愛さんの隣の席は苦労人 (モッピ)
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第1話

モッピです!前作品の同時進行で書いていきたいと思います♪

色々試行錯誤して書いていきますのでその都度ご感想お待ちしております!
初めての方は前の作品を見ていただけると嬉しいですっ!


新学期。俺は桜が咲いたこの日に高校2年生になった。俺の通う虹ヶ咲学園は専攻の多様性があり、校風も他の高校と比べて自由なことから多くの学生から支持を得ている高校である。学校に着くと生徒がそれぞれ自分のクラスを貼り紙を頼りに探している。この光景を見ると進級したという実感が湧いて少しワクワクがあったりする。

「俺はここのクラスか…。」

 

貼り紙を見て自分のクラスを確認し、教室へ入る。辺りを見渡すと以前クラスメイトだったであろう人やそうでない人と各々会話をしていた。その雰囲気はとても新鮮でこれからどんな出会いがあるのか楽しみになっている。

そう思いながら自分の席に座り少し落ち着いているとーーー

 

???「えーっと、愛さんはこの席だね。」

 

そう隣で呟きながら席に座った愛さんというクラスメイト。せっかくだから挨拶しようと思った瞬間ーー

 

 

愛「お!!私のお隣の席だねっ!!よろしく!!アタシ宮下愛!これから1年間よろしくねっ♪」

 

凄い。先に挨拶をされてしまった。見るからにギャルだなぁ…良い人そうだけど仲良くなれるかなぁ。でもせっかく自己紹介してくれたし俺もしないとな。

 

「よろしく。俺は夏目準太って「じゃあジュンジュンだねっ!!」お、おう…」

 

嘘でしょ自己紹介最後まで聴かずに遮られた。てかなにジュンジュンって。まさか俺のあだ名??さすがに早くない?まだ初見だよね??そう考えている俺をよそに宮下さんは話を止めない。

 

愛「いやぁ新学期ドキドキだよねっ!初めての人とクラス同じになって新鮮だけど緊張しちゃうよね!でも友達が増えるわけだしプラスになると思う!ジュンジュンともこれから仲良くやりたいしね♪あ、そう言えば…」

 

止まらない止まらない。え、何この子??コミュ力のお化けなの??全然話終わらないじゃん。ギャルこぇぇぇ……

 

愛「でさ〜…ジュンジュン聴いてる??」

 

「き、聴いてる聴いてる……」

 

愛「そう??あ、それでねアタシの「愛ちゃん〜〜!!」あ、はーい!ごめんね!友達が呼んでるからまた後でね!」

 

「ど、どうぞゆっくり…あはは」

 

そう言うと宮下さんは呼びに来た友達の元へ向かって行った。た、助かった……初日でしかも朝なのにもう体力削られた気がする。

 

「俺はこれからあの子と同じクラスなのか……」

 

見た目はギャルだがとても良い子そうなのは分かる。しかしトークが凄い。軽いノリで挨拶しようと思ったら大火力を浴びてしまった。これから1年どうなるんだ俺は。

 

愛「ジュンジュンお待たせ〜!!何の話してたっけ??」

 

「しばらく休ませてくれ。」




第1話でした!!

愛ちゃんと準太。これからどんなことがあるのか楽しみにしててください!
愛ちゃんっぽい感じで書いていけるよう頑張りますね!
それではまた次回をお楽しみに!


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第2話

まだ書いて時間経ってないのにたくさん見てくれてる!嬉しい!!
これからも面白いって思って貰えるような作品作れるよう頑張りますね!


俺は高校1年生の時はどこにでもいる普通の男子高校生だった。友達と話して部活をしてゲームをして……この中に彼女がいたら最高な1年だったけど残念ながらいなかった。そして2年生、新しいクラスに入って変わったことは色々あるがまず1番にあげるとしたら……

 

愛「ジュンジュンちーっす!!昨日出された宿題出来た??愛さん学校帰り友達と遊んで帰ったから宿題やる時間が夜遅くなっちゃってさぁ〜……」

 

「な、なぁ宮下さん。」

 

愛「あ、でも今日は時間割見た感じ宿題はそんな出なさそうなんだよね!!てことは宿題に割く時間がなくなるわけっしょ!」

 

「お〜い……」

 

愛「そういえばジュンジュンっていつも元気ないよねぇ…もうちょっとシャキってしよっ!!ねっ♪」

 

「人の話を聴けぇぇぇ!!!」

 

もう凄いの、宮下さん。始業式以来毎日弾丸トークをかましてくる。とっても明るい子なのは分かってたけど疲れを知らない。最初頑張って聴いてても体力が持たなくて後半相槌しか打てない……この子何者だ。

 

愛「うおびっくりしたぁ〜……どうしたのジュンジュン??」

 

「どうしたのじゃないわ!さっきから声掛けてるのに止まらないもん!なんでそんな話題が出てくんのさ!1日どんだけ出来事起こってんだよ!」

 

愛「いやぁごめんごめん!!ジュンジュンにはなんか色々お話したくてさぁ〜…あ、そういえば私の事は愛でいいよ♪」

 

急に下の名前で呼ぶの許可出さないでこっちまだ言いたいことあるんだから!!てか会話が成り立った事ない気がする。下の名前かぁ……

 

「……いや、下の名前はまだちょっと。俺らまだ知り合ったばかりだし。」

 

愛「??だって挨拶交わしたらもう友達っしょ??」

 

なるほどそう言う考え方か。そりゃフレンドリーで顔が広いわけだ。宮下愛、これは俺にとって恐ろしい相手になりそうだなぁ……

 

「…….死ぬほど陽キャ」

 

愛「ぷっ……あはは!!!死ぬほどって!!ジュンジュン面白いねぇ〜!!気に入った♪」

 

俺の発言のどこに笑いがあったのかは知らないが気に入られてしまった。えぇ気に入られちゃったよどうしよう絡み増えないこれ??

 

「なんでもいいけど、ちゃんと俺の話も聴いてくれよな……愛さん」

 

愛 「ごめんごめん……って、え??ジュンジュン今なんて??」

 

「ちゃんと俺の話も聴け。」

 

愛「違う違う!!その後!!名前呼んだよね?!ねぇ?!」

 

「だから何だよ……てか愛さんが呼んでいいって言ったんじゃん。」

 

愛「いやぁそんなすぐに呼んでくれるなんて愛さん感動だよ!!あ!ついでに連絡先も交換しよっ♪」

 

おっと早々に重大イベントが出てきた。あれだな、これで分かった。この子みたいに社交的な子に多くの陰キャラ男子は泣くことになるんだ。そりゃそうだ、連絡先交換を相手から言われたら気が合うんじゃない?って思っちゃうよね。

 

「いいけど…交換した所で別に話すことないだろ??」

 

愛「いやいや、交換することでその日にあったことすぐにジュンジュンに伝えれんじゃん!!」

 

「え、次の日じゃダメ??」

 

愛「その日のうちの方が新鮮じゃん!!愛さん燃えてきたぁ〜!!!」

 

「何を燃やすところあるんだよ!!ていうか俺毎回スマホ見てる訳じゃ「じゃあまたメッセするから、ちゃんと見るんだよ!!」……ねぇ話聴いて、、」

 

今日わかったこと。愛さんは俺の話を聴いてくれない。鬼積極的に話すし動く子。夜に半端なく愛さんからメッセージが来てひとつひとつ返すのに大変なことである。

……なんで俺こんな絡まれるんだ一体。



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第3話

愛さんからメッセージの嵐と格闘しながら力尽きて寝た次の日の朝。朝の光がカーテンの隙間から顔に照らされて目覚める。あれ、俺結局何時に寝たんだ??覚えてないや。そういえばあの子とのやり取りどうなったっけ。

恐る恐るスマホを開いて見ると眠気が吹っ飛ぶ程メッセージがーー

 

『ジュンジュン意外と夜更かしる子なんだね!!』

『愛さんはあと少しで寝るけどジュンジュンまだ起きてるの?』

『そういえばジュンジュンって家では何してるの??ゲームとか??』

『あれれ、まさか寝ちゃった感じー??』

『じゃあ愛さんもそろそろ寝ようかな〜!!!』

『明日もまたメッセ送りあおうねっ!』

『おやすみ〜♪』

 

 

『ジュンジュンちーーっす!!愛さんは今からランニング行ってくるよ!』

 

おいおいどんだけ送ってんだよ怖いわ。つか俺が夜更かししたのもあなたがなかなか終わらせてくれなかったからだからな?!返信来ないなら寝たって察して送るなよ!しかも朝早いし……え、6時に来てんじゃん早起きちゃんかよ。

 

「しかもランニングって……朝から元気過ぎだろ愛さん、、」

 

眠気が取れないまま支度をして学校に向かう。あ、そういえば今日部活紹介があるから来て欲しいって部長に言われてたなぁ。やば、原稿考えてないや。昨日やるつもりだったのになんでしなかったんだっけ??……あ。

 

「原稿所じゃなかったねぇ昨日の夜は。」

 

愛「あ〜〜!!!ジュンジュンだぁ〜!!」

 

ほらほら後ろから呼ばれて振り向くとやって来ましたよ寝不足かつ原稿書けなかった理由の元凶が。なんで俺より寝るの遅くて起きるの早かったのにそんな元気なの??休むって言葉を知らなさそうだよね。

 

「……おう、おはよう。」

 

愛「やっほー!!どうしたの元気ないよ?そうだ、愛さんの元気を分けてあげよう♪」

 

やめて。消化不良を起こしちゃう。そもそも誰のせいでこうなってると思ってるんだよ全く。

ここは早めに話を切り上げてさっさと学校に行こう。

 

「今日も頑張ろう。じゃ、俺は先に行く「あ、じゃあ一緒に行こうよっ!!」……えぇぇ。」

 

俺の話を最後まで聴いてくれず一緒に行こうと言う愛さん。せめて登校する時くらいはテンション控えめで行こうぜ、、

 

愛「いやぁまさかジュンジュンに朝から会えるなんて嬉しいなぁ!!愛さん今日は良い日になりそうだよ♪」

 

「あなた毎日良い日に過ごしてると思うけど。」

 

愛「まぁね〜、でも良いことあったらその日はもっと良い日になるじゃんね!!」

 

なんてポジティブ思考。てことは通常ハイテンションがさらにハイになる時は何かあった時ってことね。その時は席をしばらく外そ。

 

愛さん「そういえばジュンジュンって結構スタイルいいよね。何かやってるの??」

 

「部活の為に家で筋トレしてるくらい。」

 

愛さん「えぇ部活入ってたの?!何部?!」

 

「……弓道部。」

 

愛さん「へぇ凄い!!弓使って的を当てるやつだよね?!あれかっこいいよねぇ……愛さんも入っちゃおうかな♪」

 

「頼むからやめてくれ。」

 

愛さん「えぇいいじゃん!!そういえば友達が今日は部活紹介があるって言ってたなぁ、ジュンジュンも出るの??」

 

「副部長だけど話して欲しいって言われた。」

 

愛さん「そうなんだ!!ジュンジュン喋るなら愛さんが全力で応援してあげるよ!!」

 

………え、今愛さんなんて言った??

 

「応援とは、、??」

 

愛「勿論、部活動紹介見に行くってことだよ!!愛さん燃えてきたぁ!!」

 

いやぁぁぁぁ!!!!!

ただでさえ原稿完成してないだけで不安なのにこの子見に来るの?!個人的に大惨事になるからやめてくれ!!

 

「いや、気持ちは嬉しいけど愛さんも色々用事があるだろうし無理して来なくても…」

 

愛「大丈夫っ!!今日は遊ぶ予定とかないし何より友達が出るんだよ?!応援するしかないっしょ!」

 

良い人なんだけどなぁぁぁぁ違うんだよぉぉぉ!!誰か俺の気持ち分かってくれよ……そして俺はまた新たなことを知った。

 

「愛さんってその愛嬌があるからみんなに好かれてるんだね。」

 

愛「……ぷっ、あははは!!!愛さんだけに愛嬌!!ジュンジュン上手い上手い!!面白い!あはは、腹が痛いよぉ!!」

 

……変なところで笑います。きっとダジャレが好きな子である。

愛さんについていけねぇ、、



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第4話

学校に着いてから空き時間にひたすら原稿を考えていた。隣の愛さんは珍しくちょっかいをかけることなく友達のとこへ行って席を外すことが多かった。気を使ってくれたのだろうか、やはりテンションが高いギャルという訳ではなく思いやりも持ってる明るい女の子と思う方が良いみたいだ。

 

「うしっ、何とか間に合ったぁ、、」

 

部活紹介ギリギリの時間に何とか終わらせることに成功した。マジで頑張った。昼ごはんも食べながらやったんだから自分を褒めてやりたい。愛さんはHRが終わるとすぐにどこかへ行ってしまった。応援しに来てくれるんじゃないのかよ……いや別にいいけど!

部活紹介をするために体育館へ行くと既に新入生や各部活の生徒が揃っていた。俺も自分の部活のとこ行かないと。

 

部長「やほ準太、今日はありがとうね。」

 

「いえ、頼まれたからにはやりますよ。」

 

部長「それは頼もしい!!今年も多くの生徒に入部して貰いたいから準太の熱い演説を期待してるよ!」

 

「冷静に演説させて貰います。」

 

熱い演説なんて無理だよ愛さんじゃあるまいし。そもそも俺そんなキャラじゃないからね?

 

 

部長「そろそろ始まるね、じゃあ頼むよ準太!」

 

「……う、うい」

 

こうして部活紹介が始まった。どの部活もこの日のために考えてきたのだろう、劇をやったり大袈裟な演説したり物で吊ろうとしたり。おい物で吊ろうとするなよずるいぞ、俺もそれ考えればよかった。

そうこうしている内に弓道部の番になった。上手く話せるか分からないけど任されたし精一杯頑張ろ。

 

「えー皆さん初めまして。僕らは弓道「ジュンジュン〜〜!!!応援に来たよぉぉぉぉぉぉ!!!」……嘘だろ。」

 

まさかの第一声から邪魔をされた。声の方向を見ると愛さんが手を振りながら体育館に入ってきた……大勢のお友達を連れて。

 

愛「応援するって言ったじゃんっ!だから愛さんのお友達をたくさん連れてきたよ〜!ほら、みんなも応援してあげて♪」

 

そう言うと愛さんの友達がそれぞれ応援メッセージを言ってくれる。嬉しいけどお願いやめて、みんな見てる声がでかい愛さんそんな笑顔で手を振らないで恥ずかしいから!!!

 

「……弓道部の活動は主に「頑張れ〜!!ジュンジュン!!」あぁうるさい!!!」

 

せっかくギリギリまで考えて作った原稿を読ませてくれない。1年生の視線が痛い。そんな目で見ないで俺も不本意だから!

 

アナウンス「弓道部、ありがとうございました。」

 

「……へ??終わり??」

 

結局俺は部活内容をまともに話すことが出来ず、終わってしまった。……えぇ嘘でしょ頑張って考えたのに、、

終わった途端愛さんの団体は拍手を送ってくれる。正直それは言い終えてからして欲しかった。

 

愛「ジュンジュンお疲れ〜!!よく頑張った!愛さんパワーのお陰かなっ♪」

 

いやむしろ愛さんパワーで台無しになったんだけど。どうしてくれるのほんと、これで1年生来てくれなかったら何かしらしないと気が済まないぞ。

 

部長「ま、まぁ準太のお陰で私たち弓道部を知って貰えたかな??」

 

「フォローになってないですよ部長。」

 

俺たち弓道部の紹介が終わったあとも各部活がそれぞれ1年生の前で演説をして部活紹介は終わった。

その後体育館を出ると愛さんがニコニコして俺を待っていた。……なんであなたが達成感を感じた顔をしてるんだよ。

 

愛「ジュンジュンお疲れ〜!どう??アタシのサプライズ、びっくりした??」

 

「…随分とお友達が多いようで。」

 

愛「痛い痛い!!ジュンジュンほっぺ引っ張らないで〜!」

 

「これくらいしないと気が済まない。」

 

その後絶望と思われた新入部員だったが去年以上に多くの1年生が入部希望を出してくれていた。嘘でしょあれを見てなんで来てくれたの一体.、、

一応死ぬほど恥ずかしかったとはいえ応援に来てくれた愛さんにも伝えなきゃなーーー

 

愛「そっかそっか!!沢山来てくれたんだ♪やっぱり愛さんパワーのお陰かな!」

 

「否定したいがそれもあるだろう、いやそれしかない気がする悔しい解せん。」

 

愛「素直じゃないなぁ〜、あ、また今度応援してあげるよ!」

 

「遠慮します…そういや愛さんは部活入らないのか??」

 

愛「愛さんはスクールアイドルになることにしたよっ♪」

 

「え、いつの間にそうなったの唐突過ぎん??」




今のところ原作のエピソードに沿って書かずに、準太と愛ちゃんのハチャメチャな日常を書いていくつもりです!

何か高校で皆さんがあったイベントを書いて欲しいみたいなものあれば言ってくれると嬉しいです♪


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第5話

俺の隣の席の愛さんはスクールアイドル同好会に入部したらしい。よくよく話を聴くと同級生の女の子に誘われたのがきっかけだと言う。今まで色んな部活から勧誘されていたらしいがどこの部にも所属せず生活をしていたみたいだがそんな彼女が何故スクールアイドルをしようと思ったのだろうか…大方誘われたその時のノリな気がするがまぁ俺には関係ない。

 

愛「いやぁまさか愛さんがスクールアイドルをやることになるとはねぇ〜人生何が起こるか分かんない!」

 

「俺はその事をこの席になってからしみじみに思うよ。」

 

愛「なになに!!ジュンジュンもこの席になって何か大きなことあったの?!教えてよ♪」

 

あなたが隣の席になったことだよ。

 

「……凄いテンション高い女の子と知り合いになった。」

 

愛「えぇ誰?!そんな女の子といつの間に知り合ってたの?!愛さんも話してみたいなぁ。」

 

話せるよ、あなたが鏡を見たらすぐに出会えます。

 

「意外と自分のことには鈍感なのか??」

 

愛「え、なんで??」

 

「いや、なんでもないわ。」

 

愛「変なジュンジュン。あ、そういえば今日同好会でお昼集まるんだった!じゃあねジュンジュン!!」

 

そういうと嵐のように愛さんは去っていった。最近思うのだが彼女が去っていくと一気に周りが静かになる。決して他の人が静かなわけではない。普通にクラスメイト同士で話しているがテンションが愛さんが完全におかしいのだ。故にいなくなった時の反動が凄い。まぁ静かな方が好きだけど。

 

「久々に屋上でひとりの時間を満喫しようかな。」

 

たまに俺は屋上を使って外の空気を吸いながら昼を食べている。あまり屋上には人が集まらないから人の目を気にする必要がない。つまりだらだらしても気にしなくていいのだ!

久々に屋上で食べるのを楽しみに思いながら目的に行くと……

 

愛「あ、ジュンジュン!!さっきぶり〜!!」

 

パタン。

 

愛「ちょっとどうしたの!!せっかく来たんだから一緒に食べようよ〜!!」

 

「部活会議してんだろ!なら邪魔になるから遠慮しとくわ!」

 

愛「別にそんな大事な話とかしてないから!普通にガールズトークしてるだけだから!」

 

「余計入りたくねぇよ!」

 

最悪だ。なぜ愛さんがここにいる。部活で集まるなら部室とか広場とか色々あるじゃん??なーーんでよりによってここ選んだの?!俺の楽園が、、

 

愛「ほらほら、みんな気になってこっち見てるし行こっ♪」

 

「いやほらやっぱあれだから…っておい引っ張るなマジでいいからマジで!」

 

大事なことだから2回言った。だがいつもの事だが愛さんは聞き入れてくれない…いつもの事って悲しくない俺。

 

愛「まさかジュンジュンが屋上に来るとはねぇ!もしかしてお気に入りの場所だったり??」

 

「そんなまさか。」

 

愛「そっかそっかぁ〜、じゃあこれから愛さんも屋上で食べようかな♪」

 

「いや何でだよ他にも色々あんじゃん。」

 

愛「そーだけどさ、教室以外でジュンジュンと食べるの新鮮じゃん!これはテンアゲっしょ!」

 

「一緒にと言うより愛さんが友達と食べてる席が俺の席と近いだけじゃん。」

 

愛「え??でもジュンジュンも同じ空間で食べてるから一緒じゃん??」

 

「愛さんそれは無理やりすぎる。」

 

愛「もぅ細かいことは気にしない気にしない!観念して愛さん達と食べなさい!」

 

「なんでこうなってしまうんだ…」

 

抵抗虚しくしっかり愛さんに引きずられ同好会メンバーと共にお昼を食べた。絶対場違いじゃん。こんなの望んでない……教室で食べれば良かった、、

そんな俺をよそに楽しそうに食べてる愛さん。おいここに連れてきたのあなたなんだから何とかしてくれよ。

必死に目で訴えていたら愛さんと目が合いこちらにニコッと微笑んでくる。やっと助け舟か待ちわびたぞ。

 

愛「ジュンジュン明日も屋上ねっ!」

 

「ぜっったい行かない。」



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第6話

学校の授業が終わり今は部活中。以前"誰かさん"のお陰で入部してくれた1年生の面倒を見ている。ふと気になったのが男女比だ。女子生徒が割と多い…まぁあれだな、袴が着たかったとかの理由だろう。同級生でもその理由で入った子が何なんかいるし。俺??俺は勿論興味があったからだ。あと楽な運動部に入りたかったからは誰にも言えない。

 

後輩「あの、夏目先輩!」

 

「ん??どしたの、俺は弓道が好きだから入部したんだよ。」

 

後輩「何の話ですか?!そんな事より、ちょっと私の基礎練習を見て欲しくて…」

 

「え、それなら担当してるあいつらに聴きなよ。」

 

後輩「いえその…夏目先輩に教えてもらいたくて、、」

 

……なんで俺??指導部員そんな下手な教え方してるの?しっかりしてよもー。後俺弓引きたいんだけど、、

 

「いいよ、じゃあ初めの姿勢から「あの、先輩私も!!」…え。」

 

最初の後輩からゾクゾクと見て欲しいと頼まれた。なんで便乗するかなぁお互い教え合おうよ、てか指導者に聴きなよ。見なよ指導部員空いた口が塞がらないでこっち見てんじゃん見てないでさっさと指導しなよ。

 

部長「あはは、モテモテだねぇ準太♪」

 

「何笑ってるんですかふざけないでください助けてください。」

 

部長「ふざけてないよ??あの子たち準太が目当てで入部したみたいよ。」

 

「……え、何それ聴いてない。」

 

部長「そりゃ言わないでしょうよ、バカ準太。」

 

袴目当てじゃなくて俺??いや何で俺なの。俺といえばあの部活紹介でハイテンションギャルのせいで何も部活の魅力伝えれなかったポンコツ部員だぞ。からかってんのか絶対そうだろそれ以外の理由ない。

 

「訳が分からない。あんな姿見せた俺のどこに惹かれたんだよ。」

 

部長「あんた普通にカッコイイからね、そんな子があんな目立ったら気になるわよ、それにそのカッコいい子が袴着て弓引くんですもの間近で見たくなるわよ腹ただしいわね。」

 

「褒めるのかディスるのかどっちかにしてもらえませんか??なるべく前者で。」

 

部長「嫌よ。」

 

えーまじかよ本当に俺目当てなの??人生初のモテ期到来しちゃったよやったよついに。2年生にして青春謳歌できる予感だよ嬉しいなわーいわーい。

 

「モテ期なんていらないあげたい。」

 

部長「それ他の男子に言ったら命ないわよ。」

 

「いやまじでいらないです。練習させてくれ……」

 

俺の願いも虚しく指導者が入れ替わりとなり俺は部活終了時間までひたすら後輩を指導する羽目になった。高校2年生になったからろくなことがない。

おのれぇぇ宮下愛ぃぃぃぃ!!!

 

ーー愛視点ーー

 

愛「……??」

 

せつ菜「愛さんどうかしましたか??」

 

愛「ううん!!!なんかジュンジュンに呼ばれた気がしたんだけど…そんな事より練習練習!!」

 

気のせいかもしれないけどやっぱ呼ばれた気がしたなぁ……あ、後でメッセ送ろ!!今日のことも話したいしっ♪

 

ーー準太視点ーー

 

今俺は自主練習をしている。何故かと言うと後輩に付きっきりで練習できる時間がなかったからだよ!!なんで他は2人ずつ教えてるのに俺だけ1人なんだよおかしいだろ不公平だ。

とか言いながら残って今日出来なかった分やる俺って偉いよね。

 

部長「ジュンジュン調子いいねぇ〜これは大会も期待できるね!」

 

「ねぇその呼び方やめて。」

 

部長「ごめんごめん、やっぱ準太はからかいたくなるのよ。」

 

「くそ正直に言いますね、てか部長もこんな遅くまで練習ですか?」

 

部長「まぁ大会が近いしね、やれる時にやらないと。」

 

さすがうちの部長、飄々とした性格をしているがやることはしっかりやる。でも結構暗くなっているが大丈夫だろうか。

 

部長「何心配そうな顔してるのよ。私は寮生活だからこんな遅くまでやってるのよ。」

 

「あ、そういえばそうでしたね。すぐ帰れますね羨ましい。」

 

部長「さっきの心配はどうしたのよ!」

 

しばらく2人で練習をした後に解散をして俺は今校門へ向かっている。するとひとつの部屋がまだ明るく何人か中に人がいた。気になり近づくとスクールアイドル同好会のメンバーが数人が練習をしていた。

その中にも俺の隣の席の女の子がいつもは見せない真剣な顔をして練習していた。今まで見た事ない彼女にドキッと胸が高鳴りしばらく見惚れてしまっていた。

 

「こんな遅くまでやってんのかよ……。」

 

見た感じハードな練習をしてそうなのに次の日になったらあのテンションで過ごしているんだからその体力に驚く。むしろ元気が日々蓄積されている気がするけど、、

 

「……頑張れよ。」

 

俺に気づかない彼女を窓越しながら一言呟いて俺は帰るのであった。



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第7話

その日の夜、ご飯を食べ終え部屋でくつろいでいると通知音がなった。確認すると送り主は"愛さん"だった。

もう練習終わって帰ったみたいだな、あれだけ練習してたら疲れもあるだろうに大丈夫なのか…ってなんで俺心配してんだよ。

 

愛『愛さんだよ〜!!ジュンジュン暇そうだからメッセしたよ〜♪』

 

あ、もう通常運転。凄い元気そう良かった心配なんていらないね。

 

『あなたの所為で部活が大変だったよ。』

 

愛「え!!どうしたの?!話聞いてあげるよ!」

 

『部活紹介で悪目立ちして俺目当てで後輩がたくさん入部したんだよ。それで付きっきりで指導したせいで自分の練習出来なかったんだよ!!』

 

愛『お〜ジュンジュンモテモテじゃん!!モテ男は辛いねぇ〜』

 

『冗談じゃない俺はそんなもの欲していない。そういうのは他の男にあたって欲しい。』

 

愛『贅沢な悩みだねぇ〜』

 

『うるさいこうなったのも愛さんの所為だ明日どうしてくれようか。』

 

愛『えぇ愛さんの所為なの?!それはジュンジュンの魅力で起きたことじゃん!』

 

『そんな魅力はない絶対目立ったからだ。てか愛さんは悩みとかあったことあるのか??あんまそういうのなさそうだけど。』

 

愛『あはは……愛さんはどうかなぁ。」

 

あれ、なんかいつもならないって断言しそうなのに曖昧に返してきたな。実は今あるのか??

 

『どしたの??』

 

愛『う、ううんなんでもない!!あーもう寝ようかな!お休み!』

 

それ以降は返信がなかった。いつも明るい彼女だからこそこういうのは無駄に気になる。ぶっちゃけ俺には関係のないことだがなんだかんだ言って部活紹介も友達誘って応援に来てくれる人情に厚い子だ。貰うだけじゃ気が済まない。

 

「明日聞いてみるか。」

 

次の日の朝、教室に着くと席の隣にはいつもの彼女が座っていた。俺を見るなり元気に挨拶してくれる。この笑顔を見ると昨日のメッセージが嘘のようだ。

 

愛「ジュンジュンちっす!!昨日はありがとうね!!あと変に心配かけちゃってごめんねっ。」

 

「別に気にしてない。元気そうで何よりだよ。」

 

愛「うんっ!愛さんはいつも元気一杯だよ!!」

 

「うん知ってる。隣でたくさん見てるから……昼時間あるか??」

 

愛「へ??あ、うん!特に予定はないよ!」

 

「そうか、なら校舎裏来てくれないか??」

 

愛「………へ??///」

 

え、なんで赤くなるの別に誘う普通だろ。むしろいつも愛さんから昼飯誘うじゃん。え、俺変なこと言ってないよね??

 

「じゃあまた近くなったら呼ぶからな。」

 

愛「う、うん///」

 

その後お昼まで隣の愛さんは珍しく一言も話さず俯いていた。放課中なら友達と話したりするのに今日はずっと席に座っている。

……え、ほんとにどした??

 

なんだかんだでお昼になる俺は隣の愛さんに声をかけた。

 

「愛さん行くぞ。」

 

愛「あ、は、はい!!!」

 

なんなんだよマジ調子狂うじゃん。

 

 

ーー校舎裏ーー

 

愛「い、いやぁまさかジュンジュンがこんなことするなんて愛さんびっくりだよぉ!!」

 

「ここなら人は通らないからな、言いたいこと言えるし。」

 

愛「そ、それって……」

 

「なぁ愛さん……あのさ俺が言うのもなんだけどさ。」

 

愛「う、うん……(ヤバイヤバイ!!心臓バクバク止まらないよぉ!)」

 

「昨日、なんかあったか??」

 

愛「ち、ちょっと心の準備が……へ、昨日??」

 

「夜愛さんが送ったメッセージが気になってな、部活で何かあったのかと思ってな。野暮だとは思ったがどうも気になって、俺でよければ相談乗るぞ。」

 

愛「……ぷっ、あはは!!!!」

 

急に愛さんが笑い始めた。なになに怖いんだけど。人が良かれと思って聴いたことを笑うとは何事だよ全く。全然笑い収まらないじゃんもうそろ止まろうぜ。

 

愛「ごめんごめんっ!!ジュンジュン変なの〜!!もっと別の場所あんじゃん!!」

 

「いやもし人に聞かれたくない様なものだったら人目がない方がいいだろ??それをなんで突っ込まれるかなぁおかしいなぁ。」

 

愛「そっか、そんなに心配してくれてたんだ。」

 

「まぁ部活紹介の借りがあるからな。それを返したかっただけだ。」

 

愛「そんなのいいのにぃ〜!!……でも、ありがとう♪」

 

「…べ、別にいい。」

 

愛「あはは、照れてるのジュンジュン〜??可愛いなぁ〜??」

 

「教室戻る。」

 

愛「あ、ちょっと待ってごめん!ついジュンジュンからかいたくなって……」

 

「俺をいじってるの愛さんか部長ぐらいだからな??」

 

愛「だからごめんって!…じゃあちょっとした愛さんの悩み、聴いてくれる??」

 

「……おう。」



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第8話

「なるほど、グループじゃなくてソロでアイドルか。」

 

愛「うん、アタシ今まで色んな部活の助っ人をやってきたけどどれもみんなでやるものばかりでさ……ひとりで何かするって言うのが考えるとなかなかハードル高くてさ。」

 

「え、そんな助っ人やってきたの??」

 

愛「愛さんこう見えてスポーツ得意なんだよっ!」

 

「いや見たまんま得意そうだけど。」

 

愛「そう??って、その事はいいの!!だから愛さんひとりでやれるのかちょっと不安でさ……」

 

「ふーん……。」

 

まず思ったのが意外ということ。愛さんは普段前向きで、そしていつも笑顔で動いているからこんなネガティブに考えることがあったのに驚いた。

よく考えるといつも前向きに動ける人間なんてそうそういない。だからこそ愛さんは凄いわけであるが。

 

愛「ご、ごめんねこんなシリアスな話しちゃって!やっぱ気にしないで!」

 

「弓道にも個人で試合をすることがあるの知ってるか??」

 

愛「え??ううん、あれって団体でやらない??」

 

「まぁ基本は団体だ。でもその団体戦で個人の成績が良かったら個人でも別枠で試合ができるんだ。その中で個人で出場する時俺はこの虹ヶ咲学園をもっと色んな人に知ってもらう事を目標に出ている。」

 

これは弓道の話。今愛さんが話してくれたアイドルとは何も関わりがない。しかしその中でソロ、つまり個人で何かをすることを伝えたいと思って話しているのだ。

 

「俺は個人で試合に出ることなんて知らなかったし、実際初めて出た時は周りにチームメイトがいなくて不安もあったよ。でも自分がその試合で何をしたいのか、自分はどうしたいのかを考えていったら自然と不安なんて無くなってむしろやってやるって気持ちになったよ。」

 

愛「そ、そうなんだ……」

 

「要するに!!愛さんはソロでアイドルをやるとして愛さん自身何がしたいのか、何ができるのかって考えてみればいいんじゃないか??知らないけどさ。」

 

愛「愛さんにできること…何がしたいのか…。」

 

「ほら、あるじゃん。いつも元気な愛さんがいるだけで周りの友達はいつも笑顔だし、愛さんがいるから場が明るくなってんじゃん。」

 

愛「え!そうなの?!自覚ないんだけどなぁ。」

 

嘘だろあれ自覚ないの??凄くない??俺がやろうと思っても途中微妙な雰囲気になって挫折すんのに。えぇ愛さん何者だよまじ。

 

「そもそもそんな深く考えなくていいんじゃない??いつもの愛さんみたいにソロアイドルでも周りに笑顔提供してけばいいじゃん。」

 

愛「笑顔を提供って……なんかキャッチフレーズみたい。そっか、いつもの愛さんか……よしっ!!」

 

そう言うとさっきの暗い顔はどこへやら、いつもの明るい顔を俺に向けていた。何か自分の中で解決できたのか??

 

愛「ジュンジュンありがとう!!これからも愛さんはみんなに愛を届けたい!!愛だけに!!」

 

「えぇ笑顔じゃないんかい。レベルアップして愛になっちゃったよ。」

 

愛「愛だけにっ♪」

 

「わかった、わかったからその上手く言えたみたいな顔するな。」

 

愛「もちろんジュンジュンにも愛を届けるよ!」

 

「語弊があるからやめてくれ。」

 

こうして隣の席の愛さんは教室に戻った後いつも以上に笑顔で友達と話していた。心做しか友達もいつもより楽しそうにしており、これが彼女の魅力なんだと再認識した。我ながら今日俺良いことしたんじゃない??後でご褒美でアイス買お。

 

愛「ねぇジュンジュン。愛さんのキャッチフレーズを"あいらぶゆー!!届けたい!みんなに愛の愛ことばっ!"にしようと思うんだけどどうかな!!愛だけにっ♪」

 

「なんでもいいと思います。」

 

愛「急に塩になるじゃん!さっきのジュンジュンはどこいったのさ!」

 

「うるさいあれは「あ、そういえば昨日同好会で話してた時に…」ねぇそろそろ俺の話も聴いて??」



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第9話

高校2年生になってからの学校生活がようやく慣れてきたと思っていた矢先、ある事が俺の日常を壊そうとしている。

 

愛「中間テストだぁ〜〜!!!!」

 

「ねぇそれ俺が言おうとしてた事!なんで楽しそうなんだよ!!」

 

そう、先に言われてしまったが中間テストがあるのである。結論から言うと俺は勉強ができない訳じゃないが得意でもない。つまり普通。俺が1番嫌なのは"帰ってからも勉強をしなければいけない"という事である。みんなも嫌でしょ??学校から帰ったらだらけたいと思う人分かるでしょ??それで何もやらずに成績下がったら怒られるし勉強して下がったら萎えるし…成績下がる前提で話してるの悲しくなる。

 

愛「今回も愛さん頑張っちゃうぞ〜!!」

 

「なんでそんなにモチベ高いのあなた。」

 

俺は隣の席ではしゃいでいる女の子の理解に苦しんでいる。正直第一印象勉強苦手そうって思っちゃったよ俺。それなのにこのテンションの上がり方異常だろ……何なんだこの子は。

 

愛「だって今まで習ってきたことをちゃんと理解出来てるか証明できんじゃん!それが自信にも繋がるし、愛さんは楽しみだよ〜♪」

 

あ、一生分かり合えない人種だわ。そんな事考えたこと1度もないわ…え、俺がだらしないだけ??そんな事ないよね、きっと仲間はいる。

 

「……もしかして復習とかしてたりすんの??」

 

愛「??そんなの当たり前じゃん。復習し終えたら予習もするよ!」

 

彼女から聞くことがないと思っていたワードが2連発も。見た目とのギャップあり過ぎだろ、、

 

愛「そういう事聞いてくるとはもしや……ジュンジュン勉強あんましてないなぁ??」

 

「してるよ授業と課題で。」

 

愛「それ以外に決まってんじゃん!!こりゃ指導者が必要だねぇ。」

 

え、今何言ったこの人。

 

愛「しょ〜がないなぁ…ここは愛さんが人肌脱ぎますかっ♪」

 

「え。」

 

愛「だーかーらー!!私が勉強教えてあげるよ!」

 

「大丈夫間に合ってますお願いです勘弁してください。」

 

愛「ジュンジュンがこんなに必死になるなんて…やり甲斐ありそう!!」

 

「鬼かあんたは!!マジで自分で何とかするからいいって!」

 

愛「えぇ〜……あ、そうだ!!」

 

愛さんは何か閃いたのか、バンッと机に手を置いてこちらに体を傾けてきた。近い近い、パーソナルスペースって言葉ご存知ですか??あ、そうでした。あなたはそのスペースに堂々と侵入してくる人でしたね。

 

愛「次の中間テスト、愛さんと勝負しようよ!それで愛さんが勝ったら次のテストからスパルタ教育をする。逆に負けたらこの話はなし!どう??」

 

「いやどうじゃないわ!え、なにスパルタなの??絶対嫌だよ。それにこの勝負俺のメリットないじゃん!」

 

愛「もっと愛さんといれるよ♪」

 

「勘弁してくれ学校だけで十分だ!!」

 

愛「もうジュンジュンったら素直じゃないんだから〜!」

 

「素直に受け答えしてますけどー?!」

 

ダメだ、全く話が通じない。まぁ愛さんが何か閃いた時にもう俺の拒否権なんて無いに等しいんだけどね。

 

「よし、やるからには全力でやるぞ。ぜっっったい勝つ!!」

 

愛「お!ジュンジュンやる気になったねぇ〜♪愛さんも全力で受けて立とう!!」

 

「勝負は5教科のそれぞれの点数!!負けたらさっきの条件追加で何か奢ってもらうぞ!俺は金欠だ!」

 

愛「いいねぇテンアゲじゃん!!!これは今回のテスト楽しくなりそう!愛さんは金欠じゃありません!」

 

「嘘だろなんであんなに遊んで金欠じゃないんだよ!!俺なんてお菓子とか外食したらすぐなくなるのに!」

 

愛「十分なくなる要素あるじゃん!」

 

(凄い勝負になりそうだなぁ……)

 

この2人のやり取りを聞いていた周りの生徒はそう心に思うのであった。

 

 

愛・準太「「絶対に負けない!!」」



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第10話

たくさんのコメントありがとうございます!!

愛さんに振り回される準太を自分に置き換えてみるとより楽しめるんじゃないかな??って思います!
まだまだやって欲しいイベント大募集してます!


その日の放課後、普段の俺ならテスト期間という事で部活もないから直帰してだらけるのだが……

 

友人A「なぁ準太、この後カラオケ行かないか??」

 

「………。」

 

友人B「準太!!部活もない事だしどっか遊びに行こうぜ!!」

 

「………。」

 

友人C「お!!ここにいたのか!準太、この前言ってたお店今から行かな「あぁぁもううるせぇぇぇぇ!!!!」っ!?」

 

何なんだこいつら!!人が折角教室で勉強しようとしてるのに色々と誘惑しやがって!!

 

「いいか、俺はこのテストに命掛けてんだよ!!あのいつも俺を振り回すテンション可笑しいギャルに絶対負けられないんだよ!!だからこうして居残りして勉強してんの!お前らもさっさと帰って勉強しろ!」

 

友人にそう言って俺はまた教科書と睨めっこを再開する。全くこいつら成績落ちても知らないぞ??俺は成績より隣の席に負けるのが何としても阻止したい。いつもこんな風に勉強しろって??バカそんな事出来るわけないだろ俺はこういう事ないと本気になりません。あと帰ってだらける俺の幸せをなくしたくない。

 

友人「「「……(これ本当に準太だよな??)」」」

 

「おい何か失礼なこと考えなかったか??」

 

友人A「い、いや別に!!勉強頑張れよ!」

 

友人B「ま、まあテスト終わったら誘うことにするよ…うん。」

 

友人C「じゃあまたな!!無理すんなよ!」

 

そう言って友人たちは帰っていった。あんな怒鳴ったのに激励の言葉を掛けてくれる友人、なんて素敵なんでしょう。俺はとても良い友人を持ったものだ。だからと言ってさっき好奇な目で俺見てたのは許せない。俺だって真面目になるし!

 

「さて、次は古文を…」

 

俺がこうして次の勉強をしようとした矢先ーーー

 

愛「ジュンジュンまだいたんだぁ!!!」

 

ラスボス降臨。さっきの友人みたいに簡単には追っ払うことが出来ない、いやむしろ不可能な程のギャルが来た。しかもこれ居座るやつやん、、

 

愛「もうHR終わったのにまだ残ってるなんてジュンジュン真面目??」

 

「何言ってんだ俺はいつも真面目だ。」

 

愛「あはは、またまたぁ〜そんな事言っちゃってさぁ♪」

 

バシバシっと効果音が出そうなくらい俺の背中を叩く愛さん。痛い痛い、加減しろよ思いっきし叩きやがるじゃねぇか。

 

愛「どう??テスト勉強は順調??」

 

「勿論だ、負ける気がしねぇ。」

 

愛「おぉ〜これは愛さんも負けられないねぇ!!じゃあ愛さんもここで勉強しよっ♪」

 

「………え??」

 

愛「ほら、1人でやるより2人でやった方が良いって言うじゃん!」

 

「言わない聞いたことがない。ていうか家でやればいいじゃん。」

 

愛「も〜冷たいこと言わないでよ!ジュンジュンったら照れてんのかぁ??」

 

「どうしたらそんな考えに至るんだよ。」

 

愛「……もしかして、ほんとに嫌だった??それなら愛さんも帰って勉強しようかな…なんて。」

 

そう言うと愛さんは少し切なそうに笑っている。そんな事言われたらどっか行けとか言えないじゃん。女の子ってずるいよなぁ…

 

「……別に嫌じゃない。」

 

愛「ほんと?!じゃあここにいるね!!あ、テストの範囲なんだけど…」

 

待って許可出したら愛さん名物弾丸トークが始まったんだけど。止まらない止まらないどんだけ話すことあんだよ。

え、あなた勉強するんじゃないの?!

 

愛「それで……ってジュンジュン聴いてる??」

 

「あぁ、次は伊勢物語だ。」

 

愛「違う違う!古文の話じゃなくて、りなりーがさ…」

 

おいおいまてりなりーって誰だよ俺知らないんだけど。しかもどんどん名前言ってくるけど把握出来ないから。えぇいつ止まるんだ……そう思いながら愛さんの机を見ると…

 

「嘘、勉強してる。」

 

愛「え??だって勉強するために愛さんも残ってんじゃん。ジュンジュン変なの〜!!」

 

くっ!!今日一番で屈辱的なセリフを吐かれた。変なのあなただわ!!何で勉強しながら横で弾丸トーク出来んだよ!!器用なのか?!器用なのか?!なんでそんなこと出来んだよ天才かよ!!

 

愛「あ、そういえばこの間、愛さんの……」

 

「止まれぇぇぇ!!!!」

 

この後しばらく愛さんトークは続き、俺は勉強に集中出来ず、覚えたのは愛さんの友達の名前だけであった。…絶対活かせれない。

 

 



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第11話

中間テスト当日。今までの俺を知ってる人から見ると信じられない程勉強をしてテストを迎えた。教室に残って勉強、部屋でも勉強、図書館でも勉強。勉強勉強勉強……いくら愛さんに勝つためとは言え途中頭がどうにかなってしまいそうだった。しかしそれを耐え抜いた俺はもはや最強!!

さぁかかってこい宮下愛!!!

 

愛「ジュンジュンちっす!!!いよいよだねぇ〜♪」

 

「おはよ。やるだけのことはやったからな、後は愛さんに勝つだけだ。」

 

愛「いいねいいねぇ!!いつもだらしなくて何をやるにも無気力なジュンジュンとは思えない言葉だねっ!」

 

「おい何さらっと酷いこと言ってんだよ。」

 

愛「あ、そういえば愛さんはもうジュンジュンに奢ってもらうもの考えたよ♪」

 

「待て待て、もう勝った気でいるのか??負けた時に恥ずかしいぞそれ。」

 

愛「大丈夫大丈夫っ!愛さん最高に調子良いから!」

 

「何の説得力にもなってないぞ……」

 

うわぁ絶対勝ちたい。何の根拠があってそんなに自信があんだよ。愛さん使えば何でも何とかなるのかよ。え、愛さんパワーワード過ぎん??

 

愛「そろそろテストが始まるね…今回も愛さん頑張っちゃうぞ〜!」

 

「せめてテスト前は緊張というものをしてみない??」

 

愛「そんなのしたってしょうがないじゃん!!後はやるだけ♪」

 

「君のそのポジティブ思考全校生徒にシェアしてあげなさい。」

 

愛「いいよ!!どのクラスから行く?!」

 

「冗談だからやめてくれ。」

 

そんなこんなでテスト当日とは思えない緊張感の無さのままふたりはテストに望むのであった。

 

愛・準太「「勝つのは俺だ(愛さんだ)!!」

 

(自分たちよりあのふたりが気になる……)

 

ちなみにふたりの会話をテスト週間から聴いていたクラスメイトはもはやテスト所ではなくなっていた。

 

 

ーーその1週間後ーー

 

テストが終わり全てのテストが返却された。なんとなんと、5教科全て80点代を取れていた。ちなみに今までの俺は50点代、良くて60点代と言ったところだった。てことは分かるよね??俺すごーく頑張ったってことよ!!自信しかない、どーせ愛さん大口叩いたけど70点くらいだろう。

 

愛「ジュンジュン、テスト見せ合おうよ!!」

 

「おう!財布の準備しとけよ!!!」

 

そうしてお互いの解答用紙を見せ合ったのだが……ん、あれ??

おかしいな、何回見直しても全て90点代……え、えっとこれ愛さんのだよね?隣の席の愛さんだよね??

 

愛「へぇ〜ジュンジュン中々点数高いじゃん!!ちゃんと勉強してたんだ!」

 

ダメだ、愛さんの言葉煽りにしか聞こえない。

 

「え、愛さんって元々頭良いの??」

 

愛「んーどうだろ、まぁいつもこんなもんっしょ!!」

 

「これこんなもんって言える点数じゃないよ??天才じゃん!俺こんなのと戦ってたの?!」

 

愛「こんなのって酷いなぁ……こんなのに負けちゃったジュンジュンはなんだろうねぇ♪」

 

「ねぇやめてすみませんでした。」

 

愛「さてさて、この勝負は愛さんの勝ちということで……わかってるよね、ジュンジュン♪」

 

おいやめろ満面の笑みを向けてくるな。眩しい、太陽のように眩しい。ハロハロしちゃう。

 

「勝負は勝負だからな、前言ってた奢って欲しいやつ言いなさい。」

 

愛「やったー!!また当日近くなったらメッセするねっ!」

 

「おう……はい??」

 

愛「え??愛さん変なこと言った??」

 

「うん、変なこと言ってる。今日買うんじゃないの??」

 

愛「違うんだなぁ〜。今度の休日、ジュンジュンは愛さんとお出かけしてもらうから!」

 

「おいそんな急に言われても無理だ。俺にも予定がある。」

 

愛「次の日曜日部活ないからだらけるって嬉しそうに言ってたの愛さんは覚えてるんだなぁ♪」

 

しまったついプライベートを話してしまった……まずい逃げれねぇ。

 

愛「というわけで、また予定メッセするからちゃんと見てね!!」

 

「うぅ……了解。」

 

なんて言うことだ、勝負に負けてしまったばっかりに俺の大事な休みがなくなってしまった。……まぁでもお陰で成績が上がった事だし個人的には良い刺激になったな。なんだかんだこれも愛さんのお陰かもな。

 

愛「あ、ちなみに期末テストから愛さんがジュンジュン指導するからねっ!」

 

「………え??」

 

愛「元々これ約束してた事だもんね!愛さん頑張るぞぉ〜!!!!!」

 

「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

今日分かったこと。

簡単に勝負をしてはいけない。勝負はお財布に余裕がある時にするもの。隣の席の女の子を見くびると恐ろしい目に遭う。

そして最後、俺は今後嫌でも勉強しなければいけなくなった。



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第12話

日曜日。本来なら部活もなく家でくつろぐはずであったがそれは絶たれた。愛さんに中間テストを負けたことで今日俺は愛さんに奢る為にわざわざ外出をしなければならない。

やだなぁ面倒くさいなぁ……コンビニとか購買じゃダメなの??何を奢らせようとしてんだよ俺金ないんだけど。

このまま寝坊してキャンセルしようと考えていたが……

 

愛『ジュンジュンおはよ!!』

 

愛『ちゃんと起きてる??愛さんはもう朝から元気一杯だよ!!』

 

愛『前決めた時間と場所にちゃんと来るように!!』

 

これである。もはや逃げる余地はない。愛さんはちゃんと俺が忘れないように当日にも確認のメールをしてくれる。優しいなぁ素敵だなぁ別にちゃんと覚えてたけど。

 

「さて、そろそろ行くか。」

 

一応言っておくが相手は女の子だ。いくら不本意の外出とはいえしっかりと身だしなみを整える。これでだらしない格好で行ったら何を言われるか分からない。別にいいけど…いや、良くないな。

 

集合場所に向かうと既に彼女は待っていた。待って早くない??待たせるのも申し訳ないし俺結構早めの時間に来たんだけど…なんかごめん。

愛さんはこちらに気づいてブンブンと笑顔で手を振ってくれる。

やめて恥ずかしい周り見てるよ。おい男子鼻の下伸びてんぞ。

 

愛「あ!やっと来たぁ!!のんびりだねぇジュンジュン♪」

 

いやだから早めに来たっての。あなたが早すぎるんだよ!!しかもこの時間に来てのんびりって……ほんとにのんびり行けば良かった。

 

「……愛さん何時に来たんだよ。」

 

愛「へ??1時間前だけど??」

 

早すぎる。

 

「俺が来るまで何してたんだよ、、」

 

愛「んー周りにいる子供たちと一緒に遊んだりとか??」

 

「愛さんのコミュ力の範囲広いっすね。」

 

愛「いやいやそれほどでも〜♪」

 

いやまじ何者なんだよ。知らない子供とも仲良くなれるってなかなかだぞ。

そんな事より……

 

愛「……??ジュンジュンどうかした??」

 

愛さんの私服初めて見たけど…うん、愛さんって感じの私服だ。スキニーにノースリーブ。その上にジージャン……うん、愛さんだ。

 

愛「もしかして、愛さんの私服にドキってしちゃった??も〜ジュンジュンったら〜!」

 

「あぁその通りだ。とても似合ってるぞ良い感じ。」

 

愛「ふぇっ?!あ……そ、そっか…///」

 

あれ、思った反応と違う。凄い顔真っ赤になってんじゃん。汐らしくなっちゃってるよ……

 

「おーい、愛さんーーー。」

 

愛「ご、ごめんごめん!!何でもない!ほら、ジュンジュン行くよっ!!」

 

「お、おい腕引っ張んな!どんだけ元気有り余ってんだよ!」

 

愛「さぁ今日は楽しむぞ〜!!」

 

愛さんに引っ張られながら着いた先は商店街だった。さすが日曜の商店街、人がいっぱいだぁ…無理。

 

「なぁ、買うもの買ったらさっさと帰ろうぜ。」

 

愛「何言ってるの!せっかく来たんだから1日楽しまないと!」

 

ですよねぇ〜それくらいしないと愛さんパワー消費出来ないもんね。

 

「それで、一体何が欲しいんだ??」

 

愛「愛さんが欲しかったのは〜……これです!!」

 

そう言って愛さんが指した方向にはタピオカのお店であった。タピオカってあれだろ、飲み物の中にでっかい黒い塊が入ってるやつ。いかにも愛さん好きそうなやつだなぁ。

 

「てかこういう店なら他にもあるだろ、なんでここ??」

 

愛「ここは他のお店にはない限定商品があって、それがとっても美味しそうなの!!」

 

「あれか、看板にでかく載ってるいかにも甘そうなやつ。」

 

愛「もう、そんな事言わないの!!ささ、並ぼ並ぼ!」

 

「……え、並ぶ??」

 

愛「限定なだけ人気あってさぁ〜、ほら、列になって並んでるでしょ??」

 

見てみると確かに大勢が並んでいる。あれ並んでたのかよ…多すぎてそんな訳ないと思ってたじゃん。

 

愛「よし、じゃあジュンジュン!!愛さんたちも並びに行くよ〜!!」

 

「……マジかよ。」

 

愛「マジだ!!」

 

そして俺たちはあの行列に参加し長い間並んだ。まじで待ちすぎてアトラクション並びに行ってる気分になったよ。そんな俺の横では愛さん終始元気。

いつも以上に満面の笑みを浮かべておなじみ弾丸トークをかましてきた。

その間俺は静かに思った……二度とこんな行列並びたくない。



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第13話

「や、やっと座れた……」

 

愛「結構並んだよねぇ〜、さすが人気店!!」

 

長い時間愛さんとお話(ほぼ愛さんトーク)をしながら並び、今やっと俺たちは注文し席に着けた。いやまじ途中後ろ見たらどんどん人並んでんじゃん。そこまでして飲みたいという気持ちになれないんだけど…流行りってすごい。

 

愛「これが限定のタピオカ!!凄い美味しそう♪あ、せっかくだし撮らないと……。」

 

向かいではしゃいでる子は何でこんなに元気なんだろう。俺なんてもう結構体力削られたぞ。そう思い俺も目の前に置かれた限定のタピオカを見つめる。あ、君も買ったんだとか思っただろ??そりゃこんなに並んだんだ。普通の商品頼むのは勿体ないでしょ!!

 

愛「前から飲みたかったけど中々機会がなくてね…やっと飲めるぅぅ!!」

 

「いや機会なんていくらでもあったでしょーに。」

 

愛「もう細かいことは気にしない気にしない♪並んでる時文句ばっか言った癖にジュンジュンも頼んでるし!」

 

「いいだろ別に!俺の金だ!」

 

愛「そうだ!!ジュンジュンのお金だ!より美味しい!」

 

「この野郎………」

 

正面で愉快そうに笑っている愛さんを恨めしく思いながらタピオカを飲む……あ、中々上手いなこれ。

 

???「あら、愛じゃない。」

 

ふいに声をかけられその方向を見るとモデルのようにスタイル抜群の女性がたっていた。え、すげぇ美人。年上の色気感じちゃう。

 

愛「あ、カリンじゃん!!ここで会うなんて奇遇だね!」

 

果林「ええ、ここのタピオカを飲みたくてね……そちらの男性は??」

 

急に振られて動揺してしまう。この果林という女性は髪をかきあげながら俺との距離を縮めてくる。やばいやばいこんな美人に近寄られたことないから耐性ついてないって!俺のことは気にしないでガールズトーク楽しんでください。

 

愛「あ、この人は同じクラスで愛さんの隣の席のジュンジュン!!今日はジュンジュンの奢りでここに来たんだぁ♪」

 

おいせめてちゃんと名前で紹介してくれ。何だよ隣の席のジュンジュンって。アニメの題名みたいじゃん。もう愛さんだから慣れけどさ!

ここはしっかり俺が自己紹介しないとな。

 

「は、はじめまして……な、夏目準太でしゅ。」

 

はい、噛みました。もうやだ帰りたい。

 

果林「ふふっ、緊張してるの??私はあなたと同じ学校の3年生、朝香果林よ。愛とは一緒にスクールアイドルをやってるわ。よろしくね、準太♪」

 

さすが先輩余裕ある。しかもこの人スクールアイドルやってんの??え、ファンになるしかないじゃん。ていうか下の名前でもう呼ぶとか…愛さんの周りはフレンドリーな人が多いようだ。

 

愛「カリンってスタイル抜群でしょ♪」

 

「うん、最高。」

 

愛「即答っ?!」

 

いやだって最高だもん。何者よこの人。高校生ながら大人の魅力凄すぎる。あと胸が……

 

果林「あらあら、どこを見てるのかしら??」

 

愛「……ジュンジュン??」

 

痛い!視線がすっごく痛いよ!!てか愛さんにこんな冷たい視線向けられたの初めてなんだけど…中々キツイな。

 

果林「お邪魔だったかしら??じゃあ私はここで失礼するわね。愛、また練習でね♪」

 

そう言うと朝香さんは席を外した。残ったのは俺と珍しくムスッとしている愛さんとふたり……えぇ何でムスッてしてんの。

 

愛「ジュンジュン、カリンにデレデレし過ぎ。」

 

「いや、美人さんだったから……」

 

愛「ふ〜〜ん??美人さんだからねぇ〜……」

 

「何だよ……愛さん妬いてるみたいな顔してるぞ。」

 

愛「べ、別にそんなんじゃないし!!///何言ってるのジュンジュン!」

 

「いや分かってるから。そんなムキになんなよ…」

 

愛「も、もうお昼だよ!!ほら、お昼食べに行こっ!!」

 

そう言うと愛さんは席をたち店を出ていこうとする……俺を置いて。

 

「え、ちょっと待てって!俺まだ飲み終わったないし!」

 

愛「お腹すいたなぁ〜、何奢ってもらおうかな〜♪」

 

「俺の話を聞いてくれ!!てか今なんて言った??お昼も奢るの俺?!」

 

愛「愛さんお肉食べたいかも〜♪」

 

「納得出来ないけど俺が悪かったから!許してくれ〜!!」

 

なんか傍から見ると彼女を怒らせて弁明しようとする彼氏みたいじゃん。俺が何をしたと言うんだよ……

お昼安いとこ誘導し「ジュンジュン??」はい、ちゃんとお店を選びに行きましょう。



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第14話

愛さんに休日駆り出されてから時間が経ち、、少しずつ気温が暑くなってきた。それだけじゃなくジメジメし始めるし嫌だなぁ……

そう思いながら教室に入ると待ってましたと言わんばかりに愛さんが詰め寄ってきた。……近い近い朝からしんどいから。

 

愛「ジュンジュン!いよいよだね!!」

 

「……何がだよ。」

 

愛「もう!そろそろあれがあるじゃん!」

 

「だから何だよ、やけに興奮してるな。」

 

愛「そりゃそうだよ!球技大会が始まるよ!」

 

「あーー…そういやそろそろだな。」

 

球技大会。その名の通り球技で全学年全クラス混同で試合をして優勝を狙う高校のイベントだ。まぁ優勝したからって何か貰える訳では無いがクラスの団結力とか楽しむことを目的としているのではないだろうか。

 

愛「愛さん燃えてきた〜〜!!!」

 

隣で異様にテンションが高い彼女は楽しみにしていたらしい。まぁ運動好きそうだもんね。…待って、勉強もできる上に運動もお手の物ってどんだけスペック高いんだよ。

 

「愛さんはもう出る種目決めたのか??」

 

愛「ううん、まだだよ!どれに出ても楽しみだけどね!」

 

「そりゃそうでしょうね。」

 

愛「ジュンジュンは??」

 

「俺もまだだ。まぁ楽な競技出ようかな。」

 

愛「あはは、ジュンジュンらしいね♪」

 

「おいどういう意味だ。」

 

先生「ほら席につけ、今日は球技大会の種目を決めるぞ。」

 

こうして球技大会の種目決めが始まった。

競技はサッカー、バスケ、ソフトボールの3種目だ。この中から各々出たい競技に出て人数を合わせるという感じだ。まぁ俺はソフトボールで適当にバット振っとこうかな…今年はこれで決まりだな。

 

クラスメイトA「うしっ、今年は夏目と同じクラスだ!バスケは優勝だな!」

 

……はい??

 

クラスメイトB「とりあえず、準太はバスケで決定…っと」

 

おいこら何決定してんだよ。

 

クラスメイトC「夏目くん、今年も頼んだよ!!」

 

頼まれても困るんですけど?!?!

 

「ちょ、おい待てって!何で勝手に決まってんだよ!」

 

クラスメイトA「そりゃだって……」

 

クラスメイトB「何でって言われてもな……」

 

クラスメイトC「だって夏目くん……」

 

クラス全員「最強のバスケットマンじゃん。」

 

愛「えぇ〜?!ジュンジュンそうだったの?!」

 

「……中学までやってただけだ。だから別に今は「はいはい!!愛さんもバスケにする!!」……あのぉ〜。」

 

愛さんが立候補した瞬間クラス全員がおぉ〜!!と拍手喝采をする。もう嫌なんて言えない雰囲気じゃん。

ちなみにこの学校は男女で試合に出れるのが特徴的だ。男子はこの競技、女子はこの競技と決められているのではなく自由に自分が出たい種目に出れることが出来る。それ故に今隣で手を挙げて自己主張をされている女の子がいるわけで……

 

愛「そんなにジュンジュンがバスケ上手いなら愛さんも一緒にやりたい!!これはもうテンアゲっしょ!!」

 

「いや、愛さん運動できるなら他の種目に言った方が……」

 

俺がそう言うとクラスメイトがこのふたりがいるならバスケはもらっただのダブルエースだの言いたい放題言いやがる。君ら自分の出る種目考えたらどうなの??

 

愛「いやぁそれにしてもジュンジュンがバスケやってたのはびっくりだったなぁ〜」

 

「何でだよ、別に意外じゃないだろ。」

 

愛「だってさぁ、ジュンジュン身長そんなに高く……って痛い痛い!!ごめんごめん!!許してよぉ〜!!」

 

愛さんが言うのも無理はない。俺の身長は168cmだしな……だからと言って愛さんの発言は許さない。

 

クラスメイトA「宮下さん、夏目は中学時代多くの強豪校に勝つほどの実力を持ってたんだよ。」

 

愛「えぇぇマジ?!?!ジュンジュン凄いじゃん!!」

 

「中学の話だ。だから「燃えてきたぁぁ!!!」ねぇ聞いてよ!!」

 

こうして俺に選択権などなく、強制的にバスケに出ることになってしまった……しかも愛さんと。

 

愛「もっと球技大会楽しみになってきた〜!!絶対勝とうね!!」

 

「まぁやるだけのことはしよう。」

 

愛「ジュンジュン意外と楽しみにしてたりして??」

 

「1日授業がないなんて最高だろ。」

 

愛「あはは、素直じゃないねぇ〜」

 



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第15話

夜、部屋でくつろいでいるとスマホが鳴り確認すると画面に宮下愛と出ていた。……寝てて気づかなかったと言って出ないでおこう。

そう考えて放置しているとスマホは止まるどころか鳴り止まない。嘘でしょやめるという選択肢ないの??

 

「……なんだよ。」

 

愛「あ、やっと出たぁ!!!今何してるの??」

 

「勉強。」

 

愛「あはは、何嘘言ってんのさ!ジュンジュンが勉強する訳ないじゃんっ♪」

 

なんて失礼なことを言う子なんだ。俺だって勉強する時はするぞ…しないけどさ。

 

「そんで、何だよこんな時間に。ずっと鳴り止まなくて怖かったぞ。」

 

愛「ごめんごめん!!でもジュンジュンこれくらいしないと何か言い訳して出なかったとか言いそうだから。」

 

見破られてた。何で分かんの??しっかり予想されて焦るんだけど。

 

「特に用ないなら切るぞ。」

 

愛「あー待って待って!次の休み予定ある??」

 

「ある。」

 

愛「うん、ないね!!良かったぁ〜♪」

 

「あるって言ってんじゃん!!いつも暇とか思ってんのかよ全く……部活の練習があるから空いてないぞ。」

 

愛「え??でも弓道部の子が午前の練習だけって言ってたよ??」

 

「おいまさか練習終わったらとか言うんじゃないだろうな。」

 

愛「その通り!!察しがいいねぇ〜。」

 

「嫌な予感しかしない。」

 

愛「そんな事ないって!その日愛さんとバスケしようよ!ジュンジュンの腕前を拝見します!」

 

「部活終わってからも運動しなきゃいけないのかよ。やだよめんどっちー。」

 

愛「そう言わずにさ〜♪じゃあ部活終わりそうな時間に迎えに行くから、逃げないでね!」

 

「えぇ……拒否権は??」

 

愛「ない!!!」

 

「何でこうも強引なのかね…分かったよ。でも少しだけな??」

 

愛「そうこなくっちゃ!じゃあまたねっ!」

 

ぷつっと電話が切れた。まるで嵐のように去っていったな……てか最近俺愛さんに振り回される率高くない??

しかも学校ではこんな俺たちを見てカップル認定されたり理想のカップルランキングにランクインされたり……何勝手にカップルにされてんだよ冗談じゃない。

 

「そういや愛さん色んな部活に助っ人してるとか言ってたなぁ。折角だしどれほどのものか見てみるか。」

 

愛さんとのバスケ当日。部活が終わり帰り支度をしているとーー

 

愛「ジュンジュン〜!!!迎えに来たよ〜!!」

 

来ましたよ元気に顔を出して手を振る俺の隣の席の女の子が。そんな大声出さないで!みんな見てるから!!

 

部長「準太、あんたいつの間にあの子とそんな仲に……」

 

「違います、誤解です。」

 

部長「いやいや、わざわざ弓道場に迎えに来るなんてもう彼女でしょ??」

 

「違いますって。この後バスケに連れてかれるんですよ。」

 

部長「……へぇ〜〜。」

 

「バスケするだけですって!!だからそんなニヤニヤして見ないでください!」

 

部長「まぁそれは冗談として…あの子達になんて言うつもり??」

 

部長がそう言って道場内を見渡す。そこには愛さんと俺を交互に見ながら困惑したり怒ったりしてる後輩女子部員がいた。…え、どしたのみんな。

 

部長「あの子達あなたのファンなんだから、そりゃ彼女が来たら嫉妬するわよね。」

 

「だから彼女じゃないって!!」

 

愛「ジュンジュン早く〜!!愛さん早くしたいよ〜!!」

 

その言葉にその場にいる全員が凍りついた。バスケするだけだから。言葉がないとこんなに誤解される意味になっちゃうんだね、日本語って難しい。

 

愛「ジュンジュン待ちきれないよぉ!早く〜!!」

 

「分かったから!!言葉に"バスケを"と付け足してくれぇ!!!」

 

周りの痛い視線から逃げるように愛さんを引っ張って道場を出る。後で部長に誤解を解いてもらお。

 

愛「どうしたの??そんな顔真っ赤にして……愛さんが迎えに来たの嬉しかったのかな〜??」

 

「マジで黙っててくれ。」



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第16話

愛さんと来たのは子供も遊んでいる少し大きめの公園だった。バスケのコートは幸い空いておりすぐに出来そうだ。

公園に着くとさっそくそれぞれストレッチをして体をほぐす。

てかバスケなんてこういう機会しかやらないから久しぶりだなぁ。

 

愛「ジュンジュン、2人でもストレッチしようよ!」

 

「え、別にいいじゃん1人で。」

 

愛「せっかくだしやろうよ!!ソロでストレッチもそろそろ終わり!なんてね♪」

 

「くそ暑かったけど今ので一気に涼しくなったわありがとう。」

 

愛「それ褒めてんの?!」

 

しょーがないなぁと言いながら前屈をしていた俺に近づいていきなり背中を押してきた。

痛い痛い!!そんな押すなよそんな前倒れないっつの!!

 

愛「ジュンジュン結構硬いねぇ〜普段柔軟してないでしょ??」

 

「そんな機会なんてないからな……って少しは力弱めろよ容赦ないなおい!」

 

愛「大丈夫大丈夫!!すぐ柔らかくなるから♪」

 

そんなすぐに柔らかくなるなら苦労しねぇよ……てか背中に柔らかい感触するんだけど。え、待ってこれあれだよね??

 

愛「ほらほら!ジュンジュン息吸って〜!吐いて〜!!」

 

本人は気づいていないみたいだ。言うべきなのか男のロマンを楽しむべきか……愛さんすごいよ何とは言わないけど。

 

「な、なぁ愛さん。あのさ……」

 

愛「ん??どうしたのジュンジュン、顔真っ赤だよ??」

 

「いや…ちょっと距離近くないかなぁって。」

 

愛「そりゃこれくらいしないと柔軟出来ないじゃん!」

 

「そうなんだけどさ……密着し過ぎと言うか。」

 

愛「密着??……あ。」

 

どうやらお気づきになったようだ。

 

愛「あ、あはは……愛さんったら全然気づかなかったよ///」

 

「……とりあえず離れてくれ。もう柔軟も十分だろ。」

 

愛「そ、そうだね…とか言ってジュンジュン堪能してたでしょ??」

 

「はぁ??そんな訳…」

 

あります。最高でした何とは言いません。

 

愛「顔がものを言ってるよぉ〜やらしいなぁジュンジュン♪」

 

「さーバスケバスケ久々だなー楽しみだなー」

 

愛「はいはい、楽しみだね〜…あ、ちょっと待って!!」

 

そう言うと愛さんは何やらカバンから小さな箱を取り出した。バスケに使うものではなさそうだけど、なんなんだ一体??

 

愛「ジュンジュンお昼何も持ってないでしょ??今日お弁当持ってきたから先に食べよっ!!」

 

正直驚いた。俺がお昼食えないのを分かってわざわざ作ってくれたのかよ。普通に嬉しい感動。

 

「え、いいのか??」

 

愛「勿論!!愛さんが手によりをかけて作った愛妻弁当だよ!愛だけに♪」

 

「それ言いたかっただけだろ。つか妻じゃねえし、それ言うなら隣の席弁当だろ。」

 

愛「だっさ!ネーミングセンスなさすぎっしょ!!」

 

「やかましい!変なこと言う愛さんが悪いんだろ!!」

 

愛「愛さんの所為?!ジュンジュン人の所為にするのは良くないよ〜」

 

「何か俺が悪いみたいになってんじゃん……解せんのだけど。」

 

愛「もう少しネーミングセンス磨こうね♪ほらほら、早くお弁当食べよ!」

 

愛さんはさらっと失礼なことを言いながらお弁当の箱を開けた。そこにはThe和食と言わんばかりに和食料理が詰められていた。……これぬか漬け??

 

愛「これはおばーちゃんのぬか漬けだよ!凄い美味しいんだぁ♪」

 

「おばあさんが作ったのか。……めちゃ美味い。」

 

愛「でしょ?!愛さんのおばーちゃんは料理上手なんだから!」

 

「他のやつもおばあさんが??」

 

愛「やだなぁ、他はちゃんと愛さんが作ってきたよ!食べてみて!」

 

マジかよ他のやつ愛さん作ったのか……見た目は凄い美味しそうだけど味は如何に。

 

「めちゃくちゃ美味い。」

 

愛「やった!!!作ったかいがあったよ♪」

 

「あぁ、これからもずっと作って欲しいくらいだ。」

 

愛「……へ??///」

 

あ、やばい料理に感動し過ぎて口走ってしまった気がする……告白みたいじゃんこれ。

 

愛「え、えっと…それって、やっぱり…///」

 

「悪い、変なことを言った。それくらい美味いってことだ。」

 

愛「だ、だよね!!急に言われてびっくりしたじゃん///」

 

最近思うのだが、この類の話になると愛さんは汐らしくなるみたいだ。普段の彼女を見ている分こんなギャップがあると拍子抜けをしてしまう。耐性がなさそうなのだが彼氏はいたことないのか??まぁこういう話するとまた動揺しちゃうかもだし言わないけどさ。

 

愛「どんどん食べてね!!まだ沢山あるから!」

 

「え、これでも中々量あるんだけど。」

 

 



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第17話

いつもたくさんの感想と応援ありがとうございます!
皆様のその言葉があるからこそもっと書いて楽しんでもらいたいと思えてます!
これからもどうぞよろしくお願いします!


愛「あ〜お腹いっぱい♪」

 

「ま、マジでお腹いっぱい……動けん。」

 

愛「えぇ?!これからバスケするのに?!」

 

「少し休ませてくれ……お願いします。」

 

愛さんの具だくさん弁当を完食して今に至ります。想像以上にあって我ながらよく食べたものだ。よくこの量作ったよな……

 

愛「そういえば弓道部って大会いつあるの??」

 

「来月だな。これが先輩たちの最後の大会になるなぁ。」

 

愛「そっかそっか。じゃあジュンジュンも頑張らないとね♪」

 

「おう。少しでも部活を長くやって欲しいからな。」

 

愛「よし!じゃあ愛さんは応援に行きますか!」

 

「……え??」

 

愛「だってジュンジュンが出る試合見たいもん!全力で応援するね!」

 

「全力でやめてくれ。」

 

愛「なんでぇ?!いいじゃん!またたくさん連れて応援行くよ!」

 

「尚更やめてくれ。」

 

そんな事したらどうなるか容易に想像がつく。また俺の恥ずかしい思い出ができてしまうではないか。

しばらく愛さんと話していると満腹感も薄れて動けるようになってきた。吐かない程度にやらねば。

 

愛「じゃあ1on1やろっ!愛さん全力でいくよ〜!!」

 

「よく食べたばっかで全力やろうとするよな、すげぇわ。」

 

愛「ジュンジュンがだらしないだけだよ!ほらやるよっ!」

 

絶対違う。あなたがおかしいだけ。みんなもそう思うよね??…そう思ってくれ。

 

「じゃあ先愛さんからでいいよ、俺は守備するから。さーさどっからでもかかってこい。」

 

愛「いいねぇ〜そんな事言われると余計熱くなるよ!じゃあお言葉に甘えて……それっ!」

 

そう言うと同時に愛さんはいきなり抜こうとする。流石運動部の助っ人頼まれるだけあって身体能力が良い。いや、良いってもんじゃない。初心者とは思えない動きをしてくる。

 

愛「今のかわせないのかぁ……じゃあこれならどうだ!」

 

すぐに愛さんはドライブをして抜こうとする。え、ほんとに初心者だよね??その辺の経験者なら抜かれてるよこれ。

 

「ねぇほんとに初心者??」

 

愛「バスケ部の助っ人はしたことあるけど、あんまり経験はしたことないから一応初心者かな??」

 

「少しかじったって動きじゃないぞ。」

 

愛「あはは、経験者に言われると嬉しいねぇ……もらった!!」

 

俺の隙をついて愛さんが抜いた。普通なら止めれずこのままゴールを奪われてしまう……大抵の選手なら。

 

「ほい、残念っ。」

 

愛「えぇ?!今のとめられるの?!」

 

「動きは中々のもんだけどな。相手が悪かったな。」

 

愛「こんな悪い顔するジュンジュン初めて見る…次は愛さんが止めてみせるからね!」

 

ボールを奪われたことで攻守交替。久々に触るバスケットボールの感触に懐かしさを感じながら攻撃に入る。

おぉさすが…いいディフェンスするじゃん。中々隙がない。

 

愛「ほらほら、ジュンジュン!ドリブルしてるだけじゃゴール狙えないよ♪」

 

「うっせぇ分かってるって。すぐ抜いてやる。」

 

隙ないなら作るだけ。俺はドリブルで愛さんの横を抜こうとする。するとすかさず愛さんが反応しディフェンスをした……しかし

 

「愛さん隙あり。」

 

愛「え?!」

 

愛さんがディフェンスに移ったタイミングでスピードを上げ突破。俺の勝ちになった。

 

愛「え、何今の?!完全に捉えたと思ったのに一瞬で抜かれた!!」

 

「チェンジオブペースってやつ。久々にやったけど成功して良かったわ。」

 

愛「悔しい〜〜!!もう1回やろ?!」

 

「別にいいけど…これいつまでやるの??」

 

愛「勝つまで!!」

 

「えぇ……」

 

それ結構やらん??だって俺も手を抜くつもりないし仮に愛さんが勝ったら今度は俺がリベンジしたくなるし…一生終わらんやん。

その後何回も1on1を繰り返し俺が勝ったり愛さんが勝ったりのエンドレス。気づくと周りに子供やら高校生やら多くの人が俺たちの対戦を見ていた。

 

愛「はぁ…はぁ……こんなに疲れたの久しぶりだな…」

 

「はぁ…はぁ…あなた疲れ知らなさそうだもんな…」

 

愛「よし、次で最後ね!!負けたらアイスを奢る!」

 

「また賭けかよ!!絶対負けねえから。」

 

そして最後の1on1。ここで驚いたのは愛さんのずば抜けた成長ぶりだ。俺に突破されたら学習し、次同じことをしたらしっかり対応してくるのだ。

 

「じゃあいくぞ……!!」

 

俺はロールターンをして素早く愛さんを抜き、そのままジャンプシュート。

 

愛「させないよっ!!!」

 

これに反応した愛さんは今日一のスピードで俺の正面に移動してブロックする。さすが愛さん心底恐れ入るよ。

 

「……でも残念。アイスはスイカバーね。」

 

愛「え、嘘っ?!何そのシュート!!」

 

俺がしたのはフェイドアウェイ。斜め後ろに飛びながらシュートをすることで相手の手に触れさせない技だ。愛さんの健闘も虚しく最後の勝負は俺の勝ちだ。

 

愛「あ〜!!!絶対ブロック出来たと思ったのにぃ!!」

 

「残念残念♪でもまぁ…正直愛さんが追いついてきたのは驚いたよ。さすが天才だな。」

 

愛「そんな風に言われるのは嬉しいけど…やっぱり悔しい!またやろうね!」

 

「やだよめんどくさい。」

 

お互い感想を言い合っていたら周りから歓声が聴こえる。振り向くとこの勝負を見ていた人達が俺たちに拍手を送っていた。

え、待ってこんなに見られてたの??恥ずかしいんだけど。

 

愛「あ、あはは…勝負に夢中で気づかなかったね。でもこんなバスケ上手いジュンジュンと一緒にやれるなんて余計楽しみだよ!!絶対勝とうね!」

 

「やるからには優勝するぞ。てか周りが見えないくらい集中してたって……ゾーン入れんじゃね??」

 

愛「エナドリ??」

 

「違う。あとスイカバーな。」

 




長文になってしまいました、、
いよいよ球技大会突入です!
はたして準太と愛さんのバスケチームは優勝できるのでしょうか!
次回をお楽しみに!


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第18話

愛「ジュ、ジュンジュン……愛さんは……」

 

「何だよ一体……」

 

愛「バスケが……したいです……。」

 

「何名シーン言ってんだよ。つーかこれからバスケするだろうが。」

 

愛「あはは!!愛さんこれ一度言って見たかったんだぁ♪」

 

教室に入って席に着くなり愛さんが泣きそうな顔してるから何を言うかと思えば……心配して損した。

今日は球技大会。学校に着くとどこも活気盛んでいつも大人しそうな生徒も心做しかテンションが高い。愛さんが沢山いるみたいで見るだけで疲れる。

うちのクラスなんて円陣組んだり写真撮ったり楽しそうだ。おい俺も混ぜろ。

 

愛「あ、ジュンジュンちょっといい??」

 

「何だよ、また何かの名言言うのかよ。」

 

愛さんに声をかけられ振り向くとスマホを片手に肩を寄せてきてた。

待って近い近い心の準備出来てないよ?!

 

「あ、愛さんちょっと待って…「はい、チーズ!!」…あ。」

 

俺の制止も聞かず押されたシャッター。画面には笑顔の愛さんと驚いている表情をした俺が写っていた。

 

愛「ジュンジュン何その顔!!」

「だから待てって言ったんだよ!!話を聞け!」

 

愛「あはは、ごめんごめん♪じゃあもう1回……」

 

「てかなんで今??撮るなら帰りとかでいいじゃん。」

 

愛「だってジュンジュン知らないうちに帰ってそうだったもん。だから今撮ったの♪」

 

しっかり俺の行動を読んでやがる。1日運動して疲れてんのに写真とか無理。集合写真とか勘弁して欲しいなぁ…早く帰らせて欲しい。

 

愛「って今考えてるでしょ??」

 

「怖いから当てにくるのやめて。マジで今の焦った。」

 

愛「愛さんはジュンジュンのそういう考え分かっちゃうんだよね〜♪ほら、もっかい写真撮ろ??」

 

「…逆らっても無駄っぽいしな。」

 

愛「その通り♪はい、じゃー2枚目ね!!」

 

クラスメイト「(早く付き合えよほんと……)」

 

その後軽くHRを終えそれぞれグラウンドに向かう。ほぼ強制にバスケをすることになったが久しぶりに大勢でバスケするのが楽しみに思っている。

隣では愛さんが友達とお互いの試合時間の確認とか写真を撮る約束をしている。てかこのシーンさっきから何回見てんだろ。友達多すぎ俺にも作り方教えてくれ。

 

俺たちの最初の相手は3年生であった。この虹ヶ咲学園のバスケ部は強豪校として名を馳せており、案の定相手も部員や経験者を参加させているらしい。

3年生を見ていると1人顔見知りの人がいた。

 

部長「げっ……いきなり準太となの??私ついてないなぁ…」

 

「お手柔らかによろしくお願いします。」

 

部長「それはこっちのセリフよ!!私のチームにも経験者がいるけど準太を抑えれるかどうか…」

 

「自分のチームメイト信じてあげてくださいよ。ここのバスケ部強いんですから。」

 

部長「まぁそうなんだけどね…全力でいくわよ??」

 

「こっちも手加減しないですよ。徹底的に叩きのめします。」

 

部長「やる気満々じゃない。」

 

愛「ジュンジュン〜〜!!そろそろ始まるよ〜!!」

 

部長「ほら、あなたの可愛い彼女が呼んでるわよ。」

 

「だから違うっつの。」

 

愛さんに呼ばれ味方チームにいくと全員早く試合をしたいと言いたげな顔をしている。いいねぇうちのチームメイトは頼もしいな。相手を見るとうちのチームにバスケ部がいないのを知って余裕そうな笑みを見せている……部長以外。

 

愛「いよいよだね、ジュンジュン!!」

 

「いつも以上にテンション高いな。」

 

愛「そりゃ楽しみにしてたんだもん!まずは一勝!」

 

「そうだな。大差つけて負かしてやろうぜ。」

 

チームメイトA「あの2人がいるだけで凄い心強いよな…俺らも頑張るぞ!」

 

チームメイトB「うん!!愛ちゃん達のサポートしなきゃね!」

 

チームメイトC「絶対私たちが優勝するもんね!」

 

「何言ってんだ。お前らにも活躍してもらうからな。」

 

チームメイトB「え??でも……」

 

「別に経験者じゃないから遠慮するとかすんなよ。どんどんパス出してくからな。」

 

チームメイトA「俺たちも攻めていいのか??」

 

「……全員でやらなきゃ楽しくないじゃん。」

 

愛「そうだよ!みんなで楽しもうよっ♪」

 

チームメイト「「「……うん!!」」」

 

愛「ジュンジュン良いこと言うじゃん!!このこの〜♪」

 

「うるさいからかうなボール触らせないぞ。」

 

愛「それ相手が言うセリフじゃん!!」

 

こうして俺たちの第1試合が始まった。周りにはクラスメイトや部活の後輩、そして愛さんの友達や彼女の所属している同好会であろう女の子たちも見に来ていた。……予想以上に見に来るじゃん。みんな他のところ行こうよ。

 

愛「よしみんなっ!!さあ、いこーか!!」

 

「……次は○道さんなのな。」



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第19話

この小説で愛さんのこと考えすぎて職場の先輩に愛さんと言ってしまった……恥ずかしかった、、
オンオフ切り替え大事って事を痛感しました笑

ではどうぞ!


大勢が見守る中の俺たちの第1試合はーーー

 

「残念、これはパスなんだなー」

 

3年生「なっ……またフェイクかよ!!」

 

愛「ジュンジュンナイスパス!!それっ!」

 

3年生「なんて連携しやがる……こんなに手も足も出ないなんて。」

 

部長「ただでさえ準太を抑えるのに精一杯なのに彼女ちゃんもやっかいなんて…本当に容赦しないわねあの子。」

 

「だから彼女じゃないっつの…っと!!」

 

チームメイトB「夏目くんナイスシュート!!」

 

圧勝しています。手は弛めません。最初こそ勢いがあった3年生だが俺たちの攻撃に圧倒され今は意気消沈って感じ…部長ごめんね。

俺と愛さんが攻めると自ずと相手は俺たちをマークする。その隙を狙ってチームメイトに パスをしてゴールを狙ってもらう。この攻撃に手も足も出なかったのだ。

試合終了のホイッスルが鳴るまで徹底的に攻めて俺たちは勝利に終わった。

 

愛「やったねジュンジュン!!勝ったよ〜!!」

 

「おう、お疲れ様。」

 

愛「こういう時くらいはしゃぎなよ〜♪」

 

「そんなの俺じゃない。」

 

愛「ほんと素直じゃないねぇ〜♪」

 

部長「2人ともお疲れ様。私たちの完敗ね…」

 

「すみません、容赦しませんでした。」

 

部長「いいわよ、去年もこんなんだったしね。それにしても2人の息ピッタリだったわよ……ほんとに付き合ってないの??」

 

愛「へっ?!///」

 

「愛さん落ち着け。」

 

部長「ふふっ、これは何かありそうね…。準太、その子泣かせるんじゃないわよ??」

 

何か付き合ったばかりで知り合いに報告した時に言われるようなセリフ言われたんだけど……愛さん否定してくれよなんでまた汐らしくなってんのさ。

次の試合は同じコートで行われるようで、どうやら愛さんのお友達が次の相手らしい。まぁ誰でも負けるつもりないけどね!!

 

「次の相手は誰なんだ??」

 

愛「せっつーが相手だよ!燃えてくるねぇ!!」

 

「……せっつー??」

 

愛「あ、えっと……生徒会長だよ!!」

 

生徒会長ってせっつーって呼ばれてんのか。てかそんな名前だっけ??少なくとも話したことはないがそんなフレンドリーに話せる相手じゃなかった気がする。…あれ、ほんとに名前なんだっけ??

 

せつ菜「愛さん、次はよろしくお願いします!!」

 

横から声をかけられ振り向くと生徒会長が立っていた…あれ、こんなテンション高い人だっけ??

 

愛「うん!!愛さん負けないよぉ!!」

 

せつ菜「夏目くんも、よろしくお願いします!」

 

「なんで俺の名前知ってんだ…」

 

せつ菜「私は全校生徒の顔と名前は覚えてますので!それに夏目くんの事は愛さんから「わぁ〜!!!ストップストップ!!」」

 

慌てた愛さんが口を塞ぐ。何俺悪口でも言われてんの??凹むよ??

 

「……覚えてもらえて嬉しいです、せっつーさん。」

 

せつ菜「いえいえ、これくらい……ってえぇぇぇ?!どうして今名前を?!」

 

せっつーと呼んだら何故か動揺をする生徒会長。だって本名知らないし…え、なんか不味いこと言った??

 

愛「だ、大丈夫だよ。ジュンジュン生徒会長と優木せつ菜が同一人物ってこと知らないから。」

 

せつ菜「そ、そうですか…ならこちらが動揺するのはかえって危険ですね。」

 

2人でコソコソと小声で話していて何を言っているのか聞き取れない。俺せっつーさんって言わない方がいいの??じゃあなんて言えばいいんだよ…あ、生徒会長か。

 

せつ菜「ご心配お掛けしました!夏目くん…いえ準太さん!次の試合ひねり潰しますよ!!」

 

……待って、今この子なんて言った??ひねり潰す??まさかとは思うがあのキャラのセリフ言ってんじゃないよな。

 

せつ菜「あなたのプレイは○峰そのものと聞いています!なので私も全力でいきます!!」

 

もう絶対○子のバスケじゃん。おいおい見方も敵もセリフ言いたがる人なのかよ勘弁してくれ。

 

愛「じゃあせっつー、また後でね!!」

 

せつ菜「はい!!……あ、2人とも!!」

 

愛・準太「「??」」

 

せつ菜「絶対は私です!!!」

 

言っちゃったよ。そのセリフ生徒会長が言うと無駄に説得力あるからやめて欲しい。次の試合色々と疲れそうだな……

 

愛「愛さん達を倒すつもりなら死ぬ気で練習してこいっ!!」

 

「張り合うな、しかもこれから本番な??」

 

こうして俺たちのクセの強い第2試合目が始まるーーー



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第20話

お気に入りが50人になりました!!たくさんの方に気に入って頂けて嬉しい限りです!!
まだまだイベント提案お待ちしております!

それではどうぞ!


球技大会第2試合目、コートに行くと既に相手チームは揃っていた。

せっつーさん…生徒会長は普段の髪型ではなくポニーテールになっており、眼鏡を外していのだか…どっかで見たことある顔なんだよなぁ。

 

せつ菜「待ってましたよ!!今すぐやりましょう!」

 

「落ち着けよ、まだ開始まで時間あるしチームで作戦とか考えてなよ。」

 

せつ菜「既に終わってます!後は試合を待つのみ!!」

 

なんてハイテンションなんだ。まるで相手チームに愛さんがいるかのようだ。えぇ絶対やだ。

 

愛「ちっす!せっつーさっきぶり♪この試合は愛さん達が勝たせてもらうよ〜??」

 

せつ菜「なんの!!勝つのは私達です!生徒会長を討つなど……100年早いです!!」

 

頂きました名言。だからあなたが言うと説得力あるからやめて欲しい。

とはいえ1試合目を勝ったチームだ、本気でやらないと足元すくわれるな。

 

「よし、じゃあみんな行くぞ〜」

 

チームメイト全員「おー!!!!」

 

こうして第2試合が始まった。最初のボールはこちらが制し、難なく2点を取る。さて、生徒会長チームはどう動くかな??そう考えているとボールが放物線を描いて宙に浮かんでいた。そしてそのボールは……

 

せつ菜「点を取られてもすぐ取り返せます!なぜなら私のボールは……落ちません!!」

 

「へぶっっ!?!?」

 

俺の頭に落下しました。

 

愛「ちょ、ジュンジュン大丈夫?!」

 

せつ菜「す、すすすすみません!!!お怪我はございませんか?!」

 

大丈夫なわけないだろ!!あんな高い地点から落下したバスケットボールだぞ?!まじで意識飛ぶかと思ったわ!!

 

「敵で言うこともなんだか…高弾道スリーは禁止しよう。」

 

せつ菜「は、はい……」

 

この生徒会長さっきの言動といい技といい…まさかアニメの技出してくるんじゃないよな??まじで気をつけないと。

 

「切り替えるぞ〜、もっかいゴール決めて点差広げるぞ。」

 

愛「愛さんに任せなさい!!ジュンジュンパス!」

 

言われるがまま愛さんにパスを出すと難なくシュートを入れてくれる。なんて頼もしい隣の席の子。

 

せつ菜「ここからです!!私たちの実力見せてあげましょう!」

 

もはやチームというより生徒会長が独走している状態になっている。もうあなたがボール持つと怖いんだけど……

 

せつ菜「今の空気を変えるのはこれしかありません!!いきますっ!」

 

掛け声と同時にボールを両手で掴みジャンプした……嫌な予感するけどブロックしとくか。

 

「悪いけど点は入れさせ「フルパワーで叩き込んでやります!!」…おい嘘だろ。」

 

まさかまさかの生徒会長、シュートではなくダンクをしようとしている。あなたそんな背ないよね??絶対届かないから。それにもう俺の身に不幸が訪れるカウントダウン始まってる気がする。

 

せつ菜「トールハンマー!!!!!」

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!」

 

愛「ジュンジュン?!?!?!」

 

皆さんお察しの通り○原の技をゴールではなく俺の頭に叩き込まれました。本日2度目の生徒会長による攻撃。俺今日で死ぬんかな??

 

せつ菜「すみませんすみません!!!!私としたことが……」

 

「トールハンマー禁止。」

 

せつ菜「はい。」

 

愛「ね、ねぇジュンジュンほんとに大丈夫??少し休んだ方が……」

 

チームメイトA「そ、そうだぞ!その間俺たちができる限りゴールを守ってみせるから!」

 

「ありがとう。でも大丈夫、もし俺が倒れたら…骨は拾ってくれ。」

 

愛「倒れる前提なの?!」

 

いやまじであの生徒会長危険人物過ぎる。あなたの身体能力なかなかのもんだよ??でもカラフルな髪色したアニメキャラの真似はダメだと思うんだ。

しばらく生徒会長は目立った動きをすることも無く普通に試合は進んだ。その間俺はもちろん、愛さんやチームメイトも点を取っていき点差は広がっていった。

 

「なんとか無事終わりそうだな。」

 

愛「でもさっきからせっつーぶつぶつ言ってて様子がおかしいんだよね。具合が悪いのかな??」

 

愛さんがそう言って生徒会長を見ると確かに様子がおかしい。技を禁止されて落ち込んでるのかな…でもあれは危険だからダメだよ。

そして試合は進んでいき時間も残りわずかとなった。点差をつけたおかげで抑えれば無事に勝てそうだが最後まで全力で相手をする。

 

せつ菜「悔しいですが私たちの負けのようです…しかし!!」

 

生徒会長はそう言うとまた1人こちらに切り込み、ジャンプをした…え、トールハンマー禁止だよ??

また何かしらの技を出しそうな気がしたので被害を最小限にする為俺がブロックを仕掛ける。

 

せつ菜「このシュートで一矢報います!!」

 

「何する気だよ今度は?!」

 

生徒会長は両手で掴んだボールを徐々に片手で持ち、ゴールを狙っている。え、まさかまたダンク??

 

せつ菜「これが豪の技とされる無敵のシュート!!!」

 

……おいおいおい嘘だろ。

 

せつ菜「メテオジャム!!!」

 

そう言って生徒会長がゴール目掛けて投げつけたボールは……

 

「あぁぁぁぁぁ!!!!」

 

愛「ジュンジュンーーーー?!?!?!」

 

またしても俺の頭に叩きつけられました。本日3度目俺の事嫌いなの??

そう思うのを最後に意識が途切れた。

この試合は生徒会長がメテオジャムをした時点でタイムアップしており、無事に俺たちのチームの勝利に終わった。…いや、無事ではないな。俺1人を除いてだな。

 

せつ菜「わ、私はなんて事を……。」

 

愛「あ、あはは……これはある意味ジュンジュンの天敵になったね。」



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第21話

生徒会長に殺されかけた試合を終え、お昼の時間となった。マジで助かった、続けて試合があったらやれる気しなかった。ここの生徒はクセが強すぎる。

 

「さてさて、購買行って昼飯買ってこようかな。」

 

愛「あ、ジュンジュン待って!!購買行くの??」

 

「おう。昼飯ないからな。」

 

愛「だよね!というわけでまたまた"愛さん弁当"を持ってきました〜♪」

 

え、まじこの子神なのか??てかなんだよ愛さん弁当って……

愛さんはカバンからまた大きな弁当箱を取り出して俺に見せる。これ持って学校来たのかよ…てかどうやってカバンの中入れてたの??四次元ポケットなの??

 

「本来なら遠慮するとこだが…ご厚意に甘えさせてもらいます。」

 

愛「珍しくジュンジュンが素直!じゃー行こっか♪」

 

「え、ここで食べるんじゃないの??」

 

愛「うん!りなりーと食べる約束してたから!」

 

出ましたよりなりーさん。まじで知らないから会うの躊躇するんだけど……俺ここで食べちゃダメ??

 

愛「っとジュンジュンは考えている!」

 

「心を読むなっての。」

 

愛「それくらい分かるって!せっかくだし一緒に行こうよ!」

 

少し…いや、かなり嫌々ながら愛さんについて行き、りなりーさんの元へ向かう。愛さんが来たと思ったら隣に知らん男いるじゃんとかならないかなぁ不安だなぁ。

愛さんと一緒に中庭に行くと1人の少女が座って待っていた。

雰囲気から予想すると…1年生かな??

 

愛「りなりーお待たせー!」

 

璃奈「ううん、全然待ってないから大丈夫だよ。」

 

振り向いた彼女はとても可愛らしい顔をしていた。小柄でピンク色の髪をした彼女は無表情で愛さんに答えていた。

 

璃奈「隣の男性は夏目さんだよね??」

 

愛「そう!ジュンジュンだよ!」

 

おい、りなりーさんがちゃんと苗字で聞いてるんだから苗字で返せよ。てかなんで知ってたの。愛さん俺の事何話してんの怖い。

 

愛「ジュンジュン実はりなりーと会ってるんだよ??ほら、屋上でお昼食べた時に。」

 

屋上??お昼??確か強引に愛さんに引っ張られて屋上で食べた時に同好会のメンバーいたが…え、もしかして絵文字書いてあるスケッチブックを顔にかざしてた子??

 

璃奈「久しぶり。この前は璃奈ちゃんボードをしてたから多分顔見てないと思う…天王寺璃奈です。改めてよろしく。」

 

「お、おう…夏目準太だ。よろしくな、えっと……りなりーさん??」

 

璃奈「……璃奈でいいよ。」

 

訂正されました。俺も呼びずらかったから良かった。

 

愛「今日はジュンジュンも一緒にお昼食べたいって言って連れてきたんだけどよかった??」

 

璃奈「うん、大丈夫だよ。」

 

何勝手に話変えてんだよ。違うじゃん、教室で食べたいって言ったじゃん。今日は弁当持ってきてくれたからノーコメントにするけど。

 

愛「りなりーは次試合はあるの??」

 

璃奈「お昼終わったらすぐにある。でも動けるか不安……璃奈ちゃんボード『しゅん』」

 

そう言って璃奈ちゃんはスケッチブックに書いてある顔文字を顔にかざす。

あ、屋上で見ましたねこの子。感情を絵文字にして表情の代わりにしているのか。

 

愛「大丈夫!!お昼食べたら元気一杯になるよきっと♪」

 

そう言って愛さんは両腕を曲げて元気アピールをする。みんなあなたの様にいかないんですよ。つーかなんでそんなに元気なの??結構運動したよ??これお昼食べたらどうなるのあなた。

 

璃奈「……そうだといいな。」

 

「……無理しない程度に動けばいい。きっとチームメイトが璃奈ちゃんのフォローしてくれると思うから。無理して頑張らなくていいさ。」

 

璃奈「う、うん…ありがとう///璃奈ちゃんボード『照れ照れ』」

 

「……おう。」

 

そう言うと俺の手は無意識に璃奈ちゃんの頭に乗せていた。え、俺何してんの??

 

「わ、悪い!!」

 

璃奈「べ、別にいいよ……」

 

あれだな、この子見てると妹みたいに感じちゃうんだ。そりゃ撫でたくなるよね、きっとみんなそう!!

 

愛「愛さんにもこれくらい優しくしてくれればいいのに〜」

 

「いや愛さんこういうのしたらダメでしょ。また変な噂が出来てしまう。」

 

愛「噂??」

 

「いや、なんでもない。」

 

どうやら愛さんは知らないようだ。意外とこういう噂は知らないもんなんだな。てっきりもう彼女の耳にも入っているもんかと思ってた。

 

愛「変なジュンジュン♪あ、じゃあこの後りなりー応援しにいこうよ!愛さんたちの試合はしばらく後みたいだから!」

 

璃奈「来てくれるの??璃奈ちゃんボード『わくわく』」

 

「まぁ他にやることないしな、いいぞ。」

 

璃奈「あ、ありがとう……///」

 

そう言ってスケッチブックから少し顔を出して言う璃奈ちゃん。え、可愛過ぎない??うん、妹にしたい。

 

愛「決まりだねっ!!じゃあこの後動くためにもたくさん食べようね♪」

 

「吐く気しかしない。」

 

この後3人でお昼を食べたのだが前回と同じくえげつない量を食べて元気になるどころかお昼の時間しばらく動けないでいた。……美味しかったけどさ!!




璃奈ちゃん登場しました!
璃奈ちゃんボードを表現するの難しい……もっと工夫出来たらいいな。


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第22話

お昼も食べ終わり俺たちは璃奈ちゃんが試合をするコートまで来た。対戦相手は……2年生か。見た感じ体育会系チームだな。璃奈ちゃんを見ると無表情ではいるが緊張しているのが何となくだが分かる。

 

 「緊張しているのか。」

 

璃奈「う、うん…少しだけ。」

 

愛「りなりー大丈夫だよ!リラックスリラックス!」

 

 「リラックスできないから困ってんだろ。その緊張感のなさ分けてやれ。」

 

愛「愛さんに任せなさい!…って、なんで試合にでないジュンジュンが緊張しているの??」

 

嘘なんでばれたの。結構ポーカーフェイス出来てたつもりだったんだけど。なんかお昼に話してから璃奈ちゃんが妹みたいにしかみれないんだよなぁ。こんな可愛い妹が試合に出るんだから誰だって緊張するだろ!はい、俺は馬鹿です。

 

璃奈「夏目さんも緊張しているの??」

 

 「ま、まぁ知り合いが出る試合だからどうも落ち着かなくてな…あはは。」

 

上手い、我ながらそれっぽいこと言って誤魔化せた。

 

璃奈「変なの…ふふっ」

 

その時初めて無表情な彼女が笑顔になったのを見た。普段あまり見れないであろうその笑顔に不覚にもドキッとしてしまった。

 

璃奈「ふたりのお陰で少し楽になった気がする…行ってくるね。」

 

愛「うん!!りなりー頑張ってね!」

 

 「いってこい。」

 

璃奈ちゃんはさっきまでの固さはなく、その足取りは軽くなっているように思えた。よかった、緊張がなくなったみたいで。

 

愛「なんかジュンジュン、りなりーに甘々な気がする。」

 

 「気のせいだ。」

 

愛「……ふーん??」

 

 「おいなんでそんな目で俺を見る。愛さん怖いぞ。」

 

愛「別に~??ほら、りなりーの応援するよっ。」

 

おいおいなんかご機嫌斜めになっちゃったよ。いつもの笑顔はどうしたんですか。女心分かんねぇぇぇ。

 

愛「はぁ…なんで愛さんあんな態度しちゃったんだろ。」

 

 「なんか言ったか??」

 

愛「ジュンジュンはどあほうって言ったの!!」

 

 「理不尽すぎる…」

 

こうして璃奈ちゃんの試合が始まったのだが…相手チームがすごい。熱血男女がそろっておりひとつひとつの動きがうるさい。ただでさえ気温は高いのにここのコートだけもっと高くなってる気がする。絶対当たりたくない。

 

璃奈「はぁ…はぁ…」

 

そんな連中を相手に璃奈ちゃんは一生懸命動いていた。あの小さな体ではるかに自分より大きい相手に挑んでいたのだ。やばい、涙出そう。

 

愛「りなりー頑張れぇ!!ホークアイを使お!!愛だけに♪」

 

 「それ言いたいだけだろ!…もうちょいまともなアドバイスしてあげて。」

 

愛さんに突っ込んでいるとコートから歓声が聞こえ、見ると璃奈ちゃんが相手を振り切りゴールへ向かっていた。そしてそのままゴールを決めて点を取った…しかし。

 

璃奈「あっ…!!」

 

愛「りなりー!!」

 

ゴールを決めたと同時に転んでしまった。周りもタイムアウトを取って璃奈ちゃんに心配の声を掛けるが…

 

璃奈「だ、大丈夫…続けよ。」

 

璃奈ちゃんはそう言うと立ち上がり、試合続行を促す。普通ならしばらく動きたくないだろうに…チームに心配かけさせたくなかったのか。

 

愛「りなりー大丈夫かな…」

 

 「心配は試合が終わってからしてやれ。今はあの子がそうまでして続けようとするこの試合を見届けてやろう。」

 

愛「そんなこと言って、ジュンジュン凄い心配そうな顔してるじゃん♪」

 

 「…うっせ。」

 

俺たちが見守る中試合は熱血チームの勝利となった。しかしそれでも璃奈ちゃんのチームは最後まで諦めず戦っていた。この球技大会で初めて感動した試合かもしれない。まぁ俺が相手したチームがろくでもなかっただけだけど。

 

愛「りなりーお疲れ様!!すっごくかっこよかったよ!!愛さん感動しちゃったぁ♪」

 

璃奈「ありがとう。でも、負けちゃった。」

 

 「…怪我したとこは??」

 

璃奈「え…??」

 

 「怪我したの隠すなよ。愛さん、医務室行くぞ。」

 

愛「うんっ!!早く手当しないとね!」

 

璃奈ちゃんを連れて俺たちは医務室に行って怪我の手当てをした。幸い大したことのない傷で済んだが早く処置が出来てよかった。

 

 「……お疲れ様。かっこよかったぞ。」

 

璃奈「…でも、勝てなかった…」

 

愛「りなりーかっこよかったよ!!敵は愛さん達がとる!」

 

璃奈「愛さん…」

 

 「まぁそういうことだ…よく頑張ったな。」

 

璃奈「……ありがとう///」

 

無表情ながら照れているのが伝わる。あぁいいなぁこんな妹が欲しかった。

 

愛「ジュンジュンデレデレしない!!試合行くよ!」

 

「してないわ!!」

 

その後俺達のチームの試合時間になり、順調に勝ち進み次の相手があの熱血チームになった。あぁ暑いなぁ嫌だなぁ……

 

「さて、さっさと勝って決勝戦だ。」

 

愛「さぁ、ガンガン行こーか!!」

 

「好きだねそのセリフ。」



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第23話

ーー璃奈視点ーー

 

医務室から出て愛さん達の試合があるコートに向かうと既に愛さん達が圧勝していた。すごい、私達があんなに苦戦していた相手が手も足も出てないなんて……

愛さんがスポーツ出来るのは知ってたけど、夏目さんの動きがずば抜けている。自分でゴールも決めてるけど味方にもパスを出してゴールを狙う連携プレイがとても上手い。

 

璃奈「……かっこいい。」

 

自然と口から言葉が出てきた。それほど彼のプレイは人を惹きつける。

 

「お前ら暑すぎなんだよ!愛さんのダジャレでも聞いて少しはその熱冷ませ!」

 

愛「ちょっとジュンジュンそれどういう意味?!」

 

相手は疲弊仕切っているのに愛さんたちから疲れが見えない。むしろずっと活き活きとしている……ほんとにこのまま優勝するんじゃないか。

いつも愛さんから話を聞いていると夏目さんは毎日振り回されていると思っていたけど、バスケでは夏目さんが愛さんを引っ張っているのが何か面白い。

 

璃奈「…2人とも頑張れ。」

 

 

ーー準太視点ーー

 

熱血チームとの試合は無事うちが勝利して終わった。あいつらガムシャラに突っ込んでくるからすげーやりにくかった…

 

愛「ジュンジュンお疲れ〜!!いよいよ次は決勝だね!」

 

「お疲れ。もう次の相手は普通の相手であって欲しい。」

 

愛「え〜クセがある方が楽しいじゃん♪」

 

「冗談じゃない。」

 

ただでさえうちのチームに凄いのいるのに相手もそんなのがいるとか勘弁して欲しい。でもなんだかんだ次で最後か…もうちょっとやりたかった。

 

璃奈「愛さん、お疲れ様。」

 

愛「りなりーありがとう!!愛さん頑張ったよ〜!」

 

休憩をしていると璃奈ちゃんに声をかけられた。この子に労われると疲れ吹っ飛んじゃう。やっぱ妹にしたい。

 

璃奈「……準太さんもお疲れ様。かっこよかった。」

 

「へ??……お、おう。ありがとな。」

 

不意に名前で呼ばれて動揺してしまった。あれ、さっきまで夏目さんだったよね??どうしたの一体…嬉しいけど。

 

愛「りなりーが男の人を名前で呼ぶなんて珍しいね〜」

 

璃奈「……そんなことないよ。」

 

へぇ珍しいんだ。それはなかなかレアなんじゃないかこれ??

 

愛「ジュンジュンだらしない顔しない!」

 

「してないっつの!!……もう時間だぞ、コート行こうぜ。」

 

 

球技大会決勝戦。決勝戦なだけあって既に自分たちの試合が終わった生徒がコートを取り囲んでいた。……めちゃいない??

 

愛「うわぁ人がいっぱい!!!愛さん燃えてきた〜!!」

 

「ずっと燃えてんじゃん。まぁ決勝だし分かるけどさ…」

 

愛「絶対勝ってみんなに優勝を届けようね!!」

 

「……そうだな。」

 

せっかく決勝まできたんだ。やっぱ優勝したいよな……

さて、最後の相手はーーー

 

彼方「お〜〜、愛ちゃんだ〜。」

 

果林「久しぶりね準太。まさかあなたと勝負することになるなんてね。」

 

はい、愛さん所属の同好会メンバーが相手でした。どうしよ、また何かありそうで怖いんだけど……

 

愛「カナちゃんにカリンじゃん!!これはテンアゲっしょ!!」

 

「テンアゲは愛さんだけ。えぇ普通に試合したいなぁ…」

 

果林「あら、変な試合は私達はしないわよ??正々堂々と勝たせてもらうわ。」

 

「その言葉信じますよ。それなら心置き無く優勝貰いますね。」

 

彼方「彼方ちゃんも負けないよ〜??愛ちゃん達を捻り潰しちゃうよ〜。」

 

おいおいもう出ちゃってるよ。そんな穏やかな声と口調でそのセリフ言わないでくれる??怖いから、まじで怖いから。

 

愛「みんな今日はやる気十分って感じだね!!」

 

「こんなやる気いらない。」

 

なんで同好会の人達はセリフ言いたがるのかな??また生徒会長の時みたいな試合になるのか。

お願いだから普通に試合をさせてくれ………



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第24話

決勝戦、○子のバスケのセリフを言う相手チームに不安を抱き臨んだ試合だったが……

 

果林「これは防げるかしら??」

 

愛「は、早い!?」

 

彼方「彼方ちゃんもいくよ〜…それっ。」

 

チームメイトA「う、上手い…!」

 

ちゃんとバスケが出来ている。むしろ今までのチームより遥かに手強い。こりゃ少し手こずるかな……

 

愛「みんなここからだよ〜!愛さんが点を取って流れをこっちに…」

 

果林「そんな簡単にやらせないわよ♪」

 

愛さんが攻めようとするも朝香さんに取られてしまう。この人が特に要注意人物だ。その細い体でよくあんな動きが出来るもんだ。

 

愛「悔しい〜!!まさかカットされるなんて…!」

 

果林「ふふっ、私に勝てるのは私だけよ??」

 

あんたもかよ。どうしてこうも○セキの世代のセリフ言いたがるのかなぁ、、

やりにくいなぁ嫌だなぁ……

 

「おしゃべりし過ぎっすよっと……」

 

果林「うそっ、いつの間に…!!」

 

素早く朝香さんのボールをスティールし、ゴールへ向かう。そう簡単に流れ持ってかれてたまるかってのー。

しかし俺がボールを持った瞬間敵陣は素早く俺をマークしてきた。

 

「まさか3人も相手することになるとはな……」

 

彼方「君のプレイは見ていたからね〜。ちょっと可哀想だけど容赦しないよ〜。」

 

朝香「悪いけどあなたにシュートはさせないわよ。」

 

まぁ揃いも揃って立ちはだかってくる。しっかり俺の攻略法考えてたのか…仕方ない、あれやるか。

 

「先輩方には悪いけど、退いてもらうよ。」

 

果林「ふふっ、3人もディフェンスしているのにどうやって退かせるのかしら??」

 

「こうやってですよ…!!」

 

俺が右に抜こうと素振りをすると相手も反応を見てすかさず足が右に傾く。その瞬間俺は左へ切り返す……そうすると。

 

彼方「わわっ…!!」

 

果林「え……!?」

 

俺についていた3人はバランスを崩し倒れ込んだ。その場にいる全員が何が起きたのか分かっておらず、唖然としている。これはあれだね、あのセリフ言った方がいいよね??

 

「言ったはずだ…絶対は俺だと。」

 

愛「ジュンジュンそんなこと言ってないよ!それってもしかして○司の真似??」

 

「……この技決めたらこれくらい言いたくなるじゃん。」

 

彼方「まさかこんな技を隠してたなんて…彼方ちゃんびっくりだよ〜」

 

果林「な、何今のは?!」

 

「相手の足を崩す技……その名も「アンクルブレイク!!」俺に言わせて?!」

 

決めゼリフ言おうと思ったら外野の生徒会長に邪魔された。あんたさっきの試合で散々必殺技言ってたろ!!くそぉ見せ場を最後持ってかれた、、

 

愛「ジュンジュン凄いっ!!!なんで今まで隠してたの?!」

 

「球技大会で使うの気が引けたんだよ…あと目立ちたくなかった。」

 

愛「ジュンジュン、それはもう手遅れだよ。」

 

それから相手チームは余計俺をマークするようになった。その所為でチームメイトは俺にパスを出しにくくなっている。

 

「後輩相手にこのディフェンスはどうかと思うんですが…」

 

果林「先輩相手にあんなオフェンスするのもどうかと思うわよ??」

 

ぐうの音も出ない……でも試合時間は残りわずかだ。点差は勝っているもののこのままだとどうなるか分からない。

 

「悪いんですが追加点取らせてもらいますよ。」

 

俺はディフェンスをかわし、チームメイトからボールをもらいゴールを目指した。しかし……

 

彼方「これ以上点は取らせないよ〜」

 

果林「しばらく大人しくしてなさい!」

 

朝香さん達はすぐにゴール下へ戻り守りの体勢に入る。うへぇ大人気ない。さすがに点を取るのは難しそうだな……俺は。

 

「俺ばっかマークしてていいんですか??」

 

果林「えっ……??」

 

「うちには最強の選手がいるんですよ…!!」

 

そう、相手は俺に気を取られ忘れていた。俺の後ろに太陽のように明るいうちのチームメイトが何時でもパスが来るように準備していた事を。

 

「……愛!!!」

 

愛「待ってました〜♪」

 

ボールを受け取った彼女は相手が反応する前にレイアップを決めた。その瞬間周りからの大歓声が起き、この瞬間、流れはうちのチームにきた。

 

愛「ジュンジュンナイスパス♪そういえば今愛さんのこと愛って言った??」

 

「気の所為だ、言ってない。」

 

愛「あはは、そういう事にしておくね♪」

 

パンッと鳴った愛さんとのハイタッチにチームメイトも観戦していた生徒から再び歓声が起こる。普段なら気恥ずかしくてしないけどたまにするのもいいものだ。

そしてしっかりと相手の攻撃も抑えて試合終了のホイッスルが鳴った。

つまり、俺たちの……

 

愛「優勝だぁ〜〜!!!!」

 

「俺に言わせてくれぇぇぇ!!」

 

勝敗が決まった瞬間クラスメイトがコートに押し寄せてきて祝福をしてくれる。もう同じタイミングで話すからお祝いしてるのは分かるけど何言ってるか分かんねぇ。順番に言ってくれ全部聞きたいから!!

 

彼方「2人ともおめでとう〜♪とっても楽しかったよ〜」

 

果林「完敗ね、2人ともおめでとう…次は勝つからね??」

 

「いや朝香さんもう球技大会ないじゃん。」

 



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第25話

球技大会が終わった翌日、昨日あんなに動いたせいか全身筋肉痛になっていた。1日動いてたもんなぁ……しかも相手がろくな人いなかったし。

疲労も貯まっているのか頭もぼーっとして授業はほとんどうたた寝。その度に愛さんに起こされ、休み時間書けていなかった箇所を愛さんがノートを見せてくれた。

愛さんなかなか面倒見が良い。

 

愛「ジュンジュンだいぶ疲れてるねぇ〜、この後の部活大丈夫??」

 

「まぁ部活くらい大丈夫だろ……」

 

愛「無理しちゃダメだよ??何かあったら愛さんに任せなさい♪」

 

俺は夢を見ているのだろうか。いつも人を振り回して俺に休む暇を与えない愛さんが凄い優しく接してくれる。もうこれからその落ち着きをもって普段過ごしておくれ。

 

「じゃあ部活言ってくるわ…愛さんも練習だろ?頑張れよ。」

 

愛「うんっ!!また明日ね♪」

 

愛さんと別れてから弓道場へ向かい、いつも通り練習をする。しかし今日は調子が悪い。何度引いても中々的に当たらない。

 

部長「珍しいわね、あなたがそんなに外すなんて…調子でも悪い??」

 

「たまたまですよ、そのうち調子戻すんで大丈夫です。」

 

部長「ほんと準太って負けず嫌いよね。昨日の球技大会といい……」

 

「いやぁ部長もなかなか手強かったですよ〜」

 

部長「よく言うわよ、あんなボコボコにしといて…まぁ、ほんとに体調悪いなら早退しなさいよ??」

 

「……うっす。」

 

その後部活が終わり自主練に励んだがやはり当たらない。大会前なのにまずい……とりあえず今日は帰るか。

弓道場を空を見ると曇り空になっていた。雨降りそうだな……折り畳み傘持ってきてよかった。

校門を出ると見慣れたギャルがスマホをいじって立っていた。

 

「こんな時間まで何してんの??」

 

愛「あ、やっときた!!部活お疲れ様♪」

 

「おう、愛さんも…って、そんな事より何で俺待ってたの??愛さんしかいないっつーことは同好会の練習もとっくに終わってたろ。」

 

愛「まぁそうなんだけどね…ちょっとジュンジュンが心配でさ、、」

 

そんな事でずっとこの子待ってたのかよ……不覚にもドキってしちゃったじゃん。

 

「……ありがとな。」

 

愛「うんっ!!ほら、雨降りそうだし帰ろ♪愛さん傘持ってきてなかったんだよねぇ〜」

 

……ん??今のセリフ聞き逃さなかったぞ。もしかして、こいつ…

 

「……おい。」

 

愛「……てへっ♪」

 

このギャル傘ないから持ってる俺に入れてもらおうとして待ってたのかよ。さっきの感動返してくれよ……何がてへっ♪だ可愛いなおい。

 

愛「ごめんごめん!!でも心配だったのはホントだよ??今日明らかに元気なかったし、もし倒れたらって心配だったから愛さんは待ってました♪」

 

「……ほら、帰るぞ。」

 

もうそんな事言われたら何も言えなくなるじゃん。何か体もだるいしさっさと帰りたい。

 

愛「今日同好会でね、これからの事話してたんだけどさ……」

 

隣ではいつも通り愛さんトークが続いている。なんでこんな話のネタが尽きないのか気になって仕方ない。もうこれも俺の中で日常になってきており何も思わなくなってきている自分が怖い。

そう思っていると空がピカっと光り、雷鳴が響いた。

 

「結構デカかったな……早く家に帰った方が…愛さん??」

 

愛さんは俯きギュッと俺の服を引っ張っていた。しかしそれは一瞬の事ですぐにまた笑顔になりいつもの愛さんに戻った。

 

愛「い、いやぁ今のは大きかったね!!愛さんびっくり……きゃっ!!」

 

再び雷が鳴ると愛さんは俺に抱きついてきた。いつもの愛さんからは予想もしないそのギャップに驚いたと同時にまたドキッとしてしまった。

 

「…雷、怖いのか??」

 

愛「……あはは、情けないよね。」

 

なぜ情けないと思うのか俺には分からなかった。確かに愛さんは勉強も運動も出来て完璧な人と俺も思っている。しかし完璧な人には弱点はないと言うのは違うのではないか。

 

「……別に苦手なものがない人なんていないだろ。怖かったら甘えることも大事だ。」

 

愛「じ、じゃあ…少しこのままでいい??」

 

「いいぞ…愛さんの家はこの方向か??」

 

愛「へ??うん、そうだけど……」

 

「…送ってく。」

 

愛「え、でもジュンジュン体調が…」

 

「勝手に悪くさせるな、それに今日世話になった借りを返すだけ。」

 

愛「……ふふっ、じゃあお言葉に甘えようかな♪」

 

そうして愛さんにくっつかれながら家まで送ることになった。本来ならこのシュチュエーションは堪能するべきだろうが今の俺には余裕がない。それより愛さんの苦手なものを知って少し新鮮な気持ちになった。

愛さんに指示されながら歩いていくと商店街に入った。え、愛さんの家こんな賑やかな場所にあんのかよ。そりゃこんな元気になるわな。

 

愛「あ、ここが愛さん家だよ♪」

 

「…もんじゃ みやした??……え、つーことは…」

 

愛「そう!!うちのもんじゃすっごく美味しいから今度食べに来てよ!!」

 

「まぁそうだな。気が向いたら。」

 

愛「今度の休みで予約しとくね!」

 

「おい勝手に決めんなよ。」

 

愛「ごめんごめん♪…今日はありがと、愛さん凄く嬉しかったよ///」

 

俺をからかう表情から一変、愛さんは汐らしい顔をしてお礼を言ってくれた。何か今日の愛さんに凄いドキドキすんだけどなんだろ。

恋??……まさかな!!

「……気にすんな。じゃあまた明日……っ。」

そう言って愛さんと別れようした瞬間俺の意識は途切れた。

 

愛「え…ジュンジュン大丈夫?!ジュンジュン!!!」

 

 



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第26話

俺は病室にいた。見覚えのある何度も通った場所……なんで俺はここにいるんだ。そこには窓を眺めて穏やかな笑顔をしているひとりの少女がいた。

 

???「あれ、部活は終わったの??」

 

「あ、あぁ…今日はオフなんだ。」

 

???「そんな事言って抜け出してきたんでしょ??もう、私のことは気にしなくていいのに…でも、ありがとう♪」

 

そう言って笑うその顔はいつも俺を振り回す隣の席の子にそっくりだ。

気にするに決まってんだろ、だってお前はーーー

 

「っ!?!?……ここは??」

 

???「あっ、気がついたの??夢でうなされてたみたいだけど大丈夫??」

 

目覚めると見知らぬ天井をまず初めに見た。そして隣には見知らぬ女性が心配そうに顔を覗いていた……え、ほんとに誰??

 

愛「おねーちゃん、ジュンジュンの様子は……ジュンジュン!!体調大丈夫?!家の前で倒れちゃったから愛さん心配したんだよ??」

 

「えっと…ごめん。」

 

愛「ほんとだよ!!このまま起きないんじゃないのかなって…。」

 

???「ふふっ、愛ちゃんずっと不安がってたの。もう今にも泣きそうな顔して。」

 

愛「お、おねーちゃんやめて!!」

 

え、おねーちゃん??この人お姉さんいたのかよ…どっちかと言うと妹とか弟いそうだなって思ってた。

そんな事より俺はひとつ聞きたいことがあった。

 

「あの、どうして膝枕されてるんですか??」

 

???「愛ちゃんがご飯の準備するからって交代したの。嫌だった??」

 

どういう事だよ。何交代って…え、待って交代??ということは……

 

愛「あ、あああ愛さん飲み物持ってくるね!///」

 

俺の考えを察したのだろう、愛さんは風のように部屋から離れた。ねぇ逃げないで。俺この人と初見だからね??気まづいなぁ……

 

???「あ、そういえば名前を言ってなかったね。私は川本美里です。愛ちゃんは実の妹じゃないけど妹の様に思っているわ。」

 

「そ、そうなんすか…てっきり姉妹なのかと。」

 

美里「こうやって話さないとやっぱりそう思っちゃうよね。ジュンジュンくん、いつも愛ちゃんを支えてくれてありがとう。」

 

「あの、ジュンジュンくんって…。」

 

美里「だって愛ちゃんからジュンジュンって名前しか聞いてないから…そういえばお名前を聞いてなかったね。」

 

おいなんで名前を言ってくれないんだあの子は。え、まさか愛さんの周りの人俺の本名知らずにジュンジュンで通ってるんじゃない??えぇ嫌だ。

 

「…夏目準太です。この名前で好きな様に呼んでください。」

 

美里「じゃあ準太くんだねっ♪じゃあ改めて。準太くん、いつも愛ちゃんを支えてくれてありがとう。」

 

「別に…支えてないですよ。」

 

美里「そんな事ないわよ。あの子準太くんの話をする時いつもより楽しそうに話してくれて、悩んでた時も親身に話聞いてくれてたんでしょ??」

 

そんな事したっけ俺……ソロアイドルの事か??

 

美里「あの子自分のことより周りの事考えちゃう子だから、あまり自分の悩みを言わなかったの。でもそんな愛ちゃんにも悩みを言える人に出会えてホッとしたの。」

 

この人の話を聞いていると言わなくても伝わる。愛さんの事が大好きでどれだけ大切な存在なのかということを。血が繋がっていないからこそより強い絆で結ばれているのだろう。

 

「えと…お役に立てて何よりです。」

 

美里「ふふっ、愛ちゃんって学校でも凄く元気でしょ??」

 

元気どころではない。まじでどこからそのエネルギーが生まれるのか教えて欲しいくらいだよ。そう思う反面ひとつ、彼女に対して思うことが変わったことがある。

 

「そりゃもう毎日振り回されて散々ですよ……でも」

 

美里「でも??」

 

「そんな彼女と一緒にいる時間が長くて、いつの間にかそれが俺にとって心地良い時間にもなっちゃってるんですよね。ほんとにあの子はみんなもそうですけど、俺まで笑顔にしてくれる素敵な女の子です。」

 

 

ーー愛視点ーー

 

愛「ど、どんな話をしてるんだろ……」

 

愛さんは恥ずかしくなって部屋を出た後、2人の様子が気になってドア越しから聞き耳を立てていた。だって今更入れるような雰囲気じゃなかったもん!

 

愛「〜〜!!おねーちゃんそんなに話さないでよ……///」

 

部屋からおねーちゃんがジュンジュンの事を愛さんが話していることを本人に伝えていて顔が余計熱くなるのが分かる。でも愛さん、そんなにジュンジュンの事話してたんだ……

 

準太「そりゃもう毎日振り回されて散々ですよ」

 

その言葉を聞いて一瞬心に刃物が刺さる感覚に襲われる。もっと仲良くなりたいと思ってたくさん話しかけてたけどジュンジュンにとっては迷惑だったんだ。

 

愛「あはは…ジュンジュンそう思ってたんだ。」

 

もうこの場に居たくない。そう思い離れようとしたらジュンジュンから"でも"という言葉が聞こえ慌てて聞き耳をたてるとーーー

 

準太「そんな彼女と一緒にいる時間が長くて、いつの間にかそれが俺にとって心地良い時間にもなっちゃってるんですよね。ほんとにあの子はみんなもそうですけど、俺まで笑顔にしてくれる素敵な女の子です。」

 

その瞬間私の心がドクッと高鳴った。男の子から愛さんにこんな事言ってくれることがなかった。

そして愛さんは今まで違和感に感じていた気持ちがハッキリした。

 

愛「愛さん……ジュンジュンが好きなんだっ///」

 



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第27話

愛「ジュンジュンちっす!!!」

 

「おう、おはよ。」

 

愛「………♪♪」

 

「何ずっとニヤニヤしてこっち見てくんだよ、気味が悪いな。」

 

愛「ちょっと〜何でそんなこと言うのさ〜」

 

「…何なんだよ一体。」

 

愛さんの家にお邪魔してからやけに愛さんが近い。いや今までも近かったんだけど……

なんか違和感あるんだよな、どうしたのまじ。

 

愛「そういえばジュンジュンってスクールアイドルには興味無いの??」

 

「唐突だな。」

 

愛「だって気になったんだもん!でさ、どうなの??」

 

「……まぁ興味はなくはない。」

 

愛「なに〜??その微妙な返答。」

 

だって急すぎるもん。今まで聞いてこなかったくせにどうしたんだよ。

 

「愛さんがスクールアイドル始めてから見るようになったからあんま分かんないんだよ…」

 

愛「そっかそっかぁ〜…じゃあ今知ってるアイドルで推しはいるの??」

 

「さっきから質問ばっかだな……」

 

愛「もう気にしない気にしない!!で、どうなの??」

 

「……璃奈ちゃん」

 

そう言ったら愛さんに無言で頭を叩かれた。何でよ聞いたの自分じゃないか…納得いかねぇ。

 

教室に行くとクラスメイトが騒がしかった。それぞれ喜んだり悲しんだりしており状況が全く把握出来ない。

 

愛「ジュンジュン大変だよっ!!」

 

「何よ、そんな騒ぐことなの??」

 

愛「そりゃ騒ぐよ!だって……席替えがあるんだよ!」

 

席替え。これはみんな体験したことがあるのではないだろうか。このイベントは地味に盛り上がるもので後ろの席になったら天国、前の席になったら地獄とそれぞれ人によって当たり外れが違うのか面白い。

 

愛「もうこの机とはお別れなんだね……」

 

隣で愛さんは自分の座っている机を見てしみじみと呟いている……え、席替えってそんな重いもの??なんか気持ち卒業する生徒みたいだけど…

 

愛「ここでジュンジュンとお話して、ジュンジュンのお昼ごはんを食べて…全部懐かしいなぁ…」

 

お話は一方的だったし、全く俺の話聞かなかったじゃないか。え、おかず食べたの君だったのね??俺が一瞬席を外したらなくなってたからずっと不思議だったんだよ……

 

愛「短い時間だったけど、ジュンジュンありがとうね。」

 

「いつまでそんなお芝居してんだよ。」

 

愛「あはは、バレちった??」

 

「バレバレ、あとおかずの件後で話するぞ。」

 

愛「執念がすごい?!」

 

その後HRが始まりすぐに席替えとなった。この席になってから色々隣の女の子に振り回されて勘弁して欲しいと思ってたがこれから席が変わると思うと少し寂しいと思う自分も実はいたりする。

席替えはくじ引きで行われ、くじを引いたら黒板に指定された番号が新しい席と言うわけだ。

ちなみに俺の席はというとーーー

 

「お、窓際じゃん最高かよ。」

 

個人的に好きな窓際になった。ここは授業中も窓を眺めて退屈しないのが良いとこだ。ずっとこの席がいい。

 

愛「えーっと、愛さんの席はっと……あれ??」

 

隣からよく聞き覚えのある声がする。2年生になって初めての席で聞いたことのあるセリフ……おいまさか。

 

愛「ジュンジュンじゃんー!!!えぇまた隣?!愛さん感動だよ〜!!」

 

「嘘だろ何かの間違いだ。」

 

愛「ほら、愛さんの番号この席でしょ??ということは……えへへ♪」

 

「えへへじゃねぇよ、何この変わり映えのない隣の景色は。ちょっと席替え寂しいなと思ってた気持ち一気になくなったわ。」

 

愛「え、なになに?!ジュンジュン愛さんと離れると思って寂しかったの〜??」

 

「うるさいそんなんじゃない。」

 

愛「もうそんな事言っちゃってさぁ〜このこの♪」

 

「いちばん舞い上がってるの愛さんじゃねぇかよ。」

 

愛「え?!そ、そんな事ないよ!!愛さんジュンジュンと違って友達いるから他の子が隣でも良かったし!」

 

「ねぇさらっと心に刺さること言わないで悲しくなる。」

 

愛「あ、友達といえばこの前新作飲んだんだけどさ……」

 

「おい話を聞いてくれ!てかまたこの日常続くのかよ。」

 

愛「でさ??そしたら今度このお店が今話題みたいで……」

 

「聞けって言ってんだろぉぉぉぉ!!!」

 

こうして席替えは終わり、それぞれ新しい席で学校生活を送ることになった…俺以外は。

何で安定で隣なんだよこの人は……

 

愛「またよろしくね、ジュンジュン♪」



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第28話

部長「みんな揃ったね??じゃあ行くよ!!」

 

「「「はい!!!」」」

 

今日は弓道部の大会。俺にとっては2度目の、そして3年生にとっては最後の大会になる。この日のためにみんな練習に励み、どのメンバーで団体を迎えるのか考えてきた。正直負ける気がしない。

 

部長「準太、そんな気張らなくていいわよ。」

 

「別に気張ってないですいつも通りです。」

 

部長「でたでた意地っ張り……今日は頼むわよ。」

 

「そういう部長こそ、ちゃんと自分も頑張ってくださいよ??」

 

部長「言うよになったわね青二才のくせに。」

 

「1歳しか変わんねぇのに……」

 

この人たまーに年上ぶるんだよなぁ、年上だけど。でもこう言うやり取りももしかしたら最後……ってそんなの考えちゃダメだな。勝てばそんな心配いらない。

 

???「今日は珍しく緊張しているのですね、準太。」

 

「何で緊張してんの分かんだよ…」

 

???「ふふっ、どれほどあなたと付き合っていると思っているのです??」

 

「はいはい参りましたよ……久しぶりだな、海未。」

 

園田海未。今や人気のμ'sのメンバーであり、俺の幼なじみである。俺が弓道に興味を持ったのも彼女の大会を応援しに行ったことがきっかけだった。そんな彼女に憧れ高校では弓道に入った。……だから楽したかっただけの理由じゃないからね??ほんとだよ。

 

海未「お久しぶりです。あなたの事はよく聞いておりますよ、随分綺麗な射型であるとか。」

 

「そんな大層なもんじゃないよ。海未が引いている姿を参考にしてやってるだけ。」

 

海未「わ、私のを参考にしていたんですか!?そ、そうですかそうですか///」

 

「すぐ照れるのも相変わらず「ジュンジュン〜〜!!!」……え。」

 

海未と話していると横から俺を呼ぶ声が聞こえてくる。もう毎日聞くその子しか言わない呼び方とその太陽みたいに明るい笑顔と声……マジで来たのか。

 

愛「ちっす!!愛さん応援しに来た……って海未じゃん?!何でジュンジュンと話してるの?!」

 

「そんな驚くことないだろ……幼なじみなんだよ。」

 

愛 「………えぇぇぇぇぇ!?!?!?」

 

これでもかってくらいデカい声で驚いてくれる。やめて、そんな驚かないで!!みんな見てるから!!

 

海未「こんにちは、愛。準太と知り合いだったのですね。」

 

愛「うん!!愛さんと同じクラス…ってそれよりも!海未の幼なじみなの?!愛さん聞いてない!!」

 

「わざわざ言う必要ないだろ…てか俺も愛さんと海未が知り合いなの地味に驚いてんだけど。」

 

愛「お互いスクールアイドルだからねっ!この前も一緒にライブやったんだぁ♪」

 

あー確かにライブやってたって愛さん言ってたなぁ…あれなんで覚えてなかったんだろ。あぁそっか、ぼーっとしてたんだ。

 

海未「2人とも仲良くやっているのですね。微笑ましいですよ??」

 

「いや、別にそんな「うん!!愛さんたち大の仲良しだよ!」…おい。」

 

やけに仲良し主張してくるなこの子。そんな事よりまた部活説明会みたいな事にならないよな??周り確認しよ…よかった、それっぽい人いない。

 

愛「2人とも頑張ってね!!愛さん弓道の試合初めて見るから楽しみだなぁ♪

精一杯応援するからね!」

 

海未「はい、ありがとうございます!」

 

おいおい愛さんの精一杯って大丈夫なのか??…それに弓道の試合は野球とかサッカーみたいにデカい声で応援せず静かに見るものだ。あぁ不安になってきた。

愛さんの応援に不安を覚えながら俺の番が来た。会場は静寂に包まれ、これから始まる試合を静かに待っていた。……ただ1人を除いて。

 

愛「ジュンジュン〜〜!!!!ファイト〜〜!!!」

 

……うるせぇぇぇぇ。会場内が静かな分余計目立つっての。やめろ手を振るな叫ぶな。

 

愛「粉砕!玉砕!大喝采〜〜!!!」

 

おいどこでそんなセリフを覚えてきたんだよ。ていうか弓道で使わないだろそれ。そんな活き活きと言うとまじで○馬みたいだからやめて。

 

海未「あ、愛!!弓道の試合は静かに見るものですよっ!!」

 

愛「え、そうなの?!あはは……ごめんねぇ〜」

 

海未に注意されやっと静かになった。しかし愛さんがあれだけはしゃいだ事でさっきまで貼り詰められた緊張感は無くなり若干気まづい雰囲気に包まれてしまった。

……何してくれてるのあの子は。



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特別編ー宮下愛誕生日記念ー

愛ちゃんおめでとうぅぅぅ!!!
こんな明るくて面倒見が良い女の子周りにいて欲しい!

スクスタ何回引いても中々愛ちゃん出なくて悲しい、、

今回は準太と愛ちゃんのその後を書いてみました。
それではどうぞ!!


これは今からもう少し先のお話。とある休日、寝ていると奥からとてもいい匂いが漂ってきた。これは味噌汁の匂いか……そういえば朝食を食べる時間が最近なくてお昼までずっとお腹なってて恥ずかしかった。

そんな事を考えていると小さな足音が聞こえ、俺のお腹に思いっきし乗ってきた。

 

???「パパ起きてっ!!ご飯食べよ!」

 

「悪い…あともう少し寝かせてくれ、愛菜。」

 

この小さな女の子は俺の子供、夏目愛菜。いつも元気で好奇心旺盛、落ち着くことがないのはうちの嫁に似てしまったのだろう。

可愛い我が娘に抵抗していると愛菜の母親……つまり嫁がなかなか起きてこない俺の様子を見に来た。

 

愛「ありゃ〜、パパまだ起きてなかったのかぁ。仕方ない、愛さんに任せなさい!!」

 

そう言って愛さん…愛はなんの躊躇もなく俺の腹に乗っかってきた。ぐっ…!!無抵抗な人になんて事をするんだよ!!

 

愛「ほらジュンジュン起きな!!早くしないとご飯冷めちゃうよ??」

 

「わ、わかったから…すぐ起きるからどいてくれ…」

 

愛「むむっ、それは愛さんが重いと言っているのかな〜??」

 

「そんな事一言も言ってないだろ!!愛は相変わらずスタイル最高です!」

 

愛「愛だけにねっ!!もう、調子いいんだから///」

 

愛菜「愛だけにっ!」

 

高校の時と変わらず褒めるといつもの愛からは想像できない程汐らしくなる。耐性ってつかないもんだな。

 

愛「ほら、せっかく愛菜も起こしに来てくれたんだから早くご飯食べよ??」

 

「そうだな…よし、じゃあみんなで食べるか。」

 

愛「よしよしっ!じゃあ愛菜、リビングまで競走するよ!」

 

愛菜「うんっ!ママに負けないもん!」

 

そう言って2人は出ていった。家で走り回るなよ全く…ていうかひとりもう大人なのだからむしろ注意しろよ、何自分から誘ってんだよ。

 

「全く……ほんとに賑やかだな、我が家は。」

 

高校で隣の席になったことがきっかけで関わるようになり、そこから俺の人生でかけがえのない人になった女の子、宮下愛と俺は生涯を誓うパートナーになった。それまでに数え切れないほど振り回され、時には喧嘩もしたりと色々あったがお互いを支え合い、生きていくことを俺たちは約束した。そして俺と愛の大切な子供、愛菜も授かり今は3人で幸せに暮らしている。

今日は仕事がなく久々に3人で過ごせるのだが、俺は意図的に休日にしたのだ。なぜなら……

 

「今日は愛の誕生日なんだよな……」

 

そう、今日は愛の誕生日。毎年祝っているがその度に計画を練っておでかけをしていた。毎回考えているから愛にはお祝いしてくれるだけで嬉しいと言ってくれるのだが……やっぱちゃんとお祝いしたいじゃん??分かってくれるよね??

 

愛「あ、やっと来たぁ!!最近お仕事でなかなか食べる時間なかったけどやっと食べれるね♪」

 

「全くだ……こういう時しか食べれなくてごめんな。」

 

愛「いいのいいのっ!その代わり無理はしないでね??」

 

「もちろんだ。そうだ、今日3人で出かけるぞ。」

 

愛「おでかけ??別にいいけどどうして……あっ。」

 

「お誕生日おめでとう、いつもありがとうな。」

 

愛菜「ママおめでとう!!!」

 

愛「あ、ありがとう…またジュンジュン考えてくれてたんだ、愛さんすっごく嬉しいよ!!」

 

「せっかくの誕生日だしな…それに愛菜もおでかけしたがってたし。」

 

愛菜「パパ凄い悩んでたの♪」

 

「愛菜ちゃんおだまり。」

 

朝ごはんを食べ終え準備をして俺たちは家を出た。行き先は愛が3人で行きたがっていた水族館。そこで水槽にいる魚だけでなくイルカショーやアシカのショー等を見た。

 

愛「わぁ凄い!!イルカがあんなに賢いなんて愛さん知らなかったなぁ〜」

 

愛菜「イルカさんに触りたい!」

 

「気持ちは分かるがさすがにそういうコーナーはやってないだろうな……」

 

愛「あ、でも今からふれあい体験があるみたいだよ??」

 

「え、まじで?!行くぞ2人とも!」

 

愛菜「行く行く!!ママも早く!」

 

愛「あ、2人とも待って!!…もう、ジュンジュンがはしゃいでどうすんの。」

 

その後も夕方まで水族館を満喫した。愛菜はともかく愛さんもはしゃいであそこ行こうあそこ行こうが絶えなかった。もうヘトヘトだ……高校時代の俺よく相手に出来てたよな、まじで凄いと思う。

 

愛「あぁ楽しかったなぁ♪たくさん動いたからお腹空いちゃったな。」

 

「そりゃあんだけ走り回ってたらな…元気過ぎる。」

 

愛「ごめんごめんっ♪夕飯はどうするの??」

 

「実はもう決めているんだ。な、愛菜??」

 

愛菜「うんっ!ママきっと喜ぶよ!」

 

俺たちが来たお店は和食レストラン。洋食か和食、愛が喜ぶならどちらかと考えていたのだが愛は高校の時からベントは和食が多かった為、和食レストランにした。

 

愛「ん〜!!どれもこれも美味しかったなぁ♪愛さん幸せ……」

 

「喜んでもらえて何よりだよ。……そろそろかな??」

 

愛「え、なになに??何かあるの??」

 

愛が聞いてきた瞬間、俺たちの席に店員さんがサプライズケーキを持ってきてくれた。愛は状況が掴めておらず、空いた口が塞がらないでいた。

 

「……改めて、お誕生日おめでとう。これからもよろしくな、愛」

 

愛菜「ママおめでとうー!!」

 

愛「…ジュ、ジュンジュン!!!これってもしかして……」

 

「サプライズだよ、愛菜と考えてな。あとこれを愛に。」

 

愛「えっ……ピアスじゃん!凄い綺麗、ありがとう!!愛さん宝物にするねっ♪」

 

愛菜「ママ!愛菜ちゃんもこれ!」

 

愛「え!愛菜もくれるの?!……わぁ絵を描いてくれたんだ♪うんうん、愛菜は絵が上手だね!」

 

愛は俺と愛菜、そしてサプライズで出されたケーキを眺めてとても嬉しそうにしていた。よかった、喜んでもらえたみたいだ。

 

愛 「今年も最高の誕生日だったよ!!2人ともありがとっ♪」

 

「おう、喜んでもらえて何よりだよ。な、愛菜??」

 

愛菜「うんっ!!ママ大好き!」

 

愛「愛さんも愛菜が大好きだぞ〜??……もちろんジュンジュンもね♪愛してるよ、愛だけにっ♪」

 

「そのセリフ久々に聞いたわ。」

 

こうして愛の誕生日は無事に終えることが出来た。これからも俺たちはお互いを支え合い、こういうお祝い事を共有して幸せを築いていくのだろう。

いつもありがとう、"愛さん"

 



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第29話

愛さんの応援に一気に注目を浴びるとんでもない試合になったが無事予選を通過することが出来た。部長には強がったものの、正直気負いをしていた分彼女の声援のお陰で緊張がほぐれていた。

 

部長「みんなお疲れ様っ!本戦まで気を抜かずに明日からまた練習するよ!!」

 

「「「はいっ!!!」」」

 

こうして今日は解散となった。次は本戦、絶対負けるわけにはいかない。あいつの為にも俺は勝つ。そうじゃないとまた俺は同じ事を……

 

愛「わぁっ!!!」

 

「っ!?!?」

 

気づくと愛さんが目の前にいた。嘘だろ、全く気づかなかった。

愛さんは俺の驚いた顔を見てとても満足なさっている。マジで心臓に悪いからやめてくれ……

 

愛「びっくりした??なんかジュンジュン勝ったのに暗い顔をしていたから少し気持ちほぐそうと思ってさ♪」

 

「俺そんなに暗い顔していたか??」

 

愛「そりゃもう人生が終わったみたいな。」

 

「そこまで酷くないと思うんだけど……」

 

そっか、俺は愛さんに心配される程酷い顔をしていたみたいだな。こういう気持ちになっても愛さんの笑顔を見ると自然と暗い感情は消えるんだから凄いもんだよな。

 

愛「大会お疲れ様!!ジュンジュン全部当ててたねっ!やるじゃん♪」

 

「ありがと。まぁいつも通りに引けてよかったよ。……愛さんも○馬流の応援ありがとな。」

 

愛「ご、ごめんって!!てっきり声出して応援するものかと思ってさ。」

 

「いやまぁ期待通りな事してくれた訳だけど。」

 

愛「それ褒めてるの?!」

 

勿論褒めてますよ??あんな応援するの愛さんくらいだからな。それにしても最近愛さんはアニメの台詞にハマっているらしい。今度は○○ジョのネタでもやってきそうな勢いだな。

 

愛さんと話していると帰り支度を終えた海未に声を掛けられた。この子が引く時はほとんど会場内は人で溢れかえっており、彼女が引く度に場がザワついていた。

 

海未「準太、お疲れ様でした。とても良い射をしていましたね。」

 

「海未もお疲れ様。そう言ってもらえると嬉しいよ。相変わらず他の学校は海未を注目していて改めて流石だなって思ったよ。」

 

海未「皆さん買いかぶりすぎなだけですよ。それに、私は特別な事はしていませんし。」

 

「それがすげぇって言うんだよ。俺も負けてられないな。」

 

海未「ふふっ、本戦もお互い頑張りましょうね。」

 

「勿論だ。……次は絶対勝たなきゃいけないからな。」

 

愛「ジュンジュン……??」

 

海未「まさか……まだあの事を引きずっているのですか??」

 

海未は何故俺がここまで勝ちに執着しているのかを知っている。しかし愛さんはそれが分からない。それが故にさっきの俺の表情も引っかかっていたのだろう、隣で俺の事を心配した目で見てくれる。

 

「俺は次こそ1番になってあいつに伝えなきゃいけないんだ。」

 

海未「気持ちは分かりますが、それであなたは解放されるのですか??」

 

「分かんねぇ……でも確かなのは俺は負けるわけにはいかないことだ。」

 

愛「ち、ちょっと待って!さっきから何の話しているの??」

 

俺と海未の会話を聞いていた愛さんが割って入ってきた。その目にはさっきと同じ俺を心配する目と困惑が混じっていた。

 

海未「準太、愛には話してないのですか??」

 

「……そんな話すこともないだろ。」

 

海未「またひとりで抱え込んでいたのですかっ!誰かに頼ることも大切……」

 

「いい加減にしてくれっ!!!!!」

 

海未・愛「っ!?!?」

 

普段決して出さないくらい大きな声を聞いて海未と愛さんは驚きを隠せないでいた。愛さんはこんな俺を見たことがなかった為、特に驚愕の表情をしていた。

 

「海未には関係のないことだろ!何でそうやって頼んでもないのにアドバイスなんかして……」

 

海未「あなたがそれでずっと悩んでいるからではありませんかっ!?もうそんな準太を見たくありません!!」

 

愛「ち、ちょっと2人とも!!何の話をしているのか分かんないけど一旦落ち着こ…ね??」

 

ヒートアップしていた俺と海未を落ち着かせようと愛さんが止めに入ってくれた。周りを見ると何事かと多くの学生の視線を浴びていた。

 

「愛さんありがとう。……悪い、今日は帰るわ。」

 

愛「あ、ジュンジュン……!!」

 

「ごめん、今日はひとりでいたいんだ。」

 

そう言って俺は試合に勝った喜びなど忘れ帰った。あんなに大声出したのは久しぶりだったな……今度会ったら海未に謝らないとな。

 




少しシリアス入りますっ!!
何故準太は勝ちにこだわるのか、彼の過去に何があったのか……
そんな準太をこれから愛さんはどうするのか!

お楽しみにっ!!


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第30話

ーー愛視点ーー

 

ジュンジュンが帰った後、愛さんも海未もしばらく沈黙をしていた。

あんなジュンジュン初めて見た……

彼はいつも愛さんがすることに怒ったりすることがあるけどあんな本気で怒る事はなかった。だから余計さっきの彼の姿は愛さんの頭に強く残った。

 

愛「ねぇ海未…ジュンジュンは昔何かあったの??」

 

海未「……これは、私が言うことではありません。準太に直接聞いてください。」

 

愛「でも、あんなに触れて欲しくなさそうだったし話してくれるのかな、、??」

 

海未「それは分かりません。ですが……もしかしたら愛なら、彼の心を動かすことができるかもしれません。」

 

愛「え?!でも、愛さんにできるのかな??」

 

海未「何故だか分かりませんが、愛ならきっと、私には出来なかった事ができると思うんです。」

 

海未は愛さんを見て、静かに笑っていた。そう思ってくれるのは嬉しい。愛さんもあんなジュンジュンを見たくないからやれる事があればやりたい。でも、幼なじみの海未が出来なかったことを愛さんにできるのかな??

 

海未「準太の事が好きなんでしょ??」

 

愛「へ?!///ま、待ってよ!愛さん誰にも言って……あっ。」

 

海未「ふふっ、どうやら図星だったみたいですね。…彼のことをお願いします。」

 

海未はそう言って帰っていった。どうして愛さんの気持ち分かったんだろ、もしかして顔に出てたのかな……??

でも海未に言われたことで愛さんの中で不安だった事が決心へと変わった。

 

愛「絶対ジュンジュンの悩んでいること解決してみせるっ!!」

 

 

次の日学校に行くと、廊下が騒がしかった。何かあったとは思うけど、周りの反応を見ているとただ事ではなかった。

そう思っていたら友達が慌てて私の元へ駆けてきた。

 

友達「あ、愛ちゃん大変だよ!夏目くんが!」

 

愛「え!?ジュンジュンがどうかしたの??」

 

クラスメイト「バスケ部の主将と喧嘩してるの!!」

 

愛「……喧嘩?!」

 

その言葉に慌てて彼の元へ向かう。普段の彼なら喧嘩をするなんて絶対にない。何か余程のことがあったのだろう。ザワつく心を落ち着かせて教室に行くと、彼がバスケ部の主将の胸ぐらを掴んでいた。

 

準太「なんであんたまでそんな事言うんだよ!!もう部活でバスケはしないって中学の時言っただろ?!」

 

主将「俺はもう一度準太とバスケをしたいんだ!!それにお前がいつまでもそんな気持ちの方が沙絵ちゃんを悲しませるだけだ!」

 

準太「うるさい!!俺はあいつとの約束を守れなかった、だからバスケじゃなく別の事で1番を取ってる姿を見せてあげたいんだよ!」

 

沙絵と言う名前に思わず反応をしてしまう。初めて聞いた名前。愛さんの知らない女の子かな…??少し複雑な感情になってしまった。

愛さんがこんな気持ちになっている一方でジュンジュン達の口論は収まらず、このままだと不味いと思い、割って入った。

 

愛「ちょっとジュンジュン何してんの!!やめてっ、ストップストップ!!」

 

準太「あ、愛さん……。」

 

主将「…騒がせて悪かった。準太、いつでも待っているからな。」

 

準太「だから俺は弓道部入ってるっつーの!今さらバスケ部なんか「ジュンジュン!!」っ悪い…。」

 

止めに入ったことでお互い冷静になったみたいでバスケ部の主将さんは自分のクラスへ帰って行った。様子を見てた生徒たちもそれぞれのクラスに戻っていき、愛さんとジュンジュンも席に戻った。

 

準太「その……朝から迷惑かけてごめん。」

 

愛「ホントだよ。昨日から心配してたけど……。」

 

準太「……悪い。」

 

愛「ねぇ、お昼屋上で食べに行かない??」

 

準太「あんま気分乗らないしいいや。」

 

愛「そりゃ今のままなら気分良くならないよ。だから屋上行って少し気分転換しようよ、ね??」

 

準太「……分かった。」

 

愛さんの説得で彼も納得してくれたみたいで、屋上で食べることになった。お昼休みまで彼はいつもの様に授業を受けていたが心ここに在らずに思えた。

ほんとに心配だよ……

 

そして昼休み、彼と一緒に屋上へ行った。やはり昨日と今日の出来事を気にしているのだろう、ジュンジュンは何も喋らずただただ俯いている。愛さんはもうこんな苦しい顔をしている彼を見たくない。

以前愛さんが悩んでいた時に相談に乗ってくれて悩みを解決してくれたみたいに、今度は愛さんがジュンジュンの悩みを解決したいっ。

 

愛「愛さん、もうそんな苦しそうな顔をしているジュンジュン見たくない。だから、愛さんに教えて欲しいな……昔何があったのか。」

 

そう言うと彼は俯いて何も語ろうとはしなかったが、しばらくすると顔をこちらに向けて、口を開いた。

 

準太「どうしてだろうな、今まで自分から話すことはないと思っていたのに……何故か愛さんには聞いて欲しいと思ってしまう。」

 

愛「愛さんだからねっ♪……ジュンジュンがずっと抱えていた悩み、愛さんに話して??」

 

愛さんに話して欲しいと言ってくれたことがとても嬉しかった。愛さんが思っているみたいにジュンジュンも信頼してくれているのかなって思った。

だからこそ愛さんは君を支えたい。

だって……今までもこれからも出会うはずがない、愛さんの大切な人なんだもん。



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第31話

愛さんは俺が話すのを隣でじっと待っていてくれている。昨日から俺の様子をずっと心配してくれていたんだろうな……。

屋上へ来て外の空気を吸ったら少し気持ちが楽になった。

意を決して俺は愛さんに中学の話すことにした。

 

「俺には、沙絵って妹がいたんだ。」

 

愛「さっきバスケ部の主将が話してた子??それに"いた"って……。」

 

「ああ。沙絵は俺が中学の頃に亡くなったよ。」

 

愛「えっ……」

 

「小さい頃から病弱でな。入院、退院の繰り返しでまともに外で遊ぶことも出来なかったよ……そんな妹がいつも楽しみにしていたのは俺のバスケだった。」

 

沙絵はいつも俺がバスケしている姿を見てとても楽しそうだった。俺が出ている試合を見に来てくれたこともあった。俺のプレーを見て妹が元気になってくれるのが嬉しくてそれがバスケをする原動力となっていた。

 

 

ーー回想シーンーー

 

俺がバスケを始めたのは友達との遊びがきっかけだった。そこからバスケに夢中になり気づくと中学では全国から注目される選手になっていた。

沙絵はそんな俺をいつも誇りに思ってくれて俺の勝利報告を聞くと、とても喜んでくれていた。しかしその時には沙絵の容態は酷くなっており、自分で立つことも出来なくなっていた。

 

「沙絵、遊びに来たぞ。」

 

沙絵「お兄ちゃんっ!部活終わるの早かったね!!」

 

「お、おう!今日はすぐ終わったよ!」

 

沙絵「ホントはサボったんしょ??」

 

「……まーたまにはな。」

 

沙絵「ダメじゃん!!大会近いんでしょ??……今日私の調子が悪かったから来てくれたんでしょ。」

 

「そりゃあ大事な妹なんだからな。練習よりも最優先するさ。」

 

沙絵「気持ちは嬉しいけど、私のせいでお兄ちゃんがバスケに集中出来ないなんて嫌だよ。」

 

「……。」

 

沙絵「私は大丈夫だから、練習はちゃんと行って??お兄ちゃんに心配させないように私も元気になるから!」

 

そう言って沙絵は小さな小指を立てて俺に向けてくる。こんな妹の為にも俺はバスケで沙絵を元気にさせたかった。

 

「……分かったよ。必ず日本一になってやるからな。」

 

指切りで約束した事でより俺の勝ちたい思いは強くなった。

次の日からの練習は今まで以上に励み、調子は最高に良かった。

いける、これなら誰にも負けない、このチームで日本一になれる……

 

主将「準太、今日は絶好調みたいだな。」

 

「ありがとうございます。でも俺は常に絶好調ですよ。」

 

主将「こいつ言いやがる。今年は過去の中でもベストメンバーで試合に臨めるぞ。勝つぞ、○峰!!」

 

「せめてそこは名前を呼んで欲しかったんですが……」

 

主将の言う通り今年はうちのバスケ部の中で最強メンバーで大会に臨める。俺たちの中では優勝以外考えられなかった。

その日は自主練のため夜遅くまで残っていた。今よりもっと良いプレーが出来るようになって沙絵に見てもらいたい、俺の心は妹のことでいっぱいいっぱいだった。

自主練を終え、体育館を出ると見覚えのある女の子を見かけた。

 

「よう、お前もこんな時間まで練習か??海未。」

 

海未「はい。弓道部も大会が近いので出来ることは全てやっておこうかと。」

 

「流石だな。そりゃどの高校も海未には敵わないわけだ。」

 

海未「大袈裟ですよ。準太も練習を張り詰めているみたいですが大丈夫ですか??」

 

「絶好調だよ。今年の優勝はうちらだからな。」

 

海未「随分自信があるのですね、私も応援していますよ。それで……最近沙絵の様子はどうでしょうか??」

 

海未は小さい頃からずっと沙絵のお姉さのような存在だった。沙絵が思うよう遊べなくても海未が一緒に遊んでくれていた。だからこそ沙絵の事をよく気にかけてくれていた。

 

「……あまり良くはないな。」

 

海未「そうですか……私にも出来ることがあればいいのですが…」

 

「気持ちだけでも十分嬉しいよ、それにあいつと優勝するって約束したからな。俺が優勝したらきっと沙絵も元気になってくれるはずだ。」

 

海未「そうですね……準太、あまり自分を追い込まないようにしてくださいね。」

 

「別にそんな事しないさ。でも、ありがとうな。」

 

こうして海未と別れて帰った。あの時絶好調な俺に何故海未が追い込まないようにと心配したのか当時の俺には分からなかった。それは沙絵が亡くなった日に痛感することになる。



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第32話

時は流れ俺たちは大会真っ只中だ。俺以外にもメンバーの調子も良くて順調に勝ち進んでいき、準決勝まで勝ち進んだ。相手は強豪だが今の俺たちは誰にも止められない。それくらい今の俺たちの勢いは凄まじかった。

そして準決勝を勝利した日に俺は決勝戦前に病院へ行った。あとひとつで日本一になれる、沙絵の兄ちゃんが日本一になる、色んなことを伝えたくて何から話そうかずっと迷いながら向かっていた。

 

そして、沙絵がいる病室に入るとーー

 

「沙絵っ!試合勝っ………え……。」

 

母「……準太。」

 

そこにいたのは先生や看護師、母親、そして……静かに目を閉じている沙絵だった。

俺は状況が飲み込めずただただその場に立っていることしか出来なかった。

すると母親が静かに口を開いた。

 

母「あんたが試合をしている間に容態が悪くなってね。先生たちも最善を尽くしてくれたんだけど……沙絵っ……。」

 

「な、何言ってんだよ…だって、ついこの間まで沙絵は元気だったのに…」

 

母「準太が来た時は無理してたのよ、そうしないとあんたがまたバスケに集中出来ないからって。」

 

「そんな……俺はあいつが無理していたのに気づけなかったのかよ。」

 

母「今日も最後まであんたのこと応援してたのよ。お兄ちゃん頑張れって……」

 

母親の隣で眠っている妹は死ぬ間際まで俺の事を応援してくれていた。それなのに俺はあいつが苦しんでいることを気づくことが出来なかった。

その後の俺はまさに抜け殻だった。何のためにバスケをしたのか、何のために優勝したかったのか、全てどうでも良くなってしまったのだ。そして俺を動かしていた原動力の沙絵もいなくなった事で、今までの練習で蓄積された疲労が一気に俺の体を襲い、決勝はまともに動くことが出来なかった。

 

ーー回想シーン終了ーー

 

 

「それがきっかけで決勝戦もボロ負け。俺のせいでチームは負けて先輩たちは引退、俺もその後バスケ部を辞めた。……俺は沙絵との約束も守れなかった上に先輩たちの夢も潰してしまった。だから俺はもうバスケ部には入りたくないんだ。でも沙絵との日本一になる約束をバスケ以外で叶えたい、そう思って俺は今弓道で1番を取ろうとしてるんだ。」

 

愛「……話してくれてありがとう、ジュンジュン。」

 

俺の話を黙って聞いていた愛さんは普段からは想像できない慈愛に満ちた目を俺に向けていた。そして俺の頭を静かに撫でながら口を開いた。

 

愛「ジュンジュンは沙絵ちゃんのために勝たなきゃって思ってたんだね。愛さんはそれくらい沙絵ちゃんを大切に思っているジュンジュンは凄く素敵だと思う……でも。」

 

「……でも、何だよ。」

 

愛「今のジュンジュンが仮に1番になっても沙絵ちゃんは喜んでくれるのかな??愛さんはそう思わない。」

 

「なっ!?……何が分かるんだよ!!俺は沙絵と約束したんだ!1番にならなきゃあいつとの約束を果たせないんだよ!知ったような口を……」

 

愛「いいから愛さんの話を聞いてっ!!!」

 

「っ!?」

 

初めて愛さんに怒鳴られた。いつも笑顔で怒ることがなさそうな彼女が怒るからより迫力がある。

 

愛「確かにジュンジュンは沙絵ちゃんとの約束を守ろうとしているのは立派だと思う…けど、そもそも沙絵ちゃんは優勝しているのを見たかったんじゃなくて、ジュンジュンが楽しそうにバスケをしている姿が好きだったんじゃないの?!」

 

「っ……沙絵は優勝した姿を。」

 

愛「違う!!そんな苦しそうな顔をしているジュンジュンが優勝してもきっと沙絵ちゃんは喜んでくれないよ!?」

 

「愛さんに何がわかるんだよ!!沙絵のこと知らないくせに!」

 

愛「分かるよ!!だって……弓道をしている時より球技大会でバスケをしていたジュンジュンの方が輝いていたんだもん!!あの時みたいに何も考えず、純粋にバスケを楽しでいる姿が沙絵ちゃんは好きだったはずだよ!」

 

その言葉を聞いて俺はハッとした。沙絵は昔から俺のプレイが好きだった、しかし俺はそれを優勝する事でより喜んでもらえ、元気になってくれると思っていた。沙絵の容態が悪化する度に俺は焦り、自分のプレイより勝つことだけを考えて試合をしていた。

しかし愛さんとの球技大会では仲間と一緒にやる純粋なバスケをすることが出来ていたのだ。

 

愛「ジュンジュンが沙絵ちゃんも思う気持ちはとても大切なことだよ??でも、苦しみながら試合をするジュンジュンなんて……愛さんは見たくない!」

 

そう言って俺を見る愛さんの目には涙が出ていた。なんで愛さんが泣いてるんだよ……どうしてそこまで俺の事を気にかけてくれるんだよ……

 

「……全く、こんなにズバズバと言われるとは思わなかったよ。…どうしてこんな気にかけてくれるんだよ。」

 

愛「ど、どうしてか……うーーん…///」

 

愛さんは少し照れた様子で悩んでいるとそっと俺の顔に手を添えて口を開いた。

 

愛「愛さんにとって、ジュンジュンは大事な人だから……かな??」

 

その言葉を聞いた時一瞬時が止まったように感じた。大事な人……それってどういう意味だ……??

 

「愛さん、それって……」

 

愛「そ、そろそろお昼ご飯食べよ!!今日もおばーちゃん特製のぬか漬け持ってきたからこれ出して元気になろうよ!!」

 

愛さんは俺の言葉を遮って話を切り替えた。その後はお昼ご飯を食べ、教室に戻り、いつも通り授業を受けた。愛さんと話したあとは今まで俺の中で感じていた苦しい気持ちがすっと消え、気持ちが楽になっていた。

愛さんもその後は沙絵の話をすることもなかった。そして今日で俺の中で宮下愛という存在が気づかないうちに大きな存在となっていることを自覚したのである。

 

愛「ジュンジュン、これから新作のタピオカ買いに行こうよ!」

 

「……はいはい、ついて行きますよ、愛さん。」




準太の過去編終了です!
これでシリアスな話は終わってこれからは以前の様にコメディを入れていきます!!


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第33話

愛「こちら愛さん。現在何か変わったことはありますか??どーぞ!!」

 

「特になんもねぇよ。てか何でこんな事してんだ……」

 

愛「もう!話す時はこちらって言わないとダメじゃん!!」

 

「何でもいいじゃんよ……」

 

今俺は訳の分からないことに付き合っている。何かと言いますと…愛さんとトランシーバーで会話をしている。すぐ近くに本人いるのに。

傍から見たら俺の後ろをコソコソとついてくるあなたがストーカーだからね??

何故こんなことになったかと言うと今日の朝に遡るーー

 

愛「誰かの視線を感じる??」

 

「ああ。なんか歩いていると視線感じるんだよなぁ…帰る時も感じるから困ってんだよ。」

 

愛「ジュンジュン、妄想は良くないよ??」

 

「なわけないだろ!!ずっと感じてるんだし……え、マジで妄想なの??」

 

愛「愛さんに聞かないでよ!でも本当なら対策考えないとだね。」

 

「正直直接の被害はないからそこまで公にする気はないから別に……」

 

愛「よしっ、愛さんに任せなさい!!」

 

ほら人の話を聞かない。てかこの自信満々な顔しているあなたに本当に任せていいんでしょうか、、

また何か変なことしなければいいんだけど……

そうは思っていたがせっかく何とかしてくれようとしているのだ、今回は素直に甘えようと思ったらーー

 

愛「こちら愛さん!今の所以上はなさそうだよ!どーぞ!!」

 

「……。」

 

これである。一体どこから持ってきたのか分からないトランシーバーを俺に渡して帰りはそれを使って連絡するとの事だった。もう恥ずかしいったらありゃしない。それに行き交う人達の視線から愛さんであることが何となく分かる。もうストーカー所じゃないよね。

 

愛「こちら愛さん!ジュンジュン聞こえる??どーぞ!!」

 

「聞こえてるっつーの!!ストーカーより愛さんの視線が気になって仕方ない。」

 

いちいち初めと終わりの言葉を徹底してくる愛さん。ねぇトランシーバー使ってるの楽しんでるよね??

 

愛「だってジュンジュン見てないといつストーカー現れるか分からないじゃん!!」

 

「見すぎだっつーの!てか何望遠鏡使ってんだよ、もはや何をやっているのか分からなくなってきたわ。」

 

愛「ちょ、何で望遠鏡あるの分かったの?!後ろ見ちゃダメじゃん!」

 

「見てねぇよ!子供が望遠鏡望遠鏡♪って俺の後ろを指さして言ってんだから愛さんしかいないだろ!?」

 

一体あの子は何を考えているのだろうか。楽しんでるとしか思えないんだけど……もう普通に話さない??

 

愛「あ、ジュンジュン待って!今横からひとりジュンジュンの様子チラチラ見ながら歩いている人発見!」

 

まさかのストーカーらしき人を発見したみたいだ。マジかよやっぱりストーカーいたのか、、でも俺に何の用なんだ??逆にその目的が気になってきた。

 

愛「よしっ、愛さんストーカーを捕まえます!!」

 

え、今この子なんて言った??そんなあ、そうだ、コンビニ行こ♪みたいな感覚で言わないで欲しい。てか普通に心配なんだけど……ストーカーさんが。

 

「ち、ちょっと待て愛さん!!1回様子を見てから「確保っーーー!!!」…えぇ。」

 

俺の制止も聞かずに捕まえてしまった愛さん。てか普通によく行動に移せるよな、愛さんパネェわ……

愛さんが捕まえたようだし俺も様子見に行くか……

 

愛「さてさてずっとジュンジュンをストーカーしていたのは一体どこの…-えぇぇぇぇ!?」

 

愛さんがストーカーの素性を明かそうと顔を見ると驚きを隠せないでいた。え、誰なの??知り合いっぽいけど俺愛さんの知り合いそんなに把握してないぞ??

 

「おい、愛さんどうしたんだ……って、なんで??」

 

愛「な、なんで!!まさかジュンジュンのストーカーって…りなりー?!?!」

 

璃奈「………アリーヴェデルチ。」

 

まさかの愛さんより先にこの子の口から聞くことになるとは……どこで覚えてくんだよ。

まさかの俺が視線を感じていた相手は璃奈ちゃんだった。え、マジでなんで??ストーカーについて何も予想してなかったんだけど璃奈ちゃんは変化球過ぎる。

 

愛「きさま!見ていたなっ!!」

 

「あんたもかよ……しかも過去形。」



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第34話

評価赤バーになりました!!
新規投稿する度に多くの方に見てもらってお気に入りにしてもらって……にやにやが止まらないです笑

では34話どうぞ!


愛「しっかしジュンジュンのストーカーがりなりーだったなんてねぇ……愛さんびっくりだよ。」

 

璃奈「……ごめんなさい。」

 

「いや、別に謝らなくていいよ。知り合いだったからむしろホッとしたよ……でもなんで尾行なんてしたの??」

 

現在俺たちはカフェで話し合いをしている。璃奈ちゃんを捕獲??した場所は思いっきり路上だったことで色んな人に見られてました。流石にその場で理由なんて聞けないということで移動したのだ。

ちなみにトランシーバーは愛さんに返した。それを愛さんはどこに返すのか少し気になるが……

 

璃奈「準太さんが、弓道部を辞めるって聞いたから……気になっちゃって。」

 

愛「え、そうなの?!愛さん知らない!!ジュンジュンなんで言ってくれないのさ、愛さんとジュンジュンの仲でしょ?!」

 

いやまだ誰にも言ってないんだけどなぁ……なんで璃奈ちゃん知ってるの??情報早すぎだろ。てか愛さんそんな揺らさないでくれ俺が悪かったから!!

 

璃奈「クラスの弓道部の子が話しているのを偶然聴いちゃって……どうして辞めたのか気になって、直接聞こうと思ったんだ。」

 

愛「それで聴くタイミングがなかなか掴めずにストーカーみたいになっちゃったってこと??」

 

璃奈「……(こくっ)」

 

なるほどな、俺が辞めることを部長に伝えた時周りに部員もちらほらいたからな……

俺が退部することを伝えたのは愛さんに沙絵の事を話した次の日だったーー

 

部長「……どういうつもりなの??」

 

「大会真っ只中にも関わらず、このような事を言ってすみません。」

 

部長「あなたはエースなのよ??そんなあなたが抜けてチームの皆にどれくらい迷惑がかかると思っているの?!」

 

「分かっております。なのでこの大会を最後にするつもりです。皆が上に上がって自信がついたのを見届けて辞めます。」

 

部長「一体何があったの??…って聞いた所で、あなたの意思は硬いんでしょうね。でも、これだけは聞かせて。弓道部を辞めて、あなたはどうするつもり??」

 

「……もう一度、俺自身を見つけにいきます。」

 

部長「……そう。じゃあその自分自身を見つけるその前に、ここにいる皆を引っ張りなさい。」

 

「……はいっ。」

 

部長はその後いつもの様に部員に練習を再開するよう促し、自身も練習を始めた。俺がした事は弓道部全員に迷惑をかけることは承知している。でも、愛さんが俺を導いてくれたあの日から後悔することはしたくないと思ったのだ。

だから弓道部を辞めた分まで俺は頑張らなきゃいけない。

全く、こんな風に思わせてくれた愛さんには感謝だな……

 

愛「ねぇそれって最近の事じゃん!!なんで教えてくれなかったの?!ジュンジュン話すタイミングあったよね?!ねぇあったよね?!」

 

そして今、俺は再び愛さんに揺さぶられている。どうやら伝えていなかったことがご不満だった様で怒り心頭である。俺が悪かったから許してくれよ……

 

「わ、悪かったって……次からは話すようにするから。」

 

愛「もう……ジュンジュンはこれからひとつひとつあった事を愛さんに報告すること!!」

 

「え……めんどくさい……」

 

愛「ドゥー・ユゥー・アンダスタンンンンドゥ!!!!」

 

またかましてきやがった。このネタ日常でも使えるから厄介なんだよ……え、これあれだよな。この子ハマっちゃってるやつだよな??特に3部。

 

「……まぁそういうわけだ。だから俺はこの大会で辞める。」

 

璃奈「じゃあ……バスケをするの??」

 

「……おう。」

 

璃奈ちゃんは何故バスケ部に入るのを予想出来ていたのだろう。あ、球技大会見てたからか……

でもそんな時にふとした疑問が浮かんだ。

 

「なぁ璃奈ちゃん、俺が弓道部辞めてバスケ部に入るのをなぜそんなに興味を持ってくれるんだ??」

 

璃奈「そ、それは……///」

 

璃奈ちゃんはほのかに顔を赤くし、俯いてブツブツ言っている。一体どうしたんだ??

 

愛「………。」

 

「痛い、痛いから愛さん。無言で足踏むのやめてくれ。」

 

理不尽に足を踏まれるのを耐えていると璃奈ちゃんは顔を上げて口を開いた。

 

璃奈「準太さんがバスケをしている姿が……好きだから///」

 

「……そ、そっか。」

 

そんな真っ直ぐな目で言われると照れる。でもこうやって俺のバスケを楽しみにしてくれる人がいることが嬉しかった。璃奈ちゃんの為にもこれから尚更頑張らないとな。

隣を見ると愛さんはジト目でずっと見つめてくる。さっきから何なのこの子は……

 

愛「ジュンジュン後でお話しよっか。」

 

「おいなんかまた理不尽なことで怒られそうなんだけど……」



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第35話

少し感じていた暑さが日に日に強くなり今ではジメジメも追加された季節になった。外国とは違って日本の夏は気温も湿度も異常過ぎる。

拭いても拭いても出てくる汗に朝から嫌気をさしながら学校へ向かう。

周りを見ると俺と同じ気持ちなのか、元気な人が見当たらない!

 

愛「ジュンジュンおはよ〜!!今日も暑いねぇ!!愛さん参っちゃうよ〜。」

 

訂正します、ここに元気な人いました。暑いと言いながら表情が全く暑そうじゃない、むしろこの子が暑くさせてるんじゃないかってくらいに元気だ。

いつもこんなんだと、この子が元気ない日って相当な事があったと思うよね。

 

「おはよ、朝からこんな元気なあなたを尊敬するよ。」

 

愛「せっかくこんな良い天気なんだから元気に1日過ごさなきゃ勿体ないじゃん!」

 

「そうだな、冷房の効いた部屋で過ごさないと勿体ないよな。」

 

愛「そっちなの?!」

 

「当たり前だ快適な環境は大事だからな。」

 

愛「学校行くまでの辛抱だよ。あ、そういえばそろそろあの時期になってきたね!!」

 

「……誕生日??」

 

愛「違う!!てか、愛さんジュンジュンに祝って貰ってない!!」

 

「誕生日知らないんだから仕方ないだろ……」

 

愛「5月30日だよ!!次から祝うこと!」

 

最近この子は何かと俺に指示を出してくる気がする。この前も璃奈ちゃんの件でもその日の出来事話せとか……なんであの後理不尽に怒られたのかは今でも納得できない。

 

「分かったよ、そんであの時期ってなんだ??」

 

愛「もちろん、期末テストだよ!!!」

 

その言葉を聞いた瞬間、まだこれから一日が始まるというのにモチベーションが一気に下がった。うわぁそんな時期かよ……嫌だなぁ。

 

「期末テストかぁ……めんどくさいけど部活がない分早く帰れるしどっか寄ってこっかな。」

 

愛「何言ってるの、ジュンジュンにそんな時間はないよ??」

 

「……はい??」

 

この子今何言った??凄いキョトンってした顔で見つめてくるんだけど……

何かあったっけ??中間テストは過去一の点数だったから特に居残り勉強とかはないはずだけど……中間……あっ。

 

愛「期末テストからジュンジュンは愛さんが勉強を教える約束だよ!!」

 

「……そんな約束したかなぁ??」

 

愛「したよ!!ジュンジュンノリノリで勝負してたじゃん!これからジュンジュンの時間は愛さんが管理します!!」

 

「嘘だろ……」

 

愛「ほんとほんとっ♪さてさて、今日はどれから勉強しようかなぁ〜??」

 

「え、待って今日からやるの??」

 

愛「勿論だよっ!早く勉強して余裕持った方が良いって!!」

 

「余裕持った方が良いなんてよー言うわ!!まだ1週間ちょいあるんだぞ?!それに部活だって……愛さん??」

 

愛「ぷっ……余裕持った方が良いなんてよー言うわ……っあはは!!!」

 

ダメだこの人聴いてない。無意識で言ったことにツボられても困るんだけど。えぇ……今日から俺の時間ないの??

 

愛「もうジュンジュン笑わかせないでよ!!お腹痛いじゃん!!」

 

「知るか!!勝手に笑ってるだけだろ!」

 

愛「ジュンジュンがダジャレ言うからじゃん!!とにかく、今日からは愛さんのジュンジュン更生計画を始めます!!」

 

「ねぇなんかそれおかしくない??普通に勉強でいいじゃん更生って何??」

 

愛「細かいことは気にしない!帰ったら電話かけるから電話越しで勉強するよっ!!」

 

「嘘だろマジで俺の時間ないじゃん。」

 

愛「ないよ!!」

 

「即答で答えられるといっそ清々しいな。」

 

愛「一緒に頑張ろうね!期末が終われば待ちに待った夏休みだよ!愛さん燃えてきたぁぁ!!」

 

「気持ちは分かるけど燃えないで。余計暑くなる。」

 

愛「あ、ちょっと先行かないでよ!!そういえばこの間有名なお菓子屋さんが出来たみたいなんだけどさ……」

 

こうしてこのクソ暑い中期末テストの絶望と隣の愛さんトークが終わらない事に学校に着いた頃には疲れ切っていた。

元気なのは良い事だと思うけどね……

 

「はぁ……早くテスト終わんないかなぁ。」

 

愛「ジュンジュンこれからだよ!!楽しみだね♪」

 

「どこが!!!」

 

隣の席でずっと楽しみにしている愛さんを見てこれから自分の身に起きることが心配で堪らなくなる。マジでお手柔らかにお願いします……



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第36話

HRを終えて帰る支度をしていると、隣の愛さんから肩を叩かれた。なんだよ凄いニヤニヤしてるけど変なこと言うんじゃないだろうな……

 

愛「ジュンジュン夜は分かってるよね♪」

 

「……なんの事だかわかんない。」

 

愛「いつまで粘るのさ!電話だよ電話っ!!」

 

「寝てるかもしれないからなぁ……」

 

愛「ジュンジュンそんな早く寝ないでしょ!!」

 

「なぜそう決められるんだ……スマホ電源切っとこうかな。」

 

愛「そんな事させないよ!ジュンジュンがッ 出るまで 掛けるのをやめないッ!」

 

なんでそれ使ってくるかなぁ。こんな使われるとどこで言ってきてもおかしくないな。てかそんなに掛けるなよ2、3回出なかったら諦めてくれよ。

 

「分かったよ……分かったから何度も電話するのはやめてくれ。」

 

愛「うんうんっ♪素直でよろしい!!じゃあまたねっ!愛さん練習に行ってくる!!」

 

そう言うと愛さんは去っていった。今日から勉強始めるってどんだけスパルタなんだよ。あんなテストなんて埋めればいいんですよっ!みたいに言いそうな見た目の割に成績優秀なんだもんな、愛さんすげぇな。

 

「さて、俺も部活行くか。」

 

部長に退部することを伝えてから俺はより一層練習に励んでいる。部員はそんな俺を恨むことはせず応援をしてくれた。だからこそ俺は今も、そしてこれからも……

 

後輩「「「先輩辞めないでください〜!!!」」」

 

「うおっ?!」

 

弓道場に行くと後輩達に詰め寄られた。あっれ今良い感じに覚悟決めたって思ってたのになぁ……

そんなに辞めることを悲しく思ってくれるなんて、なんて良い後輩達なんだ!!

 

部長「あなたが辞めることを後々嫌になったみたいよ。全く、準太が来るまでその子達ずっとそわそわしてたんだから。」

 

「えぇ…それを落ち着かせてくださいよ部長なんだから。」

 

部長「あなた弓道部を辞めるからと言ってもう会わないなんてことはないからね??その口の利き方はそれを想定してのこと??」

 

「すみません自分で何とかします。」

 

その後何とか後輩をなだめて練習を始めた。今日一日で色々と出来事があり過ぎる。帰ってからも愛さんの電話があるし……あれ

 

「愛さんと電話か……」

 

さっきまで何も意識してはいなかったが今更少しドキドキしてきた。今まで愛さんとの電話には何も感じなかったしこうなるとは思いもしなかった。しかし以前愛さんが俺に伝えた言葉を思い出す。

 

"愛さんにとって、ジュンジュンは大事な人だから……かな??"

 

今感じている気持ちはあの時感じたものと同じだ。あれは一体どういう意味だったのだろうか……

 

「……///」

 

部長「ちょっと何してんのっ!そんな射で強豪に勝てると思ってるの?!」

 

どうやら俺の気持ちが射に影響してたらしい。いかんいかん、練習中に考え事なんて……集中集中。

 

"ジュンジュンっ♪"

 

部長「準太ぁぁぁ!!!!」

 

「す、すみませんでしたぁぁぁぁ!!!」

 

それからは何回引いてもその瞬間愛さんが浮かびまともに当てれらなかった。

おいどうしてくれんだ部長に明日もそれしたらどつくって言われたんだけど……

 

「も、もう今日は無理……」

 

家に帰って夕飯を食べ終えると部屋へ行きベッドにダイブした。マジで疲れたこれから勉強とか無理、明日からでも時間あるっしょ。

そう思っていると傍のスマホが鳴る。もうあれだけ予告されてんだから誰のとか言うまでもないよね。

 

「……もしもし。」

 

愛「愛さんだぁぁぁ!!!!部活お疲れ様っ!さてさて、それでは勉強を…「よくも練習の邪魔をしてくれたな。」何の話?!」

 

電話越しで愛さんが理不尽に怒られたと抗議してくるが俺はそれを毎回あなたにされてるからね??最近では足を踏まれたよ??痛かったよ??

 

「今日は疲れたんだ。勉強は明日からにしよう。」

 

愛「ダメダメ!!一度許すと何回も同じことしちゃうから!!」

 

「愛さんどれだけスパルタなんだよ……せめて30分だけ勉強することにしない??」

 

愛「貧弱!貧弱ゥ!!!」

 

おっとAI様が出てきたぞ。電話越しでもなかなかしんどいな。思ってた以上に張り切ってて軽く引いてんだけど……

 

愛「愛さんもそこまで鬼じゃないから大丈夫だよっ!じゃあ少し勉強して、間に普通にお話してまた勉強って感じにしよ。そしたら少しは辛さ無くなるんじゃない??」

 

「まぁ……それなら」

 

愛「よしっ!そうと決まれば早速勉強するよ〜!!」

 

「お手柔らかにお願いします。」

 

愛「ダメだよ!!優しくするのはジュンジュンがダメになるから徹底的にやってくよ!!」

 

「愛さん鬼すぎん??」

 

その日は愛さんのスパルタ勉強で頭をフル回転して死亡しました。正直これがテスト終わるまであると思ったら地獄と考えていたが、途中に挟む愛さんとのお話が楽しくて、それを楽しみに頑張れた自分もいたりする。

え……これってまさか…。



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第37話

愛「ほらほら手を止めない!まだ途中しか解けてないよ!!忘れたらさっきの覚え方思い出して!!」

 

「……誰か助けて…。」

 

愛「ちょっと待っててー!!ってまだまだこれからだよ!無駄無駄無駄無駄ッッ!!」

 

現在俺は愛さんの部屋で勉強をしている。1週間前から愛さんによる鬼勉強が始まり、期末テストが公表されるとさらに厳しくなった。授業が終わって帰ろうとしたらガシッと肩を掴まれ、抵抗も虚しく逃げないように愛さんの家に連れてかれたわけだ。

愛さんもう少し優しく指導するかと思ってたけどとんでもなかった。授業も予習と復習を徹底するように指示までされている。

 

愛「よーし、少し休憩しよっか。ジュンジュンお疲れ様♪」

 

「た、助かった……これ以上やると頭がパンクするとこだった。」

 

愛「あはは、ジュンジュン顔に出るからね。時間経つにつれて顔が死んでいくから休憩するタイミング分かりやすいよ!!」

 

「おいそんなんで休憩の時間考えてたのかよ。」

 

愛「いやぁそれにしてもジュンジュン飲み込み早いよね!苦手な分野もすぐ克服できてるし!あ、愛さんの教え方が上手いからかな〜??」

 

ぶっちゃけその通りだ。とにかく分かりやすい。授業で意味不明だった問題も愛さんの助言を元に解くと驚くほど理解出来た。てかこの子俺ばっか見てて自分の勉強は疎かになってないか??

 

「なぁ、教えてくれるのは嬉しいんだけどさ、愛さん自身の勉強は大丈夫なのか??」

 

愛「うんっ!ジュンジュンが帰ったあと勉強するし、毎日ちゃんと勉強する時間も取ってるから大丈夫だよ〜♪」

 

「出来る子かよ流石だな。」

 

愛「これくらい普通だって〜、ちゃんと忘れないようにしないとだしね!」

 

いや、絶対こんな事してるのそんないないよ。きっと大抵は遊んだりだらけたりしてるんじゃないか??……あ、俺か。

それにしても愛さんの部屋ってきちんと整理されてて落ち着いてんだよな……ギャルっぽい要素あるけどそこが愛さんの個性が出ていいな。って俺何見渡してんだろ。

 

愛「そ、そんなに見られると愛さん恥ずかしいかな///」

 

「わ、悪い……。」

 

案の定俺の目線が愛さんにバレて気まずい雰囲気になってしまった。少し不思議に思ったのが、普段の愛さんなら気にしなさそうなのに今回は顔を赤くして俯いている事だ。やっぱ女の子の部屋まじまじと見るのは良くないな。

 

愛「そ、そういえばジュンジュンは夏休み予定はあるの??」

 

「な、夏休み??……部活以外予定はないな…おい何ニヤニヤしてんだよやめろちゃんと友達いるから!ただ今は遊ぶ予定ないだけだから!」

 

愛「"今は"ねぇ〜♪」

 

コイツ……俺の予定聞いた途端恥じらいから人をイジる顔に切り替えやがって。かと言って言い返すネタが無い……詰んだな。

 

「愛さんは予定はあるのかよ。」

 

愛「勿論いっぱいあるよ!!友達と買い物行ったり、同好会で合宿したり、ジュンジュンと海とか祭りとか行ったり〜」

 

へぇさすが人気者、しっかりと予定たくさんあるじゃん。そんな遊んでばっかのエネルギー俺にはないからマジリスペクトしますわ。……ん??ちょっと待って。

 

「え、俺愛さんと遊ぶの??」

 

愛「え??そうだよ??」

 

「そんな約束してたっけ??」

 

愛「してないよ??」

 

「……それって拒否権は??」

 

愛「ないよっ!!!」

 

えぇ断言しやがった。別に予定ないからいいけどこれからアポなしで行くつもりなのかなこの子。でも冷静に考えて愛さんに予定がないのを把握されてるのが悲しくなってくる。

 

愛「さてさて、ジュンジュンがテスト最下位にならないよう勉強再開するよ!!」

 

「俺そこまで馬鹿じゃないしちゃんと成績悪くないからな??てか上手く言えたみたいな顔しないで??」

 

愛「気にしない気にしない!!あ、勉強の前に飲み物持って……あっ!!」

 

「愛さんっ?!」

 

愛さんが立ち上がり動こうとしたらテーブルの足につっかえ体勢を崩してしまった。

愛さんが倒れる先には俺がいて何とか怪我させないようにできる限り受け止めて2人で倒れたのだが……

 

愛「ご、ごめんねジュンジュ……へっ??」

 

何だろうこの手に収まりきらない膨らんでいるものは。触ったことの無い感触…柔らかいぞ…え、まさかこれ……。

 

愛「……んあっ…ジュ、ジュンジュン……///」

 

はい、愛さんの愛さんでしたね。ヤバい想定外とは言え女の子の胸を触ってしまった……俺詰んだかな。

 

「わ、悪いっ!!!」

 

愛「……ジュンジュンのエッチ///」

 

「こ、これは不可抗力で起きたことで!!」

 

愛「言い訳しない!!今度ジュンジュンには何か言うこと聞いてもらうからね!!」

 

「えぇ………。」

 

今日の俺は災難すぎる。もうこれから今みたいなトラブル発生しないようにリスクマネジメントをしなきゃね、これ大事。

 

愛「……ジュンジュンに触られちゃった///」

 

「何か言った??」

 

愛「ジュンジュンの勉強をもっとスパルタにするって言ったの!」

 

「そんなアホな……。」



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第38話

愛「終わったぁ〜!!!夏休みだ〜!!」

 

「まだ夏休み日は早いっつの。でもやっと……開放された……。」

 

愛さんによる地獄の勉強会を耐えてようやく今、期末テストが終わった。マジで頑張った、ほんとに頑張った。中間では愛さんに負けない為に結構勉強していたがそれ以上に今回はやってたと思う。

 

愛「ジュンジュンもお疲れ様っ!テストの自信はどうですかな??」

 

「実は……かなりある。」

 

愛「おぉ〜!!これは愛さんのお陰かな♪」

 

ぶっちゃけそうである。逃げ出したくなるほどスパルタだったが、その時身についた勉強がテストで発揮することが出来た。これ成績上がったらお小遣い増やしてもらお。

 

「まぁ愛さんのお陰だな……ありがとう。」

 

愛「いえいえ〜!!でもテスト終わったからって気を抜くのはダメだよ!ちゃんと復習もしないとね♪」

 

…………え。

 

愛「今えって思ったでしょ??当たり前じゃん!せっかく学んだのに忘れちゃ意味ないからね!」

 

「せっかく開放されたと思ったのに……」

 

愛「甘い甘い!!そんなに愛さんは甘くないよ〜!」

 

知ってる。それはテスト勉強で嫌ほど感じました。でも今回は許してくれないかな??俺頑張ったし。

 

愛「そういえばジュンジュン明日最後の大会だよね??」

 

「ん??おう…みんなの為にやれるだけのことはやるさ。」

 

愛「うんっ、愛さん応援に行くからね!!」

 

「○馬琉の応援はやめろよな。」

 

愛「.も、もうしないってば!!」

 

明日は弓道の大会……そして、俺にとっては最後の大会である。

明日試合に参加する学校はどれも優勝候補ばかり、その中には海未が所属する音ノ木坂も含まれている。海未とはいずれ対戦することになるかもしれないが、負けるつもりはない。

 

「そういえば海未とあれ以来話してないな……」

 

愛「海未に酷いこと言ってたからね〜」

 

「やめてくれ自覚あるから。」

 

愛さんの言う通り、あの時動揺したとはいえ感情的になってしまっていた。明日謝らないとな。

 

 

次の日、会場に着くと既に多くの学生が自分たちの高校ごとに集まっていた。そこには幼なじみの少女の姿も見えた。

最初声かけるのは躊躇ったが謝らずに大会に出るのが俺自身良くないと思った。

 

「……よう、海未。」

 

海未「準太ではありませんか。調子は如何ですか??」

 

あれ、思ってたより普段通りの反応。怒ってないのか??

 

海未「その顔は、この前の事怒っていないのか??と思っている顔ですね。」

 

「うっ……。」

 

海未「ふふっ、あなたの考えている事くらいお見通しですよ??」

 

「その…悪かったな、この前は。」

 

海未「いえ、私も言い過ぎた事もありますので。こちらこそごめんなさい。」

 

「いや、海未は悪くない。俺が悪かった。」

 

海未「そ、そんな事!!私の方が……ふぅ、このまま言い合ったら終わりませんね。」

 

「そうだな…じゃあ、お互い頑張ろうな。」

 

海未「はいっ、ご武運をお祈りしております。」

 

海未と別れ、大会が始まった。この大会に出場している高校は20射15中以上の戦いをしており、放つ一本で勝負が決まると言っても過言ではない。

 

部長「いよいよね、準太。」

 

「はい、緊張しますね〜」

 

部長「よく言うわよ。楽しそうな表情しちゃって……最後の試合、みんなにあなたの射を見せてあげなさい。」

 

「射だけじゃなくてうちが優勝する様を見せて「ジュンジュン〜〜!!!」……。」

 

待合室に響き渡る"ジュンジュン"。もう俺しかおらんやんやめて大きな声出さないで。

声の方を見ると愛さんが両手に袋を持っていた。え、何その袋何入ってんの??

 

愛「いや〜人多いから探すの大変だったよ〜。あ、これ弓道部のみんなに!たくさんお菓子買ってきたんだ〜♪」

 

愛さんは袋かれ大量のお菓子を取り出して部員に渡していた。そんなに買ってきてくれたのかよ……なんて良い人。

 

部長「あなたの彼女は気配り上手ね〜」

 

「か、彼女じゃ……ないです///」

 

部長「あら……これは何かあったのね♪」

 

「何も無いです。」

 

何も無かった訳では無いけどこうも直接言われると少し前から感じている愛さんに対する気持ちを意識してしまう。

だから部長そんなに愛さんと俺を交互に見ないでください恥ずかしいので。

 

部長「まぁいいわ……次は準太達の番でしょ??頼んだわよ!」

 

「うす……行ってきます。」

 

俺たちの相手はこの辺じゃ有名の高校。選手もひとりひとり正確な射をして当ててくる。相手にとって不足はない、後は自分の射をするだけだ。

 

愛「ジュンジュンファイト〜!!どんな射でも当たればいいんだよ!当たればよかろうなのだ〜!!!」

 

「うるせぇぇぇぇ!!!!○ーズ様のセリフ言ってんじゃねぇよ!」

 

○馬がダメなら別のキャラでとか考えてないよね??前回海未に注意されていたが少し心配になる。

頼むから目立たないでくれよ……

 

愛「大声はダメでもこれなら問題ないよね♪」

 

「………え、なにそのでっかい旗。」



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第39話

前回の話を少し修正しました!
既に読まれている方はよかったら改めて見てくださいっ!

では、39話です!


試合は順調に勝ち進み、次は決勝戦となった。相手は海未の音ノ木坂、まさか最後の大会で海未と勝負することができるとは思っていなかった。

そしてこの決勝戦まで愛さんはと言うとーーー

 

愛「〜〜〜♪♪♪」

 

会場でひたすら大きな旗を笑顔で振っていた。大声はダメでもこれなら良いだろうと考えたらしい。嬉しい、とっても嬉しいけど……応援団じゃないんだからそんな目立たなくていいんです!!!

しかしこの愛さんエールの効果は絶大で、うちの弓道部員はいつもより調子が良かった。

 

愛「ジュンジュンいよいよ決勝だね!!愛さんも頑張って旗振るからね!!」

 

「他の人の迷惑をかけないようにな。」

 

愛「何かジュンジュンに子供扱いされてる感じする〜!!ジュンジュンのくせに!!」

 

「何だよジュンジュンのくせにって!そもそもあんなデカい旗持ってくるなんて聞いてないぞ!」

 

愛「それはトップシークレットだったからね〜♪」

 

「変化球過ぎて予想も出来んかったわ!」

 

海未「ふふっ、相変わらず仲が良いのですね。」

 

愛さんと言い合いをしていると海未に声をかけられた。流石海未、これから決勝だと言うのに普段のように落ち着いている。

 

「よぉ、まさか海未と勝負することになるなんてな。」

 

海未「人生何が起きるか分からないものですね。……手加減しませんよ??」

 

「当たり前だ。手加減されて勝った所で何も嬉しくないからな。」

 

海未「良い覚悟です、ではまた試合で。」

 

海未と話していて気づいたが落ち着いている訳ではなかった。静かに闘志を燃やしていたのである。その気持ちは試合で爆発されると思うと恐ろしい。

 

愛「海未と仲直り出来たんだねっ。」

 

「ああ。まぁその……これも愛さんのお陰だ。……ありがとう。」

 

愛「……ふぇ///」

 

「え、何だよ…素直にお礼を言ったのがそんなに意外だったか??」

 

愛「い、いやその……そんな真っ直ぐな目で言われたら照れるというか///」

 

別に思ったこと伝えただけで照れるって何だよ。俺が普段真っ直ぐな目をしないと思ってんのか……滅多にしないか。

 

「………控え室行ってくる。」

 

愛「ち、ちょっとジュンジュン待って!ストップストップ!」

 

振り向くと愛さんはこちらに眩しい程の笑顔を向けていた。この笑顔を見るといつもドキッとしてしまう。それほど彼女の笑顔は…素敵だった。

……って、なんで俺こんな事思ってんだ。

 

愛「決勝頑張ってね!!ジュンジュンはいつも通り引けばいいんだよ!」

 

「……当たり前だっ、よーく見とけよ!!」

 

そして遂に決勝戦が始まった。決勝戦だけあって多くの観客が試合が始まるのを待っておりその中には愛さんがいた。

彼女は旗を振ることはせず、座って俺たちの試合を真剣な顔で見守っている。

なんだよ、結局旗振らないのかよ……

 

「……さて、やるか。」

 

決勝は一巡目から全員皆中、二巡目は相手が一本外しこちらが優位になった。弓を引く度に会場内は緊張感が高まり、当たるとそれが破裂する。

 

ーーパンッーー

 

「「「よしっ!!!!」」」

 

これを聞くと高揚感が増す。当てるか外すかのギリギリの戦い。この気持ちをより感じる要因はーー

 

海未「……っ!!!」

 

「「「よしっ!!!」」」

 

前で引く海未の射だ。綺麗な射型から放たれる矢は正確に的に当たる。

流石音ノ木坂のエース、俺も負けてられないな。

 

「……っ!?」

 

愛「よしよしよ〜し!!!」

 

愛さんその掛け声違うからね??こうもっと……ピシッとした感じの掛け声してくれ。

 

試合は進み、お互い20射18中となり、残るは俺と海未だけだ。俺達の射で勝敗が決まる事になり、この場にいる全員が息を飲んでいた。

そしていよいよその勝負が決まる。

 

海未・準太「……っ!!!」

 

ーーパンッーー

 

そして、2本のうち当たったのは1本。その矢は……

 

愛「っ!?……よ〜〜〜しっ!!!!」

 

矢が当たった瞬間、俺たち……虹ヶ咲の優勝が決まった。

 

 

 



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第40話

愛「それでは、ジュンジュンの優勝をたたえて〜……乾杯〜〜!!!」

 

「「「乾杯〜〜!!!」」」

 

「……俺のじゃなくて弓道部のな??」

 

今俺たち弓道部は優勝したということでファミレスに来ていたのだが……隣には愛さんもいる。え、なんであなたもいるの?別にいいけどさ。あたかも元々弓道部ですみたいに溶け込んでるのが違和感。

 

愛「いやぁ最後の海未との勝負は最高だったよ!!ずっとドキドキして見てたよぉ♪」

 

部長「ほんとよね!!どうなるかはらはらしたわ〜。私念じてたのよね、準太当てろ当たらないとズタズタにするわよってね♪」

 

「ちょっと待てなんてもん祈ってたんですか。」

 

部長「冗談よ冗談♪」

 

いやほんとに冗談なのか??今結構ガチな顔してましたよ。とんでもない事考えやがるなこの人、せっかく余韻にしたってたのに冷や汗止まらねぇじゃねぇか。

俺が真っ青な顔してるともう隣でポテトを黙々と食べていた幼なじみが口を開いた。……そいやなんであなたもいるの??

 

海未「準太は正念場に強いですからね。そんなあなたに少々プレッシャーを感じてしまい、気持ちを的に集中できませんでした。」

 

「負ける気はなかったが、海未に勝てるとは思わなかったよ。てかいいのか?自分の高校のとこ行かなくて。」

 

海未「会場で話したいことは済みましたし愛が折角誘ってくれたので…それに、準太と久しぶりにこうしてゆっくり話したいのもあります。」

 

海未を誘った張本人を見ると、部員と楽しそうにお話をしていた。ほんとに距離縮めるの早いよな、その能力分けてくれよ。

 

「なんでメインじゃない愛さんが誘ってんだよ……まぁ、俺も海未と話したかったからいいけどな。」

 

海未「そう言って貰えると嬉しいです。初めて準太と試合できたというのにこれからその機会がないのは残念です。まさか勝ち逃げされるなんて。」

 

「ちょっとー、言い方変えようよ。」

 

海未「これくらい言わないとまた悔しい気持ちが出てきますので。」

 

「……別に部活では最後だが、海未の家行けばいつでも勝負できるだろ??」

 

海未「ふふっ、それもそうですね。近々いらしてください、その時は負けませんよ♪」

 

海未の家か……中学以来言ってないなぁ、ご両親元気かな??久々に会いたいしそろそろ行くのも……っ!?何だこの悪寒は?!

視線を感じた方を見ると愛さんがムッとした顔で俺を見ていた。なんでそんな顔してんだよ……

 

愛「ジュンジュン海未の家よく行ってたんだ〜」

 

「別に幼なじみなんだし変な事じゃないだろ??」

 

愛「愛さんの家はあまり来ないのになぁ〜」

 

「何が言いたいんだよ一体……」

 

海未「ふふっ、愛は嫉妬しているのですか??」

 

愛「なっ!!!///ち、違うよ!!ジュンジュンが海未に変な事してたんじゃないのか心配で!!」

 

「俺を何だと思ってんだよ。」

 

愛「だってジュンジュンこの前愛さんの胸触ったじゃん!」

 

愛さんから放たれた言葉はそれまで賑やかだったこの場を一瞬で変えるほどとんでもないミサイルだった。女子部員は顔真っ赤、男性部員は妬んだ表情、そして俺の幼なじみは……

 

海未「………ほぅ、私が知らないうちに準太はそこまでふしだらな男性になってしまったのですか??」

 

「ま、待て海未!!これには誤解があって!!」

 

海未「言い訳は見苦しいですよ!!そこに直りなさい!そのへし曲がった根性叩き直してさしあげますっ!!」

 

ま、まずい…こうなった海未は手に負えない。おいおいどうしてんくれんだよ折角の打ち上げなのに!!

爆弾落とした張本人何とかしろー!!!

 

愛「愛さんびっくりしたなぁ、だってジュンジュン何回も揉むんだもん〜♪」

 

こいつ楽しんでやがる?!隣の海未からどんどん強いオーラ出てる気がするんですけど?!

俺、死ぬんかな。今のうちに辞世の句とやらを言おうかな……

 

海未「そうですかそうですか、やはり準太は大きな胸がお好きなようですね!!極刑に値します!!」

 

「むちゃくちゃだ!!それ私情挟んでんだろ!!」

 

海未「なるほど、準太はそんなに罰を受けたいのですね。安心してください、血が吹きでるほど与えますから♪」

 

「笑顔で言うことじゃねぇよ!!勘弁してくれ〜!!」

 

その後俺は海未に死ぬほどしごかれ、ファミレスを出る頃にはボロボロになっていた。優勝をお祝いするはずだったのに……気づけば俺の反省会になっていた。

 

愛「ジュンジュンはおっきい胸が好きだもんね♪」

 

「これ以上火種を増やさないでくれ。」



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第41話

あの決勝戦から数日後、俺は正式に弓道部を退部した。約1年半という中途半端に終わってしまったが、とても充実した日々を送れていた。別に会えなくなるわけではないのにみんな泣いて見送ってくれた。こういうのをされると素敵な部員に恵まれてたと改めて実感する。

そして、今俺はーーー

 

主将「待っていたぞ、準太。」

 

「待たせていたつもりはないんですが……。」

 

主将「言ったはずだぞ、待っていると。」

 

「俺も入らないと言いましたけど??」

 

主将「そうだな。だがしかし……お前はここにいる。」

 

「はぁ……それはあなたがきっかけではありませんからね??」

 

主将「何でもいいさ、こうして戻ってきてくれたのだから。……おかえり、準太。」

 

「……ただいまっす。」

 

主将「よしっ、早速全員集合させてお前を紹介しないとな!とは言ってもほとんどの奴らが球技大会でお前にコテンパンにされているんだがな??」

 

「俺そいつらに殺されませんかね??」

 

主将「何を馬鹿なことを。うちの選手にそんな奴はいない。それに準太に負けてからあいつら練習に対する意気込みが凄くてな、みるみる成長してるよ。」

 

「貢献出来たのなら何よりです。」

 

主将「だろ??じゃあミーティングするか!!全員集まれ!」

 

俺はもう一度、沙絵の為ではなく、沙絵が好きだった俺のバスケをする為に虹ヶ咲のバスケ部へ入部した。主将の言う通り、自己紹介をしたものの全員が俺の事を知っており、温かく歓迎してくれた。うちのバスケ部は強豪校のひとつとされており、他の優勝候補に引けを取らない。俺はこのチームで再スタートをするのだ。

 

主将「これでミーティングは以上だ。練習始めるぞ!!」

 

「「「はいっ!!!」」」

 

主将の合図とともに練習が始まった。練習をしていて分かったのだがやはり強豪校だけあってなかなかハードなメニューだ。そんな練習にも選手は弱音を吐くことはなく全力で取り組んでいる。何人かと1on1をしたがひとりひとりの能力が高い。球技大会で戦った部員ともしたが、以前と比べると桁違いに上手くなっている。

 

「こりゃ気を抜いたら足元すくわれるな。」

 

誰に言うわけでもなくそう呟き、俺もその日は周りに負けじと練習に励んだ。

そして練習が終わり、帰った俺はーーー

 

「つ、疲れた……」

 

完全にくたばりました。久しぶりにこんなハードな練習をした事で家に帰ると疲労が一気に襲ってきた。明日絶対筋肉痛だなこれ。

そう思っていると愛さんからメッセージがあり、確認すると……

 

愛『愛さんだよ〜!!!』

 

無視しよ。今日はその一言に返すほどの気力はないんだよ。

すると今度はスマホが振動して、渋々出てみるとあの元気な声が耳に響いた。

 

愛「どーせ返さないと思ったから電話したよ!!!」

 

「俺の考えは全てお見通しなようで。」

 

愛「どれだけジュンジュンと付き合ってると思ってるのさ!」

 

「数ヶ月だろ。」

 

愛「その通り♪愛さんはその期間でジュンジュンの事は分かったのだ!」

 

「じゃあ今俺が何考えてるか分かるか??」

 

愛「愛さんと電話したかったでしょ??」

 

「ひとりの時間が欲しいって思ってんだよ!!」

 

愛「ジュンジュン今ひとりでしょ??」

 

ジュンジュン何言ってるのとでも言わんばかりの返しが来て言い返すのが無駄と悟った。てかこの子も練習だったよね??なんでそんな元気なの??

電話越しでは愛さんのハキハキとした声が聞こえ、改めてこの人の太陽エネルギーは凄まじいと感じた。

 

愛「あ、そうそう!!ジュンジュン近々ある夏祭りに行く予定ある??」

 

「夏祭り??あー……別にないな、人多いの苦手だし。」

 

愛「そうなんだ!じゃあ愛さんと行こうよ!!」

 

「ねぇ話聞いてた??人多いのに苦手って……」

 

愛「無駄無駄無駄無駄無駄無駄っ!!!」

 

「もう反論の余地もないんすね。」

 

愛「折角のお祭りなんだし楽しもうよ!……それに、ジュンジュンと思い出作りたいんだよね、ダメかな??」

 

そんな電話越しでも分かる上目遣いをされて断れるわけないだろ…それにずっともやもやしている愛さんへの気持ちにも気づくかもしれない。

俺との思い出ね…そんな事言ってくれるの愛さんくらいだよ。

 

「分かったよ、集合場所とか時間決めないとな。」

 

愛「そうこなくっちゃ!!愛さんとしてはですねぇ……」

 

こうして俺は何の予定もないと思っていた夏休みに愛さんとの夏祭りが決まった。楽しそうに話している愛さんの声を聞いてさっきまでの疲労感が消えていくのを少しずつ感じていた。

人混みは嫌いな俺もこの祭りは……何故か楽しみに思えている。



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第42話

終業式が終わり今は夏休み、部活の練習に明け暮れる毎日だがオフの日はしっかりだらだらしている。オフなんだからどこか行けばいいって??馬鹿お前なんでアホみたいに暑い外へ行かなきゃいけないんだよ。冷房の効いているマイルームで過ごすのが1番じゃん。

そして今日はオフの日。俺が自分の時間を楽しんでいると愛さんから連絡が入っていた。確認してみると、どうやら彼女は同好会の合宿に行っているらしい。

そう言えばそんなこと言ってたっけな。

 

愛『今からランニングだよっ♪』

 

何の報告だよいるかこれ??俺今トイレって言うくらい報告が必要ないと思うんだけど。つーか夏休み入ってから愛さんの返信やたらと多いんだよなぁ……

 

「『楽しんでおいで』っと……我ながらなかなか適当な文を送ったな。」

 

愛さんに送って再びだらけようとするとまたもや通知が来た。何だよ邪魔しないでくれよ。確認するとまた愛さんからだ、それには写真とメッセージが来ており開いてみるとそこには愛さんたちが美味しそうなパフェを食べている写真だった。そしてメッセージにはーーー

 

愛『あ、パフェも食べたよ♪』

 

何でもいいわそんなこと!!!しかも事後報告じゃねぇか……楽しいのは分かるけどさぁ、いるこれ??はい、愛さんからしたらいるんですよね分かってましたよ。

 

俺は『美味しそう』とだけ返してスマホを閉じた。あいにく俺は周りみたいに"え、美味しそう!どこのお店??"とか"楽しそう!いいなぁ私もそういうのしたい!"みたいなメッセージは出来ない、だって思わないもん。

 

もう頼むから俺のオフを邪魔しないでくれ…と思っているとまたまた通知が。

いい加減にしろよあの子……っと思ったら全く予想したいなかった人物からのメッセージだった。

 

海未「今日は来て頂きありがとうございます。」

 

「別にいいさ。久々に海未の家に行けたわけだしな。」

 

俺は海未から弓道をもう一度したいと誘われ中学ぶりに園田家にお邪魔している。我ながらあんなに外出たくなかったのに行ったの凄いと思う。それにしても気温マジでおかしい、園田家に着いた時にはもう汗びっしょりになってしまってたよ。

 

海未「道場は既に的を立てて準備は出来ているので早速始めましょう!」

 

「待って少し休憩させてお願い。」

 

居間で海未と談話しながら涼しんだ後、道場へ行き支度をする。相変わらず広いなぁ、うちの道場より広いんじゃないか??

 

海未「それでは、いざっ!参ります!」

 

「なんか大会の時より意気込んでない??」

 

海未「当たり前です。これは雪辱戦なのですから。」

 

「そこまで大層なものではないと思うんだが……」

 

そして俺たちは個人戦の形式に沿って試合を始めた。バスケをし始めてブランクがあるかもと心配していたが俺の体は訛っておらず、大会の時のように弓を引けた。

そこから何回試合をしたか覚えていない。お互い勝っては負けての繰り返しで気づくと夕方になっていた。

 

海未「もうこんなに時間が経ったのですね。次で最後にしましょう。」

 

「そうだな、最後は勝って良い気分で終わりたいなぁ。」

 

海未「そう易々と勝たせるつもりはありませんよ??必ず私が勝ってみせます。」

 

最後の試合はお互い4本中3本あたり、最後の1本で決まることになった。引き分けになる場合もあるが俺自身何となく、どちらかが当ててどちらかが外すと思っていた。そして、弓を引き放たれた矢はーーー

 

海未「ふぅ……今回は、私の勝ちですね♪」

 

「ぐっ……自信あったのになぁ。」

 

海未「ふふっ、大会のリベンジが出来て満足です。ですがこれで引く準太ではないでしょう??」

 

「当たり前だ、次は必ず勝つ。」

 

海未「そうでなくては♪」

 

道 試合を終え、道場の片付けをし終え居間に戻るとスマホにえげつない通知が来ていた……愛さんから。

 

愛『これから練習するよ!愛さんお昼たくさん食べちゃって動けるかなぁ??』

 

愛『そういえばりなりーがバスケの試合する時教えて欲しいって!もちろん愛さんも行くからその時は全力で応援するね!』

 

愛『練習終わって夕飯作るよ!愛さんの腕がなる〜〜!!』

 

愛 『ジュンジュン寝てるのか!ぐーたらしてないで体を動かしなよ!』

 

愛『ジュンジュン!!』

 

うるせぇわ!!!何なんだよこの報告通知は!!返信こないなら待てよ……てかちゃんと今日体動かしてましたからね??

あ、璃奈ちゃん来てくれるんだ頑張ろ。

 

海未「どうかしたのですか??」

 

「あ、ああ……これ。」

 

海未「ふふっ、2人の仲はどんどん深まってますね♪」

 

「笑ってる場合か!あの子夏休みずっとこんな調子何だよ。どうしてそんなに遊べるんだよ充電満タンになるの早すぎだっての。」

 

海未「それほど愛は準太と話したいんですよ。準太もそうなのでは??」

 

いきなり指摘された海未の発言で一瞬動揺してしまった。愛さんからの連絡に文句を言っているのは嘘ではないがその反面通知が来ると心の中で喜ぶ自分もいる。しかしなぜそんな気持ちになるのかはまだ分かっていない。

 

海未「その様子だと、まだ気持ちに気づいていないようですね。」

 

「気持ち??」

 

海未「一度愛の事を改めて考えてみてはいかがですか??愛はきっと待っていますよ??」

 

待っている??愛さんは一体何を待っているというのだ……

 

園田家を後にして家に着き自分の部屋に戻るとさっきの海未が言ってた言葉が頭から離れない。確かに愛さんは4月からほとんど関わっており、今まで自分の口からは言わなかった沙絵の事も愛さんにならと思い話した。

つまり俺の中で愛さんは大きな存在となっていたのだ。

 

「……愛さん。」

 

自然とこぼした彼女の名前。すると俺の体は熱くなり、心臓もドキドキしていた。どうしたんだよ俺は……

愛さんの事が頭から離れずベッドに突っ伏している俺の横にあるスマホはそれからも彼女からの通知は止まなかった。



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第43話

ーー愛視点ーー

 

愛「ジュンジュン何してんのかな〜。」

 

愛さんは今、同好会のみんなと合宿に来ている。合宿なんてしたことなかったから予定が決まった日から楽しみで仕方なかった。そして今は練習が一段落して休憩中なんだけど、スマホを開いてもジュンジュンからの返信がなくモヤモヤしている。

 

愛「オフなら返してくれてもいいと思うんだけどな〜」

 

つい文句を漏らしてしまう自分に気づき顔が熱くなる。愛さんがジュンジュンに恋していることを自覚してからずっと彼の事を意識してしまう。

友達の恋バナを聞いてた時、周りの子は共感していたけどそれまで愛さん自身恋したことがないからいまいちピンと来なかった。

そんな愛さんが隣の席だったことから知り合った彼とこんなに仲良くなって、恋するなんて思わなかったなぁ……

 

璃奈「……なにぼーっとしてるの??」

 

愛「うわっ!?!?なんだりなりーかぁ、びっくりしたなぁ〜」

 

璃奈「別に驚かしてないよ……」

 

気づくと隣にりなりーがいた。声掛けられるまで気づかなかったなんて……愛さん一生の不覚!!!

これもジュンジュンの所為だね!たくさんメッセしとこ。

 

愛「ごめんね、ぼーっとしちゃって!練習再開かな??」

 

璃奈「ううん、それはまだなんだけど…愛さんがさっきから顔を赤くしたりぼーっとしたり悩んだりしてたから気になったの。」

 

愛「嘘っ、愛さんそんなことになってたの?!」

 

璃奈「……もしかして、準太さんのこと考えてたの??」

 

愛「ふぇっ?!?!ま、まさかそんなこと……///」

 

まさかりなりーに指摘されるなんて思わなかったから驚いちゃった。なんでジュンジュンの事だって分かったんだろう、愛さんりなりーに話してたっけ??

愛さんがモジモジしているとりなりーが璃奈ちゃんボードを出して予想外の発言をした。

 

璃奈「……私も準太さんが好き。璃奈ちゃんボード『照れ照れ』」

 

愛「……えぇぇぇぇ!?!?」

 

まさかまさかの発言だった。確かにりなりーはちょくちょくジュンジュンの様子とかバスケの試合を見に行きたいとか愛さんに聞いてたけど……恋してたの?!

 

璃奈「だから何となく愛さんの気持ちは分かってたよ。愛さんは準太さんのこと好きでしょ??」

 

愛「え、えーっと、あはは……好き、かな///」

 

ついにりなりーに言ってしまった。まさか好きな人がりなりーと一緒だなんて少し複雑だな……でもジュンジュンが好きな気持ちは誰にも負けないし、負けたくない!愛さん頑張らないとね!!

 

璃奈「やっぱそうだったんだ。……ちなみに私の好きは愛さんの好きと違うと思う。」

 

愛「………へ??」

 

璃奈「準太さんのことは好きだけど、頼りがいのあるお兄さんって感じとして好きなんだ。璃奈ちゃんボード『くすくす』」

 

……は、はめられたぁ?!りなりーもしかして愛さんの気持ち聞くためにあたかも異性として好きって感じで言ってたの?!いつの間にそんな子に育ってしまったんだ……愛さん知らないよ!!

 

璃奈「試すようなことしてごめんね。でも、私は愛さんの気持ちを知った上で応援したいと思ったから。」

 

愛「りなりー……。」

 

璃奈「もしこれから何かあったらちゃんと言ってね??できることあったら協力するよ。」

 

愛「……うんっ、ありがとう♪」

 

今まで愛さんは他の人のサポートばっかしたり、お世話をしてたけどこうやってサポートされる側になるなんて思わなかったなぁ。でもりなりーから力になると言ってくれたのはすっごく嬉しくて、今日のりなりーは少しお姉さんの様に思えた。

 

せつ菜「なんですか恋バナですか?!私も混ぜてください!」

 

果林「あら、もしかしたら準太のことかしら??」

 

しずく「準太さんって愛さんがいつも話してる男性の方ですよね!!私も聞きたいです!」

 

愛「え、えーっとその……あはは……。」

 

気づくと愛さんの周りに同好会のメンバーが詰め寄り、それぞれ質問を投げかけてくる状態に。りなりーはそんな愛さんを他所にそっと後ろに下がって見守っていた。ちょっとりなりー助けてよ!!

それに心做しかせっつーが人一倍興奮している気がするんだけど……

 

そして愛さんへの質問はしばらく終わらず、根掘り葉掘り聞かれた。その時ジュンジュンの事ばかり話すから余計彼を意識してしまった。

次に会うのは夏祭り。日にちは近いけどそれまで会えないと思うとやっぱし長く感じちゃうなぁ。

 

愛「夏祭り、早く来ないかな〜……」

 



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第44話

愛「あ、きたきた♪ジュンジュンこっちこっち〜!愛さんはここだよ〜!!」

 

「……恥ずかしいっつの。」

 

分かったからそんな大声で呼ばないでくれ。ほら周りの人達何事かとあなたを見てますよ??そりゃ夏祭りだからテンション高いのは分かるけどさ、あなた常にテンション高いんだから今日くらい落ち着こうよ。

 

今日は愛さんと約束した夏祭り。あらかじめ決めていた場所に行くと既に愛さんは待ってくれており、浴衣を着ていた。イメージカラーの様にオレンジの浴衣でいかにも愛さんらしい。その姿はいつもの愛さんとは違う少し大人びた雰囲気を放っており、周りの男性もチラチラと彼女を見ている。

……あれ、なんでそれだけで胸が騒いでんだろ。

 

愛「お!ジュンジュンも浴衣着てるじゃん、なんだかんだ楽しみにしてたんだ♪」

 

「人多いなぁやっぱ帰ろうかなぁ。」

 

愛「ご、ごめんって!!そ、その……すっごく似合ってるよ♪」

 

愛さんは柔らかい笑みをしてそう褒めてくれた。その顔を見た時、不意に以前海未に言われた言葉を思い出す。

 

"一度愛の事を改めて考えてみてはいかがですか??愛はきっと待っていますよ??"

 

正直まだ今愛さんへの気持ちが分かっていない。しかしこれまであちらこちら俺を振り回すとんでもない隣の席の女の子から、ふと見せる表情や仕草、そして愛さんがいることに安心を抱く存在になっているのは確かだ。

この夏祭りで何か見つけることが出来るだろうか。

 

「………。」

 

愛「ジュンジュン何ぼーっとしてるの??」

 

「えっ、あー……悪い。」

 

愛「もしかして愛さんの浴衣姿に見とれていたな〜♪」

 

「……そうだよ。愛さんもその…似合ってるぞ??」

 

愛「へ………///」

 

考えていたこととは違うが愛さんの浴衣が似合っていると思っていたから正直に言うと愛さんは惚けた顔をした後みるみる顔が赤くなった。

 

愛「も、もうそろそろ行くよ!今日は屋台回って沢山食べて花火見るんだから!」

 

「お、おいちょっと待てって!」

 

そう言うと愛さんは俺の手を掴み祭り会場へ引っ張った。待って待って急に引っ張らないで女の子にそんなことされたことないから!!

 

愛「愛さん燃えてきた〜!!!」

 

******

 

愛「ジュンジュン見て!!景品獲得っ!!」

 

「それで何個目だよ。」

 

今俺たちは射的をしているわけなのだが……愛さんが凄い、とにかく凄い。射的をする前も輪投げやらだるま落としやら色んな遊戯をしたのだが必ず景品を取っている。おかげで俺の手には愛さんが獲得した景品だらけ。これどうするつもりよ……

 

愛「あはは、夏祭り行くとやっぱりしたくなっちゃうんだよね!!」

 

「それはいいけど、部屋に全部置くのか??」

 

愛「ううん、これは全部子供たちにあげようと思ってさ。」

 

「子供たち??」

 

愛「そうっ!今度同好会で保育園に行って子供たちと遊ぶから、その時にプレゼントしようかなって♪」

 

その為にやっていたのか……きっと子供たちに少しでも楽しんでもらおうと愛さんなりに考えていたのだろう。無邪気に笑って屋台を楽しんでいるそんな愛さんを見て、彼女がどれだけ周りの事を考えているのか改めて俺は知った。

 

「んじゃ、俺も何か景品取ろうかな。」

 

愛「そんな事言って、さっきから残念賞ばっかじゃん♪」

 

見栄を張るものではありません。

 

愛さんと屋台を回っていると徐々に人混みが多くなり、前に行こうにもその隙間さえなくなっていた。

そしてその状況で俺と愛さんは……

 

「あれ……愛さん??」

 

はぐれてしまった。さっきまで隣ではしゃいでいたはずの彼女が気づくと消えており、周りを見渡しても愛さんはいなかった。

友達なら後から連絡しようと思ったが、愛さんは直ぐに見つけたいと思った。

 

「どこにいるんだ……いつもすぐ見つかるのにこういう時に限って…!!」

 

どれだけ探しても見つからない。前にいるのか後ろにいるのか見当もつかず、やきもきしていると、通路外に愛さんの姿が見えた。彼女はいかにもチャラそうな3人組の男性に詰め寄られており、逃げれないでいた。

俺はその光景を見ると考えるよりも先に愛さんの元へ向かっていた。

 

「……探したぞ、愛さん。」

 

愛「ジュンジュン……!!」

 

「ちょっとお兄さん、今俺たちお取り込み中だから邪魔しないでよ。」

 

愛さんを連れて行こうとすると3人組の1人が声を掛けてきた。もうここは察して諦めろよ……

 

「お取り込み中……一方的に話し掛けて、困らせているようにしか見えませんでしたが??」

 

「はぁ何言ってんの??俺たちが先に見つけたんだからお前は1人で祭り楽しんでろよ。」

 

先に見つけた??何を言っているんだこいつは。3人で愛さんを囲んで逃げられないようにして、俺が1人なのをいい事にでかいツラしやがって……

その時、俺は自然と言葉が出てきた。

 

「……ふざけるな。」

 

「あ??なんだって??」

 

「俺の……愛に…これ以上近寄るな!!」

 

愛「ジュ、ジュンジュン……///」

 

「こいつ、調子に乗りやがって…!!」

 

「調子に乗っているのはお前らの方だ。3人いるからとデカい態度をするなんて随分と心が小さいな。3人じゃないとナンパ出来ないならするんじゃねぇよ、馬鹿が。」

 

「ぐっ……!!!」

 

「図星だから否定出来ないだろ。二度と彼女に近寄るなよ……分かったか??」

 

俺の一言を最後に男達はその場から動けないでいた。横にいる愛さんも顔が固まっており、動いていなかった。……おいなんで愛さんまで動かないんだよ。

そんな愛さんの手を引っ張り俺は屋台のある方へ歩き出した。

「……行くぞ///」

 

愛「へ??あ、う、うんっ!!」

 

******

 

愛「〜〜♪♪♪」

 

「……なんだよ。」

 

愛「えへへ、別に〜〜♪♪♪」

 

あの後愛さんはずっとニコニコして俺の腕に抱きついて歩いている。気味が悪いし歩きずらいし柔らかいの当たるし……やっぱ歩きずらい。

 

愛「ジュンジュン、さっきは……ありがとう。嬉しかったよ♪」

 

「べ、別にいい。見つかってよかった。」

 

愛「見つけてくれたもんね〜♪」

 

「……たまたまな。」

 

愛「はいはい、そういう事にしておくねっ!!」

 

「……///」

 

愛「そっかぁ〜、愛さんはジュンジュンのなんだ〜♪♪」

 

「うるせぇぇ!!あの時は彼氏って思ってもらった方がいいと思ったんだよ!!///」

 

愛「そうだよね〜〜♪」

 

あぁもううるさいなこの子は!!ずっといじってくるじゃねぇかよ勘弁してくれ……と思うが、実はナンパした男達に言いながら自分の気持ちがはっきりとあの時気づいた。

 

俺は……愛さんが好きなんだ。




たくさん書いてしまいました!
ここからシーン別になる時*を使うことにします!
こっちの方が見やすいかな??


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第45話

愛「た〜まや〜!!!」

 

「………。」

 

愛「ほら、ジュンジュンも言おうよ!た〜まや〜!!」

 

「たーまやー。」

 

愛「もっと元気に!!そんなんじゃ綺麗な花火上がらないよ!」

 

「上がってるじゃん。」

 

愛「もう、さっきからジュンジュン変だよ??」

 

「ほっとけ。」

 

俺は愛さんのことが好き。さっきこの気持ちに気づいてから明らかに愛さんを意識してしまっている。本人は気づいていない様だが……

好きと知ってから今までの感情全てに合点が行く。愛さんの笑顔を見た時のドキドキも他の男が愛さん見た時のモヤモヤも家にいると愛さんの事を考えてしまうことも……え、俺頭の中愛さん過ぎない??我ながらキモいんだけど。

 

そして俺はこの気持ちに気づいてからある事を悩んでいる。それは想いを伝えるかどうかだ。

勿論伝えたい気持ちはある、しかし告白して振られてしまい、この関係が壊れてしまうのではないか……要するにヘタレってだけですね、はい。

 

愛「あっ、今の結構大きかったよ!!写真撮り損ねちゃった!!」

 

俺の気持ちを他所に隣で花火を見て楽しんでいらっしゃる愛さんを見てその横顔にまたもドキドキしてしまう。

 

愛「ねぇ、ジュンジュン。」

 

「どした??」

 

愛「来年もこうして、ジュンジュンとお祭り行けるかな??」

 

花火を見ながら愛さんは俺に聞いてきたもの。その言葉はどういう意味で言っているのだろうか。友人としてなのか、それとも……

 

「……どうだろうな。クラス違ったら会わなくなるだろうし。」

 

愛「クラス違っても愛さんが毎日会いに行ってあげるよ!!愛さんだけに!」

 

「忘れた頃にかましてくるよな。」

 

愛「毎日言ってあげようか??」

 

「結構です。」

 

こうして愛さんと話していると、初めはうんざりしていたのに今は楽しいと思うようになったのが正直驚いている。

こうして愛さんと話すのがいつまで続くのか、来年にはもうこうして2人でいることは無くなっているのか。あれこれマイナスの事を考えていくと自分の顔がどんどん暗い顔になっているのが何となく分かる。

 

愛「どうしたの、ジュンジュン??」

 

「いや……なんでもない。」

 

愛「……ねぇ、この後ちょっと寄り道しない??最後に行きたいとこがあってさ。」

 

「行きたいとこ??」

 

******

 

愛「久しぶりだなぁ〜、ここ最後いつ行ったっけ??」

 

「球技大会前じゃん。てか最近過ぎて久しぶりではないだろ。」

 

愛「いいじゃん!気にしない気にしない♪」

 

今俺たちがいるのは球技大会前に愛さんとバスケをした公園だ。夜だけあって周りに人はおらず、俺たち2人だけだ。

愛さんはブランコに乗ってゆさゆさと、軽く漕いで空を見上げていた。

祭りの時はあんなにはしゃいで空を見ていたのに今はとても静かだ。

 

「……楽しかったな、祭り。」

 

愛「うんっ!!景品もたくさん取ったし屋台も回れたし愛さん満足だよ♪」

 

「ナンパもされたしな。」

 

愛「ジュンジュン助けてくれたしね♪」

 

からかうものではありません。しっかり倍にして返されました恥ずかしい。

愛さんはにししっと笑うとブランコから降りて俺の正面に立った。その表情はさっきまで俺をからかっていた顔と違い、柔らかな笑顔であった。

 

愛「今日は本当にありがとうね。夏祭りは勿論楽しかったし、その……助けてくれたのが愛さん凄く嬉しかったんだ。」

 

「お、おう……そりゃ連れが変な男達に絡まれてんだから知らんぷり出来ないだろ。」

 

愛「……愛さんが連れだから助けただけなの??」

 

「え、いや、それだけじゃないけど……」

 

まずい、照れ隠しで言った言葉が愛さんの機嫌を損ねる発言になったかもしれない。なんでこういう時素直になれねぇんだよ……

 

愛「愛さんね、春からジュンジュンと知り合って、最初は普通に仲良くしたかっただけなんだ。でも……」

 

「でも??」

 

愛「ジュンジュンと過ごすうちにいろんな一面を知って、気づいたら愛さんの中でどんどん大きな存在になっていたの。」

 

突如語り始めた愛さんの話に少し戸惑いを覚える。なぜなら今愛さんが言った言葉は俺がも伝えたかったからだ。最初の知り合いたては同感出来ないが。

俺への想いを伝える愛さんはあたかもこれから告白するような雰囲気を醸し出していた。だがそれはありえない。なぜなら告白するのだとしたらそれは俺なのだから。

 

愛「だからね、これからもジュンジュンと色んな所へ行って色んな思い出を作ってまだ愛さんの知らないジュンジュンを知っていきたい。だって……」

 

そして次の言葉俺が今まで経験したことのないような衝撃が身体中に走り、一瞬思考が止まるほどのものであった。

 

愛「愛さんは、ジュンジュンの事大好きだから。」

 

 



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第46話

「……えっ。」

 

今俺は頭が回らないでいる。愛さんなんて言った??好き……俺の事が??

嘘だろ、それは俺が言うはずの言葉なんだから。これはあれか、祭りで人の多さに疲れているせいで幻聴を聞いているのか??

 

「………。」

 

愛さんを見るといつもの笑顔ではなく汐らしい顔をしてこちらを見ている。

……え、まじで??

好きな子に逆告白されるなんて思っておらず嬉しい気持ちが一杯になってはいるが、異性と交際したことが無い俺は今言わなければいけない言葉が発せれない。これだからヘタレは嫌だ。

 

しかし、せっかく愛さんが告白してくれたのだ。何も言わない訳にはいかない。俺も同じ気持ちなのだから尚更だ。

よしっ……言うぞ。

 

「……あ、ありがとう愛さん、実は俺「へ、返事はまた今度でいいから!!愛さんそろそろ帰るね!!」……え。」

 

俺の言葉を最後まで聞かず愛さんは早口で俺にそう伝え去っていった。

……えぇ俺取り残されちゃったよ??まさかの俺の思い伝えきれなかったよ??なんだったらカットされましたが。

 

「……え、俺どうすればいいの??」

 

ぽつんと誰もいない公園に取り残された俺。しかも生まれて初めての告白も愛さんによって失敗に終わっている。

こんな初めての告白嫌だ。ダサすぎやしないか??

 

「そうだよな、これで終わりたくないよな??」

 

そう思うとだんだんいらいらしてきた。なんで俺の気持ち聞かずに帰るんだよめちゃくちゃ恥ずかしい思いしてんだよこっちは!!!

絶ッっっっ対今日言ってやる。

そう思った俺は公園から全速力で後を追った……浴衣姿で。

 

******

 

ーー愛視点ーー

 

愛「はぁ…はぁ…い、言っちゃった///」

 

愛さんはジュンジュンに告白しました。男の子に告白なんて生まれて初めてだったからずっと心臓ドキドキしたなぁ。本当は今日言うつもりじゃなかったけど、ジュンジュンと一緒にいると気持ちが高ぶっちゃって……。

何にせよ告白は出来ました。ただひとつ問題が。

 

愛「どうしよう、愛さん返事聞くのが怖くて逃げちゃったよ…明日から連絡取りにくいなぁ。」

 

愛さんは伝えるだけ伝えてジュンジュンを置いて公演を出ていってしまったのである。でも初めての告白だし……許してくれるよね!

そう思っていると遠くから何か声が聞こえた気がして振り向くと……

 

愛「……えっ、ジュンジュン?!?!?!」

 

鬼のような形相をしたジュンジュンが追っかけてきたのだ。えぇさっき愛さん告白したばっかりだよ?!気持ちは人によると思うけど告白された後そんな顔する人いないと思うんだけどな!!!

 

「待てこらぁ!!!!」

 

愛「ひぃっ……!!!」

 

「おいこら逃げるな!!」

 

愛「逃げるに決まってるじゃん!!」

 

恐怖を感じた愛さんは反射的に逃げしまう。夜遅くに浴衣姿で走り回る男女……何してんだろ愛さんたち。

愛さんはひたすら逃げてジュンジュンはその後を追う。これをしばらく続けていると気づいたら公園から大分離れた河川敷まで来ていた。

 

「いい加減にしろっ……!!」

 

愛「わっ……!!!」

 

ついに愛さんはジュンジュンに捕まってしまった。

彼が繋いだ手は少し痛いくらい強った。お互い長距離を走った為、息切れをしている。

 

「はぁ、はぁ……どんだけ走らせんだよ疲れただろ。」

 

愛「だ、だって……ジュンジュン怖かったんだもん。」

 

「そ、そりゃ言い逃げされたら腹立つだろ!それに……俺の気持ちも、い、言えてないし……」

 

愛「はぁ、はぁ……き、気持ち??」

 

ジュンジュンはそう言うと呼吸を整えて真剣な顔で愛さんと向き合った。愛さんも乱れた呼吸を整えてジュンジュンを見る。まさか返事を今日聞くことになるとはなぁ……

 

「さっき逃げられて言えなかったことを言う。……俺も愛さんが好きだ。」

 

愛「……へ??」

 

「だから!!俺も愛さんが好きなの!!」

 

愛「い、今……なんて??」

 

「今日は夏祭りが楽しかったな。」

 

愛「違うでしょ!!えっと……そ、その…好きって、女の子として??」

 

「当たり前だ。友達として好きなんて告白ないだろ。」

 

愛「……ジュンジュン!!!」

 

「うおっ、な、なんだよ……」

 

ジュンジュンの言葉を聞いて気持ちを抑えれずに抱きついてしまった。でもこれぐらいいいよね??だって……愛さん今最高に幸せなんだもん!!

 

愛「ジュンジュン!愛さんもジュンジュンが大好きだよ!」

 

「お、俺もだ…ってかもう離してくれ!誰が見てるか分からん!」

 

愛「いいじゃんこれくらい……恋人なんだし……ん??恋人??」

 

「ん?なんだよ??」

 

愛「愛さんたち……まだお互い告りあって終わってるよね??」

 

「え、そうだけど……なに??」

 

愛「まだ肝心なこと言ってなーーーい!!!!」

 

「…… え、マジでなに??」

 

せっかく幸せな気分がジュンジュンの一言で少し落ちていった。好きって言ったあと次何言うか分かるじゃん普通……。

 

愛「もう……改めて言うけど、愛さんはジュンジュンが好きです。愛さんと付き合ってくれないかな??」

 

「……あー、ごめん。」

 

愛「ごめん?!えっ……ジュンジュンは付き合いたくないの??」

 

「あ、いや違う!!そうじゃなくて……愛さんに言わせてごめんって意味だ。」

 

なんて紛らわしい発言をするんだろうこの人は。

 

愛「じゃあ、その愛さんに言わせちゃったことをジュンジュンの口から言ってくれる??」

 

「お、おう。……俺も愛さんが好きだ。これからも一緒にいて欲しい……だから、俺と付き合ってください。」

 

愛「うんっ、勿論だよっ!!!」

 

こうして愛さんたちは恋人関係になりました!!まだ夏休みは始まったばかりだし、たくさんジュンジュンと思い出が作れると思うと楽しみで仕方がないな!!

これからもよろしくね、ジュンジュン!!




ついに!ついに準太と愛さんくっつきました!

これから色んなイベントを考えていきたいです!
夏といえば後は何だろう、海??キャンプ??旅行??何がいいのかなぁ、、


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第47話

愛さんと恋人同士になってから変わったこと……何もありません。

いつも通りメッセージが来るし、いつも通り電話が鳴るし恋人前からしていたことを繰り返している。しかしそれでもやはり、好きな人から連絡が来るのは嬉しいもので、通知に愛さんと出ていると自然とニヤニヤしてしまう。

 

「これがリア充と言うやつか…俺が経験出来るなんてな。」

 

夏祭りからしばらく会えていないが、それでもこうしてやり取りをすると寂しさはなくなる。

さて、今日は部活もないし何しようかな……ん??

スマホが鳴り確認すると、愛さんから着信があった。前の俺ならやれやれと思っていたが……やっぱ嬉しいよね。

 

「もしもし??」

 

愛「海行こうよ海!!!!」

 

「唐突だな。」

 

愛「何言ってんの、海行くって約束したじゃん!」

 

え、そんな約束したっけ??……あぁ、あれか、勝手に予定決められたやつか。

 

「いつ行くの??」

 

愛「今日!!!」

 

「もう少し計画立ててから行きませんか??」

 

愛「思い立ったが吉日って言うじゃん??じゃあ昼前に駅で集合ね!じゃあ!」

 

伝えるだけ伝えて切られてしまった。……えぇこれから行くの??準備してないぞ、まぁ水着と財布くらいだと思うけど。

 

******

 

愛「ジュンジュンこっちだよ〜!!!」

 

駅に着くと愛さんが手を振って読んでくれる。だからデカい声出さないで恥ずかしいから。なんでこんな暑いのにそんな元気でいれんだよ……

 

愛「夏祭りぶりだね、ジュンジュン♪」

 

「そ、そうだな///」

 

夏祭り以来に会う愛さん。恋人になってから会うと変に意識をしてしまい、顔が熱くなる。愛さんはと言うと告白した時とは違い恥じらう素振りは全くなく、いつも…いや、それ以上の元気でいた。

 

愛「よぉし!!海へ行くよジュンジュン!!」

 

愛さんはそう言うと俺の腕を自身のと絡めて歩き出す。待ってまだそんな耐性ついてないから!!柔らかいの当たってるから!

 

愛「恋人なんだしいいじゃん♪」

 

「うっ………」

 

愛さんはニコニコして腕の力を強めてくる。愛さんはラフな格好しているだけあってその分体のラインがハッキリと分かってしまう。スタイルいいんだよなぁこの子……

こうして俺と愛さんの恋人としての初デートは海になった。

 

******

 

着替えて海に行くとさすが夏休みだけあって、人が多い。恋人で来る者、友達で来る者など様々である。

海なんていつぶりだろう、久しぶりに波の音を聴くのはいいものだな。

 

愛「ジュンジュンお待たせ〜!!!」

 

ようやく愛さんが来たようだ。愛さんどんな水着来てんだろ、やっぱオレンジ??うん、なんかそんな気がする。

 

「おう、準備終わっ……。」

 

愛「えっと……どうかな??」

 

俺が想像していた水着とは違い、今愛さんが身につけている水着は……黒ビキニだった。

 

「………。」

 

愛「せっかくの海だし新しいの買ったんだけど…変かな??」

 

「変じゃない……似合ってる///」

 

愛「そっかそっか…やったね♪」

 

黒ビキニは想定外だった。というかエロい。え、愛さん高校生だよね??凄い大人びてるんだけど……あと胸が強調されて目の行き場に困る。

 

愛「どこ見てるのかな〜??」

 

「海。」

 

愛「嘘つけ!!!」

 



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第48話

愛「それ!!ジュンジュンに愛さんのダイレクトアタック!!」

 

「おい、やめろっ!海水目に入って痛いっての!」

 

愛「愛さんは無敵なのだ〜!!!」

 

今俺は愛さんに海水を浴びせられている。こういうの地味に憧れてたんだけど……なんか違う。俺がかける隙を与えない、与えてくれない。一方的にバシャバシャと愛さんが楽しそうにかけてくる。あれぇおかしいなぁ〜、キャッキャウフフってやつじゃないの??

 

愛「いやぁ海と言えばこうでなきゃね!!」

 

「こうであってたまるかぁ!!」

 

愛「どしたのジュンジュン、そんなに叫んで。」

 

「あくまで自分は悪くないと言うのか……」

 

愛「悔しいなら愛さんにかけてみなさ……きゃっ!!」

 

「オラオラオラオラオラオラ!!!!」

 

彼女にそんなガチで水かけないだろって??甘いわ!!あんなにやられたんだ、俺がやられたくらいしてやらないと気が収まらねぇよ!!

 

愛「ジュンジュン容赦ない!!それでも彼氏か!!」

 

「うるさい!!あんだけその彼氏に水かけて何を今更被害者面しやがる!」

 

愛「うわぁかけるスピード早くなってるよ!!でも……愛さんも負けないよ!無駄無駄無駄無駄っ!!!」

 

海で、カップルで、こんなエジプト編の様なシーンをする俺たち。幸い俺たちの周りに人はいなかったから水がかかるなんてことはないのだが……

 

「(何してんだろ、あの2人。)」

 

こう思われていることは2人は知らなかった。

 

******

 

愛「あぁ楽しかったぁ♪」

 

「疲れたわ……」

 

愛「そんなこと言って、ジュンジュンもなかなかはしゃいでたよ??」

 

「そんなことはありません。」

 

愛「時は止まった!!」

 

「動いてます!!!」

 

無駄無駄言ってから何となく予想はしてたけど……言ってくるねぇ。てかあのスタンドを愛さんが持ってたらやばくない??手に負えなくなるやん……もう手に負えてないけどさ!!

 

「で、次は何をするんだ??」

 

愛「その言葉を待ってました!!実は愛さん、色々持ってきたんだ〜♪」

 

愛さんはそう言うとカバンをゴソゴソと漁り始めた。え、何を持ってきたの一体。

 

「これは……」

 

愛「水鉄砲だよ!!かっこいいでしょ!」

 

「いや、かっこいいけどさ……なんかデカくない??」

 

愛「そりゃ、そこらの物とは違うからね〜♪」

 

なんだその怪しい笑みは。これ水鉄砲だよね??水が出てくるだけだよね??そう思いたいのに心配になってしまう俺って何なんだ……

 

愛「ほら、ジュンジュンも片方持って!お互い水溜めたら勝負しよっ!」

 

「お、おう…お手柔らかにな。」

 

そうして俺たちはそれぞれ鉄砲に水を溜めて向かい合った。普通の水鉄砲ってプラスチックで作られていると思うんだけど……これ動く度にガシャガシャ言うんだけど。

 

愛「じゃあジュンジュン行くよ!!愛さん手加減しないからね!」

 

「もうそれは諦めているよ……よしっ、やるか。」

 

愛「よぉし!喰らえジュンジュン!!」

 

愛さんがそう言うと水が発射されたのだが……今結構でかい音でバンってならなかった??

 

「ぐふぉっ?!」

 

愛「やった!命中〜!!」

 

出された水は勢いよく俺の顔にヒットした。その衝撃は俺が知っている水鉄砲の威力ではない。もはや殺人レベルだ。

 

「なんだよこの威力!!普通じゃないのかよ!」

 

愛「愛さん特製のショットガン水鉄砲だよ!溜めた水を空気の力を利用して発射するの!連続では出せないけど、威力は抜群♪」

 

「抜群♪じゃねぇよ!なんてもの作りやがるんだよ!てか俺のは……」

 

愛「ジュンジュンのも愛さん特製だよ!名付けて愛さんのライフル水鉄砲!ショットガン程じゃないけど、威力は普通のより倍にしてみました!」

 

「おい危ないだろこれ……大丈夫かよ撃っても。」

 

愛「心配してくれるなんて……さすが、ジュンジュン!!愛さんそういうとこも好きだよ♪」

 

「べ、別にそういうのじゃ……ぶへっ!!!」

 

愛「あはは、ほらほらー早く撃たないと〜♪」

 

こいつ……心配したのが馬鹿みたいだなおい!!もう容赦しないぞ、徹底抗戦だー!!!

 

「オラオラオラオラオラオラ!!!」

 

愛「来たな準太郎!!!無駄無駄無駄無駄!!」

 

「おいその呼び方やめろ!!!小文字の違いになるから!」

 

愛「あはは、ジュンジュン何言ってるの〜♪」

 

「変な事言ってないけど?!」

 

そして俺たちは周りの目を気にすることなく存分に撃ち合った。お互い水が切れて休憩しようとした時に周りが好奇な目で見ているのが分かった。……冷静さを忘れないようにしよ。

その後も俺たちは愛さんが持ってきた浮き輪だのボールだので遊び、昼ごはんを海の家で食べて海を満喫したのである。

帰りの電車では愛さんの充電が切れ、俺の肩にもたれかかってきた。

まぁ、あれだけはしゃいだら疲れるよな。

 

愛「んん……ジュンジュン……」

 

隣で寝ている愛さんは俺の名を呼んで幸せそうな顔をしていた。そんな顔されたらこっちまで幸せになるじゃんか。

一体どんな夢見てんだろ、笑ってるっつーことは遊んでるのかな??

 

愛「それ、愛さんの服……着ちゃダメ……」

 

俺は無言で愛さんの頬を引っ張るのであった。

 

 



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第49話

主将「よし、全員揃ったな。行くぞっ!!」

 

「「「はいっ!!!」」」

 

今日から3泊、俺たちバスケ部は合宿へ行く。この合宿で個人のスキル強化を目的に行くのだが、去年の合宿メニューを見て絶望を感じた。

いやだってさ、休憩という休憩が全くないんだもん。動いて動いて動いて時に休憩という感じだ。しかも場所は海だと言う……最近言ったんだけどなぁ。

 

主将「準太、これからインターハイにかけて練習を詰めるが、大丈夫か??」

 

「心配するっつーことは相当エグいんですね。」

 

主将「そりゃ合宿だからな、普段の練習以上のメニューを考えているさ。まぁお前の実力なら大丈夫だろうけどな。」

 

「そう思うならさっきの心配する素振りなんだったんですか。」

 

主将「それは主将としての建前だよ、部員の体調を心配するのは大切だからな。」

 

「それを言わなかったら素敵でしたけど。」

 

主将「まぁそう言うな、もっと実力を伸ばすためにもこの合宿で自身の課題を見つけるんだ。行くぞ!」

 

「……うっす。」

 

こうしてバスケ部の合宿が始まった。ただでさえ日頃の練習がキツイのに合宿ではどんだけ死人が出るのやら……

愛さんには事前に合宿へ行くことは伝えており、今日起きたら"ジュンジュンfight!!"と、メッセージがあった。まぁこれを見ただけでやる気が湧くから恋の力って凄いよね。

 

******

 

ーーー愛視点ーーー

 

愛「ジュンジュンは今頃合宿かぁ〜……」

 

愛さんはジュンジュンとのやり取りを見返してそう呟いた。3泊ってことは……4日会えないのかぁ…せっかく面白い遊び考えたのになぁ。

でも遊びに行ってる訳じゃないし、ジュンジュンは練習しに行くんだもんね、よしっ!!愛さんも練習頑張りますか〜!!!

 

愛「あれ、せっつー??」

 

せっつーから着信があり出てみると、愛さんを燃えさせるには十分の話だった。

 

******

 

「はぁ…はぁ……きっっつ。」

 

「ほら準太!!次は砂浜でランニングだぞ!!」

 

「マジかよ……。」

 

合宿先に着いてから、すぐに練習を始めたのだが想像以上に辛かった。バスケ部にもう一度入って今日まで練習をしていたとはいえ、やはりスタミナが中学の頃と比べてなくなったいる。

俺はこの合宿で中学くらい、いやそれ以上のスタミナをつける必要があるみたいだ。

 

「よしっ、ランニングしに「ショットォォォォォォ!!!!」ぶへっ!?!?」

 

え、今何が起きた??走り込みに行こうと思ったら凄い衝撃が俺の顔面に直撃したんだけど。この感覚知ってるぞ……確か愛さんと水鉄砲の撃ち合いをしていた時と同じような……

 

愛「ご、ごめんね!!友達を撃ったはずだったんだけど……あれ、ジュンジュンじゃん!!」

 

「何で愛さんがいるんだよ。」

 

愛「あはは、実はせっつーに同好会で海に行こうって誘われたんだけど、まさか場所がジュンジュンの合宿先と同じなんて!!」

 

今俺の前にいるのはしばらく会えないと思っていた愛さんだった。会えたのは嬉しいが……もうちょっと別の会い方があったと思うんだよね。

今愛さんが来ているのは俺と海へ行った時のビキニではなく、オレンジのビキニだった。どちらにしろ似合ってる。

 

愛「ジュンジュンと行った時は思い切って黒ビキニだったけど、今日はオレンジなんだ!ジュンジュンはどっちが好きなのかな〜??」

 

ほれほれと愛さんは胸を主張するポーズを取ってくる。やめろ、そんな格好するな俺が恥ずかしくなるから!!しかも凄いからかう顔をしながらするからタチが悪い。

 

「……どっちも愛さん似合って「ストライクショット!!!」へぶっ?!?!」

 

愛「ジュンジュン大丈夫?!」

 

あなたも同じことやったけどね。てかストライクショットって使い方違うと思うんだ。もうこんな事言う人俺の知ってる限り1人しかいないけど……

 

せつ菜「す、すみません!!!私とした事が、愛さんを狙ったつもりだったのに!!」

 

「あんたら一体何してんの。」

 

案の定生徒会長だった。どうやら水鉄砲でサバゲーをしているみたいだが、何で俺に当たるのかな……しかもこれ愛さんが作った破壊兵器じゃん。練習する場所変えた方が良い気がする。

 

「なぁ、もう少し離れて遊んでくれないか??」

 

愛「それは無理なんだなぁ。何故なら愛さんたちは全エリアで戦うんだから!!」

 

「それをやめろつってんの!!」

 

おいおい練習できるか不安になってきたぞ。走ることはできるけど愛さん達の攻撃から逃げるために走ることになりそうなんだけど。

 

愛「じゃあジュンジュン練習頑張ってね!!愛さん達はこの辺で遊ぶけど気にしないでね!」

 

せつ菜「その通りです!!お互い高みを目指しましょう!」

 

「お前ら場所離れるって選択肢ないの?!てか目指す高みか明らかに違うからな??」

 

予想もしなかった愛さんと合宿先で会ったことで嬉しい反面、無事に合宿を終えることが出来るか不安になった。

練習させてくれ、、



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第50話

50話まで行きました!
これまでたくさん読んでくれてありがとうございます!!

もっと色んな話を書きたいと思っているので、これからも応援よろしくお願いします!


まさかの合宿先で愛さんと会い、これからの練習に何かされるのではないかと不安に思っていたのだが……

 

「……何も、ない。」

 

特に何もされずに練習が出来ている。いや、これが普通なんだけどね??でも俺の周り普通じゃないから無駄に心配するんだよね。

しかし遠くから銃声が聞こえると、愛さん達はその辺にいるのかーっと位置を特定出来ている。水鉄砲の音じゃないけどね。

 

何はともあれ1日の練習は無事に終了した。部員の顔は主将を含め疲労しているのが分かる。俺自身まだ1日目だと言うのに身体を動かすのがしんどい。

さすが強豪校の合宿というべきだろう、しかし今日だけでも収穫が多い充実した日になった。

 

主将「準太、お疲れさん。よく頑張ったな。」

 

「その言葉は最終日に言ってください。まだこれからですよ。」

 

主将「ストイックだな。だが詰め込むのも良くはない、無理せず励めよ。」

 

「はい……まぁ今日はさすがに疲れたんでさっさと寝ますよ。」

 

主将「……何を言っているんだ??」

 

「別に変な事言ってないと思うんですが…」

 

主将「夜は肝試しするだろ!!」

 

「あんたら元気過ぎませんか?!」

 

肝試し??マジで何言ってんだよ。あんなに動いたのに遊ぶ余力はあるってか??合宿の定番かもしれないけどさぁ……えぇ寝たいんだけど。

 

主将「まぁその前に腹ごしらえだ。今日はバーベキューだぞ!!」

 

「さっさと行きましょう肉が待ってます。」

 

主将「切り替え早いな。」

 

******

 

「んー!!美味い!!」

 

これだ、この為に俺は今日頑張ったんだ。目の前にある肉を見て俺は今最高に幸せである。あんなに疲れていたのに食べるとどんどん元気になっていく気がする。

 

「準太そんながっつくと喉詰まらせるぞ??」

 

「大丈夫だって、ちゃんと噛んでるし。」

 

「準太先輩、まだたくさんあるので食べてくださいね!」

 

「おう、サンキューな。沢山食べるよ。」

 

愛「いやぁ、やっぱり夏といえばバーベキューだよねっ♪」

 

「全くだ、こうしてみんなと……ん??」

 

あれ、気のせいかな??この場にいるはずのない愛さんの声が聴こえたんだけど……

 

璃奈「準太さん、お疲れ様。」

 

「……あ、ありがとう。」

 

果林「久しぶりね、準太。お邪魔させてもらってるわよ??」

 

「………。」

 

かすみ「これも美味しい!!この肉もぜーんぶ、かすみんの物ですよ!!」

 

「おい勝手に自分のものにするな。」

 

愛「ジュンジュンよく頑張ったね!!愛さんは感動したよ!」

 

「練習見てないだろ!!……えっ、まじで何でいるの??」

 

主将「実はな、宮下さん達が一緒にバーベキューしようと誘ってくれたんだ。

せっかくだし全員で食べると楽しいだろ??」

 

周りの部員も納得しているらしく、特に気にせず各々楽しんでいる。

まーいっか、俺は自分の肉に専念しよ。

 

「よしっ、そろそろ出来上がるな。」

 

かすみ「もらったぁぁ!!!」

 

「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

俺が……俺が一生懸命育てた肉が……隣で目を光らせていた後輩に奪われた。

 

かすみ「ん〜〜デリシャス♪」

 

「この野郎横取りすんじゃねぇ!!」

 

かすみ「これはかすみんが狙っていた肉です!早い者勝ちです!」

 

「じゃあこれも早い者勝ちだな。」

 

かすみ「あー!!!かすみんのハラミがぁ!!」

 

「あーちょー美味いわぁ。」

 

かすみ「ぐぬぬぬ、じゃあこれかすみんのです!」

 

「それはダメだぁ!」

 

愛「2人とも!!喧嘩しない!」

 

かすみ・準太「はい。」

 

愛さんに怒られてしまった。いやでもさぁ、これはあの子が悪いと思うんだよ、愛さん考慮してくれ。

 

愛「ジュンジュン先輩何だから、後輩に優しくね??」

 

「いや、でもこれは……」

 

愛「言い訳無用!!かすかすもジュンジュンと仲良くね??」

 

かすみ「かすかすじゃなくてかすみんです!!」

 

「……悪かったな、かすかす。」

 

かすみ「あぁぁぁ!!!またかすかす言ったぁ!!」

 

******

 

愛「ジュンジュン、この後楽しみだね。肝試し♪」

 

「え、まじでやるの??」

 

バーベキューが終わり各々休憩していると隣で座っている愛さんが肝試しの話をしてきた。個人的にはこのまま風呂入って寝たいんだけど……ん?てか愛さんいつまでいるんだ??

 

「なぁ、愛さんたちはいつまでここにいるんだ??」

 

愛「2泊する予定なんだ。だからジュンジュンたちより早く帰るよ。」

 

「そうか、まぁ楽しんでけよ。」

 

愛「なになに〜??愛さん帰るの寂しいのかなぁ??」

 

「別に。」

 

愛「そう言いながらそっぽ向いてるけどな〜♪」

 

「……///」

 

愛「あはは、素直じゃないなぁ〜。大丈夫だよ、またすぐ会えるからさ!!」

 

「何か年上感出されてる気がすんだけど。」

 

愛「あはは、バレた??」

 

「バレるわ。」

 

愛「さてさて、そろそろ肝試しの組み合わせを決めなきゃね!!驚かす側はもう待機してるみたいだよ??」

 

「なんだ、もうそっちは決まってるのか??」

 

愛「前もってやりたい人がいたからね。さてさて、愛さんとジュンジュンは誰と行くのかな〜??」

 

「え、俺はもう確定なの??」

 

愛「愛さんとジュンジュンはハッピーセットだからね♪」

 

「全く説得力ねぇぞ……」

 

こうして肝試しが始まる訳だが……ひとつ心配がある。それは……俺がビビりな事である。



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第51話

みんなは肝試しをしたことはあるだろうか。お化けとか出そうなコース歩いて驚かされたりするやつね。男女で行ったらそこで恋が生まれるかもだし男がヘタレだったら冷められるし……結構男にとっては博打だよね。

そんな肝試しがこれから俺もしなければ行けないわけなのだが……

 

愛「ほらほらやっぱり愛さんはジュンジュンと一緒じゃん!!楽しみだなぁ♪」

 

「何が楽しみなんだよ。俺がビビる様を見るのがか??」

 

愛「え、ジュンジュンってビビりなの??」

 

「……まさか。」

 

愛「今顔背けたよね。」

 

やはりと言うべきか、俺は愛さんと同じグループになってしまった。そしてもうひとりいるのだが……

 

せつ菜「2人ともよろしくお願いしますっ!!必ずお化けを捕まえましょう!」

 

「肝試しってそういうのじゃないからな??」

 

まさかの生徒会長とも一緒になってしまった。つまり俺にとってうるさい2人とこれから肝試しに行かねばならない。余計疲れると思うんだよね、個人的には早く風呂入って寝たい。

 

主将「いいか準太、コースはこの先を真っ直ぐ行って角を曲がると古いお寺がある。そこに飴が置いてあるからそれを取って帰ってくるように。分かったか??」

 

「コースは分かりましたが何故寺をゴールにしたのか分かりません。」

 

主将「そりゃお前、肝試しと言えばお寺だろ??」

 

「どういう理屈ですか……」

 

愛「もう細かいことは気にしない!愛さんたちの番だよ!ジュンジュン行こっ♪」

 

せつ菜「愛さんの言う通りです!!来たら捕獲すれば良いだけのことです!」

 

「ゴースト○スターズどんだけしたいんだよ。」

 

2人に言われ渋々肝試しを始める。主将が言うには驚かす側はこのコースに散らばっており、うちの部員以外に同好会のメンバーも隠れているらしい。

どのみちビビりがバレるのは避けたい。

 

せつ菜「いよいよですねっ!どんなお化けが出てくるのか楽しみですっ♪」

 

「本物出てこられたらまじで困るんだけど。」

 

愛「やっぱり肝試しってドキドキするよね、何かこう……出てきそうな!!」

 

「やーめーろ!!出て欲しくないから!!」

 

さっきから両端で歩いている2人はずっとこんな感じだ。つっこんでもつっこんでもキリがない。これを繰り返してるうちに恐怖よりも疲労が上回り、怖さを何も感じなくなった。

 

愛「ねね、あそこ何か動いてない??」

 

愛さんが指す方を見ると、草むらでゴソゴソと動いている。驚かす前にバレてるけど大丈夫ですかね。

そっと近づいて正体を見てみると……

 

彼方「すぅ……すぅ……。」

 

愛・せつ菜・準太「………。」

 

彼方先輩が気持ちよく眠っていらっしゃった。よくそんな所で寝れるよね、虫とか結構いそうだけども。

良い顔して寝ているから少し躊躇したが、さすがに場所が場所なので起こすことにした。

 

愛「カナちゃん起きて!!!こんなとこで寝ちゃダメだよ!」

 

彼方「ん……ふわぁ、おはよぉ〜」

 

「おはようございます……てか先輩驚かさなくていいんですか??」

 

彼方「……うわ〜〜」

 

「いやそんな気力のない驚かし方されても。」

 

このままだとまた眠ってしまうと思い、俺たちは彼方先輩を連れてお寺を目指した。ちなみに隣の生徒会長は本当に捕獲用の銃を肩にかけながら歩いている。まじでどこから持ってきたのそれ。

お寺へ向かうまでバスケ部にはもちろんだが、同好会のメンバーにも驚かされ、何回か逃げたくなった。かすかすめ、めちゃくちゃ楽しんでたのが腹が立つ。

お寺に着くといよいよヤバそうな雰囲気があり、一瞬行くのを躊躇したが、他の3人は行く気満々の顔をしておりビビりは俺だけなのだと悟った。

 

愛「それにしてもこの寺ボロいのもあって雰囲気出てるよね〜」

 

せつ菜「早く行きましょう!お化けが待っていますよ!」

 

「なんでそんなノリノリなのか教えて欲しい。」

 

まじでこの2人はおかしい。彼方先輩を見てみろ、さっきからずっと黙ってついてきてくれてるぞ。肝試しは静かに行った方がベストだと思う。

 

お寺に入ると中はボロボロで、そこら中に木のカスや、障子の紙が破れていたり、まさにお化け屋敷だった。

さすがにこの雰囲気にはうるさい2人も息を飲み、恐る恐る入っていった。

 

「よ、よし……これが飴か。」

 

愛「そ、そうだね!!飴も取ったしそろそろ出よっ!!」

 

せつ菜「任務完了ですねっ!!」

 

そして俺たちはお寺を出て、来た道を戻りみんなが待っている場所へと戻ったのだが……

 

主将「お疲れさん。どうだ、ちゃんと飴を取ってきたか??」

 

「取ってきましたよ、ついでに彼方先輩も拾ってきました。」

 

主将「えっ、近江さんを??」

 

愛「カナちゃん道端で寝てたから回収したの!!愛さんびっくりしたよ〜」

 

主将「ど、どういうことだ??」

 

「いや、どうもこうも今言った通りなんですが……」

 

何故か主将は困惑をした表情を見せている。別におかしい事は言ってないのだが。そう思っているとーーー

 

彼方「あれぇ〜、彼方ちゃんがどうかしたの〜??」

 

主将の後ろからひょこっと彼方先輩が顔を出した。えっ、なんでそこにいるの……??

 

愛「あ、あれ……カナちゃんさっきまで愛さんたちの後ろにいたはずなんだけど。」

 

彼方「彼方ちゃんは愛ちゃん達より先に帰って来てたよぉ〜??」

 

恐る恐る俺たちは後ろを見るとさっきまでいたはずの彼方先輩はいなかった。

えっ、じゃあさっきまで俺たちと行動してたのは……

 

愛・せつ菜・準太「………でたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 



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第52話

地獄のメニューに耐えて、俺たちバスケ部は心身共に強くなり合宿を終えた。

合宿の最中に愛さんと遭遇して水鉄砲を食らわされるわお化けに会うわで色々と印象深い合宿になった。

そして今日は合宿から帰ったばかりと言うことで部活はないので何をしようか考えているところである。

 

「確か愛さんは友達と買い物って言ってたなぁ……」

 

愛さんとは恋人通しになってから結構頻繁に会っており、合宿でも会っているのだから今年の夏休みの思い出はほぼ愛さんなのである。……あれ、俺友達と遊んでなくない??

 

「……公園でバスケでもするか。」

 

休みの日でもバスケ頭とか、我ながら他にやることないのが情けない。

まぁせっかく合宿で強化出来たものもあるわけだし、復習大事だよね!!

 

******

 

「さて、やりますか〜」

 

ひとりでそう呟くと持ってきたボールで早速練習を始める。砂浜を走った成果なのか、今まで以上に足が強化されている気がする。ボールさばきも早くなり、合宿中は誰も俺からボールを取れなかった。

しかしこれで満足出来ない、何故なら全国にはもっと上のやつがいるのだから。

 

「もっと早く……もっと早く。」

 

黙々と練習していると、周りにいた少年たちがじっと見ていた。あり、もしかして占領しちゃってたかな……。

 

「悪い、使いすぎたな。次使っていいぞ、俺は退くから。」

 

「ま、待ってお兄ちゃん!!」

 

ボールを持って帰ろうとすると1人の少年に声を掛けられた。えぇ文句言われるのかなぁ、こんなん愛さんに見られたらずっとからかわれるじゃん。俺が悪いと思うけど。

 

「お兄ちゃんすっごくバスケ上手いんだね!俺にバスケ教えて!!」

 

「ぼ、僕も!!」

 

「お、俺も!!もっと上手くなりたい!」

 

そう言うとぞろぞろと俺の元へ寄ってきた。そりゃ俺のバスケを見て褒めてくれるのは嬉しいけど……こんな小さい子に教えたことないからなぁ、大丈夫かな。

でも……折角こうして言ってくれてるんだ、できることはしてあげたい。

 

「分かったよ、じゃあ兄ちゃんがレクチャーしてやるから準備しな。」

 

******

 

ーー愛視点ーー

 

愛「いやぁ今日は楽しかったなぁ〜♪♪」

 

愛さんは友達と買い物をした帰路にいる。久しぶりのショッピングだったからたくさん買っちゃった!!後でジュンジュンに見せてあげよ〜♪

そう思いながら歩いていると、公園から何やら賑やかな声が聞こえてきた。近づいていくとボールの音と、少年と……そして愛さんの大好きな彼の声が聞こえてきた。

 

愛「あれ……ジュンジュン??」

 

彼の声がしたので公園を見てみると、そこには微笑ましい光景を目にした。

 

「ほらほら、そんなディフェンスじゃすぐ抜かれるぞ??」

 

「お兄ちゃん早すぎ!!もっと手加減してよ!」

 

「試合じゃそんなこと言えないだろ??全力で挑んでこい、まとめて相手してやるから!!」

 

「くそぉ!!負けないぞぉ!」

 

3人の子供たちを相手に彼が楽しそうにバスケをしていた。子供たちはボールを取るのに必死で動いているのに対して、ジュンジュンは余裕を見せ、その笑顔は無邪気な少年へと変わっていた。

 

愛「全く、大人気ないなぁほんと……ふふっ」

 

そう言いつつも愛さん自身そんな彼のバスケに魅入ってしまう。そして何より楽しそうにバスケをしている彼の笑顔が大好きだった。

以前のように勝つことに必死だった顔ではなく、今は純粋にバスケをしているその姿がきっと沙絵ちゃんは好きだったんだろうなぁ……

 

愛「……よしっ、愛さんも参加しますか!!」

 

彼らの元へ行くと少年たちはキョトンとした顔をして、ジュンジュンはびっくりした表情をしていた。……なにさ、そんな驚かなくてもいいのに。

 

「何で愛さんがいるんだよ。」

 

愛「たまたま公園見たらジュンジュンいたからね〜。行くしかないでしょ!!」

 

「い、いや別に帰ってもいいぞ///」

 

愛「あれあれ、ジュンジュンもしかしてさっきまでの見られてたのが恥ずかしいのかなぁ??」

 

「なっ……///」

 

愛「図星だねぇ。愛さんは好きだったよ、楽しそうに子供たちをいじめてバスケをしていたジュンジュン。」

 

「言い方悪いから、レクチャーしてただけだから……え、ホントだよ??」

 

「お姉ちゃん、お兄ちゃんの知り合い??」

 

愛「うんっ!このお兄ちゃんの恋人だよ!!今から愛さんも君たちに参加するから、お兄ちゃん倒そうね♪」

 

「え、愛さんも入るの??」

 

愛「折角だしいいじゃん♪それとも愛さんが相手だと不安なのかな??」

 

「そんな訳ないだろ、愛さんそこらの選手より手強いんだから。」

 

愛「じゃあ決定だね!!よしっ、いじわるお兄ちゃんを倒すぞ〜!!」

 

「「「お〜!!!」」」

 

「いじめてないから!!悪ノリするなよマジで!」

 

その後はみんなでバスケをやって、日が暮れ始めたら子供たちを帰し、ジュンジュンは愛さんを家まで送ってくれた。

その間愛さんの今日あった事を話してジュンジュンはそれをいつもの様に話を聞いてくれたんだけど、子供たちの話を振るとそっぽを向いて何も話そうとしなかった。でもその横顔は赤く染まっており、照れてるんだなって思うと微笑ましい気持ちになった。

今日は買い物以外にもジュンジュンの新たな一面が見れて素敵な1日でした!



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第53話

愛「はい、タオル!!」

 

「サンキュー。」

 

愛「これ、水筒ね!!」

 

「……おう。」

 

愛「そしてこれが〜…愛さん弁当!!」

 

「ありがとう……てかなんで母親みたいなことしてんの??」

 

今日はインターハイ予選、この日まで練習をした成果を発揮しようと全員が意気込んでいた。

俺は今愛さんの家で持ち物を渡されているのだが……なぜこうなったかと言うとーーー

 

ーー試合前日ーー

 

愛「ねぇジュンジュン、明日試合だったよね??」

 

「んん?ああ、そうだけど。」

 

愛「じゃあ愛さんが弁当を作ってあげよう!」

 

「いやいいよ、普通に悪いし。」

 

愛「何を今更!!どれだけ愛さんの世話になってると思ってるのさ!」

 

「むしろ世話をしている気がするんだが。」

 

愛「とにかく!!明日は愛さんの家に寄って荷物を受け取ること!Do you understand???」

 

「分かったからその話し方やめてくれ。」

 

という事なのである。色々と準備をしてくれたのは嬉しいが弁当がかなりデカい。これ食ってから試合とか出来ないぞ……

 

愛「よしっ、じゃあ行きますか!」

 

「え、愛さんも行くの??」

 

愛「当たり前じゃん!!ジュンジュンが公式の試合出るの初めて見るから楽しみだよ♪」

 

「そんな期待されても答えれるか分からんけど……」

 

愛「あんなプレイする癖に何言ってんのさ!観客で1番目立って応援するからね!」

 

「普通に応援してください。」

 

******

 

会場に行き主将達と合流すると軽くミーティングをした。試合表を見ると俺たちは第1試合からスタートし、それに勝つと第2試合を今日はやることになる。

周りには手強そうな選手がたくさんいて、そんな彼らを見ると早く試合がしたくてたまらなくなる。

愛さんは途中まで一緒に来ていたが、璃奈ちゃんと合流するという事で別れた。俺も会ってから行くと言ったらものすごいジト目をされたから諦めた。

 

主将「よしっ、オーダーは変わらない。今年はうちが優勝するぞ!……頼むぞら準太。」

 

「が、頑張ります……」

 

主将「どうした、いつものお前らしくもない。」

 

「いや、主将に言われるとプレッシャーで。」

 

主将「そんな思い詰めるな。お前の足を引っ張る様な奴はこのチームにはいないぞ。」

 

「……そんなの、入部した時から分かってますよ。」

 

もう一度気持ちを引きしめて俺たちの第1試合が始まった。

相手は全員身長が190cmと巨人の集まりのようなチームだった……なんかこいつら見ると惨めに思えてくる。

 

「おい、なんだあいつ。バスケをやるにしても小さすぎじゃないか??」

 

「ほんとだな、あれじゃ俺たちに潰されちゃうぞ。」

 

……言いたい放題言いやがって。確かにバスケをやるにあたっては身長がものを言う。正直俺も伸びなかったこの身長を悩んでいた時期もあったが……技術で克服した。

今、俺の目の前にいるのは身長が全てだと思い込んでいる連中であると認識した。さて、どう懲らしめてやろうかな……

 

主将「お、おい準太。顔が怖いぞ……??」

 

******

 

試合が始まり、俺にボールがいくと相手チームの1人が俺をマークした。

うわぁでけぇな……身長は欲しかったけどこんなにはいらないな、背があるのは羨ましいけど!!

 

「ほらほら坊や、抜けるものなら抜いてみなよ。」

 

「……そうか、悪いな。」

 

相手の挑発に敢えて乗らせてもらう。相手が反応するより先にドリブルで抜き、先制点を取る。相手チームは何が起きたのか理解しておらず、ただ唖然としていた。

 

「あらぁ、今の反応できなかったの??デカすぎて動き鈍いのかなぁ坊や♪」

 

「くっ……このっ!!!」

 

その後も試合はこちらの流れで進んでいき、相手チームは俺からボールを奪うことは出来ず、かといって俺がだすパスも反応出来ずに点をどんどん取られていった。

そして残りわずかとなった時、俺のシュートを3人がかりでブロックしてきた。

 

「勝ち目はないと分かっているが、お前にはもう点を取らせん!」

 

「3人ならシュートも出来ないだろ!!」

 

「……まぁこんな壁があると無理ですよね……俺は。」

 

「な、なにっ?!」

 

俺はガードの手が届かない程に高くボールを打ち上げ、そのボールはジャンプした主将の手に渡された。そしてーーー

 

主将「ふんっ!!!」

 

ダンクをかましてくれた。この人普段ダンクしないのにアリウープ出来るんだよなぁ……やればいいのに。

そして試合終了のホイッスルが鳴り、俺たち虹ヶ咲学園の勝利となった。

 

主将「準太、ナイスパスだったぞ。まさか最後にアリウープ決めさせるなんてな。」

 

「決めれること自体凄いですからね、さすが主将です。」

 

主将「この野郎、そういう割にはしっかりパスを出てきやがって。」

 

「まぁ中学から知ってますしね、それくらいは「ジュンジュンナイス〜〜!!!まずは一勝〜!!!」……///」

 

恐る恐る観客席を見ると弓道の試合の時同様でかい旗を振りかざしてコートまで響く声で賞賛してくれる愛さん。もうその声量と応援の仕方見ると応援団入った方が良いと思う。

そして愛さんの隣で恥ずかしそうながらも拍手をして祝福をしてくれる璃奈ちゃんがいた。ごめんね、愛さんが迷惑かけてるね。

 

愛「次も頑張ってね〜!!愛さんも応援燃えてきた〜!!!」

 

「……試合よりこっちが気になって仕方ない。」



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第54話

俺たちは第2試合も無事に勝利し、その後も破竹の勢いで勝ち進んだ。そんな俺たちを多くの高校が注目したほか、虹ヶ咲を見るために来てくれる観客も増えた。優勝まであと少し、このチームで最後まで全力でプレイをしたい。

 

「……どこの高校だ??」

 

次の対戦校は俺の知らない高校であった。しかしここまで勝ち進んだということはそれなりに実力があると思っていた。

ここに勝てば次は準決勝、早く試合がしたくて仕方ない。愛さん風に言うとテンアゲだ。

 

主将「……。」

 

「どうかしたんですか??さっきからずっと暗い顔してますよ。」

 

主将「あ、すまない……ちょっと考え事をな。」

 

「考え事??」

 

主将「準太……次の試合はお前を出さない。」

 

「………えっ、どうして…。」

 

主将「異論は認めない。控え室に行くぞ。」

 

「ち、ちょっと!!そんな一方的に言われても納得出来ないですって!」

 

突如言われた衝撃の言葉に俺はただ抗議するしかなかった。何故ここに来てベンチなのだ。うちのチームは確かに強い、だからこそ俺もこのチームに貢献したいと思っていたのに、主将の言葉で今まで昂っていた気持ちが一気に下がってしまった状態で俺も控え室へ向かった。

 

******

 

ーー愛視点ーー

 

愛「………あれ??」

 

璃奈「どうしたの、愛さん。」

 

愛「ジュンジュンがコートにいないんだ……どうしてだろ。」

 

愛さんは今、ジュンジュンの応援をするためにりなりーと観客席で試合が始まるのを待っていたんだけど、コートに彼の姿が見えなかった。前の試合では1番活躍していたし、コンディションも良かった。それなのに何故試合に出ていないのか疑問に思い、彼のいないコートを見て愛さんの中で不安がよぎった。

 

愛「ジュンジュン、大丈夫かな……。」

 

******

 

「………。」

 

俺はベンチで腑に落ちない顔でコートを見ているだろう。部員もそんな俺を見て、気を遣ってくれるのだが主将への反感が消えない。

 

主将「相当怒ってるな。」

 

「……当たり前です。」

 

主将「こればっかりは聞いてくれ。この試合は俺たちで勝つから。」

 

「俺はもう用済みってことですか??」

 

主将「ははっ、そんな訳ないだろ。これからもお前にはもっと働いて貰わないといけないからな!!」

 

そして試合が始まった。開始からうちのチームが攻めて、最初は順調に進んでいた。相手チームもここまで勝ち抜いた事もありそこらの高校と比べると手強い選手が多かった。

しかし、この試合を見てふと疑問が浮かんだ。勝っているのは間違いなくうちだ。それなのに何故相手は余裕そうな顔をしている……

そう思っていた矢先にコートで信じられないことが起こった。

 

「……っ!!」

 

主将「うっ……!!」

 

「なっ……あいつ今!!」

 

相手選手のひとりが主将に肘付きをした。本来ならファウルになるはずが、上手く隠しており審判には気づかれていない。なんて事するんだ……今の完璧にアウトだろうが……!!

その後も主将以外にも虹ヶ咲の選手にしつこい程のラフプレーを繰り返し、選手が怯んだ瞬間ボールを奪い点を取っていた。

 

「このっ、ふざけやがって……!!」

 

監督「抑えろ、準太。」

 

「無理ですよあんなの見せられたら!!目の前で仲間が傷つけられているんですよ!」

 

監督「頼む、耐えてくれ……。」

 

「もう十分耐えました。俺が出てあいつらをプレーでねじ伏せてやりますよ。」

 

監督「ダメだ!!お前を行かすわけにはいかない!」

 

普段温厚な監督がここまで怒鳴るのは初めてだった。なぜ監督はここまで選手達が酷い目に遭っているのに助けないんだよ。

監督に対して怒りを覚えていると、監督の口が重く開いた。

 

監督「……あいつらの意志を尊重してやってくれ。頼む。」

 

監督がコートで仲間たちがお互いフォローしながら懸命に動いている姿を見てそう言った。一体なんの事だ……??

 

監督「コートにいる全員が知っていたんだよ、相手校のプレイスタイルを。」

 

「……えっ。」

 

監督「だからお前を出させたくなかったんだよ。……準太は俺たちのエースだからってな。」

 

主将達は俺に怪我をさせない為にベンチにさせたってことかよ……それであんた達が怪我して言い訳にならないだろう……!!

監督から理由を聞いてからさらに俺は仲間たちを苦しめる相手選手に強い憤りを感じ、いてもたってもいられなかった。

 

「……みんなの気持ちは分かりました。でも、エースならこんな時に仲間を支えないでどうするんですか!!」

 

監督「準太……。」

 

「試合が終わった後いくらでも叱ってください。でも今だけは……監督の…みんなの気持ちを無視します!!」

 

監督「……分かったよ、そこまで言うなら流れをこっちに持って来い!!」

 

「……はいっ!!」

 

そう言って俺は立ち上がり相手を見据える。待ってろよ、次は俺がお前らの相手をしてやる。



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第55話

ーー愛視点ーー

 

愛「な、なにあれ!!!」

 

今、愛さんはジュンジュンが出ない理由に疑問を抱きながら試合を見ていたんだけど、相手チームの卑怯なプレイを見て怒りを感じていた。

審判にはバレないようにラフプレーをしている上にそれを平然とするのが許せない。虹ヶ咲側は全員何かしらされており、痛みを堪えてプレイをしている気がする。

 

璃奈「こんなの……酷すぎるよ。」

 

愛「みんな、相手の手口は知った上で我慢して試合をしているんだ……知った上……??」

 

自分が発した言葉でふと思った。主将さんたちはみんな相手チームを知っていた、だからジュンジュンを出さなかったんじゃないかと……怪我をさせない為に。

だとしたら今ベンチで彼はきっと、歯を噛み締めて見てるんだろうなぁ。

 

璃奈「愛さん、どうしたの??」

 

愛「……ジュンジュン、今すっごく苦しいんだろうなってね。」

 

璃奈「……うん、私も悔しい。」

 

卑劣な相手チームのプレイをグッと堪えてバスケ部を見守っていると、虹ヶ咲の選手交代が表示されていた。あの番号……もしかして!!

 

愛「ジュンジュン……!!!」

 

ベンチから出てきた彼の姿に会場から歓声が起こる。ジュンジュンはいつもの冷静さはあるものの、完全にキレているのが何となくだけど分かる。

あんなに仲間が酷いことをされているのだから当然だよね。

 

璃奈「もし準太さんまで狙われたらどうしよう……。」

 

隣でりなりーがコートに出た彼を見て不安そうに眺めている。正直そこは愛さんも心配だよ。でも、きっと彼はそれを見据えた上でコートに出たんだと思う。だから愛さんはーーー

 

愛「……大丈夫だよ、りなりー。」

 

璃奈「……愛さん??」

 

愛「ジュンジュンは最強の選手だよ!あんな卑怯なチームに負けるわけないよ!それに……愛さんはジュンジュンを信じてるからね。」

 

璃奈「……うん、私も信じてる。」

 

ジュンジュン許せないよね、仲間を傷つけられるのも、バスケを貶すような事をしたことも。君はバスケが大好きな人だから余計に。

愛さんは誰よりも君のことを応援してるよ、だからジュンジュンはバスケのプレイで相手を倒しておいで!!

 

******

 

コートに行くと仲間たちが何でって顔をしてこちらを見ている。当たり前だ、これ以上目の前で苦しんでる仲間の姿なんて見たくねぇよ。

 

主将「準太……。」

 

「説教は後にしてください。てか相手チームのデータ俺にも教えてくださいよ、仲間外れなんて寂しいじゃないですか。」

 

主将「い、いや……その、すまん。」

 

「いいですよ、許してあげます。よしっ……うちのチームを貶したあいつらを叩き潰しますか。」

 

主将「さすがうちのエースだな。だが、気をつけろよ??」

 

「分かってますよ。」

 

メンバー交代をして試合が再開される。俺が来るまで攻撃された事もあってかチームメイトの動きが鈍い。

やはり俺が先頭切って流れを持ってくるしかない。

 

「ようやく来たな、虹ヶ咲のエースくん。お前もあいつらのように痛い思いさせてやるからな♪」

 

「宣戦布告のつもりか??悪いが今俺は最高に腹が立っていてな。容赦しないからそのつもりでかかってこいよ。それに……」

 

そう言って俺は挑発した選手が反応出来ないほどの速さで抜き去り点を入れる。この点が俺たち虹ヶ咲の反撃の合図だった。

 

「お前らのプレイが俺に通用するわけないから。」

 



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第56話

その後試合はうちに流れが完全に傾き、今までされた仕打ちの分こちらも徹底的に攻撃し、無事勝利に終わった。

負ける気はしなかったが、ボールでも投げつけてきたらどうしようとか密かに思っていたりもした。まぁ無事に終わって良かった、今日はいろいろ疲れた。

 

「さて、さっさと帰って寝ようかな……。」

 

重くなった体を動かし帰ろうとした瞬間ーーー

 

愛「ジュンジュン〜〜!!!!」

 

「ぐへっ!!!」

 

後ろから愛さんにタックルされた。待って俺今試合終わったばかり。疲れてるの、分かる??てか最近情けない声ばっか出てない俺??

 

愛「お疲れ様〜!!!いやぁどうなるかと思ったけど無事に勝って良かったよ♪」

 

「お、おう……ありがとな。」

 

愛「どしたの??試合の勇ましさがないぞ!!気合いが足りないぞ!!」

 

愛さんはガッツガッツと言わんばかりに元気一杯アピールをしてくるのだが……これからこの子の相手するとかないよね??

 

愛「よぉし、今から打ち上げだ〜!!!」

 

「う、打ち上げ??」

 

愛「うん!!試合に勝ったジュンジュンに愛さんからのご褒美だよ!」

 

ご褒美という言葉を聞き反応してしまう。なんだ、ご褒美ってなんだ……???

 

愛「ご褒美はねぇ〜……愛さんの〜……」

 

「愛さんの……??」

 

愛「トランシーバーをプレゼントしよう!!!」

 

「よっしゃあ!!……え??」

 

カバンからゴソゴソと愛さんはいつぞやのトランシーバーを差し出してきた。

えぇこれ使い道あるの……??

 

「………。」

 

愛「〜〜〜♪♪」

 

愛さんを見るとハロハロの笑顔をしていた。喜んでくれると思って渡してくれているようだ……もう貰うしかないじゃん。

 

「あ、ありがとう……大切に使います。」

 

愛「うんっ!!近々使うから肌身離さず持っててね!」

 

「おい何に使うんだよ……。」

 

******

 

愛さんにトランシーバーを渡されてから数日後、スマホに着信が入り、確認すると愛さんからであった。

なーんか振り回されそうな気がして、出るのに一瞬躊躇したが彼女の電話を無視するのもどうかと思ったので恐る恐る出ることにした。

 

「……何のお誘いでしょうか??」

 

愛「ジュンジュン保育園行くよ!!」

 

ほらまた凄いこと言う。予め決めてないとこ行くのやめようよ、しかも保育園なんてそんなコンビニ気分で行っていいような場所じゃないと思うんだけど……

 

「なぁ、何で保育園??俺全く状況が飲み込めないんだけど。」

 

愛「夏祭りの時話してたやつだよ。ほら、愛さんが景品たくさんとってジュンジュン残念賞ばかりで……」

 

「もういい分かったみなまで言うな。」

 

そう言えば保育園に行くこと言っていたな……でも俺が行く予定なかったよね??それだったら行かずにゆっくりしたいんだけど。

 

「せっかくなんだけど、俺は今日「ジュンジュンの予定は把握済みだよ!!」……。」

 

「で、でもさ、俺が行っても「無駄無駄無駄無駄無駄無駄っ!!!」やかましい!!」

 

無理だ、何言っても無駄無駄されてしまう。これから何言ってもこの言葉で押し通されてしまう気がしてならない。

最近愛さんは変なポーズもする事があるから知っている人は○○ジョ立ちった分かっちゃうんじゃない??

 

「はぁ……分かったよ。持ち物は??」

 

愛「よくぞ聞いてくれたっ!!トランシーバー持ってきてね!これ大事!!」

 

「……保育園行くんだよな??」

 

愛「そうだよ!!だからいるの!」

 

「絶対いらないだろ!!」

 

突如愛さんに誘われ……いや、ほぼ強制で行くことになった保育園。子供たちと遊べるのは嬉しいが、愛さんがその場にいると話は別だ。

俺と愛さんが付き合ってから何も変わってないんだよなぁ、相変わらず振り回されるし……いいのかこれ??

 



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第57話

愛「みんな〜!こんにちは〜!!!」

 

「「「こんにちは〜!!」」」

 

愛「ほらジュンジュンも!!笑顔で挨拶っ!」

 

「……こんにちはー。」

 

愛「もっと元気よく笑顔で!!」

 

「お兄ちゃん頑張ってー!!」

 

「元気だしてー!!」

 

「こ、こんにちはー!!」

 

愛「はい、よく出来ました〜♪」

 

「もうヤダ帰りたい……」

 

愛さんに誘われ来た保育園で俺は子供たちに挨拶をするという羞恥プレイを愛さんにさせられた。大勢の子供たちの前で元気よく挨拶をする時点で俺のキャラじゃないのに子供たちに応援されて大きな声を出すという尊顔の欠けらも無い事を初っ端から起きてしまった。

 

かすみ「ぷぷぷ、ちゃんと挨拶するのは基本中の基本ですよ、先輩♪」

 

「うるせぇかすかす。」

 

かすみ「なぁっ!!!またかすかすって言ったぁ!!!」

 

「どうした、お前の可愛いあだ名なんだろ??かすかす。」

 

かすみ「また言った!!かすかすじゃなくて、かすみんですぅ!!」

 

愛「2人とも、子供たちの前で喧嘩しちゃダメじゃん!!ちゃんとお兄さんお姉さんの態度をするように!」

 

かすみ・準太「………すみません。」

 

同好会のメンバーも参加しており、それぞれ"元気"よく挨拶をしていた。その中でこのかすかすはちょくちょくバカにしてくるから許せない。

 

愛「じゃあお姉さんたちの自己紹介を順番にしていくね!宮下愛です!愛さんって呼んでね♪みんなよろしくね、愛してるよ!愛だけに♪」

 

おいそれ自分のソロ曲にあるフレーズじゃんずるいぞ。そんなフレンドリーな自己紹介初っ端からするなよハードル上がるじゃねぇか。

愛さんから順番に自己紹介をしていき、いよいよ俺の番となった。

 

愛「ほら、ジュンジュンも自己紹介して!みんな待ってるよ♪」

 

「待たなくていいから……言うのかぁ。」

 

せつ菜「準太さん、こういう時はビシッとすると子供たちから好評になると思いますよ!」

 

果林「可愛い彼女の前で子供たちに自己紹介するのは恥ずかしいのかしら??」

 

「自己紹介終わったからって言いたい放題言いやがって……。」

 

それぞれに文句を言いたいがさすがスクールアイドルである、ひとりひとりしっかりと自己紹介をして子供たちから終わる度に拍手を貰っていた。俺はそんなアピールポイントないから余計言いにくいんだよなぁ。

 

「えっと……夏目準太って言います。バスケが好きです……よろしく。」

 

愛「ジュンジュン顔が引きつってるよ!!もっとスマイルだよ!」

 

「む、無茶言うなよ……」

 

かすみ「準太先輩いつもの余裕はどうしたんですか〜??かすみんの方が何倍も可愛くアピール出来ましたよ〜??」

 

「ふっ……うるせぇスーパーアイドル。」

 

かすみ「今笑いましたよね??かすみんのこと笑いましたよね?!」

 

愛「なーかーよーくー!!!」

 

恥ずかしながらも自己紹介を終え、園児からはまたも応援をもらいましたありがとう。

俺が自己紹介をしたいるあいだ、隣で同好会のメンバーはくすくすと笑っていたのは知ってるぞ、後で覚えてろよ。

 

愛「さて、みんな自己紹介が終わったということで〜……遊ぶぞ〜!!」

 

「「「おーー!!!!」」」

 

「………えーー。」

 

うちの彼女はなんて元気なんだろう、俺なんてもう体力削られてるよ自己紹介で。俺の気持ちをよそにみんな外へ出てしまった。あれだね、俺も来いってやつだよね、行きますよ行くから愛さんそんなジト目でこっち見ないで。

 

「ねぇねぇ……」

 

「ん??どしたの、みんなのとこ行かないの??」

 

ひとりの女の子が服の裾を引っ張ってきた。てっきりみんな行っていたと思っていたけどまだ残ってたみたいだ。

まさか放置された俺を気にしてくれたのか、なんていい子なの。

 

「一緒に遊ぼ??」

 

「……そうだな、みんなのところに行くか。」

 

女の子を連れて外へ行くと何やら愛さんを中心にみんな集まっていた。これから何か遊びはするんだろうけど……変な遊びなしないでね。

 



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第58話

愛「よーっし、今からみんなで鬼ごっこするぞ〜!!」

 

鬼ごっこ……小学生ぶりだな。あの時は海未とその幼なじみとやっていたがいつも鬼になった海未が俺を捕まえれなくて泣いてたなぁ。あの時泣かれたら困るから手加減して逃げてたらそれはそれで悔し泣きされるし大変だった。その海未があんなに凛々しくなるなんて面白いもんだよな。

 

せつ菜「いいですねっ!みんなでリアル鬼ごっこをしましょう!」

 

「この保育園を事件にする気かよ。」

 

歩夢「ふ、普通の鬼ごっこをしよ…??」

 

愛「鬼は愛さんたちから2人……いやジュンジュン1人にしよう!!」

 

「おい待てなんで俺1人だよ。」

 

愛「だってジュンジュンチートじゃん!!もうひとりいたらすぐみんな捕まっちゃうからね〜♪」

 

「絶対そんなことない。」

 

果林「あら、全国でも屈指のバスケット選手でも子供たちには敵わないのかしら??」

 

「………。」

 

かすみ「果林先輩ダメですよ、図星なんですから♪」

 

言いたい放題言いやがって……お前ら真っ先に捕まえてやるからな。

愛さんを見るとにこにこしてこっちを見ている。てか俺鬼ごっこ逃げたい側なんだけど……分かる人いる??

 

「はぁ……分かったよ。本気出すから後悔しても知らないぞ??」

 

愛「いいねいいね!!さすがジュンジュンだよ!」

 

「始まったらすぐ捕まえにいくからな??」

 

愛「臨むところだよ!!愛さんも負けないよ!」

 

璃奈「愛さん、準太さんの前だと凄い女の子だよね。」

 

彼方「彼方ちゃんもそう思う〜。普段の愛ちゃんとはちょっと雰囲気違うんだよね〜。」

 

愛「そ、そんなことないよ!!いつも通りの愛さんだよ!」

 

「「「にやにや……」」」

 

愛「〜〜〜////」

 

今目の前で愛さんがからかわれているのだが……正直に言って可愛い、めちゃ可愛い。普段振り回されてばっかりだけどこういう愛さんを見るのは中々いいものだ。惚気させてくれ、うちの彼女はとても可愛い。

 

******

 

「よしっ捕まえるか〜。」

 

全員逃げたところで鬼ごっこが始まった。高校生のくせに子供たちを相手に本気を出すのは大人気ないとは思うが、鬼を俺だけにしたんだからそれくらいいいよね??

まぁまずは子供たちじゃなくて……

 

果林「も、もうこっちに来るの?!」

 

かすみ「か、かかかかか果林先輩が煽るから狙われたんですよ!!」

 

果林「わ、私のせい?!あなたも準太を煽ってたじゃない!!」

 

「どっちもどっちだ、まずはふたり〜〜……。」

 

果林・かすみ「ひぃぃぃぃ!!!!」

 

初めに俺を煽りに煽った2人を確保。その後も璃奈ちゃん、エマ先輩と同好会メンバーを順番に捕まえていき、次を狙っていた時にーーー

 

「鬼さんこっちだよ〜!!!」

 

「僕たちを捕まえてみろ〜!!」

 

子供たちが出てきて俺を煽る。逃げ回る高校生に対して鬼を挑発する園児……なと情けない。

 

「よ〜しそこまで言うなら遠慮しないぞ〜」

 

そう言って子供たちを追いかけていたのだが……

 

「よっと!!」

 

「鬼さん残念でした〜!」

 

思いのほかすばしっこい。小さな体を活かして隙をくぐって逃げて中々捕獲できない。その動きが俺がデカい選手を相手している時に似ていて、何だか俺自身を相手にしている様に思えてくる。

 

「な、なかなか捕まらない……」

 

愛「ほらジュンジュン、子供たちに手こずってるなんて情けないぞ〜??」

 

「誰のせいで1人で鬼してると思ってんだよ!」

 

愛「あはは、悔しかったら捕まえてみなよ〜♪」

 

「よし、捕まえてやる…愛さんをな!」

 

愛「えぇ?!あ、愛さんなの?!」

 

「当たり前だ!待ってろよ戦闘不能にしてやるからな!」

 

愛「そんな簡単に捕まらないからね〜♪負けないぞ〜!!」

 

子供たちを後回しにして愛さんをターゲットに絞り追いかける。さすが運動神経抜群なだけあって足も早く、機敏に動く。子供たち並に大変だぞ……

この後愛さんを捕まえるのに集中して他の逃げてるみんなを放置してしまった。

子供たちと同好会も逃げる追いかけるを繰り返す俺たちを眺めぼーっと眺めていた。

 

「おいこらいい加減速度落とせ!!」

 

愛「鬼に捕まるために速度落とす人がどこにいんのさ!!」

 

せつ菜「……私たち、完全に忘れられてますね。」

 

彼方「そうだね〜。」



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第59話

お気に入り登録が90人超えました!100人まであと少し、、!!
たくさんの方に見てもらえてとても嬉しいです!
これからも皆さんよろしくお願いしますっ!


愛「こちら愛さん、そちらに何か動きはありますか??どーぞ!!」

 

「……ない。」

 

愛「ジュンジュンちゃんと最後にどーぞって言わないと!どーぞ!」

 

「やかましい!いらないだろ、どーぞ!!!」

 

またまた活用してますトランシーバーです。何故保育園で使っているかと言いますと、今俺たちは愛さんが考えた旗取りゲームをやっている。

簡単に言うと2チームに分かれてそれぞれ保育園内に拠点となる旗を置き、それを先に取った方が勝ちという遊びである。ただこの遊びでは参加者の腰にバンダナを巻き、それを取られた人は脱落という設定も付け加え、怪我をしないなら何してもいいというむちゃくちゃなものまである。

俺は愛さんの他に歩夢ちゃん、彼方先輩、璃奈ちゃん、そして園児達と同じチームになり、今は旗を取りに行くもの、旗を守るもので分かれて行動している。

 

愛「それにしてもここの保育園の施設広いねぇ……どこに相手の拠点があるか分からないなぁ。……あ、どーぞ!」

 

「感想をいちいち話さなくていいから、てかどーぞ言うの忘れてるじゃねぇかよ……。」

 

愛「こうやって話せてるってことはジュンジュン達のとこにはまだ人がいないって事だもんね、どーぞ!!」

 

「まぁそうだな……でも相手はかすかすいるからな。何してくるか分からないから用心に……。」

 

愛「ジュンジュンどしたの??」

 

「な、なんか嫌な予感がしてな……さっき見回りに行った璃奈ちゃん達が戻ってこないから何かあったんじゃないかって……。」

 

愛「ま、まさかー!!きっとすぐ戻ってくるよ!」

 

愛さんはそう言うが胸騒ぎがしてならない。今の所周りに相手チームはいなさそうだし、探しに行くか。

 

「歩夢ちゃん、悪いんだけど少しここを任せてもいいか??少し璃奈ちゃん達を探してくるよ。」

 

歩夢「あ、うんっ!!気をつけてね!」

 

「兄ちゃん気をつけてね!」

 

「ここは私たちに任せて!」

 

「おう、みんなも気をつけてな。」

 

歩夢ちゃん達に拠点を任せて俺は見回り組を探しに行った。少し妙なのが施設内が静かなところだ。どこかで足音がしてもいいはずなのに全く聞こえない、正直不気味だ。

 

そして探していくと何やら奥にモゾモゾと動いている物体を発見。……え、なにこれマジで怖いんだけど。

しかもひとつではなくいくつかそれらが転がっている。恐る恐る近づいて確認するとーーー

 

「……えっ、どしたの。」

 

璃奈「……捕まった。」

 

彼方「彼方ちゃん油断しちゃったなぁ〜」

 

そこには見回りに行っていた璃奈ちゃんと彼方先輩、そして子供たちがタオルで巻かれて捕まっていた。バンダナ取れば離脱なのになんでこんな事になってんだ……

 

せつ菜「引っかかりましたねっ、準太さん!!」

 

振り向くと子供たちを引き連れた生徒会長が腕を組んで立っていた。……なんか悪役みたいな登場だな。

 

「えっと……何で璃奈ちゃん達巻かれてんの??」

 

せつ菜「決まってるじゃないですか……それは面白いからですっ!」

 

「悪人丸出しじゃねぇか。」

 

せつ菜「ち、違います!!私は生徒会長であってヴィランではありません!」

 

そうは言ってもあなたがしたこと中々悪者がすることだと思うんだよね。てかヴィランって何??

 

せつ菜「と、とにかく!!あなたもここで捕らえてぐるぐる巻きにします!皆さん、やっちゃってください!!」

 

「もう発言が悪人じゃん……。」

 

悪の生徒会長に指示をされ俺の元へ向かってくる子供たち。かなりピンチだが横でイモムシになってる璃奈ちゃん達にはなりたくないから意地でも抜け出すか相手を離脱させるしかない。

 

こうして俺は多数の子供と悪の生徒会長を相手にひとり立ち向かうのであった。……我ながらこの言い方かっこよくない??



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第60話

「はぁ…はぁ……お前らそこで大人しくしてろ……。」

 

捕まってぐるぐる巻きにされると覚悟していたが持ち前の運動神経で回避し、生徒会長と子供たちを全員のバンダナを取って脱落させることが出来た。

今俺の目の前には戦闘不能になった生徒会長が転がっている……ぐるぐる巻きにされて。

 

せつ菜「ま、まさか私たちがイモムシになるとは……。」

 

「因果応報ってやつだ。似合ってるぞ、生徒会長。」

 

せつ菜「全然嬉しくありません!!それにどうして私だけなんですか?!」

 

「そりゃ璃奈ちゃん達をイモムシにした張本人だからな。……あと面白いから。」

 

せつ菜「くっ……それで私だけ巻かれたんですね……ゲスの極みっ!!」

 

「あんたに言われたくないわ!!!」

 

とりあえず璃奈ちゃん達を解放してあげ、生徒会長を放置して周りに敵がいないか確認する……よしっ、大丈夫そうだな。

 

愛「こちら愛さん、ジュンジュン応答せよ!どーぞっ!」

 

……忘れた頃に連絡してきやがる。てか愛さんどこにいんだよ。どっかで捕まってんのかと思ったぞ……

 

「ぐるぐる巻きにされた味方を解放して生徒会長捕獲したぞ。」

 

愛「ぐ、ぐるぐる巻きっ?!どゆこと……。」

 

「詳しい話は後だ。それよかどこいんの??」

 

愛「教室とか見て回ってたんだけど相手の拠点が見当たらなかったから一度歩夢達と合流してたよ!どこにあるんだろ……。あ、どーぞっ!」

 

「もうどーぞ言うのやめとけ。となると……まさか外??」

 

愛「あー、それあるかも。一応もう1回周り見るからジュンジュン外捜索して!」

 

「はいよ。気をつけてな。」

 

愛「えっ?!……う、うん。ジュンジュンもね??///」

 

何で照れてるんだよ、調子狂うじゃないか。辺なとこで照れるからデレポイントが分からない……可愛いからいいけど。

 

愛さんに言われ外を探してみるとちらほら子供たちを発見した。俺を見るなり慌てた様子からしてドンピシャなようだ。さてさて、そろそろ終わらせようかな??

 

果林「ようやく見つけたのね。私たちに気付かずに終わるのかと思ってたわよ??」

 

「……何も言わんぞ。」

 

声のする方を見るとドームの上で仁王立ちをしている朝香先輩を発見した。……何で生徒会長と言い立方に癖あるんだよ。ツッコミ待ちなのか??

 

「外で張ってたとは思わなかったっすよ。それにどうしてエマ先輩まで楽しそうに腕組んでるんすか。」

 

エマ「何だか楽しくって♪」

 

エマ先輩が言うんだ、きっとそうなのだろう。俺はそれでいいと思います。

 

果林「それで、準太だけなの??私達も舐められたものね。」

 

「数に余裕を持ちたいんでね。それに一人で勝つなんてなかなか「愛さんが来たーっ!!!」……ねぇ言わせて??」

 

まさかの愛さん登場。歩夢ちゃん達といなかったの??まぁここを抑えたら勝ちだから良いとは思うけど……おいこっち見てニヤニヤするなよ、何が言いたいんだ??

 

愛「ジュンジュンひとりじゃ心細かったでしょ??大丈夫、愛さんが来たからね、君はもうひとりじゃないっ♪♪」

 

「………。」

 

愛「痛い痛い!何でほっぺ引っ張るのさ!!ツンデレなの?!」

 

「やかましい!!頼むから黙っててくれ!」

 

果林「ちょっと〜、ふたりの世界入らないでくれる〜??」

 

「入ってないわ!!今からその余裕そうな笑み無くしてやるから待ってろよ!」

 

愛「愛さんたちが勝つからね〜!!!」

 

果林「そうはさせないわ!みんな、やっちゃいなさい!!」

 

「「「おーー!!!」」」

 

だからなんで悪役的発言すんのさ。もう俺たちが正義のヒーローでいい??ちなみに俺は仮面ライダーが好きだったよ。

ドームから降りてくる子供たちを迎え撃ち、次々と脱落させていく。大人気ないって??いいか、戦争に年齢は関係ないんだよ。

 

エマ「準太くん、隙ありっ!!」

 

「なっ?!」

 

いつの間にか俺の後ろに回り込んだエマ先輩が俺の腰に手を伸ばしていた。まずい、避けれない……?!

 

愛「愛さんに任せなさ〜い!!!」

 

エマ「嘘っ?!」

 

取られる瞬間、愛さんがエマ先輩のバンダナを取り間一髪脱落を免れることが出来た。愛さんナイスファインプレー。

 

愛「ふふん、ジュンジュンの後ろは愛さんが守ろう!」

 

「そりゃありがたい。でももうひとりだぞ??」

 

気づくと周りの子供たちも戦闘不能になり残りは朝香先輩1人のみとなった。

朝香先輩も持ち前の運動神経で奮戦したが程なくしてバンダナを取られ脱落した。

 

果林「ま、まさか2人にやられるなんて……。」

 

愛「愛さんたちの愛のパワーだね!愛だけに♪」

 

「便利だね君の名前。……てか恥ずかしいから言うな///」

 

愛「なになに、ジュンジュン照れてるの〜??可愛いなぁ♪」

 

逆にどうしてそんなに余裕なのか教えて欲しい。さっきのトランシーバーよりよっぽどこっちの方が恥ずかしいと思うんだけど。やっぱりこの人の照れる基準が分からない。

 

「さて、旗を取りに行きますか……えっ。」

 

愛「どしたの、ジュンジュン??」

 

「………ない。」

 

愛「……へ??」

 

果林「ふふふ、まんまと引っかかったわね。私たちは囮よ!!」

 

あんなにラスボス感出していた先輩達は囮だった。やはり拠点にいるのはかすかすだな……てか囮ということは??

 

エマ「ごめんね、準太くんと愛ちゃんが脅威だと思ってたからこれは2人が拠点から離れるための作戦だよ。」

 

「それが狙いだったか……。」

 

愛「まずいよジュンジュン!!早く戻らないと!」

 

「……いや、ここは歩夢ちゃん達を信じよう。それに、全員で旗を取りに行ってるとは思えない。うちの旗が取られる前に俺たちで相手の取っちゃうぞ。」

 

愛「んーーーよしっ分かった!でも相手の旗はどこにあるのか分かる??」

 

「おおよそだがな……行くぞ!!」

 

愛さんを連れて旗が置いてあるであろう思い当たる場所に向かう。ワイワイ遊んで終わるはずだった遊びがいつしか大人たちが本気になるマジな戦いになっていた。なんか子供たち付き合わせてごめん。



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第61話

俺と愛さんが向かったのはジャングルジム。まんまと囮作戦に引っかかってしまい、いつ俺たちの拠点が陥落してもおかしくない状況になってしまった。戻って歩夢ちゃん達を助けるべきとも思ったが、それよりも先に相手の旗を取ってこの勝負を終わらせてしまおうと考えた。

ジャングルジムに着くとてっぺんで俺たちの慌てている姿を想像しているのだろう、かすかすがニヤニヤしながら園内を見渡していた。

 

かすみ「ぷぷぷ、今頃愛先輩達は慌てて拠点に戻っているのかと思うと面白くて仕方ないですね♪」

 

「お姉ちゃん、私も勝ちたいけどなんかこれずるくない??」

 

かすみ「なっ?!ず、ずるくないです!!これは戦争なのです!」

 

「で、でも……」

 

かすみ「いいんです!要するに……勝てばよかろうなのですっ!!!」

 

おいおい子供になんて事言ってやがる。君のその発言でこれから女の子が手段を選ばない行動したらどうするつもりなんだよ。

ゲームだったら中ボスっぽい癖にしっかりラスボスじゃねぇか。

 

「見つけたぞ○ーズ。」

 

かすみ「じゅ、準太先輩?!どうしてここが……って、誰が○ーズですか!かすみんです!!」

 

「うるせぇずる賢い作戦しやがって。今から倍返ししてやるからな。」

 

愛「やられたらやり返す……倍返しだっ!!!」

 

「そういうつもりで言ったんじゃないんだけど……。」

 

かすみ「ぐぬぬぬ……こうなるのは想定外でしたけど……私たちが有利なのは変わりません!やれるものならやってみなです!」

 

もう色んな名言が出てきてるんですけど……こんなのいちいち突っ込んでたらキリがないな。さっさと旗取って終わらせよ。

 

「うしっ、愛さん取りに行くぞ。」

 

愛「了解〜!!!愛さん頑張るぞ〜!!」

 

かすみ「そうはさせないです!!みんな!旗を守りますよ!」

 

「「「おぉ〜!!!」」」

 

今までと同様ボスの掛け声で襲いかかってくる子供たち。これ結構疲れるんだよね……明日筋肉痛確定だ。

手加減はしてあげたいが今まで本気で相手してたから今更手加減は出来ない。え、してもいいって??……嫌だよここまできたら勝ちたい。

 

******

 

かすみ「まさか……全滅するなんて。」

 

愛「あとはかすかすだけだね♪」

 

「おう、あそこで偉そうにしてたかすかすだけだ。」

 

かすみ「かすかすかすかすうるさいです!!なんて大人気ない!」

 

「やかましい!!ずるい作戦してたお前に言われたくないわ!」

 

かすみ「ま、まだです……かすみんは負けてません!」

 

「抵抗するのは勝手だけど大人しく諦めるのもいいと思うぞ。」

 

愛「さてさて、最後にかすかすを離脱させて愛さんたちの勝利としますか!!」

 

1人になったかすかすを狙いに俺たちは駆け出した。今俺たちの拠点も危ういと思うが正直問題ないだろう。勝利は目の前なのだから。

そして項垂れてるかすかすを目指して走った俺たちだったのだか……

 

「……えっ。」

 

愛「あ、あれ……??」

 

地についていた足が一瞬宙に浮かんだ。そして俺たちはーーー

 

準太・愛「落とし穴〜〜!?!?!?」

 

穴に落ちました。

 

かすみ「ふっふっふっ……だから言ったじゃないですか、まだ負けてないって♪」

 

******

 

愛「いやぁ〜、まさか落とし穴があったなんて予想外だったよ〜。」

 

歩夢「ごめんね、私がもう少し頑張ったら勝てたかもしれないのに……。」

 

「気にするな、どの道あの穴から抜け出すのに手こずったしな……なぁかすかす??」

 

かすみ「い、痛いです!!やりすぎましたごめんなさい!!だから耳引っ張るのやめてください!!」

 

俺と愛さんが落とし穴に引っかかり身動きが取れなかった間に拠点が陥落し、かすかすチームの勝利に終わった。勝つ気しか無かったのにまさかの落とし穴があるとは……納得いかねぇ。

 

彼方「でも面白かったね〜。彼方ちゃんこんなに遊ぶの久しぶりだったな〜。」

 

果林「そうね、私も練習以外で身体を動かすのは久しぶりだったわ。」

 

愛「今日は愛さん達もだし、子供たちも楽しんでくれて良かったね♪」

 

「……まぁ、そうだな。」

 

かすみ「先輩誰よりもガチでしたからね〜♪」

 

「なんか言ったか??」

 

かすみ「い、言ってません!言ってませんからほっぺを引っ張ろうとしないでください!」

 

こうして保育園で園児達と過ごす1日が終わった。最初は半ば強制で連れてこられて渋々1日過ごすつもりだったが、子供たちと接するうちに知らない間に楽しくなっていて今日行けて良かったと思えていた。子供たちの無邪気な笑顔は俺に元気をくれて、その笑顔が誰かに似ていた。

 

愛「ん??どしたの、ジュンジュン。」

 

「……いや、なんでもない。」



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第62話

お気に入り100いきました!!
こんなに多くの人に面白いと思ってもらえてとても嬉しいです!

新学期は何しようかな、、


今まで1番と言っても過言ではないほど濃密な夏休みを終え、二学期が始まった。バスケ部はと言うと、惜しくも決勝戦で敗れてしまった。俺たちはベストを尽くしたが、相手の方が上手だった様だ。負けたことに悔しい気持ちはあるがそれと同時にやる気が込み上げてきて、より俺たちは練習に励むきっかけになった。

恋愛はどうかって??そんなのーーー

 

愛「ジュンジュンちっす!!いよいよ二学期突入だよ!学校祭とか修学旅行もあるし愛さんすっごく楽しみ!」

 

「そうだな、行事が多いから「そういえば昨日テレビ見た?!凄い面白い番組あってさ!!……うん。」

 

なーんにも変わりません。隣の席が愛さんになってからずっと同じ絡みです。付き合ったからって変わるものかと思ってたけどそんなことありませんでした。

まぁこれが愛さんだとは思うけど……なんかね、みんな分かる??

 

愛「あ、今日確認テストあるよね!ちゃんと勉強した??」

 

「……え。」

 

愛「ジュンジュン、忘れてたでしょ??」

 

「い、いやそんな事……ナイヨ。」

 

愛「最後聞こえなかったよ〜。」

 

やばい、忘れてた。これで成績落ちたらまた愛さんの鬼勉強が始まるじゃねぇか。そもそも夏休み勉強した物をわざわざテストする必要なくない??もう宿題出して終わりでいいじゃん。

 

愛「もし成績下がってたらジュンジュン分かってるよね??」

 

「なんか無言の圧掛けられてる気がするんだけど気の所為かな??」

 

******

 

俺と愛さんが教室に着くとクラスメイトは久しぶりに会う友人に夏休みの思い出を語っていた。いいなぁ楽しそう、俺も混ぜてよ……まぁ行かないけど。

楽しそうに話していたクラスメイトであったが、俺たちを見るなりあからさまにニヤニヤした表情を向けてくる。

……おいなんだよ。

 

「お前ら付き合ったんだって??おめでとう!」

 

「……あ、ありがとう。」

 

「愛ちゃんついにくっついたんだね!!私達応援してたからすっごく嬉しいよ♪」

 

愛「ありがとう♪みんな色々話聴いてくれてありがとうね!」

 

「え、待って話したの??」

 

愛「だ、だってこういうの初めてだったからどうすればいいのか分かんなくてさ……てへっ♪」

 

「おいてへっ♪じゃねぇよ誤魔化すな可愛いけど。」

 

まさかの付き合ったことをクラス全員に知れ渡っていた。そんなに注目するもんなの??俺人の恋愛に関しては全く興味なかったから誰々付き合ったんだって〜!って言われてもふーんで終わるのに。

 

「それで、どっちから告白したの?!」

 

愛「ジュンジュンだよ!」

 

「おい嘘つくな。」

 

「おい準太、いくら恥ずかしいからって嘘つくなよ。かっこ悪いぞ!」

 

「いや、嘘じゃなくてだな……。」

 

「そうだよ!夏目くん、ここは自信もって言うべきだよ!!」

 

「だから、俺ではなくて……。」

 

愛「もう、ジュンジュン恥ずかしがっちゃって〜♪」

 

「後で話し合おうか。」

 

クラスメイトに質問攻めにされて朝からヘトヘトになって始まった二学期。

一学期であんなに振り回されたのにこれ以上何をされるのか考えるだけ無駄な気がしてきた。

まぁ……それだけ隣の席の彼女は行動力半端ないってことだよね。

 

愛「新学期も張り切って行こうね、ジュンジュン!!」

 

「……お手柔らかにお願いします。」



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第63話

愛「ジュンジュン、愛さんがこれから言うことは何かな??」

 

「……テストの出来具合はどうだったの??」

 

愛「その通り!!はい、それじゃあ見せて♪」

 

確認テストを全て終え、テスト用紙が返ってきてからすぐ愛さんに捕まった。

そのニコニコしてる笑顔は単純に点数が気になるのか、それとも点数によって再び始まる地獄のスパルタ勉強を楽しみにしているのか分からない。

……どっちみち渡したくない。

 

愛「今回のテスト難しかったからね〜♪」

 

「……そうだな。」

 

愛「みんな点数ヤバいって言ってたしね〜♪」

 

「みんな頑張りました。」

 

愛「そんなジュンジュンの点数は……え??」

 

「……ふふふ。」

 

愛「えぇぇぇぇぇ!?!?」

 

「まぁ、俺もやる時はやるってことだ。」

 

結論、意外と点数が良かったのだ。正直テスト勉強してなくて絶望を感じながら受けていたが、思ったより考えることなくすらすらと問題が解けたのだ。

これはきっと期末テストで味わったスパルタ勉強の賜物だな、解く度に記憶が蘇ってガクブルだったし。

 

愛「凄いじゃんジュンジュン!!みんなを裏切ったね!!」

 

「おいその言い方語弊があるからやめろ。つかテスト勉強してないの本当だし自信はなかったぞ。」

 

愛「あれだね、私全然勉強してないやばい〜とか言いながらしっかり勉強してきて点数取ってるやつだね。」

 

「形的にはそうなったが本当に勉強してないから!!悪気ないからまじで!」

 

なんでだろ、褒められるよりも周りに敵を作らせようとしている気がする。本人にそんな自覚ないだろうけど……ほら見てよ、周りが俺の事睨んでるよ。やめてよこれからイベント多いんだから友達失いたくないよ。

 

愛「でもジュンジュン本当に凄いと思うよ!愛さん感動したよ!」

 

「それよりも俺を悪者にしていた方が目立つけどな。」

 

愛「そんなまさか〜♪でもこれって愛さんの勉強が役に立ったってことだよね!!」

 

「まぁ……そうなるな。」

 

愛「じゃあ尚更次のテストも勉強しないとね!!」

 

「まぁそうなる……え、今なんて??」

 

愛「いやぁジュンジュンが日に日に成長していって愛さんは何だか涙ぐましいよ♪」

 

「ねぇ話聞いてる??勉強しないとって何??」

 

愛「そうと決まれば中間テスト始まる前にはしっかり勉強しようね!」

 

改めて言います、俺の彼女である愛さんは人の話を全く聞いてくれません。なんだったら今勝手に話を進めていって再び俺を地獄へ落とそうとしています

 

「な、なぁ……愛さんの力を借りずに点取れたんだからしばらく勉強はいいんじゃないかなって……。」

 

愛「何言ってるの!!せっかく良い方向になってるんだから、もっと良くしなきゃ!!」

 

「い、いや……俺はなるようになればいいかと……。」

 

愛「甘いよジュンジュン!!そんな考えなら尚更指導しなきゃ!」

 

「えぇ………。」

 

結局中間テストも愛さんのお世話になることになりました。この事を海未に話したら「良いことではありませんか、勉学に励みなさい。」と返ってきた。もはや誰に話しても俺の味方はいないと悟ったよね。

 

「いつも元気だよなあのカップル。」

 

「宮下さんいつも元気だけど、準太と話す時が1番元気だよな。」

 

「それくらい夏目くんが好きってことじゃん!いいなぁ羨ましい。」

 

「愛ちゃん最近もっと可愛くなったもんね!恋の力って凄い!」

 

「「「「純愛カップルは今日も平和だ。」」」」

 

後日風の噂で知ったが俺と愛さんの事を周りは"純愛"と呼んでいるらしい。

……おい純愛の純ちげぇだろ。上手く言いたいがために漢字変えんなよ。

準愛でいいじゃん、俺が自分たちのカップル名考えるの嫌だけどさ!



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第64話

愛「ジュンジュンお泊まりしようよ!!」

 

「嫌だ。」

 

愛「なんで?!恋人なら何してもいいじゃん!!」

 

「いいわけねぇだろ!!」

 

愛「違うの?!」

 

「違うわ!!!」

 

ある日、唐突にとんでもない話をぶっ込んできた愛さん。マジで何言い出すの??周りにクラスメイトいるの見てないのかな。ほら背中から刺さる視線が見なくても伝わってくるよ。

 

愛「だって今思うと愛さん達遊んではいるけどお泊まりしてないじゃん!」

 

「いや、そういうの高校生では早くねぇか??」

 

愛「思い立ったが吉日だよ!」

 

「それは見送ろうか。」

 

愛「……愛さんとお泊まりするの嫌??」

 

「えっ……。」

 

急に汐らしくなった愛さん。いつもの元気はどこへやら、ウルッした瞳で俺を見上げてくる。やめてくれ、そういうの慣れてないから……てか愛さんそんなキャラじゃないだろ。

 

愛「ジュンジュンとお泊まりしたかったけどなぁ。ちょっと悲しいな。」

 

「……わ、分かったよ。」

 

愛「ホント?!今言ったからね!!録音したからね!!」

 

「え、録音なんて聞いてないよ今すぐ消せ。」

 

愛「嫌だよ!!これは証拠物件なんだから!」

 

「何が証拠物件だ!!一瞬の気迷いをした俺が馬鹿だった!」

 

愛「いやぁジュンジュンとお泊まり楽しみだな〜♪」

 

愛さんの巧みな罠に引っかかり、愛さんとお泊まりをすることになった。正直周りが聞いている状況で話が決まったことにめちゃくちゃ恥ずかしさを感じる。てかこれひとつ疑問があるんだけど。

 

「あのさ、泊まるっつってもどこで泊まるんだ?」

 

愛「愛さんの家だよ!」

 

「無理、やめよう。」

 

愛「さっき良いって言ったじゃん!それにおばーちゃん達もジュンジュンに会いたいって言ってるから大丈夫だよ!」

 

「その話のどこに大丈夫って思えばいいんだよ、尚更無理だわ緊張する。」

 

愛「ジュンジュン男なら覚悟を決めなさい!!」

 

なんかもうすんごい強引に泊まらせようとするんだけど。こういうの初めてだしゆっくり動いて行きたかったんだけど……まぁ相手は愛さんだから無理か。

 

愛「じゃー今から決めてこ!今週の土日はどう??」

 

「早いなおい。今週は土曜練習あるから夕方からしか無理だな。」

 

愛「全然いいよ!愛さんも練習あるから終わったら迎えに行くよ!」

 

「いや、迎えにこないでくれ。校門にしよう。」

 

愛「えぇいいじゃん!!彼女が迎えに行くの嫌なの??」

 

「今回は嫌だ。だって愛さん泊まること言いふらしそうだもん。」

 

愛「そんな事しないよ!!愛さんだって流石にそれは恥ずかしいから。」

 

ちゃんと恥ずかしいと思ってんだ。それが恥ずかしいのに大会で旗振ったり説明会で必要以上にでかい声だして応援するの恥ずかしくないの??もう恥ずかしいの基準が分からない。

 

「とにかく、合流するのは校門な。間違っても体育館に来るなよ。」

 

愛「もうしょうがないな〜、ジュンジュンったら恥ずかしがり屋なんだから♪」

 

なんだろう、いつもよりしんどいぞ今日は。泊まりかぁ〜、親になんて行けばいいんだ。彼女の家泊まりに行くわ〜なんて絶対言えない。「小学生で海未の家に止まった時は幼なじみだし簡単に泊まれたけどなぁ……。」

 

愛「ちょっと!!海未の家泊まってたの?!」

 

「え、今俺口に出してた??」

 

愛「出してた!それよりもどういうこと!愛さん聞いてないよ!」

 

「そんな小学生の話わざわざしないだろ!それに俺海未の家泊まったんだよね〜♪なんて誰が言うか!何の自慢だよ!!」

 

愛「小学生でも泊まるには泊まったんでしょ?!じゃあ愛さんがお泊まりすること言ってもいいじゃん!!」

 

「良くないわ大問題だ!」

 

愛「なんでさ!!!」

 

このお泊まり伝える問題は次の放課まで続き、お互い周りを気にせずデカい声で言い合っていた為、俺たちが言わずとも必然と周りに認知されていた。

そしてその日の帰り、俺は周りに泊まる時に大切なことを教えられた。

……てかみんな結構経験豊富なんだね。



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第65話

愛さんとのお泊まりを約束した日、俺はいつも通り練習に励んでいた。

今日お泊まりだということを忘れるくらい集中していて、汗だくで練習が終わるとそのまま帰る支度をしていた時だった。

 

愛「ジュンジュン〜!!愛さんが来たぞ〜!!!」

 

「なんで来たんだよ……。」

 

まさかの愛さん登場。正直愛さん来なかったら泊まること忘れてそのまま帰りそうだったけどね、危なかったー。

てかなんで来たんだよ、校門集合って話じゃなかったのかよ。

 

愛「だってジュンジュン約束忘れてそのまま帰る気がしたからさ〜。」

 

「ま、まさかー……。」

 

愛「ほんとかなー??」

 

まずい、疑われている。当たっているから何も言えないどうしよう、話そらすか。

 

「愛さんお疲れ様。練習どうだった??」

 

愛「愛さん動きすぎてヘトヘトだよ〜。帰ったらすぐ寝ちゃいそう!」

 

「そんなにハードだったのかよ。ちゃんと休めよ??」

 

愛「もちろんだよ!でも今日は寝ないよ!だって……」

 

おい待てこの子今から何言うつもりだ??まだ部員いるんだよ??みんな俺たち見てるんだよ??そんな状況で言う言葉は考えた方がいいと思うんだ。

俺は今目で訴えているからね??ちゃんと伝わったくれお願い。

 

愛「今日はジュンジュンとお泊まりだからね〜!!!」

 

はい言いました戦犯ですこの子。あーあ場の雰囲気秒で変わったじゃん。全員ニヤニヤして俺見てくるし目の前の愛さんもニヤニヤしてるしもうなんなの。

 

「おい準太!!お泊まりなんて羨ましいな!!」

 

「一線越えるんじゃねぇぞ!」

 

ほらほらこうやって野次が聞こえてくるよ。うるせぇそれくらい分かっとるわ!泊まるだけでなんもねぇっての!!

そんなラッキースケベとか期待してないよほんとだよ。

 

愛「一線越えるってなに??」

 

「何も知らなくていい。とりあえずここから早く出よう、じゃないと俺がもたない。」

 

******

 

愛「これからジュンジュンがうちに泊まりに来るなんて新鮮だね!」

 

「まぁそんなことないからな。」

 

愛「明日は休みだし夜更かししたいな〜♪」

 

「愛さんさっきすぐ寝るとか言ってたじゃん。」

 

愛「ジュンジュンがいるなら話は別だよ!疲れなんて飛んでった!」

 

「俺は飛んでってないぞ。だから今日は早く寝よう。」

 

愛「今夜は寝かせないよ、子猫ちゃん♪」

 

「うるせぇ……。」

 

帰り道、隣でやたらハイテンションな愛さんと話しながら歩いているのだが、結構緊張している。だってこれから彼女の家に泊まるんだから当然だよね。

しかも初彼女で現役スクールアイドル……うわぁ帰りたくなってきた。

 

愛「ここが愛さんの……って、前ジュンジュン来たことあるね。」

 

「あー……その節はどうもお世話になりました。」

 

愛「いえいえ無事で何よりでした♪」

 

以前俺が倒れた時に一度だけ愛さんの家に入ったことがある。その時はすぐに家に帰りあまり愛さんの家族と話すことが出来なかったが、今回は泊まらせてもらうわけだから挨拶しないとな。

 

愛「おばーちゃん、ただいま!!ジュンジュン連れてきたよ!」

 

待ってそんなナチュラルに言われるの??もうちょっとかしこまって言うものかと思ったんだけど……愛さんはないな。

いやでもジュンジュンって言って分かるもんなの??俺だったらえ、誰だよジュンジュンってって思うんだけど。

 

祖母「愛ちゃんおかえり。そちらの方がジュンジュンさん??」

 

「あ、えっとジュンジュンです。その……この度はお世話になります。」

 

祖母「そんな畏まらなくていいですよ。愛ちゃんと恋仲になったって聞きましたよ。これから愛ちゃんをよろしくお願いします。」

 

「こ、こちらの方こそ至らない部分もありますが、よろしくお願いします。」

 

……なんなんだこの自己紹介もっとマシな言い方あっただろ俺。なんだよジュンジュンですって、自分が情けなくて仕方ない。

 

愛「おばーちゃんジュンジュンが来るのすっごく楽しみにしてたの!たくさん話してあげてね!」

 

「お、おう……。」

 

そんなに楽しみにしてくれていたのか。その言葉を聞いてなんだか嬉しくなってしまう。せっかくの機会だ、たくさんお話していこう。

 

祖母「それで、ジュンジュンさん??」

 

「え、はい……なんでしょう??」

 

祖母「愛ちゃんとどこまでいったの??」

 

「勘弁してください。」



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第66話

愛「愛さん特製もんじゃだよ!!食べて食べて!」

 

「おぉ……いただきます。」

 

愛「どうどう??愛さんのもんじゃは!」

 

「……すげぇ美味い。」

 

愛「ほんと?!良かった〜♪」

 

愛さんの家族に挨拶をした後、夕飯を頂くことになった。愛さんの実家はもんじゃ焼きの店であり、周りを見ると一般のお客さんがちらほらいる。

お客さんは常連さんが多いみたいで、店に入るお客さんの多くは愛さんに声を掛けて話している。

 

「なぁ、今更だけどお店の営業中にここで食べてよかったのか??」

 

愛「うん!せっかくだし遠慮しなくていいよ!みんなもここで食べて欲しいって言ってたし!」

 

「そ、そうか……でも愛さんたちが働いてるのに俺だけ食べてるのはなんか罪悪感あるな。」

 

愛「そんな気にしなくても……あっ!!」

 

今隣で愛さんが何かを閃いたようだ。やだなぁ、今度は何を言うのかなぁ。

目がキラキラしてる気がするしマジで何考えてるの??

 

愛「じゃあひとつお願いしようかな♪」

 

******

 

愛「いらっしゃい!!ジュンジュン受付お願い!」

 

「お、おう分かった。……えっと、こちらで伺います。」

 

愛さんの頼み、それは今日一日だけお店を手伝って欲しいというものであった。思ったより普通……てか今までが普通じゃなかったのか、どんだけ感覚麻痺ってんだよ。

 

「愛ちゃん今日は兄ちゃんがいるんだな!なかなかイケメンじゃねぇか!」

 

愛「おじさんありがとう!!今日だけお店を手伝ってもらってるの!」

 

「そうかそうか!兄ちゃん頑張れよ!」

 

「う、うす……。」

 

ご飯も頂いたお礼も兼ねて働いているのだが想像以上に大変だ。受付もしなきゃいけないし注文を聞きにもいかなきゃいけない。やることが多すぎでさっきからずっと歩き回っている。

 

愛「ジュンジュンしっかり!!」

 

「つ、疲れる……こんなに大変なの愛さんやってんのかよ。」

 

愛「まぁ小さい時からお手伝いしてたしね♪」

 

そんな小さな頃から対応してんの??愛さん半端ない。

でも少しずつどう動けばいいのか分かってきた。お客さんにも励まされてるしあと少し頑張らないとな。

 

「いらっしゃいま………え。」

 

海未「……準太??」

 

「準太です。………てかなんでいるの??」

 

海未「練習終わりに愛の店で食べようってなったので来たんです。むしろ何故準太がここで働いているのですか??」

 

「あー、まぁいろいろとな。」

 

張り切って接客しようと思った最初のお客は幼なじみの海未と……愉快なスクールアイドル達だった。

 

穂乃果「あー!!準ちゃんだー!!!」

 

「げっ……穂乃果。」

 

穂乃果「なんでげって言うのー?!久しぶりに会ったのに酷いよ!」

 

「なんか前よりうるさいんだけど……。」

 

ことり「あ、あはは……久しぶりだね、準太くん♪」

 

「おう、久しぶりだな…ことり。」

 

穂乃果「ちょっとー!なんでことりちゃんには普通なの?!」

 

「やかましい!他のお客様に迷惑です!!!」

 

愛「ジュンジュンどうしたの??……え!みんな来てくれたの?!」

 

絵里「久しぶり。ごめんなさい、大人数で来てしまったのだけれど……大丈夫かしら??」

 

愛「勿論だよ!!席案内するね、ジュンジュンよろしく!」

 

「俺かよ。」

 

海未以外の幼なじみと話した後に席へと案内する。美少女がたくさん来たことで男性の視線は彼女達の方へ向かれる。おいおじさん、鼻の下伸びてんぞ。

 

「えっと……ご注文は??」

 

にこ「そんな事より!さっきから海未達と仲良さそうだけど、あんた誰?!」

 

「何だこの1年生。やけにデカい態度とりやがるな。かすかすそっくりだ。」

 

にこ「ぬわぁぁぁんですってぇぇ?!誰が1年生よ!!にこは3年生!!!」

 

「……まじ??」

 

海未「まじです。」

 

「……注文は??」

 

にこ「話を逸らさない!!もう年齢の事はいいわ、それよりもあんた達どういう関係?!」

 

「どういうって……ただの幼なじみだけど??」

 

にこ「そ、そうなの……てっきり彼女じゃないとかと。」

 

愛「あ、彼女は愛さんだよ〜。」

 

にこ「そう、彼女は愛……って!!ぬわぁぁぁんですってぇぇ?!」

 

「元気だなぁこの人……。」

 

その後動揺したツインテールの先輩を落ち着かせるのが大変だった。本人曰くアイドルに恋愛は御法度だそう。

まぁ確かにアイドルってそういうイメージあるよなぁ……

 

ただ今回は周りのフォローもあり先輩は腑に落ちないものの納得をしてくれたみたいだ。

……そういえば名前なんだっけ??

 




なんか作品の文字色が変わった気がするんですが、、
分かる人いますか??


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第67話

穂乃果「美味し〜!!あ、今度はこれ食べよう!」

 

凛「あ〜!それ凛も食べるにゃ!!」

 

海未「2人とも静かにしてください!他のお客様もいらっしゃるのですよ??」

 

絵里「そうね、周りの事も考えないと……ハラショー!!これ美味しいわ!」

 

真姫「絵里まで騒いでどうするのよ……。」

 

それまで十分に賑やかだった海未達の席は料理が来た途端さらに盛り上がりを見せ、この空間で1番騒いでいる。お前らスクールアイドルなんだろ??少しは静かにしなくていいのかよ……。

それにしても美味しそうに食べるよなぁ、特に……

 

花陽「ん〜!!白米が美味しい〜♪」

 

もんじゃよりも白米をひたすら食べてる女の子が1人。え、この子何杯目食べてるの??結構注文受けてる気がするけど。

 

にこ「それにしても、まさか愛のお店に来たらボーイフレンドがいるなんてねぇ……。」

 

穂乃果「びっくりだよね!というか穂乃果達その事何も聞いてないよ?!」

 

「なんで言わなきゃいけないんだよ。」

 

穂乃果「なんでって、幼なじみだよ?!友達だよ?!準ちゃんは言うべきだよ!」

 

「むちゃくちゃだ……俺はてっきり海未が言ってるかと思ってたぞ。」

 

海未「っ?!」

 

その瞬間全員が海未を見た。本人はギクッとしているような表情をし、固まっている。……あ、言ってなかったのね。

 

希「へぇ〜、海未ちゃんは知ってたんだ〜♪」

 

海未「え、えぇ……ぼちぼち。」

 

凛「ぼちぼちじゃなくて全部知ってたはずにゃ!」

 

絵里「どうして言わなかったの??」

 

海未「そ、それは……準太と愛の事であって、私から言うものでは無いかと思いまして。……それに私から言うのは恥ずかしかったので。」

 

おい絶対最後が本音だろ。そら見てみろ、海未がそう言ったせいで視線がこっちに来るじゃねぇか。

 

穂乃果「準ちゃん観念するんだよ!ぜーんぶ話してね!」

 

「い、いや、俺は仕事が……。」

 

愛「今は落ち着いてるし、愛さんが回すから大丈夫だよ♪」

 

「おい何他人事のようにしてんだよ!!ニコニコして離れようとするな!」

 

愛さんはナチュラルに離れようとしているが何かが愛さんの後ろに回ったのを俺は見た。

 

希「お〜??愛ちゃん前より大きくなってるんやない〜??」

 

愛「ち、ちょっと希!!そこダメだって///」

 

希「じゃー、愛ちゃんも一緒に話さないとね〜??」

 

愛「えぇ〜!?ジュンジュン〜!!」

 

目の前で彼女が女の子から胸をわしわしされている。健全な男子高生にとってはなかなか刺激的だぞ。愛さんやっぱ大きいよな、何がとは言わないよ。

 

海未「準太、その目は何ですか??」

 

「俺の目です。」

 

海未「はい??」

 

「すみません。」

 

止めるべきと思っていてもやはり心が見るべきと訴えてしまい愛さんがわしわしされるのを見ていたが、背後からの黒いオーラーに恐怖して助けに行く。

 

愛「うぅ、ジュンジュンの目の前であんな目に遭うなんて……。」

 

「その……お疲れ様。」

 

凛「あんな愛ちゃん見るの初めてにゃ〜。」

 

絵里「これが恋する乙女なのね……恐ろしいわ。」

 

にこ「全く、それよりもご飯食べない??冷めちゃうわよ??」

 

真姫「そういうにこちゃんだって、ちらちら2人を見てるじゃない。」

 

にこ「そ、そんなことないわよ!!」

 

あーこれもう話さないといけないやつね。恋バナを女の子に囲まれて話すとかどういう状況よ。隣の愛さんはさっきまでの元気が無くなってモジモジしてるし……すっかり乙女になってんじゃん。

 

穂乃果「役者は揃ったよ!!後は準ちゃん達が話すだけ!」

 

「……えぇ嫌だなぁ。」

 

全員がじっとこちらを見てるが最後まで抗わせてもらうぞ。粘ったら諦めてくれそうだし。

 

ことり「……準太くん。」

 

「な、なんだよことり。」

 

さっきから黙っていたことりが口を開いた。顔は俯いていて表情は見えないが胸に手を当て、何か言おうとしている。

あれ、これ小さい頃チーズケーキを俺にねだっていた時にされた時と同じシチュエーションな気が……。

 

ことり「……お願いっ!!」

 

「うぐっ……わ、分かったよ。」

 

喰らいましたクリティカルヒットです。これは反則だろ、俺じゃなくても全員に通じるぞ。あーあ、言わなきゃいけないのか。

 

愛「……むぅ。」

 

「ど、どしたの愛さん??」

 

愛「今ジュンジュンだらしなかった。」

 

「そ、そんなことない……よ。」

 

愛「声が小さいよ!!!」

 

ことりのお願い攻撃を食らったことが愛さんの機嫌を損ねてしまったようだ。その後、隣で拗ねた愛さんを宥めてから俺たちは穂乃果達に付き合うまでの経緯を話した。



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第68話

「……えーと、という事があって俺達はその…恋人というものになりました。」

 

愛「そ、そんな感じだね……///」

 

穂乃果達に愛さんと付き合うまでの経緯を話し終え、2人揃って顔を真っ赤にしている。マジで恥ずかしい。人の恋愛話を聞いたことはあったにしても自分の恋愛話をする時が来るとは思わなかった。

 

穂乃果「ほぇ〜、準ちゃんが大人になってる。」

 

「別に大人になった訳じゃないだろ。」

 

絵里「でも、とても素敵だと思うわ。いつも元気な愛がこんなに汐らしくなるなんて、びっくりしたわ。」

 

真姫「でも、愛がアピールしても気づかないなんて、あなたどこまで鈍感なのよ。」

 

「うっ……。」

 

年下の女の子の容赦ない一言が俺にダメージを与える。これはクリティカルヒット、しかもジト目で言ってくるあたりキツい。

 

愛「まぁね、それでも走って告白してくれた時は愛さん嬉しかったなぁ♪」

 

「恥ずかしいから思い出させないでくれ。」

 

愛「なんでよ〜、いいじゃん♪」

 

さっきまで恥ずかしがってた癖にもう立ち直ってやがる。周りはニヤニヤして俺を見てくるし他のお客さんも微笑ましい表情を向けていらっしゃる。

全員に聞かれてるじゃん、恋バナもうやだ。

 

******

 

「あーー……疲れた。」

 

愛「あはは、ジュンジュンお疲れ様!!いや〜夕飯だけでいろいろあったね〜」

 

「いろいろありすぎだろ。」

 

あの後穂乃果達と少し話してから接客に戻った。その後のお客さんはみんな俺と愛さんを見てニヤニヤして、将来の旦那さんだのこの店も安泰だの言いたい放題言われた。まったくおじさんはすーぐそういう話に持ってくから困る。

やりにくいったらありゃしなかった。

 

そして穂乃果達も帰った後、今は俺達も手伝いを終えて愛さんの部屋にいる。

……そう言えば寝る部屋どこだ??

 

「なぁ、俺ってどこで寝ればいいんだ??」

 

愛「え??愛さんの部屋だよ??」

 

待って、もうおかしい。え、恋人と言っても高校生だよ??さすがに別々の部屋にした方がいいと思うんだけど。

 

「え、えっと……それ以外の部屋は??」

 

愛「ないよ♪」

 

「そんな笑顔で言わないでくれるか……まじか。」

 

愛「いいじゃん、せっかくなんだし♪それでもジュンジュンは愛さんを襲っちゃうのかな〜??」

 

「………。」

 

あーでたよからかう表情。ただでさえ露出が高い格好してるのに谷間を強調するような仕草しないでくれる??

意識しないの必死にしてるこっちの気持ちになってよ。

 

愛「あはは!!ジュンジュンはまだまだ子供だね〜??」

 

「うるせぇ、お風呂入ってこい。」

 

愛「ふぇぇ?!お、お風呂??」

 

「え、なんだよ。別に変な事言ってないだろ。俺は我慢してんだから早く入ってこい。」

 

愛「が、我慢?!え、えっと……つまり、そういう事??」

 

……なんの事言ってんだこの子は。そりゃ働いて煙臭くなってるんだからお風呂入ってさっぱりしたいじゃん。

それとも愛さんは手伝いに慣れて気にしてないのか??

 

「なぁ、別に愛さんが気にしないならそのままでもいいけどさ、俺は気にするぞ。」

 

愛「あ、愛さんだって流石に気にするよ!!い、いよいよ愛さんの覚悟が試されるね……。」

 

「……覚悟??」

 

愛「よ、よしっ!愛さん入ってくるよ!だから……ジュンジュンは待っててね///」

 

「え、お、おう……ごゆっくり。」

 

愛さんは何より意味深な発言を残して出ていった。何なんだ一体……俺変なこと言ってないよね??

 

******

 

愛「ジュ、ジュンジュン……お風呂出たよ。」

 

「おう、じゃー俺……えっ。」

 

今、起こったことをありのまま話すぞ。ドア越しに愛さんに声を掛けられ返答したんだが、ドアが開いたら愛さんが……顔を真っ赤にしえタオル一枚で立っていた。

な、ななななななんでそんな格好してんの?!

 

愛「じ、じゃあジュンジュンもお風呂入ってきてね。」

 

「は、入るけど……なんで服きてないの///」

 

愛「えっ?!ふ、服着るものなの?!そうなんだ……///」

 

「か、仮に愛さんが普段タオル一枚で部屋に来ていたとしても、俺がいる時は服を着てくれ……刺激が強すぎる。」

 

愛「わ、分かった……その、ジュンジュン。」

 

「な、なに??」

 

愛「愛さんこういうの初めてだから、その……優しくしてね??」

 

「……えっ。」

 

さっきから何を言ってるんだ愛さんは。な、なんか発言的に……一線超えるみたいな感じなんだけど。

なんでそうなった、俺はお風呂に入るよう促し……あっ。

 

「あ、あのさ……愛さん。」

 

愛「な、なに?!」

 

「俺……シンプルに風呂へ入るよう言っただけだぞ……。」

 

愛「………へ??」

 

「いや、身体煙臭いだろうからお風呂入った方がいいのかなと思いまして……。」

 

愛「じ、じゃあ……愛さんの勘違い?!」

 

「……そ、その、愛さんの気持ちは嬉しかったぞ??」

 

愛「………。」

 

あ、あれ……いつも笑顔な愛さんが俯いて後ろから黒いオーラ出してるんだけど。な、なんかやばい気がする。逃げないと殺される……。

 

「お、俺もお風呂に入っ「ジュンジュン。」は、はい。」

 

あれ、気のせいかな。愛さんの後ろに○○ープラチナが見えるよ。

 

「わ、悪い!!そんなつもりじゃなかったとはいえ、愛さんに恥ずかしい思いをさせてしまって……!!」

 

愛「てめーは愛さんを怒らせたっ!!!」

 

その後のことは……まぁ、お察しください。



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第69話

「……お風呂出ました。」

 

愛「………うん。」

 

愛さんにオラオラされた俺はフラフラになりながらもお風呂へ行った。そして今、出たことを告げたのだがまだご立腹の様だ。

頬を膨らましているあたり可愛いけど。

 

「その、俺の言い方が悪かった。ごめん。」

 

愛「別に悪くないよ、愛さんが暴走しただけだし。」

 

「その割には不貞腐れてるけど。」

 

愛「だって……愛さんだけバカみたいじゃん。」

 

まぁ……怒るのも無理はないか。誤解だったとはいえ、愛さんは勇気出してたんだもんな。それが空振りだったのは恥ずかしいのはあるけど男の俺からしたら彼女に恥をかかせてしまった。

 

「……俺も、いつかはとは思ってる。」

 

愛「な、なななな何言ってるの?!」

 

「落ち着け!!その……何か嫌なんだよ。」

 

愛「嫌……??」

 

「……付き合ってすぐにそういうことするのって、何か違うっつーか。その……大切だからこそ、そういうのはしっかりと考えていきたいんだよ。」

 

愛「……///」

 

「そ、それにまだ俺には準備が出来てないし……。」

 

愛「………ヘタレ。」

 

「……言っとけ。」

 

愛「ふふっ、そっかそっか。大切だからか……。」

 

「なんだよ、変なことは言ってないぞ。」

 

愛「うん、言ってないよ。……嬉しいなって♪」

 

そう言うと愛さんは俺の肩に頭を預けて普段の笑顔を見せていた。機嫌を直すつもりで言ったわけじゃなかったが、俺の言葉で満足したようだ。

 

愛「あ、そう言えば明日の予定決めてなかったね!どこ行こうか!」

 

「え、折角の休みだしゆっくりしないか??」

 

愛「修学旅行近いし、必要なもの買いに行こうよ!服とか!」

 

「俺の意見はガン無視なわけね。てか服なら今あるやつでいいじゃん。」

 

愛「何言ってんのさ!せっかくの修学旅行なんだから新しいの買おうよ!」

 

「せっかくのって言う意味が分からん。いいよ別に、服とかあんま買わないからどれが良いとか分かんないし。」

 

愛「……えっ、買わないの??」

 

「お、おう……。」

 

ありえないという表情をしてこちらを見てくる愛さん。いやだって出掛けることそうそうなかったし。最近出掛けてるのも愛さんに連れ出されているだけだからな。

 

愛「じゃあ尚更だよ!!ジュンジュンは服を買わねばならない!」

 

「なんだよその話し方。えぇ……服買わなきゃダメか??」

 

愛「ダメだよ!愛さんがコーデをしてあげよう!」

 

「ヒョウ柄とかやめてくれよ。」

 

愛「愛さんをなんだと思ったんのさ!ちゃんとジュンジュンに合う服選ぶからさ!……あと面白そうなのあったら。」

 

「おいちゃんと聞こえてるからな??面白そうなのった言ったよな??」

 

愛「愛さんに任せなさい!!!」

 

「無視すんなぁぁ!!!」

 

明日の予定が決まりました。俺は明日、愛さんのリカちゃん人形になるようです。頼むから変なのは選ばないで欲しい。

思い出の修学旅行がある意味思い出の修学旅行になりかねない。

 

愛「よぉし、予定は決まった事だし……これから何しようか!!」

 

「これからってどういう事だよ。寝ないの??」

 

愛「寝かせないって言ったじゃん!!いつもは電話でこの時間話してるけど、今日は直接話せるじゃん!」

 

「ほんとに夜遅くても元気なんだな。」

 

愛「まだ寝るには早いって♪あ、この間ね……」

 

その日はお話と言うより愛さんの一方的な弾丸トークで終わった。最初は元気に話していた愛さんも時間が経つにつれて瞼が重くなっていき、ついには口を開けたままウトウトしてしまった。

 

「座って寝ちゃったよ。……愛さん、ベッドで寝なされ。」

 

愛「ん〜……。」

 

ダメだ、絶対起きないやつだ。……ベッドに俺が運ぶしかないか。

 

「んしょ……。」

 

愛「〜〜♪♪♪」

 

……ねぇこの子今笑わなかった??寝てるよね??嫌だよ実は起きてました〜みたいなやつ。

 

「よしっ、横にさせたし俺も寝ようかな。」

 

横にした愛さんを見ると幸せそうな表情で寝ていらっしゃる。……ほんとに起きてないよな??

それにしても寝てる愛さんを見るのは初めてだけど「……可愛いな」。

 

愛「………///」

 

……起きてるな。

 

「………熱帯夜でも寝たいや。」

 

愛「……ぷっ、あはは!!!あー痛い痛い!!起きてましたごめんなさい!!」

 

「やっぱり起きてたか。起きてんなら自分でベッド行けよ。」

 

愛「あはは、ごめんね。最初はほんとに寝てたんだけど、ジュンジュンが運んでくれる前に起きてさ。」

 

「それで丁度いいと思って寝たふりをしたと。」

 

愛「……てへっ♪」

 

「………寝る。」

 

愛「ご、ごめんって!!」

 

「おやすみーー。」

 

愛「ジュンジュン!!」

 

「なんだよ。」

 

愛「……大好きだよ♪♪」

 

「……///」

 

ほんと俺の彼女には調子を狂わされる。



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第70話

みんなは彼女とお泊まりイベントには何を連想する??手作り料理?お風呂のラッキースケベ?ベッドで一緒に寝る?その他にも色々連想するものがあると思うが、今回俺が起きたイベントを順番に説明していこう。

 

まず手作り料理、確かに手作り料理でした美味しかったです。でもその後は愛さんと働いていたし穂乃果達の襲撃によって無駄に疲れた。

次にお風呂イベント、何もなかったです。いや別にもしかしたらとか思ってないよ??そういう耐性ないからどう反応すればいいか分かんないし。ただ○ンジャッシュ的なコントをかましてオラオラされました。

そしてベッドで一緒に寝るこれはーーー

 

愛「ジュンジュン朝だよ!!起きろー!!!」

 

「あと少し寝させてくれ……。」

 

同じ部屋では一緒に寝たが愛さんはベッドで俺はその下で寝ました。朝起きたら彼女が隣にいるってことはまぁないよね。

てか今朝の6時に思っきし叩き起されたし。

 

愛「だらしないよ!せっかくのお休みなんだし早起きしようよ!」

 

「せっかくのお休みだからこそゆっくり寝るんだろ!しかもなんだよ、6時って!もうちょっと遅くてもいいだろ!」

 

愛「何言ってんの!今からランニングしに行くよ!」

 

「何言ってんのはこっちのセリフだわ!!絶対行かないからな!」

 

******

 

愛「ほらほらペース落ちてるよ!それでもバスケ部のエースなの?!」

 

「……吐きそう。」

 

負けました。布団引っペがされて無理やり起こされました。こんなお泊まりの朝嫌だ……。

俺が想像していた物と違う。俺が想像していたのは……

 

愛 "おはよ、そろそろ起きよ??愛さん朝ごはん作ったから一緒に食べよ♪♪"

 

"ありがとう。道理でいい匂いがするわけだ。"

 

愛 "ふふっ、ジュンジュンがいるから愛さん頑張っちゃった♪"

 

そして今はーーー

 

愛「あと少し頑張るよ!!!いやぁ朝のランニングは最高だね!!」

 

「俺が求めてたのと違うぅぅぅ!!!」

 

どんだけ元気なのこの子。これからお出かけるんだろ??もうこの時点で1日のエネルギー消費してる気がするんだけど。

しかもスタミナがアホみたいにあるよ。俺もバスケやってて体力には自信があると思ってたけどそれ以上にある。

こんな彼女とお泊まりした翌朝嫌だぁぁぁ!!

 

******

 

愛「さてさて、朝食も食べたことだし支度してお出かけしよ!!」

 

「ちょーーっと休憩挟まない??」

 

愛「朝食の時間で休憩出来たでしょ!愛さん先に支度してるからジュンジュンも早くね!」

 

「………。」

 

皆さん、ここにモンスターがいます。何をしたら疲れるってくらいの体力と精神を持っています気をつけてください。あ、気をつけるのは俺か。

 

祖母「朝から2人とも元気ね〜♪」

 

「は、ははは……ソウデスネ。」

 

おばあちゃんに褒められたがもはや反論する気にもならなかった。

とりあえずもう俺は今日頑張った、まだ始まったばかりだけど。

この後何事も起こらずに終わればいいんだけど……。

 

愛「ん〜、どれにしようかなぁ。せっかくのジュンジュンとのお出掛けだし愛さん気合い入れないとね!!」

 

 



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第71話

愛「ジュンジュンお待たせ!!次はジュンジュンのターンだ!」

 

「○ュエルみたいに言うなよ。てかやけに遅……。」

 

愛「あはは、ごめんごめん♪えっと……どうかな??」

 

ようやく支度を終えたようで部屋から出てきた愛さんを見て、俺は不覚にも見とれてしまった。

いつものザ・ギャルみたいな愛さんとは思えないような、肩の露出はあるものの、清楚な服を着てこちらの様子を伺っていた。

……正直に言おう、めちゃくちゃ可愛い。

 

「………。」

 

愛「な、なんか言ってくれないかな??」

 

「わ、悪い。その……すごい似合ってる。」

 

愛「えへへ、ありがとう♪」

 

俺の感想に満足したようで、愛さんははにかんだ表情を見せて髪をいじっている。え、これ愛さんだよね??いつも俺を振り回して今日も朝からランニングに連行して動き回っていた愛さんだよね??

 

愛「ほら、ジュンジュン準備して早くお出掛けしよ!今日は動き回るからね!」

 

「あ、やっぱり愛さんだ。」

 

******

 

俺も支度を終わらせ、愛さんの家族にお礼を言ってから家を出た。おばあちゃんに近々来てねって言われたけどそれは敢えて笑って誤魔化した。

そんな頻繁に来るのは流石に抵抗がある。

 

「それで、一体どこに行くんだ??」

 

愛「デート鉄板のショッピングモールに行こうかと!」

 

「人多そうだなぁ……。」

 

愛「ジュンジュンって意外と人混み弱いよね。」

 

「なんだよ意外って。そりゃ人がうじゃうじゃいると見るだけで疲れんだよ。」

 

愛「スカイツリー行ったらジュンジュン"人がゴミのようだ!!"とか言いそう。」

 

「言わないから。むしろどちらかと言うとノリで愛さん言うだろ。」

 

愛「言わないよ!!愛さん人多くても平気だからね♪」

 

「あなたは何でも平気だと思う。」

 

愛さんとだべりながら歩来ながら目的地のショッピングモールへ着いた。さすが休日だけあって行き交う人が多い。それにしてもよくみんな行きたがるよな。ショッピングモールなんて今日みたいに行くきっかけがないとなかなか行かないぞ。

 

「さて、まずはどこから回ろうか。」

 

愛「プリクラ!!」

 

「やだ。」

 

愛「なんでさ!!!撮ろうよプリクラ!!」

 

「あんな自分の目がキラキラする写真誰が求めるか。しかもあそこ女の子多いし入りずらい……。」

 

愛「そんなの行っちゃえば気にしないって!どの機種にしようかな〜♪」

 

「え、なに入る確定なの??」

 

愛「え、入らないの??」

 

「……何も言うまい。」

 

愛「よ〜し、じゃあ行こ行こっ!!」

 

「ちょ、おい引っ張るなって!!」

 

******

 

愛さんに引っ張られゲーセンに行くと予想通りプリクラの周りには女の子がうじゃうじゃいた。苦手だなぁ、早く撮って退散したいなぁ。

 

愛「よしっ、この機種で撮ろ!」

 

「何でもいい、早く撮ろう。」

 

愛「な〜に〜??なんだかんだジュンジュンもノリノリじゃん♪」

 

「断じて違うから。早く撮って撤退したいだけだから。」

 

愛「もう、頑固なんだから〜♪」

 

「違うっての!!」

 

こうして初めてのプリクラをすることになった。箱に入るとアナウンスに言われるがままのポーズをして撮った。中にはくっついたり手を繋いだりするのもあって動揺していた俺を他所に愛さんは動じることなく言われるがままナチュラにくっついてきたりして色々と疲れた。

撮影が終わって写真を見るとそこに写っていた男が俺とは思えなかった。

 

「えっ……誰これ。」

 

愛「ジュンジュンだよ!!いやぁジュンジュンなかなかノリノリだったね♪」

 

「いやいやポーズとるのに必死だったから。むしろノリノリだったの愛さんじゃん。」

 

愛「そりゃー、初めての彼氏とプリクラ撮るんだもん。テンアゲっしょ!!」

 

「……そうかよ///」

 

そういう事を普通に言わないで欲しい。口角上がるのを必死で抑えなきゃいけないから。

それにしてもさすが愛さん、ぎこちない表情をしている俺と比べて自然な表情で写っている。ただでさえ美少女なのに加工されると2次元のキャラクターみたいになるな。あ、これ褒めてるからね??

 

愛「ふふっ、この写真後でスマホに送っとくね!」

 

「え、これスマホでも見れんの??」

 

愛「うんっ!QR読み取ってサイト入れば保存できるんだよ♪」

 

「すげぇな、そんなことが出来るのかよプリクラって。」

 

愛「プリクラもやるもんでしょ♪」

 

「それにしても色んな機種があるんだな。どれも加工が違うのか??」

 

愛「そうだね、加工もそうだし、カメラ動かせたり大人数で撮れるものもあるし、色々あるよ!」

 

「それに女の子は考えながら撮っているのか。……ついてけない。」

 

愛「じゃあついていけるようになろう!」

 

「……はい??」

 

愛「他の機種でも撮って違いを知ってこ!愛さんが教えてあげるよ!」

 

「いや、俺は今ので十分満足……。」

 

愛「どれから撮ろうね!あ、まずはあの最新のやつから!」

 

「えぇ……。」

 

お察しの通り俺は愛さんにいくつかの機種で撮るはめになってしまった。ひとつ分かったことがある。女の子って凄いこと、俺は何枚撮ってもぎこちない表情になる、愛さんはどのプリでも可愛く写る。

もうしばらくプリクラは遠慮したい。




気づいたらお泊まり編が長引いている、、!!
何も思わず書いてると100話行きそう笑

だらだらと愛さんとの日常を書いていきますが、これからもよろしくお願いします!


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第72話

愛「あー撮った撮った〜♪」

 

「……撮ったな。」

 

愛「あはは、何疲れてるの??まだまだこれからだよ!」

 

「何だったら朝から疲れてますけどね。」

 

愛さんにプリクラを撮らせまくられて既に瀕死の状態の俺です。何回か撮ったら慣れると思ったけど全然そんな事ない。ずっとぎこちない表情の俺に自然体の愛さん、そしてプリクラのアナウンスにくっつけと指示されて言われるがまま愛さんとくっついて余計疲れた。こんな密着したこと今までなかったしドキドキしっぱなしだった。

 

愛「さて、次は服買いに行こっ!」

 

「ちょっと休まない??」

 

今日何回目かの休憩希望。マジでちょっと一休みしたい。

しかし愛さんはキョトンとした表情をした後すぐに満面の笑みになって……

 

愛「歩きながら休憩しよっか!」

 

「ねぇそれ休憩とは言わない。」

 

******

 

愛さんは先に俺の服を選びたいとのことで、まず初めにメンズの服屋へ行った。特にお金を使う機会がなかったから財布には余裕があるがどの服も今まで買ってきた物よりずば抜けて高かった。

 

愛「あーこれいい!!あ、でもこの服も似合いそう!」

 

「あ、あのー……愛さん??」

 

愛さんは金額に驚愕している俺をよそに楽しそうに服を選んでくれている。どっちがここで服買うのか分からなくなってきた。

店内にいる人は服選びにはしゃぐ愛さんを見てちらちらと視線を向けている。まぁこんなにデカい声で服選んでいる美少女がいたらそうなるよね。

 

愛「よしっ、これに決めた!ジュンジュンこの服着てみて!」

 

ほらほらと俺の目の前に服を押し付けてくる愛さん。その光景を見たお客さんがお前が着るんかい!!と言いたげな目で見てくる。……ごめんなさい、俺が着るんです。

 

「……とりあえず着てくる。」

 

愛「うんっ!お供します!」

 

「え、いいよぶらぶらしてなよ。」

 

愛「何言ってんの!愛さんが選んだ服なんだから直接見たいに決まってんじゃん!」

 

「えー、でも……」

 

愛「つべこべ言わない!さっさと試着室へ行く!」

 

愛さんに背中を押されながら試着室へと向かった。彼女に選んでもらった服を着るのも見せるのも初めてで気恥ずかしくなる。

俺は試着室で服を着て鏡を見るとそこに移る男は俺じゃない様に思えた。

 

「こ、これほんとに俺か……??」

 

愛「ジュンジュン終わったー??開けるよ!」

 

「え。」

 

俺が返事をする前にカーテンを開けられた。いや別に着替え終わってたからいいよ??いいけどちょっと返事待とうよ。どうすんの、開けたらパンイチの俺が立っていたら。気まづくがるでしょ?俺だってそんな姿見せたくないよ。

 

愛「おぉ!!!やっぱ似合ってんじゃん!愛さんの見立ては間違ってなかった!」

 

「な、なんかいつもの俺じゃないみたい……。」

 

愛「今までどこで買ってたの??」

 

「○Uか○ニクロ。」

 

愛「………。」

 

え、今俺愛さんに引かれてない??凄い目で見られてるよ嫌だ。だって安いしデザインもいいし最高じゃん。

………だめ??

 

愛「せっかくなんだから他のお店も行かないと!!今日みたいに新たな自分を発掘出来るかもだよ?!」

 

「そんな発掘したくない……。」

 

愛「よしっ、ジュンジュンの服買い終えたら次は愛さんの服見るの付き合ってね!」

 

この後愛さんの服を買い終え、ショッピングモールを出た。俺はお店をひとつしか見なかったが愛さんはいくつかの店を回ったことで両手に袋をぶら下げて歩いている。本人はいつもの事と言って気にしてないが、いつもそんだけ買ってんのかよって事に驚いた。

 

愛「いやぁたくさん買えて愛さん満足だよ〜♪」

 

「たくさん買いすぎだ。それしまう所あるのか??」

 

愛「うんっ、そこは大丈夫!!」

 

「………ん。」

 

愛「へ??あっ、ジュンジュン??」

 

「……こういう時男は荷物持ってあげるんだろ??」

 

愛「そ、そんなことないよ!!これ愛さんの服だし、愛さんが持つよ!」

 

「いいよこれくらい……あれだ、服を選んでくれたお礼。」

 

愛「……あはは、何それ。……うん、ジュンジュンありがと。」

 

「……///」

 

 



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第73話

愛さんとのお泊まりが終わっていつも通りの学校生活。いつも通り投稿していつも通り愛さんの弾丸トークを受けていつも通り部活をして……何も変わらないね、俺の学校生活。

そして今、教室内はいつも以上に賑やかだ。世間話をしているのではなく何を買いたいとか何をしたいとか話している。何故みんなこんな話をしているかと言うとーーー

 

愛「修学旅行だーーーっ!!!」

 

「………そうだね。」

 

愛「ジュンジュンなんでそんなテンション低いの??修学旅行だよ?!もっとワイワイしなきゃ!」

 

「俺がそんなキャラに見えるか??」

 

愛「……いやぁ修学旅行楽しみだなぁ♪」

 

「その返しがいちばん心に刺さるぞ。」

 

愛「それよりも!班どうする??とりあえず愛さんとジュンジュンでしょ??あとは……」

 

「え、なに決まってるの??」

 

愛「当たり前じゃん!!愛さんとジュンジュンはハッピーセットなんだよ??」

 

「付録みたいに言うのやめてね。」

 

愛「とりあえず、班は自由みたいだからジュンジュンも組みたい人いたら誘ってみてね!」

 

「あ、ああ。……愛さんも「もう誘ってるよ!!」……ですよね。」

 

愛さんに誘えと言われたのだが……俺そういえばこのクラスになってちゃんと話したことないぞ。え、俺ってぼっち??

 

かすみ「ぷぷぷ、先輩は友達いないんですねぇ♪」

 

「……なんで俺のクラスにいんだよ、かすかす。」

 

かすみ「かすかすじゃなくてかすみんです!!愛先輩に用があって来ただけです勘違いしないでください!」

 

「何を勘違いしろってんだよ……愛さんなら他の教室へ行ったぞ。」

 

かすみ「そうですかぁ……じゃあ先輩と話してあげます。」

 

「何だよじゃあって。愛さんのとこ行ってこい、しっし。」

 

かすみ「なんですかその扱いは!!!良いのは顔だけですか?!心は汚いです!」

 

「うるせぇ!!!こっちは今誰を誘おうか迷ってんだよ!お前に構ってる暇ないの、分かる?!」

 

かすみ「誰を誘おうかじゃなくて誰にお願いしようかの間違いじゃないんですか〜??」

 

「あぁ?!挑発してるつもりかよ!!そんな手に乗るわけねぇだろうがバーカ!!」

 

かすみ「しっかり乗ってるじゃないですか!!!」

 

******

 

愛「うん、また放課後ね!!じゃあ愛さんは教室戻るから!」

 

「愛ちゃん大変だよ!!」

 

愛「どしたの??そんな慌てて。」

 

「夏目くんが喧嘩してるの!!」

 

愛「喧嘩?!ちょ、どういう事?!大丈夫なの?!」

 

「もうめちゃくちゃなの!!さっきからずっといがみ合ってて誰にも止められないの!」

 

愛「わ、分かった!!愛さんに任せて!」

 

クラスメイトにジュンジュンが喧嘩していることを聞いて急いで教室へ向かった。前にバスケ部の主将さんが来た時も喧嘩になって事を思い出し、また前みたいになってるんじゃないかって不安を募らせる。

そして教室に着くとそこにはーーー

 

「このっ……離せこら!」

 

かすみ「先輩が離したら離しますよ!」

 

「よし分かった、じゃあせーので離すぞ。」

 

かすみ「わ、分かりました……。」

 

準太・かすみ「せーーのっ!!!……離せーーーっ!!!」

 

愛「……えっと、なにこの状況。」

 

「1年生の子が夏目くんと言い合いになって、それがヒートアップしてからお互い取っ組み合いになっちゃって……。」

 

今、愛さんの目の前には愛さんの彼氏と後輩が頬を掴みあって離さずいがみ合ってる光景が繰り広げられている。

愛さんが教室を出た後に何があったのさ……。

 

愛「2人ともストーーーップ!!!」

 

「あ、愛さん……。」

 

かすみ「愛先輩?!」

 

愛「ジュンジュン何やってんの!女の子の顔引っ張るなんて!!」

 

「だ、だってかすかすが「言い訳無用っ!!」ごめんなさい。」

 

愛「かすかすも!!スクールアイドルが男子高生と取っ組み合いしていいの?!」

 

かすみ「か、かすみんだって先輩が「かすかす!!!」何かかすみんの制し方雑じゃないですか?!」

 

この後喧嘩になった原因を聞いて呆れて2人にチョップをしておいた。

意外だと思ったのがジュンジュンは普段大人っぽいのに図星をつかれたらこんなに子供みたいにムキになることがあること。

チラッと彼を見るとバツが悪そうにそっぽを向かれた。ふふっ、顔が赤くなってるの丸見えだよ♪



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第74話

最近忙しくて中々投稿出来ずにすみません!
なるべく更新していくつもりですが止まってしまったらすみません!


ある日、いつものように教室に入り愛さんを発見すると何やらソワソワしていた。愛さんらしくない、何かあったのか??心配に思いながら普段通り声をかけたのだが、、

 

「おはよ、愛さん。」

 

愛「!?ジュ……準太くん、おはよ。」

 

「準太……??」

 

愛「ど、どうしたのですか??変なことを言いましたか??」

 

「おいなんだよその話し方。普段通り話せよ。」

 

愛「な、何言ってるの??普段通りにしてるじゃない。」

 

「してねぇから言ってんだよ。」

 

愛「ぬわああああんですってぇぇぇ?!?!」

 

「おいマジでやめろ。」

 

愛さんがキャラを見失っているようだ。一体何なんだよ全く。

目がキョロキョロしてるし顔真っ赤だし何を考えているのか検討がつかない。

 

愛「やっぱだめかぁぁぁ……今の愛さんどうだった??」

 

「キモチワルイ。」

 

愛「それ真姫のやつじゃん!!!」

 

「知るかそんなもん!!!はぁ……どうしたんだよ。」

 

愛「あはは……実はねーーー。」

 

******

 

穂乃果「ん〜〜!!!昨日もパンが美味い!!」

 

海未「穂乃果!それで何個目ですか?!食べ過ぎです!」

 

穂乃果「そんなことないよぉ!!ちゃんと家ではパンじゃなくてほむまん食べてるもん!」

 

海未「それのどこに安心しろと言うのですか!!」

 

愛「……。」

 

真姫「せつ菜、あなた何してるの??」

 

せつ菜「これですか??これは○○ジョ立ちですっ!最近アニメで登場したキャラクターのポーズがかっこよかったので私もやりたいなと思いまして!一緒にどうですか??」

 

真姫「ヴぇぇ?!や、やらないわよ!!」

 

せつ菜「そんなこと言わずに!私が見たところ、真姫さんは○ルナレフが似合うと思います!」

 

真姫「知らないわよ!やらないからね!」

 

愛「………。」

 

絵里「愛、さっきからどうしたの??ずっとみんなのことジロジロ見てるけど。」

 

愛「ん〜、改めて思うんだけどさ……みんなキャラが濃いな〜って。」

 

******

 

「いや、愛さんが人のこと言えた義理じゃないからな??」

 

愛「そ、そんなことないよ!!愛さんはほかのみんなと比べたらマシ!!」

 

「俺そのマシな人に毎日振り回されてるんだけど。」

 

愛「そ、そんなこと今関係ないでしょ!回想戻るよ!」

 

******

 

歩夢「……新しいキャラ??」

 

愛「うん、こうしてみんな見るとそれぞれ個性があるのに愛さんはどうなのかなって最近思ってね。」

 

にこ「何言ってるの。あんたも相当クセ強いわよ??」

 

愛「いやいやいや、にこっちには敵わないよ。」

 

にこ「それどういう意味よっ!!」

 

希「まぁまぁにこっち……つまり、愛ちゃんは個性を出して準太くんのハートを鷲掴みしたいんやね♪」

 

愛「ち、ちがっ……///愛さんは……!!」

 

穂乃果「否定しても無駄だよ!証拠は掴んであるからね!!」

 

ことり「あはは、そんな物ないんじゃ……。」

 

エマ「でも、そんなに動揺するってことは希ちゃんの言う通りなのかな??」

 

愛「……///(コクッ)」

 

果林「ふふっ、愛もすっかり恋する乙女ね♪でも準太はとっくに愛にベタ惚れよ??」

 

愛「その……もっと個性がある方が魅力的なのかなって……修学旅行も控えてるし。」

 

かすみ「愛先輩、そんな気にする必要ないですよ!それに準太先輩なんて何しても無駄ですって、鈍感なんですから♪」

 

歩夢「かすみちゃん、フォローになってないよ……。」

 

真姫「よく分からないけど、愛が納得しないなら何かしてみたら??」

 

愛「何か??」

 

穂乃果「あ!!いいこと思いついた!!あのね……。」

 

******

 

「……それで、穂乃果達の真似をしたと。」

 

愛「あはは……ごめんね、びっくりさせちゃって。」

 

「全くだ。ついに壊れたかと思ったぞ。」

 

愛「愛さんのことなんだと思ってるのさ!」

 

まさか愛さんが自身のキャラを気にしていたとは……十分あなた個性強いけどね??

つーかあのかすかす俺の事言いたい放題言いやがって、今度しめてやる。

 

「愛さんには毎日驚かされてばっかりだな。」

 

愛「だ、だからごめんって!!」

 

「……俺は良いと思うぞ。」

 

愛「へ??」

 

「だから、今の愛さんで良いんだよ!また新たに新キャラ出てきたら手に負えないっての!」

 

愛「ちょ!どういう意味さ!!ここは胸きゅんなセリフ言う所じゃないの?!」

 

「うるせぇ!俺に恋愛のセオリーなんて期待すんな!愛さんは愛さんだ!他の誰でもない愛さんだからいいんだよ!」

 

愛「い、今言うの?!ジュンジュン突発的に言うのやめてよ!///」

 

「えぇ何で怒られるんだよ……。」

 

愛「もぅ……ふふっ、ありがとう♪」

 

「え??お、おう。……機嫌直ったのか??」

 

愛「もしかして機嫌直す為に言ったの?!」

 

「いや、そういう訳じゃくて……」

 

愛「もう愛さん今凄いキュンってしたのに!!愛さんのキュンを返せー!!」

 

「むちゃくちゃだ……。」

 

その日の愛さんはいつも以上に愛さんのキャラが凄くて、手に負えなかった。

周りからは純愛カップルは今日も平和だの何だの言われたがそんなわけが無い。君らの平和って俺の災難だからね??

てか純愛の純って漢字変えろよ!



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第75話

更新遅れました!
原因不明の高熱が出て生死を彷徨っていました、、
皆さんも体調管理には十分気をつけてくださいね!


愛「やってきました!!沖縄〜!!!」

 

「それどっかで聞いた事あるセリフだな……。」

 

愛「気の所為だよ♪いやぁそれにしてもジュンジュン顔色悪いよ??」

 

「まぁ……そりゃな。」

 

俺達は修学旅行に沖縄へ来た。修学旅行と言うだけあってみんなテンションが高い。俺も珍しくテンションが高かったのだがーーー

 

******

 

愛「ジュンジュン起きて!!これから空港行かないと!!」

 

「な、なんで愛さんが部屋に……夢か。」

 

愛「そんなわけないじゃん!!せっかくだしジュンジュンと行きたかったから迎えに来たんだよ!ほら、支度しよ!」

 

「えーー、、、」

 

朝の4時に突如愛さんに起こされ半分寝ている状態で家を出ていった。家を出る前に母親がニヤニヤしていたのが気恥ずかしかった。

そして愛さんと空港に着いてから同級生何人かと軽く話していよいよ飛行機に乗るわけになったのだが……

 

愛「よいしょっと。」

 

「……なんで愛さんが隣なんだよ。」

 

愛「え??席は自由って言ってたじゃん。」

 

「いや、うん、言ってたけどね??」

 

愛「それにしてもこれから飛行機で沖縄に行くんだよね!愛さん飛行機に乗るの初めてだからドキドキだよ!」

 

「俺も初めてだけど……それより女の子と隣じゃなくていいのか??」

 

愛「うんっ!愛さんはジュンジュンと沖縄まで行きたいからさっ♪」

 

そんな純粋な笑顔を向けられたら何も言い返せなくなるじゃないか。まぁ、愛さんが隣に来てくれるのは嬉しくもあるが困ってもいる。

 

愛「ところでさ、ジュンジュンさっきから顔が強ばってるよ??」

 

「……気の所為だ。」

 

愛「……ふ〜〜ん??」

 

ダメだ、この顔した時の愛さんはろくな事しないのを今までの付き合いで分かっている。俺の心が警告を発令している。こう見えて俺は高所恐怖症である。観覧車で1番上にたどり着いた時に揺さぶられたら本気でキレるし、ジェットコースターなんてもってのほか。そして今回はお初の飛行機さんである。この鉄の塊がどうして飛ぶのか未だに理解出来ないし飛んでいる時も生きてる心地がしないだろう。それに隣は愛さん……コンディションは最悪だ。

 

愛「早く出発しないかなぁ〜♪」

 

「そ、そうだな……。」

 

愛「外の景色楽しみだね♪」

 

「ただの地獄かな??」

 

愛「……ジュンジュン??」

 

「窓側の翼ぶっ壊れたら俺達助からないな。」

 

愛「ジュンジュン?!」

 

愛さんになだめられ少しは落ち着きを取り戻した俺であったがまたもや恐怖心が生まれる。

 

愛「あ、動きだしたよ!!」

 

「お、おう……。」

 

愛「どんどん地上から離れてる……今飛んでるよ!」

 

「いちいち実況しなくても分かるから!!」

 

ついに恐れていた離陸が始まった。体感的には飛んでる気はしないが窓を見ると完全に空にいた。うわぁまじか……飛んじゃったよ。

 

愛「うわぁ……!!飛行機から見る空ってこんなに綺麗なんだね!写真撮らなきゃ!」

 

「席交代するか??」

 

愛「あ、ううんいいよ!!ジュンジュンはゆっくりしてて!」

 

「お、おう……ありがと。」

 

席には暇つぶしの為なのかヘッドホンが用意されており、それを付けるとラジオが聴こえる仕組みになっているようだ。沖縄までしばらく時間かかるだろうしこれ聞いてあまり空にいることを考えないようにしようかな。

そう思いヘッドホンを頭につけたのを……愛さんに没収された。

 

「……え、何してんの??」

 

愛「愛さんとお話しようよ!!」

 

「沖縄着いてからでいいだろ、眠いんだよ早く起きたせいで。」

 

愛「あ、そういえば国際通りで行ってみたいお店いくつかピックアップしたんだけどさ……。」

 

「あ、あの愛さん……ジュンジュン眠いんだよね〜??」

 

「見て!ここ元祖紅芋タルトのお店だって!後ここが……」

 

******

 

愛「どしたのジュンジュン??」

 

「……別に。」

 

とまぁ、寝不足な上に飛行機で高所恐怖症を発揮し、隣の愛さんによる弾丸トークで休ませてもらえず絶賛絶不調で沖縄に来てしまいました。

1日目ちゃんと回れるか不安だ。

 

愛「バス移動するって!ジュンジュン行こ♪」

 

「……そうだな、行くか。」

 



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第76話

沖縄に着いてから初めに昼ごはんを食べに俺達はバスで店に向かった。バスから見る景色は普段とは大きく違い、自然に包まれておりなんだか新鮮な気分を味わいながら窓を眺めていた。

同じ日本なはずなのに別の国に来たみたいな感覚だ。

 

愛「ジュンジュン!!はいさーい!」

 

「それ沖縄の言葉か?」

 

愛「そう!!色んな言葉があって面白いよ!ジュンジュンも話そうよ!」

 

「やだよ俺は今自然と戯れてるから邪魔しないで。」

 

愛「ここバスの中だけど??」

 

「……とにかく、俺はやらない。」

 

愛「ジュンジュンは愛さんにチムドンドン。」

 

「おいそれどういう意味だ。」

 

愛「えー何かなー??なんだと思うー??」

 

「わからんから聞いてるんだろ。変な意味じゃないよな??」

 

愛「変な意味ー??例えばー??」

 

「ゾッコンとかドキドキしてるとか。」

 

愛「えー知ってたの?!つまんなーい!!」

 

「知るわけないだろただの勘だよ!てかこの意味だったの?!」

 

愛「そうだよ!まさか当てられるなんてねー。」

 

「沖縄の方言分からん俺に何を言いやがるんだ!」

 

愛「当たったんだからいいじゃん!」

 

「よくない!!」

 

「はい、皆様〜。まもなく昼食を摂るお店に着きます。車内に忘れ物の内容にしてくださいね。」

 

「え、嘘もう着いちゃうの??」

 

愛「わー!!沖縄そばだね!愛さんお腹ぺこぺこだよ〜♪」

 

「景色まだ見たかった、、。」

 

愛さんと言い合いをしているうちに目的地に着いてしまい景色を眺める俺の楽しみは終わった。

愛さんが言っていたようにお昼は沖縄そばを食べた。普段そばをあまり食べないから普通のそばとの違いとか分からないがめちゃくちゃ美味しかった。お土産で買ってこうかな……。

愛さんも大満足のようで楽しそうに友達とお話をしている。

俺??俺は黙々と食べて心の中でみんなと感想を共有したよ何言ってんの。

 

******

 

お昼を食べ終えた俺達はひめゆりの塔へ向かった。1日目は沖縄戦の事を学ぶことをメインとしたスケジュールとなっており、体験者のお話や平和記念公園へ足を運んだ。その中で戦争の話、そしてその爪痕を目の当たりにし、なんとも言えない気持ちになった。

そして観光を終えたバスはさっきまでワイワイしていた賑やかさも静かになってホテルへ向かっていた。

 

「……大丈夫か??」

 

愛「へ??あ、あはは……ちょっときたかも。」

 

「ちょっと所じゃない顔してるぞ。」

 

愛「おばーちゃんが今日話してた人と同じくらいの歳だったからさ、おばーちゃんも昔辛かったのかなって思ってさ。」

 

「……そうだな。でも当時の人々が頑張ってくれたお陰で俺達は今何不自由なく過ごせてるんだよな。」

 

愛「……うん。」

 

「今日、沖縄来れて良かったな。」

 

愛「……うん。」

 

それから愛さんはホテルに着くまで何も話さなかった。俺も察して窓を眺めていたが、心はまだ落ち着いていなかった。学生のうちに戦争のお話を聞けることは学校によってはないだろうし、今回は個人的には凄く為になったと思った。

しかし愛さんも勿論だが他のクラスメイトも誰一人言葉を発していないのが心配だ。1日目静かに終えてしまうんじゃないかと思っいたのだがーーー

 

******

 

愛「ホテル綺麗〜!!!ジュンジュン!!早く降りて!!ホテル凄いよ!」

 

全く心配いりませんでした皆元気です。愛さんはホテルに着いてから凄いテンション高いし他のクラスメイトも死者蘇生されたかのように顔から笑顔が浮かび上がりワイワイと降りている。

待って俺まだ降りてないからそんな急かさないで。

 

愛「近くに海もあって森のテラスもあって……ここ最高!テンアゲ!!」

 

「生き返るの早いね。」

 

愛「へ??生き返るって??」

 

「……何でもない。」

 

ホテルに着いたから各自部屋に入り荷物を置いて少し休憩をした。同じ部屋になったクラスメイトとは少ししか話したことがなく絶対ボッチで過ごすと思っていたが、全員気さくに話しかけてくれて楽しく談話出来た。

……主に俺の恋愛事情だったんだけど。



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第77話

「これから俺たちって夕飯までやることないよな??」

 

「まぁ……そうだな。」

 

「えぇ暇だなぁ。」

 

「だらだらしようよ……え、ダメ??」

 

現在俺はホテルの部屋でクラスメイトとこれからの予定について話している。さっきまで愛さんの事を根掘り葉掘り聞かれてだいぶ体力を削られた。男でも恋愛話でキャッキャするのどうかと思う。

 

「なぁ、こっそり外出てって探検しないか??」

 

「先生に見つかったら指導されるぞ。」

 

「大丈夫だって、先生だって今日くらい大目に見てくれるって!」

 

1人のクラスメイトが我慢出来なかったのだろう、部屋を出ようと俺たちに持ちかけた。当然俺は怒られるのも面倒だし部屋にいたいのだが、他の子達はそうではないみたいだ。

 

「そうだな!せっかくの修学旅行だし羽目を外したくなるよな!」

 

「ならない。」

 

「意外と先生も自分たちの部屋でくつろいでて見回りとかしてなさそうだよな!」

 

「なわけないだろ。」

 

ダメだ、俺が何言っても聞く耳持たなさそうだな。もう勝手に出るなら出てってくれ、俺は止めたからな??

 

「よし、そうと決まれば準太行くぞ!」

 

「行かないって、お前らだけで行ってこいよ。」

 

「いいのかー??宮下さんとの思い出話言いふらすぞー??」

 

「……は??」

 

「準太行かないなら仕方ないなぁ。俺らだけで行くかー!」

 

「あ、おいちょっと待てって!!」

 

******

 

愛「沖縄の海ってすごい綺麗だねぁ〜♪」

 

「ほんとほんと!!明日海行けるし楽しみだね!」

 

愛「うん!明日はたくさん満喫しようね!」

 

愛さんは今同じ部屋の友達とベッドでだらだらしながらお話をしている。窓を見ると夕陽が海を照らしてより綺麗に見える。ジュンジュンは今頃部屋でだらけてるかな??

 

「そろそろご飯の時間だね!移動しよ!」

 

愛「うん!愛さんお腹ぺこぺこだよ〜♪」

 

友達と夕飯を食べる場所に移動する途中、先生に指導されている生徒を数人見かけた。部屋から出ては行けない時間に出ちゃったのかな??

生徒はみんな後ろに手を組んで先生に叱られている姿が何だか面白くて見ているとひとり見覚えのある男の子を見つけた。

 

「えっ……ジュンジュン?!」

 

******

 

先生「お前ら沖縄来たからこれくらい許されると思ってるのか??」

 

「「「………思ってないです。」」」

 

先生「じゃあ何で外出たんだ??」

 

「「「………すみませんでした。」」」

 

部屋を出たら案の定、生徒指導に見つかり俺達は他の生徒にちらちら見られる中説教をされている。どうしてこうなった……。

先生に怒られるわ生徒に見られるわで居心地が悪くちらちらと目のやり場を探していると移動中の愛さんと目が合った。

うわぁすごい見てる。しかも口角ちょっと上がってるよ絶対呆れた顔してるよ。

愛さんも俺の視線に気づいたのかいつもの笑顔になって口をパクパク開いてる。

……お・ば・か。

……うるせぇ!!!俺だって好きで怒られてるんじゃねぇっての!!

 

先生「おい準太聞いているのか!!」

 

「き、聞いてます!」

 

先生「全く……それより、さっきから何口に入れてんだ??」

 

「……へ??」

 

実は俺、外に出る前にお菓子を口に入れて出てしまっていたのだ。飲み込む前に先生に見つかり、飲み込むタイミングを掴めず、ずっと口に入れたままだったのだ。まさか見つかるとは……

 

先生「隠さなくても分かってんだよ、出せ。」

 

待って先生。多分あなたこれガムだと思って言ってるだろうけどスナック菓子だから。今出すとすんごいグロいの出てくるからやめた方がいいと思うんだ。

 

「………。」

 

先生「今更隠しても仕方ないだろ。さっさと出せ。」

 

「……はい。」

 

先生「………お、おう。」

 

お前が出せって言ったんだろうがぁぁぁ!!何で指示した本人が引いてんだよ!!

 

「「「………。」」」

 

お前らも横目で引いてくんなよ!!そもそもお前らが出ようなんて言わなければこんなことにならなかったからな?!

結局俺のブツが出たことで白けてしまい、説教が終わり夕飯の会場へ移動することになった。

ご飯中もクラスメイトは俺に同情の目を向けてきてせっかくの美味しいご飯も素直に美味しく感じられなかった。

……マジで修学旅行でもこうなの俺??



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第78話

修学旅行2日目。前日にお菓子をはぎ出して周りにドン引かれた俺であったがその後はワイワイと楽しく過ごしていた。そんなキャラだっけとか言うなよ、修学旅行はみんなテンションがおかしくなるものだ。

そして今日は主に観光メインのスケジュールだ。正直俺はこの日を1番楽しみにしていた。なぜならーーー

 

愛「シュノーケリングだぁぁぁ!!!!」

 

「俺が言いたいんだけどなぁぁぁ!!!」

 

愛「今日は楽しみが沢山だね!!ジュンジュン今日はたくさん振り回すから、よろしく!!」

 

「そんな嫌な通告しないでくれる??せっかくの気分台無しなんだけど。」

 

愛「あはは、そう言いながら着いてきてくれるジュンジュンだもんね♪」

 

「絶対別れてやる。」

 

愛「あーちょっと!!ごめん!ごめんって!!」

 

もう既に愛さんから振り回す予告をされてかなり萎えてはいるがせっかくの修学旅行だ。楽しまなければ勿体ない。どんだけイレギュラーなことがあっても俺は意地でも楽しんでやるからな。

 

******

 

愛「ジュンジュン!!見て!ニモたくさん!!」

 

「カクレクマノミな??自然の中で見るの初めてだ、、」

 

愛「あ!この魚ジュンジュンそっくり!!」

 

「おい待て俺と魚に失礼だ。」

 

現在俺たちは沖縄の海でシュノーケリングをしている。初めてする体験だったが、この綺麗な海で地元では絶対触れ合えない魚たちを見ることが出来たのが個人的に感動した。

 

愛「愛さんのとこにたくさん来てくれる!!ねぇジュンジュン見て!!」

 

「うるさいこっちはそれどころじゃない!!なんで愛さんばかり寄ってくるんだ……。」

 

愛「ジュンジュンあれじゃない??こっちこいオーラ放ってるから怖がっちゃってるんだよ。」

 

「そんなことない。魚を捕まえたいと思ってるだけだ。」

 

愛「それだよそれ!!」

 

状況を説明しよう、魚との触れ合い体験で俺の思ってた理想とは全く違う事が起こっている。バシャバシャと海でも騒ぎまくると思っていた愛さんの周りにはたくさんの魚が、魚に触りたいと思っている俺が魚から避けられている。なんでこうなった、納得できない。こんなんじゃ恋になれないAQUARIUMじゃん。

 

「はい、これでシュノーケリングは終了です。次はバナナボートやりますよー!!」

 

「……え、終わり??」

 

******

 

満足出来ないままシュノーケリングが終わってしまい、バナナボートに移った。これはあれだな、夏にリア充がキャッキャウフフしながら乗ってるやつだ。見るだけでイライラする……一応言っておくが確かに彼女はいるが毎日振り回されて理想のリア充にはなれていない。だから俺は非リア充だ。

 

愛「なんかジュンジュン今失礼なこと考えてなかった??」

 

「気の所為だ。」

 

愛「ふーん……あ、次は愛さん達の番だよ!」

 

「えーこれ乗るの……。」

 

愛「当たり前じゃん!そもそもジュンジュンが自分でこのコース選んだんじゃん!」

 

「違う愛さんに否応なく黒板に名前書かれた。」

 

愛「あれ、そうだっけ??」

 

「……もうやだ。」

 

愛「まぁ細かいことは気にせずにさ、行こっ!」

 

「何も起きなければいいけど。」

 

俺たちの番が来てボートに乗った。なるほど、この掴むところを持って乗るわけだ。何か先に乗ってる生徒見て時思ったけど結構楽しそうにしている反面必死にしがみついてたから正直怖いんだよなぁ。」

 

「はーい、じゃあ皆カーブの時は曲がる方向に体重かけてねー。手前に捕まるところあるから、それ離さないようにね。」

 

え、待って説明緩すぎん??もうちょっとコツとか教えてくれないの??

まぁいいや、落ちなければなんの問題もない……あれ、俺の所なんかちぎれそうなんだけど……嘘でしょ。

 

「あ、あのすんません。俺の所「よぉし行こーー!!!」愛さんーー!!!」

 

俺の声は愛さんによってかき消されバナナボートは出発した。おいおい思ったよりスピード出るじゃんこれ!!!俺の掴めてないから!!ちぎれそうだよこれどうすんの!!

 

愛「あはは!!楽しいーー!!!ジュンジュン楽しんでるー??」

 

「あぁぁぁぁぁ!!!」

 

愛「うん、楽しそうで何よりっ!!」

 

俺のどこを見てそう判断したんだよ!!今必死でちぎれないように持ってるから!ほぼ足の力でしがみついてるからね?!いつまで続くのー?!?!

乗って愛さんたちは心から楽しんでる一方心から助けを求めてる俺だけ楽しさを感じられなかったバナナボートであった。サトウキビ体験にしておけばよかった。



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第79話

地獄のバナナボートが終わり俺たちは昼食を食べるべくレストランへ向かった。店内は沖縄を連想させるものが装飾されており、中々味が出ていた。まぁ、沖縄に来てるんだしそりゃそうか。

 

愛「ねぇジュンジュンこのタコライス美味しいよ!!早く食べなよ!」

 

「分かった、分かったから!!そんな肩叩かないでくれ!!」

 

愛「食べ終わったら国際通りだよ!愛さんすごい楽しみにしてたんだぁ!」

 

「すごい買ってそうだよな。知らねーぞ、お金使い果たしたも。」

 

愛「大丈夫!!ちゃんとそこは考えてるから!それよりもジュンジュンこそお金考えて使わないとだよ??」

 

「俺は問題ない。」

 

愛「ふーん??この前店員さんにおすすめされた服全部買ってご飯代無くしたの誰だっけー??」

 

「……ノリノリで店員さんと服決めてたの誰だっけ??」

 

愛「タコライス美味しいね!」

 

「おい話逸らすな。」

 

******

 

昼食を終えた俺たちは国際通りへ移動した。流石観光地、多くの人が歩いており中には俺たちのように修学旅行へきた高校生がいる。

そういえば海未達も沖縄行くとか行ってたな。偶然にも会っちゃったりしてな。

 

海未「準太ではありませんか??」

 

「海未の声が聴こえる。沖縄の暑さで頭やられたかな??」

 

海未「何を言っているのですかあなたは。」

 

「……え、海未??」

 

海未「はい、まさか沖縄で会えるなんて奇遇ですね。」

 

嘘でしょ思ってたことが現実になっちゃったよ。てことはあと2人も……

 

穂乃果「準ちゃーーーん!!!!」

 

「大声を出すな頼むから。」

 

海未「穂乃果!!どこに行ってたのですか?!」

 

穂乃果「ご、ごめーん……ちょっと色んなお店が気になっちゃって。」

 

海未「あなたは沖縄に来てまで迷子になるつもりですか!!どこまでマイペースなんですか!」

 

穂乃果「ひぃ!準ちゃん助けてぇー!!」

 

「……自業自得だろ。」

 

ことり「海未ちゃん、穂乃果ちゃん見つかった?……あれ、準くん??」

 

「はい準くんです。まさか沖縄で3人と会うなんてな。」

 

ことり「びっくりしたよ〜。じゃあ愛ちゃん達も??」

 

「ああ。すぐ近くにいるぞ。」

 

ことり「……すぐ近く??」

 

「え、何だよ。変なこと言ってないぞ??」

 

海未「準太……まさかあなた迷子では??」

 

「この年で迷子になるか。ほら、あそこに……あれ??」

 

おかしいな、さっきまでいた愛さんたちがもういない。ホントだよ??さっきまでいたんだよ??

 

穂乃果「ぷぷっ、準ちゃん高校生にもなって迷子になっちゃったのー??」

 

ことり「ほ、穂乃果ちゃんもさっき迷子になってたんだよ??」

 

海未「全く……それでは、愛たちを探しに行きますよ。」

 

「え、いや大丈夫だよ。1人で探すから。」

 

海未「今のあなたは穂乃果並に心配です。」

 

穂乃果「ちょっと海未ちゃん!ひどいよ!!」

 

「全くだ。穂乃果と同等にされるのは解せん。」

 

穂乃果「準ちゃんまで?!?!」

 

まさかの愛さんたちとはぐれてぼっちになった俺。やだなぁ、幼なじみ3人にやれやれみたいな顔されて歩いてるよ。てかそ穂乃果はその顔できる立場じゃないからな??

 

ことり「なんだか、こうして4人でいるの懐かしいね。」

 

海未「確かにそうですね。中学生以来になるでしょうか??」

 

「まぁそうだな。海未とは部活で会ってたりはしていたが2人とはなかなか会えなかったからな。」

 

穂乃果「よぉし!!じゃあ久しぶりに4人で満喫するぞ〜!!」

 

「……え、愛さんたち探すんじゃないの??」



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第80話

愛さんたちに置いてけぼりにされたことを気づかなかった俺は今海未達と行動をしている。海未はやれやれと言わんばかりの顔をしているのだが俺だって好きで放置されたわけじゃないんだからそんな顔しないで欲しい。マジで、なんか惨めになる。

 

海未「全く、どうして愛たちといなかったのですか?他にもせつ菜も歩夢もいたでしょう??」

 

「待って、なんで俺が怒られてるのおかしい。」

 

海未「当たり前でしょう!高校生にもなって後先考えずに動くなんて!」

 

「……穂乃果はどうなんだよ。」

 

穂乃果「ねぇあれ何かな!!見に行ってみようよー!」

 

ことり「あ、穂乃果ちゃん待って〜!!」

 

海未「………。」

 

「そんな苦い顔して顔背けるなよ。」

 

言いたい放題言われたがそれ全部穂乃果にダイレクトアタックしていると思うんだ。あの子昔からあれだし毎回振り回されたの覚えてるぞ。

……あれ、これ穂乃果が愛さんに変わっただけじゃね??

 

穂乃果「準ちゃんこれ似合いそう!」

 

「ブレスレットか……こういうの付けないしいいや。」

 

穂乃果「えーなんで?!絶対似合うよ!付けてみようよ!」

 

海未「穂乃果!今は準太の迷子を解決するのが先ですよ!」

 

「その言い方やめろ。」

 

海未とことりは愛さんたちを探してくれているが穂乃果は完全に国際通りを満喫している。いやいいけどね??穂乃果達は元々観光してたしね??

 

ことり「わぁ……!!」

 

「何だよ……あー、チーズケーキ??」

 

ことり「うんっ!!あそこ行ってみたいなぁ…。」

 

「美味しそうだもんな、行ってこい。」

 

ことり「準くんもだよ♪」

 

「いや、愛さんたち探さないとだからな。」

 

海未「ことり、気持ちは分かりますが今は迷子が優先です。」

 

「おい。」

 

ことり「………。」

 

海未「準太、これは……。」

 

「くるな……身構えろよ。」

 

ことり「お願い……!!」

 

******

 

ことり「ん〜!!美味しい♪」

 

穂乃果「うん!!すっごく美味しい!海未ちゃん達も早く食べなよ!」

 

海未「くっ……負けてしまいました。」

 

「あれはいつになっても耐性つかないな。」

 

結局ことりに負けて俺たちはチーズケーキのお店に入った。もうここでチーズケーキ食べてる時点で愛さんたちとの合流も投げやりになっている。もういいや、俺音ノ木坂の生徒になろ。

 

愛「あー!!いたー!!」

 

「え、何……ぐへっ…!!」

 

突如でかい声がしたと思ったら後ろから首を絞められた。もう声と行動で誰か分かるんだけどね。

 

愛「ジュンジュン探したよ!!どこに行ってたのさ!!」

 

「や、それには訳があってだな。」

 

愛「それに何で海未達といるの?!愛さんが一生懸命探していたというのに全く!!!」

 

「俺も探してたっての!大体俺がいなかったの気づかないってどういうことだよ!」

 

愛「いつもいるから気づかなかったの!」

 

「そんな無茶苦茶な言い分あるか!」

 

海未「2人とも!!ここは店内ですよ、お静かに!!」

 

準太・愛「あっ………。」

 

気づくと周りの視線が集中されていた。さすがに場の空気を察したのだろう、穂乃果も上手い具合気配を消してチーズケーキを食べている。おい、お前ずるいぞ。

 

愛「あ、あはは……そうだった。でも、ジュンジュン見つかって良かったよ。」

 

「まぁなんだ、探してくれてありがとな。」

 

愛「えへへ……///」

 

穂乃果「良かったね準ちゃん!ここに来たおかげだね!」

 

穂乃果の言う通りだな。正直俺沖縄でボッチになると思っていたがここのお店に入ったことで愛さんと再開して……あれ。

 

「愛さん、なんでここのお店に??」

 

愛「え?そりゃあ美味しそうだったから。」

 

「……探してたんじゃないのかよ。」

 

愛「え、えっと……観光も大事じゃん??」

 

結論、俺<チーズケーキと言うことが分かった。そうだよね、ここのチーズケーキ美味しいもんね。ジト目を向けると視線に気づいた愛さんは気まづそうに顔を背けて頬をかいている。

チーズケーキに負ける俺って一体……。



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第81話

愛「いやぁ、あのチーズケーキ絶品だったね!!」

 

ことり「うんっ!お土産まで買っちゃったよ〜」

 

愛「えっ、持ち帰りできるの?!愛さん知らなかった〜!!ジュンジュン戻るよ!」

 

「ふざけんな絶対行かない。」

 

結局愛さんに発見された後、5人でチーズケーキを食べた。4人ともスクールアイドルだけあって他のテーブルとは空間が違っているように思えた。実際周りにいたお客さんはチラチラとこちらを見ていたし男に限ってはチラチラというよりしっかりガン見していたわけですけども。

 

愛「それで、この後どこ行く??まだ行っていないお店たくさんあるよ!」

 

「どうするって、俺らは班の子達と合流しなきゃいけないだろ。」

 

愛「それは大丈夫!みんなにはジュンジュン見つけたらそのまま2人で行動するって言ってあるから!」

 

「何堂々とリア充してきますみたいな発言してんだよ。俺だったら絶対許さないぞ。」

 

愛「いいじゃんせっかくだし!それにみんなとはぐれたのは何でかな〜??」

 

「煽ってくるねぇ……。」

 

海未「仕方ありません。準太が迷子になってのは事実ですから。」

 

「迷子じゃないって!置いてかれただけだから!」

 

海未「結果的に迷子になったでしょう?!これから自重するように!」

 

「なんで俺が怒られてんの……。」

 

穂乃果「そんな事より見て!!あそこのお店自分だけの服作れるんだって!」

 

愛「何それ!!面白そう!」

 

穂乃果が指す方向を見ると色んなシャツに文字が入ってある服がいくつか置いてあるお店があった。無地のシャツに自分の好きな文字をプリントできるって事か。確かに面白いが……

 

「沖縄で作る必要ある??」

 

穂乃果「あるよ!!だって沖縄だよ?!修学旅行だよ?!」

 

「せめて沖縄しか手に入らない物買おうよ。」

 

海未「準太の言う通りです。他にもお店がありますし、そこにこだわらなくても。」

 

愛「愛さん一番乗りだぁ〜!!」

 

穂乃果「あ、ずるい!!私も行く!!!」

 

ことり「ふ、2人とも待って〜!!」

 

「……行くか。」

 

海未「……はい。」

 

******

 

愛「ねぇジュンジュン見て!!これ愛さんにピッタリじゃない?!」

 

「そりゃ愛って書いてあるからな。」

 

穂乃果「準ちゃん!これどうかな!」

 

「パンね、君にぴったりだ。」

 

愛「ジュンジュンこれは!!」

 

「友&愛ってこれあなたの曲じゃん。」

 

穂乃果「準ちゃん!これは……」

 

「いちいち聞きに来るな!早く買えよ!」

 

お店に入ってから愛さんたちは大興奮でプリントする文字の候補を探し回っている。もうさぁ、早く買って他のお店行かない??俺まだちゃんと観光出来てないんだけど。

 

海未「全く、少しは静かにしたらどうですか??他のお客様もいるんですよ??」

 

「君も中々楽しそうに服選んでいるわけですけど。」

 

海未「せ、せっかく来たので見てるだけです!文句ありますか?!」

 

「いやないけど……海未たちの所もここの観光時間決められてるだろ??早く決めて他のお店回らないか??」

 

海未「た、確かにそうですね……よし、買ってきます!」

 

「やっぱ買うのね……。」

 

海未に続いてことり、穂乃果と服を買いに行ったのだが、まだ俺の彼女は悩んでいるようだ。意外とこういうの即決すると思ってたんだけどなぁ。

 

「愛さん、そろそろ決めてほかの店行こ。」

 

愛「ん〜、ちょっと待ってねぇ……迷うなぁ。」

 

「一体何に迷って……愛って文字の服がこんなに。」

 

愛「そう!どの色にしようか迷っててさぁ〜。」

 

「先に外でてるわ。」

 

愛「ちょ、ちょっと待ってよ!ジュンジュンも決めてよ!」

 

「えぇ………。」

 

愛「そんな顔しない!!ほら決めて!!」

 

「んー……このオレンジは??愛さんっぽい。」

 

愛「それいいんだけどねぇ、ちょっとオレンジが足りないなぁ。」

 

「何だよオレンジが足りないって。」

 

愛「足りないんだよ〜!!もっとオレンジ欲しい!」

 

「オレンジをこれ以上求めてどうすんだよ。」

 

結局しばらく愛さんは悩みに悩んだ末俺が選んだオレンジを買った。あんなにごねてたわりにすごいご機嫌なんだもんな。最初っから選びなよまじ。

ちなみに俺も何だかんだ言って買ったのだが……文字プリントを選んでいたら愛さんたちに急かされて、慌てて買ったら同じ文字で同じ色の服を2着も買ってしまった。

あれだけ選ぶのに悩んでた愛さんたちに急かされるって何なのまじ。

てか同じ服2着もいらないんだけど……。

 

愛「ジュンジュン同じの買ってどうすんのさ??」

 

「うるせぇ誰のせいだと思ってんだ!!」



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第82話

修学旅行3日目。国際通りでは服を買った後気になるお店を片っ端から入っていき(主に穂乃果と愛さんが発見)そこでいくつかお土産を買った。まさか沖縄で海未達と会うなんて思っても見なかったが、久々に4人で行動出来て少し昔を思い出して懐かしい気持ちになった。

 

愛「ちょっとジュンジュン!!愛さんもそこにいるからね?!」

 

「何で俺の心の中読んでるんだよ怖いんだけど。」

 

愛「そりゃ愛さんですから!それよりも愛さん忘れてたでしょ!」

 

「愛さんと合流するまでのこと考えてたんだよ!!大体俺を放置したのは誰だよ!」

 

愛「だってジュンジュンいなかったから仕方ないじゃん!」

 

「むちゃくちゃだ……。」

 

歩夢「ふ、2人とも落ち着いて。せっかく観光地に来たんだから楽しもうよ……ね??」

 

「わ、悪い……。」

 

愛「ホントだよ!」

 

「愛さんも注意されてるからな??」

 

そして今俺達は最終日に行くには最適な場所、首里城へ来ている。一般的な日本の城とは少し違う形をしたとこが魅力的でそれでいてデカい。今までいくつか城を見たことがあるがその中でもダントツで迫力があるように思えた。

 

せつ菜「さすが沖縄のお城ですね!!ハイサイと言いたくなります!」

 

「ごめんその気持ちは分かんない。」

 

せつ菜「どうしてですか?!ここは琉球王国の歴史を感じることができる素晴らしい建築物です!一緒にハイサイ言いましょう!!」

 

「ねぇ生徒会長すごい元気なんだけど……。いつものキリッとした印象皆無だよ。」

 

愛「まぁ今は他の生徒が周りにいないしいいじゃん。ハイサイ言ってあげよ!」

 

「言わないから。てか歩夢ちゃん達は昨日全然会わなかったけどどこ行ってたの??」

 

歩夢「私は班の子達とパフェ食べたりアクセサリー見に行ってたよ。ほら、ホタルガラスって有名じゃない??」

 

「あぁ確かにいくつかお店であったりしたなぁ。女の子達には人気そう。」

 

歩夢「うん!私もつい買っちゃったんだぁ♪」

 

愛「うわぁ綺麗!!歩夢すっごい似合ってるよ!!」

 

歩夢「えへへ、ありがとう♪」

 

いいなぁ歩夢ちゃんすごい満喫してるじゃん。いや俺も満喫してたよ??ただひとりぼっちになって海未達に拾われて愛さんに捕まえられたのが思い出だよね。うん、とっても落ち着きがなかったよね。

 

「ちなみに生徒会長は??」

 

せつ菜「もちろんアニ○イトですっ!!」

 

「……はい??」

 

せつ菜「素晴らしかったです!!沖縄の地という普通じゃ行くことの出来ない場所でアニメのグッズを買えるなんて感動でした!」

 

「え、ごめん……沖縄だよ??国際通りだよ??もっと観光出来るとこなかった??」

 

せつ菜「もちろん、他のお店も回りましたよ??何とか時間が間に合って良かったです。」

 

「ギリギリまでアニ○メイトにいたのかよ……。てか班の子達も行ったのか??」

 

せつ菜「実は私の班の子達はアニメ好きでみんなもノリノリだったんです♪」

 

これはあれだな、班の子達が先陣切って生徒会長が仕方なく同行したって感じになってる気がする。まさか国際通りにあるの予めリサーチしてたんじゃないのか、、、??

 

愛「みんな色んなところ行ってたんだね!後で色んなお話聴けるの楽しみだなぁ♪」

 

「まぁそうだな。とりあえずこの首里城も満喫しようぜ。」

 

愛「そうだね!!この後美ら海水族館も行くし、最後まで楽しいが止まらないね!!」

 

せつ菜「はいっ!!では皆さん行きましょう!琉球が待っています!」

 

愛「ハイサイ〜!!!」

 

「ハイサイを掛け声にしないでね??」



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第83話

「………。」

 

愛「ご、ごめんねジュンジュン。ついつい……。」

 

「何がついついだよ、もはやわざとに思えるぞ。」

 

愛「そ、そんなんじゃないって!!やっぱ気持ちが高ぶったといいますか……。」

 

せつ菜「はいっ!!やはりここでしか味わえない首里城の魅力を感じちゃいましたからね!」

 

「ねぇ俺が怒っている対象は生徒会長も含まれてるからね??」

 

せつ菜「す、すみません。」

 

さて、俺がどうしてこんなにご立腹になっているかと言いますと……まぁ、あれだよね。テンション高い2人が先に行っちゃって俺と歩夢ちゃんが置いてけぼりになったんだよね。

今回は歩夢ちゃんがいたから良かったけどまた俺ひとりだった時は泣く自信しかない。

 

歩夢「準太くん、2人とも反省してるみたいだし、もういいんじゃないかな??」

 

「……そーだね。まぁ修学旅行で盛り上がっちゃうのは仕方ないか。」

 

愛「そうそう!!やっと分かってくれたか!!要するにジュンジュンが追いかけてくればいいんだよ!」

 

「そういう問題じゃない。俺からしたら盛り上がるのは良いが周りを考えて欲しい。」

 

愛「あ、あはは……気をつけます。」

 

頬をかきながら謝る愛さん。ここで次から気をつけると信じたいところだが前科がありますからね。また俺は放置されるんだろうなって思っちゃうよね。

 

******

 

愛「ジュンジュンついに来たよ!美ら海水族館っ!!」

 

「だなー……まさか高校で行けるなんて夢にも…痛い!痛い愛さん!そんな揺さぶるなって!」

 

愛「どんな魚がいるんだろう!ワクワクすっぞ!!!」

 

「急にぶっ込まないでくれる??対応できる自信ない。」

 

修学旅行最後の観光地、美ら海水族館へ着いた俺と愛さんたち。ここを終えたら飛行機に乗って帰る予定である。この3日間で色々な意味で思い出ができ、少々寂しい気持ちになると思っていたがーーー

 

愛「ねぇジンベエザメだよ!ジンベエザメ!!ちょっとジュンジュン聴いてる?!」

 

隣の子が大変賑やかなのでそんな気持ちになる余裕もありませんでした。次の展示コーナーに行くたびにこのテンションだもん、凄いよね、疲れ知らないもんね。

 

せつ菜「おぉ!これがジンベエザメですね!!大きい!大きすぎます!!」

 

「あなたのリアクションも大きすぎます!」

 

せつ菜「何の!!修学旅行最後の観光地です!もっと楽しんでいかないと勿体ないですよ!」

 

愛「せっつーの言う通りだね!みんなで盛り上がっていこー!!」

 

そう言うと2人はお魚を見る度に騒いでいる。やめて、他のお客さんに迷惑になってるから。てか生徒会長、あなた騒いでいる人に注意する側じゃないの??知らんけどさ。

 

「全く、どこまで元気なんだあのふたりは。」

 

歩夢「……ふふっ。」

 

「何よ、急に人の顔見て笑って。」

 

歩夢「あ、ごめんね。だって……準太くん、何だかんだ言って愛ちゃんを見ている時凄い優しい顔してるんだもん。」

 

「……そんなことない///」

 

愛「ジュンジュンこっちの魚も凄いよ!!早く来てよー!!」

 

歩夢「ふふっ、行こっか♪」

 

「……///」

 

******

 

美ら海水族館から出た後、昼食を終えた俺達は沖縄を後にした。今は飛行機の中で友達と話している生徒もいれば、疲れて眠ってしまっている生徒もいる。

 

愛「すぅ……すぅ……。」

 

ちなみに隣では愛さんが寝息を立てて俺の肩で眠っている。さすがあんだけはしゃいだだけあって体の充電が必要になったのだろう。

飛行機に乗ったばかりの時は買い貯めていたお菓子を食べて横から弾丸トークをしていたが、だんだんと瞼が落ちていき、ついには眠ってしまったのである。

 

「久々に見るけど……可愛い寝顔だなぁ。」

 

愛「……♪♪」

 

「……起きてんのかよ。」

 

愛「そんな見てると視線感じて起きちゃうよ。あんまし女の子の寝顔をまじまじと見るもんじゃないよ〜??」

 

「うっ……悪い。」

 

愛「あはは、ジュンジュンだからいいよ♪♪……あのさ、修学旅行どうだった??」

 

「愛さんと行動する時はトランシーバーが必要だと痛感した。」

 

愛「ご、ごめんって!!その……楽しかった??」

 

「……そうだな。色んな思い出が出来たし、最高に楽しかったよ。」

 

愛「そっかそっか、良かったね!……今度は、2人で旅行行ってみたいなって思っちゃったりして///」

 

「……おう、今度な。」

 



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第84話

中々投稿出来ず申し訳ありません、、
気づいたらたくさんお気に入りにして下さる方がたくさんいてすごい嬉しかったです!!
少しずつではありますが投稿していくのでどうぞお立ち寄りください!


とある放課後。この日は部活がオフで久々に帰ってゴロゴロしようと思っていた所、隣の席の女の子がバンバンと机を叩いてきた。隣を見るとニコニコしながら何やら片手にゲームソフトを持っていた。

 

愛「ねぇジュンジュン、この後暇??」

 

「奇遇にも部活がないから予定があるとは言えないけど何かその誘い方は解せん。」

 

愛「今から愛さん達の部室でこのゲームやろうよ!!」

 

「俺の返しガン無視かよ。えーと、なになに……??」

 

愛さんが持っているゲームソフトを見るとそこには美少女キャラクターが複数写っているいわゆるギャルゲーだった。……え、これやるの??

 

「そういうの興味ないからいいや。愛さん楽しんでおいで。」

 

愛「愛さんは後からやるからいいの!まず先にジュンジュンがやらなきゃ!!」

 

「いやいいからまじで。しかもこれ愛さんたちに見られながらやるんだろ??何だよその羞恥プレイ。」

 

愛「だって見たいもん!ジュンジュンがどんな女の子を狙うのか♪」

 

「ねぇあなた仮にも彼女だからね??彼女がそれ言っていいもんなの??」

 

愛「ゲームだし気にすることないよ。それにもしジュンジュンがそのキャラクター好きになることないでしょ??」

 

「まぁそうだけど……もし好きになったら??」

 

愛「〜〜♪♪」

 

「無言で笑うのやめて??まーじで怖いから。てか何でそれ持ってるの??」

 

愛「友達が持ってたから貸してもらったの!最近ずっとその話してたから愛さん気になっちゃって!」

 

「それで俺にやらせると??尚更愛さんやればいいじゃん。」

 

愛「愛さんは後でやるって!もう、観念しなさい!!ほら、部室行くよ!」

 

半ば無理やり愛さんに手を引っ張られ教室を出た俺。何度が抵抗したがありえないくらいの握力でその抵抗を無効化され、どうしても抗うことができなかった俺はそのうち考えるのをやめた。え、まじで俺ギャルゲーやるの??もっと楽しいゲームにしない??ほら、○ンハンとか○マブラとかあるじゃん??

 

愛「いやぁ楽しみだなぁ♪愛さん燃えてきた!!」

 

「ジュンジュン泣けてきた。」

 

******

 

愛「みんなー!!ジュンジュン連れてきたよー!!」

 

璃奈「準太さん、こんにちは。」

 

かすみ「ほんとに来たーー!!愛先輩という彼女がいながら2次元に手を出そうとするなんて!!」

 

「その愛さんに無理やり連れてこられたわけなんだが??」

 

かすみ「おっと言い訳ですかぁ??先輩も見苦しい所ありますね〜??」

 

「かすかすみたいなキャラクター出てきたら真っ先に始末してやるかな。」

 

かすみ「かすかすじゃなくてかすみんですぅ!!しかも始末って何ですか?!これギャルゲーですからね?!」

 

果林「ふふっ、私もこういうゲームを見るのは始めてだけど、準太がどんな女の子を口説くのか気になるわね♪」

 

「ほんと勘弁してください。不本意にやる上に彼女含めて複数の女子にゲームを見られる俺の身にもなってください。」

 

せつ菜「いいじゃないですかっ!ゲームだからこそ中々現実では起きないイベンドかあったりしますし!!」

 

「現実でもありえない事当たり前のように起きるからもうお腹いっぱいです。」

 

歩夢「あ、あはは……でも、せっかくだしみんなでやらない??」

 

歩夢ちゃんが気を利かせてくれるが1つ言いたい。このゲームみんなと言うより俺がやるのをみんなが見る感じだからね??つまり俺以外みんなはノーダメージ。

 

愛「さぁ早く早く!!ゲーム始めようよ!お菓子もジュースも揃ってるし準備は完璧だよ!」

 

愛さんがそう言って俺をテレビの真ん中に座らせるとゾロゾロと座っていった。俺以外目をキラキラしたりニヤニヤしたりしていつ始まるのかと視線を送ってくる。……家でゴロゴロしたいなぁ。

 

「じゃあ……やるぞ。」

 

「「「スタートー!!!」」」

 

こうして人生初のギャルゲーを始めることになった。しかもスクールアイドルの女の子に囲まれて。この後何事もなく終わればいいんだけど……無理か。



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第85話

ゲームを始めるとオープニングが流れ始めた。その中で登場キャラクターと映像シーンが流れたのだがそこに俺はある違和感を感じた。

 

「なぁ、ひとつ言っていいか??」

 

愛「どーぞどーぞ!!もうヒロイン決めたの??」

 

「バカ違うわ。……このキャラクター達妙に愛さんたちに似てるんだけど。しかも9人いるし。」

 

果林「言われてみればそうね。私みたいなスタイル抜群の子もいたし。」

 

「それ自分で言いますか??え、何かやりずらいんだけど。」

 

エマ「気にしなくていいよ。準太くんは普通にプレイしてけばいいよ。」

 

エマ先輩がフォローをしてくれるがそう言われても無理がある。心做しか同好会メンバーもソワソワしてるし隣の愛さんは何故か自慢げな顔をしていた。

いやまだあなたに似たキャラを選ぶとは限らないからね??……怖い怖い口に出てないのにジロってこっち見てくんなよ。

 

せつ菜「とりあえず進めましょう!!名前は何にするんですか??」

 

「自分の名前をするべき何だろうけど……何か妙に気恥しいからな。別の名前にしようかな。」

 

愛「だったら夏目ジュンジュンにしようよ!!」

 

「苗字とあだ名くっつけるなよ。何その芸名見たいな名前は。」

 

かすみ「ぷぷっ、いいじゃないですか。夏目ジュンジュンが過ごすリア充ライフは見てみたいですねぇ。」

 

「………。」

 

しずく「せ、先輩……??」

 

かすかすに煽られた時もう主人公の名前は俺の中で決まった。いいだろう、この名前で青春ライフ謳歌してやるよ。

 

かすみ「なぁぁぁ!!!何ですか"かすかすかすかす笑"って!!」

 

愛「あはは!!!何その名前、それでゲーム始めるの?!」

 

「当たり前だ、さぁリア充しようぜかすかすかすかす笑。」

 

せつ菜「考えましたね!これなら苗字も名前も同じ様に呼ばれますね!」

 

「ごめんそこまで考えてなかった。」

 

かすみ「ふざけないでください!こんなふざけた主人公がモテるなんてありえないですっ!!かすみんは嫌です!!」

 

「うるせぇ諦めろ。さぁ始めるぞ。」

 

******

 

『かすかす笑くん、2年生も同じクラスだねっ。嬉しいな。』

 

最初に登場したヒロインは歩夢ちゃん似の女の子。どうやら幼なじみの設定みたいだ。この子初っ端から起こしに来てくれるんだよ??この主人公いきなりリア充してんじゃんムカつく。

 

歩夢「な、何か恥ずかしくなってきちゃった。」

 

「お願いだから堂々と見て??じゃないと俺のメンタル持たない。」

 

愛「ちょっと!!愛さんはいつ登場するのさ!!」

 

「愛さんは登場しないだろ?!愛さん似は後々出てくるんだから待っとけって!」

 

せつ菜「あ、待ってください!!ここで選択肢が出てきましたよ!」

 

生徒会長は説明書を持ちながら説明してくれる。どうやらこの選択肢で今後対象の女の子との仲が変わってくるみたいだ。なるほどなぁ言葉って大事だもんなぁ。

 

「まぁここは無難にこれだろ。」

 

『うん、俺も嬉しいな。今年もよろしくね!』

 

果林「何か準太が口説く相手を選んでると思うと笑えてくるわね。」

 

「いやそういうゲームでしょこれ??かすかす笑はマジかもしんないですけど俺は不本意です。」

 

愛「ジュンジュン〜♪♪」

 

「ねぇそもそも俺にやらせたの愛さん何だからそんな力強くて握らないで??まじで痛いから。」

 

シーンが変わると次は廊下。そこでかすかす似の女の子と遭遇した。しかもこの子端で座ってる子みたいなキャラしてんじゃん。

 

『これからよろしくお願いしますね、先輩♪』

 

かすみ「ふふん、次はかすみんのキャラですね!さぁさぁどうやって落としていくのか見せてもらいましょう♪」

 

『君と話す気は無い。どこか言ってくれ』

 

かすみ「何でそれ選ぶんですか?!いちばんありえないですからね?!」

 

「よしっ、これで会うことはないだろう。」

 

璃奈「て、徹底してる……。」

 

歩夢「ゲ、ゲームのキャラクターだからね??かすみちゃん気にしなくていいよ??」

 

かすみ「で、でも納得出来ないです!こうなったらそのリモコンを渡してください!かすみんがやります!」

 

「おい暴れんなって!!かすかす笑は俺が操作してんだから!」

 

「何がかすかす笑ですか!!こんなふざけた主人公に初っ端から切られる何て許されるはずがないんです!」

 

愛「ふ、2人とも落ち着いてって!!」

 

愛さんたちに止められるまでリモコンの奪い合いをしていた俺たち。とりあえずあれだ……これでかすかす似の女の子とは会うことはないだろう。



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第86話

「ん??なんか画面変わったぞ。」

 

せつ菜「あ、これは自分磨きですね!!画面に写ってる学業、部活、プライベートを選択することで自身のステータスが上がるみたいです!」

 

璃奈「これでイベントも変わってくる感じかな??」

 

せつ菜「はいっ!!準太さん次第で起こるイベントがたくさんあるみたいです!」

 

「なるほどなぁ。まぁとりあえず学業だな、こいつゼロスタートじゃん。」

 

かすみ「よくそれで高校に入れましたねぇ。ロトシックスがほとんど当たったんですか??」

 

「何がロトシックスだ。マーク式問題なんて鉛筆1本あれば十分だ。」

 

果林「そうよね、困った時にはやっぱり鉛筆よね??」

 

エマ「2人とも……まさか高校もそれで??」

 

果林「ま、まさか!!ち、ちゃんと解いたわよ?!」

 

「は、はい!!当たり前じゃないですか!」

 

愛「ジュンジュン何してんのさ!!次の試験から鉛筆チェックしなきゃじゃん!」

 

「あんなスパルタ勉強させられて今更鉛筆に頼れねぇよ!!」

 

同好会メンバーにあーだこーだ言われながら学業を上げているとまたまた画面が切り替わった。教室に残って勉強しているみたいだ。偉いなかすかす笑、やれば出来る子だったか??

 

『あれ〜??まだ残ってたの〜??』

 

愛「愛さんキタァァァ!!!!」

 

「愛さんじゃねぇだろって!!!」

 

ここでようやく待ちに待った自分似のキャラが登場して隣でガッツポーズをあげる愛さん。みんなキャラクター意識しすぎだからね??まだ自分似のキャラクターが登場してないメンバーはやけにそわそわしてる。どーせ出るんだから落ち着けって。

 

『そういえば隣の席だったよね??これからもっと仲良くしようね!!』

 

「うわぁ4月思い出すなこのセリフ。」

 

愛「うわぁって何さ!!ジュンジュン楽しそうに話してたじゃん!!」

 

「それ愛さんな??」

 

彼方「でも、それが2人の出会いだったんだよね〜??」

 

愛・準太「………////」

 

エマ「ふふっ、2人とも可愛いな。」

 

かすみ「ちょっと!何2人の空間出来上がってるんですか?!さっさと話を進めてください!」

 

愛「そ、そうだね!ほら、選択肢選んで!」

 

『う、うん……よろしくね。』

 

愛「何で引き気味なの?!愛さん納得いかない!」

 

「いきなりあんなグイグイこられたらそうなるだろ!!」

 

愛「ジュンジュンそんな反応しなかったじゃん!!」

 

「愛さんには効果ねぇからだよ!!!」

 

******

 

『あら、かすかす笑じゃない。良かったらお昼一緒に食べない??』

 

『はい、僕で良ければ喜んで。』

 

果林「ふふっ、私みたいなお姉さんに誘われたら断れないわよね♪」

 

『あ、かすかす笑くん!!今度のお休みお出かけしない??前に言ってたお店一緒に行きたくて。」

 

『いいよ、楽しみだね!』

 

歩夢「うぅぅ……恥ずかしい///」

 

『あ、かすかす笑さん。この後時間ありますか??」

 

『うん、大丈夫だよ。』

 

璃奈「璃奈ちゃんボード『照れ照れ』」

 

愛「女たらし。」

 

「勘弁してくれよ……。」

 

ゲームを進めていくと、どんどんキャラクターが登場した。その度に同好会メンバーの視線が向けられて最高にやりずらかった。最初みんな楽しそうに見てたのに気づいたら目がガチになってんだもん。

 

愛「ジュンジュンどれだけ口説くのさ!!いい加減ひとりに決めなさいこの優柔不断の浮気者っ!!」

 

「愛さん達が圧かけてくるからだろ?!怖すぎて選択肢出る度にドキドキするわ!」

 

かすみ「愛先輩の言う通りです!!さっさとひとりに決めるべきです!!このスケベ!!」

 

『先輩〜♪今度のお休み空いてますか??』

 

『ごめん忙しいから。』

 

かすみ「なんでかすみんの時は雑な対応するんですか!報われないです!酷いです!」

 

「さー進めよっと。」

 

せつ菜「あ、そろそろ季節的に重大イベントが始まりそうですよ??ちなみに私は学業ステータス成長させたらイベントいけますよ!」

 

「さらりとアピールしてくんな。てか今私って言った??2次元だからね??」

 

生徒会長の言葉を聞いた瞬間さらに同好会の顔が引き締まった。えぇこの中で俺ゲーム進めてくの??隣の愛さんもう笑顔ないよ??ハロハロしてなくて怖いよ??

 

愛「ジュンジュン、あの子すっごい良い子だよね!」

 

「う、うん……そうだな。」

 

歩夢「お、幼なじみもいいと思うんだけど。」

 

「固い絆があるもんね。」

 

果林「年上のお姉さんは魅力的と思わない??」

 

「イイトオモイマス。」

 

それから各々アピールポイントをしてくる。もうやめて、ギャルゲーってもっとドキドキしながらやるもんじゃないの??俺の場合ある意味冷や汗でるドキドキなんだけど。



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第87話

メインヒロイン達の誘いをある程度承諾(一部除いて)していったかすかす笑は気づくとヒロインたちとの親密度が異常なほど上がっていた。

 

『今日は何しようかなぁ。』

 

「何しようかなぁじゃねぇだろこいつ。画面に遊びに誘う女の子の名前ずらりと出てんぞこら。」

 

果林「何で準太が怒ってるのよ。」

 

「だって見てくださいよ。この主人公女の子を誘う仮定で何しようかなぁとかほざいてるんですよ??」

 

璃奈「そ、そういうゲームだし仕方ないよ……。」

 

「なんか解せんな。」

 

愛「ていうか!そもそもこうなったのもジュンジュンがみんな口説こうとしてるからじゃん!!」

 

「その言い方やめろ!つか愛さん達が無言の圧かけてくるから言葉選択やりにくいんだよ!」

 

愛「ちょっと!愛さん達の所為にするのはよくないよ!」

 

かすみ「そうですよ!!先輩が流されるから悪いんです!」

 

「かすかすはちゃんと意思持って断ったぞ。」

 

かすみ「なーー!!!!!」

 

歩夢「で、でも確かに私達がいたから準太くんに気を遣わせちゃったかも。」

 

しずく「そうですね、感情移入をし過ぎてしまいました。」

 

エマ「準太くん、ごめんね。」

 

「い、いや大丈夫ですよ!俺もみんながいるのを変に意識ちゃったのも原因ですから。」

 

愛「ちょっと!なんで歩夢達には謝るのさ!愛さんには?!」

 

「愛さん黙ってて。」

 

せつ菜「ま、まぁまぁそれくらいに。それではこうしましょう!」

 

生徒会長の提案はこうだ。次からは自分似のキャラクターのイベントが出ても変に意識せずアピールしない。自由に俺がゲームをするようにする、ってことになった。うん、当たり前だよね。

 

「まぁとりあえず進めますよ。」

 

******

 

『あ、先輩!!また今度遊びに行きませんか??』

 

『ごめんね、遠慮しておくよ。』

 

璃奈「むぅ……。」

 

『あ、かすかす笑くん。最近アニメカフェが近くに出来たみたいですよ!よかったら行きませんか??』

 

『ごめん、やめておくよ。』

 

せつ菜「何故ですか?!アニメカフェですよ?!準太さんあなたは失格です!」

 

「何でだよ。」

 

俺は今までのように誘いを全て承諾していたのは売って変わって誘いを断るようにしている。しかし断ったら断ったでヒロインの保護者たちが俺にジト目向けてくるわ文句言うわ散々である。自由にやっていいんじゃないのかよ……。

 

果林「他のヒロインを断っているってことは……いよいよ誰を選ぶか絞っているのね??」

 

「まぁ終盤ですしね。すっげぇやりにくいっすけど決めますよ。」

 

璃奈「もう決まってるの??」

 

自分似のキャラクターが振られて拗ねながら俺に聞いてくる璃奈ちゃん。ごめんって、まじで。

 

「……まぁ、一応は。」

 

愛「〜〜♪♪」

 

隣の愛さんはと言うと勝利確定と言わんばかりの顔で胸を張っている。

いやまだ何も言ってないんだけど。

 

エマ「やっぱり愛ちゃんかな??」

 

せつ菜「愛さんですね。」

 

彼方「愛ちゃんだね〜。」

 

「声に出さなくていいですから!大体、まだ分かりませんよ??」

 

愛「何だとー?!ジュンジュンはオラオラが好きなのかな??」

 

「おいそれは脅迫だな?脅迫ととっていいんだな??」

 

愛「だってジュンジュン選んでくれないと悲しいじゃん!」

 

何でこういうの堂々と言えるのかなこの子は。本人は気にしてないみたいだけどあなた以外みんな顔赤くなってるよ??

 

かすみ「愛先輩がこんなに乙女になるなんて……。」

 

果林「えぇ、とても可愛いわ…。」

 

せつ菜「いつもと違う顔を見せるなんて……ギャップ萌えですねっ!!」

 

ひとりだけ興奮してました。

 

******

 

『アタシね、ずっと前からかすかす笑が好きだったんだ!だから……アタシの傍にいてくれない??』

 

愛「……///」

 

「なんで今恥じらってんだよ。さっきのあなたの発言の方が言われた側十分照れるぞ。」

 

愛「う、うっさい!!ほら、早く答えてあげてよ!」

 

「はぁ……はいはい。」

 

『僕もずっと前から好きだったんだ。ずっと離さないからね。』

 

せつ菜「ふぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

果林「せつ菜?!?!」

 

まさかの生徒会長が大興奮。恋愛映画のこういうシーンで女の子がキャーとかいうの分かるけどふぁーってなんだよ。

 

歩夢「やっぱり愛ちゃんだったね。」

 

彼方「そうだね〜、ゲームでもお似合いだね〜。」

 

愛「えへへ、ジュンジュン♪」

 

「やめろくっつくなみんないるから!!」

 

愛「そんなこと言って、顔が弛んでるよ〜??」

 

「……///」

 

こうして人生初の恋愛ゲーム体験は終わった。この後同好会メンバーが順番にゲームをしていたのだが、ほぼ全員それぞれの対象キャラクターでエンドロールを迎えていた。やっぱ我が子が可愛いよね。

 



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第88話

「今日も学校かぁ……。」

 

誰に言うわけでもなく呟きひとり学校へ向かう。最近は修学旅行だのギャルゲーだので全く静かな日常を過ごしていない。たまには何も無い日があってもいいと思うんだよね、無理だと思うけど。

教室着くなり早々愛さんに捕まるだろうし今日も平和な日々は送れなさそうだな……あれ。

 

「まだ来てないのかよ。」

 

教室に入って自分の席につくと愛さんがいなかった。普段ならこの時間には既にいるのに珍しいことがあるものだ。遅刻か……??

 

「まぁいっか。とりあえず休憩休憩。」

 

席に座り一段落しながらもちらちらと廊下を見るが愛さんが来る気配がない。え、まじでどうしたのよ。

そう思っていると先生が来てHRが始まった。……遅刻じゃんかよ。

 

「出欠をとるぞ〜……あ、そうだ。宮下は風邪で今日はお休みだ。」

 

「……風邪??」

 

先生から言われた一言。それは意外にも自分の中で驚きが生まれており、周りからも"愛ちゃん大丈夫かな??"、"珍しいよね"と声が聴こえる。俺もみんなが思っている意見と同じ気持ちだし、変に心配をしてしまう。

 

「てことで、準太。今日のプリント届けてこい。」

 

「てことでって何すか。てかなんで俺が??」

 

「おいおい彼女のプリントくらい届けてやれよ。」

 

ニヤニヤしながら先生は俺にプリントを渡した。え、待って先生も知ってるのどういうこと??怖いんだけど。

 

「そりゃお前らは有名なカップルだからな。よく話題になってるぞ。」

 

「聴きたくなかった……。」

 

「まぁともかくだ。部活終わった後でも渡しに行ってやれ、頼むな??」

 

「うっ……了解です。」

 

******

 

愛「はぁ……何かまた上がった気がする。」

 

今日の朝から何かダルいなと思ったらやっぱり風邪をひいてしまっていた。あんまり体調崩す事はなかったんだけどなぁ……。

おばあちゃんにお粥を作ってもらったけどあんまり食べれなかったし寝ても寝ても治る気配がない。

 

愛「ジュンジュン今頃部活かな……??」

 

ふと彼の事を考えてしまう。チャットで心配をしてくれてたけど、心配をかけさせまいと空元気な返事をしてしまった。正直しんどいし甘えたい。

 

愛「……会いたいな。」

 

ボソッと呟くとガチャっとドアが開く音がした。おばあちゃんかな??

虚ろな目でドアを見るとそこには愛さんが今凄く会いたかった人が立っていた。

 

******

 

「……何が元気だよ。」

 

愛さんの家にプリントを届けに行くと愛さんのおばあさんに家に上がるよう促された。さすがに申し訳ないと思い最初は断っていたが、あなたがいるときっとあの子も元気が出ると言われ半ば強引に家に入れられた。

愛さんの部屋に入るといつもの元気とはかけ離れた、しんどそうに横になっている姿が目に映った。

 

愛「あ、あはは……ごめんね、心配かけちゃって。」

 

「別にいい…てか起きようとするな。そのままでいいから。」

 

愛「うん、ごめんね。」

 

本当にしんどいんだろうな。俺の言葉をすんなり受け入れて横になった愛さんを見て、尚更心配になってしまう。

 

「食欲はあるか??」

 

愛「んー、あんまりかな。お昼少し食べたけどすぐにお腹いっぱいになっちゃってさ。」

 

「そっか……まぁ食べれたらでいいけど、これ欲しくなったら食べてくれ。」

 

愛「えっ……これ買ってきてくれたの??」

 

「食欲無いと大事な栄養が補給出来ないからな。これなら冷たいし摂取しやすいだろ。」

 

愛「調べてくれたの??」

 

「……知識が疎いんでな///」

 

愛「ふふっ、ありがとうジュンジュン♪」

 

「……そ、そういえば今日は……」

 

恥ずかしさを紛らわす為に俺らしくもない世間話を愛さんに語った。愛さんは楽しそうに話を聴いてくれて、心做しか少し表情が良くなった気がした。談話をしていると夕方だった外は真っ暗になっていた。

 

「もう日が沈んだのか。秋だと日が落ちるのも早いな。」

 

愛「ほんとだね、前まで夏だったのに季節が変わるのって早いなぁ。」

 

「よしっ、そろそろ行くわ。安静にしてろよ。」

 

そう言って帰ろうとすると弱々しい力で服を引っ張られた感覚がした。振り向くと愛さんが切なそうな目を向けて服を掴んでいた。

 

愛「あのさ……もうちょっといてくれない??」

 

「いや、でも……。」

 

愛「お願い……側にいて欲しい。」

 

今まで愛さんとは長く付き合ったきたがこれ程弱った彼女を見るのは初めてだった。いつもの元気が無さすぎるとまじで調子狂うな。

 

「……分かったよ、いるから。だから安心して身体を休めろ。」

 

愛「うん、ありがとう……ジュンジュン。」

 

「なんだ??」

 

愛「えへへ……大好きだよ。」

 

「……俺もだよ、バカ。」

 

愛「バカって何さ……可愛くないなぁ。」

 

「ほっとけ……っ!?」

 

愛「ふふっ、隙あり♪」

 

不意打ちにキスをされあたふたしていると仕掛けた張本人は悪戯っぽくこちらを見ていた。こういうことするのには元気なのね。

それから気づくと愛さんは静かに寝息を立てていた。その寝顔は幼い少女の様で来た時と比べ随分表情が良くなっていた。……早く元気になれよ。

 

ーー後日ーー

 

「あー……今度は準太が風邪を引いたそうだ。」

 

愛「ジュンジュン?!?!」



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第89話

「あーー……だるい。」

 

今、俺は非常に苦しい状況に置かれている。季節の変わり目に体調を崩しやすいから気をつけろと言われるが俺の場合季節は関係ない。何故かと言うとですね……

 

「愛さんの風邪うつったなこれは。」

 

以前愛さんが風邪をひいた時看病しに訪問したことがあった。そんな長くは滞在してないしそんな至近距離でも話していない。しかし決定的に移ったと思われる出来事があった。それはーー

 

愛『ふふっ、隙あり♪』

 

「絶対あの時だ。」

 

不意打ちに愛さんにキスをされたのだ。あの時はドキッとしたし可愛いなと思ったが、今思うと病人が何接触感染誘起こしてんだよどうしてくれんだこのダルさをと恨んでいる。

 

「でもまぁ、たまにはこういう静かな時間も大事だよな。」

 

正直1年生の時と比べ俺の日常は毎日か騒がしかった。大体は愛さんと出会ってからなんですけど……。これはきっと神様が与えてくれた休暇なんだな、うん、きっとそうだ。

それならせっかく神様から授かった休暇だ。ゆっくりとしよう。

 

愛「愛さんがきたぁぁぁぁ!!!!」

 

「………うそん。」

 

まさかの愛さん登場。え、俺聞いてないよ。てか何でこの子こんな元気になってんの、解せないんだけど。

 

愛「いやぁジュンジュンほんとに風邪だったんだね!!大丈夫ー??」

 

「……ギガドレインされた。」

 

愛「え、何の話??」

 

「いや、何でもない。……ちょーしんどい、だから静かにしてくれ。」

 

愛「あはは、ごめんね??この前ジュンジュンが看病してくれたから、今度は愛さんがジュンジュンを看病したくて来ちゃった♪」

 

何だろう、本来なら嬉しいって思うんだろうけど軽くイラッとするぞ。心配はしてくれてるんだろうけど、やる気満々の表情がちょっと不安。

 

「てか愛さん練習はいいのかよ。今日あったんじゃないのか??」

 

愛「あー、うん。あったよ?あったけど……心配で練習所じゃなかったから早退したんだ。」

 

「……悪いな。」

 

愛「もう、こういう時はありがとうでいいの!!」

 

「あ、ありがとう……。」

 

愛「ふふっ、よしよし♪」

 

何だろ、子供扱いされてる気がする……。抵抗したいがそんな気力がない。つまり今の俺は愛さんにされるがままである。

 

「来てくれたのは正直嬉しいんだけど……また愛さんに移すといけないから早めに帰りなよ。」

 

愛「大丈夫!!ちゃんと準備は出来てるんだぁ。」

 

「準備……??」

 

愛さんはそう言うとカバンから何やら妙なものを取り出した。えっ……なにこれ。

 

愛「じゃーん!!対ウイルスフィルター!!」

 

「おいおい何だこれ……。」

 

愛さんはプラスチック製のフィルターのようなものを被りドヤ顔を向けていた。……よくカバンからそんなもん出てきたな。てか常備してんのかこれ。

 

愛「最近お店で見つけたんだぁ!これならお互い接触しないし素顔見せれるよ!」

 

「いや凄いけど……普通にマスクで良くない?」

 

愛「……かっこいいでしょ!!」

 

「いやかっこよくない。」

 

愛「むぅ……。」

 

「つか、そもそも俺が風邪引いたのも愛さんが原因だからな??」

 

愛「え??何で愛さん??」

 

………え??嘘でしょこの子。まさか自覚なし??

 

愛「別に愛さんはジュンジュンに何も……あっ。」

 

おっとお気づきになったみたいだ。

 

愛「あ、あはは……ジュンジュンのエッチ♪」

 

「この野郎っ……!!」

 

何で俺がエッチになるんだよおかしいよね?!え、おかしい事言ってないよね??おかしいの愛さんだよね!?一発どついて……

 

「うっ……。」

 

愛「えっ、ちょ、ジュンジュン?!」

 

カッとなったのが良くなかったのか、だんだん俺の意識が遠のいていく。あー、愛さんが凄い心配してくれてる……変なフィルターつけて。

そもそもあなたが変な事言わなければこうならなかったと思うんだよね。

 

******

 

「ん……あれ、冷たい。」

 

目が覚めると額が冷たくてさっきより身体が軽くなっていた。隣を見ると愛さんが寝息を立てて座ったまま寝ていた。……ずっと見ててくれたのか。

 

「……結局外してんじゃんかよ。」

 

あんなに自慢してたフィルターマスクを外して寝ている愛さん。やれやれと思う反面、どこか微笑ましく思い、起こさないようにそっと布団をかけて俺はマスクをつけた。

 

愛「ん……ジュンジュン…。」

 

「起きたか??」

 

愛「そんなにお胸が好きなの〜……??」

 

「……夢の中の俺は何してんだ。」

 

愛さんの夢に突っ込みたいがとりあえず気持ちよく寝ているのでそのままにしておこう。しかしあんなにダルかった身体が愛さんが来て大分軽くなった気がする。あんなに騒がれて休む所ではなかったというのに。

 

「これも愛さんの力なのかね。」

 

隣で寝ている彼女を見てつい頬が緩んでしまう。今思うとあのフィルターマスクを持ってきたのも少しでも俺が元気になるようにと思っての行動だったんじゃないかとも思ってしまう。……たぶん違うんだろうけど。

 

「まぁ……愛さんに助けられたなこれは。……ありがとな、愛さん。」

 

愛「ふふっ……どういたしまして♪」

 

寝ているはずの愛さんから何か言った気がするが……まぁ気の所為だろ。



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第90話

夏が終わっても少し暑さが残っていたのも少しずつなくなり、今は肌寒く感じる様になった時期。俺は今隣の席の彼女……いや、クラス全員に視線を向けられている。なぜかって??それはですね……

 

愛「ジュンジュンメイド喫茶やろうよ!!」

 

「嫌だ、絶対嫌だ。」

 

そう、今は学園祭のクラス企画を考えているのだが。クラスのひとりがメイド喫茶をやりたいと言ったことで始まった。いや別にいいよ??女子がメイドやってそれにウハウハしてる男子がいても。俺が嫌なのは男子の割り振りである。

 

愛「絶対執事似合うって!顔はいいんだから!!」

 

「ねぇそれどういう意味??顔はってなに??」

 

愛「それに誰かに仕えてそうだし!」

 

「誰にも仕えてねぇよ。つか俺の話無視??」

 

愛「ねぇやろうよ!!愛さんはやりたいよ??」

 

「そりゃ発案者よりもノリノリだもんね知ってます。……てか俺以外の男子何やる気になってんだよ。」

 

周りの男子を見ると恥ずかしそうにしながらもやりたいみたいな顔してる生徒がちらほらいる。何でノリ気になんだよイミワカンナイ。

 

「夏目くん、彼女がこんなにお願いしてるんだしやっちゃおうよ!」

 

「準太、もう観念してやろうぜ。」

 

「そうだよ!それに夏目くんと愛ちゃんの執事とメイドコスなんて……ぶはぁ!!」

 

ちょっとー、ひとり倒れたけど大丈夫ー??何想像してんだよそんないいもんじゃないぞ知らんけど。

 

「それに夏目くん、愛ちゃんのメイド服なんて見る機会ないよ??」

 

「……まぁ、そうだけど。」

 

「想像してみて??メイドになった愛ちゃん、可愛いよ〜??」

 

クラスメイトに言われ想像してみる。あー、確かに似合いそうだなぁ。てか似合うなぁさすが愛さんだなぁ。

 

愛「もう、ジュンジュンのエッチ♪」

 

「ちょっと外いくか愛さん。」

 

愛「ご、ごめんごめん!!でも愛さんは執事のジュンジュン見てみたいなぁ。」

 

急に頬を赤らめて見てくる愛さん。やめろやめろ見るな。ことりのお願い攻撃に匹敵するパワーあるぞこれ……ダメだ、耐えるんだ俺。

 

愛「ジュンジュン……ダメ??」

 

「……分かったよ。」

 

愛「よっしゃあ!!!ジュンジュンが落ちたぁぁ!!」

 

ワーッと歓声が鳴り響く教室。てか愛さんそれ演技だったの??まーじで騙されたんだけど。そっかぁ、うちのクラスこれやるのかぁ。

 

愛「てことで!!さっそくどんな感じでやってくか考えよう!!」

 

「え、愛さんが仕切ってくの??」

 

******

 

愛「てことで来ました〜、秋葉原〜!!!」

 

「………。」

 

学校が終わった後、愛さんに連れてかれて秋葉原まで来た俺たち。たぶん愛さんの頭ではメイド=秋葉原になってるのだろう。まぁ分からんでもないけどさ……今日行くの??

 

愛「やっぱ視察は大事だよね!」

 

「うん、大事だけどさ……メイドだけ見るの??」

 

愛「だって執事姿の人あんま見ないじゃん。」

 

何言ってんのみたいな顔して愛さんは歩く。もうそれ執事やらなくてもいいじゃん裏で料理作るだけでいいじゃん。

俺の心からの叫びは愛さんには気付かれずに歩いてるいと何やら見つけた愛さん。そこは周りにもあるメイド喫茶のひとつなのだが何か違うみたいだ。

 

愛「ここのメイド喫茶に伝説のメイドがいるらしいんだぁ!」

 

「へーそーなんだ。」

 

愛「もっと興味持ってよ!!確か……ミナリンスキーって名前だったかな??」

 

「伝説そうな名前してんな。あ、あそこのクレープ美味しそう。」

 

愛「はいはい、ジュンジュン行くよ〜。」

 

「お、おいマジでいくの??嫌だ手を離せ!!無理!」

 

俺の願いも虚しくえげつない力で引っ張られてお店へ連れてかれた。こんなお店言ったことないのに……しかも彼女と行くのかよ。

 

愛「頼もー!!!」

 

「道場破りかよ。」

 

入って早々場違いな挨拶をする愛さん。あーあー周りのお客さん凄い見てるよやだ帰りたい。

 

???「いらっしゃいませ、ご主人……あれ??」

 

愛「えっ……あれー!?」

 

「何騒いでんだ……って、ことり??」

 

俺たちを出迎えたメイドを見て驚きを隠せなかった。なぜなら目の前には……俺の幼なじみがメイド姿で立っていたから。



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第91話

そろそろこの作品も完結しようかなって思ってます!


愛「いやぁ、まさかことりがミナリンスキーだったなんて愛さん驚いたな〜。」

 

ことり「ふふっ、私も愛ちゃん達が来るなんてびっくりしたよ。」

 

愛「それがねー、ジュンジュンがどうしても行きたいって言うからさぁ。」

 

「おいこら。」

 

愛さんに連れてかれて来たお店に幼なじみがいるなんて聞いてないぞ。しかもなんだっけ…伝説のメイドか何とからしいじゃん。いつの間に伝説になってんだよ教えてくれよ。

 

ことり「相変わらず仲良いね♪」

 

愛「うん!!ちょー仲良しだよっ!!あっ、愛さんこれ食べようかな!」

 

「うへぇそんな甘そうなの食べるのかよ。」

 

愛「いいじゃん!せっかくだしどんな料理を作るか候補考えるためにもまずは食べないと!」

 

「最もっぽい意見を言ってるが要はあなたが食べたいだけだよね??」

 

ことり「準くんたち何かするの??」

 

「えっと、実はな……」

 

俺はことりに事の経緯を話した。学園祭でメイド喫茶をやることになったこと、俺も執事をやらされること、視察と称してここまで愛さんにより連行されたこと……あーあ、今日もろくな事なかったなー。

 

ことり「楽しそうっ♪準くん執事やるんだぁ。」

 

「誠に不本意ながらな。」

 

愛「そんな事言って実は乗り気……痛い痛い!ごめん!ジュンジュンごめんって!!」

 

「愛さんたちが乗り気なだけだ。俺は料理当番でいい。」

 

ことり「ふふっ、私は準くん似合うと思うなぁ。」

 

「現役メイドに言われると説得力増すな。」

 

愛「ちょっと愛さんは!?!?」

 

ことり「げ、現役というかバイトなんだけどね……じゃあ2人とも、何か参考になるもの見つけていってね!」

 

「お、おう……サンキュ。」

 

ことりは俺たちから離れ別のお客の接客へ向かった。うわぁすげぇ人気者だな、周りの男性にすごい注目されてる。

 

愛「ジュンジュン、このオムライスとかどう??お腹すいてるし美味しいと思うよ!」

 

「それは愛さんが食べたいだけだろっての!!」

 

******

 

「お待たせしました、オムライスでございます。ご主人様♪」

 

愛「うわぁ美味しそう!!これが有名なメイド喫茶のオムライス!」

 

「いやあなたパフェにしたじゃん。」

 

結局愛さんに押し切られオムライスを注文してしまった。まぁお腹すいてたしいいんだけどね??

目の前のオムライスは俗に言うふわとろオムライスでその見た目と匂いが食欲をそそらせる。ケチャップないのか……まーいっか。

 

ことり「準くんオムライス頼んだんだぁ。じゃあケチャップをおかけ……え!?」

 

愛「えっ、ちょっとジュンジュン何してんの?!」

 

2人が驚いてこちらを見る。何だよ別に何も悪いことしてねぇぞ。オムライス食べてるだけじゃん……え、これ??

 

愛「萌え萌えキュンしないとダメじゃん!?」

 

「何訳の分からんこと言ってんだよ!!愛さんも食ってるだろ!」

 

愛「愛さんはパフェだからいいの!ジュンジュンはダメなの!」

 

「何で俺だけ食べるの禁止なんだよ不公平だ!!」

 

ことり「あ、あはは……準くん、あそこ見て見て??」

 

ことりに言われ見てみると俺と同じようにオムライスを頼んだお客さんがメイドさんに期待の目を向けて何かを待っている。するとメイドさんは手に持ったケチャップで文字を書いた。そして……

 

「萌え萌えドッキュン♪」

 

「………。」

 

愛「これ!これだよジュンジュン!!しかもことりがやってくれたのに勿体ないことして!バカ!アホ!!」

 

「言いたい放題言いやがって……だったら事前に伝えとけよ!」

 

愛「大抵の人知ってるよきっと、ジュンジュンが特殊なだけ。」

 

「えー……。」

 

ことりの萌え萌えを中止した為か周りからの視線が突き刺さる。ごめん、マジでごめんて知らなかったから許してマジで。

 

ことり「ふふっ、準くんはそういう所変わってないね♪」

 

「え、今バカにされた??」

 

ことり「ち、違うよぉ!!その……無意識に人を驚かせて笑わせてくれる所。」

 

「驚かせて怒らせたの間違いでは。」

 

ことり「そんな事ないよ、私は……面白かったよ♪」

 

無邪気な笑顔でそう言うこと言わないでくれ。正面の彼女がいじけてるし周りの男性からまだグラディウスアーチが突き刺さってるから。いやまぁそういうこと言ってくれるの幼なじみ的には嬉しいけどね??

 

愛「むぅ……いつまで赤くなってるのさ!ほら食べるよ!」

 

「拗ねるな。」

 

愛「す、すすすす拗ねてないし!!あーパフェ美味しい!ジュンジュンにはあげないからねー!」

 

「子供かよ……じゃあ俺のオムライスも「もーらいっ」おいこら勝手に食べんなよ!」

 

ことり「ふ、2人とも落ち着いて〜!!」

 

******

 

「……何してたんだ俺は。」

 

愛「いやぁ美味しかったね!またことりがいる時行きたいね!」

 

「ことりのお願い攻撃されない限り絶対行かない。てか行けない。」



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第92話

学園祭当日。校内はいつも以上に賑わっており、教室はそのクラスが企画したお店が並んでいる。教室だけでなく外にも屋台が出ており、空気を伝って美味しそうな匂いがする。

 

愛「いやぁついにやってきましたね〜!!」

 

「……そうだね。」

 

愛「もう、何いじけてんのさ。とっても似合ってるよ♪」

 

「料理当番がいい。」

 

愛「今更何言ってんの!ほら、シャキッとする!」

 

俺が学祭楽しんでると思っていた人いる??そんなわけないでしょこんな服着させられて楽しめるはずがない。クラスメイト以外にわざわざ見に来る連中までいる。お前ら自分たちのクラスの準備しろよ。

 

「夏目くん似合ってるんだから自信もって!」

 

「そうだよ、夏目くんの執事見たいために来る人いるんだから!」

 

「余計出たくなくなった。」

 

愛「そんな事言わない!愛さんも着替えてくるから、逃げちゃダメだよ!!」

 

「……逃げれないだろこんな格好じゃ。」

 

愛さんは俺に釘を刺すと着替えに行った。教室は俺のように執事服を着てる人、俺が希望していた料理当番は仕込みをしていたり女子はメイド服を着てる人がいる。執事服やメイド服はクラスの女子が作ってくれたみたいなのだがお店の物みたいにクオリティが高い。どうしたらそんな器用なこと出来るのか教えて欲しいくらいだ。

 

歩夢「準太くんっ、おはよう。」

 

「おう、歩夢ちゃん。……どしたのその格好??」

 

歩夢「私たちのクラスは肝試しするの。……私は脅かす側で。」

 

「あー……乗り気じゃないのね。」

 

歩夢「どちらかと言うと驚かされる側だもん……。」

 

「まぁ、うん……楽しんで頑張れ。」

 

どんなアドバイスしてんだ俺は。

 

歩夢「準太くんは……執事??」

 

「はいそうですとっても憂鬱です。」

 

歩夢「そ、そうなんだ……でも似合ってるよ!」

 

「褒めてくれるのは嬉しいけど乗れないんだよなぁ。」

 

歩夢「あ、あはは……後で遊びに行くね!」

 

「緊張するじゃないの……。」

 

お互い乗り気じゃない役割になったのを同情していると何やらクラスがザワついていた。1ヶ所に人だかりが出来ており、女の子は歓声を上げ、男は見惚れている。一体どうしたというのだ……。

 

「夏目くん!ちょっと来て!!」

 

「えっ、ちょっとなによ。」

 

「いいから!これで夏目くんのモチベ上がるよ!」

 

おいおい今のモチベが上がるって相当なことない限り無理だぞ。どんな事があるというのだ。

 

愛「あっ、ジュンジュンー!!」

 

「………。」

 

クラスメイトに引っ張られて人だかりに行くとメイド姿をした愛さんが中心にいた。普段の愛さんを見ているからこそこういう衣装を着ているギャップが半端なく正直………めちゃくちゃ可愛い。

 

愛「どうどう??愛さんのメイド姿は♪」

 

「………。」

 

愛「もしも〜し、愛さん見えてますか〜??」

 

「あ、悪い……その、凄く良いと思う。」

 

愛「っ!?も、もう……ジュンジュンってば正直なんだから///」

 

自分から感想を聞いてきておいて恥ずかしがる愛さん。その格好で恥ずかしがられると余計キュンってするじゃないか。

 

「ねね、せっかくだし2人とも写真撮りなよ!」

 

「そうだな、こんな執事とメイド似合うカップルいないしな!」

 

ねぇそれ褒めてるの??褒めてたとしても全然嬉しくないぞ恥ずかしいだけだ。

 

愛「じゃ、じゃあ……お願いしようかな??」

 

「え、まじで撮るの??」

 

愛「せ、せっかくだし撮ってもらおうよ!……ね??」

 

「………わ、分かった。」

 

待ってこの子本当に愛さん??すんげぇ汐らしくなってるよ。しかもその格好で照れないでくれ萌え萌えキュンしちゃう。

 

「ほら、2人とも並んで!!写真撮ってあげる!」

 

「お、おう……。」

 

愛「えへへ……なんか照れるね。」

 

「言うな余計意識する。」

 

愛「いやぁ照れる照れる、もうドキドキが止まらないなぁ!!」

 

「わざとだろ!!もう愛さんの照れるは信用出来ないわ!」

 

愛「なんでよ!!愛さんの言葉を疑うのかー!!」

 

「当たり前だろ!!」

 

「2人ともじっとして!!撮れないでしょ!!」

 

愛・準太「……すみません。」

 

クラスメイトに注意され大人しくなる俺たち。その様子をクラスメイトだけでなく外からも見られていることに気づいたのは撮影が終わってからであった。

高校2年生の学園祭、予想はしていたが……穏やかには終わらなさそうだ。



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第93話

愛「いらっしゃいませー!!ご主人様ー!!」

 

愛「2名様ですね!!どうぞあちらのお席にお座り下さい!」

 

愛「オーダー入りました!オムライス2つです〜!」

 

俺たちのメイド喫茶がオープンしたらすぐに多くの生徒が入ってきた。その列は終わることはなく廊下で席を待っている生徒がずらりといた。そして新規で生徒が入る度に最高の笑顔で接客する愛さん……俺いる??

 

愛「ジュンジュン何してんのさ!お客さん接客して!!」

 

「うぅ……はーい。」

 

愛「何その態度は!君は執事でしょ!!」

 

「好きで執事してる訳じゃねーんだよ!!」

 

「あ、あの……4名です。」

 

「4名っすね……あの席空いてるからあそこに「ジュンジュン!!」ご、ご案内します!!」

 

ダメだ、普段通りの口調になるとやたら愛さんに注意されてしまう。あれー

もっと軽い感じでやれると思ったのにおかしいなぁ。

 

「ご注文はなんでしょう。」

 

「え、えっと……じゃあオムライス4つで!!」

 

「はーい、オムライス「かしこまりましたでしょ!」あーもう好きにやらせてくれ!!」

 

そんな丁寧な口調とか気恥ずかしくてできねーっつの!!いいじゃんちゃんと仕事してるし他のクラスメイトは許してくれてるしこの子達も顔赤くなってるし……え、なんで赤くなってるの??

 

「あ、あの!!」

 

「はい……なんでしょう。」

 

「後で夏目先輩と写真撮りたいんですけど……いいですか??」

 

「あーそういやことりの店もそういうのやってたしな……まぁ、俺でよければ??」

 

「あ、ありがとうございます!!!」

 

やったーと目の前で喜ぶ後輩たち。てか普通に了承したけどこの黒歴史が後輩たちに記憶されてしまうんだよな……え、やっぱやだ。

 

部長「今撮影断ろうとしてなかった??」

 

「いやまさか……って、何で部長まで来てるんですか。」

 

部長「私は可愛い後輩が執事をしてるって聞いたから来てあげたのよ。ほら、接客しなさい。」

 

「なんて偉そうな……執事にしたクラスメイトと愛さんを恨む。」

 

部長「ふふっ、あの準太が執事なんてね♪」

 

「バカにしました??今バカにしましたよね??」

 

部長「してないわよ、あー面白い。」

 

「してんじゃねぇか。」

 

お久しぶり弓道部の部長と登場に嬉しい気持ち反面からかわれてイライラするという複雑な気持ちで接客した。もうこれ以上嫌なことは無いはずだろうが……

 

かすみ「かすみんが来ましたよー!!」

 

うわ、最悪だ。

 

かすみ「ちょっと先輩??今凄い嫌な顔しませんでしたか??」

 

「滅相もございません。来て下さりありがとうございます♪」

 

かすみ「何ですかその接客は!!急にそんな態度取られると気持ち悪いです。」

 

「この野郎……今すぐ髪むしり取ってやろうか。」

 

かすみ「えぇお客様にそんな態度取るんですかぁ??お客様は神様ですよ〜??」

 

「うるせぇ!!何が神様だ!神様かどうかはこっちが決めんだよ!!」

 

歩夢「ふ、2人とも喧嘩はダメだよ??」

 

最悪なタイミングでかすかす達が来た。しかも全員で。いや来てくれたのは嬉しいよ??恥ずかしいけど。ただ来た早々この小娘の態度だ、イライラが止まらないじゃないか。

 

せつ菜「素晴らしい!とっても似合ってますよ準太さん!!」

 

「ど、どうも……。」

 

せつ菜「きちんとした身だしなみの一方まるで執事とは思えない無愛想な顔……あぁなんて素晴らしいのでしょう!!」

 

「え、褒めてるの??」

 

果林「もちろんよ。今日1日それ来て過ごして欲しいくらいね。」

 

「いや冗談じゃない。」

 

愛「わぁ!!みんな来てくれたの?!ほら、席は確保してあるから座って座って!!」

 

嬉しそうに駆け寄ってきた愛さんに誘導されて座る同好会メンバー。座るなりにやにやして俺たちを見る。……何だよさっさと注文しろよ。

 

エマ「2人とも、すっごく可愛いよ!執事とメイドのカップルなんて最高だね♪」

 

愛「そ、そうかな??……えへへ、ありがとう♪」

 

しずく「はい!先輩たちがいるからここのお店は大盛況なんですね!」

 

「気のせいよきっと。たまたまみんなメイド喫茶に入りたかっただけよ。」

 

かすみ「そうですよ!こんな執事がいるお店誰が入るんですか!」

 

「あぁ??俺だってこんな生意気な小娘の注文なんて受け付けねーっつーの!!」

 

彼方「こらこら、喧嘩はダメだよ〜??スマイルスマイル〜♪」

 

「ぐっ……ご、ご注文は??」

 

せつ菜「うさぎですか?!?!」

 

「ごめん、まじで何言ってんの??」

 

こうして我らメイド喫茶店は大盛況であった。休憩まで先が長いと思うと余計ダルさを感じてしまう。……まぁ、こうしてクラスの皆でこういうことするの好きだけどさ。

 

愛「あいよ!!!オムライスいっちょ〜!!!」

 

「愛さんそれメイドが言うセリフじゃないよ。」



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第94話

このキャラクターをヒロインにした話を見たいって人がいたら良かったら教えてください!!


地獄の大繁盛を終えて俺は制服に着替え屋上に来た。屋上は秋の涼しい風が吹き疲れを労ってくれるようだ。大袈裟と思うかもしれないがまじで疲れたんですよ。接客しろだ料理運べだ写真撮れだの散々で一息つかせてくれる暇もなかった。

 

「あー、なんだか眠たくなってきた……っ!?」

 

少し居眠りをしようかと思ったのも束の間、首筋にひんやりとした冷たい感触に遮られた。後ろを見るとにししとしてやったと言わんばかりの愛さんが手にジュースを持って立っていた。

 

愛「なーに寝ようとしてんのさ、これから屋台周りに行こうよ!!」

 

「やだよ俺疲れたもん。つかそれ秋にやらないでくれる??夏にやって欲しかった。」

 

愛「愛さんがせっかく持ってきたジュースに文句を言うつもり〜??もうあげないよ〜♪」

 

「いいよ別のジュース買うから。」

 

愛「何でそういう返しになるかな!?ほらこれ持って、行くよ!スタンドアップ!!」

 

「結局俺に渡すんじゃねーか。……行くか。」

 

通常……いやそれ以上にテンションの高い愛さんに連れてかれて屋上を後にした。校内に戻ると以前と賑わっており、屋台のチラシを左右から配られる。

 

「で、どこか行きたい所あるの??」

 

愛「歩夢のクラスのお化け屋敷行きたい!結構人気なんだよ??」

 

「お、お化け屋敷か……別のとこ行かない??」

 

愛「なになに、ジュンジュンさては怖いのか〜??」

 

「いやだって合宿でまじで恐怖体験したし。」

 

愛「あー……ジュンジュン怖いんだぁ??」

 

「一瞬納得したように見せかけ煽るのね。そんなに言うなら行ってやるぞ。」

 

愛「そう来なくっちゃ!!行こ行こ!!」

 

******

 

愛「うわぁ、こんなに雰囲気出るんだね。そりゃ人気なわけだ。」

 

「お化け屋敷ならどこもこんな感じだろ。……一番嫌なのは通路が狭いから歩きずらい。」

 

愛「確かにそうだねぇ……本物出るかな??」

 

「出ねぇよ。」

 

お化け屋敷に入ると当たり前だが周りが真っ暗で何も見えていない。入る前に渡された懐中電灯で通路を探して俺たちは歩いているのだが、妙に気味の悪いbgmが流れてより雰囲気が増している。これでコケたらどうすんだ……っ!?

 

「うおっ……!?」

 

愛「ちょ、ジュンジュン!?……あっ///」

 

嫌な予感的中、つまづきました。幸いというか申し訳ないというか前の愛さんに恥ずかしながら捕まったことでコケることはなかったのだが……何やら柔らかい物に俺の手は掴んでいるようだ。

 

愛「んあっ……ジュンジュン、そこ……ダメぇ。」

 

「………。」

 

やばいやばいやばいやばいやばい。愛さんのお胸に触っちゃってるよ何してんの俺これ後で死ぬんじゃないの??てかお化け屋敷でなにやってんの?!

しかし離そうにも意志には反して手が離れない。これが万有引力。

 

愛「こ、こら……いい加減離してよ……///」

 

「わ、悪い……まじでごめん。」

 

愛「もう……大胆なんだから。」

 

「待って、完全に俺が悪いんだけど不本意だからね??」

 

何を言っても言い訳にしかならないであろう事を愛さんに弁明しているとある気配に気付く。この場にもう1人誰かがいるのか、横にうっすらと見える。

おいおいまじで本物とかじゃないよな。

 

歩夢「きゅぅぅぅ……///」

 

愛・準太「………。」

 

あ、幽霊になってた歩夢ちゃんだった。



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第95話

歩夢「き、来てくれてありがとう。その……また後でね///」

 

「……///」

 

愛「……///」

 

気絶した歩夢ちゃんを起こした後、俺たちはお化け屋敷を出た。事故とは言え、あんなハプニングが起きてそれを見られてしまった後の気まずさは半端ない。顔を真っ赤にした歩夢ちゃんに見送られ今は2人で廊下を歩いているのだが、横にいる愛さんは未だ黙りだ。

 

「な、なぁ……次はどこに行く??」

 

愛「……エッチ」

 

「あ、あそこの屋台面白そうだぞ!愛さん好きじゃないのか??」

 

愛「おっぱい星人。」

 

ダメだ、全く聞き入れてもらえない。ジト目を向ける愛さんから必死に目を逸らし歩く。あーこれからどうしよ、これからおっぱい星人ってあだ名に変更されるのかなぁ。

 

愛「……他の女の子にこんなことしちゃダメだよ??」

 

「……は??」

 

愛「愛さん以外、触っちゃダメ。」

 

「……そんな事する訳ないだろ。俺が好きなのは、愛さんだけなんだから。」

 

愛「……じゃあ、許す。」

 

愛さんは顔を赤くしながらそう言うといつもの笑顔を見せてくれたのだが、ここで一つだけ言いたい……ちょー可愛い。

 

愛「あ、そういえばかすかすが劇をやるって言ってたよ!!見に行こうよ!」

 

「かすかすが??どんな劇をやるのかね……。」

 

愛「分かんない!でも凄い楽しみにしてたみたいだし面白いと思うよ!」

 

「本人がそこまで言うなら余程自信があるんだろうな、じゃー行くか。」

 

******

 

かすみ「ダメですっ、あなたには大切な人が……!!」

 

愛・準太「………。」

 

今、愛さんとかすかすの演劇を見ているのだが……くっそドロドロしている!!しかもあいつ浮気相手やってんじゃねぇかヒロインじゃねぇのかよ!!

 

愛「ね、ねぇジュンジュン……かすかすって最後どうなるんだろう??」

 

「分からんけど、多分あの王子様と駆け落ちするんじゃない??良く言えば愛し合った2人が結ばれるから良いんだろうけど、悪く言えば……不倫だな。」

 

愛「び、びみょー……でも感動してる子達もいるし作品的にはいいのかな??」

 

「俺に聞くな。何がヤバいってかすかすの演技力が無駄に凄いから反応に困る。」

 

俺と同じ気持ちの人もいるのだろう、愛さんが言うように感動して涙を流すものもいればかすかすの演技を引き気味に見ている生徒もいる。何故この演劇にしたんだよ……

 

かすみ「私も……あなたといたいです!2人で生きていきましょう!」

 

愛・準太「………。」

 

******

 

かすみ「2人とも来てくれたんですね!!感動したでしょ!」

 

愛「お、お疲れ様……えっと、演技上手かったね!!」

 

かすみ「ふふん、かすみんはスーパーアイドルですから♪ほら、先輩も何か言ってくださいよ!あ、もしかしてかすみんの演技が凄すぎて声が出ないんですかぁ??」

 

「……ある意味そうだな。」

 

かすみ「先輩が珍しく素直……気持ち悪いです。」

 

「この野郎……言っておくが演技がまじで不倫した経験あるのか並だったからある意味凄いと思ったんだよ!引いたわ!」

 

かすみ「なぁ…!!やっぱり先輩は先輩ですね!どうしてそんなひねくれた感想しか言えないんですか!かすみんを褒めるんです!」

 

「素敵な不倫演技流石でした。」

 

かすみ「また馬鹿にしてぇ!!もう許しません!」

 

「いてて、頬を引っ張んなよ!!さっきの汐らしさのかすかすはどこいった!」

 

かすみ「だーかーらー!あれは役になってただけですから!あとかすみんですぅ!!」

 

愛「はぁ、やっぱ2人はこうなるんだね……。」

 

愛さんが止めに入るまで俺とかすかすの喧嘩は終わらなかった。傍から見たら俺が浮気相手と揉めてるのを彼女が止めに入っているように見えたのだろう、喧嘩が治まってから色んな人に浮気は良くないだの何だの言われてしまった。

もうこれかすかすさっきの演劇とキャラ変わんねぇじゃん。全くもって誤解だけどさ。

 

愛「ジュンジュン……愛さんがいるのに浮気するなんて!!」

 

「おいやめろマジで誤解される。」

 



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第96話

愛「ねね、あそこ人たくさんいるよ!!」

 

「だなー、何の屋台なんだ??」

 

次に俺たちが来たのは3年生の廊下。他の学年と同様賑わってはいるのだがその中でもダントツで人だかりが出来ている教室があった。特に入口付近でガヤガヤしており、近づいてみると……

 

果林「あら、2人とも来てくれたの??」

 

「は、はぁ……気になって来たんですけど、先輩その格好なんつーかその……」

 

愛「エッチぃね!!!」

 

「言わなくていいから。」

 

朝香先輩がなんともまぁ自分の美貌を活かした服を着ていらっしゃった。何がヤバいって胸とかお尻がこれでもかと言うくらい強調されている。文化祭で何やってんの男ホイホイじゃんこんなの。

 

果林「ふふっ、せっかくの文化祭ですもの。これくらいしても怒られないわよ。」

 

「見てるこっちが恥ずかしいです。」

 

果林「そんな事言ってるけど、準太だって……ずっと谷間見てるじゃない♪」

 

「……。」

 

女性は男性の視線を感じることが出来ると聞いていたが本当のようです。はい、しっかりと見てしまっていましたごめんなさい。

 

愛「………。」

 

「痛い、痛い愛さん!!脇腹つねるのやめて!!」

 

愛「なーに彼女の前で他の女の子の胸見てんのさ!!愛さんご立腹だよ!!」

 

「こ、これは男の性と言いますか……。」

 

愛「そんなので納得する訳ないじゃん!愛さんだって果林くらいはあるもん!」

 

「おい!!こんなとこで何張り合ってんだよ!」

 

愛「胸だけに??つまんないよ!」

 

「そういう意味で言ったんじゃねーよ!」

 

愛「それに!ジュンジュンさっきお化け屋敷で愛さんの胸揉んだじゃん!」

 

はい爆弾頂きました。みんなの視線がこっちにくるーー。

 

果林「ふふっ、仲が良いのは素敵だけど、そういう話は2人っきりの時にしてね??」

 

「もう今日ついてない……。」

 

愛「むぅ……。」

 

果林「ほら、せっかく来たんだから楽しんでって??2人ともきっと好きだと思うわよ??」

 

愛「そういえば、果林のクラスは何してるの??」

 

果林「私たちのクラスは………」

 

******

 

エマ「じゃあ問題ですっ!私は何人兄弟でしょう!」

 

「………いや分からんって。」

 

先輩達のクラス……ここはクイズ大会であった。中に入るとエマ先輩が出迎えてくれて思ったよりもすぐ参加する事が出来たのだが、問題がムズすぎる。何がムズいって、スイスの問題かエマ先輩のプライベート問題出すから知ってる人だいぶ限られてくる。一緒に参加した生徒たちも眉間に皺を寄せて考えてはいるがきっと答えれない。

 

愛「えー何人だったっけなぁ……沢山いた気はするけど。」

 

「そっか、愛さんなら普段いるからそう言う話聞いたことあるんだな。」

 

愛「そうなんだけどさー、こういう時に思い出せないんだよねぇ。」

 

「えぇ……これ誰も答えれず終わるんじゃねぇの??」

 

エマ「皆さんどうしたんですかー??これはサービス問題ですよー??」

 

「嘘だろサービス問題エグすぎたろ。」

 

せつ菜「はいっ!!」

 

誰かが手を挙げた様で振り返ると生徒会長が自信に満ちた顔で手を挙げていた。……参加してたのかよ。

 

エマ「はい!では答えをどうぞ!」

 

せつ菜「6つ子です!!」

 

……そんなわけないだろ。絶対何松の事思って答えたろ。

 

エマ「んー、違うけど人数は惜しい!」

 

「えっ、そんないるの??」

 

愛「そうなんだよ!兄弟多かったと思うんだけどどれだけいたのかなぁ。」

 

「6人で惜しいんだろ……多いのか少ないのかどっちだ……。」

 

こうなったらフィーリングで答えるしかない。生徒会長は6つ子じゃなかったのがショックだったのか愕然としている。いや普通に6つ子なんて早々おらんて。

 

「……はい。」

 

エマ「おっ、準太くん!答えをどーぞ!」

 

「……8人。」

 

愛「ジュンジュン盛りすぎ!!そんなにいる訳ないじゃん!」

 

「うるせー!聞いたことあるとか言って隣で唸ってる愛さんよりマシだろ!」

 

エマ「正解です!準太くん良く知ってたね!」

 

「……まじ??」

 

当たっちゃったよ。まじか8人兄弟って初めて聞いたぞ。つか愛さん知ってたんじゃねーのかよ。凄い知ってた感出してるけど遅いからな??

 

せつ菜「くっ……6つ子ではありませんでしたが、8つ子もありですね!」

 

「だから8人兄弟なだけだって……。」

 

エマ「じゃあ次の問題いきますよ!」

 

愛「よっしゃあ!愛さんに任せなさい!」

 

「もう任せられない。」

 

エマ「私の好きなスイスの伝統文化は何でしょう!」

 

「知るかぁぁぁぁ!!!!」

 

この後出される問題全てエマ先輩問題で参加者全員苦悩した結果、誰も答えれず終わってしまった。俺たちの次に参加した生徒たちも同様の餌食となりただただ同情するのであった。

 

 



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第97話

愛 「いやー、昨日はすっごい楽しかったね!!」

 

「……そっすね。」

 

愛「やっぱ学祭はこうでなきゃ!!今日も派手に盛り上がろうね!」

 

「……そっすね。」

 

愛「ジュンジュンは今日はおねしょした。」

 

「……そっす……おい。」

 

愛「おいじゃないよ!愛さんこんなに元気なのに何でジュンジュンそんな死にそうな顔してんのさ!まだ朝だよ?!」

 

「誰のせいだよ誰の!!」

 

今日は学祭2日目。昨日の屋台やら出し物とは大きく変わって体を動かす事がメイン、つまり体育祭である。昨日の余韻もあるのだろうより一層テンションが高い生徒がたくさんおり、ハチマキを頭に巻いて気合十分の熱血バカもちらほらいる。

そんな中でどうして俺がこんな死にそうな顔をしているかと言いますと、昨日の夜に遡るーーー

 

******

 

「ふぅ……疲れたむり。」

 

1日目を終えていつもより早めに寝る準備を終わらせ布団にダイブする。ただでさえ日常が騒がしいのにその何倍も今日は騒がしくて振り回されて散々だった。1日バスケをするより遥かに身体が疲れてもう動けない。そう思っているとピロンっと1件のメッセージが表示された。気力の無い目でスマホを見るとやはりというか、愛さんからだった。

 

愛『ジュンジュンお疲れー!!愛さんだよ!!』

 

「……明日返そ。」

 

そう思いスマホを伏せて寝ようとするとまたメッセージが。

 

愛『まだ寝てないよね??ちょっと付き合ってよ!』

 

愛『おーいジュンジュンー??起きてるの分かってんだぞー??』

 

愛『こらーっ!反応しなさいー!!』

 

「……何でこんな元気なのこの子は。」

 

ずっと思っているがこの子の体はハイブリッドすぎる。リッターどんだけなんだよ。もう俺はゼロですなので寝たいのです。悪いな愛さん、今日は相手をする暇はない。

 

愛『貴様!見ているな!。』

 

『……何だよ。』

 

愛『やっぱ見てたんじゃん!!』

 

『誠に不本意ながら。』

 

愛『またまたそんな事言ってー♪』

 

『寝るぞ。』

 

愛『ご、ごめんって!!今電話できる??」

 

『むり。』

 

そう返信すると着信が入りました。もうみんなこの流れで誰か分かるよね??一応確認するか……はーい、愛さんでしたー。

 

「寝るって。」

 

愛「寝ない!寝かせない!ダメ!」

 

「何なんだよまじ。」

 

愛「ちょっとさー、今日の余韻?が残っててジュンジュンと話したいなーって。」

 

「別の人でいいだろ。明日聞いてやるから。」

 

愛「今じゃなきゃダメなんだって!あのね、今日さーー」

 

******

 

愛「……どしたのジュンジュン??」

 

「……何でもない。」

 

というわけで俺は愛さんによる名物弾丸トークで寝かせて貰えませんでした。お陰様で体調は最悪。これで競技に出ていいのか不安でさえある。

容疑者である愛さんはすっごい余裕そうで恨めしい。

 

愛「さてさて、今日も頑張ろうね!!」

 

「それなりには。」

 

愛「何言ってんの!!愛さん達リレーでアンカーなんだからそれなりじゃダメだよ!」

 

「そのアンカーは絶賛寝不足でして。」

 

愛「え、どして??」

 

「………この野郎。」

 

愛「痛い!痛いよジュンジュン!何で頭グリグリするのさ!」

 

こうして2日目の体育祭が始まる。どうせ今日もドタバタしてワチャワチャして散々な1日になるんだろうな。



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第98話

皆様お久しぶりです!

全く投稿してなくて忘れられてるかもしれませんが、、笑
これからもちょくちょく投稿していきたいと思うのでもし良かったら立ち寄ってください!


愛「よぉし皆、準備はいいかなー??」

 

クラス「おーー!!!!」

 

「………。」

 

愛「ちょっとちょっと、どうして掛け声してくれないのさ!」

 

「いやだってやりたくないもん。」

 

愛「子供みたいなこと言わない!みんなで決めたんだから覚悟決める!」

 

「俺は最後まで反対したんだけど。」

 

愛「そんな抵抗は無意味!数が全て!」

 

「これだから多数決なんて嫌いなんだ。」

 

愛「絶対楽しいよ!みんなでやると最高の思い出になるよね、"チアダンス"!」

 

体育祭が始まってお昼前の種目。この時間にクラスの出し物をするわけなんだが……お察しの通りうちの出し物はあろう事かチアダンス。いや別にいいよ?チアダンスなんて男からしたら目の保養になるし勇気貰えるし何だったら俺も見たい。だってチアダンスって女の子がやるイメージじゃん?でもね、どうしてかうちはクラス全員でやることになってしまった。……なんで。

 

******

 

愛「愛さんチアダンスやりたい!」

 

「どうぞお好きに。」

 

愛「ちょっとノリ悪いよ!彼女のチアダンスみたいでしょ??」

 

「自分で言う??てかチアダンスするなら男はどうすんだよ。」

 

愛「え、一緒にやるに決まってるじゃん。」

 

何その当たり前じゃん何言ってんのみたいな顔でこっち見てくんの?おかしいだろ普通こういうの女の子がやるやつだからね?俺は絶対やらない。

 

クラス男「えー、俺らもチアやるの?」

 

クラス男「まじかー、人前出れないって。」

 

………おい、お前たち嫌とか言いつつなんで満更でもない顔してんだよ。分かってんのか、スカート履くんだぞ??それを全校生徒に見られるんだぞ。

……うわ、カスカスに見られるとか無理。

 

愛「そんなこと言わないで、案外盛り上がるかもよ??」

 

クラス男「しょうがねぇな、でも撮ったりするなよ??」

 

だからなんでそんな満更でもない顔してんだって。それ振りなの??俺は絶対反対だ。

 

「却下。他の案を考えよう。」

 

愛「いいじゃん!チアって凄いんだよ?!もう見る側も感動!」

 

「チアダンスの映画みて影響されたんだろ、絶対そうだろ。」

 

クラス女「私もチアダンス賛成!楽しそう!」

 

クラス「うん!私も賛成!」

 

それに続くように私も私もとどんどん賛成者が募っていき結果……俺以外全員賛成しやがった。なんで俺だけだよ。

 

愛「てことで、愛さん達はチアダンスに決定ー!!」

 

******

 

愛「ジュンジュン似合ってるよー!」

 

「……殺す。」

 

抵抗も虚しく俺も服を着替えさせられ今はスカート履いてます。人生にスカートを履く日なんて来るなんて思わなかったわ。

あーほら撮られてるよ小馬鹿にしながらカメラ向けてる生徒たち。

 

かすみ「ぷぷぷ、先輩似合ってますよーさすがですねー♪」

 

「何だこの小娘蹴飛ばしてやろうか。」

 

かすみ「今の先輩に言われても全く怖くないですねー。むしろキュンですね。」

 

あーやばい殺意が芽生えてきたどうしよ、目の前でニヤニヤしながら見てくるスーパーアイドル笑を今すぐパンチしたいよどうしよ。

 

愛「あ、呼ばれたね!ほらジュンジュンも行くよ!」

 

「え、待って、ほんとに無理。」

 

愛「さぁ盛り上がっていこー!」

 

クラス「おー!!!」

 

「いやだぁぁぁぁぁ!!!」

 

こうして無理やり連れていかれた俺は全校生徒の前でチアダンスをするのであった。

もうこんな体育祭嫌だ。



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第99話

愛「いやぁ楽しかったね!!みんなも盛り上がってたしこれは大成功と言ってもいいんじゃないでしょうか!」

 

せつ菜「はい!まさに一致団結とはまさにあの事!皆さんのダンス最高でしたよ!」

 

「……あー帰りたい。」

 

果林「あら、準太もなかなか良かったわよ。まさかあの準太がチアの格好で踊って……ね♪」

 

かすみ「そうですよ!もうキャピキャピしてて可愛かったですよ♪」

 

「………。」

 

かすみ「痛い、痛いです!!なんでかすみんにだけ頭グリグリするんですか!そんなことしたら可愛い先輩が台無し……ぎゃぁぁ!!」

 

歩夢「じ、準太くん落ち着いて!」

 

あの悪魔の出し物が終わって今はお昼。愛さんと同好会とでお昼を食べている訳だが案の定話がチアダンスに持っていかれる。しかもバカにするやつ2名。

愛さんの言う通り盛り上がっていたがたぶんそれはチアダンス以外にもある。

何故かって?そんなのいじる声ときゃーきゃーいう声がちらほら聴こえたからね。

 

せつ菜「準太さん気を落とさないでください!あなたの勇姿、しっかりカメラに納めましたよ!」

 

「…………。」

 

せつ菜「ど、どうしましょう!!励ましたはずなのに余計沈んでしまってる気がします!!」

 

璃奈「それ励ましじゃないんじゃ……。」

 

愛「ジュンジュン良かったよ!他の子もジュンジュン目当てで凄い写真撮ってたし!人気者じゃん!」

 

「……………。」

 

愛「ち、ちょっと?!はぐれメタルになっちゃってるよ!」

 

歩夢「もう触れないであげようよ……。」

 

愛「しょうがないなぁ、そんなジュンジュンが元気になる物をあげよう!」

 

「元気になるもの??」

 

そう言うと愛さんがカバンから出したのは弁当箱。これは……まさか。

 

愛「ジュンジュンが大好きな、愛さんの愛さん弁当だよ!」

 

「上手いこと言うな。」

 

愛「まぁね♪ほら、開けて開けて!」

 

「あ、ああ……。」

 

愛さんの弁当は前回食べたことがある。おかずのひとつひとつが魅力的で食べても食べても足りないくらい美味かった。これをまた食べれるなんて確かに元気はでるかも。

内心楽しみにしつつ開けると……

 

「……あの、愛さんこれは。」

 

愛「愛さん特性お好み焼きだよ♪」

 

「おかずないのか……。」

 

愛「あ、たこ焼きもあるよ??」

 

「たこ焼き……。」

 

中にあったのはこれでもかと言わんばかりの具が入ったお好み焼き。いや嬉しいよ?美味しそうだし食べたいよ?でも……おかず欲しかった……。

 

かすみ「なんですかその不満そうな顔は!!せっかく持ってきてもらったのに失礼な!食べないならかすみんが食べます!」

 

「ふざけんなこれは俺のだ!カスカスは自分のあるだろ!」

 

「先輩が食べないなら勿体ないから食べると言ってるんです!愛先輩が作ってくれたのにこの我儘男め!」

 

愛「あ、あはは……失敗だったかな?ジュンジュン前美味しそうに食べてたからきっと喜ぶかなって思ってたんだけど……。」

 

愛さんを見るとえへへと笑っているもののどこか悲しそうな顔になっていた。違うんだよ、お好み焼きが嫌だった訳じゃなくて……

 

かすみ「わー!泣ーかせた泣ーかせた、先輩が泣ーかせた!」

 

「うるせぇクソガキが!……はぁ、違うんだよ愛さん。」

 

愛「違う……??」

 

「お好み焼きが嫌だった訳じゃなくて、その……愛さんが作ったおかずが凄い好きで……食べたかっただけなんだよ。惚れた女の作ったものだから余計。」

 

愛「………///」

 

「でも変な態度とってごめんな、お好み焼き作ってくれてありがとう。えっと……いただきます。」

 

愛「あ、うん!!たくさん食べてね……///」

 

愛さんは顔を真っ赤にしながらもまた笑顔になってくれていた。その顔に安堵しつつお好み焼きを食べる……うん、やっぱ美味い。

 

歩夢「なんかいいなぁ……」

 

せつ菜「これがリア充は爆発しろですね!」

 

果林「あ、あなたはどこからそんな言葉を覚えてくるのかしら。」

 

彼方「というか……また2人の世界になっちゃったね。」

 

全員「………うん。」



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第100話

お昼休憩を終えて午後の部に入った。愛さんの弁当を食べ終わったお腹は重くあまり激しい競技じゃなければいいと思っているのだが。

ええっと、次は……

 

愛「ジュンジュンほら行くよ!」

 

「ちょ、行くってどこにだよ??」

 

愛「次の競技に決まってんじゃん!ジュンジュンの出番だよ?!」

 

「俺の出番もっとあとじゃなかった?」

 

愛「騎馬戦だよ!」

 

………は??

 

「騎馬戦後半だったろ?!なんで今なんだよ!」

 

愛「なんかスケジュール変更したみたい!まぁ男子達も盛り上がってるしその勢いで騎馬戦になったって!」

 

「いやいやその変更した理由なんだよ!?よっぽどそんな事ないぞ!」

 

愛「愛さんに言わないでよ!ほら、みんな待ってるから行くよ!」

 

******

 

「おー準太、待ってたぞ!」

 

「うちのエースはお前だからな!期待してるぞ!」

 

愛さんに引っ張られ男子たちのとこへ行くと異常な程に盛り上がっており愛さんの言っていた事が盛ってないことを理解せざるを得ない。

おいこらそこ服を脱ぐな。叫ぶな走り回るな。

 

「なんでこんな盛り上がってんだよ。」

 

「そりゃお前、騎馬戦と言えば男の勇姿見せれるだろ?」

 

「そんで勝ったらもっと盛り上がるだろ?」

 

「そしてその後……」

 

「「「女子にモテるだろ??」」」

 

「………。」

 

こいつら煩悩しかねぇじゃねぇか。

 

「お前は宮下さんいるからいいじゃんかよ!でも俺達にはそういう子がいねぇんだよ!」

 

「なんであんな可愛い子と付き合えてんだよ!羨ましい!」

 

「あぁ早く彼女欲しいー!」

 

「俺こんな邪念しかない奴らと騎馬組むの?」

 

もはや不安しかない思いを募りながら残酷にも開始の時間がきてしまった。

アナウンスと共に入場し、各々騎馬を組んでいく。周りを見ると目が血走ってる奴ばかりでこれから始まる騎馬戦が壮絶なものになる気しかしない。

 

愛「ジュンジュンー!!頑張れー!男見せろー!」

 

外で愛さんがメガホンを使って声援を送る。彼女が応援してくれるのはこれ以上にないほど嬉しいんだが……

 

「「「………。」」」

 

土台の3人が恨めしそうな顔をしてこちらを見上げてくる。そんな顔すんなよ、こいつらとこれからやるの心配でしかないんだけど。

 

「それでは騎馬戦を始めます。」

 

ピーっと笛が鳴ったと同時に全男子が雄叫びを上げたと同時に掛け始めた。

もうせめてこの身は無事に終わりたい。

しかしその願いはかき消されそうなようで。

 

「よぉし!まずはリア充夏目を狙うぞ!全員ついてこーい!!」

 

「「「おー!!」」」

 

「……は??」

 

相手側から叫ばれたと同時に大勢の騎馬がこちら目掛けて突進してくる。

おいおいおい!!!冗談じゃないぞ?!

どうやらこの騎馬戦はリア充を片っ端から潰していく趣旨になっているようだ。

 

「やべ、こんなに相手するのかよ!」

 

「安心しろ準太!俺たちが守ってやる!」

 

「本当は相手側にいたいけどな!」

 

「お前ら味方だろうが?!」

 

えーこんなのやだ。とは思うがこんな大勢で向かわれたがこちらも覚悟を決めるしかない。あーもう知らないどうにでもなれ!

 

「どちくしょー!!!」

 

愛「あーあ、ジュンジュン完全的じゃん。」

 

せつな「でも見てください!なんだかんだ凄い気合い入ってますよ!これは何かあるかも!」

 

果林「いや、あれは多分……。」

 

璃奈「やけくそになってるね。」

 

愛「でもなんか楽しそう!愛さんもやってみたい!」

 

こうして俺は愛さん達に見物されながら理不尽な騎馬戦をするのであった。

 



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第101話

「し、死ぬかと思った……。」

 

愛「ジュンジュンおつかれー!大活躍だったね!」

 

「どこがだよ。相手全員に追いかけ回されてボロボロにされたんだぞ。」

 

愛「でも何人かはちまき取ってたじゃん!いやぁさすがだね!」

 

「無事に終わりたかったわ。」

 

地獄の騎馬戦がようやく終わり、今はクラスのテントで休んでいる。開始と同時に狙われた挙句味方は誰も助けてくれず結局打ち果てました。

がむしゃらになって何人かはちまき取ったが結局数には叶わなかった。

 

かすみ「先輩男子生徒にも大人気でした!モテる男は辛いですねぇ??」

 

「あっち行け。」

 

かすみ「なんですかその態度は!せっかく可愛い後輩が慰めに来てあげたのに!」

 

「頼んでねぇわ!第一ここお前のクラスじゃないだろ!」

 

愛「まぁまぁそう言わずに!黙って労ってもらいなさい!」

 

「いやなんか違う。」

 

愛「もー不貞腐れちゃって。あ、次は愛さんの出番だね!てかジュンジュンもじゃん!」

 

「………えぇ??」

 

愛さんに言われ競技を確認すると次は"借り物競争"と書かれていた。そういえばこれも出なきゃだったなぁ……俺今終わったばかりなんだけどなぁ。

 

歩夢「準太くん、私も出るから一緒に頑張ろ??」

 

「歩夢ちゃんも出るの?なんか意外。」

 

歩夢「こ、これしか残ってなくて。」

 

「そ、そっか。」

 

愛「歩夢も出るの?!これはテンション上がりますなー!」

 

「君はいつだってテンション上がってるでしょ。」

 

愛「まーたそんなこと言って!ジュンジュンも楽しみでしょ!」

 

「いや全く。」

 

愛「あ、呼ばれたよ!それじゃー出発ー!」

 

「え、無視??おいだから引っ張んなって!」

 

******

 

こうして借り物競争を行っているわけなのだが、俺が取った札はとんでもないものが書かれていた。

えぇこんなんひとりしか思い当たらないじゃん。

 

「あの子どこにいるかなぁ……探すのがもう苦労じゃん。」

 

周りを見渡すと参加者がそれぞれ提示されたものを借りに走り回っている。すると後ろから肩を叩かれ振り向くと……

 

かすみ「せ、先輩……ちょっといいですか?」

 

「やだ。」

 

かすみ「なんで断るんですか!かすみんの頼みですよ!」

 

「やかましい!てかお前もこの競技出てるのかよ!」

 

かすみ「好きで出てないですよ!それより行きますよ!」

 

強引に手を捕まれゴールへ向かう。なんで俺はこいつに引っ張られてんだよ。そもそも借り物が俺って……まさか。

 

「な、なぁ…ちなみにお題ってなんだ?」

 

かすみ「ゴ、ゴールしたら教えます///」

 

珍しく顔を赤くしてこちらを見ずに言うかすかす。……え、やっぱこれってそういうことだよね?

考えを巡らせているうちにゴールをし、ようやく手を話してくれた。

するとかすかすは満面の笑みをこちらに向けた。

 

かすみ「いやぁ先輩のおかげでゴール出来ました!ありがとうございます♪」

 

「お、おう……ところでお題って……」

 

かすみ「しょうがないですね〜見せてあげますよ♪」

 

ドキドキしながら渡された紙を見る。するとそこには……

 

「"生意気な先輩"??」

 

かすみ「もうこんなの先輩しかいないじゃないですかぁ。」

 

「このやろう……どこまでイライラさせれば「ジュンジュンいた!」……え?」

 

可愛くない後輩を始末してやろうと思った矢先、愛さんに声をかけられ今度は愛さんに手を引っ張られてゴールへ向かう。

 

「な、なんだよ!愛さん何書いてあんだよ!」

 

愛「それは秘密ー!」

 

「なんでどいつもこいつも教えてくれねぇんだよ!」

 

愛「細かいことは気にしない!このまま真っ直ぐゴールするよ!」

 

またしても強引に引っ張られ愛さんと共にゴール。愛さんは隣ではしゃいで飛び跳ねてる。こらこらいつまで跳ねてるんだ?

 

「それで、お題ってなんだったんだ?」

 

愛「え、えっと……これ。」

 

恥ずかしそうに紙を渡す愛さん。あれ、このシチュエーションかすかすと同じじゃね??嫌な予感……あれ。

 

「"大事な人"……。」

 

愛「見た時やっぱ思い浮かぶのジュンジュンしかいなくてさ///」

 

「そ、そっか……。実は俺もお題で愛さんを探してたんだけど。」

 

愛「そ、そうなの?!てことはジュンジュンのお題も……///」

 

「え、あー……俺はいいんだ、やっぱ他の人探す。」

 

愛「なんでさ!愛さん探してたんでしょ?!それならもうゴールでいいじゃん!ほら見せて!」

 

「い、いやこれは……。」

 

愛「愛さん見せたんだからジュンジュンも!ほら!」

 

「や、やめろ、」

 

愛「えへへ、ジュンジュンも同じような……」

 

はにかみながら俺のお題を見る愛さんは一瞬で笑顔が固まった。なぜなら俺のお題は……

 

愛「ちょっとジュンジュン!"うるさい人"なにさ!愛さん探すのおかしいでしょ!」

 

「4月からあんなに隣で話されたらもう頭に愛さんしか思い浮かばなかったんだよ!」

 

愛「さっきの流れでよくこれ出せたね!ありえないよ!」

 

「愛さんが出したんだろ!俺だってこんな流れになるなんて思わなくて出せなかったんだよ!」

 

 



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第102話

皆さんお久しぶりです!

久しぶりに投稿しました、、
また投稿しますので待っててください!
いつも見て頂きありがとうございます!


借り物競走後も多くの種目が行われ、そしていよいよ最後のクラス対抗リレーとなった。それぞれのクラスから運動部がぞろぞろと準備を始め、周りは出場者に多くの声援をする。

最後のリレーであることもあり今までの倍盛り上がりが見られるが1人だけその真逆のテンションがいる。

 

「……はぁ、やだなぁ。もう休みたいなぁ。」

 

俺である。

 

愛「ちょっとジュンジュン!!ひとりだけどんよりしたオーラ出てるよ!ほら盛り上がっていこうよ!」

 

「いやさ、みんながクラス代表で選んでくれたのは嬉しいよ?でももう限界なのよ。」

 

愛「限界なんてない!!もしあるなら超えていくだけ!やるしかないっしょ!」

 

「いいえ、限界はあります。まさに今。そんなもの超えてたまるか。」

 

愛「まったく……。ジュンジュンがそんなんじゃせっつー達に勝てないよ?」

 

「……ん?今なんて言った?」

 

愛「へ?だから、そんなんじゃせっつー達に勝てないよって。」

 

愛さんの言葉を聞き周りを見渡すと確かに意気揚々と準備運動をしている生徒会長がいた。

おいおいおい……会長はだめだろぉ、、

球技大会でのプレイを思い出し身震いしてしまう。

 

「やっぱ無理。選手交代。」

 

愛「え?!ちょっと急にどうしちゃったのさ!」

 

「生徒会長出るならフラグは立っている。無理無理まだ死にたくない。」

 

愛「何わけわかんないこと言ってんの!ほら行くよ!」

 

「やだ!やめて!行きたくないー!!」

 

「………なんか夏目くん、愛ちゃんに引きずられて行ったけど大丈夫かな?」

 

「まぁ大丈夫じゃない?あの純愛カップルうちのクラスだけじゃなく全校でトップレベルで足速いし!」

 

結局しびれを切らした愛さんに引きずられて向かうことになった。

周りからちらちらと視線が向けられるのが分かる。そりゃそうだよね、駄々こねて嫌がる高校生男子を引きずる女子高生見たらそうなるよね。

てか純愛カップルってなに?しかも純の感じ違うし。

 

せつ菜「おー!!2人とも参加するんですね!負けませんよ!」

 

愛「愛さんたちも負けるつもりないよー!愛さんたちのパワーを見せてあげる!」

 

「あぁ神様どうか会長と同じレーンじゃありませんように。」

 

こうして俺が天に向かってお願いしているうちにリレーの時間になった。

各選手がそれぞれのレーンに向かいスタートを待つ。

出場選手は4人で愛さんが3番手、俺が最後のアンカーとなった。正直俺は3番がよかったが愛さんが自分がバトンを渡したいと譲らなかったことでこの順番となった。くそ、そんなこと言われたら断れないじゃないかキュンとしちゃうわ。

そして俺も指定された場所まで行き始まるのを待っていたのだが……

 

せつ菜「おぉ!!夏目くんがアンカーなんですね!これは尚更負けられないです!球技大会のリベンジマッチですね!」

 

「………。」

 

悲報、夏目準太死す。



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