GOD EATER 神となった少年と神をやめし少年 (Jaeger)
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第一部 ~神となる少年編~
期待の新人


初めまして!初投稿になります。ストーリーに自信がありませんが
読んでもらえるとうれしいです!


廃墟となった建物、積み重なった瓦礫の山。

遠くから聞こえるのはアラガミの鳴き声。

 

そんななか神機を握りしめた一人の少年がいた。黒い髪に少々逆立った毛、右目にはキズがあり

黒目と赤目のオッドアイの少年が一人いた

少年の名は神狩(かがり)ユウヤ、激戦区である極東支部に配属となった新型であり新米のゴッドイーターである。彼の神機は世界初の二刀流のショートタイプである。

 

「まだか……」

彼はある人物たちをまっていた。

 

「よう、またせたな」

「……リンドウさん、遅いです」

悪い悪い、そういって適当に返す人物

 

このオッサンは雨宮リンドウ

フェンリル極東支部第一部隊隊長である

 

「ちょっと一服してたんだ」

「任務を忘れてなくて安心しました」

 

「それじゃ早速ミッションをやるぞ新入り

命令は三つだ。死ぬな。死にそうになったら逃げろ。そんで隠れろ。

運が良ければ不意をついてぶっ殺せ。……あっ、これじゃ四つか」

「しっかりしてくださいよ」

「ところで今回の討伐対象はわかってるな」

「はい、オウガテイルですよね?」

「そうだ、小型アラガミの中で一番数が多くお前みたいな新入りが

最初に倒すアラガミだ。

とはいえ小型といえど油断するなよ、すぐ殺られるぞ」

「はい、わかりました」

 

(……緊張が一つも感じ取れないな)

少しの会話でこれだけはわかった

今から殺し合いに行くというのに体が震えておらず覚悟のできた

目をしていた。

その時ふとリンドウはあることを思い出した。

 

「そういやもうひとりはどうした?」

「……えっ?」

「いや、新型がもう一人いると聞いたんだが」

「……俺は一人で来ましたよ」

 

「ごめんなさーい!!」

 

大きな声とともに一人の少女が現れた。

肩まで伸びた黒くて長い髪、力強い黒い瞳、背丈は160後半と女性の中では高い方だ。

「あの……遅れて……すみません……

今日……から第一部隊配属に……なりました……神崎(かんざき)アスカです」

息を切らしながら自己紹介をしたアスカを見て、ユウヤは苦笑した。

「よし、自己紹介も済んだとこでそろそろ行くぞ。」

『はい』

少しあきれたように話を進めるリンドウ。

 

「……ところであなたの名前は?」

「神狩ユウヤだ。よろしくな」

「うん、よろしくね、神狩君」

「ユウヤでいいって」

「じゃあ私のこともアスカでいいよ」

 

 

その時リンドウが二人の会話を止めた。

 

「おい、いたぞ」

 

そのリンドウの一言で二人に緊張が走る。

尤もユウヤは先ほどと変わらずアスカはまんざらでもなさそうだ。

 

 

「そんじゃまずは、二人だけでやってみろ。

大丈夫だ、なにかあったら援護してやる。」

「わかりました」

「ええっ!?」

(…こいつはいったい?…)

 

今の言葉一つでリンドウは違和感と疑問、それと少しの恐怖を覚えた。

 

「…どうしました、リンドウさん。」

「ん、ああ、別に」

「…そうですか」

「?」

 

二人の会話にアスカはまったくついていけなかった。

 

「それじゃ、行くぞ。」

「まって!その、まだ心の準備が……」

「大丈夫だ、俺もついてる、それにもしもの時はリンドウさんもいる。

それにそれじゃあゴッドイーターになった意味がないぞ。」

「……うん。やってみる、ううん

やってみせる!」

 

(こいつ、一言で……)

 

やっぱ只者ではない、そう判断したリンドウだったが

気が付くと二人はオウガテイルとの間合いを詰めていた

 

 

ユウヤの一撃がオウガテイルの体に刺さる。

 

しかし刃は途中で止まりすぐさま刃を抜いた。

 

(…固い……!)

 

「グアァァァァァァァァ!!」

「!」

 

その時、悲鳴と怒りを込めた雄叫びを上げつつオウガテイルは尻尾を立てた。

 

その時、ユウヤは嫌な予感がして装甲を展開させた。

十中八苦予想が当たりオウガテイルの尻尾から無数の針が飛んできて装甲に何度も

衝撃が伝わる。

 

「くそっ!」

 

攻撃がやんだと同時にバックステップを取り神機を銃形態に変形させる。

これが新型の特徴、可変機能である。

さらに、彼の神機は二刀流なので、二つの神機が合体して一つの銃になった。

 

「くらえっ!」

 

発射と同時にオウガテイルの体に風穴が空く。

さらにすぐさま剣形態に戻すと、もう一匹のオウガテイルに狙いをつける。

切りかかると同時に今度は顔めがけて神機を振り下ろす。

そしてオウガテイルの顔を真っ二つにした。

 

そして返り血が彼の顔を汚す。

 

(……すげえな、ありゃいつかぬかされるかもな…)

 

彼の戦いを見てそう思うリンドウ。

 

「きゃあ!」

 

一人の少女の悲鳴が聞こえる。

そちらに向くとアスカが尻餅をついて苦戦を強いられていた。

 

(ありゃまずいな……)

 

助けに行こう、そう思ったリンドウであったが、その必要はないと判断した。

 

彼女に喰らいつこうとオウガテイルであったがそれは失敗に終わった。

なぜなら先ほどコアを抜き取ったユウヤがアスカの援護に回ったからだ。

吹き飛んだオウガテイルに追い打ちのごとくユウヤが追撃をする。

よく見ると彼の神機が一つの剣になっていることに気付いた。

そしてその間にオウガテイルが絶命した。

 

「ふぅ……大丈夫だったか?」

 

そういいながらユウヤがアスカに手を差し伸べる。

 

「うん……ありがとってひゃあ!!」

 

彼の顔を見たアスカが悲鳴を上げた。

当然だ、彼の顔がオウガテイルの血で汚れて怖い顔になっていたからである。

 

「ん……あ、悪い、今拭くよ。」

 

(ありゃビビるな……)

 

リンドウは心の中でそう思った。

 

「よし、そろそろ帰るぞ。」

 

『はい』

 

「言っとくが、帰るまでがミッションだぞ。」

 

「わかってますよ」

 

そういう会話をしながら歩みを進める三人。

 

 

 

 

(こいつは、とんでもないのが入ってきたな)

 

そう思いながら帰っていくリンドウであった。

 

 

 

 

 

 

続く………

 




読んでくれた方ありがとうございます!
一様続くのでぜひ読んでください!!


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非番だ!

いろいろ考えたけど今日はヒマ~な一日を書いてみました!
よければ読んでみてください!!




「……暇だな」

 

自室でそう呟くユウヤ。極東に配属され早くも一週間がたった。

今日は非番だ、だが何もすることがないわけではない。

しかし彼は配属初日のうちに、荷物の整理が終わってしまっていた。

 

 

その時、扉のほうから声が聞こえた。

 

「ユウヤー、いるかー。」

「ああ、いるぞー。」

 

そういいながらドアを開けるユウヤ。

すると扉の前には、二人の少年と少女が立っていた。

 

少年の名は藤木コウタ、ユウヤと同じ日に第一部隊配属になった、いわゆる同期というやつだ。

 

「コウタか、それにクロナまで、どうした?」

 

彼がクロナと呼んだ少女は神闘(しんとう)クロナ。

彼女もまた、コウタと同じく第一部隊配属になった、彼らの同期である。

 

「あのね、よかったら一緒に支部の中を見て回らないかなーと思ってさ、

どうかな?」

「ああ、いいよちょうどヒマだったし、

見て回ろうか考えてたところだしいいぜ」

「よーし!じゃあ決まりだな!あとアスカも誘ってみようぜ!」

「あっ!いいねそれ、賛成!」

「そうだな、せっかくだし」

「じゃあ早速あいつの部屋にいくぞー!」

「おーーーー!」

「……おー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、アスカー、いるかー」

 

ところ変わってここは、アスカの部屋の前。

大きな声で確認をするコウタ。

 

「おい、もう少し小さな声で言ったほうが」

「でも大きいほうが聞こえるだろ。おーい、アスカー、いーるーかー!」

 

 

すると、部屋の中でなにかが落ちる音が聞こえた。

 

少ししてから部屋のドアがゆっくりと開いた。

 

「……どうしたの」

「……もしかして寝てた?」

「……うん」

 

何とも眠そうに部屋から出て来たアスカ。

さっきの言葉を聞いて大きな音を理解したユウヤ。

 

「もしかして、さっきベッドから落ちて起きたか?」

 

まだ眠たいのか、目をつぶったままこくりとうなずくアスカ。

それを聞いた後の二人が「ああ……」と言って事のすべてを理解した。

そしてコウタが本題に入る。

 

 

「なあ、よかったら今からみんなで極東支部の中を見て回ってみないか?」

 

 

 

 

その言葉を聞いた途端、彼女の目が大きく開く。

 

 

「えっ!いくいく!あっ、まってて今準備してくるね!」

 

 

そう言い放つとすぐ様部屋のドアを閉めて機嫌よく準備をしだした。

コウタの一言を聞いたときの表情は、眠たそうな顔が

まるで嘘のようになった。

よく耳をすますと鼻歌が聞こえる。

 

 

「現金な奴だな、あいつ。」

「たしかに……まあいいじゃん。」

「?」

 

ユウヤの言葉に返答するコウタ。

それと言葉の意味を分かっていないクロナの三人が部屋の前に残された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずいぶん広い施設だな、一歩間違えたら迷うな、これ。」

「ユウヤなら大丈夫だよ。」

「でも、本気で広いぜ、ここは。」

「見て回るだけで疲れたね。」

 

 

極東支部を見て回った四人は、自動販売機の前で飲み物を飲みながら話していた。

……もっとも、ユウヤの飲んでいるものは。

 

 

「……なあ、それうまいか?」

「ん?ああこれか、うまいよ。冷やしカレードリンク。」

「お前絶対味覚おかしいって。」

「そうか?本気でうまいぞ、これ。どうせなら飲んでみるか?」

「いや……遠慮しとくよ。まずいし。」

 

 

ユウヤが飲んでいるのは冷やしカレードリンクというもの。

滅多な人は飲まない代物だ。彼はこれを好んで飲んでいる。

 

 

「私も飲んだことあるけど、そんなにおいしくなかったよ」

「私も同じかな……」

「そうか?」

「絶対そうだよ!みんな飲まないもん!」

 

 

 

 

「おっ、クロナ見っけ♪こんなとこにいたー。探したよ。」

 

 

 

一人の女性の声がした。

そちらに振り向くと女性が一人立っていた。

そして彼女はクロナ以外には目もくれず彼女にむかって歩み寄る。

 

「クロナーーー!!会いたかったよーーー!!

お姉ちゃんすごくすごーーーくさびしかったよーーー!!」

「っ、お姉ちゃん、抱きつかないでって何度も言ってるでしょ!」

「だってだってーーー!クロナに会えたんだもーーん!」

(……?お姉ちゃん??)

 

 

ユウヤは今の言葉に疑問を覚え、

アスカは未だにあ然としており、

コウタは彼女に見とれていた。

 

 

「あんたら、うちの妹に何もしてねえだろうな」

「ああ、ただ一緒に支部を見て回ってただけだ、危害は加えてない」

 

 

にらみながら質問してきた女性に対し、ユウヤは何事もないかのように答える。

 

 

「そう、じゃ、いいや」

 

その言葉を聞いた女性は何事もなかったかのようにクロナに視線を戻した。

 

「……ところでクロナ、この人は誰だ?」

 

 

見とれていたコウタがクロナに質問した。

 

 

 

「私は神闘ヨシノ、クロナのお姉ちゃんだ!!」

 

 

コウタの声が聞こえたのか「ヨシノ」となった女性が大きな声で答えた。

 

 

「クソガキ、あんた目の前に本人がいるのに直接聞かずにクロナに聞くとは

いい度胸してるな」

「あんたも大して変わらないだろ」

「うるさい!あたしはもう19歳だ!」

「……俺と2個違うだけじゃねーか」

「えっ、ユウヤ17だったの!?」

「言ってなかったっけ?」

「おい!何あんたらだけで会話進めてんだよ!」

「あっ、悪い、忘れてた」

「調子に乗るなよー!このクソガキがーー!!」

「あんたもガキだろ」

「……それもそっか」

(静まった……)

 

「まあ、今後ともよろしくね

・・・えっと、誰だっけ?」

「神狩ユウヤだ。こっちこそよろしくな、ヨシノ。」

(仲良くなってる……)

 

コウタとアスカは同じことを思う。

 

 

「ん?先輩にはさん付けだろ、普通。」

「いや、なんか先輩という感じがしないんだよ」

「そう、じゃいいや。あっ、でも妹に手出したら……わかってんだろうな?」

「だから危害は加えないと言っただろ。」

「……そういう意味で言ったわけじゃないけど、まあいいや」

 

 

そういって握手を交わす二人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(極東支部か。……大変そうだな)

 

そう思いながら飲み物を飲み干すユウヤなのであった。

 

 

 

 

 

 

 

続く………




結構オリキャラ出してみた。
キャラ設定難しいですね。


一話でユウヤがアスカを助けたとき「コアをぬきとってから」て書いたけど
戦闘中に何してんだって書いてから思ったww


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そうだ、任務に行こう

タイトルすいません


名前が浮かばずでした


それではどうぞ!


「ユウヤ、お前にはコウタとコンゴウの討伐任務に行ってもらう」

 

ここはエントランス。そこにはユウヤと彼の上官である雨宮ツバキがそこにいた。

 

 

「……コンゴウ?」

「そうだ。巨大な猿のようなアラガミだ。中型のアラガミの中では

かなり危険な奴だ、心して挑め。」

「ああ……あの猿か…ん?ちょっと待ってください。

そんな危険な奴を俺たち新人二人でやるんですか?」

「そうだ、何か問題が?」

「……いえ、ありません。」

「人手が足りなくてな、少々きついかもしれんが頼んだぞ。」

 

 

そういってその場を去るツバキ。

 

(まあ、仕方ないか)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、教官も鬼だよな。そんな危険なアラガミをオレたち二人にやらせるなんてさ」

 

ところ変わってここは車の中。乗っているのは運転しているユウヤと

彼に愚痴をこぼすコウタの二人が乗ってる。

 

 

「まあ仕方ないだろ、教官も人手が足りないとは言ってただろ。我慢しろ。」

「つってもさー」

「……なあ、そろそろほかの話題はないのか、もう聞き飽きたぞ。その愚痴。」

「悪い悪い、てゆーかさ、オレの妹がさすげぇかわいいんだよな。ほら、このお守りも妹が

作ってくれたんだぜ。もうオレうれしくてさ。」

「妹、か……」

「どうした?なんかあったのか?何でも言ってくれよな、相談に乗るぞ。」

「……いや、なんでもないよ、気にするな。」

「ん、そうか。」

 

 

コウタは特に気にすることもなくマシンガントークをユウヤに浴びせていった。

そしてユウヤはそのマシンガントークに付き合わされていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ティア………)

 

 

一人の少女の名前を思い出して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは廃寺エリア。そこにいるのは壁に背を向けるユウヤとコウタ。

彼らの視線の先には楽しそうに食事をするアラガミ、コンゴウの姿が。

 

 

「……どうする?」

「俺が奴の不意をつく、隙ができたら追撃を頼む。」

「……おう、わかった、任せろ!」

 

 

そうは言うもののやはりコウタの手は多少震えていた。

 

「なあ、ユウヤは恐くないのか?」

「?何が」

「だってさ、今からあんな奴と殺しあうんだぜ。」

「それが?」

「それがって恐くないのか?」

「ビビってたらゴッドイーターになった意味ないだろ?」

「っ……!」

「お前言ってたよな、家族を守るためにゴッドイーターになったって。

あれは嘘なのか?」

「っ!んな訳ないだろ!ああ、やってやる、やってやるさ!」

「その意気だ。作戦はさっき言った通りだ。」

「おう、任せろ!」

 

 

その時の彼の目は覚悟のできた目で手の震えも消えていた。

 

 

 

「行くぞ!!」

 

 

彼の声とともに動く二人。

 

 

「くらえ!」

 

 

コウタの銃撃がすべてコンゴウに当たる。

 

 

「ガアァァァァァァァァァァァァ!」

 

 

悲痛な叫びが聞こえると同時にユウヤがコンゴウとの間合いをゼロにする。

 

 

「でりゃあ!」

 

 

下からの二本の切り上げが襲い掛かる。

見事命中……はしたものの浅い斬撃となってしまった。

 

 

(浅いな……)

 

 

「ガアァァァァァ!」

 

 

「!」

 

 

 

コンゴウの怒りの叫びと同時にユウヤは後ろに下がる。

それと同時にコンゴウが腕を振り回してきた。

ユウヤは装甲を展開して攻撃を防ぐ、が威力が強すぎてユウヤは後ろに吹き飛び

背中に強い衝撃が伝わる。

 

 

「がっ!!」

「っ!ユウヤ!」

 

 

ユウヤに駆け寄ろうとしたコウタだったが、コンゴウがそれを阻止しにかかる。

 

 

「っ!うわ!」

「コウタ!」

 

 

間一発直撃は免れたが、背中の器官から発せられるコンゴウ特有の真空波がコウタに襲い掛かった。

 

 

 

「コウタ!がはっ!」

動こうとして吐血するユウヤ。

真っ白な雪を赤く染める。

その時コンゴウの追撃がユウヤに襲い掛かる。しかしそれは失敗に終わる。

なぜならコウタがユウヤのフォローに回ったからだ。

 

 

「ユウヤ!大丈夫か!?」

「ああ……何とかな」

「一旦体制を立て直すぞ!」

 

 

そういってコウタはふところからスタングレネードを投げた。

一瞬コンゴウがひるむ。

 

 

「今だ!」

 

 

そう言い放つとコウタとユウヤは一度隠れた。

 

 

「はあ……はあ……大丈夫かユウヤ」

「ああ……すまんな、コウタ」

 

 

コンゴウは自分たちを探している。

コウタはどうするか考えていると

 

 

 

 

「俺が囮になって隙を作る。隙を見計らって攻撃してくれ」

「なっ……!お前今自分の状況わかってんのか!?お前怪我負ってんだぞ!

そんな状況で囮になったって意味が」

「怪我負ってるからこそ囮になる。それでコウタに隙を作ってもらえれば

俺が全力で奴に攻撃を仕掛ける。」

 

 

その時の彼の目は決意に満ち溢れていた。

その目を見たコウタは何も言えなかった。

しかしその目を見て彼は

 

 

 

「……わかった。ただし無茶するなよ」

「……ああ、わかってる」

 

 

そう言い放つとユウヤはコンゴウに向かって走り出した。

コンゴウはユウヤの存在を確認すると渾身のパンチを放った。

しかしユウヤはそれを防ごうとはせず紙一重で回避した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間コンゴウに隙が生まれた。

 

 

 

 

 

「今だ!!」

「くらえ!!」

 

 

 

 

 

コウタの銃撃は全弾命中し、またも隙が生まれたコンゴウに彼は神機を一つに合体させ

 

 

 

 

「終わりだ!!!」

 

 

 

 

そう言い放つやコンゴウの体は真っ二つになり地に沈んだ。

 

 

「おつかれ!」

「ああ、おつかれ」

 

 

そういいながらコウタはユウヤに歩み寄る。

ユウヤはその間にコアを抜きとった。

 

 

 

「帰るか!」

「そうだな」

 

 

 

二人は回収班を呼んで帰ろうとしていて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間彼らの後ろに何かが現れた。

後ろを振り向くとそこにいたのは虎。

いや、虎ならよかった。その何かは虎によく似たアラガミ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヴァジュラ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く………

 




書いててこの話長いと思いました。


次はヴァジュラとの戦闘ですね


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VSヴァジュラ

ヴァジュラと戦う二人。


絶対絶命に陥るユウヤ。


その時、ユウヤに何かが起こる。


「おい、なんだよあのアラガミは」

「……ヴァジュラだ、俺たち新人たちの登竜門みたいなやつだ。

……てリンドウさんから聞いた。」

「とにかくどうする!?オレたち二人じゃ勝てるわけがないし

救援要請出してもそこまで粘る自信がないしどうすれば……」

「……………」

「……おい、どうしたユウヤ……!

まさかお前、あいつと殺りあう気じゃないだろうな!?」

「……勝てなくても、時間稼ぎくらいならできるだろ?」

「…………」

 

 

こいつはどうかしてる、コウタはそう思うのに十分な一言だった。

ヴァジュラはこちらにはまだ気づいていない、

自分はその間に逃げたいという一心だった。

しかし彼の言葉を聞いたコウタは

 

 

「……オレはなにをすればいい?」

「そうだな……俺が奴の足止めをする間に救援要請を出してくれ。」

 

 

コウタは彼の一言を聞いて彼にかけてみよう、そう思えた。

根拠はどこにもない、ただ彼に任せておくと自然と恐怖が和らいでいった。

 

 

「任せろ!そのあとはどうすればいい?」

「逃げてもいいし、戻ってきてもいい。好きにしてもらって構わない。」

「なっ、誰が逃げるか!」

「わかった、じゃ、いくぜ!」

 

 

 

言い放つとユウヤはヴァジュラに向かっていき

コウタは車の方に急いだ。

 

 

「無茶だけはするなよ!」

「わかってる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウヤはヴァジュラに向かう。

ヴァジュラはユウヤの存在に気が付いていない。

ユウヤは大きく飛びヴァジュラの身体に斬撃を与える。

 

 

しかし、ヴァジュラは痒かったかのように切られた方を振り向く。

 

 

 

(っ!浅いな……)

 

 

「ガアァァァァァァァァァ!」

「!」

 

 

雄叫びと同時に腕を振るい、ユウヤに直撃

地面に全身を強打、壁に強く身体を打つ。

 

 

「がはっ!」

 

 

大量の血を吐く。地面の雪を赤く染める。

ヴァジュラはゆっくりとユウヤに近づく。

ユウヤはヴァジュラをにらみつける。

 

 

(っ!こんなとこで……死ねるか!)

 

 

しかし身体が動かない。このまま死ぬのか。

 

 

「くらいやがれ!!」

 

 

 

「グアァ!?」

 

 

 

突然の不意打ちにさすがのヴァジュラも対応できず吹き飛んだ。

 

 

 

「大丈夫か!?ユウヤ!」

「コウタ……また、助けられたな。すまん」

「何謝ってんだよ!それよりあいつ、相当タフいな」

「救援要請は?」

「出したに決まってんだろうバカヤロー!」

「そんじゃいくぜ」

「ああ、わかってるって」

「……へえ、止めないんだな」

「もう止めたって無駄なんだろ。だったら最後まで付き合うぜ」

「……すまんな、俺の身勝手な行動に巻き込んじまって」

「今更謝るなよ!それより……くるぞ!」

「ああ!いくぞ!!」

 

 

そう言い放つとユウヤはヴァジュラに接近し、コウタはさらに距離を取る。

 

 

「ガアァァァァ!」

 

 

怒りに満ちた雄叫び、先ほどの不意打ちで完全に怒らせたようだ。

叫ぶと同時にユウヤ目掛けて腕を振り下ろす。

しかしそれは失敗に終わる。

 

 

「オレがいるのを忘れんなよ!」

 

 

コウタの銃撃がヴァジュラの攻撃を阻止した。

さらに追い打ちをかけるべく、銃弾を放つ。

しかし、ヴァジュラはそれをいとも簡単にかわす。

その間にユウヤが間合いをゼロにする。

 

 

「くらえ!!」

 

 

下からの切り上げ、さすがのヴァジュラも対応できず

攻撃が命中。

――――――――――命中はしたものの今のユウヤは手負い、全力で攻撃したが

斬撃は浅く大したダメージにはならなかった。

 

 

(っ、斬撃がだめなら!)

 

 

ユウヤは後ろに下がり神機を銃形態へ変形、そして放つ。

放たれた五発の銃弾は見事命中。

 

 

「ガアァァァァァァァ!」

 

 

ヴァジュラから悲痛な叫びが聞こえその場に倒れこむ。

 

 

「はあ……はあ……やったのか?」

「さあな……っ!いや、まだだ!」

 

 

「グアァァァァァァァァ!」

 

 

ヴァジュラは雄叫びを上げながら起き上る。

しかし何か様子がおかしいことに気づく。

 

 

そして、一瞬でヴァジュラが二人の目の前に来る

 

 

(っ!早い!間に合わない!)

 

 

急いで装甲を展開するユウヤ、しかしそれは間に合わず直撃

その反動でコウタは反対側に吹き飛ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

動けない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

動けないユウヤにヴァジュラはゆっくりと近づく。

 

彼は動けない。絶対絶命の状態だった。

 

 

 

(こんなところで……まだ……死ねない)

 

 

意識が朦朧としてきた。

 

 

 

(ティア……ごめん)

 

 

 

 

ヴァジュラの口が大きく開く、口がユウヤに覆いかぶさる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、ヴァジュラは違和感を覚えた。

ヴァジュラの口の中にあった感触、それは冷たい雪と固い壁の食感。

 

 

 

 

 

そしてヴァジュラの身体から血が噴き出す。

 

 

「ガアァ!?」

 

 

流石に驚いたのか、変な声を上げるヴァジュラ。

コウタもその光景を見てあ然とする。

そして彼はヴァジュラの後ろを見た。ヴァジュラも後ろを見た。

そこに立っていたのはユウヤ、あれは彼がやったのか、そう思いユウヤの顔を見たコウタは驚愕する。

 

 

 

 

先ほどの彼の顔とは違う歪んだ笑みを浮かべたユウヤが立っていた。

そして彼は神機をヴァジュラの顔めがけて振り下ろす。

実に単調な攻撃だ、しかしヴァジュラは避けようとはしなかった。

いや、「避けれなかった」というべきか。

ヴァジュラもコウタと同じく彼の歪んだ笑みをみて身体が竦み動けなかったのだ。

そしてヴァジュラはユウヤの攻撃を許してしまう。

 

 

 

ヴァジュラの目に深い傷がつく。

 

 

 

「ガアァァァァァァァ!」

 

 

 

悲痛な叫びが聞こえる、ユウヤはさらに追い打ちをかけようとして、その場で膝をつく。

 

 

 

「はあ……はあ……?俺、なんで生きてんだ?」

 

 

彼は先ほどのことを覚えていなようだ。

そして、ヴァジュラはその場から去る。

 

 

 

「っ!そうだ、コウタ!大丈夫か!?」

「へへ……まあ、な。

それより、さっきのどうやったんだよ?」

「?さっきのって何が?」

「え……お前もしかして、覚えてないのか!?」

「ああ、気が付いたらヴァジュラが逃げていて

俺何してたんだ?」

 

 

その言葉を聞いてコウタは彼の恐ろしい笑みを思い出した。

 

 

「……いや、なんでもない。

オレの見間違いだったかもしれない」

「?そうか」

「おーーい!大丈夫かー!」

「!リンドウさん!それにアスカとクロナまで!」

「ユウヤーーーーーーーーーー!!」

 

 

アスカはユウヤの名前を呼びながら彼に飛びつく。

 

 

「うわーーーーん!よかったーーーーーー!ユウヤが生きててよかったーーーーー!!」

「オレの心配は!?」

「まあいいじゃねえか、それよりヴァジュラはどうした?」

「ユウヤが追っ払いました」

(立ち直るのはえぇな)

「ええっ!ユウヤすごい!もう新人の域を超えちゃってるね!」

(泣き止むのはええよ)

(……こいつは何者だ?)

 

 

リンドウはまたも違和感を覚える。

こいつは新人だ、だが新人がヴァジュラを追い払ったなど聞いたことがない。

それはリンドウも同じで自分も新人時代はヴァジュラを追い払ったことなど一度もない。

その時リンドウは彼に若干の恐怖を感じた。

 

 

「おっ、そうだ、クロナ、姉上に連絡を頼む。

ヴァジュラは逃げたってな」

「はい、わかりました」

 

 

そういって通信機を取出し連絡をしだすクロナ。

 

それから少しして

 

 

「連絡終わりました」

「はい、お疲れさん。

そんじゃ戻ろうぜ」

 

 

リンドウの一言で歩き出す。

もっとも、ユウヤはアスカに担がれながら歩いている。

 

 

 

 

 

 

 

(あいつ、この先とんでもない奴になるかもな)

 

 

そんなことを考えながら、タバコを吸うリンドウなのであった。

 

 

 

 

 

 

続く………



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ほのぼの日常

彼は前の戦いで思い出してしまった



忘れようとしていた過去を



自らのせいで死なせてしまった妹のことを


「すみません、サクヤさん。

わざわざ手当してもらって」

「いいのよ、気にしないで。

それに私は衛生兵だもの、これぐらい当然よ」

「ありがとうございます」

 

 

ここは医務室、部屋にいるのはベッドに寝込んでぐっすり寝ているコウタ。

椅子に座って手当してもらっているユウヤ。

その彼を手当している女性。

 

 

彼女の名は橘サクヤ、ユウヤたちと同じ第一部隊所属の彼らの先輩にあたる人だ。

コウタは最初サクヤにあったとき顔を真っ赤にしていてみんなで笑ってしまうほど赤く

それほどまで美人だということだ。

その時医務室の扉が開き声が聞こえた。

 

 

 

「ユウヤー、大丈夫ー、お見舞いに来たよー。」

 

 

入ってきたのは同じ部隊のアスカとクロナだった。

そしてアスカはユウヤの顔を見て泣きながら飛びついてきた。

 

 

「うわーーーーーーーーーん!ユウヤーーーーーーーー!

無事でよかったよーーーーーーーーーーー!うわーーーーーーーーーーーん!」

「アスカは心配しすぎだ、俺もコウタも生きて帰ったんだしいいだろ、それで」

「そうだよアスカ、それにユウヤもコウタももう大丈夫だから、ね」

「うん……」

「それじゃ私たちはそろそろ任務があるからいくね?

ほら、アスカ行こう、早くいかないと教官に怒られるよ?」

「ええ!それは大変!じゃあユウヤ、またね!」

(だから泣き止むのが早いな)

 

 

それじゃーと言って部屋を後にする二人。

 

 

「そろそろ私も行くわね。いい、ユウヤ。最低でも三日は安静だからね。」

「はい、ありがとうございます。」

 

 

気にしないで、そういってサクヤも部屋を後にする。

 

 

(俺も寝るとするか・・・)

 

 

そしてユウヤは死んだように深い眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見てみて、あれがウワサの新人のユウヤさんよ。」

「ほんとに!?ホントだ!ああ~、噂通りのかっこよさね。」

 

 

(なんか聞こえるな……)

 

 

あれから三日が立った。

キズは回復しユウヤは無事原隊復帰をした。

彼は今あるところに向かう途中にそんな話声が聞こえていた。

しかし、本人はそういうことに尋常ではないくらい疎かった。

 

 

「人気者だなー、ユウヤは。」

「まったくだぜ。うらやましい限りだチクショー」

「コウタ、それにタツミか。どうした?」

 

 

コウタと歩く青年。

彼は大森タツミ。防衛班の班長である。

彼はいつもオペレーターである竹田ヒバリにデートに誘っているがことごとく断られている。

 

 

「お前、これからどこか行くのか?」

「ああ、これから神機保管庫に行くんだ。」

「そりゃそうか、あんなことがあった後だもんな。」

「ところで二人はこれからミッションか?」

「オレはそうなんだがタツミさんは……」

「おれは勿論ヒバリちゃんだよ!今日もデートに誘うために来たんだよ!

おっと、こうしちゃいられない。思い立ったら即行動だ!じゃあな二人とも!」

 

 

ヒバリちゃーんと言いながら去っていくタツミの後ろ姿を見て二人は

 

 

『めげないな……』

 

 

がんばれタツミ!君の頑張りは無駄……にはならないと思う。

 

 

「それじゃオレもそろそろ行くわ」

「ああ、がんばれよ」

 

 

そういってコウタは去る。

 

 

(そろそろ俺も行くか)

 

 

そういってユウヤは神機保管庫に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、リッカー、来たぞー」

「あっ、ユウヤ君、いらっしゃい。」

 

 

神機の前に立つ一人の少女。

彼女の名は楠リッカ、若い神機整備士である。

 

 

「それで話ってなんだ?」

「うん、神機のことなんだけど、この前の戦いでかなりの壊れ方して

直すのに二日はかかるんだ。」

「そうか、すまんな、いつもいつも。」

「気にしないで。それにそれが私たちの仕事だから

でも、無茶だけはしないでよ。

みんなあなたのこと心配してるだから。」

「ああ、わかってるよ。

でもそこまで無茶してるつもりはないんだがな。」

「自分ではわからないだけだよ。

でもほんとに無茶だけはしないでよ」

 

 

「あのー……」

 

 

その時ユウヤの後ろから声が聞こえた。

後ろを振り向くとそこには一人の少女が立っていた。

 

 

「あっ、カノン、来てたんだ。

ごめん、全然気づかなかったよ。」

「ううー、そんなこと言わなくても……」

(……カノン?)

 

そんなことを言われ弱気な態度がさらに弱気になった少女。

 

 

彼女の名は台場カノン、タツミと同じ防衛班のメンバーだ。

そしてユウヤはカノンと初対面となる。

 

 

「あの、はじめまして。

私、台場カノンです、防衛班の……

あの、よろしくおねがいします。」

「俺は神狩ユウヤだ、よろしくな、カノン。」

「あっあの、こ、こちらこそよ、よろしくお願いします!」

「ああ、よろしく。」

 

 

彼がユウヤとわかった途端、言葉を噛みだすカノン。

どうやら相当緊張してしまったようだ。

 

 

「カノン、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。

ユウヤ君顔の割には恐い人じゃないから。」

「……一言余計だ」

 

 

ため息混じりにリッカに突っ込みを入れるユウヤ。

それを見てカノンは苦笑する。

それを見て二人も苦笑する。

 

 

 

「おーおー、両手に花だな。ユウヤ。」

「あっ、リンドウさん、今からミッション?

神機の準備はできてるよ。」

「おー、悪いな、いつも」

「いいよ、それよりさっきの言葉はなんですか?」

 

 

リンドウの言葉にユウヤはポカンとして

カノンは顔を赤らめていた。

 

 

「見たまんまを言っただけだろ。それより」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――おい、そろそろ行くぞ。」

「おお、悪いなソーマ、忘れてた。」

(ソーマ?………誰だ?)

 

 

そういわれ、ソーマという少年は歩いていく。

 

 

「リンドウさん、あの人は?」

「ああ、あいつか、あいつは――――――」

 

 

「――――――――ソーマだ、……別に覚えなくてもいい。」

 

 

そういってそっけなく挨拶をするソーマ。

 

 

「ああ、よろしく。俺は神狩ユウヤだ。」

 

 

そういって返すユウヤ。しかしソーマはそれを無視して自分の神機に向かう。

しかしソーマは去り際にこういった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……死にたくなければ俺には関わらないことだ。」

 

 

 

その一言を聞いてユウヤは疑問を覚えた。

 

 

 

「それじゃ、私もそろそろ行きますね。

 

 

そういってカノンも神機保管庫を後にする。

少ししてユウヤもその場を去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《死にたくなければ、俺には関わらないことだ》

 

 

 

 

その言葉の意味を考えながら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く………

 




まずはお詫びします!すいませんでした!
(もし読んでいる人がいたら)



ちょっと失敗しました



今後はそんなことがないように気を付けます


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ソーマと任務だ!

ゴッドイーターとしての生活にも慣れ昼夜問わず戦っていくユウヤ



今日も任務のため神機を握りしめ戦場へと向かう……



ここは鉄塔エリア。

ユウヤは任務のためある場所にいた。

 

 

 

「たしか……このあたりで待機だったよな。」

 

 

彼は指定された場所で待機していた。

一緒に任務をするメンバーを待っていた。

 

 

 

「やあ、君がウワサの二刀流の新型君だね?」

 

 

 

ユウヤは声のする方を向くと、赤い髪にサングラスをかけた一人の青年が近づいてきた。

 

 

 

「ボクはエリック、エリック・デア=フォーゲルヴァイデ。今日はよろしく。」

「俺は神狩ユウヤだ。よろしく。」

「ああ、そうだった。彼はソーマだ。

今回の任務をともにこなす仲間だ。

ほら、ソーマ、キミも新型君に挨拶したまえ。今日は彼に背中を預けるんだ。」

「……んなもん必要ねえ。」

「はあ……すまない、気を悪くしないでくれ。

彼はぶっきらぼうなところがあるが気にしないでくれ。」

「ああ、わかった。」

「それじゃそろそろ行こうか。

今日も人類のために華麗に戦おうか。」

 

 

そういってエリックは歩みを進める。

ユウヤはポカンとしながらも後に続いた。

さらにそのあとに続くソーマが突如叫んだ。

 

 

 

「エリック!うえ――――――」

 

 

 

彼が言い終わる前にユウヤがいち早く存在に気づきエリックを助けた。

エリックはその光景を見て尻餅をつく。

彼の頭上にはいち早く気付いたユウヤとエリックの命を奪おうとしたオウガテイルがいた。

 

 

 

 

「間に合ったか、エリック、大丈夫か?」

「あ、ああ、大丈夫だ。すまないな新型君、いきなり助けてもらって。」

「こんな時代だからな。助け合っていくのが当然だろ?」

 

 

そういってエリックにて差し出す。

そんな中ソーマはただ一人考え事をしていた。

 

 

 

 

(……今、動きが見えなかった…あいつは何者だ?)

 

 

 

 

あのソーマですら見えないほど早い動きでオウガテイルに迫ったユウヤに疑問を覚える。

 

 

 

「おーい、そろそろ行こうぜ。

ところで今回の討伐対象なんだっけ?」

「ああ、ザイゴートだよ。

でもそんな任務なら僕一人でも十分だと思うケド。」

「油断はするなよ、かなり群れで発見されたらしいしな。

たしか・・十四ぐらいか」

「た、たしかに無理かもしれないな。」

「おい、お前。」

「なんだ?」

「……多少はできるみたいだな」

 

 

 

そう言い放つと彼は戦場に向かう。

その後ろをついていくエリック。

さらにその後ろに続くユウヤ。

 

 

(随分厳しい評価だな……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソーマ!行ったぞ!」

「終わりだ」

 

 

 

そう言い放ち最後のザイゴートを仕留めた。

戦績はユウヤが八、ソーマは六、エリックは二、という結果になった。

 

 

 

(この二人、とんでもないな。)

 

 

コアを抜き取りながらそう思うエリック。

 

 

「回収班呼んだぞー。」

「ああ、ありがとうユウヤ。」

「ソーマもお疲れ。」

「………」

「ソーマも何か返したまえ。」

「………うるせぇ」

 

 

 

そういってその場を後にするソーマ。

ユウヤはなぜソーマがあんな性格なのか少し興味を持った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう、任務お疲れさん。」

「……リンドウさん……」

 

 

 

ため息混じりに彼の名を呼ぶユウヤ。

ここはリンドウの部屋、ユウヤはリンドウに呼ばれ部屋に行ったのだが……

 

 

「……昼間から酒飲んで何してんですか?」

「まあいいじゃねえか、オレ非番なんだしよ。」

「……緊急の任務が入ったら?」

「何とかなんだろ。」

「……はあ。」

 

 

 

今すぐ緊急の任務が入ってほしい、ユウヤは心の底からそう思えた。

 

 

 

「そういえばここにもう少ししたら神機使いが一人くるらしいぞ。

それに新型だ、さらには女だそうだ。」

「……なんで大事なことを忘れてたんですか。

それと最後のは聞かなかったことにしておきます。」

「おう、そんじゃもう下がっていいぞ。」

 

 

それを聞いて部屋から出たユウヤ。

 

 

 

(……ひどいにおいだった……)

 

 

 

「何の話だったの?」

 

 

部屋を出て待っていたのは同じ部隊のアスカとクロナだった。

 

 

「ああ、近々ここに新型が来るらしい。」

「ええ!?それビッグニュースだよ!大変!早くみんなに知らせないと!」

 

 

そういってその場を走って去るアスカ。

 

 

「相変わらずせっかちだな、あいつ。」

「ほんと、まあそれがアスカのいいとこだけどね。」

「お前は行かないのか?」

「私はあそこまでせっかちじゃないよ。」

 

 

そういって苦笑する二人。

 

 

「じゃあ、私もそろそろ行くね?」

「ああ、またな。」

 

 

そういって二人は別々に分かれた。

 

 

 

(新型、か……)

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、極東に新型の神機使いがやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く………

 



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新たな新型

ゴッドイーターとして戦い続けるユウヤ



そんな彼の前に一人の少女が現れた



彼らの出会いはたまたまか、それとも?・・・


エントランスに集められたユウヤ達第一部隊。

いったい何があるのか考えながら待っていると彼らの前に見知らぬ少女を連れたツバキが現れた。

 

 

「今日からお前たちの新しい仲間を紹介する。」

 

「本日、ロシア支部からこちらに配属になりました。

アリサ・イリニーチナ・アミエーラです。」

 

 

肩まで伸びた白銀の髪、透き通った青色の瞳。

一目で美少女だとわかる。

 

 

「女の子ならいつでも大歓迎だよ!」

「・・コウタ少し黙れ。」

「私の時はそんなこと言ってくれなかったよね。」

「それじゃまるで私たちは歓迎されてないみたいだね。」

 

 

 

コウタ撃沈。・・・お疲れ様

 

 

「・・・そんな浮ついた考えで、よくここまで生きて来れましたね。」

 

 

今の一言で場の空気が凍りつく。

コウタはその場で押し黙った。

 

 

「アリサは実戦経験はないものの神機との適合率は優秀だ。

気を抜いていると先を越されるぞ。

それとアリサ、お前はまずリンドウの下につけ。あとユウヤもだ。」

「俺もですか?」

「そうだ、新型としてはお前はアリサよりも先輩だ。

神機のことはお前が教えてやれ。」

「わかりました。」

「・・・了解しました。」

「教官、私たちは?

一様先輩なんですけど・・・」

「ユウヤのほうが実戦経験が豊富だ。

教えられることが多いからな、お前たちも気を抜くと先を越されるぞ。」

 

『はーい』

「それでは早速三人には任務に行ってもらう。

内容はヒバリから聞け。以上だ。」

 

 

 

そういってツバキはエントランスを後にする。

 

 

「よし、それじゃ行くぞ、アリサ、わからないことがあったらユウヤに聞いてくれ。

オレは任務を受けてくる。準備ができたら声かけてくれ。」

 

 

そういってヒバリのもとへ向かうリンドウ。

 

 

「えっと、まずは自己紹介からだな。

俺は神狩ユウヤだ。よろしく、アリサ。」

「あなたが・・・よろしくお願いします、

あと少し慣れなれしいです。」

「あ、すまん。それじゃそろそろ行くか。」

「・・・わかりました。」

 

 

そういって二人はリンドウのもとに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・遅いな、リンドウさん。」

 

 

一緒に向かったはずのリンドウがまだ来ない。

いったいどこで油を売っているのかと考えていると

 

 

「いやー、悪い悪い。ちょっとタバコ吸ってて遅れたわ。」

「・・・・・・」

「そんな冷たい目で見るなよ。

んなことより今回はシユウの討伐だったな。まあ、お互い頑張ろうぜ。」

 

 

いつものリンドウだ。仕方ないなと思いながらため息をつくユウヤ。しかしアリサは

 

 

「旧型は旧型なりの仕事をしていればいいと思います。」

 

 

アリサはリンドウに暴言同然の言葉をかけた。しかしリンドウは

 

 

「はは、足を引っ張らないようにするわ。」

 

 

どうやら気にしていないようだ。

そのやり取りにユウヤは何も言えなかった。

 

 

「おい、いたぜ。あれがシユウだ。」

 

 

背中から羽が生えた人型のアラガミ。肉弾戦の得意なアラガミだが遠距離船も得意とする危険な奴だ。

 

 

「前衛はオレがやる。

アリサは後衛、ユウヤは遊撃を頼む。」

「わかりました」

 

 

しかしアリサは

 

 

 

「行きます!!」

「アリサ!?」

「はあ・・あいつ、ユウヤ、指示はさっき言った通りだ、いくぞ!」

「はい!」

 

 

そういって二人もシユウに向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあっ!」

 

 

アリサの攻撃が見事シユウの頭部に直撃、シユウは悲痛な雄叫びを上げる。

 

 

「キシャアァァァァァァ!」

「っ!きゃあ!」

 

 

叫び声とともにアリサが弾き飛ばされる、さらにシユウが追い打ちをかけようとして

 

 

「おっと!させるかよ!」

「くらえ!」

 

 

シユウの攻撃は失敗に終わった。リンドウとユウヤが邪魔をしたのだ。

 

 

「大丈夫か!?アリサ!」

「・・はい、大丈夫です。」

「なんで先に出た。」

「・・・私一人で十分だと判断したからです、何か問題が?」

「・・・あのなあ、それで死んだら意味ないだろ。」

「おいお前ら!とっとと戦え!」

「はい!よし、行くぞ!」

「っ!わかってます!指図しないでください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし、これで終わりだ。二人ともお疲れさん。」

 

 

そういってシユウのコアを抜き取るリンドウ。

 

 

「はい、お疲れ様です。」

「・・お疲れ様です。」

「そんじゃ、戻るか。」

「はい。」

「・・はい。」

「?さっきからどうした、アリサ。」

 

 

 

さっきからふてくされているアリサ、どうしたのかユウヤが聞いてみると

 

 

 

「・・・だから一人で十分だって言ってるじゃないですか!」

「・・・・・・」

 

 

なんだそんなことかと思ってしまったユウヤ。どうやらリンドウにも聞こえていてらしく笑いを堪えている。

そしてついユウヤは苦笑してしまう。

 

 

 

「なっ!なんで笑うんですか!?」

「いや、ちょっと面白くてな。お前もまだ子供だな。」

 

 

そういって左手でアリサの頭をなでるユウヤ。

 

 

「子供じゃありません!あと頭をなでないでください!」

「悪い悪い。」

 

 

顔を赤らめながら怒るアリサ。

そして笑いながら謝るユウヤ、悪びれた様子がまったくない。

そしてリンドウはその様子を見て保護者になった気分になった。

 

 

 

(二人ともまだガキだっつーの)

 

 

 

そんなやり取りをしながら帰る三人なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 



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導かれし者

ゴッドイーターとして成長を続けるユウヤ



今回は彼とある少女での任務のようだ・・・


ここはとある鉄塔エリア。

そこにいるのは二つの神機を持つ少年と一つの神機を持つ少女が一人。

 

少年の名は神狩ユウヤ、極東支部の神機使いだ。

そしてもう一人の少女の名は神闘クロナ、彼女もまた極東支部の神機使いである。

今回二人はこのあたりにコクーンメイデンというアラガミの大量発生したらしく

それを討伐に来たのである。

 

 

「ところでコクーンメイデンってどんなアラガミなの?」

「ああ、見た目はさなぎみたいなアラガミで近くにいると無数の針を出してきて

また、遠くにいると特殊な高速弾を飛ばしてくる危険なアラガミだ。

油断するとすぐに殺られるぞ、注意しろよ。」

「はーい」

 

 

『・・・・・・』

 

 

 

二人の場にしばらくの沈黙が続く。どうやら話題がなくなったようだ。

その時クロナが口を開いた。

 

 

「そういえば、ユウヤとこうして任務に行くのってなんか初めてだね。」

「・・・そういやそうだな。」

 

 

思いだしたように答えるユウヤ。それを見たクロナは少し楽しそうに見えた。

 

 

「なんかあったのか?」

「?別にないよ、なんでそんなこと聞くの?」

「いや、なんか楽しそうに見えたから。」

「えへへ、ユウヤと戦えることがうれしいから、かな?」

「なんでだよ・・」

「だってユウヤ強いでしょ。

なんてゆうか安心できるのかな。」

「そりゃどうも。」

 

 

そういって苦笑する二人。

そして二人の顔つきが変わる。

 

 

「・・・いたな。」

「・・うん。」

 

 

視界に見える限りでも十は確認できる。

 

 

「報告通り、いや、それ以上か。」

「たぶんね、ところで作戦はどうするの?」

「そうだな・・・じゃあ、好き勝手やるってことで。」

「何その作戦。」

 

 

そういって笑いながら突っ込むクロナ。

 

 

「だってよ、思い浮かばないから。」

「・・まあいいよ、それで。」

 

 

 

 

「行くぞ!!」

 

 

その一言と同時にユウヤは出る。クロナもそれに続いた。

ユウヤはまず神機を銃形態に変形させ、コクーンメイデンに向かって大きく飛び銃口を

突きつけた。

 

 

「くらえ!」

 

 

そういって銃弾を発射、次の瞬間コクーンメイデンの頭が吹き飛んだ。

そしてユウヤはすぐさまその場を離れ神機を剣形態に変形させ次の獲物に

狙いを定めた。

次の瞬間、二体のコクーンメイデンの命を刈り取った。

 

 

(・・・ウワサ以上の実力だね・・)

 

 

クロナはユウヤの戦いを見て内心驚くが顔には出さなかった。

そうこうしているうちにクロナも一匹のコクーンメイデンに狙いを定め

 

 

「いっけえぇ!」

 

 

神機を振り下ろす。しかし致命傷にはならず刃は途中で止まる。

 

 

(っ!うそ!?かたい!)

 

 

改めてユウヤの強さがわかったクロナ、すぐさま神機を抜き取り後ろに下がる。

そしてコクーンメイデンの特徴でもある、針を出す攻撃がクロナに向かっていく。

しかし二人の間に割り込んだユウヤが装甲を展開させクロナを守った。

 

 

「あぶねえ、大丈夫か!?」

「うん!ありがとう!」

 

 

そして目の前の命を奪い取って二人はすぐにその場を離れる。

次の瞬間、その場にいくつもの弾が着弾した。コクーンメイデンの群れが

二人に気付いて無数の攻撃を仕掛けるが失敗に終わる。

 

 

そしてユウヤはすぐさま神機を二刀流に変形させ瞬く間に二体の命を刈り取った。

クロナも負けじと神機を銃形態に変形させ銃弾を発射させ

コクーンメイデンの身体の風穴を開けた。

 

 

「この調子でどんどんいくぞ!」

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様。こっちのコア全部抜き取ったよ。」

「ああ、こっちも終わったぞー。」

 

 

あれからわずか数分で結果二十はいたコクーンメイデンをわずか二人で終わらせてしまった。

もっともその半分以上をユウヤがやってしまっていた。

 

 

「でも、ほんとにユウヤは強いね。

ウワサ以上の強さだったよ。」

「そんなことはないって。

それに強いからってすべて守れるわけじゃないしな。」

 

 

そういって悲しい笑顔を見せるユウヤ。

それを見てクロナは少し寂しくなった。

 

 

 

「悪い、変な話したな。そろそろ戻ろうぜ。」

「・・・うん、そうだね。戻ろっか。」

 

 

そういって立ち上がり歩くユウヤとクロナ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして背後に何かが現れた

 

 

 

「っ!」

「えっ!なに!?」

 

 

 

後ろを向くとそこには人――――――――

ではなく人型のアラガミが立っていた。

しかし通常の人間のサイズとは違い外見もアラガミそのものだった。

 

口の中には無数の歯が生えており、口はとがっていて

手には三本のとがった爪、身体は鋼のようなもので覆われていている。

 

 

(何!?・・あれ、アラガミ!?見たことない・・もしかして新種?)

 

 

クロナは必死に頭を整理する。

ユウヤは動かない、さすがに驚いているのかと思いクロナは顔を覗き込んだ。

 

 

しかしその顔に驚きは微塵もなくそこにあるのは

 

 

 

 

怒りと憎しみの顔をしていた。

 

 

クロナはその顔を見て腰を抜かした。正直泣きそうになった。

あんなにやさしそうだったユウヤの顔が今は修羅のような表情だった。

そして彼は口を開いた。

 

 

 

「・・・お前だけは。」

「えっ?」

「お前だけはあぁぁぁぁぁぁァァァ!!」

 

 

その怒声とともに彼は目の前の敵に向かって走り出した。

その速さはさっきまでとは比べものにならないくらい速かった。

 

 

「お前だけは、絶対に許さない!!

ティアを殺したお前だけは!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は今の言葉を聞き逃しはしなかった。

ティアとはいったい誰なのか。

そんなことを考えているうちにユウヤはあれとの間合いをゼロにした。

 

 

 

「死ねえ!!」

 

 

叫びと同時に神機を振り下ろすが、奴は手を使わず神機ははじかれた。

そしてユウヤの腹部に今まで感じたことのない衝撃と激痛が走った。

 

 

 

「がはっ!!」

 

 

地面を数回バウンドして壁にぶつかって止まる。

しかし彼はすぐさま起き上り敵に向かって走りかけた。

口からは大量の血を吐き、額からは血が流れて腹部は爪によって貫かれていて。

しかし彼はなりふり構わず向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

そしてユウヤの身体は押さえつけられた。

 

 

 

「ユウヤ!お願いだから止まって!

このままだとあなたが死んじゃう!」

「っ!クロナ止めるな!今あいつを殺すチャンスなんだ!離せ!」

 

(っ!すごい力・・・!でも)

 

 

この手を放すとユウヤは死んでしまう。彼女そんな気がして仕方がなかった。

 

 

「あなたがどれだけあいつを恨んでいるかはよくわからないけど

今あなたが死んだら意味がないの!あなたが死んだら悲しむ人が大勢いる!

あなたの命は一人のものじゃない!!」

「っ!・・・」

 

 

その言葉を聞いて彼は暴れるのをやめた。

さっきのアラガミはいつの間にか姿を消していた。

 

 

「・・・・ごめん。」

「ううん、いいよ、気にしないで。

それより早く戻ろ、キズの手当しないと、ね?」

「・・・ああ、そうだな、お前もな。」

「えっ?あっ、ほんとだ

じゃあ、お互い様だね。」

 

 

そういって顔を見合わせて苦笑する二人。

 

 

 

そのあと極東に戻ってアスカに泣きながら抱きつかれたり

それからアスカに包帯ぐるぐる巻きにされながらヨシノに怒られるユウヤなのであった。

 

 

 

 

続く

 

 

 



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反省しろ!

ユウヤは強くなる



今日を生き抜くために



大切な人々を守るために



大切な妹との約束を守るために


「今回はお前たち四人に任務に行ってもらう。」

 

 

ツバキの声がエントランスに響く。

彼女の前にいるのはユウヤ、アスカ、クロナ、アリサの四人であった。

 

 

「鉄塔エリアに三体のグボロ・グボロの姿が確認されたとの報告があった。

お前たちにはこれらの討伐に行ってもらう。

指揮はユウヤ、お前に任せる。内容は異常だ。何か質問はあるか?」

「・・・・・・」

「よし、それでは準備ができ次第出発してもらう」

 

 

 

そういってその場を後にする。

が、はっきり言ってユウヤには言いたいことが一つだけあった。

あったのだがさすがの彼もツバキの威圧に負けてしまっていた。

 

 

 

(この三人をまとめるのか・・・)

 

 

ユウヤは思わずため息をつきそうになった。

この癖のある三人をまとめるのかと思うと自然と出そうになる。

 

 

「今日はよろしくね、ユウヤ。」

「・・ああ。」

「一緒に頑張って行こう。」

「・・・ああ。」

「・・・今日はよろしくお願いします。」

「・・・・ああ。」

 

 

ついには、しゃべる気力すら失われていく。

しかしこれではだめだと思い気を取り直す。

 

 

「よし、それじゃそろそろ行くか。」

「おー!」

「うん。」

「了解しました。」

 

 

思い思いの返事をする三人。

それを聞いて歩き出すユウヤ。

そのあとに続く三人は、神機保管庫に向かった。

 

 

「わお、すごいねユウヤ君。」

「・・・?どういう意味だ?リッカ。」

 

 

ここは神機保管庫、リッカの一言に笑顔で返すクロナと

意味が分からずキョトンとするアスカに顔を真っ赤にして言い返すアリサがいた。

 

 

「なっ、何を言ってるんですかリッカさん!」

「その様子だとわかってるみたいだね。」

「そ、そんなことありません!ドン引きです!」

 

 

そういって自分の神機に早足で向かっていくアリサ。

どうやら本気で怒っているようだ。

 

 

「・・・リッカ、あまりアリサをからかうな、

あいつああ見えて結構子供ところがあるから。」

「ならなおさらからかう意味があるってものだよ。」

「・・・はぁ、あのな。」

「それより神機の準備はとっくにできてるよ。」

「なんかうまいこと話をそらされた気がするがまあいい、ありがとう

おーい、二人とも、行くぞ。」

『はーい』

 

 

彼の歩くあとに続くアスカとクロナ。アリサはもうとっくに行ってしまったようだ。

そう思っていると車の前で待っていた。そして少し不機嫌だった。

 

 

「・・・?どうした、アリサ。」

「さっきの話聞こえてました、「ああ見えて結構子供だから」って

どういう意味ですか!」

「まあまあ、そんなに怒るなよ。」

「っ、私本気で怒ってますからね!」

 

 

本気で怒るアリサに笑って返すユウヤ。

そして彼女は先に車に乗ってしまった。

 

 

「・・あの二人、結構仲良さそうだよ。」

「そうだね、以外かな。」

 

 

そういって二人も車に乗りこんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「たしかこのあたりにいるって報告なんだが・・・」

 

 

ここは鉄塔エリア、ユウヤ達新型の四人はグボロ・グボロを三体討伐に来たのである。

広いエリアなせいかなかなか見つからない。

 

 

「全然いないね、・・・えっとなんだっけ?」

「グボロ・グボロだよしっかり覚えないと教官に怒られるよ。」

「ええ!それは大変!しっかり覚えないと!・・・で、なんだっけ?」

「・・・はぁ、覚える気ないでしょ?」

「そんなことないもん!ちゃんと覚えるもん!」

「・・・・・・」

 

 

 

二人のやり取りを見てアリサはあきれたような顔をした。

 

 

「?どうしたんだよ、アリサ、さっきから。」

「ここの人たちは緊張感というものが欠けてます!」

「・・・と、いうと。」

「え!え、えーとそれは、つまり・・・」

 

 

そのまま考えこんで黙り込んでしまった。

それを見てユウヤは笑ってしまう。

 

 

「あっ!笑わないでください!

・・やっぱりここの人たちは緊張感というものがありません!」

「まあ、いいじゃねえか。それだけ平和ってことだよ。ここは。」

 

 

そうこうしているうちにクロナが

 

 

 

「ねえ、あれじゃないかな、グボロ・グボロ。」

 

 

そういって指をさすクロナ。その先には三体のアラガミが楽しそうに食事をしていた。

胴体の大きな胸ビレと、肥大化した頭部及び口が特徴的なアラガミ

あれがグボロ・グボロだ。

砲塔のような突起から水塊を発射することができる。

 

 

 

「よし、前衛は俺がやる、アスカは遊撃、クロナとアリサは」

 

 

 

 

「っ!行きます!」

 

 

ユウヤが言い終わる前にアリサは飛び出してしまった。

 

 

「ええ!?」

「なんで?」

「・・・またか。」

 

 

 

アスカは驚きクロナは疑問に思いユウヤはあきれた。

 

 

「作戦はさっき言った通りだ、いくぞ!」

 

 

ユウヤのかけ声とともにグボロ・グボロに向かう三人。

 

 

ユウヤがグボロ・グボロとの間合いをゼロにする。

 

 

「くらえ!」

 

 

側面からの切りかかり。

相手はまだ気づいていないらしく見事な不意打ちとなった、

・・・のだが。

 

 

「くらいなさい!」

「っ!うおっ!あぶね!」

 

 

アリサの銃弾がグボロ・グボロに当たる。

しかしもう少しでユウヤに直撃するところだった。

それでもユウヤはアリサには文句ひとつ言うことなく体制を立て直してまた向かっていった。

グボロ・グボロはユウヤに向かって得意の大きな水球を発射した。

ユウヤはその水球を切ってかわす。

しかしまともにかわしているわけではないので水浸しになる、それでもユウヤは

なりふり構わず走る足を止めようとはせず神機を銃形態に変形させ

頭の突起物に銃口を突きつける。

 

 

「くらえ!」

 

 

「グギヤァァァァァァ!」

 

 

悲痛な叫びと同時に暴れだすグボロ・グボロ。

そこにさらにクロナの銃撃が追い打ちをかける。

しかし彼らの攻撃はそこでストップしてしまった。

二人はアリサとアスカの方を見て深いため息をついた。

 

 

「だからユウヤに当たったらどうしてくれたのよ!」

「なんども言ってるじゃないですか、私は指示通りにやってるだけじゃないですか!

どうしてあなたに怒られなくちゃいけないんですか!」

「だからあなたが!」

 

 

「お前ら!」

 

 

 

「二人とも!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦え!」

 

 

 

「戦って!」

 

 

 

 

 

 

 

何とか戦い終わって束の間の休息を得た四人。しかし・・・・

 

 

「だからなんでユウヤに謝らないの!」

「あなたもしつこいですね!私は作戦通りやっていたといっているじゃないですか!」

 

 

二人はまだ言い争っていた。

 

 

 

「・・・あれ、どうしようか?」

「そろそろ止めないとめんどくさそうだ。」

 

 

そういって二人のところに行くユウヤ。

二人を止めるとは言ってもどうやるのか考えていると

 

 

 

「お前ら・・・少しは反省しろ!!」

 

 

 

そう言い放つとユウヤは二人の頭をつかんで両方の額と額をぶつけ合わせた。

 

 

 

「いたーーーーーーい!!」

「いたっ!ちょっとあなた何するんですか!?」

「あのな、お前らもう少し反省しろって言ってんだよ!

それに戦闘中だったってのに、お前らそれをもう少し理解しろ!!」

 

 

珍しくめちゃくちゃ怒るユウヤ。二人は怒りに負けたのかそこで押し黙る。

アリサは下を向いたままで、アスカに関してはもう少しで泣きそうなくらいの涙目になっていた。

クロナは止めようとはしたものの、彼女もまたユウヤの威圧に負けそれをただ見ているしかなかった

 

 

その時クロナはこの前見た彼の怒りをあらわにした時の顔を思い出し、身震いをした。

しかし、あの時のユウヤと今の彼はまったくもって違っていて、彼女は少し安心した。

そして彼女はある決心をつけた。

そんなことを考えている間にユウヤの説教は終わっていた。

 

 

「わかったか?もうあんな喧嘩はするなよ、いいな。」

「・・・はい。」

「・・わかりました。」

「・・・声が聞こえなかった、わかったな?」

 

 

先ほどの声のトーンよりも数倍低いトーンで確認をするユウヤ。

確実に怒っているとわかった二人は大きな返事を返す。

 

 

 

『はい!!』

「・・・よし、わかればいい、そんじゃ帰るぞ。」

『ええっ!!』

 

 

まだ怒られると思ったのかユウヤの一言で間抜けな声を出す二人。

 

 

「もうおわった?」

 

 

少しあきれたように聞くクロナ。

 

 

「ああ、すまんな、もう終わったよ。」

 

 

「あ、あの・・・」

「ん?」

「もう、・・怒らないんですか?」

「?なんで怒る必要がある?」

「・・・へ?」

 

 

また間抜けな声を出すアリサ。

 

 

「お前はもうわかったって言っただろ。

ならそれでいいじゃねえか。」

「・・・そう、・・・ですか。」

 

 

おう、と言って返すユウヤ、今の彼は先ほどの彼とは違いいつものユウヤに戻っていた。

 

 

「じゃ、かえろーー!」

(・・・切り替えが早いね、相変わらず)

 

 

いつの間にか開き直ったアスカに続くクロナ、さらにその後ろにユウヤとアリサという

形になった。

 

 

 

続く

 

 

 




終わり方が少し変だった・・・


次からはがんばります


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防衛班との任務

いくら強くても守れないものもある




だから彼は強くなる




守れないものを守りきるために・・・


「・・・暇だな・・」

 

 

自室のベッドの上でだるそうに寝転がりそう呟くユウヤ。

今日、彼は非番ではない、かといって行くミッションもなくこうなっていた。

 

 

「コウタの言ってたバガラリーでも見てみるか。」

 

 

そうは言うものの見る気になれない。

当たり前だ、彼はそういうものにはてんで興味がないのだから。

仕方なく、彼は自室を出てミッションに行くことにした。

 

 

 

 

 

 

「ヒバリちゃーん!今からミッション行って帰ってきたらデートいこーぜー!」

「はい、ミッションですね、わかりました。たしかカノンさんとでしたね。」

 

 

安定のスルー。がんばれタツミ。

 

 

「なんだ?タツミとカノン、これからミッションにいくのか?」

「ん、おお、ユウヤか。」

「あ、ユウヤさん、こんにちは。」

 

 

気づいたように挨拶をする二人。

それを聞いて二人に挨拶を返すユウヤ。

 

 

「どんな任務を行くんだ?」

「コンゴウ堕天種だ。危険なアラガミだが人手が足りなくて二人だけで行くんだ。」

「・・・よかったら俺も行こうか?ちょうどミッションに行こうとしてたしちょうどいいだろ。」

「そうか?そうしてもらえると助かるがリンドウさんの許可なしにはちょっとな・・・」

「じゃあ許可があればいいのか?」

「あの、いいんじゃないですか?聞いてみても。」

「・・・じゃあわかった、ちょっと待ってろよ。」

 

 

そういって通信機を取り出したタツミ。

 

 

(コンゴウ堕天種か・・・力試しにはちょうどいいな)

 

 

彼は今回の任務には自分の実力を試すためでもあった。

彼はもうすでに新人の域を超えていた。

タツミもそれは十分理解していた。

しかしそのせいか彼は少し恐怖心を抱いていた。

 

 

「・・・で、リンドウさん、どうなんですか。」

「おお、いいぞ連れてってやれ、ちょうどいいくらいだ。」

「・・・わかりました。」

 

 

そういって通信を切るタツミ。

 

 

「おい、ユウヤ、リンドウさんは良いそうだ。」

「そうか、じゃあよろしく頼む。」

「はい、よろしくお願いします。」

「・・・よし、それじゃ行くか。」

 

 

そういって歩き出す三人。

しかしタツミには一つだけ心配なことがあった。

 

 

(大丈夫か、ユウヤなら)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは嘆きの平原。

「このあたりにいるはずなんだが・・・」

「あの、あれじゃないですか?」

「おっ、いたな、ん?報告じゃ二体だけのはずなんだが。」

「まあいいだろ、何匹いたって関係ないな。」

「・・お前簡単に言うなよな。

ま、とりあえずはやるぞ、ユウヤ、お前は遊撃を頼む、それじゃ、いくぞ!」

 

 

タツミが相手との間合いを詰める。ユウヤは神機を銃形態に変形させ銃弾を放つ。

弾は五発発射され見事全弾命中した。

 

 

「グアァァァァァァァ!」

 

 

悲痛な叫びが聞こえる。その間にタツミは目の前まで迫り斬撃を放つはずだった。

 

 

「うおっ!」

 

 

その瞬間彼の身体は突如起きた爆風に巻き込まれた。

何があったのかと思い彼は隣にいるカノンを見て驚いた。

 

 

「射線上に入るなって、私言わなかったっけ?」

 

 

さっきの爆風は彼女の仕業のようだ。

そして彼は気づいた。さっきまでの彼女と違うことに。

 

 

「・・・カノン?」

「ユウヤもあんな風になりたくなかったら射線上に入らないことね。」

(・・・今、呼び捨てにされたな・・俺)

 

 

そういって銃撃を続けるカノン。タツミはそれにあたらないように必死に避けている。そして

気が付くと彼は自分の前にいた。

 

 

「・・・なんだ、あれは。」

「・・あいつ、極東、いや世界一といってもいい位、味方への誤射が多いんだよ。

お前も気をつけろよ。下手すりゃああなるぞ。」

 

 

そういってタツミの指さす方を見るとコンゴウ堕天種が銃撃の嵐の餌食となっていた。

 

 

「それにどういうわけか戦っているときは、あいつ性格が変わりやがるし。」

「・・・もう二重人格みたいだな。」

「おれはそう思うがな。」

 

 

「そらそらそら!ひゃはははははははははは!」

 

 

そう笑いながら銃弾を発射しているカノン。しかしここで

 

 

「弾切れか、こんな時に。・・・・クソッタレが。」

「・・・今あいつなんつった。」

「クソッタレだと、変わり過ぎだろ、ん?弾切れってやばいんじゃないか?」

「援護するぞ!あいつ今無防備だぞ!」

 

 

そういっているうちにコンゴウ堕天種がカノンに迫る。

それを阻止するべく走っていくユウヤとタツミ。

 

 

「させるか!」

「止まりやがれ!」

 

 

二人が二体のコンゴウ堕天種の動きを止めた。

しかし残りの一体の動きは止められなかった、が、その必要はなかった。

 

 

「塵にしてやる!」

 

 

そういってコンゴウ堕天種に無数の銃弾を浴びせる。

 

 

「とっとと終わらせるぞ!」

「ああ!」

「わかってるわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで終わりだ!」

 

 

最後の一体に剣を振り下ろしたユウヤ、どうやらすべて片付いたようだ。

 

 

「あの、大丈夫でしたか?」

「ん?ああ、俺は大丈夫だ、お前は大丈夫か?」

「は、はい、私は大丈夫です。あの、タツミさんは大丈夫ですか?」

「・・・・察してくれ。」

「・・・・・・すいませんでした。」

 

 

タツミはかなりカノンの誤射に巻き込まれていたせいか、相当疲れていた。

しかしユウヤはまったく誤射に巻き込まれることなく戦闘を終えていた。

 

 

「しかし、堕天種にもなるとさすがにきついな。」

「でも、お前ももう新人なんてもんじゃないな、お前一人で二体は仕留めちまったしな。」

「?そうか、でも俺もまだまだだ。もっと強くならないとな。」

 

 

そういって遠くを見るユウヤ。彼の顔は確かに笑っているように見えるが目は泣いているように見えた。

その時タツミは違和感を覚えた。

ミッションに行く前の時の彼とは違い今の自分に恐怖心は微塵もなくあったのはただ一つ。

そう、彼を信頼し頼るという心だった。

 

 

(・・・考えても仕方ないな)

 

 

ここでそんなことを考えるのをやめるタツミ。

 

 

「よーし、そろそろ帰ろうぜー。」

「はい。」

「ああ。」

 

 

呼びかけに答え後に続く二人。

そしてその前を歩くタツミ、そのあと彼はヒバリとのデートをあっさり断られたのは言うまでもない

 

 

 

 

 

 

 

 

続く・・・

 



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mission 蒼穹の月

運命の歯車は止まらない



彼らに苦渋の決断を迫られる



その時彼らはどうするのか・・・


ユウヤが極東支部に来てもうすぐ半年が経とうとしていた。

彼も配属された時よりも数段強くなっている。

そんなユウヤにある一本の連絡が入った。

 

 

『もしもーし、ユウヤー、私だよー、アスカだよー。』

 

 

「もしもし、俺だ。どうした?」

 

 

『とにかくエントランスに来いってツバキ教官が言ってたよ』

 

 

「わかった。すぐ行く、ありがとうアスカ。」

 

 

そういって通信を切ってエントランスへと向かうユウヤ。

すると見慣れた後姿があったのでユウヤは声をかけた。

 

 

「おーい、ソーマ。」

「・・・・てめえか。」

 

 

ソーマはユウヤの姿を確認するといつも通りのように返した。

 

 

「お前も教官に呼ばれたのか?」

「・・・・てめえには関係ねえ。」

 

 

そういって先を歩くソーマ。しかしユウヤは気にせず歩いて行った。

 

 

「今回の任務はお前たち四人に行ってもらう。」

 

 

エントランスにツバキの声が響く。

今回の四人はユウヤ、アスカ、サクヤ、ソーマの四人がそろっている。

 

 

「ところで今回の任務はなんですか?」

「ヴァジュラだ。」

 

 

その一言でユウヤはあの時のことを思い出した。

半年ほど前にあったコウタとの任務、ヴァジュラに殺されかけたことを思い出していた。

 

 

(ヴァジュラ、か・・・・)

 

 

あれから半年が経ちユウヤもかなり強くなった。

今なら勝てるかもしれない、そう思っていたらツバキが

 

 

「今回の指揮はユウヤ、お前に任せる。半年前お前とコウタがやった個体と同じだ。」

「・・・・・・え?」

「いいんじゃない、私はそれでいいわ。」

「私もー、それでいいよ。」

「・・・好きにしろ。」

「いやいやいやいや、待ってください、それだったらサクヤさんのほうが。」

「異論はないな?」

「・・・・はい、ありません。」

「では以上だ。」

 

 

そういってその場を去るツバキ。

 

 

「大丈夫だよ、私も、サクヤさんも、それにソーマもいるんだよ。

きっと何とかなるよ!」

「・・・何とかなるといいが。」

「大丈夫だよ!みんないるんだし、ね?」

「・・・ああ、そうだな。それじゃそろそろ行くか。」

 

 

そういって歩いていく四人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは旧市街地エリア。彼らはヴァジュラと戦うためここにいた。

 

 

「そういえばリンドウさんとアリサとクロナはどうしたんですか?」

「リンドウとアリサは同じ任務に行っていてクロナは別任務よ。」

「そうですか、・・・大丈夫でしょうか。」

「今は私たちの心配をしましょう。相手はヴァジュラよ。」

「そうですね。」

 

 

「………おい、いたぞ。」

 

 

ソーマの声で全員に緊張が走る。

 

 

「作戦はソーマは前衛、サクヤさんとアスカは後衛、俺は遊撃で行きましょう。」

「了解したわ。」

「はーい。」

「・・・フン。」

 

 

みんな思い思いの返事をする。

 

 

「いくぞ!!」

 

 

彼のかけ声と同時にソーマは持ち前の運動神経で一瞬のうちにヴァジュラの目の前に迫る。

 

 

「死ね」

 

 

ソーマの斬撃がヴァジュラ見事あたり完璧な不意打ちとなった。

 

 

「ガアァァァァァァ!」

 

 

怒りを込めた悲鳴が響く。その瞬間無防備になったヴァジュラにサクヤとアスカの銃弾が襲い掛かる

 

 

「くらいなさい!」

「あったれー!」

 

 

「グググ・・・・」

 

 

さらに追い打ちをかけた。そこにユウヤが走りこんで間合いをゼロにする。

 

 

「くらえ!」

 

 

下からの切り上げ、さすがのヴァジュラもこれには耐えきれず悲痛な雄叫びをあげる。

 

 

「ガアァァァァァァァァァァ!」

「!まずい!」

 

 

雄叫びと同時にヴァジュラが活性化する。それと同時にユウヤにヴァジュラの雷球が当たる。

 

 

「ぐああ!」

「っ!ユウヤ!」

 

 

ヴァジュラの雷球は活性化しているときに当たるとスタンという状態になりしばらく動けない。

そんなユウヤにヴァジュラの振り上げた腕がユウヤに直撃する。

 

 

「っ、がは!」

 

 

ユウヤの身体が垂直に吹き飛んで壁にぶつかりそこで止まる。

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・っ、いってえ。」

「ユウヤ!大丈夫!?」

「っ!?ばかっ!お前何してる!攻撃を止めるな!」

「そんなこと言ったってユウヤ、怪我してるし。」

「今はそんなこと関係ないだろ!いいからいけ!」

「っ、・・・わかった。」

 

 

そういってヴァジュラに向かっていったアスカ。

ユウヤもすぐ起き上って神機を構え向かっていった。

 

 

「っ、よくもユウヤを!覚悟しなさい!」

 

 

そう叫びながら神機を振り下ろすが、簡単にはじかれてしまった。

 

 

(えっ!?うそ・・・でしょ)

 

 

完全に無防備となったアスカにヴァジュラが喰らいつこうとするが失敗に終わる。

ユウヤが間に入って装甲を展開してアスカをかばった。

 

 

「大丈夫か!?アスカ!」

「っ、うん!ありがとうユウヤ!」

 

 

その瞬間ヴァジュラが雷球を発射しようとするが、ソーマとサクヤがそれを阻止する。

 

 

「させないわ!」

「死ね!」

 

 

そのあとソーマはチャージクラッシュの体制に入る。

ヴァジュラがそれを止めようとするがユウヤとアスカがフォローにまわる。

 

 

「させるか!」

「あったれー!」

 

 

ユウヤは斬撃、アスカは銃弾で阻止する。ここでソーマの準備が整う。

 

 

「終わりだ」

 

 

次の瞬間、ソーマの神機の刀身が光りだしヴァジュラの身体は二つに切断され一つの生命が終わりを告げた。

 

 

「終わった・・・」

「勝った・・・よね?」

「みんなお疲れ様。」

「・・・フン」

 

 

 

 

無事に勝った、それを実感しその場に座り込むユウヤ。

それを見てすぐさまユウヤに駆け寄るアスカ。

 

 

「ユウヤ!大丈夫!?動ける?」

「ああ、何とかな、お前はやさしいな、ありがとう。」

「え!?え、えーと、そ、そんなことないよ。ユウヤだってやさしいもん。」

 

 

ユウヤの一言に少し同様した様子のアスカ。どうやら恥ずかしいようだ。

 

 

「……え?……どうして」

 

 

サクヤが突然疑問に満ちた声を出した。

 

 

「……なに?」

 

 

それに続いてソーマも同じように声を上げた。

二人が見ている方を見ると二人も同じく驚いていた。

 

 

 

 

 

 

みんなの見る先にはここにはいるはずのないリンドウとアリサがいた。

 

 

「なんでだ…同じ区画に二つのチームがいるはずがない。

ソーマ、お前どう思う?」

「……知るか、まあこんな経験俺はないがな。」

「え?同じ区画に二つチームがいるのって何か問題があるの?」

「……アスカ、もう少し勉強しろよ。」

「そ、それぐらいわかるもん!」

 

 

 

 

そうこうしてるうちに二人は荒廃した教会に入って行った。

 

 

「よし、そんじゃとっとと調べて、とっとと帰ろうぜ。」

 

 

みんなはそのあとを追う。

 

 

「どういうこと?なぜリンドウたちがこの区画にいるの?」

「向こうの手違いか何かではなさそうですね。」

「……嫌な予感しかしないわ。」

 

 

その時教会の中で戦闘の音が響きわたった。

 

 

その音が聞こえ四人は中に向かうが、目の前に見たことのないアラガミが現れた。

 

 

「っ、なんだこいつ!見たことがないアラガミだ!みんな、気をつけろ!」

 

 

 

 

「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

「!?今のはアリサの声だ!」

 

 

声が聞こえ彼女の方を見ると、目の前が瓦礫によってふさがれていた。

 

 

瓦礫の向こうからは、戦いの音が聞こえていた。

 

 

「アリサ!どうした!?しっかりしろ!」

 

 

アリサはショックで気を失っていた。

 

 

「きゃあ!」

 

 

アスカの悲鳴と同時に新種のアラガミが中に入ってきた。

それと同時にユウヤが動いた。

 

 

すぐさま側面に数発の斬撃を与え、一瞬のうちに反対側に移動、

神機を一つにして深い一撃を与える。アラガミはひるみ、そのうちにユウヤはアスカに駆け寄る。

 

 

 

「リンドウ!中にいるのね!」

「っ、サクヤか!今すぐ全員を連れて逃げろ!」

「でも、それじゃリンドウが」

「聞こえなかったのか!これは隊長命令だ!」

「おい、サクヤ!とっととしろ!もう持ちこたえれねえ!」

「……絶対、かえって来てね。」

「おう!当たり前だろ!」

 

 

そういってユウヤがアリサを担ぎ、アスカ、サクヤ、ソーマが退路を開く。

何とかその場を後にするのであった……

 

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 



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届かぬ願い

アリサの謎の行動により閉じ込められたリンドウ



彼の無事は誰にもわからない



ユウヤ達第一部隊はただ祈るしかなかった……


ここはエントランスロビー。

ソファに座る第一部隊の面々がいる、しかしそこにリンドウの姿はなかった。ついでにソーマも、

あとユウヤと、アリサも。

その中でも一番心配していたのはサクヤであった。

 

 

(リンドウ……大丈夫…よね?)

 

 

難しい顔をしている彼女に一人の女性が近づいてきた。

 

 

「サクヤ、…大丈夫?顔色相当悪いけど…」

「…ヨシノ…うん、大丈夫よ、心配しないで。」

 

 

彼女はクロナの姉でもあるヨシノだった。二人は同期でもあり親友でもあった。

 

 

「絶対大丈夫じゃないでしょ、顔色だってやっぱ悪いし昨日から何も食べてないでしょ!

…あたし、これでも心配してるんだよ。リンドウだっていないしあんたに声かけるのも

どうかけたらいいのかずっと悩んでたし、…何かあったら何でも言ってよ。」

「…ええ、ありがとう、少し元気出たわ。」

「……」

 

 

そうは言うものの彼女の顔色は良くはならなかった。

 

 

「でもまさか、私たちが別任務に行ってる間にそんなことがあったなんて…」

「ほんとだよな、帰ってきたらリンドウさんはいないし、アリサはずっと医務室だし。」

「ところでサクヤさん、こんな時に聞くのもあれなんですけどアリサは大丈夫なんですか?」

「…え!?あ、ああ、ええ、大丈夫よ。アリサの主治医の先生に任せておけば大丈夫よ。」

「そう…ですか。」

 

 

(リンドウさん!早く、早く帰ってきてください!みんなあなたの帰りを待ってます!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウヤは今ある人に呼び出されそこに向かっていた。

 

 

「失礼します。」

「やぁ、よく来たね。」

 

 

彼の名はペイラー・榊。極東支部の研究者にして対アラガミ装甲を考えた第一人者である。

だがそのせいか少し世間と離れてしまっているところがある、が、今は気にしない。

 

 

「博士、話とは?」

「うん、実はアリサ君のことを少し話しておこうと思ってね。」

「!」

「彼女は前から精神がずっと不安定な状態でね、定期的にメディカルチェックを受けさせていたんだ。

だから今回の一件はアリサ君の精神に問題があったとされているよ。

オオグルマ先生もきっとそうだと言っていたしね。」

 

 

しかし彼は納得がいかなかった。

もしそうだとしたらあの時の彼女の叫びはなんだったのか。

しかしユウヤはそれ以上何も言わずに部屋を後にした。

 

 

続いて彼が向かったのは医務室だった。どうやらアリサのお見舞いに来たようだ。

彼が部屋の中に入るとそこには一人の男がいた。

 

 

「やぁ、たしかユウヤ君だったね。お見舞いに来てくれたのかい、ありがとね。」

 

 

男の名はオオグルマダイゴ、フェンリルに所属する医師で、アリサの主治医でもある。

やさしい笑みを浮かべユウヤに挨拶をしたが、ユウヤはあれに警戒心を抱いていた。

なぜか彼には気を許すことができなかったようだ。

 

 

「先生、アリサは大丈夫ですか?」

「ああ、今さっき鎮静剤を打って眠ったばかりだよ。」

「そうですか、ありがとうございます。」

 

 

いやいや、そういって彼は部屋を出た。

ユウヤはアリサが眠っているベッドの横に椅子を持っていきそこに座った。

 

 

(アリサ……大丈夫だからな…)

 

 

そう思いながら彼女の手を握る。

 

 

 

 

その時彼の頭の中に見たことのない映像が流れ込んできた。

速いあまりはっきりとは見えず気が付くと彼は医務室にいた。

 

 

(っ、…今のは、いったい?…)

 

 

「うぅ……今のは?」

「っ、アリサ!どうした!?」

 

 

突如アリサが目を覚ました。ユウヤは驚きが隠せず立ち上がる。

 

 

「今のは…いったい?」

 

 

(っ、アリサにも何か見えたのか?)

 

 

アリサに問い掛けようとしたがアリサはすぐさま眠りについた。

そして彼は少ししてあることを思い出した。

今のはおそらく新型同士で起こる感応現象と呼ばれるものだ。

今までこの現象の発生例はないためノルンのデータベースにも記載されていなく知っているのも

ごくわずかな人数しか知りえない。

しかし彼はなぜそんな事を知っていたのか。

すると扉の向こうから男の話声が聞こえてきた。ユウヤはその話声に耳を傾けると声の主はアリサの主治医でもあるオオグルマであった。

 

 

「……はい…そうです、おそらく感応現象かと思われます。どういたしましょうか。」

(やっぱりな)

「はい、わかりました、監禁も視野に入れておきます。それでは。」

(なっ!監禁だと!?ふざけやがって…)

 

 

電話を切ったオオグルマは部屋に戻ってきた。

 

 

(まずい!戻ってきた!)

「おや、まだいたのか。」

「いえ、もう行きますので。アリサのことをお願いします。」

「うむ、任せてくれ。」

 

 

そういってユウヤは医務室を後にした。

 

 

 

 

 

 

続く・・・

 

 

 

 



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真実

リンドウの安否がわからぬまま五日が経った



みんなの不安は募るばかり



そんな中ユウヤは……


ユウヤはまたもサカキの研究室に向かっていた。

今回は呼び出されたのではなく、聞きたいことがあった。

聞きたいこととはほかでもない感応現象についてだった。

 

 

「失礼します。」

「やあ、いらっしゃい。それで、話というのは。」

「感応現象について教えてください。」

「っ、どこでそれを?」

「聞いているのはこっちの方です。答えてください。」

 

 

いつもより力の入るユウヤ。当然だ、ユウヤはまじめに聞いているのにサカキはいつものように笑顔でいる。

 

 

「……どうしても知りたいのかい?」

「はい。」

 

 

力強くうなずくユウヤ。

 

 

「…感応現象というのは新型同士が触れ合うことで起こる現象だ。それはわかるね。」

「はい、もちろん。」

「しかし、それが必ず起こるとも限らないんだ。

今まで何度も試していたが、成功例はほとんどないんだ。

ユウヤ君が見たのもきっと感応現象で間違いないね、でどんなものが見えたんだい?」

「…それがあまりにも映像が早すぎてよくわからなかったんです。」

「…そうか、それは残念だね。」

 

 

そういう割にはいつもの笑顔、ユウヤは苛立ちのあまり殺意が芽生えかけたが押し殺す。

そしてユウヤは部屋を後にした。

 

 

続いて彼はまたもアリサの眠る医務室に向かった。

もう一度感応現象を引き起こそうとしていた。

 

 

医務室の扉を開ける。そこにはオオグルマの姿は見当たらずいたのは何とサクヤ、アスカ、クロナの三人だった。

 

 

「あら、ユウヤもお見舞い?」

「はい、まあそうです。」

「?ユウヤ、何か隠してる?」

(やっぱ鋭いな、クロナは)

「え!そうなの!?ユウヤ、何かあったら言ってね、なんでも相談に乗るからね。」

「…ああ、ありがとう、アスカ。」

 

 

そういわれて少し照れくさそうにするアスカまだ少し慣れないようだ。

そしてユウヤがアリサの隣に行き、彼女の手に触れる。

 

 

また映像が流れ込んでくる。

今度は前と違いはっきりと何が流れているのかが分かった。

これはどうやらアリサの幼少期のころの記憶らしい。

 

 

 

 

「もういいかい?」

「まーだだよ。」

 

 

そんな会話が聞こえる。声からするに大人と子供がかくれんぼをしているようだ。

隠れているのはアリサ、探しているのはおそらく彼女の両親だろう。

 

 

これが感応現象の力。見たことないものや、覚えのない記憶がユウヤの頭の中に流れ込んでくる。

 

 

あの日はアリサが両親を少し困らせてやろうと思い崩れかけの廃墟にあるタンスの中に隠れていた。

 

 

そして両親がアリサを探しに来る。

 

 

そしてアリサの目の前に人影が迫る。

 

 

見つかった、それがわかり少しつまらなさそうにするアリサ。

 

 

 

 

 

 

その時、外から何かの雄叫びのようなものが聞こえた。

 

 

タンスの隙間から少しだけ外の様子が確認できた。

 

 

アリサは恐る恐る外を見て驚愕する

 

 

 

 

そこには身体の半分を失った、アリサの両親の身体が転がっていた。

 

 

その近くには両親を喰らったアラガミがいた。あれはこの前見た新種のアラガミだった。

 

 

「や、やめて……食べないで……」

 

 

 

 

 

 

 

「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

その瞬間、景色が別のものに変わった。

 

 

「これが君たちの倒すべきもの、アラガミだよ。」

 

 

見たことのない病室には、アリサと一人の男が立っていた。

 

 

男の顔はよく見えない。

 

 

「これがアラガミだよ。」

 

 

「アラガミ……」

 

 

男がしゃべりながらモニターの映像を切り替える。

 

 

「そうだよ、そしてこれが、キミのパパとママを食べたアラガミだよ。」

 

 

そういって切り替えた映像にはあの黒いアラガミではなくみんなのよく知る人物

雨宮リンドウが映し出されていた。

 

 

なぜそこにリンドウが映し出されたのかはわからないユウヤだった。

 

 

「でも君はあの時とは違う、君はもう戦えるだろう?

簡単な話だ、こいつに向かって引き金を引けばいいだけだ。」

 

 

「引き金を、…引く…」

 

 

「そしてこう唱えるんだ

アジン、ドゥヴァ、トゥリー!」

 

 

「…アジン…ドゥヴァ…トゥリー……」

 

 

「そうだよ、そうすれば君はさらに強くなれる。」

 

 

「もっと…強く…

アジン…ドゥヴァ…トゥリー…」

 

 

 

そしてここで映像が途切れた。

感応現象がそこで終わった、自然と理解できた。

 

 

「そういうことだったのか…」

「?どうしたの、ユウヤ、何か様子がおかしかったけど何かあった?」

「……いや、なんでもない、気にするな。」

 

 

「今のは……いったい…」

「っ!アリサ…」

「アリサ!目が覚めたのね、よかった。」

「……」

「サクヤさん、どうしたんですか?」

「ううん、なんでもないわ。」

「さっきのは…あなたの…」

 

 

どうやらアリサはユウヤと同じで、自分の過去を見ていたようだ。

 

 

「神狩さんの記憶が、わたしの頭の中に流れ込んできて…

神狩さんももしかして?」

「ああ…けど今は言わないでくれ。」

「…私、神機使いになれて、やっとパパとママの仇が取れると思ったのに

なんであんなことを!」

 

 

そういって頭を抱え込むアリサ、ユウヤはやさしい言葉をかけながらアリサの頭をそっとなでる。

 

 

「大丈夫だ、お前は何も悪くない。それにリンドウさんがまだ死んだと決まったわけじゃない。」

 

 

「……はい、ありがとうございます、神狩さん。」

 

 

 

 

「アリサ、ちょっといいかしら、聞きたいことがあるの。」

 

 

サクヤが口を開く。彼女に話しかけられ身体を揺らすアリサ、

相当びびっているらしい。

 

 

「大丈夫よ、別にあなたを責めるわけじゃないわ、ただあなたにあの日、何があったのか教えてほしいの、無理にとは言わないわ、あなたが良ければ。」

 

 

「……両親が殺されて数年間、私は精神不安定のまま、病院での生活を送っていました。」

 

 

アリサが口を開きだす、みんなは黙って彼女の言葉に耳を傾ける。

 

 

「…そしたら突然、新型神機の適合があるといわれて、私は無理やりフェンリルの病院に移されたんです。」

 

 

「…そうだったんだ。」

 

 

「でも私は嬉しかった、これでやっと両親の仇が討てると思って、

オオグルマ先生も、いい人でしたし。」

 

 

「っ!」

 

 

やはりユウヤは今の一言に反応してしまう。

あの会話を聞いてしまったからである。

もっともアリサにそんなことは絶対に言えない。

彼女はオオグルマのことを慕っている、言える筈がなかった。アリサは話を続ける。

 

 

「それで極東に仇のアラガミが出るって言われて、あの時なぜか仇のアラガミがリンドウさんになってそれで…!うううぅ……!」

 

 

「アリサ!もうしゃべるな!」

 

 

ユウヤが急いで止める。

 

 

「…そう、ありがとう、ごめんなさい、無理させちゃって。」

 

 

ごめんね、そう告げてサクヤは部屋を出る。

 

 

「アリサ、大丈夫?」

 

 

「……はい、ありがとうございます。神闘さん。」

 

 

「クロナでいいよ。」

 

 

「あっ!じゃあ私もアスカでいいよ!」

 

 

「…はい。」

 

 

少し戸惑いながら答えるアリサ。

 

 

「じゃあ私たちはそろそろ行くね。」

「じゃあね、アリサ、何かあったら何でも言ってね。」

「はい。」

 

 

そして部屋を後にする二人。

 

 

「……」

「……」

 

 

部屋の中にしばらく沈黙が続いた。

いるのはユウヤとアリサの二人だけ、アリサは気まずそうになり、ユウヤはいつもと変わらない様子だ。

 

 

「…じゃ、そろそろ俺も行くよ。」

「えっ!」

「?どうした。」

「い、いえ、その……」

「?」

 

 

一人はさびしいのでここにいてほしい、なんて言えない。

なのでアリサはもじもじしだして、徐々に顔を赤らめていく。

 

 

「…寝るまでいっしょにいようか?」

「えっ!な、何でですか?」

「いや、なんかさびしそうだったから。」

「べ、別にさびしいわけないじゃないですか!何勘違いしてるんですか!」

 

 

そういいながらさらに顔を赤くしていく。それを見たユウヤは面白くなって苦笑する。

 

 

「な、何を笑ってるんですか!ドン引きです!」

「いや、アリサの反応がちょっと面白くてさ。」

「なんで面白いんですか!」

「いろいろ。」

 

 

怒るたびさらに顔を赤くしていき、それを見てついには笑ってしまうユウヤ。

しかしアリサは怒ることがばかばかしく思えたのか、もう怒らなくなった。

なぜなら今どれだけ顔が赤くなっているのか自分でもわかるくらいになっていた。

 

 

「……じゃあ、寝るまでいてください。」

「ああ、いいよ。」

 

 

OKの返事をもらって少し嬉しそうにするアリサ。

そしてすぐさま横になって眠りについた。

 

 

「おやすみ、アリサ。」

 

 

しかしそのあと、ユウヤは部屋を出ることはなくそのまま椅子の上で寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…二人とも楽しそうね。」

「そうですね、アリサも少し元気が出て来たみたいでよかったですね。」

「……」

「?アスカどうしたの、ふてくされたような顔してるけど、何かあった?」

「…なんでもない。」

「何かあるって顔してるよ。」

「…自分でもよくわからないよ。」

 

 

そういって顔をうつむかせるアスカ、それを見た二人はかわいいと思ってしまった。

 

 

(まあ、…アスカの気持ち、わからないこともないよ)

 

 

内心そう思うクロナなのであった。

 

 

 

 

 

続く…

 

 

 

 

 

 



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サソリは嫌い!

アリサの原隊復帰までもう少し




今回はある少女の弱点が……


「お前たちにはボルグ・カムランの討伐任務に行ってもらう。」

 

 

『ボルグ・カムラン?』

 

 

「…なんで知らないんだよ…」

 

 

そう言い放つツバキの前には三人の少年少女がいる。

 

 

少年はユウヤとコウタ、少女はアスカであった。

三人はボルグ・カムランの名を聞いてユウヤは理解してアスカとコウタはまったくわかっていない顔をしている。

 

 

「あとは、クロナも連れて行け、ちょうどいいだろう。」

 

 

『?』

 

 

今のツバキの一言に疑問を感じる三人。たしかにボルグ・カムランは自分たちにはちょうどいい強さのアラガミだ、しかしやはり疑問に思う。

 

 

「なんでクロナはちょうどいいんだろうな。」

「さあ、俺は知らんぞ。」

「私も知らないよ。」

 

 

三人は今、クロナの部屋に向かっている。さっき覚えた疑問について話し合っていた。

そうこうしてるうちに部屋の前についたのでクロナを呼ぶ。

 

 

「おーい、クロナー、任務行くぞー。」

「……」

 

 

返事がない。部屋にいないのかと思ったら中から声が聞こえた。

 

 

「……嫌…」

 

 

いつもの彼女からは考えれないほど低く暗い声だった。

恐かったのかコウタとアスカはユウヤの後ろに隠れてしまう。

 

 

「なんで嫌なんだ?具合でも悪いのか?」

 

 

ユウヤがクロナに質問する、しかしまたも答えがない。しばらくして帰ってくる。

 

 

「……アラガミが嫌なの。」

「アラガミ?ああ、たしかボルグ・カムランだったな、あのサソリみたいな。」

「……それが嫌なの。」

「なんで?」

「……笑わない?」

 

 

涙ぐんだ声で質問するクロナ、というかもう泣いてしまっている。

 

 

「ああ、笑わない。」

 

 

「絶対に?」

 

 

「絶対に。」

 

 

そのあと、少しの沈黙が続く。そして口にを開く。

 

 

 

 

 

「………サソリが苦手なの。」

 

 

 

 

そのあと、かなり沈黙が続く。

 

 

「…え?」

 

 

「ぷっ、あははははははははははは!」

「クロナ、サソリ苦手なの!?」

 

 

「……やっぱり笑った。」

 

 

さらに落ち込むクロナ。

 

 

「お前ら、少し黙れ!」

 

 

「ふごっ!」

 

 

「痛っ!」

 

 

ユウヤが笑っている二人の頭をつかんで額と額をぶつける。

 

 

「ユウヤ!これ私二回目!」

「なあ、クロナお前がサソリ苦手なのはよくわかったよ。」

「スルーしないで!」

「でもさ、苦手だからってさ、いつまでも逃げてたらいい理由にはならないぞ。」

「…それは、そうだけど。」

「それに、コウタやアスカだってツバキ教官が苦手だろ?でもちゃんとあって話聞いてるだろ?」

「……それは、教官は上官だし命令を聞くのは当たり前だし…」

「ならお前はその上官の命令を自分の苦手っていう理由で任務に行かないのか?」

「っ!、…それは、…」

 

 

少し怒りが混じったユウヤの声が廊下に響く。それを聞いてコウタとアスカはユウヤから少し距離をとりクロナは押し黙る。

 

 

「お前はなぜゴッドイーターになったんだ。少し考えろ、考えがまとまったらエントランスに来い。すこしだけなら待つ。

おい、お前ら、いつまでひるんでる、いくぞ。」

「あのなぁ!もとはといえばお前が悪いんだろうが!」

 

 

大きな声で口論しながらエントランスに向かっていったユウヤ達。

 

 

「なんでゴッドイーターになったか、か…」

 

 

クロナは一人考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、ほんとに来るのか?クロナのやつ。」

「いいから黙って待ってろ。」

「でもさぁ、もうあれから十分は経ってるよ、もうさすがに来ないんじゃ……」

 

 

クロナを説得してから十分が経過した。早くいかないとツバキに怒鳴られる。

それが嫌なのか、コウタとアスカは早くいきたい様子。しかしユウヤは待つ。

 

 

「ユウヤーーーーーー!!」

「…来たか…」

「マジで!?クロナ、お前サソリ苦手なんじゃ。」

「……ユウヤに言われて気が変わったというかなんというか……ごめんなさい!」

「それじゃ行くか。」

「はーい。」

「おう。」

「…うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは廃寺エリア。ユウヤ達はボルグ・カムランの討伐任務に来ているのだが…

 

 

(…やっぱり、まだ手が震えてる……)

 

 

クロナは内心おびえていた。彼女は大のサソリ嫌いである。

このままじゃみんなの足を引っ張ってしまう、しかしここまで来て引き返すわけにはいかない。

クロナは自分の中で一人戦っていた。

 

 

「大丈夫か?クロナ、ああいう風に言ったが無理はするな。」

 

 

ユウヤがクロナに話しかけながら彼女の手を握る。

 

 

 

「ユウヤ……でもここまで来たんだし最後までやり遂げてみせるよ。」

 

 

そういって覚悟を決めるクロナ。ユウヤに励まされたのか、さっきより気持ちがかなり楽になっていた。

これならいける、そう思っていたクロナの視界の先に世界で一番嫌いな生物が食事をしていた。

 

 

「あれがボルグ・カムランか、ほんとにサソリみたいなやつだな。」

「…嫌…」

「作戦は俺が前衛、コウタとアスカは後衛、クロナは」

 

 

「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

アラガミを見て発狂するクロナ、その声に気付くボルグ・カムラン。

そしてすぐにユウヤ達の方に走ってくる。

 

 

「っ、まずい!気づかれた!作戦はさっき言った通りだ!」

「…嫌…嫌…」

「おい!クロナ、動けるか!?」

「……」

 

 

答えが返ってこない、どうやら相当気が動転しているようだ。

 

 

「っ、二人とも!クロナにこいつを近づけさせるな!」

「任せろ!」

「やってみる!」

 

 

「なあクロナ、お前はなんでゴッドイーターになったんだ?」

「……」

「たしか言ってたよな、守れない人も守れるように強くなるって。」

「っ…!」

「あれはウソか?それとも本気か?」

「…嘘じゃないよ、守りたいっていう気持ちは今も変わらないよ。」

「ならこんなところであんな奴にビビってていいのか?」

「…それはそうだけど……」

「…わかった、決心がついたら来い。」

 

 

そういってボルグ・カムランに向かっていったユウヤ。その後ろ姿にクロナは

 

 

「……ユウヤはすごいね…」

 

 

そう呟いた。

 

 

 

 

 

「にしてもこいつ!図体の割には相当速いな!」

「慌てるな!相手の動きをよく見て確実に攻撃を当てろ!」

「おう!」

 

 

ユウヤがボルグ・カムランに向かっていく。

ユウヤに気付き尻尾を回転させユウヤに向かっていく。

これは通称「スピンテイル」と呼ばれる攻撃方法である。

しかしユウヤはそれを回避してボルグ・カムランの側面に移る。

 

 

「くらえ!」

 

 

ユウヤの神速のごとし斬撃がボルグ・カムランの足に命中、体制を崩した。

すぐさまアスカとコウタの追撃がやってくる。

 

 

「やあ!」

「当たれ!」

 

 

アスカは上空からの斬撃、コウタの正面からの銃撃、これにはさすがのボルグ・カムランは悲鳴を上げる。

 

 

「キシャアァァァァァァァァァァァァ!」

 

 

それと同時に活性化して俊敏性が増す。

まずはアスカに向かって突進をかます。アスカはぎりぎりのところで装甲を展開するがそのまま吹き飛び壁に叩きつけられる。

 

 

「きゃあ!」

「アスカ!」

 

 

アスカに駆け寄るコウタ、しかしすぐさま横からボルグ・カムランの突きが襲い掛かる。

何とかかわすものの風圧に吹き飛ばされる。

 

 

「ぐえっ!」

「っ、コウタ!」

 

 

そして今度はユウヤではなくまだ地面に座り込んでいるクロナに向かう。

彼女は今動けない。

 

ボルグ・カムランが尻尾を振り上げクロナに突きを放つ。

 

 

死ぬ、彼女の頭によぎるのはその一言。

 

 

 

 

 

 

しかし針の先端はクロナの目の前で止まる。

 

 

まえを見てクロナは驚愕する。

 

 

「っ、がはっ!」

 

 

「……ユウヤ…?」

 

 

ユウヤがクロナの前に立って彼女をかばった。

 

 

針は彼の身体を貫き先端からはユウヤの血がポタポタと落ちている。

 

 

「はぁ…はぁ…この野郎!」

 

 

ユウヤは尻尾を掴み身体から抜く、そしてあの巨体を持ち上げてぶん投げた。

いくら強靭な肉体を持つゴッドイーターといえどアラガミを持ち上げるなどあり得ない。

ましてや、それを投げるなど前代未聞であった。それを見た三人はあ然とする。

 

 

「クロナ。」

「……」

 

 

怒られる、そう思っていたクロナであったが衝撃の一言が飛んでくる。

 

 

 

 

 

「怪我ないか?」

「…え?」

 

 

一瞬理解に遅れる。そして言葉を理解するとつい間抜けな声を出してしまう。

 

 

当たり前だ、ユウヤが怪我を負ったのは自分が悪いというのに、彼女を責めることはなく心配してくれたのだ。

 

 

そして、彼女は思い出した。彼はこういう人だったのだと。

 

 

自分がどれだけ危ない状況でも他人を見捨てることはなく優先してくれる。

 

 

それが神狩ユウヤという人物なのだと。

 

 

「……うん、大丈夫、おかげさまで。」

「そうか。」

「…あのね、ユウヤ、……ごめんなさい、私のせいで怪我負わせちゃって。

「?それがどうかしたか?」

「……え?」

「それよりとっとと終わらせるぞ。」

「…うん。」

 

 

この人はバカだ、そう思うのに十分だった。しかしそんな人に任せてみたい。この人にかけてみたいそう思えた。

 

 

「なんだ、もう怖くないのか?」

「恐いよ、でも、私がおびえてる間にもいろんな人が食べられてる、そう考えると恐さが自然となくなっちゃった。」

「…そうか、おーい、お前ら立てるか?」

「…当たり前だろ、あれ程度でやられるかよ。」

「そうよ、私だってまだやれるんだから。」

「よし、いくぞ!」

 

 

ユウヤは神機をバスタータイプに合体させチャージクラッシュの体制に入る。

 

 

ボルグ・カムランが阻止するためにユウヤに迫る。しかしそれを許す三人ではない。

 

 

まずはコウタが足元に銃撃を放つ、その次にアスカが尻尾に銃弾を浴びせる。

さらに先ほどまでおびえて動けなかったクロナが上空高くから神機を振り下ろす。

 

 

「……キ、キシャ…」

 

 

そして最後にユウヤのチャージクラッシュがたまる。

 

 

「終わりだ!」

 

 

叫ぶと同時に神機を振り下ろしボルグ・カムランの身体を真っ二つにして絶命させた。

 

 

「お疲れ、クロナ。」

「うん、お疲れ様、ありがとう、ユウヤ。」

「?何が。」

「ユウヤのおかげで少し克服できた気がする、サソリ。」

「そうか、そりゃよかったな、そんじゃ、これ。」

 

 

そういってユウヤはクロナにあるものを投げ渡す。なんなのか確認するとクロナは驚きのあまり逃げ出す。

 

 

なぜならユウヤがそこらへんにいた小さなサソリを投げたからだ。

 

 

「こりゃまだ、改善の余地ありだな。」

 

 

そんなやり取りを見ていたコウタは笑い、アスカはまたもふてくされたような顔をしていた。

 

 

(……ずるい…)

 

 

そう思っているアスカなのであった。

そこには束の間の平和があった。

 

 

しかしそう長くは続かなかった。

 

 

 

その日リンドウの神機が発見されたとの報告がアナグラに舞い込んだ。

 

 

 

 

 

 

続く……



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特訓の日々

いよいよ原隊復帰を果たしたアリサ



彼女はユウヤに意外なことを頼み込む……


「なあ…今日だったよな。」

「ああ、そうだ。」

 

 

ここは、エントランスロビー。今の会話はユウヤとコウタのものであった。

 

 

「ねえ、そろそろ来るんじゃない?」

「そうだね、そろそろ来てもいいころだね。」

 

 

さらにクロナとアスカもいた。

そんな会話をしていたら向こうから待っていた少女の姿が見えた。

 

 

「……本日より原隊復帰しました。またよろしくお願いします。」

「ああ、よろしく。」

「おう!」

「お帰りなさい、アリサ。」

「お帰りなさい!」

「……」

 

 

上からユウヤ、コウタ、クロナ、アスカの順に応える。

しかしアリサは下を向いたまま返事をしない。

少しして彼女はユウヤの方に向かった。

 

 

「あの、神狩さん、えっと…その……」

「?どうした。」

 

 

少しの沈黙が続く。ユウヤが彼女の言葉を待っているとアリサが口を開いた。

 

 

 

 

「私に、一から戦い方を教えてください!」

 

 

それは意外な一言だった。あのプライドの高いアリサが頭を下げユウヤに頼みごとをしているのだから。

 

 

「…なんで俺なんだ?」

「神狩さんなら同じ新型としての実力も十分あります。それに……」

「それに?」

「信頼してるんです、神狩さんのことを、だから、お願いします!」

 

 

もう一度深く頭を下げて頼み込むアリサ。ユウヤは少し考え決断した。

 

 

「…わかった、俺でよければ協力させてもらうよ。」

「!ありがとうございます!」

 

 

そういってまた頭を下げるアリサ、その時の笑顔は15歳の少女を思わせる笑顔だった。

 

 

そんな時、エントランスの一階の方から神機使い達の声が聞こえた。

 

 

「おい、聞いたか、例の新型、今日から原隊復帰したそうだぜ。」

 

 

「ああ、そうらしいな。まったく、あいつのせいでリンドウさんが死んじまったて言うのによく平気でいられるよな。」

 

 

「けどさ、偉そうにしてた割にはずいぶん弱い奴だよな。」

 

 

わざと聞こえる声で陰口をたたく神機使い達。

 

 

しかしアリサにとってそれは真実、反論のしようがなかった。

 

 

――――――が、しかし

 

 

 

 

 

「―――――おい」

 

 

一階の方から一人の少年の声が聞こえた。

 

 

その声は実に低く恐ろしく、そして何より怒りに満ち溢れていた。

 

 

声の正体はいつの間にかアリサの前からいなくなっていたユウヤであった。

 

 

普段の彼からは想像もできないくらいおぞましい声だった。

 

 

はっきり言って今の彼はアラガミ以上に怖い存在だった。

 

 

「お前ら、二度とアリサを笑うな。」

 

 

そう言い放つと神機使い達はその場を去って行った。

 

 

「……なんで…」

 

 

「…あいつさ、ずっと前からああやって言ってる神機使い達に怒鳴って黙らせてるんだよ。」

 

 

「―――――え?」

 

 

「あいつ本当にお人好しだよな、でもそれがユウヤっていうのかなって、オレはそう思うけどな。」

 

 

(全部、真実なのに…)

 

 

アリサは内心申し訳なく思った。しかし同時にうれしくも思えた。

こんな自分を守ってくれて、かばってくれて、優しくしてくれる彼に。

 

 

「そんじゃ、そろそろ行こうぜ。」

 

 

「はい!」

 

 

その返事はアリサの覚悟そのものを表す一言だった。

 

 

「そうだ、何かあったらサクヤさんに行っといてくれ、俺たちが任務に行ってること。」

 

 

「おう、任せとけ。」

 

 

そして二人は任務のためヒバリのもとへ向かっていった。

 

 

そんな後姿を見ていたアスカは

 

 

(……また、この気持ち…)

 

 

自分の中に芽生えた気持ちの正体が何なのかを考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは平原エリア、ユウヤとアリサの二人はシユウと、シユウ堕天種の討伐任務に来ていた。

 

 

――――――のだが

 

 

(…だめ、やっぱり、震えが止まらない…)

 

 

一歩一歩進むにつれアリサの震えはますばかり。

 

 

「大丈夫だ、アリサ。」

 

 

「―――――あ」

 

 

優しく声をかけ自分の手にそっと手を置いて気遣ってくれるユウヤ、すると自然と震えが引いていく

 

 

「お前は一人じゃない、俺がついてる。」

 

 

「……はい。」

 

 

優しい言葉に緊張もほぐれていき、これならいけると思うアリサ。

 

 

「いたぞ。」

 

 

「え!?」

 

 

今の一言でまたも震えと緊張がアリサを襲う。

 

 

向こうは自分たちより一足早く向かってきていた。さらに震えがましついには座り込んでしまった。

 

 

「っ、アリサ、しっかりしろ!」

 

 

(っ、だめ、震えが…止まらない…)

 

 

そうこうしているうちに近くまで接近してきている二体のシユウ。

 

 

もうだめだ、その時死を覚悟したアリサ。

 

 

 

 

 

「アリサ!!」

 

 

「――――――え?」

 

 

ユウヤの声で我に返るといつの間にか自分はユウヤに抱きかかえられ宙に浮いていた。

 

 

「しっかりしろ、アリサ!ここは戦場なんだぞ!死にたいのか!」

 

 

「っ…!私は…」

 

 

「お前は一人じゃない!俺たちがいる!サクヤさんやコウタ、アスカにクロナ、ソーマだっている!

そう簡単にあきらめてんじゃねえ!」

 

 

そういってアリサを怒鳴るユウヤ、そこで初めて気づく。

 

 

自分はなんて幸せなんだろう、こんなにも自分のことを大切に思ってくれる仲間たちに囲まれて。

 

 

そう考えると自然と涙があふれ出てくる。

 

 

「…ありがとう…ございます。」

 

 

自然と感謝の言葉も出てくる。

 

 

「グアァァァァァァァァァァァ!」

 

 

シユウ堕天種が近づいてくる、今彼らは空中にいるため身動きが取れずにいた。

 

 

「うるせえんだよ!!」

 

 

そう叫びながら向かってくるシユウ堕天種にいつの間にかためていたチャージクラッシュを放ち

シユウ堕天種を真っ二つにした。

 

 

空中でチャージクラッシュをためるなどあり得ない。

 

 

しかしそれ以前にシユウ堕天種をたったの一撃で仕留めるなどといったソーマもやりそうにないことをするユウヤを見てこの人はやっぱりどうかしている、そう思えた。

 

 

「さあ、アリサ、あとはできるな?」

 

 

「はい!もちろんです!」

 

 

そういって神機を構えるアリサ。

 

 

今の返事にさっきまでの恐怖は感じられず、感じたのは彼女の覚悟そのものだった。

 

 

「行きます!」

 

 

アリサがシユウに向かって走り出す。

 

 

シユウがアリサを近づかせまいと、無数の火球を打ち出す。

 

 

しかし、アリサはそれを防ごうとはせずただひたすら回避を繰り返しながらシユウの目の前まで迫る

 

 

「はあっ!」

 

 

アリサの斬撃がシユウの翼に食い込む。

 

 

「ググ……グアァァァァァァァァ!」

 

 

「っ、きゃあ!」

 

 

流石に効いたのか、悲痛な叫びをあげ暴れだす。

 

 

アリサは急いで神機を抜き取り銃形態に変形、後退して無数の銃撃を放つ。

 

 

「くらいなさい!」

 

 

アリサの放った銃弾は見事全弾シユウに命中、そこに隙が生まれた。

 

 

アリサはその隙を見逃すことはなく、神機を剣形態に変形させ神機を振り上げ――――――

 

 

「――――――終わりです!」

 

 

神機を振り下ろしシユウというアラガミはそこで絶命した。

 

 

「はぁ…はぁ…やりました……私、勝てました!」

 

 

「ああ、お疲れさん。」

 

 

そういって座り込むアリサに労いの言葉をかけるユウヤ。

 

 

「あの…ありがとうございます、ここまで頑張れたのはあなたがいてくれたおかげです。

本当にありがとうございました。」

 

 

そういって深く頭を下げるアリサ。

 

 

「俺はなんにもしてないって、これはアリサ自身の力でやったことだ。」

 

 

「いえ、それでもいいんです。私はあなたに助けられましたしね。」

 

 

「そうか。」

 

 

「……あの、もう一つお願いしてもいいですか?」

 

 

「ああ、いいけど。」

 

 

「あの…えっと…その…」

 

 

「?」

 

 

徐々に顔を赤くしていくアリサ、ユウヤはじっと彼女の言葉を待つ。

……内心笑いながら。そしてアリサが口を開いた。

 

 

「あなたのことを下の名前で呼んでもいいですか?」

 

 

「……ぷっ、あははははははははははははははは!!」

 

 

「なっ、何がおかしいんですか!?」

 

 

「いやすまん、結構考え込んでたからどんな頼みかと思えばそんな事か。

ああ、いいよ。」

 

 

「本当ですか!?ありがとうございます!」

 

 

そういって座りながらも頭を深く下げるアリサ。

 

 

その時思った、今日はいったい何度彼に頭を下げ何度感謝の言葉を言ったのだろうと。

 

 

そんなことを考えているとだんだんおかしくなって笑ってしまった。

 

 

ユウヤもそれにつられて笑ってしまう。

 

 

「よし、そろそろ帰ろうぜ。アリサ。」

 

 

「はい!“ユウヤ“!」

 

 

ユウヤの後を追って帰っていくアリサ。

 

 

彼女の顔はまるで恋をした少女のような顔だった。

 

 

 

 

 

 

続く……

 



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トラウマとの戦い

「今日の討伐任務はヴァジュラだ。」

 

 

ツバキによって集められた第一部隊にツバキはそう告げた。

 

 

「ヴァジュラ……」

 

 

アリサにとってヴァジュラはトラウマの一つであった。

 

 

――――あの時、アリサは取り返しのつかないことをしてしまい

ヴァジュラというアラガミがトラウマとなってしまった。さらに――――――

 

 

アリサの両親を喰い殺したアラガミもまたヴァジュラによく似ている。

 

 

そのせいかアリサは今ヴァジュラという存在と戦えなくなっていた。

 

 

(………それでも、私は…)

 

 

しかし、今のアリサは昔とは違う。

 

 

原隊復帰から一か月が経過してその間特訓に特訓を重ねてきた。

 

 

今の自分ならいける、そんな気がしていた。

 

 

「それでは討伐メンバーはお前たちが話し合って決めてくれ。」

 

 

そういってその場を去るツバキ。

 

 

「さてと…サクヤさん、どうします?」

「…そうね、極力戦力を集中させた方がいいわね。」

「……あの…」

「?どうした、アリサ。」

「…私を、討伐メンバーに入れてください!」

「………」

「私もあれからいっぱい特訓しました、それに……」

「それに?」

「…今の実力を試してみたいというか、やりたいんです、やらせてください!お願いします!」

「今回のはこの前と同じ個体だそうよ。それでも行く?」

「はい!」

 

 

ユウヤは今の覚悟にあふれた返事を聞いたのは数知れない。だから彼はアリサを行かせてやりたくなった。

 

 

「…いいんじゃないですか、いかせてやっても。」

「……ユウヤ…」

「アリサの言うとおり、たしかにアリサはこの一か月猛特訓してきました。

それは近くで見てきた俺が一番よく知ってます。だから、いかせてやってください、お願いします!」

 

 

そういってサクヤに頭を下げるユウヤ、それを見たアリサも頭を下げる。

そしてサクヤは少し考えて決断した。

 

 

「――――わかったわ、そこまで言うならいいわ行きましょう。」

「っ、ありがとうございます!サクヤさん!」

 

 

そういってもう一度頭を下げるアリサ。

 

 

「ありがとうございます、サクヤさん。」

「ただしユウヤ、言い出したのはあなたよ、あなたも一緒に行ってあげなさい。

その方がアリサも安心でしょ?」

「わかりました。」

「じゃあメンバーは私とアスカ、ユウヤにアリサで行きましょうか。」

「はい!」

 

 

そういって四人はヒバリの元へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは旧市街地エリア。四人はヴァジュラの討伐に来ていた。が――――――

 

 

(……だめ…震えが…止まらない…)

 

 

今からトラウマでもあるヴァジュラの討伐に行くためか震えが止まらない。

 

 

このままではみんなの足を引っ張ってしまう、そんな不安が頭をよぎる。

 

 

「―――――大丈夫だ、アリサ。」

 

 

そんな彼女の手をやさしく握ってくれる少年がいた。

 

 

「…ユウヤ…」

「お前なら大丈夫だ、俺たちがついてる、お前今、自分が足引っ張って俺たちに迷惑をかけるとか

思ってるだろ?」

「!」

「大丈夫だ、お前がもしそんなへましても俺がフォローしてやる。だから安心して俺に背中を預けてくれ、な?」

 

 

そんな彼の言葉を聞いてアリサの震えは次第に治まってきた。

 

 

彼の、ユウヤの言葉を聞いた、ただそれだけなのに。

 

 

そんなやり取りを見ていたアスカは……やはりふてくされていた。

 

 

「…どうかした?アスカ、具合でも悪いの?」

「……そんなんじゃありません。」

「じゃあいったい……ああなるほどね。」

 

 

サクヤは後ろの二人を見てなぜアスカが不機嫌そうな顔をしているのかわかった。

 

 

(…あなたも年頃の女の子なのね)

 

 

そんな平和な時が訪れていたのだが―――――――

 

 

―――――突如それは崩れ去って行った。

 

 

「っ!ヴァジュラ!いつの間に!?」

 

 

突然のヴァジュラの出現、ユウヤはこれに対応できず不意打ちをくらって吹き飛ぶ。

 

 

「がっ!」

「っ!ユウヤ!」

 

 

吹き飛んだユウヤに駆け寄ろうとするアスカ、しかしその間にヴァジュラが立ちはだかる。

 

 

「―――――っ、邪魔、しないでよ!」

 

 

そういってヴァジュラに向かっていくアスカ。

 

 

高く飛んで上からの斬撃、しかしそんな単調な攻撃がヴァジュラに通用するはずもなくあっけなく

避けられてしまう。

 

 

そんな隙だらけなアスカに喰らいつこうとする。が失敗に終わる。

 

 

「アスカ!油断したら駄目よ!」

「っ、すいません、気を付けます!」

 

 

そうこうしているうちにヴァジュラが起き上る。

 

 

「ガアァァァァァァァァァァァァ!」

 

 

それと同時に活性化するヴァジュラ。

 

 

「アリサ!」

 

 

アリサの名前を呼ぶサクヤ、しかし答えがない。

 

 

ヴァジュラがそんなアリサに向かって喰らいつこうと走り出す。

 

 

 

 

 

「アリサ!!」

「!」

 

 

後ろの方から自分を呼ぶ怒号にもとれる声だった。

 

 

後ろを振り向くとそこには先ほど吹き飛ばされていたユウヤの姿があった。

 

 

「アリサ、今までの特訓を思い出せ!これまでの一か月はなんだったんだ!

そんなあっさり死んでいい命じゃねぇ!」

 

 

「……私は…」

 

 

そうだ、今までの特訓はなんだったんだ。それに一か月間付き合ってくれたユウヤのためにも。

 

 

「私は、逃げない!」

 

 

そう叫んで走り出すアリサ。

 

 

まず神機を剣形態に変形させ高く飛び上がる。その高さはヴァジュラの高さおも超える。

 

 

そして神機を振り下ろしヴァジュラの顔に縦に亀裂を与える。

 

 

「ガアァァァァァァァァ!」

 

 

「っ、きゃあ!」

 

 

すぐさま距離を取ろうとしたアリサだったがヴァジュラがすぐさま雷球を放ちアリサに命中、

アリサはスタン状態になってしまった。

 

 

(っ、お願い、動いて!)

 

 

しかし動かない、無防備なアリサにヴァジュラがゆっくり迫る。

 

 

その時ヴァジュラの身体が吹き飛んだ。

 

 

「アリサ、大丈夫!?」

「私たちだっているんだから!」

 

 

サクヤとアスカがフォローにまわってアリサを助けた。そしてスタン状態から回復、すぐさま

吹き飛んだヴァジュラに向かっていく。

 

 

そして、隙だらけのヴァジュラの身体に深い一撃を与える。

 

 

「ググゥ……」

 

 

ヴァジュラが苦しそうな声を上げる。

 

 

すぐさま追い打ちを仕掛けようとするが失敗に終わる。

 

 

突如、ヴァジュラが建物の上に飛び上がりその場から姿を消す。

 

 

「っ、まずい!逃げる!」

「あとを追いましょう!私とアスカは西側から行くわ!ユウヤとアリサは東からお願い!」

「わかりました!」

 

 

そういって言われた方に走っていく二人、それを確認したサクヤ達も急いでその場を後にする。

 

 

ゆっくりと歩きつつヴァジュラを探すユウヤとアリサ。ここでアリサが――――――

 

 

「二手に分かれましょう!」

「……いけるか?」

「はい!」

「…わかった、無茶だけはするな。」

「もちろんです!ユウヤも無理しないでください、怪我してるんですから。」

 

 

わかってるよ、そういって二人は別々に探し出す。

 

 

少ししてアリサは広いところに出る。そして先ほどまで消えていた恐怖がアリサに襲い掛かる。

 

 

(……だめ、足が、動かない…)

 

 

ついにはその場に座り込んでしまう。

 

 

 

 

 

 

その時後ろに何かがいる気がした。

 

 

振り向くとそこにはヴァジュラが腕を振り下ろし自分を吹き飛ばす。

 

 

「きゃあ!」

 

 

しかし、彼女に痛みは感じられず、誰かに抱きしめられている感触だった。

 

 

「大丈夫か!アリサ!」

「ユウヤ!」

 

 

吹き飛ぶぎりぎりに彼が現れて間一髪アリサを助けることができた。しかし、ユウヤは無傷ではなかった。

 

 

「っ、ユウヤ、あなた、今ので足をけがしてるじゃないですか!」

「大丈夫だ、戦えないわけじゃない、つっても神機放り投げたからな。」

 

 

そういってユウヤの視線の先に彼の二つの神機が落ちていた。そしてそれを見たアリサは決断した。

 

 

「なら私がヴァジュラの気を引きます、ユウヤはその間に神機を。」

「……大丈夫か?一人で。」

「はい!それに決めたんです。ユウヤは私が守るって!」

「……わかった、じゃあ頼む。」

 

 

それを聞いて頷きだけを返してアリサはヴァジュラに向かっていく。

 

 

その間にユウヤは自分の神機に向かう。

 

 

まずアリサはヴァジュラの懐に潜り込んで足に斬撃を与える。

 

 

見事狙い通り、ヴァジュラの体制を崩すことに成功する。

 

 

しかしそれはほんの一瞬の出来事でアリサに追撃の暇を与えなかった。

 

 

突然の行動に予想していなかったアリサはすぐさま後退しようとバックステップを取るがヴァジュラ

との距離が近かったためまだ射程内にいた。

 

 

そしてヴァジュラが腕を振り下ろそうとしてヴァジュラの身体が宙に浮く。

 

 

「させるかっ!」

 

 

ユウヤが神機を捕喰形態にして喰らいつきヴァジュラの身体を持ち上げ放り投げる。

 

 

「アリサ!今だ!」

「はい!」

 

 

かけ声と同時にアリサはヴァジュラの身体に神機を突き立てる。

 

 

今までのダメージと重なりかなりの致命傷を負ったヴァジュラはその場で絶命した。

 

 

アリサはそれを理解するまでその場で止まり少ししてからその場に座り込む。

 

 

「アリサ、大丈夫か?」

「……はい、何とか。」

 

 

しかしその声に元気はなく、しかし恐怖もなかった。

 

 

「ユウヤ、ありがとうございます。あなたがいてくれたから、私は。」

「俺は何もしてないって。それに頑張ったのはアリサ、間違いなくお前だ。」

 

 

そういってアリサの頭をなでるユウヤ。前のアリサなら顔を赤くして怒っていたが今は受け入れている。

 

 

「そうだ、ヴァジュラのコア、忘れてた。」

「ユウヤは休んでいてください、私がやっておきます。」

「…じゃ、お言葉に甘えて。」

 

 

そういって腰を下ろすユウヤ、それと同時にアリサは立ち上がりヴァジュラの方に向かっていった。

 

 

「ユウヤ、帰ったら私が手当します!」

「…わかった、頼むよ。」

 

 

しかし彼はまだ知らなかった。

 

 

アリサがとてつもなく不器用だということを……

 

 

 

 

 

 

続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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新第一部隊隊長 神狩ユウヤ

リンドウが死亡してかなりの日が経った



いったい誰が第一部隊を引っ張っていくのか



そんな時第一部隊がツバキによって集められた……


ここはユウヤの自室、彼は今ベッドに座って本を読んでいた。

 

 

そんな時ドアの方からノックする音が聞こえた。

 

 

「誰だ?」

 

 

「私だよ、アスカだよ。」

 

 

「ああ、アスカか、入っていいぞ。」

 

 

そういって本にしおりを挟んでアスカに入室の許可を出すユウヤ。

 

 

それを聞いたアスカは部屋に入って驚愕した。

 

 

「ええっ!ユウヤ、何でメガネかけてるの!?」

「ん?ああ、本を読んでたからな。」

「そっか。あ、そうだった、忘れるとこだったよ、ツバキ教官がみんなを集めてこいだって。」

「…お前それ忘れたら大目玉くらうぞ。」

 

 

そんなことを言って部屋を出てエントランスに向かう二人。

 

 

エントランスにつくともうすでに自分以外のメンバーは集まっていた。

 

 

「おっ、ユウヤ、遅かったな、もうみんなとっくに集まってるぞ。」

「見りゃわかるよ。ところで何の話なんだ?」

「さあ、みんな何も聞いてないんだと。」

「そうか。」

 

 

そうこうしている間にツバキが現れた。

 

 

「よく集まってもらった。今から大事な話をする。よく聞いておけ。」

 

 

そういってしばらく沈黙が続く。そしてツバキが口を開く。

 

 

 

 

 

 

「神狩ユウヤ、本日一二〇〇をもって、お前を第一部隊隊長に任命する。」

 

 

それを聞いたメンバーは一瞬理解できていなかった。

 

 

そしてそれはその近くにいたほかの部隊の人々もみな、同じであった。

 

 

「……え。」

「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」

 

 

理解した第一部隊は大きな声でそういった。

 

 

「上層部からの命令でな、お前の実力が認められ隊長昇格を許したそうだ。」

「隊長…ですか。」

「すげぇ……すげぇよ、大出世じゃん!

えっと、こういうのなんていうんだっけ……下剋上?」

「…それ裏切り行為ですよ。」

 

 

アリサの冷静な一言がコウタに向かって飛んでいき彼の、拍子抜けた声に苦笑するメンバー。

 

 

「今後からはお前にも隊長として相応の権限が与えられる、階級も少尉に昇格する。

報告は以上だ、だがしかし勘違いするな、次の任務が終わってからだぞ?」

 

 

そういってツバキは、その場を去って行った。

 

 

「…まだよく状況を理解できてないんだが。」

「すごいよユウヤ!隊長だよ、隊長!すごいよ、まだ神機使いになってまだ一年もたってないのに

隊長だよ!」

「まあ、次の任務が終わってからだがな。」

「……そういえばそうだったね…」

 

 

今の一言で一瞬にして熱が冷めたアスカ。それを見て苦笑するメンバー達。

 

 

「それじゃメンバーだが……よし、俺とソーマ、コウタとクロナで行くか。」

「………チッ」

「ソーマ、今もしかして舌打ちしました?」

「……てめぇには関係ねぇ。」

「なっ、関係あります!つまりあなたはユウヤの決定に文句があるということですか!?」

「まあまあ落ち着けよアリサ。とりあえず行くか。」

 

 

そういって歩いていくユウヤに続く二人、ソーマはとっとと行ってしまったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは鉄塔エリア。

 

 

今回、ユウヤ達はサリエルというアラガミの討伐に来た。

 

 

「なぁ、この任務が終わったらユウヤの隊長就任パーティーでもやらないか?」

 

 

サリエルを探しながらコウタがそう呟く。

 

 

「うーん、私は良いけど今は任務に集中しよっか。」

 

 

「そーだな、考えるのはそのあとでいいか。」

 

 

「……おい、いたぞ。」

 

 

ソーマがそう告げると三人に緊張が走る。

 

 

宙に浮く人型ながら人ではない、額には大きな第三の目が存在する。

 

 

あれがサリエル、ユウヤとクロナ、ソーマは警戒しコウタはというと……見とれていた。

 

 

「コウタ、あれアラガミだよ?」

 

 

「……そんなことわかってるけどさ、だってきれいじゃん。」

 

 

「お前ら静かにしろ、作戦を言う。ソーマは前衛、クロナとコウタは後衛、俺は遊撃で行く。」

 

 

全員が頷きを返す。ソーマは返さないけど。

 

 

「いくぞ!」

 

 

ユウヤのかけ声とともにいち早く動いたのはソーマ。

 

 

まずは飛び上がりサリエルの右腕めがけて神機を振り下ろす。

 

 

「――――――死ね」

 

 

ソーマの一撃は見事サリエルの右腕に命中、しかし切り裂くことはできず刃は途中で止まる。

 

 

「――――――くそっ!」

 

 

すぐさま神機を抜き取り後退、それと入れ替わるようにユウヤが先ほどソーマが与えた亀裂にさらに神機を食い込ませる。

 

 

「キュルルルルルルルルルルル!」

 

 

叫ぶと同時にユウヤも神機を抜き取り後退、そして、さらにソーマがサリエルの腕を完全に切り落とす。

 

 

バランスを崩したサリエルにクロナとコウタが銃弾を当てていく。

 

 

そしてソーマとユウヤがチャージクラッシュの体制に入る。そして――――――

 

 

「これで―――――」

「――――――終わりだ」

 

 

二人の一撃がサリエルの身体を切り裂き終わる。

 

 

「いやー、ずいぶんあっけなかったな。」

「そうだね、といってもほとんどユウヤとソーマがやってたようなものだけどね。」

 

 

そういってクロナはユウヤ達の方に視線を向ける。

 

 

ソーマは相変わらず違うところを見ている。

 

 

ユウヤはクロナの視線に気づき、自然と笑みを返す。

 

 

それを見たクロナは少しドキッとしてしまった。

 

 

(……やっぱり…)

 

 

それを実感したクロナは何かに確信を持つ。

 

 

「よし、コアも摘出したことだし、帰るか。」

「はーい。」

「おう!それじゃ帰ったらユウヤの隊長就任パーティーだな!」

 

 

そういって歩いていく三人の後ろからついていくソーマ。

 

 

そこには確かな平和のひと時が流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らが去ったあと――――――

 

 

「………」

 

 

一人そこにはだれか人が立っていた。

 

 

しかし、それの頭からは二本の角が生えており、手はボルグ・カムランほど長くはないものの

鋭い爪、背中にはヴァジュラを思わせるマントのような器官。

 

 

そう、こいつこそがユウヤの仇、妹、ティアを殺したアラガミであった。

 

 

「ギシャアァァァァァァァァァ!!」

 

 

そこには、アラガミの咆哮だけがなり響いていた。

 

 

 

 

 

 

続く……

 

 



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アスカの悩み

ここからはちょっとした話



今回はアスカの日常……


初めまして!私、神崎アスカ!

 

 

フェンリル極東支部の新型のゴッドイーターとして毎日アラガミと戦ってます!

 

 

とはいっても非番の日は戦いませんが……あっ、非番っていうのは…知ってますよね、すいません。

 

 

最近、私はちょっとした悩みがあります。

 

 

でも、その悩みが何なのかがよくわかっていません。

 

 

なんだかユウヤと一緒にいられるとうれしいし、ユウヤが誰か女の子といるのを見るとなんだか変な気持ちになります。

 

 

誰かに相談しようにも私自信、これが何なのか理解できていないので相談のしようがありません。

 

 

ここで私はふと思いつく。

 

 

ユウヤに会いに行こう、そうすればこの変な気持ちの正体がわかるに違いない。

 

 

さて、思いついたら早速実行に移そう、そう思い部屋を出てユウヤの部屋に向かう。

 

 

「ユウヤ―、いる―?」

「……」

 

 

いないのかな?そう思い部屋を後にするとアリサと出会う。

 

 

「あっ、おはようございます。」

「おはよう、アリサ。」

「あの…ユウヤ、見かけませんでした?」

「…ううん、私もちょうど探してたの、アリサはなんで?」

「えっと、よかったら朝食でもと思いまして…」

 

 

そういえば私はユウヤに会ったとして特に目的がなかった。

 

 

そう思い、いなくてよかったと思った。

 

 

「あれ?二人とも、おはよう。」

 

 

後ろから声が聞こえ振り向くとそこには私やアリサと同じ新型のクロナが立っていた。

 

 

「おはよう、クロナ。」

「おはようございます。クロナもユウヤに?」

「うん、まあね、朝ご飯でもどうかなーって思ってさ。でも二人が一緒にいるって珍しい組み合わせだね、何かあったの?」

「はい、私もユウヤを朝食に…」

「私は……なんでだろう?」

「なんでわからないの、で、その様子だとユウヤはいなかったの?」

「うん…」

「そっか、じゃあ三人でいこっか。」

「はい、そうですね。」

「うん、いいよ。」

 

 

しかしなんで私たち三人がばったり会って、しかもそれがユウヤの部屋の前だなんて。

 

 

「ところで二人は今日非番なの?」

「うん、私は非番だよ。」

「はい、私もちょうど非番です。」

 

 

そんな話をしているうちに食堂に到着する。

 

 

相変わらずの混雑具合、最初は大変だったけど今ではもう慣れちゃった。

 

 

……そして妙に男の人からの視線が多いのがいつも気になる。

 

 

ここで私は当初の目的を思い出す。今の私には悩みがある。

 

 

そうだ、この二人に相談してみよう、席について私は話を持ち出そうとして

 

 

「あら、珍しい組み合わせね。」

 

 

声の聞こえた方に振り向くとそこには私たちの先輩であるサクヤさんが立っていた。

 

 

さらにその後ろに防衛班であるカノンさんと…初めて会う人がいました。

 

 

「あの……後ろの人は?」

「ああ、そういえば自己紹介がまだだったわね、ジーナ・ディキンソンよ、よろしくね。」

「そうそう、ちょうどあなたたちを探してたのよ。」

「え?私たち…ですか?」

 

 

少し驚いたふうに答えるアリサ。私も少しビックリ。

 

 

「どうして私たちを探してたんですか?」

「ちょっと話がしたくて、午後、空いてるかしら?」

「はい、私はちょうど午後なら大丈夫です。」

「私も、午前は博士に呼ばれてまして。」

「私は……特にないかな。」

「それじゃあ午後にまたここに集合ね。」

 

 

そういって食堂から去って行ったサクヤさんたち。

 

 

二人もそのあと用事があって、私たちはわかれた。

 

 

さて、何もすることのないわたしはエントランスに行くことに。

 

 

そこでわたしはある人に出会えた。

 

 

「あっ、ユウヤ!」

「ん、あ、アスカ。」

 

 

エントランスでわたしはついにユウヤに会えた……会えたんだけど

 

 

「悪い、今から任務なんだ、そんじゃ行くか。」

「は、はい!今日はよろしくお願いします!」

「そんなに緊張しなくてもいいぞ。」

「は、はい!」

 

 

ユウヤは今から任務のようだ、どうやら隣にいる女の子と行くらしい。

 

 

また、この気持ち…いったいなんなの?ユウヤに会えてうれしい、うれしいけど変な気分。

 

 

「……どうしちゃったんだろ…わたし。」

 

 

そう呟きながらわたしは自分の部屋に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは食堂、私は午後になったのでサクヤさんたちと待ち合わせた時間に行った……いったんだけど

 

 

「あの~、サクヤさん?」

「何かしら?」

「この状況はいったい?」

 

 

今私たちはどういうわけか食堂にいたはずがみんなに引っ張られサクヤさんの部屋にいた。

 

 

そしてわたしたちは机を挟み反対にサクヤさん、カノンさん、ジーナさん、そしていつの間にか増えてるリッカさんとヨシノさんがいた。

 

 

「気にしないで、それより本題に入りましょう。」

 

 

楽しそうにそう話すサクヤさん。わたしたちは訳が分からずその場で顔を見合わせる、そしてサクヤさんが口を開く。

 

 

 

 

 

「あなたたち、ユウヤのことどう思ってるの?」

 

 

 

 

 

一瞬何を言っているのか理解できなかった。横を見ると顔を真っ赤にしていくアリサと特に変化のないクロナがいた。

 

 

「な、なななななななななななに言ってるんですか!?」

「その様子だとまだ思いは伝えてないのね…」

 

 

少し残念そうに答えるジーナさん、カノンさんは…なぜか顔を赤くしていた。

 

 

「クロナ、あなたは?」

「……ユウヤ、ですか?」

 

 

少しためらいながら聞き返すクロナ、ちょっと顔が赤くなっていた。

 

 

「……好きです……」

「?なんていったの?よくきこえなかったなぁ。」

 

 

からかいながら聞くリッカさん、クロナがいつになく顔が赤い。

 

 

「好きです、ユウヤのこと…」

 

 

引っ込みながらはっきりといったクロナ、正直言ってかわいい…

 

 

失礼しました、それを聞いたアリサは固まりヨシノさんは、なんだか黒いオーラを出していた。

 

 

「そっかそっか、やっぱりね。」

「あの、…私、そんなにわかりやすいですか?」

「うん、とってもわかったよ、男の人はそういうの疎いから、特にユウヤ君は。」

 

 

それを聞いたクロナはますます顔を赤くしていく。

 

 

「で、アリサとアスカはどうなの?」

「……私は…」

「……」

 

 

アリサは何か言いかけて私はそこで黙り込む。

 

 

(ユウヤの……こと?)

「…私は……よくわかりません。ユウヤといるとドキドキするしユウヤと一緒にいると楽しいし……

でもこれが、ユウヤを好きっていう気持ちなのかが……」

「あの…たぶんそうだと思いますよ。」

 

 

そういって口を開いたカノンさん。

 

 

「私、なんとなくわかるんです、アリサさん、ユウヤさんといるときいつもより楽しそうだし……」

「そう…ですか…」

 

 

少し俯いて何かを理解したのか少し顔を赤く染めながら顔をあげる。

 

 

「私……ユウヤが好き…好きです!」

 

 

廊下にまで響きそうな声でそうたしかに言ったアリサ。

 

 

自分の言動に気付いたのか顔を赤くしてまた下を向く。

 

 

「で、最後にアスカは?ユウヤ君のことどう思ってるの。」

「……わかりません…」

「…と、言うと?」

「…自分の気持ちがよくわからないんです。

ユウヤといると楽しいし、一緒にいたいし…でも、この気持ちがよくわからなくて。

…それにユウヤが誰か別の女の子といるのを見ると、さみしいというか、何というか…」

 

 

それを聞いて、その場にいる全員は納得したようにうなずく。

 

 

「…それきっと好きってことだよ。」

「え?」

 

 

クロナが口を開いた。先ほどまで赤かった顔はいつの間にか戻っていつものクロナだった。

 

 

「つまりアスカはそのことに焼きもち焼いてるんだよ、私だってそうだよ。

アリサやアスカ、リッカちゃんといるときだって焼きもちやいちゃうもん。」

「焼きもち……」

「…今アスカは自分の気持ちに嘘ついてるんだよ、ユウヤは仲間だし大切な存在、でもそれ以上でもそれ以下でもない、こんな感じ?」

 

 

そしてわたしは俯いて考える。

 

 

(…わたしはユウヤが……好き?)

 

 

そう考えると顔が赤く染まっていく、自分でもわかるくらいに。

 

 

「で、どうなの?」

「……好きです。ユウヤが…好きです!」

 

 

そう叫んで立ち上がるわたし。その時、恥ずかしいなんていう思いは微塵もなかった。

 

 

「まあ、大胆な子ね、そんなに大きな声で叫んだら聞こえるわよ。」

「はっ!そうでした!」

 

 

そういって座り込むわたし、ちょっと恥ずかしい…

 

 

「結果的に三人はユウヤ君が好きなんだね、

ユウヤ君、誰を選ぶのかな?それとも、誰も選ばないとか?」

「そんなこと言わないの、ところでリッカはユウヤのこと気になってないの?

前にそんなこと言ってなかったっけ?」

「ちょっとサクヤさん、そういうことは本人のいる前であまり言わないでください。

ちょっと恥ずかしいです。」

「ええっ!」

「リッカちゃんもユウヤのこと好きなの?」

「うん、まあね、でも彼のことを異性として見てるんじゃなくて、えっとなんて言ったらいいかな…

弟?」

 

 

『弟?』

 

 

「うん、だってユウヤ君、私より一つ年下だしね。」

「…そうだったんですか…」

 

 

安心したように反応するアリサ。しかし、この後衝撃の一言が

 

 

「でも急いだ方がいいよ、ユウヤ君、すごい人気だから早くしないと誰かに取られるよ。」

「えええっ!」

「……え。」

「大変です!」

 

 

そういって顔を見合わせるわたしたち。

 

 

「これはこれで面白そうね。」

「そうね、ユウヤがいつこの子たちの気持ちに気付くかしら。」

「ユウヤ君のことだから一生気づかないんじゃないかな。」

 

 

そういってユウヤのことを貶す三人。

 

 

いったい、ユウヤは誰を選ぶのか!?それとも――――――

 

 

 

 

 

 

続く……

 

 

 

 

 

 

 

 




次はこれをクロナ目線で行ってみようと思います。



ちょっとこういうのが続きます


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クロナの日常

これはちょっとした話



これはクロナの日常……


はじめまして、私は神闘クロナです。

 

 

私は極東支部の新型ゴッドイーターとして戦っています。

 

 

ちなみに私のお姉ちゃんも私と同じゴッドイーターです。

 

 

やっぱりゴッドイータになっちゃうといろいろできることが制限されてきます。

 

 

たとえばお買いものなんかは休暇とかが出ない限りアナグラを離れられません。

 

 

あとは……やっぱり女の子ですから…恋とかもしてみたいです。

 

 

実は私今、少し気になってる人がいるんです。

 

 

その人は、私と同じ新型でもあり同じ部隊でもある神狩ユウヤという人です。

 

 

でもこのことをお姉ちゃんに行ったら……

 

 

「…ほう……誰だそいつは、今すぐここに連れてこいや。」

 

 

なんて言われてもう当てにできません。

 

 

なので私はとりあえず自分の力でできることをしてみようと思います。

 

 

では早速ユウヤを朝ご飯にでも誘ってみようと思います。

 

 

ユウヤの部屋に向かうとそこには二人の女の子が立っていました。

 

 

「あれ?二人とも、おはよう。」

 

 

そこにいたのは私と同じ第一部隊の新型神機使いでもあるアスカとアリサでした。

 

 

「おはよう、クロナ。」

「おはようございます。クロナもユウヤに?」

「うん、まあね、朝ご飯でもどうかなーって思ってさ。でも二人が一緒にいるって珍しい組み合わせだね、何かあったの?」

「はい、私もユウヤを朝食に…」

「わたしは……なんでだっけ?」

「なんで忘れちゃってるの、で、その様子だとユウヤはいなかったの?」

「うん……」

「そっか、じゃあ三人でいこっか。」

「はい、そうですね。」

「うん、いいよ。」

 

 

二人もユウヤに用があったのかな。もしかして二人も……ふふっ、すごいねユウヤは。

 

 

「ところで二人は今日非番なの?」

「うん、私は非番だよ。」

「はい、私もちょうど非番です。」

 

 

そうこうしているうちに食堂につく。

 

 

相変わらず食堂は人でいっぱい、もっと早くに来たら人が少ないらしいけどそんなに早く起きれません。

 

 

そしてなぜか男の人からの視線が多い気がする。まあいつものことなんだけど。

 

 

そして席に着いた私はふと思いつく、この二人に相談してみよう、もうお姉ちゃんは当てにできないし。すると後ろの方から女性の声が聞こえた。

 

 

「あら、珍しい組み合わせね。」

 

 

後ろを振り向くとそこには第一部隊の先輩でもあるサクヤさん、それに防衛班のカノンさんと……

あっ、たしか…ジーナさん?がいました。

 

 

「あの…後ろの人は?」

 

 

アスカがジーナさんについて聞く。

 

 

「ああ、そういえば自己紹介がまだだったわね、ジーナ・ディキンソンよ、よろしくね。」

 

 

よかった、間違えてませんでしたよ。

 

 

「そうそう、ちょうどあなたたちを探してたのよ。」

「え?私たち…ですか?」

 

 

少しビックリしました。アリサもビックリしている様子。

 

 

「どうして私たちを探してたんですか?」

「ちょっと話がしたくて、午後空いてるかしら?」

「はい、私はちょうど午後なら大丈夫です。」

「私も博士に呼ばれてまして。」

「わたしは……特にないかな。」

「それじゃあ午後にまたここに集合ね。」

 

 

そういってサクヤさんたちは食堂を後にしました。

 

 

そのあと私は博士のところに向かうために二人とはここで別れました。

 

 

(…そういえば、相談するの忘れてたなぁ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは失礼します。」

「うん、ありがとう。また遊びに来てよ。」

 

 

そういって私は博士の部屋を後にしました。

 

 

さて、まだ午後まで時間があります、何をしようか考えていると前の方から一人の少年ともう一人、

見知らぬ少女が歩いてきた。何やら重そうな荷物を持って博士の部屋に向かっていました。

 

 

「あっ、ユウヤ!」

「ん?おっ、クロナか、お前も博士に用か?」

「うん、にしても大変そうだね、それ、博士に頼まれたの?」

「ああ、まったく、博士も人使いが荒いもんだよな、こんな量を俺一人に持ってこさせようとするんだしさ。」

「それだけ信頼されてるんだよ。……ところでこの子は?」

「ああ、この荷物を運ぶのを手伝ってくれたんだよ。それじゃそろそろ行くな、早く持ってきてくれって、博士うるさくてな、それじゃ行くか。」

「は、はい!」

「そんなに緊張しなくてもこれ持っていくだけだぞ?」

「は、はい!」

 

 

そんな会話をしながら博士の部屋の方に向かっていったユウヤ。それを見た私は

 

 

(ちょっと焼いちゃうな、あんなの見せられたら)

 

 

そう思いながら私は自分の部屋に戻りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後になったので私たち三人は約束通りに食堂に向かいました。でも……

 

 

「あの~、サクヤさん?」

「何かしら?」

「この状況はいったい?」

 

 

わたしたちは確かに食堂に向かった、向かったはずが、そのまま連行されるかのように引っ張られていき、気が付くと私たちはサクヤさんの部屋にいました。

 

 

机を挟んで私たち三人の反対にサクヤさん、カノンさん、ジーナさん。

そしてなぜかいつの間にかいたリッカさんと……恐いオーラを出しているお姉ちゃんがいました。

 

 

「気にしないで、それより、本題に入りましょう。」

 

 

突然声のトーンが下がり場に緊張が走る。緊張した面持ちで次の言葉を待っていると――――――

 

 

 

 

 

 

「あなたたち、ユウヤのことどう思ってるの?」

 

 

 

 

 

 

さっきの声のトーンがまるで嘘のように楽しそうにさっきの言葉を私たち三人にかけてきました。

横を見ると顔を真っ赤にしていくアリサとポカンとしているアスカになっていた。

 

 

 

「な、なななななななななななに言ってるんですか!?」

「その様子だとまだ思いは伝えてないのね…」

 

 

少し残念そうにそう呟くジーナさん、カノンさんは……どうしてか顔を赤く染めていました。

 

 

「クロナ、あなたは?」

「……ユウヤ、ですか?」

 

 

少しためらいながら聞き返す私。顔が赤くなっているのが自分でもわかった。

 

 

そして私は決心する

 

 

「……好きです……」

「?なんていったの?よく聞こえなかったなぁ。」

 

 

からかいながら聞き直してくるリッカさん、お姉ちゃんには聞こえたのかドス黒いオーラがにじみ出ていた。

 

 

正直恥ずかしい、でも私の思いに嘘偽りはない!私はさっきより大きな声ではっきりと言う。

 

 

「好きです、ユウヤのこと…」

 

 

言えた、そのあと私は頭の中が真っ白になった。ユウヤに直接言ったわけでもないのに。

 

 

「そっかそっか、やっぱりね。」

「あの、…私、そんなにわかりやすいですか?」

「うん、とってもわかったよ、男の人はそういうの疎いから、特にユウヤ君は。」

 

 

そんなにわかりやすかったのかな?そう考えるとますます顔が赤くなっていく。

 

 

「で、アリサとアスカはどうなの?」

「……私は…」

「……」

 

 

アリサは何かを言いかけてアスカは何も言わない。

 

 

「…私は……よくわかりません。ユウヤといるとドキドキするしユウヤと一緒にいると楽しいし……

でもこれが、ユウヤを好きっていう気持ちなのかが……」

「…あの…たぶんそうだと思いますよ。」

 

 

カノンさんが口を開いた。はっきり言ってしゃべるまでいるのを忘れてました。

 

 

 

「私、なんとなくわかるんです、アリサさん、ユウヤさんといるときいつもより楽しそうだし……」

「そう…ですか…」

 

 

そのあと俯いて理解したのか顔を赤くしながら顔をあげ思いを口にした。

 

 

「私……ユウヤが好き…好きです!」

 

 

廊下にまで響きそうなほど大きな声でそういったアリサ。

 

 

そのあとまた顔を赤くして俯いた、そんなに恥ずかしかったのかな。

 

 

 

「で、最後にアスカは?ユウヤ君のことどう思ってるの。」

「……わかりません…」

「…と、言うと?」

「…自分の気持ちがよくわからないんです。

ユウヤといると楽しいし、一緒にいたいし…でも、この気持ちがよくわからなくて。

…それにユウヤが誰か別の女の子といるのを見ると、さみしいというか、何というか…」

 

 

それを聞いた私やほかのみんなは納得したように頷いた。

 

 

 

 

「…それきっと好きってことだよ。」

「え?」

 

 

いつの間にか自然と口を開いていた私。アスカに助言を出してるみたい。

 

 

 

 

「つまりアスカはそのことに焼きもち焼いてるんだよ、私だってそうだよ。

アリサやアスカ、リッカちゃんといるときだって焼きもちやいちゃうもん。」

「焼きもち……」

「…今アスカは自分の気持ちに嘘ついてるんだよ、ユウヤは仲間だし大切な存在、でもそれ以上でもそれ以下でもない、こんな感じ?」

 

 

 

そのあと下を向いて考え込むアスカ。

 

 

それから徐々に顔を赤くしていった。そして口を開く。

 

 

 

「で、どうなの?」

「……好きです。ユウヤが…好きです!」

 

 

そう叫び立ち上がるアスカ、たぶん廊下まで響いてるんだろうなぁ。

 

 

 

 

「まあ、大胆な子ね、そんなに大きな声で叫んだら聞こえるわよ。」

「はっ!そうでした!」

 

 

少し恥ずかしそうに言って座るアスカ。まあ、あんなに大きな声で言ったら恥ずかしいよね。

 

 

 

 

「結果的に三人はユウヤ君が好きなんだね、

ユウヤ君、誰を選ぶのかな?それとも、誰も選ばないとか?」

「そんなこと言わないの、ところでリッカはユウヤのこと気になってないの?

前にそんなこと言ってなかったっけ?」

「ちょっとサクヤさん、そういうことは本人のいる前であまり言わないでください。

ちょっと恥ずかしいです。」

「ええっ!」

「リッカちゃんもユウヤのこと好きなの?」

「うん、まあね、でも彼のことを異性として見てるんじゃなくて、えっとなんて言ったらいいかな…

弟?」

 

 

『弟?』

 

 

「うん、だってユウヤ君、私より一つ年下だしね。」

「…そうだったんですか…」

 

 

ちょっとよかったかなと思い安心しました。けどこの後以外な一言が

 

 

 

「でも急いだ方がいいよ、ユウヤ君、すごい人気だから早くしないと誰かに取られるよ。」

「えええっ!」

「……え。」

「大変です!」

 

 

 

一瞬思考が回らなかったけど理解して少し驚く私。

 

 

二人はいつも通りの反応を見せ私たちは顔を見合わせた。

 

 

「これはこれで面白そうね。」

「そうね、ユウヤがいつこの子たちの気持ちに気付くかしら。」

「ユウヤ君のことだから一生気づかないんじゃないかな。」

 

 

ユウヤが言いたい放題言われてる、でもそんなこと気にしてる場合ではなかった。

 

 

 

はたして三人の恋の結末は?いったいどうなる!?

 

 

 

 

 

 

続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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アリサの一日

これはちょっとした話



今回はアリサの日常……


初めまして、アリサ・イリーニチナ・アミエーラと言います。本日はよろしくお願いします。

 

 

私はもともとロシア支部にいて、ある情報をもとにこの極東支部に配属されました。

 

 

極東には私を含めて四人の新型神機使いがいました。私は数少ない新型神機使いだったため

まわりに高圧的な態度をとっていて……とんでもないことをやってしまい精神が不安定な状況に陥ってしまいました。

 

 

でも、そんな私を暗闇の中から救い出してくれたおかげで、周りとの距離も縮まった気がします。

 

 

最近の私はアラガミと戦うことだけを考えていたから、その…私も…年頃の女の子ですし…えっと…

恋愛とかしてみたいと思います。

 

 

これでも少し気になっている人がいるんです。

 

 

その人は同じ第一部隊でもあり同じ新型でもある神狩ユウヤという人です。

 

 

ただこの気持ちが恋というものなのかどうかわかりません。

 

 

なのでその確認を込めてユウヤと朝食に行きましょう!

 

 

早速ユウヤの部屋に向かうと……誰かいました。

 

 

 

「あっ、おはようございます。」

「おはよう、アリサ。」

「あの…ユウヤ、見かけませんでした?」

「…ううん、私もちょうど探してたの、アリサはなんで?」

「えっと、よかったら朝食でもと思いまして…」

 

 

彼女はアスカ、私やユウヤと同じ第一部隊の新型神機使いです。

 

 

なんで彼女もユウヤに用があったんでしょうか……もしかして…いやまさか…でもユウヤなら……

あり得る!

 

 

そんなことを考えているとアスカの後ろから人の声がする。

 

 

「あれ?二人とも、おはよう。」

 

 

そこには彼女も同じ第一部隊の新型、クロナが立っていました。

 

 

 

「おはよう、クロナ。」

「おはようございます。クロナもユウヤに?」

「うん、まあね、朝ご飯でもどうかなーって思ってさ。でも二人が一緒にいるって珍しい組み合わせだね、何かあったの?」

「はい、私もユウヤを朝食に…」

「私は……なんでだろう?」

「なんでわからないの、で、その様子だとユウヤはいなかったの?」

「うん…」

「そっか、じゃあ三人でいこっか。」

「はい、そうですね。」

「うん、いいよ。」

 

 

そういってユウヤの部屋を後にして食堂に向かう私たち。

 

 

しかしここにクロナまでいるとは…偶然?それとも計算?

 

 

 

「ところで二人は今日非番なの?」

「うん、私は非番だよ。」

「はい、私もちょうど非番です。」

 

 

 

そんなことを考えているうちに食堂に到着。

 

 

相変わらずの混雑気味です。

 

 

……そして相変わらず男性からの視線が多いです。特に今日は

 

 

そして席に着き心の中でため息をつく。

 

 

(…はぁ…ユウヤに会えなかった……)

 

 

どうやら私は相当落ち込んでいるようです。

 

 

すると後ろの方から声が聞こえたので振り向いた。

 

 

「あら、珍しい組み合わせね。」

 

 

そこにはサクヤさん、カノンさん、それにジーナさん?でしたっけ、その三人がいました。

 

 

「あの……後ろの人は?」

「ああ、そういえば自己紹介がまだだったわね、ジーナ・ディキンソンよ、よろしくね。」

「そうそう、ちょうどあなたたちを探してたのよ。」

「え?私たち…ですか?」

 

 

私たち三人を探していると聞いて少しビックリしました。

 

 

 

「どうして私たちを探してたんですか?」

「ちょっと話がしたくて、午後、空いてるかしら?」

「はい、私はちょうど午後なら大丈夫です。」

「私も、午前は博士に呼ばれてまして。」

「私は……特にないかな。」

「それじゃあ午後にまたここに集合ね。」

 

 

そういってサクヤさんたち三人はどこかへ行きました。

 

 

そのあと私たちも用事のため別れました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……やっと終わりました。」

 

 

何とか用事が終わり一息つく私。と言っても、自分の部屋の整理をしていました。

 

 

理由は……言わせないでください、恥ずかしいです。

 

 

さて、用事が思ったよりも早く終わってしまったため、午後まで結構時間が余ってしまいました。

 

 

そうだ、まだ極東を見て回っていないことを思い出しました。なので今から見て回ろうと思います。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「結構広いんですね…」

 

 

今私は極東を見て回ってます、にしても広いです、迷いました…

 

 

「あれ?アリサ、どうした。」

 

 

声が聞こえ振り向くとそこには当初の私の目的でもある人がいました。

 

 

「あっ、ユウヤ!」

「どうしたんだよアリサ、こんなとこにいて。」

「いえ…ちょっと、道に迷いまして…」

「なんだそんなことか、なんなら案内してやろうか?」

「えっ!いいんですか?」

「ああ、ちょっと時間あるし、俺でよければ。」

「はい!お願いします!」

 

 

今日の私はついてます!ユウヤと二人っきりで極東の中を見て回れるなんて!

 

 

何というか……デート…みたいですね。

 

 

きゃっ、私ったら何考えてるんですか。

 

 

「……おーい、アリサ―行くぞー。」

「………はっ、すいませんでした、いきましょうか。」

 

 

こうして私とユウヤの……デートが始まりました。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「今日はありがとうございました。」

「いいって、じゃ、俺は支部長に呼ばれてるからそろそろ行くな?」

「はい、今日は本当にありがとうございました。」

 

 

そういってユウヤは行っちゃいました。あーあ、もう少し一緒にいたかったと思いますがそろそろ

サクヤさんたちと約束した午後になりそうなので食堂に向かいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は約束通り食堂に向かいサクヤさんたちと会いました。……けど

 

 

「あの~、サクヤさん?」

「何かしら?」

「この状況はいったい?」

 

 

どういうわけかそのまま食堂での会話ではなくサクヤさんの部屋に連れてこられました。

 

 

そしてなぜか私たち三人の反対にサクヤさん、カノンさん、ジーナさん、……だけだったはずが、

リッカさん、そしてクロナのお姉さんでもあるヨシノさんがいつの間にか増えていました。

 

 

「気にしないで、それより、本題に入りましょう。」

 

 

いきなりサクヤさんの雰囲気が変わる。緊張した感じで次の言葉を待つ私たち。

 

 

そしてわけのわからない言葉が飛んできた――――――

 

 

 

 

 

「あなたたち、ユウヤのことどう思ってるの?」

 

 

 

 

 

何のためらいもなくサクヤさんがそう告げました。

 

 

横を振り向くとポカンとしたアスカとあまり変わらない様子のクロナ、そして……

 

 

 

 

「な、なななななななななななに言ってるんですか!?」

「その様子だとまだ思いは伝えてないのね…」

 

 

ものすごく動揺している私がいました…

 

 

ああもう、顔がものすごく熱い、心の整理がつかない、今、ものすごくパニックになっています。

 

 

 

「クロナ、あなたは?」

「……ユウヤ、ですか?」

 

 

そこでやっと落ち着きを取り戻せた私、クロナが少しためらいながら聞き返していました。

 

 

そして少し小さな声で返した。

 

 

 

「……好きです……」

「?なんていったの?よく聞こえなかったなぁ。」

 

 

 

からかい気味に聞き直すリッカさん、てゆうかクロナ、今、なんて言いました?

 

 

 

「好きです、ユウヤのこと…」

 

 

 

その言葉を聞いて私は固まってしまいました。

 

 

 

「そっかそっか、やっぱりね。」

「あの、…私、そんなにわかりやすいですか?」

「うん、とってもわかったよ、男の人はそういうの疎いから、特にユウヤ君は。」

 

 

その言葉を聞いてますます顔を赤くしていくクロナ。……かわいいです。

 

 

すいません、話がそれました。そして矛先がこちらに向きました。

 

 

 

 

「で、アリサとアスカはどうなの?」

「……私は…」

「……」

 

 

私は何かを言うところで言葉を止める。

 

 

まだ、自分の気持ちがなんなのかがはっきりしていないため言えませんでした。

 

 

 

 

「…私は……よくわかりません。ユウヤといるとドキドキするしユウヤと一緒にいると楽しいし……

でもこれが、ユウヤを好きっていう気持ちなのかが……」

「…あの…たぶんそうだと思いますよ。」

 

 

 

そんな時カノンさんが口を開く、…いるの忘れてました。

 

 

 

 

「私、なんとなくわかるんです、アリサさん、ユウヤさんといるときいつもより楽しそうだし……」

「そう…ですか…」

 

 

(……ユウヤ……)

 

 

ユウヤのことを考えてしまうとなんだかドキドキしてしまいます。

 

 

これが……恋というやつなんですね。

 

 

そのあと私はこの思いを出さずにはいられませんでした。

 

 

 

「私……ユウヤが好き…好きです!」

 

 

 

感情が爆発してつい大きな声で言ってしまいました…恥ずかしいです。

 

 

 

 

「で、最後にアスカは?ユウヤ君のことどう思ってるの。」

「……わかりません…」

「…と、言うと?」

「…自分の気持ちがよくわからないんです。

ユウヤといると楽しいし、一緒にいたいし…でも、この気持ちがよくわからなくて。

…それにユウヤが誰か別の女の子といるのを見ると、さみしいというか、何というか…」

 

 

 

ああ、そういうことですか。周りのみなさんも理解していました。

 

 

 

 

「…それきっと好きってことだよ。」

「え?」

 

 

 

するとクロナが口を開いて、アスカに助言をしてました。

 

 

 

 

 

「つまりアスカはそのことに焼きもち焼いてるんだよ、私だってそうだよ。

アリサやアスカ、リッカちゃんといるときだって焼きもちやいちゃうもん。」

「焼きもち……」

「…今アスカは自分の気持ちに嘘ついてるんだよ、ユウヤは仲間だし大切な存在、でもそれ以上でもそれ以下でもない、こんな感じ?」

 

 

 

まるで答え合わせをするかのような言葉でした。

 

 

そのあと考えこんで少しして顔を赤くしながら口を開いた。

 

 

 

 

「で、どうなの?」

「……好きです。ユウヤが…好きです!」

 

 

 

私よりも大きな声で立ち上がりながら叫びました。

 

 

 

「まあ、大胆な子ね、そんなに大きな声で叫んだら聞こえるわよ。」

「はっ!そうでした!」

 

 

 

恥ずかしいのか顔をさらに赤くして座り込むアスカ…かわいいです。

 

 

またも失礼しました。

 

 

 

 

「結果的に三人はユウヤ君が好きなんだね、

ユウヤ君、誰を選ぶのかな?それとも、誰も選ばないとか?」

「そんなこと言わないの、ところでリッカはユウヤのこと気になってないの?

前にそんなこと言ってなかったっけ?」

「ちょっとサクヤさん、そういうことは本人のいる前であまり言わないでください。

ちょっと恥ずかしいです。」

「ええっ!」

「リッカちゃんもユウヤのこと好きなの?」

「うん、まあね、でも彼のことを異性として見てるんじゃなくて、えっとなんて言ったらいいかな…

弟?」

 

 

『弟?』

 

 

「うん、だってユウヤ君、私より一つ年下だしね。」

「…そうだったんですか…」

 

 

 

少しほっとしました。アスカとクロナという強敵がいるのにリッカさんまで入ったら勝ち目なんて

ありませんから。

 

 

でもこの後、さらなる衝撃が

 

 

 

 

「でも急いだ方がいいよ、ユウヤ君、すごい人気だから早くしないと誰かに取られるよ。」

「えええっ!」

「……え。」

「大変です!」

 

 

ユウヤが人気なのは知ってましたがまさかそこまでとは、恐るべし、ユウヤです!

 

 

 

とはいえライバルがいることに変わりはありません。まあちょっと多い気もしますけど

 

 

 

 

「これはこれで面白そうね。」

「そうね、ユウヤがいつこの子たちの気持ちに気付くかしら。」

「ユウヤ君のことだから一生気づかないんじゃないかな。」

 

 

 

ユウヤってそこまで疎いんでしょうか。それはそれでまずいです。

 

 

 

はたしてユウヤは三人の恋に気付くのか!?――――――

 

 

 

 

 

 

続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 




同じ話三回もやったのは良いけど疲れました



ちなみにあと一話!内容は勿論!


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隊長の仕事

これはちょっとした話



今回は隊長の一日……


初めまして、俺は神狩(かがり)ユウヤだ、今日はよろしくな。

 

 

俺はフェンリル極東支部に配属された世界でも珍しい新型ゴッドイーターらしい。

 

 

まぁ、何が珍しいのかが全然わからないんだが。

 

 

オレの一日は毎朝がとにかく早い、五時には起きて朝飯を食いに行く。

 

 

そして今、その朝飯を食いに行くところだ。

 

 

食堂に着くといつもこの時間は女性神機使いの姿しか見えない、そしてその人たちからの視線が妙に多い気がする。つっても、いつものことなんだが。

 

 

とっとと食って次の仕事にかかろうと思う、とはいえ早朝の任務にはまだ時間があるしな。

 

 

そしたら前から誰かが歩いてきたから俺は声をかけた。

 

 

「ソーマ、おはよう。お前もずいぶん早いんだな。」

「………」

 

 

相変わらずの反応、まあ慣れてるけど。

 

 

ソーマとすれ違った後は部屋に戻って読書をすることにした。

 

 

「………」

 

 

そうこうしてるうちに任務の時間が来た。本を読むと時間を忘れられる。

エントランスに行くと今回任務に同行する子がいた。

 

 

「君が今日の任務に同行する子か?」

「は、はい!今日はよろしくお願いします!」

「ああ、よろしくな。」

 

 

返事を返すとどういうわけかうれしそうな顔をした、いや、俺、返事しただけだぞ。

すると後ろから俺の名前を呼ばれ振り向くとそこには見慣れたやつがいた。

 

 

 

「あっ、ユウヤ!」

「ん、あ、アスカ。」

 

 

アスカがこちらにやってくる、けど今から任務だし急がないと次の用事に後れを出す、だから

 

 

「悪い、今から任務なんだ、そんじゃ行くか。」

「は、はい!今日はよろしくお願いします!」

「そんなに緊張しなくてもいいぞ。」

「は、はい!」

 

 

結構緊張してる様子だ、まぁ、俺がフォローしてやれば大丈夫だろ。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「今日はお疲れ様。」

「はい!お疲れ様でした!」

 

 

そういって、さっきの子と別れる、そのあと耳がいいのかその子とそこにいた数人の女の子の

話声が聞こえた。

 

 

「ねえ、ユウヤさんどうだった?やっぱり強かった?」

「当然よ!第一部隊の隊長なんだし、でもユウヤさんと二人っきり、はぁ~もう最高!」

「いいな~、私も任務に行きたかったな~」

 

 

そんな会話を聞いてしまった、つーか俺と任務に行ってもいいことなんてないと思うんだが。

 

 

「ったく、相変わらずユウヤは何もわかってないんだな。」

「うらやましいぜチクショー!」

「……お前ら何が言いたい。」

 

 

その時前の方からコウタとタツミがそんナことを言いながら歩いてきた。

 

 

「つまりお前はモテモテだなって言いたいんだよ!」

「……だからどういう意味だ?」

「…お前それ本気で言ってるのか?」

「その性格がうらやましいぜチクショー!」

「お前はヒバリさん一筋じゃないのか?」

「当たり前だ、チクショー!」

 

 

そういってどっかに走っていくタツミ、つーかチクショーってうるさい。

そのあとコウタとも別れてまたもや暇になる。

 

 

「喉…乾いたな。」

 

 

自販機に向かう時に、俺は博士に頼まれていたことを思い出した。

 

 

「そうだ、書類…持っていくんだったな。」

 

 

自販機にはいかず自分の部屋に行き書類を持っていく、…にしてもすごい量だ、何でおれ一人なんだ

するとある一人の少女が俺を見つけ驚いたように名前を呼んだ。

 

 

「…ユウヤさん!?これ、ユウヤさんが運んでたんですか、大変そうですね……あの、よかったら

お手伝いしましょうか?」

「いいのか?君も何か用事とかはないのか?」

「はい、今日は私非番なので。」

「そうか、じゃあ頼むよ。」

 

 

そういって俺の歩く速度に合わせてくれ長歩く、この光景周りからは社長と秘書みたいな感じかな

ちらっと隣の子を見ると何か考えていたように見える、俺と同じこと考えてんのか?

 

 

(いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!ユウヤさんと二人っきりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

どうしようどうしようどうしようどうしよう、はっ、落ち着け私、平常心平常心!

でもユウヤさんと二人…いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!考えるな!私!)

 

 

どんなこと考えてるんだ?そんなこと思ってたら前の方からまた名前を呼ばれた。そこにいたのは

 

 

 

「あっ、ユウヤ!」

「ん?おっ、クロナか、お前も博士に用か?」

「うん、にしても大変そうだね、それ、博士に頼まれたの?」

「ああ、まったく、博士も人使いが荒いもんだよな、こんな量を俺一人に持ってこさせようとするんだしさ。」

「それだけ信頼されてるんだよ。……ところでこの子は?」

「ああ、この荷物を運ぶのを手伝ってくれたんだよ。それじゃそろそろ行くな、早く持ってきてくれって、博士うるさくてな、それじゃ行くか。」

「は、はい!」

「そんなに緊張しなくてもこれ持っていくだけだぞ?」

「は、はい!」

 

 

やっぱ俺、そんなに怖い顔してるのか……少しへこむな。

 

 

「博士、言われてた例の書類、持ってきましたよ。」

「いやご苦労様、君も大変だね。」

「…誰のせいだと思ってるんですか…」

「うーん、そういう意味で言ったわけじゃないんだけど…まあいいか、また何かあったら頼むよ。」

 

 

またあの量を運ぶのか、さすがにもういいって。

 

 

「今日はありがとな。」

「い、いえ!私も、その…ユウヤさんの役に立ててうれしいです!」

 

そういって、去っていく。…俺ってやっぱ顔恐いのか…

そうだ、そんなことより喉かわいてることに思い出したから自販機に向かう、が、途中でまた誰かに会った。

 

 

 

「あれ?アリサ、どうした。」

 

 

結構ぐったりしてるな、たぶん極東を見て回ってるんだろうな。

 

 

「あっ、ユウヤ!」

「どうしたんだよアリサ、こんなとこにいて。」

「いえ…ちょっと、道に迷いまして…」

「なんだそんなことか、なんなら案内してやろうか?」

「えっ!いいんですか?」

「ああ、ちょっと時間あるし、俺でよければ。」

「はい!お願いします!」

 

 

俺は歩き出すがアリサが動かない、何か考えてるみたいだな。

…はっ、もしかして俺の顔が恐いから…いや、考えないようにしよう、心が折れる。

 

 

 

 

「……おーい、アリサ―行くぞー。」

「………はっ、すいませんでした、いきましょうか。」

 

 

とりあえず、今考えていたことは忘れて今やるべきことをやろう。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「今日はありがとうございました。」

「いいって、じゃ、俺は支部長に呼ばれてるからそろそろ行くな?」

「はい、今日は本当にありがとうございました。」

 

 

何とか案内が終わり俺は次の用事に向かう。

次ぐは支部長に呼ばれて支部長室に行く、そういえば支部長にはあまりあったことがないな。

そうこうしているうちに部屋の前に着く。アラガミと戦う時とは違う緊張感があるな、さすがに。

 

 

「失礼します。」

 

 

扉を開けるとそこには椅子に座った一人の男性がいた。

 

 

「やぁ、よく来たね、待っていたよ。」

 

 

この人こそが、この極東支部の支部長ヨハネス・フォン・シックザールだ。

 

 

「まずは祝おう、隊長就任、おめでとう。」

「ありがとうございます。」

「既に知ってはいると思うが、隊長には相応しい権限が与えられる。

つまり、我々フェンリルに信用されているということだ、特に君は入隊当初から目を見張るものがあった。

願わくば、その期待には応えてほしいものだ。」

「はい、がんばります。」

「そして、隊長には専用の部屋が与えられる。まずは、そこのターミナルで情報を更新したまえ。

そうすれば、今まで見れなかった情報が見られるようになるだろう。」

「はい。」

「それから、君には今後特務というものを受けてもらう。」

「特務…ですか?」

「そうだ、まぁ、とはいえ君はまだ隊長になりたての身だ、すべてを教えるのはまた今度だ。

うむ、話は以上だ、下がりたまえ。」

「はい、それでは失礼しま…いっ!?」

「?どうかしたのかね。」

「い、いえ、それでは…」

 

 

なんだ今の寒気は、なんかサクヤさんの部屋の方から感じるな…すげー殺気だな。

そうだそうだ、自販機だ。やっとたどり着いた。

 

 

いつもの…これだな。

 

 

俺の好物は冷やしカレードリンクだ、みんなはまずいというんだが…そうは思えないな。

 

 

「あっ、ユウヤじゃん…またそれ飲んでるのか…」

 

 

コウタだ、何言ってんだよ、うまいだろこれ。

 

 

「コウタか、任務の帰りか?」

「おう、今日も楽な任務だったよ。」

「あのなぁ…いくら楽だからって言って気を抜くと…はっくしょん!!」

「うおっ!?大丈夫か?風邪でも引いたか?」

「いや…誰かにウワサされてる気がする。」

 

 

やっぱ俺の………………いや!忘れろ!忘れるんだ俺!

 

 

「…どうした、なんかあったか…」

「…なあ、コウタ、…俺の顔って怖いか?」

「…うーん、恐くないと言えばうそになるな。」

「……そうか。」

 

 

やっぱそうか、やっぱそうなんだな、俺は…俺は…チクショーーーーーーーーー!!

 

 

自分の顔がそれなりに怖いことに気付くユウヤなのであった。

 

 

 

 

 

 

続く……

 

 

 

 

 

 

 




これは全部四人の目線から見た話でした



次からはちゃんと進めます、はい。


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二刀流VS二刀流

彼はまだ知らない


自分の隠していた力の目覚めが近いことを……


ここは平原エリア、そこに四人の神機を持った少年少女の姿があった。

 

 

彼らはフェンリル極東支部の第一部隊新型ゴッドイーターであった。

 

 

「ねぇユウヤ、今回討伐対象のクアドリガってどんなアラガミなの?」

「…はぁ、お前はもう少しアラガミのこと知っとけよ、さすがにもう危ないぞ。」

「そうだよアスカ、もしこれをツバキ教官に知られると怒られるだけじゃすまないと思うよ。」

「クロナの言うとおりです、ノルンを見ればわかることですよ。」

「うう~、みんなで言わないでよ~、わたしだってちゃんと見てるけど……アラガミが多すぎて覚えられないよ。

はっ、そっか、アラガミが多いから悪いんだよ、うん、きっとそうだよもっと少なかったらわたしだって覚えられるもん。」

「お前な…覚えれないことをアラガミのせいにするなよ。」

 

 

ユウヤの一言にアスカ撃沈、それを見たほかの三人は苦笑してしまう。

そこには確かな平和な時間が流れていた。

 

 

しかしユウヤの一言で平和が崩れ去る。

 

 

「…いたぞ」

 

 

壁に背を向けながらそう告げるユウヤ、今の一言でアスカも立ち直る。

彼らの視線の先には今回の討伐対象、クアドリガが呑気に食事をしていた。

 

 

「背中の器官は危なそうですね。」

「そうだな、まぁ、そこに銃弾でも叩き込めば壊せるだろ。」

「無茶言わないの、簡単に言ってるけど結構危ないよ。」

「ユウヤ、無茶したら駄目だよ!」

「わかってるよ、冗談だ。

とりあえず作戦はアリサとクロナは後衛、アスカは遊撃、俺が前衛で行くぞ。」

「はーい。」

「任せて。」

「了解です。」

「よし…行くぞ!」

 

 

彼のかけ声と同時にクアドリガに向かっていく四人。

 

 

まずは、アリサとクロナが神機を銃形態に変形、合計十二発の銃弾をクアドリガの背中に命中。

 

 

そこで初めて彼らに気付いたクアドリガだったが空中には高く飛んでいたアスカとユウヤが神機を

振り下ろす。

 

 

「気づくのが――――――

「――――――遅いんだよ!」

 

 

「グアァァァァァァァァァァァァ!」

 

 

二人の斬撃がクアドリガの頭部に命中、クアドリガはひるみ後ろに後退する。

その時生まれた隙をクロナとアリサは見逃さずさらに銃撃を放つ。

 

 

「グググ…ググ…グアァァァァァァァァァァァァ!」

 

 

怒りで活性化し、黒煙が上がる。さらに、ミサイルポッドを開きミサイルを6発アリサとクロナに

向かって放つ。

二人は銃撃で破壊していくがすべて壊しきることができず直撃―――――――

 

 

「大丈夫か!?」

「ユウヤ!うん、大丈夫。」

「はい!ありがとうございます!」

 

 

―――――――はせずいつの間にか戻っていたユウヤが残りのミサイルを破壊した。

そして間もなくクアドリガに向かっていく。

クアドリガはまたミサイルポッドが開き、ミサイルを放つが、ユウヤは一瞬にして自分に向かってくるミサイルを見極めそれだけを破壊していく。

並みのゴッドイーターには到底できないことだ、しかし、ユウヤだからこそできることである。

 

 

そしてユウヤはチャージクラッシュの体制に入る。

クアドリガはそれを阻止するためにユウヤに突進していく。

しかし三人はそれを阻むためっクアドリガに銃撃を浴びせ減速、そこでチャージクラッシュがたまる

 

 

「――――――――終わりだ!」

 

 

 

神機を振り下ろし戦いを終わらせた。

ユウヤはクアドリガのコアを抜き取り、三人はユウヤのもとに駆け寄っていく。

 

 

「お疲れ様、ユウヤ。」

「ああ、お前ら、怪我とかないな?」

「もう、ユウヤは心配しすぎなんですよ。」

「そうだよ、それに少しは自分の心配もしてよね、いっつも周りが優先なんだから。」

「悪い悪い。それじゃ、帰るか。」

 

 

そういって歩いていくユウヤ、そのあとに続く三人。

今日も無事に生き残ることができ、彼女たちを守ることができた。

ユウヤはもともと責任感が強かったため、ついそう考えてしまう。

後ろを見ると楽しそうに話す三人、それを見て少し安心してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――しかし、その安心が突如、かき消された。

いち早く気付いたのはユウヤ、三人の後ろに見たこともないアラガミがアリサとクロナを狙っていた

 

 

「アリサ!クロナ!後ろだ!」

「えっ?」

「ユウヤ、何言って――――――」

 

 

アリサが言い終わる前にユウヤが二人を担いで後ろに大きく飛び攻撃を回避する。

 

 

「……あぶねぇ、大丈夫か!?」

「…はい、何とか…」

「うん…ありがとう…」

 

 

突然のことにまだ驚いている二人、アスカは戦闘態勢に入っていた。

 

 

(っ、くそっ!なんだこいつは!?…見たことない奴だ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然現れた新種のアラガミ、その不意打ちを何とか免れた四人は戦闘態勢に入っていた。

 

 

「何ですか!このアラガミは!」

「明らかに新種だね、でも報告には新種がいるなんて聞いてないけど…」

「考えても意味ないだろ!とにかく今はやるしかないだろ!作戦はさっきと同じだ!」

「待って!ユウヤ!」

「どうした?アスカ。」

「わたしも前衛をやりたい!」

 

 

意外な一言だった、そのためユウヤの思考が一時停止する。

少しして

 

 

「何言ってやがる!相手は新種だぞ!どんなアラガミかわからないのに危険だ!前衛は俺一人でやる!」

「危険なことをユウヤ一人に任せたくないの!わたしもやる!」

 

 

その瞳は決意に満ち溢れていた。それを見たユウヤは何も言えなくなる。そして――――――

 

 

「…わかった、ただし、無茶だけはするな。」

「うん!わかってるよ!」

「ユウヤ!来るよ!」

 

 

今の一言で意識は完全にアラガミの方に向く、アラガミはすでに臨戦態勢に入っていた。

 

 

先に動いたのはアラガミの方だった。

 

 

(なっ、早い!)

 

 

アラガミは背中にあるブースターのようなもので加速し一息で彼らの目の前に迫る。

 

 

最初に狙われたのはユウヤ、両腕から生えたブレードをユウヤに向かって振り下ろす。

しかしユウヤは回避はせず装甲も展開させず両手に持った二本の神機の刃で受け止める。

 

 

しかしアラガミのパワーが強くユウヤは吹き飛ばされ、壁に背中を強打する。

 

 

「がはっ!」

「ユウヤ!」

「アスカ!今は戦うことに集中して!」

「っ、でもユウヤが!」

「ユウヤは大丈夫だから!だから戦って!」

「…うん。」

 

 

ユウヤに駆け寄ろうとしたアスカだったが、クロナによって止められる。

なぜなら、すでにアラガミは、次の狙いをアスカにさだめていたからだ。

 

 

アスカに向かってブレードを振り下ろそうとするがアリサが側面から攻撃を仕掛けた。

 

 

「ぐっ!」

「アリサ!」

 

 

アリサの攻撃は命中こそしたものの神機ははじかれ、カウンターをくらう。

そのまま狙いをクロナに変更、アラガミは一度後ろに下がりブースターで加速、そのままクロナに

向かっていきブレードを横なぎに振るう。

クロナは装甲を展開するも軽々と吹き飛ばされ地面にバウンドしながら壁に叩きつけられる。

 

 

「くっ!動けない…!」

「クロナ!」

 

 

残すはアスカただ一人、アスカは神機を構え闘志をむき出しにするが――――――

 

 

(足が…!)

 

 

あの三人をあんな簡単に戦闘不能にさせる奴に勝てるのか?そのな負の感情がアスカを蝕んでいく。

そんなアスカにゆっくりと近づく、そして両腕のブレードを振りあげ――――――

 

 

「おっと!」

「…え…」

 

 

ブレードは自分の目の前で止まる。よく見ると前の方に誰か立っていた。

 

 

「大丈夫か?アスカ。」

「……ユウヤ!」

 

 

額からは血を流しながらもアラガミの一撃を神機の刃で受け止めたいた。

 

 

「アスカ、ここは戦場だぞ?わかってるのか?」

「…わかってるけど……」

「なら立て、戦え、それがお前に課せられたことだろ。」

「っ!」

 

 

今の一言でアスカの心に再び闘志が湧き上がる、そして神機を構える。

 

 

「そうだ、それでいい。」

「行くよ!」

 

 

そういって走るアスカ。

アラガミの足元に入り込み斬撃を放つ。

 

 

(っ、固い!)

 

 

鈍い音と同時に神機がはじかれる、アラガミはアスカに向かってブレードを振り下ろす。が――――――

 

 

「させるか!」

 

 

ユウヤがはじき軌道がそれる。

アスカは一度後退して神機を銃形態に変形、アラガミに向かって銃弾を浴びせる。

 

 

「キギャアァァァァァァァァァァァ!」

 

 

銃撃をくらい活性化、ユウヤを弾き飛ばしアスカに向かっていく。

 

 

「がっ!」

「ユウヤ!」

 

 

自分にアラガミが向かってきているというのに構えずユウヤの方に向かっていくアスカ。

 

 

「ユウヤ、大丈夫!?」

「バカやろう…なんで来た…今戦っているんだぞ…。」

「でも…ユウヤが心配で…」

 

 

その時、後ろからアラガミの足音が響く、今、自分の真後ろにアラガミが迫ってきている。

まずい、アスカはそう思いながらも動けなかった。

 

 

 

そしてアスカ目掛けて神機を振り下ろす。が――――――

 

 

「させない!」

「やらせません!」

 

 

アリサとクロナの銃撃によって攻撃は阻まれる。

そしてアラガミは狙いを二人に変更、ブースターで加速しながらアリサ達に近づく。

そのままブレードを振るい二人を弾き飛ばす。

 

 

「きゃああっ!」

「きゃっ!」

 

 

 

そして狙いをユウヤ達に戻す。

 

 

「くそっ!来るぞ!」

「う、うん!」

 

 

そういって神機を構える二人。

アラガミの攻撃はまず、アスカに向く。

まず、右腕のブレードを振り下ろす、アスカはそれを回避して飛び上がり、ブースターめがけて

神機を振り下ろす。

しかし、そこを狙ったことが逆にあだとなってカウンターをくらう。

 

 

「あがっ!」

「アスカ!」

 

 

そのまま狙いをユウヤに変え向かってくる。

二人の刃と刃のぶつかり合う音が周りに響き渡り、三人の耳を劈くような音が聞こえる。

 

 

「てめぇだけは、絶対に俺が殺す!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、彼の中の何かが目覚めかける。

 

 

 

 

 

 

続く……

 



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目覚め

人は誰しもが絶対に言えない秘密がある。


しかし、その秘密を隠し通すことは簡単ではない。


それは彼も同じこと


いつかは知られるもの………



ここは平原エリア。

そこでアラガミと攻防戦を繰り広げる少年がいた。

 

 

少年の名はユウヤ、極東支部第一部隊隊長の少年だ。

彼は今、新種のアラガミと一人、戦っていた。が、しかし――――――

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

 

状況は最悪だった。

アラガミは、ほぼ無傷に等しい、しかし、ユウヤの方は身体の至るところに切り傷がいくつもあり

神機には罅が入っていた。

 

 

(だめだ…!しっかりしろ、俺…!)

 

 

少し気を抜くとすぐに倒れてしまう、彼は今それだけ窮地に立たされていた。

アラガミが動くと同時にユウヤも動く。

神機とアラガミのブレードがぶつかり合い鈍い音が響きわたる。

 

 

「…すごいね、ユウヤは。」

 

 

そんな戦いを見てそう呟く少女が三人いた。

 

 

「…えっ?」

「だってよく見てよ、あれだけ早かったアラガミの動きにほとんどついていけてるよ。」

「…たしかに、すごいです。」

「…で、どういうこと?」

「つまり、ユウヤは戦いながら進化してるんだよ。」

「進化…なんかアラガミみたいだね。」

「ちょっとアスカ、変なこと言わないでくださいよ。」

 

 

ユウヤは戦っているのに三人はなぜか平和な時間が漂っていた。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

――――――神機とアラガミの剣がぶつかり合う、そのたびに火花が散る。

 

 

「くそっ、…はぁ…はぁ…強いな…」

 

 

ユウヤは苦戦を強いられている、そのため、消耗が激しく思うように動けない。

しかしアラガミは、疲れた様子はなく最初と変わらない。

 

 

(どうする、俺。このまま戦っても勝ち目はない、かと言ってあいつらも今動けない…くそっ!)

 

 

考えるが最悪の結末しか浮かびあがらない。

ユウヤはすぐさまその結末をかき消す。

 

 

 

そして同時に彼らは動く。

 

 

まずはユウヤが高く飛んで神機を頭に向かって振り下ろす。

しかしいともたやすく回避されアラガミはユウヤに向かってカウンターを繰り出す。

ユウヤはそれを装甲を展開させ攻撃を防ぐ、が、防ぎきれず地面にバウンドしながら壁に激突する。

 

 

「ぐっ…がはっ!」

 

 

思わず吐血してしまう。

額からは先ほどの衝撃でさらに血が出ている。

身体は全身が痛む、動こうとしてもいうことを聞かない。

 

 

その時、彼の頭の中に昔、聞き覚えのある声が響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――ネェ、ソロソロオキテモイイカナ?―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを聞いた彼は正常な考えが保てなかった。

 

 

まずい、なぜ?今まで眠っていたものがなぜ今?

 

 

――――――――ネェ――――――――

 

 

やめろ、出るな、今はまだ来るな。

 

 

 

 

 

――――――――ネェ――――――――

 

 

 

 

 

     黙れ

 

 

 

 

 

――――――――ネェ――――――――

 

 

 

 

 

     黙れ

 

 

 

 

 

――――――――ネェ――――――――

 

 

 

 

 

     黙れ

 

 

 

 

 

――――――――ネェ――――――――

 

 

 

 

 

「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ

黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!」

 

 

 

突然、ユウヤが何かを叫ぶ。

 

 

 

それは、少し離れたところにいる三人にも聞こえた。

 

 

 

「…何、今の…」

「ユウヤの声…ですよね。」

「…ユウヤ…!」

 

 

 

アスカは突然走り出す、全身の痛みも忘れ走る。

 

 

 

「アスカ!」

「待って、アスカ!今行ったって何も―――――――」

 

 

 

しかし、彼女たちの声が届くはずもなくアスカは走る。

 

 

 

 

アスカは嫌な予感がしていた。

 

 

(何……この、胸騒ぎ…)

 

 

 

そんなものを抱きながら彼女はユウヤのもとへと走っていく。

 

 

 

その時、アスカの目に入ったのは頭を抱え、前のめりのに倒れこむユウヤがいた。

 

 

小さな声ではあるが「黙れ」という言葉を言い続けている。

 

 

 

「ユ、ユウヤ…?」

 

 

 

反応がない、それと同時に彼女の不安は増すばかりだった。

 

 

 

 

「くそったれ…くそったれ…」

 

 

 

何か言いながら立ち上がり神機を拾い上げるユウヤ。

どうやら、アスカの存在に気付いていないようだ。

そのまま、重い足取りでアラガミの方に向かっていく。

アラガミは動かない、どうやらユウヤの出方を待っているようだ。

 

 

 

「黙れ……黙れよ………」

 

 

 

小さく「黙れ」ということを言っている。

 

 

 

「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇェェェェェェ!!」

 

 

 

大きく叫び高く飛び、神機を振り下ろす。

アラガミは両腕のブレードで受け止める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パキンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その音だけが場に響く。

 

 

 

一瞬、誰もがその音を理解できなかった。

 

 

 

しかし、ユウヤだけはわかっていた。

 

 

 

音の正体は彼の神機の刃が砕け散る音だった。

 

 

 

どうやら刃にガタが来ていたらしく、負担に耐え切れず砕け散った。

 

 

 

 

 

 

しかし、次の出来事が彼を、絶対絶命に陥れる。

 

 

 

 

 

 

―――――――――その時、彼の身体が浮く。

 

 

 

 

 

 

 

腹部には耐えきれない激痛、なぜなら――――――

 

 

 

アラガミの剣が彼の腹部を貫いていた。

 

 

 

剣を血が蔦っていく

 

 

 

 

「がはっ!」

 

 

 

今までにない以上に吐血を繰り返す。

 

 

 

それを見たアスカはその場で動かなくなり

 

 

クロナはその場で口を抑え込み

 

 

アリサはその場に座り込んだ。

 

 

 

「ユウ…ヤ…?」

「うそ…でしょ……?」

「いや…嫌……」

 

 

絶望の言葉を口にする三人。

 

 

 

そのままユウヤの身体から刃が抜き取られ地面に落ちるユウヤ。

 

 

 

三人は駆け寄ろうとするがアラガミが三人を吹き飛ばす。

 

 

 

そのままアラガミはユウヤの方に向きブレードを振り上げる。

 

 

 

(っ、声が……出ない…)

(体が……動かない…)

(早くしないと……ユウヤが…)

 

 

三人は自分の不甲斐無さに自己嫌悪をしだす。

 

 

 

けれど、ある言葉だけは出すことができた。それは――――――――――

 

 

 

 

 

『ユウヤ!!』

 

 

 

 

 

ブレードが振り下ろされた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、刃が彼を分断することはなく途中で止まる。

 

 

ユウヤは神機を持っていない、ましてや、素手で受け止めるなどあり得ない。

 

 

 

 

 

――――――――そして、その正体がわかった時、三人は驚愕した。――――――――

 

 

 

 

 

「…えっ?」

「うそ…」

「何ですか…あれは。」

 

 

 

彼は右腕一本で、ブレードの刃を止めてしまった。

 

 

 

 

しかし、何か様子がおかしかった。

 

 

 

 

ユウヤの右腕が人間ではない、何かに変化していた。

 

 

 

形はまるで架空の生き物、龍を表すようなものとなっていた。

 

 

 

そのまま立ち上がり、アラガミを投げ飛ばす。

 

 

 

その時のユウヤは、人間ではない、何か別の生き物となっていた。

 

 

 

アラガミ、最初はそんなものと考えていたが、それほどやさしいものではなかった。

 

 

 

今の彼は悪魔、いや、それ以上かもしれない。

 

 

 

「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

 

明らかに人間の声ではないものがユウヤの口から放たれ、三人は耳をふさぐ。

 

 

 

(っ、何…!?これ…)

 

 

 

彼の雄叫びにアラガミは一時動かなくなるが、今のユウヤは危険な存在と判断したのか動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――コロシテヤル――――――」

 

 

 

 

 

 

 

今の一言に三人は驚きのあまり、ユウヤから離れていく。

 

 

アラガミの方にも聞こえたのか動かしていた足を止める。

 

 

そしてユウヤが動く。

 

 

 

「っ、早い!」

 

 

ユウヤの動きは人間の時よりもさらに早く、一瞬で間合いを詰める。

 

 

 

「――――――コロス―――――――」

 

 

 

そう呟くとアラガミの腹部に自らの手を貫通させる。

 

 

 

「グガ……グググ……」

 

 

 

今の一撃でアラガミは瀕死寸前まで陥る。

 

 

 

それでもアラガミはバックジャンプをしてユウヤと距離を取る。

 

 

 

そして、ユウヤを切り裂こうとして――――――――

 

 

 

アラガミの腕が突如、切り裂かれた。

 

 

 

理由は当然、ユウヤだ。

 

 

 

彼はバックジャンプと同時に距離を取らせず、アラガミが腕を振ると同時に腕の付け根を切り裂いたのだ。

 

 

 

そしてユウヤは落ちている腕に視線を移し、歩いていく。そして―――――――――

 

 

 

突如、腕の肉を食いちぎりだす。

 

 

 

それを見たアスカたちは当然、気分を悪くし、口を抑え込む。

 

 

 

繊維を引き裂く音、そして、それを食べるユウヤ。

 

 

 

見るどころかその場にいることすらできない光景だった。

 

 

 

食べ終わったのかユウヤは腕を捨て、本体に向かっていく。

 

 

 

ユウヤはアラガミの上にまたがるように乗って手を突き刺す。

 

 

 

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も突き刺す。

 

 

 

そして、アラガミは絶命、それを確認したのか降りて今度は死骸を食べ始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、ユウヤの動きが止まる。

 

 

 

 

 

 

そして、我に返る。

 

 

 

今までの記憶は何一つ残っていない、残っていたのは、アラガミを食したことと―――――――

 

 

 

これを三人に見られたという恐怖だった。

 

 

 

三人のいるほうを見る、当然、平然でいられるわけがない。

 

 

 

ユウヤは彼女たちの表情を見て怖くなってその場を離れていく。

 

 

 

「あ……待って!ユウヤ!」

「待って、アスカ。」

「なんで!?追わないと、ユウヤがどこかに行っちゃうよ!」

「それでもダメ、行かないで。」

「どうして!?クロナは心配じゃないの!?」

「心配だよ、でもダメ。」

「じゃあなんで――――――――」

 

 

そこまで言おうとしてクロナの平手打ちがアスカを止める。

 

 

「―――――――――――――――」

「いい加減にして!」

 

 

 

 

初めて聞くクロナの怒声にアスカは驚きを隠せない。

 

 

 

 

「私だって心配してるよ!発狂しちゃうくらい!後を追いたいのは私やアリサだって同じだけど今はダメ、もし今行ったとして、私たちに何ができる?」

「っ、それは………」

「今は抑えて、それに今は任務中、私情を挟んじゃいけないでしょ?

このことは、かえってツバキ教官に報告して、私たちはキズの手当、わかった?」

「………はい…」

「はい、よろしい、それじゃ今は帰ろっか。」

「あの、ユウヤの神機、どうします?このままもあれなので。」

「それは回収班の人に任せよっか、私たちはダメだしね。」

 

 

そういって、通信機を取り出して回収班を呼ぶ。

 

 

 

そして、三人はアナグラに帰って行った。

 

 

 

(ユウヤ……無事でいてね。)

 

 

 

それから数日、ユウヤが発見されたとの報告がアナグラに入ってくることはなかった。

 

 

 

 

 




やっててずいぶん長くなったなと思いました。


話がなんだか相当変わってる気がしました。


ちなみに、わかってると思いますが、アラガミの正体はカリギュラです。


流石に出すの早いかなと思いました、はい。


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天使と悪魔

ユウヤは恐かった


ばれてしまった自分の正体が


それがきっかけとなりトラウマがよみがえる………


「…はぁ…」

 

 

ここは極東支部、今のため息はアスカのものだった。

 

 

ユウヤがいなくなり一週間、彼女には寂しさと同時に不安が募っていく。

しかし、それはアスカだけではない。

 

 

「アスカ、心配なのはわかるけど私たちにできることはないよ。」

「…それはわかってるけど…」

 

 

クロナも心配で仕方ない、けれど心配したところでユウヤが帰ってくるわけではない。

それを彼女は、十分理解していた。

 

 

「でもどうして私たち第一部隊は捜索に行ってはダメなんですか?」

「それは私たちが第一部隊だからだよ。

第一部隊はアラガミの討伐が主な任務だから捜索は任務の範囲外だからだよ。

だから、今はユウヤが見つかるのを祈るしかないよ。」

「……そうですね、何かすいません。」

 

 

その時、エントランスのエレベーターの扉が開いた。

アリサは扉の方に駆け寄る。

 

 

「ん、アリサか、スマン、ユウヤ見つけられなかったわ。」

「そうですか…ありがとうございます、タツミさん。」

 

 

扉から出て来たのは防衛班のタツミだった。

ユウヤがいなくなったのは極東にとってかなりまずいことらしく、防衛班も捜索任務に回されていた

 

 

「いいって、それに、あいつがいないと俺たちも困るし、極東にも元気がないからな。

まぁ待ってろ、絶対に見つけてやるからな。」

「はい、よろしくお願いします。」

 

 

たしかに、タツミの言うとおり、ユウヤがいないせいか、極東にはいつもの活力が感じられなかった

 

 

「あれ?クロナはどこに行ったんですか。」

 

 

みんなのところに戻ってきたアリサがクロナのいないことに気付く。

 

 

「クロナなら任務があるって言って行っちゃったわ。」

「そう…ですか。」

 

 

アリサの問いにサクヤが答える。

 

 

「…あの子は強いわ、本当に…」

「えっ?どういう意味ですか?」

「ほんとはクロナ本人も心配してるわ、多分ほかのみんな以上に。

それなのに、あなたやアスカを元気づけてくれてるでしょ。」

「…たしかに、そうですね。

すごいです、クロナは。」

 

 

それに比べて私は……、ついそう思ってしまうアリサであった。

 

 

「ふふっ、それにしてもあなたたち、本当にユウヤのことが好きなのね。」

「ちょっ、サクヤさん、そういうことをこんなに人がいるところで言わないでください!

恥ずかしいじゃないですか!」

「でも、もうほとんどの人が知ってるわよ?」

「……えっ?」

「あなたたちを見れば誰でもすぐにわかるわよ。」

 

 

そうですか、そういって顔を赤くしその場を去っていくアリサ。

 

 

 

 

(ユウヤ、お願いします、無事に、この極東に帰ってきてください!

みんなあなたの帰りを待ってますから!)

 

 

 

一つの願いを、胸の内に秘めながら………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

ここは鉄塔エリア、ここに一人の少年の姿があった。

 

 

彼の名はユウヤ、極東支部第一部隊隊長の新型ゴッドイーターだ。

今彼は、壁に背を向けあたりを見回しながら警戒していた。

 

 

(…くそっ!なんでこんなにアラガミがいるんだよ…!)

 

 

神機さえあれば、そう思うユウヤだがそれは叶わない。

なぜなら、今彼は神機を持っていない。

この前の戦闘で、神機が大破したからである。

 

 

今、彼の視線の先には視界に入るだけでも十体はいるであろう、アラガミがいた。

 

 

(どうする?神機があればあのアラガミを一掃することは可能だが……)

 

 

そこでユウヤの思考は違う考えが浮かぶと同時に昔のトラウマがよみがえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――どうして、お前みたいな化け物が生きてるんだ!

 

 

 

―――――――――お前なんか生きててもしょうがないだろ?この化け物が。

 

 

 

化け物

 

 

 

この言葉はユウヤの一番嫌いで恐ろしく、そして何より憎い一言だった。

 

 

 

(俺は……生きてていいのか?)

 

 

 

そんな考えが脳裏によぎる。

 

 

 

(いいのか?俺みたいな化け物がこの世に生きてて。)

 

 

 

ついにはそんなことばかりを考えてしまうユウヤ。

 

 

 

しかし、彼はそのせいで気づくことができなかった。

 

 

 

目の前に、自分を捕喰しようとするアラガミ達に――――――――――

 

 

 

「っ、しまっ――――――――――」

 

 

 

そこまで言って彼の身体が真横に吹き飛ぶ。

 

 

 

とっさの対応でダメージを抑えることができたが……状況は最悪だった。

 

 

 

(ヴァジュラに…ボルグ・カムランか…まずいな)

 

 

 

目の前には、自分を捕喰くしようとゆっくりと近づいてくるアラガミ、

自分の後ろには壁、まさに絶体絶命の状況だった。

 

 

 

(死ぬ……のか………)

 

 

 

死、彼の頭の中にはその言葉しかなかった。

 

 

 

その時、ボルグ・カムランの尻尾がユウヤの心臓めがけて飛んでくる。

 

 

 

「っ、くそっ!…足が……!」

 

 

 

何とか回避し、直撃は免れたものの足に攻撃をかすめる。

 

 

 

本来の彼ならこの程度の傷、どうということはない。

 

 

 

しかし、今の彼には残された体力はほとんどない。

 

 

 

しかし、ここで彼はよからぬ考えが浮かび上がる。

 

 

 

(このまま死んだら……少しは楽かもな…)

 

 

 

生きていても仕方ない、そんな感情が芽生え始める。

 

 

 

その時、彼の足に激痛が走る。

 

 

 

「がっ!」

 

 

 

よく見ると、ボルグ・カムランの尻尾が自分の足に突き刺さっていた。

 

 

 

そのままユウヤを宙吊りにする。

 

 

 

このままでは喰い殺される、しかし、今の彼にはどうすることもできない。

 

 

 

そのままボルグ・カムランの口がユウヤの頭に近づいたとき―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の胸元に入れてあった銀色のロケットペンダントが出て来た。

 

 

 

(っ、…ティア……!)

 

 

 

その時、彼の妹の最後の一言が頭の中で再生される。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――お兄ちゃん、生きることから逃げないで―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 

 

それと少しの時が経つと、宙吊りにされていた彼の姿が消える。

 

 

 

「ギュアッ!?」

 

 

 

一瞬、ボルグ・カムランから驚愕に満ち溢れた悲鳴が聞こえる。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――よく見ると、ボルグ・カムランの尻尾の先端がなくなっていた。

 

 

 

実行犯はほかでもないユウヤだった。

 

 

 

彼の右手には引きちぎった尻尾の先端を喰っていた。

 

 

 

その姿は、実におぞましく、二体のアラガミは身震いを起こす。

 

 

 

喰い終わったのか、彼は尻尾を放り投げ、狙いを近くにいるアラガミに定める。

 

 

 

「――――――――――コロス」

 

 

 

その言葉を聞いた二体は急いで逃げよう、ここにいたら確実に殺される。

 

 

 

しかし、一歩遅かった。

 

 

 

彼は、一瞬でヴァジュラの前に迫り、変化した腕を使い一撃で一つの命を奪い取る。

 

 

 

そのまま、ヴァジュラの死体には目もくれず、ボルグ・カムランに向かっていく。

 

 

 

勢いで高く飛び、ボルグ・カムランの背中に右腕を突き刺す。

 

 

 

「ギュア……ギュウゥゥ………」

 

 

 

瀕死寸前のボルグ・カムランに何度も腕を突き刺す。

 

 

 

やがて、また、アラガミの命がなくなった。

 

 

 

それを確認したユウヤは死んだ二体のアラガミを喰らい始める。

 

 

 

しばらくして、食事が終わり、次に狙いを定める。

 

 

 

狙ったのは、数十対いるアラガミの群れだった。

 

 

 

しかし、彼は躊躇なくそこに向かっていった。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

鉄塔エリアの地面に赤い液体が広がっている。

 

 

 

そんな中に一人立っている少年の姿があった。

 

 

 

しかし、今の彼を人というのは無理があった。

 

 

 

腕は変化し、背中からは見たことのない、まるで悪魔を表すにふさわしい赤黒い羽が生えていた。

 

 

 

腕からは血がポタポタとしずくとなって地面に落ちる。

 

 

 

ここには二十はいたであろうアラガミをわずか一分足らずですべて終わらせてしまった。

 

 

 

あたりを見渡す、周りには自分が殺し、喰い散らかしたアラガミの死骸がそこらじゅうに転がっていた。

 

 

 

もうここに餌はない、そう判断したユウヤはその場を離れようとして―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――背後に何かが降り立った。

 

 

 

 

振り向くと、そこには右手に剣、左手には盾という女戦士のような姿をした何か。

 

 

 

しかし、背中にはユウヤとは違った一つの汚れを感じさせない純白の羽が生えていた。

 

 

 

周りから見るとそこには、天使と悪魔が対峙しているようだ。

 

 

 

しかし、そんなことはどうでもいい、ユウヤの頭の中にあったのは―――――――――――

 

 

 

「――――――――――食イ殺ス!」

 

 

 

ただ、その一言だった。

 

 

 

持ち前のスピードで、一瞬にして目の前に迫り右腕を貫かせようとするが――――――

 

 

 

左手に持つ縦で彼の攻撃を簡単にはじいてしまう。

 

 

 

思わず、後ろに下がってしまう、それでも攻撃を仕掛けていくユウヤ。

 

 

 

しかし、簡単にはじいてしまう、ずっとそればかりが続いてしまう。

 

 

 

そこで初めてユウヤは一瞬、自我を取り戻す。そして違和感を覚える。

 

 

 

(なぜ……反撃してこない…?)

 

 

 

今の自分には隙しかないというのに相手は何一つ動かない。

 

 

 

そこで彼の意識は途切れる。

 

 

 

「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

 

怒りが込められた雄叫びをあげながら飛び掛かっていくユウヤ。

 

 

 

しかし、次の瞬間、彼は驚愕のあまりその場で止まり、自我を取り戻す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――――――元に戻って、お兄ちゃん。」

「!!」

 

 

 

 

 

 

その瞬間、アラガミの剣がユウヤの腹部に刺さる。

 

 

 

しかし、今の彼には痛みなど感じなかった、なぜなら―――――――――

 

 

 

 

 

「――――――――――ティア!?」

 

 

 

 

忘れるわけもない、大切なたった一人の妹の声を。

まだ何かを言おうとするユウヤ、しかしここで―――――――――

 

 

 

「な……ぜ…」

 

 

 

ここでユウヤの意識が途切れる。

 

 

 

 

 

 

 

「―――――――――ごめんね、お兄ちゃん。

少しの間、眠っててね。」

 

 

 

 

 

 

 

そういってアラガミ、ティアは剣先からユウヤにある何かを流し込んだ。

 

 

 

 

そのあと、その場を去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

続く………



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おはよう

ついに発見されるユウヤ。


しかし、なかなか目覚めない彼に不安を募らせていく第一部隊。


そんな中ついに………


極東支部。

 

 

ここでは今も全部隊が総力を挙げてユウヤの捜索にあたっている。

 

 

しかし、第一部隊はいつもと変わらない討伐の任務だった。

 

 

「……大丈夫かな…ユウヤ。」

「大丈夫よ、信じましょう、それしか私たちにできることはないわ。」

「…はい……」

 

 

心配のあまりいつもの元気のないアスカ、そんな彼女を元気づけるサクヤの会話がエントランスに響く。

今この場には、第一部隊の全員がいた。

たまたまではなく、ツバキによって集められた。

 

 

「お前たち、よく集まってくれたな。」

 

 

そんな中、彼女たちを集めたツバキが現れた。

 

 

「お前たちにはこれから――――――――」

 

 

そこまで言い終わるとエントランスにヒバリの声が響く。

 

 

「えっ?それは本当ですか、タツミさん、

…はい…わかりました、っ、こんな時に冗談はやめてください!」

 

 

どうやら話しているのはタツミのようだ予想のつく会話が終わり通信が終わる。

 

 

「どうした、ヒバリ。」

「教官、たった今タツミさんたち第二部隊から連絡が入りました。」

 

 

それを聞いた第一部隊もヒバリの方によっていく。

そして彼女の言葉を待つ。

少しの沈黙が続きヒバリが口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユウヤさんが鉄塔エリアで発見されました!」

 

 

その一言で一瞬エントランスの時が止まったかのように全員の動きが停止する。

 

 

「……ヒバリさん…今……なんて言いました?」

「ユウヤが………見つかった…?」

「はい、でも大変なんです、発見したときユウヤさんはアラガミの群れに囲まれていて

今第二部隊が応戦中なんです。」

「…お前たち、これから新たな任務を与える。」

 

 

ツバキの一言で全員の表情が変わる。

 

 

「第一部隊はこれより、至急鉄塔エリアに向かい第二部隊を掩護、ユウヤを連れ帰して来い!」

「はい!!」

 

 

全員の返事がエントランスに響き渡る。そして急いで神機を取りに行く。

もっとも、ソーマはすでに向かっていたが。

 

 

(ユウヤが……生きてる…また会える…!)

 

 

そんなことを考えながら走っていくアスカであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは医務室。

 

 

あの後、第一部隊は命令の通り、鉄塔エリアに向かい第二部隊とアラガミを殲滅後、ユウヤを連れて帰ってきた。が……

ユウヤは目覚めない。ユウヤを極東に運び込んでから早一週間が経っていた。

 

 

「…ユウヤ……」

 

 

第一部隊の不安は募るばかり、すると医務室の扉が開き、二人の女性が入ってきた。

 

 

「あの……ユウヤさん、目覚ましましたか?」

「カノンさん、リッカさん……いえ、まだ…」

「…そっか、でもきっと大丈夫だよ、ユウヤ君なら。」

「そうですよ、信じましょう、ユウヤさんを。」

「…はい、そうですね。

それぐらいしかできませんから。」

「でもさ、何でユウヤさ、いきなりどっか行くようなことしたんだよ。

お前らさ、一緒に任務行ってたんだし、なんか知らないの?」

 

 

コウタの発言に三人が固まる。

突然ユウヤがアラガミみたいになりました、なんていうと大変なことになる。

どうにかしてごまかす方法はないか考えているとクロナが口を開く。

 

 

「…それが私たち、新種のアラガミと戦ってるとき気を失って、目が覚めたらユウヤがいなかったの」

「そっか…じゃあわかんないよな。」

 

 

クロナのとっさの判断で何とかごまかすことができた。

危なかった、もしみんなあのまま黙っていたら余計に怪しまれる。

ちらっとソーマの顔を見る、まだ納得してないようだ。

 

 

「それじゃ、私はそろそろ戻るね。」

「私も…そろそろ任務の時間なので。」

「はい、ありがとうございます、二人ともわざわざ。」

 

 

いいって、そういって二人は医務室を後にする。

 

 

「さてと…私たちもそろそろ行きましょう、ずっといても仕方ないわ。」

「…そう…ですね…行きましょうか。」

 

 

そういって残りのメンバーも立ち上がって医務室を出ようとする。その時―――――――

 

 

「っ、……ここ…どこだ…?医務室…?」

 

 

ベッドの方から一人の少年の声が、振り向くとそこにはさっきまで寝ていたはずの少年が目を開け

あたりを見回していた。」

 

 

「………ユウヤ…?」

「ん…?あっ、みんな、おはよう。」

 

 

実に軽い挨拶だ、こっちはずっと心配していたというのに。

そんなことも言ってしまいそうになるが今は

 

 

「ユウヤ…ユウヤーーーーーーーーーー!!」

「…よかった…目覚ましたんだね……よかった……」

「心配したんですからね!」

「オレはお前がちゃんと目を覚ますって信じてたからな!」

「そんなこと言っちゃって、でもよかったわ、無事で。」

「…………フン、……生きてたか…」

 

 

思い思いの言葉をユウヤに浴びせていく第一部隊。

もっとも、アスカはユウヤに泣きながら飛びつき、ソーマはすぐに部屋を出て行った。

 

 

「まったく、相変わらずね。

でもソーマ、ああ見えてあなたのこと、一番心配してたのよ。」

「…あのソーマが……」

 

 

つい失礼な言葉を口にするユウヤ、それを聞いたほかのメンバーは顔を見合わせて笑いだす。

それにつられてユウヤも微笑む。

 

 

自分は幸せ者だ、ユウヤには今、そう思えた。

三人は彼の姿を見ても、彼を仲間だと言ってくれる。それがうれしくて仕方なかった。

 

 

そして、気が付けば彼の頬に何かが流れる感触を覚える。

 

 

「…ユウヤ?お前なんで泣いてるんだ?」

「…さあな、自分でもよくわからない……ほんと、なんでだろうな。」

 

 

(…守ってやらないとな、隊長として……一人のゴッドイーターとして)

 

 

そのあと、ユウヤ以外は医務室を後にし、彼は眠ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

いつまた、目覚めるかわからないあれに内心、おびえながら……

 

 

 

 

 

 

続く………

 



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Q,人間?それとも……

いつも通り任務に向かうユウヤ達第一部隊。


しかし、今回の任務は少し違うようだ………


ここは廃寺エリア。

 

 

集合地点にいるのはユウヤ、コウタ、アリサ、そしてソーマ……なんだが…

 

 

「…………」

「眠ってるんでしょうか?」

「多分な、だからそっとしておいてやれ。」

「でもさ、そんなこと言ってたらアラガミがどっか行っちゃうよ。」

 

 

今回は廃寺エリアに現れたサリエル堕天種が二体現れた報告がありそれを討伐に来た。

ソーマはみんなより先に集合地点につき居眠りをしていた。

 

 

「ソーマ、起きてください、任務ですよー。」

「………」

「…ダメですね、まったく起きませんね。

いっそのこともうおいていきます?」

「いやいや、それはどう考えてもだめに決まってんだろ。」

 

 

「………っくそ!」

 

 

二人の会話がうるさかったのか目を覚ますソーマ。

しかし、いきなり起きたためアリサが驚きを隠せなかった。

 

 

「うわぁ!ちょっ、いきなり起きないでくださいよ!」

「おはよう、ソーマ。」

「………ああ。」

「…へぇ、予想外の反応だな。」

「それよりうなされてたけど大丈夫か?」

「……別に…」

「…また予想外だな。」

「今日のお前、なんか妙に素直だな。」

「……うるさい…黙ってろ…」

 

 

そういって立ち上がりさっさと行くソーマ。

 

 

「…うん、いつも通り、これなら大丈夫でしょ。

さ、行こうぜ!」

 

 

そういって三人もソーマの後に続き報告があった場所へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にしても、堕天種にしてはずいぶんあっけなかったよな。」

 

 

ここはエントランス、ソファーに座って話すコウタとユウヤ、それにアリサもいた。

 

 

「でもほとんどユウヤとソーマがやってましたよ。」

「うぐっ!それは…そうだけどさ…」

「まぁいいじゃん、無事に生きて帰ってこられたんだしさ。」

「そ、そうだよ!無事だったんだしさ、この際誰が一番頑張ったとかいいじゃん!」

「…誰が蒔いた種だと思ってるんですか。」

 

 

そんな会話を聞いて苦笑するユウヤ。その時、彼の通信機が鳴る。

 

 

「はい…あっ、博士。……えっ、今からですか。はい、大丈夫です。わかりました。」

「今のは博士からですか?」

「ああ、今すぐ来てほしいんだと、てなわけで行ってくる。」

 

 

そういって博士の部屋へと向かっていくユウヤ、その後ろ姿を見たアリサが少し、つまらなさそうな表情をする。

 

 

「……お前、ほんとにユウヤが好きなんだな。」

「ちょっ、いきなり何言ってるんですか!?」

「だってお前、ユウヤがいなくなったら露骨に寂しそうな顔してるしさ。」

「それは……まぁ、さびしいですよ。

もっとユウヤと一緒にいたいですし。」

「………」

 

 

コウタは心の中でユウヤを恨む。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「失礼します。」

「やぁ、よく来てくれたね。」

 

 

ここは榊の研究室、相変わらずの散らかりようだ。

ユウヤはいつもここに来るたびに部屋を掃除したいと考えている。

 

 

「さて、早速本題に入ろうか。」

 

 

そういって榊はユウヤにアラガミの名前が載ったリストを手渡される。

 

 

「…これは?」

「見ての通り、アラガミのリストだよ、何か?」

「……つまり、このアラガミのコアを取ってこいと?」

「……あっ、間違えた、君に頼みたいのはアラガミの討伐だった、ごめんよ。」

「そうですか、ならよかったです。」

 

 

間違いと聞いて安堵の表情を浮かべるユウヤ。

当たり前だ、このリストには堕天種はおろか、第二、第一接触禁忌種の名前もちらちらと載っていたのだから。

しかしこの後、榊からとんでもない一言が放たれる。

 

 

「でも、近々君にはそのアラガミの討伐を一人で行ってもらうからね。」

「…………」

 

 

いつか殺す、そう殺気立つユウヤ、だが今は押し殺した。

 

 

「ちなみに、今日頼む任務はサクヤ君、アリサ君、それにコウタ君を連れて行ってもらうよ。」

「……わかりました。」

「用件は以上、あとは頼んだよ。」

 

 

そしてユウヤは部屋をあとにする。しかし彼は疑問に思う。

 

 

(…なんか、裏がありそうだな、こりゃ。)

 

 

「………さてと、こちらもお出迎えの準備に取り掛からないとね。」

 

 

部屋で榊は一人、そう呟くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…よし、これで終わりだな。」

 

 

榊に頼まれた通り、アラガミ、シユウの討伐が終わりコアを抜き取ろうとしたユウヤだったが。

 

 

 

「おっと、ちょっと待った!」

 

 

今の一言にユウヤは神機を下ろし声のした方に振り向くと。

 

 

「ソーマ、それにアスカとクロナまで……と、博士!?何やってるんですか?」

「いや、彼らに護衛を頼んでね、とりあえず、こっちに来てくれないか。」

 

 

いつも通りの軽い口調、しかしいつもとは違う声に緊張が出てくる。

榊に言われた通り、手招きされた方に行く。

 

 

「…あの、博士、ここで何をするんですか?」

「まぁ、待っていたまえ。あっ、ほら!来たよ!」

 

 

少し興奮気味にシユウの方に指を指す、彼らはそちらを見るとの死骸に近寄る何かを発見する。

 

 

大きさは人間と同じ位のものがそこにいた。

それを確認するとユウヤは駆け寄っていく。

あの存在はなんなのか、それを確認すべくゆっくりと近づく。

 

 

「…人間…なのか…?」

 

 

そこにいたのは、ぼろぼろになった布きれを身体に巻きつけた、青白い肌を持った少女だった。

 

 

まだ幼いのか無邪気な瞳をユウヤに向ける。

 

 

そして彼は、この子に何か自分と似たような感覚を覚える。

 

 

「いやぁ、ご苦労様!」

「……博士?」

「ソーマもここまで連れてきてくれてありがとう。

やっとここに居合わせることができたよ。」

「…礼はいい、どういうことか説明しろ。」

「簡単な話さ、彼女をおびき出すために餌を君たちに用意してもらった、それだけのことさ。

餌があれば、どんな偏食家でも喰いつくだろうと思ってね。」

「…つまり、俺たちは完全に利用されてたってわけか。」

「チッ……悪知恵だけは一流だな…」

 

 

しかし榊はユウヤ達の言葉には反応せず、少女の方へと歩み寄る。

 

 

「いやぁ、ずっとお預けにして悪かったね。

キミも、一緒に来てくれるね?」

 

 

榊の誘いにしばらく考える少女、そしてしばらくして

 

 

「イタダキマス!」

「……あぁ?」

「イタダキ……マシタ?」

 

 

 

おそらく挨拶なのだろう、そう答え頷く少女。

それを確認した榊はそのまま歩いていく。

 

 

その後、榊の部屋にて

 

 

「ええぇ!?」

 

 

部屋から驚愕に満ちた声が響く。

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 



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A,アラガミ

ここは榊の部屋、中には第一部隊の面々が驚愕の表情を浮かべていた。

 

 

「この子が」

「人間じゃなくて」

「実は」

「アラガミの」

「少女!?」

「…へぇ……」

「………」

 

 

上からアスカ、クロナ、サクヤ、コウタ、アリサ、ユウヤ、ソーマの順に叫んでいた。

漫画のような流れだがスルーしよう。

 

 

「オナカ…スイ…タ…」

「いっ!?」

「大丈夫だよ、この子は私たち人間を捕食対象とみてないから安心しなさい。」

 

 

榊の一言に少し安心の表情を浮かべる。しかし、警戒は怠らない。

 

 

「知ってると思うが、アラガミはみな『偏食』という特性を有しているんだ。」

「…アラガミが個体独自に持っている傾向…

私たちの神機にも利用されてる性質ですね。」

「その通りだよ。

まあ、君たち神機使いからすれば常識だね。」

「…知ってた?」

「…当たり前だ」

「えっ、わたし知らなかった…」

「………はぁ…」

 

 

コウタとアスカが馬鹿すぎてついため息をついてしまう。それでも榊は話を続ける。

 

 

「このアラガミの偏食は、より高次なアラガミに対して向けられている。」

「つまり、我々が捕食されないのはそのため…ですか?」

「その通り、誤解されがちだが、アラガミは他の生物の特徴を持って誕生するのではない。

あれは捕食を通して、凄まじいスピードで進化しているようなものなんだ。

結果としてごく短い期間に多種多様な進化の可能性が凝縮される…それがアラガミという存在だ。」

 

 

榊のわけのわからない話にちんぷんかんぷんなコウタとアスカ。すると、ここでサクヤが

 

 

「…つまりこの子は…」

「うん、これは我々と同じ『とりあえず進化の袋小路』に迷い込んだものと言ったところかな。

結果、この子はヒトに進化したアラガミだよ。」

「…人間に近い…アラガミ…だと…?」

「そう、先ほど調べてみたんだが、頭部神経節に当たる部分がまるで人間の脳のように機能しているようでね。

だから、学習能力がものすごく高いんだ…実に興味深いね。」

 

 

ついにはソファに座って項垂れる二人、まったくわけがわからないようだ。

 

 

「では最後に…このことは私と、第一部隊だけの秘密にしてほしい…いいね?」

「ですが、教官と支部長には報告をした方が…」

「サクヤ君…君はゴッドイーター、そんな君がアナグラに、「アラガミをつれて来ました」

などと報告するつもりかい?」

「っ、それは…しかし、いったい何のために?」

「言ったじゃないか、これは貴重なケースのサンプルなんだ、あくまで私自身としての研究対象に過ぎない。」

「でもいつかばれるんじゃ…」

「大丈夫、この部屋は他の区画とは通信インフラ、それにセキュリティ関係も独立させてある。」

 

 

そこまで言って榊は一度サクヤの耳に小さく語りかける。

 

 

「―――――――それに、君だって今やってる活動に、余計なツッコミを入れられたくはないだろう?」

「っ!」

 

 

サクヤにしか聞こえないつもりで言ったはずが、並みのゴッドイーター以上の聴力を持つユウヤと

ソーマにははっきりと聞き取れた。

しかし、それが何の意味か全く理解できなかった。

 

 

「そう!我々はすでに共犯なんだ、覚えていてくれ。」

「……たしかにそうだな。」

「それと、このことも仲良くしてやってほしいね。

ソーマ、君も……よろしく頼むよ?」

「ふざけるな!

いくら人間に近かろうと……化け物に変わりはない」

 

 

そういって榊の部屋を出ていくソーマ。

しかし、今の彼から苛立ちなどは感じられなかった。

 

 

「…でも、仲良くなるといってもどうすれば…」

「たしかにそうだよな、なんせ相手はアラガミだしな……」

 

 

いつの間にか復活したコウタやアスカも一緒に考えていた。

そんな中、一人少女の方に近づいていく青年がいた。

 

 

「………」

「ちょっ、ユウヤ、何してるんですか!?危ないですよ!?」

「なんでだよ、さっき博士が言ってくれただろ、俺たちが襲われる心配はないって。」

「そ、それはそうですけど……」

 

 

そのままユウヤは右手を少女の頭の上まで伸ばし、頭を撫でる。

 

 

「俺はユウヤだ、よろしくな。」

「……ゆう…や…?」

「そう、ユウヤだ。」

「………」

 

 

すると少女は俯いて考え始める。

そして少しして前を向いて笑顔でユウヤに飛びつく。

 

 

「ゆうやーーーー!!」

「うおっ、いきなり来たら吃驚するだろ?」

「うー、ゴチソウサマ?」

「いや、その場合は多分、ごめんなさいだろ?」

「……ゴメンナサイ?」

「そうだ、偉いぞー。」

 

 

そういってまた頭を撫でるユウヤ、そしてうれしそうに笑顔を見せる少女。

 

 

「ほら、この子、危険じゃないだろ?みんな考え過ぎだぞ。」

「というわけだ、みんな、今後、この子のことは任せたよ。

ああ、あとユウヤ君、君はここに残ってくれ、少し話したいことがある。」

「……わかりました。」

 

 

少し警戒した声で返すユウヤ。そのあとほかの面々は部屋を後にする。

 

 

今、部屋にはユウヤ、榊、アラガミの少女の三人がいる。

 

 

緊迫した雰囲気が場の空気を凍らせる。

 

 

「……博士、話しっていうのは?」

 

 

「……君はなぜ、この子に警戒心を持たない?」

 

 

「…この子が俺たちに危害を加えないから…ですかね。」

 

 

「ふむ…確かにそれもあるかもしれない。

……でも、あるんだろう?それ以外の理由が。」

 

 

「………」

 

 

ユウヤは押し黙る。榊はこの後衝撃の一言を口にする。

 

 

 

 

 

 

 

「―――――――――君はいつから、アラガミになっていたんだい?」

 

 

 

 

 

 

あまりにも衝撃の一言だった。

もし、ここにほかのメンバーがいたら腰を抜かしているだろう。

 

 

「……いつから気づいていたんですか?」

 

 

「質問をしているのはこっちだよ、で、どうなんだい?」

 

 

ユウヤは黙り込む、榊は楽しそうで興味津々な表情で次の言葉を待つ。

 

 

「……たしか、七つの時でした。」

 

 

「へぇ……そんなに早かったのかい。

でも、今まで力が出なかったのは君自身が抑えていたのかい?」

 

 

「…はい、抑えが利かなくなったのは俺自身が死にかけた時でした。」

 

 

「ふむ……つまり君のその力は君が窮地に立たされた時に目覚める、そういったところだね。」

 

 

「多分…そうです。」

 

 

的を射た発言を次々と発していく榊、その時部屋の扉が大きな音を立てて開いた。

 

 

「……おい、てめぇ…さっきの話は本当か…?」

 

 

「…ソーマ、やっぱいたのか…」

 

 

「おやソーマ、盗み聞きはよくないな。」

 

 

「っ、俺の質問に答えろ!!」

 

 

「……ああ、本当だ。」

 

 

「てめぇ!なんで今まで隠してやがった!あいつらはお前のことを心配してんだぞ!!」

 

 

「…あの時、あいつらに言って俺やあいつらに得があったか?」

 

 

「っ!……」

 

 

そこでソーマは勢いよくつかんだユウヤの胸ぐらを放しユウヤから離れる。

 

 

今の彼はソーマも引かせてしまうほどの威圧を放っていた。

 

 

「あそこでこのことを言ったら余計に混乱を招いただけだ、違うか?」

 

 

「…確かにユウヤ君の言う通りだ、とりあえず、このことは私たちだけの秘密にしておこう。」

 

 

知ってしまったユウヤの正体、しかしソーマはユウヤに対して恐怖など微塵もなくあったものはただ一つ。

 

 

そう、喜びだった。

 

 

この場面でこんな感情が芽生えるのはおかしい、けれどソーマは嬉しかった。

 

 

自分に似た存在が現れたのだから、しかも、その存在が身近にいたのだから……

 

 

 

 

 

 

翌日………

 

 

 

 

 

 

相変わらず食堂は混んでいる。

 

 

アスカたちお馴染みの三人は珍しく早起きをしてユウヤと朝食に行こうとしていた。

結果、ユウヤは部屋にいなかったので仕方なく三人で行くことになった。

まあ、これが彼女たちの日課である。

 

 

食堂に着いた三人は椅子に座って誰かと楽しそうに話しながら食事をしている姿を発見する。

他にいたのはコウタと…人影にいてはっきりとは見えなかった。

 

 

「ユウヤ、おはよう!」

「おはよう、ユウヤ。」

「おはようございます!ユウヤ!」

「ん?あっ、おはよう、最近三人そろってること多いな。」

「まあ…いろいろあるの………ええぇ!!ソ、ソーマがいる!」

「……なんだその言い方は。」

「いや…珍しいなーって思って。」

 

 

何と彼らといたのはソーマだった、驚きのあまりアスカやアリサも驚きの表情。

 

 

この前の一件でソーマとの仲を深めることができたユウヤ。

 

 

(…まずは、第一関門突破…てところか…)

 

 

食事をしつつクロナ達とソーマの会話を楽しそうに眺めるユウヤであった。

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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ユウヤは大変!

ユウヤの非番は大変である。


しかし、隊長としてではない。


そう、一人の青年としてである………


「………何もすることがないな…」

 

 

ここはユウヤの自室、彼は毎朝早く起き、朝食を食べるところから始まる。

 

 

本来ならこの後、早朝の任務があるはずなのだがこの日は非番で上記の言葉を発していた。

 

 

「……掃除でもするか…」

 

 

彼は非番の日は必ずと言っていいほど自分の部屋を掃除するほどの潔癖症であった。

 

 

もともとは彼自身、相当ガサツで多少いい加減な性格だったはずがあるきっかけがあって180度

変わってしまった。

 

 

「…それもこれも、ティアのおかげか……」

 

 

そこで、つい妹のことを思い出してしまう。

 

 

しかし、実際に血のつながった妹ではなかった。

 

 

そして、ユウヤはあの時のことを思い出す。

 

 

(…あれは…ほんとにティア…だったのか…?)

 

 

自らが暴走したあの日、自分の前に現れたユウヤを『お兄ちゃん』と言ったあのアラガミ。

 

 

知能があるアラガミなのか、様々な考えが浮かぶ中ユウヤはそん考えを頭の中にしまいこんだ。

 

 

「……俺が考えても無駄か…」

 

 

そんな独り言をつぶやきながらきれいに掃除した部屋を後にした。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

掃除を終え、自室を後にしたユウヤはエントランスへと向かっていた。

 

 

その途中に死んだ魚のような顔をしたコウタとタツミ、その他男性神機使いが前方から歩いてきた。

 

 

「よう、コウタ、タツミ、どうしたお前ら、そんな死んだ魚の顔して。」

「ああ…ユウヤか………ん?ユウヤ?…あっ!お前いた!!てめぇ…羨ましいぜコノヤロー!!」

「…は?何が、俺まだ何もしてないぞ。」

「だったらエントランスに行ってみやがれバカやろー!!チクショーー!!」

 

 

そういって去って行った死んだ魚たち……おっと失礼。

 

 

「…なんだったんだよ…あれ…」

 

 

そして、エントランスに着いたユウヤはその場にいた人々を見てあ然とする。

 

 

そこにいたのは、ユウヤを待っていた女性神機使いが大勢いた。

 

 

本来、普通ならここで死んだ(ryの言っていたことがわかる。

 

 

しかし、それは普通の人ならばの話である。

 

 

ユウヤはそういったことにとことん疎いため、いまだに魚たちの言っていたことが理解できなかった。

 

 

「…随分多いな、なんかあったのか?」

 

 

気になって近くにいた傍観者に聞いてみた。

 

 

「なあ、この騒ぎは何なんだ?」

「……あ、はい、みんなユウヤさんを待ってるんだそうです。

誰かが今日非番という情報をキャッチしたらしくて。」

「え?俺を?なんでだ…」

「はい、ユウヤさんを………あっ!ユウヤさん!!い、いつの間に!?」

「いつって、最初から―――――――」

 

 

そこまで言ってユウヤはその場の空気の異変に気付く。

 

 

彼の名前が浮上した途端、ユウヤは異常なほどの視線を感じ取る。

 

 

(……なんだ…この視線は…)

 

 

恐る恐る周りを見るとそこには先ほどまでバラバラに自分を探していた女性たちがユウヤの方をじっと見つめていた。

 

 

すると、一人の少女がユウヤの前に現れ手に持っていたものを差し出してきた。

 

 

「あ、あの!ユウヤさん、これ…その…よかったらどうぞ!!」

「えっ?これ、俺にくれるのか?」

「は、はい!もちろんです!!

…あっ、もしかして…迷惑ですか?」

「そんなわけないよ、ありがとう。」

 

 

彼の感謝を聞いてめっちゃうれしそうな表情をした少女。

 

 

「あの!ユウヤさん、私も!これ!!」

 

 

最初の少女で勢いがついたのかほかにいた神機使い達も次から次に持っていたものを渡していく。

 

 

(おいおい・・・こりゃ、随分な量になりそうだな…)

 

 

時は流れユウヤに渡し終えた女性たちは嬉しそうにその場を去って行った。

 

 

ユウヤは今、もらったものを自室へと運んでいるところだった。

 

 

「…ふぅ…まあこんなもんか…」

 

 

無事運び終わり、安定のきれいに置き一段落つくユウヤ。

 

 

相変わらずなぜ彼女たちが喜んでいたのがまったく理解できたいなかった。

 

 

そして、彼は好物の冷やしカレードリンクを飲もうと冷蔵庫に向かう。

 

 

しかしつい先日切らしていたことを思い出した。

 

 

仕方なく彼は自販機のところに行くため、また部屋を後にする。

 

 

(……なんだ…この話声…?)

 

 

部屋を出て少し、彼はある話声を耳にする。

 

 

確かに彼の聴力は並みのゴッドイーターを軽く超えている。

 

 

しかし、彼はどうでもいい話は完全にスルーしていた。

 

 

けれど、今聞いた話の中に自分の名前が出てしまったため、つい聞いてしまった。

 

 

「…こっちの方だな…」

 

 

気が付くと、彼は自販機に向かうことを忘れいつの間にか声のする方に向かっていた。

 

 

そして、ある部屋の前に着く。

 

 

それとほぼ同時に部屋の扉が開き中から数人の女性神機使いが出て来た。

 

 

「はっ!ユウヤ…さん…今の話、聞いてました…?」

「…何が?」

「えっ、あっいえ!聞いてないならいいんです、それでは。」

(……そういえば、冷やしカレードリンク忘れてた…)

 

 

そう思い女性たちと別れ自販機に向かっていったユウヤ。

 

 

女性たちの話声が聞こえたが割愛。

 

 

そして、さらに彼を遮るものが現れる。

 

 

「………博士…?」

 

 

通信機が鳴る、少し苛立ちを見せながら通信機に出るユウヤ。

 

 

「…もしもし…」

『おや、随分ご立腹のようだね』

「…気にしないでください、で、話しはなんですか?」

『うん、実はあの子について少し話そうと思ってね』

「…わかりました…」

 

 

あの子のためなら仕方ない、そう自分に言い聞かせ博士の部屋へと向かっていくユウヤ。

 

 

その時の彼は飲み物のことなどすっかり忘れていた。

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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シオ!

突然榊に呼ばれたユウヤは博士の部屋に向かう。


そこには自分以外の第一部隊の面々がいた………


ここは榊の部屋。

 

 

そこには第一部隊、と言ってもソーマの姿が見当たらない。

それに榊、アラガミの少女がいた。

 

 

「……博士、話しってなんですか?」

「うん、実はこの子に名前を付けてもらいたくて。」

「…それなら博士がつければいいんじゃないですか。」

「私はそういうのは苦手でね、だから君たちに頼んでいるんだ。

それにいつまでも「この子」と呼ぶのもかわいそうだからね。」

 

 

しかし、ユウヤはさっきから不機嫌なままだ。

冷やしカレードリンクが飲めなかったのもあるが、彼の性格を考えると、これだけ散らかった部屋にいると掃除をしないと気が済まないのであった。

そのことは他のメンバーもわかっていることではあるが、不機嫌な彼の雰囲気は近寄りがたいものであった。

 

 

「…ふっふっふっ、オレこういうの得意なんだ、絶対にいい名前を考えてやる。」

 

 

そういって考え込むコウタ、みんながコウタの言葉を待っていると…

何かひらめいたような顔をして、自身満々に名前を言う。

 

 

「――――――――ノラミ!うん、絶対いいって!!」

 

 

その場の空気が凍りつく。

不機嫌だったユウヤもさすがに引いていた。

みんなの意見がおそらく一致したことを理解はしていた他のメンバーだが口には出さないようにしていたはずなのだが…

 

 

 

「………ドン引きです…」

 

 

アリサは相変わらずコウタに冷たい言葉をかける。

 

 

「なんでだよ!絶対いいって!なあ、ユウヤはいいよな?」

「……いや、無理だろ。」

「なっ!じゃあアスカは?絶対いいよな?」

「絶対いや!」

「じゃ、じゃあクロナは?」

「うーん、…さすがにないかな…」

「……サクヤさんは?」

「…ノーコメントよ。」

「…博士…」

「コウタ君は考えないでくれ。」

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!もとはと言えば博士が俺たちに頼むから!!」

 

 

藤木コウタ、みんなの批判を受け撃沈、その場で膝をつく。

 

 

「…ほかに何かありませんか?」

「ちょっ!お前何さらっとスルーしてんだよ!!」

「絶対にノラミは嫌です!すでにみんなも嫌だと言ってるじゃありませんか!」

「じゃあお前はなんかいい名前あるのか!?」

「う……なんで私がそんな…」

「はっはーん、さては自分のセンスの無さにビビってるな?」

「なっ、そ、そんなわけないじゃないですか!え、えっとですね……」

(…ないんだな…)

 

 

明らかにごまかそうとしているアリサに対してみんなの意見が一致する。

そしてどういうわけか矛先がユウヤの方に飛んでくる。

 

 

「そ、そうだ、ユウヤは何かいい名前ありますか?」

「え?俺か…つーかこういうの自信ないんだけどな…」

「大丈夫ですよ!少なくともコウタのやつより絶対マシです!」

「おま、そんな言い方ないだろ!」

 

 

そんな会話を無視して考えこむユウヤ。

そして、思いついて言うと同時に少女が同じことを口にした。

 

 

 

 

 

「―――――――――――――シオ?」

 

 

 

「―――――――――――――シオ!」

 

 

 

それは、同時に発せられていた。

 

 

「……ユウヤ、それどういう意味?」

 

 

「綴りはchiot、意味はフランスの言葉で「子犬」を意味するんだ……

でも、何でこの子まで?」

 

 

「へえ……いいんじゃないかな。」

 

 

「……ねえ、あなたもしかして、誰かにその名前言われたりした?」

 

 

「うーん、そーまに言うなって言われたから言わない!」

 

 

その言葉を聞いてみんなは納得した表情になる。

 

 

「ソーマが…ねえ…」

「あのソーマが…」

「あり得ねえ…ソーマが…」

「ソーマらしいわね…」

「ソーマ、実はいいとこあるんだね…」

 

 

ソーマがいないせいかみんな、思い思いの言葉を口にする。

 

 

その時、扉の向こうから離れていく足音がユウヤにははっきりと聞こえる。

 

 

(…まったく、あいつは…)

 

 

すると、あきらめの悪いコウタが少女にまだノラミを進めている。

 

 

「なあ…やっぱノラミの方がいいんじゃね?」

 

 

「やだ!シオがいい!」

 

 

「コウタ、あきらめろ。」

 

 

「そうだよ、それに私も嫌だし。」

 

 

「わたしも。」

 

 

「絶対嫌です。」

 

 

「そうね、ノラミはいやね。」

 

 

コウタ、二度目の撃沈。

 

 

「チキショーーーーーーーーーーーー!!」

 

 

叫びながらコウタは部屋を飛び出していった。

 

 

「さてと…みんなご苦労様、すまないね。」

「…博士がコウタをスルーした…」

「そんじゃ、これからよろしくな、シオ。」

「…よろしく…?」

 

 

言葉の意味が分からず首をかしげる。

 

 

それを見た面々は思わず苦笑をしてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所が変わりここはベテラン区画の廊下。

 

 

そこには一人の青年が機嫌が悪そうに自室に向かっていた。

 

 

(…クソ…あいつ、言うなって言ったのに…)

 

 

青年、ソーマは心の中で悪態をはく。すると後ろから呼び止められる。

 

 

「おーい、ソーマ、こんなとこにいたのか、さっき博士に呼ばれたのになんで来なかったんだよ?」

「…いいだろ、別に……苦手なんだよ、博士が…」

「…なるほどな。」

 

 

つい同意してしまうユウヤ。

 

 

仕方がなかった、榊はユウヤの正体を知ってからというもののさまざまな実験を行おうとしていたのだ。

 

 

「…そういえばさ、あの子の名前が決まったんだよ。」

「………そうか」

「なんだと思う?」

「……さあな、俺には関係ねえ」

 

 

あくまでとぼけるソーマ、するとユウヤは右ポケットから録音機のようなものを取出し再生する。

 

 

『うーん、そーまに言うなって言われたから言わない!』

「なっ!」

「…これ聴いてもまだとぼけるか?」

「………てめえ、ろくな死に方しねえぞ」

「認めるんだな?」

「………チッ」

 

 

舌打ちをし、そのまま早足で自室に向かっていったソーマ。

 

 

(…素直じゃねえんだから…)

 

 

その時のソーマの顔は少し嬉しそうにユウヤは見えた。

 

 

 

 

 

 

続く………



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ユウヤの過去

思い出、すなわち過去。


人は誰しも楽しい思い出ばかり残っているわけではない。


こんな世界でそんな人間ばかりではない。


そう、ユウヤもその一人だった。


「………はぁ……」

 

 

ここはベテラン区画にあるユウヤの部屋の前。

そこに大きく深呼吸をして心を落ち着かせている少女がいた。

 

 

彼女はクロナ、ユウヤに想いを寄せている一人だ。

しかし、どうやら今回はそんなメルヘンチックな様子ではないようだ。

 

 

「大丈夫……かな…?」

 

 

彼女は何かを心配している様子で部屋のドアをノックする。

 

 

「………」

「…あれ?」

 

 

思わず変に思う。

なぜなら彼は今日非番だ、ユウヤは非番の時はよっぽどのことがない限り部屋からは出ず一日中部屋の掃除をしているからだ。

 

 

仕方なくあきらめようと、その場を後にしようとすると前の方から二人の少女が歩いてきた。

 

 

「クロナ、どうしたの、そんな暗い顔して。」

「アリサ…アスカ…」

「…もしかして、ユウヤがいなくて…とかですか?」

 

 

二人はアスカとアリサ、彼女たちもまたユウヤに想いを寄せているのである。

 

 

「まあ……そうだけどそうじゃない…感じ?」

「…それどういう意味?」

「簡単に言うと―――――――」

 

 

そこまで言うとクロナは後ろに誰かの気配を感じた。

 

 

「……お前ら、そろいもそろって何してる。ここはユウヤの部屋だぞ」

 

 

そこにいたのはソーマだった。

なぜここにソーマがいるのか気になって聞いてみるアリサ。

 

 

「ソーマこそどうしたんですか、あなたもユウヤに用ですか?」

「…別に、ただ散歩してただけだ」

「そうですか…ところで、ユウヤどこに行ったか知りませんか?」

「さあな、俺が知るか」

 

 

そういって、ソーマは自分の部屋に向かっていった。

相変わらずの様子だが、少しだけいつもと違った。

 

 

いつもの彼なら「……知るか」の一点張りのはずがアリサとの会話が成立していた。

 

 

「…なんだかソーマ、前より少しやさしくなったね。」

「それもこれも、シオちゃんのおかげじゃないですか?」

「多分そうだよ、ううん、絶対!」

 

 

そうこうしているとエレベーターが開き一人の青年が出てくる。

 

 

「あっ・・・ユウヤ…」

「えっ!ユウヤ!?どこ、どこ!」

「そんなに慌てなくても、ほらあそこ、エレベーター。」

 

 

そちらを見るとたしかにユウヤがいた。

よく見ると、両手に何か持っていた。

 

 

しかし、そんなこと気にせずユウヤに駆け寄ろうとする三人だったが思わず足を止める。

 

 

「あの!ユウヤさん、よかったらこれ…」

「えっ?これ俺にくれるのか?」

 

 

彼を待っていた三人ほどの女性神機使い達に囲まれ何かを渡されていた。

よく見ると彼女たちが作った手作りのお菓子だった。

そしてさらによく見ると、彼の手にはもとから受け取っていた複数の手作りお菓子を持っていた。

 

 

ここで彼女たちは理解する。

 

 

彼は用事がありエントランスに向かいそのあと、部屋に向かう途中、お菓子を受け取ったというわけだ。

 

 

少しして、渡し終えた女性たちはその場を去る。

その表情はとても笑顔に満ち溢れていた。

 

 

「ユウヤは相変わらず人気者だね。」

「…いつも思うんだがそれはどういう意味だ?」

「今行った通りだよ。」

「だからなんなんだよ……」

 

 

しかしクロナはそれ以上何も言わなかった。

ここで彼女は当初の目的を話す。

 

 

「あの…ユウヤ、話しがあるんだけど…ちょっとだけ時間ある?」

「ああ、いいぞ。」

「クロナ!それってもしかして……もしかしてですか!」

「ううん、そんなんじゃないよ。

もっとまじめな話、そうだ、二人も来て、二人だけっていうのもなんか…」

「うん、いいよ。」

「はい、ところでどこで話を?」

「できれば私の部屋で…と、言いたいところだけど、今ものすごく散らかってるから…」

 

 

クロナは意外と掃除が苦手であった。

しかし、それはアリサやアスカにも言えることであった。

 

 

「…じゃあ俺の部屋来るか?ちょうどすぐそこだしな。」

「…いいの?」

「ああ、もちろん。」

「じゃあ…お願いするね。」

 

 

そういって四人はユウヤの部屋に向かった。

 

 

「そこらへんに座ってていいぞ、今お茶入れるから。」

「お邪魔しまー……うわ、すごいきれい…」

 

 

彼が潔癖だというのは知っていたがここまでとは、そう思うと少し自分の部屋のことを思い出し恥ずかしくなる三人。

 

 

ふと目をやると彼の机の上にものすごい量のお菓子が置かれていた。

 

 

「え……ユウヤ、このお菓子は…?」

「ああそれか、この前いろんな子たちからもらってさ、今日はリッカに頼んでたそれを入れてもらう

箱を作ってもらったんだよ。」

 

 

そういってユウヤは入れたての紅茶を三人の前に出す。

三人はそれを口に含み思わず驚く。

 

 

「おいしい…!ユウヤ紅茶入れるのうまいね。」

「まあ、昔妹によく言われたたんだけどさ。」

 

 

妹、その単語を聞いてクロナは何か思い出す。

そして持っていた容器を机に置く。

 

 

「どうしたクロナ、どっか具合でも悪いのか?」

「ううん、違うの。

……あのねユウヤ、聞きたいことがあるの。」

「……なんだ?」

 

 

場の空気が重くなる。

真剣な表情でクロナの言葉を待つユウヤ。

他の二人もカップを置き緊張感を出す。

 

 

「覚えてる?私たちで行った初めての任務。」

「…ああ、もちろん覚えてるよ。」

「あの時現れた見たことないアラガミは?」

「っ!……ああ、覚えてる。」

 

 

ユウヤの表情が引きつる。

クロナもあまりあの日のことを思い出したくないし、思い出させたくもない。

でもそれでは前に進むことができない、だからクロナは決断したのだ。

 

 

「あのアラガミ……前にあってるでしょ?」

「……ああ。」

「…その…話してもらえないかな。

……あのアラガミと何があったのか。」

 

 

この時ユウヤは、正直話したくないと思った。

彼とて昔のつらい過去を思い出して平気でいられるわけがない。

しかし、それはクロナも同じ、彼女は覚悟を決めここに来たのに自分が話さないわけにはいかない。

 

 

「ああ、いいよ。」

「……ありがとう、それとごめんね?」

「いいよ、気にしないでくれ。」

 

 

そういってユウヤは深く深呼吸をして話し出す。

 

 

 

 

 

「あの日―――――――――――」

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 




次はユウヤの昔について書いていこうと思います。


なので本編はお休みです。


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ユウヤの過去~家族~

覚悟を決めてユウヤに彼自身に過去を聞いたクロナ。


そして今、ユウヤの過去が明かされる………


「ユウヤー、おきなさーい、もう朝よー。」

 

 

ここは小さな集落、ここには百人もいない人が平和に暮らしていた。

 

 

今の声はユウヤの母、神狩ミツキである。

 

 

すべてを見通すかのような赤い瞳、きれいな顔立ちで女性ながら身長が180ぐらいはありそうだ。

 

 

「……はーい。」

 

 

いかにも眠っていましたという声が壁の向こうから聞こえる。

 

 

少しして向こうから一人の少年とその少年に担がれて眠っている少女がいた。

 

 

少年は幼いユウヤ、このころは12歳である。

 

 

しかし、歳に見合わない背丈ですでに160はあった。

 

 

「もう……ティア、起きなさい、もう朝よ?」

 

 

「……もう少し…寝る…」

 

 

「いや、さすがにだめだろ。」

 

 

「…はーい…」

 

 

ユウヤに注意され立って大きくあくびをする。

 

 

「あ~ぁ、おはよう、お母さん、お兄ちゃん。」

 

 

「おはよう、ティア。」

 

 

「おはよう、早く朝ご飯食べなさい。」

 

 

そして二人はパンが置かれている机の前に座りパンをかじる。

 

 

ティアはユウヤの本当の妹ではない。

 

 

四年ほど前、村の外にいたティアをミツキが発見しこの家に引き取ったのだ。

 

 

食事を終えたユウヤは少し離れた棚に向かいそこに立てかけられている写真に挨拶をする。

 

 

「父さん、おはよう。」

 

 

写真に写っているのは楽しそうに肩車されている幼きユウヤ。

 

 

そして、その肩車をしている男性。

 

 

この男性がユウヤとティアの父、ミツキの夫の神狩ジンである。

 

 

力強い黒い瞳、逆立った髪に軽く180はある身長。

 

 

そう、ユウヤのオッドアイは両親から受け継がれたものである。

 

 

今背丈が高いのも両親から受け継がれたもの、髪は父からのものである。

 

 

この時のユウヤにはすでにアラガミの力が宿っていた。

 

 

しかし、ミツキはそのことを知らない。

 

 

当たり前だ、知られれば殺されてしまうからだ。

 

 

ティアはこのことを知っていた、というより、たまたま知ってしまったのだ。

 

 

写真に挨拶し終わった二人はいつも通り外に出て散歩に向かう。

 

 

外はいつも通り平和な様子だった。

 

 

元気に走り回る子供たち、楽しそうに会話をしている大人たち。

 

 

さまざまな人がこの集落では暮らしていた。

 

 

「ねえお兄ちゃん、今日はどこに行くの?」

 

 

「そうだな……じゃあ、また行くか?」

 

 

「うん!行く!」

 

 

そういって彼らは村の外に向かっていく。

 

 

本来、ここの集落は9歳以下の子供は外に出るのを禁止にしていた。

 

 

しかし、10歳以上の子供がいれば出てもいいという危険な決まりができていた。

 

 

「そんじゃ、いつものとこ行くか。」

 

 

「うん!」

 

 

彼らは村の外に誰も知らない、もちろんアラガミすら知らない秘密の場所にこもっていた。

 

 

ちなみにこの場所を見つけたのはユウヤである。

 

 

このころから彼の観察力は相当のものであった。

 

 

「ところでお兄ちゃん、どうしてアラガミは危険なの?」

 

 

「ん?それはな、俺たち人間はアラガミの餌なんだよ。」

 

 

「…餌って?」

 

 

「えっ、そうだなー…要するに、俺たちはアラガミのご飯なんだよ。」

 

 

「なるほどー。」

 

 

二人はいつも通り楽しく会話をしていた。

 

 

 

 

 

――――――――この時、ユウヤは何かを察知する。

 

 

「?お兄ちゃん、どうしたの?」

 

 

「…ティアはここで待ってろ。」

 

 

「えっ、何で――――――――――」

 

 

そこまで言うとユウヤは村の方へと走っていく。

 

 

彼は何もできないとわかっていた。

 

 

だがユウヤは昔から正義感が強かった、そのためか小さいころから父と同じゴッドイーターになりたいと思っていた。

 

 

しかし、ミツキはそれを反対していた。

 

 

なぜなら、ジンはもともとゴッドイーターであり、すでに戦死していた。

 

 

そのためユウヤのことはひどく反対していた。

 

 

そして村の前まで来た彼は驚愕する。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこにいたのは、かつて自分にこの力を与えた張本人のアラガミが立っていた。

 

 

アラガミはそれに気づいて振り向く。

 

 

「ギガアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

耳が裂けそうなほどの雄叫びをあげる。

 

 

すると、先ほどまで何も異変がなかったユウヤの様子がおかしい。

 

 

突然頭を押さえ、地面に膝をつく。

 

 

先ほどの雄叫びを聞いて出て来た集落の住人達。

 

 

勿論、その中にミツキの姿もある。

 

 

そして住人達は驚愕の表情を浮かべる。

 

 

無論、目の前にいたアラガミに対してだがさらに驚くべき存在が。

 

 

それは、先ほどの声を聴き頭を抱え膝をついているユウヤだった。

 

 

彼の両腕、両足はすでに人間ではない何か別のものへと変化していた。

 

 

「…ユウ……ヤ…?」

 

 

「に……げて……」

 

 

かろうじて自分の意識を保って放った言葉だったが住人達は行動に移すことなく立ち尽くしていた。

 

 

それから少ししてティアが現れる。

 

 

「お母さん!みんな!早く逃げて!」

 

 

しかし、彼女の声は今のみんなには届かなかった。

 

 

「ガアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

叫びが聞こえ耳を押さえながらもそちらの方を見る。

 

 

視線の先にいたのは一言で言い表すのなら、悪魔。

 

 

そして、ユウヤはアラガミの方に飛び掛かるがまたしてもあの叫びを放つ。

 

 

「ギガアァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

その叫びを聞いて彼はまた膝をついて倒れこむ。

 

 

アラガミはその場を去る。

 

 

少ししてユウヤが目を覚ます。

 

 

最初は異変に感じなかったがすぐに全員の視線がこちらに向いていることに気付く。

 

 

みんなの視線は今までのように優しいものではなく、危険なものを見るときのようなものだった。

 

 

「…母……さん…」

 

 

泣くような思いでミツキによっていくユウヤ。

 

 

しかし、そんな彼を絶望させるような一言が帰ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――――寄るな、この化け物が!」

 

 

「―――――――――え……?」

 

 

一瞬、理解できなかった。

 

 

今日、さっきまで優しく接してくれていた母の冷たい言葉。

 

 

それを理解したとき、彼の頬に涙がつたっていた。

 

 

「…そ、そうだ!来るな!化け物!」

 

 

ミツキの言葉に便乗してユウヤに非難を浴びせる。

 

 

「そうだ!なんでお前みたいな化け物が生きてるんだ!」

 

 

「とっとと死んじまえ!この化け物!」

 

 

こうして彼の人生は地獄に変わっていった。

 

 

もうここにはいられない、そう思い急いでその場を去る。

 

 

そんな彼についていく一人の少女の姿があった。

 

 

「ティア!行っちゃダメ!あれは化け物よ!」

 

 

「嫌!お兄ちゃんはお兄ちゃんだもん!!」

 

 

そう言い放ちユウヤの後を追うティア。

 

 

そして彼らのこういう生活が二年ほど続いた。

 

 

そして悲劇が起こる。

 

 

二年後、ティアはあるアラガミによって殺された。

 

 

そのアラガミとはほかでもない、自分にこんな力を与えたあのアラガミだった。

 

 

あの日、彼は誓った。

 

 

この世からアラガミをすべて消し去ると。

 

 

三年後、彼は極東の新型ゴッドイーターとなった。

 

 

 

 

 

 

続く………

 



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ユウヤの過去~アラガミ~

明かされるユウヤの過去。


そんな中、悪知恵の働くあの男が現れる………


「……と、まあこんな感じだな。」

「………」

 

 

淡々と昔のことを話すユウヤに対して三人は、あまりにも彼がいつも通りに話したため言葉を失う。

 

 

「…で、そのあとは?」

「そのあとは――――――――――――」

 

 

そこまで言うとターミナルにメールが届く。

 

 

「…メールか、発信者は……え、博士?」

 

 

以外過ぎる人物に思わず声にだしてしまう、それを聞いて三人もユウヤの方に寄っていく。

 

 

「ところで、どんな内容なんですか?」

「さあな、博士のことだ、大したことないと思うぞ。」

 

 

そういってメールの内容を確認するユウヤ。

 

 

すると、さっきの彼とは違い、目つきが鋭くなり一瞬固まる。

―――――――――それから少しして。

 

 

「…お前ら、博士のとこ行くぞ。」

「えっ、いきなりどうしたの?」

「いいから行くぞ。」

 

 

その時のユウヤの声は非常に低く、重い一言に聞こえた。

 

 

そのまま部屋を後にして、榊の部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…博士、説明してもらえますか?なぜこんなことをしたんですか。」

 

 

「…言うことがあるのは君の方じゃないのかい?」

 

 

ここは榊の研究室、怒りが含まれたユウヤの問いに、榊は特に気にすることなく質問をする。

 

 

今、この部屋には第一部隊全員がいた。

 

 

榊の悪知恵でユウヤの部屋のターミナルに録音できるシステムを搭載させていたらしく、彼女たちに話していた内容すべて、聞かれていたらしい。

 

 

「…で、話す気にはなったかい?」

 

 

「……全部聞かれた以上、話すしかないでしょう。」

 

 

そういってユウヤは一度深呼吸をして、彼らにすべてを打ち明ける。

 

 

 

 

 

「…これで全部だ。」

 

 

部屋が静まりかえる。

 

 

こんなにも重たくなる様な話を彼は淡々と述べ平然としていられるのがあり得ないと思う。

 

 

それ以前にこの話が実話で目の前のユウヤが経験してると考えるとなおさらだった。

 

 

「…なあユウヤ、どうして話してくれなかったんだ?」

 

 

「………」

 

 

「オレたち仲間だろ!?お前が困ってたら相談に乗るし、助けになる!だからなんかあったら話せ!

約束だぞ!」

 

 

「コウタの言う通りよ、あなたには私たちがいるわ、何かあったら遠慮なく言ってちょうだい。」

 

 

「…コウタ…サクヤさん…」

 

 

少し涙目になるユウヤ。

 

 

やはり自分は幸せ者だ、これだけいい仲間たちに囲まれて。

 

 

「ところで、アラガミのことは言わなくていいのかい?」

 

 

その一言で場の空気が変わる。

 

 

ここまで来た以上、後戻りはできない。

 

 

そして彼は覚悟を決める。

 

 

「…あのアラガミと出会ったのは今から十年くらい前だった。」

 

 

「…たしか、七つの時だったね。」

 

 

「はい…その時の俺は当然、戦うことなんかできずに死を覚悟した。

……そのあと気を失って、目が覚めたらいつもの家にいました…」

 

 

「…ふむ、つまりその時に君のアラガミとしての力が与えられた、というわけだね。」

 

 

「…あれ?ちょっと待ってくれよ、お前の両親はどこにいるんだ?」

 

 

「俺昔方向音痴でさ、家に帰るのも一苦労なぐらいで、間違って外に行ったんだよ。」

 

 

「…なんか悲しいな…」

 

 

「………」

 

 

あまりにも悲しすぎた……かどうかわからないがその場が静まりかえる。

 

 

「……なんだか話がおかしな方に行きそうだから本題に戻そう。

つまり、君はその力を隠し通して五年、そして目覚めたのがきっかけで君は集落を追い出された。

こんな感じかな?」

 

 

「…まあ、そうですね。」

 

 

「しかしどうやってその力を押さえていたんだい?何か特別なことをしていたのかい?」

 

 

「…それは俺にもよくわかりません。

俺自身が死にかけたら目覚めるし、アラガミの咆哮を聞けば目覚めるしで…よくわからないです。」

 

 

すると榊は少し考え込む。

 

 

耳をすますと、ぶつぶつとわけのわからない言葉を言っていた。

 

 

「…つまり、そのアラガミは君のアラガミとしての能力を操ることができるかもしれないな…」

 

 

「…どういう意味ですか?」

 

 

「さっき君が言った、アラガミの咆哮を聞いて暴走するのだとしたらこの仮説が一番しっくりる。

言うならば今の君はそのアラガミに完全い支配を奪われているといった感じだね。

とにかく、今のところ対処がわからない以上、もしそのアラガミに出会ったら無理に戦わないことが今できる最前の対処だからね。」

 

 

「…わかりました…」

 

 

しかし、そういった彼の表情はわかった、という顔ではなかった。

 

 

「…さて、この話はこれぐらいにしてユウヤ君には頼んでいるんだが君たちにも手伝ってもらいたいことがあってね」

 

 

そういって榊はアラガミの名前が書かれたリストを配った。

 

 

「あの…博士、これは?」

 

 

「見ての通りアラガミのリストだよ、そこに乗っているアラガミの素材がいるんだ、だから君たちにとって来てほしいんだよ」

 

 

「…まあ、この程度なら一人でも十分だね」

 

 

その言葉を聞いてクロナのリストを覗き込むユウヤ。

 

 

「……博士、何で俺はあんなに難しいのばかり?」

 

 

「なぜって、君は隊長だからね、いくつか特務も混じっているんだ」

 

 

「……なるほど…」

 

 

「ちなみに博士、この素材は何に使うんですか?」

 

 

「それはまだ秘密だよ。

大丈夫、時が来たら話すし、自然とわかる日が来るから」

 

 

「…どうせまたろくでもないものでも作ろうとしてんだろ」

 

 

「さあ、それはわからないよ、よし、今日の話はここまで。

みんな、もう行っていいよ、それと素材のことはよろしくね」

 

 

博士に言われ部屋を後にするユウヤ達。

 

 

出てすぐにユウヤの通信機が鳴る。

 

 

「…ヒバリさんだ……わかりました、すぐ行きます」

 

 

「どうしたんですか?」

 

 

「どうやら支部長に呼ばれたらしい、じゃあ俺はここで」

 

 

そういってユウヤは支部長室に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

続く………

 




終わらせ方が全然浮かばなかった……


そういえば、今後前書きで少しふざけるというかまじめに書かないことがあると思います。


その時は……温かい目でお願いします。


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特務

ヨーロッパに飛んでいた支部長。


その支部長が極東に帰ってきた。


そんな彼にユウヤは警戒心を抱いていた………


「やあ、よく来たね」

「…ヨーロッパまでの勤務、ご苦労様です」

「…ありがとう、まさか君からそんな言葉が聞けるとは。

それにしても、あちらでも君の活躍は耳にしていたよ、実にすばらしい」

「…ありがとうございます」

 

 

ここは支部長室。

 

 

ヨーロッパに飛んでいた支部長が昨日アナグラに帰ってきて、次の日ユウヤを呼んだという形になった。

理由は勿論決まっていた。

 

 

「早速で悪いが、君には特務を受けてもらう」

「…特務…ですか…」

 

 

特務、先ほど博士からも言われていたアラガミのリストの中に特務の内容も混じっていると。

 

 

ユウヤはためしに支部長にこのことを聞こうとして思いとどまる。

 

 

今聞くとシオのことが支部長にばれてしまい、アナグラは大変なことになってしまう。

 

 

「…どうしたのかね、何か考え事か?」

「…いえ、気にしないでください」

 

 

「…そうか、では特務について説明させてもらう。

特務は私自らが直接管理している、という原則がある。

なので特務は、一つ一つ最高機密のレベルであることを心得てほしい。

そのため、ほとんどの特務はチームとしてではなく、単独で行動してもらうことが決まりだ」

 

 

「…つまり通常の任務より危険性が高まる…といった感じですか?」

 

 

「その通り、呑み込みが早くて助かるよ。

しかしその分、見返りも優秀だ、たとえば、入手困難な物品や相応の金額を提供させてもらう」

 

 

「…別に金なんてほしいと思いません」

 

 

「まあそういうな、これも決まりでね。

この特務は君ならたとえどれだけ困難な内容でもこなすことができる……

私がそう判断したものと思ってほしい。

…特務とは、さらなる信頼の証ともいえる。

前リーダーだったリンドウ君、彼も私によく尽くしてくれたよ。

彼を失ったのはかなり惜しかった…

まあ、頑張ってくれたまえ、期待しているよ」

 

 

「…期待に応えられるよう頑張ります…」

 

 

そういってユウヤは部屋を出る。

 

 

すると、部屋の前にソーマが立っていた。

 

 

「…ついにお前も呼ばれたか」

 

 

「……ああ、呼ばれたよ……ん?もしかしてソーマも?」

 

 

「…俺は前からだ。

……ユウヤ、俺から一つだけ言っておく。

あいつには深くかかわるな」

 

 

「……肝に銘じとくよ」

 

 

そういってユウヤはエレベーターに乗りエントランスに向かった。

 

 

そのままヒバリの元へ。

 

 

「あっ、ユウヤさんお疲れ様です」

 

 

「お疲れヒバリさん、あの…特務を受けに来たんだが」

 

 

その言葉を聞いてヒバリの表情が変わる。

 

 

「…特務…ですね、ちょっと待ってください。

……こちらがデータになります」

 

 

「……なるほど、ウロヴォロスか…」

 

 

ユウヤはウロヴォロスと戦ったことは一度もない。

しかし、ターミナルの情報で何度か見たことはあった。

 

 

山のような大きな体、無数の触手と目を持つ超弩級アラガミ。

 

 

かつて、リンドウが一人で討伐に向かったとされるアラガミだった。

 

 

「……勝てるのか、俺が…」

 

 

いつになく少し弱気のユウヤ、そんな彼をヒバリが励ます。

 

 

「大丈夫です、ユウヤさんなら、それにここにはあなたの帰りを待つ人がたくさんいます。

…だから、その人たちを少しでも安心させてください」

 

 

「……そうだな、ありがとうヒバリさん、ちょっと弱気になり過ぎてたな、俺」

 

 

そういっていつもの表情に戻るユウヤ。

 

 

「そんじゃ、行ってくるよ」

 

 

「はい、気を付けてください」

 

 

そして彼は出撃ゲートに向かう。

 

 

しかし、この時彼はまだ知らなかった……

 

 

―――――――――ウロヴォロスよりも恐ろしい存在が待っていることを……

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 




すっげぇ短いのが最後の文字数見て思った。


次は…長くしたい(願望)


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激戦の予感

特務をこなすため戦場に赴くユウヤ。


しかし、そこに待ち構えていたのは因縁の相手だった………


「♪~」

 

 

エントランスで楽しげに鼻歌を歌いながら手にはお菓子を持ってスキップをしている少女がいた。

 

 

「あの、ヒバリさん、えっとユウヤさんどこに行ったか知りませんか?」

「カノンさん、ユウヤさんなら任務に向かいましたよ」

 

 

少女はカノン、今持っているお菓子をユウヤにプレゼントするため彼を探していたようだ。

しかし、ユウヤがいないことを知って少し落ち込んだ様子だった。

 

 

「…もしかして、ユウヤさんにそのお菓子を?」

「はい、いつも頑張っているので少しでも休んでもらおうかなと思ったんです」

「…確かに、ユウヤさん、いつも無茶してるってリッカさんやアリサさんたちがよく言ってますもんね」

「そうなんです、たしかにユウヤさんは強いし、優しいしかっこいいけどいつも無茶ばかりして………私、今なんて言いました?」

「え?たしか…ユウヤさんは強いし、優しいしかっこいいけど…でしたっけ?」

 

 

自分の言ったことを理解してどんどん顔を赤く染めていくカノン。

それを見たヒバリは思わず苦笑してしまう。

 

 

「カノンさんもユウヤさんが好きなんですね」

「ううー……」

「いいんじゃないですか、人を好きになることは恥ずかしいことじゃないですし、それにユウヤさん

今じゃ極東だけじゃなくてほかの支部にも人気があるんですよ」

「ええ!そ、そうなんですか!?」

 

 

衝撃の事実を知って思わず口に出して驚くカノン、それを見たヒバリはまたも苦笑。

 

 

「……すごいですよねユウヤさんは、これだけの女性から好意を寄せられているというのに一つも

気づかないなんて」

「…言われてみればそうですね…」

 

 

そのあと顔を見合わせ二人は同時に苦笑をする。

 

 

(ユウヤさん、絶対生きて帰ってきてください!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…最悪だな……」

 

 

ここは平原エリア。

 

 

吹き荒れる嵐の中、ユウヤは今回の討伐対象のウロヴォロスを探していた。

 

 

敵は強敵、そして天気は最悪、まるでこの後の激戦を予測していたかのようだった。

 

 

「うーん、デカイからすぐ見つかると思ったんだけど―――――――」

 

 

そこまで言い終わると彼はくしゃみをする。

 

 

「…あー、もしかして風邪か?まあこの天気だったら仕方ないか」

 

 

特務中だというのに相変わらずの能天気さだ。

 

 

その時、ユウヤの足が止まる。

 

 

「……あれがウロヴォロス…確かにデカイな…」

 

 

彼の視線の先には山のように大きな体を持つアラガミの姿が。

 

 

あれこそが今回、ユウヤが倒すべき相手、ウロヴォロス、通称『平原の覇者』

 

 

姿を見ただけで威圧感に押されるユウヤ。

 

 

自然と神機を持つ両手に力が入る。

 

 

ウロヴォロスはこちらにまだ気づいていない。

 

 

その隙をついてユウヤはウロヴォロスに神速のごとしスピードで間合いを詰める。

 

 

「―――――――――くらえ!!」

 

 

横薙ぎにふるった神機は見事、ウロヴォロスに命中、バランスを崩し隙ができる。

 

 

彼はその隙を見逃さず神機を銃形態に変形、大きく飛んでアラガミの顔めがけて銃弾を発射。

 

 

「ヴォォォォォォォォォ!!」

 

 

悲痛な叫びとともにウロヴォロスにどんどん銃弾が浴びせられる。

 

 

「…やっぱそう簡単には行かせてくれそうもないな…」

 

 

あれだけの攻撃を与えておきながら特に変わった様子もなく起き上るウロヴォロス。

 

 

「ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

 

そのまま怒り、活性化し、危険度が増す。

 

 

触手を地面に突き刺しユウヤの足元から触手が彼の心臓めがけて放たれる。

 

 

「おっと!あぶねぇ!」

 

 

間一髪回避することに成功、しかし、これだけでは終わらなかった。

 

 

次から次に触手をユウヤ目掛けて放つ、ユウヤはかろうじてかわしている。

 

 

……ように見えた。

 

 

「ぐっ!くそっ、かわしきれない!」

 

 

直撃とまではいかないものの、わき腹、腕、足、頬など、様々な場所をかすめていた。

 

 

一回や二回ならまだしも何度も当たれば致命傷になる。

 

 

さらに天気は雨、地面がぬかるんで思うように動けない。

 

 

まさに状況は絶望的だった。

 

 

そして、彼の回避もそう長くは続かなかった。

 

 

「がはっ!」

 

 

触手の一本が彼の腹部を貫く。

 

 

それに続いてほかの触手も次から次に貫く。

 

 

痛みのあまり、ユウヤは持っていた神機を落としてしまう。

 

 

「……こんな…ところ…で……死ねるか……」

 

 

かろうじて意識を保っていたユウヤ、しかし、身動きは取れないまま。

 

 

――――――死、彼の頭をよぎるのはその言葉ただ一つだった。

 

 

そのままウロヴォロスがユウヤを喰らおうと大きな口を開く。

 

 

そして彼の身体が口の中に入った時――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、ウロヴォロスの体すべてがきれいさっぱり無くなった。

 

 

「なっ……なんだ……一体…」

 

 

一瞬、何が起こったのか理解できずそのまま地面に落ちる。

 

 

自分の腹部に刺さっていた触手もきれいになくなっていた。

 

 

すぐ横に落ちていた神機を持ち痛みに耐えながら起き上る。

 

 

そして、彼の視線の先にいたのは永遠に忘れられないものがウロヴォロスの触手を喰っていた。

 

 

「…お前は……」

 

 

忘れることのないアラガミ、かつて、ティアを殺した仇のアラガミだった。

 

 

しかし、前に会った時とは姿が少し変わっていた。

 

 

頭に三本の角、背中にはヴァジュラのようなマント、手からはボルグ・カムランの針が生えていた。

 

 

変わらないのは人型である、ということだけだった。

 

 

食事が終わったアラガミは獲物をユウヤに定める。

 

 

ユウヤはというと、アラガミを視界に入れた途端、榊の言っていた忠告など完全に忘れ今の彼には

このアラガミを文字通り、殺すという感情しか残っていなかった。

 

 

自然と神機の取っ手をへし折るほど力が入る。

 

 

「――――――――――殺す!!」

 

 

そう言い放つと同時に駆け出すユウヤ。

 

 

アラガミは動かないままユウヤに絶大な隙を与える。

 

 

一瞬にして間合いを零にして切り上げを放つ。

 

 

しかし、鈍い音を立て神機ははじかれる、その隙をついて右腕の針をユウヤの心臓めがけて放つ。

 

 

ユウヤはわき腹をかすめながらも攻撃に転じる。

 

 

一度後退し神機を銃形態に変形、6発の銃弾を浴びせる。

 

 

ユウヤの銃弾は見事命中、アラガミはのけぞり隙を生む。

 

 

その隙を見逃さずすぐさま神機を剣形態に変形、アラガミに真上に飛び神機を振り下ろす。

 

 

しかし、アラガミは口を大きく開きその中から数発の火球を発射。

 

 

「―――――――――なっ――――」

 

 

突然の攻撃、そしてユウヤは空中にいるため身動きが取れない、装甲は間に合わない。

 

 

放たれた火球はユウヤに命中、彼の身体は大きく吹き飛ぶ。

 

 

「―――――――今のは…シユウの……」

 

 

先ほどの攻撃はシユウの火球攻撃、なぜこのアラガミが、そう思ったが疑問は一瞬にして解消される。

 

 

(こいつ、喰ったものの特徴を何か取り込めるのか…!)

 

 

そう思いながらも受け身を取り体制を立て直す。

 

 

しかし、先ほどまですぐそこにいたアラガミの姿が消えていた。

 

 

「っ、まさか――――――」

 

 

後ろを振り向くと十中八九、アラガミは一瞬にして自分の後ろに移動していた。

 

 

そして今度は、大きな雷球を作りだしユウヤに放つ。

 

 

あまりにも近かったため回避の暇などなく命中、ユウヤはその場に膝をつき動かなくなる。

 

 

(今のは…ヴァジュラの……くそっ、スタンだと…!?)

 

 

本来、活性化しているときしかないはずのスタン状態になったユウヤ。

 

 

このアラガミの力は予想以上だ、そう思っていた矢先、アラガミの雄叫びがフィールドに響き渡る。

 

 

「ギガアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

「!?まずい――――――――」

 

 

急いで耳を塞ごうとしたがスタンのため、動かせない。

 

 

「あ……あああ………ヤ…めろ……」

 

 

徐々に意識が薄れていく。

 

 

それを確認したアラガミは何かためしに来たかのようにその場を去る。

 

 

一人、その場に残されたユウヤ。

 

 

しかし、そこにいたのはすでにユウヤではない存在が残された。

 

 

「ガアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

その場に響き渡るのは人間のものではない、アラガミの雄叫びだった。

 

 

そのまま立ち上がり、彼はその場を立ち去る。

 

 

――――――――それから三日、ユウヤがアナグラに帰還することはなかった………

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 



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最悪の再開

ユウヤが消息をたち三日が経った。






「……はぁ…」

「あ…カノンさん、ユウヤは…」

「…すみません、また見つけられませんでした…」

「…そうですか、ありがとうございます」

 

 

ここは極東支部、しかしここにいつもの活気は感じられなかった。

 

 

理由は一つ、ユウヤがいなくなったからだ。

 

 

彼が支部長の命で特務に向かい帰ってこないまま三日が経過していた。

 

 

こんなことは前にもあったが今回とはわけが違う。

 

 

先日、博士と第一部隊で話し合っていたあのアラガミのことが関係している、そんな気がして仕方がないのだ。

 

 

「…なあソーマ、ユウヤのやつ大丈夫かな…?」

「…さあな、少なくとも今俺たちにできるのはあいつの無事をただ祈ることしかできないんだからな」

「……そうだよな………あれ?もしかしてソーマ、ユウヤのこと心配してるのか?」

「…悪いか。

まあ、あいつはああ見えても隊長だ、部下の俺たちが心配しなくてどうする」

「………ソーマ、なんだか変わったね」

「ああ?」

「だって前はそんなこと一つも言ってなかったのに、これもユウヤのおかげなのかな」

「……かもな」

 

 

すると、そんな楽しそうな会話をしている第一部隊の前にツバキが現れる。

 

 

「お前たち、心配なのはわかっているが任務だ」

「っ、もしかして―――――――――」

「いや、残念だが討伐任務だ、旧市街地エリアに現れた複数のアラガミの掃討だ」

「……そうですか」

「この任務には新型の三人に行ってもらう、異論はないな」

「…はい」

「そう気を落とすな、お前たちの隊長はそんな簡単にやられるようなやつでないことはお前たちが

一番わかっているはずだ」

 

 

これはツバキなりの励ましの言葉だった。

 

 

その言葉を聞いたアリサ達は少しだけ元気をもらえたような気がする。

 

 

「…そうですね、そうですよ、ユウヤは強いんです、絶対に生きてます!」

「その意気だ、それでは準備ができ次第、出撃してくれ」

 

 

そういってツバキはその場を去っていく。

言われた通り、任務のため準備に取り掛かる。

 

 

「二人とも、そろそろ行くよ」

「はーい」

「わかりました」

 

 

そのまま三人は出撃ゲートに向かい、任務に出発した。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――そこに悪魔が待ち構えているとも知らずに………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは旧市街地エリア。

 

 

アリサ、アスカ、クロナの三人はアラガミの群れの掃討の任務のため報告されたエリアに向かう。

 

 

しかし、何か様子がおかしかった。

 

 

「…何もいませんね……」

 

 

「まあ何もいないと探索しやすいんだけどね」

 

 

「でも絶対おかしいよ、こんなにアラガミがいないなんておかしいよ」

 

 

アラガミが一匹も見当たらないのだ。

 

 

もう少しで報告を受けたエリアに着くというのに死骸の一つもなかった。

 

 

「考えてても仕方ないよ。

それより今は任務に集中しよっか」

 

 

「そうだよね……ねえ、あれオウガテイルの死骸じゃない?」

 

 

「えっ?」

 

 

アスカの指差す方に視線を向けるアリサとクロナ。

 

 

すると本当にオウガテイルの死骸が無残な殺され方をされていた。

 

 

「…いきなりだね、でもここに死骸があるってことは…」

 

 

「はい、おそらく近くにこれをやった張本人がいるはずです」

 

 

「…警戒しとかないと」

 

 

そして少し進んだところで三人は足を止める。

 

 

「何……これ…」

 

 

「アラガミの…死骸…ですね…」

 

 

そこに広がっていたのは見渡す限りの旧市街地――――――――のはずがところどこにアラガミの死骸が

横たわっていた。

 

 

その様子はまるで地獄絵図そのものだった。

 

 

「ねえ……この傷痕…神機の後じゃないよね…」

 

 

「どちらかというとアラガミの爪痕…と言ったところですか」

 

 

そこにあったアラガミの死骸や壁には深い爪痕が残されていた。

 

 

三人はそれを見て強敵と判断し警戒を強める。

 

 

「あ……あれ…何…?」

 

 

「えっ?」

 

 

クロナが何かを見つけじっと視線の先にいる何かを見つめていた。

 

 

他の二人も彼女と同じ方に視線を向ける。

 

 

そこにはボルグ・カムランの死骸――――――――を喰らうものがいた。

 

 

三人が恐る恐る近づくとそこには人間のような生き物が喰らっていた。

 

 

「っ、新種のアラガミ!?」

 

 

そういって神機を構えるクロナ。

 

 

それに続いてアリサも神機を構える。

 

 

クロナの声に気付いたのかアラガミは食事を止め彼女たちの方に視線を向ける。

 

 

口の周りにはボルグ・カムランの血がべっとりとついており、両手にも血がついていた。

 

 

背中には悪魔のような赤黒い翼が生えており、上半身はどす黒いオーラが具現化されたような身体になっていた。

 

 

しかし、アスカはそんなアラガミを見ても身構えることなく茫然と眺めていた。

 

 

「アスカ!構えて!新種のアラガミだからどう来るかわからないよ!!」

 

 

「………待って…」

 

 

「アスカ!聞いてるんですか!?構えて―――――――――」

 

 

「待って!!!」

 

 

アスカの怒声に思わず黙り込むアリサ、アスカはアラガミの方をずっと見つめていた。

 

 

彼女はこのアラガミに見覚えがあった。

 

 

右目に付いたキズ、そして何より赤目と黒目のオッドアイを持っていた。

 

 

気になってクロナとアリサもアラガミの目を見る。

 

 

「ね、ねえ……あれって………」

 

 

「まさか……そんな……」

 

 

その目は決して忘れることのない目をしていた。

 

 

「……ユウヤ………?」

 

 

それはほぼアラガミと化したユウヤだった………

 

 

 

 

 

 

続く………



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VSユウヤ

ほとんどアラガミと化してしまったユウヤ。


この場にいる誰もがこんな結末を望んでいたわけはない。


そんな時、彼女たちの前にある一人のアラガミが舞い降りる………


――――――――ここは旧市街地エリア。

 

 

アリサ、アスカ、クロナの三人はミッションに行った矢先、消息不明だったユウヤに再開する。

 

 

しかし、ユウヤはもうあの時の彼ではなかった……

 

 

「本当に……ユウヤ…なんですか…?」

 

 

「多分……そうだと思うよ…」

 

 

信じがたい真実を前に彼女たちは神機を構えつつもその一歩を踏み出すことができなかった。

 

 

理由は明白だった。

 

 

たとえアラガミであろうと相手は、大切な仲間であり、愛しいユウヤであった。

 

 

戦うことなど到底無理なことであった。

 

 

「どうする、救援要請は出せないし…」

 

 

「…最悪、戦うしかないよ…」

 

 

「っ、でも!何かあるはずです!ユウヤを人間に戻す方法が――――――――」

 

 

「今から探すの?それじゃもう手遅れになるよ。

ならもう戦うしか道はないよ」

 

 

「っ!」

 

 

アリサの言いたいことはよくわかる、しかしクロナの言う通り今からではもう手遅れになってしまう。

 

 

そうこうしているうちにユウヤが動く。

 

 

まず狙いを定めたのは一番近くにいたクロナだった。

 

 

鋭い爪を大きく振りかざしクロナに接近、クロナは動きを見極め装甲を展開させ攻撃を防ぐ。

 

 

しかし、アラガミとなった彼の攻撃は人間の時よりはるかに増していたため反動でクロナの身体が

後ろに吹き飛ぶ。

 

 

「クロナ!!」

 

 

「げほっ……大丈夫…動ける…」

 

 

そうは言ったものの彼女の表情は悲痛なものであり、そのまま地面に座り込んでいた。

 

 

ユウヤはそのままアスカに狙いを変更、一瞬にして間合いを零にし回し蹴りを放つ。

 

 

アスカはぎりぎりのところで装甲を展開し、ユウヤの蹴りを無効にする。

 

 

しかし、衝撃をかき消すことはできても、勢いを防ぎきることはできずそのまま吹き飛んで壁に背中を強打する。

 

 

「あがっ!」

 

 

「っ、このっ!」

 

 

アリサは神機を銃形態に変形させ、銃弾をユウヤに放つ。

 

 

それをユウヤは閃光のごとし速さでかわし、アリサに詰め寄る。

 

 

「っ、はや――――――――」

 

 

すべて言い終わる前にアリサに蹴りを放ち直撃、地面に数回バウンドし壁に激突する。

 

 

「っ、がはっ……」

 

 

人間の時より明らかにパワーアップしているユウヤ、それを思わせるのに十分な強さだった。

 

 

誰一人立ち上がることができない、絶対絶命の状況だった。

 

 

動けなくなっているアリサにゆっくりと近づき目の前に迫る。

 

 

「っ、アリサ! げほっ!」

 

 

「今…助けるから……」

 

 

そうは言うもののクロナは吐血、アスカは起き上ることができなかった。

 

 

(死ぬ……の…?私……)

 

 

そのままユウヤがアリサに鋭くとがった爪を振り上げ――――――振り下ろす。

 

 

その場にいる誰もが死を認識した時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下まで振り下ろしたはずのユウヤの爪は、突如現れた何者かによって防がれる。

 

 

「っ!」

 

 

「……えっ………何…あれ…」

 

 

「アラガミ…なの……?」

 

 

アリサ達の前に現れたのは右手には剣、左手に縦を持ち、背中に純白の翼を生やした人型のアラガミが舞い降りた。

 

 

アラガミはアリサの前に立ち左手に持った縦でユウヤの攻撃を完全に防ぎ、アリサをわき腹に担ぎ

後退する。

 

 

「…助けて…くれたんですか…?」

 

 

その言葉を聞いてアラガミは頷く。

 

 

「アリサ!」

 

 

「クロナ!アスカ!大丈夫ですか!?」

 

 

「大丈夫!それよりこのアラガミ!」

 

 

「待ってください!このアラガミは私を助けてくれたんです、だから敵じゃありません!」

 

 

神機を構え戦闘態勢に入るアスカを必死に説得し何とか理解してもらえたアリサ。

 

 

そのあと、クロナは警戒もせずアラガミに話しかける。

 

 

「ねえ、あなた私たちと一緒に戦ってくれる?」

 

 

そのあとアラガミは頷く。そしてあり得ない行動に出る。

 

 

 

―――――――待って―――――――

 

 

「?アリサ、呼んだ?」

 

 

「いえ、私は何も言ってませんが」

 

 

「じゃあアスカ?」

 

 

「ううん、何も言ってないよ」

 

 

 

――――――――私だよ――――――――

 

 

 

まただ、しかし何かおかしかった。

 

 

確かに声が聞こえた、しかし、まるで頭の中に語りかけてきたような感覚だった。

 

 

もしかしてと思いアラガミの方に目をやるとまたあの声が聞こえた。

 

 

 

――――――――そう私、今みんなの頭に語りかけてるの――――――――

 

 

 

一瞬理解できなかった。

 

 

アラガミが喋っている、いや、直接的ではなくテレパシーのようなものだった。

 

 

「……えっ、…あなたが…言ってるの…?」

 

 

 

――――――――そうだよ、それより聞いて、あの人をもとの人間に戻せる方法が一つだけあるの――――――――

 

 

 

「それは本当ですか!?教えてください!!」

 

 

 

――――――――それは、感応現象だよ―――――――

 

 

 

「感応…現象……」

 

 

感応現象。

 

 

新型神機使い同士でしか起きない超常現象のようなもの。

 

 

「なんで感応現象なの?」

 

 

 

――――――――今彼は自我を失っている、それはアラガミの力に完全に支配されただけで彼自身の意識はまだちゃんと生きてるの――――――――

 

 

 

「…つまり、感応現象を通してユウヤの意識に直接語りかけていけばいいんですね」

 

 

アラガミは頷く。

 

 

アスカはどういうわけか全く理解できていない表情だった。

 

 

「でも誰がやるんですか?」

 

 

「それは勿論、アリサで決まり」

 

 

「えっ?」

 

 

「だってアリサは前にユウヤと感応現象を引き起こしてるでしょ?こういうのは経験者がやった方がいいと思うよ」

 

 

確かにアリサは過去に感応現象を通してユウヤと心を通じ合わせることができた。

 

 

しかし、感応現象はそう何度も成功させれるものでないことはアリサも理解していた。それでも―――

 

 

「……わかりました、やってみます!!」

 

 

 

――――――――決まりだね、じゃあ私たちが彼の動きを抑えるから後はよろしくね――――――――

 

 

 

そういってアラガミは駆け出しユウヤに詰め寄っていく。

 

 

ユウヤはアラガミの接近に気づき身構える。

 

 

すると、彼の体中のオラクル細胞が変化しどこからともなく現れた細い刀身の剣を取り出した。

 

 

そして、目の前まで接近したアラガミの剣とユウヤの剣がぶつかり合い、火花が散る。

 

 

そして彼は空いていた左手からもう一つ剣を取出しアラガミに振り下ろす。

 

 

アラガミは一度後退しまた接近、そして剣同士のぶつかり合いが始まる。

 

 

二人の剣技は神速のごとしで三人が入れる隙間すらなかった。

 

 

「……なんていうかすごいね」

 

 

「…あれじゃ近づけませんね」

 

 

その時、アラガミの剣がユウヤの肩を貫き動きを封じた。

 

 

「ガアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

―――――かに見えたが手に持っていた二本の剣でアラガミの腹部を貫通させる。

 

 

 

――――――――くっ!早く!!――――――――

 

 

 

アラガミのかけ声と同時にアスカとクロナがユウヤに接近し貫いていた剣を弾き飛ばし腕を封じる。

 

 

「アリサ!!」

 

 

「はい!!」

 

 

クロナの叫び声と同時にアリサは神機を放り投げユウヤの体に手を伸ばす。

 

 

「――――――届いて!!」

 

 

ユウヤの手にアリサの手がかぶさる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、アリサの意識は突如、ユウヤの中に消えていった………

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 




ちょっとした補足ですがユウヤの剣は腕から生えてるわけじゃなく腕の細胞をかき集めてできたものです


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暗闇の中で

感応現象でユウヤの精神に入ることができたアリサ。


彼女は無事、ユウヤを救い出すことができるのか………


「………ふぅ…」

「大丈夫?クロナ」

「うん、何とか…それより大丈夫かな、アリサ」

 

 

ここは旧市街地エリア。

 

 

ここには、アラガミと化したユウヤと彼と感応現象を通じて横たわっているアリサ。

 

 

そしてアリサと任務に来ていたアスカとクロナだった。

 

 

「……そういえば、あのアラガミは?」

「…確かにどこにもいないね…」

 

 

彼女たちに協力してくれた謎のアラガミがいないことにここで気づく。

 

 

そんな時、クロナの通信機が鳴り響く。

 

 

「もしもし…あっ、コウタ、どうしたの?…え!?外部居住区にアラガミが!?うん、すぐ――――――」

 

 

そこまで言ってクロナは言葉を止める。

 

 

「――――――ごめんコウタ、なんだかすぐに行けそうな雰囲気じゃなくなっちゃったみたい」

 

 

最初はアスカも何を言っているのか全く理解できなかったがすぐに把握し神機を構える。

 

 

「うん、こっちも急ぐからそっちも何とか持ちこたえてね、それじゃがんばってね」

 

 

そういって通信を切ったクロナも神機を構える。

 

 

周りには餌を求め現れたアラガミの群れに囲まれていた。

 

 

そこにはヴァジュラは勿論、ボルグ・カムランやクアドリガなどの大型アラガミも多数出現した。

 

 

アスカとクロナはこの群れとたった二人で相手をしなくてはならない。

 

 

「…アスカ、戦える?」

「もちろん、当たり前でしょ」

「ならよかった、それじゃ――――――行くよ!」

 

 

クロナのかけ声とともに二人が拡散、そのすぐ後にその場にヴァジュラの雷球が着弾した。

 

 

そのまま隙だらけのヴァジュラに二人の斬撃が命中、一撃でヴァジュラを仕留めた。

 

 

「この調子で行くよ!」

「うん!!」

 

 

二人は次のアラガミに狙いを定めそういった。

 

 

(アリサ……絶対ユウヤを連れ戻してきてね…待ってるから……!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――沈んでいく

 

 

 

まるで底なし沼に落ちたかのように沈んでいく

 

 

 

感応現象でユウヤの精神の中に入った

 

 

 

私はここでユウヤをもとのユウヤに戻すために来たのに

 

 

 

今私はただ沈んでいるだけで何もできない

 

 

 

「―――――――――くっ――――――あ―――――」

 

 

 

もがけばもがくほど沈んでいく

 

 

 

それに気持ち悪い、気分が悪い、嘔吐してしまいそうなくらい

 

 

 

もうユウヤを助け出すことができない

 

 

 

早くここから出たい

 

 

 

でも動けない、それにユウヤを助けに来たのに助けられない

 

 

 

とうとう自分のすべてが沈んでしまった

 

 

 

そして頭の中に声が聞こえた

 

 

 

――――――――――コロス

 

 

 

「!」

 

 

 

突然聞こえた声は私の精神を壊していく

 

 

 

――――――――――コロス

 

 

 

やめて―――――

 

 

 

――――――――――コロス

 

 

 

やめテ―――――

 

 

 

――――――――――コロス

 

 

 

やメテ―――――

 

 

 

――――――――――コロス

 

 

 

ヤメテ―――――

 

 

 

――――――――――コロス

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めるとそこは先ほどとは全く違う真っ白な空間だった

 

 

 

目の前には私がいた、何人も、何百人も

 

 

 

その全員がこちらを向き一斉に声を出す

 

 

 

―――――お前がここに来た理由はなんだ?

 

 

 

「ここに来た……理由…」

 

 

 

―――――お前はこいつを助けるためにここに来た、違うか?

 

 

 

そういって目の前に小さくうずくまっている青年が現れた

 

 

 

「……ユウヤ…」

 

 

 

そうだ、私がここに来た理由はユウヤを助けるためだ、でも――――――――――

 

 

 

「……今の私に助けられるんでしょうか………」

 

 

 

精神が崩壊した私にユウヤをこの世界から助けることができるのだろうか

 

 

 

―――――思考が黒く染まる

 

 

 

―――――私自身が壊れていく

 

 

 

―――――目の前の私たちが消えていく

 

 

 

――――――――――お前はあいつらの期待を裏切るのか?

 

 

 

そして最後の一人も消えまた真っ暗な暗闇に戻された

 

 

 

けれど、精神状態は先ほどより安定しており頭に響く声もさほど恐ろしくはなかった

 

 

 

最後に言われた言葉を思い出す

 

 

 

――――――――――お前はあいつらの期待を裏切るのか?

 

 

 

裏切らない、裏切れるわけがない

 

 

 

二人は今も私がユウヤを助けるのを待っている

 

 

 

こんなところで立ち止まっているわけにはいかない

 

 

 

そして私はただひたすら叫んだ

 

 

 

「ユウヤ!!起きてください!!みんながあなたを待ってます!!だから起きて!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――暗闇の空間の中、俺はあの日のことを思い出していた

 

 

 

―――――あの日、俺の中に眠るアラガミの力が暴走してあの集落を襲った

 

 

 

―――――当然、生存者はいない

 

 

 

―――――俺はたくさんの人を殺してしまった

 

 

 

―――――とんでもない過ちを犯した

 

 

 

―――――嫌な夢だった

 

 

 

―――――頭が痛い

 

 

 

―――――頭の中に声が流れ込んでくる

 

 

 

――――――――――ヒトゴロシ

 

 

 

―――――やめろ

 

 

 

――――――――――ヒトゴロシ

 

 

 

―――――うるさい

 

 

 

―――――――――――そんなヒトゴロシがイキイテテイイノカ?

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

―――――俺みたいな人殺しが生きてていいのか?

 

 

 

―――――そうだ、俺は人殺しだ、殺人鬼だ、生きてていいわけがない

 

 

 

―――――このまま死んでしまおう、そうした方がきっといい

 

 

 

――――――――――イイノカ?ソレデ

 

 

 

―――――ああ、もういいさ、悔いはない

 

 

 

――――――――――オマエノコトヲシンジテマッテイルヤツラハドウスル?

 

 

 

―――――それは………

 

 

 

――――――――――アノアラガミハドウスル?

 

 

 

―――――!

 

 

 

そうだ、俺はあのアラガミを殺すためにゴッドイーターになって、そのためにここまで生きて来たんだ

 

 

 

ヒバリさんも言ってたしな、待ってる人たちがいるって

 

 

 

ならそいつらのためにも生きて帰らないとな

 

 

 

――――――――――ヤットキヅイタカ

 

 

 

そういって声は消えた、そんな気がした

 

 

 

すると、また声がした

 

 

 

―――――ャ―――――ゥャ―――――ュゥヤ―――――ユウヤ!!

 

 

 

その声は俺の名前を呼んでいた

 

 

 

誰だ?俺を呼ぶのは

 

 

 

すると、暗闇の中から一筋の光が入ってきた

 

 

 

まぶしい、光ってのはこんなにもまぶしかったのか

 

 

 

そして俺は光に向かって手を伸ばす

 

 

 

光の中から人の手が現れた

 

 

 

俺はその手を掴むと光の中に吸い込まれるように暗闇を脱出した………

 

 

 

 

 

 

続く………



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新たなる力




ついに、あの青年が目覚める………





ここは旧市街地エリア。

 

 

今、アラガミの群れとたった二人で戦っている少女の姿があった。

 

 

「アスカ!そっちお願い!!」

 

 

「任せて!くらえ!!」

 

 

クロナの指示通り、クアドリガに銃撃を放つアスカ、クアドリガは悲痛な叫びをあげた。

 

 

「はぁ…はぁ…どうしよう、きりがないね……」

 

 

「たしかに……このままじゃ全滅しちゃうよ……」

 

 

そうこうしているうちに三体のシユウが上空から二人目掛けて火球を放つ。

 

 

実に単調な攻撃、しかし今の二人はかなりの疲労と怪我により思い通りに動くことができず命中。

 

 

「きゃあ!!」

 

 

「うわっ!!」

 

 

そのまま二人は吹き飛ばされ壁に背中を強打、ずるずると地面に座り込む。

 

 

(体が……動かない…どうしよう……このままじゃ…)

 

 

動くことができない二人にアラガミの群れはゆっくりと近づく。

 

 

このままでは二人とも喰われる、そんな考えが二人の頭をよぎる。

 

 

そして、クロナの目の前まで迫っていたヴァジュラが大きく口を開き、クロナを喰らおうとしていた。

 

 

「だ……め……」

 

 

しかし、動けないアスカももはや餌同然だった。

 

 

(私……死んじゃうのかな……ここで…)

 

 

既に死を覚悟したクロナは動こうとはせず喰われるのを待っていた。

 

 

(ごめんね………お姉ちゃん……私、もう…)

 

 

そして、クロナにヴァジュラの大きく開いた口が覆いかぶさった。

 

 

そのまま――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、ヴァジュラは違和感を感じた。

 

 

確かにクロナを喰らった、それは間違いないはずだった。

 

 

けれど、ヴァジュラの口の中に人間を喰らった感触などなくあったのは、固い石だった。

 

 

仕方なく近くにいたアスカに狙いを定めたが、そこにアスカの姿はなかった。

 

 

あたりを見回し、横たわっていたユウヤとアリサの姿もなかった。

 

 

すると、アラガミの群れがいる少し先に少女二人を担いだ青年の姿があった。

 

 

「―――――ふぅ、間に合ったな」

 

 

クロナは一瞬気を失っていたが今の一言で目が覚めた。

 

 

アスカは未だに気絶しており眠っていた。

 

 

「――――――――ユウヤ…?」

 

 

「ああ、遅れてすまない、もう大丈夫だ」

 

 

自分を助けてくれたのはユウヤだった。

 

 

クロナは嬉しさのあまり大粒の涙を流す。

 

 

「よかった……目覚めたんだね…」

 

 

「何とかな、事情は大体わかった、あとは任せろ」

 

 

そういって二人をおろし群れの方に向かった。

 

 

「待って!神機もなしにどうやって戦うの!?」

 

 

しかしユウヤは背中を向けたまま手を振り歩いて行った。

 

 

「二人とも、大丈夫ですか!?」

 

 

「アリサ!ユウヤを助けられたんだね、ありがとう!」

 

 

「いえ、私も少し危ない感じでした」

 

 

「ん……あれ?クロナ、たしかヴァジュラに……ってええ!?もしかしてここ天国!?

あれ!?でもアリサがいる!なんで!?」

 

 

「起きてそうそう騒がしいですよ、アスカ」

 

 

「ここは天国じゃないよ、それにほら」

 

 

そういってクロナはユウヤの方に指を指す。

 

 

アスカはその指差す方に視線をやると、突然、涙があふれ出た。

 

 

「ユウヤ…?」

 

 

「うん、そうだよ、アリサが助けてくれたんだよ」

 

 

「そっか……よかった…」

 

 

「あとは任せろだって、だから私たちは休もう」

 

 

そういって二人は神機を地面に置き、ゆっくりと休んだ。

 

 

「…さてと……にしても結構いるな、こりゃ」

 

 

首を横に曲げながらそう呟くユウヤ。

 

 

アラガミ達はすでに警戒体制に入っていた。

 

 

しかし、周りから見れば、アラガミがユウヤにおびえているようにも見えた。

 

 

「…よし、行きますか…」

 

 

そういってユウヤは両腕のオラクル細胞を変化させる。

 

 

すると、バキバキと音を立て人間の手が、赤黒い鋭い爪を生やしたアラガミの手に変化した。

 

 

(これがアラガミの力……俺の新たな力…!)

 

 

そしてユウヤは地を蹴りアラガミ達の群れの中に突っ込んでいく。

 

 

まずは小手調べのため、一番近くにいたヴァジュラの懐に潜り込み、一瞬のうちに五発の斬撃を

与えた。

 

 

そのスピードは凄まじく、ヴァジュラは何もわからず死んでいった。

 

 

それを確認したユウヤは、手に着いたヴァジュラの血を舐め手をコキコキと鳴らしこういった。

 

 

「さあて、次はどいつが相手になるんだ?どっからでもかかってこい!!」

 

 

その時の彼の表情はただ恐ろしく、その場にいるすべての生き物を凍りつかせるほどだった。

 

 

そして、彼は戦場を駆け回った………

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「おーい、お前ら大丈夫かー?」

 

 

すべてのアラガミを倒し終えたユウヤは休んでいる三人のもとへ向かった。

 

 

「うん、大丈夫だよ、ありがとね、ユウヤ」

 

 

「いいって、つーかお前ら寒くないのか?」

 

 

「えっ?」

 

 

そういわれるとなんだか少し肌寒いような………

 

 

そう思いアスカとクロナは自分の格好を見る。

 

 

すると、自分の服が先ほどのシユウの火球によって少し焼けて、ところどころ穴が開いていた。

 

 

アスカはそうでもなかったが、クロナはもう少しで見えてはいけないところが見えそうだった。

 

 

「うわっ!ユウヤ、見ないで!!」

 

 

「えっ?なん――――――――――いってぇ!!」

 

 

そこまで言ったユウヤにアリサの目つぶしが直撃、その場で目を押さえ倒れた。

 

 

「と、とりあえず無事任務も終わったことだし本部に連絡を………ああ!!」

 

 

「ど、どうしたんですか!?」

 

 

「今本部の外部居住区にアラガミが侵入してて、急がないと!!」

 

 

そういって通信機を取り出してコウタに連絡を取った。

 

 

「もしもし!コウタ!?外部居住区は………え?侵入したのは小型アラガミだけ?」

 

 

焦って損をした、しかし被害がなくてよかった。

 

 

「それじゃ、迎えのヘリお願いできる?もうくたくたなんだ」

 

 

『わかった、今教官に言っとくよ』

 

 

「それと布きれを一枚お願いできる?」

 

 

『わかった…でもなんで?』

 

 

「いいからお願い」

 

 

『わかりました……』

 

 

少し声が低くなったクロナに少しビビりながら了解をしたコウタだった。

 

 

「そういえばいい報告があるんだ」

 

 

『えっ、何なに、聞きたい』

 

 

「ふふっ、秘密だよ、それに帰ったらわかることだし」

 

 

『なんだよー、もったいぶるなよなー』

 

 

コウタの言葉にクロナは苦笑してしまう。

 

 

「あっ、来たみたいです」

 

 

アリサの視線の先にヘリが降り立った。

 

 

扉が開くと音速のスピードでクロナに抱きつく女性がいた。

 

 

「クロナーーーーーーーー!!!」

 

 

「お姉ちゃん!?なんでいるの!?」

 

 

そこに現れたのはクロナの姉であるヨシノだった。

 

 

「相変わらず騒がしい奴だな」

 

 

「なんだと!!ってあれ?ユウヤじゃん、何でいるの?」

 

 

「…いたらだめみたいな言い方やめろ」

 

 

「とりあえずお姉ちゃん、離れて」

 

 

「いやだーーー!!離れるかーーー!!」

 

 

そのやり取りを見てほかの三人は笑ってしまった。

 

 

そのあとは極東に帰ったユウヤを泣きながら歓迎する者もいれば、いつも通り落ち着いて喜ぶものもいた。

 

 

(やっぱ、ここが一番だな…)

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 




前書き短いと思った方、すいませんでした。


理由はただ一つ、何も浮かばずこれだけになってしまった……


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罰として

無事極東に帰ることができたユウヤ。


しかし、彼を待っていたのは教官という名の鬼だった………


「……はぁ…」

 

 

ここは嘆きの平原。

 

 

そこにアラガミの死体の山の上に二つの神機を握りしめため息をつき座っている青年がいた。

 

 

「教官、鬼だな……」

 

 

そう呟く青年、ユウヤは三日ぶりに極東に帰ってきたはいいが、彼の教官であるツバキにこっぴどく怒られ、さらには三日分の任務を一日でやれと言われたのだった。

 

 

「…今ならコウタたちの気持ちがよくわかるな…」

 

 

そう呟きながら彼は帰るべき極東に帰って行ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「入るぞ」

「あっ、ユウヤ!」

「よう、怪我の方はどうだ?」

「うん、おかげさまで順調に治ってるって、これならあと三日もすれば原隊復帰できそうだよ」

「そうか」

 

 

時は流れ場所は変わりここは極東の医務室。

 

 

彼は任務の合間を縫ってはここ、医務室に顔を出していた。

 

 

すると医務室にはすでに先客がいた。

 

 

「ん、何だユウヤか」

「お前、今何を期待した…」

「べっつにー」

 

 

先客はクロナの姉、ヨシノだった。

 

 

「そういえば、あんた今日一日、任務付けの一日らしいわね、ま、せいぜいがんばんなさいよ」

「うるせぇ、言われなくてもがんばってんだよ。

おっと、そろそろ時間だ、じゃあな」

 

 

そういってユウヤは医務室を後にし任務のためヒバリのいるエントランスへと向かった。

 

 

「ん……あ、おはようございます…」

「アリサ、おはよう」

「さっきユウヤの声がしたような気がしたんですけど……」

「そりゃあさっきまでこの部屋にいたからな」

 

 

アリサの疑問のヨシノが答える。

 

 

「いたんなら起こしてくださいよ!!」

「だって気持ちよさそうに寝てたんだもん」

「ちょっと残念です…」

 

 

アリサの少し膨れた顔を見てクロナは苦笑してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…ヒバリさん…次の任務」

 

 

さらに時は流れここはエントランス。

 

 

あの後ユウヤは五つぐらい連続で任務をこなしもうへとへとだった。

 

 

「だ、大丈夫ですか?ユウヤさん」

「大丈夫……と言いたいんだがはっきり言って疲れた」

「でも頑張ってください、あと一つで今日のノルマ達成ですから」

「そうだな……そんじゃ、行ってくるか」

 

 

そのまま彼は出撃ゲートの方へ向かい任務に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――――くらえ!!」

 

 

そういってユウヤは目の前のアラガミ、プリティヴィ・マータの顔面に銃撃をくらわす。

 

 

「グガアァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

悲痛な叫びと同時に活性化、氷の柱を発生させユウヤ目掛けて放つ。

 

 

「おっと!」

 

 

しかし、今の彼にそんな単調な攻撃が当たるわけでもなく、一瞬にしてマータの目の前まで迫り

とどめの一撃をくらわせる。

 

 

「――――――――終わりだ!」

 

 

そう言い放ちマータの首を切り裂き、無事殺し合いを終えた。

 

 

「はぁ……やるからにはもっと張り合いのあるやつじゃねえとな」

 

 

そういって彼は通信機を取り出す。

 

 

とはいえプリティヴィ・マータはアラガミとしてはかなり上位に属する。

しかし、それを単体とはいえ一人で、しかも五分未満で仕留める彼の敵ではなかった。

 

 

(…アラガミの力が俺と同調しているせいか、最近妙に調子がいいな)

 

 

この前の一件で彼の中のアラガミとしての力は鳴りを潜め、彼の力の一部となった。

そのため、今のユウヤは前よりも数段強くなっていた。

 

 

「…考えてても仕方ないし、帰るか……」

 

 

そう呟きながらアラガミのコアを抜き取りアナグラへ帰投したのであった…

 

 

 

 

 

 

続く………

 




絶望的に短くなってしまった……


なぜならそう!ネタがなかった……


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新しい服

突然榊に呼ばれた第一部隊。


またろくでもないことかと思っていたら、実はそうでもなかった………


「やあ君たち、待ってたよ」

「そーま!」

「っ、こいつ!抱きつくな!」

「よかったな、ソーマ」

「黙れユウヤ!離れろ!」

 

 

ここは榊の研究室。

 

 

ここには第一部隊の面々がいた。

もっとも、アスカとクロナは任務でいないのだが。

最後に入ってきたソーマにシオが抱きついたのは言うまでもない。

 

 

「実はちょっとした問題が発生してしまってね」

「なら博士がやりゃいいじゃん」

「それが私にもどうにもできないのでみんなを呼んだんだ」

 

 

あの博士にも解決できない問題、それがわかった途端、場に緊張感が出る。

みんなが唾を飲んで博士の言葉を待っていた。

 

 

「―――――彼女に服を着せてやってくれないか?」

「……は?」

 

 

緊張した面持ちで待っていたのに帰ってきたのはその一言だけ。

流石の言葉にユウヤも声をあげてしまった。

 

 

「いつまでもこんな格好じゃ可哀想だからね、だから私も何度か試みたんだが……

すべて失敗してしまって、それに……」

「きちきちちくちくやだー」

「この様子なんだ、なので女性陣の力を借りたいと思ってね」

 

 

大体の経緯を理解したユウヤだが、ほかの男性陣はというと……

 

 

「ならなぜ俺を呼んだ。……戻るぞ」

「オレも役に立てそうにないしな、

それに、ちょうどバガラリーがいいとこだったんだ」

「おいおい」

 

 

そういってソーマとコウタは自室へと向かっていった。

そんな彼らを見たサクヤとアリサは呆れを隠しきれない。

 

 

「まったく薄情な男どもね」

「ほんとです」

「まあ……気持ちがわからないこともないがな…」

 

 

確かにシオはアラガミのため人間のように性別はない、しかし体つきは人間と同じ女の子のため

男が着替えの手伝いなど通報されかねない。

 

 

「とりあえずまずは着せてみましょう」

「そうですね、シオちゃん、ちょっとこっちに来てくれますかー」

「なにー」

「博士、奥の部屋ちょっと借りますね」

 

 

そういってサクヤとアリサは奥の部屋にシオととも消えた。

 

 

「ユウヤ、覗いちゃだめですよ、博士も」

「…あのなぁ…」

 

 

アリサの注意にユウヤはため息交じりに応える。

 

 

「ははは、変な注意を入れられたね」

「んなもんに興味はありませんよ」

「…にしてもシオや君には非常に興味深いよ」

「……はあ…」

「シオはアラガミにして人間に近い、君は人間にしてアラガミに近い、

実に面白いじゃないか。

こんな貴重極まりないケースを二つも見れて僕は本当に最高だよ」

「……そうですか…」

 

 

少し呆れたように答えるユウヤ。

その時、奥の部屋から何か爆発したような音が聞こえた。

 

 

「なんだ!?」

「…おや?」

 

 

扉が開くと煙とともにせき込みながら出て来たサクヤとアリサが出て来た。

 

 

「コホッ、コホッ……シオちゃんが……」

「壁を壊して、外に……」

「…それはまずいな…

君たち、なるべく早くシオを連れて帰ってきたほしい、頼めるかい?」

「…はぁ…言われなくともそうしますよ」

 

 

そういって三人は急いで部屋を後にした………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おい、いるんだろ」

「いないよー」

 

 

ここは廃寺エリア。

 

 

シオを探しに来たユウヤたち第一部隊はいくつかに分かれてシオを探していた。

 

 

この廃寺エリアにはユウヤ、コウタ、ソーマの三人が来ていた。

 

 

「遊びはもう終わりだ、さっさと帰るぞ」

「ちくちくやだー!」

「…チッ、もう着せないから帰ってこい」

「……ほんと?」

「ああ、ほんとだ」

「…そーま、おこってる?」

「……別に」

 

 

それを聞いたシオは嬉しそうな顔をしてソーマに抱き着く。

 

 

「チッ、だから抱き着くなって言っただろ!!」

「ソーマ、怒ってない!シオ、うれしい!」

 

 

そうは言うソーマだが無理に引き剥がそうとはしなかった。

 

 

そんな二人を物陰から見つめる二つの影があった。

 

 

「…つーかさ、ソーマああは言ってるけど全然いやそうじゃないよな」

「たしかにな…」

「…でもユウヤがこういうことを見てるっていう方がオレは新鮮に感じるな」

「そうか?…まあ、こういうことはあまりしたことないな」

「にしても二人とも楽しそうだな」

「まったくだ、ソーマもいつもあれぐらい――――――――――」

 

 

そこまで言って二人は恐る恐るソーマたちがいた方に振り返る。

 

 

すると、先ほどまで遠くにいた二人がいつの間にかユウヤたちの目の前にいた。

 

 

シオはソーマの肩に抱き着き、肝心のソーマはというと……

 

 

「…あの~、ソーマ……さん?」

「……てめえら………」

「な、なあユウヤ、これって、絶対やばいよな……」

「……とりあえず……」

 

 

『逃げるぞ!!』

 

 

ユウヤとコウタは同時にその場を離れる。

 

 

「待てコラァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

恥ずかしさのあまり、ソーマも鬼の形相で二人を追う。

 

 

「いけーソーマ、もっとはやくー」

 

 

唯一シオだけは楽しそうにしていた。

 

 

ちなみにこの後二人は捕まりソーマに制裁を加えられたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




もう前書き部分まじめに書くの疲れた…


しかし!そんなこと言ってられない!!


てなわけでまた頑張ってまじめに行けたらいいです。


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お疲れ様

無事シオを極東に連れ帰ってくることに成功した第一部隊。


そしてついにシオが………


「やあみんな、お疲れ……ってあれ?ユウヤ君は一緒じゃないのかい?」

「一様一緒に来たんですけど……かなり疲れたらしくて、今こっちに―――――」

 

 

そこまで言って榊の部屋の扉がゆっくりと開いた。

 

 

「…………………」

「やあユウヤ君、お疲れ様、まあ座ってくれたまえ」

「……………はい…」

 

 

いつものユウヤからは考えられないほど疲れ切った声だった。

 

 

それもそのはず、ついさっきまで榊に依頼されたアラガミ、

つまり第二、第一接触禁忌種とやりあっていたことにもなる。

 

 

そのため今のユウヤにいつもの元気がなかった。

 

 

「にしてもユウヤ君のおかげで素材が全部集まったよ、ありがとね」

「ところで博士、私たちが集めた素材で何か作ろうとしてたんですよね、それっていったい………」

 

 

クロナがそこまで言って奥の部屋からうれしそうに微笑むサクヤと少しためらいつつあるが後から

出て来たシオだった。

 

 

しかし、シオの服装がいつもと違うことに気付く。

 

 

「うわぁ!!かわいいじゃないですか!!」

「もしかしてわたしたちが集めてた素材で作ったのって」

「もちろん、これだよ。

デザインはサクヤ君に考えてもらってね」

 

 

出て来たシオは前のボロボロな布きれではなく白くてきれいなドレスに身を包んでいた。

 

 

その姿はまるで妖精そのものだった。

 

 

「おお!たしかに可愛いじゃん!!なあ、ソーマもそう思うよな?」

「………まあ…そうだな」

「おお・・・予想外のリアクション…」

 

 

これにはさすがにここにいた全員が驚きを隠せなかった。

 

 

「でも確かに似合ってるな、これなら人間と見間違えてもおかしくないな」

 

 

疲労がたまって動けないはずのユウヤも立ち上がって感想を述べていた。

 

 

「えへへ~、これきてたらシオ、うれしいきもちになるなー。

これってえらいか?」

「まあ……そうだな、偉いぞ、シオ」

「えへへ~、シオ、えらいぞー」

 

 

ユウヤに頭を撫でられ笑顔になるシオ。

 

 

すると突然、シオが歌いだした。

 

 

全員の視線はシオに向き、頭を撫でていたユウヤも手を下ろす。

 

 

みんなが聞き入っていると、やがて歌が終わる。

 

 

「これしってるか?

うた っていうんだぞ」

「…すごいじゃないですか!シオちゃん!

それにしてもどこで覚えたんですか?」

「たしかにそうだな、博士とでも聞いたのか?」

「んーん、ちがうよー。

ソーマときいたんだ」

 

 

意外な人物にまたも驚きを隠せない第一部隊。

 

 

「あら~、あらあらあらあら」

「ソーマ、いつの間にそんなに仲良くなったの?」

 

 

調子に乗ってソーマをからかいだすメンバー達。

 

 

「し、知らんぞ、俺は…」

「なんだかんだでシオのこと、気にかけてんだな」

「クソっ、やっぱ一人が一番だぜ……」

 

 

少し楽しい雰囲気が部屋の中を漂う。

 

 

――――――――――しかし

 

 

「楽しんでいるところすまない。

そろそろ本題に入らせてもらうよ」

 

 

滅多に効かない榊のまじめな声。

その言葉で第一部隊に緊張が走る。

 

 

「ユウヤ君、君はこのアラガミのことは知っているね?」

「っ、こいつ…!」

 

 

そういって一枚の紙切れをユウヤに渡す。

 

 

他の面々もその紙切れを覗き込む。

 

 

そこに写っていたのはユウヤの仇であるアラガミ、『ゼロ』だった。

 

 

「つい先日、神機使い二人が死んだのは知っているね。

その二人を殺したのがそこにのっているアラガミ、ゼロだよ」

「ゼロ………」

「とはいっても今のところそれが正式名称ではない。

あくまで仮の名前さ。

けどこれだけは覚えておいてほしい、この付近でゼロが目撃されたということは近々君たちも出会うかもしれない。

くれぐれも注意してほしい、特にユウヤ君、君は前に私の忠告を無視したからね」

「わかってますよ、次からは気を付けます」

「……そうか、ならいいんだ。

また、あのようなことがあったらみんな心配するからね。

すまない、こんな時にこんな話をしてしまって、もう行ってもいいよ」

 

 

それから第一部隊はシオに挨拶をした後、榊の部屋を後にした。

 

 

「ところでさ、ユウヤたちはこの後どうするんだ?」

「私とアリサはこれから任務だよ」

「わたしも任務だね」

「俺は……寝る…」

 

 

そういって覚束ない足取りで自室へと向かったユウヤ。

 

 

「…確かにあいつ相当任務こなしてたもんな…」

「今はゆっくり休ませてあげよっか、アリサ行こう」

「はい、行きましょう!」

「わたしも行かないと…」

「……オレ寂しいな……」

 

 

廊下で一人、そう呟くコウタなのであった………

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 




最近本編が短い気がする…


きっと気のせいだよね!そうだよ、きっとそうだよ!


てなわけで今後もよろしくお願いします!!


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お姉ちゃんが試してやる!!

いつも通りの一日を過ごしていたユウヤ。


しかし、この日はいつもと違うようだ………


―――――――――――――――朝

 

 

ユウヤはベッドから起き上がり、顔を洗い歯を磨き、いつもの服に着替え食堂に行こうとした時だった。

 

 

「おーい、ユウヤー、起きてるかー?」

 

 

それは女性の声だった。

 

 

扉を開けるとそこにはよく見る女性が一人立っていた。

 

 

「…なんだヨシノか…朝からうるさい」

「あたしだって来たくてここに来たわけじゃないわよ!」

 

 

女性はヨシノ、クロナの姉に当たる人物だ。

 

 

こういう風にユウヤの部屋に彼女が来ることは今まで一度もなかった。

 

 

「で、なんかようでもあるのか?」

「だったらアンタのとこなんかに来るか。

一緒に任務に来てほしい。」

「……は?」

 

 

それは意外な一言だった。

 

 

ヨシノは基本、クロナに好かれているユウヤのことが嫌いだった。

 

 

そして、事の発端は十分前に遡る……

 

 

 

 

 

―――――クロナの部屋

 

 

 

 

 

「どうしたの?朝お姉ちゃんがいきなりここに来るなんて」

「……クロナ、あんた今でもユウヤのことが好き?」

 

 

それは唐突な質問だった。

 

 

これにはさすがのクロナも少々たじろぐ。

 

 

「え!?い、いきなり何言いだすの、お姉ちゃん」

「どうなの!?」

 

 

この時、クロナはヨシノの様子が少しおかしいことに気付く。

 

 

「……お姉ちゃん、やっぱり何か変だよ、朝から私の部屋に来るのも変だし、そもそもそんな質問してくるなんて余計変だよ」

「……あたし考えたんだけどさ、もしクロナが本当にユウヤのことが好きならそれで構わない。

でもね、あたしはあんたのお姉ちゃんとして一つだけどうしても確認したいことがあるの」

「……何?」

「それは………」

 

 

そこまで言ってヨシノは一度大きく深呼吸をして心を落ち着かせた。

 

 

それからしばらく沈黙が続いた。そしてヨシノが口を開く。

 

 

 

 

 

「――――――あいつが本当に強くて、クロナに相応しい相手かどうかを!」

 

 

 

 

 

―――――そしてこういう状況になったのである。

 

 

「で、どうなの、来てくれるの?それとも来ないの?」

「…なんで俺なんだ?」

「なんでって……そりゃあ…」

 

 

意外な反撃にさすがのヨシノも想定外。

 

 

「え~と、それは、つまり………」

「………まあいいか、別に俺今日やることないし、それに非番だし」

「え…?」

 

 

それは意外だった。

 

 

ヨシノは今回、クロナに相応しいための五箇条を考えてきていた。

 

 

1、クロナより強いゴッドイーターであるべし

 

2、いざという時にクロナを守れるべし

 

3、クロナに一途であるべし

 

4、クロナのためなら大切な時間を割いてでも約束を守るべし

 

5、クロナのためならたとえ火の中水の中

 

 

そして今の一言で四か条目をクリアした。

 

 

(まずは四か条目と……)

「おい、お前今何かメモっただろ」

「べっつに~」

 

 

彼女はとっさに後ろを向きメモ帳にメモした。

 

 

余談であるが彼女のメモ帳には「クロナの成長記録!」と書かれていたため中はクロナの写真で

いっぱいだった。

 

 

「そんじゃ、善は急げだ、いくぞー!」

「…おー」

 

 

やる気満々なヨシノの声と、いろんな意味でめんどくさそうにかけ声をあげたユウヤ。

 

 

そんなやり取りを影から見ていたクロナ、それを途中から発見し一緒に観戦していたアリサとアスカの姿があった。

よく見るとクロナの顔が真っ赤になっていた。

どうやら先ほどのメモ帳が恥ずかしかったらしい。

 

 

「……も~、お姉ちゃん、まだあのメモ帳使ってるの……もう恥ずかしい…」

「…クロナの成長記録…みてみたい…」

「見なくていいから!!」

「あの~、そんなこと言ってますけどよかったんですか?ヨシノさんにあんなことさせておいて」

「…うん、最初はやめてほしかったんだけど、もしそれでお姉ちゃんがもう何も言わなくなるなら

いいかなって思って」

「…なるほど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは鉄塔エリア。

 

 

ユウヤとヨシノの二人はボルグ・カムランとハガンコンゴウ二体の討伐に来ていた。

 

 

「くっそ~、相変わらず鉄くさいな、ここ」

「あんたそんなに嗅覚よかったっけ?」

 

 

もうほとんどアラガミだから、などとは言えずとりあえず笑ってごまかした。

 

 

「つーかさ、あんた神機二つも持って重くないわけ?」

「ん?ああ、これか、もう慣れたよ」

 

 

確かに疑問に思うはずだ。

 

 

本来、神機は一つと決まっているのに、彼の場合少々特別な偏食因子を用いているため二刀流に

なったのだ。

 

 

それにユウヤの神機はロングブレードが二刀流となっているため合体したときはバスターブレード、

つまり通常の二倍の重さだ、なのに彼はそれを軽々と振り回し自分のものとしている、疑問に思っても仕方のないことだった。

 

 

「まあ……慣れだ、慣れ」

「…そういうもんかねぇ…」

「多分」

「……………」

「……………」

 

 

その後永遠と言っていいほどの沈黙が続いた。

しかし、その沈黙を破ったのはユウヤだった。

 

 

「そういやぁ、お前と任務に行くのってこれが初めてだよな」

「…言われてみればそうね、ってなんで今それを――――――――」

 

 

そこまで言ってヨシノの言葉はユウヤの手によって静止される。

 

 

「……いた?」

「ああ、いたぞ、あれだ」

 

 

そういってユウヤの視線の先には獲物を探してうろつきまわるボルグ・カムランとそこより少し離れたところに二体のハガンコンゴウが食事をしていた。

 

 

「作戦は……わかるよな?」

「当たり前でしょ、どっちが先輩よ!」

「…だな…」

 

 

そういってユウヤは二体のハガンコンゴウに向かって走り出す。

 

 

(ちょっ、何あいつ、めっちゃ速いじゃん!人間か!?)

 

 

ユウヤは神速のごとしスピードで近くにいたハガンコンゴウに詰め寄ると下からの切り上げを放つ。

 

 

「――――――――らぁ!!」

 

 

「ゴアァァ!?」

 

 

不意打ちが成功しハガンコンゴウの一体は大きくのけぞる。

 

 

その隙を見逃さなかったヨシノはアサルトタイプの神機をハガンコンゴウに向け銃弾を放つ。

 

 

「くらえ!!」

 

 

彼女が放った数十弾の弾はユウヤをかわし標的のアラガミに全弾命中。

 

 

さらなる追撃でユウヤは神機をバスターブレードに合体させ大きく飛んでハガンコンゴウの頭部に

斬撃を放ち真っ二つに切り裂いた。

 

 

「ナイスユウヤ!!」

「っ!ヨシノ!!後ろ!!」

 

 

振り向くとそこにはボルグ・カムランが自分の真後ろまで迫ってきていた。

 

 

「やば――――――――――」

 

 

その瞬間、尻尾がヨシノの心臓めがけて放たれる。

 

 

ヨシノは目をつぶり死を覚悟した。

 

 

しかし、尻尾の針が彼女の心臓を貫くことはなかった。

 

 

なぜなら―――――――――――――

 

 

「―――――っと、あぶねえ」

「………え?」

 

 

目を開くとそこには左手を盾にし自分のことをかばったユウヤの姿があった。

 

 

先ほどユウヤがいたところを見ると彼の神機が地面に突き立てられておりその距離約五百メートル。

 

 

彼はあの後一瞬で自分とボルグ・カムランの間に立ちヨシノをかばったのだ。

 

 

「こ……の…野郎!!」

 

 

叫ぶと同時にボルグ・カムランの尻尾を両手でつかみ背負い投げのごとし投げ飛ばした。

 

 

馬鹿でかい落下音とともにボルグ・カムランがひっくり返る。

 

 

「ふぅ……大丈夫か?」

「……うん…ありがと…」

 

 

その言葉を聞いたユウヤは急いで自分の神機のもとへ走った。

 

 

「よし……やるぞ!!」

「わかってるわよ!命令すんな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――――何とか、終わったわね……」

「そうだな……まあコアも抜き取ったことだし、帰るか」

 

 

そういって二人はアナグラの方に向かって歩き出す。

 

 

「……あのさ、ユウヤ…」

「ん?なんだ」

 

 

突然ヨシノが口を開いた。

 

 

ユウヤは少し驚きながらも反応を返す。

 

 

「――――――――ありがとう…」

「…へ?」

「…だから、ありがとうって。

…・・・何回も言わせんな、バカ…」

 

 

そんなヨシノの顔は今まで見たことがないくらい赤かった。

 

 

「…で、何が?」

「………あんたに言ったあたしが馬鹿だった……

要するに、あの時助けてくれたお礼、わかった?」

「……ああ、あんなことか、いいって別に、礼なんて。

それに仲間を助けるなんて当たり前だろ?」

「だったらもう少し安全な助け方を見つけなさいよ……」

「ははっ、だな」

 

 

そのあとまた歩き出す。

 

 

すると少し歩いたところでヨシノの先を歩いていたユウヤが突然振り返る。

 

 

「なあ、ヨシノ」

「な、何よ……」

 

 

 

 

 

「怪我ないか?」

 

 

その一言、たったその一言でヨシノは今まで自分のやってきたことがばかばかしく思えてきた。

 

 

ユウヤは相手がだれであろうと平等に接し、そして守ってくれる。

 

 

(……あたしは馬鹿だなあ……もう十分だよ…ごめんね、クロナ)

 

 

内心、クロナに謝罪しつつユウヤに答える。

 

 

「おかげさまでね」

「ならよかった」

 

 

そして二人はまた歩き出す。

 

 

(なるほど……こりゃあの子が惚れるのもわかる気がする…)

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 



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動き出す計画




今、運命の歯車が再び動き始める………





「……そうか、御苦労だった、引き続き準備を進めてくれ」

 

 

そう告げ電話を切る支部長。

 

 

「あと少し……あと少しで…計画が完成する…」

 

 

一人、部屋で独り言を呟いていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユウヤ、本当に怪我はないんですね?」

「だからないって、お前過保護すぎるぞ」

 

 

ここはエントランス。

 

 

ユウヤとアリサはつい先ほど任務から帰投したばかりで今の会話は二人のものであった。

 

 

そこに二人の女性が近づいてきた。

 

 

「あらあら、アリサったら相変わらずユウヤ一筋ね」

「ほんと、見てるこっちまで少し恥ずかしいわね」

「サ、サクヤさん!ジーナさん!な、何言ってるんですか!!」

 

 

サクヤ、ジーナの二人はいきなりアリサをからかい始める。

 

 

アリサは顔を赤くし必死に否定する。

 

 

ユウヤはいまいち何のことか全くわかっていなかった。

 

 

「そうだ、サクヤさん。

ちょっと話があるんですけど、いいですか?」

「あら、あなたがそんなこと言うなんて珍しいわね、何かしら?」

「ここで話すのは少しまずいんで博士の部屋に行きましょう」

「……わかったわ」

「あの、私は…」

「すまん、話しは俺たちだけでさせてもらう」

「……わかりました…」

「すまんな、それじゃ行きましょう」

 

 

そういって、ユウヤとサクヤはエレベーターへと向かった。

 

 

アリサはその背中をただ見つめていた。

 

 

――――――――――しかし

 

 

(……ごめんなさい、ユウヤ)

 

 

アリサはユウヤたちにばれないようにあとをつけた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、ここで話すということはかなり大事な話、ということだね」

 

 

場所は変わりここは榊の研究室。

 

 

部屋にはユウヤ、サクヤ、榊、そして扉の向こうにアリサがいた。

 

 

「ユウヤ、話しっていったい……」

「…話してくれませんか、あの時言っていたことを」

「……何のことかしら」

「っ、とぼけないでください!あの時博士は小さい声で言ってたけど俺には聞こえました!

隠しても無駄です!」

「……もう、隠しきれないようだね。

どうするんだい、サクヤ君?」

「……話すしかないようね…」

 

 

サクヤはもう隠しきれないと判断しすべてを話すことにした。

 

 

「……博士ならもう知ってると思いますが、これは私とリンドウだけで考えていたことなんです」

「…リンドウさん…」

「ある日、私はリンドウに呼ばれてこの話を聞いたわ。

このことは本来支部長ぐらいの人しか知らないことだったの」

「そのことは私も話は聞かされたよ、ヨハンから直接ね」

「この計画の名は『アーク計画』

選ばれた人間だけを箱舟、ノアに乗せ一度月に行く、そういう計画よ」

「…つまりそれで終末捕食を回避する、と。

ならエイジス計画は……アーク計画を隠すためのカモフラージュ?」

「ええ、その通りよ」

 

 

そのすべてを扉の向こうで聞いていたアリサは驚愕の表情を浮かべる。

 

 

(じゃあ……リンドウさんは…)

 

 

リンドウはこの計画を知ったため自分を利用して口封じをした。

 

 

そう考えるだけで怒りと罪悪感が込み上げてくる。

 

 

そしてアリサはその場を去った。

 

 

(……アリサ…)

 

 

ユウヤはアリサがいることを気づいていたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所はさらに変わりここはサクヤの部屋。

 

 

あの後、サクヤは話を終え自室へ向かった。

 

 

すると部屋の前にはアリサが自分を待っていた。

 

 

そしてサクヤの部屋にて二人の沈黙が続いていた。

 

 

「……全部、聞いてたのね……アリサ」

「…はい、すいませんでした…」

 

 

サクヤが沈黙を破り口を開いた。

 

 

「…あの、サクヤさん、お願いです、私にも協力させてください」

「……でも」

「お願いします、それに悔しいんです。

口封じのために私が利用されたなんて……

だからお願いします!!」

「アリサ……」

 

 

深々と頭を下げるアリサ。

 

 

それを見たサクヤはため息交じりに答える。

 

 

「…わかったわ、ただしこの作戦は――――――――」

「――――――――わかりました」

 

 

こうしてアーク計画を阻止するためサクヤとアリサは作戦を練っていた………

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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明かされる真実




運命の歯車は止まらない………


「やあ、急に呼び出してすまないね」

 

 

「博士、話しっていうのはなんですか?」

 

 

ここは榊の研究室。

 

 

ユウヤは突然榊に呼ばれ彼の部屋へと向かった。

 

 

「またシオですか……あれ、そういえばシオは?」

 

 

「簡単な話さ、シオが突然いなくなったんだ」

 

 

「………え……」

 

 

平然ととんでもないことを告げた榊。

 

 

ユウヤは一瞬理解ができず思考が停止する。

 

 

「博士……どういうことですか?」

 

 

「既にソーマにも話しているんだが突然シオの体に変な模様が浮かび上がったと思ったらまた壁を

壊して逃げ出したんだ。もっとも――――――――」

 

 

そこまで言うとユウヤの通信機が鳴る。

 

 

「すいません博士、もしもし……ヒバリさん?どうした……支部長が?わかった、ありがとう」

 

 

「ヨハンがどうしたんだい?」

 

 

「どうやら呼ばれたみたいです、すいませんが行ってきます」

 

 

「構わないよ、それに彼が言いたいことは私とあまり変わらないと思うよ」

 

 

「え……それって―――――」

 

 

「それより早くいかなくていいのかい?支部長が待っているよ」

 

 

「……そうですね、それでは」

 

 

ユウヤが言おうとしたことを榊が半ば強引に遮った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さてと、行きますか…」

 

 

ユウヤは支部長室の前にて一度落ち着き部屋に入る。

 

 

「やあ、よく来てくれたね」

 

 

「支部長、話しというのは…」

 

 

「…実は、つい今しがた太平洋近海のエイジス島周辺に特殊なコアを持ったアラガミの反応があった。

おそらく非常に高度な知能を有していると思われるアラガミの討伐任務だ。

これよりこの特殊なコアを持ったアラガミを討伐、無傷のまま持ち帰ってきてもらいたい。

尚、この任務は特務と同じ扱いとし、ソーマとともに向かってもらう。

話しは以上だ、下がりたまえ」

 

 

そのままユウヤは早足で部屋を後にする。

 

 

理由は簡単、彼はただ支部長が苦手なため少しでも一緒にいたくないのだ。

 

 

「……はぁ……やっぱ苦手だな」

 

 

そう呟きながら彼は任務へと向かった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――ここは太平洋近海エイジス島付近。

 

 

ユウヤとソーマは支部長の命令通り特殊なコアを持ったアラガミの討伐、及びコアの回収へと向かったのだが…

 

 

「……なあソーマ、支部長の言ってた特殊なコアってさ」

 

 

「…ああ、おそらくシオだ。

俺はあのくそ親父の命令でそいつをずっと探してきた」

 

 

「そういやぁ、そんなことも言ってたっけな、たしかリンドウさんも」

 

 

「ああ、だが俺はシオをあの野郎に差し出すつもりはない」

 

 

そういいながらソーマはユウヤに神機を向ける。

 

 

「もしお前がシオを渡そうってなら、俺は容赦なくお前を殺す」

 

 

「…あのなあ、俺だってお前と同じ意見だ、渡す気なんてない。

俺は支部長苦手だしな……

それにソーマはシオを一番大事に思ってるもんな」

 

 

「…フン、勘違いするな、別にそんなつもりで――――――――――」

 

 

そこまで言ってソーマとユウヤは臨戦態勢に入る。

 

 

すぐ付近には自分たちを狙う二体のボルグ・カムランが現れていた。

 

 

「ソーマは右を、俺は左をやる!」

 

 

「ああ、わかった…!」

 

 

ソーマは言われた通り右、ユウヤは左と交戦を開始する。

 

 

「とっとと終わらせる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「♪~」

 

 

特殊なコア反応があった場所からきれいで透き通った歌声が流れる。

 

 

声の主は、ユウヤたち、そして支部長が探している特殊なコアを持ったアラガミ、シオだった。

 

 

「…なんだか、かなしいな…」

 

 

「別れの歌、だからか?」

 

 

「わかれの…うた…」

 

 

悲しそうにソーマの言葉を繰り返すシオ。

 

 

「大切な人と会えなくなってしまう……そんなことを歌っているんだ」

 

 

「そっか………でも、またあえたな!」

 

 

「…そうだな」

 

 

完全にソーマとシオの世界にユウヤは蚊帳の外状態だった。

 

 

「……なあ、そろそろ俺をのけ者にしないでくれ」

 

 

「ゆうや!いたのか!」

 

 

「………ソーマ、慰めてくれ…」

 

 

「……すまん、オレも忘れてた…」

 

 

「……こんな悲しいことってあるか…」

 

 

すると突然シオがうめき声をあげ苦しみだす。

 

 

「うぅ……ううううううウウウウウウウウ!」

 

 

「っ、シオ!!」

 

 

「あれが博士の言ってた変な模様か……」

 

 

そのままシオは覚束ない足取りでエイジスの方に歩き出す。

 

 

「イカ…ナキャ…」

 

 

「シオ!行くんじゃねぇ!!」

 

 

するとソーマの言うことを聞いたのかその場で止まり――――――――その場で倒れた。

 

 

「おいシオ!どうした!!

くそっ、言ったんアナグラに戻るぞ!!」

 

 

そういった時のソーマはいつもの冷静さをなくしていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――その頃、時同じくしてここは人類最後の砦、エイジス島内部。

 

 

そのエイジスの中を一つの神機を持って警戒しながら慎重に探索する影が一つ。

 

 

「さすがに警備が厳重ね…さすがエイジスね。

もう少しで中心部に着くころだと思うんだけど…」

 

 

影の正体は橘サクヤ、彼女は真実を暴くため一人エイジスに潜入していた。

 

 

(アリサには悪いけどあの子を巻き込むわけにはいかないものね)

 

 

そうこうしているうちに広いところに出た。

 

 

そこでサクヤは天井に張り付く謎の物体を発見する。

 

 

「何……これ……」

 

 

それと同時に侵入者を知らせるブザーが鳴り響いた。

 

 

そして無数のレーザーがサクヤの命を奪おうと放たれる。

 

 

しかし、彼女とレーザーの前に赤い装甲を展開させサクヤをかばう一人の少女が現れた。

 

 

そしてすぐさま神機を銃形態に変形、レーザーの方に向かって銃弾を放つ。

 

 

「…ふぅ、大丈夫ですか、サクヤさん」

 

 

「っ、アリサ!どうしてきたの!?」

 

 

「何言ってるんですか!?約束したじゃないですか!一緒に行くって」

 

 

「アリサ……」

 

 

するとそこにまた一つの声が響き渡る。

 

 

「ようこそ君たち、想像していた楽園と違いがっかりかい?」

 

 

「っ!支部長、やはりあなたが!!」

 

 

「どうしてこんなことしたんですか!?」

 

 

そこに現れたのは支部長ことヨハネスだった。

 

 

「彼はここに侵入する手はずまで整えていたのかね、サクヤ君?

実に残念だ…惜しい人物を失ったものだよ…」

 

 

「支部長、全部あなたが仕組んだことなんですね!!」

 

 

「ああ、その通りだ」

 

 

「飼い犬に噛まれる前に手を打った、ただそれだけだ

それに彼は開けてはならないパンドラの箱を開けてしまったんだよ」

 

 

ついに暴かれた支部長の陰謀、アリサ達は神機を持つ手に力を込める。

 

 

「このアーク計画はこの『ノヴァ』によって一度終末捕食を引き起こす。

そのための特異点だ、そして終末捕食によりこの世界は一度この星をリセットし再構築する。

その間、地球の人々、すなわち選ばれた人間だけが箱舟、ノアに乗るチケットを手に入れる。

まあもっとも、君たちはすでに自分で捨ててしまったようだが」

 

 

「そんなものいりません!あなたのやり方は間違ってます!!」

 

 

「ならこの星全員を助ける手段があると?」

 

 

「っ、それは……」

 

 

「なら選ばれた人間だけを生かし切り捨てる。

それ以上の方法があるかね?」

 

 

確かにヨハネスの言っていることは間違ってはいない、でも正しいものともいえなかった。

 

 

「さてと…そろそろ君たちには消えてもらうことにしよう」

 

 

そういってヨハネスが右手を挙げる。

……しかし何も起こらなかった。

 

 

「残念ですけど、残りのガードロボは全部私が破壊しましたけど?」

 

 

勝ち誇ったようにそう告げるアリサ。

 

 

しかし、ヨハネスの余裕が消えることはなかった。

 

 

「……そうか、ならば仕方ないな、あまりこうはしたくなかったが二人には殺しあってもらうことにしよう」

 

 

「――――――――やあアリサ、久しぶりだね」

 

 

「……オオグルマ…先生…」

 

 

そこに現れたのは姿を消し、アリサの主治医でもあったオオグルマだった。

 

 

「そんなに殺したりないなら、また手伝ってあげよう」

 

 

「何を……」

 

 

「アジン、ドゥヴァ、トゥリー!」

 

 

「!」

 

 

そのままアリサは銃口をサクヤに向ける。

 

 

「そうだ……やれ、やるんだ!アリサ!!」

 

 

「アリサ!ダメ!!」

 

 

サクヤはアリサの方に走り出す。

 

 

そしてアリサは銃弾をサクヤに放つ。

 

 

「ふははははははははは!!血迷ったか!サクヤ!!」

 

 

―――――――――しかし

 

 

「何!?」

 

 

「残念ね!回復弾よ!」

 

 

そういいながらサクヤは懐からスタングレネードを放り投げ急いで撤退する。

 

 

「…逃げられたか……」

 

 

ヨハネスはそう呟き、オオグルマはその場で膝をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は流れここはユウヤの部屋。

 

 

そこにはアリサ、サクヤを除く第一部隊がいた。

 

 

『――――――――以上で、これがアーク計画の全容よ』

 

 

「…そんな計画があったなんて…」

 

 

「このリストに載ってる人だけが箱舟に乗れる……」

 

 

『そうよ、まあ私とアリサはもうそのリストから外されちゃったけどね』

 

 

「……アーク計画…」

 

 

『で、そのまま行けばあなたたちは助かる側、逆を言えば私たちは極東からのお尋ね者ってわけね』

 

 

「エイジス計画が…嘘…マジかよ……」

 

 

コウタはそのまま頭を抱える。

 

 

『改めて言うけど、私はこの計画を認める気はないの』

 

 

『ええ、私たちは支部長の凶行を止めなければならない。

とりあえず身を隠して、エイジスへの潜入方法を探ってみます』

 

 

『とまあ、伝えておきたかったのはそれだけ。

後どうするかは、あなたたちで決めて頂戴。

もしそれで私たちの敵になったとしても恨まないから安心してね』

 

 

『まあ邪魔するようであれば、全力で排除しますけどね』

 

 

『アリサ!』

 

 

アリサの冗談交じりの発言にサクヤが注意を入れる。

 

 

『冗談に決まってるじゃないですか。

…まあ、そうならないことを祈ってます』

 

 

『そうね……そろそろ切るわ、くれぐれも後悔しないようにね』

 

 

「はい、二人も気を付けて」

 

 

その言葉にサクヤは感謝の言葉を述べ通信を切る。

 

 

部屋には沈黙が続く。

 

 

「……で、お前らはどうするんだ?」

 

 

「私は勿論、反対だよ。だってこんな計画間違ってるもん」

 

 

「わたしも反対、なんかこの計画やだよ」

 

 

「俺はもともとあの男に従うつもりはない」

 

 

「だろうな、まあ俺も当然反対だけどな」

 

 

「……………」

 

 

一人コウタは黙ったまま、俯いている。

 

 

「…コウタはどうする?」

 

 

「……オレは……」

 

 

「……そういえば、そのリストにはお前の家族の名前、載ってたな…」

 

 

「ちょっとユウヤ!」

 

 

少々いい過ぎたユウヤをクロナが静止する。

 

 

それを聞いたコウタは顔を上げる。

 

 

「……オレ、アーク計画にのるよ」

 

 

「っ、コウタ…!」

 

 

「アスカ!」

 

 

「ごめん、でもオレユウヤの言った通り母さんや妹の名前があった時から決めたんだ、だから…」

 

 

「気にするな、お前がそうしたいならすればいい、お前が決めたことを俺たちがとやかく言う筋合いはないしな」

 

 

その時の彼声は失望したような声ではなく純粋な敬意を表していた。

 

 

「ユウヤ……ごめん…!」

 

 

それと同時にコウタは申し訳ない気持ちになり部屋を後にする。

 

 

「コウタ……」

 

 

そんな彼の背中は誇らしいものとなっていた………

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 

 

 

 

 




本編長いし前書き短いしでもうふんだり蹴ったり。


終わりに近づくにつれどんどん前書きは短くしていく予定です、それでは!


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悔いなき答え




ユウヤの出した最後の答えとは………






――――――――ここは榊の研究室。

 

 

サクヤたちがアナグラに帰ってこないまま三日が経った。

 

 

最近シオの様子がおかしいためユウヤとソーマ、アスカとクロナは研究室にいることが多くなっていた。

 

 

「うー……うー……」

 

 

「博士、シオちゃんは大丈夫なんですか?」

 

 

「クロナ…さっきからそればっかだな」

 

 

「だって心配なんだもん」

 

 

「大丈夫だよ、と言いたいんだけどそうも言っていられないね。

ちゃんとご飯はあげてるんだけどね」

 

 

そういって榊はシオの前にアラガミのコアを出した。

 

 

シオはそのコアをがつがつと食べだした。

 

 

「そういえば、ほかのやつらは計画には賛成なのか?」

 

 

この三日でヨハネスはアーク計画のことを話した。

 

 

ほとんどが賛成に対して反対も少数ながらいたようだ。

 

 

「タツミさんやジーナさんは反対らしいけど、それでもやっぱり賛成の方が多いみたい」

 

 

「…そうか…」

 

 

「まあ当然だろ、このままいたら死んじまうんだ、だったら生き延びるほうを選ぶだろ」

 

 

「それもそうだが――――――――」

 

 

そこまで言った途端、部屋の明かりが一瞬にして消えた。

 

 

「っ、何!?」

 

 

「大丈夫だよ、ちゃんと予備電源が機能すれば明かりはつくから」

 

 

すると榊の言った通りしばらくして明かりがつく。

 

 

―――――しかし、これが決定的なミスとなる。

 

 

『――――――――やはり匿っていたのだな、博士』

 

 

「なっ!」

 

 

「この声って…」

 

 

「えっ、何々!?どういうこと!?」

 

 

「……そういうことか…」

 

 

「しまった!!やられた…」

 

 

「おい!どういうことだ!!」

 

 

「さっきも言ったように今使われている補助電源は中央管理なんだ。

ここのデータもすべて持って行かれるというわけさ」

 

 

「つまりここにシオを匿っているのがばれた…ということですね」

 

 

「そういうことさ」

 

 

「って、なんで博士もユウヤもそんなに落ち着いてるの!?」

 

 

「まあ慌てたってこの現状が変わるわけじゃないしな」

 

 

それからすぐに研究室に数人の男が入ってきてシオをさらっていった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――で、どうするんだユウヤ」

 

 

「……決まってんだろ、エイジスに行ってノヴァをぶっ壊す、それだけだ」

 

 

ユウヤたちは今エイジスに向かうための作戦を考えていた。

 

 

「でもさ、どうやってエイジスまで行くの?」

 

 

「…問題はそこなんだよな……とりあえず博士に相談でも――――――――」

 

 

その時、部屋の扉が勢いよく開きそこに二人の女性と少年が入ってきた。

 

 

「あら、それなら心配いらないわよ」

 

 

「サクヤさん!!アリサ!!」

 

 

「エイジスに行く手段ならもう見つかってます、さあ、入ってください」

 

 

「……………」

 

 

「コウタ!!それに教官!!」

 

 

アリサに言われ入ってきたのはアーク計画に賛成のコウタだった、あとツバキ。

 

 

「話は全部聞いた、二人はずっと私と博士で匿っていた」

 

 

「マジかよ……」

 

 

「コウタ、でもなんで?あなたは計画に賛成のはずじゃ…」

 

 

「……ごめん、今更なのはわかってるけど、オレ気づいたんだ。

母さんたちが安心して暮らしていけるならそれは嬉しい、でもそれはオレが作らなきゃ意味ないんだって、そのためにオレはゴッドイーターになったんだし……」

 

 

「…コウタ…」

 

 

「ユウヤ、どうするの?」

 

 

「………コウタ、お前はそれでいいんだな。

本当に悔いは残らないな?」

 

 

「…ああ、当たり前だ!」

 

 

「……その言葉を待ってたよ。

でもエイジスにはどうやって?」

 

 

「それなら心配はいらない。

ここの地下にあるエレベーターからエイジスに続く道がある。

あとのことはすべてお前たちに任せることになるが頼んだぞ!」

 

 

「任せてください!行くぞ、みんな!」

 

 

ユウヤに続いて全員がエイジスへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…おいおい、何だよあれ…」

 

 

ここはエイジス島内部。

 

 

人類最後の砦、と称されてきたがその正体はアーク計画のカモフラージュに過ぎなかった。

 

 

そして彼らは天井に張り付く巨大な何か――――――――否、アラガミ、ノヴァが張り付いていた。

 

 

「あれが……ノヴァ?」

 

 

アスカの呟いた疑問に答える一人の男の声。

 

 

「――――――ようこそ、エイジスへ。

その通り、これこそが終末捕食を引き起こす、ノヴァだ」

 

 

ユウヤたちは一斉に声のした方に視線をやる。

 

 

そこにはノヴァの横に立っていた支部長、ヨハネスだった。

 

 

「………支部長…」

 

 

「なっ、あれは…シオ!!」

 

 

ノヴァの中心あたりに張り付いた白い人型のアラガミ、シオがいた。

 

 

「っ、てめぇ!!シオを解放しろ!!」

 

 

「…そうだな、これはあくまで特異点のコアを守っていた金庫に過ぎない。

もう用はない」

 

 

すると突如ノヴァが光りだしシオがそこからはがれるように落ちる。

 

 

「シオ!!」

 

 

ソーマは神機を捨てシオのもとへと走る。

 

 

いくらアラガミとて頭から落ちればただでは済まない。

 

 

「っ、クソっ!!届け!!!」

 

 

ソーマは叫びながら手を伸ばす。

 

 

―――――――しかし

 

 

 

 

 

「っ」

 

 

 

 

 

その手がシオに届くことはなくシオは地面に倒れる。

 

 

「……シオ…しっかりしろ……おい…」

 

 

ソーマはゆっくりとシオを起こしながら呼びかける。

 

 

しかし、シオが目覚めることはなかった。

 

 

「さて…ユウヤ君、正直言って君を手放すのは実に惜しいのだ。

どうかね、この箱舟に乗る気はないかね?」

 

 

「……………」

 

 

ユウヤは答えない。

 

 

「…ユウヤ…?」

 

 

「……はぁ…確かに、あんたについていけば生きていけるかもしれないな」

 

 

「なっ、ユウヤ!!」

 

 

そういって彼は神機を地面に突き刺す。

 

 

「実に正しい判断だ」

 

 

「ユウヤ!!お前!!」

 

 

コウタに呼ばれるがユウヤは何も答えない。

 

 

ソーマはユウヤの顔を見る。

 

 

それを見た彼は思わず身震いをしてしまう。

 

 

その時の彼の表情は怒りを露わにしていた。

 

 

あのソーマをも身震いさせてしまうほどの。

 

 

「……確かに俺は死にたくない、まだやりたいこともあるしな。

けどな、だったら俺は全人類が助かる方法を死ぬ気で探してやる」

 

 

「…なるほど、しかし、もし見つからないまま終末捕食が起こってしまったらどうするのかね」

 

 

「その時はそれで終わりだ。

だが何もせず死んでいくなら最後の最後まで抗って死んでやる。

それだけだ」

 

 

「ユウヤ…!」

 

 

そういいながらユウヤは地面に刺した神機を再び握りしめる。

 

 

「……………」

 

 

「それに今ここで逃げたら今まで死んでいったゴッドイーターやそうでないやつ。

俺たちが死んだときそいつらにどう顔向けしたらいいんだよ。

俺たちはそいつらの意志を背負って生きていかなきゃいけないんだよ、それが生きてるやつらの義務なんだよ」

 

 

「……………」

 

 

それを聞いたヨハネスは先ほどの余裕ぶった表情は消え、失望した顔になった。

 

 

「…そうか…実に残念だ。

つまり、ほかの君たちも意見は変わらないと」

 

 

全員は無言でうなずく。

 

 

「……ふっ、ふははははははははははははははははははははは!!!」

 

 

初めて聞くヨハネスの高笑い。

 

 

「そうか…ならば君たちには消えてもらうとしよう!!」

 

 

そういうとヨハネスの下から何かが出てくる。

 

 

現れたのは巨大な女性の像、しかし人間とは言いづらいものだった。

 

 

「何あれ……人間…?」

 

 

「あんなデカイ人間がいるか。

あれは恐らくアラガミだ、それも多分人工的な…」

 

 

「その通り、これは私が極秘に作り上げたアラガミ『アルダノーヴァ』だ!!」

 

 

そう言い放ちヨハネスはアラガミ、アルダノーヴァの中へと消えていく。

 

 

「………シオ、行ってくる…」

 

 

そういってソーマはゆっくりとシオの体を寝かせる。

 

 

「ソーマ!!」

 

 

ユウヤは名前を叫ぶとソーマの神機をソーマ目掛けて蹴り飛ばす。

 

 

「ったく、てめぇは人のものを安全に渡すことができねえのか」

 

 

「悪いな、両手ふさがってるんだ」

 

 

「二人とも!来るよ!!」

 

 

「さあ、始めようか!!人類の存亡をかけた最後の戦いを!!」

 

 

ヨハネスの声がアルダノーヴァから聞こえる。

 

 

「全員、命令は一つ!!」

 

 

ユウヤは神機を構えて叫んだ。

 

 

 

 

 

「――――――――絶対に、生きて帰るぞ!!」

 

 

 

 

 

こうして人類の存亡をかけた最後の戦いの幕が開く………

 

 

 

 

 

 

続く………




気が付けば第一部がもう終わる…


はっきり言って何話書いたか見たら∑∑(゚д゚lll)てなった。


それでは!!


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神VS神




ユウヤたちは無事支部長の計画を阻止することができるのか………










「ソーマ!左右から挟み撃ちで行くぞ!!」

 

 

「わかった!!」

 

 

ユウヤの指示通り、ソーマは左へ行きユウヤは右から攻める。

 

 

「甘い!!」

 

 

そう言い放つとユウヤの方に女性が振り向き、そのまま腕を薙ぎ払いユウヤを吹き飛ばす。

 

 

「がっ!!」

 

 

その隙をついてソーマは背後から攻撃。

 

 

しかし――――――――――

 

 

「な、――――――――」

 

 

ガンっ!!と鈍い音をあげソーマの神機をはじく。

 

 

アルダノーヴァの背後には男神がおりソーマを吹き飛ばす。

 

 

「ごはっ!!」

 

 

「っ、ソーマ!!」

 

 

「人の心配をしている場合かね!!」

 

 

そう言い放つと女神が突進を繰り出す。

 

 

「がはっ!!」

 

 

起き上っていたユウヤは反応できず命中、そのまま吹き飛び数回地面にバウンド壁に激突する。

 

 

「くそ!!こいつ!!」

 

 

「くらいなさい!!」

 

 

隙だらけのアルダノーヴァにサクヤとコウタが銃弾を放つ。

 

 

「ぐぐぐ……貴様らぁ……」

 

 

流石に堪えたらしくぐぐもった声が聞こえる。

 

 

「今です!!」

 

 

「はあっ!!」

 

 

「やあ!!」

 

 

そこにさらなる追撃と言わんばかりにアリサ、クロナ、アスカの三人の斬撃が女神に命中した。

 

 

「ぐ………貴様らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

アルダノーヴァが怒り活性化、すると女神の頭上にある天輪が光りだす。

 

 

「おい…なんかまずいぞ…ありゃ」

 

 

「消えろ!!」

 

 

天輪からレーザーが放たれた。

 

 

しかし――――――――

 

 

「させるか!!」

 

 

「死ね!!」

 

 

それを止めるようにユウヤとソーマの斬撃が放たれ、レーザーは不発に終わる。

 

 

「よし!全員で一斉攻撃だ!!」

 

 

このまま一気に仕掛けよう、そう思い一斉攻撃をする。

 

 

しかし、それが最大のミスとなってしまう。

 

 

「な、何だ!?」

 

 

「圧倒的な力の差というものを教えてやろう!!」

 

 

突如アルダノーヴァが光りだすと、島全体が揺れ始める。

 

 

そしてアルダノーヴァを包み込む光が無数の槍となりユウヤたちに襲い掛かる。

 

 

「がはっ!!」

 

 

「うわあ!!」

 

 

無数の槍はユウヤたちの体中のいたるところに傷をつけていく。

 

 

「ふはははははは!!どうだ!!」

 

 

「くそ……化け物かよ……」

 

 

「げほっ、げほっ……体が、動かない……」

 

 

「一撃でこのざまか……笑えないな…マジで」

 

 

「…まだだ…まだ…死ぬわけには…」

 

 

そんな中身体をふらつかせながらユウヤは立ち上がる。

 

 

「ほう、あれだけの傷を負いながらまだ立つかね、周りを見たまえ」

 

 

言われた通りユウヤは周りを見る。

 

 

そこには立とうにも立つことのできない第一部隊のみんなが倒れたままだった。

 

 

「……当たり前だ…そんな簡単に諦められるわけねえだろ…」

 

 

そういいながらユウヤはアルダノーヴァに向かっていく。

 

 

「ふはははははは!!無駄だ、ただの悪あがきだ!!」

 

 

「ぐはっ!!」

 

 

しかし、傷が思った以上に深くいつも通りの動きができないため腹部に強烈な痛みを覚える。

 

 

しかし、それでも彼は立ち上がる。

 

 

「さすがにしぶといな、だがこれで!!」

 

 

そう言い放ちもう一度天輪からレーザーを放とうとする。

 

 

しかしユウヤはそれを阻止しようとはせずただ突っ立っていた。

 

 

「どうした!!あきらめたのか!!」

 

 

「……バカが」

 

 

そう小さくつぶやくとユウヤは神機を地面に突き刺す。

 

 

そして自分の腕と足のオラクル細胞を変化させアラガミのものへと変化させた。

 

 

「なっ!!なんだそれは!?」

 

 

そのままユウヤは神速の速さでアルダノーヴァへと接近、鋭い爪を胴体に放つ。

 

 

「ぐあああああ!!」

 

 

「生憎、俺は諦めるってことを知らないもんでね!!」

 

 

そういってどんどん追撃を放つ。

 

 

「…そうだよな…せっかくここまでやってきたんだ。

最後の最後までやってやる!!」

 

 

そう叫んでコウタは立ち上がり銃撃を放つ。

 

 

「後輩ばっかに頼ってたら、先輩失格よね…リンドウ」

 

 

サクヤも力を振り絞って立ち上がり、銃撃を放つ。

 

 

「そうだよね……ここであきらめたら、恥ずかしいもんね…」

 

 

アスカも立ち上がりアルダノーヴァに斬撃を放つ。

 

 

「貴様らぁ……なぜそこまで、なぜだぁ!!」

 

 

「決まってんだろ!!俺たちが生きてる限りお前の思い通りにはさせねえんだよ!!」

 

 

そういってソーマはいつの間にかアルダノーヴァの背後に接近しておりチャージクラッシュを放つ。

 

 

「ぐあああああああああああああ!!」

 

 

頑丈な男神もさすがに無傷とはいかず深い亀裂が入る。

 

 

「今のうち、喰らいなさい!!」

 

 

クロナはアルダノーヴァに神機を喰らいつかせそのエネルギーをアリサに向かって放つ。

 

 

「アリサ!!今よ!!」

 

 

「はい!!くらえ!!」

 

 

アリサはバースト状態になり、無数の銃弾をアルダノーヴァに浴びせる。

 

 

「があああああああああああああ!!」

 

 

「これで――――――――――」

 

 

隙だらけとなったアルダノーヴァにユウヤの渾身の力を込めた一撃を放つ。

 

 

 

 

 

「――――――――終わりだ!!」

 

 

 

 

 

そして、すべての終わりを告げるかのようにアルダノーヴァは地面に倒れこむ。

 

 

一瞬、彼らは何が起こったか理解ができなかった。

 

 

「………勝った……のか…?」

 

 

「…ああ、多分な…」

 

 

コウタはソーマの言葉を聞くと全身の力が抜けその場に座り込む。

 

 

「…終わった……」

 

 

「お疲れ様、みんな」

 

 

「……ん~、やったーーー!!終わったーーー!!」

 

 

アスカは疲れているというのに大きく飛び上がり喜ぶ。

 

 

「…終わりましたね…何とか…」

 

 

「…そうだね、これで…全部…」

 

 

全員がすべて終わった、そう実感したその時だった。

 

 

「――――――――まだだ……」

 

 

「なっ!!」

 

 

倒れたアルダノーヴァの方から声が聞こえる。

 

 

「支部長、あんたまだ!!」

 

 

「私は……もうダメのようだ……しかし私が…ダメ…でも…ノ……ヴァ…は……」

 

 

そこで言葉は途切れた。

 

 

途中から声がかすれてよく聞き取れていなかったが彼らは恐る恐るノヴァを見る。

 

 

「……やばいな……これ……」

 

 

無事支部長を倒すことができたユウヤたち第一部隊。

 

 

しかし、真の目的であるノヴァは止まらない。

 

 

このまま地球は終末捕食を迎えてしまうのか。

 

 

誰もがあきらめかけたその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――だいじょうぶだよ―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、ノヴァから聞きなれた声が聞こえた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




相変わらずこいつの話は短いな、そう思った方々、すいません。


これでも精一杯書いてるので生暖かい目で見守ってください。


それでは!!


次回!!最終回!!


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別れの時、そして新たな一歩

どうも!!作者です!!


おい、何でお前出て来た、そう思った方々、ごめんなさい(。-人-。)


だって最終回なんだもん………


てなわけでどうぞ!!!









―――――だいじょうぶだよ―――――

 

 

突如聞こえる謎の声、しかしそこにいる誰もがその声の主を理解していた、それは――――――

 

 

「―――――シオ!!」

 

 

アラガミの少女、シオだった。

 

 

そしてユウヤがシオの方を見るが倒れたまま動いていなかった。

 

 

―――――こっちだよ、シオはノヴァのなかだよ―――――

 

 

「マジかよ……つまりまだ意識が残ってるんだな!?」

 

 

「…あり得ないな…すでに人間の人知を超えている。

ノヴァの一部となってもまだ意識を保っているとは…」

 

 

いつの間にかそこに榊もいた。

 

 

―――――おそらのむこう…あのまあるいの おもちみたいでおいしそうだからあっちにいくね―――――

 

 

「なっ!!」

 

 

すると突然エイジスが大きく揺れ始める。

 

 

そしてノヴァがだんだん上昇し始める。

 

 

「ノヴァが……上昇していく…?」

 

 

「おい!!待てシオ!!」

 

 

「…待って…待ってください!!シオちゃん!!なんで…なんであなたが犠牲になる必要があるんですか!?そんなの…私は認めません!!」

 

 

―――――アリサ……―――――

 

 

泣きながらシオに抗議するアリサ、しかし、もうどうすることもできない。

 

 

―――――ありがとう、みんな、シオ、みんなにあえてよかった。

みんなシオにやさしくしてくれた、すごくうれしかった。

でももうじゅうぶん―――――

 

 

「シオちゃん……そんなこと…言わないでください…そんなこと…」

 

 

そのまま泣き崩れるアリサをクロナがそっと抱きしめる。

 

 

「アリサ……確かに悲しいけど…シオちゃんの選んだ道を私たちがどうこうできるものじゃないよ。

私もあきらめたくはないけど…仕方ないよ…」

 

 

そしてアリサはさらに涙を浮かばせクロナに泣きながら抱き着く。

 

 

「くそったれ!!なあ博士!!どうにかできないのかよ!!どうにかシオを助けることはできないのか!?」

 

 

「…すまない……こうなった以上私にはどうすることもできない…」

 

 

「嘘…だろ…」

 

 

コウタは神機を地面に落としそのまま膝をつく。

 

 

―――――シオ、みんなのことだいすきだから、みんなのかたちすきだから、このままにしておくね?

……シオ、えらいか?―――――

 

 

「そんなの……偉くなんか……ないよ…シオちゃん…」

 

 

―――――そっか、えらくないか、じゃあごめんなさいだな―――――

 

 

「シオ……」

 

 

―――――……もう、いかなきゃ―――――

 

 

徐々に上昇する速度が増す。

 

 

―――――さいごにおねがい。

そこにいるおわかれしたがらないかたちを―――――たべて―――――

 

 

全員の視線がシオの体の方に向く。

 

 

「そんなの……できるかよ…できるわけないだろ!!」

 

 

―――――ソーマ、おいしくなかったらごめんな―――――

 

 

「……何でもかんでも勝手に決めやがって…」

 

 

そういいながらソーマはシオの体の方に向かっていく。

 

 

そして神機を構え捕食形態に変形、そして――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「またな、シオ」

 

 

そう呟きながらソーマはシオを喰らった。

 

 

―――――えへへ……ありがとうなソーマ、えらいぞ―――――

 

 

「……うるせぇ……」

 

 

「――――――――シオ」

 

 

ここで初めてユウヤが口を開いた。

 

 

そして彼が言ったのはただ一言だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「またな」

 

 

―――――またな、みんな―――――

 

 

そしてノヴァ、シオはエイジスから消えていった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――アーク計画阻止から一週間が経った。

 

 

あの後第一部隊と榊はアナグラに帰投。

 

 

そこにはアーク計画に賛成だった者たちの姿もあった。

 

 

それから榊はすべてのことを話した。

 

 

最初はみんな困惑していたがすぐに――――――――

 

 

「博士…そんなこと…」

 

 

「すまない、タツミ君、みんな」

 

 

「なんで言ってくれなかったんだよ!そんな面白そうなこと!!」

 

 

と、タツミらしい言葉に徐々にほかのみんなも納得していった。

 

 

支部長はというとアーク計画の進行途中に不慮の事故で死亡という形で公表された

 

 

そして新たな支部長として榊が就任した。

 

 

そのあとはいつも通りのアナグラに戻っていた。

 

 

そして場所は変わりここは雪降り積もる廃寺エリア。

 

 

ここに一人の神機使いソーマが突きをぼんやり眺めていた。

 

 

あれから彼はずっと月を眺めている。

 

 

そして涙を流していた。

 

 

誰にも見せられない涙を………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――終末捕食は無事阻止できた

 

 

 

 

―――――しかし、この世からアラガミが消えることはない

 

 

 

 

―――――ゴッドイーターはこれからも戦い続ける

 

 

 

 

―――――ユウヤの戦いはまだ終わりを迎えない………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NEXT STORY START………

 




ついに…ついに第一部が終わった!!


ΣΣ(゚д゚lll)ΣΣ(゚д゚lll)ΣΣ(゚д゚lll)ΣΣ(゚д゚lll)ΣΣ(゚д゚lll)


なぜ驚いている、素晴らしことじゃないか、終わったんだよ、HAPPY ENDだよ。


""ハ( ̄▽ ̄*)""ハ( ̄▽ ̄*)""ハ( ̄▽ ̄*)""ハ( ̄▽ ̄*)""ハ( ̄▽ ̄*)


何この無理やり拍手感…


しかし!!ここで終わらないのがこの作者!!


工工 エエェェΣ(゜ロ゜ノ)ノェェエエ工工.


やめろ!!やめてくれ!!それ以上何も言うな!!


てなわけで次から第二部スタートします。


ではまたいつか!!


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第二部 ~一部神となったオジサン 帰還編~
新たなSTORY


無事終末捕食を阻止したユウヤたち第一部隊。


しかし、ゴッドイーターたちの戦いは終わらない………


――――――――ここは嘆きの平原。

 

 

ここにアラガミ、ウロヴォロス堕天種二体―――――と遊ぶかのように戦っている青年が一人。

 

 

「おっと!当たらねえな!」

 

 

彼はフェンリル極東支部第一部隊隊長、神狩ユウヤだ。

 

 

彼は軽々とウロヴォロス堕天種の触手攻撃回避しつつ斬撃を与えていく。

 

 

「ヴォオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

 

ウロヴォロス堕天種の一体が咆哮とともに活性化する。

 

 

そして、突如触手が光だし複眼部分からビームを放とうとしていた。

 

 

しかし、あたりを見回すもユウヤの姿が見当たらなかった。

 

 

ウロヴォロス堕天種は一度ビームを中断しユウヤを探す。

 

 

すると、自分の上に何か違和感を覚える。

 

 

「やっと気づいたか、この鈍間め」

 

 

「ヴォオオ!?」

 

 

いつの間にかユウヤはウロヴォロス堕天種の上に立っていた。

 

 

これには流石のウロヴォロス堕天種もこれには驚愕の叫びをあげる。

 

 

それを確認したもう一体のウロヴォロス堕天種はユウヤ目掛けてビームを放つ。

 

 

しかし、そんなわかりきった攻撃がユウヤに当たるわけもなく彼は大きく飛躍しかわす。

 

 

そのままビームは活性化しているウロヴォロス堕天種に命中、その場で絶命した。

 

 

「ありがとな、殺る手間が省けた」

 

 

上を見るとバスターブレードの神機を振り下ろそうとするユウヤの姿を発見。

 

 

しかし、空中だと身動きが取れず絶好の的だった。

 

 

それを狙いウロヴォロス堕天種は触手を伸ばしてくる。

 

 

空中にいるユウヤは身動きが取れず回避ができない。

 

 

そして触手が彼のもとに届きそうになった時だった。

 

 

突如としてユウヤの姿が消える。

 

 

まるで、そこにいたのはホログラムだったかのように。

 

 

そしてどこからともなくユウヤはウロヴォロス堕天種の目の前に現れた。

 

 

「――――――――終わりだ」

 

 

そして彼は無慈悲にもチャージクラッシュを放ち、ウロヴォロス堕天種を真っ二つにした。

 

 

よく見ると彼の服の背中部分に穴が開いていた。

 

 

そう、ユウヤは自分の背中から翼を出し触手攻撃を回避したのだ。

 

 

彼の身体は半分以上がアラガミと化していたのだ。

 

 

最初は戦闘中でもあまりこの能力を使わなかったもののアルダノーヴァとの戦いを機に頻繁に使うようになったのだ。

 

 

――――――――あれから早くも一か月が経った。

 

 

既にアーク計画の事件などもとからなかったかのように極東は元通りになった。

 

 

過去のものとなってしまったがユウヤはそれからも頻繁にエイジスを訪れていた。

 

 

彼はそこに訪れては花を添えていた。

 

 

これは彼なりの償い方なのだろう。

 

 

「……これぐらいのやつ、アラガミの力なしで勝てるようにならないとな…」

 

 

ユウヤはコアを抜き取り一度休憩のためしばらく休むことにした。

 

 

とはいえウロヴォロス堕天種を同時に相手にして勝つなど人間業ではない。

 

 

ユウヤだったから勝てたのでありほかの人間なら死者が出ていた。

 

 

「……帰るか……」

 

 

そう呟きながら彼は立ち上がり極東に帰るのであった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー。疲れた」

 

 

出撃ゲートから帰ってきたユウヤはそんな言葉を口にした。

 

 

この任務の前にもいくつか堕天種や第二接触禁忌種を相手にしていたのだ。

 

 

そんな彼に数人の女性たちが近づいてくる。

 

 

「あの、ユウヤさん」

 

 

「ん、どうした」

 

 

ユウヤと目を合わせた女性の一人は顔を赤くし目をそらしながら手に持っていた袋を手渡した。

 

 

「これ……よかったらどうぞ…」

 

 

「え…俺にくれるのか?」

 

 

「あっ…もしかして迷惑でしたか…?」

 

 

「そんなことないよ、ありがとう」

 

 

そういって優しく笑みを浮かべながら受け取るユウヤ。

 

 

それを見た女性は喜びの表情を浮かべる。

 

 

「あ、ありがとうございます!それでは!!」

 

 

そしてそのままうれしそうにその場を去っていく。

 

 

そのまま流れに乗ろうと数人の女性たちもユウヤに詰め寄り持っていた袋を手渡す。

 

 

「私のもよかったらどうぞ!!」

 

 

「私も!!」

 

 

「私も!!」

 

 

「ああ、ありがとう、みんな」

 

 

手渡されたお菓子を受け取り優しく微笑みながらそういったユウヤ。

 

 

そのままうれしそうにその場を去って行った。

 

 

「おーおー、相変わらず第一部隊の隊長さんはモテモテですなー」

 

 

「まったくですなー、羨ましいぜ、畜生!!」

 

 

そういいながらユウヤのもとに歩いてくるもてない男、タツミとコウタ。

 

 

こういうことがあると必ずと言っていいほど現れるのだ。

 

 

「毎回思うんだが何が言いたいんだ、お前ら」

 

 

そしてこう返す。

 

 

「……お前、相変わらず鈍感だな…」

 

 

「そういうとこも羨ましいぜ、チクショー!!」

 

 

そう叫びながらタツミは走り去り、コウタはジト目でにらむのが日常茶飯事である。

 

 

二人はさておき受け取ったものを自室に持っていこうと歩いていくユウヤ。

 

 

すると前方から二人の女性が歩いてくる。

 

 

「あらあら、相変わらずユウヤは人気者ね、あの子たちが見たらなんていうか」

 

 

「サクヤさん、ジーナもどうしたんだ」

 

 

「決まってるじゃない、任務よ」

 

 

「まあだよな、それじゃ、頑張ってください」

 

 

「あなたもがんばるのよ」

 

 

そういってヒバリの元へ向かっていく二人。

 

 

(…頑張るも何も俺さっき任務から帰ってきたばっかなんだけど…)

 

 

サクヤの言葉の意味を考えながら再び自室に向かうユウヤ。

 

 

すると今度は前方から二人の青年と一人の女性が歩いてきた。

 

 

「相変わらずだね、ユウヤくん」

 

 

「なんか珍しい三人だな」

 

 

「仕方ないでしょ、任務なんだから。

私は早いとこクロナのところに行きたいのに」

 

 

「…あきらめろ」

 

 

歩いてきたのソーマ、エリック、ヨシノの三人だった。

 

 

「そうか、まあがんばれよ」

 

 

「心配無用さ、なんせこの僕がいるんだ、華麗に倒してみせるさ」

 

 

「あんた相変わらずそれね、はっきり言ってうざいわよ」

 

 

「無駄話はそこまでにしていくぞ」

 

 

そんなやり取りをしながら歩いていく三人。

 

 

その後ろ姿を見ていたユウヤは苦笑してしまう。

 

 

そしてやっと自室に到着する。

 

 

扉を開け机の上に置いてあるリッカ特性、お菓子入れにさっきもらったお菓子を入れる。

 

 

既にその中は数えきれないほどのお菓子が入っていた。

 

 

すると間もなくしてユウヤの通信機が鳴り響く。

 

 

どうやらヒバリからのようだ。

 

 

「もしもし、ヒバリさん、どうした?」

 

 

『ユウヤさんですか?教官がお呼びです、至急エントランスに来てください』

 

 

「わかった、ありがとうヒバリさん」

 

 

そういいながら通信を切るユウヤ。

 

 

せっかく今から休もうと思ったのに、などとは口にせず自室を後にする。

 

 

そして今、新たな物語の幕が開くことなど、まだ誰も知らない………

 

 

 

 

 

 

続く………




ついに第二部スタート!!イェーイ!!


ふ━━( ´_ゝ`)━( ´_ゝ`)━( ´_ゝ`)━━ん


何だよその反応、作者泣く!!


(。っ・ω・´)っドゾォ!! (。っ・ω・´)っドゾォ!! (。っ・ω・´)っドゾォ!!


チクショォォォォォォォォォォォォォ!!-=≡ヘ(* - -)ノ


あっ、作者が泣きながらどっかいっちった。


では作者に変わってこの私がお話をしよう。


無事第二部がスタートしました、今後とも作者の頑張りを生暖かい目で見守ってください。


それでは!!


では!!←作者





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休暇の中で

長いよ!!このバカ!!


なので長いです、はい、すいません。(゚人゚)(-人-)




「ユウヤ、何か感じますか?」

「……いや、特にこのあたりにアラガミの気配はしないな」

 

 

ここは嘆きの平原。

 

 

ユウヤ、アリサ、コウタ、アスカの三人はつい最近発見された新種のアラガミ、『ハンニバル』の

討伐に来ていた。

 

 

事の発端は三十分ほど前に遡る――――――――――

 

 

 

 

 

――――――――ユウヤは、エントランスにいた。

 

 

そこにはすでに集められたほかのメンバーもいた。

 

 

「なんだ、お前らも呼ばれたのか?」

「はい、ユウヤも呼ばれたんですか」

「つーかさ、オレたちずっと待ってるんだけどさ、教官まだ来ないんだよな」

「ユウヤは何か聞かされてない?」

「いや、何も聞かされてないぞ」

 

 

アリサ、コウタ、アスカはユウヤより前に集まっていた。

 

 

四人の雑談が続く中、四人の前にツバキが現れる。

 

 

「お前たち、全員集まったな。

お前たち四人にはこれから新種のアラガミ、ハンニバルの討伐任務に向かってもらう」

「ハンニバル…ですか?」

「そうだ、つい先日嘆きの平原にて発見された新種だ、心してかかれ、話しは以上だ」

 

 

そのままどこかへ行ってしまったツバキ、相変わらずだなとは口にしてはいけない。

 

 

「新種かぁ……じゃあどう戦えばいいかわからないじゃん」

「それを俺たちが調査するんだよ、そして殺す」

「案外簡単に言うんだね…」

「でもユウヤの言う通りです、新種から犠牲者を出さないため私たちが頑張るんです」

 

 

そういってやる気を見せるアリサ。

 

 

「まあそういうことだ、行くぞ」

 

 

 

 

 

――――――――――そして、今に至る。

 

 

そして今、彼らは壁に背を向け視線を一点に集中させていた。

 

 

その視線の先に食事をしているアラガミ、ハンニバルがいた。

 

 

「……あれがハンニバルか…」

「そのようだな、コウタとアリサは後衛、アスカは遊撃、俺は前衛で行くぞ」

「おう!」

「了解です!」

「任せてよ!」

 

 

思い思いの答えを返す、そして――――――――――

 

 

「行くぞ!!」

 

 

ユウヤの一言とともに交戦を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グガァァァァァァァァァァ!!」

「まずい!!一旦距離を取るぞ!!」

 

 

ハンニバルの咆哮とともに活性化、そして両手に炎の剣を発生させた。

 

 

「っ、何あれ!?剣!?」

 

 

そしてそのまま近くにいたアスカに狙いを定める。

 

 

「アスカ!!気をつけろ!!」

 

 

攻撃の直前に装甲を展開させ攻撃を防ぐアスカ。

 

 

しかし、突進も混ざった一撃だったため勢いで吹き飛び壁に激突する。

 

 

「こはっ!!」

 

 

思わず吐血するアスカ。

 

 

そのまま追撃を仕掛けようとアスカに突進していくがコウタとアリサがそれを阻止する。

 

 

「させるか!!」

「くらいなさい!!」

 

 

そして一瞬の隙をついてユウヤがアスカのもとに駆け寄り彼女を担いで安全な場所に運ぶ。

 

 

「大丈夫か!?アスカ!!」

「うん……何とか…」

「とにかく今はここで休んでろ」

 

 

そういってユウヤはハンニバル対峙する。

 

 

「コウタ、アリサ、頼む!!」

「任せろ!!」

「任せてください!!」

 

 

コウタとアリサが銃撃を放ち、のけぞったハンニバルにユウヤが一瞬にして接近、そして――――――――

 

 

「くらいやがれ!!」

 

 

そのままハンニバルの口の中に銃口を突込み銃弾を六発放つ。

 

 

そしてそのまま力尽き地面に倒れる。

 

 

「ふぅ……随分あっけないな」

「お前が強すぎるんだよ!!」

「私、アスカのところに行ってきます!」

 

 

そういって後ろを見ると覚束ない足取りでゆっくりと歩いてきたアスカ。

 

 

「おっ、アスカ無事、ってぶっ!!」

 

 

二人に気遣いの言葉をかけようとしたコウタがアスカを見て突然吹き出し視線を逸らす。

 

 

アリサがそれにいち早く気付きアスカをしゃがませる。

 

 

「ユウヤ、お願いです、その服をこっち見ないで貸してください!!」

「ん、わかった」

 

 

そういって二人の方を見ずに上の服をアリサの方に手渡す。

 

 

それを受け取ったアリサは急いでアスカに服を着せる。

 

 

なぜならハンニバルの攻撃でアスカの服がボロボロになっておりもう少しで見えてしまいそうだ。

 

 

「……ありがとうアリサ」

「これぐらい当然です!」

 

 

顔を赤くしながら感謝の言葉を述べるアスカ。

 

 

ユウヤはまったく意味が分からず、コウタはその場を離れるように

 

 

「ほんとに死んでる…よな…?」

「おーい、コウタ、帰るぞー」

 

 

気が付くと三人はすでに先に行ってしまっていた。

 

 

「っておい!待ってくれよー!」

 

 

駆け足で三人のもとに走っていくコウタ。

 

 

それを確認したユウヤはまた歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、彼は背後に何かを感じ取る。

 

 

「!」

 

 

振り向くとコアを抜き取り力尽きていたはずのハンニバルが起き上りコウタに襲い掛かろうとしていた。

 

 

「っコウタ!!」

 

 

ユウヤはすぐにコウタの前に立ち装甲を展開させ攻撃を防ぐ。

 

 

しかし、防ぎきることはできず、そのまま吹き飛んで地面を数回バウンドしたのち、壁に背中を強打する。

 

 

「ごはっ!!」

 

 

「ユウヤ!!」

 

 

ずるずると地面に座り込むユウヤに駆け寄っていくアリサ。

 

 

その時、彼はすでに意識を失っていた。

 

 

「なんで…コアは確かに抜き取ったはずなのに!」

「考えてても仕方ないだろ!!とにかく撤退するぞ!!」

 

 

そういってコウタは懐からスタングレネードを取出しハンニバルに向かって投げる。

 

 

ハンニバルは一瞬視界が光りに包まれ、コウタたちはユウヤを担いでその場を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――目を覚ますとそこは見慣れた白い天井だった。

 

 

背中を強打したせいか、相当痛いのが嫌なほどわかる。

 

 

(多分、骨までいってるんだろうな)

 

 

そんなことを考えていると数人の男女が医務室に入ってきた。

 

 

「あ……ユウヤ!起きてたの!?」

 

 

「ああ、ついさっきな」

 

 

入ってきたのは第一部隊の面々、しかしサクヤの姿が見当たらなかった。

 

 

「サクヤさんは一緒じゃないのか?」

 

 

その言葉を聞いて明るかった表情が一瞬で暗くなる。

 

 

それを見たユウヤは聞いてはいけないことだと実感する。

 

 

「話せば少し長くなるけど大丈夫?」

「ああ、教えてくれ」

 

 

そして、しばらく沈黙が続いた後、クロナがすべてを話す。

 

 

「ユウヤたちがハンニバルと戦ってから二日たったんだけど、ちょうど昨日だったかな、私とソーマ

アリサとサクヤさんと任務に行ったんだ、討伐対象はディアウス・ピター、リンドウさんが最後に

戦ったアラガミだよ」

 

 

「……そうだったのか、それで?」

 

 

「うん、何とか倒して探ってるうちに見つけちゃったんだ、リンドウさんの腕輪を」

 

 

「…それでサクヤさんは…」

 

 

そこまで聞いてすべてを察したユウヤ。

 

 

あの後サクヤはリンドウの腕輪を持ったまま部屋から出てこなくなっていたのだ。

 

 

「つまり……リンドウさんは…もう…」

 

 

「うん……認めたくはないけど」

 

 

部屋の空気が一瞬で暗くなる。

 

 

「………そうだ、ユウヤにもちょっとした問題があってさ」

 

 

「…なんだ?」

 

 

「オレをかばってくれた時にさ、お前の神機ちょっと壊れちゃってさ、しばらく使えないんだって」

 

 

「そうか……まあお前に怪我がなけりゃあそれでいいさ」

 

 

「それとついでに休暇も兼ねてしばらく休んでおけって教官が言ってましたよ、たしかにユウヤは

いつも頑張り過ぎなんです、たまには体を休めてください」

 

 

「わかったよ、起きてそうそう説教は勘弁してくれ」

 

 

その言葉を聞いて全員が笑い出す。

 

 

「じゃあ私たちはそろそろ任務があるから行くね?」

 

 

「ああ、頑張ってこいよ」

 

 

頷きだけを返すとアリサ、アスカ、クロナ、コウタの四人は医務室を後にした。

 

 

部屋に残ったのはソーマとユウヤだけだった。

 

 

「…お前はいつも無茶をするな」

 

 

「なんだよ、ソーマまで説教か?」

 

 

「ふん……まあ、前の隊長の二の舞だけは踏むなよ」

 

 

そう言い残し部屋を去っていく。

 

 

誰もいなくなった医務室でユウヤは一人、眠ることにした。

 

 

一つの疑問を抱きながら………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――あれから三日が経った。

 

 

無事傷も回復したユウヤだが神機は未だ使用できないため任務に行くことができず、アナグラにて

暇を持て余していた。

 

 

「………あー、すっげー暇だな……」

 

 

ついさっき部屋の掃除を終え完全フリー状態のユウヤは先ほどのようなことをぼやいていた。

 

 

「………にしても、やっぱり気になるな……」

 

 

彼は先ほどから一つの不可解なことについて考えていた。

 

 

――――――――それはリンドウの腕輪。

 

 

なぜ先に神機が見つかったのか、そしてなぜ腕輪と別々に発見されたのか。

 

 

このことが頭からずっと離れないでいた。

 

 

「あれ?ユウヤさんどうしたんですか?」

 

 

突然名前を呼ばれ前を向く。

 

 

気が付くとユウヤはエントランスにまで来てしまっていた。

 

 

そして彼の名前を呼んだのはオペレーターであるヒバリだった。

 

 

「ヒバリさん、ってあれ?今ヒバリさん一人か?」

 

 

「はい、みなさん任務に行っていていませんよ」

 

 

「そうか……なんかこんなに静かだと別次元に来たみたいだな」

 

 

「ふふっ、たしかにいつも騒がしいですもんね」

 

 

思わず笑い出す二人。

 

 

いつもの極東ならこの小さな笑い声も周りの騒がしさのあまりかき消されてしまうのだ。

 

 

その時、うるさい非常ベルがアナグラいっぱいになり響く。

 

 

「っ――――――なんだ!?」

 

 

『緊急連絡!!アラガミが外部より侵入を……第2訓練所にて確認!速やかに撃退してください!』

 

 

「マジかよ……」

 

 

「300秒後、第2訓練所のフロアを、隔壁で封鎖します!!

総員、至急別フロアに移動してください!!」

 

 

「待てよ……今アナグラには……まずい!!」

 

 

何かを思い出したユウヤはダッシュでエレベーターに乗り込む。

 

 

そのまま向かったのは神機保管庫。

 

 

そこにいたのはリッカただ一人だった。

 

 

「リッカ!!」

 

 

「ユウヤ君!ごめん、まだ君の神機修理が終わってないの、だから早く非難して!

何もできないなら戦場に出ちゃだめだよ!!」

 

 

しかしユウヤはリッカの言葉が聞こえていないかのようにあたりを見回す。

 

 

そして彼はある神機の前へ、それは――――――――――

 

 

「―――――仕方ないか……」

 

 

「ちょっと、何してるの、それはリンドウさんの神機!」

 

 

ユウヤはリッカの静止も無視してリンドウの神機に手を伸ばす。

 

 

「な、何してるの!?他人の神機に触れたらオラクル細胞に捕食されちゃう!!

早く手を――――――――」

 

 

その時、背後の隔壁から衝撃音とともに壁が爆発する。

 

 

「きゃあ!!」

 

 

爆風によりリッカは吹き飛ばされ背中を強打し、気絶する。

 

 

「リッ……カ……」

 

 

徐々に捕食されていく。

 

 

そして、彼の脳裏にフラッシュバックで何かが流れ込む。

 

 

(なんだ………これ……)

 

 

しかし、今はそれどころではない。

 

 

破壊された隔壁からアラガミ、ヴァジュラテイルが侵入する。

 

 

ヴァジュラテイルはあたりを見回すと近くに倒れていたリッカを捕食しようと歩み寄る。

 

 

「てめぇ……やめろおぉぉ!!」

 

 

苦しみながらも神機を振り上げヴァジュラテイルに切りかかる。

 

 

「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

痛みに耐えきれず叫ぶユウヤ。

 

 

ヴァジュラテイルは起き上り狙いをユウヤに切り替える。

 

 

そして彼に喰らいつこうとして――――――――

 

 

「グアァ!?」

 

 

いきなりのことにヴァジュラテイルも疑問の声を上げる。

 

 

突然、ヴァジュラテイルに銃撃が放たれたのだ。

 

 

無論、ユウヤの仕業ではない。

 

 

後ろを振り向くとそこには見たことのない少年が神機を構え立っていた。

 

 

「―――――立てますか!!」

 

 

「あ……ああ……何とか……うぐ…」

 

 

「止めを、早く!!」

 

 

ユウヤは言われた通り、痛みを堪え再びヴァジュラテイルに切りかかる。

 

 

そしてヴァジュラテイルは絶命した。

 

 

「はぁ……はぁ……やった…のか…」

 

 

そのままユウヤは気を失ったのだ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――目を覚ますとつい先日も見た白い天井が目に入る。

 

 

そして横にはユウヤの顔を心配そうに覗き込むリッカとさっきの少年がいた。

 

 

「あっ、気が付きまし――――――――」

 

 

「あっ、気が付いた?よかった……」

 

 

少年の言葉を遮ってリッカがユウヤに心配の言葉を浴びせる。

 

 

「あれ……確か俺神機保管庫で……」

 

 

そういってユウヤは自分の右手を見る。

 

 

そこには自分の人間としての手があり、浸食された様子はなかった。

 

 

「…本当によかった……!」

 

 

そういってリッカはユウヤに抱き着く。

 

 

「……リッカ?」

 

 

突然の行動にさすがのユウヤも驚きを隠せない。

 

 

「……君はいつも無茶をして……

約束して、これからは絶対に他人の神機を触らないって」

 

 

心配の言葉を浴びせるがその中には確かな怒りが混じっていた。

 

 

「……わかったよ、変な心配かけたみたいだしな、以後気を付けるよ」

 

 

「うん……知ってると思うけど、適合していない神機を持つとそのオラクル細胞が君を捕食し始める。

そうなったら何が起きてもおかしくないんだよ…?」

 

 

「……そうだな…悪い」

 

 

「まあ無事だったからよかったよ。

さてそろそろみんな帰ってくるから、起きたって言っとくね」

 

 

そう言い放ちリッカは医務室を後にする。

 

 

「リッカさん、いい人ですよね、あの人神機のことをよく理解している」

 

 

突如として隣にいた少年が口を開く。

 

 

「……なあ、一つ聞きたいんだけどさ、お前……誰?」

 

 

「あっ、と、そういえば自己紹介がまだでしたね。

僕は医療班に配属になった神機使い、レンって呼んでください」

 

 

そういってレンは頭を下げる。

 

 

しかし、ここでユウヤは一つの疑問を抱く。

 

 

医療班は自分とはほぼ無縁の存在、しかしいくらなんでも新しく配属になった新人を自分たちに

紹介しないのはどうもおかしいと思った。

 

 

しかし、今は何も考えないことにした。

 

 

「レンだな、俺はユウヤだ、よろしく」

 

 

「はい、よろしくお願いします。

えっと、僕はそろそろ行かなきゃいけないので、失礼します」

 

 

「ああ、ありがとな」

 

 

レンはユウヤに微笑みを返すと部屋を後にする。

 

 

そして、一人医務室に残されたユウヤは疲れを癒すため、眠ることにした。

 

 

(なぜだろう……久しぶりの気がしない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――翌日、ユウヤはツバキに呼ばれエントランスに向かった。

 

 

そこにはツバキとレン、そして見慣れない男女の姿があった。

 

 

「来たな、今日から極東支部配属になった期待の新型神機使いだ」

 

 

「本日より、第2部隊配属になりました、アネット・ケーニッヒと申します」

 

 

「同じく第三部隊配属になったフェデリコ・カルーゾです!」

 

 

「お前たち、これから1週間、こいつがお前たちの教官になる神狩ユウヤだ、覚えておけ」

 

 

「………へ?」

 

 

『あなたがユウヤさんですか!?』

 

 

ツバキの言葉に混乱するユウヤに二人の新人が尊敬のまなざしで彼を見つめる。

 

 

そして、先ほどの言葉を同時に言ったのだ。

 

 

「あ、ああ、そうだが…」

 

 

「ユウヤさんと言えばつい先日、アラガミの群れに囲まれたのをわずか1分も満たない時間で

殲滅したとか!?」

 

 

「あー……そういえばそんなこと、したようなしてないような……」

 

 

「おおおお!!さらにヴァジュラ10体を一瞬と言わんばかりの速さで仕留めたとか!?」

 

 

「あー……そういやぁしたな、そんなこと…」

 

 

その言葉を聞いて二人のまなざしがさらに強力になる。

 

 

「ま、まあそういうことだ、あとは頼んだぞ、ユウヤ」

 

 

「えっ?ちょっと教官、それって」

 

 

気が付くとツバキはすでにいなかった。

 

 

「……まあいいか、よし、新人ども、早速だが任務に行くぞ」

 

 

『はい!!』

 

 

そういって三人はヒバリの元へ向かった。

 

 

新人二人は期待のまなざしをやめることはなかった………

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




長い……疲れた……


読んでくれた方ありがとうございます!!


今度からは絶対にいつもぐらいの長さで行きます。


では!!


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新たな可能性

長い!!( #゚д゚)=○)゚Д)^^^^^^゚


長いです、すいません。


――――――――ここは旧市街地エリア。

 

 

ユウヤは新人育成的なもののため新入りの新型神機使いとともに任務に出ていた。

 

 

………のだが

 

 

「――――――――で、何でアリサまで来たんだ?」

 

 

「だから何度も言わせないでください!!二人を教育するのにユウヤ一人では心配だったから

一緒に来たんです!!」

 

 

なぜここにアリサがいるのか、事の発端は少し前に遡る――――――――

 

 

 

 

 

――――――エントランスにてユウヤ、アネット、フェデリコは任務に向かうためヒバリの元へ。

 

 

「おーいヒバリさーん、任務に行きたいんだが」

 

 

「はい、ツバキ教官から話は聞いてます、こちらをどうぞ」

 

 

「なるほど……これなら新人でも大丈夫そうだな、俺も最初はこれだったし」

 

 

任務の内容はオウガテイル三体の討伐任務だった。

 

 

オウガテイルは新人にとって最初の壁であり通るべき道だった。

 

 

それはさておきここからである、アリサが絡んできたのは。

 

 

「あれ?ユウヤ、その二人は誰ですか?」

 

 

後ろから呼ばれたので振り向くとそこには同じ部隊のアリサが立っていた。

 

 

「アリサ、この二人なら新しく入った新型神機使いだ」

 

 

『アリサってあのアリサさん!?』

 

 

アリサの名前を聞いてユウヤの時と同じまなざしでアリサを見つめる新人二人。

 

 

「な、何ですか!?」

 

 

「うわー、まただー」

 

 

少し冷めた口調でそう呟くユウヤ。

 

 

「アリサさんも極東支部の数少ない新型神機使いなんですよね!?」

 

 

「へ!?あ、はい、そうですけど…」

 

 

「それにかなりの実力者だって!!たしか、シユウ三体をほぼ同時に仕留めたとか!?」

 

 

「ああ、たしかそんなこともしたような…」

 

 

その言葉を聞いてさらに期待のまなざしが強くなる。

 

 

「お前らよく知ってんな、アリサのことも俺のことも」

 

 

「当たり前ですよ!!ここの支部の方はほとんど有名人ですから、特に新型の方々は!!」

 

 

「ユウヤさんなんてほぼ世界中の支部にファンクラブがあるぐらいなんですから!!」

 

 

「ぶっ!!」

 

 

「……ファン……クラブ…?」

 

 

衝撃の事実にアリサは吹き出し、ユウヤは首をかしげていた。

 

 

そしてアリサは何か気づいたのか突然後ろを向いてぶつぶつと独り言を呟きだした。

 

 

「……おーい、アリサー、どうしたー」

 

 

「………そういえば三人は今から任務に行くんでしたよね?」

 

 

考えがまとまったのかまたユウヤたちの方を向き、上記の言葉を低いトーンで言い放った。

 

 

「ああ、そうだが」

 

 

「……よし、決めました、私も同行します!異論は認めません!!」

 

 

「ええー……」

 

 

『本当ですか!?』

 

 

「ちょっと待ってください、何ですかユウヤ!今の反応は!?」

 

 

この時アリサは考えた。

 

 

ユウヤが見知らぬ新人と初任務、しかも一人は女の子。

 

 

この二つからアリサは一つの結論にたどり着いた。

 

 

(……このままだと、ライバルが増える!!)

 

 

そう、このままではアネットまでユウヤに惚れてしまい恋のライバルが増えてしまうのだ。

 

 

なのでアリサは自分も同行してアネットを監視しよう、そういう考えに至ったのだ。

 

 

「うーん、お前らはそれでいいか?」

 

 

『もちろんです!!』

 

 

「…まあ、二人がそういうなら俺はいいけど、でもあまり手出しはするなよ、なんせ新人教育

だからな」

 

 

「わかってます!!」

 

 

そして出撃ゲートへ――――――――と、これがすべてである。

 

 

神機を握りしめ気配を消しながらオウガテイルを探すアネットとフェデリコ。

 

 

もっとも、ユウヤとアリサはただ同行しているだけでほとんど手出しはしないため、索敵も

してはいなかった。

 

 

ちなみにユウヤはというと………

 

 

(……前方五百メートルぐらい先にいるか…)

 

 

アラガミ化により既に対象を捉えていたようだ。

 

 

そして――――――――

 

 

「い、いました」

 

 

「よし、隠れるぞ」

 

 

ユウヤの指示に四人は壁に背を向ける。

 

 

視線の先にはユウヤの考え通り先ほどの地点より五百メートルぴったしの位置にいた。

 

 

「ぞんじゃ、まずは二人だけでやってみろ」

 

 

「は、はい!」

 

 

「や、やってみます!」

 

 

と答えるものの神機を持った手は震えており、先ほどの元気も感じ取れなかった。

 

 

「……大丈夫か?」

 

 

「はひっ!?」

 

 

ユウヤがアネットの手を握り声をかける。

 

 

突然のことに変な声をあげ、みるみるアネットの頬が赤く染まっていく。

 

 

アリサはしまった、といったような顔をしているが止めようとはしなかった。

 

 

「緊張してるだろうが気持ちをリラックスしろ、お前はなんでゴッドイーターになったんだ?」

 

 

「っ、それは……」

 

 

ユウヤのきつい一言に俯くアネット。

 

 

フェデリコもその一言を聞いて何かを決断したように立ち上がる。

 

 

「………お、オレやってみます!!」

 

 

「……いけるか?」

 

 

「…正直言うとまだ怖いです、このまま死んだらいやだなって思います。

でも、じゃあ今まで死んでいった人たちはどうなるんだろって考えたら、だんだんやる気になって

来たんです!!」

 

 

「…だそうだ、アネット、お前は?」

 

 

「私……やります…確かにフェデリコの言う通りです、これじゃ私がゴッドイーターになった意味がありません、だからやります!!」

 

 

「…わかった、何かあったら俺たちも掩護する、そんじゃ行って来い」

 

 

『はい!!』

 

 

先ほどの返事とは違うやる気に満ちた返事。

 

 

それを聞いたユウヤは頷く、そして二人は戦場に出る。

 

 

ちょうどオウガテイルは食事が終わりすでに二人に気付いていた。

 

 

三体同時に二人に尻尾から針を飛ばす、しかし二人は左右に回避し神機を構えなおす。

 

 

まずはアネットがオウガテイルの一体に近づきバスタータイプの神機を空高く振り上げ―――――

 

 

「――――――ていっ!!」

 

 

――――――――振り下ろす。

 

 

見事命中、しかしそれよりも驚きなのは地面がクレーターができるほどの一撃だった。

 

 

「な、何ですかあれ……」

 

 

「ああ、あれな……教官も言ってたんだがとにかく腕力が半端じゃないらしい、現に……」

 

 

そういってもう一度地面を見る。

 

 

中心にはオウガテイルの体が無残にも見事に砕かれていた。

 

 

それを見たユウヤはオウガテイルに同情してしまいそうになった。

 

 

フェデリコも負けじとオウガテイルの一体と交戦中。

 

 

オウガテイルの尻尾攻撃を回避し確実に斬撃、そして銃撃を与えていた。

 

 

「…動きはいいがまだ新型神機の特徴を掴みきれてないな、あのままだと――――――――」

 

 

「うわぁ!!」

 

 

ユウヤが言い終わる前にフェデリコが叫ぶ。

 

 

どうやら足を滑らせオウガテイルの攻撃をまとも防ぎきれなかったのだ。

 

 

そしてオウガテイルがフェデリコを喰らおうと飛び上がる。

 

 

「―――――おっと」

 

 

しかし、フェデリコが喰われることはなくガキッ、と鈍い音が聞こえた。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

「ユウヤ……さん…」

 

 

目の前には装甲を展開し自分を守ってくれたユウヤがいた。

 

 

「ここは戦場だ、目の前の相手だけに気を取られたらだめだ、もっと周りをよく見ろ、わかったな。

わかったら行け!」

 

 

そういって装甲を戻しオウガテイルを蹴り飛ばす。

 

 

「はい!!」

 

 

返事をすると勢いよくオウガテイルに切りかかる。

 

 

斬撃は見事オウガテイルの胴体に命中、深い一撃を与えオウガテイルは絶命した。

 

 

それとほぼ時同じくしてすぐそばの方から大きな爆発音のような音が聞こえた。

 

 

そちらを見るとアネットが残り一匹のオウガテイルを地面ごと粉砕していた。

 

 

「……ありゃ、近くにいたら間違いなく巻き添えくらうな」

 

 

「…ですね」

 

 

その光景を見たユウヤとフェデリコは顔を引きつらせる。

 

 

「ふぅ……終わりました!」

 

 

「だな…そんじゃコアを抜き取って――――――――」

 

 

そこまで言ってユウヤが何かを感じ取る。

 

 

「どうしたんですか?もしかして近くに何かが?」

 

 

「…ああ、この気配は……おそらくヴァジュラだ、それに二体」

 

 

ヴァジュラの名前を聞いて肩をビクンと揺らすアネットとフェデリコ。

 

 

それとほぼ同時にすぐ近くにあった建物の上からヴァジュラが二体降りてきた。

 

 

「ヴァジュラか……さすがに新人にはきついな…

よし、ここは俺がやる、アリサは二人を安全なところに」

 

 

「わかりました、気を付けてください」

 

 

その言葉に頷きだけを返すとユウヤは戦闘態勢に入る。

 

 

「さてと…じっとしてたら身体がなまるしちょうどいいな」

 

 

そしてヴァジュラがユウヤ目掛けて雷球を放つ。

 

 

しかし、雷球が着弾したときにはそこにユウヤの姿はなかった。

 

 

突然のことにヴァジュラはあたりを見回す、しかし彼の姿は見当たらない。

 

 

「おいおい、どこ見てんだ、ここだ、ここ」

 

 

突如聞こえるユウヤの声。

 

 

その声はヴァジュラの一体の下にいた。

 

 

「ったく、気づくのが遅いんだよ、待ちくびれたな」

 

 

そういいながら用の欠伸を見せる。

 

 

「ガアァァァァァァァァァァ!!」

 

 

珍しいことにそれを見たヴァジュラの一体が怒って活性化した。

 

 

「――――――黙れ」

 

 

ヴァジュラが動く前にユウヤが仕掛ける。

 

 

そのままヴァジュラの身体を貫き絶命させる。

 

 

地面に着地すると同時にもう一体のヴァジュラに詰め寄る。

 

 

そして、一瞬にしてヴァジュラの喉元を切り裂き勝負を終える。

 

 

「おーい、終わったぞー」

 

 

コアを抜き取り手を振りながら物陰に隠れている三人を呼ぶ。

 

 

あまりにもすごいのかアネットとフェデリコはあ然としていた。

 

 

「すごい……あれが激戦区の極東支部第一部隊隊長の実力……」

 

 

「さすが極東のエース……かっこいい……」

 

 

無意識のアネットの発言にアリサは反応を隠せない。

 

 

「……アネットさん…今なんて?」

 

 

「へ?………あっ」

 

 

自分の発言に気付きみるみる頬を赤く染める。

 

 

「どうしたアネット、顔赤いぞ。

熱でもあるのか?」

 

 

「ひゃい!?」

 

 

突然目の前に現れたユウヤに驚きさらに突然額に手を当てられ変な声を上げるアネット。

 

 

「……大丈夫そうだな、でも無理はするなよ、何かあったら……おい、アネット大丈夫か?」

 

 

「きゅう…………」

 

 

変な声をあげ倒れるアネット。

 

 

「ユウヤ、ちょっとやり過ぎです…」

 

 

「は?何が」

 

 

「……なんでもないです」

 

 

ジト目でユウヤをにらむアリサ。

 

 

ユウヤは訳が分からないままアネットを背負いアナグラへと帰投した………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――エレベーターにてユウヤはまたも考え事をしていた。

 

 

あの時、アネットとフェデリコを紹介された時、なぜツバキは面識があったとはいえ、レンのことを何も言わなかったのか。

 

 

ずっとそのことを考えていると、エレベーターが止まり目的地の神機保管庫に到着した。

 

 

そこにはリンドウの神機をずっと見つめているレンの姿があった。

 

 

ユウヤはそのままレンに近づき手に持っていたジュースを手渡した。

 

 

そのジュースの名は――――――――初恋ジュース。

 

 

「レン」

 

 

「あっ、ユウヤさんありがとうございます」

 

 

そういいながら二人は蓋を開け中のものを飲み始める。

 

 

このジュースを好んで飲むものはこの支部内ではこの二人だけだった。

 

 

「………これ、リンドウさんの神機ですよね。

あっ、そういえば言いそびれてたんですけど僕、前にリンドウさんと一緒に戦ってたことあるんです」

 

 

「へぇ……そりゃ初耳だな」

 

 

レンがリンドウの神機に視線を向けながら口を開く。

 

 

「はぁ……リンドウさんひどいですよね、みんなを置いてけぼりにして一人でどこかに行っちゃうなんて…」

 

 

その言葉にユウヤは返すことができなかった。

 

 

そして突然、レンがリンドウの神機に手を伸ばす。

 

 

「っ、バカ!!やめろ!!」

 

 

ユウヤがそれを止めるためレンの腕をつかむ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――その時、突如ユウヤの頭の中にフラッシュバックで何か映像が流れ込んできた。

 

 

しばらくして映像が終わるとユウヤは一瞬何が何だか理解できなかった。

 

 

しかしそのあと今のが新型同士で起こる現象、感応現象だと気付いた後、ユウヤはレンに断りを

入れるとすぐさまエレベーターに乗り込みある場所へと向かった。

 

 

そのあと、一人神機保管庫に残されたレンは――――――――

 

 

「へぇ……今のが、感応現象か…すごいな…」

 

 

一人、そんなことを呟きまた、初恋ジュースを飲むのだった………

 

 

 

 

 

 

続く………

 




長い!!( #゚д゚)=○)゚Д)^^^^^^゚


やべぇ、前回の終わりに「次こそはいつも通りにして見せます(キリッ」とか言ってたのになんだこれ、何の茶番だ。


てなわけで次こそは!!必ず!!いつも通りにして見せます!!


それでは!!


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新たな任務

レンに触れ感応現象を見たユウヤ。


しかし、それは実に不思議なものだった。


そして今、ユウヤたちに新たな任務が課せられる………



 

 

 

 

「――――――――サクヤ、これは命令だ!!

必ず全員生きて帰れ!!」

 

 

あの時、アリサの謎の行動によりリンドウを置き去りにしてしまったあの日の映像だった。

 

 

「イヤあぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「サクヤさん!行こう!!このままだと全滅しちゃうよ!!」

 

 

「イヤよ!!リンドウ!!」

 

 

それからもリンドウは一人、プリティヴィ・マータと交戦をしていた。

 

 

「っ、この野郎!!とっとと――――――くたばれ!!」

 

 

神機を振り下ろしプリティヴィ・マータを倒した後、タバコを懐から取出し瓦礫にもたれかかった。

 

 

「………行ったか…」

 

 

瓦礫の向こうから声が聞こえなくなったのを確認した後、そう呟いた。

 

 

そして、また新たなアラガミが現れた。

 

 

それはサクヤたちがつい先日討伐したアラガミ、ディアうす・ピターだった。

 

 

(っ、こいつ!たしかサクヤさんたちが…)

 

 

「ふぅ……ちょっとは休憩させてくれよ。

体が持たないぜ」

 

 

そうぼやきながらタバコを捨て神機を担いだ。

 

 

ピターがリンドウに喰らいつこうとする。

 

 

それを右にかわし斬撃を与える。

 

 

このままいけば、そう思っていたがそうはいかなかった。

 

 

「くっ……さすがにきついな…」

 

 

連戦のため体がついていかず、その場で膝をつく。

 

 

「グアアァァァァァァァァァ!!」

 

 

そんなリンドウにピターは無慈悲にも右腕を振り下ろす。

 

 

「うぐ……」

 

 

ギリギリのところで体を後ろに後退、衝撃を弱めた、しかし――――――――

 

 

「ぐあああああああ!!」

 

 

突如、リンドウが腕輪に浸食され始める。

 

 

またもピターは腕を振り下ろす。

 

 

リンドウは力を振り絞り神機で対応する。

 

 

しかし、全力ではないため神機は容易にはじかれてしまう。

 

 

そして丸腰になったリンドウにピターが喰らいつく。

 

 

「ぐっ………うおぉぉおおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

ぎりぎりで後退し損傷を右腕だけで抑える。

 

 

しかし、同時に腕輪もピターの腹の中へ。

 

 

突如、リンドウの腕がアラガミのようなものになる。

 

 

それをピターが現れたところから見ていた謎の少女。

 

 

しかし、その正体は人間の姿をしたアラガミ、シオだった。

 

 

(なっ、シオ!?なんでここに!?)

 

 

そしてシオがリンドウの前に降り立つ。

 

 

「……………」

 

 

この時のシオは言葉が話せないため、ただピターを見ていた。

 

 

ただ見ている、それだけなのにピターは何か感じ取ったのかその場を急ぎ去っていく。

 

 

そして、リンドウは気を失った。

 

 

そのリンドウにシオがゆっくりと歩み寄って行った………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――リンドウが目を覚ますと、そこは廃寺エリアのとある廃墟。

 

 

目の前には器用に自分の手当をしてくれる白い肌を持った少女、アラガミのシオだった。

 

 

「う……ううう……」

 

 

突然のリンドウのうめき声に驚き物陰に隠れるシオ。

 

 

しかし、それよりもリンドウは自分の腕を見て驚愕する。

 

 

「これは……俺の…腕か…?」

 

 

そこには人間の腕ではない、アラガミの腕があったのだ。

 

 

そして、また気を失った………

 

 

 

 

 

――――――目を開くと時刻はすでに夜だった。

 

 

辺りを見回すと、そこには壁にもたれかけボーっと上を見ているシオの姿があった。

 

 

「…腹……減ったな…」

 

 

「ハラ……ヘッ……タナ?」

 

 

それを聞いたユウヤはすべてを察する。

 

 

シオと初めて会ったとき、なぜ人間の言葉が話せたのか。

 

 

理由は一つ、すでにリンドウと会っていたのだ。

 

 

リンドウの言葉を覚えたため、彼らにあった時から言葉が話せたのだ。

 

 

「んー?……お腹すいた……だ…」

 

 

「オナカ?…スイ…タ…ダ…」

 

 

「お腹すいた」

 

 

「オナカ……スイタ……」

 

 

まるで言葉の勉強をしている先生と生徒のように見える。

 

 

「くっ……ぐぁああ……がぁあああああああああああ!!」

 

 

突如腕を押さえ苦しみだすリンドウ。

 

 

どうやら浸食が進んでいるようだ。

 

 

そこにシオが寄っていき、リンドウの腕に何かをする。

 

 

すると腕の甲に何かが出現、それから徐々に痛みは引いていった。

 

 

「お前……ありがと、な……」

 

 

その言葉を聞いたシオは笑顔を返す。

 

 

 

 

 

――――――――そこで感応現象は終わった。

 

 

そして今、ユウヤは支部長室にいた。

 

 

部屋には榊、ツバキの二人がいた。

 

 

そして、ユウヤは感応現象で見たすべてを二人に話した。

 

 

「ふむ……つまり君が見た感応現象によるとリンドウ君が生きていると……」

 

 

「昏睡状態だったアリサを呼び戻した新型同士の力か…にわかに信じがたいが……

いずれにしろ、まずそのことを私達に報告したのは賢明な判断だ」

 

 

「そうだね…それじゃあ、まずは君が感応現象で見たという旧寺院の辺りから調べてみよう」

 

 

「わかりました」

 

 

「それと、その時のリンドウ君の特徴をもう少し詳しく聞かせてほしいな。

腕輪がないとなると、非常にまずいことだ」

 

 

「はい、その時のリンドウさんは――――――――」

 

 

 

 

 

(説明中……)

 

 

 

 

 

「なるほど…それは実にまずいな」

 

 

「そちらの調査は博士に任せます、全部隊をこれからエントランスに招集命令を出す。

ユウヤ、お前にはサクヤを呼んできてもらいたい、頼んだぞ」

 

 

「わかりました、それでは」

 

 

そしてユウヤは言われた通り、サクヤのもとへ。

 

 

「サクヤさん、俺です、ユウヤです」

 

 

「……何?」

 

 

いつもの彼女とは違う抜け殻になってしまったような声だった。

 

 

「ツバキ教官に呼ばれてるんです、出てきてください」

 

 

「……………」

 

 

返事が返ってこない、しかしユウヤは話を続ける。

 

 

「リンドウさんが生きているかもしれないんです」

 

 

その言葉を聞いた途端、勢いよく扉が開いた。

 

 

「……今なんて」

 

 

「リンドウさんが生きてるかもしれないんです、詳しい話はエントランスで教官が話してくれると

思います、だから行きましょう」

 

 

「……わかったわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――以上、DNAパターン鑑定の照合結果から、対象をほぼ雨宮リンドウ大尉と断定、

本日、一二〇〇をもって捜索任務を再開する!

生存自体ほぼ間違いないだろうが、腕輪の制御を失っているためアラガミ化の進行等が懸念される。

接触には十分な注意を払うように。

……いい年した迷子の愚弟を皆、よろしく頼む…!」

 

 

ツバキの言葉にそこにいる誰一人が返事を返さなかった。

 

 

ツバキはそれからその場を去って行った。

 

 

「リンドウが……生きてる……」

 

 

「よかったですね、サクヤさん!」

 

 

「ふん……さっさと見つけて連れ戻すぞ」

 

 

「ええ……必ず連れて帰りましょう……必ず…」

 

 

「よし!そうと決まれば早速行こうぜ!!」

 

 

「あっ、すいません」

 

 

「ん、どうしたヒバリさん」

 

 

「第一部隊のみなさんは通常の任務を前提として、

遊撃的な広域調査に当たってください、捜索任務には主に第二、第三部隊に専念してもらいます」

 

 

「え!なんで!?」

 

 

「極東支部の主力である第一部隊は、強力なアラガミへの対処のためにも

長期間アナグラを離れないでほしい、というツバキさんからのご指示です」

 

 

「それは、わかりますけど……」

 

 

「大丈夫!リンドウさん見つけるのは任せとけや!

心配しなくてもすぐに見つかるだろ!」

 

 

「タツミさん……」

 

 

「見つけたらすぐ連絡しますよ!

ね、ジーナさん!」

 

 

「ん……そうね……

リンドウさん二帰ってきてほしいのは、貴方達だけじゃない、ってことね」

 

 

「まあ、新人二人も入ってきたことだしな、人手の方も何とかなるだろう、な?」

 

 

「はい!

あっ、ユウヤさん、今度遠近切り替えるための離脱タイミングとか色々教えてくださいね」

 

 

「あっ、私も!」

 

 

「ああ、いつでもいいぞ」

 

 

そのあともユウヤたちの会話は続いた。

 

 

「うん…そうね、何だか変な言い方かもしれないけど

皆……力を貸してちょうだい」

 

 

「了解だ、そっちも頼んだぞ第一部隊、状況に応じて俺らもサポートすっからよ」

 

 

そういいながらユウヤの肩をたたくタツミ。

 

 

「よっしゃ!じゃあヒバリちゃん……俺が無事リンドウさんを連れ戻したらよ、食事とか…」

 

 

「え……うーん、そうですね………

考えなくもないので、頑張ってくださいね?」

 

 

「えー……」

 

 

そのあと、そこにいるみんなが笑いをあげる。

 

 

今、リンドウを連れ戻すため新たな任務が始まる………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やった!!いつも通り!!✧*。٩(ˊᗜˋ*)و✧*。


(*゚▽゚)/゚・:*【祝】*:・゚\(゚▽゚*)


ありがとう!!ありがとう、みんな!!


てなわけで今後もこれを維持していけたらいいです!


それでは!!


そうそう、言い忘れてたんですが感想などよかったらぜひ書き込んでやってください!!


何なら文句とかアドバイスも受け付けますので!!


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任務の合間に

リンドウの捜索任務が再開され三日が経った。


しかし、未だに彼が見つかった報告はなかった………


――――――――アスカは一人、自室にてあるものとにらめっこをしていた。

 

 

「………うーん、これでもない……なんでうまくいかないんだろ」

 

 

彼女は今、お菓子作りに挑戦していた。

 

 

それもこれもつい先日、エントランスにてユウヤが複数の女性達から手作りのお菓子をもらっている姿を確認し、自分も作ってみようとなったのはいいのだが………

 

 

今部屋はかなり散らかっており、歩くスペースなどほとんどないに等しい。

 

 

落ちているものは失敗作のものばかりだが、何やら黒い塊なのだ。

 

 

「うーん………あっ、そうだ!」

 

 

アスカは何かひらめいたのか急いで自室を後にした。

 

 

そのまま向かったのは……クロナのところだった。

 

 

「おーい、クロナいるー?」

 

 

「………」

 

 

返事が返ってこない。

 

 

任務にでも行っているのか、そう思い仕方なくあきらめようと部屋を後にしようとしたとき

勢いよく扉が開き倒れるようにクロナが現れた。

 

 

「ひゃあ!!」

 

 

「はわっ!!クロナ!!居たの!?ノックしても出てこないからてっきり任務でも………何その格好」

 

 

「あはは………」

 

 

今クロナは部屋着、いや、部屋着と呼んでいいのかわからないものだった。

 

 

いつもの服は着ておらず、下着の上にエプロンのようなものをつけていた。

 

 

「えーと、これは、なんとういか……」

 

 

「……………」

 

 

クロナが必死に状況を説明しようとする、しかし彼女の言葉はアスカには聞こえていなかった。

 

 

なぜなら今、アスカの視線はクロナ………の胸元を見ていたのだ。

 

 

クロナは今16歳、なのに16とは思えないほど胸が大きいのだ。

 

 

おそらくアリサより……おっと、誰か来たようだ。

 

 

「………ねえ、アスカどこ見てるの?

……もしかして……胸みてる?」

 

 

「………うん」

 

 

特に隠すこともなく答えるアスカ。

 

 

しかしクロナは露骨に話を逸らす。

 

 

「そ、そうだ!アスカは私に用があったの?」

 

 

「へ?ああ、うん、そうだよ。

ってクロナは何してたの?エプロンなんかつけて」

 

 

「そういうアスカもエプロンつけてるよね」

 

 

「え!?あ!!急いでたかとるの忘れてた…

ちょっとお菓子作りをね……」

 

 

「へえ、実は私も同じことをしてたんだ」

 

 

「そうなの?でもわたし全然うまくいかないからクロナに助けてもらおうと思ってきたんだ」

 

 

その言葉を聞くとクロナは少々顔を引きつらせる。

 

 

そしてクロナは何も言わず手招きで自室にクロナを招いた。

 

 

アスカはとりあえず部屋に入る、そして驚愕の表情を浮かべる。

 

 

「……えへへ……」

 

 

部屋はアスカ同様、散らかっており転がっているのは黒い塊だった。

 

 

「ここに落ちてるの全部失敗作……」

 

 

「…クロナも苦労してるんだね」

 

 

その時、突如扉の方からノックが聞こえる。

 

 

「!!」

 

 

突然の音に二人は肩を揺らしてビビる。

 

 

もしこれがユウヤだったら、今のこの部屋を見せるわけにはいかない。

 

 

いや、それ以前にクロナのこの格好を見せるわけにはいかなかった。

 

 

「あのー、クロナいませんかー?」

 

 

その声を聴いた途端、二人は落ち着きを取り戻す。

 

 

どうやらやってきたのはアリサだった。

 

 

クロナは扉のもとへ歩いて行った。

 

 

「どうしたの?アリサ」

 

 

「あっ、クロナいたんですか、返事がないからてっきり……なんですかその格好は」

 

 

「うー、何も言わないで!」

 

 

少し怒られ気味に言われたのでアリサはそれ以上何も言わなかった。

 

 

「ところでアリサまでどうしたの?」

 

 

「までって……もしかしてアスカも?」

 

 

「うん、いるよ」

 

 

そういいながらクロナの後ろからひょこっと顔をのぞかせる。

 

 

視線をずらすと部屋の床が目に入る、そこには黒い物体がたくさん転がっていた。

 

 

「……あの黒い物体はなんですか…」

 

 

「あはは……実は……」

 

 

クロナはこれまでのことをすべて話した。

 

 

「なるほど……実は私もそのことでクロナに助けてもらおうと思って来たんです」

 

 

「ごめんね、力になれそうもなくて」

 

 

「じゃあさ、三人で一緒に頑張ろうよ」

 

 

「……確かにそれもそうですね、全員実力は同じということですね」

 

 

「むぅ、なんかとげのある言い方」

 

 

そのあと三人は笑い声をあげる。

 

 

「……とは言ったもののどうしようか、これから…」

 

 

「そうですね……ノルンで何か見てみますか?」

 

 

「わたしは見てやったんだけどそれでも……」

 

 

どうやらアリサの提案はすでにアスカが試していたようだ。

 

 

「うーん………あっ、そうだ!!ねえ、サクヤさんに教えてもらうっていうのはどうかな?」

 

 

クロナの提案に二人があっと声をあげる。

 

 

「それですよ……その手があったんですよ!!ナイスですクロナ!」

 

 

「よーし、そうと決まれば早速サクヤさんに……ってサクヤさんどこ?」

 

 

アスカの言葉に二人は何も返さない。

 

 

「……そういえばそうですね…」

 

 

「…じゃあヒバリさん二聞いてみようよ、何かわかるかもしれないよ」

 

 

「たしかにそうだね!じゃあ行こ!!」

 

 

「あっ、待って!!」

 

 

早速以降としていた二人をクロナが止める。

 

 

「どうしたんですか?善は急げですよ」

 

 

「それはそうなんだけど……服…」

 

 

「……そういえばそうだったね」

 

 

クロナは少し顔を赤くしながら部屋に戻って行った。

 

 

「もしかしてクロナ、いつもあんな格好してるのかな」

 

 

「…かもしれませんね」

 

 

そしてその会話からしばらくしてからクロナが出て来たので三人は改めてエントランスに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――エントランスにて――――――――

 

 

「すいませんヒバリさん、ちょっといいですか?」

 

 

「はい、あっ、珍しい三人ですね、もしかしてユウヤさんですか?」

 

 

「なんでそうなるかな、まあ間違ってはいないけど」

 

 

「ヒバリさん!サクヤさんどこ行ったか知りませんか!?」

 

 

身を乗り出すようにヒバリに質問するアスカ。

 

 

ヒバリは少し戸惑いながらもアスカの質問に答えた。

 

 

「サ、サクヤさんなら任務に行ってます。

でももう少しで――――――――」

 

 

そこまで言うとエントランスの扉が開き、そこからサクヤが出て来た。

 

 

「あっ、サクヤさん!!」

 

 

サクヤを見つけたアスカはすぐさま彼女のもとに走って行った。

 

 

「ヒバリさん、ありがとうございました、貴重な時間を」

 

 

「いえ、大丈夫です。

それよりも頑張ってくださいね」

 

 

「も、もう!茶化さないでくださいよ!」

 

 

頬を赤く染めながらクロナもサクヤのもとへ。

 

 

「ヒバリさん、それではお仕事頑張ってくださいね」

 

 

そういいアリサもサクヤにところへ。

 

 

「あら、どうしたの、三人そろって。

もしかして、ユウヤかしら?」

 

 

「まあ……そうですね……実は助けてもらいたくって……」

 

 

クロナはサクヤにすべてを話した。

 

 

「まあ、そういうことなら任せなさい。

でも貴方達、本当にユウヤが好きなのね」

 

 

「ちょっ、サクヤさん!!そういうことはあまり言わないでくださいよ!!」

 

 

「ふふっ、でも貴方達こそ油断し過ぎよ」

 

 

「へ?」

 

 

サクヤの言っていることが理解できない三人、しかしこの後、いやでもわかることとなる。

 

 

「そういうことって何がだ?」

 

 

「ひゃあ!!」

 

 

突然背後からの声。

 

 

振り向くとそこにいたのはユウヤだった。

 

 

「なあ、どうしたんだよ」

 

 

「ユ……ユウヤ…えっと、これは…その…」

 

 

「…まあいいか、あんま言いたそうな顔じゃないしな、そんじゃ俺は任務だから。

行こうぜ」

 

 

そういいユウヤは出撃ゲートに向かった。

 

 

しかし、さっきのユウヤは明らかに不自然だった。

 

 

「ねえ……今ユウヤ誰と話してたんだろ?」

 

 

「たしかに……不自然だったね……」

 

 

確かにユウヤはさっきたしかに「行こうぜ」と言っていた。

 

 

しかし、彼の視線の先にはだれもいなかった。

 

 

「ほら貴方達、行くわよ」

 

 

「あ、待ってくださーい!」

 

 

気が付くとサクヤとアリサ、クロナも先に行っていた、むしろクロナに関してはついさっきまで

隣にいたのに。

 

 

アスカは急ぎ足で三人の後を追った………

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




かなりほのぼのしました。


次は戦闘の話です、主に戦ってる……感じにしたいです。


それでは!!


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謎のアラガミ




任務に向かったユウヤは謎のアラガミに出くわす………






 

「――――――――すまんなレン、任務に付き合せて」

 

 

「いえ、いいんですよ、気にしないでください」

 

 

ここは旧市街地エリア。

 

 

ユウヤはレンとともにクアドリガ堕天種二体の討伐任務に来ていた。

 

 

二人は討伐対象のアラガミを探しながら雑談をしていた。

 

 

「そういやぁ、さっきアリサ達何話してたんだろうな」

 

 

「うーん、最後の方しか聞いてないから正直見当もつきません。

でもなんとなくの予想ならありますよ」

 

 

「ある意味すげぇな、お前」

 

 

「むしろあの空気でわからない方がすごいと思いますよ」

 

 

少々呆れたように答えるレン。

 

 

その言葉に返事を返そうとしたユウヤだが、何かを発見し壁に背を向ける。

 

 

「……居ましたか…」

 

 

「…ああ、そのようだな。

俺が右の方に不意打ちを仕掛ける、お前は左を頼んだ」

 

 

「任せてください」

 

 

その言葉を聞くと再び視線をクアドリガの方に、そして――――――――

 

 

「――――――――行くぞ!!」

 

 

ユウヤのかけ声とともに戦場に赴いた。

 

 

まずはユウヤがクアドリガ堕天種の片方に近づき背後からキャタピラ部分に斬撃を放つ。

 

 

「グオォォ!?」

 

 

突然の痛みに疑問まみれの悲鳴を上げるクアドリガ堕天種。

 

 

そんなことお構いなしにユウヤは攻撃の手を休めることはなかった。

 

 

そのまま高く飛んで神機を銃形態に変形させクアドリガ堕天種の頭に銃口をくっつけ銃弾を放つ。

 

 

「くらえ!!」

 

 

ゼロ距離のためクアドリガ堕天種の体は爆風により倒れる。

 

 

それを見たもう一体がユウヤ目掛けてミサイルポッドからミサイルを放とうとする。

 

 

「ありがとね、そこ狙いたかったんだ」

 

 

しかし、それを阻止したのはレンだった。

 

 

ミサイルポッドカ開くとほぼ同時に銃撃を放ちポッドを破壊した。

 

 

「この調子で行くぞ!!」

 

 

「はい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――二人が戦闘を開始して五分ほどが経過した。

 

 

無事クアドリガ堕天種の討伐には成功した、しかしそれは開始から一分ほどのことだった。

 

 

「レン!そっち行ったぞ!頼んだ!!」

 

 

「了解です!!」

 

 

あれから湧き出るかのようにアラガミが現れていた。

 

 

そのため周りにはオウガテイルの死骸があれば、ヴァジュラ、ボルグ・カムランなどと言った

大型から小型のものも転がっていた。

 

 

それにユウヤは今神機の一つがまだ修理中のため二刀流ではない。

そのため本調子ではないのでかなり苦戦していた。

 

 

「はぁ……はぁ……どんだけ出てくんだよ」

 

 

「そうですね……むしろ減らすどころか増えてる気がしますね」

 

 

そういいながら二人に喰らいつこうとしたオウガテイルを一刀両断した。

 

 

そしてまた新たなアラガミがうじゃうじゃと現れた。

 

 

しかし、ここでユウヤはようやくある異変に気付いた。

 

 

「おい…なんかこいつら、さっきから少し様子が変じゃないか?」

 

 

「えっ、それってどういう意味ですか?」

 

 

「なんか、何かから逃げてるみたいに見えるんだよ、まだ確証があるわけじゃないが」

 

 

そういいながらも戦いの手を休めることはなかった。

 

 

――――――――その時、また新たなアラガミが現れた。

 

 

「なっ、なんだこいつ!?新種か!!

いや……こいつ、ハンニバルか?」

 

 

確かに姿はユウヤの言う通りハンニバルだった。

 

 

しかし、姿は白ではなく真っ黒な色をしていた。

 

 

そして先ほどまで戦っていたアラガミ達がハンニバルが現れた途端、おびえたような物腰になり

後ずさりをした。

 

 

ハンニバルはユウヤたちの方を見ると視線をアラガミの群れの方に向けた。

 

 

そして何の前触れもなくアラガミ達を殺し始めた。

 

 

「なっ――――――――――」

 

 

「……………」

 

 

その不可解な行動にユウヤはあ然としレンは黙って見つめていた。

 

 

そして気が付くとアラガミの群れはきれいさっぱり消えていた。

 

 

ここでユウヤは今までのいきさつをすべて理解した。

 

 

先ほどのアラガミの群れはこのハンニバルから逃げていたのだと。

 

 

そしてハンニバルはユウヤたちの方に視線を向ける。

 

 

それと同時にユウヤは身構える。

 

 

「待ってください」

 

 

すると突然、身構えたユウヤをレンが静止した。

 

 

「このままハンニバルを逃がしましょう」

 

 

「なっ――――――――――」

 

 

レンから放たれた意外な一言につい構えていた神機を下ろす。

 

 

その間にハンニバルは遠くの方に消えていった。

 

 

「レン、なんであいつを逃がしたんだ」

 

 

「そうですね……いずれわかりますよ」

 

 

そういいながらレンはアナグラに向かって歩き出す。

 

 

何だかうまいことはぐらかせられた気がする、そう思いながらユウヤもレンの後に続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――博士、失礼します」

 

 

ユウヤは任務の後、榊の部屋に赴いた。

 

 

理由はただ一つ、あの時現れた黒いハンニバルだった。

 

 

「やあユウヤ君、君の方から話があるなんて珍しいね。

で、話しとは?」

 

 

「実はさっき任務の時、黒いハンニバルに出会ったんです」

 

 

「……へぇ…それは実に興味深いね、詳しく聞かせてほしいよ」

 

 

――――――――そしてユウヤはこれまでの経緯を話した。

 

 

「……ふむ、つまりその黒いハンニバルは君たちを見るも襲わずアラガミだけを襲った、と」

 

 

「はい、まったくもってその通りです」

 

 

「実に興味深い!!」

 

 

「うお!?」

 

 

突然大声を上げた榊にユウヤは驚きを隠せない。

 

 

そのあと榊がさまざまな専門用語が次々飛び出し、ユウヤは約二時間の長話に付き合わされたのは

余談である。

 

 

「……疲れた……」

 

 

場所は変わりここはユウヤの自室。

 

 

榊の長話も無事終わり疲れ切ったユウヤはベッドに顔を突っ伏していた。

 

 

「……シャワーでも浴びるか…」

 

 

ふらふらと覚束ない足取りでユウヤはシャワールームへ向かった。

 

 

 

 

 

――――――――十分後――――――――

 

 

 

 

 

「ふぅ…さっぱりしたな」

 

 

シャワールームから出て来たユウヤは頭にタオルを覆いかぶさるようにしていた。

 

 

余談ではあるが彼はシャワーから出てきたら大体上半身裸であった。

 

 

「……寝るか…」

 

 

そのまま彼は深い眠りについた………

 

 

 

 

 

 

続く………

 



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真実の感応現象、覚悟の時




感応現象を通して、ユウヤは真実を知る………






 

――――――朝、ユウヤはかなり寝ぼけていた。

 

 

「………おはよー……」

 

 

「おっ、ユウヤおは………大丈夫かお前?」

 

 

挨拶を返したコウタはユウヤの格好を見て少々顔を引きつらせる。

 

 

なぜなら本人はきちんと着ているつもりだろうが、服が乱れており右肩がはみ出ていた。

 

 

「……んー…何がー……」

 

 

「いや何がって服だよ、つーかお前寝ぼけてるだろ」

 

 

「あ、ユウヤおはよー……ってええ!!ユウヤどうしたのその格好!!」

 

 

背後からアスカが声をかけて来た。

 

 

その声に反応しユウヤが振り向くと、彼の格好に大声を上げ疑問をぶつける。

 

 

「……どうしたって何が……」

 

 

「いや、だからその……服が……乱れて…ると…いうか…」

 

 

徐々に頬を赤く染めると同じように声をどんどん小さくしていく。

 

 

そこで初めてユウヤが正気に戻る。

 

 

「はっ……なぜかさっきまでの記憶がないのはなぜだ……」

 

 

「おっ、やっと目覚ましたか、ユウヤ、ここ」

 

 

そういいながらジェスチャーで肩を指すコウタ。

 

 

「ん……おお、すまんな、ありがとう」

 

 

コウタに言われ始めて自分の格好に気が付き乱れを直す。

 

 

「もう……大丈夫?」

 

 

顔を両手で覆っていたアスカが指の隙間からユウヤを覗くようにして聞く。

 

 

「大丈夫って何がだ?」

 

 

「アスカ、もう大丈夫だぞ」

 

 

「そう…?ありがとうコウタ」

 

 

ユウヤの代わりに答えるコウタ。

 

 

それを聞いてアスカは安心して両手を下ろす。

 

 

「ユウヤさん、タツミさんたちから救援要請が来ています!至急応援に向かってください!!」

 

 

突然ヒバリの緊迫した声が飛んでくる。

 

 

「了解だ、場所はどこだ?」

 

 

「はい、ただいま鉄塔エリアB地点でアラガミの群れに囲まれています!!」

 

 

「わかった!」

 

 

ヒバリに言われた通りタツミたちの救援に向かうため出撃ゲートに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――くらえ!!」

 

 

そういいながらタツミは近くにいたコンゴウ堕天種を切り裂いた。

 

 

「はぁ…はぁ…なんでこんなにアラガミが出てくるんだよ!報告と違うじゃねえかよ!!」

 

 

「文句言ってないで戦え!それにこんなだけやってりゃあ報酬も高くなるってもんだろ!」

 

 

戦闘中にも関わらずこのような会話を続けているのは防衛班の小川シュン、カレル・シュナイダー

であった。

 

 

そんな中、彼らの前に黒いハンニバルが突如として現れたのだ。

 

 

「なっ、こいつ博士が言ってたやつじゃねえか!?」

 

 

するとハンニバルはタツミたちに仕掛けることはなくコンゴウ堕天種に襲い掛かった。

 

 

「こいつ、俺達には見向きもしないな」

 

 

素早い身のこなしでコンゴウ堕天種を仕留めると視線をタツミたちに向ける。

 

 

「っ、来るぞ!!」

 

 

タツミが仕掛けようとするがハンニバルのスピードに追い付けず先制攻撃をくらう。

 

 

「ぐっ!!」

 

 

間一髪装甲を展開したものの吹き飛ばされてしまう。

 

 

「くっ……こいつ、本気でやばいな」

 

 

そしてハンニバルはそのままタツミに追い打ちをかけようとした、が――――――――

 

 

「おっと!」

 

 

――――――――二人の間に装甲を展開させたユウヤが攻撃を防いだ。

 

 

「ユウヤ!!」

 

 

「すまん、遅くな――――――――――」

 

 

 

 

 

その時、突如ユウヤの頭の中に映像が流れ込んできた。

 

 

 

 

 

(これは…!感応現象…)

 

 

これはどうやら誰かの記憶だった。

 

 

「くっ………ここは、どこだ…」

 

 

―――――聞こえてきたのは一人の男性の声。

 

 

「俺は……何だ……」

 

 

―――――男は何かを探して歩き回っているようだ。

 

 

「神機…どこにやったっけ…」

 

 

―――――覚束ない足取りで神機を探しているようだった。

 

 

―――――その時、フラッシュバックでエイジスが映る。

 

 

「エイジス……そうだ……

エイジスは……どっちだ……

ああ……俺は、死んだのか……」

 

 

―――――映ったものはアラガミ化した腕。

 

 

―――――そこの傍らには白い肌をした少女の姿。

 

 

―――――この光景にユウヤは見覚えがあった。

 

 

「ああ……眠いな……」

 

 

―――――徐々に視界が悪くなる。

 

 

―――――しばらくして視界が開くと、前方からプリティヴィ・マータの姿があった。

 

 

―――――そして、男は気を失った―――――

 

 

―――――目を覚ますと目の前にはマータの死体が横たわっていた。

 

 

「アラガミ……誰だ……オレを呼ぶのは……」

 

 

―――――またしても気を失った。

 

 

―――――目が覚めると感覚がおかしかった。

 

 

―――――まるで自分が四足歩行で歩いているような。

 

 

―――――すると何か感じ取れたのか走る。

 

 

―――――そこにはコンゴウ堕天種と戦っているタツミたち防衛班の姿が。

 

 

「よくも仲間を!!」

 

 

―――――アラガミとなった自分の拳を握りしめコンゴウ堕天種に振り下ろす。

 

 

「他のやつらは何やってる!?」

 

 

―――――周りを見ると自分の姿を見て後退するタツミたち。

 

 

―――――それを確認し視線をコンゴウ達に戻す。

 

 

「ちっ…浅いか!邪魔くせえんだよ!!」

 

 

―――――近くにいたコンゴウ堕天種を吹き飛ばしもう一体に止めをさす。

 

 

「…よし、全員無事か……!」

 

 

―――――突如自分の制御が利かなくなりタツミに向かって拳を向けた。

 

 

「やめろおぉぉぉおおぉぉぉぉ!!」

 

 

―――――しかし、それで止まるわけでもなくタツミは後ろに吹き飛ぶ。

 

 

―――――更なる追い打ちを仕掛けようとしたときに現れたのがユウヤだった。

 

 

「新入りか!?頼む!止めてくれえぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

―――――そしてハンニバルの拳とユウヤの神機がぶつかり合い感応現象が起こった………

 

 

 

 

 

気が付くと先ほどの戦場に意識が戻っていた。

 

 

「――――――――――あんたは――――――」

 

 

しかし、ユウヤが言い終わる前にハンニバルは姿を消した。

 

 

「………っと、そうだそうだ、おいタツミ、大丈夫か?」

 

 

「ああ…おかげさまでな、にしてもすげえな、あのアラガミを追い払いやがったぜお前」

 

 

「……まあな…」

 

 

しかしユウヤの表情は晴れなかった。

 

 

(…もしあの感応現象通りだったら、あのアラガミは……)

 

 

ユウヤは最悪の結果しか想像しかつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――アナグラに戻ったユウヤは神機保管庫へ向かった。

 

 

「あれ、ユウヤ君じゃん。

珍しいね、一人で神機保管庫に来るなんて、何か用事?」

 

 

「ああ、まあな……

俺の神機あとどれぐらいで直りそうだ?」

 

 

「うーん……最低でもあと三日はかかると思うよ。

なんせ損傷が酷過ぎるからね、こっちも最大限に手は尽くすよ。

でも突然だね、何か急ぎの任務でも入ってきた?」

 

 

「いや、そういうわけじゃないんだ、ありがとう」

 

 

そういってユウヤはエレベーターに乗って行ってしまった。

 

 

「……なんかさっきのユウヤ君、いつもと様子が……ううん、気のせいかな」

 

 

リッカはユウヤの背中を見て少し違和感を覚えた。

 

 

その後、ユウヤは一日中自室に引きこもっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――次の日、ユウヤはエイジスにいた。

 

 

ここはかつて、極東支部前支部長ヨハネスの乗り込んだ人工アラガミ、アルダノーヴァとの戦いが

あった場所だ。

 

 

ユウヤは一人、まだ日の上っていない朝にエイジスへと侵入した。

 

 

片手に神機、そしてもう片方には花束を持っていた。

 

 

そして彼は終末捕食を引き起こすためのノヴァが眠らされていたエイジス中心部に到着した。

 

 

そこの片隅にはいくつかの花が添えられていた。

 

 

ユウヤはそこに向かい片手に持っていた花束を置き黙祷を行った。

 

 

そしてユウヤはある方向に視線を向ける。

 

 

「………やっぱり来たんだな……ここに」

 

 

視線の先には高台からこちらを見下ろす黒いハンニバルがいた。

 

 

「グガアァァァァァァ!!」

 

 

「…完全に意識はない、か………」

 

 

ひとり呟きながら神機を構える。

 

 

結果的に片方の神機は直らず一つだけ持ってきていた。

 

 

「……俺は探しましたよ……アラガミ化した人間をどうやって助けられるのか。

でも見つからなかった、寝る間も惜しんで探したっていうのに…笑えるな、まったく」

 

 

「ググググ………」

 

 

「…行くぞハンニバル……いや―――――――――――リンドウさん!!」

 

 

「グガアァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

エイジスに響き渡るハンニバルの咆哮とともに決戦の幕開けとなった………

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 




やべぇ、第二部が終わる、早いよ!


第二部が終わったらどうしようかまだ決まってません、どないしよ…


それでは!!


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逃げるな!!




ユウヤは最後の賭けに出る………






――――――――朝、アスカはいつも通りユウヤの部屋に向かっていた。

 

 

しかし、今日は少し空気が違った。

 

 

(なんだろ……この胸騒ぎみたいな…変な感じ)

 

 

いつもより重い足取りでアスカはユウヤの部屋の前に到着した。

 

 

いつも通りチャイムを押す、しかし返事がかえって来ない。

 

 

「寝てるのかな……」

 

 

そう呟きアスカはエントランスに向かった。

 

 

エントランスに付くと他の第一部隊の面々が揃っていた。

 

 

「あっ、アスカおはようございます」

 

 

「おはよう、どうしたのみんな集まって」

 

 

「どうしたもこうしたもユウヤが朝からいないんだよ、お前なんか知らないか?」

 

 

「ううん、知らないよ、てっきりユウヤがここにいるかと思って来たんだけど…」

 

 

その時、エレベーターの扉が開き勢いよくリッカが飛び出してきた。

 

 

「みんな!よかった……聞いて!!ユウヤ君の神機がないの!!」

 

 

「え!どういうこと!?」

 

 

リッカの一言で場の空気に緊張が走る。

 

 

その時、ヒバリの言葉でその場にいる全員の思考が停止する。

 

 

「エイジスに巨大なアラガミ反応、恐らくあの博士が言っていた黒いハンニバルかと……ええ!!」

 

 

「どうした!ヒバリ!!」

 

 

「その黒いハンニバルと――――――――ユウヤさんが交戦中!それも一人で!!」

 

 

「な――――――――――」

 

 

「あの大馬鹿野郎………おい、全員で行くぞ!!」

 

 

「待て」

 

 

エイジスに向かおうとした第一部隊をツバキが静止した。

 

 

「教官!なぜですか!?」

 

 

「おそらくあの黒いハンニバルはアラガミ化したリンドウだ……

そしてそれを知ったからこそユウヤは一人で黒いハンニバルを倒しに向かったんだ……」

 

 

「どうして……」

 

 

「サクヤ!いや、サクヤだけではない、お前たちはハンニバルに、リンドウに神機を向ける覚悟が

できているのか?」

 

 

「それは……」

 

 

「これより新たな特別任務を与える!目標、エイジス島に現れた黒いハンニバル!」

 

 

「なっ――――――――」

 

 

「速やかにこれを排除しろ、尚、ハンニバル種のような強力な修復能力を持つ個体は

現存戦力での対抗は難しいだろう、なので対ハンニバル種への対策同様、コアを回収した時点で

即時撤退、わかったな!」

 

 

「了解しました!」

 

 

「了解です!」

 

 

勢いよく返事を返すアリサやアスカ、しかしサクヤからは返事がない。

 

 

「それとサクヤ!これは命令だ、お前は残れ!

同じ悲しみを何度も目の当たりにする必要はない……」

 

 

この言葉は上官として、そして何より一人の人間としての言葉だった、しかしサクヤは――――――

 

 

「…いいえ、命令には従えません」

 

 

「サクヤ!」

 

 

「私にはリンドウの……愛する人の結末を最後まで見届ける義務があります」

 

 

その言葉には確かにサクヤの意志があり、その気迫にツバキは言葉を返せなかった。

 

 

「…いいだろう」

 

 

「……うん、オレも……覚悟、出来ました。

いや、まだ頭では納得してない感じだけど……」

 

 

「…俺たちの仕事はいつだって、あのバカでどうしようもなくて一人でなんでも背負い込んで

周りを頼ろうとしないアホのあいつを支えること……だろ?」

 

 

「…ソーマって、こういう時は言いたい放題言うよね」

 

 

「…事実だろ、全部」

 

 

この言葉に全員が頷きを返すことしかできなかった。

 

 

「…よし、全員現場に急行しろ、そしてそこにいるバカな二人にこう伝えてくれ。

二人そろって帰ってきたときのみ、懲罰を免除する、とな……」

 

 

ツバキの言葉に頷きだけを返すと急いでエイジスへと向かった、しかしユウヤもそこまでバカではない。

 

 

「あれ……エレベーターが作動しない!?なんで……」

 

 

「完全にやられたね」

 

 

どこからともなく榊が現れる。

 

 

「博士、それはどういう……」

 

 

「彼は昨日、一日中部屋にこもっていただろう、あの後ユウヤ君が何をしているのか気になって

データベースを勝手にのぞかせてもらってね、

履歴を見ていったら機械がらみのことが調べられていて、恐らくこうやってエレベーターに細工を

施して君たちを足止めするためなんじゃないかな」

 

 

「あ…のバカ、やはりあいつだけ懲罰だ、帰ってきたら任務付けの日々だ」

 

 

「ははは……さすがにこれは……」

 

 

「だな…まあ、自業自得ってやつだ」

 

 

「って雑談してる場合じゃないでしょ!!博士、何とかできませんか!?」

 

 

「大丈夫、この程度の細工なら私にかかれば………ふむ、随分細かいな、少しかかりそうだね」

 

 

こうして榊はユウヤの細工と十分ほどかかることなど、誰も知らない………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――エイジスにて、ユウヤの神機とハンニバルの一撃が島中に響き渡る。

 

 

「でやっ!!」

 

 

「ギヤァァァァァァ!!」

 

 

ユウヤの一撃がハンニバルの顔に縦の亀裂を与える、そしてハンニバルが活性化する。

 

 

「まずい!!」

 

 

活性化したハンニバルの動きに一瞬だけ後れを取り攻撃をもろにくらう。

 

 

「がっ!!」

 

 

体が吹き飛び壁に背中を強打し、大量の血を吐く。

 

 

「はぁ……はぁ……再生能力がうぜえな……」

 

 

息を切らしながらそう呟くと、改めて神機を握り直しハンニバルを睨みつける。

 

 

「グオオォォォォォォォォ!!」

 

 

しかしその程度でハンニバルがひるむことはなく、地面に両手をつく。

 

 

するとユウヤが自分の足元から何かが上昇してくるのを感じ取り、その場から離れる。

 

 

「うおっ!!」

 

 

すると十中八九、先ほどいた足元から火柱が上がってきたのだ。

 

 

アラガミと完全に同化したしたユウヤだからこそ回避できたというもの、他の人間だったら今頃直撃

していただろう。

 

 

ハンニバルは隙だらけのユウヤに追い打ちをかけるごとく、どこからともなく

炎の剣を振りかざしユウヤに襲い掛かる。

 

 

「くっ!」

 

 

なんとか装甲を展開し攻撃を防ぐ、しかし炎の剣の浸食は止まらずユウヤの服の一部に炎がうつる。

 

 

「あっち!」

 

 

急いで火を消す、しかしそれが決定的な隙を生む。

 

 

完全無防備のユウヤにハンニバルはまたも炎の剣を出し彼を切り裂く。

 

 

「しま――――――――――」

 

 

気づいて装甲を展開しようとするがすでに遅くもろにくらう。

 

 

着られたところからは大量の血を流し口からも溜まっていたかのような量の血を吐く。

 

 

ハンニバルは更なる追い打ちのごとく腕を振りおろしユウヤを吹き飛ばす。

 

 

「がっ!!」

 

 

ユウヤはそのまま壁に背中を強打し何度も吐血を繰り返す。

 

 

「はぁ……はぁ……まだ…だ…」

 

 

力を振り絞り立ち上がる、しかし足はふらついており視界もはっきりとしていない状況だった。

 

 

するとユウヤは神機を地面に突き刺し両腕と両足のオラクル細胞を変化させる。

 

 

そしてバキバキと音を立てると腕と足がアラガミのものとなった。

 

 

「行くぞ!!」

 

 

こうなると一時的ではあるものの傷の痛みを忘れることができた。

 

 

その間にけりをつける、ユウヤの考えはこうだった。

 

 

しかし、一定時間経つとそれまでの痛みの倍以上の激痛が体中に走る、まさにもろばの剣だ。

 

 

ユウヤは一瞬にしてハンニバルの懐に潜り込み腹部に重い一撃を与える。

 

 

「ゴアッ!?」

 

 

あまりにも早いものだったためハンニバルからは驚愕の声が出る。

 

 

それとほぼ同時にハンニバルの体が宙に浮く。

 

 

「これで――――――――――」

 

 

宙に浮いたハンニバルにさらなる追撃を仕掛けようと両腕両足に力を込める。

 

 

しかし、ここで自分の体にある異変に気付く。

 

 

「な――――――――――」

 

 

突如として自分の体に重りが乗っているぐらい重くなる。

 

 

それと同時に全身に走る先ほどまで感じなかった激痛。

 

 

その激痛に叫びをあげることもできず地面に倒れる。

 

 

彼の周りには血だまりができるほど出血がひどく、そのため意識も朦朧としていた。

 

 

ハンニバルは地面に着地すると瀕死のユウヤを全力で吹き飛ばす。

 

 

ユウヤは地面を何度もバウンドしもう死んでいてもおかしくない状態だった。

 

 

「ゴアアァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

ハンニバルはユウヤをじっと見つめるがピクリとも動かない。

 

 

動かないのを確認しユウヤにゆっくりと近づく。

 

 

腕を使いユウヤの体をつつくが反応が返ってこない。

 

 

両腕でユウヤを掴み喰らおうとする、その時――――――――――

 

 

 

 

 

「―――――リ……ンド…ウ………さん……」

 

 

かすれながらではあるが声を発するユウヤ。

 

 

ハンニバルは驚いたのか勢い余ってユウヤを投げ飛ばす。

 

 

「…いっ…てぇ………」

 

 

かすかな声で呟きながらふらふらと立ち上るユウヤ。

 

 

ハンニバルはそんなユウヤをただ見つめていた。

 

 

「リンドウ…さん……まだ………完…全に……アラガミに…なったわけ…じゃ…ない……よな…」

 

 

そういいながら神機の方へと歩いていく。

 

 

途中何度か膝をつき吐血を繰り返していたのにもかかわらず。

 

 

「いろいろとさ…調べたよ……そしたら…一つだけ、助けられる方法……見つけたんだ…」

 

 

神機を持ち戦闘態勢に入る。

 

 

「でも…それには一回…あんたを倒す必要……あるんだ…だから、ごめん」

 

 

そう言い放った途端、彼の姿が消える。

 

 

それとほぼ同時にハンニバルの背中に激痛が走る。

 

 

そこには先ほどまで自分の目の前にいたはずのユウヤが背中の上で神機を突き刺していた。

 

 

ハンニバルは痛みに耐えきれず暴れだす。

 

 

ユウヤは一度神機を抜き、後退するとまた姿を消す。

 

 

今度はハンニバルの籠手を、さらには足を切り裂きまた姿を消す、この繰り返しだった。

 

 

まさに神速の速さと言えるスピードでハンニバルの全身を切り裂いていった。

 

 

しばらくしてついにハンニバルが力なく倒れる。

 

 

それを確認したユウヤは手から神機を滑るように落とし膝をつき、たまった疲労を発散するように

吐血を何度も何度も繰り返す。

 

 

すると背後のエレベーターが開き中から第一部隊の面々が現れた。

 

 

「ユウヤ!!」

 

 

「お前ら………もう来たのか……結構難しい細工したと思ったんだけどな……」

 

 

「おいあれ………倒した……のか?」

 

 

ハンニバルに気付いたコウタがそう呟く。

 

 

その姿を見た誰もが倒した、そう思ってユウヤに駆け寄ろうとしていた、その時――――――――――

 

 

「な――――――――――」

 

 

ハンニバルは何事もなかったかのように復活しユウヤに視線を向ける。

 

 

ここでサクヤがあることに気付く。

 

 

「ねえ……あれって……」

 

 

サクヤの指差す方に視線を向けるとハンニバルの胸部に人間が一人縛り付けられていた、

その人物は―――――――――――――――

 

 

「リンドウさん……やっと出て来たか…」

 

 

「クソッ、あれじゃ手を出せねえぞ!」

 

 

「リンドウさん!目を覚ましてください!!」

 

 

必死にリンドウに呼びかけるアリサ、しかし反応はかえってこなかった。

 

 

「――――――今です」

 

 

「!!」

 

 

突然ユウヤの隣から声が聞こえたのでそちらに視線を向ける。

 

 

そこにはいつの間にかいたそこに立ってリンドウの神機を持っていたレンがそこにいた。

 

 

「レン……」

 

 

「これを逃すと、もうチャンスは来ないかもしれません。

……さあ、この神機を、リンドウに突き立ててください」

 

 

「……………」

 

 

リンドウの神機に手を伸ばそうとするが突如、ハンニバルの方から人のうめき声が聞こえる。

 

 

「う……うう……」

 

 

「リンドウ!」

 

 

「…俺のことは…放っておけ……」

 

 

「リンドウ……なのね…」

 

 

「まだ、迷っているんですか?

貴方はもう決断した、だからこうして彼と戦っていたんじゃないんですか…?」

 

 

「……俺は……」

 

 

「立ち去れ……早く……」

 

 

「…いや……もう置いていくのも…置いていかれるのも…いやよ……リンドウ…」

 

 

「リンドウさん……力ずくでも連れて帰ります…それが…あなたに償える唯一の方法だから…」

 

 

「そうですよ…それにわたしまだリンドウさんに教えてもらってないことがたくさんあるんです。

だから、戻ってきてください!リンドウさん!」

 

 

「決断を遅らせれば、余計な犠牲が生まれるだけです!

リンドウに仲間を殺させたいんですか!?」

 

 

「オレはもう……覚悟はできてる……自分のケツは、自分で拭くさ」

 

 

「さあ!この血なまぐさい連鎖から、彼を解放してやってください!!」

 

 

「ここから……逃げろ!!これは……命令だ!!」

 

 

「早く!!この剣でリンドウを刺すんだ!!」

 

 

ユウヤは何も言わずリンドウの神機に手を伸ばす。

 

 

しかし、他人の神機に触るということは即ち――――――――――――

 

 

 

 

 

「ああああああああぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

そう、オラクル細胞の変化により捕食されてしまうのだ。

 

 

「ユウヤ!!」

 

 

「逃げるな!!」

 

 

「!」

 

 

「生きることから…逃げんじゃねえ……

これは…命令だ!!」

 

 

そう叫ぶと同時にユウヤは全身の痛みも忘れてハンニバルに向かっていく。

 

 

ハンニバルも反撃しようと腕を振り上げユウヤ目掛けて振り下ろす。

 

 

ユウヤはその一撃を素早い身のこなしでかわす。

 

 

しかし、完全にかわしきることはできず左の耳をかすめる。

 

 

それでもユウヤは止まらず飛び上がり、ハンニバルの口に二つの神機を突き刺す。

 

 

「こ―――――――の…野郎!!」

 

 

突き刺した神機でハンニバルの基地を大きく裂き中からコアが現れる。

 

 

「っ、これだ!!」

 

 

コアを発見したユウヤはそれに手を伸ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、突如ユウヤとハンニバルが光りに包まれ二人の意識は別の場所へと行ってしまった………

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ま え が き 短い!!そして本編が長い!!( #゚д゚)=○)゚Д)^^^^^^゚


次はついに第二部最終回!!かもしれない……


それでは!!


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またな




感応現象の先にユウヤはリンドウを連れ戻せるのか………






――――――――――ユウヤが目を覚ますとそこはとある教会に立っていた。

 

 

「やっと……ここまで来られた…」

 

 

隣にはどういうわけかレンもいた。

 

 

しかしレンはユウヤと違いこの状況を完全に理解していた。

 

 

レンは視線を瓦礫の方に向けたので、ユウヤもそちらに視線を向ける。

 

 

そこにはぐったりと瓦礫にもたれかかっているリンドウの姿が。

 

 

レンは何も言わずリンドウのもとへ近づく。

 

 

「ん……お前…誰だ……」

 

 

「そんな言い方ないでしょ、リンドウ。

久しぶりに会えたっていうのにさ」

 

 

リンドウの状態を確認したレンは今度はユウヤのもとへ。

 

 

「…これで多分最後のお願いになると思います。

もう一度だけ、リンドウに戦う力を与えてやってください」

 

 

するとレンは何か念じるように目を閉じると体が光りに包まれる。

 

 

あまりの光の強さにユウヤは思わず瞳を閉じる。

 

 

しばらくして目を開けるとそこにいたはずのレンの姿はなく自分の左手にリンドウの神機が

握られていた。

 

 

「……なるほどな…そういうことだったのか…」

 

 

ここでユウヤはすべてを理解した。

 

 

もともとレンという人間はこの世に存在しておらずまた、

レンの姿もユウヤにしか見えていないことに本人は薄々気づいていた。

 

 

その正体はリンドウの神機そのものだったのだ。

 

 

ユウヤはリンドウのもとへ。

 

 

「よう新入り……おっと、もう新入りじゃなくて隊長だったな、ユウヤ」

 

 

「ええ、おかげさまでね。

帰りましょうリンドウさん、みんなが……サクヤさんが待ってますよ、だから……」

 

 

「……まったく…新入りだった奴にいつの間にか抜かされるとは…オレもオッサンになったな。

でもまあ、お前の言う通りだな、しゃあねえな」

 

 

そう言いながらユウヤに出された神機を受け取り立ち上がるリンドウ。

 

 

「ここに来るまで随分疲れたんですから、さっさと終わらせて帰りますよ」

 

 

実はここに来る前に様々なアラガミと一人で戦っていたのだ。

 

 

「へいへい、わかったよわかった、ここまで来て文句を言うんじゃねえよ」

 

 

二人は雑談をしながら神機を身構える。

 

 

視線の先には―――――――――――――――黒いハンニバルがこちらをじっと見つめていた。

 

 

「さてと……やるか!!」

 

 

「了解!!」

 

 

リンドウの合図とともにハンニバルに向かっていく。

 

 

ハンニバルもそれと同時に身構える。

 

 

まずはユウヤがハンニバルの足を切り裂き体制を崩す。

 

 

隙をついたリンドウが高く飛びハンニバルの背中にある逆鱗部分に斬撃をくらわす。

 

 

ユウヤもそれに続いて逆鱗を攻撃し破壊した。

 

 

「グアァァァァァァァ!!」

 

 

悲痛な叫びをあげると、破壊した逆鱗部分から炎の竜巻が放たれる。

 

 

「うおっ!?」

 

 

「あっち!!」

 

 

予想外の攻撃に二人は対応しきれず二人は餌食となる。

 

 

しかし、二人ともギリギリのところで装甲を展開し直撃は免れた。

 

 

「こんにゃろ!!」

 

 

リンドウはすぐさまハンニバルに詰め寄り切り上げをくらわせる。

 

 

「グゥゥゥ……グググ…」

 

 

これだけでハンニバルはかなり弱っていた。

 

 

「チャンス!!」

 

 

隙だらけのハンニバルにユウヤが更なる追い打ちを仕掛ける。

 

 

まるで瞬間移動を何度もしているような速さでハンニバルを切り裂いていく。

 

 

そしてしばらくしてハンニバルは力尽き、跡形もなく消えていった。

 

 

「ふぅ……何とか終わったか……」

 

 

「っ、まだです!!」

 

 

倒したかに見えたが黒い影のようなものが集合していきまたハンニバルが現れる。

 

 

しかし、先ほどの個体よりさらに大きさが増していた。

 

 

「まったく、随分としつこいもんだな、しつこいと嫌われるぞ?」

 

 

「冗談言ってる場合ですか、まじめにやってください」

 

 

「うるせぇ、つーかさっきよりでかくなってんじゃねえか」

 

 

ハンニバルは二人に向かって両腕を振り下ろす。

 

 

「ぐっ!!」

 

 

「おっと!!」

 

 

装甲を展開し攻撃を防ぐが二人とも完全に身動きが取れない状態になってしまった。

 

 

身動きが取れないリンドウにハンニバルは光弾を放つ。

 

 

「リンドウさん!!」

 

 

「くそったれ!オレは生きて帰んなきゃいけねえんだよ!!」

 

 

しかし、光弾が止まることはない。

 

 

その時、突然リンドウの神機が光りだす。

 

 

 

 

 

 

 

―――――そう、それでいいんだ―――――

 

 

「な――――――――」

 

 

すると、神機は光弾とリンドウの間に入り彼をかばったのだ。

 

 

そして神機はみるみる姿を変え人の姿、つまりはレンの姿になった。

 

 

「やっとその気になってくれたんだね、リンドウ」

 

 

「お前は……」

 

 

「僕は全部覚えてるよ。

君の初めての任務の時の緊張も、救うことのできなかった人への後悔も、戦ってきた苦労も

それに、愛する人たちを守るため…別れる覚悟を決めたことも……

全部、全部見て来たから覚えているんだ。

リンドウと一緒に戦っていられた日々は、僕にとって誇りだよ、ありがとう」

 

 

「ああ……オレもだよ……

オレが神機使いになって、一緒に戦ってる時もずっと、守ってくれてたんだな…感謝してる」

 

 

「もう……十分だよ…」

 

 

すると突然レンから放たれた光がハンニバルを包み込む。

 

 

光が消えると同じくしてハンニバルも完全に消え去った。

 

 

「本当にありがとう……貴方がいてくれなかったらここまで来られなかった」

 

 

「いいって、気にするな」

 

 

「…貴方と一緒に過ごせて、僕は楽しかった。

そのうち、貴方の神機として生きていくのもいいかなって思いましたよ」

 

 

「いや…さすがにやめてくれ、困る」

 

 

「ふふふ…それとあのジュース、たしか初恋ジュース…でしたっけ。

とってもおいしかったです、アラガミなんかよりも…ずっと」

 

 

「おいおい、お前らそんなもん飲んでんのかよ」

 

 

「リンドウさんも帰ったら飲んでみてください、おすすめしますよ」

 

 

「いや…遠慮しとくぜ…」

 

 

「そうだね、あれは普通の人間にはちょっときついと思うよ」

 

 

「え、それってどういう意味だ?」

 

 

「あー…帰ったら説明します」

 

 

「…あ、そろそろお別れみたいだ。

貴方に……いや、ユウヤさんに出会えて本当に嬉しかった、ありがとう」

 

 

「ああ、こちらこそありがとう」

 

 

ユウヤの言葉にレンは微笑みながら頷きだけを返す。

 

 

そして、光が徐々に強くなりレンの体が消えていく。

 

 

「あーあ……もう少し君たちと話したかったなあ……

話すって…正直面倒なものかと思ってたけど、暖かくてすごく好きだよ…

……バイバイ、またね…リンドウ」

 

 

「ああ、ありがとう……オレの相棒……またな」

 

 

リンドウの言葉を最後にエリア全体が光りに包まれる。

 

 

そして二人の意識は現実の世界へと戻される………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――あれから一か月が経った。

 

 

あの後、目覚めたリンドウにサクヤは泣きながら抱き着いて数時間離れなかった。

 

 

そのため、目覚めたユウヤは数時間忘れられた挙句、アナグラにてツバキに一日中怒声を

浴びせられる始末、自業自得である。

 

 

そしてとある任務にて。

 

 

「よーし、今日は新人二人か、まあ足を引っ張らないようにするんでよろしく頼むわ」

 

 

「もう、リンドウさん冗談言って」

 

 

「まあいいじゃねえか、にしてもこの感じユウヤたちのこと思い出すな。

あいつらとの最初の任務も新型二人だったな」

 

 

「そうなんですか!?じゃあいつか私たちもユウヤさんたちみたいに……」

 

 

「アネット、そんな簡単にはユウヤさんは振り向いてはくれないぞ」

 

 

「そ、そんなこと言ってないでしょ!!」

 

 

「二人とも、そろそろ行くぞ。

おっと、言い忘れてた、命令は三つだ。

死ぬな、死にそうになったら逃げろ、そんでもって隠れろ、運がよかったら隙をついてぶっ殺せ。

ってこれじゃ四つか……あともう一つ、生きることから逃げるな」

 

 

「生きることから……逃げるな…ですか?」

 

 

「そうだ、これは――――――――――」

 

 

そこまで言うとリンドウの通信機が鳴り響く。

 

 

「おっと、そのまま待機だ」

 

 

そういって通信機を取出し二人に背中を向け通信機に向かって話し出す。

 

 

しばらく話して通信機を切り二人の方に振り返る。

 

 

「もしかして、今のって?」

 

 

「あー、まあそれだ」

 

 

通信の相手は他の誰でもないサクヤだ。

 

 

この一か月の間に二人は結婚をしたのだ。

 

 

先日行われた結婚式では一部の男性はサクヤのドレスに見とれ、さらに一部ではリンドウの格好

に笑ってしまうものもおりいろんな意味でにぎやかな式となった。

 

 

「ところで、お子さんの予定とかあるんですか?」

 

 

「んー今んとこはないな。

…あーでも名前ならもう決まってるぞ――――――――レンって言うんだ」

 

 

「へえ……いい名前ですね」

 

 

「まあな、昔の仲間の名前なんだ…」

 

 

そういいながらリンドウは空を見上げる。

 

 

「よし、そろそろ行くか」

 

 

「はい!!」

 

 

ゴッドイーターの戦いはまだまだ終わらない………

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第二部オワタ……


次は第三部、出来る限りオリジナルな展開でいこうと思うので多分短いです。


それでは!!


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第三部 ~決着編~
下準備


いつも通りの極東支部。


しかし、決戦の時は刻一刻と近づいていることなど、まだ誰も知らない………


――――――――地下街エリアにてアラガミの死体の山の上に座り込みため息をついた青年が一人。

 

 

「…はぁ……あと半月か……」

 

 

青年は一言呟くと死体の山から飛び降り神機を構える。

 

 

視線の先にはセクメトと呼ばれるアラガミが6対同時に現れる。

 

 

しかし青年、ユウヤはこのアラガミを見ても余裕を見せため息をする。

 

 

そしてセクメトが動こうとした瞬間、ユウヤの姿が消える。

 

 

セクメト達は周りを見渡すがどこにもユウヤの姿は見当たらない。

 

 

「こっちだ、バカ」

 

 

背後からの声に反応し振り返るとそこには先ほどまで目の前にいたユウヤが立っていた。

 

 

すぐさま襲い掛かろうとしたが時すでに遅くセクメトの群れはすべて力尽き、地面に倒れ込む。

 

 

理由は簡単、ユウヤは一瞬にしてセクメト6対を瞬殺してしまったのだ。

 

 

ユウヤはセクメトすべてのコアを抜き取りまたため息をつく。

 

 

「…つまんねえな…もっと強い奴いねえのか…」

 

 

そう呟きながら額の汗を拭う。

 

 

周りは溶岩だらけで今もユウヤは汗だくである。

 

 

「あー……暑いなここは…つーか教官やっぱ鬼だな」

 

 

服を1枚脱ぎながらユウヤは一人、愚痴をこぼす。

 

 

なぜならユウヤは2か月間の任務付けの日々を送らされているのだ。

 

 

そもそも1か月半前、ユウヤはエイジスに向かうためのエレベーターに細工をしたのが理由だった。

 

 

まあ自業自得である(by作者)

 

 

「そろそろ帰るか…暑いし…」

 

 

ユウヤは片手に神機、もう片方に脱いだ服1枚を肩に担ぎながらアナグラへと帰投した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――それからさらに半月が経った。

 

 

無事ユウヤの懲罰代わりの任務付けの日々も終わりいつも通りの日常が戻ってきた。

 

 

しかし、いつも通りと言ってもほぼ毎日が任務付けの日々なのだから大して変わらない。

 

 

そんな彼を朝一に必ず出迎える者たちがいた。

 

 

「ユウヤ!おはよー!!」

 

 

「うお!?アスカ飛びつくなって言ってるだろ?」

 

 

「おはよ、ユウヤ」

 

 

「おはようございます」

 

 

「ああ、おはよう」

 

 

出迎えてくれたのはアリサ、アスカ、クロナの三人である。

 

 

この三人はいつものように朝部屋の前まで行ってユウヤとともに食堂へと向かっていた。

 

 

なぜそんなことをするのか、理由はただ一つ、三人はユウヤに好意を抱いている。

 

 

そのため極東の男性たちから嫉妬の目で見られていることが多い。

 

 

しかし、ユウヤは鈍感なためそのことにまったく気づいていなかった。

 

 

そんな毎日が続いていた。

 

 

「よう、お前ら相変わらずだな」

 

 

「リンドウさん、おはようございます」

 

 

食堂にて四人に話しかけてきたのはリンドウだった。

 

 

「ちょっ、リンドウさん何言ってるんですか!?」

 

 

リンドウの言葉にアリサは同様し始める。

 

 

「何っていつもの光景だなって言っただけに決まってんだろ。

にしても、オレがいない間にお前ら随分とまあ変わったな、特にお前ら三人は」

 

 

「…かもですね」

 

 

リンドウの言葉に三人は内心認めることしかできなかった。

 

 

ユウヤはリンドウの言葉の意味を理解していなかった。

 

 

その時、ユウヤの通信機が鳴り響く。

 

 

「ん、なんだ通信機か、ちょっとすまん」

 

 

ユウヤは通信機を取出し通信に出る。

 

 

「はい……わかりました、すぐ行きます」

 

 

「なんだったんですか?」

 

 

「いきなり任務だ、こんな朝っぱらから疲れるな、じゃ行ってくる」

 

 

「待って、わたしも行く!」

 

 

「アスカが行くなら私も」

 

 

「なら私も行きます!」

 

 

「ああ、いいぞ……って先に行くなよ」

 

 

そう言い放つと三人はユウヤよりも先にエントランスに向かった。

 

 

「ところで任務の内容は聞いたんですか?」

 

 

「いや、エントランスで直接だと」

 

 

そうこうしているうちにエントランスに到着した四人。

 

 

「あ、ユウヤさん……もしかして他の方も一緒に」

 

 

「はい、だめかな?」

 

 

「いえ、問題ありません、それでこちらが任務の内容になります」

 

 

「こいつ……なんだ、たいしたことないな」

 

 

見せられた情報によると討伐対象はボルグ・カムラン通常種と堕天種の群れの討伐らしい。

 

 

「よし、とっとと行って帰るか」

 

 

そして四人は出撃ゲートへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――アスカ、お願い!」

 

 

「任せて!!」

 

 

アスカは近くにいたボルグ・カムランに銃撃を放ち仕留めた。

 

 

「よし!後は………ってユウヤ!まじめにやって!!」

 

 

「俺は至ってまじめにやってるが」

 

 

そうは言うものの神機を額に乗せバランスを取りながらボルグ・カムラン堕天種の攻撃を

かわしていた。

 

 

「それのどこがまじめよ!!」

 

 

「…はぁ、わかったよ、まじめにやればいいんだろ」

 

 

そう愚痴りながら神機を握りしめると突如ユウヤの姿が消える。

 

 

突然のことにアラガミ達は驚きを隠せず辺りを見回すが徐々に自分の状況を理解する。

 

 

そしてアラガミ達は次から次へと倒れていきユウヤを発見する前に全滅した。

 

 

彼の姿はというとアラガミ達の背後に立っていた。

 

 

「ほら、まじめにやったら早く終わるんだから、これからもきちんとやってよ?」

 

 

「だってよ、さすがに張り合いがなさすぎるんだよ」

 

 

「…でもさすがにこれは強すぎるユウヤが悪いんじゃないですか?」

 

 

そんな雑談をしながらアラガミのコアを抜き取りアナグラへと帰投していく四人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――彼らが去った後、誰もいない鉄塔エリア。

 

 

消えかかっているボルグ・カムラン堕天種の死骸に歩み寄る人型のアラガミ。

 

 

そしてアラガミは死骸を暫くじっと見つめそして喰らった。

 

 

するとアラガミのオラクル細胞が急速に変化し肩から先ほど喰らったボルグ・カムランの針が生えた。

 

 

「ギシャアァァァァァァァァァ!!」

 

 

アラガミ、ゼロは耳を劈くような叫びをあげた。

 

 

そして何事もなかったかのようにこの場を去って行った。

 

 

まるで、最後の戦いに向けての準備をしたようだった………

 

 

 

 

 

 

続く………

 




随分とまあ更新が遅くなってしまって申し訳ありませんでした!!


理由は簡単、ネタが浮かびませんでした。


次からはもう少し頑張ります。


それでは!!


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新たなライバル!?

突如ツバキに呼び出された第一部隊。


その話の内容とは一体………


「おーい…ってまだ誰もいないのかよ…」

 

 

ツバキに呼ばれエントランスにやってきたユウヤ、しかしそこにはまだ誰も来ていなかった。

 

 

「ちょっと早すぎたか…」

 

 

そう呟きながらユウヤはエントランスにあるソファーに腰かけると暫しの眠りについた。

 

 

―――――30分後―――――

 

 

「……ん…寝てたな…」

 

 

目を覚ますと誰もいなかったところにリンドウとサクヤがこちらを見て苦笑していた。

 

 

「おっ、やっと目を覚ましたな、ったく、はやすぎんだよ来るのが」

 

 

「リンドウさん……今何時ですか…?」

 

 

「んーとな、2時半っつったところだな」

 

 

「そうですか…ありがとうございます」

 

 

眠そうな声でそう返すとゆっくりと立ち上り自分の頬を2,3回叩く。

 

 

「ふぅ…ところでまだ二人だけですか?」

 

 

「ええ、そうよ。

アリサ達三人は任務に行っていてこれないみたいなのよ」

 

 

「そうですか…じゃああとはコウタとソーマだけか…」

 

 

するとエレベーターの扉が開き中から青いフードをかぶった青年、ソーマがいかにも眠そうに出て来た。

 

 

「随分と眠たそうだな、もしかしてさっきまで寝てたか?」

 

 

「…ああ」

 

 

今の声からするにソーマはかなり不機嫌な様子だったためユウヤはソーマからゆっくり離れる。

 

 

そんな中、一人の女性が四人の前に現れる。

 

 

「お前たち、やはり全員とはいかなかったか……コウタはまだか?」

 

 

「さあ…知りませんけど…ソーマ知らないか?」

 

 

「さあな、どうせ部屋にでもいるんじゃないか…?」

 

 

するとまたしてもエレベーターの扉が開くと全速力でコウタが走ってきた。

 

 

「教官、コウタ来ましたよ」

 

 

「遅れてすいませんでした!!」

 

 

ツバキの前まで来ると息を切らしながら凄まじい速さで頭を下げ謝罪を押するコウタ。

 

 

「ところで教官、話しっていうのは…」

 

 

「まあ待て、そろそろ来るころだと思うんだが…」

 

 

そういいながら出撃ゲートの方に視線を向けるツバキ。

 

 

五人もゲートの方を見ると、それとほぼ同時に扉が開き一人の少女が出てくる。

 

 

「来たか」

 

 

「ん?あれってもしかして…」

 

 

「紹介しよう、と言ってももう知っているとは思うがな」

 

 

「本日よりこちら、第一部隊転属となりました、アネット・ケーニッヒです!

よろしくお願いします!!」

 

 

出撃ゲートから現れたのはつい最近やってきた新型使いのアネットだった。

 

 

「早速だがユウヤ、リンドウ、サクヤ、お前たちにはアネットとともに任務に出てもらう」

 

 

「了解しました」

 

 

ユウヤの返事を聞くとツバキはその場を去って行った。

 

 

「さて…そんじゃ早いとこ行きますか」

 

 

「はい!!ユウヤさん、よろしくお願いします!!」

 

 

「ああ、よろしくな。

リンドウさん、サクヤさん行きますよー」

 

 

そして四人はそのまま出撃ゲートへと向かった。

 

 

そんな四人の後姿を見ていたコウタとソーマはというと。

 

 

「なあ…アリサ達帰ってきたら間違いなく修羅場になるよな…」

 

 

「…恐らくな」

 

 

この後起こる未来を予測していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――任務から帰投したアネットはユウヤとの雑談中にどういうわけかいつの間にかアリサ達に

連行され放心状態になり、気が付くとアリサの部屋のソファに座らせられていた。

 

 

「どうも、アネットさん。

ツバキ教官から聞きました、今日からよろしくお願いします」

 

 

そういって笑顔を見せるアリサ。

 

 

しかし、確実に目が笑っていなかった。

 

 

アスカはなぜこの状況なのかがまったく理解できておらずキョトンとしており、

クロナはカップに入った紅茶を飲んでいた。

 

 

ここで紅茶を飲んでいたクロナが口を開いた。

 

 

「雑談はその辺にして、本題に入りましょうか」

 

 

そう告げると手に持っていたカップを一度置いた。

 

 

これはかなり真剣堕、そう思ったアネットだが現実はそうでもなかった。

 

 

 

 

 

「アネットちゃんだったよね、貴方、ユウヤのことをどう見てる?」

 

 

てっきり真剣な話が来ると思っていたためまじめに聞いていたらこれだ。

 

 

アスカはここでやっとこの状況を理解し驚きを隠せない。

 

 

「……と、言いますと…」

 

 

「つまり、アネットちゃんから見たユウヤっていうのはどういう存在?」

 

 

完全に放心状態となり思考を停止させるアネット。

 

 

暫くして脳をフル回転させ考えてみた。

 

 

自分から見たユウヤという存在。

 

 

そしてアネットは少し考えていくうちに一つの結論にたどり着いた、その結論とはただ一つ。

 

 

(ユウヤさんのこと………好き?)

 

 

自分に問いかけるように心の中でそう呟く。

 

 

そしてみるみる頬を赤く染めていくのが自分でも嫌なくらいわかった。

 

 

「これは……ライバル登場…というやつですよね?」

 

 

「そうみたいだね…これはまた厄介な…」

 

 

「ええっ!?それは大変だよ!!一大事だよ!!」

 

 

こうして三人の前にまた、新たなライバルが現れたのだった………

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最近やりだした神撃のバハムートにはまってます。


なぜはまったかって?そんなものただ一つ!!声優さんだよ!!(ゲーム内容も楽しいです)


それでは!!


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再開



任務の最中、ユウヤはついに彼女との再会を果たす………






―――――アネットが第一部隊に配属されそれなりの月日が経った。

 

 

最初はギクシャク(主にアリサ達)していたがユウヤの一言(お前らもっと仲良くしろよ、女の子同士)により今では固い絆(という名のライバル)で結ばれていた。

 

 

そのため、この日も四人で任務に出かけていた。

 

 

四人は任務が終わりエントランスのソファーにてガールズトークをしていた。

 

 

そんな姿を見たリンドウとサクヤは。

 

 

「やっぱり恋い焦がれる少女なんていうものはかわいいものね」

「にしてもユウヤもあそこまで鈍感だとあいつらが可哀想に見えてくるぜ」

「そんなこと言わないの、それよりあなたは任務でしょ?早くいきなさい」

「おっと、そういやぁそうだったな、そんじゃ行ってくるわ」

 

 

サクヤに手を振りながら出撃ゲートへと向かったリンドウ。

 

 

それを見送ったサクヤはしばらくアリサ達をじっとほほえましそうに見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――廃寺エリアにて第二接触禁忌種のコアを抜き取り壁にもたれかかりながらため息をつく

ユウヤの姿があった。

 

 

「つまんねぇ……もっと強い奴はいねえのかよ…」

 

 

そんなことを愚痴りながら辺りを見回す。

 

 

しかし、周りを見ても強そうなアラガミはおらず自分が先ほど仕留めたスサノオの死骸だけだった。

 

 

仕方なくユウヤはアナグラに帰投しようと思い立ち上がったその時だった。

 

 

「……この気配…アラガミ…だな…」

 

 

遠くの方を見つめながらそう呟くユウヤは急いでそちらの方へと向かった。

 

 

気配のしたところに到着すると神機を構える。

 

 

先ほど感じたアラガミは今自分が見つめている視線の先にある物陰から感じていた。

 

 

そして物陰から現れたアラガミを見てユウヤは身構えるのをやめてしまう、なぜなら――――――

 

 

「……ティア…なのか……?」

 

 

そこに現れたのは片手に剣、もう片手に盾を持った純白の身体と翼を生やしたアラガミだった。

 

 

しかし、翼は以前のように純白とは程遠い真っ赤な血で汚れた翼だった。

 

 

そして本人もかなり弱っていた。

 

 

ユウヤは神機を放り投げ急いでティアのもとへと走った。

 

 

「ティア!しっかりしろ!!」

 

 

「う……お兄……ちゃん…なの…?」

 

 

(っ、まだ意識はある!十分助かる!!)

 

 

ここでユウヤは思考をフル回転させ最善策を考えた。

 

 

そして、一つの結論にたどり着いたがこれは賭けでもあった。

 

 

このままティアをアナグラへと連れて行き榊に治療をしてもらうといったものだった。

 

 

しかし、榊は快く引き受けてくれたとしてアナグラのみんなはそう簡単には納得してくれそうになかった。

 

 

しかし今はこんなことで迷っている暇ではなかった。

 

 

「ティア、今からお前をアナグラに連れて行って博士に治療してもらう」

 

 

「え……でも…私今………こんな姿じゃ……」

 

 

「大丈夫だ、アナグラのみんなは俺が言うのもなんだが変な奴多いからさ、きっと大丈夫だ」

 

 

「そう……なら…よかっ……た…」

 

 

ティアはユウヤの言葉を聞いて安心したのかそのまま眠りについた。

 

 

ユウヤは急いでティアを担ぐと全速力でアナグラの方へと走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――うーむ、やはり不自然すぎる」

 

 

「不自然って……ティアですか?」

 

 

場所は変わりここはアナグラの榊の研究室。

 

 

重症のティアをアナグラに連れて来たユウヤは全速力で榊の研究室へと向かった。

 

 

これまでの経緯をすべて話すと榊は快くOKしてくれたのだ。

 

 

そして今ティアは奥の部屋にて安心したように眠っている。

 

 

「ところで博士、さっき言ってた不自然な点というのは……」

 

 

「さっき彼女のオラクル細胞について少し調べてみたんだが、本来ならあれほどの傷も数時間で

完全に治ってしまうほどのものなんだよ、しかしまだ治っていないというのはあまりにも

不自然極まりない。

そこで私は一つの仮説を立ててみたんだ」

 

 

「…と、言いますと…」

 

 

「簡単に言うと今ティア君のオラクル細胞は一時的ではあるものの細胞すべての活動が停止している

といったものなんだが、理解してくれたかい?」

 

 

「…コウタやアスカじゃないんですから、それぐらい理解できますよ」

 

 

――――――エントランスにて

 

 

「へっくしょん!!」

 

 

「へぷちっ!」

 

 

「なんだなんだ、二人そろって風邪か?」

 

 

「違いますよ…たぶん、噂とかされてるんじゃないかなー…」

 

 

「…なんでわたしたちなんだろ…」

 

 

――――――場所は戻り再び榊の部屋。

 

 

「つまり、その仮説によりますとティアのオラクル細胞は何者かによってオラクル細胞の活動が

停止させられている、そんなところですか」

 

 

「まさにその通りだよ、ユウヤ君は呑み込みが早くて助かるね。

とはいってもまだ仮説さ、100パーセントそうとは限らないからね。

まあ本人に直接聞けたら一番早いんじゃないかな?」

 

 

「…そうですね、でも今はそっとしてあげてください」

 

 

そういって扉の方へと歩いていくユウヤ。

 

 

すると扉の前で一度止まりもう一度榊の方に振り向く。

 

 

「あと博士、もしもティアに何かしたら………わかってますよね?」

 

 

その時の彼の目は確実に人を殺す目そのものだった。

 

 

「あ…ああ、もちろんだとも、心得ておくよ」

 

 

その言葉を聞いてユウヤは榊にお礼を言うと部屋を後にした。

 

 

そのまま自室に直行すると、全身の力が抜けたかのようにベッドで眠り込んでしまった………

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 




近々これの学パロでも、と思ってます。


と言ってもあくまで予定です、決まったわけではありません。


もし書いた場合よろしければそちらも見てください。


それでは!!


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動き出す男




最後の戦いへと、ユウヤは足を進めていく………







アナグラにアラガミとなっていたティアを治療して三日が経過した。

 

 

このことをアナグラのみんなに説明すると全員が快く理解してくれた。

 

 

そしてユウヤはティアのことが心配で頻繁に榊の部屋に通っていた。

 

 

「にしてもこれほどユウヤ君がここに来るのはなんだか新鮮だねぇ」

 

 

「当たり前ですよ、ここに来るのは気が引けますけどティアが心配ですから。

ところで様子はどうですか?」

 

 

「そうだね、最近はオラクル細胞もまた少しずつではあるが活動を再開し始めた。

近々、目を覚ますんじゃないかな?」

 

 

「そうですか…ありがとうございます」

 

 

その言葉を聞いて安心した表情を見せる。

 

 

「いやいや、構わないよ。

にしても最近君は少し無理をしているようだね。

ここに来る以外はずっと任務に行っているそうじゃないか」

 

 

「……ええ、まあそうですね…」

 

 

「もしかして、君にはティア君にここまでの重傷を負わせたアラガミについて、何か心当たりでも

あるのかい?」

 

 

その時、部屋の奥の扉が開き、中から眠っていたはずのティアが出て来た。

 

 

「ティア!もう大丈夫なのか?」

 

 

「うん……とりあえずは…ここは?」

 

 

「アナグラだ、お前が傷だらけだったから俺がここまで運んだんだ。

もしかして何も覚えてないのか?」

 

 

「まあ……でも私がここにいて平気?」

 

 

「ああ、問題ないぞ」

 

 

「そっか……ならよかった…」

 

 

それからしばらく部屋に沈黙が続く。

 

 

二人は会話をしていて気付かなかったがいつの間にやら榊が部屋から消えていた。

 

 

「……そういえばこうやって話すの…久しぶり…だね…」

 

 

「…だな……でも見た目がアラガミだからなんか違和感あるな…」

 

 

「えへへ……そうだね…」

 

 

二人とも緊張しているのかぎこちない会話が続く。

 

 

すると突然、ティアの方からユウヤの胸に飛び込んだ。

 

 

「えへへ……ちょっとだけ…こうしててもいい?」

 

 

「…ったく、甘えん坊だな」

 

 

ため息交じりにそういいながらもティアの頭をやさしくなでる。

 

 

(もう二度と…こうやってできないと思ってたのにな…)

 

 

「…お兄ちゃん、ちょっと苦しい…」

 

 

「…ん、すまん」

 

 

気が付くとユウヤはティアの体を強く抱きしめていた。

 

 

ユウヤは謝罪をしながら抱きしめていた手を放す。

 

 

そのままティアもユウヤから離れ隣に座った。

 

 

そして、またしても沈黙が続いた。

 

 

暫くしてユウヤが沈黙を破る。

 

 

「…ところでティア、そろそろ話してもらえるか?

一体誰にやられたんだ」

 

 

「……ごめん、お兄ちゃん。

はっきり言って詳しくは覚えてないの」

 

 

「…そうか…」

 

 

「…でも、全然覚えてないわけじゃないんだ。

確か…人型の……アラガミだったかな…」

 

 

「…人型…」

 

 

その単語にユウヤは心当たりがあった。

 

 

「でもね、はっきりと覚えてるわけじゃないけどそのアラガミの背後に誰か人間みたいな人が

そのアラガミに指示してるみたいだったの」

 

 

「人間が……アラガミを操ってる、そういったところか……。

すまんな、無理に思い出さたりして」

 

 

そういってユウヤはまたティアの頭をやさしくなでた。

 

 

「えへへ……」

 

 

アラガミとなっているため表情は変わらないもののうれしそうな声を出すティア。

 

 

たとえアラガミとなっても兄妹の絆が崩れることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――時同じくしてここはかつて激戦を繰り広げたエイジス。

 

 

しかし、中心部は当時の面影はなく何者かによって改造され広さが増していた。

 

 

「ふふふ……ふはははははははははははははははははは!!

完璧だ!これぞ私が求めていたもの!!」

 

 

そんな誰もいないはずのエイジスに男の笑い声が響く。

 

 

男の視線の先には様々なデータが記された機械の画面。

 

 

そこに写っていたのはティアに重症を負わせたアラガミ、ゼロの姿。

 

 

「これで!完全にアラガミを操ることのできる薬が完成した!!」

 

 

そんなことを叫びながら男はエイジスの奥深くへと消えていった………

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 




なんかもう第三部が終わりそう!!


ストーリーが浮かばない…ヤヴァイ…マジで。


でも頑張ります!!!


ちなみにこれから不定期更新が続くと思います。


それでは!!


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現れたもの

そろそろ第三部も終わりに近づいてます!


…………えっ!!∑(=゚ω゚=;)



ティアが目を覚まして一週間が経った。

 

 

彼女も無事万全な状態になり深かった傷も完治した。

 

 

そんな中ユウヤたちは彼女のための餌、すなわちアラガミのコアの採取に来ていた。

 

 

アラガミとなってもやはりお腹は空くものであった。

 

 

尤も、過去にシオの食糧調達もあったためこういったものは慣れていた。

 

 

そして今、ユウヤ、アリサ、クロナの三人は次から次へとアラガミ達を仕留めていた。

 

 

「オラオラオラァ!!どうした、その程度か!?」

 

 

ユウヤはいつもとは違いやる気に満ち溢れていた。

 

 

「……いつもこれぐらいやってくれるとこっちも助かるんだけどなぁ……」

 

 

「たしかに……でも今回はティアさんのためですから無理もありません」

 

 

「それはそうだけど……これはちょっと……」

 

 

「……まあ…そうですね…」

 

 

ユウヤの戦いを遠目に見ていたアリサとクロナは周りに視線を向ける。

 

 

そこには先ほどユウヤが仕留めたアラガミの死体の山だった。

 

 

もうコアを抜き取って消えてしまったものもあるがそれを含めると最低でも100は仕留めていた。

 

 

「これが妹の力……」

 

 

「…何か違う気がする…」

 

 

何だか違う認識をするアリサをクロナがツッコミを入れる。

 

 

「おーい、全部終わったぞー」

 

 

気が付くと残りのアラガミもすべてユウヤ一人で片づけてしまった。

 

 

「うわー……これはまた随分と派手にやったね……」

 

 

「ん、そうか?」

 

 

辺りを見回すと体がバラバラになったアラガミの死骸がいくつも転がっていた。

 

 

「それにしてもアラガミっておいしいんですか?」

 

 

「さあな、俺は数えるぐらいしか喰ったことないしな」

 

 

「寧ろ食べたことあることが驚きだよ……」

 

 

「まあ子供のころだけどな」

 

 

そんな雑談の中、ユウヤの通信機が突如鳴り出す。

 

 

「ちょっとすまん、もしもし………わかった、すぐ行く」

 

 

話の内容は二人にはわからなかったがユウヤの表情が真剣なものになったためなんとなく理解した。

 

 

「…どうしたんですか?」

 

 

「――――――――アナグラに……ゼロが現れた」

 

 

「なっ!」

 

 

低いトーンでそう告げるユウヤの表情は怒りに満ち溢れていた。

 

 

ゼロ、それはユウヤが今もっとも倒すべきアラガミの名前だった。

 

 

しかしなぜゼロがアナグラに、様々な事を思い浮かべるが今はそれどころではない。

 

 

「とにかく急いでアナグラに行くぞ!」

 

 

今は一刻も早くアナグラに戻る、ただそれだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――アナグラはいつも通りの平穏な雰囲気だった。

 

 

――――――しかし、その平穏はいとも簡単に崩れ去る。

 

 

突如として現れたアラガミ、ゼロ。

 

 

防衛班はすぐさま居住区の人々の避難にあたり第一部隊はゼロと対峙する。

 

 

しかし、先ほどからゼロの様子がおかしかった。

 

 

ゼロは自分たちを見ても戦闘態勢に入ることはなく何かを探すように辺りを見回しては唸り声をあげる。

 

 

「なあ、あいつ…なんでさっきからオレたちを狙ってこないんだ?」

 

 

「わかんないけど……でも敵意は感じないね」

 

 

「……だがほっとくわけにはいかねえだろ」

 

 

そういってソーマは神機を構える。

 

 

それにならってコウタも銃口をゼロに向ける。

 

 

アスカも神機を構え戦闘態勢に入る。

 

 

今第一部隊はアスカ、ソーマ、コウタの三人だけで他のメンバーは全員任務に出払っていたため最悪のタイミングだった。

 

 

しかし、ここで弱音を吐いてはいられなかった。

 

 

「とにかくタツミたちが居住区のやつらを非難させるまで持ちこたえるぞ!」

 

 

「おお!!」

 

 

ソーマの合図と同時にコウタは六発の銃撃を放つ。

 

 

銃弾は見事全弾命中しゼロが煙に包まれる。

 

 

しかしゼロは何事もないかのように平然と煙の中から現れる。

 

 

「なっ!たしかに全弾当たったはずだぞ!!」

 

 

続いてアスカとソーマが挟み撃ちからの同時に斬撃を放つ。

 

 

しかし、まるで鉱石を切ろうとしたかのような音をあげ神機がはじかれる。

 

 

「かたっ!!」

 

 

「チッ!」

 

 

ここでやっとゼロの注意をこちらに引き付けることに成功する。

 

 

「ギガアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

そしてついにしびれを切らしたのかゼロは雄叫びをあげソーマに向かっていく。

 

 

「っ、来い!!」

 

 

ソーマは神機を構えゼロと対峙する。

 

 

しかし、ゼロの動きが早すぎるあまり対応できずソーマは吹き飛ばされ瓦礫の山に激突する。

 

 

「ソーマ!!」

 

 

「コウタ!前見て!!」

 

 

ソーマのもとに駆け寄ろうとよそ見をしたコウタの目の前にゼロが迫る。

 

 

「しまっ――――――――――」

 

 

突然のことにコウタは対処できず目をつぶる。

 

 

ゼロはコウタ目掛けて手の甲から生えている針に彼を貫こうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――しかし、その攻撃は不発に終わる。

 

 

「させるか!!」

 

 

突如として現れゼロの顔面を蹴り飛ばしたユウヤによってゼロは吹き飛ぶ。

 

 

一瞬の出来事にゼロは不意をつかれもろに蹴りを喰らう。

 

 

しかし、それでもたいしたダメージにはならず平然としたように立ち上がる。

 

 

そして自分を蹴り飛ばしたユウヤの姿を確認する。

 

 

「―――――――――今…」

 

 

一瞬、笑ったようナ表情を見せるゼロ。

 

 

そのことに気付いたのはアスカだけだったがそれ以上何も言わなかった。

 

 

「すまん、遅れた」

 

 

「…ったく…遅いんだよ…げふっ!」

 

 

ふらふらと歩いてきたソーマがユウヤにそう告げる。

 

 

「だって任務に行ってたんだし仕方ないだろ」

 

 

「ごめんね遅れて、コウタ大丈夫?」

 

 

「…ああ、でもぎりぎりだったぜ…」

 

 

そういってクロナが差し出してきた手を掴んで立ち上がるコウタ。

 

 

ユウヤはすでにゼロと一対一で対峙していた。

 

 

「……久しぶりだな……」

 

 

ゼロはユウヤの言葉に反応するように小さく唸り声をあげる。

 

 

そして二人の空間は沈黙に包まれる。

 

 

そよ風のように優しい風が二人を包み込むように吹き出す。

 

 

そして瓦礫の山が合図のように崩れ去る。

 

 

崩れ去った瓦礫の山を合図に二人の姿が消える。

 

 

そしてユウヤのいた場所には彼の神機が落ちていた。

 

 

「えっ!?ユウヤどこ行ったの!?」

 

 

「静かに!…何か聞こえる…」

 

 

クロナに言われた通り静かにしていると徐々に何かと何かがぶつかり合う音が聞こえてくる。

 

 

まるで何かが次々に破裂しているような音だった。

 

 

しかしこの音がここではない遠くの方から聞こえていることにアリサが気づく。

 

 

「あの…なんだかこの音、遠くの方から聞こえてきませんか?」

 

 

「たしかに……言われてみれば…」

 

 

「向こうの方から聞こえるぞ、行くぞ!」

 

 

ソーマの合図でそこにいた五人は音のする方へと向かう。

 

 

暫く走っているとクロナがある異変に気付く。

 

 

「ねえ……さっきから何か変じゃない?」

 

 

「変って何が?」

 

 

「だっておかしいよ、何でゼロは外部居住区に来たのにどこも襲わないんだろ」

 

 

「……確かに変ですね。

せめて建物の一つや二つ、壊しててもおかしくなと思うんですが……」

 

 

「でも今はそんなこと考えてる場合じゃないだろ!

多分この先にユウヤとゼロが戦ってるはずだ!!」

 

 

コウタに言われ足を止めていた二人はまた走り出す。

 

 

すると突然先ほどまで聞こえていた破裂音がピタッと止まった。

 

 

五人には嫌な予感がしさらに走る速度を速めた。

 

 

そして先ほど破裂音が鳴っていたであろう場所にやってきた。

 

 

そこにはついさっきまで何者かが戦っていたような痕跡が残されていた。

 

 

ひび割れた地面、崩れ去った民家、そして何より目に入るのがいたるところに飛び散った血だった。

 

 

それを見た彼らはあたりを見回す。

 

 

そして壁に横たわる血まみれの人間を発見する、それは――――――――

 

 

「ユウヤ!!」

 

 

先ほどまでここでゼロと戦っていたユウヤだった。

 

 

彼の意識はすでになく出血の量もかなりのものだった。

 

 

「ユウヤ!しっかりして!!」

 

 

「…大丈夫だ、まだ息はある、出血はひどいが死んじゃいねえ。

とにかく急いでこいつを手当てしねえと手遅れになるぞ!」

 

 

そういってソーマはユウヤを担いでアナグラへと向かった。

 

 

他のみんなもそれに続いてアナグラへと帰投した。

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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ゼロの狙い




いよいよ第三部も後………数話で終わります!!






ゼロが極東に姿を現し一週間が経過した。

 

 

外部居住区には何一つ被害はなく対アラガミ装甲が破壊されていることもなかった。

 

 

しかしゼロとただ一人で対峙したユウヤは瀕死の重傷を負い未だに目覚めていなかった。

 

 

そして今、医務室には眠ったままの彼と第一部隊の面々が集まっていた。

 

 

「……ユウヤ起きないな」

 

 

「あれから一週間か……にしてもそのー……何て名前だっけ?」

 

 

「ゼロよ」

 

 

「それだそれ、にしてもなんでそのゼロはユウヤを襲ってどっか行ったんだ」

 

 

「たしかに変ですよね……まるで何か明確な目的を持ってたみたいですね…」

 

 

リンドウの疑問にアネットも同意する。

 

 

その時、突然医務室の扉が開き榊が部屋に入ってきた。

 

 

隣にはユウヤの妹のティアだった。

 

 

アラガミとなっているため教条はわからないがユウヤを心配している気持ちは伝わってきた。

 

 

「博士……」

 

 

「ティア君がものすごく心配していたからね、連れて来たんだ」

 

 

気が付くとティアはすでにユウヤの眠っているベッドの横に立っていた。

 

 

「……お兄ちゃん………ごめんね…」

 

 

そう呟きながらユウヤの手をそっと握る。

 

 

そのまましばらく彼の顔を見つめたままじっとしていた。

 

 

 

 

 

それからさらに二日が経過した。

 

 

未だにユウヤは目覚めず第一部隊の不安は募る一方だった。

 

 

今、第一部隊の全員は榊の研究室に集まっていた。

 

 

集まってから約10分が経ったが誰一人と口を開かない。

 

 

それからさらに15分が経過した時だった。

 

 

「……これは…」

 

 

榊が機械の画面を見ながら何か言葉を発する。

 

 

「どうしたんですか?」

 

 

アリサがさりげなく榊に質問する。

 

 

榊は真剣な表情で放った一言がこの場にいる全員に衝撃を与える。

 

 

 

 

 

「どうやら先日現れたゼロとおそらくゼロが引きつれてきたアラガミの反応があるよ」

 

 

表情は真剣、しかしいつも通りの軽い口調で重大なことを言い放ったため全員がポカンとする。

 

 

そして沈黙が続いた部屋にリンドウの通信機が鳴り響く。

 

 

「もしもし……あいよ、そんじゃ」

 

 

「…どうしたの?」

 

 

通信を切ったリンドウにサクヤから質問される。

 

 

「…オッサンの言った通りだ、アラガミの群れが外部居住区に侵入したとさ。

その中にはゼロもいるんだと。

そんでとっととエントランスに集合だと、姉上が」

 

 

「……行きましょう、このままだと居住区の人々が大勢死んでしまうわ」

 

 

非常事態だというのに落ち着いた口調で、そして早足で全員はエントランスへと向かった。

 

 

そして部屋に残された榊とティア。

 

 

「……君は何か言いたそうな顔をしている気がするね」

 

 

「…博士には教えておきます…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――もう何匹仕留めただろうか、そんな考えが浮かんだがすぐさまかき消しソーマは自身を

喰らおうと飛び掛かってきたオウガテイルを横真っ二つに切り裂いた。

 

 

ソーマの周りには様々なアラガミの死骸、そして自分の服はそのアラガミの返り血で真っ赤に

染まっているのが見ずとも理解できた。

 

 

そして非難が間に合わずアラガミに食い殺された市民の死体がいくつも転がっていた。

 

 

「くそったれ……」

 

 

ソーマはそんな言葉を吐きながら次のアラガミを探しに向かった。

 

 

「おーいコウタ、休んでんじゃねぇぞ。

アラガミどもは待ってくれねぇぞ」

 

 

「わかってますけど……さすがに多くないですか……?」

 

 

疲れて座り込んでいるコウタにリンドウが喝を入れる。

 

 

しかしコウタの言う通りだった。

 

 

かれこれそれなりの時間が経過したというのに一向にアラガミの数が減っている様子はなかった。

 

 

そんな中、アラガミを倒し終えたアスカとクロナが合流する。

 

 

「おう、二人ともお疲れさん」

 

 

「お疲れさんって…リンドウさんまだ終わってませんからね」

 

 

「コウタ大丈夫?結構疲れてるみたいだけど」

 

 

「まあ、な……むしろなんでお前らそんなに疲れてないのかが不思議だ……」

 

 

そんなことを言いながらもクロナに差し出された手を掴み立ち上がるコウタ。

 

 

しかし、コウタの言う通り二人ともの表情に疲れと言ったものは見られなかった。

 

 

この二人ももちろんだが極東の新型組は並みのゴッドイーターよりもはるかに強かったため疲れが

でないのも無理はなかった。

 

 

「とりあえず行くぞ、まだアラガミ達はいるんだからな」

 

 

「そうですね、行きましょう!」

 

 

やる気満々でアラガミを捜索するアスカにリンドウたちも後に続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、突如として四人の前に因縁深いアラガミが現れた。

 

 

「っ、ゼロ!!」

 

 

「ギジャアァァァァァァァァ!!!」

 

 

神機を構えるが間に合わず次々に吹き飛ばされていくアスカたち。

 

 

今回は前に現れた時よりもかなり好戦的だった。

 

 

たった一撃だというのにかなりの重傷を負い立ち上がることすらままならない状態だった。

 

 

リンドウは瓦礫の山に埋もれたままピクリとも動く気配がなかった。

 

 

コウタも地面にうつぶせたまま起き上らない。

 

 

アスカとクロナはかろうじて意識を保っていたがかなり危ない状態だった。

 

 

ゼロはしばらく四人を見つめて、弱った獲物を追い詰めるようにアスカのもとにゆっくりと近づく。

 

 

アスカは立ち上がることもできず、ただゼロを睨み付けることしかできない。

 

 

(お願い……動いて…!)

 

 

クロナも必死に立ち上がろうとしているが体が言うことを聞いてくれない。

 

 

そしてゼロはアスカの前で腕を振り上げ――――――――――――

 

 

その時、アスカは自分の死を覚悟し目を閉じたその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あれ…?……生き…てる…」

 

 

ゼロの腕は自分の振り下ろされることはなく目を開くとそこには二つの神機が突き刺さっていた。

 

 

ゼロはいち早くその存在に気づき振り下ろす前に後退していた。

 

 

しかし、よく見るとゼロが先ほどまで振り上げていた腕が今の一撃で身体から切り離されていた。

 

 

そして、神機の横に立っている青年の顔を覗き込む。

 

 

そこに立っていたのはまだ眠っていたはずのユウヤだった。

 

 

腕や頭など、いたるところにまだ包帯を巻いており見ているだけで痛々しいものだった。

 

 

ユウヤも無理してここに来たため既にかなり息を切らしていた。

 

 

それでも彼は神機を握りしめゼロを睨み付ける。

 

 

ゼロはユウヤの姿を見た後、彼の足元に落ちている自分の腕を見つめる。

 

 

暫くじっとしているとあり得ないほどの跳躍力でその場から姿を消した。

 

 

ユウヤはそのまま糸が切れた人形のように地面に倒れ込む。

 

 

「っ、ユウ……ヤ……」

 

 

それを見たアスカはユウヤのもとに駆け寄ろうとするが立ち上がることができずそのまま気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――次にアスカが目を覚ました時、彼女は医務室のベッドの上にいた。

 

 

まだ体が痛むがそんなことなど無視し周りを見る。

 

 

隣にはベッドの上で包帯に身を包み読書をしているクロナがいた。

 

 

「……クロナ…ここは…?」

 

 

「あっ、アスカ起きた?

ここは医務室だよ、ちなみにあれからアスカ二日も寝てたよ?」

 

 

「……そっか……」

 

 

いつものようナ元気な反応が返ってくることはなく少し落ち込んだ様子のアスカにクロナが違和感を

覚える。

 

 

「…どうかしたの?」

 

 

「まあ……この前ゼロがアナグラに来たとき、ユウヤに助けてもらって……

でもかなり無理してたから大丈夫かなって…」

 

 

「…たぶん大丈夫だと思うよ。

今どういう状況なのかはわからないけど大丈夫だよ。

だから信じようよ、それしか今はできないから……」

 

 

そういっているクロナは少し悔しそうな表情だった。

 

 

それを見たアスカは何も言えずしばらく眠ることにした。

 

 

 

 

 

それから三日が経ち二人とも傷も完治し今では任務に行けるほど回復していた。

 

 

ちなみにリンドウとコウタは傷自体はたいしたことなかったらしく少し手当をすれば治ったという。

 

 

そしてところ変わりここは散らかりまくっているアスカの部屋。

 

 

ソファに座ってコーヒー飲むとため息をついた。

 

 

この三日間、ユウヤは未だに目を覚ましていないためアスカは心配だったのだ。

 

 

そのせいか今のため息でもう17回目だった。

 

 

そんな時、通信機が鳴りアスカは内心驚いたが表には出さない。

 

 

目の前に置いてあった通信機を取り通信に出るとそれは意外な人物からかかってきた。

 

 

「……もしもし…」

 

 

『やぁ、私だよ』

 

 

意外な人物とは榊だった。

 

 

まるで生気が感じられない返事を無視し榊は用件を告げた。

 

 

『すまないが今すぐ私の研究室まで来てくれないか?

どうやらティア君がみんなに話したいことがあるようだからね』

 

 

「……わかりました…」

 

 

その返事を聞いた榊は何も言わずに通信を切った。

 

 

アスカはゆっくりと立ち上ると榊の研究室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく経つと榊の研究室には続々とユウヤを除く第一部隊のメンバーが集まってきた。

 

 

未だにユウヤが心配で元気のないアスカの隣にクロナがゆっくりと座る。

 

 

「大丈夫?あまり顔色がよくないみたいだけど……」

 

 

「……うん、大丈夫…かな…」

 

 

相変わらず元気のない返事。

 

 

「…心配なんだよね、ユウヤのこと。

でも大丈夫だよ、ユウヤはあの程度で死んだりするほど弱くないでしょ?」

 

 

「……それはわかってるけど……クロナは心配じゃないの?」

 

 

クロナもきっと心配している、そんなことを思いながら質問するアスカ。

 

 

「心配だけど……前にも言ったけど私はユウヤを信じてる。

それぐらいかな」

 

 

それを聞いたアスカは段々自分のことがおかしくなってきた。

 

 

気が付くと自分の口角が上がっていた。

 

 

「ちょっと心配し過ぎだったかな、わたし…」

 

 

「それほどユウヤが好きってことじゃない?」

 

 

クロナの言葉を聞いたアスカは小さく笑う。

 

 

それを見たクロナもつられて笑う。

 

 

それを遠目に見ていた他のメンバーはほほえましく見ていた。(特にサクヤ)

 

 

「あっ、そういえば博士、話しっていうのは?」

 

 

何か思い出したように榊に尋ねるアスカ。

 

 

榊は思い出してもらい少しほっとしたのか安心したような表情を浮かべ話し出した。

 

 

「それじゃティア君、あとは任せたよ」

 

 

すると奥の部屋の扉が開きそこからティアが現れる。

 

 

「最初は言わない方がいいと思ってたんですけど……やっぱり言います」

 

 

そしてティアはすべてを話した………

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 

 

 

 




最近随分と投稿が遅れてしまってます、申し訳ありません。m(_ _;)m


恐らくこれからも結構送れるかもしれません。


それでも読んでくださってる方々、本当にありがとうございます!!


それでは!




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因縁を断ち切るために

短いぜ!!(`・ω・´)


なぜならネタがあんまし浮かばなかったからだぜ!!(・`ω・)


「―――――ようアリサ、おはよう」

 

 

「あっ、おはようございます、ユウヤ」

 

 

何事もないように廊下で朝の挨拶を告げられたアリサはユウヤに挨拶を返した。

 

 

「…………ん?ユウヤ…?」

 

 

あまりに自然すぎたため特に違和感のない会話だったがそれはあり得ない。

 

 

なぜなら彼はつい先日までまだ眠っているよ言われていたのだ。

 

 

「どうしたアリサ、さっきから変な目で俺を見て」

 

 

「というよりもいつから目覚めてたんですか!?」

 

 

「えっとなぁ……二日くらい前だったか…」

 

 

「…この二日間何してたんですか…」

 

 

「まあいつも通り教官の任務付けだったからな、なかなかアナグラに帰ってこられなくてさ」

 

 

「そうだったんですか……ところでこのことを他のみんなは知ってるんですか?」

 

 

「ああ、多分知らなかったのはアリサだけだと思うぞ」

 

 

そのことを聞いて内心落ち込みつつも心の奥ではなぜみんな教えてくれなかったのかという思いが

込み上げてきた。

 

 

それでもユウヤが無事でよかったという思いでかき消した。

 

 

「そんじゃ俺この後また任務だからそろそろ行くよ」

 

 

「そうですか、あまり無理しないでくださいね」

 

 

大丈夫と告げるとユウヤはエントランスに向かっていった。

 

 

アリサはその背中をしばらく見てそれから彼女もその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――今日の任務を終えたユウヤはその後榊に呼び出され今は研究室にいた。

 

 

余談ではあるが部屋のソファに座ってるユウヤの隣には彼の腕にティアが抱き着いているがユウヤは

全く持って気にしていない様子だ。

 

 

「ところで博士、話しっていうのはなんですか?」

 

 

「おお、そういえばそうだったね。

とは言っても話というより注意というべきかな。

実はここ数日の君のオラクル細胞が変でね、その原因が君のアラガミ化の力によるものであることが

わかったんだ。

そしておそらく、次にその力を使ってしまったら……恐らくもう人間としての意思を保つことは

出来なくなってしまうかもしれない」

 

 

その時の榊の表情はいつにもまして真剣な表情で告げられた。

 

 

「……つまり博士は俺にもうこの力を使うなと?」

 

 

それでもユウヤはいつも通りの平然を保っていた。

 

 

「はっきり言って完全にアラガミ化した君を止められる人材は今、この極東にはいないだろうからね」

 

 

「…わかりました、気を付けます」

 

 

「お兄ちゃん……」

 

 

そう言って立ち上がった彼にティアが心配そうな声で話しかける。

 

 

「大丈夫だ、心配しなくても力は使わねーよ、それに俺強いから」

 

 

「………うん、でも気を付けてね」

 

 

そういわれたユウヤはやさしくティアの頭を撫でた後、この部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから三日が経った深夜。

 

 

ユウヤは一人、神機を持ったままどういうわけかエイジスにいた。

 

 

エイジスの中心部はかつての激戦の名残など完全に消え去るほど改造されていた。

 

 

そして周りはシャッターのようなもので囲われていた。

 

 

そんな中、ユウヤと誰かの会話が響く。

 

 

「やあ、やっと来たんだね。待ちくたびれたよ、ユウヤ君」

 

 

「悪かったな、こっちもいろいろと準備ってもんが必要でな。

 

 

しかし、ユウヤはその男のことを知っているような話し方だった。

 

 

その後も二人の会話は続く。

 

 

「君には随分と邪魔されてきたからねぇ……悪いが君には、ここで死んでもらおう」

 

 

そういって自分の前にある機械のボタンを押すと周りを囲っていたシャッターがゆっくりと上がる。

 

 

そして、その向こうはあり得ない光景となっていた。

 

 

なぜならそこには見えるだけでも100体ほどのアラガミがおり、第二種接触禁忌種はおろか、

第一種接触禁忌種の姿も多く確認できた。

 

 

「どうだね?さすがにこれほど集めるのは骨が折れたよ。

しかしまあ、こいつのおかげで随分と早く済んだがね」

 

 

すると男の隣にはいつの間にやらゼロの姿があった。

 

 

しかし、周りを見ても、ゼロを見てもユウヤは何も言わない。

 

 

「では私はここから高みの見物とさせてもらうよ」

 

 

そう言って指をパチンと鳴らすと、先ほどまでおとなしかったアラガミ達が一斉にユウヤを喰らおう

と走り出す。

 

 

今、過去との因縁を断ち切るため、かつてない壮絶な最終決戦が始まる………

 

 

 

 

 

 

続く………

 




あと2、3話で第三部が終わる!!(予定)(; ̄Д ̄)


そして本文短くてすいませんm(_ _)m


そして更新遅れて申し訳ありませんm(_ _)m


それでも読んでくださってる方々、本っ当にありがとうございます!!!!!


それでは!!


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激戦

そろそろ終わる!(多分…)


――――――朝、アナグラはいつもの平穏な空気など微塵も感じられないほど緊迫していた。

 

 

なぜなら今、この極東に大量のアラガミの群れが迫ってきていたのだ。

 

 

そのため防衛班は居住区民の避難に、第一部隊は戦闘準備に入っていた。

 

 

しかし、第一部隊の中に一人だけ姿が見当たらないようだ。

 

 

「あの馬鹿は………帰ってきたら覚悟はできているんだろうなぁ?」

 

 

背後に何かどす黒いオーラを放ったツバキが独り言を呟きながらやってきた。

 

 

その時、エントランスに響いたヒバリの声が事態がさらに悪化する。

 

 

「みなさん、アラガミが隔壁を突破して外部居住区に侵入!!

速やかにこれの殲滅に当たってください!!」

 

 

「いないやつを探しても仕方あるまい…

お前たちはアラガミの殲滅に向かえ!以上だ!!」

 

 

仕方ないとは口では言ってもやはり苛立ちは隠せないらしくそのままその場を去って行った。

 

 

「姉上も姉上だがユウヤもユウヤだ、何であいつことあるごとにこうもまあ居なくなるんだ?」

 

 

「それは私の方から説明させてもらうよ」

 

 

ツバキと入れ替わるように現れたのは榊だった。

 

 

「説明……ということは博士は何か知っているんですか?」

 

 

「まあ知っているというよりも知ってしまった、と言った方が正しいかもしれないね。

彼がまた居なくなったことにはある一人の人間が関わっていてね。

その人物は前にアリサ君の主治医を担当していたオオグルマ君だよ」

 

 

さりげなく放った男の名前。

 

 

オオグルマダイゴ―――――かつてこの極東にて終末捕食を引き起こそうとしていた人物の一人である。

 

 

その名前を聞いたアリサは過去に自分が利用されていたことを思い出した。

 

 

「オオグルマ先生……」

 

 

「アリサ、大丈夫?」

 

 

そんなアリサを見て優しく声をかけたのはサクヤだった。

 

 

「…はい、大丈夫です。

ありがとうございます」

 

 

「引き留めて悪かったね。

あとのことは任せたよ」

 

 

そういうと榊はその場を去って行った。

 

 

「……さてと、とりあえず行くか」

 

 

思い出したように出撃ゲートへと向かうリンドウの後をアリサ達は追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エイジス島では今もユウヤがアラガミの群れと一人で対峙していた。

 

 

そしてそのアラガミ達を操っているのがオオグルマだ。

 

 

「どうかね?さすがに最強と言われた君もこれだけ戦っていれば疲れてきてるんじゃないかい?」

 

 

「そういうお前は高みの見物とは……いいご身分なこった」

 

 

そういって飛んできたザイゴートを横に切り裂く。

 

 

「まったく君は…目上に人間に向かって偉そうな口を利くのかね。

ならばそのデカイ口も今すぐに聞けなくしてやる!」

 

 

そういって盛大に指を鳴らすとどこからともなく現れたのか大勢の第一接触禁機種が現れた。

 

 

「さあやれ!!そこにいるクソガキを今すぐ血祭りにあげてしまえ!!」

 

 

そしてオオグルマの指示に従うようにアラガミ達は一斉に喰らおうと向かう。

 

 

ユウヤは何の躊躇もなくアラガミの群れに向かっていく。

 

 

そしてアラガミの群れはほんの一瞬にしてユウヤによって駆逐された。

 

 

「…なんだこの程度か……で、もしかしてこれで終わりなんてことはないよな?」

 

 

「…ぐぬぬ……こうなれば、行け、ゼロ!!あの小僧を今度こそ殺せ!!」

 

 

「……………」

 

 

ゼロはオオグルマの指示に従い無言のままユウヤの前に降り立つ。

 

 

「…やっと出て来たか、正直待ちくたびれたよ」

 

 

そう呟きながらユウヤは神機を構える。

 

 

 

――――――そして両者同時に仕掛ける。

 

 

まずはユウヤが勢いよく神機をゼロの頭部めがけて振り下ろす。

 

 

ゼロはそれをあっさりと回避しユウヤにカウンターを放つ。

 

 

ユウヤはそれを紙一重でかわし一度後退し体制を立て直しもう一度ゼロに向かっていく。

 

 

オオグルマはその光景を余裕に満ちた笑みで眺めていた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

―――――今もエイジスではユウヤとゼロの一進一退の攻防が続いている――――――

 

 

「がはっ!」

 

 

―――――はずだった。

 

 

最初は両者互角の戦いを繰り広げていたはずだがユウヤの方は徐々に疲れの色が見え始め、

ついに攻撃を許してしまう。

 

 

「くそ……まだだ!!」

 

 

痛む腹部を押さえながら神機をバスタータイプに切り替え再度向かう。

 

 

一瞬にしてゼロの目の前まで迫り半ば勢い任せに神機を振るう。

 

 

しかしゼロはそれをかわそうとはせず右手で軽く受け止めるとユウヤごと投げ飛ばす。

 

 

それでも空中で身動きが取れず絶好のチャンスだというのにゼロは動かない。

 

 

そのままユウヤは受け身を取りもう一度身構える。

 

 

(こいつ……俺の実力を測ってるのか?)

 

 

「どうだねユウヤ君、ゼロの力は?

……そうだ、君にとっておきの情報を教えてあげよう。

実はね、私が送ったアラガミの群れが極東に向かっていてね。

恐らく今頃は装甲を突き破っているころじゃないかな?」

 

 

「…………」

 

 

衝撃の事実を告げられたユウヤ、しかし彼は何も言わない。

 

 

「ふははははははははははははははは!!

どうした!驚いて何も言い返せないか!!」

 

 

「…はぁ、うっせぇ」

 

 

「……なんだと?」

 

 

「聞こえなかったか?うるせぇって言ったんだよ」

 

 

「貴様ぁ………ゼロ!とっととこのクソガキを殺してしまえ!!」

 

 

「……………」

 

 

しかしゼロは先ほどのようにオオグルマの指示には従わず聞こえていないようにじっとしている。

 

 

「…どうしたゼロ?なぜ私の言うことを聞かないんだ?」

 

 

流石の事態にオオグルマも動揺を隠せずにいた。

 

 

するとゼロは突然いきなりオオグルマの目の前に移動する。

 

 

そして――――――――

 

 

「なっ――――――――」

 

 

――――――――突如腕に生えた剣でオオグルマの首を刎ねたのだ。

 

 

その腕はスサノオの剣が神機のショートブレード並みの長さのものになっており、剣先からは血が

ポタポタと落ちていた。

 

 

そしてゼロは自分の足元に転がっていたオオグルマの首を無慈悲にも踏みつぶした。

 

 

そのまま何事もなかったかのようにゼロはユウヤの方を向き初めて戦闘態勢に入る。

 

 

「…今からが本番って感じだな…まあ、オオグルマを殺ってくれたことには感謝してるがな」

 

 

そしてユウヤも神機を構える。

 

 

「行くぞ!!」

 

 

「ギシャアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

そして今、二人の剣がぶつかり合い本当の最終決戦が始まる………

 

 

 

 

 

 

 

続く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




よく見たら前回の投稿が二週間前………


随分かかったけどやっと投稿できた……(*´∇`*;△


恐らくあと二三話ほどで第三部が終わると思いますが多分これからもまた投稿は遅れていくと
思います。


それでも読んでくださってる方々、本当にありがとうございます!!


嬉しくて作者は……作者はもう……泣きそうです!!(´;ω;`)


もしも誤字脱字などがありましたら感想欄などでもよろしいのでじゃんじゃん教えてもらうと
嬉しいです!


感想なども待ってます!


それでは!!


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すべてを終わらせるため




決着をつけるため、ユウヤは最後の決断をする……






――――――極東では今、オオグルマによって差し向けられたアラガミの群れとゴッドイーターたちが

激戦を繰り広げていた。

 

 

防衛班のおかげで外部居住区の住民の被害は最小に抑えられた。

 

 

しかし、それでもそこらじゅうにアラガミに喰い殺された住民の腕や足などが転がっていた。

 

 

それを見たアスカは守りきれなかったという自分への無力感と同時にアラガミに対する怒りが

込み上げてきた。

 

 

「なんで……」

 

 

そして、その怒りをぶつけるように自分めがけて走ってきたヴァジュラを一刀両断した。

 

 

「…間に合わなかった…」

 

 

先ほどの人間の腕にふれそう呟く。

 

 

その一部は死んでいるとは思えないほど温もりを感じさせた。

 

 

そしてアスカは次第に涙を流す。

 

 

「……泣いてる暇なんてないよ」

 

 

いつの間にかアスカの横に立っていたクロナが肩に手を置きながらそう語りかける。

 

 

「……うん…わかってる…」

 

 

アスカは神機を持っている反対の腕で涙を拭くとすぐさま立ち上がる。

 

 

そして次のアラガミを探しに戦場を走り抜ける――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――はぁ…はぁ……」

 

 

「ギシャアァァァァァァァァァァ!!」

 

 

一方、エイジスにて一対一の激戦を繰り広げているユウヤとゼロの戦いは徐々に激しさを増していた。

 

 

しかし、戦況に変わりはなかった。

 

 

先ほどからユウヤの息は上がる一方で、ゼロには未だ余裕が感じられた。

 

 

「こいつ……疲れねえのかよ……洒落になんねえぞ…」

 

 

そんな愚痴をこぼしながらもユウヤは攻撃の手を休めない。

 

 

それでも疲労には勝てず、段々攻撃の速度や一撃が緩くなっていく。

 

 

するとゼロは突然後退するとしばらくじっとして動かなかった。

 

 

「なんだ?……何かする気か?」

 

 

すぐにおかしいと気付いたがユウヤは警戒態勢を解かなかった。

 

 

そして徐々にゼロのオラクル細胞が変化していくのが感じ取れる。

 

 

その時、ゼロの細胞の変化が終わったと同時に一瞬にしてユウヤの目の前に移る。

 

 

「なっ!?――――――――――――」

 

 

あまりに早すぎたため対応できずゼロに隙を与えてしまう。

 

 

ゼロはその隙を見逃さずユウヤの腹部に重い一撃を与える。

 

 

「がっ!!」

 

 

しかしユウヤはぎりぎりのところで後ろに下がりダメージを軽減する。

 

 

それでもその一撃は重く一瞬にして壁に背中を強打する。

 

 

そのままゼロは攻撃の手を休めようとはしなかった。

 

 

ユウヤも全身の痛みを必死にこらえながら立ち上がりゼロに真っ向から向かっていく。

 

 

走る勢いに任せて神機を横に振るう。

 

 

ゼロはその一撃を受け止めず大きく跳躍しユウヤの上を飛び越える。

 

 

ユウヤはゼロとは反対の方向の飛び神機を銃形態に変形し六発の銃弾を放つ。

 

 

空中でかわせないと判断したゼロは銃弾をすべて切り落とす。

 

 

ユウヤは着地と同時に神機をバスタータイプに切りかえチャージクラッシュをためながらゼロのもとに走る。

 

 

ゼロも着地と同時にユウヤの方に走り出す。

 

 

「喰らいやがれえぇぇぇ!!」

 

 

「ギシャアァァァァァァァァ!!」

 

 

二人の咆哮ともとれる叫び声とともに剣と剣が鈍い音を響かせながらぶつかり合う。

 

 

「――――――――ぐっ!!」

 

 

しかし、ユウヤの全力の一撃も惜しくもゼロには通用せず弾き返されてしまった。

 

 

いくら全力と言えど今のユウヤはそれなりの重傷を負っている、そのためゼロにダメージを与える

ほどの威力は発揮しなかった。

 

 

――――――――その時、ユウヤはずぶりという音とともに腹部にあまり覚えのない感触があった。

 

 

一瞬、自分の身に何が起きているのか理解できなかったが、ゆっくりと視線を下ろすと―――――

 

 

――――――――そこには、ゼロの剣が深々と突き刺さっていた。

 

 

それとほぼ同時にゼロが剣を引き抜き、ユウヤは大量の血を吐く。

 

 

「ごふっ!!」

 

 

そのままゼロはユウヤの顔めがけて回し蹴りを喰らわせる。

 

 

ユウヤの体は地面に数回バウンドし転がりながら止まった。

 

 

ユウヤの意識はすでになくピクリとも動かず、じわじわと血が溢れ出し血だまりが生まれる。

 

 

ゼロはユウヤが動かないことを確認するとゆっくりと彼に近づく。

 

 

その時、ユウヤの意識はすでに別の場所へと移り変わっていた――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――起きて――――――

 

 

誰かに呼ばれユウヤはゆっくりと目を覚ます。

 

 

そこは先ほどのエイジスとは別の空間のように真っ暗なところだった。

 

 

(なんだ?ここ……体が…動かない…)

 

 

――――――ここは君の精神の中だよ――――――

 

 

まるでユウヤの心中を悟ったように声は疑問に答えた。

 

 

――――――今、君の体、心は死にかけている――――――

 

 

声は、そのまま話を続ける。

 

 

――――――君はこんなところで死ぬような人間じゃない、だから――――――

 

 

そこまで言うと、突然自分の前に見覚えのある手が現れた。

 

 

否、手、というよりもこれは自分がアラガミの力を使った時のアラガミの手だった。

 

 

そして声は最初にして最後の頼みごとを告げる。

 

 

――――――僕に任せてもらえるかな?――――――

 

 

一瞬、ユウヤはこの声が何を言っているのか全く分からなかった。

 

 

しかし、今置かれている状況、そして目の前に現れた一本の手。

 

 

そこでユウヤは声の言っている言葉の意味をようやく理解する。

 

 

「……ああ、あとは任せたよ」

 

 

ユウヤはそう声に告げるとがっちりとその手を掴んだ。

 

 

――――――ありがとう、ゆっくり休んでてね――――――

 

 

その言葉を最後にユウヤは深い眠りについた――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――ゼロは血だまりの中に倒れたユウヤの目の前に立っていた。

 

 

そしてゆっくりとユウヤの腕をつかみあげ、じっと彼の顔を見つめる。

 

 

ユウヤは目をつぶったまま微塵も動く様子などなかった。

 

 

しかし、先ほどとは明らかに様子がおかしかった。

 

 

気を失っているはずなのにユウヤから伝わってくる闘志。

 

 

一瞬、それを強く感じ取った瞬間、ゼロはユウヤの腕を手放し後ろに大きく飛び警戒しだす。

 

 

すると先ほどまで動かなかったユウヤがゆっくりと起き上り始めた。

 

 

前屈みナ体制で腕をぶらんとたらし俯いている彼から只ならぬ殺気を感じ取るゼロ。

 

 

そしてゼロは目の前にいるユウヤを今すぐ排除しようと全速力で走る。

 

 

しかし、ゼロはまだ気づいていなかった……

 

 

今、ゼロの目の前にいるのは――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

――――――先ほど戦っていたユウヤとは全くの別人だということに………

 

 

 

 

 

 

 

続く………

 




次がついに第三部最終話です!!


ちなみにこれが終わると第四部!…とはいかずちょっとした番外編みたいなものでもやろうかと
考えてます。


つっても短いけどな!(・`ω・)


てなわけで次回もよろしくお願いします!!


感想やら誤字脱字などじゃんじゃん教えてもらえると助かります!


それでは!!




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約束を果たすとき

やっと書き終えた……


これだけの日にちがあってこの内容?とか思う人いるかもしれません。


ご了承くださいm(__)m


それではどうぞ!!


―――――ユウヤが目を覚ますとそこは先ほどとは全く別の空間だった。

 

 

そこは炎に包まれた一つの集落のようだった。

 

 

その中に地面に膝をつき泣き叫ぶ一人の少年の姿があった。

 

 

その少年は人間の手だけを持っておりその先は何もなかった。

 

 

「……ああ…あの時か……」

 

 

その少年が昔の自分だということに気付くのにそれほど時間はかからなかった。

 

 

「けどなんで俺こんなとこにいるんだ?」

 

 

「それはここが夢の中でありお前の記憶の中だからだ」

 

 

ユウヤは咄嗟に声のする方に振り向く。

 

 

「…は?なんで……」

 

 

その声の正体を見てユウヤは驚愕する。

 

 

「まあ驚くのも無理はないか」

 

 

その声、容姿、すべてがユウヤと完全に一致していたのだ。

 

 

「なんで…俺が……二人?」

 

 

「すまないが詳しい説明をしてる暇はないんだ。

いいか、お前は今すぐこの空間を抜け出してゼロと戦え。

このままだとお前は死んでしまう」

 

 

「ちょっと待ってくれ、まずは説明してくれ。

お前は何なんだ?そんでもってここはどこなんだ?」

 

 

「…まったく、仕方のない奴だな。

簡単に説明すればオレはお前の中に存在するもう一人の俺だ。

さらに言えばお前の記憶そのものだ。

そしてここは…そうだな、お前の記憶の中と言っておくか」

 

 

「…すまん、まったくついていけないんだが…」

 

 

「まあとにかくだ。

さっきも言ったがこのままだとお前自身が死んでしまうんだ。

とりあえずお前はここを出てゼロを倒せ、わかったな」

 

 

「……けどよ、仮に今俺が戦ったとしてゼロに勝てるのか…?」

 

 

「なんだ、お前にしては随分と弱気な発言だな」

 

 

「我ながらそう思うよ」

 

 

「しかしそれではだめだ。

あの時の約束はどうなる?」

 

 

「それはそうだが………ん?ちょっと待ってくれよ。

約束、ってなんだ?」

 

 

「……まさかお前、忘れたというのか…?」

 

 

「忘れた…というよりなんかこのあたりの記憶が思い出せないんだよ」

 

 

「…そうか……ならば俺が全部思い出させてやる」

 

 

そういって記憶のユウヤはもう一人のユウヤ二近づき頭に手を置く。

 

 

「今からお前にその失われた記憶を呼び戻す」

 

 

そういった瞬間、ユウヤの脳内に立った一言の言葉が流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――俺は絶対……強くなって…あいつを倒すって約束するから……だから…―――――

 

 

その一言を聞いてユウヤは我に返ったように思い出した。

 

 

「ようやく思い出したか……しかしなぜお前はこんなにも大事なことを忘れてしまうんだ」

 

 

「…まあ、あいつ見ると頭に血が上ってよ」

 

 

「…まあいい、俺ができるのもここまでだからな。

あとはお前自身の力でゼロを倒して来い。

それに、約束を交わした人間はより一層強くなれるからな」

 

 

「それじゃただのプレッシャーじゃねえか。

とりあえずありがとな」

 

 

「気にするな。それにもう俺と会うこともないだろう。

今のお前なら必ずゼロに勝てる。

……信じてるぞ」

 

 

その時、炎に包まれていた空間は完全に消え去り何もない真っ白なもの絵と変わった。

 

 

それと同時にユウヤの意識も次第に薄れていった――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――次にユウヤが目を覚ました時、頬につめたい感触を覚えた。

 

 

ゆっくりと起き上ると自分の身体の異変に気付く。

 

 

一つは先ほどまでアラガミとなっていた自分の身体が人間に戻っていたこと。

 

 

そしてもう一つ、いつもよりも異常なほど体が軽いのだ。

 

 

そして目の前には因縁の相手、ゼロが立ってこちらをじっと見ていた。

 

 

二人の目と目が合いしばらく沈黙が続いた。

 

 

沈黙の後、ユウヤは隣を見ると神機が二つ突き刺さっていた。

 

 

「さてと……そろそろ決着つけるとしますか…」

 

 

そんな言葉を発しながら左右の神機を抜き取り、静かに身構える。

 

 

「ふぅ………行くぜ」

 

 

そして、ユウヤのその一言と同時に地を駆ける。

 

 

ゼロも自らの右腕をスサノオの剣に変化させ迎え撃つ。

 

 

ユウヤは素早くゼロの目の前まで迫ると後ろに飛躍し神機を銃形態に変形させ銃撃を放つ。

 

 

ゼロはすべての銃弾を切り裂くと反撃に出る。

 

 

瞬時にユウヤの目の前まで迫り剣を振り下ろす。

 

 

ユウヤは左の神機で装甲を展開させ攻撃を防ぎもう片方の神機で攻撃する。

 

 

ゼロはそれに気づきすぐさま後退し体制を立て直す。

 

 

「流石に片手で防ぐのはちょっと無理があったか……」

 

 

左手を見ると肉眼でも確認できるほど痺れていた。

 

 

そんなことは気にせずゼロは猛攻を続ける。

 

 

ユウヤは辛うじて装甲で防ぎながら反撃の隙を狙う。

 

 

しかし、その戦法もそう長くは続かなかった。

 

 

「ぐっ……!まずい!」

 

 

装甲をはじかれ完全なる隙を与えてしまうユウヤ。

 

 

「ギイィィィアアアアアアアアア!!」

 

 

ゼロは雄叫びをあげながらユウヤの体を貫こうとする。

 

 

(こうなったらイチかバチか…!)

 

 

ユウヤはその一撃を紙一重で回避する。

 

 

そしてカウンターのごとく神機を横なぎに振るう。

 

 

流石のゼロもこれには対応できず、それでも後ろに後退しダメージを減らす。

 

 

ゼロはそのまま吹き飛ばされ地面を転がり、すぐさま起き上る。

 

 

「何とか成功したか……」

 

 

そうは言うもののユウヤは左のわき腹を押さえていた。

 

 

先ほどの一撃でわき腹をかすめていたのだ。

 

 

しかしユウヤはその時自分の体に起きているもう一つの異変に気が付いていた。

 

 

それは人間の誰もが感じる痛みだった。

 

 

わき腹をかすめただけとはいえ多少の痛みはあるはず、しかしユウヤはその多少の痛みすら感じなかった。

 

 

ユウヤはそんなことは気にせず攻撃の手を休めない。

 

 

二つの神機でゼロに追い打ちのごとく攻撃を続ける。

 

 

ゼロは先ほど傷ついた部分の傷が回復するとこれまで以上のスピードと攻撃力でユウヤに襲い掛かる。

 

 

二人の剣と剣がぶつかり合い、火花が散り激しい攻防戦が続く。

 

 

しかし、ユウヤの体力は徐々に減っていき攻撃の速度が遅くなっていく。

 

 

一方ゼロは遅くなるどころか徐々に早くなっていく。

 

 

ユウヤの体のいたるところに切り傷が刻まれる。

 

 

その時、ゼロがユウヤの一瞬の隙をついて神機の片方を弾き飛ばす。

 

 

「まずい……!」

 

 

一度体制を立て直そうと後退するユウヤ。

 

 

しかし、ゼロは左腕を元に戻すとユウヤの片足を掴み遠くに投げ飛ばす。

 

 

「がっ!!」

 

 

ユウヤは地面を数回バウンドし、しばらく転がり止まる。

 

 

強い衝撃で脳が揺れフラフラしながらも立ち上がろうとする。

 

 

―――――――――――しかし、その時にはもうすでに遅かった。

 

 

「なっ……!」

 

 

立ち上がったが目の前にはすでにゼロがいた。

 

 

そしてユウヤの腹部に剣を突き刺す。

 

 

「ごふっ!!」

 

 

ユウヤは大量の血を吐き、ゼロは一気に剣を抜き取りそこからさらに血が溢れ出る。

 

 

「さすがに……これは…きついな…」

 

 

ユウヤは痛みを堪え神機を振るう。

 

 

ゼロは軽々と回避しユウヤと距離を取る。

 

 

ユウヤは今の一撃で立つことも困難な状態になっていた。

 

 

「はあ……はあ……たった一撃でこれか……」

 

 

霞んでゆく意識の中、ユウヤは記憶の中の自分に言われた言葉を思い出す。

 

 

――――――――――信じてるぞ――――――――――

 

 

「そう、だったな……期待に答えねえと…」

 

 

ユウヤは何とか立ち上がり神機をバスタータイプに切りかえる。

 

 

「これで……決める!」

 

 

最後の力を振り絞りユウヤは高く飛び上がりチャージクラッシュの体制に入る。

 

 

ゼロも右腕を先ほど以上の大きさの剣に変化させ迎え撃つ。

 

 

ゼロは自分の射程距離にユウヤは入った瞬間、剣をユウヤ目掛けて突き出す。

 

 

ユウヤは空中にいるため身動きが取れない。

 

 

しかし、ユウヤは超人的な動きで身体の軸を下にずらし致命傷を免れた。

 

 

それでも、ゼロの一撃はユウヤの肩を貫きユウヤの動きが止まる。

 

 

――――――しかし、彼の狙いはこれだった。

 

 

「やっと……捕まえたぜ…もう、逃がさねえ…」

 

 

ユウヤは左手でゆっくりとゼロの剣を掴む。

 

 

ユウヤはあえて自分の体に剣を突き刺させることでゼロの動きを封じたのだ。

 

 

渾身の力を振り絞りユウヤは神機をゼロ目掛けて振り下ろす。

 

 

「これで――――――終わりだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ま・さ・か・の・二か月!!Σ(゚д゚;)


これほど更新が遅れるとは作者本人も思ってませんでした。


てなわけでこれにて第三部が終わりました。


次からは多少のギャグとか新キャラとか考えてます。


まあ何はともあれありがとうございました!


そしてこれからもよろしくお願いします!!(*´∇`*)


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兄妹の新たな約束



完っ全にまったりしてます(´・ω・)⊃




「お兄ちゃん起きて!朝だよ!寝坊だよ!」

 

 

ユウヤは一人の少女に呼ばれて目を覚ます。

 

 

「…おはよう、ティア……そんじゃおやすみ」

 

 

「二度寝ダメ!!」

 

 

二度寝をしようとするユウヤをティアが勢いよく止める。

 

 

―――――ユウヤがゼロを討伐しなんだかんだで半月が経過していた。

 

 

あの後、ユウヤはゼロを倒してすぐ気絶したらしくあの時のことをほとんど覚えていないらしい。

 

 

そして、それとほぼ時同じくしてユウヤとティアのアラガミの力は綺麗さっぱり無くなったと榊は

言う。

 

 

その後、駆け付けたアリサ達極東のゴッドイーター達によりユウヤは無事保護された。

 

 

それからユウヤはまたしてもツバキによる任務付けの日々を送り今に至る。

 

 

そんな日々を過ごし今日、ユウヤは疲労がたまりティアは楽しみで仕方ない日であった。

 

 

この日、ユウヤは休暇をもらいティアと一緒に外部居住区を見て回る約束をしていたのだ。

 

 

「お兄ちゃん!早く行くよ!」

 

 

「…そんなに急がなくても居住区は逃げたりしないぞ」

 

 

「いいからいいから!早く行こ!」

 

 

「わかったわかった、すぐ準備するからちょっと待ってろ」

 

 

そういってユウヤは立ち上がり外出の準備をする。

 

 

ティアはユウヤの支度が終わるのをわくわくしながら待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん早く早く!」

 

 

「おーいティアー、あんましはしゃぐなよー」

 

 

先に行ってしまったティアの後ろをユウヤが追いかける形となっていた。

 

 

このやり取りは兄妹というよりもう親子のやり取りである。

 

 

するとティアが一つの店の前で立ち止まっていた。

 

 

「ん?どうしたティア、なんか面白いもんでも見つけたか?」

 

 

「…この人形、お兄ちゃんそっくり」

 

 

そう言われユウヤがその人形を見るとたしかに自分そっくりだった。

 

 

「…なんでこんなもん作ってんだよ…」

 

 

「お兄ちゃんはやっぱり人気者なんだね!なんかうれしい!」

 

 

「なぜそういう結論になるんだよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくユウヤたちは外部居住区を見て回って行った。

 

 

その途中、ユウヤが色々な人に囲まれていたことは触れないでおこう。

 

 

そして今、二人は休憩を取るため居住区にある一つのベンチに腰を下ろしていた。

 

 

ティアの腕の中には先ほどのユウヤそっくりの人形が抱かれていた。

 

 

「にしてもほんとにそれでよかったのか?」

 

 

「うん、いいのこれで、これがよかったから」

 

 

そういいつつもティアの表情は先ほどから暗いままだった。

 

 

このベンチに座ってまだ数分、その時から表情は晴れないままでいた。

 

 

「ティア、もしかして疲れたか?」

 

 

「ううん、ちがうの。

………あのね、私もしかしたらお兄ちゃんがいつかいなくなっちゃうかもって思ったら…恐くて。

…お兄ちゃんは死んじゃったりしないよね?」

 

 

「……なんだそんなことか」

 

 

ユウヤはため息交じりにそういいながらティアの頭をやさしくなでる。

 

 

「心配すんな、お前一人残していなくなるわけないだろ。

それに俺は強いし誰にも負けねえからな」

 

 

「……そうだね、お兄ちゃんは世界で一番強いもんね!」

 

 

ユウヤに元気づけられティアも笑顔を見せる。

 

 

「ああ、それから俺が死ぬときは…そうだな……この世界がなくなるときだな」

 

 

「うん!」

 

 

こうして、兄妹の新たな約束が交わされたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――この世はアラガミで支配されている

 

 

 

――――――それでも人類は前を向き生きている

 

 

 

――――――これからも、ゴッドイーター達は戦い続ける

 

 

 

――――――自らの守りたいもののため……

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?


とりあえずこれできちんと第三部が終わりました。


次回からはオリキャラとか出ます。


それ以外特にわかりません。


それでは!!


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