナーの体は一気に固くなるが、耳垢は取り出され、それを確認すると、ホーッ……と安堵の息を吐き出した。

 

「あー……やっと取れたか……慣れない道具の感触は、ちょっと緊張するな」

 

「申し訳ありません。次からは耳かきでも取れるように精進します」

 

 しゅん、と耳が垂れ下がるミホノブルボンにトレーナーは慌てて声をかける。

 

「あ、いや、違うからな? ブルボンの耳かきが下手とか、そういうわけじゃないからな?」

 

「はい、勿論、マスターならそう言ってくれると信じていました。それでは、続きを開始します」

 

 そう言うと、ミホノブルボンは再び耳かきを手にして耳掃除を再開した。

 

「残りは小さい物が多いので、手早く済ませたいと思います。カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 オノマトペのリズムに合わせて動く耳かきがトレーナーの耳の中を掃除していく。小さい物をカリカリと引っ掻き、剥がれたものを引き上げ、次の耳垢に取り掛かる。

 

 互いが互いを補うかのように、合わさった二つによって、トレーナーは加速的に気持ち良さを感じていく。

 

「はぁ……このまま……ずっと、耳かきをされたいな……」

 

「申し訳ありませんが、耳かきのやりすぎは耳の中を荒れさせる要因となりますので不可能と判断します」

 

 思わず出た言葉に律義に返すミホノブルボンに苦笑するトレーナーに首を傾げるミホノブルボンだが、気を取り直して耳かきを再開する。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 部屋の中にミホノブルボンのオノマトペが囁かれ、吸収される。二人が発する音だけが静かに、僅かに部屋の中に響くこの空間の中で、トレーナーは快感を享受し続ける。

 

 やがて、耳垢を取り終えたというミホノブルボンの声によって、耳かきが終わりを告げられる。耳垢が引き抜かれ、梵天によって細かい粉が絡めとられ、最後に息を吹きかけられ、こうして両耳の耳掃除が終わってしまった。

 

「耳かき、終了しました。マスター、お疲れ様です」

 

「ああ、ありがとう……ふぁ……」

 

 礼を告げるトレーナーだが、次の瞬間には大きくあくびをした。

 

「マスター、このままお休みされますか? 既に時間も遅いので、お布団を敷いて本格的な就寝をして頂くのが望ましいですが」

 

「ああ……そうしようか。ふぁぁ……今日は良く寝れそうだな……」

 

 そう言って立ち上がろうとしたトレーナーだが、その頭が押さえられた。

 

「……ブルボン? どうかしたのか?」

 

「申し訳ありません……マスター、少しだけ……勇気を出すまで少しだけ……待ってください」

 

 ミホノブルボンの言葉の意味が分からず困惑するトレーナーだが、言われた通りおとなしく彼女の膝の上に頭を置いたままにする。そして少しして……ミホノブルボンは言葉を紡いだ。

 

「……マスター。私は貴方のおかげでウマ娘として大きな名誉を手に入れました。三冠だけでなく、無敗として三冠を。国内最高峰のレースである春秋天皇賞を、世界のウマ娘と覇を競うジャパンカップを、制することができました。貴方の指導が、貴方の優しさが、貴方の支えがなければ、私はこのような名誉を、実力を、得ることはできなかったでしょう」

 

「……マスター、これからも……これからの生を……死が二人を分かつその時まで……共に歩んでも……構いませんか?」

 

 顔を赤くしながら、それでも、確かに伝えられたその言葉は、直接的な表現ではない。だが、その言葉の意味を理解できない程、トレーナーは幼くはなかった。そして、それはトレーナーと学生の間では決して許される事のない発言であった。

 

「……ブルボン、トレセン学園という閉鎖的な空間の中、自分の人生を預けるトレーナーとの信頼関係は、時にそう言った関係に発展することがある。だが、世界はトレセン学園を中心とした世界だけじゃない。俺は……ブルボンにはより多くの世界を知ってほしいと思っている」

 

 トレーナーの返答も直接的な表現ではなかった。だが、その言葉の意味するものに気づかぬはずもなく、ミホノブルボンは目を見開き……そして、顔を伏せた。

 

「そう……です……か、マス……ター……」

 

顔を伏せたミホノブルボン。その顔は先程と違った意味で赤くなっており、目からは雫が零れ落ちる。口を一文字に結び、それ以上を堪えようとするも、涙はいくつも零れ落ち、彼女の顔を濡らしていく。

 

「ちょ、待て、待てブルボン! まだ全部言ってないから! 断るわけじゃないから!」

 

 慌てたトレーナーが頭を上げ、ミホノブルボンの顔を上げる。互いの目線が合い、少しの間、互いに見つめ合った。

 

「それは……どういう……?」

 

「ブルボン、俺達はトレーナーと学生だ。そう言った交友は許されないし、正直、俺はお前に、俺以外の男も見て欲しい。そして……そして……だ」

 

 ミホノブルボンから視線を逸らし、少しの間言葉を溜めるトレーナー。そして、意を決し、彼は再びミホノブルボンに視線を合わせて答えた。

 

「……22歳……世間では大学を卒業し、社会人になる年齢だ。もし……もし、その年になっても俺の事をそう思ってくれているなら……俺は、お前の気持ちに応えるつもりだ」

 

 真っすぐに見つめられ、告げられたその言葉。トレーナーの表情は真剣そのものであり、嘘もごまかしもない。ミホノブルボンは涙で濡れる視界の中でその表情を確認し、人よりも良く聞こえる耳で、その言葉を聞き取った。

 

「……任務……了解。これより22歳まで……貴方に絶対に受け入れられる……良いウマ娘であり続けます」

 

 トレーナーを見つめるミホノブルボン。瞳から涙は落ち続ける。だが、その表情は今まで誰も見たことがないほどの満面の笑みを浮かべていた。

 



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アドマイヤベガ

アドマイヤベガで書いてみました。キャラの所持はしてないのでところどころキャラが崩れてるかもしれませんが、なんとなく思いつくことができました。

今回多少短いですが、布団で寝てる最中のトレーナーに耳かきしたら多分途中で寝ちゃうよね。てのを考えたらこの長さになりましたし、これはこれでキャラに合ってるかなぁ? と思う今日この頃です。


 トレーナー……? どこかしら? 今日は仕事があるからトレセン学園からは出ないって聞いたんだけど。電話にも出ないし……何かあったわけじゃないわよね?

 

 ……そう言えば仕事が立て込んでて疲れた。って言ってたわね。仮眠室……? 当たったわ。

 

 幸せそうに布団にくるまれて……枕に安心して体重をかけて……アヤベって……夢でも私の事考えてくれて……でも、そう言いながら枕に顔を埋められるとなんだか複雑ね……それは私じゃないのに……そうだ。

 

 よいしょ……うん、良い感じに収まったわね……ふふ、さっきの枕より気持ちよさそう。こうしてあげてる甲斐があるというものね。

 

 あら、起きたの? 何が起きたか? どういう状況かって? 貴方の枕をどかして、私の膝枕に頭を乗せてるのよ。どう? こんな枕より、気持ち良いでしょ?

 

 素直でよろしい。それじゃぁ、このまま……というのも味気ないし、耳かきでもしてあげるわ。

 

 あ、動いちゃダメ。このまま、布団にくるまったまま、横向きでいてくれたらそのままやれるから。

 

 えーと、耳かきは……あったわ。手の届くところにあってよかったわね。さぁ、おとなしくしてて。

 

 カリカリ……カリカリ……ガリガリ……ガリガリ……トレーナーの耳垢、固いわね。痛くはない? 大丈夫で良かったわ。このままの力加減で続けても大丈夫そうね。

 

 カリカリ……ガリガリ……あら、囁かないほうがいいかしら? ……寝そう? まだ片耳だけなんだから、我慢して頂戴。

 

 カリカリ……カリカリ……あ、もう少しで取れそうね。このまま……このまま……はい、取れたわ。

 

さぁ、次の耳垢に取り掛かるわよ。カリカリ……ガリガリ……ほら、寝ないで? まだ掃除の最中だから。寝ながらの耳かきは寝返りとかで危険だから……できないの。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ガッ……ガッ……ベリッ……

 

 ねぇ、そんなに気持ち良いの? 私、貴方がそんなに顔をトロけさせてるのを見るの初めてよ。……そう、気持ち良いのね。ふふ、なんだか嬉しいわね、そう言ってもらえると。

 

 ふぅ……こうしてると、なんだか大きい弟ができたみたいな気分。……別に、嫌じゃないわよ。ただ、不思議な感覚というだけだから。

 

 ザリザリ……ザリザリ……耳垢を取った後も、細かい粉や小さい物をちゃんと掃除して……痒い場所はない? 大丈夫なら良いわ。

 

 ほら、まだ起きてないとダメ。もう片方は手付かずだから。……それじゃぁ、こうしてあげる。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 どう? 驚いて目が覚めて……体震わせすぎじゃない? 耳、そんなに弱いの? ……そう、あまり知りたくはなかったわね。

 

 ちょ……何目を閉じて……もう限界? お休み? ま、待ちなさいトレーナー。まだもう片方が……。

 

 ……本当に寝ちゃったわね……はぁ……仕方ないわね。起きるまで待っててあげるわよ……。



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スマートファルコン(地の文あり)

スマートファルコンで地の文ありで書きました。前回から引き続き、ファル子は枕営業の意味をわかっていません。

絶対に言えないトレーナー対なんとか聞き出そうとするファル子 ファイッ!


「ふんふふ~ん♪ 今日のライブも大成功♪ ファル子、絶好調♪」

 

 ライブを終えて楽屋に戻ってきた私は、重い気の笑顔を浮かべていると思う。だって、今日も皆、ファル子に夢中になってくれたんだ。

 

「お疲れ様ファル子、今日も最高のライブだったよ」

 

 楽屋の扉を開けて入ってきたのはトレーナーさんだった。わーい、トレーナーさんに褒められたー。

 

「えへへ、トレーナーさんにそう言ってもらえると嬉しいな。これからもファル子、もーっと頑張っちゃうよ」

 

「ああ、応援しているさ。なんたって俺は、ファル子のファン第一号だからな」

 

 うん、そう言ってもらえると本当に嬉しい! トレーナーさんに応えるように私ももっと頑張らないと!

 

「ふぁ……ぁ……」

 

「あれ? トレーナーさん、もしかしてお疲れ?」

 

「ああ……ちょっとやることが多くてな……ふぁ……」

 

 あー、大あくびしちゃって……そうだよね、トレーナーさん、ファル子のために頑張ってくれてるんだから。私が何かお礼をしないと。

 

「ねぇ、トレーナーさん。私に何かできる事ッてない? トレーナーさんにはいっつも助けられてるもん。私も何か力になりたいな」

 

「ん? いや、大丈夫大丈夫。ファル子もライブの後で疲れてるだろ? 今日は後は帰って休んで大丈夫だから……ふぁ……」

 

 ああ、トレーナーさんまたあくびしてる。えーと、何かできる事……えーと……。

 

「……そうだ、トレーナーさん。後でトレーナー室で待ってるから、絶対に来てね。絶対だよ」

 

「ん? あ、ああ? よくわからないけど……わかったよ」

 

 うん、トレーナーさんも来てくれるって言ってくれたから、急いで戻って準備しないと。急げ、ファル子ー。

 

 急いで寮に戻った私は、道具を纏めてトレーナー室に持っていって、そこで一つ一つ準備をしてトレーナーさんを待つ。そしてちょっと時間はかかったけど、トレーナーさんは部屋に来てくれた。

 

「ファル子。それで、どんな用事なんだ?」

 

「えへへ。トレーナーさん、今日は普段のお礼に耳かきしてあげるね。最近してないでしょ?

 

 そう言って耳かきを見せてみると、トレーナーさんは一瞬、そう言えば……って顔をした。

 

「そう言えば最近はしてなかったな……ああ、頼むよ」

 

「はーい。それじゃぁトレーナーさん、こっち来てね」

 

 正座した私の膝の上にトレーナーさんが頭を乗せると、ズシッとした重みを感じる。さぁ、頑張って耳かきするぞ、ファル子。

 

「ブルボンさんやスズカさんもトレーナーさんに耳かきをしてるって聞いて、色々教えてもらったんだ。えーと、まずは温かいタオルで耳を擦っていくんだね」

 

 タオルでトレーナーさんの耳をゴシゴシとしていくと、耳の粉が水分を吸ってドロッとしていくから、それをちゃんと落としていく。すごーい、これなら簡単に掃除できるね。

 

「ほらほらトレーナーさん。気持ちいい? 耳の汚れが落ちていくよー」

 

「おー。気持ち良いなぁ、これ。自分でもできそうなのがありがたいな」

 

 むー。折角私がやってるのに。そんなトレーナーさんにはこうだ。

 

「いた……痛い痛い痛い! ちょ、擦る力が強いって!」

 

「ふーんだ。折角私がやってるのに、自分でもやれる。なんて考えてるトレーナーさんにはお仕置きだもん」

 

 私がプンプンしてると、トレーナーさんが悪かったって謝ってくれたから取り合えず許してあげちゃおう。

 

「それじゃぁ改めて……って程じゃないのかな? うん、これでタオルはお終い」

 

 タオルを片付けて、お次は耳かきを手にする。さてさて、トレーナーさんの耳の中は……と。

 

「うーん。トレーナーさん、最近耳の中掃除してないでしょ。前にやった時より汚れてるよ」

 

「うぐっ……さ、最近はちょっと時間がなかっただけだ。普段はちゃんとしてるから」

 

 むぅ、本当かな? トレーナーさん、自分の事に関しては疎かにしがちだもん。これは、これからもトレーナーさんの耳かきはファル子がやってあげないといけないね。

 

「さてさて。前は綿棒でやったけど、今回は耳かきでチャレンジだよ。まずは、手前から順番に、カリカリカリ……」

 

 カリカリカリ……ガリガリガリ……

 

 ザリザリ……ベリッ

 

 あ、取れた取れた。前にやった時より取れやすかったから、先に温かいタオルで耳を擦るのって本当に効果があるんだ。よーし、この調子でやっていくよー。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……トレーナーさんの耳の中をカーリカリ♪」

 

 綿棒だと絡めとる形だったけど、耳かきだと匙の部分にうまく乗せる必要があるから、落とさないように注意して、カリカリカリ、カリカリカリ。と音が私にも聞こえてくる。上手にできてるかな?

 

「んーと、次はこの耳垢をカリカリ……トレーナーさん、痛くない?」

 

「ん……うん……大丈夫……」

 

 あ、トレーナーさん眠そう。やっぱり疲れてるんだ……よーし、このままトレーナーさんを骨抜きにしちゃうぞー。

 

 そう意気込んで、私はカリカリカリ。と耳かきを動かし、トレーナーさんの耳の中を掃除していく。んー、これで大体良いかな? やりすぎると耳の中が荒れるって聞いてるし。

 

「トレーナーさん、これでこっちの耳は大体終わったよ……あれ?」

 

 あれれ? トレーナーさん、目を閉じてる? 寝ちゃった? んー。寝てる時に耳かきは危ないって聞いてるから、これ以上はできないかなぁ……あ、そうだ。

 

「ふ~……ふ~……」

 

「おわっはあ!?」

 

 息を耳に吹きかけたらトレーナーさんが今まで聞いた事のない奇声で起きた。あれれ、思ったより効果があったかな。

 

「おはようトレーナーさん、まだ片方だけだから、もう片方が終わるまでお昼寝はもうちょっと待ってね。はい、反対向いて♪」

 

「お……おう……」

 

 私の言葉にトレーナーさんはゴロンっと私のお腹の方に顔を向けてきた。わわ、素直にお腹の方向いてくれると思ってなかったら、ちょっと恥ずかしい……かも。

 

「えへへ。それじゃぁこっちの耳かき、いっくよー」

 

 照れ笑いを誤魔化しながらトレーナーさんの耳をタオルでゴシゴシと拭いていく。んー。トレーナーさん、まだ眠そう。早く終わらせてあげるほうが良いかも。

 

 タオルでゴシゴシと擦って、トレーナーさんの耳を擦って、汚れを擦り落として……うん、綺麗になった。じゃぁ、中をしていくよー。

 

「んー……? カリ……ガリッ……ちょっと固い……かも」

 

 耳かきで掻いてる耳垢の一つが妙に固い。トレーナーさんは……まだ夢心地かな? 起こさないようにしなくちゃ。

 

「カリッ……ガリッ……ギッ……グッ……」

 

 んー。ちょっと、固いかなぁ……これ以上力を入れたらトレーナーさんが痛いかもしれないから、これ以上の力は入れられないし……。

 

「んー……もうちょっとぉ……頑張れ……ファル子ー……」

 

 慎重に、慎重に、端の方から確実に耳垢を剥がしていって……隙間ができたらそこに上手い事先端を差し込んで……よし、このままちょっつづつ、ちょっとづつ……。

 

「ふぅ……取れたー」

 

 取れた耳垢は黄色く濁ってて、指で突くと固い感触が帰ってくる。うわぁ、こんなのがあったんだ。

 

「んん……むぅ……」

 

 トレーナーさんは……うん、まだ半分寝てるね。それじゃぁ今のうち、今のうち。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 小声で囁くように、オノマトペを呟きながら耳かきを続ける。でも、さっきので苦労するものはなくなったみたいで、このまますぐに終わらせれそう。

 

「ん……この辺……でいいかな? やりすぎはしないようにってブルボンさんに言われてるしね」

 

耳かきを置いてホッと息を吐く。はー、ちょっと緊張しちゃったかな。でも、トレーナーさんも気持ちよさそうにしてくれたし……あ、そうだそうだ。

 

「ふ~……ふ~……」

 

「ひょうわ!?」

 

 んー、半分寝てる人には息の吹きかけはやらないほうがいいかも? でも、お約束だってスズカさんも言ってたよね……あ、ちょうどいいから、あれを聞いてみよっと。

 

「ねぇトレーナーさん。耳かき、気持ち良かった?」

 

「んん……ああ……ほとんど寝てたよ……気持ち良くて……悪いがこのまま寝させて……」

 

「それは良いんだけどさ。ねぇトレーナーさん、枕営業ってなんなの? 前は結局教えてくれなかったよね」

 

 聞いた瞬間、トレーナーさんは目を見開いたと思うと、勢いよく立とうとしたから頭と腕を抑える。うん、これでもう逃げられないね。

 

「ファ……ファル子……俺にはそれを言う権利はない!」

 

「むー。なんでー? 友達に聞いても知らないって言うし、トレーナーさん、知ってるんだったら教えてよー」

 

「む……無理なんだー!」

 

 もう、なんで言ってくれないの? 今日は絶対に教えてもらうんだから!



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スマートファルコン(地の文あり、男トレーナー)

スマートファルコンで男トレーナー視点で書きました。

やめて、枕営業の意味を知ってしまったら、ファル子の純情が一つ失われてしまう。男トレーナー、お前が負けたら純情なファル子が恥ずかしい思いをしてしまうぞ。学園長やたづなさんとの約束はどうなっちゃうの?

次回、男トレーナー負ける!?。 デュエルスタンバイ

というネタはさておき、ファル子には純情なままでいて欲しいと思う今日この頃です。


「よし、今日のライブも無事に終わったな……ファル子、今日も輝いていたぞ」

 

 ライブを終えてファル子がステージ袖に姿を消すのを確認し、俺は一人小さくガッツポーズをする。ダートでめきめきと実力を付けた彼女のファンは日を追うごとに増えていき、こうしてライブにも多くの人が来てくれるようになった。

 

「さて、ファル子を労ってやらないとな」

 

俺は足をファル子の居る楽屋へと向けた。そして楽屋の扉を開けると、そこでは椅子に座りながら満足そうに笑っている彼女が居た。

 

「お疲れ様ファル子、今日も最高のライブだったよ」

 

 俺が声をかけるとファル子は俺の方を向いて、先程とは違う笑みを浮かべた。

 

「えへへ、トレーナーさんにそう言ってもらえると嬉しいな。これからもファル子、もーっと頑張っちゃうよ」

 

「ああ、応援しているさ。なんたって俺は、ファル子のファン第一号だからな」

 

 嬉しそうに笑うファル子に俺も更に頑張らないとな。と気合が入る……が、そこで不意に眠気が襲ってきた。

 

「ふぁ……ぁ……」

 

「あれ? トレーナーさん、もしかしてお疲れ?」

 

「ああ……ちょっとやることが多くてな……ふぁ……」

 

 うーん……ダメだ、ファル子のライブが無事に終わって緊張感が解けたのか、眠気がキツイな……俺も仮眠を取っておくべきか。

 

「ねぇ、トレーナーさん。私に何かできる事ッてない? トレーナーさんにはいっつも助けられてるもん。私も何か力になりたいな」

 

「ん? いや、大丈夫大丈夫。ファル子もライブの後で疲れてるだろ? 今日は後は帰って休んで大丈夫だから……ふぁ……」

 

 ライブが終わった後のファル子に無理をさせたくないし、さっさと帰らせて休息をとってもらおう。俺も後片付けとかが終わったら休むか……。

 

「……そうだ、トレーナーさん。後でトレーナー室で待ってるから、絶対に来てね。絶対だよ」

 

「ん? あ、ああ? よくわからないけど……わかったよ」

 

 一体何をするつもりなんだろうか? 俺としてはもう休憩をして欲しい所だが……まぁ、まさか突然トレーニングをしたいとかも言わないだろうし、付き合うとしよう。

 

 そうしてファル子と別れた俺は後片付けを終えてからトレーナー室に向かうと、ファル子が既に待っていた。

 

「ファル子。それで、どんな用事なんだ?」

 

「えへへ。トレーナーさん、今日は普段のお礼に耳かきしてあげるね。最近してないでしょ?」

 

 そう言ってファル子が俺に見せてきたのは耳かきだった。あー……そう言えば最近は忙して耳かきとかぜんぜんしてなかったな。

 

「そう言えば最近はしてなかったな……ああ、頼むよ」

 

「はーい。それじゃぁトレーナーさん、こっち来てね」

 

 正座したファル子の横に腰を下ろし、そのまま彼女の膝の上に頭を置く。ふー、横になると思わず力を抜いてしまう。彼女に体重をかけてしまうが……。

 

「ブルボンさんやスズカさんもトレーナーさんに耳かきをしてるって聞いて、色々教えてもらったんだ。えーと、まずは温かいタオルで耳を擦っていくんだね」

 

 そう言うと、上を向いてる方の耳をタオルでゴシゴシと擦られ始める。温かいタオルで擦られると、思わず、はぁ……と息が漏れてしまう。

 

「ほらほらトレーナーさん。気持ちいい? 耳の汚れが落ちていくよー」

 

「おー。気持ち良いなぁ、これ。自分でもできそうのがありがたいな」

 

 今度から、疲れたら俺もやろうかな。耳を擦られるのがこんなに気持ち良いとは思わなかった……なんて考えてると、いきなり耳を擦る力が強くなって……痛い痛い痛い!

 

「いた……痛い痛い痛い! ちょ、擦る力が強いって!」

 

「ふーんだ。折角私がやってるのに、自分でもやれる。なんて考えてるトレーナーさんにはお仕置きだもん」

 

 俺が抗議するとファル子がふくれっ面になって俺を見下ろしていた。何が悪かったのかよくわからないが、ともかく悪かったと謝ると、なんとか機嫌を戻してくれた。いや、痛かったぁ……。

 

「それじゃぁ改めて……って程じゃないのかな? うん、これでタオルはお終い」

 

 そう言って彼女はタオルを横に退けて、耳かきを手にして俺の耳の中を覗いてきた。前は綿棒だったけど、今回は耳かきなんだな、そう言えば。

 

「うーん。トレーナーさん、最近耳の中掃除してないでしょ。前にやった時より汚れてるよ」

 

「うぐっ……さ、最近はちょっと時間がなかっただけだ。普段はちゃんとしてるから」

 

 嘘である。ぶっちゃけ、耳掃除なんてそうそうしない。しなくてもそんな問題があるわけでもないし。ウマ娘からしたらあんまり考えられないんだろうけど。

 

「さてさて。前は綿棒でやったけど、今回は耳かきでチャレンジだよ。まずは、手前から順番に、カリカリカリ……」

 

 カリカリカリ……ガリガリガリ……

 

 ザリザリ……ベリッ

 

 軽く耳の中を耳かきが掻いていると、意外とあっさりと耳垢が取れた感触がした。浅い所にあったんだな。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……トレーナーさんの耳の中をカーリカリ♪」

 

 楽しそうに、鼻歌を歌うように囁きながらファル子の耳かきが耳の中を動き回る。カリカリカリ、と耳壁を掻かれ、溜まった粉をティッシュの上に捨てていく。粉も意外と溜まってるな……ふぁ……眠……。

 

「んーと、次はこの耳垢をカリカリ……トレーナーさん、痛くない?」

 

「ん……うん……大丈夫……」

 

 やば……これ、寝る。マジで寝る。このままファル子の膝枕で完全に寝落ちする。

 

 カリカリカリ……という耳かきの音とファル子のオノマトペが子守歌のように俺を眠気に誘い……あ、ダメだ……もう……ダ……メ……。

 

「ふ~……ふ~……」

 

「おわっはあ!?」

 

 突然耳に刺激が走り、俺は奇声を上げていた。な、なんだ? 何が起こった!?

 

「おはようトレーナーさん、まだ片方だけだから、もう片方が終わるまでお昼寝はもうちょっと待ってね。はい、反対向いて♪」

 

「お……おう……」

 

 混乱した俺はファル子に促されるまま、体を反対側に向ける……って、おい、これファル子の腹側だよ。どうすんだこれ……でも、一度向いたのをまた動かすのもなんかあれだし……ヤバイ、動けない。

 

「えへへ。それじゃぁこっちの耳かき、いっくよー」

 

 俺が混乱してる間に、なんか反対側の耳がタオルでくるまれ、ゴシゴシと擦られていく……うん、落ち着こう……落ち着いて、耳かきを堪能することに集中しよう。それが多分ベストの行動だ。

 

 ……あ、ダメだ。また眠くなってきた……今、中を掃除してるのはわかる。わかるんだが……あー、ダメだぁ……眠い……んー……。

 

 なんか耳の中が痛いような……眠……意識が……眠……。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 ああ、ファル子の声、気持ち良いなぁ……もう、寝よう。寝ても大丈夫……許される……グー……グー……。

 

「ふ~……ふ~……」

 

「ひょうわ!?」

 

 な、なんだな……あ、そうか、息か。息かぁ……あー……ビビった。最初もだけど、後の方がほぼ寝てたから余計にビビった。

 

「ねぇトレーナーさん。耳かき、気持ち良かった?」

 

 上を見上げると、ファル子が笑顔で俺を見下ろしている。ふぁ……驚いたけど、まだ眠いな……ファル子ならこのまま寝ても許してくれるだろう。

 

「んん……ああ……ほとんど寝てたよ……気持ち良くて……悪いがこのまま寝させて……」

 

「それは良いんだけどさ。ねぇトレーナーさん、枕営業ってなんなの? 前は結局教えてくれなかったよね」

 

 その言葉を聞いた瞬間、俺の脳は一機に覚醒し、そのまま扉に向けて全力で逃げようとして……う、動けない! 頭と腕を抑えられ身動きが取れない!

 

「ファ……ファル子……俺にはそれを言う権利はない!」

 

「むー。なんでー? 友達に聞いても知らないって言うし、トレーナーさん、知ってるんだったら教えてよー」

 

頬を膨らませてプリプリしてるファル子だが。こればかりは何がどうあっても口を割る事はできない。というかもし言ったらたづなさんらへんに半殺しにされても文句も言えない。

 

「む……無理なんだー!」

 

 悲痛な叫びをあげてなんとか逃げようとするが、ファル子はまったく力を緩めてくれない。だが、俺は言わない。なにがどうあっても絶対に言わないからな!



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スマートファルコン(地の文あり、女トレーナー)

スマートファルコンの耳かきで女トレーナー視点で書きました。

そう言えば、あまりスマートファルコンの女トレーナー物って見かけた記憶が無いのですが、私が見つけたないだけなのか、それとも作品数が少ないだけなのか、どっちなんでしょうね。自分自身で書いた結果、私はありだと思いますが。

追記 最近仕事の残業とウマ娘の周回イベントでしんどい今日この頃。ウマ娘の周回は……しんどい。残業? しんどいに決まってるでしょう。


「よし、よし。今日のライブも無事に終わった……ファル子、今日も輝いていたぞー」

 

 ライブを終えてファル子がステージ袖に姿を消すのを確認し、私は一人小さくガッツポーズをする。ダートでめきめきと実力を付けた彼女のファンは日を追うごとに増えていき、こうしてライブにも多くの人が来てくれるようになった。これまでは勝手にライブして怒られたりしてたもんなぁ。私も頭下げに行ったっけ。

 

「さて、ファル子に会いに行かないと。疲れてたら肩でも揉んであげようっと」

 

 そんな事を呟きながら、私はファル子の居る楽屋へと歩いていく。そして楽屋の扉を開けると、そこでは椅子に座りながら満足そうに笑っている彼女が居た。

 

「お疲れ様ファル子、今日も最高のライブだったよ」

 

 私が声をかけるとファル子は私の方を向いて、先程とは違う笑みを浮かべた。

 

「えへへ、トレーナーさんにそう言ってもらえると嬉しいな。これからもファル子、もーっと頑張っちゃうよ」

 

「うんうん。これからもずっと応援していくからね。なんたって私は、ファル子のファン第一号なんだから」

 

 嬉しそうに笑うファル子を見ていると、私も彼女の為に更に頑張らないと。と気合が入る……が、そこで不意に眠気が襲ってきた。

 

「ふぁ……ぁ……」

 

「あれ? トレーナーさん、もしかしてお疲れ?」

 

「んー……最近ちょっとやることが多くて……ふぁ……ぁ……」

 

 うーん……ダメだ、ファル子のライブが無事に終わって緊張感が解けたのか、眠気が猛烈に襲ってくる……後でちょっとお休みしよう。

 

「ねぇ、トレーナーさん。私に何かできる事ってない? トレーナーさんにはいっつも助けられてるもん。私も何か力になりたいな」 

 

「ん? いやいや、大丈夫大丈夫。ファル子もライブの後で疲れてるでしょ? 今日はもう帰ってしっかり休んで……ふぁ……」

 

 気持ちは嬉しいけど、ライブが終わった後のファル子に無理をさせたくないし、早く帰ってもらって、十分お休みしてもらわないと。私も諸々を片付けてお休みしちゃおっかな。

 

「……そうだ、トレーナーさん。後でトレーナー室で待ってるから、絶対に来てね。絶対だよ」

 

「へ? え、ええと……? よくわからないけど……後で必ず行くね」

 

 ……よくわからないまま返事したけど、なんなんだろう? まさかこれからライブの復習とか言い出さないよね? 疲れを残さないためにも早く休んで欲しいけど……まぁいいや。何にしろ、付き合ってあげましょう。

 

 そうしてファル子と別れた私は後片付けを終えてからトレーナー室に向かうと、ファル子が既に待っていた。

 

「ファル子。それで、用事ってなんなの?」

 

「えへへ。トレーナーさん、今日は普段のお礼に耳かきしてあげるね。最近してないでしょ?」

 

 そう言ってファル子が私に見せてきたのは耳かきだった。あー……そう言えば最近は忙して耳かきとかぜんぜんしてなかったな。特にファル子のゲリラライブとかゲリラライブとかゲリラライブとか……。

 

「そう言えば最近はしてなかったな……うん、お願いするね」

 

「はーい。それじゃぁトレーナーさん、こっち来てね」 

 

 正座したファル子の横に腰を下ろし、そのまま彼女の膝の上に頭を置く。んー、ファル子の膝の上に頭を置けるなんて、トレーナー冥利ってやつよねぇ。ふふふ、例えどれだけファンが増えようとも。ここは譲らないんだから。

 

「ブルボンさんやスズカさんもトレーナーさんに耳かきをしてるって聞いて、色々教えてもらったんだ。えーと、まずは温かいタオルで耳を擦っていくんだね」

 

 そう言うと、ファル子は丁寧に上を向いてる方の耳をタオルでゴシゴシと擦られ始める。温かいタオルで擦られると、思わず、はぁ……と息が漏れてしまう。

 

「ほらほらトレーナーさん。気持ちいい? 耳の汚れが落ちていくよー」

 

「うん、とっても気持ち良いよ。これ。今日のお風呂上りにでも自分でもやろうかな」

 

 今までって割と雑に拭いてただけだから、今日のお風呂からはちゃんとしっかりとやってみよう。そうだ、その時に耳つぼマッサージも……って。痛い痛い痛い痛い!

 

「ファル子痛い! 痛いよー! なんでそんなに力入れてるの!?」

 

「ふーんだ。折角私がやってるのに、自分でもやれる。なんて考えてるトレーナーさんにはお仕置きだもん」

 

 私が抗議するとファル子は頬を膨らませてそっぽを向いた。ええ……その表情も可愛い……んだけど、何? 何でそこまで怒るの? よくわからないけど取り合えず謝ったら機嫌を治してくれた。よくわからなくても謝る。社会人としての必須スキルだね。 

 

「それじゃぁ改めて……って程じゃないのかな? うん、これでタオルはお終い」

 

 ファル子はそう言ってタオルを横に置いて、耳かきを手に持った。んー、前は綿棒だったけど、耳かきだと上手にできるのかな?  

 

「うーん。トレーナーさん、最近耳の中掃除してないでしょ。前にやった時より汚れてるよ」

 

「うぐっ……さ、最近はちょっと時間がなかっただけだから。普段はちゃんとしてるから」

 

 ……ごめん嘘。レースだけじゃなくてアイドル活動もしてるファル子に使う時間は多分他のウマ娘よりも多いんだと思う。でも負けないもん、ファル子の為だから。 

 

「さてさて。前は綿棒でやったけど、今回は耳かきでチャレンジだよ。まずは、手前から順番に、カリカリカリ……」

 

 カリカリカリ……ガリガリガリ……

 

 ザリザリ……ベリッ

 

 耳かきが動くと、綿棒の時とは違う、どちらかと言うと軽くてというか、軽快というか、そんな音が耳の中に響いて……あ、なんか取れた。浅い所に小さい耳垢があったみたい。 

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……トレーナーさんの耳の中をカーリカリ♪」

 

 一つ取っても耳かきは止まらず、ファル子の楽しそうな、鼻歌のような、そんなリズミカルな囁きを聞きつつ、耳かきの動きに集中する。カリカリカリ。と耳の中を掻かれて、耳垢の塊だけじゃなくて、粉上の物をティッシュの上に捨てられていく。ふぁぁ……あー……眠気がきつくなってきた……。

 

「んーと、次はこの耳垢をカリカリ……トレーナーさん、痛くない?」

 

「ん……うん……大丈夫……」

 

 ダメだぁ……これ、寝るって。ただでさえ眠い時に耳かきとファル子の膝枕とか、寝なきゃダメなぐらい眠くなるよぉ……。

 

 カリカリカリ……という耳かきの音とファル子のオノマトペが子守歌のように私を眠気に誘い……あ、ダメだ……もう……ダ……メ……。

 

「ふ~……ふ~……」

 

「うっひゃあああ!?」

 

 突然耳に刺激が走り、私は奇声を上げていた。な、なになに!? 何が起きたの!?

 

「おはようトレーナーさん、まだ片方だけだから、もう片方が終わるまでお昼寝はもうちょっと待ってね。はい、反対向いて♪」

 

「あ……う、うん……」

 

 頭の中がパニクッたまま、ファル子に促されるままに体を横に向けると……あ、ファル子のお腹が目の前だぁ……可愛いんだけど、この子、これでも腹筋バッキバキに割れてるんだよねぇ……。

 

「えへへ。それじゃぁこっちの耳かき、いっくよー」 

 

 私の混乱が収まらないうちに耳掃除が再開され、上を向いている耳が新しいタオルでゴシゴシと擦られていく……うん、落ち着こう……落ち着いて、現状をありのまま受け入れよう。それが多分一番いい行動だ。

 

 ……あー、ダメだぁ。混乱して覚めてた目がまたトロンとしてくる……もうタオルは終わったみたいだけど……耳の中……耳かき……気持ち良い……。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 ふやぁぁ……ファル子の声、それだけで気持ち良いなぁ……もう、寝よう。寝ても大丈夫……ファル子は……私の愛バは許してくれるから……グー……グー……。

 

「ふ~……ふ~……」

 

「おっひょう!?」

 

 な、なになに!? なにが起きて…………あ、そうか、息か。息かぁ……あー……心臓に悪い。最初もだけど、後の方がほぼ寝てたから余計に心臓に悪い。

 

「ねぇトレーナーさん。耳かき、気持ち良かった?」

 

 上を見上げると、ファル子が笑顔で私を見下ろしている。んー-……驚いた拍子に目が覚めたと思ったけど……まだ眠い……寝ちゃおう。このまま寝てしまおう。

 

「んん……んー……ほぼ寝てたよ……気持ち良くて……ごめんだけど、このまま寝させて……」

 

「それは良いんだけどさ。ねぇトレーナーさん、枕営業ってなんなの? 前は結局教えてくれなかったよね」 

 

 その言葉を聞いた瞬間、私の眠気は一瞬で吹き飛んだ。そのまま扉に向けて全力で逃げようとして……う、動けない! 頭と腕を抑えられ身動きが取れない! 体を起こそうとしても完全に抑え込まれてる!

 

「ファ……ファル子……私にはそれを言う事はできないの!」

 

「むー。なんでー? 友達に聞いても知らないって言うし、トレーナーさん、知ってるんだったら教えてよー」

 

 頬を膨らませてプリプリしてるファル子だが。こればかりは何がどうあっても口を割る事はできない。純情なファル子に汚い大人の言葉の意味を教えるなんて、トレーナーとして絶対に教えることはできない!

 

「い、言えないの! 絶対に言えないの!」

 

 悲痛な叫びをあげてなんとか逃げようとするが、ファル子はまったく力を緩めてくれない。だが、私は言わない。なにがどうあっても絶対に言わないからね! 私の愛バに絶対負けない!



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タキデジ

タキデジで耳かきものを書きました。この二人のCPってなんか全然見ない気がするので、もっと増えて欲しいと思う今日この頃です。

後、アグネスデジタル誕生日おめでとうございます。


「むっふふ~、今日もウマ娘ちゃん達の尊さで幸せです~」

 

 自室でそんな事を呟きながら窓の外を見つめるデジタル。彼女の頭の中にはこのトレセン学園で輝く多くのウマ娘の事が渦巻いていた。全てのウマ娘が推しであると豪語する彼女にとってこのトレセン学園で過ごす全ての日々が尊さに満ちているのだ。

 

「……やれやれ、相変わらずだねデジタル君」

 

 そんな彼女に声をかけたのは同室のタキオンであった。

 

「あ、タキオンさん。御迷惑でしたか? でしたらちょっと外に出てますので……」

 

「待ちたまえデジタル君、別に迷惑というわけではないのだ。だが、君に頼みごとをするつもりなのだが……その様子では後にした方が……」

 

「頼み事!? 言ってくださいタキオンさん! このデジタル、何でもしますよ!」

 

 タキオンの言葉に反応したデジタルは一瞬でタキオンの元に移動した。

 

「ふむ。ではお願いしようか。ではデジタル君、ベッドに座っていてくれたまえ。準備をしてくるのでね」

 

 そう言うと、タキオンが何かの準備をし始めたため、デジタルは自分のベッドに座っておとなしく待ち続ける。程なくしてタキオンがいくつかの道具を持ってデジタルの方へ振り向いた。

 

「おや? それは……もしや耳かきですか?」

 

「その通りだよ。実は最近耳かきをすることに興味があってね。恐縮だが、君にはその練習に付き合ってもらいたいのだ」

 

「なんですと!?」

 

タキオンの言葉にデジタルは驚き、反応ができなくなる。

 

「おや、私が耳かきをするのがそんなに意外かな?」

 

「いいい、いえ、そうではありません! ああ……タキオンさんの耳かき……わかりました! このデジタル、存分に練習台になりましょう!」

 

 そう言ってデジタルはベッドに横になる。それを見て苦笑するタキオンは、ベッドに座り、後ろから見下ろす形でデジタルの頭を自分の膝の上に置いた。

 

「さて、それでは早速始めようか。まずは、温めたタオルで耳を温めよう。これで君の耳を片方ずつマッサージしていく。これによって君の耳の血流を促し、発汗によって耳の汚れを浮かび上がらせる」

 

 そう言ってタキオンはタオルでデジタルの耳を片方ずつ、丁寧に揉み解していく。

 

「ふむ、この辺りが凝っているようだね。この辺りは念入りに解しておこうか。これは先程も言ったようにマッサージも兼ねているからね」

 

「あああああ……タキオンさんの手が……指がぁ……」

 

 タキオンの細い指がしっかりとデジタルの耳の凝りを揉んでいくたび、デジタルの口からなんとも表現できない声と息が漏れ出し、表情も歪んでいく。だが、タキオンはそれを気にせず、耳へのマッサージを続けていく。

 

「どうだいデジタル君? どこか痒い所はないかい?」

 

「だ、だいじょうぶれすぅぅぅぅ」

 

 デジタルの片耳にタキオンの十本の指が触れていき、凝っている部分をゆっくりと、念入りに解していく。凝りが解され、滞っていた血流が流れていき、デジタルの耳に熱が篭っていく。

 

「ふふ、気持ちよさそうだねデジタル君。いつにもまして、君の顔が蕩けてるのが良く見える」

 

「あへえええ、み、みないでくだしゃいいぃぃ」

 

 上から見下ろされているデジタルの顔は、タキオンに全て見られていた。その事に羞恥心を覚えるデジタルだが、それ以上に今の幸せを味わっている。

 

 それを見つめつつ、タキオンはマッサージを続けた。デジタルの耳を両手で包みつつ、表と裏、両方からゴシゴシと擦り、汗で浮き上がった垢をティシュで擦り落とし、マッサージを続ける。

 

「あ~……タキオンさん、そこ……掻いていただければぁ……」

 

「ここかな?」

 

「はいぃ……」

 

 時折、痒みを覚えたデジタルが訴えると、タキオンはカリカリと爪でそこを掻いていく。カリカリカリ……と、爪が動く時に聞こえる音もまた、デジタルを蕩けさせる。

 

「ふむ、良い感じに汗をかいてきたようだね、凝りもほぐれてきたし、そろそろ耳の中の掃除に移ろうか」

 

 そう言うと、タキオンは耳かきを手に取り、デジタルの耳の中をジッと見つめる。

 

「さて、中の様子は……ふむ、大きな汚れはなさそうだね。それでは早速……カリカリ……カリカリ……」

 

 オノマトペを口にしながら動くタキオンの耳かきは、まずは一番手前にある耳垢を引っ掻き始める。

 

「ほぁぁ……」

 

 繊細な、普段は自分でも触る事のない耳の中、そこに推しのウマ娘によって耳かきが差し込まれ、耳垢が掻き出されていく。その事実にデジタルはただただ口から妖しい声を上げつつ、蕩けた顔でタキオンを見つめる事しかできない。

 

(タキオンさんのお手が、私の耳を摘まんで、耳の奥をコリコリと……た、たまりません!)

 

「カリカリ……ガリガリ……ふふ、こうして耳かきをしていると、いかにして耳垢を取るのかと言うのが楽しくなってしまうね。とは言え、やりすぎれば耳を傷めるから、程々にしなくてはな」

 

 タキオンはそう言うと、器用に耳かきを動かし、まずは一つ、アグネスの固い耳垢を掻きとった。

 

「はうぁ……み、耳垢が取られるの……気持ちいいれすぅ……」

 

「その感覚はわかるよデジタル君。さぁ、それではもう一度味わうと良い」

 

 そう言ってタキオンは次の耳垢に取り掛かる。最初よりやや大きいその耳垢を、カリカリと、ガリガリと、オノマトペを呟きながら的確に少しずつ剥がしていく。そのたびにデジタルは体を震わせるが、タキオンがそれを意に介することはない。

 

「カリカリカリ……さぁ、そろそろ取れそうだよデジタル君」

 

「はいいいぃ……」

 

 タキオンの耳かきが既に半分ほど剥がれている耳垢の隙間に的確に差し込まれ、二、三回様子見で動かされたと思うと、一気に耳垢を引き剥がした。

 

「はう……ふぁ……気持ちいいれすぅ……」

 

「そうかそうか、それは良かったよデジタル君。さて、耳垢はこんなものでいいだろう。次は梵天だから、このままおとなしくしていてくれたまえ」

 

 耳垢をティッシュに捨てたタキオンは、そのまま耳かきを横に置き、梵天を手にする。その時ふと、デジタルの目に映ったのは、市販でよく見る梵天とは違う、栗毛色の梵天だった。

 

「あれ……? タキオンさん、珍しい色ですね」

 

「ああ、それはそうだろう。なにせ、市販されていない特別性だからね」

 

 特別性。その意味をアグネスが聞く前に梵天が耳の中に入ってくる。そして、アグネスは驚愕した。

 

「はわ!? なな、なんですか……これ……?」

 

 その梵天は、アグネスが思ったいる以上の滑らかさで彼女の耳の中を擦っていく。そして、これまでデジタルが味わった事のないほどの繊細で、滑らかな感触で、彼女の耳の中を動き回った。

 

「コシュコシュ……コシュコシュ……ふふふ、どうだいデジタル君? 気持ち良いかい?」

 

「あひゃ、あひゃあぁぁ、な、なんなんれしゅか、この……この梵天は……?」

 

「ああ、これは私の尻尾の毛を使って作った特製の梵天だよ。市販の物よりは良くできてると思うんだが……どう思う?」

 

「はうっ!?」

 

 推しウマ娘の尻尾で作られた梵天。その言葉にデジタルは尊死した。そして少しして蘇生した。

 

「さて、梵天での掃除もこれでお終いだ。最後に……ふ~……ふ~……」

 

「はうぁっ!?」

 

 デジタルの耳に近づき、息を吹きかけるタキオン。その表情、行動にデジタルの頭の理解力を超え、彼女は再び尊死した。そして復活した。

 

「はぅああああ……タ、タキオンさんにここまでしてもらえるなんて……ファンはお触りは禁止なのに……拒めません……」

 

「ふむ、それは重畳。さて、それでは反対側の耳もやっていこうじゃないか」

 

 そう言うと、タキオンはデジタルの反対側の耳の掃除を始める。最初と同じように、耳を念入りにマッサージし、汗や熱でふやけた耳垢をカリカリと掻きとっていく。そして、梵天でコシュコシュと耳の中を掃除する段階まで来た。

 

「はうぅ……はうぅ……私……この学園に来て、今一番幸せかもしれませんんん……」

 

「おやおや、それは良い事を聞かせてくれたねデジタル君……さて、そんな君に一つお願いがあるのだが、良いかな?」

 

「ききます……今ならなんでもききましゅぅ……」

 

「ほう、そうかい。それじゃぁ、君の中の推しの順番を、私を一番にしてもらえるかな?」

 

「……はい?」

 

 タキオンの言葉にデジタルは言葉を失う。そのまましばらく目線が宙をさ迷い、それからタキオンの顔を凝視する。

 

「あの……タキオンさん? 先程なんと?」

 

「おや、耳掃除をしたのに良く聞こえなかったのかい? 私を、君の推しウマ娘ナンバー1にしてくれないかい?」

 

 再びの言葉にデジタルは口をパクパクさせ……それから申し訳なさそうに口を開いた。

 

「あの……すみません。私、それだけはちょっと……」

 

「わかってるよデジタル君。君にとって、全てのウマ娘が推しでありナンバー1と言うものは存在しないのだったね」

 

「ははは、はい。そうです、私にとって全てのウマ娘ちゃんが推し。ですので、一番と言うのは……」

 

「でも、私達は縁があると思わないかい?」

 

「ふえ!?」

 

 タキオンは体を屈め、デジタルの顔に近づく。推しのアップになっていく顔に、デジタルは顔が赤くなり、思わず逃げようとするも、しっかりと頭を掴まれ、逃げることができない。

 

「私達は同じ部屋で、そして、同じアグネスの名を持つウマ娘だ。血縁関係はないが……それでも、どうやら私達は方向性は違っても性質は似ているように思う、そうは思わないかい?」

 

「はわわわ、そ、それは確かにちょっと思いましたが……」

 

「で、あれば。少しぐらい私を特別に思ってくれても構わないだろ? 何、別に他のウマ娘達への想いを下げるわけじゃない。ほんのちょっと……私を特別視する。それだけで十分だ」

 

「はわわ、はわわわわわ……はわー!」

 

 互いの吐息が感じられるほどに近くなった二人の顔。そして、タキオンから話される言葉にデジタルの精神は多大な負荷を与えられ……そして、限界を迎えた彼女は速やかに尊死した。

 

「……ふむ、少しやりすぎたかな」

 

 尊死したアグネスを見下ろしながらタキオンが呟く。

 

「私としてはてっきり明確に拒否されると思っての冗談のつもりだったんだが……こんな反応をされるのでは少々楽しくなってしまうじゃないか。なら……いっそ、本当に堕としてしまおうかな」

 

 尊死したデジタルを見下ろしつつ、タキオンは面白そうに呟くのだった。



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ミホライ

ミホライで耳かきを書きました。ライスシャワーが人気のあるキャラなのと、他にもCPの組み合わせが多いのとで、なんかこの二人のCPってあんまり見かけないなぁ。気のせいなら良いんだけどなぁ。なんて思っていたら書いていました。

こちらは私の企画したウマ娘耳かき小説合同への投稿作品となります。今回参加して下さった「あふぁ」さんの投稿された作品はこちらとなります。

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17620764



(ふんふんふん、今日は、何も起きずに買い物ができて良かったー。お兄さまに褒めてもらえるかな)

 

 トレセン学園の近所にある商店街をライスシャワーが軽く鼻歌を歌いながら歩いている。普段何かにつけて不幸に見舞われる彼女だが、今日は珍しい事にここまで特に不幸に襲われることなく済んでいるのだ。そんな彼女がご機嫌なまま商店街を歩いていると、ふと、見覚えのある姿を見つけた。

 

(あれ、ブルボンさん?)

 

 彼女の視線の先に居るのはミホノブルボンであった。クラシック三冠において激しい戦いを繰り広げた彼女達であるが、周りの熱気をよそに、二人は仲良しであり、親友と言っていい間柄である。

 

 そんな彼女達だが、今日のミホノブルボンは普段ライスシャワーが見ることがないほど真剣な表情でショーウィンドウを眺めている。気になったライスシャワーは声をかける事にした。

 

「ブルボンさん、こんにちは」

 

「ライスさん、こんにちは。今日はお買い物ですか?」

 

「うん。ブルボンさんもお買い物……? えっと、これって、耳かき?」

 

 ライスシャワーがショーウィンドウを覗き込むと、そこには何本かの耳かきが置かれていた。

 

「はい。マスターへの耳かき用として何か良い物がないかを探していました。ライスさんは耳かきはよくされるでしょうか? それなら、何かアドバイスを頂きたいのですが」

 

「え!? えっと……ライスはその……薬局で売ってたのをそのまま使ったから……」

 

 ミホノブルボンに聞かれ、ライスは思わず声を詰まらせてしまった。先日ライスシャワーはハルウララがトレーナーに耳かきをしたという話を聞いて、自分も自身のトレーナーに耳かきを行ったのだが、道具は手ごろに揃えられる物しか使っておらず、ミホノブルボンのように道具に拘るという発想がなかったのだ。

 

「そうですか。それでは一緒に見てみませんか? もしかしたら、ライスさんのトレーナーさんが気に入るようなものもあるかもしれません」

 

 そう言うと、ミホノブルボンは再びショーウィンドウに視線を向けた。真剣な眼差しで耳かきを見つめるミホノブルボンに、ライスシャワーは思わず尋ねる。

 

「あの、ブルボンさんはよくトレーナーさんに耳かきをするの?」

 

「よく。というほどではありません。耳かきはやりすぎれば耳の中を傷めますので。ただ、定期的にできるように心がけてはいます」

 

「そ、そうなんだ。定期的に……かぁ……」

 

 定期的にできるように心がける。という事は恐らく既に何回かしているのだろう。そう思いついたライスシャワーは、一つの決心を固めた。

 

「ブ、ブルボンさん! ライスに、耳かきを教えてくれませんか? ライス……お兄さまにもっと耳かきをしてあげたいんです」

 

 真剣な表情でブルボンに頼み込むライスシャワー。それを見たミホノブルボンは少し考え、そして答えた。

 

「わかりました。どれだけ教えられるかはわかりませんが。ライスさんのお願いなら私もできる限り応えます」

 

 ライスシャワーの願いに答えるミホノブルボン。それを聞いたライスシャワーはホッと安堵の息を漏らすが……。

 

「では、今日は私の部屋でライスさんに耳かきをしましょう」

 

「……ほぇ?」

 

 ミホノブルボンの言葉にライスシャワーは豆鉄砲を食らったかのような顔になる。それに構わずミホノブルボンはライスシャワーの手を取ると、そのままトレセン学園に向けて歩き出した。

 

「ひゃああっ!? ブ、ブルボンさん!?」

 

「百聞は一見に如かずです。私がやってる耳かきを体験していただくのが、まずは手ッとり早いと判断しました」

 

「そ、そうかもしれないけど~」

 

 困惑するライスシャワーを連れてミホノブルボンはトレセン学園に戻り、自分の部屋にライスシャワーを連れ込む。幸い同室のニシノフラワーはトレーニングで部屋を空けているので、ミホノブルボンは気兼ねなく行動できる。

 

「それでは道具を用意しますので、少し待っていてください」

 

 そう言ってミホノブルボンはライスシャワーをベッドに座らせると、道具を用意しはじめた。その様子を見ながら、ライスシャワーはただただ感心する。

 

(凄い。耳かきって色々道具を用意するんだ。わ、私も見習わないと」

 

「さて、それでは準備が整いました。ライスさん、私の膝の上に頭を置いてください」

 

「わ、わかった。えっと……これでいい?」

 

 ベッドに座ったミホノブルボンを見上げるようにライスシャワーが頭を置く。上から見下ろすミホノブルボンと視線が合い、ライスシャワーは思わず目を逸らした。

 

「ライスさん、恥ずかしいなら目を瞑っていても大丈夫ですので。それでは、開始します」

 

 ミホノブルボンはライスシャワーの片耳を指で摘まみ、軽く引っ張る。そして汚れの観察を行うと、次にお湯で温めたタオルを手に取った。

 

「まずは、タオルで全体の汚れを取りつつ、水分を含ませることによって汚れを浮き上がらせます。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 ミホノブルボンのオノマトペに合わせてタオルがライスシャワーの耳を擦っていく。温かいタオルに包み込まれ、擦られる快感に、ライスシャワーは思わず息を吐いた。

 

「はふぅ……暖かくて気持ち良い……こうして自分で体験すると、お兄さまも気持ち良かったんだって実感できるね……」

 

「それは良かったです。それでは、粗方拭き上げれたので、次は綿棒で残った汚れを掻き出していきます」

 

 タオルを外したミホノブルボンは次に綿棒を手に取る。そして、タオルで取り切れてない細かい汚れを綿棒で絡めとっていく。

 

「ザリザリ……ザリザリ……ライスさん、少し汚れが多目ですね。入念な耳のケアを推奨します」

 

「は、はぃぃ」

 

 ミホノブルボンに指摘され、ライスシャワーは顔を赤くしながらも頷く。そうしている間にも掃除は続いていく。

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 グリグリ……ガザッ……ゴゾッ……

 

 ミホノブルボンが綿棒を動かすたびにライスシャワーの耳から汚れがこそぎ落され、綿棒は黄色く汚れていく。それは当然彼女の耳がそれだけ汚れていたという証拠であり、それを目にしたライスシャワーは恥ずかしさのあまり、どんどん顔が赤くなっていく。

 

(恥ずかしい……ブルボンさんにこんな汚い耳を掃除してもらうなんて……)

 

 羞恥に悶えるライスシャワーだが、ミホノブルボンは意に介さず掃除を続ける。片手で耳を摘まみ、窪みや端っこに残っている汚れを掃除していく。

 

「ザリザリ……ザリザリ……どうですか、ライスさん。痒い所とかは大丈夫ですか?」

 

「う、うん……ライス、大丈夫だから……」

 

 ミホノブルボンの問いに答えるライスシャワー。それを確認したミホノブルボンは更に耳掃除を続け……使っている綿棒が黄色に染まりきる頃に、手を止めた。

 

「これで外側の掃除は終わりです。次は内側の掃除を行います。繊細な場所ですので、何かあればすぐに言ってください」

 

「う、うん……」

 

 綿棒を捨て、耳かきを手に取ったミホノブルボンは慎重にライスシャワーの耳の穴を広げる。そして、手前から慎重に耳かきを差し込み、動かし始めた。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……奥からやりがちになりますが、やはり手前にも耳垢は溜まっているものですから、手前から慎重に、カリカリカリ……」

 

 無理に奥に耳かきを入れず、手前から慎重に掻いていくミホノブルボン。角度の関係上奥の方は見え辛い為、体を倒してライスシャワーの頭の上に自分の頭が来るようにする。

 

(ひゃぁぁぁぁぁ、ブ、ブルボンさんの顔が頭の上にいい、息が、息がああああ)

 

 接近するミホノブルボンの顔、そして耳に感じる吐息にライスシャワーの顔は更に赤くなるが、ミホノブルボンは耳かきに集中し続ける。

 

「ふむ……見たところ、小さい耳垢と……大きいのが一つあるぐらいですね。気を付けながらやりますので……何かあったら言ってください」

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ガリッ……ガリッ……

 

「ひゃあああ!? き、聞いた事ないような音がするよぉ、ブルボンさん!」

 

「はい、少々大きめの耳垢に取り掛かっています。少しずつ剥がれてきていますので、ここは一息に取ってしまう事を提案しますが、宜しいですか?」

 

「え……えっとぉ……」

 

 聞き慣れぬ音、慣れていない耳かきの感触にライスシャワーは自然と体が硬くなる。それに気づいたミホノブルボンはライスシャワーの手をそっと握った。

 

「大丈夫です、耳垢は大きいですが、取りにくい位置にはありません。このままなら問題なく取れますから……どうか、信じてもらえませんか?」

 

 ライスシャワーの手を握り、彼女を見つめるミホノブルボン。ライスシャワーはしばらくの間悩んだが、ミホノブルボンの事を信じることにした。

 

「……あの……ブルボンさん。優しくして……ね?」

 

「了解しました」

 

 ライスシャワーの了解を取り、ミホノブルボンは耳かきを再開する。一面から掻いただけでは取るのに時間がかかると判断し、耳垢の左右や後ろから掻いていき、全体的に剥がしていく。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ガリガリ……ベリッ……ガリガリ……

 

(うう、耳の中が痛いような、気持ちい良いような……早く終わってほしいのに、もっとやってほしいよぉ……)

 

 これまで自分自身の耳かきというものをほとんど経験した事のないライスシャワーにとってまったく慣れてない感覚に、ライスシャワーは目を閉じ、無意識に体に力を込めてしまう。そんな彼女を見たミホノブルボンは、耳かきの手を止めてライスシャワーの手を握った。

 

「大丈夫です、ライスさん。耳垢は順調に取れていますから……力を抜いて……息を吸って……吐いて……」

 

 ライスシャワーに静かに、ゆっくりと語り掛けるミホノブルボン。ライスシャワーは目を閉じたまま、その言葉に従い、体の緊張を解していく。

 

「ライスさん。体に力が入った場合には耳元で囁くのも効果的です……このように……」

 

 カリカリ……ガリガリ……

 

 ガリガリ……ガリガリ……

 

(はう……はうう……ッくすぐったいよぉ)

 

 声量が落とされ、囁かれるミホノブルボンの声にライスシャワーの体から力が抜けていき……そして、一息に耳垢が剥がされた。

 

「一番大きい耳垢が取れました。後は特に取る必要もなさそうですし、簡単に粉を取っていきます。カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 耳垢を捨てた後、周囲にあった粉を全て掃除していき、そうしてミホノブルボンが耳かきをベッドの上に置いたのを見て、ライスシャワーはこれで耳かきが終わったのだと感じた。

 

「では、ローションによる保湿処置を行います。温めにしていますが、もし冷たかったら言ってください」

 

 耳かきが終わったと思っているライスシャワーの耳の中に今度は綿棒が差し込まれた。耳かきで少し荒れている耳の中に温めにローションが塗りこまれ、火照りを優しく覆っていく。

 

「はぅ……これ、ライス知らなかった……ローションって、こんなに気持ち良いんだ……」

 

「はい、耳かきや綿棒で擦られた耳の中は皮膚が荒れますので、ローションを塗るのが効果的です。ライスさんも、次回は試してみると良いと思います」

 

「うん……ライス、頑張る」

 

 次のトレーナーへの耳かきを思い浮かべ、ライスシャワーは決心を固める。そうしているうちにローションが塗り終わり、綿棒が引き抜かれた。ローションの余韻に浸り、ライスシャワーがホッと一息をついていると。

 

「では、息の吹きかけを行います。ふ~……ふ~……」

 

「ひゃうっ!?」

 

 油断したところでの息の吹きかけ。人間よりも敏感なウマ娘の耳に取ってそれは大きな刺激であり、ライスシャワーは大きな声を上げて驚いた。

 

「これで耳かきの基本的な流れはお終いです。後は人間の耳の場合にはウマ娘の耳とは違うローションを使ったケアや、耳かきの前に耳ツボマッサージを行うなどもありますので、ライスさんのトレーナーの耳の状態をみて、その辺りが必要かどうか判断すると良いと思われます」

 

「う……うん……そうする……」

 

 片耳の耳かきだけでかなりの体力を消費したライスシャワー。そして、ミホノブルボンが反対側の耳を摘まんだ事で、その小さい体が一瞬ビクッと震えた。

 

「それでは、反対側の耳の掃除を行います。ライスさんの体の力も良い感じに抜けていますので、先程よりもスムーズに終わる事が予想されます」

 

「が……頑張る……」

 

 ミホノブルボンの言葉にライスシャワーは、この気持ち良さに堪え切れる自信はまったく湧いてこなかった。

 

 

 

 数分後、もう片方の耳かきも終わったライスシャワーは息も絶え絶えとなっていた。勿論ミホノブルボンの耳かきは十二分に気持ち良いものであった。だが、普段と比べてあまりに近い彼女との物理的な距離と触れ合いが、耳というウマ娘にとってとても敏感な場所を弄られると言う行為そのものが。ライスシャワーにとって刺激が強すぎたのだ。

 

「どうでしたか? まだ未熟ですが、痛くせずに済んだと思いますが」

 

「うん……気持ち良かった……よぉ……」

 

「それは良かったです。それでは、次の耳掃除は大体2週間後を予定します」

 

「……ふぇ? また……するの?」

 

 ミホノブルボンの予想外の言葉にライスシャワーが聞き返す。

 

「はい。こう言ったものは回数をこなす事が重要です。ライスさんが今後もトレーナーさんと親密になるために耳かきをしたいのなら、継続して耳かきの経験を積むことが重要だと考えます」

 

「え……えぇと……」

 

「それに、私もライスさんとは親密になりたいと考えています。なので、ライスさんが良ければ、是非これからも耳かきをさせて頂ければと思います。」

 

「ふえええ!?」

 

 更なるミホノブルボンの予想外の言葉にライスシャワーはあたふたと慌て……そしてなんとか落ち着いてから、深呼吸をし、ミホノブルボンの顔を見ながら答える。

 

「あの……ブルボンさん。これからも宜しくお願い……します」

 

「了解しました。ライスさんの期待に応えられるよう、私も精進していきます」

 

 それから、ミホノブルボンによるライスシャワーへの耳かきは定期的に行われる事となった。これによって二人の距離は心理的にも物理的にも近くなっていったのは言うまでもない。




今回の作品と先週投稿したタキデジとでは地の文におけるウマ娘の呼び方を正式名称か略称かでわけていますが、皆さんはどちらの方が良いと思いますか?


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アグネスタキオン(地の文あり)

アグネスタキオンで地の文ありで耳かき小説を書きました。

本日は夜勤明けで普段の時間に起きられないのが確定の為この時間の投稿となりました。

改めて見直すと、タキスカにタキデジに……タキオン系統の耳かき大目に書いてますね、私。次はタキカフェを書く方が良いでしょうか?


 最初にトレーナー君の耳かきを行ってからどれだけ経ったかな。その間に私も随分と立派になったものだ。プランBも、もう必要ないのかもしれない。

 

 まぁ、そんな事は今は置いて置こう。今重要なのは、トレーナー君への耳かきだ。さてさて、今回はどのような趣向を凝らしてみようかな。

 

「さて……さてさてと。準備は万端だ。さてモルモット君。さっそく君の一部を頂くとしようか」

 

「……タキオン、その言い方どうにかならんか? なんか別の意味に聞こえそうなんだが」

 

 ふむ? 私は何か間違った事を言っているだろうか?

 

「何を言っているのかわからないな。君の体から出るものだ。君の一部で間違いないだろうに」

 

「……いや、そうなんだが……まぁいいや、もう」

 

 ふーむ。何やら諦めた様子だね。ちょっと気にはなるがまぁいいだろう。時間は有限だ、早速始めよう。

 

「さて、それでは私の膝の上に頭を置きたまえ。なんだかんだと言っても、君も楽しんでいるのだろう?」

 

「むぅ……」

 

 私の言葉にトレーナー君は微妙な顔つきになるが、それでももそもそとベッドの上に横になると、私の膝の上に頭を置いた。

 

「さて、それじゃぁ今日のモルモット君は……ふむ。今日は耳の手入れが疎かなようだね。まぁ、私はサンプルが取りやすいので構わないが、もう少し身だしなみに気を付けたほうが良いんじゃないか?」

 

「耳の穴の中まで見るような奴は普通居ないんだよ。それに、最近はタキオンにとって重要なレースが続いただろ? そっちの方が大事だ」

 

「ふむ……そう言われては私も何も言えないな。まぁ良い、それよりサンプル採取と行こうじゃないか」

 

 トレーナー君の耳の外側を、まずは指圧していく。耳のツボは多種多様、色んな効果があるが、取りあえずは血流促進、汗をかいて貰って、耳垢をふやかしていこう。同時に他のツボもちゃんと刺激していってあげないと、トレーナー君も疲れが溜まっているだろうからね。少しでも軽減させてあげようじゃないか。

 

「ふふふ。どうだい、モルモット君。気持ち良いかい?」

 

「ん……気持ち良いよ。それに、普段袖の中のお前の手が外に出てるのも新鮮な感じがする」

 

 むぅ……何やら妙な感想を抱かれてしまったようだ。そんなに私は袖の中に……入れているな。ふむ、少しは出すようにしようか? いや、そんな事は今はどうでもいいだろう。

 

「そんなことより、耳の調子はどうだい? 痛かったりしてないなら、この力加減で進めるが」

 

「ん……大丈夫だ」

 

 ふむ、問題ないようだね。私も随分慣れたものだな。こう、グッグッ……グッグッ……と。

 

「ふーむ。ふむふむ。そろそろ良いかな? あまり長時間指圧するものでもないだろうしね。さて、それでは耳かきの登場だ。

 

「中は……外と同じ感じか。それでは早速始めようか。体の力を抜いて、私に全てを任せるんだぞモルモット君」

 

 そう言ってトレーナー君の頭をポンポンと叩いてみると、目を閉じて体の力を抜いてくれた。ふふ、素直なモルモット君は嫌いじゃないよ。

 

「さてと。それではお待ちかねの耳かきだ。ふーむ、中々取り甲斐がありそうじゃないか」

 

 どうも、トレーナー君は耳垢ができやすい体質なのかもしれないねぇ。そっちのほうがやりがいがあるというものだけどね。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……ちょっと湿っている耳垢をカリカリカリと。ふーむ、表面は湿っているが、芯は硬いままのようだ。とは言えしつこい物ではなさそうだな」

 

 こうして何回も掻いていると、徐々に耳垢が剥がれていっている。耳垢そのものは小さいし、力を入れればそこまで苦労するものではないのだが、何分耳垢を剥がすというのは個人的にはカサブタを取るのに似ていると思っている。つまり変に力を入れれば痛みを与えるだけでなく、下手をすれば耳の中を傷つける恐れもある。気を付けないといけないね。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……ふふふ、どうしたんだいモルモット君? そんなに気持ち良さそうな顔をして、そんなに心地良いのかい?」

 

「あー……んー……ああ、そうだよ。正直……凄い安らぐよ。お前がこんなことをしてくれるほど信用してくれてるって感じがしてな」

 

「……ふふ、なんだいそれは。まったく、君というのは……まったく」

 

 まったく、天然ジゴロじゃあるまいし、そんな事を言われてホイホイと気を良くすると思っているのかい? その通りだけど、言ってはあげないでおこう。

 

「それでは耳かきを継続しよう。まだ汚れはあるからね」

 

 気を取り直して再び耳かきを行っていく。ふーむ、割と簡単に取れる物から取っていっていたら随分早く終わりそうだ。少々つまらないが……さて、どうしたものか。ああ、そうだ。折角だしあれを使ってあげよう。

 

「どうやら目ぼしいのは大体取れたかな。モルモット君的にはさて、朗報かな? 悲報かな?」

 

「……ノーコメントという事で……」

 

 それはもう答えてるようなものではないのかね? まぁまぁ、モルモット君がシャイなのは別に構わない。

 

「さて、それでは保湿用ローション……を塗る前に梵天で掃除をしなければいけないね。動くんじゃないぞ」

 

 そう言って私は梵天をモルモット君の耳の中に差し込む……おやぁ? 目を見開いたね、トレーナー君。

 

「ほぉぉ……タ、タキオン……? なんだこの梵天……いったい何を開発したんだ……?」

 

 ふふふ。これは良い表情だ。こんな恍惚に陥るとは……この梵天を用意した甲斐があるというものだ。

 

「別に開発と言うほどではないさモルモット君。そうだねぇ……強いて言うのであれば、私の尻尾の毛を使ってるぐらいしか心当たりはないかな」

 

 そう答えてやると、モルモット君はこれでもかと目を見開き、そして顔をこちらに向けようとしたので強引に押さえつける。

 

「こらこらモルモット君。耳の中に梵天が入ったままで頭を動かすなんて自殺行為だよ」

 

「いや……え? 尻尾の毛……?」

 

「おや、そんなに驚く事かな? 身近な素材で市販品より効果の高い物を作れるんだ。使わない手はないだろう? まぁ、手入れには相応の手間暇と時間と費用がかかってしまったがね」

 

 そう言って梵天を動かしてあげると。ふふふ、また顔が蕩けてしまっているじゃないか、トレーナー君。

 

「手間も時間も費用も掛かったけど、その甲斐はあったようだねモルモット君。さぁ、もっと蕩けてみたらどうだい?」

 

「やめ……ちょ、くすぐった過ぎて……や、やめてくれぇ……」

 

 コッシュコッシュと梵天を動かしていると、トレーナー君は面白いほどに顔を赤くしていく。ふふ、何やらゾクゾクしてきそうだが……この辺りにしておこうか。

 

「まぁ、もう片方が残っているし、この辺にしてあげよう。それではこのまま……ふ~……ふ~……」

 

「ぬお……ッ……タキオン、ヤバすぎるって……」

 

 息を吹きかけたら、トレーナー君の顔が更に赤くなる。ふふ、梵天で敏感になったところに息の吹きかけは効果が十分にあるようだね。

 

「ああ、そんな顔をされるとこちらがゾクゾクしてしまいそうだよモルモット君……とは言え、本題はこれではないのだから、この辺りにして、後はローションを塗ったら反対側を掃除しなければならないな」

 

 続けたいという気持ちを抑え、私はトレーナー君の耳の中に保湿用のローションを塗っていく。

 

 ヌリヌリ……ペチャペチャ……

 

 ヌチュ……グチュグチュ……

 

「ん……これ、やっぱ慣れないな。これ、やっぱり必要なのか?」

 

「ふむ。どうしても嫌だというのなら次からはやめてもいいが……耳の中が荒れたままという事は耳垢が余計に発生したり、他にも良い影響が出る事はないだろうねぇ。それでも構わないのかい?」

 

「……やっぱりお願いします」

 

 トレーナー君の陳情に私が懇切丁寧に説明してあげると彼もおとなしく承諾してくれたようだ。私としても彼の耳をいたずらに傷めたくはないからね。さて、そろそろ塗るのはこの辺にしておこう。

 

「さて、それではそろそろ反対側をしておこうじゃないか、モルモット君」

 

 そう告げてからトレーナー君をころんとひっくり返す。さぁ、反対側の掃除を始めよう。

 

「なぁ、タキオン。この体勢はちょっとどうかと……」

 

「んー? 別に構わないのではないか? 前は君に体を入れ替えてもらってたが、こちらのほうが早いわけだし、別に服をめくってお腹を凝視されてるわけでもないのだから、私は気にしないぞ」

 

 まったく、トレーナー君は妙な事を気にするものだ。確かにへそが出てるような服装なら私も恥ずかしいが、普段から目にしてる白衣なのだぞ。

 

「さぁさぁ、それより掃除の続きだ。おとなしくしてくれたまえよ、モルモット君」

 

 気を取り直し、トレーナー君の耳かきを再開する。まずは、耳ツボを指圧して、事前準備をしていって……。

 

「グッグッ……ギューッ……ギューッ……」

 

「ふぅ……」

 

 耳ツボの指圧が終わったら、外側の粉を搔き集めてティッシュに捨てて、人目に付く部分をしっかりと綺麗にしていって……。

 

「ゴシゴシ……ゴシゴシ……ふぅ、粉だけでも存外取れるものだね、モルモット君」

 

「改めて言われるとその……恥ずかしいんだが……」

 

 外側の掃除が終わったら次は中。んー……こちらは取り甲斐のある耳垢は無さそうだ。やれやれ、楽しみを先にやってしまったようだね。

 

「カリカリ……ガリガリ……ゴゾッ……ズズ……オノマトペに反応するようになったという事は、もうこれがないと満足できそうにないね? そうだろう?」

 

「ノーコメント、ノーコメントで頼む」

 

 掃除が終わったら、次は梵天で細かい粉や欠片を搔き集めて……

 

「くっふふ、そんなに私の尻尾の毛で作った梵天は気持ちいいかい? 耳垢を取っている時より余程気持ちよさそうじゃないか……これなら、作った甲斐があるというものだよ」

 

「やめてくれええ……言わないでくれえええ……」

 

 梵天が終わった後の敏感な耳の中を息を吹きかけていって……

 

「ふ~……ふ~……おいおい、身悶えしすぎじゃないかい? 流石にちょっと私も驚きを隠せないよモルモット君」

 

「……何も言い返せないから、本当、もう勘弁してくれ……」

 

 そして最後にローションで保湿をしていって……。

 

「ペチャペチャ……ヌリヌリ……さて、これで耳掃除はお終いだ。いやぁ、普段のモルモット君からは想像できない身悶えを見せてもらったよ」

 

「イワナイデ……イワナイデ……」

 

 ふーむ、少しやりすぎてしまったかな? 仕方ないなトレーナー君は。

 

「ふぅ……これぐらいの事を気にするんじゃないよモルモット君。私としては信頼している君のこういう姿を見れて面白いぐらいさ。さぁ……後はお昼寝だけだから、これで少しでも普段の疲れを取ると良い」

 

「……この状態で寝ろってけっこうキツイんだぞタキオン。できればすぐにでも逃げたいのに」

 

「ふーむ。それは困ったね、そんなに私の膝枕は嫌いかい? それじゃぁ、耳かきもやめた方が……」

 

「……寝かせて頂きます」

 

 やれやれ、変な意地を張らずに最初から素直に寝てくれればいいものを……トレーナー君の頭を撫でながら子守歌を歌っているうちに少しずつ寝入っていき、今は寝息を立てているトレーナー君を見下ろしながら、私はため息をつく。

 

「ふぅ……まったく、これなら素直に耳かきをしてあげたいから。と言った方が良いのかね? 言うつもりなかったのだが……どっちのほうがいいかい? トレーナー君」



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アグネスタキオン(地の文あり、男トレーナー視点)

アグネスタキオンの耳かき、男トレーナー視点で書きました。今更だけど、タキモルタグあるほうが良いのかなぁ? と思う今日この頃。

そしてさらに今更だけど、私の作品のタキオン、誰も光らせたことないな。


 初めてタキオンに耳かきをしてもらってからけっこうな時間が経過した。あの頃はタキオンは自分が走れなくなった時の事を考えてのプランBなんてものを考えていたらしいが、もうそんなものも必要ないだろう。彼女はそれだけの実績を示したのだ。

 

 それはそれで良い、良いんだが……タキオンに何かにつけて実験だのなんだのを付き合うことになるのは正直手加減して欲しい。そしてこれから行われるのはある意味では一番やめて欲しい……けど、一番やめて欲しくない事である。それは……。

 

「さて……さてさてと。準備は万端だ。さてモルモット君。さっそく君の一部を頂くとしようか」

 

 俺の目の前でタキオンが嬉しそうに道具を手にして俺を見ている。いや、言い方ぁ!

 

「……タキオン、その言い方どうにかならんか? なんか別の意味に聞こえそうなんだが」

 

 俺がツッコミを入れると彼女は非常に不思議そうに首を傾げてきた。いや、言いたいことわかるだろ? わかってくれよ。

 

「何を言っているのかわからないな。君の体から出るものだ。君の一部で間違いないだろうに」

 

「……いや、そうなんだが……まぁいいや、もう」

 

 ここで反論を重ねてもどうにもならない。だからもうここは諦めよう。時間の無駄だ。

 

「さて、それでは私の膝の上に頭を置きたまえ。なんだかんだと言っても、君も楽しんでいるのだろう?」

 

「むぅ……」

 

 その言葉に反論できず、俺は不本意ながらももそもそとタキオンの隣に座り、そのまま彼女の膝の上に頭を乗せて膝枕の状態にする。あー……うん、この弾力、良いなあ……。

 

 そんな満足感を感じていると、耳が摘ままれ、タキオンの息遣いが聞こえてくる。

 

「さて、それじゃぁ今日のモルモット君は……ふむ。今日は耳の手入れが疎かなようだね。まぁ、私はサンプルが取りやすいので構わないが、もう少し身だしなみに気を付けたほうが良いんじゃないか?」

 

「耳の穴の中まで見るような奴は普通居ないんだよ。それに、最近はタキオンにとって重要なレースが続いただろ? そっちの方が大事だ」

 

実際、最近はGIレースへの出走が相次いだため、俺としてもそちらに意識を集中させる日々を過ごしていた。新人トレーナーの俺にとってはこんな時には耳の穴の中がどうとか考えてる余裕もなかったんだ。タキオンの為だから苦ではなかったけどな。

 

「ふむ……そう言われては私も何も言えないな。まぁ良い、それよりサンプル採取と行こうじゃないか」

 

 そう言うとタキオンは耳を摘まんできて……そのままツボの場所をギューッと指圧してきた。普段は全然目にすることのないタキオンの指が、今は俺の耳を包み、揉み解してくれている。揉まれ、指圧されるたび、耳が全体的に熱を帯びていくのがよくわかる。

 

「ふふふ。どうだい、モルモット君。気持ち良いかい?」

 

「ん……気持ち良いよ。それに、普段袖の中のお前の手が外に出てるのも新鮮な感じがする」

 

 そんな感想を返しながら横目でタキオンを見上げると……なんか微妙な顔をされた。いやだって、珍しいだろ? お前、白衣の時は大抵袖の中に手が隠れてるんだから。

 

「そんなことより、耳の調子はどうだい? 痛かったりしてないなら、この力加減で進めるが」

 

「ん……大丈夫だ」

 

 ちょうどよい力の入れ具合に不満があるわけもなく。俺は問題ない事を伝えた。すると、タキオンの指の動きが僅かに早くなり、程なくして耳は十分な程に熱を帯び始める。

 

「ふーむ。ふむふむ。そろそろ良いかな? あまり長時間指圧するものでもないだろうしね。さて、それでは耳かきの登場だ」

 

 そう言って彼女は楽しそうに耳かきを取り出す。

 

「中は……外と同じ感じか。それでは早速始めようか。体の力を抜いて、私に全てを任せるんだぞモルモット君」

 

 そんな事を言って俺の頭をポンポンと叩かれたので、取り合えず目を閉じて体の力を抜いていく。

 

「さてと。それではお待ちかねの耳かきだ。ふーむ、中々取り甲斐がありそうじゃないか」

 

 そんなどこか呆れたような、そうでないような、判断し辛い声音で囁かれたと思うと、耳かきが耳の中に入ってきて、そして浅い所から掻き始める。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……ちょっと湿っている耳垢をカリカリカリと。ふーむ、表面は湿っているが、芯は硬いままのようだ。とは言えしつこい物ではなさそうだな」

 

 耳かきで浅い所を掻かれていると、タキオンがそんな事を呟いてきた。そのまま耳かきが動き続け……はぁ……耳の中が気持ち良くて……思わず力が抜けていく。この慣れない感覚に病みつきになりそうだ。それに、あのタキオンがこうして膝枕をしてくれてる程に信用してくれてるというのがとても嬉しい。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……ふふふ、どうしたんだいモルモット君? そんなに気持ち良さそうな顔をして、そんなに心地良いのかい?」

 

「あー……んー……ああ、そうだよ。正直……凄い安らぐよ。お前がこんなことをしてくれるほど信用してくれてるって感じがしてな」

 

「……ふふ、なんだいそれは。まったく、君というのは……まったく」

 

 ……何だこの反応? え? 俺、なんか変な事言ったか? なんかタキオンの地雷踏んだか? それとも年頃の女の子の地雷踏んだか? わからん。

 

「それでは耳かきを継続しよう。まだ汚れはあるからね」

 

 俺の困惑をよそに耳かきが再開される。カリカリカリと耳の中を掻かれていき、粉や小さい垢が掻き出されていくと、程なくして終わったようで、耳かきが引き抜かれた。

 

「どうやら目ぼしいのは大体取れたかな。モルモット君的にはさて、朗報かな? 悲報かな?」

 

「……ノーコメントという事で……」

 

 いやぁ……流石にな? 率直にそう言うのを言ってしまうと……な? 俺にもなけなしのプライドって言うものもあるし。

 

「さて、それでは保湿用ローション……を塗る前に梵天で掃除をしなければいけないね。動くんじゃないぞ」

 

 そんな俺の心情をよそにタキオンが耳に梵天を……お……? おおおお!?

 

「ほぉぉ……タ、タキオン……? なんだこの梵天……いったい何を開発したんだ……?」

 

 柔らかい。市販の梵天よりも柔らかく、滑らかで、耳かきで擦られてちょっと痛かったり過敏になってたりする耳の中を滑らかな毛先が撫でてくれる。ヤバイ……これ、マジで癖になるタイプのだ……タキオン、いったい何を作ったんだ……?

 

「別に開発と言うほどではないさモルモット君。そうだねぇ……強いて言うのであれば、私の尻尾の毛を使ってるぐらいしか心当たりはないかな」

 

 は? ……タキオンの尻尾の毛? それを聞いた俺は思わず彼女に顔を向けようとしたが……思い切り頭を抑え込まれた。痛い痛い痛い痛い。

 

「こらこらモルモット君。耳の中に梵天が入ったままで頭を動かすなんて自殺行為だよ」

 

「いや……え? 尻尾の毛……?」

 

 は? ウマ娘にとって尻尾って大事な部分だろ? それの尻尾の毛? え? タキオンって色々とズレてる部分はあるけど、それでも……え?

 

「おや、そんなに驚く事かな? 身近な素材で市販品より効果の高い物を作れるんだ。使わない手はないだろう? まぁ、手入れには相応の手間暇と時間と費用がかかってしまったがね」

 

 そんな事を言いながらタキオンに梵天を動かされ……ぬああああ、気持ちいい……。

 

「手間も時間も費用も掛かったけど、その甲斐はあったようだねモルモット君。さぁ、もっと蕩けてみたらどうだい?」

 

「やめ……ちょ、くすぐった過ぎて……や、やめてくれぇ……」

 

 ダメだ、これ以上やられたら本当にダメになる。でも逃げれない。タキオンに頭を抑えられてて逃げれない……。

 

「まぁ、もう片方が残っているし、この辺にしてあげよう。それではこのまま……ふ~……ふ~……」

 

「ぬお……ッ……タキオン、ヤバすぎるって……」

 

 梵天で優しく撫でられていった耳の中にタキオンに息が吹きかけられる。背筋が、背筋がゾクゾクしてしまう……。

 

「ああ、そんな顔をされるとこちらがゾクゾクしてしまいそうだよモルモット君……とは言え、本題はこれではないのだから、この辺りにして、後はローションを塗ったら反対側を掃除しなければならないな」

 

 ヌリヌリ……ペチャペチャ……

 

 ヌチュ……グチュグチュ……

 

 最後にローションが耳の中に塗られていって、息や梵天の余韻がローションによって文字通り塗り潰されていく。

 

「ん……これ、やっぱ慣れないな。これ、やっぱり必要なのか?」

 

「ふむ。どうしても嫌だというのなら次からはやめてもいいが……耳の中が荒れたままという事は耳垢が余計に発生したり、他にも良い影響が出る事はないだろうねぇ。それでも構わないのかい?」

 

「……やっぱりお願いします」

 

 わざわざ掃除してもらってるのに、余計な耳垢が出る状態のままと言うのも困るし、やり切ってもらうほうが良いんだと思う……けど、慣れないなぁ、これ。

 

「さて、それではそろそろ反対側をしておこうじゃないか、モルモット君」

 

 ローションを塗り終えた後、体の下に手が差し込まれたと思うと、あっさりと引っくりかえされて、タキオンの腹の方を向く形になった。いや……あのなぁ、この体勢はヤバイと思うんだよ。

 

「なぁ、タキオン。この体勢はちょっとどうかと……」

 

「んー? 別に構わないのではないか? 前は君に体を入れ替えてもらってたが、こちらのほうが早いわけだし、別に服をめくってお腹を凝視されてるわけでもないのだから、私は気にしないぞ」

 

 いや、お前はそう言うとは思ったけど、やっぱりこの体勢は良くないと思うんだよ。誰かに見られたら何を思われるか。

 

「さぁさぁ、それより掃除の続きだ。おとなしくしてくれたまえよ、モルモット君」

 

 俺の心配をよそに耳かきが始められる。あー……諦めるしかないのかぁ……。

 

「グッグッ……ギューッ……ギューッ……」

 

「ふぅ……」

 

 諦めて力を抜いている俺の耳の外側を、タキオンの指でマッサージが行われ、指圧でツボをギュッギュッと指圧されていき……。

 

「ゴシゴシ……ゴシゴシ……ふぅ、粉だけでも存外取れるものだね、モルモット君」

 

「改めて言われるとその……恥ずかしいんだが……」

 

 外側の粉が搔き集められ、ティッシュに集められていき、纏めて捨てられる。改めて見ると、本当に外側だけでも汚れが目立つぐらい溜まってるんだな。

 

「カリカリ……ガリガリ……ゴゾッ……ズズ……オノマトペに反応するようになったという事は、もうこれがないと満足できそうにないね? そうだろう?」

 

「ノーコメント、ノーコメントで頼む」

 

 いや、うん。そうなんだよ、タキオンに耳かきをしてもらうようになってから、自分で耳かきしても物足りないし、前に試しに耳かき屋に行ってみたけど、自分でやるよりはマシでもタキオンにやってもらうより物足りない……やばいよなぁ、愛バに耳かきをしてもらわないと物足りないって。

 

 掃除が終わったら、次は梵天で細かい粉や欠片を搔き集められて……

 

「くっふふ、そんなに私の尻尾の毛で作った梵天は気持ちいいかい? 耳垢を取っている時より余程気持ちよさそうじゃないか……これなら、作った甲斐があるというものだよ」

 

「やめてくれええ……言わないでくれえええ……」

 

 ヤバイヤバイ。堕とされる、このままじゃ耳かきで堕とされる。いや、タキオンは俺の愛バだからアイツの為にできる限りをするつもりだけど、堕とされるのは違うと思うんだよ。

 

「ふ~……ふ~……おいおい、身悶えしすぎじゃないかい? 流石にちょっと私も驚きを隠せないよモルモット君」

 

「……何も言い返せないから、本当、もう勘弁してくれ……」

 

 仕方ないだろう。タキオンの毛で作られた梵天の後の息吹きかけだぞ。悶えないと思っているのか? 無理だぞ。絶対無理だぞ。他のトレーナーだって同じことされたら身悶えするぞ。

 

「ペチャペチャ……ヌリヌリ……さて、これで耳掃除はお終いだ。いやぁ、普段のモルモット君からは想像できない身悶えを見せてもらったよ」

 

「イワナイデ……イワナイデ……」

 

 自分より年下の女の子にそこまで言われると、もはや羞恥心で逃げたくなる。ヤメテ……ホントウニヤメテ……。

 

「ふぅ……これぐらいの事を気にするんじゃないよモルモット君。私としては信頼している君のこういう姿を見れて面白いぐらいさ。さぁ……後はお昼寝だけだから、これで少しでも普段の疲れを取ると良い」

 

 ……えーと、この状態で寝ろと? 耳かきの眠気とか完全に覚めてるんだけど。寝るのキツイんだけど。

 

「……この状態で寝ろってけっこうキツイんだぞタキオン。できればすぐにでも逃げたいのに」

 

「ふーむ。それは困ったね、そんなに私の膝枕は嫌いかい? それじゃぁ、耳かきもやめた方が……」

 

「……寝かせて頂きます」

 

 タキオンからの耳かきが無くなるのは嫌なので、なんとか寝るようにしよう……と思っていたら、タキオンに頭を撫でられながら子守歌を聞かされていって……あ、なんか本当に眠気が来た……。



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アグネスタキオン(地の文あり、女トレーナー視点)

以前に続き、夜勤終わりに付き、普段の時間に投稿できないためこの時間に投稿します。

タキモルタグは女性トレーナーの方が多いイメージを持っています。後、好きな絵描きさんがメインでタキモル♀を描いてたりもしてるので、個人的に書いて楽しいい作品になりました。


初めてタキオンに耳かきをしてもらってからけっこう時間が経ったなぁ。あの頃はタキオンは自分が走れなくなった時の事を考えてのプランBなんてものを考えてたって言ってたけど、もうそんなものも必要ないでしょ常識で考えて。あの子はGIレースを複数勝利した最強レベルのウマ娘なんだから。

 

 それは良いのよ、それはね……でもね、彼女の実験に付き合わされて、何かにつけて発光するようになったのとか、本当に勘弁にしてほしいのよ……でも、愛バの頼みはできるだけ叶えたいし、それにこれから行われるのは、まだ大丈夫……まだ大丈夫だから……。

 

「さて……さてさてと。準備は万端だ。さてモルモット君。さっそく君の一部を頂くとしようか」

 

 私の目の前でタキオンが嬉しそうに道具を手にしてこちらを見ている。だから、その言い方。

 

「……タキオン、その言い方やめて欲しいんだけど? なんか別の意味に聞こえそうで嫌なんだって」

 

私のツッコミにタキオンは不思議そうに首を傾げる。え、もしかしてわからないの? わかってよ、お願いだから。

 

「何を言っているのかわからないな。君の体から出るものだ。君の一部で間違いないだろうに」

 

「……いや、そうなんだけど……まぁいいや、もう」

 

 なんだか、これ以上詳しく説明するのもアホらしくなってきたので今日は諦めることにした。

 

「さて、それでは私の膝の上に頭を置きたまえ。なんだかんだと言っても、君も楽しんでいるのだろう?」

 

「う……それはその……」

 

 割と図星を突かれてしまい、私は言葉に困り……結局そのまま何も言わずにタキオンの膝枕に頭を置いた。あーん、タキオンの膝枕って、なんでこう寝心地が良いんだろう。こんなんだから逃げられないのに。

 

 そんな事を思っていると、耳が摘ままれ、軽く引っ張られたと思ったら、彼女の息遣いが聞こえてきた。

 

「さて、それじゃぁ今日のモルモット君は……ふむ。今日は耳の手入れが疎かなようだね。まぁ、私はサンプルが取りやすいので構わないが、もう少し身だしなみに気を付けたほうが良いんじゃないか?」

 

「いやぁ……耳の穴の中って別に見られる場所じゃないよ? それに……最近タキオンのレース関連で忙しかったじゃん? 正直、最低限の身だしなみぐらいでなんとかしてたんだから、普段から汚いわけじゃないのよ」

 

「ふむ……そう言われては私も何も言えないな。まぁ良い、それよりサンプル採取と行こうじゃないか」

 

そう言って、彼女は片手で耳を摘まんだまま、もう片方の手でツボの場所をギューッ……ギューッ……と指圧してきた。んー、指圧されて気持ち良くて暖かくて……なんだけど、それ以上に久しぶりにタキオンの手が袖から出てるんだなぁ。って言う事実に新鮮味を感じている。この子、普段本当に袖から手が出てないんだもん。

 

「ふふふ。どうだい、モルモット君。気持ち良いかい?」

 

「ん……すっごい気持ち良いよ。それに、普段袖の中のタキオンの手が外に出てるのも、なんだかとっても新鮮な感じがする」

 

 そんな言葉を返しながらタキオンの方を横目で見上げると……え、なんでそんな微妙な顔? 私何もおかしい事言ってないよ? 言ってないよね?

 

「そんなことより、耳の調子はどうだい? 痛かったりしてないなら、この力加減で進めるが」

 

「ん……痛くないよ。だからこれぐらいでお願い」

 

 タキオンの力加減は私にとってちょうどよくて、私はとくに問題がないと伝える。そうすると、タキオンの指の動きが少し早くなって、ちょっとする頃には私の耳は十分に熱くなっていた。

 

「ふーむ。ふむふむ。そろそろ良いかな? あまり長時間指圧するものでもないだろうしね。さて、それでは耳かきの登場だ」

 

 そう言ってタキオンの息遣いが離れていき、横目で耳かきを手にしてこちらを覗き込んでるのを確認できた。

 

「中は……外と同じ感じか。それでは早速始めようか。体の力を抜いて、私に全てを任せるんだぞモルモット君」

 

 私の頭をポンポンと叩きながらそんな事を言われる。あのー……私の方が年上なんだけど、忘れてません? まぁいいや、今更だし。そう思って、私は目を閉じて体の力を抜いて、タキオンに身を任せる。

 

「さてと。それではお待ちかねの耳かきだ。ふーむ、中々取り甲斐がありそうじゃないか」

 

 そんなどこか呆れたような、そうでないような、ちょっと判断に困る声でそんなことを呟かれたと思うと、耳の中に固い物が入ってきて、そのまま入口すぐの所からカリカリカリ……と掻かれ始める。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……ちょっと湿っている耳垢をカリカリカリと。ふーむ、表面は湿っているが、芯は硬いままのようだ。とは言えしつこい物ではなさそうだな」

 

 まぁ、そりゃね? 指圧で多少の汗はかいたけど、流石に奥まで浸透してないと思うよ。あー……でも、耳かきされるのが気持ち良いから、ちょっとぐらいは耳かきが長引いてくれる方が嬉しいかも。んー、タキオンの膝枕で横に慣れるのも嬉しいなぁ。耳かきじゃなかったら、うつ伏せになってもいいかも。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……ふふふ、どうしたんだいモルモット君? そんなに気持ち良さそうな顔をして、そんなに心地良いのかい?」

 

「んー……んー……うん、そうだよ。正直言って……凄い安らぐ。タキオンがこんなことをしてくれるほど信用してくれてるって思えて、とても気持ち良いよ」

 

「……ふふ、なんだいそれは。まったく、君というのは……まったく」

 

 ……えーと? どういう反応なのこれ? 良いのか悪いのか、ちょっと判断に困るんだけど。変な事言ったつもりないけどなぁ。

 

「それでは耳かきを継続しよう。まだ汚れはあるからね」

 

 私が頭にハテナマークを浮かべている間に耳かきが再開される。カリカリって、カリカリって耳かきに掻き続けられ、細かい汚れがティッシュの上に捨てられていって……あれ、もう耳かき置いちゃった。

 

「どうやら目ぼしいのは大体取れたかな。モルモット君的にはさて、朗報かな? 悲報かな?」

 

「……ノーコメントという事で……お願いします」

 

 んー……流石に……ねぇ? いくら同性とは言え、そこそこ年が離れてる年下の子にそう言う事を言うのも……ね? 私も大人だし。

 

「さて、それでは保湿用ローション……を塗る前に梵天で掃除をしなければいけないね。動くんじゃないぞ」

 

 そんな私のちっぽけなプライドなんて気にもされず、タキオンが梵天を耳の中に……あぇ……? な、なにこれぇぇぇ。

 

「ほぁぁ……タ、タキオン……? この梵天何……いったい何を開発したの……?」

 

 ふさふさして、滑らかで……あうう、私の肌にピッタリ合ってるよぉ、この梵天。こんな梵天初めて……私、癖になっちゃうよ、こんなの……。

 

「別に開発と言うほどではないさモルモット君。そうだねぇ……強いて言うのであれば、私の尻尾の毛を使ってるぐらいしか心当たりはないかな」

 

 ほえ? ……タキオンの尻尾の毛? それを聞いた私は思わず彼女に顔を向けようとしたが……思い切り頭を抑え込まれた。痛い痛い痛い痛い! あ、頭! 頭が痛いです!

 

「こらこらモルモット君。耳の中に梵天が入ったままで頭を動かすなんて自殺行為だよ」

 

「ちょ……ま……? え? 尻尾の……毛……?」

 

 尻尾って……ウマ娘にとってとっても大事な部分だよね? その尻尾の毛を使った梵天? な、なんで? なんでそんな大事な部分の毛を使って梵天作ってるの!?

 

「おや、そんなに驚く事かな? 身近な素材で市販品より効果の高い物を作れるんだ。使わない手はないだろう? まぁ、手入れには相応の手間暇と時間と費用がかかってしまったがね」

 

 平然とした様子でそんな事を言いながら、タキオンが再び梵天を動かして……はわぁ……力が抜けていっちゃう……。

 

「手間も時間も費用も掛かったけど、その甲斐はあったようだねモルモット君。さぁ、もっと蕩けてみたらどうだい?」

 

「やめ……ちょ、くすぐった過ぎて……や、やめてぇ……癖になっちゃうよぉ……」

 

 これ以上、これ以上この梵天を味わってたら本当にダメになっちゃう。でも、逃げれない。振り切って逃げようとしてもタキオンに抑え込まれてて逃げれない。

 

「まぁ、もう片方が残っているし、この辺にしてあげよう。それではこのまま……ふ~……ふ~……」

 

「ひゃう……ッ……タキオン、それ、本気でヤバイ……」

 

 梵天で優しく癒された耳の中を、タキオンの吹きかけた息が通って……あうう、背筋、背筋がゾクーッてしちゃう。

 

「ああ、そんな顔をされるとこちらがゾクゾクしてしまいそうだよモルモット君……とは言え、本題はこれではないのだから、この辺りにして、後はローションを塗ったら反対側を掃除しなければならないな」

 

 ヌリヌリ……ペチャペチャ……

 

 ヌチュ……グチュグチュ……

 

 息が吹きかけられ、最後にローションが耳の中に丹念に塗られていく。んーこれは……余韻が全部潰されちゃった。

 

「ん……これ、やっぱ慣れそうにないかなぁ。これ、やっぱり必要なの? なくてもよくない?」

 

「ふむ。どうしても嫌だというのなら次からはやめてもいいが……耳の中が荒れたままという事は耳垢が余計に発生したり、他にも良い影響が出る事はないだろうねぇ。それでも構わないのかい?」

 

「……やっぱりお願いします」

 

 荒れたらまた掃除して欲しい……なんて思うけど、私の我儘でタキオンを困らせるのも悪いし。タキオンの我儘で困らされるのはこの際置いといて。

 

「さて、それではそろそろ反対側をしておこうじゃないか、モルモット君」

 

 ローションの余韻にちょっと微妙な気分になってる間に体の下に手が入ってきたと思うと、そのままコロンと引っ繰り返され、タキオンのお腹が視界に広がる。うーん、ウマ娘の方が筋力高いのはわかるけど、なんかもにょる。

 

「ねぇ、タキオン。私が体を入れ替えるんじゃだめだったの? ちょっとこの体勢はどーかと思うのよ」

 

「んー? 別に構わないのではないか? 前は君に体を入れ替えてもらってたが、こちらのほうが早いわけだし、別に服をめくってお腹を凝視されてるわけでもないのだから、私は気にしないぞ」

 

 いやいや、君はそりゃ気にしないじゃん? そう言う発想がなさそうだし。でも、世間的にはどうかと思うのよ。

 

「さぁさぁ、それより掃除の続きだ。おとなしくしてくれたまえよ、モルモット君」

 

 ああ、私の心配をよそに耳かきは進められていく。うん、今日はもう諦めよう。多分聞いてくれないわこれ。

 

「グッグッ……ギューッ……ギューッ……」

 

「はふぅ……」

 

 全て諦めた私の耳の外側を彼女の指が耳のマッサージでツボをギューッ、ギューッて指圧されていって……。

 

「ゴシゴシ……ゴシゴシ……ふぅ、粉だけでも存外取れるものだね、モルモット君」

 

「改めて言われるとその……恥ずかしいからやめて欲しいなぁ……」

 

 外側の粉が搔き集められ、ティッシュに集められていき、纏めて捨てられる。改めて見ると、本当に外側だけでも汚れが目立つぐらい溜まってるのかなぁ。自分の耳は見れないからなぁ。

 

「カリカリ……ガリガリ……ゴゾッ……ズズ……オノマトペに反応するようになったという事は、もうこれがないと満足できそうにないね? そうだろう?」

 

「言わないでくださいやめてくださいお願いします」

 

 仕方ないじゃん。可愛い可愛い愛バの膝枕の耳かきなんだよ? 普通の耳かきで満足できなくなっても仕方ないじゃん。タキオンだって狙ってやってるでしょ。私がモルモットとして逃げないようにこういう手段を使っても捕獲しようとしてるんでしょ。わかるよ、私はタキオンに詳しいんだ。

 

 そんな事を思っている間に掃除が終わって、次はあの梵天で細かい汚れを搔き集められていって……。

 

「くっふふ、そんなに私の尻尾の毛で作った梵天は気持ちいいかい? 耳垢を取っている時より余程気持ちよさそうじゃないか……これなら、作った甲斐があるというものだよ」

 

「やめてええ……言わないでえええ……恥ずかしい、恥ずかしいからぁ……」

 

 ヤバイヤバイ。堕とされる、このままじゃ耳かきで堕とされる。私、一生タキオンのモルモットになっちゃう。いや、最愛の愛バの為ならそりゃできる限りのことはするけど。でも、このままだとトレセン学園卒業した後のタキオンにも耳かきお願いしちゃいそうなんだもん。それは流石にダメだよ、ここで踏みとどまらないと。

 

「ふ~……ふ~……おいおい、身悶えしすぎじゃないかい? 流石にちょっと私も驚きを隠せないよモルモット君」

 

「……何も言い返せないから、本当、もう勘弁してください……」

 

 仕方ないでしょ! タキオンがそうしたんだから! 私は悪くない! 私は悪くないもん!

 

「ペチャペチャ……ヌリヌリ……さて、これで耳掃除はお終いだ。いやぁ、普段のモルモット君からは想像できない身悶えを見せてもらったよ」

 

「もうやめてください……お願いだからもう言わないで……」

 

 同性とは言え、自分より年下の子にそこまで言われてしまうと、もうここから全力で逃げ出したくなる。逃げても扉に到着する前に捕まるのは確定的に明らかだけど。

 

「ふぅ……これぐらいの事を気にするんじゃないよモルモット君。私としては信頼している君のこういう姿を見れて面白いぐらいさ。さぁ……後はお昼寝だけだから、これで少しでも普段の疲れを取ると良い」

 

 いやいや、この状態で寝るのは無理じゃない? 散々辱めを受けた後に更に寝ろと言うのは辛いものがあるよ? 顔赤いんだよ私。

 

「……この状態で寝ろって……あのー、キツイんですけど、タキオンさん。できればもう一人にしてくれる方が嬉しいかなーって」

 

「ふーむ。それは困ったね、そんなに私の膝枕は嫌いかい? それじゃぁ、耳かきもやめた方が……」

 

「……寝かせて頂きます」

 

 ここで拒否して今後のタキオンからの耳かきが無くなるのは嫌なので、なんとか寝るようにしよう……と思っていたら、タキオンに頭を撫でられながら子守歌を聞かされていって……あ、なんか本当に眠気が来た……。



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シンボリルドルフ

シンボリルドルフで耳かきを書きました。

いやぁ、前々から書きたいと思ってましたし、感想で希望を書かれている方も居ましたが、こう……なんというか、自分の中でキャラを掴み切れておらず、ようやく、ですね。

まぁ、最初の頃に書いていたらシリウスに関して言及することもない作品になっていたので、早く書いていれば良かった。とも一概に言えないです。


 やあ、トレーナー君。少し時間を貰っても良いかな?

 

 ああ、今日は君にお礼をしたいと思ったんだ。心当たりがない? 何を言うんだ、君のおかげで私は無敗三冠を達成できたじゃないか。

 

 それは私の努力の賜物であって、自分は大したことをしていない? 謙遜も度を過ぎれば嫌味だぞ。確かに私個人の力だけでもある程度はいけただろう。だが、無敗三冠は私だけでは達成できてない。君が居てくれたからだ。

 

 さて、そう言うわけだ。無敗三冠も含め、君には大変な世話になってきたからな。そのお礼としてなんだが……耳かきを君にしてあげたいと思っている。

 

 ふふ、どうやら想像してる範囲ではなかったようだね。だが、中々良い物じゃないか? さ、早速こっちに来てくれ。既に準備は整えている。

 

 どうかな? 君の愛バの膝枕の感触は。無敗三冠の膝枕、中々味わえるもののではないぞ。

 

 さて、まずは君の耳のマッサージからだ。人間の耳はウマ娘の耳とは違う形をしているが、凝るのはどちらも同じだ。だからこうして、君の耳に手を添えて、グッグッ……グッグッ……

 

 どうだいトレーナー君? 君の耳が少し赤くなっているな。血流が促進される事によって汗を流し、耳垢に水分が含まれることによって汚れが浮かび上がって取りやすくなるんだ。それに、各所のツボを刺激すると、それによって体の調子を整えることもできる。とは言え、水分を多く含ませればいいと、お風呂上りなどに耳かきをやると逆に耳の中を傷めるから注意は必要となる。

 

 さて、それでは綿棒で汚れを集めていこう。君の耳はウマ娘程ではないが……人間としては大きめに見えるからな。垢だけでなく、空気中の埃も溜まりやすいだろう。

 

 ザリザリ……ザリザリ……ん? なんで口ずさんでいるか? か。シリウスに耳かきをしている時にこうして囁いていると、気持ちよさそうにしていたからな。トレーナー君はどうだい? もしいらないならやめておくが。

 

 そうか、あるほうが嬉しいか。なら、囁き続けるとしようか。

 

 ザリザリ……ガザガザ……ああ、見たまえトレーナー君。もうこんなに汚れが取れている。やはり大きさがある分、汚れも多くなるんだな。

 

 ザリザリ……ザリザリ……ん? そうだね、そろそろ中の掃除に移ろうか。外側だけで長引いていたら、中の水分も乾いてしまうだろうからね。

 

 さて、中の様子を拝見……む。これは予想以上にまずいな……君の耳……ほとんど塞がっているじゃないか。

 

 入口から少し奥の曲がった部分だから気づかなかったが、これはちょっと本気で取り掛かる必要があるな。まずは……耳かきで少し触れてみよう……ん、癒着とかはしていないようだな。触れば動くから……このまま少しづつでも剥がしていこう。

 

 ガリッ……ガリッ……表面から少しづつ剥がして……ん、このままガザッと……ゴゾッと……少しづつ、剥がして……動かして……

 

 ガリガリガリ……ガリガリガリ……お、奥の方から動き始めたぞ。よし、よし……このまま……ん? 耳の中でバリッとかガザッとか音がすると怖い? ああ、大丈夫だよトレーナー君。耳垢は大きさはあるが、しつこく耳の中にこびりついているわけではない。このまま……剥がしていけば……。

 

 ……ようやくとれたよ、トレーナー君。見てみたまえ、茶色く凝り固まった耳垢だ。まったく、まさか君の耳かきで一番最初にこんな大物を掻き出す事になるとは思っても居なかったよ。

 

 さて、この大物を取れた満足感はあるが……掃除はまだ終わってない。ここから剥がれ落ちた小さい耳垢もあるし、奥にもまだあるかもしれないからね。もう一度覗かせてもらおう。

 

 カリカリ……カリカリ……手前から順番に、小さい欠片をカリカリカリ……小さい欠片は、落とさないように注意をして……穴に薄く張り付いている汚れも、ペリペリって剥がしていこうか。

 

 ……よし、粗方の汚れは取れたようだよトレーナー君。とは言え、こんな大きな耳垢があったとなると、君の耳の中は少々荒れていると判断せざるを得ないな。と言うわけで……このローションを塗ろう。

 

 なに? 耳の中が濡れるのは好きじゃないと? 気持ちはわかるがねトレーナー君。さっきの耳垢を見ただろ? あんな耳垢がこれからもできるぐらいなら、大人しくローションを塗るほうが良いだろう。さぁ、おとなしくするんだ。

 

 ヌリヌリ……ヌリヌリ……ん? 楽しそうに擬音を呟いているな? ああ、そうだね。こうしてオノマトペを呟いていると昔を思い出す。あの頃のシリウスとはもっと仲が良かったからね。……別に、彼女とは昔から今のような状態だったわけではないさ。できれば、また昔のように過ごしたいのだが……。

 

 さぁ、今は彼女の事よりトレーナー君の事だ。ほら、もう塗り終わったぞ。後は……ふ~……ふ~……ふふ、驚かせてしまったかな? だが、ローションを塗った後の息の吹きかけは、普通とは違うものがあるだろ?

 

 癖になりそうだ? それだけ気持ち良かったなら良かったと。さて、そろそろ反対側に取り掛かろう。こちら側も詰まってたりしてたら……さて、どうしようかな?

 

 ふむ……うん、詰まってる……と言うほどではないが、こちらも大きい物があるね。君の耳は本当に汚れが溜まりやすいのかもしれないな。やりがいがあるというものだ。さぁ、耳かきを始めるよ。

 

 まずは……ツボを、ギュッギュッギュ……ふむ、手が暖かくて安心できる? なるほど、そう言う発想はなかったな。それなら、これからは毎日トレーナー君の手を握ってあげるのもいいかもしれないな。

 

 外側をザリザリ……ザリザリ……君の耳垢が全体的に粉上の物なら綿棒だけでも十分かもしれないが……流石に、大きな耳垢を綿棒で取るのは少し気を使いすぎる。ちゃんと耳かきで取るようにしよう。

 

 さぁ、本命の耳の中だぞトレーナー君。カリカリカリ……カリカリカリ……うーん、固いな。さっきほど大きくはないが、固くて取るのに少し難儀しそうだ。痛かったらすぐに言ってくれたまえ。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……端っこから少しづつ、慎重に剥がしていって……カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 はは、気持ち良いのかな、トレーナー君。まぁ、気持ちはわかるよ、私も耳かきは気持ち良いと思うし、トレーナー君がこうして気持ち良くなってくれているのはとても嬉しい。

 

 ん、良かった、少し手強かったが、このまま安全に剥がせそうだ。ガリガリ……ガリガリ……ガリッ……ベリッ……ベリッ……!

 

 ふぅ、無事に取れたよトレーナー君。ふむ、こうして改めてみると、この耳垢もけっこう変色しているようだね。君の耳の中はどうも……厄介なタイプなのかもしれないね。

 

 さて、後は……カリカリカリと……カリカリカリ……カリカリカリ……小さい垢をカリカリカリ……

 

 ふふ、耳かきを動かすたびに君が気持ち良さそうにしているのを見るのは楽しいな。トレーナー君の意外な姿を見れた気分だよ……なんだ、気づいてないのかい? 君はいつも私のトレーナーとしてふさわしくあろうと努力してくれているじゃないか。それは嬉しいんだが、たまにはこうして……肩ひじ張らず、私に甘えてくれる君を見ていたいかな。

 

 さぁ、こうして話している間にも粗方の汚れは取れたかな。後はローションを塗ろうじゃないか。ヌリヌリ……ヌリヌリ……。

 

 うん、これで取り合えず十分かな。あれだけ耳垢があるとわかっていたらもうちょっと準備していたんだが……私も見通しが甘かったと言わざるを得ないな。

 

 ふ~……ふ~……ふふ、どうしたのかな、トレーナー君。先にやった方でも息は吹きかけただろ? もうそんなに警戒しなくても、これでお終いさ。

 

 しかし、つぎにみみかきをするときには事前準備を怠らないようにしなければならないね……まだするのかって? 君もあの耳垢を見ただろう。あんなのができる状態なんだ、君の愛バとして、これを見過ごすのは頂けないな。

 

 誰かに見られたらどうするのか? その時には正々堂々耳かきを行っていると言うに決まっているじゃないか。

 

 さぁ、そんなことより……昔から耳かきの後はお昼寝だと言われているし、トレーナー君もこのまま寝ると良い。普段、君には苦労をかけてしまっている。だから……たまには……な。

 

 ああ、素直に寝てくれるなんてありがたいな。お休み、トレーナー君、良い夢を……。



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カレンチャン(地の文あり)

カレンチャンで耳かき小説を書きました。なんか、最初に書いた時に比べて少々S気が増えてる気がしますが、それが私の中のカレンチャンの印象なのかもしれません。


「うーん、耳かき……かぁ。なんだか、前よりも人気が出てるみたい」

 

 ウマッターを見ながら最近のトレンドを調べていると、ちょくちょくこの単語が出てくる。前に私がお兄ちゃんに耳かきした画像は上げてないけど、このトレセン学園の子の中には友達に耳かきをしてあげた。って内容の画像がたまに出てきて、それが人気みたい。

 

「お兄ちゃんに耳かきした画像をアップしたら人気出るかなー……なんて、そんな事をしたら炎上しちゃうよね」

 

 いくらトレーナーとウマ娘の関係とは言え、世間では異性関連の話題は過剰に叩かれる傾向にあるから、注意しないとね。

 

「それより……なんだかお兄ちゃんに耳かきしてあげたくなっちゃったなぁ。レースも一段落したし、今ならお兄ちゃんも疲れを癒せるチャンスだもんね。よーし、やっていこー」

 

 そうと決まれば、善は急げというし、早速耳かきの準備準備♪ 最近はアヤベさんもトレーナーさんに耳かきしたって言ってたし、私も負けてられないね。

 

「と言うわけでお兄ちゃん。耳かきしてあげるね」

 

「……すまん、突然すぎてわけがわからない」

 

 耳かきの準備をしてお兄ちゃんの部屋に行くと、お兄ちゃんが豆鉄砲を食らった鳩みたいな顔をしちゃった。急すぎたかな?

 

「ねー、良いでしょお兄ちゃん。前にやった時からけっこう時間が経ってるし、お兄ちゃんもそろそろ忙しさが一段落した頃じゃない? 時間あるよね」

 

「時間はまぁ……最近余裕ができてきたけど、耳かきしてもらうのは正直恥ずかしんだよ、10歳近く年齢が離れてる異性にしてもらうってのいうのはな……」

 

 そう言ってそっぽを向くお兄ちゃん。もー、何をいまさら。

 

「えー、でもでもー、お兄ちゃんは私の恥ずかしい秘密……いーっぱい知ってるでしょ? それなら少しぐらい、私がお兄ちゃんの恥ずかしいを知ってても良いと思うけどなー」

 

「んぐっ……いや、誤解を招くような言い方しないでくれ。レースで必要な情報だけだから」

 

 んー、確かにレースで必要な情報なんだろうけど、私の恥ずかしい秘密。って言うのに違いはないんだよね。

 

「でーもー……お兄ちゃんも……気持ち良かったでしょ? ほら、カレンのお願いも聞けて、お兄ちゃんも気持ち良くなる。お兄ちゃんにとって何の損もないでしょ? winwinってやつだよね」

 

「いや……でもなぁ、俺もいい年した大人だからな。いくらなんでも年の差が……」

 

 ここまで言ってもまだ渋ってるお兄ちゃん。仕方ないなぁ、ここは最終手段。

 

「もー。そんなに年の差が気になるって言うなら、皆に聞いてみようよ。それで皆が普通だよって言ったら、耳かきしても良いよね」

 

「いや、聞くって、いったい誰に……はぁ!?」

 

 私が前にお兄ちゃんに耳かきした時の画像を見せるとお兄ちゃんは目を見開いて驚いた。うわ、こんな顔初めて見ちゃった。

 

「これをウマスタに上げて皆に聞いたら、きーっと、皆答えてくれるよ」

 

「ちょ、いつのま……いや、待て! マジで止めろ! 炎上じゃ済まない!」

 

 お兄ちゃんがスマホを取ろうとするけど、それをカレンは片手で押さえる。渡すわけないもんね。

 

「それじゃぁ……耳かきさせてくれるよね? お兄ちゃん♪」

 

 カレンがそう言うと、お兄ちゃんはしばらく唸ってたと思うと……観念して頭を下げた。やったー、これで耳かきできる。

 

「じゃぁお兄ちゃん、さっそくここに頭を乗せてね」

 

 床の上で正座をしてポンポンって膝を叩くと、お兄ちゃんは諦めて頭を置いてくれた。んー、懐かしいなぁ、この重さ。

 

「んーと、まずはウェットティッシュでお耳をゴシゴシ……お兄ちゃん、裏側とか、耳たぶとか、その辺りに汚れが溜まってるよ。指で触るとザラッてしてるもん」

 

「いや、直接触らなくていいから。それに言わなくていいから」

 

 そんな事言っても、言わないとわかってくれなさそうだもん。指で擦るとポロポロ垢が取れるし。やっぱりカレンがちゃーんと面倒見て上げないとだめだね。

 

「じゃぁ、裏側はこの辺にしてと。外側を綿棒でゴーシゴシ、ゴーシゴシ♪ やっぱりお兄ちゃんのお耳って、掃除のやり甲斐があるんだよねー。楽しいなぁ」

 

「あんまりこんなのでやり甲斐なんて感じなくて良いんだぞ。俺の耳なんだし、俺が掃除したら……」

 

「ふーん、こんなに汚れてるのに、自分は掃除ができてるって言い張るのー?」

 

 お兄ちゃんに掃除で使った綿棒を見せてみる。白い綿棒が黄色く変色してて、振ったら粉も落ちちゃうぐらいには付着してる。これで掃除してるなんて言えるのー?

 

「こ、これからちゃんとやるから……」

 

「お兄ちゃん、そ・れ・は。前に耳掃除した時に言って欲しかったかなー?」

 

 ウリウリとお兄ちゃんに綿棒を見せつけつつ……んー、この辺でいいかなー。やりすぎちゃうのも問題だよね。

 

「それじゃぁ、お外の掃除はこの辺りにしてあげるね。さー、中をしていくよー」

 

 んー、中はーっと。ちょっと汚れが多いかな。お兄ちゃん、耳垢ができやすい体質なのかなー?

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……お兄ちゃんの耳垢は取り甲斐があって楽しいなぁ♪」

 

 耳かきでカリカリと掻いていると、小さい物や薄い物から剥がれていって、耳の中に落とさないように注意しながらティッシュの上に捨てていく。細かい汚れもぜーんぶ纏めて取って行っちゃうからね。

 

「楽しそうなのはなによりだけど……そんなに楽しいなら友達とかにやったほうがいいんじゃないか? ウマ娘の耳なら人間より大きいんだし」

 

「もー、わかってないなー、お兄ちゃんは。お兄ちゃんの耳かきをするのが楽しんだから。言わせないでよ恥ずかしいなぁ」

 

 お兄ちゃんのほっぺをむにむにと突きながらそんな事を言うと……あれー、お兄ちゃん、顔が赤くなっちゃった。可愛いなぁ。

 

「それじゃぁ、掃除を続けていくねー。カリカリカリ……カリカリカリ……♪」

 

 お兄ちゃんの耳元で囁きながら掃除をしていって……大きいのも、小さいのも、ぜーんぶ取っていっちゃうからね。

 

「おおお……カ、カレン……あんなり囁かれると……」

 

「えー? ダーメ、綺麗になったお兄ちゃんの耳が一番に聞くのは、カレンの声なんだから」

 

 カリカリカリ♪ カリカリカリ♪ ……あーあ、もう粗方取れちゃった。ざんねーん。

 

「ん、これで大体取れたよ。それじゃぁ次は、保湿ローションでケアしていくね」

 

 夢中で取っちゃったから、ちょっと耳の中が赤くなっちゃったなぁ。ちゃんとケアしてあげないと。

 

「ヌリヌリ……ヌリヌリ……えへへ、冷たくて気持ち良いでしょ?」

 

「ん、気持ち良い……のは良いけど、前は梵天してなかったっけ?」

 

「……あ、いっけなーい。うっかりしちゃった、ごめんね」

 

 そうだそうだ、前は梵天をしてたんだった、つい耳かきやりすぎてお兄ちゃんの耳の中が赤くなっちゃったから、先にローション塗っちゃった。

 

「次はちゃんと忘れないようにするからね。と言うわけで……お約束の、ふ~……ふ~……」

 

「ふぉぉ……」

 

 ふふ、息を吹きかけるとゾクゾクってさせて、お兄ちゃん可愛いなぁ♪

 

「お兄ちゃんのこうした可愛い姿、知ってるのがカレンだけって考えると楽しいなぁ♪」

 

「……俺は恥ずかしくてそれどころじゃないよ……」

 

「えへへー、照れちゃうお兄ちゃんも可愛い♪ それじゃぁ反対側、やっていこうね」

 

 そう言ったらお兄ちゃんが体を上げようとしたから、その動きに合わせてコロンとお兄ちゃんを転がして……えへへ、カレンのお腹、お兄ちゃんに見られちゃってる。

 

「さぁお兄ちゃん、こっち側の耳かき、していこうね」

 

「いや、この体勢だとカレンの腹を見ちゃうから、反対方向で……」

 

「ダーメ。我儘言わないで、このまま耳かきしちゃっていくよー」

 

逃げようとするお兄ちゃんを抑え込んで……さぁ、掃除掃除♪

 

「ウェットティッシュで、外側裏側をゴソゴソゴソ♪ あー、ティッシュが黄色くなっちゃった。こっちも掃除できてないねー、お兄ちゃん」

 

 ウェットティッシュの汚れた部分を見せてあげると、お兄ちゃんは視線を横にずらした。

 

「だから、あんまり言わないでくれって……次からは注意するから」

 

「次からは~~……は、やらない人の常套句だよ?」

 

「ぐぬぬ……」

 

 もー、お兄ちゃんってば、我儘言わないのー。

 

「穴の中をカリカリカリ……カリカリカリ……小さいの~♪ 大きいの~♪ ぜ~んぶカリカリ取っちゃうねー♪」

 

「ふお……おおお……」

 

 えへへー、お兄ちゃんが悶えてる。気持ち良くて悶えるお兄ちゃんも可愛いなぁ。

 

「耳垢が取れたら、梵天でコシュコシュー♪ シュッコシュコ♪ 細かい汚れも絡めとっちゃえー」

 

「ぬああ……やっぱり梵天は梵天で、ゾクゾクするな……」

 

 梵天で悶えてるお兄ちゃん♪ これだったら最初のお耳も忘れずに梵天しておくんだった。

 

「最後にローションでぬるぬる~♪ ねちょねちょ~♪」

 

「ぬぐぅ……耳の中がぬちゃぬちゃになると……これはこれで気持ち良い……」

 

 えへへ、最後は~……楽しい楽しい息吹きかけだよー。

 

「ふ~……ふ~……はーい、これで耳かきお終いだよ、お兄ちゃん」

 

「ふぅ……ふぅ……お、終わった……じゃ、じゃぁ、俺はこれで……」

 

 顔を離したらお兄ちゃんが逃げようとしたから頭を押さえて逃げれないようにする。どこに行こうと言うのかなー?

 

「あれれ~、どこに行くのかなー? 耳かきは終わったけど、お約束はまだだよ、お兄ちゃん♪」

 

「いや、ちょ……ま、待ってくれカレン。も、もう流石に限界が……」

 

「限界なの? それじゃぁ、なおさらお昼寝して、体力回復しないといけないよねー」

 

 そう言って逃げようとするお兄ちゃんの頭を押さえてカレンのお腹に押し付ける。これで逃げられないからね♪

 

「ムグッ……! カ、カレンッ! この体勢はまずい! マズいから!」

 

「それじゃぁ、もう逃げないかな? 逃げるつもりならずーっと押し付けちゃうよ」

 

「わかった、わかったから……!」

 

 ジタバタと暴れるお兄ちゃんから少し手を離すと、お腹から顔を外して何回か荒く呼吸して……あ、目を閉じてくれた♪

 

「お兄ちゃん♪ 今日はお兄ちゃんが寝るまで……カレンがずっと囁いてあげるからね♪ カレンの生ASMRをタップリ堪能してね♪」

 

耳元でそう囁いて、逃げようとするお兄ちゃんをもう一回抑え込む。

 

「大好きだよ、お兄ちゃん♪ 大好き……大好き……大好きなお兄ちゃん、お昼寝しよう♪」

 

「やめ……マジで止めてくれ……脳みそがおかしくなる……!」

 

「おかしくなってもいいよ♪ カレンがずっと一緒だから。一緒にお昼寝しよう♪ 大好き、大好き、大好きなお兄ちゃん♪」

 

「ぬあああああっ」

 

 暫くの間こうして囁いてあげてたけど、お兄ちゃんが本気で止めてくれって言い出したから、仕方なく囁くのを止めて様子を見てたら、そのまま寝てくれたからヨシとしようかな。

 

「……大好きなお兄ちゃん、カレンはずーっと、お兄ちゃんの愛バだからね♪」

 

 眠りに落ちたお兄ちゃんの頭を撫でながら、カレンは心から満足しながら、お兄ちゃんが起きるのを待ち続けるよ。だって、起きるまで一緒に居るのがお約束だもんね。

 

 



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カレンチャン(地の文あり、男トレーナー視点)

カレンチャンで耳かき小説、男トレーナー視点で書きました。

やってもらう側の視点で書くと、カレンチャンの破壊力を味わえる……ように書けていれば幸いです。


「今日のカレンのウマスタは……これなら大丈夫そうだな」

 

 トレーナー室で仕事をする傍ら、俺はカレンのウマスタを確認する。担当ウマ娘のネットへの書き込みはちゃんと確認しておかないと、今の世の中何が炎上に繋がるかわからないからな。

 

「さて、ウマスタのチェックも終わった事だし……あー、レースに関する資料はしばらくは大丈夫だったっけ」

 

 この間のレースが終わった事でカレンはしばらくレースへの出場予定はない。次のレースへの特訓メニューも組んでるし……あー、そうか、ようやく時間が空いたのか。

 

「さて、どうしようかな……。折角だし、今日はゆっくり休養を挟みつつ、他のウマ娘の視察でも……」

 

 そんな事を思っていると、不意に部屋の扉が叩かれる。誰だと思い扉を開けると、そこにはカレンの姿があったんだが……なんか、色々持ってるな。

 

「と言うわけでお兄ちゃん。耳かきしてあげるね」

 

「……すまん、突然すぎてわけがわからない」

 

 前振りのない言葉に俺は困惑し、彼女の手に持っているものを見てみると……ああ、確かに耳かきやらなんやらがあるな。前に耳かきしてもらった時にもこんな風に持ってきてたっけ。

 

「ねー、良いでしょお兄ちゃん。前にやった時からけっこう時間が経ってるし、お兄ちゃんもそろそろ忙しさが一段落した頃じゃない? 時間あるよね」

 

「時間はまぁ……最近余裕ができてきたけど、耳かきしてもらうのは正直恥ずかしんだよ、10歳近く年齢が離れてる異性にしてもらうってのいうのはな……」

 

 俺は既に成人していて、それに対してカレンは高等部ですらない中等部だ。今の年代においてこの年齢差は大きい。おまけに相手は異性で俺の担当バだ。恥ずかしくないわけがない。

 

「えー、でもでもー、お兄ちゃんは私の恥ずかしい秘密……いーっぱい知ってるでしょ? それなら少しぐらい、私がお兄ちゃんの恥ずかしいを知ってても良いと思うけどなー」

 

「んぐっ……いや、誤解を招くような言い方しないでくれ。レースで必要な情報だけだから」

 

 上目遣いで言われて言葉に詰まるが、あくまで知っているのは彼女のレースで必要な情報だ。体重とか、そりゃ恥ずかしいだろうけど、これもレースで勝つために必要だから疚しい事なんてない。

 

「でーもー……お兄ちゃんも……気持ち良かったでしょ? ほら、カレンのお願いも聞けて、お兄ちゃんも気持ち良くなる。お兄ちゃんにとって何の損もないでしょ? winwinってやつだよね」

 

「いや……でもなぁ、俺もいい年した大人だからな。いくらなんでも年の差が……」

 

 なおもカレンが上目遣いをしてくるが、ここで流されるわけにはいかない。担当バには絶対に負けない!

 

「もー。そんなに年の差が気になるって言うなら、皆に聞いてみようよ。それで皆が普通だよって言ったら、耳かきしても良いよね」

 

「いや、聞くって、いったい誰に……はぁ!?」

 

 カレンが見せてきたスマホの画面には、笑顔を浮かべる自撮りカレン。そしてその膝の上で寝てる俺の顔があった。ちょ、ま、いつの間に!?

 

「これをウマスタに上げて皆に聞いたら、きーっと、皆答えてくれるよ」

 

「ちょ、いつのま……いや、待て! マジで止めろ! 炎上じゃ済まない!」

 

 こんな画像が流れようものなら大炎上だ。俺のキャリアは勿論だが、それ以上にカレンが世間から叩かれる。それはマズい、本気でマズイ! 慌ててスマホを奪おうとするが、彼女は片手だけで俺を抑え込む。くそ、スプリンターだからって筋力トレーニングをし過ぎたか!

 

「それじゃぁ……耳かきさせてくれるよね? お兄ちゃん♪」

 

 その言葉に俺はなんとか否定しようと、反論しようと言葉を探すが……結局思い浮かばず、頷く事しかできなかった。担当バには勝てなかったよ……。

 

「じゃぁお兄ちゃん、さっそくここに頭を乗せてね」

 

 床に正座し、ポンポンと膝を叩くカレンの横に行って、彼女の膝に頭を乗せる。見た目からは想像ができないであろう、張りと弾力のあるしっかりとした脚だ。可愛いだけの柔い足では断じてない。だが、こんな形で彼女のトレーニングの成果を味わいたいと思った事はない。

 

「んーと、まずはウェットティッシュでお耳をゴシゴシ……お兄ちゃん、裏側とか、耳たぶとか、その辺りに汚れが溜まってるよ。指で触るとザラッてしてるもん」

 

 おいおいおい。何をやってるんだこいつは。そんな汚い部分を素手で擦るんじゃない。

 

「いや、直接触らなくていいから。それに言わなくていいから」

 

 俺が制止の言葉をかけるがカレンは聞く気がないのか、指を擦り付けてくる。すると、ポロポロと垢が零れ落ちていく感覚がしてきてとても恥ずかしい。

 

「じゃぁ、裏側はこの辺にしてと。外側を綿棒でゴーシゴシ、ゴーシゴシ♪ やっぱりお兄ちゃんのお耳って、掃除のやり甲斐があるんだよねー。楽しいなぁ」

 

 声音的に確かに楽しそうなんだが……こんな事に楽しみを見出すより、もっと他の事に楽しみを見出してほしい。

 

「あんまりこんなのでやり甲斐なんて感じなくて良いんだぞ。俺の耳なんだし、俺が掃除したら……」

 

「ふーん、こんなに汚れてるのに、自分は掃除ができてるって言い張るのー?」

 

 そう言ってカレンが俺の目の前に綿棒を持ってくる。本来なら白色の綿棒は、俺の耳垢で汚れて黄色く染まっている。改めて目の前で見せられると、耳掃除がちゃんとできてなかったと言うのをイヤでも思い知らされる。

 

「こ、これからちゃんとやるから……」

 

「お兄ちゃん、そ・れ・は。前に耳掃除した時に言って欲しかったかなー?」

 

 ぐぅっ……確かに、前に耳かきしてもらった後にちゃんと耳かきをしてたらこんな事にはならなかったか……。

 

「それじゃぁ、お外の掃除はこの辺りにしてあげるね。さー、中をしていくよー」

 

 そう言って綿棒を下げたカレンは耳の中を覗いてきた。うわ、それだけ近いと吐息と気配が近づぎて、こっちが恥ずかしい。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……お兄ちゃんの耳垢は取り甲斐があって楽しいなぁ♪」

 

 オノマトペを呟きながら耳かきを動かしていき、俺の耳垢を掃除していくカレン。耳垢が剥がされるたび、カレンの声が大きく聞こえるような、そんな気がしていく。そして、頭の中にカレンの声がしみ込んでいく。そんな錯覚すら覚えてしまう。でも、俺の耳かきを楽しいと評するのはどうかと思う。

 

「楽しそうなのはなによりだけど……そんなに楽しいなら友達とかにやったほうがいいんじゃないか? ウマ娘の耳なら人間より大きいんだし」

 

「もー、わかってないなー、お兄ちゃんは。お兄ちゃんの耳かきをするのが楽しんだから。言わせないでよ恥ずかしいなぁ」

 

 どこかで聞いたような言い方をしながら俺の頬を指で突いてくるカレン。それが恥ずかしくて思わず顔が熱くなるのが自分でもわかった。

 

「それじゃぁ、掃除を続けていくねー。カリカリカリ……カリカリカリ……♪」

 

 そんな俺に更にカレンが耳かきを続けてくる。ヤバイ、恥ずかしさを自覚してる中で更にこうして耳かきを続けられると、色々と意識してしまい、余計に恥ずかしくなる。

 

「おおお……カ、カレン……あんなり囁かれると……」

 

「えー? ダーメ、綺麗になったお兄ちゃんの耳が一番に聞くのは、カレンの声なんだから」

 

 俺の嘆願はあっさりと否定され、そこからも念入りに耳かきをされていって……身悶えする俺は逃げることもできず、それでもなんとか耳かきは終わりを迎えた。

 

「ん、これで大体取れたよ。それじゃぁ次は、保湿ローションでケアしていくね」

 

 耳かきが引き抜かれ、今度はねっとりとした液体が耳の中に塗られていく。擦られ、熱を帯びてる部分を塗り潰すように、ローションが耳の中に広がっていく。

 

「ヌリヌリ……ヌリヌリ……えへへ、冷たくて気持ち良いでしょ?」

 

「ん、気持ち良い……のは良いけど、前は梵天してなかったっけ?」

 

 俺が訪ねると、カレンがあっちゃー。と言わんばかりの表情を浮かべた。

 

「……あ、いっけなーい。うっかりしちゃった、ごめんね」

 

 テヘペロと言わんばかりに自分の頭を小突くカレン。いかん、可愛いなぁ。

 

「次はちゃんと忘れないようにするからね。と言うわけで……お約束の、ふ~……ふ~……」

 

「ふぉぉ……」

 

 ローションで濡れてる耳の中に息を吹きかけられると、普通よりもゾクゾクが増して変な声が出る。それをカレンに聞かれるのが更に恥ずかしい。

 

「お兄ちゃんのこうした可愛い姿、知ってるのがカレンだけって考えると楽しいなぁ♪」

 

「……俺は恥ずかしくてそれどころじゃないよ……」

 

「えへへー、照れちゃうお兄ちゃんも可愛い♪ それじゃぁ反対側、やっていこうね」

 

 そう言われて俺は体を起こそうとするが……上げた瞬間にカレンの手が下に入ってきたと思うと、そのままコロンと転がされ、反対側を向いていた。視界いっぱいに広がるカレンの腹に、俺は焦る。ヤバイヤバイヤバイぞこれは。本気でヤバイって。

 

「さぁお兄ちゃん、こっち側の耳かき、していこうね」

 

「いや、この体勢だとカレンの腹を見ちゃうから、反対方向で……」

 

 体を起こして逃げようとするが、頭を抑えられて動けない。

 

「ダーメ。我儘言わないで、このまま耳かきしちゃっていくよー」

 

 逃げようとする俺に無慈悲な宣告が下されてしまった。カレン、本気でヤバイって。マジでやばいから!

 

「ウェットティッシュで、外側裏側をゴソゴソゴソ♪ あー、ティッシュが黄色くなっちゃった。こっちも掃除できてないねー、お兄ちゃん」

 

 目の前に汚れたウェットティッシュを見せつけられ、思わず目を背ける。羞恥責めか? 羞恥責めなのか? 俺はこんな年下の異性に羞恥責めされてるのか?

 

「だから、あんまり言わないでくれって……次からは注意するから」

 

「次からは~~……は、やらない人の常套句だよ?」

 

「ぐぬぬ……」

 

 身に覚えがありすぎてなにも反論できない。注意する奴はちゃんと一回目から注意するもんな。

 

「穴の中をカリカリカリ……カリカリカリ……小さいの~♪ 大きいの~♪ ぜ~んぶカリカリ取っちゃうねー♪」

 

「ふお……おおお……」

 

 羞恥心が刺激され続ける中での耳かきは、最初よりも恥ずかしくて身悶えしてしまい。

 

「耳垢が取れたら、梵天でコシュコシュー♪ シュッコシュコ♪ 細かい汚れも絡めとっちゃえー」

 

「ぬああ……やっぱり梵天は梵天で、ゾクゾクするな……」

 

 背筋を走るゾクゾクとした快感に、俺は思わず体が反り返る。逃げたい、この快感から逃げたいのに逃げられない。 

 

「最後にローションでぬるぬる~♪ ねちょねちょ~♪」

 

「ぬぐぅ……耳の中がぬちゃぬちゃになると……これはこれで気持ち良い……」

 

 これはこれで悪くないんだが、それでも梵天の気持ち良さを塗り潰されたことで少し落ち着ける。だが、この後がな……。

 

「ふ~……ふ~……はーい、これで耳かきお終いだよ、お兄ちゃん」

 

「ふぅ……ふぅ……お、終わった……じゃ、じゃぁ、俺はこれで……」

 

 よし、耐えた。耐えたぞ! 来るとわかっていれば耐えられる。さぁ、今のうちに逃げ……ぬあああああっ!

 

「あれれ~、どこに行くのかなー? 耳かきは終わったけど、お約束はまだだよ、お兄ちゃん♪」

 

「いや、ちょ……ま、待ってくれカレン。も、もう流石に限界が……」

 

 ヤバイヤバイ! ここで寝たらもうヤバイ! 脳みそが壊される!

 

「限界なの? それじゃぁ、なおさらお昼寝して、体力回復しないといけないよねー」

 

 そう言ってカレンは笑顔のまま、俺を自分の腹に押し付けてきた。ムグッ! か、顔が、顔が柔らかい物に! それに、良い匂い、良い匂いがあああ!

 

「ムグッ……! カ、カレンッ! この体勢はまずい! マズいから!」

 

「それじゃぁ、もう逃げないかな? 逃げるつもりならずーっと押し付けちゃうよ」

 

「わかった、わかったから……!」

 

 このままじゃ確実に脳みそが破壊され、カレンに何をするかわからない。必死に抵抗していると、なんとかカレンが手を離してくれたので慌てて腹から顔を遠ざけ……そして、もう全てを諦めて目を閉じた。このまま無心で寝るしかない。

 

「お兄ちゃん♪ 今日はお兄ちゃんが寝るまで……カレンがずっと囁いてあげるからね♪ カレンの生ASMRをタップリ堪能してね♪」

 

 無心になろうとしたところでなぜ追い打ちをかけるんだ。耳元で囁かれたカレンの声に俺は再び逃げようとして抑え込まれる。やめ……マジで止めてくれ……!

 

「大好きだよ、お兄ちゃん♪ 大好き……大好き……大好きなお兄ちゃん、お昼寝しよう♪」

 

「やめ……マジで止めてくれ……脳みそがおかしくなる……!」

 

「おかしくなってもいいよ♪ カレンがずっと一緒だから。一緒にお昼寝しよう♪ 大好き、大好き、大好きなお兄ちゃん♪」

 

「ぬあああああっ」

 

 暫くの間カレンの囁きを味合わされ、本気で限界を迎えた事を告げると、カレンはようやく囁く事を止めてくれた。そして、暴れた事とかで疲れたのか、俺はやがて睡魔に襲われ、そのまま眠りに落ちていった……。

 

「……大好きなお兄ちゃん、カレンはずーっと、お兄ちゃんの愛バだからね♪」

 

 そんな嬉しいような、怖いような……そんな声が、聞こえた気がした。



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カレンチャン(地の文あり、女トレーナー)

カレンチャンで耳かき、女トレーナーバージョンとなります。

カレンチャンは男と女でトレーナーの呼び方も変わるので、今回は女トレーナー相手のカレンチャン視点を書いてみました。一からの再構成ではありませんが……。


「んー。今日の投稿はこれで決まり♪ お姉ちゃんとのデート写真♪」

 

 今日、ウマスタに投稿したのはお姉ちゃんと一緒にお買い物した時の写真。お買い物って言ってもトレーニング用品を買いに行ったときのだから、炎上する心配もないし。んー、お姉ちゃん可愛いなぁ♪

 

「……あ、そうだ。お姉ちゃんの可愛いを堪能するためにも、耳かきしてあげよう」

 

 前にやった時から日も経ってるし、やってもいいよね。よーし、さっそくやりに行っちゃおうっと。えーと、この時間のお姉ちゃんはトレーナー室だったよね。早速道具を用意して出発しよっと。

 

「おねーちゃーん。居るー?」

 

 お姉ちゃんのトレーナー室に行ってノックすると、お姉ちゃんが出てきた。

 

「あれ? カレン、どうかしたの?」

 

「お姉ちゃん、耳かき、させて欲しいなぁ。良いでしょ?」

 

 私がお願いすると、お姉ちゃんはしばらくの間ぽかんとしてて……あ、起動した。

 

「あ……あ、あー……耳かきかぁ……えーとね。カレン、耳かきぐらいなら自分でできるし、そんなカレンが熱心にやる必要はないのよ?」

 

「えー? カレン、別に嫌だとかって思ってないよ? カレンがしてあげたいからしてるんだから」

 

 私が上目遣いでお姉ちゃんを見上げると、お姉ちゃんは顔を赤くして目線を逸らした。ふふ、可愛いなぁ、お姉ちゃん。

 

「だからね、私にも大人としての矜持があるから。担当ウマ娘にホイホイ耳かきしてもらうっていうのはねぇ……」

 

「でも、気持ち良いでしょ? お姉ちゃんが痛がってるとか嫌がってるとかならカレンもやらないけど……気持ちいいんだよね?」

 

「そ……それはそれ! これはこれなの!」

 

 もー、頑固だなぁお姉ちゃんは。仕方ないなぁ、それじゃぁ、奥の手を使っちゃうんだから。

 

「もー、そんなに言うなら、他の人の意見聞いてみるから、ちょっと待っててね」

 

「意見? いったい誰に……!? ちょ、ちょっと待って!」

 

 カレンがスマホに前に撮った耳かきの時の写真を出すと、お姉ちゃんが慌てて止めに入ってきた。

 

「これをウマスタに上げて皆から意見聞いてみるの。同性なんだし、問題ないよね♪」

 

「問題ありまくり! 大ありだから! 炎上しちゃうから!」

 

 慌ててスマホを奪おうとしてくるけど、お姉ちゃんなら片手で押さえられちゃうから、取られたりなんてしないもんね。

 

「それじゃぁお姉ちゃん。耳かき……させてくれるよね?」

 

「……わかったから。それをネットに上げたりは絶対にしないでね……」

 

 カレンの言葉にお姉ちゃんは渋々って感じで頷いたけど……そんなに渋々になら、今回でメロメロにさせちゃうんだから♪

 

「それじゃぁお姉ちゃん。早速やって行こっか♪」

 

 カレンはトレーナー室に入ると、ベッドの上に座って膝をポンポンって叩く。すると、お姉ちゃんもベッドの上に寝転がって、カレンの膝の上に頭を置いてくれた。

 

「あー……カレンの膝って……やっぱりすごい反発あるよね。なんていうかこう、筋肉みっちりって感じ」

 

「お姉ちゃーん。カレンをそう言う風にしたのは誰かなー? 酷い事を言うお姉ちゃんにはお仕置きだよ」

 

 気持ち良いって言ってくれたら良かったのに。そんな事を言うならこうだー。

 

「まずはー……ウェットティッシュでゴシゴシ……ゴシゴシ……あれれー? お姉ちゃんの耳たぶらへん、すっごいガサガサしてるよ?」

 

「う……そ、それは、昨日ちゃんと洗えてなかったからで……そ、そこは別に放っておいていいから」

 

 そう言ってお姉ちゃんは顔を赤くするけど……こんなの見つけたら放っておけないよね♪

 

「ダメだよ、お姉ちゃん。こういうところもちゃんと洗わないと。ほら、カレンが擦ると……ポロポロって垢が落ちてるよ」

 

「ヤ……カレン、恥ずかし……本当に恥ずかしいから……」

 

 えへへ、お姉ちゃん可愛いなぁ。もうちょっと苛めちゃおうかな。

 

「だって、カレンだって酷い事言われたんだよ。それならカレンもちょっとぐらい、言っても良いよね?」

 

「いや、本当やめて……謝るから、謝るから……本当に謝るから」

 

 んー、これ以上は流石に止めておこうかな。耳かきするのが目的だしね。

 

「しょうがないなー、お姉ちゃんは。それじゃぁ今回は許してあげるね。じゃぁ、そろそろ耳かき始めよっか」

 

 話している間に裏側、外側の掃除は終わったから、いよいよ中をやっていくよ。んーと、耳の中は……けっこう汚れてるなぁ。

 

「お姉ちゃんの耳の中は掃除のし甲斐がありそうだよ。カリカリカリ、カリカリカリ……んー、やってると、なんだか楽しくなってきちゃう♪」

 

「えーと。カレン、耳かきが楽しいなら、他の子にしてあげるのはどうかな? ほら、カレンなら友達も多いし、やってあげたらみんな喜ぶんじゃない?」

 

「むー。カレンはお姉ちゃんに耳かきしてあげるのが一番楽しいんだよ。言わせないでよ恥ずかしいなぁ」

 

 ちょっと頬を膨らませながらお姉ちゃんのほっぺをむにむにと突きながらそんな事を言うと……えへへ、お姉ちゃんの顔、赤くなっちゃった。

 

「赤くなったお姉ちゃんの顔、可愛いなぁ♪ それじゃぁ、もーっと耳かきをしていくね。カリカリカリ……カリカリカリ……♪」

 

 耳元に顔を近づけて、カリカリカリ……って呟きながら掃除をしてあげる。小さいのも大きいのも、ちゃんと全部掃除するからね。

 

「おおお……カ、カレン……あんまり囁かれると……ちょっとぉ……」

 

「えー? ダメだよお姉ちゃん。掃除して綺麗になったお姉ちゃんの耳が一番に聞くのは、カレンの声なんだから」

 

 そう囁きながら掃除を続けていってると……もう粗方のは取れちゃった。もうちょっとゆっくりやれば良かったなぁ、残念。

 

「はい、これで大体の汚れは取れたよ。それじゃぁ次は、梵天でふわふわーってしてあげるね」

 

 耳垢が取れてちょっと赤くなっているところを中心に、梵天でふわふわー、クシュクシューって掃除してあげると、お姉ちゃんの口から柔らかい息が漏れ出て……もっと聞いていたいなぁ。

 

「ん……んん……ふぅ……」

 

「気持ちいい? それじゃぁ次は、保湿ローションでケアしていくね」

 

 ひんやりとしたローションを綿棒に付けて、お姉ちゃんの耳の中にヌリヌリ~ヌリヌリ~♪

 

「ヌリヌリ……ヌリヌリ……えへへ、冷たくて気持ち良いでしょ?」

 

「んー……気持ち良いけど……あんまり耳の中にこういうの塗ったことないから、まだ慣れないかなぁ」

 

「それじゃぁ、今日からもーっと、慣れていってね♪」

 

 これからも耳かきではローションを使っていくから、ちゃんと慣れてもらわないとねー。

 

「はい、ローションもこれで塗り終わったよ……お約束の、ふ~……ふ~……」

 

「あひ……ひゃぁぁぁぁ……」

 

 ふふ、息を吹きかけるとゾクゾクってさせて、お姉ちゃん可愛いなぁ♪

 

「えへへ、お姉ちゃんのこうした可愛い姿、知ってるのがカレンだけって考えると楽しいなぁ♪」

 

「……私は恥ずかしくてそれどころじゃないよ……心臓が持たない……」

 

「えへへー、照れちゃうお姉ちゃん可愛いなぁ♪ それじゃぁ反対側もやっていこうね」

 

 そう言ったらお姉ちゃんが体を起こそうとしたから、お姉ちゃんの体の下に手を差し込んで、そのまま体の動きに逆らわないようにコロン、とお姉ちゃんを引っくりかえす。えへへ、お姉ちゃんの顔をカレンのお腹に向けちゃった。

 

「それじゃぁお姉ちゃん、こっち側の耳かきやっていくね」

 

「待って待って待って、この体勢だとカレンの腹を見ちゃうから、反対方向で……」

 

「ダーメ。文句なんて言わないで、このまま耳かきしちゃっていくよー」

 

逃げようとするお姉ちゃんを抑え込んで……さぁ、掃除掃除♪

 

「ウェットティッシュで、外側裏側をゴソゴソゴソ♪ あー、ティッシュが黄色くなっちゃった。こっちも掃除できてないねー、お姉ちゃん」

 

 ウェットティッシュの汚れた部分を見せてあげると、お姉ちゃんは視線を横にずらした。

 

「だから、恥ずかしいからあんまり言わないで……次からは注意するから」

 

「次からは~~……は、やらない人の常套句だよ?」

 

「やめてカレン。その正論は私に効く」

 

 お姉ちゃん。効くんだったら、注意したほうが良いとカレンは思うんだけどなー。

 

「穴の中をカリカリカリ……カリカリカリ……小さいの~♪ 大きいの~♪ ぜ~んぶカリカリ取っちゃうねー♪」

 

「あふ……あっ……あっ……あっ……」

 

 お姉ちゃん、すっごい悶えてる♪ やっぱり楽しいなぁ♪

 

「耳垢が取れたら、梵天でコシュコシュー♪ シュッコシュコ♪ 細かい汚れも絡めとっちゃえー」

 

「ひゃうううう……やっぱり梵天はこう、ゾクゾクってしちゃうなぁ……」

 

 梵天で悶えてるお姉ちゃん♪ 可愛いなぁ、食べちゃいたい♪

 

「最後にローションでぬるぬる~♪ ねちょねちょ~♪」

 

「ぬぐぅ……耳の中がぬちゃぬちゃになると……これはこれで気持ち良い……」

 

 えへへ、最後は~……楽しい楽しい息吹きかけだよー。

 

「ふ~……ふ~……はーい、これで耳かきお終いだよ、お姉ちゃん」

 

「ふぅ……ふぅ……や、やっと終わった……じゃ、じゃぁ、私はこれで……」

 

 顔を離したらお姉ちゃんが逃げようとしたから頭を押さえて逃げれないようにする。どこに行こうと言うのかね? 逃がさないよ。

 

「あれれ~、どこに行こうと言うのかね? 耳かきは終わったけど、お約束はまだだよ、お姉ちゃん♪」

 

「いや、ちょ……ま、待って、本当に待ってカレン。も、もう流石に限界が……」

 

「限界なの? それじゃぁ、なおさらお昼寝して、体力回復しないといけないよねー」

 

 そう言って逃げようとするお姉ちゃんの頭を押さえてカレンのお腹に押し付ける。ぜーったいに逃がさないから♪

 

「ムグッ……! カ、カレンッ! この体勢はまずい! マズいから!」

 

「それじゃぁ、もう逃げないかな? 逃げるつもりならずーっと押し付けちゃうよ」

 

「わかった、わかったから……! お願い、放して……!」

 

 ジタバタ暴れるお姉ちゃんの懇願にカレンは少し手を離すと、お姉ちゃんはお腹から顔を離して、それから少し深呼吸をしてたと思うと……あ、目を閉じてくれた♪

 

「お姉ちゃん♪ 今日はお姉ちゃんが寝るまで……カレンがずっと囁いてあげるからね♪ カレンの生ASMRをタップリ堪能してね♪」

 

耳元でそう囁いて、逃げようとするお姉ちゃんをもう一回抑え込む。ダメダメ、逃がさないから♪

 

「大好きだよ、お姉ちゃん♪ 大好き……大好き……大好きなお姉ちゃん、お昼寝しよう♪ カレン、一緒にお昼寝したいな♪」

 

「やめ……カレン、本当、マジで止めて……脳みそがおかしくなる……! 頭がカレンで埋まっちゃう……!」

 

「おかしくなってもいいよ♪ カレンがずっと一緒だから。一緒にお昼寝しよう♪ 今はぜーんぶ忘れて、カレンだけ感じて欲しいな♪ 大好き、大好き、大好きなお姉ちゃん♪」

 

「ひゃああああああっ」

 

 暫くの間こうして囁いてあげてたけど、お姉ちゃんが本気で止めてくれって言い出したから、仕方なく囁くのを止めて様子を見てたら、そのまま寝てくれたからヨシとしようかな。

 

「……大好きなお姉ちゃん、カレンはずーっと、お姉ちゃんの愛バだからね♪」

 

 眠りに落ちたお姉ちゃんの頭を撫でながら、カレンは心から満足しながら、お姉ちゃんが起きるのを待ち続けるよ。だって、起きるまで一緒に居るのがお約束だもんね。

 



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カレンチャン(地の文あり、女トレーナー視点)

カレンチャンで耳かき、女トレーナー視点となります。

今回初めて女トレーナーで男トレーナーと違う会話文章で耳かきを書きましたが、なんとか書けるものですね。

もしかしたら今後の作品もこちらの形式になるかもしれません。


「ふぅ……あー、疲れたぁ……」

 

 書類作成を終えて私は大きく伸びをする。カレンのレースもこないだ終わったし、これでしばらくは余裕ができる。んー、たまにはサウナにでも行って気持ち良くなろっかなぁ……なんてそんな事を思いながらボーッとしてると……。

 

「おねーちゃーん。居るー?」

 

「あれ? カレン、どうかしたの?」

 

 部屋の扉がノックされ、出てみるとそこにはカレンが居た。どうしたんだろう?

 

「お姉ちゃん、耳かき、させて欲しいなぁ。良いでしょ?」

 

 突然の言葉に私の脳裏にカレンに耳かきされた時の事が過り、それで思わず恥ずかしさも思い出して少しフリーズしちゃったけど……うん、大丈夫大丈夫。

 

「あ……あ、あー……耳かきかぁ……えーとね。カレン、耳かきぐらいなら自分でできるし、そんなカレンが熱心にやる必要はないのよ?」

 

「えー? カレン、別に嫌だとかって思ってないよ? カレンがしてあげたいからしてるんだから」

 

 くっ、上目遣いのカレンマジ天使。三女神様はどうしてこんな可愛いウマ娘を世に生み出したの? 私のチキンなハートじゃ刺激が強すぎる。直視できない。

 

「だからね、私にも大人としての矜持があるから。担当ウマ娘にホイホイ耳かきしてもらうっていうのはねぇ……」

 

「でも、気持ち良いでしょ? お姉ちゃんが痛がってるとか嫌がってるとかならカレンもやらないけど……気持ちいいんだよね?」

 

「そ……それはそれ! これはこれなの!」

 

 ダメ、カレンの可愛いの攻撃力が高すぎる。でもここで流されたらダメ、トレーナーと担当ウマ娘とは一定の距離を取らないとダメなの。大人として担当ウマ娘には絶対に負けない!

 

「もー、そんなに言うなら、他の人の意見聞いてみるから、ちょっと待っててね」

 

「意見? いったい誰に……!? ちょ、ちょっと待って!」

 

 カレンがこちらに見せてきたスマホには、笑顔を浮かべるカレンと、彼女の膝の上で目を閉じている私の姿があった。これ、いつの間に写真撮られたの!?

 

「これをウマスタに上げて皆から意見聞いてみるの。同性なんだし、問題ないよね♪」

 

「問題ありまくり! 大ありだから! 炎上しちゃうから!」

 

 同性だから問題ないなら苦労しないから! トレーナーと担当ウマ娘とが過剰に接しているってだけで発狂するファンが居るんだから! あー、片手で押さえられるのが悔しい!

 

「それじゃぁお姉ちゃん。耳かき……させてくれるよね?」

 

「……わかったから。それをネットに上げたりは絶対にしないでね……」

 

こんなものを上げて炎上だなんて真似はできやしないもの。後で何とか画像の消去もさせないと……。

 

「それじゃぁお姉ちゃん。早速やって行こっか♪」

 

 そう言ってカレンは部屋に入って、ベッドに座ってポンポンと膝を叩く。私も隣に座って、そのままカレンの膝の上に頭を置いた。

 

「あー……カレンの膝って……やっぱりすごい反発あるよね。なんていうかこう、筋肉みっちりって感じ」

 

 可愛いを体現しているカレンだけど、スプリンターとしてGIレースの勝利までしてる彼女の膝は非常に固い。明らかに筋肉でみっちりしてる。

 

「お姉ちゃーん。カレンをそう言う風にしたのは誰かなー? 酷い事を言うお姉ちゃんにはお仕置きだよ」

 

 ……うん、私もちょっと女の子に言うセリフじゃなかったなぁ。とは思うよ。思うけど、トレーナーとしては正直な感想なの。

 

「まずはー……ウェットティッシュでゴシゴシ……ゴシゴシ……あれれー? お姉ちゃんの耳たぶらへん、すっごいガサガサしてるよ?」

 

「う……そ、それは、昨日ちゃんと洗えてなかったからで……そ、そこは別に放っておいていいから」

 

 ひんやりしたティッシュで擦られていると、耳の後ろ側から明らかに垢が擦られる感覚がする。ポロポロって垢が取れてる。恥ずかしすぎて顔から火が出そう。

 

「ダメだよ、お姉ちゃん。こういうところもちゃんと洗わないと。ほら、カレンが擦ると……ポロポロって垢が落ちてるよ」

 

「ヤ……カレン、恥ずかし……本当に恥ずかしいから……」

 

 自分の担当ウマ娘にこんな事言われるのって私だけじゃない? 羞恥責めにも程があるんだけど。

 

「だって、カレンだって酷い事言われたんだよ。それならカレンもちょっとぐらい、言っても良いよね?」

 

「いや、本当やめて……謝るから、謝るから……本当に謝るから」

 

 もはや謝るからBOTと化した私はただそれだけを呟いている。恥ずかし……恥ずかしい……。

 

「しょうがないなー、お姉ちゃんは。それじゃぁ今回は許してあげるね。じゃぁ、そろそろ耳かき始めよっか」

 

 ようやく言葉責めを止めてくれたカレンはウェットティッシュを引っ込めて、耳かきが耳に当てられた。

 

「お姉ちゃんの耳の中は掃除のし甲斐がありそうだよ。カリカリカリ、カリカリカリ……んー、やってると、なんだか楽しくなってきちゃう♪」

 

「えーと。カレン、耳かきが楽しいなら、他の子にしてあげるのはどうかな? ほら、カレンなら友達も多いし、やってあげたらみんな喜ぶんじゃない?」

 

 正直ウマ娘のほうが耳は大きいし、敏感なウマ娘の耳は同じウマ娘が対応するのが一番良いし。カレンに耳かきしてもらいたいウマ娘って絶対居るでしょ。アヤベとか。

 

「むー。カレンはお姉ちゃんに耳かきしてあげるのが一番楽しいんだよ。言わせないでよ恥ずかしいなぁ」

 

 どこぞのネットスラングを言いながらカレンが私の頬をムニムニと指で突いてくる。柔らかく、白魚のようなカレンの指が、指がー!

 

「赤くなったお姉ちゃんの顔、可愛いなぁ♪ それじゃぁ、もーっと耳かきをしていくね。カリカリカリ……カリカリカリ……♪」

 

 耳元に近づけられたカレンの口から、カリカリとオノマトペが囁かれ、優しい吐息が耳を擽る。ああ、幸せ、幸せだけど……堕ちる、堕ちちゃうよぉ。

 

「おおお……カ、カレン……あんまり囁かれると……ちょっとぉ……」

 

「えー? ダメだよお姉ちゃん。掃除して綺麗になったお姉ちゃんの耳が一番に聞くのは、カレンの声なんだから」

 

 なんて可愛い事を言うんだこのウマ娘は。そんなの言われて堕ちない人間がいると思ってるの? いや、ダメダメ! 私はトレーナーだから! トレーナーなんだから!

 

「はい、これで大体の汚れは取れたよ。それじゃぁ次は、梵天でふわふわーってしてあげるね」

 

 あ、終わった。耳かきが終わって、次は耳の中に梵天が入ってきて、ふわふわの感触が耳の中を擦っていく。はぁ~……癒されちゃう……。

 

「ん……んん……ふぅ……」

 

「気持ちいい? それじゃぁ次は、保湿ローションでケアしていくね」

 

 梵天が引き抜かれ、ローションが耳の中に塗られていく。梵天でふわふわされて、敏感になった肌に塗られると、ちょっと冷たさがきちゃうかなぁ。

 

「ヌリヌリ……ヌリヌリ……えへへ、冷たくて気持ち良いでしょ?」

 

「んー……気持ち良いけど……あんまり耳の中にこういうの塗ったことないから、まだ慣れないかなぁ」

 

「それじゃぁ、今日からもーっと、慣れていってね♪」

 

 え、何それ? 今後も耳かきをしていく宣言ですか? それ、本当に堕ちちゃうんだけど!?

 

「はい、ローションもこれで塗り終わったよ……お約束の、ふ~……ふ~……」

 

「あひ……ひゃぁぁぁぁ……」

 

 口から出たらでない声が出てしまう。背筋に気持ち良いが走り抜け、これまでに感じた事のない気持ち良さに頭がおかしくなりそう。

 

「えへへ、お姉ちゃんのこうした可愛い姿、知ってるのがカレンだけって考えると楽しいなぁ♪」

 

「……私は恥ずかしくてそれどころじゃないよ……心臓が持たない……」

 

 もう耳かきが始まってから心臓がバクバクするばかりだ。気持ち良いけど、早く終わってほしい。

 

「えへへー、照れちゃうお姉ちゃん可愛いなぁ♪ それじゃぁ反対側もやっていこうね」

 

 そう宣言されてしまったので、私は体を起こして反対側を向こうと……あれ? なんか体の下に……うひゃあ!? いきなり視界が反転したと思うと目の前にカレンのお腹が広がってるんだけど、何!? なに!?

 

「それじゃぁお姉ちゃん、こっち側の耳かきやっていくね」

 

「待って待って待って、この体勢だとカレンの腹を見ちゃうから、反対方向で……」

 

「ダーメ。文句なんて言わないで、このまま耳かきしちゃっていくよー」

 

 逃げようとした私の頭をカレンがしっかりと抑え込んできた。ヤバ、カレンの匂いが……カレンの良い匂いが頭の中に入ってきちゃう。

 

「ウェットティッシュで、外側裏側をゴソゴソゴソ♪ あー、ティッシュが黄色くなっちゃった。こっちも掃除できてないねー、お姉ちゃん」

 

 ウェットティッシュを目の前に持ってこられると、そこには汚がこびりついたウェットティッシュがあった。うう、恥ずかしい……。

 

「だから、恥ずかしいからあんまり言わないで……次からは注意するから」

 

「次からは~~……は、やらない人の常套句だよ?」

 

「やめてカレン。その正論は私に効く」

 

 思わず真顔になってしまったと思う。いや、本当にね……? 正論だよ? 正論だけど、正論だけで人間が動けるなら苦労しないの。

 

「穴の中をカリカリカリ……カリカリカリ……小さいの~♪ 大きいの~♪ ぜ~んぶカリカリ取っちゃうねー♪」

 

「あふ……あっ……あっ……あっ……」

 

 そんな真顔も持たず、カレンの耳かきが耳垢をカリカリと掃除していくと、顔が崩れ、羞恥と気持ち良さでぐにゃぐにゃになってしまう。

 

「耳垢が取れたら、梵天でコシュコシュー♪ シュッコシュコ♪ 細かい汚れも絡めとっちゃえー」

 

「ひゃうううう……やっぱり梵天はこう、ゾクゾクってしちゃうなぁ……」

 

 耳垢が取れて敏感肌の耳の中を梵天がクシュクシュにしていく。はぅああああ……頭がおかしくなっちゃう。

 

「最後にローションでぬるぬる~♪ ねちょねちょ~♪」

 

「ぬぐぅ……耳の中がぬちゃぬちゃになると……これはこれで気持ち良い……」

 

 ちょっと慣れてきたのか、ぬちゃぬちゃが塗られるというのもちょっと悪くないような、そんな気がしてくる。

 

「ふ~……ふ~……はーい、これで耳かきお終いだよ、お姉ちゃん」

 

「ふぅ……ふぅ……や、やっと終わった……じゃ、じゃぁ、私はこれで……」

 

 耐えれた。耐えたよ私! さぁ、これでお終いだから急いで逃げないと! 逃亡の構えヨシ! ……って、頭抑えられてる? なんで?

 

「あれれ~、どこに行こうと言うのかね? 耳かきは終わったけど、お約束はまだだよ、お姉ちゃん♪」

 

「いや、ちょ……ま、待って、本当に待ってカレン。も、もう流石に限界が……」

 

 このままじゃ理性崩壊まで一歩手前である。おかしくなる前に逃げないと……逃げないといけないのに……!

 

「限界なの? それじゃぁ、なおさらお昼寝して、体力回復しないといけないよねー」

 

 ああ、逃げようとしたら余計に密着させられる! カレンのお腹に顔が埋められる! あ、固い筋肉のお腹……じゃなくて!

 

「ムグッ……! カ、カレンッ! この体勢はまずい! マズいから!」

 

「それじゃぁ、もう逃げないかな? 逃げるつもりならずーっと押し付けちゃうよ」

 

「わかった、わかったから……! お願い、放して……!」

 

 このまま埋もれたままじゃ余計に理性崩壊しちゃう。仕方がない、押してダメなら引いてみる。カレンの提案を受け入れて、少しでもこの状況を改善しないと!

 

 あ、なんとか押えてた手を離してくれた。ふぅ……顔をお腹から離して、目を閉じて必死に寝れるように頑張ろう。寝ないといつまでも終わらない。

 

「お姉ちゃん♪ 今日はお姉ちゃんが寝るまで……カレンがずっと囁いてあげるからね♪ カレンの生ASMRをタップリ堪能してね♪」

 

 ひうんっ!? み、耳!? ダメダメダメダメ! 視界を失くしてなんとか耐えようと思ったのに耳まで攻撃されるのはダメー!

 

「大好きだよ、お姉ちゃん♪ 大好き……大好き……大好きなお姉ちゃん、お昼寝しよう♪ カレン、一緒にお昼寝したいな♪」

 

「やめ……カレン、本当、マジで止めて……脳みそがおかしくなる……! 頭がカレンで埋まっちゃう……!」

 

「おかしくなってもいいよ♪ カレンがずっと一緒だから。一緒にお昼寝しよう♪ 今はぜーんぶ忘れて、カレンだけ感じて欲しいな♪ 大好き、大好き、大好きなお姉ちゃん♪」

 

「ひゃああああああっ」

 

 情けない悲鳴を上げる私を可愛がるカレン。なんとか必死に抵抗したらやめてくれたけど、ああ、もう、なんか色々疲れた……これなら、なんとか寝れそう……。

 

「……大好きなお姉ちゃん、カレンはずーっと、お姉ちゃんの愛バだからね♪」

 

 ……なんだか、そんな言葉が聞こえた気がした。気のせいだよね? きっと……。



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フクスズ

スズフクで耳かきを書きました。スズカと言えばスペを思い浮かべる人のほうが多いと思いますが、個人的にフクスズが好きです。縁起もよさそうじゃないです? 福鈴って。

追記
恐らく眼精疲労だと思いますが、長時間のパソやスマホしてると目や頭が痛くて作業どころじゃなくなっています。来週更新できるかは未定です。更新できても短くなると思います。


「あのー……スズカさん? 何をしているのでしょう?」

 

「何って……これからちょっと走りに行くつもりなんだけど」

 

 彼女の部屋の前でジャージを着ているスズカ。それを見かけたマチカネフクキタルが声をかけたが、スズカの返答にフクキタルは呆れかえっていた。

 

「あの、スズカさん? 天皇賞が近いから、体の調整のためにスズカさんのトレーナーさんとのトレーニング以外での練習はやめるよう、言われていませんでしたか?」

 

「トレーニングじゃないわよ。ちょっと走るだけだから」

 

「そのちょっと走る。で十キロ以上走って怒られてましたよね?」

 

 フクキタルの問いにスズカは露骨に視線を逸らした。

 

「フクキタル……行かせて?」

 

「いけません! スズカさんのちょっとはちょっとじゃないのですから、行かせるわけにはいきません!」

 

「むー……」

 

 頬を膨れさせ、少しずつ体を横にずらそうとするスズカだが、そんな彼女をフクキタルはしっかりと抱き留めて妨害する。

 

「むー……それじゃぁ、フクキタル、何か気晴らしになる事……ない?」

 

「むむ、ならばこのフクキタル厳選のラッキーアイテムの数々を……」

 

「そう言うのはいいから」

 

 フクキタルの提案をスズカはバッサリと切り捨てる。それに対してフクキタルは一瞬悲しみに包まれるが、すぐに気を取り直したのか、スズカの顔を見ながら答えた。

 

「わかりましたスズカさん。それでは、耳かきはどうでしょう? こう見えてもこのフクキタル、耳かきは得意なのです」

 

「え……? 耳かき……?」

 

 思いもよらぬ単語にスズカは耳を疑う。今までフクキタルとは1年以上の付き合いのある彼女だが、フクキタルからは今まで耳かきなんて言葉を聞いた事すらないのだ。

 

「はい、耳かきです。ほら、スズカさん、物は試しと言いますし、今日は耳かきを受けてください」

 

「んぅ……わかったけど……痛くしないで……ね?」

 

 未だ疑問に思いながらも好奇心に負けたスズカはフクキタルに耳かきを頼むことにした。

 

「りょーかいです! スズカさんがメロメロになるような、素敵な耳かきをしてあげましょう!」

 

 そう言ってフクキタルはスズカの手を取って自分の部屋へと連れていく。今日は同室のタンホイザはレースの為の外泊によって学園の外にいる為、フクキタルは気兼ねなくスズカを連れ込む。

 

「さぁ、スズカさんは私のベッドに座っていてください。今、準備をしますからね」

 

 大量のパワーグッズが所狭しと並ぶフクキタルのスペースで、以前贈られた金のしゃちほこ等を思い出して微妙な気分になるスズカだが、程なくしてフクキタルが戻ってきたのでそちらに意識を戻す。

 

「さぁスズカさん。早速やっていきましょうか。どうぞ横になってください」

 

 ベッドに座り、膝をポンポンと叩くフクキタル。少し警戒しながらも、スズカは体を横にしてフクキタルの膝の上に頭を置いた。

 

「さてさて、それではスズカさんのお耳の状態は……ムム、これは凝ってますね。走りすぎで耳にも風圧がきますから、それがストレスになってますね」

 

 そう言うと、フクキタルは慣れた手つきでスズカの耳を揉み始めた。親指で凝っている部分をグーッと力を籠め、滞りがちになっていた血流を促進していく。

 

「んぅ……ッ」

 

「あ、すみませんスズカさん。痛かったですか?」

 

「ん……大丈夫……続けて……」

 

 込められた力の気持ち良さにスズカは思わず声が漏れる。それを痛みと勘違いしたフクキタルが問いかけると、スズカは先を促した。

 

「はい、それではこの辺りと……うーん、ここも凝ってますねぇ。スズカさん、やっぱり耳のマッサージはもっと念入りにしたほうがいいです」

 

 モミモミ……グッグッ

 

 ギュッギュッ……グーッ

 

 普段誰かに触られる事のないスズカの耳をフクキタルが大事に摘まみ、筋肉の凝っている部分を指圧でしっかりと揉んでいく。

 

「どうですかスズカさん。痛くはないですか?」

 

「ん……大丈夫……フクキタル、もしかして、手馴れてる?」

 

「んー、どうでしょう? 自分で耳のマッサージはしますので慣れているとは思いますが……」

 

 そんな事を言いながらもフクキタルの指はスズカの耳を的確に揉み解していく。その快感に、スズカは思わず顔を赤める。

 

「フクキタル……触り方がちょっと、イヤらしい……」

 

「それはちょっとスズカさんの考えすぎです……さて、マッサージはこんなところで良いでしょうか」

 

 揉み続けていた手を離し、フクキタルは耳かきに手を伸ばす。それを目にしたスズカはその色合いに疑問を感じた。

 

「フクキタル? その耳かき、なんで金色なの?」

 

「はい、これは金で作られた耳かきです。これほどのパワーアイテムは中々ありませんよー」

 

 そう言うと、フクキタルは楽しそうにスズカの耳に耳かきを這わせていく。ザリザリ……ザリザリ……と、汚れが浮かんだスズカの耳を、金の耳かきが汚れを掻き取っていく。

 

「ほら、見てくださいスズカさん。こんなに汚れが溜まっているという事は手入れが疎かになっている証拠です。走るより先に体のケアが大事だという事です。それに、耳かきは気持ちいでしょう?」

 

「そんなことないわよ。走るほうが気持ち良いし、別に体のケアを怠ってるわけじゃないんだから」

 

「むむ、スズカさんは頑固ですね。では、私も気合を入れてやりましょう」

 

 スズカの言葉にフクキタルは一層気合を入れると、耳かきを念入りに動かしていく。金色の耳かきに白や茶色の汚れが絡みつき、掬い上げられティッシュに捨てられていく。汚れのない黄金の耳かきが汚れる。それはどこか背徳的な光景であった。

 

「ほらほらスズカさん。よーく見てください、こんなに汚れが取れているんですよ」

 

「あの……わかった、わかったから……もうやめて……」

 

 その光景に羞恥心を覚えたスズカが目を逸らして懇願する。

 

「では、分っていただけたところで耳の中を掃除します。スズカさん、動きたくなったら言ってください」

 

「……気を付けてお願いね」

 

 未だフクキタルに対して心配を覚えるスズカの懇願に一つ頷き、フクキタルは耳かきを穴に差し込んでいく。

 

「ふむ。中もちょっと汚れていますね。一つ一つ、確実にとっていきましょう」

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……とオノマトペを呟きながら耳かきを動かしていくフクキタル。普段は誰かに触られる事のない耳の中を覗かれ、弄られ、それが気持ち良い。羞恥心と気持ち良さでスズカの頬は徐々に赤く染まっていく。

 

「フクキタル……早く……終わって……恥ずかしい……」

 

「うーん、中途半端な所で放り出すと余計に悪化する恐れがありますので……もう少し、このままでお願いしますね。カリカリカリ……」

 

 そう言ってフクキタルは耳かきを続ける。黄金の耳かきがスズカの耳の穴の手前からカリカリカリ……と小さかったり薄かったりする耳垢を掻いていき、ペリペリと剥がしていき、ティッシュの上に捨てていく。そして、徐々に耳かきは奥へと進んでいった。

 

「んー、奥の方も少し汚れてますね。でも安心してください。幸い大きな汚れは無さそうなので、特に面倒なく終わりますよ」

 

「良いから……早くして……」

 

 笑みを浮かべるフクキタルを急かすスズカ。それに応えてフクキタルは耳かきを穴の奥に差し込み、汚れを掻き出していく。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……♪ さぁ、スズカさん。綺麗になっていってますよー。あとちょっとで耳垢が取り終わりますので、待っていてください」

 

 そう言ってからしばらくして、フクキタルは耳かきを抜いて横に置く。それでようやく耳かきが終わったとスズカがほっとしていると、不意に耳の中に滑らかなふわふわの物が入り込んできた。

 

「ひうっ!? フ、フク!? 何? 何してるの!?」

 

「何って、梵天で細かい粉の掃除ですよ?」

 

「梵天って……ヒャウッ、こ、こんなに気持ち良いの……?」

 

 今スズカの耳に差し込まれている梵天。それはスズカの知っている梵天の気持ち良さでなく、不意を打たれたこともあって、彼女の頭は混乱に陥っている。

 

「あ、この梵天は入念に手入れした私の尻尾の毛を使ってます。いやー、トレーナーさん用に作る前の試作品なんですが、スズカさんが気持ち良くしてくれて嬉しいです」

 

「自分の尻尾の毛って……ん……んん……♡ はぁ……ん……♡」

 

 予想外の素材にスズカは更に驚くが、それを塗り潰すかのようにフクキタルの梵天が耳の中を掃除していき、スズカの口から徐々に艶のある声が漏れ出てくる。

 

「ふぅ、大体これぐらいですかね。それでは最後に……ふ~……ふ~……」

 

「ひゃぁ……♡」

 

 最後に息を吹きかけられ、耳掃除で垢が取られ、敏感になっているスズカの耳の中をフクキタルの吐息が入り込む。その感覚にスズカは背中を震わせた。

 

「さて、これでこちら側はお終いです。では反対側をしていきましょうか」

 

「ちょ、フク……待って、お願い、待って……」

 

「さー、やっていきましょうスズカさん」

 

「ひゃああああッ」

 

 

 

 

「……あの、スズカさん? そろそろ機嫌を直してもらっても……」

 

「……知らない。フクキタルが悪いもん」

 

「スズカさーん……」

 

 容赦なく反対側の耳かきをされたスズカは、フクキタルのお腹の部分に抱き着き、顔を埋めながら抗議をしている。

 

「それで……あのー、スズカさん。これで今日はもう走り込みはしないですよね?」

 

「……それは……うん、わかったわ」

 

 取り合えずの目標は達成できたので、フクキタルは安堵の表情を浮かべる。それを上目づかいで眺めたスズカは軽く息を吐いて再びフクキタルの腹に顔を埋める。

 

「……それで、スズカさん? えーと……いつまでこの状態なのでしょうか? そろそろ離れて頂ければ……」

 

「……ヤダ」

 

「スズカさーん……」

 

 ここから暫くの間、スズカはフクキタルの腹に顔を埋め続け、更に後日、天皇賞秋を勝利するまで、時折フクキタルが耳かきをし、その後にフクキタルに顔を埋めるスズカの姿があったという。



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ゴールドシチー

ゴールドシチーで耳かきを書きました。

ゴールドシチーって勝負服けっこう露出多いですよね。あれ、水着程じゃないですけど冬とかくっそ寒いと思うんですよ。

見てる分には眼福なんですけどね。


トレーナー、ちょっと良い? モデルの仕事が入る事になったから、練習との兼ね合いを相談したいんだけど……

 

 って、何してるの? 耳の中に耳かきなんか突っ込んで。……耳の中が痒い? ふーん……。

 

 ……ああ、もう、見てられないったら。そんなやり方じゃ取れるものだって取れないから。私にやらせて、そっちの方が早い。

 

 遠慮なんかしなくていいから。変なやり方して余計に耳の中傷めたりする方が厄介なんだし。ほら、おとなしくしてって……っ!

 

 はぁ……まったく、人間がウマ娘に勝てるわけないっしょ。ほら、さっさと諦めてよ。こんな事で時間使いたくないし。

 

 ……あーあー、ダメじゃんトレーナー。滅茶苦茶に耳かき突っ込んでたっしょ。あっちこっち赤くなってるし。こんなんじゃ余計に悪化するだけだよ。

 

 赤くなってるとこは後日にするとして……トレーナー、どの辺が痒いの? ここ? それともここ? ……あー、けっこう奥じゃん。こんなところ、一人でやろうとしたら危ないって。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 ガッ……ガリガリ……

 

 うん、ここが痒みの元で間違いはないね。よくは見えないけど……固いのがあるのが綿棒越しでもわかるし。変に自分でやってるから余計に固くなっちゃったんじゃないの? まったく……

 

 ガリッ……ガリッ……

 

 ガッ……ゴゾッ……

 

 ……うん、ようやく剥がれてきた。ほらほら、おとなしくしててって。このまま一気に剥がしちゃうから。中途半端に剥がれてるほうが痒いっしょ? 一気に取っちゃうから。

 

 ん、固いのを……このまま……ガリガリ……って……っし、取れた……あ、トレーナー!?

 

 え、痛かった? ご、ごめん。ちょっと私も焦りすぎたかも……ほ、本当ごめん!

 

 次は優しくしてくれ? ……うん……大丈夫。次はもっと慎重にやるから……ありがと。

 

 カリカリ……カリカリ……

 

 ガッ……カリ……カリ……

 

 ん、大丈夫。もうそんなに固いのはないから……ほら、見てよ。ちゃんと取れてるでしょ? このまま、掃除を続けていくから。

 

 えー? もういいの? まだ耳垢残ってるし……もしかして、やっぱり私がやるの怖い? そうだよね、痛い思いさせちゃったし……そうじゃなくて恥ずかしいから?

 

 た、確かに膝枕は恥ずかしいけど……でも、いいじゃん、私達トレーナーと愛バっしょ? これぐらい普通だって。ほら、嫌じゃないなら耳かき、続けるから。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……ん、この辺にしとこっか。これ以上やったら耳の中余計に痛くなるかも。トレーナーが変に自分でやるからだよ。

 

 ほら、反対向いてよ。ここまで来たら片耳でも両耳でも同じじゃん。それならやっちゃうほうがいいっしょ? ほら、早く早く。

 

だから、そんなに恥ずかしがらないでよ。勝負服でいっつも見てるじゃん……そんな顔を赤くされたらこっちまで余計に恥ずかしくなるし……。

 

 ん、そうそう、おとなしくしててよ……。んー、外側はそんな汚れてもないし、中からやっていこうか。

 

 カリカリ……カリカリ……

 

 カリカリ……カリカリ……

 

 ちょっと大きい塊とか、掻いてたら意外と取れるもんなんだよね。で、他には……うーん、見た限りだとそんなにヤバそうなのはないかな? さっきみたいに痒い所ってある?

 

 ん、この辺ね。んーと……どう? あ、掻いてたら痒みが増した? じゃぁ、ここの耳垢も取っちゃうから。ほら、痒いからって変に動かないでよ、取りづらいじゃん。

 

 ガリガリ……ガリガリ……

 

 ザリザリ……ガリッ……

 

 ん、剥がれてきたから、そこから一気に剥がすね。ほら、動かないでったら。ん、くすぐったいって……。

 

 ……ふぅ、やっと取れたし……ほら、もう取れたから、動かないでよ。息だって変にくすぐったいところにかかって困ったんだから。

 

 ほら、仰向けになって……で、どうする? 何がって……耳かきしたらお昼寝がお約束でしょ。しないの? だから、恥ずかしがらなくていいって。私は……あんたの愛バなんだから。

 

 ほら、手握って……あんたがそんな恥ずかしがってたら私だって恥ずかしくなるじゃんか。大人なんだからつべこべ言わないで……あ、やっと目瞑ってくれたね。

 

 ……あんただって疲れてるんでしょ。だから、こんな時ぐらい甘えてくれる方が……私だって、こうしてあんたの為に何かできるのが嬉しいんだからね。



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メジロマックイーン(ウマ娘)

メジロマックイーンで耳かきを書きました。ゴルシとスイーツが絡んで色々とネタにされやすいキャラですが、なんやかんやメジロの代表ですし、プライベートではお嬢様よしてこちらをリードしてくるような姿勢で接してきそうな気がする今日この頃。


 私、メジロマックイーンは先日、メジロ家の悲願である天皇賞を制覇。更にそのままエリザベス女王杯、ジャパンカップを制し、今は有馬記念に向けた僅かばかりの休養期間となっています。

 

 三回連続のGIレースへの出場……それは私にとってとても過酷なものでしたが、トレーナーさんと人バ一体、文字通り二人三脚で歩んだ道のりは、全てのレースにおける勝者と言う道へと続いていました。

 

 この道を途切れさせないためにも、今は休息をとらなければならない……だから、今こうしてトレーナーさんと一緒にアフタヌーンティーを楽しんでいるのは必要なことですわ。

 

「しかしまぁ……メジロのアフタヌーンティーは本格的だな。俺、このお菓子乗せるやつって映画とかぐらいでしか見た事なかったんだよ」

 

「うふふ、それでは今度メジロ家に招待した時はもっとちゃんとしたものをお見せしますわ。おばあ様からもトレーナーさんにご挨拶したいと聞いておりますから」

 

「お……おう」

 

 メジロ家に招待すると言ったらトレーナーさんがちょっと困った顔をされましたが、トレーナーさんはメジロの悲願を達成させてくれた方なんですから、これからはどんどん家に関わっていただかなければならないのですよ、分ってらっしゃるのでしょうか?

 

「さて……トレーナーさん、本日はまだ時間に余裕がありましたよね?」

 

「ん? ああ、先輩からも休息日は作るように言われてるからな。今日はメディアからの取材とかもないし、本当にフリーだ」

 

 そう言ってトレーナーさんは紅茶を一口飲み、大きく息を吐かれました。このG1三連戦はトレーナーさんにとっても多大な負担をかけました。だからこそ、今日はトレーナーさんにも十分な休息を味わっていただかなくては。

 

「さて、と。トレーナーさん、後片付けはこちらでしますので少し待っていて頂けますか? 耳かきの準備も一緒に行いますので」

 

「ん……わかった」

 

 使い終えた道具を片付け、次に耳かきの準備を行う。さぁ、トレーナーさんには、満足していただかなければ。

 

「お待たせしましたトレーナーさん。それでは、こちらに頭を置いてくださいませ」

 

 ベッドに座るトレーナーさんの横に座り、膝を叩くと、彼はおとなしく頭を乗せてくださいました。

 

「さぁ、始めますわよ。くすぐったかったりしたら言ってくださいね。自分で変に動くと危ないですから」

 

 一言注意をしてから、まずはウェットティッシュでトレーナーさんの耳をゴシゴシ……ゴシゴシ……裏側も、窪みも、念入りに掃除していきます。

 

「ふぅ、こんなに黄色い汚れがついて……粉が多く出てる証拠ですわ。さて、それでは耳かきで、残りの汚れがないかを確認しまして……」

 

 カリカリ……カリカリ……

 

 サリサリ……サリサリ……

 

 うん、もう大した汚れは残っていませんね。それでは、中の掃除をしていきましょう。

 

「カリカリ……カリカリ……ウフフ、こうしてトレーナーさんの耳かきをしていると、なんだか普段とは立場が逆になった気分になりますわ」

 

「お……おう、言われてみればそんな気もしなくもないが……」

 

 いつもお世話になってる方のお世話をするというのは中々楽しいものですわね。さて、奥の方も確認しましょう。

 

「ん……ちょっと見辛いですわね。えーと……」

 

 顔を近づけてよーく覗いて見て……んー、それらしいのが見えましたわね。掃除していきましょう。

 

 サリサリ……サリサリ……

 

 ガッ……ベリベリ……

 

「はい、綺麗に取れましたわね。どうでした? 痛くはなかったですか?」

 

「ああ、大丈夫……と言うより、もうちょっとその辺、掻いてくれないか?」

 

「この辺……ですか? 見た限り、特に汚れはありませんが……」

 

 トレーナーさんが言ったらへんを取り合えず搔いてみますが……特に汚れはありませんわね。という事は……。

 

「……トレーナーさん? 前に言いましたよね、やりすぎれば耳の中が悪化すると」

 

 そう言って耳の中を耳かきでこつこつと突くと、トレーナーさんは体をビクッと震わせて、横目でこちらを見上げてきました。

 

「……バレるの早くないか?」

 

「以前ももっと掻いてほしいなんて仰っていたからです。さぁ、バカな事を言うのはこれでお終いにしてくださいまし……その代わり」

 

 トレーナーさんの耳元に口を近づけて、静かに、囁いてあげます。

 

「こうして……囁いて差し上げますわ」

 

 必要以上に顔を近づけ、カリカリカリ……と囁きながら耳かきを動かして差し上げますと……ふふふ、気持ちよさそうですわね、トレーナーさん。

 

「マ、マックイーン……そんなに囁かれたら……」

 

「うふふ、気持ち良いでしょ? こうして……貴方の愛バが耳元で……囁いてあげてるのですよ。カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 耳元で囁き続けていると、トレーナーさんが体を震わせ、耳まで赤くして……うふふ、年上の方なのに可愛らしいと思えてしまいますわ。クリークさんのように母性を刺激されるのでしょうか?

 

「カリカリカリ……掃除はこの辺りにしておきましょうか。それでは、梵天で細かい粉の掃除していきますわ」

 

 みみかきをひきぬき、次に梵天で取り切れなかった小さい粉や耳垢の欠片を絡めとって……くるくる~……ふわふわ~……と。

 

「んん……前のより柔らかいか?」

 

「はい、今回のは毛が柔らかい物をご用意しました。ですので、以前のよりも優しくて……気持ち良いでしょう?」

 

 ふわふわの梵天で掃除されるのは私も気持ち良いと感じていますので、トレーナーさんも気持ちよさそうで何よりですわ。

 

「さぁ、梵天も終わって……ふ~……ふ~……」

 

 顔を近づけたまま、耳元で息を吹きかけて差し上げますよ、トレーナーさんがビクビクッと体を震わせました。ふふふ、可愛らしいですわね。さぁ、こちら側はこれでお終いですわね。

 

「ふお……おおお……」

 

「あらあら、そんなに悶えちゃって。やはり梵天の後の息は気持ち良いのですね。これからもして差し上げますわ」

 

 身悶えするトレーナーさんに声をかけながら、軽く持ち上げて一気に反対側を向かせます。さぁ、こちら側をしていきますわよ。

 

「さぁ、こちら側の掃除をしていきますわよ。体の力を抜いて、大人しくしていてくださいませ」

 

「う……わ、わかったけど、体勢は変えても良いんじゃ……」

 

「問答無用、ですわ」

 

 トレーナーさんがごちゃごちゃと言ってくる前に先手を打って耳をウェットティッシュで拭いていきます。ゴシゴシ……ゴシゴシ……こちらも汚れてますわね。

 

「ふぅ、やはりトレーナーさんは耳のお手入れが疎かですわね。これからもメジロのウマ娘として、パートナーの身だしなみには私も参加しなければなりませんわね」

 

「あ……と、うん、頼むわ……」

 

 トレーナーさんからも了承を得れましたし。それでは、まずは目の前の掃除から……。

 

 カリカリカリ……ガリガリガリ……

 

 ザリッ……ベリッ……ズズ……

 

「耳垢を一つ一つ……丁寧に掻き出して……耳の中を傷めないように……」

 

「うお……そこ……気持ち良い……もっと掻いてくれれば……」

 

 またバカな事を仰るトレーナーさんを無視して、次は梵天ですわ。

 

 コシュコシュー……コシュコシュー……

 

 クルクル……フワフワ……

 

「耳かきで終わりではなく、こうした細かい汚れも取ることが大事ですわ。粉が固まったら困りますもの」

 

「ん……まぁ、理屈はそうなんだろうけど……気持ち良かったらどうでも良いかな……」

 

 トレーナーさんとしてその発言はどうかと思うのですが……それだけ気を抜いていらっしゃると思っておきましょう。

 

「最後は……ふ~……ふ~……」

 

「ふぉぉぉ……」

 

 ふふふ、楽しかったですが……これで耳かきはお終いですわね。

 

「さぁトレーナーさん。耳かきはお終いですが、後はお昼寝をしましょうね」

 

「……いや、前にやってもらった時は確かに俺から昼寝をねだったけど、今はマックイーンは疲れが溜まってるんだし、ここまでしなくても……」

 

 そんな事を言うトレーナーさんの耳を少し力を入れて引っ張って、広がった穴に向かって囁いてさしあげましょう。

 

「良いんですの。私がやりたいんですから。トレーナーさんは……文句を言わず、大人しくお昼寝してください」

 

「……はい」

 

 まったく、この程度の事で気を使ってもらわなくても大丈夫ですのに。それに……レース続きだからこそ、たまにはこうしてのんびりと過ごしたいのですわよ。

 

「トレーナーさん? これからも人バ一体、宜しくお願いしますわね」



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メジロマックイーン(地の文あり、男トレーナー視点)

メジロマックイーンで耳かき、男トレーナー視点で書きました。

ゴルシに振り回されたりパクパクですわネタ使われたりでポンコツお嬢様みたいな扱いされる事がちょくちょくある(個人的印象)の彼女ですが、やはりメジロのお嬢様に耳かき膝枕してもらうのは最高じゃないですか? 私はそう思います。

追記 夏風邪で死にそう。来週パターン道理に更新できるか未定。

久しぶりに日刊ランキング49位になりました。感謝です。


 先日、俺の担当ウマ娘のメジロマックイーンは、メジロ家の悲願である天皇賞を制覇。更にそのままエリザベス女王杯、ジャパンカップを制し、今は有馬記念に向けた僅かばかりの休養期間となっている。

 

 なんとも素晴らしい事だ。GIレース三連勝なんてどれだけのウマ娘が達成できたというのか。それを俺の担当ウマ娘が成し遂げてくれた。トレーナー冥利に尽きる。

 

 だがここで気を緩めてはいけない。次の有馬記念に向けてしっかりとトレーニングを……と言いたいところだが、ここで焦ってはダメだ。いくら彼女にやる気あろうとも疲れは蓄積しているはずだから、ここでしっかりと休養を取らせなければならい。

 

 と言うわけで、今日は体を訛らせないための最低限の運動を行った後は休養を取る……はずだったのだが、どういうわけか、今俺は彼女の部屋でアフタヌーンティーを楽しんでいた。彼女たっての希望だったが……まぁ、これで彼女が休息になるというのならいくらでも付き合おう。 

 

「しかしまぁ……メジロのアフタヌーンティーは本格的だな。俺、このお菓子乗せるやつって映画とかぐらいでしか見た事なかったんだよ」

 

 紅茶を口にしながら視線を向けた先にあるのは、銀で作られているというお菓子置きである。こんなお洒落な物を実際に使う日が来るとはな……。

 

「うふふ、それでは今度メジロ家に招待した時はもっとちゃんとしたものをお見せしますわ。おばあ様からもトレーナーさんにご挨拶したいと聞いておりますから」

 

「お……おう」

 

 メジロ家か……以前マックイーンが三冠を達成した時に一度お邪魔したが……俺みたいな庶民にはどうにも縁のない場所過ぎて、滅茶苦茶緊張したなぁ……。次に行くときにはもっとちゃんとした態度をできるだろうか?

 

 そんな事を悩んでいると、マックイーンがカップを置いてこちらを見てきた。

 

「さて……トレーナーさん、本日はまだ時間に余裕がありましたよね?」

 

「ん? ああ、先輩からも休息日は作るように言われてるからな。今日はメディアからの取材とかもないし、本当にフリーだ」

 

 紅茶を一口飲んで、俺は大きく息を吐く。ああ、そう言えばこうして一日フリーなんていつぶりだろうか。おかげで何をやろうか……と言うのが思い浮かんでこない。やっぱり適度な休息を取らないと仕事を辞めた後にボケそうだなこれ。

 

「さて、と。トレーナーさん、後片付けはこちらでしますので少し待っていて頂けますか? 耳かきの準備も一緒に行いますので」

 

「ん……わかった」

 

 そんな事を思っていると、マックイーンがお菓子を食べ終えた後の食器類を片付けていく。彼女にやらせていいのか? と思わなくもないが、あの高そうな食器や道具やを触るのは正直怖い。なので彼女に任せるしかないのだが……。

 

 取り合えず俺は場所を移動してマックイーンのベッドの上に座っている。すると、道具を片付け終えたマックイーンが耳かきの道具を持って俺の隣に座ってきた。

 

「お待たせしましたトレーナーさん。それでは、こちらに頭を置いてくださいませ」

 

 膝を叩くマックイーンに従い頭を置く。うん……良い固さだ。太り気味の時の柔らかさがないのは良い証拠だ。

 

「さぁ、始めますわよ。くすぐったかったりしたら言ってくださいね。自分で変に動くと危ないですから」

 

 そんな注意を言いながら、マックイーンはウェットティッシュで俺の耳を拭いてくる。冷たいティッシュに擦られ、垢が落ちる感覚にちょっと恥ずかしさを覚える。

 

「ふぅ、こんなに黄色い汚れがついて……粉が多く出てる証拠ですわ。さて、それでは耳かきで、残りの汚れがないかを確認しまして……」

 

 カリカリ……カリカリ……

 

 サリサリ……サリサリ……

 

 おおお……まだ外の掃除中なのに耳かきで掃除される音が気持ち良い……擦られる気持ち良さも良いし、音も気持ち良い……メジロ家には何か耳かきの秘策とかでもあるのか?

 

 そんな俺の驚きをよそに外側の掃除を終えた耳かきが中に差し込まれていく。

 

「カリカリ……カリカリ……ウフフ、こうしてトレーナーさんの耳かきをしていると、なんだか普段とは立場が逆になった気分になりますわ」

 

「お……おう、言われてみればそんな気もしなくもないが……」

 

 言い方はあれだが、普段は俺がマックイーンの世話をしている。だから、今みたいに俺の世話をしているというこの形は、確かに普段と立場が逆になっているのだろう。

 

 なんてことを考えている間に耳かきの動きが止まり……マックイーンが顔を近づけてきた。

 

「ん……ちょっと見辛いですわね。えーと……」

 

 奥を覗いている彼女の息遣いがよーく聞こえているというのがなんとも落ち着かない。年頃の、しかも普通なら接する事なんてない名門お嬢様にこんなことをしてもらってるんだ、落ち着けると思うな。

 

 サリサリ……サリサリ……

 

 ガッ……ベリベリ……

 

「はい、綺麗に取れましたわね。どうでした? 痛くはなかったですか?」

 

「ああ、大丈夫……と言うより、もうちょっとその辺、掻いてくれないか?」

 

 耳かきが終わった……んだけど、あれなんだよな。まだ掻いて貰った気持ち良い場所がある。その辺、その辺を掻いてくれたら……。

 

「この辺……ですか? 見た限り、特に汚れはありませんが……」

 

 横目で、首を傾げるマックイーンを見上げると少し罪悪感を感じるが……掻いて欲しいという欲に勝てずそのまま掻いてもらっていると……。

 

「……トレーナーさん? 前に言いましたよね、やりすぎれば耳の中が悪化すると」

 

 少し怒気を含んだ声に、耳かきで耳の中をこつこつと突かれて……あ、ヤバイ、怒ってる。怒らせた。

 

「……バレるの早くないか?」

 

「以前ももっと掻いてほしいなんて仰っていたからです。さぁ、バカな事を言うのはこれでお終いにしてくださいまし……その代わり」

 

 呆れ口調でそこまで言ったと思うと、マックイーンの顔が再び耳元に近づいてきて……。

 

「こうして……囁いて差し上げますわ」

 

 ほぁぁぁぁぁっ! 囁き……マックイーンの囁きが……他の部分を耳かきで掻かれて……ほあああ、ほあああああっ。

 

「マ、マックイーン……そんなに囁かれたら……」

 

「うふふ、気持ち良いでしょ? こうして……貴方の愛バが耳元で……囁いてあげてるのですよ。カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 うあ……こう、マックイーンに愛バだなんて言って貰えるとか……トレーナー冥利に尽きるだろ……。まさかこんなことを言って貰える日が来るとは……。

 

 嬉しいやら恥ずかしいやら……色んな感情で頭の中がぐちゃぐちゃになりそうだ。囁きと言い、愛バと言い……破壊力ありすぎるだろ。

 

「カリカリカリ……掃除はこの辺りにしておきましょうか。それでは、梵天で細かい粉の掃除していきますわ」

 

 耳かきが引き抜かれ、まだ描いて貰いたいという欲望に柔らかく蓋をするかのように梵天が差し込まれ、そのまま耳の中が掃除されていく。

 

「んん……前のより柔らかいか?」

 

「はい、今回のは毛が柔らかい物をご用意しました。ですので、以前のよりも優しくて……気持ち良いでしょう?」

 

 前のよりフワフワして、きめ細かい梵天の毛が俺の耳の中をこそばしていき、耳かきを続けて欲しいという気持ちまで絡めとられたかのように落ち着いていく。

 

「さぁ、梵天も終わって……ふ~……ふ~……」

 

 至近距離で吹きかけられた息が耳の中を通り鼓膜まで到達する。耳かきで熱を帯び、梵天で敏感になった耳の中を通る息の感触に、俺は背筋をブルっと震わせた。

 

「ふお……おおお……」

 

「あらあら、そんなに悶えちゃって。やはり梵天の後の息は気持ち良いのですね。これからもして差し上げますわ」

 

 なんだか凄い事言われた気がする。思わず聞き返そうとしたが、それより先に俺の体はくるんと引っくりかえされ、彼女の腹部が眼前に広がった。

 

「さぁ、こちら側の掃除をしていきますわよ。体の力を抜いて、大人しくしていてくださいませ」

 

「う……わ、わかったけど、体勢は変えても良いんじゃ……」

 

「問答無用、ですわ」

 

 俺が体勢を直そうとするのを押さえつけられ、ウェットティッシュで耳を拭かれていく。むむ……これじゃぁ駄々を捏ねる子供に呆れた親みたいな感じじゃないか……。

 

「ふぅ、やはりトレーナーさんは耳のお手入れが疎かですわね。これからもメジロのウマ娘として、パートナーの身だしなみには私も参加しなければなりませんわね」

 

「あ……と、うん、頼むわ……」

 

 だから、なんかさっきから凄い事言ってないか? 俺、これからも継続的にマックイーンに耳かきされるのが決定してるの?

 

そんな俺の困惑をよそに耳かきは続いていく。

 

 カリカリカリ……ガリガリガリ……

 

 ザリッ……ベリッ……ズズ……

 

「耳垢を一つ一つ……丁寧に掻き出して……耳の中を傷めないように……」

 

「うお……そこ……気持ち良い……もっと掻いてくれれば……」

 

 俺がそう言うも、マックイーンは何も反応せず、耳かきを続けていき。

 

 コシュコシュー……コシュコシュー……

 

 クルクル……フワフワ……

 

「耳かきで終わりではなく、こうした細かい汚れも取ることが大事ですわ。粉が固まったら困りますもの」

 

「ん……まぁ、理屈はそうなんだろうけど……気持ち良かったらどうでも良いかな……」

 

 トレーナーをしている身としてはなんとも酷い発言だと思うが、割と本心だから困る。

 

「最後は……ふ~……ふ~……」

 

「ふぉぉぉ……」

 

 最後に息を吹きかけられ……ふぅー、気持ち良かった。極上の耳かきを堪能できたぞ。

 

「さぁトレーナーさん。耳かきはお終いですが、後はお昼寝をしましょうね」

 

「……いや、前にやってもらった時は確かに俺から昼寝をねだったけど、今はマックイーンは疲れが溜まってるんだし、ここまでしなくても……」

 

 流石に今回は昼寝までねだる気はないためどこうとするが、マックイーンに耳を摘ままれ、引っ張られ、そして、広がった穴にマックイーンの声が響く。

 

「良いんですの。私がやりたいんですから。トレーナーさんは……文句を言わず、大人しくお昼寝してください」

 

「……はい」

 

 そこまで言われては仕方がない。俺はマックイーンに全てを任せ、目を閉じる。そんな俺の耳に彼女の声が届いた。

 

「トレーナーさん? これからも人バ一体、宜しくお願いしますわね」



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