底辺トレーナーとダイヤモンドの輝き (A×K)
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第1レース

サトノダイヤモンドが完凸して
運命感じて(?)可愛かったので書くことにしました。

いざ、参らん!


───むかしむかし…いや、数年くらい前の話か。

 

1人の女の子が変な男数名に囲まれてるのを見かけた。

ただ事じゃないって、そう感じて…飛び込んだはいいものの

結果はボコボコにやられた。

 

騒ぎが大きくなってそいつらは逃げたけど…その女の子は無事だった。

 

?「…あの…」

「…あははっ…いてて…大丈夫?」

その問いに女の子は小さく頷いた。

 

?「…血が…出てる」

「大丈夫大丈夫!大したことないよ!」

…って言ってるけど…本当はめちゃくちゃ痛い。

 

?「ダイヤ!大丈夫っ!?」

?「あっ…お母さん…!」

ダイヤ?…あぁ、この子の名前かな…というか今見たら馬の耳が生えてるし。

 

「…君、ウマ娘だったんだね」

ダイヤ?「はいっ」

ダイヤ?の母「だ、大丈夫ですかっ!?…すいません、何とお詫びをしたらいいのか…!」

 

よろよろと立ち上がり、ニコッと笑った。

「いいんですよ…好きで人助けしたまでです」

そして、女の子の顔を見た。

 

「君の名前、聞いてもいいかな?」

ダイヤ?「…サトノダイヤモンド…です♪」

「…そっか、なら~…サトイモ?」

サトノダイヤモンド「…む、むーーっ!!」

 

頬を膨らましながらポカポカと胸を叩かれた。

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

?「…おーーーー…い…」

「……むにゃむにゃ…」

?「…あいっ変わらずだな…おーい!」

「…はっ!!!…なんだ、夢か…」

?「お前…また寝てたろ」

 

眠い目を擦りながら大きく伸びをした。

…あ、お前誰だよってなるよな。

 

俺の名前は 深川 浩二(ふかがわ こうじ)

…んで、隣にいるやつは…まぁ、同僚の貴浩(たかひろ)ってやつ。

 

貴浩「お前…トレーナーになったのにまたそんな体たらくして」

「あのな、俺が求める輝きの目をしたウマ娘がだな…」

貴浩「あー、はいはい…長くなるからその話はまた今度な」

 

俺と貴浩が居るここ…日本ウマ娘トレーニングセンター学園。

通称、トレセン学園。

全国…いや、国内外問わずレベルの高いウマ娘が多く在籍するこの学園には…トレーナーという職業の人たちがいる。

 

俺と貴浩はそのトレーナーへのライセンス試験に合格した列記としたトレーナー。

…なんだが。

 

貴浩「トレセン学園と契約してトレーナーになって1年…

未だにウマ娘と契約してないトレーナー…お前だけだぞ?」

「…と、言われてもねぇ」

貴浩「それでよくトレーナーになろうって思ってな…」

「………」

 

 

 

 

確かに、俺はトレーナーになる前…何も目指すものが無かった。

その時…河川敷で…夕陽が真っ赤に燃えてる中…一生懸命走ってるウマ娘の姿を見た。

…その時、俺の胸の鼓動が早くなった気がした。

 

''…ここだ、俺の求めてる物は…ここにある!!''

その一心で俺はトレーナーになるためのライセンス試験の勉強に明け暮れた。

 

 

 

貴浩「…お前、他のトレーナー達になんて言われてるか知ってるか?」

「…んえ?」

貴浩「…底へ────────」

?「少し、いいかな?」

 

貴浩が何か言おうとした時、誰かの声が聞こえた。

 

貴浩「うぇっ!?…生徒会長…!」

見上げると、そこには…。

 

「…生徒会長…?」

シンボリルドルフ「お取り込み中、失礼する

…トレーナー君、君に話がある」

 

目線は完全に俺の方を向いていた。

「…俺?」

シンボリルドルフ「単刀直入に言う

来月までの選抜レースでウマ娘と契約を出来なければ…君はトレーナーのライセンスを失う」

 

「……………………………………」

 

…へ?

ライセンスを…失う?

 

「……………ええぇぇえええっ!?」

シンボリルドルフ「学園長との総意だ、詳しくは学園長から話があると思う

…本当はこんな事したくない…だが、ウマ娘にも同じルールがあるのと同様に…トレーナーにもそういうルールがある

…理解してくれ」

 

「…………………」

シンボリルドルフ「君のこだわりや熱意は十分伝わってる

…なに、まだ1ヶ月も時間はある…担当のウマ娘は見つかるはずだ

…では、これで失礼する」

 

 

そう言うとシンボリルドルフ…いや、生徒会長は去った。

貴浩「おいおいおい…悠長にしてらんねーぞ…?」

「…やばい…どうしよ…」

貴浩「どうするもこうするもないだろ!次回の選抜レース見に行くぞ!いいな!」

 

「…あ、あぁ…」

 

こんな所で立ち止まっていられない…のに…どうすれば…。




次回:ヒロイン登場

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第2レース

どんどん行くえ~!


トレセン学園内にあるコーストラックに足を運ぶとそこには既に何人かのトレーナーとウマ娘が居た。

 

貴浩「お前ってホント強いウマ娘が出てきてもスカウトの話すらしないよな」

「…なーんか俺の求める物と違うんだよな」

貴浩「…レース前だし、そのお前さんの言う求める物やこだわってるものを聞いてやろうじゃないか」

「…ん、まぁなんて言うか…さ…

目の奥に感じる輝きを求めてるんだよ

…あぁ、もちろん今まで来た強いウマ娘達にその輝きが無いって訳じゃないよ?…でも、俺の求めてる強くて勝利を信じる輝いてる目をしたウマ娘が絶対現れるってそう俺は思ってる」

 

貴浩「…で、待ち続けたら1年経った…と?」

「…あはは…まぁ…」

貴浩「能天気って言うかお気楽って言うか…はぁ~…」

やれやれと貴浩は頭を抱えた。

 

?「おいっす、トレーナーさん」

?「あーっ、ひとりぼっちトレーナーちゃんも一緒だ~♪」

 

貴浩「ネイチャにマヤ…どうした?」

ナイスネイチャ「んー、新しいウマ娘ちゃん達のレース見に来た?」

マヤノトップガン「マヤも着いてきた~♪」

 

「…ひとりぼっちトレーナーって…いや、まぁ間違ってないけど…」

ナイスネイチャ「その話、結構ウマ娘ちゃん達の間でも広まってるよ?」

「…マジか」

マヤノトップガン「でもでもっ!この選抜レースでウマ娘をスカウトしてトレーナーとしてテイクオーフ!♪」

「…うん、ありがとうね!2人とも」

 

…とは言え…ここにも俺の求める子は…居なさそうだな。

 

 

────────────────────────

 

 

【別の場所】

 

?「はぁ~…トレセン学園はどこに行っても好奇心が刺激されます…♪」

?「大袈裟だなぁ~…って、私もそうなんだけどね」

 

?「特にマックイーンさんに会えたことが!」

?「えぇっ、テイオーさんに会えたことでしょ!」

?「マックイーンさんですっ!」

?「テイオーさん!」

 

メジロマックイーン「あの2人…またやってますわ」

トウカイテイオー「あははっ、元気だね~キタちゃんにサトちゃん!」

 

キタサンブラック「あっ、テイオーさん!」

サトノダイヤモンド「マックイーンさんも!…もしかしてこの後の選抜レースを…?」

 

テイオー「うん!見に来たよ~」

キタサンブラック「ホントですか!?…私たち、これから出るんです!」

メジロマックイーン「期待してますわよ」

サトノダイヤモンド「あ、ありがとうございます…っ…!」

 

キタサンブラック「これは俄然、燃えてきたね~!」

サトノダイヤモンド「ふふっ、前をずっとは走らせませんよ?」

笑いながらと2人は互いに闘志を燃やしていた。

 

トウカイテイオー「なんだかあの2人、私たちに似ているね」

メジロマックイーン「あら、テイオーが感慨深いなるなんて…この後のバ場は不良になりそうですわね?」

トウカイテイオー「ぶーっ!僕だって感慨深いなることくらいあるよぉ!」

 

 

────────────────────────

 

 

そして…注目の2人がトラックへと姿を現した。

 

トレーナー【おい、来たぞ】

トレーナー【あれが…キタサンブラックとサトノダイヤモンド…!】

トレーナー【走りそうな風格してるわね…!】

 

「…えっ?」

貴浩「どした、浩二?」

「………っ!」

血相を変えて俺は埒沿いまで走り出した。

貴浩「あっ、おい!」

 

「……ぁ…あぁ…」

自分の目を疑った…そこには…確かに…あの時の…。

緊張で辺りをキョロキョロしてるあの子に…俺は声をかけてしまった。

 

「…サトイモ!!!!」

サトノダイヤモンド「む、むーーーっ!サトイモじゃありません!

サトノダイヤモンドです~!…って…この呼び方…」

キタサンブラック「…ダイヤちゃん?」

 

「…やっぱりそうだ」

サトノダイヤモンド「……ぁ…!…あなたは…!」

選抜レース職員【レースが始まりますのでスタート位置に着いてください】

 

キタサンブラック「あっ、は、はい!すいません!

行こう、ダイヤちゃん?」

サトノダイヤモンド「…は、はいっ…!」

 

チラッと俺の事を見たが直ぐにスタートの方に向かって行った

サトノダイヤモンド。

 

貴浩「…知り合いだったのか?」

「昔ちょっとな…でも、大きくなって…トレセン学園に来るなんて…」

貴浩「それでお前がトレーナーになってて…」

 

ナイスネイチャ「これはあれですかい、運命ってやつですかい?」

マヤノトップガン「運命っ!?…マヤ、ドキドキしちゃう~♪」

 

貴浩達の話が耳に入ってこないくらい、俺はレースに夢中になっていた。

 

───────────────────────

 

 

 

レースはキタサンブラックの逃げ切り勝ち。

僅差でサトノダイヤモンドが2着となった。

…が、問題はその後。

 

3着の着差を9バ身も離していた。

当然、この2人は注目の的となる…が。

 

サトノダイヤモンド「す、すいません…お気持ちは嬉しいのですが…その話はまた今度でよろしいですか…?」

そう言ってトレーナー達の輪を抜けてきたサトノダイヤモンド。

 

「…ひ、久しぶりだな」

サトノダイヤモンド「…覚えててくれたんですね」

「忘れるとでも?」

サトノダイヤモンド「ふふっ、昔から変わりませんね」

 

キタサンブラック「おぉーい、ダイヤちゃん~!」

サトノダイヤモンド「あっ、キタちゃん!」

キタサンブラック「…えっと、この人は?」

サトノダイヤモンド「…昔ね、危ないところを…身を呈して庇って助けてくれた…命の恩人なの」

 

「…命の恩人って…大袈裟だよ」

サトノダイヤモンド「事実を言ったまでです!」

キタサンブラック「へぇ~…私、キタサンブラック!よろしくね!」

「…よ、よろしく」

 

トレーナー【あの二人…底辺トレーナーのところに話に行ってる】

トレーナー【2人と契約?まさかまさか】

 

サトノダイヤモンド「…底辺…?」

「ちょ、ちょっと場所を移そうか!」

俺は慌てて2人を連れて中庭へと向かった。




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次回:打ち開け。


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第3レース

キタサンブラック・サトノダイヤモンド・ナリタブライアン
エイシンフラッシュ・マチカネタンホイザぜひ実装して欲しい!


【中庭】

 

「…はぁ、はぁ…」

キタサンブラック「あの…大丈夫ですか?」

「こ、こちらこそごめんな…レース後だってのに…」

キタサンブラック「全然!へっちゃらです!」

「…すげぇな、ウマ娘って…」

…あ、しまった。

貴浩の事放ったらかしにしてた…まぁ、アイツもスカウトとかあるし…いいか。

 

…さて、話を始める前に…。

「何か飲むか?」

キタサンブラック「えっ、いいんですか!やったー!♪」

サトノダイヤモンド「……これ、なんですか?」

 

指を指したのは…コーラだった。

「…えっ、コーラ…だけど」

サトノダイヤモンド「…初めて見ました~♪」

えっ、初めて!?…しかもめちゃくちゃ目をキラキラさせてるし!

 

キタサンブラック「…あちゃー、ダイヤちゃんこうなったら手が付けられないよ」

「…どういうこと?」

キタサンブラック「ダイヤちゃんはね、好奇心の塊っていうか…」

「…へ、へぇ…」

 

サトノダイヤモンド「そう言うキタちゃんは''お助け大将キタさん''ですよー」

「…お助け…大将?」

サトノダイヤモンド「この前も大活躍だったんですよ

おばあ様のお荷物運びに迷子のご案内…あとは落ち込んでらしたおじ様の励まし…などなど」

「…すげぇ」

キタサンブラック「うぅ~、困ってる人が居ると見過ごせないんだよ~…!」

 

そう言う善行はいつか自分に返ってくるから素晴らしい事だよ。と言いながら俺は飲み物3本を買った。

 

キタサンブラック「ありがとう~!」

サトノダイヤモンド「すいません、お気をお使いさせて」

 

プシュッ。

 

サトノダイヤモンド「ひゃっ!」

開栓の音にビックリし、耳をピンと立てるサトノダイヤモンド。

 

「…ホントに初めてなんだな」

キタサンブラック「箱入りお嬢様だからね~」

「…そ、そうだったの?」

サトノダイヤモンド「…あの時は凄く危ないところだったんです

でも、お礼を言えなくて…お母様にもまた会いたいってあの後何度も言ってたんですよ」

キタサンブラック「…私と出会ったのは、その後だったの」

 

「…ま、その点は俺も困ってる人を見過ごせなかったってことだな」

サトノダイヤモンド「~~~………っ!!」

 

一口、口を付けたサトノダイヤモンドが口を抑えながらジタバタしていた。

…なんか、可愛いな。

 

サトノダイヤモンド「…ふ、不思議な飲み物…!」

「…お気に召したかな?」

サトノダイヤモンド「はいっ」

 

キタサンブラック「…それで、さっきの話の続きなんだけど…」

サトノダイヤモンド「…あっ」

キタサンブラック「…底辺…って…言われてたけど…」

サトノダイヤモンド「………」

 

「…あはは、話すと長くなるんだけどね」

 

 

 

 

俺は2人に1年前にトレーナーになった事。

トレーナーになろうと思ったきっかけ。

周りのトレーナー達からどう言われているか、思われているか。

─────そして、今置かれてる状況について話した。

 

 

 

 

 

 

「…あはは、笑っちゃうよね~

頑固なこだわりのせいで、せっかくなったトレーナーもこれでお陀仏」

サトノダイヤモンド「…あ、あのっ!!」

自虐的に笑う俺の方に顔をグッと近づけてきたサトノダイヤモンド。

それこそ、口が付きそうなくらい。

 

「…さ、サトノダイヤモンド…っ!?」

サトノダイヤモンド「ダイヤ、でいいですよ?

…あっ、サトイモって言ったら…怒っちゃいますからね?」

「…んぐっ…ダイヤ…っ」

あれ言うとポカポカ叩いてきそうだから…辞めておこう。

 

サトノダイヤモンド「はいっ♪…あの、トレーナー様」

「様!?…そ、そんな大それた物じゃないよ…!」

キタサンブラック「ダイヤちゃんはこれが普通だから大丈夫だよ~」

…大丈夫なのか、それ。

 

サトノダイヤモンド「…私の眼は…輝いてますか?」

「……あぁ、輝いてる」

サトノダイヤモンド「その輝きは…トレーナー様が思ってる輝きですか?」

「…ダイヤ」

サトノダイヤモンド「…違っても…私は…ダイヤは…貴方の思う輝きになれます…なってみせます!」

 

 

 

─────分かっていた。

心のどこかで…この子が…サトノダイヤモンドと…またどこかで会えるんじゃないかって。

…つまり、俺が言いたかった輝きって…。

 

 

「…輝き…ダイヤモンド」

サトノダイヤモンド「…えっ?」

「トレーナーになろうと思ったのは…もしかしたら、ダイヤと出会ったから…なのかな?」

サトノダイヤモンド「…それって…」

「…悪い、俺も初めてやるんだ…スカウトって…

だから、定型文でしか言えないけど……担当ウマ娘になってくれるか?ダイヤ」

サトノダイヤモンド「…もちろんですっ!♪」

 

キタサンブラック「…よしっ!私もなる!」

「えっ!?」

サトノダイヤモンド「ふふっ、お助け大将の血が騒いだのかしら?♪」

キタサンブラック「そういう事!そんな話聞いたら放っておけないよ!」

「…いいのか?」

キタサンブラック「私も…ダイヤちゃんと…貴方の夢になる!」

 

 

そう言ってキタサンブラックは手を差し出してきた。

こうして俺は2人のウマ娘の担当となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キタサンブラックのやる気が上がった。

キタサンブラックのスピードが10上がった。

キタサンブラックの賢さが5上がった。

キタサンブラックのスキルPtが15上がった。

 

 

サトノダイヤモンドのやる気が上がった。

サトノダイヤモンドのスピードが5上がった。

サトノダイヤモンドの賢さが15上がった。

サトノダイヤモンドのスキルPtが10上がった。




次回:まず、やること。

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第4レース

うまぴょいしたい(唐突)


たづな「…はい、確かに書類受け取りました」

秋川理事長「感服!これでトレーナーの一員だな!」

 

「…はは、よかったです」

たづな「…しかし、急に担当ウマ娘が決まったと聞いた時は驚きましたよ?

…それも2人なんて」

シンボリルドルフ「いや、トレーナー君の情熱があれば無いことでは無いさ」

「…生徒会長」

シンボリルドルフ「求めていた物が見つかったようだな」

「…はい」

シンボリルドルフ「一徹無垢…素晴らしい事だ」

 

「…では、俺はこれで」

 

 

 

 

 

秋川理事長「時にたづな」

たづな「は、はいっ?」

秋川理事長「計画!…順調に進んでいるか?」

シンボリルドルフ「…むっ、計画?」

秋川理事長「肯定!…ウマ娘の可能性を見出す…新たなレースを計画している!」

 

シンボリルドルフ「それは…面白そうですね」

たづな「来月には記者会見が開けると思いますよ」

秋川理事長「期待!…特にあのトレーナーには、な」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

キタサンブラック「あ、帰ってきた」

サトノダイヤモンド「どう…でしたか?」

「うん、大丈夫だよ…とりあえずクビは回避出来た」

 

キタサンブラック「よかった~…!」

サトノダイヤモンド「ですが、言い換えれば…これからスタート…ですね」

「…だな、なんか…ワクワクしてきた」

 

キタサンブラック「よーし!早速芝コース走ってこよう!」

「ま、待って待って!…確かに選抜レースはいいタイムだったし内容も良かったけど…最初から飛ばすのはあんまり良くないよ?」

サトノダイヤモンド「トレーナー様、行動計画表作っていましたもんね」

 

「あっ…見たんだね、まぁ…隠すつもりもなかったけど」

パラッと俺はファイリングした計画表を見せた。

 

「まずはトモを慣らしていこう

…それに、鍛えるだけじゃなくて…ライブの振り付けとかも覚えなきゃいけないよ?…2人とも、歌とか自信ある?」

キタサンブラック「…うーん」

サトノダイヤモンド「た、多少ならば…」

 

「…この前のライブ…見た?

トウカイテイオーがセンターだったやつなんだけど」

キタサンブラック「…あっ…うまぴょい…伝説…だっけ?」

サトノダイヤモンド「あれもライブで披露するんですか…?」

「勝ったらセンターでね」

 

キタサンブラック&サトノダイヤモンド

「……………う、ううっ……………//////」

 

2人の表情がどこか優れない。

…というか顔が真っ赤だ。

 

「…あー」

何となく予想はついた…と言うか、俺も担当ウマ娘を持ってなかったからあんまり考えたことが無かったけど…。

 

(…この2人が投げキッスか…)

…見てみたいな。

 

「…ちょっとやってみてくれない?」

キタサンブラック「…それってトレーナーが見たいだけなんじゃ…」

「…ん、いや…まぁ…」

サトノダイヤモンド「…わ、分かりました…!!」

 

そう言うと目を細めて投げキッスをしたサトノダイヤモンド。

「……………………………………」

キタサンブラック「えっ、トレーナー???…おーーい」

顔の前で手をかざすキタサンブラック。

トレーナーの反応はない。

 

 

「…………………うまだっち!!!!!!」

キタサンブラック「うわぁっ!びっくりした~…っ!」

サトノダイヤモンド「こ、こんな感じでしょうか…?///」

「うん、100点満点。コースレコードだよ。着差50バ身だよ」

キタサンブラック「…へ?」

 

とりあえず2人のライブがいつか披露されるが…

サトノダイヤモンドの(初めての)投げキッスを見れたから良しとしよう。

 

キタサンブラック「…トレ~ナ~…?

鼻の下、伸びてるよ?」

「そ、そんな事ない!」

 

キタサンブラック(というかダイヤちゃんも完全に顔真っ赤だし…

こりゃ~…そういう事なのかな?)

 

「ほ、ほら!この後のスケジュール確認するよ!」

キタサンブラック「…あ、話逸らした」

「そんなことないから!」

サトノダイヤモンド「…///」

 

後から恥ずかしくなったのか

サトノダイヤモンドは顔を赤くしたまま俯ていた。

 

 

 

 

キタサンブラックの体力が10回復した。

キタサンブラックのスピードが5上がった。

キタサンブラックのパワーが5上がった。

 

サトノダイヤモンドの根性が15上がった。

サトノダイヤモンドのスキルPtが10上がった。




次回:期待の同期?


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第5レース

この小説の成長率はオール10%です(?)


キタサンブラック「ほっ、ほっ、ほっ…」

サトノダイヤモンド「はっ、はっ…はぅ~…」

 

「…13秒フラット!(…って、めちゃくちゃ早いな…)」

トレーニングの最中、手にしたストップウォッチを見て俺は改めて驚いた。

 

「…もしかして、とんでもないウマ娘達の担当トレーナーになったのかな…」

 

キタサンブラック「ふーっ!疲れた~…っ!」

サトノダイヤモンド「でも、良い感じに脚が使えてます♪」

「お疲れ様、ほら飲み物だよ」

 

…しかし、そう思っているのは周りも同じで…。

 

トレーナー【あの底辺と呼ばれてたトレーナーが…】

トレーナー【どういう風の吹き回しかしら…】

トレーナー【まぁ、トレーナーとしての素質がないからすぐにボロが出るだろう】

 

「………………………」

…参ったな、さすがにここまで言われると…。

 

サトノダイヤモンド「…トレーナー様っ♪」

むぎゅっ。

 

「だ、ダイヤ…!?」

キタサンブラック「そんな困った顔しないのっ!

…見返そ?♪」

得意げに笑うキタサンブラックを見て…自然と俺も笑った。

 

キタサンブラック「…ところで、ダイヤちゃん?

…いつまでくっついているの?」

サトノダイヤモンド「えっ?……あっ…///」

 

指摘されてパッと離れるサトノダイヤモンド。

…うーん、良かった……良かった…。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【大樹のウロ】

「違うんだよおぉおぉおぉおおおーー!!!!!

俺も男だから無意識にそう感じただけで断じてそんな気持ちはぁあぁあああぁああぁあああぁああああ!!!!!!」

 

 

マヤノトップガン「…あれ、なにしてるのかな?」

ナイスネイチャ「さぁ~、トレーナーが抱える癇癪じゃない?」

マヤノトップガン「あ~…マヤ、分かったかも…」

 

「…ぐぅ…少しでもドキッとした自分が恥ずかしい…もっと平然としなきゃ…」

思いっきり叫んでスッキリした俺はトレーナールームに戻ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

その道中。

 

???「居ました!」

「…………げ」

???「げってなんですか!げって!」

 

少し…いや、結構………うん、かなり面倒なやつに捕まった。

 

 

キタサンブラック「あっ、いたいた!トレーナーさーん!」

???「トレーナー…さん?……はっ、もしかして!」

「…はぁ、やれやれ…」

 

キタサンブラック「あれっ、この人は…?」

サトノダイヤモンド「トレーナーの方…でしょうか?」

 

???「はい!桐生院葵と申します!

浩二さんとは同期のトレーナーでして…!!

私のイチオシトレーナーなんですよ!」

「…いや、貴方が勝手に言ってるだけであって…」

 

葵「それに…担当のウマ娘が出来たのですね!!!

遂にレースで雌雄を決する時が…!!」

「…ダメだこりゃ」

 

キタサンブラック「…あっははは…賑やかな人だね~…」

サトノダイヤモンド「…むーっ」

 

葵「それでは、またトレーニングトラックで会いましょう!」

「…やっと行ったか…」

 

サトノダイヤモンド「トレーナー様!」

「…う、うん…どうした…ダイヤ?」

サトノダイヤモンド「私…レースに出たいです!」

キタサンブラック「…だ、ダイヤちゃん…?」

 

サトノダイヤモンド「なんと言いますか…負けたくないんです!

あの葵様に!」

「…葵…様?…それに負けたくないって…」

キタサンブラック(あちゃ~…ダイヤちゃんの好奇心が…いや…対抗心かな?…火がついちゃったね…こりゃ…)

 

「…き、気持ちは分かるが…先ずはすべきことからだから…な?」

サトノダイヤモンド「…むぅ…なら、レースに勝てたらご褒美って言うのはいかがでしょうか?」

キタサンブラック「あっ、それいい!」

 

「…ご褒美って…嫌な予感しかしないんだけど…」

サトノダイヤモンド「そんな難しいことは要求致しませんよ」

キタサンブラック「そーそー、頑張ったんだからご褒美くらいね~♪」

 

「…やれやれ」

女心が複雑だと思う俺だった。

 

 

 

 

 

キタサンブラックのスピードが10上がった

キタサンブラックの賢さが5上がった。

「急ぎ足」のヒントLvが1上がった。

 

サトノダイヤモンドの体力が10下がった。

サトノダイヤモンドのスタミナが10上がった。

サトノダイヤモンドの賢さが10上がった。

「対抗意識○」のヒントLvが3上がった。




次回:新しい仲間。

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第6レース

ウマ娘 フレンドコード
598 214 873
です、良ければフレンドになってくださいな。


今日も今日とて

キタサンブラックとサトノダイヤモンドの

併走トレーニングが続いていた。

 

(そろそろレースも…あり、か?)

レーススケジュールを確認していると、キタサンブラックの脚が止まった。

 

「…どうした、キタサンっ!」

キタサンブラック「あっ、なんでもないです〜!……あっ…」

視線の先を見ると…一人のウマ娘が芝コースを走っていた。

 

???「…あぅ…あうううぅ~…」

しかし、その走り方は重く、どこかフラフラしているようにも見えた。

 

サトノダイヤモンド「…キタちゃん?」

キタサンブラック「…うぅ~…ごめん、トレーナー!」

 

そのまま、キタサンブラックはそのウマ娘の方へと走り出した。

「あぁ、ちょっ!…まったく」

 

キタサンブラック「だ、大丈夫っ?!」

???「…へっ…?…あ、う、うん…これくらい…ウマドルになるには…っ!!!」

キタサンブラック「…ウマドル?…あたし、キタサンブラック…貴方は?」

???「ファル子!スマートファルコンだよっ!♪」

キタサンブラック「…えぇーっと…ファル子…ちゃん?

一回…止まろうか?」

 

スマートファルコン「…わ、分かった~…ぜぇ…ぜぇ…」

 

 

「…やっと止まったみたいだな」

サトノダイヤモンド「私達も行きましょうか?」

「だな……というか、ダイヤ?」

サトノダイヤモンド「はいっ、如何致しましたか?」

「…なんで俺の腕に抱きついてるんだ?」

サトノダイヤモンド「…ダメ…でしたか?」

「…あ、いや…その…いい、です…?」

サトノダイヤモンド「………♪///」

 

 

 

スマートファルコン「改めて!スマートファルコンだよ!

トップウマドル目指して練習頑張ってま~す!

トレーナーさん絶賛募集中で~~~~す!♪」

 

手でハートマークを作る当たり筋金入りのアイドル好き…いや、アイドル…なのだろうか?

サトノダイヤモンド「…あの、ウマドル…ってなんでしょうか?」

キタサンブラック「あ、この子はサトノダイヤモンド

あたしの親友だよ!」

 

スマートファルコン「ダイヤちゃん、ね!♪

ウマドルはね、アイドルの新定義!

レースに出て勝ってライブで踊りまくってキラキラ輝く…見てる人達に希望を与えるアイドル!」

キタサンブラック「…へ、へぇ~…」

スマートファルコン「そして今はトップウマドルになる夢を見て芝コースで草の根活動をしていたところでーす!♪」

 

と、自己紹介もそこそこに…スマートファルコンは目をキラキラさせながらこちらを見てきた。

 

スマートファルコン「それよりそれより!貴方…トレーナーですよねっ!?♪」

「…まぁ、そうだけど…」

 

そう言うと、スマートファルコンは手を合わせて深く頭を下げた。

スマートファルコン「お願いします!担当ウマ娘にさせてください!

ファル子…選抜レース出ても…結果が全然ダメで…実力不足なのは分かってる…けど!トップウマドルになるって夢は諦めたくないの!

 

トレーニングを付けるだけでも!雑用もするから!

力を貸してください!」

 

隣で聞いていたキタサンブラックが耳打ちしてきた。

キタサンブラック「…流石に…可哀想じゃないかな?」

サトノダイヤモンド「私もそう思います…悪い子ではないと思いますし…」

 

2人が言う事も分かる………が。

 

「少し走ってみてくれないか?」

スマートファルコン「…そ、それって……うんっ、分かった!」

何か考えたようだが、すぐにスマートファルコンは走り出した。

 

キタサンブラック「…トレーナー…何かわかったの?」

「ちょっとした適性試験さ」

 

 

 

【数分後】

 

スマートファルコン「…っ…はぁ…はぁ…!!」

…やっぱりな、この子は…。

 

「…大跳びだ」

サトノダイヤモンド「…大跳び…ですか?」

「走法の一つだよ…それに、あの走り方…適性はダートにあり、か」

 

スマートファルコン「…やっぱりお見通し…みたいだね…」

「…芝にこだわる理由があるのか?」

スマートファルコン「…こんな風に言うと…色んな人から顰蹙を買っちゃうけど…ダートじゃ…注目の的には…なれない」

「…それ───────」

 

サトノダイヤモンド「そんなこと、ありませんよ」

「…ダイヤ」

目を合わせるとダイヤは微笑んでスマートファルコンの方を見た。

 

サトノダイヤモンド「ダートでも…誰も到達できないような記録を作ればいいんですよ…あなたにはその可能性があります

最初から…決まった運命なんてありませんよ!」

「…だな、ダイヤの言う通りだ」

 

スマートファルコン「…ファル子…なれるかな…?」

キタサンブラック「あたし達も協力するよ!困ってる人は放っておけないもん!」

「…さぁ、トレーニングの続きだよ!」

 

スマートファルコン「…えっ?」

「どうした、そんな気の抜けた声出して」

スマートファルコン「ファル子…担当ウマ娘に…なれた、の?」

「俺は嫌だとかダメだとか一言も言ってないよ?

…それに、その目…うん、悪くない」

 

スマートファルコン「…目?」

サトノダイヤモンド「ふふっ、トレーナー様もすっかりトレーナー職が板に付いてきましたね♪」

「…変えてくれたのは、ダイヤのおかげだけど、な」

サトノダイヤモンド「…?」

「ん、いや…なんでもないよ」

 

 

 

 

 

キタサンブラックのスピードが15上がった。

「直線回復」のヒントLvが1上がった。

 

サトノダイヤモンドのパワーが10上がった。

サトノダイヤモンドの賢さが10上がった。

「独占力」のヒントLvが1上がった。

 

スマートファルコンのやる気が上がった。

スマートファルコンのスタミナが5上がった。

スマートファルコンの根性が5上がった。

スマートファルコンの賢さが5上がった。

「逃げ直線○」のヒントLvが1上がった。




次回:メイクデビュー!(サトノダイヤモンド編)

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第7レース

たくさんのフォローありがとうございます。

(フレンドポイント全振りでフォロー枠アップさせてるのでフォロー返しこない方はしばしお待ちを…)

フォロワー100人出来たらゴルシ様の蹴りが貰えるって聞いたんですけど、あのあのあのあの。


デビュー日が3頭とも違うのでそこは時系列無視でお願いします。


サトノダイヤモンド「これが…トレセン学園の…」

「そう、ゼッケンだよ…まぁ、勝負服はGIとかになった時に…な?」

 

サトノダイヤモンド「…不思議と…気合いが入ります…っ」

キタサンブラック「いいなぁ、ダイヤちゃんがデビュー一番乗りかぁ~…」

「キタサンはもう少しバ体が落ち着いたら、な」

 

スマートファルコン「ファル子、皐月賞に出た~い!」

「…まだデビューしてないよね?」

スマートファルコン「じゃあじゃあ!天皇賞!」

「…えーっと…」

 

サトノダイヤモンド「…ふふっ」

「…あっ、レース前にごめんな」

サトノダイヤモンド「いえ、リラックス出来ました…

やっぱりこの雰囲気は素晴らしいですね…♪」

 

そう言うとサトノダイヤモンドは深呼吸をしてレースコースを見据えた。

 

サトノダイヤモンド「…トレーナー様、ご指示を」

「ご指示なんて…いや、トレーナーの仕事、だもんな

京都競馬場はとにかく3コーナーの坂に気をつけろ

じっくり脚を溜めて…2番手辺りでレースを運んで…直線で相手を競り負かせ!」

 

サトノダイヤモンド「…くすくす」

熱量に相反して、サトノダイヤモンドは静かに笑った。

 

サトノダイヤモンド「…トレーナー様って…勤勉、ですよね♪」

「…俺も担当ウマ娘を持ってない間、何もしてなかったわけじゃないからな…」

サトノダイヤモンド「…約束、覚えてますか?」

「…え?」

 

俺の言葉を聞く前にサトノダイヤモンドは歩き始めた。

サトノダイヤモンド「勝ちましたら…ご褒美…ですよ?♪」

その顔はどこか余裕に満ち溢れてて、自信がみなぎっていた。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【レース本番】

 

実況『断然の一番人気、サトノダイヤモンド、2番手で前の様子を伺っている!』

サトノダイヤモンド(落ち着いて…大丈夫、ダイヤの脚は…動いてます!)

 

実況『メイクデビュー戦とは思えない歓声!京都の!京都のスタンドが揺れています!』

サトノダイヤモンド「ここでっ……!!!」

 

「よしっ…!」

キタサンブラック「いけー!ダイヤちゃ~ん!!」

スマートファルコン「GO!GO~!!♪」

 

実況『サトノダイヤモンド!突き抜けた!強い!強すぎる!

グングン加速し、その差は1バ身2バ身!!』

サトノダイヤモンド「…ダイヤは…輝きます!」

 

実況『サトノダイヤモンド!完勝です!!

見事メイクデビューを制しました!』

 

「…やった…」

キタサンブラック&スマートファルコン

「やったやった~っ!♪」

 

サトノダイヤモンド「…はぁっ…はぁ…これが…レース…!」

弾けるような笑顔でダイヤは手を振った。

 

 

────────────────────────

 

 

???「あっ、お時間宜しいでしょうか!?」

「…えっと…貴方…は?」

???「あっ、記者の乙名史と言います!」

 

キタサンブラック「記者?」

乙名史「ズバリ!未完のトレーナーが目を覚ました瞬間ですね!」

「…え?」

乙名史「聞きましたよっ、トレーナー試験合格した時に周りからの期待の呼び声が高く、その突如担当ウマ娘を持たないと公言したと…!」

 

キタサンブラック「えっ、トレーナーそんなに凄い人だったの?」

スマートファルコン「やっぱりファル子達の目は間違ってなかったんだね~っ♪」

 

「…い、いや…初耳なんだけど…」

サトノダイヤモンド「…♪」

 

にこやかにサトノダイヤモンドが俺の横に寄り付いてきた。

サトノダイヤモンド「トレーナー様はこれからもっと輝きますよ♪

…私たちと共に…ですよね、トレーナー様っ?♪」

 

その目は確かに前を向いていた。

「…だな、俺たちならやれるよな」

キタサンブラック「もちろん!」

スマートファルコン「ファル子達もすぐに追いつくよ~!♪」

 

乙名史(この雰囲気…やっぱり只者じゃないようですね…)

 

 

────────────────────────

 

 

【次の日】

 

 

「…あの、ダイヤ?」

サトノダイヤモンド「はいっ、なんでしょう?♪」

 

今日はトレーニングトラックは整備のため使えない。

という事で、座学という事になったのだが…。

 

「…なんで、俺の膝の上に座ってるの?」

サトノダイヤモンド「ふふっ、なんででしょうかね?♪」

「……え、えーーーーーっと…」

 

キタサンブラック「ほらほら、ノートを閉じないっ」

スマートファルコン「ファル子…活字苦手かもぉ~…」

 

ダメだ、あの二人は見てはいるが助けに来てくれない…。

「…あっ、もしかして…」

サトノダイヤモンド「はいっ、ご褒美です!♪」

 

…だよなぁ。

この状況をご褒美として欲しいということか…?

 

サトノダイヤモンド「では、トレーナー様…こちらを♪」

ダイヤが渡してきたのは…ブラシだった。

 

「…えっ?」

サトノダイヤモンド「ご褒美は、髪の毛を…梳かしてもらえませんか?♪」

…えっと…資産家の箱入りウマ娘なんだよな…?

大丈夫なのか…そんなことして…。

 

「…い、痛かったら言ってくれよ?」

サトノダイヤモンド「大丈夫ですよ♪」

 

そう言うとダイヤは目を閉じて俺が髪を梳かすのを待っていた。

(…こ、こう…かな?)

サトノダイヤモンド「…あら…っ…お上手…ですね?」

「トレーナー研修の時に説明で教育されたからな…」

まさかやる日が来るとは思ってなかったが…。

 

(…でも…こうしてみると…)

年頃の女の子って感じなんだよなぁ…あっ、今の耳の動き方はご機嫌な時にするやつだ。

 

「…へぇ…」

俺は梳かす手をやめてダイヤの耳を触り始めた。

サトノダイヤモンド「…んぅ…っ!///

…と、トレーナー様…っ?///」

「痛かったか?」

サトノダイヤモンド「い、痛くはありませんが…っ

…その…くすぐったいと言うか…!///」

 

「…でも、耳ってマッサージ効果があるんだよな?

…こことか…こことか?」

サトノダイヤモンド「あ、のっ…!///」

 

 

 

 

 

桐生院「浩二トレーナー!!

メイクデビュー戦に出たというのは本当なんですか!!!???

出たなら出たと言ってくださいよ!!応援に行った……の、に…?」

ハッピーミーク「おぉー、うまぴょいしてる~」

桐生院「…………し、失礼しました!!!///」

 

突如トレーナールームに入ってきたかと思えば顔を赤くしてドアを思い切り閉めた桐生院。

 

 

 

「…なんだったんだ?」

サトノダイヤモンド(…むぅ…いい所でしたのに…///)




次回:ファル子、質問します!


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第8レース

今回より、ウマ娘の名前の上2文字をカッコの前につけます。
読みやすくなってればいいなと思います


スマ「ねぇねぇ、キタちゃんダイヤちゃん」

 

キタ「ん?」

サト「どうされましたか?」

 

スマ「ファル子、気になったことがあるんだけど…質問してもいい~?」

キタ「あたし達で答えられる内容なら…」

 

スマ「あ、キタちゃんにじゃないよ~」

キタ「えっ…つまり………………」

 

きょとんとした顔でダイヤは首を傾げた。

ちなみに今はランチの時間で3人は食堂にいる。

 

スマ「ズバリ聞くけど~…ダイヤちゃんってトレーナーさんとどういう関係なの?」

サト「────────なっ……………!!///」

キタ(あーぁ…聞いちゃったか…)

 

何とか言葉を出そうとするダイヤ。

しかし、あたふたする度に顔はどんどんと赤くなった。

 

スマ「あっ、も、もしかして…禁断の…っ!!??」

サト「ち、違いま…っ!!///」

スマ「やーん、だめだめっ☆

ウマドルは恋愛禁止だぞっ♪」

 

キタ「…私達も…ウマドルなの…?」

スマ「3人でドームツアーするよ~っ!♪」

キタ「…レース場ライブツアーの方がしっかりくるような…」

 

サト「そ、そそそっ、そんな……私は…トレーナー様の事は…そのっ…

ただの…トレーナーとウマ娘な、だけで…そんな…こと、はっ…///」

キタ「…ありゃ、ダイヤちゃんが完全にかかっちゃった…」

 

スマ「あっ、それとも~…

3人が少ないなら…もっと増やす?トレーナーなら担当ウマ娘増やすかもよ?♪」

サト「そ、それはいけませんっ!!!///」

 

慌てて立ち上がったダイヤに一気に視線が集まった。

 

サト「…あっ……すい、ません…///」

 

ぺたんと耳を垂れさせて謝るダイヤだった。

 

 

 

 

────────────────────────

 

【トレーニング前】

 

 

「…さて、トレーニング前に…報告がある」

キタ「おっ、なになに?」

 

サト「…///」

スマ「…ダイヤちゃん、まだ引きずってる…」

 

「…本題に移るよ?」

 

こほんと俺は咳払いをし、話を切り出した。

 

「キタサン、メイクデビューの日が決まったぞ」

キタ「えっ、ほんと!?」

「あぁ、来週の東京の芝1800mだ」

 

キタ「くぅううっ~!

トレーニングもして…あっ、ライブの歌の練習もしなきゃ!」

スマ「は~いっ、ファル子も歌のトレーニング、お供しま~すっ♪」

「あっ、こら!……ったく、1時間半後に戻ってこいよ~!」

 

2人は意気揚々とトレーナールームを後にした。

 

サト「…あの…トレーナー様…///」

「ん…どうした、ダイヤ?」

 

サト「もし…キタちゃんが勝ったら…ご褒美…あげるんですか…?」

「ん?…あぁ~……まぁ…本人が望めばね…?」

サト「…むぅ…///」

 

頬を膨らましたダイヤがこちらに頭を差し出してきた。

 

「…えっと…ダイヤ?」

サト「…頭…撫でてください///」

「…え?」

サト「…お願いします///」

「…わ、分かった…」

 

さらさらの髪の毛の触り心地を手に広げながら…俺はダイヤの気が済むまで頭を撫でた。

 

 

「…最近のダイヤ…なんか変わったな?」

サト「…トレーナー様が…変えたんですよ…///」

「ん?」

サト「なんでもありませんっ

レースに勝てたから気分がいいだけですっ」

「…ん、そうか?」

 

 

 

 

────────────────────────

 

【トレーナールームの外】

 

スマ「…盗み聞きなんて、いいのかなぁ~…?」

キタ「まぁまぁ、空気読んだんだし…これくらいはね?」

 

スマ「…それにしても、トレーナーってば…気が付かないのかな~…?」

キタ「レースやウマ娘に対する情熱が強いからその分、恋沙汰には疎いのかもね?」

 

スマ「むむむ…ファル子の勘が告げている…その内、修羅場になると…!」

キタ「…あはは…有り得そう…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キタサンブラックのやる気が上がった。

キタサンブラックのスピードが10上がった。

キタサンブラックのスタミナが5上がった。

「危機回避」のヒントLvが2上がった。

 

サトノダイヤモンドのやる気が下がった。

サトノダイヤモンドのスピードが5下がった。

サトノダイヤモンドのパワーが10上がった。

サトノダイヤモンドの賢さが15上がった。

「深呼吸」のヒントLvが2上がった。

 

スマートファルコンのやる気が上がった。

スマートファルコンの体力が10回復した。

スマートファルコンのスピードが10上がった。

スマートファルコンのパワーが10上がった。

「先駆け」のヒントLvが2上がった。




次回:メイクデビューだ、わっしょい!!(キタサンブラック編)


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第9レース

朝起きたらサトノダイヤモンドが幼馴染の
世界線ください、くれ、ちょうだい。


キタ「…よっし、緊張してきたぁ~…!!」

 

「…アイツ…大丈夫かな?」

サト「ふふっ、キタちゃん…こういう時は……ね?♪」

スマ「なになにっ、何か秘策があるの?」

 

キタ「…すぅ……………」

 

レースコースの真ん中で立ち止まる。

そして、一呼吸したと思ったら……。

 

キタ「ハァァ~~~~~ンっ!!!♪」

他のウマ娘達「「「「…!!?!?!?!」」」」

 

突然、大声で歌い始めたキタサンの方に視線が集まった。

そして、俺もお笑い芸人ばりにずっこけた。

 

「…な、なんだぁ?」

サト「あれがキタちゃんのルーティンなんです♪」

「…へぇ…」

 

スマ(って、しっかりトレーナーさんの隣に陣取るんだね…ダイヤちゃん)

キタ「よーしっ!気合い入った~!」

 

ダイヤの横で苦笑いを浮かべるファル子と

気合いが入った顔でゲートに向かうキタサンだった。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【ゲート内】

※キタサンブラック視点

 

 

キタ「…うわぁ…」

ここが…ゲート…これが…レース…!

 

キタ「…テイオーさんと…同じ場所に…立てるんだ…!」

 

見ててね…テイオーさん…あたし、絶対に──────

 

 

 

ガッコン!

 

 

キタ「………………………へ?」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

ガッコン!

 

 

スマ「あぁっ、出遅れた~っ!」

「あいつ~…!!」

 

キタ「う、うわぁぁああぁっ!」

サト「…相当緊張…してたんですね」

 

観客「おいおい、キタサンブラックが出遅れかよ~!」

観客「3番人気だけど期待してたんだぞ~!大丈夫なのか~!?」

 

サト(………キタちゃんのトゥインクル・シリーズは…

波乱からのスタート……でも、キタちゃんなら…乗り越えられるよね?)

キタ(1800m…!

モタモタしてたら見せ場なく終わっちゃう…!

…それにっ…こんな所で……っ!

あたしは…っ…テイオーさんと同じ舞台に立つって決めた…その夢を叶えたい…っ!)

 

ぐっと、踏み込む力が強くなったキタサンブラック。

…その瞬間、俺も口をグッと噛み締めた。

 

「…これは…っ」

キタ「…はぁああぁああ!!!」

 

実況『4コーナー回って、伸びてきたのはキタサンブラック!

怒涛の追い上げだキタサンブラック!

先頭との差が3バ身、2バ身と詰め寄る!』

 

スマ「すごいすごい!」

キタ「…とど…けぇぇええぇっ…!!」

 

実況『1着でゴールしたのは………キタサンブラックっ!

まさに目の覚めるような末脚一閃!

見事メイクデビューを制しました!!!』

 

スマ「やったやった~っ!♪」

サト「…随分、余裕な顔してましたね?」

「あぁ、アイツの末脚はこんなもんじゃないさ」

キタ「はぁ…はぁっ……か、勝てた~っ!」

 

「…が、ゲートはどうにかしないとな」

サト「ふふっ、トレーナー様、頼もしいお顔…してますよ♪」

 

膝に手を付いて呼吸をするキタサンを見て…笑い合う俺とダイヤだった。

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

キタ「あっ、トレーナー!あたし、1着─────」

「ていっ」

 

俺はキタサンの頭に軽くチョップした。

 

キタ「いった~……っ!」

サト「…ふふっ、キタちゃんったら」

 

「勝ったから良いものの…なに出遅れてんだよ~?」

キタ「だ、だってぇ~…テイオーさんと同じ舞台に立てるのかなって思ったらワクワクしちゃって…」

 

スマ「キタちゃんらしいね!♪」

「は~…とりあえず、ゲート練習の罰な」

キタ「そ、そんな~っ!」

サト「まぁまぁキタちゃん…トレーナー様も期待しての特訓だから…ね?」

 

キタ「…む~……なんかトレーナー…ダイヤちゃんにだけ甘い気がする~っ!」

サト「…そ、そんなことっ…ありませんよね…?///」

「ないぞ?」

 

スマ「怪しいねぇ~…♪」

キタ「じゃあ、あたしのご褒美で2人でお出かけしてよっ!」

「…い、いいけど…」

 

キタ「やった!じゃあ、決まりね?♪」

サト「……むぅ~~~~…………/////////」

 

………なんでだろう、すごく…すごくダイヤからの視線が痛い。

 

スマ「…むむっ、新たな修羅場の予感…っ!」

 

その時、ファル子に何か名案が浮かんだようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キタサンブラックのスピードが5上がった。

キタサンブラックのスタミナが5上がった。

キタサンブラックのパワーが5上がった。

キタサンブラックの根性が5上がった。

キタサンブラックの賢さが5上がった。

スキルPtを40獲得した。

 

サトノダイヤモンドのやる気が下がった。

「独占力」のヒントLvが1上がった。

 

スマートファルコンの賢さが20上がった。

スキルPtを15獲得した。

「シンパシー」のヒントLvが3上がった。




次回:その名はデート。


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第10レース

ファル子の次のキャラガチャは誰か当てましょう杯(2000m GII)


キタ「この洋服可愛い~っ♪」

「…やれやれ」

 

ガサッと自分の持った紙袋を持ってはしゃぐキタサンを見る俺。

…って、これじゃあ荷物持ちだな。

 

「歩き回って疲れたろ?なんか飲み物ご馳走するよ」

キタ「ホントっ?!じゃあ~……あっ、はちみードリンク!」

「…ホント、テイオーの事リスペクトしてるんだな」

キタ「そりゃぁ~あたしの目標であり憧れだもん!♪」

 

……そのやり取りを物陰から見る2人。

 

 

 

サト「ね、ねぇ…ファル子ちゃん…もうやめよ?」

スマ「ダメですよぉ~、ダイヤちゃんも気になるでしょ?」

 

サト「…それは…っ」

スマ「それに、このままだと押し切り態勢発動されちゃうよ?」

 

サト「…えっ、それって…?」

スマ「あっ、ほら移動しちゃうよ!」

サト「ま、待ってよ~…っ!」

 

 

 

────────────────────────

 

※キタサンブラック視点

 

…レース買ったご褒美でお出かけってなったけど…

これって…傍から見たら…。

 

(…よしっ、これくらいはダイヤちゃんもしてたし…!)

 

片手で握り拳を作り、気合を入れたあたしは

そのままトレーナーの腕に抱き着いた。

 

 

────────────────────────

 

 

「…っ…キタ…サンっ…!?!?!」

キタ「にししっ、大事な担当ウマ娘の事は守らなきゃダメだぞ~?♪」

 

「に、しても…っ…抱きつく事は…っ!」

キタ「ダイヤちゃんだってやってたも~ん」

 

 

 

 

 

【物陰】

 

サト「~~~~~~っ!?!?!?!///」

スマ「ストップストップ!ダイヤちゃん、かかってるから…っ!!」

 

サト「う、うぅ~っ……!///」

スマ(ありゃ…これは相当ショックなのかな…)

 

サト「…燃えてきました…ダイヤ、そんな簡単に負けませんよ…!///」

スマ(むしろ闘志に火が付いちゃった!?)

 

 

 

 

 

 

キタ「…ねぇ、トレーナー?」

「……なんだ、急に…」

 

腕に抱きついたまま、キタサンは話を切り出した。

 

キタ「…あたしの事、どう思う?」

「どうって…」

 

返事に困る質問をされた。

…ここは、素直に言うとしよう。

 

「…ダイヤと仲がいいんだな~…とか?」

キタ「…他、には?」

 

「…俺の夢になるって言ってくれた時…正直飛び上がるくらい嬉しかった

でも、俺でいいのかなって…キタサンには無限の可能性が広がっているのは…目を見ていて分かったから…俺じゃあ役不足じゃないかなって…」

 

キタ「…っ…そんな事ない!」

 

縋るように顔を見上げるキタサン。

その顔は、どこか…寂しさを浮かべていた。

 

キタ「…こんなこと…言うのは…変って分かってる…でも、あたしは…貴方がトレーナーじゃなきゃ嫌なの!

それは、ダイヤちゃんもファル子ちゃんも一緒!

…でも、あの2人に負けない気持ちを持っているのは…ほんと、だからね…?」

 

「…えっ…負けない気持ち…って…」

キタ「…えへへっ、それを言うのは…もう少し先!GIを取ってからね!♪」

 

いつもの笑顔に戻ったキタサンは俺の数歩先を歩き、こちらを向いた。

 

キタ「だから、これからもよろしくねっ!トレーナー!♪」

「…あぁ、もっと自信を持たないとな」

 

 

 

 

 

【物陰】

 

サト「…キタちゃん」

スマ「これは宣戦布告のようなものかな~…?」

 

サト「…いつか……」

スマ「ん?」

 

サト「いつか、こんな日が…来るんじゃないかって思ってました

ですが…ダイヤも…負けるつもりはありませんっ

レースも、恋も…!」

スマ「ふふっ、青春してるね♪」

 

サト「そういうファル子ちゃんは…トレーナーの事をどう思ってるのですか?」

スマ「ファ、ファル子っ?!…ううーん…考えたことも無いかな…

担当になってくれたのは…有難い…けど…」

 

サト「ふふっ、いつか分かる日が来るかもしれませんね♪」

スマ(……かもしれないけど…もっとドタバタになりそうなのは…ファル子の杞憂なのかな…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キタサンブラックは絶好調をキープしている。

キタサンブラックの賢さが20上がった。

「鋼の意志」のヒントLvが1上がった。

 

サトノダイヤモンドのやる気が上がった。

サトノダイヤモンドのスピードが10上がった。

サトノダイヤモンドのパワーが10上がった。

サトノダイヤモンドの賢さが10下がった。

「鋼の意志」のヒントLvが2上がった。

 

スマートファルコンのやる気が下がった。

スマートファルコンのスピードが10上がった。

スマートファルコンのパワーが10上がった。

スマートファルコンの賢さが5下がった。

「前途洋々」のヒントLvが1上がった。




次回:トレーナー、動く。


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第11レース

ナリタブライアン様が来ました。
罵られたいですね(え)


ダイヤとキタサンがメイクデビューを制して数週間が経った頃…。

 

俺は3人をトレーナールームに呼んだ。

 

「悪いな、集まってもらって」

サト「いえ、トレーナー様の為ならいつでもっ♪」

 

キタ「…ま、まさかトレーナー…3人を手篭めに…っ!?」

「しねーよ」

 

サト「だ、ダイヤはいつでも…っ…///」

スマ「ダイヤちゃん、その発言はちょっと~…」

 

…全く、お嬢様だったダイヤがこんな悪ノリに付き合うようになるなんて…っと、話が逸れたな。

 

「集まってもらったのは他でもない…

次のレースについてだ…ファル子!」

スマ「は、はいぃっ!?」

 

「今週のレース…メイクデビューに出てもらうぞ」

スマ「…ぁ…~……っ!!」

 

声にならない声でぐっと握り拳を作るファル子。

…余程メイクデビューが待ち遠しかったのだろう。

 

スマ「それでそれで!レース内容は!?」

「…東京のダート、1800mだ」

 

スマ「うぐっ…だ、ダート…」

キタ「まあまあ…」

 

「…それだけじゃないぞ」

サト「……と、言いますと…?」

 

「ダイヤ、キタサン…お前たちも同日のPre-OP(500万下)に出てもらう」

ダイヤ「えぇっ!あたし達も!?」

 

サト「た、確かに…レースは何レースか開催されてますが…」

「ちょっと、思ってるローテーションがあってな…走ってくれるか?」

 

キタ「もちろん!」

サト「トレーナー様のために、勝ってみせます!」

スマ「…………………」

 

 

ファル子の顔は晴れないままだった…。

 

 

 

────────────────────────

 

 

「ファル子、少しいいか?」

スマ「あっ…トレーナーさん……うんっ、何かな?♪」

 

いつも通りの振る舞いをしてる…ように見せるファル子。

 

「…ダートは嫌か?」

スマ「…ダート界のトップウマドルになるって…心に誓ったけど…やっぱり走るとなると…少し…」

 

「そっか…ごめんな…でも、俺も正直ダート1本で戦うのは…って少し思ってる」

スマ「…えっ?」

 

「そのためにも…今はメイクデビューをダートで走ってくれ…いいか?」

スマ「……わかった、トレーナーさんの言葉を信じるね!♪」

 

笑った顔はいつものファル子そのものだった。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【トレーナールームを出ると】

 

 

シン「おや」

ブラ「む?」

「…あっ…どうも」

 

生徒会長と…副会長に出くわした。

 

シン「活躍は聞いているよ」

「ありがとうございます…」

 

シン「やはり君の熱意は本物だったようだね

トレセン学園として、生徒会長として残ってくれた事を誇りに思う」

「か、買い被り過ぎですよ…!」

 

シン「そんなことは無いさ、勇往邁進

君が作る道はこれからも輝くと私は思っている…では、失礼するよ」

 

そう言うと生徒会長は立ち去った。

 

ブラ「おい」

「……な、なんですか?」

 

ブラ「あんだけ生徒会長が期待してるんだ…半端な結果を残すなよ?」

「…い、言われなくても…!」

ブラ「…ふっ、面白い奴だ」

 

そう言うと副会長も立ち去ってしまった。

 

「…な、なんだったんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シン「珍しいな、君がトレーナーを高く評価するなんて」

ブラ「少し発破をかけただけだ」

 

シン「手厳しいな」

ブラ「裏を返せば…それを跳ね除けたら…だ」

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【レース当日】

 

 

レース本番!…なんだが…キタサンの機嫌が悪い。

 

キタ「…む~っ!!!」

「落ち着け落ち着け…」

 

その理由は…。

 

キタ「なんであたしが9番人気なの~っ!?」

 

電光掲示板を指さしたキタサンの鼻息は荒かった。

 

サト「…前走の内容が内容だけに…ね」

「…はっきり言うねぇ…ダイヤ」

 

キタ「むぅ~~~~!!

みんな見返してやるんだから~!」

「あ、お、おい!今回の作戦は…っ!!…って、聞いてないし…!」

 

ダイヤ「大丈夫ですよ、トレーナー様」

「…え?」

 

ダイヤ「キタちゃんは逆境に強いですから♪」

「ほ、本当かよ~…」

 

 

 

────────────────────────

 

 

※キタサンブラック視点

 

 

 

…あたしらしいレースをするんだ……

…今回は…出鼻を挫いたりしない!!!

 

 

【集中力】

 

ガッコン!

 

実況『スタートしました!キタサンブラック好スタート!

そのまま前目でレースを運ぶのか!?』

 

この戦法…この感じ……っ…似てる、テイオーさんのように…!!

 

キタ(落ち着いて…2番手から…タイミングを逃さなければ…っ!)

 

 

────────────────────────

 

「あいつ…先行策を取ったのか?!」

サト「正しくは逃げ脚質ですけどね♪」

 

スマ「えっ…じゃあ、なんで?」

サト「多分、辺りを確認しながらレースをしてるんだと思います♪」

 

「そんな器用なのか…あいつ…」

サト「キタちゃんは…」

 

 

 

 

4コーナー回る瞬間にダイヤの顔が微笑んだ。

 

 

 

 

サト「─────''天才肌''ですから♪」

 

 

実況『先頭並びかけたキタサンブラック!

脚色が違う!ぐんぐん伸びて後続を突き放す!!』

 

その末脚に観客もザワつく。

 

観客【お、おい…あのウマ娘…】

観客【あぁ…本当は…めちゃくちゃ強いんじゃ…】

 

実況『そのままキタサンブラック、1着でゴールイン!

2着に3バ身差をつけての完勝~~~~!!!』

 

キタ「……………………っし!!!!!」

走り終えたあとも余力があるのか…息をあまり切らさず拳を突き上げたキタサン。

 

 

サト「ふふっ、熱いレース…見せられちゃいましたね♪」

「…続けよ、ダイヤ」

 

ポンっと俺はダイヤの頭を撫でた。

 

サト「はいっ、行ってまいります♪」

 

 

 

 

 

 

レースが終わったキタサンとダイヤがすれ違った。

 

キタ「…これで、あたしが1歩先に行ったね」

サト「ふふっ、すぐに追いつきます♪」

 

キタ「…勝ってね、ダイヤちゃん」

サト「…はいっ♪」

 

 

 

 

ハイタッチを交わしたダイヤがレースコースへと歩き始めた。

 

 

 

 

キタサンブラックの体力が15下がった。

キタサンブラックのスピードが10上がった。

キタサンブラックのスタミナが10上がった。

キタサンブラックのパワーが10上がった。

キタサンブラックの根性が10上がった。

キタサンブラックの賢さが10上がった。

スキルPtを56獲得した。




次回:ダイヤの真骨頂…そして、ダートの新星の誕生。


評価・感想………………。

貴浩「ちょい!!」
「んあ?」
貴浩「俺の出番は!?」

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よろしくお願いします!!

貴浩「無視かよ!!」


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第12レース

メンテだらけなので更新頑張ります(?)


サト「…ふぅ」

 

ゲート前で自分を落ち着かせるように息を整えるダイヤ。

 

スマ「…相変わらずだけど~…落ち着いてるよね~」

「…さすが、令嬢…って言ったところか」

 

キタ「…落ち着きなくてすいませんね~…」

「いや、キタサンの事は誰も別に…」

 

観客【お、おいっ…あれ…!】

観客【…マジか】

 

スタンドの方が騒がしい…ふと、目をやると。

 

スマ「生徒会長…っ?」

キタ「メイクデビュー戦を見に来るなんて…珍しいね…?」

 

「…いや、今日のメインレースを見に来たんだろう」

 

横にいるのは…。

 

ブラ「…………ったく、なんでアタシまで」

シン「そう言うな、得られる物もあるぞ

…それに、生徒会の仕事をやるのもいいが…君もメイクデビューを半年後に控えているだろう?」

 

ブラ「…アタシの渇きは…満たせられない

それは今も、この先も…だ」

シン「…さて、それはどうかな」

 

 

 

──────────────────────

 

 

【レース前】

※サトノダイヤモンド視点

 

 

サト「………」

?「お、いたいた…今日はよろしくね」

 

サト「えっ?…あっ、ネイチャさん!」

ナイ「いやー、まさか噂のウマ娘ちゃんと一緒に走れるとはね~」

 

サト「一緒のレースだったんですね!…ですが…負けませんよっ」

ナイ「…いや~若いわ~…まっ、お互い全力を尽くしましょうよ~」

 

がっちりと握手をする2人だった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

貴浩「おい」

「うわぁっ!…って、お前かよ」

 

葵「私もいますよ!」

「さて、レースレース」

 

葵「ちょっと…!!」

「…なんであなたまで…」

 

葵「そりゃ多頭出しと聞いていても立っても居られなくて!

さすがはライバル!遂にトップトレーナーになる決意が固まったんですね!」

「……レース始まるから静かにして貰えるかな…」

 

 

貴浩(…さっきっからあのウマ娘…こいつの事ばっかり見てるな…なんなんだ?)

 

 

 

 

 

 

ガッコン!

 

 

キタ「ダイヤちゃん、スタートバッチリ!」

スマ「得意の戦法に出たね!♪」

 

 

サト「ネイチャさんは…後方から…ダイヤは……っ」

 

 

 

''相手を競り負かせ''

 

 

サト「トレーナー様の言葉を…信じるだけです…っ!」

ナイ「ここで…スパート…っ…?!」

 

実況『4コーナー手前、サトノダイヤモンドが上がっていく!

先頭に立って、そのまま府中の526mを迎える!』

 

ナイ「くっ…はっや~…!」

ブラ「……っ!」

シン「気づいたか?…上には上…そして、強さには限界は無いのさ」

ブラ「……………ちっ!!!」

 

 

実況『そのまま脚色衰えず、サトノダイヤモンド今悠々とゴールイン!

2着にはナイスネイチャ!……今、ゴールイン!』

 

サト「はっ………はぁっ……や、やりました…っ!♪」

キタ「やったー!ダイヤちゃ~ん!!♪」

 

スマ「……………」

「流石に緊張してるな?」

 

スマ「そ、そりゃぁ…あんなに強いレース2つも見せられたら…!」

「心配するな、緊張してるのは俺も同じだ

2人でしてれば緊張も半減…なんてな?」

 

静かにレースコースを見るファル子の頭を俺は優しく撫でた。

 

「でも、変に気負うな…自分らしく…な?」

スマ「…うんっ!ファル子、行ってきま~す!♪」

キタ「頑張れ~!♪」

 

 

 

────────────────────────

 

 

サト「あっ、トレーナー様!♪」

「お疲れ様、ナイスレースだったぞ」

 

サト「えへへ…♪///」

キタ「まーた、そうやってトレーナーの横に行くんだから~…」

 

ブラ「…会長」

シン「君の方から発言とは珍しい…何かな?」

 

ブラ「やっぱりアタシには分からない…ただベタベタしてるようにしか見えない

勝利への執念、もっと上を目指す枯渇した気持ち…それが伝わらない」

シン「果たして本当だろうか?」

 

ブラ「…どういうことだ」

シン「何、あのトレーナー君の目を見れば分かるさ

…輝きたい…ウマ娘達を輝かせたいという…潤うことの無い渇いた心を満たしたい目が、な」

 

ブラ「……………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

 

※スマートファルコン視点

 

 

「…や、やっぱり無理ぃ~…」

 

ゲートに入ったら…もう…スタートなんだ…。

スタートしたら…引き返せないってこと…だよね…。

 

「…ううん、トレーナーさんを信じるんだ!

…絶対に…トップウマドルになる!…そのストーリーの始まりが…ここからなんだ…!」

 

…あ、そういえば。

 

「作戦…聞くの…忘れてた~…!!」

 

 

ガッコン!

 

 

「あぁ~~~~…もぅっ!!」

 

 

 

────────────────────────

 

 

キタ「えっ、じゃあ…敢えてファル子ちゃんに指示出さなかったの?」

「まぁ、傍から見たら無責任なトレーナーにも見えそうだがな」

 

サト「…ですが…それほどダイヤ達のことを信用してる…そういう事ですか?」

「当たり前だ、手塩にかけて練習した3人だから…負けないって俺も信じてるさ」

 

キタ「…でも…あれって…」

「ああ…大逃げ…だな」

 

 

 

スマ(4コーナー差し掛かる…手前…2番手との差……は…っ?)

 

状況整理をし、後ろを見たファル子の顔が…一瞬驚いた顔をしていた。

 

スマ(…嘘…)

 

観客【おいおい、2番手との差が8バ身くらいあるぞ!?】

観客【でも、流石にスタミナが持たないんじゃ…】

 

スマ(…これが…ファル子の…力?

…やっぱりトレーナーさんの言う通りだったんだ……なら…!)

 

直線に入ると…更に末脚を活かし、グングン伸びるファル子。

 

観客【ち、縮まらない…っ!?】

観客【おいおい…これって…】

 

 

実況『まんまと逃げ切ったスマートファルコン!

セーフティリードを広げて今、大楽勝のゴールイン!

勝ちタイムは1.32.5…!?…こ、コースレコードです!!』

 

キタ「やったやったー!三連勝~!♪」

サト「ここまでは…予想外、でしたね?♪」

「…ったく、大したやつだよ」

 

 

スマ「はぁ…はぁっ…応援、ありがとう~!!」

 

 

 

 

 

ブラ「…もう行くぞ、会長」

シン「ふっ、どうやら成すべきことが分かったようだな」

 

ブラ「…煩い、まだ決まった訳では無い」

シン「あぁ、気の済むまで考えるが良い」

 

 

 

こうして、3人とも勝ち星を上げることが出来た。

 

 

 

サトノダイヤモンドのスピードが5上がった。

サトノダイヤモンドのスタミナが5上がった。

サトノダイヤモンドのパワーが5上がった。

サトノダイヤモンドの根性が5上がった。

サトノダイヤモンドの賢さが5上がった。

スキルPtを40獲得した。

「ペースアップ」のヒントLvが1上がった。

「良バ場」のヒントLvが1上がった。

 

スマートファルコンのスピードが10上がった。

スマートファルコンのスタミナが10上がった。

スマートファルコンのパワーが10上がった。

スマートファルコンの根性が10上がった。

スマートファルコンの賢さが10上がった。

スキルPtを56獲得した。

「逃げコーナー〇」のヒントLvが3上がった。




注意事項です。

★ウイニングライブは?
→GI勝利時のみとしております。

以下、設定として…ん?となるような所もあると思いますが
ご了承ください。

次回:昔話とトレーナールームと昼寝と2人。

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第13レース

メンテナンスが長引きそうなので気長に待ちながら
えい、えい、むんっ。しようと思います。


ある日のカフェテリア…。

 

キタ「じゃーん!ファル子ちゃん、持ってきたよ~♪」

スマ「あっ、きたきた~♪」

 

サト「…キタちゃん、それって…?」

キタ「実家から送ってもらった…アルバム~♪

えぇーっと、小さい頃のダイヤちゃんは~っと…♪」

 

サト「だ、ダイヤはいいから…っ!?///」

ブンブンと手を振り見えないようにするダイヤ。

 

スマ「あっ、これかな?かわいい~っ!♪」

サト「話聞いてない~~…っ///」

 

キタ「この頃だよね、今のトレーナーと出会ったのって」

サト「うん…と言うか、絶対トレーナー様には見せちゃダメだから

ね…?」

 

「俺がどうかしたのか?」

ひょこっと後ろから現れた俺の声に、ダイヤの耳がピーンと立った。

 

サト「と、ととととと、トレーナー様っ!?///」

ガバッと自分の体でアルバムを隠すダイヤ。

 

「…えーっと…今日は体育館に集合って言おうとしたんだけど…なんかあった?」

サト「なんでもありませんよ、なんでも!!///」

 

キタ「見せても減るものじゃないのに~」

サト「キ、キタちゃん~…!!」

 

スマ「今ね、キタちゃんとダイヤちゃんのアルバム見てたんだ~♪」

「おっ、いいね俺も見たい」

 

サト「だ、ダメです~!」

「えぇ~…?」

 

サト「…うっ…そ、そんな顔しないでください………もう

…………分かりましたよ…///」

観念したかのようにアルバムを差し出すダイヤ。

俺も横に座らせてもらってアルバムを眺めていた。

 

 

「いいじゃん、可愛いよ…あっ、今もだけどな?」

サト「……………うぅ…///」

 

キタ(さらっとこういうこと言うからタチが悪いよね~…)

サト(にぶトレーナーって称号…渡す?)

 

「…まぁ、でも…あの時の子が…トレセン学園に入って…

そして俺も何だかんだでトレーナーになってて…ダイヤが担当ウマ娘になって…」

スマ「運命、感じちゃうね!♪」

 

サト「た、たまたまですよ…///」

「あはは、今度フクキタルにでも占ってもらう?」

 

サト「も、もうっ!トレーナー様ってば…!///

(今度秘密で占ってもらいます…///)」

「…さて、俺は戻るか…じゃあ、3人ともまたトレーニングの時、な」

 

 

キタ「はーいっ」

スマ「おやおや~、ダイヤちゃん顔が赤いままだよ~?」

サト「そ、そんなこと…っ…!///」

 

「あははっ………」

 

ドンッ。

 

「…っと、悪い!」

 

ブラ「…なんだ…お前か」

 

キタ「ナ、ナリタブライアン…さん」

スマ「…あ、あわわ…」

 

ブラ「ぶつかっただけで何も言わん」

「そっか、悪かったな」

 

ブラ「……………………ああ、それと」

「…ん?」

 

ブラ「…いや、なんでもない…気にするな」

 

そう言うとブライアンは去ってしまった。

 

サト「…凄いオーラでしたね」

「…あぁ、でも…なんか不思議な感じだ…近寄り難いわけでもない…そんな…」

 

 

 

ブラ(…あの目………アイツも奥に何かを宿しているのか…?

…ふっ、こんなことを考えるなんて…杞憂だな、らしくない)

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【トレーナールーム】

 

 

 

サト「…トレーナー様~…?」

トレーニングの時間になってもトレーナーの姿は体育館には無かった。

不思議に思ったダイヤがトレーナールームに顔を出した。

 

サト「…………あっ」

「…………すぅ…すぅ…」

 

静かな寝息を立ててトレーナーがソファーに横になっていた。

 

サト「…お疲れ…だったのでしょうか?」

チラッとデスクに目をやると…そこには大量の資料と書類…

そして飲み物のビンがあった。

 

サト「…言ってくだされば…手伝いますのに…」

そう言ってダイヤは静かにトレーナーの寝顔を眺め始めた。

 

サト「…不思議…人間の耳って…こんなにぷにぷにしてるんですね…

…あっ…まつ毛も…意外と…長い…」

普段よりも子供のように見えるトレーナーの寝顔に

ダイヤの鼓動は早くなっていった。

 

サト「…トレーナー…様///」

起こさないように…頭を抱き寄せるダイヤ。

 

サト「…これからも…ずっと一緒にいてくださいね…♪」

そして、そっと髪の毛に口付けをした。

 

サト「…いけないっ、私…何を…っ…///」

「…うぅ〜ん…あれ…ここ……っ…て、ダイヤ!?」

 

サト「……ぁ…お、おはようございます…っ?」

良かった…バレてないみたい…。

 

「…やばい、俺…寝てた!?」

サト「…起こしに来ましたよ♪」

 

「ごめん、すぐ向かうから!」

サト「急がなくても大丈夫ですよ…それに体を酷使されてるようですし…」

 

「…えっ…あ、あぁ…ごめん」

サト「無茶は仕方ないですが、オーバーワークは自分の身を壊してしまいますよ?」

 

「…ごめん」

サト「何かあったら、ダイヤを頼ってくださいっ♪」

 

「…あぁ、ありがとうな…ダイヤ」

サト「いえっ♪」

 

「…ところで…なんか変な夢見たんだけど…」

サト「…?

どんな夢…ですか?」

 

「めちゃくちゃ良バ場の芝生に顔を埋めるような…夢?」

サト「…!!!///

き、気のせいですよっ!ウマ娘になった訳でもないのに…っ!///」

 

「…ん?」

サト「さ、さぁっ、トレーニング行きますよっ!///」

 

 

顔を赤くしたダイヤに催促され

急いで身支度をして体育館に向かう俺だった。

 

 

 

 

キタサンブラックの体力が10上がった。

キタサンブラックのスタミナが10上がった。

キタサンブラックの根性が10上がった。

「小休憩」のヒントLvが1上がった。

 

サトノダイヤモンドのスピードが20上がった。

サトノダイヤモンドの賢さが10上がった。

「ささやき」のヒントLvが2上がった。

 

スマートファルコンの賢さが20上がった。

スキルPtを15獲得した。

「二の矢」のヒントLvが1上がった。




次回:ファル子の想い。

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よろしくお願いします。

(先程創作に今作の名前があることに気がつきました
本当にありがとうございます)

推薦とか書いて貰えたらモチベーションバクシン爆上がりなので
何卒よろしくお願いいたします。


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第14レース

色々修正しながら頑張って投稿してきます。


スマ「トレーナーさん」

 

「…ん、ファル子…どうした?」

スマ「…正直なこと…聞いていい?」

 

トレーナールームに入ったファル子は

誰も来ないようにドアへともたれさかった。

 

「…大事な話…っぽいな」

スマ「…うん、とても…ファル子にとって…とても大事なお話

…だから…笑わないで…聞いてくれる…?」

 

ぐっと、胸に手を当てるファル子。

 

「…あぁ、約束するよ」

スマ「…トレーナーさんは…ファル子が…三冠ウマ娘のレースに出たい…絶対出るって言ったら…笑う?」

 

「…いーや、なんとなくだけど…言うと思ってたよ」

スマ「…えっ?」

 

「走る以上は目指したいもんな」

スマ「…わ、笑わないの?…無理だって…諭さないの…?」

 

「そんな事するわけないだろ?…目指すって言うなら一緒に頑張ろうって背中押すのがトレーナーの役目だろ」

スマ「……あ…………うん………///」

 

「…だけど、難しい道のりなのは…分かってるね?」

スマ「…うん…まずは…Pre-OP…だよね」

 

「…あぁ、そこを勝って…もうひとつ重賞クラスを勝たないと…」

スマ「…ファル子…出るよ…今週のレース!」

 

「止めても出るって言いそうだな…分かった、登録しておこう」

スマ(ダイヤちゃんやキタちゃんに…遅れをとるわけには…!)

 

揺るぎない決意の眼差しと共に、ファル子のレースが決まった。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【レース当日】

 

 

スマ「………ふぅ…………よっし、ファル子元気いっぱい!♪」

「…大丈夫そうだな」

 

「今回はメイクデビューと同じ距離だが…大丈夫か?」

スマ「ファル子はいつものファル子だよっ♪」

「…なら結構…今回の作戦を言うぞ?」

 

スマ「…逃げ…かな?」

「あぁ、スタート決めて…先頭のまま優位に立とう

周りなんか気にするな…4コーナーで後続を引き付けて…直線で離す!」

 

スマ「…うんっ!分かった!♪」

「…勝ってこいよ、ファル子」

 

頭を撫でるとファル子は手でハートを作りながら笑った。

 

スマ「はーいっ、ファル子行ってきま~す!」

「……いつも通り…か」

 

妙にその言葉が引っかかる俺だった。

 

 

────────────────────────

 

 

キタ「ファル子ちゃん、気合い十分だね」

「共に競る仲間でありライバルが2人もいるからな」

 

サト「…それって…」

「さぁ、始まるよ」

 

 

 

実況『14頭、ゲートに収まりまして…態勢完了』

 

ガッコン!

 

実況『スタートしました!スマートファルコン今日もいいスタートでハナを奪っていく!』

 

キタ「よしっ、得意の戦法!」

サト「…トレーナー様…」

「あぁ、ダイヤも思ったか」

 

少しファル子の走り方が…フラフラしてるようにも見えた。

 

 

スマ(…先頭で…2番手は…っ……!

こんなにマークされる物なの…っ…!?)

 

2番手のウマ娘は徹底的にファル子をマークし、後ろに付いていた。

 

実況『先頭、2番手が後ろを離して3コーナーに差し掛かる!』

 

「…………ファル子…っ………!」

 

苦虫を噛み潰したように顔顰める。

このまま…だと…!

 

 

スマ(負け…ないっ…まだ…まだこんな所で…止まりたくないのに…!)

 

少し、ファル子のペースが上がったような気もした。

 

キタ「トレーナーっ、あれって…!」

サト「暴走…っ…!」

 

「ファル子…っ!!!」

 

実況『2番手を振り切りにかかる、スマートファルコン!

そのまま4コーナー回って、直線へと向かう!

しかし、差が開かないどころか縮まってきている!

逃げ粘れるか、スマートファルコン!?』

 

スマ「…くっ……う、ぁあああああっ…!!!」

目を瞑り、一心不乱に走るファル子。

 

しかし、その脚にも…切れが無くなってきた。

 

スマ「負け、たく………………ないっ…!!!」

 

実況『今、ゴールイン!!!

スマートファルコン…果敢に逃げましたが…惜しくも2着に敗れました!!』

 

スマ「…はぁっ………はぁ………そん…なっ………」

膝に手をついて顔を俯かせるファル子。

終わってみれば、2バ身と1/2の着差がついた。

 

 

スマ「……………………………」

「…っ…ファル子!」

 

キタ「あっ、ちょっと、トレーナー…っ!!??」

サト「……キタちゃん」

 

柵を飛び越えてファル子の元に駆け寄る俺の姿を見たダイヤは

キタサンの腕を掴んで首を横に振った。

 

サト「…きっと、心から悔しいのは…トレーナー様も同じ…だから」

キタ「…………そう…だよね」

 

レース直後のコースにトレーナーが入るのは前代未聞。

しかし、俺はそんなことはどうだって良かった。

 

 

「…ファル子…」

スマ「ごめん…なさい…トレーナーさん…ファル子…負けちゃ…った…」

 

肩を震わせながら言葉を何とか吐き出すファル子。

 

スマ「…こんなんじゃ…トップウマドルなんて…」

「なれないなんて…言わせないよ」

 

スマ「…でも…っ…!」

顔を上げたファル子は…………泣いていた。

きっと、初めて味わった悔しさだったのだろう。

 

「終わらせないよ、ファル子の夢は

…それに、ファンはずっとここに1人…居続けるからさ」

スマ「………………えっ…………」

 

「例えファンが1人になっても……いや、俺だけがファル子のファンになったとしても…ずっと応援するし…夢を追いかけるよ」

スマ「……だって…こんなレース…してたら…!」

 

「お前は1人じゃない…まだこれからだぞ?

悔しい気持ちは…半分こだ

お前が頑張った姿はしっかり心に染みたよ」

 

そう言って俺は黙ってファル子を抱き寄せた。

 

「……………安心しろ、俺がついてる」

スマ「…………っ……………!」

 

 

 

 

スマ「………ぁ…ああああああぁっ…!」

今まで味わった事のない悔しさで胸がいっぱいになったのか

ファル子はわんわんと泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

キタ「慰めるのはいいけど…」

サト「あれってレースコースってこと…忘れてるね…(いいなぁ…///)」

 

 

 

 

 

────────────────────────────

 

 

 

「…落ち着いたか?」

スマ「…うん…トレーナーさん…ありがとう…♡」

 

キタ「…それで…どう、するの…?」

スマ「…トレーナーさん…………お願いがあるの」

 

「……ファル子?」

スマ「…………来週のレース…出させて!」

サト「…連闘…ですか…っ!?」

 

「…それは…」

スマ「お願い……っ!!」

 

頭を下げるファル子。

…トレーナーとしては…認める訳には…。

 

スマ「…ダメ…かな…」

「…………本気、なんだな?」

 

その問いに静かに頷いたファル子。

……………仕方ない…今回だけ…許す、か。

 

「…今回だけだからな」

キタ「トレーナー…」

 

サト「ファル子さん…無理は絶対いけませんよ…?」

スマ「…分かってる…けど…ケジメ…だから…」

 

「…じゃあ…来週の…Pre-OPに登録しておくぞ」

スマ「…ありがとう…トレーナーさん…」

 

 

サト「……………………………」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【栗東寮】

 

 

コンコンっ。

 

サト「…ファル子さん…いますか?」

スマ「…ダイヤ…ちゃん?」

 

サト「…今…いいかな?」

スマ「中に入っていいよ?…今、フラッシュちゃん居ないから」

 

サト「…すいません、お邪魔します」

スマ「それで…何かお話があるのかな?」

 

サト「ファル子さんは…トレーナー様の事…どう思いますか?」

スマ「…えっ?」

 

サト「素直な気持ちをお聞かせください」

スマ「…ごめん…どうって言われても…分からない」

 

サト「…なるほど……レースの事とかありますもんね…

すいません、変なことを聞いてしまって」

スマ「…あっ…ううん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スマ(…本当は…言いたいよ…ファル子だって…

トレーナーさんのことを…諦めたく…ないって…

…でも、その気持ちは…まだ、ファル子の胸の中に…留めておかせて…)

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【そして連闘のレース当日】

 

 

スマ「………うんっ、脚…軽いっ」

「ほんとに大丈夫なんだな?」

 

スマ「負けっぱなしは…ファル子らしくないっ」

「…ま、泥臭く頑張るウマドルもいい物だな」

 

スマ「トレーナーさんもすっかりウマドル・ファル子にぞっこんだね♪」

「危なかったしくて見てられないだけだ」

 

スマ「…む、むむぅ~…っ!」

「さぁ、レースだ…リベンジ、期待してるぞ?」

 

スマ「…行ってきます!」

真剣な表情に変わったファル子を見て…俺も少し安心した。

 

 

 

 

 

 

実況『3番人気は連闘で出走となりますスマートファルコン』

解説『調子を立て直せてるか気になるところですね』

 

スマ「…大丈夫…今のファル子には…とっても心強いファンがいるから…っ!♪」

 

 

 

 

ガッコン!

 

実況『今スタートしました!』

 

キタ「今日もスタート決めた…っ」

「さぁ、ここからが本題だ」

 

サト「…と、言いますと…?」

「今日のバ場は…稍重…走るにはパワーが必要なところ…だが」

 

スマ「……大丈夫…今日は…視界…良好…っ!

ファル子は…一気に…スターダムを駆けて…行くの…っ!!」

 

実況『仕掛けたスマートファルコン!

しかし、後続も追いすがる!』

 

「……………………いけっ!!!!!」

スマ「ファル子は……………勝つの…っ!!!!!」

 

 

実況『突き放す!スマートファルコン!

目の覚めるような鮮やかな逃走劇!そのまま1着でゴールイン!

スマートファルコン、先週のリベンジを果たしました!!!』

 

スマ「…やった………………やった~っ!!!!!♡」

「…ははっ、あれが連闘の走りかよ…」

 

キタ「あははっ、トレーナー声ガラガラ~♪」

サト「無理はいけませんよ?」

 

「あぁ…ありがとうな、ダイヤ」

サト(…負けませんよ…ファル子さん)

 

嬉しそうにスタンドに手を振るファル子を見て…

少し微笑むダイヤだった。

 

 

 

 

 

スマートファルコンの体力が20下がった。

スマートファルコンのスピードが23上がった。

スマートファルコンのスタミナが23上がった。

スマートファルコンのパワーが23上がった。

スマートファルコンの根性が23上がった。

スマートファルコンの賢さが23上がった。

「逃亡者」のスキルLvが1上がった。

「切れ者」のコンデションを獲得した。




次回:いざ、重賞。


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第15レース

ナリタブライアン、ください。


「…さて、3人ともPre-OPを勝ち進んだ訳だが…」

 

キタ「?」

サト「何か問題が…ありましたか?」

 

「いや、そうじゃない………ふむ…」

 

ホワイトボードに3人の名前を書く。

首を傾げてその様子を見るキタサンとファル子。

 

サト(…はぁ…真剣に考えてるトレーナー様も…素敵…♪)

キタ(またダイヤちゃんは…)

スマ(ま、負けないもん…っ!)

 

「3人の今の目標は………皐月賞だ!」

 

スマ「えぇぇぇえええぇっ!!?」

キタ「うわっ、びっくりした」

 

サト「3人で…GIに…っ!」

「あぁ、行かせるぞ…絶対に」

 

しかし、そう簡単にGIには出走できない。

そのためには………。

 

「…重賞だ」

キタ「…そっか…そうだよね…」

 

サト「ですが…出走レースは決まっているのですか?」

「あぁ、順に説明するよ」

 

ペンでキタサンの名前を叩く。

「まずはキタサン…お前はスプリングステークスだ

ここを叩き台として…皐月賞に出るぞ」

 

キタ「…もちろんっ、勝ってGIに出るよ!」

 

…さて、次はダイヤ…………………。

「ダイヤはきさらぎ賞だ…GIIIは不満だったか?」

 

サト「いえっ、トレーナー様のご指示ならそれに応えてみせます!♪」

「うん、いい返事だ…一緒にトレーニング頑張ろうな」

サト「…えへへ…///」

 

スマ「はいはーい!ファル子はファル子は~!?」

「…しまった、出れそうなレースが……ふむ…」

スマ「えぇ~…っ!?」

「…アーリントンカップか…どうだ?」

スマ「うんっ、いいねいいね!♪」

 

…さて、レースは決まった…。

(…あ、そうか…GIなら勝負服が必要なのか…?)

 

誰かに相談できないかな…うーん…他のトレーナー…。

貴浩…は、今いないし…。

葵…話にならないような気もするが…。

 

「(…生徒会長にでも聞いてみようかな)…済まない、少し席を外す

1時間後にトレーニングだ」

 

スマ「はーいっ、2人とも~カフェテリア行こ~♪」

キタ「いいねっ!」

サト「お供します♪」

 

 

 

 

 

 

【移動中】

 

スマ「…それにしても…GI…かぁ…」

キタ「緊張してる?」

 

スマ「ううん…してない……と言うか…実感が湧かない、かな…」

サト「ファル子さん…」

 

 

スマ「まさかファル子が…本当に芝のGIに出れるかも…だなんて」

キタ「出れるよ、きっと!だから一緒に頑張ろう!」

 

スマ「…うんっ、せっかくGI出るって目標をくれたトレーナーさんにも感謝しながら…ファル子、頑張るよ~!♪」

サト「ふふっ、手強いライバル登場だね」

 

キタ「あたし達も負けないよ~!♪」

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

「…あっ、居た」

シン「むっ…トレーナー君か…どうかしたか?」

 

「少し聞きたいことがあってな…今、いいか?」

シン「あぁ、構わんよ」

 

「…勝負服ってさ、どう思う?」

シン「…ふむ、そうか…もうそんな所まで…」

「…どうかしたか?」

 

シン「いや、なんでもない…トレーナー君の面目躍如…もうGIに出るのだな?」

「…出れたらいいな…の世界だがな」

 

シン「勝負服はそのウマ娘達の個性を表す…その点は私よりもトレーナー君の方が詳しいだろう」

「…個性、か」

 

シン「何、そんなに難しく考えることは無い」

「…なるほどなぁ…いや、まさか勝負服を考えるなんて思ってなかったからな…こういうのには頭が回らない性分でな」

 

シン「勝負服を真面目に考える…性分…くっ…ふふっ…」

「…えーっと……会長?」

シン「やるな、トレーナー君……っ…くっ…くくっ…」

「……えっと…ありがとうございます?」

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【カフェテリア】

 

 

?「はい、トレーナーさん…あ~ん…♪」

 

スマ「わっ、あれ…」

キタ「……な、なんか…すっごいね…///」

サト「…あの人は…」

 

?「おっ、見ない顔やな?…って、あーぁ見なくてええで…クリークはいつもああやからな」

 

キタ「あなたは…」

タマ「タマモクロスっちゅーんや!よろしゅうな!」

 

キタ「キタサンブラックです!」

サト「サトノダイヤモンドと申します」

スマ「スマートファルコンっ、ファル子だよ!」

 

タマ「まぁ、3人のことは知っとるがな!

強いウマ娘が出てきたって有名やで?」

 

キタ「いや~、それほどでも~…♪」

サト「もう、キタちゃんったら…」

 

スマ「それより、クリーク…さん?…はいつもトレーナーさんにあんな感じに接してるんですか?」

タマ「スーパークリーク…高等部やから3人の先輩になるで

…まぁ…良い意味で~…甘やかし上手っちゅーか…正直、見てる方は胸焼けしてアカンわ」

 

キタ「…へぇ…なんか…いいかも」

タマ「いや、なんでやねんっ!?話聞いとったか!?」

 

サト(トレーナー様は…甘えて来る方が好きなのかな…

それとも…甘えたい方なのかな…?)

スマ「…なるほど…あのスマイル…ウマドルにも役立つ…かも…」

 

 

 

タマ「…なんか、純粋なんやな、3人とも」

 

 

やれやれと肩を落とすタマモクロスだった。




次回:卑しか女杯(3頭立て)

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第16レース

注目の1番人気、4番サトノダイヤモンド。
私注目のウマ娘ですね。

得意の距離で力(物理)を発揮してくれるでしょう。


「………………………」

 

サト「トレーナー様っ♪」

キタ「トレーナーっ、肩凝ってない?あたしマッサージ上手いんだよ~♪」

 

スマ「トレーナーさんとツーショット~、いぇ~いっ♪」

「……あの、3人とも…」

 

トレーニング開始の時刻になったが…3人ともこんな様子である。

「…一体、これは…」

サト「あ、トレーナー様はお気になさらず♪」

 

「…いや、十分気になるんだけど…」

キタ「おっ、トレーナー…やっぱり凝ってるね~…

それに…逞しい…背中…///」

 

「…あの、マッサージ…だよね…なんでそんな密着するの?」

キタ「因子継承(マッサージ)だよ!」

「そうはならんやろ?!」

 

スマ「ねぇねぇ、トレーナーさんっ!

ファル子と…2人きりのトレーニング…してほしい、な?♪」

「…お、お前はお前で…どこでそんな上目遣いを…」

 

いかんいかん、トレーニングに集中させないと…。

 

サト「ダメですっ、2人きりのトレーニングをするのはダイヤですっ!

ねっ、トレーナー様っ?♪」

 

う、腕に抱きつくな…っ……あぁ、もう…っ!

「…悪い、大樹のウロに行っていいか?」

 

キタ「えっ?なんか叫びたい事あるの?」

「…そりゃあ、めちゃくちゃあるよ…」

 

サト「…ダイヤにこっそり…愚痴を言ってもいいの、ですよ…?♪」

「…さ、ささやくな…っ…」

 

スマ「…ファル子だって、トレーナーさんを独り占めしたいもん…」

「独占力…っ!…ってか、レアスキル…!!」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

葵「…むっ!!!うまぴょいの予感!!」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【しばらくして】

 

 

「…はぁ、はぁ…酷い目に遭った…」

キタ「トレーナー、はいっ♪」

 

頬に冷たい飲み物を当てるキタサン。

 

「っめたっ!!」

キタ「あははっ、おもしろ~いっ♪」

 

「…ったく、ありがとうな、キタサン」

キタ「いーえっ、あたし達こそ、ごめんね急に」

 

「ホントだよ…一体何があったって言うんだ」

キタ「んー……少し、昔話していいかな?」

 

「…唐突だな…構わないが」

キタ「あたしとダイヤちゃんがトレセン学園に来た理由…知ってるよね?」

 

「…あぁ、マックイーンとテイオーに憧れて…だろ?」

キタ「そそ、それそれ……憧れ…は、そうだったんだけどね」

 

サト(………あれっ…トレーナー様と……キタ…ちゃん?)

 

キタ「でもね、トレセン学園に来てから…毎日が楽しくなったの」

「…良かったじゃん、入学した意味もあるってもんだ」

 

キタ「…その一番の理由は…トレーナー…に、出逢えたから…だよ」

「…キタサン?」

 

どこか歯切れが悪く、顔を赤くして言うキタサンに俺も戸惑ってしまった。

 

キタ「トレーナーに会えてから…毎日が楽しいんだよ?

憧れとは違う…感謝…すっごくしてる…だから…」

 

グッと手に力を込めるキタサン。

 

キタ「…もし……もし、GI取れたら…」

「…キタサ────」

 

サト「…待って!」

キタ「…っ…!?……だ、ダイヤちゃん…っ!?」

 

あともう少しで何かを言い出しそうになったキタサンの元にダイヤが現れた。

 

サト「…キタちゃん……っ!!」

キタ「…ダイヤ…ちゃん?」

 

サト「改めて…言わせて……私のライバルは…キタちゃんだから!

絶対…負けない…その背中を…絶対に越えるから!」

キタ「…ダイヤちゃん……うんっ、あたしも負けない!

その迫る熱を感じながら…先頭の座は譲らないよ!」

 

「…いいな、こんな関係……

そうやってお互いに燃えてる姿…俺は''好き''だよ」

 

サト「すっ…………!?///」

キタ「…きっ…?///」

 

「…えっ、なんか間違ってたかな?」

 

サト「…あぅ…あぅ…ダイヤも……だぃ……好きです…///」

キタ「……あたし、も……す、好き…っ…///」

 

「…う、うん?」

手で顔を隠す2人を不思議に見つめる俺だった。

 

3人のスピードが5上がった。

3人のスタミナが5上がった。

3人のパワーが5上がった。

3人の根性が5上がった。

3人の賢さが5上がった。

3人のスキルPtが30上がった。




次回:重賞(これがアタシの走り)


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第17レース

サトノダイヤモンドの花嫁衣裳はまだですか?


キタ「…っし!」

靴紐を結び直したキタサンは気合もよく乗って好気配だった。

 

「気合入ってるな」

キタ「こんな所では立ち止まっていられないからね!」

 

「…そうか、だけど油断は禁物だぞ」

キタ「…うん、大丈夫…トレーナーがついてるしっ♪」

サト「もう、キタちゃんってば…」

 

キタ「…でも…5番人気…かぁ」

「…不満か?」

 

その質問に、キタサンは首を横に振った。

キタ「その逆…見返したくなってきちゃった!」

「…流石だな…期待してるよ、キタサン」

 

拳を突き合わせたキタサンはいつものように笑った。

 

キタ「…行ってきます」

「あぁ、勝ってこい」

 

そして、スプリングステークス(GII)の舞台へと向かうのであった。

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

【スタンド】

 

スマ「あっ、トレーナーさ~ん!ここ、ここ~っ!♪」

「場所取りありがとうな、ファル子」

 

スマ「いーえっ♪

…キタちゃん、どうだった?」

「どうもこうも…」

 

サト「いつも通りすぎて安心しちゃいました♪」

スマ「そっか!キタちゃんメンタル強いもんなぁ~…」

 

「……頼むぞ…キタサン」

 

真っ直ぐ見つめた視線を感じたのか…キタサンが小さくガッツポーズをした。

 

 

キタ(…勝つよ…トレーナーの為にも)

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

※キタサンブラック視点

 

 

実況【春のクラシックを占う前哨戦、ここ中山レース場で行われるGIIスプリングステークスに18頭のウマ娘が集結!】

 

キタ「……大丈夫、あたしなら…っ」

 

 

ここを勝って…皐月勝に出るんだ…っ!

あたしの出来る…最高の…あたしらしいレースをするんだ…っ!

 

 

実況【ゲートイン完了、体勢整いました】

 

 

シンっと静まる場内。

スタンドに押しかけたファンがスタートの瞬間を待ちわびる。

 

 

 

ガッコン!

 

キタ「……よっし!」

 

 

実況【──今スタートしました!キタサンブラック、最高のスタートを切りました!】

 

「よしっ…!」

サト「スタートも克服してきましたね…それでこそ、ダイヤのライバルです…♪」

スマ「いけいけ~っ!♪」

 

 

実況【スタートで抜けたキタサンブラックは2番手で第1コーナーを回ります

この戦況をじっと見ながら抜け出すタイミングを伺えるかっ…!?】

 

 

キタ(違う…抜け出すタイミングは…自分の手で作ってみせる…っ!)

 

実況【1000mのタイムは1:02.6!スローペースでレースが進められていきます!】

 

 

サト「…どうでしょうか、トレーナー様」

「…今のところは滞りない…かかっていなさそうだし…後はスパートをかけるタイミングだけだ…っ!」

 

実況【ぐっと馬群が詰まってきて第4コーナーへと向かう!

ここからは短い直線勝負!】

 

キタ「…ここ…だあぁああっ!!」

実況【キタサンブラック仕掛けてきた!先頭へと並びかける!】

 

サト「キタちゃんっ…!」

「持ってくれ…っ!」

 

実況【抜け出したキタサンブラック!しかし後続も後方から追い上げにかかる!】

 

キタ(あたしは…負けない…っ…!

こんな所で…っ…抜かされたら…トレーナーにも…っ…ダイヤちゃんにも…笑われる…っ…!!!)

 

キタ「…あたしが……っ…''プロフェッサー''だぁあぁああああ!!!」

実況【残り200mで更に伸びるキタサンブラック!

脚色が衰えない!これは強いっ!!キタサンブラック先頭だ!】

 

サト「キタちゃんっ…!」

「………っし!!!!」

 

 

実況【そのまま先頭でキタサンブラックゴールイン!!

見事スプリングステークスを制しました!!

これは皐月賞へ視界よし!!!】

 

キタ「…や…………ったぁあああああああ!!!」

大の字で芝生の上に倒れ込んだキタサンは息を大きく切らして空を見上げた。

 

 

キタ「…はぁ…っ…はぁ……トレーナー……分かったよ…あたしの…あたしらしいレースが…」

 

ぐっと拳を空に突き上げるキタサン。

 

キタ「……………GI…勝つ!!」

 

 

 

スマ「…凄いね、キタちゃん」

サト「えぇ…燃えてきました」

 

「…はぁあああ~…」

ガス欠のようにその場にへたり込む俺。

 

サト「トレーナー様っ!?」

「…なんか勝てたって安心からか…力抜けちゃった…」

 

スマ「あははっ、トレーナーさん力入りすぎ~♪」

 

キタ「…それじゃあ、GIなんて体持たない、よ?♪」

「キタサン!」

キタサンがスタンドの柵の近くに来た。

 

キタ「あと…おめでと、これでGIIトレーナーだね」

「あはは、俺は何も…」

 

キタ「…ううん、そんなことないよ…トレーナーの応援があったから…勝てたんだよ」

「キタサン…」

 

キタ「…だから…負けないよ」

そう言った目の先は……ダイヤを捉えていた。

ダイヤもそれに答えるように…微笑んで頷いた。

 

 

キタサンブラックの体力が25下がった。

キタサンブラックの根性が20上がった。

「弧線のプロフェッサー」のヒントLvが3上がった。




次回:ダイヤの軌跡(サトノダイヤモンド編)


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第18レース

夏になったら…水着のキャラが…出てくるのか…っ!?


キタサンブラックがスプリングステークスを制し数日が経った。

…そして、次はサトノダイヤモンドの番だ。

 

今俺はそのレースの対策として1人トレーナールームで過去のきさらぎ賞の映像を見ていた。

 

「…ここ数年のペースは…っと…」

 

 

コンコンっ。

 

 

…ん、この時間に誰だ?

「…誰だ?」

サト「夜分遅くに申し訳ありません…ダイヤです」

 

「…ダイヤ?

…開いてるし、入っていいよ?」

そう言うとゆっくりとドアが開かれた。

 

サト「…ごめんなさい、こんな時間に…」

「門限ギリギリじゃないか…一体どうしたんだ?」

 

サト「…すいません、どうしても…トレーナー様の顔を見ておきたくて…」

「…えっ?」

 

サト「…隣…座ってもいいですか?」

どこかダイヤの態度がしおらしい。

…緊張…しているのだろう、か…?

 

「…あぁ、いいよ…おいで?」

サト「…はい♪」

 

そう言ってゆっくりと隣に座ってダイヤは俺の横顔を眺めていた。

 

(…集中できないな…)

サト「………………♪」

 

仕方ないから、パソコンの電源を落とそうとしたが…

ダイヤが俺の腕に顔を擦り付けてきた。

 

「…ダイヤ?」

サト「…少し…こうさせてください…///」

 

目を細めてダイヤは何度も顔を擦り付けてきた。

(…確か…これは、甘えたいって時にする…行動…だったかな?)

 

確かめるように俺はダイヤの頭を撫でた。

 

サト「…っ…♪///」

嬉しいのか、ピクっと耳を動かすダイヤ。

…無言のまま…頭を撫でる時間だけ過ぎていった。

 

「…そ、そろそろ寮に戻らないと…っ」

サト「あっ…やだ…っ!!」

手を離そうとしたら…ダイヤが慌てて懇願した。

 

「えっ、ちょ……!」

咄嗟の行動でダイヤに押し倒されるような形になってしまった。

 

ダイヤ「…トレーナー…様…」

「…ダメだ…ダイヤっ…俺とお前は…トレーナーとウマ娘であり…っ!」

 

しかし、まっすぐ俺を見る目を…俺もまっすぐ見つめた。

 

ダイヤ「…トレーナー様…っ///」

そのまま…ダイヤは顔近づいてきた。

 

「…ダ、イ…っ」

…カプっ。

 

サト「…♪///」

「…えっ…ちょっ…何を…」

 

痛くない程度に…ダイヤは俺の首に甘噛みしてきた。

 

サト「…ふふっ、赤くなっちゃいました♪」

「…お、お前…っ」

 

少し名残惜しそうだったが…ダイヤは自分の唇に指を当てて離れた。

サト「…ふふっ、リラックス出来ました…ありがとうございますトレーナー様…♪」

 

ダイヤに甘噛みをされた場所を擦りながら…俺はダイヤの姿を見送った。

…が、直ぐにドアを少し開けて顔を覗かせた。

 

サト「…ダイヤのマークを付けちゃいました♪

…簡単に取っちゃ…ダメ、ですよ…?♪」

「…うっ」

 

その姿に…ドキッとしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

【レース当日】

 

 

「……はぁ」

キタ「あれっ、トレーナー…寝不足?」

スマ「どちらかと言えば、夜ふかし気味って感じだね♪」

 

「…まぁ…そんなところだよ」

俺は無意識に首を摩った。

 

キタ「首凝り?」

「…ん、いや────」

 

サト「ふふっ…どうしたんですか、トレーナー様?♪」

「だ、ダイヤ!」

 

キタ「ダイヤちゃんっ!」

サト「ふふっ、今日は調子が絶好調です♪」

 

そして、ちらっと俺の方を見て微笑むダイヤ。

…くそ…あの時の出来事が…。

 

サト「…では、行ってまいります…♪」

唇に指を当てたダイヤはそのままレースコースに向かった。

 

「…ダイヤ」

キタ「…怪しい~」

 

「な、何が!?」

スマ「なんかこう…ねぇ~?」

キタ「熱い視線を交わしてたような~…?」

 

「な、ないから…!」

…と、否定したが…俺もずっとダイヤのことを目で追いかけていた。

 

 

 

 

 

 

 

※サトノダイヤモンド 視点

 

 

…うん、いつもより…落ち着いてる。

トレーナー様が撫でてくれたのが…お守りになったのかな…?

 

サト「…なら…勝って恩返ししなきゃ…!」

それに…キタちゃんの後に…続く!

 

 

実況【春のトライアルレースきさらぎ賞!

このレースを制し、皐月の舞台に立つのはどのウマ娘か!

各ウマ娘、ゲート入りスムーズに進んでます】

 

サト「……よしっ」

ふっと息を吐いてゲートに進む…。

大丈夫…トレーナー様が…居てくれるから。

 

 

実況【全馬ゲートイン完了】

 

 

ガッコン!!

 

サト「………はぁっ!」

 

実況【スタートしました!揃った飛び出しから各ウマ娘の隊列がバラけて来ます】

サト「……この好位置…譲りません…っ!」

 

5番手…大丈夫…囲まれても…落ち着いて対処すれば…っ。

 

 

実況【ゆったりとしたペースから2コーナーカーブ

かなり隊列が縦長のまま1000mを通過します

1000m通過タイムは…59.8!スローペースでレースが進まれていきます!】

 

キタ(…まだ…抑えて…ダイヤ…ちゃん…っ!)

スマ「…少し…前が塞がってる気が…!」

 

「…ダイヤ…っ…!!」

 

ダイヤ(…昔から…そうだった…

お母様も…手が届かなかった…GI…

周りからは…ジンクスは…破けない…サトノ家は…名門にはなれない…

そんな事ばかり…言われてきた…っ)

 

実況【さあ、いよいよ直線コースに向いてきた!

各ウマ娘、末脚勝負へと持ち越された!

京都の京都のスタンドが揺れているぞ!

最後の直線329mが待ち受けている!!】

 

 

サト「………でもっ…!!」

ぐっと芝を踏み込み上がってくるダイヤ。

 

サト「大好きなキタちゃんと…大好きなトレーナー様に出逢えたから…っ…!

ダイヤは…これからも輝きます……これからも…勝ってみせます!!

もう…ジンクスなんか…関係ない…!!!!!

ダイヤは…ダイヤだ…っ!!!!!!!」

 

実況【活路が見い出せたサトノダイヤモンド!

抜けた抜けた!!あっと言う間に1バ身、2バ身とリードが広がる!

これがサトノダイヤモンドだ!これがダイヤモンドの輝きだ!!】

 

サト「未来は…自分で決める…!!!!」

 

実況【今、3バ身以上リードを広げて

サトノダイヤモンドがゴールイン!

3連勝で、いざ皐月の舞台に!!

これはまた1頭皐月賞に楽しみなウマ娘が出てきたぞ!】

 

 

キタ「…ダイヤちゃん…っ!!」

スマ「…強い…」

 

サト「…はぁっ…はぁ…っ!

…苦しい……けど…っ…嬉しい…っ!!」

その時、俺とダイヤは目が合った。

 

サト「…絶対に…トレーナー様に…GIタイトルを…お渡しします…っ!」

その瞳は…GIも勝ってみせると言うダイヤ級の意志が宿っていた。

 

 

サトノダイヤモンドの体力が12下がった。

サトノダイヤモンドのスピードが7上がった。

サトノダイヤモンドのスタミナが7上がった。

サトノダイヤモンドのパワーが7上がった。

サトノダイヤモンドの根性が7上がった。

サトノダイヤモンドの賢さが7上がった。

「巧みなステップ」のヒントLvが3上がった。




次回:諦めないから(スマートファルコン編)


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第19レース

スマ「…キタちゃんがGII…

ダイヤちゃんもGIII…かぁ…うぅー…ファル子…大丈夫かなぁ」

 

「大丈夫だ、芝で結果見せるんだろ?」

スマ「…そう、だけど…」

 

そのまま俯かせたまま小さい声で呟いた。

スマ「だって…ファル子…芝のレースでダメダメになっちゃうもん…」

「…ファル子」

 

俺はファル子の顔に手を触れた。

スマ「…へっ?///」

「…お前なら大丈夫だ…ファン1号の俺が言うんだから…心配ないだろ?」

 

スマ「…と、トレーナーさん…顔…近い…///」

「あっ、ごめん…!!」

 

慌てて俺はファル子の顔から手を離した。

スマ「…もう少し…してて欲しかったけど…///」

「…えっ?」

 

スマ「…でも、それは…レースに勝ったら…いい、かな?///」

「……あぁ」

 

嬉しそうに笑うファル子を見て

いつも通りのファル子になったなと安心する俺だった。

 

スマ「…もし…」

レースコースに向かう前に最後に何か言おうとしていた。

 

「…ファル子?」

スマ「ううんっ、なんでもない!行ってきますっ♪」

 

 

 

 

 

…何か言いかけた…?

その様子がどうしても気になって仕方なかった。

 

 

 

─────────────────────

 

 

※スマートファルコン 視点。

 

 

…はぁ……言えないよ…もう、ダートに専念したいって…。

スマ(…きっと…トレーナーさんが聞いたら…怒るもんね…)

 

…ううん、ここではっきりさせるのっ!

…歌いたい…GIのウイニングライブで…!

 

スマ(…勝ちたい…このアーリントンカップを…勝つ!)

 

気合も上々…私はゲートの前で立ちつくしていた。

 

スマ「…まだまだファル子のファンを…増やしたいの!」

…もちろん…ファン1号は…。

 

 

「…?」

キタ「ファル子ちゃん、じっとこっち見てるね?」

サト「…トレーナー様~……?」

 

「な、なんだよ…」

サト「…ふふっ、いけないトレーナー様ですね♪」

キタ「えっ、また何かしたの!?」

 

「…またって…お前もなぁ…」

 

 

スマ(あっ、トレーナーさん笑ってる…えへへ、なんか元気出てきたかも…っ!♪)

 

そして…私は、ゆっくりとゲートへと向かった…。

 

 

 

【いよいよトライアルレースも大詰め!

ここ阪神レース場で行われるはアーリントンカップ・芝1600m!

各ウマ娘、続々とゲートに向かっていきます】

 

スマ「…大丈夫…ファル子…行きますっ!」

 

 

 

ガッコンっ!

 

 

実況【スタートしましたっ!…おっと、4番人気・スマートファルコン

少し後ろからのレースとなった!】

 

キタ「あぁ~っ!」

サト「…ど、どうしましょう…っ…!?」

 

「…ファル子…やっぱり」

 

スマ(うぅ~…走りにくい…よぉ…!…

でも…でも…諦めたく…ないっ…!)

 

実況【人気上位のウマ娘は後ろからの競馬となった!

これは波乱の予感が漂う!

先頭は大きくリードを広げて逃げる12番!】

 

スマ(先頭は…ファル子の…場所なのに…っ…!)

 

実況【1000メートルの通過タイムは、58.4!平均的なペースでレースが進められていきます!】

 

スマ(…上がらなきゃ…っ…ここ、で…っ!)

 

実況【上がってきた各ウマ娘!

直線で誰が抜け出すのか~っ!!】

 

スマ「……あっ………」

 

キタ「ファル子ちゃん…っ!!!」

サト「ファル子さん…!!」

 

「……………っ」

直線に向いた瞬間…俺は顔を背けてしまった。

ファル子の脚は完全に伸びを欠き…バ群へと沈んでいった。

 

スマ「やだ……いやだっ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────結果は…10着だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

【レース後】

 

 

スマ「………………………」

戻ってきたファル子は何一つ言葉を発しなかった。

 

キタ「………ざ、残念だったね~!」

サト「で、ですが…まだ先があります…っ!」

 

必死に場を取り繕うとする2人…。

しかし、ファル子の口からとんでもない言葉が発せられた。

 

 

スマ「…ファル子…芝のレース…諦める」

キタ&サト「「…ええっ!?」」

 

「…ファル子…どういう事だ?」

スマ「…ごめんね…トレーナーさん

レース前にも…言おうとしたんだけど…やっぱりファル子…芝は…ダメダメだから…」

 

「………………………」

スマ「今日のレースで分かったの…やっぱりファル子の脚は…芝じゃ生きないって…クラシックのウイニングライブも…出来ない、よ…」

 

「…本当にそれが…ウマドルなのか?」

スマ「…えっ?」

 

キタ「…トレーナー…」

サト「…………………」

 

「挑戦すらしないのは…ウマドルらしくない…そうは思わないか?」

スマ「……!」

 

「俺は期待している…ファル子の歌もダイヤの歌もキタサンの歌も聞きたい

完全なゼロじゃない…ほんの少し…0.1%だろうが可能性があるのならそれに賭けたい

俺は……諦めない…輝きを求めていたのは俺だが…

輝きを掴むのは…ファル子、お前が求めていたウマドルの姿…なんじゃないか?」

 

スマ「…トレー…ナー…」

キタ「…うんっ、あたしも…3人で走りたい!」

サト「そんな寂しいこと…言わないでください」

 

スマ「キタちゃん…ダイヤちゃん……

…ごめん…ファル子…自信なくしてた…」

 

「…うしっ、なら明日から厳しく行くぞ!」

 

キタ「おっ、トレーナー燃えてるね!」

サト「どんなトレーニングでもどうぞっ♪」

 

スマ(…諦めない…か…

そんなこと…初めて言われたな……

…ねぇ…トレーナーさん…どうして…トレーナーさんから言われると…こんなにも…心がドキドキするんだろう…)

 

 

 

 

スマートファルコンの体力が10下がった。

スマートファルコンのスピードが2上がった。

スマートファルコンのスタミナが2上がった。

スマートファルコンのパワーが2上がった。

スマートファルコンの根性が2上がった。

スマートファルコンの賢さが2上がった。

「好転一息」のヒントLvが1上がった。

 




次回:完成!私たちの勝負服!


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第20レース

Q.淀は淀でも食べられない淀ってなーんだ?


A.マーベラス!


キタ「……なんのこっちゃ」


サト「トレーナー様、トレーナー様」

「ん、どうした…ダイヤ?」

 

サト「大きい荷物が届きましたよ?」

そう言うとキタサンとファル子がその荷物をトレーナー室に持ってきた。

 

キタ「よいっしょ…っと……大きな荷物だね~…アマ〇ン?」

スマ「きっと、ファル子達SKSのファン達からのプレゼントだよ~♪」

 

キタ「…SK……S?」

スマ「うんっ!♪

S(サトノダイヤモンド)K(キタサンブラック)S(スマートファルコン)の略だよっ♪」

 

「…BNWじゃないだから…あと、これはな───」

 

 

俺はため息をつきながらも…荷物の封を開けた。

キタ「………あっ…これって…!」

スマ「…わぁ…っ…」

 

三者三様の…衣装がキチッと畳まられて入っていた。

 

「…やっと来たか…3人の衣装」

サト「これが…ダイヤ達の…」

キタ「…衣装…」

スマ「すごいすご~い!♪

ねぇねぇ!試着していい!?」

 

「試着って…まぁ…いいけど」

スマ「やった!じゃ~あ~…っ」

 

ニコッとしながら俺をトレーナー室から突き飛ばすファル子。

 

「いった…っ!」

スマ「トレーナーさんは外に居ないとダメだよ!♪」

「…あぁ、そういう事ね…」

 

…と言うか…トレーナー室で着替えるのかよ…。

 

「…… 臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前…」

まて、俺はいつから忍びになった?忍ばんかい我。

 

マック「あら、あなたは…」

「…よっ、あんまり奇特な目で見ないでくれ…」

 

マック「いえ、そんなつもりは決して…

…あっ、そういえばあの御三方は?」

「中でウキウキで勝負服に着替えてるよ…」

 

マック「…あぁ、お察ししましたわ…

まぁ、ですが…初めての勝負服に気分が昂揚してしまうのは分かりますわ」

「やっぱりそういうもんなのか?」

 

マック「えぇ、世界1つ…自分だけの勝負服ですから」

???「…マックイーン、そろそろ」

 

マック「あ、そうでしたわね、行きましょうドーベル

失礼しますね」

ドーベル?「……………」

 

えっ、めちゃくちゃ睨まれた…。

 

 

 

キタ「トレーナー?入っていいよ~」

「…簡単に入っていいよって言うなや…俺だって心の準備ってのがな…」

 

キタ「それでも男か、軟弱者!」

「…なんか色々混ざってるぞ……まぁ、いいや…失礼します」

 

 

…いや、トレーナー室なのに失礼しますっていうのもおかしいんだけど

 

 

 

 

 

 

静かにドアを開けると…そこには…。

 

 

 

 

「……………お、おぉ…」

サト「…どう、ですか…?///」

 

緑を基調とした…お嬢様のドレスのような勝負服…。

正直……見惚れた。

 

サト「…………///」

「………………可愛い」

サト「………!!????!!?!?///」

 

さらに顔が赤くなるダイヤ…事実を言っただけなのに…。

 

キタ「ダイヤちゃんばっかり見すぎだそ~っ!」

「わ、悪いっ……!!!」

 

反射的にキタサンの方を見たが…。

「……お、まっ…」

キタ「…?」

 

黒・赤・白…この3色をメインとした和風な勝負服だった。

「…かっけぇ…」

キタ「えへへ~っ、でしょでしょ!♪」

 

…かっこいいんだけど…も…。

 

(…いかんいかん、どこを見ているんだ俺は…)

 

あのスペースは悪意があるぞ、デザイナーよ…。

 

 

 

スマ「はいはーい!トリを務めるファル子でーすっ!♪」

「…これはまた…イメージ通りというか…」

 

アイドルらしさ全開の勝負服をイメージしていたが…まんまイメージ通りの衣装になった。

 

スマ「どうどう!ウマドルっぽいかなっ???♪」

「…なんかこう…アイドルみが増したというか…」

スマ「ウマドルだよ!!!」

 

 

キタ「…でも、奇抜な勝負服だよね~…トレーナー、誰に頼んだの?」

「…えっ?…あー…」

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

???【んーーーー!そこのアナタっ

すっごーーーーく、エモーショナルで

ビューティーなオーラムンムンね~~っ!】

 

「たーづーなーさーん、不審者が~」

 

???【人の話は最後まで聞くと三女神像から教わらなかったのかしら~?】

「…いや、知らないし…というか誰ですか」

 

葵に似た面倒さを感じるな…この怪しい赤い彗星みたいなやつ。

 

???【その顔ずばり…勝負服の事で悩んでるのね!!!】

「………」

 

おい、見透かしやがったぞ、こいつ。

ますます怪しいとしか思え────────。

 

???【あ~ん、図星ね!いいのよ、いいのよ。

キュピーンっと閃いたから、大船に乗ったつもりで任せてちょうだい~!

エモーショナルなトレーナーを更に輝かせる為に一肌脱いじゃうわよ~っ♪】

「…え、あの、ちょ…」

 

???【あ、ちょ~~~~っとばかし

トレーナー情報をハッキン……いえ、見させてもらうわね~♪】

おい、今なんかとんでもない事言った気が…。

 

「って、いないし!!!」

 

 

 

 

【理事長室】

 

「…いや、ですから…怪しい眼鏡を掛けた変なイントネーションの人物が居まして…」

 

たづな「はて…見てませんけど…」

理事長「疑心…さては、お主…疲れておるな!?」

 

「……見間違い?…いや、でも…」

 

たづな「最近多いんですよ、そう言った案件…

保健室で赤い服を着た白衣の女医が居たとか…ワォ、あんし~んって言う人みたいで…」

 

…大丈夫なのか、トレセン学園の防犯は。

 

 

───────────────────────

 

 

「…まぁ、通りすがりの心優しい人が作ってくれた…?」

キタ「………はえ???」

 

サト「通りで宛名が書いてなかったのですね…でも、いいんでしょうか…?」

スマ「まーまー、こういう時は…ね?」

 

「…だな、結果で答えないと…だな」

キタ「あっ、そうだ!トレーナーの仕事が終わるまでこのままでいない?」

 

「…は?」

サト「…あの、この袖…どう思いますか?///」

「…くっ…」

 

無自覚なのか…萌え袖をこれでもかと披露するダイヤ…。

見たい…が…。

 

「…さ、さぁ!!!!仕事仕事!!」

我に返った俺は直ぐにデスクに戻って作業に戻った。

 

 

スマ「…ほんとだぁ…」

キタ「ふっふっふ…吊り橋効果ってやつかな?」

 

サト「…もう、キタちゃんったら…」

キタ「…それに、早く仕事終わらせてもらって…私たちの勝負服を沢山見て欲しいし……ね?///」

 

サト「…ふふっ、そうだね

今はこの姿を…トレーナー様に独り占めにして欲しいし…///」

スマ「…もー、2人とも…」

 

 

 

黙々と仕事に打ち込む俺を見て微笑む3人だった。




次回:春の大舞台(ステータス紹介 込み)


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第21レース

ようやく一冠目です。


観客【ガヤガヤ……】

 

「…人が多いな…」

いつもならば、横にみんないて話を聞いて言葉を返してくれるんだが…。

 

「3人が……同じレースに…かぁ…」

 

たづな「緊張、してますか?」

「たづなさん…はい、とても」

 

シン「弩張剣抜…嵐の前の静けさのようだな」

「生徒会長まで…」

 

シン「何、私だけではない…それにGIレースには必ず顔を出すようにしてる」

エア「…全く、顔が緩みすぎだ、もっと堂々としろ」

ブラ「……………………」

 

「…と、言ってもな…GIなんて…実感湧かないし…」

シン「ウマ娘の子たちもトレーナーも最初はそうだ…しかし、勝っても負けても…それはいい経験になる」

 

「…そっか、そうだよな…」

と、言うが…俺のレースコースを見る目は…どこか鬼が宿ったかのような…火の宿った目をしていた…気がした。

 

 

─────────────────────

 

実況【注目の1番人気、11番サトノダイヤモンド】

解説【サトノ家のジンクスに終止符を打つ、そんな好気配で気合十分ですね】

 

サトノダイヤモンド「…負けません…っ!」

 

スピード:220(E)

スタミナ:275(E+)

パワー:170(F+)

根性:145(F)

賢さ:250(E+)

 

スキル:中距離コーナー〇 読解力 晴れの日〇

 

 

 

実況【4番人気、7番キタサンブラック】

解説【まずまずの仕上がりですが人気と実力は引けをとりませんよ】

 

キタ「……やってやる…っ!」

 

スピード:300(D)

スタミナ:210(E)

パワー:160(F+)

根性:220(E)

賢さ:180(F+)

 

スキル:逃げのコツ〇 弧線のプロフェッサー

 

 

実況【17番人気、2番スマートファルコン】

解説【芝コースで結果を出すのは難しいですが一矢報いて欲しいですね】

 

スマ「…大丈夫…ファル子は、ファル子を信じてレースするだけ…!」

 

スピード:190(F+)

スタミナ:230(E)

パワー:220(E)

根性:290(E+)

賢さ:200(E)

 

スキル:二の矢 逃げコーナー〇 ポジションセンス

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

シン「…さて、エアグルーヴ…キミはこのレース…どう見る?」

エア「…1つ、気になるウマ娘が…」

 

シン「…あぁ、同感だ…あれは…」

???「…………………」

 

 

 

 

実況【もっとも早いとウマ娘が勝つと言われている皐月賞!】

 

「…いよいよ、か…」

 

実況【各ウマ娘ゲートインスムーズ

さぁ、三冠ウマ娘の序章・皐月賞!このレースを制するのは!?】

 

 

 

ガッコン!

 

実況【今スタートしました!各ウマ娘、綺麗に揃ったスタートを見せた!】

 

キタ(まずは2番手に付けて…先頭と後方の抜け出すタイミング…自分が上がってくタイミングを見極める…!)

 

実況【キタサンブラック、先頭をマークするように2番手へと付けた!】

 

サト(やっぱり、キタちゃんは先頭集団に付けるんだね…

なら…ダイヤは…その姿を後ろからじっくり伺わせて────)

 

スマ「相手はキタちゃんだけじゃないよ、ダイヤちゃん!」

サト「…っ…ファル子さん…っ!?」

 

実況【中団に位置するスマートファルコンとサトノダイヤモンド

2人が先団めざして加速していく!】

 

シン「……''後方待機''…か…」

ブラ「…ふっ…これがGIの空気か…疼くな、闘志とやらが…」

 

 

 

(…なんだ…このワクワクやどきどきとは違う…胸のざわめきは…)

 

 

スマ「……く…っ…!!」

実況【各ウマ娘が上がっていく中、スマートファルコンが少し遅れを取った!】

サト「(やっぱり、ファル子さん…芝コースじゃ持ち味を生かせない…!)…すいません…ファル子さん!」

 

実況【そして大外から伸びるサトノダイヤモンド!前を狙っているぞ!】

 

直線に出向くと歓声がより一層、大きくなっていった。

 

実況【さぁ、栄光のゴールまで残り直線勝負となった!】

 

 

スマ「…強いな…キタちゃんに…ダイヤちゃん」

 

実況【抜け出したのはキタサンブラック!

しかし後続から伸びてきたのは……サトノダイヤモンド!先頭に並びかける!!】

 

キタ「…やっぱり来たね…ダイヤちゃん!」

サト「負けません…っ!!!」

 

スマ「…あの2人と一緒に…芝のGIに出れて…ファル子は満足だよ…っ

ダートに専念できる…ケジメがつい────────」

 

 

実況【おぉっと!?外から脅威の末脚で飛んでくるウマ娘がいるぞ!?】

 

キタ&サト「…っ!?」

 

シン「…来たか…っ!」

ブラ「…ふん…っ」

 

???「そんなハイペースで飛ばしたら後方にチャンスが来んだよぉ!」

 

実況【エアシャカールだ!!エアシャカールが伸びてきた!!】

 

キタ「あと…200mなのに…っ…!」

サト「……うっ………っ!!!!!」

 

粘ろうとする2人の横を……エアシャカールが抜き去った。

 

シャ「…''証明終了''だ…お疲れさん…」

 

実況【エアシャカールが差し切って、今ゴールイン!!

一冠目は2番人気のエアシャカールが制しました!!

僅差で2着にはサトノダイヤモンド!

そして3着でキタサンブラックが入りました!】

 

 

「…………キタサン……ダイヤ…ファル子…」

 

シン「…やはり、か…」

エア「残り200mの攻防…トレーナーにはいい刺激になっただろう」

ブラ「…そいつはどうかな…あの様子じゃ、ウマ娘もトレーナーも…ダメージはデカそう…だかな」

 

 

キタ「……負け、たの……?」

サト「……………っ………………エアシャカール…さん」

 

シャ「あ?」

 

サト「…いい…レースでした!」

手を差し出すダイヤ。

 

シャ「…仲良しごっこをするつもりはねぇよ」

サト「…そ、そうですか…すいません…」

 

 

ファル子「…ダイヤちゃんも…キタちゃんも…あんなにすごいレースしたのに…それでも届かないなんて…」

 

 

サト「…ごめんなさい…トレーナー様…」

キタ「……うっ…っ……ぁ…」

 

サト「泣かないで、キタちゃん…悔しかったね…」

キタ「…っ…ぁ…っ!」

スマ「…キタちゃん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

惜敗という言葉と結果は時として心に重くのしかかる。

その姿と現実に…ただ、立ち尽くすトレーナーと涙を零すキタサンブラックだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キタサンブラックのやる気が下がった。

キタサンブラックのスピードが10下がった。

キタサンブラックのスタミナが10下がった。

キタサンブラックのパワーが10下がった。

キタサンブラックの根性が10下がった。

キタサンブラックの賢さが10下がった。

「ガラスのハート」になってしまった。

(※直線で僅かに速度が落ちてしまう)

 

 

サトノダイヤモンドのスピードが5下がった。

サトノダイヤモンドのスタミナが5下がった。

サトノダイヤモンドのパワーが5下がった。

サトノダイヤモンドの根性が5下がった。

サトノダイヤモンドの賢さが5下がった。

 

 

スマートファルコンのスピードが20下がった。

スマートファルコンのパワーが10下がった。

「芝レース×」になってしまった。

(芝のレースが苦手になる)




次回:反省と悔い


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第22レース

皆さん、新キャラのウマ娘はゲットしましたか?

サトノダイヤモンド。


……………え、違う???


【中庭】

 

 

キタ「…………………ご馳走様」

静かに食べていた手を下ろすキタサンブラック。

 

サト「………キタちゃん…」

初のGIレースが終わってからというものの、ずっとこのような調子である。

 

キタ「………………はぁ」

???「あっ、美味しそー!食べちゃおー!」

???「こらっ、はしたないですわ!」

 

キタ「…えっ?…って、テイオーさん…っ?」

横に座ったテイオーがそのままキタサンブラックが食べていたサンドイッチを口に運んだ。

 

マック「…もう、サンドイッチを食べに来たわけではありませんよ?」

テイオー「わひゃっふぇる~♪」

マック「食べながら話さない!」

 

サト「…あの、お2人がどうしてここに?」

テイオー「…んぐっ………きっと、落ち込んでるんだろうな~って様子を見に来た!」

 

キタ「……………っ」

サト「………あ………えと…」

 

マック「その様子ですと…図星のようですね」

テイオー「…まぁ、気持ちは…分かるよ」

 

キタ「…テイオーさん?」

テイオー「キタちゃん達も知ってると思うけど、僕もね…骨折…したから悔しい気持ちは凄くわかるよ」

 

キタ「……慢心…だったんですかね…」

マック「勝ちたいと思う気持ちがあるからこそ、悔しさもありますわ

悔しさを跳ね除けたら…お2人はもっと強くなりますわ」

 

サト「……………」

マック「もちろん、そのためには…お2人だけの力では成し遂げられまさん…トレーナーにも立ち直って欲しいのですが…」

 

キタ「…そういえば…あたし達も…最近トレーナーの顔、見てないな…」

テイオー「なーらーっ、するべき事は分かってるんじゃない?♪」

マック「そうですわね、きっとトレーナーも喜びますよ」

 

 

キタ「……っ………ダイヤちゃん!」

サト「…う、うんっ!」

 

急いで身支度をする2人。

…去り際に、テイオーとマックイーンの方を見て…。

 

キタ「…あのっ、ありがとうございました…!」

深々とお辞儀をし、その場を後にした。

 

テイオー「いやぁ、若いねぇ」

マック「そう大して年齢離れてないでしょうに…」

 

テイオー「なんか僕たちを見てるようだね、うんうん」

マック「…感傷に浸るなんて…やっぱりこの後は不良バ場に…」

テイオー「ぼーくだって、思い出に浸ることくらいあるよぉ!」

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【トレーナー室】

 

 

「…………………………」

カチカチとパソコンを操作する音が室内に響く。

何度も何度も見た皐月賞のレースリプレイ。

 

 

「…………………」

確かに、後方から伸びてたウマ娘が居た。

…が、200mを残して…リードは確かにあった。

 

傲りか…慢心か…。

悔やんでも悔やみきれない。

もう少しで…届きそうだったタイトル…それがするりと手から零れ落ちてしまった。

 

 

「…………はぁ…」

ブラ「邪魔するぞ」

 

「………副会長が何の用だ」

ブラ「…ちっ、何辛気臭い顔してるんだ、こっちまで移りそうだからやめろ」

 

「…何の用だよ、ホントに」

ブラ「なに、トレーナー室の前で入ろうか狼狽えてる奴がいたから引っ張り込んで来ただけだ」

 

スマ「あわ、あわわ…」

見つかってまずいと思ったのか…ファル子は視線を泳がしまくってきた。

 

ブラ「そんだけだ」

「…………………」

 

ブラ「…それと………''負けんな''」

「…………は?」

 

ブラ「気のせいだ、邪魔をしたな」

スマ「…あのー…トレーナー…さん?」

 

「…どうした、ファル子」

スマ「…これ、食べてください…最近、あまり食べてないって…」

「………あぁ、ありがとうな」

 

スマ「……あのっ!」

「…んっ……なんだ」

 

貰った食べ物を口に運ぼうとした時…ファル子が大きな声を出した。

 

スマ「…ファル子なりに…考えてみたの

次のレース…ジャパンダートダービーに出させて!」

「…は?…ダートのレースじゃんか…」

 

スマ「いいの!…ファル子はダートで誰にも負けないくらいのNo.1になりたいの!」

そしてぎゅっと俺の手を握りしめるファル子。

 

スマ「…そのためには…トレーナーさんの力が必要なの」

「…ファル子」

 

サト「…先、越されちゃいましたね」

キタ「…あーぁ、あたし達も同じこと言おうとしてたんだけどな~…」

 

「…ふ、2人とも…?」

 

サト「…トレーナー様…もう一度…厳しくご指導…お願い致します」

「…ダイヤ」

 

キタ「…負けてさ…本当はすっごく悔しい…けどね、前向かなきゃなって…このままじゃダメだなって」

「…キタサン」

 

スマ「…じゃあ、2人とも…次のレースは決まってるのかな?」

その質問に2人は笑いながら頷いた。

 

キタ&サト「「…日本ダービー!」」




次回:ふとした疑問

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第23レース

みんな大好きチャンピオンズミーティングの時間だよー!

リバースカード、オープン!
「円弧のマエストロ」!!!!


「………じーっ」

 

サト「………あ、はっ…」

キタ「…………………えーーーーっと…」

 

とある日の昼休み時…俺はカフェテラスに来ていた。

そして何故か…2人の食事シーンを頬杖を付きながら見ていた。

 

サト「……あの…トレーナー…様?」

「…あ、いや…気にしないで食べててくれ?」

 

キタ(…気にしないでと言われても…気になっちゃうんだけど…)

「…………ふーん」

 

サト「…ど、どうかされたのですか?」

「…ん?…んーーー…」

 

答えにならない返事に2人とも困惑していた。

 

キタ(…な、なんかしたの…ダイヤちゃん…っ?)

サト(…うぅ、分からないよ~…)

 

 

(…こうして見ると…ウマ娘と人間って…そう大差ないよなぁ…

食べるものだってそうだし…体の構造も…耳は…頭の上か顔の横かの違いはあるけども…)

 

キタ(…た、食べにくい…っ!)

サト(…何だか恥ずかしくなってきました…///)

 

(…となると…ウマ娘と人間って…共存出来るのかな?

そう言えば…現役を離れたウマ娘は結婚とかするとか聞いたことが…

つまりつまり…人間とウマ娘から出来た子供がまたウマ娘としてトレセン学園に…むむむ…)

 

今度は唸って机に突っ伏した。

 

キタ「…と、トレーナー…?」

サト「…一体どうしたのでしょうか?」

 

「…あのさ」

 

キタ&サト「は、はいっ!?」

2人はビシッと背筋を伸ばした。

 

「…つかぬ事を聞いてもいいかな?」

サト「…な、なんでしょうか?」

キタ「……ご、ごくり……」

 

「……2人はさ…''結婚''したい?」

【ぶふーーーーーーーーっ!!!!!!!!】

 

何故か、周りで聞いていたウマ娘達が吹き出した。

…そして聞かれた2人は…。

 

サト「……………………へ?//////」

キタ「……………………は、はいっ…?//////」

 

「あぁ、いや…その…将来的に…な?」

 

サト「…そ、そそそそっ、それはっ…!!!///

両親が決めた方ならダイヤはっ…!!///

…あ、でも…定時報告の時にトレーナー様のことを伝えたら大変良く思われて…っ//////」

 

キタ「そ、そんなのっ…!

したいに…決まっ…てる、よ…//////

それに…その…憧れるし…花嫁姿~…とか…///」

 

モジモジと答える2人。

…まぁ、まだ先の事だしなぁ…。

 

(共存とかは理事長や生徒会長に聞いた方が良さそうだな)

 

スマ「……トレーナーさん…公開プロポーズ…?」

サト&キタ「「ち、違(います・から)!!!!」」

スマ「えっと、トレーナーさんに聞いたんだけど…」

 

「…ちなみに…ファル子はどうなんだ、結婚」

スマ「えぇ~っ?…ファル子はぁ~…みんなのウマドルだから~♪」

 

「あ、これ美味しいな」

サト「はいっ、ダイヤのお気に入りです♪」

スマ「聞いてよ~!!!!」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【廊下】

 

「あ、居た!」

シン「…む…トレーナーくんか…私に何か用か?」

 

「…えっと…相談したい事が…あってだな」

シン「…ふむ…場所を変えようか?」

 

生徒会長の提案で屋上で話す事となった。

 

 

 

シン「…さて、相談事とは何だろうか?」

「…笑わないで聞いてくれるか?」

 

シン「トレーナーであろうと、ウマ娘であろうと相談事は全て聞く…それも生徒会長の仕事だ」

「…そっか……変なこと聞くけどさ…ウマ娘と人間って…共存出来ると思うか?」

 

シン「…君は、どう思う?」

「…えっ?」

 

シン「君の素直な気持ちでいい、出来るか出来ないか答えてくれないか?」

「……出来る…と、思ってる」

 

シン「ふむ…好きなウマ娘でも出来たか?」

「出来ないよ!?…ってか…生徒会長がその発言はいいのか?

…ウマ娘とトレーナーだぞ…恋仲なんて…」

 

シン「それもまた1つの信頼関係でありパートナーということだ

長く時間を共にし紆余曲折を経た関係だ…不思議とそうなってもおかしくはない」

「…そう、だけど…」

 

シン「…さて、相談に対しての私の考えだが…

結論から言うと、出来る

それは理事長も思っている事だろう

ウマ娘と担当トレーナーは、トゥインクル・シリーズに出てお終いと言うわけでは無いからな

サポートトレーナーになるウマ娘も居れば…トレーナーと生涯を共にするウマ娘も居る…ということだけ覚えておいてくれ」

 

「…………………………………」

シン「しかし、面白いことを聞くトレーナーも居たものだ」

 

「…そう、なのか?」

シン「あぁ、このような相談事は初めてだ」

 

「…………へぇ」

シン「難しく考えることはない…時間が解決してくれる時もある

自ずと自分のすべき事が分かるはずだ」

 

 

「…わかりました…ありがとうございます」

…時間が解決…か。

…でも、言われてみれば…何で俺こんな事を気にして疑問に思ったんだろうか…???

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【生徒会長室】

 

ブラ「遅かったな、道草でも食っていたのか?」

シン「何、少し相談事を聞いていた」

 

ブラ「……読めたぞ、あのトレーナーだな?」

シン「…ふっ、君は勘が鋭いな…お察しの通り、あのトレーナー君だ」

 

ブラ「今度はなんだ…GIで勝てる方法か?」

シン「お生憎…そうではなかったよ」

 

ブラ「…………………」

シン「…ウマ娘と人間との…共存…だそうだ」

 

ブラ「そんなうつつを抜かすとは…まだまだ甘いな」

シン「そう言うな…それに、私自身も少し考えさせられたよ」

 

ブラ「……ふん」

シン「そろそろ…ブライアンも行動にすべきじゃないのか?」

ブラ「…まだだ…まだ…渇きを潤す物に辿り着けん」

シン「……頑固だな、君も」




次回:東京優駿(前日)

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第24レース

キタサンブラックとサトノダイヤモンドは同室の設定です。


キタ「…むむむ~……っ!!!」

 

東京優駿(日本ダービー)前日の夜…。

キタサンブラックはあぐらをかきながら…両手を握りしめて力を込めたいた。

 

サト「…キタちゃん…何してるの?」

キタ「だぁ~…っ!!

やっぱりダメだ~…っ…」

 

サトノダイヤモンドが声をかけた瞬間、脱力しバタッと床に倒れ込んだキタサンブラック。

 

サト「…特訓?」

キタ「そんなんじゃないよ~……あ、でも…特訓といえば特訓…なのかな?」

 

サト「…???」

キタ「…皐月賞の時にね…なんかこう…言葉に出来ないけど…

不思議な力が湧いてきそうな感じがして…」

 

サト「…不思議な…力?」

キタ「…あはは、多分あたしの勘違いだと思うんだけど…

でも、テイオーさんに聞いてみた時もね…」

 

テイオー【ふっふー!それはね~、成長した瞬間だよ!

僕にもあるよ~っ、こう…ずびゅーんっと早くなる帝王の走りになった瞬間!】

キタ【そ、それはどうやったら出来るんですか!?】

テイオー【……どうやるんだろ?】

キタ【…がくっ】

 

キタ「…って事があってね」

サト「ふふっ、じゃあ…キタちゃんは成長してるって事だね♪」

 

キタ「はぁ~…それさえ分かればGIも取れるのになぁ…」

とぼとぼとベランダに行き、空を見上げるキタサンブラック。

その後をゆっくり追いかけたサトノダイヤモンド。

 

キタ「…日本ダービー…かぁ…」

サト「…テイオーさんも勝ったレースだから…思い入れ…ある?」

 

キタ「勝ちたいって気持ちは強いよ…けど…不安の方も…強い、かも」

サト「…キタちゃん」

 

キタ「トレーナーには言ってなかったけど…やっぱり、トレセン学園って凄い…強い子や速い子…沢山いた

トレーニングして、強くなって…華やかなレースして…GIも普通に頑張ってたら取れる!…そう思ってた」

 

耳がしゅんと垂れながらも言葉を続けるキタサンブラック。

 

キタ「普通に頑張る…重みとか…勝つための努力とか…想像以上だった

でも、テイオーさんも…マックイーンさんも…皐月賞勝ったエアシャカールさんも…それを乗り越えて走ってる…だから、強いし…かっこいいんだって」

サト「うん…そうだね」

 

キタ「…あたし…テイオーさんみたいに、なれる…かな」

サト「…キタちゃん…」

 

キタ「トレーナーの夢に…みんなを…笑顔になんて…出来る…かな」

サト「…厳しい世界だって、思い知らされちゃったもんね…不安になる気持ち、分かるよ」

 

キタ「…ダイヤちゃんも?」

サト「…覚悟は決めてたけど…甘かったみたい」

 

サトノダイヤモンドも同様に耳がしゅんと垂れた…。

しかし、目はしっかりと前を見据えていた。

 

サト「…でもね、キタちゃん…

私たちは……絶対に大丈夫!

…だって、''キタちゃんには私がいるもの!''」

キタ「…………え?」

 

サト「…私にとって…キタちゃんは夢であり…ライバル…

それに、キタちゃんの事もダイヤの事も信じてくれるトレーナーさまがいる!」

キタ「…ダイヤちゃん…」

 

サト「負けたくない相手…それはキタちゃん…あなたなの!」

キタ「…!」

 

サト「ふふっ、なんだか初めての頃を思い出すね

同世代の…初めてお話したウマ娘…それがキタちゃん…だったなぁ♪」

キタ「……………………」

 

サト「それに、凄く強いってびっくりした!…ホントだよ?」

キタ「…あの日から、ダイヤちゃんに色んな事を教えたなぁ」

 

サト「その頃からね…思っていたの…''その背中を…追い越したい''って」

キタ「…ダイヤちゃん」

 

サト「キタちゃんは、あの時からお世話好きだったから…

私の事も、ただ優しくしてくれただけなのかもしれないね

…でも、私には違った…キタちゃんは…ずっとずっとライバルだった」

キタ「……」

 

サト「確かに…先輩たち…他のウマ娘たち…本当に凄い

どれだけ努力しても、追いつけないかもしれない…それでも!

あの日みたいに…キタちゃんが私の前を走ってくれたから

追い越さなくちゃって、私は頑張れる…強くなれる

…だから…一緒に頑張ろう…キタちゃん!

もうダイヤは…下を見ない…だから…これからも、ずっと!」

キタ「…!」

 

キタ(…そうだ…私には…みんながいる…トレーナーも…ダイヤちゃんも…みんながいてくれる…ダイヤちゃんも…昔から…ずっと前を向いていた…GIを取るって…みんなの夢を叶えるって…)

サト「…ふふっ、キタちゃんも昔のこと…思い出したみたいだね♪」

 

キタ「…ありがとうダイヤちゃん…なんだか…あたし、弱気になってたみたい

ライバルに背中を押してもらえる…これも、成長のひとつ、だよね!」

サト「…ぁ…キタちゃん…!」

 

キタ「まだ、自分がどれだけ強くなれるのか…どうなるのか分からない…けど!

あたしには…夢を叶えてあげたいトレーナーがいる!

一緒に走る…ライバルがいる!」

 

ぐっと拳を月に掲げるキタサンブラック。

キタ「だからどんなに苦しいことがをあったって大丈夫!

ダイヤちゃんと一緒に、笑顔で乗り越えるんだ!」

 

そして、そのままサトノダイヤモンドの方を見て微笑んだ。

キタ「…でも…レースじゃ絶対にを並ばせないから!

覚悟しててよ、ダイヤちゃんっ!」

 

サト「…!

…うんっ、負けないよ!」

指切りげんまんをする2人…しかし。

 

???「…熱い夢を語ってるところ失礼するよ…消灯時間は過ぎてるよ?」

 

サト「…えっ?」

キタ「…あぅっ…寮長…!」

 

フジ「…やれやれ、明日GIを控えているのだろう?

今日のところは見逃すから…早く寝なさい?」

 

サト&キタ「…あ、あはは……はぁーい」

 

 

 




次回:ダービー!

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第25レース

キーッ、キキッ、キーッ!(1着のポーズ)

アマ「あ?」


'''日本ダービー''

 

 

そのレースを勝てたら、ウマ娘を引退してもいい。

そのレースを勝てたら、トレーナーを辞めてもいい。

 

事実、三冠レースの中で1番重きがあり、頂点を目指すウマ娘が多いGI。

走れるのは一生に一度…そして、18頭まで。

 

ダービーを勝つことは一国の宰相になることよりも難しい。

そんな言葉まである。

 

事実、能力はもちろん…運も必要となるレース。

皐月賞ウマ娘の二冠戴冠か…

それとも新勢力の台頭か。

はたまた、大番狂わせか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そんなレースにあの二人が出るなんてなぁ…」

 

ぼんやりとレースコースを見ていると2人がなにか話し合い笑っていた。

…特にキタサンブラックは、とてもリラックスしたような様子だった。

 

(…皐月賞の後、酷くコンディションを落としてた気がしたが…

吹っ切れたのか?)

 

葵「…いよいよ、ですね…」

「…存在感無く横に立つな…葵…」

 

葵「しれっと、ミークも出てるんですよ?」

「…担当ウマ娘の事をしれっとって言うのは如何なものかと…」

 

葵「…あの二人…勝てると思いますか?」

「勝てるって信じてなきゃダービーなんか出さないさ」

葵「…信じてるんですね、2人のこと…」

「…あぁ…心からな」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

マヤ「2人とも~、お久しぶり~♪」

ミーク「はろはろ~」

キタ「マヤノさん!」

 

マヤ「出るからには負けないからね~♪」

サト「…マヤノさんも出るんですね…」

 

キタ「…うん…さすがGI…さすがダービー…

手強そうな相手ばっかりだよ…」

ミーク「みんな頑張ろ~えい、えい、おー」

キタ(リラックスしてるけど…やっぱり強敵揃い…)

 

皐月賞ウマ娘のエアシャカール…。

マヤノトップガン…ハッピーミーク…。

 

キタ「…でも…もう下は向かないよ!」

サト「…うん、行こ…キタちゃん!」

 

決意も新たに…2人はゲートに向かうのだった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

実況【実力だけでは勝ち取れないダービー

今年のダービーウマ娘がこの18頭の中から選ばれます

人気ウマ娘の順当か、伏兵ウマ娘の大駆けか

1番人気は皐月賞ウマ娘のエアシャカール

2番人気はリベンジを誓うサトノダイヤモンド

3番人気は前哨戦のGIIを完勝したウォッカ】

 

サト(……少し内側の芝が傷んでる…外から回った方がロスが無さそう…)

キタ(あの感覚……もうすぐで掴めそう…今日こそ…!)

 

 

実況【各ウマ娘、ゲートイン完了………】

 

 

 

 

 

ガッコン!

 

 

 

実況【日本ダービー!今スタートが切られました!!

バラバラのスタートから各ウマ娘達の位置取りが始まる!】

 

キタ(…ダイヤちゃん…後ろからだ…直線勝負って事だね…!)

サト(…キタちゃんは…2番手から…変わらないね…

でも…今日こそは…前を走らせてね…!!)

 

ウマ混みの中でダイヤが後ろから戦況を見つめていると…。

 

実況【…1000メートルの通過タイムは5、57秒2!

とんでもないハイペースです!】

 

マヤ「…ハイペース…これは前が有利な展開…かも、よ?」

サト「…っ…(惑わされちゃダメ…!)」

 

マヤ「…なら…マヤはここから仕掛けるよ!」

サト「…なっ…っ…!!」

 

実況【じわじわ上がってきたのはマヤノトップガン!

それを見るようにサトノダイヤモンドも上がっていく!

この時エアシャカールはまだ後方だ!ここから伸びるのか!】

 

エア(ちっ、こんな展開読んでねーぞ…イロジカルだぞ…畜生…!)

キタ(後方のウマ娘が伸びを欠いてる?!

…ここだ……この感覚…っ…………!!)

 

しかし、踏み込もうもしたキタサンブラックの脚が突如止まった。

キタ(…違う…っ…この感じ…まだ…物にできて…ないっ…!)

 

実況【先頭集団目掛けて後方勢が上がってきた!

先行グループは厳しいかぁ!?】

 

サト「…キタちゃ──────」

ふと、後ろを見たサトノダイヤモンド。

しかし、キタサンブラックの伸びは完全に止まっていた。

 

キタ(…ダイヤちゃんに…置いていかれる…

違うよ…あたしだって…もっと…もっと強くなりたいのに…!)

 

マヤ「勝利への道筋、閃いちゃった!♪」

サト「…なっ…!(加速した…っ?!)」

 

実況【抜けた抜けたマヤノトップガン!リードを開いていく!】

ミーク「させない~ぞぉ~…」

 

実況【しかし内を突いてハッピーミークも伸びてきた!

これは2人の鍔迫り合いか!?】

 

ウォッカ「……アクセル…全開…!!!」

実況【外から凄い脚で伸びてきたぞ!!

ウォッカだ!ウォッカが見事なごぼう抜きを見せてる!!!

6番手…5番手…そして4番手まで上がって行った!

残り200m!】

 

キタ(…凄いな…前を走るウマ娘達…速いや…

…負けたくない…見ててよ…トレーナー…ダイヤちゃん…

もう…負けるのは…これっきりだから…!!)

サト(…くぅっ…スタミナが…っ…!)

 

実況【差し切った差し切った!!

ウォッカが先頭だ!!

今年の日本ダービー、勝ったのはウォッカ!!

2着にはマヤノトップガン!

3着にはハッピーミーク!

 

皐月賞ウマ娘のエアシャカールは5着に敗れました!!】

 

ウォッカ「…しゃぁ!!」

歓声が上がるスタンドに対して…ウォッカは大きく拳を突き上げた。

 

サト「…はぁ…っ…はぁ…」

キタ「…負け…ちゃったね…」

 

勝者が誕生すれば…必ず敗者が出る。

ただ一頭が脚光を浴びる中…敗れた2人は顔を俯かせた。

 

 

サト「…強い…ね…みんな」

キタ「…ダイヤちゃん……もう、下を向かない!

それに、ダイヤちゃん…速くなったよ!

あはは、抜かされちゃったな~…」

 

サト「…キタちゃん」

キタ「…決めたよ…あたし」

 

サト「…えっ?」

キタ「もう、負けない…もっともっと…たくさん練習する

もっともっと…自分に自信をもってレースに望む!

あたしらしさに…絶対に辿り着く!」

 

サト「…キタちゃん」

キタ「…それに…楽しかった!

やっぱり強いウマ娘の子達と1番大きなGIの舞台で戦える!

ワクワクして…歓声が凄くて…

勝てたら…きっとすごい景色が広がってるんだろうなって!」

 

サト「…うん…私も…勝ちたい!」

キタ「…よーしっ!トレーナー!」

 

 

葵「…呼んでますね?」

「…キタサン?」

 

キタ「あたし、負けたくない!

みんなを笑顔させる…そんなレースがしたい!

だから…もっともっと…強くさせて!」

 

「…キタサン」

 

サト「…ダイヤも…諦めません!

未来は自分の手で変えられます!

もっともっと…ダイヤを輝かせてください!」

 

「…ダイヤ」

 

葵「…さて、私もミークのところに行きますねっ?

…後は…担当ウマ娘の子たちと…積もる話…してくださいね?」

「………あぁ」

 

葵「…彼女達の本気…受け止めてあげてくださいね?」

 

そう言うと葵は立ち去った。

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

キタ&サト「ごめんなさいっ!」

「あ、謝らないで!…とりあえず無事で帰ってきてくれてよかった」

 

キタ「…でも…ダービーの舞台だったのに…」

「これが全てじゃないよ…まだGIはたくさんある

それに、2人にだって可能性はたくさんある!」

 

サト「…あのっ!」

「…ん…ダイヤ?」

 

サト「…菊花賞…出させてください!」

「…本気か?

皐月賞の2000mや日本ダービーの2400mとは比べ物にならないぞ?

600mも長くなるだけで…

それに、ダイヤ…スタミナ面は…」

 

サト「…も、もっともっと鍛えてください!

出ないと…ダイヤは…トレーナー様の求める輝きに…なん、て…」

勝負服をギュッと掴んで言葉を詰まらせるダイヤ。

それほど俺の為に本気…という事なのだろう。

そう思うと…俺も胸が熱くなってきた。

 

「…時間はそんなにない…が…厳しく行くよ?」

サト「やってみせます…っ!!」

ぐっと涙を拭い…真っ直ぐこちらを見たダイヤ。

その目は誰よりも強く…そして美しく琥珀色に輝いていた。




次回:特訓、そして


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第26レース

サトノダイヤモンド実装までガチャ禁侍、A×Kです


「………合宿、ですか?」

 

たづな「はいっ、7月から8月の2ヶ月間ではありますが…

今年は担当のウマ娘さんが居るので、もちろん参加しますよね?」

 

合宿か…確かに、違う環境でみっちりトレーニングをさせてあげるのも…気分転換になるのかな?

 

(…それに…)

サト(もっともっと…鍛えてください…っ!)

 

「(ああ言われたら…やらないのはトレーナーじゃないよな)…はい、是非とも行かせてください!」

たづな「いいお返事ですっ、楽しみですね、夏合宿~♪」

 

「…ん?…あぁ…はい?」

楽しみなのかな…?

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

「と言うことで今年の夏は合宿だ!」

 

キタ「あ、知ってる知ってるー!

海辺の近くにある施設に泊まってやるやつでしょーっ!?♪」

サト「…海辺…なるほどっ♪」

 

スマ「何か閃いた顔してる…」

サト「ふふっ、内緒…です♪」

 

「去年まで俺は利用したことないんだけどな

…まぁ、今年は…鍛えて勝たせてやりたいって思えるウマ娘が出来たから…な」

 

キタ&サト&スマ「…トレーナー((様・さん))…」

 

 

「…夏祭りなんかもやってるみたいだし…ハードなトレーニングと…少しの息抜きを…な?」

スマ「トレーナーさんの横、ファル子予約しちゃお~っ♪」

サト「あっ、ダメです!ダイヤも予約します!」

キタ「えぇ~っ!?あたしも~っ!」

 

3人による併走・トレーナーの横争奪戦が行われ…って違う違う。

「…ん、んんっ!…その話は置いといて…ファル子!

合宿前のレースだ!」

 

スマ「…うんっ!ジャパンダートダービー…だねっ」

「緊張してるか?」

 

スマ「少しだけっ!でもね、嫌なドキドキじゃないの!」

サト「…と、言いますと…?」

 

スマ「ファル子の実力を他のウマ娘達にも見せつけて

2人の背中を押せるようなレースをするぞ~って…武者震い的な…ドキドキ…かな?」

キタ「…ファル子ちゃん…」

 

椅子の上に立つファル子…あ、ちゃんと靴は脱いでいた。

スマ「ダート界のトップウマドルに向けたリスタートだよ~っ!」

「やれやれ…気合い入れてるのは良いが…座りなさい

というか見えるから、やめなさい?」

 

スマ「う、うわぁあああっ!///」

スカートを抑えて急いで座るファル子。

 

「…さて、ジャパンダートダービーだが…」

キタ(恥ずかしがるファル子ちゃんをまるで気にしてない!?)

サト(こういうとこは…トレーナーの悪いとこです…)

スマ(…そういうことは…言わないでチラチラ見ても…怒らないのに…///)

 

「GIの芝レースで上位人気だったウマ娘も出走してくる

…結果は…最下位…だったが…並々ならぬ気合が入っている

担当トレーナー曰く…ダート界で頂点に立つ…と言ってるらしい」

スマ「…っ」

 

そう、新たな活路としてダートを目指すのも珍しくない。

スマ「………………………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

少し戸惑ったまま俺の顔を見つめるファル子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【レース当日】

 

 

出走ウマ娘A「よしっ……やるぞ…!!」

出走ウマ娘B「全員ぶっちぎって…勝つ!

砂の1番は…譲らない…っ!」

 

スマ「…みんなの目…ギラギラしてるね…

皐月賞の時の夢いっぱいな感じとは…全然違う…」

サト「大丈夫っ、ファル子さんも目は輝いてますよっ!」

 

スマ「…でもでも…みんな本気だし…本気ってことは…崖っぷち…ってこと…だよね?」

キタ「…崖っぷちって…」

 

スマ「あぁ~っ、違う違うの~っ!

それぐらいの気迫ってこと~!

ダートを下げてるって訳じゃないの!

でも…こう……飛び降りるって…凄く勇気がいることっていうか…!」

 

言い回しは妙だが…言わんとしてることは分かる。

芝中心のこの国では芝で結果を出せずダートを仕方なく選ぶ子も多い。

そのダートで結果を出せない…となると…後がないという想いで臨む子もいるはずだ。

 

スマ「でも…負けられないのはファル子も一緒!

呑まれてなんか…いられない!」

サト「ふふっ、その調子ですっ♪」

 

スマ「よーーーしっ!

ファル子のオーラ、増し増しで!

みーんな、呑み込んであげるっ♪」

キタ「じゃあ、気合いの入るおまじない!えーいっ!」

 

キタサンはそう言うとファル子の背中にバシーンと張り手をした。

スマ「ひゃううぅ!!??/////」

キタ「あははっ、頑張ってね!♪」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

※スマートファルコン視点

 

 

実況【大井レース場で行われるダートのクラシック戦

ジャパンダートダービー…今年も精鋭揃いです】

 

スマ「…っ!」

 

 

な、なに…今の感じ……っ!?

何か…変な…感じが……って、いけないっ…レースに集中しないと…!

 

 

実況【各ウマ娘、ゲートに収まりました】

スマ「…っ!」

 

スタート前…突然、ファル子の脳裏に…スズカちゃんの言葉が蘇った。

スズカ【私には…譲れない想いがあるの

誰にも交わされることなく…先頭の景色を見続けるっていう…走る意味…想いが…】

 

スマ(…っ…そう、だよ…そうだよ!!)

 

 

 

 

 

ガッコン!

 

 

実況【今スタートしました!

…おおっと、スマートファルコン!好スタートからそのままハナを進むぞ!?】

スマ「おりゃおりゃおりゃ~っ!!」

 

うんっ…脚…軽い!

ファル子のしたかった…レース!!

 

キタ「えぇっ、暴走っ!?」

サト「…と、言うよりも…大逃げ…?」

「…ふっ…あれは…まるで…」

 

ファル子が…砂の…サイレンススズカだ…っ!!

 

実況【3コーナーをカーブしても依然先頭はスマートファルコン!

2番手以下を大きく離して逃げる逃げる!】

 

 

キタ「…こ、これって…もしかして…!」

サト「…トレーナー様」

「…直線…持ってくれよ…ファル子…っ!」

 

 

 

スマ(ファル子のことを…もっと…見て…!

トップウマドルになる…ファル子の姿を…見て…!)

 

スキル ''キラキラ☆STARDOM'' 発動。

 

実況【4コーナー回って、地方競馬最長を誇る大井の直線に入った!

逃げる逃げる!スマートファルコン!!

これはセーフティリードか!?

後ろからは何も来ない!何も来ないぞ!!!】

 

スマ「…ファル子が…っ…ダート界の…

…トップウマドル…だぁああああ!!」

 

実況【突き放すスマートファルコン!!

異次元の逃走劇だ!!!恐れ入ったスマートファルコン!!

残り200mでも脚色は衰えない!!!】

 

キタ「あっ…!!!」

サト「ファル子さんっ…!!」

 

実況【今1着でゴーールイン!!!

ジャパンダートダービー制したのはスマートファルコン!!

圧巻の逃走劇だ!!ダート戦線に新たな風が吹きました!!!】

 

「……………………勝った…?」

キタ「勝ったよ、勝った!GIだよ!」

サト「……ほっ…」

 

呆気に取られている俺を揺さぶるキタサン。

…正直まだ実感が湧いてない。

 

「……っ…お…………おおおおおぉっ!!!」

スマ「トレーナーさ~ん!!!ファル子やったよ~!!!」

 

満面の笑みで手を振るファル子。

キタ「ファル子ちゃ~ん!すごいすご~い!!!♪」

それに手を振り返すキタサンブラック。

 

サト「…有言実行…凄いです、ファル子さん」

ほっとしてクスッと微笑むサトノダイヤモンド。

 

「………たまげたな…アイツ…ほんとにやりやがった」

少し泣きそうだったのは…秘密にしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【レース後】

 

 

 

スマ「ふぁ~…♪」

優勝レイを見て、目輝かせるファル子。

 

スマ「…は、走り切ったんだね…っ」

「…あぁ、お疲れ様…ファル子…正直胸打たれたよ」

 

スマ「ありがとうトレーナーさん………うへ~っ……」

喜びも束の間…床にへたりこんだファル子。

 

「…大丈夫か…っ?」

スマ「…あ、あはは…安心したら気が抜けちゃった…」

キタ「それだけレースに集中してたって事だよね!」

 

スマ「肩の力…入りすぎてたみたい…♪」

サト「でも、致し方ないですよ…GI…それに、1着ですから♪」

スマ「ゴールした後のね…みんなの熱量…ちゃんと伝わってたよ!♪」

 

 

 

 

興奮冷めやらぬファル子はレースを回顧した。

 

 

 

 

スマ「走れば走るほど必死になって…ボロボロになるまで踏ん張って…走り終わった後に待ってたのが……あれ???」

 

 

話の途中で、指を顔に当てて何か考えるファル子。

 

「…???」

キタ「…ファル子ちゃん?」

 

 

その時、控え室のドアが開いた。

 

 

スタッフ【あ、ここにいた!スマートファルコンさん!

ライブですよ!!】

サト「…ライブ?」

スマ「………あーーーーーーっ!!!!!」

 

しっぽをピーンっと立てるファル子。

「な、なんだなんだ?!」

スマ「…ファル子…ライブの事…忘れてた…っ!!」

 

キタ「えーーーっ!?」

サト「…ファ、ファル子さんらしいと言えばファル子さんらしいですが…」

 

「…い、急いで行ってこい!」

スマ「うああぁっ、ごめんなさい~っ!」

 

…正直、レース後のヘタヘタな体にムチ打ってライブって大丈夫なのか…?

キタ「トレーナー、見に行こうよ!」

サト「最後まで勇姿を見届けましょう♪」

 

「ん、そうだよな」

…まぁ、これは考えても仕方ないな…それに…ファル子は。

 

(…ウマドル…だもんな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スマ「みんなー!ごめんなさいっ!

ライブ楽しみにしてたもんね!

ウマドル…ファル子のライブをしっかり見てねー!

それじゃあ、いっくよー!! ''UNLIMITED IMPACT''!!」




次回:夏合宿

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第27レース

スペ「サトノダイヤモンドは……あげませんっ!!!!!!」
「ぷべっ!!!」


キタ「うぉーーー!うーみだーーー!!」

サト「大きな合宿所ですね~♪」

スマ「あーついー…………」

 

「…な、なぜ俺が荷物持ちに…」

7月前半…俺たちは合宿所に来た。

もちろん周りには合宿に来たウマ娘とトレーナーも居た。

 

キタ「あっ、部屋見てこよー!♪」

サト「待ってよ、キタちゃーん!」

スマ「トレーナーさーん…アイスぅ~…」

「…はいはい」

 

この先、合宿は大丈夫なんだろうか?

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

1時間後に砂浜に集合と言っておいた。

先に俺は砂浜に居た。

 

「…おー…本格的だな…」

周りに他の海水浴客は居ないし…とにかく海が綺麗だ。

 

「…ってことはやっぱり2ヶ月間でめちゃくちゃ力をつけるウマ娘も出るって事だよな……気合い入れてトレーニングに向き合わ────」

 

キタ「お待たせー!トレーナー!♪」

「お、やっと来た……………ぶはぁっ!?」

 

3人方を見た瞬間、俺は吹き込んだ。

サト「…どうか…されたんですか?」

スマ「もしかして~…意識してる…?///」

キタ「えっ…トレーナー……///」

 

「そ、そんなことないし!…というか学園のプールでも見てるし!」

何故かいつも通りの学園指定の水着なのに…妙に色っぽく見えてしまった。

しかし、ここはトレーナーでありトレーニングの場…。

そういう邪念は…振り払って…。

 

 

「キ、キタサンとダイヤは1ヶ月遠泳!

ファル子は半月はランニングもう半月は筋トレ!」

キタ「うわー、声は上ずってるし」

サト「トレーナー様も殿方という事で安心しました♪」

スマ(いや、安心するもの変だよね!?)

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

キタ「…はぁ…はぁっ…」

サト「今…何本目…だったっけ…?」

 

「…2人ともー!1回小休憩しろ~!」

キタ「は、は~い…」

サト「…いえっ…ダイヤはまだ…っ!」

「…これ以上の練習は逆効果だ、休みなさい」

 

その言葉にダイヤは渋々と海から上がってくる。

ファル子も呼び、一旦休憩を取らせる。

 

いくら厳しく行くと言ったが…怪我をしてしまったら元も子もない。

パラソルの下で休む3人…1番先に口を開けたのはファル子。

 

スマ「そう言えば、夏合宿の後って近所のお祭りがあるみたいだよっ」

キタ「お祭りっ!?」

サト「ふふっ、キタちゃんお祭り大好きだもんね、お祭り♪」

 

キタ「いやぁ~、お祭りって聞くと心が踊っちゃうんだよね~♪」

サト「お父さんの影響、だよね」

 

スマ「へ~…どんなお父さんなんだろ?」

キタ「歌が上手くてね!みんな聞くと笑顔になるんだ!♪」

 

3人の両親か…気になるな…たしかに。

「…まっ、お祭りは夏合宿最終日にあるから…そこまで怪我のないように、いいね?」

「「「はーいっ」」」

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

練習に戻る前に…ダイヤが立ち止まった。

「…どうした?…脚かなんか痛いのか?」

サト「…い、いえ…///」

 

何か言いたげなダイヤ…。

2度3度…こっちを見て……近付いてきた。

「…………ん?」

サト「…あの…夜…また砂浜に来て…くれませんか?///」

 

「…夜?今日のか?」

サト「…は、はいっ…お待ちしております…///」

 

そう言うと、ダイヤは海に行ってしまった。

「……なんのこっちゃ?」

 

 

取り残された俺はダイヤが囁いた言葉の意味を分かっていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

キタサンブラックの体力が25下がった。

キタサンブラックのスタミナが35上がった。

キタサンブラックの根性が15上がった。

 

サトノダイヤモンドの体力が25下がった。

サトノダイヤモンドのスタミナが35上がった。

サトノダイヤモンドの根性が15上がった。

 

スマートファルコンの体力が20下がった。

スマートファルコンのスタミナが10上がった。

スマートファルコンのパワーが30上がった。




次回:夜の海


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第28レース

【砂浜】

 

ザザーン…と寄せては返す波の音だけが夜の砂浜に聞こえていた。

俺は1人…砂浜に来て欲しいと言ったダイヤを待っていた。

 

「…静かだな…昼はあんなに賑やかだったのに…」

もちろん、周りに誰も居ない…

先程までは自主練をしていたウマ娘も居たが…宿舎に戻っていった。

 

「……」

厚い雲から顔を覗かせた月をじっと見つめる。

そう言えば…こんな風に空を見上げたことなんて、無かっただろう。

 

 

サト「…トレーナー様」

「…待ってたよ、ダイヤ」

 

振り向くと…少し恥ずかしそうに…

だけど、嬉しそうにダイヤが微笑んでいた。

 

サト「…急にお呼び出しして…ごめんなさい」

「…呼び出すってことは…俺に何か話したいことがあるのか?」

 

その質問に、彼女は首を横に振った。

 

サト「…お願いが…あるんです」

「…自主練か?」

そこ質問にも、首を振って否定をした。

 

「…えっと…」

考えてた項目が全て空振りで俺はしどろもどろになってしまった。

 

サト「…少し…後ろ向いててください」

「…え?」

サト「…は、早くっ!///」

「わ、分かった…!!」

 

何故か焦るダイヤの方から視線を外し、俺はまた海の方を見た。

(…な、なんなんだ…ダイヤの様子がおかしいぞ…)

 

サト「………………………………はい…どうぞ///」

小さい声で、どうぞと言ったダイヤ。

その発言の意図が分からないまま…俺は再びダイヤの方を見た。

 

 

「……………なっ………………」

サト「……………///」

 

そこにいたのは…学園指定の水着……………

ではなく、白いビキニを着たダイヤの姿があった。

 

「な、なななっ…おま、えっ…!!!!????」

サト「…あの…感想とか…あれば…///」

「…か、感想って…お前なぁ……っ!!」

サト「…似合って…ません、か?///」

 

しゅんと耳が垂れるダイヤ。

………据え膳食わぬは男の恥…と言う言葉が今は似合うのだろうか?

(…くそ…頭の中で誰かが強くなりたくば喰らえ!と言ってる気がする…)

 

咳払いをし、じっとダイヤの方を見る。

「…似合ってる…凄く」

ダイヤ「……あ………良かった…です///」

 

余程嬉しいのか、ダイヤは自分の体をぎゅっと抱きしてた。

…正直、目のやり場に困るから…本題に移ろう。

 

「…でも、なんで…そんな格好に…?」

サト「夏合宿行く前から…考えてたんです」

「…考えてた?」

 

サト「…はい…もちろん、トレーニングで海に入るとは思っていました

…けど…ダイヤは…トレーナー様と…海を満喫したいって…

…そんな事を考えるたダイヤは…いけない子…でしょうか…?///」

「…み、みんなとは一緒じゃ…嫌なのか?」

 

サト「トレーナー様と2人きりが良いんです!!」

「……っ」

サト「…あっ…ご、ごめんなさいっ!

怒るつもりはこれっぽっちもなくて…!!」

 

「…いや、俺の方こそ…ごめん…気づいてやれなくて…」

サト「…い、いえっ……」

「…よしっ!遊ぶか!」

サト「…えっ?」

「おりゃっ!」

サト「ひゃっ…!///」

 

水をかけられたダイヤは、目を瞑った。

「ほらほら、やり返してごらん!」

サト「も、もーっ!怒りました!///」

 

そう言うと、ダイヤは俺に水をかけてきた。

「うわっ、冷……うわぁ!」

体制を崩して、俺はそのまま尻もちを付いた。

 

サト「…ふふっ、ダイヤの勝ち…ですね?///」

「…ははっ、強いなぁ~…ダイヤは…」

 

 

 

子供のように遊んでるのが楽しくなったのか、俺とダイヤは笑い合った。

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

宿舎に戻る前…俺とダイヤは海を眺めていた。

ダイヤは俺の横にピタリとくっついていた。

 

「……なぁ、ダイヤ」

サト「…?…はい?」

 

「…いや、なんでもない」

GI、勝てると思うか?…と、聞きたかったが…無粋な質問は良しておこう。

 

サト「…では、ダイヤの方からも…ひとつ、いいですか?」

「…ん、なんだ?」

 

隣を見ると、ダイヤは立ち上がった。

サト「…トレーナー様……好きです…大好きです///」

「…えっ?」

 

突然のダイヤからの告白。

俺は、その言葉を聞いて…呆気にとられていた。

 

「…今…なんて?」

サト「大好きです…トレーナーとしてでは無く…1人の男性として…///」

「…ちょ、ちょっと待って!…そんな急に…言われても…!」

 

焦る俺に…ダイヤはクスッと笑った。

サト「…大丈夫です…答えは…GIを取ってから…

お聞かせください…ね?♪///」

人差し指を口に当て…得意げに笑ったダイヤ。

 

「…ダイヤ……」

サト「…やっと…言えました…///」

「…やっと?」

サト「ずっと心に…押し込んでいたんです

でも…伝えなきゃ…嫌だなって…思ってたんです」

「…そう、なんだ…」

 

言われると…答えを出せないとはいえ…意識してしまう。

そう思うと、今ダイヤが着ている水着も…妙に色っぽく見えてしまう。

 

(いかん、いかん…ダメだ、そんな考えは…!!)

ブンブンと頭を振っていると、ダイヤは空を見上げて目を輝かせた。

 

サト「…あっ…綺麗な星!」

ダイヤがそれを見上げると…そこには一際輝く星があった。

 

「…あぁ、綺麗だな…」

サト「…ふふっ、トレーナー様が思ってる輝きと似てる気がします♪」

「…そう、か?…ふむ…」

並んで空を見ると…確かに、凄くその星が目に付いた。

 

サト「…なんでしょう…この…感覚…」

「…ダイヤ?」

サト「…トレーナー様…手、握ってくれませんか…?」

「…こう、か?」

 

恋人繋ぎのように…ぎゅっと、手を握るダイヤ。

こちらのドキドキが伝わるようだった。

 

サト「…不思議な気持ちです…

トレーナー様の為に、走りたくて…仕方ありません…

もっともっと…輝きたい…貴方のために!!」

真っ直ぐと見つめるダイヤの目は…今まで見た事ないほど輝いていた。

 

「…ダイヤ」

サト「…トレーナー様…ダイヤ…必ず勝ちます…!」

その握られた手は…温かく…

勝ちたいという確かな気持ちが込められてる気がした…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【貴方の為のワンカラット】のレベルが0から1になった。

(最後の直線で前が詰まっていると

ダイヤモンドの意志でパワーがものすごく上がる)




次回:お祭り騒ぎ。

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第29レース

体操服…サトノダイヤモンド…
うぅっ(心肺停止)


ダイヤからの告白から数週間経った。

未だに俺の中ではその言葉が何度も繰り返されていた。

 

(…好き…か…)

キタ「おーい!トレーナー?」

「…えっ?…あっ、な、なに?」

 

気が付かないうちに、ダイヤとキタサンとファル子が立っていた。

…ダイヤは、俺の顔を見ると…少し顔を赤くして微笑んだ。

 

キタ「トレーニングメニュー、終わったよ?」

「…あ、あぁ…じゃあ…」

 

スマ「はいはい!ファル子お祭り行きたーい!」

「…祭り?…あぁ、地元の祭りがあるって言ってたっけ」

 

まぁ、良いよな…最後くらいは。

「分かった、ちゃんと風呂入って着替えてから来るんだぞ?」

スマ「やったー♪」

キタ「…お祭りかぁ…♪」

 

サト「ふふっ、キタちゃん…昔から好きだもんね♪」

キタ「うんっ!なんかワクワクしてきたな~!」

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

日も暗くなり…辺りには屋台や祭りを賑わす装飾がされていた。

 

「…祭りなんて何年ぶりだろ…」

スマ「あ、りんご飴〜!♪」

キタ「ふっふっふ…金魚すくいのキタサンブラックとはあたしの事だよ!」

 

あまりはしゃぎすぎるなよ…と、言いたかったが…既に2人は屋台巡りを始めていた。

 

サト「ふふっ、でも楽しいじゃないですか♪」

「…まぁな……それより、ほら」

 

手を差し出すと…ダイヤは、きょとんとしてしまった。

サト「…これは?」

「…はぐれたから困るから…手、繋ぐよ」

サト「…あっ……は、はいっ…!///」

 

 

「…やれやれ、2人とも…」

サト「もう、キタちゃん…はしゃぎすぎだよ?」

キタ「あはは…ごめ~ん…」

スマ「でもでも、美味しい物沢山食べれたし!

…あっ!射的ある~!♪」

 

サト「…(うずうず)」

「…やりたいなら、やりに行けば?」

サト「…あぅ…ありがとうございます…///」

 

こうしてファル子とダイヤは射的をしに行った。

「…キタサンはいいのか?」

キタ「あたしは休憩~♪

それに、トレーナーの子守りもしないとだし♪」

「…はいはい」

 

キタ「…それにしても、ダイヤちゃんとより一層仲良くなったね?」

「どうした、急に」

 

キタ「なんかいいな~って」

「…え?」

 

キタ「2人を見てるとね、なんか妬けてきちゃうなって」

「…それってどういう…」

 

キタ「…トレーナー」

「…あ、うん…」

何か言いたげだったキタサンはそのまま胸に飛び込んできた。

 

「…キタ…サン?」

キタ「知ってるんだよ、ダイヤちゃんがトレーナーに好きって言ったの」

「…聞いたのか?」

キタ「ダイヤちゃんの様子がおかしかったからね

相談聞いてたら…その事を聞いて…」

「…キタサン…」

 

抱きついたキタサが少し力を込めた。

 

キタ「…先頭争いしてるの…気づいて…よね…///」

「…え?」

 

キタ「何でもないっ!あたしも射的やる~!」

スマ「キタちゃ~ん!あれ欲しいの~!」

 

キタ「ふっふっふ…二丁拳銃でゲットしてやる~!」

「…先頭争い?」

 

キタ(あたしはあたしらしく…想いを伝える…

いつか、トレーナーが振り向いてくれるまで!)

 

射的の景品をゲットすると同時に、夜空に花火が打ち上がった。

 

スマ「わぁ~…!♪」

サト「綺麗…素敵です…♪」

キタ「……よーーーし!やるぞーーー!!!」

 

スマ「えっ、なになに!?何をやるの!?」

キタ「内緒!♪」

サト「ふふっ、キタちゃんの目…輝いてるね♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

【天まで届け、あたしの祭囃子】のレベルが0から1になった。

(最終コーナーで先頭だと胸の鼓動が高鳴り速度がかなり上がる)




次回:突撃!!トレーナーの部屋!!

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第30レース

フジキセキさんの勝負、審議のランプが点滅しました。


今日はオフ、キタサンもダイヤもお出かけに行くようだ。

ダイヤからは「お土産買ってきます!♪」と言われたが…どこに行くのだろうか?

 

(…さて、とは言え俺は残った仕事を…トレーナー室でやるか…)

自室でもいいが何かと不自由だし、トレーナー室の方が落ち着く。

身支度を済ませて、俺はトレーナー室に向かった。

 

…が、そこには先客がいた。

スマ「あっ、カレンチャンもうウマスタアップしてる~♪」

「…なにしてんの、ファル子?」

 

スマ「あっ、トレーナーさん!こんにちは~♪」

ソファーに完全に脱力しきった体勢で横になるファル子が居た。

 

「…今日はオフって言ったけど?」

スマ「これがファル子にとってのオフで~すっ♪」

 

「…やれやれ、俺は作業してるから、適当な時間に帰れよ~」

そう言って俺は座り、パソコンに向き合った。

 

スマ「………(じーっ)」

「………………(集中できないな)」

 

何も言わず、ただただファル子は俺の顔を見てきた。

「…なんか、あったのか?」

スマ「ううん、トレーナーさんってかっこいいな~って♪」

「ぶっ!!!!!」

 

突然の発言に俺は吹き出してしまった。

ダイヤと言いファル子と言い…トレーナーの事を好意的に見すぎじゃないだろうか…?

 

「…あのなぁ、ファル子」

スマ「なーに?♪」

「…ぐっ」

 

ここぞとばかりにアイドル…いや、ウマドルスマイルを披露するファル子。

…待て待て、流されるな…。

 

「はいはい、ありがとうね…」

やれやれとため息混じりで俺は作業に戻った。

 

スマ「…じーっ…///」

遂にファル子は立ち上がって俺の横顔を覗くように見回した。

 

「…ファル子…?」

スマ「…ファル子の事も可愛いって言って欲しいな~…///」

 

「…えっ、いや、あの…ファル子???」

スマ「…お願い?///」

 

…ここは素直に従っておくべきだろう。

「…可愛いよ、ファル子…すっごく」

スマ「はぅ~…ガチ恋しちゃうよ~…///」

「…なんなんだ…」

 

スマ「だってだって!ダイヤちゃんやキタちゃんばっかりずるいもん!///」

「…何が?」

スマ「…あ、いや…な、なんでもないよ~♪///」

「…変なファル子…」

 

スマ(…はぁ、これはトレーナーさんに気が付かれて無いな~…

まぁ、そんな唐変木な感じがファル子も好きなんだけど…)

 

悶々とた表情のまま…また、ソファーに横になって項垂れるファル子であった。

 

 

 

スマートファルコンのやる気は絶好調をキープしている。

スマートファルコンの体力が10下がった。

「偏頭痛」になってしまった。




次回:菊花賞!

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第31レース

サト「……半年間も放牧していたとはどういったことでしょうか?」
「え、いや、あの……な?」

サト「キタちゃーん」
キタ「はーい(差し切り体勢)」

「ちょ、キタサンは逃げ馬だろっ!?」

サト「じゃあ、ちゃんと宣言しましょう?」
「休み明けなので叩き2戦目くらいまではご愛嬌で」

キタ「げしっ」
「痛い!!」


「……………………」

サト「どうしました、トレーナー様?♪」

 

「…いや、俺たちは…菊花賞に出るために京都レース場に向かってるんだよな?」

サト「はいっ、そうですよ♪」

 

「…で、その電車の中だよな?」

キタ「もー、何を確認してるの、トレーナー♪」

 

「……いや、何で…2人とも抱きついてるの?」

サト「あれ、知らないんですか…?」

「…えっ、何が?」

サト「今トレセン学園で少しブームになってるんですよ?

ハグにはリラックス効果があるらしいんですよ♪

それもこれもトレーナーと担当ウマ娘の信頼と絆ですね~♪」

 

「…う、うん…でも…俺も恥ずかしいかな~って…」

キタ「お、照れてるトレーナーも中々だね~♪」

「茶化すな!……ってか、ファル子も止めてよ!」

スマ「いや~、微笑ましいな~って♪」

「…ファル子~…」

 

ダイヤ「ちなみにこの方法はタイキさんから教えてもらいました♪」

キタ「あれ、アタシはクリークさんからアドバイスを貰ったんだけど……」

「どちらにせよ、俺の精神的なダメージがすごいからやめようね

年頃のウマ娘達なんだしさ……」

 

サト「それだけトレーナー様の事を信頼してるんですよっ!」

キタ「そーだ、そーだ!」

「…なんか…幼児退行してない?」

 

サト「それだけトレーナー様が頼もしいって事ですっ」

キタ「これでも、信頼してるんだよ?」

 

「…そ、そうか…いや、何というか…ありがと」

サト「…えへへ…♪」

キタ「むっ…もっと抱きつく力強めちゃお!」

 

 

スマ「わっ、2人とも大胆~……っ」

「も、もう勘弁して~っ!!!!」

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

息も絶え絶えで、何とかレース場に着いた。

2人は上機嫌のまま裏へと消えていった。

 

スマ「2人のお世話も大変だね♪」

「…全くだよ…役得な気も…ゲフンゲフン…なんでもない」

スマ「あ、本音が出た」

「決してそんな気持ちは無いからな!決して!」

スマ(…うーん…あっても良いと思ったんだけど…って、気づいてないよね)

 

 

 

────────────────────────

 

 

キタ「…ダイヤちゃん」

サト「…どうしたの、キタちゃん?」

 

キタ「…この菊花賞…誰にも負ける気は…アタシは無いよ」

レース場に着く前までのリラックスした表情から切り替えたキタサンブラックの闘志は目に表れていた。

燃えるような炎を滾らせた目でキタサンブラックはサトノダイヤモンドを見つめた。

 

サト「…ふふっ、奇遇だね…ダイヤも…同じ気持ちだよ♪」

キタサンブラックに負けないくらいの青い炎を目に滾らすサトノダイヤモンドだった。

 

 

 

 

実況【3番人気は3番、サトノダイヤモンド】

解説【気合も十分ですね、自慢の末脚で直線を差し切るでしょう】

 

サト「見てますか…トレーナー様…お母様お父様…ダイヤは…今心地がいいです…♪

なぜなら……昔から、大好きなキタちゃんと、正々堂々戦えるからです……!」

 

スピード:300(D)

スタミナ:350(D+)

パワー:200(F)

根性:200(F)

賢さ:350(D+)

 

スキル:対抗意識〇 晴れの日〇 長距離コーナー〇

良バ場〇 読解力

【固有スキル:貴方の為のワンカラット Lv.1】

 

実況【2番人気は4番、キタサンブラック】

解説【1番人気こそ譲りましたが、その気合いは並々ならぬものを感じますよ】

キタ「………よしっ…いけるっ!

GI勝利……取るよ!!」

 

スピード:400(C)

スタミナ:300(D)

パワー:200(E)

根性:250(E+)

賢さ:200(E)

 

スキル:逃げのコツ〇 逃げ直線〇

先駆け 孤線のプロフェッサー

【固有スキル:天まで届け、あたしの祭囃子 Lv.1】

 

 

 

 

───────────────────────

 

実況「晴れ渡る空のもと行われるクラシック三冠の最終幕、菊花賞

最も強いウマ娘が勝つと言われてるこの芝3000mを制するのは果たしてどのウマ娘か!?」

 

キタ(……まずは、スタートで先頭集団に取り付いて……残り1000mで先頭に立つように仕掛けよう)

 

サト(バ場状態は稍重……切れ味勝負をするには少し不利ですが……

ここは、奇襲を掛けて早めにスパートをかけて先頭集団を驚かします……!)

 

実況「ゲートイン完了、スタートの瞬間を待ちます!」

 

 

 

 

 

 

………………ガッコン!

 

 

 

 

キタ「…………っしっ!!!!!(逃げのコツ〇)」

実況「今スタートしました!キタサンブラック、好スタートを切りました!その他のウマ娘も綺麗なスタートで最初の位置取りへと駆けていきます!」

 

 

「やはり長丁場でもキタサンは逃げか」

スマ「でも、スタート良かったのに少しペースを落としてるような気が……」

(……なるほど、キタサンの狙いは……やはり)

 

サト(キタちゃん、すごい……GIであんなに良いスタート切るなんて……ダイヤも、負けてられません!)

 

実況「2コーナーを回り、先頭を走るはキタサンブラック、リードは2バ身

中団で様子を伺うのは3番、サトノダイヤモンド!」

 

キタ(スタミナ勝負になったら、アタシの方が不利……ここはペースを乱させないと!)

実況「おおっと、キタサンブラック!少しずつリードを広げていく!」

サト(……まだ……まだこのペースに乗っちゃ……だめ……!)

 

キタ(……後はコーナーを最短で回るだけ……っ!)

孤線のプロフェッサー 発動。

 

サト(早い……っ……でも、ダイヤだって……!)

長距離コーナー〇 発動。

 

実況「中団からサトノダイヤモンドも進出を開始したぞ!

先頭集団めがけて外からプレッシャーを与えに行く!

そのまま4コーナーに各ウマ娘が差し掛かります!

さぁ、この直線で勝負が決まるぞ!!」

 

キタ「…………っ……持ってよ、アタシの脚っ!!!!

(天まで届け、あたしの祭囃子 発動)」

 

実況「キタサンブラック!逃げ切りを図る!

しかし、後続もぐーっと、差を縮めにかかる!」

 

サト「前が……開かない……っ……

でも…………でも、ダイヤの輝きは……こんなもんじゃ、ありません……っ!!!!

(貴方の為のワンカラット 発動)」

 

実況「インコースからは狭い隙間を縫ってサトノダイヤモンドも上がってきたぞ!すごい脚だ!!先頭にまで襲いかかる!」

キタ「……来てるっ、ダイヤちゃんが!」

サト「もう、少し……っ!!!」

 

 

「……2人とも……っ!」

スマ「どうなっちゃうの、このレース……!?」

 

実況「逃げるキタサンブラック!追うサトノダイヤモンド!

首位攻防戦は絞られた!どっちだ、どっちだー!!!???」

 

 

 

キタ「う、おおおっ……!!!!」

サト「届いて……っ!!!!」

 

 

 

実況「譲らない!譲らない!!

全く並んでゴールイン!!!逃げたキタサンブラックか!

追ったサトノダイヤモンドか!ほとんど同時のゴールインだ!!

これは接戦!!世紀に残る名勝負だ!!」

 

 

目下では同体に見えたゴールに観客もザワつく。

どっちが先着したのか、ストップモーションを見ても判別がつかなかった。

 

「……どっちだ……?」

スマ「わかんない……」

 

死力を尽くしたのか、2人はタークの上に崩れ落ちた。

 

キタ「はぁーーーっ、はぁーーっ……!!!」

サト「けほっ、けほっ……」

 

互いに一歩も譲らない熾烈なゴール前の叩き合い……。

1分……2分と時間が経っても、着順掲示板の確定のランプは灯らない。

 

 

次第に1つの憶測が飛び交う。

長い写真判定……目視で見て判断のつかない先着。

そして、その結果は憶測の思い描くまま……観客や俺、ファル子の目に飛び込んできた。

 

 

 

着差………………【同着】

 

 

 

実況「ど、同着……っ!?……同着だぁあああ!!!

長いトゥインクル・シリーズにまた1つ歴史が生まれたぁあ!!」

 

キタ「……同、着……」

サト「……そっか、勝負は……引き分けだね、キタちゃん」

 

キタ「……うん、でも……次は絶対に負けないよ」

サト「ダイヤも勝ちを譲る気はありませんっ」

 

電光掲示板を見て笑い合う2人だった。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

その後の勝利インタビュー。

 

キタ「……そう、ですね……まだ実感は湧かないんですが…次は親友であり、ライバルのダイヤちゃんに勝てるようにもっとトレーニング頑張りますっ」

 

サト「……まず、言いたいことがあります」

スっと真剣な表情になるダイヤ。

 

サト「私たちのトレーナー様を素質が無いと言った人達がいます

それはまだ、私たちがトレーナー様と出逢う前です」

 

「……ダイヤ……」

サト「ですが、私たちはトレーナー様と一緒に頑張ってここまで来れました

だから、ダイヤは胸を張って言えます……トレーナー様は最高のトレーナーだと!」

キタ「うんうん、アタシもそう思います!」

 

「……2人とも、全国ネットで言うことでも無いのに……」

スマ「とか言っちゃって~、顔が赤いよ~トレーナーさんっ」

「……うっせ」

 

その後ろで、何やら騒がしい声がした。

 

スマ「……あれって、トゥインクル・シリーズのスタッフさんだよね?」

「……なんかあったのか?」

 

すると、視線が合い……こちらに寄ってきた。

 

【あ、あのっ、キタサンブラックとサトノダイヤモンドのトレーナーさんですかっ?】

「……えぇ、そうですが……」

 

【あの、ウイニングライブの件なんですが……センターが1人のライブなので……同着となると……】

予想外の出来事にスタッフも奔走していた。

 

「そうなると……どちらかがセンターを譲る……と?」

【……そうなる……かと……すいません、こんな出来事は……】

 

シン「いいんじゃないか?」

【せ、生徒会長さんっ?】

「……シンボリルドルフ……」

 

シン「あれ程、胸躍る勝負を見せられて存外な扱いはしたくない……そうだろう?」

「……あぁ、俺からもお願いする……頼む、センターは…2人で頼む」

 

【……わ、分かりました……生徒会長さんと担当トレーナーさんからそう言われたら……無下には出来ません】

 

こうして、ウイニングライブはキタサンブラックとサトノダイヤモンドの2人がセンターとして行うこととなった。

 

 

 

キタ「……ねぇ、ダイヤちゃん」

サト「……どうしたの、キタちゃん?」

 

キタ「……次は、負けないよ!!」

サト「……!……うんっ!」




次回:GI戦!その後は……。

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第32レース

「サトノダイヤモンドが実装されない……しくしく」

サト「いつままででも、トレーナー様なら待ってくれてると信じてます、よ……?」
「サトノ~!!!!」



キタ「今回実装されるアタシ蚊帳の外だな~おかしいなぁ~……」
???「えい、えい、むん!」
キタ「……あー、むんむん……」


キタ「トレーナー!はーやーくー!!」

 

「は、早くーじゃないよー……ったく……」

GI勝利という事でオフの日に街へと繰り出した俺とキタサンブラックとサトノダイヤモンド。

 

ファル子も誘ったのだが、逃げシス……?のミーティングがあるということで今回は不参加となった。

 

キタ「アタシ、はちみー!」

「……いくら何でも好きなのいいよとは言ったけど、体重管理はしっかりな?」

 

キタ「大丈夫っ、アタシ痩せやすいタイプだから!♪」

サト「キタちゃん、あまりそういうのは言わない方が……」

キタ「えっ?……あぁー、そう、だよねぇ~…///」

 

頬を掻きながらシッポをブンブンと振るキタサンブラック。

……俺なんか不味いこと聞いちゃったかな?

 

サト「トレーナー様、はちみードリンクいかがですか?♪」

「えっ?……あぁ、貰うよ」

 

ダイヤから差し出されたはちみードリンクに俺も口をつけた。

サト「まだ飲み始めて間も無いのですが、不思議な味ですね~……♪」

「だな、固めとか濃いめとかよく分からんのだが……」

 

キタ(2人とも気付いてない……関節キス……っ!///

ダイヤちゃん、地固めだ……!)

 

サト「さて、私はあちらに行きたいのですが……」

「いいよ、行こ?」

キタ(押し切り準備してる……ダイヤちゃん、抜け目ないなぁ……)

 

苦笑いするキタサンブラックを見て首を傾げる俺だった。

その横でピッタリと腕にくっつくダイヤのシッポがブンブンと振られて俺の方に当たっていた。

 

キタ(……あ、徹底マークも付いてるのね……)

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【そんなデート?の次の日……】

 

 

「……さて、次のレースに向けてだが……」

 

ミーティングを始めようとした時だった。

 

 

ガラッ……!!

 

ブラ「ん、ここだったか」

キタ「ナ、ナナナナ、ナリタブライアンさんっ!?」

サト「なんの用でしょうか……?」

 

立ち上がってナリタブライアンを見つめるキタサンブラックと

恐れ多く震えてサトノダイヤモンドに隠れるスマートファルコン。

 

そんな様子を気にすることも無く、つかつかと俺の方に歩み寄るナリタブライアン。

 

 

バンッ!

ブラ「……ん」

「……これって……担当トレーナー申請書……?」

担当トレーナーが決まり、名前を書くことで初めて受理される書類。

この3人はもちろん、他のウマ娘も書いてる大事な書類だ。

 

……そこのウマ娘の名前欄には、豪快に書き殴られたナリタブライアンの字が。

 

ブラ「書け」

「…………え?」

 

ブラ「もう担当トレーナーは決まってると言ってるんだ、お前だ」

「……ちょ、ちょっと待って!まだ選抜レースにも出てないのに!」

ブラ「出るぞ、来月だ」

「だ、だとしても!普通出てからスカウトなりトレーナーの話を聞いたりして決めるもんじゃないのかっ!?」

 

ブラ「私がこうしたいと言ったからこうするのだ、なにも問題はあるまい」

「……と、言われても…………」

 

非常に困った。

デビューがまだかと囁かれていたナリタブライアン直々の誘い。

何がそうさせたのか……分からないが…彼女の目は本気だ。

 

ブラ「……それとも、まだ経験の浅い自分では、私を育てる自信が無いと?」

煽るように言った一言にキタサンブラックが立ち上がった。

 

キタ「そ、そんなことありません!!」

ブラ「……ほう、なら試してみるか?…貴様と併走して

負けたら…………そうだな、トレーナー業から身を引くなんてどうだ?」

「……は?」

 

ブラ「張り合いのある賭けをしないと出せる力も出せんだろう

……それに、渇きを満たす場所は……ここしかない、そう私の本能が告げている」

「……渇き……っ?」

キタ「……わかりました、トラックコース、行きましょう」

サト「……キタちゃん……」

 

心無しか、キタサンブラックの目に……炎が宿ったような気がした。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

【トラックコース】

 

キタ「距離は2000mでいいですね」

ブラ「ああ、構わん……デビュー前とはいえ……手など抜かん」

 

指を鳴らし、真っ直ぐにキタサンブラックを見るナリタブライアン。

その視線を見て、キタサンブラックは静かに拳に力を込める。

 

 

サト「……では、スタート係は……私が

……行きますよ、よーい…………スタート!」

掛け声とともに2人がダッシュを決めた。

 

 

シン「……すまない、ブライアンが粗相をしてしまったな」

「……生徒会長さん、いえ……まぁ、本人らしいというか」

シン「彼女は彼女なりに、何か君と通ずる所があるみたいだ、しかしやり方が少し荒いのは……許してやってくれ」

 

「負けたらトレーナー業から身を引けなんて言われたけどは」

シン「ふっ、ブライアンらしいな……まぁ、仮に負けたとしても……本当にそんなことはさせないさ」

「……え?」

 

シン「彼女がこれから進むのは……暗くただ強さだけを求めたイバラの道……その道を進ませる気持ちがトレーナーにあるか……少しふっかけた……というところだろう」

「……イバラの……道……」

シン「さぁ、そろそろ勝負がつくぞ」

 

ブラ(こいつ、まだペースが落ちない……っ?

ふっ……発破をかけたつもりだったが…思わぬ収穫だったな、トレーナー)

キタ(ナリタブライアンさん、伸びてこない……?

いや、手を抜いてるんだ……だったら……っ!)

 

スマ「ご、ゴール!1着、キタちゃん!」

ブラ「…ふっ、トレーナーを辞めさせたくない一心で走ったか?」

キタ「違います

……ですが、トレーナーさんのことを……悪く言うのは、やめてください

例え、同じチームのメンバーでも……アタシは許しません」

 

スマ「……キタちゃん」

ブラ「……なに、本当にやめさせる気などない

それに、トレーナーになれと誘いをかけたのはこちらだからな」

 

キタ「……えっ、そうなの???」

先程纏っていた炎が消え、いつも通りの姿にもどるキタサンブラック。

 

ブラ(速く走るのは……想いのため、か……面白い

退屈は……しなさそうだ)

 

 

 

 

 

 

こうして、書類は無事に(?)受理され、チームの一員に

ナリタブライアンが加わったのだった。

 

 

 

 

 

 

キタサンブラックのスピードが15上がった。

キタサンブラックの根性が15上がった。

スキルポイントを30pt獲得した。

「天まで届け、あたしの祭囃子」のレベルが1→2に上がった。

 

 

ナリタブライアンが仲間になった!




次回:選抜レース


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第33レース

キタサンブラック、無料10連で当たりました!(素振り)
キタサンブラック、無料10連で当たりました!(素振り)


キタ(……ゲート出づらい……)
タン(むん~……)


ナリタブライアンによる強引な契約から数日後。

年に4回開催される選抜レースが開催された。

 

……ナリタブライアンは早くも注目の的だったが……本人は何処吹く風だった。

 

スマ「はぅ~……風格がもうシニア級だよ~……」

キタ「他の子達が恐れをなしてる……」

サト「凄い数のトレーナーさん達ですね~……」

 

「……レース終わったらアイツこっちにくるんだよな?……逃げとこうかな」

ブラ「どこへ逃げると言うんだ」

 

「……バレてた」

ブラ「アンタはもう私のトレーナーだ……逃げるなよ?」

含みを持たせた笑みで咥えていた枝を俺の方に咥えさせるナリタブライアン。

 

ブラ「ふっ……すぐに終わらせてくる」

キタ(えっ!?ごく自然な流れでトレーナーさんの心を奪おうとしている!?)

スマ(スマートすぎる……ファル子にはできない所業……)

サト(……むぅ~……)

 

「……えっと、なんで睨んでるの、みんな……」

そう聞いても3人ともそっぽを向くだけだった……。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

一方、選抜レースはと言うと……。

 

実況「は、早い早い!早すぎるナリタブライアン!8バ身、9バ身……どんどん差が拡がっていく!!」

 

トレーナーA「に、2番手が今ようやく直線に差し掛かったところなのに……ナリタブライアンはもうゴールインしようとしてるぞ……」

トレーナーB「怪物だ……とんでもないウマ娘が出てきたぞ……」

 

歓声も困惑の声も聞こえない静かなターフに駆けていくナリタブライアン。

能力の差は歴然だった。

 

 

レースが終わり……我に戻ったトレーナー達はすぐさまナリタブライアンに声をかける。

 

トレーナーA「ナ、ナリタブライアン!良かったら我がチームに────────」

ブラ「お生憎、トレーナーはもう決まっている」

 

トレーナーB「な、なんだって……っ?」

ブラ「私にとって、選抜レースは通過点に過ぎん

トレーナーなど、とうの昔に決めてある」

 

そう言って俺の前に立つナリタブライアン。

ブラ「ふっ、何か言いたげだな、トレーナー」

「……本気出しすぎだろ…」

 

ブラ「半端などするはずもないだろう、やるからには真っ向勝負だ」

「…………すげぇ、視線が痛い」

 

ブラ「注目を集められるのは苦手か?案外トレーナーも小心者なんだな」

「……いや、トレーナー達じゃなくて……」

 

キタ「うーっ!」

サト「ち、近すぎですよ~!」

スマ「ほ、ほら!アイシングアイシング!」

 

ブラ「ふっ、こちらはこちらで手厳しいな……だか、面白い

次のレースとトレーニングメニューを後日聞かせろ、私は生徒会に戻る」

「……あ、あぁ……」

 

飄々と去っていくナリタブライアン。

その姿を横目に見てボソボソと話し始めるトレーナー達。

 

トレーナーA【あ、アイツがナリタブライアンのトレーナー……?】

トレーナーB【嘘だろ……?】

 

「……あ、あはは……」

キタ「……アタシだって負けないもん」

「……えっと、キタサン?なんで腕に抱きつくの?」

スマ「ファル子だって、ダートで戦えばナリタブライアンさんなんてけちょんけちょんだもーん!!」

「ファル子まで……っ!」

 

サト「トレーナー様とダイヤは昔からの仲、トレーナー様とダイヤは……///」

「腕が空いてないからって胸に抱きつかないで、ダイヤ~!!」

 

 

トレーナー達のひそひそ話よりも、3人の機嫌を取り戻させるのが大変だっトレーナーだった……。

 

 

────────────────────────

 

 

ガコンっ。

 

「はぁ~……」

選抜レースの中休み……。

俺は飲み物を買って一息つくことにした。

 

3人はと言うと……。

 

スマ「ふんっ、トレーナーなんて知らなーいっ!

キタちゃん、ダイヤちゃん、カフェテリアでパフェでも食べに行こ!」

キタ「そーしよ、そーしよ!」

サト「……っ…失礼しますっ///」

 

と、置いてけぼりを食らった。

「人間の女心も分からないが、ウマ娘の女心も分からないな……」

……いや、でもあれは俺が悪いのか?

グイグイ来るナリタブライアンが悪い気も……。

……もしかして、毅然とした態度を取れない俺が悪いのか??

 

「……あはは、俺ってちょろいのかなぁ……」

苦笑いしながら、飲み物のフタを開けようとした時だった。

 

「……ん?」

中庭に座っているウマ娘が居た。

酷く俯いていたが……。

 

「……どうした?」

???「えっ?……いや、別に……なにも」

 

そうは言うが、顔色は酷く悪かった。

それに、格好が体操服にゼッケンをつけていた。

 

「……とりあえず、これ飲むか?」

???「……余計なお世話だから」

「酷い顔してるぞ、飲んどけ」

???「だから、いいって……!」

 

そう言う彼女の手に強引に飲み物を渡した。

???「………………」

「怪しんでるとこ悪いな……その格好…選抜レースに出るのか?」

???「……………………」

何も答えない彼女。

 

「……ゴールド……シチー?」

シチー「そ、知ってるでしょ」

「……ごめん、知らない」

シチー「はぁっ!?……これでもモデルとかしてるんだけど」

「……あはは、ごめん、そういうの疎くて……」

シチー「……呆れた……こりゃ、アタシもまだまだ頑張らないと有名になれないな」

 

やけくそ気味に飲み物を飲むゴールドシチー。

シチー「隣、座って」

「え?」

シチー「いいから、早くしてよね」

「……あ、うん……」

 

……なんか怒っている?

シチー「改めて、ゴールドシチー……別に、覚えなくてもいいけど

アンタの言う通り、この後の選抜レースに出る''と思う''」

「……と、思う?」

なんとも歯切れの悪い言葉だ。

 

「……何か、走りたくない理由があるのか?

どこかに痛むとか……」

シチー「別に、コンディションはバッチリ……だけどね

嫌なの、走るのが」

「……走るのが……嫌……?」

 

こんなこと言うウマ娘は初めて見た。

それもまだ、デビュー前のウマ娘が言うのなら尚更だ。

 

シチー「アンタは知らないって言ってたけど……割とトレセン学園じゃモデルやってるウマ娘って有名なの」

「そうなんだ……」

ファル子あたり知ってるのかな……。

 

シチー「でも、みんな見るのはモデルとしてのアタシ……

そんな走り方じゃモデル業に影響するとか

モデル業の負担にならないローテーションを組むとか……そんな言葉ばっかり……うんざりした」

「………………」

 

確かに、最初にモデルをしてると聞いたら、みんなそう考えてしまうのだろう。

シチー「マネジからも……もう、トゥインクル・シリーズは諦めた方がいいんじゃないかって……走るのが、好きだったアタシの道を……周りが閉ざしていく……」

「……そんなこと、気にしなくていいんじゃないか?」

 

シチー「……は?」

「いいじゃん、好き勝手に走ってさ、アタシはアタシだって

ウマ娘として走るの未来もモデルとしての未来もアタシが決めるって言っちゃえば」

シチー「……あのね、アンタ馬鹿なの?そんな無鉄砲な事しても結果なんか目に見えてるでしょ

マネジだって、呆れるよ、そんなん聞いたら」

 

「いいさ、呆れても……でも、走るのが好きなウマ娘の想いを無視するような奴らが許せないだけさ」

シチー「……アンタ、変わってるね」

「かもな、でも頑張る子を支えるのは当然だろ?

だったら、俺は本人の意志を尊重したい

心のどこかで思ってるんだろ、ターフで1番輝きたいってさ」

 

シチー「……っ……あーぁ、バッカみたい……時間無駄にしたわ、ホント」

「……ごめん、上から目線で」

シチー「そこまで言うなら、見に来てよアタシのレース

……ここまで言っといて、見ないなんて無しだかんね」

「……ゴールドシチー…」

シチー「はぁーぁ、面倒で変わってるトレーナーに声掛けられちゃったな、ホント……ついてんだが、ついてないんだが……

 

……あ、でも……飲み物、ありがと

なんか頭の中スッキリしたわ」

 

「……あ、うん……」

 

 

────────────────────────

 

 

 

休憩明けの選抜レース。

 

スマ「わぁ~……!ゴールドシチーさんだ~!

毛並みすっごく綺麗~……!」

「やっぱり知ってるんだ」

 

スマ「そりゃ、もちろん!有名人だからね!……まさか、トレーナーさん、知らないのっ!?」

「……恥ずかしながら……」

 

スマ「もー!そんなんじゃ、流行に乗り遅れちゃうよー!」

「……あ、あはは……」

 

キタ&サト「「……と、トレーナー(様)って……あぁいう子が好きなの?」」

「えっ?……いや、特には……」

 

キタ&サト「「……良かった~……」」

「……???」

 

スマ「あっ、レース始まるよ!」

 

 

 

 

快調に飛ばしていたゴールドシチーだったが……直線に入ると伸びを欠いていた。

 

トレーナーA【気性難に本格化までまだもう少し……と言ったところか】

トレーナーB【でも、あのスタイル……あのオーラ……伸ばすには惜しくない逸材だ……!】

トレーナーC【そうね、モデル業に専念してもらって……なるべくローテーションは軽めにしてあげるのが彼女のためね】

 

(……ホントにゴールドシチーの言う通りだったな……

所詮は外見主義……って、ところか)

 

ゴールドシチーの選抜レースの結果は5着だった。

シチー「はぁっ……はぁ……っ…………くそっ…!」

 

トレーナーA【ゴールドシチー!少しいいかな?】

シチー「……スカウトの話なら、お断りしますので」

トレーナーA【あ、ちょ、ちょっと……!】

トレーナーB【秒殺かよ……】

トレーナーC【あれは聞く耳を持ってくれそうにないわね……】

 

評判とは裏腹に……ゴールドシチーに声をかけるトレーナーは少なかった。

 

「……ゴールドシチー」

シチー「……あはは、あー……だっさいなぁ……アタシ」

「そんなことないよ」

シチー「アンタはああ言ってくれたけど……これがあたしの実力

分かったでしょ、夢を思い描いても無駄だって」

 

キタ「トレーナーさん、知ってるの?」

「さっき少しな」

サト「あ、あのっ……そんなこと言っちゃダメですよ……っ」

シチー「フォローありがと……でも、事実だからさ

所詮アタシは……イメージに塗り固まられた……人形だからさ」

 

「そんなことない!」

スマ「トレーナーさん……」

 

「俺はお前がお前らしくなるためだったらなんだってする!

捨てるなよ!自分を!」

シチー「……は、はぁっ?……説教かよ……」

 

サト(トレーナー様がこんなにも熱くなってる……きっと、昔の自分と照らし合わせてるんだ……)

キタ(トレーナー……)

 

シチー「もう、いいっ……向いてないんだから……こんな事……もう、辞めて………………っ……」

「辞めるなよ、諦めるなよ……

残った可能性、全部俺に託してみろよ!俺は絶対諦めねぇからな!」

シチー「…………ホント、馬鹿……知らないし……っ」

 

 

そう言って、ゴールドシチーは去ってしまった。

スマ「シチーさん……泣いてた」

「悔しいんだろ、自分の気持ちに嘘つくのが」

 

キタ「……考え直して……くれるかな……」

「……きっと大丈夫……と、信じたい」

サト「トレーナー様……」

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

モヤモヤが晴れないまま……次の日になった。

朝からゴールドシチーを探したが、見かけたという声は無かった。

 

(……今日は学園に来てないかもな……)

そう思い、トレーナー室の扉を開けると……。

 

シチー「おはよ、トレーナー」

「………………は?」

 

シチー「は?って何、アタシがここに居ちゃおかしい?」

「いや、お前……だって……!」

シチー「あんだけ啖呵切ったのは自分なのに何、鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔してんの」

「お前…………」

 

シチー「マネジにも伝えたから」

「……えっ?」

シチー「馬鹿みたいに真っ直ぐな考えしか出来ないけど

アタシがアタシらしく居られる場所をくれたトレーナーに会えた

だから、結果が出るまでもう少し時間をくれって」

「……ゴールドシチー……」

 

シチー「マネジは渋い顔をしたけどね

……でも、アンタなら跳ね返せるんでしょ?」

「……あぁ、あの言葉に嘘はない」

シチー「んじゃ、交渉成立って事で

アタシの涙見たんだから、半端な成績なんか許さないからね」

「ま、任せろ……!」

 

スマ「あーっ!シチーさんなんでここに~っ!?」

シチー「今日から仲間、よろしくね」

 

サト「……トレーナー様~……?」

「い、痛い痛い!!」

 

キタ「賑やかになってきた~!♪」

ブラ「……ったく、騒がしいのは苦手だ」

シチー「げっ、副会長も居るのっ?先に言ってよ……」

ブラ「理由はどうであれ、高みを目指すのは同じだ

切磋琢磨しあうぞ、互いにな」

シチー「……よ、よろしく……」

 

 

キタサンブラックの体力最大値が4上がった。

キタサンブラックの体力が30回復した。

キタサンブラックはスキルポイントを10Pt獲得した。

 

サトノダイヤモンドの体力最大値が4上がった。

サトノダイヤモンドの体力が30回復した。

サトノダイヤモンドはスキルポイントを10Pt獲得した。

 

スマートファルコンの体力最大値が4上がった。

スマートファルコンの体力が30回復した。

スマートファルコンはスキルポイントを10Pt獲得した。

 

ナリタブライアンのスピードが10上がった。

ナリタブライアンのパワーが20上がった。

ナリタブライアンはスキルポイントを15Pt獲得した。

 

ゴールドシチーの体力が10下がった。

ゴールドシチーのスピードが5上がった。

ゴールドシチーのスタミナカ5上がった。

ゴールドシチーのパワーが5上がった。

ゴールドシチーの根性が5上がった。

ゴールドシチーの賢さが5上がった。




次回:怪我から復帰したウマ娘

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第34レース

80連したんですがキタサンブラックもマチカネタンホイザも来ませんでした。

どうやらCygames君は僕に対してツンモードらしいです(違う)


キタ「お疲れ様でーすっ!♪」

スマ「……あれ、トレーナーさん、いないよ?」

サト「本当ですね……どこに行ったのでしょうか……?」

 

シチー「トレーナーならたづなさんに呼び出されて理事長室に行ったよ」

キタ「……そっか、トレーナーさん、遂に……」

スマ「いや、ないからねっ!?」

 

サト「じ、示談金の用意をしなくては!」

スマ「ダ、ダイヤちゃん、目が本気だからっ!」

 

ブラ「……なんだ貴様ら、あのトレーナーの事好いてるのか?」

キタ「すぅっ……!?!??///」

サト「そ、そそそ、そんなことはぁっ……!!///」

スマ(ほぼ自滅だよ……)

 

シチー「えっ、そうなのっ?……あははっ、なんか意外かも♪」

キタ「う、うーーっ……///」

サト「トレーナー様とは昔からの仲なので!こうなるのは必然かと!///」

スマ「必然……なのかなぁ?」

 

ブラ「そう熱くなるな、爪痕を残すのはこの私だからな」

キタ「だ、ダメです~っ!!///」

サト「わ、私なんかトレーナー様と……その……く、口付けまでしてますから!///」

 

シチー「はっ……?……いや、それは爆弾発言っしょ…」

スマ「そうなのっ!?いつ、どこでっ!?///」

キタ「アタシも初耳だよ、ダイヤちゃん!///」

 

サト「……えっと、昔の話ですよ……その……///」

 

 

 

 

────────────────────────

 

【昔、トレーナーに助けられたあとの出来事……】

 

ダイヤの母「さぁ、ダイヤ?行くわよ?」

サト「……………………」

 

ダイヤの母「ダイヤ?」

サト「少し待ってて!」

 

 

サト「……あ、あのっ!」

「……ん?どうした?」

サト「傷は……」

「さすがにこのままだと目立つから病院には行くよ、いてて……」

サト「……少し、屈んでください」

「えっ、どうして?」

サト「い、いいですから!///」

「……っと、こう?」

 

 

 

 

 

────────っ。

 

 

 

 

「……はっ?」

ダイヤの母「まぁ……」

サト「……す、すいません!お礼のつもりで……失礼します!!///」

「お礼って……そんなの別に良かったのに……」

 

 

 

 

 

ダイヤの母「……ダイヤ、どうしてあんなことを?」

サト「……助けて貰ったというのもありますが…何でかな……

また、あの人とは会えるような気がして……居ても立っても居られなくて……///」

ダイヤの母「ふふっ、少しお行儀が悪いけど……今日のところは許してあげましょう」

サト「……あ、ありがとう……っ!」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

サト「……と、言うことが……」

シチー「何それ、フラグガンガンに立ってるじゃん」

 

スマ「うわーん!キタちゃーん、漫画みたいな世界観だよ~っ!」

キタ「だからダイヤちゃん、時々すれ違った人の事を見てたりしたんだ」

 

サト「ま、まさか本当に会えると思ってなかったので……今一番驚いてますが……///」

ブラ「その台詞、本人が聞いたらどう思うか見物だな」

サト「えっ、トレーナー様っ!?///」

ブラ「冗談だ」

サト「…………あ、あぅ……///」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【理事長室】

 

理事長「足労!呼び出してすまなかったな!」

「……えっと、要件は~?」

 

たづな「……実は、折り入ってのご相談がありまして」

理事長「急務!……少し、急ぎの案件でな」

 

「……何だか、本気の話みたいですね……聞きます」

たづな「…''サイレンススズカ''さん、知ってますか?」

「……えぇ、名前は……」

 

たづな「実は、今学園にいなくて……」

理事長「入院!……脚の故障でしばらく病院にいたのだが、この度

退院の知らせが入った!」

 

「……えっと、それと俺が呼び出された理由は……?」

たづな「今の彼女に……トレーナーが''居ない''んです」

「……えっ?……いや、だって…入院する前まではレースで走ってたんですよねっ!?」

 

理事長「本題っ……ここからが聞いて欲しい内容だ

サイレンススズカのトレーナーは、入院してしばらく立った頃に……トレーナー業を辞めた」

「……な、なんで……っ!?」

 

シン「なかなか勝ち星に恵まれなくて涙を飲んでトレセン学園から去るウマ娘がいるのと同じく、自分がウマ娘達の活躍を妨げたと責任を負ってトレセン学園を去るトレーナーもいるという事だ」

「……シンボリルドルフ……」

 

シン「スズカもその事実は知っている

……だからこそ、自分が戻ってもいいのかと悩んでいる

そして、トレーナーが居ない以上……レースにも出れない……そうなると、どうなるか……分かるな?」

「…………………………」

 

たづな「もちろん、こちらからのお願いなので……断ることも出来ますが……」

「……あの、一つだけ……質問いいですか?」

理事長「うむ、なんでも聞いていいぞっ」

 

「……なんで、俺に白羽の矢を?……他にも優秀なトレーナーは居るのに……」

シン「すまない、トレーナー君……それは私からの進言だ」

「……えっ?」

 

シン「……とは言え、不確かな部分があるのも事実だ

よく考えてくれ」

「……彼女に会ってきて……いいですか?」

たづな「はいっ、入院先はこちらですよ♪」

 

シン「懸命だな、トレーナー君

話せば分かる部分も見えてくるだろう」

「……すいません、自分はこれで!」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【病院に向かう途中】

 

 

「ごめん!今日の練習は自主トレに変更してもいいかなっ!?」

 

キタ「わっ!トレーナーさん……どうしたの?そんなに急いで」

「ごめん、急用なんだ……」

 

ブラ「構わん、こちらで各々やっておく」

「すまない、助かる!」

 

サト「で、ですが、どちらにっ……?」

「助けたい子が居るんだ!」

 

スマ「……助けたい……子?」

シチー「なんか、トレーナーも行動的になったよね」

キタ「ちょっと前まで疎まれてた存在なのに……」

ブラ「疎まれていた?」

サト「あ、この話はまたいずれ……」

 

 

────────────────────────

 

 

【病院】

 

 

スズカ「………………………………」

 

コンコン。

 

スズカ「っ……?……はい……」

「……し、失礼します」

 

スズカ「……えっと、貴方は……?」

「あ、怪しい者じゃないから!」

スズカ「……えっと、トレーナーバッジをしてるのは分かるので……トレーナーさん、ですよね?」

「……あ、うん……」

 

至ってサイレンススズカは冷静だった。

無理に取り繕うとしていたのは自分の方だった。

 

スズカ「たづなさんから聞いた……担当トレーナーさん、ですか?」

「ちょ、ちょっと待って!……まだ担当には…」

 

スズカ「……えっ?」

「いや、まず……キミと話してみないと……何も分からないなって……」

 

スズカ「……あぁ、なるほど…」

「……少し、外出ない?……あぁ、でも外出許可は…」

 

スズカ「大丈夫ですよ、少しくらいなら」

「だ、大丈夫なのか?」

スズカ「走ったりしなければ大丈夫ですよ……本当は走りたくて仕方ないのですが…」

「……分かった、案内するよ!」

 

 

 

 

 

車椅子に乗せたサイレンススズカを連れて、やってきたのは……。

スズカ「……ここは……」

「森林浴……って、近場でゴメンな」

 

スズカ「……空気、美味しい……」

病院から数分にある公園だった。

 

スズカ「……」

「……あ、お、おいっ!!」

 

芝生の上で車椅子を止めると……おもむろにサイレンススズカは立ち上がった。

スズカ「……この感覚……懐かしいです」

「……スズカ……」

 

スズカ「……どこまで続く景色……どこまでも続く道……

私は……まだ、進みたいです

……トレーナーさん、その想いを……汲み取ってくれますか…?」

「……本当に、走るのが好きなんだな」

 

スズカ「私には、これしかありませんから……」

「……分かった!俺がその想いの続きを見せてやる!」

スズカ「……はいっ、これから…よろしくお願いしますね…トレーナーさん」

 

 

 

────────────────────────

 

【その数日後…】

 

 

ガラガラ……。

 

スズカ「……し、失礼します……」

キタ「ええっ、サイレンススズカさんっ!?」

サト「確か、ケガをしていたはずじゃ……」

 

スズカ「今日から復帰です……そして、こちらのチームにお世話になります」

シチー「えぇっ、マジ?」

ブラ「……ほう……」

 

スズカ「慣れないことありますが、よろしくお願いしますね」

キタ「と、トトと、トレーナー!?」

「落ち着けって……」

 

サト「また新しい子を~……///」

「だから、痛いってダイヤ……」

 

スズカ「……賑やか、なんですね……」

「まぁね、前のチームは……違ったのか?」

スズカ「いえ、ほかのメンバーもいたのですが……トレーナーの事を贔屓にしていたので……」

「……あぁ、なるほど…」

 

スマ「あぁーー!スズカさんっ!?」

スズカ「……嘘でしょ、なんでファルコンさんが…」

「……いや、ファル子もチームメンバーだから…」

スマ「もーっ、復帰したら連絡してって言ったでしょー?!

さぁさぁっ、逃げシスの復帰ミーティングするよーっ!♪」

 

「……えっ、お前逃げシスのメンバーだったのか?」

スズカ「……いえ、何故か成り行きでそうなったと言いますか…」

サト「むーっ!むーっ!///」

「かーみーつーくーなー!」

 

 

 

 

 

 

サイレンススズカが仲間になった!




次回:外泊許可……。


スピカ?はて?(すっとぼけ)

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第35レース

キタサンブラックのガチャが3月7日までですね
次は……もちろん……!


【ここまでのトレーナーとウマ娘の関係図】

 

・サトノダイヤモンド

トレーナーとは昔知り合ってトレセン学園で再会を果たした。

レースを重ねることに、時を共に過ごすことで……自分の思いに気がついた

トレーナーの事を1番好きという気持ちは負けない

 

・キタサンブラック

お助けキタちゃんとしてダイヤとともにトレーナーと契約。

ダイヤの思いを聞き、自分の気持ちに正直になったがまだ踏み込めていない。

なお、家族にはトレーナーとの出来事を報告しているらしい。

 

・スマートファルコン

ウマドルのファン1号(トレーナー)のために日々レースにアイドルに奮闘。

だが、前2人の積極さに頭を抱えている。

根はウマドルなので、恋愛ごとは御法度(?)のよう。

 

・ナリタブライアン

渇きを満たすために強引にトレーナーのウマ娘に。

周りの騒ぎには乗らずに、飄々としている。

まだトレーナーの事はなんとも思っていない。

 

・ゴールドシチー

モデル兼ウマ娘をしている話題のウマ娘。

周りはモデルの方を取る話や印象を持っているので嫌気がさしている。

実はまだ、トレーナーのことも少し疑っている。

 

・サイレンススズカ

ケガから復帰したウマ娘。

担当トレーナーがいなくなり、声をかけ、外へと連れ出したトレーナーに不思議な印象を持っている。

まだチームには馴染めていない。

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【オフの日】

 

書類作業もなく、のんびりとトレーナールームで休んでいると、ノック音がした。

 

「(……誰だろ?)はーい」

昼前から部屋を尋ねる人なんて居ないなと思いつつ……ドアを開けると…。

 

キタ「お邪魔しまーす!♪」

「キ、キタサンっ!?」

 

サト「す、すいませんっ、いきなり押しかけて……!」

「だ、ダイヤまで……っ?!」

手に荷物を持ったキタサトの2人が押しかけてきた。

 

「な、なになになに……っ!?」

キタ「はいっ、外泊許可書!♪」

「…………は?」

 

キタサンが胸に押し付けてきた紙を見ると……そこには確かに寮長の判が押された許可書が……。

「い、いつの間にこんな……!それに、俺書いた記憶……!」

キタ「この前、書いてもらったよ~♪」

「……この……前?」

 

キタ「そそ、忙しそうにしてた時だったけど……」

 

 

 

 

キタ【トレーナーっ、ここに署名してください!】

「えーっと、この書類が……こ、ここかっ?ほらよ!」

キタ【はいっ、ありがとうございます~♪】

サト(キタちゃん……恐ろしい……)

 

 

 

「……お、お前なぁ……

それに、なんで寮長は許可出してんだよ……」

キタ「意外と、OK出してくれるんだねぇ、ダメ元で提出したらOK出してくれてびっくりしたよ~」

サト「あ、ちなみに他に方々は……」

 

 

 

スマ【と、トレーナーの部屋っ!?///……む、無理無理!無理だよ!ウマドル的に!///】

シチー【あー……その日はモデルの撮影あったわ】

ブラ【知らん】

スズカ【それより、走ってきていいですか……!?】

 

 

 

 

サト「…………って♪」

「最後の2人のドライな対応はトレーナー泣いちゃうぞ……」

 

キタ「さぁさぁ!何して遊びますか!?」

「趣旨~……」

サト「……あら、これは……」

その辺に散らかってる衣類に手をかけるダイヤ。

 

「あぁ、それは……っ!!」

サト「…………♪///」

「……ダ、ダイヤさ~ん……?」

 

顔に近付けたダイヤの耳がピコピコと動いている。

そして何よりも顔が赤い。

 

サト「……っ!?///」

我に返ったダイヤがこちらを見る。

……とは言え、見られた俺も反応に困るのだが。

 

サト「し、仕方ありませんねっ……!///

ダイヤがお洗濯しますっ!///」

キタ「あっ、じゃあお昼ご飯アタシやる~!♪」

「えっ、えええ……っ!?」

 

こちらが有無を言う前にテキパキと動く2人。

……というか、私服姿……。

 

「……可愛い」

キタ&サト「「!??!?!?!?///」」

ピーンとしっぽが伸びる2人。

……このボリュームの声を聞き取るとは……。

 

キタ「……あ、ありがとう……///」

サト「ございます……///」

 

「……い、いえ……」

 

……ん、待て?今日1日このペースなのか?……まさかなぁ……。

 

「……あのー、2人とも?……この荷物の中は?」

キタ「部屋着と~……後は必要なものアレコレ?」

サト「私もキタちゃんと同じようなものです~」

 

「……え、夜も居るの?」

俺の質問にキタサンはおかしなものを見るような目をしてきた。

 

キタ「……え?」

「……え?」

 

キタ「いやいや、せっかく外泊許可を貰ったんですから、そういうことですよ」

「いや、どういうことよ」

サト「…………///」

「ダイヤはやってくれるなら洗濯を続けてくれ……」

サト「は、はいぃ!///」

 

……こんな様子で大丈夫なのだろうか、主に俺が。




次回:外泊許可~夜編~

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第36レース

長いこと放牧しててすいませんでした


いつもは1人自室で作業をしてる時間帯……

しかし、今日はいつも以上に賑やかだった。

 

キタ「おおっ、トレーナーさん、軽いですね!♪」

「うーん、まさかキタサンに、お姫様抱っこされるとは……」

 

筋トレのごとく、俺を抱えたままスクワットをするキタサン。

……普通に体が密着してるのは気にしないのだろうか?

 

サト「ゴロゴロ~♪」

「……いや、ダイヤもくつろぎ過ぎ…」

サト「マーキングです!」

「……はい?」

 

とまぁ……年頃の女の子2人を相手にするのは予想以上に大変で…。

 

「んじゃ、2人はベットで寝なよ、俺は椅子座って寝るから」

キタ「ええっ、トレーナーさんもベットで寝ましょうよ!」

「はいはい、冗談はいいから~」

 

手を振り、俺は部屋を出た。

(あいつらの分の飲み物も買ってやって……ったく、そんなお誘いに乗ったらトレーナーの不祥事事件になり得るっての……)

 

本人たちは、そこら辺わかった上での発言なのだろうか……。

 

 

────────────────

 

キタ「あっ、トレーナーさんおかえりなさい!♪」

サト「待ち侘びてましたよ♪」

 

「……あのなぁ……」

布団をめくり、手招きするダイヤ。

そして、しっぽを振り今か今かと来るの待っているキタサン

 

「一緒に寝ないからな……それに、いつの間に着替えてたんだよ……」

2人はいつの間にかパジャマ姿になっていた。

 

キタ「トレーナーさんって、シャツとかってブカブカ派ですか?それともぴっちり派ですか?アタシはブカブカだと落ち着かなくて~───」

「聞いてないし、あんまりそういう格好しないの……」

 

サト「フリフリこそNO.1ですよねっ!」

「わーーったから!!」

 

埒が明かないので、とりあえず2人の間に入ることにした。

「……言っとくけど、すぐ寝るからな」

キタ「は~……トレーナーさん、落ち着きます~…♪」

サト「ぐっすり寝れそう~……///」

「……聞いちゃいないし」

 

何も起きない、芝3200mに誓っても何も起きない。

寝れば直ぐに朝に……。

 

キタ「……くぅ……zzz」

サト「すぅ……すぅ……」

(寝付くの早っ!!)

 

微動だにできない中……2人はあっさりと寝てしまった。

「……ったく、人の気も知らないで……」

とりあえず頭を撫でると……2人はくすぐったいのか、体を捩らせた。

 

キタ「……トレー……ナーさぁん……神輿ですよぉ……神輿~……///」

「……み、神輿?」

 

サト「クラちゃん~……この方が~……ダイヤの~……えへへ~……///」

「クラちゃんって誰だ……しかも、何を言いかけた……」

 

ぐっすり熟睡する2人をみて頭を抱えながらも眠りにつく俺だった。

 

 

───────────────────────

 

(……ん、今何時だろ……)

 

流石に寝返りが打てない中で目が覚めてしまった。

 

サト「……あっ……トレーナー様……///」

そこには顔を近づけたダイヤが居た。

 

「……起きてたのか、ダイヤ……?」

サト「……何だが、ぐっすり寝れるかと思ってたら……ドキドキして眠れなくて……///」

 

「……夜更かしはダメだからな」

サト「じゃあ……安心して寝れるように……もっとくっついていいですか……?///」

 

「……ダメって言ってもするんだろ?」

サト「はいっ♪」

 

「……しょうがないな……いいよ」

サト「……ありがとうございます……トレーナー様……///」

 

そう言うと、ダイヤは俺の腕の中に収まった。

 

サト「……好きです……トレーナー様///」

「……ありがと」

サト「き、聞こえてましたかっ!?///」

「……そりゃ、ね……」

サト「……うぅ……お、おやすみなさい!///」

 

顔を真っ赤にしてそのまま眠りにつくダイヤだった。

(……恥ずかしくなるなら言うなよ……いや、思わず心の声が漏れたとか……?

……考えすぎか……寝よ……)

 

そうは言いつつも、ダイヤの体を引き寄せて眠りにつく俺だった。

 

 

 

────────────────────────

 

【次の朝】

 

キタ「おはようございます、トレーナーさん!

……何だか、お疲れ顔ですが……?」

「いや、まぁ……はは……」

 

あの後、キタサンも腕に抱きついたりしっぽを絡ませたりした事を本人たちは覚えてないんだろうなぁ……と思いつつ、俺は顔を洗うことにした。

 

キタ「……むぅ、案外トレーナーさんって堅物なのかな、ダイヤちゃん」

サト「んー……どうだろう……ねぇ?」

サト(まぁ……それが良いところなんだけどね……)

 

キタ「くぅ~……っ!シチーさんやブライアンさんみたいにはまだなれないのかぁ~っ!」

サト「そうだっ、こうなったら、強行突破しか……!!」

 

 

(またなんか話してるし……)




次回:ゴールドシチーの荷物持ち。

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