イッチ「“個性”と言う特殊能力がある世界に転生したら“緑谷出久”って子が自殺したんだけど…どうしたらいい?」スレ民達『ハ?』 (DestinyImpulse)
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主人公が消えた世界

 
 息抜きと思いつきで気づけば書いてしまった。
 何卒宜しくお願いします!


      

 

     【僕のヒーローアカデミア】

 

 

 現代社会において、読んでなくても名前だけでも知っている少年ジャンプの人気作品。

 

 世界総人口の約8割が、超常能力“個性”を持つに至った超人社会。“個性”を悪用する(ヴィラン)を“個性”を発揮して取り締まるヒーローが存在する世界で、超常能力が発現しない“無個性”の主人公がNo.1ヒーローの個性を受け継ぎ、ヒーローを目指す物語……らしい。

 

 正直、俺はアニメよりも特撮の方が好きだったので詳しく知らない。この情報も“スレの兄貴達”に教えてもらった事だ。

 

 そんな通称・ヒロアカの世界に転生した俺は、いわゆる“転生者”。

 

 俺は今、ある中学校の前に佇んでいる。転生した俺は今は中学3年だが目の前にある中学校は俺が所属する中学校ではない。

 

 

 じゃあ何で関係ない中学校の前にいるのかって?

 

 それはこの中学校で【無個性の男子中学生の自殺】が起こったからだ。

 

 

 この世界において、“無個性”というだけでイジメに遭う。周囲からは何かと差別を受け…場合によっては産みの親からも【無個性】で産まれてきたことを疎まれる…考えただけでゾッとするそんな環境、精神年齢が熟した俺達転生者でも味わいたくない。

 

 

 被害者の少年にクラスメイト全員が《虐め》や《嫌がらせ》を平気で行い。クラスの担任は見て見ぬふりをしていたそうだ。

 

 何処の世界でもイジメによる悲劇が起こってしまう。俺に前世の記憶はないが…きっと前世でもこういったニュースはあったのだろう。

 

 世界は今回の事件を、個性社会の悲劇の1ページとして刻むのだろう。だが、スレの兄貴達からこの世界の事を聞いた俺は知っている。

 

 

 

 

 

 この世界は最悪の結末(バッドエンド)に向かっている事を………。

 

 

 

 俺は近くの花屋で買った花束を校門の隅に添えられた花達に重ねるように添える。

 

 

架空(ゆめ)現実(げんじつ)に……たとえ俺達の世界で架空(漫画)として知るイジメは、貴方にとっては苦しい現実(げんじつ)だったんですよね……主人公(緑谷出久)

 

 

 

 

 

 

 

 

 言い忘れていたが、自殺した中学生の名は緑谷出久(みどりやいずく)。未来において最高のヒーローになる筈だった主人公だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

 

【SOS】皆さんの力、お借りします!!【( ;∀;)】

 

 

 

1:名無しの転生者

 スレってこれでいいのかな?

 

2:名無しの転生者

 お、これ使うの初めてか?

 

3:名無しの転生者

 はい、これ凄いですね。頭で念じるだけで掲示板立てれて、他世界の転生者の皆さんと話せるんですから。

 

4:名無しの転生者

 だろ、誰が作って誰が始めたのか知らんが今じゃ俺達転生者の連絡網だ。念じればいいんだから鬼滅の刃みたいにスマホがない世界の奴でも使える優れもんだ。

 

5:名無しの転生者

 それでイッチよ、どうした?てかタイトルがオーブの台詞な件についてwww

 

6:イッチ

>>5 分かっちゃいますwww?自分アニメより特撮な者で、因みにメビウス世代です。

 

7:名無しの転生者

 いいセンスだ。

 

8:名無しの転生者

 嫌いじゃないわ♡

 

9:名無しの転生者

 僕らが叶える世界〜!

 

10:名無しの転生者

 絆を信じてみた〜い!

 

11:名無しの転生者

 おまいら遊びスギィ!

 

12:イッチ

 それで話を戻しますけど、自分今の今まで転生者である事を忘れていたんですけど、今日のニュースを見てて思い出したんです。

 

13:名無しの転生者

 無くも無い話だな。原作に関わる重要な事件や人物の名前で思い出すパターン。それでどの世界に転生したんだ?

 

14:イッチ

 なんか、個性?とかいう特殊能力がある世界です。

 

15:名無しの転生者

 ヒロアカじゃねーか!

 

16:名無しの転生者

 うわぁ、アタリなのか、ハズレなのか微妙な世界だな。

 

17:名無しの転生者

 アレって今、世紀末状態になってるんだっけ?

 

18:名無しの鬼殺隊

 それでも、俺の世界よりマシだ。

 

19:名無しのゴッドイーター

 そうだぞ。毎日生きるのに必死なんだ!

 

20:名無しの転生者

>>18>>19 言葉の重みが違うwww

 

21:名無しの転生者

 てか、地味にコテハン変えるなwww

 

22:名無しの転生者

 ゲームでやるのはいいが実際に行きたくない世界www

 

23:イッチ

>>18>>19 なんか、すみません。

 

24:名無しの鬼殺隊

 気にするな、嫁(アオイ)が居る。ドヤァ!

 

25:名無しのゴッドイーター

 そうだぞ。嫁(アリサ)の癒しがあれば生きていける!ドヤァ!

 

26:名無しの転生者

 勝ち組じゃねぇか!!

 

27:名無しの転生者

 ふざけるな!!ふざけるなっ!!馬鹿野郎!!!うわぁーーーーー!!!!

 

28:名無しの転生者

>>26>>27 気持ちはわかるが落ち着け、話が進まん。それでイッチ、なんのニュースで思い出したんだ?

 

29:イッチ

 すみません、これ言うと空気が死ぬんですけど……中学生の自殺事件です。

 

30:名無しの鬼殺隊

 ……確かにふざけて良い話じゃないな。

 

31:名無しの転生者

 中学生の自殺事件?ヒロアカにそんな事件あったか?

 

32:名無しの転生者

>>31 いや、無かったと思う。ヒロアカと言っても原作通りの世界もあれば、全く違うIFの世界もある。詳しく説明してくれ。

 

33:イッチ

 はい、無個性の少年が虐めで自殺した事件なんです。

 

34:名無しのゴッドイーター

 ………胸くそ悪い話だな。

 

35:名無しの転生者

 ある意味、ヒロアカの世界が一番虐めが起きやすい世界なのかもな。……続けてくれ。

 

36:イッチ

 その事件は……《折寺中学校》で起きたんです。

 

37:名無しの転生者

 ……おい、ちょっと待て!《折寺中学校》って確か!?

 

38:名無しの鬼殺隊

 ……おいおい、まさかと思うが!?

 

39:名無しの転生者

 …………確かにそういったssを見た事はあるが……洒落にならないぞ。

 

40:イッチ

 …………その中学生の名前は【緑谷出久】。その名前で自分は思い出したんです。それで嫌な予感がしてこのスレを立てたんですが、皆さんの反応からして……

 

41:名無しのゴッドイーター

 ……ヒロアカ。正式名称は僕のヒーローアカデミア。これは無個性の主人公がNo.1ヒーローの力を受け継ぎ、最高のヒーローになる話だ。

 

42:イッチ

 ……それで、その主人公は?

 

43:名無しのゴッドイーター

 …………主人公の名前は【緑谷出久】。自殺した中学生だ。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

44:名無しの転生者

 その後、イッチが向かった先がまさかの折寺中学校。意外と近場だったな。

 

45:イッチ

 すみません、いてもたってもいられなくて。と言うかホントに便利ですねこの掲示板、俺の視点でも三人称視点でも現場が見られるなんて。

 

46:名無しの鬼殺隊

 そうだな。それより聞きたいんだが、この事件の前に【ヘドロ事件】って起きなかったか?

 

47:イッチ

 いえ、調べてみましたがそんな事件はありませんでした。

 

48:名無しの転生者

 って事はオールマイトは無関係か。緑谷自殺ssはオールマイトに夢を否定された事で起こるパターンもあるが、ヘドロ事件が起こってないって事は原作前だな。

 

49:名無しのゴッドイーター

 つまり自殺の最大の原因は……“爆豪勝己”だな。人気ランキング一位だったり、最新話で丸くなってはいるが、初期から見直すとサイコパスの一言に尽きるな。

 

50:イッチ

 そうですね。調べた結果、イジメの主犯として爆豪の名前がありました。クラスの担任は《解雇》及び《教育権の剥奪》、他の教員は数年間の《減給》、そして3年生の生徒達は爆豪とその取り巻き二人が《退学》。その他は《停学》が決定したようです。

 

51:名無しの転生者

 正直、詳しい訳じゃないから妥当な処罰なのか分からんが……自業自得だな

 

52:名無しの転生者

 爆豪勝己

 

 個性は《爆破》。手に貯めたニトロの汗を爆発させる個性で、描写を見るに普段から個性を当たり前のように使って喧嘩やらイジメやらをしてたと考えられる。

 

53:名無しのトマト

 酷え話ですね。やってる奴等にとって自分達の行いがイジメである自覚なんて欠片もない。この爆豪に向かって螺旋のストライクバーストを放ってやりたいですよ!

 

54:名無しの転生者

>>53 そのコテハンと技名から察するに君は……

 

55:名無しのトマト

>>54 ええ、エンターテイナー(笑)の糞親父が勝負から逃げ出したお陰で【臆病者の息子】としてイジメられている榊遊矢です。

 

56:名無しの鬼殺隊

 そりゃまた、難儀な憑依先だな。

 

57:名無しのトマト

 まぁ、俺はまだいい方ですよ。幼馴染みの柚子や権現坂が居てくれたんで………でも、緑谷君にはそういった子は居なかったんですよね。

 

58:名無しの転生者

>>57 そうだな。今現在、緑谷にそういった設定はないな。同じ中学じゃなくて良かったなイッチ。……イッチ?

 

 

 さっきから反応のないイッチ。三人称視点で見てみると、添えられた花に向かって黙祷するイッチの姿があった。

 

 

59:名無しのゴッドイーター

 ……マジレスするようで悪いが、改めて考えると俺達は恵まれているんだな。

 

60:名無しの転生者

 ………しとくか、黙祷。

 

61:名無しのトマト

 ……そうですね。爆豪アンチした所で緑谷君が生き返る訳ではありません。せめて、彼が来世で幸せな出会いをする事を祈りましょう。

 

 

 

 

     転生者黙祷中

 

 

 

62:イッチ

 すみません、皆さんまで黙祷してもらって。

 

63:名無しのゴッドイーター

 気にするな、ここまで聞いといてハイ、解散で帰る程俺達は屑じゃねぇ。

 

64:イッチ

>>63 ありがとうございます。それで、これからどうすればいいでしょうか?

 

65:名無しの転生者

 正直、どうなるか俺達にも分からない。トマト君みたいに主人公に憑依転生したのなら、修正力や、抑止力とも言われる力が働いて、概ね原作通りに事は進む。

 

66:名無しのトマト

>>65 詳しいですね。……ん?て事は俺は覇王龍ズァークになるしか道は無いと!?もう駄目だ、オシマイダー!

 

67:名無しの鬼殺隊

 ある意味、俺達より詰んでる世界だもんな。

 

68:グランドマスター

>>66>>67 いや、そんな事はないよ。俺の知り合いにトマト君みたいに不遇主人公に転生しても原作ぶち壊してハッピーエンド掴み取った奴いるし、俺も所長やロマニを生存させて人理修復やり遂げたし。

 

69:名無しの転生者

 あんた藤丸立香か!?てか、コテハンのネームが凄いwww

 

70:グランドマスター

 時代を駆け抜けた英雄達。彼等の力を結集し、大いなる旅が始まる。切り拓け、人類の未来を!!

 

71:名無しのトマト

 それはジオウですwwwそれで藤丸ニキ。その不遇主人公に憑依した人って?

 

72:グランドマスター

 簡単に言うと自由と正義が嫌いな奴。

 

73:名無しのゴッドイーター

 自由と正義が嫌いな不遇主人公……自由……フリーダム……あ!

 

74:名無しのトマト

 シン・アスカ!!マジか、ラクシズに勝ったのか!

 

75:グランドマスター

 正解!今度呼んでおくよ。仲間は多い方がいいからね。

 

76:イッチ

 藤丸ニキが言うと説得力ありますね。それで、主人公憑依は分かったんですけど、主人公そのものが消えた場合ってどうなりますか?

 

77:グランドマスター

>>76 ごめん、流石にそこまでは分からないな。抑止力については型月世界だからわかるけど……

 

78:名無しの転生者

 ならば、俺が答えよう!

 

79:グランドマスター

>>78 誰だ!?

 

80:名無しの転生者ハンター

 人の心に淀む影を照らす眩き光、人は俺を転生者ハンターと呼ぶ!

 

81:名無しの鬼殺隊

 て、転生者ハンターだと!ホントに実在したのか!?

 

82:名無しのトマト

 てか、何でカイトのセリフ!?

 

83:名無しの転生者ハンター

>>82 それは世界に害を齎す害悪転生者の特典をそいつ等の魂ごと狩っているからだ。

 

84:名無しの鬼殺隊

 まんま、ナンバーズハンターじゃねぇか。その転生者ハンターが何故!まさか、俺の魂を狩りに!?

 

85:グランドマスター

 鬼殺ニキ、神様転生だったんだね。

 

86:名無しの転生者ハンター

 鬼殺ニキ、確かお前の特典は飛天御剣流だったな。なら、俺の管轄外だ。この掲示板に来たのは唯の暇潰しだ。

 

87:イッチ

 あの〜ハンターニキ、そろそろ説明を……

 

88:名無しの転生者ハンター

 そうだな、転生は主に2つに分けられる。神によって選ばれ特典を貰って転生か、そうでないかだ。後者は死んだ魂が何かしらの影響で時空を超えて別の世界で生を受ける。その場合だとイッチや藤丸ニキのように記憶がなくなっていたり、神食いニキやトマト君のように転生しても特典がない場合がある。

 

89:グランドマスター

 そうだね。俺はレフが起こしたテロで記憶が戻ったんだ。特典は持ってなかったからサーヴァントの皆の英才教育で補いました。

 

90:名無しのゴッドイーター

 俺は始めから記憶があったから速攻でゴッドイーターになった。特典?ねぇよ(怒)

 

91:名無しのトマト

 俺は記憶があったので糞親父を説得しようとしましたが駄目でした。

 

92:名無しの転生者ハンター

 次に俺達転生者ハンターについてだな。俺達は死後、転生して特典を駆使して世界を乱す馬鹿を狩るのを神々に頼まれた存在だ。鬼殺ニキは鬼滅の刃に転生するにあたって、飛天御剣流を特典に選んだ。呼吸による剣術や血鬼術による術がある世界だ。何らおかしくない。だが、特典にインフィニット・ストラトスのような超兵器を選んだ馬鹿が居たとする。どう思う?

 

93:イッチ

 何というか……特典に世界が合っていないと思います。

 

94:名無しの転生者ハンター

 その通りだ。大正時代にそんな兵器を持ち出されたら技術的進歩に綻びが生まれる。そうなったら俺達転生者ハンターが魂ごと特典を狩る。他にも俺が主人公になってハーレムを築くなんて考えの屑が何の罪も犯してない主人公を殺そうとした場合でも動く。

 

95:グランドマスター

 なるほどね。それでハンターニキ、今回の緑谷君の自殺は?

 

96:名無しの転生者ハンター

>>95 転生者は関わっていない。因みにその世界に存在する転生者はイッチだけだ。おそらくこの世界はIFの世界。もしも、緑谷が自殺してしまったら……そんなあってもおかしくない可能性の世界だろう

 

97:名無しのゴッドイーター

>>96 なるほど、となると俺達転生者が介入した場合、もしもこの世界に〇〇が居たら。トマト君や藤丸ニキはもしも主人公が〇〇だったらで片付けられるのか?

 

98:名無しの転生者ハンター

>>97 その通りだ。理解が速くて助かる。つまり、たとえ、フィクションとして存在する世界でも絶対に本筋通りに進む訳ではない。藤丸ニキやシン・アスカに憑依した兄貴みたいに物語を変える事は不可能ではない。

 

99:イッチ

 なんか……凄い話を聞いた気がする。

 

100:名無しのトマト

 ホントですよ………でも、希望は持てました。俺頑張ってみます!

 

101:名無しの転生者ハンター

>>100 頑張れよ。さて、イッチ。長ったるく説明したがこれからどうするかはお前の自由だ。敵連合と戦うのも良し、戦わないのも良し。だが、このまま行けば世界は確実に崩壊する。

 

102:グランドマスター

 やっぱり主人公が居ないとバッドエンドか……ワン・フォー・オール受け継げないし。

 

103:名無しのトマト

 でも、緑谷君が居ない場合って確か通形ミリオってキャラが受け継ぐ予定だったんですよね。

 

104:名無しの転生者ハンター

>>103 確かにその通りだが、そうなると早死にする。今の公開されている最終章の情報で、世代を通じて蓄えられたワン・フォー・オールを普通の個性を持つ人間に譲渡したら(個性)肉体()で抑えきれずに命を燃やし尽くしてしまう事が明かされた。4代目の時点で、40歳で老衰だ。そこからオールマイトの代まで高められたワン・フォー・オールを既に個性を持っている奴が受け継げば………多分、原作の途中で死ぬ。

 

105:名無しの鬼殺隊

 まじかよ!て事は緑谷しか受け継げる奴が居ねぇじゃねぇか!?

 

106:グランドマスター

 原作前からオールマイトはボロボロだ。絶対に最終章まで保たない…!

 

107:名無しのゴッドイーター

 つまり、この世界のヒーローはワン・フォー・オール抜きで数多の個性を持つオール・フォー・ワンを倒さないといけない………原作前から詰みが確定してるぞ!

 

108:名無しの転生者ハンター

 ワン・フォー・オール抜きでオール・フォー・ワンに勝てる奴はこの世界には居ない。……この世界にはな。イッチ、お前は神様転生ではないが……この世界には無い力を持っているだろ。

 

109:イッチ

>>108 はい、記憶が戻る前は気にも止めなかったんですけど、俺はこの世界にはない力を持っています。 

 

 それは………すみません、誰か来たようです。話はまた後で。

 

 

110:名無しのトマト

 そう言えばまだ中学の手前でしたね。

 

111:名無しの鬼殺隊

 そうだな。話はイッチが家に帰ってから……って、マジかよ!

 

112:名無しの転生者ハンター

 噂をすれば何とやらだな……まさか、出会えるとは。

 

113:グランドマスター

 まって、“彼”が此処に来たって事は!

 

114:名無しのゴッドイーター

 今日が原作開始の日って事か!?

 

 

◆◆◆◆

 

 

 スレの兄貴達と話し合っていたイッチだったが、話に夢中で後ろに人が居た事に気づいてなかった。

 

「HEY、少年。私も一緒に彼に祈りを捧げてもイイかね?」

 

「あ、すみません。邪魔しちゃって、どうぞ」

 

 其処には【ガリガリに痩せた金髪男】が花束を持って立っていた。慌てて、道を譲るイッチ。ガリガリの男は持っていた花束を添えて手を合わせそっと眼を閉じる。

 

「………………」

 

 暫く座り込んで合掌していた男は静かに立ち上がる。

 

「君は彼の友人か何かかい?」

 

「いえ、全く接点のない赤の他人です。だけど……ほっとけなくて……」

 

「……そうか、君は心優しいんだね」

 

「いえ、そんな事は……ところで、貴方は?」

 

「おっと失敬!自己紹介がまだだったね……私は八木(やぎ)俊典(としのり)だ」

 

 

 そう言って男…八木俊典は笑みを浮かべる。体はガリガリだが、その笑みは何処か太陽を連想させる。

 

 

 

「八木さんですか……俺は(つるぎ)聖火(せいか)です」

 

 

 その笑みに釣られてイッチ……聖火も笑みを浮かべて名乗る。この世界での自分の名を……。

 

 しかし、この出会いが自分の物語を大きく動かす事を聖火はまだ知らなかった。

 

 

 

END

 




 ここで軽く人物紹介

・剣聖火
 
 本作の主人公。アニメよりも特撮が好きな転生者。記憶が戻る前は魂に刻まれた仮面ライダー達に憧れを抱いて雄英を目指して特訓していた。記憶が戻ってからはスレの兄貴達と共に困難に立ち向かう。彼の力は次回登場します。
 
・グランドマスター

 藤丸立香♂に転生し、所長やロマニを生存させて人理修復を成し遂げたスゲー奴。最高最善のマスターなので指揮能力が優れている。

・名無しのゴッドイーター

 ゴッドイーターの世界に転生した。記憶を始めから持っているが、ゴッドイーターの知識はない。だが、死なない為に速攻でフェンリルに所属した。毎日アラガミ退治のブラック企業だが、嫁(アリサ)がいるので頑張れる。

・名無しの鬼殺隊

 飛天御剣流を特典に鬼滅の世界に転生。かまぼこ隊の兄貴分として今日も鬼の首を追いかける。嫁(アオイ)の料理が今日も美味い。

・名無しのトマト

 遊戯王の榊遊矢に転生た不幸ボーイ。父の説得に失敗し原作通りに虐められる。特典はないのでオッドアイズデッキしかないが、マイ・フェイバリットの絶対笑顔龍でハッピーエンドを掴もうと頑張る。

・名無しの転生者ハンター

 死後、悪質な転生者を狩る事を神々に頼まれた転生者。その為世界の理についてある程度知っており聖火をサポートする。

 スレの兄貴達の説明はちょくちょく入れる予定です。


 それではまた、次回!



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始まる物語

「剣少年か……いい名前だね」

 

「ハハハ、ありがとうございます。少し、女ぽいですけど気にいってます」

 

 俺と同じく緑谷出久に花を添えに来た八木さん。最初見た時は骸骨みたいでビックリしたが普通に良い人そうだ。

 

 

『イッチ!聞こえる!!』

 

 そう考えていると頭の中に声が響く……これは掲示板の神喰ニキだ。これ声も届けられるのか……ホントに便利だ。

 

『どうしました神喰ニキ?』

 

『お前随分冷静……そういやヒロアカ知らないんだっけ、八木俊典……その人No.1ヒーローだよ』

 

『ファッ!?』

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

1:イッチ

 え?No.1ヒーローって事は……オールマイト!?確かに何処か面影が……

 

2:名無しのゴッドイーター

 流石にこの世界で生きてるからオールマイトは知ってるか。

 

3:名無しの転生者ハンター

 さっき俺達が話したオール・フォー・ワンと数年前に戦い、勝利するも内臓を摘出する大怪我を負った。故に普段ヒーロー活動する時は一般的に知られる姿のマッスルフォーム。それ以外は目の前のトゥルーフォームに分かれている。

 

4:グランドマスター

 とりあえず会話してみたら?此処で会ったのも何かの縁だよ。

 

5:イッチ

 わかったよ藤丸ニキ……原作キャラと話すとか、なんか緊張する。

 

6:名無しの鬼殺隊

 わかる。

 

7:名無しのトマト

 わかりみ

 

8:名無しの転生者ハンター

 気持ちはわかるがこれは現実だ、慣れろ。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

(フゥー、よし!)

 

 現実キャラと話すってなんかアイドルに声をかける様でドキドキするけど、ハンターニキの言う通りこれは現実の世界、くだらない考えは早めに捨てるべきだな。

 

「あ、あの……八木さんはどうして此処に?緑谷君の知り合いだったんですか?」

 

「……いや、君と同じさ剣少年。この事件を知って、いてもたってもいられなくてね」

 

 兄貴達から聞いた話じゃ本来なら緑谷君とオールマイトが出会って原作が始まるんだよな……今は原作前の様だし、この時点では二人に接点は無いんだな。

 

 と言うか剣少年って……凄い呼び方だなこの人。

 

 

「………私はヒーロー側の仕事をしているけど実は無個性なんだ。何の力も無い人間だけど当時はヴィランが好き勝手する時代でね。平和を支える柱になろうと思ったんだ」

 

 

 自分と同じ無個性だから何かを感じて此処に来たって事か……八木さんは何処か懐かしむ様に語っていた。

 

「……当時は珍しいけど無個性はそれなりに居たからね……差別はそこまで無かったんだ……だからかな、ワタ……オールマイトが平和を支えるこの社会は当時よりも悪意の無い世界だと思っていた……いや、信じたかった。今回自殺した少年には無個性でも愛してくれる両親と優しい地域の人達が居た………しかし、共に青春を謳歌する筈だった幼馴染みや同級生…そして無個性だからこそ寄り添いより良い道に導くべき教師達の心無き悪意が未来ある若者の人生を滅茶苦茶にしたんだ!!」

 

 

「八木さん………」

 

 

 血が出るんじゃ無いかと疑う程に拳を握りしめる八木さんの姿は悲しみに震えていた。

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

9:名無しの転生者ハンター

 …………文字通り命を燃やしてまで、平和な日々を守っているのに……その日々が生んだ悪意が……弟子になる筈だった緑谷君の命を奪った………ホントに世界は残酷にできている。

 

10:名無しのゴッドイーター

 …………正直、原作での緑谷に対するオールマイトの発言に問題はあると思うけど……仮に無個性でもヒーローになれるなんて言ってしまえば、それがプライドになって取り返しのつかない事になる……そうやってアラガミに喰われた奴を俺は多く知っている。

 

11:名無しのトマト

 この話は止めましょう……答えなんて出やしない。

 

12:グランドマスター

 そうだね。これからの事を考えよう!

 

13:イッチ

 あの、皆さん!

 

14:名無しの鬼殺隊

 ん?どうしたイッチ?

 

15:イッチ

 八木さん……ココではオールマイトと言った方が良いか……とにかくオールマイトと話していたら商店街から爆発音がしたんです!何か知りませんか?

 

16:名無しのゴッドイーター

 商店街って事は…やっぱり今日か……原作が始まった日にヘドロの個性を持ったヴィランが爆豪を人質に取って暴れるんだ。

 

17:名無しのトマト

 でも、この世界の爆豪は自殺強要の犯人だから……自由に動ける立場じゃ無いですよね?

 

18:名無しの転生者ハンター

 だが、ヘドロヴィランに爆破の力はない。大方、抜け出して捕まったんだろ。

 

19:イッチ

 現場に着きました……兄貴達の言う通りヘドロのヴィランが暴れてて……あ!爆豪が取り込まれてます。

 

20:名無しのゴッドイーター

 やっぱりか……

 

21:イッチ

 近くに居るヒーロー達の話だと、どうやら爆豪は警察やヒーローにマークされてた様ですが、嫌気が差して抜け出したみたいです。

 

22:グランドマスター

 三人称視点モードで確認した。ヤバイな……爆破で商店街は滅茶苦茶だ。もし、飲食店のガスに引火したら野次馬諸共吹き飛ぶぞ!

 

23:名無しの鬼殺隊

 爆破のせいでヒーローは近づけないし……流体だから物理は効かない。原作でもオールマイトの超パワーで吹き飛ばして倒した相手だ。

 

24:名無しのトマト

 てか、オールマイトどうしたんです?

 

25:イッチ

 此処に来る時逸れてしまって……

 

26:名無しのゴッドイーター

 まぁ、近くには居るだろう……って、マズイ!

 

27:名無しの鬼殺隊

 ヘドロヴィランが吹き飛ばした瓦礫の先に逃げ遅れた子供が…!

 

28:イッチ

 ッ!うおおおおおおおおおおおおおおおお!!

 

29:グランドマスター

 イッチ!?

 

30:名無しの転生者ハンター

 おい、待て!

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

「おおォオオオ!!こぉんのおお!!」

 

 

 

 

 燃え盛る商店街……その中心地では爆豪を取り込んだヘドロヴィランが暴れ回っていた。

 

 

「私二車線以上じゃなきゃムリ〜〜〜!」

 

「爆炎系は我の苦手とするところ…!今回は他に譲ってやろう!!」

 

「そりゃサンキュー!消火で手一杯だよ!状況どーなってんの!?」

 

 巨大化の個性を持つMt.レディはその巨体が災いし、現場に近づく事も出来ず。

 

 樹木の個性を持つシンリンカムイは、炎との相性が最悪な為、周辺のケガ人を救助するのが精一杯。

 

 他にも周辺の消火で手一杯のバックドラフト、ヴィランとの相性が悪い事に加え、爆豪の抵抗のせいで近づく事も出来ずにいるデステゴロなど、誰一人爆豪の救助へ向かえずにいた。

 

「スゲー何アイツ、ひょっとして大物敵じゃね!頑張れヒーロー!」

 

「てか、人質になってんの爆豪勝己じゃね?無個性イジメて自殺させた」

 

「うっわ、マジだ!近所の評判悪くして今度はヴィランの人質かよ!」

 

 そんな状況をまるで見せ物の様に能天気に見つめる野次馬達。故に気づかないでいた。逃げ遅れ泣き叫ぶ子供にヘドロヴィランが吹き飛ばした瓦礫が迫っている事に……

 

 

(マズい!!)

 

 それにいち早く気づいたのは野次馬に紛れて状況を見極めていたオールマイトだった。彼の体は既にボロボロだ、それでも小さな命を救う為にマッスルフォームになろうとした時……

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

 聞き覚えのある声が聞こえた……先程、自分の話を真剣に聞いてくれた心優しい少年。

 

 

「剣少年!?」

 

 

 剣聖火が駆け出し、子供を守る様に瓦礫の射線上に立ちはだかった。

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 何で飛び出したのか……自分でも分からない。体が勝手に動いたとしか言いようが無い。

 

 気がつけば子供を助ける為に駆け出し……

 

 

(来い!烈火(れっか)

 

 

 自分の力を解き放つ。俺の右手に赤い光が集り炎の様に真っ赤な聖剣が現れる。

 

 本来、この世界にある筈のない力……【仮面ライダーセイバー】に登場する【聖剣】の力を俺は使う事ができる。何故この力が俺に有るのかは分からないが……今は、それどころではない。

 

 現れた火炎剣烈火を握りしめ、迫り来る瓦礫に向かって振り下ろす。炎を纏った聖剣は瓦礫などバターを切るように容易く真っ二つにして俺と子供を守る。

 

「ナンだぁ!テメェ!?」

 

 

 当然、そんな事をすれば注目される。野次馬やヒーロー、そしてヘドロヴィランが俺を睨み付ける。

 

 ……正直怖い。目の前の相手が物語の最初の引き立て役のヴィランだとしてもこれは現実だ。目の前に居るのは本物のヴィランなのだ……怖くない訳がない。

 

 アラガミと戦う神喰ニキも、鬼と戦う鬼殺ニキも、人理修復の旅をした藤丸ニキも……こんな気持ちだったのだろうか……

 

 それに捕らえられているのは緑谷出久を自殺に追い込んだ爆豪だ。助ける価値なんて無い筈………

 

 

 それでも……色々とある理屈を包み込んで、燃える様にある感情が俺の心の中で叫んでいた。

 

 涙を流して悶る爆豪(アイツ)を……

 

  後ろで不安げに俺の背中を見つめる子供(あの子)を……

 

 

      守りたい!!

 

 

 

 

 

 

 だったらやるべき事は決まっている。俺はヘドロヴィランに歩を進めながら……変身ベルト(ソードライバー)を身に着けた。

 

 

 

【聖剣ソードライバー!】

 

 

 

 

「馬鹿野郎!止まれ!止まれーーー!」

 

 

 ヒーローが何か言ってるが……どうでもいい。

 

「力を貸してくれ、火炎剣烈火ッ!」

 

 

 ポケットから手のひらに乗るサイズの赤い本を取り出す。それは表紙には赤い竜が描かれている【ブレイブドラゴン】のワンダーライドブック。

 

 

【ブレイブドラゴン!】

 

 

【かつて全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた!】

 

 

 表紙を開くと内容が自動で鳴り響き、その後ライドブックを閉じて、ソードライバーの一番右側のスロットに装填、烈火を収めると深く深呼吸する。

 

 

「覚悟を超えた先に………希望はある!」

 

 

  覚悟を決めて、火炎剣烈火の柄を掴み勢いよく剣を引き抜いた。

 

 

【烈火抜刀!!】

 

 

 引き抜いたと同時にライドブックのページが開き、そこには赤い龍の剣士の姿が描かれていた。

 

 それと同じくページから赤い龍(ブレイブドラゴン)が現れると当時に俺は叫ぶ、憧れのヒーロー達の様に………

 

 

「変身!!」

 

 

 

【ブレイブドラゴン〜♫】

 

 

 流れるメロディーに合わせるように自然と身体が剣舞を舞い、炎を纏って抜剣された火炎剣烈火で十字に振るうと空中に炎の斬撃として残り、ブレイブドラゴンが俺の周りを炎と共に旋回する。そしてその炎が消えると俺の姿が右半身がブレイブドラゴンを模した鎧で覆われ、最後にさっき放った斬撃が仮面に刻まれる。

 

 

 最後に聖剣から文章が読み上げられる。

 

 

【烈火一冊!】

 

 

【勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!】

 

 

 それは火炎剣烈火の抜刀と同時に新たなページが展開されたブレイブドラゴンに記された剣士と同じ姿だった。

 

 

 

 ―――その名は、仮面ライダーセイバー。

 

 

 

【火炎剣烈火!】

 

 

 

 

 ―――世界を救うヒーローに、俺はなったんだ。

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

31:名無しの転生者ハンター

 どういう……ことだ……!?

 

32:名無しの鬼殺隊

 あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!

『イッチが子供を助けたと思ったら、仮面ライダーセイバーに変身していた!』

 な…なにを言っているのかわからねーと思うが、俺も何がおきているのかわからなかった…!

 頭がどうにかなりそうだった…!

 催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ…もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…!

 

33:グランドマスター

 祝え!!

 世界の均衡を守る為に悪を切り裂く炎の剣士!

 その名も仮面ライダーセイバー!!

 正に生誕の瞬間である!!

 

34:名無しのゴッドイーター

>>32>>33 落ち着けぇぇえ!!

 

35:名無しのトマト

 えっとつまり……イッチが言っていた力って仮面ライダーセイバーの力って事ですか?

 

36:名無しの転生者ハンター

 ああ、間違いないな。何かしらの力はあると思っていたが、仮面ライダーだったか……

 

37:名無しのゴッドイーター

 とにかく、呆けている場合じゃない!おそらくイッチはこれが初戦闘だ!俺達でサポートする!

 

38:グランドマスター

 そうだね!イッチ聞こえる?

 

39:イッチ

 藤丸ニキ!はい、聞こえます!

 

40:グランドマスター

 君はこれが初戦闘だろ?だから俺達がサポートする!安心しろ、俺は人理を救ったマスターだ!大船に乗ったつもりでいろ!

 

41:イッチ

 そりゃ、頼もしい!お願いします!!

 

42:グランドマスター

 火炎剣烈火にこう言うのはおかしいけど、炎は極力使わない事!周りがこれだけ滅茶苦茶だからガスが漏れても可笑しくない。

 

43:名無しの転生者ハンター

>>42 流石、的確な指示だな。とにかくまずは爆豪を引っ剥がす。あの爆発が無ければ状況は好転する筈だ。

 

44:名無しのトマト

 でも、どうやって?

 

45:イッチ

 大丈夫だ!問題ない!

 

【ピーターファンタジスタ!】

 

 コレを使います!

 

46:名無しの鬼殺隊

 お!他のライドブックも持ってたか!

 

47:名無しのゴッドイーター

 方針は決まったな!行って来い、仮面ライダー!

 

48:イッチ

 はい!剣聖火!仮面ライダーセイバー……行きます!

 

49:グランドマスター

 何故にガンダムwww

 

50:名無しのゴッドイーター

 なかなか良い動きだな……素質がある、部下に欲しい。

 

51:名無しの鬼殺隊

 いやいや、是非鬼殺隊に……

 

52:名無しの転生者ハンター

 どっちも勧誘するなwww

 

53:イッチ

 

「もう少しなんだから……邪魔するなぁ!!」

 

「いや……これで終わりだ!!」

 

 

【ピーターファン!ふむふむ……】

 

 

54:グランドマスター

 アレはリード機能!主人公は物語序盤にしか使わず、主にカリバーが使っていた機能だ!

 

55:名無しのトマト

 そのカリバーも賢人カリバーになってからは使ってない!!

 

56:名無しのゴッドイーター

 説明に悪意しかないwww

 

57:イッチ

 

【習得一閃!】

 

「ハアッ!」

 

 

58:名無しの転生者ハンター

 火炎剣烈火からフック付きのチェーンが飛び出してヘドロヴィランに突っ込み……!

 

59:名無しのゴッドイーター

 爆豪を引っ張り出した!

 

60:名無しの鬼殺隊

 うっしゃあああああ!!

 

61:名無しのトマト

 バクレツアロワナ……とったどー!!

 

62:グランドマスター

>>61 これモンハンやない、ヒロアカやwww

 

63:名無しのゴッドイーター

 ヨシ!後はアイツを倒すだけ………だけど、どうする?ライダーキックといきたいけど……ガスに引火したらヤバいし。

 

64:名無しの鬼殺隊

 よくよく考えたら自然(ロギア)系の能力者だよなアイツ

 

65:名無しの転生者ハンター

 そう聞くと原作一話で遭遇していい奴じゃ無いな。

 

66:グランドマスター

 でぇじょぶだ!自分を無敵と勘違いしているロギア系は寿命が短いと決まっている。

 

67:イッチ

 いえ、その必要はないようです。

 

68:名無しのトマト

 え?……ああ、あの人が居ましたね。

 

69:名無しの鬼殺隊

 そんじゃ、後は任せるとしようか……No.1(オールマイト)に!

 

 

◆◆◆◆

 

 

 私は目の前の出来事に驚きを隠せないでいた。

 

 

 

 先程、出会った剣少年が炎の剣で、子供を助けたかと思えば次の瞬間……彼は“変身”した。

 

 

【勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!】

 

 

 

 その光景に野次馬達も、剣少年を止めようとしたヒーロー達も唯、啞然としていた。炎と竜を印象付けるその姿は……正に“ヒーロー”と呼ぶに相応しかった。

 

「剣聖火!仮面ライダーセイバー……行きます!」

 

 覚悟を決める様に叫んだ剣少年はヘドロヴィランに駆け出す。ヘドロヴィランも瓦礫やヘドロを飛ばして攻撃するがそれを尽く切り裂く剣少年には当たらない。

 

「もう少しなんだから……邪魔するなぁ!!」

 

「いや……これで終わりだ!!」

 

 

【ピーターファン!ふむふむ……】

 

 

 そしてヘドロヴィランとの距離が近づくと何処からか青い小さな本を剣に添えると……

 

 

【習得一閃!】

 

「ハアッ!」

 

 

 青く光った聖剣からフック付きのチェーンが飛び出してヘドロヴィランの体に突き刺さり……人質となっていた爆豪少年を引っ張り出したのだ!

 

 

「なっ!?テメェこのクソガキがぁぁぁあ!!」

 

 

 無論、人質が奪われてはヴィランは怒り狂うだろう。その怒号に剣少年の戦いに見惚れていた私は現実に引き戻される。

 

 

 Shit(シット)!何を呆けているのだ私は!どれだけ強い個性が有ろうとも剣少年はヒーローではない子供!それなのに本来私が居るべき場所に立たせてしまっている!

 

 ならば成すべき事は決まっている!!

 

 手を再構築したヘドロヴィランが剣少年を叩き潰そうと腕を振るったが、間一髪、マッスルフォームになって受け止める。

 

 

 

「情けない………本当に情けない!!助ける事に躊躇して、君にヒーローを任せてしまうなんて!!」

 

 

「オールマイト……!」

 

 剣少年……もしも君がヒーローを目指すなら覚えておいてほしい…!

 

 

「プロはいつだって命懸け!!!!」

 

 

 それでどれだけ怖くても「自分は大丈夫だ」って笑うんだ!

 

 

DETROITSMASH(デトロイトスマッシュ)!」

 

 

 

 世の中、笑ってる奴が、一番強いんだから!!

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

70:グランドマスター

 改めて見ると凄いよね、片手で天候を変える程のパワー放つなんて……!

 

71:名無しの鬼殺隊

 わりと本気であの人なら日輪刀じゃなくて拳で鬼殺せそうだ。

 

72:名無しのゴッドイーター

 それどころかアラガミだって殺れるだろ……オラクル細胞もビックリだ。

 

73:グランドマスター

 これにはマルタの姉御もニッコリwww

 

74:名無しのトマト

 それにしても、あの後爆豪凄かったですね。

 

75:名無しの転生者ハンター

 そうだな……まさか「大丈夫か」って差し伸べた手を払って怒鳴り散らすとはな……「テメェに救けを求めてなんかねえぞ…! 助けられてもねえ! 俺は1人でもやれたんだ。ちょっとばかり強い“個性”があるからって、見下すんじゃねえぞ! 恩売ろうってか!? 見下すなよ俺を!!」……概ね原作通りのセリフだが酷いの一言だ。

 

76:名無しの転生者ハンター

 あれ、絶対緑谷の自殺反省してないな…

 

77:名無しのゴッドイーター

 ……大方、緑谷が勝手に自殺したと思ってんだろ

 

78:名無しの鬼殺隊

 それで、これからどうするよ?

 

79:グランドマスター

 仮面ライダーセイバーの力があるならヒロアカでもなんとかなると思うけど……

 

80:名無しの鬼殺隊

 初戦闘にしては動きは悪くなかったよな……

 

81:名無しの転生者ハンター

 ああ、伸びしろは有るよな。

 

82:名無しのゴッドイーター

 長かった原作一日目も終わり……これ以上は何もないだろう

 

83:グランドマスター

 それじゃあ、これからも出来る限りの手助けはする方向で……イッチに限らずトマト君も遠慮なく相談してね!

 

84:名無しの転生者ハンター

 異論はない

 

85:名無しの鬼殺隊

 異議なし!

 

86:名無しのトマト

 よろしくお願いします!

 

87:イッチ

 あの藤丸ニキ……

 

88:名無しの転生者

 お、イッチおかえり!カッコよかったよ!

 

89:名無しのトマト

 8888888!

 

90:名無しの転生者ハンター

 いい動きだったぞ。

 

91:イッチ

 ありがとうございます!……あ~の……

 

92:名無しの鬼殺隊

 ん、どした?

 

93:イッチ

 帰り道に……オールマイトが現れたんですが。

 

94:名無しのトマト

 ファ!?

 

95:名無しの鬼殺隊

 どうしてそうなった(・o・;)

 

96:名無しの転生者ハンター

 この展開は……アレだな

 

97:グランドマスター

 確かにイッチの活躍を見ればね〜

 

98:名無しのゴッドイーター

 これから忙しくなるな……

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 何処か納得した様な兄貴達の声を聞きつつ俺は目の前に現れたオールマイトを見る。

 

「オールマイトなんでここに!?マスコミに囲まれてましたよね?」

 

「HAHAHA! 抜けるくらいわけないさ、なぜなら私はオールマゲボォッ!!」

 

 

 全てを言い終わる前にあの痩身……八木俊典の姿になってしまうオールマイト。オールマイトは恥ずかしそうに咳をすると俺を見つめ、静かに口を開いた。

 

「…………とまぁ、これが私の本当の姿なんだけど……あんまり驚いてない?」

 

「あ、いえ!その……目の前の出来事が信じられなくて……驚くに驚けなくて」

 

「そうか……それもそうだね」

 

 セェーフ!そうだよな、知ってましたなんて顔に出したらマズイもんな……!

 

「では剣少年、私は質問と礼、そして提案をしに来たんだ。……まずは質問だ。君の行動は素晴らしかった…が、怒られたね」

 

 

 その通りだ。

 あの後、俺はヒーローに怒られた。当然だ、何の権利も資格も持たない餓鬼がヒーローの現場で個性を使ったんだ。むしろ、注意で済んで良かった。

 

 

「………そして、助けた爆豪少年に怒鳴られたね。君が差し出した手を払って」

 

 

 そう、引っ張り出した爆豪が倒れていたので手を貸したのだが……まさか思いっきり払われるとは……そしたら「お前に助けられてない」だの怒鳴られ……ヒーロー達もドン引きだった。

 

 爆豪がどんな奴かは兄貴達から聞いてはいたが……正直ヘコむ。

 

「……君は自分の行いが間違いだと思うのかい?」

 

 

 静かに唱え、見つめるオールマイト。確かにヒーロー達には怒られ、助けた爆豪には拒絶された……

 

 

「……帰り際に瓦礫から助けた子供が言ってくれたんです………「ありがとう」って……眩しい笑顔で」

 

 

 でも、それだけじゃなかった。

 

「だから……俺の行動は……間違ってもいたし、正しくもあったんだと思います」

 

 俺はそう答えた。嘘偽りなく……その答えにオールマイトは心からの笑顔を見せてくれた。

 

「最後の質問だ。剣少年、君はヒーローを目指しているのかい?」

 

 オールマイトの問いに、俺は静かに頷く。

 

 

「そうか………なら次は礼だ!君が居なければ…君の勇気ある行動がなければ、口先だけのニセ筋となるところだった!!ありがとう!!」

 

「に、ニセ筋……い、いえ、こちらこそ仕事の邪魔して、迂闊に飛び出しちゃって……」

 

「そうさ!あの場の誰でもない、君だったから!私は動かされた!」

 

 オールマイトの一つ一つの言葉が俺の胸に響く。胸がドキドキして止まらない。

 

 

「トップヒーローは学生時から逸話を残している……彼らの多くが、話をこう結ぶ!! 『考えるより先に体が動いていた』!! と」

 

 

 思い出したのは、心に刻まれているヒーロー達。誰かを守る事に一生懸命で何度も倒されても立ち上がる仮面ライダー!

 

「君も、そうだったんだろう!!」

 

「……はいっ!……」

 

 何故だろう………心が熱くてたまらない!

 

 

「だからこそ私が断言する。他の誰でもない、このオールマイトが!」

 

 

 

 

「君はヒーローになれる!!」

 

 

 

 

 

 その言葉が何度も俺の心中で響く。

 

 俺は緑谷出久の様な主人公ではない。

 

 これは本来在るべき物語ではない。

 

 それでも、俺の……剣聖火の物語が幕を上げた!

 

 

 

END

 




 はい!前話の仮面ライダー説明やあらすじを見てなんとなく想像できたと思いますが主人公、剣聖火の力は仮面ライダーセイバーです。


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受け継がれし力、聖王剣誕生!!

 気づけば、お気に入りや評価がとんでもない事に感謝しかありません!
 今回はワン・フォー・オールの継承です。寿命の問題を解決する為にかつてない方法で継承します。


「本題はここからだ。君ならば、私の力を受け継ぐに値する」

 

「力を、受け継ぐ?」

 

 

「HAHAHAHA、なんて顔してるんだ、君は。質問と礼、そして提案があると言っただろう?これはその提案の部分さ。要するに、私の力を受け取ってみないかと聞いている」

 

 

 何を言われているのか理解が追いつかず、俺はただ目を白黒させた。オールマイトの個性の正体は今や世界七不思議の一つとして列挙されるほどの謎なのだ。

 

 そう言えばスレの兄貴達が言ってたな…ワン・フォー・オールって……しかし、話が飛び過ぎだ。いきなり力を受け取ってみないかなんて言われても戸惑う。

 

 

「写真集や新聞では、怪力だのブーストだのと誤報されているし、トーク番組ではジョークでお茶を濁してきた。『平和の象徴』オールマイトはナチュラルボーンヒーローでなければならないからね。私の『個性』は、聖火の如く歴代の継承者によって受け継がれてきた物なんだよ。そして次は、君の番という事さ」

 

 

 

「つまり、オールマイトの個性は、その個性そのものを譲渡する事が出来る物ってことで間違いないですか?」

 

 

「うん、その通り。そしてそれに冠された名は、一人は皆の為に(ワン・フォー・オール)。一人が力を培い、それを一人へ渡し、また培い、渡す。そうして救いを求める人々と義勇の心が紡いで来た力の結晶。元々後継者は探していたのだが、君になら渡してもいいと思っている」

 

 どうして?本来なら緑谷出久が受け継ぐモノを俺に……それが顔に出ていたのだろう、オールマイトは優しい笑みを浮かべてくれた。

 

「君は、あの場の誰よりもヒーローらしかった。まあ、受けるか否かは君次第だ。強制はしない」

 

 

 ここまで言ってくれて、真実を話してくれて……迷う必要があるか?断る理由があるか?

 

 イイや!無いね!!

 

 

「お願いします!」

 

 

 俺がそう宣言すると、分かってたと言わんばかりにニヤリと笑うオールマイト。

 

「即答、そう来てくれると思ったぜ!!」

 

 

 だけど、この時の俺は忘れていた。始めての戦闘やオールマイトの告白など色々とあったが……兄貴達が言っていたワン・フォー・オールの重要な真実を……

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

1:名無しのゴッドイーター

 それで、継承を受けたと……

 

2:炎の剣士

 ………後悔はしている。だが、反省はしていない(。•̀ᴗ-)✧キリ!!

 

3:名無しの鬼殺隊

 オイwww

 

4:名無しのトマト

 てか、コテハンも地味に変えてるwww

 

5:グランドマスター

 まぁ、確かにあの状況で断るなんてできないよね。

 

6:名無しの転生者ハンター

 さて、どうするか……仮面ライダーの力も器である身体にある力だ……其処にワン・フォー・オールが加われば命が尽きる。

 

7:炎の剣士

 それで、どうしましょう•́ ‿ ,•̀

 

8:名無しの転生者ハンター

 よし、意見がある奴は挙手!

 

9:名無しのゴッドイーター

 オラクル細胞を移植!人類の新たな未来の為に!!

 

10:名無しの鬼殺隊

 呼吸を極める!打倒、無惨!!

 

11:グランドマスター

 アラヤと契約!

 

12:名無しのトマト

 今こそ一つニィィィィイ!!

 

13:赤目の主人公

 遺伝子操作!!

 

14:ありふれた赤龍帝

 悪魔化!!

 

15:名無しの転生者ハンター

 !?

 

16:名無しの鬼殺隊

 流れる様なレス!俺じゃなきゃ見逃しちゃうね!

 

17:名無しのゴッドイーター

 誰だお前は!?

 

18:グランドマスター

 あ、来てくれたんだ!

 

19:赤目の主人公

 おう、DM受け取ったからな。

 

20:名無しのトマト

 あ、藤丸ニキが言っていた、アスカニキですね!

 

21:赤目の主人公

 アスカニキ……まぁ、いいか。藤丸ニキから話は聞いた。お互い難儀な憑依先だな。

 

22:名無しのトマト

 まだ、原作前なんです。アスカニキはもう原作終了したんですよね?

 

23:赤目の主人公

 まぁな、その話は今度な。

 

24:グランドマスター

 それで、アスカニキ。そこのありふれちゃいけないドラゴンさんは?

 

25:名無しのゴッドイーター

 ブレイブドラゴン、おっP、ドライグ、見事に赤龍ばかりだな。このスレ……

 

26:名無しの転生者ハンター

 赤龍帝の様な力は特典としてはありふれているがな。

 

27:赤目の主人公

 この娘もスレ主やトマト君の様な感じだったから連れてきた……

 

28:ありふれた赤龍帝

 ドーモ、死んだら好きなモノをくれると神様に言われたのでどの世界でも生き残れる様に赤龍帝選びました!

 

29:グランドマスター

 何だかんだで神様転生、鬼殺ニキしか居なかったから二人目だね。コテハンからわかるけど、転生先は?

 

30:ありふれた赤龍帝

 私、知らなくてアスカニキに教えて貰ったんですど「ありふれた職業で世界最強」にです。

 

31:名無しのトマト

 でも、あの世界って主人公と同じクラスにならなければ問題なくね?

 

32:ありふれた赤龍帝

 あ~私、この世界に転生してオタク仲間として意気投合した【南雲ハジメ】君とこ、恋仲になりまして、キャ!

 

33:名無しのゴッドイーター

 アウトォォォォォオ!!!!

 

34:名無しの鬼殺隊

 原作知らないで主人公と恋仲とかスゲーな……

 

35:グランドマスター

 運が良いのか、悪いのか……

 

36:ありふれた赤龍帝

 それで……白崎さんって人がハジメ君をストーカーしたり、天之河って勇者(笑)がハジメをイジメたりしてて……

 

37:名無しの転生者ハンター

 案の定だな……

 

38:名無しの鬼殺隊

 それでトータスに召喚されたのか……

 

39:ありふれた赤龍帝

 はい、ハジメ君の職業が錬成師ってありふれたモノで天之河や檜山ってクズ野郎を筆頭にクラスの皆が虐めるんです!畑山って先生は何もしない!八重樫って奴に至っては「香織や光輝に悪気はないから許してあげて」なんて言うんです!

 

40:名無しのゴッドイーター

 酷え話だ。イッチの世界の緑谷を聞いたから余計にイライラするな。

 

41:グランドマスター

 そうだね……とりあえず原作について後で教えるね。

 

42:ありふれた赤龍帝

 アザマス!

 

43:名無しの転生者ハンター

 さて、話を戻してワン・フォー・オールをどうするかだが………

 

44:炎の剣士

>>9 神喰ニキ……

 

45:名無しのゴッドイーター

 いや、原作終わったらコッチに来てほしいなーって。

 

46:炎の剣士

 嫌だ!俺は(毎日アラガミと死闘なブラック企業で)働きたくない!!

 

47:名無しのゴッドイーター

 えーかわいい娘紹介するよ……ヒバリちゃんとかリッカちゃんとか……

 

48:名無しの鬼殺隊

 じゃあ鬼殺隊に来ないか!蝶屋敷でしのぶさんと握手!!

 

49:赤目の主人公

 勧誘しすぎぃぃぃ!!

 

50:名無しの転生者ハンター

 これ以上はややこしくなるから進めるぞ!

 

51:グランドマスター

>>50 え!?

 

52:名無しのトマト

>>50 え!?

 

53:名無しのゴッドイーター

 ドンマイwww

 

54:名無しのトマト

>>6 ハンターニキ、仮面ライダーの力はアイテムだから継承しても問題ないのでは?

 

55:名無しの転生者ハンター

 それは火炎剣烈火やライドブックを所持してイッチが無個性ならの話だ。………だが、おそらくスレ主は“聖剣やライドブックを所持している”ではなく“聖剣やライドブックを生み出す力を持ってる”だな。

 

56:ありふれた赤龍帝

 よく分かりますね。

 

57:名無しの転生者ハンター

 俺は害悪転生者を狩るのが仕事だからな、そういうのを見分ける力がある。

 

58:炎の剣士

 凄いですね。今は海外出張で家に居ない両親が、俺が物心つく前に火炎剣烈火を生み出したって言ってましたからハンターニキの考えは合ってると思います。

 

59:名無しのゴッドイーター

 …………どうするよ

 

60:グランドマスター

 やっぱり受け取れません!……なんて言えないよね。

 

61:名無しの鬼殺隊

 イッチ、君のことは……忘れない。

 

62:赤目の主人公

 勝手に殺すなwww

 

63:名無しの転生者ハンター

 ………方法ならある。

 

64:名無しのゴッドイーター

 なん……だと…!?

 

65:グランドマスター

 マジっすか、ハンターニキ!

 

66:赤目の主人公

 流石ハンターニキ!俺達にできない事を平然とやってのける!!

 

67:名無しのトマト

 其処に痺れる!

 

68:ありふれた赤龍帝

 憧れる〜!

 

69:炎の剣士

 それでハンターニキ、その方法って?

 

70:名無しの転生者ハンター

 イッチ……お前は相変わらずだな。確認だが、ヘドロヴィランの時に使った【ピーターファンタジスタ】の様なライドブックはイッチが作った物なんだよな?

 

71:イッチ

 はい、ライドブックはこの数年で俺が作った物です。

 

72:名無しの転生者ハンター

 よし、それなら何とかなりそうだな。

 

73:名無しのゴッドイーター

 ハンターニキ……アンタの考えってまさか……

 

74:グランドマスター

 ワン・フォー・オールを聖剣にするつもりか?

 

75:名無しの転生者ハンター

 理解が早くて助かる。力として内部に取り込めないなら、武器として外部で使えばいい。

 

76:赤目の主人公

 成程な、ワン・フォー・オールは言わば膨大なデータが内包された強化パッチだ。故に無個性の様に余分な空きがないと本体が耐えられない。だったらUSBメモリの様な追加パーツとして使えばいい。

 

77:名無しの転生者ハンター

 そう言う事だ……理論上だが、やってみる価値はあると思う。それで駄目なら……他を考えるしかないな。

 

78:炎の剣士

 分かりました、とにかく試してみます!

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 それから二日後、俺はオールマイトに呼び出される形で、海浜公園まで来た訳だが…。

 

「上手くいくかな……」

 

 失敗したらマジモンの「命、燃やすぜ!」ルート一直線……ホントに神喰ニキの部下にならないといけなくなる。

 

「………練習はしてみたけど」

 

 取り出したのはこの2日で作ったライドブックである【ストームイーグル】。ライドブックの作り方は簡単だ、作りたいブックの元となる本を読んでイメージすればいい。【ピーターファンタジスタ】ならピーターパンといった感じに、今回は鳥の図鑑を読んでイメージしたらできた。

 

「やあ、おはよう少年。時間前行動とは感心だね」

 

「おはようございます、オールマイト。……ちょっと、ドキドキしてていてもたってもいられなくて」

 

 いや、マジで……上手くいってくれないと困る!

 

「それもそうか!では剣少年………食え!

 

 わ~お、兄貴達から事前に聞いているけど面向かって言われると…!

 

「わけが分からないよ…!」

 

「ん?あぁ、すまない!私とした事が説明を忘れていたよ!ワン・フォー・オールを譲渡する為には、譲渡したい相手に自分のDNAを摂取させる必要があるのさ!」

 

 そう聞くと何となくメカニズムは理解ができる。渡された髪の毛を握り締め意識を集中する。

 

「オールマイト……ちょっと試したい事があるんですけどいいですか?」

 

「……剣少年?」

 

 

 目を閉じて創造する……ライドブックを作った事はあるが、火炎剣烈火以外に聖剣を作った事はない……

 

 それでもやってみなければ分からない!

 

 

 イメージしろ………

 

 

 神喰ニキの神機の様に神すら滅ぼす力を!

 

 

 鬼殺ニキの日輪刀の様に硬い鬼の首すら切り裂く鋭さを!

 

 

 藤丸ニキのサーヴァント達の宝具の様に未来を照らす輝きを!!

 

 

 そんなイメージを握り締めた髪の毛に伝える様に集中すると、握り締めた手……正しくは髪の毛が眩い光を放つ。やがてその光は俺の手を離れ目の前の砂浜に降り立つと……

 

「剣……なのか?」

 

 

 そう、啞然と呟くオールマイトの言う通り…その光は剣に姿を変えて砂浜に突き刺さっていた。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

79:赤目の主人公

 始まったな……!

 

80:名無しの転生者ハンター

 今の状態から推察するに、ワン・フォー・オールが聖剣に姿を変える前段階だろう。

 

81:名無しのトマト

 成程、確かに今は光が剣の形をしている状態ですからね。其処から火炎剣烈火の様に実体にしなきゃいけないのか……

 

82:グランドマスター

 上手くいくかな……参考としてエクスカリバーとか見せたけど。

 

83:名無しのゴッドイーター

 そこはイッチを信じるしかないな。

 

84:名無しの鬼殺隊

 お、イッチが動くぞ!!

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 現れた光の剣……オールマイトの髪の毛(DNA)……いや、ワン・フォー・オールが聖剣になろうとしている。

 

ゆっくりと歩き、突き刺さっている剣の柄と思わしき部分を掴み、引き抜こうとするが……抜けない。砂浜に突き刺さっているにも関わらず全く抜けない。

 

 まるでゲームとかである選ばれし者にしか抜けない伝説の武器の様だ……実際そうなのだろう。ワン・フォー・オールは歴代のヒーロー達が魂を…力を…紡いできた個性だ。

 

 

「それに相応しいか選んでるって訳か……ふざけるな!!」

 

 

 更に力を込めて引き抜こうとする、まるで地面そのモノを持ち上げている感覚だ!

 

「いいかよく聞け!お前が俺を選ぶんじゃない!俺がお前を選んだんだ!!」

 

 

 俺は決して緑谷出久の代わりになる為にヒーローを目指すんじゃない!仮面ライダーの様な存在になる為に俺が自分で決めた事だ!!

 

 

「この……仮面ライダーセイバーが!!」

 

 

 ヘドロヴィランの時の様に雄叫びを上げて力を込める。だから、何時までもマスターソード面してないでさっさと抜けろぉぉぉぉお!!!!

 

 

 

「本当に面白いね君は。その力といい……強い意志といい……」

 

 

 

 

 声が聞こえた……。

 

 

 

「うん、いいよ。今日から僕達は君の力だ」

 

 

 

 聞こえる度に剣の重みが消えていく。

 

 

 

 

「でも、そこまで言ったからには使いこなしてみなよ……僕達(ワン・フォー・オール)を」

 

 

 

 

 そして遂に剣が抜けた……次の瞬間剣から眩い虹色の光が溢れ出す。あまりの輝きに思わず俺もオールマイトも眼を反らしてしまう。やがて徐々に輝きが収まり視線を向けると……実体が無かった光の剣は…鬼殺ニキの日輪刀の様に鋭く研ぎ澄まされた三つの刃を輝かせ、藤丸ニキが見えてくれた宝具の様な神々しさを放ち、神喰ニキの神器の様な力強さを感じさせる聖剣………

 

 

 

【キングエクスカリバー!】

 

 

 

 聖王剣・キングエクスカリバーへと、その姿を変えた。

 

 

 

◆◆◆◆

 

85:名無しのトマト

 アイエェェェェエエ!?キングエクスカリバー!?キングエクスカリバーナンデ!?

 

86:ありふれた赤龍帝

 ワン・フォー・オールと何も関係ないですよね?

 

87:グランドマスター

 どういうことだ!?答えてみろハンターニキ!!

 

88:名無しの転生者ハンター

 俺に質問するな!!

 

89:名無しのゴッドイーター

 おいwww

 

90:名無しの鬼殺隊

 てっきり、ワン・フォー・オールを模したオリジナル聖剣ができると思っていたが……

 

91:赤目の主人公

 仮面ライダーセイバーだからか?

 

92:グランドマスター

 キングエクスカリバー……如何にも重要アイテムな雰囲気を醸し出している癖にすぐにクリムゾンドラゴンに立場奪われて、中章ではスラッシュに負け、バスターにライドブック奪われ、最終章ではリデコのカラドボルグが出て完全空気と化した不遇アイテム。

 

93:炎の剣士

 藤丸ニキ……説明に悪意しかないですwww

 

94:名無しのトマト

 お、イッチ!

 

95:名無しのゴッドイーター

 さっそくだけど……ソレどうしたよ?

 

96:ありふれた赤龍帝

 なんでキングエクスカリバーなんです?

 

97:炎の剣士

 自分もよく分からなくて……神喰ニキの神器、鬼殺ニキの日輪刀、藤丸ニキの宝具をイメージしたらできました。

 

98:赤目の主人公

 詰め込み過ぎだwww

 

99:名無しの転生者

 あと、剣を抜く時声が聞こえました。「僕達は君の力だ」って。

 

100:名無しの転生者ハンター

 成程な………まぁ、何かあれば遠慮なく言ってくれ。

 

101:炎の剣士

 はい。あ、オールマイトが呼んでるので失礼します。

 

102:名無しの鬼殺隊

 おう、行ってこい。

 

103:名無しの転生者ハンター

 さて……イッチが聞いたあの声は………

 

104:赤目の主人公

 ワン・フォー・オールの歴代継承者か……

 

105:名無しのトマト

 タイミング的にそうでしょうね。

 

106:名無しの鬼殺隊

 この事はイッチに伝えるか?

 

107:名無しの転生者ハンター

 いや、あまり多くの原作知識を与えても困惑するだけだ。歴代所有者達にもタイミングってもんがあるだろ?

 

108:名無しのゴッドイーター

 それもそうだな………さて、イッチの話を聞くとするか……

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 まさかのキングエクスカリバーに変化したワン・フォー・オール……いや、確かにセイバーが手に入れた火炎剣烈火に次ぐ剣だけど……てっきりアーサー王伝説でも読んでイメージすれば作れる物だと思っていたが……

 

 まぁ、ヘイセイバーみたいに出番が全くない武器だが、デザインも良く好きだったので手に入れた事は素直に嬉しい。

 

 

「オーマイ…オーマイ…グッネス!!」

 

 

 そんな風に思っていたらオールマイトがマッスルフォームになって海洋公園全体に響く声を出す。

 

「剣少年!君は……君は本当に私の想像の遥か先を見せる!!」

 

 物凄い剣幕で俺に迫ってくるオールマイト。そりゃ、渡したワン・フォー・オールが聖剣に変わったんだ、予想外の範囲を超えている。

 

「まさか、ワン・フォー・オールを体内に取り込むのではなく武器にしてしまうとは………もはや、笑うしかないな、ハーハハハ!!」

 

「あははは………こっちの方が俺に合ってると思いまして」

 

 吹っ切れた様に笑い出すオールマイトを見て俺は苦笑いが止まらなかった……

 

 

 ……………ヨシ(仕事猫風)!!

 

 と、とにかく特訓を始めましょう、オールマイト!!

 

 

「うむ!予定とはかなぁぁぁり!!違うが、まずはここら一帯の海岸線を甦らせる!無論、個性無しでだ!」

 

 この海洋公園には海流の影響で漂着物が流れつき、それに託つけて不法投棄をする業者も後を断たない。

 

「ヒーローってのは本来奉仕活動が原則。最近のヒーローからしたら地味だなんだと言われるけども、そこはブレちゃあいかんのよ!!」

 

 手本を見せる様に腕力のみで冷蔵庫をへしゃげさせるオールマイト、その向こうに水平線と昇る朝日が見えるようになった。

 

 

「それが君のヒーローへの第一歩だ!!」

 

 

 

 

 

 こうして、雄英に向けた特訓が幕を開けた。

 

 

 

END

 




 今回は無個性しか継承できないワン・フォー・オールをどうやって受け継ぐかです。

 歴代の個性を内包するワン・フォー・オールを既に個性を持っている普通の人間に宿せば、生来の個性が既に入っている器に、ワン・フォー・オールが入りきらずに器が歪み早死する……これが最新話で明かされた真実でした。

 主人公である聖火は“聖剣やライドブックを所持している”ではなく“聖剣やライドブックを生み出す能力”です。

 特典は個性とは違う扱いとすれば受け継いでも問題ないのではないかと皆さんから意見を頂きましたが……個性であろうと特典であろうと肉体に宿っている力なのでワン・フォー・オールを受け止めきれない。これが私の考えです。
 
 この問題は【鬼滅の刃】の“痣”と同じだと思います。痣を発現すれば上弦の鬼とも戦える身体能力や反射神経を得られるが二十五歳を迎えると同時に死んでしまいます。これを回避するには黒死牟の様に人間を辞める必要があります。(緑壱さんは別として……)

 しかし、仮面ライダーの力があるとは言え、聖火は人間です。ワン・フォー・オールを受け止められる程、器は大きくありません。

 ならばどうすればいいか………ワン・フォー・オールに形を与え、体の一部ではなく武器にすればいいのです!

理由は二つ。

 一つは原作の緑谷とは違い聖火は剣が主体の仮面ライダーセイバーなので身体能力の強化は変身で十分補えます。
 もう一つは剣が主体のセイバーなので、身体能力にワンフォーオールを使っても、活躍の機会が無いと思います。

 故にFateのエクスカリバーの様な立ち位置で活躍させようと考えました。

 そして、ワン・フォー・オールが変化したのは、まかさのキングエクスカリバー!これは予想できなかったと思います。

 本文で聖火が言って言っていましたがアーサ王を呼んでイメージして作ってもいいのですが、何処か特別感があるキングオブアーサーを他と同じ様にしても良いのか?と考えもありましたので、超重要なワン・フォー・オールをキングエクスカリバーにして超超超!重要なアイテムにしました。
 
 オリジナルの聖剣を創っても出番を上手く増やせるが微妙ですし……

 他にも理由はありますがそれはまた追々説明します。




 今回のキングエクスカリバーを抜く時、最初なかなか抜けなかったのは、武器になると言う前代未聞の事態になった為に歴代継承者達が聖火を警戒したからです。

 抜く時の聖火のセリフはボウケンジャー29話でボウケンレッドがズバーンを抜くシーンのオマージュです。
 キングエクスカリバーは何かとズバーンと関連されるので丁度良いと思いました。自分、ボウケンジャー世代ですし……


 今回、スレに参加した二人の説明は次回します。


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特訓と入試と出会い

 今回の題名はオーズ風です。

 前回のワンフォーオールをキングエクスカリバーにする案、非難されないかビクビクしてましたが、受けれてくれてありがとうございますm(_ _)m

 キングエクスカリバーの活躍はもう少し先になるのでお待ちください。


 今回は戦闘ありの入試の話です。

 





 それではどうぞ!


「ハアッッ!」

 

 其処は何処かも分からない真っ白な空間……そこで二人の剣士が戦っていた。一人は炎と竜を印象付ける鎧に身を包んだ少年。もう一人は緑の軍服に白いロングコートを羽織った金髪が混ざった茶髪の青年。

 

 少年が振るう炎の聖剣を、青年は“赤い腕輪”が取り付けられた右手に握る蒼いロングブレードで弾き飛ばす。

 

 少年と青年……二人の実力差は歴然だ。少年は仮面の下で表情を苦痛に歪ませているのに対して青年は涼しい顔をしている。

 

 青年の剣撃にギリギリ食らい付くが……

 

「まだまだ、太刀筋が甘いな!」

 

「ッ……!?」

 

 ここまでだ。青年は容易に聖剣を弾き、少年の首筋にロングブレードを添えた。

 

「……ハァ、ハァ……やっぱり“神喰ニキ”には勝てる気がしない」

 

「伊達に極東最強とは呼ばれてないからね」

 

 

 変身を解除した少年………剣聖火にそう言って“神薙ユウ”は弾き飛ばされた火炎剣烈火を手渡す。

 

 

「なかなか様になってきたな」

 

 そんな二人の様子を一人の青年が見ていた。

 

「そうそう、ハンターニキの言う通り最初と比べて戦い方も上手くなってきたよ」

 

 白い髪の男性。ユウが言った通り、彼は掲示板の仲間からハンターニキと親しまれている。何故、彼が聖火とユウの稽古を見ていたのかと言うと、彼等が居るこの白い空間はハンターニキが拠点としている場所。無数に存在する世界を駆ける彼はこの空間から害悪転生者を狩りに出動している。

 

「この精神と時の部屋みたいな空間には最初はビックリしたけど住めば都って言うし、時空を移動できるから特訓にもってこいだしね」

 

「ホント、兄貴達には感謝してます!」

 

「その感謝は結果で返すんだな。ほら、そろそろ時間だろ」

 

 満更でもない笑みを浮かべてハンターニキが手を掲げると“銀色の膜状のモノ”が空間に現れる。

 

「あ~あ~どうして聖火の入試と俺の任務が被るんだ〜。やっぱりフェンリルはブラックだー!」

 

「嘆いててもしょうがないだろ神喰ニキ……じゃあハンターニキ、また掲示板で!」

 

「………全く、騒がしい奴等だ」

 

 そう言って聖火とユウはそれぞれの世界に帰還した。そんな二人に笑みを浮かべてハンターニキは“マゼンタ色のベルト”を磨きながら掲示板を眺めていた。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 ハンターニキの力で元の世界に戻って来た俺は、既に入試に必要な準備はしていたのですぐに出発した。

 

 オールマイトとの修行が始まって数ヶ月。オールマイトから言い渡された海洋公園の掃除も無事に終わらせてからはキングエクスカリバーへと変化したワン・フォー・オールのコントロールに重点を置いた。その過程で、兄貴達との手合わせ等も加わったんだよな……特に神喰ニキ、ライダーキックを片手で受け止めるとか…貴方はエボルトですか……!

 

 と、そうこう考えてる内に雄英に着いたようだ。それにしてもホントに高校なのかと疑う程に凄い場所だな……頭上にある校門と言うのには似合わず、近代的なゲートと言った方が似合う門の前で、俺はポツンと立ちながら心の中で呟いた。 

 

 今や数多く存在するヒーロー。その頂点であるオールマイトを筆頭に多数の有名ヒーロー達の母校である雄英高校。それ故に周りは多くの受験生で溢れていた。

 

 

「なぁ、アレって仮面の剣士じゃね!」

「うぉ、マジだ!本物じゃん!」

 

 

 そして俺はそんな受験生達に滅茶苦茶視線を向けられている。ヘドロヴィランでの一件がテレビニュースや様々なバラエティー番組で話題として取り上げられ、表通りを歩いていると一般人からは質問され、ヒーロー達からは「卒業後は是非ウチのサイドキックに!」と、よく声をかけられるのだ。

 

 まるで、動物園のパンダになった気分だ……恥ずかしさを感じながら俺は逃げるように試験会場に向かった。

 

 

 筆記試験は終了し昼休憩の後、午後から実技試験が始まる。筆記は特に問題無く終わった。実技はどんな事をするのか…そう考えながら食堂で昼食を食べていると…

 

 

「この席、空いてる?」 

 

 横から声をかけられた。

 

 黒髪の短めのボブカットで耳たぶのコードが特徴的な可愛らしい女の子だ。 

 

「ああ、大丈夫だ。誰も使っていない」 

 

「良かった、もう殆どの席が埋まっていてさ」

 

 周りを見てみると殆どどころか全部の席が埋まっていた。 

 

「やっぱり緊張するな、ここにいる全員がライバルだと考えると」

 

「俺も緊張はしている。だけど同時にワクワクしてる、自分の実力が何処までのモノなのかね」

 

「へえ、ロックじゃん。ウチもそういう気持ちだったけど直前で緊張しちゃって」

 

 まあ、倍率300の名門校に受けているんだ普通は緊張の一つや二つするだろう。

 

 

「……自分がどうなるか不安になったら、自分がどうなりたいか考えてみなよ」

 

 

「え?」

 

「そうすれば、これからが楽しくなるって」

 

 未来に不安を感じるのは当たり前だ。だからって下ばかり向いてちゃ何も変わらない。暫くして、女の子は何か考え込んで、そして顔を上げた。

 

 

「サンキュー、なんかすっきりした。自分がどうなりたいか…か、超ロックじゃん!」

 

「吹っ切れたようだな」

 

「うん、ありがとう……え〜と……」

 

「そういえば名前言って無かったっけ、俺は剣聖火」

 

「ウチは耳郎響香、よろしく。………剣聖火? どっかで聞いたような……あーっ! ヘドロヴィランの時の仮面の剣士じゃん!」

 

「あはは……すっかりその呼び名が定着したのか」

 

 その後、昼食を食べ終え一緒に行動する事にした俺達は、実技試験の説明を聞くために会場へと向かった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

1:グランドマスター

 そろそろ実技試験が始まるね

 

2:赤目の主人公

 そうだな……この数ヶ月色々と合ったなイッチも他の奴等も……

 

3:グランドマスター

 そうだね……トマト君……原作始まったのはいいけど、まさかペンデュラムすっ飛ばしてリンク召喚まで生み出すなんて……

 

4:名無しのトマト

 俺、また何かやっちゃいましたか?

 

5:グランドマスター

 やり過ぎだwww

 

6:赤目の主人公

 ペンデュラムしたと思ったら、「現れろ未来を導くサーキット!!」なんて言い出してデコードトーカーを召喚した時は……ヤバかった。

 

 

7:名無しのトマト

 おっPとデコードトーカーのダブルエースでのフィニッシュは爽快でした!しかも、流石に二つの召喚法を生み出すのは無理があったのか、俺の中に居るズァーク消えましたし。

 

8:グランドマスター

 最大の難関をこんな方法で乗り越えるとは……このグランドマスターの目を持ってしても見抜けなかった!

 

9:名無しの鬼殺隊

 予測できるかwww

 

10:名無しのトマト

 消え際に「たとえ我が消えても第二、第三の我が必ず世界をぉぉぉぉお!!」って言ってました。

 

11:ありふれた赤龍帝

 ホントに第二、第三がいる件についてwww

 

12:グランドマスター

 あ、赤龍ちゃん。そっちはどう?

 

13:ありふれた赤龍帝

 フフフ、檜山の野郎が不意打ちして只今、ハジメ君と奈落生活ですよ……あの野郎、次に会ったら覇龍で殺す!

 

14:名無しの転生者ハンター

 序盤も序盤だな……これからに備えて地上に出る前に禁手化(バランス・ブレイク)を習得しとけよ。

 

15:ありふれた赤龍帝

 あ、ハンターニキ!了解です!

 

16:グランドマスター

 お、ハンターニキも来た。後は神喰ニキだけだね。

 

17:名無しのゴッドイーター

 呼んだ?

 

18:名無しの転生者ハンター

>>17 お前、任務はどうした?

 

19:名無しのゴッドイーター

 速攻で終わらせたに決まってるじゃん。

 

20:グランドマスター

 因みに何狩ったの?

 

21:名無しのゴッドイーター

 キュウビとハンニバル神速種。

 

22:名無しの鬼殺隊

 どっちもヤバいじゃねーか!!

 

23:名無しのトマト

 ゴッドイーター知らなくても名前で分かる……めっちゃヤバい奴だ!

 

24:ありふれた赤龍帝

 オールマイトの事言えないですよ!貴方も十分化け物です!!

 

25:名無しのゴッドイーター

 解せぬ!そんなに大した事ない…「ユウ! また、危険な任務を一人で行ったんですか!?」…ちょ!アリサ!?いやいやいやいや!ほら見て、掠り傷一つ負ってないよ!?

 

26:グランドマスター

 嫁が出てきたね。

 

27:名無しのゴッドイーター

 だから落ち着けぇ……「それとこれとは話が別です! ドン引きです! お説教です!」……ちょっと待っ――――

 

28:名無しの転生者ハンター

 ………ヨシ(現場猫風)!

 

29:炎の剣士

 何がヨシですかwww

 

30:名無しの鬼殺隊

 お、イッチ………気にするなアイツなら大丈夫だwww

 

31:名無しのトマト

 ところでイッチ………隣のかわい子ちゃんは?

 

32:炎の剣士

 ああ、昼飯の時に意気投合した耳郎ちゃんだよ。

 

33:名無しのトマト

 くたばれ。

 

34:名無しの鬼殺隊

 もげろ!

 

35:ありふれた赤龍帝

 爆発しろ!

 

36:炎の剣士

 いきなりヒドイ!?

 

37:グランドマスター

 オールマイトの次は耳郎響香か……

 

38:名無しの転生者ハンター

 爆豪はカウントしないのか………

 

「今日はオレのライブヘようこそー!! エヴィバディセイヘイ!!」 

 

 ……始まったな。

 

39:名無しの鬼殺隊

 うるせぇ、ちょっと音量下げよ。

 

40:名無しのトマト

 まぁ、これだけ大きな会場ですしこの位がいいんじゃない?

 

41:赤目の主人公

 さて、概要を纏めると…

 

 実技試験の内容は10分間の【模擬市街地演習】

 

 道具の持ち込みは自由。各自指定の試験会場に移動。

 

 演習場には三種類の"仮想敵"が多数配置されている。

 

 それぞれの「攻略難易度」に応じてポイントが設けられる。それを自分の"個性"で行動不能にしてポイントを稼ぐのが目標。

 

 アンチヒーローなどの行為はご法度。

 

 だな。他に何か言ってるか?  

 

42:炎の剣士

 今、眼鏡の受験生が四種類目の仮想敵について質問してます。

 

43:ありふれた赤龍帝

 あ、飯田君じゃん。あんな堂々と質問するなんて凄いな。

 

44:名無しの転生者ハンター

 真面目過ぎるが、基本的に良い奴だから。0Pも概ね原作通りだな。他に気になる点はあるか?

 

45:炎の剣士

 そうですね……プレゼント・マイクの言葉に応えたくてウズウズしている耳郎ちゃんが可愛いです。

 

46:赤目の主人公

 おいwww

 

47:グランドマスター

 まぁ、確かにカワイイね。

 

48:名無しのトマト

 カワイイ!

 

49:名無しの鬼殺隊

 カワイイ!

 

50:ありふれた赤龍帝

 カワイイ!

 

51:名無しのゴッドイーター

 カワ…「ユウ……今、他の女の子の事考えてません?」……あ、アリサ!?そ、そんな訳な―――

 

52:炎の剣士

 神喰ニキwww

 

53:名無しの鬼殺隊

 アイツが戻って来るのはまだ先だなwww

 

54:名無しの転生者ハンター

 説明も終わったか……さて、この実技試験は如何に仮想敵を倒してポイントを稼ぐかがミソだが…頑張ってこい。

 

55:炎の剣士

 はい、それじゃあ行ってきます!

 

56:グランドマスター

 いってらっしゃ~い!

 

57:名無しの鬼殺隊

 ……言わなくて良かったのか?敵ポイントだけじゃないって?

 

58:名無しの転生者ハンター

 ……それは他の受験生も知らない事だ。自分だけ教えてもらうのはイッチだって望んでない。

 

59:名無しのゴッドイーター

 そうだな………それにイッチなら大丈夫だろ。

 

60:名無しのトマト

 神喰ニキ!?

 

61:赤目の主人公

 生きてたのか!?

 

62:名無しのゴッドイーター

 勝手に殺すな!!

 

 

◆◆◆◆

 

 

「んじゃ、お互い頑張ろう剣!」

 

「おう、耳郎も気をつけろよ」

 

 それぞれ違う会場なので耳郎とは此処でお別れ、互いに健闘を祈りそれぞれの会場に向かった。バスで約十分移動した先には塀で囲まれた演習場というよりは一つの街があった。

 

「街じゃん! 敷地内にこんなんがいくつもあんのか!」

 

 全くもってその通りだ。高校が所有していい敷地じゃねぇだろ、東京ドーム何個分だ?

 

 そんな事を考えながら軽くウォーミングアップをし、スタートラインの最前列に立って合図を待つ。

 

『はいスタートー!』

 

「ッ!」

 

 待ちに待った合図と共に一気に駆け出した……が、俺以外誰も動いていない……フライングじゃないよね!?

 

 

『どうした! どうした! 実戦にカウントもよーいドンもねぇぞ! 走れ走れ!! 賽は投げられてんぞ! 利口な奴は先に行ってるぞ!』

 

 それと同時に他の受験生達も慌てて駆け出した。よかったー!フライングじゃなかったー!

 

 その事に安堵していると前のビルを壊しながら仮想敵が現れた。たしかこの形状は1Pの奴か。

 

「標的捕捉!! ブッ殺「遅い!」

 

 仮想敵だからか口の悪い機械音声を遮る形で、すれ違いざまに火炎剣烈火で一閃!切り口を炎で焼かれ爆発する。まずは1P。

 

 今の爆発音を察知したのか複数の仮想敵が一斉に姿を現し、攻撃を仕掛けてくるが……特に焦る事なく火炎剣烈火に炎を凝縮させ再び一閃。放たれた炎の斬撃が仮想敵の集団を飲み込んだ。爆発する仮想敵もあれば、爆発せずに焼け焦げて動きを止める仮想敵も居る。いずれにしても集まっていた敵は全て沈黙した。

 

「耐久性もソコまで高くないし、火耐性もないか……」

 

 仮想敵の耐久性を確認しつつポイントを数える、今ので……だいだい30Pぐらいか……そうこう考えている内に、他の受験生達も追いつき仮想敵と戦闘を始める。

 

 あっという間に乱戦状態になるが、その後も次々襲ってくる仮想敵を倒していく。ほとんど火炎剣烈火の一太刀で事足りる。

 

 

『あと6分2秒~』

 

 

 制限時間を確認しつつ次のターゲットを探していると、仮想敵に囲まれているサイドテールの少女が視界に入った。たぶん群れが集中しているところに踏み込んでしまったのだろう。

 

 少女は拳を大きくして敵集団を攻撃するが、多勢に無勢なのは見るまでもない。

 

「見て見ぬ振りはできないな」

 

 少女の背後から襲い掛かる敵を切り飛ばす。

 

「後ろは引き受ける!」

 

「えっ?う、うん!」

 

 何体もの仮想敵が飛びかかるが………

 

 

【ヘッジホッグ! ふむふむ…】

 

 

 黄色のライドブック、【ニードルヘッジホッグ】を火炎剣烈火の剣先にかざす。

 

 

「受けるがいい……我が刃!!」

 

 

【習得一閃!】

 

 

 火炎剣烈火を振るうと共に無数の針が仮想敵に突き刺さり、次の瞬間爆発した。

 

「すご…」

 

 少女の呆然とした声に振り返ると、叩き潰された仮想敵達の姿があった。凄いパワーだな……。

 

「サンキュー、助かったよ!」

 

「気にすんな、お互い様だ!」

 

 お互いに時間も限られているので、それだけ言ってその場を去った。一体、また一体と俺の攻撃が仮想敵を破壊していく。当然苦戦している受験生などの助力や、怪我で動けない受験生の移動、その場で出来得る限りの応急処置も忘れない。

 

「いつ出てくる……0P」

 

 0Pの事を頭の片隅に置きながら俺は火炎剣烈火を振った。

 

 

◆◆◆◆

 

63:名無しの転生者ハンター

 順調だな。

 

64:グランドマスター

 戦い方も上手くなってるし、特訓の成果が出てるよ。

 

65:名無しの鬼殺隊

 さっきのオレンジ髪の娘助けた時のセリフまんまゴクウブラックやん!

 

66:名無しのトマト

 イッチ……ドラゴンボール知ってたのか……

 

67:名無しの転生者ハンター

 いや、アレは俺が教えた。

 

68:赤目の主人公

 アンタかい!

 

69:ありふれた赤龍帝

 ゴクウブラックとは洒落てますね。

 

70:名無しのゴッドイーター

 おっと、試験会場が騒がしくなったぞ。

 

71:名無しの転生者ハンター

 出てきたか、0P!

 

72:グランドマスター

 こうして見るとデカいね〜!

 

73:名無しの鬼殺隊

 会場は見事にパニック状態……まぁ、あんなデカい奴が出たら普通はそうなるか……

 

74:ありふれた赤龍帝

 あ、アレ!0Pの近くに動けない女の子が!

 

75:炎の剣士

 

【ピーターファン! ふむふむ……】

 

「ハァっ!」

 

【習得一閃!】

 

 

76:名無しのトマト

 ナイス、イッチ!女の子を無事に救出だ!

 

77:名無しのゴッドイーター

 さぁ、これからが見どころだ!

 

 

◆◆◆◆

 

 

 それは突然現れた。

 

 鳴り響く轟音と共に巨大な仮想敵が建物を薙ぎ倒しながら暴れていた。

 

『ソイツが0Pだ!! 速く逃げねぇと潰されちまうぞ!!』

 

 

 ついに出たか、0P。普通なら他の奴等のように逃げるところだけど、俺は怯えて動けない他の受験生を逃しながらアレをどうするか思考を巡らせる。

 

 ふと見ると、0Pの近くに女の子が倒れている。足が瓦礫に挟まっていて動けないのか!

 

 周りの奴等の制止を振り切って、彼女の元へ向かいながら【ピーターファンタジスタ】を火炎剣烈火の剣先にかざす。

 

 

【ピーターファン! ふむふむ……】

 

「ハァっ!」

 

【習得一閃!】

 

 

 火炎剣烈火から伸縮自在の「キャプチャーフック」が飛び出し瓦礫を退かして女の子を優しく引き寄せる。

 

 

「大丈夫?」

 

「ごめん、助かった」

 

 足の腫れ具合からして動けそうもないか……。

 

「おーい!! 大丈夫か!」

 

 其処にさっき助けたサイドテールの少女が駆け寄ってくる。

 

「さっきの…この子を頼む」

 

 ちょうどいいや、動けない少女を預ける。これであの0Pを倒すのに集中できる。

 

 俺が再び前に出ようとすると声をかけられた。説明会の時の眼鏡の受験生だ。

 

「まさかアレに立ち向かう気なのか? これは入学試験だ、残り時間も限られている。アレを倒してもポイントは手に入らない! 分かっているのか!?」

 

 

 …………確かに彼の言う通り、あんな巨大な敵、普通なら逃げ出すだろうし、倒したとしてもメリットもない。

 

 

 だけどさ………

 

 

 

「………試験だの、ポイントだの………それ以前にヒーローが逃げ出す訳にはいかねぇだろ?」

 

 

【聖剣ソードライバー!】

 

 

 0Pに歩を進めながら火炎剣烈火をソードライバーに戻し、ブレイブドラゴンを起動させる。

 

 

【ブレイブドラゴン!】

 

 

【かつて全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた!】

 

 

 ソードライバーの一番右側のスロットに差し込む。これで変身できるが……これ以上暴れると被害が大きくなるし……使うか、ニ冊!!

 

 

【ジャッ君と土豆の木!!】

 

  

 取り出したのは緑色のワンダーライドブック、【ジャッ君と土豆の木】。流石にピーターファンタジスタじゃアレは止められない。

 

 

【とある少年がふと手に入れたお豆が、巨大な木となる不思議な話…】

 

 

 起動したジャッ君と土豆の木を閉じ、物語のスロットに装填して火炎剣烈火を抜いた。

 

 

【烈火抜刀!!】

 

 

「変身!」

 

 

 剣舞を舞いながら聖剣で十字を刻み、炎の斬撃が0Pの装甲にダメージを与えて返ってきて仮面を形成する。

 

 

【二冊の本を重ねし時、聖なる剣に力が宿る!】

 

 

 

【ワンダーライダー!】

 

 

 ライドブックから飛び出した土豆の木を構成する樹皮や土豆の鞘、ツタなどが俺の左半身に宿り装甲に変化していく。

 

 

【ドラゴン! ジャックと豆の木!!】

 

 

 

【二つの属性を備えた刃が、研ぎ澄まされる!】

 

 

 

 

 これが、【仮面ライダーセイバードラゴンジャッ君】……ハイそこ!ふざけた名前とか言わない!

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

78:名無しのトマト

 イッチがニ冊使った!

 

79:名無しの鬼殺隊

 まだ、ニ冊は早いですwww

 

80:名無しのゴッドイーター

 早くねぇわwww特訓の時に使ってたぞ!

 

81:ありふれた赤龍帝

 それで、何でドラゴンジャッ君に?

 

82:グランドマスター

 多分、これ以上被害を増やさない為に0Pを封じる為じゃない?

 

83:炎の剣士

 「これで、止まれ!!」

 

84:赤目の主人公

 左腕から豆を射出!ダメージを与えると同時に豆から木が生えて0Pを絡め取った!

 

85:名無しの鬼殺隊

 これで動きは封じた!

 

86:名無しの転生者ハンター

 残り時間もあと僅か……決めろ!

 

 

◆◆◆◆

 

 

 土豆の力で動きは封じた……残り時間ももう無いだろうし、一気に決める!俺は納刀状態の火炎剣烈火のトリガーを2回引いた。

 

 

【必殺読破!!】

 

 

【ドラゴン!ジャックと豆の木!!二冊撃!ファ・ファ・ファイヤー!】

 

 

 土豆の木を足場に0Pよりも高く跳び上がる。それと同時に本のページ型のエネルギー体が俺と0Pの間に何枚か出現し……

 

 

火龍蹴撃破(ひりゅうしゅうげきは)!!」

 

 

 一気に降下!ページ型のエネルギーを通り抜ける度に右足にエネルギーが収縮、現れた火炎剣烈火型のエネルギー体と共に0Pに必殺のライダーキックを叩き込む!

 

 

 ボディに大きな風穴を開けられた0Pは沈黙……地面に着地したと同時にサイレンが鳴り響いた。

 

 

『終了〜!!!!』

 

 

 

 

「……………終わったか」

 

 

 試験が終わった事を実感した俺は変身を解いた。周りの奴等が巨大敵を倒した事に驚きを隠せず凝視してくるが、大して気にせずさっき助けた少女を見つけた。

 

「君、足大丈夫?」

 

「あっ! さっきはありがとう。おかげで潰れずにすんだわ」

 

 

 笑みを浮かべる少女、大丈夫だろう。その時、受験生の間からその場にそぐわぬ女性高齢者の声がした。

 

「お疲れ様~、お疲れ様~。ハイハイ、ハリボーだよ。ハリボーをお食べ」

 

 

 注射の形をした杖をついて低身長の老婆がお菓子を配りながら歩いてくる。雄英のホームページで見たなあの人……確かに看護教諭の……思い出した。

 

「リカバリーガールだ……一応見てもらった方がいい」

 

「うん、ありがと!」

 

 少女にそう言い残し、出口に歩き始める。背後から少女の感謝の言葉が投げかけられる。お礼を言われて悪い気はしないけど……こっ恥ずかしいので振り返りはしなかったが、右手を軽く上げて声に応えた。

 

 

 

 

 

 こうして俺の入試が幕を閉じた。

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

「アイツスゲー奴だな…あんなデケー奴を倒すなんて」

 

「と言うか、ヘドロヴィランの時の仮面の剣士だろアイツ!」

 

「マジだ! やっぱ、雄英目指してたのか……!」

 

 

 実技試験が終わったが……彼らは動こうとしなかった。それ程までに聖火の活躍が印象的だったのだ。

 

「ホント凄いよな……変身するし、デケー木を生やすし、トドメのあのケリ! どんな個性なんだろうな?」

 

 その殆どが聖火の力に関する話題だった。

 

(そこじゃないだろ!)

 

 そんな彼等の言葉を眼鏡の少年、飯田天哉は内心否定する。

 

 

(彼は残り時間、己の安全、その他諸々の不確定要素が有るにも関わらずに…周りの被害を抑える為に一切の躊躇なく、飛び出した!)

 

 

 きっと、この“試験の構造”に気づいていようと、なかろうと……飛び出したのだろう。

 

 

『………試験だの、ポイントだの………それ以前にヒーローが逃げ出す訳にはいかねぇだろ?』

 

 

 でなければ、あんな心に響く言葉は言えない。

 

 

(……剣聖火……仮面の剣士………僕ももっと精進しなければ!)

 

 

 去っていく聖火の後ろ姿を、飯田は尊敬の念を込めて見つめていた。

 

 

 

「アレが噂の仮面の剣士……」

 

 そして、試験の途中で聖火が助けたサイドテールの少女、拳藤一佳もまた聖火の姿を眺めていた。

 

 0Pを倒した力もそうだが、何より一切の迷いなく誰かを助ける為に立ち向かうその姿は正にヒーローだった。

 

 

「………カッコよかったな………アイツ」

 

 

 

 無意識に漏れた拳藤の呟きが風と共に消えていった。

 

 

 

END

 




 思いのほか長くなってしまった……
 今回登場したドラゴンジャッ君……次の登場はいつかな……

 なお、本来の火龍蹴撃破はキックがヒットすると本のページ型のエネルギー体が出現し、火炎剣烈火型のエネルギー体と共にページごと標的を貫く技ですが、対処が大きすぎたので今回はディケイドのディメンションキックの丸パク…ゲフンゲフン、リスペクトしました。


・神を薙ぐ超古代の光

 新人時代にタイタスに誘われる形でタイタスブートキャンプに参加。見事なウルトラマッスルを手に入れた。パワータイプになればキングジョーやギャラクトロンなどのロボット怪獣をボコボコにできる。本人曰くオリュンポスの機神よりキングジョーの方が硬いらしい。

 
・ O C Gトマト

 遂に原作が始まったが……ペンデュラムすっ飛ばしてリンク召喚まで生み出してしまった。ルールはマスタールール(2020年4月1日改訂版)。流石に二つの召喚法を生み出すのは無理があったのかザァークは消えた。………お楽しみはこれからだ!!(ヤケクソ)


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入試のResult!変わっていく世界!

 
 まだ、四話しかないとお気に入り登録1500人突破!皆様には感謝しかありません!

 これからもよろしくお願いします!

 前回のトマト君にも対するコメントが多かったので、簡易ですが作ってみました。

 原作破綻だよ!トマト君!
 第一・ニ話編!

 只今、チャンピオンとデュエル中です。

白菜「フハハハ!新たな召喚法を生み出して、レイに復讐し、世界を滅ぼしてやる!」

トマト「あ~あ~遂に原作が始まっちまうよちくしょー!前世が懐かしい……オッドアイズとヴァレルロード使ってたんだよな……」

白菜「新たな召喚法……その名も!」

トマト「思い出すと使いたくなったな……」

白菜「ペンデュラム召喚!」
トマト「リンク召喚」

       ルール書き換え!

 マスタールーム3…………ト,オモッテイタノカ!


        新マスタールール!!

白菜「な、なんだコレは!?リンク召喚!?EXモンスターゾーン!?………ぐぅ!力を使い過ぎた……これ以上は……!」

トマト「あ、でも初期じゃないからね……新しい方ね」

白菜「……!?分身、貴様の仕業か!?って、これ以上力を使うな!我が!我そのモノがー!?」

        リ、コントラクトユニバース!!

    新マスタールール(2020年4月1日改訂版)

白菜「もはやこれ迄か………だが、忘れるな!たとえ我が消えても、第二第三の我が必ず世界をぉぉぉぉお!」

トマト「っ!ズァークの霊圧が……消えた!?……って、EXモンスターゾーンができてる!?……まさか!」

        ルール確認中

トマト「……………まじかよ………かっとビングだぜ俺!(ヤケクソ)ペンデュラム召喚!いでよ、俺のモンスター達!」

モグラ「原作には出てないけど許してね〜!」

ヘビ「俺は出てるぞー!」

サカナ「俺も出てるぞー!」

おっP「エース参上!」

チャンピオン「モンスターを一気に4体出しただと!?」

トマト「ヘビの効果で攻撃力を入れ替えて、サカナとモグラで0まで下げる!」

バーバリアンキング「ぎゃ~原作よりもダウン!」
ATK5000→0

おっP「よっしゃ!俺の2倍ダメージでワンパンだぜ!」

トマト「お楽しみはこれからだ!現われろ、未来を導くサーキット!!」

おっP「………え?」

トマト「アローヘッド確認!召喚条件は効果モンスター2体以上!俺はおっP以外の三体をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!いでよ、デコード・トーカー!!」

デコード「俺、参上!」

おっP「誰だお前は!?」

チャンピオン「ペンデュラム?リンク?……何が、何が起こっているんだ!?」

おっP「俺も分かんない」

トマト「おっPでも事足りるけど、ここまで来たからにはダブルエースでフィニッシュだ!」

デコード「俺の必殺技……パートワン!!」

おっP「……ヤケクソストーム!」

チャンピオン「ぐわぁー!?」

トマト「ガッチャ!(俺は)楽しいデュエルだったぜ!…………ノリでやっちゃったけど……原作崩壊どころの話じゃないよな………どうしよ」

 はたしてトマトの明日はどうなるのか!?

デコード「皆、これからも俺の活躍に期待しててくれよな!」

おっP「ふざけるなァァァァ!!」

 そしておっPはエースの座を守れるのか!?

 続く?



 あの入試から一週間がたった。

 

 筆記試験は自己採点の結果合格ラインは楽々超えており、実技試験もポイントも自分で数えて80ポイントは固い……合格ラインは超えているが……それでも不安になるのが人間だ。

 

 恥ずかしながら俺はここ数日、何度も郵便受けを覗きに行ったり、その周辺をウロウロしたりして落ち着かない。

 

 それを紛らわせようと今持っているライドブックの確認をしている。テーブルに並べた【ブレイブドラゴン】、【ピーターファンタジスタ】、【ジャッ君と土豆の木】、【ニードルヘッジホッグ】、【ストームイーグル】、【こぶた3兄弟】、【キリンの恩返し】、【封神仮面演義】、【おしゃじぞうさん】、【爆走うさぎとかめ】、【月の姫かぐやん】、【一寸武士】、【さるかにウォーズ】の十三冊。

 

「そして………コイツを加えた十四冊」

 

 

【キングオブアーサー!】

 

 取り出したのは地面に突き刺さった剣が描かれたライドブック。スイッチを押すと題名が流れ、ブックから溢れた光が収束し、キングエクスカリバーが現れる。

 

 このキングオブアーサーは、ワン・フォー・オールがキングエクスカリバーに変化した時に生まれたブック。コイツを使えば何時でもキングエクスカリバーを召喚できる。

 

「いつかコイツを使う時が必ずくる……頼りにしてるぜ」

 

 キングエクスカリバーもテーブルに置いて合計で十四冊。しかし、こうして見ると元ネタからかけ離れてるヤツ多いよな……特にキリンの恩返し、お前だ。俺は鶴の恩返しを読んだんだ。なんで、鶴がキリンになったんだ。

 

 

 そんな事を考えていると家の外から物音が……コレはポストを開け閉めする音!

 

 興奮を抑えきれず、俺は家を飛び出した。

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

1:グランドマスター

 助けてくださいm(_ _)m

 

2:名無しの鬼殺隊

 いきなりどうしたwww

 

3:ありふれた赤龍帝

 何やらかしたんですか?

 

4:グランドマスター

 えっとーその〜

 

5:赤目の主人公

 さっさと言え!

 

6:名無しのゴッドイーター

 言ってくれなきゃ分からね……ほら、ハリーハリー!

 

7:グランドマスター

 お前楽しんで…「マスター……何処ですか〜?」…ヒッ!

 

8:名無しのトマト

 声ヤバ!?

 

9:グランドマスター

 「マスターのお嫁さん役は沖田さんだって言ってくださいよ〜」

 

10:赤目の主人公

 <●><●>

 

11:名無しの鬼殺隊

 <●><●>

 

12:ありふれた赤龍帝

 <●><●>

 

13:名無しのトマト

 <●><●>

 

14:名無しのゴッドイーター

 <●><●>

 

15:グランドマスター

 ………………\(°o°)/

 

16:名無しのゴッドイーター

 さあ、話そうか。

 

17:グランドマスター

 ……………自分、さっきナーサリーやジャック達とおままごとしてたんですよ。

 

18:名無しのトマト

 ふむふむ……それで?

 

19:グランドマスター

 俺がお父さん役をやっていたんですよ……ジャック達が娘役で。

 

20:名無しの鬼殺隊

 それで、さっきのお嫁さん役って何www

 

21:グランドマスター

 ………最初は親は俺だけでやってたんですけどね、途中キャストリアがやって来て……お母さん役をやったんです。

 

22:ありふれた赤龍帝

 キャストリア居るんだ。

 

23:グランドマスター

 うん……一番最初の英霊召喚で来てくれたんだ。

 

24:名無しのゴッドイーター

 …………何か違くね?

 

25:グランドマスター

 いやー最初見た時は目ン玉飛び出るくらい驚きましたよwww

 

26:赤目の主人公

 ………あれ?マシュの立場なくね?

 

27:グランドマスター

 ち、ちゃんとギャラハッドの力は使いこなせてるから大丈夫。

 

28:ありふれた赤龍帝

 話が脱線してます!

 

29:名無しのトマト

 続き続きwww

 

30:グランドマスター

 ………ちくしょう……その後、何処から嗅ぎつけたのか……溶岩水泳部の三人が乱入してきまして……

 

31:名無しのゴッドイーター

 溶岩を泳ぐとかアラガミかよwww

 

32:グランドマスター

 きよひーが浮気だと叫んで暴れてカルデア中に広がって……

 

33:赤目の主人公

 絶賛修羅場中と………………よし!皆解散!

 

34:グランドマスター

 え?

 

35:名無しのゴッドイーター

 お疲れ〜!

 

36:名無しの鬼殺隊

 お疲れwww

 

37:名無しのトマト

 お疲れ様でした!

 

38:グランドマスター

 ちょ、ちょっと待って!助けてよ!神喰ニキならサーヴァント相手でも無双できるでしょ!?

 

39:名無しのゴッドイーター

 多分、できるが死にたくはないので………ガンバwww

 

40:グランドマスター

 お助けください!?………「マスター…み~つけた〜!」〈●><●>……ギャァァァ!?

 

41:名無しの鬼殺隊

 ……さて、惜しい奴を亡くしたな。

 

42:赤目の主人公

 ……そうだな。

 

43:炎の剣士

 入試の結果を持って俺参上!!

 

44:名無しのゴッドイーター

 お、イッチ。結果来たのか!

 

45:名無しのトマト 

 何故にモモタロスwww

 

46:炎の剣士

 仮面ライダーですから!

 

47:ありふれた赤龍帝

 ライダー(仮面の剣士)www

 

48:炎の剣士

 黙れ!俺は仮面ライダーだ!誰が何と言おうが仮面ライダーなんだ!

 

49:名無しの転生者ハンター

 話が脱線してるぞ……

 

50:名無しの鬼殺隊

 あ、ハンターニキ。随分遅かったな。

 

51:名無しの転生者ハンター

 ちょっとモンハンの世界で一狩り行っててな……

 

52:赤目の主人公

 一狩り(転生者狩り)行こうぜ!

 

53:名無しの転生者ハンター

 其処でお前等に負けない位にアバウトな奴等が居てな。

 

54:名無しのわんわんお

 ど~も~!転生したらジンオウガだった件、こと、わんわんおです!

 

55:名無しのライダー

 ど~も~!そのわんわんおの相棒ことライダーです!

 

56:名無しのトマト

 もはや人ですらない!?

 

57:炎の剣士

 人外に転生するなんて有るんですね……

 

58:名無しの転生者ハンター

 一つの世界に複数の転生者が居る場合もあるが、モンスターに転生する奴は俺も初めて見た。

 

59:名無しのゴッドイーター

 まぁ、何にせよ歓迎するぜ。

 

60:名無しのわんわんお

 よろしくお願いします!…………なんか、神喰ニキからモンスター(な)ハンターの匂いがするんですけど…

 

61:ありふれた赤龍帝

 全然間違ってないですよねwww

 

62:名無しの鬼殺隊

 だな、モンスターハンターならぬゴッド(を超えた)ハンターだもんなwww

 

63:名無しのゴッドイーター

 解せぬ!

 

64:炎の剣士

 ごめん神喰ニキ、否定できないwwwじゃ、結果見ますね!……え~と、数枚の資料と……なんだこの機械?

 

『私が投影された!!!』

 

 うぉ!?びっくりした!?

 

 

65:名無しのトマト

 「ちょっと遊矢、大丈夫!?いきなり椅子から転がり落ちて!?」……だ、大丈夫だ。柚子……問題ない。

 

 

66:名無しのわんわんお

 ビックリして帯電状態になっちゃいましたよ……

 

67:名無しの転生者ハンター

 驚き過ぎだ!

 

68:赤目の主人公

 オールマイトが雄英に勤める。これも原作通りだな。

 

69:名無しの転生者ハンター

 筆記試験も十二分に合格点だ。さて、問題の実技試験の結果は?

 

70:炎の剣士

 

『そして気になる実技試験だが、ポイントはなんと86P!素晴らしい!見事に主席での合格だ!しかし、見ていたのは(ヴィラン)ポイントだけにあらず!実は審査制の救助活動(レスキュー)ポイントも存在していた!人助けを、正しいことした人間を排斥しちまうヒーロー科などあってたまるかって話だよ!綺麗事?上等さ!ヒーローってのは命懸けで綺麗事を実戦するお仕事だ!!救助活動(レスキュー)は70P!合計156P!!雄英の歴史上、片手で数える程しか記録されていない100点超えおめでとう!!』

 

 

71:名無しのライダー

 100点超えって、スゲー……!

 

72:炎の剣士

 

『来いよ剣少年。ここが君のヒーローアカデミアだ!』

 

 …………やった………やったぞぉぉぉぉぉ!!!

 

73:名無しの転生者ハンター

 ふ、おめでとう。

 

74:名無しのゴッドイーター

 おめでとう。

 

75:グランドマスター

 おめで…「セーンパイ〜!」……ギャァァァ!

 

76:名無しの鬼殺隊

 めでたいな。

 

77:名無しのトマト

 おめでとさん。

 

78:赤目の主人公

 おめでとう。

 

79:ありふれた赤龍帝

 おめでとう。

 

80:名無しのわんわんお

 おめでとう。

 

81:名無しのライダー

 おめでとう。

 

82:炎の剣士

 ………ありがとう!!

 

 

 

 

 

兄貴達にありがとう

 

 

 

 

連載にさようなら

 

 

 

 

そして、全てのに読者(オーディエンス)に……おやすみなさい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

83:炎の剣士

 終わらせるなァァァァァァァ!!!!

 

 ハァハァ……何だ今の!?

 

84:名無しの転生者ハンター

 何だかやってみたくなってな…

 

85:名無しの鬼殺隊

 アンタの仕業かよ!?

 

86:名無しのトマト

 オノレ、ディ○○ドォォォォォオ!

 

87:名無しの転生者ハンター

 おいヤメロ!いくらコメントでバレバレだからって、ネタバレするな!

 

88:赤目の主人公

 これ以上メタネタを使うな!はい、終わり!

 

89:名無しのゴッドイーター

 ………他に書類があっただろ?アレの確認、しっかりやっとけよ。

 

90:炎の剣士

 あ、ハイ。

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 時は少々遡る。入学試験後の事である。雄英高校ヒーロー科の会議室では、雄英の校長や教師陣が出席する重要会議が行われていた。

 

 

「実技総合成績が出ました」

 

 

 

 前方の大画面に受験生の名前と成績が上位からズラリと並ぶ。それを見た教師陣から感嘆の声が複数上がった。

 

 

 

順位 名前    敵   レスキュー  合計

 

一位 剣 聖火   86P     70P    156P

 

 

 

 

「イヤー、今年は豊作だねえ。まさか合計ポイントが100を超える者が居るとはね!」

 

「全くです。敵ポイント、レスキューポイントをバランス良く稼いでいる上に、0Pの大型仮想敵を容易く撃破している。流石は今、噂されている“仮面の剣士”と言ったところですな」

 

 聖火の様子がスクリーンに映し出されると、あちこちから感嘆の声が上がり始める。

 

「僕としては、レスキューポイントの高さに注目したいですね。ヒーローとは、ただ敵を倒して目立てば良いと考える若者も少なくない中、彼は率先して救助活動をしている。素晴らしい事です」

 

 宇宙服の様なスーツを着た教員が視線を向けた画面にはピーターファンタジスタの能力で動けない受験生を助ける聖火の姿が……

 

「そんで最後はコレよ!」

 

 入試の実況を務めたプレゼント・マイクが指さした画面にはドラゴンジャッ君に変身して0Pを倒す姿。

 

「これが噂に名高い仮面の剣士ね……巨大な敵にも立ち向かうその熱さ……嫌いじゃないわ!!」

 

「落ち着いてくださいミッドナイトさん。……しかし、校長。実際コイツは何者なんですか?これだけ強力な“個性”を余す事なく使いこなし、救助活動にも眼を見張るモノがあります。これを唯の中学生と見るには無理があります」

 

(鋭いな、相澤くん……)

 

 

 オールマイトはその言葉に内心冷や汗モノだった。今回は観覧のみで、試験終了までは口出しをするつもりが無かった。これは校長先生にも断りを入れていた。今の自分には、公平に生徒を評価出来るとは思えないからだ。しかし来年度の四月からはそうもいかないだろう。

 

「ところでオールマイトさん」

 

「なんだい?」

 

「この剣聖火に何か思う所があるんじゃないですか?」

 

「……っ!?」

 

 マジかよ相澤くん……!?と、オールマイトは叫ばずにはいられなかった。弟子である聖火の活躍する様は師匠として素直に嬉しかった……顔に出さない様に気をつけていたが……

 

 さて、どうする?

 

 ここで「いやあ、実は剣少年は私の弟子なんだ、ハーハハハ!」等と言える筈もない。

 

 しかし、ソコで口を開いたのはネズミのような、犬のような姿の生物……雄英高校の校長である根津校長だった。

 

「………これは他言無用にして欲しいんだけどね。この仮面の剣士こと、剣くんは、オールマイト先生の弟子とも呼べる存在なのさ」

 

 

『『『――――っ!?』』』

 

 

 その発言はこの場に居る全員の想像を超えたモノだった。

 

「こっ、校長先生?それは内密にして頂くお話の筈では!?」

 

「………当初はその予定だったんだけどね。………相澤君の言う通り、これだけの逸材を唯の中学生と言い張るには……無理があるのさ!」

 

 これがヒーロー家系の者ならまた納得できるが……聖火は違う……根津校長の言葉を聞きながらもう一度聖火の活躍を見る………うん、唯の中学生には見えない!

 

(ホントに君は私の想像を超えるね……)

 

 

「オールマイトさん、弟子を育ててたんですか」

 

 

 そう問われて、聖火とカバーストーリーを考えていた事を思い出し、咳払いをして気持ちを落ち着かせた。

 

「……んんん、まあ、そうだね。去年の、ヘドロのヴィランが暴れていた事件があったけど、覚えている人はいるかな?」

 

「ええ、この剣聖火……仮面の剣士が関わった事で有名ですから?……ああ、そういう事ですか」

 

「大体は発表の通りだけど……彼のヒーローとしての姿に光るモノを感じてね」

 

「……成程、だから今回の審査自分は参加しないって言ってたんですね。目を掛けてる弟子がいるから」

 

 相澤の視線にちょっとバツが悪そうな顔で視線を逸らすオールマイト。

 

「と、まあ彼が中学生離れした力やレスキューポイントの高さは、こういった理由があったワケさ」

 

 

 根津校長の言葉に納得した表情を浮かべる教員達。聖火は、スレの兄貴達と特訓していたが……オールマイトとて、何もしなかった訳ではない。

 

 アラガミと戦う者、鬼と戦う者、転生者と戦う者。スレの兄貴達はあくまでも敵を倒す者だ。

 

 

 しかし、ヒーローとは……救い、守る者だ。

 

 

 ヴィランに襲われた人を…事故に見舞われた人をどの様にして助けるか……それがオールマイトが教えた、人を助けるヒーローのあり方だ。

 

 

 無論最初から上手くいった訳ではない。最初はギュッだの電子レンジに入れられた卵だの……訳の分からない説明だった。

 

 しかし、それで仕方ないと終わらせる気はオールマイトにはなかった。

 

「さて、クラス分けについてなんだけど……皆はヘドロ事件の前に起きた、「無個性の中学生が自殺した事件」を覚えているね?」

 

 生徒の自殺事件……それは“真っ当な教師”にとって忘れてはいけない事件。根津校長の言葉に教員達の表情も一層引き締まる。

 

「勿論です校長………事件の真相について進展が?」

 

「……うん、その通りさ。あの事件は僕達教師にとっては深く考えさせる事件だった。被害者のクラスの担任は勿論、教員の半数近くが“個性差別者”だった」

 

「到底ユルセヌ事ダ。個性ノ強イ弱イデ子供ノ優不遇ヲ決メルナド……教育者イゼンニ大人トシテ間違ッテイル」

 

「大方、有望なヒーローを育てた教師……と言う名誉が欲しかったのだろうよ。子供の未来を自分の点数稼ぎにしか見てなかったのさ」

 

 一人は片言だが、その教員達が言った言葉はこの場に居る全員の心の内を代弁したモノだった。

 

 無論それはオールマイトも同じだ。聖火とオールマイトが出会うきっかけになったあの事件。本来、寄り添いより良い道に導くべき教師でありながら、個性で優劣を決め、無個性の生徒を蔑ろにした……到底許せる事ではない。

 

 それを知り、そう思っているからこそ、オールマイトは教育者として勉強した。教育の参考書を買い漁り、根津校長や、“かつての師”に教えを請うた。

 

 その成果が聖火のレスキューポイントの高さとして出ているのだ……いい傾向だ。

 

「それでね……虐めの主犯である爆豪君…今は、更生施設に入れられているんだけど……事情聴取などの調査でね。被害者の少年が“この雄英”に進路を決めた時から虐めは悪化してたみたいなんだ」

 

「………確かこの爆豪って奴も雄英を志望してましたね。………つまり【雄英に入る為にライバルを減らす為、もしくは、折寺中唯一の“雄英合格者”と言う経歴を得る為に虐めをしていた】……という事ですか?」

 

「おそらくそうだろうね……人気商売の面が大きい現代ヒーロー社会において、言い方は悪いけど、相手を蹴落とす事も必要な時はある………だけど、“ヒーローは助け合い”だ!!手を取り合い、支え合う事が何より大事だ。故に来年の新入生達の授業は、A組、B組の合同をより増やそうと思う……どうかな二人共?」

 

 そう言ってA組担任予定の相澤とB組担任予定のブラドを見る。

 

「俺は構いませんよ。好敵手(ライバル)としてお互いに高め合う事は合理的ですし」

 

「俺も問題はありません」

 

「ありがとう。次はクラス分けなんだけど……例年は一クラス十八人。プラス推薦で二人の合計二十人なんだけど……今年はあえて“十九人”で始めようと思う」

 

 合同授業の増加に引き続きの変更……しかし、雄英で教員を務める彼らはすぐにその真意に気づく。

 

「普通科の意欲向上ですか?」

 

「その通りさ。普通科の新入生達は、ヒーロー科から落ちてしまった子達が大半……故に最初はやる気の無い子達が多い。だから、枠を明確にする事で彼等のやる気を上げようと思うんだ」

 

 

 教員達がそれぞれ意見を言い合う。

 

 その光景を見つつ根津校長は……モニターに映る聖火に視線を向ける。

 

 我が雄英高校の校訓はPlusUltra(更に向こうへ)

 

 我々が与える試練を乗り越え、どの様な進化を見せてくれるのか……

 

 

 その遠くない未来を思い笑みを浮かべる。

 

 こうして新入生の今後を決める会議は長く続いた。

 

 

 

END

 




 今回は入試の結果とその裏側の話。

 オールマイトは2話で担任の教師に怒りを露わにしていたので、ポンコツ教師のままだと違うなと思い。教育スキルを上げさせました。

 そして、A組B組の合同……コレにした訳は色々ありますが、機会がくれば説明します。そして、十九人スタートですが…まず最初に爆豪は雄英に行きません。それで、一つ枠が開くのですが……其処にオリキャラ等を混ぜても空気キャラになる気しかしないので…一人開けました……其処に誰が入るかは……皆様のご想像通りです。


 そしてワンフォーオールが変化したキングエクスカリバーには最高のスタートを切らせたいので、出番はもう少し先です。アニメ一期中には登場させるので……もう暫くお待ちください。

 スレ民紹介

・グランドマスター

 只今修羅場中……

・キャストリア

 藤丸が最初に召喚したサーヴァント。この娘も他のサーヴァントの様に藤丸ニキを好いている。強い!カワイイ!優しい!が揃った藤丸ニキの相棒。……マシュ?奴は敗北者じゃけぇ!

・名無しのライダー

 モンハンストーリーズの主役ポジとして転生した。闇落ちした幼馴染み、マッドサイエンティストのクズ野郎、黒の狂気、ブラックライダー……などの問題を相棒のわんわんおと共に乗り越えた。もう何もないので、アユリアと恋仲になる為に頑張っている。………近い将来に2が始まるなど欠片も思っていない。

・名無しのわんわんお

 ジンオウガに転生してしまった…不幸オブ不幸……今は受け入れ、相棒とアユリアの恋を応援している。継承の儀をやった結果、金雷公に超進化した。……レウスの立場を奪ってしまったが、心配する事なかれ、伝説通りに白い竜(極み吠える)へと究極進化して世界を救った。



 これからは基本的にニチアサの時間帯に投稿しようと思います。ですが、早く完成したら早めに投稿しますし、投稿できない時もあるのであくまでも目安にしてください。

 6話は今日中に投稿しようと思います。



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Yからの受難/始まるアカデミア

 
 今回はダブルのリスペクトです。


 来週で遂にセイバーの最終フォーム?のクロスセイバーが登場しますね……私としては悪くはないんですけど…最終フォームには相応しくないかなーと……ですのでアギトのバーニングフォームみたいな立ち位置を期待します。

 そしてお気に入りが2000人を突破!本当にありがとうございますm(_ _)m




 

 合格通知が来た翌日の夜8時……俺はオールマイトに呼び出されて特訓場の海浜公園に来ていた。

 

「オール…!じゃない、八木さん!」

 

「やあ、少年。君にはここ最近驚かされてばかりだな」

 

 

 夜の浜辺には既にトゥルーフォームのオールマイトが待っていた。

 

「まず剣少年、合格おめでとう。先に言うが私は審査に一切関与してないぞ。君そういうズルいの気にするタイプだし、レスキューの審査だって私は見ていただけだからね」

 

 それは良かった……それにしてもオールマイトが雄英の教師になるなんて……

 

「学校側から発表されるまで他言出来なかったからね。私が後継者を探していた折にちょうど雄英側からご依頼があって受けたんだ。」

 

 となると、俺や緑谷出久と会わなかったら、生徒の中から後継者を選ぶ予定だったのか。

 

「その事について、君が心配すること無いさ。私は君が適任だと思って個性を継承したんだ。そして君はそんな私の思いに答えてくれた!これからは教師として君の育成にも力を入れるよ!!」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

 まずはヒーローに……仮面ライダーになる為の第一歩!俺の物語が本格的に動き出した!

 

 

 

「…………あと、君が私の弟子だってバレたから……そこんとこ、よろしくね!」

 

 

 …………少し不安もあるけど……

 

 

◆◆◆◆

 

 

1:赤目の主人公

 あれから暫く経ってイッチは今は春だけど皆はどう?

 

2:名無しのトマト

 自分今は…沢渡ぶっ倒して平和に過ごしています…これから茄子とクロワッサンのせいで冤罪かけられるのか……胃が痛い……

 

3:ありふれた赤龍帝

 私は今はユエって娘を助けて地下大迷宮をクリアして世界の真実知って、準備の為に修行してます。

 

4:名無しのライダー

 俺達は平和に過ごしてます。

 

5:名無しのわんわんお

>>4 同じく。

 

6:名無しのゴッドイーター

 俺はアリサのサテライト計画の為にアラガミ狩ってたら……ブラッド隊って奴らに弟子にしてくれって頼まれた。

 

7:赤目の主人公

>>6 どうしてそうなった……

 

8:名無しのゴッドイーター

 聞いた話だと…仲間のロミオとジュリウスって奴を守れなかったのが悔しくて……それで俺の元で強くなりたいって。

 

9:名無しのライダー

 あ~神喰ニキは2の時点じゃ居なかったのか…

 

10:名無しのゴッドイーター

 最初は断ろうとしたけど…隊長のヒロって奴が「貴方の数々の伝説は聞きました!貴方みたいに皆を守れる様になりたいんだ!!」……ってエントランスで大声でお願いしてきて……

 

11:名無しのわんわんお

 もう、断れないじゃないですかwww

 

12:名無しのゴッドイーター

>>11 そうだよ……最終的にアリサが勝手に許可出した。「ユウが一人で危険な任務に行かない為です!彼等なら足手まといになりはしませんから!」……って言われてな。

 

13:ありふれた赤龍帝

 できた嫁さんですね。

 

14:名無しのゴッドイーター

 まぁ、確かに腕はあるからな……俺が行く任務でも死ぬ事はないだろう……

 

15:赤目の主人公

 ……因みにどんな任務なんだ?

 

16:名無しのゴッドイーター

 この前行ったやつだと…ディアウス・ピターの群れが付近で見つかったから行ってきた……ディアウス・ピター一頭と、プリティヴィ・マータ十頭。

 

17:名無しのライダー

 ……………は?

 

18:名無しのわんわんお

 …………この人、モンスター(な)ハンターよりもヤバイよ。

 

19:名無しの鬼殺隊

>>17>>18  コイツの出鱈目な強さは考えるな。

 

20:ありふれた赤龍帝

 あ、鬼殺ニキ!

 

21:名無しの鬼殺隊

 おう、こっちはようやく怪我が治ってな……これで任務に行ける。

 

22:赤目の主人公

 負傷してたんだ。

 

23:名無しの鬼殺隊

 ああ、無限列車編に行ってた。

 

24:グランドマスター

 とんでもないパワーワードが出てきたよ。

 

25:名無しのトマト

 藤丸ニキ!?どうして此処に?まさか自力で(修羅場から)脱出を!?

 

26:グランドマスター

 アハハ……ホントに死ぬかと思った。

 

27:赤目の主人公

 藤丸ニキの女難なんかどうでもいい!?無限列車だ、大丈夫だったのか?

 

28:名無しの鬼殺隊

 下弦の壱はさっさと殺したんだけど……案の定、猗窩座が来て……まぁ、強かった!斬ってもすぐに再生するし、動きは見切られるしで……

 

29:名無しのゴッドイーター

 避けれない速度で攻撃すればいいだろ?

 

30:名無しのライダー

 普通は無理だ!

 

31:名無しの鬼殺隊

 まぁ、勝つには神喰ニキの言う通り速さとタイミングが必要だったんだけど………炭治郎が刀投げて猗窩座の足を切り飛ばしたのよ!

 

32:赤目の主人公

 流石主人公!!

 

33:名無しのトマト

 俺達とは……一味も二味も違う!

 

34:名無しのゴッドイーター

 お前等が言うな。

 

35:ありふれた赤龍帝

>>34 貴方が一番言えない!

 

36:名無しの鬼殺隊

 すぐに再生するけど、隙は生まれた……すかさず九頭龍閃を叩き込んで勝利しました!勿論……煉獄さんは生きてます!

 

37:名無しのライダー

 煉獄さぁぁぁぁぁん!

 

38:名無しのわんわんお

 煉獄さぁぁぁぁぁん!

 

39:名無しのトマト

 僕達は〜燃え盛る〜旅の途中で出あ~い!

 

40:赤目の主人公

 良くやったぜ!

 

41:ありふれた赤龍帝

 鬼殺ニキ……貴方がナンバーワンだ!

 

42:名無しの鬼殺隊

 その代償で今まで寝込んでたけど……もう完治してな……これから任務に……「大変です!アオイさんが!音柱に誘拐されました!」……ハァ!?

 

43:名無しのトマト

 今の声って炭治郎だよね?

 

44:名無しのわんわんお

 音柱って事は祭りの神か?

 

45:名無しのゴッドイーター

 神?(神機構えて)

 

46:ありふれた赤龍帝

>>45 貴方は動くな!?

 

47:グランドマスター

 てか、アオイちゃんを誘拐したって?

 

48:名無しの鬼殺隊

 ゆ、許さんぞー!?あの派手野郎!嫁が三人居ながら俺の女に手を出しやがってー!?ブッコロしてやる!!さっそく音柱を征伐しに出かける!後に続け、炭治郎!!「はい!」

 

49:名無しのトマト

 炭治郎……なんて元気のいい返事だ……って、ちょっと待て鬼殺ニキ!

 

50:名無しの鬼殺隊

 臆病者はついて来なくてもよい!!

 

51:グランドマスター

 ………行っちゃったね。

 

52:名無しの転生者ハンター

 相変わらず賑やかだな。

 

53:名無しのライダー

 あ、ハンターニキ。

 

54:炎の剣士

 俺も居ますよ〜

 

55:名無しのわんわんお

 お、イッチ……確か今日が入学式だよね

 

56:名無しのゴッドイーター

 入学初日(除籍をかけた体力テスト)……だな。

 

57:炎の剣士

 え?何ですか今の不吉な書き込み!!

 

58:グランドマスター

 気にするな!ほら、雄英に着くよ!

 

 

 

◆◆◆◆

 

「えー何さっきの言葉……除籍って言わなかった」

 

 入学初日に除籍になるかもしれない……って事なのか……不安を感じながら雄英の正門を通り抜ける。新入生を配慮した案内を頼りに自分のクラス……“1ーA”を見つける。

 

 少し緊張するので…小さく深呼吸して……いざ!バリアフリーの施された巨大ドアを開ける。見た目に反して重さは普通のドア並みだった。中に入ると教室には生徒が数人いた。

 

「おお、“仮面の剣士”!君もやはり合格していたのだな!ボ……俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ。よろしく頼む!」

 

「俺は剣聖火……よろしく!」

 

 その中には見知った者も居た……試験会場が同じだった眼鏡の受験生…飯田。しかし、飯田が仮面の剣士と言った瞬間にクラスの視線が俺に集中する。……そろそろ、呼び名なんとかしないとな……

 

「おーっす、剣!」

 

 そんな事を考えて居ると……声をかけられ振り向くと入試の時に意気投合した耳郎が居た。

 

「お、耳郎。耳郎もA組なのか」

 

「そ、これからよろしくね。あと、聞いたよー入試、大活躍だったみたいじゃん」

 

「いや、そんな大袈裟な」

 

「謙遜する事はないぞ、剣君。あの0ポイントを倒したのは君だけで主席で合格しているんだ」

 

 

 主席か〜よくよく考えてみれば主席合格って結構凄い事だよな……考えていると背後のドアが開いた。

 

「あ、貴方は…凄い剣士さん!」

 

 違います……私はライダーです!と叫びたい衝動を抑えつつ振り向くと……茶髪で丸みのある顔の女子生徒が廊下に立っていた。

 

「ああ、あの時の」

 

「うん!覚えててくれたんだ、私は麗日お茶子、あの時はホントにありがとう!入試主席って凄いね!最後なんて凄かったもん!」

 

 「変身!」と言って腕をブンブン振る麗日……それはアレか?変身ポーズの真似?………そんなに似てないな。

 

「今日って式とかガイダンスだけかな?先生ってどんな人なんだろうね?!」

 

「お友達ごっこしたいなら他所に行け。」

 

 その時低く、気だるげな男の声が聞こえた。

 

「ここはヒーロー科だ。」

 

 声の主は麗日の後ろに寝そべっていた。黄色い寝袋に入っている無精髭の男の姿はまるで芋虫だ。なんで、寝袋に入っている?そもそも誰?言いたい事は色々あるが、その状況で言える事はただ一つ。

 

 

 何かいる……俺達の心境は一つになっていた。

 

 

「ハイ、静かになるまで八秒かかりました。時間は有限。君達は合理性に欠けるね。……担任の相澤消太だ。よろしくね」

 

 

 まさかの担任!?

 

「早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ」

 

 

 いきなりの事に戸惑う俺達を残し教室を出た相澤先生は、言葉通りグラウンドに向かっていった。これはマジだと感じ俺達も慌てて体操服を持って更衣室に急ぐ。

 

 凄く嫌な予感がするのは気のせいじゃないよな……

 

 

 

◆◆◆◆

 

59:名無しのゴッドイーター

 始まったな。やっぱり入学式はないのか……

 

60:名無しの転生者ハンター

 と、言うか……B組も居るな。

 

61:名無しの鬼殺隊

 ホントだ……確かA組だけですよね?

 

62:グランドマスター

 この世界は既に原作からかけ離れているから……その影響かな?

 

63:名無しのライダー

 B組の担任のブラドキング先生メッチャ申し訳無さそうにしてるぞ……

 

64:ありふれた赤龍帝

 あ、イッチがやりますよ。

 

 

◆◆◆◆

 

 まさか入学式をすっ飛ばして体力テストするとは思わなかった……麗日が皆の心の内を代弁して疑問を投げ掛けるが相澤先生はそっぽを向いて、そんな悠長な時間は無いと言いきった。

 

「すまんなお前達……俺も入学式やガイダンスの後で良いとは言ったが、校長が許可したんだ。我慢してくれ」

 

 

 赤いコスチュームを着こんだ男性が申し訳無さそうにしている。この人はB組の担任、プロヒーローのブラドキング。今、グラウンドには俺達A組の他にB組も集められていた。

 

「お前達が中学生になったからやってきた個性禁止の体力テスト。アレを個性を使って行う………まぁ説明するより実戦した方が早い。剣、お前中学の時のソフトボール投げいくつだ?」

 

「70です」

 

 

 海洋公園のゴミ掃除と兄貴達の特訓のお陰で結構筋肉ついたんだよな……

 

「個性使ってやってみろ。円の外から出なきゃなにやったって良い」

 

 

 相澤先生からボールを受け取る……円の外から出なければいいか………ヨシ!!

 

【聖剣ソードライバー!】

 

 出だしが肝心だし……最初からクライマックスで行くぜ!ソードライバーにブレイブドラゴンを装填して火炎剣烈火を引き抜いた。

 

【烈火抜刀!!】

 

 

「変身!」

 

【烈火一冊!】

 

 

【勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!】

 

 

 火炎剣烈火で十字に振るい斬撃が仮面になって俺の姿が右半身がブレイブドラゴンを模した鎧で覆われて、仮面ライダーセイバーへと変身する。

 

 

「か、かっけぇええええええええええええ!」

 

「アレが仮面の剣士!マジパネェ!?」

 

「ホントに変身した!」

 

 

 変身した俺を見て、A組、B組の男性陣から歓声が湧き上がる。変身に少し時間も取ったし、早めにやるか…相澤先生、無駄は嫌いそうだし。

 

 ボールを軽く上に投げて、落ちてきたボールを火炎剣烈火の刃ではなく面の方を叩きつけ、野球の様にかっ飛ばした!

 

 ボールは宙を舞い。視認すら難しい程の距離を経て、ようやくグラウンドに再び落ちてきた。

 

 ピロン、と相澤先生の持つ機械から音がして、ボールの飛距離――1716.4mの記録が表示される。

 

「ほう…千超えか。まず自分の最大限を知る。それがヒーローの筋を形成する合理的手段」

 

 この記録を見て他のみんなも一斉に歓声が上がった。

 

「初っ端から1000オーバーってマジかよ!?」

 

「ナニコレ面白そう!」

 

「個性を全力で使えるなんて、流石ヒーロー科!」

 

 とりあえずこんなモノか……烈火をソードライバーに戻して、飛んでいったボールに視線を向ける。てか、ボールと相澤先生の持った機械って連動してるのか……ハイテクだな。

 

「凄いじゃん剣!」

 

 そうこう考えていると耳郎がテンション上がった状態で近づいてくる。そう言えば耳郎には見せた事なかったな……

 

「ホントに剣が仮面の剣士だったんだ………右肩にドラゴンついてる」

 

 あ、ちょっと…右肩の【ブレイブドラゴンボールド】をガシガシしないでください……取れないから。何?、さっきの斬撃が仮面になって熱くないのかって……ふ、俺の心は何時でも燃えてるからね( ー`дー´)キリッ

 

「バフォッ!!」

 

「…………あの〜そんなに笑わなくても」

 

 余程ツボに入ったのか…メッチャ笑ってる。

 

 

「面白そう、楽しそうね………ヒーローになるための三年間そういう腹づもりでいるのなら、トータル成績最下位の奴は見込みなしと言うことで除籍処分とする」

 

 盛り上がった空気が一気に驚愕に変わった。無理も無い、入学早々に入学式も無しに下手をすれば除籍って言われたんだし。

 

「俺たち雄英教師は三年間君たちに様々な困難と試練を用意して立ち塞がろう。生徒の如何は俺たち教師の自由だ。ようこそ雄英高校ヒーロー科へ、この困難もPlus Ultlaで乗り越えて見せろよ!」

 

 

 皆身勝手だ理不尽だと言うけど、そんな言葉に相澤先生はヒーローになればヴィラン・大事故・災害などが理不尽に襲いかかってくる。ヒーローはその力を持って覆す者だと言って取り付く暇も与えない。

 

 頼みのブラド先生も表情は複雑そうだが止める気は無さそうだ……こうなってはやるしかない。

 

「兄貴達の言った通りだな……」

 

「剣、なんか言った?」

 

「いや……ふざけてる暇はなさそうだな」

 

「そうだね……やるしかないか!」

 

「ねぇ、ちょっといい?」

 

 

 ふと声をかけられた。振り向けばオレンジ色の長い髪をサイドテイルで纏めている少女……見覚えが……

 

「えっと何か……入試の時の」

 

「そう、あの時はホント助かったよ。私は拳藤一佳。B組だけどよろしくな」

 

「俺は剣聖火……こんな状況だけどお互い乗り越えような」

 

「おう!」

 

 手を差し出されたのでとりあえず握手して……なんか悪寒がするな……

 

「……………」

 

「顔が悪いぞ耳郎君!」

 

「それを言うなら顔色だ!」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

65:名無しの転生者ハンター

 始まったな……まぁ、イッチなら問題ないだろ。

 

66:名無しのトマト

 まずは50m走……飯田はえ~な!3秒って…

 

67:名無しの鬼殺隊

 俺の方が速い!

 

68:名無しのライダー

 あ、鬼殺ニキ…どうだった?

 

69:名無しの鬼殺隊

 ボコボコにした。今は涙目のアオイに膝枕して参加してるぞドャ!

 

70:名無しのわんわんお

 わ~お……羨ましい。

 

71:名無しのゴッドイーター

 お、次はイッチか…

 

72:炎の剣士

「それじゃ、これで!」

 

【うさぎとかめ!!ふむふむ!】

 

 

73:名無しのトマト

 イッチの靴がウサギとカメを模したレーシングカーに変わった!?

 

74:名無しの

 結果は2,59秒!……飯田君がガッカリしてる…

 

75:ありふれた赤龍帝

 2種目は握力……腕を複数生やしたり、万力作ったりなんでもアリですね〜

 

76:名無しのトマト

 イッチはドラゴンジャッ君に変身して、腕と蔦を巻き付けて……

 

77:炎の剣士

 

 バキッ!!!

 

「あ……」

「…………測定不能……」

 

 

78:名無しのゴッドイーター

 見事にぶっ壊したな……続いての立ち幅跳びもドラゴンジャッ君のままで蔦を足場に無限……

 

79:名無しの転生者ハンター

 次は反復横跳び……

 

80:炎の剣士

 

【3匹のこぶた!!ふむふむ!】

 

「「「ヨシ、やるか!」」」

 

「増えたァァァァ!?」

「忍者かアイツ!?」

「先生アリかよあんなの!?」

 

「…………………アリだ」

 

 

81:名無しの鬼殺隊

 相澤達の顔メッチャ引き攣っているように見えるwww

 

82:名無しの転生者ハンター

 三人合わせて459回……大人気ない様に見えるな。

 

83:グランドマスター

 その後も問題なく?終わって最後の持久走だ!

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 始まった個性把握テスト……種目が重なる度に皆からの視線が……気のせいだよね。

 

「そんな訳ないでしょ………何さっきの分身?」

 

「そりゃこぶた3兄弟だから3人に……」

 

「「なってたまるか!?」」

 

 耳郎と拳藤のダブルツッコミが突き刺さる。

 

 さて、最後は持久走……皆スタートラインに並ぶが……

 

「流石にありゃ反則だろ!?」

 

 ブドウみたいな頭の峰田を筆頭に何人かが個性“創造”で、さっきから何かを作っていた八百万が乗るスクーターに文句を言っているが……

 

「アリだ」

 

 アリのようだ。………丁度いいや!

 

「剣……今度はなにやらかす気?」

 

 耳郎が何か言ってるか気にせず……赤いライドブック【ディアゴスピーディー】を取り出す。

 

【タイヤを開け、真紅のボディが目を覚ます…】

 

 

 起動させて音声が鳴り、ライドブックを放り投げると変形し、セイバーの専用バイク【ディアゴスピーディー】が現れる。

 

「いや、お前もバイクかよ!?」

 

 俺もバイク出した事に皆が目を丸くする……入学前に作ったんだよな……まさか初日で乗れるとは思わなかった。

 

「カッコいいな…それ!」

 

「拳藤……コイツの良さが分かるのか!?」

 

「ああ、この真紅のボディ……剣とベストマッチでカッコいいぜ!」

 

「だろ!」

 

 拳藤………お前、見る目あるな。

 

「ちくしょう……女に囲まれやがって……てか、無免許だろ!」

 

 峰田が凄い表情で言ってくるが……

 

「何言ってんだお前……免許持ってるから出したんだろ。なぁ、八百万」

 

「ええ…ヒーローが法律を破る訳ないじゃないですか」

 

 このご時世……乗り物に乗って真価を発揮する個性も少なくない……故にきちんと試験を受ければ俺達の様な未成年でも免許は取れる……オールマイトが紹介してくれて入学前に受けたんだよな…ただし、滅茶苦茶厳しかったけど。

 

「そう言う事だ……こいつ等が免許持ってる事は確認済みだ………ほら、位置につけ!」

 

 

 こうして始まった最後の種目……さすがに皆疲れの色が見え始めてきたけど……俺と八百万には関係ない……一気に飛び出してゴールを目指す。

 

 

「ちょ、速すぎませんか!?」

 

 

 だが、ディアゴスピーディーの最高時速は280km/h…スクーターでは相手にならん!すぐに引き離して一位でゴールした。

 

 程なくして皆がゴールした。するとヘトヘトの耳郎がジト目でやって来た………何故だろう心が痛む。

 

「……ハァハァ……剣……ルール上ではアリだってわかっているけど……言わせて………それは無いよ」

 

「………確かに大人気ないかもしれない………だが、私は謝らない( ー`дー´)キリッ!」

 

「おい!」

 

 ごめん、言ってみたかった……謝るから右肩の【ブレイブドラゴンボールド】をガシガシしないでください。

 

 

「ハハハ!全くA組は皆が……疲れているのに……自分達だけ…「うるさい!」ゴフッ!?」

 

 

 

 B組の物間って奴が嫌味を言うが、拳藤の手刀に再び倒れる………恐ろしく早い手刀……俺じゃなきゃ見逃しちゃうね!

 

「あ、そうだ。皆に言っておきたい事があったんだ」

 

「「言っておきたい事?」」

 

 耳郎や拳藤を始め皆が視線を向けてくる。バイクに乗ったら言おうと思ってたんだ……

 

「俺は“仮面の剣士”って呼ばれているけど…これからは“仮面ライダー”って呼んでほしいんだ」

 

「「仮面ライダー?」」

 

 

 

「そ、“仮面ライダーセイバー”!以後お見知りおきを…!!」

 

 

 

◆◆◆◆

 

84:名無しのゴッドイーター

 イッチ……ようやく仮面ライダーって名乗れたな。

 

85:グランドマスター

 バイクに乗れないからライダーって名乗れなかったからね……

 

86:名無しの転生者ハンター

 結果は堂々の一位……当然だな。

 

87:赤目の主人公

 除籍も無し……と…

 

88:名無しのわんわんお

 てか思ったんだけど……A組だけ十九人なんだな。B組は二十人なのに……

 

89:名無しのライダー

 それな……

 

90:名無しの転生者ハンター

 まぁ、何かしらの意図があってのことだろ

 

91;グランドマスター

 ……段々と俺達の知る原作から離れていってるね。

 

92:名無しのゴッドイーター

 そうだな………時が進むにつれてその差は大きくなっていく……気をつけろよイッチ。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 その後は教室に置かれたカリキュラムの書類や教科書を受け取って今日は午前中に下校を言い渡され帰宅の途についた訳だが…

 

「おーい、剣君!」

 

 それに気づいた飯田が俺に声をかけてきたのを皮切りに……

 

「お二人さーん!駅まで?待ってー!」

 

「ウチも途中まで良い?」

 

「私も良いか?」

 

 麗日と耳郎…最後に拳藤が、合流してきた。

 

「君達は…たしか∞女子と耳たぶ女子に大拳女子!」

 

 わ~お……凄い呼び方……3人の顔引き攣ってるぞ。

 

「あ、あはは……凄い呼び方だな……じゃあ改めて、私は拳藤一佳。クラスは違うが、よろしく頼む」

 

「ウチは耳郎響香……女子の名前はなるべく早く覚えたほうがいいよ……特にクラスの」

 

「麗日お茶子です!」

 

「も、申し訳ない……飯田天哉だ。よろしく頼む」

 

「じゃあ俺も……剣聖火だ」

 

 俺達の会話はそれぞれの家の最寄り駅で分かれるまで続いた。

 

 初日からとんでもない事になったが……これからの学園生活が楽しみだ。

 

 

END

 




 ようやく仮面ライダーと…名乗る事ができました!

 因みに免許の話はオリジナルです。

 聖火は…バイクの普通二輪免許の他にも普通免許も持ってます。ライドガトライガーの為に……


 後、前回の一クラス十九人はA組だけです。説明足らずですみません。





スレ民

・名無しのゴッドイーター

 弟子入りされた……ヒロとシエルを自分とアリサに重ね…早くくっつけばイイと思ってる。
 後、本文で語られた任務に行ったブラッド達は全員死んだ魚の様な目で帰ってきて…ユウはアリサとソーマに怒られた。


 因みにわんわんおが極み吠えるになっても神喰ニキには勝てない。

・グランドマスター

 あれ以来…皆の瞳が怖い……そろそろ食われると思う。

・名無しの鬼殺隊

 無限列車編で猗窩座を撃破!無事に煉獄さんを生存させた。しかし無傷とはいかず休養していた……音柱がアオイを誘拐してブチ切れた……お前だけは簡単には死なさんぞ!

 


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戦闘訓練、闘志の声を聴け!

 今回はキバ風のタイトルです!

 何故そうなったかは本編をどうぞ!


 そしてお気に入り登録が2500人を突破!本当にありがとうございます!

 今週のセイバー最高でしたね!
 クロスセイバー……いざ登場したら格好いいの一言でした!




 

 入学式を無視して行われた前代未聞の個性把握テストの翌日。また何か有るかと思いきや、時間はただただ普通に流れていった。

 

 午前中の一般教科を終え、クックヒーロー・ランチラッシュの安価で頂ける昼食の後、待ちに待ったヒーロー科の目玉と言えるヒーロー基礎学が始まる。 

 

 

「わーたーしーがー……普通にドアから来た!!」

 

 

 そして担当するのは知らぬ人は居ない、No.1ヒーローのオールマイトである。その登場にクラスの皆は大盛り上がり。

 

「オールマイトだ…!すげぇや本当に先生やってるんだな…!」

 

銀時代(シルバーエイジ)のコスチュームだ!……画風違いすぎて鳥肌立つぜ…」

 

「私の担当はヒーロー基礎学。ヒーローの素地を作る為に様々な訓練を行う科目だ。当然、単位は最も多い。そして今日の訓練は、これ!」

 

 BATTLEと書かれたプラカードを突き出す。

 

 

「戦闘訓練!それに伴って入学前に提出してもらった個性届けと要望に沿ってあつらえた戦闘服(コスチューム)!」

 

 

 壁がスライドして出席番号がナンバリングされたアタッシュケースが現れる………こんな仕掛けがあるなんて……ホントにハイテクだな。

 

 

「着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!格好から入るってのも大切なんだぜ少年少女!!自覚するのだ、今日から自分がヒーローなんだと言うことを!!」

 

 

 オールマイトの言葉を胸に刻みながら俺は自分のケースを手に取った。正直な話…セイバーに変身すれば関係ないのだが……変身する暇もない場合もあるかもしれない。コスチュームについて兄貴達がうるさかったんだよな……自分と同じ格好にしようとして……最終的に喧嘩になって……結果は神喰ニキの圧勝だった。

 

 その為、俺のコスチュームは神喰ニキの軍服がベースになっている。緑の軍服を黒く染めて、赤いロングコートを羽織ってる。これ等は全て特殊繊維で構成されており、斬撃と熱耐性が高い。

 

 一見、動き辛いかもしれないが、全くそんな事はなく動きやすい。

 

 その事を確かめながらグラウンドに行くと既にコスチューム姿のクラスメイト達が集合している。

 

「お、剣!やっぱりA組も一緒なんだな」

 

「よ、拳藤」

 

 昨日のガイダンスでA、Bの合同授業を増やすと言うだけあって…B組も其処には居た。

 

「くぅ~!こうしてコスチュームに着替えると身が引き締まるって感じがするな!あと、剣のコスチューム、格好イイな!」

 

「………あ、ああ…拳藤もよく似合ってるぜ」

 

 拳藤のコスチュームはノースリーブのチャイナ服にマスク……正直な話、拳藤は同じくA組の八百万と同じくらい発育が良いので…あまり直視できない………ッ、殺気!?

 

 神喰ニキとの模擬戦に匹敵する恐怖心を感じ思わず振り返ると……

 

「……………………」

 

 ……………耳郎が居た。ロックンローラーみたいな格好だけど、ブーツは重装甲……おそらく何かしらのギミックがあるのだろう。

 

「よ、よう耳郎………コスチューム……似合ってるぜ」

 

「………………ドーモ、アリガトウ」

 

 そう言って耳郎は俺と拳藤……の、どこがとは言わないがある一点を睨んでいた。

 

 

「よく似合ってるぞ皆、格好いいぜ!それでは始めようか有精卵共!!戦闘訓練の時間だ!!」

 

 

 オールマイトの号令で皆いったん話を辞め視線を向ける……助かった。

 

「先生!ここは入試の時の演習場ですが、また市街地演習をするのでしょうか?」

 

 近未来的ロボットの様なコスチュームのクラスメートが質問する……声からして飯田だな。アスカニキの世界にあるガンダムみたいで格好いい!

 

「いいや、2歩先に踏み込む!これから行われるのは屋内での対人戦闘訓練だ!!ヴィラン退治は主に屋外で見られるが、合計で言えば、出現率は屋内の方が多い。監禁、軟禁、裏商売。真の賢しいヴィランは闇に潜む。君らにはこれからヴィラン組、ヒーロー組に分かれて四対四の戦闘訓練を行ってもらう」

 

「基礎訓練も無しに……?」

 

 同じクラスの蛙吹が若干心配そうに呟く。

 

「その基礎を知る為の訓練なのだよ。ただし、今回はぶっ壊せばオーケーなロボが相手じゃないのがミソだ」

 

 

「勝敗システムはどうなります?」

 

「相澤先生みたく除籍とかあるんでしょうか…?」

 

「このマントヤバくない?」

 

「おいおいせっかちすぎないか?全くA…「アンタも五月蠅い!」…ぐふぅ!」

 

 

「ハーハハハ!気持ちは分かるがちょっと落ち着いてね、今説明するから!」

 

 そうして皆が静かになるのを見計らって…オールマイトは説明を再開する。

 

「いいかい、状況設定はヴィラン側がアジトに核兵器を隠してヒーロー側がそれを処理しようとする状況だ!ヒーロー側は制限時間内にヴィランの捕まえるもしくは核兵器の回収をする。逆にヴィラン側は制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる事。チームはA・B組二名ずつの四人一組でチームを組んでもらう」

 

 設定アメリカンだな………まぁ、オールマイト自身、アメリカンヒーローみたいな見た目だし……

 

 

「ちなみに組み分けと対戦相手はクジで決める」

 

「適当で良いのですか!?」

 

「落ち着け飯田。プロヒーローは他事務所と急造でチームアップする事も多いし、そういう先を見据えた措置だろ」

 

「なるほど先を見据えた計らい。失礼しました!」

 

「いいよ。ただ、クジ引きをする前に知っての通りA組十九人、B組二十人の合計三十九人だから…一つだけ三人のチームになるし…クラスが偏るチームも出てしまうが、現場ではよくある事だ。それをマイナスに考えてはいけないぞ……それではいってみよー!」

 

 

 こうして、A組B組でクジを引いてチームが決まり結果は以下の通りになった訳だが……

 

 

Aチーム:剣 耳郎 拳藤 

 

Bチーム:轟 障子 黒色 物間

 

Cチーム:八百万 峰田 泡瀬 小森

 

Dチーム:飯田 麗日 取陰 円場 

 

Eチーム:芦戸 青山 吹出 骨抜

 

Fチーム:口田 砂籐 鱗 塩崎

 

Gチーム:上鳴 庄田 柳 宍田

 

Hチーム:蛙吹 常闇 小大 凡戸

 

Iチーム:尾白 葉隠 回原 鎌切

 

Jチーム:瀬呂 切島 鉄哲 角取

 

 

 

「剣……お前ぇぇ!何でお前だけ女子に囲まれてんだよ!?」

 

「イケメンだからか!?ふざけるなぁぁ!」

 

 

 俺以外女子と言うチーム分けに上鳴と峰田の恨みに近い抗議の声が上がる。クジの結果に文句言われてもどうしろと言うのだ……!

 

 しかし、二人と一緒か………縁があるな。

 

「よろしくな。耳郎、拳藤」

 

「うん、剣が居るなら心強い…………けど、ウチら三人か〜運がいいのか、悪いのか……」

 

「そう言うなよ。オールマイトの言う通りマイナスに考えずに全力でやればいいさ」

 

「ハーハハハ、拳藤少女の言う通り!不利な状況を覆してこそ、ヒーローさ!続いて、最初の対戦カードはこれだ! ヒーローがAチーム! 敵がJチームだ!」

 

 VILLAIN、HEROと書かれた黒と白の箱からそれぞれアルファベットが書かれたボールを引き抜き、掲げた。JとA。

 

「初っ端からか……Jは切島達のチームか」

 

「そうだぜ、剣!」

 

 俺の呟きに反応して切島が声をあげる。ガチガチに硬化した拳同士を打ち合わせて気合を入れて、不敵な笑みを浮かべている、ヤル気十分だな。

 

「全力でいくぜ!なぁ、鉄哲!!」

 

「おうよ!勝たせてもらうぜ!!」

 

 そう言って鉄哲も体を金属化させて気合十分……個性だけじゃなくて性格まで似てるなこの二人。

 

「それはこっちのセリフだ」

 

 とは言え……俺も勝ちを譲る積りはないがな。

 

 

「男の友情ッテ奴デスネー!!アツいネー!!」

 

「イイじゃん、こう言うの嫌いじゃないよ私!」

 

「そう?ウチはちょっと暑苦しいのは…………でも、剣もあんな顔するんだ」

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

1:名無しのゴッドイーター

 お、始まったな!

 

2:名無しの転生者ハンター

 4対4のチーム戦。勝敗は原作と変わらないが……

 

3:名無しのトマト

 てか、オールマイトがマトモに教師してますよ!?

 

4:グランドマスター

 あ~そう言えば言ってたな……あの自殺事件を心に刻んで必死に教育者の勉強してたって。

 

5:名無しのゴッドイーター

 あと……やっぱりコスチュームよく似合ってるな!

 

6:名無しの転生者ハンター

>>5 そりゃあ、自分で選んだモノだから……

 

7:名無しの鬼殺隊

 ………ちくしょう……九頭龍閃が掠りもしないってどう言う事だ。

 

8:グランドマスター

 ………ちくしょう……おっぱいタイツ師匠直伝のゲイボルクを受け止めるとか………お前人間じゃあねぇ!!

 

9:名無しのわんわんお

 ……ちくしょう……金雷公の攻撃喰らって少し焦げただけとか……ふざけるな!

 

10:名無しのゴッドイーター

 鍛え方が足らないんだよ……わんわんおの雷はディアウス・ピターよりは強かった。

 

11:ありふれた赤龍帝

 神喰ニキ……やっぱり人外www。と言うか、さっきの耳郎ちゃんの目………明らかにアレを恨んでましたね。

 

12:グランドマスター

 そうだね~メルトもリップやBBを偶にあんな目で見てるよ……

 

13:名無しの転生者ハンター

 ヤメロン!その話は悲劇を生む!……無駄話はここまでにして……そろそろ始まるぞ。

 

14:名無しのゴッドイーター

 イッチは耳郎と拳藤と同じ三人チームで……

 

15:赤目の主人公

 切島達のチームとか……人数的には不利だが……問題はないだろう。

 

16:名無しのトマト

 ウワー、建物の中テープだらけですよ〜

 

17:グランドマスター

 切島君側の瀬呂君の"個性"は肘からテープを放つ……時間稼ぎや相手の集中力を削ぐいい使い方だね。

 

18:名無しのライダー

 成程……耳郎ちゃん達も面倒って顔に出てる。

 

19:炎の剣士

 

「二人共、ちょっと下がってて………よっと!」

 

 

20:名無しのゴッドイーター

 ただ、イッチ相手には無意味だな……火炎剣烈火の斬撃で一掃されたな。

 

21:炎の剣士

 

「これでよし……耳郎お願い」

 

「オッケー!任せて!」

 

 

22:名無しのわんわんお

 耳郎ちゃんが耳のイヤホンジャックで索敵してる……こうして見ると索敵に関しては耳郎ちゃんは凄いね。

 

23:ありふれた赤龍帝

 オマケに可愛いし………ふむふむ、最上階に核兵器があって其処に二人、二階に二人居るって。

 

24:名無しのトマト

 普通に考えて、二階に居るのは切島君と鉄哲君かな?

 

25:名無しのライダー

 よくも悪くも真っ直ぐな二人だし……核兵器を気にせず暴れた方が良いからね。

 

26;赤目の主人公

 そうだな、核兵器がある部屋で乱闘できないしな……スレ主達も同じ考えのようだ……ん?イッチ何か思いついたみたいだな……

 

27:名無しのゴッドイーター

 あのライドブックは……!

 

28:名無しの転生者ハンター

 成程……考えたな!

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

「へへ、待ってだぜ剣!」

 

「やっぱり、切島と鉄哲か……」

 

 始まった戦闘訓練……耳郎の索敵で切島達の位置は分かった……二階に居るのはおそらく切島と鉄哲。流石に核兵器のある場所で乱闘はできない。ならば、リスクを考えずに敵を迎え撃つ方が二人にとって良いだろう。

 

「と、言うかよ…拳藤達はどうしたよ!」

 

 そう、この場に居るのは切島達と俺だけ……耳郎や拳藤は居ない。警戒するのは当然だな。

 

「それを言うわけ無いだろ……それに考える暇なんてすぐに無くしてやるよ!」

 

 

【聖剣ソードライバー!】

 

 ソードライバーにブレイブドラゴンを装填して火炎剣烈火を引き抜いた。

 

【烈火抜刀!!】

 

 

「変身!」

 

 

【ブレイブドラゴン〜♪】

 

【烈火一冊!】

 

 

【勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!】

 

 

 火炎剣烈火で十字に振るい斬撃が仮面になって俺の姿が右半身がブレイブドラゴンを模した鎧で覆われて、仮面ライダーセイバーへと変身する。

 

「さあ、お前等の拳と俺の聖剣……どっちが強いか勝負しようぜ!!」

 

「そりゃあいいぜ!俺も気になってたんだよ、剣ィィイ!!」

 

 俺の言葉が余程気に入ったのか鉄哲は全身金属化して拳を構えて飛び掛かる。俺もそれに合わせて火炎剣烈火を振るう。

 

         ガギィン!!

 

 

 鉄同士がぶつかった音が響き、鉄哲が吹き飛ばされる。

 

「俺も居る事忘れるなよ!」

 

「心配するな……忘れてねぇよ!」

 

 その隙に切島が拳を振るうがそれに反応して俺は火炎剣烈火を素早く振るう。

 

 

 

 

 

「「うおぉぉぉぉぉッ!!」」

 

 

 

 

 

 切島の一撃と俺の一閃がぶつかり合った。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 激しい攻防にモニタールームからは歓声が上がる。固定カメラでは見にくい箇所もあるが、それでも戦いは見所があり過ぎた。

 

 剣が振るう火炎剣烈火の一閃を切島の硬化した腕が受け止め、切島の拳を剣は火炎剣烈火の腹で受け止める。

 

 鉄哲も両腕を振るうが、なかなか剣には当たらず、カウンターを貰っている。それでも不敵な笑みを浮かべて喰らいつく。

 

 小細工無しの真っ向勝負は心熱くさせる熱気を、ぶつかり合う余波で生じる火花は、見る者を魅力させる美しさがあった。

 

「スゲー!初っぱなから飛ばすなアイツ等!!」

 

「男の真っ向勝負、負けんな切島ー!!」

 

 砂藤は手に汗握ってモニターに熱中し、芦戸は楽しげに切島を応援している。他のクラスメイトもモニターを熱心に見つめ、時にコンビや友達と議論を交わす。

 

「にしても、剣の奴スゲーな!切島と鉄哲の二人がかりの超近接なのに一歩も引いてねぇ!」

 

「それに剣を手足の様に使いこなしている………凄まじい技量だ」

 

 

 二人がかりの不利な状況でも一歩も引いてない剣の技量に上鳴と障子も感服している。

 

 

 

「………………」

 

 その中でA組の推薦入学者の一人である轟の視線は剣に………正確には剣が振るう火炎剣烈火の“炎”に向けられていた。

 

 

 

◆◆◆◆

 

29:炎の剣士

 

「ハァァァァ!」

 

「うおおおお!」

 

 

30:名無しの転生者ハンター

 拮抗しているな……

 

31:グランドマスター

 切島君と鉄哲君はどっちも近接特化の子だからね…剣撃ではなかなか決まらないか……

 

32:名無しのゴッドイーター

 イッチもその事に気がついてきたな………

 

33:炎の剣士

 

「剣じゃ決め手にならないか……だったら!」

 

 

34:ありふれた赤龍帝

 お、炎重視でいった!

 

35:名無しのトマト

 やったか!

 

36:名無しのライダー

>>35 おいバカ!フラグ!

 

37:炎の剣士

 

「効かねぇぞ!!」

 

「なっ!?」

 

 

38:赤目の主人公

 炎を突き破って鉄哲の拳がイッチを吹き飛ばした!

 

39:名無しのゴッドイーター

 おい……トマト。

 

40:名無しのトマト

 ………………テヘペロ!

 

41:名無しの転生者ハンター

 やってる場合か!……鉄哲は全身を鉄に変化させるからな。熱は効果的ではない………今はまだ入学したてだから火力を上げれば……いけると思うが………

 

42:グランドマスター

 鉄哲君の性格からみて数分は耐えられるね。それで建物内の温度が上がれば耳郎ちゃん達も危険だ。

 

43:名無しのわんわんお

 剣も炎も効果がないなら!

 

44:赤目の主人公

 ライドブックだな!

 

45:ありふれた赤龍帝

 見てください!イッチが取り出したのは【ニードルヘッジホッグ】と【ピーターファンタジスタ】です!

 

46:名無しのライダー

 と言う事は!!

 

47:名無しのゴッドイーター

 くるぜ……三冊!!

 

 

◆◆◆◆

 

「シャァ!どうだ剣!俺に炎は効かねぇぞ!!」

 

 イテテ……モロに喰らったな。まさか炎を突き破ってくるとは……

 

「…………成程、剣も決定打にはならないし炎も効果がない……か」

 

「俺は流石に効かないって訳じゃないけど……やられはしねぇぜ!!」

 

 切島もまだまだやれる……このままじゃいつか押されるな。

 

「入試の話やこの前の個性テストで知ってんだぜ!これだけじゃねぇって!」

 

 ドラゴンジャッ君の事か………全く、ホントに熱い奴だな……そんな期待の眼差し向けられたら……応えたくなるだろ!

 

「心配するな………こっから本番、出血大サービスだ!」

 

 そうして俺は黄色と青の2冊のワンダーライドブックを起動した。

 

【ニードルヘッジホッグ!】

 

【ピーターファンタジスタ!】

 

 

【この弱肉強食の大自然で幾千もの針を纏い生き抜く獣がいる…。】

 

【とある大人にならない少年が繰り広げる夢と希望のストーリー…。】

 

ブレイブドラゴンのページを綴じ、ニードルヘッジホッグを真ん中のスロットに、ピーターファンタジスタを左側のスロットに嵌めて火炎剣烈火をドライバーから引き抜いた。

 

 開かれた三冊のワンダーライドブックの絵柄は重なり合い、“本来の姿”とは違う未知なる姿を現す。

 

 

 

 

【烈火抜刀!三冊の本が重なりし時、聖なる剣に〜力がみなぎる〜!】

 

 

 

 俺の後ろにニードルヘッジホッグとピーターファンタジスタのワンダーライドブックが現れ、そこから黄色の無数の棘と緑に輝く妖精が現れる。

 

 

【ワンダーライダー!!】

 

 無数の棘は俺の周りを旋回しながら光となって胸部にハリネズミを印象付ける鎧に変化、妖精は俺の左腕に溶け込み青く輝く鎧となる。

 

 

【ドラゴン!ヘッジホッグ!ピーターパン!三属性の力を宿した、強靭な剣がここに降臨!!】

 

 

 

 三冊のワンダーライドブックを使用して誕生した【仮面ライダーセイバー ドラゴンヘッジホッグピーター】。本来の三冊とは違った、セイバーの亜種形態だが、破格の強さを持っている。

 

「さぁ……第二ラウンドだ!」

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 ドラゴンヘッジホッグピーターへとフォームチェンジした剣……セイバーの新たな姿にモニタールームではこれまで以上の歓声が湧き上がる。

 

「剣の奴また姿を変えやがった!」

 

「スッゲーマジで芸達者だな!」

 

 個性把握テストでも様々な力を使って総合一位を取った……確かに芸達者と言わざるをえない。

 

「剣君……入試の時の緑の姿じゃないのか」

 

「赤、黄、青……てんこ盛りや」

 

 入試の時に見たドラゴンジャッ君とはまた違った姿に飯田と麗日も驚きを隠せない。

 

「……………三冊」

 

 そんな時に不意に轟が呟いた言葉が全員の耳に届く。

 

「三冊?剣のあの姿の事か?」

 

「ああ…剣はこれまで一冊……もしくは二冊使って姿を変えていた………だが、今回は三冊の本を使っている」

 

 

 轟の言葉に成程と声を出す。確かに剣は赤い本に黄色と青の本を追加して変身していた。

 

「ん、て事は剣は今三つの力を使ってるって事だろ!?マジヤベーじゃん!メチャ強マンじゃん!!」

 

 上鳴の叫びがモニタールームに響く。三つの特殊な力を使える……それ事を認識した彼等はモニターに映る剣に注目する。その力を知る為に……

 

 

◆◆◆◆

 

 

「面白れぇ………面白れぇぞ!剣ぃぃぃ!!」

 

 ドラゴンヘッジホッグピーターを見て闘争心か更に燃えた鉄哲が笑みを浮かべて拳を振るう。それを避けると共に左腕のフックを腕に引っ掛けてバランスを崩して後ろ回し蹴りで蹴り飛ばす。

 

「ぐぅ!?」

 

 壁に叩きつけられる鉄哲。ドラゴンヘッジホッグピーターになってスペックも上昇している。流石に効いただろう。

 

「鉄哲!?うおおおおお!!」

 

 明らかに状況が傾いた事を感じ取った切島が雄叫びを上げて飛び出す。

 

「真っ直ぐ過ぎるのもよくないぜ!」

 

「っ!?」

 

 胸部装甲の【ヘッジホッグブレス】から無数の針を飛ばす。硬化した切島の身体に突き刺さりはしないがそれでもダメージは通る。両腕をクロスして防いではいるが数の暴力で押されている。

 

 

『聞こえる剣!』

 

 その時通信機から拳藤の声が聞こえる……焦った声じゃない……つまり!

 

「成功したんだな」

 

『ああ、奇襲成功!完全にコッチのペースだ!!このまま一気にケリをつける!』

 

 見れば鉄哲と切島に焦りの表情が出ている。声は聞こえはしなかったが……拳藤達の奇襲を伝える通信だろう。

 

「ど、どういうこった!?上に行く道は此処しかねぇ筈だ!?」

 

 確かに鉄哲の言う通り上の階に行く階段は此処しかない。だけど、階段を使わずとも行く方法はある。

 

「いわゆるショートカットってやつだ!」

 

 

◆◆◆◆

 

 

 最上階で核兵器を守っていた瀬呂と角取は追いつめられていた。無論彼等とて油断しては訳ではないのだが……

 

「ヘイ!一佳!どうして窓からいきなり現れたんデスカ!?此処最上階デース!?」

 

「悪いけど……教えられないよポニー!」

 

 

 角取が飛ばす角を大拳で叩き落としながら距離を詰める拳藤。

 

「そう言う事……悪いけどこのまま勝たせてもらうよ!」

 

「くそ……当たんねぇ!」

 

 耳郎は瀬呂を相手しており、瀬呂が放つテープを躱す。一方で瀬呂の動きは何処かぎこちない。

 

(クソ…!奇襲と同時に爆音ぶつけやがって…!…頭が回んねぇ!)

 

 窓から奇襲を仕掛けると同時に耳郎はコスチュームのブーツに内蔵されたスピーカーにイヤホンジャックを突き刺し増幅された心音の爆音をぶつけたのだ。

 

 それをモロに喰らった瀬呂の動きは鈍くなっており十分対処できる。

 

 では何故耳郎と拳藤は最上階にも関わらず窓から奇襲を仕掛けてきたのか……答えは単純、中からではなく外から登って来たのだ。とは言え蛙が個性の蛙吹の様に壁に張り付ける訳でもない二人では普通は不可能。

 

(まさか剣が生やした木を登って最上階までショートカットするなんて普通思わないよな……)

 

 内心苦笑いの拳藤……そう、剣が【ジャッ君と土豆の木】を使って生やした豆の木を登って二人は最上階までショートカットしたのだ。

 

 剣が切島と鉄哲を抑えている間に二人が豆の木を登って最上階までショートカットして核兵器を回収する……これが剣達が立てた作戦だったのだ。

 

 

◆◆◆◆

 

「クソ!急いで戻らねぇと!」

 

「確かにその通りだけど……余所見は厳禁だぜ!」

 

「避けろ鉄哲!」

 

「つ!?」

 

 鉄哲は階段を振り返るが、その一瞬を逃したりしない!左腕から伸ばしたキャプチャーフックが鉄哲を捉えて俺の射程に引きずり込む。

 

【ニードルヘッジホッグ!】

 

 ドライバーのニードルヘッジホッグを押し込み……火炎剣烈火を振るうと炎に包まれた無数の針が鉄哲に襲いかかり命中すると同時に爆発する。

 

 爆煙が収まると同時に落下する鉄哲、うつ伏せに床に倒れ……そして起き上がることはなかった。

 

 

「鉄哲!?」

 

「残るはお前だけ………投降するか?」

 

 一応、投降を促すが………切島がそんな奴じゃない事は百も承知だ。

 

 

「…………分かってて言ってるよな」

 

「………まぁね………で、どうする?」

 

 

 そう言うと笑みを浮かべる切島……その目は更に闘志で燃えていた。

 

「勿論……俺は最後まで諦めねぇ!!」

 

「そう言うと思ったぜ!!」

 

 

 俺と切島が駆け出したのはほぼ同時、切島は硬化最大限まで高めて拳を握り、俺は火炎剣烈火をドライバーに戻し、トリガーを二回引いた。

 

 

【ドラゴン!ヘッジホッグ!ピーターパン!三冊撃!ファ・ファ・ファ・ファイヤー!!】

 

 俺の右手にドラゴン、ヘッジホッグ、ピーターパンの三冊分のエネルギーが収束し、輝く炎となって右手に宿る。

 

 

「即席必殺!烈怒頑斗裂屠(レッドガントレット)!!」

 

 

火龍怒髪天(ひりゅうどはつてん)!!」

 

 

 

 酷く鈍く生々しい、重々しい音が周囲に木霊した。俺の放ったライダーパンチが切島の左頬に、切島の左拳が俺の右頬に深々と拳が突き刺さっていた。一秒が一分に感じる程の静寂………それは唐突に破られた。

 

「………………ヘヘ……やっぱ強ぇな剣……」

 

 そんな言葉を呟きながら切島が倒れ伏す。起き上がってくる気配はない……気絶している。

 

 

「………それはコッチの台詞だ」

 

 

 仮面の下……口から流れる血を感じながら俺は呟いた。

 

 

『屋内対人戦闘訓練、ヒーローチームWIN!』

 

 

 それと同時にオールマイトの放送が流れる。どうやら拳藤達が核兵器を回収してくれたのだろう。

 

 

 こうして戦闘訓練の初戦は俺達の勝利で幕を閉じた。

 

 

END

 




 戦闘訓練の相手は切島君。
 私、ヒロアカの男性キャラでは切島君が一番好きです!なのでこのssでの強化対象の一人になっています。(どの様な強化かは察しがついてる方も居ると思いますが……)

 そしてドラゴンヘッジホッグピーターの登場です。今回のタイトルはキバ第十八話「カルテット、心の声を聴け」のオマージュ……キバのドガバキフォームが登場した話でどちらもてんこ盛りフォームなので関連付けました。

 出番こそ少ないモノの好きな形態ではあるのでまた登場させます。

 あと、戦闘訓練の話はもう少し、続くのじゃ!


 

・剣聖火

 そう言えば、聖火の容姿を伝えてなかった気がするので補足しますね。聖火の容姿は髪を真っ赤に染めた以外は絶賛大人気の神アニメ【ダイナゼノン】の主人公である麻中 蓬君です。ですのでCVは榎木淳弥さんのイメージです。

 なんとなく聖火のイメージにピッタリだったので、兄貴分がいる所とか……CV鈴木健一さんが味方にいますし……

 そしてコスチュームは本文の通り、神薙ユウの色違い。背中のマークはフェンリルではなくセイバーのマークですが……

 イラストで紹介したいですが………私の作画スキルは壊滅的なので……お許しください。


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どうして彼は炎に対して敵意を向けるのか

 
 今回はドライブ風……

 このssの戦闘訓練回は少し長いのじゃ!
 そしてお気に入り登録が3000人を突破!本当にありがとうございます!

 それではどうぞ!


「さぁ、AチームvsJチームの講評の時間だ! 皆の忌憚の無い意見を聞かせてくれ!」

 

 

 モニタールームに移動した俺達を迎えたオールマイトが、俺達の戦いを見ていたクラスメート達に意見を求める。

 

「はい、オールマイト先生!」

 

「うむ! 八百万少女!」

 

 

 真っ先に手を挙げた八百万が立ち上がり、咳払いをしてから自分の意見を述べ始めた。

 

 

「では、僭越ながら…まず耳郎さん。潜入と同時に探査を行い、切島さんと鉄哲さん、核兵器の場所を探知して情報のアドバンテージを稼いでいました。ヴィラン側の瀬呂さんも剣さんにすぐに処理されていましたが……時間稼ぎの案として上手くテープを活用していました。剣さんは最初から三人で掛かれば無傷で捕らえることも可能だったかもしれませんが……敢えて敵の意表を突く形で二人をショートカットさせて、自身は悟られないように立ち合いながら足止め、作戦が成功し動揺した鉄哲さん達の隙を逃さず一気に勝負を決めた事……以上の点が評価できますわ」

 

「その通りだ八百万少女。付け加えるとするなら瀬呂少年と角取少女は建物内に意識を向け過ぎだったね。確かに剣少年が木を生やしてショートカットの道を作るなんて考えづらいかもしれないが、窓からの侵入は十分に予測できる事だ………後続の皆もこの事を頭に入れて訓練に臨んでくれ! それでは! 第2試合の組み合わせを発表しよう!」

 

 講評が終わりオールマイトがくじを引き、第2試合の組み合わせが発表された。

 

「ヒーローがBチーム! ヴィランがIチームだ!」

 

 

 第一試合から迫力の戦いが始まった事もあり皆からは「負けてられない」、「自分も」と、闘志を感じていた。

 

 

 

 そうして始まった第2試合だったが……

 

 

「すげぇ!!」

 

 

 モニタールームで見ていた砂藤が思わず口を開く。最も少し寒そうにだが……。

 

 モニターには氷に包まれたビル……推薦入学者である轟によって一瞬で凍ってしまったのだ。

 

「…………たいした奴だな。仲間を巻き込まず、核兵器にもダメージを与えず、尚且つ敵も弱体化するなんて」

 

 火炎剣烈火を暖房代わりにして寒さを意識しないように轟の行動を評価する。

 

「剣…ウチ等も当たっていい?」

 

「あんまり近づき過ぎると燃え移るから気をつけろよ」

 

 俺の周りに集まる皆。さぁ、観戦を続けよう。

 

「……うー温かい………それにしても流石推薦入学者だね………剣の三冊とどっちが強いの?」

 

「私等見てなかったけどメッチャ強かったって皆言ってたぞ」

 

「三冊って……ドラゴンヘッジホッグピーターの事か?」

 

「「…………………」」

 

 拳藤、耳郎の視線が痛い………言いたい事は分かる。名前が長いって言いたいんだろ……でも、こう言う名前なんだ……

 

「……信号機」

 

「おい耳郎、今何て言った?」

 

 

 因みに二戦目が終わって帰ってきた轟達だが、轟と同じチームだった物間が一瞬で終わらせた轟に文句やら嫌味をしてきたが、拳藤の手刀が首に炸裂して再び気絶した。

 

 その後、問題行動もなく事は進み……全ての戦闘訓練が終了した。

 

 

「みんな初めてにしては上出来だったぜ! 今日はここまで皆教室へお戻り! ……と、言いたいが……予定より早く終わってしまってね…………なので! 特別試合を提案する!!」

 

 

 これで今日の授業が終わると思っていた俺達は驚きを隠せず、そんな俺達に笑みを浮かべるオールマイト。

 

 

「授業の付け足しも私達、教師の自由!! 内容は特にルールもなく市街地での戦闘。誰か要望はあるかい?」

 

「なら、剣と戦わせてください」

 

 

 オールマイトにそう志願したのは第二試合で圧倒的な強さを見せた轟だ。指名したのは俺……耳郎達も言っていたが、俺とどっちが強いか議論する声もチラホラあった。推薦入学者と入試主席の戦い……最高のカードに皆のテンションも上がってる。

 

「うむ! 剣少年、どうだろう?」

 

「俺は大丈夫ですよ」

 

 第一戦の傷も癒えたし……断る理由もない。俺自身、轟と戦ってみたい気持ちはあったから丁度いい!

 

「うむ!では二人共、急いで準備してくれ。モニタールー厶の皆も瞬き厳禁だぜ!」

 

 さて、推薦入学者が相手……一筋縄ではいかないな。

 

 

 対戦場所である市街地エリアに向かう俺達……時間が余っていると言ってもゆっくりはしていられない。

 

「………悪かったな。終わりだって時にお前を選んで」

 

 移動の途中…轟が話しかけてきた。特別試合で俺を選んだ事を言ってるのか?

 

「気にしなくていいよ。一戦目の傷は癒えてるし」

 

「………そうか」

 

 ん~~なんだろ?轟が俺を見る目が他と違う様な……ライバル視?……でも、切島の時は何処か違う……。

 

 

 そうこう考えている内に市街地エリアに到着。お互いに納得する位置に付き、俺はソードライバーにブレイブドラゴンを装填して準備オッケー。

 

 両者の準備が整ったと判断したオールマイトの通信が流れる。

 

 

『それでは特別試合……スタート!!』

 

 

【烈火抜刀!!】

 

「変身!」

 

【ブレイブドラゴン〜♫】

 

 試合開始の合図と共に轟は右足より冷気を放出するノーモーションの氷結を放ち、俺が放った炎の斬撃とぶつかり合う……やがて斬撃が氷を打ち破って帰ってきて仮面となり、鎧が纏われる。

 

【烈火一冊! 勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!】

 

 仮面ライダーセイバーに変身した俺と相対する轟、こうして向かい合うとより一層、俺を見る轟の目が他と違う事が分かる。

 

「……行くぞ!」

 

「ああ!」

 

 

 考えても仕方ない……轟が放つ氷に俺は火炎剣烈火を振るった。

 

◆◆◆◆

 

 

48:名無しのゴッドイーター

 切島達との戦いを無事に勝利で納めてこれで終わりだと思っていたが……そんな事はなかったな。

 

49:名無しの転生者ハンター

 特別試合か……相手は轟。

 

50:赤目の主人公

 …………轟君がイッチを選んだ理由って……

 

51:名無しのライダー

 十中八九、父親であるエンデヴァーとイッチを重ねてますね。

 

52:グランドマスター

 そうだね……今の彼、アヴェンジャーみたいな目でイッチ見てるもん。

 

53:炎の剣士

 

「ハァっ!」

 

「チッ」

 

 

54:ありふれた赤龍帝

 今のところ、氷と炎がぶつかり合って拮抗している状態ですね。

 

55:名無しのわんわんお

 でも時間もないし、このままじゃ勝負はつかない事は両者も理解している。

 

56:炎の剣士

 

「…………なぁ、左の炎は使わないのか?」

 

「……あ?」

 

 

57:名無しのライダー

 轟君の顔怖っ!

 

58:名無しのわんわんお

 イッチ……遂に聞いちゃったか……

 

59:炎の剣士

 

「?……いや、第2試合の時に自分で出した氷を、炎で溶かしてたから………氷だけじゃないんだろ?」

 

 

 

60:名無しの鬼殺隊

 まぁ、確かに轟の事情を知らない奴にとって不思議に思うのは当然だな。

 

61:ありふれた赤龍帝

 轟君、親の仇かって目で睨んでますよ……

 

62:赤目の主人公

 親の仇って……まぁ、あながち間違いでもないか……

 

63:炎の剣士

 

「黙れ、俺は戦闘で左の炎は使わねぇ。右だけで“お前等”を倒す!」

 

「?…そうか、ごめん。変な事聞いて」

 

 

64:グランドマスター

 あ、イッチ謝った。

 

65:名無しの転生者ハンター

 触れちゃいけない何かを察したんだろう。

 

66:名無しの鬼殺隊

 てか、お前等って完全にターゲットにされたなイッチ。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

「黙れ、俺は戦闘で左の炎は使わねぇ。右だけで“お前等”を倒す!」

 

 明らかに俺を見る目が変わった轟……迫りくる氷も勢いを増した。

 

 轟が右に氷を……左に炎を宿している事はなんとなく理解できていたが……轟は戦闘では氷しか使っていない。

 

 その事を聞いたら、無表情から一変して、轟はギロリと親の仇かと思う程の視線で俺を睨み付ける。

 

「?…そうか、ごめん。変な事聞いて」

 

 誰だって言われたくない事が沢山あるし……聞いた俺が悪いし……素直に謝るべきか……。

 

 さて……このまま行くと時間切れで終わっちゃう。轟はノーモーションで氷を放ってくる。その範囲もかなり広いし……このままじゃ攻めきれない。

 

 ドラゴンヘッジホッグピーターならゴリ押しできるかもしれないけど………ここは確実にいくか!

 

「残り時間も少ないし……一気にいくぜ!」

 

 

【ストームイーグル!】

 

 

 俺が取り出したのはブレイブドラゴンと同じ二冊目の赤いワンダーライドブック【ストームイーグル】。

 

 

【この大鷲が現れし時、猛烈な竜巻が起こると言い伝えられている!】

 

 ストームイーグルはヘッジホッグと同じく動物枠だから真ん中のスロットにセット。ブレイブドラゴンのページを綴じ、火炎剣烈火をドライバーから引き抜いた。

 

【烈火抜刀!!】

 

 

 

 二冊のライドブックのページが開かれ、絵柄が繋がり、セイバーの新たな姿が現れ、胸部に大鷲の頭部を模した鎧が纏われる。

 

 

【竜巻〜ドラゴンイーグル〜♫】

 

【烈火二冊! 荒ぶる空の翼龍が獄炎を纏い、あらゆるものを焼き尽くす!】

 

 

 ドラゴンヘッジホッグピーターの様な亜種とは違うセイバーの本来の赤のワンダーコンボ二冊【仮面ライダーセイバー ドラゴンイーグル】。

 

「また違う姿……切島の時の三冊じゃなくていいのか?」

 

「ああ……お前と戦うならこれが一番いい」

 

 ドラゴンヘッジホッグピーターと戦うつもりだったのだろうが……轟と戦うならドラゴンイーグルが一番いい。

 

「そうか………それでも俺が勝つ!」

 

 轟が放つ無数の氷柱……細かくインターバルを挟みながら立て続けに放っており……火炎剣烈火での相殺を追いつかせない策だろう。

 

 だが……このドラゴンイーグルなら対処は容易い。

 

「ハッ!」

 

 俺の背部から飛翔する力を与える翼「バーミリオンウイング」が展開され一気に上昇する事で回避する。

 

「お前……空も飛べるのかよ!」

 

「荒ぶる翼龍だからね……悪いが勝たせてもらう!」

 

「そうはいかねぇ!!」

 

 

 火炎剣烈火を構えて轟に突撃する。轟も俺を撃ち落とそうと氷柱の群を俺に差し向けるが機動力が格段に上がったドラゴンイーグルには当らない。

 

「クソ……当たらねぇ……なら!」

 

 轟の周囲からかつてない程の冷気が放たれる。成程、回避できない程の氷結を生み出す気か……残り時間も後僅か……ここは引かずに勝負に出る!

 

 火炎剣烈火をドライバーに戻し、トリガーを一回引いてから抜刀する。

 

 

【必殺読破! ドラゴン! イーグル! 二冊斬り! ファ・ファ・ファイヤー!】

 

 

 轟が放った巨大な"氷山"……確かにこれを回避するのは厳しい……だから正面から迎え撃つ!

 

 

火炎竜巻斬(かえんたつまきざん)!!」

 

 

 火炎剣烈火にこれまで以上の炎が宿り……一気に振り下ろす!火炎剣烈火から放たれたのは斬撃ではなく、竜巻。獄炎を纏いし竜巻が轟が放った氷山に激突する。

 

 ぶつかり合った瞬間、水蒸気による大爆発が起こり俺達を包み込んだ。

 

 

◆◆◆◆

 

 

 凄い………!

 

 

 耳郎はモニターに映る戦いに魅入っていた。

 

 

 唐突に始まった特別試合……仮面の剣士……じゃなくて仮面ライダーの聖火と推薦入学者の中でも頭一つ飛び抜けていて、あのNo.2ヒーロー・エンデヴァーの息子である轟の戦い。

 

 

 氷と炎のぶつかり合いは凄まじいの一言だった……どちらも一歩も引かずにぶつかり合う姿に誰もが目を奪われ呆気に取られていた。

 

(でもこのままじゃ時間切れで引き分けになっちゃう)

 

 誰もがその事を感じ取っていたその時だった。ドラゴンイーグルにフォームチェンジした事で状況が一転する。

 

「剣のヤツ空も飛べるのか!?」

 

 

 拳藤の言う通り、空を自在に飛ぶ聖火の機動力に轟の氷結が追いつかない。

 

 

火炎竜巻斬(かえんたつまきざん)!!』

 

 

 そして遂に決着の時が来た。轟が放った氷山と聖火が放った獄炎の竜巻がぶつかり合い、水蒸気爆発が辺りを吹き飛ばした。

 

「どうなった!?」

 

「クソ…! 水蒸気で二人の姿が見えねぇ!」

 

 

 水蒸気が二人を包み込み状況が分からない……どうなったのか……勝負はついたのか……。

 

「しかし……ビルを一瞬で凍らせた轟君の氷と剣君の炎の聖剣の戦いがココまで凄いとは……」

 

「まさに頂上決戦……」

 

「は、はは…こ、こんな状況を容易く作るなんて…ほ、ホントにA組は…怖いな」

 

「声裏返ってるぞ物間」

 

 二人の戦いに戦慄する飯田と常闇……物間も二人の凄さにいつもの嫌味が裏返ってる。

 

 その時だ、水蒸気を何かが突き破った……段々と水蒸気の白い煙が剥がれてきその姿が露になる。

 

 それが何なのか分かった瞬間、耳郎と拳藤は同時に叫んだ。

 

「「剣!」」

 

 

 そう、竜の鎧に鷲の翼を持つ炎の剣士………仮面ライダーセイバー(剣聖火)が現れる。

 

『クソ…!放せぇ!』

 

 そして左手で轟の顔を鷲掴みにしながら地面すれすれで飛ぶ。轟は凄まじいGを感じつつも聖火を凍らせようとするが……

 

『ああ……いま離すよ!』

 

『ッ!』

 

 それより早く聖火が轟を投げ飛ばす。目まぐるしい状況でも氷で上手く受け流し、聖火を撃退しようとする。

 

『クソ…! まだ、終わりじゃ『いいや…!』……ッ!?』

 

 

 高速で投げ飛ばされても氷を生み出してGを軽減して受け流し、瞬時に反撃する轟の技量は凄まじいが……

 

『これで話は終わりだ』

 

 聖火の方が速かった……既に轟の首筋に火炎剣烈火を添えており……勝敗は明らかだった。

 

 

 

『勝者!!――剣少年!!!』

 

 

 こうして今度こそ戦闘訓練の幕が閉じた。

 

◆◆◆◆

 

67:名無しのトマト

 今日はフォームチェンジ祭りでしたね。

 

68:名無しのライダー

 3冊にワンダーコンボ……上手く使いこなしてたな。

 

69:炎の剣士

 ありがとうございます。

 

70:名無しのゴッドイーター

 お、イッチ。授業は終わったのか?

 

71:炎の剣士

 はい……今、終わって教室に戻ってる所です。

 

72:名無しの転生者ハンター

 そうか……身体に負担はないか?

 

73:炎の剣士

 特にないですよ。

 

74:グランドマスター

 そっか~ライドブックにも慣れてきたね。

 

75:ありふれた赤龍帝

 てか、さっきのエスパーダの決め台詞ですね!

 

76:炎の剣士

 洒落てるでしょ!

 

「おーい剣! 放課後は皆で訓練の反省会しねぇか?」

 

「オッケー。すぐ行く!」

 

 それじゃあ俺はココで!

 

 

77:名無しのゴッドイーター

 おう!

 

78:名無しの転生者ハンター

 さて…戦闘訓練を終えて次は……委員長決めと……

 

79:グランドマスター

 USJ編…だね。

 

 

◆◆◆◆

 

 

 時間は授業も終わり下校時間。

 

 しかし、俺達は帰る事はせずにA組B組の親睦会も兼ねて今回の戦闘訓練の反省会をしていた。

 

 

「剣、ほんと強ぇな! あの轟に勝つなんてよぉ!!」

 

「うんうん凄かった! 何が起こったか分からなかったよ!」

 

「マジでそれな! プロ顔負けのバトルだったよな。だけど、やっぱり轟もスゲーよ、エンデヴァーの子供って噂はガチっぽいな」

 

 

 切島と芦戸の言葉に上鳴が続いてそう言った。轟がエンデヴァーの息子と言う噂はクラス内でも結構広がっているようで、他にも頷いている者も多い。だが、その会話に轟のコンビであった障子が注意を促す。

 

「その話題は本人に振らない方がいいだろう。物間が轟に絡んでいた時にその話題を出していたんだが……それに対しての轟の反応はエンデヴァーをまるで嫌悪しているようだった」

 

「……そうなのか?」

 

 それを聞いた拳藤が物間に視線を向ける。既に姉御ポジションを確立している拳藤の視線に流石の物間も苦虫を噛み潰したように視線を逸らしながら首を縦に振る。

 

「…はぁ~~、物間……私達はライバルであって敵じゃないんだ」

 

「…………分かってる」

 

 

 物間は拳藤に任せておけば大丈夫だろう。とにかく轟にエンデヴァーの話題は厳禁と言う事が暗黙のルールとなった。

 

「しかし……鉄哲の時の三冊も凄かったが轟の時の姿も凄かったよな」

 

「まさに大空の王者」

 

「入試の時も緑の姿にもなったし……色んな姿に変身するなんて……どんな個性なん!」

 

「それには僕も興味がある! 君がよく使う小さな本は何なんだ?」

 

 ドラゴンジャッ君、ドラゴンヘッジホッグピーター、ドラゴンイーグル……様々な姿に変身した俺の個性を知ろうとグイグイと物理的に押し寄せてくる皆………まぁ、当然の反応だよな。

 

「分かった、分かった。話すから落ち着け」

 

 苦笑いを浮かべて両手を頭上に上げ、降参の姿勢を取った。話すと言っても流石に別世界の仮面ライダーの事は話せない。なので、この世界で登録されている“個性”として話す。

 

 

「俺の個性……名前は物語(フィクション)だ」

 

 

物語(フィクション)?』

 

 

 ハテナを浮かべる皆の前でストームイーグルとピーターファンタジスタのライドブックを取り出す。

 

「そ、一度読んだ本の力が宿ったライドブックを作れるんだ。このストームイーグルは鳥の図鑑を読んで、ピーターファンタジスタはピーターパンを読んで………って感じで作ったんだ」

 

「成程ねー、戦闘訓練の時のでけー豆の木はジャックと豆の木の力って事か……」

 

「ホント、ビルの横にビックなツリーがあったんですヨー! ビックリデスー!」

 

 戦闘訓練が終わってビルから出てみれば窓から見えない位置に巨大な豆の木が生えてた事に驚いた時の事を思い出した瀬呂と角取が苦笑いをする。

 

「ウサギとカメを読んで…爆走うさぎとかめ。一寸法師を読んで一寸武士………なんか元ネタからかけ離れてないか?」

 

「マジじゃん! 月の姫かぐやんって……オタサーの姫にでもなったの」

 

「キリンの恩返しって何だよ!?」

 

「絵本でも図鑑でも良いと言う事は……読む度に強くなると言う事ですか」

 

「て事はエロほ…「やった事ないけど心臓破裂させてもいいかな?」……ひいっ!」

 

 

 元ネタと何かが違う事にツッコむB組の骨抜と取陰。キリンの恩返しと言うパワーワードに困惑する上鳴。物語(フィクション)について考えを巡らせる八百万。皆それぞれの反応を示していた。………耳郎に心音ぶつけられている峰田なんて知らないが……試して…「剣、今変な事考えてなかった?」……そんな訳ないだろう拳藤……。

 

  

 そんな時、ふと窓から見える景色に目を向ける。そこには丁度、正門を潜って帰路につく轟の姿があった。この反省会に轟は唯一参加せずに帰っていった。

 

 轟は父親を……エンデヴァーを嫌っている。もしかしたら轟は俺をエンデヴァーと重ねていたのか……。

 

 真実は分からないが……徐々に小さくなる轟の後ろ姿が俺は少し……寂しく見えた。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 ここはどこかのバー。椅子に座っている男が置いた新聞の一面にはオールマイトが雄英高校の教師になった記事が載っていた。

 

「見たかこれ? 教師だってさ…。なぁどう思う? 平和の象徴が………ヴィランに殺されたらさ」

 

 

 真に賢しい悪意の恐怖が……迫っていた。

 

 

END

 




 

 聖火の個性名は物語(フィクション)……まぁ、名前だけの設定なんで……表向きはこう言う感じで通ってるんだ。と、思ってればいいです。


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委員長決定!

 今週のセイバーも最高でした!

 ど迫力な戦闘……次回は遂にエスパーダも復活しますし楽しみです!


 初の戦闘訓練の翌日。

 途中で合流した耳郎と拳藤と登校してると校門前になにやらカメラやマイクを構えた集団が待ち構えていた。

 

「なにアレ?マスコミ?」

 

「昨日はなんもなかったのに?」

 

「……やっぱり食いつくよな」

 

 昨日の新聞でオールマイトが雄英高校の教師やってるのが世間にバレた。まぁ、流石に俺との関係はバレてないが……

 

 平和の象徴が雄英高校の教師となった事は日本全国に波紋と衝撃を与え大きな話題となっている。No.1ヒーローがどんな授業をするのか誰もが気になるしオールマイトのコメントを取ろうと必死になっている。

 

「うわぁ~生徒でもお構いなしに質問攻めしてるよ…」

 

「……行きたくねぇ」

 

「ああ……剣はヘドロ事件で有名だからな」

 

 だけどこのままじゃ遅刻するし……気は進まないが行くしかないか……校門に近づく。

 

 すると、案の定マスコミ達も俺達に気づく。

 

「おい、あの子は!?」

 

「例の仮面の剣士!」

 

「オールマイトの授業について一言!?」

 

 俺達のことに気づいたマスコミ達は鼻息荒く詰め寄って来る。不躾に向けられるマイクやカメラのフラッシュ、記者の質問をかわしながら何とか雄英の敷地内に滑り込む。

 

「うわぁぁぁ! 何だぁ!?」

 

 背後から悲鳴が聞こえ、振り返ると鉄のバリケードが門を閉ざしているのが見えた。関係者とそれ以外を瞬時に判別してシャットアウト……

 

「やっぱりハイテクだなー」

 

 

 そんな事を考えながら俺達はそれぞれのクラスに入り席に付く……暫くしてチャイムが鳴った。

 

 

「おはよう。先日の対人戦闘訓練はVTRで見せてもらった。お疲れ」

 

 HRの時間、相澤先生はいつもの小汚い恰好と無精髭の姿で現れた。

 

「さてと、本題のホームルームだ。急で悪いが今日はお前らに——」

 

 1-Aの生徒は全員直ぐに身構えた。また除籍処分のペナルティーがついた抜き打ちテストなのではないか、と。

 

「学級委員長を決めてもらう」 

 

『学校っぽいのきたぁあああああああああああっ!?』

 

 クラス内は一気にヒートアップ。

 

 ほぼ全員が委員長になりたいと手を上げた。普通の高校なら他の誰かに押し付ける役割。

 

 だがここヒーロー科では、集団を纏めなきゃならんトップヒーローの基礎を鍛えられる重要な役職となる。そうである以上、手を上げない理由は無い。

 

 上げてないのは、俺と轟くらいか。

 

「委員長!!やりたいですそれ俺!」

 

「オイラのマニフェストはスカート膝上30cm!!」

 

「僕のためにあるヤツ☆」

 

「リーダー!!やるやる!!」

 

 やる気満々の生徒達はこぞって手を上げる。

 

 

「静粛にしたまえ!!」

 

 そんな中、飯田が大声を上げる。

 

「多を牽引する責任重大な仕事だぞ…!やりたい者がやれる仕事ではないだろう!!周囲からの信頼があってこそ務まる聖務…!民主主義に則り真のリーダーを決めるというのなら…これは投票で決めるべき議案!!」

 

 成程……いい言葉だ……感動的だ。

 

 だが……

 

「お前のその手は何だ?」

 

「聳え立ってんじゃねーか!!」

 

 

 誰よりも聳え立ってるその右手のせいで無意味だ。

 

 

「なぜ発案した!?」

 

「それに一週間も経ってないのに信頼も糞も無いわ、飯田ちゃん」

 

「だからこそ!だからこそ、複数票を取った者こそが真に相応しい人間という事にならないか?どうでしょう先生!?」

 

「時間内に決めれば何でもいいよ」

 

 いつの間に寝袋に入ったのか、相澤先生は投げやりな返事を返してそのまま教壇のすぐ横に寝そべった。

 

 そして投票の結果、ほぼ全員が自分に票を入れる結果となった。唯一票が割れたのは八百万の二票と……俺の三票だった。

 

「なん……だと…!?」

 

「………一票……一体誰が………」

 

「他人に入れたのね」

 

「お前もやりたがってたのに、何がしたいんだ」

 

 周りの皆もそれぞれ驚いているが……一番驚いているのは俺だ……俺は自分には票は入れてないんだが……

 

「じゃあ、委員長は剣、副委員長は八百万だ。決まり」

 

 

 しかし結果は結果。

 

 委員長は俺、副委員長は八百万が務める事になった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

1:炎の剣士

 と、言う訳で自分、委員長になりました!

 

2:名無しのトマト

 わーパチパチパチ!

 

3:グランドマスター

 委員長に選ばれたんだ……票は?

 

4:炎の剣士

 三票入ってました。……俺は飯田に入れたんですけど……

 

5:ありふれた赤龍帝

 あ、他の人に入れたんだ。

 

6:炎の剣士

 はい、あの時、飯田だけがクラスをコントロールして投票の流れに持って行ってた…クラスをまとめるのに適していると感じたので……

 

7:赤目の主人公

 そうか……まぁ、選ばれたからにはやってくしかねぇよ!

 

8:グランドマスター

 そうそう、初めは苦労するけど……相手と向き合えば大丈夫!

 

9:名無しの鬼殺隊

>>8 藤丸ニキ……アンタが言うと説得力が凄いな。

 

10:名無しのライダー

 流石、人類最高最善のマスター!俺達に言えない事を平然と言ってのける!

 

11:名無しのわんわんお

 そこにシビれる!

 

12:名無しのトマト

 憧れる〜!

 

13:炎の剣士

 まぁ、正論ですね。皆さんはどんな感じですか?

 

14:赤目の主人公

 俺やライダー達は原作終わって至って平和に過ごしているが……

 

15:名無しのトマト

 ………俺は茄子とバトりました。

 

16:ありふれた赤龍帝

 茄子って……ユート!?

 

17:名無しのライダー

 どうしてそうなった……

 

18:名無しの転生者ハンター

 ユートは確か……ああ、そう言う事か。

 

19:名無しのトマト

 あ、ハンターニキ。流石、理解が早い。

 

20:名無しの転生者ハンター

 今の時期を考えるとユートは沢渡とデュエルしてその後遊矢が来た事で柚子のブレスレットが反応して消える……のだが……

 

21:名無しのトマト

 俺の中のズァーク消えたんでブレスレットの対象外になったみたいで……

 

22:グランドマスター

 あ~察した。

 

23:名無しのライダー

 紫キャベツ……ユーリと間違えられて……

 

24:名無しのわんわんお

 大丈夫だったの?

 

25:名無しのトマト

 まさかデュエル中にケルビーニとバルディッシュを生み出すとは……

 

26:名無しの鬼殺隊

 相手がリ・コントラクト・ユニバースするのかよwww

 

27:名無しの転生者ハンター

 やはり、リンク召喚が生まれた事でリンクモンスターを相手も使う様になったか……

 

28:名無しのトマト

 まぁ勝てました。ズァークが消えたせいで暴走する事なく、吸収する事なくユートと和解できました。

 

29:炎の剣士

 ……苦労してるんですね……赤龍帝ちゃんは?

 

30:ありふれた赤龍帝

 私は奈落から出て神代魔法を求めてハルツィナ樹海に向かってます。

 

31:グランドマスター

 もしかして、今ハウリア族の護衛中?

 

32:ありふれた赤龍帝

 はい……兄貴達が教えてくれた原作知識でハルツィナ樹海の大迷宮が今は無理なのは分かってますけど……今後の為に行っておこうと思いまして。

 

33:名無しの転生者ハンター

 そうか……禁手化(バランス・ブレイク)はどうした?

 

34:ありふれた赤龍帝

 バッチリです!………って、おい淫乱ウサギ!?また、私が目を離した隙にハジメ君を誘惑して!?

 

35:赤目の主人公

 おっと……修羅場か?

 

36:名無しのライダー

 淫乱ウサギ……シアか…

 

37:ありふれた赤龍帝

「ヒィィィ!?な、何でユエさんは良くて私は駄目なんですかぁぁ!?」

「ん、私とお前とでは格が違う。ハジメは私とお姉様の夫……誰にも譲らない」

 

 ……そう言う事。ユエは認めたけど、これ以上は認めない!お前の様な淫乱ウサギは勿論!ドMな龍人!理想しか言えないロリ教師!ストーカー腹黒ヤンデレ女神(笑)!現実逃避のエセサムライ!人妻!お姫様が来ようがぜぇぇぇぇぇえったいに認めないからね!!

 

 

38:炎の剣士

 ………切れましたね。

 

39:名無しのライダー

 と言うか、ユエの事は認めたんだ。

 

40:名無しのわんわんお

 赤龍帝ちゃんをお姉様って呼んでたな。

 

41:赤目の主人公

 そしてこれ以上認めないと……てか言い方www

 

42:名無しの鬼殺隊

 まぁ、間違えてないな。

 

43:名無しのトマト

 そう言えば、神喰ニキは?

 

44:炎の剣士 

 今日はまだ見てないですね……

 

45:名無しのゴッドイーター

 よ……よう…

 

46:名無しのライダー

 か、神喰ニキ!?

 

47:名無しのわんわんお

 何故死にかけ!?

 

48:名無しのゴッドイーター

 あ……アリサの……料理……

 

49:名無しの鬼殺隊

 嫁の料理がどうしたんだよ?

 

50:名無しのトマト

 もしかして嫁さんの料理がクソ不味いとか?

 

51:名無しのゴッドイーター

 ………イエス。

 

52:炎の剣士

 キチガイな神喰ニキをダウンさせるとか……

 

53:名無しの転生者ハンター

 夫が夫なら嫁も嫁だな。

 

54:名無しの鬼殺隊

 そうか……まぁドンマイとしか言えんわ。今日も嫁(アオイ)の料理が美味い美味いwww

 

55:グランドマスター

 今日もオカン(エミヤ)の料理が美味い美味いwww

 

56:名無しのトマト

 今日も幼馴染み(柚子)の料理が美味い美味いwww

 

57:名無しのライダー

 今日もこんがり肉が美味い美味いwww

 

58:炎の剣士

 今日も学食が美味い美味いwww

 

59:名無しのゴッドイーター

 クソッタレェェェェエ!!!

 

60:名無しのわんわんお

 そう言えば鬼殺ニキ……あの後どうなったんです?

 

61:名無しの鬼殺隊

 あ~あの後、音柱を思った以上にボコボコにしちゃってな………遊郭編に行けなくなっちゃった。

 

62:名無しの転生者ハンター

 何やってんだ…

 

63:名無しの鬼殺隊

 元はと言えばアイツが悪いんだ!……だから俺が代わりに行く事になったよ……

 

64:名無しのゴッドイーター

 女が居るのに夜の街に行くのかよ……

 

65:名無しの鬼殺隊

 言うな……アオイに土下座しながら説明してなんとか納得してくれたけど………「分かってますね」…って言うしのぶさんの笑顔が怖かった……

 

66:赤目の主人公

 ……皆、苦労してるんだな

 

67:炎の剣士

 ホントですね……

 

『セキュリティー3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外に避難してください。』

 

 警報!?

 

 

◆◆◆◆

 

 

 午前中の授業も無事に終わり、俺達は昼食の為に大食堂に移動していた。……サポート課、経営課、普通科などの生徒も一堂に会する為、相変わらず人でごった返している。

 

 それでも料理を手に俺、耳郎、飯田、麗日のメンバーで長テーブルの一角に集まった。それに加えて……

 

 

「剣、こっち座っても良いか?ほか空いてなくてさ」

 

 料理を乗せたお盆を持った拳藤をかけてきた。

 

「別に構わないよ。食事は大勢でした方が楽しいしな」

 

「サンキュー♪」

 

 

 料理を食べてる内にふと話の話題がさっきの学級委員長の話になった。B組も午前中に決めたらしく満場一致で拳藤が委員長になったようだ。

 

「満場一致って……スゲェな」

 

「うむ、人望が厚いのだな拳藤君は」

 

「アハハ……そう言われると恥ずかしいな」

 

 そして俺の3票だけど……投票してくれたのはここにいる耳郎と麗日、そして飯田の3人だった。飯田……あんだけ手を上げたのに……俺に入れたのか。

 

「俺は飯田に入れたんだがな…」

 

「あれは君だったのか…」

 

「ああ…あの時、飯田だけがクラスをコントロールして投票の流れに持って行ってた…クラスをまとめるのに適していると感じたから……」

 

「ありがとう剣君……でも“僕”は君が相応しいと思ったんだ」

 

「僕?」

 

「あ、いや、それは……」

 

「もしや飯田君、坊ちゃんなの?」

 

 ストレートに言われた飯田も動揺を隠せなかった。麗日……もうちょっとオブラートに包もうぜ……

 

「ぼっ……!?そう言われるのが嫌で一人称を変えていたんだが…俺の家は代々ヒーロー一家でその次男なんだ。ターボヒーローインゲニウムは知ってるかい?」

 

「勿論。東京の事務所に65人ものサイドキックを雇っているトップヒーロー…そうか……」

 

「そう!それが俺の兄さ!」

 

 飯田は立ち上がりながら胸を張った。

 

「規律を重んじ、人を導くヒーロー。俺はそんな兄に憧れてここに来た!」

 

「なんか…初めて笑ったかもね。飯田君」 

 

「確かに…!」

 

「え、そ、そうか!? 笑うぞ、俺は!」

 

 なるほど。俺にとっての仮面ライダーが、飯田にはインゲニウムと言う事か。

 

 ニキネキ達のスレに意識を向けながら……麗日達にイジられつつも何処か嬉しそうな飯田を眺めていると……突然、大音量のサイレンが大食堂、いや校舎全体に鳴り響いた。

 

 

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください』

 

 

 

「セキュリティ3って何ですか?」

 

「校舎内に誰か侵入してきたって事だよ!3年間でこんなこと初めてだ!君達も早く避難しろ!」

 

 近くのテーブルにいた3年生が状況を教えてくれるが、既に避難しようとする学生で入り口は完全に塞がっている。

 

「一体……何が侵入したんだ!?」

 

「とにかく避難した方が!」

 

「だけど入り口は……最悪、窓を破って…」

 

 ストームイーグルを取り出しながら窓に視線を向け………ん~~アレって……見えるのはカメラやマイクを持った…

 

「マスコミじゃん!!」

 

 オールマイト目当てに校門前で屯していたマスコミが侵入者の正体。相澤先生やプレゼント・マイク先生が対応しているが、聞く耳持たずだ!

 

「ウソ!普通ココまでする!?」

 

「文句は後だ……侵入したのがマスコミだと解れば、皆落ち着きを取り戻すはず…!」

 

「こんなパニック状態じゃ……!」

 

 確かに拳藤の言う通り……こんなパニック状態じゃちょっと大声出した位じゃ、これだけの人数は止められない………何か誰もが目を引く様な事をしないと……セイバーに変身するか?

 

「…そうだ!剣君!ジャックと豆の木で道を作ってくれ!」

 

 ジャックじゃなくてジャッ君な……って、なんでいきなり……っ!そう言う事か!

 

「任せろ!」

 

【ジャックと豆の木!!ふむふむ!】

 

 火炎剣烈火にジャッ君と土豆の樹をリードして火炎剣烈火から伸びた豆の樹が人が密集している入り口の上にあるEXITのマークまで伸びる。

 

「いけ!」

 

「うぉぉぉお!!」

 

 自らの“個性”『エンジン』を使って、一気に加速。EXITのマークの上にあるパイプを掴んだ飯田はさながら非常口のドアを目指す棒人間のポーズだ。

 

 

「皆さん……!大丈ー夫!!ただのマスコミです!なにもパニックになる事はありません!大丈ー夫!!ここは雄英!最高峰の人間に相応しい行動をとりましょう!」

 

 短く、端的に、大胆に……伝えるべき事を叫び。見事その場を収めた。ほかの生徒達もマスコミだと気づきやがて落ち着いていった。

 

 

 その後、駆けつけた警察によってマスコミは不法侵入で撤退を余儀なくされた。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

68:炎の剣士

 その後……委員長は飯田に譲りました。

 

69:名無しのゴッドイーター

 そうか…まあ、原作通りの展開だしいいんじゃね。

 

70:名無しの転生者ハンター

 そうだな。イッチ……今回の騒動、どう思う?

 

71:炎の剣士

 …………唯のマスコミが雄英のセキュリティーを突破できる筈が無い……と言うかあり得ない……と、思います。

 

72:名無しの鬼殺隊

 気をつけろよ……俺は任務で暫くスレに参加できないからな。

 

73:炎の剣士

 ……分かりました。

 

 

◆◆◆◆

 

 

「………気をつけろ……か」

 

 兄貴達は遠回しに警告してきた。雄英高校のセキュリティはかなり高度な物だ。それはたかだかマスコミ如きが突破できる筈がない……侵入に手を貸して、そそのかした奴がいる。

 

 今回は唯の挨拶がわり……仕掛けて来るとしたら次だ……

 

「……そろそろ“貴方達の力”を借りる時が来るかもしれない」

 

 

 そう呟く俺の手には昨日の反省会で皆に見せていない【キングオブアーサー】が握られていた。

 

 

END

 




 
 確実とキングオブアーサー(ワンフォーオール)のフラグが立ってます!

 お楽しみ!!




 ニキネキ紹介

 今回は原作キャラについても紹介するので作品ごとに分けます。


【遊戯王】

・トマト君

 原作第7話で柚子を探してユートと鉢合わせする。ズァークが消えたせいでブレスレットの範囲外になった事に喜ぶのも束の間、ユーリやユーゴと勘違いしたユートに襲われる。デュエル中にケルビーニとバルディッシュをリ・コントラクト・ユニバースするユート、俺はこんな理不尽な事をやっているのかと……身を持って体感する。最終的にはギリギリ勝利して誤解を解いて友好関係を結ぶ。因みにデュエルはLDSにも筒抜けで、ユート=遊矢じゃないと知るが、この後兄弟だなんだとイチャモンつけてBBAがやって来る。

・柚子

 原作ヒロイン……アレ、ヒロインイベントなんかあったけ?……と言う疑問は置いといて、トマト君とユートのデュエルを肌で感じ自分の力不足を受け入れる。……この後、恐竜的進化を遂げるとはトマト君やニキネキ達も思っていない。


【ありふれた職業で世界最強】
・赤龍帝ちゃん

 奈落から脱出して原作通りにハウリア族を護衛している。これから先ハジメを一人で支えきれるのかと不安を感じユエと一緒に支える事を決意する。しかし、これ以上は認めない。特にロリとエセサムライとストーカー女神(笑)は絶対に!!

・ユエ
 
 ありふれの原作ヒロイン。ハジメに好意を抱くも既に赤龍帝ちゃんがいる事に落ち込む。しかし、どこぞのストーカーとは違い受け入れる。それを理解した赤龍帝ちゃんが一緒にハジメを支えようと提案し承諾。以後、赤龍帝ちゃんをお姉様と呼ぶ………年齢の話はNG!

・ハジメ君
  
 原作主人公……原作開始前から赤龍帝ちゃんと恋仲になっている……原作では授業中に寝ていたが、このSSでは赤龍帝ちゃんに注意されて寝てはいないので、とやかく言われる筋合いは無いのだが……赤龍帝ちゃんと恋仲で有ることをよく思わない勇者(笑)やそれに賛同したクラスメートに虐められる。その後、奈落に落とされるが赤龍帝ちゃんも一緒なので魔王化はしてない。赤龍帝ちゃんに頼りきりではいけないと原作以上にパワーアップしている。……因みにナニカとは言わないが卒業している。

・ シア

 原作ヒロインその2……たが、赤龍帝ちゃんはこれ以上認めないので………残念ウサギと化した敗北者。

・白崎

 原作ヒロインの一人。このSSでストーカー扱いしているが原作でもストーカーしてる事を述べておく。ハジメに好意を持っているが既に赤龍帝ちゃんの恋人。気づいてないふりしているが本心では理解してる……その為、中村恵理の思考に近づきつつある。奈落に落ちたハジメを救い出そうとしている。赤龍帝ちゃんは死んだ扱いで邪魔な奴が消えたと内心喜んでいる。その為、檜山の問題行為を土下座一つで許す勇者(笑)に賛同した。
 

・八重樫

 原作ヒロインの一人。

 常識人でいい奴なのは確かだが……白崎と勇者(笑)の度が過ぎる行為を「悪気はないから許してあげて」の一言で済ませてしまう……身内に重度に甘い女。白崎が赤龍帝ちゃんを死んだ扱いにして内心喜んでいる事に気づいているが……見ないふりしてる。

【ゴッドイーター】

・神喰ニキ

 アラガミよりも嫁(アリサ)の料理が一番怖い。因みに神喰ニキはダウンで済むが、ソーマやヒロレベルでも二時間は気絶してしまう辺りやっぱり化け物じみてる。

・アリサ

 ダークマター製造機。

【鬼滅の刃】

・鬼殺ニキ

 超サイヤ人ばりにブチギレて音柱をベット送りにした。その後、プチ柱合裁判が行われるが……音柱が悪いとお咎めなし。たが、ボコボコにし過ぎたせいで任務に行けなくなった音柱を代わりをする事に……上弦ラッシュの始まりだ!

・炭治郎

 原作主人公。原作通りに伊之助と善逸と潜入するのだが……しのぶさんに鬼殺ニキの動向を監視し嘘偽りなく伝える様にと、言われた。……その時の猗窩座以上の恐怖を感じた。

・しのぶさん

 アオイを裏切ったら……分かってますね♪



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USJ編
USJ襲撃!/涙を拭う赤のハンカチ


 お気に入りが3500人を突破!ホントにありがたいです!!

 これからもよろしくおねがいします!

 今週は良かった……ダイナゼノンの最終回も凄かったし、セイバーもフューチャリングセイバーの登場は最高でした。

 ………あと、やっぱりマスターロゴスはラスボスじゃなかったwww



 

 マスコミ侵入事件から何日かして、今日もヒーロー科の皆はヒーローになるための授業に取り組んでいる。

 

「今日のヒーロー基礎学だが、AB合同で俺とブラドとオールマイトそれともう一人の4人体制で見ることとなった」

 

 なったって事は特例。原因があるとすれば先日のマスコミ侵入事件が関係しているのだろうと考えている者は少なかった。

 

「はーい!今日は何するんですか?」

 

「災害水難何でもござれ、人命救助訓練だ!!」

 

「レスキュー……今回も大変そうだな」

 

「バカおめー、これこそヒーローの本分だぜ!腕が鳴るぜ!!」

 

「水難なら私の独壇場。ケロケロ」

 

 

「まだ途中だぞ。今回の訓練コスチュームの着用は個人の判断に任せる。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上、準備開始」

 

 相澤先生の号令でコスチュームを持って更衣室に急いで向かう………バスでの移動……アレを使っていいか聞いてみるか。

 

 

◆◆◆◆

 

 

「こういう作りだったか……!!」

 

 バスに乗り込んだ一同の中、飯田は叫んでいた。委員長に就任してフルスロットルと飯田。バスに乗り込む際、委員長らしく誘導したのは良いが、バスの座席が所謂2人がけの前向きシートばかりではなく、横向きのロングシートも混在した仕様だったのだ。これでは出席番号順に並んでいても意味がない。それぞれ適当に座席に座り、バスは出発した。

 

 

「意味なかったな〜!」

 

「………」

 

 そこに芦戸の追撃も加わり、完全に意気消沈の飯田。そんな状態の中でもA組の者達は会話を始めてゆく。

 

「それにしても、剣ちゃんはホントに多芸ね」

 

 

 蛙吹から始まった聖火の話題……この前の戦闘訓練でAB組含めて最強の印象付ける戦いを見せたのだ話題の一つでもなるだろう。

 

「そうだよな〜変身するし分身するし木を生やすし……バイクに乗れるし」

 

 その話題に乗っかった切島はこれ迄の事を思い出しながら窓に視線を移す。窓から見える景色には……真紅のバイク【ディアゴスピーディー】を乗りこなす聖火の姿が……

 

 そう聖火はバスに乗らずにディアゴスピーディーで目的地に向かっていた。

 

「しっかし格好いいよな〜!」

 

「……あのバイクにも秘密が隠されている筈……例えば前輪後輪に別れてタイヤから生えた刃で敵を切り刻む対悪魔に特化した兵装に……!」

 

「いやこえーよ!?どんな発想だよ!?」

 

 バイクに憧れる上鳴、ディアゴスピーディーの隠された能力に想像を膨らませる常闇、それにツッコむ瀬呂。

 

「やっぱバイクが有ると便利なんだな」

 

「移動手段がある事は実に合理的だ」

 

 その話題に一番前の席に居た相澤が入ってくる。切島達も基本的にふざけた事を言わない性格なのは理解しているので聞き手に入る。

 

「ヒーローには現場に駆けつける速さも重要だ。故にバイクなどに乗るヒーローも少なくない。この雄英には自動車学校と同じ施設も存在しているし、試験も受ける事ができる………興味があるのなら今度聞きに来い。以上だ、あと数分で到着する。気を引き締めろ」

 

 そう言うと再び静かになる相澤だが、相澤が話した内容はA組全員の頭の片隅に置かれた。

 

 一方時を同じくB組のバスでもA組と同じようにブラドから説明された雄英の自動車学校について其々話していた。

 

「……」

 

「ど~した一佳〜そんなに剣が気になるのか?」

 

 バイクに乗る剣を眺めていた拳藤に声をかけてきたのは隣に座っていた取陰だった。

 

「な、何を言って!そ、そんなんじゃない!」

 

「え~?ホントに〜?」

 

「ホントだ!私は……アレだ!バイクを見てたんだ!」

 

「バイク?……あ~そう言えばバイクが好きって言ってたね」

 

「あぁ、雄英でも自動車免許などの試験を受けられるってブラド先生さっき話してたろ……今度、剣に色々聞こうと思って」

 

「なるほど~一佳、バイク似合いそうだし良いんじゃない」

 

 なんとか話の内容を変えられた事に内心安堵する……

 

「でも……」

 

「ん?」

 

「どうして、ヤオモモじゃなくて剣なの?」

 

「…………あ」

 

 ………事はできずに拳藤は目的地に着くまで取陰にイジられるのであった。

 

 

◆◆◆◆

 

 

1:炎の剣士

 てな感じで只今、レスキュー訓練に行ってます!

 

2:赤目の主人公

 バイクで?

 

3:炎の剣士

 はい!相澤先生に言ったら許可くれまして……いやーバイク持ってると無性に走りたくなりまして。

 

4:名無しのライダー

 わかる!

 

5:名無しのわんわんお

 俺はバイクじゃねぇ!

 

6:名無しのトマト

 わかります、その気持ち!

 

7:グランドマスター

 君はまだシンクロ次元に行ってないでしょwww

 

8:ありふれた赤龍帝

 私はハジメ君が作ったバイクで走っているのでわかります!

 

9:名無しのゴッドイーター

 ………免許はどうした?

 

10:ありふれた赤龍帝

 …………テヘペロ!

 

11:炎の剣士

 まさかの無免許!?

 

12:ありふれた赤龍帝

 此処はトータスであって地球じゃないから地球の法律なんて意味がないからセーフ!!

 

13:名無しの転生者ハンター

 確かに地球の価値観じゃ生きてはいけない世界だが…

 

14:グランドマスター

 怒られるよ先生にwww

 

15:ありふれた赤龍帝

 ……………うわ~会いたくない理由が増えた。

 

16:炎の剣士

 そう言えば鬼殺ニキは?

 

17:名無しの転生者ハンター

 アイツなら任務に行ったぞ。

 

18:名無しのわんわんお

 確か、上弦の陸だっけ?

 

19:名無しのゴッドイーター

 まあ、猗窩座倒したなら問題ないだろう。

 

20:名無しのトマト

 そうですね。

 

21:炎の剣士

 あ、そろそろ着きそうです!

 

22:グランドマスター

 おK!

 

23:ありふれた赤龍帝

 ………なんか遊園地みたいですね。

 

24:名無しのゴッドイーター

 倒壊した市街地もあれば森林地帯、火山地帯に渦潮を作っているプール……凄いな、これでも施設の一つに過ぎないんだろ……

 

25:炎の剣士

 そうですね……

 

「水難事故、土砂災害、火事……etc。あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です。その名も【ウソの災害や事故ルーム(USJ)】!!」

 

 おお!スペースヒーロー・13号だ!

 

26:名無しのライダー

 USJ……何処かに怒られそうな名前だ。

 

27:名無しのトマト

 あなたを詐欺罪で訴えます!理由はもちろんお分かりですね?あなたが皆をこんな遊園地みたいな名前で騙し、子供達の期待を破壊したからです!覚悟の準備をしておいて下さい。ちかいうちに訴えます。裁判も起こします。裁判所にも問答無用できてもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい!貴方は犯罪者です!刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!

 

 

28:名無しのわんわんお

 ヤメロwww

 

29:ありふれた赤龍帝

 勝ち目ないですよwww

 

30:名無しの転生者ハンター

 ほら、そろそろ静かにしろ………やっぱりオールマイトはいない様だな。

 

31:炎の剣士

 そうみたいですね……

 

『えーでは訓練を始める前に小言を一つ二つ…三つ…四つ…』

 

 ………なんか増えてません?

 

 

32:ありふれたトマト

 あ、長くなるパターンだ。

 

33:炎の剣士

「皆さんもご存じだと思いますが、僕の個性は《ブラックホール》どんなモノでも吸い込んでチリにしてしまいます」

 

「はい。13号先生はその個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね」

 

「えぇ……しかしです、この個性は簡単に人を殺せます。皆さんの中にもそういう個性がいるでしょう」

 

 

34:赤目の主人公

 その通りだ……力は簡単に人を殺せる。

 

35:名無しのゴッドイーター

 そして命は二度と元には戻らない……

 

36:名無しのトマト

 アスカニキ、神喰ニキ……

 

37:名無しの転生者ハンター

 個性によっては使い方次第で十分に殺傷能力があるモノも多い……そしてそれは仮面ライダーの力だって決して例外ではない。

 

38:炎の剣士

 

「超人社会は個性の使用を資格制にし、厳しく規制することで、一見成り立っているように見えます。しかし、一歩間違えれば容易に人を殺せる、いきすぎた個性を個々が持っていることを忘れないで下さい。相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したと思います。この授業では心機一転!人命のためにどう個性を活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つけるためにあるのではない、助けるためにあるのだと心得て帰って下さいな。以上!ご清聴ありがとうございました」

 

 ………格好いいな13号先生。

 

39:ありふれた赤龍帝

 深いな…………もし、雄英の先生が居てくれたら…ハジメ君のイジメも……あのバカ四人組の暴走も……私の運命も変わってたのかな………赤龍帝にならずにハジメ君とオタクライフを過ごせてたのかな……

 

40:名無しのライダー

 赤龍帝ちゃん……

 

41:グランドマスター

 ………辛い事があったら何時でも言っていいんだよ。

 

42:ありふれた赤龍帝

 あ、…ごめんなさい!しみったれた事言っちゃって!大丈夫です!戦う覚悟はもうできてますので…!

 

43:赤目の主人公

 ……………そうか。

 

44:炎の剣士

 ……赤龍帝ちゃん……「全員一かたまりになって動くな!!ブラド、13号!生徒を守れ!!」

 

 ………ッ!?

 

 

◆◆◆◆

 

 

「動くな!アイツらは(ヴィラン)だ!」

 

 赤龍帝ちゃんの事を心配していた矢先……中央の噴水広場から黒い靄のような物が現れ……靄は広がり、そこから全身に手をつけた男を先頭に異形型個性であろう者達や鉈や鉄パイプを持った大人数がぞろぞろと現れた。

 

「13号に…ブラドキング…イレイザーヘッドですか…先日頂いた教師側のカリキュラムにはオールマイトがここにいるはずなんですか……」

 

「やはり先日のはクソ共の仕業だったのか」

 

「どこだよ……せっかくこんなに大衆引き連れてきたのにさ…オールマイト…平和の象徴……いないなんて…子供殺せば来るのかな?」

 

 コイツ……雰囲気だけでもかなりヤバいぞ!!少なくとも最初に相対したヘドロより遥かに…!

 

「ヴィランッ!?バカだろ、ここ雄英だぞ、ヒーローの学校だぞ!」

 

「プロやヒーロー候補生いるの判って襲撃するなんてアホだろう!!」

 

「先生、侵入者用のセンサーは?」

 

「もちろんありますが……」

 

「現れたのはここだけか、それとも学校全体か……どちらにせよ、センサーが反応しなかったってのは向こうにはそれを阻害する能力の持ち主がいるって事だ。校舎から離れたこの空間にクラスが来たこの時間に奴らは来た。奴らは馬鹿じゃない。これは何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」

 

 表情に出していないだけなのか、轟は妙に冷静だが、その目は警戒心に溢れていた。

 

 俺も火炎剣烈火を引き抜く……訓練でも何でもない……本物のヴィランが攻めて来た……兄貴達が促していたのはコレの事か!

 

「13号、ブラド避難開始!学校に連絡試せ!センサーの対策も頭にある連中だ、電波系の個性で妨害している可能性もある。上鳴、お前も個性で連絡試せ」

 

「っス!」

 

「相澤先生はどうするんですか!?戦うにしてもイレイザーヘッドの戦闘スタイルは個性を消して捕縛すること。多勢に無勢では不利ですよ!」

 

「……お前に言うのは違う気がするが、覚えておけ剣、一芸だけじゃヒーローは務まらん」

 

 相澤先生が突撃を仕掛けた。それを見た連中の一人が先生に手を先生に向けた。おそらく射撃型の個性。でも発動されることはなく捕縛布で捕まって分銅のように振り回されて相手を倒していく。

 

 凄い…!近接戦闘も出来てゴーグルで誰の個性を消しているかも悟らせない。

 

「行こう皆!早く避難を!!」

 

 と…関心してる場合じゃない!学生の身分の俺達ができる事は先生の足手まといにならない様に避難する事、直ぐ避難する皆の後を追う。

 

 

 

 

「させませんよ」

 

 

 しかし、避難する俺達の前に靄のヴィランが立ち塞がった。

 

「初めまして、我々は敵連合(ヴィランれんごう)。僭越ながら…この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて戴いたのは…平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして」

 

 マジか!?コイツらオールマイトを殺すために来たのか!?

 

「本来ならば、ここにオールマイトがいらっしゃる筈…ですが、何か変更あったのでしょうか? まぁ、それとは関係なく…私の役目はこれ」

 

 

 

 黒い靄もやが動く! 当然、黙ってされるがままの俺達じゃない。13号先生やブラド先生が迎撃の為に構え……俺は火炎剣烈火を構え、轟が氷結を静かに準備していた時……俺の横から何かが飛び出した。切島と鉄哲だ!

 

「その前に俺たちにやられるとは思わなかったのか!?」

 

「学生だからってナメんじゃねぇ!」

 

 二人の攻撃が靄のヴィランに決まった………かに見えた。

 

「危ない危ない……そう…生徒といえど優秀な金の卵」

 

 攻撃したのはあくまでの黒い靄もやの一部。その奥に見える本体は無傷な上に……

 

「切島!鉄哲!!」

 

「駄目だ!どきなさい2人とも!」

 

 

 先生達や俺達の射線に二人が出ては手出しできない!

 

 

「散らして、嬲り殺す」

 

 

 靄が広がって俺達全員を包んでいく。もう間に合わない!だったら!火炎剣烈火を振るい一部の靄を吹き飛ばす!

 

「飯田!障子!」

 

 何人かを掴んで何かされる前に脱出しようと咄嗟に動いていた二人は俺の叫びを聞いて、ギリギリ靄の範囲外に脱出する。これで最低限の事はできた……後は!

 

 近くに居た耳郎の腕を掴む。耳郎みたいに戦闘向けの個性じゃない奴が孤立して各個撃破されるのは最悪の結末だ。

 

「拳藤!」

 

「ッ!剣!」

 

 拳藤も俺の考えが分かったのだろう……手を伸ばすが……もう時間はなかった。

 

 拳藤の手を掴む前に黒い靄によって分断された。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

45:名無しの転生者ハンター

 イッチ!大丈夫か!?

 

46:炎の剣士

 ハンターニキ!はい、大丈夫です!

 

47:名無しのゴッドイーター

 そうか……状況はわかるか?

 

48:炎の剣士

 此処は……岩だらけの場所に居ます。

 

49:グランドマスター

 おそらくUSJの山岳ゾーンだね。

 

50:赤目の主人公

 近くに誰か居るか?

 

51:炎の剣士

 咄嗟に掴んだ耳郎と……八百万にB組の宍田ですね。

 

52:名無しのライダー

 とにかく、一刻も早く皆と合流しないと……

 

53:炎の剣士

 そうですね……最初に現れた手だらけの奴と黒い異形の奴………アイツ等はヤバい……皆が心配だ。

 

「あの……剣……そろそろ手……離してくれない?」

「あ、悪い耳郎」

「いや……ウチが孤立しない様にしてくれたんだよね……ありがとう」

 

 

54:名無しのわんわんお

 イチャつくな…!

 

55:ありふれた赤龍帝

 耳郎ちゃん……顔真っ赤にしちゃって……ウブだね!

 

56:グランドマスター

 そしてイッチ……素質あるね!

 

57:名無しのトマト

 なんのですかwww

 

58:グランドマスター

 勿論、主人公の素質が!

 

59:赤目の主人公

 お前だけには言われたくないわ!

 

60:名無しのライダー

 この一級フラグ建築士!

 

61:ありふれた赤龍帝

 女誑し!何をどうやったら英雄や神様やらに惚れられるんですか!

 

62:名無しのわんわんお

 さっさと本命決めろ!

 

63:グランドマスター

>>62 なんて恐ろしい事を言うんだ!?最悪カルデアが特異点になるぞ!

 

64:名無しのゴッドイーター

 ヘタレだな……貫き通せばいいだろ。

 

65:グランドマスター

 黙れ!サーヴァント相手に無双できるからそんな事が言えるんだ!

 

66:赤目の主人公

 でも今のままだと確実に近い内に食われるぞ。

 

67:グランドマスター

 ヤメロン!不吉な事を言うな!

 

68:名無しの転生者ハンター

 そこまでにしとけ……

 

69:炎の剣士

【烈火抜刀!!】

「変身!」

 

70:名無しの転生者ハンター

 始まったぞ……

 

 

 

◆◆◆◆

 

【耳郎side】

 

 

 黒い靄に飲み込まれた次の瞬間、ウチと聖火は岩だらけの場所に降り立っていた。

 

 突然の事に驚きつつも辺りを見回すと……ウチ達の他に……

 

「耳郎さん、剣さん!」

 

「お二人共、お怪我はありませんか!?」

 

 ヤオモモとB組の宍田が居た…合計4人か。

 

「此所に飛ばされたのは俺達四人か……」

 

「そのようですな、他の皆も私達みたいに飛ばされただけなら大丈夫ですが……あの靄のヴィランは『散らして…嬲り殺す』……そう言ってましたぞ」

 

「とにかく今は他の皆さんと合流して先生方のいる中央広場に行くことが先決ですわ!」

 

「そうだね……ちょっと待っててプラグで探してみるから!」

 

 とにかくこの場でじっとしていてもしょうがない。飛ばされた他の皆と合流しよう。近くに誰か居ないか地面にプラグを刺して音を探る。

 

「っ!……聞こえた!」

 

「本当ですか!よかった……近くにいらしたのですね」

 

「……あれ……ちょっと待って……足音の数が多い……少なくとも十人以上居る……てか、コッチに向かって来てる!?」

 

 あの靄は「散らして…嬲り殺す」って言ってた……それなのに十人以上固めるなんて事するとは考えづらいし……真っ直ぐコッチに向かって来てる。まるでウチ等が此処に飛ばされるって最初から分かってるみたいに……

 

「それはつまり……ッ!剣氏!」

 

「あぁ、来るぞ!」

 

 

 宍田と剣が叫んだのとほぼ同時に足音の正体……“ヴィラン達”が飛び出してきた。

 

「ヘヘッ、いたぜいたぜ!」

 

「流石、黒霧(くろぎり)さんの個性は本当にスゲェな。ホントに送ってくれたぜ!」

 

「来たのは男二人に女二人の計四人!可哀想になぁ、哀れな人生だぜ。クックック」

 

 ゾロゾロと徒党を組んで現れたヴィラン……その数数十人……!

 

「おいおい見ろよ!女はどっちも上玉だぜ!」

 

「マジだ!あの髪の長い方、良い体をしてやがる」

 

「もう一人も遊び甲斐がありそうだ…!こりゃアタリだな!」

 

「ッ!」

 

 寒気がした……まるでいきなり背中に氷水をぶっかけられた様に…!

 

 十数人のヴィラン全員がウチを……ウチの身体を舐めまわす様に見て上から下まで品定めしていた。

 

 流石に高校生にもなってコイツらの言葉が分からない程ピュアじゃない………分かるからこそ怖い。

 

 ヴィラン達はウチを慰み者にしようとしている。隣のヤオモモを見れば…顔は平静を装っているが、微かに震えているのがわかる。

 

「おうおう…見栄張っちゃって!唆るね〜!」

 

 生まれて初めて相対するヴィランにウチは気圧されていた……来ないで!と叫びたくなる。

 

 

 

「大丈夫」

 

 

 

 声が聞こえた……ヴィラン達とは全く違う…暖かな声が……剣の声だ、赤い髪とコートを靡かせウチを前に出る。

 

「大丈夫だよ…耳郎」

 

 そう言って剣は笑ってくれた……炎のように暖かく、優しい笑みで……気づけば身体の震えは止まっていた。

 

「宍田……二人を頼む」

 

【聖剣ソードライバー!】

 

 剣は聖剣ソードライバー(剣の様なベルト)を身につけながら歩を進める。

 

「おいおい!女の前だからってカッコつけてんじゃねぇよ!!」

 

ヴィラン(お前達)には分からないさ……無茶や無謀と笑われようとも、流れる涙を止める為に戦う……それがヒーロー(仮面ライダー)だ」

 

 そして赤い小さな本……ブレイブドラゴンをセットして火炎剣烈火を引き抜いた。

 

【烈火抜刀!!】

 

 

「変身!」

 

 

【ブレイブドラゴン〜♪】

 

【烈火一冊!】

 

 

【勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!】

 

 

 火炎剣烈火で十字に振るい斬撃が仮面になって剣の姿が右半身がブレイブドラゴンを模した鎧で覆われて、仮面ライダーセイバーへと変身する。

 

 

 入学してから剣や拳藤達と一緒に過ごして……入試の時の剣は凄かったって飯田達はよく言ってた……あの時は0ポイントを倒した剣の強さの事を言ってたのだと思ってたけど……今なら分かる。

 

 強さ以前に恐怖を飲み込み……勇気を燃やして誰かを助ける為に立ち向かう……

 

 

 

「さぁ!」

 

 

 

 そんな剣は正しくヒーローで……

 

 

 

「お前の罪を数えろ!」

 

 

 

 カッコよかった…!

 

 

END

 

 




 自動車学校があるのは……このssオリジナルの設定です。




現状

・山岳ゾーン

 聖火 耳郎 八百万 宍田 

・水難ゾーン

 拳藤 蛙吹 峰田 上鳴

・土砂ゾーン

 轟 葉隠 骨抜 鎌切

・倒壊ゾーン
 
 切島 鉄哲 角取 ブラドキング

・暴風大雨ゾーン

 常闇 口田 小大 柳

・火災ゾーン

 尾白 鱗 回原 取陰

・ゲート前
 
 13号 麗日 飯田 障子 瀬呂 砂藤 芦戸 青山
 
 泡瀬 黒色 庄田 円場 吹出 凡戸固 物間 小森 塩崎



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願い事…それは未来の現実

 セイバーもいよいよ終わりが近づいてきましたね。

 そしてゴーストとのコラボの続編がきましたね!

 どちらも楽しみです!!


 

 セイバーに変身した聖火を見て、ヴィラン達は先程の下種な笑みは何処へやら慌てふためく。

 

「こ、こいつ姿が……!?」

 

「こいつ見た事があるぞ…た、確か…!!」

 

「一年前の…か、…仮面の剣士だぁ!?」

 

 ………唯のガキだと甘く見ていた奴が一年前に巷を騒がせた仮面の剣士とは思ってなかった様だ……

 

「……もう一年も前だしヘドロヴィランの時にしか変身してなかったから……覚えておけ…俺は……“仮面ライダー”だ!」

 

 そう叫んで聖火を仮面の剣士と言った奴をぶん殴る。ブレイブドラゴンの力を宿すセイバーの拳をモロに受けて無事に済む筈もなく白目をむいて崩れ落ちる。

 

「なっ!う、嘘だろ!?」

 

「余所見してていいのか?」

 

 ヴィラン達に突撃して火炎剣烈火を振るい、次々と吹き飛ばす……こうして相対して分かった、コイツら唯のチンピラだ、全然強くない。

 

「チクショウ、計画と違ぇぞ!仮面の剣士が居るなんてきいてねぇ!?」

 

「ひ、怯むんじゃねえよ、人数は俺達の方が勝ってんだ!囲んで数で圧し潰グァッ!?」

 

「やれるもんならな!」

 

 1人の激昂したヴィランが仲間を怒鳴りつけた隙に、聖火は間合いを詰めた。そしてそのヴィランの腹に火炎剣烈火の柄を叩き込む。腹を打ち抜いたことにより、そのヴィランは糸の切れた操り人形の様に倒れ伏す。

 

「コイツ……調子こくんじゃねぇぇ!」

 

 そんな聖火の後ろから岩のような体表の異形系ヴィランが拳を振り下ろしてくる……振り向きざまに切り裂こうとするが……

 

「ガアアアア!!」

 

 

 個性ビーストで獣化した宍田が異形系ヴィランの頭を掴み、そのまま地面に叩きつける。叩きつけられた異形系ヴィランは気を失った。

 

「宍田!」

 

「助太刀いたしますぞ剣氏!お二方なら大丈夫!」

 

 宍田がそう言うと耳郎と八百万が此方に合流する。その顔に怯えの表情はもうなかった。

 

「耳郎、八百万……大丈夫なのか?」

 

「ええ…ご心配をおかけしました。もう大丈夫です!」

 

「ウチ等だってヒーロー志望……ビビってばっかいられないよ!」

 

 八百万が創造した武器を持って笑みを浮かべる耳郎……もう大丈夫な様だ。

 

「……そうだな。それじゃあ速攻で片付けるか!」

 

 【必殺読破!!】

 

 聖火は仮面の下で笑みを浮かべて火炎剣烈火をドライバーに戻し、トリガーを一回引いて抜刀する。

 

「オッケー!」

 

 耳郎も足に装備されたスピーカーにプラグを刺して……

 

【烈火抜刀!ドラゴン一冊斬り!ファイヤー!!】

 

 

 聖火は炎の斬撃、火炎十字斬(かえんじゅうじざん)を耳郎は特大の心音を同時に解き放った。

 

 

「「火炎心音斬(かえんしんおんざん)!!」」

 

 

 聖火が放った火炎十字斬(かえんじゅうじざん)が耳郎が放った心音の衝撃波と組合わさり、更に威力が跳ね上がった火炎心音斬(かえんしんおんざん)となってヴィランたちを襲う。ヴィランも慌てて避けたり、個性で防御したりしていたが、聖火と耳郎の合体技を防ぎ切る事は出来なかった。

 

「く、クソッタレ!は、話が違うぞ!」

 

「コイツら……唯のガキじゃなかったのかよ!?」

 

 それでも運良く免れた者達も居たが……

 

「隙アリ!!……ですわ!」

 

「隙アリ!!……ですぞ!」

 

 片や八百万が創造したスタンガンによって……片や宍田の獣の剛力によって意識を失った。

 

 

◆◆◆◆

 

「13号。災害救助で活躍するヒーロー。やはり……戦闘経験は一般ヒーローに比べ半歩劣る……自分自身をチリにしてしまった」

 

 黒霧の淡々とした声が響く中、背中に重傷を負った13号が崩れ落ちる。その光景に皆が悲痛な声をあげる中…

 

「飯田ァ!走れって!!」

 

 砂藤の絶叫に弾かれるようにエンジンを全開にして、ゲートへと走る飯田。

 

「くそう!!」

 

 飯田は己を恥じていた、何が『皆を置いていくなど委員長の風上にも…』だ! ちっぽけな責任感を満たす為に、1人で助けを呼びに行く事を躊躇った結果……ヴィランに隙を突かれ13号が倒れた。

 

(もう、これ以上の失敗は許されない!)

 

「散らし漏らした子ども…待つべきはあくまでもオールマイト。他の教師を呼ばれては、こちらも大変ですので」

 

 そんな声と共に目前に広がる黒霧。これに飲み込まれてはいけない。すぐに回避しようとするが、黒霧は左右に広がり、逃げ道を塞いでしまう。

 

「行け!!」

 

「行ってください!」

 

 その時、障子が自らの身を、塩崎がツルを挺して黒霧を弾き飛ばし道を作る。

 

「すまない、皆!」

 

 振り返る事無く一直線にゲートへ走る。

 

「ちょこざいな…! 外には出させない!」

 

 障子と塩崎を吹き飛ばし、黒霧が背後に迫るのを感じるが対応している暇はない。全速力で駆け抜ける。

 

「生意気だぞメガネ! 消えろ!!」

 

「くっ!」

 

 しかし、黒霧がどんどん近付いてくる。絶体絶命と思われたその時だ……飯田を捕まえようとする黒霧の動きが止まった。

 

「なっ!?」

 

「はは!A組ばかりにいいカッコはさせないよ!」

 

 いや、止まったと言うよりどんどん後ろに引き寄せられていた。13号のブラックホールをコピーした物間が黒霧を吸い込んでいた。

 

「さぁ、さっさと行きな!A組!!」

 

 皮肉を混ぜつつも背中を押す物間の声を背後に聞きながら、飯田は僅かに開いた自動ドアを潜り抜け、学校まで全速力で駆け抜けた。

 

 

「応援を呼ばれる…ゲームオーバーだ」

 

 

 

◆◆◆◆

 

71:名無しのゴッドイーター

 どうやら片付いた様だな……

 

72:ありふれた赤龍帝

 そうですね……てか、耳郎ちゃんと合体技してましたよね!

 

73:グランドマスター

 合体技は良い文明!それがヒロインとなら更に良い!

 

74:名無しのライダー

 そうだな!合体技は良い!(絆技)

 

75:赤目の主人公

 そもそも合体がいい!(インパルスガンダム)

 

76:名無しのトマト

 今こそ一つにィィィィい!!

 

77:名無しの転生者ハンター

 それについては同意する……ただしトマト、テメーはダメだ!

 

78:炎の剣士

 

「剣氏……彼らは」

 

「ああ、コイツらは唯のチンピラだ。たいした実力はなかった」

 

 

79:名無しのゴッドイーター

 敵の実力も分かる様になってきたか……

 

80:グランドマスター

 成長してるね!

 

81:炎の剣士

「それなら皆、大丈夫だよね!」

 

「ええ、ですが危険である事は変わりありません。まずは飛ばされた皆さんと合流するべきですわ!」

 

 

82:グランドマスター

 音と匂いで索敵できる耳郎ちゃんと宍田君が居るからね…いい判断だ。

 

83:炎の剣士

 

「………そっちは皆に任せていいかな?」

 

「剣?」

 

「俺は広場に向かう」

 

 

84:名無しのトマト

 三人共メッチャ驚いてる。

 

85:名無しのわんわんお

 まぁ、普通は助けを呼ぶとかに徹するよな。

 

86:炎の剣士

 

「さっきも言ったけど……コイツ等は唯のチンピラ、俺達生徒用のコマ………つまり本命が別にある。その本命が居る場所は……」

 

「相澤先生が居る広場だよね……」

 

 

87:ありふれた赤龍帝

 耳郎ちゃん……メッチャ心配してそう……

 

88:炎の剣士

 

「相澤先生が強いのは理解してるけど、やっぱり多数を相手に長期戦はキツイ筈……」

 

 

89:名無しのライダー

 相澤先生、強いのは確かなんだけど戦う相手が悪いからな……

 

90:名無しのわんわんお

 直接じゃなくて間接的に戦って強いタイプだからな……

 

91:炎の剣士

 

「剣氏………む!誰か来ますぞ!?」

 

「数は!」

 

「二人……どちらも初めての匂いですぞ!」

 

 

92:名無しの転生者ハンター

 つまり敵か……まだ居たのか。

 

93:名無しのトマト

 うっわ…相澤先生より身窄らしい奴が出てきた…

 

94:ありふれた赤龍帝

 醜悪……耳郎ちゃん達も無意識に後退りしてるよ…

 

95:グランドマスター

 と言うかもう片方は……脳無じゃん!……他にも居たのか!

 

96:炎の剣士

「お前達もヴィラン連合か……!」

 

「フヒヒ……凄いなぁ!流石雄英生だ……!俺の生徒といい勝負だ……!」

 

「俺の生徒……?」

 

 

97:グランドマスター

 ……アスカニキ……

 

98:赤目の主人公

 ああ……コイツ、既にマトモじゃない……気をつけろイッチ。

 

99:炎の剣士

 はい。

 

「ああ……そうさ……俺の担当に優秀な奴が居たんだ……戦闘向きの個性を持った天才でよぉ…雄英入学は確実だった……まぁ、それ故に周りを見下しては問題を起こす奴だったが……雄英にさえ入ってくれればそれで良かった……」

 

 

100:名無しのライダー

 こんな奴が教師だぁ……!?

 

101:名無しの転生者ハンター

 ……コイツ…どっかで見たような。

 

102:炎の剣士

 

「そうすれば……俺の教師として株が上がる……だからアイツが起こした問題も揉み消してきた……!」

 

 

103:ありふれた赤龍帝

 ……クズが!

 

104:名無しのトマト

 コイツはクセェ…!ゲロ以下の匂いがプンプンするぜ!

 

105:炎の剣士

 

「……なのに……なのに!あの出来損ないのせいで全てが狂った……!あの…無個性の“緑谷出久”のせいで!」

 

「……いま……ナンテ言った?」

 

 

106:名無しのゴッドイーター

 ………聞き間違いか?コイツ今、“緑谷出久”って言わなかったか?

 

107:グランドマスター

 …………安心して……俺にも聞こえた…!

 

108:赤目の主人公

 て事は……コイツ!

 

109:ありふれた赤龍帝

 ……随分落ちぶれたモノですね!

 

110:名無しのトマト

 まさか……こんな事になってるとはな……!

 

111:名無しのライダー

 ある意味、妥当と言うべきか……!

 

112:名無しのわんわんお

 因果応報だ、…生徒の人生を滅茶苦茶にしたんだ!

 

113:名無しの転生者ハンター

 ……随分姿が変わったが……コイツは緑谷出久と爆豪勝己の担任だ!

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

「……いま……ナンテ言った?」

 

 ………その名を理解するのに…俺は少し時間が掛かった。いきなり現れた見窄らしい醜悪な男と脳みそが露出している化け物……広場で見たのとは別物だ。

 

「……緑谷出久?……それって確か……」

 

「ええ、一年前の無個性の中学生自殺事件の被害者ですわ!」

 

 

 当時、それなりに世間を騒がせた事件……耳郎達の記憶にも残っていたようだ……ニキネキ達のスレも聞こえてくる……

 

「お前……緑谷出久の担任か!」

 

 

 自分の中で怒りがこみ上げてくるのが分かる……俺の物語が動き出したきっかけとも言っても過言ではない存在……緑谷出久……彼を自殺に追い込んだ元凶の一人とも言える男が目の前に居る!

 

「………被害者…?……アイツが被害者だと!?ふざけるな!!」

 

「……ヒ!」

 

 

「俺は間違ってない…そうだ…爆豪が雄英に入学すれば俺は折寺中学校で唯一、雄英入学者を出した教師として評価され順風満帆な未来を歩めたんだ……なのに、緑谷が自殺したせいで職を失い、妻と子に逃げられ、実家から勘当され……こんな掃き溜め生活……皆が俺を責め立てる……違う、違う違う…!アイツのせいだ…アイツのせいで俺は……俺は悪くない…俺は悪くない…悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない」

 

 

 

 俺の言葉よりも、八百万が言った言葉に奴は反応し、血走った目で此方を睨み狂った様に髪を掻き毟る……ヒラヒラと白髪が混じった髪が落ちてもお構いなし…そしてブツブツと呪詛の様に勝手に喋り出す…その姿は見るに堪えない……

 

「剣……」

 

 その光景に耳郎も最初の時よりはマシになっているがその顔に少し恐怖が戻っていた。無意識だろう…俺の右腕を掴んでいた。

 

「………アイツは普通じゃない……下がってろ」

 

「……ごめん、さっきビビってばっかいられないって言ったのに……」

 

「気にするな……アイツは狂ってる」

 

 無理もない……アスカニキがスレでも言ってたが、アイツはもう普通じゃない……さっきまでの一般的なヴィランとは違う……狂人の類だ。

 

「八百万氏も、私の後ろに……」

 

「宍田さん……ですが……」

 

「八百万氏も耳郎氏も、ヒーローを志す同士である事は百も承知……しかし、震えるレディを守るのは紳士の務めです」

 

「………ありがとうございます」

 

 

 ………立派だな宍田。その佇まいも在り方も正に紳士と言うに相応しい。比べる事すら烏滸がましいし、宍田に失礼なのは分かってるけど、アイツとは月とスッポンだ。

 

 

 

「……自分で招いた結果だろ。個性の優劣で生徒を差別……生徒の未来を示す立場でありながらアンタは自分の事しか考えてなかった!」

 

 

「黙れ!……生徒の未来だぁぁ〜!いつまでもヒーローなんて……不可能な夢しか語れてねぇ奴がどうなろうが知った事かぁぁ!」

 

 ………狂人の言葉なんて理解できる筈もなく。唯、怒りが更にこみ上げてくる。もうコイツと話もしたくないが……最後に一つだけ言ってやる!

 

 

 

 

「天の道を生き…総てを司る男は言っていた」

 

「アァ?」

 

 

 それは愛する家族を守る為に、たった一人で世界と戦った男。存在そのものが正義であり、世界であり、太陽でもある…“仮面ライダーカブト(天道総司)”が言った言葉……

 

 彼の様に右の人差し指を天に突き上げながら言った。

 

 

 

「子供の願い事は未来の現実……それを夢と笑う大人はもはや人間ではない…!お前は教師の風上にも置けない奴だ……」

 

 

 

 風上どころか教師ですらなくなった男に天道語録を言ってやる価値も無いのだがな……。

 

 何も喋らず俯いてる元教師だが……耳を澄ませばブツブツと何かを呟いてる……人は何処までも堕ちるもんだな。

 

 

「………ムカつくんだよォォォ…!どいつもこいつも俺を……そんな目で見るなァァァ……滅茶苦茶にしてやる!起きろ脳無!」

 

 

 元教師が叫びだすと隣に居た脳無と呼ばれた化け物が動き出した。背中には昆虫の様な羽が生え、腕は鎌状の鋭いモノになっている…………正直、元教師の堕ちた姿の方がインパクトが強くて意識してなかったが……コイツもヤバい見た目してるな……

 

「ひひ……殺れ!あのガキをぶっ殺せ!」

 

 

 次の瞬間、脳無が俺に向かって鎌を振り下ろしてきた。それを火炎剣烈火で受け止める!それなりに重いが全然許容範囲内だ。

 

「剣!」

 

「大丈夫!」

 

 もう片方の鎌で追撃してこようとするがそれより先に蹴り飛ばして距離を取る。皆の事もあるし……早めにケリをつけないとな!

 

 

◆◆◆◆

 

 

114:ありふれた赤龍帝

 いけ、そこだイッチ!

 

115:名無しのゴッドイーター

 ……………………

 

116:ありふれた赤龍帝

 カマキリなんてさっさと倒してアイツをぶん殴れ!

 

117:グランドマスター

 ……………………

 

118:ありふれた赤龍帝

 折寺中学校、ぜってぇ許せねぇ!

 

119:名無しのトマト

 ……………………

 

120:ありふれた赤龍帝

 アンタはイッチが討つんだ…今日ここで!

 

121:赤目の主人公

 ……………………

 

122:ありふれた赤龍帝

 何が俺は悪くないだ!ふざけるな!どいつもこいつも現実逃避ばかりして!

 

123:名無しのライダー

 ……………………

 

124:ありふれた赤龍帝

 殺れ!イッチ!私の分もぶん殴れ!!

 

125:名無しのわんわんお

 ……………………

 

126:名無しの転生者ハンター

 ……………………誰かハザードトリガーでも押したか?それとも滅亡迅雷ネットと接続したか?

 

127:グランドマスター

 赤龍帝ちゃんバーサーカーかってぐらい荒れに荒れてるよ……

 

128:赤目の主人公

 ほら……勇者(笑)達の鬱憤が爆発したんだろ……

 

129:名無しのトマト

 大丈夫ですかコレ……覇龍になりませんよね?

 

130:名無しのゴッドイーター

 大丈夫だろう……流石に……

 

131:名無しのライダー

 まぁ、気持ちはよく分かる。

 

132:名無しのわんわんお

 俺達も同じ気持ちだし。

 

133:炎の剣士

 

「ハアア!!」

 

「クソ!何やってんだ!あんなガキさっさと殺せ!」

 

 

134:名無しのゴッドイーター

 接近戦ならイッチの方が上だな……炎と剣技を上手く使い分けている。

 

135:名無しのトマト

 あ、脳無の奴飛びましたよ。

 

136:名無しのわんわんお

 そりゃ、羽があるから飛べるだろ。

 

137:名無しのライダー

 直接対決では分が悪いからヒットアンドアウェイに切り替えたか…………イッチの周りを飛び回っては鎌で斬りかかってる。

 

138:炎の剣士

 

「ハハハハ……いいぞ!ガキ〜散々言いたい放題言ってくれたな〜これで終わりだ!」

 

「……………ああ、これで話は終わりだ……お前の負けでな…!」

 

 

139:名無しの転生者ハンター

 ケリをつける気だな……

 

140:ありふれた赤龍帝

 やっちゃえ、イッチ!!

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

「……………ああ、これで話は終わりだ……お前の負けでな…!」

 

 

 ブンブンブンブン、ハエみたいに俺の周りを飛び回りヒットアンドアウェイで攻撃してくる脳無と呼ばれた化け物を火炎剣烈火で弾きながら特に焦りもせずに言う俺に元教師はこれでもかと言うくらいに顔を歪ませていた。

 

「……どこま……でも…!何処までも俺をバカにしてぇぇ!殺れ脳無!あのガキを切り刻め!!」

 

 元教師の言葉と共に脳無が俺目掛けて急降下してくる。その速度は先程よりも速く、更にこの脳無……カマキリの個性だと思ったら、鎌の部分が鋭利な刃物と化していた……どう考えても普通じゃない……つまり、広場の黒い脳無も同様と考えるべきだ。

 

 だから早めにケリをつける。迫りくる脳無を尻目に、俺は火炎剣烈火をいつものソードライバーではなく、その脇に付いていた“必冊ホルダー”に納めてトリガーを引いた。

 

 

【烈火居合!!】

 

 

 その音声が鳴ると同時に、右手で火炎剣烈火の柄を握り、左手で必冊ホルダーを支え、居合斬りの構えをする。

 

 劇中では物語序盤のカリバーしか使っておらず、セイバーに居合の必殺技はなかった……だけど火炎剣烈火でも居合はできる。だから居合斬りの達人こと鬼殺ニキに協力してもらい完成した居合斬り……今は任務中で鬼殺ニキが居ないのは残念だが今ここで使わせてもらおう。

 

 

「死ねぇぇぇ!!」

 

 

 

 既に狂ってマトモな思考ができない元教師。全く動かない俺を見て決まったと思ったのだろう。脳無が鋭利な鎌を振り下ろしてくるが……もう、遅い。

 

 

【読後一閃!!】

 

 

烈火緋龍閃(れっかひりゅうせん)!!」

 

 

 脳無の鎌より先にホルダーから火炎剣烈火を抜き放ち、燃え盛り緋色に輝く一閃が脳無を切り裂き、燃え盛る炎に包まれて脳無は沈黙した。

 

 

「言った筈だ……これで話は終わりだと」

 

 そう言って元教師に火炎剣烈火を突き出すと、脳無がやられた事が信じられないのかブツブツと何かを呟き始めた。

 

「嘘…だ…嘘だ嘘だ!脳無があんなガキに負けるなんて……死柄木さんが言ったんだ「コイツならヒーローにだって勝てる」って……なのにどうしてあんなガキなんかに…!そうだ……これは夢だ。全部夢なんだ…………俺がこんな事になってるのも……全部、悪夢なんだ……俺は悪くない。俺は悪くないんだ」

 

 

 ……惨め過ぎる。見るに堪えない……終わらせるか……。元教師の胸ぐらを掴み、右拳を握り締める。

 

 

「……だったら今すぐ夢から覚ましてやるよ……歯を食いしばれ!!」

 

「……ま、待て……待ってくーー」

 

 

 醜い命乞いを遮る様に俺の拳が奴の顔面に突き刺さる。まだ変身を解除していない仮面ライダーのままで殴られて無事な訳なく……向こうの岩盤に叩きつけられられた元教師…鼻は折れ曲がり歯は砕け散り……顔面血だらけになり白目をむいて崩れ落ちた。

 

 

「……………刑務所の中で自分の罪を数えてろ」

 

 

 

 もう色々と醜過ぎて顔も見たくない。刑務所の中で犯した罪を一生数えてろ……そう願いながら俺は耳郎達の方に歩を進めた。

 

 まだ、終わってない。一刻も早く皆の所に向かわないと!

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

【耳郎side】

 

 勘違いだった……大丈夫だって笑ってくれた剣に勇気を貰って、一緒に戦えて…ウチの力が敵に通用したって…思い込んでた。結局アイツ等は唯のチンピラ……次に現れた元教師の狂気にまた動けなかった。

 

 結局、また剣がなんとかしてくれた……変身を解除して笑みを浮かべて剣は言う……「もう大丈夫」って………あぁ、剣にとってウチは“守る側”で、“共に戦う側”じゃない。きっと剣はそんな風に思ってはいないだろう。でも、この状況がそれを物語っていた。

 

 きっと剣はこのまま相澤先生の援護に向かうんだろう。そこには敵の親玉が居る、さっきの元教師にビビってたウチじゃ足手まとい…………

 

 剣はウチが心配する必要なんてないくらい強いのは痛い程分かった。それなのに不安がこみ上げてくる…もし…もしもその親玉が剣よりも強かったら?

 

 そんな不安が現実になるなんて……この時は思いもしなかった。

 

END

 




・オリ技紹介

火炎心音斬(かえんしんおんざん)

 聖火の火炎十字斬(かえんじゅうじざん)に耳郎の心音を上乗せした必殺剣。威力、射程、共に上昇している。


烈火緋龍閃(れっかひりゅうせん)

 鬼殺ニキの飛天御剣流を参考に編み出した居合斬り。炎で緋色に輝く一閃で敵を切り裂く。流石に本家本元と比べると速さは格段に遅いがそれでも十分必殺剣と呼べるモノに仕上がった。



 如何だったでしょうか……最後に記載された耳郎ちゃんの心境は原作15話16話でチンピラ倒して浮かれた後にプロの現場を見た緑谷君の心境を元に描きました。

 今回初登場させたオリ技。一つは耳郎ちゃんとの合体技……いつ打ち合わせしたの……と言う感想が来そうですが……ソコは気にしない方向で……お願いします。

 そしてもう一つは居合斬り。最終回まであと僅かとなった今ではリード機能同様に忘れ去られた居合ですが、玩具では火炎剣烈火でもできるので……鬼殺ニキとの特訓で編み出したと言う設定で登場させました。

 最後に一番驚いたであろう緑谷君の担任の登場。爆豪の敵化の感想もちょくちょく送られて来るのですが、そうすると今現在下がった評価が更に下がりそうなのと、そこに至る経緯が難しいので代理として折寺中学校の奴を採用しようと考えました。しかし、合宿編ならともかく、序盤で中学生の彼らを敵化させて登場させるのは些か無理があると考えたところ……担任ならいけんじゃね!と考えました。

 彼の設定は完全オリジナル。クビになって妻と子に逃げられ、実家から勘当され……そして酒と薬に走り狂って落ちぶれた。故に雄英生と言う順風満帆な若者を極端に恨み敵連合に参加した。と言う自業自得の人生です。

 一緒に登場した脳無はカマキリと刃化の2つの個性。飛ばした生徒を殺す為に用意したが相手が悪すぎた。

 次回は遂に死柄木との対面です!





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悪との対面!こぶたが織り成す剣士の乱舞!!

 今週のセイバーは戦闘が少ない代わりにシリアス多めでしたね。そろそろデザストと蓮のコンビが消えそうで少し寂しいですね…


 

 聖火が元教師を倒したその頃……広場では思わず息を呑む光景が広がっていた。

 

 かなりの人数のヴィランが倒されているが、その中央には黒い巨躯で鋭い牙、鳥のような尖った口、脳みそが剥き出しの頭部。聖火が倒した奴とは別の脳無が血塗れで腕をへし折られている相澤を押さえ込んでいる。

 

 

「個性を消せる。素敵だけどなんてことはないね。圧倒的な力の前ではつまり、ただの無個性だもの…」

 

 脳無は、手を体中に取り付けたヴィラン……死柄木のその一言で相澤の左腕をまるで枯れ枝を折るように粉砕した。

 

 

 そんな惨劇から少し離れた水辺に人影が見えた。蛙吹に峰田、上鳴……それに拳藤の4人がいた。水難ゾーンのチンピラ達を片付けて、広場に向かって居たが相澤が倒された光景を見て身動きが出来なくなっていた。

 

「……せ、先生……!」

 

「ダメだ…あれは無理だ…!」

 

「ケロ…」

 

「ウ、ウェイ…」

 

 悲鳴をあげないように口を両手で押さえながら、ガタガタと震えている峰田。蛙吹も表情こそ変わらないが恐怖心を必死で堪えている。個性の使い過ぎでショートしてる上鳴もその顔が恐怖に染まっていた。

 

 拳藤も必死に打開策を考えるが……恐怖で考えが纏らない。その時、死柄木の側に靄のヴィラン……黒霧が現れる。

 

「黒霧、13号は殺ったのか?」

 

「行動不能には出来たものの、散らし損ねた生徒がいまして……一人逃げられました」

 

「は?はぁ~!!」

 

 黒霧の報告に手を全身に付けた男…死柄木弔の首を掻きむしるスピードはエスカレートして行く。

 

「黒霧……お前……お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ…!流石に何十人ものプロ相手じゃ敵わない。ゲームオーバーだ。あーあ、今回はゲームオーバーだ。帰ろっか」

 

 

 帰る……死柄木のその言葉は拳藤達にも届いており峰田は脳天気に喜ぶが拳藤の内心は恐怖で一杯だった。

 

(オールマイトを殺したいんじゃないのか!? ここで帰ったら雄英の危機感が上がるだけだぞ!! ゲームオーバー? 何だ…何考えているんだ、こいつら!!)

 

「けどもその前に…平和の象徴としての矜持を少しでもーー」

 

 

 死柄木はそう言うと……

 

 

「ーーへし折って帰ろう」

 

 一瞬で拳藤達と距離を詰め……蛙吹に手を伸ばす。最初から気づかれてた!その事を拳藤が理解する間に死柄木は既に蛙吹に触れるが………何も起こらなかった。

 

「……ホントに格好いいぜ、イレイザーヘッド」

 

 既にズタボロだった相澤が個性を無効化していた。しかし、それも束の間、再び脳無が相澤を地面に叩きつける。

 

(ヤバい……ヤバいヤバい!全然違う…!さっきの奴らと全然違う!助けないと…!梅雨ちゃんや先生を助けないと!!)

 

 それを見て拳藤が咄嗟に拳を巨大化させて死柄木に殴りかかる。

 

「梅雨ちゃんを……………離せぇぇえ!!」

 

「……………脳無」

 

 そんな拳藤を見て特に焦りもせずに脳無の名を呼ぶ死柄木。すると先程まで相澤を掴んでいた脳無が一瞬で死柄木の盾となるべく拳藤に立ち塞がる。それでも構わず拳藤は脳無を思いっきりぶん殴るが……………

 

「……………え?」

 

 脳無は全くダメージを負った気配がなく、それどころか後退りもしなかった。

 

「ハハハハ……イイねその顔!」

 

 訳がわからないと言いたげな拳藤を嘲笑う死柄木、次の瞬間、脳無が拳藤にその腕を伸ばす。掴まれば最後、相澤みたいに潰される。

 

「ッ!」

 

 思わず目を瞑ってしまう。そんな事しても意味はないのに理性よりも恐怖が勝っている。

 

 しかし、何時まで経っても何も起きない……不思議に思い目を開けると……

 

 

「もう、大丈夫!」

 

 火炎剣烈火で脳無の腕を切り飛ばす仮面ライダーセイバー……剣聖火の姿が其処にはあった。

 

 

◆◆◆◆

 

 

 危なかった…!飛ばされた皆を耳郎達に任せて広場に向かっていたらボロボロになった相澤先生と今まさに襲われている拳藤達の姿を見て、間髪入れずにさっきとは別個体の脳無の腕を切り飛ばす。

 

 そのまま火炎剣烈火で炎の斬撃を放ちヴィラン達を吹き飛ばす。その隙に相澤先生を回収する。

 

「ホントに間一髪だったな」

 

「つ、…剣!!」

 

「剣ちゃん!」

 

 俺の姿を見て少しは恐怖が和らいだ様だ……色々と話したい事はあるが時間がない。

 

「拳藤…相澤先生と皆を連れて逃げろ!アイツ等は俺が食い止める!」

 

「で、でもよぉ剣…お前1人で…」

 

「峰田…気持ちは分かるが時間がない!」

 

「……皆、相澤先生を連れて行こう…今の私達じゃ足手まといになるだけだ」

 

 

 拳藤の言葉に皆、顔を俯かせつつも気絶した相澤先生を抱えてゲートの方に向かう。

 

「剣………負けないでね!」

 

「……………あぁ、心配するな」

 

 最後にそう言って離れていく拳藤を背後に感じながら、俺は構える……………爆煙が晴れると其処に脳無が無傷の姿で現れる。

 

 しかも、俺が切り飛ばした腕まで元通り……再生の個性か……。

 

「なんだ…?あのご当地ヒーローみたいな奴…?」

 

「あれは……仮面の剣士!」

 

 

 そしてコッチを品定めする様に見てくる体中に手を取り付けたヴィランと靄のヴィラン……あいつ等が死柄木と黒霧か……。

 

「一年前に噂になった、謎の剣士……まさかこの場で出会うとは……!」

 

「つまりレアキャラって事か!いいねー面白くなってきた……脳無!」

 

 死柄木の命令で脳無が動き出す……さっきの別個体と戦って分かった事がある……コイツら生き物というよりは、ロボットとかを見てる気分だ。

 

 

 

 だからこそ……人を殺すのに躊躇いがない。

 

 

 

 

 ニキネキ達や雄英での戦闘訓練とは全くの別……ホントの戦い。無意識に仮面の下で冷や汗が流れる。今の俺の姿は右半身が赤い龍、中心が赤い鷲、左半身が緑のブタを模した鎧で覆われている。

 

 コレは【ブレイブドラゴン】、【ストームイーグル】、そして【こぶた3兄弟】の3つのワンダーライドブックを使って変身した姿。【仮面ライダーセイバー ドラゴンイーグルぶた3】。機動力と防御力……そして“ある特殊能力”を備えた形態。

 

 そして俺は……とある事情で“フォームチェンジができない”……この姿でやるしかない。

 

 

「……ヤれ」

 

 

 一瞬だった。

 

 死柄木のその一言の後一瞬で距離を詰めた脳無がその巨腕を振り下ろしてきた。

 

(速い……!?)

 

 だけど捉えられない程じゃない……【ストームイーグルマスク*1】が備わったセイバーなら十分対処できる。

 

 そして……振り下ろしてきた拳を左前腕部に備えた防御シールド【ステッピッグワイズ】で防いでカウンターで切り裂こうと身構える。

 

 

 

 

 次の瞬間……俺は思いっきり壁に叩きつけられていた。

 

(……!?嘘だろ!今のセイバーは体重115.7kg、それをガード越しに殴り飛ばしやがった!)

 

 

 体中から激しい痛みがする。“初期状態”とはいえ【ステッピッグワイズ】の防御力を凌駕してる……“最初に防御しといてよかった”。

 

 攻撃力もデタラメだが速さもある……脳無は更に追い打ちをかけようと信じられない速さで距離を詰め再びパンチを繰り出してきた。

 

 だが……スピードなら俺も負けてない!即座に【バーミリオンウイング】を展開して旋回、パンチを回避してそのまま腕を切り落とす。

 

「……クソ」

 

 ……………が、やっぱりすぐに再生してしまう。痛みを感じないのだろう……痛がる素振りすら見せない。

 

「さっきのカマキリよりずっと強いじゃねぇか……!」

 

「ヘェ~アレを倒したんだ。少なくともガキに倒せる代物じゃないのに?」

 

「彼は我々の想定より上だったという事ですね」

 

「……はぁ、凄いなぁ…最近の子どもは…恥ずかしくなってくるぜ敵連合……まあいいや。コイツは別格だ!」

 

「そうかよ!!」

 

 そう言ってる間に空から急降下して顔面にケリを叩き込むが……

 

「効いて…ないのか?」

 

 

 脳無は全くダメージを負った気配がなく、反撃の拳を振り下ろしてきた。ギリギリのところでそれを避け、距離を取ると死柄木が楽しそうに手を叩いているのが視界の隅に見えた。

 

「残念!脳無には【ショック吸収】の個性があるから、打撃は一切通用しない」

 

 再生に加えてショック吸収……完全なるオールマイトアンチ。コイツがオールマイトを殺す切り札か…!

 

「だったら!!」

 

 

【ヘッジホッグ!ふむふむ…】

 

 黄色のライドブック、【ニードルヘッジホッグ】を火炎剣烈火の剣先にかざす。

 

「受けるがいい……我が刃!!」

 

【習得一閃!】

 

 

 火炎剣烈火を振るうと共に無数の針が脳無に突き刺さり、次の瞬間爆発した。

 

「普通ならこれで話は終わり……なんだけどな」

 

 残念な事にアイツは普通じゃない。多量の血がドバドバと流れ出すほどの怪我なのに……その体は、十秒と経たずに復元した。

 

「ハハハハ、お前凄いな!でも、無意味だ!こいつは対オールマイト用のヴィラン。叩こうが潰そうが切り刻もうが、ショック吸収と超速再生があるからどれだけダメージを与えた所でぜーんぶパーだ。肉片をゆっくり抉り取るぐらいの事はしないと」

 

 

 まるで玩具を自慢するかの様に嘲笑う死柄木……殴りたいその笑顔……だけど脳無の猛攻を凌ぐだけで精一杯だ。

 

 遂に防御にも綻びが生まれ脳無の拳が迫る……回避は不可能……再び、【ステッピッグワイズ】を構える。

 

「おいおい、ガードは無意味だって理解しただろ?」

 

 回避できないと分かって馬鹿にした様な死柄木の言葉が聞こえたと同時に脳無の拳が【ステッピッグワイズ】に叩き込まれた。

 

 

 

 

「……………間に合ったか」

 

 ……………が、最初と打って変わって俺は吹き飛ばされずに少し後退りだけだった。

 

「どうした、鳩が豆鉄砲喰らった様な顔して?」

 

 

 死柄木の訳がわからないと言わんばかりの表情が目に映る。それはそうだろう、最初はガード越しに殴り飛ばされた俺が今度はしっかりと防ぎきっているのだから。

 

「なんでだよっ!?なんで防いでるんだ!?おかしいだろ!?」

 

 まるで、チートをしても勝てなかった子供みたいな癇癪を起こす死柄木。……そのまま叫んでろ……こっちは“時間を稼がせて貰う”!

 

 

◆◆◆◆

 

 

141:名無しの転生者ハンター

 間に合ったか!

 

142:ありふれた赤龍帝

 どういう事ですか、ハンターニキ?

 

143:名無しのトマト

 最初、ガードしても思いっきり殴り飛ばされたのになんで今度は防ぎきれたんですか?

 

144:赤目の主人公

 あの盾に何かあるのか?

 

145:名無しの転生者ハンター

 その通りだ、ドラゴンイーグルぶた3の左腕の防御シールド【ステッピッグワイズ】は高い学習能力を持ち、外敵から受けた攻撃を学ぶことで更に防御力を上げる事ができる。

 

146:グランドマスター

 なるほど、だから最初に防御したのか……

 

147:名無しのライダー

 流石、仮面ライダー、便利な能力持ってるな。

 

148:名無しのわんわんお

 これで、脳無と最低限戦えるな!

 

149:名無しのゴッドイーター

 だが、戦えるだけであって勝てる訳ではない。

 

150:赤目の主人公

 そうだな…脳無の超再生を上回るダメージを与えないと勝てない…今のままじゃ火力不足だ。

 

151:名無しの転生者ハンター

 その点は心配ないだろう……

 

152:グランドマスター

 そうだね、問題はそこまで耐えられるか……

 

153:名無しのトマト

 そこが勝負の分かれ目ですね…!

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

「剣……!」

 

  

 USJの広場で激闘を繰り広げる聖火と脳無……その様子をゲート前に相澤達を避難させた拳藤が心配そうに見つめていた。

 

 火炎剣烈火から放たれる斬撃が脳無の皮膚を切り裂きその身を焼くが……次の瞬間超再生で瞬く間に元通り。そして脳無の剛腕を聖火は紙一重で躱したり【ステッピッグワイズ】で防御してやり過ごす。

 

「……………剣の奴…ホントに勝てるのか?」

 

「ッ……剣が負けるって言うのか!?」

 

 近くで呟いた峰田に拳藤が猛反論。

 

 自分達の為に戦ってるのに勝利を信じきれてない事に拳藤は怒りを見せた。

 

「で、でもよ…!あの化け物、斬っても斬ってもすぐに再生するんだぜ!キリがねぇよ!」

 

「だけど……!」

 

 峰田もその事は悪いと思ってるだろう……だけど、確かに言う通りでもある。

 

 斬っても焼いても無慈悲に再生する脳無に対して、ダメージを最小限に抑えているとはいえ、脳無のデタラメなパワーではその最小限すら、聖火の身体に響く。

 

 このまま状況が拮抗すればいつか聖火の方が音を上げるのは火を見るより明らかだ。

 

 

「ハハハッ! 残念だったな! お前のチンケな攻撃じゃ脳無の超再生は破れない!」

 

「……そうだな……確かにその通りだ」

 

「剣でも勝てないのか……!」

 

「クソぉぉ……!」

 

「あぁ……主よ…!」

 

 

 死柄木の言葉に反論しない聖火………その言葉にゲート前に居た者達の表情に絶望が浮かんできた。

 

「確かに…俺だけじゃその脳無は倒せない……“俺だけじゃな”」

 

 

 

【ピーターファン!ふむふむ……】

 

「ハァっ!」

 

 

【習得一閃!】

 

 

 その時、全く別の方向から伸縮自在の【キャプチャーフック】が飛び出し脳無を吹き飛ばした。

 

 飛んできた先を見てみれば……

 

 

「主役は遅れてくるってね」

 

 

 仮面ライダーセイバー・ドラゴンイーグルぶた3が其処に居た。

 

「な、ナニィィィ!?」

 

「剣が二人……そうか!」

 

 

 しかし、今まで戦っていた聖火とは別者だ!誰もが目を見開く中、現れたセイバーと共に聖火は脳無に火炎剣烈火を叩きつける。

 

「ど、どういう事だ!?何故、仮面の剣士が二人も居る!?」

 

「どんな手品か知らねぇが二人になった所で脳無には勝てねぇ!!」

 

 予想外の事に慌てふためく黒霧と死柄木。しかし、二人になった所で脳無には勝てないと落ち着こうとする。

 

「「さ~て、二人かな?」」

 

 脳無に火炎剣烈火を叩きつけた二人の聖火は【バーミリオンウィング】を展開して共に距離を取る。

 

 

【ジャックと豆の木!!ふむふむ!】

 

【習得一閃!】

 

 

 次の瞬間、上空から大量の土豆の弾丸が脳無に降り注ぐ……まさかと冷や汗を流し始めた死柄木が視線を上に向ければ……

 

 

「俺も居るよ!」

 

 

 上空から三人目の聖火……仮面ライダーセイバー・ドラゴンイーグルぶた3が現れる。

 

 

「……………もう一人、増えやがった……………何なんだよアイツはさぁ!?」

 

 

 二人に増えた事すら驚きを隠せないのに、三人目が現れた事で最初の余裕はもう無くなっていた。

 

「フンッ!!」

 

「げぼぁっ!」

 

 故に現れたブラドキングに気づかず顔面に拳を叩き込まれ殴り飛ばされる。

 

「死柄木弔!」

 

 

 当然、黒霧は死柄木の安否の為に駆け寄ろうとするが……

 

「ナニ!?」

 

 突如として下半身が凍りつき動けなくなる。

 

「やっぱりお前、実体部分を靄で覆ってたんだな。だから「危ない」って言葉が出た……違うか?」

 

「ぬぅ…!」

 

 次に現れた轟の言葉に反論できない黒霧……周りを見回すと他のエリアに飛ばした者達が集まっていた。

 

 

「皆無事だったのね!!」

 

「よ、…良かったァァァ!」

 

「あぁ、主よ…感謝します」

 

 

 飛ばされた皆は無事なのか不安だったゲート前の生徒達もそれを見て安堵する。

 

 

「そうだったのか!剣は広場に来る前にこぶた3兄弟の力で三人に分身してたんだ!!」

 

 そう拳藤の言う通り、聖火は広場に来る前にドラゴンイーグルぶた3に変身し、こぶた3兄弟の3人に分身する能力を使っていた。

 

 本体は広場に行き、首謀者達の足止め。残った2つの分身で飛ばされた皆の救出。それが終わり次第、三人がかりで首謀者達を撃破する作戦だったのだ。

 

 しかし、問題もあった。分身は現在の姿で現れる。故にフォームチェンジしてしまうと分身は消えてしまう為、フォームチェンジができない。そして本体が大きなダメージを負ってしまうと分身は消えてしまう。

 

 だから聖火はそれまで回避と防御に専念して時間を稼いでいたのだ。

 

 

「剣、大丈夫!?」

 

 飛ばされた皆を連れてきた耳郎が聖火*2に駆け寄る。耳郎自身、皆の救出をしている間、聖火の無事を心配していた。

 

「心配するな耳郎、この通り問題ない。……………合図をしたら心音を頼む」

 

「……………うん、分かった」

 

 そんな耳郎に聖火は己の無事と“ある頼み事”をする。顔を強張らせつつも承諾してくれた耳郎に感謝しながら死柄木に視線を向ける。

 

脱出口(黒霧)は抑え、お前もブラド先生に拘束された……………これで話は終わりだ」

 

 

 黒霧は轟によって腰から下まで凍らされ、死柄木自身、地面に叩きつけられ凝固された血と共にブラドキングによって拘束されていた。ブラドキングの個性“操血”は自身の血を自在に操ることができる。故にヒーローコスチュームの管に血を伝せて籠手等から血を放出でき、瞬時に凝固させて拘束する。

 

 

「その通りだ…潔く投降しろ」

 

 ブラドキングも投降を呼びかける……………見守る生徒達もこれで終わってほしいと願う。

 

「……ざけん……な……ふざけんな!まだ殺し(ゲーム)は終わってねぇ!!」

 

「…やっぱ駄目か……頼む耳郎!ブラド先生は俺が回収する!」

 

「うん!」

 

 が……拘束から逃れようと我武者羅に暴れる死柄木の目から諦めは感じず、狂気だけが宿っていた。それを感じた聖火はすぐに耳郎に合図を送る。

 

「殺れ!プロも!ガキも!そこの剣士も!そいつら全員ぶっ殺せ!!脳『♪〜!!!!』ーーグァァァァ!?」

 

 再び脳無を動かそうと命令を下すが……それを遮る様に耳郎から心音が放たれた。ブラドキングは聖火*3に回収され、唯一人取り残された死柄木は絶叫する。

 

 主がそんな状態だと言うのに脳無はピクリとも動かない……やっぱりそうだと聖火は自分の考えが当たった事を察した。

 

 戦っていて分かったのは脳無は死柄木の命令を聞いて動いている。つまり命令が聞こえなければ脳無は動かない!

 

「……ウチはココまで、剣!」

 

「充分過ぎる、サンキュー耳郎!!」

 

 

 脳無が動かぬ隙をついて三人の聖火が勝負に出る。

 

 

 

「「「さぁ、フィナーレだ!!」」」

 

 

 二人の分身がそれぞれ火炎剣烈火をドライバーに戻してトリガーを2回引いた。

 

 

【【ドラゴン!イーグル!3匹の子豚!三冊斬り!ファ・ファ・ファ・ファイヤー!!】】

 

 

「「火炎舞飛斬(かえんぶひざん)!!」」

 

 

 轟との特別試合に放たれた時よりも激しい獄炎の竜巻……火炎舞飛斬。それが2つ合わさり激しく燃え上がる竜巻となって脳無を飲み込む。

 

 切り裂かれて再生、燃やされて再生……何度も何度もそれを繰り返す。しかし……次第に脳無の再生スピードが落ちていく。

 

 確かに脳無の超再生は凄まじい…聖火一人では火力が足りない。しかし、聖火が三人居れば話は別だ。

 

 再生スピードが落ちた脳無にトドメを刺すべく聖火*4はバーミリオンウィングを展開してUSJギリギリの高さ迄跳び上がり納刀状態の火炎剣烈火のトリガーを2回引いて……………

 

 

【必殺読破!!】

 

【ドラゴン!イーグル!3匹の子豚!三冊撃!ファ・ファ・ファ・ファイヤー!!】

 

 

 

火龍蹴撃破(ひりゅうしゅうげきは)!!」

 

 

 一気に降下!3冊分のエネルギーを糧に激しく燃え上がる獄炎が右足に宿り、脳無を飲み込んだ火炎舞飛斬を吹き飛ばし脳無の土手っ腹に深く突き刺さる。

 

 それと同時にページ型のエネルギー体が脳無の後ろに出現し、同時に現れた火炎剣烈火型のエネルギー体と共に突き進む。

 

「ハァァァーー!!」

 

 合計十一枚のページを突き進んだ先に待っていた本型のエネルギー体に脳無を叩きつけ、火炎剣烈火型のエネルギーが本ごと脳無に突き刺さり聖火が本を突き破った瞬間、本が脳無を巻き込み大爆発を起こす!

 

 

「ふぃー……」

 

 地面に着地し一息入れる聖火、分身もいつの間にか消えており少し間を置いて脳無が地面に激突する。超再生もショック吸収も意味をなさない程のダメージを叩きつけられた脳無は全身大火傷を負って沈黙した。

 

 

「勝った……………剣が勝ったんだ!!」

 

 

 拳藤の歓喜の声が響くと同時に他の生徒達も我が事の様に歓声を上げる。

 

「剣……………良かった」

 

 そんな中で耳郎はそっと、自分が感じていた不安は気の所為だったと……剣が無事だった事を安堵する。

 

 

 

 

 ……………それが錯覚とも知らずに……

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

154:名無しのトマト

 よっしゃ!イッチが勝った!

 

155:ありふれた赤龍帝

 スペックじゃあ脳無が上だったけど、能力を完璧に使いこなしたイッチの作戦勝ち!

 

156:名無しのゴッドイーター

 ………………まだだ。

 

157:名無しのトマト

 神喰ニキ?それってどう言う……

 

158:赤目の主人公

 まだ終わってないって事だ。

 

159:ありふれた赤龍帝

 アスカニキ……でも、脳無は再起不能!死柄木達だって拘束されてる!

 

160:グランドマスター

 確かにその通りだよ。だけどね……死と隣り合わせの人生を歩んでいると……身に付くんだ、直感とも言うべきモノが。

 

161:名無しのトマト

 ……………直感?

 

162:名無しのわんわんお

 イッチやトマト君、赤龍帝ちゃんはまだ日が浅いから分からないかも知れないが……言葉では言い表せない本能とも言うべきモノが言ってるんだ。

 

163:名無しの転生者ハンター

 戦いはまだ終わらない!…ってな!

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

「う、嘘だろ!?あの脳無が…先生の最高傑作が!あんな餓鬼なんぞになんで負けんだよ!?クソぉぉ…!巫山戯んな!離せ!離せよ!!」

 

 “脳無の負け”と言う現実がよっぽど受け入れられないのか子供の様に喚き散らす死柄木。

 

 正直、結構ギリギリだった……脳無の肉体的スペックはセイバーを大きく上回ってた。回避するにも全神経を集中させないといけないし、幾ら【ステッピッグワイズ】があっても脳無のデタラメなパワーを完全に防げる筈もなく全身が痛い……

 

 だけど、…ワープの黒霧は轟によって下半身が凍らされ、死柄木はブラドキングに拘束され脳無は聖火によって再起不能。

 

 これにて一件落ちゃーー『気をつけろ!まだ終わっていない!!』ーー神喰ニキ?

 

 

「………オールマイトならともかく、まさか生徒に脳無が倒されるとは…夢にも思いませんでしたよ」

 

 突然聞こえてきた神喰ニキの声に驚いたその時、喚き散らす死柄木とは対照的に顔を俯かせ黙っていた黒霧が突然喋りだした。

 

「しかも、負傷したのは教師たった二人だけ、生徒は全員無事……此方の完全敗北と認めざるをえない。……故に手段は選んでられない」

 

「させるものか!」

 

 まだ何かあるのかよ!ワープさせない為に下半身は凍っているが上半身は無事のまま、奴が何かする前に止めようとブラド先生に続く形で俺も動く。

 

 

 

「……………え?」

 

 

 

 だけど、黒霧が懐から出した“ソレ”を見て俺は一瞬、判断が遅れた。外見は掌に収まる程度大きさの細長いUSBメモリの様なそれは…まるで仮面ライダーWに登場する“ガイアメモリ”の様だった。

 

 

「下手をすればこっちが危ないですが……背に腹は変えられない!」

 

 

「T-REX」

 

 

 黒霧がメモリ下部に付いているボタンを押すと俺のとは違い、禍々しい掃き溜めの底から聞こえてくるような音声が流れ、ブラド先生が取り上げるよりも先に……メモリを投げた。

 

 その先には………ッ!脳無だ!再起不能になった脳無にメモリが突き刺さるとメモリは脳無の体の中に溶けていった。

 

「な!」

 

「しまった!」

 

 自らではなく再起不能となった脳無に……その選択が思いつかなかった俺とブラド先生は止める事ができなかった。

 

 

 

ドクンッ!

 

 

 

 そして……全身に大火傷を負った脳無の閉じていた目が再び開き体が大きく脈動した!何度も跳ねた後、手足が震え始め、全身の血管が浮き彫りになっていく…肉体は膨張を始め…その姿が変わっていく……

 

 

「なに……何が起こってるの?」

 

 近くに居た耳郎が顔を青くする。耳郎だけではない…その悍ましい光景に誰もが震える。

 

 

 鳥の様だった顔は何倍にも大きくなり刃物の様に鋭い牙を何本も備えた、凶悪なモノへと……

 

 腕は小さくなり指も三本迄減って、拳は無くなったが代わりに足がまるで大木の様に太くなりUSJの大地を踏み砕く……。

 

 

 元々、オールマイトの様に筋骨隆々だったその身体はその面影すら感じさせずに……メモリから流れた音声の通りにT-REX……ティラノサウルスの化け物へとその姿を変えた。

 

 

 

「グオオオオオオオオ!!!!」

 

 

 

 

 戦いはまだ終わっていなかった………

 

 

 

END

 

*1
セイバー ドラゴンイーグルぶた3の前額部。ストームイーグルワンダーライドブックの力を得たことで上空から地上の標的を的確に捉える鷹の目をもたらし、どんな些細な挙動も見逃すことはない。

*2
本体

*3
分身

*4
本体




 
 今回は死柄木との対面と脳無戦………今回はドラゴンイーグルぶた3が登場。分身能力を使って見事脳無を撃破しました。

 普通ならコレでUSJ編は終わりなんですが……本番はここからです!

 最初に言っておきますが今回登場したメモリは本物のガイアメモリではありません……脳無の姿が変わったのは個性です。なんでその様になったのかは……追々明らかにします。

 脳無の姿は黒い肌色をしたティラノサウルス。頭部は脳無特有の脳みそ丸出し状態です。

 連戦続きで心身ボロボロな聖火はどうやってこのピンチを乗り越えるのか……ヒントは私がこれまで出した後書きの中にあります。

 


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希望の力、お借りします!!

 

 先週は何の音沙汰もなくてすみませんでした。リアルが忙しくて……………その分今回はボリュームたっぷりです!


 前回登場したガイアメモリモドキのコメントが沢山来て嬉しいです!今の所はあの世界に居る転生者は聖火だけです。

 最後……………ウルトラマントリガー最高!!
 

ー追記ー

改稿しました。



 

 

 俺は目の前の出来事に驚きを隠せなかった……。

 

 

「グオオオオオオオオ!!!!」

 

 

 こぶた3兄弟の力で生み出した分身とのコンビネーションで倒した筈の脳無。これで終わったと思ったその時……黒霧が取り出したガイアメモリの力でティラノサウルスの化け物へと復活したのだ!

 

 復活を喜ぶかのように咆哮を上げる脳無。その余りの衝撃に周りに居た皆が吹き飛ばされる。近くに居た耳郎が飛ばされないように腕を掴んで踏ん張りながら、必死に考えを巡らせる。

 

 クソ!どうしてガイアメモリがこの世界にあるんだよ!?まさか、財団Xがこの世界にいるのか!?……ッ、スレからの通信?

 

『聖火! 考えるのは後だ! このままでは全員巻き込まれる! 奴の動きを止めろ!』

 

 ハンターニキからだ……そうだ、皆が逃げる時間を稼がないと!

 

 火炎剣烈火にジャッ君と土豆の木をかざす。

 

「轟! 合わせてくれ!!」

 

「ッ! ああ、分かった!!」

 

 流石の轟も脳無の変化に度肝を抜かれていたが、すぐに俺の考えを理解してくれた。

 

 

【ジャックと豆の木!! ふむふむ!】

 

【習得一閃!】

 

「これで!」

 

「止まれ!」

 

 

 火炎剣烈火から放たれた土豆、それから生えた根が脳無を絡め取り動きを封じ、その上に轟が放った氷結が脳無の動きを封じる……が、気休めにしかならない!!

 

「ブラド先生!」

 

「……すまん、お前達早く避難しろ! 急げ!」

 

 ブラド先生の激昂で皆が脳無から離れる……正直これも気休めにしかならないと思うが……

 

「耳郎も離れててくれ……………流石にコレは不味い」

 

「剣は! 剣はどうすんの!?」

 

「できる限りでアイツを抑える……………きっともう少しでプロヒーローの救助が来る」

 

「ッ……分かった」

 

 

 悲しそうに、悔しそうに顔を俯きつつも理解してくれた耳郎は皆の元に向かう……………ごめんな…。

 

『心を痛める気持ちは分かるがそれどころではない……来るぞ!』

 

 ハンターニキの言う通り、脳無は氷を吹き飛ばし土豆の木をその強靭な顎で噛み砕き、あっという間に拘束から逃れた!

 

「ゴガアアアアアアア!!」

 

 脳無は鋭い眼光を俺に向けてくる。どうやら俺を完全に標的と定めたようだ…………やるしかない!!

 

 

◆◆◆◆

 

 

164:炎の剣士

 ハンターニキ!どうしてガイアメモリが!?まさかこの世界に財団Xが居るってんですか!?

 

165:名無しのゴッドイーター

 それか他に転生者が居るのか!?

 

166:名無しの転生者ハンター

 ……………いや、アレはWに登場したガイアメモリではない……脳無の姿が変わったのは個性によるものだ。

 

167:グランドマスター

 個性を宿すアイテム…!確かにあの先生なら作れてもおかしくないね…!

 

168:名無しのトマト

 どうするんですか!?状況は最悪ですよ!

 

169:赤目の主人公

 イッチは心身共にボロボロ……原作崩壊が最悪の形で牙を向いてきやがった!

 

170:炎の剣士

 

「ハハハハ! すげぇ! すげぇ! こんなの有るなら最初から使えよー!」

「まだ試作段階なので確証が無くあくまでも保険として所持していたので……やっぱり無理があったようです……このままでは我々も危ないです、もっと離れましょう」

 

 あ、アイツら!さっきの衝撃で拘束が破壊されたのか!!

 

 

171:名無しのライダー

 今はそれどころじゃねぇ!脳無に集中しろ!

 

172:名無しのわんわんお

 飯田が助けを呼びに行って時間が経つ!もう少しでプロヒーローが来る、それまで耐えるしかねぇ!

 

173:ありふれた赤龍帝

 そんな無茶ですよ!?

 

174:名無しのゴッドイーター

 それでもやるしかない!!

 

175:名無しの転生者ハンター

 戦わなければ生き残れない……!それが現実だ。

 

176:炎の剣士

 ……………どうやらそれしか方法がないみたいですね。……………やってやりますよ!俺が憧れた仮面ライダーは決して諦めない!

 

「グオオオオオオオオ!!!!」

 

 覚悟を超えた先に希望はある!!

 

 

177:名無しのゴッドイーター

 イッチ……!

 

178:名無しのトマト

 ……………実際どうなんですか?

 

179:名無しのありふれた赤龍帝

 イッチは勝てるんですか!?

 

180:グランドマスター

 ……………なんとも言えないね。

 

181:赤目の主人公

 T-REXになった事で身体の構造上、拳による攻撃手段は失った……………主な攻撃手段は二つ。

 

182:名無しのわんわんお

 強靭な顎による噛みつきと尻尾による打撃攻撃。

 

183:名無しのライダー

 図体がデカくなった事で攻撃も大振りになったからストームイーグルの力が宿ってる今のセイバーなら回避はできる筈だ。

 

184:ありふれた赤龍帝

 それなら……!

 

185:名無しの転生者ハンター

 だが…それでは好転しない!

 

186:名無しのトマト

 え……?

 

187:名無しのゴッドイーター

 確かに攻撃の安易化などのデメリットもあるが…!

 

188:炎の剣士

 

「ゴガアアアアアアア!!」

 

「クソ! 全然効かねぇ!」

 

 

189:名無しの転生者ハンター

 その分防御力が上がってる……しかも脳無は痛覚が遮断されていて痛みを感じない……連戦続きのアイツは心身ボロボロ……もう分身も生み出せない、このままでは…!

 

190:名無しのトマト

 そんな…!なんとかならないんですか!?

 

191:名無しの転生者ハンター

 ……………あるにはある。圧倒的な攻撃力で奴を叩き潰すしかあるまい!

 

192:グランドマスター

 そんなの……………ッ!アレか!

 

193:赤目の主人公

 確かにアレを使えば勝機はある!………だが…!

 

194:名無しのゴッドイーター

 脳無の攻撃を避けるので精一杯だ!そんな暇はない…!

 

195:ありふれた赤龍帝

 そんな…!?

 

196:炎の剣士 

 

「ガアアアアアアッ‼︎」

 

「しまっーーーー!」

 

 

197:名無しのゴッドイーター

 イッチ…!…せ、聖火ぁぁぁぁ!!?

 

198:グランドマスター

 ヤバい!尻尾をモロに喰らった!変身解除してる!!

 

199:赤目の主人公

 しっかりしろ!大丈夫か!おい!応答しろ!

 

200:炎の剣士

 ……………な……なん…とか!

 

201:名無しの転生者ハンター

 咄嗟にガードしてたか……!

 

202:名無しのライダー

 早く立て直せ!

 

203:名無しのわんわんお

 駄目だ、ダメージがデカくてすぐには無理だ!

 

204:炎の剣士

 クソ………!このままじゃ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

205:トリガー殿下

 諦めるな!!

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 ……ハァ…ハァ…クソ…!体が動かねぇ…!

 

 

 T-REXとなった脳無に挑んだ俺はヒットアンドアウェイ戦法で時間を稼いでいた……姿が変わった事で攻撃も単調になったけど図体がデカく攻撃範囲が倍以上に広がった脳無の攻撃は避けるのにも一苦労だ。

 

 しかも防御力が跳ね上がってロクに攻撃が通用しない…!奴の防御力を突破するには……アレしかない!

 

 だが…コイツの相手をするので手一杯、ブックを変える暇なんてとても無い。

 

 そんな苛立ちと焦り、そして連戦に続く連戦での疲労が重なりとうとう俺は脳無の尻尾による殴打を喰らってしまった!

 

 咄嗟にガードしたが先に比べてパワーも格段に跳ね上がった攻撃は俺を壁に叩きつけ、セイバーの鎧が紙のようにパラパラと舞い散り、変身が解除される。

 

 ……一発喰らっただけでこれかよ…!

 

 ドスンドスン!と、涎を垂らしながら近づいてくる脳無……スレのニキネキ達の怒号で意識は失っていないが身体が動かない……。

 

 ちくしょう…!このままじゃ!

 

 

 

 

 

      『諦めるな!!』

 

 

 

 

 

 その時、声が聞こえた……スレからだ、だけど初めて聞く声だ……初見の人か?

 

『最近転生者の間で噂になってるスレに入ったら、最初からクライマックスとはな……君の事は過去スレを見てなんとなく分かる……“最後まで諦めず不可能を可能にする!!”』

 

 そのセリフは……ウルトラマンメビウスの…!

 

 

『それはウルトラマンでも仮面ライダーでも変わらない筈だ!!』

 

 

 そうだ…!こんな所で諦めてたまるか…!

 

 痛みを根性で黙らせ、身体を動かす……幸い脳無は余裕の表れか、ゆっくりと近づいている……間に合うか?

 

 

『心配するな…! 君は一人じゃない!』

 

 

 その言葉と同時に、別方向から放たれた炎が脳無の顔面に直撃した。

 

「グ、グオオオオオッ⁉︎」

 

 完全に不意をつかれた攻撃故に、脳無は悲鳴を上げながら炎を振り払おうと頭を振り回す。

 

 一体何が?そう思い炎が飛んできた方向に視線を向けると……

 

 

「……立て! 剣ィィィ!!」

 

 困惑、苛立ち、様々な感情が混ざったような表情を浮かべる轟が左手を向けていた。

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

「剣…!」

 

 

 T-REXへと変貌した脳無と戦う聖火。その様子を、少し離れた瓦礫の陰に避難した耳郎達が心配そうに見ていた。

 

 脳無の周りを飛びながら炎や斬撃で攻撃する聖火だが…有効打にならず、脳無の攻撃を避けるその姿はいつ当たっても不思議じゃない…。

 

「ブラド先生、このままじゃ剣が危ねぇ!」

 

「そうだぜ! 助けに行かねぇと!」

 

「どうやってだ!」

 

 熱く仲間思いな切島と鉄哲が助けに行こうとするが、それをブラドが一喝する。

 

「闇雲に動けばかえって剣の足手まといになるだけだ!」

 

 ブラドとてこのまま黙って生徒が戦う様を見てはいられない。しかし、化け物と化した脳無に闇雲に挑めばどうなるかは火を見るより明らかだ。

 

(…どうすりゃいいんだ!)

 

 何もできない自分の不甲斐なさに血が出るほどに拳を握り締める切島、必死に策を考えるが全く浮かばない。

 

「ブラド先生!」

 

 その時だ。ゲート前に避難していた筈の拳藤が駆け寄って来る。広場は脳無と聖火の戦闘の影響で至る所が破壊され瓦礫の山が多くある。その陰に隠れながら此方に来たのだろう。

 

「拳藤! 何しに来た!?」

 

「何って……このままだと剣が危険です!」

 

「分かっている! しかし焦って何の策もな「策ならあります!!」……何?」

 

 先程の戦いでダメージを負ってからのこの異常事態。聖火の身を心配して此処まで来た拳藤。彼女の言葉にブラドを含め一同は視線を向ける。

 

「……言ってみろ」

 

「目的は至ってシンプル、あの化け物の動きを止めること、その為には………轟…“左を使ってくれ”」

 

 そう言って轟に頭を下げる拳藤。轟は父親であるエンデヴァーを嫌悪しており、轟に左の話題を出すのはA組B組のタブー。しかし言葉の重さ、その行動から彼女の本気が伺える。

 

「……悪いが俺は左は使わねぇ。右だけでーー「それじゃあ駄目だって分かってるだろ!」ーーッ!」

 

「氷の力単体じゃアイツの怪力を抑え込めない!」

 

 先程は聖火との合わせ技で抑え込めた……それも僅か数秒。轟単体では動きを封じる事はできないのは想像に難くない。

 

「……うるせぇ!!」

 

 轟が声を荒らげて拳藤の胸ぐらを掴み上げる。その瞳は聖火との特別試合の時と同じく、親の仇でも見るかのように拳藤を睨んでいた。

 

「俺は“あいつ”を超える!! 右だけで!! この“お母さんの力”だけで……ヒーローにーー「だったら剣を助けてよ!」……………なに?」

 

 

 声を荒げる轟。しかし、拳藤は一切怯まず轟を見る。

 

「今の戦いを見て分かるだろ! 剣でさえあの化け物にダメージを与えるのは難しいんだ! ………私達の力じゃアイツにダメージを負わせる事なんてできないんだ! でも、轟の左の炎なら通用するかもしれない…!」

 

 声を荒げる拳藤…その瞳からは次第に涙が溢れ始める。その様子に轟も胸ぐらを掴んでいた手を思わず離す。

 

「頼む…剣を助けてくれ…!」

 

「ウチからもお願い!剣を助けて!!」

 

 拳藤に続いて耳郎も轟に懇願する。その様子に無意識に後退り、不意に聖火の方を見る。連戦に次ぐ連戦……もう分身すら生み出す余力もなく攻撃をギリギリで回避する様は聖火の限界を感じさせるには充分過ぎた。

 

(俺は……俺は…! 決めたんだ…“お母さんの力”だけでヒーローになるって…!)

 

 

 

 

   目の前の命を見捨てても?

 

 

 

 

 不意にそんな言葉が浮かんだ……誰も何も言っていないのに……お前は見捨てるのかと……言われた気がした。

 

 

 

「ガアアアアアアッ‼︎」

 

「しまっーーーー!」

 

 

 その時、ギリギリ保たれていた均衡が遂に崩れた。脳無の強烈な尻尾による薙ぎ払いが聖火を吹き飛ばし、壁に思い切り叩きつける。

 

「つ、剣!?「……………やってやる」……え?」

 

 その惨劇に思わず悲鳴を上げそうになった拳藤だが…轟の言葉に反応する。

 

「今回だけだ……さっさと準備しろ!」

 

 それだけ言い残して轟は脳無に向かって駆け出し……左から炎を放った。

 

 

「グ、グオオオオオッ⁉︎」

 

 完全に不意をつかれた攻撃故に回避できず顔面に喰らい、脳無は悲鳴を上げながら炎を振り払おうと頭を振り回す。

 

 禁じていた左の使用、先程浮かんだ言葉の意味……様々な感情が混ざり合い、訳が分からない轟はこの苛立ちをぶつけるように聖火に叫んだ。

 

 

「……立て! 剣ィィィ!!」

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

206:名無しの転生者ハンター

 轟!?左を使ったのか!?

 

207:炎の剣士

 

 轟……!

 

「骨抜!」

「任せろ!」

 

 拳藤と骨抜も!?

 

 

208:名無しのトマト

 見てください!脳無が沈んでいきます!

 

209:グランドマスター

 骨抜の個性『柔化』で脳無の足元を柔らかくして沈めたのか!

 

210:名無しのゴッドイーター

 それだけじゃない!

 

211:ありふれた赤龍帝

 脳無の上半身に何か……人の腕が飛び回ってる!?

 

212:赤目の主人公

 アレは…取蔭の個性『トカゲのしっぽ切り』で分割させた腕だ!何か握って……ワイヤー!?

 

213:炎の剣士

 

「一佳、セッティング完了!」

 

「アレはエレベーターなどで使用されるワイヤー! 強度は保証しますわ!」

 

「よし皆……引っ張れぇぇぇえ!!!」

 

 

214:名無しの転生者ハンター

 八百万が作ったワイヤーを取蔭を使って脳無に絡ませそれを大人数で引っ張り動きを封じる!……今の脳無にはイッチや轟以外の個性は有効で無い事を理解した上での判断…!

 

215:名無しのゴッドイーター

 あぁ……彼女は凄い!大した指揮官だ!

 

216:炎の剣士

 

「グ、グオオオオオッ⁉︎」

 

「剣ばっかりに任せるな!!」

 

「俺たちだってヒーロー目指してるんだ!! 根性見せろぉぉぉぉ!!」

 

 ……皆…!

 

 

217:トリガー殿下

 な、…言ったろ?君は一人じゃないって!

 

218:炎の剣士

 あ、貴方はさっきの……!

 

219:トリガー殿下

 自己紹介は後、皆が此処まで頑張っている。さぁ、君はどうする?

 

220:炎の剣士

 ……………決まっています。こんな所でおちおち寝てられない!!

 

221:名無しのゴッドイーター

 イッチ、よく言った!

 

222:赤目の主人公

 本当の戦いはここからだぜ!!

 

223:名無しの転生者ハンター

 今こそアレを使う時だ!!

 

224:トリガー殿下

 さあ!皆が君を待っている!!

 

225:炎の剣士

 はい!!

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

「グオオオオオオオオ!!!!」

 

 

「クソ…! 大人しく…!しろ!」

 

 

 骨抜によって下半身は沈められ、上半身にワイヤーを巻き付けられ、それを大人数で多方向に引っ張り動きを封じているにも関わらず、拳藤達に苦痛の表情が浮かぶ。

 

 一瞬でも力を抜けば拘束を引き千切ると確信する拳藤……こんな化け物を一人で剣は抑えていたのかと戦慄する。だが…そんな剣も倒れてしまった。

 

(飯田が助けを呼びに行って数分経つ……………もう少しでプロヒーローが来てくれる…!)

 

 それを見越しての時間稼ぎ……………僅か高校一年生である拳藤。こんな状況でこの様な考えを巡らせた彼女は疑う余地なく優秀だ。

 

 

 唯一つ……………指摘する点が有るなら。

 

 彼女は……………いや、この場に居る全員が脳無にだけ目を奪われていた事だ……。

 

 

「いやはや……まさか脳無の動きを封じてしまうとは…子供と侮り過ぎましたか……」

 

 不意に脳無の周りに黒い靄が現れる……高みの見物と避難していた黒霧だ。

 

「しかし……ツメが甘いですね」

 

 黒霧のワープゲートを通じて現れた死柄木が脳無に絡みついたワイヤーに触れるとボロボロと崩れていく。

 

 

「グルォオオオオオオオオオッ!!」

 

 

 それにより拘束が緩み脳無が次々とワイヤーを引き千切る。このままでは軟化した地面から脱出するのも時間の問題だ。

 

 

「そ、…そんな……!」

 

 その光景に拳藤の……皆の表情から決意が消えて絶望が浮かび始める。そんな皆を嘲笑う様に死柄木が笑みを浮かべ馬鹿にする様に拍手をする。

 

「凄いなお前…普通こんな状況なら絶望して震え上がるのにこんな作戦思いつくなんてな〜」

 

(そうだ……コイツ等が居たんだ…!)

 

「でも残念でした! お前らの行動は無ーー「無駄じゃねぇよ!」ーーギャァァァ!!?」

 

「死柄木弔!?」

 

 その時…飛んできた炎の斬撃が死柄木を包み込む。火達磨になり悶え苦しむ死柄木に慌てて駆け寄る黒霧。斬撃の飛んできた方向を見れば……

 

「無駄なんかじゃねぇ……全然無駄なんかじゃねぇよ!」

 

 傷だらけでも立ち上がるヒーロー(聖火)が居た。

 

 

◆◆◆◆

 

 

「無駄なんかじゃねぇ……拳藤の作戦も! 轟の炎も! 皆の行動も! 決して無駄なんかじゃない!!」

 

「剣……お前その体で!!」

 

 拳藤が心配そうに声をかけてくれる……実際、体中が痛い…だけど、皆な此処までしてくれたのに何もしない訳にはいかない!

 

 

「死にぞこないが! お前に勝ち目なんてねぇ! 全部無駄なんだよ!」

 

 炎を消し終わり火傷を負った死柄木が言いたい放題言ってくれる…

 

「無駄じゃねぇって事を俺が見せてやる!」

 

 

【キングオブアーサー!】

 

 

 ソードライバーに既にブレイブドラゴンはセットしてある……それに加えて俺が取り出したのは明るい水色のライドブック【キングオブアーサー】……

 

 

【とある騎士王が振り下ろす、勧善懲悪の一太刀!】

 

 

 スイッチを押すと起動音が流れブックが開きあらすじが語られる。此処まで今まで通り……だけどコレはキングオブアーサーであってキングオブアーサーじゃない!

 

 

 世代を通じて受け継がれてきた希望の力……ワン・フォー・オールが姿を変えた物!

 

 

 あらすじが終わるとライドブックが二つに分かれる。一つはソードライバーにセットされ。

 

「キングエクスカリバー!!」

 

 

 もう一つは三つの刃を備えた聖剣……【キングエクスカリバー】へと姿を変えそれを左手で握る。そして右手で火炎剣烈火を引き抜いた!

 

 

【烈火抜刀!!】

 

 

「諸先輩方! 受け継がれし希望の力……お借りします! 変身!!」

 

 

 右手の火炎剣烈火で十字を刻んだ後、左手のキングエクスカリバーを頭上に掲げて円を描いた後にトリガーを引く。

 

【二冊の本を重ねし時、聖なる剣に力が宿る!】

 

 

【ワンダーライダー!】

 

 

 火炎剣烈火から放たれた炎が鎧となり斬撃が仮面となる。その後、キングエクスカリバーで描いた円から空の様に澄んだ水色の光が降り注ぎ俺を覆い尽くす。

 

 

 

【ドラゴン!アーサー王!二つの属性を備えし刃が、研ぎ澄まされる!】

 

 

 やがて光が晴れた時……俺の姿は右半身が赤い龍を、そして左半身が水色の騎士を模した姿……【仮面ライダーセイバー・ドラゴンアーサー】へと姿を変えた。

 

 

「なんなんだよ、その姿はァ! どれだけ変身すりゃ気が済むんだお前は!」

 

 焦った様に死柄木が俺に怒鳴り散らす………そろそろ黙らせるか!

 

 キングエクスカリバーに意識を向ける。するとキングエクスカリバーが美しい空色に輝き始める。

 

 

DETROITSLASH(デトロイトスラッシュ)!!」

 

 

「ふ、ふざ―――――」

 

 そして、振り下ろす。すると火炎剣烈火で放った斬撃の数倍はある大きさのエネルギーが放たれ、死柄木と黒霧を吹き飛ばした。……軽く振っただけでこの威力かよ!

 

 いや、オールマイトの個性がそのまま剣になったんだ、当然だろう。とにかくこれで邪魔者は消えた。

 

 それと同時に下半身が沈んでいた脳無が遂に自由の身となり、俺を睨みつける。

 

 

「ここからは…第2ラウンドだ!!」

 

 

「グルォオオオオオオオオオッ!!」

 

 

 雄叫びを上げながら脳無が迫ってくる。身体はボロボロ……だけど、不思議と恐れは微塵も無かった。

 

「ハァ!」

 

 膨大なエネルギーを纏ったキングエクスカリバーを突撃してくる脳無に合わせて振り上げる。次の瞬間、放たれた斬撃が硬い皮膚を切り裂き、牙を圧し折り、脳無を吹き飛ばした。

 

 しかし、脳無もタダではやられない。すぐに起き上がり一度は変身解除に追い込んだ尻尾での薙ぎ払いを放ってくる。

 

「2度も喰らうかよ!」

 

 キングエクスカリバーと火炎剣烈火トリガーを引く。火炎剣烈火からは赤い炎が、キングエクスカリバーからは蒼い光が溢れる。

 

 

SHINING(シャイニング),SLASH(スラッシュ)!!」

 

 

 そのまま両腕に握った二刀の聖剣を十字に振るい、脳無の尻尾を切り裂いた!!

 

「グアアアアアアッ!!」

 

 尻尾をぶった斬ったのにも関わらず痛がる素振りを見せずにすぐに攻撃してくる脳無……!ホントにしつこい奴だ!

 

『いや! そうでもない!!』

 

 スレからの通信……ハンターニキ!どういう事ですか!?

 

『奴を見ろ……尻尾が再生していない!』

 

 

 ……ホントだ。人型の時はアレだけ苦戦した再生能力が発動していない?

 

『やはり、既に戦闘不能だった脳無に使ったのは無理があったか……ボロボロなのはアイツも同じだ! 今のヤツはさっきのメモリの力で無理矢理動かしているに過ぎない!!』

 

 

 そうだったのか……だったら!

 

『ああ! 攻撃の手を緩めるな! 一気に勝負をつけろ!!』

 

 

 はい!火炎剣烈火とキングエクスカリバーの二刀流で脳無に斬りかかる。今まで余裕がなくて気づかなかったけど脳無の動きも最初と比べてどこかぎこちない。

 

 俺もアイツも限界だった…!どっちか先に倒れるかの我慢勝負…だけど!

 

 

「俺は負けない! 俺を見込んで力を貸してくれた兄貴達や! 拳藤や、耳郎! 皆に応える為にも!!」

 

 

 ココまでお膳立てしてくれて倒れる訳にはいかねぇんだよ!!キングエクスカリバーのトリガーを5回引いてキングエクスカリバーをブーメランの様に投げる!

 

 

PLASMA(プラズマ),DRAGON(ドラゴン),SHOT(ショット)!!」

 

 

 光を纏い高速で回転するキングエクスカリバーが俺の意のままに動き脳無を切り刻む。小回りの効かない脳無では防ぐ事はできず、体中切り傷だらけになっていた。

 

「グゥ…! ガァァァァ…!」

 

 苦し紛れの咆哮を上げるが、その姿は弱々しい……これで終わらせる!!キングエクスカリバーを手元に戻した後にドライバーからキングオブアーサーを取り外し、キングエクスカリバーの裏側にある【封印解除装置ベディヴリーダー】にセットしてトリガーを長押しする!!

 

 

【解き放て! 希望の力!!】

 

 

 火炎剣烈火をドライバーに戻してキングエクスカリバーを両手で力強く握る。すると刀身が七色の輝きを放つ。

 

 それを空に掲げて円を描くと円型の虹が何重も描かれ、キングエクスカリバーに収束する。

 

 

【限定読破!!】

 

 

 そう、これは完全ではない。ワン・フォー・オールを俺はまだ完全に使いこなせていない。故に限定した力しか使えないが……それで事足りる!

 

 

 

最高に輝け、希望の聖剣(ホープスプリームカリバーン)!!」

 

 

 

 

 柄を両手で握り脳無に向けて思いっきり突き出す!切っ先から放たれた虹色の閃光が光の刃となって脳無に突き刺さる!!

 

 

「――――――!?」

 

 

 抵抗も悲鳴も上げる事すら許されず脳無は大爆発に包まれ……爆煙が晴れるとソコには最初の人型の姿で倒れ伏す脳無の姿があった。

 

 

 

「勝った……………剣が勝ったんだ!!!」

 

 

 数秒の沈黙……それを破った拳藤の歓喜に満ちた声が広場に響くと同時に皆が歓声を上げる。

 

「やった………やりやがったよ剣の奴!!」

 

「よっしゃああああアアァァ!!!」

 

「よかった…剣」

 

 

 切島や鉄哲……………そして耳郎。スレからもニキネキ達の声が聞こえてくる。

 

 

 これで後は……あ、れ……?からだが、うごかな…い……やば……このままじゃ…!

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 ドラゴンアーサーとなった聖火によって今度こそ倒された脳無……先程の斬撃に引き飛ばされた死柄木がボロボロの身体を引きずって啞然と見ていた……。

 

「チートが……!! 何なんだよあの子供はさあ!?」

 

「落ち着いてください、死柄木弔。脳無を含む持ち駒もほぼ全滅してしまった今、これ以上は無意味です。プロヒーローが来る前に撤退しましょう!」

 

 首を掻き毟る死柄木を宥めながら黒霧はどの様に聖火を掻い潜るか思考を巡らせていた………その時だ。

 

「……………」

 

 突如、セイバーの鎧がパラパラと崩れてしまい、聖火が膝をつく。キングエクスカリバーを支えに辛うじて倒れてはいないが……連戦に次ぐ連戦……限界を超えたドラゴンアーサーの使用は聖火の身体に大きなダメージを与えていた。

 

「剣!?」

 

 耳郎の悲鳴に近い叫びが木霊する。突然の事に誰もが啞然とする中、死柄木はニヤリと顔を歪ませて突撃する。

 

「は、ハハハハ! そうだよ…コイツは既にボロボロ! 余裕で殺せる!」

 

「……ハァ…ハァ………ナメる……な!!」

 

 聖火も薄れゆく意識の中、迎え撃とうとキングエクスカリバーを突き出す。死柄木の手とキングエクスカリバーが交差しようとした瞬間……

 

 

          ズドッ!!

 

 

 突如、銃声が鳴り響いた。そして死柄木の手が銃弾で撃たれていた。

 

「ごめんよ生徒達よ。……遅くなってしまった。怖い思いをさせてしまったね。全く己に腹が立つ…! 後輩らがどれだけ頑張ったか!! でも、だからこそ言わせて欲しい! もう大丈夫! 私達が来た!!」

 

 

「すぐに動ける者をかき集めて来た」

 

「1-Aクラス委員長、飯田天哉!! ただいま戻りました!!!」

 

 

 

 

 

 平和の象徴オールマイト。

 

 

 その後ろには雄英のプロヒーローの教師陣が勢揃いしていた。

 

 

 

「死柄木弔! ここまでか!」

 

「逃がさん! カロライナスマッシュ!!」

 

 オールマイトは目にも止まらぬ速さで死柄木達に接近し、クロスチョップをするが黒霧のワープゲートで死柄木を飲み込み、避けられる。

 

「今回は失敗だったけど………今度は殺すぞ平和の象徴オールマイト……そして仮面の剣士…! お前さえいなければ!」

 

 

 恨み言を残して死柄木達は消えていった。

 

「………………」

 

 消えてから十数秒が経過した。未だに空気は戦闘中のように緊迫しているが、それも聖火が倒れる音で切れた。

 

「剣少年!」

 

 急いで駆け寄るオールマイト。ハァ…ハァ…と過呼吸症候群のように短く呼吸する聖火。次第に薄れていく意識を繋ぎ止める。

 

「……ハァ…ハァ…オール…マイト……………俺は、皆を…守れたかな?」

 

「ッ! 剣少年……! ああ、皆は無事だ! 君が守ったんだ!」

 

 至る所が破壊され瓦礫の山が築かれたUSJ……激しい戦闘があったのは想像に難くない。

 

「格好いいぜ! 剣少年!!」

 

 ボロボロになりながらもクラスメートを守った弟子を称える様にオールマイトは笑みを浮かべる。

 

「……へへ」

 

 それに連られるように聖火も笑みを浮かべる。

 

 

 

 こうして後に【USJ襲撃事件】と語られる出来事は幕を閉じた。

 

 

 

 

END

 




 遂に……………遂にキングエクスカリバーを出す事ができました。読み終わって皆さんこう思ったでしょう……………誰だお前は!?と……ワン・フォー・オールがそのまま剣になり原作とはかけ離れたキングエクスカリバー。

 元のキングエクスカリバーにウルトラマンオーブのオーブカリバーやFateのエクスカリバー要素を組み合わせたチート武器。コンセプトとしては映画のセイバーオルタみたいにビームブッパの究極のゴリ押し形態です。

 必殺技は仮面ライダーやウルトラマン等の色々な作品のリスペクトです。

SHINING(シャイニング),SLASH(スラッシュ)

火炎剣烈火とキングエクスカリバーの二刀流で切り裂く技。元ネタは仮面ライダーアギト・シャイニングフォームの必殺技シャイニングスラッシュ。


PLASMA(プラズマ),DRAGON(ドラゴン),SHOT(ショット)

トリガーを5回引いてキングエクスカリバーをブーメランの様に遠隔操作して敵を切り刻む。元ネタは仮面ライダーウィザード・インフィニティスタイルのプラズマドラゴンシャイニングとウルトラマンオーブのオーブスラッガーショット。


最高に輝け、希望の聖剣(ホープスプリームカリバーン)

 キングエクスカリバー……………ワン・フォー・オールの力を開放して放つ虹色の光線。現状最強技。元ネタはウルトラマンオーブのオーブスプリームカリバーとFateのセイバーリリィのカリバーン。


 



 これからもじゃんじゃん登場予定です!!


【コテハン紹介】

・トリガー殿下

ウルトラマントリガーの力を持ってドラガリアロストの主人公に転生した。彼に関しては次回に紹介します。


ー追記ー

 活動報告をあげましたのでそちらの方もよろしくお願いします。



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襲撃の終わり!再認識のreality!

 
 今回はUSJの後語りです。

 お気に入りが4800人!
 投票者数:210人!!

 ホントにありがたいです!!これからもよろしくお願いします!!



「36…37…38…うん、中の彼以外は全員無事だね。とりあえず今は教室に戻って貰おう。今すぐ事情聴取ってわけにはいかんだろうし」

 

 

 死柄木弔と黒霧を除く敵連合の構成員をUSJに駆け付けた警官隊が連行していく中、生徒達は警官隊の責任者であるトレンチコートの刑事の前に集められていた。

 

 レスキュー訓練から一転、突然のヴィラン襲撃によって命の危険に晒された。それから無事に開放されたのだ。普通なら喜ぶか安堵するだろう。

 

 しかし、彼らの表情は暗く、悲しみと悔しさが見てとれた。

 

「あの…刑事さん。相澤先生や13号先生……剣は?」

 

 俯いていた顔を上げて拳藤が刑事に質問する。脳無や黒霧によって重傷を負わされた相澤や13号……そしてあの後、倒れ意識を失った聖火は緊急搬送された。

 

「今、部下に確認させよう。三茶」

 

 不安でしょうがない気持ちを理解しているのだろう。刑事は、嫌な顔一つせず、部下である猫顔の警察官に病院への連絡を命じてくれた。

 

「えー、まずイレイザーヘッドの方ですが、両前腕粉砕骨折、顔面骨折。幸い、脳系の損傷は見受けられません。ただ、眼窩底骨が粉砕骨折しており。目に何かしらの後遺症が残るかもしれません。13号の方は、背中から上腕にかけての裂傷は酷いですが、こちらも命に別状はなし。との事です」

 

「相澤先生……」

 

 蛙吹の悲痛な言葉が聞こえる。医学を知らない学生でも分かるほどに相澤の怪我は酷かった。

 

「そして剣君ですが、…肋骨が数本折れ、全身の至る所の筋肉繊維の断裂、特に両手足に著しく見られました。更に両腕の骨にヒビが入っていました」

 

「そんな…!」

 

 耳郎が思わず口を押えて顔を青くする。肋骨と腕骨の損傷はT-REXと化した脳無に叩きつけられた時に受けたモノだろう……つまり、そんな状態でドラゴンアーサーになって戦ったのだ。

 

「剣君は大丈夫なんですか!? 後遺症は!?」

 

 応援を呼びに一人USJを脱し、戻って来た飯田が鬼気迫る表情で刑事に詰め寄った。

 

「心配しなくともヒーロー科の生徒としてしっかり復帰出来る。リカバリーガールの治療で事足りるから、そう時間はかからない筈だ」

 

「そう……ですか」

 

「……良かった」

 

 その言葉を聞いて緊張の糸が切れたのか、腰が抜けた耳郎がその場に座り込んだ。

 

「……剣には感謝しねえとな。俺達は……一緒に戦う事はできなかった」

 

 切島が誰ともなしにぽそりとこぼした……それはこの場に居る全員が思った事を代弁したモノだった……。

 

「お礼……言わないとね」

 

「そうだな……耳郎の言う通りだ」

 

「何か見舞いの品でも持っていかないとな」

 

「そうだね。でもまずは教室に戻りなさい」

 

 生徒達がバスに乗り込んでいく中、轟は後ろを振り返る。

 

(……アイツはあんなボロボロになっても戦った。持てる力を振り絞って……)

 

 そう思いながら轟は左を見る。絶対に戦闘では使わないと決めた力を……。

 

「……………」

 

 暫くして轟もバスに乗り込み雄英キャンパスに引き上げるのを確認すると、刑事はUSJへ取って返した。

 

「三茶、私も保健室に用がある。ここは任せた。」

 

 先程の三茶と呼ばれた猫の頭の制服警官は敬礼をしてUSJへと戻って行った。

 

「校長先生、念の為に校内も隈無く見たいのですが」

 

「ああ、勿論。一部じゃとやかく言われているが権限は君達警察の方が上さ。捜査は君達の分野、よろしく頼むよ」

 

 

 複数の個性を有する謎のヴィラン脳無。ワープと言うただでさえ希少価値が高い個性がヴィラン側にいると言う事実。そして謎のメモリ。この先のそう遠くない未来で、ヒーロー達はかなりの苦戦を強いられるだろうと誰もが直感した。

 

 

◆◆◆◆

 

 

226:名無しのゴッドイーター

 イッチ、まだ眠ってるようだな。

 

227:名無しの転生者ハンター

 アレだけ無茶をしたんだ……

 

228:名無しのトマト

 大丈夫なんですか?

 

229:トリガー殿下

 リカバリーガールなら完全回復させてくれるさ

 

230:赤目の主人公

 しかし……トリガー殿下が来るとは

 

231:名無しのライダー

 有名な人なの?

 

232:グランドマスター

 ん~~なんて言えばいいんだろ〜君達ドラガリアロストって知ってる?

 

233:名無しのわんわんお

 知らない。

 

234:名無しのライダー

 知らない

 

235:名無しのトマト

 知らない

 

236:名無しのゴッドイーター

 以下同文。

 

237:トリガー殿下

 あはは……やっぱり知らないよな〜

 

238:名無しの転生者ハンター

 ドラガリアロスト……名前の通りドラゴンが話の中核のスマホゲームの一つでな、それなりに歴史あるコンテンツなんだが………まだ誰も転生した事のない世界だった。

 

239:赤目の主人公

 で、そのドラガリアロストの世界に初めて転生したのがトリガー殿下。しかもウルトラマンの力を持っていたんだ。

 

240:名無しのゴッドイーター

 イッチの時もウルトラマンの話してたな、メビウスとか……

 

241:グランドマスター

 それが当時かなりの話題になってね。……彼が変身したのはね“ウルトラマンティガ”にそっくりな未知のウルトラマンだったんだ。

 

242:名無しの転生者ハンター

 オリトラマンにしては絶対ティガと関係あるだろって叫びたくなる程、凄いデザインでな…かなりの考察スレが建てられた。

 

243:トリガー殿下

 よく質問攻めされたな〜変身アイテムといい必殺技といいティガを近未来的にリニューアルした感じでね。変身アイテムが銃に変形するからウルトラマントリガーって名乗ったんだ。

 

244:名無しの転生者ハンター

 それがまさか、令和のウルトラマン……【ウルトラマントリガー】として現実世界で放送されるとは思わなかった。

 

245:名無しのトマト

 うわ~~話が広がり過ぎてよく分からないけど……凄い人って事ですね。

 

246:赤目の主人公

 まぁ、この話は結構複雑だから、そんな認識でいいよ。それでトリガーニキどうしてこのスレに?

 

247:トリガー殿下

 今、話題の掲示板があるって聞いてね。多分これからも増えると思うよ。

 

248:名無しのゴッドイーター

 少人数で始めたこのスレも話題になってきたか……

 

249:炎の剣士

 皆様どうも……

 

250:グランドマスター

 イッチ!

 

251:赤目の主人公

 目が覚めたか!

 

252:名無しのトマト

 心配したんですよ!

 

253:炎の剣士

 あはは……心配かけました。

 

254:名無しのゴッドイーター

 怪我は大丈夫か?

 

255:炎の剣士

 はい、リカバリーガールに治してもらって!

 

256:名無しのわんわんお

 それは良かった!

 

257:名無しのライダー

 ああ!良かった良かった!

 

258:名無しの転生者ハンター

 キングオブアーサー……………ワン・フォー・オールはどうだった?

 

259:炎の剣士

 ……凄い力でした。まだ完全にモノにしてはいません。

 

260:トリガー殿下

 面影無くなってたね……アレ。ワン・フォー・オールが姿を変えて本来の物とはかけ離れている。

 

261:炎の剣士

 あ、あの時はありがとうございます!

 

262:トリガー殿下

 いいって!これからよろしくね!!

 

263:名無しの鬼殺隊

 ……イッチ、目が覚めたのか……

 

264:名無しのライダー

 鬼殺ニキ!

 

265:グランドマスター

 まだ、安静にしてなって!

 

266:炎の剣士

 鬼殺ニキ…!何かあったんですか!?

 

267:名無しの転生者ハンター

 ……お前が戦ってる時、鬼殺ニキも原作のイベントをこなしていた。原作通りに上弦の陸を倒したのだが…その後、本来なら登場しない奴が現れた。

 

268:炎の剣士

 それって!

 

269:赤目の主人公

 ああ、今回のイッチと同じく原作崩壊だ。

 

270:名無しの転生者ハンター

 現れた鬼は上弦の壱、黒死牟……ラスボス無惨の側近だ。本来なら最終章の無限城にて戦うのだが……

 

271:名無しの鬼殺隊

 俺が猗窩座を倒した事で無惨も俺を脅威と見たんだろ……十分に考えられることだった……

 

272:炎の剣士

 大丈夫だったんですか!?

 

273:名無しの鬼殺隊

 最初はなんとか飛天御剣流で戦えたんだが……やっぱり痣無しでは勝てなくてな……バッサリ斬られた。そんで三途の川渡りかけたんだが………姐さんが……カナエさんにこっち来んなって言われてな………アオイや炭治郎。そしてお前らを置いては死ねないって奮い立たせてな。痣を出して奥義の天翔龍閃でギリギリ勝てた。

 

274:名無しのトマト

 鬼殺ニキ……

 

275:名無しの転生者ハンター

 今回の一件で改めて理解しただろ。コレは現実だと言う事がな。

 

276:炎の剣士

 そうですね……これはフィクションでも何でもない現実で、俺はその中で生きている。今回の一件で死にかけて勿論恐怖を感じました。それでもこの現実に負けたくはありません。物語の結末は俺が決めます!

 

277:名無しのゴッドイーター

 その意気だ!

 

278:グランドマスター

 どうやら心配は無用だったね。

 

279:名無しの転生者ハンター

 ……そうだな。

 

280:名無しの鬼殺隊

 ふ…格好いいな。スレ見たけど……抜刀術、なかなか良かったぜ。

 

281:炎の剣士

 鬼殺ニキ……ありがとうございます!!

 

 ……あ、誰か来た。

 

 

◆◆◆◆

 

 

「剣少年。良かった、気が付いたか」

 

 入ってきたのはトゥルーフォームのオールマイト、隣にはリカバリーガールが居た。

 

「オールマイト」

 

「剣少年、本当に申し訳無い! 私が活動限界ギリギリまで人助けをしていたばっかりに!」

 

 その言葉に俺は痛みに顔を顰めながらも小さく首を横に振った。

 

「人を助けてたのに謝る必要なんて無いですよ……俺は自分がやるべきだと思った事を精一杯やった……それだけです」

 

「もったいない言葉だ…ありがとう剣少年」

 

「全く、できた弟子なこった! しっかり見てやんな。アンタに似て絶対に無茶するだろうから!」

 

 リカバリーガールが俺の容態をペンで纏めながら喋る。その言葉にオールマイトもタジタジだ。

 

「ええ、その通りです」

 

「まぁ、今は及第点ってところかね。根津や“かつての師”、そして“あの子”にまで直に頭下げて教育者として学んできたんだろ」

 

 オールマイトも色々やってくれているのか……。

 

「失礼します」

 

 その時だった、保健室のドア越しに誰かの声がした。

 

「オールマイト、久しぶり」

 

「おお、塚内君! 君も来ていたのか。」

 

 入ってきたのは恐らく警察の人。刑事さんかな……………って!

 

「オールマイト良いんですか? 姿を晒して!?」

 

「ああ、大丈夫さ。彼は最も仲良しの警官、塚内直正君だからさ」

 

「ハハッ、なんだその紹介は? 早速だがオールマイト、ヴィランについて詳しく――「待った! ちょっと待ってくれ。それより、生徒達は無事なのか? イレイザーヘッド、13号は!?」ーー生徒はそこの彼以外は軽傷数名だ。教師も命に別状なしだよ」

 

「そうか」

 

 ようやくそれを聞けて安心したオールマイトの肩の力はようやく抜けた。

 

「彼等が身を呈して戦わなければどうなっていた事か分からないよ」

 

「いや、それは違うよ、塚内君。生徒達もまた身を呈した。こんなにも早く実戦を経験し、大人の世界を、恐怖を知った一年生が今まであっただろうか? ヴィランも馬鹿な事をしたよ。このクラスは強い。皆例外なく良いヒーローになれる、私はそう確信しているよ。剣少年、また後で。今はゆっくり休むと良い」

 

「はい」

 

 二人が去り、保健室は俺とリカバリーガールのニ人だけとなった。

 

「さて、アンタの怪我は私がしっかり治してやったよ。今回みたいな無茶は生きるか死ぬかの時以外は絶対禁止だよ。分かってるね」

 

「はい、以後気を付けます。ありがとうございました」

 

 今回の戦いでキングエクスカリバーは負担が大きい事がよく分かった。となると……………そろそろ“クリムゾン”を………「剣!」……ん?

 

「耳郎……皆……」

 

 ガラリと保健室の扉が開き、A組、B組の皆が入って来た。

 

「剣、アンタ……大丈夫なの? 酷かったって刑事さんから聞いたけど……」

 

「心配するなよ耳郎。リカバリーガールのお陰で完治してる。サンキューな、皆のお陰で助かった!」

 

「何言ってんの……あの化け物で頭一杯で首謀者の事を考えていないガバガバな作戦立てて…結局剣に任せちゃって……!」

 

 そう俯きながら語る拳藤は……悲しげだった。拳藤がそう思っているのならそう言う事なんだろう……。

 

 でも……

 

「それでも俺は助けられた。轟が炎を放って、拳藤や皆がアイツの動きを止めて、飯田が助けを呼んできてくれたから、俺は無茶ができた」

 

 

 今回の戦いは無茶をしなきゃ勝てなかった。その無茶は俺一人じゃできないモノだった。飯田が助けを呼びに行ったと知ったから、轟が助けてくれたから、拳藤達が時間をくれたから……俺は戦えた。

 

「剣君、ありがとう……!」

 

 

 真面目な飯田の事だ、自分が応援を引き連れて駆けつける前に重傷者が出てしまった事に負い目を感じているのだろう。そんなの気にする必要なんてない。

 

 

「……気にすんな」

 

 轟は何処か心ここにあらずと言った感じだった……左を使ったからか?

 

「……敵わないな」

 

 そう呟いて顔を上げた拳藤は俺の手を握る。さっきまでは傷だらけだった腕もリカバリーガールのお陰で傷一つ残ってない。たが、まるで傷があった場所が分かるかのように拳藤は腕を擦る。

 

「礼を言うのは私達の方だ……ボロボロになってまで剣を振るって、私達を守ってくれてありがとう」

 

 そう言って笑みを浮かべる拳藤に釣られるように俺を笑みを浮かべる。

 

 こうして、プロが相手にしてる世界を良くも悪くも知ることができた今回の一件は幕を閉じた。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

282:トリガー殿下

 オールマイトの言う通り。彼らは強いヒーローになるね。

 

283:名無しのゴッドイーター

 そうだな。現実と向き合い、自分の弱さ認めることは強くなるための1番の近道だ。

 

284:名無しの鬼殺隊

 だな、……俺はそろそろ抜ける……

 

285:炎の剣士

 はい、お大事に……

 

286:名無しの鬼殺隊

 おう……次は体育祭だ。頑張れよ……

 

287:赤目の主人公

 戻ったか……安静にしてろよ。

 

288:炎の剣士

 あの……そう言えば赤龍帝ちゃんは?

 

289:グランドマスター

 ……………あの娘、今回のスレ主と鬼殺ニキの一件を見た途端スレから退出しちゃって……

 

290:名無しのライダー 

 多分、今回の一件で自信を無くしちまったんだろう。

 

291:赤目の主人公

 アイツ、自分では隠してるつもりだったんだろうが、俺達の前で明るく振る舞ってるのバレバレだ。

 

292:グランドマスター

 彼女は赤龍帝とは言え元はタダの女子高生だし。

 

293:名無しの転生者ハンター

 やはり、奈落での出来事が彼女を精神的に追い詰めていたようだな。

 

294:名無しのトマト

 そんな!

 

295:パープル女神

 その話、ちょっといいかしら。

 

296:炎の剣士

 !?、どちら様ですか?

 

297:グランドマスター

 あ、貴女はパープルネキ!

 

298:名無しのわんわんお

 知り合いか?

 

299:赤目の主人公

 パープルネキ……………超次元ゲイムネプテューヌの主人公であるネプテューヌ、またの名をパープルハートに転生した人で、掲示板を通して多くの転生者達の相談役として慕われている方だ。

 

300:グランドマスター

 最近は見なかったんですけど、何かあったんですか?

 

301:パープル女神

 ちょっと色々あってね。それにしてもグラマス君、貴方まだ本命を決めてないのね。

 

302:赤目の主人公

 そうなんですよ、絶対そろそろ喰われます。

 

303:グランドマスター

>>302 ダマレェェェェ!!!

 

304:名無しの転生者ハンター

>>302>>303 少し黙っていろ。話が進まん。

 

305:名無しのゴッドイーター

 それで、アンタがココに来た理由は?

 

306:パープル女神

 ……………二年くらい前かしら、私はある転生者の女の娘とメールで恋愛相談をしていたの。その娘は大人しくもあったし、活発でもあった幅の大きい娘だった。

 

307:炎の剣士

 恋愛相談と言うのは?

 

308:パープル女神

 オタク仲間として意気投合した男の子とね…色々と相談に乗ったわ。無事に恋仲になったと知って自分の事のように嬉しかった。

 

309:トリガー殿下

 ………………

 

310:パープル女神

 でもね……付き合って少し経った頃、彼氏君がイジメられてる、ストーカーに付き纏われてるって泣きついてきたの……教師に相談もしたみたいなんだけど…イジメの中核の男子はクラスの人気者、ストーカーをしている娘は【二大女神】として人気な娘だったみたいで取り付く暇も無かったそうなの……………

 

311:赤目の主人公

 二大女神だと……!

 

312:パープル女神

 私も色々と案を出したわ、証拠集めや転校を視野に入れてご両親に相談などね……でも、ある日突然、あの娘は私に連絡をしなくなった。

 

313:グランドマスター

 最近音沙汰無かったのは……………

 

314:パープル女神

 その娘を探していたの。赤龍帝の力を特典に選んだ女の娘をね。赤龍帝は特典として人気だから探すのは至難の業……………その時だった。今、話題の掲示板に赤龍帝の女の娘が居るって知ったの。

 

315:名無しの転生者ハンター

 それでココに来たと言う事か……………

 

316:パープル女神

 ええ、もっと早く気づくべきだったわ。あの娘は【ありふれた職業で世界最強】の世界にいる事を……あの娘は今……

 

317:赤目の主人公

 クラスメートとはほぼ敵対。特に原作ヒロインの白崎……ストーカー女郎には敵視されてる。

 

318:グランドマスター

 禁手化は習得している。赤龍帝の力があればなんとかできると思うけど……

 

319:名無しの転生者ハンター

 このままだと危ないな。

 

320:パープル女神

 そう…………あの娘、赤龍帝ちゃんの事は私に任せてくれるかしら。

 

321:炎の剣士

 どうするんですか?

 

322:パープル女神

 あの娘に会いに行くわ!

 

 

 

 

 

END

 




 コテハン紹介


・名無しの鬼殺隊

 陸を倒した直後に現れた黒死牟と戦闘。いくら飛天御剣流でも痣無しでは勝てず死にかけるが現れたカナエに激を飛ばされ復活。痣と赫刀を出して奥義である天翔龍閃で勝利した。とは言え重症なので絶対安静である。

 痣は背中に龍が刻まれた形。


 ちなみに無惨は……

猗窩座戦の無惨「まさか猗窩座を倒すとは…! …でも黒死牟よりは弱いだろ」

妓夫太郎戦の無惨「やべ、倒された! よし、黒死牟にさっさと殺してもらおう!」

黒死牟戦の無惨「馬鹿な…!痣と赫刀だと! でもあの傷じゃ死ぬからいいや!」


 なのでここからは原作通り、頑張れ炭治郎!!



・トリガー殿下

 まだ、誰も転生したことの無いドラガリアロストに初めて転生した。登場、ウルトラマントリガーを知らない為に転生者の間で話題となった。それがまさか未来のウルトラマンとは誰も思うまい。
 今は死亡キャラを生存させストーリー終わらせて仲間達と楽しく暮らしてる。

「お兄様が養子だと言う事は私と結婚できると言う事ですね!ああ、…お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様!!」

 ただ、…妹がヤンデレである。言えない、ハロウィンの時にエルフィリスとS○X!!したなんて口が裂けても言えない。


・パープル女神

 ネプテューヌに転生した古参。年齢の話はNG!!初代の時はブラック、ホワイト、グリーンの三人がかりでも……余裕で勝利。Vの時はレイとタイマンで戦って圧勝!VⅡはうずめを生存させ、かなりの強さをほこる。【ありふれた職業で世界最強】のエヒトとは違いマジモンの神。神喰ニキより強くしようか悩んでる。

 二年にまだ普通の高校生だった赤龍帝ちゃんとメールで恋愛相談をしていた。


・赤龍帝ちゃん

 今回のスレ主や鬼殺ニキの一件で自分は大丈夫なのかと自信を失う。まだ普通の高校生だった頃、パープルネキに恋愛相談をしていた。トータスに誘拐されてからは迷惑をかけたくないと連絡を断っていた。
 



 次回は遂に赤龍帝ちゃんの番外編です!!




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閑話
閑話・天翔る鬼滅の龍


 お気に入り登録が5000人を突破!!

 ありがとうございます!

 ニキネキ外伝第一号は鬼滅ニキ……できれば昨日の内に出したかったのですが……遅れてしまい申し訳ありません。


 この話は【鬼滅の刃】のネタバレを多く含み、それなりに呼んでないと理解できないと思います。

 ご理解のほどよろしくお願いします。



ー追記ー

 外伝はチラシの裏に纏めましたが唯一好評だったこの話は残しておきます。




 

 聖火が居る世界とは違う世界……そこは人を喰らう鬼とそれを切る鬼狩りが居る【鬼滅の刃】の世界。

 

 その『鬼滅の刃』のラスボスである鬼舞辻無惨に思いもよらぬ情報が入った。

 

 猗窩座が殺された……あの上弦の参がたった一人の柱に…!

 

 

 人を鬼に変える自らの血を大量に与え数百年の間、変わることなく歴代鬼殺隊の柱を殺してきたまさに無惨が誇る精鋭部隊、上弦の鬼。

 

 その上弦の鬼が……しかも三番目に強い筈の猗窩座が殺された。

 

 

 

 その柱の名は“龍柱”と呼ばれる男だ。

 

 

 

 

 龍の呼吸と言う気が遠くなる程の年月を生きた無惨さえ知らない技を使う剣士。しかも、たった今、上弦の陸も殺された。

 

 たった一人の人間に上弦が二人も殺された事で鬼舞辻無惨の怒りが頂点に達するのはそう時間は掛からなかった。

 

 故に放つ。最強の下僕。上弦の壱、黒死牟を……。

 

 さぁ、行け!思い上がった人間を!忌々しい耳飾りを付けた小僧を!殺してこい!!

 

 

 

 数多の世界に存在する転生者……………コレは聖火がUSJで激闘を繰り広げる裏で起こった鬼狩の戦いである。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

「ハァ…ハァ…!」

 

 

 赤が混ざった黒髪に左額に大きく目立つ赤い痣を持っている少年、“竈門炭治郎”は目の前の現実に困惑していた。

 

 

 炭治郎は二人の仲間と一人の柱と共に日本一、欲望が渦巻く町、吉原。そこに潜む上弦の陸を見事倒す事ができた。

 

 その直後だ……突然新たな鬼が現れたのだ。

 

 

 その鬼は一言で言えば【侍】のような出で立ちをしており、服装は紫色の上着に黒い袴。長い黒髪を一つに束ねた総髪。

 

 しかし、顔には目が六つもあり、真ん中の二つに文字が刻まれており、右目に【壱】、左目の【上弦】……すなわち……

 

(上弦の……壱…!?)

 

 

 その鬼から、目を離すことができなかった。瞬きすることすら許されない重圧。濃密な死の匂い。

 

 身体中の細胞が叫んでいる、この鬼は今まで出会ってきたどんな鬼よりも……!今さっき倒した上弦の陸よりも…!あの上弦の参よりも…!この鬼は強い!!もし一瞬でも目を離せば、自分の頸は一瞬で断たれる。

 

 

「はっ、はっ、はっ…!」

 

 炭治郎は自らの身体の震えを止めることができずにいた。手が震えて刀が持てない。今すぐ逃げたいと心が叫ぶ。数多の恐怖の感情が身体の奥底を支配する……!

 

 

「落ち着け炭治郎……呼吸だ」

 

 

 その時、自分の肩を誰かが叩き語りかける。顔を動かせば赤い着物を羽織り、緋色の髪をした剣士。

 

 

 炭治郎と共に上弦の陸を討伐した鬼殺隊の柱の一人。

 

 

 

 龍柱・天野剣聖(あまのけんせい)が居た。

 

 

 

 炭治郎にとって彼は兄の様な存在であった。彼との出会いは炭治郎が鬼殺隊士になったばかりの頃、東京で家族の敵である“鬼舞辻無惨”。そして鬼でありながら打倒無惨を志す“珠世”と出会い、二体の鬼に襲われた所を助けてくれた。

 

 最初は鬼にされた妹の“禰豆子”が殺されると焦ったが、彼は珠世と鬼殺隊の中継役をしており、珠世の鬼を人に戻す研究の手伝いをしている鬼殺隊の柱。

 

 故に禰豆子の事も理解してくれて、彼と共に行動するようになった。

 

 

「は、はい……!」

 

 

 

 そんな天野の言葉に落ち着きを少し取り戻した炭治郎は、呼吸を繰り返し、改めて上弦の壱に向き合った。

 

 上弦の壱は、じっとこちらを見たまま動かない。けれど、いつでもこちらに攻撃できる自然体であると、実戦経験がまだ少ない炭治郎でも分かった。

 

 

(落ち着け炭治郎…大丈夫だ、俺は天野さんの元で鍛練をしてきたんだ…呼吸だ……呼吸を忘れるな)

 

「その耳飾り……!」

 

 すると上弦の壱は独特な口調で話し始めた。炭治郎を見ながら……いや、睨みつけながら。

 

 

(耳飾り? それに怒りの匂い……いや、嫉妬の……………え?)

 

 その時、炭治郎の視界はすべてがゆっくり動いていくのが見えた。

 

 上弦の壱の姿が一瞬で消えたかと思った瞬間、次の瞬間には自分の背後からあの鬼の匂いがしたからだ。

 

 声をあげる間もなく、後ろを振り返れば……鬼の刀が、自分の身体を斬り裂こうと迫ってきている。

 

 炭治郎は自分の死を感じた。刀がこっちに迫ってくるのは見えているのに、身体がまったく動かせなかった。

 

 

 

 

     【龍の呼吸 伍の型 龍巻閃】

 

 

 鬼の刀が炭治郎の身体を両断しようとした、その瞬間、天野の刀が間に滑り込み、弾き飛ばした。

 

 

 

「……ほう」

 

 自分の刀を弾かれるとは思ってもみなかった上弦の壱は、天野が返しに放った刃を難なく躱し距離を取る。

 

「そこの小僧を切ったと思ったが……なるほど……猗窩座を切ったのは……運によるモノではないか…」

 

 

 上弦の壱は多少驚きながらも鞘に刀を収めた。

 

 

「俺の弟分に手を出してんじゃねぇよ」

 

 

 それとは対象的に天野は刀を構える。この世界でも本来の歴史とはかけ離れた戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 甘かった……見通しが甘かった…!

 

 

 頬に流れる汗を感じながら天野剣聖……名無しの鬼殺隊こと鬼殺ニキは自分の見通しが甘かった事を感じていた。

 

 この鬼滅の刃の世界に転生してから様々な準備をしてきた。原作前から柱になり、珠世との協力関係を築いたり、炭治郎達と共に行動したり。

 

 その結果、無限列車編では猗窩座を倒し、煉獄杏寿郎を生存させる事に成功した。

 

 しかし、それが無惨を本気にさせた。無惨は下弦を解体したりと馬鹿だが…間抜けじゃない。自分が脅威と感じたモノを全力で排除する奴だ。

 

 こうなる事は容易に想像できた筈だ。

 

 

 

「名は……何と言う……」

 

「……龍柱、天野剣聖だ」

 

「私の名は……黒死牟」

 

 

 上弦の壱……黒死牟が口を開く。先程刀を弾いてみせたが内心では戦慄していた。上弦の参である猗窩座とは比べ物にならないほどの速く、重い一撃だった。

 

 

 自分との鍛錬の結果、上弦の陸ともそれなりに戦えるようになった炭治郎でも、虫を祓うが如く簡単に殺されてしまう。故に庇うように、黒死牟の前に立つ。

 

「ッ……」

 

 炭治郎もその事を理解したのだろう。下手に動かず、ジリジリと距離を取る。一方で黒死牟は炭治郎など気にも止めずにジッと天野を見ていた。

 

 

「……………素晴らしい」

 

 

 不意に黒死牟が言葉を溢す。黒死牟は『透き通る世界』と言う極致に至っている。開眼した者は他者の身体の中が透けて見え、それによって相手の骨格・筋肉・内臓の働きさえも手に取るように分かるようになる。

 

 

 黒死牟はそれにより天野の肉体を見ていた。

 

「鍛え上げ……練り上げられた肉体。そして先程、私の刃を弾いた技量……………これ程の剣士は三百年振りか……」

 

 

 そして黒死牟は、天野に手を差し伸べながら言う。まるで、同士を歓迎する仲間のような気安さで。

 

 

「天野よ、私と共に来い……猗窩座を討った剣士……欠けた上弦の穴埋めに……相応しい………先程の呼吸……我流だろう…龍の呼吸と言ったか……なるほど……龍の名に恥じぬ素晴らしい技だ……………鬼となればその技を永久に保存できよう……お前も鬼となるがいい…」

 

 

 人を鬼に変える鬼舞辻無惨の血は、必ずしも全ての人間に適合するわけではない。多くの者は細胞の変化に耐えられずに死んでしまう。故に上弦になれる鬼は、本当に一握りの素質を持った者だけ。

 

 故に上弦の代わりなど易易と見つかる筈もない。

 

 しかし天野なら、上弦に相応しい力を得られる。強さを求めて鬼となることを選んだ黒死牟。剣技を鍛え続けることを至上とするこの鬼は、鬼となればどれだけ素晴らしいか天野に説こうとする。

 

「人の身は……脆く、柔い……肉体が朽ちていくと共に……その技も鍛え抜かれた肉体も滅びていくのだ……このような不条理が他にあるか?」

 

 

「煩いんだよ……断る!」

 

 

 しかし天野は、そんなの知るかと言わんばかりに断った。言葉に黒死牟は眼を見開く。

 

 

「確かに時間は残酷だ……老いていくってのは確かに怖いモノだろう……でもな、だからと言ってお前みたいに惨めたらしく生きていくなんて……俺はごめんだね」

 

 

「ならば……力づくで連れていくまで……」

 

 

 黒死牟から殺気が迸る。さっきまでとは比べ物にならないほどの重圧。ここからは瞬き一つすれば即死に繋がる戦いだ。

 

(それでも……俺は死ねない!)

 

 天野は刀を強く握りしめる。彼の脳裏には髪の両横に青い蝶々の髪飾りをつけている、一人の愛する人の姿があった。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

「ふう……今日はこれで終わり」

 

 

 場所は変わり、鬼殺隊本部の直ぐ側にある蝶屋敷。傷を追った隊士を治療するこの場所で髪の両横に青い蝶々の髪飾りをつけている、一人の美少女…神崎アオイの姿があった。

 

 ここで料理や診察などを担当しているアオイは一通りの仕事を終わらせて休息を取っていた。時計を見ると、すでに針は深夜を回っている。

 

「剣聖は……明日には帰って来るかな」

 

 不意にそんな事を呟く。天野剣聖……アオイが誰よりも無事を祈る愛する人。上弦の鬼を討伐と言う快挙を成し遂げた彼は鬼殺隊の柱として恥じぬ戦いをしている。

 

 戦う事から逃げた私とは違って……

 

 

 ふと、夜空を見上げると月の光に照らされて何かが見える……鴉だ。

 

「アレって……剣聖の鎹烏!」

 

 鬼殺隊隊士に振り分けられた特殊な鴉……鎹鳥。よもや、愛する人の鎹烏を見間違える筈も無かった。

 

 

「カァー! カァー! 上弦ノ壱! 上弦ノ壱襲来ィィ! 現在、“龍柱”ガ応戦中ゥ! 付近ノ隊士! 手ノ空イタ柱ニ応援ヲ求ム!! 応援ヲ求ム!!!」

 

 

 それを聞いた瞬間、アオイの呼吸は一瞬止まった。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

【月の呼吸 壱ノ型 闇月(やみづき)宵の宮(よいのみや)

 

 

【龍の呼吸 壱ノ型 龍槌閃】

 

 

 月の刃と龍の刃がぶつかり合う。黒死牟の居合斬りから放たれた斬撃を天野は縦一文字に切り裂く。

 

 戦いが始まって10分が経過した。たった10分で辺りは悲惨なモノへと変わっていた。元々、上弦の陸とは町中で戦っていた。町の人ごと巻き込んで攻撃する上弦の陸の攻撃を天野が防いで炭治郎が避難させるまでの時間を稼ぎ、終わった後に討伐したのだ。

 

 しかし、今は地面は抉れ、家は斬り倒されている。街灯はひっくり返り、ここが元々町だったなどと誰も信じないほどだ。

 

 この惨状は、全て一人の鬼と、一人の人間が起こしたことだった。

 

「はぁ…! ハァ…!」

 

 しかし、どちらが優勢でどちらが劣勢かは火を見るよりも明らかであった。大きく息をする天野は身体中に切り傷があり血だらけだった。

 

 

「素晴らしい……我が剣技を前に……これほどまで生き延びた者は片手で数えるほど……しかも、この身が傷を負うなど……それこそ三百年振りだ」

 

 

 そんな天野に対して、黒死牟は数か所傷を負っているものの鬼の再生速度で実質無傷だ。

 

 鬼の力と呼吸法の合せ技は柱を容易にしのぐ。更には何百年も鍛え続けたであろう黒死牟の剣技が相手では流石の飛天御剣流でも……

 

 だがそれで諦める龍柱、天野剣聖ではなかった。

 

「まだ諦めぬか………ならば」

 

 

【月の呼吸 伍ノ型 月魄災禍(げっぱくさいか)

 

 

 それは黒死牟の血鬼術によるものか、刀を全く振らずに竜巻のような斬撃を出現させる。その斬撃の中に不規則な三日月状の刃が幾つもついており掠っただけで身体が切り刻まれるだろう。

 

 

「クソ…!」

 

 

【龍の呼吸 陸ノ型 龍巣閃】

 

 

 それは相手の全身を高速で連続攻撃する乱撃術。それを用いて迫りくる刃を叩き斬った。

 

 しかし、それでも全ては防ぐ事はできずに数か所斬られてしまうが、軽傷だ。

 

 それでも既に天野の身体には幾つも傷が刻まれている、長期戦になれば先に音を上げるのは天野だ。

 

(早くケリをつけないと!)

 

 故に天野が仕掛ける。刀を鞘に収めて迫るその姿で、次の攻撃が何なのか分からぬ黒死牟ではない。

 

 

(……抜刀術か……面白い)

 

 

 天野を迎え撃とうと、黒死牟も技を放つ。

 

 

【月の呼吸 参ノ型 厭忌月(えんきづき)銷り(つがり)

 

 

 横薙ぎの形の斬撃を月型の刃を纏わせて放つ。この技は一撃で終わらず互い違いに2連続で放つ特異な技。

 

 

【龍の呼吸 参ノ型 双龍閃】

 

 

「……なんだと」

 

 

 しかし、それは天野も同じだった。抜刀から放った一閃が一撃目を相殺し……帯から外した鞘を振るい二撃目を相殺した。双龍閃は刀の鞘を帯から外した状態で放つ抜刀術。一撃目の刀を躱されても、抜刀の勢いを利用して鞘による二撃目に繋げることが出来る、二段構えの抜刀術。

 

(今だ…!)

 

 

 まさか、鞘で抜刀術をするとは思わず黒死牟も目を見開く。その一瞬の隙に天野は勝負をつけるべく必殺の一撃を放つ。

 

 

 

【龍の呼吸 玖ノ型 九頭龍閃】

 

 

 それは飛天御剣流の神速を最大限に発動させ、剣術の基本である九種類の斬撃を同時に繰り出す上弦の参である猗窩座を破った大技。

 

「ッ!」

 

 しかし、黒死牟も剣の極みに達した者、九頭龍閃の恐ろしさを本能で理解し迎撃する。

 

 

【月の呼吸 陸ノ型 常世孤月(とこよこげつ)無間(むけん)

 

 

 一振りで縦方向に無数の斬撃を乱れ撃ちして敵を細切れにする絶技。一瞬のうちに前方の広範囲に放たれるこの斬撃を見切る事はおろか間合いの外に出る事すら困難……。

 

 

「うおおおおおおぉぉぉぉ!!!!」

 

「なに……!?」

 

 

 しかし、九頭龍閃は同じ乱撃術でも龍巣閃と違って斬撃の一つ一つが一撃必殺の威力を持っている。黒死牟の斬撃を突き破り雄叫びを上げて天野が突撃する。

 

 

 そして、九つの必殺の一撃が黒死牟に突き刺さり、激しく吹き飛ばされ轟音と土煙が巻き上がる。

 

 

 

「やった……やったぁ!!」

 

 邪魔にならないように離れて見ていた炭治郎が歓喜の声を上げる。

 

 やっぱり天野さんは凄い人だ!あの上弦の壱を倒すなんて!!

 

 

「ハァ…ハァ…!」

 

 しかし、天野は激しく息をして膝をつく。天野の身体は既に傷だらけ……立っているのがやっとだ。

 

「天野さん!」

 

 それを見てすぐに応急処置をしなければと炭治郎は天野の元へ駆け寄ろうとした……………

 

 

「……来るな!! 炭治郎!!」

 

 しかし、返ってきたのは怒号だった。その意味が分からず駆け寄ろうとした歩を止める炭治郎。

 

 

 

 

 

 

【月の呼吸 漆ノ型 厄鏡(やっきょう)月映え(づきばえ)

 

 

 それと同時に地を這う高速の斬撃が5本、凄まじい速さで迫ってくる。

 

 

「クッ…!」

 

【龍の呼吸 肆ノ型 土龍閃】

 

 

 刀で地面を叩いて巻き上げた土砂を放つがそんなモノで防げる程甘くない。しかし、時間を稼ぐ事は出来、回避する。

 

 

「………これも躱すか」

 

 土煙を払い黒死牟が現れる。上半身の上着は脱ぎ払われ、その刀身は黒死牟の身長を上回り、枝分かれしたような歪な形へと姿を変える。

 

「……………届かなかったか」

 

 

 それを見た天野は勝負を決められなかった事を悔やむ。九頭龍閃は確かに黒死牟に届いた。

 

 しかし、黒死牟が咄嗟に放った常世孤月・無間を突破するのに力を使い過ぎたのだ。黒死牟は耐久面でも他の上弦の鬼を遥かに上回る。九頭龍閃には黒死牟を倒すだけの力が残されていなかった。

 

 

「……………」

 

 

 黒死牟は静かに己の首元を擦る。擦った手には“血”がついていた。九頭龍閃の一撃が黒死牟の頸に浅く、傷をつけたのだ。

 

 

「く……!」

 

 

 その傷もすぐに回復する。しかし、黒死牟の全身を襲う焦燥。浅かったとはいえ頸に一太刀を入れられたのはこれが二度目だった。

 

 蘇るのは四百年前の記憶。

 

 それは……老骨となった弟と相対した記憶。

 

「ッ!」

 

 

【月の呼吸 捌ノ型 月龍輪尾(げつりゅうりんび)

 

 それを振り払う様に強烈な力で抉り斬るような横薙ぎの一閃を放つ。その斬撃はこれ迄の技の倍以上に大きかった。

 

 

「くそったれ…!」

 

  

 普通、あんな歪な刀身ならば、刀を振る速さは遅くなるはずだが、先程と同じ速さ、いや、それ以上の速さで刀を振るっている。

 

 その事に舌を巻きながら付近を舞う小さな刃を切り払い飛び上がって回避する。

 

 

【龍の呼吸 壱ノ型・改 龍槌閃・惨】

 

 

 そのまま、落下の際に刀の切っ先を下に向け頭上から刺し貫こうとする。

 

 

【月の呼吸 拾ノ型 穿面斬(せんめんざん)蘿月(らげつ)

 

 しかし、回転鋸のような形状の巨大な二連の刃を横一線に放つ。咄嗟に防御するが防ぎきれず大きく吹き飛ばされる。

 

 それでも体勢を整え着地…………するかと思われた。

 

(あ……)

 

 

 突如意識が朦朧とし、上手く着地する事ができずにふらついてしまう。

 

「……血を流し過ぎたな」

 

(しまっーー)

 

 それを見逃す黒死牟ではない。放たれた斬撃を回避も防御もする事ができずに…………

 

 

 

「天野さぁぁぁん!!!?」

 

 

 

 

  炭治郎の絶叫と共に夥しい鮮血が舞った。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

『君は何が欲しい?』

 

 

 神様転生なんて言葉があった。死ぬと違う世界に転生し、何かしらの特殊能力を手にすることができるという夢のある話だ。

 

 テンプレの如くトラックに轢かれた俺は気づけば真っ暗な空間にいた。聞こえてきた誰かの声……。

 

 それを聞いて神様転生が頭に浮かんだ俺は随分古いが、生前格好いいと憧れていたジャンプのキャラクター……。

 

 緋村剣心の飛天御剣流が欲しいと言った。

 

 

 

 そうして生まれ変わった俺が居たのは大正時代辺りの日本だった。俺の両親は“熊か何か”に襲われたらしくこの世にはおらず、変わりに仲良しだった“青髪の女の子”の家の世話になっていた。実の子でもない俺にも愛情を注いでくれた彼らとの日々は幸せだった。

 

 そんな幸せも続かなかった。

 

 家が、化け物に……鬼に襲われたのだ。

 

 この時、俺はこの世界が【鬼滅の刃】の世界で、仲良しだった女の子“神崎アオイ”が原作キャラだった事を思い出した。

 

 俺は特典として頼んだ飛天御剣流で助けようと思った。だけど、出せなかった。

 

 当然だ、子供が使える程簡単な技じゃない。転生して当たり前のように使えるなんて都合の良い話じゃなかった。

 

 あの神は“飛天御剣流”をくれたんじゃない。

 

 “飛天御剣流が使えても可笑しくない生き方”を俺に与えたんだ。

 

 

 結局、アオイの両親は喰われた……きっと俺の両親も鬼に喰われたんだろう。

 

 その後、鬼殺隊士が来てくれて俺達は助かり、育手の元で修行した後に最終選別へと参加。無事に生き残る事ができたが……。

 

「……嫌……戦いたくない…!」

 

 

 アオイは戦う事ができなかった……元々、戦いとは無縁の彼女には荷が重かった。でも、鬼殺隊士となったからにはそうはいかない……。

 

「ねぇ…貴方達、私の所に来ない?」

 

 そんな俺達を花柱・胡蝶カナエ……姐さんが拾ってくれた。原作通りにアオイは蝶屋敷で働く事になり、俺は鬼狩りを全うした。

 

 そんな日々を重ね、姐さんの元で修行し血の滲む努力の末に俺は龍の呼吸……飛天御剣流を完成させた。

 

 飛天御剣流の前に敵は無い。当時の下弦の壱を容易く倒した俺は歓喜した。

 

 この力ならこれから待つ未来を変えられる!

 

 そう思い下弦の壱を倒した事を報告しようと帰った俺を待っていたのは……姐さんが………花柱・胡蝶カナエが上弦の弐に殺された知らせだった。

 

 結局……俺はまた何もできなかった。

 

 このままでは繰り返すだけだと姐さんの「鬼と仲良くなる」理想を建前に、お館様に珠世さんとの交流関係を結ぶ事を進言した。

 

 無惨討伐に炭治郎と並んで珠世さん程重要な人は居ない。今の内に交流を結び研究に協力すれば何か変わるかもしれない。

 

 こうして俺は様々な準備をしてきた。炭治郎と出会い原作以上の実力をつけさせたりもした。

 

 そして無限列車編では猗窩座を倒し、煉獄さんを生存させる事ができた。

 

 

 

 ……でも、結局は駄目だった。俺は黒死牟に負けた…この傷じゃもう……。

 

 

 

「しっかりしなさい。死ぬ事は許しません」

 

 

 

 声が聴こえた……でも、ありえない!だってこの声の人は…!カナエの姐さんは……!

 

 

 

「立ちなさい」

 

 

 

 …………無茶を言わないでくれ。俺の身体はボロボロだ!力が入らねぇ……刀を握る余力もねぇ。

 

 

 

 

「関係ありません、立ちなさい。龍柱・天野剣聖」

 

 

 

 そんな俺の弱音を姐さんは躊躇なく否定する。

 

 

 

「このまま死んで本当に良いのですか?後悔はないのですか?」

 

 

 ……………イッチは……聖火は今、USJでヴィラン連合と戦ってるんだっけ……トマトはこれからヤバイ戦いが待っている……赤龍帝ちゃんが一番心配だ……。

 

 俺がここで死んだら……アイツ等を不安にさせちまう。それに炭治郎だって殺される。最初は必要な事だと一緒に行動していたが、今じゃ聖火達と変わらない俺の可愛い弟分だ。殺させる訳にはいかない!

 

 

 顔を上げた俺の目の前にカナエの姐さんが居た、もっとも身体は透けていたが……………

 

 

 姐さんが双眸を潤わせながら、俺に近付いて来る。そしてしゃがんで額をくっつけた。その瞬間、姐さんの双眸から涙が溢れて流れ落ちて行く。

 

 

「あの娘が………アオイが貴方の帰りを待ってる。貴方まであの娘を置いて行っちゃ駄目」

 

 

 ……………何時だって、どんな時だって、アオイは俺の帰りを待ってくれていた……………そうだ、俺はまだ死ねない!!

 

 

「貴方ならちゃんとやれる。頑張って」

 

 

 ありがとう、姐さん。

 

 俺は……まだ戦える。

 

 まだそっちには行かないよ。

 

 

「……………」

 

 

 姐さんの身体がどんどん消えていく。だけど、その顔は何時もの様に花のような笑顔だった。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

「天野……………さん……!?」

 

 夥しい血を流し倒れる天野を炭治郎は震えながら見ていた。上弦の参を倒した天野さんでも本気を出した上弦の壱……………黒死牟には勝てないのか!?

 

「……痣もないのにその強さ………初めはお前もまた………“縁壱”のように神に愛された者だと思ったが………お前の剣は……積み重ねた末に……生まれた力の重みを感じた」

 

 一方で…黒死牟は死にゆく天野を悲しむように見つめながら呟いた。

 

「その技も……人の身では脆く儚い……嘆かわしい」

 

 そっと瞳を閉じる、先程迄の戦いを思い出しているのだろう。素晴らしい戦いだった。これ程までに力を開放したのは数百年振りだ。

 

「……あの方の命には……お前の抹殺もある」

 

 やがて、瞳を開けた黒死牟は炭治郎に静かに歩み寄る。刀を握ろうとしたが……震えて満足に戦えない。

 

 

「しかしお前など……我が刀を振るう価値もなし……如何に日の呼吸の使い手と言えど……縁壱の……天野剣聖の足元にも及ばぬ……」

 

(どうして俺は……こんなにも無力なんだ……!)

 

 憐れむように、見下すように黒死牟は炭治郎を指差す。しかし、それに異を唱える資格を……強さを……炭治郎は持っていなかった。

 

 

(ごめんなさい……! ごめんなさい、天野さん! 俺が…! 俺がもっと強ければ……! 一緒に戦えた……え?)

 

「……………なんだと」

 

 非力な自分を恨み、天野への謝罪の為に視線を向ける。しかし、向けた瞬間、考えが止まった。炭治郎に迫っていた黒死牟も足を止め後ろを振り向くと……

 

 

「……………」

 

 

 血を流し倒れていた天野が立ち上がっていた。全身が切り傷で血塗れ……生きている筈がない。黒死牟と炭治郎が、目を見開く。

 

「何故だ……何故動ける……何故立ち上がれる!」

 

 

「……待っている」

 

「……何?」

 

「俺には……俺の帰りを待っている人が居る」

 

 

 静かに、そう呟いた天野は少しずつ呼吸をする。

 

 深く……

 

  身体の隅々までに行き渡らせる様に……

 

 

「だから……俺は死ねない」

 

 

 次第に身体が熱くなる……心臓が今までにないほどに鼓動する。

 

 

「生きる意志は……何よりも強い」

 

 

 そして……遂に浮かび上がった。

 

 天野の背中に天翔る龍の痣が……。

 

 

「龍の……痣?」

 

「………背に痣など…! ッ!……有り得ぬ」

 

 

 炭治郎は浮かび上がった痣に困惑していたが、黒死牟は天野のもう一つの変化を見逃さなかった。

 

 

「刃が……赤く……!」

 

 天野が握る刀……その刀身が赤く……赫刀になっていた。冷や汗を流し黒死牟は無意識に後ずさる……。

 

「何故だ…! 日の呼吸の使い手でもないのに……何故……縁壱と同じように……!」

 

 有り得ない…!有ってはならない……!と、言わんばかりに黒死牟は声を上げる。しかし天野はそれに答える事なく振り返り刀を構える。全身血だらけで生きているのが不思議なくらいなのに……その瞳の光は消えてなかった。

 

「……決着をつけよう」

 

 

 動揺していた黒死牟だが…少しずつ冷静になる。天野の命の灯は、まさしく風前の灯だ。いつ消えてもおかしくない。

 

 わざわざトドメを刺す必要などない。天野の命が尽きるまで待てば……それでいい。

 

 

「……まさか逃げるなんて言わないよな」

 

 

 しかし天野の言葉が黒死牟からその判断を奪った。

 

「……否」

 

 黒死牟は再び刀を構える。

 

 自分が逃げるなど、あってはならぬ。少しでも怖気づいたなど、あってはならぬ。

 

 人を捨ててまで勝ち続けることを選んだのだ……。

 

 このような、醜い姿になってまで。

 

 

 

【月の呼吸 拾肆ノ型 兇変(きょうへん)天満繊月(てんまんせんげつ)

 

 

 周囲を埋め尽くす量の渦状の斬撃を折り重ねて放つ波状攻撃。無数にある刃の一つにでも当たれば死は免れない。正に死の渦だ。

 

 

「……ハッ!」

 

 

 しかし、天野は一切の恐れ無く突っ込んだ。痣が発現し、先程とは比べ物にならない程の身体能力で攻撃の隙間に滑り込む。

 

 

【龍の呼吸 伍ノ型・改 龍巻閃・旋】

 

 

 無理なモノは無理矢理こじ開ける。きりもみ状に回転しながら刀を振るい幾つもの刃を弾く。

 

 

 

【龍の呼吸 伍ノ型・改弐 龍巻閃・凩】

 

 

 続け様に技を繰り出し、道を作る。

 

 

【龍の呼吸 伍ノ型・改参 龍巻閃・嵐】

 

 

 前方宙返りしながら刃を躱し、邪魔な物を切り砕き遂に間合いに入り込む。それを黒死牟は信じられないと言わんばかりに見ていた。

 

(有り得ぬ…! いくら痣が出たとはいえ…! まさか……視えているのか! ……私と同じ世界が…!)

 

 

 そう、痣と赫刀を発現した天野は黒死牟と同じ『透き通る世界』の極致に至っている。故に黒死牟の血の巡りや筋肉を動きを見る事ができたのだ。

 

 既に天野は射程圏内に入っており刀を鞘に収めている。間違いなく抜刀術。痣が発現した天野の抜刀術は正に神速と言って差し支えない。

 

 

 それでも……それでも負ける訳はいかない。縁壱以外の剣士に負ける事など……有ってはならない!

 

 

 回避は不可能、防御も不可能……ならば迎え撃つ他ない。歪だった刀を元に戻して鞘に収める。抜刀術による速さに対してならこちらも抜刀術で迎え撃つ。

 

 

 如何に天野の抜刀術が神速と言えど……痣と呼吸。それに加えて鬼の身体能力がある此方に軍配が上がると、黒死牟は自分を鼓舞する。

 

 

 そして両者は踏み込んだ。黒死牟は右足に対して……天野は“左足”で……。

 

 

 

(なん……だと……!?)

 

 

 

 抜刀術とは抜刀の際に自分の足を斬らないように右足を前に出すのが常識。

 

 しかし天野はその常識を超え抜刀する絶妙のタイミングで左足を前に踏み込むことで、神速の抜刀術を超神速の抜刀術へ昇華させる。

 

 それは黒死牟の速度を上回る。自らの頸、目掛けて迫る刃をスローモーションの様に見ていた黒死牟。しかし反応はできない。そんな時に脳裏に過るのは弟……縁壱の言葉。

 

 

 

 

 

浮き立つような気持ちになりませぬか、兄上

 

 

 

 

 

 

     全集中 龍の呼吸

 

 

 

 

 

いつか、これから生まれてくる子供達が……

 

 

 

 

 

       拾ノ型 (奥義)!!

 

 

 

 

 

 

私達を超えて更なる高みへと……

 

 

 

 

 

 

 

    天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)!!

 

 

 

 

 

 登りつめていくんだ

 

 

 

 

 

 天を翔ける龍の牙が……月を切り裂いた。

 

 

 

 黒死牟の首が、宙へと跳ね上がる。六つの瞳全てが、自身の首から下を見下ろしている。有り得ぬものが存在しているとでもいうように驚愕だけを表情に貼り付けて。そして数秒ほど滞空した後、ドサリと地面に落ちた。

 

 

 本来の歴史ならここから再生するのだが、赫刀で斬られたが故に再生はできない。黒死牟の胴体は膝から崩れ落ちる。地に伏せると同時に消滅が始まる。

 

 

「…ま…まだだ……まだ負けては…! …私は……俺は…!」

 

 

 斬り飛ばされた頭部も消滅していく、しかし、黒死牟は喋るのを止めない。

 

 

「鬼になってまで……負けたくなかったんですか」

 

 

 その時、炭治郎が口を開く。その瞬間、黒死牟は目を見開いた。

 

 

「……炭治郎」

 

「強くなりたかったんですか? 人を喰ってまで?」

 

 

「やめろ…! ……私を憐れむな…!」

 

 

 戦いの場に立っていない炭治郎に言葉を語る資格が無いのは本人が一番理解している。それでも炭治郎は何かに突き動かされるように口を開く。

 

 

「貴方は……………何になりたかったんですか?」

 

 

 

「…私は………私はただ…………お前になりたかったのだ」

 

 

  ーー縁壱

 

 

 

 弟の名を最後に上弦の壱、黒死牟……………継国巌勝は消えていった。そして彼が脱ぎ捨てた着物から溢れた二つに斬られた笛が月明かりに照らされていた。

  

 

 それを静かに見ていた炭治郎と天野。しかし、突然天野が糸が切れた人形のように倒れる。

 

「ッ、天野さん!」

 

 慌てて炭治郎が駆け寄る。呼吸でなんとか生きてはいるが本来なら死ぬのが当たり前の傷だ。

 

「心配するなよ……お前達を置いて俺は死なねぇ」

 

「天野さん……!」

 

 今にも泣き出しそうな炭治郎に、天野は笑みをかける。すると、遠くから騒がしい音が聞こえ此方に近づいてきている。

 

 どうやら応援が来てくれたようだ。

 

「さぁ、帰るぞ炭治郎……皆の所に……」

 

「はい……!」

 

 

 

 

 こうしてUSJの戦いの裏で起こった一人の転生者の戦いは幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

「……スゲェ!」

 

 

 USJ襲撃から翌日。

 

 ヴィラン連合との戦いで激しく負傷した聖火は入院している間、自分が戦っている裏で起こった事をスレを通して見ていた。

 

 

 ハッキリ言ってレベルが違う。鬼殺ニキと黒死牟の戦いを目で追うので精一杯だ。

 

 自分では逆立ちしても黒死牟には勝てない。そんな黒死牟をあの時の自分以上にボロボロになっても立ち上がり、勝利したアニキを尊敬せずにはいられない。

 

 

「まだまだ……アニキ達の背中は遠いな」

 

「アニキって誰?」

 

 聞き覚えのある声が聞こえてきて思わず動きを止めてしまう。そして声が聞こえてきた方を見ると入口から病室に入ってきた拳藤が居た。

 

「あっ、ごめん剣……盗み聞きをする気はなかったんだけど……」

 

「別にいいよ。見舞いに来てくれたんだろ、ありがとう」

 

「ああ、怪我の方は大丈夫か?」

 

 そう言って拳藤はベットの直ぐ側にある椅子に座りつつ傷の具合を聞く。

 

「ああ、問題ない。すぐに退院できるって」

 

「そうか……良かった。それでさっきのアニキ達って?」

 

 やっぱり気になるだろう……聖火は少し間を置いてそっと口を開く。

 

「俺に色々と力を貸してくれる人達……俺なんかよりもずっと強いんだ」

 

 

「剣よりも……!?」

 

 

 USJの聖火を知っている拳藤からすれば信じられない話だが……笑みを浮かべる聖火を見て真実だと悟る。

 

「その人達は今何処に?」

 

「遠い所……ずっとずっと遠い所で自分達の戦いをしながら俺も見守ってくれている」

 

 

 そう笑って聖火は窓の外…空を見上げる。雲一つない空は……鬼殺ニキ(天野剣聖)が愛した少女と同じ……青く美しかった。

 

 

END

 

 




 めちゃんこ長くなってしまった……軽い劇場版だよ。

 名無しの鬼殺隊こと鬼殺ニキ……彼の名前は天野剣聖。スレ民達の設定集もいつか出そうと思います。




 それで一つお知らせがあるのですが……わんわんおやライダーニキのモンハンストーリー2を出そうと思ったのですが…まだ発売して間もなくネタバレを嫌う人も居ると思うので、もう少し時が経ってから投稿する事にしました。申し訳ありません。


次回は……いよいよお待ちかねの赤龍帝ちゃんです。


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閑話・赤龍帝の涙

 
 どうしてこんなったのか……詳しくはチラシの裏にある【https://syosetu.org/novel/269607/】こちらを見てください。


 

 

 真っ白な空想で二つの赤がぶつかり合う。

 

 

 

「ハアアアアアア!!」

 

 一方は神すら滅ぼす二天龍の一体、力の象徴と言われた赤龍帝。

 

 

「うおおおおおお!!」

 

 

 一方は全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣、ブレイブドラゴン。

 

 

 閃光が、炎が、飛び合い、ぶつかり合い、爆発音が鳴り響く。繰り広げられる激戦、そこから離れた所で二人の戦いを見守る一団があった。

 

 神を喰らう者……名無しのゴッドイーター(神薙ユウ)

 

 人理を救ったマスター……グランドマスター(藤丸立夏)

 

 龍と光の王子………トリガー殿下(ユーディル)

 

 運命を切り開く者………赤目の主人公(シン・アスカ)

 

 

 そして、紫の守護女神………パープル女神(ネプテューヌ)

 

 

 スレの仲間達が二人の戦いを見守っていた。この場に居ない者も掲示板を通して見ている。

 

「始まったね……」

 

「ああ…」

 

 二人の戦いを目で追いながら立夏とユーディルが静かに言葉を交わす。今、自分達の弟分達が行っているのははいつもの模擬戦ではない……本気のぶつかり合い、真剣になるのは当然だ。

 

「……シン君、あの子…聖火君は大丈夫なの?」

 

 一方で紫色の髪を腰まで伸ばした美女、ネプテューヌがシンに問いかける。妹分の龍花に会いに行くと言ったネプテューヌに聖火が待ったをかけたのだ……「最初は自分に任せてほしい」と…。

 

「パープルネキ……」

 

「赤龍帝の能力は力の倍加……禁手化になった事で時間制限もない……幾ら聖火君が仮面ライダーと言ってもスペックは龍花が上よ」

 

 今の龍花は一年前とは大きく変わっていた……初めて抱いた復讐心をどうすればいいか分からずに叫び続ける龍花は……今にも壊れそうだ。

 

「心配ないさ」

 

「え?」

 

 不安を隠しきれない様子のネプテューヌに問題ないと…声をかけたのはユウだった。

 

「ユウ……」

 

「アイツなら大丈夫だ」

 

 そう言って聖火を見つめるユウの表情は何も心配していない……ただひたすらに弟分を信じる兄貴の顔だった。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

「はぁァ!!」

 

 龍花は右手を突き出し真っ赤な気弾を放つ。それに対して聖火は火炎剣烈火を横に払って、弾き飛ばした。

 

 お返しと言わんばかりに聖火も火炎剣烈火から獄炎の斬撃を放つが……

 

【Boost!Boost!Boost!Boost!】

 

 龍花は避ける事はせずに代わりに倍加する。本来なら十秒間のインターバルが必要だが禁手化によって必要なくなった。

 

 身に纏うエネルギーが跳ね上がり、斬撃を弾いてしまった。

 

 斬撃もエネルギーの塊。ならばより巨大なエネルギーとぶつかれば消えてしまう道理だ。

 

(やっぱり決め手にならないか……)

 

 それに相性の問題もあった。赤龍帝とブレイブドラゴンも共に炎を得意とする龍。故に炎の耐性も取り分け高い。ワンダーコンボによって能力が格段に上がったクリムゾンドラゴンでも倍加により能力を高める赤龍帝には効果なく。逆に倍加によって能力を高める赤龍帝でもワンダーコンボによって能力が格段に上がったクリムゾンドラゴンには効果がなかった。

 

 アイコでは勝てないのだ。ならどうするか決まっている。違う手を使えばいい。

 

 龍花の篭手の宝玉が輝き、そこから2丁のリボルバーが出現する。赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)には物を収納する機能がある、それを使って恋人のハジメが作った武器を何時でも呼び出せるのだ。

 

 一方で聖火もニードルヘッジホッグのブックを取り出し火炎剣烈火にリードする。

 

【ヘッジホッグ! ふむふむ…】

 

「受けるがいい……我が刃!!」

 

【習得一閃!】

 

 

 火炎剣烈火を振るうと共に無数の針が龍花に向けて放たれる。それに対して龍花は2丁のリボルバーから次々と弾丸を放ち相殺する。

 

 戦いの舞台は空中に移り、龍花は龍の翼を……聖火は炎のクリムゾンウイングを展開して目まぐるしいドッグファイトを繰り広げる。

 

 

【Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!!】

 

 

 

 その間にも倍加により力が一気に上昇する。龍花は向かい来る針を弾き飛ばし真正面から殴りかかる。

 

(――速い!?)

 

 

 流石に速いが、それでも聖火ならば反応出来る速度だ。火炎剣烈火を振るい、迫る拳にぶつける。

 

 爆発でも起きたかの様な衝撃が鳴り響き、大気を揺らす。龍帝の拳と炎の聖剣がぶつかり合い負けてたまるかと力を込めて押し合う。

 

「重い……!ーーこれ程までに貴女の怒りは大きいんですね…!」

 

 その拳に聖火は重いと感じた……物理的ではない、その拳に込められた隠す事すらできない程に膨れ上がった怒りにだ。

 

 

「……………ええ、そうよ。私の中には怒りが渦巻いてる!!」

 

 

 それと同時に龍花の鎧から激しい炎と光が溢れ出す。

 

「私はただ、ハジメや皆と一緒に楽しく生きていければそれで良かった!!」

 

 龍花が拳を振るう…この怒りをぶつけるかのように……それに対して聖火も火炎剣烈火で受け止める……彼女の気持ちを吐き出させる為に……。

 

「私は忘れない!!アイツ等の嘲笑を!綺麗事を!理不尽を!!」

 

 次々と燃ゆる剣閃が龍花の拳と激突し火花を散らす。戦いの舞台は空から地に戻り龍花は大地を踏み砕き叫ぶ……胸の内を……。

 

「私は…! 私は…!」

 

 

 

 叩きつける、叩きつける、叩きつける…

 

 何度も、何度も、叩きつける。

 

 

 

 脳裏に過る記憶を薪に龍は叫ぶ…

 

 

 愛する人を貶める悪意を……。

 

 自分達を巻き込んだ理不尽を……。

 

 息をするように並べる口先だけの綺麗事を……。

 

 

 絶対に認めない!

 

 絶対に許さない!

 

 

 

「っづ――!!」

 

 

 仮面の下で聖火の表情が苦痛に歪む。

 

 

 ーー熱い…!!

 

 そう聖火は感じていた。しかし物理的ではない。炎のライドブック3冊のワンダーコンボによるクリムゾンドラゴンに炎は効果的ではない。

 

 では何故か?物理的ではなく精神的なのだ……

 

(聴いているだけで魂が焼けただれるようだ…! 龍花さんの偽りのない魂の叫びが…! その熱さが…! 俺の魂を焼き焦がしていく…!)

 

 

「私は許さない! ハジメを蔑んだアイツ等を! 私は許さない! 私達を理不尽に戦争の道具にしようとした国の奴等を…! 私は認めない!! 現実を見ないアイツ等の綺麗事を!!」

 

 

 龍花の猛攻を火炎剣烈火を盾に堪えるが………

 

 

「舐めるなぁァァァ!!!」

 

「くぅ…!」

 

 しかしスペックはやはり龍花が上、拳を押し込まれ吹き飛ばされる。そのまま追い打ちを駆けようとリボルバーを構えて引き金を引く……

 

 

「がっ…!」

 

 

 ……事は無かった。突然の痛みにリボルバーを手放してしまう。一体何が…!?腹部を見れば“真っ赤な棒”が腹部に炸裂し、腹部装甲にヒビを入れている。そしてその棒は聖火の左腕の装甲から伸びていた。

 

 西遊ジャーニーによって形成された左腕装甲【タイセイブレーサー】には龍の王が所持していたとされる伸縮自在の武具が内蔵されており、任意で使用できる。

 

「そんなモノでぇぇぇ!!」

 

 

「はぁああぁああ!!」

 

 

 

 聖剣と武具を振り払い、迫りくる数多の弾丸を切り払う!!

 

 

「それを知ってどうするの!? 『復讐なんて駄目だ』って青臭い台詞でも吐くつもり!?」

 

 

 聖火はヒーロー候補生だ……復讐心を抱く自分を止めようとしていると龍花は考えていた。

 

「……いいや、貴女の怒りは正当なモノだ。間違ってはいないし…咎めるつもりはない」

 

 しかし、聖火の言葉は龍花の予想とは違っていた。

 

 愛する人を蔑まれ、身勝手な理由で戦争に参加させられ……裏切られ、その裏切った奴は許された……。

 

 

 到底受け入れられるモノではない。

 

 龍花の怒りは正しい。彼女には復讐する権利があるし、彼等は復讐されるだけの事をしたのだ。

 

 それを復讐は間違いだと、許すのが人間だと、綺麗な言葉で蓋をする事が間違いだ。

 

 

 聖火が言いたいのはそんな紙の様に軽い綺麗事なんかじゃない…!

 

 

「これ迄の怒り……恋人を守りたい思い……俺達に迷惑かけたくない思い……一人でそんなに多くの物を……背負いきれる程、貴女は強くないでしょうが!!」

 

「ッ…!」

 

 

 怒りからの復讐心を抱きつつも龍花はハジメ達を守りたいと言う思い……聖火達に迷惑をかけたくない思い……それらの思いを誰にも打ち明けずに一人で抱え込んでしまう。そんなのただの女の子が最後まで背負いきれる訳がない。

 

 

「それで貴女が傷ついていく物語なんて俺達は…! ()()()()! 絶対に望まない!!」

 

 

 だからこそ伝えるのだ……そこから先は地獄だ!一人で勝手に行くな!貴女には貴女を心配する人達が居るのだと…!

 

 

「これで終わらせる!」

 

 火炎剣烈火をドライバーに戻し、トリガーを一回引いてから抜刀する。

 

 

【必殺読破! 烈火抜刀!!】

 

 

【ドラゴン! イーグル! 西遊ジャー! 三冊斬り! ファ・ファ・ファ・ファイヤー!!】

 

  

 自身の周りに炎の輪を形成する、それと同時に剣にも炎を纏い……

 

 

 

爆炎紅蓮斬(ばくえんぐれんざん)!!」

 

 

 火炎剣烈火を振り下ろす!!すると無数の火球が龍花目掛けて突撃する。その量は凄まじく龍花も弾丸を放ち応戦するが、相殺し切れず鎧の防御力を倍加して防ぐ。

 

「ぐぅ…!」

 

 

 その熱量は先程の比では無く……赤龍帝の鎧でもダメージはゼロではなかった。苦痛の声を漏らす龍花…聖火は勝負を決める為にクリムゾンウイングを展開して距離を詰める。

 

【Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost!!】

 

 

「こっ、こんな……こんな事で……ッ!」

 

 

 

 龍花は必死に倍加を重ねて無数の火球を吹き飛ばす。負けてたまるかと、聖火を迎え討とうとする。

 

 

「え…?」

 

 しかし、龍花の思考は一瞬止まった……聖火の手にはライドブックが握られていた。見た事も無いやつだ…。

 

 それは明るい紫色のライドブック……その本に描かれていたのは……

 

「姉……さん…!?」

 

 紫色の髪に日本刀の様な剣を握り牙突の構えをする、美しい女神(大好きな姉)だった。

 

 これはネプテューヌが龍花を救ってほしいと聖火の為に自身の力のほんの一部を使って生み出したライドブック。

 

 その名も【パープル女神神話】…女神パープルハートの力が宿った特別なライドブック。

 

「ど、…どうして……あ…」

 

 その時、龍花は聖火がさっき言った言葉を思いだす。あの人……あの人とは…!

 

 

【パープルハート! ふむふむ…!】

 

 

「ネプテューヌさん! 女神の力……お借りします!!」

 

 

 聖火の姿がネプテューヌの幻と重なり紫の光を放つ。その光景に龍花は明らかな動揺を見せる。

 

 

「み…見ないで…! こんな私を……見ないでよ! 姉さん!!」

 

 

 それは拒絶。嫌いだからではない……好きだから……だからこそ見られたくない、今の自分を……変わり果てた自分を……!

 

 だからこそ離れたのだ……!大好きな姉に……スレの仲間達に拒絶されたくないから…!!

 

 

 

「だから……来ないで……お願いだから……来ないでぇぇぇぇ!!!」

 

 

【Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost!!】

 

 

 

【パープルハート! ふむふむ…!】

 

 

 龍花がこれまで以上の倍加を重ねる。それに対して聖火は先程、リードしたパープル女神神話をもう一度、火炎剣烈火にリードする。

 

 

「あぁあぁあぁあぁあぁあぁあーーー!!!!」

 

 

 赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)のブースターから炎が爆発し、右腕に光が収束していく……。

 

 

 

「ぜぇえァァァァァァァァァーーー!!!!」

 

 

 それに対して火炎剣烈火を紫水の如く清らかな光が包み込み、太刀の様な姿へと変わる。

 

 そして放つ……美しき女神が放つ勝利の名を冠する必殺剣……!!

 

 

 

【習得二閃!】

 

 

 

 その名をーー!!

 

 

 

 

 

「ヴィクトリースラッシューー!!」

 

 

 

 

 火炎剣烈火をVの字に振るい放たれた斬撃は神々しい程の光を放ち龍花に迫る。

 

 龍花は迫りくるヴィクトリースラッシュに右拳を叩きつける。全身にあるブースターを吹かせ押し返そうとする。

 

 

「ぐぅぅぅ……ああああああああーーーーッ!!」

 

 

 しかし、ジリジリと押され始める。鎧に次々とヒビが入り身に纏うオーラも次第に弱まっていく。そんな彼女を見ながら聖火は心からの言葉を言った。

 

「龍花さん……貴女の怒りも、優しさも、思いも、何一つ間違ってはいなかった。だけど、…貴女は心の何処かで他者と繋がる事を恐れていた。……貴女のクラスを見ればそれも納得できる」

 

 

 でもーー!

 

 

「貴女を思い、貴女を案じ、貴女に協力する人達を見ないふりするのは……絶対に駄目だ!!」

 

 

【ブレイブドラゴン!!】

 

 

 ドライバーのブレイブドラゴンを押し込み……右腕を突き出すとブレイブドラゴンの形をした獄炎のエネルギーが飛び出してヴィクトリースラッシュを押し込む。

 

 ヴィクトリースラッシュだけでもギリギリだった龍花に防げる筈も無く呑み込まれていく……鎧が砕け散る…龍花は静かに力を抜いた。 敗北したというのに悔しさはない……それよりもやっぱりか……と、予想通りだと苦笑する。

 

(そうだよね……………私が君に叶う筈なかった。仲間やニキネキ達と向かい合う君に……逃げ出そうとした私が勝てる訳なかった……)

 

 

 そして彼女は、光に呑まれて倒れた……。

 

 

 

 

 

 

 

 勝負あり……鎧は砕け散り仰向けに倒れて空を見つめる龍花を見ながら聖火は変身を解除する。そんな聖火の肩に誰かが手を置く。

 

「神喰ニキ……」

 

 それは神喰ニキ……神薙ユウだった。後ろには藤丸やユーディルもいる。ユウは静かに首を横に振る。それで全てを理解した聖火は静かに頷く。

 

 するとタイミングよくハンターニキの銀色のオーロラが現れ、聖火達はオーロラの中に消えていった。

 

 残された龍花……彼女に近づく一人の女性。龍花が姉と慕うネプテューヌだ。

 

「完敗だったわね……剣聖火君か…グラマス君やシン君が注目する理由が分かったわ」

 

「…………そりぁヒーロー目指してるんだ。私なんかじゃ勝てないよ……」

 

 ゆっくりと起き上がった龍花は苦笑しつつもネプテューヌを見上げる。

 

「龍花……」

 

 

 ネプテューヌはしゃがんで龍花と目線を合わせる。

 

 

 そしてーー

 

 

 

      パチィン!!!

 

 

 

 乾いた音が響く……ネプテューヌが龍花の頬を打ったのだ。頬が赤く腫れる……しかし龍花は何一つ文句は言わない。

 

「……心配したのよ。急に連絡が途絶えて……貴女に何かがあったんじゃないかって心配だった…!」

 

 ネプテューヌには実の妹が居るが龍花の事も実の妹と思い接してきた。そんな妹分からの連絡が突然途絶えれば不安になるのは当然だ。

 

 幾ら迷惑をかけたくない思いがあったとしても、龍花のその選択だけは間違いだった。

 

 その事を激しく後悔し顔を俯かせる龍花……しかし次の瞬間、ネプテューヌに抱き締められる。

 

「だからね…貴女が無事で……本当によかったわ、龍花……!!」

 

 

 龍花のこれまでの怒りを……悲しみを……後悔を……全てを包み込むかのようにネプテューヌは優しく抱き締める。その温もりは龍花の病んだ心を照らしていく。

 

 

「あ…! ああ…!!」

 

 

 そして龍花も腕をネプテューヌの腰に回してしがみつく……その目に涙を貯めて。

 

「ごめん……なさい…! ごめんなさい姉さん!! 本当に…本当にごめんなさい…!! わたし…! わたし…!」

 

「いいの…いいのよ…もう我慢しなくていい…遠慮なんてしなくていい…私やあの子達がいるわ。また、いっぱいお話しましょう……あの頃のように……!」

 

「うん…!」

 

 

 

 引き裂かれた二人の絆は……今、再び結ばれた。

 

 彼女等はこれから沢山の事を語り合うだろう……あの頃のように……。

 

 

 

END

 





 次回から体育祭編、ここ迄待たせてしまって申し訳ございませんでした。





コテハン紹介


・スレ主(剣聖火)

 パープルネキから力のほんの一欠片を貰って【パープル女神神話ライドブック】を作った。聖剣にリードする事でネプテューヌの必殺技を放つ事ができる。

 一回リードすると三十二式エクスブレイド、ニ回リードしてヴィクトリースラッシュ、三回リードしてネプテューンブレイク。


・パープル女神(ネプテューヌ)

 赤龍帝ちゃんとお話し中……ちなみに今回の話で彼女は女神化していない。彼女の人間体は大人ネプテューヌの姿で、性格や口調も女神化と変わらない。


・赤龍帝ちゃん(精錬龍花)

 パープルネキとお話し中。聖火との戦いで溜まっていたモノは吐き出せたので思い詰める事なく話すだろう。





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体育祭編
新たなBATTLE!!


 外伝が長くてすみませんでした。

 いよいよ体育祭編に突入です。

 とうとうセイバーが終わってしまいました。自分としましては最高の最終回で満足しました。最終フォームは来ませんでしたが、そこは映画に任せましょう。(やるか分からないけど……)

 最後に、プリミティブは格好いい登場したのに……………最後の最後まで忘れらたキングオブアーサーに…敬礼!




 

 赤龍帝ちゃん(精錬龍花さん)との戦いから翌日、(ヴィラン)連合の襲撃から数日後、ようやく雄英に登校する事ができた。

 

 雄英高校が襲撃されたという情報が何処かから外部に漏れ、放課後には報道陣が押し寄せたのだ、校内の安全確認もあり学校側は臨時休校を決定。俺達は自宅待機を厳命されてしまった。

 

 

 そうして、いつもの学園生活に戻った。ガラガラと扉を開いてクラスに入る。

 

 

 

『剣ぃぃぃぃい〜!!』

 

 

 

 俺を呼ぶ声が一斉に響いた。 クラスの半数以上が突撃する……みんな……。

 

「おい、大丈夫なのか剣!?」

 

「剣ちゃん、もう平気なの?」

 

「剣君、体はもう大丈夫なのかい!?」

 

「うんうん!痛みとかないの!?」

 

  普段は落ち着かせる立場の飯田まで、みんなに混じって俺の心配をしてくれている。

 

 それが嬉しかった……。

 

「…………心配してくれてサンキュー。俺はもう大丈夫だ」

 

「……ホントに?」

 

 耳郎が心配そうな表情で見つめる。USJの時はずっと一緒に居て俺の戦いを見てたから余計に不安なんだろう……。

 

 

「ああ、…リカバリーガールのお陰でどこも痛くはないよ」

 

「……………」

 

 じっと見つめてくる耳郎……ドラゴンアーサーを無理して使ったダメージは皆知ってる。今でもアレしか手は無かったと思ってるが……皆に心配かけちまったな。

 

「あ~……何かあったら真っ先に耳郎や皆に言うから…そんな“お願いだから気を使って隠し事しないでよ”って目で見ないでくれ」

 

「ん、…よろしい。隠し事は無しだからね」

 

 手を上げて降参のポーズの俺に小さく笑みを浮かべる耳郎……俺も赤龍帝ちゃんの事は言えないな。

 

 

 そうこうしていると相澤先生がやってきた。

 

「うるさいぞお前ら、もうホームルームの時間……ああ、…剣か………怪我はもう良いのか?」

 

 皆が席についてない理由を察してくれた相沢先生。俺の身を心配してくれるが……

 

「……………相澤先生。その言葉、そっくりそのままお返しします!」

 

 

 全身包帯グルグル巻きのミイラ姿の相沢先生の方がよっぽど心配だ!

 

「俺の安否はどうでもいい。何より、まだ戦いは終わってねぇ」

 

 

 俺のツッコミにそう答え、俺達を見回す相澤先生。「さっさと席につけ」と先生は言うので席につく。まだ、戦いが終わっていない? どういう意味だ?

 

 

 全員の視線が相澤先生に注目し……………

 

 

「雄英体育祭が迫ってる!」

 

 

『クソ学校っぽいのきたー!』

 

 

  そんな声が周囲から一斉に飛び出した。雄英高校に入学してから……………

 

 入学式=すっぽかして個性把握テスト

 

 救助訓練=ヴィラン襲撃

 

 

 こんな日々の俺達だから学校行事に皆飢えているので俺も気持ちは分かる。

 

「ヴィランが来た後だってのに……よくやれるなぁ」

 

 クラスで唯一、不安そうな表情を浮かべるのは峰田だ。再びヴィランが襲撃する可能性も高い…しかし、相澤先生はそれを否定する。

 

「逆だ。開催する事で盤石な事を示すつもりだ。警備も去年の5倍……何より、最大の“チャンス”を無くさせる訳にはいかん」

 

 雄英体育祭は日本のビッグイベントの一つ。かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ全国が熱狂した。しかし、個性が発現したせいで、今は規模も人口も縮小し形骸化した。

 

 それもそうだ。個性を使わないスポーツなんて普通でつまらないと言われるだろう。そして、日本において今「かつてのオリンピック」に代わるのが、『雄英体育祭』だ。

 

 

 全国のトップヒーローもスカウト目的で観に来る。全国で生中継され、観客も一学校の体育祭と比べるのもおこがましいレベル。何より、俺達にとっても人生を左右する“チャンス”だ。

 

 

「プロヒーローもスカウト目的で来る、結果次第で将来が決まる」

 

 俺の言葉にそれに全員が反応する。

 

「そういう事だ。年に一度……最大で3回きりのチャンス。時間は有限……………焦れよ、お前等?」

 

 相澤先生の言葉に応える者はいない。だが、表情で皆は意思を示していた。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

1:トリガー殿下

 助けてくださいm(_ _)m

 

2:名無しのトマト

 あれ…なんか見た事ある。

 

3:名無しのライダー

 いきなりどうしたwww

 

4:トリガー殿下

 エルフィリスとの関係が皆にバレた…!

 

5:グランドマスター

 ドンマイ!ドンマイ!!

 

6:名無しのゴッドイーター

>>5 お前人の事言えないだろ……

 

7:名無しのわんわんお

 それで今どんな状況?状況説明ハヨwww

 

8:トリガー殿下

 ちくしょう!分かっていたけど……………うぜえ!

 

『待ちなさいダーリン!! あの恋敵との関係を洗いざらい吐いてもらうわよ!!』

 

『いつから! いつからなのユーディル!? やっぱりあの時? ハロウィンの時なの!?………エルフィリス…恥ずかしがってた癖に…!』

 

 やっべ!ムムとイルテミア!?

 

 

9:名無しの転生者ハンター

 成程、だいたい分かった。

 

10:名無しのゴッドイーター

 エルフィリスはどうしたよ?

 

11:名無しのトマト

 一緒じゃないんですか?

 

12:トリガー殿下

 ああ、…エルフィリスなら……………

 

『お姉様!? どう言う事ですの!? ご説明ください!?』

 

『お、落ち着いてくれジュリエッタ! わ、…私と殿下はその……そ、…相思相愛の…』

 

『イヤャャャャャーー!? お姉様の純潔がァァァァァァー!! 純潔そのモノがァァァァァーー!!!』

 

『や、…やめろォォォォ!? そんなデカい声でーー『エルフィリス…! ほ、ホントにえ、エッチな事をしたのか…! な、なんで俺に言ってくれなかった!?』ーー言える訳ないだろシャノン!?』

 

 ……………こんな感じ……

 

13:名無しの転生者ハンター

 成程、だいたい分かった。

 

14:トリガー殿下

>>13 それ言えばイイって訳じゃないぞ!早くカーテンを出してくれ!!

 

15:名無しの転生者ハンター

 断る。自分で何とかしろ。

 

16:名無しのトリガー

 お、…おま!?見捨てる気か!?

 おのれ!ディーー「探しましたよ……お兄様……」

 

 オッフ…

 

 

17:名無しのゴッドイーター

 終わったな……風呂入ってくる。

 

18:名無しのトマト

 サヨナラ~サヨナラ~!

 

19:トリガー殿下

 

 ぜ、ゼシア…!

 

「お兄様……エルフィリスさんと関係を結んでいたんですね……おかしいと思ったんですよ。やけにエルフィリスさんとの距離が近いなーって、私より近いなんて変ですよ。そしたら案の定、こんな真実が発覚して……そうですよね、やっぱりエルフィリスさんですよね。美人だし、…可愛いし、強いし、頼りになるし、スタイルいいし、私なんかよりもよっぽどいいですよね? そうでしょお兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様」

 

 

 ……………俺は何処で間違えたんだ…教えてくれ。

 

 

20:名無しのゴッドイーター

 ……………ドンマイ。

 

21:名無しのトマト

 ……………流石に同情します。

 

22:名無しのライダー

 黒の狂気かな?

 

23:名無しのわんわんお

 古龍より怖いや……………

 

24:名無しの転生者ハンター

 成程、だいたい分かった。

 

25:グランドマスター

 このくらいカルデアでは日常です(死んだ目)

 

26:トリガー殿下

 

 お、…落ち着けゼシア…!は、話し合おう…!

 

『大丈夫ですよお兄様……私は怒ってません。何処ぞの馬の骨ならいざ知らず……エルフィリスさんなら私も負けを認めざるをえません……』

 

 

27:グランドマスター

 なん……だと…!?

 

28:名無しのトマト

 ヤンデレエンド回避!?

 

29:名無しのゴッドイーター

 てっきりこのまま搾り取られると思ってた。

 

30:名無しのわんわんお

 なんだつまらん

 

31:トリガー殿下

 残念だったな!俺はグラマスとは違ーー「童貞はエルフィリスさんに譲りますが……後ろの処女は私が貰いますね」

 

 …………………み、未来を築く希望の光!!ウルトラマントリガー!!

 

「ふふふ、逃しませんよお兄様!!」

 

32:名無しの転生者ハンター

 ………………成程、だいたい分かった。

 

33:名無しのトマト

 貴方さっきからそれしか言ってませんよ……

 

34:名無しのゴッドイーター

 滅茶苦茶早口だったな……

 

35:名無しのわんわんお

 やはりヤンデレからは逃れられない……

 

36:グランドマスター

 フハハハ!ザマァみろ!やっぱり彼も俺と同じーー「昨夜は何処に行ってたんだい。キャストリアの所? 酷いな…恋人の僕をほっといて。前にも言ったけど夜は体温が恋しいんだ。ちゃんと僕の側にいて欲しいなマスター?」ちょっ!?メリュジーヌ!?待って待っ―――

 

37:名無しのトマト

 あっ(察し)

 

38:名無しのライダー

 グラマスニキ……

 

39:赤目の主人公

 やっぱりアイツがナンバーワンだな……

 

40:名無しのわんわんお

 お、…アスカニキ……

 

41:名無しのトマト

 赤龍帝ちゃんとの話は終わったんですか?

 

42:パープル女神

 ええ、…ほら貴女も恥ずかしがらないで。

 

43:ありふれた赤龍帝

 あ…あの皆さん……

 

44:名無しのライダー

 おお、赤龍帝ちゃん!

 

45:名無しのわんわんお

 おかえり!

 

46:ありふれた赤龍帝

 あの………今まで迷惑かけてすみませんでした!

 

47:名無しのゴッドイーター

 そんなの…別にいいって。気にすんなよ。

 

48:名無しの転生者ハンター

 イッチも言ってただろ、俺達はお人好しで、ココは助け合う場だ……お前が遠慮する必要はない。

 

49:ありふれた赤龍帝

 皆さん……ありがとうございます!

 

50:名無しのゴッドイーター

 それでこれからどうするんだ?

 

51:赤目の主人公

 その事なんだが……俺とパープルネキは赤龍帝ちゃんについて行こうと思う。

 

52:名無しの転生者ハンター

 やはり、そうなるか……

 

53:名無しのトマト

 それって大丈夫なんですか?ハンターニキ?

 

54:名無しの転生者ハンター

 あの世界自体、異世界者だらけの世界だ。エヒトは別の世界から来てトータスを侵略し、他の世界の者を勝手に呼び寄せている。二人増えた所で変わらんだろう…

 

55:名無しのライダー

 アスカニキは大丈夫なのか?バトル物に参加して?

 

56:パープル女神

 大丈夫よ、彼はデスティニーガンダムに生身で乗ってもピンピンしてる、下手な転生者よりもチートボディの持ち主だから…

 

57:名無しの転生者ハンター

 ガンダムファイターに片脚突っ込んでるからな。

 

58:赤目の主人公

 流石にビルを蹴り上げる事はできんぞ……まぁ、バトル物でも遅れを取るつもりはない……パープルネキに協力してもらった事もあるしな。

 

59:パープル女神

 私達はあくまでもクラスの連中の対応の為に行くからネプテューヌで居た方が良いわよね?

 

60:名無しの転生者ハンター

 そうだな……パープルハートになるのは()()()()()()が起こった時に限定するべきだな。

 

61:パープル女神

 分かったわ……………私の可愛い妹分に対する数々の非礼……全部纏めて返してやるわ!!!

 

62:炎の剣士

 速報、クラスメート終了のお知らせ。

 

63:名無しのゴッドイーター

 お、…イッチ。

 

64:名無しのライダー

 学校始まったんだっけ?

 

65:炎の剣士

 はい、…体育祭の話が来ました。それで今、オールマイトと一緒に昼飯食べてます。

 

66:名無しのライダー

 ああ、…今後の話か…

 

67:炎の剣士

 はい。

 

『食べながらで良いから、聞いてほしい。雄英の入試前にも話したと思うけど…ぶっちゃけ私が平和の象徴として立っていられる時間って、実はそんなに長くない』

 

「…はい」

 

 

68:名無しのゴッドイーター

 USJはイッチのお陰で戦わずに済んだが……やはり限界か……

 

69:炎の剣士

 

『USJの時……ワン・フォー・オール……キングエクスカリバーを使ってどうだった?』

 

「凄い力でした……まだ完全には使いこなせていません」

 

 

70:名無しのトマト

 アレでも不完全なのか………!

 

71:名無しの転生者ハンター

 流石は歴代のヒーロー達の魂の結晶と、言わざるをえんな。

 

72:炎の剣士

 

『君はワン・フォー・オールを取り込むのではなく形を与え武器にした。これから先、何が起こるか分からないが私は君の育成に全力を注いでいくよ!』

 

「ありがとうございます、オールマイト」

 

 

 

73:ありふれた赤龍帝

 不器用でも生徒に寄り添う先生か〜トータスから帰還したら転校するから、そこで会えるといいな〜

 

74:赤目の主人公

 転校先も色々と考えないとな……

 

75:炎の剣士

 

『さて、本題に入ろうか……剣少年、君に“ワン・フォー・オール”を授けたのは、“私”を継いで欲しいからだ!  雄英体育祭…全国が注目しているビッグイベント! 次世代のオールマイト……象徴の卵…君が…仮面ライダーセイバーが来た!  という事を世の中に知らしめてほしい!!」

 

 

76:パープル女神

 これはオールマイトからの試練と捉えるべきね。

 

77:炎の剣士

 ……………そうですね。だけど、逃げる訳にはいきません。

 

「はい、…元からそのつもりです! 体育祭で! 俺が! 仮面ライダーセイバーが来たって事を世界に見せつけてやります!!」

 

 

78:名無しの転生者ハンター

 ふっ…その意気だ!

 

79:名無しのゴッドイーター

 俺達も勿論応援するぜ!

 

80:名無しのトマト

 見せてやりましょう!貴方のエンタメを!!

 

81:パープル女神

 何かあれば何時でも言ってね……力になるわ!

 

82:炎の剣士

 はい!

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 オールマイトに体育祭での誓いをして、放課後を迎えた、放課後には退院した俺を心配して拳藤達、B組の皆が来てくれて、これからの体育祭についてABそれぞれ意見を言い合っていた。

 

 

「うぉぉぉ…なにごとだあ!?」

 

 

 そんな時、麗日の声に視線を送ってみると、他のクラスの連中が押し寄せて来ていた。 大部分は普通科だけど、…サポート科や経営科の奴もいるな……目的は…見当がつく。

 

「出れねーじゃん!  何しに来たんだよ」

 

「そんなの敵情視察に決まってるじゃないか!」

 

 文句を言う峰田を鼻で笑う物間……………変な事を言う前に拳藤が手刀で撃沈させる………やはり、恐ろしく速い手刀……俺じゃなきゃ見逃しちゃうね!

 

「アンタが剣聖火か?」

 

「うん?」

 

 名前を呼ばれて視線を向ければ、人ごみを押し退け、気だるげな顔つきの生徒が前に出た。

 

「そうだけど…」

 

「へぇ、アンタが仮面の剣士……いや、仮面ライダーって名乗ってんだっけ? この前の襲撃でも大活躍だったそうじゃんか。皆噂してるぜ、優勝候補だって………さぞ気持ちが良いんだろうな?」

 

 っ!、明らかな挑発……………周りの普通科の人達から嫉妬の視線を向けられる。

 

「ちょっとアンタいきなり!ーー「俺は大丈夫……ありがとう耳郎」ーー剣…でも、…」

 

 耳郎を制して一歩前に出る。言いたい奴には言わせておけばいいが……

 

「一つ……言いたい事がある」

 

「ん?」

 

 一つだけ、考えを改めてほしい部分がある。

 

「俺達はUSJに遊びに行った訳じゃない。本物の敵を前に自分の無力を知った……不甲斐ない自分に失望した、俺自身死にかけた」

 

 俺の言葉にA組、B組の皆が顔を俯かせる。あの出来事は俺達にヒーローが戦う者は何なのか教えるモノだった。

 

「詳しく話す事はできないが……俺達は人に自慢できるような立派な事はしていない。だからUSJの事でマウント取るような事はしない。……それだけは分かってくれ」

 

「………噂以上だなアンタ。さっきの言葉は取り消す、すまなかった」

 

 野次馬達が静まり返る中、さっきの気だるそうな普通科が口を開く。

 

「だけど、俺達、普通科だってトップを狙っているって事だけは、忘れないでくれよ。入学試験との相性が悪かったってだけで、強力な“個性”を持っている奴はいる」

 

 その持ってる奴には彼も入って居るのだろう。

 

 

「ああ、俺は逃げも隠れもしない。油断も慢心もせず、全力で戦わせてもらう」

 

 俺の返答に何か感じる物があったのだろう。彼は微かに微笑むと……………

 

「俺は心操人使。体育祭を楽しみにしてるぜ…仮面ライダー」

 

 そう言い残して、去って行った。心操人使………油断ならない人物だ。その名前、覚えておこう。

 

 その後、…見に来ていた他の連中も去っていき俺達も帰ろうとしていた時……………

 

「皆……ちょっといいかな?」

 

  拳藤が呼び止め、AB全員の視線が注目する。

 

「体育祭までの2週間。皆で特訓しないか?」

 

 拳藤からのいきなりの提案に大なり小なり反応を示す皆……だけど、拳藤が考え無しにこんな事を言う筈もない。

 

「USJの時、轟以外…私達は何もできなかった。剣はああ言ってくれたが、皆納得はしていないだろ?今は私達は“ヴィランを退けた有望な一年”って見られてる。でも、このまま行けば()()()()()()()っていつか言われる」

 

 

 拳藤の言葉に反論の声は上がらない。誰もが拳藤の言ってる事を理解して受け入れている。

 

 

「……………俺は拳藤の意見に賛成だ! あんな悔しい思いして何も変わらないなんて……俺はそんなダセェ事をする為に雄英に来たんじゃねぇ!」

 

「切島の言う通りだ!! 俺は乗ったぜ拳藤!」

 

 

 そんな中で口を開いたのは切島だ。それに鉄哲も続き、他の皆も次々に賛成の意思を示してくれる。

 

 

 そして……

 

「話は聞かせてもらった!!」

 

『ブラド先生!?』

 

 教室のドアが勢いよく開き、ブラド先生が現れる。多分、さっきの敵情視察の集まりを注意する為に来てたんだろう…。

 

「お前達の思いはよく分かった!! 体育館を使える様に俺が申請を出そう!」

 

「いいんですか!?」

 

「生徒が悩みながらも前に進もうとしているのだ、それを見守り手助けするのは教師として当然だ、遠慮するな!」

 

 

「ブラド先生……ありがとうございます!」

 

 

 どうやら話は決まったようだ……確かにUSJの事件は皆に様々な影響を与えた。だけど、それはマイナスな事だけじゃない!

 

 

 こうして俺達の新しい戦いが幕を上げた。

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

「へぇ、面白いのが上がってるじゃん」

 

 

 此処は別世界……赤い髪の青年が面白そうに笑みを浮かべる。彼もまた聖火達と同じ転生者、ソファで寛ぎながら転生者達の掲示板、その中でも最近話題になっている聖火の掲示板を見ていた。

 

 

〜! ご飯できたわよー!」

 

「ああ…! 今行く!」

 

 

 その時、女性の声が聞こえる。どうやら同棲しているようだ。ソファから立ち上がり、声がする方に向かう。

 

「メニューは?」

 

「貴方が好きなカレーよ」

 

「よっしゃ! まゐのカレー!」

 

「もう……調子いいんだから」

 

 

 彼が立ち上がったソファの前にはテーブルが置かれており……()()()()()()()()()()()()()()が二人の仲睦まじい姿を喜ぶかのように輝きを放っていた。

 

 

 

END

 

 




 コテハン紹介

・赤龍帝ちゃん

 話し合いの結果、セコム出動。

・パープル女神

 赤龍帝ちゃんのこれまでを聞いて内心怒り爆発!殴り込みを決行。流石に女神化はしないが…人間体でもありふれの使徒程度なら十分に無双できる程、普通に強い。

・赤目の主人公

 赤龍帝ちゃんが奈落に落ちた事に責任を感じていたのでパープルネキと共に殴り込みを決行。ガンダムファイターに片脚突っ込んでるのでバトル物でも問題ない。


・トリガー殿下

 エルフィリスと駆け落ちした。

・グランドマスター

 メリュジーヌに添い寝を迫られたが其処にバーゲストが現れて修羅場に発展。助けて〜オベえもん〜!!

・名無しの鬼殺隊

 現在、休養中。登場はもう少し先。




 ありふれ書いたからか……雄英の皆が輝いて見える、不思議!!

 この体育祭編ではオリジナル展開を用意する予定です。そして……最後に登場した謎の転生者…………ブレイブドラゴン、オッP、赤龍帝に次ぐ第4の赤龍。彼も体育祭編に登場します。




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何故、彼の心は揺れるのか?

 
 投稿が遅れて本当にすみませんでした!リアルが忙しいのと話の構成、批判コメントに悩んでおりまして……

 オリジナル展開を作るのは難しいですね……


 前回のラスト……彼に関するコメントが多くて驚きました。

 まぁ、有名ですしね■さんは……!



 

 体育祭の知らせを受けた翌日、拳藤の提案で聖火達はAB合同の特訓をする事になった。

 

 特訓は授業が終わった後の放課後、ブラドのお陰で体育館を借りる事もできた。

 

 USJの事件は其々に大きな影響を与え、彼等は深く考えた。ある者は現実の厳しさを…ある者達は己の無力を……そしてある者は()()()()()()を……。

 

 

 それぞれの思いが募る中……物語は新たなページを刻み始める。

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

125:名無しの転生者ハンター

 成程、そっちは上手くいってるようだな。

 

126:パープル女神

 ええ、ハジメ君達にはエヒトに連れてこられた異世界人って言ってあるわ。

 

127:ありふれた赤龍帝

 パープルネキは元々姉属性が高いですから……もう皆のお姉さんになってるので……私との関係も大丈夫です。

 

128:赤目の主人公

 今はブルックの街に居るんだが……まぁ、変態しかいない……

 

129:名無しのゴッドイーター

 大変だったね

 

130:名無しのライダー

 確かに言われてみれば……

 

131:赤目の主人公

 ああ、…クリスタルベルさんとかヤバかった……久々に恐怖を感じたぜ。

 

132:ありふれた赤龍帝

 クリスタルベルさん、見た目は凄いですけど……普通にいい人でしたよ。

 

133:パープル女神

 その他にも色んな変態が居たわ……

 

134:名無しのトマト

 な、なるほど…

 

135:赤目の主人公

 てかトマト、お前今どこら辺よ?

 

136:名無しの転生者ハンター

 そういえば最近聞いてなかったな……

 

137:名無しのトマト

 そう言えばそうでしたね……まず、ユートとのデュエルの後、LDSが来ました。んで、原作通りに戦ったんだけど……まぁ勝てました。

 

138:パープル女神

 原作だと遊矢君が勝って柚子ちゃんが負けて権現坂君が引き分けでしょ?

 

139:名無しのトマト

 まぁ、そうなんですけど……ユートが助けに来てくれました。

 

140:名無しのライダー

 まじか…!

 

141:名無しのトマト

 『俺が原因で起こった事……責任を取らせてくれ!』って現れて最初のエクシーズ使いをワンキルして、次の融合使いを俺が倒して終わりました。

 

142:名無しのわんわんお

 やだ、ナスくんイケメン…!

 

143:名無しのトマト

 まぁ、…その後赤馬零児が現れてデュエルする事になりました。あの野郎…ペンデュラムどころかリンクのビルガメスまで引っさげて来たんですよ!

 

144:名無しの転生者ハンター

 リンクまで用意するとは…流石と言わざるをえんな。

 

145:名無しのトマト

 まぁ、…勝てたんですけど…

 

146:名無しのわんわんお

 いや、勝てたんかい!

 

146:名無しのトマト

 なんかペンデュラムのその先!とか吐かしてたんで、展開した所でニビルを降らせました。

 

147:グランドマスター

 ……………なんかとんでもない単語が聞こえたんだけど?ニビル?………なんで10期のカードがあるの?

 

148:名無しのトマト

 どうやらズァークが消えてもカードを作る力はあるみたいでOCGのカードを作ってやろって……

 

26:ありふれた赤龍帝

 ど、…どこからツッコめば良いのか……………明らかにオーバースペックですよね。

 

150:名無しのトマト

 デスヨネー………そんでユートから借りたダークリベリオンとオッPでワンキルしました。

 

151:名無しのゴッドイーター

 アクションカードは?回避とか言う炎上マジックがあっただろ?

 

152:名無しのトマト

 俺が使わないって言ったら、あっちも使わないって言ったのでそんな物無いですよ。

 

153:パープル女神

 トマト君中々エグいわね……

 

154:トリガー殿下

 コテハン変えたらどうだ?OCGの使者とかに……

 

155:ありふれた赤龍帝

 トリガーニキ!?エルフィリスさんと駆け落ちしたんじゃ!?

 

156:トリガー殿下

 ふっ………いつ捕まっても不思議じゃないぜ!

 

158:グランドマスター

 知ってた。

 

159:トリガー殿下

 ハハハ………これからどうなるか考えるだけで恐ろしい…!タスケテ、ウルトラマーン…!

 

160:炎の剣士

 た、…大変ですね……

 

161:名無しの転生者ハンター

 来たかイッチ……コイツは気にするな。

 

162:名無しのゴッドイーター

 これから特訓だっけ?

 

163:炎の剣士

 はい、ブラド先生が体育館を取ってくれたので……

 

164:赤目の主人公

 そうか、頑張れよ。

 

165:炎の剣士

 はい!

  

 

◆◆◆◆

 

 

 本日の授業も無事終了し、放課後を迎えた俺達3()8()()は、ブラド先生の名前で借りた体育館に移動し、雄英体育祭に向けての合同特訓を開始していた。

 

「個性を伸ばす?」

 

「そうだ、筋繊維は酷使する事により壊れ…強く太くなる。“個性”も同じだ。使い続ければ強くなり、でなければ衰える!」

 

 

 準備運動を終えた俺達に初日と言う事もあり、どのようにすれば良いのか特訓の具体例をブラド先生が話してくれるそうだ。

 

「昨日拳藤も言っていた通りヴィランを退けたお前達に注目が集まっている。全国が注目する体育祭でコレを使わん手はない! いいか!今年の体育祭の主役は一年(我々)だ!」

 

 

 「その為にも限界突破だ!」と熱く語るブラド先生に切島や鉄哲を含めた男子勢の何人かが男泣きしてる。

 

「先生…! 俺達の為に…! ありがとうございます…!」

 

 少し大袈裟かもしれないが俺達の為に特訓の場所を用意して親身に接してくれるブラド先生は相澤先生とはまた違った理想の先生だ。

 

「個性の特訓は本来ならば精神や技術面を成長させた後に行うが、先の襲撃でお前達は()()を知り悔しさを抱いた。しかしそれは恥ずべき事はない! 大事なのはその悔しさから何をするかだ! 最初に言っておく、()()のように辛い! 悔しさをバネに乗り越えろ! Plus Ultra(更に向こうへ)だ!」

 

 

『ハイ!』

 

 

 こうして体育祭に向けて、俺達の特訓が始まった。

 

 

◆◆◆◆

 

 

166:ありふれた赤龍帝

 私……地球に帰ったらハジメと雄英に転校するんだ。

 

167:赤目の主人公

 おい!?

 

168:名無しの転生者ハンター

 まぁ、…確かに雄英高校の教員は善人しか居ないからな。

 

169:グランドマスター

 雄英が最難関校なのに対し、ありふれは一般高校。 差があるのは間違いないが、それを考慮してもありふれはクソしか居ないからね。

 

170:名無しのゴッドイーター

 さて、特訓が始まったね。

 

171:名無しのライダー

 内容は夏合宿の特訓だな。

 

172:赤目の主人公

 イッチはどんな内容なんだ?

 

173:炎の剣士

 俺はライドブックを多用して皆の特訓のサポートをして活動時間の延長を目指すそうです。

 

『頼むぜ剣!』

 

「おう!変身!」

【竜巻〜ドラゴンイーグル〜♫】

 

 

174:トリガー殿下

 ドラゴンイーグルに変身して炎の竜巻を鉄哲に放ったな。……原作通りの特訓とは言え結構エグいな、電子レンジに突っ込まれたようなもんだろ。

 

175:名無しのゴッドイーター

 他にはジャッ君と土豆の樹で生やした土豆に耳郎やら芦戸、B組の鎌切、庄田やらが個性をぶつけているな。

 

176:炎の剣士

 はい。こうやって皆のサポートを行ったり来たりする事で『戦闘時間の増加』を目指してます。また、USJの様な連戦になっても大丈夫なように。

 

177:名無しのトマト

 成程〜。

 

178:パープル女神

 確かに仮面ライダーセイバーはこれから何度もパワーアップ形態を手に入れるわ。

 

179:赤目の主人公

 それを見越してスタミナ強化をするのは良い事だ。

 

180:名無しのライダー

 一年の皆も強くなるし。体育祭は原作とは違った展開になるな。

 

181:炎の剣士

 ……………皆じゃ無いんです。

 

182:グランドマスター

 ん?誰か居ないのか?

 

183:炎の剣士

 ………轟だけ来てないんですよ。飯田や切島が誘ったんですけど……心、ここに在らず…って感じで…

 

184:名無しのゴッドイーター

 成程ね。

 

185:炎の剣士

 ニキネキ達は轟の設定とかは……

 

186:名無しの転生者ハンター

 ああ、知ってる。……教えてほしいのか?

 

187:炎の剣士

 ………いいえ、勝手に人の過去を知るのは……違うと思います。

 

188:トリガー殿下

 そうか……だったら今は特訓に集中しろ。

 

189:炎の剣士

 そうですね…分かりました。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

【轟side】

 

 

 

 俺には父親が居る、それもヒーローだ。

 

 今の日本で知らない奴は居ないだろう……

 

 

 No.1ヒーロー・オールマイトに次ぐ、ヒーローランキング2位… 《フレイムヒーロー・エンデヴァー》…

 

 それが俺の親父だ。

 

 

 それを知った途端、皆が色んな事を言ってきた。

 

 やれエンデヴァーは家ではどんな感じなのか?

 

 親がトップヒーローなんて羨ましい!

 

 

 そんな事ばかり言われて来た。

 

 

 

 

 

 

    ふざけんな!!

 

 

 

 俺はアイツを()()だなんて思った事は一度もない!!

 

 ()()だなんて考えたくもない!!俺の家族はお母さんと姉さんと兄さんだけだ!!

 

 

 

 アイツ(親父)は病的なまでに上昇志向が強い男でヒーローとして破竹の勢いで名を馳せた。それ故に生ける伝説であるオールマイトの存在を疎ましく思っていた。親父は理解した、自分では超えられないと。

 

 そこで次の策に出た……。

 

 

【個性婚】

 

 

 

 超常が起きてから第二~第三世代間で問題になった。自身の個性をより強化して継がせるためだけに配偶者を選び……結婚を強いる。倫理観の欠落した前時代的発想。

 

 親父は自分の目を付けた個性のお母さんの親族を丸め込み……お母さんの個性を手に入れた。

 

 俺は幼きながら自覚した… No.1ヒーローのオールマイトを超えたいという親父の願望だけのために…俺は産まれてきたにすぎないんだ…。

 

 

 個性が発現してから始まった辛い特訓で泣いてばかりいた俺を心配し、庇ってくれていたのはお母さんだった… だが親父はそんなお母さんを邪魔者のように扱いやがった!

 

 自分の妻をだぞ!?

 

 

 それからすぐのことだった…

 

 

『お母さん!!私もう限界!!日に日にあの子の《左側》が!あの人に似てくるの!!』

 

 

 お母さんは悲痛な声を出しながら電話の相手…お母さんのお母さん…つまり俺のお婆さんに助けを求めていた。そんな時に俺が後ろにいることに気づいたのか…お母さんは振り返った…その時のお母さんの顔は今でも忘れられない。

 

 

 

 そして次の瞬間…お母さんは俺に()()()()()()()()……

 

 

 

 その時の痛みを俺は一生忘れないだろう……

 

 

 それから間もなくして…お母さんは俺の前から姿を消した。度重なるストレスによってノイローゼになってしまい、親父が強制的にお母さんを精神病院へ入れたのだ…

 

 その時の親父はお母さんの心配よりも、俺の特訓に支障が生じる事を恐れていた。

 

 

 

 そんな屑の道具にはならない。

 

 

 糞親父の個性(左の炎)を使わず、お母さんの個性(右の氷)だけでヒーローになる事で糞親父を完全否定する!!

 

 それが俺の目標であり、生きる意味だった……

 

 

 

 

 そうして雄英高校に入学して……()()()に出会った。

 

 

 剣聖火………一年前に仮面の剣士として有名になったその名は記憶に新しく炎の聖剣を使い……仮面ライダー?というモノに変身して戦うアイツは大した奴だった。

 

 最初は個性把握テストの時、その炎を無意識に親父と重ねて戦闘訓練の特別試合で負けた。

 

 

 そして、USJで俺は()()に直面した。ヴィランがどれだけ恐ろしい存在なのか……真のヒーローは何なのか……

 

 T-REXの化け物相手に剣は戦った……連戦で消耗して、傷だらけになっても……持てる力を振り絞って戦うアイツの姿が……俺には眩しく見えた。

 

 もしもあの時剣が居なくて俺が戦っていたら…同じ事ができるのだろうか……あの化け物を倒すには氷だけじゃなく……圧倒的な火力が必要だ。

 

 そう……()()()()()のような……

 

 そうだとして俺は……左の炎を使えただろうか?使う事に躊躇して殺されていたんじゃないか?

 

 そう考えた時……俺は何が正しいのか分からなくなった。もしもヒーローになったとして俺は後悔せずにいられるのか?炎を使えれば、助けられたかもしれないって…

 

 でも、…左を使えば俺はアイツに…!

 

 

 アイツは…!エンデヴァーは事ある事に言う…お前は最高傑作なんだぞ…と…

 

 ふざけんな…!俺はお前じゃない!

 

 俺は道具なんかじゃない…!

 

 

 俺は…!

 

 

 『血に囚われる事なんてない』

 

 

 

 俺は…!!

 

 

『なりたい自分に…なっていいんだよ』

 

 

 

 

 ……………何になりたかったんだ…

 

 

 

END

 




 ニキネキ紹介

・名無しのトマト

 案の定、LDSの奴等がやって来たけどユートが助けてに来てくれて2勝。その後にやって来た裸足マフラーとデュエル。リンクまで作った事には驚いたが5体以上特殊召喚したのでニビルを叩き込んだ。アクションフィールドに突如として飛来した隕石に一同唖然……コレがOCG次元の力だ!!
 


 そろそろ名無しのメンバーのコテハンを変えようと思います。何か意見があればお願いします!!



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再戦!激突!轟のオリジン!!

 スレ主の事……イッチって書き直した方が良いですかね?


 それでは久々の戦闘をどうぞ…!


 特訓が始まって早くも一週間が経過した。皆、其々の課題を持って特訓を行っていた。

 

「ふう…」

 

「あ、飯田さん。お疲れ様です」

 

 聖火達が特訓場として使用する体育館に全身汗だくとなった飯田が息を切らせて入ってくる。A組B組の大部分が体育館で特訓しているが、飯田の課題は『脚の力と持久力の強化』そのために、外回りをひたすら走り続けていたのだ。

 

 それに気づいた塩崎がスポーツドリンクを手渡す。

 

「ああ…ありがとう塩崎君。君も休憩かい?」

 

 塩崎茨……彼女の個性は髪のツルを自在に操る事ができる。そんな彼女の課題は『一度に操れる量とコントロール精度の向上』だ。

 

「はい、丁度模擬戦も始まりましたので…観戦しようかと」

 

 

 そう言って塩崎が指さした方向には聖火がB組の男子四人と模擬戦を行っていた。

 

 聖火は…仮面ライダーセイバー・ドラゴンヘッジホッグピーターに変身しており終始圧倒していた。

 

「ハァ…ハァ…オラァァ!」

 

 息を切らしつつも鎌切が両腕から三日月状の刃を生やして斬りかかるが太刀筋が甘く聖火に容易くいなされ、火炎剣烈火の柄を脇腹に叩き込まれ腹を押さえて倒れる。

 

【ニードルヘッジホッグ!】

 

 そのままドライバーのニードルヘッジホッグを押し込み……火炎剣烈火を振るうと炎に包まれた無数の針が他のメンバーに襲いかかる。

 

「させるかーーウォ!?」

 

 円場は空気を固めて作り出した透明な壁で防御して直撃を避けるが、棘は壁に命中すると同時に爆発して吹き飛ばされる。

 

 それに乗じて聖火が突撃する。

 

「やられっぱなしではありませんぞ! 剣氏ィィィィ!!」

 

 それを迎え討とうとビースト化して宍田が剛腕を振るう。それを火炎剣烈火の面で受け止める。

 

「クッ……!」

 

 ビースト化した宍田の剛力には聖火も仮面の下で顔を強張らせる。しかし、炎の聖剣である火炎剣烈火を直で触る宍田の方が熱で先に音を上げるだろう。

 

「今ですぞ回原氏ィィ!!」

 

「おうよ!」

 

 しかし宍田の目的は少しの間、聖火の動きを封じる事だった。聖火の背後から回原が飛び出して回転する拳を構える。

 

「考えたな……だが!」

 

 しかし、宍田が掴んで居るのはあくまでも火炎剣烈火であって聖火ではない。聖火は次の瞬間……火炎剣烈火を手放した。

 

「「なっ!?」」

 

 戦闘において己の武器を手放す事に二人は目を見開く、火炎剣烈火を手放し自由となった聖火は回原の方に振り向きながら左腕の装甲から伸縮自在のキャプチャーフックを射出して回原の体に巻き付け……

 

「ハァァ!!」

 

 宍田に叩きつける。人一人思い切り叩きつけられてはビースト化した宍田も耐えられず体育館の地面に倒れ込む。

 

「そこまで!!」

 

 

 次の瞬間、審判を務めていたブラドの声が響く。それは模擬戦の終了を意味し聖火は変身を解除し…宍田達、四人も立ち上がる。

 

「お前達……反省点は分かるな?」

 

「……俺は攻撃が単調だった」

 

「咄嗟とは言え壁の耐久性が低かったです」

 

「自分は考えの甘さ……あの時火炎剣烈火と同時に剣氏の腕なども掴んでおくべきでした」

 

「……やっぱり射程の短さですか?」

 

 ブラドの質問に敗北した四人は自分の考えを口にする。ブラドの表情を見るに間違ってはいない様だ。

 

「そうだ。鎌切は刃に頼りすぎだ。これは武器を持った初心者に有りがちな事だ。何故なら武器を手にした敵は、基本武器しか使わないからだ。攻撃が限定される分、読み易い。無論それを逆手に取った戦法もある。先程、剣がやった相手を傷つける刃ではなく、持ち手の柄を攻撃に使った様にな……鎌切は刃と他の何かを攻撃に組み合わせろ」

 

「次に円場。さっきの攻撃は確かにしっかりと準備すれば防げただろう。しかし、それを待ってくれる程、ヴィランは甘くない。壁の強度と共に形成の時間短縮が今後の課題だ」

 

「宍田は考えは悪くはなかった。剣の主な攻撃手段は火炎剣烈火、それを封じれば大きなパワーダウンを狙える。しかし、火炎剣烈火に意識を向け過ぎてライドブックの能力を見落としていたな。確かに剣の個性は多彩だが、集団のヴィランと相手をする時だって複数の個性を見極める必要がある。戦闘中でも見落としが無い様に常に余裕を維持するのもプロヒーローには必要な事だ」

 

「最後に回原だが。先程自分で言ったように拳の射程範囲内にどうやって滑り込むかが鍵だな」

 

 

 スラスラと戦闘での反省点を指摘するブラドの言葉を四人は真剣な表情で聞き頭に叩き込む。

 

「よし、お前達四人は十五分の休憩の後に其々の訓練に着手しろ。次はA組だ! 剣、まだ行けるか?」

 

「はい…!大丈夫です!」

 

 先程の模擬戦が終わった後であり、小さく息を切らしつつも今度は仮面ライダーセイバー・ドラゴンイーグルぶた3に変身する。

 

 聖火の課題は『戦闘時間の増加』、ライドブックで皆の特訓のサポートだけでなく模擬戦を連続で行い、USJの様な連戦でも問題なく戦える様になる事を目的としている。そんな聖火の特訓が一番キツイだろう。しかし、聖火は嫌な顔をせずにひたすら真っすぐ己を高めている。

 

 そんな聖火に負けてられないと他のメンバーも特訓に着手する。そうこうしていると時間はあっと言う間に過ぎていく……

 

「よし…今日はここまで! 始まって数日、特訓が板に付いてきたな…。各自家に帰ってしっかり体を休ませろよ。解散!」

 

「「ハイ、ありがとうございました!!」」

 

 

 ブラドの解散の合図と拳藤と飯田の二人の委員長の号令で放課後の特訓は終了し、…各自、更衣室で帰りの支度をする。

 

(ふぅ…ライドブック3冊連続使用も大分慣れてきたな……………ん?)

 

 流れた汗を拭き取り着替えながら聖火は特訓によってライドブックの負担が減っている事を感じていると唐突にスマホから着信音が鳴り出した。

 

(ラインだ、誰から……っ!?)

 

 スマホを動かし内容を確認する……暫く画面に表示された内容を見ながら何かを考える様に硬直する。

 

「ん、どうした剣君?」

 

「……………悪い飯田、予定ができちゃって。明日の特訓は参加できそうにない」

 

「構わないさ。参加、不参加は各自の自由だ。でも、キチンと皆に連絡する様に!」

 

「分かってるよ、委員長」

 

 

 そんなやり取りをしながら更衣室を出て帰路に着く。聖火の脳裏に過るのは先程のラインの内容……………差出人の名前に『轟焦凍』と表示されており。

 

『いきなり済まない。明日俺と戦ってくれ。皆との特訓もあり自分が無理を言っているのも、どれだけ自分勝手な事も言っているのも分かってる。無理強いするつもりは勿論ない。それでも戦ってくれるなら…グラウンドβに来てくれ』

 

 

 と……記載されていた。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

135:グランドマスター

 

 ……………皆…!

 

『離しなさい!夫は私とお茶会をするのです!』

 

『いーえ!立夏は私とお菓子パーティーをするの!そうだよね立夏!』

 

 

 ……………タスケテ…!

 

 

136:名無しのゴッドイーター

 どうゆう状況?

 

137:名無しのライダー

 さっきまで、俺とわんわんおの話をしていたらなんかグラマスの女難が始まった。

 

138:赤目の主人公

 まぁ、…いつもの事だ。

 

139:パープル女神

 右手にモルガン、左手にキャストリア……………相変わらずモテるわね。

 

140:名無しのトマト

 そうですよね……………所で皆さん、話は変わりますが……

 

『ダーリン〜!ミエルとダーリンで愛の未来回路を作りましょ〜!』

 

『ちょ!待ちなさいよ!うー!遊矢の馬鹿〜!!』

 

 ……………タスケテクダサイ…!

 

 

141:名無しの転生者ハンター

 お前もか…

 

142:名無しのわんわんお

 あ~そう言えば居たなこんなキャラ…

 

143:トリガー殿下

 おめでとう!君もこちら側の人間だ!

 

144:ありふれた赤龍帝

 嬉しくないwww

 

145:名無しのゴッドイーター

 てか、トリガーニキは今はどうなのよ?

 

146:トリガー殿下

 エルフィリスと二人旅……………やってみると意外と楽しい。

 

147:赤目の主人公

 でも、…いつかは捕まって……………

 

148:トリガー殿下

>>147 やめろ……考えない様にしてるんだから。

 

149:名無しの転生者ハンター

 そう言えばイッチはまだ来てないのか…

 

150:名無しのライダー

 確かに……今日はまだ来てないな。

 

151:炎の剣士

 

『悪いな……俺の我儘に付き合ってくれて』

 

「気にするな、轟には借りがある」

 

 

152:ありふれた赤龍帝

 ん、…イッチ……?

 

153:名無しのゴッドイーター

 一緒に居るのは……轟だ。

 

154:名無しの転生者ハンター

 場所は戦闘訓練の時のグラウンドβか………何があったイッチ。

 

155:炎の剣士

 轟に呼び出されまして。何でも俺と戦いたいみたいで……

 

『……借り…ってのはUSJの時か?気にするな…って言っただろ』

 

「それでも俺はあの炎で助かった……ありがーー『そんな綺麗なモンじゃないんだ!』……轟?」

 

『この炎は…!礼を言われる様な綺麗なモンじゃないんだ……こんな糞親父の炎は!』

 

 

156:名無しの転生者ハンター

 イッチ……ここから先はお前と轟だけだ。スレを切っとけ……

 

157:名無しのゴッドイーター

 だね。幾ら原作を知っていてもおいそれと他人の事情を部外者が聞いていいモノじゃない。

 

158:ありふれた赤龍帝

 ですね。イッチ……轟君はあの時の私と同じ……吐き出させてあげて……

 

159:グランドマスター

 

『いい加減離しなさい小娘!!』

 

『そっちこそ!このオバサンが!!』

 

 ……………頑張れよ……………俺も頑張るから!

 

 

160:赤目の主人公

 ……………空気読めよ。

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

「俺は個性婚で産まれたんだ」

 

 

 ニキネキ達の言う通りスレを遮断して暫くすると……轟はポツリポツリと語りだした。

 

 父親であるエンデヴァーの事……エンデヴァーは破竹の勢いでヒーロー界に名を馳せたが、それはエンデヴァーの極めて高い上昇志向によるものだった事。 だがそれ故に、生ける伝説であり毎年トップに君臨するオールマイトが目障りで仕方なかった事。しかし、エンデヴァー自身は己ではオールマイトを超えることが出来ない事を悟った事。

 

 そして個性婚に走った。

 

 金と権力で相手の親族を丸め込み、エンデヴァーは轟の母親となる女性を……氷結の個性を手に入れた事。そして己の上位互換と呼べる轟をオールマイト以上に育て上げようとしているが、轟自身はそれを否定している事。

 

 

「俺が戦闘訓練でお前につっかかったのは見返す為だ。あいつの個性を使わず……母の力だけでヒーローになる!それで“奴”を完全否定する……筈だった。あのUSJ襲撃の日までは…!」

 

 

 先程まで憎しみに満ちていた轟の表情は次第に迷子の子供の様に変わっていく。

 

「あのUSJの一件で考える様になった…! 左の炎を使わないせいで助けられない人がいるかも知れない事を…!」

 

 轟の迷いが何となく分かった。右の力だけでも轟はヒーローになれるだろう。

 

 ……だけど全てを救えるとは限らない。当然だ、完璧な存在なんかじゃないんだから。

 

 でも…もしかしたら左の炎を使えば助けられるかもしれない。

 

 だけど、…左を使う勇気が今の轟にはない。

 

「それでも…この力で勝たねぇと意味がねぇんだ!この力だけじゃねぇと……意味がねぇんだよ!!」

 

「……だから俺にリベンジしに来たのか? 右の力で勝てるって自分に言い聞かせる為に?」

 

「……………」

 

 轟は何も答えない。……………答えられないんだ。エンデヴァーに対する怒り、右の力に対する執着、見えてしまった現実、どれも無視する事はできずに何をどうすれば良いのか分からない。

 

 だったら……俺がやるべき事は一つ。

 

 

【聖剣ソードライバー!】

 

 

「……そろそろ始めようか」

 

 

 全部吐き出させる!怒りも執着も憤りも…全て吐き出させて残った轟の本心をさらけ出す。

 

 ソードライバーを身に着け、ブレイブドラゴンとニードルヘッジホッグ、ピーターファンタジスタをセットして火炎剣烈火をドライバーから引き抜いた。

 

【烈火抜刀!!】

 

 

「変身…!」

 

 

【ドラゴン!ヘッジホッグ!ピーターパン!三属性の力を宿した、強靭な剣がここに降臨!!】

 

 

 

 三冊のワンダーライドブックを使用して【仮面ライダーセイバー ドラゴンヘッジホッグピーター】へと、俺は変身した。

 

 

「……ありがとな」

 

 それは何も聞かないでくれた事に対する物か…はたまた、この場に来てくれた事に対する物か…轟は静かに礼を言って構える。

 

 

 丁度近くにあった小石を轟に見せる。この小石を投げて地面に落ちたら始めの合図にしようと提案する。その意図が伝わったのだろう…轟は小さく頷いた。

 

 適当に力を抜いて軽く小石を投げる……

 

 

「…ッ!」

 

 小石が地面に落ちると同時に轟の足元が氷つき、次の瞬間生まれた高速で迫る氷柱の群に俺はヘッジホッグの能力で無数の棘を射出して相殺する。

 

 

 防がれた事に動揺はせずに轟は再び氷結を放つ。今度は相殺せずに近くの建物に伸縮自在のキャプチャーフックを引っ掛け引き寄せる事で回避する。

 

【ニードルヘッジホッグ!】

 

 今度はこちらの番、ドライバーのニードルヘッジホッグを押し込み……火炎剣烈火を振るうと炎に包まれた無数の針が轟に襲いかかる。

 

 生半可な壁では意味が無いが、轟はそう簡単には行かない。下がりながら足元から氷柱を剣山のように放つ。それによって放った棘は轟に届く事なく爆発する。

 

「やっぱり強いな…剣」

 

「それはお互い様…!」

 

 軽口を言い合いながらも戦いは続く。轟の氷結が迫るスピードと規模も大きくなってきた。ならば此方もギアを上げる迄だ。

 

【パープルハート!ふむふむ…!】

 

 パープルネキのブックを2回リードして、火炎剣烈火を強化する。紫のエネルギーが火炎剣烈火を覆い切れ味が増す。

 

 強化された火炎剣烈火を振るい、迫りくる氷柱を尽く切り払い距離を詰める。

 

「クソ…!」

 

 そして遂に剣が届く位置に迄踏み込み。火炎剣烈火を振るうが、流石にこれでは終わらない。ギリギリで回避した轟。お返しと言わんばかりに右手で凍らせようと掴みかかるが……

 

(……遅い)

 

 それは十分に回避できる物だった。見れば轟の体は震えており少し霜がかかっていた。

 

 やっぱり、そうだった。

 

 轟は速攻で勝負を決めに来る。端から見れば圧倒的と感じるだろう……だけどそれには理由があった。

 

 個性は身体機能。轟にも冷気に耐えられる許容範囲があるのだ。

 

 だから早急に勝負を決めたかったのだ……持久戦では勝ち目がないから。

 

「……弱点を補う。そんな理由があっても左は使わないの?」

 

「……ッ!」

 

 でも、…それは左の炎で温めれば解消できる。温めれば体の震えは何とかなる筈だ。だから俺はクリムゾンドラゴンを使わずドラゴンヘッジホッグピーターで戦い火炎剣烈火の炎を使わずパープルネキの力で戦っている。

 

「…………そんなにエンデヴァーになりたくないの?」

 

「ッ…!当たり前だ!! 誰があんなクズ野郎に!?」

 

 それはそうだろう……話を聞いて正直ドン引きだ。俺だってなりたくはない。

 

「そうだよな……………でもさ、轟は轟じゃん」

 

「……何?」

 

「例え轟が望んでエンデヴァーになろうとしても轟は轟にしかなれない。親子だろうが何だろうが…結局、他の誰かにはなれないんだよ」

 

 同じ仮面ライダーセイバーでも、…俺は神山飛羽真にはなれない。兄貴達だってそうだ。例え憑依転生しようとも、その憑依先本来の人物にはなれない。神喰ニキは神喰ニキなりの、グラマスニキはグラマスニキなりの生き方をしてる。

 

 だから右だの左だの気にする必要なんてない。

 

 

「……なら、どうすれば良いんだよ」

 

 不意に轟の口からそんな言葉が出た。

 

「今まで親父を否定する為に生きてきたんだ…! その為に個性を伸ばして来たんだ…! そんな正論ぶつけられても…今更、変えられる訳ねぇだろ…!」

 

 そう叫んで向かってくる轟の動きは鈍い。避ける気すら起きないレベルだ。

 

 拳を振るう……もう氷結する体力が無い程に体温が下がっているんだ。

 

 そんな状態のパンチを喰らってもダメージなんて有りはしない。

 

「……轟はさ…どうして雄英に来たの?」

 

「……は?」

 

 俺の言葉に轟の動きが止まった。

 

「俺はヒーローに成りたくて此処に来た。それは耳郎も拳藤も飯田や切島達だって同じだ。轟は違うのか?エンデヴァーを否定する為に此処に来たのか?」

 

「俺は……俺は…!」

 

「お前は…USJで俺を助けてくれただろ、左の炎を使って! お前はいざって時にはプライドや拘りなんてものを放り出して誰かを助ける事ができるんだよ!!」

 

 もし、エンデヴァーの復讐だけで此処に居るのならそんな事はできない筈だ…!

 

 

「エンデヴァーの事以前に自分が何をしたいのか…キチンと考えろ、轟焦凍!!」

 

 

 胸倉を掴み右拳で思い切り殴り飛ばす!確かな手応えを感じ取り、鼻血が飛び散り、轟の体が地面に叩きつけられた。

 

 第三者が見れば勝負有りと判断するだろう……だけどコレで終わりではない。

 

 

「……………ッ!」

 

 

 次の瞬間、轟の体から炎が噴きあがった。 熱気と共に、体に降りた霜が蒸発した。辺りに散らばった氷の欠片も消え去った。左半身から炎が迸る。

 

「……敵に塩を送りやがって……馬鹿だろ剣」

 

 立ち上がった轟は……笑っていた。始めて見たな、轟が笑う瞬間なんて……

 

「へっ…! お節介はヒーローの特権……だろ?」

 

「そうか……ああ、その通りだな。そうだ…俺だってヒーローになりてぇさ! この思いは糞親父なんて関係ねぇ…!」

 

 

 感情を昂ぶらせる轟。それに呼応するかの様に炎が溢れ火力がどんどん上がっていく。

 

「覚悟しろよ。こっちは長らく使わなかったせいで加減が利かねえ。どうなっても俺は知らねえぞ?」

 

「上等…!」

 

 

【キングオブアーサー!】

 

 

 ドライバーからニードルヘッジホッグとピーターファンタジスタを取り出し代わりにキングオブアーサーをセットする。

 

「キングエクスカリバー!!」

 

 

 現れたキングエクスカリバーを左手で握り右手で火炎剣烈火を引き抜いた!

 

 

【烈火抜刀!!】

 

 

「諸先輩方! 受け継がれし希望の力……お借りします!」

 

 

 左手のキングエクスカリバーを頭上に掲げて円を描いた後にトリガーを引いてキングエクスカリバーで描いた円から空の様に澄んだ水色の光が降り注ぎ俺を覆い尽くす。

 

 

【ドラゴン!アーサー王!二つの属性を備えし刃が、研ぎ澄まされる!】

 

 

 やがて光が晴れ……右半身が赤い龍、左半身が水色の騎士を模した姿……【仮面ライダーセイバー・ドラゴンアーサー】へと姿を変えた。

 

 

「その言葉……そっくりそのまま返してやる!」

 

 

 俺の言葉に笑みを浮かべて轟の足元が氷で覆われる。 それと同時に左の火力が上がっていく。 練り上げられる冷気と熱が、風を産み出していく。

 

 炎と氷……相反する二つの力が互いに支え合い高まった力は生半可な物ではないだろう。

 

 故にコッチも最大出力だ!

 

 

 ドライバーからキングオブアーサーを取り外し、キングエクスカリバーの裏側にある【封印解除装置ベディヴリーダー】にセットしてトリガーを長押しする!!

 

 

【解き放て!希望の力!!】

 

 

 火炎剣烈火をドライバーに戻してキングエクスカリバーを両手で力強く握る。すると刀身が七色の輝きを放つ。

 

 それを空に掲げて円を描くと円型の虹が何重も描かれキングエクスカリバーに収束する。

 

【限定読破!!】

 

 

「行くぞ……………剣!!!」

 

「こい!轟!!」

 

 轟が氷を大量に張り始め、炎を纏った左手を前方に向けた。それに対して俺はキングエクスカリバーをUSJの時の様なビームを放つのではなく振り下ろして虹色の斬撃を放つ。

 

 氷によって冷却された空気が瞬間的に膨張し爆発が巻き起こった。辺りの物を吹き飛ばし凄まじい衝撃波がグラウンドβを揺らす。

 

 

 巻き上がった土煙が収まり、勝敗が明らかになる。

 

 

「…………俺の勝ちだな」

 

「………ああ、…俺の負けだ」

 

 

 ……立っていたのは俺だった。轟は仰向きで倒れてはいるがまだ意識はある。暫く空を見上げる轟……何を思っているのかは俺には分からない。

 

 

「剣……」

 

「なんだ?」

 

「……………ありがとな」

 

 

 

 でも、…今の轟の表情は曇り一つない清々しい笑顔だった。

 

 

 

END

 




 ニキネキ紹介

・名無しのライダー&わんわんお

 遂に2が始まった。リオレウスが消えた異常現象を相談したらハンターニキに2の事を言われ唖然。因みにシナト村でアユリアと同棲してる。何で同棲してるのかって?…………彼等は初代の時の様な子供じゃないんだ。

・トリガー殿下

 駆け落ち生活にも慣れてきた。尚、捕まった時の事は考えない様にしてる。

・名無しのトマト

 原作通りに融合を使ってミエルに勝利して惚れられた。おめでとう君もグラマス達の仲間入りだ!因みにユートとデュエルしたからなのかエクシーズも使え、オットアイズもボルテックスやアブソリュートに進化した。



 ストリーズ2、滅茶苦茶面白かったですね!!話もよし、登場するモンスターも良し!エンドコンテンツもやり甲斐がある!文句無しの神ゲーでした!

 勿論私は金雷公ジンオウガを使ってます!!わんわんおのコテハンもそろそろ変えないといけないですね…

 それではまた次回!!



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水の流れる音がした

 今回の投稿が遅れた理由には爆豪の今後の扱いもあるのですが……ホントにどうしたら良いですかね。

 活動報告で出す旨を伝えたのですが…それに対して批判的な意見も多々ありまして迷ってます。

 爆豪については出すか出さないかホントにそろそろ決めないといけないな…と思います。

 もしかしたらアンケートを出すかもしれないのでよろしいお願いします.



 長々とすみません……………それではどうぞ!



「……………これからどうすんだ?」

 

 戦闘の疲れを感じつつ暫くボーッとしていた俺達だが、流石にもう大丈夫だろう…っと、俺は轟に問いかける。

 

 

「…………俺は周りが見えていなかった。いや、…違うな…興味もなかったんだ。目に映るのは憎い親父と……お前くらいだ、剣」

 

 そう言って、起き上がった轟は俺を見る。

 

「実は今でもよく分からねぇ。親父のこと、お母さんのこと、自分のこと……いろんな感情が混ざって、ぐちゃぐちゃで、ただもどかしくて苦しい」

 

 そんな轟の言葉を俺は黙って聞いていた。

 

 

「でも……『自分が何をしたいのか…!』………お前の言葉を聞いて思い出せた。…………親父にはなりたくはないが……………ヒーローにはなりたかった」

 

 

 ぎごち無く立ち上がる轟は先程使った左手を見つめながら語る。

 

 

「その為には……………向き合わなきゃいけない事がある」

 

「……………お母さんの事か?」

 

 俺の言葉に静かに頷く轟。話を聞くに今まで会いに行ってない様で、今から会いに行く感じだ。

 

 ……………そんなボロボロの体で………流石に『そっか、頑張れよ』って…帰れないよな…。

 

「……………そっか、じゃあ行くか」

 

「は?」

 

 俺の言葉に鳩が豆鉄砲喰らったような顔をする轟。

 

 

「場所何処? 結構遠い?」

 

「あ…此処からだと少し掛かる……って! 何でお前も行くんだよ!?」

 

 おう、轟……お前そんなツッコミ入れられたんだ。

 

「お前……そんなボロボロな状態で今から行くのか? 立つことすらぎこちないのに?」

 

「うっ…!」

 

「タクシー使うにしても金かかるし……ここまで来たなら最後まで付き合ってやる」

 

「……………わりぃ」

 

 

 よし…!それじゃあ行くか!

 

 

◆◆◆◆

 

248:グランドマスター

 

『さぁ,我が夫。私が作った茶菓子をどうぞ』

 

『騙されちゃ駄目だよ立夏! それ魔術が篭もってるから! ほら、チョコ食べよ! はい、あ~ん!』

 

『あら、マスターは私の甘い毒が好きなのよ………そうよね?』

 

『さぁ、マスター! 沖田さんと一緒にお団子食べましょう!!』

 

 

 ……………ハハハ、胃が痛い。

 

 

249:炎の剣士

 ……………なんか増えてません?

 

250:名無しのゴッドイーター

 お、…イッチ。おかえり〜。

 

251:名無しの転生者ハンター

 その様子だと……轟の件は一段落したようだな。

 

252:炎の剣士

 はい。今、轟をお母さんが入院してる病院に送ってる最中です。

 

253:赤目の主人公

 てことは……轟の過去は知ったのか。

 

254:炎の剣士

 はい……正直、ドン引きしました。

 

255:パープル女神

 そうね……初期のエンデヴァーはヤバかったわよね。

 

256:炎の剣士

 原作だとどうなったんですか?

 

257:名無しのライダー

 体育祭で緑谷君が救った。

 

258:炎の剣士

 そうですか……………緑谷君が……やっぱり緑谷君の存在は大きいんですね。

 

259:名無しのゴッドイーター

 主人公だからね………………不安?

 

260:炎の剣士

 そうですね……やっぱり不安はあります。

 

261:名無しの転生者ハンター

 その為に俺達が居る。その事を忘れるなよ。

 

262:炎の剣士

 はい!

 

『剣……此処だ。此処にお母さんが入院してる』

 

「お、…そうか分かった」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

【轟side】

 

 

 

「すまねぇ、手間かけちまって」

 

「気にすんな、俺が自分でやってる事だし。……それよりも頑張れよ」

 

「……………ああ!」

 

 剣の……確かディアゴスピーディーって名前の赤いバイクに乗せてもらい俺はお母さんが入院している病院へ来ていた。

 

 病院の特有の消毒液や薬の匂いがする。受付で俺が来た時は驚かれた。

 

 それもそうだ。何年も見舞いに来なかった息子が急に訪ねてきたのだから。

 

 お母さんの部屋の前まで到着し、ドアに手を掛けようとするが震えていた。だけど逃げてはいけない。しっかりと向き合わなければならない。

 

 フゥ…と一呼吸置き、再びドアノブに手を掛けてドアを開ける。

 

 

『時折、とても醜く思えてしまうの』

 

 

 

 俺の存在がお母さんを追い詰めてしまうから…今まで会わなかった。それで良いと思っていた。

 

 そう自分に言い聞かせて逃げていた……………

 

 

 

 

 お母さんはきっと、まだ俺に…親父に囚われ続けている。だから俺が救うのだ。俺自身の力で……全力で。

 

 

 剣やクラスの皆のように『全力でヒーローを目指す』には『左の炎を使うには』…会って話を…たくさん話さないと…。

 

 

 

 たとえ望まれていなくても…救け出す…!

 

 

「お母さん…」

 

 

 

 

 それが俺のスタートライン

 

 

 

 

 

 そう思ったからだ。

 

 

 

 

 

 意外にも先に謝ったのはお母さんだった。あの時、傷つけたことを気にしていた。泣いて謝り、自分が何にも捉われずに突き進む事が、幸せであり救いになると言ってくれた。

 

 簡単なことだった…簡単な事なのに見えていなかった…いや、見ようとしなかった。

 

 

 左の炎を使う旨を伝えると…お母さんに頭を撫でられる。昔、泣いている時に慰められていた事を思い出す。

 

「焦凍、血に囚われる事なんてない」

 

 思い出せなかった言葉が聞こえる……そうだ、糞親父になりたくないって泣く俺にお母さんは……

 

 

「なりたい自分になって良いんだよ」

 

 

 気づけば涙が流れていた……心の氷を溶かすように……

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

「お、…帰ってきたか」

 

 

 駐車場でニキネキ達とスレをしながら待っていると轟がやって来た。その顔を見るに……………上手くいったみたいだな。

 

「お前……! 待っててくれたのか!?」

 

 そう驚いて轟が辺りを見回す。既に時刻は5時を過ぎて6時に差し掛かり辺りも暗くなってきてる。

 

「言ったろ…最後まで付き合ってやる、って」

 

「あ……ホントにすまーー「それはもう聞いた、他の言葉」……………あ、ありがとう」

 

「ふふ…」

 

「な、…なんだよ」

 

 最初は酷く冷たい…恨みつらみを抱えたような目をしていたが…今はどこか吹っ切れたような、柔らかい目をしていた。

 

「いい顔してるな……って。ほら乗れよ、家まで送るぜ」

 

 

◆◆◆◆

 

 

457:パープル女神

 青春ね……前世で人間だった頃が懐かしいわ。

 

458:赤目の主人公

 ですね……俺も中学半ばで戦争になって……ザフトの訓練校でレイやルナマリアと馬鹿やったのが懐かしいです。

 

459:名無しのトマト

 俺は臆病者の息子って言われてましたから……

 

460:名無しのゴッドイーター

 俺はそもそも学校自体無かったからな……

 

461:グランドマスター

 ………………俺もカルデアに拉致られる前はああやって笑い合ってたな……

 

462:ありふれた赤龍帝

 ……………………………

 

463:名無しの転生者ハンター

>>462 大丈夫か?

 

464:ありふれた赤龍帝

 大丈夫です。こう言う青春を取り戻す為にもエヒトをぶっ倒して、ストーカー共からさっさとオサラバしないといけないなっ…!って感じてました。

 

465:トリガー殿下

 だな!

 

466:炎の剣士

 いい転校先、見つかるといいですね!

 

『剣……此処だ。此処が家だ』

 

「お、此処……で…デッカ!? 何あの立派な屋敷!! ホントに此処!? 間違ってない!?」

 

『いや、…此処だ』

 

 ま、マジか~

 

 

467:名無しのライダー

 立派な屋敷だな〜

 

468:名無しのゴッドイーター

 日本家屋なんて久々に見たな……数十年前に全部食い散らかされたから……

 

469:名無しのトマト

 俺も権現坂道場くらいしか見てないですね……

 

470:トリガー殿下

 俺は其処まで驚かないな〜

 

471:パープル女神

 私も〜

 

472:赤目の主人公

 大国の王子と女神がなんか言ってら~!

 

473:グランドマスター

 俺からしたらまだまだ地味すぎるぜ!もっと洋風の城やピラミッド生やすとかな!!

 

474:炎の剣士

 ……………何言ってるんだこの人?

 

475:名無しのわんわんお

 おい、イッチが素でポカンとしてるぞ。

 

476:名無しのゴッドイーター

 うん、俺も分かんない。

 

477:パープル女神

 まぁ、…Fate知らない人からすれば何言ってんだコイツってなるわよね……

 

478:グランドマスター

 ?、俺なんかおかしな事言った?

 

479:赤目の主人公

 もう駄目だ…汎人類史に侵されてやがる。

 

480:炎の剣士

 そんなにヤバいんですか?

 

481:予言の子

そりゃあ、私が何人も増えたり…サーヴァントユニバースなんて別宇宙と繋がったりバーゲンセールみたいに聖杯が現れる世界ですよ……狂ってますよ!

 

482:名無しのゴッドイーター

 ッ!?何だ!!

 

483:名無しのライダー

 文字がトンデモナイ事になってるぞ!?

 

484:名無しのトマト

 何これコワ!?

 

485:予言の子

あ~やっぱりまだ上手く行ってないか〜

 

486:炎の剣士

 ちょ!大丈夫なんですかコレ!?

 

『?、どうした剣……顔色が悪いぞ?』

 

「え…! あ、いや…お前の家の大きさに驚いーー『焦凍!』……え?」

 

 

◆◆◆◆

 

 

 スレに突然現れた謎の書き込みに驚くのも束の間、何処か轟に似た白い髪に赤い髪が混じった女性が現れた。

 

 まぁ、…この人の見た目と轟の家から出てきた事を考えても……

 

「姉さん…」

 

 轟の家族だよね。お姉さんか……流石イケメンのお姉さん……美人さんだ。

 

「病院の先生から連絡が来て……お母さんのお見舞いに行ったの?」

 

「ああ、………その、今までゴメン…お母さんや姉さん達の事…曖昧にして」

 

「焦凍が謝る必要なんて…………変わったね、焦凍。なんか、柔らかくなった」

 

 そう言って微笑むお姉さんに轟は少し恥ずかしそうだ……ここまでかな、もう完全に暗くなったし、そろそろ帰るか……謎の書き込みについても考えないといけないし。

 

「あ、ごめんなさい。挨拶が遅れてしまって! 姉の冬美です! 雄英の制服……もしかして焦凍の…?」

 

「はい……同じ1年A組の剣聖火です」

 

「やっぱり…! 此処まで弟を送ってくれてありがとうございます」

 

「しつこいかもしれねぇが……ホントにありがとう。此処まで付き合ってくれて、親御さんだって心配してるだろ」

 

 確かに今の時間帯だと親は心配するだろうけど……

 

「気にすんな……両親は海外で仕事してて家には俺一人で暮らしているから」

 

 両親は海外に居るから基本家では一人だし……偶にニキネキ達がハンターニキの力で遊びに来る感じだから心配する人が居ない。

 

「そっか……………だったら家で食べていかない?」

 

「え?」

 

 少し何かを考えた後に冬美さんがそんな事を言ってきた。当然に予想だにしない言葉に俺は固まる。

 

「弟がお世話になったみたいだし、姉としてキチンとお礼がしたいの」

 

「でも姉さん…親父が何て言うか…!」

 

「大丈夫。実はお父さん今日帰ってこれないみたいだから」

 

 流石に今日轟の話を聞いた後にエンデヴァーに会う度胸はないが……どうやら今日は帰ってこれないようだ。

 

「いや…でも…」

 

 しかし、それを抜きにしても……『いいんじゃないか?』…ハンターニキ!?

 

『今から帰って夕飯の準備をするのも酷だろ。轟だって礼がしたいだろ? ココは厚意に甘えておけ。あの書き込みについては心当たりがある、俺に任せておけ』

 

 アニキがそう言うなら……確かに今から帰って夕飯を作るのは面倒だからな……

 

「…それじゃあご厚意に甘えさせていただきます」

 

 俺の言葉に冬美さんは……パー!と笑顔になる。

 

「うん! すぐに準備するね! 焦凍、剣君を案内してあげて!」

 

 そう言って冬美さんはパタパタと家の中に入っていく。おそらく夕飯の準備だろう……あの人エプロン姿で出てきたし……

 

「いいお姉さんだね」

 

「ああ。近くの小学校で教師やってる」

 

「そっか、なんとなくだけど人気ありそう」

 

「実際結構あるらしいぞ。とりあえず上がれよ。俺も今日の礼がしたい」

 

 轟に案内されて木製の廊下を渡り、進むうちに盆栽やら一本松などの園芸品も多々目に入る。こりゃすげぇ…。

 

 忍者や武者でも出てきそうだな…と、思いながら歩いて轟の部屋に案内される。

 

「わりぃな、何もねぇ部屋で」

 

「そんな事ねぇよ…綺麗な部屋だな」

 

 部屋は青畳と窓辺に置かれた植物によって和風感を感じさせ、パソコンやランプなどの文明の利器と本棚に置かれた現代の書籍が浮いているが……清潔感のあるいい部屋だった。

 

「そっか……まぁ、座ってくれ」

 

「おう……」

 

「………………なぁ」

 

「ん?」

 

「…………特訓はどんな感じだ?」

 

 轟の質問に俺はあ~、と察した。一週間前から始まったABの合同特訓に轟だけ参加していない。気になるのは当たり前だろう。

 

「皆、頑張ってるよ。毎日ブラド先生にしごかれてる。偶に相澤先生もやって来た日になんか……!」

 

 ホント、ブラド先生でもキツイのに相澤先生も加わったらマジでシャレにならない。

 

「そっか……俺がウジウジしてる間に皆は前に進んでいるんだな」

 

 そう言って少し顔を俯かせる轟。自分が悩んでいる間に皆が先に進んでいる事に気付いて負い目を感じているんだろう……。

 

「そう思ったんなら、明日から来るんだろ?」

 

「………………」

 

 今更どんな顔して参加すればいいんだよ…………って顔してるな。

 

「大丈夫だよ。皆気にしないし、逆に参加してくれれば喜ぶんじゃないか?」

 

 切島とか飯田ならクラス全員が参加する事になって喜ぶだろうし、物間がなんか言ってきそうだけど拳藤がなんとかしてくれるだろう……。

 

「そうか…?」

 

「そうだよ。このまま差をつけられたくたくはないだろ?」

 

「………………そうだな、じっとしてる訳にはいかねぇ」

 

 ホントにいい顔するようになったな…………。

 

 そうして皆がどんな特訓をしているのか話していると冬美さんが呼ぶ声が聞こえる。

 

「できたみたいだ。行こうぜ、姉さんの料理は絶品だ。きっと気に入る」

 

「そうか、そりゃ楽しみだ」

 

 

◆◆◆◆

 

 

 そうして轟家の食卓に入った聖火。弟が初めて同年代の子を連れてきた事に嬉しさを感じていた冬美がいつも以上に気合を入れて作った料理はどれも絶品だった。

 

「ごちそうさまでした。料理とても美味しかったです!」

 

「うん! いつでも待ってるからね!」

 

「剣……今日はホントにありがとう。こんな夜遅くまで付き合ってくれて……」

 

「大丈夫さ! コイツならすぐに着く。じゃあな轟、また明日」

 

「ああ…また明日」

 

 本来ならばもっと色々話をしたかったが、時刻は夜の七時、流石にそろそろ帰らないといけない。ディアゴスピーディーを出してヘルメットを装着する聖火。

 

「轟…!」

 

「?」

 

「体育祭……負けねぇぜ!」

 

 

 聖火の言葉に轟は虚をつかれたように目を見開くが次の瞬間、笑みを浮かべる。

 

「ああ、…俺だってもう負ける気はない。右も左も使って……()()()()()()でお前に勝つ」

 

 その言葉に笑みを浮かべて聖火はディアゴスピーディーに乗って帰っていた。その背中を見つめていた轟が不意に呟く。

 

「……なぁ、姉さん」

 

「ん?」

 

「……俺は…変われるかな」

 

 

 そんな事を言う弟に冬美は笑みを浮かべて轟の頭を撫でる。

 

「変われるよ……焦凍ならきっと」

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 そうして轟家から帰ってきた聖火……帰宅してそのまま風呂に入りベットにダイブした。

 

 今日は濃い一日だった……轟とのリベンジやディアゴスピーディーをかっ飛ばして病院に言ったり……轟家にお邪魔したり。

 

(あの謎の書き込みはハンターニキに任せておけばいいし……今日はこのまま寝るか)

 

 そうして瞼を閉じようとしたが…ふと、何かを思い出してベットから起き上がる。歩を進め手に取ったのは机の上に置いていた額縁。

 

「家族か……今度久々に連絡してみようかな」

 

 

 その写真は幼い聖火が火炎剣烈火とブレイブドラゴンのライドブックを持っており左右には白衣を着た男性と女性がいた。

 

 

 その写真を暫く眺めた後に聖火はベットに入り、今度こそ眠りについた。

 

 故に気づかなかった。机に置いてあった火炎剣烈火から光が飛び出して何処かに飛んでいった事……。

 

 その方向が轟家だった事に……。

 

 

 

 

END

 




 次回はいよいよ体育祭です。

 今回の謎の書き込みの人物や【新たなBATTLE!!】で登場した人物の、正体もいよいよ判明します!

 それではまた次回!!


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ご報告
生存と書き直しの報告



 活動報告にも出しましたが、此方も一様出します。

 新しい話と思って期待していた方には大変申し訳ありません。


 

 皆さん【イッチ「“個性”と言う特殊能力がある世界に転生したら“緑谷出久”って子が自殺したんだけど…どうしたらいい?」スレ民達『ハ?』】を読んでくれてありがとうございます。DestinyImpulseです。

 

 

 体調を崩してしまい、ここのところ投稿できずにいて申し訳ありません。決して失踪ではないのでご安心ください。 もう一つの報告は【イッチ「“個性”と言う特殊能力がある世界に転生したら“緑谷出久”って子が自殺したんだけど…どうしたらいい?」スレ民達『ハ?』】を書き直ししようと考えています。

 

 

 このSSは『主人公が消えた事でバットエンドに向かう世界で自分の物語を作る転生者』と『それを見守る掲示板のニキネキ達、他の転生者達の世界を超えた助け合い』をコンセプトに書いた作品です。

 

  最初は高評価を貰い赤ゲージだったのですが、今では1評価が50と多く…黄色ゲージになってしまいました。

 

 

 理由は明白で私自身が掲示板を上手く扱えなかった、爆豪アンチ表現をしてしまった、ヒロアカなのに主人公が登場しない他作品の話をしてしまった。 これらが大きな理由だと思います。

 

 

 

  最初の掲示板を上手く扱えなかった事に関してはイッチではなくスレ主としたり掲示板の事をよく分かってなくそれに対する酷評もありました。

 

 

 爆豪に関しては、爆豪のイジメで主人公の緑谷出久が自殺してしまったと言う決してありえなくはない世界線の話ですのでどうしても爆豪アンチの描写があり。現在最終章の緑谷に謝った爆豪を見た後にこのSSを見れば低評価付けられるのも納得がいきました。 私的には爆豪アンチにしても低評価付けられるのは目に見えたのでアンチにするつもりはなく触れずにいたのですがそれがいけなかったのでしょう。自分の行いに悔いる等の納得のいくフォローを入れるべきでした。

 

 

  最後に関してはヒロアカのSSなのにありふれ等の他作品を入れた事です。主人公である聖火が掲示板のニキネキ達の世界に行って戦う展開を考えていたのでそれの土台作りのつもりでしたが、高評価だった鬼殺ニキの話以外、投稿した日に低評価を入れられてしまいました。

 

 

 私的には『グラマスのカルデアで起こった大惨事正妻戦争に巻き込まれる聖火達』や『映画の様に掲示板メンバーが大集合のお祭り特別編』などを予定していました。

 

  特に赤龍帝ちゃんはパープルネキやシン・アスカニキがいますが後で聖火達も参戦させるつもりでした。 クロスオーバータグを入れれば大丈夫だと思っていたのですが甘かった様です。

 

 

 これらを反省して書き直そうと思います。 変える点、そのままの的は以下の通りです。

 

 

 

・そのままの点

 

 

 

 緑谷が自殺する、爆豪が雄英高校にいかない点は変えません。コレはこのSSの根幹をなす重要な部分ですのでコレを変えてはこれ迄見てくださった皆さんに申し訳がありません。爆豪を過度なアンチはせずに、皆さんが納得のできるフォローを入れます。

 

 

  ABの合同も変えません。耳郎と拳藤のWヒロインやヒーローは助け合いの描写も入れたいので。

 

 

  聖火の能力は変わらず仮面ライダーセイバーです。『主人公が消えた事で自分の物語を作る』がコンセプトですのでセイバー以外にベストマッチな物はないでしょう。ワン・フォー・オールがキングエクスカリバーになるのも変わりません。

 

 後、物語の展開は少し変更するかもしれませんが大まかには変わりません。

 

 

 

・変わる点

 

 

 赤龍帝ちゃんの設定は変えようと思います。危険な目に合いたくないのに赤龍帝は不自然極まりないと言う意見が結構来ましたので…能力等を変えます。

 

  そしてありふれのSSを同時進行で投稿します。唯でさえ爆豪アンチな描写があるのにそこにクラスメートアンチをガッツリ加えたら不味いと今更ながら気づきました。

 

 ですので、ありふれの話を別に投稿します。聖火の話と同時進行で物語を動かすので、聖火もスレの一人として登場します。パープルネキとシン・アスカニキもガッツリ登場しますし、スーパーヒーロー戦記みたいに二つの作品を枠を越えてのお祭り展開になるかもしれません。

 

 

  後、掲示板のニキネキ達の設定は少し変更するかもしれません。

 

 

 これらの点を踏まえて新しく書き直します。これまで見てくださり、高評価やお気に入り登録をしてくれた方には大変申し訳無いと思っていますが、私的にはコレが一番だと悩みに悩んだ末の決断です。本当に申し訳ありません。

 

 

  現在の体育祭編まで書けてから消して、新しく投稿します。楽しく読んでくれた皆さんが前の方が良かったとガッカリしないように大まかな形を崩さず、少しの補強を加えた新しい【イッチ「“個性”と言う特殊能力がある世界に転生したら“緑谷出久”って子が自殺したんだけど…どうしたらいい?」スレ民達『ハ?』】を待っていてください。

 

 

 感想、コメントなどは随時受け付けています。 長々と申し訳ありませんでした。

 

 

 

 



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