イタリア王国召喚 (イブ_ib)
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1話 

序盤巻きで行きます。


前略ロデニウス大陸に足が生えた。

ロウリア王国が攻めて来たので返り討ちにしイタリア領ロウリアに。

フェン王国が生意気に騙してきたので、戦艦ローマでパーパルディアを返り討ち後、慈悲心でパ皇に要求されていた森林地帯に進駐し飛行場を建設した。

 

「エチオピアやアルバニアが消えたのが痛いが、この世界の国家のレベルが低すぎるな…これはローマ帝国以来の大帝国が…いやはや全く…おもしろき世界よ!手始めにフィルアデス大陸とやらを手中に収めてくれよう」

 

ムッソリーニは喜々として仕事に取り掛かった。

◇◆◇◆◇◆◇◆

中央暦1639年10月5日

パーパルディア皇国第3外務局

 

「なに…?フェンに再三要求していた土地に基地が作られているだと?フェンの奴らめ…何違う?イタリア?確かロウリアを植民地化した…えっ!飛行機械が!?分かった…うむ、では。」

 

カイオスが魔信を切るとタールが話しかけてきた。

 

「何やら面倒くさそうな案件が来たらしいですな」

 

「ああ、かなり厄介だ…如何やらフェンにイタリアが進駐したらしい」

 

「それがどうしたんです?ロウリアを植民地化したとて所詮蛮族。脅威にすらなりませんよ」

 

カイオスは無言で魔写を取り出した。そこにはフェンに進駐している戦車部隊や航空機、戦艦ローマが写っていた。

「これは…?」

 

「御覧の通りイタリア軍の飛行機械と装甲車だ。ムーに匹敵する戦艦すらある。つい先日もアルタラスがイタリアが掲げる『新生ローマ帝国』という陣営に加盟したそうだ」

 

「ふざけている。こんな国、少し前まで聞いた事もなかった国がそんな装備…」

 

「無理もない。彼らは『異世界から転移した』と言っているのだから」

 

「そんな、ふざけた事を信じるのですか!」

 

「ムーだって別の世界から転移したと言われている」

 

「…!!それは…神話の話でしょう!そんな荒唐無稽な!」

 

「ならなぜ、それこそ神話の様な古の魔法帝国を信じ恐れるのだろうな…」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

第3外務局窓口

「おう、お疲れさん。俺はもう帰るぜ」

 

その日の受付時間が終了し同僚が帰る中、ライタはイタリア大使から受け取った一つの書類を見て悩んでいた。

 

『我がイタリア王国はパーパルディア皇国に対し宣戦布告する。これは皇国の度重なる侵略戦争に対する新生ローマ帝国の防衛戦争である』

 

しかしライタはこれをデスクに押し込んだ。調子に乗った文明圏外が度胸試し同然に文明圏or列強に宣戦布告することはよくある事ではある。

ライタも何回か蛮族に宣戦布告文書を渡された事がある。ほとんどの国が政変か戦争で消滅したが。

 

(今回も勝手に自滅するだろうし、いちいち報告することでもないだろ…)

  

◇◆◇◆  

イタリア ヴェネツィア宮殿

ピエトロ・バドリオ元帥がムッソリーニに作戦の説明を行っていた。

 

「それでは作戦の説明をいたします。開戦時刻と同時にアルタラスとフェンの飛行場から航空隊が皇都エストシラント、工業都市デュロに向け発進、爆撃を行い無力化します。その後エストシラントに艦砲射撃の後上陸し、占領します。」

  

「皇都が落ちれば奴らの士気はがた落ち、更に皇帝を捕えれば万々歳だな。」

 

「おまけに属領の抵抗組織の焚き付けにも成功しました。攪乱になりますし目立った抵抗組織は、戦後統治の邪魔になる様であれば始末してしまえば宜しい」

 

「言う事なしだな、宜しい!存分にやってきたまえ!」

 

 

 

中央暦1639年10月6日7:00 

 

パーパルディア皇国上層部は宣戦布告を知らないままイタリア王国と開戦したのであった。

 

 

 

 



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2話

中央暦1639年10月6日6:50

 

エストシラント ムー大使館 

 

「ムーゲ殿おはようございます」

 

「あぁおはよう」

 

外交官の朝は早い、今日も文明圏内外の国家の相手をしなくてはならない。

 

「すまないがコーヒーを頼む」

 

机に並べられた新聞や書類を一通り眺め仕事に取り掛かる。

如何やら若き皇帝は皇室の用事でパールネウスヘ趣いているらしい。

  

 

その時であった。

 

 

ドゴォォォン

 

 

朝の皇都に響く爆音に思わず外を見ると、皇都防衛隊陸軍基地のある方角から黒煙が立ち込めていた。

 

◇◆◇◆

 

「爆撃成功!爆撃成功!迎撃騎は未だ現れず!」

 

SM.79を中心としたイタリア空軍の航空隊は皇都防衛隊陸軍基地の滑走路を潰し航空戦力を封じ込めた。

 

「魔石が誘爆するぞッーーー‼逃げろッーー‼」」

 

鎮火に当たっていた作業員が諦めて逃げ出し始め、火の手が基地にまで回り爆発した。

 

これにより陸将メイガは戦死、皇都上空の制空権は完全に喪失した。

 

 

◇◆◇◆

一方、エストシラント港海軍基地も敵襲に逃げ惑う事しかできなかった。

 

「おいッ掃除夫ッ!お前もこれ持って火ィ消せ!!」

 

「ハッ!ハイッ‼」

 

(畜生!なんでこんなことにッ‼)

 

シルガイアも消火活動に駆り出されていた。

 

(バルスは大丈夫だろうか…)

 

火の手が上がり始めている海軍本部を見ながら友の身を案じる。

 

「あッ!」

 

海上から飛行機械が侵入し爆弾を本部に投下した。

 

「バルスッ!」

 

海軍本部は盛大に崩れ、その後イタリア艦隊による艦砲射撃により軍の施設は跡形もなく吹き飛んだ。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

イタリア

 

「既に陸上部隊の陸揚げは終了しており、航空隊も皇都に対しての都市爆撃を開始しております」

 

「皇帝がいるだろうから反撃も激しいだろうが、戦車も持たぬ奴らがどう抗おうと無意味だな。皇都占領後の治安回復はグラツァーニ元帥に一任する。」

 

「はっ、お任せを」

 

○○○○

ロドルフォ・グラツィアーニ  イタリア陸軍元帥 ロウリア帝国副王

 

彼は1920年代の北アフリカでの植民地統治で、反抗的な現地住民を収容所に入れその殆どが餓死or処刑という末路であったため敵からはフェザーンの屠殺者と渾名で恐れられた。

 

第二次エチオピア戦争においても石橋を叩きすぎた前任とは打って変わって毒ガスや戦略爆撃等の苛烈な攻勢でイタリアを勝利に導いた。

その後またもや3万人以上の現地人を反乱者として処刑した為屠殺者との渾名で恐れられた。

 

その苛烈さは先のロウリアとの戦いにおいても健在であり、ロウリア王国崩壊後指示に従わない諸侯領を爆撃で焼き払う他、反抗的な領主を航空機からのパラシュート無しスカイダイビングに招待したりした結果、屠殺者の渾名で恐れられている。

 

○○○○

「戦車を前面に押し立てぇ!蛮族を引き潰せぇ!」

 

M11/39が瓦礫を乗り越え、待ち構える皇国兵に向けて容赦なく機関銃と砲撃をお見舞いする。

 

「こちら第2警備隊!皇国本軍はまだか!」

「ワイバーンロードを早く遣せ!リントヴルムでも!ッこっちに気づいた!」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

パラディス城  会議室

 

突然の出来事で完全に機能不全に陥っており、今戦況がどうなっているのかすら把握していなかった。

 

「なんなのだ!どこの国が攻めて来たかすらも分からないのか!?」

 

宰相は空席が目立つ中第一外務局局長しか座っていない席を見ながら悲鳴に近い叫びをあげる

「エルト局長!あのような機械文明国家が存在したなんて聞いてないぞ!」

 

「それは…!何と申し上げたらよいか…」

 

「とにかく皇帝陛下には伝えている!このままだと皇都が陥落するのも時間の問題だ!我々は列強大使館の職員を保護しパールネウスヘ向かう。」

そういい宰相が準備を始めようと立ち上がる時だった。

 

「敵が最終防衛ラインを突破しました!」

 

「いかん!急ぐぞ皆!」

 

宰相達は列強の外交官やその家族と命からがらエストシラントから脱出した。

◇◆◇◆◇◆◇◆

第3外務局

イタリアの攻撃が始まってからのここの動きは速かった。

窓口対応していたライタを叩きのめし宣戦布告証書を取り出すと、中には降伏の仕方が書いてあったので急いで白旗を縫い合わせ屋上に掲げた。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

中央暦1639年10月10日3:00

 

エストシラント周辺及び属領を領土とした南フィルアデス帝国がここに建国された。

 

皇帝はヴィットーリオ・エマヌエーレ3世

副王ロドルフォ・グラツィアーニ

首相カイオス

 

「国民を見捨ておのれの保身の為に逃げた皇帝や宰相等の卑劣な者どもを許す訳にはいかない!我々は奴らと決別し南フィルアデス帝国としてイタリアと共に歩むことを決めたのである!」

 

「なかなか良い演説だったよ、カイオス殿」

 

実質的に国の支配者となった隣席のグラツァーニが笑みを浮かべていた。イタリアを理解し早期に降伏したカイオスはなし崩し的に首相へなってしまったのであった。

 

…因みにグラツァーニはその後、属領として再編入されるのを拒む抵抗組織を反乱者として処刑祭りを始めた。

またしても彼は屠殺者という渾名で恐れられる事となる。

 

 

 

 

 

 




追々地図でも作りたい
※作った

【挿絵表示】


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3話

詳細な描写という物を知らない男


中央暦1639年10月6日10時

パールネウス

命からがら逃げ伸びた宰相達は

ルディアスへ報告に来た。

 

「何!?エストシラントが攻撃を受けているだと!何故魔信を使わん!」

 

「申し訳ございません、敵の攻撃に伴う属領の反乱で混乱しており…」

 

「言い訳はいい!どこの国が攻撃してきたのだ!」

 

「…現状イタリアという事は分かったのですが、かの国は文明圏外国という事もあり、攻撃の際に確認された飛行機械を持っているはずもなく…」

 

「飛行機械‥‥ムーが裏で操っているのか!」

 

「い、いえ…それが避難もされていないムー国民居住区に対して攻撃を行っていたとの事です」

 

「…所詮は蛮族、列強から兵器を与えられて増長しているのかもしれん。

まぁこれでムーも弾薬を送る事もないだろう、どれだけ強かろうと弾が尽きれば烏合の衆ぞ。

属領鎮圧後早急に軍を送り皇都を取り戻せ」

 

「はっ」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

中央暦1639年10月10日

 

南フィルアデス帝国建国の報は直ちにルディアスへ伝わった。

皇帝を卑劣物と批判する反徒集団は属領を占領し、皇国軍とも交戦しているようだが勝利の報告はまだない。

 

『世界のニュースの時間です。衝撃のニュースが入ってきました…現在パーパルディア皇国の皇都エストシラントが南フィルアデス帝国を名乗る武装勢力によって占領されているとのこと。列強国の間では現在は静観し、介入の予定は無いとの…』

 

「…もうよい魔導通信を切れ」

 

最早、世界は一属領の反乱ではなく内戦と捉えている。

現在エルトをミリシアルに遣して支援をもらえないか交渉を行っているがムーは正直信用ならん。

 

 

ガシャン!

 

皿の割れる音とメイドの嗚咽が聞こえてくる。おおかたレミールが癇癪をおこしているのだろう。

 

「一刻も早くこの状況を切り抜けたいものだ…」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

一方ミリシアル側も割とパーパルディアの派兵に乗り気であった。

というのも、レイフォルがグラ・バルカスに滅ぼされた時に様子見をしていたのだが

 世論は『列強のリーダーともあろう帝国が同じ列強の危機に何をしり込みしているのか、しかも相手は文明圏外国だぞ!』という声が強かった。

今回のパーパルディアの件も静観を決め込んだらそれこそ次の選挙に影響しかねない。

 

「第一魔導艦隊を寄こしてエストシラントを攻撃しよう、敵に打撃を与えられるし何より国民に良いパフォーマンスにもなる」

 

首相のヨッブ・トリュニトロンは第三文明圏のクーデター勢力の制圧など容易いと考えていた。

こうして第一魔導艦隊を派遣することを決定したのであった。

 

 

 

 




ミリシアルの首相枠出してみました。
元ネタ知ってたらどんなやつか知ってると思うけど。



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4話

 現在フィルアデス大陸における戦況はあまりイタリアにとっていいものとは言えなかった。

 

 前世界に比べて極度に広大な大地に未整地の通路、追いつかない補給にゲリラの襲撃と戦線はなかなか前進しなかった。

 隣接するリーム王国に参戦するように要求するもミリシアルの介入の報を聞き『我々はイタリアを支持するが参戦はしない』と返事が返ってきた。

 

「芋引きやがったな」

 

 ムッソリーニは悪態をつきながら地図を眺める。

 

「ミリシアルの介入宣言以降属領は皇国側に協力的だし、周辺国は鳴りを潜めてやがる。そんなにミリシアル帝国とやらがこわいのか。

 いいかパールネウスを落とせ、皇帝さえ何とかすればどうとにもなる」

 

 

 翌日未明フィルアデス帝国は大規模侵攻を開始したが、この頃には皇国軍は輸入した旧式のミリシアル、ムー製の兵器を配備しており、大半の兵が植民地兵でほぼそのままマスケットを使用していたフィルアデス帝国は敗退した。

 

 

「何をしている‼あんな奴らも殺せんのか‼もう良い! 爆撃で皇帝ごと殺せ‼」

 

 

 翌日よりパールネウスへイタリア航空隊が定期的な空爆を開始するも、皇帝は既にアルーニへ移っており全くの無駄骨であった。

 

 

 ◇◆◇◆ 

 第一魔導艦隊旗艦カレドヴルフ

 艦隊司令官のレッタル・カウランは海を見据えながら物思いにふけっていた。

 

「艦長はどうしてこの艦隊が鎮圧に駆り出されたかわかるか?」

 

「それは……第一魔導艦隊が担当区域だからではないのですか?」

 

「それもある、だがたかが第三文明圏の都市の砲撃にここまでの大艦隊が必要かね」

 

「それは、まぁ」

 

「トリュニトロンは支持上げの為に一隻で事足りる作戦でこの大艦隊を動かしたのだ」

 

 ミリシアル官僚の中では今「魔帝の事はのちの世代が何とかしてくれる、自分たちは自分の事だけ心配すればよい」等という後任せ主義ともいえる空気が蔓延していた。

 

「だから貴重な戦力を政権維持のために出せるんだ」

 

 カウランは現政権に不満たらたらであったが軍人は命令を忠実に遂行しなければならない。

 不満をあらかた吐き出した後、苦笑しながら艦長の入れた紅茶を嗜んだ。

 

 海の中から見られているとも知らずに。

 

 

 ◆◇◆◆◇◆

 

「ドゥーチェ、潜水艦よりマール王国沖にて

 ミリシアル国旗を掲げた艦隊を発見したとの報告が入りました」

 

「ほう、狙いはどこだ?」

 

「ミリシアルは確実にエストシラントを攻撃するでしょう、航空母艦は存在せず砲艦のみなので

 艦砲射撃、その後上陸するものと思われます」

 

「うむ、我が艦隊は確かアワン王国に向かっているのではなかったか?」

 

「はい、ですからアルタラス基地の航空隊で魚雷での攻撃を行いたいと思います魚雷での攻撃は戦列艦で実践済みなので問題ないでしょう」

 

「うむ、分かった出撃を許可しよう。世界最強だかしらんが

 イタリアの前では無力であるという事を知らしめねば」

 

 そしてミリシアル艦隊がアルタラス沖に到達した旨を潜水艦が報告後、アルタラス基地からSM.79凡そ20機が飛び立った。

 

 

 

 



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5話

wikiのコメント欄うれしいなぁ、あんなこと言われたら……もう……ネ(感涙)


「報告! 艦隊に接近する機体を感知、機数およそ20機」

 

「なに、どうせワイバーンだろう、対空魔光砲準備!」

 

「いえ飛行機械のようです。どうやらムーが一枚噛んでいるというのは本当の用ですな」

 

 

 艦長は双眼鏡で迫る機影を確認する。

 

「しかしムーにしては精錬されすぎではないか?」

 

「てっきりモンキーモデルと思っていましたが、新型でしょうか? もしかしたら名前だけで実質ムーの可能性が」

 

「まぁ良い、いつかは衝突は免れんと思っていたんだ、主砲斉射用意!」

 

「主砲に魔力充填! 属性比率、雷93! 炎7! 砲弾の魔術回路起動!」

 

「魔術回路設定完了」

 

「魔術注入……70、80、90、100、充填完了!」

 

「レーダー結果より調整、発射準備完了!」

 

 主砲から発射された砲弾は青白い光を放ちながら一番前にいた5機付近にて電撃が炸裂する。

 

 電撃を間近で浴びたうちの一機がエンジンを停止させ落ちていくが、残った機体から爆撃が開始される。

 

「こんな落とし方では当たらんよ、次弾準備!」

 

「はっ! 魔力充填準備!」

 

 ガレドウルフを覆うように立て続けに水柱が立ち上る。

 

「三機敵機低空! 3時方向より接近!」

 

「対空魔光砲用意!」

 

 

 主砲の代わりに対空機銃が爆撃機の進路を阻む。

 

 爆撃機は手前で爆弾を捨てるとそのままガレドウルフの上空を通り過ぎる。

 

「……何がしたい?」

 

「爆弾が落ちた所から何かやって来ます!」

 

「ッいかん! 避けろ! 面舵一杯!」

 

「‼……はッ! 面舵一杯ッ!!」

 

 ガレドウルフはゆっくりと右方向に向かうこの時間が艦長は非常に長く思えたが、魚影は艦首前方をギリギリのところで回避に成功する。

 

「今のは……?!」

 

 謎の魚影が向かう先には巡洋艦いたが、避けられそうにない。

 

ドァ!!  

 

 魚影が当たった所からいきなり爆発したかとも思うや、巡洋艦は見る間に海面へ呑まれていく。

 

「何という威力だ!」

 

「畜生! ムーの野郎、海魔爆弾を実用化していやがった!」

 

 海魔爆弾

 かつてミリシアルが研究していた兵器であり、文字道理調教した魚型海魔に爆弾を括り付けムーの機械式艦船に突っ込ませる手筈だったが、調教の時点で頓挫した所謂珍兵器である。

 

「どうすんですか! この場合は!」

 

「確か、この場合はな……各艦z航行を命じよ!」

 

「はッ!!」

 

 

 ミリシアル艦隊はジグザグに動いて魚雷に備える。

 

 航空隊は再装備する為アルタラスの基地に戻り始めたが、エストシラントに着く可能性が出てきた。

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「何! 航空隊は何をやっている! 帝都はすぐそこだぞ! 要塞砲の準備を急げ!」

 

 南フィルアデス帝国 帝都防衛隊隊長 ルナ・バルコは電話機に怒鳴る。

 

「くそ! 科学製は使いにくい!」

 

 ハンドルを回し、湾岸要塞砲に繋ぐ。

 

 

「用意はどうか!」

 

『ハッ! こちらは準備万端であります! いつでもいけます‼』

 

 

 現状頼みの綱は今電話しているこのイタリア製の要塞砲1門

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 海の向こうから魔導船特有の粒子の煌めきが目立ち始めた。

 

「ワイバーンロードを出せ! 焼き尽くしてしまえ!」

 

 バルコはワイバーンロード隊に指示を出し、颯爽と飛び立つ。

 

 

 双眼鏡で戦闘を眺めるが、ワイバーンロードの火炎を受け付けず対空砲火で一方的に絡め取られる様子しか見えなかった。

 

「畜生! 畜生! 畜生!」

 

 そうこうしている内にミリシアル艦隊の艦砲射撃が始まった。

 

 少なくとも偽装を行っている要塞砲は被害を免れていたが……

 

 耐えきれず砲撃、未熟な帝国兵の弾はミリシアル艦のはるか手前に着弾。

 

「位置がばれたじゃん何やってんだよ!!」

 

 バルコが叫ぶももう遅い、ミリシアル艦隊は重点的に要塞砲を狙い始めた。

 

 既に向こうから揚陸艦が何隻も来ている、要塞には機関銃火点もあるので大丈夫だと自身に言い聞かせ要塞砲と連絡を取るが……

 

「なんで誰も出ねぇんだよ!」

 

 逃げたか、やられたか。その後要塞砲は一切火を噴くことはなかった。*1

 

 既にミリシアル兵の顔が分かるほど近づいているが、近代戦に慣れていない帝国兵たちは接近される前から砲撃を繰り返しており位置を知らせているだけで砲撃の餌食になった砲台も少なくない。

 

 

 そして遂に少数の被害でミリシアル兵達がフィルアデス大陸の地に足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

*1
代わりになる訓練を受けた奴が居なかった




初手クライマックス


もしかして?ヘタリア〜ではありませんか?(ヤホー並感)


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