閃乱カグラ ~光と影の忍達~(仮) (レタスの店長)
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序章
入学、秘立蛇女子学園


今作は蛇女&焔紅蓮隊でのスタートとなります。




 

 

……光あるところに影がある…これすなわち陰と陽の理なり。そして…その影の中にもまた陰と陽が存在しており、その陰の存在であるのが『悪忍』と呼ばれた。

 

 

……悪忍とは……世を影から支える忍の中でも陰に属する者達の事を示す。悪忍は大企業や政治家などから仕事を請け、暗殺や破壊活動などの違法行為も厭わず任務を遂行する。同じ忍でも国家に所属する善忍とは対極の存在と呼ばれていた。

 

 

悪忍は負の存在だと言う者が居る……しかし善忍と悪忍、立場の他に違いがあるのであろうか…?善忍が出来ない事を悪忍が行い、悪忍が出来ない事を善忍が行う。どちらも世界の動きを影から支えている事に変わりはないのではないか……?

 

 

これより始まる物語は『秘立蛇女子学園』と言う悪忍の学校に通う事となった少年…『翔』とその仲間達の生き様の物語である……。

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________________________

 

 

 

「……うっへぇ~でけぇなぁ……でも傍から見たらこれが学校には見えんよな…。」

 

 

「…確かに普通の城にしか見えないね。」

 

 

『秘立蛇女子学園』の門の前に立つオレンジ髪の少年と銀髪のロングで見た目は中学生と思わせるような背丈の少女がその蛇女の見た目に呟く。

 

 

「…………それにしても……蛇…女子……ねぇ?女子なのに俺男だぜ?何故にあのおばさんは俺をスカウトしに来たんだ?」

 

 

「……確かにそれは一理ある…けど年齢的におばさんは酷くないかい?」

 

 

「…見た目的に2~30の間かも知れねーけど何だろうな…?見た目のカッコがおばさんっぽい気がするんだよねぇ……」

 

 

「…正直私も少しは思った……」

 

 

そして2人は自分達をスカウトしてきた人物の事を話す。……数日前、場所はとある路地裏にて赤い眼鏡をかけた女性がこの2人をスカウトしてきたのだ。その際に少年は蛇女子学園でもあるのに関わらず自分もスカウトしてきた事に疑問を持ち尋ねるも女性は理由を答える事は無かった……。

 

………そんな女性…年齢的には2~30代の間であるのにも関わらず『おばさん』呼ばわりする等……かなり失礼ではあるが……

 

 

「……ま、この蛇女の教師ってハナシだったし…挨拶にでも行こうかね?」

 

 

「……ん」

 

 

オレンジ髪の少年…『翔』はその女性に挨拶しに行こうと言うと銀髪の少女…『響輝』は頷き翔と共に蛇女子学園の中へと入ろうとした……その時であった……

 

 

「「…………?」」

 

 

ふと翔と響輝は背後から何かの気配を感じ取ったのか立ち止まり軽く振り返る。……そこには蒼髪のセミロングで身長は…響輝と同じ位の低めの身長であるもののその身長に似合わない感じの巨乳を持つ少女が立っていたのだ。

 

 

「………さっきからチラチラ気配は感じ取っていたけど……誰?」

 

 

「……気配を悟られていましたか……流石ですね……。でもそれはさて置き……何者ですかあなた達は?」

 

 

響輝は少女の気配を感じ取っていたのか少女に尋ねると自分の気配を悟られていた事にそう言いつつも翔達に問う。…どうやら自分達を侵入者だと警戒している様子であった…。

 

 

「…あぁ、俺達はとあるおば…いや、女性からスカウトされて今日からこの蛇女子学園に入学する事になってるヤツらだ。」

 

 

「!そうでしたか…すみません、この学校ではあまり見かけない人達だった……の……で…………?」

 

 

翔は自分達が入学生である事を話すと少女は警戒を解きつつ謝罪をする……も、翔を見て少しずつ目を見開き……何処か驚きの表情を浮かべていた……。

 

 

「…?どうした?俺の顔に何か………ん…!?」

 

 

「………どったの?」

 

 

翔は少女の驚く表情に疑問を覚えつつ……も、翔も突如少女の顔を見て少し考えるような表情を浮かべた……。互いに見つめ合う為に響輝は「?」を浮かべつつ翔に尋ねると………

 

 

「…………『蒼鬼』………か?」

 

 

「っっっ…!!……翔……く……ん………?」

 

 

翔が蒼髪の少女を『蒼鬼』と呼んだ瞬間、少女『蒼鬼』も驚きつつ翔の名を呼ぶ……。すると翔は嬉しそうな表情になり……

 

 

「蒼鬼!!蒼鬼なんだな!!お前無事だったんだな!!何だよお前、何処にも居ないから俺心配したんだぞ!?一体お前何処に居たんだよ!!てか何でお前蛇女に「…翔、ステイステイ。この子ガクンガクンなってる……」…あっ、ワリ……」

 

 

「……あぅぅ……」

 

翔は蒼鬼の両肩を掴みつつ嬉しそうな表情で揺すった。しかし嬉しすぎる余りか響輝の言う通りガクンガクンとなってしまった為に響輝に止められた。案の定揺すられ過ぎたのか少し目を回してしまう蒼鬼であった……

 

 

「…………知り合い?」

 

 

「知り合いっつーか妹だよ。…いや、血は繋がってないけどそれでも一緒に衣食住共にした妹みたいな存在だよ。」

 

 

「……成程……」

 

 

響輝が蒼鬼とは知り合いなのかを尋ねると翔はそう答える。

………『蒼鬼』はかつて翔と翔の家族と共に暮らした事があった少女であり、翔にとっては妹みたいな存在でもあったのだ……。………しかしとある事件によって翔と離れ離れになってしまったのだった…。

 

 

「………っ!お……お話はさて置き……『鈴音先生』や他の生徒達もお待ちになっていますし……場所まで案内します。」

 

 

「あぁ、そうだったな。んじゃあ頼むな蒼鬼。」

 

 

「よろ」

 

 

蒼鬼は黙り込んでいたがハッと冷静になりつつ翔達を『鈴音』と言う人物の元へと案内するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

(………鈴音先生が言ってた……即席で入学する事になった人って………翔くん……だったんだ………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________________________________

 

 

 

そして場所は変わり蛇女のとある教室………そこには2年生である少女2人と男子1人……本日からここに入学してきた数人の女子と男子が数人、そして鈴音ともう1人男性の教師が待って居た……。

 

 

「鈴音先生、鎧威先生、例の2人を連れてまいりました。」

 

 

「うむ、了解した。入ってこい。」

 

 

「…ふん、入学早々待たされるとはな……遅れてきた奴は一体誰だ?」

 

 

「まぁまぁ……まだ時間はあるのですし…」

 

 

蒼鬼が教室の外からそう言うと鈴音は許可を出す。すると同じく本日から入学する生徒であろう褐色肌の少女が呆れつつそう吐き捨てると隣に居た金髪のロングヘアーの少女がそう言った。

 

 

「ちぃ~~っす。」

 

 

「…ハラショー」

 

 

「「……!?」」

 

 

「……お?」

 

 

「…ん?」

 

 

蒼鬼に連れられた翔と響輝はふざけたようにそう挨拶をしつつ教室に入った…瞬間だった。翔と響輝の姿を見て褐色肌の少女、金髪でロングヘアーの少女が驚きの表情を浮かべる。そして翔と響輝の方も2人の姿を見て何かに気付いた様子であった……。

 

 

「……さて…全員揃ったな……。それでは…」

 

 

「……ん? おい鈴音さん。 何やら道元様から俺達に緊急のお呼び出しが掛かってきたぞ?」

 

 

「…そうか。……お前達」

 

 

「「「「はい」」」」

 

 

「今よりお前達はこの秘立蛇女子学園で共に過ごす仲間となる。突然で悪いが私達は用事が出来たので一旦この場を離れるが、時間を与えるので各自自己紹介などを済ませておくように。 蒼鬼、上手く纏めろ。」

 

 

「分かりました。」

 

 

鈴音が翔達に説明をしようとするも男性教師『鎧威』はどうやら呼び出しを受けた事に気付き鈴音にそう言うと鈴音はそう言っては後は蒼鬼に任せ、呼び出した人物の元へと向かうのであった……。

 

 

「……それでは僭越ながらこの場を仕切らせて頂きます。 私は蒼鬼、先日まで蛇女の中等部に通いながら監督生という立場に就いていましたが、今日からは選抜メンバー兼監督生という立場で皆さんの仲間となりますので宜しくお願いします。」

 

 

仕切るのを任された蒼鬼はまずは自分の事を自己紹介し、そう説明した。……すると元気そうな雰囲気の男子生徒…『籠鉄』が手を上げて質問をした。

 

 

「……なぁ、質問だけどさ……」

 

 

「……私もだ」

 

 

「俺も」

 

 

「…右に同じく」

 

 

「何でしょうか?」

 

 

「「「………『監督生』って…何だ?」」」

 

 

「ゑ?」

 

 

「ありゃ?」

 

 

「「「「………………。」」」」

 

 

籠鉄の質問……翔や響輝、そして褐色肌の少女『焔』も同じ質問だったのかそう言いだす為に蒼鬼や知っていた他の入学生、そして在学生は目を点にしながら黙り込んだ……。

 

 

「……ええっと…もしかして何も知らなかったのですか? 入学前に受けた説明や入学前に渡された参考書ではそれなりに伝わっている筈ですが……」

 

 

「……余り聞いていなかったし、参考書も興味が無かったので読んでない……」

 

 

「……俺の方は元々別の忍学校に通う予定だったんだけど…色々あって急遽蛇女に変更する事になったんだよな……それで準備が間に合わなかった物とかあったんで説明は殆ど省略されて俺用の分厚い参考書も昨日漸く届いて俺は文章とかそんなに得意じゃねぇからまだ読みきれてねぇんだわ……」

 

 

「即席で呼ばれたから参考書ってモンすら貰ってねぇぜ。」

 

 

「右に同じく」

 

 

「……な、成程……」

 

 

蒼鬼は少し戸惑いつつも事情を聞くと焔、籠鉄、翔の順にそう答え、最後に響輝もうんうんと頷く。それを聞いた蒼鬼は納得しつつ咳ばらいをし…

 

 

「分かりました。 監督生という立場は忍の世界でも余り知られていないので、知らなくても無理はありませんからね……では監督生という立場について説明させて頂きます」

 

 

「おう!」

 

 

事情を理解した蒼鬼がそう言うと籠鉄は元気よく頷いた。

 

 

「監督生とは忍学校の中でも上位に位置する学校でのみ存在する生徒の代表者です」

 

 

「代表者?選抜メンバーが居るのにか?」

 

 

「はい、選抜メンバーは言わば生徒会です。それに対して監督生は教師に近い立場の生徒になります」

 

 

「教師に近い?」

 

 

「ええ。監督生は生徒でありながら他の生徒の指導も行える立場……言ってみれば代理の教師や仮の教員と言った所です。」

 

 

「…代理の……センセねぇ…。中等部に居たから詳しいのかと思えばそう言う事か。」

 

 

「そう言う事です。」

 

 

そして蒼鬼は『監督生』の事を説明し、翔は蒼鬼がやけに蛇女に詳しかった理由を把握した。

 

 

「……話を戻しますが、監督生は教師陣から見込みまれた生徒でなければそもそも始めの研修すら執り行ってはもらえません。そして研修の許可が降り、研修期間を終えて試験に合格した者が監督生になれます。」

 

 

「なるほど……一般のガッコの教員免許を取るようなモンか……」

 

 

「ちなみに研修って何をするんだ?」

 

 

「監督生としての最低条件が達成出来ているかどうか…監督生という立場にどれだけ責任が持てるのか…生徒の事をしっかり理解出来ているかなどを見られます。」

 

 

「……最低条件ってのは?」

 

 

「学校でトップの学力と選抜メンバー筆頭と同等以上の強さなどですね。」

 

 

そして蒼鬼は話を戻しつつ監督生の説明をしつつ籠鉄達の質問を答えていくのであった……。

 

 

「………成程ね…。さっき門の前でも大体把握できたけど監督生って事は相当強いって事ね。」

 

 

「え?い、いえ…私なんかまだまだです。……それに監督生は立場を取得した後も安心は出来ません。 学力でも戦闘力でも他の生徒に一度でも負けてしまえばその次点で監督生は除籍処分にされてしまいます。」

 

 

「…厳しいんだな…」

 

 

「他の生徒を指導するのですからある意味当たり前の事を求められている様な物です。 それに日々の書類の整理や一部の授業の教師、他校との合同任務もしくは合同訓練の内容決めや任務での無条件の隊長など……挙げていってはキリがありません」

 

 

((((…忙しそう…))))

 

 

そして響輝は先ほど出会った際に蒼鬼が実力者である事を把握したが更に監督生であった事もありやはり相当強いという事を把握しそう言うも蒼鬼はそう言いつつ監督生の話を続けた。その際に翔達は監督生がやたら忙しいという点に内心でそう思っていたのは言うまでも無かった……。

 

 

「……てことはチームでの任務は基本的にお前がリーダーって訳か。」

 

 

「そういう事ですね。皆さんを上手く導く事も必要な事ですから。」

 

 

「…………ぅぅ……あんなに大人しく気弱だった蒼鬼が今ではリーダーになって俺達を導く立場に………お兄ちゃん嬉しいよ!!」

 

 

「頼んだぜ、リーダー!」

 

 

「…いやいや、少し気が早いですって……。でもお任せください。」

 

 

焔がこのメンバーの中で蒼鬼がリーダーである事に感づき、蒼鬼が頷くと翔は昔とは違う蒼鬼の成長ぶりに感涙しつつそう言っては籠鉄がそう励ますので蒼鬼は苦笑いをしつつも頷いた。

 

 

「それでは私の話しはこのくらいにして…皆さんの自己紹介を宜しくお願いします」

 

 

「じゃあ私からね…私は『春花』。選抜メンバーの二年生で主に傀儡やメカの整理、蒼鬼ちゃんと一緒に下級生の指導をしてるわ。分からない事があったら遠慮なく尋ねてちょうだい」

 

 

「俺は『真司蛇』。同じくこの選抜クラスの二年生で自己鍛練を基本的にしているが訓練の相手が居ないと張り合いが無いので暇な時は相手をしてくれ」

 

 

「儂は二年の日影や。よろしゅう」

 

 

「……え?日影さん?終わりですか?」

 

 

「…儂には感情が無いからのう。こういう挨拶でもどうしたらええのかよう分からんのや」

 

 

「…そ、そうですか……」

 

 

そして蒼鬼がそう言い自己紹介を始める。まず最初にくるくる髪に頭に大きなリボンをつけた少女『春花』が自己紹介を始め、次に少しクールそうな男子『真司蛇』が自己紹介をする。そして最後に緑髪の短髪の少女『日影』が自己紹介をするも短すぎる為に蒼鬼がそう尋ねると日影はそう答えた為に蒼鬼は苦笑いをするしか出来なかった……。

 

 

「じゃあ俺だ!俺は籠鉄。今日から入学した一年生だ!頭はそんなに自身ねぇけど、体力は結構自身があるんで力仕事は頼ってくれ!」

 

 

「…焔だ。よろしく」

 

 

「『詠』ですわ。どうかよろしくお願いします。」

 

 

「…オッス!俺、翔!まぁ色々あってこの蛇女に来ることになった。とりあえずまぁよろしくしてくれよ。」

 

 

「オッス、オラ響輝!オラは色々あってこの蛇女にスカウトされた。このガッコでどんな強い奴と出会えるのかワックワクするなぁ!次回、ヒビキンガーZ、『強敵現る!謎の青髪少女蒼鬼!』…ぜってぇ見てくれよな!」

 

 

「…いや響輝さん?何故に次回予告風になってるんですか……?」

 

 

そして今度は入学生達の自己紹介となり、最初に籠鉄、続いて焔、そして金髪でロングヘアーの少女『詠』、そして翔と響輝の順で自己紹介を行ったのだが何故かトリの響輝が次回予告みたいな事をしだす為に蒼鬼はツッコミを入れるのだった…。

 

 

「……ま、まぁ自己紹介はとりあえず終わりましたね。…では今日からこのメンバーで頑張りましょう!」

 

 

「「「「おう!」」」」

 

 

響輝のボケに蒼鬼は少し呆気に取られてしまうが咳払いをして気を取り直してそう言うと翔達は頷くのであった……。

 

 

 

 

 

………こうして翔、響輝は蛇女に入学し蛇女での生活が幕を開けた………。

 

 

 

 

 

 



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再会と早々の問題!?

久しぶりに書く為に色々と書き方とか忘れてるかも……w

今回は早速の問題が発生するという話です。…色々と下品発言多いかもw




自己紹介も終わり翔達が無事に蛇女子学園に入学を果たした数分後………

 

 

「しょ、翔くんに響輝ちゃん!!」

 

 

「ん?」「あぁ。」

 

 

突如金髪でロングヘアーの少女、詠が驚いた表情で翔と響輝に声を掛ける。

 

 

「正直俺も驚いてんだが何でここに居るんだ、詠?」

 

 

「右に同じく」

 

 

「わたくしも同じ意見ですよ!?響輝ちゃんは兎も角何故に翔くんまで蛇女子学園に!?」

 

 

翔と響輝が詠にそう言うと詠も驚きつつも2人にそう返す。

……『詠』はとある事件後にて翔が貧民街に流れ着いた際に響輝と共に友人になった少女であったのだ。

 

 

「数日前にあの鈴音…だっけ?あのおばちゃんにスカウトされてさ~」

 

 

「おば…っ!?翔くん!?」

 

 

「…即席で呼ばれて今に至るって訳だよ。」

 

 

「そ……そんな事が……。わたくしもスカウトされた身でしたがそれでも数か月前でしたし………」

 

 

「…何か奨学金を出してくれるから勧められたってハナシだっけ?…お前詐欺られてんじゃねぇのかよ?」

 

 

「詐欺~~~詐欺だ~~~~~~~」

 

 

「……いや、ちゃんと奨学金は出るから詐欺ってないわよ……」

 

 

翔は蛇女に入る経緯を詠に話すも鈴音をおばさん呼ばわりする為に蒼鬼はギョッとした表情になる。翔と響輝の説明に詠は驚きつつも自分も数か月前にスカウトされた事を話すと翔と響輝も詠が学校に行くという話を聞いていたが詠自身ある意味忍とは無縁の身に近かった為にある意味詐欺られたのではと思いそう言いだすも春花が苦笑いをしつつもそう答えた。

 

 

「…でもこうして貧民街3人組が揃った訳ですし……色々あると思いますが頑張りましょうね!」

 

 

「……まぁよろしくするがお前の魂胆は見えてるから間違っても金をケチってそこら辺の雑草食う事すんなよ~?」

 

 

「そして腹下してうんこ漏らすなよ~」

 

 

「……酷くないですかその言い様!??」

 

 

しかしこうして貧民街のメンツが揃った事に詠は嬉しそうにしつつも翔と響輝にそう言う……が、詠が金銭面でかなりケチである事を知っておりこの学校に入った理由も把握できたのか翔と響輝が詠にそう言うと詠はツッコミを入れるのであった…。

 

 

「………オイ…」

 

 

「ん?」

 

 

そんな時、突如何者かが翔を呼ぶ声が聞こえ振り返るとそこには褐色肌のポニーテールの少女『焔』が立っていたのだ。それも何処か不機嫌そうな表情で……

しかし一方翔は焔を見て驚きの表情を浮かべ……

 

 

「…そうだ、そうだよ!お前も居た事に驚いてんだぜ焔さんよぉ!久しぶりだなオイ元気にしてたか!?……てか何でお前悪忍に……?お前の家系は善忍「黙れ」…ゑ?」

 

 

「………お前、何故にお前がここに居る?幾らお前が忍家系とは言えお前は忍とは無関係な生き方をしていた……。そんなお前が何故このような場所に居る?」

 

 

「…まぁ色々あってだな………」

 

 

翔は焔を見て嬉しそうにそう言う。……そう、この焔と言う少女とも親友でありかつて翔とは色々と馬鹿を一緒にやっていた相棒的な程に仲のいい人物であった……のだが焔はそう尋ねる為に翔は曖昧にもそう答える。……元々翔自身は忍を目指している訳でも無かったのだ……。

 

 

「まぁそれはさて置き……焔、本当に久しぶりだn「触れるな!」うぉっ!?」

 

 

「……っ!」

 

 

翔はその話は置いておき焔と再会を喜ぶが突如焔は翔を投げ飛ばし、投げ飛ばされた翔は空中で態勢を整え着地した……。

 

 

「おいおい何すんだよ焔?」

 

 

「…どういう訳か知らないが一般人のお前が忍の世界に居るだと?ふざけるなよ、忍の世界は甘くない……舐めて掛かり過ぎなんだよ…!」

 

 

「………??」

 

 

翔がそう尋ねるも焔はそう吐きつつ睨み付けてきた。その理由に翔は全く理解できない為に「?」を浮かべているも……。

 

 

「……何をそんなにイライラしてんだよ焔?」

 

 

「貴様には関係ない」

 

 

翔が焔に尋ねるも全く持って答えようとしない為に翔は少し考えるような表情をしつつそして………

 

 

「………………………便秘?」

 

 

「「「「」」」」ズガシャアァァァァンッ!!

 

 

「しょ、翔くん!!??///」

 

 

「……ふざけるな!!!!」

 

 

史上最低な発言をした為に一同はずっこけてしまい蒼鬼も翔の発言に赤面しつつも驚く……しかし焔は翔のふざけた発言に怒りを覚えたのか殴りかかろうとした……瞬間だった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

パシッ!

 

 

 

 

「…っ!?」

 

 

(……あっ…ヤベ………)

 

 

「…あっ!?」

 

 

翔を殴ろうとしていた拳の手首をつかんだのは……響輝であった。その事に焔は少し驚き、翔は何かを察したのか不味いと思い始め、詠も何かを察したのか少し慌てるような表情を浮かべる。

 

 

「………何これ?」

 

 

「…貴様には関係な………っ!??」

 

 

響輝の問いに焔はそう返し振りほどこうとした……瞬間、響輝に掴まれていた手首から握りしめられるような激痛が走った……!

 

 

………これは………何?

 

 

「………っっ!!!???」

 

 

「「「!!!????」」」

 

 

普通から見れば普通に問われてるような言葉……しかし今の響輝からは傍から見ればただ無表情で冷静な口調で焔に問い詰めているようにしか見えない筈…であるがその無表情で冷静な口調からは………冷たく鋭い刃のような言葉とその瞳から感じられる冷酷さ……そして重苦しい威圧のような感覚に焔は青ざめ、他のメンバーもゾッとした感覚を感じた……。

 

 

「あっぐっ……!?は、離せ……!!」

 

 

「ねえ、何って聞いてるんだけど?これは何?」

 

 

「ぎっ…!?あああぁぁぁぁぁぁぁっ……!!」

 

 

「ひ、響輝ちゃんストップですわ!!これ以上は!!!」

 

 

焔は響輝を振り解こうとするも腕を万力のごとく握力で握りしめている為に振り解く事ができなかった。それどころか更に力が加わり、腕からミシミシと言う音と共に更なる激痛が走った為に焔は悲鳴に近いような声を上げた。それに詠はこのままだと焔の腕はへし折られると勘付いた為に制止しようとするも響輝はそれを止める事は無かった……。

 

 

「…おいおい、いい加減にしねぇと折れちまうぞ?」

 

 

「………?」

 

 

「ただコイツが虫の居所が悪かっただけだろうし、殴り掛かられても対処出来たからお前がそこまでしなくても良いんだぜ響輝。」

 

 

「…そう?」

 

 

「っ!!はぁ……はぁっ………!!」

 

 

翔は響輝にそう言う。別に響輝が止めようとしなくとも焔の拳は対処出来た為にそれ以上はしなくてもいいという。それに納得したのか響輝は焔の手首を離した。痛みから解放された焔は蹲りつつも手首を抑えては息を切らしていた……。もしも翔が止めていなければ焔は手首をへし折られてしまっていたであろう……。

 

 

「……便秘でイライラしてたんだっけ?何か、ごめんな?」

 

 

「…っ!!」キッ!

 

 

そして響輝もそんな発言をしつつも焔に謝罪をする……しかし焔は響輝を睨み付けつつもバッと後ろに下がっては……

 

 

「もう許さん!!貴様らを叩き潰してやる!!」

 

 

「え!?ちょ…!?」

 

 

「待て待て待て、何でそうなるんだよ?確かに響輝をすぐに止められんかった事は悪かったって……」

 

 

「確かに響輝さんの行動はいけない事でしたが……焔さん、私怨による殺し合いは御法度ですよ!?それに今は授業中でもないんですから無理矢理戦わなくても「監督生だか何だか知らないが少し黙ってろ!! 邪魔をするならお前であろうとも斬る!!」……ッ!?」

 

 

「何だよ焔……さっきからカッカしやがって……便秘でも無けりゃ何か嫌な事あったのか?」

 

 

「黙れ!!お前に語る筋合いなど無い!!黙って私と戦えと言ってる!!」

 

 

すると焔はそう騒ぎ立てつつ武器である7本の刀を手にしては翔にそう言いだす為に翔はそう言いつつも蒼鬼はそう言って焔を止めようとするも焔は蒼鬼を睨みつけつつそう言う。そんな焔を見て翔はそう尋ねるも焔がそう言う為に頭をポリポリ掻くのであった……。

 

 

「何の騒ぎだ?」

 

 

「!鈴音先生………」

 

 

「…聞いてくれよおば…センセ。確かに俺も悪かったかも知んねーけど突然焔の奴がカッカしては俺に勝負を挑もうとしてんだよ……止めてくんねーか?」

 

 

「…おい貴様、今何て呼ぼうとした?」

 

 

「……翔くん……」

 

 

すると戻ってきた鈴音がこの状況を見てそう尋ねる。その事に翔がそう説明する…もまたもや翔が失言をしようとする為に鈴音は自分をなんて呼ぼうとしたのか把握した為に表情は変えずとも頬に青筋を立てており、そんな翔に蒼鬼は少し呆れた表情となるのだった……。

…そして鈴音も状況が何となく分かった様子であったが……無言で鈴音は蒼鬼に視線を向け、蒼鬼も何かを把握したのか小さく頷くと……

 

 

「………今回は特例とします。 翔くんが焔さんの勝負を受けるとしても、どちらにもおとがめは無しという形になりますので、後は翔くん次第です。」

 

 

「えぇ?そうなっちゃうの?」

 

 

蒼鬼は翔と焔が戦う事の許可を出す為に翔はそう言う。何故に突然戦わなくちゃいけないのか理解できなかったからだった……。

 

 

「戦わなきゃダメか?」

 

 

「いや、翔くん次第ですよ?」

 

 

「どうしても?」

 

 

「いや、戦いたくなかったら断っても良いんですよ?」

 

 

「あ…そう……しゃーねーなぁ……」

 

 

(………あ、戦うんですね……)

 

 

その事に翔は蒼鬼にそう何度も問う為に蒼鬼は別に戦わなくても良いと言うが気だるそうにしつつも戦おうとする為に蒼鬼は内心でそう思うのだった……。

 

 

「……言っておくがどういう訳で忍になったのかは知らないが一般人上がりで所詮喧嘩が強い程度のお前じゃ私には勝てん!」

 

 

「………………。」

 

 

その事に焔は既に勝ち誇るかのように翔に挑発をする……。そんな焔を見た翔は……何処か今の焔を呆れるように見るのだった……。

……そして翔は武器であろうトンファーブレードを取り出す……が……

 

 

「…いや、武器無くても良いか別に…」

 

 

「……は?」

 

 

「…え?」

 

 

翔はそう言いつつトンファーブレードを地面に置く。その事に焔は勿論のこと蒼鬼も少し唖然としてしまった。

 

 

「武器が無くてもなんとかなる…だと…!?貴様ぁ!舐めてるのか!?」

 

 

「いや、無くとも戦いなんて出来るだろ?蒼鬼、始めてくれ。」

 

 

「え?で…でも「良いから、早く」…で…では……いざ、紅蓮の如く舞い散れ!!」

 

 

翔の発言に焔は苛立ったのか騒ぎ立てるようにそう言うも翔はそう言いつつ蒼鬼に合図を始めるように言う。案の定蒼鬼は驚き戸惑う様子を見せるが翔がそう言う為に仕方なく勝負を開始した。

 

 

「いや、何勘違いしてんだよ焔。お前も分かるだろ?たとえ武器が無くても戦えるって事をな……」

 

 

「武器が無くともだと………?忍術でか?」

 

 

「いや、だからさ……武器が無くてもコイツがあるだろ?」

 

 

翔はヘラヘラ笑いつつも焔にそう言い……そしてファイティングポーズをして構え始めた………。

 

 

「はぁ?……拳?」

 

 

「うん、そう………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拳」

 

 

翔がそう言った瞬間、一瞬にして焔の目の前に移動し、そのスピードに焔も反応できなかったのか防御の態勢も取れずにそのまま翔の右ストレートを顔面に喰らってしまった……!

 

 

「…!?」「早い………!」

 

 

「ご…がぁ……!?」

 

 

その一瞬の出来事に詠達は驚きの表情を見せ、一瞬にして顔面に入れられた事に焔も動揺しつつ今の右ストレートの痛みで鼻血を出した鼻を抑えつつ動揺を覚えるが……

 

 

「き……貴様あぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

鼻血を出しつつも激高した焔は翔に斬りかかる……が、翔はさっと体を軽く傾けるだけで焔の斬撃をかわし……

 

 

「がっ!?」

 

 

焔へとカウンターを浴びせた……!それでも焔は翔に斬りかかるも全てかわされ、かわされる度に右頬にストレート、それと同時に焔の脇腹に深く膝蹴りを入れ、ふらついた焔に足払いを入れると同時に腕と胸元を取り、背負うように投げては焔を壁に叩きつけられてしまった……!

 

 

「がぁぁ……ぐぅぅ・・・・・・・・・・!」

 

 

「……あら?俺もまだまだかな?」

 

 

壁に叩きつけられ……そして散々のカウンターを浴びた焔は苦しそうにしつつも立ち上がる。一方翔は余裕そうに焔の斬撃を頬に掠めたのか頬に軽く血が出ている事に気付きそう呟いていた……。

 

 

「っっ!!秘伝忍法!!『魁』ぇぇ!!!」

 

 

そんな余裕そうな翔を見て更に激高したのか焔は秘伝忍法を発動させた!すると焔は高速で翔の周りを駆け巡りだしては威嚇するかのように翔に掠る程度のダメージを与えようと突っ込むもそれも全て回避されてしまい……更には……

 

 

「足元がお留守ですよ」

 

 

「ぐああぁぁぁ!?」ズザザザザァァッ!!

 

 

「ちょ!?」

 

 

そんな焔の足を引っかけては盛大に焔を転ばせ、秘伝忍法を中断させた…!その事に一同はギョッとした表情となってしまった………!!

 

 

「ひ…秘伝忍法を足掛けで………!?…ふ…ふざけるな………ふざけるなぁぁぁぁぁ!!私が……この私が忍の癖に忍術も使わずに体術だけのヤツなんかに……!!」

 

 

自分の秘伝忍法を中断……しかもこんな間抜けな手で止められた事に焔は怒りで我を忘れるかのように騒ぎ立てていた………。

 

 

「なんだ?お前、忍術以外で倒されるのが嫌なのか?……しゃーねぇなぁ…そんじゃあ今から伝説の忍体術超奥義…『シノビノ☆パンチ』でトドメを刺してやるよ。それでいいだろ?」

 

 

「…!?」

 

 

「……何その技……?」

 

 

そんな焔を見て翔はどういう訳かそう解釈してはどうやら必殺技の1つであるモノを使おうと右手に握り拳を作りそう言う。そんな翔を見て焔は少し驚きの表情を浮かべ、春花はその翔の技のネーミングにそう呟いていた………。

 

 

「…じゃあ…行くぜ?……シ・ノ・ビ・ノぉぉぉぉ……」

 

 

「……くっ!???」

 

 

そして翔は技名を叫びつつ一瞬にして焔に殴りかかるように突っ込んで行き……焔もパンチを防ぐ態勢になる………が……

 

 

「パーーーーーーーンチッ!!!」ドガァァァァ!!

 

 

「がばぁぁっ!!??」

 

 

「…ゑ…?」

 

 

「き……キック………?」

 

 

翔はどういう訳かキックを繰り出しては焔の腹に強烈な蹴りを繰り出し焔はその蹴りで吹き飛ばされ壁に叩きつけられてしまった……。そして案の定蒼鬼達は翔がキックを繰り出した事に唖然としてしまうのだった………。

 

 

「…説明しよう、『シノビノ☆パンチ』とは……なんかよく分からん忍力的な力でキックに匹敵する威力が出る忍術パンチだ!!」

 

 

「い……いや……き……キックじゃねぇか………」ガクンッ…

 

 

「……そこら辺が何となくニンジャ?」

 

 

すると翔は今の必殺技……『シノビノ☆パンチ』の事を説明するも焔は要するにキックである事にツッコミを入れつつ……ガクンと力尽きてしまうのであった……。

 

 

「……あの……どういう事ですか……?」

 

 

「……『忍者』=『汚い』…って事じゃないかい?」

 

 

最後の翔の発言を理解できなかったのか蒼鬼がそう言うと響輝はそう解釈するように説明をするのであった。

 

 

「スゲェ………!確かあの焔ってヤツ相当の実力者だってのに圧倒した……!」

 

 

「…翔くん………凄い………!」

 

 

「……どうやらあの子……まだ全然本気を出してないみたいね……驚いたわね」

 

 

「儂は普通に見えとったから速さなら勝負出来ると思うけど……速さはともかく力勝負じゃ儂に勝ち目は無いのう……」

 

 

「……写輪眼で見た限り、あの翔という男は恐らくどんな武器でも扱えるが、素手の戦いが一番といった所か……俺は一部の武器なら戦えなくは無いが、恐らく勝てないだろうな……素手なら間違いなく負ける」

 

 

(………最後のふざけた技は兎も角……翔くんは恐らくかなり手加減をしていてなおのあの強さ……。…やっぱり翔くんもまた雅緋さんや神継生竜君の様な類い稀なる天才という訳ですね…)

 

 

そしてこの戦いを見ていた籠鉄、詠、春花、日影、真司蛇は翔の姿にそれぞれがそう言い、最後に蒼鬼は翔は焔を相手に手加減をしていたという事を見抜いており内心でそう思うのであった……。

 

 

「あ……ぐっ……!」

 

 

「!焔さん!直ぐに治癒術を……」

 

 

一方負けた焔であったが…あんなふざけた技でもそれなりのダメージがあった為に苦しそうに呻いた事に蒼鬼は気付き、すぐに治癒術を使おうと駆け寄るも……

 

 

「! 触るな!!」

 

 

「ッ!?」

 

 

焔は治癒の為に触れようとした蒼鬼の手を払い、そしてフラフラになりながら立ち上がると翔を殺すかのように睨みつけ……

 

 

「翔……お前は必ず潰す……!!」

 

 

焔は今もなお翔を睨み付けてはそんな言葉を吐く。そんな焔に対し翔は少しため息を吐きつつも……

 

 

「………ハッキリ言わせてもらうけどな………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

焔、今のお前じゃ俺に勝てねぇよ。」

 

 

「……なんだとっ………!!!!」

 

 

「…何を俺にカリカリしてるかは知らねぇけどな……今のお前は俺どころか……今ここに居る他の奴らにさえも勝つ事なんて出来ねぇよ。つーかハッキリ言わせてもらえばガキの頃に俺と馬鹿やってた頃よりも弱くなってんぞ。」

 

 

「き…貴様…あぐぅっ………!!」

 

 

翔はハッキリとそう吐き捨てる。今の焔は自分どころか……響輝や蒼鬼、ましてや詠達にさえ勝つ事なんて出来ないという事を……。その事に焔は激昂するも今の戦いのダメージの痛みで飛びかかろうとする事は出来なかった。

 

 

「………翔くん…焔さんは…「黙れ!!蒼鬼!!」っ!?」

 

 

「お前確か監督生とか言ってたな……?教師と同じ権限を持つって事は全ての生徒の入学経歴を把握してるって事だな……!だったらもし私の過去をアイツに話そうなんて考えたら幾らお前であろうとも迷わず殺してやるからな……!!」

 

 

「…………」

 

 

そんな翔に蒼鬼は何かを言おうとするも焔は蒼鬼が何を言おうとしていたのかを把握したのか怒鳴りつけてはそう釘を刺してはそのままフラフラとその場から去ってしまうのであった………。

 

 

「………ようわからんけど焔さんカッカしてるなぁ………?」

 

 

「…………あの翔と言う奴に因縁でもあるのか……?」

 

 

「でも翔くんの方は焔ちゃんとは友好そうにしてるけど……いや、今は何か焔ちゃんに呆れたような顔してるけど……」

 

 

去っていく焔を見て2年メンバーである日影、真司蛇、春花はそれぞれそう言う。何故に焔があそこまでカッカし、特に翔を敵視するかのように見ているのかを理解できずに居るも………

 

 

「…便秘って、そんなに辛いモンなのか?」

 

 

「…いや、それはなった事無いし……」

 

 

「「「「それはもう引っ張らんでもいい!!!」」」」

 

 

「………翔くん……お下品です……」

 

 

先ほどまで重苦しい空気であったのにも関わらず翔が未だにそのネタを引っ張っては下品な発言をしつつ響輝に尋ねる為に一同は盛大にツッコミを入れ、蒼鬼も頭を抑えては下らないオチでしめる翔であった……。

 

 

 

 

 

………こうして翔達1年メンバーの入学、そして早速の騒ぎ事は幕を閉じた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…そして…何故焔はかつての親友である翔を敵視しているのであろうか………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




……何というか…久しぶりに書いた為に色々とgdgdになった気が……w


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再会の兄妹

今回は若干シリアスです。




 

入学早々問題はあったが何とか入学が出来た翔と響輝。学早々詠からのもやし料理の洗礼やら入学早々に籠鉄からの挑戦状等を申し込まれたりなど色々あってからフリーの時間が出来た為に翔は響輝を連れて蛇女の中を歩き回るのであった……。

 

 

「……にしても蛇女って事もあって女ばっかりだな……。男なのはあの籠鉄って奴と真司蛇って先輩、そして鎧威って言うセンセだけか…。」

 

 

「どうやらそのようだね。……間違っても詠にしてるようなセクハラを他人にしちゃいけないよ?」

 

 

「心配すんな、俺は気に入った相手にしかそう言う事はせん。そもそも詠は無防備にもあのでっかいケツを揉んでくれって言わんばかりに向けてくるからだよ。」

 

 

「………スケベェ」

 

 

「俺の前で全裸で普通に過ごすオメーに言われたかねぇよw」

 

 

……翔にだから出来るんだよ……///

 

 

歩き回っていると案の定女子ばかりであった為に翔がそう言う。すると響輝はジト目で翔にそう言うと翔はそう答える。

………この男、かなりの女好きでドスケベであり気に入った相手には響輝の発言のようにセクハラをしたり等……もはややりたい放題の男であった………。

 

 

「………?あれって監督生の妹さんじゃないの?」

 

 

「ホントだ。……あれって選抜じゃねぇメンバーの生徒達だよな?指導してるって事は本当に教師みたいな権限を持ってるって事か………。……本当にしっかり者になっちまったな……」

 

 

そんな時、ふと校庭の修行場にて蒼鬼が生徒達に傀儡を使っての実戦の指導をしている姿を目撃した。その事から蒼鬼は本当に教師の権限を持っているという事を把握するのであった………。

 

 

「……さっきも彼女の様子に感涙してたけど……昔は違ったのかい?」

 

 

「あぁ、大違いさ。……大人しくて……人見知りで……怖がりで……中々自分の気持ちを伝えられない………そんな子さ……」

 

 

翔の発言に先ほどの事を思い出し響輝が尋ねると昔の蒼鬼はそんな性格の子であった事を話す……それは何処か懐かしむような表情で………。

……それを察した響輝はそれ以上は問い詰める事はしない事にするのであった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間はあっという間に過ぎ……夕方。他の生徒の中には修行を行っている者も居たが今日は休む事にし、翔と響輝は自室に向かおうとすると……

 

 

「あっ…居た!翔くん!!」

 

 

「?どうしたよ蒼鬼?」

 

 

突如翔を探していたのか蒼鬼が自分の元へと駆け寄る。その事に何かあったのかを察したのか翔が尋ねると……

 

 

「……その…翔くんに会わせたい人がいて………」

 

 

「会わせたい人?誰だよ、ここのオーナー的なヤツか?」

 

 

「…いえ、後にオーナーにも会う事になるとは思いますが……」

 

 

蒼鬼が翔に会わせたいという人物がいる事を聞き、翔はオーナーか何かかと思って尋ねるも蒼鬼は首を横に振り………

 

 

「…………『ユイ』……と言えば分かってもらえますか?」

 

 

「………!!」

 

 

「……ユイ?」

 

 

蒼鬼が会わせたい人物の名を言った瞬間、翔は目を見開く。

 

 

「………本当か…?」

 

 

「…はい、今は中等部で頑張ってて……多分部屋に戻って来てると思います。」

 

 

「…ならすぐに会わせてくれ。」

 

 

翔が尋ねると蒼鬼は頷きそう答える。そして翔はその『ユイ』と言う人物に会うべく蒼鬼に部屋まで案内をしてもらうのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~蒼鬼&ユイの部屋~~~~~~~~~~

 

 

「……相部屋なのか?」

 

 

「えぇ…一応は…。私は仕事等でほとんど戻ってくる事は少ないですけど……」

 

 

数分後、たどり着いたのは蒼鬼とユイの相部屋であり翔が尋ねると蒼鬼は苦笑いで答えた。……監督生故に仕事も多く部屋に戻ってくる回数も少ないとの事だ。

 

 

「……『唯依』……戻って来てますか~?」

 

 

(……それが忍名か……漢字にしただけなんだな……)

 

 

(君もそうだろうに…)

 

 

蒼鬼が部屋を開けてユイこと『唯依』の名を呼ぶ……翔は唯依の忍名にそう思うも響輝にツッコミを入れられるのであった…。

 

 

「あ、蒼鬼姉お帰り!…あれ?お客さん?」

 

 

「…はい、唯依も知ってる人ですよ。」

 

 

「知ってる人?鈴ね……ぇ…………?」

 

 

すると部屋からピンク髪のショートヘアで身長は蒼鬼より少し高く結構な巨乳の少女が蒼鬼を出迎えに来た。恐らく彼女が『唯依』なのであろう。唯依は蒼鬼の後ろに他の人物がいた為に誰か来たのかと思い尋ねると蒼鬼がそう答える為に「?」を浮かべつつも翔を見た……瞬間に驚きの表情を浮かべた……。

 

 

「…………おにい………ちゃん………?」

 

 

「……よぉ」

 

 

唯依が恐る恐る翔にそう呼ぶと翔はそう一言を言いつつ片手を軽く上げる。…その瞬間、唯依の目からボロボロと涙を零し………

 

 

「ぁ………ぁぁぁ…………あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!!!」

 

 

唯依は翔に抱き着いては声を上げて泣いた………。翔は小さく笑みを浮かべると何も言わずにただ泣きじゃくる唯依の背中を撫でるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔と唯依が再会を果たした後、翔達は蒼鬼と唯依の部屋にあがっていた。……泣きつかれた唯依は翔の膝に頭を乗せて眠っていた………。

 

………翔と唯依は兄妹であり、ちゃんと血の繋がった翔の妹であった。蒼鬼とは血は繋がっていないが『蒼鬼姉』と呼ぶ程に慕っていたりと蒼鬼にとっても大切な妹であった………。

 

 

「……そうか…お前らあの後にあの鈴音のおばさんに引き取られてたのか…」

 

 

「…恩人におばさんって言うのは酷くないですか?先生はまだ25歳ですよ…?」

 

 

「四捨五入したら?」

 

 

「………………」

 

 

翔は事情を聞くとそう答えるので蒼鬼がツッコミを入れるも翔がそう言いだす為に何も言わなくなるのだった……。

 

………とある事件にて何者かに襲撃されてしまった翔と唯依、そして蒼鬼は引き離されてしまい蒼鬼と唯依は鈴音に引き取られて今に至るという事であった……。

 

 

「……翔くんのお父様と…お母様は…?」

 

 

「…死んだ。意識を取り戻した時にはもう……」

 

 

「……………」

 

 

蒼鬼が尋ねると翔がそう答え、蒼鬼は顔を伏せて黙り込んだ。……その襲撃事件にて翔は両親を失ってしまったのだ……。

 

 

「……その後だ、俺が貧民街に流れ着いたのは……。そこで響輝やら詠と出会って暫くの間貧民街に居た。」

 

 

「………それで詠さんとは知り合いだったんですね……。」

 

 

「…その後色々あってな………裏の仕事をしてた。」

 

 

「…裏の仕事………ですか……」

 

 

そして翔はその後に自分が貧民街に流れ着き響輝や詠達と出会いそこで暮らしていた事を話す。その事に蒼鬼は詠と知り合いであった理由に納得をした。

その後、翔は裏の仕事をしていたという事を聞き蒼鬼もそう言う仕事であったという事を把握したのだった………。

 

 

「………やっぱり…殺しは………」

 

 

「結構殺したな。数えてたらキリねぇわな。」

 

 

「…殺さなきゃ生きられなかったからね、あの頃は……」

 

 

「…………。」

 

 

蒼鬼が尋ねると翔と響輝はそう答える。………それ程過酷な頃を過ごしていた事に蒼鬼は何も言えなくなってしまうのだった………。

 

 

「そっからだな、まさかの数日前に鈴音のおばさんからスカウトが来たのは…。女子学園ってのは気になったがまぁそれならそれで受けても良いかって思ってここに来たんだよ。」

 

 

「か……軽いですね引き受けるの………」

 

 

「…その時結構暇してたからね。暇つぶしには良いかなって思ったんだ。」

 

 

「ひ……暇って………」

 

 

そして数日前に鈴音にスカウトされて蛇女子学園にやって来た事を話し、軽く引き受けた上に暇つぶしと言い出す為に蒼鬼は苦笑いするしか出来なかったのだった…。

 

 

「ま、こんなもんさ。」

 

 

「………そうですか………。」

 

 

話が終わりここまでの経緯を聞いた蒼鬼はそう呟き…今度は蒼鬼が話を始める。

 

 

「………鈴音先生に引き取られた後……鈴音先生の勧めもあって忍になる事に決めたんです。色々と厳しく大変でしたけど…こうして今は監督生になって頑張っている所なんです。」

 

 

「…その監督生ってやってて楽しいのか?」

 

 

「え?…確かに大変ですけど……やりがいはありますよ、教師として指導したり…色々と学ぶ事が出来ますので。……そして…私は蛇女子学園を最強の忍学校にしたいと思って監督生になったんですよ。」

 

 

「………デカい夢だな…でも目的があってやってるんだったらそれで良いさ。」

 

 

鈴音に引き取られた後、蒼鬼は鈴音の勧めもあってか忍になり、そして蛇女子学園を最強の忍校にする為に監督生になった事を明かす。…翔はその監督生は無理矢理やらされてないかと思い尋ねるも夢があっての事である為に納得をしてそう言うのだった……。

 

 

「……ただ…唯依は最初は精神的に不安定になって………何度も自殺未遂をしようとしたり……荒れてたり等……当初私が翔くんの家に来て迷惑を掛けた時みたいになってたんです……。」

 

 

「…そんな事が………」

 

 

そして唯依の事も話す……やはり兄や家族を失った唯依は精神的に不安定になり、最初は自殺未遂を行ったり、鈴音や蒼鬼に対しても暴言を吐いたり等……そんな状態になってしまっていたのだ……。

 

 

「………だから私は唯依が安心できるように……落ち着きを取り戻せるように…色々と頑張って……やっと唯依は落ち着きを取り戻してくれました…。……でも…やっぱり唯依は…心から笑う事は出来てなかったと思うんです…。」

 

 

それでも蒼鬼は諦めずに唯依を安心させるために血は繋がらなくとも姉として唯依と向き合った……その結果、唯依は心を開き落ち着いてくれた……が、蒼鬼から見て唯依は心から笑っていなかった事を察したのだった…。

 

 

「……………結局…私は……唯依のお姉ちゃんにはなれなかったんです…。翔くんや…翔くんのお父様とお母様の代わりなんて……なれなかったんです…。私如きが……唯依の姉を語ろうなんて……翔くん達の代わりになろうなんて……出来る筈が無かったんです……。」

 

 

「…………………」

 

 

「……だから……今日翔くんが生きてくれていた事……こうして唯依の元に帰って来てくれて……本当に良かったです。これで…唯依も心から笑う「蒼鬼」…はい?」

 

 

蒼鬼は話し続ける……。自分なんかが唯依の心をいやす事なんて出来る筈がなかったという事を……自分なんかが姉代わりになれる筈がなかったと……力のない自分が甘く考えすぎていたと自虐するかのように……。しかしこうして翔が戻って来てくれたから唯依はこれから心から笑う事ができる……唯依に幸せが戻って来たと言おうとした瞬間に翔に名前を呼ばれ、気が付く……。

 

 

………自分の目から涙が溢れ出ている事に………

 

 

「…え?あ…あれ………?ど、どうして……?私……泣く気持ちなんて無かったのに「……もう良い…」……」

 

 

涙があふれている事に蒼鬼は驚きつつも涙を拭うもとめどなく溢れ出ている為に拭いきれなかった……。

…そんな時、蒼鬼は翔に抱きしめられた……。

 

 

「………お前が自分の事をどう思おうとも……唯依の力になれなかったと思おうとも………。……お前は良く頑張ってくれた………。」

 

 

「……」

 

 

「……一番苦しんでたのは……一番泣きたかったのは……お前だよ…。それでもお前はその気持ちを押し殺して………唯依の為に頑張ってくれたんだ…。でも…もう良いんだよ………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……鈴音のおばさんにも後で言うけど………ありがとな蒼鬼……。唯依を助ける為に………唯依の笑顔を取り戻す為に……俺の代わりにずっと頑張ってくれてよ………ありがとう…。」

 

 

「…………っっっっ!!!……っ………!!……っっ………!!!」

 

 

翔は蒼鬼を抱きしめつつ……今まで唯依の為に頑張ってくれた事全てのお礼を言う。…その瞬間、蒼鬼は更にボロボロと涙を零し……翔の胸で嗚咽を漏らした…。翔の言葉を聞き蒼鬼は全てが溢れ出したのだった。

 

……嗚咽を漏らす蒼鬼を翔は黙り込みつつも抱きしめつつ優しく背中を撫でるのであった……。

 

 

(………私は邪魔かな?)

 

 

そんな翔達を見て響輝は空気を読んだのか部屋から出ていく。……今は兄妹達の再会に水を差すような真似は止めておこうと思っての事だ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(………恨むぜ…親父……おふくろ………。)

 

 

 

翔は……自分達を置いて逝った両親にそう思いつつも………蒼鬼が落ち着くまで背中を撫で続けるのであった………。

 

 

 

 

 

 

 




とりあえず再会の話と少しだけ過去が明らかとなった話でした。3話目にしてシリアスな回……普段ふざけている翔もこういう場合にはシリアスになるのでありました…w


……多分次回はふざけるかと思われますが…(おいw)




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小さな選抜メンバー、未来登場

苦労人未来ちゃん登場w




 

 

翔と響輝が蛇女子学園に入学して早くも1年が過ぎた…。翔と響輝はすっかり蛇女の選抜メンバーとして活躍しており実力も蛇女の中では上位クラスとなっていた…。

 

……特に翔は他の生徒が選抜メンバーの座を奪う下克上戦にて大問題を起こしたが為にその影響で他の生徒からは恐れられており彼に下克上攻撃を行う生徒は居なかった。最もこの事に翔は「根性無しめ」と自分に恐れている生徒に吐き捨てる等中々であった……

 

 

そして今日は翔達の後輩にあたる1年生の入学であり翔の妹である唯依も中等部から高等部に上がる日でもあった。その唯依も蒼鬼や翔達の指導により実力を付け、選抜メンバーの1人に選ばれたのであった……。

 

 

「あ、いた!お兄ちゃ~~~ん!」

 

 

「お、来たか。」

 

 

すると唯依がやって来ては翔に抱き着く。再会以来唯依は翔と離れ離れだったが為にベッタリするようになり仕舞いには兄妹のラインを超えそうな危ない事を仕掛ける事があった。……最も翔も満更でもない様子を見せる為に本当に危険である……

 

 

「これでお兄ちゃん達と一緒に居られるね!」

 

 

「だな。」

 

 

唯依は嬉しそうにそう言うので翔は頷きつつ唯依の頭を撫でる。すると唯依の後ろからもう1人少女がやって来て翔を見る。その少女は黒髪でロングヘアー、そして左目には眼帯を着け更には蒼鬼よりも少し身長が小さく胸もペッタンコが印象的な少女であった…。

 

 

「?誰だ?」

 

 

「あ、この子も私と同じで1年生の選抜メンバーの1人なの。」

 

 

翔がそう言うと唯依がそう説明する。どうやら彼女も1年生の選抜メンバーの1人であったのだ。

 

 

「……未来です、よろしく。」

 

 

「おう。俺は翔だ、よろしくな」

 

 

少女『未来』が翔に名前を言いそう言うので翔も頷いてそう返す。すると突如未来は翔に指を指してくる為に翔は「?」を浮かべると…

 

 

「……言っとくけど私を無視したら……殺すからね!」

 

 

「み、未来!?」

 

 

突如翔にそんな事を言い出す為に唯依は驚きつつも少し慌てる様子を見せる。…今の発言で翔が怒ったのでは無いかと思ったのであろう。

……しかし翔が取った行動は………

 

 

「……唯依、選抜メンバーの部屋に行こうぜ。案内するからよ」

 

 

その発言を無視、しかも未来の存在を無視するかのように言い出す為に唯依もギョッとする。翔のその無視する行動に未来が怒ったのか……

 

 

「……無視すんな!!!」

 

 

怒った未来が武器を取り出そうとした……瞬間……

 

 

カチャッ…

 

 

「……ぴっ!?」

 

 

「お、お兄ちゃん!?」

 

 

激昂した際に叫んで大きく空いた未来の口に……翔はハンドガンの銃口を咥えさせるかのように向けていた……。その事に未来は小さく悲鳴を上げる…

 

 

「おっと馬鹿な真似は止めときな?行動を起こした瞬間お前の頭はパーン!だぜ?」

 

 

「……っっ………」

 

 

翔は未来に銃口を咥えさせつつそう言う……非情な笑みを浮かべながら。そんな翔の表情から未来は……抵抗したら本気で撃つであろうと察したのかガタガタと震え涙を浮かべながら恐怖を感じ取り……

 

 

「…ふぉ……ふぉめんなふぁい………(…ご…ごめんなさい……)」ガタガタ…

 

 

「ん、謝れる事は良い事だ。」

 

 

未来が怯えながら自分の行動に謝罪した為に翔は未来を許し咥えさせていた銃を仕舞った。……最も翔は未来のこの行動に全く怒ってはいなかったのだが…。

 

 

「突然だから俺も何なのとかは思っちまったがそう言うのは止めといた方が良いぜ?メンバーの中には冗談が通じんヤツも居るからさ、そんな奴に喧嘩売ったら選抜メンバーだからってお前なんか一瞬でお陀仏だぞ?」

 

 

「は……はい………ごめんなさい………」

 

 

そして未来が激昂を起こして攻撃しようとした事に注意をすると未来は小さく震えつつも自分の行動に反省しつつも謝罪をするのだった…。

 

 

「そもそも……過去だっけ?「み、未来です」そうか……何故に突然怒りだしたんだよ?」

 

 

「む……無視されたから………」

 

 

「ゑ?フリじゃ無かったのかよ?」

 

 

「…んな訳あるかぁ!?」

 

 

そして翔は過去…もとい未来に何故突然怒りだしたのかを尋ねると未来は翔が無視してきた事に怒ったと話す……も先ほどの無視するな発言はフリだと思っての行動だった為に翔がそう言うと未来は盛大にツッコミを入れた。……が、今の自分のツッコミに未来は我に返って翔が不快になったのかと思い謝罪するも……

 

 

「おぉ!その的確なツッコミ……お前本当に面白い奴だなぁ~」

 

 

「…ゑ?」

 

 

そんな未来のツッコミに翔はそう言いだす為に未来は唖然とする。……どうやら翔は未来が気に入った様子であった……。

 

 

「ま、ここでお喋りすんのもアレだし……そろそろ選抜メンバーの部屋に行くとするか。ついて来い唯依、過去」

 

 

「うん」

 

 

「み、未来ですってばぁ……」

 

 

そして翔はここで話し続けるのもどうかと思いそろそろ選抜メンバーが揃っている場所へと唯依と未来を連れて行くのだった。

 

……選抜メンバーになったからと少し調子に乗っていた未来であったが翔の洗礼を受け、翔曰く更に冗談がきかない人物も居ると聞き先ほどのような行動や調子に乗った様子を控える事を決意しつつも少しずつ不安な気持ちを抱え始めるのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~選抜メンバーの部屋~~~~~~~~~~

 

 

 

 

数分してたどり着いたのが選抜メンバー達の居る部屋……。中は和室と同じ作りであるも書見台があるような教室であった。

 

 

「あら、お帰りなさい翔くん」

 

 

「おうただいま春花さん、早速だがケツ揉ませてくれや」

 

 

「ふふ、ヤンチャねぇ♪でもだぁめ、お預けよぉ♪」

 

 

「「…………………」」

 

 

すると春花が出迎えてきたので翔がそんなセクハラ発言をするも春花はノッてそう返した。……普通にそんな会話が成立している為に未来は若干唖然とし、唯依は何処か嫉妬したかのように怒った表情をしていた。

 

 

「あら?選抜メンバーの子ね?…唯依ちゃんは兎も角…このおっぱいが大きな子も新入生かしら?私は春花、よろしくね。」

 

 

ふと春花は翔の後ろに居る唯依と未来の存在に気付く。中等部から居た為に唯依の事は知っている為そう言うも未来には皮肉を言う春花であった……。案の定コンプレックスであろう貧乳を指摘された事に未来は春花を睨んでいた。

 

 

「あらあら、睨んじゃって…可愛いわね♪」

 

 

しかし未来が睨んでいるのもお構いなしに春花はフフフと笑いつつも未来に近づいては耳元で……

 

 

「……あなた、私の人形になりたいかしら?ロウで固めて動けなくして……一生私の部屋のマスコットになる?」

 

 

「………っっっ!!?」

 

 

春花の囁き……それもゾッとするような声を聞いた未来はビクッと震え…やがてブルブルと怯え始めた。春花の発言を聞き……本気であった事を察したのであろう…。

 

 

「い…嫌です……ご、ごめんなさい…許してください……」

 

 

「……どうしようかなぁ~?」

 

 

翔の時と同じく未来は怯えつつ必死に首を横に振って春花に謝罪をする。そんな未来を見て春花はわざとらしく考えるようなポーズを取り…

 

 

「……春花様と呼びなさい?」

 

 

「…春花……様……?」

 

 

「そ、私の事は春花様と呼びなさい、そうすれば許してあげるわ。」

 

 

春花は未来に自分の事を『春花様』と呼ぶように命令し、それに満足したのか未来の体を離した。そして気が抜けたのか未来はへたり込むのであった……。

 

 

「……あれまぁ、面倒な人に目を付けられちまったなぁ過去…」

 

 

「み、未来ですって……」

 

 

そんなやり取りを見た翔が未来にそう言うも未だに名前を間違える為に弱弱しくも未来はツッコミは入れた。

 

 

「…あの人は冗談が通じなく人を弄るのが大好きな虐待おばさんだからなぁ…」

 

 

「      は        ?」

 

 

翔は春花の事について未来に話す……も春花は『おばさん』と言うワードに反応した。……そして春花は突如不気味にも「…ふふふふふふふふふふふふふふふ…」と笑いだした為に未来はギョッとする……

 

 

「………翔くん……誰がおばさんなのかしらぁ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………ぶっ潰してブチのめす!!!」

 

 

「…当たりはしなぁい!!」ブンブンブンブン

 

 

春花はフフフと笑いつつも翔に問い詰めた後……真顔になって翔に連続攻撃を仕掛ける……も翔はそう言いながら分身するかのように春花の攻撃を全て回避していた。

 

 

「…………また翔のヤツか……」

 

 

そんな翔と春花のやり取りに未来は唖然とするもそんな2人を見て呆れたように真司蛇が現れてはそう言いつつ未来に近づくと……

 

 

「……翔の奇行は日常茶飯事だからな……お前もあまり気にするな…」

 

 

「…奇行て……」

 

 

翔のああいう怖いモノ知らずの行動が日常茶飯事であるから気にするなと言うも奇行と言われる為に未来も若干「えぇ…」と言うような表情となった……

 

 

「ハァ~~~~~ハァ~~~~~~~~~ぅぅぅぅ……!」

 

 

「そんなに怒んなってよ。アンタだってアイツに皮肉言ったんだからこれでチャラにしようや、な?」

 

 

「……むぅ………」

 

 

数分して春花は息を切らして攻撃を止める。案の定翔は春花の攻撃を全て回避しており、全く攻撃が当たらなかった事に春花は何処か悔しそうにしつつ未だに少し怒っていた。そんな春花に翔は先ほど未来に皮肉を言ったから翔の発言も春花への皮肉と言う事でチャラにしようと言う。…その事に春花は納得いかないような表情をするも渋々と納得するのであった……。

 

 

「な?お前も良いだろ過去?」

 

 

「いや、だから未来ですってばぁ!」

 

 

そんな未来に翔がそう言うも未だに自分を過去と呼ぶために未来はツッコミを入れるのだった……。…とりあえず春花との騒動はここで終了となるのだった。

 

 

「……お前ら、ふざけるのはこの辺にしておいて他の奴らにも1年生に紹介するぞ」

 

 

「そうだよ(便乗)おふざけはここまでだぜ春花さん」

 

 

「…あのねぇ……」

 

 

そんな翔達に真司蛇がそう言うと翔が便乗して春花に言う為に春花は若干呆れた表情となる。……確かに発端は自分からだがここまでプチ騒動になったのは大体翔のせいでもあるからだ…

 

そして真司蛇は教室の壁を触って反転させ隠しエレベータを出現させては全員でエレベーターに乗るのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~選抜メンバーの忍部屋~~~~~~~~~~~~

 

 

「ここが選抜メンバーの忍部屋だ。」

 

 

エレベーターが最上階に到着して扉が開くとそこは大きなプラズマテレビや洋風のソファセット等が揃った現代風のリビングルームみたいな部屋であった。

 

 

「お?その2人が新しい選抜メンバーか!?……って1人は翔の妹だったっけ…?」

 

 

「あ、お久しぶりです!…えっと……ホケツさん…?」

 

 

「籠鉄だ籠鉄!!酷くない!?流石に名前間違えても補欠は酷くない!?」

 

 

「ご、ごめんなさい……」

 

 

すると籠鉄や他のメンバーがやって来ては唯依と未来が新1年の選抜メンバーである事に気付いて籠鉄が嬉しそうにしつつも唯依の事はちょっとだけ会ったのでそう言うも唯依が籠鉄の名前を間違えて『補欠』と言い出す為に籠鉄はそうツッコミを入れてきた為に流石に唯依も申し訳なさそうに謝罪した…。

 

 

「………来たね翔の妹……」

 

 

「…あ、響輝さん……」

 

 

すると響輝が唯依の元へとやって来ては唯依は何故かビクッと一瞬震える。…そして響輝が唯依をジッと見ては……

 

 

「……ここに来たって事は…覚悟は出来たみたいだね……?」

 

 

「……っ……!……当たり前です……!」

 

 

「……なら良いさ……」

 

 

響輝がそう言うと唯依は少しだけ強気になるような目をしてそう返す。……そんな唯依の何処か覚悟が出来たような目を見て響輝は小さく笑うとそう言うのだった…。

 

 

「…………………。」

 

 

「……んで、そっちの眼帯の子は何でジッと見てるんだい?」

 

 

「…ゑ!?あ、いや……別に………」

 

 

すると未来が何故か響輝を不思議そうにジッと見ている為に響輝が尋ねるも未来はそう誤魔化すが………

 

 

「………さては私と同族意識みたいなのを思ったんじゃないだろうな?」

 

 

「ヴェ!?あ、い、いやそんな事………」

 

 

「……どっちでも良いが私は1個上…翔と同い年だからな…?」

 

 

「えぇ!?うっそぉ!?」

 

 

「……私で嘘だったんなら君の姿見たヤツも嘘だと思うだろ?」

 

 

「うっ………」

 

 

未来がジッと見ていた理由に感づき、響輝は未来にそう言うと案の定未来は驚く。どうやら響輝とほぼ身長が同じな故に未来は同族意識……又は年下と思い込んでいたのだが翔と同い年である事に驚きが隠せなかったのだ……が、響輝の言う通り未来を見た他人も未来と同じ反応をするんじゃないかと言われれば未来も何も言えなくなるのであった………。

 

 

「………それにしても………先輩って言っても本当に個性豊かな先輩ばっかりよね………。…今の所マトモに見えるのはさっきの真司蛇って先輩と……あの日焼けでポニーテールの先輩よね……」

 

 

そして未来は改めてこの部屋にいる自分の先輩たちを見て正直に呟く。詠は詠で黙り込んでいる日影の口にもやしを食べさせるように突っ込んでいたり日影は日影で嫌そうな顔もせずにもやしをムグムグと食べていた…。そして籠鉄は自主トレなのか知らないが突然ダンベルで鍛え始めていた…。そして先ほどの事もあってか春花は怖い先輩であり、翔も先ほど真司蛇が言った通り奇行を起こすような人物であると聞いていた為に未来的にマトモな先輩は真司蛇とその光景に何処か呆れているようにも見える焔だけだと思うのであった……。

 

 

「………全員揃ってる様子ですね。」

 

 

「お、来たか蒼鬼。」

 

 

「…!?」

 

 

すると蒼鬼が現れては翔や新入生の唯依たちを見て揃っている事に気付きそう言う。そして未来は案の定蒼鬼を見て驚きの表情を浮かべる。……理由とすればやはり自分や響輝に近いような身長であったからであろう……が、理由はもう1つあった……。

 

 

「……っ!………っっっ………!!」

 

 

それは自分や響輝とは違うモノ……そう、胸にあるたわわなモノの存在である…。それを見た瞬間に未来は嫉妬を浮かべるような表情になっていった……。

 

 

「……唯依は初めてじゃないけど…初めまして。私は選抜メンバー兼監督生をやっている蒼鬼と申します。」

 

 

「…………………。」

 

 

「……未来?」

 

 

「…え、えっと……どうしましたか?…わ、私何かやらかしてしまいましたでしょうか………?」

 

 

そして蒼鬼は唯依、そして未来に自己紹介をするも未来が威嚇するかのように蒼鬼を睨む為に唯依は「?」を浮かべ、蒼鬼はそんな未来に戸惑ってしまった。

 

 

「…………そんな事で嫉妬して疲れないかい?」

 

 

「いや、だってさぁ!私達と身長変わんないんだよ!?それなのにあれは反則でしょ!?あ、アンタだって妬ましいと思わないの!?」

 

 

「…いや、全然」

 

 

すると響輝は何に嫉妬してるのかを感づいたのかため息を吐きつつ未来にそう尋ねるも未来はそう言う。そして響輝にも同じコンプレックスとして妬ましくないのかを尋ねるも響輝は平然とそう答えた。

 

………蒼鬼はその話がどう言う事なのか理解出来ず少しオロオロしていたが翔は何に気付いたのか蒼鬼に近づいては……

 

 

「……これの事か?」モギュッ

 

 

「ひゃぁっ!?////」

 

 

「「「「ちょ!?」」」」

 

 

右手で蒼鬼の左側の胸を下からモギュッと揉んだのだ。その事に蒼鬼は悲鳴を上げては赤くなり、そんな翔の行動に春花達がギョッとしてしまった…。

 

 

「何だよ過去、ナイチチをコンプレックスに思ってんのかよ?そんな事で嫉妬してちゃ疲れるだけだぜ?」モミモミモミ……

 

 

「あっ…ちょ……しょ、翔くん止めて……////」

 

 

「女は乳の大きさで勝ち負けが決まる訳じゃねぇんだぞ?乳や尻が大きくても性格がクッソ悪い女だって居るんだしそれだけでマイナスになる奴だって居るんだ。」タプンタプンタプン……

 

 

「しょ……翔くん、い、いい加減に……/////」

 

 

「だからさ、過去?そんな事で一々気にしてねーでさ、まずは自分を磨く事が大事だぜ?そうすりゃあ身長が小さくとも、ナイチチであってもよ、寄ってくる男は絶対に居る筈だぜ?」ビョ~ビョ~ビョ~

 

 

「………色々とツッコミたい所はあるけど過去じゃ無くて未来だって……」

 

 

翔は未来にコンプレックスの事を気にしないで自分自身を磨くべきだという事を話す。……良い事を話している筈であるのに蒼鬼の左の胸を揉んだり下から叩いてタプタプさせたり引っ張ったり等をして台無しであるが……

 

……未来もそんな翔に色々とツッコミたい部分はあるが未だに自分の名前を間違える為にその事にツッコミを入れた………

 

 

 

 

…………そんな時であった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………翔くん……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ひぃっ!?」

 

 

「「「………………。」」」

 

 

突如腕を掴まれた為に翔が蒼鬼の方を向いた瞬間……蒼鬼は怖い程にニッコリとした表情で翔を見ていた。……ただニッコリとしている筈なのにそんな蒼鬼からは怖い程に威圧が溢れ出ている為にそれを感じた未来は小さく悲鳴を上げてしまい、唯依や春花達は「あちゃあ~」と言うように呆れていた……。

 

……一方翔は真顔になりつつ動揺していない様子を見せていたが内心ではこう思っていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あ、俺死んだわ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………この後、唯依と未来の入学が終わりつつこの日から蛇女での生活が幕を開けた。

 

……因みに翔は案の定蒼鬼から説教を喰らい反省文を書かされてしまった事は言うまでもない……

 

 

 



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新たなる選抜メンバー『光牙』

今回は遂に彼の登場となります。




唯依と未来の入学から1か月が経った……。唯依と未来も選抜メンバーに馴染んでいった。そして修行も怠らず真剣に取り組んでおり……

 

 

「……ほぉ、大分いい感じになってきたじゃねーか。」

 

 

「ほ、ホント!?」

 

 

「あぁ、本当さ。恐らく射撃の腕は選抜メンバーの中じゃ一番じゃねぇか?」

 

 

「い、一番……えへへ……♪」

 

 

(……まぁその選抜メンバーで射撃メインの戦い方するのは未来だけだからな……。俺も銃を使う事あるがそこまで遠距離でやってる訳じゃねぇしな……。)

 

 

射撃場にて未来はいつもの通り射撃訓練を行っていた。翔もそんな未来に付き合っており未来にそう言った。…どうやら翔は未来を指導していた様子であり彼女の訓練に付き合っていた様子であった。その為に腕が上がっていた事に翔は褒めると未来は照れくさそうにしつつ嬉しそうにするのであった…。

 

 

「……ふん、後輩の指導とは態々ご苦労様な事だな。」

 

 

「…何かきたで~」

 

 

「あ、ほ、焔…先輩………」

 

 

そんな時、焔が背後から翔にそんな皮肉そうに言う為に翔は少し呆れた表情になりつつ未来は少しオロオロする…。

 

 

「後輩の指導をする前にお前自身を鍛えた方が良いんじゃないか?そんな事をする前に…」

 

 

「……俺に1回でも勝ってから物申せやw」

 

 

「…何だと!試してみるか!?」

 

 

「ちょ、ちょっと待って待って!?私怨による殺し合いは御法度って蒼鬼が…「黙れ!!」ひぅ………」

 

 

「後輩に八つ当たりすんじゃあねぇよ。…あ~可哀想によしよし……」

 

 

焔が皮肉を言うも翔が挑発するようにそう言うとすぐに挑発に乗っては焔が7本の刀を手にして威嚇し始める為に未来は慌てて仲裁するも焔の怒鳴り声にビクッと震わせ怯えてしまう。八つ当たりした焔に翔はそう言いつつも怯えた未来を慰めるように頭を撫でた。

 

 

「…何の騒ぎでしょうか?」

 

 

「っ…!………ちっ……」

 

 

そんな時、焔の騒ぎ声を聞きつけた蒼鬼が現れてはそう尋ねてきた。その事に気付いた焔は舌打ちをしつつもその場から去って行ってしまった……。

 

 

「おう、助かったぜ蒼鬼。」

 

 

「……いえ……。……やっぱり私…焔さんに避けられてますよね……?」

 

 

(……まぁあん時は蒼鬼じゃ無かったとはいえ去年にあんな騒動がありゃあトラウマ物だわな…)

 

 

焔に絡まれて面倒だったが蒼鬼が現れた事に翔がそう礼を言うも蒼鬼は少し暗い表情になりそう言うと翔は内心でそう思った。

 

………去年にて蒼鬼と焔にとある騒動があり、それ以来焔は何事も無いような表情をしつつも何処か蒼鬼にはビビっているように避けるような行動をするようになったのだった…。

 

 

「…焔先輩って近寄りがたい雰囲気がするよね…。しかも特に翔に対して何であんな態度取るんだろう……?」

 

 

「……昔はあんな子じゃ無かったんだけどねぇ……」

 

 

「え?昔って……知り合いなの?」

 

 

「おうよ、ガキの頃は2人で遊び倒したり喧嘩騒ぎしたりとか…色々馬鹿やった仲だったんだぜ?」

 

 

「そ…そうなんだ………」

 

 

未来は焔が近寄りがたい雰囲気である事にそう言う。……他のメンバーは意外とフレンドリーであり近づきやすいが焔だけはあんな態度を取ったりする為に未来も何処か苦手としているのだった。

すると翔が焔とは昔共にヤンチャしてた仲である事を語り、未来はその頃から翔は問題児だった事を何となく把握するのだった…。

 

 

「……あ、そうでした…。翔くん、未来さん、忍部屋に来てくれませんか?…鈴音先生がメンバーの皆さんを呼び出すようにとの事で……」

 

 

「「?」」

 

 

すると蒼鬼は他にも用事があり、鈴音が選抜メンバー全員は忍部屋に来るようにと言われている事を話す為に翔と未来は「?」を浮かべるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~忍部屋~~~~~~~~~~~

 

 

「全員揃っているな」

 

 

暫くして忍部屋にて……翔達選抜メンバーは揃っており全員揃っている事が確認できた鈴音はそう言う。

 

 

「…鈴音先生、私たちを集めたという事は新たな忍務が?」

 

 

「いや、今回はそうではない」

 

 

「じゃあ何なんだセンセ?」

 

 

焔が鈴音に新しい任務を出すのかを尋ねるも鈴音は首を横に振ってそう言う為に翔も鈴音に尋ねる……。

 

 

「実は今日から新しい選抜メンバーの者が特別編入生として来ることになった。」

 

 

「特別編入生?」

 

 

「この時期に何でまた?」

 

 

鈴音の言葉に一同は疑問などによりザワザワと騒いだ。

 

 

「…本来であれば去年にて1年メンバーと共に編入される事になっていたのだが色々とあって編入がかなり遅れてしまったのだ。……まぁ、あれだ。これは口で説明するより会ってもらったほうが早い。……という訳だ、入ってこい。」

 

 

鈴音は事情を軽く説明しつつそしてそう言いつつエレベーターの方を向く。するとタイミングに合わせるかのようにエレベーターが到着しては扉が開き中に入っていた人物が姿を現した。

 

見た目で言えば白いメッシュがかかった黒髪とイケメンと言っても過言ではない優れた顔つきが特徴的な青年であった……。

 

 

「コイツが今日からお前達と共に選抜メンバーとして任務をこなす特別編入生だ。……ほら、挨拶を」

 

 

「俺の名は……光牙だ」

 

 

一同は青年『光牙』の登場に驚きの表情を浮かべ、特に翔は何故かそれ以上に驚きの表情を浮かべていた……。しかし蒼鬼は驚く表情は浮かべておらずまるで光牙が来ることを知っている様子だったかのような表情であった……。

 

 

(………なるほど……彼が『あの人』の言っていた弟の光牙さんですか……。確かに瓜二つですね……。)

 

 

蒼鬼はやはり知っていた為に内心でそう思った。どうやら光牙とは直接会った様子では無く『あの人』という人物から聞いただけであり一度会いたいと思っていた様子であった。

 

 

「一応、任務をこなす形では仲間になってやる」

 

 

「ッ……随分な大口だな……!」

 

 

「まぁまぁ少し落ち着けよ焔」

 

 

光牙の言い分にイラついたのか焔が睨みつけながら光牙にそう言う為に籠鉄は仲裁に入って焔を落ち着かせるようにそう言った。

 

………そんな時だった……

 

 

「おろ?光牙じゃあねぇか。久しぶりだな。」

 

 

「……?貴様、翔か?」

 

 

「「「「…!?」」」」

 

 

すると突如翔が光牙にそう言いだす為に一同は驚きの表情を浮かべ、光牙も翔を見て少し驚きの表情を浮かべた……。

 

 

「………お前……死んだと聞いていたが…生きていたのか?」

 

 

「へっ、そう簡単に死ぬかよ。俺はゴキブリ並みにしぶといんだぜ?」

 

 

「……まぁ良い…別に生きていた死んでいたかは関係無い……任務以外でなれ合いには付き合う気は無いからな…」

 

 

「んだよお前、なんかえらく性格が暗くなったな?」

 

 

「…放っておけ…10年も経てば性格も変わる……。」

 

 

光牙は翔にそう尋ねると翔はヘラヘラ笑いながらそう言う。そんな翔の様子に光牙はそんな様子でそう返してくる為に翔が昔と性格が変わっている事に気付いたのかそう尋ねるも光牙はそう返すのであった。

 

 

「………あの……翔くん……その…彼と……光牙くんとお知り合いなのでしょうか?」

 

 

「あぁ、昔馴染みってヤツになるのか?コイツとコイツの姉ちゃんと仲良かったかんな……。………今こうしてこんな感じだけど昔はもっと明るかったんだぜ?」

 

 

「………言っただろう…10年も経てば性格も変わると……。」

 

 

(……という事は……翔くんは『あの人』を知っている……と言う事でしょうか……?)

 

 

すると蒼鬼が翔に尋ねると翔はそう答える。……そう、蒼鬼が翔の家に来る大分昔の幼少期の頃になるのだが翔は光牙と光牙の姉と仲のいい友人同士であったのだ。翔は光牙は昔はもっと明るかったと言い出すと光牙は不愛想にそう翔に返すのであった。

その事から蒼鬼はその事から翔が『あの人』という人物の事を知っているという事を察するのであった……。

 

 

「あ、貴方は!?」

 

 

「…………」

 

 

「…?貴様らは……あの時の……」

 

 

そんな時、詠は光牙を見て驚き、響輝も光牙をジッと見ていた。そして光牙も詠と響輝を見て少し驚きの表情を浮かべる…。

 

 

「……あんた、『飴ちゃんの人』?」

 

 

「…は?」

 

 

「「「「ゑ?」」」」

 

 

しかし突如響輝は光牙を『飴ちゃんの人』と呼ぶために光牙は疑問に思い、一同も唖然とした。

 

 

「…おい、何だその呼び方は?」

 

 

「愛花に飴ちゃん上げてたから……飴ちゃんの人」

 

 

「………確かにそうだったが……その呼び名を止めろ。俺には光牙と言う名がある。」

 

 

「…一応覚えておくよ、飴ちゃんの人」

 

 

「……おい……」

 

 

その『飴ちゃんの人』と言う呼び名に疑問を持ち光牙が尋ねると響輝がそう答える為に自分を『光牙』と呼ぶように指示するも響輝はまだ『飴ちゃんの人』と呼ぶために光牙は少しイラっとした……。

 

 

「お前らも知り合いなの?」

 

 

「…ゑ?あ、ほら…あの時翔くんにも話した貧民街での……」

 

 

「あぁ、愛花がバイクで轢かれそうになった際に響輝がその運転手を絞め殺そうとした話か……。ゑ?あれお前なの!?」

 

 

「…ちょ!?」

 

 

「………まぁな…。……ところであの娘は大丈夫か……?」

 

 

「うん、怪我も無くて今も元気だよ。」

 

 

「…そうか。あの時は俺も不注意だった……済まなかったな…。」

 

 

「い、いえ…こちらも響輝ちゃんが……ほ、ほら響輝ちゃんも……」

 

 

「…ごめんなさい……」

 

 

光牙と響輝たちが知り合いである様子に翔が疑問を持ったのか尋ねると詠がそう答える為に翔は以前そんな話を聞いた事に思い出し、その人物が光牙であった事に驚きつつも響輝がそんな事件を起こした事に蒼鬼もギョッとしてしまった。

 

……以前にて響輝と詠が貧民街に行った際にお菓子を買いに行こうとした『愛花』と言う翔や響輝達にとって貧民街での妹みたいな少女が走ってきたバイクに気付かずに轢かれそうになり、その運転手であった光牙も愛花が飛び出してきた事に驚きつつも撥ねないようにと避けたのだ。その際に愛花は転んでしまい光牙が転んでしまった愛花に駆け寄ろうとするも転んでいた愛花を見た響輝は光牙が愛花を轢いたと勘違いしては光牙の首を掴んでは絞め殺そうとしたのだ。……その後詠や貧民街の村長がやって来た事や愛花の証言により何とかその場は収まったのであったのだが……。

 

そして光牙は愛花が大丈夫なのかを尋ねつつも不注意であった事に謝罪をし、詠も響輝が勘違いとは言え絞め殺そうとした事を謝罪しつつも響輝にも謝らせるのであった……。

 

「…まぁとりあえずこの話はさて置き……少し尋ねるが、監督生の蒼鬼というのはお前達の中の誰だ?」

 

 

「……? は、はい。 私が蒼鬼ですが……」

 

 

「……そうか。 お前が……随分と小さいな」

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

光牙は響輝たちとの話を止め、蒼鬼が誰なのかを尋ねると蒼鬼は自ら申し出る。……すると光牙は蒼鬼の見た目の事をストレートに言う為に焔達一同は驚きの表情を浮かべた。

 

 

「確かにかなりの力量はあるようだが…蛇女のまとめ役というからにはもう少し外見的風格もあるかもしれないと思っていたのでな。」

 

 

「……何だか申し訳ありません」

 

 

「いや、謝る所じゃないからな!?」

 

 

「…へへへ、ちっちゃくて可愛いだろ?でもそんな見た目に騙されるようじゃあお前もまだまだだな?」

 

 

「……ほぉ……?」

 

 

「い、いや翔くん……それは私を上に見過ぎですよ……」

 

 

そして光牙がそう言う為に何故か蒼鬼は苦笑いをしつつそう謝る為に籠鉄はツッコミを入れる。するとそれに便乗するかのように翔は光牙の見解に対してそう指摘する為にその言葉からして光牙は何処か期待するような表情になるも蒼鬼は困った表情をしつつ翔にそう言うのだった……。

 

 

「……おい…貴様……光牙と言ったか?」

 

 

「………何だ貴様……?」

 

 

「………私と勝負しろ………!」

 

 

すると突如焔は突っかかるかのように光牙を睨みつけつつ勝負を挑み始めた。

 

 

「……上の指示で入ったかどうかは知らないが私は男などチームメイトとは認めない……まして私より弱い男などなおさらにな!……だから今ここで勝負しろ!お前の実力、この私が見極めてやる!」

 

 

「………おいおい焔………」

 

 

「…焔ちゃん……まるで猪ね……」

 

 

「…いや、猪の方が頭良いと思うよ?痴女の人、それは猪にとっちゃ風評被害だよ…」

 

 

「いや!?そんな言い方あんまりじゃないですか!?…と言うか焔さんまた……」

 

 

「いや、いい機会だ。光牙の実力披露も兼ねて許可しよう。」

 

 

焔がそう言って突っかかるので籠鉄はそんな焔を見てそう言い、そんな焔を見て春花がそう言うも響輝がそんな事を言い出す為に蒼鬼は響輝にツッコミを入れつつも焔を止めようとするが鈴音はそう許可を出す。

 

……自分の意見関係無しに勝手に話が進んでいる事に光牙は呆れたかのようにため息を吐くも……

 

 

「いいだろう……だが後悔するなよ?俺は女だからと手を抜くようなことはしない…来るからには全力でかかってこい」

 

 

「…臨むところだ!私の力思い知れぇぇぇぇぇ!!」

 

 

光牙は焔の宣戦布告を受けそう言い、焔は高らかに叫びながら光牙に挑む………も………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「」チーン

 

 

「……ふん、詰まらん……」

 

 

「………早くね?」

 

 

「全くだな……時間稼ぎにもならない位にあっさりやられたな……」

 

 

「………いや……流石にその言い方は……」

 

 

数分も経たない内にあっさりと撃沈し焔は完敗した。そんな焔を見て籠鉄そう言い翔も「えぇ…」というような表情をしつつそう言いだす為に蒼鬼は苦笑いでそう言うのだった…。

 

 

「でもあの光牙って奴スゲェなぁ!あの焔をあっさりと………」

 

 

「……割と焔ちゃんってあっさりやられているイメージしか無いのですが……」

 

 

「…あなた、さり気なく酷い事言うわね詠ちゃん……」

 

 

一方籠鉄は光牙の強さを見て戦意が高上したのかそう言うがさり気なく詠は酷い事を言い出す為に春花は詠にツッコミを入れるのだった……。

 

 

「………まぁこの通りだ。光牙の強さは上のお墨付きと言う事だ。とりあえず時間が無いから模擬戦はここまでだが戦いたいのであれば放課後の修行での模擬戦や授業の模擬戦で挑むと良い。」

 

 

「っしゃあ!俺早速挑んじゃうぜ!」

 

 

鈴音はそう説明しつつもしも光牙と戦いたいのであれば放課後の修行の時や授業の時に挑むようにと言う為に早速籠鉄は挑戦しようと意気込むのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………こうして蛇女に新たなる選抜メンバー…『光牙』が加わるのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……くそぉ……!!何故だ……!?…何故私は……勝てないんだ……!?翔にしろ……籠鉄や真司蛇にしろ……あの光牙という奴にしろ……?!くそぉ……!!ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………そんな中、ただ1人悔しがっている人物がいたという事を知らずに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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激戦!?翔VS蒼鬼

今回は翔と蒼鬼の戦いです。

※前回の話少し変えた部分があります。




 

 

光牙が蛇女にやって来て数日が経った…。光牙は実力は選抜メンバーの中でも上位クラスの戦闘力を誇っており、戦闘訓練においても下克上攻撃も簡単にあしらう程であった。……その為にその事が気に食わない焔は毎度のように光牙に勝負を挑むも返り討ちに遭い、案の定しつこい焔に光牙も段々と鬱陶しい感情を浮かべるようになっていた…。(因みに翔は焔があまり突っかかってこなくなった為に光牙に感謝していたが……)

 

……そして修行場にて今日も選抜メンバーは修行が行われようとしていた…

 

 

「今日の修行内容はここにいる全員で組手を行ってもらう。対戦相手は自由に決めてよしとする。実力差が激しい場合はチームワークの上昇と多人数相手の戦いの経験の為に二対一や三対一でも許可する。勿論、望むのであれば二対二や三対三の団体戦や三人の三つ巴の戦いであっても構わないぞ」

 

 

鈴音が修行内容を伝える。対戦人数や戦い方が自由な為、チームワークの上昇させる事や多人数相手でも対応できるようにする為との事であった。

 

 

「だ、だったら未来!私達は一緒に戦おうよ!!」

 

 

「う、うん……!私達一年生だってやれば出来るって所を見せよう!」

 

 

まだまだ実力が低い為に唯依と未来は2人で協力して自分達もやればできるという所を翔達に見せようと考えた。

 

 

「おい光牙…そして真司蛇、私の相手をしろ。」

 

 

「何……?」

 

 

「……本気か?」

 

 

「当たり前だ!!何時までも私が勝てないままだと思うなよ!!!」

 

 

「……分かった。……そういう訳で光牙、俺も混ぜてくれ。」

 

 

「ああ、だが加減はするなよ?」

 

 

「無論だ。」

 

 

すると焔は自分1人で光牙と真司蛇に勝負を挑んだ。その事に真司蛇は珍しく自分にも突っかかってきた事に少し驚き、光牙は余りにも無謀では無いのかと思いそう尋ねるも何時ものように聞く耳持たない為に真司蛇と光牙は焔の相手をするのであった…。

 

 

「ありゃあ光牙とシスさん決まっちまったか…。………相変わらず無謀な事するよなアイツ……」

 

 

「……んじゃあ久しぶりにやり合うかい?」

 

 

一方翔は光牙か真司蛇に勝負を挑もうかと思っていたが焔が2人に挑んだ為にどうしようかと考えつつも焔の無謀な行動に若干呆れるのであった…。そんな翔に響輝はそう誘うと…

 

 

「じゃあ俺とやろうぜ翔!!この前のリベンジもしたかったしお前や蒼鬼には全然及ばなくても出来る事はあるって証明するぜ!!」

 

 

「ああっ!?……ず、ずるいですわ籠鉄さん。それでしたら私がショウくんのお相手を……」

 

 

「……いや、俺はただ普通に戦おうと思っただけなんだけどよ……」

 

 

「んじゃあこの際バトルロイヤル的な感じでやり合うか?」

 

 

「…それもよさそうだね。」

 

 

籠鉄と詠がそれぞれそう言う。籠鉄は純粋に翔へのリベンジマッチを、詠は翔に相手が居なかった為にと言う感じでの誘いであった。なので翔はこの際バトルロイヤルでやり合おうと提案し、響輝も同感した……が……

 

 

「だが蒼鬼、そして翔。お前達は強制的に一対一で戦ってもらうぞ」

 

 

「ゑ?」

 

 

「……!」

 

 

「「「「「!!!!」」」」」

 

 

突如鈴音は翔と蒼鬼は強制的に勝負をしてもらうと指示を出し、一同は驚きを浮かべた。

 

 

「どういう事ですか……?」

 

「機は熟したという訳だ。…この一年でお前達二人は大きく成長した、今なら他のメンバーもお前達の動きが見えずとも学習する事は難しくないだろう。……それにお前達は蛇女の生徒で抜きん出た実力者の中でも間違いなく最強だ。修行の一貫とはいえここで改めてお前達の実力を示せ」

 

 

「「…っ!」」

 

 

「……そう言われると何か照れるし悪い気はしねぇな…へへへ……」

 

 

(……でも確かに蒼鬼ちゃんは兎も角翔くんも戦闘能力が未知数なのよね…。……去年のあの事件においても蒼鬼ちゃんでさえも翔くんを止めるのに難儀したって言われた程だったらしいし……)

 

 

蒼鬼が尋ねると鈴音はそう答える。要するに翔と蒼鬼が戦っている所を他のメンバーに見せて意識向上をさせるという計らいであった。鈴音に最強クラスと言われた翔は何処か照れくさそうに頭を掻く。…その一方春花は蒼鬼は勿論のこと翔も戦闘能力が未知数であり本気で戦った姿を見た事が無いと思っていた。……そして去年に起きたとある事件においてもどうやら翔が暴走か何かを起こしたのかそれを蒼鬼が止めようとも中々止められなかった為に翔も余程の強さを誇っていると把握するのだった。

 

 

「それで…勝敗はどうなりますか?」

 

 

「気絶、降参、死が基本的な敗北の条件だが勝負の意味が無いと判断した場合は此方が止める」

 

 

「…オイオイ、学生同士でガチの殺し合いさせるのかよ……」

 

 

「……まぁ、蛇女では授業や訓練での死は不慮の事故として扱われますから……」

 

 

「…意識向上もあるが私は勝敗ではなく純粋に今のお前達の実力が知りたいと言うのもあるからな。……兎に角時間が勿体無い、さっさと始めろ」

 

 

「…まぁ良いか。そんじゃあ蒼鬼、お手柔らかに頼むぜ?」

 

 

「お、お手柔らかにって……何だかやる前から随分弱気じゃないですか……?」

 

 

「そうは言いつつもお前とはやり合った事無いし、大体の戦い方を把握してるお前の方がある意味有利な気がするからなぁ…。ま、やるだけやるさ。」

 

 

「……分かりました、私も謹んでお相手します。」

 

 

「では、二人の戦いを最優先にする為に他のメンバーは各自離れて見学しておけ」

 

 

「「「「はい」」」」

 

 

勝敗の決め方の中に死が混ざっている為に翔は学生同士で殺し合いをさせる事に呆れるも蒼鬼は苦笑いでそう答える。そして鈴音も純粋に翔と蒼鬼の実力が見たいとの事であった為に2人に戦いをさせるとの事であった。

そして翔は蒼鬼にそう言うも何処か弱気そうな言い方をする為に蒼鬼も少し戸惑うが気持ちを入れ替えては翔と勝負をする決心をした。

 

 

(……戦い方は……どうすっかな…?大体剣で戦ってたから……こっちで戦うか……)

 

 

(……トンファーブレード…?……そう言えば翔くんは大体素手か大剣で戦っていたイメージがあったからトンファーブレードで戦っている姿をあまり見た事が無いですね……)

 

 

翔はどうやって戦うかを考えつつも武器はトンファーブレードに決めて取り出した。その事に蒼鬼はふと翔は普段素手か大剣で戦っている様子を見ていた為にあの武器で戦う事に少し驚きを見せた。

 

 

「それでは往くぞ………いざ、紅蓮の如く舞い散れ!!」

 

 

「……!」

 

 

鈴音の号令と共に蒼鬼は真っ先に動き出して初撃で翔に殴り掛かるも翔はそれを回避しては背後から蒼鬼に斬りかかった…!一方蒼鬼はそれを読んでいた様子であり翔の攻撃を回避しては蹴りで翔のブレードを弾いた!その隙から蒼鬼は翔にボディブローを喰らわせようとするも翔は残像を作ってそれを回避しつつ距離を取った。

 

 

「流石だな蒼鬼、大体の攻撃は読まれてるって訳ね。」

 

 

「私もある程度ではありますがその手の技には精通していますからね。……それに翔くんこそ私が殴り掛かると読んでいたじゃありませんか。」

 

 

「勘だけどな。お前なら殴るか斬るで最初の一撃を喰らわせに来るんじゃ無いかってね。」

 

 

「……流石ですね翔くん。鉄球は背後を付いても音で気付かれる可能性も高いので背後を取っても剣か体術にしようと思っていました。」

 

 

そんな会話を行いつつも翔と蒼鬼は一進一退の激戦を繰り広げていた……。

 

 

「え?え?み、見えない……」

 

 

「ぅぅ……まだまだ実力が低いって事かな……?」

 

 

そんな中、観戦していた未来と唯依は2人の攻防が見えない為にまだまだ実力が無いから見れない事に少し落ち込んでいた……。

 

 

「残念ねぇ2人とも♪……まぁ私も辛うじて見えてる位なんだけどね。」

 

 

「…す、すごいですねあの2人……。」

 

 

そんな未来と唯依に春花は少し意地悪そうに言う…も、どうやら春花と詠も辛うじて見えているという感じであり、その為に詠は2人の動きに驚きが隠せずにいた……。

 

 

「………ふん、詠は兎も角春花は情けないな。それでも3年か?「…とか言いつつも貴様もギリギリなのではないか?」何だと!?」

 

 

「…………喧嘩するなら他所行ってくれないかな?…見えん。」

 

 

「ひえぇ…ヤベェなアイツら…。この様子だとリベンジに挑んでても俺負けてたかもなぁ~~。……でもそれならそれでやる気が満ちて来るぜ!」

 

 

(…………もしかするとアイツら……)

 

 

そんな春花と詠に焔がそう言うも光牙にそう言われまた突っかかった。……そんな光牙と焔に響輝は呆れつつも見えない為に喧嘩なら他所でやれと忠告した。(身長的な意味で…)そして籠鉄は翔と蒼鬼の戦いを見つつ恐らく翔に挑んでいても自分は負けていたという事を把握するがそれならそれで戦い甲斐があるとやる気が高上していた。……そんな中、真司蛇は2人の戦いを見つつも……何かに感づいていた。

 

 

「…悪いな、頂くぜ!!」

 

 

「っ!」

 

 

すると翔は両拳に青いエネルギーのようなモノを纏いつつも蒼鬼に突っ込んでは連打を仕掛ける。その連打を蒼鬼は受け止めつつ防御に徹したが……

 

 

「『白虎咬』!!おりゃあっ!!!」

 

 

「っ!?」

 

 

翔は両腕を合わせた掌底を喰らわせつつその気を炸裂させた!その勢いで蒼鬼は吹き飛ばされるも何とか着地してはすぐさま翔に突っ込み……

 

 

「『飛雷神斬り』!」

 

 

「ぐぉああっ!?」

 

 

翔に隙を与えずに斬りかかっては反撃のダメージを与えた…!しかし翔は蒼鬼が攻撃からの体勢を立て直すまでの隙を見抜き……

 

 

「っ……『青龍鱗』!!」

 

 

「うああっ!!」

 

 

両手に気を溜めては青いエネルギー波を放ち蒼鬼にダメージを与えた……!

 

 

「…やりますね……翔くん……!」

 

 

「お前こそ、伊達に監督生は名乗ってねぇな……。お兄ちゃん嬉しいぜよ」

 

 

ここまで簡単に着いて来れる翔に蒼鬼は何処か嬉しそうにしつつそう言い、翔も蒼鬼の成長ぶりに嬉しそうにしながらそう返す……そして…

 

 

「………さて…長期戦になると不利になりそうだからそろそろ行くか……!」

 

 

「……!」

 

 

そして翔は小さく息を吐くとトンファーブレードを構える為に蒼鬼は何かをしてくる事を察しては同じく構えを取る。

 

 

「……この切っ先…触れれば斬れるぞ!」

 

 

翔がそう言った瞬間、トンファーブレードの刃が鋭くなるかの如く少し伸び、その瞬時に翔は残像が出来るかの如く高速移動を行った…!

 

 

「っ!背後……!」

 

 

蒼鬼は背後に来た事を察しては背後を振り向き、案の定翔の姿があった為に攻撃を仕掛けるもそれは残像であり攻撃した瞬間に消えた……!!

……その瞬間に蒼鬼は背後から斬りつけられ、更には無数の残像からのブレードでの攻撃を受けてしまった……!!

 

 

「前から後ろからバッサリだぁ!!」

 

 

「ぐっ!!うぅっ!!!」

 

 

残像の斬撃攻撃に蒼鬼は何発か防いで行くも防ぎきれずに斬撃攻撃を受けてしまう……

 

 

「『舞朱雀』!!うぉりゃあっ!!!」

 

 

「っ!!」

 

 

残像の攻撃が止んだと同時に翔は上空からブレードを振り上げて斬りかかってきた!既に蒼鬼に斬撃攻撃が直撃しようとしていた……瞬間であった…!

 

 

「秘伝忍法…『無明斬』!!!」

 

 

「なっ!?ぐぉあああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

蒼鬼は瞬時に刀に闇を纏わせてはそこから斬撃を放った!その威力がかなり高いのか翔はブレードでその斬撃を一瞬受け止めたが受け止めきれずにそのまま斬撃を受けてしまい吹き飛ばされてしまい、壁に叩きつけられてしまった……!!

 

 

「うぉぉ……!舞朱雀を弾き飛ばしやがるか……」

 

 

「……正直今のを受けていたら……危ない所でした……!」

 

 

斬撃のダメージと壁に叩きつけられたダメージに少し苦しそうにしながらも翔は立ち上がり、蒼鬼も今の残像斬撃攻撃に結構なダメージを受けたのかそう言いつつも立ち上がる……。そして蒼鬼は次はどのような攻撃を仕掛けてくるのかを警戒しつつも構えた……瞬間だった……

 

 

「…参った。」

 

 

「…えっ!?」

 

 

「降参だ。このままやっても多分俺が負けるだろうしな……。これ以上やっても恐らく攻撃全部見切られそうだろうしな…。だから俺の負けで良い。」

 

 

何と翔は降参した為に蒼鬼は唖然としてしまう。……正直蒼鬼もこのまま続けば自分も危ないかも知れないと思いつつも構えていたのだが翔の降参に驚いてしまうのだった……。

 

 

「……良いのかそれで?」

 

 

「俺が良いって言ってるんだから良いだろ?」

 

 

「………まぁ良いだろう。よってこの勝負、蒼鬼の勝利とする。」

 

 

そんな翔に鈴音がそう言うと翔がそう言う為に鈴音は蒼鬼の勝利を宣言するのであった……。

……しかし蒼鬼は少し考えたような表情をしつつも何か意を決したのか翔の元へと近づいては……

 

 

「………翔くん……」

 

 

「?どした?」

 

 

「……………もしもこの発言でご気分を悪くされてしまったら……申し訳ございません……」

 

 

「何だ?もしかしてインチキ使っちゃってたとかか?」

 

 

「いやいやいやいやそうじゃ無いです……」

 

 

蒼鬼が真剣な表情になりつつもそう言いだす為に翔は蒼鬼にそう言う為に蒼鬼はそうツッコミを入れつつもすぐさま真剣になり……

 

 

「………手加減……してましたよね?」

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

(………やはりか……)

 

 

蒼鬼の発言に一同(響輝以外)は驚きの表情を浮かべる。……一方真司蛇は気付いていたのか内心で納得をしていた。……その事に翔も少し真剣な表情となるもすぐにニッとした笑みを浮かべては……

 

 

「そりゃあお互い様じゃねぇか?」

 

 

「…!」

 

 

「「「「っっっ!!!???」」」」

 

 

翔は蒼鬼にそう返す。その事に蒼鬼も少し驚きの表情を浮かべ、その事実に一同(響輝以外)は更に驚きが隠せずにいた。……あの戦い、両者本気を出さずに行われていたという事であったのだ……。

 

 

「………ならば俺からも1つ尋ねたい。」

 

 

「…シスさん?」「…真司蛇さん?」

 

 

「……お前達……その上更に重り付けたままじゃないのか?」

 

 

「「「「っっっっ!!!?!??!?!?」」」」

 

 

真司蛇からの質問に一同(響輝以外)は更に驚きが隠せない表情となった。本気を出さずにして更には修行用の重りを付けてのあのスピードでの戦闘を行っていたのだ。その事実に一同は驚愕が隠せる訳が無かったのだ…。

 

 

「そう言えばそうだったな……。外すの忘れてたぜ…」

 

 

「…えぇ……?」

 

 

(………先生が作った重りは結構な重さな筈だったが……それが日常化している程とは……。…更に蒼鬼はその上から自作の重りを付けていた筈……。……全く、大した奴らだこの2人は……)

 

 

しかし翔はその重りを外す事を忘れていた為に蒼鬼は少し呆れてしまう。…そんな2人を見て真司蛇はやはりこの2人は規格外だなと思うのであった…。

 

 

「翔くん…パワーもスピードもわたくしよりもずっと上で、蒼鬼さんにも引けを取らなくて……凄い」

 

 

「……しかも重り付けながら戦かっとったんやろ?ようあんだけ動けたなぁ…。……こりゃあ、儂もうかうかしてられんのう……」

 

 

「蒼鬼も翔も凄い……最初の方から何も見えなかったよ……」

 

 

「…でも私達だって……何時かは…!」

 

 

「流石は蒼鬼ちゃん……だけど流石に翔くんも凄いわね。あの二人の事だからまだ本気出してないって言う方が説得力があるわね……」

 

 

「……す、スッゲェ……!どっちも俺達と全然レベルがチゲぇよ……!……でも俺も何時かはあのレベルに立って一緒に戦いたいぜ!!」

 

 

「…………流石は翔に…監督生の人だね……。」

 

 

詠は蒼鬼とも引けを取らずに戦っていた事に驚いており、日影も無感情ながらも自分もうかうかしてられないと思う。そして未来と唯依は戦いが見えなかったがすぐに見える位の強さになり、更にその上を目指したいと改めて思った。春花は2人が本気出していないという事に呆れつつもその事に説得力があると思いつつ籠鉄は翔と蒼鬼の段違いの強さを目の当たりにしつつも更にやる気が沸き上がり自分も強くなることを誓い、響輝はどうやらここまでやると把握していたのかそう呟くのだった…。

 

 

(……本気を出していなかった………つまり俺の時も蒼鬼の奴は本気を…いや、今のような実力さえ出していなかったという事か…?………確かに翔の言う通り見た目に騙されている様子じゃ俺もその程度と言う訳か……)

 

 

一方光牙は以前に蒼鬼と戦っていたのだが案の定本気を出されておらず、更には今日の戦いを見てそれ以下の実力すら出していなかったという事に舌打ちをしつつ…以前翔の言っていた通り自分はまだまだであると把握し、何だかんだで光牙は次の課題を見つけていた……。

 

 

 

 

 

「………何故だ……?……何故蒼鬼はあそこまで強い……?……何故お前が蒼鬼とあれ程まで渡り合える……?私は籠鉄に勝てず、真司蛇に勝てず、光牙に勝てず……蒼鬼に勝てず…………翔にも勝てない………………何故奴等はあんなにも強い……?………………何故私は……こんなにも弱い…………」

 

 

そんな一方……焔は2人の戦いを見て……意識向上どころか意気消沈してしまっていた……。今まで幾度も翔に挑んでいた焔であったが蒼鬼は兎も角、翔でさえも自分との戦いに手を抜いていたという事実を突きつけられてしまったのだ……。その事実を知った焔にとって………ショックは大きなものであった……。

 

 

 

 

 

 

……こうして蒼鬼と翔の戦いは蒼鬼の勝利で終わったのだが結局本気を出したらどちらが強いのかは把握できないというオチで終わってしまうのであった…。

 

 

 



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ほんの少しの成長/物語の幕開け

 

翔と蒼鬼の模擬戦から2週間程が経った…。今日も翔達は蛇女にて厳しい修行を行っていた…のだが、その特別演習場にて光牙と焔が対峙していた。

 

いつもの通り焔が突っかかって光牙に勝負を挑みこうなっている……ようにも見えたが翔と蒼鬼の模擬戦以降焔は何故か翔達に突っかかってこなくなったのだ。その事に翔も疑問を覚えたが今日になって突然光牙に勝負を挑んだ為に「…いつも通りに戻ったか」と思いつつ2人の模擬戦を観戦していた。

 

光牙の戦い方は光の粒子を操りそれから剣、盾、弓等々様々な形に変化させてはそれらで戦う戦法を行っていた。

 

光牙が攻めれば焔は矢を回避しては時に刀で防ぎ、逆に焔が攻めれば光牙は弓を盾に変化させては的確に防いだ。……が、やはり段々と状況は変わっていき次第に焔が追い詰められていた……。

 

 

「秘伝忍法・『輝迅(きじん)』!!」

 

 

「ぐっ!?がああぁぁっ!?」

 

 

光牙の放った特大の光の矢が焔に直撃し、数十メートル先まで吹き飛ばされたが何とか受け身を取って体勢を整えた……が…

 

 

「…終わりだ」

 

 

(終わったか?)

 

 

光牙は既にもう一撃目を構えておりトドメを刺す準備が出来ていた。その為に普段の焔であればここで負けてしまうであろうと翔は思いそう考えた……が、何故か焔は追い詰められながらも不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

「何だ?気でも狂ったのか?」

 

 

「そんな訳ないだろ……寧ろ頗る快調だ!」

 

 

(………ほぉ?)

 

 

光牙の問いに焔はそう返す……そんな様子に翔は今日の焔はいつもと違っていた……いや、数日前から違うように見えていた。何故ならばいつもであれば男子勢にいつも突っかかっては返り討ちに遭うというのが日常茶飯事になっていたのだがここ2週間は何処か大人しく変に突っかかって来なかったのだ。(ただし話しかければ「話しかけるな」と言い出すのだが…)

 

そして光牙も焔がまだ闘志が消えていない事を把握し……

 

 

「……そこまで言うんだったら…失望させるなよ?」

 

 

「そんなの当たり前だろ?お前こそ、気を抜くんじゃないぞ?」

 

 

2人がそう言い合うと同時に動き出し……

 

 

「秘伝忍法・『閃光龍雨(せんこうりゅうう)』!!」

 

 

光牙は光の矢を空に向けて放った。すると矢は拡散し、龍の化身と化した光弾が、流星の如く降り注ぐ。対する焔は臆する事なく光牙に接近し光弾が近づいて来ると共に勢いよく飛び上がる。

 

 

「っ!?」

 

 

焔の行動に光牙は疑問を抱いた。閃光龍雨は上空から落下し相手を狙い撃ちする為の秘伝忍法であり、発動直前に矢よりも高い位置に居るか射程外に居なければ回避は難しいのだ。その事を焔は知っている筈であるのに何故か飛んだのだ。光牙が疑問に思う中焔も空中で身構え……

 

「秘伝忍法・『紅月(あかつき)』」

 

 

「……何ッ!?」

 

 

炎を纏った三日月型の斬撃を左右に振り、体を丸めては体制を元に戻した。その瞬間、炎の斬撃が全包囲に広がっては降り注ぐ光弾が全て相殺されていた。しかし焔は着地と同時に全身に力を込め…

 

 

「秘伝忍法・『響』!!」

 

 

焔は光牙の正面に一瞬で移動すると同時に光牙の上から特大の斬撃を放とうとした。

 

 

「秘伝忍法・『輝迅』!!」

 

 

しかし光牙も焔の来る位置を予測していたため、焔が自分の元に辿り着く頃には既に力が溜まっていた。そして2人の秘伝忍法が衝突したと同時に大爆発を引き起こした…!

 

 

「うああぁぁっ!?」

 

 

「ガハッ!?」

 

 

焔と光牙は互いに吹き飛んでは岩に激突する。その瞬間に焔の刀全てが焔の手元から吹き飛んでしまった。粒子を変化させる事で幾らでも武器を生成出来る光牙と違い、焔は自分で武器を生成する事は出来ない…これにより光牙は心の中で勝ちを確信していたが……

 

 

「……まだだ!」

 

 

焔は背中に担いでいた鞘から抜けない太刀をそのまま武器として使ってきた…!その事に光牙も予想が外れたのか少し驚きの表情を見せる。…そう、光牙自身焔のその太刀の存在を忘れていた。焔からあの刀は鞘から抜くことが出来ないと聞いていた為に使わないだろうと知らず知らずの内に決めつけていたのだ。その予想出来ない行動に光牙も少し動揺を覚えつつも…

 

 

「っ!…粒子変化(フォトランス)!!」

 

 

すぐさま冷静になり、光牙は即座に弓矢を盾に変化させては防御を図る。しかし焔は闇雲に突っ込んできた訳では無かった…。光牙に向かって勢いよく飛び掛かった瞬間に体を後ろに向けて片手で印を結んでいた…その行動に光牙も遅れながらも気付いた。

 

 

「火遁・豪火球の術!!」

 

 

焔が即座に印を結び終えると口元に手を構え、息を吹いた瞬間直径等身大程の火の球が出現した。焔は炎の勢いで光牙の近くまで飛び、七本目の太刀を光牙の真上から叩きつけようとした。対する光牙も粒子を集め、盾を強化する事で焔を迎え撃つが数秒で状況は変化した。

 

 

「でやあああああ!!!」

 

 

「ぐっ!?」

 

 

焔の刀が光牙の盾に亀裂を入れ始めたのだ。光牙も焔の力に押され徐々に後退していき……そして盾が完全に破壊され、光牙は岩まで吹き飛ばされた。

 

 

何とか体勢を立て直した光牙だったが、既に焔は光牙の目の前に移動しており次の攻撃に移っていた…!

 

 

「もらった!」

 

 

「っ!?」

 

 

このタイミングであれば光牙でさえも反撃は間に合わないであろう。このまま攻撃が当たれば焔の勝利は確信であった。……その事を焔も確信しておりこれまで幾度となく敗北した光牙を相手に押している事に舞い上がっていた。

 

 

……しかし次の瞬間、焔は首筋に僅かな痛みを感じた為に振り返った。

 

 

「……は?」

 

 

振り返ると目の前に居た筈の光牙が背後に居ては首筋に手刀を当てていた。その事に疑問を浮かべつつも徐々に意識が遠退いていき、そのまま気絶してしまった。

 

 

「決着!勝者、光牙!!」

 

 

「……ハァ……ハァ………」

 

 

鈴音の宣言で光牙の勝利が確定した……が、勝利した光牙は肩で息をしていた。無理も無い、今まで楽勝であった焔が突然ここまでの急成長を遂げ、自分を追い詰めてきたのだ。その事もあってか流石の光牙も焦りを感じていた…。

 

 

「お疲れ様でした、光牙さん、焔ちゃん……は気絶してますね…」

 

 

「……詠か…」

 

 

「少しの間じっとしていて下さい、今治療しますので。」

 

 

「………あぁ」

 

 

戦いが終わりた2人を労う言葉をかけたのは詠であり、光牙にそう言うと詠は掌にチャクラを集中させては光牙の傷の手当を行った。

詠が行ったのは医療忍術の基本忍術の『掌仙術』であり、自身のチャクラを傷口に流すことで、傷の治りを早める術だ。

 

 

「はい、これで大丈夫です。秘伝忍法を多用してかなり消耗していますわね。光牙さん、宜しければどうぞ」

 

 

「……ああ、頂く」

 

 

詠は光牙を気遣い、傷の手当だけでなく態々用意したのだろうか人数分のペットボトルの内一本を光牙に差し出した。

 

 

「…らしくないじゃん、いつも余裕で勝ってたのにここまで追い詰められて。今日は調子が悪かったか?」

 

 

「……お前も見ていてわかるだろう、今日のアイツは今までとは違っていた…。」

 

 

「まぁな。この2週間随分大人しかったからな……それが関係してるんだろうな。」

 

 

「………成程な……」

 

 

そんな光牙に翔は少し意地悪そうにニヤニヤしつつも光牙にそう言う…すると光牙は今日の焔がいつもとは違っていた事を話しつつも翔にそう返すと翔も大人しかった2週間にて焔が何かあったのだろうと把握しており、光牙も納得した。

 

 

「焔さん、大丈夫ですか?」

 

 

「ん、んん……」

 

 

一方気絶していた焔は蒼鬼の医療忍術で治療されては意識を取り戻した。気絶から回復し、起き上がった焔はぼんやりとしていたが急に我に返っては蒼鬼の肩を掴んで揺すり始めた。

 

 

「お、おい蒼鬼!勝負は!?勝負はどうなったんだ!?」

 

 

「お、落ち着いて下さい…結論から申しますと焔さんは気絶してしまい、光牙君の勝利となりました」

 

 

「何……だと!?」

 

 

焔の質問に対して蒼鬼は少し慌てるもすぐさま冷静に結果を伝えた。一方で焔は結果を聞いて愕然となるも、直ぐ様光牙に掴みかかった。

 

 

「おい光牙!お前は一体何をした?あの状況でどうやって私の背後を取ったんだ!?」

 

 

光牙は焔を振り払い、焔を鬱陶しいと言わんばかりの目で見ていたが小さく溜息をつき一言だけ答えた。

 

 

「……奥の手の1つを使ったとだけ答えてやる」

 

 

「何!?」

 

 

光牙の答えに焔は驚愕した…あの状況でまだ奥の手を隠していたとは思ってもみなかったのだ。

 

 

「クソっ!また光牙に負けた…!!」

 

 

「…まぁまぁ今回は結構いい感じだっと思うわよ?」

 

 

「う、うるさい!慰めなんか不必要だ!負けてしまったら意味が無いんだ…!」

 

 

またもやしてやられて負けた事に焔は悔しそうにそう言う。すると春花に慰めの声を投げかけられるも焔はそう返しては落ち込むのであった…。

 

 

「……光牙くん……」

 

 

「……何だ?」

 

 

「先程の技……あれは『抜き足』ですよね?」

 

 

「お前……知っていたのか?」

 

 

「はい、過去に戦った忍の中には何人か抜き足の使い手がいたものでして」

 

 

「…そうか」

 

 

「……成程な……。」

 

 

「「「「?」」」」

 

 

蒼鬼の問いに光牙は先ほど焔の背後を一瞬で取った技『抜き足』の事を答えつつ翔もその事に納得していた。しかし他のメンバーはその会話について行けずに「?」を浮かべてしまっていた…。

 

 

「ね、ねぇ……私達はその抜き足って技が何なのか全然分からないんだけど……」

 

 

「あっ……そうでしたね。ごめんなさい」

 

 

「べ、別に責めてる訳じゃないけど……と、とりあえずそれを説明してよ」

 

 

未来が光牙達に抜き足について聞き出そうとしたが蒼鬼が余りにも申し訳なさそうな表情で謝るのでそう言いつつも説明を頼んだ。

 

 

「……ですが何処から説明をすれば……」

 

 

「抜き足について説明するなら、少しだけ脳についての復習も必要だろう……」

 

 

「あっ!……そうでしたね」

 

 

しかしどうやら色々と説明をしなければいけない為に蒼鬼は説明する部分を考えると光牙にそう指摘されては納得し、軽く咳払いをすると…

 

 

「では先ず脳についてです。案外忘れがちですが人間は見聞きしている事を全て理解する事が出来ません……それが何故だか分かりますか?」

 

 

「えっ?……ええっと……頭の中がパンクしちゃうから……とか?」

 

 

「正解ですよ未来さん。脳は基本的に1度に記憶出来る許容量が決まっています。例えば…1度に全く別の話を二つ以上されてしまうと何れか1つしか記憶出来ない、或いは全て記憶出来ないという事があります。それは無意識の内に脳が必要ない情報だと判断して情報の処理を行っているからです。そして抜き足はそれを利用し、相手の無意識に潜り込ませる技なのです。」

 

 

「…無意識に潜り込ませる?」

 

 

蒼鬼の言葉に唯依は首を傾げた。…『無意識に潜り込ませる』……その言葉の意味がよく分からないからだ。

 

 

「はい、自身の接近を相手の生命の危機に迫るギリギリまで気付かせない古武術…そして特殊な歩法と呼吸法の合わせ技こそが抜き足です。先程説明した様に人間は見聞きしている物を脳が無意識に幾つか処理しています。そして抜き足は相手の無意識に潜り込ませる技……つまり抜き足とは自分の行動を相手の脳に無意識に処理させる為の特殊な動きをして自分の接近を気付かせない技なのです。」

 

 

「何だと!?」

 

 

蒼鬼の説明に焔は再び驚愕する。それ程厄介な技を隠す余裕がまだ光牙には残っていたのだと思うとまた悔しさが込み上げてきたからだ。

 

 

「でもさぁ……そんな凄い技なら初めから使えば誰にも負けないんじゃない?」

 

 

「そうだ!何故初めから使わなかった!?」

 

 

「アホか。そう簡単に使えるモンじゃねーよこれは。」

 

 

「?」

 

 

「……おい蒼鬼。」

 

 

「はい?……分かりました。」

 

 

未来の質問、そして焔がまた騒ぎ立てる為に翔がそんな2人にそう声を掛けるも唯依も翔の言葉に「?」を浮かべる。その事に光牙は蒼鬼に声を掛けつつも視線で訴えると蒼鬼は察しては話す前に先程詠に貰ったペットボトルを取っては水分を補給した。

 

 

「翔くんが言った事については引き続ぎ説明しますね。」

 

 

「えっ?……分かるの!?」

 

 

「はい、抜き足は確かに強力ですが誰にも負けないという訳ではありません。パワーもスピードも足りなければ下手したら誘い込まれて終わりです」

 

 

「……?……どういう事だ?」

 

 

「今回はパワーを基準としましょう。…相応のパワーがなければ抜き足で隙を突いても対したダメージを与えられません。例えば相手が全包囲に防御の術を張り巡らしていたらその防御を破れるだけの攻撃力か結界を無効にする術が必要です。詠さんクラスのパワーがあればエネルギーを溜める事なく相手の防御を破れるかもしれませんが大抵の忍はパワーが足りない場合はスピードを上げて勢いを付けるかエネルギーを溜めて相手の防御を破ろうとします。ですが抜き足は相手の無意識に潜り込ませる技、エネルギーを溜めて気付かれては意味がありません。相手の防御が固いと致命的な弱点を突かない限り中々抜き足は決まりません。」

 

 

「た、確かに……」

 

 

蒼鬼の説明に未来はぐうの音も出ない正論であった為に納得した。

 

 

「それにそもそも抜き足自体が習得が難しい技です。他の技や術と組み合わせるとなると相当な鍛練が必要ですし技によっては抜き足と相性の悪い物もありますから組み合わせれば良いという訳ではありません。」

 

 

「でも…何で焔の時は使わなかったの?」

 

 

「焔さんは戦闘での勘が鋭いですからね。仮に隙を突いても一撃で仕留めない限り抜き足を読まれると判断したのではないでしょうか?」

 

 

「なるほど…簡単にはいかないんだね。」

 

 

蒼鬼の説明に唯依と未来は納得し、未来は先程の自分の発言が何れ程軽率な物だったのかを理解しては考えを改めた。

 

 

「おい、光牙」

 

 

「何だ?」

 

 

「単刀直入に聞くが…お前の抜き足を破った相手はいるか?」

 

 

(…やはりな…)

 

 

その一方、焔は光牙に抜き足を破った相手がいるのかを尋ねた。その質問をしてくるであろうと予想していた様子であった。

 

 

「…何故そんな事を聞く?抜き足の弱点でも聞く気か?」

 

 

 

「いや、お前の奥の手と言うんだ。破った相手は当然お前より強いんだろう?だったらその相手と戦って見たくてな…」

 

 

「…………」

 

 

光牙はそう尋ねるも大方予想はついていた。恐らく抜き足を破った相手と戦いたいとでも言いだすであろうと思えば面白い程に予想通りであった。確かに自分も強者との戦闘は大好物だが焔はある意味自分以上の戦闘狂である為に戦いを求めない訳が無かった。

 

 

「……鈴音や鎧威、父には初手で破られた。」

 

 

だからこそ光牙は話す事にした。今は自分の方が上だがもしかしたら自分を越えうるかもしれない。負けるつもりは毛頭ないが焔が今よりも強くなればもっと上の次元……即ち自分の望む戦いが出来るかもしれないと思ったからだ。

 

 

「成程な…鈴音先生に鎧威先生も……よし!」

 

 

焔は両頬を軽くパンパン叩き、気合いを入れて高らかに宣言した。

 

 

「光牙!私はお前より先に鈴音先生に勝利する!勿論、鎧威先生にもな!そしてお前を越えて最強の忍になって見せる!!」

 

 

「…俺らは眼中に無いんかい。」

 

 

「……感じ悪いね……」

 

 

「…いや、そう言うつもりじゃ無いと思いますが……」

 

 

焔の宣言に翔はそう言う。……今まで散々突っかかって来たのにそう宣言する為に響輝がそう呟く。その事に蒼鬼は苦笑いをしつつフォローするのであった…。

 

 

「……良いだろう……但し、そんな事は絶対にあり得ないがな。」

 

 

「何だと!?」

 

 

「まぁまぁ……お二人とも…」

 

 

焔の宣言に光牙がそう返す為にまた突っかかっては再び火花を散らし始める為に詠が2人を落ち着かせようとし、そんな様子に未来は「また始まった」と言わんばかりに愚痴を零した。

 

 

「……蒼鬼」

 

 

「はい、何でしょうか鈴音先生?」

 

 

そんな時、鈴音が蒼鬼に話しかけた。翔も鈴音と同じ事を尋ねようと思っていたが鈴音も恐らく同じ質問であろうと思いあえて黙った。

 

 

「…あの焔の急激な成長、あれはお前の仕業か?」

 

 

「……いえ、私はあくまで効率の良いと思った修行を焔さんに薦めただけです。…勿論どれも簡単な物ではありませんがその修行を乗り越えて成長したのはあくまでも焔さんの実力です。」

 

 

「…やっぱりか……。」

 

 

鈴音の質問に蒼鬼がそう答える為に翔は納得した。恐らく焔自身1人で考えた修行では急成長など出来ずに今日の戦いもいつも通り数分も持たずに倒されていたであろう。しかしやはり焔の急成長は蒼鬼が勧めた修行の成果であったのだ。

 

 

「…でもどう言う風の吹き回しだアイツ?あんだけ俺や蒼鬼を忌み嫌ってたのによ…。アイツの事だから「お前の手など借りん!」とか言い出しそうなのによ。」

 

 

「……2週間前の私と翔くんの模擬戦の後、焔さんが悩んでいた事に気付いたんです。恐らく自身の成長の伸び悩みに……そして翔くんや響輝さんに光牙くんだけでなく真司蛇くんや籠鉄くんに勝てない事を悩んでいたんです。」

 

 

「……そんな時に監督生の人がガングロの人に提案したと…?」

 

 

「はい。監督生…教師としての権限を持つ者……すなわち生徒が悩んでいたら見過ごす事は出来ない…出来る事なら可能な限り手助けがしたかったんです。」

 

 

「………そうか、監督生としての仕事は怠っていない様だな。」

 

 

しかし案の定翔は疑問に思いそう尋ねる。確かに今までの焔が頭を下げて教えを乞うような奴では無いと翔も分かっているからだ。すると蒼鬼は案の定あの模擬戦以来焔が悩んでいた事を察しており監督生として悩んでいる焔の手助けをしたいと思い焔に自分の修行を提案したのだった。それを聞いた鈴音は監督生としての仕事も怠っていない様子に頷いた。

 

 

「…成程な、ようやくアイツも恥を忍んで頼んだか。」

 

 

「…いや、恥はかいてないと思いますが…」

 

 

「……いや、今まで散々恥さらしてきたでしょ?それを考えればそうなると思うけど……」

 

 

「……う~ん……」

 

 

そんな焔の話を聞いては翔がそう言いだす為に蒼鬼がそう言うも響輝の言葉に流石の蒼鬼も少し考える表情となった……。確かに今まで翔達に意味もなく突っかかってきた行動はある意味みっともない感じであったからだ……。

 

 

「……とりあえず詰め込むのは結構だがお前も絶対に修行を怠るんじゃないぞ。そして明日には籠鉄と真司蛇が戻ってくる、明日は全員揃い次第忍部屋で今後の方針を説明する予定だ。明日からはより過酷な訓練を行う為に今日は一旦忍部屋に戻り休息を取れ。」

 

 

「はい。」

 

 

「毎回過酷過酷付けてないか?」

 

 

「黙れ、一々口出しするな」

 

 

鈴音はとりあえず蒼鬼にそう声を掛けつつも任務で今は不在の籠鉄と真司蛇が明日帰ってくる事を伝えつつ更に今後の方針を説明する事を話す。そして明日から更に過酷な訓練を行う事を話すも翔にそう口出しをされる為にそう言っては一瞬にして鈴音は姿を消した。

 

 

「……過酷な修行って何だろうな…」

 

 

「…また重りの重さ増やす感じじゃないの?」

 

 

「…いやいや、そんな生温いだけじゃ無いと思いますよ……多分……」

 

 

翔が呟くと響輝はそう思ったのかそう言いだす為に蒼鬼は苦笑いでそう伝える。……実際過酷な修行を行っても翔達は難なくこなす為に翔や響輝にとってはぬるい感じになってしまっている様子であった…。

 

 

「……さてと……」

 

 

そしてふと蒼鬼はそう呟いたと同時に焔達の方を向くとまたもや光牙と焔がにらみ合っていた。…どうやら焔が光牙の挑発に乗り再び戦おうと火花を散らしている様子でありそれを日影を除く他のメンバーが2人を止めようとしていたのだ。…一方日影は面倒くさいのか付き合ってられないのか部屋に戻ろうとしていたが……

 

 

「………どうしましょう……?」

 

 

「…脳筋ばっかりかこの学園は……」

 

 

そんな光景に蒼鬼は苦笑いをし、翔も呆れながらそう言うと3人は仲間達の元へと駆け寄るのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………そして場所は変わりとある山里近くの道路のバス内にて……

 

 

 

そのバスの中にて黒髪の少年がバスの席に座っており荷物の中から1枚の写真を取り出して何処か懐かしむかのような表情をしていた……。

 

……その写真にはまだ幼い頃の少年と1人の少女が写っていた。

 

 

「…半蔵学院か……ある意味里帰りみたいなものだよね。」

 

 

少年はそう呟くと写真をしまってバスの窓から景色を眺めた。

 

 

「…5年ぶりか……『飛鳥』ちゃんは元気にしてるかな…?」

 

 

少年…『佐介』は景色を眺めながら写真に写っていた少女の名を誰にも聞こえない様な小さな声で呟くのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………この少年……『佐介』が半蔵学院にたどり着いたとき………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………この物語が幕を開けるのであった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

←To Be Ccontinued・・・?

 

 

 

 

 




はい、実はまだ序章でしたw

と言う訳で次回からは超秘伝忍法の乱編がスタートいたします!(シノマスにて確か無印ストーリーはそんなタイトルでしたよね?w)




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第1章 超秘伝忍法書の乱編
波乱のチーム戦


……忍の朝は早い。特にここ、蛇女子学園では日々強くなる為に、選抜メンバーに選ばれる為にとそれぞれ考えは違うが強くなることを願っている忍達は既に朝早くから朝練を行っていた……。

 

 

「やあぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

「…………。」

 

 

その中で翔達も朝練を行っており、唯依と響輝が模擬戦を行っていたのか戦っていた。…最もただ単に唯依が響輝に攻撃を当てようと拳を振るっては連続攻撃をするも響輝はいとも簡単に唯依の攻撃を回避していた……。

 

 

「うぅぅ!くそぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

「足元がお留守。」

 

 

「ぎゃんっ!!」

 

 

攻撃が当たらず悔しそうにしつつも連続攻撃を仕掛けるが響輝に足を引っかけられて唯依は盛大に倒れ込んでしまった。

 

 

「ぅぅぅ……少しは手加減してよ……」

 

 

「…手加減したら意味無いだろう?それとももう音を上げたのかい?」

 

 

「むぅぅ…やあぁぁ!!」

 

 

攻撃が全然当たらず悔しそうにしつつムスッとしてそう言う唯依に響輝はそう軽く挑発すると再び唯依は連続攻撃を仕掛けて響輝に攻撃を仕掛けた。

 

 

「…青春だねぇ…って何かガイセンセみてぇな事言ってんな…。……まぁ今の唯依じゃ響輝に攻撃を一発でも当てるのは難しいだろうな…俺でも真正面でやり合って勝った覚えねぇしな……。」

 

 

唯依と響輝の修行を見つつ翔はそう呟いた。そんな時……

 

 

「きゃあっ!!」

 

 

「おん?」

 

 

突如自分の前にて何者かが落ちてきた。どうやら他にも模擬戦の修行をしていた女子生徒が居たのかその生徒が落ちてきた様子であった…。

 

 

「っっっ!す、すみませんすみませんすみませんっっ!!!」

 

 

「いーよ気にすんなって。てか逆にそんなに謝られた方が気ぃ悪いぞ…」

 

 

「ひぃ、す、すみません!!」

 

 

その生徒はすぐさま立ち上がっては慌てて頭を下げつつ翔に謝罪する。……選抜メンバーだからかそれとも去年の問題の件でなのかここまで怯えられた方があまりいい気がしない為にそう言いつつ許すも更に怖がらせてしまった様子であった。

 

 

「……ちょいと失礼。」

 

 

「…え!?あ、あの……」

 

 

そんな時翔はふと何かに気付いたのかしゃがみ込んではその女子生徒の足を…スネ辺りを見つめる。……案の定そんな事をされる為に生徒は戸惑うも……

 

 

「…そぉい!」

 

 

「……いっ!?~~~~~~~~~~~~~っっっ!!!???」

 

 

「……やっぱしな、今の落下で痛めたろ。」

 

 

突如女子生徒のスネに軽くチョップを喰らわせた……瞬間にその女子生徒は激痛に蹲ってしまう。どうやら足を見ていた訳では無く今の落下で足を痛めた事に気付いたからであったのだ…。

 

 

「………よっこいせっとっ!」

 

 

「…え!?ちょ、しょ、翔様!?////」

 

 

「気にすんな。俺が医務室まで連れてってやるよ。」

 

 

「だ、だだだ大丈夫です!ひ、一人で歩けます!!///」

 

 

「怪我人が無茶すんなって、ここは俺に任せとけって。」

 

 

「で、でででですが…!!///」

 

 

「あーもーめんどくせぇなー…命令だ、黙って俺に医務室まで運ばれろ。」

 

 

「~~~~~~~~~~~~~っっっっ//////」

 

 

そして翔は怪我をした女子生徒を抱きかかえ医務室に連れて行こうとした。案の定そんな事をされた為に女子生徒は顔を真っ赤にして騒ぐために翔はそう言いつつ黙らせた。……案の定黙り込んだ女子生徒は湯気が出てしまう程に顔を真っ赤にしてしまっていたが……

 

 

「……むぅぅ~~~~!」

 

 

「…チッ………」

 

 

そんな光景を見ていた他の生徒は何処か嫉妬するような表情となっており、案の定唯依もムスッとしており、響輝に至ってはつまらなさそうにしつつ舌打ちまでもしていた…。

 

 

「…って…わぁっ!?ひ、響輝さん!?」

 

 

「……修行を再開するよ。こんなレベルじゃ選抜メンバーからすぐ外されるぞ…」

 

 

「わぁぁん!!だからって八つ当たりはやめてよぉぉぉぉ!!!」

 

 

その瞬間、突如響輝が攻撃を仕掛けてきた為に唯依は慌てて回避するも今度は響輝が連続で攻撃を仕掛けてくる為に唯依はそう言いつつも必死に回避するしか出来ないのであった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________________________________

 

 

 

 

 

朝練が終わり午前7時……。翔達、そして蒼鬼以外の選抜メンバーは既に揃っていた。焔と光牙は武器の手入れを、春花は傀儡のメンテを、日影は日向ぼっこを、そして未来と詠は何やら小声で打ち合わせ……と言う名の詠のもやしトークに付き合わされている未来の姿があった……。

 

 

「おいっすぅ~~~!!おはよ~~~~さ~~~ん!!」スパーンッ!

 

 

「……おは~~~」バチーンッ!!

 

 

「あいだあぁぁっ!!!??」

 

 

そして登校してきた翔達……主に翔と響輝は挨拶をしながら前かがみになって突き出していた詠の尻をいい音がするかのように叩いた。よっぽど痛かったのか詠は尻を抑えながら蹲ってしまった………。

 

 

「な、何するんですのぉぉ!!??」

 

 

「オメーが叩いてほしいとばかりにケツ突き出してるからだよ」

 

 

「右に同じく。」

 

 

「理不尽ですわ!?てか響輝ちゃん力加減可笑しくないですかぁ!?……絶対赤くなってますわ……(涙)」

 

 

「そりゃー悪い事したなー。どれどれ…?」モミ

 

 

「ひゃわんっ!?///ちょ、しょ、翔くん!!///」

 

 

「相変わらずのデカケツだなオイ。ほ~れよしよ~~~し♪」モミモミ

 

 

「……本当だよ。何人産めるんだろうね…」ギュ~

 

 

「しょ、しょしょ翔くん揉まないでくださいましっ…あだだだだ!?ひ、響輝ちゃんは引っ張らないで!?」

 

 

(……色々ツッコミどころ多いけどそろそろ解放されたかったからある意味助かったね……(汗))

 

 

突然尻を叩かれた為に詠は翔と響輝に盛大にツッコミを入れるも2人は堂々とそう答える。特に響輝の方が痛かったのか詠は尻を擦りながら涙目でそう言う。そんな詠に翔は本当に悪いと思っているのだろうかと思うようにそう言いつつも翔は詠の尻を揉みだし、響輝も便乗するかのように詠の尻を引っ張るのであった。

一方もやしトークに付き合わされていた未来はそろそろウンザリしてて解放されたいと思っていたのかこんな形で解放された事にツッコミはあるが助かったと内心で思っていた。

 

 

「………何してるんですかみなさん…?」

 

 

「お~蒼鬼か。おはよう。」

 

 

「…おは~」

 

 

(……た、助かりましたわぁ………)

 

 

蒼鬼も登校してきて忍部屋にやって来ては早々にこんな光景を見せられる為にジト目になりつつ呆れながらも翔達に尋ねた。やって来た蒼鬼に翔と響輝は挨拶をしては詠は尻揉みや抓りから解放された為に尻を擦りながら内心でそう思うのだった。

 

 

「はい、おはようございます……いや、挨拶は良いですが朝から何してるんですかお二人は……」

 

 

「いやな、詠が「叩いてください♪」と言わんばかりにケツ突き出すからな、リクエスト通り叩いたら滅茶苦茶怒りだすから癒してやろうと撫でたら騒ぐし…ワガママだよ詠は……」

 

 

「…右に同じく」

 

 

「いやいやいや色々理不尽ですし可笑しいですわぁぁ!?てかお尻突き出していたからって普通は叩きますかぁぁ!?」

 

 

「いや、叩くだろ常識に考えて。」

 

 

「そうだよ(便乗)ケツバットやタイキック受ける際もケツ突き出すんだから常に詠は「叩いてください」って言ってるようなモンだよ。」

 

 

「………わ…わたくしが……間違ってるの…ですか………?」

 

 

「いやいや!?詠さんは間違っていないですよ!?てか翔くんも響輝さんも間違った入れ知恵しようとしないでください!!」

 

 

挨拶は一応返すもやはり何故にこんな事になっているのかを蒼鬼が尋ねると翔と響輝はそんな事を言い出す為に詠がそう返すも翔と響輝がそう主張する為に段々と詠は自分自身の常識が間違っていると錯覚を起こし始めるので蒼鬼は詠を落ち着かせつつも2人に注意をするのであった……。

 

 

「と、とりあえず詠お姉ちゃんのお尻の話は置いといて「置かないでくださいまし!?」蒼鬼、今日も朝から長時間修行してたの?」

 

 

「ゑ?あ、はい…日課ですから。」

 

 

このままじゃ話が終わらない為に未来は話を切り上げ蒼鬼にそう尋ねると蒼鬼は未来の問いにそう答えた。監督生である為に蒼鬼も普段から鍛錬も怠らず下手すれば常人では出来ないレベルの修行法を行って自分を追い込んでいるのだ。

……その事を未来も知っている為に心配していたのだ。

 

 

「ねぇ蒼鬼……幾らなんでも詰め込み過ぎじゃない?焔や光牙達だって修行の量は同じかも知れないけど、アンタには監督生って立場が「いえ、そうはいきません。」返答早っ!?まだ最後まで言ってないんだけど!?」

 

 

未来は蒼鬼を心配してそう声を掛けるも言い切る前に蒼鬼がそう返す為にツッコミを入れた。

 

 

「私には絶対にやり遂げなくてはならない事があります。…その為には多少の無理はしても気にしてはいられません。」

 

 

「……多少って……でも「まぁ良いじゃねぇか未来」しょ、翔?」

 

 

「本人がそう言ってんだし。やらされてとか嫌々やってる訳でも無いし本人がやりたいようにやってんだ。だったら本人の好きにやらせてやれば良いと思うぜ。俺も好きにやってるんだし……」

 

 

「…アンタのは好き放題な気がするけど………」

 

 

蒼鬼はやらないといけないという事……以前翔にも話した蛇女を最強の忍学校にしたいという目標の事であろう。それを目指す為には自分自身が強くならねばいけないという事でもある為に気を抜けないという事だろう。

 

…それでもやはり未来は心配するが翔がそう言う。蒼鬼自身がやりたいと願っているのだから好きにやらせてあげた方が良いという事を翔はフォローするように言うのだった。

 

 

「…けどな、未来の言う通り無茶し過ぎて倒れるような事があるんだったら俺は許さんぞ?そん時は尻を千叩きだ。」

 

 

「尻叩きって……子供か……ってか千!?お尻壊れるわ!?」

 

 

「……は、はい…分かりました…。」

 

 

しかし自分自身で追い込んでおきながら倒れるような事があれば翔もそれは許さないと言いつつ、そうなれば仕置きとして尻叩きを伝えた。その事に未来は子供の仕置きかと呆れつつも………回数にギョッとして想像したのか自分の尻を抑えた。

一方蒼鬼も少し間はあったがそれは流石に嫌な為に納得するのであった……。

 

 

 

 

 

 

「………あの子達、朝からよくお尻であそこまで語れるわね……」

 

 

「…いや、アンタがそのツッコミを入れるんかい……」

 

 

一方翔達の会話に春花は少し呆れながらそう言う……も普段から春花も結構な下ネタ発言したりする為にそのツッコミを自分が入れるのかと日影がツッコむのであった。

 

 

 

そんなやり取りをした時、突如忍部屋のエレベーターが到着した。

 

 

「よぉ、今戻ったぜ!」

 

 

「あっ!籠鉄さん、お帰りなさい。」

 

 

「よー、暫くぶりだな。」

 

 

エレベーターから出てきたのは籠鉄であり、任務が終わって帰ってきた様子であった。

 

 

「抜忍の捕縛任務、お疲れ様でした籠鉄君。」

 

 

「おう、サンキュー蒼鬼。でもまぁ真司蛇の方が上手くやってたんだけどな!」

 

 

「いえ、籠鉄君は篭鉄君で真司蛇君は真司蛇君ですから余り気に病む必要はありませんし誰も気にしませんよ。」

 

 

「そっか…サンキューな!」

 

 

蒼鬼が労いの言葉を掛けると籠鉄は素直に受け取りつつ笑顔でそう返した。

 

 

「ところで…俺達が居ない間には何かあったか?」

 

 

「それなら昨日の組手で焔が光牙をかなり追い詰めてたよ。」

 

 

「おっ!マジでか!?詳しく聞かせてくれよ未来!」

 

 

籠鉄の問いに未来がそう答えると籠鉄は食いつく様に問い詰めた。やはり好戦的な性格である為に興味が沸いた様子であった。なので未来は昨日の戦いの事を話すと……

 

 

「マジか……凄えな焔の奴。…よし、久々に組手でも頼むか!」

 

 

「元気やねぇ君~」

 

 

帰ってきて早々焔に勝負を挑もうと思っている籠鉄に翔がそう言う。確かに任務から帰ってきてそう思えるほどに元気なのであった。

 

……そんな時再びエレベーターが到着し…

 

 

「…あっ!お帰りなさい真司蛇さん。」

 

 

「…あぁ、今戻った。」

 

 

同じく籠鉄と共に任務に出ていた真司蛇も戻って来た。

 

 

「おうよ、どうだったよ任務の方は?」

 

 

「…手応えがなかった……と言いたい処だが籠鉄がいなければ危なかったな。」

 

 

「そ、そうか?へへへ……サンキュー」

 

 

翔が真司蛇に任務の感想を尋ねると真司蛇は思う様な結果は得られなかった様子でありそう答えるも任務の中で籠鉄が居なければ危ない場面があったのかそう評価する為に籠鉄は少し照れくさいのか軽く頬を掻きつつもそう返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…全員揃っているな?」

 

 

そんな時、突然に鈴音が忍部屋に現れて一同に尋ねる。どうやら本日の訓練の内容を伝えに来たのであろう。

 

 

「今日からの訓練は、個人戦ではなく連携を行う為のチーム戦を重点的に行う」

 

 

「…チーム戦だと?」

 

 

鈴音の説明に光牙は首を傾げる。連携の修行は今まで何度か行った事があるがチーム戦の経験は無かったからだ。

 

 

「そうだ。お前達には4人1組のチームを3つ作りサバイバル戦を行ってもらう。…忍は個人の実力もだが任務は基本的にチームで行う為如何に連携出来るかが鍵となる。この訓練は連携力を向上させる為の物という事だ。」

 

 

「……へぇ、面白そうじゃん。」

 

 

「…了解した。」

 

 

鈴音の説明に響輝がそう言い、光牙も了承して頷いた。

こうして本日の修行はチーム戦という事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________________________________

 

 

 

 

 

チーム分けをする為に春花はすぐさまクジ引きを用意し、翔達はクジを引く事となった。クジには赤の印と青の印、そして色無しである白が3つずつ用意されており、クジ引きの結果、赤のチームが響輝、焔、籠鉄、光牙。青のチームが翔、蒼鬼、詠、未来。白のチームが唯依、真司蛇、春花、日影となりチーム分けが完了したのだった。

 

 

「ではこの3チームで競い合ってもらう。それぞれ指定場所に集合、合図があるまでは待機していろ。」

 

 

「「「「はい」」」」

 

 

「おう」「うっす」「…了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして場所は変わり翔達青チームは天守閣付近にある橋がスタート地点であった。

 

 

「…さてと…皆さん揃いましたので勝利条件の確認をしましょう。」

 

 

「えっと…各チームに3つずつ渡された天と地と海の巻物を相手チームから奪って天と地と海の全てを揃えるか相手チームの全滅かだったよね?」

 

 

「……となるとどちらの勝利条件を目指すかが鍵ですわね。」

 

 

「………正直に言えばチーム全体の戦力を考えると強さだけであれば光牙くん達のチームが一番でしょう。正面戦闘では倒しにくいし春花さん達のチームも唯依を除けば全員3年生……戦闘以外の心得もある筈ですから奪うにしても容易ではないでしょう。」

 

 

スタート地点に揃った蒼鬼は勝利条件とルールを確認する。各チーム毎に渡された巻物を全種類揃えるか相手チームを全滅させるかの二択である。因みに蒼鬼達は海、光牙達は地、春花達は天と1チームに同じ巻物が3つずつ渡されており巻物は蒼鬼が持っていた。

 

そして戦力であれば光牙達のチームが一番強いと蒼鬼は想定し、春花達のチームも唯依以外は3年メンバーである為に容易にはいかないと想定していた。

 

 

「…光牙やシスさん達は兎も角……響輝が敵に回るのは厄介だな……。」

 

 

「……そうですわよね……普段何考えてるか分からないし何仕掛けてくるかもわかりませんし……。」

 

 

「………やっぱりそんなに凄いの、響輝って……?」

 

 

「凄いも何も……その気になったら俺はアイツに勝てねぇだろうな。」

 

 

「…ヴェ!?」「そ…そんなに……!?」

 

 

(………成程……やっぱり響輝さん、普段は手を抜いてたって事ですか……)

 

 

普段共に行動している響輝が敵に回った事に翔はそう言いつつ、普段の行動や考えが読めない為に詠も同感した。その際に未来がそれ程凄いのかと尋ねると翔の発言に未来は勿論のこと、詠もその事に驚いていた。そして蒼鬼も響輝が普段から本気を出さずに手を抜いていた事を把握していた。

 

 

「…じゃあ相手チーム同士をぶつけてその隙を伺う?」

 

 

「……それもそれも難しいでしょう。能力相性から考えて、真っ先に私達が狙われると思います。」

 

 

「では、分散して不意打ちを狙いましょうか?」

 

 

「……不意打ちは春花さんのチームに真司蛇君が居るので恐らく効きません。光牙君のチームにも焔さんや光牙君なら戦いに集中している時を狙えば可能性はありますが、敗して籠鉄君に捕まれば一貫の終わりです。…ですが分散に関しては同意見です。全員纏めてやられたらそれこそ意味がありませんからね。」

 

 

「…だな。籠鉄のヤツもそうだが響輝のヤツも勘が鋭いからな……下手すりゃ場所も特定されちまうしな。」

 

 

「じゃあどうするの?」

 

 

未来と詠がそれぞれ案を出すも蒼鬼はそれらは難しいと思いつつも分散した方が良さそうである事を提案する。そして策を練る為に蒼鬼は黙り込みつつ策を考えこみ……

 

 

「……皆さん、いい策を思いつきましたよ。」

 

 

策が練られたのか小さく笑みを浮かべつつ翔達に伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……蒼鬼が策を練っている一方の春花達白チームは……

 

 

「……やっぱり厄介なのは翔くんと蒼鬼ちゃん、そして光牙くんに響輝ちゃんね。他の皆も確かに強いけどその4人がそれぞれ2人揃ってるのが本当に厄介ね。」

 

 

「…うん、お兄ちゃんも蒼鬼姉も……響輝さんも光牙さんも……みんな強いよ…。」

 

 

「…だろうな。じゃあどうする?罠を張るにしてもあいつらには恐らく通じないし日影も能力的に恐らく光牙との相性は悪いしな。」

 

 

「せやね。儂も光牙さんが相手やと足止めも大して長続きしない気がするで。」

 

 

春花を中心に作戦を決めていた。やはり翔や蒼鬼、光牙に響輝が敵に回ると同作戦を練れば良いかと悩むところであった。特にメンバーの中でも上位のスピードを誇る日影を光牙にぶつけようと思おうとも光牙は日影にも劣らない素早さを持ち、遠距離攻撃を持っている為に近距離型の日影には天敵その物であった。

 

 

「……実力的に光牙くんの足止めは真司蛇くんがベストだとして…翔くんや蒼鬼ちゃん達の事を考えればとなると……二手に分かれた方が良いかもね。光牙くんの足止めは真司蛇くんと唯依ちゃんに任せて蒼鬼ちゃん達は私と日影ちゃんで頑張りましょうか。」

 

 

「了解や」

 

 

「……で……出来るかな………?」

 

 

「…だがそれだと焔達はどうする?」

 

 

春花はここは二手に分かれる作戦にする事にした。その事に日影は軽く頷き唯依はかなり緊張している中、真司蛇がそう尋ねると春花は小さくニヤリと笑みを浮かべる……どうやら既に対策は考えている様子であった。

 

 

「心配しなくても大丈夫よ、私にもとっておきの拘束術があるから。成功すれば他の皆も止められる筈。その為にもそっちはお願いね。」

 

 

「分かった。」

 

 

「了解や。」

 

 

「……………………。」

 

 

「……唯依、そんなに固くならなくても良い。お前は自分自身でやれるだけの事をやれば良い、それだけだ。」

 

 

「は、はい…!」

 

 

春花がそう言うと真司蛇と日影は頷くもやはり唯依は緊張してしまい黙り込んでしまう為に真司蛇が唯依の頭を軽く撫でつつそう言うと唯依は力強く頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方の光牙達赤チームは……

 

 

「本当にこれで大丈夫なんだろうな?」

 

 

「当たり前だ。お前と一緒にするな」

 

 

「な、何だと!?」

 

 

「張り合うな、こんな時に!!」

 

 

「………………。」

 

 

何やら術を仕込んでいる様子であるが焔と光牙がよく張り合う為に度々籠鉄が止めては響輝は呆れた表情をしていた。

 

 

「……まぁ良いだろう。私には口寄せ以外の時空間忍術は使えないしな。」

 

 

「それで良い。」

 

 

「…ハァ…やれやれだぜ……「バンダナの人」ん?」

 

 

そんな2人を制止しつつ呆れていると響輝が突如声を掛ける為に籠鉄は振り返る。

 

 

「………本当に受けるのかい?あの提案。」

 

 

「…まぁな。心配してくれてるのか?」

 

 

「………まぁね、ハッキリ言ってあの作戦は反対だよ。ある意味チームワークも糞も無い。止めるんだったら今の内だ、あのバカ共が何言おうが断るんだったら断った方が良い。」

 

 

響輝がそう言う。………どうやら光牙達は何やら響輝が不快に思うような作戦を立ててはそれを籠鉄にやらそうとしている様子であった為に響輝は籠鉄に断るように言うのだった。

 

 

「…心配してくれてありがとうな。でもこれで勝利に繋がるんだったらそれはそれで構わねぇよ。」

 

 

「…………………。」

 

 

しかし籠鉄はその作戦を反対するどころか引き受ける様子であった為に響輝は段々と呆れた表情となり……。

 

 

「………馬鹿ばっかり………」

 

 

「!?お、おい……まだ始まっちゃいねーんだぞ!?」

 

 

響輝は呆れつつそう言うと武器の滑空砲を手に持ち砲撃する体制になる為に籠鉄は驚きつつも止めようとするが響輝はそのまま発砲してしまう……。

………しかし既に空には『始』の信号弾が浮かんでいた為に戦闘が始まったという事になっていた。どうやら開始の合図と同時に響輝は滑空砲をぶっ放したという事であったのだ………。

 

 

「………う、撃って……良かった……のか…?」

 

 

「当たり前じゃん」

 

 

籠鉄がそう言うも響輝は平然と答えた。……戦いは始まったのだから卑怯も何もないという事であった。

 

 

「…おい貴様ら、何している?早く行くぞ。」

 

 

「ゑ?あ、お、おう!」

 

 

「……偉そうに……」

 

 

そんな2人に光牙がそう言うと籠鉄は慌てて駆け寄り、響輝はそう吐き捨てつつも光牙達の元へと行くのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……チィッ!」

 

 

「ヴェ!?」「ふぇ!?ちょ、しょ、翔くん!?///」

 

 

翔は何かに勘づいたのか舌打ちをしつつ突如未来と詠を担ぎ……

 

 

「蒼鬼!下がるぞ!!」

 

 

「ゑ!?ちょ、翔く……っ!」

 

 

翔がそう言いつつ2人を担いでこの場から離れようとする為に蒼鬼も動揺するが彼女も察したのか翔の言う通りこの場から離れ……そして何かが着弾したのか爆発を起こした……!

 

 

「ひ…ひえぇ……」

 

 

「な、何が起きましたの……?」

 

 

「響輝の奴だろう。アイツ開始と同時に滑空砲を放ってきたな。」

 

 

「………精密にここを狙ってくるとは……。でもという事は今ので場所を察されたという事……ですね……。」

 

 

突如自分達が居たスタート地点が爆発を起こした為に未来と詠は一体何が起きたのか理解できずに驚き、翔がそう言うと蒼鬼もそう察した。響輝には場所を察されており、今の爆発によって自分たちの居場所が他のメンバーにも悟られてしまったという事であった。

 

 

「……とりまーアクシデントがあったがやる事は蒼鬼の作戦通りにだ、その通りにやれば良い。だが響輝のヤツが来たら知らせろ、俺が止めるからよ。」

 

 

「…そうですね……お願いします。」

 

 

アクシデントがあったもののやる事は変わりが無いので翔がそう言うと蒼鬼は頼み、作戦を開始するのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『日影ちゃん、そっちはどう?』

 

 

「いや、まだ誰も見当たらん。」

 

 

一方春花達は無線通信で状況把握を図っており、案の定先ほどの爆発地点を探っていた。

 

 

『真司蛇君は?』

 

 

『……案の定未来と詠を見つけた…。……そして近くに…光牙か……どうやらやり合うつもりらしい。』

 

 

『……恐らく光牙くんは気付くわね……真司蛇君、唯依ちゃんと一緒に戦いに乱入して最低でも光牙君の足止め、可能なら殲滅して』

 

 

『了解した。』

 

 

『は、はい!!』

 

 

真司蛇は早速未来と詠を発見し、光牙と戦おうとしている様子を確認した。それを把握した春花は短時間で真司蛇と唯依に指示を出す。

 

 

「……春花さん、蒼鬼さん見つけたで。」

 

 

『他には誰かいる?』

 

 

「後は焔さんや。翔やんや響輝さん、籠鉄さんは見当たらんけどなぁ」

 

 

『…そう……私も行くから足止めしておいてもらえる?』

 

 

「了解や」

 

 

日影も蒼鬼を見つけ状況を伝えると春花は指示を出して日影はそれを了承する。そして日影が通信を切った瞬間……

 

 

「ハアッ!」

 

 

「ッ!?」

 

 

焔が正面から斬りかかって来た為に日影も飛び上がっては回避する。

 

 

「チッ!流石だな日影…!」

 

 

「焔さんこそ……何時から気付いとったんや?」

 

 

「蒼鬼がやけに余所見するからな……嫌でも気になるさ」

 

 

「…成る程なぁ、蒼鬼さんのお陰か」

 

 

「う、五月蝿い!とにかくだ!お前達を倒させてもらうぞ!!」

 

 

「ええで。まぁ倒される気は更々無いけどなぁ」

 

 

両者そう会話をすると日影はナイフを構え、焔も六爪を構えてぶつかり合おうとした瞬間……

 

 

「水遁・スイレイハ!」

 

 

「「!」」

 

 

突如水の攻撃が飛んできた為に2人は素早く回避する。今の攻撃を行ったのは蒼鬼であり、彼女もクナイを構えて戦闘態勢になっていた。

 

 

「……やはりこの程度の不意打ちは効きませんか。」

 

 

蒼鬼がそう言うと巻物を取り出し、同じく焔と日影も巻物を取り出した。その巻物は奪い合う方の巻物ではなく忍が戦いに使う為の巻物…『秘伝忍法書』であった。

 

 

「「「忍・転身!!」」」

 

 

3人はそう叫ぶと同時に衣装が変わった。

 

……忍転身とは忍が持つ本来の力を発揮する為に必要な技であり、衣装を自身のイメージした物に変換し更にはダメージを軽減出来るという防御に秀でた能力である。無論攻撃力も上昇し正に忍が戦う為には不可欠な能力なのだ。

 

 

「…行くぞ!!」

 

 

「…望むところや」

 

 

「参ります!」

 

 

そして3人は一斉に動き出しぶつかり合った………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よぉ。」

 

 

「………やっぱり翔が来たか……。」

 

 

その一方、翔と響輝が対峙していた。翔は素手で、響輝はメイスを手に持ちにらみ合っていた。

 

 

「開始早々良い所にぶっ放してくれたな。また射撃の腕上がったんじゃねぇか?」

 

 

「…やっぱり翔達が居たんだね。卑怯とか言ってくれないでよ?開始の合図は出ていたんだし。」

 

 

「たりめーよ、勝負に卑怯も糞もねぇしな。」

 

 

翔と響輝はそう会話をする。開始早々に放ってきた砲撃の事を言うも別にケチをつける訳でも無く翔自身も戦いに卑怯も無いという事を言うのだった。そして会話が終わった瞬間、両者は動き出しぶつかり合った……!

 

 

翔が拳を振るえば響輝は回避又はメイスで受け止め、響輝がメイスを振るえば翔はそれを回避しつつ当たりそうになれば武器の1つのトマホークを手にしてメイスを受け止める。両者目にも止まらぬ攻防戦を繰り広げていたが……

 

 

「………?」

 

 

攻防を繰り広げつつもふと翔は響輝から違和感を感じる。何やら何処か怒っているような何かを感じたからだ。

……そんな時に響輝がメイスを振るい翔が受け止めるもダメージは受けずとも威力がある為に吹き飛ばされてしまう。しかし何とか体勢を整えては着地をした。

 

 

「…どうしたよ響輝、随分機嫌悪いな?」

 

 

「……分かる?」

 

 

「あたぼーよ、何年ツレやってると思ってんだ。」

 

 

響輝の機嫌が悪い事に翔が尋ねると響輝がそう答える。やはり翔が察した通り響輝は何故か機嫌が悪い様子であった。

……両者会話をしつつもしかし激しい攻防戦は止めなかった。

 

 

「……悪いけど翔、多分私途中で戦い止めてリタイアすると思う。」

 

 

「そんなにか?何があったんだよ?」

 

 

「………直に分かるから作戦内容は言わないけどけったくそ悪い作戦だから気分が悪いんだよ。チームワークも糞も無い……クソみたいな作戦さ……」

 

 

(…………一体どんな作戦立てやがったんだアイツら……?)

 

 

響輝の発言に翔は驚きつつも尋ねると響輝がそう答える為に翔は内心でそう思う……。響輝がここまで機嫌が悪くなっている為に光牙達は一体どんな作戦を立てたのかと疑問に思いつつも今は蒼鬼の作戦通り響輝を食い止める為に翔は響輝と激しい攻防戦を繰り広げるのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方、未来&詠と光牙、真司蛇&唯依の三つ巴の戦いは……

 

 

「秘伝忍法『ヴァルキューレ』!!」

 

 

「チッ!」

 

 

どうやら現在は連携しながら戦っている未来達、そして真司蛇達が有利の様子であった。未来はスカートの中から鈍器を出しては大砲を乱射し、これに対して光牙は辺りの木々を上手く使い、未来の秘伝忍法を回避した。

 

 

「火遁・豪火球の術!!」

 

 

「雷遁・竜雷刃!!」

 

 

その隙を突き真司蛇は火遁を放つも光牙は竜の姿をした雷遁の刀で切り裂いた。

 

 

「…流石だな、光牙。……秘伝忍法『千鳥』!!」

 

 

「ッ!?光遁・影分身!」

 

 

真司蛇が左手の掌に雷のチャクラを練ると青色の雷が真司蛇の左手に宿った。それに気付いた光牙はすぐさま光遁で分身を作り出す。しかし真司蛇の千鳥は光牙の分身を容易く消していき、更に凄まじいスピードで光牙に接近していた。

光牙も素早く矢を連射するが千鳥によってスピードが上がり更に真司蛇は写輪眼で相手の動きを見極める事が可能な為に光牙の攻撃を全て回避する。

 

 

「ハァァッ!!」

 

 

「ぐあっ!!?」

 

 

秘伝忍法による真司蛇の突きが光牙の胸部に直撃する。流石の光牙もこれには応えたのか胸部からはかなりの血が流れていた。

……しかし光牙を相手にするのに集中していた為に真司蛇はすぐさまには詠の攻撃態勢には気付けず…

 

 

「秘伝忍法『ニヴルヘイム』!!」

 

 

「!」

 

 

詠は両手のボウガンから手裏剣やクナイ、大砲を発射し二人を狙った。攻撃してきた事に真司蛇は察知するが慌てる事は無く瞬時に飛びあがっては辛うじて回避した。一方光牙は避け切れないと判断し、盾を形成して可能な限り防ぐもパワータイプの詠の秘伝忍法は遠距離型でもかなりの威力を誇る為に防ぎ切れずダメージを受けてしまう。

 

そして真司蛇は光牙と詠を狙おうと火遁を構えるも彼に向って飛来物が飛んできては直撃と同時に小爆発を起こしては吹き飛んでしまった。

 

 

「…ガハッ!?」

 

 

そう、未来が真司蛇を背後からバズーカタイプの傘で撃ったのだ。

…真司蛇の能力である写輪眼は、発動しているだけでチャクラを使う。少しはセーブして使わなければ消耗が激しくなり長期戦となると不利になる。故に真司蛇は飛んだ僅かの時間に写輪眼を切ったのだ。このスキを狙って未来は攻撃を仕掛けたのだ。

 

 

「真司蛇さん!?……っ!『雷閃光』!!!」

 

 

「うわあっっ!?」

 

 

真司蛇がやられた事に気付き唯依は額の前で掌を重ねては両手に雷のチャクラを練り咄嗟に未来に向けて雷撃を放った!しかし未来は間一髪その雷撃を回避したのだった。

 

 

「し、真司蛇さん大丈夫…?」

 

 

「…あぁ、大丈夫だ。……随分成長したな、今のは効いたぞ未来」

 

 

「当たり前よ!私だって蛇女の選抜メンバーの一人なんだし唯依にも負けてられないんだから!」

 

 

唯依は真司蛇を心配して駆け寄るも真司蛇はそう返しつつ未来を評価する。未来はそう返しつつ再び真司蛇と唯依に向けて銃弾を乱射した。真司蛇は写輪眼を駆使して紙一重で回避していき、唯依は日頃の響輝との訓練もあってか危なげな部分はありつつも回避しては未来に攻撃を仕掛けようと徐々に回避しつつ近づいていった…!

 

 

「……わたくしが居る事もお忘れなく」

 

 

「!」

 

 

そんな時、詠が真司蛇の背後から大剣で斬りかかってきた。対する真司蛇も愛刀のチャクラ刀『草薙の剣』を使い防御を図るが相手は蛇女一のパワーファイターの詠、徐々に押され始めていた……!

 

 

「秘伝忍法『千鳥刀』!!」

 

 

真司蛇は千鳥を草薙の剣に流し貫通力を高めては詠の大剣を切り落とそうとするが……

 

 

「秘伝忍法『シグムンド』!!」

 

 

詠もこれを読んでいたのか秘伝忍法を発動させた。大剣を巨大化させ更に風のチャクラを纏わせる事で絶大な威力となり強大な力が激突しては爆発を起こし互いに吹き飛んだ!

 

 

「…わあぁっ!?」

 

 

「……ちょ…ぶへぇっ!?」

 

 

その際に起きた衝撃波により銃弾を回避しながら少しずつ近づいていた唯依が吹き飛ばされては勢いよく未来へと吹き飛んでいきその事に少し驚いてすぐに判断できなかった未来は吹き飛んだ唯依を顔面で受け止めてしまった。

………かっこいいとは言えないが唯依にとっては何とか未来に頭突き攻撃が成功した……と言う形になった。

 

 

その一方での真司蛇と詠だが元々のパワーの差が激しいせいか詠は精々数メートルだが真司蛇は数百メートル先まで吹き飛ばされてしまい、両者互いの攻撃により負傷してしまう。更に真司蛇は吹き飛ばされた勢いで巻物を落としてしまい、それを見逃さなかった詠は巻物を回収すると即座に医療忍術を使い自身の傷の治療を行った。

 

…しかしこの隙を見逃さなかった光牙は秘伝忍法を放った…!

 

 

「…秘伝忍法『輝迅』!!」

 

 

「…っ!秘伝忍法『ヴァルキューレMAX』!!」

 

 

だがそれを察知した未来は目を回して気絶した唯依をどけつつも頭突きで出てしまった鼻血の痛みを気にせずとも秘伝忍法を発動させ先程とは違い一点集中型の威力を高めた一撃を放った!これによって両者の秘伝忍法が相殺し大爆発を起こした。

 

 

「……予想以上に強くなったな。正直お前達にここまで手間取るとは思ってもみなかった……これも蒼鬼との訓練のお陰か?」

 

 

「はぁ!?サラッと失礼な事言ってくれるわね!?」

 

 

「み、未来さん落ち着いてくださいまし!……ですが確かに成長できたのは蒼鬼さんのお陰ですわ。」

 

 

光牙の発言に未来はキレつつも鼻血を袖で拭い、詠は未来を落ち着かせつつも光牙の言葉に頷いた。

………すると光牙はすぐさま冷静に…だが何処か怒りを少し覚えるような表情を少し浮かべると…

 

 

「……だがお前達に俺は倒せない……勝つのは俺だ…」

 

 

「……そうですか…では光牙さん、そろそろ決着をつけましょうか。」

 

 

「…望むところだ。」

 

 

光牙の発言に詠はそう返しつつ未来も再び構えなおす。

 

 

「……未来さん、行きましょう!」

 

 

「任せて、詠お姉ちゃん!」

 

 

詠と未来は同時に光牙に向かい、光牙も迎え撃つ為に構えた。

……しかしこの時の光牙は気付く事は無かったが2人の掛け声は気合いを入れたものではなく……これも作戦の1つの掛け声であったのだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……その一方で数分前。日影の援護へと向かおうとした春花であったがそんな彼女の前に唯一所在が不明だった籠鉄が立ちふさがっていた…!

 

 

「悪いな春花さん、アンタをここで倒させてもらうぜ!」

 

 

「……仕方ないわね。ここは一旦籠鉄君を倒して作戦を練り直しましょうか…。」

 

 

互いにそう言うと秘伝忍法書を取り出しては忍転身を行った。

 

 

「……そんじゃあ…行くぜ!!」

 

 

籠鉄は二本の槍を抜くと同時に春花に接近し、即座に春花に槍を刺した……のだが人を刺した手応えが感じないという違和感を感じた。影分身等の実体を持った分身術かと考えるもそうであれば本体を攻撃した時との手応えの差はほんの僅かしかない為に今の様に相手に違和感を感じさせる程度の分身など悪手である為に春花程の実力者がこんなミスをする筈がないと考えた……瞬間にどう言う訳か背後から重い一撃を受け籠鉄は勢いよく前方に吹き飛んだ。

 

籠鉄は態勢を立て直し直ぐ様背後を向き直したが姿が無かった。春花は体術も優れているがどちらかと言えば物理で戦うような戦法は余り得意としておらずどちらかと言うと忍術や幻術を主体とした戦法を行うような性格であった。その為に春花が自分以上の速度で動けるとは思えないと思った籠鉄は幻術であると判断した為に印を結び……

 

 

「……解!」

 

 

幻術を解く為に自身の乱されたチャクラの流れを正常に戻す為にチャクラの流れをコントロールした……しかし…

 

 

「…何だとっ!?」

 

 

何も変化が起きない為に籠鉄は驚き動揺が隠せない中、再び背後から強い衝撃に襲われた。しかし今度は何かを投げられた痛みが感じ……その瞬間に体が痺れ始めた。

バランスを失い何とか倒れまいと地面に槍を刺すも再び投擲攻撃が2~3回直撃し遂には完全に体が痺れてしまい倒れてしまった。

 

 

「く……くっそぉ……!」

 

 

「ふふ、ごめんなさいね?悪いけどこれは貰ったわよ」

 

 

気付いた頃には春花が立っておりその手には地の巻物が握られていた。

 

 

 

………窮地に立たされてしまった籠鉄……果たして彼に打開策があるのであろうか?

 

 

 

………そして勝利するのはどのチームなのであろうか……?

 

 

 

 

 




終末好きの根暗さんの所とほぼ同じような内容に少し変えた内容になってますw(許可はとっています)そして長くなりそうなので同じように前編後編に分けます。

忍装束についてですが終末好きの根暗さんの所の通り蒼鬼の忍装束は謎のヒロインXオルタの衣装、籠鉄は戦国BASARAの真田幸村、真司蛇の忍装束はNARUTOのイタチ戦以降のうちはサスケの衣装となっています。

因みに翔の忍装束は真ゲッターロボの流竜馬の服(赤いマフラーとコートのヤツねw)、響輝は艦これの響の服、唯依はドラゴンボールの悟飯の紫の道着(インナー着ています。……まんまだと胸モロ見えなので……w)


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波乱のチーム戦・後編

今回少し光牙と焔が冷遇になるようなシーンがありますのでご注意を!(ダーク・リベリオンさんすみません)

……ある意味響輝のやらかし回かも……w





籠鉄が春花に拘束される数分前の別の場所……蒼鬼、焔、日影の三つ巴の戦いが起こっている場所にて誰が有利とも言えぬ状況になる程の戦いが行われていた。

 

 

「雷遁・蛇雷!」

 

 

「火遁・豪火球の術!!」

 

 

「…風遁・大突破…!!」

 

 

蒼鬼は雷、焔は炎、日影は風の術を発動させてぶつけ合うと3つの術が相殺されその威力で3人は吹き飛んでしまう。

 

 

「ここまで拮抗するとはな……」

 

 

「…焔さんも蒼鬼さんも相変わらず強いなぁ…」

 

 

「……一瞬も気を抜けませんね」

 

 

一瞬の油断で勝敗は決する…それを分かっている3人は如何にして優位に立つかを考えながら戦っており、早々に決着をつけて仲間の援護に向かう事が最善の手である事を考えていた。

 

仲間の到着まで時間を稼ぐという手もあるがその場合は恐らく長時間粘らなければならない上に下手をすれば相手の増援が先に到着してしまう事もある。そう判断した3人は一斉に動き出し……蒼鬼は鬼刃に風のチャクラを纏わせた。

 

 

「秘伝忍法……『天空刃』!!」

 

 

風を纏った刀の斬撃が凄まじい速度で焔と日影に襲い掛かる。その速度は音速を越えておりソニックブームという言葉では生易しい破壊力であった。しかし日影は圧倒的なスピードで難なく回避し、焔の方は避けきれないと判断し自身も秘伝忍法で迎え撃つ事にした。

 

 

「秘伝忍法『紅』!!」

 

 

焔は刀に炎のチャクラを纏わせその場で回転すると周囲から炎の竜巻が発生し、蒼鬼の秘伝忍法を意図も簡単に掻き消した。しかし秘伝忍法を掻き消しただけでなく回転を維持したまま蒼鬼へと攻撃を試みた。対する蒼鬼も迎え撃つ様に再び鬼刃にチャクラを纏わせるが今度は風属性ではなく……

 

 

「秘伝忍法…『雷水蛇刃』!!」

 

 

「ぐああぁぁっ!!」

 

 

雷と水……二つの属性を合わせ持った斬撃を焔目掛けて放つ。すると斬撃はまるで生まれ変わったかの様に蛇の形へ変化し焔に襲い掛かると炎の竜巻を破り蛇は焔に噛み付いた。更に蒼鬼が指を鳴らすと同時に蛇が起爆し、焔は吹き飛ばされた。

 

 

「……秘伝忍法……『ぶっち切り』!!!」

 

 

「…秘伝忍法『黒刃』!!」

 

 

そんな時、日影は2人の隙を狙い空中から無数のナイフを雨のように振り下ろす。焔は吹き飛ばされた事で射程外に弾き出されたが蒼鬼は射程内に入っていた。しかし蒼鬼は冷静に秘伝忍法で対処しようと応戦した。

 

闇を纏った刀は極めて長いリーチを持ち日影のナイフを迎撃する。日影のスピードなら回避されると予測した蒼鬼は日影の移動範囲を狭める為に辺りの木々を狙い倒していく。日影は素早い身のこなしで蒼鬼の刀を的確に回避していくが逆に木々が邪魔で蒼鬼には近付けなかった。日影も風遁か秘伝忍法を使えば状況を打破出来ない訳ではないが『ぶっち切り』を除けば日影の秘伝忍法は全て近距離タイプの為に下手に近付くと蒼鬼の攻撃を受けかねない。……かといってここで『ぶっち切り』を使おうとすれば間違いなく空中で狙い撃ちにされる事が予測された。

 

 

「……アカン…そう上手くいかんかぁ…」

 

 

日影は思う様に反撃が出来ない状況に立たされているのだがそれでも冷静さを失う事が無いのは日影曰く自身に感情が無いからだろう。そう言う意味では感情が無くても良いが反撃が出来ないのであれば冷静であっても意味がない…なので日影は冷静に反撃の糸口を探しながらも回避に専念していた。

 

 

 

………その一方で吹き飛ばされた焔は2人が戦っている隙に二人から少しだけ離れた木々に隠れ二人の不意を突く為の準備をしていた。……これは光牙からの策であり、光牙はマーキングした対象の位置を自由自在に入れ換える事の出来る秘伝忍法を扱う事ができた。特に禁止はされていない為にチーム戦が開始する前に光牙は焔と籠鉄にマーキングをしていた。しかし響輝はこの作戦で行うもう1つの『ある事』に反対していたがそれでも光牙達はこの『ある事』を行う為に協力を拒みマーキングをも拒絶した為に響輝は入れ替える事ができない状態となっていた。

 

 

……因みにこの術は光牙曰くチャクラを大量に消費する為に余り多用は出来ない為に精々使えても1~2回程度である為に焔は必ず隙を突けるタイミングで連絡を入れる様に指示されていた。

 

 

……しかしこの術には幾つか欠点があるり、入れ換えている間は常に光が放たれる為に敵からは丸見えになってしまう事、そして発動中に対象が移動不能の拘束術を掛けられていると入れ換えは可能だが拘束されている対象も入れ換わる。

 

 

例えば籠鉄が拘束の術を掛けられている時に焔と入れ換えると籠鉄の拘束は解かれるが逆に焔が拘束されてしまうという事だ。それ故に光牙は籠鉄にはある指示を出していた。……響輝が反対していた…『ある事』だ。

 

 

「……後は籠鉄の合図次第か……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっそぉぉ………!」

 

 

「ふふ、私の幻術スキルを侮っていたでしょう?残念だけど私の幻術は特上忍クラスまで昇華したのよ。 …例え光牙くんや蒼鬼ちゃん達でも簡単に破れないわ♪」

 

 

場所は変わり籠鉄と春花が戦っている場所……春花の幻術で籠鉄は神経を麻痺させられており、更にそこから動けないようにする為に強固なチャクラ糸で拘束されてしまっていた。神経が麻痺して拘束術まで掛けられており身動きが取れない状態である為に誰が見てもこの状況で籠鉄に勝機は無い事が分かる状態であった。

 

 

「……でもまだ何かありそうね…」

 

 

しかし察しや勘が鋭い春花は優位に立っているにも関わらず慢心せずに冷静に色々と考えており、いつでもそれを回避できるようにと動けない今の籠鉄相手でも警戒し距離を取っていた。

 

 

(……耐えろ…!後…もう少しだ…!!)

 

 

そして案の定春花の考えは当たっており籠鉄は切り札を隠していた。それは動けない上でも発動出来る奥の手である為に今ここで気絶させられたら一巻の終わりである為にバレない様に慎重に準備していたのだ。

 

 

「………もしかする事もあるかも知れないし、ここは早めにトドメを刺させてもらうとするわ。」

 

 

「…っ!」

 

 

そして春花はもしもの事を考えつつも籠鉄にトドメを刺す為に秘伝忍法を発動させた。

 

 

「秘伝忍法…『Heartvibration』!!」

 

 

召喚した傀儡を抱き締めながら上下に振り、前方へと投げる…その瞬間傀儡が凄まじい速度で籠鉄へと突っ込んでおり更に傀儡からは火花が上がっていた。そう、この傀儡は爆弾でありその爆発で籠鉄を確実にトドメを刺そうとしていたのだ。

 

……実験や研究が得意な春花であるが為にこの傀儡は相当な爆発力を持つであろう。更に神経の麻痺や拘束術により動けない籠鉄は回避できない……

 

 

 

 

「……出来た…!」

 

 

「…っ!」

 

 

しかし籠鉄はギリギリのタイミングで奥の手の準備が整い、その様子から春花も籠鉄が何かをしてくるであろうと感じ取ったのかすぐさまバックステップで距離を取った。

 

 

「秘伝忍法!『起爆・猛炎虎』!!!」

 

 

その瞬間、籠鉄の全身を炎が包み込み向かってくる傀儡を炎が盾になる形で防ぎ、更に籠鉄を拘束していたチャクラ糸も炎の熱で溶けて拘束から解放され、更には炎の一部が巨大な手の形に変化しては落としていた槍を籠鉄の元へと届けた。

 

 

……この術は万が一動けなくなってしまった場合に備えて籠鉄が開発した術であり、自分のチャクラの流れを強制的に加速させ下がった身体能力を極限まで高める事が出来るという術であり、この状態であれば無理矢理ではあるが体を動かす事ができるようになるのだ。

 

 

…とはいえ既に幻術に掛かってしまっている場合は方向感覚を取り戻せないという点はあるが籠鉄は前向きに判断しつつ何も気にせずに全てを焼き払うかのように力を振るう行動に出た。

 

 

「秘伝忍法!『千両火花』!!!」

 

 

更に秘伝忍法を発動させ、籠鉄の槍から無数の火花が迸る。この技は威力は低いが手数と速度そして範囲は籠鉄の秘伝忍法の中でも段違いの技であった。欠点は発動中は動けない上に殆どコントロールが利かない事だが近くに誰も居ないと分かっているなら思い切り使えると判断し、この技を選んだのだ。

 

一方春花は試験管を駆使して距離を取るが火花の一部が当たった事で忍装束は破け春花自身も軽く火傷を負ってしまう。

 

対して籠鉄は目が見えずとも辛うじて聞き取れた音でそれを判断し、切り札を発動させた。今使っている術も長く持たない為に籠鉄は春花の足止めの為に残ったチャクラで全力の術を使う事を決心した。

 

 

 

 

……作戦の際に光牙は春花が居る以上は隙を突いても完全には決まらないと予想しており、故に籠鉄には春花を倒す事ではなく足止めを最優先に行う事を指示していた。

 

 

………そして籠鉄の春花を止める為の切り札とは…自爆。彼が得意とする技の1つに爆破がある為にそれを把握した光牙は春花に妨害させない様、確実に大ダメージを与えられる自爆を提案した。死ぬ訳ではないが自身も巻き込む大爆発を発生させて春花に仲間の援護をさせない為にそれを提案したのだ。そう、これこそ響輝が反対していた作戦の事であったのだ………。

 

 

そしてそれを行うには自身のチャクラの流れを無理矢理荒らす必要があるのだが今は常にその状態と言っても良い状態でありそれ程苦労する事なく術を発動出来たのだ。

 

 

「……秘伝忍法!『爆・火炎放天』!!!!」

 

 

「っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あれは!?」

 

 

「……あの爆発……籠鉄さんの術っぽいな……」

 

 

一方交戦中だった蒼鬼と日影は籠鉄の爆発に気付き動きが止まった。……止まってしまったのだ…!

 

 

「……秘伝忍法………!」

 

 

「「…!?」」

 

 

「………『輝迅』!!」

 

 

「っ!!!!!」

 

 

「っっっ!!?」

 

 

瞬間、焔……では無く光牙の秘伝忍法である筈の光の矢が2人に襲い掛かる。蒼鬼はギリギリ回避出来たが蒼鬼の技を回避する為に空中に飛んでいた日影は直撃してしまった。そのまま辺りの木々ごと吹き飛ばされ巻物を落とし掛けるがバランスを取り何とか回収するも……

 

 

「……遅い」

 

 

「…っ!?」

 

 

この場に現れた光牙は焔との戦いで使った抜き足を使用し日影の背後に回り込み、首筋に手刀を入れて日影を気絶させた。そして日影が持っていた天の巻物を奪い取るのだった。

 

 

「……蒼鬼は逃げたか……恐らく詠達の所に向かったと言った処か……」

 

 

蒼鬼の姿が消えていた事に光牙は察してはそのまま蒼鬼を追うように先ほどまで自分が居た場所へと向かった。

 

 

………籠鉄の爆発に気を取られた他のメンバーの隙を突き、焔と入れ替わり巻物を奪う……それが光牙の考えた策であった。非情と言える行動であるが勝つ為の手段としては間違っていない……響輝や翔が最も嫌う手段であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…うぉっ!?何だぁ!?」

 

 

「…!」

 

 

一方翔と響輝が戦っている場所にて同じく爆発が響き渡り同じく2人も動きが止まった。その瞬間、響輝は持っていたメイスを仕舞うと爆発が起きた場所へと走り出した。

 

 

「あ、おい!響輝!?」

 

 

「…ごめん翔、さっきの言った通りだ。」

 

 

走り出す響輝を呼び止めるも響輝はそう言いつつ爆発した場所へと向かってしまった。1人残された翔はポツンと立ち尽くすも考えていた。

 

 

「………あの爆発が響輝の言ってたけったくそ悪い作戦か……。しかもありゃあ籠鉄の爆発技………野郎……そう言う事か………!」

 

 

今の爆発が響輝が嫌悪していた作戦である事を察し、更には今の技が籠鉄の技である事を察すると……翔も作戦の内容を察しては舌打ちをしつつ静かに怒りを浮かべるような表情となった……。

 

…そしてそのまま蒼鬼達が居る場所へと翔も向かうのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方、籠鉄と春花の居た場所は距離にして凡そ数キロが大爆発で吹き飛んでいた。籠鉄と春花も爆発と爆風でかなりの距離まで吹き飛び、双方共に大きなダメージを負っており春花の忍装束は大きく破け、籠鉄に至っては気絶で忍転身が解除されていた。一応春花も装束は維持出来ているがダメージは決して少なくない為に回復が必要な状態だった。

 

 

「……籠鉄君も無茶するわね……お陰で私も暫くは動けそうにないわ。…恐らくこれは光牙君の指示なのかしら……?」

 

 

春花は自身を医療忍術で傷の治療をしながらこの自爆が光牙の指示である事を察する。籠鉄は仲間の為なら幾らでも体を張れる性格だ、それを利用して光牙は自爆を指示したのではないかと春花は考えたのだ。

 

 

………そんな時、先ほどここに向かうべく走り出していた響輝がたどり着いた。

 

 

「…響輝ちゃん……」

 

 

「……痴女の人……バンダナの人は?」

 

 

「……見ての通りよ」

 

 

響輝がやって来ては春花に尋ねるとそう言いボロボロになった籠鉄の姿があった。表情こそは変え…いや、分からない程度に少しだけ何処か怒りを浮かべるように響輝は黙り込む。

 

 

「………響輝ちゃん、籠鉄くんの自爆……あなたも提案した訳じゃ「ふざけた事抜かすなよおばさん」…は?」

 

 

春花は一応響輝にも籠鉄の自爆の件を提案していないかを尋ねるも響輝がそう言う……もまたもやおばさん呼ばわりされる為に春花は頬に青筋を立ててそう言う。もし自分が動ける状態であれば響輝をシバいていた所であろう。……だが春花は今の響輝の表情……怒りを隠そうとしているも少しずつ露わにしている姿を察しては…

 

 

「……そうよね、変な事聞いてごめんなさいね…」

 

 

そんな響輝に春花は謝罪をする。確かに普段は日影以上に何を考えているか分からない彼女であるが少なくとも翔と同じく仲間を大事にしている人物である為にそんな非道な事をする筈がないと思い春花は謝罪をしたのだった。

 

 

「………痴女の人、バンダナの人の手当て…お願い出来る?」

 

 

「え?え、えぇ……任せて。響輝ちゃんは戦いに戻るの?」

 

 

「………うん……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイツらを粛清してくる

 

 

「……ゑ?ちょ、響輝ちゃん!?」

 

 

響輝は春花に籠鉄の治癒を頼み、頼まれた春花は頷きつつも響輝にそう尋ねるも響輝の発言した言葉に一瞬唖然とするもすぐさま我に返っては呼び止めるが既に響輝の姿は無かった。

 

 

「………アイツらを粛清って………あの子…変な事しないでしょうね……?」

 

 

響輝の発言に春花は何か仕出かそうと勘付きつつも頼まれた通りに重症の籠鉄を治癒するのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその一方の詠達は……

 

 

「…あれは、籠鉄さんの爆発!?」

 

 

「な、何て規模なの……?」

 

 

やはり2人も籠鉄の爆発に気を取られてしまっており……

 

 

「秘伝忍法……!」

 

 

「…あっ!?」

 

 

「ヤバッ…!」

 

 

その隙に光牙は秘伝忍法を発動させ、自身の全身が光に包まれ始めた。その事に詠と未来は気を取られてしまった事に慌てて体勢を整えるも今の状態で光牙の攻撃を防ぐことは出来ない状態となっていた……が……

 

 

「『フォトン・シフトチェンジ』!!」

 

 

「…え!?」

 

 

「な、何故焔ちゃんが…!?」

 

 

その瞬間、光牙の姿が消え、代わりに焔が現れたのだ。その事に再び気を取られてしまい焔が既に秘伝忍法を発動させていた事に気付くのが遅れてしまった…!

 

 

「秘伝忍法・『響』!!」

 

 

焔は一瞬で二人の頭上に飛び上がり、炎を纏った刀を二人に叩き付けようと仕掛けるも……その瞬間に闇を纏った刀のような物に叩きつけられてしまい真横に吹き飛んでしまった…!

 

 

「ガハァッ!?」

 

 

「……お待たせしました。」

 

 

焔を吹き飛ばしたのは蒼鬼であり、彼女も『飛雷神』と言う時空間忍術でここまでやって来たのだった。

 

 

「巻物の状況は?」

 

 

「まだ取られていませんが今は天と地が揃っています。」

 

 

詠に状況を尋ねるとそう答えた為に蒼鬼は少し考え指示を出そうとすると。

 

 

「待たせたな」

 

 

「しょ、翔!」

 

 

「響輝ちゃんは!?」

 

 

「安心しろ、恐らくアイツはこっちには来ない。」

 

 

翔もやって来ては詠がそう尋ねるとそう答える。何処か曖昧な感じではあるが恐らく響輝がこちらにやってこないという事は倒したという事であると思い蒼鬼は指示を出す。

 

 

「……よし、多少予定が狂いましたが、ここからは全員で行きましょう!」

 

 

「はい!」「うん!」「り」

 

 

蒼鬼は指示を出してここからは全員で戦うと指示を出し、一同は了解した。

 

 

「……4対1……分が悪いか……」

 

 

「……!」「…。」

 

 

焔はそう呟き木々を利用して離れて行こうとする姿を蒼鬼は光牙との合流を図っている事に気付きクナイを手に取ると……何故か焔とは反対の背後に投げた。一方その際に翔も既に背後を向いていた。

 

 

「ゑ?蒼鬼、何で後ろに…「…バレていたか……」うわぁっ!?し、真司蛇!?」

 

 

その事に未来が尋ねようとした瞬間に真司蛇が現れた事に驚き詠も声は上げていないが目を見開いて驚いていた。蒼鬼が背後にクナイを投げたのは木々を使う事で潜んでいた真司蛇に気付いたからだ。

 

 

「…どうしますか真司蛇君?戦うと言うのならば受けて立ちますが……その怪我でも私達と戦いますか?」

 

 

「……いや、止めておく。お前達が全員揃っている中、この状態の俺1人で太刀打ち出来そうにないだろうし仲間の援護は期待できそうにないだろう。唯依も手当してやらねばいけないからな…」

 

 

「…あれまぁ……」

 

 

蒼鬼の問いに真司蛇はそう答えつつ担いでいた唯依の姿を見せつつそう言う。気絶した翔はそう言うと…

 

 

「…翔、お前の妹は力及ばずとも自分の出来るだけの事をやって俺達の力になってくれた。」

 

 

「…そいつは重畳、唯依にとっても良い経験になっただろうな。」

 

 

真司蛇は翔に唯依も頑張っていた事を伝えると翔は小さく笑いつつそう返した。そして真司蛇は唯依を連れて発した方角へと向かう…恐らく春花に傷の治癒をしてもらう為であろう…。

 

 

「みなさん、光牙君と焔さんの所に向かいましょう。あのチームは回復役が居ないので今が攻め時です。…恐らくですが真司蛇君は春花さんの所に向かったと考えられますがここは追うべきではないと思います。もしかしたら籠鉄君も居るかも知れませんがその近くに居るであろう回復役の春花さんの所に真司蛇君が向かった以上、それは悪手です。そうなると今の内に勝負を付けなければ真司蛇君達が回復して戦いが長引いてしまいます。」

 

 

「…そうだね。今私達は天と海の二つの書を持っていて海はまだ誰も奪われてないから長引かせると確実に狙われる。」

 

 

「私も賛成ですわ。真司蛇さん達が回復するのは光牙さん達も分かっている筈となると彼方も決着を付けたがるのではないでしょうか?」

 

 

「だな。ここで決着を付けさせてもらうとするか……」

 

 

「では、行きましょう!」

 

 

「はい!」「うん!」「おk」

 

 

蒼鬼の提案に翔達は賛成し、そのまま光牙達の元へと向かうのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次で必ず決着を付ける…だから間違っても準備を怠るなよ。それから俺の足を引っ張る様な真似もするな」

 

 

「当たり前だ、この私が戦闘準備を怠る何て事をする訳がないだろう?お前こそ油断するなよ?……しかし…響輝の奴は何処に行ったんだ……?」

 

 

「…知るか。普段から何を考えているか分からん奴だからな……そんな奴をアテにするな。」

 

 

一方で光牙と焔は合流しており決着に向けて準備しつつ軽口を叩き合いながら軽い休息を行っていた。……最も響輝が居ない事に焔がそう言うも光牙はそう切り捨てるように返した……瞬間に何かを察したように2人の動きが止まった。

 

 

「…来たか」

 

 

「…行くぞ、焔」

 

 

「ああ!最後に勝つのは私達だ!」

 

 

蒼鬼達がやって来た事を感じ取り、迎え撃つ為にその場所へと向かうのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその場所へとたどり着き、両チームはにらみ合うように向かい合っていた…。

 

 

「……決着を付けましょう、光牙くん、焔さん…!」

 

 

「当たり前だ、楽しませてくれよ!」

 

 

蒼鬼は冷静に言うと焔は興奮を隠せないように返す。……しかしやはり蒼鬼は聞きたい事がありそれを尋ねた。

 

 

「……戦う前に聞きたいのですが……何故、籠鉄君に自爆などさせたのですか?籠鉄君は仲間の筈でしょう?」

 

 

「…え…!?」

 

 

「さ、させた……!?あれ、籠鉄の判断じゃ無かったの…!?」

 

 

蒼鬼の問いに詠と未来は動揺する。どうやら2人は籠鉄の爆発が自分の判断で行った事であると思っていたが為に動揺が隠せなかったのだ。

 

 

「……勝つ為だ。それ以外に理由は無いし必要ない。」

 

 

「右に同じくだ。勝つ為なら利用できることは利用する、当然だ。」

 

 

「そんな……!?」

 

 

「………………。」

 

 

光牙の発言に焔も同感でありつつそう吐き捨てる為に詠と未来はショックを隠せず、蒼鬼は小さくため息を吐きつつ……その瞬間、翔は手をポキポキ鳴らしながら一歩前に出る…。

 

 

「……翔くん………?」

 

 

「…蒼鬼、お前らは光牙をやってくれ。俺は焔を潰す。」

 

 

翔が蒼鬼にそう頼む。蒼鬼、詠、未来の3人で光牙と戦い自分は焔を倒すとの事であった。……最も蒼鬼が少し戸惑ったのは翔が『倒す』ではなく『潰す』と言う発言をした事であった……。

 

 

「……わ、私達で光牙を……?」

 

 

「あぁ。別に逆でも良いんだが光牙の奴はお前らを舐め腐ってやがる……特に詠と未来……お前らを間違いなく舐め腐ってやがるだろう……。だからこそ舐め腐っていた奴にしてやられるという事になればアイツもさぞ悔しがるだろうよ。」

 

 

「………………。」

 

 

未来がそう言うと翔は二ヤリとしつつもそう答える。光牙にとって蒼鬼の事は実力は認めても何処か舐めている所があり、詠と未来に至っては恐らく眼中に無いというような様子を見せていた。その事もあって翔はそれを提案したのだった。……最も何処か腹黒い提案である事に蒼鬼は苦笑いをしていた…。

 

 

「で、でも翔くん……焔ちゃんを1人で大丈夫ですか……?」

 

 

「心配すんな、焔ごとき俺の相手じゃねぇよ。」

 

 

「…っ!貴様ぁ………!!」

 

 

詠は焔を1人で相手にしようとしている翔を心配するようにするも翔がそう言う……も『ごとき』と言う言葉に案の定焔は癪に障った。

 

 

「何処まで私を舐め腐れば気が済むんだ貴様はぁ…!!!だったら私も今のお前ごとき敵じゃ「喋るな」……っっっ!!!???」

 

 

怒りで叫ぶ焔は逆に翔に言い放とうとした……瞬間、突如翔から途轍もない威圧が溢れ出し焔はその威圧に言葉を発せなくなってしまった……!!

 

 

…もう喋んな……これ以上機嫌悪くなる前にな……

 

 

「っ…!?っっっ…………!!!」

 

 

「こ…コイツ……!?」

 

 

「あ…あぁぁぁ…………っ!?」

 

 

「しょ…翔………くん………?」

 

 

「………翔くん………」

 

 

翔は途轍もない威圧を発しつつも光牙と焔にそう吐き捨てる。その威圧により焔は勿論のこと未来と詠にも恐怖を与えてしまい、光牙も翔から放たれる威圧に動揺が隠せずにいた。一方蒼鬼は……翔が何故ここまで怒りを含めた威圧を放っているかを察しつつも……彼が間違えてしまわないかを心配していた……その時だった……。

 

 

「……響輝……?」

 

 

「「「…!?」」」

 

 

光牙と焔の後方から……響輝が現れた事に翔は気付いて威圧を抑える。威圧が解放されたと同時に光牙と焔も振り返り詠達も驚く。……先ほど響輝は来ないと言っていたのだがその響輝が援軍として来てしまったのだ……。

 

 

「ひ…響輝……」

 

 

「………貴様……何処に行っていた………」

 

 

「……………。」

 

 

響輝が現れた事に焔も驚き、光牙は睨むように響輝に尋ねるも響輝は何も答えず………突如武器のメイスを手に持った……瞬間………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…がぁっっ……!!!???」

 

 

「…なっ……!?」

 

 

「………!?」

 

 

「「……え…?」」

 

 

「……響輝…さん………?」

 

 

血迷ったかのように……響輝は焔に目掛けてメイスを投げつけて直撃させた……!突然の味方からの攻撃に焔も対処出来ずに腹に直撃を喰らっては吹き飛ばされてしまい背後にあった木に激突してしまう。無論、響輝の行動に光牙は勿論のこと翔達も驚きが隠せなかった……。

 

 

「…き……貴様……な……ぜ……っっ!!???」

 

 

「……………。」

 

 

今ので大ダメージを受けてしまった焔は口から血を吐きつつ響輝に尋ねる……も顔面を蹴られてしまい焔は意識を刈り取られてしまった……。それでも響輝は何も言わずにメイスを拾い上げるとそのまましまい込んだ……。

 

 

「……貴様…………どう言うつもりだ………!?」

 

 

「……どう言うつもりはアンタらの方だ……。」

 

 

光牙の問いに響輝はそう返す……。響輝のその目は……以前貧民街にて響輝が勘違いで光牙を絞め殺そうとしていた時と同じ目を向けていた……。

 

 

「…眼鏡の先生はチームプレイをしろって言っていた……。勝つ方法なら他にも思い浮かんだはずなのにあろう事かアンタらはバンダナの人を人間爆弾にして自爆させた……それもバンダナの人の良心を利用した……。私もその作戦を反対したがアンタらはそれでもこんな作戦を実行した……。そんな奴らとチーム戦なんて出来る筈がない……出来る訳が無い………。

 

 

 

 

 

 

 

………だから…お前らは敵だ……

 

 

「っ!!!」

 

 

響輝は……籠鉄を自爆させた件……それも籠鉄の良心を利用したようなやらせ方に対し静かに怒りを露わにしたと同時に……翔が先ほど出していた威圧と同じ位の威圧を露わにし、光牙も威圧に押されそうになるも構えるが……

 

 

「ひ、響輝さん……あなたの気持ちは分からなくもありません……。ですが…これ以上は監督生として見過ごせません……!」

 

 

「………うん、多分そう言われると思った……。」

 

 

蒼鬼も戦闘中とは言え響輝の行動をこれ以上は見過ごせないと説得を持ちかけると……あっさりと威圧を抑えた為に蒼鬼も少し呆気に取られてしまうが……

 

 

「…だから監督生の人、私はここでリタイアする。さっきの言葉通りもうこいつ等と組んで戦いたくないよ。」

 

 

「っ……!」

 

 

「え、で…でも………」

 

 

「……無駄だ、ああなっちまったらもう聞かねぇ。自業自得だ。」

 

 

そして響輝はリタイアを……これ以上光牙達と肩を並べて戦いたくないと言い出し光牙はその事に目を見開き、蒼鬼がその事に動揺するも翔が蒼鬼にそう言い聞かせる。

 

……この瞬間から響輝は光牙を…そして焔を見損なったという事であったのだ…。

 

 

「……え?て…てことは……私達大分有利なんじゃ……?」

 

 

「そ…う……ですわよね………」

 

 

未来と詠はそう把握する。問題はかなりあるがこのまま続けば焔が倒れ響輝もリタイアした今、完全にこちらが有利な状況となっていたからだ……。

 

 

「………貴様………!」

 

 

「…それとも……この場で殺り合う?」

 

 

「ちょ…お二人とも…!?」

 

 

裏切った響輝に流石の光牙も怒りの表情を見せ矢を向ける。対する響輝も臆する事無く今度は光牙を殺さんとばかりにメイスを構えて戦おうとする為に蒼鬼が止めに入ろうとすると………

 

 

「落ち着け響輝。……お前も一々挑発に乗るなや…」

 

 

「……翔………?」

 

 

翔は一瞬にして響輝の背後に回ると響輝の頭を優しく撫でつつ落ち着かせ、光牙には睨み付けつつそう吐き捨てる。

 

 

「…蒼鬼、俺もリタイアする事にするわ。」

 

 

「…えぇ!?」

 

 

「……このまんまじゃ流石に勝敗も分かりきった状態になってるからな……フェアにもならんしな……。」

 

 

「……舐めるなよ貴様……!!例え貴様ら4人が掛かろうとも俺は負け「ほら、今で5回は死んでるぜ~?」っ!?」

 

 

「「…………!?」」

 

 

響輝がここまでやってしまった為に確実に光牙が不利な状況になってしまった為に翔は自分もリタイアにして少しだがフェアにしようと言い出す。その事に蒼鬼もやはり困ってしまい、光牙も怒りを露わにしつつ4人を相手にしても自分は負けないと言いだそうとした……瞬間、いつの間にか翔は光牙の背後に移動しては彼の首筋にナイフを突き付けていた。その速度は詠や未来は勿論のこと……あの光牙でさえも反応出来なかったのだ……

 

 

「すぐ挑発に乗る……完全に冷静さが欠けてるじゃん。そんな状態のオメーが俺ら4人がかりに勝てる訳ねーじゃんかよ。だから今のオメェじゃ俺どころか……蒼鬼達にも勝てやしねえよ」

 

 

「………っ……!」

 

 

「…ま、どーしてもやり合いたいってんなら蒼鬼達を倒してからにするんだな。ぎゃんぎゃん犬みたいに吠えるんだったら倒してからにしろよ、お前があそこで倒れている馬鹿に言ってるようにな。……つー訳で蒼鬼、そう言う事だ。ま、今のお前らだったら光牙にも負けないさ、だから気合い入れて頑張れよ!」

 

 

散々光牙を煽り倒しては蒼鬼にそう言うと翔は響輝を連れてその場から離れる……。あんな事もあってか重苦しい空気になっていたが……。

 

 

「……良いだろう……!散々あそこまで吐いたんだ、こいつ等などすぐに片づけて後悔させてやる……!……おい蒼鬼、アイツはリタイアにするな……俺の手で叩き潰さねば気が済まん…!」

 

 

「………分かりました。ですが3対1とは言え私達も全力で行かせてもらいます……!」

 

 

「……これ…私達が勝たなきゃ翔はヤバイんじゃ……?」

 

 

「………そ、そうですわね……何としても勝たないと………!」

 

 

ここまで煽られて黙っている光牙ではない為に光牙は闘志に火を付けられては蒼鬼にそう言う。…自分が直々に潰さなければ気が済まないという事であろう……。

 

………その事に蒼鬼も小さく頷き、未来と詠はここで勝たなきゃ翔が不味いと思ったのか何処か複雑に思いつつもこの戦いに勝とうと決心するのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…よぉ皆さんご揃いで。」

 

 

「……あっ!?翔くん…!?」

 

 

「心配すんな、俺も響輝もリタイアしたさ。」

 

 

そして場所は変わり春花達の居る場所………。そこには春花達メンバーが揃っており春花が治癒を行っていた。

 

 

「……んで、回復次第復帰するのか?」

 

 

「………いや、思ったよりダメージが大きい…。恐らく復帰する頃には戦いが終わっているだろう……」

 

 

翔が尋ねると真司蛇がそう答える。思った以上に蒼鬼達との戦いで消耗やダメージが大きく、現に日影と唯依が気を失っている為に万全になった所で戦いは終わっているであろうと予測していた…。

 

 

「…………バンダナの人は…?」

 

 

「…やっぱりダメージが大きいわ。死んでいないけど…まだ気を失っている……」

 

 

「…ケッ、響輝の言う通りやっぱりけったくそ悪いな。勝つ為に仲間を人間爆弾にしやがって……それを快く引き受けるこの馬鹿も馬鹿だ。」

 

 

響輝が籠鉄の容態を春花に尋ねると春花は答える。かなりの威力の自爆だ、命は落としてはいないが自身にもかなりの大ダメージであったであろう、傷も完治出来ておらず今も気を失っていた。

……その事に翔は舌打ちをしつつ自爆させた光牙達とそれを引き受けた籠鉄に対してそう吐き捨てた……。

 

 

「………それはそうと……あなたリタイアって大丈夫なの?」

 

 

「あぁ、大丈夫さ。アホは響輝が倒したし今の光牙程度、蒼鬼達なら勝つ事が出来るだろう。」

 

 

「…………ちょっと待て、響輝が倒したとは……どう言う事だ……?」

 

 

(………この子まさか………)

 

 

「……………仲間にあんな事させる奴は仲間じゃないよ」

 

 

(……やっぱり………)

 

 

それはさて置き翔はリタイアした事に蒼鬼達は大丈夫なのかを尋ねると翔はそう答える……も響輝が焔を倒したという事に真司蛇と春花は疑問に思い、響輝の答えで春花は内心で納得しては頭を抑える……。

 

 

………粛清するとは……そう言う事だったのだ………。

 

 

「蒼鬼は勿論だが詠と未来も十分成長してんだ、負ける筈がねぇさ」

 

 

「……随分信頼しているな………」

 

 

「あたぼーよ、貧民街の時のツレに努力家の後輩……それに俺の自慢の妹だからな。」

 

 

翔が蒼鬼達は絶対に勝つという為に真司蛇は随分と信頼している事を言うと詠と未来、そして蒼鬼の事をそう言うのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「秘伝忍法…『輝龍一刀斬』!!!」

 

 

「キャアアアアァ!!!?」

 

 

「ッ! 未来さん!!」

 

 

一方場所は変わり光牙と蒼鬼達の戦い……。やはり翔の言葉で火を付けられた光牙は蒼鬼達を追い詰め始め、遂には未来も倒されてしまい段々と蒼鬼達は押され始めた。

 

 

「ハア……ハア……詠さん…大丈夫ですか?」

 

 

「え、ええ………辛うじてですが……」

 

 

流石の蒼鬼も既に体力の限界が近い状態となり、詠も同様であるが光牙からまともに秘伝忍法の攻撃を受けていなかった為にまだ僅かに余裕があった。

 

そんな2人の様子の隙に光牙は焔の元へと向かっては彼女が持っていた巻物を回収し、蒼鬼達に奪われないようにした。これで光牙を倒さなければ巻物が回収できない…と言う状態になった……。

 

 

「詠さん…必ず次で決めますから時間稼ぎをお願いします」

 

 

「……了解しました。余り長くは持たないと思いますのでなるべく早目にお願いします…!」

 

 

「はい、必ず勝ちましょう!」

 

 

蒼鬼は作戦があるのか詠に頼むと詠も恐らくここで倒されてしまうかもしれないと把握しつつも蒼鬼の為に踏ん張って時間稼ぎを行う事を決心した。

 

 

「態々時間を稼がせる訳がないだろう」

 

 

「っ…させませんわ!!」

 

 

しかし時間稼ぎさせまいと冷静さを崩さずに蒼鬼を狙って矢を放つ……しかし詠は反応して大剣で防がれ、更に詠は反撃でボウガンを放ち光牙に直撃させた。

 

 

「ぐっ……!ならばこれでどうだ……!」

 

 

反撃でダメージを受けるも光牙は粒子変化で光の槍を形成して詠を狙う…しかし詠は光牙にも決して引けを取らないスピードで防御と回避を繰り返し、光牙を斬り付けていた…!

 

 

…本来であればパワーでは詠の方が上な代わりに光牙の方が圧倒的にスピードで勝る筈だがどういう訳かここに来て詠の能力が全体的に飛躍的な上昇をしており、その事に流石の光牙も動揺が隠せないが詠の攻撃の間合いを考えては行動に移しバックステップを行いながら矢で詠を狙う…だが詠はそれさえも防ぎきったのだ…!

 

 

「蒼鬼さんに手出しはさせません!仲間を思う気持ちが私達を強くしてくれるのです!」

 

 

「……ッ…!」

 

 

『…人間が一人で辿り着ける場所はたかが知れている……だからこそ人は家族や友、そして仲間と共に成長して強くなれるのではないかと私は思っています。』

 

 

詠は光牙に向けてそう言った瞬間、光牙はその言葉に怒りを覚えた。……それは以前蒼鬼が光牙に同じような事を言っていた言葉であったのだ……。

 

………光牙の過去に一体何があったのかは分からないが頑なに仲間と言う言葉を軽々しく使われる事を…そして仲間が居るから強くなれるという言葉を嫌っていたからだ…。

 

 

「……そんな物はまやかしだ!強さは強さ、それ以上でもそれ以下でもない!!」

 

 

「……聞き捨てなりませんわね…!」

 

 

「…俺を納得させたいのであれば俺を倒して分からせてみろ!」

 

 

光牙の発言に詠は納得いかないように攻撃を仕掛け、そう言う。そして光牙がそう言った瞬間、光牙の全身を白い光が包み込んだ。

 

 

「秘伝忍法・『雷光・竜腕牙』!!!」

 

 

光牙の腕には白い竜の鱗の様なガントレットが付き雷がバチバチと音をたてる。この術は雷と光の属性を融合させたドーピングタイプの秘伝忍法である。光牙に取っては抜き足と同じく奥の手の一つでもあるがチャクラと体力の消費が激しい上に使用後は全身に痛みが回る為に普段は中々使う事はなかった。しかし今は他の何よりも蒼鬼達を倒す事に集中している為にリスクを顧みずに発動した。

 

 

因みにこの状態の光牙の戦闘能力は先程までの通常時の十数倍にまで羽上がる程だ。その圧倒的な力に詠は思わず息を飲むが直ぐに我に返ると大剣を構えた。

 

 

「俺の切り札を前にしても戦意喪失しないのだから大したものだ。……だがお前は負ける」

 

 

「………この一撃に全てを賭けます…!」

 

 

「…来い……」

 

 

光牙は圧倒的な力を発動させた事で自分の勝利を確信するが詠は決して怯まず今の出せる全力を振り絞っては飛び上がり、大剣に有りったけのチャクラを流して光牙に突っ込んで行く。対する光牙も迎え撃つ様に拳を構えていた…。

 

 

「秘伝忍法!『アースガルズ』!!」

 

 

「秘伝忍法……『雷光・双竜轟拳』!!」

 

 

詠の風のチャクラを纏った大剣と光牙の雷と光のチャクラを纏った竜の化身の如き拳の衝突……辺り一帯が吹き飛び蒼鬼でさえも容易には近付けない程の爆発が発生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その程度か」

 

 

そして煙が晴れると……そこには転身が解かれて気絶し倒れている詠と無傷の光牙の姿があった。倒れている詠に光牙は嘲笑う様な視線で見つつ吐き捨てる。

 

…しかしそれと同時に背後の気配に気付いては振り返る。そう、そこには強い決意を宿した眼差しで光牙を睨みつける蒼鬼の姿があった。

 

 

「…いいえ、詠さんも未来さんも本当によく頑張ってくれました。お陰様で私もしっかり準備が出来ました。」

 

 

「…だがその時間稼ぎの効果も今の俺が相手では全くの無意味だ。」

 

 

蒼鬼は詠のお陰で光牙に勝つ準備が出来たと言うも光牙はそう返す。油断こそしていないが今の状態で負けるとは到底思っていないからだ。……それこそ蒼鬼が実力を隠していたとしても……

 

 

「…いいえ、無意味にはさせません。この時間は詠さん達が作ってくれた正真正銘最後のチャンスです……だから絶対に勝ちます!」

 

 

「やれる物ならやってみろ」

 

 

蒼鬼はそう言うと光牙に向かって走り出す。対する光牙も迎え撃つ様に矢を放つと蒼鬼は矢を回避していくとクナイを構えた。

 

 

「水遁・スイレイハ!」

 

 

「…秘伝忍法…『輝迅』!!」

 

 

無数の水の弾丸を光牙に向けて放つ。その威力と速度は焔達の時とは桁違いであり仮にこのレベルを使えば圧勝出来ただろう。しかし今の光牙の秘伝忍法の前では相殺は愚か削る事も出来ない。矢は凄まじい速度で蒼鬼に向かっていくが蒼鬼は真横へ跳んで矢を辛うじて躱すも光牙は決して手を緩めない。蒼鬼が回避する事を見越しており弓を上に向けて強大な光の矢を放った。

 

 

「秘伝忍法……『閃光龍雨』!!」

 

 

通常時とは比較にならない程の数の光弾が蒼鬼に向かって振り注ぎ、蒼鬼も鉄球を使いながら防御をしながらも的確に回避する。…しかし避けた所を再び輝迅に襲われる。

 

 

「秘伝忍法…『黒刃』!!」

 

 

 

…これは避けられないと判断した蒼鬼は秘伝忍法で相殺を試みた。しかし先程よりも威力の上がった秘伝忍法に押され始めてしまい、徐々に後退してしまうが…

 

 

「…ハアアアッ!!」

 

 

蒼鬼は力を込めて強引に秘伝忍法を打ち消す。だがその動きによって光牙に十分な隙を与えてしまった。

 

 

「遅過ぎる」

 

 

光牙は抜き足で蒼鬼の後ろを取り、蒼鬼を殴ろうと拳を振る……が、蒼鬼は後ろを振り向かずまるで分かっていた様に光牙の拳を回避した。

 

 

「…何ッ!?」

 

「…抜き足はもう効きません」

 

 

流石の光牙もこれには今までの比ではない程の動揺を見せ、その隙に蒼鬼は光牙を蹴り上げる。そして蹴り上げた直後にバックステップで光牙から少しだけ距離を取り、更なる闇を纏わせた刀を光牙に向ける。

 

 

「秘伝忍法……『常闇の渦』…!!」

 

 

「ぐっ!?……これは…闇の渦!?」

 

 

すると周囲の空間から特大の闇が出現し、光牙を闇色の渦に閉じ込めた。この術は強いチャクラを引き付ける為、チャクラの強い者程効果が大きく今の光牙にはこれ以上ない程に打ってつけの技なのだ。

 

 

「秘伝忍法…『フォトン・シフトチェンジ』……!!」

 

 

しかし光牙も負けてはおらず気を失っている焔と位置を入れ換えては瞬時に蒼鬼目掛けて光刀の斬撃を放ち、対する蒼鬼も迎え撃つ様に闇の斬撃を放った。

 

 

「秘伝忍法……『輝龍一刀斬』!!」

 

 

「秘伝忍法…『無明斬』!!」

 

 

 

今度は相殺しては双方共に吹き飛ぶ。しかし光牙は体勢を直した瞬時に走り出しており、対する蒼鬼はまだ倒れていた。

 

 

「……もらった!」

 

 

光牙は光刀と雷の刀を構えて蒼鬼を狙う。

 

 

「秘伝忍法…『雷光・双竜斬』!!」

 

 

雷の斬撃と光の斬撃を放ち、斬撃は竜の姿に変化して蒼鬼を襲おうとした。

 

 

「秘伝忍法…『黒穴』!!」

 

 

そして即座に起き上がった蒼鬼は周囲の空間に巨大な闇を出現させ斬撃を吸い込むも光牙はその隙に接近し再び二刀流で蒼鬼に襲い掛かる。

 

 

(……このままでは手数が足りない。…でもそれなら此方も手数を増やすだけです!)

 

 

しかし蒼鬼は黒刃を発動しながら氷の術で氷の剣を形成、光牙に対抗する様に二刀流で挑んだ。

 

 

「…お前も二刀流が使えたのか。だが刀と剣は似ている様で本質は違う、質の違う武器をお前は同時に扱えるのか?」

 

 

「何も付け焼き刃ではありません。これも恩師に習った大切な技です。…それに扱いに慣れていないならこの場で慣らせば良いだけです。」

 

 

「フンッ…面白い……!」

 

 

互いの攻撃を防ぎながらも斬り掛かり、その度に互いに防がれる。しかし蒼鬼の黒刃が光刀をへし折り氷の剣で光牙に切り傷を負わせる。

 

 

光牙はならばと両腕を構える。

 

 

「秘伝忍法…『雷光・双竜轟拳』!!!」

 

 

今の光牙の特大の秘伝忍法が蒼鬼に襲い掛かる。

 

 

「秘伝忍法……『氷蛇・氷壁氷渦』!!!」

 

 

対する蒼鬼も秘伝忍法を発動。氷の蛇が出現し蛇が空中で回り出すと同時に巨大な氷の壁が形成された。そして光牙の秘伝忍法を完全に防ぎ切ると蛇が光牙の回りに集まり氷の渦を発生させて光牙を攻撃する。

 

 

「……!?…この技は…姉さんの技と似ている……!?」

 

 

光牙は蒼鬼の秘伝忍法に驚く。……それはこの技が同じく忍であった光牙の姉が現役の時に使っていた秘伝忍法と余りに似すぎていたからだ。それによって光牙は油断してしまい……

 

 

「……雷遁・蛇雷!!」

 

 

「ぐっがあぁぁぁ……!!」

 

 

蒼鬼の雷遁が光牙に直撃してしまう。ドーピング効果で光牙の雷に対する耐性は飛躍的に増大していたのだが油断していた為に少なくないダメージを受けてしまった。

 

 

「……ハア……ハア……」

 

 

この技により光牙は限界を迎え始める。それは蒼鬼にも言える事だがドーピング効果も長時間持続した為にタイムリミットは迫っていた。

 

 

………そしてここで2人は勝負を決めようと決心した。

 

 

光牙の光刀と蒼鬼の黒刀がぶつかり合う…しかし残っているドーピングのパワーの影響か光牙が僅かに押している。そしてつばぜり合いに持ち込むと同時に蒼鬼の首を左腕で掴み地面に叩き付けた。

 

 

「ガハッ!?」

 

 

更に光牙は畳み掛ける様に右腕で殴り掛かる。一方で蒼鬼は叩き付けられた痛みから悲痛な表情を見せるがそれも一瞬……光牙の右腕の拳を刀を持っていない左手で僅かに逸らしして回避、更にそのまま右腕を掴むと膝蹴りで腕の骨をへし折る。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

更に光牙を蹴り上げ、顔面に頭突きをかます。

 

 

「がっ!?」

 

 

今の光牙はドーピング効果で腕を中心に全身が強化されている。まさか最も強化されている腕を術無しで折るとは微塵も思っていなかったのだ。そう思いながらも蒼鬼が向かって来る為に光刀を形成して迎え撃とうとする。対する蒼鬼も既に黒刃を発動させており二人は再びつばぜり合いに持ち込むが同じ事をしても決定打を打てないと分かっている為に即座に攻撃を仕掛けては互いに刀で防ぐ。そして互いにバックステップで距離を取り有りったけのチャクラを刀に込めては走り出し、相手目掛けて刀を向けた。

 

 

「ハアアアアアッ!!!」

 

 

「ウオオオオオッ!!!」

 

 

二人は互いに刀を突き刺す。刺した刀には互いの血が大量に付着し、二人からも尋常ではない血が噴き出した…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……私達の……勝ちです……」

 

 

「………ガハッ……」

 

 

しかし最後に立っていたのは蒼鬼であり…光牙は倒れ、転身も解除された。

 

 

「ば……かな……」

 

 

そう呟くと光牙は意識を失い、蒼鬼もかなりの疲労から思わず膝を付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……蒼鬼が勝った結果には理由があった。

 

 

 

先程蒼鬼が頭突きをした時に蒼鬼は赤い右目を使って光牙に幻術を掛けていた。だが蒼鬼の幻術は特殊であり掛けた後に時間差で発動するというものだった。

 

 

…そして最後の刺し合う時に光牙の視点で蒼鬼が本来の位置よりも僅かに遠くに居る様に見せたのだ。故に蒼鬼の方が先に辿り着き致命傷を避けつつも急所を突く事が出来たのだ。

 

 

…しかしこの幻術はかなりのチャクラを使う上に使用後にかなりのチャージが必要であり、だからこそ蒼鬼は詠に幻術の準備が整うまでの時間稼ぎを頼んだという事だった。もしもこの幻術がなければ勝っていたのは間違いなく光牙であると今の蒼鬼は思っていた。実はまだ奥の手がありそれを使えば完勝する事も出来たがそれを使えば下手をすれば殺し兼ねない為に使わなかったのだ。

 

 

「………今回は…私の勝ちです……巻物は頂きます。」

 

 

蒼鬼は気絶した光牙にそう言いつつ巻物を奪い、これにて蒼鬼のチームが勝利となった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…勝ったな……」

 

 

「…あぁ」

 

 

「………何してるのよあなた達は………」

 

 

一方、蒼鬼達の勝利を把握した翔と響輝はどこぞの総司令とその友人のようなポーズを取りながらそんなセリフを言い出す為に春花はツッコミを入れた…。

 

 

「…と言うか今回、あなた達そんなに戦ってないでしょ…?実際そこまで傷付いた様子でも無いし……」

 

 

「………飴とガングロがバンダナの人を爆破してなければ翔とは本気で戦えてたんだ。」

 

 

「そうだよ(便乗)……久しぶりに…いや、実際真正面で戦った記憶がねぇがそれがなきゃ響輝とやり合えたんだよ。」

 

 

(こいつ等も戦ってたら戦ってたで大規模になっていたかもしれんがな……)

 

 

春花は翔と響輝にそう言う。今回の修行にて翔と響輝は実際そこまで戦った様子では無いと言い、実際に他のメンツとは違ってボロボロではなく砂埃で汚れた程度くらいにしかなっていない感じであった。

その事に響輝と翔はそれぞれそう言い、真司蛇はもしも実際にこの2人が戦っていたら大規模な戦いになっていたのでは…?と思うのだった……。

 

 

「……終わったか。」

 

 

「鈴音先生……。」

 

 

そんな時、いつの間にか鈴音が現れてはそう言い、一同は鈴音の方を向く。しかしその表情は何処か少し怒っている様子であった……。

 

 

「……光牙と焔もそうだが………響輝、お前も随分な事をしたな……」

 

 

「……………?」

 

 

鈴音はそう言いつつ、響輝を睨む。そんな鈴音の様子に響輝は臆するどころか『?』を浮かべては首を傾げ、一体何のことかと言うような表情をしていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………こうして波乱で色々な問題はあったがチームワークの修行は幕を閉じたのだった……。

 

 

 

 

 




……翔と響輝が散々やりたい放題したり光牙を大分悪者扱いする回になってしまいました……wダーク・リベリオンさん、本当にすいません…w(しかし序盤の光牙の性格的に一度鼻を折って成長させるにはこれしか無かったので……(おいw))

…何か翔が散々煽り倒すという如何にも小物っぽい行動になってしまった気がしますがこの案の前のヤツはボロッカス吐き捨てて恐らく読んでて気分悪くなるようなシーンになってしまう感じになってしまったので急遽書き直しましたw(今作の翔は今までのように捻くれ過ぎずに普段おちゃらけてるが言う時は言う(煽りも含めてw)というキャラにしたかった為にこんな感じに……w)……だからこそこの話は難産でした……w


………次回もやらかす回になりそうです…w



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嫌悪する少年と少女

 

 

チームワークの修行が終わり数時間後の忍部屋……。そこにて負傷者の手当が行われていた。特に蛇女の医療班や蒼鬼、春花、詠は大忙しであった。

 

 

「……籠鉄くん、大丈夫ですか?」

 

 

「サンキュー、悪いな蒼鬼。」

 

 

「…いえ、気になさらないでください。」

 

 

「しっかし光牙に勝つとは驚いたぜ~今度は手合わせしてくれよな!」

 

 

「はい受けて立ちます。ですがその前に…怪我を治して下さいね?」

 

 

「ハハッ…そうだな「そうだよ」いでえぇぇっっ!!??」

 

 

意識を戻した籠鉄は蒼鬼に治療を受けながらも彼女が光牙に勝った事に驚きつつも手合わせを頼む。そんな時、いつの間にか背後に現れた響輝が籠鉄の背中を叩き、怪我の影響もある為に籠鉄は痛みで叫ぶのだった……。

 

 

「…ひ、響輝さん!?す、鈴音先生の説教を受けていたのでは……?」

 

 

「……抜け出してきた。アイツらと居ると気分が悪い…」

 

 

「…いや!?ぬ、抜け出してきたって……!?」

 

 

「………裏切りの話…言われなくても分かってるよ、裏切り行為はいけない事だってくらい小学生でもわかるよ。最も飴とガングロが人間爆弾作戦しなければ私はこんな事はしなかったけどね。」

 

 

「………………。」

 

 

「……済まねぇな…響輝………「そうだよ」いや!?そこは別にいいとか言わねぇのかよ!?」

 

 

鈴音に光牙と焔共々説教を受けていた筈であるが抜け出したと言い出した事に蒼鬼は驚き慌てる。そして蒼鬼は言われなくても本来であればしなかったであろう裏切り行為の件を言い出しそれを光牙達の非情な作戦と同等に扱われた事が気に食わない様子であったのだ……。

………自分が快く引き受けた為に響輝がこんな行動に出る羽目になってしまった事に籠鉄が謝罪をするも頷く為に盛大にツッコミを入れるのだった…。

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさいね…私がもう少し早く回復出来ていたらまだ戦えたかも知れないのに……」

 

 

「春花さん、何時までも過ぎた事を気にしとったらアカンで。……確かにあの状態の籠鉄さんをほっとく訳にもいかんかったやろうし…今は次にどうするか考えるべきやないか?」

 

 

「そ、そうだよ!…わ、私なんかすぐにやられて……真司蛇さんの力になれなかったし……」

 

 

「俺も同感だ。確かに俺達が負けた事実は変えられないが次に勝てばそれでいい」

 

 

「……それもそうね、ありがとうみんな。」

 

 

春花は自分が早く回復できれば戦いに復帰出来ていたかも知れないと言うが日影、唯依、真司蛇は責める事も無く今後はどうすれば良いかを考えるべきだと励ました。

 

 

 

 

「ごめんね詠お姉ちゃん…私が一番最初にやられちゃって……」

 

 

「未来さん気にしないで下さいませ。私も倒されてしまったのは変わりませんし誰も責めたりなんて致しませんから。」

 

 

「そうだよ(便乗)俺なんかリタイアしたし……」

 

 

「…てかそうだよね!?翔はフェアじゃないとか言ってリタイアしてたし……てかもしも私達が負けてしまってたら大丈夫だったの!?」

 

 

「なぁに、そうなってても消耗してた光牙なんぞ敵でもねぇし全快してても問題ねぇよ。」

 

 

「……何か手柄横取りするようなセリフですわよね……」

 

 

「…でもよくそんなに自信過剰に言えるね……。いや、実際蒼鬼と互角に戦ってたから強いと思うけどさぁ……」

 

 

一方翔と詠と未来は未来が自分が真っ先に倒れた事に謝罪をするも詠と翔は励ますように言う……と、ふと翔は戦わずにリタイアした為にツッコミを入れつつももしも自分達が負けて光牙と戦う事になっていれば大丈夫なのかと尋ねると翔が小物染みたセリフを言い出す為に詠は苦笑いで、未来はジト目でそう言うのだった。

 

 

 

 

 

それから数分後に説教が終わった光牙と焔が戻って来た。すると焔は早々に籠鉄の元へと行っては土下座をした。

 

 

「は?」

 

 

「お、おい焔!?」

 

 

「スマン!やり過ぎたのは確かだった……安い言葉かも知れんが…反省している……」

 

 

籠鉄は勿論のこと、他のメンバーは動揺していた。……その一方翔と響輝は呆れたような表情となっていたが……。

 

 

「す、過ぎた事を何時までも気にすん…「バンダナの人」ひ、響輝……?」

 

 

「放っておきなよ。土下座したからって本心で謝罪しているとも限らないしかと言ってその場しのぎの反省かも知れないんだ。…現に飴は何もしてないし…所詮そんな所だろうよ」

 

 

「……っ…………!!」

 

 

籠鉄は焔を許そうとするも響輝がそんな事を言い出す。そう言われた焔は土下座の体制を崩さないも悔しそうに歯を噛み締めていた……。

 

 

「お、おい響輝………そんな事言ってやるなよ…。ほ、焔だってこうして反省「アンタもアンタだよ」…え?」

 

 

「アンタは疑う事を知らなさすぎる。お人好しだか何だか知らないけど…そうやって簡単に許すからまた同じ事されるんだよ。考えなさすぎ」

 

 

「う”っ………」

 

 

「ひ、響輝さん………!」

 

 

そう言いだす響輝を落ち着かせようとし、そう言いだす籠鉄だが今度は自分の事を言われ、何も言えなくなってしまう。そんな響輝を蒼鬼が止めようとすると…

 

 

「……お前達……」

 

 

「!鈴音先生……」

 

 

いつの間にか鈴音が現れており一同は驚くも翔と響輝と光牙以外は気を引き締めた顔をする。

 

 

「今回の修行はお前達に取っても大きな経験となった事だろうが敢えて言わせてもらう……焔…そして光牙。私はチームワークを見せろとは言ったが仲間の犠牲を前提にする事は間違ってもチームプレイとは言わない。そして籠鉄。幾ら仲間の為とはいえお前は自分の犠牲が前提の作戦に疑いは愚か、全く反対の様子を見せていなかった。

仲間を信じているとはいえ自分の出来る事を模索せずに犠牲になるのは誤った判断だ。」

 

 

「「………」」

 

 

「……はい、もう少し自分でも考えます……」

 

 

鈴音がそう言うと焔と光牙は何も返せず籠鉄も鈴音の正論に顔を伏せた。厳しい言葉ではあるが任務の最中にどうしようもなくなって仲間を犠牲にする事と最初から仲間を犠牲にして任務をこなすのでは似ている様で本質が全然違うのだ。

 

 

「……そして響輝「だから言われなくても分かってるよ」……」

 

 

「ひ、響輝さん落ち着いて……!」

 

 

「…ワリィがセンセ、俺は響輝と長い間コンビを組んでるから分かってるんでな……コイツはコイツなりに仲間を大事にしてんだ。少なからずともあそこのバカ2人以外は大切な仲間と思ってるんだよ。そんな奴が理由もなくあんな行動を取る訳ねぇだろうがよ。」

 

 

「………まぁ良い……」

 

 

そして鈴音が再び響輝に何かを言おうとすると響輝はそうとう苛立っているのか睨みつつもそう言う為に蒼鬼が止める……も翔は響輝を庇う…いや、翔も光牙と焔の作戦に怒りが隠せなかった為に響輝を責めようとする鈴音に物申すのだった……。

 

 

「………確かに忍の世界では、ルールや掟を破る者はクズ呼ばわりされる。だが仲間を大切にしない者はそれ以上のクズだ。」

 

 

「「「…………」」」

 

 

「……確かに忍の世界は常に死と隣り合わせの非情な世界だ。仲間を見捨てなければ生き残れない……任務達成の為に仲間を斬る時もあるだろう。しかし生きる事、そして生かす事もまた一つの強さの象徴だ……それを忘れるな。」

 

 

鈴音は一同にそう言った。その言葉は文句が言えない文句なしの言葉であった為に誰も何も言わず頷くのだった……。

 

 

「……意見はあるか……?」

 

 

そして最後に鈴音は何か意見はあるかを尋ねると響輝が手をあげる。……恐らくロクでも無い事であろうと思うがあえて意見を聞く。

 

 

「………だったら先生………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

任務の時には私を飴とガングロと組まないで欲しい。」

 

 

「…!?」

 

 

「ひ、響輝さん!?」

 

 

「……………」

 

 

響輝の言葉に一同は驚きの表情を浮かべる。

 

 

「……確かに先生の言葉は理解した………。でもあんな事をされて組みたいと思う奴いるの?間違いなく今日みたいな事をさせられそうだ。」

 

 

「ひ、響輝さ「俺も同じ意見だ」翔くん!?」

 

 

鈴音の言葉はしっかりと理解した……しかしそれでも響輝はもはや光牙と焔を信用に値しない人物とみなしていた為に任務にて共に組みたくないと言い出したのだ。その事に蒼鬼も何か言おうとするも翔もそう言いだし驚いてしまう。

 

 

「……俺もペアでコンビを組むような事をしていたからな……あんな事をする奴らなんかに背中を任せられねぇよ。下手すりゃ後ろから撃たれ兼ねねぇからな。」

 

 

翔も響輝と同意見で光牙と焔とは組んで任務に出たくないと言い出した。蛇女に入る前、翔と響輝はコンビでペアを組み、互いに背中を任せるような任務等を行っていたのだ。なのでそんな2人からすれば光牙と焔のあの行為からして背中を任せられないとの事でそう言うのだった。

 

 

「………いい加減にしろよ貴様ぁっ!!!」

 

 

「!?焔ちゃん!?」

 

 

その瞬間、焔は怒鳴り声をあげては翔の胸倉に掴みかかった。その事に一同は驚きつつ響輝は目付きを変えては焔に攻撃を仕掛けようとするも翔が手を横に出して制止させた。

 

 

「黙って聞いていれば好き放題言いやがって!!これは私達と籠鉄との問題だ、貴様らにどうのこうの言われる筋合いは無いんだよ!!!」

 

 

「別にお前らの件に口出ししたつもりはねぇよ、それはテメェらで勝手に解決しやがれ。俺らは俺らなりに自分自身の気持ちを言ったまでだ、あんな事をしやがる奴らに背中なんて任せられねぇってのをよ。ま、そんな様子じゃわかりゃしねぇだろうな。」

 

 

「…っっ!!!」

 

 

焔が怒鳴り散らすも翔は平然としながらそう言っては最後に小馬鹿にするように吐き捨てた……瞬間に焔は翔の頬を殴りつけた。殴られた勢いで翔は頭から窓ガラスに突っ込み窓ガラスが割れてしまった……!

 

 

「きゃああぁぁぁっ!!!」

 

 

「しょ、翔くん!!!」

 

 

その光景を見て唯依は悲鳴を上げてしまい詠も驚きながら翔の元へと向かおうとするも焔はそのまま馬乗りになって翔の顔を殴打し始めた…!

 

 

「黙れよお前ぇぇ!!!お前が!!お前如きが好き放題ほざくなあぁぁぁ!!!」

 

 

「ほ、焔さん止め……ひ、響輝さん落ち着いて!!!」

 

 

「……離せよ監督生の人……!!」

 

 

怒鳴りつけながら翔を殴打する焔……そんな焔を一同が止めようとするも響輝がメイスを持って焔を殺そうとする為に響輝を止めようと抑えるも全員がかりでも押さえつけられない為に蒼鬼も動揺しつつもこのままだと翔が危ないと冷静になれない状態になった……瞬間、翔は殴打していた焔の拳を掴み………

 

 

「っ!?ぐ……ぐああぁ…………!?」

 

 

「……お前如きが………何だよ………?」

 

 

翔は焔の拳を……焔が痛みの声を上げるほどに掴んでいるのか焔が声を上げる……。しかし翔は力を加減せずにミシミシと音が鳴る程に焔の拳を掴んでた体を起こすと………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…お前……あんま調子に乗んなよ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔がそう吐き捨てた瞬間、焔の拳を掴みながらそのまま焔を振り上げるように上げてはそのまま地面に叩きつけた……!!!勢いよく叩きつけられて痛みに苦しむ焔であったが立ち上がった翔は容赦なく焔の腹を蹴り上げては焔を浮かし、そして頭を掴んだかと思うと出入口の扉へとそのまま頭から叩きつけては扉をぶち壊してしまった……!!!

 

 

「がぁっ………!?」

 

 

「しょ、翔くん!!!」

 

 

「…あ…………」

 

 

その事に蒼鬼は叫び、蒼鬼の叫び声を聞いては翔は少し冷静になる。

…しかしそれは焔を扉に叩きつけてしまった事では無く、扉を壊してしまったという事であった……。

 

 

……蛇女の機材等の管理は全て監督生である蒼鬼が管理しており、訓練などであろうとも壊してしまえば修理の書類書きや修理費の費用は全て蒼鬼が実費で払う事となっていたのだった………。焔は兎も角扉を壊してしまった翔は蒼鬼に対して少し罪悪感を覚えたと同時に………

 

 

「………おい、勢い余って扉壊しちまったじゃねぇか……どうしてくれるんだオイ?」

 

 

「がっ!!!ぎあっ……!!ごほぉ…………!!!」

 

 

「ちょ!?八つ当たり!?」

 

 

痛みで蹲っている焔にそう言いつつも頭を踏みつけたり蹴り回したりなど容赦なく暴行を振るい始めた……!その事に未来がギョッとするも止めなければ今度は焔が危ないと把握し止めようとすると………

 

 

「や…止めてください翔くん!!!」

 

 

「………チッ……」

 

 

翔は蒼鬼に後ろから抑えられて止められてしまう。その事に翔は舌打ちをしつつもこれ以上蒼鬼には迷惑かけられないと思い焔への暴行を止めるのだった……。

 

 

「……響輝、行くぞ……」

 

 

「おk」

 

 

そして翔は響輝を呼ぶと響輝も把握していたのか頷いては……そのまま忍部屋から出て行こうとした……。

 

 

「…おい、貴様ら何処へ行く?」

 

 

「……フケる。こんな気持ちやら状況で授業受けてられっかよ。」

 

 

「右に同じく。」

 

 

「待て貴様ら………!」

 

 

そんな翔達に鈴音が声を掛けると翔はそう答える。この状態で昼からの授業は受けたくないと言い出しそのまま出て行こうとするも鈴音に肩を掴まれ止められる。すると翔は鼻で笑いつつ鈴音を見ると………

 

 

「じゃあ去年みたいな状態で授業するか?あの時みてぇにクッソ空気悪い中でよ?」

 

 

「……っ…………」

 

 

翔の発言に鈴音は黙り込む。

 

………1年前に起きたとある事件にて翔は激怒した時があり、その翌日の授業にて翔はちゃんと授業に出たのだがかなり機嫌が悪く、教室の中は彼から発された重苦しいオーラによって詠達は重苦しい中で授業を受ける羽目となりある意味授業にならな状態となってしまった。その事を鈴音が注意するも翔は止めない為に鈴音がチョークを投げつけるがそれをキャッチしては黒板で粉々になる勢いで投げ返してきた程であった。

 

……その為、普段から滅多にここまで怒らない翔である為にこうなってしまえば蒼鬼でさえもどうしようもない状態となってしまう事を把握したため、鈴音は舌打ちをしつつ……

 

 

「………好きにしろ」

 

 

「あぁ、そうさせてもらいますよ。アンタだって嫌だし邪魔だろ?あんな空気を作り出すヤツはよ……?」

 

 

鈴音はそう言っては翔はそう返す。そして響輝と共にそのまま出て行こうとすると……

 

 

「しょ、翔くん!!」

 

 

「……蒼鬼、ドアの弁償代の請求書は俺に渡せよ?なんだかんだでお前まで巻き込んじまったのは事実だからよ、勝手にテメェが弁償するんじゃねぇぞ?こいつが割ったガラスは知らんけどな。」

 

 

「…………………。」

 

 

蒼鬼も翔を呼び止めようとするも翔はそう言いつつそのまま行ってしまった。

……キレた勢いとは言えドアを壊して蒼鬼に負担をかけてしまった罪悪感はありせめてもの自分が壊したドアの弁償代は自分が払うとの事であった…。

 

……焔の割ったガラスの件は知らないとの事であったが……。

 

 

「……あっ!と、兎に角焔ちゃんの手当てを………!」

 

 

こんな事もあって言葉を失っていたが翔にボコボコにされた焔を手当てしなければと思い詠や春花達は焔の元へと駆け寄るも…

 

 

「………ぅ………ぅぅぅ…………!!」

 

 

「ほ……焔…………?」

 

 

焔は泣いていた……恐らく悔し泣きをしているような様子であった……。その事に詠達は何も言えずに黙ったまま焔に治癒術をかけるのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(くそ………くそぉ…………………!!!ちくしょぉぉぉぉぉぉぉ………!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

「……いって……ちょっと切れてんじゃねぇかよ………」

 

 

「…大丈夫………?医務室に寄って行く?」

 

 

「…それが良いかも知れねぇな………」

 

 

一方授業を怠けた翔と響輝………ふと翔は頭に痛みが走り額を触ると血が付いていた。どうやらガラスに突っ込んだ際に少し切ってしまった様子であり一応医務室へと向かうのだった……。

 

 

………そんな時………………

 

 

「お……?おぉぉ………??お前たち!どうしたんだぁ!?」

 

 

「……ガイセンセ………」

 

 

手に大きな袋を持ちつつ翔と響輝を見て驚いた表情をする鎧威が居た。どうやらまだ授業中であるのに教室から出ていた事に驚いている様子であった…。

 

 

「お前たち、まだ授業中だろう?一体どうしたんだ?」

 

 

「……気分悪ぃからフケる。」

 

 

「右に同じく」

 

 

「何っ!?それはいかんぞぉ!確かに授業が面倒だったり勉強が嫌だったりとそんな所もあるかも知れんがそんな事をして勉学を怠れば将来困る所もあるだろうし何より青春しなくちゃいけないぞぉ!!」

 

 

「「……………。」」

 

 

そんな翔と響輝に鎧威が尋ねると2人はそう答え、鎧威はそう語りだす。……確かに鎧威自身声が喧しいが間違った事は言っていない。勉強していなければ将来困ってしまう事もあるであろうし何よりも真っ当な学生生活を送ってほしいという鎧威の願望でもあった。……悪忍ではあるが……

 

 

………そんな鎧威の思いを分かっているも今の気持ちであの部屋に居座りたくないと思っているために響輝はこう言った……

 

 

「………先生…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業をサボるってのも……青春の1つじゃないかな?」

 

 

「……おぉ!?」

 

 

響輝がそう言うと鎧威は少し驚きつつも考えた表情となる………。

 

 

「……確かに………学校をサボって友と一緒にヤンチャしたりするのもまた青春の一つかも知れんなぁ!だがしかし!…ここはやはり同じ選抜メンバーの友と一緒に青春を……」

 

 

鎧威はそう考えつつ響輝の言葉に同感する。しかしそれでも鎧威は選抜メンバーと共に青春を送ってほしいと言おうと思い2人へと振り返るも………

 

……すでに2人の姿がなかった……どうやら鎧威が考えているスキに何処かへ行ってしまった様子であった………

 

 

「………俺って、ほんとチョロいな………」

 

 

逃げられた事に鎧威はアメリカンクラッカーのような涙を出しつつも項垂れた。……どうやら以前にもこんなやり取りで2人に逃げられた事がありこの事から鎧威は『青春』という言葉に弱い事を悟られてしまいこんな感じで今回も逃げられたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の一件で光牙と焔と亀裂が入ってしまった翔と響輝……果たしてどうなってしまうのか………?

 

 

 

 




※作者は別に焔が嫌いでは無いですw(寧ろ好きな部類のキャラですw)焔を強化する為の儀式のようなイベントなのでご了承をお願いします…w




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対決!選抜候補生メンバー

今回は選抜候補生メンバーとの出会いと勝負です。

……ある意味翔が本当にやりたい放題の回となりますw(最低最悪な意味でw)





「はぁ~~~~~~暇だな……。授業受けなかったら受けなかったで暇だなオイ……」

 

 

「……何なら暇つぶしに外に出る?」

 

 

「それもいいかも知れねぇな。……蒼鬼にバレたらややこしそうだけどな……」

 

 

時間的に昼休憩が終わり…授業をフケてきた翔と響輝は蛇女の天守閣の屋根で寝転がっていた。しかしサボったらサボったで暇になり響輝が提案しては賛成しつつ体を起こすと………ふと訓練場にて何かが目についた……。

 

 

「……どったの?」

 

 

「………何か珍しい髪色らが動き回ってるのが目に見えてな……。」

 

 

「………だね……金髪に茶髪……その他赤と緑は珍しい……って君も人のこと言えんだろうに…」

 

 

屋根の上からでも見えるくらいに目立つような髪色をした生徒が修行している様子が見えたために翔がそういうと響輝も同感し…実際翔も人のことが言えない髪色をしている為にそういう……。

 

 

「………そういえば選抜候補生メンバーだっけ……?そんな奴らが蛇女にいてはその中にそんな髪色した奴が居たような……」

 

 

「……じゃああれが候補メンバーなんじゃないの?」

 

 

ふと翔はある事を思い出す。蛇女には次期選抜メンバーになれる可能性があるという候補生メンバーがおり、顔は覚えてないがその中で髪色が赤色やら緑色だった少女たちが居たようなと思い出し響輝はそれもある為にあれが選抜候補生メンバーではないのかと言うのだった……。

 

 

「…………へへ、こりゃあいい暇つぶしになりそうだな……。」

 

 

「…ゑ?あ、翔、どこ行くんだよ?」

 

 

翔はニヤリとしつつそう言うとそのまま屋根から飛び降りてはその候補生メンバーやらが居る訓練場へと降下していった。響輝は突然飛び降りる翔にそう呼びかけるも既に遅いために少し呆れつつも翔を追い飛び降りて訓練場へと降下していくのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~訓練場~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……ふぅ………」

 

 

「お疲れ様です、芭蕉ちゃん」

 

 

「…ぴゃっ!?あ、はい……ありがとうございます……」

 

 

一方訓練場にて修行が終わり、息を切らている緑髪の少女『芭蕉』は仲間の1人である少女『伊吹』に背後から声を掛けられてはビクッと驚いた。背後に伊吹が居たことに気付かない程に息を切らしていた様子であった……。

 

 

「お疲れ様じゃの~芭蕉。」

 

 

「あ、皆さん……」

 

 

「お前も中々やるな……だがこのメンバーの中でも一番美しい私と比べればまだまだだがな……」

 

 

「………まぁナルシストは放っておいて芭蕉さんも結構やりますね……」

 

 

「い、いえ……私なんかまだまだです……」

 

 

修行が終わり赤髪で何処か古めかしい言葉遣いをする『芦屋』、やたらとナルシストで自信過剰な少女『総司』、そして何処か冷静そうな雰囲気を持つ『千歳』が芭蕉に声を掛ける。そして選抜候補生メンバーはそんな感じで会話をしていると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズガアアアアアァァァァァァァァァンッ!!!

 

 

 

 

「ぴゃあっ!?」

 

 

「な、なんじゃあぁ!?」

 

 

「…というかこの土煙は何……!?」

 

 

突如物凄い音と共に訓練場に土煙が舞う為に候補生メンバーは驚いて少し慌てるようにそう言うと……

 

 

「よぉ、お前らが選抜候補生メンバーとやらか?」

 

 

「だ、誰だっ!?」

 

 

土煙から人影が2人見えた為に総司が問う……。そして土煙が晴れるとそこには翔と響輝が姿を現した……。

 

 

「き、貴様は……!?」

 

 

「……しょ…翔先輩に……響輝先輩………?」

 

 

「なぁぁ!?う、噂では去年に下剋上を起こした生徒を全員半殺しにしたという噂の…恐怖の先輩!?」

 

 

「おいおい、噂を鵜呑みにしてんじゃねーよ」

 

 

「……大体は本当だけどね……。」

 

 

総司達が翔の姿に驚きつつ芦屋に至っては1年前の大事件の噂を鵜呑みにしているのか青ざめつつそういう為に翔はそう言うが響輝は横でそう伝えるのであった…。

 

 

「……そ、その先輩が私たちに何の用ですか……?」

 

 

「天守閣の屋根裏から訓練場を見ていてな……その際に緑色と赤色の髪した奴が動き回ってるのが見えてな、そのお前らが選抜候補生メンバーとやらだってのを思い出してどんな奴らなのか気になって降りてきたまでの事よ。」

 

 

「……わ、私と……」

 

 

「わ、我か………?」

 

 

「………天守閣の屋根から降りてきたって……結構な高さある筈なんですけど……。」

 

 

千歳が翔に尋ねると翔はそう答える。その際に髪色を言われ芭蕉と芦屋は自分達が目印になっていた事に唖然としつつも千歳は天守閣からここまで降りてきたという事を冷静にツッコミを入れるのだった……。

 

 

「………ふ………ふふふふ………」

 

 

「そ、総司さん……?」

 

 

「……何を気色の悪い笑い方をしてるんですか……?」

 

 

「なぁに…ちょうど良いと思ってな……。恐怖の先輩だか何だかそんな噂は知らないがその噂の先輩が来たんだ。ここであの2人を倒せば選抜メンバー入りは勿論の事、そして私がこの学園で最も強く美しい存在である事を知らしめる事ができると言う事だ!!」

 

 

「なぁぁ!?本気かぁ!?ニャメロン!!勝てる訳がない!!あ奴は伝説の恐怖の先輩なんじゃぞぉ!!」

 

 

すると総司が突如笑い出す為に芭蕉はギョッとしつつ千歳はジト目で総司を見つつそう言う。どうやら総司は選抜メンバー入りと自分の野望を叶える為に翔達に勝負を挑もうとしていた。その事に芦屋はどこぞのヘタレ王子のようなセリフを言いつつも総司を止めようとするが聞く耳持たなかった……。

 

 

「……血気盛んな奴め……だが、嫌いじゃねぇぜ。響輝、お前は手ぇ出すなよ。こいつ等は俺と遊びたいみてぇだからな……」

 

 

「………だと思ったよ……。ま、いいけど……」

 

 

翔はそう言いつつも自分が総司達と戦うと言い出しては響輝は小さくため息を吐きつつも座れそうな場所にて座るのだった……。

 

 

「ふん、私たちを1人で相手するとは舐められたものだ……!よし、行くぞみんな!」

 

 

「………やれやれ、仕方がないですね……」

 

 

「頑張れば春花様に褒めてもらえるかも~~~♪伊吹、頑張りまーす!!」

 

 

「くそぉぉぉ!!もうやぶれかぶれじゃぁぁぁ!!」

 

 

「…だ、大丈夫でしょうか………?」

 

 

総司が掛け声を出すと千歳は呆れつつも戦闘態勢となり、伊吹は春花に褒めてもらえるかもと思っては頑張ろうとし、芦屋はもはやヤケクソになりつつ、芭蕉は苦笑いをしつつも一同は翔へと挑戦するのであった………。

 

 

「はあぁぁぁっ!!」

 

 

「おっとっと………」

 

 

総司は真正面から突っ込んでは鎌の付いた鎖状鞭を振るい翔に攻撃を仕掛けるも翔には全てかわされ掠りもしない状態だった。

 

 

「………お?」

 

 

「うわぁっ!?」

 

 

瞬間、翔は何かに気付いたのかその場からジャンプする。すると総司も気付いたのか慌ててその場から離れては爆発を起こした。どうやら千歳が大型火縄銃で援護射撃をしたのだが場所的に総司まで巻き込みそうになったのだった……。

 

 

「貴様、私にまで当てる気か!?」

 

 

「だったら動き回らないでください!狙いを定めるの難しいんですよ!」

 

 

「………コンビネーションがなっちゃいないな………」

 

 

自分にも当たりそうになった為に総司がそう言うと千歳と言い合いになり、その光景に翔は空中でそう判断する。すると自分の上から伊吹が大型の鋏を持って降下する勢いで切りつけようとするが翔はそれを片手で受け止めては……

 

 

「……そぉい!」

 

 

「きゃううぅぅぅぅぅぅぅん!?……ギャンッ!」

 

 

そのまま伊吹ごと振り下ろしては地面に叩き付けた。その際に下からの攻撃で芦屋は巨大鉄輪を投げつけ、芭蕉は大型筆で『斬』という文字を書いては斬撃攻撃を放って攻撃を仕掛けるもこれも翔に回避されてしまった………。

 

 

「お……おのれぇ……!全然攻撃が当たらない………!」

 

 

「……これが選抜メンバーの実力………!」

 

 

攻撃が当たらない事に総司は悔しそうに、千歳は翔達選抜メンバーの実力を実感しつつも呟いた………。

 

 

「……さてと……そろそろ終わらせるか………!」

 

 

「終わらせる…!?舐めるなぁ!!」

 

 

翔の発言に総司はそう叫びつつ鎖状鞭を振るい攻撃を仕掛けるも翔は残像のように消えては姿が無くなってしまった……。

 

 

「な!?ど、何処だ……!?」

 

 

総司は姿の消えた翔を探す為に辺りを見渡すが翔の姿は無かった。

 

 

「そうか、上か!!上から奇襲攻撃を掛けようと……「総司さん、後ろです!!」何!?」

 

 

「……遅い………」

 

 

そして総司は翔が上から攻撃を仕掛けてくると予測し、上空を見上げるも翔の姿は無かった……が、千歳の声に気付き振り返ろうとするも翔は既に総司の背後に回っていた。………どう言う訳かしゃがみながら火遁を使う際の印の構えをしていたが……

 

 

「……………っっっっ!!!????」

 

 

「……は?」「「「…え?」」」

 

 

「………………。」

 

 

そして次の瞬間、総司は激痛の痛みで顔をゆがめ、更には青ざめてしまった。……理由はわからないが尻への衝撃と激痛により………

 

………そして翔が行った総司への攻撃に千歳達は唖然とし、響輝に至っては頭を抑えつつ呆れた表情となった………。

 

 

「………秘儀、蛇女流外法体術奥義…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『千年殺し』ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!」

 

 

「ぎぃやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

翔は総司に『蛇女流外法体術奥義・千年殺し』……という名のカンチョーを喰らわせた……。その瞬間、総司は尻を抑えながら絶叫を上げながら物凄い勢いで飛び上がってはその勢いで訓練場を覆うフェンスに激突してしまうのだった………。

 

 

「……ふぅ~~~~」

 

 

そして翔は……まるで銃を撃った後のように両手人差し指にフゥ~と息を吹いた……。

 

 

「な……ななななななな!?なんじゃああの技はあぁぁぁぁぁぁ!!!???」

 

 

「あ……あぅぅぅ~ん……そ、総司ちゃん羨ましいかもですぅ……」

 

 

「変態!変態!!変態!!!変態!!!!変態!!!!!!」

 

 

「は……はわわわわ…………」

 

 

翔の技に……芦屋は盛大にツッコミを入れ、伊吹に至っては何故か千年殺しを喰らった総司を何処か羨ましそうにしており、千歳に至っては赤面しながら自分の尻を庇うように両手で抑えながら翔を罵倒し、芭蕉は青ざめながら恐れていた…。

 

 

…………そして翔は千歳達の方を向き……その光景に千歳達はビクンと震えるも一瞬にして翔の姿が消える……

 

 

「…ひぃっ!?来ないで!!!「遅い」あっ………」

 

 

自分の背後に来たと思った千歳は尻を庇うような動きをするもそのスキに首に手刀を受けては気絶させられてしまった………。

 

 

「……勝負に卑怯も糞もねぇぜ。」

 

 

「……いや、ごもっともだけどさ………」

 

 

突如翔がそんな事を言い出す為に響輝は呆れつつもツッコミを入れる。……あんな技やっておいて何を言い出すんだとも言えるであろう……(笑)

 

 

「ど、どうすればいいんじゃあ!?背後を許せばカンチョーが飛んできてお尻を庇ったら手刀が飛んできて……!?」

 

 

「わ、私が囮になります!!そ、そうすればあの攻撃を…もとい2人を逃がす事が………」

 

 

「え、えぇ!?だ、ダメです伊吹さん!?は、早まっちゃダメです!!!」

 

 

芦屋はもはやどうしようもない状態に慌てながらそういうと伊吹はそう言いだす……。錯乱してるのか本心なのかは分からないが芭蕉が伊吹を止めようとするも……

 

 

「……って翔先輩がいない……?」

 

 

「ゑ?」

 

 

その間にも翔の姿が無い事に芭蕉は気付き……一同(伊吹以外)は嫌な予感がしては青ざめるも…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ア”ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♀!!!」

 

 

「きゃうんっ!?」

 

 

「あ、芦屋さん!?」

 

 

突如芦屋が絶叫を上げてはそのまま倒れてしまう。その事に伊吹と芭蕉はギョッとするも時すでに遅し、翔の餌食となってしまっていた………。

 

 

「ば、芭蕉ちゃん逃げて!!」

 

 

「い、伊吹さんダメです!!!」

 

 

次は自分たちである事を把握した伊吹は芭蕉を庇うように突き飛ばしては前に出る……そして………

 

 

「しょ、翔先輩…………や、優しくお願いしますぅ………♪」

 

 

「「…………………」」

 

 

背中を向けると尻を突き出したポーズをとっては翔にそんな事を言い出す……。伊吹の行動に流石の芭蕉もジト目になっては呆気にとられてしまい、一方翔は何も言わずに黙り込むと………

 

 

「…………………」

 

 

「あぅん……酷い………」

 

 

伊吹には手刀を喰らわせて気絶させるのであった……。

………そして残った芭蕉へ視線を向けると………

 

 

「残ったのはお前か………」

 

 

「あ……あわわわわ……………」

 

 

もはや勝ち目が無く自分もああなってしまうのかと思ったのか芭蕉は青ざめていた……。そんな様子の芭蕉に翔は小さくため息を吐き………

 

 

「……1人になったからって弱気になるな。寧ろ仲間の無念を晴らすべく立ち向かわなくちゃいけねぇ立場だろ?」

 

 

「うっ………」

 

 

(……いや、どの口が言ってるんだよ……)

 

 

そんな芭蕉を奮い立たせようとそう言い、芭蕉も翔の言葉は正しいと思い黙り込む。………しかしあんな攻撃をしておきながらどの口が言うのかと響輝は内心でツッコミを入れた……

 

 

「…………それに俺が見たところ……選抜候補メンバーの中じゃお前が一番潜在能力を持ってると見た。」

 

 

「……え?わ、私がですか………?」

 

 

「お前がその気になれば………未来どころか唯依も……ギリギリ焔辺りのレベルには行けるんじゃねぇか?」

 

 

「そ……そんなに……ですか………!?」

 

 

「そうよ、だから死ぬ気で修行しろよ。そうすればお前は必ず強くなる。」

 

 

「は………はい……!!」

 

 

しかし突然翔は芭蕉に秘められた力があると言い出し、その事を教えられた芭蕉は驚いてしまい、最終的には翔に励まされた為に力強く頷いた。

 

 

………しかし次の瞬間訓練場の土が浮き上がっては芭蕉の手足を土が拘束してしまった……!

 

 

「え?!えぇ!?」

 

 

「………話しかけたが……油断しすぎだ。」

 

 

突然拘束された為に芭蕉は驚き戸惑うと翔はそう言う。どうやら翔が術を使った様子であり油断していた芭蕉を土で拘束したのだった………。

 

 

「…………そんなお前にはお仕置きが必要だな………」

 

 

「お……お仕置き……ですか………?」

 

 

すると翔はそう言いつつ芭蕉の背後に回るも何故か距離を取るかのように移動していた。その事やその言葉に芭蕉は訳が分からず戸惑っていると………

 

 

「…………」二ヤリ……

 

 

「……ひぃっ!?」

 

 

翔はニヤリと笑みを浮かべ、拘束されつつも後方を向いた芭蕉は……翔の様子に小さく悲鳴を上げていた。

 

…………あの構えをしていたからだ…………

 

 

「お、お願いします………!そ、それだけは……それだけは許してください……!!」

 

 

「………………。」

 

 

芭蕉は涙目になりつつも翔にそう言うが翔は構えつつもジリジリと近づくように芭蕉へと歩み寄っていく…。

 

 

「ほ、本当に!!本当に堪忍してください!!!それ以外の罰であればなんでも受けます!!だ、だから!!!」

 

 

「………………………」

 

 

「い、嫌ぁ…!ゆ、許して……!お願いします止めてください!!やめて……やめてええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

芭蕉がそう訴えるも翔は聞く耳持たずにジリジリ近づいていき、もはや芭蕉へと近くなり芭蕉は泣き叫ぶように叫んだ………瞬間だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめい」

 

 

「ボスコォッ!?」

 

 

「……え?」

 

 

響輝が翔に飛び蹴りを喰らわせ、飛び蹴りを喰らった翔はフェンスへと激突してしまうのだった………。それと同時に芭蕉は土の拘束から解放されるのであった……。

 

 

「……………流石にこれ以上は不味いし……やり過ぎだよ………。」

 

 

「………やっぱり……?あでででで!?」

 

 

響輝はそんな翔に近づいてはそう言いつつもアイアンクローを喰らわせていた。………その表情は何処か怒っている様子で……少し嫉妬しているような様子にも見えた………。

 

 

「……ウチの変態が迷惑かけたね……。とりあえず性根叩き直すから許してちょ」

 

 

「ゑ?あ……えっと………その…………」

 

 

「あの~響輝さ~~ん?引きずらないで~~~~~~~」

 

 

響輝はそう詫びを入れつつも翔の服の襟を掴みつつ翔を引きずりながら訓練場を去って行くのだった………。

 

 

芭蕉は唖然としてしまうが我に返っては尻を抑えつつ涙をダラダラ流しつつ「ぅぅぅ……」と呻き声を上げている総司と芦屋の介抱へと向かうのであった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……君は一体何してんだよ………」

 

 

「…いやぁ突然思い浮かんだ技を試したくなって………」

 

 

「…………監督生の人に言いつけるよ……?」

 

 

「スンマセンマジでそれは勘弁してください本当にお願いします」

 

 

「…………そう言う事は詠だけにやった方が良いよ……」

 

 

「ですね………」

 

 

 

 

 

 




………誰かこの主人公止めてくれ……(白目w)

完全にネタ&色々と酷い回でしたw自分でもこんなネタ書いてて頭おかしいと思いました(レタスはリアルが忙しすぎて混乱している!w)……色々と怒られそうな気が…(白目w)選抜候補メンバーファンの方スミマセヌw

翔「……俺のこの変態な性格は大体ジジイの遺伝(滅茶苦茶な言い訳)」

??「何でじゃ!?ワシでもそこまでやらんわい!?」





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光牙の謝罪/蒼鬼の説教

 

総司達専売候補生メンバーの指導(?)を終えて蛇女内をウロウロしている翔と響輝。もう時間も時間なので外出せずに自室に戻ろうとしていた……。

 

 

「……おい」

 

 

「……あん?」

 

 

突如背後から自分達に声を掛けてくる人物が居た為に振り返ると光牙が立っていた。

 

 

「………んだよ?」

 

 

「……さっきの事の文句でも言いに来たのかい?」

 

 

「…そうじゃない……」

 

 

翔と響輝は光牙にそう言うも光牙は首を横に振り……

 

 

「………済まなかった………」

 

 

「……は?」

 

 

突如頭を下げて謝罪してきた為に響輝がそう声を出す。……そんな光牙に翔は小さくため息を吐くと……

 

 

「……それは俺らに言う言葉か?」

 

 

「……籠鉄にはもう謝罪している。貴様らにも…特に響輝にも不快な気持ちにさせてしまったからな……」

 

 

「…あっそ……どうでもいいけど」

 

 

翔は光牙にそう言う。……寧ろ謝罪する相手は籠鉄なのでは?と思ったからだ。しかしどうやら籠鉄には既に謝罪している様子であり翔と響輝にも不快な気持ちにさせてしまったという件に謝罪している様子であった。……そんな光牙に響輝は素っ気ない様子でそう返すのだったが……

 

 

「……何を昔の事でウジウジしてるのかは知らねぇが俺らの前で二度とあんな真似すんじゃねぇぞ。」

 

 

「…………っ!」

 

 

「………テメェがやたら仲間という言葉やらを否定したり勝ちや強さにこだわるのは恐らく過去になんかあったかのように見た……けどいつまでも過去の事でウジウジしてちゃ前に進めねぇぞ。」

 

 

翔は光牙にそう言うと光牙は目を見開いた。………翔はやたら光牙が仲間という言葉を否定したり勝ちや強さにこだわるのは過去に何かあったからだろうと見たからであった。………今の光牙の様子からして……図星なのであろう……。

 

 

「……貴様に…貴様に何が……」

 

 

「わっかる訳ねーだろ。お前の過去に何があったのかも知らねーし聞いても教えてくれねーだろうし興味もそこまでねぇよ。………けどな……幾ら過去の事を後悔したり悩んだりしててももう過去には戻れねぇし過去を変えたりなんて出来ねぇんだよ。」

 

 

「………………。」

 

 

光牙は翔に自分の何が分かるのかと言おうとするもそう言われ言葉を失う。…確かに幾ら過去の事を後悔してももう戻る事なんて出来ないのは事実であったからだ……。

 

 

「………お喋りが過ぎたな。オメーも色々と考えを改めていかねぇとこの先どっかで躓いて前に進めなくなるぞ。」

 

 

翔はそう言うと響輝と共にその場から去って行ってしまった。

………1人残された光牙は黙り込みながら立ち尽くしつつ翔の言葉を思い出す。……確かに翔の言う通り過去の事でどれだけ悩もうが後悔しようが……今になってからではもう戻ることも過去を変える事も出来はしないのだ……。それは光牙も分かっている事であった………

 

 

(……だから……だからと言って……忘れられる訳がないだろう……!!)

 

 

しかし光牙には……忘れられる事が出来ない……後悔してもしきれない過去があったのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________________________________

 

 

 

 

 

「………翔くん………」

 

 

「……蒼鬼か………」

 

 

響輝が先に部屋へと戻った後、翔は蒼鬼とばったり会う。……その様子は怒っている様子ではなく…何処か心配するような表情であった………。

 

 

「…………焔さん達の事………怒っていますか……?」

 

 

「…怒っちゃいねぇさ……ただ呆れているだけだ……」

 

 

「………どっちも同じじゃないですか………」

 

 

先ほどの一件もあってやはり焔達の事を怒っているのかと尋ねるも翔はそう答える……がほとんど同じであると思いそう言うのだった……。

 

 

「………そりゃあそうだろうよ、過去になんかあったかは知らねぇけどいつまでもウジウジウジウジして八つ当たりされりゃいい迷惑だぜ……。」

 

 

「…………………。」

 

 

そんな蒼鬼に翔はそう言う。………どうやら焔の方も過去に何かあったという事を悟っており自分に対してやたら当たりが悪いのもその過去に影響があると把握しているが光牙同様いつまでも過去の事を気にして八つ当たりみたいな事をされちゃ迷惑な話であると翔は言うのだった。

 

……その事に蒼鬼は少し考えるような表情をしては……

 

 

「…………焔さんは……過去に裏切られた事があって……それからなんです……。」

 

 

「……あん……?」

 

 

蒼鬼は焔の事を話し始める。その事に翔は少し驚くも……

 

 

「……お前、過去の事を俺に話したらアイツに殺すとか言われてなかったか?」

 

 

「……でも…話さなければ翔くんだって納得できないと思いますし………。」

 

 

「…成程、アイツ程度には殺される事はねぇってか。」

 

 

「……いや、そういう意味じゃないですけど………」

 

 

翔は蒼鬼にそう尋ねる。……確かに入学初日の焔とのいざこざの際に焔は蒼鬼に自分の過去を話せば殺すと捨て台詞を吐いたのだ。その事を思い出し翔は蒼鬼に尋ねるも焔の過去を話さなければ焔がなぜああなってしまったのかを納得できないと思い話そうと思ったのだった。……その様子に翔は蒼鬼が焔程度に自分は殺せないと思っての事かと言うも蒼鬼は苦笑いで首を横に振った……。

 

 

「……中学の……私や翔くんが姿を消して「…いや、話さなくていいわ」……えぇ……?」

 

 

そして蒼鬼が経緯を話そうとするも翔にそう言われる為に肩透かしを喰らわされるような気持になった……。

 

 

「……別に話さなくても良いよ。結局は過去の事でウジウジ悩んでは八つ当たりしてるってだけだろうがよ。どっちにしろ事情聞いても納得できねぇわ。」

 

 

「…しょ、翔くん…………」

 

 

「……みっともねぇんだよ………ガキの頃の俺の相棒が……あんなウジウジ悩んでいるってのがよ……。どんだけ過去の事で悩もうが後悔しようが……もう元には戻せねぇんだ、それだったら忘れろとは言わねぇがきっぱりと考えを変えて前に進むしかねぇんだよ。………それをいつまでもウジウジ悩んでいて……情けねぇぜ……」

 

 

「………翔くん………。」

 

 

翔は今の焔に対してそう言う。………みっともなかったのだ、かつて自分と共に喧嘩騒ぎしたり馬鹿やったりと……翔にとってはある意味背中を任せられるような相棒みたいなツレであった焔の今の姿に…。過去に一体何があったのかは知らないが戻せない過去にいつまでも振り回されてはウジウジしているという姿に情けないと思っていたのだった。

 

………それは翔も同じであり、戻したい過去があるも戻せない過去があった……しかしそれを戻せないと分かっているからこそ、翔は過去の事であまり悩まず、前に進むために今を生きているのだった……。その為、蒼鬼は何も言えなくなるのだった………。

 

 

「………ま、そういう事さ。別に怒っちゃいねぇ、ただ単に呆れつつ不愉快に思っているだけって訳さ。」

 

 

「…………わかりました………。」

 

 

そして翔は今の焔達には怒っていないが呆れているだけだと話すと蒼鬼も複雑に思いながらも納得するのであった………。

 

 

「……とりあえずこのお話はここで終わらせるとして…翔くん……1つお聞きしたい事があるんですが……。」

 

 

「……ん?」

 

 

一旦この話は終わらせつつも蒼鬼は翔に聞きたい事があると言い出す為に振り返る……も何故か蒼鬼は真顔になりつつも……何故か少し恐怖を感じるような雰囲気を漂わせていた……。

 

 

「………先ほど…医務室にて総司さん達の姿があったんですが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………聞けば千歳さんから翔くんがセクハラ紛いの技を受けそうになった…いや、総司さんと芦屋さんは受けたと聞きましたが……どういう事ですか……?」

 

 

「…………………。」

 

 

「……何で顔を背けるんですか?」

 

 

蒼鬼は翔に尋ねる………そう、先ほどの選抜候補生メンバーとの模擬戦において……翔が繰り出した技…『千年殺し』という名のカンチョー攻撃の事をチクられた様子であった。その事に蒼鬼が真顔で尋ねてくるために翔は顔を背けるが蒼鬼はそう言いつつも翔の顔を見る為に正面に立つも翔はまたもや顔を背けるためにまた正面に立っては……の繰り返しとなる為に……

 

 

「………やったって事……ですね……?」

 

 

「……ちげーし!!セクハラ技じゃねーし!!『蛇女流外法体術奥義・千年殺し』だし!!正式な外法技だし!!!」

 

 

「いや!?そんな奥義聞いた事ないですし蛇女流とか初めて聞きましたし正式な外法技ってなんですかと言うか外法だったら使わないでくださいよ!?」

 

 

………その様子から翔はそのセクハラ紛いの技をやったと言う事を察してはそう尋ねるも翔は半ば逆切れ気味でそう言い出す為に蒼鬼は盛大にツッコミを入れた。……言ってる事が色々と可笑しいためである……。

 

 

「だったらその技がどんなのか見せてやるから尻突き出して構えろよ!」

 

 

「嫌ですよ!?…って言うか故意にお尻に攻撃してる時点でセクハラじゃないですか!?」

 

 

そして翔はそう言いつつも例の構えを取りつつそんな事を言い出す為に蒼鬼は赤くなりつつも尻を抑えながら盛大にツッコミを入れるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………と…兎に角……今回の一件は保留にしときますが……流石に授業を抜け出したという事のケジメはつけてもらわないといけないので響輝さんと一緒に明日までに反省文を書いてきてくださいね?」

 

 

「…酷ぇな蒼鬼も……。俺は兎も角響輝は俺が連れ出したみたいなモンなのによ。それにアイツが読み書き苦手なの分かってるくせに……」

 

 

「……まぁそれはそうですが普通について行った響輝さんも響輝さんですからね……。読み書きが苦手な件に関してはこれも練習だと思って翔くんが責任持って教えてあげてくださいね?」

 

 

「…お嬢さん……背後からケツを狙われないように夜道には気をつけろよ?」

 

 

「………そんな事したら……分かってますね?」ニッコリ

 

 

「はい、すんません」

 

 

数十分における説教のような傍から見れば痴話喧嘩のような党論が終わり蒼鬼は翔にそう言う。……選抜候補生との件は反省文を書かせてしまえばある意味晒し者にしてしまいそうな気がした為に説教で保留させ、ただし授業をフケた件に関してはケジメの為に反省文を翔と響輝に書かせる事にした。その件に関して翔は自分は兎も角巻き込んだ響輝にも書かせる事や彼女が読み書きがそこまで得意ではないが反省文を書かせるという為に翔はそう言うも蒼鬼がそう返した為に翔は少し悪ふざけしつつ例の構えをすると蒼鬼はニッコリとしてそう言い出す為に翔は素直に謝罪しては自室へと戻っていくのだった………。

 

 

「…絶対に故意でやってそうですねアレは……。…それ考えると何だか詠さんが心配になってきましたね……。……………翔くん……気付いたら破廉恥な人になっちゃってますね……いや、確かに翔くんのおじい様がそうでしたけども……」

 

 

蒼鬼は先ほどの悪ノリから間違いなく翔は故意でやったと思いつつもそう考えたら普段から結構被害に遭っている詠が心配になってきたのであった。

………そして去年のいつからかは忘れたが翔が段々と破廉恥な人になっていっている事……そして翔の祖父の事を思い出しては何処かムスッとするような表情となっていたのであった………。

 

 

 

 



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蒼鬼の悪夢と発作/蒼鬼の中のもう1人の人格

その日が終わり夜……既に蒼鬼は寮の自室にて明日の準備を終わらせて眠っていた…。

 

……しかしその際、彼女は奇妙な夢を見ていたのだ……。

 

 

 

 

 

………その場所は……何処かの薄暗い森……であったが何故か火の海に飲まれ、次々と人間らしき存在が忍と妖魔に殺されていった………。

 

 

「……っ!これは……これは……あの時の……!?」

 

 

その光景を見た蒼鬼は……怯えるように体が震え始めた……。………蒼鬼には何故か翔達と出会う前の頃の記憶が無い……と言うよりもすっぽりと抜けたような感じで覚えていないのだ。……その筈であるのだが蒼鬼は何故かこの光景を……覚えている気がしたのだ………。

 

 

『早く死ね!死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!!!!!!早く!さっさと!死ねやああああああああああっっっ!!!!!!!』

 

 

「ッッ!!!!!!!!?」

 

 

そんな時、突如背後から男性の喧しい大声が聞こえた為に蒼鬼はビクッと震えながらも恐る恐る振り返ると……

 

 

『ギャーギャー喧しいんだよ』

 

 

『私達の妹に手を出した挙げ句に仲間まで殺害したんだもの、無事で帰れると思わない事ね』

 

 

『黙れやあああああああああ!!!!』

 

 

大剣を持った大柄な男と赤い髪の少年…そして桃色の髪の少女が対峙しており、その光景を見た蒼鬼は目に涙を溜めて肩を震わせていた…。

 

 

「……兄様、姉様……」

 

 

赤い髪の少年と桃色の髪の少女を見て蒼鬼は呟く……。蒼鬼が見ている光景は……彼女にとって忘れたくても忘れられない程の心の傷を負わせた…地獄の日の光景であった…。

 

 

『人間様に逆らうなやああああああ!!!!』

 

 

『…来るぞ!』

 

 

『ええ』

 

 

大柄の男が2人に飛び掛かりそれを迎え撃つように2人も構え……そして3人の技の衝突により竜巻が起こった…!

 

 

「ッ! うわああっ!!!?」

 

 

蒼鬼はその竜巻に巻き込まれては空中に放り投げられてしまい、地面に向かって真っ逆さまに落下していく。本来であればこの程度なら蒼鬼は体勢を戻して着地出来るはずだが……彼女はそうしなかった……。

 

 

(……このまま死ねば良い……私何て要らない……私のせいで兄様と姉様が傷付いた……仲間達が死んだ…………兄様も姉様も傷付かずに私だけが苦しむのであれば、それがどんなに嬉しかった事か……………もしもここで、死ねるなら……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ッッッ!!!!!!!!!?」

 

 

地面に激突する寸前……蒼鬼は目を覚ました……。あの光景を思い出したのか体中は冷や汗をかき、恐怖で体が震えていた………。

 

 

「……ハア……ハア……ハア……ハア……ハア……ハア……ハア……ハア……ハア……ハア……ハア……ハア……!」

 

 

……怖い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……怖い怖い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……怖い怖い怖い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁ………ぁぁ……………ぁぁぁ……………あ……ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

 

「……っ!!???そ。蒼鬼姉!?」

 

 

恐怖に飲まれ……恐怖で声を上げてしまう蒼鬼……その声により唯依は驚き目を覚ますも目の前の蒼鬼の様子に跳ね起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________________________________

 

 

 

 

 

「……ったく…自室にシャワー室はある癖に便所はねぇのかよ……。」

 

 

その一方……学園の皆が寝静まった時間……翔は催してはトイレに行き用を済ませて部屋に戻る途中の道を歩きながら愚痴を呟いていた。……蛇女の学生は自室(相部屋)にはシャワー室や調理が出来る小さなキッチンがあるのだが何故かトイレだけは部屋には無い為に態々部屋から出て学園のトイレに行かなければいけなかったのだ。

 

 

「………しっかし真っ暗だなぁ………。……お化けが出てきたりしてぇ~~~~~~な~~~んてn「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」どおおぉぉぉおぉぉぉっ!!!??」

 

 

部屋に戻る道……丁度唯依と蒼鬼の部屋の横を通った際にあまりにも真っ暗な為に翔は冗談半分にそう言うも突如の叫び声にビクゥッと震え声を出してしまった。

 

 

「な、なんだぁっ!?」

 

 

その声……2人の部屋から聞こえた為に翔は驚きつつも部屋へと入り込んだ。

 

 

「おい!?なんだよ今の声は!?ホラー映画でも見て………!?」

 

 

「蒼鬼姉!!蒼鬼姉ぇぇ!!!」

 

 

「あああああああああああっ!!!ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

翔は真夜中に叫び声を上げるために2人にツッコミを入れるようにそう言おうとした……瞬間にその光景を見て考えが変わる……。何故ならば……唯依が蒼鬼の両肩を掴んでは落ち着かせようと声を掛けており……その蒼鬼は………両手で頭を抑えながらも何かに怯えるように涙をこぼしながら叫び声をあげていたからだ……

 

 

「お、おい!?どうしたんだよ!?」

 

 

「あ!お、お兄ちゃん!!蒼鬼姉が……!!蒼鬼姉がぁ!!!」

 

 

「おい!蒼鬼!!どうした!?どうしたんだ!?」

 

 

「あああああああああああっ!!!ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

そんな2人に声を掛けると唯依は翔の存在に気付いては今にも泣きだしそうな顔で翔に助けを求めてきた。翔も蒼鬼に駆け寄っては両肩を持って声を掛けるも蒼鬼は怯え泣き叫ぶばかりであった……。

 

 

「……っ!蒼鬼!!」

 

 

翔はどうしていいかも分からないが先ずは蒼鬼を抱きしめつつ背中を優しく撫でさすった。

 

 

「蒼鬼!しっかりしろ!俺だ!翔だ!……分かるか!?」

 

 

「あぁ………!ああぁぁぁぁぁぁぁぁ……………!!」

 

 

「……何に怯えてるのかは知らねぇが大丈夫だ……大丈夫だからな………!ほら……な………?」

 

 

「ぁ………ぁぅ………あう………あ……………」

 

 

翔は抱きしめつつ背中を優しく撫で、蒼鬼に問いかける。最初はそれでも泣き叫ぶ声を上げていたが……段々と収まっていくのが分かった………。そして翔は抱きしめるのを止めては蒼鬼の顔に向き、彼女にも自分の顔が見えるように少し離すと……

 

 

「……しょ………くん………?」

 

 

「あぁ、そうだ。分かるか?」

 

 

落ち着きを取り戻したのか…蒼鬼は涙でグチャグチャになった顔で翔の顔が見えたのか小さく呟くように問いかけるので翔は小さく笑みを向けつつも蒼鬼が安心できるようにそう声を掛けた……瞬間だった……

 

 

「……!?お、おい!」

 

 

蒼鬼はまるで操り人形の糸が切れたかの如く力が抜けたように翔の胸へと倒れこんだ。翔が驚き彼女に声を掛けるも反応が無く、気を失った様子であった……。

 

 

「………気ぃ失っただけか………。驚かせやがって……。」

 

 

「…………前にも……蒼鬼姉は……こんな発作を起こした事があったの……。最近は起きなかったから……落ち着けたのかと思ったけど……」

 

 

「…待て、それって俺が居なかった数年前にも頻繁に起こしていたのか……?」

 

 

蒼鬼が気を失っただけである事に翔は小さく息を吐きながらそう言うと唯依が説明する。…どうやら今回だけでなく以前にも頻繁にこんな発作を起こしていたという事が唯依の口から明らかとなったのだ……。

 

 

「………一体どうしてなんだ………?「……私が説明する……」…!?」

 

 

翔は何故に蒼鬼が発作を起こしたのかという事を考えていた……瞬間に突如意識を失っている筈の蒼鬼から声が聞こえたかと思えば起き上がったのだ。

……そしてどう言う訳か……今の蒼鬼は蒼い髪色の前髪に黒いメッシュが入っており、普段は右目が赤で左目が青のオッドアイなのだが両目が赤く、更には右目にはハイライトが無い状態の姿となっていたのだ………。

 

 

「………『オロチ』……か?」

 

 

「……………。」

 

 

翔が今の蒼鬼を……『オロチ』と呼ぶ。すると蒼鬼こと『オロチ』は軽く頷いた。

 

 

………『オロチ』……詳しくは分からないが蒼鬼の中にいる彼女のもう1つの人格であり、蒼鬼にとっては親代わりのような存在であった。蒼鬼が翔達の家に引き取られた時には既に彼女の中におり、当初は翔達どころか蒼鬼にさえも心を開いておらず敵意や殺意満々な状態であったが共に過ごす内に蒼鬼にも翔達にも心を開いていき、気付けば蒼鬼の親代わりのような存在となっていたのだった……。

 

 

「………蒼鬼姉がどうして発作を起こすの……分かるの……?」

 

 

「……恐らく蒼鬼は覚えていないであろう記憶が……この子のトラウマの出来事が悪夢となって思い出されてしまっているからだ。恐らく目を覚ましたらその夢の事さえも覚えていないであろうが……。」

 

 

「………成程な……。どう言う訳か蒼鬼も言ってたからな……俺たちと出会う前よりもっと前の事をまるで覚えておらず思い出そうにも思い出せないって……まるでロックされているようにな……。」

 

 

唯依が尋ねるとオロチはそう答える。そして翔も納得しつつも……蒼鬼は記憶喪失でもないのに大昔の事は覚えていないという事を…まるでその記憶に鍵がかかっているかのようになっている事を疑問に思っているが………

 

 

「……………その蒼鬼の昔の記憶……私が蒼鬼の中で生まれた頃の記憶を……私は知っている……」

 

 

「……何だと…?」

 

 

オロチの言葉に翔と唯依は驚く。………蒼鬼から抜け落ちている記憶を……蒼鬼の中でオロチが生まれたであろう頃の記憶を……オロチは知っていると言い出したからだ。

 

 

「……だがその記憶を……私は蒼鬼に教える事も出来ないし幾らお前たちであっても教える事は出来ない……。下手をすればお前たちの口から蒼鬼にその記憶の事を伝えられてしまうかもしれないと思ってしまうからだ………。」

 

 

「…………そんなに……ヤバい記憶なのか……?」

 

 

「……今のこの子が知れば……精神が崩壊し廃人と化してしまうだろう……。」

 

 

「……………っ!!」

 

 

しかしオロチはその記憶を蒼鬼には教える事もしないし翔達であっても教える事は出来ないと答えた。……それを蒼鬼に知られたくないからであった。………もしそれを今の蒼鬼が知れば精神崩壊を起こすであろうと言う事に唯依は目を見開いてしまうほどに驚いた。

 

 

「…………兎に角……この子の発作は過去の記憶が悪夢として蘇った時だ……。そうなってしまえば中で私でさえも止める事が出来ない……。」

 

 

「…………………。」

 

 

そしてオロチは発作の原因は蒼鬼のトラウマの記憶が悪夢として夢で出てきた時に起きる事を話し、そうなれば蒼鬼の中にて自分でも止める事が出来ないという事を話すのだった……。

 

………それを話した後……突如オロチは自虐するような笑みを浮かべた……。

 

 

「…………情けない話だ……。何がこの子の親代わりだよ……この子が苦しんでいるのに……私は何もできなかった………。発作を起こして泣き叫んでいるこの子を……ずっと止める事が出来なかった…………。」

 

 

「…そ、そんなことは無い…!それを言ったら……私も蒼鬼姉を助けられなかった……!……お父さんもお母さんも居なくなって……お兄ちゃんも居なくなったと思い込んで…情緒不安定になってた時に蒼鬼姉が助けてくれてたのに……それなのに私は………!!」

 

 

オロチは発作を起こした際に自分は蒼鬼を助ける事が出来なかった事を自虐すると唯依はそう言いつつも……自分が精神が不安定になった際に蒼鬼は助けてくれようとしていたのに逆に自分は蒼鬼が発作を起こした時には助ける事も出来なかったという事を悔やみ泣き出してしまった………。

 

 

「………しかし今日分かった……。やはりこの子にとって翔、お前は大きな存在だと言う事を……お前なら……この子が苦しんでいる時に……助けられると言う事を……。」

 

 

「…………………。」

 

 

「……だから翔……恥を忍んで頼む……!この子を……蒼鬼を……助けてあげてくれ………!!」

 

 

オロチは……蒼鬼にとって翔は大きな存在であり、翔であれば蒼鬼が苦しんでいる時は助けてあげる事が出来ると勘付き……翔にそう頼み込んだ……。……親代わりと言いながらも助ける事が出来なかった自分の代わりにと……。

 

 

 

 

 

 

 

………しかし翔は……

 

 

「……うるせえ」

 

 

「…痛!?」

 

 

何故かそう言いつつもオロチのおでこにチョップを喰らわせた。

 

 

「な、なにをする翔!?…と言うか仮にも蒼鬼の体なんだから攻撃するな!」

 

 

翔が自分にチョップを仕掛けてきた事に驚きつつも……今は自分の人格であるが体は蒼鬼の体である為にチョップを仕掛けてきた事にそう言うが……

 

 

「…助けてあげてくれじゃねぇよお前おい………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オメーも助けんだよ!

 

 

「…!?」

 

 

翔の発言にオロチは驚く。……しかしそれでも翔は続けた……

 

 

「俺が蒼鬼にとって大きな存在?……俺ならばこいつを助けられる?そんなモン確信もねぇし俺に押し付けてサボろうとしてんじゃねぇぞコノヤロー」

 

 

「…いや、違う!?そういう意味じゃない!!……私はこの子を助けられ「うるせえ」おい!?」

 

 

翔はオロチにそう言う。オロチはそう言うもそれが確信であるとは限らないと思いつつ翔はそういうとオロチは勘違いしていると思いつつ助けられなかった自分よりも翔の方が彼女を助けられる可能性が高いと思い頼もうとしている事を話すもそう切り捨てられるように言われた為にオロチはそう言った。

 

 

「………最初からお前らが諦めてどうすんだよ。お前らは俺が居ない間にそうは見えなくとも蒼鬼を支えていたんじゃねぇのかよ。」

 

 

「「!」」

 

 

「…………確かにお前らは蒼鬼を支える事が出来なかったとか、助ける事が出来なかったとか……自己採点したらダメだったとか思うかもしれねぇけどな……支えられなくともこいつにとっちゃお前らが傍に居たから今までを…ここまで頑張れたんじゃねぇのか?」

 

 

翔はオロチと唯依にそう言う。………翔がまだ生きている事を知らない時に自分達がそうとは思っていなくとも蒼鬼にとってオロチと唯依と言う存在が傍に居たからこそ発作は起こしていたとはいえ蒼鬼は自ら命を絶とうとせずにここまで頑張ってこれたという事を……

 

 

「………諦めんのは簡単だろうよ。けどな、お前らにまだこいつを支えたいって気持ちがあるんだったら……諦めんのは早いんじゃねぇのか?」

 

 

「………………。」

 

 

翔の言葉にオロチ達は黙り込んだ。………確かにここで諦めて翔に任せるのは簡単だ、しかし2人にもまだ蒼鬼を支えたいと言う気持ちは大きかったからだ……。

 

 

「………ふっ……ふふふふふ…………」

 

 

「?」「お、オロチ………?」

 

 

その時、オロチが突如フフフと笑い出した為に翔は「?」を浮かべつつ唯依は少し驚いた……。

 

 

「……そうだな……私ともあろう事か……こんなところで諦めたら何がこの子の親代わりだ……。口だけの存在になってしまうじゃないか………」

 

 

オロチは自虐な笑いをしつつもそう言う。……今まであれ程自分は蒼鬼の親代わりだと主張していたがここで諦めれば口だけである事が証明されるからだ……。

 

 

「……ありがとう翔……お前のお陰で目が覚めた……。何処までしてあげられるか分からないが私は私なりに蒼鬼を支える……!それが今私にできる事だ……!」

 

 

「……それでこそオロチだ。」

 

 

「…わ、私も頑張る!力になれるか分からないけど……私も蒼鬼姉に沢山迷惑かけた……!だから……!!」

 

 

オロチは翔の喝によって目が覚めたという事に礼を言いつつそう決心する。そして唯依も蒼鬼に迷惑をかけた分の恩返しとして蒼鬼を支えようと決意したのだった。

 

 

「………さて、これで大丈夫そうだな……。そんじゃあ俺は「まぁ待て」…?」

 

 

「…もう夜も遅いんだ、このままこの部屋で寝ていけばいいだろう。」

 

 

「……何でそうなる?」

 

 

その様子からしてもう大丈夫だと思い翔は自室に戻ろうとするもオロチに手を掴まれてはそう言われる為にそう言うと……

 

 

「そりゃあそうだ、今から部屋に戻る時間もここで寝れば寝る時間に割り振れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………何よりもお前と一緒に寝たいんだよ……」

 

 

「…お前の願望じゃねーか……」

 

 

「あ~!オロチズルい!私もお兄ちゃんと寝るの!!」

 

 

オロチはそう言いつつも……結局は自身の願望である事に翔はツッコミを入れる。すると唯依も膨れつつそんな事を言い出す為に結局翔はオロチと唯依と一緒に寝る事となったのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ん………」

 

 

そこから数時間後………蒼鬼は目を覚ました……。悪夢の内容は……覚えていなかったが悪夢から目を覚まして怯え泣いていた所は覚えていたのだ。唯依が必死に自分を呼ぶ声も覚えており……翔の匂いを感じた事から翔も助けに来てくれたのであろう。そこから意識を失ってしまったが……。

 

 

(……また……唯依に迷惑をかけてしまいました……。そして今回は翔くんにも……)

 

 

過去に発作を起こした際に唯依には何度も迷惑をかけてしまい、今回は翔にも迷惑が掛かってしまったという事を罪悪感を感じていた……。そう思いつつもふと右側を見た……瞬間………

 

 

「…………んぇ!?////」

 

 

右側には……翔が眠っていたのだ。確かに左側には唯依の感覚を感じていたのだが不思議と右側にも何故か何らかの感覚を感じていた為に疑問に思っていたのだがまさか翔が眠っていたとは思わず蒼鬼は赤くなってしまった。

 

 

(……傍に居てくれた……と言う事ですかね……?)

 

 

蒼鬼は自分が気絶してからも傍に居た為にこうして眠ってしまったのかと思うと罪悪感を感じつつも翔に感謝をしていた。……実際はオロチの願望の為であるが……。

 

……そう思いつつもいつまでも暗い気持ちになっていれば今日の仕事とかにも支障が出かねないと思いつつ仕事をしようと思い起きようとする……が……

 

 

「……えぇ?!////」

 

 

起き上がれない事に気付き翔の方を見ると……翔が自分の腕で腕枕している事に気付いた。その為に起きようにも起きれなかったのだ……。

 

 

(ど……どうしましょう………)

 

 

蒼鬼は内心で困ってしまった。……そのまま翔から腕を引き抜ければ解決できるが心優しい蒼鬼はそれで翔を起こしてしまうのではないかと思ってしまったからだ……。そしてどうしようかと考えていると……

 

 

「ん………んん………」

 

 

(あ……起きちゃいました………)

 

 

翔が今ので起きてしまったと思い罪悪感を少し感じるが……翔は寝返りをうったと思いきや……

 

 

「……ふぇぇ!?////」

 

 

そのまま自分に抱き着いてきたのだ……。その事に蒼鬼も予想外であった為に驚いてしまい顔を真っ赤にしてしまった。

 

 

「はわ……はわ………はわわ…………////」

 

 

今の状況に……蒼鬼は理解が追い付いていないのか顔を真っ赤にしつつ目がグルグルになっていた……。……確かに子供の頃にて一緒に寝る事はあった、しかし今は年齢が年齢……更に蒼鬼も年頃の少女だ。こんな状況になってしまえばこうなってしまうのも無理はなかった………。

 

 

「……………」

 

 

「……え!?あ、あの翔く……!?そ、それ以上はダメ…!?/////」

 

 

そして更には……翔は寝ぼけているのか顔を近づけてきた…。このままいけばキスをされてしまう状態であった為に蒼鬼は慌てつつも顔を反対側に向けようとした……瞬間……

 

 

「………はむ……」

 

 

「」

 

 

蒼鬼は翔に耳をはむっ…と咥えられてしまった。

 

 

…その瞬間、蒼鬼の中で何かが切れ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間蒼鬼は鼻血を噴き出しては目を回しながら気を失ってしまうのだった……。

 

 

 

 

(………全く……こういう所は初心だなこの子は……)

 

 

一方蒼鬼が目覚めた際に意識の中でこの様子を見ていたオロチは鼻血を出しながら気絶してしまった蒼鬼を見て呆れるのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、蒼鬼はこの1時間後に意識を取り戻し、大慌てで仕事をする羽目になったのは言うまでもなかった……。

 

 

 

 

 

 




……シリアスで終わらそうかと思ったが結局ギャグになるというオチである…w




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光牙と芭蕉の出会い ~そして時々翔と~

 

蒼鬼の発作から数日が経った蛇女子学園……。翔は今日も気ままに蛇女での学園生活を送っていた……。

 

 

「……あ~~暇だなぁ~~~~~~。何かおもろいモンねぇかな~~~?」

 

 

そんな彼は暇そうなのかそうボヤいていた。傍から見れば「修行しろよ」と言われそうであるが……

 

 

「…およ?」

 

 

そんな時、翔は何か見つけたのか立ち止まってはその方を見つめた。そこには緑色の髪色をした少女が何かを物陰から覗いている様子であった……。

 

 

「………確か……選抜候補の緑の子だったか…?」

 

 

その少女を見て翔はそう考える。……そう、その少女は以前に戦った選抜候補生メンバーの1人、芭蕉であった。どうやら芭蕉は何かを物陰から見ている様子であったが……

 

 

「……いいケツしてんな………」

 

 

……あろう事かこの男は物陰から覗いている際に突き出してしまっている芭蕉の尻を見ていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……先輩……訓練場に来て……修行でもするのでしょうか………?」

 

 

一方芭蕉は背後にいる翔の存在に気付かずに物陰から『先輩』と言う存在を見つめていた。どうやら芭蕉はその先輩の事が気になっているのか物陰から後をつけてきた様子であった……。その先輩を物陰から見つめていた……瞬間……

 

 

 

「……!!?!??!?!?!?!??/////」

 

 

芭蕉は顔を真っ赤にして体をビクゥッと震わせた。……何故ならば何者かに尻を掴まれつつ…撫で回されていたからだ……。恐る恐る背後を振り返ると……そこには翔が芭蕉の尻を撫で回していたのだ……。

 

 

「ぁ…ぇ……ぁ………!?////」

 

 

「………ふ~~~~~~~む……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いいケツだ……安産型だな、元気な子供沢山産めるかもな。」

 

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~「シー…誰をつけてるか知らんが悲鳴上げるとバレるぞ?」っ!?へ…へあぅ……ひぅ……///////」

 

 

芭蕉が困惑している中、翔は芭蕉の尻の感触や大きさからしてそんな感想を述べた。その瞬間、芭蕉は声にならない悲鳴を上げつつも悲鳴を上げそうになった瞬間、翔にそう言われた為に困惑しつつも声を抑えたのであった。

 

 

(せ、せせせ先輩!?な、なにを!?/////)

 

 

(………お前が無防備にケツ突き出してるからだぜ?何だったら千年殺し喰らわせても…)

 

 

(やめてくださいよそれだけは!?…て言うかと、突然お尻触るなんて…)

 

 

(忍たるもの何処から襲撃されるか分からねぇんだ、だから気を引き締めてなかったお前が悪い。)

 

 

(ぅぅ…………)

 

 

そして芭蕉は顔を赤くしながら小声で翔に問い詰めると翔はそう言いつつも例の構えをする為に芭蕉は慌てて両手で尻を隠した。そして翔にそう言うも翔はあろう事か正当な事を言い出す為に芭蕉は何も言えなくなるが何処か納得いかない様子でシュンとしてしまうのだった。

 

 

(…しっかし誰を見てるんだ………?)

 

 

そして翔は芭蕉が誰をつけていたのかを確認する為に物陰から覗くと……そこには光牙と15人くらいの蛇女の女子生徒が対峙していた。

 

 

(……光牙?光牙をつけてたのか?)

 

 

(…え、えぇ……ま、まぁ……………)

 

 

芭蕉はどうやら光牙をつけていたらしくその事を尋ねると芭蕉は少し赤くなりつつも頷いた……。そんな芭蕉の様子を見て翔はニヤニヤすると…

 

 

(…さてはおめー光牙の追っかけだな?)

 

 

(ふぇ!?そ、そう言う訳じゃ……//////た、ただ……その……こ、光牙先輩とお話を………////)

 

 

(…成程ねぇ……でも残念ながら今のアイツじゃお前は眼中に無いだろうな…。こんな安産型で可愛い子が追っかけだってのによ……)

 

 

(か、かわっ!?////……ゴホン……そ、そうですよね………)

 

 

翔は芭蕉が光牙の追っかけであると思いそう言うと芭蕉は顔を真っ赤にしながらそう言った。しかし翔は恐らく今の光牙にすれば芭蕉は眼中に無いであろうと考えつつそう言うと芭蕉は『可愛い』と言われた事に赤面するも咳払いをしつつその事に少し落ち込んだ表情をした。

 

 

(……しょーがねぇなぁ…。んじゃあ一肌脱いでやりますか。)

 

 

(…え?)

 

 

(安産型のいいケツ触らせてもらったんだ、一肌脱いでやるぜ。)

 

 

(あ、安産型安産型言わないでくださいよぉ!?///)

 

 

翔は尻を触らせてもらった礼なのかそんな事を言い出した。そんな翔に芭蕉は自分の尻を『安産型』と連呼される為に赤くなりつつも尻を隠した。

 

 

 

 

 

 

 

「……ところで、いつまでそんなところに隠れてるつもりだ?」

 

 

「っ!?」

 

 

「およ?」

 

 

そんな時、光牙が翔達が隠れている方へと向き語り掛けてきた。どうやら今のやり取りの間に女子生徒たちを片付けた様子であった。

 

 

(うわわわわ!?ど、どうしましょう!?ま、まままさかこんな事になっちゃうなんてぇ~~~!?)

 

 

芭蕉は自分たちがつけていた事がバレてしまった事に驚き慌ててしまっておりパニックになっていた……。しかし一方翔は平然としており、突然息を吸い込んだと思うと……

 

 

「……コッケコォォォォォオッ……コォォォォォォオォオオ!!!」

 

 

「…!?」

 

 

突如何を思ってか翔はニワトリのような鳴き声のマネをして叫んだ。その事に芭蕉はギョッとした表情になる。

 

 

「……おい」

 

 

「ケーッ!!コッケー!!!コケーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

 

 

「先輩っ!?」

 

 

光牙はその声に動揺や騙される事も無くそう言うも翔はしつこくもニワトリの鳴き前を激しくする為に芭蕉は更にギョッとしてしまった。

 

 

「………俺が黙っている内に出て来い……」

 

 

光牙は段々と鬱陶しく思い始めたのかそう言い出す。そんな光牙に翔はため息を吐きながらも物陰から出てきた。

 

 

「…んだよ、そこは「…ニワトリか…」ってスルーすりゃあいいのによ」

 

 

「……無理があるぞ……」

 

 

翔がそう言い出すと光牙はジト目になりつつもそう言う。……確かに猫であればワンチャンあると思うが色々と無理があり過ぎる……。

……そして芭蕉も物陰から出てきては……

 

 

「……お前は確か……選抜メンバー候補者たちの中にいた…」

 

 

「あっ…は、はい……ば、芭蕉です………」

 

 

「……そうか」

 

 

「…いや、お前もう少し何かないのかよ……」

 

 

「………興味ない……」

 

 

光牙は芭蕉を見てそう言う。……眼中に無い…とは言っていたが芭蕉が選抜候補メンバーに居たという事は覚えていた様子であった。芭蕉の自己紹介にそう返す為に翔はため息を吐きつつ光牙にそう言うが光牙がそういう為に芭蕉はシュンとしてしまう。

 

……しかし芭蕉はふと何かを思ったのか光牙に尋ねた。

 

 

「あ、あの……」

 

 

「なんだ?」

 

 

「い、いつから私がここにいるって気づいてらっしゃったのですか?」

 

 

「最初からだ。俺を追いかけてきたようだが気配がだだ漏れだったぞ。」

 

 

「そ、そう…ですか」

 

 

芭蕉が光牙にそう尋ねると光牙はそう答えた。……どうやら翔と合流する前から気付いている様子であったのだ。

 

 

「それで……お前はこんなとこで何をしている?」

 

 

「えっ?」

 

 

「翔は何故ついてきたのかは知らんがお前が俺の首を取りに来たというのなら受けて立ってやる。ただしやるからには覚悟するんだな?」

 

 

「…何故そうなる……」

 

 

「ままま、待ってください!?ち、違うんです!ご、誤解しないでください先輩!わっ、私は先輩と戦いに来たんじゃありません!」

 

 

「…何?」

 

 

そして光牙は逆に自分をつけてきた理由を芭蕉に聞いては自分の選抜メンバーの座を奪いに来たと思い武器を構え始める為に翔は呆れつつ、芭蕉は慌てて光牙にそう言った。

 

 

「……ならばなぜ貴様は俺を追ってきた?」

 

 

「わ、私はただ先輩が1人でここに向かう姿を見て気になったもので…」

 

 

「……くだらん……」

 

 

光牙がそう尋ねると芭蕉はそう答える為に光牙は興が削がれたのか武器を仕舞った。そしてそのまま光牙は何処かへ行こうとする為……

 

 

「…ほれ、何か言いたい事あるんじゃなかったのか?俺が一肌脱いだ意味ねぇだろ?」

 

 

「ふぇ!?あ、は、はい!?」

 

 

翔は芭蕉にそう言う。……どうやら芭蕉に光牙と話す機会を作る為に一肌脱いだ様子であった……。

 

 

「あっ、あの!」

 

 

「…何だ?」

 

 

「ひぃ!?」

 

 

芭蕉が声を掛けると光牙は振り返るがまるで睨むように威圧を掛ける為に芭蕉は少し怯えてしまった。

 

 

「…おい光牙、可愛い後輩を脅してんじゃねぇよ。もっと愛想よくしてやれや。こんな風にだな……」

 

 

「…ふごっ!?」

 

 

「ぶっ!?」

 

 

そんな光牙に翔はそう言いつつ光牙の背後に回っては背後から指で光牙の顔を引っ張るように弄った。それもあってか普段のクールな表情が物凄い変顔になってしまった為にそれを見てしまった芭蕉も流石に吹き出してしまった…。

 

 

「……貴様ぁっ………!」

 

 

「お!?やるか!?ばっちこーーーーーいっ!!!」

 

 

流石の光牙も変顔を晒したのが恥ずかしかったのか少し赤くなりながら翔を振り払っては武器を向ける。そんな光牙に翔も構えてはそう言い出した。

 

 

「………貴様もいつまで笑っている……?」

 

 

「ふぅぅ……ご、ごめんなさ………ふぅぅぅ…………」

 

 

そして光牙は背後から聞こえる芭蕉の笑いを抑えようとするような声を聞き少し睨みながらそう言うと芭蕉は必死に笑いを抑えようとしていた……。流石の芭蕉も突然の光牙の変顔を見てしまったせいで変なツボが入ってしまった様子だった……。

 

 

…………すると光牙は段々と疲れてきたのかため息を吐いては武器を仕舞い今度こそ何処かへ行こうとするが……

 

 

「あぁっ!?ご、ごめんなさい、ま、待って!待ってください!!あ、あのですね……!」

 

 

芭蕉は去ろうとする光牙を見て慌てて呼び止めた。

 

 

「おっ……お願いします!私に稽古をつけてください!」

 

 

「…何………?」

 

 

「……うっわぁ~~可愛い後輩に土下座させるなんて光牙くん鬼畜~~「……頼むから一旦お前黙れ…」…しょうがねぇなぁ~」

 

 

そして芭蕉は土下座をして必死に頭を下げつつ光牙に稽古をつけてもらうよう頼んだ。その事に光牙は驚き……翔が横槍を入れてくる為に光牙がそう言うとそう言いつつ黙るのであった…。

 

 

「…なぜ俺がお前に稽古をつけなければならない?」

 

 

「あ、あの……わ、私強くなりたいんです!一人前の忍になりたいんです!だからお願いします!」

 

 

「…何故俺になんだ?鈴音や鎧威に蒼鬼に……何ならそこに居る馬鹿から教わればいいだろう?」

 

 

「おい馬鹿とはなんだ馬鹿とは。蛇女一の馬鹿は籠鉄だけで十分だぜ~」

 

 

光牙は自分に稽古をつけるように頼んでくる芭蕉に疑問を浮かべつつもそう言うと馬鹿呼ばわりされた翔はそう言い出す。

 

……籠鉄……酷い言われ様である……(笑)

 

 

「…それもそうかもですが…先輩の戦うお姿に私、すごい感動を受けました!先輩から教われば私も強くなれるかもしれないと思いまして……!」

 

 

そして芭蕉は素直に自分の気持ちを伝えた。……光牙とも話したかったのは確かだが憧れである光牙に稽古をつけてもらいたいとも思っていたのだ。

 

 

「……はぁ…いいだろう」

 

 

「ふぇ?」

 

 

「だがな…これだけは覚えていろ。俺はここの教員たちの授業よりもハードだ、お前にそれらが耐えられるというのならな。「自分でハード言うか」黙れ」

 

 

光牙はそんな芭蕉を見てため息を吐きつつも芭蕉に稽古をつけてやる事を言う。そして今以上に厳しい修行を行うと聞いて芭蕉は息を飲むもまたもや翔が横槍を入れるので光牙はそう切り捨てた。

 

 

「どうした?怖気付いたか?」

 

 

「…や、やります!やらせてください!私、頑張ってついて行きますから!」

 

 

「……ふ…よかろう。では今から修行を始めるぞ」

 

 

「ふぇ?い、いまからですか?」

 

 

「…どうした?やるのか?やらないのか?」

 

 

「は、はいっ!!」

 

 

光牙がそう言うと芭蕉は意を決したように力強く頷く。そんな彼女を見て光牙は鼻で笑いつつもそう言っては修行場へと行こうとした為に芭蕉もついて行った。

 

 

「芭蕉~~~頑張れよ~~~~~~。もしも辛すぎて泣きそうになったらお兄さんが癒してあげるからな~~~夜に」

 

 

「は、はい……」

 

 

「…真に受けんでいい……」

 

 

そんな芭蕉に翔はエールを送りつつ……深読みすれば最低であろう発言をする。……も芭蕉は真に受けているのか頷く為に光牙は呆れつつも芭蕉にそう言った。

 

 

(がんばるぞ、りっぱな忍、目指します!)

 

 

光牙について行きながら芭蕉は俳句を心の中で読むのであった………。

 

 

 



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寿司屋での再会

 

芭蕉が光牙の弟子になってから数日が経った……。翔は外出しており、向かった先はとある寿司屋であった……。

 

 

「よぉジジイ!遊びに来たぜー!」

 

 

「…ジジイ言うな……せめて可愛らしく「おじいちゃん♡」って呼ばんかい」

 

 

「それは『飛鳥』に求めろや」

 

 

その寿司屋に入って翔は店主であろう老人にそう声を掛けると老人はシュンとした表情でそう言い出した。

 

 

………実はこの老人は『伝説の忍』と呼ばれている人物…『半蔵』であったのだ。そして更に言ってしまえば……翔の祖父に当たる人物であったのだ……。

 

 

「…しかしお前さん今一体何やっとんじゃ…?仕事やってるとは言っとったが……危ない仕事じゃないじゃろうな……?」

 

 

「心配すんな、まぁまぁ危ない仕事だ」

 

 

「いや!?それが心配なんじゃって!?……もしもお前さんに何かあれば『颯大』に合わせる顔がないぞい……」

 

 

「…合わせる顔て……もう親父には会えんだろうに……」

 

 

「…………………。………とりあえず何か握ってやるから暗い話はやめい」

 

 

以前翔は半蔵の店に来ており今は何をしているのかの話をした際に仕事をしていると答えたのか半蔵は仕事の件にて質問をしていた。(内容は教えていない)

……すると翔がそう答える為に半蔵もギョッとしながらそう言うが……暗い話になる為に半蔵は話を切り上げるのだった…。

 

 

「……んで…?飛鳥とか元気でやってんのか?」

 

 

「おぉ~、飛鳥は元気でやっとるそうじゃ。…忍としてはまだまだかも知れんがな……。」

 

 

「んじゃあ元気でやってるんだな。」

 

 

「うむ。……おぉ、そうそう!前に半蔵学院に行った際にのぉ……「じっちゃん!」おぉ、噂をすればのぉ……」

 

 

そして翔は半蔵が握った寿司を食べながら『飛鳥』と言う人物の事を尋ねる。

…『飛鳥』とは…翔と同じく半蔵の孫娘であり、翔の従妹に当たる人物であった。

 

半蔵は飛鳥が元気でやっている事を話しつつも彼が飛鳥の通う『半蔵学院』に行った際に何かあったのかその出来事を話そうとすると店に元気そうな声で半蔵を呼ぶ少女がやって来た。

 

 

……その少女を筆頭に5人の少女と…1人の少年と中年の男が店へやって来ていた。

 

 

「おぉ、飛鳥か…それに飛鳥のクラスメイト達や『霧夜』もよぅ来てくれたのぉ」

 

 

「ご無沙汰しております、半蔵様。」

 

 

「まぁそう畏まるでない霧夜。」

 

 

「…あ!お客さん来てたんだ……」

 

 

「も、申し訳ございません……」

 

 

「いーよ気にせんで良いさ。……それより………」

 

 

半蔵は半蔵を『じっちゃん』と呼ぶ少女……そう、彼女が『飛鳥』であり、飛鳥と他の少年少女達…そして『霧夜』と呼ばれた男を笑顔で出迎えた。その際にピンク色の髪色の少女が翔も居た事に気付き、他の客が来ていたのに騒いだ感じになってしまった事に黒髪パッツンが特徴の少女が翔に謝る為に翔はそう返しつつも飛鳥と少年の方を向いた……。

 

 

「元気そうじゃねーか飛鳥、ジジイの言ったとおりだな。」

 

 

「……え?」

 

 

「そんでもって………お前『佐介』か!?随分大きくなったなぁ……」

 

 

「……はい……?」

 

 

翔は飛鳥と少年『佐介』に声を掛けるも2人は「?」を浮かべていた…。恐らく2人は『何故自分の名前を知ってるの』やら『この人誰?』やら思っている様子であろう……。

 

 

「お前さん、よう佐介だっての分かったのお。……まぁ昔によう一緒に遊んでたからか…」

 

 

「あたぼうよ、姿変わって成長しようが弟の姿を忘れるかってんだ。」

 

 

「……え?!」

 

 

「…ま、まさか………!?」

 

 

半蔵はそんな翔に佐介の事がよく分かったという事を尋ねると翔はそう答えた。半蔵と翔の言葉に飛鳥と佐介は驚きの表情を浮かべた……。

 

 

「………翔……兄さん………」

 

 

「……なの………?」

 

 

「んだよ、気付いてなかったのかよ~。世間じゃ死んだ扱いされてたけど忘れるなんて冷てぇ奴らだな~」

 

 

佐介と飛鳥は翔に恐る恐る尋ねると翔はヘラヘラ笑いながらそういう。……すると佐介と飛鳥は涙をボロボロこぼしては……

 

 

「……翔兄さん!!」「お兄ちゃぁぁぁん!!!」

 

 

「うぉ!?」

 

 

2人は翔に抱き着いてきては泣きじゃくった。

 

 

「良かった……!ご無事で………よかったです………!!」

 

 

「うわぁぁぁぁんおにいちゃぁぁん!!お兄ちゃんだぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「だぁぁ泣くな、もうそんな年じゃねーだろ?」

 

 

「でも……!!」「だってぇぇ………!!」

 

 

「……ったく…しゃーねぇなぁ………」

 

 

泣きじゃくる2人に翔は困りながらも……小さく笑みを浮かべつつ鳴く2人の頭を優しく撫でるのだった……。こうも自分が無事だった事を泣くほどに心配してくれていた事を内心で嬉しく思いつつも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え~っと………お前ら佐介の時みたいに盛り上がってるけどアタイらにはさっぱりなんだが……」

 

 

「…その………泣いて再会を喜ぶ程に何かあったのかは分かりましたが……」

 

 

「あ、ごめんなさい………」

 

 

しばらくして佐介達が落ち着いた頃に飛鳥のクラスメイト達が困惑しながらそう尋ねると佐介と飛鳥は謝罪しつつも翔の事を紹介した。

 

 

「この人は翔お兄ちゃんって言って…私たちの従兄に当たるの」

 

 

「…僕は正確には血がつながってませんが……」

 

 

「どーも、従兄の翔です。」

 

 

飛鳥と佐介に紹介され翔はそう言う。

 

………実は佐介の言う通り佐介は幼い頃に両親を亡くし、その際に半蔵が引き取った為に翔や飛鳥とは血がつながってなくとも兄弟のように仲が良かったのであった……。

 

 

「へぇ~従兄なのか~。」

 

 

「…と言う事はあなたも半蔵様のお孫様と言う事ですか?」

 

 

「そうなるね。」

 

 

「いや、そこはそうって言わんかいな……」

 

 

金髪の少女がそう言いつつ黒髪パッツンの少女が翔にそう尋ねると翔はそう答える……がまるで曖昧な答え方であった為に半蔵からツッコミを入れられるのであった……。

 

 

「………ところで皆さんは……忍か何かか?」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

そんな時、翔がクラスメイト達に尋ねた瞬間、一同は驚きつつも何故か少し警戒するような様子を見せた……。

 

 

「………何者だ……?」

 

 

「…わたくし達を忍と見抜くなんて……」

 

 

「ちょ!?み、皆さん落ち着いてください!?」

 

 

「そ、そうだよ!お兄ちゃんもじっちゃんの孫……だから忍の事は知ってるよ!」

 

 

「……あぁ!そうなんのか……。」

 

 

一同は自分たちが忍と見抜かれた為に驚きつつ翔を警戒した。……そう、飛鳥と佐介の通う学校『国立半蔵学院』は表向きは1000人の生徒を抱えるマンモス進学校であるがその裏には忍学生を育てる『善忍学校』であったのだ……。

 

……そんな警戒する一同を佐介と飛鳥は落ち着かせるように説明すると一同は納得をするのであった……。

 

 

「………と言う事は……彼が………?」

 

 

すると霧夜は翔を知っているのか少し驚いた表情となる。彼は半蔵学院の忍クラスの教師である人物であった。

 

 

「………君…翔くんだったな?私は半蔵学院の教師をしている霧夜だ。」

 

 

「あぁ、どうも。飛鳥と佐介が世話になってます。」

 

 

霧夜が自己紹介をする為に翔はそう言いつつ頭を軽く下げた。

 

 

「……君のご両親の事は知っている……辛い事故だったと思う。しかし君が無事だという事はご両親は「残念ながら生き残ったのは俺だけだ」……そ、そうか…済まない事を聞いてしまった…」

 

 

「気にすんなって。……運が良かったのか悪かったのか……一緒に死ねなかったのは残念だったが……「お、お兄ちゃん!!」「そんな事言わないでください!!」…ワリィワリィ」

 

 

霧夜はどうやら翔の両親を知っている様子であり、翔が無事であった事から両親が生きているのかを尋ねるも翔がそう答えた為に申し訳なさそうに謝罪した。そんな霧夜に翔はそう言うも縁起でもない事を言い出した為に飛鳥と佐介から怒られるのであった……。

 

 

「……辛い事件がありながらもこんな事を聞いて申し訳ないが……もしよければ君も半蔵学院に来て忍を目指してみないか?あの2人の子だ、恐らく相当な潜在能力を持っているかもしれんしな。」

 

 

「そ、そうだよ!私たちと一緒に頑張ろうよ!」

 

 

すると霧夜は翔を半蔵学院の忍学科にスカウトしてきた。……翔の両親は凄腕の忍であった為に翔にも潜在能力が秘めている事を考えてであろう。すると飛鳥と佐介も翔に半蔵学院に来る事を勧めてきたが……。

 

 

「…面白そうな申し出だが悪ぃな。」

 

 

「……そうか……いや、こちらこそあんな事がありながら軽率だった。」

 

 

翔は霧夜のスカウトを断ると霧夜は逆に申し訳なさそうにそう言った。

 

 

「…まぁその件もあるがいつまでもウジウジしてても親父たちは帰ってこねぇからな。それに今は仕事してるから残念だが縁が無かったことで。」

 

 

「……仕事って……そんなに大事な仕事なの……?」

 

 

「まぁな。だからお前らはお前らで忍の道を極めろよ。俺は俺なりに仕事を極めっからよ!」

 

 

「…………………。」

 

 

そして翔は半蔵にも内容を言っていない仕事の話をすると飛鳥がそういう為に翔はそう言いつつ飛鳥達を励ました……が、飛鳥はそれでも落ち込んだ表情となっていた……。

 

 

「そんな顔すんなって、偶にジジイの寿司屋に帰ってくるからよ。」

 

 

「……うん………」

 

 

落ち込む飛鳥の頭を翔は優しく撫でながらそう言うと飛鳥はまだ少し落ち込んでいたが頷くのであった……。

 

 

「………しっかし………なぁ……?」

 

 

「……ふぇぇ!?/////」

 

 

「「「「は!?」」」」

 

 

しかし次の瞬間、翔は両手で飛鳥の豊満な胸を掴んだ。その事に飛鳥は驚いて赤くなり一同も唖然としていた。

 

 

「お前でかくなったなマジで。お前のおばさんも結構デカかったけどお前もっとデカいんじゃね?」

 

 

「ちょ!?お、お兄ちゃんっ!?/////」

 

 

翔はそう言いつつも飛鳥の胸を両手で揉む。……飛鳥の母親も胸が大きいがどうやら飛鳥はそれ以上であるらしい……。胸を揉まれて飛鳥は赤くなって慌てていた。

 

 

「て、テメッ!幾ら従兄妹同士だからって飛鳥の胸を揉むんじゃねぇ!!」

 

 

「そりゃおめーアレだよ、妹の成長を確かめてんだよ。」

 

 

「んなのアタイが許さねー!飛鳥の胸はアタイのモンだー!!」

 

 

「ちょ!?か、かつ姉までぇっ!?////」

 

 

すると飛鳥から『かつ姉』と呼ばれた金髪の少女…『葛城』が翔が飛鳥の胸を揉んでいる事に怒り、翔がそう言うも葛城は張り合って飛鳥の背後から飛鳥の胸を揉みしだいた。

 

 

「………へッ…」

 

 

「なっ!?んだよ鼻で笑いやがって!?」

 

 

「……なっちゃいないね、乳揉みに愛が無いね。」

 

 

「な、何ぃ!?愛だと…!?」

 

 

「………アンタのはただ揉めれば良いだけ……自分勝手な欲求を晴らしているだけで揉まれたパートナーの気持ちなんか考えちゃいねぇ……」

 

 

「ぐ…ぐぐ……!?」

 

 

そんな葛城に翔は鼻で笑いつつそう言う。指摘された葛城はどう言う訳か反論できない様子となっていた……。

 

 

「それにだ、そんな揉み方じゃパートナーが痛がったりする時だってあるぜ?」

 

 

「そ、そんな事ないよな飛鳥!?」

 

 

「……偶に痛いよ……?」

 

 

「」

 

 

翔の言葉に葛城は動揺しつつ飛鳥に尋ねるも飛鳥の言葉に葛城はショックを受けていた……。

 

 

「だからさ……こう、こうやってだな………」

 

 

「あっ…ちょ…!?///」

 

 

「こ、こうか?」「そうそうそうそう…」

 

 

「ちょ!?ふ、二人ともダメだよぉ~~~~!!///」

 

 

そんな葛城に翔は『愛』のある揉み方をレクチャーした。やられている飛鳥は恥ずかしそうにしつつも『愛』がある為か少し満更でもない様子を見せていた。

 

 

「おおおっ!?これが『愛』のある揉み方かぁぁ!!こりゃあスゲェ!感動した!!『師匠』と呼ばせてくれぇ!!」

 

 

「うむ、よかろう。」

 

 

「何をしてるんですかあなた達はあぁぁぁ!?」

 

 

そして葛城は『愛』のある揉み方を覚えそれに感動したのか翔に弟子入りを頼み込んでは翔はそれを快く引き受けた。……すると案の定黒髪パッツンの少女『斑鳩』が2人に盛大なツッコミを入れるのであった。

 

 

「葛城さんは兎も角飛鳥さんのお兄様まで何をなさってるのですか!?」

 

 

「そ、そうですよ翔兄さん!?何故に半蔵様みたいな事を!?」

 

 

「そりゃあオメー、大体ジジイの遺伝のせいだ。」

 

 

「…ワシのせいにせんといてくれるかねチミぃ…?」

 

 

斑鳩と佐介はそんな翔に指摘すると翔は半蔵の遺伝のせいだと言い出す為に半蔵は自分のせいにされた為に少し落ち込むのであった。

 

……佐介の言う通り半蔵はスケベな一面もある為に翔みたいなセクハラをする事がある為、自覚はあるも全部自分の遺伝のせいにされればやるせない気持ちになってしまうのであった……。

 

 

 

 

 

 

…………こうして翔は半蔵の寿司屋にて佐介や飛鳥達半蔵学院のメンバーと楽しいひと時を過ごしたのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(………佐介と飛鳥は半蔵学院に…………それに半蔵学院は善忍学校………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……いつかは殺り合わなくちゃいけねぇ存在同士って訳か………運命ってのは厳しいな……)

 

 

 

 

 



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大食い大会での再会

最近のタイトル再会ばっかだな……

※大食い大会要素は……ほぼ無いです(笑)





 

とある休日の日……翔は詠に連れられてとある商店街へとやって来ていた。その場所には他にも数名の人物が揃っており誰もが殺気立っていた……。

 

 

…………何故このような事になっているのかと言うと数日前に空腹状態だった詠が1枚のチラシを拾い、この商店街にて大食い大会が開かれると知ったのだ。そして優勝賞品が商店街の賞味期限ギリギリの食品を全て貰える……と言うものであったのだ。

 

貧民街育ちで普段からも金欠の詠にとってそれはご馳走のようなモノであり絶対に優勝するという決心と共に大会の申し込みをしたのだった。……因みに翔も成り行きで参加する事となったのだが……。

 

 

(……そりゃー金の使い方は自分勝手だが……あれ程普段から食える位には残しとけと言ったのに……)

 

 

そして詠がこの大会に参加した理由を聞かずとも把握していた翔は呆れつつも内心でそう思う……。

 

 

(………しっかし……さっきから詠のヤツ誰を睨んどるんだ?大会も始まってねぇのに……)

 

 

その一方でまだ大会は選手紹介であるのにも関わらず詠がやたら殺気を出しつつ他の選手を睨んでいた為に翔が詠の視線の先を見た……。するとそこには……黒髪ロングでパッツンが特徴で高貴な雰囲気を漂わせている少女が居た。

 

 

「………およ?アンタ、ジジイの寿司屋に来てた飛鳥の学友の……」

 

 

「…え!?あ、あなたは飛鳥さんのお兄様の……」

 

 

「し、師匠!?何で師匠も来てんだ!?」

 

 

「…ゑ!?」

 

 

翔はその少女が以前に半蔵の寿司屋で飛鳥と共に来ていた飛鳥の学友の『斑鳩』である事に気付き声を掛けると斑鳩も驚いた表情をした。そして寿司屋での一件で翔に弟子入りした『葛城』も翔に気付いて駆け寄り、詠も翔が斑鳩と知り合いであった事に驚いていた。

 

 

「なんだオメーらも参加してたのかよ」

 

 

「いや、アタイは観戦だ。参加してるのは斑鳩だぜ。忍耐力を試すドッキリの遊びで一番早くブチ切れた罰ゲームで参加させたって訳だ。」

 

 

「ちょっと葛城さん!!///」

 

 

翔が2人にそう声を掛けると葛城は観戦しに来た様子であり斑鳩が葛城の言う罰ゲームの為に参加している事を話すと翔は斑鳩が案外短気である事を察し、詠の方は斑鳩が大食い大会に参加した理由にまたもや怒りに火を付けたのかそんな表情になっていた…。

 

 

「…つーか佐介も参加させりゃ良かったんじゃねぇの?アイツだったら大食い大会とか聞きゃ大喜びで参加するぜ?」

 

 

「ゑ?そうなのか?……いや、そう言えば昼飯で三段重箱持ってくるもんなぁ…そりゃあ食うか……。」

 

 

「…相変わらず食うんだな今も……」

 

 

翔は佐介もこの大食い大会に参加させれば大喜びで来たんじゃないかと尋ねると葛城はそう言った。……どうやら佐介は普段の昼飯から三段の重箱を弁当箱で持ってきてる程食べる様子であった為にそれを聞いた翔は昔から変わらずに大食いである事を把握するのだった。………その翔も人の事言えない位の大食いであるが……。

 

 

「…ゴホンッ!ところで翔くん?そちらのお嬢様方とは……お知り合いなのでしょうか?」

 

 

「ゑ?まぁこの間知り合ったんだけどな……。ジジイの寿司屋で寿司食ってた時にな……」

 

 

「……ハァッ!!??」

 

 

そんな時、詠は咳払いをしつつ少し引きつった笑顔で翔に尋ねると翔がそう答えた為に詠は声を上げつつも突如両手で翔の胸倉を掴んでは……

 

 

「ちょっと翔くん!?お寿司って……お寿司って何ですのぉ!?ジジイの寿司屋でお寿司食べたってどういう事ですのぉ!?そんな高級食品を食べたってどういう事ですのぉ!?」

 

 

「ちょ!?何すんじゃいおめー!?前にちょいと付き合えつったのに用事があるからと言って着いてこねぇからよー!」

 

 

「だからと言って何故にお寿司を食べれるんですかぁ!?ま、まさか翔くんもお金持ちに……お金持ちに毒されたのですかああぁぁぁぁあぁぁ!!!???」

 

 

「だー!!てめー落ち着けや!!」

 

 

「んがっ!?」

 

 

そして詠は胸倉を掴みつつも揺すっては翔を問い詰めた。……以前の半蔵の寿司屋に行く際に翔は詠を誘ったのだが詠は貧民街に行く為に誘いを断ったのだ。それが寿司屋に行くという件だった事に詠はショックと同時に翔がいとも簡単に寿司屋に行けるほどの金を持っている事から何を勘違いしているのかそう思い込んでは更に翔を勢いよく揺する為に翔はそう言っては詠の鼻の穴に人差し指と中指を突っ込んだ。

 

 

「………えっと……お二人もお知り合いですか……?」

 

 

「ゑ?あ、あぁ幼馴染だよ。癖があって好き嫌いが激しいけどな……」

 

 

「あだだだだだ!?しょ、翔くん刺さって……奥に刺さってますわぁぁぁ!!??」

 

 

「…それ女子にする事かよ師匠………?」

 

 

そんな様子の2人を見て斑鳩が翔に尋ねると翔はあえてそう答えた。(単純に詠は金持ちが嫌いなだけであるのだが気分を悪くしない為でもあるのだろう…)すると鼻の穴に指を突っ込まれた詠はどうやら爪が刺さったのかそう騒ぐために翔は詠の鼻の穴から指を引っこ抜いた。(案の定少し血が付いていた……)

 

……その様子を見て葛城は少し呆れた表情になりつつもツッコミを入れるのだった…。

 

 

「……ほれ、1回戦はお前だろ?早く行ってこい。」

 

 

「…はっ!そ、そうでしたわね……行って参りますわ。」

 

 

そして翔は詠にそう言うと詠は少し出てしまった鼻血を拭いつつ大食いが行われる机へと向かうのだった……。

……詠の初戦の相手は白い学生服を着た男でまるで太陽の陽を浴びていないような不健康そうな顔をしていた。

 

 

「……アイツは……?」

 

 

「…あっ………」

 

 

その男を見た翔は何処かであったのか知っている様子でそう呟く。その際、斑鳩も何故かその男を見て驚きの表情を浮かべていたが……。

 

 

……とりあえず1回戦が始まるも……どう言う訳か本来であれば1回戦はキャベツ丸ごと1個の大食いだったが倉庫にはキャベツの芯しか残ってなかったというよく分からないトラブルがあった模様だが難なく1回戦は開始された。(その際に詠の対戦相手はギャーギャー騒いでいたが……)

 

 

そして結果はと言うと……詠の圧勝であった。普段から空腹である詠にとって皿に盛られたキャベツの芯を食べ切るなど朝飯前であったのだろう……。

対する男は対戦前に調子に乗って散々詠を煽り倒していた割には口に押し込み過ぎたせいで酸欠になり口にキャベツの芯を詰めたまま失神していた……。

 

 

 

 

 

 

「お兄様!!」

 

 

「「「……ゑ?」」」

 

 

そんな時、斑鳩がその失神している男…『村雨』の元まで駆け付けた。斑鳩が村雨を『お兄様』と呼んだ事に翔、詠、そして葛城は少し驚き唖然とした。

……それもその筈兄妹と言う割には見た目があまりにも似ていないからであろう……。

 

 

「触るな!!」

 

 

「…っ………!」

 

 

斑鳩が村雨の横に膝をついて介抱しようと手を伸ばすが突如村雨は斑鳩の伸ばした手を払いのけては斑鳩に怒鳴りつけた。

 

 

「…俺に触れていいのは……まともな家族だけだ……」

 

 

「………………。」

 

 

村雨は捨て台詞のようにそう吐き捨てると全力疾走で会場から去って行った…。そう言われた斑鳩は落ち込むかのように顔を伏せていた……。

 

 

「……随分と嫌われている様子でしたわね……。でも1回戦はわたくしの完全完封大勝利ですわね!翔くん、見ててくださいましたか?」

 

 

「…………………。」

 

 

「…翔くん?」

 

 

斑鳩のあまりの嫌われ様に詠はそう言いつつもそれはさておきな様子で自分の勝利を翔にそう伝えるが翔は黙り込みつつも村雨が去って行った方向を見つめる為に詠は首を傾げた……。

 

 

「………ワリィ詠、あとは任すわ。」

 

 

「…え!?あの、翔くん!?」

 

 

「用事が出来た、埋め合わせは今度寿司奢ってやるから勘弁してくれよー」

 

 

「ちょ!?翔くん!?どこ行くんですのおおぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

 

すると翔は立ち上がってはそう言うと村雨が走って行った方向へと去って行ってしまう為に詠はそう叫ぶのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

「………ハァ…………」

 

 

その一方、詠に負けて走り去っていった村雨はトボトボと歩いてはため息を吐いていた……。

 

 

「…………何やってんだろうなぁ……俺は………」

 

 

村雨はため息を吐きつつもそう呟く……まるで何かを後悔するかのように……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……オーーーーーーッス!!!」

 

 

「どぼごぉっ!!??」

 

 

そんな村雨の背中に突如大きな声と共に飛び蹴りが炸裂し、村雨はその勢いで顔面から地面に激突してしまった。

 

 

「な…なんd…むぎゅぅっ!?」

 

 

「声が小さい!オーーーーーーーーーッス!!」

 

 

「お……オーーーーーーーッス……!」

 

 

何事かと振り返ろうとするもどう言う訳か巨大な足のようなモノでムギュッと踏まれてしまい、自分を踏みつけている人物がそう言う為に村雨はやむを得ず掛け声を返すのであった………。

 

 

「……って翔の旦那ぁぁ!?」

 

 

「んだよあの会場に居たの気付いてなかったのかよ」

 

 

踏みつけから解放され、いったい誰が踏みつけてきたのかと思い睨みつけようとするも翔の姿を見て村雨は驚愕するのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~~~旦那が居たなんて全然気付かなかったっすわ。そう言えば響輝のアネゴは一緒じゃないんすか?」

 

 

「今日は響輝とは別行動だな。……多分寝てると思うが………」

 

 

とある喫茶店にて村雨は翔にそう尋ねると翔はそう答えた。

 

 

………彼、『村雨』は『鳳凰財閥』と言う表向きは日本でもかなりの大きな企業組織であり裏では名門の忍一族の組織の1人息子であった。かつて村雨はとある化物の集団に襲われた際に翔と響輝に助けられた事があり(その際村雨は情けなくも失禁していたが…)翔と響輝のその強さを見て翔を『旦那』、響輝を『アネゴ』と呼ぶようになり回数は少ないが関りを持つようになった…。

 

 

「ところであの…斑鳩さんだっけ…?彼女がお前をお兄様とか呼んでたが…まさか……」

 

 

「……あぁ、例の言ってた妹さ……」

 

 

「……和解するとか言ってたのにまだしてねーのかよ。そんな悪い子じゃねぇと思うぜ?短気らしいけど……」

 

 

「…分かってる……分かってるが…………ハァ………」

 

 

翔は先ほど斑鳩が村雨をお兄様と呼んだ事を尋ねると村雨はそう答える。

 

 

………村雨と斑鳩は兄妹……だが本当の血の繋がった兄妹ではなくう斑鳩は鳳凰財閥に養子として迎え入れられた義理の妹であったのだ。村雨には忍としての素質や才能が無かった為に斑鳩を迎え入れたのだがそれが原因で村雨は逆恨みをして斑鳩をぞんざいに扱うようになったのだ。……最も村雨が化物に襲われた際に才能の無さを一番に痛感した為に自分が今まで斑鳩にしてきたという事を少しずつ悔いるようにはなって遂に和解をしようと考えていたのだが………どうやら村雨自身も自覚しているのか無駄にデカいプライドが斑鳩を認めないという気持ちがあったが故にまたもやあのような行動を起こしてしまったという事であった……。

 

 

「……そんなにそんな気持ちになるんだったら決闘してぶつかり合ったらいいんじゃねぇか?1対1のサシのケンカでよ。そうすりゃあ互いに気持ちも晴れるんじゃねぇか?」

 

 

「…よしてくれよ……この間だって飛燕を奪い取ろうとした際に簡単にあしらわれて手も足も出なかったんだぜ?」

 

 

「…お前のその行動、本当に和解する気あんのか……?」

 

 

そんな村雨に翔はそう提案した。……話すのがダメであれば拳…でなくともぶつかり合えばその中で友情みたいなのが芽生えてくるんじゃないかと言う感じで…。しかし以前村雨は斑鳩が持つ鳳凰財閥の宝刀『飛燕』を奪い取ろうと彼女の寮部屋に侵入して戦闘になったもののまるで相手にならずに手も足も出ずに退場してしまった事を話す。……最も傍から聞けば村雨の行動がまるで和解する気もなさそうな行動である為に翔は呆れていたが…。

 

 

「………しゃーねぇなぁ……俺も忙しいからそこまで付き合えるか分からんが俺が鍛えてやるよ。」

 

 

「ゑ?」

 

 

「その斑鳩さんがどん位強いかは知らんがせめてもの食らいつける程度には仕上げてやれるかも知れんぞ?」

 

 

そんな村雨に時間が空いた時に稽古をつけてやっては斑鳩にかなわずとも食らいつける程には鍛えてやると言い出した。

 

 

「…無論、その分お前じゃキツイ鍛錬もさせるかも知れねぇけどな……どうだ?」

 

 

「……………分かった……それでアイツと和解できる可能性のある光が見えるってんなら……お願いしやす!!」

 

 

「おう、その意気だぜ!」

 

 

そんな翔の提案に村雨はそう思ったのか翔に鍛錬を頼み込むのであった…。

 

 

………こうして空いた時間ではあるが村雨は翔からの指導を受ける事となった……。

 

 

因みに大食い大会の方はと言うと本来の大食い大会用の食材を裏方でキャベツの芯やらハチノコやらミミズ等にすり替えて妨害し優勝を狙っていた卑怯な集団がいたらしくその行動にブチギレた詠がその集団を完膚なきまでに叩き潰したらしい…。

 

翔が駆けつけた頃には全て終わっていたが詠に拗ねられたのは言うまでもなく翔は約束通り寿司を奢ろうとしたのだが何故か詠は「もやし10袋でいい」と言われその事に翔も戸惑うが結局もやし10袋で機嫌が直ったらしくその際に翔は「…金がかからない女だよなぁ……」と地味に酷い事を呟いたのだった……。

 

 

 

 




久しぶりに書いたので若干書き方忘れた……



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期末試験に向けて 前編

終末好きの根暗さんの所とほとんど同じかもです


 

 

「……35点。その…大変言い辛いですが以前より悪くなってます」

 

 

「うげっ!?マジかよ!?」

 

 

「はい、前回が38点でした」

 

 

「……や、ヤベぇ…少し心が折れそうだ……!」

 

 

「………厳しい事を言いますがここで折れたら今年も温泉旅行は諦める他ありません」

 

 

「っ!……そう…だな!よし、もう一回頼むぜ!」

 

 

「はい、次は此処です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………やっとるなぁ………。」

 

 

「………脳筋なのは知ってたけど流石にここまで来たら脳に異常もあるかも知れないんじゃないかい…?病院に行くことも考えた方が……」

 

 

「……酷くないかお前……?」

 

 

あれから数週間後のとある日……蒼鬼が籠鉄の勉強を見ている姿を見た翔がそう言うと響輝がそう言い出す為に真司蛇がツッコミを入れた……。一方他のメンバーも教室にて勉強をしていた。

 

 

………もう直始まる期末試験に備えて………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________________________________

 

 

 

 

 

……時間は数週間に遡り翔が詠に大食い大会の付き添いをさせられた数日後の話だ。

 

蒼鬼は黒板に大きく『温泉旅行』の文字を書きつつ説明をしていた。

 

 

「今日は此方、年に一度の温泉旅行についての説明になります。」

 

 

「ふぇっ?蛇女には旅行があるの?」

 

 

「そっか……未来は知らなかったんだよね。……私も噂程度でしか知らなかったけど……」

 

 

他のメンバーは知っている様子だが未来だけは知らなかった事に唯依はそう言う。当然と言えば当然でありこの話は毎年していて現在のメンバーは未来と唯依以外は経験しており、唯依も中等部時代から知っていたが噂程度でしか知らなかった様子であった。

 

 

「はい。…と言ってもあくまでそれは選抜メンバーだけの特権なので他の生徒の皆さんは温泉旅行目当てで選抜メンバーの座を狙う人もいます」

 

 

「えぇ………」

 

 

蒼鬼の説明に未来は苦労して選抜メンバーの座を掴んだのだがそんな理由で選抜メンバーの座を狙っている者がいる事にそんな表情になった。

 

 

「まぁ狙う理由はそれぞれですし『蛇女の修行は厳しいから癒しを求めて旅行に行きたい』と言って向かってくる人もいましたから…」

 

 

「ああ、そういう……何か納得出来た気がする…」

 

 

「その分翔くんは良いわよねぇ~。だって誰も掛かってくる子居ないんだから。」

 

 

「ふん、根性無し共め…」

 

 

「いや、そう言うモンなのかよ……」

 

 

蒼鬼の説明に未来は納得した。…尤も選抜メンバーの修行内容は基本的に一般生徒よりも上であり、癒しを求めてそれ以上の過酷な環境に辿り着こうとしているというのは、些か矛盾した話なのかもしれないが…。

 

その際に春花はわざとらしく翔にそう言う。そう、噂の1年前の大事件の話でありそれ以降蛇女の生徒は翔に対しては下剋上攻撃を仕掛ける者は居なかったのだ。春花の茶化しに翔はつまらなさそうに言う為に籠鉄はツッコミを入れた。翔自身、喧嘩上等である為に余程の卑怯な真似でない限り下剋上攻撃は受けて立つとの事であった。

 

 

「コホンッ……少し話が脱線してしまいましたがこの温泉旅行に行くにはどうしても越えないとならない壁があります」

 

 

「壁?」

 

 

「別にそう難しい事じゃない。よく考えてみろ、幾ら忍とはいえ俺達の年齢的な職業は一体何だ?」

 

 

「年齢的な職業?学生だけどそれが……あ、もしかして壁って……」

 

 

話が脱線してしまった為に蒼鬼は咳払いをしつつ話を再開した。その話に未来は「?」を浮かべるが真司蛇の促す様な言い回しに気付いた為に蒼鬼の方を見た。

 

 

「はい、旅行前の期末試験です。試験の内容は大きく分けて二種類、座学と実技になります」

 

 

「じゃあ戦いもあるの?」

 

 

「勿論です。座学は純粋に筆記試験のテストをするだけですが実技は人によって内容が異なります」

 

 

「個別テストって事?」

 

 

「その通りです。例えば、傀儡を制限時間内に何れだけ倒せるか、制限時間内に無傷でいられるか、と様々な視点で見られ、結果によってはこれで選抜クラスやその候補のクラスに入る人もいます」

 

 

「まぁ確かに座学だけじゃ忍はやってけないよね」

 

 

「ええ、ただそれは逆も然りです。頭を使わない者は忍の世界で生きていけない…だから知識も絶対に必要になってくるのです。」

 

 

「……ははっ……そう…だな……」

 

 

「「?」」

 

 

蒼鬼の説明に未来は納得する。その際に何故か籠鉄は冷や汗を流しつつ作り笑いをしていた。その様子に唯依と未来は疑問を感じ首を傾げつつ尋ねようとするも春花が首を横に振った為に事情は分からないが聞かない事にした。

 

 

「未来さん、唯依、ここまでで気になる事はありますか?」

 

 

「うーん……そう言えば、試験は誰が見るの?」

 

 

「鈴音先生や鎧威先生を初めとした教師の方々ですが、私も試験官になります」

 

 

「あれ?蒼鬼姉は試験を受けないの?」

 

 

「いえ、私も試験は受けますよ。私も生徒の一人である事に変わりはありませんから」 

 

 

「ふーん……あっ…そう言えば選抜クラスで監督生の説明を聞いた時に監督生の最低条件で学園で一番の成績が要るって言ってたけど…仮に蒼鬼が満点で同じ満点の奴が居た場合はどうなるの?」

 

 

蒼鬼が未来と唯依に尋ねると未来がそう尋ねつつ唯依も尋ねると蒼鬼はそう答えた。その際に未来は思い出したかのように蒼鬼に尋ねると蒼鬼は特に顔色を変える事も無くその質問に答えた。

 

 

「その点は心配いりません。 私は皆さんと同じテストも受けますがそれとは別の個別の筆記試験を十数回行う事になっていますから」

 

 

「えっ……」

 

 

「「「「…………」」」」

 

 

「っ………!!」

 

 

「…大変だな~監督生ってのは。」

 

 

「うん」

 

 

蒼鬼は当然と言わんばかりにそれを答えるも一同は無言で未来と唯依は目を見開き籠鉄は肩が震えている。一方翔と響輝は動揺する様子もなく監督生は大変だと呟くのだった…。

 

 

「…?皆さんどうかしましたか?」

 

 

「ね、ねえ蒼鬼……まさか実技の方も十数回って事は……」

 

 

 

「いえ、実技は私も一度だけです。それに私の実技試験は毎回似たような物なのでそれ程劇的な変化はありません」

 

 

「そ、そう。……よ、良かった」

 

 

翔と響輝以外の一同の様子が可笑しいと感じた蒼鬼は首を傾げてそう言うと未来が質問した。しかし未来が思ったような事ではなかった為に未来は安堵した表情となった。幾ら監督生が他の生徒より優秀でなければならないとはいえ余りにも過酷過ぎるのではと思い始めていた。尤もそれでも未来からしたら十分に過酷な物なのだが…。

 

 

しかし未来のその安堵も直ぐに過ぎ去る事になる。

 

 

「待て未来…喜ぶのはまだ早い」

 

 

「え?」

 

 

「ねぇ蒼鬼ちゃん…今回の貴女の実技の内容はどんな物だったかしら?」

 

 

「…?確か今回は30分の間に教師全員の攻撃を無傷で凌ぎながら半数以上を撃破するという内容でした。それから…秘伝忍法の使用回数も制限がありましたね」

 

 

「「「「………………。」」」」

 

 

「…ほぉ………」

 

 

安堵していた未来に真司蛇がそう言う為に未来は「?」を浮かべた。そして春花が蒼鬼に今回の実技の内容を問うと蒼鬼は首を傾げつつ内容を答えた。

その内容に一同は何も言えず翔もそう呟いた。いや、言いたい事はあるのだが言葉が出て来ないというのが正確であった。

 

 

蛇女子学園の教師は教師とは名ばかりで指導に直接回る者は少ない。だが決して実力が低い訳ではなく寧ろ高いのだ。何なら選抜メンバーよりも上の者も珍しくない。特に鈴音や鎧威は教師陣でも最強で格が違うのだ。それを全員纏めて相手をするなど難易度が高いなどと言う物ではないレベルなのだ。

 

 

「えっと…蒼鬼ちゃん? 確か去年の最後の期末試験では選抜以外の全生徒を15分間無傷の状態で半数以上撃破じゃなかったかしら?それに秘伝忍法の制限も無かったと思うけど?」

 

 

「……学年が上がった分の課題だと思います」

 

 

「いや、無茶やろ」

 

 

春花が質問をすると蒼鬼も今年の難易度の上がり方に疑問を抱いた…が、少し弱々しい声でそう答えるも普段無感情の日影もそう反応した。

蒼鬼の実力の高さはメンバー全員が理解しているが教師陣全員を相手に出来る程自分達と力量が離れているとは思えない。当然、自分達が同じ事をすれば失敗するのは目に見えている物であった。

 

 

「……負担のレベルが度を越しているな。それに試験官もやるとなると負担は想像を絶するだろう。更に言えば年々その仕事量は増してきている……」

 

 

「……ねえ蒼鬼……本当に大丈夫……?」

 

 

「……心配してくれてありがとうございます。それでも必要な事ですから…」

 

 

「「「………………」」」

 

 

真司蛇もそう感じたのかそう言いつつ未来は心配しつつ蒼鬼にそう尋ねるも蒼鬼はお得意な薄い笑みでそう答える為に一同は更に心配をしてしまうのだった……。

 

 

(……こうでもしないと……・私は雅緋さんや三成君、況してや姉様の様には成れない…いや、恐らくこれでも足りていない。……だったら人の何倍も負担を背負ってでもその負担を努力で補い、経験に変える。…これが落ちこぼれである私が取れる最善の手段です……)

 

 

「………………………。」

 

 

「……お、お兄ちゃん…蒼鬼姉…大丈夫………お兄ちゃん……?」

 

 

「……ん?あぁ、ワリィ。ボーッとしてた。」

 

 

「…も、もう……蒼鬼姉が大変なことしてるって言うのに…!」

 

 

「心配すんな、自分は出来るって思ってるんだからやれるだけやらせてやれば良いさ。けど前にも言った通り途中でぶっ倒れる事があったらケツ千叩きするって忠告してるんだしよ。」

 

 

「…いや、だから千も叩いたらお尻使い物にならなくなるわよ……」

 

 

蒼鬼が心の中でそんな事を考えている中、翔は頬杖をつきながら黙り込んでいた。……それも何処か不機嫌そうな表情をしつつも…。

 

唯依が蒼鬼を心配しつつその事を翔に話そうとするも翔の表情に疑問を浮かべそう尋ねると翔がそう答える為に唯依は少し怒った表情でそう言った。そんな唯依に翔はそう言いつつもまるで尻を叩くように上げた手を振り下ろす為に未来は呆れつつもツッコミを入れた。

 

 

「…話が脱線し過ぎてしまいましたね。単刀直入に言いますが期末の筆記試験で赤点を一つでも取るとその人は温泉旅行に行く事が出来なくなります。勿論、実技試験の失敗もそのまま赤点に含まれます。」

 

 

「えっ……」

 

 

「一つだけでも不味いですが万が一全てで赤点を取ってしまったら最悪の場合、選抜メンバーから外されてしまいます。」

 

 

「ッ!!」

 

 

「こ、籠鉄……?」

 

 

すると蒼鬼は話を戻す為に手を叩いて未来達の方を向き説明を再開する。そして蒼鬼の言葉に未来と唯依は驚いていたがそれ以上に尋常ならざる事態と思わしき籠鉄の表情を浮かべていた事に未来はギョッとした表情となった。

 

 

「籠鉄……さっきの様子もそうだったけど……もしかして勉強が……」

 

 

「……全然出来ねえ…………」

 

 

「……あ…やっぱりそうなんだ…」

 

 

先ほどの籠鉄の様子からして疑問を浮かべていたが未来がそう尋ねると籠鉄が重々しい言葉を吐くように答えた為に未来は納得した。

 

………日頃から脳筋寄りな思考の持ち主な籠鉄であるが未来もここまでとは思わなかったのだろう。現在も選抜メンバーに居るという事は全教科赤点は免れているのだろうが彼の反応からして恐らくは昨年の温泉旅行には行けなかったのが把握できた。

 

そして一年生である為に昨年を知らない未来と唯依以外はその結果を知っておりだからか蒼鬼も少しだけ弱々しくなった声になりつつも説明を続けた。

 

 

「……取り合えず来週は中間テストがありますから一先ずはそちらの対策を行いテストの成績に合わせて今後の勉強のペースを考えていきましょう。蛇女では50点以下が赤点ラインに含まれますが幸いな事に中間テストでは筆記試験しか行われない為にその間は勉学に集中出来ます。勉学は歴史を初め忍術、幻術、体術、そして人外の種族の五科目です。 私も可能な限り力を注ぎますので全員で温泉旅行に行ける様に頑張りましょう。」

 

 

「う、うん…」

 

 

「そうね。今年こそは全員で…ね?」

 

 

「まあせやな」

 

 

「ええ、勿論ですわ」

 

 

「当然、そのつもりだ」

 

 

蒼鬼が対策としてそう案を出しつつ励ましの言葉を言い、未来、春花、日影、詠、真司蛇は頷いた。

 

 

「俺も出来る限りの協力はするぜ。まぁ蒼鬼程力になれるかは分からんが分からねぇとこがあったら出来る限り教えるし……なぁに、全員で力を合わせれば試験なんて乗り越えられねぇ事はねぇさ。今年こそみんなで旅行に行って楽しもうぜ!」

 

 

「お兄ちゃん………」

 

 

「……流石は蛇女の次席の翔くんは言う事が違うわね~~」

 

 

「…ゑ”!?」

 

 

「そ、そうなの…………?」

 

 

そして翔は一同に蒼鬼程ではないが勉強で分からない所があれば教えると言いつつみんなで協力すれば乗り越えられない事は無いと言い出した。そんな翔の発言に唯依は惚れ直すように翔を見つめるも春花がニヤニヤしつつ茶化すようにそう言った……瞬間に未来と唯依は唖然とした。

 

普段のふざけた様子から見て蒼鬼の次に凄い人物であった……となれば唖然となってしまうであろう……。

 

 

「………翔や監督生の人に教えてもらえれば確実に赤点は免れるよ。…まぁそうでなくともみんなと協力すれば赤点は取らないだろうし間違っても1人で何とかなる考えは捨てた方が良いよ。過去に「馴れ合いなんぞ必要ない。勉強ぐらい1人でできる」とほざいて赤点取った馬鹿が居たし……」

 

 

「………っ…!」キッ

 

 

「ひ、響輝さんっ!?」

 

 

「…だって本当の事じゃん」

 

 

そして響輝は翔と蒼鬼に教われば確実、それがダメであっても一同でヤマ当て等をすれば赤点は取らないと未来と唯依に説明した。……そんな中、去年にて馴れ合わずに1人で勉強すると言いつつ赤点を取った人物が居ると言った瞬間に焔が響輝を睨みつけ、蒼鬼は響輝の発言を止めようと制止するも響輝は平然とそう答えた。その様子からして未来と唯依は把握しつつそれ以上尋ねようとしなかったが唯依に関しては何処か呆れた表情になっていた…。

 

 

「……俺は試験用の勉学は一人で行う。付き合うのは日頃の授業と実技試験の訓練だけだ…」

 

 

「……言った傍から…………もう駄目だね…」

 

 

「…いや、寧ろアイツは1人で勉強して点取れんと色々不味いだろう。タダでさえ理由は分からんが特別転入してきた21歳の最年長なのに……」

 

 

「…ゑ?そんなに歳離れてたの?言動が幼かったから歳近いと思ってたよ」

 

 

「……」ギロッ…

 

 

「だ、だから響輝さん!」

 

 

そんな中、光牙がそう告げる為に響輝がそう言い出す。……が、翔がそう答えた為に響輝が少し驚いた表情で言った。……光牙は元々忍の本隊に居たが理由は分からずも特別転入してもう1度学生生活を送ることになった為にメンバーの中で最年長である彼が1人で勉強したら赤点を取ったとなれば色々と大問題となるであろう…。

 

……しかしまたもや響輝の失言によって光牙は表情を変えずとも響輝を睨んだ為にまたもや蒼鬼が響輝の発言を制止させた。

 

 

「……済まねぇ、蒼鬼。今回も頼む」

 

 

「……いえ、どうか気になさらないで下さい。これも私の仕事ですから」

 

 

そして最後に籠鉄は申し訳なさそうに蒼鬼にそう頼み込むも蒼鬼は微笑みつつも快く引き受けた。昨年の最初の中間試験で籠鉄の学力が絶望的だと判明してからは蒼鬼はテストの時期によく籠鉄に付く様になったのだった。その為に他のメンバーも、文武共に指導が上手い蒼鬼が居れば籠鉄もギリギリで何とかなるだろうと考えていたのであった。

 

 

 

 

 

 

…………因みに去年の中間試験の結果はというと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼鬼

 

忍術:100点 幻術:100点 体術:100点 歴史:100点

 

種族:100点

 

順位:1位/4000位 総合:500点

 

 

 

 

忍術:100点 幻術:96点 体術:100点 歴史:100点

 

種族:100点

 

順位:2位/4000位 総合:496点

 

 

春花

 

忍術:96点 幻術:100点 体術:74点 歴史:84点 種族:72点

 

順位:10位/4000位 総合:426点

 

 

真司蛇

 

忍術:92点 幻術:90点 体術:78点 歴史:80点 種族:60点

 

順位:25位/4000位 総合:400点

 

 

 

忍術:100点 幻術:60点 体術:82点 歴史:88点 種族:52点

 

順位:32位/4000位 総合:382点

 

 

日影

 

忍術:90点 幻術:74点 体術:76点 歴史:78点 種族:62点

 

順位:36位/4000位 総合:380点

 

 

 

忍術:80点 幻術:70点 体術:70点 歴史:70点 種族:70点

 

順位:44位/4000位 総合:360点

 

 

籠鉄

 

忍術:54点 幻術:23点 体術:58点 歴史:22点 種族:17点

 

順位:3890位/4000位 総合:174点

 

 

 

 

 

 

 

………明らかに籠鉄だけが不安だらけな結果であるが果たしてどうなるのであろうか…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________________________________

 

 

秘立蛇女子学園では中間試験と期末試験がそれぞれ年に三回行われ、6月の今は一度目の期末試験が最も近い。期末試験の内容は大きく分けて二つ、筆記試験と実技試験だ。

 

 

そして今、蒼鬼は分身を駆使して様々な生徒の元を見て回っている。中間試験で持ち点が200を超えていなかった者は籠鉄以外は5体の分身で纏めて見ており50点以下の科目があった者は1教科に1体の分身が付き、五教科分で5体、更に実技試験で不安のある者や向上心の強い者が蒼鬼や鎧威の元を訪れ厳しい修行を行っている。そして実技試験対策では20体が一般生徒に、2体が選抜候補に、7体が選抜メンバーに付いている。籠鉄には特別頑丈に作り込んだ分身を送っており、オリジナルは仕事を熟し、その後に自己訓練を行っている形だ。

 

 

…つまり合計で40体の分身を扱いながら自己訓練も行っているので、ハッキリ言ってかなりの無茶である。流石の翔も蒼鬼のこの行動には「たまげたなぁ…」と言う程であった。

 

 

…しかし蒼鬼は苦労を顔に出さず、これを熟している。そんな蒼鬼を見たからか他の生徒達も負けていられないとばかりに実力を向上させていき、着々と成果を出していた……。

 

 

 

 

 

 

 

………そんな一方で蒼鬼の分身から訓練を受けている人物たちが居た……

 

 

「……それでは総司さんからお願いします。」

 

 

「フッ…では見せてやろう。蛇女で最も美しいこの私の技に見とれるが良い、蒼鬼よ」

 

 

蒼鬼がそう指示を出すと何処かキザな口調でナルシストに当たるであろうと思える自信が感じ取れる様子で話す人物が居た。

 

 

…そう、以前翔に屈辱的な攻撃によって敗れた選抜候補生メンバーのリーダー、総司であった。そして訓練が開始され、大型の傀儡の大軍が総司に向かっていくも総司は焦る事無く大小の鎌の付いた鎖状鞭を取り出し攻撃に構える。

 

 

「秘伝忍法『鎖龍百飛閃』!!」

 

 

すると総司は凄まじい速度で移動しながら鎖状鞭を振り回し、鎌の切っ先で次々と傀儡を仕留めていく。…10、20、30と時間が経過する毎に巻き込まれる傀儡の数が増えていき……10秒が経過した所で蒼鬼が合図を出し総司が攻撃を止めた。

 

 

「どうだ?」

 

 

「……倒した合計は90体。前回の57体よりもかなり伸びています」

 

 

「フッ…そうだろう?流石はこの私、以前よりも更に美しさに磨きが掛かっている…!」

 

 

今回行っている訓練の内容は10秒間で且つ一度の秘伝忍法で何れだけ傀儡を倒せるかという物だ。因みに秘伝忍法は連擊物という縛りを付けており、更に秘伝忍法を受ける事を前提に作られているので頑丈さも並の傀儡より数段上であった。

 

 

加えて言えば前回よりも更に頑丈さも上がっているので1体壊す難易度も上がっていると言える。……それを総司は、10秒で90体破壊したのだ。実力が向上している事は間違いないだろう。

 

 

……最も彼女がライバル視している焔や光牙は倍以上の成果を出している為に総司は表面上程は喜んでいないというのが事実だが…。

 

 

「それでは次に芦屋さん、お願いします。」

 

 

「ようやくか……待ち侘びたぞ悪鬼よ、邪神様の加護を受けた我の力…とくと見るが良い!そしてその力に惹かれて入信を……「結構です」…したいと思った時には……って、まだ最後まで言っておらんぞ!?話は最後まで聞かぬか!!」

 

 

「何度も言いましたが入信はしません。それよりも今は訓練に集中して下さい、待ち侘びていたんですよね?」

 

 

「ぐぬぬ……普段は申し訳なさげに断るというのにこう言った時期になると用が済むまでは極端に冷たくなりおって……」

 

 

そして次に呼ばれたのは赤髪で可愛げのある少女で口調は何処かじじ臭さを感じさせ壮大な態度を取った様子の少女……同じく翔に屈辱的な攻撃で倒れた選抜メンバーの1人の芦屋であった。

 

 

……彼女は自分が正体不明の神の666番目の使徒だと自称する…俗に言う厨二病に近い邪神系美少女だ。ついでに言えば選抜補欠の中で一番の変わり者としても校内で有名人であった。……最も蛇女には翔を含む変人が沢山居るのだが……

 

 

そして彼女は日頃から入信者を集めようと生徒に声を掛けて回っているのだが分かりきった事だが入学から数ヶ月が経った現在でも入信希望者はゼロ。それもその筈彼女はその壮大な態度から相手の神経を逆撫でするかの様な事を言ってしまい、気付いた時には手遅れというのが大半であった。……所謂未来よりも酷いレベルのボッチである…(…酷い(笑))

 

 

そんな彼女は蒼鬼の事を悪鬼と呼んでいる。最初にそう呼ばれた時は驚いた蒼鬼だが光牙の事を邪神、翔の事を大魔王と呼んだりしているのでそういう物だと納得していた。

 

 

 

そんな芦屋は蒼鬼に入信の誘いをするもそう返された為に少し怒った様子になりつつも武器である巨大鉄輪を構えた。

 

 

「秘伝忍法『兇嵐陰絶輪』!!」

 

 

そして芦屋は鉄輪を投げ付け、凄まじい速度で回転する鉄輪は傀儡の軍勢を切り裂いていく。そして総司と同様に10秒が経過した所で蒼鬼が止めの合図を出した。

 

 

「……倒した合計は92体。前回が50体でしたから倍近く伸びていますね」

 

 

「なっ……!?この私が光牙でも焔でも蒼鬼でもなく芦屋に負けただと……」

 

 

「邪神様の加護を受けた我の技は正に神の技……!その進化に限界など存在しないのじゃ!……しかし悪鬼も邪神様も…そしてあの大魔王もまた進化しておられる。ただでさえあの方が我の遥か先を進んでおられるなら我もまた腕を磨かなくてはならん!」

 

 

特に競っていた訳ではないが負けず嫌いの総司は芦屋に傀儡の討伐数で負けた事を悔しがる。一方で芦屋もまた自分の結果には自信を持っているのだが彼女が目指す蒼鬼、光牙、翔との差を考えて慢心はしていない様であった。

 

 

…因みに選抜候補生メンバーが翔と戦った後に光牙とも戦ったのだが案の定惨敗していた。(無論、翔の時のような屈辱的な敗北では無かったが…)それもあってか選抜候補生メンバーはそれぞれの思うやり方で修行を積み重ね強くなっていった。

 

 

「……それでは次の訓練です。改良された傀儡100体を相手に10分生き残るか或いは殲滅して下さい。先に言っておきますがその傀儡は動き出すと時間になるまで攻撃を辞めません。なので辞退するなら今の内です」

 

 

「……辞退だと……?フフッ…良いだろう。ならばこの私が全て殲滅してやろう!」

 

 

「何じゃと?……総司!よもや貴様、我の獲物まで横取りする気か!?」

 

 

「早い者勝ちだ。それに芦屋、たった一度私に勝った程度で良い気になるなよ?私は同じ相手に何度も負ける程甘い女ではない。慢心していれば今回のお前の勝利が生涯で唯一になってしまうぞ?」

 

 

「ほう…?言うではないか。……良いじゃろう。我に挑んだ事を後悔させてやろう!」

 

 

「望むところだ!それに私はお前ごときに負けている場合ではない。光牙や焔…蒼鬼もそうだがまずは奴を……翔を倒さなければならんのでな…!」

 

 

「…ほぉ?そこは気が合うのぉ?我も大魔王を倒すことを目的としておるのじゃ!あの屈辱を晴らすためにの……」

 

 

そして蒼鬼から新たな課題が出されたが蒼鬼の言葉が癪に障ったのか先程まで悔しがっていた総司が額に青筋を立てて反応してそういう。すると芦屋も総司の発言に反応してはお互い火花を散らしあうが突然意見が合い始めてはそう話し出す為に流石の蒼鬼も疑問に思った…。

 

 

「………あの……翔くんを倒すって………」

 

 

「「当たり前だ(じゃ)!!アイツ(あ奴)は…………!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私(我)の尻(お尻)にあんな屈辱的な攻撃を仕掛けては私(我)に大恥をかかせた敵だぁぁ(じゃぁぁ)!!!」」

 

 

「………あーーーーー」

 

 

総司と芦屋の怒りの叫びに蒼鬼は納得した………。

 

 

………そう、以前この2人が翔と戦った際に受けた『千年殺し』と言う名のカンチョー攻撃だ…。あの攻撃を受けた2人はあの後かなりの激痛に治療室に運び込まれ、更には数日学校を休む羽目になりそんな攻撃によって治療室に運び込まれてなおかつそんな理由で休む羽目になったという屈辱的な思いをした為に翔に対しての怒り…いや、復讐と言うべきかそんな思いを抱いていた……!

 

 

「覚えていろよ翔………!!今度は貴様の尻にこの鎖状鞭をねじ込んでやろうぞ………!!」

 

 

「それは我のセリフじゃ!!我が鉄輪をねじ込んでるのじゃあぁ!!」

 

 

それぞれがそう言い合うと同時に訓練が開始され、怒りのパワーによってか改良された傀儡を次々となぎ倒していった……。

 

 

(………翔くん……あの時にあなたの取った行動は今……総司さんと芦屋さんを向上させる行動になりました。………しかしそれと同時にあなたに対しての危機が迫る事となりましたよ……?特にお尻に………)

 

 

そんな総司と芦屋を見つめつつ蒼鬼は無表情……でありつつも何処か翔を心配する様子でそう思うのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________________________

 

 

 

 

「……ぶぇくしょぉぉぉい!!」

 

 

「汚ぁ!?」

 

 

「お、お兄ちゃん……風邪…?」

 

 

「…いや?風邪ひくような真似したつもりは無いんだが……」

 

 

その一方、自分も勉強しつつ唯依達に勉強を教えていた翔は突如くしゃみをした。飛んできたのか未来はギョッとしつつ唯依が心配するように声を掛けるも翔も疑問に思いつつそう答えた。

 

 

「…籠鉄君、ここは漢字が違います。水と氷の記入欄が逆です。確かに字は似ていますが他の問題などを見れば気付ける範囲です。制限時間に焦らず問題をよく見て下さい」

 

 

「……おう、すまねぇ……」

 

 

その一方で選抜メンバーで最も心配されている籠鉄はというと既に勉強で心が折れかかっていた……。具体的には「崖っぷち」と書かれたハチマキが力無く落ちる程度に……

 

 

「…………この先どうなってしまうのか……?」

 

 

「頑張れ籠鉄ぅ~!」

 

 

「…界〇様風に言うのやめい」

 

 

そんな籠鉄を見た響輝と翔は某北の銀河の神様風にそう言い出す為に未来がツッコミを入れた。

 

 

……………果たして本当にどうなってしまうのであろうか………?

 

 

 

 



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期末試験に向けて 後編

 

期末試験に向けての訓練や勉強を行っていた翔一行………しかしその一方でほぼ赤点確定レベルの成績である籠鉄は蒼鬼と勉強を行っていたのだが……

 

 

「駄目だああぁぁ……!やっぱり分からねぇ!」

 

 

「………籠鉄君の学力向上は不可欠、しかし今のままでは赤点回避は難しいですね……どうすれば……」

 

 

色々と試したものの籠鉄の学力は向上せず、寧ろ悪化していく一方だった…。流石の蒼鬼もどうすればいいのかで頭を悩ませていた。

 

 

「もうこの際最終手段でカンニング作戦を…「………」だから真顔で見るなって…」

 

 

翔は冗談であるが悪ふざけでそんな事を提案すると蒼鬼が真顔で見てきた為にそう返した。

 

 

「あ…!だったら籠鉄さんが得意な事や一番集中出来る事をしながら勉強が出来れば……」

 

 

「あ、なるほど……」

 

 

すると唯依はそう提案した為に未来も納得した。

 

 

「籠鉄君が一番集中出来る事……ですか………」

 

 

「やっぱ戦いや修行とかだな!戦闘中は嫌でも集中出来るし修行の時もかなり集中力が上がるんだよなぁ!!」

 

 

「それじゃあ修行しながら勉強したらどうだ?案外上手くいくかも知れねぇかもよ?」

 

 

「…!」

 

 

そう提案され、蒼鬼がそれを考えていると籠鉄はそう答えた。やはり脳筋故に体を動かしている方が得意であり特に修行をしている時はかなり集中力がある様子であった。籠鉄がそういう為に翔もそう提案した……瞬間に蒼鬼はハッ…!と思いついたような表情を浮かべた。

 

 

「いや、でも戦いながらは……「いえ、良い案だと思います」えっ?」

 

 

しかし籠鉄は戦いながら覚える作業をするのは難しいと思いそう言うも蒼鬼がそう言い出す為に驚きの表情を浮かべた。

 

 

「確かに籠鉄君は覚えるまでが大変ですが覚えてからはその項目を間違える事なくしっかり記憶しています。…ただ覚えるまでにある程度集中力を上げないと行けませんのでそれを修行で補いましょう」

 

 

「いやでも戦闘中は……」

 

 

「確かに戦闘中は難しいでしょう。ですが動き回る修行ではなく特に動かずに持続させる修行なら集中力をそのまま持続して勉強に望めるかもしれません」

 

 

「ならどんな修行でやってみるの?」

 

 

「水面歩行と壁登りを重点的に行いましょう。一時的にその状態を維持したままなら集中力は嫌でも上がります。その状態なら覚えるまでの時間を短縮出来るかもしれません」

 

 

「成程ねぇ。」

 

 

蒼鬼がそう言うと籠鉄は戦闘中だと難しいのではと思いそう尋ねると蒼鬼はその方法で集中力を上げる修行を提案しつつそれを行いつつ覚える作業を提案した。

 

 

「…どうしますか?籠鉄君」

 

 

「…よし、分かった!やれるだけやってみるぜ!!」

 

 

そして蒼鬼は尋ねるともはや方法はそれしか無い為に籠鉄はやれるだけやってみると気合を入れつつそう答えた。

 

 

 

 

……………蒼鬼が提案したその方法で勉強を行って数時間後……

 

 

 

 

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!??分かる!分かるぞ!!この問題も分かるぜぇぇ!!」

 

 

「スゲェ……学園一馬鹿でアホで脳筋な籠鉄がここまで……」

 

 

「言い過ぎだよおめぇ」

 

 

蒼鬼が提案した勉強法により籠鉄は次々と問題を解いていった。その光景に翔がそう言うとボロカスに言う為に籠鉄はツッコミを入れた。

 

 

「…だが思った以上に効果底面だったみたいだな」

 

 

「はい、これならば乗り切れるはずです!籠鉄君、頑張りましょうね!」

 

 

「おう!サンキューな、皆!」

 

 

真司蛇も同じく思った以上の効果にそう言い、蒼鬼が籠鉄にそう言うと籠鉄は礼を言いつつその気になったのか猛勉強を続けた。

 

 

「………さて、籠鉄のヤローは多分これで大丈夫だとして……後は響輝達だな……」

 

 

「……翔、ここ何て読むの?」

 

 

「あーはいはい、ここはだな…………」

 

 

「…やっぱり読み書きだけは苦手なんだなぁ………」

 

 

とりあえず籠鉄はこのまま蒼鬼に任せても大丈夫だと判断した翔は響輝達に分からない所を教えようと思い持ち場に戻った。すると響輝がそう尋ねる為に読み方を教えていると唯依はそんな2人を見てそう呟いた。

 

 

………元々響輝は賢い方なのだが今までの生き方が生き方であった為に漢字等の読み書きが得意では無かったのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数時間後、翔は少し気分転換がてらに修行場をブラついた。案の定次の試験の実技試験に向けて生徒達は修行を行っていた。その中には案の定分身した蒼鬼が沢山おり、生徒達に指導を行っていた……。

 

 

「…しっかしよくもまぁあれだけの分身作って個別に動かせるよな…。俺でも流石に難しそうだわな。」

 

 

ブラつきながら生徒達を指導している蒼鬼の分身を見て翔はそう呟く。多重影分身を作るだけであれば翔でも出来るがその分身にそれぞれの意思を持たせつつ操作し、更に自分も個別に動くという芸当をこなす等、普通の忍はおろか実力のある忍でさえも難しい芸当であろう……。

 

 

「………およ?」

 

 

そんな時、翔はふととある人物を見つけた………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ハァ…ハァ………ふぅ……」

 

 

翔が発見した人物とは……芭蕉であった。彼女は以前翔に尻…もとい背中を押されたお陰で彼女が憧れていた光牙に稽古を付けてもらえるようになった。そして期末試験も近いのか普段よりもハードな修行を受けて息を切らしていた。どうやら今は小休憩の様子であり飲み物を飲んでいた………。

 

 

「…………?」

 

 

そんな時、芭蕉は背後から……特に尻に妙な視線を感じた為にふと背後を振り返るとそこには自分の尻に顔を近づけながらガン見している翔の姿があった……。

 

 

「……ひゅぃっ!!??///」

 

 

「やっと気付いたのか……あまりにも気付かないからいい尻をガン見しちまったぞ?」

 

 

「しょ、翔先輩何してるんですかぁ!?////」

 

 

「光牙のヤツに修行を受けてるモンだから試しに気配を感じ取れるようになったかと思えばまだまだだな……もう少しで顔を埋めていた所だぞ?」

 

 

「うええぇぇぇ!?な、何しようとしてるんですかぁ?!///」

 

 

そんな翔の存在に気付き芭蕉は両手で尻を抑えつつ顔を赤くしながら問うと翔がそう答える為に芭蕉は恥ずかしがりながらツッコミを入れた。そして翔は何事も無かったかの様子でそこら辺の岩に座り……

 

 

「…んで?光牙との修行はどうなんだ?」

 

 

「ゑ?え…えっと……ま、まだまだですね……今もこうしてヘトヘトになってしまい……翔先輩の気配にも気付けなかったので……」

 

 

「ま、そうだろうな」

 

 

「うぅ…………」

 

 

翔は光牙との修行の成果を尋ねると芭蕉はそう答える。……その事に翔はストレートにそういう為に芭蕉は少しシュンとしてしまった。

 

 

「そんでもって光牙との距離感はどうなんだよ?マンツーマンで修行してんだから進展とかあるんじゃねぇの?」

 

 

「ふぇ!?べ、別に私はそんなつもりじゃ………////…そ、それにそんな考えしてたら光牙先輩に怒られてしまいますよ……」

 

 

「………昔はそんな気難しい子じゃなかったのにねぇ………」

 

 

「…え?昔の光牙先輩の事を知ってるんですか?」

 

 

「まぁな」

 

 

そして今度は芭蕉に光牙との進展を尋ねるもそんな余裕は無いしそんな邪念を考えていれば光牙に怒られると言う為に翔はため息を吐きつつそういう為に芭蕉は少し驚きつつも翔にそう聞くと翔は頷いた。

 

 

「…え、えっと……ど、どのような方だったのですか……?」

 

 

「ん?今のような雰囲気は全く無くて元気で心優しくて家族思い。…特に母親と姉ちゃんが大好きなマザコンシスコンだった。」

 

 

「…えぇ……?」

 

 

「…んで去年に再会を喜べば……あんな姿だ。本人は『10年も経てば人間は変わる』とか言ってたが普通はそうはならんだろ。…何かあったのかは分かるが何があったのかは知らん。」

 

 

「…………………。」

 

 

芭蕉は翔から光牙の昔の事を聞くのは光牙に少し申し訳なく思ったがそれでも気になる為に恐る恐る尋ねると翔がそう答える為に芭蕉は少し驚きつつも若干呆れる。……元気で家族思いは本当であろうがマザコンシスコンの類は恐らく翔が付け足したからだと思ったからだ。

 

……そして去年に再会した事の話を翔がするがやはりこの10年間の間に光牙は何かあったからこそあのような性格になってしまった事が把握でき、翔は表情を変えずとも何処か心配したような様子である事を芭蕉は悟りこれ以上尋ねる事は出来なかった………。

 

 

「…………いつまで休憩をしている?」

 

 

「ぴぇ!?せ、先輩……!」

 

 

そんな時、あまりにも休憩時間が長い為に光牙がやって来ては少し怒った表情で芭蕉を呼ぶ。その為に芭蕉はビクッと体を震わせた。

 

 

「まーまー光牙くん何もそんな怒らんでええやねん、ワシが芭蕉ちゃん呼び止めて話してもうたからワシの責任なんやさかい、な?そう機嫌悪くせんと飴ちゃんでも舐め?」

 

 

「……要らん。と言うか何故に関西弁なんだ……?」

 

 

「……………。」

 

 

そんな光牙を宥める為に翔はそう言いつつ飴袋を取り出しては光牙に渡そうとする。光牙は翔に呆れつつも何故に関西弁なのかをツッコミ、芭蕉はそのやり取りを苦笑いした。

 

 

「……まぁいい、期末まで時間を無駄には出来んのだ。早く修行を再開するぞ芭蕉。」

 

 

「あ…は、はい!」

 

 

光牙はそう言いつつ芭蕉にそう言っては修行場へと先に向かった。そして芭蕉はオドオドしつつも頷き光牙を追いかけようとした……瞬間……

 

 

「……そぉい!!」スパーーーンッ!

 

 

「ぴゃああああああああぁぁぁぁぁぁ!!??」

 

 

突如翔は何故か芭蕉の尻へと強烈な平手打ちを喰らわせた。その事に芭蕉は驚きと痛みに声を上げてしまった。

 

 

「ひぇ…!?ぴ、ぴえ…!?せ、先輩何を………?」

 

 

「なーに情けない顔してんだ?強くなる為に、そんで光牙を堕とすのにそんな情けねぇツラしてんじゃあねぇぜ!しっかりせい!」

 

 

突然の行動に芭蕉は尻を抑えつつも情報が整理できてない状態になり翔に尋ねると翔は自分に喝を入れるかのように言う。

 

 

「……ぁ……は、はい!!」

 

 

「うむ」

 

 

それに気付いた芭蕉は少し動揺しつつも……気持ちを改めつつ力強く頷いた。それを見た翔は頷きつつ芭蕉を見送るのであった……。

 

 

 

(……そうだ……!先輩の言う通り……気持ちを強く持たなくちゃ……!…『頑張るぞ、立派な忍、目指します…!』………先輩、ありがとうございます……!)

 

 

そして芭蕉はそう思いつつ……少し気を強く持ちながら光牙の元へと駆け出すのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………来たか…。それでは修行再開……って……何故に尻を抑えている……?」

 

 

「い、いえ…だ、大丈夫です……ハハハ……(せ、先輩…強く叩きすぎです……絶対に赤くなってる……)」

 

 

「(…あのアホめ……)…まぁいい、修行を再開するぞ。」

 

 

そして芭蕉がやってきた為に光牙は修行を再開しようとするも何故か芭蕉が尻を痛そうに擦っている為に疑問に思いつつも尋ねると芭蕉は苦笑いしつつそう答える為にまたもや翔のアホが何かやらかしたと呆れつつも修行を再開するのであった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________________________________

 

 

 

 

そしてその後、教室に戻った翔は再び響輝、そして唯依や未来に勉強を教えていた。響輝は読み書きが苦手な所以外は覚えが早い為にスラスラと問題は解いていき、初の期末試験の勉強に緊張していた唯依と未来も翔は勿論の事、蒼鬼(分身)と真司蛇の教えもあった為に何とか問題を解いていった。

 

 

……一方弱点を克服した籠鉄はと言うと……

 

 

「うおおぉぉぉぉぉぉ!?す、スゲェ!?こんなに覚えられるなんてよぉ!?どうしたんだ俺ぇ!?俺が俺じゃない気がするぜぇぇぇ!?」

 

 

「………この調子です籠鉄くん。次はこの問題にしてみましょう。」

 

 

「おう!任せとけぇ!!今の俺に覚えられない問題は無い気がするぜぇ!!」

 

 

「………本当に大丈夫かアレ?試験当日にうっかり全部飛んだって問題が発生しないよな……?」

 

 

先ほどの提案によって籠鉄は蒼鬼の教えもあってか覚え作業が捗りスラスラと問題を解いていった。その様子に蒼鬼は表情には表さなかったが内心では驚きが隠せずにいた。……そんな籠鉄を見つつ翔は呟くのだった……。

 

 

 

………籠鉄の問題は解決……に見えたがあまりにも上手く行き過ぎている為に何処か不安を覚える空気となったが期末試験まであと僅か……果たして選抜メンバーは全員で夢の温泉旅行へと行くことが出来るのであろうか………?

 

 

 

 



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翔の特別試験 ~道元の企み~

 

「はぁ~~~終わった終わった……相変わらず試験ってのはかったりぃなぁ…」

 

 

長かった試験勉強期間が終わり、そして丁度今期末試験を終えた翔……。首をポキポキと鳴らしながら修行場をブラつき、気分転換に外出しようと思い響輝を探していたのだ。

 

 

「…しっかし響輝のヤツどこ行ったんだ?勉強で疲れてどっかで寝てるか?」

 

 

しかし響輝の姿が見当たらないのでウロウロと探し回る翔…。普段響輝は修行とかも何もしていない時は日当たりのいい場所で昼寝をしている為、翔は今日の日当たりが良く昼寝に最適な場所を探していると……

 

 

「おぉ~!ここに居たか!」

 

 

「探したぞ翔」

 

 

「おろ?鎧威センセに鈴音センセ?どうしたんだ?」

 

 

すると翔を探していたのか鎧威と鈴音が現れた事に翔は気付きそう尋ねる。

 

 

「翔、『道元』様がお呼びだ。」

 

 

「パス」

 

 

「待て待て待て、パスされると困るぞ」

 

 

「異論は認めん、強制だ。」

 

 

「…知らねぇよ、オッサンの戯言に付き合ってられるか。」

 

 

「…貴様、言葉を慎め。」

 

 

「嫌だぜ。大体俺あのオッサン嫌いだし」

 

 

鈴音がそう言った瞬間、翔は何処か嫌そうな表情になってそう言い出す為に鎧威は少し困った表情になり、鈴音がそう言うも翔は鼻をほじりながらそう答えた。

 

 

「ハハハ、またまた冗談を……」

 

 

「「『道元』様!!」」

 

 

「…チッ………」

 

 

すると突如右目に傷が付いた何処か高級そうな服を着た男がハハハと笑いながら現れ、その男に鎧威と鈴音は片膝を着いて頭を下げる。一方翔は露骨に聞こえるように舌打ちをした。

 

 

……この男は『道元』。蛇女子学園の出資者であり首領らしき人物であった。

 

 

「君が私を嫌っていても私は君が好きだよ。」

 

 

「…かぁっ!気持ちわりぃ!やだおめぇ……」

 

 

「おい、翔!」

 

 

(……正直今のは翔の気持ちは分からないでもないなぁ…)

 

 

道元の発言に翔は物凄く嫌そうな表情をしつつそう吐き捨てる為に鈴音がそう言うも道元の言い方が言い方なので内心で鎧威は翔の気持ちに同情していた…。

 

 

「……んで、俺に何の用だ?俺はお前のように暇じゃねぇんでな、とっとと要件を言えや。」

 

 

「だから言葉を慎めと…」

 

 

「構わんよ鈴音、こちらも態々時間を取らせてしまっているしな。」

 

 

そして翔は鬱陶しそうな表情をしつつも道元に尋ねるとまたもやそんな態度を取る為に鈴音がそう言うも道元は制止させた。

 

 

「君に蒼鬼と同じ今回の実技を受けてもらいたいと思ってね…。」

 

 

「蒼鬼と同じ実技を…翔にですか……?」

 

 

「あぁ、その通りだ。」

 

 

道元の言葉に鎧威と鈴音は少し驚きつつ鎧威が尋ねると道元は頷く…。

…そう、蒼鬼が受けた今回の実技……内容は『30分の間に教師全員の攻撃を無傷で凌ぎながら半数以上を撃破する』と言うモノであった…。

 

 

「……しかし何故に翔に蒼鬼と同じ実技を……?」

 

 

「彼は蒼鬼と同じく……いや、もしかすればそれ以上の実力を持っていると思ってね。それを直接確かめたいと考えたのだ。それで……受けてくれるかな?」

 

 

「ヤダ、だるい、めんどい、試験疲れでダルい。」

 

 

「駄目だ。道元様の命令だ、受けてもらうぞ。」

 

 

「うるせぇ!受けるか受けねぇかをお前らが勝手に決めてんじゃねぇよババア!」

 

 

(…この小僧ぉ…!)

 

 

「まぁまぁまぁまぁ…翔も試験疲れかとは思うがここは自身の実力を確かめる為にも…頼むよ。」

 

 

鈴音は何故に翔に蒼鬼と同じ実技を受けさせるのかを尋ねると道元は翔の実力を直接確かめたいとの事であった。そんな翔に道元はそう尋ねるも翔はだるそうな表情でそう答えるが鈴音がそう言い出すと翔はそう言い返した。……ババア呼ばわりされた事に鈴音は青筋を立てて内心でそう思いつつ握り拳を作ると鎧威は苦笑いをしながら2人を宥めつつ翔にそう頼んだ。

 

 

「……チッ、しゃーねぇなぁ……さっさとしろよ。」

 

 

「…悪いな、翔。」

 

 

(…コイツ、何故に鎧威先生の言う事はすんなり聞くんだ…?)

 

 

すると翔は舌打ちをしつつそう言うので鎧威は苦笑いをしつつそう言う。その際に鈴音が内心で何処か納得いかなそうに思ったのは言うまでもなかった…。

 

そして道元が指パッチンをすると蛇女の教師全員が集まって来た。

 

 

「…まぁこれはあくまでも実力を確かめる為であって今回の期末試験には影響は無いから気楽にやってもらえば良いさ。」

 

 

「へいへい」

 

 

「……おい、先に言っておくが初っ端からわざと終わらせたら赤点にするぞ」

 

 

「…おいオッサン、話が違うじゃねぇか。ふざけてんのか?」

 

 

「まぁまぁ…私も流石にそう言う事をされたら困るのでな……」

 

 

「…ケッ、もういい、さっさと始めろよ。」

 

 

道元がそう言うと翔は渋々そう言う…が、鈴音が何かを予感したのか釘を刺すと案の定それをしようとしていた為に翔は文句を言うが道元がそう言うので渋々とそう言った。

 

……そして道元が指パッチンをすると蛇女の教師全員が姿を現した。

 

 

「……では…始め!!」

 

 

そして道元が合図すると蛇女の教師達が翔に襲い掛かった。しかし翔は動揺する事も無くその場から動かずに教師達の攻撃をかわしていった。

 

 

「……流石は教師か……普通の生徒とは違うって訳ね。」

 

 

「何を…!」「舐めるな小僧!」

 

 

攻撃を回避しながら軽口を叩く翔に少し怒りを覚えたのか教師2人が強襲を仕掛けるも……

 

 

「「ぶべっ!?」」

 

 

その教師2人の頭を掴んでは互いの顔面にぶつけた。間抜けな声を上げながら崩れ落ちて倒れる教師2人……しかし翔はそのままジャンプをしては……

 

 

 

 

 

 

ベギィッ!!

 

 

 

 

 

「ぎっ……!?」「ぐげぇ……!?」

 

 

倒れている教師2人の背中をジャンプした勢いで踏みつけ……背骨を踏み折ってしまったのだ……!

 

 

「!?」「…アイツ…そこまで……」

 

 

「…何だ、これでビビってんのか?生徒の修行で死人が出てるんだ、だったらこういった事でも死人が出ても不思議じゃねぇだろ?」

 

 

翔の容赦ない行動に鈴音と鎧威は少し驚きの表情を見せ、教師達は動揺を見せた。そんな教師達に翔は挑発するかのようにそう言った……。

 

 

「…ま、忍とはいえ人間覚悟していないのに死ぬのは怖いのは当たり前だからな。覚悟が無いなら逃げな、そこのオッサンが責めても俺は責めねぇし恥じる事じゃねぇって。」

 

 

 

 

 

 

 

「この小僧がぁぁぁぁ!!」「半人前のガキ風情がぁぁ!!」「馬鹿にするなぁぁぁ!!」「その軽口二度と叩けないようにしてやる!!」

 

 

「……やっぱこの程度じゃ逃げないか…流石は教師って所だな…」

 

 

 

そして翔がそう言った瞬間……教師達から何かプツンと言う音が鳴っては怒りの声を上げては翔に襲い掛かった。そんな翔はこの程度の挑発で怖気づかない為に流石は教師だと思いつつ受けて立った。

 

しかし翔の挑発により激昂した教師達は怒りの勢いで翔に攻撃を仕掛けるもいとも簡単にかわされては反撃によって返り討ちに遭い次々と倒されてしまった…。

 

 

「おいおいどうしたぁ!?蛇女の教師達ってのはこんなモンか!?それとも蒼鬼に任せっきりのせいで訛っちまって腑抜けたかぁ!?」

 

 

「おのれぇ!!好き放題言いおってぇぇ!!」

 

 

そして翔は教師達を挑発するような発言をし、それに怒り襲い掛かる教師達であったが案の定翔に簡単に倒されていってしまい、徐々に教師達は戦意を失いつつあった……。

 

 

「………鎧威先生、そろそろ私達も参戦しましょう。でないとあの小僧は図に乗りそうですからね。」

 

 

「…む?ま、まぁそうだな……では行こうか。」

 

 

流石にこれ以上翔に図に乗らせてしまえば自分達教師の面子にかかると思った鈴音は自分たちも戦いに混ざりこむのであった。

 

 

「さぁどうした!?次………っ!?」

 

 

「…ほぉ、ただ軽口叩いているだけでは無さそうだな?」

 

 

「今度は俺たちが相手だ、翔!」

 

 

次々と教師達をなぎ倒していく中、翔は殺気を感じてはその場から回避をすると鈴音の大手裏剣の斬撃攻撃が飛んできた。自分の攻撃を回避した翔に鈴音は感心し、鎧威も戦う構えを取っていた。

 

 

「ちょ!?なんでだよぉ!?何で鈴音センセ達も参戦してんだよ!?」

 

 

「教師全員と言った筈だ。ならば私たちが参戦してても間違いではないだろう?」

 

 

「そう言う事だ。さぁ、お前の実力を見せてくれ!そして青春してくれい!」

 

 

「ワケワカンナイヨー!!」

 

 

翔はその事に驚きそう尋ねるも鈴音に正論を言われ、鎧威もそう言う為に翔はそう返す。先ほどまでの翔の快進撃は止まり、鈴音と鎧威からの攻撃を回避したり防ぐ一方となり、防戦一方となっていた。

 

 

「どうした翔?先ほどまでの勢いはどうしたんだ?」

 

 

「無茶言うなよ!?蒼鬼でさえも勝てないアンタらに俺が!勝てる訳ねぇだろうが!!!」ドンッ!

 

 

「諦めたらそこで試合終了だぜ?」

 

 

鈴音は攻撃の手を止めずに挑発するようにそう言うも翔はそう言う。そんな翔に鎧威は励ますように言うが励ましにもなっていなかった……。

 

 

「……ぶっ!?」

 

 

そして遂に翔は鈴音の攻撃を防いだ隙を突かれ鎧威からの一撃を受けては壁に叩き付けられてしまった………。

 

 

「……勝負ありだな……。」

 

 

「…ちぇー、鈴音センセも鎧威センセも大人げないでやんのー」

 

 

「まぁそう言うなよ、お前も教師半数以上は倒したんだ。ここに入学するときよりも成長できているって事だ、喜んでも良いんだぞ?」

 

 

「………しっかし蒼鬼は他の生徒の試験対策を行いつつもその後に筆記試験10回……そんでこの試験受けて合格してんのか……。俺には到底無理な話って訳だな。」

 

 

(……実は試験の時に俺と鈴音先生は別の任務があって蒼鬼の試験の時には居なかったってのは言えないな……)

 

 

鈴音がそう言うと翔は立ち上がっては砂埃を払い拗ねるように言う為に鎧威は励ますようにそう言う。そして翔は蒼鬼が生徒の指導を行いつつも試験にて筆記を10回後にこの試験を受けて合格しているという事実に驚きつつも自分では到底できないと呟く……が、それを聞いた鎧威は内心でそう思うのだった…。

 

 

………すると突如パチパチと言う拍手するような音が聞こえ振り返ると道元が拍手をしていたのだ……。

 

 

「…いやぁ素晴らしい、素晴らしかったよ翔。」

 

 

「………嫌味かそれは?30分も経たない間に一撃貰ったんだ。これが試験ならば不合格だぜ。」

 

 

「それでも君はこの蛇女の教師を半数以上は無傷で撃破したのだ。それだけでも素晴らしい事だよ。」

 

 

「…そりゃあどうも」

 

 

道元が翔の戦いぶりに誉めるようにそう言うも翔はそう返す。道元に褒められても嬉しくないという様子であった。

 

 

「……試験には不合格したが……どうだね?君も監督生になってみてはどうだ?私が推薦しても良いんだぞ?」

 

 

「丁重にお断りする。別に俺は監督生にはなりたいとは思ってねぇし何よりも俺のような不真面目野郎がなっちまえば蛇女の風紀は崩壊するぜ。」

 

 

(……自覚はあるんだな………)

 

 

すると道元は翔に監督生になる事を薦めるが翔は断りつつそう言う。その際に自分自身が不真面目である事は自覚してあるのか……と鈴音は内心でそう思った。

 

 

「そんな事は無い。君の実力はお墨付きだし時間を重ねていけば蒼鬼なんかよりも立派な監督生になれるだろう。」

 

 

「……あ?」

 

 

しかしそう言う翔に道元はそう言った……瞬間に突如翔は目付きを変えた……。その目は…何故か怒りを浮かべるような目で………

 

 

「………?どうしたんだ翔?突然そんな目に……がっ!?」

 

 

「!?」「お、おい翔!?」

 

 

道元も翔の目付きに少し驚きつつも尋ねようとした…瞬間翔は道元の胸倉を掴んでは持ち上げた……。その行動に道元は勿論の事鈴音と鎧威も驚きの表情を浮かべた。

 

 

「ぐ…がぁ……!?な、…何故……」

 

 

「お前、今なんつった?『蒼鬼ごとき』とかほざいたか?お前風情が蒼鬼を見下してんじゃねぇぞ?」

 

 

「翔!やめ…「うるせぇ、引っ込んでろ」…っ!?」

 

 

胸倉を掴まれた状態で持ち上げられ、首が締まっているのか道元は苦しそうに翔が怒っている理由が分からず問おうとするも翔がそう言う。どうやら翔は道元が『蒼鬼ごとき』と言った…蒼鬼を見下したような発言が気に食わなかったために怒りを露わにしたのだ。そんな翔を鈴音と鎧威が止めようとするも振り返った翔がそう言っては威圧を浴びせてきた為に2人は驚く。その威圧は先ほど戦った時とはまるで違う重苦しいような威圧であったのだ……

 

 

「…と、取り消そう……先ほどの失言を……。き、気に障ったのなら……済まなかった………」

 

 

「…………ケッ……」

 

 

道元は首が締まり、苦しくなってきたのか翔にそう言いつつ謝罪をする。そんな道元に翔はそう言いつつも離した……と思った瞬間……

 

 

「ごぼぉっ!!?」

 

 

「「な!?」」

 

 

解放されたかと思いきや翔は道元の腹に強烈なボディブローを喰らわせたのだ…!その事に見ていた鈴音と鎧威は勿論、道元は驚きつつもその威力を腹に喰らい、咽込みながら涎と胃液が混ざり合うような液体を吐いていた。

 

 

「………二度と蒼鬼を侮辱するような発言をすんじゃねぇ……。今度は今ので風穴開けられる程の威力をぶち込んでやるからな?」

 

 

「………っ………!?」

 

 

翔は道元にそう忠告すると道元は咽込みながら青ざめた。翔の目を見て察したのだ………本気であるという事を………。

 

 

「………目障りだ……とっとと失せろ……」

 

 

翔はそう言いつつ道元に威圧を浴びせる。そんな翔に恐怖を覚えたのか咽込みながらフラフラと逃げるように去って行った………。

 

 

「………そのままくたばれ「やめい!」いでっ!?なんだよ、殴んじゃねぇよ…」

 

 

「…貴様、今の行動反逆と捉えられても可笑しくないぞ……?」

 

 

「そうなるんだったら上等、戦争だ。あのオッサンの首を天守閣に掲げてやらぁな。」

 

 

「……おいおい………」

 

 

逃げていく道元にそう吐き捨てつつ追い打ちで何かを仕掛けようとした…瞬間に鈴音が拳骨を落とし、翔にそう説教をした。しかし翔は道元が仕掛けてくるのであれば受けて立ち本気で殺そうという為に鎧威は苦笑いをしていた……。

 

 

「………第一出資者か何だか知らねぇが金でしか物事を解決出来ねぇオッサン風情が蒼鬼を見下してんじゃねぇよ。」

 

 

「…おいおい翔………お前は何故そこまで道元様を嫌うんだ?」

 

 

「存在そのものが気に食わねぇんだよ。第一蒼鬼にだけやたら風当たりが悪い扱いをしやがるしな。」

 

 

翔が道元の事を愚痴る為に鎧威は何故にそこまでして道元を嫌うのかを尋ねると翔はそう答えた。存在そのものが当然と言わんばかり……であったが蒼鬼にやたら当たりが悪い事が許せなかったという理由もあったのだ。

 

 

「この間だってそうだ。何があったか知らんが雨も降ってねぇのに蒼鬼がずぶ濡れになって帰ってきてな。聞けばあの屑に水ぶっかけられたらしいんだよ。蒼鬼は「私が悪いんです」とかいつもの言葉を言ってたけどな。」

 

 

「……何…!?」

 

 

翔は1つ話をする。以前に雨も降っていないのに蒼鬼がずぶ濡れで帰ってきた為に翔は心配して理由を聞けば蒼鬼はミスをしてしまい道元が蒼鬼に水をぶちまけられたという話を聞いたのだ。水をかけられた蒼鬼は自分自身の責任であると道元を責めるような事は言わなかったが……

 

その話を聞いてなかった鈴音も今の話を聞いて驚きの表情を浮かべた。

 

 

「だからさ、腹立った俺は1人でオッサンの居る城に行ってな、ロケットランチャーをぶっ放してやったんだよ。」

 

 

「…あの大爆発の事件は貴様の仕業か!!???」

 

 

「良いじゃねぇかよ、あんなオッサン1人死んだところで問題なんかねぇし代わりだって居るだろうよ。」

 

 

「…いや、出資者が居なくなれば蛇女に大打撃なんだがな……」

 

 

すると翔はとんでもない事を明かす為に鈴音は驚愕しつつも盛大にツッコミを入れた。……蒼鬼が水をかけられた事件の後、突然道元の居た城にて大爆発が起こった事件があったのだ。その犯人が……ロケットランチャーを放った翔であったのだ…。

 

そんな鈴音の言葉に翔が平然と言うが鎧威はそうツッコミを入れた。

 

 

「………もういい、貴様が道元様を嫌うのは分かったが…これ以上な行動はするな……。貴様は良いが唯依や…その蒼鬼の身の為にもな……」

 

 

「あのオッサンが死ぬか蛇女から消えれば万事解決だ。」

 

 

「…いや、あのなぁ………」

 

 

もう疲れてきたのか鈴音は翔にそう言うも道元に対しての行動を止めないような言い方をする為に鎧威が何かを言おうとすると……

 

 

「…つーかさ、何で蛇女の理事長があのオッサンなんだよ?元々蛇女は光牙の親父さんだったんじゃねぇのかよ?」

 

 

「………!お前……まさか知らないのか……?」

 

 

「?知らないって何がよ?」

 

 

「…………私たちが話せる事じゃない…本人に聞けばどうだ?」

 

 

「…答えてくれると思う~?」

 

 

「……じゃあ聞くな、そして知らないままでいいと言う事だ。」

 

 

「…ちぇ~」

 

 

すると翔はそんな事を言い出す。……どうやら蛇女の理事長は元々は道元ではなく、光牙の父親であったという事であったのだ。何故そうなったのかを知らない為に鈴音は少し驚きながら尋ねるもやはり翔は知らなさそうであった為に鈴音はそう言うのであった……。聞きたければ光牙に聞けと言わんばかりに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……翔の気持ちは分からんでもない……しかし下手をすれば翔は間違いなく道元を殺しにかかるだろうな…鈴音さん………)

 

 

(…えぇ、下手な真似をさせない為にも……今は翔が行動に出ない事を見ておかなければ……)

 

 

そして放っておけば翔が間違いなく道元を殺しにかかると判断し、翔が行動に出ないように見張っておく事を鎧威と鈴音は耳打ちするのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________________________________

 

 

 

 

 

「……ハァ…ハァ………あの小僧め……!好き放題を………!」

 

 

一方、自分の城へと戻った道元は翔から受けたボディブローの痛みが残っており苦しみながらも自分にあそこまでの屈辱を味遭わせた事に怒りを浮かべていたが…

 

 

「…しかし……あの力を私のものにすれば……私は間違いなく野望を実現できる……!」

 

 

すぐさま気味の悪い笑みを浮かべてはそう呟いた………

 

 

「今は好き放題しているがいい翔。だが私は貴様をわが物にして野望を実現する為の道具や傀儡にしてやろうぞ!!フハハハハハハハハハハ!!!」

 

 

そして道元はそう言うと高笑いをするのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………翔をわが物にしようとする道元……果たしてこの男の野望とは一体……?

 

 

 

 

 

 

 




…何か鎧威先生が苦労人な立ち位置に…w

因みに今回、教師達が簡単に倒されていきましたが別に弱いという訳ではなく、翔、蒼鬼、光牙が生徒の中じゃ特別強く並の教師では相手にならない…と言う感じなのですwその点、鈴音先生と鎧威先生が他の教師よりもずば抜けて強すぎる…と言う感じであります。



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ハチャメチャの温泉旅行!

キャラ崩壊でカオスな回注意!w




「ここが温泉旅行の温泉だぜ!」

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!?すげぇぇぇぇ!!お前ら去年にこんなスゲェ場所に来てたのかよぉ!?」

 

 

「……滅茶苦茶はしゃぐじゃん」

 

 

「…ま、まぁ去年来られなかった籠鉄くんにすれば興奮しても仕方無いかと思いますよ。」

 

 

期末試験から数週間後、翔達選抜メンバーは温泉旅行に来ていた。……そして籠鉄が居ると言う事から何とか全員合格ラインを突破して遂に念願の全員で温泉旅行へと行く事が出来たのであった。

 

 

「それにしても籠鉄さん、よく受かったよね~」

 

 

「それは俺も驚いたさ、まさか蒼鬼の勉強法があそこまで上手くいって尚且つ覚えた所が頭の中に残っていたからなぁ……。蒼鬼には足向けて寝られねぇぜ。」

 

 

「そ、そこまでしなくても……でも籠鉄くんも無事に受かってよかったです。」

 

 

「おう、ありがとなみんな!でもあの勉強法さえあればもう怖い物無しだぜ!」

 

 

唯依がそう言うと籠鉄はそう答える。もはや絶望的だった状態から蒼鬼が提案した勉強法で籠鉄は何とか成績が合格ラインを突破し無事に温泉旅行へと行く事が出来たのだった。籠鉄の言葉に蒼鬼は苦笑いをしながらそう言いつつ彼女も籠鉄が無事に温泉旅行に来れたという事に喜びを見せた。

 

 

「んじゃあ克服した籠鉄くんに問題。忍の忍術の属性を全て答えよ!」

 

 

「そんなの簡単だぜ!火、水、雷、光、闇…………………あとなんだっけ?」

 

 

「「「「だぁちゃああぁぁぁ!?」」」」ズドーーーッ!

 

 

「……全然ダメじゃん……」

 

 

「ありぃ?可笑しいなぁ……テストの時にはちゃんと思い浮かんだってのによぉ……」

 

 

そう主張した籠鉄に翔が問題を出す。すると籠鉄は自信満々に答えようとする……が、答えられなかった為に一同はズッコケた。そんな籠鉄に少し呆れつつ響輝がそう言うと籠鉄は不思議そうな表情で理由が分からなそうな表情になっていた。

 

 

(…確かに可笑しいんですよね……籠鉄くんは覚えたことの記憶が一定期間しか長続きしないという所が……。ただ頭が悪い…いや、覚え続けるのが苦手と言うよりも……まるでその部分の記憶が消去されている(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)かのように……)

 

そんな籠鉄を見て蒼鬼はそう考える。去年の試験も同じ事があり、覚えた事は一定期間は覚えているのだがその一定期間を過ぎればまるで記憶が消去されたかのように忘れ去っていたのだ。そんな籠鉄に疑問を浮かべたのだった……。

 

 

「まぁ良いじゃねぇか。今日は勉強も忍も忘れ去って楽しもうぜい!!」

 

 

「うん!」「うむ」「ウェエェェェェェイ!!!」

 

 

「よっしゃあ!突撃じゃあぁぁぁいい!!」

 

 

翔はそう言いつつ掛け声をあげると唯依、響輝、籠鉄と共に本日泊まる旅館へと乗り込むかのように駆け込んで行った。

 

 

「…テンション高すぎでしょ……」

 

 

「……全くアイツらは……」

 

 

「…まぁ翔くん達らしくて良いじゃないの。ね?詠ちゃん」

 

 

「フゥゥゥゥゥゥゥ~~~~♪」

 

 

「いや!?アンタもかい!?」

 

 

そんな翔達を見て未来と真司蛇は呆れた表情になるも春花がフォローするようにそう言っては詠に話を振る……も詠も出遅れたかのようにそう言っては旅館に乗り込んでいく為に未来は盛大にツッコミを入れた。

 

 

「…ま、まぁとりあえず私たちも行きましょう。」

 

 

「……旅行に来ているのに疲れそうだ……」

 

 

そんな翔達に苦笑いしつつも蒼鬼がそう言う。既に翔達のテンションについて行けないのか光牙は呆れつつもそう呟くのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃあ!温泉と言えば卓球!!卓球すんぞぉぉぉぉぉ!!」

 

 

「私も同行しよう」

 

 

「いや!?早くない!?少し休んでからでも……」

 

 

「何言ってんだ!1分1秒多く今を楽しむのが温泉旅行だって古事記にもそう書かれているだろう!」

 

 

「いや、知らんがな!?」

 

 

到着早々翔が卓球を始めようとする事に未来はツッコミを入れ一同は呆れた表情になる。

 

 

「焔、卓球しようぜ!お前卓球結構うまかったろ?」

 

 

「……知るか、他の奴らとでもやってろ。」

 

 

翔は焔を誘うように言うも焔は呆れつつもそう言うが……

 

 

「なんだぁ?逃げるのかぁ?そうかそうか、実際の戦闘とかでも俺に負けるもんなぁ……所詮焔は俺には勝てない……『敗北者』じゃけぇ……!!」

 

 

「………」イラッ

 

 

翔はそんな焔を某海軍大将のような挑発で煽るも焔は少しイラッとしながらも挑発には乗らなかった……が……

 

 

「……ぶっ!?」

 

 

「…ゑ!?」

 

 

突如翔はピンポン玉をラケットで打ったかと思いきや焔の頬に直撃させ、その光景に蒼鬼はギョッとした。一方打った方の翔はニヤニヤした表情をしており……

 

 

「…上等だぁ!!お前なんか叩き潰してやる!!野郎ぶっ殺してやるぅ!!」

 

 

「そう来なくっちゃ!相手にとって不足はねぇ!!おい光牙、お前も焔の相方で来い!異論は認めねぇ!!」

 

 

「…巻き込むな。そんなくだらないお遊びなどお前らでやってろ。」

 

 

流石にキレた焔はラケットを手に叫ぶ。翔はそう言いつつも巻き込むかのように光牙にそう言うも案の定光牙はそう言って宿泊部屋に行こうとするので再び翔はピンポン玉を打ち込むが……

 

 

「……そんなものが俺に通用するとで……も゛っ!?」ゴスッ

 

 

「「「ちょ!?」」」

 

 

案の定それを回避した光牙はそう言った……瞬間にどういう訳かこめかみにラケットが飛んできては直撃し、一同はギョッとした。

 

 

「………ごめん、手が滑った………」

 

 

「…えぇ…(困惑)」

 

 

飛んできた方向を見ると……響輝がそう言うも思いっきり投げたような体制だった為に流石の翔も困惑するような表情となっていた……。(※良い子は真似しないでね!)

 

流石の光牙もこれにはキレたのか……

 

 

「…いいだろう……その勝負受けてやる……!!そして俺に勝負を挑んだことを後悔させてやる…!!焔、足を引っ張るんじゃないぞ…!!」

 

 

「当たり前だ!今日の所は一時休戦だ!!アイツらを叩きのめしてやろうぞ!!」

 

 

「そう来なくっちゃな!!来いやぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

ラケットを手に取り焔とタッグを組んで翔と響輝を相手に卓球勝負を始めるのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ふん、他愛もない。」

 

 

「フハハハハ!!当然の勝利だ!!ザマミロ!!バーカ!!ヴァアアアァァカ!!!」

 

 

その後、長い勝負となって一時間は軽く超えたが光牙と焔コンビが勝利し、光牙は鼻で笑うようにそう言い焔の方は勝ち誇るかのように中指を立てながら翔と響輝を煽り倒していた。

 

 

「「…やるじゃん」」ボロボロ

 

 

「いやいやいや!?白熱してたけどただ卓球勝負で何でアンタらボロボロになってんのよ!?」

 

 

「そう言う仕様だ。」

 

 

「んな仕様あるかぁぁぁぁ!?」

 

 

一方負けた翔と響輝はただ卓球勝負をしていたのに何故か戦闘が終わったかのようにボロボロになっている為に未来は盛大にツッコミを入れた。

 

 

「よぉぉし!!気を取り直して今度はゲーセンコーナー行くぞ!!旅館にアーケードゲームが置いてるのは常識だぜぇ!!」

 

 

「あ、それならアタシも行く!」

 

 

そして今度はゲームコーナーへと向かう。未来も結構なゲーマーなので今回は一緒について行く事にした。

 

 

「あ!『街路戦士2』じゃないの!懐かし~!」

 

 

「おぉ未来!お前やった事あんのか!?」

 

 

「たり前よ!不登校時代世界ランクとは言わないけどやり込んだわよ!!」

 

 

「上等!そんじゃあ勝負だぜ!!」

 

 

そして未来は過去に自分がやり込んだ格闘ゲームを見て懐かしむ表情をしていた。そんな未来を見て翔は彼女がやり込んでいる事に気付いては今度は未来と格ゲー勝負を申し込むのであった。

 

 

 

「あ、あの翔くん、未来さん白熱してる所申し訳ないですけど…詠さんがお腹空いたとの事で……」

 

 

「あ、あら?もうそんな時間なの?」

 

 

「んじゃあ飯にすっか!!」

 

 

数十分後、翔と未来が格ゲー勝負で白熱している中、水を差すようで少し申し訳なさそうに蒼鬼がそう伝えると未来も時間を見て少し驚き、翔もそう言いつつ泊まる部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋にたどり着くと既に食事の用意が出来ており旅館の豪華な料理のフルコースが並べられていた。

 

 

「おぉ~こりゃあ旨そうだ。」

 

 

「み、皆さん……た、食べきれないのなら残してもいいんですのよ!?」

 

 

「…持って帰る気満々やん……」

 

 

「…しょうがないよ、詠だもん」

 

 

「それじゃあいただきましょうか。」

 

 

並べられた料理を見て翔達は目を光らせており、詠は案の定残った分は持って帰る気満々である事に日影と響輝は呆れていた。そして蒼鬼がそう言うと同時に一同は食べ始めるのであった。

 

 

「おぉうめぇ!うめぇぞお!!」

 

 

「くぅぅぅぅ~~~!去年にもこんなにうまいモン食えるんだったら勉強頑張るべきだったぁ~~~!」

 

 

「……こんなに旨い料理だったら酒が合う…。日本酒でも頼むか「響輝さん何を頼もうとしてるんですかぁ!?私たちは未成年ですよ!?」…監督生の人、何も青筋たてんでもええやねん……」

 

 

ガツガツ食事を食べる翔達…籠鉄も食べながらそう言う。すると響輝は酒を注文しようとするので蒼鬼が響輝を止めてそう言う。

 

 

「……あれ?…ちょ!?詠お姉ちゃんが気絶してる!?」

 

 

「…えぇ……?」

 

 

「よ、詠ちゃん……大丈夫?」

 

 

「…はっ!?わ、わたくしとした事があまりの美味しさに気絶していましたわ…」

 

 

そんな中、ふと詠があまりにも静かだった事に気付いた未来はふと詠を見ると気絶していた為に未来はギョッとしてしまい、春花はそんな詠を揺すると詠は我に返って目を覚ますのだった。

 

 

「ありぃ?何だ詠、飯中に寝ちまうなんて行儀悪いなぁ。食わねぇんなら俺が食う「はああぁぁぁ!!??あなた何をしようとしてるんですのぉぉぉ!!?」…よ、詠ちゃん何もそうムキにならんでもええやねん…」

 

 

「……めっちゃキレるやん…」

 

 

「…食い物の恨みは恐ろしいという事か……」

 

 

そんな詠に翔はニヤニヤしながらそう言いつつ詠の料理へと箸を伸ばそうとすると詠は怒鳴りながら翔の胸倉を掴む為に翔はそう言う。そんな詠を見て日影と真司蛇は食べながらそう呟いた。

 

 

「……ふぅ…ご馳走様でした」

 

 

そんな中、光牙は食事を終えてその場から去ろうとした……時だった…

 

 

「……っ!?…なんだ詠?」

 

 

「光牙さ~ん?いつも言ってますわよね?にんじんを残してはダメですって……」

 

 

「…………お前まだにんじん嫌いなのかよ……」

 

 

突如詠に腕を掴まれた為に光牙はギクッと少し震えるも冷静に尋ねると案の定詠がそう問い詰め、翔はそんな光牙に呆れていた。

 

 

………冷静で戦闘力も完璧に見える光牙であったが彼の唯一の弱点…と言うよりも苦手な物はにんじんであり、食べると白目を剥いて気を失う程に嫌いであったのだ。

そして食べ終えた光牙の料理皿には案の定にんじんだけ残っておりそれが詠にバレたという事だった……

 

 

「……旅館まで来てにんじんを食べる必要などないだろう」

 

 

「ほらまたそうやって駄々をごねる…ダメですわ好き嫌いは!という訳で!!」

 

 

そう言う光牙に詠は呆れつつも箸でにんじんをつまみ光牙の口元へと運んだ。

 

 

「…だからいらんと…って離せ…ってか力強!?おいやめろ!?」

 

 

「さぁ召し上がれ♪」

 

 

「HA NA SE!!」

 

 

「………情けねぇ……(某サイヤ人風に)」

 

 

そんな詠の腕を掴んでいる手を振り払おうとするもどういう訳か普段よりも力が強く振り払えない為に光牙は焦りを見せつつも騒ぐ。そんな事はお構いなしに詠は光牙の口へとにんじんを入れようとする為に光牙は騒ぎながら抵抗していた。

 

…そんな光牙の姿を響輝は呆れた表情でそう呟くのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

「どーだ!!ここがこの旅館の風呂だ!!」

 

 

「うおおおぉぉぉぉぉ!!でけぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

「…騒ぐな喧しい…てかタオル巻け、他の客に迷惑だろうが……」

 

 

「……幸い俺たち以外は居ないが……」

 

 

夕食が終わってからしばらくした後……翔達はこの旅行のメインである旅館の風呂場に来ていた。翔が籠鉄にそう言うと籠鉄が騒ぎ立てる為に真司蛇に注意されるが幸い光牙の言う通り翔達以外の客がおらず貸し切り状態であった……。

 

 

「うっしゃあ一番乗り~!!」

 

 

「あ、ズリいぞ!俺が一番乗りだ!」

 

 

「…あ、おい…走るな…」

 

 

そして翔がそう言うと籠鉄も張り合おうと走り出す…その事に真司蛇が制止しようとするが……

 

 

ズリンッ

 

 

「「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」ゴチーン!

 

 

「……阿呆……」

 

 

案の定滑ってしまいその勢いで壁に激突してしまい、そんな2人に真司蛇と光牙は呆れてしまうのであった……。そして各々別に体を洗うか湯船に浸かるのであった……。

 

 

「見ろ!これが滝風呂だ!滝行出来るぞ~」

 

 

「おぉスゲェ!風呂に入りながら修行できるのかよ!真司蛇と光牙もやらねぇか?」

 

 

「…勝手にやってろ……だが他の客来たら止めろよ?」

 

 

滝風呂がある為に翔と籠鉄が滝行し始め、真司蛇と光牙を誘うが案の定光牙は無視し、真司蛇は呆れつつも2人にそう注意するのであった。

 

 

「……我ながら…呆れるな…元々、蛇女に来たのは任務でその過程で選抜メンバーの新たな枠として入った。ただそれだけのはずなのに…」

 

 

そんな馬鹿やっている2人を見つつも光牙は真司蛇に聞こえない位の声で呟きつつ、今までの出来事を思い出す。

 

 

 

今のように馬鹿をやったりしつつも実力者であり、尚且つ昔のように鬱陶しい位に自分に絡んでくる翔

 

同じく監督生でありつつ実力者で聞かずとも悪忍でありながらも仲間の大切さを言い聞かせてくる蒼鬼

 

恐らく自分の事が嫌いなのだろうが翔曰く自分以上の実力者の響輝

 

頭は悪いが好戦的で自分を超えようと努力しつつ戦いを挑んでくる籠鉄

 

恐らく自分と同じく何か隠し事をしているも同じ蛇女のメンバーとして自分や仲間を思っている真司蛇

 

未熟ながらも未来と共に頑張ろうとしている唯依

 

翔には何故か愛想が悪いが口うるさく勝負を挑んで来ていろんなことに自分を巻き込もうとする焔

 

笑顔で優しく接する時もあれば自分がにんじんを食わないでいると叱ってくる詠

 

無関心なように見えて本当は違う自分なりに自分がどう在るべきかを探している日影

 

世話が焼けるも自分にも分け隔てなく関わろうとしてくる未来

 

危険漂う雰囲気で厄介事を自分に擦り付けてくる春花

 

 

 

迷惑としか思えないそんな彼ら彼女らだがなんだかんだ言って一緒にいたせいか自分も気づかぬうちにそんな他愛ないやり取りが当たり前のように思え、皆といることが当然のようにすら感じてしまう自分がいる……なんだか懐かしい…たとえるならそう家族のような存在にすら思えてきそうな心境に光牙はあった…

 

 

(………バカバカしい……)

 

 

そう思ってしまった光牙はそう思いつつも自分にはそれよりも優先しなければならいことがあるのだと自分に言い聞かせていた……時だった……

 

 

 

 

バシャアアァァァン!!

 

 

「「……………」」

 

 

突如水しぶきが光牙と真司蛇に襲い掛かり、湯には入っていたもののずぶ濡れになった。

 

 

「ぷはぁー!貸し切り状態だとこういうのやりたくなるよなぁ!」

 

 

「だよなー!俺も…………………やめとくわ……」

 

 

今の水しぶきは翔が温泉に飛び込んだ為に起きたのだ。翔がそう言うと籠鉄も真似てやろうとする……も突如青ざめて指を指しつつそう言った。

 

 

「おん?どうしたよ……指なんか指し…………」

 

 

そんな籠鉄に翔は「?」を浮かべつつも振り返り籠鉄が指さす方を向く……と翔も少し青ざめる……。何故ならば俯きつつも途轍もないオーラを出す真司蛇が目に入ったからだ。

 

 

「………俺、喉乾いたから水飲んで……ぎゃっ!?」

 

 

「限度と言うモノがあるだろうがド阿呆!!」ベシーンベシーン!

 

 

「ぎゃーーーー!やめれーーーー!?」

 

 

「…最近だらしねぇな?」

 

 

逃げようとする翔を真司蛇は捕まえては尻を引っ叩き叩かれる翔はギャーギャー騒ぎ立て何故か籠鉄はそんなセリフを言った。

 

 

「……相変わらず騒がしい奴らだ……」

 

 

翔達の馬鹿騒ぎを見た光牙は真面目に物事を考えていることが馬鹿らしく思えてきて鼻で笑いつつもそう呟いた……時であった……

 

 

 

 

 

ガララララ

 

 

「…む?」

 

 

「あっ!シスさん他の客が来たんだから騒ぎ立てるのやめろ…ぶぅっ!?」

 

 

入口から誰かが入って来た事に気付き、翔はまるで真司蛇が馬鹿騒ぎしていたかのような言い方で言う為に真司蛇は翔をそのまま温泉に放り投げた。

 

 

「本当に広いですね……ってあ、先客がいらっしゃいましたか……」

 

 

「……」

 

 

「……む?」

 

 

「…お?」

 

 

「あっ……」

 

 

入ってきたのは10代後半ではあるもののその容赦は10代前半の顔立ちをしているが肉体はしっかりとたくましく光牙達に負けず劣らずがっちりしているところはがっちりしていた。

 

…そしてなによりその肉体が物語るこれまでの修行の数、修羅場の数…それが肉体を見ただけで感じ取れるものであり、何よりもこの少年も同じくこちらを見て何かを勘付いていた……。

 

 

 

 

……そしてしばらく光牙達と少年は互いらを観察しあっていた中……

 

 

「ぶはぁっ!!ゲホゲホゲホッ!…オェッ!!し、シスさん何も放り投げる事ないやねん…!」

 

 

「……えぇ!?しょ、翔兄さん!?」

 

 

「「「!?」」」

 

 

温泉に放り投げられた翔は咽込みながら湯から上がる。そしてその少年は翔の姿を見て驚きつつ翔の名前を呼んだ。

 

 

「…おん?あれぇ佐介ちゃんやないけぇどうしたんだよこんなところで?」

 

 

「しょ、翔兄さんこそ何故ここの温泉に?」

 

 

「え?……あ、あぁ丁度部活仲間と共にプチ旅行に来ててこの温泉旅館に来てたんだよ、な?」

 

 

「は?……あ、あぁ…そうだな。」

 

 

「……………。」

 

 

「…?部活?何でぶか…むぐっ!?」

 

 

翔もその少年を見て彼にそう言う。…そう、少年はかつて半蔵の寿司屋にて再会を果たした弟分である佐介であったのだ。翔がそう尋ねると佐介もそう返す為に翔は……誤魔化すように佐介にそう言いつつ真司蛇にもそう言うと真司蛇は少し唖然とするも理解したのか頷き、光牙も頷く。しかし籠鉄は理由が分からないのか何か言おうとするも真司蛇に口を押えられるのであった。

 

 

「ぶ、部活って…翔兄さん学校には行ってないって……クシュン!」

 

 

「まーまーそんなカッコで寒いさかいに湯にでも入りなさいな。」

 

 

「は、はい……」

 

 

「…だから何故に関西弁なんだ……」

 

 

佐介は以前の話にて学校には入っていない事を思い出し尋ねようとするもくしゃみをするので翔はそう言いつつ佐介を湯に浸からせた。

 

 

「…はぁ~……気持ちいいですぅ~」

 

 

「だろ?」

 

 

「………とりあえず聞くが知り合いか?」

 

 

「あぁ、俺の弟だよ。血の繋がりは無いけど大事な弟さ。」

 

 

「そ、そう言うと照れてしまいます…///」

 

 

(……と言う事は…コイツも忍か……)

 

 

湯につかりまったりして」そう言う佐介に翔はうんうん頷きそう言う。すると真司蛇は佐介との関係を尋ねる為に翔はそう答えると佐介は少し照れながらそう言う。この事から光牙は佐介が忍である事を察しつつ佐介の体付きに納得した。

 

 

「…それで……翔兄さん部活仲間とは…?学校には行ってないんじゃ……?」

 

 

「…あ~それな…やっぱ将来学歴が無けりゃ就職出来ねぇからお前らには内緒でガッコ通ってたんだよ。奨学金とか色々な免除とかでな…まぁ遊ぶための銭稼ぐためにバイトもやってんだけどな。」

 

 

「そんな……それだったらはんぞ…おじい様やおばあ様に相談して僕たちと同じ学校に……」

 

 

「今更ジジイやババアに縋る訳にゃいかんさ。……どうせ今までこうやって生きてきたんだからよ……」

 

 

「………………」

 

 

そして佐介は翔に尋ねる。以前寿司屋で翔は学校に通っていないので霧夜が半蔵学院の忍生徒としてスカウトしたのだが断りつつバイトしていると答えたが先ほど部活仲間と言いだした為に疑問に思った佐介は翔に事情を尋ねると翔はそう答えた。……これも誤魔化している部分はあるが……。そんな翔の事情に佐介は驚きつつもそう言うも翔がそう答えた為に佐介は暗い表情となった……

 

 

「んな顔すんじゃねぇっての、偶にならジジイの寿司屋に帰ってくんだからさ。」

 

 

「………はい……」

 

 

そんな佐介を励ますように翔はそう言うと佐介は小さく頷いた。

 

 

「そう言えば飛鳥達も来てんのか?」

 

 

「ゑ?あ、はい。飛鳥ちゃんは勿論斑鳩さん達も一緒です。」

 

 

「おぉ、やっぱ来てんのか~。んじゃあ覗いて声かけるか。」

 

 

「いやいやいやいや!?」

 

 

「待て待て待て待て!!」

 

 

ふと飛鳥達も来ているのかと思い翔が尋ねると佐介は頷いた。なので翔は壁に上り飛鳥達に挨拶しようかと言い出す為に佐介と籠鉄に止められた。

 

 

「翔兄さんそれはマズいですよ!覗きになってしまいます!!」

 

 

「普通にこっから声かけりゃいいだろうが!お前馬鹿かよぉ!?」

 

 

「む…それもそうだな。……そんでもって籠鉄に常識を注意された……死にたい……」

 

 

「うおぃ!?俺そこまでアホ扱いかよぉ!?」

 

 

佐介と籠鉄に制止されてそう言われる為に翔はそう言いつつも籠鉄に常識を注意された為に落ち込む表情を浮かべた為に籠鉄は盛大にツッコミを入れた。

 

 

「まぁその話は置いといて……てことは男子はお前ひとりか。ハーレム状態じゃあねぇかw憎いね、この、このw」

 

 

「は、ハーレムて……い、いえ…実はもう1人男子が居るんですが……どこ行っちゃったんでしょうか……?」

 

 

話を変えて翔は佐介以外が女子である事を知っている為にニヤニヤしながら肘でツンツンと佐介を突く。そう言われた佐介は困りつつも…実はもう1人男子が居るという事らしいがこの場に居ない為に佐介はそう言うのだった…。

 

 

「……そろそろ上がるぞ。」

 

 

「ゑ?あ、おぉ…。そんじゃあ佐介、またな。多分旅館内でまた会うかも知れんが会えなかったら飛鳥達によろしくな!」

 

 

「あ、は、はい……。」

 

 

真司蛇が翔に声を掛けると翔も頷きつつ佐介にそう言った。……そして暫く佐介は黙り込むが……

 

 

「あ、あの…!翔兄さんのお友達の皆さん!」

 

 

佐介は光牙達に声を掛ける。出ようとしていた光牙達は呼び止められたために足を止めて佐介の方を向いた。

 

 

「……翔兄さんは凄く良い人なんです。確かにお調子者な部分はあると思いますが……」

 

 

「…酷ぇw」

 

 

「…でも……口で全部言い切る事が出来ませんが……優しくて…凄くて……良い人なんです……。なんだか僕がこういうのも可笑しいかも知れませんが…。翔兄さんの事……よろしくお願いしますね?」

 

 

「……あ…あぁ……。」「…分かった。」「おう!任しとけって!」

 

 

佐介は光牙達に翔の事を頼む。……自分から見て自分が思う翔の事を伝えつつも…。そんな佐介の言葉に光牙はそう言われるとは思わなかったので少し戸惑いつつも頷き、真司蛇も頷き、籠鉄は自信満々に頷いた。

 

 

そして翔達は佐介と別れ風呂から出ていくのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________________________

 

 

 

 

 

「へへ、良い弟じゃないかよ。」

 

 

「血は繋がってないけどな…。でも大事で自慢の弟だぜ。」

 

 

脱衣場にて…籠鉄は翔にそう言うと翔は自信満々に頷く。……その時に真司蛇は何処か翔が羨ましそうな表情だった事に翔達は気付いてなかったが……。

 

 

「……だがあいつ等も忍と言う事か…。別に隠す必要は無かったんじゃないか?」

 

 

「…俺が忍…特に悪忍だった事を知ったら佐介の奴はショックを受けるだろうからな……敢えて伏せておいた。」

 

 

「…フン、実戦の時には容赦ない癖にこういう所は甘いな…」

 

 

「…かもな。」

 

 

真司蛇は翔にそう言うと翔がそう答える為に光牙は呆れつつもそう言う。……翔が敢えて忍…悪忍である事を佐介に黙っていたのはそれを知ったら佐介がショックを受けてしまうのではと思ってのことだった。

 

 

(…だがあの佐介とやら……ただものではないモノを感じた…。……期待は出来そうだな……。)

 

 

そんな中、光牙は佐介の中にある何かを感じ取ったのかもしも佐介と戦う機会があれば楽しみだという期待を抱いていた。

 

 

………それが後に自分の最大最高のライバルで友となる存在であった事を今は知らずに……

 

 

 

 




な…中々話が思い浮かばなかったが…ようやく書ききれた…w(約半年w)



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ハチャメチャの温泉旅行!(女湯視点)

少しある設定を明かす為に女湯視点もドウゾw




 

 

食事を終えた蒼鬼達も旅館の風呂場へと来ていた。

 

男湯と同じく美しい夜空に海から漂う塩の香り、そして十人くらいなら余裕なほどでかい浴場であった。

 

 

「どうやらあたしたち以外に人は居ないみたいね!」

 

 

「やった~貸し切りだ~~!私がいっちばん乗り~!」

 

 

「あ、ズルいわよ唯依!」

 

 

他にも客が居そうではあるがどうやら今は居ない為に貸し切り状態である事に気付き唯依と未来ははしゃぎながら湯へと飛び込んで行った。

 

 

「ちょ、唯依!未来さん!幾ら貸し切りだからってはしゃぎ過ぎですよ!」

 

 

「というか待ちなさい2人とも、ここの温泉はかなり……「「あぢゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?」」…熱いみたいだけど…手遅れだったわね。」

 

 

はしゃぎ過ぎている唯依と未来を注意する蒼鬼、一方春花は2人が入ろうとしている温泉に何か気付き声を掛けようとするも既に遅し、かなり熱い温泉に入った唯依と未来はあまりの熱さに悲鳴を上げながら飛び上がっていた。

 

 

「……言うて熱いかな?」

 

 

「…確かに」

 

 

「……あなた達は大丈夫そうね……」

 

 

一方その熱い温泉を平然と浸かっている響輝と日影を見て春花は苦笑いをした。そして春花達も温泉に浸かり……

 

 

「はぁぁぁ~~~気持ちいぃ~~~♪」

 

 

「…春花様、おばさん臭いわy「…あ”!?」ナ、ナンデモナイデス……」

 

 

「でも確かに気持ちいぃですわぁ~♪温泉なんて蛇女に入ってからでしか行った事が無いですもの。」

 

 

「…これを機にしっかり体清めなよ、ただでさえ詠って風呂入ってないイメージだからさ…」

 

 

「だぁぁかぁぁらぁぁぁわたくしを何だと思ってるんですかぁぁぁ!?」

 

 

温泉に浸かりながらワイワイと戯れる響輝達……しかしそんな時であった……

 

 

「わぁ~ひろ~~~い!」

 

 

「ホントだね~~~ってひゃあ!?…いったーい……」

 

 

「ひ、ひばり…大丈夫か…!?」

 

 

…そんな時、入り口から少し騒がしい声が聞こえ、そこには5人の少女が入って来ていた。

 

 

「皆さん、他のお客様もいらっしゃいます様子ですし騒がしくしちゃいけませんよ。」

 

 

「そ、そうですね…ごめんなさーい……」

 

 

「………!」

 

 

「あぁ!?あなたは……!」

 

 

すると黒髪パッツンの少女が注意するとポニーテールの少女が苦笑いをして謝る。……しかしそんな時、焔はポニーテールの少女を見て驚きの表情を、詠が黒髪パッツンの少女を見て驚きの声を上げた。

 

 

「……え…?……ってあなたは確か…詠さん…!?」

 

 

「あぁ、確か大食い大会の時に師匠に鼻に指突っ込まれてた子か~」

 

 

「思い出すところそこですか!?」

 

 

黒髪パッツンの少女……そう、斑鳩も詠の存在に気付いて驚き、葛城は大食い大会の時の事を思い出してそう言うも思い出すところがところなので詠はツッコミを入れる。

 

 

「良かったじゃないですか、知り合いとあえ……て………?」

 

 

「………飛鳥………」

 

 

知り合いと再会できた斑鳩と葛城にポニーテールの少女……飛鳥はそう言いつつふと焔の方を向いた瞬間……飛鳥も驚きの表情を浮かべていた……。

 

 

「……ほ……ほ………

 

 

 

 

 

 

 

 

焔ちゃ~~~ん!!

 

 

「うぉっ!?」

 

 

すると飛鳥は泣きながら焔の元へと駆け込み、温泉へと飛び込んだ為に湯が飛び散った……が……

 

 

「…あぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃ!!??」

 

 

「……アホか……」

 

 

案の定温泉の熱さに飛鳥は飛び上がり焔は頭を抑えながら呆れていた。

 

 

「あちち…え~~~ん!焔ちゃ~~~ん!会いたかったよぉ~~~!!どこにいたのぉ~~~!!」

 

 

「お、おい引っ付くな……!」

 

 

湯を熱がりながらも飛鳥は泣きながら焔に抱き着きそう言う。抱き着かれた事に焔は少し苦笑いをしながらそう言った。

 

 

「……え、えっと……飛鳥さんもその方と…お知り合い……?」

 

 

「あ、はい!本当にちっちゃい頃だけど幼馴染の焔ちゃんです!」

 

 

「…えっ!?そ、そうだったんですか………」

 

 

そんな飛鳥の様子を見て斑鳩が尋ねると飛鳥は嬉しそうな表情で焔を紹介する。それを聞いた蒼鬼はその事は知らなかったのか驚きの表情を浮かべていた。

 

 

「……って…!?唯依ちゃんに蒼鬼ちゃんも!?」

 

 

「飛鳥姉~~~!」

 

 

「…お久しぶりですね、飛鳥さん。」

 

 

「うぅ~~~よかったよぉ~~~!2人も無事だったんだぁ~~~!」

 

 

そして飛鳥は唯依と蒼鬼にも気付き無事であった事に嬉し泣きをしながら抱き着くのであった。

 

 

「あっ!そ、そうだ2人とも!お兄ちゃんが……お兄ちゃんが!」

 

 

「知ってますよ、同じ学校に通ってます。」

 

 

「えぇ!?そ、そうだったんだ!……だったら安心だね……。」

 

 

そして飛鳥は以前に翔に会った事を蒼鬼達に伝えようとするも蒼鬼はそう答えた為に飛鳥は安堵した表情をした。

 

 

「…なんか飛鳥の知り合い多いな~~~その2人も知り合いなのか~?」

 

 

「あ、うん!知り合いと言うよりも…この子がお兄ちゃんの妹の唯依ちゃん、そしてこの子も…佐介くんと同じになるのかな…?血が繋がってないけどお兄ちゃんの妹の蒼鬼ちゃんです!」

 

 

「!?飛鳥さんのお兄さんの妹さんなのですか!?」

 

 

「へぇ~~~師匠の妹か~。……身長は小さいけど…良いモン持ってるじゃねぇの~~♪」

 

 

喜ぶ飛鳥を見て焔といい唯依と蒼鬼といい知り合いが多い事に葛城がそう言うと飛鳥がそう説明するので斑鳩は驚いた。すると葛城は2人を見てニヤニヤしては……

 

 

「そぉ~~~ら!もみもみ~~~っと!」

 

 

「ひゃあぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

「ちょ!?葛城さん何をしてるんですか!?」

 

 

唯依に近づいてはいつものごとく胸を揉むセクハラを行い唯依は悲鳴を上げては斑鳩はギョッとした。

 

 

「な、何してんの!?コイツ翔と同じような事してんだけど!?」

 

 

「おぉ~~アタイの読み通り師匠の妹も結構なモン持ってるなぁ~~~!」

 

 

「あ…やぁぁ……!お、お兄ちゃんみたいに揉んじゃ駄目だよぉ……」

 

 

「……え”…!?」

 

 

葛城の行動に未来がギョッと品gらそう言い、葛城が唯依の胸を楽しんでいると唯依がそんな事を言い出すために葛城もギョッとした表情となる……。

 

 

「……師匠…流石に妹相手にそれマズくねぇか……?」

 

 

「……葛城でもそんな様子になるのか……」

 

 

「お…お兄ちゃん………///」

 

 

「………な、何だかすみません葛城さんが……」

 

 

「い、いえ…私たちも何だかすみません……(…翔くん後でお説教ですね……)」

 

 

葛城もそれを聞いては若干引いていた為にそんな様子を見た柳生がそう呟き飛鳥も恥ずかしそうにする。一方斑鳩も申し訳なさそうに謝罪するので蒼鬼も謝罪をしては流石に後で翔に説教する事を誓った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……焔ちゃん……」

 

 

「…何だ?」

 

 

暫くして一同が落ち着いた後、飛鳥と焔は二人きりで湯に浸かっている時に飛鳥が焔に尋ねた。

 

 

「……蒼鬼ちゃん達と同じ学校って事は……忍にならなかったの……?」

 

 

「………っ……!!!」

 

 

飛鳥がそう尋ねた時に焔は何処か苦虫を噛み潰したような表情となった。

 

 

「……ほ、焔ちゃん……?」

 

 

「…っ!わ、悪い……少し嫌な事を思い出してだな……。……訳あって忍にはなれなくなったんだ……。済まないな…子供の頃に約束したのに……」

 

 

「あっ……ご、ごめんなさい……私…何も知らなかったのにこんな事尋ねちゃって……。」

 

 

「……いや、構わないさ…。……と言う事は他のメンバーは皆忍って事か……?」

 

 

「え?……あ…うん、本当は言っちゃいけないけど……そうなんだよ。」

 

 

「…そうか……いや心配するな、誰にも言うつもりは無いさ。」

 

 

飛鳥の問いに焔はそう答える。……飛鳥と焔は幼少期に共に善忍になってこの世界を守ろうという約束をしていたのだ。しかし焔が忍ではない事に気付いては飛鳥がそう尋ねてしまうも焔も気にしていた事であると思い謝罪をしては少し重い空気になってしまっていた……。

 

 

「………私……頑張るよ……。焔ちゃんの分も……忍の道を極めるから…!」

 

 

「………そうか………。」

 

 

飛鳥が自分の分まで頑張るという事を約束すると焔はそう言いつつも立ち上がり…

 

 

「…悪い、少しのぼせてしまったみたいだ……。先に上がらせてもらうな。」

 

 

「あ……うん………」

 

 

焔はそう言うと浴場から立ち去って行ってしまった。

 

 

「……ごめん…………」

 

 

飛鳥も焔が気にしていた事だったと思い、去って行く焔の背中を見ては小さく謝罪の言葉を呟いた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ!!」

 

 

ドンッ!!

 

 

浴場を出て脱衣場に向かった焔は…突如壁を殴った。………その表情は何処か悔しそうで……悲しげで……怒りを浮かべたかの表情であった……。

 

 

(……焔さん………)

 

 

そんな焔の姿を蒼鬼は心配するような表情で隠れて見ていた。……先ほどの飛鳥との会話を……少し聞いていた様子であった為にそんな焔を心配しているようであった……。

 

 

 

 

 

 




はい、今回の話からして飛鳥と焔は幼馴染設定にしました。……何かこっちの方が自然な感じがするので…w
……因みに互いに善忍悪忍である事は明かしていません。



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激突!?斑鳩VS村雨

今回は斑鳩&村雨の話で……


 

 

「……お兄様が行方不明?」

 

 

「あぁ、念のために心当たりはないかとお前の実家から連絡があってな…」

 

 

温泉旅行から数日が過ぎたある日……半蔵学院にて斑鳩が霧夜に呼び出されて話を聞いていた。

……内容は自分の義理の兄、村雨の話でありどうやら村雨は行方不明となっていたらしい……

 

 

「……心当たりはと言われましても…わたくしは兄とは話したことすらありませんですから……」

 

 

「…そうか…いや、済まなかったな。わかった、何かあったら連絡するようにと報告しておく。」

 

 

「…はい………」

 

 

問われた斑鳩は少し暗い表情となりつつもそう言うと察した霧夜は少し申し訳なさそうにそう言いつつ斑鳩の実家に報告する為に部屋を出た……。

 

 

「………お兄様……何か予期せぬ事になっていなければよろしいのですが…」

 

 

少し不安になりつつも斑鳩は行方不明となった村雨を心配するのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そして夜になり食事を終えた斑鳩は他のメンバーよりも先に自室へと戻ると……

 

 

「…?これは……」

 

 

閉めてあったはずの自室の窓が開いており机の上には封筒が置かれていた。斑鳩はそれを手に取り封筒を開けると手紙と一枚の写真が出てきた。

 

 

『午後9時までにこの場所に1人で来い。さもなくばこの写真の人間に危害を加えるぞ。…村雨より』

 

 

「……っ!こ、この写真は……飛鳥さんのお兄さん……!!お、お兄様…いったいどうして……!?」

 

 

手紙の内容、そして写真には縛られて木に吊るされ気を失った翔の写真が写されており斑鳩は驚きつつも一刻を争う為に飛燕を手にして寮から飛び出して指定された場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________________________

 

 

 

 

 

 

 

「…はぁ……はぁ……ここに…お兄様と飛鳥さんのお兄さんが…!」

 

 

息を切らしながら斑鳩は手紙と写真に写っていた場所にたどり着いた。そこは夜には人気が無い公園であった…。

 

 

「よぉ……来やがったか…。」

 

 

「お兄様!」

 

 

すると村雨がニヤニヤした表情で現れた。……何故か村雨の顔や体には手当てした痕が複数出来ていたが今の斑鳩には気付ける状態ではなかった…。

 

 

「お兄様!飛鳥さんのお兄さんは……写真に写っていた人は無事ですか!?」

 

 

「あぁ、約束だからな。傷一つもねぇよ。」

 

 

「……………。」

 

 

斑鳩が尋ねると村雨は顎でその方向を指す。すると写真通り翔が気を失って縛られて木に吊るされていた…。

 

 

「お兄様!その人をお放しください!」

 

 

「なら交換条件だ…飛燕を返しやがれ。それはお前みてぇな赤の他人が持っちゃいけねぇモンなんだよ…!」

 

 

「…っ!」

 

 

斑鳩は翔を解放するように言うも村雨はそう言い放つ。……翔の命も大事だが斑鳩にとって飛燕は鳳凰財閥の両親に授かり、今目の前に居る村雨の果たせなかった夢を果たす為に必要な物であった……。

 

 

「…ほぉ、そうか……じゃあ……これならどうだぁ!!」

 

 

バキッ!!

 

 

「なっ!?」

 

 

すると村雨は翔を殴りつけた!殴られた翔は未だに気を失っているのか微動だにしていなかった……。しかし村雨の行動に驚きつつも斑鳩は村雨を睨んだ。

 

 

「お、お兄様!!」

 

 

「なんだぁその反抗的な目はよぉ…?まぁ良いさ……俺だって人質痛めつけるだけやら簡単に返されても気が済まねぇ……」

 

 

そんな斑鳩を鼻で笑いつつ村雨はそう言いつつお得意武器である鎖鎌を手に取っては……

 

 

「お前をいたぶりつくして取り返してやんよぉぉ!!」

 

 

「っ!!」

 

 

村雨は斑鳩に突っ込んでいき鎖鎌を振るって連続攻撃を仕掛けた…!斑鳩はその村雨の攻撃を回避していく…。

 

 

「おらおらどうしたどうしたぁ!?反撃する事もできんかぁぁぁ!?」

 

 

「……………。」

 

 

攻撃しながら斑鳩を煽っていく村雨。斑鳩は黙りつつも村雨の隙を見つけては背後に回り……

 

 

「……ごめんなさい、お兄様……」

 

 

傷付ける事なく村雨を気絶させようと背後から首に手刀を振り下ろした……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パシッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……テメェ、舐めてんのか?」

 

 

「…!?」

 

 

その手刀を振り返る事無く村雨は手で受け止めた…!その事に斑鳩は驚きが隠せなかった…瞬間……

 

 

ドゴッ

 

 

「がっ……!?」

 

 

村雨は後ろ蹴りで斑鳩の腹に蹴りを喰らわせた……!不意を突かれた為に今の蹴りが結構なダメージとなり斑鳩は胃液を少量吐きつつ吹き飛ばされるが……

 

 

ジャラララッ……バシィッ!!

 

 

「っ!?」

 

 

そのスキを逃がさず村雨は鎖鎌で斑鳩の体を拘束した!

 

 

「そぉぉらよぉぉぉ!!」

 

 

そして力いっぱいに振り上げては拘束した斑鳩を宙に浮かせ、そのまま地面に叩き付けた!!

 

 

「あぁっ!!」

 

 

「おらおらまだまだぁ!苦しめやぁぁ!!」

 

 

地面に叩き付けられる斑鳩…しかしそれだけでは終わらず村雨は何度も何度も振り上げては斑鳩を何度も地面に叩き付ける…!!

 

 

(お…お兄様……以前のお兄様と比べられない程強く……い、いったい…何故……!?)

 

 

「くだらねぇ…!!くだらなすぎる!!!こんな弱い奴に親父たちは飛燕を渡したのかよぉ!!」

 

 

村雨のここまでのパワーアップに斑鳩は動揺が隠せず村雨にされるがままとなっており村雨は斑鳩を地面に叩き付けつつ煽る。

 

 

「何が鳳凰財閥の為だ!何が俺の代わりの為だ!!こんな俺なんかに負けるようなお前が夢を語ってんじゃねぇよ!!」

 

 

「っ!!」

 

 

「どうしたどうしたぁ!!反撃すらできんのか!それともさっきの手刀みてぇに俺を傷付ける事が出来ねぇとか甘ったれてやがんのかぁ!?だったらこのまま死に晒せやぁぁぁ!!!」

 

 

そして村雨は斑鳩の夢を……鳳凰財閥の為に…村雨の代わりに飛燕を持つに相応しい忍になるという夢を侮辱しつつ村雨に言われるがままになっていた……。

 

……だが斑鳩も言われるがままで終わらなかった……!!

 

 

「…っ!!あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「…なにっ!?」

 

 

斑鳩は拘束されてた鎖が緩む隙を見つけては拘束から抜け出した…!そして飛燕の柄に手をかけて構えては村雨に突っ込んで行き……

 

 

「秘伝忍法……!『飛燕鳳閃・壱式』!!!」

 

 

ズバババババババッ!!

 

 

「ぐあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

秘伝忍法を発動させた…!飛燕を高速で振るい、無数の斬撃を刻みつけては村雨の鎖鎌…そして村雨の上半身の服を切り裂いた!

 

 

「……っ!お、お兄様ぁ!!」

 

 

飛燕を仕舞うと斑鳩は倒れ込んだ村雨の元へと駆け寄った。幾ら戦いを挑んできたとて…自分を家族と思ってくれなくとも…翔に非情な行動をとったからと言っても斑鳩の中では村雨は兄である為に心配であったからだ……。

 

 

「ぐ…ぐぐぐ……!」

 

 

「お、お兄様……しっかり……!」

 

 

一応斑鳩は村雨を切り刻まないようにと鎖鎌と服を切る程度に加減はしたがそれでも上半身裸となった村雨の体は軽い切り傷が出来ていた……。

 

 

「ぐ……っ…くく……ふふふふふふ………」

 

 

「……?」

 

 

「くくく…くはははははははは!!あーーーーっははははははははは!!!」

 

 

「お、お兄様!?」

 

 

しかし突如村雨は大の字で倒れながらも笑い出した為に斑鳩はギョッとしてしまった。

 

 

「あーーーっははははは!!あーーー負けた!!完膚なきまでに負けた!!いつものように馬鹿にされて追い払われて負けるよりもここまで実力の差を見せつけられて負けたんだ!!寧ろ清々しいぜ!!」

 

 

「…………?」

 

 

村雨は笑いながらそう言う。負けたという悔しさは無く…寧ろスッキリしたかのような様子であった…。その事に斑鳩は驚きと戸惑いが隠せなかったが…突如村雨は笑うのを止め、起き上がっては斑鳩の方を向くと……。

 

 

「…………妹よ……」

 

 

「っ!は…はい………?」

 

 

「………済まなかった!!!」

 

 

村雨は座りながら斑鳩に深く頭を下げた。その事に斑鳩は驚く…

 

 

「俺…本当はお前と和解したくて……和解しようと考えていたけど……忍になれなかった悔しさとか…飛燕を奪われたと思い込んで……こんな性格だから素直になれずにお前を傷付ける事ばっか言っちまった!下らねぇプライドのせいでお前を傷つけてしまった!!口だけで許されるとは思ってねぇが…すまねぇ!!済まなかった!!!」

 

 

「……ぁ………」

 

 

村雨は今までに斑鳩にした仕打ちを謝罪した。口だけで…こうして頭を下げるだけで許される事は無いと思いつつも斑鳩に謝罪をする…。そんな村雨を見た斑鳩は…ポロリと涙をこぼし……

 

 

「……顔をあげてください…お兄様……。いいのです……お兄様だって…本当は忍となって…飛燕を使って活躍したかった筈なのに…こんなぽっと出の赤の他人であるわたくしのせいで……肩身が狭い思いをさせてしまいました……。ですから…お兄様にはわたくしに対して怒りを覚える気持ちは間違いではないです……。」

 

 

「…………」

 

 

「でも……こうして謝ってくれた事……わたくしと本当は和解したいと思ってくれていた事が……うれしい……嬉しいです……お兄様……!」

 

 

「…斑鳩ぁ……!すまねぇ…済まねぇこんな下らねぇ兄貴でよぉ……!!」

 

 

「くだらなくないです……!お兄様は……お兄様です……!」

 

 

斑鳩はそんな村雨を許し……そして2人は泣き合いながら和解を果たしたのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そして2人がひとしきり泣き合った後……

 

 

「…おーいムラちゃん終わったかーい?」

 

 

「!…旦那!!」

 

 

「…ゑ?」

 

 

突如先ほどまで気を失っていた翔が村雨にそう言いつつ自力で拘束を解き木から降りてきた。その事に斑鳩は目を点にした…。

 

 

「どうやら仲直りできたみたいだな。」

 

 

「ははっ!これも全て旦那のお陰ですわ!!」

 

 

「え?あ、あの……え……?」

 

 

翔がそう言うと村雨はペコペコと頭を下げつつ翔に礼を言った。……その光景が理解できずに斑鳩は戸惑っていると……

 

 

「あぁ、実はコイツが仲直りしたいって言ってたから芝居を打ってたんだ。こうでもせんとアンタとこいつが1対1で対面できないと思ってな……」

 

 

「し…芝居……?ど、どういう……」

 

 

「おぉ、コイツの性格上無駄にデカいプライド引っ提げてるからな、ただただごめんちゃいって謝れねぇだろうからな。だから決闘でぶつかり合ってみれば気持ちも晴れて素直になれるだろうって思って提案したんだよ。」

 

 

そんな斑鳩に翔は説明する。…そう、以前の大食い大会にて村雨が斑鳩と和解したいと悩んでいた所を提案した案を今日実行したという訳であったのだ。

 

 

「……と、とりあえず飛鳥さんのお兄さんがわざと拘束されていた事は分かりましたが……ゆ、行方不明と言うのは……?」

 

 

「あぁ、実は旦那の所で泊まり込みで鍛えられてたんだ。こんな性格だから親父たちにもこの事を言えなかったからなぁ……」

 

 

翔が芝居を打っていた事は分かったが行方不明の件はどういう事なのかを尋ねると村雨はそう答える。ただただこの数週間翔(と響輝)に鍛えられては帰って来てなかっただけであり、村雨の無駄にデカいプライド故に両親にも知られたくないのか連絡すら入れなかっただけであったのだ……。

 

 

「……普通にただスマンと誤ればいいだけだが俺がこんな性格故にそんな事簡単にできなかったからな…旦那が提案してくれたんだ。ほんと頭が上がらないぜ…」

 

 

「じゃあ常時俺が来たら頭下げろよ、ホレ」

 

 

「…えぇ………」

 

 

村雨は斑鳩を少し騙したという部分もある為に少し申し訳なさそうにしつつもそう説明すると調子に乗った翔がそう言い出す為に村雨は少し呆れつつそう言った……。

 

 

………一応斑鳩は翔が自分と村雨が和解できるような提案をしてくれた事は把握できたが何故兄と知り合いなのかやら色々とごちゃごちゃになっていたが一番気になっていたのは……

 

 

「……あの……お兄様を鍛えたとおっしゃってましたが……」

 

 

「おう、鍛え甲斐があったぜ。これなら暴漢とかに襲われても自力で対処できる筈だぜ。」

 

 

「ははーーー!ありがたき幸せーーー!」

 

 

「………正直お兄様に失礼かも知れませんが……以前よりも明らかに段違いにお強くなられていました…。そして……この短期間でここまで鍛え上げるのは難しい筈………。……飛鳥さんのお兄様……あなたは一体………?」

 

 

斑鳩は翔に尋ねる。村雨に失礼かも知れないが先ほどの戦いから少し油断があった事もあるが村雨は間違いなく自分をあそこまで追い込んできた程の強さを見せた。以前斑鳩の部屋に侵入してきた時と比べては明らかに強くなっておりこの短期間でここまで鍛え上げるには難しい筈であったが翔はそんな村雨をここまで鍛え上げたのだ…。

 

 

……以前の温泉旅行にて佐介から翔もいたと言う話やバイトだけではなく学校も通っていたという話を聞いた為に斑鳩は少し翔が怪しいと思ってしまったのか翔に尋ねたのだ……。

 

 

……すると翔は二ヤリと笑いつつ……

 

 

「……我伝説の忍の孫ぞ?忍としての知識もガキの頃に嫌々ジジイにそれなりに叩きこまれてるからな、それなりに鍛えようと思えば鍛えられるぜよ?」

 

 

「………あ…な、成程……。」

 

 

翔は斑鳩にそう説明すると斑鳩は納得した。……翔も飛鳥と同じ半蔵の孫……だからこそ忍の知識もあり、今の様子から恐らく飛鳥以上に知識などがある為に村雨をここまで鍛え上げられたのだと把握したのだった…。

 

 

(……まぁ本当は蒼鬼に村雨の実力とかを説明してトレーニングのメモを作ってもらったんだけどな……)

 

 

しかし本当は蒼鬼にメニューを考えてもらった為に村雨がここまで鍛えられたのであった……。

 

 

「…ま、とりあえず和解したんだし今日は兄妹仲良くお家に帰りな。」

 

 

「…はは、そうだな……。斑鳩、今日は一緒に家に帰るか。」

 

 

「…!は、はい、喜んで!」

 

 

とりあえず話を終え、翔が村雨と斑鳩にそう言うと村雨は斑鳩に帰ろうと言うと斑鳩は嬉しそうに頷く。

 

 

「……あ、そうだ(唐突)おい村雨」

 

 

「あ、ハイ?」

 

 

帰路に就こうとした所、翔は思い出したかのように村雨を呼ぶと村雨に近づいては……

 

 

 

 

 

 

 

……ドムッ!

 

 

「……ぶぉっ!?」

 

 

「…ちょ!?」

 

 

何故か翔は村雨にボディブローを喰らわせた。ボディブローを喰らった村雨はブフォッと吐き出し、斑鳩はギョッとなった。

 

 

「ぶは…な、なんでやねん………」

 

 

「おめーさっき俺の事殴ったよなぁ?1発は1発だぜ?」

 

 

「ぶ…無礼講みたいな…感じでゆるして…くだせぇよぉ……」

 

 

「人生そんなに甘くないから。それにシナリオで俺殴られる部分なんて聞いてないからな~」

 

 

「ひ…ひでぇ……」ガクッ

 

 

「お、お兄様ぁ!?」

 

 

先ほどの殴られた事の1発の仕返しという訳でやり返してきた為に村雨はそう言いつつガクリと気を失ってしまった……。

 

 

「まぁそんだけ、じゃあな斑鳩さん。兄貴と仲良くな~~~」

 

 

「…えぇ……(困惑)」

 

 

そして翔は斑鳩にそう言ってはそのまま去って行ってしまう為に斑鳩は困惑した表情となるがうずくまっている村雨を心配して声を掛けると……

 

 

「ゴホッ…ハァ…ハァ…ハハハ……旦那はあんな感じだけどな…本当にいい人なんだ…。かつて俺を助けてくれたしそこから縁が出来て俺とも仲良くしてくれたしな…こうしてお前と和解できる切っ掛けとかも作ってくれたからなぁ……。」

 

 

「…………。」

 

 

村雨は意識を取り戻し咽込みつつもそう言う。かつて翔に助けられた事やそれが縁でこうして仲良くしている事、そして今日の件についても語る。その事から斑鳩は村雨は翔を慕っており仲がいい事を理解し、小さく笑みを浮かべた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

……こうして血の繋がっていない兄妹は和解を果たしたのであった……

 

 

 

 




多分この数話は斑鳩さん関連の話になりそう…w



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商店街での再会

斑鳩スペシャルその2でございますw




 

 

斑鳩が村雨と和解して数日経ったある日の事、斑鳩は商店街へとやって来ていた……。

 

 

「えっと……佐介さんはハンバーグで…飛鳥さんは太巻き、葛城さんはラーメンで柳生さんはスルメで雲雀さんがスイーツ……そしてあの人は何でも良いと仰ってましたが……」

 

 

数十分前にて飛鳥達は帰り道に何を食べようかと話になっており、一同は食べたい物がバラバラであった為に少し揉め事になっていた為、斑鳩は各々の食べたい物を買ってくると言ってこの商店街へとやって来ていたのだ。

 

 

「……恐らくこの商店街で揃うはずですが……、……?何やら様子が可笑しいような……。」

 

 

斑鳩はふとこの商店街の様子が可笑しい事に気付く。普段であれば活気が溢れている筈であろう商店街であるが何故か静まり返っておりどこも閉まっていたからだ。

一体どういう事なのかと思い辺りを見渡していると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員土下座ァァ!!」

 

 

「…っ!?」

 

 

突然の怒号に斑鳩もビクッと震え、飛燕を構えて戦闘態勢になり怒号の響いた方向を向くが……

 

 

「……ゑ……?」

 

 

その方向を見て斑鳩は唖然とする……。

 

 

 

 

 

 

 

そこにはズタボロの状態となって全員土下座した状態の…恐らくこの商店街で暴れていた不良と……腕を組んで立っている翔の姿があった………。

 

 

 

 

 

 

 

___________________________________

 

 

 

 

 

 

 

「…いや、マジで調子こいてすみませんでした……。せっかく私たちが商店街で迷惑している事を注意してくださったのにそれに腹立てて逆上してしまいすんませんでした……」

 

 

「いや、全くだぜ?別に注意してねぇけど何してんだって尋ねたら襲い掛かってきやがってよぉ?鉄パイプにチェーンに木刀……しまいにはナイフまで使いやがってよぉ……お前これが俺じゃなかったら死んでっぞ?」

 

 

土下座している不良達(女も含む)は自分達の非礼を翔に謝罪していると翔がそう返す。

 

 

……一方翔も何か買いに来たものの斑鳩と同じく商店街が閉まっている事に気付き丁度ここで集っていた不良達に何をしているのかを尋ねると突然キレては襲い掛かって来た為に正当防衛として返り討ちにしたのだった……。

そして今に至り……

 

 

「いやーーーホントに…ねぇ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死ねばよかったのに…(ボソッ…)」

 

 

「ハハハハハハハハハハ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガバァッ!?ゴボボボボボボ!?ちょ…死……ごぼばぁっあ!?」

 

 

「あー落ちるのかなぁこの汚れ?」

 

 

(悪魔だ…)(ひでぇ…)(アクマ…)

 

 

不良の呟いた一言が聞こえていたのか翔は笑いながらいつの間にか用意した水が溜まったタライに今の不良の両足を掴んでは逆さ吊りにしつつも頭を水に突っ込んだ。苦しそうにもがく不良を見ながら翔はニヤニヤしつつそう呟くために他の不良は青ざめながら内心でそう思っていた……

 

 

「ちょ!?飛鳥さんのお兄さん!?」

 

 

「…お?」

 

 

「おぼぉっ!?」

 

 

「り、リーダー!!」

 

 

商店街を荒らしていたとは言え流石にマズいと思ったのか斑鳩が叫ぶと翔はそれに気付いては不良の両足を離した。

 

 

「あら斑鳩さんじゃないの?最近よく会うね~」

 

 

「いや、言いたい事は色々あるんですが何をしてるんですの…?」

 

 

「あぁ、この不良達と今の商店街と関係ありそうだから尋ねたら襲い掛かって来たから正当防衛したまでの事よ。」

 

 

「いや!?正当防衛でしたか今の!?」

 

 

斑鳩が現れたことに翔はいつも通りにそう返すも斑鳩がそう尋ねてくるので翔は今のを正当防衛したと言い出す為に斑鳩はツッコミを入れた。

……すると不良達は青ざめつつも水責めされていたリーダーを担いで逃げ出した。

 

 

「おうお前らーあんまし商店街とかで迷惑かけんじゃねぇぞ~?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次は墜とすぞ?

 

 

(何処に!?)

 

 

逃げ出す不良達に翔はそう言う……もニヤリと笑みを浮かべながらそう言い出す為に斑鳩も青ざめては内心でそう思った。

 

 

「おぉ~~~兄ちゃんやるなぁ~~!…滅茶苦茶だけどなw」

 

 

「助かったぜ~~~!これで商売できるぜ~~!」

 

 

「商店街を救ってくれた恩だ、サービスしてやるよ!」

 

 

すると不良達のせいで店を閉めていた店員たちが姿を現し不良を追い払った翔に感謝していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~~~ここの喫茶店のパフェが普段より安く食えるのは嬉しいね。」

 

 

「……えっと…わたくしは何もしていないのに安くしていただいてよかったのでしょうか…?」

 

 

「気にすんなって、人の厚意は受け取るもんだって。」

 

 

その後、斑鳩は買い物を終えて翔と共に喫茶店に来ていた。翔はここのパフェを食べに来た様子であり先ほどの件でサービスとして普段よりも安く食べれた事に嬉しそうにしていた。一方何もしていない斑鳩もサービスを受けた為に何処か申し訳なさそうにしている為に翔は彼女にそう言った。

 

 

「えっと……飛鳥さんのお兄さん……」

 

 

「おいおい、俺には翔って名前があるんだからそう呼んでくれよ。飛鳥さんのお兄さんって呼びづらいだろ?(主に作者も打つのが面倒w)」

 

 

「あ、そ、そうですね…では翔さん……」

 

 

斑鳩は翔の事を呼ぶが飛鳥さんのお兄さんと呼ぶ為に翔はそう言う。そう言われた為に斑鳩は『翔さん』と呼び……

 

 

「……数日前の事……ありがとうございます。あなたがお兄様に協力をしてくださったお陰で…わたくしとお兄様が和解できました。感謝しても…しきれないです…。」

 

 

「気にすんなって。村雨のヤツもお前とは和解したいって言ってたし…ま、アイツがしょーもないプライドをいつまでも持ってたせいでもあるしな…。」

 

 

数日前にて村雨と和解した時に翔も協力してくれた事にお礼を言った。最後になって気付いたが翔も協力してくれたお陰で和解できた為に感謝していたのだった。

 

 

「…それに……お兄様は随分と翔さんを持ち上げておりましたよ。旦那には色々と助けてもらったりとか…あなたの武勇伝とかをあの後沢山語っておりましたよ。」

 

 

「武勇伝て……別に俺そんなにな事してたか?」

 

 

和解して家に帰った後、村雨は斑鳩に翔の武勇伝を語った事を話すも翔は疑問に思いつつも「?」を浮かべていた。

 

 

「……それも含めて……味方なんていないって思っていたお兄様とお友達であってください……ありがとうございます。」

 

 

そして斑鳩は翔に村雨と友達でいてくれている事にお礼を言った。……鳳凰財閥に斑鳩が来た時に両親はもちろん鳳凰財閥の部下達も斑鳩に期待を持っていた。しかし村雨はそんな様子を見て自分には味方が居ないと思い込んでしまい、斑鳩を恨むようになったのだ。そんな村雨を翔が友達であってくれた事で村雨の心の支えになってくれたと思い斑鳩は感謝したのだった。

 

 

「いや、友達じゃねぇな…アイツは舎弟だよ。」

 

 

「…えぇ…?」

 

 

「ま、ジョーダンジョーダン。アイツにもそれなりに世話になってるしな。飯奢ってもらったりとかな……」

 

 

(……何か本当に舎弟な気が………)

 

 

しかし翔は村雨は友達ではなく舎弟と言い出すも冗談と言いそう言うが……飯を奢らされてる時点で本当に舎弟では?…と斑鳩は思ってしまった。

 

 

「…っと、付き合わせといてなんだが佐介達の事は大丈夫か?」

 

 

「…あっ!そ、そうでしたわ!早く帰らないと皆さんお待ちになっていますわ。」

 

 

「何か悪いな、付き合わせた感じになって……」

 

 

「いえ、わたくしも翔さんにお礼を言いたかったので…」

 

 

ふと翔は斑鳩にも用事がある事を思い出しそう言うと斑鳩も思い出しては早く半蔵学院に帰らないといけない事を思い出しては席を立ちあがった。翔は少し申し訳なさそうに言うも斑鳩はそう返した。

 

 

「そんじゃあまたな、佐介とかにもよろしくな。」

 

 

「はい、翔さんこそお元気で。」

 

 

翔と斑鳩は互いにそう言いつつも別れ、斑鳩は半蔵学院へと帰って行った。

 

 

 

因みにこの後半蔵学院に帰り、斑鳩は各々が食べたい物を全員分買って帰って来たのだが何故か全部を混ぜ込んで調理してモザイク無しでは写せないゲテモノ料理として持って行った。しかしゲテモノ料理だったが味は何故か美味しいと評判であったそうな………。

 

 

 

 

 



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奇襲!半蔵学院

遂に半蔵襲撃の話です





 

 

商店街での出来事から数日、忍部屋にて翔達は集まっており今日も蒼鬼の授業が始まるかと思ったが珍しく鈴音と鎧威がその場におり、いつもとは違う雰囲気であった。

 

 

「およ?センセ方が居るのは珍しいじゃん。」

 

 

「……偶には自分達が授業をしなければ蒼鬼にお株を奪われて減給されるってなったんじゃないの?」

 

 

「…あなた達よくこの空気でジョークを言えるわね…」

 

 

重苦しい空気の中翔と響輝は平常運転の為に春花が苦笑いでツッコミを入れる。

 

 

「……みんな揃ったようだな。」

 

 

鈴音は一同が居る事を確認しては口を開く。

 

 

「…単刀直入に言う、お前達には半蔵学院に攻めこんでもらう。」

 

 

「…!」

 

 

「……随分突然だね…」

 

 

鈴音の言葉に翔は少し驚いた表情をし、響輝は平常心でそう尋ねた。

 

 

「…あぁ、目的は半蔵学院にある『超秘伝忍法書』の奪取だ。」

 

 

「…ちょーひでんにんぽうしょ?何かの技みたい。」

 

 

「ほら、授業で習っていたでしょう?秘伝忍法書の上位互換の…」

 

 

「…あーそんなの授業でやってたっけ?忘れてた」

 

 

「おい」

 

 

鈴音が説明すると響輝は「?」を浮かべる為に詠が説明すると思い出したかのように言う為に鈴音がツッコミを入れる。

 

 

「……ま、よーするにその超秘伝忍法書を取ってくりゃあ良いんだろ?」

 

 

「そう言う事だな。」

 

 

結論的に半蔵学院から超秘伝忍法書を奪えば良いという事を尋ねると鎧威は頷いた。

……そして翔達は半蔵学院に潜入するために準備を行うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________________

 

 

 

 

 

 

「えぇ!?何で私はダメなの!?」

 

 

「今回の任務は多分戦闘は避けられんからな…。今のお前は連れていけねぇよ。」

 

 

半蔵学院に潜入前、翔は今回の任務には唯依を連れていけないと言う為に唯依は納得いかず反論していた。

 

 

「わ、私だって少しくらいなら強くなっている筈だよ!だから…少しでも力に……」

 

 

「駄目だ、今回ばっかりは連れていけねぇ。」

 

 

「何で!!」

 

 

唯依がそう言うも翔は否定する為に唯依は噛みつく。すると響輝がやって来ては……

 

 

「………強くなった所で……君は人を殺す覚悟できてるのかい?」

 

 

「っ…!そ、それは………」

 

 

「…そう言う事だ。しかも今回は半蔵学院……つまり飛鳥や佐介を殺すことが出来るのか?」

 

 

「………っ………!」

 

 

響輝、そして翔の言葉に唯依は黙り込んでしまう…。翔達の言うとおりであり忍との戦いである以上人を殺す……それが身内であったとしてもだ……。

 

 

「…ふん、それを言うならば貴様じゃないのか?」

 

 

「……ん?」

 

 

そんな時、焔が鼻で笑いながら翔に突っかかった。

 

 

「貴様こそ飛鳥やその佐介とやらを殺すことが出来るのかって話だ。ま、別に貴様が居ようと居まいとも問題は無いんだ、覚悟が無いなら唯依と共に留守番してても良いんだぜ?」

 

 

翔を煽る焔に唯依は怒りの表情を浮かべるが翔と響輝は呆れた表情になっていた…

 

 

「…しょーもない事言うのぉ……」

 

 

「…ホント性格うんこだね。…あ、肌の色がうんこ色だから仕方ないか」

 

 

「貴様殺されたいのかぁ!!?」

 

 

「任務前なのに喧嘩しないでください!!」

 

 

焔の発言に翔は呆れてそう言い、響輝も呆れながら煽り返すと焔は挑発に乗ってキレるために蒼鬼は一同を制止した。制止された焔はフンっと言いつつもその場を去った……。

 

 

「…協力して行う任務の中じゃあいつが一番邪魔じゃん」

 

 

「もう響輝さんもそれ以上言うのやめてくださいよ…」

 

 

「だってアイツが先に仕掛けたじゃん」

 

 

響輝がまたそう言う為に蒼鬼が宥めるも響輝はそう言う為に蒼鬼はため息を吐きつつも翔を少し心配するように見た。

 

 

「……でも…翔くんは大丈夫ですか…?」

 

 

「?何がよ?」

 

 

「…そ、その……飛鳥さんや佐介くんと戦う事を………」

 

 

「全然?…てか少し楽しみなんだよな……」

 

 

「…楽しみ………?」

 

 

「そ、飛鳥はともかく佐介のヤツがどこまで成長したかどうかをよ。噂じゃ渡米して修行してたとか聞いてるしな。」

 

 

「…そ、そうですか………」

 

 

蒼鬼は飛鳥や佐介達と戦えるのかを心配しつつ尋ねるも翔は寧ろ成長した佐介がどこまで戦えるのかを楽しみにしていた為に蒼鬼は苦笑いをしつつ問題は無いという事を察した。

 

 

「…お兄ちゃん………」

 

 

「別に恥じる事はねぇさ、忍世界が可笑しいのと俺らが生きてきた道が可笑しいだけだ。」

 

 

唯依は暗い表情をしている為に翔は励ますように頭を優しく撫でた。……翔自身は寧ろ唯依には人を殺める事はしてほしくないとは思っていたのだった。

 

 

 

……そして時間となり翔一行は半蔵学院へと向かうのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~半蔵学院~~~~~~~

 

 

 

場所は変わり半蔵学院……。いつもと変わらぬ朝を迎え一般生徒達は各々の学生生活を送っていた。……潜入した人物たちと言う異端者達を除いては……。

 

 

「何もかも持ち、幸せな日々をただ無駄に塗りつぶし、それが当たり前とでも言わんばかりに振舞う…本当に不愉快極まりませんわね」

 

 

「うふふ、みんなお人形にしたらさぞ面白いかも知れないわね~…任務じゃなければ今すぐにでもそうしてたところねぇ…」

 

 

「…ところで他の皆さんはうまく探せてるでしょうか?」

 

 

「大丈夫、あの子たちの隠れ家なんてすぐに見つかるわ」

 

 

テニスコートにてテニスの練習を行う生徒たちの様子を日影はジッと見ており、詠は恒例の僻みの愚痴をこぼしつつ春花も平常運転でそう言っていた。そして愚痴っていた詠がふとそう言うも春花は他のメンバーを信用しているかのようにそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここか……」

 

 

「普通の一般人だったら分からねぇだろうけど俺らからしたらバレバレなんだよなぁここは……」

 

 

「…と言うか翔、お前半蔵の連中と面識があるならばここだってすぐに分かったんじゃないのか?」

 

 

「残念だけど俺がアイツらと再会したのはジジイの寿司屋だからな。半蔵学院の事なんて全然わかってないのよ。」

 

 

「……成程ねぇ……」

 

 

一方翔、響輝、蒼鬼、光牙、籠鉄、真司蛇は半蔵学院にある旧校舎の前に立っていた。比較的に綺麗な校舎である半蔵学院の中にたった一つ存在している旧校舎……一般人であればただの旧校舎だと思うが翔達からすればバレバレであった。

 

 

「よっしゃあ!そうと分かれば全員呼んで突入「やかましい騒ぐな、バレるだろう」わ、わりぃ……」

 

 

「……蒼鬼、他の奴らを…」

 

 

「もう連絡はつけていますよ」

 

 

「…流石監督生の人………」

 

 

半蔵学院の忍達の居場所が分かった為に籠鉄が騒ぐために真司蛇はそう言いつつ籠鉄の頭をグリグリする。それを尻目に光牙が蒼鬼に指示を出すも既に行動している為に響輝は感心するようにつぶやいた。

 

 

……そして暫くすると焔達が集まった。

 

 

「…遅かったな」

 

 

「ごめんなさいね…で、見つかったの?」

 

 

光牙の言葉に春花は舌を出しつつ謝罪を言い居場所を尋ねると翔が親指を建物の方に向けた。

 

 

「関係者以外の立ち入りを禁ずる…ふふふ。確かに臭うわね」

 

 

「…攻め込むんやったらはよせん?」

 

 

「…ここが本拠地なら簡単に入れるとは思えないがな…」

 

 

「それじゃあここは私の出番かしらね?…うふふふふ♪」

 

 

旧校舎の看板を見て春花も納得する。一方日影がそう言うも光牙は罠があるのではないかと言うので春花は何やら作戦があるのかそう主張した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……その一方、半蔵学院の忍部屋では佐介達が霧夜から忍術の授業を受けていた。何事も無いただ授業を行っていたのだが……突如侵入者の警報が鳴り始めたのだ。

 

 

「え!?な、何!?」

 

 

「これは!?」

 

 

「侵入者の合図ですよ!」

 

 

「侵入者!?」

 

 

警報が鳴った為に飛鳥達が驚く。霧夜も急いで監視カメラを確認すると普通科の生徒が立っていた。

 

 

「……ふむ、普通科の学生か…特に問題はなかろうが…何か引っ掛かるな……。俺が戻るまでその場で待機、戻り次第授業を再開する」

 

 

「「「「「はい!」」」」」

 

 

忍科ではあるが霧夜も教師である為に生徒達に注意をしに行くのか佐介達にそう言った。

 

 

「…葛城…次居眠りしたら許さんぞ?」

 

 

「ZZZ…うぇ~?」

 

 

霧夜は居眠りしていた葛城にそう注意を促しては忍部屋から出て行った。霧夜の注意にてようやく葛城も目を覚ました様子であった。

 

 

「…いや~為になる話だったな~」

 

 

「…ほぼ寝てた人がなにを言ってるんですか?」

 

 

「えへへ~そう硬いこと言うなって~」

 

 

葛城が誤魔化すようにそう言う為に斑鳩は呆れながらも葛城に注意した。いつもと他愛ないやり取りを行っていた……のだが……

 

 

 

 

 

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

 

突如として佐介達の居る旧校舎一体が忍結界に閉じ込められてしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________________________

 

 

 

 

 

旧校舎の入り口に向かった霧夜は屯していた男子生徒達を発見した。

 

 

「お前ら何やってる、ここは立入禁止の場所なのは知ってるだろ?それに今は授業の時間の筈だ。」

 

 

「「………。」」

 

 

「……何とか言ったらどうだ?」

 

 

霧夜が男子生徒達に注意をするも何も答えない為に妙に思いつつももう一度訪ねた……瞬間、突如その生徒達がバタリと倒れてしまった。

 

 

「…!?お、おい!」

 

 

突如倒れてしまった男子生徒達に驚き駆け寄るも……

 

 

「…これは……傀儡!?」

 

 

倒れた男子生徒達の正体が傀儡であった事に霧夜は驚きまさかと思いすぐさま佐介達の元へと向かおうとした……瞬間……

 

 

「…!?忍結界……!しまった………!!」

 

 

旧校舎に忍結界を張られてしまい最初から自分を旧校舎から離す為の罠であった事に気付き霧夜は苦虫を噛み潰したような表情となった。

 

 

 

 

 

 

「…おいおい、教師ともあろう人がこんな罠にかかってちゃしょうがねぇな…」

 

 

「!?」

 

 

突如背後から声が聞こえた為に霧夜が振り返ると……そこには翔と響輝、そして蒼鬼が立っていた。

 

 

「…き、君は……翔くん!?」

 

 

「よ、お久だな霧夜センセ。」

 

 

翔の姿を見た霧夜は驚いており逆に翔はいつも通りの感じでそう返す。

 

 

「な、何故君がここに……いや、まさか君らがこんなことを……?」

 

 

「センセ、実は俺、蛇女の人間なんだよ」

 

 

「…何だって…!?」

 

 

霧夜が尋ねると翔がそう答えた為に霧夜は驚きが隠せない表情となった。

 

 

「…まさか……あの時佐介や飛鳥達と再会した…その時からか…!?」

 

 

「うん、まぁね。」

 

 

霧夜が再び尋ねると翔はそう答える。その事に霧夜は内心ショックを受け、あの時半蔵の寿司屋にて佐介や飛鳥達に優しかった翔は偽りだったのかと思いこんだのだった……。

 

 

「……翔くん、今は任務中です。私たちの使命はこの教師を足止めする事ですよ。」

 

 

「良いじゃねぇか、こうして話してるだけでも足止めは出来るんだし何よりもある意味平和的な感じだろ?」

 

 

霧夜と会話している翔に蒼鬼がそう言うも翔は気楽そうに言う為に蒼鬼は少し呆れつつため息を吐いた。

……翔、響輝、蒼鬼の使命は光牙達が旧校舎の中にいる間、切り離した霧夜を旧校舎へと戻さない為に時間を稼ぐようにと指示を出されたのだった。

 

 

……すると霧夜はクナイを手に構えると……

 

 

「……お前たち……悪いがこの忍結界を解いてくれないか?」

 

 

「…すみませんがそれは出来ません。私たちも任務なので……」

 

 

霧夜は無駄だと分かりつつもそう言うが蒼鬼は首を横に振ってそう答える。その事に霧夜は小さくため息を吐いた瞬間、霧夜は攻撃を仕掛けた。無論3人は霧夜の攻撃を回避し、蒼鬼は武器のモーニングスターを振るい、翔はクナイを投げつけ、響輝は滑空砲を放った。

…しかし霧夜はこの攻撃を全てかわす……も…

 

 

「……!?」

 

 

瞬時翔が目の前に現れては自分に手のひらを向けており……

 

 

「……『始電』」

 

 

「ぐああぁぁぁぁ!?」

 

 

手のひらから電撃を放ち、電撃を受けた霧夜は感電しながら吹き飛ばされた。

 

 

「…ぐっ……!」

 

 

「おぉ、流石は教師か。並の相手だったら今ので気絶させられる威力なんだけどな。」

 

 

「…油断は禁物ですよ翔くん、相手はあの『霧』と呼ばれた人物なのですから…。」

 

 

「……その辺は大丈夫だよ監督生の人。基本的に翔はおちゃらけてるけど色々と考えてるからさ。」

 

 

「おうプレッシャーかけるなやw」

 

 

電撃を受けた霧夜は軽くふらつきながらも立ち上がる為に翔がそう言う。しかし蒼鬼は翔が油断していると思いそう声を掛けるも響輝はそう言う為に地味にプレッシャーかけられた事に翔はそう答えた。

 

 

(…この3人…強い……!確かに翔は半蔵様の孫ではあるがこの少女達もかなりの実力を持っている…!3人相手となると…分が悪い……!)

 

 

霧夜は長年の勘からして翔達が強い事に気付いていた。確かに教師となり体が鈍っている部分もあるがそれでも霧夜もまだまだ学生には負けないレベルであった。だがかなりの実力者を3人同時に相手をするとなれば霧夜も分が悪い状況であった。

 

 

……そんな時、突如旧校舎の忍結界が歪み始めた。

 

 

「…およ?何か結界歪んでないか?」

 

 

「あ、待ってください。………撤退です、皆さんもそれなりにですが未来さんがやられたみたいでその影響で結界の連動が不安定になっているようすです。」

 

 

「…ほぉ、未来がか…。確かに実力はメンツの中じゃまだまだだけど簡単にやられるように鍛えたつもりだったんだけどな……面白れぇ。」

 

 

「…!?ちょ、翔くんどこに…!?」

 

 

結界が歪んだ事に翔が気付くと蒼鬼は無線で春花から連絡を受け、未来がやられた事によって結界の連動が不安定になった事を報告され、撤退命令が出たことを告げた。

……しかし翔は未来がやられたという事に少し驚きつつも何処か興味を浮かべたかのような笑みを浮かべ、旧校舎に向かう為に蒼鬼は驚きそう尋ねる。

 

 

「ちょいと佐介達を揉んでやろうと思ってな。それに光牙達の撤退の時間稼ぎって事で…」

 

 

「……ただ戦いたいだけなんじゃないんですか?」

 

 

「そゆこと~。……ぬん!」

 

 

翔がそう答える為に蒼鬼は翔が佐介達と戦いたいという事を察知しては呆れた表情でそう尋ねると翔はそう答えては結界に片手を向けると……何かの衝撃波を放ったかと思えば忍結界に人が入れそうな穴をあけたのだ。そして翔はそのまま旧校舎の中へと入っていき蒼鬼も呆れながらも翔について行った。

 

 

「ま、待て…!?」

 

 

霧夜も2人を追いかけようとした……が突如大型のメイスが振るわれた事に気付いては霧夜はそれを回避した。

……そこには響輝がメイスを手に構えていたのだ。

 

 

「……もう少しここに居てもらうよ。ま、さっきの発言からして殺さないだろうし安心しなよ。」

 

 

「くっ………!」

 

 

響輝は霧夜を足止めする為に立ちはだかり、霧夜は佐介達を助けに行けない事に悔しそうな表情をしつつも響輝と交戦するのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________________________

 

 

 

 

 

「柳生ちゃん!しっかり!!」

 

 

一方、旧校舎で戦っていた佐介達は光牙達の撤退後、ボロボロになった柳生の元へと駆け寄っていた。一同は激戦を繰り広げていた為かかなりのダメージを負っていたがその中でも柳生が特に酷い状態であった。

 

 

「…酷い怪我を……早く病院に……っ!?」

 

 

柳生を早く病院に連れて行かない為、佐介は痛みを堪えながら柳生を抱えて立ち上がろうとした……瞬間にまたもやかなり強い気配を感じ取りその方向を向く。無論その気配を飛鳥達も気付かない訳もなく同じくその方向を向くと………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え…!?」「な、何で……!?」「ど、どうして……あなたが……!?」「う、嘘だろ……!?」「え、…えぇ!?」

 

 

 

その人物を見て………佐介達は驚きが隠せなかった。

 

 

……何故ならば…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お……お兄ちゃん……!?」

「翔……兄さん………!?」

「翔……さん……!?」

「し…師匠……!?」

「あ、飛鳥ちゃんと佐介くんのお兄さん…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………彼ら彼女らが知っている人物………翔が居たからであった………

 

 

 

 

 

 

 




久しぶりに書いたからちょっと変かもw

……別に霧夜先生が弱い訳ではないです、流石に翔、響輝、蒼鬼の3人を同時に相手するのは霧夜先生でもキツイかと思われるので…w




次回、遂にバレちゃった翔の真実!




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悲しみの戦い!? ~翔&蒼鬼VS半蔵学院~

 

 

「翔……兄さん………!?」

 

 

「そ、それに……蒼鬼ちゃん……!?」

 

 

戦いが終わり重傷を負った柳生をすぐさま病院へと連れて行こうとした矢先、突如現れた翔、そして蒼鬼に佐介達は驚きが隠せずにいた。

 

 

「ど、どうして佐介くんと飛鳥ちゃんのお兄さんがここに……!?」

 

 

「そ、蒼鬼ちゃん……それに……お兄ちゃん……」

 

 

雲雀は何故翔がここに居るのか分からない状態であったが飛鳥は先ほど焔と戦った為に何かを察していた。

 

 

「おう、元気そう……でもないかさっきまで戦ってた様子だしな。」

 

 

そんな佐介を見て翔はいつもの様子でそう声を掛ける。しかし半蔵のメンバーは静まり返った状態であった。……一部は驚きでもあるが佐介と飛鳥は何故に翔がここに居るのかを分かっていたからであろう。

 

 

……しかしそんな沈黙を……佐介が破った。

 

 

「………翔兄さん………」

 

 

「おん?どした佐介?」

 

 

「………嘘……ですよね………?」

 

 

「…何が?」

 

 

「………先ほど光牙くんと戦って……気付きました……でも…冗談ですよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……翔兄さんが………蛇女子学園の忍だなんて……!」

 

 

「…え!?」

 

 

「な、なんだって!?」

 

 

「う、嘘~!?」

 

 

佐介の問いを聞き斑鳩、葛城、雲雀は驚きが隠せなかった。……そう、佐介はあの温泉旅行にて翔と再会し、光牙とも出会っていた。その事もあってか先ほど光牙が蛇女の忍であった事を知ったと同時に翔も蛇女の忍なのではと気付いたからであった。

 

 

「嘘ですよね、翔兄さんが……!嘘って言って下さいよ!」

 

 

「……残念だが正解だ。俺は蛇女の忍だぜ、佐介。」

 

 

「「「「「っ!!!」」」」」

 

 

佐介の問いに翔がそう答えた為に一同は衝撃を受け、特に佐介と飛鳥はショックが大きかった。

 

 

「そ……そんな………」

 

 

「ど…どうして……?どうして……悪忍なんかに……!?」

 

 

「色々あんだよ。」

 

 

ショックを受けた佐介と飛鳥…飛鳥がそう尋ねるも翔はそう答える。……そんな時……

 

 

「………騙していた……のですか………?わたくしを…いや、わたくし達を……」

 

 

「う~ん…騙してたわけじゃあねぇけどな…確かにいつかは戦わねばいけねぇ状況も出来るだろうなって思ったけどそれがただ今日になったってだけの事よ。」

 

 

斑鳩は飛燕を抜刀しようとする構えで翔を睨みながらそう尋ねる。……その目尻には少し涙が浮かんでおり彼女にとっても恩人である翔が悪忍であった事に斑鳩もショックを受けていた……。

 

 

「…まぁお喋りはこの辺にして…俺がここに現れた理由は説明しなくても分かるだろ?」

 

 

「……師匠……アタイらと戦おうってのか?」

 

 

「あいつ等と戦って疲れてるかも知れねぇけど忍になったら実際にこういった場面も出てくるんだ、卑怯とは言わせねぇぜ?」

 

 

「……っ、ひ、雲雀さん!柳生さんを病院へ!」

 

 

「え!?あ、はい!」

 

 

翔がそう言うと葛城は翔達が自分達と戦おうとしている事を察する。その事に斑鳩は雲雀にそう指示を出すと雲雀は慌てて柳生を抱えてその場から去って行った…。

 

 

「お…お兄ちゃん………」

 

 

「翔兄さん……」

 

 

「……構えろよお前ら。まさか俺が相手だからって戦えねぇってか?」

 

 

「や、やめてよお兄ちゃん…!こんなの間違ってる……!」

 

 

「そうですよ…!善忍悪忍と言う立場だからと言っても……こんなの……!」

 

 

動揺して戦いの構えを取らない飛鳥と佐介を見て翔がそう言うもそれでも飛鳥と佐介は戦おうとしなかった……。

……そんな2人を見て翔はため息を吐くと………

 

 

「………お前らが目指そうとしてるのは何だ?忍じゃないのか?お前ら、そんな生半可な考えで居るってんなら実際に忍になったら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死ぬぞ?

 

 

「「……っ!?」」

 

 

そう言った瞬間、翔は佐介と飛鳥の目の前に一瞬で現れた。そして翔は飛鳥に掌を向けており……

 

 

「っ!飛鳥ぁ!」

 

 

「…ぁ……」

 

 

葛城が叫ぶも既に遅く翔の掌はバチバチと電撃が放たれる状態になっており飛鳥は回避できずそのまま電撃を……

 

 

「……!」

 

 

放たれる事は無く翔は何かに気付いたのかその場から離れた。すると何者かが飛鳥の前に現れては斬撃を振り下ろしていた。

……そこには右目には眼帯を付けており焔と同じく六爪流の使い手なのか片手には3本ずつ刀が握られていた少年が立っていた。

 

 

「……何だお前?」

 

 

「ま、政宗君……。」

 

 

「ふん、情けが無いな、お孫様に佐介。」

 

 

眼帯の少年…『政宗』は飛鳥と佐介にそう吐き捨てる。……以前温泉旅行に行った際に佐介が言っていた『もう1人』とは彼の事であったのだ。

 

 

「……アンタ、中々強そうだな。」

 

 

「そりゃあどうも」

 

 

「…だがアンタには用はない……」

 

 

「おん?」

 

 

政宗は翔にそう言うも同時に吐き捨てるように言う為に翔は「?」を浮かべるもふと政宗が向けている視線の方を向く…。その方には蒼鬼が居た……。

 

 

「…見つけた……見つけたぞ……!!!」

 

 

「…!貴方は……」

 

 

政宗は蒼鬼に向けてそう言う。……その表情は…嬉しさなのか…憎しみと怒りなのか……色々な感情が混ざっていた。そして政宗を見て蒼鬼は思い出したのか驚きの表情を浮かべた。

 

 

「知り合い?」

 

 

「……以前…蛇女に潜入して生徒を大量虐殺した人物の話…覚えてますか?」

 

 

「あぁ、結局はお前に完膚なきまでに倒された挙句見逃したって奴か…ゑ?コイツなの?」

 

 

翔が蒼鬼に尋ねると蒼鬼は答える。

 

……翔と響輝が蛇女に来る前に起きた事件……それは眼帯を付けた六爪流の使い手が蛇女に居たとある人物を探す為に蛇女に潜入し、迎え撃ってきた生徒、倒した生徒を尋問した際に答えられなかった生徒を1人残らず虐殺していた話であった。しかしその人物を蒼鬼が完膚なきまでに倒してしまい、挙句の果てには慈悲を与えられ見逃したという事件の事であった。

 

……その事件を起こした張本人が…政宗であったのだ。

 

 

「……成程、それで蒼鬼に復讐しに来たってタマか?」

 

 

「…………っ…!」ギリッ…

 

 

「………聞こえちゃいねぇ…。おい蒼鬼、こういった奴はストーカーよりもタチ悪いんだから息の根止めなくちゃダメでしょ…」

 

 

「…いや、そう言う言い方で物騒な事言われても困るのですが…」

 

 

それを聞いた翔は政宗が無様に生かされた事を根に持って蒼鬼に復讐しに来たと思い尋ねるも政宗は聞いておらず先ほどから蒼鬼を睨み続けている為に翔はため息を吐きながらも物騒な事を言い出す為に蒼鬼も困惑しながらそう返した。

 

 

「………しょうがねぇ…蒼鬼、その政宗って奴はお前が相手してやれ。どうせ俺の事は眼中に無さそうだしな……。」

 

 

「あ…はい……」

 

 

なので政宗の相手は蒼鬼に任せ自分は佐介達を相手すると指示した。

 

 

「…師匠、あんたが幾ら強いとはいえアタイら全員を相手ってを舐めてるんじゃねぇのか?」

 

 

「それもそうか…ならば応援を呼びたい…って所だけど今そいつ霧夜センセを足止めしてるからなぁ……」

 

 

「…っ!?(霧夜先生を足止めって……てことは師匠もあのちびっこおっぱい娘もそんなに強いのか…!?)」

 

 

そんな翔が自分達を1人で相手すると言い出す為に葛城がそう言うも翔がそう答える為に驚きの表情を浮かべた。その事から翔と蒼鬼がそれ程までに強いと把握した……が最も葛城は翔がそれ程強いという事に内心嬉しい気持であったが…。

 

 

「…まぁ残念ながら俺一人になるけど我慢してくれや」

 

 

「…いや、あんたがそう言うなら別に文句もねぇんだけどよ……」

 

 

「……でもハンデ的には良いんじゃねぇかい?約二名戦意喪失してるんだし…」

 

 

「…っ!幾らなんでもそんな言い方するんじゃねぇ…っ!」

 

 

翔がそう言うと葛城もそう返すがふと翔が佐介と飛鳥の事をそう言う為に流石の葛城も黙っていられず翔に攻撃を仕掛けた…!葛城の放つ連続蹴りを翔は回避していった。

 

 

「蹴るスピードも速いし威力も高そうだ……当たるとこりゃあ痛そうだな……だが……!」

 

 

「っ!?」

 

 

「うぉりゃあ!」

 

 

「う…うおぉぉお!?」

 

 

翔は葛城の放つ蹴りの1つ1つが速く重い威力である事を察知しつつも翔は葛城の足を掴んではそのまま投げ飛ばした!

……そして葛城に掌を向けるが……

 

 

「…!」

 

 

カキィンッ!!

 

 

背後から気配に気づいたのかクナイを手にして構えると斑鳩の抜刀を防いでいた。

 

 

「………っ!」

 

 

「…中々良い隙の突き方だが少し遅かったな…。もう少しで俺の首とれたかもな。」

 

 

背後から仕掛けるも気付かれ、しかもクナイで攻撃を防がれた事に斑鳩も驚き目を見開く。仕掛け方が良かったがまだまだであった事に翔はそう評価する。

 

 

「全部……嘘だったんですか…!?」

 

 

「ん?」

 

 

「……佐介さんや飛鳥さんとの再会を喜んでいたのも……わたくしとお兄様が和解出来る場を設けてくださったのも……!…すべては……わたくし達と接触する為に図っていた事だったのですか…!?」

 

 

「………それは俺が悪忍だからそう思ったのか?」

 

 

斑鳩は目に涙を浮かべてそう言う。半蔵の寿司屋にて翔が佐介と飛鳥との再会を喜んでいたのも、斑鳩が村雨と和解できるように場を設けてくれたのも……すべては半蔵の忍と接触するに過ぎなかったと斑鳩は思い込んでいたのだ。

 

 

………その瞬間、翔は大きくため息を吐いてはそう言いつつ斑鳩の飛燕を上空へと蹴飛ばし……

 

 

「………斑鳩さん、あんたがそう思ってるんだってんなら………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あんた、相当つまんねぇ女だな…」

 

 

翔はそう吐き捨てたと同時に斑鳩に掌を向けては……

 

 

「……『始電』…」

 

 

「……ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

斑鳩に電撃を浴びせた。強力な電撃を浴びては斑鳩は悲鳴を上げて感電し、電撃が収まると斑鳩は倒れ込んでしまった…。

 

 

「い、斑鳩!…この野郎……!!」

 

 

斑鳩がやられた事に葛城は怒りの表情を浮かべつつ胸から秘伝忍法書を手に取り…

 

 

「秘伝忍法!『デッドスクリュードラゴン』!!」

 

 

葛城は秘伝忍法を発動させ、竜巻を起こしながら前方にスクリュードロップキックしつつ翔に向かって突っ込んできた!

 

 

……対する翔は右拳に力を込めると右拳が炎に包まれ……

 

 

「…『熱鋼拳』……!!」

 

 

突っ込んできた葛城に向かって炎の拳を振るった!!2つの技がぶつかり合って火花が飛び散り……

 

 

「ぐっ……うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

葛城は負けじと力を込めて押し込もうとする……が……

 

 

「……ぬぅぅぅ………むぅん!!!」

 

 

「ぐ…うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

逆に翔が力で押し切り、押し切られた葛城は吹き飛ばされてしまい壁に叩き付けられてしまった……!

 

 

「……さて……次はお前らだ……。構えるまで待ってやるから早くしろよ。」

 

 

「い…嫌だよ…!お…お兄ちゃんと戦うなんて……できないよ……!」

 

 

斑鳩と葛城を倒した翔は佐介と飛鳥の方を向き、そう言うも未だに飛鳥は翔と戦おうとしない為に翔がため息を吐くと……佐介が立ち上がる……。

 

 

「………どうしても……なのですか………?」

 

 

「あぁ、どうしてもだ。」

 

 

「……分かりました……それならば………僕はあなたを…翔兄さんを止めます……!」

 

 

「………それでいい。…来い……!」

 

 

「…っ!駄目だよ!!」

 

 

佐介はもう戦うしか道が無い事を悟ったのかそう言いつつ翔に立ち向かい、その決意を見た翔は小さく笑みを浮かべては迎え撃つように構えた。

………飛鳥が制止の声を上げるも2人は止まる事は無かった……。

 

 

「はぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!」

 

 

佐介は葛城以上に素早く思い連続攻撃を仕掛け、翔はそれをガードするように防いだ。

 

 

「……葛城以上に速く……更に重い威力……!……流石は渡米して修行していたと言う噂は伊達じゃないみたいだな……!!」

 

 

「………っ……!!」

 

 

佐介の攻撃に翔は佐介の成長を感じ取りながらどこか嬉しそうにしつつもカウンターで攻撃を振るった……!佐介もそれに気付いてはガードする体制を取って攻撃をガードするも……

 

 

「………つっ……!」

 

 

ガードした腕に痛みと痺れが走り、それ程までに強い威力であった事に佐介も驚きが隠せなかった……。

 

 

「ならば……はぁぁ……『獣波拳』!!」

 

 

佐介は両手に気を溜めてはその気を放ち、ライガーを模様したエネルギー波が翔へと向かって飛んで行った…!

 

 

「……『始電』!」

 

 

対する翔は電撃を放ってはライガーを模様したエネルギー波にぶつけ相殺した。

 

 

「『螺旋脚』!!」

 

 

「……むっ!?」

 

 

相殺した際に起きた煙に佐介は入り込んではそこから飛び出し、回転しながら連続回し蹴りを放ちつつ突っ込んできた。流石の翔も回避できない為に連続蹴りをガードするが……

 

 

「はあぁぁぁぁぁぁ………!!」

 

 

「……ぐぅっ!?」

 

 

連続蹴りが終わったと同時に佐介は屈んで翔の懐へと潜り込み……

 

 

「『天轟拳』!!!」

 

 

「…っっ………!!」

 

 

拳を強く握りしめては気を纏い翔の顎へとアッパーカットを喰らわせ………

 

 

「……あっ……!!」

 

 

「………(ニッ)」

 

 

…られず……紙一重翔は体を後ろに反らし天轟拳を回避した……!技を外した事に佐介は驚愕の表情を浮かべ、翔も冷や汗を掻きながら小さくニヤリと笑みを浮かべては……右拳に力を込めては右拳を炎に包み……

 

 

「『熱鋼拳』…!!」

 

 

「……がはぁっ!!!」

 

 

佐介の腹に拳を振るった…!攻撃を受けた佐介は口から少量の血と胃液を吐きながら吹き飛ばされ……壁に叩き付けられてしまった……!!

 

 

「ぁ……ぐぅ………!!」

 

 

佐介は炎のボディブローと壁に叩き付けられたダメージによって意識を失った………。

 

 

「……佐介……やっぱりお前は凄い奴だ…俺の見込んだ通りの奴だったよ……。……だが今のままでは俺どころか…光牙ですら勝てんぞ……。」

 

 

翔は意識を失って聞こえてはいないであろうが佐介を褒め称えるようにそう呟いた。……今は敵であろうとて弟分の成長は正直翔にとっても嬉しい事であったのだろう……。

 

 

「…………さて…残りはお前だけだ飛鳥……。佐介もやられた今、戦えるのはお前しかいないぞ……?」

 

 

「ぁ……あぁ…………」

 

 

「………………。」

 

 

そして残った飛鳥に翔はそう言うも……飛鳥は怯えた表情となっていた。

 

……飛鳥の内心は……翔と戦いたくないという思いもあれば……勝てっこない……斑鳩や葛城……更には佐介をも倒してしまう翔を相手に自分が勝てる訳ないと……その気持ちでいっぱいいっぱいになってしまっていた……。

 

……そんな飛鳥を見て翔は大きくため息を吐いては……

 

 

「………見損なったぞ飛鳥……そんな気持ちで忍になろうとは……ジジイを受け継ごうとは……片腹いてぇわ……」

 

 

翔はそんな飛鳥にそう吐き捨てた。……彼女が愛する佐介をも倒せばそれが発破となって敵討ちとして立ち向かってくるだろうと思ったのだがその考えは外れてしまい結果このような状態となってしまっていた。

 

 

………そしてふと翔は蒼鬼の方を向くと……

 

 

「……向こうもまだ戦ってるけどもう結果は見えてるようなモンだな…。」

 

 

もう飛鳥に興味を無くしたかのようにそう呟いては蒼鬼の方へと向かって行った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ………はぁ…………はぁ…………!」

 

 

「…………。」

 

 

一方蒼鬼と政宗の戦いは……両者体に傷は付いていないものの政宗は息を切らしており一方蒼鬼は息を切らしておらず汗一つも掻いていなかった。

 

 

「…はぁ…はぁ……!ふざけているのか……!何故……反撃してこない……!!」

 

 

政宗は怒りを含めながら蒼鬼に問う。……どうやら蒼鬼は政宗の猛攻を今まで全て回避しており反撃すらしなかった様子であった………。

 

 

「………もう……止めましょう……。」

 

 

「…なに……っ!?」

 

 

「……………以前にも言ったように……今のあなたには何も見えていない様子です……。そんな感情や目を持った今のあなたに私への攻撃は当たりませんし私も絶対に負けません…。だから……」

 

 

「………っっっ!!舐めるなあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

蒼鬼は政宗にそう説得する。……過去に何かあったのか分からないが今の政宗は以前蒼鬼が戦った時と同じく目は怒りや恨み、後悔に満ち溢れており、何も見えていないに等しい状態であったのだ。それをすぐに察した蒼鬼は戦ったとしても結果はあの時と同じだと思いこの戦いに意味がないと思ってしまったのだ。

 

 

………そう言われた政宗は更に怒りを爆発させては攻撃を仕掛けようとするも……

 

 

「……『始電』…」

 

 

「…っ!?」

 

 

突如飛んできた電撃に気付き、政宗はそれを回避した。……すると蒼鬼の背後には翔が立っていた。

 

 

「…!翔くん………」

 

 

「……撤退するぞ。俺の気は済んだし……お前もこれ以上はやっても無駄だって思ってるんだろ?………スマンな、付き合わせて。」

 

 

「…い、いえ………」

 

 

蒼鬼も翔に気付き、翔は蒼鬼にそう言いつつ付き合わせてしまった事を軽く謝罪する。

 

 

「……邪魔をするなぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

邪魔をされた事に政宗は怒りの表情で今度は翔に向かって攻撃を仕掛けてきた…!一方翔は再び政宗へと掌を向けて……

 

 

「……『雷光』……!」

 

 

電撃を放つも今度は一直線に走るビーム状の電撃を政宗に放った。政宗はそれを両手に持つ3本の刀で防ごうとするも……

 

 

…パキンッ!!

 

 

「…なっ………!?」

 

 

その電撃は防ごうとしている刀を折っては突き抜けては政宗をそのまま壁へと吹き飛ばしていき……

 

 

「があああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

壁に激突したと同時に電撃が飛び散っては政宗を感電させた。刀をも突き破る威力の電撃を受けた政宗も今の一撃で気を失ってしまった。

 

 

「……意識は奪っても別に死にはしねぇ威力だ、そのうち起きるだろ。……帰るか。」

 

 

「え…あ……はい………」

 

 

翔は蒼鬼にそう指示を出しては撤退しようとした……時だった……

 

 

「……いや……嫌だ…………」

 

 

「…!……翔くん………」

 

 

「……………」

 

 

突如弱弱しい声が聞こえ蒼鬼はそれが聞こえたのか翔を呼び止めてはその方を向かせた……

 

 

「……やだ……いっちゃ…嫌だ……!……いかないで……いかないで……お兄ちゃん………!」

 

 

「………………」

 

 

飛鳥が座り込みながらも泣きながら手を伸ばしながらそう言う。……だが翔はそんな飛鳥に何も言わず……その表情は悲しみなのか、哀れんでいる表情なのか分からずそんな表情を向けてはそのまま蒼鬼と共に去って行ってしまった……。

 

 

「あ……あぁ………ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

 

去って行く翔を目の当たりにし、一人取り残されてしまった飛鳥は泣き叫んだ……。

 

 

………大好きな兄が敵になってしまった事を……実力の差を見せつけられた事を……色々な事実を受け入れる事が出来ずに飛鳥はただ泣き叫ぶしか出来なかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(………すまない……)

 

 

 

 

 

 




……書いてて恐ろしい程にシリアスとなってしまった…wこれ、この後どうすんのよ……w

……政宗くんが登場しましたが扱いがかなり酷い感じが……w終末好きの根暗さんすみません……




次回は半蔵側の話と同じく蛇女側での話になるかと思います。



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少年・少女達の成長、翔の思い

 

 

蛇女との交戦、翔が蛇女の学生であった事を知ってしまったその日の夕方…半蔵学院の忍部屋では重苦しい空気が流れていた。既に一同は怪我の手当てを行っており包帯や湿布などが体の至る所に付いていた。

 

…やはり柳生が重傷で意識不明になってしまったのは勿論の事、翔が蛇女の生徒であった事にショックが隠せなかったのだ。

 

 

「………………」

 

 

「……飛鳥ちゃん………」

 

 

俯く飛鳥を心配する佐介……表情を見るからに泣き腫らした痕が分かる為、佐介だけでなく斑鳩や葛城も心配していた……。

 

 

………そんな時、部屋のドアが開きそこには霧夜が立っていた。

 

 

「!霧夜先生!!」

 

 

「や、柳生の奴は……!?」

 

 

「……心配ない、今は意識を取り戻している。暫くの間は入院になるだろうが…」

 

 

「……そ…そうですか……よかった……」

 

 

霧夜も柳生の見舞いに行った様子である為に斑鳩と葛城が彼女の様態を聞くと霧夜がそう答えた為に一同は安堵した表情になった…。

……ふと霧夜は暗い表情である飛鳥を見ては………

 

 

「………お前たち……よく………」

 

 

…霧夜は何かを言おうとしたとき、それを言うのを止めた。……本来であればよく生きて帰って来てくれた……と言おうとしていた。しかし霧夜は何かを思ってかこの言葉を言うのを止め……

 

 

「………。……蛇女の生徒にやられて気落ちしているのであれば…忍になるのを止めてここから出ていけ。」

 

 

「「「「「……っ!?」」」」」

 

 

霧夜の言葉に一同は目を見開く。……その瞬間……飛鳥は再びボロボロと涙をこぼした……

 

 

「き、霧夜先生!!幾らなんでもそれは……!」

 

 

「そ、そうだぜ先生!!アタイらがやられた事を責めるってんなら別に構いやしねぇさ!でも飛鳥は……佐介は兄貴が敵対しちまったって事実を目の当たりにしたんだ!そんな事知らされては気が気じゃねぇだろうに!!」

 

 

「…それでも…だ、忍の道は甘くはない。例えそんな状況になったとしても…戦わなければならない…殺し合わなければならないんだ……。それが仲間であろうが…友であろうが………家族であろうとも……な。」

 

 

「「……っ……」」

 

 

霧夜の言葉に斑鳩と葛城が噛み付くが霧夜は厳しくもそう答える。…忍になるという事は…忍の道は甘いものではなく厳しく苦しく辛い道であるという事を……。そう言われた為に斑鳩と葛城は何も言い返せなくなった。

 

 

「………恐らく奴らは再びここを攻めてくるであろう。俺は今回を機に蛇女の生徒にも立ち向かえるべくお前たちを鍛えていこうと思っている。…確かに今回足止めを喰らってしまった俺が大口を叩ける立場ではないが…それでもこのままではお前が奴らと戦えば……死ぬであろうと判断した…。」

 

 

「……確かに日影もそうだったがししょ…いや、翔の奴もまるで本気を出していない様子だった…。本気出してりゃ今頃アタイは……」

 

 

霧夜がそう言うと葛城も同感しそう呟く。……今までがある意味平和のような状態であったが蛇女がこうやって仕掛けてきた以上は今までのような平穏な状態が続かなくなるというのを察知し、霧夜は実戦でも蛇女に後れを取らないようにすべく佐介達を鍛える事を決意したのだ。

 

 

「…そう言う事だ。お前たちが望むのであれば俺は蛇女の連中にも負けないように指導しよう。だが先ほども言ったように今回の一件で自信を失ったのであればもう忍になるのを辞めるがいい。」

 

 

霧夜がそう言うと葛城、斑鳩は強くなりたいと思っているのかその気になるような表情となり、佐介も少し戸惑いがあるものの今のままでは駄目だと思うような表情をしていた。……だが……

 

 

「……分から……ない……分からないよ……」

 

 

「…飛鳥ちゃん……」

 

 

「…私……どうしたらいいの……?……強くならなくちゃいけないのは…分かってるつもり…だけど……私…お兄ちゃんと戦えない気持ちで…いっぱいいっぱいで……でも…戦わなくちゃいけない………どうしたら……どうしたら……」

 

 

飛鳥は涙をこぼし頭を抱えながらそう言う…。今回の一件で落ち込んでいられない事は飛鳥自身も分かっている事だが……慕っている兄と殺し合えと言われても簡単に気持ちを変えて殺し合う事なんて出来るはずが無かった。

 

 

(……やはり飛鳥にとってかなりのショックが大きかったか……。俺もみんなには気持ちを入れ替えてもらおうと発破をかけたつもりだったが…やはりこればかりは……。)

 

 

今の飛鳥の状態を見て霧夜もどうしたらよいのか分からない状態であった。事実先ほどの言葉も今回の一件で忍になる為の過酷さを経験した上で気持ちを入れ替えてもらう為に発破をかけたのであったが兄が敵で殺し合わなければならないという立場となってしまった飛鳥にとっては簡単には立ち直れない状況となっていた。こればかりは霧夜もどうすればいいか分からずどう声を掛けるべきか考えていた……時であった……

 

 

「………やろう…飛鳥ちゃん……」

 

 

「……え……?」

 

 

突如佐介が飛鳥の肩を軽く叩いてそう言う。

 

 

「……このまま…このまま腐ってちゃ……ダメなんだ……強くならなくちゃいけないんだ……!」

 

 

「………………。」

 

 

「僕だって……僕だって翔兄さんと戦いたくはない……何でこんなことになっちゃったのかも分からないしどう言えばいいのか…どうすればいいのか分からないよ……でも…このままじゃダメなんだって事は……分かるんだ……。」

 

 

佐介は飛鳥にそう言う……正直何故翔と敵対してしまう状態になった理由もどうすればいいのかも分からない……しかしこのまま腐ってしまってはいけないという事は何となく勘付いていた。

 

 

「…まずは光牙くんを倒せる程に強くなって……そして今度は翔兄さんを止められるように強くならなくちゃいけないんだ……!それで解決するとは…限らないけど……まずは蛇女よりも強くなるんだ……!」

 

 

「………………。」

 

 

「……僕も……僕も一緒に……戦うから……!…飛鳥ちゃんと……一緒に…戦う……から……!………だから……だから………!」

 

 

「…ぁ………」

 

 

佐介は強くなることを願った。……翔と戦う前に彼は光牙とぶつかり合い、全く敵わなかったのだ。その悔しさから続いて翔が蛇女に居るという事実を突き付けられてしまったのだ。その事から彼自身もどうすればいいのか分からない状態であったがそれでもこのままでは駄目だと思っていた。………でもやはり翔が敵になってしまった事は彼自身も相当ショックであり、強がっていたのか堪えていた涙が溢れてしまいながらも飛鳥を説得していたのだ……。

 

 

(……私って……ダメだなぁ………。悲しいのは……私だけじゃないのに……佐介くんだって……辛いはずなのに………それでも佐介くんは……このままじゃダメだって思ってる………。それなのに……私だけが辛い…悲しいって思っちゃってて………私は……私は………)

 

 

「……!…あすか…ちゃん………」

 

 

飛鳥は涙を流す佐介を見て思う…。辛いのは自分だけじゃない…佐介だって本当は泣き叫びたいくらいに辛いはずだった…。でも佐介は今のままではいけないと先を見ようとしていたのだ。そんな佐介を見た飛鳥は今の自分が情けないと思いつつ…ふと佐介を抱きしめて小さく嗚咽をこぼした……。

 

 

 

 

 

 

 

………そして暫くしては飛鳥は立ち上がり涙を拭うと……

 

 

「……霧夜先生……私を…いや、私たちをもっと鍛えてください…!」

 

 

「…飛鳥………」

 

 

飛鳥は霧夜にそう頼んだ。……泣き腫らした痕があるも先ほどとは違い決心した表情であった。

 

 

「…お兄ちゃんの事…正直どうしたらいいのか分からない……でも佐介くんの言う通りこのままじゃダメなんだ…!…それに……焔ちゃんにいい様に言われて黙ってるわけにもいかないよ……!……だから……だからお願いします!」

 

 

「……飛鳥ちゃん………!」

 

 

「…よっしゃあ!それでこそ飛鳥だぜ!!」

 

 

飛鳥はそう言う。正直翔の件はどうしたらいいのか分からないが佐介同様このまま蛇女に好き放題されて黙っている訳にはいかないと思い、強くなるために指導を霧夜に頼んだ。

そんな飛鳥を見て佐介も笑みを浮かべ、葛城も嬉しそうにしては飛鳥に抱き着いた。

 

 

「…分かった……お前達の気持ちはよく分かった…。今ここに柳生や雲雀……それと政宗も居ないがあいつ等も気持ちは同じであると俺は思う。…俺はお前達に俺が持っている知識や技術…そして秘伝を全て教えていく…これからの戦いを生き残れるようにな。だが当然、これまでの修行から一転して厳しくなるから……覚悟してくれよ…!」

 

 

「「「「はい!!」」」」

 

 

そんな佐介達の意思を見て霧夜は佐介達がこれからの戦いを生き残れるようにする為に自分の知る忍のすべてを彼ら彼女らに教える事を決心した……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~蛇女子学園・屋上~~~~~~~~~

 

 

 

 

場所は変わり夜の蛇女子学園……。翔は屋上にて空を見上げていた。その表情は……何処か無表情な様子であり何を考えているか分からない表情であった……。

 

 

「……翔くん…………」

 

 

「……おぉ、蒼鬼………」

 

 

そんな時、蒼鬼が姿を現し翔を呼んだ。……彼女も翔を心配するような表情であった……。

 

 

「…ほら見ろよ空を、星が綺麗だぜ。」

 

 

「……確かに綺麗ですね……。」

 

 

翔がそう言うので蒼鬼は翔の元へと歩み寄り隣に立って空を見た。翔の言う通り綺麗な星空であった……。

 

 

「………大丈夫……ですか……?」

 

 

「……?何が?」

 

 

「……半蔵に乗り込んでから……翔くん何処か暗い感じがして……。」

 

 

「…そう……か?」

 

 

蒼鬼はそんな翔を心配するように言う。蒼鬼の言う通り半蔵に乗り込んでからの翔は何処か様子が可笑しいと蒼鬼は気付いておりやはり佐介達と戦った事が原因であるのかと思っていたのだ。

 

 

「………私ではどこまで力になれるか…分かりませんが……もしも何か思い悩んでるなら……話してみてくれませんか…?」

 

 

「……蒼鬼………」

 

 

蒼鬼は自分がどこまで力になれるか分からないが先ほどの件等で悩んでいるのであれば吐き出してもらう為に話して欲しいと言った。普段からおちゃらけている翔がこんな様子だと…蒼鬼も心配で仕方が無かったのだ……。

 

 

……蒼鬼にそう言われた翔は………悲しげな表情になりつつ蒼鬼に抱き着いた……。

 

 

 

 

 

 

…………のだが……

 

 

 

 

……モギュッ……

 

 

「…ひゃあっ!!??///」

 

 

抱き着いたと同時に翔は両手で蒼鬼の尻を掴んでいた。その事に蒼鬼は悲鳴を上げつつ赤面していた。

 

 

「しょ…翔くん何を…!?///」

 

 

「…おぉ……やわらけぇ…詠のデカケツとは違ったサイズと柔らかさ…プリケツかぁ…」モミモミ

 

 

「ちょ…しょ、翔くんやめ…あうぅ……///」

 

 

「あ~~~柔らかい……鬼だ……鬼がかかったプリケツダァ……」モギュッモギュッ……

 

 

「ぅぁ……///しょ……翔……くん…………////

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……止めてください…!!」

 

 

「あだだだだだだだだだだっ!?」

 

 

蒼鬼の尻を両手で容赦なく揉みしだく翔……。蒼鬼も揉まれ過ぎて恥ずかしさ等でいっぱいいっぱいになっていたが……尻を揉んでいた翔の両手首を強く握りしめた。流石に痛みで翔は両手を尻から離すのであった……。

 

 

「もう!何してるんですか!!///」

 

 

「いや~~蒼鬼が悩みを癒してくれるって言うから癒される為にもな~~~」

 

 

「全然意味が違いますよ!…心配して損しました……」

 

 

悩んでいるように見せかけて翔がこんな事をしてきた為に蒼鬼はムスッとしながら触られた尻を撫で擦っていた。

 

 

「…いや……正直俺もショックだったぞ?佐介はともかく半蔵のメンツの実力を……。正直あのまんまじゃ俺らどころか……他の忍学校の連中にさえもやられちまうレベルだったからな……。」

 

 

翔は少し真剣な表情となってそう言う。実力を確かめに行ったものの思ってたよりも酷いレベルであったのが翔の正直な感想であったのだ。

 

 

「……確かに今の俺は佐介と飛鳥とは敵対関係………敵に同情や情けなんて必要はねぇが…………家族は違う……。……俺の私情にはなるが……あいつ等には死んでもらいたくねぇ…だから……もっと強くなって高みを目指してもらいたいんだ……。」

 

 

「………翔くん……」

 

 

(……そう……今のこの世界を……忍の世界を変えてもらう為にも…な……)

 

 

翔は蒼鬼に本音をそう言う。……確かに今は敵対関係であるが彼自身家族である佐介や飛鳥には死んでもらいたくないと思っていたのだ。

 

 

「………だからこそ非情となってあいつ等にはあんな態度で接した。これからの戦いがそんな考えで通用しないと言う事を分かってもらう為にな……」

 

 

「……でも翔くん…飛鳥さん泣いて「いうな」…っ……!」

 

 

「…………俺だってアイツに泣かれたのマジで罪悪感感じてんだよぉ……!」

 

 

「翔くんに罪悪感ってあったんですね」

 

 

だからこそ翔は敢えて非情となり今の半蔵の連中や佐介や飛鳥の考えではこれから先の戦いを生き残れないという事を分からせた様子であった。だがその結果、飛鳥があそこまで泣きじゃくってしまった事を蒼鬼が言おうとするも翔に制止される…が…翔自身も泣かれた事に余程ショックや罪悪感があるのか口から血を流しつつそう言った。そんな翔に蒼鬼も蒼鬼でさり気なく毒を吐いていた。

 

 

「…ま、そんな感じさ。今日の事でアイツらが折れずにこれを機に強くなってくれる事を俺は願っている。そうじゃねぇと張り合いも無いしな……悪忍としては失格な考えだろうけどな。」

 

 

「…翔くん………」

 

 

翔はそう言いつつ佐介達が折れずにこれを機に鍛えて強くなって再び再戦してくるという事を願っているかのように言った。そんな翔を見て蒼鬼は確かに悪忍として考え方は失格ではあるが翔自身が佐介や飛鳥を思っての事だと…家族思いであった事を安堵した。……正直蒼鬼もあの時の翔の言動に驚きや戸惑いが隠せなかったが今の言葉を聞いて蒼鬼も安堵したのであった。

 

 

「……さて…俺らもまごまごしてたら追い抜かれるだろうし…頑張らねぇとな!」

 

 

「…そうですね…!」

 

 

そして翔と蒼鬼もそんな佐介達に負けない為にも強くなることを決意するのであった……。

 

 

 

 

 



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翔VS焔 ~焔のリベンジマッチ~

 

 

半蔵学院襲撃から数日後、翔達はいつも通り修行を行っていた……が…

 

 

「ああぁぁぁぁぁムカつくうぅぅ~~!あの柳生って奴はぁぁぁ!!」

 

 

射撃訓練場にて未来は怒りながら射撃を行っていた。

…それもその筈あの戦いにおいて未来は柳生にやられ連動していた忍結界を不安定にさせてしまい撤退する羽目に…つまり戦犯になってしまっていたからだ。

 

 

「…おいおい、闇雲に撃っても全然当たってねぇじゃねぇか…。そんなに悔しかったのかよ。」

 

 

「そりゃあ悔しいに決まってんでしょ!戦犯になったのは勿論の事あの柳生って奴はあぁ……!!アタシを無視して「雲雀…雲雀ぃ…」とか…まるでアタシが眼中に無いって様子が…ああぁぁぁ~~!!」

 

 

「み…未来………」

 

 

「……………。」

 

 

一方そんな未来の修行を見つつも翔がそう宥めると未来がそう答える。

 

……聞けば未来は柳生と対峙した際に柳生は雲雀を心配していてはまるで未来が眼中に無い様子であったのだ。その事に普段から無視される事が嫌いな未来は激昂し柳生に攻撃を仕掛けるもあっさりと倒されてしまったのだった……。

 

 

「……とぉうぃ!」

 

 

「あいだぁ!?」

 

 

「お、お兄ちゃん!?」

 

 

すると翔はそんな未来の頭にチョップを喰らわせたために喰らった未来は痛がりながら、そんな翔の行動に唯依もギョッとしていた。

 

 

「な、何すんのよ!?」

 

 

「…それがお前の弱点だ。お前が何故に無視されるのが嫌いなのかは知らんが忍ってのは気持ちが熱くなろうとも心は冷静でいなくちゃいけねぇ。そんな場面になったんだったら無視しているのを利用して背後から鉛玉ぶち込む冷静さが無くちゃいけねぇだろうに…」

 

 

「う……」

 

 

チョップした翔に涙目で睨む未来であったが翔の言葉にぐうの音も出なかった。

…翔の言う通りそれをチャンスとして背後を向いている柳生に銃弾をぶちかませば深手を負わせる可能性もあったからだ。

 

 

「俺も人の事は言えんがお前もまだまだ精神的に未熟だ……。でもお前は射撃の腕は確かだ、冷静になれば大体の敵に鉛玉をぶち込む事なんてわけないだろう。その弱点を克服する為にも……精進していこうぜ。」

 

 

「う…うん……」

 

 

翔は未来にそう言うと少し納得したのか落ち着いて頷いた。翔の言った言葉が間違いでないと思ったからであろう。

……そして気を取り直し翔達は修行を再開しようとした…時だった……

 

 

「…これはこれは毎度毎度後輩の指導とはご苦労な事だな…」

 

 

「……っ……」

 

 

「…んだよ、今いいところなんだから邪魔しないでもらえるかな?」

 

 

そんな時、突如煽るかの言い方で翔にそう言う人物が現れた。……無論焔でありそんな事を言った焔に唯依は睨みつけ、翔は呆れながらそう返した。

 

 

「おぉ、それは悪い事をしたな。戦犯を犯したそいつに指導する事は確かに大切な事だ、だがお前も指導している暇はあるのか?聞けば蒼鬼と3人がかりであの甘ちゃん学校の教師すら足止めで精一杯だったと聞いたが?」

 

 

「…っっ……!!」ギリッ…

 

 

「おうおうあんな安い挑発に引っかかるな…お~よしよし…。……んだよ、お前は飛鳥に圧勝したから自慢しに来たってのか?しょーもないやっちゃで……」

 

 

焔は翔達にそう言い、自分の事も言われた未来も焔を睨みつけるので翔が宥めつつ呆れながら焔にそう返す。

 

 

……因みに焔は翔の言う通り飛鳥に圧勝していた。

 

他にも光牙は佐介に圧勝…ではないがそれでも佐介が手も足も出なかったと思ってしまう程に力を見せつけていた。

 

詠は斑鳩の力を見誤っていたのか未来程ではないが手痛い反撃を受けてしまったらしい。

 

日影も葛城に圧勝していたが別にそこまでは気にしていないらしい。

 

春花は雲雀は勿論の事忍結界を破り負傷していた柳生をも倒していた。

 

そして籠鉄はまさかの政宗と交戦しており苦戦はしたものの両者互角で戦っていたそうな。

 

真司蛇はどうやら半蔵の選抜候補生と交戦しておりやはり選抜候補生とは言え真司蛇には敵わなかったらしく軽くひねられておりその後真司蛇は籠鉄の応援に向かっていた。

 

 

「…それとも焔さんは自分は勝ったから褒め称えてほしいってのか?お~~お~~よしよし頑張ったでちゅねぇ~~~♪」

 

 

「……黙れ!」

 

 

「……んじゃ何しに来たんだよ。俺だって暇じゃねぇんだからよ…用がねぇってんなら帰れよ。……よし、アイツなんかほっといて修行すんぞ。」

 

 

そんな焔を煽るように褒める翔に焔は更に殺意を露わにする。しかしそんな殺意に動じる事も無く翔はしつこすぎる焔を尻目に未来や唯依達の指導を始めようとすると……

 

 

「…私と戦え…!」

 

 

「……はい?」

 

 

突然自分に勝負を挑んでくる焔に翔は少し唖然とする。確かに以前しつこいくらいに勝負を挑んできた事があったのだがここの所そんな事は無かった為に少し驚いたのだ。

 

 

「…聞こえなかったのか…!?私と戦えって言っているんだ!」

 

 

「……いや、何故そうなるんだよ……。…あぁそうか、最近蒼鬼に指導してもらいつつそんでもって飛鳥に勝ったから俺に勝てるとか思っている算段か?だとしたらお前それは自惚れって奴だぜ。」

 

 

「…ならば試してみるか?以前とは違う私を……はあぁぁぁ!!」

 

 

焔の言葉に翔は煽るかのように言う。翔の言う通り焔は最近蒼鬼に指導を受けており確かに実力が付いたと聞く。そして先日飛鳥に圧倒した事から翔は自惚れていると思いそう返すが焔は問答無用と言わんばかりに攻撃を仕掛けてきた。

 

……そんな焔に呆れつつため息を吐くと…

 

 

「……お前ら下がってろ、とりあえずこの馬鹿黙らせるわ」

 

 

「「う、うん……」」

 

 

翔は唯依と未来が巻き込まれないようにそう伝えると焔の方を向いて挑発するかのように指をクイックイッ…と動かした。

 

 

「フン、その余裕そうなツラ…後悔に変えてやるぜ!!」

 

 

焔はそう言うと翔に向かって突っ込んで行き、連続で斬りかかる……も、翔はそれを余裕かのように回避していった……。

 

 

(……確かに以前と比べりゃスピードもかなり上がっている様子だし隙も少しだけ少なくなった……蒼鬼の修行の賜物だな……。…だが……まだまだだ……)

 

 

「……っ!」

 

 

翔は焔が確かに以前と比べれば強くなった事を感じていたがそれでもまだまだであると思いまたもやお留守となっている足元に気付き足を引っかけて転ばそうとする……が、焔はそれに勘付いてかジャンプして回避した……。

 

 

「…ほぉ?」

 

 

「何度も同じ手にかかるかよ!」

 

 

「……でも甘いな…!」

 

 

「……っ!!」

 

 

回避した焔に翔は感心し、焔がそう言うも翔はそのまま無防備になっている焔に回し蹴りを喰らわせる。焔も刀で防ぐも勢いが強いのかそのまま吹き飛ばされてしまった……!

 

 

「がっ……!」

 

 

「『始電』」

 

 

「ぐあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

更に追い打ちで強力な電撃を浴びせ焔は感電しつつも吹き飛ばされ地面に叩き付けられた。

 

 

「……それで強くなったと思い込んでる様子だがまだまだ俺のタマ盗るには程遠いな。」

 

 

「…ぐっ……舐めるなよ……!これで終わりと思ったら……大間違いだ!!」

 

 

翔は倒れた焔にそう言うも焔は感電ダメージを受けつつも立ち上がっては再び構える。そんな焔に翔はタフさだけは確かである事を内心で感心した。

 

 

「…秘伝忍法…『魁』ぇぇ!!」

 

 

焔は翔に向かって走り出すと同時に秘伝忍法を発動させた。この秘伝忍法は以前翔に足を引っかけられて中断されてしまった秘伝忍法であったがやはりあれから1年経っている事もありあの時よりもスピードが格段に違っていた……が……

 

 

「……よっ!ほっ!流石…にっ!足引っかけて!中断はっ!できないようにっ!なってるっ!……な!」

 

 

「……っ!!」

 

 

しかし翔はそれを簡単にかわしていき、背後から斬りかかろうとしていた焔に振り返っては殴りつけようと拳を振るおうとした……瞬間、焔は上空に飛び上がった。

 

 

「…おぉ…!」

 

 

今のを回避したことに翔は少し驚きつつも感心していた。一方焔は上空に飛び上がったと同時に……

 

 

「『獣煉獄』!!」

 

 

「……そんなモン……」

 

 

両手の刀を突き出しつつ回転しながら翔へと突っ込んで行った……!しかし翔はそれをジャンプして回避……するが焔はそれも計算の内と言わんばかりに一旦回転を止めてはジャンプしている翔の方を向き…

 

 

「…おおぉぉぉぉぉ!!」

 

 

「っ!マジか……!」

 

 

再び回転しながら翔へと突っ込んで行く…流石の翔も空中では回避できないのか両手に力を溜めてはそれを受け止めようとした……!!

 

 

「だあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「ぐっ……おおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

回転と回転を受け止める手のぶつかり合いで火花がバチバチと飛び散る。……しかしやがて焔の回転が少しずつ遅くなったかと思えば……

 

 

「……おっっっらああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

翔はそのまま焔を地面に目掛けて投げ飛ばした。投げ飛ばされた事に焔も体勢は整えられなかったが受け身を取り地面に叩き付けられるダメージを抑えた…。

 

 

「………いてて…やるじゃねぇか前よりも……」

 

 

「…当たり前だ……以前とは違うと言った筈だ……。しかしお前は以前とはあまり変わらない様子だがな……」

 

 

翔は焔の回転斬撃を受け止めた為に手のひらから血が出ていた。対する焔は息を切らしつつも翔にそう吐き捨てる。……口だけでなく確かに焔は以前とは違っていた。

 

 

………すると翔は小さくため息を吐くと…

 

 

「…確かに正直情けねぇな……お前を少し舐めた結果……このザマだからな……」

 

 

焔の言葉に翔も頷いていた。どうやら焔の言う通りで舐めた結果このザマであるという事を自身も感じ取っていたからだ……。

 

 

「…………。……しゃーない………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと……その気になろうかな……?

 

 

「……っっっっっ!!??」

 

 

「「!?」」

 

 

翔がそう言った瞬間……力が噴き出したかのような威圧が放たれた…。それを間近で焔は勿論の事、唯依と未来も感じ取り驚愕する…。

 

 

(な……何だ……!?コイツ…急に力が………!?)

 

 

「…………。」

 

 

突如先ほどとは違う翔の様子に焔は動揺が隠せずにいた。しかし翔はそんな焔に構わず無表情のまま焔に歩み寄って来た……。

 

 

(……!ま……まずい…来る………!

 

 

 

 

 

 

 

 

………来る……っ!!)

 

 

翔が来ることを感じ取った焔はそう思ったと同時に翔は一瞬にして焔の目の前に現れては焔に手のひらを向けていた……!焔はその手のひらから電撃が放たれるであろうと察知しては左右に動いて回避しようとするも翔はまるで焔の動きが分かっているかのように焔の動きに合わせるように手のひらを向けていた…!

 

 

(……この手の動き……逃げられない…!?)

 

 

「……『始電』」

 

 

「…がああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」

 

 

手のひらから逃げられないと悟った焔にお構いなしに翔は電撃を浴びせた…。

 

 

(な……なんだ……!?さ…さっきの威力とは桁違いに……!?)

 

 

先ほど受けた電撃よりも桁が違う威力に焔は感電しつつも驚きが隠せずにいた…。しかし……

 

 

「…………」

 

 

「がはっ………!?」

 

 

吹き飛ばされる焔を追い打ちするかのように翔は焔の腹に蹴りを喰らわせる。蹴りを喰らった焔は軽く血を吐きつつも吹き飛ばされ壁に叩き付けられてしまった……!

 

 

「がっ……ぐ……!……おの…れ……っ!?」

 

 

怒涛の連続攻撃に流石の焔もダメージが大きいのかすぐさま立ち上がれずにいた……のにも関わらず翔は右拳に炎を纏っては立ち上がれない焔に向かって突っ込んできたのだった……!

 

 

「う……うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

立ち上がる事が出来ず回避できない焔はやられる事を悟ったのか目を瞑り声を上げてしまった……!しかし翔はそんな焔にも容赦なくそのまま拳を………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ……!?」

 

 

………振るう事は無かった…。その事に気付いた焔は恐る恐る目を開くと……

 

 

 

 

 

 

 

 

………自分の前に蒼鬼が立っていた……。

 

 

「………止めに来るの遅いぞ蒼鬼………」

 

 

翔はそう言うと拳をおろす…。焔に振るわれそうになった拳は蒼鬼が割り込んで入って来た為にもう少しで蒼鬼の顔に直撃となる所であったが翔は気付いていたのかそれを寸止めで止めていたのだ…。

 

 

「…………何があったんですか…?」

 

 

「いや、未来の指導をしてたらコイツがちょっかいかけてきて挑んできたから喧嘩買ってやっただけの事よ。」

 

 

「…いや、買わないでくださいよ……」

 

 

蒼鬼が翔に尋ねると翔がそう答える為に蒼鬼は小さくため息を吐きつつも少し呆れた表情となった。

仕事をしていた蒼鬼であったが何かと何かがぶつかり合う感覚を感じ取った為に何か嫌な予感がした為にここへと駆け付けたという様子であった…。

 

 

「……ま、そう言う事だ。そんじゃあ俺は唯依と未来の指導の続きをしなくちゃいけねぇからソイツ任したわ。」

 

 

「あっ、ちょ……もう………」

 

 

そして翔はそう理由を付けると負傷した焔を蒼鬼に押し付けてそのまま唯依達と去って行ってしまう。そんな翔に蒼鬼は少しムスッとしつつも小さく息を吐いて焔の方を振り返るも……

 

 

「…っ……余計な事をするな……。戦いの邪魔をしやがって………」

 

 

「…ですがあのままだと焔さんは……」

 

 

「やられていた…ってか?ハッ、勝手に決め付けやがって……」

 

 

焔は蒼鬼が手を差し伸べようとしてきた事に気付いた焔はそう吐き捨てつつもフラフラになりながらも立ち上がる。そんな焔に蒼鬼がそう言うも意地を張るかのように焔は吐き捨てた。

 

 

「…で?今回のもまた私が起こした問題行動になるって訳か?」

 

 

「……いえ…翔くんも気にしてなさそうですし今回はお咎め無しです。」

 

 

「…ほぉ…珍しいなお前にしては?それともお約束の気遣いのつもりか?」

 

 

焔は蒼鬼に噛みつくかのようにそう言うも蒼鬼はそう返す。……そして暫く沈黙が続き……

 

 

「…焔さん……翔くんの事……信じてあげてください……」

 

 

「……はぁ?」

 

 

突如蒼鬼の言葉に焔はそう返す…それでも蒼鬼は続け……

 

 

「…確かに翔くんはあなたにあんな態度を取っていますが…それは焔さんがそんな態度を取ってしまうが故にそう返してくるだけなんです…。……焔さんの気持ちはわかります……あんな事があったんじゃ…翔くんをも心から信じる事が出来ない事になっても……でも翔くんは「好き勝手ほざくな!!!」…っ!」

 

 

蒼鬼は焔を説得する。……蒼鬼は焔の過去を知っているが故に焔が翔にあんな態度を取ってしまう事を分かっていた。しかしそれでも翔は焔が過去に受けたようなあんな事を絶対にしないという事を言おうとするも焔は怒鳴り声を上げた。

 

 

「お前にどうこう言われる筋合いは無い!!私が誰を嫌おうが何だろうがお前に好き嫌いをどうにかしろだの言われる筋合いは無いんだよ!!!」

 

 

「……………。」

 

 

蒼鬼の説得や言葉を否定するかのように焔は怒鳴り散らす。……まるで蒼鬼が焔の逆鱗に触れたかのように焔は怒りを露わにしていた。………蒼鬼はそんな焔の姿に悲し気な表情を浮かべるも焔は舌打ちをしつつも負傷した体を引きずりながらその場を去って行く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………分かっているんだよ……私が……私がいつまでも…過去に囚われている事くらいは……。……翔が……そんな奴じゃ無いって事くらい……でも……それでも……

 

 

「………!」

 

 

そんな時……焔の小さく呟いた言葉が聞こえたのか蒼鬼は少し驚きの表情を浮かべつつも去って行く焔の背中に目を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(………やっぱり…焔さんが翔くんを信じられないのは……あんな事があったから……。信じていた人に……裏切られたから………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(………やはり…彼女を………焔さんの心を救えるのは……翔くん……あなただけなんです………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 




な、難産だった……wこの話書くのに1年以上かかった……(白目w)久しぶり過ぎてバトルシーンちゃんと書けてるだろうか……?




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翔と焔の共同任務!? ~とある組織を殲滅せよ!~

 

 

翔と焔のいざこざから数日後、翔は鈴音に呼び出しを受けていた。

 

 

「ちぃ~~す」「うむ」

 

 

「…遅いぞ貴様……何故に響輝も来ている?」

 

 

「ノリで」

 

 

「……ノるな」

 

 

翔がやって来た……と思いきや響輝までやってきた為に鈴音が尋ねると響輝がそう答える為に呆れながらそう返した。

 

 

「んで、何の呼び出しだ?俺別に何も悪い事してねぇぞ?」

 

 

「……それを言う時点で何かしてるんじゃないのか…?いや、それはどうでもいい、お前に任務だ。」

 

 

「おぉ、最近蛇女での修行の話ばっかりだったからな、腕が鳴るぜ……何の任務だ?」

 

 

翔が呼び出しの理由……を言うが鈴音の言う通り明らかに何かやらかしてるであろうと把握したのか呆れつつも任務を言い渡すと翔は手を首をポキポキ鳴らした。

 

 

「組織の殲滅任務だ。…別に大きな組織でもないし頭を使わずに敵を殲滅する任務だからお前にとっては簡単な任務だろう…」

 

 

「おいオバハン、さり気に俺馬鹿にしてねぇか?俺こう見えて蛇女次席ぞよ?」

 

 

鈴音が説明しつつも……さり気なく毒を吐く為に翔がそうツッコミを入れる。……普段から苦労かけられている為にささやかな仕返しなのであろう……

 

 

「…ま、いいや。んで、今すぐ行けばいい「ただし」…ただし?」

 

 

「……条件として焔と共に任務を受けてもらう。」

 

 

「…はい?」「は?」

 

 

翔はそう言いつつも今すぐにでも任務に向かうべくそう言うが鈴音が条件として焔と共に任務を行う事を言い出す為に翔と響輝は少し間抜けな声が出てしまった。

 

 

「………センセ、以前のチーム戦で言った事忘れたかい?あのガングロと組みたくないって…それに翔も言っていた筈だ。そもそも協力して行う任務なんだったらチームワークの欠片も無いアイツを同行させて何の役に立つって言うんだい?」

 

 

「それは「それは私の希望でもあるんです」……蒼鬼…」

 

 

「…どゆこと?」

 

 

響輝は嫌悪感を露わにしたような表情で鈴音に言う。その様子からしてやはり焔を嫌っているようであった。そんな響輝に鈴音が説明をしようとすると蒼鬼が割って入るかのように表れた。

 

 

「……確かに翔くんも焔さんも目に見えて仲が悪いかもです。特に焔さんの方は協力する任務でも個人プレーするように動いてしまいます……しかしやはり私はお2人には馴れ合う……とまでは言いませんが任務の時には力を合わせて欲しいって思うんです……私の無茶な希望ではあると分かってるんですが………」

 

 

「………何となく今ので何か訳があるとは分かったけどその為の理由とは言え隠すの下手だよね監督生の人……」

 

 

「…う………」

 

 

「………いや、俺はべっちゃに構わねーけどよ、当のアイツはどうなんだよ?引き受ける訳ねーと思うんだけどよ…」

 

 

蒼鬼は理由を説明する………も恐らく別の理由もある様子であり隠す為に違う理由を伝えるがバレバレである事を響輝に指摘される。一方翔は焔と組む事は別に構わないとは言うものの当の焔本人は逆にその条件を飲まない事が目に見えている為に翔がそう言うも……

 

 

「………鈴音先生の命令だ、今回だけは受けてやる。ただし勘違いするなよ、私はお前とは馴れ合う気も無いしお前が危険な状態になろうとも助けるつもりは無い。」

 

 

「…言うじゃんか32位(成績)」

 

 

「……っ」(ギリッ)

 

 

「だ、だから二人とも任務前だって言うのに…!」

 

 

「………いや、吹っ掛けてきたのガングロの方じゃん」

 

 

現れた焔が翔にそう言う。……鈴音の命令の為に渋々と受けた様子であり翔にそう言い放つもまたもや翔がカウンターで弄るように返す為に焔は翔を睨みつける。そんな2人を見て蒼鬼は慌てて止め、響輝は呆れた表情をしながらそう言う。

 

 

「……もう埒が明かないから早く任務に行ってこい。」

 

 

「せやな(日影風)そんじゃあ行ってくるぜ~」

 

 

「……ふん」

 

 

「…いってら~」

 

 

鈴音も段々と疲れてきたのか翔と焔にそう指示を出すと2人はそのまま任務の場所へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

「………お前の希望を受けつつ任務を出してしまった私が言うのも何だが……あの様子で本当に大丈夫か?」

 

 

「…はい、確かに荒療治になりますが………焔さんだって本当は分かっている筈なんです……翔くんがあの人みたいな人間じゃないって事を……」

 

 

鈴音は蒼鬼にそう尋ねると蒼鬼はそう答えた。……鈴音も何故に焔が馴れ合いを嫌っているのかを知っている様子であったのか蒼鬼の希望を受けつつも任務を出してしまった事に少し不味かったではないのかと思ったのかそう言うが蒼鬼は上手くいくであろうと答える……が……

 

 

「……理由が何かあるとはいえはっきり言って私は反対だ。何をあんなに翔を恨んでいるのかは知らないがそんな気持ちで協力して任務なんて行えない。」

 

 

「…一応それを見越して私は問題無く任務を達成できる物を出したつもり「仮にだ」……?」

 

 

「………仮にその問題が起きたらアンタら責任とれるのか?確かに翔は強いしある程度の問題にも冷静に対処できる。しかしアイツも人間、万能じゃない、状況によっては対処しきれない時だってある。そんでもってあのガングロがヤケ起こして翔に斬りかかったりすれば間違いなく翔は裏切りと見なしてあのガングロを殺すだろうな躊躇いなく。……そうなってもアンタらは責任とれるのか?」

 

 

「…ぅ………」

 

 

響輝は今回の任務の件は反対の意見を述べた。幾ら簡単な任務であったとしても相性の悪い2人だと色々と分が悪い状態となり、逆にピンチを招く可能性が高かった。そして響輝は翔を近くで見ていた為に翔の事をよく分かっており焔が馬鹿な真似を起こせば裏切り行為として焔を始末してしまう可能性があると忠告した。

 

……それを聞いた蒼鬼と鈴音は何も言い返せなくなり……

 

 

「………鈴音先生、任務に手は出しません。2人の様子を伺いに行ってよろしいでしょうか………?」

 

 

「……………良いだろう。」

 

 

「……一応私も行くね。」

 

 

そこまで言われた為に蒼鬼も流石に心配となり任務の手出しはしない代わりに翔達の様子を隠れて伺う事の許可をもらおうとすると鈴音も少し黙り込みつつ許可を出した。響輝も一応蒼鬼に同行し翔達の様子を見に行くことにするのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、何処かの廃工場………

 

 

……翔と焔は近くの茂みに隠れて様子を伺っていた。工場内の様子は見えないがやはり入り口付近には見張りが数人いた。

 

 

「……入り口付近には数人…と…。まぁスニーキングミッションとかじゃないしこそこそする必要はねぇんだけどな……。」

 

 

「ふん、だったらさっさと乗り込んで連中を始末すればいいだけの話だ。悪いが私は行かせてもらう、はっきり言ってお前が居なくとも私一人で十分だ。」

 

 

「あ、おい……ってまぁ良いか……」

 

 

翔は見張りの数や中に何人居るか作戦を立てているが焔はそう言うと勝手に乗り込んで行ってしまう為に翔はため息を吐きつつも焔の後をゆっくりと追うのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

「!?誰だ!?」「何者だ!!」

 

 

「…教える必要はない!」

 

 

乗り込んできた焔に気付く見張り達であったが一瞬にして焔に切り捨てられた。見張り達も焔の登場に動揺するもすぐさま応戦体勢になる……が、それでも戦闘力が違う為に焔に切り捨てられてしまった。

 

 

「……まぁ弱くは無いんだよなアイツは……。面倒くさいしアイツに任せてもよさそうだな……。」

 

 

そんな焔を見つつ翔はそう言いながら焔の後を追い工場内へと潜入して行った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「侵入者だ!!」「撃て!撃てぇ!!」

 

 

「そんなので私を止められると思うな…!」

 

 

潜入してからも焔の快進撃は止まらなかった。確かに潜入してからは先ほどの見張りよりも強い連中が居たがそれでもまだ焔の敵ではなかったのだ……。

………しかし……

 

 

「……へへ、終わりだ……!!」

 

 

遠くから焔の背後を狙っているスナイパーがおり今にも焔の背中を打ち抜こうとしていた……が……

 

 

バンッ!!

 

 

「……!?」

 

 

そのスナイパーは頭を打ち抜かれ絶命した。銃声に焔も気付いて振り返ると翔がスナイパーを撃ち殺していたのだ。

 

 

「はい、背中ががら空き。今のでお前数回は死んでたぜw」

 

 

「黙れ!貴様の助けなんて必要無かった!」

 

 

「気まぐれよ気まぐれ」

 

 

そんな焔に翔はニヤニヤしつつそう指摘すると焔は怒鳴った。そうして焔は再び組織の連中を切り倒していき翔も適度に敵を始末していった……。

 

 

 

 

「………………………。」

 

 

………そんな時、焔は敵を倒しながらもふと変な感情に気付く…。今こうして敵の大群を倒しているという事が懐かしく感じていた……。この懐かしさを何故感じているのかを疑問に思いつつもふと思い出した……。

 

 

……それはかつて小学校の頃に翔と共に悪ガキの大群連中と喧嘩した時の事であった。あの時は今のようにこうして人を殺めていた訳では無かったが敵の大群をこうしてなぎ倒しているという感覚、そして翔と共に共闘して戦っている……そんな感覚を思い出し何処か懐かしく感じてしまっていたのだ……。

 

 

 

(……っ!!だから何だ、そんなの今は関係ないだろうが!!!)

 

 

ふと思い出に浸ってしまった為にハッと我に返った焔は内心そう思うが……

 

 

「死ねえぇぇぇぇぇ!!」

 

 

「っ!」

 

 

その不意を突かれて敵が焔に向かって刃物で刺そうと飛び掛かっており焔も回避できない程に近づかれていた……が……

 

 

バンッ!

 

 

「はい、俺が居なかったらお前死んでた~w」

 

 

「~~~~~~~~~~~っ!!!!」

 

 

翔がその敵を撃ち殺し、焔を煽るように言う為に焔は怒りの表情を浮かべるも言い返す事が出来ない為に八つ当たりかのように敵を殲滅していった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さてと……大体は片付いたか………」

 

 

「………ハァ…ハァ……お前はほとんど動いてないだろうが……!」

 

 

「お前が死にそうになる場面だけ動いただけよ。…やっぱりお前ひとりじゃ死んでたなw」

 

 

「………っ………!」

 

 

翔は組織の連中が大方始末された事を言う。すると焔が息を切らしながらそう言ってくる為に翔は少し煽るかのように言うので焔は何処か悔しそうにギリッと歯を噛みしめた。……そして翔は周囲に隠れている敵がいないかを確認しようとした……時……

 

 

「……っ!?焔、そこから離れろ!」

 

 

「…は?何を言い……」

 

 

 

 

 

 

ドカーーーーーンッ!!!

 

 

 

翔は何か勘付いたのか焔にそう叫ぶ、焔は何の事か分からず何かを言おうとした…瞬間、突如工場の内部が爆発を起こした……!幸い爆発には巻き込まれなかったが地面が崩れてしまい、翔はそれに気付いたのか柵に掴まって落ちる事は無かったが……

 

 

「…あっ……!!」

 

 

「……っ!あのバカが……!!」

 

 

焔はそのまま落ちてしまい、翔はそう言いつつも柵を離して焔を助ける為に飛び落ちてしまった……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まさかここまでやられるとは………ですがそれもここまで……。あの子供たちには餌になってもらうとしましょうか……。」

 

 

そんな中、2人が落ちて行ってしまった大穴を覗きながら突如現れた男がニヤニヤしながらそう言う。どうやらこの男がこの組織のボスであり今の爆発や地面を崩した張本人であった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________________________________

 

 

 

 

 

 

「……あっ……ぐっ………!!」

 

 

一方崩れ落ちた地面から落ちてしまった翔と焔……焔はそのまま地面に叩き付けられるかと思われたが一瞬何かに手を掴まれた為に落ちる速度が緩まった為に地面で強打される事は無かった……。

 

 

「………大丈夫…か……焔………?」

 

 

「……くっ……先ほどのはお前か……。別に私は助けてとは……っ!?」

 

 

そんな時、翔に声を掛けられる為に焔はこんな状況でありながらも悪態を吐こうとする……も今の翔を見て驚きの表情を浮かべた。………翔の右肩からは何かが突き刺さってたかのように大量の血が溢れ出ていたのだ。

 

 

「お……お前……!」

 

 

「……ちょっち落ちた際にドジッただけだ………大したことは無い……」

 

 

翔はそう言うが明らかに大したような事は無かった……。先ほど焔の手を掴みそのまま掴めそうな壁に手を伸ばしたがその際に翔の右肩に先ほどの爆破で飛んだ破片が右肩に突き刺さってしまったのだ……。その激痛にて焔と掴んだ壁を離してしまい落下してしまったのだ……。

 

 

(………私を……私を助けた……せいでか………?)

 

 

そんな翔の姿を見て焔は自分のせいで翔がこんな怪我をしてしまった事に気付き罪悪感を覚えた。そんな翔に焔は心配の声を掛けようとした……が……

 

 

「………ハッ……ば、馬鹿な奴だ……。私なんかを放っておいたらそんな怪我なんてせずに済んだのにな……甘い奴だ………。」

 

 

(…!?ち、違……今はそんな事を言うつもりじゃ………)

 

 

「…お前、流石にそれは神経疑うわ……。」

 

 

焔はまたしてもそんな言葉を吐き捨てる……がこんな状況であるのにも関わらず意地を張った言葉を吐いてしまった事を後悔してしまった…。

……そんな焔に翔は怒る気も起きず完全に呆れ果てた表情を浮かべた……。

 

 

「……っ…いでで………とにかく……止血しねぇと……おい焔、俺の上着を脱がして……っ!?」

 

 

「………………?」

 

 

流石の翔も右肩の重傷の激痛が走る為に一旦止血しようと思い焔に上着を脱がしてもらうように言おうとする……が翔は突如驚きの表情を浮かべる……。そして焔も翔の表情、そして見えなくもないが薄暗いこの場所が更に暗くなった事に気付き背後を振り返ると………

 

 

 

 

 

 

 

「…………っ!!??」

 

 

「………こりゃあ……ヤバいかもな………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには………翔達よりも大きく…そしてモサモサの獣の毛のような髪の毛、額は2本の角……そして顔はお面のようなものが付けられた……そんな大型の化け物が翔達の前に立っていた………!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こ、この回と次回さえ乗り越えたら投稿する速度上がるかも…(確実に上がるとは言ってないw)



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炎を纏いし七本目の太刀

 

 

「………な……なんだ……コイツは……!?」

 

 

(………『妖魔』……まさか地下にこんなモン飼ってやがったのかあの連中は……。人工的に造った様子だが…上級クラスか……!)

 

 

突如現れた大型二足歩行の化物に焔は驚き、翔も内心で驚きつつもその化物を『妖魔』と呼んだ……。

 

 

 

 

………『妖魔』…古来より人々に仇なす存在として恐れられてきた存在であり、忍が現代にも存在する理由がこの妖魔を滅ぼす為であったのだ。

……最もその妖魔は忍によって生み出されている事はほんの一部の真っ当な忍しか知らないのだが………。

 

 

 

 

 

「ブオオオオオオオォォォォォォォォォォォォ!!!!!」

 

 

「「……っ!!!」」

 

 

大型妖魔は翔と焔を見て咆哮を上げた……。まるで獲物を見つけてように喜ぶかのように……。

 

 

「……へっ……へへへ………!どうやらこのバケモノ……殺り合いたい様子だな……上等だ……!!!」

 

 

「!?やめろ焔!!お前に敵う相手じゃねぇ!!さっさと逃げろ!!」

 

 

「黙れ!!怪我して役に立たないお前は引っ込んでいろ!!」

 

 

焔はその妖魔に恐怖を覚えつつもそう言い出し六刀を構えた。焔が妖魔と戦おうとしている事に翔は気付いて怒鳴るように制止の声を上げるも焔はそう言い返しては妖魔に突っ込んで行ってた……が………

 

 

 

 

 

 

 

……ゴッ!!

 

 

 

 

 

「……が……は…………!?」

 

 

大型妖魔の拳が焔の腹…いや、ほぼ体に直撃し、喰らった焔は血を吐きながら六刀を手放してしまい壁に叩き付けられてしまった……!

 

 

「…あ……あの馬鹿野郎が………!!」

 

 

大型妖魔の攻撃を受けてしまった焔を見て翔はそう言いつつも今度は自分が大型妖魔に突っ込んで行く。……幸いターゲットを焔にしている為か翔が近づいている事に気付いてはいなかった…………。

 

 

 

 

「あ……が………っ…!……ゲホッゲホッ………!」

 

 

焔は体に激痛が走りつつも血を吐いた…。今ので恐らくあばらの骨が何本か折れてしまった様子であった……。

 

 

………妖魔の存在は本来なら卒業した忍学生しか伝えることを許されない為に学生時代には存在すら隠されていた。……それ程忍にとって妖魔は脅威であり例え下級の妖魔であっても忍が殺される事例があった…。ましてや上級クラスであるこの妖魔に今の焔が敵う筈もなかった無かったのだ………!

 

 

「グ……グオオ…………!!!」

 

 

「……ひっ……ぁ………ぁぁ…………」

 

 

大型の妖魔が焔に近づいていく……この時焔は今までに感じたことのない恐怖と絶望…に包まれてしまった……。間違いなくこのバケモノは自分を殺すという事を……考えなくとも本能で察知し、逃げたくとも今のダメージと恐怖で動くことが出来なかった……が………

 

 

「…オラァッ!!!」

 

 

「グゴッ!!?」

 

 

「…!?」

 

 

そんな時、妖魔の頭部に強烈な一撃が加わり妖魔は大きくよろめいた……!翔が飛び蹴りを喰らわせたのだ……。

 

 

「油断したなバケモノめ、お前の相手はソイツじゃなくて俺だ!掛かってきやがれ!!」

 

 

「ぐ……グオオオオオォォォォォォ!!!」

 

 

翔は言葉は恐らく分かる事は無いが妖魔に向けて叫ぶ。それに妖魔は反応し、恐らく頭部を蹴られた事に怒ったのか翔に突っ込んできては拳を振り下ろすも翔には回避される。

 

 

(焔の野郎は逃げ……られねぇか今のを喰らって気絶しなかったのは幸いだが……とりあえずはコイツを焔から離さねぇと……!)

 

 

翔も今ので焔が今まともに動ける状態じゃない事を把握しては妖魔の攻撃をかわす事に専念しては出来るだけ焔との距離を離す事を考えた。

………しかし回避しているだけとは言え今の翔も万全な状態ではなかった。それは右腕の重傷の痛みもあるが………

 

 

「……ハァ……ハァ………!」

 

 

止血する暇も無かったが故に多くの血を流してしまっており目がかすんできてしまっていた……!…そして……

 

 

ドガッ!!

 

 

「ごはぁっ!!!」

 

 

妖魔の振るっていた腕に当たってしまい翔も吹き飛ばされ壁に叩き付けられてしまった……!

 

 

「しょ……翔………!!」

 

 

………そして再び妖魔は焔をターゲットに近づいていく……が………

 

 

「……っ…!『雷光』!!」

 

 

翔は左手を妖魔の足に向けて一直線に走るビーム状の電撃を放った……!それを受けた妖魔はそのまま地面に倒れ込んだ………!

 

 

「…くそっ……我ながら情けねぇ威力だ……!普段なら足を貫通できるほどの威力はあるってのにな……!」

 

 

翔は今の攻撃に苦虫を噛み潰したような表情で言う。……翔の言う通り肩の重傷も無く万全な状態であれば今の電撃で足を貫通させられる程の威力は出せ、それどころか焔を守りながらもこの上級妖魔すら葬れる実力はあった……。しかし今の状況ではそれが出来ない状態であったのだ………。

 

 

(………何故だ……何故なんだ……?…何で…アイツはあんな怪我をしながら……あのバケモノと戦う事が出来るんだ……?……それどころか……何で……私を守るんだ………?)

 

 

一方焔は妖魔と戦う翔を見て内心でそう思う……。焔からしてみれば重症を負った状態でもはや勝てる見込みもない状況であるのにも関わらず諦めずに妖魔と戦っている事を……そして何よりあれ程翔を否定していた自分を守ろうとしながら戦っている翔を見て焔はもう分からなくなってしまっていた………。

 

 

「ぐはっ……!!」

 

 

再び攻撃を受け倒れてしまう翔……しかしそれでもまだ立ち上がるが……かなりの出血によりフラフラになりまともに立っている状態にはなれなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

「……もう……もうやめろよ!!」

 

 

「……?」

 

 

突如焔が翔に向かって叫んだ………

 

 

「なんで…なんでそんな状態になりながらも戦うんだ……!?ましてや私なんかを守りながら………!……私なんか放っておいて……お前だけでも逃げればいいだろうが!!!」

 

 

「…………」

 

 

「……私は……私は散々お前やお前たちに暴言を吐き捨ててきた…!お前を妬み、お前の存在すら否定した…!そんな私を、お前が助ける義理なんて無いだろう!!」

 

 

焔は翔に向かって叫ぶ。……今まで焔が翔にしてきた仕打ち……それを考えれば自分なんかを守る理由なんて無いと思っての事であろう…実際焔の内心は翔を信用できないとはいえ死んでほしくない……そう思っていたのだ……だが……

 

 

「……確かにな……お前は散々鬱陶しい位に突っかかってきては罵倒してきたりと耳障りな事も吐いてきやがった……。」

 

 

「…………」

 

 

「俺だってまだ死ぬわけにはいかねぇしお前の言う通りこのまま放置して尻尾巻いて逃げてぇさ……けどな、頭ん中でそう思っていても体が言う事を聞かんのだよ。」

 

 

「……え………?」

 

 

翔は皮肉を言いながらも焔にそう言い、焔は少し驚きの表情を浮かべた…。

 

 

「昔と比べれば不愉快な奴になったとは思った………だがな、俺の中じゃお前をまだ仲間……親友だと思っているようだ……」

 

 

「…………っ……!」

 

 

「…だからその親友をみすみす死なせるわけにはいかねぇんだ…だからお前はそのまま俺に守られてやがれってんだ…!」

 

 

翔の言葉に焔は目を見開いた。

……そしてかつての事を思い出す……そう、子供の頃の悪ガキ連中と喧嘩した時の事……その喧嘩で焔は今のように不注意によって攻撃を受けてしまい負傷してしまい動けない状態であったが翔はそんな焔を守りながら戦っていた。その際焔は自分に構うなと言ったが……

 

 

『親友すら守れねぇのは男が廃るってモンだ!こっからはお前を傷付けさせはしねぇ、だからお前は俺に守られてろ!!』

 

 

……翔はそう言いながらも焔を守りながら戦い続けた。実際その後翔は焔に指一つ触れさせずに悪ガキ共を全員倒してしまっていた……。

 

 

 

 

 

 

(………あぁ………そうか…………)

 

 

 

 

 

 

(……コイツは……昔から……昔から変わっちゃいなかったんだ………)

 

 

 

 

 

(……それを……それを私は………男が全員……それも親友である翔までもアイツのように裏切ると思い込んでいたんだ………)

 

 

 

 

(……私は………私は………!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……め……ん……」

 

 

「…あ?」

 

 

「……め…ん………ご……めん…………ごめん……なさ……い………っ……」

 

 

焔は涙を流しながら翔に謝罪の言葉を呟いた……。翔は変わったところはあってもこういう所だけは昔から変わっていなかった事を……それを焔はかつて自分を裏切ったトラウマである男とみんな同じだと思い込んでしまっていた事……それがすべてあふれ出てきたのだった……。

 

 

「…だぁぁ、泣くんじゃねぇ!!泣いてる暇があるんだったら使える武器を寄越せ!!」

 

 

「……っ!……ぶ、武器………しかし……」

 

 

「あるだろ、その背中に背負ってる刀が!」

 

 

「え?…い、いや……しかしこれは………」

 

 

「何躊躇ってんだ!早く寄越せ!それとも形見か何かなのか?!」

 

 

そんな泣く焔に翔は叫びつつ武器を渡すように言う。そう言われた焔は先ほど吹き飛ばされた際に手放してしまった六刀に目を向けるが翔は焔の背中に背負ってある七本目の太刀を渡すように言う。しかし焔は何故か躊躇うように言う為に翔がそう言うと焔は慌てて翔に七本目の太刀を投げ渡した。

 

 

「……よし……これで少しは……っ!?」

 

 

翔は左手でそれを受け取ると使えない右腕の代わりに鞘を口で咥え太刀を抜こうとする……が………

 

 

「…!?ん、んだこれ!?抜けねぇ………」

 

 

「……わ、分からない……私も何故か……その刀だけは……抜けないんだ……」

 

 

「はぁ!?なんじゃそりゃ!?」

 

 

引き抜こうとするも何故かビクともしない事に翔は動揺していると焔もその刀を抜くことができない事を聞いた為に翔はそう反応をした。

……しかしそんな状況を妖魔は待ってくれず翔に攻撃を仕掛けてきた。

 

 

「……ちぃぃ!抜けなくとも鈍器ぐらいにはなるか!おらぁぁ!!」

 

 

「ぶ…グオオォォォォ!!」

 

 

翔はそう言いつつもその太刀を鈍器のようには扱えると思い妖魔の頭部を殴るように使った。確かにダメージは与えられているものの隙を作れる程度の威力しかなく妖魔は反撃を繰り返してきた……!しかし血を流している分翔の方が劣勢となり遂に膝を着いてしまった……

 

 

「はぁ……はぁ………」

 

 

「しょ、翔!!」

 

 

息を切らしながら膝を着く翔……そんな様子に妖魔もまるで勝ち誇ったかのようにゆっくりと翔に近寄って行った……

 

 

「くっそ…このひねくれポンコツ刀が……!俺らはこんなところで死ぬわけにはいかねぇんだよ!!」

 

 

翔は未だに抜けない太刀に悪態を吐きながら近寄ってくる妖魔に抵抗するかのように太刀を殴りつける構えを取った……

 

 

「抜けねぇ鈍らなんぞ……折れちまいやがれってんだ!!」

 

 

そう言いながら近づいてきた妖魔に向かって太刀を振り下ろした……瞬間………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズシャッ!!!

 

 

 

 

 

「………!?」

 

 

「ぐ………ブオオオオオオオォォォォォォォォォォォォ!!??」

 

 

突如浴びた返り血に翔は驚き妖魔の方を見ると……妖魔の胸に大きな切り傷が出来上がり血が噴き出していた…!

 

 

「……か……刀が……抜けた………!?」

 

 

焔もその光景と太刀を見て驚きの表情を浮かべた。そう、どういう訳か鞘が振るった瞬間に飛んでいき太刀が抜けていたのだ……。

 

……更にその瞬間………

 

 

 

 

 

ボワァっ!!

 

 

「うわっち!?」

 

 

「翔!?」

 

 

突如翔の周りに炎が噴き出た事に翔と焔も驚く。まるで炎が翔を纏っている状態となり太刀にも炎が纏われていたのだ……!

 

 

「…いや…熱くねぇ……そうか、この刀の力か………!」

 

 

翔はこの炎が熱く感じる事は無く、更にこの太刀が炎を噴き出している事に気付くとふらつきながらも再び立ち上がっては………

 

 

「………来いよ……バケモノの出来損ないが……」

 

 

「ぶ……ブオオオオオオオォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

 

翔がそう言うと妖魔は翔に向かって突っ込んで行き拳を振り下ろす……が……

 

 

ザシュッ!!!

 

 

「ブギャアアアアアアアアアァァァァ!!!」

 

 

翔は妖魔が振り下ろした腕を斬り落とし……

 

 

「……終わりだ!!」

 

 

ザァンッ!!ボオオオオオオオオオオオォォ!!!

 

 

「ブオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 

更に太刀を振るっては斬撃を浴びせつつ更には太刀の炎により妖魔は炎に包まれた。苦しみの声を上げる妖魔であったが段々と声が弱まっていき……

 

 

「ブ………オ…………」

 

 

そのまま焼焦げながらも倒れ込んだ。どうやら今の一撃で勝負がついた様子であった…。

 

 

………すると先ほど抜けた鞘が翔の持つ太刀に飛んで行ってはそのまま太刀は鞘に収まっていった……。その事に翔は少し驚きつつも再び太刀を抜こうとするが先ほどのようにビクともしなくなっていた。

 

 

「………っ……」

 

 

「!翔!!」

 

 

しかしダメージなどが蓄積していた翔はふらついた瞬間バタリと倒れてしまった。そんな翔の元に焔もフラフラになりながらも立ち上がっては翔の元へと駆け寄って行った……。

 

 

「翔…!大丈夫か………?」

 

 

「……こりゃあ…やべぇかもな………」

 

 

焔が翔に声を掛けるも翔の目は既にかすみ切っていた。無理もない、大量出血しているのにも関わらず戦い続けていたからだ……。焔は折れたあばらの痛みに顔をしかめつつも翔を運び出そうとした……が……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブオオオオオオオォォォォォォォォォォォォ!!!!」

 

 

「……っ!?」

 

 

焼き殺されたかと思われた妖魔が咆哮を上げながら立ち上がって来たのだ…!焔が驚く間も無く妖魔は焔と翔に向けて切り落とされてない方の腕を振り上げ殴りつけようとしていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザァンッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………っ……!?」

 

 

瞬間、突如上空から妖魔の頭部に何かが突き刺さった。今ので妖魔の頭部は貫かれたのか焔達に拳を振り下ろす前に拳が止まり……立ったまま生命活動を停止した………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ふぅ………」

 

 

「…ひ……びき………?」

 

 

妖魔の頭部の上には響輝が立っており両手には刀を手にしていた。どうやら今の攻撃で妖魔の頭部を刀で貫いた様子であった。

 

 

「翔くん!焔さん!!!」

 

 

響輝に続くかのように蒼鬼も現れては翔達の元へと駆け寄った……。

 

 

「……そう…き………か………?」

 

 

「っ!し、しっかり!しっかりしてください!」

 

 

「………流石に……今回は…やばかった………」

 

 

「っ!翔!!」「翔くん!!」「…!」

 

 

蒼鬼は今の翔の姿を見て驚きながらも翔に声を掛ける。……今までに翔がこんな状態になった事を見た事が無かったが故に蒼鬼も動揺が隠せずにいた。

 

そして翔は蒼鬼の姿を見て安心したのかそのまま力が抜けたかのように意識を手放してしまうのだった………。

 

 

 

 

 



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少年と少女の和解 ~喧嘩するほど仲のいい奴ら~

 

 

翔と焔の共同任務…更にあの妖魔との戦いから二日後……。焔は折れたあばらの事もあったが元々体が丈夫な事もあった為に実技授業以外の授業を受ける事には問題は無かった………のだがその当の焔は自室で塞ぎ込んでしまっていた……。自分が意地を張ったせいで翔がこんな事になってしまったと思い込んでしまったからであったからだ…。

 

 

一方翔も輸血や怪我の手当てをしたもののあれから眠り続けた状態であり今も目を覚まさなかった……。そんな状態で帰って来た翔をみて唯依と詠は泣きじゃくり、焔も泣きながら翔に「ごめんなさい……ごめんなさい……」と謝り続けていた事は選抜メンバーの記憶に強く残っていた……。

 

 

 

 

 

「…………………。」

 

 

そして場所は変わり翔が眠っている医務室……いつ起きるか分からない翔の傍に響輝、蒼鬼、唯依が見守っていた。……ただ唯依も泣き疲れて眠ってしまっていたが…。

 

 

「……ごめんなさい翔くん……私の意見を押し通したせいでこんな目に遭わせてしまって……。」

 

 

「…全くもってその通りだがいい加減懺悔の言葉は聞き飽きたからマイナス思考に考えるの止めなよ。今眠ってるけど翔が死ぬわけじゃ無いんだしさ…。」

 

 

「………ですが……いえ、そうですね………。」

 

 

今日も眠る翔に蒼鬼が謝罪するように言う……が、響輝はそんな蒼鬼を何処か鬱陶しそうに見ながら言う為に蒼鬼は言い訳しようとするが響輝の様子に察したのか黙り込むのであった…。

 

 

「……第一、翔の肩の怪我はあのガングロのしくじりのせいだろ?そうじゃなかったら翔自身万全な状態だしあんな妖魔程度簡単に始末出来た筈だ。……あのガングロにはそれを理解した上で翔に感謝して欲しい物だな…いや、無駄か……。」

 

 

「……いえ、それはは大丈夫だと思います。翔くんが目覚めた事に気付いたら焔さんは翔くんに謝罪する筈です…。」

 

 

「…あの引きこもっている様子から見てかい?私には悲劇のヒロインを気取っているようにしか見えないけど…」

 

 

「っ!ひ、響輝さん!!」

 

 

「………悪いね、私自身少し機嫌が悪いようだ……。」

 

 

「…あ、い、いえ………。」

 

 

響輝は焔の事をこれでもかと言う為に蒼鬼が指摘すると響輝は謝罪した。……今の様子からして外見からは普段とは変わらないが翔がこのようになった事などが色々あったが為に響輝自身も少し冷静ではいられなかったと把握したのか蒼鬼もそれ以上は何も言えず黙り込んだ……。

 

 

 

 

 

 

 

「……ぅ………ん……」

 

 

「!」

 

 

「!!翔くん!!」

 

 

「……ふぇ……!?」

 

 

突如翔の口から小さく声が聞こえた為に響輝達は翔が目覚めた事に気付いた。唯依も蒼鬼の声で目覚めた。

 

 

「………ぅ……ここは………?」

 

 

「…っ!翔くん!!」

 

 

「っ…おにいちゃあぁぁぁぁん!!」

 

 

「…うぉっ!?唯依…いででで!?」

 

 

翔が目覚めた事に蒼鬼は安心した表情になり、唯依も泣きじゃくりながら翔に抱き着く……も翔はまだ右肩の怪我が完治していない為抱き着かれた際に痛みが走ってしまった。

 

 

「……随分と遅いお目覚めだったね」

 

 

「…随分?てことはあれから何日たったんだ?」

 

 

「………まぁとは言っても二日くらいだけどね」

 

 

「…二日か……まぁ結構眠ってたようだな……。」

 

 

響輝が翔に何日眠っていたのかを教えると翔はここまで心配された事に納得する。響輝もそう言いながらも安心したのか小さく笑みを浮かべていた。

 

 

「……お、そうだ。あの馬鹿は大丈夫か?確かあばら折れてたっぽいが……。」

 

 

「あの馬鹿って……まぁ翔くん程の重傷でもなかったですし焔さん自身意外と回復が早かったから今は座学であれば授業は受けられる状態です。」

 

 

「…そうか……。」

 

 

「……ただ…………」

 

 

「?」

 

 

翔は焔は今どういう状態かを尋ねると蒼鬼がそう説明したために少し安堵した表情となる……が蒼鬼が何処か少し暗い表情になる為に「?」を浮かべる……が…

 

 

「……まさかアイツ、俺がこうなったっていう罪悪感で部屋に引き籠ってるってタマじゃあねぇだろうな?」

 

 

「………よく分かりましたね……?」

 

 

「まぁ付き合いは長い方だからな……。」

 

 

「……でも翔くんが目覚めたって分かったら安心するかと思います…。私、焔さんの所に行ってきますね。」

 

 

翔は焔が今罪悪感で部屋に引き籠っているという事を把握したのかそう答えると蒼鬼は少し驚いた表情となる。……確かに蛇女に来てからいがみ合っていたがそれでもその前は結構長い付き合いだったが為に翔も焔の事は大体は分かっていた様子であった。そして翔が目覚めた事を教え焔を安心させるために蒼鬼は焔の部屋へと向かうのであった……。

 

 

「…ぐすっ……お兄ちゃん……よかったよぉ……」

 

 

「悪かったな、心配かけて。」

 

 

「…全くだ、唯依もそうだが詠もギャン泣きだったよ。」

 

 

「そりゃあ詠にも悪い事したなぁ……。」

 

 

「……焔さんも…泣いてたんだよ…?ごめんなさいって……」

 

 

「また泣いてたのかよ……んで、部屋に引き籠っちまった…ってか……」

 

 

「…また?」

 

 

「あぁ、実はな……」

 

 

すすり泣きながらも唯依は翔に抱き着きながらそう言う。そして自分が眠っている時に詠は勿論の事焔もまた泣いていた事を聞きそう言う。そして響輝達に任務の時の話を始めるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________________________________

 

 

 

 

「…焔さん、大丈夫ですか?」

 

 

「………………。」

 

 

一方場所は変わり焔の部屋の前で蒼鬼はドアにノックしながら尋ねるも何も返ってこなかった。焔がそれ程ショックであった事を把握しつつも蒼鬼は再びノックをする……。

 

 

「焔さん、開けてもらっても良いですか……?」

 

 

「……………。」

 

 

蒼鬼は焔に尋ねるも返事も何も返ってこなかった。その事に蒼鬼は小さくため息を吐くと懐から何かを取り出した。

 

 

 

 

………カチカチ……ガチャッ

 

 

「……っ!?」

 

 

鍵の開く音が聞こえ中にいた焔はそれに気付き振り返るも既に蒼鬼がドアを開けていた。そして蒼鬼は何も言わずに部屋の電気を点けた。

 

 

「お、お前………」

 

 

「…ごめんなさい、返事が無かったので。」

 

 

「……プライバシーもクソも無いのか………」

 

 

「……もしもの時の為です…。少なからずとも自室とは言え早まる行動をとる生徒がいるかも知れないので……」

 

 

鍵を開けた蒼鬼に焔は皮肉を言う。しかし蒼鬼の言う通り部屋で早まった行動をさせない為にもスペアの鍵は用意されていたのであった。

……そして焔の顔を見ると……案の定泣き腫らした顔であった……。

 

 

「………翔くんが目を覚ましました。」

 

 

「…!……そうか………」

 

 

蒼鬼は焔に翔が目を覚ました事を話すと焔は少し驚きの表情を浮かべ、少し安心した表情をするもその表情は自虐的な笑みであった……。

 

 

「……会いに行かないのですか………?」

 

 

「…今更会いに行ったって……どうなるってんだ…。私のせいでアイツはあんな重傷を負う事になったんだぞ?」

 

 

蒼鬼は焔にそう言うが焔はそう返す。……やはり今回の一件、焔は責任を感じている様子であった。

 

 

「……今回だけじゃない、私は蛇女に入ってから今日までずっとアイツに八つ当たりするかのように当たって来たんだ。変に突っかかったり、ひがんだりと………」

 

 

「………………。」

 

 

「…翔だけじゃない……お前にも……そして他の奴らにもだ……。そんな私が今更アイツに会って謝る資格なんて………」

 

 

焔はそう言い続ける。………今の彼女に普段の様な覇気は無く弱弱しかった…。そして今まで自分が犯した罪の重さを感じており今更許してもらえる筈も無いと思い込んでしまっていた……。

 

 

………そんな時、蒼鬼は焔の元へと歩み寄ると……突如焔の両肩を強く掴んだ。

 

 

「…いい加減にしてください!何でそんな事思うんですか!?」

 

 

「……………」

 

 

「……確かに…確かに焔さんは今まで皆さんにそんな態度を取ってきました…。他の皆さんが焔さんをどう思っているかは分かりません……でもそれでも私はあなたを仲間だと思っています!今まで共にここまで歩んできた仲間なんです……!」

 

 

「…蒼鬼………」

 

 

「でも焔さんはそれに気付くことが出来たんです…!だから、だから今からでも遅くない……変わる事が出来るはずです……!」

 

 

蒼鬼は焔にそう話す。例え他の者が焔の事を嫌っていようとも蒼鬼は焔の事を大切な仲間である事を伝える。そして焔が今までの行動に気付くことができ、今からでも遅くは無いという事を話した。

 

 

「今更翔くんに会いに行く資格なんてない…許してもらえないとは言いましたが焔さんは翔くんがそんな人だと思っているんですか?焔さんはあの任務で翔くんが昔から変わってないって事を見たんじゃないんですか?」

 

 

「…………!」

 

 

「……大丈夫です。翔くんにちゃんと謝れば……許してくれる筈です…。確かに意地を張ると事もあると思いますが……翔くんは分かってくれるはずです……。」

 

 

そしてあの任務で翔が昔から変わっていないのを見た事、そしてちゃんと謝れば翔は絶対に許してくれるという事を蒼鬼は話した。

………それを聞いた焔は鼻で小さく笑うと………

 

 

「……そう……だよな……。分かって……くれるよな………?」

 

 

「…私も一緒に行きます。だから……ね?」

 

 

蒼鬼がそう言うと焔は小さく頷き、立ち上がった。そして蒼鬼と共に翔達の居る医務室へと向かうのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその道中、春花と出会い、翔が目を覚ました事を聞いては彼女も見舞いに行く為に同行する事になった。

 

 

「……そっか……翔くんにね………。まぁ、大丈夫なんじゃない?」

 

 

「…何か軽いですね……。」

 

 

そして焔が翔に謝りに行く話を聞いて春花は軽くそう言う。……何となくではあるが春花も翔は許してくれるであろうと思っている様子であろう……。

 

 

「………春花も…済まなかった……。」

 

 

「……それは翔くんと仲直りしてから聞くわ。」

 

 

「……そうか………。」

 

 

焔はここで春花にも謝罪をするが春花はそう返す。……どうやら春花は最初から焔が謝って来たのであれば許すつもりではあった様子であり、それに気付いた焔は少し申し訳なさそうな表情をするのであった。

 

 

………そして翔の居る医務室へとたどり着き……

 

 

「………大丈夫?」

 

 

「…あぁ、多分………。」

 

 

春花がそう軽く励ますと焔はそう返し、部屋の扉を開ける……が、中で翔達がワヤワヤと話をしており焔達が入って来た事に気付いていなかった。

 

 

「…そしたらアイツ泣きながらごめんなさいって……今はそんな状況じゃあないってのに泣き出しちゃうんだからさ~」

 

 

「まぁ確かに状況が状況だけど、焔さんもようやくわかったって事だよね。」

 

 

「まぁそうだろうね。……アイツ、普段は男勝りみたいな雰囲気出してるって言うのに、ああいう所だけ乙女になるんだからさ~、まぁそういう所、結構可愛いけどねw」

 

 

「ハハハ、確かにそれは思った事あった。」

 

 

………そしてあろう事か焔の話……それも話されれば結構恥ずかしいような話をワイワイとしていた……。

 

 

 

「……あらら……」

 

 

「…………………。」

 

 

それを見た春花はそう言いつつも何か面白い事が起こりそうと言わんばかりにニヤニヤしていた。そして蒼鬼は恐る恐る焔をチラッと見ると……案の定焔は顔を真っ赤にしながら怒りの表情を浮かべていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…翔!!!!」

 

 

「「「……!?」」」ギクッ

 

 

医務室にて焔の怒声が上がり、翔達はビクッと体を震わせた。

 

 

「お前って奴はぁぁ!!!」

 

 

「ほ、焔ぁ!?」

 

 

焔は怒りながら翔の元へと走り出し、焔が現れた事に翔はギョッとした表情になっていた。

 

 

「ぶっ殺したる!!」

 

 

バチンッ!!

 

 

「あ痛てぇぇ!?痛いじゃないの!!何すんのよこのヤロ!」

 

 

バチンッ!!

 

 

「んがぁ!?」

 

 

焔は物騒な事を言いつつも翔の鼻に強烈なデコピンを喰らわせた。翔は痛みに飛び上がりつつも仕返しに同じく焔の鼻にデコピンを喰らわせた。

 

 

「話は全部聞かせてもらったぞ!」バチンッ

 

 

「今のはジョークだよ!」バチンッ

 

 

「だまらっしゃい!」バチンッ

 

 

「うるちゃいわね!」バチンッ

 

 

翔と焔はそう言い合いながら鼻デコピン合戦を繰り広げて始めた。

 

 

「……折角仲直りできる状態だったのにあの二人は……と言うか翔くんは……」

 

 

「フフフ、でも喧嘩するほど仲がいい、それでいいんじゃないの?」

 

 

「………そうですね……。」

 

 

そんな2人を見て蒼鬼は呆れた表情になるが春花がそう言う。そして今の2人を見て何処か懐かしく思ったのか蒼鬼は小さく笑みを浮かべながら春花にそう返した。

 

 

「このっ…!」バチンッ

 

 

「コノヤロ…!」バチンッ

 

 

「コイツゥ…!」バチンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「屁のつっぱりは、いらんぜよ!!」

 

 

「…おぉ!?言葉の意味は分からんが兎に角凄い自信だなお前…!?」

 

 

翔が突如凄い自信でよく分からない言葉を言い出す為に焔は何故か驚きの声を上げた。そしてそんな焔の反応に何故か翔もズッコケてしまうのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………蛇女に入学してから散々いがみ合っていた翔と焔………

 

 

 

 

 

 

 

……しかし今の2人にはもういがみ合うような物はすっかり無くなっていた……

 

 

 

 

 

 




よ、ようやく……ようやく焔とのいざこざが終わった…w

これで一応翔と焔は和解を果たしたので次回からは結構変わってくるかと思います。(焔自身実はまだ迷いがあったりする部分はありますが……)


とりあえず次回からは数話は日常回になるかと思います。更新速度もどうなるかは分かりませんが次回もお楽しみに!



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翔親衛隊

 

 

「うおおおおぉぉっ!!」

 

 

「…………。」

 

 

キィンッ!!

 

 

翔と焔が和解してから数日後、焔は響輝と模擬戦の特訓をしていた。

 

……あれから焔が復帰した朝の授業の時に焔は今までの行いで不愉快にさせてしまった事を1人1人に、そしてその事全てを謝罪した。その行動に一同は驚きを見せたが焔の誠意ある謝罪、そして心から反省している様子を見た為に一同は快く焔を許したのであった。(光牙は興味なさそうな表情であったが……)

ただその際に未来が調子に乗った事を言い出したので焔にフロントチョークされたのは言うまでもなかった……

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ…………」

 

 

「…やるじゃん、重り付けながらもここまで動けるようになってるね…」

 

 

「……はぁ…だがまだ息切れしてる上に一撃も与えられないようじゃまだまだだな……」

 

 

息を切らしている焔に響輝はそう言うも焔はまだまだ満足していないように言う。……あの後焔も翔達と共に修行を行うようになり、響輝から指導を受けるようになっていた。

 

……あれ程焔に対して辛辣であったがあの時の謝罪もあるが「翔が許すならそれでいい」との事で彼女も焔を許したのであった。

 

 

「……よ、お疲れさん。」

 

 

「………ん。」

 

 

「お、おぉ、ありがとう。」

 

 

すると翔が現れては2人にスポーツドリンクを渡した。この数日で翔の怪我はほぼ完治……だが一応はまだ激しい動きをしないようにと翔には暫く修行を禁止するようにしていた。ただ、その際に流石にあの大怪我をこの数日でほぼ完治してしまうという回復の速さに蒼鬼は勿論の事一部の人物も疑問に思っていた……。

 

 

「調子はどうだ?」

 

 

「…あぁ、不思議と段々と実力が付いていく感じが実感できる……。」

 

 

「……まぁ気持ちの持ちようだね。私達と修行しなくともその気持ちで監督生の人の指導受ければ実力は付いていた筈だ…。」

 

 

「……そうだな……私がくだらない意地を張っていたからだろうな…。その気持ちが恐らく成長を妨げていた……そう言う事だろうな…。」

 

 

翔の言葉に焔は自身が今までとは違い実力が付いていっている事を実感していた。……事実焔は蒼鬼の指導の時点で実は実力がかなり向上出来ていた筈であったのだが以前のように翔達に対しての変な意地が彼女の邪魔をしていたが為に効果の半分くらいしか得られていない状態であった。しかし翔達と和解した焔は心に余裕が出来るようになった為に翔達との修行によって実力が付くようになっていた。

 

 

「……ま、今からでも遅くは無いさ。このまま修行を続ければバンダナの人は勿論の事、飴も超えられるんじゃないかな。」

 

 

「…え~っと……バンダナの人が籠鉄で飴が光牙だったっけ…?独特なあだ名付けるよね響輝って………」

 

 

「…響輝にそう言われたなら俄然やる気が出てきたな…!そうなればあの時に光牙に宣言した通りに私は最強の忍になる道のりが出来るって訳だ!」

 

 

(……その前にその光牙さんより強い鈴姉や鎧威先生にも勝たなくちゃいけないんだよ焔さん……)

 

 

「……ま、頑張れガングロの人…」

 

 

「…いや、だからガングロの人はやめろって、これは日焼けだっての!それに私の名前は焔だって言ったろうに!」

 

 

「………ホームラン…?」

 

 

「お前ワザとか!?ホームランはねぇだろ!?」

 

 

響輝は焔を励ますようにそう言う……も、未来の言う通りあだ名のクセが強い為に一瞬誰が誰なんだか分からなくなっていた。しかし響輝の励ましを受け焔はやる気を出した。……ただ、最後の最後で自分が付けられているあだ名に納得いかないのか響輝にツッコミを入れていたが……

 

 

 

 

 

 

 

 

「翔様、ここに居ましたか!」

 

 

「今日もご指導をお願いします!」

 

 

「……んぉ?おぉ、お前らか………。生憎今日も禁止令出てるから響輝に指導してもらう事になるかもだけどな…。」

 

 

「了解しました。」

 

 

そんな時、翔の元へと4人の少女たちが駆け寄って来た。青髪のミディアムヘアが特徴の少女、金髪ロングで少しギャルっぽい雰囲気の少女、他の少女達よりも小柄な少女、眼鏡っ子……それぞれ特徴があるような少女達が現れたのであった。

 

 

「……誰だアイツら?」

 

 

「お兄ちゃんの親衛隊……になるのかな?」

 

 

「親衛隊?アイツ親衛隊持ってたのか?」

 

 

「………とは言っても他の連中とは違って翔は気に入った人物じゃないと親衛隊入りさせてないけどね……。ま、私が指導してみた所素質はみんなあると思うよ。」

 

 

そんな彼女らを見て焔は「?」を浮かべていると唯依と響輝が説明する。『親衛隊』とは選抜メンバーの手下として所属する忍達……と言うよりも勝手に作られたに近い小隊のようなモノであった。一応焔も親衛隊は居る……のだが彼女もどちらかと言えば焔のファンが勝手に作ったかに近い物であった為に要は親衛隊はそれぞれの選抜メンバーのファンが作った組織みたいなモノであった…。

 

 

「………親衛隊…ねぇ……。何か詠お姉ちゃんに無理矢理もやし食わされてたり春花様に地下室で鞭でシバき回されてるような連中にしかイメージ無いかも…」

 

 

「…いや、何となく私もわかる気はするぞ……。一応私にもそれらしきモノはあったらしいが全然気にしてなかったからな……。」

 

 

未来がそう言うと焔も同感する。……詠と春花のせいで自分の趣味に付き合わされる可哀想な連中と言う偏見なイメージが付いてしまっていたからであった…。

 

 

「響輝様、ご指導お願いします!」

 

 

「…おk。今日は焔とも一緒だけどいいかい?」

 

 

「おkおk~」

 

 

「焔先輩、よろしくお願いしますね。」

 

 

「あ、あぁ…。」

 

 

翔の親衛隊達が響輝にそう言うと響輝がそう答えるのでギャルっぽい子がそう言い、眼鏡をかけた子が眼鏡をクイッとしながらも焔にそう言うので焔は少し戸惑いつつもそう返した。

 

 

「せ、先輩……今日もよろしくお願いしますね。」

 

 

「おk」

 

 

一方ミディアムヘアの少女は翔に指導を受けるのか挨拶をすると翔はサムズアップしながら立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指導が始まり数十分後、唯依、焔、未来と親衛隊は響輝と修行している一方で……

 

 

「フンフンフ~~ン♪フフ~~~ンフン♪フフ~~ンフフフンフン♪フンフフフフフフフフン♪」

 

 

「………………。」

 

 

少女が座禅をしている周りで翔は某神のジジイの如く妙な踊りを踊っていた。座禅している中でこんな事されてはハッキリ言って迷惑極まりないのだが少女は集中力を切らさずに座禅を続けていた。

 

 

「………何をしとるんじゃあいつは……?」

 

 

「…あぁ、あれが『涼花(すずか)』の修行だよ。どんな状況でもチャクラを錬られる集中力を高める為のね。」

 

 

「……なんだろ…後に「いい加減にしてください!」ってキレて真の力解放しそうな修行だね………」

 

 

一方、小休憩を挟んでいた焔達であったが翔が少女『涼花(すずか)』に行っている修行を見て唖然としてしまうが響輝の説明に未来はそう返した。

 

 

「………可哀想だけど涼花は忍に向いていない程に戦闘力が低いんだ。ハッキリ言って未来でも素手で倒せるレベルに…。今は分からんけど」

 

 

「…そ、そこまで……?」

 

 

「…しかし何故にそんな奴を翔が……?」

 

 

響輝が涼花の素質をハッキリと言う。響輝がここまで言うので間違いないのであろうと思うがふと焔は何故に親衛隊に入れたのかを疑問に思う。

 

 

「……戦闘向けでは無くて補助系統の忍術を扱うのが得意……つまりバフを掛ける忍術を持っているバッファー的な存在さ。治癒術もそこそこ使えるし……。」

 

 

「…な、成程……補助術を……。」

 

 

「……確かに重宝するなそれは………。」

 

 

響輝の説明に未来と焔は納得した。……涼花は戦闘能力は低いが忍の忍術の一種である『補助術』を使える忍であった。この補助術を使える忍はごく僅かでありそれもあってかあまり存在を知られてはいないが居れば居るだけで重宝する存在でもあったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふぅ~~~~~」

 

 

「…ひぃっ!?」

 

 

「はい、集中力切らした~~~」

 

 

「む、無理ですよ今のを突然なんてぇ~~~~/////」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………だからどんな状況下でも冷静にチャクラを錬られるように出来る修行だが……」

 

 

「…完全にセクハラじゃんかアレ……」

 

 

そして翔と涼花が行っている修行はどんな状況下でも冷静にチャクラを錬られるようにする修行……なのだが涼花の耳に息を吹きかけた翔を見て傍から見れば完全にセクハラであろう事に未来たちは呆れた表情となった……。

 

 

「……休憩時間も過ぎてますね。響輝様、引き続きご指導をお願いします。」

 

 

「えぇ~もう?もう少し休んでも良くない?」

 

 

「…何を言ってるの。翔様の顔に泥を塗らない為にも私たちはもっと強くならないといけないのよ。」

 

 

「うへぇ~~~『与那(よな)』っちは真面目だよね~~~」

 

 

「貴方が不真面目なだけでしょ……」

 

 

「ははは………」

 

 

眼鏡の少女『与那(よな)』は休憩時間が過ぎている事に気付いては響輝に指導の続きを申し出る為にギャルっぽい娘『雷夏(らいか)』が彼女にそう言う為に与那は呆れた表情をし、そんな2人のやり取りを見て小柄な少女『彩華(さいか)』は苦笑いをした。

 

 

 

 

………翔と響輝から指導を受けた唯依と焔と未来、そして親衛隊達は充実した修行の時間を過ごし、今日も実力を高めていくのであった……

 

 

 




ほのぼの(?)回です。今回は新たに翔親衛隊の登場となりました。今後もちょくちょくと登場していきますので彼女たちの活躍もお楽しみに!



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少年の優しさ・少女の想い

久々の半蔵側回(…と言うより斑鳩さん回)です。




 

 

蛇女の襲撃から数日後……半蔵学院のメンバーは次に蛇女が襲撃してきても返り討ちに出来るように霧夜からの修行を受けていた。今までのままではいけない為に霧夜も以前よりも厳しい指導を行っていた。

 

 

「…斑鳩!動きが遅い!どうした!?いつものお前であればこれくらいは避けられるであろう!」

 

 

「っ!は、はい!!」

 

 

無数の手裏剣(作り物)を回避するトレーニングにて……斑鳩が幾つか掠めてしまっていた為に霧夜が指示する。……霧夜の言う通り斑鳩のスピードであれば簡単に回避できるようなものであったのだが……

 

 

「……斑鳩のヤツ…何か調子悪そうだな……」

 

 

「…確かに何処か調子が悪そうですね…」

 

 

葛城や佐介達も斑鳩の不調を勘付いていた。

 

……佐介や飛鳥もそうであったが実は斑鳩も翔が敵となった事に少なからずショックを受けていたのだ。村雨との和解の架け橋となってくれた翔が蛇女の生徒であった為に今までの行動は自分達と接触して情報を得る為であったのかと疑ってしまうようになってしまったのだった……。

 

 

(……斑鳩もそうだが政宗も様子が可笑しいな…。蛇女の襲撃後…悔しいというより…あいつの目はまるで『復讐』しか見えていないような…そんな目だった…)

 

 

霧夜は斑鳩が調子が悪そうだという事を察しつつも今ここに居ない政宗も同じく何処か様子が可笑しいという事に気付いていた。そう、政宗もあの襲撃にて復讐相手である蒼鬼を見つけるも以前と同じく軽くあしらわれてしまったが為に誰が見ても分かるように様子が可笑しかったのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ……わたくしだけこんな事して……よろしいのでしょうか……?」

 

 

その翌日、斑鳩は霧夜の指示にて今日は修行を休むように指示された。ここ数日、斑鳩の調子が悪い事に気付きつつも昨日で確信したためにこのままでは修行に身が入らない事を把握したためである。無論斑鳩はその事に反対するも霧夜にその事を指摘されつつも…

 

 

「今のままでは修行をした所でお前の身に入らないだろう。一旦頭を冷やせ……と言うのは違うとは思うが今は心を休めて来い。」

 

 

そう言われた為に斑鳩は反論出来ずに霧夜の指示に従った。そう言われたがどうすればいいのかと途方に暮れていた所、何処から自分が不調である事を聞き取ったのか不明だが村雨が電話をかけてきて会おうと言い出したので斑鳩は村雨と待ち合わせしている喫茶店へと向かっていた……。

 

 

「……いえ、こんな気持ちでは態々わたくしの為に誘ってくださったお兄様に申し訳ないです。今はお兄様とお話をするのを楽しみにしましょう……。」

 

 

こんな様子では村雨を更に心配させてしまうと思い斑鳩は気持ちを切り替え、村雨に会えるという事を楽しみにしようと思うのであった……。

 

 

 

 

 

そして村雨と待ち合わせしていた喫茶店にたどり着き、中に入った。村雨がどこに居るのかを探し、村雨が居た事に気付くが何やら村雨は楽しそうに話をしていた為に誰か友人を連れてきているのかと思いつつ斑鳩は村雨の席へと向かう……が……

 

 

 

「……え……?」

 

 

村雨が話している相手を見て斑鳩は驚く。

………何故ならばそこには翔が座っており村雨と楽しそうに話をしていたからであった………。

 

 

「お、お兄様!!」

 

 

「ん?おぉ、妹よ来たか~~~~」

 

 

「よ、斑鳩さん。」

 

 

斑鳩は急いで村雨の元へと駆け寄り村雨に声を掛けると村雨と翔は斑鳩に気付きそう返したが……

 

 

「お兄様!その人から離れてください!」

 

 

「お、おいどうしたんだよ妹よ!?」

 

 

「そ、その人はわたくし達の……半蔵学院の敵である蛇女子学園の忍なんです!!」

 

 

「…………。」

 

 

斑鳩は村雨を庇うように前に出てきてはそう言い出す為に村雨は戸惑う。一方翔はそんな事を言い出す斑鳩に呆れたように以前彼女に向けていたような表情となっていた。

 

 

「い、いや、蛇女である事は知ってるがダンナは……」

 

 

「いけませんお兄様!!この方はわたくしを……わたくし達を騙していたんです!」

 

 

「お、おい斑鳩……!」

 

 

「わたくし達の和解の架け橋となったフリをしてこの方は……この方は自分達と接触して半蔵学院の情報を得る為に……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい加減にしろ!!!」

 

 

 

 

「……!?」

 

 

「…!」

 

 

斑鳩が翔の事をそう言い続けていた瞬間……村雨が怒声を上げた。その事に斑鳩はビクッと体を震わせ、翔も少し驚きの表情を浮かべた。

 

 

「お前たちに何があったのかは知らんし半蔵蛇女と言う関係もあるからかも知らんがダンナはそんな事しねぇ!!この人は俺を助けてくれ俺達を和解に導いてくれた恩人なんだよ!!」

 

 

「お、お兄さま……」

 

 

「これ以上ダンナの事を侮辱してみろ!!例え和解したとてお前を許さないぞ!!」

 

 

「……っ………!」

 

 

村雨は斑鳩に怒鳴るようにそう言う。……半蔵と蛇女…そう言う関係である事は知っているがそれでも翔は村雨にとって恩人であった。そんな彼にそんな事を言う斑鳩に怒りを覚え、彼女にそう怒鳴りつける。

………すると斑鳩は村雨にそう言われ、ショックを受けたのか涙を浮かべており村雨も冷静になると………

 

 

「………すまん、言い過ぎた…。だがな妹よ、確かにダンナの立ち位置は悪忍だがダンナはそんな事は考えねぇしそんな事はしねぇ。俺らの和解をダシにする事なんてしてねぇ……そうだよな、ダンナ?」

 

 

「………」コクリ

 

 

「…………………。」

 

 

涙を浮かべていた斑鳩を見て村雨は言い過ぎた事に謝罪し、斑鳩に翔の事を説明する。悪忍だからと言って翔はあの時の事を利用していないという事を明かす為に。

……暫く沈黙した空間が続くが……

 

 

「…そうだ!お前らまだちゃんと話し合ったり遊んだりしてないからそう言う事になってるんだよな!そうだ、そうに違いない!!」

 

 

「……お兄様……?」

 

 

すると村雨は何かに気付いたのかそんな事を言い出す為に斑鳩は少し疑問に思うと突如机に結構な額の金を置き……

 

 

「ダンナ!金は出すから妹と遊んでやってくれねぇか?ダンナと遊べば妹もダンナの良さを分かってくれる筈なんだ!!」

 

 

「え…?えぇ!?」

 

 

「…いや、俺はいいんだが……金まで出してくれて良いのか?」

 

 

「良いって事よ!ダンナと妹が仲良くなってくれれば俺も嬉しいでさぁ!!そんじゃあ俺はお邪魔にならねぇようクールに去るとするぜ!」

 

 

「あ、ちょ…お兄様!?」

 

 

すると村雨は自分の奢りで斑鳩と遊んで欲しいという事を翔に頼む。斑鳩はその事に驚き翔も少し戸惑うがそう返すと村雨はそう言いながら喫茶店から出ていこうとする。そんな村雨を斑鳩は呼び止めようとすると……

 

 

「……妹よ……頑張れよ!!」

 

 

「いや…何がですか!?」

 

 

村雨はサムズアップで斑鳩を応援しつつ出て行ってしまう為に斑鳩はどういうことなのか分からず仕舞いになってしまった………。

………村雨が出て行ってしまい沈黙が漂う中、斑鳩が翔の方を向くと……

 

 

「……………。」

 

 

「ぅ……」

 

 

翔は何処か不貞腐れたような表情を浮かべていた。無理もない、自分が先ほどあれだけあんな事を好き放題言ったが為に機嫌を損ねてしまったという事を斑鳩は把握した。

 

 

「あ……あの……翔……さん………?」

 

 

「………何?」

 

 

「お…怒って……らっしゃいますよね………?」

 

 

「あ~~~もう滅茶苦茶にね。今にもアンタを滅茶苦茶に(意味深)したいくらいだよ。」

 

 

「ぅぅ………。」

 

 

斑鳩がそう尋ねると翔はそう答える為に斑鳩は項垂れる。

……真面目な斑鳩は気付いていないがこの男、怒ってはいないのである……

 

 

「…そ……その……ご…ごめんなさい………」

 

 

「…え~~?どうしようかなぁ~~~~~?」

 

 

「ぅぅ………」

 

 

斑鳩の謝罪に翔は意地悪な言い方でそう返すので斑鳩はシュン…と落ち込む。

何度も言うがこの男、怒っておらずからかっているのである……

 

 

………そんな時、翔はチラリと落ち込んでいる斑鳩の方を向くと……

 

 

「……ちょい、ちょい……こっち来い」

 

 

「……?」

 

 

翔が近寄るよう呼び掛けるので斑鳩は「?」を浮かべつつも言われたとおりに翔に近寄り翔が座っている席の横に立った……瞬間……

 

 

「……っっっっ!!????」ムギュッ

 

 

「……お……っ!?」

 

 

あろう事かこの男、斑鳩の尻を鷲掴みにした。突然の行動に斑鳩は驚きつつ一瞬で顔からボッと音が聞こえる位に赤面した。一方鷲掴みにした翔も何故か驚きの表情を浮かべていた……

 

 

「……服越しからして意外とスラッとして見えたが……結構でけぇ……サイズは…詠のデカケツと同じくらい……か?」サワサワ

 

 

「ぇ…!?いや……うぇ………!?////」

 

 

「詠のデカケツと同じくらいのサイズでありながら柔らかさは違って……ほぉ…これはこれは……」

 

 

「しょ…翔さ……や、やめ……////」

 

 

「乳と良いケツと良い……こりゃあ弟子がセクハラすんのも頷け…「…いい加減に……なさい!!!」ごべぇ!?」バチーンッ!!

 

 

翔はそんな感想を述べながら斑鳩の尻を撫で回したり掴んだりと……好き放題していた。一方斑鳩は赤面しながら動揺しつつも……段々と怒りが込み上げては伝票ホルダーで翔の頭をぶっ叩いた。

 

 

「い、斑鳩ちゃん何もそんな怒らんでもええやねん~」

 

 

「怒るに決まってるでしょうが!?大体突然何してるんですか貴方は!?」

 

 

「フン、ケツ触らせただけで許してんだ。その寛大な心に感謝して欲しいね~」

 

 

「セクハラしてる時点で許すもクソも無いでしょうがぁぁぁ!!」

 

 

「…ほら斑鳩さん、そんなに騒いでると他のお客さんに迷惑でしょーが…」

 

 

「っっっ……!!(こ、この人は……!!)」

 

 

伝票で殴られてタンコブが出来た翔は斑鳩にそう言うも案の定斑鳩は怒りながら盛大にツッコミを入れた。

……しかし翔が突然そんな事を言い出すものなので斑鳩は言葉が詰まり、内心で村雨が言っていた翔の滅茶苦茶ぶりを実感するのであった……。

 

 

「あ、斑鳩さんよ、この喫茶店はこれがうまいんだぜ?」

 

 

「……あれだけの事しておきながらよく何事も無かったような様子になれますね……?」

 

 

「んなモン一々気にしてたら人生楽しく生きれないぜよ?」

 

 

「………もういいです……」

 

 

盛大にセクハラしておきながら何事も無かったように話しかけてくる翔を斑鳩はジト目で見ながらそう言うも翔はそう返してくるのでこれ以上続けても逆に疲れてくるであろう事に気付き斑鳩は諦めた表情になりながら翔のおススメしたパンケーキを注文するのであった。

 

 

「…あ、美味しい………」

 

 

「だろー?アンタの兄貴にも勧めたらうめぇうめぇって言ってたよ。」

 

 

それを食べた斑鳩は本当に美味しかった為にそう呟き、それを聞いた翔も斑鳩と同じく美味しいと言っていた事を話した。その後暫く話をした後、2人は喫茶店を出ていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「お、ゲーセンがあるじゃん。行ってみようぜ。」

 

 

「え?で、ですがわたくし…こういった所は……」

 

 

「だろうな、雰囲気的に行きそうにもなさそうだし。ま、行ってみりゃ楽しいって。」

 

 

「あ、ちょ……///」

 

 

喫茶店を出て暫く歩いているとゲームセンターがあったので翔は行こうと誘うも斑鳩は行った事が無い為に戸惑っていたが翔はそう言うと斑鳩の手を引いてゲームセンターへと入って行った。

中に入ると色々なゲームの音が響いた為に斑鳩は少し驚いていたが少しずつ慣れていき、翔と一緒に色々なゲームをしていった。

 

 

 

 

 

 

「どうだ?楽しかったか?」

 

 

「えぇ、初めてでしたが…楽しめました。……その……これ、本当にくださって良かったのですか……?」

 

 

「いーのいーの、プレゼントだと思って受け取って。」

 

 

ゲームセンターを出た翔と斑鳩……2人とも楽しんだ様子であり、斑鳩も初めてでありながらも楽しむことができた様子であった。そんな斑鳩はくまのぬいぐるみを抱いており、どうやら翔がクレーンゲームで取ったのをプレゼントした様子であった。

 

 

「お、ソフトクリームか。一緒に食べようぜ」

 

 

「あ、はい……。」

 

 

すると今度はソフトクリーム屋を見つけた為にそこで一息つく為に2人は向かい、2人ともバニラ味のソフトクリームを買って食べた。

 

 

「んめぇ……やっぱりソフトクリームはバニラだよな。」

 

 

「そうなのですか?……そう言うこだわりとかあるんですか?」

 

 

「いや、別にその辺は気にしてねぇけどやっぱりソフトクリームはバニラが定番だよなって感じだよ、異論は認める。」

 

 

「み、認めるんですか………」

 

 

ソフトクリームを食べながら2人はそんな会話をした。何気ない会話であるが斑鳩も不思議と楽しく感じていた。

そして食べ終えた2人は次にどこに行こうかと立ち上がると……

 

 

「……ぐすっ……うえぇぇぇん………」

 

 

「ん?」

 

 

「……どうしたのでしょうか……?」

 

 

突如子供の泣く声が聞こえ、その方を向くとそこには男の子が1人泣いていた。

 

 

「おう、どうしたんだよボウズ?」

 

 

「ぐすっ……おかーさんが居なくなっちゃって……」

 

 

「はぐれてしまった……のですね……」

 

 

翔が泣いている子供に尋ねると母親とはぐれてしまった様子である事を2人は察した。

 

 

「このまま放っておくことはできませんね……お母さまを探しましょう。」

 

 

「せやな」

 

 

「ぐすっ……ぐすっ………」

 

 

「これこれ、男がピーピー泣くんじゃないの。……そうだな……ちょっち待っとれ。」

 

 

このままこの子を放っておくわけにはいかないので2人は母親を探す事にした。それでも子供は未だに泣き続けるので翔はそう言うと斑鳩に子供を任せては先ほどのソフトクリーム屋まで走り出し……

 

 

「ほれ、これ食って泣き止め。」

 

 

「……え?良いの?ありがとうお兄ちゃん!」

 

 

「……………。」

 

 

翔はソフトクリームを買ってきては子供にそれをあげた。ソフトクリームをもらった子供は泣き止んでは嬉しそうにそれを食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

……その後、翔と斑鳩は子供に母親の特徴を聞いては一緒に母親を探した。暫く探し回るが現れる気配は無かった……。

 

 

「多分向こうも探してるはずだろうからそう遠くには行ってないが……」

 

 

「そう……ですね……。………?」

 

 

翔がそう推測し、斑鳩も同感して頷く……がふと斑鳩は視線を感じで子供の方を向くと子供はジッとくまのぬいぐるみを見つめていた。

 

 

「……え……えっと……これ、欲しいの……?」

 

 

「…………」コクン

 

 

「……そ……その……」

 

 

どうやらくまのぬいぐるみが欲しい様子であり尋ねると子供は頷く。……しかしせっかく翔がとってくれた物である為に斑鳩はそれを思い戸惑うが……

 

 

「いいよいいよ、斑鳩さん。」

 

 

「よ、よろしいでしょうか………?」

 

 

「斑鳩さんがそう思うならそれでいいよ。」

 

 

翔は斑鳩の様子から察し、斑鳩にそう言う。そう言われた斑鳩は翔に少し申し訳なさそうに思いつつも子供にくまのぬいぐるみを渡した。

 

 

「ありがとう、お姉ちゃん!」

 

 

「……ったく、子供の頃からそんなに欲しい欲しい言ってちゃ、ロクな大人になんねーぞぉ~?」

 

 

嬉しそうにする子供に翔はニヤニヤしながらそう言った。

 

 

「あぁ、ボウヤ!」

 

 

「あ、おかーさーーーん!」

 

 

そんな時、ようやく子供の母親が現れ、親子は再会を果たした。

 

 

「おにーちゃん達がおかーさん探してくれてたの~!」

 

 

「申し訳ございません、本当にどうもありがとうございます……!」

 

 

「いえいえ、お気になさらず。」

 

 

母親が翔達にお礼を言いながら頭を下げ、斑鳩はそう返す。

 

 

「アイス買ってくれて、ぬいぐるみもくれたの~」

 

 

「もう、この子ったら……。ごめんなさい、アイス代やぬいぐるみは……」

 

 

「いいよいいよ、気にせんと貰ってってくれ。」

 

 

「本当にごめんなさい……ほら、ボウヤも……」

 

 

「お兄ちゃん、お姉ちゃん、ありがとう!」

 

 

子供がソフトクリームやぬいぐるみをくれた事を話すと母親は申し訳なさそうにしながらもお金を出そうとするが翔はそう返した。そして子供が翔達にお礼を言うと親子はそのまま去って行くのであった……。

 

 

「……ごめんなさい翔さん……折角あのぬいぐるみをくださったのに……」

 

 

「気にすんなって。でも斑鳩さんも優しいよな、ぬいぐるみ渡したんだから。」

 

 

「いえ……でもそれは翔さんのくださった物でしたが……。それを言うなら翔さんもすぐにソフトクリームをあの子に買ってあげたのですから翔さんの方が優しいですよ。」

 

 

「でも村雨の金だけどな。」

 

 

「………そう言えばそうでしたね……」

 

 

斑鳩は折角プレゼントしてくれたぬいぐるみを子供にあげてしまう事になった事を謝罪するも翔はそう返しつつそんな斑鳩が優しい事を言う。そう言われた斑鳩はそう言いつつも翔も同じくソフトクリームを買ってあげた事にそう言う……もよくよく考えれば村雨の金であった事を思い出した。

 

 

(……ですがあの様子から……恐らく翔さんは自分のお金であってもあの子にソフトクリームを買ってあげてたでしょう……。だから……翔さんの優しさは……本物ですね……)

 

 

しかし先ほどの様子からして村雨の金が無くとも翔は子供に買ってあげていたであろう事を予測しており、その事から斑鳩は翔が本当に優しい人物である事を実感していた……。

 

 

「もう時間も時間だし、帰ろうか。送ってくぜ。」

 

 

「いえ、大丈夫ですよ。」

 

 

「んなこと言うなって、夜道に女一人は危ないぜ。それとも俺が蛇女のヤツだから半蔵まで近づけないってか?」

 

 

「そ、そう言う訳では……で、でしたらお願いします……。」

 

 

すると既に暗くなり始めている為に2人は帰る事にし、翔は斑鳩を半蔵学院の寮まで送って行こうとするが斑鳩は気を遣わせないようにそう言うが翔がそう言い出した為に勘違いしてもらわない為にもお言葉に甘えて一緒に半蔵学院まで向かうのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………翔さんは………」

 

 

「うん?」

 

 

「……翔さんは……どうして蛇女に入ったのですか……?」

 

 

帰路に着く中、斑鳩はふと翔にそんな事を尋ねる。……確かに最初は滅茶苦茶であったが翔が優しい人物である事を知り、そうでありながらも何故蛇女…悪忍の道に行ってしまったのかを気になり斑鳩は尋ねた。

 

 

「あぁ、スカウトされたからだ。」

 

 

「す、スカウト……ですか?」

 

 

「うん、今担任のセンセなんだけどな、俺と響輝…あぁ、相棒な。突然俺らの前に現れてスカウトしてきたんだよ。まぁ行く当てとかやる事が無かったから受けたけどな。」

 

 

「あ……あっさりですね………」

 

 

「まぁな、正直蛇女って名前からして女子高なのに何でスカウトしてきたのか疑問だったけど特別枠で入れてくれたんだ。入ったら入ったで男何人かいたけどな。」

 

 

翔は蛇女に入った理由を……響輝と一緒に鈴音にスカウトされた話をすると斑鳩はあっさりとした話であった為に少し唖然としてしまった……。

 

 

「じゃ……じゃあもしも……もしも半蔵の先生が蛇女にスカウトされる前にスカウトしてきていたら……」

 

 

「まぁ半蔵に行ってただろうな……」

 

 

「か……軽いですね………」

 

 

すると斑鳩はもしも蛇女がスカウトする前に半蔵がスカウトしてきていたらの話をすると翔がそう答える為に苦笑いとなった。

……要するにどっちでもよかった……との事であったのだ。

 

 

「………翔さん……」

 

 

「どったの?」

 

 

「…………やはり翔さんは……半蔵に来るべきだと思うんです……。確かに最初セクハラしてきては滅茶苦茶な事を言ってましたが……それでも翔さんは優しいお方である事を知りました。そんな翔さんと……佐介さんと飛鳥さんが争うのはやはりおかしいです……!だから……今からでも半蔵に……」

 

 

「…悪いがそれは出来ねぇな」

 

 

「…っ………」

 

 

斑鳩は翔に半蔵に来るように説得する。……今日まで疑っていた翔の優しさを知り、村雨と自分が和解に至るまでの事に尽くしてくれた事が真実である事を知った。そんな翔が佐介と飛鳥と敵対同士になってしまうのは悲しい事である為にそうならない為にも半蔵に来て欲しいと願うが翔はそれを蹴った。

 

 

「確かにアンタが俺や佐介達を思ってそう言ってくれてるのはよく分かる。だがな、そんな事をすれば俺は蛇女の仲間達を裏切る事になる。だから仲間を裏切るって真似は俺には出来ねぇな。」

 

 

翔は斑鳩が自分や佐介達を思って言っている事を理解した上でそう返す。……翔の言う通り半蔵に寝返ってしまえば蛇女の仲間達を裏切るという事になるからだ。

 

 

「……恐らく今アンタは悪忍にも仲間意識があるのかって思ってるんじゃないか?」

 

 

「い、いえ……そんな事は………」

 

 

「…まぁ無理も無いだろう。悪忍の実態とか知らねぇんだから噂だけ聞けばそう思っちまうだろうからな。でも俺からハッキリ言わせてもらえば善忍も悪忍もおんなじだよ。」

 

 

「……え?」

 

 

翔は今の言葉を聞いた斑鳩が何を思っているのか分かっているのかそう言う。そして翔から見れば善忍も悪忍も同じである事を言う為に斑鳩は少し驚きの表情を浮かべた。

 

 

「ま、簡単に言えば手を汚す事が多いか少ないかの話だよ。それ以外はハッキリ言っておんなじだ、善悪に分ける意味がねぇ。」

 

 

「………そ、それはどういう……」

 

 

「…ま、俺が勝手に思ってる事だ、気にすんな。……でも斑鳩さんも生き続けて忍ってのを続けていれば…分かるんじゃねぇかな?今の俺の言葉を……」

 

 

「………………。」

 

 

翔の言葉に少し理解できないのかそう尋ねるも自分の戯言だと誤魔化すように言うが斑鳩も忍を続けていれば分かってくるであろうという為に斑鳩は今は分からない為に黙り込んだ……。

 

 

「……っと……話してる間に着いたぜ。」

 

 

「…あ…そ、そうですね。」

 

 

そして話している間に半蔵学院に着いたのであった。

 

 

「そんじゃあ次会う時も善忍悪忍の抗争じゃなくまたこうして遊びに行ってる形で会いたいもんだな。」

 

 

「ぁ………。」

 

 

翔がそう言うと斑鳩も気付く。……半蔵と蛇女…つまり善忍悪忍同士である為に次会ったときは今日みたいではなくまた前みたいに敵同士で戦わないといけないかもしれないからだ。それに気付いた斑鳩は少し暗い表情となった……。

 

 

「………そぉい!」パァンッ

 

 

「…きゃあ!!??」

 

 

しかし翔はそんな暗い表情をしている斑鳩の尻を叩いた。(流石に詠の尻を叩いているレベルではなくそこから更に落としたレベルで)尻を叩かれた斑鳩は真っ赤になって悲鳴をあげ、尻を両手で抑えた。

 

 

「そんな暗い顔すんなって!あんたはやっぱ笑ってた方が可愛いぜ!そんじゃあまたな~~~!」

 

 

「ちょ…!また……!!待ちなさい、翔さん!!」

 

 

翔は斑鳩にそう言うとそのまま去って行ってしまう。またもやセクハラみたいな事をされた為に斑鳩は赤面しながら怒って騒ぐも翔はそのまま去ってしまった。

 

 

「……全く……あの人は………///」

 

 

尻を叩かれた事に斑鳩は赤くなりつつも少し怒った表情でそう呟く……。しかし今日一緒に過ごした事で翔は悪い人では無かった事を知れたために安堵し、そして小さく笑みを浮かべるのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、お帰りなさい斑鳩さん!」

 

 

「おう、遅かったじゃねーか!」

 

 

半蔵の寮に帰ると飛鳥や葛城達、政宗以外の半蔵メンバーが斑鳩を出迎えてくれた。

 

 

「斑鳩先輩、どうですか…?」

 

 

「気分…晴れた?」

 

 

「…えぇ、心配かけて申し訳ありません。」

 

 

今日の休みで心を休められたかを佐介と雲雀が尋ねてきたので斑鳩は微笑みながら心配かけた事に謝罪をし、佐介達は斑鳩が大丈夫そうである事を把握し、安堵した。

 

 

「ところで斑鳩、どこ行ってたんだ?」

 

 

「……その事なんですけど……佐介さん、飛鳥さん……」

 

 

「……?どうしましたか?」

 

 

葛城は今日斑鳩は何処で過ごしていたのかを尋ねると少し困った表情をするが話すべきだと思った斑鳩は佐介と飛鳥の方を向く。

 

 

「………今日、あなた達のお兄さんと会いました。」

 

 

「……え…!?」

 

 

「しょ、翔兄さんに……!?」

 

 

「お、おい…ししょ…いや、翔のヤツにか…!?お前大丈夫だったのかよ!?」

 

 

斑鳩の言葉に佐介と飛鳥は勿論の事他のメンバーも驚き、葛城は心配して駆け寄って来た。……やはりあの一件にて葛城も翔を疑うようになっていた様子であった。

 

 

「…………佐介さん……飛鳥さん………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………あなたのお兄さんは……翔さんは……やはりあなた達が思う人でした……」

 

 

「「………!!」」

 

 

斑鳩は小さく微笑みながら佐介と飛鳥にそう言う。それを聞いた2人は驚くも……斑鳩の言葉から翔はやはり自分達が思う優しい兄であった事を知り、2人は涙を浮かべながらも嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

 

「……そっか……お前がそう言うんだったらそうなんだよな……。いやぁ良かった良かった~師匠が悪い人じゃなくてよ~。やっぱり思った通りだったぜ~」

 

 

「………嘘を吐け、お前今師匠呼びじゃなかっただろうに……」

 

 

「しょ、しょうがねぇだろうが~あんな事あったら疑っちまうだろ?」

 

 

斑鳩がそう言う為に葛城は最初から翔が悪い人物ではないと分かっていたかのように言い出すも柳生に突っ込まれてしまうのであった。

 

 

「……でもだったら何で佐介くんと飛鳥ちゃんのお兄ちゃん、蛇女に行っちゃったのかなぁ?」

 

 

「………何でも聞けばスカウトされたとの事で……。しかも聞けばもし半蔵が先にスカウトしていればこちらに来ていたとの事で…」

 

 

「えぇ……(困惑)」

 

 

「なんじゃそりゃ……」

 

 

雲雀がふと疑問に思うと斑鳩は先ほど翔が答えた事を話すと一同は苦笑いか少し呆れた表情になった。聞けば完全に気まぐれである様子であったからだ。

 

 

「で、でもだったらお兄ちゃんに半蔵に来るように言えば……」

 

 

「私も説得しましたが……応じてくれませんでした。蛇女を裏切る事はしたくないとの事で……」

 

 

「……そんな………」

 

 

飛鳥は説得すればこちらに来てくれるのではと思うが先ほど斑鳩が説得したように翔はその話を蹴り、蛇女を裏切る真似はしないと言った事を説明すると佐介と飛鳥は落ち込んでしまった……。

 

 

(………出来れば佐介さんと飛鳥さんが悲しむような事にはさせたくない…。どうしたらいいのでしょうか……?)

 

 

落ち込む佐介と飛鳥を見て斑鳩は翔と戦わせて悲しむ事にはさせたくないと思うが一体どうすればいいのか考えるも……答えは出る事は無かった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

善忍と悪忍……果たしてそれは争い合うしかない運命であるのか……?

 

 

……それとも………

 

 

 




~オマケ~

葛城「ところでお前、師匠と一日一緒に居たって言ってたけど何してたんだ?」

斑鳩「え…?い、いえ…ただ喫茶店で食事をして、ゲームセンターに行って、一緒にソフトクリームを食べて半蔵学院まで送ってくださって……」

柳生「……それ……完全にデートじゃないのか…?」

斑鳩「……デッ!!!???/////」(赤面)

柳生「…まさか……気付いていなかったのか……?」

葛城「お前、案外鈍いな……」




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