英雄伝説 南斗の軌跡 (61886)
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原作前
プロローグ さらば世紀末!そして新たな伝説の始まり‼︎


……………………

 

 

「南斗水鳥拳奥義‼︎飛翔白麗!」

 

 

レイの技が唸りユダの肩を貫いた。

 

「衰えたなユダ…」

 

 

 

「勝負はついたようだな」

ケンシロウの一声により勝負は終わり、ユダの部下たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

 

 

 

 

 

 

「レイ…おれより強く美しい男よ!!」

 

「フ…レイおれの心の中には いつもおまえがいた」

 

「だがとうとうおれはお前を超えることができなかった 最後の最後で幻影を突き放すことができなかった」

 

「そ…それがおれの弱さ!!」

 

「だからおれはマミヤになにもできなかった」

 

「フッ…おれが心から美しいと認めてしまったもの その前でおれは無力になる」

 

 

 

 

 

 

 

「ユダ…」

 

「フッ妖星が義星に心惹かれた時から妖星は義星によりその光を消す運命にあったのだ」

 

「レイ…おれがただひとりこの世で認めた男…」

 

「せめてその胸の中で!!」

 

そしてユダは糸が切れた人形のようにレイの胸の中で眠るようにして力尽きた。

 

 

 

 

 

 

「ユダお前もまた孤独‼︎だが…俺もすぐに行く…」

 

「さらばだ南斗六星拳伝承者妖星のユダ」

 

 

 

 

 

 

「レイ!!」

 

「フッ…とうとう最後の時がきたらしい」

 

 

「レイ!」

 

「マミヤ…いいか死兆星が頭上に落ちる日まで精一杯生きろ‼︎ たとえ一瞬でもいい‼︎女として生きろ女の幸福を求めるのだ‼︎」

 

「さらばだ!」

 

 

「レイ‼︎」

 

「くるな‼︎ きてはならぬ…俺はお前にだけは俺の砕けていく無様な死に方をみせたくはない」

 

せめて…どうか幸せに暮らせ、それが俺の願いだ。

 

 

「しあわせにな!」

 

 

「レ…レイ‼︎」

 

 

 

 

「トキ、世話になった」

 

 

 

「うむ」

 

 

 

 

「ケン 生つづけろ死ぬなよ 今の時代お前の北斗神拳が必要なんだ!涙を笑顔にかえるために」

 

 

 

「…うむ」

 

 

 

 

「に…にいさん」「レイ!」

 

 

 

 

 

「アイリよ…先にゆくにいさんを許せ…」

 

 

 

 

「さらばだ!」

 

 

「さらばだ」

 

 

「レイ…」

 

 

 

小屋の中に入ると、とうとう最後の時が来たようだ。

 

ドグオオオ‼︎‼︎…パァァ、

 

ゴト!

 

 

 

 

 

 

「‼︎」

 

扉の隙間からレイの血らしき液体が流れてきた。

 

 

 

 

 

 

「ううっ‼︎うわああ にいさぁん」

 

 

 

「レ…レイ」

 

 

「うう…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レイ…忘れはせぬお前もまたよき宿敵シンと同じく 俺の中に生き続ける」

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

そこで一人の男の命が散った筈だったが! 神がおこした偶然か!?または空の女神エイドスにより起こされた奇跡か!?その真相は今だ誰も分からない!

そしてこれより物語が始まった!果たして運命やいかに!

南斗と北斗、そして空の女神エイドスが交差する時!一体何が起こるのだろう‼︎‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………おねがい……………みんなを…まもって………………

 

 




どうも始めまして、デスマッチです
処女作であり人生初の投稿なので、誤字脱字、文書が幼稚など至らない箇所がありますが温かく見守って下さい。
どうかよろしくお願いします。


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南斗の軌跡 1話 戦火の渦!世紀末から来た凄いやつ‼︎

プロローグの最後、分かる人はわかりますよね


 

今何か聞こえたような?

 

 

「…ここは?」

 

 

気がつき、辺りを見回すと森の中にいた。

 

なぜだ!?俺は確か小屋の中で死んだはずでは?

それになんでこんなにも自然が溢れかえっているのだ!?核の炎に包まれ世界は地獄の荒野のようになりこんなにも樹々が溢れている場所など存在するはずがないのに。

…そして俺の身体がなぜこんなにも軽いのだ!?ラオウに秘孔心血愁を突かれ三日の命となって死んだはずが生きている…。さらに突かれる以前に戻ったように身体に激痛がなく軽い、先ほど傷まで無くなっている。

 

近くに小川があり自分の顔を確認すると、延命の為にトキに心霊台を突いてもらい白髪になった髪まで元の黒に戻っていた。

 

「…一体なぜ?」

 

頭が混乱しながら考えてもみたが、全く見当がつかなかった。

 

ここにいても仕方がないので近くに村や集落がないか探索することにした。

 

しばらく歩き続けたがどうやら深い森のなからしい、このご時世ここまで樹々が多く清らかな小川が流れ空気もうまい、こんな場所が存在するのはおかしすぎるが…考えてもわからん。

 

さらに進むと嗅ぎなれた匂いがしてきた、“何かが燃える匂いだ”、匂いがする方向に向かって行くと、大きな村があったのだが、“村全体が燃えていたのだ”!

 

「クッ野党か!」

 

 

今考えればおかしなことだらけだが、その時は何も考えず村に向かって走るだけだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

ロレント市

 

ロレントは戦火の炎に巻き込まれていた。

町の中心に位置する時計台の近くに2人の親子がいる。

母親は娘を抱きかかえ自分の家に避難していた。

「…おかあさん」

娘エステルは聞こえてくる爆撃や銃声そして、悲鳴などで恐怖し身体を震わせながら母親にしがみついていた。

「…大丈夫だよ、エステル」

母親も恐怖で震えそうになっていたが、娘を怖がらせてはいけないと思い必死に堪えていた。

すると、爆音が響き次の瞬間目の前の時計台が崩壊し瓦礫が二人を襲った。

 

「!!!」

 

母親は娘をさらに強く抱きしめ庇い、この子だけはと刹那に願った。

 

 

 

 

 

しかし、死を覚悟した瞬間に誰かに抱えられその場から飛んだのだ、恐る恐る目を開けると時計台から少し離れた場所まで移動していた。

そして目の前には黒髪の体格の良い一人の青年がいたのだ!

 

「あぁ…あなたは?」

 

 

「…怪我はないか?」

 

 

青年は心配そうに訪ねてきた。

 

 

「あっ!はい大丈夫で!?」

 

エステルは!?

 

「…おかあさん…、お兄ちゃんは誰?」

 

 

よかった本当に、それだけで涙が出てきた。

 

「…それより避難したらどうなんだ?安全な場所まで護衛しよう」

 

 

「あっ!はい…おねがします!」

 

 

 

この人は帝国兵でもなさそだろう、私はこの人案内しながら家まで避難することにしたのだが、多くの足音がし前から帝国兵が走ってこちらに向かい、囲まれてしまった。

 

 

 

 

「いたぞ!殺せ」

 

 

そういい銃を構えた。

 

 

「…なんだ貴様ら、野党にしては随分出来た格好じゃねえか、女子供ばかり狙う畜生ども」

 

 

「なんだ貴様、ロレント市民は皆殺しとの命令なのだ!貴様から殺してやる!」

 

 

「…なんだと」

 

一瞬レイの威圧にびびった兵士だが持ち直し銃を再度構えた。

 

 

「もういい、親子共々ころ「外道が」!?」

 

 

帝国兵は目の前の事が信じられなかった、目の前の男が腕を振るっただけで部隊長の首が飛んだのだ!

母親は娘に見せないように目を隠しながら自分を目をつむっていた。

帝国兵は恐怖で震えながらも動力銃を男に向けたが!?

 

 

「遅い!南斗水鳥拳奥義‼︎湖面遊!」

 

 

その場から移動し腕を振るい残りの帝国兵の首を刈った。

 

 

数秒後、すでに十人以上いた帝国兵で息をしているものはいなかった。

 

 

 

「おい、急ぐぞ」

 

 

「はっはい!」

 

 

すぐに母親は我に返って、自分達の家へと向かった。

 

 




亀更新になりますが、よろしくお願いします。


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南斗の軌跡 2話 レイよ!お前はこの世界で何をする‼︎

 

三人は森を急いで駆け抜けて行くと一件の家が見えてきた。

 

 

「はぁはぁ、ここまで来れば帝国兵も来ないでしょう…ああ、遅くなりましたが私はレナ・ブライトと申します!この子は娘のエステルです」

 

「エステルだよ!お兄ちゃんありがとう‼︎」

 

 

 

「………レイだ」

 

 

「レイ君ですか、危ない所ありがとうございます!」

 

 

母親は深く頭を下げてきた。

 

 

「いやそれはいいが、ここはどこなんだ?」

 

 

「⁇リベール王国のロレントですが?」

 

「リベール?ロレント?…では何故こんなにも自然が溢れかえっているのだ?」

 

 

 

「はい?」

 

「ん?」

 

 

双方会話が成立しなく混乱し、とりあえず家の中へと招待され話を続け、双方の話を整理して俺が出した答えが"別の世界"というぶっ飛んだ答えだった。

 

 

「別の世界ですか…」

 

「いや…別に信じなくてもいいさ、俺自身信じてないからな」

 

完璧に頭のおかしな奴が出す答えだったが、それ以外考えることができなかった。

核戦争が無かったのはもちろんのことで、導力器(オーブメント)や空の女神エイドスなど今まで生きてきたが聞いたことのない言葉が幾つも出てきて、それ以外考えつかなかった。

 

「いえ信じます!あなたが嘘をついて得することもありませんしそうゆう人にもみえませんから、何より恩人なのですし!」

 

 

「…そうか」

 

とりあえず信じてもらえたことに安堵した。

 

 

エステルは会話が難しく寝てしまったようだ、その後お礼をかねて一晩厄介になることになった、夕食は予想してはいたが戦争前のちゃんとした食事であった…まともな食事などいつ以来だったろうか。

 

「お兄ちゃん、大きいね!ねぇ高い高いして!」

 

 

「あっ、…あぁ」

 

「えへへ♪」

 

 

 

 

 

娘のエステルは俺を怖がらずに懐いてくれた、人懐こそうだと思っていたが見た目が怖い俺によく懐いてくれたな…。

 

その後、毛布だけもらい居間で横になり考えた。

 

 

「………案外存在するのかもな、空の女神とやらも…」

 

死ぬ運命だった俺を世紀末の世界からこの世界に連れてきて、再び命を呼び起こしたなど、神以外できはしないだろう。しかし……………

おそらくもう戻れる事はできないだろう、

「ケン、アイリ…マミヤ…俺はまだ死ねないようだ…」

だが、唯一の肉親のアイリ、あの人形のようにしか生きることができなかった妹は、俺から離れ自分の意志を持つことができた、…もう心配いらないだろう。

最愛の女マミヤにもケンがいる!心残りはあるしかし、俺は死ぬ運命にあったのだ。

ならばせっかくの命、俺はこの世界で義星として生きていこう!

向こうでケンが平和を掴もうとしているように!

それが愛を教えてもらった女、宿敵への俺ができる唯一の借りの返し方だ!

 

 

「ユダ…すまない、まだ行けそうにない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




んーレイの口調が掴めなく、なんかレイぽくないなどあると思いますが、これから少しづつ勉強して行きたいと思っていますので了承下さい。

4月25日 最愛と書く場所が最悪になっていた所を修正しました。


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南斗の軌跡 3話 世紀末の伝説の勇者とリベールの英雄‼︎

翌朝目覚めこの家を出ようとしたところにエステルに止められた

 

「…行っちゃ嫌だよ…レイお兄ちゃん…」

 

そのあとレナにも止められせめて戦争が終わるまで家にいろと言われ断ったが断固拒否され仕方なくもう暫く滞在することにした。

 

時間をみてレナにこの世界の常識や通貨や文字を教えてもらい、レナが家事をしている時はエステルの面倒を見ている事になった、エステルは年相応に活発な子で虫取りに行ったり、庭の川で釣りをしたりと 数日前までは考えられない様に充実した日々を過ごしていた。

 

「レイ兄! 網とって!」

 

エステルはよく俺によく懐いてくれて 俺の事をレイ兄と呼ぶ様になった こんなにものどかな日々をまた過ごせるとは思ってもいなかった。

 

エステルをみていると小さい頃のアイリが重なって見えてくる、

戦争前家族で過ごした時間の様に、平和な頃に戻った様に充実しこの数日を過ごした。

 

レナに戦争はどうなんだと聞けば、何でも、もうそろそろ終戦じやないかと言われているらしく父親が帰って来るそうだ 父親は軍人で、今回の戦争で英雄と呼ばれているらしく、おそらく帝国兵は報復のためにロレントを襲撃し住人を襲ったのだという。

 

「……その途中まさか俺に出くわすとは」

 

 

俺はこの世界のどんな奴にも勝つ自信がある、 元の世界で生きるために戦ってきた俺にはあの程度が何人いようと負ける気がしない、あのレベルの兵士なら千人居たとしてもそこいらの野党とどっこいだろう、まぁ元の世界でもたいした奴はそういないが、少なくともこの世界ではラオウやサウザー、トキそしてケンレベルの達人は存在しないだろう。

 

「? レイ兄どうしたの?」

 

エステルが不思議そうな顔しこっちを見ていた。

 

「ん…いや何でもないさ」

 

暫くすると夕暮れになり家に入ろうとすると一人の軍服らしき服を着た男が必死になり走って向かってきた エステルを見た瞬間に駆け寄り問いただした。

「エステル‼︎ 無事だったのか?」

 

 

「あっ! お父さん お帰り〜 大丈夫だよ!」

 

「そうか!本当によかった…」

 

我が子の無事を確認し父親は安堵していた

 

「エステル レイ君そろそろごはん…あら貴方!?」

 

どうやらレナは食事の準備が出来たらしく呼びに来たらしい 父親はレナを見ると一目散にはしり顔や体に怪我がないかと確認していた

 

「よかった、 本当によかった ロレントが帝国兵に襲撃されと聞いた時は肝をひやしたよ…」

 

「ふふ、大丈夫よ帝国兵に囲まれたり瓦礫に潰されそうになりましたけど、そこのレイ君に助けてもらったんですよ」

 

「なっ!!本当か!」

 

「ふふ、大丈夫ですよ」

 

「…そうかよかった… ところでレイ君? ほう君が!」

 

どうやら俺の事に気がつかなかったようだな、まぁそれよりも自分の家族の安全が先か。

 

「どうやら君に助けられたようだ とにかく…ありがとう私の家族を守ってくれて」

 

「…気にするな、助けられるから助けただけだ」

 

「それよりもご飯できてますよ 貴方もエステルもレイ君も早く食べましょう!」

 

その後父親のカシウス・ブライトと共に食卓を囲み談話していた その中でリーベルは帝国に講和条約を結ぶ事が決定し一次的に帰還が許されたのだという。

 

ならば 明日の朝旅立とう、そして最初にこの国、人を見て回ろう

 

その事を食事が終わり話したらレナは悲しそうな顔をしながら「…そう」とだけいい エステルは泣きながら「行っちゃやだよ」と俺の足にしがみ付きながら涙を流し、訴えかけてきた。

 

「…エステル」

 

エステルの顔の高さまでしゃがみ涙を指で拭き取った

 

「なにも一生の別れではない、またいつか必ず会いに来る」

 

「!本当に‼︎」

 

「あぁ 約束しよう」

 

エステルは泣き止み小指を出し指切りしようと言ってきた

 

「「指切拳万〜、嘘ついたら針千本呑〜ます 指きった!」」

 

「絶対だよ!」

 

エステルはその後疲れて眠ったので俺がエステルをベッドまで運び居間に戻ろうとするとカシウスとレナが座っていた。

 

「ん…あレイ君 とりあえず座ってくれないか?」

 

カシウスに椅子を引かれたのでとりあえずそこに座った。

 

「改めてお礼を言うよ レナとエステルを助けてくれて…ありがとう」

 

深くお辞儀をし続いてレナも頭を下げた。

 

「…気にするな、先ほども言ったが助ける事が出来たから助けただけだ」

 

頭を上げカシウスは真剣な表情になり観察する様な目になり問いただした

 

「んで、君の事はレナから少し聞いたよ なんでも異世界から来たとか」

 

「………別に信じなくてもいい、普通そんな事言われても頭がおかしいとしか考えられないからな」

 

普通そうだろう…異世界から来ましたなんて言われても誰が信じるか

 

「…いや 何というか君の雰囲気やオーラがこの世界の物とはかけ離れていて何か違う!そう思えてね、だから私は信じるよ!」

 

…先ほどまで俺を観察するような目をやめ元の表情に戻った。

 

「…それより 君はどんな人生を歩んできたんだ、君の目を見ると悲しそうな目をしているのだが…いや差し支えない程度で構わないのだが」

 

 

 

「………分かった」

 

俺は今まで過ごして来た軌跡を二人に話した。

元の世界は戦争で地獄の荒野に成り果て暴力が支配していたた事

南斗六聖拳の一人であり、己の星の宿命に生きてきた事

両親は留守中に胸に七つの傷の男に殺され妹を連れ去った事

その男を探し殺す為、世を呪い時代を憎んで、人の心を捨て修羅に落ち泥をすすってまで生きてきた事

そして妹と再開し乱世の世の中を救うだろう強敵と最愛の女と出会い愛を教えて貰い、修羅から抜け出す事になった事。

俺は全てを語った。

「……最愛の女の為に戦いそして、強敵であり友である男に全てを託し俺は死んだはずだったが、しかし気がついたらロレントの森の中いた…まぁこんなところだ」

 

部屋一面が静寂に包まれた、カシウスとレナはこの青年が辿ってきた軌跡があまりに残酷で無情で救いようがなく、青年の世界に悲しみと憤りを覚えた。

 

「…そんな…そんな世界の中で貴方見たいな子が…そんな………」

 

レナは自分の事の様に悲しんでいた。

 

カシウスは終始難しい顔をし「…辛かっただろうに」それだけつぶやいた。

 

「それでレイ君、君はこれから旅をするそうだが、その宿命とやらのためなのかい?」

 

「あぁ、せっかく拾った命だ宿命に生きるのも悪くはない、何よりあいつは向こうで平和を掴もうとしている、俺もこの地で人助けでもしながら旅をするよ…」

 

「…そうか なら私と共に遊撃士にならないか?」

 

「あなた!?」

 

レナは驚き椅子から立ち上がった

 

「レナ、私は軍をやめて遊撃士になろうと思う!、軍では守ることが出来ないものがあるということが…今回身にしみたよ…」

 

夫の揺るがないだろう決意にレナは微笑みながら頷くだけだった。

 

「あなたがそうゆうのでしたら私はそれに従い支えるだけですから」

 

「そうか…ありがとうレナ、レイ君どうだ?共に遊撃士としてやってはいかないか? 遊撃士の理念と一致しているだろうし、その拳法を生かす事も出来るだろう」

 

確かにそうだろう、俺のやりたい事が出来る仕事ではあるが

 

「…せっかくの誘いすまないが、断らせてもらう」

 

「…どうしてだい?」

 

「…色んな所を人を見て回ってみたいんだこの足でこの目で、組織に入ったら中々行きたい所にも行けなくなるだろうし、何より組織に入ったらその組織の中での身分に囚われるかもしれん、……それにそうゆう硬苦しいのは省に合わないんだ、だから済まないせっかくの誘いだが」

 

それに、今までもそうしてきたのだ、このスタイルだけは譲ることができなかった。

 

「……そうか、いやそうゆう考えもあるか、済まないお節介だったな」

 

「せっかくの誘いなのに済まない 、理解に感謝する」

 

「ところで旅をするのにミラはセピアを売り資金にするからいいとして、関所はどうするんだい?」

 

「……関所?」

 

初めて出てきた単語に戸惑いを隠せなかった。

 

「その様子だと関所の事を知らないようだね、…分かった私が何とかしよう、ただ二つほど君に頼みたい事があるんだ」

 

カシウスは微笑みながら提案してきたのだった。

 

 

 




感想、誤字脱字がありましたら言って下さい
この作品のなかで宿敵と書いてありますが 宿敵=ともと訳して下さい あといくつかこれから世紀末的表現が多々あるかも知れませんが、その度に紹介していきます。


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南斗の軌跡 4話 激突!義星VS剣聖、そして‼︎

戦闘描写って難しいですね、すいませんかなり今回見づらいです。(毎回ですよね)


 

翌朝の早朝、ブライト家から少し離れたところに大きな広場があり、そこに俺とカシウスは立ち会っていた。

 

「わざわざ済まないね朝早く」

 

「…いや、訳ない」

 

昨夜カシウスが出した二つの頼みとは、一つは“人を殺さない事”、当たり前だが例外を持ちそうして行こうと思ってたので別に構わなかった、しかしもう一つは以外というか予想出来なかった、まさか「私と手合わせしてくれないか?」なんて言われるなんて思ってもいなかった、最初は断ったが、彼の意思は揺るがなかった、目を見て、溢れている闘気を悟りその誘いに乗った、まぁ全力は出しても本気は出さないが。

 

「いや、本当に済まない私の最後のワガママに付き合わせてしまって」

 

鞘から剣を出し構えた、流石剣聖と呼ばれるだけあって全く隙が無い。

 

「軍と決別しようと決め、今日でこの剣を捨てようと思い最後に戦いたいと思ったんだよ」

 

「…そうか、しかし何故俺なんだ? 仮にも最後だというのに」

 

「見くびっちゃ困る、これでも剣聖と言われた男だ、君の話を聞いてそして何よりもその闘気は今まで会ってきた誰よりも強く輝いている、最後の花道にこれ以上ない位君はふさわしい!」

 

 

「それは光栄な事だ…」

 

俺は構えた

 

「では始めよう、いざ参る!」

 

その途端カシウスの闘気が溢れ出し大地が揺れた、相手は本気だ、ならばこちらも本気は出さずとも全力でやらなくては失礼にあたる。

 

「では攻めさせてもらおう!」

 

「来い!」

 

地面を蹴りカシウスに向かい二手三手と手刀を繰り出したが全て剣で防がれてしまった。

 

「グッ!…早いな」

 

「ほう、今ので無傷とは…」

 

「無駄口を叩いている場合か!」

 

カシウスの剣筋はまるで閃光の様に早く動きに全く無駄がなかった、昨夜の優しそうな面影はなく、歴戦の戦士の顔に変わっていた。

一旦距離を取り剣を振りかざすと、大地を揺るがすような衝撃波が俺を襲った。

「はぁ!裂甲断」

上空に飛び除けると既にカシウスは自分の間合いにまで詰め寄り何度も切りつけてきた。

一合二合三合と躱し距離を取るために俺は遠くに離れようとするが、すぐ様距離を縮めさらに強い一閃が迫ってきたが、俺はそれを白刃取の容量で止めた。

 

「!…まさかこれが止められるとはなぁ」

 

「いや、俺も一瞬肝を冷やしたさ」

 

「ならば、これを受けてみろ!」

 

カシウスは距離を取り一気に加速し

 

「そらそらそらそらぁ! うおぅりゃぁ! 」

 

そして回転しながら上空に舞、炎を纏い始めた、やがて炎の鳳凰と呼べるような炎が迫ってきた。

 

「奥義・鳳凰烈波!!」

 

「…ならば!南斗水鳥拳奥義!!」

 

俺は大地に手をつけそのまま飛び上がり上空に上がった、その直後にカシウスの鳳凰烈波が今まで居た周辺に激突し辺りを一面の炎が巻き込んだが。

 

「やったか?、ッ!!!」

 

手応えから直撃はしていないだろうと思っていたが、まさかよけられるとは思ってもいなかったようだ。

 

「一体何処に? なっ!!」

 

辺りを見回していた僅かな瞬間にレイが上空から現れたのだ、その姿はまるで水鳥の様に優雅で美しかった。

 

「飛翔白麗!!」

手刀を肩すれすれまで落とし、そして勝負は終結した。

 

◇◆◇◆

 

 

 

「ふぅ、参ったよ…まさか全力を出し切って負けるとは、すまなかった手合わせという事を忘れ本気で行ってしまってた」

 

「いや、想像を遥かに超えていたので俺も全力でやらせてもらった、…そして一瞬も気を緩める事が出来なかった」

 

「…本当に…最後にふさわしかった、ギャラリーが居ないのは残念だが、ありがとう最高の花道だよ」

 

先ほど険しい顔から満足げな優しそうな元の顔にもどり、頭を下げた。

 

 

「そして何よりも美しかった、途中手合わせの中だというのに一瞬見惚れてしまったよ、またいつか手合わせ願うよ」

 

そう言いながら互いに握手をし帰路についた。

 

家に着くとレナが朝食の準備をしエステルが上から眠そうな目をこすりながら降りてきた。

 

「………おはよう……お母さん、お父さん……レイ兄……」

 

「おはようエステル、外で顔を洗って来なさい」

 

「…は〜い」

 

エステルが外から帰ってくる間に食事の準備が整い食べ終え少ししてカシウスと共にブライト家から出ようとした。

 

「それじゃあそろそろ戻るよ、あまり長居していると将軍にドヤされるからな」

 

 

「…長い間世話になった」

 

「あなた行ってらっしゃい、…レイあなたもいってらしゃい、いつでも帰ってきなさい、ここはあなたの家でもあるんですから」

 

「!…考えておくよ…………母さん」

 

「‼︎、はい!」

 

 

「…レイ兄またね」

 

今にも泣き出しそうになっているがなんとか耐えることが出来ている

 

「あぁ! また会う日まで!」

 

「それじゃレイ、そろそろ行こう」

 

 

◇◆◇◆

 

「…行ちゃったね……レイ兄……絶対だよ……」

 

「ふふ エステル、レイなら必ずまた会いに来てくれるわよ」

 

「…うん」

 

「………いってらしゃい…レイ…私達のもう一人の息子」

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

ロレントに着きカシウスに軍の駐屯地に案内されそこでリベール国内の通行証と身分証明書を受け取った

 

「レイ、これが通行証と身分証明書だ」

 

「…すまない礼をいう」

 

通行証と身分証を見てみると名前の欄にこう書かれていた(レイ・ブライト)と

 

「レイ・ブライト……か」

 

「あぁ、名字が無いのはおかしいからな、せっかくならどうかと思って! どうかな、お節介だったか?」

 

 

「…いや有難く頂こう、それじゃな………親父」

 

「!、あぁ行っておいで…息子や」

 

こちらの世界で出来た母親、父親、そして妹に見送られ、レイはロレントを後にした。

 

「……とりあえず南を目指すか」

 

 

本来ならば起こり得ない奇跡が交差し運命の歯車が狂い出す、

これから先の未来は空の女神エイドスですら分からないだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あっ、レイ南に行っても何もないぞ!


…えっ


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南斗の軌跡 閑話 リベールの翼と義の星の男の出会い!

 

ルーアンの、のどかな漣が打ち付ける海岸沿いの道を一人の少女が走っていた

 

「はぁはぁ」

 

その少女は今現在、凶悪で大きな狼の様な魔獣に追い詰められようとしていた。

 

 

「はぁはぁ!そ…そんな…」

 

 

 

とうとう袋小路まで追い詰められ顔色は絶望に染まりその場に座り込んでしまった。

 

グゥルルル

 

当然魔獣に情けなどなく一歩また一歩とこちらに狙いを定め徐々に距離を詰めて来た。

 

 

 

「…申し訳ありません、お父様、お母様、お祖母様、…テレサ先生」

 

 

 

 

死を覚悟し目をつむり空の女神に祈りを捧げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし一行に身体に激痛がこない、死んでしまったかと思い目を開けると

 

 

 

「……」

 

 

 

体格のいい黒髪の男性が魔獣を片手で押さえていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ぁ…あぁ」

 

 

 

 

「…怪我はないか?」

 

 

 

 

 

 

これは空の女神の起こした奇跡なのだろうか…

 

 

「犬畜生ごときが!」

 

 

「!?」

 

 

魔獣自信も突如現れた男に困惑の色を隠す事ができなかった。

 

 

 

 

 

「切り裂け、南斗水鳥拳奥義!千塵岩破斬‼︎」

 

 

 

魔獣は男性が手を振るうと一瞬にして身体中が細切れまで切断され、一瞬にして辺りは静寂に包まれた。

 

 

 

「あっ、あの…ありがとうございました、危ないとこを助けて頂きまして」

 

 

 

 

「フッ、怪我がなさそうで何よりだ」

 

 

 

男性が差し出してくれた手を掴み立ち上がった、

 

 

先ほどまで魔獣を切り裂いた冷血な印象の手だと思っていたが、優しく温かい大きな手であった。

 

すると遊撃士らしき人とテレサ先生が走って来た。

 

 

「クローゼ‼︎無事でしたか、…よかった何事にもなくて」

 

 

女性はクローゼの安全を確認し抱きしめた。

 

 

その後話を聞くと早朝ごろに手配魔獣が出現したそうだが、ルーアンから孤児院に連絡が行っていなかったようでマリアナにお使いに行ったクローゼを遊撃士と共に捜索していたそうだ、私は襲われた事を話し、そして助けられた事も話した。

 

 

「…そうですか、あなたに危ないところを助けて頂いたのですか…クローゼの保護者の代わりとしてお礼をさせて頂きます、助けて頂きありがとうございました」

 

 

「…そうか」

 

保護者の代わりか…聞くのも野暮だろう。

 

 

それだけ言い俺は次の町ルーアンを目指して歩きだした。

 

 

「あの!私はクローゼと申します、あなたのお名前を教えて下さい!」

 

 

 

一旦足を止め「レイだ」それだけ言いまた歩き出した。

 

 

「…レイさん」

 

 

少女の胸の中にレイと言う男の名前と今日の出来事が深く胸の中に刻まれた。

 

 

 

◇◆◇◆

 

「…クローゼか、いい目をしていたな」

 

レイの記憶にも一人の少女の名が刻まれたようだった。

 




はい、今回はクローゼとのフラグを立ててみました。
レイは男前ですからねー(作者の主観です)これから幾つかフラグを立てるかもしれませんねーこの旗男。


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南斗の軌跡 閑話 祈っていろ!地獄の果てまで追い詰めてやる。

 

百日戦没から四年後

今現在、ゼムリア大陸全体を震撼させている事件が相次いで各国で起きていた。

 

 

 

D∴G教団

女神の存在を否定している、狂気の教団。「D∴G」の読みは「ディージー」。悪魔を信仰し「女神を否定する」という、カルト教団である。名称の「D」は《虚なる神(デミウルゴス)》、「∴」は「ゆえに」を意味し、「G」は「真なる叡智=グノーシス」を意味する。各国から多数の子供を誘拐して「儀式」と称した非道な人体実験を行っている。

ここまでが捜査で判明した教団である。

 

 

七耀暦1197年 百日戦役から4年後

ロレント市、遊撃士協会

復興が終わりロレントは、百日戦役の際、帝国軍戦車の砲撃で倒壊した、リベール・ロレントの時計塔の修復がされ、再び戦争の爪痕を残しながらもまた繁栄を気づき上げて行こうという中、カシウス・ブライトは頭を悩ませていた。

現在遊撃士協会を始めとする、各国の軍隊 クロスベル警察 七耀教会が、教団のアジトを突き止めこれから殲滅しようというのに猛者が足らないのだ、少なくともB級の正遊撃士クラスの実力が無いと足手まといになるのがオチだ、少数精鋭で行きたいのだが人数が少ない、せめてあと一人強者がいればなんと心強いだろう。

 

一番最初に頭に浮かんだのがレイだ、しかしいくら強かろうが遊撃士でも軍の人間でもなく警察でも聖杯騎士団でもないただの民間人、周りの人間が反発するのが目に見えている、正遊撃士でも参加したいが実力が無いため殲滅作戦に参加できずに憤りを感じている物までいるのだ、シェラザードなど参加したいが実力が無く涙を流しながら憤怒していたのだ

 

「…お前さんが遊撃士ならどれだけ良かったか…、嫌、関係ない!」

 

俺は決意しレイを殲滅作戦に参加させる事を決意し、レイを捜索することにした。

 

「もしもし、リシャールか?…大切な話がある」

 

…………

 

「あぁ、探して欲しい人物がいるのだが、…名はレイ・ブライトだ!」

 

 

◇◆◇◆

 

「あぁ、すまない、頼んだぞ」

 

ガチャ、

 

通信機を切り、何処に居るか分からない息子の事を考えた。

 

 

「ふう〜、レイよ…お前は今…一体何処にいるんだ、頼む私に…私達に力を貸してくれ」

 

早くレイと合流する事と子供達の安全を今は空の女神に祈る事しか出来なかった。

 

 

◇◆◇◆

 

リベール各地で今、噂になっている一人の男がいた。

 

やれ長身で体格よく只者ではないオーラを発している美しい姿の拳法使いだと

 

やれその男が手をかざすと岩でもバターのように切り裂けると

 

やれその男は人々に優しく無償で依頼を受け持つと

 

やれ百人の野盗と戦闘し無傷で制圧したと

 




ふぅ、誰のことか丸わかりだよこっちは…レイ

話は教団編にはいります、早く原作に追いつきたいです


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南斗の軌跡 5話 教団を潰せ!世紀末より現れた義の星よ‼︎

4年後、俺は一通りリベールを歩いて見て回った、最初は復興活動を手伝いセピアを集め日銭を稼ぎながら旅を続けてきた、時には自分の身長の三倍はあろうかと思う魔獣と戦い、時には野党を討伐したり、時には遊撃士に野党に間違えられたな…

 

その中で俺は強くなったのだろうか?…いやまだラオウやケンはおろか同じ南斗六星拳最強のサウザーにも到達してはいないだろう。

 

俺は今、首都のグランセルに来ていた

 

「ほう、見事な街並みだ」

 

今までロレント、ポース、ルーアン、ツァイスなど様々な都市を回ってきたがこれほど見事な都市を見たのは初めてだ。

 

西側にある珈琲屋で昼食をとっていた時だった。

 

「おい聞いたか?何でも最近共和国やクロスベルで子供の誘拐が相次いでいるらしいぞ!」

 

「いや、なんでも帝国やこのリベールでも何軒も出ているらしい」

 

「!!、おい、その話良く聞かせてくれないか」

 

「んっ、あぁなんでも詳しくはしらんが共和国を中心に各国で数多の子供ばかりを狙っていて、各国の遊撃士や警察、軍が捜索しているらしい」

 

「…そうか、礼をいう」

 

それだけいい、昼食の代金を支払俺は店を後にした

 

遊撃士や軍が関与している限り俺は手だしすることができない、下手に手だしをし反感を買うことになったら親父に迷惑を掛ける事にも繋がるからだ。

 

「クッ、…まぁ親父がいるのだから心配するのも野暮だろう」

 

この数年間様々所で親父の話を耳にしてきた、剣聖は剣を捨てたが、棒術で遊撃士を代表する存在になり今やゼムリア大陸を代表するブレイザーなのだと、俺が手だししなくとも親父が率いる遊撃士や軍が解決していくのだろう、俺は無理やり自分を納得せざるを得なかった。

 

今宿泊しているホテルにはいるとロビーに刀をぶら下げ軍服を着た軍人が立っていた、俺を見つけこちらに向かってきた。

 

「君がカシウスさんの息子のレイ・ブライト君かい?」

 

「…そうだが、お前さんは?」

 

「失礼、リベール軍中佐のリシャールという物だ、」

 

何故軍の人間が俺の前に?

 

「君をカシウスさんは探していてね、リベール全ての宿泊施設に問い合わせ、やっとグランセンにいると分かってね、会いにきたよだよ」

 

「…親父が?、まさか例の事件の事か?」

 

「…こちらからはなんとも言えないな、答えはこの中にある」

 

リシャールは懐から一枚の封筒を出し俺に渡してきた。

 

開けてみるとロレント行きの航空券と「ギルドで待つ」とだけ書かれた紙が入っていた。

 

「…話を聞きに来いということか?」

 

「引き受けてくれるかな?」

 

「…分かった」

 

リシャールはそれだけ言い残し後を去って行った。

 

翌日、俺はホテルをチェックアウトし特に準備するものも無いので空港に向かいグランセンを後にした。

 

 

「ロレントか…久しいな」

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

ロレントに着き辺りを見回すと完全に復興したようだな、崩壊していた時計台もあり今までいたが初めて来るような街並みに変わっていた。

 

「…ギルドか」

 

 

ギルドを見つけて入ると二階に案内された、二階に上がるととてつもない顔ぶれが揃っていた、親父はもちろん昨日会ったリシャール、確かあの翁は軍のトップのモルガンだったか、親父についでリベールのNo.2といわれるクルツ、とにかくリベールを代表する猛者達だった、

 

「…久しぶりだな、レイ」

 

 

「…あぁ、親父」

 

 

「ふん、カシウスの息子か、まあ遊撃士でないだけよしとするか」

 

 

…なにがだ?、………………あぁ確かモルガン将軍は遊撃士嫌いで有名だったな。

 

 

「お初お目に掛かる、クルツだ」

 

 

「…レイだ」

 

 

 

「君の噂は遊撃士の中でも有名でね、良く聞いてるよ、何でも無償で人助けをしたり、正遊撃士が何度も討伐に失敗している魔獣を一人で倒したりと、遊撃士でもない民間人がいるとね」

 

 

「ふん、やはり良くは思われてないようだな」

 

それはそうだろ、遊撃士はそうやって行き生計を立ててきたのだ、俺みたいな民間人に手柄を取られているのだから。

 

 

「いや、何も全員がそう思っているわけでは無い、少なくとも私は良しとしているよ」

 

 

「…そうか」

 

 

 

一通り挨拶を済ませると親父が仕切り出した

 

 

「では始める!D∴G教団殲滅作戦を!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




リシャールが中佐というのはオリジナル設定です、原作開始があと数年なので、恐らくこの事件後に昇格したのでは(作者の妄想です✳︎本来参戦したかどうかも分かりません)と思いまして中佐にさせて頂きました。


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南斗の軌跡 6話 銀閃との出会い!俺を縛る物は一切ない‼︎

レイの年齢なのですが、ケンシロウやシンが18らしいので、初登場時 18としておきます(オリジナルなので、本来は分かりません)時間軸として現在は22歳です。


 

「…一ついいか親父、俺がこの場にいてもいいのか?」

 

 

ロレントに呼ばれたからそうではないかと思ってはいたが、只の民間人の俺が手だししてもいいのか疑問であった。

 

 

「…確かに民間人のお前を参加させるに当たって反発は多かった、しかしそんな事を言っている場合ではなくなったのだ!、その作戦は少数精鋭で行うため、遊撃士でも参加出来るのはB級以上と決めていたが、あまり少ない!」

 

苦虫を噛み潰したように顔をしかめていた。

 

「レイ、少なくともお前の実力はA級遊撃士以上だ!、だから責任は私が持つ、反発するようなら私が黙らせる、だから今回の作戦に力を貸してくれ」

 

親父はこれでもかというくらいに頭を下げてきた

 

 

「頭を上げてくれ親父、…それは分かったが、他の奴らはなんというか…」

 

辺りを見回した。

 

「ふん、カシウスが幾ら強いと認めたが民間人が参戦するなど言語道断!!、…だがカシウスがあそこまで頭を下げてきたからな…、しょうがなく目をつむろう今回は!」

 

 

「私はカシウスさんにあそこまで頼み込まれたのだ、否定することができないよ」

 

 

「…私も同じく、それに今は一刻を争う時だ、君が居るなら心強い」

 

まさかモルガン、リシャール、クルツの三人がここまでアッサリと認めるとは思ってもいなかった、相当親父が頼み込んだのだろう。

 

「…分かった、ならば喜んで今回の作戦に力を貸そう!」

 

 

「そうか、有難う、では始める!作戦決行は2日後だ明日出発するから今日は家でゆっくりしてってくれ」

 

その後当日の動きや教団の事などを二時間位説明を聞き頭の中にしっかりと叩き込んだ。

 

会議が終わり、俺らが二階から降りると一回の壁に寄りかかっていた女が俺をみていきなり睨んできた。

 

「…あなたが先生やエステルがいつも言っていたレイね」

 

「そうだが?お前さんは?」

 

「…シェラザード、正遊撃士になったばかりだけどブレイザーの一員よ!」

 

 

「そうか、それで何の用だ?」

 

 

「私は今回参戦したいけれども、実力がなく今回できなかったの!、それなのにあなたみたいにいくら強かろうと遊撃士でもないあなたが参戦する事を良くは思ってないの」

 

 

「…それで?」

 

「私と勝負しなさい!本当に相応しいかどうか確かめさせなさい!」

 

 

…なんなんだこの女は、それにしても気が強いな、…マミヤといい勝負じゃないのか?いやマミヤには勝てんか。

 

「…悪いが断る、お前じゃ相手にならん」

 

 

「なっ‼︎ふざけるな!」

 

 

はぁ…何なんだ本当に

 

「レイ受けてやれ、今のシェラザードはてこでも動かんよ」

 

 

「先生、ありがとうございます」

 

 

 

本気か?…まぁ仕方が無いか、ほとんどの遊撃士は今回の参戦に対し俺に不満を持つのが当たり前だろう

 

 

俺ら三人は翡翠の塔の途中にある広い荒野まで来た。

 

「…あなたのことはエステルや先生そして噂で聞いたわ、何でも民間人が遊撃士の真似事をしている偽善者だとね」

 

 

「なっ‼︎おいシェラザード」

 

 

「先生、何故この男は遊撃士にならないのですか、私よりも強く遊撃士の真似事をするのなら遊撃士になれば良いのではないでしょうか?私は今の仕事に誇りがあります、それなのにこの男は!」

 

…そんな親の仇を見るような目で見なくてもいいものを

 

 

「……別に団体行動が嫌いなだけだ」

 

 

 

「‼︎ふざけるなーーー」

 

 

そういい鬼の形相で鞭を俺にはなってきた。

 

 

 

 

しかし

 

 

 

 

 

 

 

それを俺は放ってきた鞭を一瞬で、10等分以上に細かく切り裂いた。

 

 

 

 

「‼︎…なんで、なんで」

 

シェラザードはそれを見て膝を落とし座り込んでしまった、余りにも早すぎるが、どうやら戦意を喪失したようで、勝負はついたようだ。

 

 

「……確かに俺は民間人だ、遊撃士にならないのは団体行動が嫌いと言う理由と、何より組織に縛られたくないのだ、俺を縛り付けて良いのは俺自身と宿敵、そして家族だけだ」

 

 

「………」

 

それだけ言い残し俺は一人その場を離れた。

 

 

 

「…もういいのか?シェラザード」

 

 

「………えぇ、私では足下にも及ばない事が良く身に染みました」

 

「…あいつは、レイは戦いの中で生きてきた、それは私でさえ考えられない様な世界でだ、…あいつは様々物を捨てて生きてきたのだが、唯一絶対に折れない執念これだけは一日たりとも忘れる事は無かったと言っていたよ」

 

 

遊撃士になりたくないのは縛られたくない、何て自分勝手な男なのだろう、しかしながら手を合わせて良く分かった、何て気高くプライドの高い人間なのだろう。

 

「…そうですか」

 

 

今は、納得するしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




先生、あの男…レイは一旦何処で育ったのですか?


…えっ、あっあ〜そのだな〜……


◇◆◇◆
親父…いくらなんでも2日後は…

すまん、お前を捜索するのにだいぶ時間が掛かってな、ほとんどの宿泊施設に問い合わせても中々お前さんの名前が見つからなくて。

…ほとんど俺は野宿だぞ


…………なんと言うか、少々ワイルド過ぎないか。




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南斗の軌跡 7話 再会!太陽の娘と南斗の星‼︎

UAが気がついたら4593になっていました、感謝です!



数年ぶりだなエステルや母さんに会うのは、一足先に俺はブライト家に向かって行った。

 

 

「4年ぶりか、二人とも元気なのだろうか?」

 

エステルは元気にしているだろうか?

 

「フッ、会えば分かることか」

 

 

森の中を進んで行くと一軒の家が見えてきた、数年経っても全く変わらないようだ。

 

 

玄関を開けると母さんが料理をしエステルがそれを手伝っている最中だが、どうやら気がついたようだ。

 

 

「!レ…レイ兄、レイ兄‼︎!」

 

エステルは俺を見つけ一目散に目に涙を浮かべながら向かって飛びついてきた。

 

「レイ兄…ずっと会いたかったよ」

 

「…ただいまエステル、母さん」

 

「おかえりなさい、…レイ」

 

母さんも嬉しそうに温かく迎えてくれた。

 

その後、親父が帰ってきて俺らは離れ離れになった時間を取り戻す様に今まであった数年間の事を語り合った。

 

 

「へぇ〜レイ兄今は王都に居るんだ!」

 

 

「あぁ、それにしても…フッ」

 

「?レイ兄どうしたの?」

 

「いや、全然変わらないなと思ってな、さっきも泣きながら飛びかかって来たしな、相変わらず泣き虫は治ってないようだ」

 

「あんですって!」

 

今はこの時間を大切にしよう、そして2日後、俺は恐らく戻るだろう、元の世界で世を呪い時代を憎んだ"飢えた狼の頃に"戦いではなく殺し合いをしていた時に。

 

この世界では、戻るつもりは無かったが、エステル位の年の子供を誘拐する外道を許すつもりは一切ない、エステルと戯れてそれを改めて実感した。

 

「…レイ兄、顔が怖いよ」

 

「んっ、すまない考え事をしていてな」

 

俺はエステルに悟られない様に顔を戻し微笑んだ、その後エステルや母さんが寝静まった頃、居間に降りてみると親父が一人で晩酌していた。

 

「レイか、どうだお前も一杯」

 

 

 

「…頂こう」

 

 

親父からグラスを貰いそそいでもらった、中身はワインの様だ、一口飲むと芳醇な香りが鼻を刺激し、濃厚な味わいが舌を潤した。

 

「ほう、結構いける口だな」

 

「まぁ、嫌いではないな」

 

「そうか、これはポースの中々の年代物だぞ!」

 

道理で美味いはずだ、酒の味はよく知らないがこれは美味いと感じた、しかしそれ以上に最高の肴がそこにあった。

 

「…これが親子酒か、親父」

 

 

「!あぁ、格別に美味いだろ」

 

父親と呑む、これ以上の肴は存在しないだろう。

 

 

俺はこの場で、思いつめていたことを話した。

 

「親父、すまないが俺はその作戦に参加するにあたって破らなくてはいけない事がある…」

 

 

それを聞き親父は最初から分かっていたかのように頷いてきた。

 

「…殺すことか」

 

「!あぁ、俺はそんな外道を許す事は出来ない!エステル位の子供を誘拐し実験などと巫山戯た野郎共を、そしてそれを見て笑っている豚共を!!」

 

 

「…そうか…………今になってお前の言葉が身に沁みるよ、身分…か」

 

親父はグラスに残っていたワインを一気に飲み干した。

 

「私も遊撃士や軍の人間で無ければ、怒りに任せて殺すのを選んでいたかもしれん…、しかし!私は遊撃士だ、殺すのではなく拘束するのが使命、だからお前を見過ごす訳にはいかん‼︎…が、私達の見てないとこなら仕方がないな………お前が羨ましいよレイ」

 

 

空いたグラスに新たなワインを注ぎ込んだ。

 

「……お前が殺した相手は正当防衛だと言っておくよ、それじゃないとお前も本気を出せないのだろ?私と戦った時のように」

 

「なっ!、気がついていたのか!?」

 

確かに俺は全力は出したが、本気で戦う事が出来なかった、本気で戦ってしまったら"親父を殺してしまった"だろうから。

 

「フッ、分かるさあの時のお前の技、目には殺気がなかったのだからな、それにレイお前の世界での話を聞いているのだぞ、私たちでは考えられないような生きるか死ぬかの世界で生きてきたお前は、戦いではなく"殺し合い"をしてきたのだから…」

 

 

「…少し訂正があるが、俺は奥義を使わなかっただけで、全力だったぞ、しかも最終的には使ったしな、本気という意味では奥義を使わなかった…だけだ」

 

俺と親父はその時同時にグラスを開けた。

 

 

「…そうか…っと、どうやら、少し酔っ払ってきたようだ、…残りはお前が楽しむといい」

 

 

それだけ言い残し、親父は階段を上り自分の部屋に向った。

残された俺は残りの酒を少しずつ減らしていった。

 

 

「……本気…か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




レイがよく「シャオ!」などと言いますが、挿入していった方がいいですか?
感想お待ちしております!


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南斗の軌跡 8話 南斗聖拳と泰斗流の交差‼︎

今回はほとんど閑話みたいな感じです


 

翌朝、日の出と共に俺は起床した。

昨日驚いた事だが、俺の部屋が出来ていたのだ。

親父曰く物置を改造し、俺がいつでも帰って来てもいいようにと、俺の部屋を作ってくれたらしい。

 

 

俺は顔を洗うため階段を降りると、すでに母さんが起きていたようだった。

 

「あらおはようレイ、顔を洗ってきなさい」

 

「あぁ、そうさせてもらうよ」

 

顔を洗っている間に、エステルと親父が起きてきたようだ、しかしエステルはたしか朝に弱いはずだが?

それを聞いてみると「レイ兄の見送りのため!」だと。

 

その後、朝食を食べ終え俺と親父はロレントの空港に向った、見送りに母さんとエステルが気をつけてと言ってきたが、「大丈夫だ!」これだけ言い残し、親父と共に向った。

 

◇◆◇◆

 

 

空港から共和国のアルタイユ市に夕方頃に付いた。

 

始めてリベールから他国に渡ったのだが、…事件のせいで大分人が少ないようだ、共和国は特に酷いと聞いていたが、ここまで露骨にいないとはな。

 

俺と親父は予約していた宿泊施設に移動し、親父は武具などの最終整備をしていた。

 

すると、コンコンとドアが鳴り一人の体格のいい男が入ってきた。

 

「旦那!お久しぶりです」

 

「おお、ジンか!」

 

 

……恐らくだがこのジンと言う男相当できるだろう、ラオウやケン達と比べるのは酷だが、この世界では相当強いだろう、足運び一つとっても相当な達人だというのが分かる。

 

「ところで、旦那と一緒にいる処を見ると、この男が噂のレイですか?」

 

ジンは俺に目を向けた。

 

「ああそうだ、こいつが私の養子ではあるが息子のレイだ」

 

「…ほう」

 

ジンはマジマジと観察するように俺を見てきた。

 

「…どうした?」

 

 

「んっ、いやすまない、なにお前さん相当な拳法の使い手だな」

 

「…なぜそう思う?」

 

「申し遅れた、俺はカルバードの遊撃士のジン・ヴァセックと言う、俺はこれでも泰斗流と言う拳法家の端くれだ、纏っている闘気ですぐ分かるよ、お前さん相当な拳法の達人だろ、どこの流派なんだい?」

 

流派か、言っても絶対に分からんだろうな。

 

「南斗聖拳の南斗水鳥拳の伝承者だ」

 

「…南斗聖拳?か…すまんな聞いたことが無いな、それにしても伝承者か…」

 

それはそうだろう、あったら逆に困る。

 

「俺の故郷はゼムリア大陸ではないからな、故郷の流派だから知らないのも無理はない」

 

「うむ、そうか いや世界は広いな!」

 

どうやらジンも明日の殲滅作戦に参戦し、挨拶に来たらしい。

 

 

「では旦那、そろそろお暇させてもらうとします、レイもまた会おう」

 

 

「ああ、またな」

 

扉を閉め、部屋を後にした。

 

 

俺たちは朝早いので早めの夕食をとり、その日はすぐに寝ることになった。

 

 

翌朝、俺らは最後のミーティングをしている最中、不愉快な視線を感じながらも俺は無視し、ミーティングを終え教団の裏の本部とも言えるロッジ、聖域と呼ばれる場所を目指していた。

 

制圧するメンバーは、俺と親父とクルツあと、昨日のジンが参戦することになった。

 

 

親父が指揮をとり、一気に制圧する作戦になった。

 

「…クルツ、ジン、レイよ準備はいいか!?」

 

「「「ああ!」」」

 

 

では!これより殲滅作戦を決行する!!

 

 

長い一日が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




感想など、お待ちしております。

今回出た聖域とは、オリジナル拠点です。




……ゴールデンウイークなのにバイト忙しい。
・゜・(ノД`)・゜・。


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南斗の軌跡 9話 切り裂け!南斗水鳥拳究極奥義‼︎断己相殺拳!悪魔ども、地獄の片道切符を用意して待っていろ‼︎

今回はレイの無双回です、


 

爆音が轟き、教団内部は慌ただしくなっていた。

 

「何事だ!」

 

 

「大変です!遊撃士の奴らが!」

 

「なっ!ここなら安全な筈が!?」

 

 

次の瞬間、扉が前に蹴り飛ばされ、四人の男が侵入してきた。

 

 

「遊撃士協会だ!おとなしくしろ!」

 

 

親父が一喝すると、白衣を着た男達は苦虫を噛み潰した様な顔をしおとなしくなった。

 

「クルツ!ここを頼む!レイ、ジン私に続け‼︎」

 

親父に続いて奥へと進んで行った。

先へ進むと広い場所に出る事ができた。

白衣を着た男と裕福そうな男達が数名居た。

 

豚どもが!

 

「くそ!エイドスに毒された犬共が…グワ」

 

親父が言い終わるのを待たずに棒術で制圧した、が!

 

「危ねえ、親父!」

 

親父の死角から放たれた導力銃の弾丸を、俺は切り裂き軌道を変えた。

 

 

「なっ!」

 

撃った本人はそれが信じられないらしく、固まってしまったが、俺はすぐさま銃を持っていた腕を切断した。

 

「ぐわわわ〜〜〜!」

 

男は自分のない筈の腕を抱え、地面に蹲った。

 

「ふう、すまんなレイ…ジンここを頼む、レイよ私と共に奥へと行くぞ!」

 

「ああ!」

 

 

更に親父と進んで行くと、幾つもの牢屋があり、子供が居るのかと確認すると、最悪の事態が目の前に起こっていた。

 

「「!!」」

 

 

目の前には、既に子供ではなく、"血と肉塊"に変わってしまっていた子供達であった。

すぐさま、生存者がいないか二手に分かれ捜索する事になったが、…一人も息をしている者は存在しなかった。

 

「悪魔共が!」

 

すると、一人の白衣を着た初老の男がコツコツと足音を立ててやってきた。

 

「どうかな?空の女神エイドスに毒された者よ、可哀想だとは思うが、高みへと導く尊い犠牲、そう!未来への礎となったのだ、それは素晴らしい事ではないかい?」

 

この外道共、…アミバですらここまではしないだろう。

もう、話をすることはない。

 

 

 

 

 

「人の皮を被った悪魔め、…許さね…」

 

この瞬間、俺は飢えた狼に戻った。

「てめえらの血は何色だ‼︎」

 

「ふむ…、やはり理解出来ないようだな、仕方が無い」

 

白衣の男は懐から注射器を出し、自分の首に刺した。

 

「ううっ」

 

すると、そこには白衣を突き破り出てきた悪魔とも言える存在が目の前に出現した。

 

 

「フゥ、スバラシイ コレガDノキセキカ!」

 

「…遺言はそれだけか?ならば死ね‼︎」

 

 

 

 

 

 

「南斗水鳥拳究極奥義‼︎断己相殺拳‼︎」

 

俺は飛び上がり男だった物の喉を貫こうとした、だが!

 

 

「フフフ、ハッハッハ…ソンナモノツウヨウセン」

 

 

跳ね返された、

しかし俺表情を変えずに、元の場所に戻り、一言だけ添えた。

 

 

「まだ気がつかないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お 前 は も う 死 ん で い る 」

 

 

 

 

 

この場でふさわしいと言えば、宿敵のこの言葉だろう。

 

 

「ナッ!ナニ!…アッアアーーーー」

 

 

 

その瞬間喉元から亀裂が走り、身体中を切り裂いた。

 

 

「…フン、お前らごときに南斗水鳥拳の前では敵ではない」

 

 

その場を後にすると、扉があり開いてみると、裕福そうな豚共が数人隠れていた。

 

 

「た、頼む!助けてくれ!」

 

 

「金か!金ならいくらでも払う!だから」

 

 

「貴様!この私を誰だと思っている!私は帝国で…」

 

 

うるさい豚共が鳴いているが耳を貸さずに、俺は切り刻んだ。

 

 

 

 

豚共と共に子供達の亡骸があり、痣の跡や白の白濁液が幾つか目立っていた。

 

 

「………」

 

カーテンから気配がしたので破り捨てると、もう一匹豚がいたようだ。

 

 

「‼︎ 許してくれ!私は始めて今日ここに来たのだ!こんな場所とは知らずに!…そうだ!私も被害者だ」

 

 

………ここまで来て被害者ズラするとは、豚が!

 

「悪いな、豚の鳴き声は聞こえないな」

 

 

「そんな、あっあ…」

 

俺は何も言わずにその豚を切り裂いた。

 

「…悪党に墓標は要らない…か、…ケン」

 

 

部屋には子供達の亡骸と豚共だった物しか残らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




レイの名言がでてきましたね!この場でふさわしいと思いましたので使わさせて頂きました。

断己相殺拳は本来、両手で挟みこむように相手の咽喉元を突く技らしいのですが、あのケンシロウの名言を言わせたかったため、オリジナル要素を加えました。
(✳︎北斗ファンの皆様すいません)



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南斗の軌跡 10話 叫べ!レイの熱き魂‼︎そして、不穏な動き!!

 

 

やがて、ここが終点らしいので、子供達を供養する準備をしていると、親父が入ってきた。

 

 

「レイ!っこれは!」

 

 

あたり一面血の海になった光景に親父は絶句しているようだ。

 

 

「…正当防衛だ」

 

「……そうか、ならば仕方あるまい、それよりも生存している子供はいたか?」

 

 

「…ゼロだ」

 

 

「…そうか、私の方も…だ」

 

 

親父も、研究員が悪魔に変貌する姿を見たが、全く原因は全く知らないらしい、元来た道を戻りジンとクルツと合流すると、教団の人間は毒薬を飲み、死んでしまったようだった。

 

しかし、そんなことはどうでもよかった、俺は誰一人助けられなかった、…すまない、仇をとれなかった。

 

これにより、教団殲滅作戦に幕が下りた、子供の生存者一名と多くの犠牲者を出し、なんとも後味悪い幕引きだった。

 

一行は作戦本部に戻り教団の報告をそれぞれすることになった。

 

俺は、親父やモルガン将軍に労いの言葉を貰ったが、納得することができなかった。

 

 

作戦本部の外に出て俺は涙を流し叫んだ。

 

 

 

 

 

「ウオオオオオオオオオッ!」

 

 

俺は…俺は義の星の男、人々を守る事が俺の宿命。

 

しかし、結果守る事が出来なかった、俺は俺はなんてまだ無力なのだろう…………。

 

 

叫んでいると、声がきこえた。

 

 

 

「レイよ」

 

親父が中から出てきたようだった。

 

「今回は、…残念だった、私も自分の力のなさを感じたよ…」

 

 

「…親父」

 

「だが一人、一人だけ生きていたのだ、不謹慎かも知れないが、まずはそれを喜ばないと」

 

 

 

「…すまない」

 

 

「いや、気にするな」

 

 

 

 

 

切り替えよう、そして俺は今日を境に更に強くなることを目指した、ケン…ケンシロウのように誰かを守る為に。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

レイやカシウスが気がつかない程離れた場所に、二人の人影があった。

 

 

「…カシウス・ブライトと、レイ・ブライトか…」

 

「レーヴェ、どうしたの?」

 

黒髪の琥珀色の目をした少年が、銀髪の青年に尋ねた。

 

 

「…あの二人は、余りにも危険だ、今後結社の妨げに確実になるだろう…」

 

苦虫を噛み潰したかのように顔を顰めた。

 

「ヨシュアもういい、そろそろ戻るぞ」

 

「分かった」

 

二人の影は闇の中へと消えていった。

 

 

 

………………………

 

(カシウス・ブライトは今はまだ動く時ではない、遊撃士ゆえ周りの守りもまだ固い。

だが!レイ・ブライトは別だ、どうやら一人で旅をしているようだからな、狙うならば外堀がない今の内に排除すべきだろう)

「……レイ・ブライト…か」

 

 

◇◆◇◆

 

…今回の教団襲撃時、あの二人に監視の構成員を着けてさらに俺とヨシュアの二人で監視にあたったのだが、…カシウス・ブライトを上回る実力を持つというレイ・ブライト…か、いったい誰を仕掛けるべきなのだろうか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…"あの人が適任か"。




感想などお待ちしております


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南斗の軌跡 11話 出撃!真夜中の訪問者!!

投稿遅くなりました、すいません学校が忙しくて
課題終わらないよ〜

それではどうぞ


 

 

俺は親父と別れ、一人共和国から王都まで戻ってきた。

 

 

 

 

王都グランセルから離れた深い森の中、明らかに人工的に出来た場所に大量の細い杭が打ち付けられており、その一つにレイは瞑想するかのように目を瞑り片足立ちしていた。

一時間立っても二時間立ってもまるで静寂に包まれた森と同化するかのように微動だにしなかった。

やがて大きな風が吹き、一枚の若葉がレイの上空に上るとの、目の前にまで飛び上がり、その刹那に見事に一枚の若葉が何枚にも刃物でしたかのようにスライスされていた、そして見事元の位置に戻ってきた。

 

「ふう、こんなところか」

 

俺はリベールに戻ってからただひたすら強くなることを目指していた、ケンのように。

街には食料を買いに行く程度で、ほとんどがこの自分で作った鍛錬場で一日を過ごしていた、どこまでも貪欲にひたすらケンシロウを目指して。

 

 

 

「…そろそろ腹が減ったな」

 

 

月を見ると真上迄来ていた筈が既に大分傾いていた。

 

…今日は何を食べるか。

 

 

火を焚き、肉を焼こうとすると、気配を感じた。

 

 

「誰だ!?」

 

 

夜行性の魔獣か?しかし、気配がした先を見ても漆黒の闇に包まれた森の木々しか見当たらない。

 

勘違いか?それとも魔獣が通りすぎただけか?…………違うな、これは人の気配だ。

 

「そこに居るのは分かっている、出てこい!」

 

 

しかし、相変わらず辺りは静寂に包まれていた。

 

?おかしい…いったい何だと…ッ!

 

既に気配が無く気のせいかと思っていると、一瞬にしてその気配が"俺の真後ろ"まで近付いていた。

 

「誰だ!?」

 

振り向くとそこには、逆立った髪を持つ、全身にマントを羽織った男がその場に存在していた。

 

それはまるで暗殺者…いや"死神"のように。

 

「………」

 

「誰だ貴様!」

 

後ろに飛び上がり一旦距離を取った。

 

男はその場から動かず、ただにやけていた。ただその場に存在するかのように立っていた。

 

 

「…これまでにここまで後ろを許した事はなかったな」

 

 

「…そうか、そいつは光栄だな」

 

やっと口を開いたと思ったら、この男…。

 

 

「まぁいい、それで何の用だ?」

 

 

「用か…なに、少し遊ぼうぜ」

 

男は導力銃を構え、こちらに狙いを定めた。

 

「フッ、銃ごときで俺を倒せると…ッ!?」

 

突如足に激痛が走った、見てみると足にに矢が刺さっていたのだ。

俺が気がつかずに既に罠を張っていたのか!?。

 

男はその隙を見逃さず、導力弾を連射してきたが、俺はかわしながら後ろに飛び上がり、一旦距離を取った。

 

「クッ、…少しはやるようだな」

 

 

激痛を堪え足に刺さっている矢を抜き取った。

 

「ほう…ならお代わりはどうかな?」

 

今度はなんだ?これ以上罠があるとは思えんが。

 

辺りを警戒しながら、対応を待ったがまるで来る気配が無い、ただ銃を構えているだけだ。

 

 

「逃げられんぞ」

 

「(導力弾を連射しているが、よけられない訳ではない!、この距離では此方が圧倒的に不利だ、ならば!)」

 

レイは導力弾の雨を避けながら相手の懐まで接近し、クロスレンジでの戦闘に持ち込もうとしたが

 

「(やはり銃使いゆえ接近戦は不得意か)」

 

自分の距離だと思い勝利を確信したのだが

 

 

「!?…グッ」

 

男の抜き手でレイの横腹を突き刺していた。

 

 

「お前、俺が唯の銃使いだと錯覚していたのか?、それなら間違えだぜ」

 

 

不覚だ、銃だけかと思っていたが、まさか拳法使いだとは、なんとかギリギリで気づき避けることができて致命傷を避けたが、抜き手は見事俺の腹を抉っていた…………それより、今のは"南斗聖拳"!?

 

 

「これは南斗聖拳!?…いったい何者だ!…………いや言ったところで口を割らないか、ならば!」

 

 

…確かに向こうの世界から俺が来たように、他の奴が来てもおかしくはない、…しかし今の南斗聖拳は…シンに似ていた、いや間違いなくシンの南斗孤鷲拳だ!?…まぁ言い、口を割らせればいいだけだ。

 

「南斗水鳥拳奥義!朱雀展翔!!」

 

「(傷が痛み、普段よりスピードは落ちるが、これはよけられまい)」

 

鋼鉄も切り裂く一撃が男の体を切り裂く筈だが

 

 

「!?」

 

 

男は俺の両手を抑え受け止めていた。

 

 

「…スロー過ぎてあくびが出るぜ」

 

 

しかも動かないだと!?距離を取るために離れようとするが、握られた手のクラッチが全く離れる気配が無い、この男俺より体は小さい筈が!?、いくら俺が力を入れても全く動かない。

 

 

「なんだ、離して欲しいのか?そら」

 

男は俺の掴んでいた手ごと強引に俺ごと後ろの木に叩き付けようとしたが

 

 

「クッ、」

 

木に衝突を避け、足で木の側面に着地したが、相手は見逃さず導力弾を打ち込んできた。

 

だが!

 

 

「ほう、今のも躱すか」

 

なんとか躱す事が出来たが、相手は気にも留めていないようだった。

 

 

「(正直やばいな、相手はここまでの達人で、長距離も短距離もどっちでも行ける、こっちは場所が狭く使える技が限られている)」

 

 

広く開けた場所なら何とかはなるが、ここは深い森の中、移動するにも相手は許してくれんだろう…「グッ!?」

 

 

突如目眩がし、俺は膝から落ちた。

 

 

 

「チッ、やっと毒が回ってきたか、普通の奴なら速攻効くんだがな」

 

 

やられた、恐らく最初の矢に毒を塗ってあったのだろう、それにこの出血量、致命傷ではないが浅くはない、…まずいな

 

 

 

しかしすると、足音が聞こえてきた。

 

 

 

「おい!お前たち何をやっている!」

 

 

どうやら軍の兵士が音を聞いて来たらしい。

 

 

 

「ッチ、命拾いしたな」

 

 

それだけ言い残し、男は再び闇の中へと消えていった。

 

 

「おい待て!…いや、それよりこっちが先か…!!酷な、とりあえず止血をして…………と、よし、待っていろ今応援を呼ぶから」

 

兵士はそう言い残し応援を呼ぶために来た道を戻って行った。

 

 

 

「……………」

 

 

俺はそこから記憶が無い、どうやらここで気を失ったようだ。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

更に深い森の中、先ほど男が煙草に火を付けて一服していた。

 

 

「…ふう、………いるんだろ、レーヴェ」

 

 

すると銀の髪をした青年が音も無く現れた。

 

 

「…いつから気がついていたのですか?」

 

 

「最初からだ、お粗末な気配の殺し方だな」

 

 

「…すいません、やはりあなたのようにはまだいかないです」

 

 

「ふっ、当然だ」

 

満足そうに煙草をふかし、男はそういった。

 

一方銀髪の青年は納得いかない表情であった。

 

 

「なんだ不満そうだなレーヴェ?」

 

 

「当たり前です…なぜ生かしておくんですか?俺は始末してくれと頼んだのですが…」

 

 

「仕方ねえだろ、邪魔がはいったんだからよ」

 

 

「あなたならあの兵士ごと、いえ、あの兵士が応援を呼びに行って一人になった時でも、出来た筈ですが」

 

 

男は煙草を吸い終わり、地面に捨てて火を足で消した。

 

 

「おいおいおい、感動的な再会だぜ、せっかく異国いや異世界か、南斗と北斗の出来なんだぜ、少しくらい同情心が湧いたん…分かったそう睨むな」

 

銀髪の青年が鋭く眼光を光らせると、男はバツが悪そうに話した。

 

「はあ…ッチ、…まだまだ伸び代がありそうだから、楽しみじゃねえか、それに殺そうと思えばいつでも殺すことができるだろうしな、だから生かした…これでいいか?」

 

 

 

青年は渋々ではあるが大きく溜め息をつき、納得したようである。

 

 

「はあ…そうですか……分かりました」

 

 

「なに心配するな、"勝てばいいんだ"たとえどんな手を使ってもな、勝つだけなら簡単だ」

 

 

「…分かりました、しかしあなたも大分変わりましたね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"ジャギさん"」

 

 

 

 




まさかのジャギ様でした、(これ以上北斗キャラはこの作品には出ません)
なぜレーヴェが敬語なのか?とは色々ありますが、この先でその話も出して行きます!


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南斗の軌跡 12話 困惑!レイの苦悩!!

遅くなりました、これから週1、2くらいで更新していきます

亀更新ですいません


 

 

…………

ここは、教会!?……………!

ここは、まさか!?

 

夜を照らすように、辺り一面が炎に包まれているなか、オヤジとオフクロが教会の前で瀕死で倒れていた。

 

「オヤジ!オフクロ!」

 

…しかしすでにオフクロは息を引き取っており、オヤジもほぼ風前の灯であった。

 

「レイ…か、アイリが………七つの傷を持つ男に…連れ去られた…」

 

それだけ言い残し、オヤジは息を引き取った。

 

「!これは、アイリが付けるはずだった、ケープ!」

 

 

純白のケープは両親の血ですでに赤に変わり果てていたが燃え盛る炎により、より赤く見えた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

「うおっ、……はあはあ、………またか、あの時の…悪夢が」

 

この世界に来る前、復讐の旅が始まった事が稀に夢にでてくるが……一行に慣れはしなかった。

たとえ無事アイリと再開し、ケンが仇を取ってくれたとしても。

 

「…それにしても、何処だここは?」

 

俺は森の中で南斗聖拳を使う男と戦い、毒に倒れて…そこから記憶が曖昧になっているな。

 

自分の体を見てみると、傷を手当てをしてくれたみたいで、包帯が腹と足に巻いてあった。

 

窓から溢れる木漏れ日が眩しいなか、自分がいる部屋を見渡すと、綺麗な豪華な部屋で、装飾がそこら中にしてあり、貴族の家と言っても過言ではないような部屋であった。

 

コンコン

 

扉がなり、一人の気品が良い初老の女性が入ってきた。

 

 

「あら、起きられましたか」

 

 

…ここの主なのだろうか?

 

 

「ええ、…危ない所を助けて頂きありがとうございます」

 

俺は頭を下げ礼を言った。

 

「大丈夫ですよ、運ばれて来た時はびっくりしましたが、傷が深く毒に侵されていましたが、…一体何があったのですか?」

 

「…実は」

 

治療してもらった事もあり、俺はあった事を話した。

 

 

「…そうですか、まさかそんな事が」

 

 

「いえ、大丈夫です、…それより何か…礼を……出来ることは限られていますが」

 

 

助けてもらい、治療までしてもらったのだ、何か借りを返せないだろうか…

 

 

「別に大丈夫ですよ、困った時はお互い様ですから」

 

 

「しかし、ここまでして頂きましたので」

 

おそらくこのご婦人は貴族上がりの富豪かなにかだろう、出来る事などたかがしれているが、借りは返さないと俺の気が済まなかった。

 

 

「そうですか…そうですね…!それでは、少しの間私の孫の執事になって頂けませんか?」

 

 

「……………………………はい?」

 

「ですから、執事をお願いします、もちろんお給金も払いますので」

 

この婆さん本気か!?身元も分からない俺を大事な孫の側に置くなんて。

 

 

 

「…差し出がましいようですが、俺のように身元が分からないような怪しいやつを置くのはどうなんですか?」

 

 

 

「あら、大丈夫ですよ、レイ・ブライトさん」

 

「なぜ!?知っているのですか!?」

 

 

「申し訳ありませんでしたが所持品の方を拝見させて頂きました、そうしたら名字がブライトでして、確かカシウスさんに息子さんがいると聞いていて、もしかしたらと思いカシウスさんに連絡してみたら息子さんとの事で、…あっ、カシウスさんも此方に向かわれているそうです」

 

 

そうゆうことか、しかし親父の知り合いだとは。

 

 

「…そうでしたか」

 

 

 

女性は何かを思い出したように手を叩き、微笑んだ。

 

「自己紹介がおくれましたね、私はアリシア・フォン・アウスレーゼと申します」

 

 

アシリアさんか…ん!?アウスレーゼ?……………アリシア・フォン・アウスレーゼ!!??まさか…

 

 

「…大変失礼ですが、もしかしてリベールの女王陛下でよろしいでしょうか?」

 

 

「はい、そうです」

 

 

レイは空いた口が塞がらず、困惑していた。

 

「(…何故そんな雲の上の人間が…俺のような一個人と……)」

 

するとカツカツと歩くよりもどちらかというと小走りに近い足音が聞こえてきて、部屋の前で止まり扉を叩く音が聞こえてきた。

 

「失礼するぞ、レイ目を覚ましたようだな…!?女王陛下!な…何故」

 

 

俺が保護されたかと聞いて急いで来たらしく顔に汗を滲ませていたようだが、より一層とんでもないイレギュラーにより親父の汗が目立つようになっていた。

 

「お久しぶりです、カシウスさん。

それでは親子水入らずでどうぞ」

 

それだけ言い残し陛下は部屋を後にし扉を開けて、退室していった。

 

 

「……まあ無事そうで何よりだ、レイ、軍に保護されたと聞いて飛んできたよ」

 

 

「……あぁ、すまない」

 

「それよりも、お前が襲われるなんて一体どうしたんだ?」

 

親父自身も信じる事が出来ないような顔つきであった、少なからずゼムリア大陸を代表する実力者の親父に勝ったという本人同士でしか知らない事ではあるが、その俺が負けたのであったのだ、親父の顔つきは険しく困惑を隠す事が出来ない様だった。

 

 

「あぁ、それが…」

 

奇襲にあった事と、女王陛下に何を聞かれたかを、親父は終始顔を顰めながら聞いていたが、どうにか納得することができたようであった。

午後の日差しが傾き、夕日に変わり涼しい風が部屋を通り抜けてきた。

 

「………そうか、しかしお前レベルの達人か、すまないが全く今まで聞いたこともないぞ」

 

 

「…そうか、親父なら知っているかと思っていたのだが」

 

 

「……レイ、今回の事をどう考える?」

 

不意の質問であったが、少し考え一つの仮説を立てみた。

 

 

「おそらく今回の襲撃は唯の殺人未遂事件ではないのかもしれん、確率は低いが教団の残党の可能性も零ではないと思う、しかし…何故俺なのだ」

 

「私もほぼ同じような答えだ、レイの世界から来たなどあるが、それより重要なのは、その男を知らない事と確保するのが難しい事だ、今まで様々な国家の実力者と会って来たが、お前クラスの達人など聞いたことがない、……おそらくだが元の世界でお前さんの事を知っていて、危険除去のまたは報復の為に襲撃したのでは?」

 

 

「………」

 

南斗聖拳でありシンの南斗孤鷲拳に近い流派など聞いたことが無く、そんな男を俺は知らなかったし、聞いたこともなかった。

 

 

「すまない、全く身に覚えがないな、だが報復なら…恨みなら死ぬほど買って来た」

 

 

「そうか…」

 

不毛な会話とはこの事なのだろう、幾つか仮説を立てるが全く答えに辿り着く気配が感じられなかった。

部屋は既に電気の光で明るくなり、外を見ると月が出てきていた。

 

 

「レイ、しばらくの間女王陛下の頼みを承諾しなさい」

 

 

「何故だ親父!?」

 

「普通ならば断るべきであろう、しかし状況が状況だ、おそらく今までそのような存在を聞いたことがないような男なのだ、表沙汰に出たくないのだろう、ならば城内などという警備が厳しい場所であればまずこの先現れる事はあるまい、陛下もそれを気にして気遣って頂けたのだろう」

 

確かにそうなのだが、納得する事が出来ないでいた、守ってもらうなどプライドが邪魔をしてた。

 

「レイ、気持ちは分かるが今は様子を見るべきだ、城内ならば情報も入りやすく、男を見つけ一番に動く事も出来る、お前にも悪い話ではないはずだ」

 

 

「……分かった」

 




少々強引ですが、ご都合主義だと思って納得して下さい






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南斗の軌跡13話 俺を待つのは戦いだけではなかった!!

UA10000突破、お気に入り53件!!
本当に感謝です、こんな駄作を応援してくださって!!

これからも頑張ります!


 

 

その日に親父はロレントへ帰省し俺はもう少しの間だけこのエルザ離宮に世話になることになった。

 

たまたま女王陛下がエルザ離宮に用事があり来ていて、その晩に見回りに出ていた親衛隊員に俺は保護されたとの事らしい。

 

 

傷が癒えグランセル城に来てくれと言われたので、行くと門番に止められ事を話すと、一人のメイドが前に現れ、俺を部屋まで案内した。

 

部屋に案内され制服だと渡されたのが、黒のカッターシャツと黒のスーツとなぜかサングラスであった。

 

「(……スーツなんて何年ぶり……いや初めてか……しかし何故サングラス?)」

 

とりあえず着替え、案内がくるまで待つことにすると、一人の貴婦人が訪ねてきた。

 

 

「貴方がレイですね」

 

 

「…はい、そうです」

 

「女王陛下から話は聞いております、私は女官長のヒルダと申します、まず一ヶ月程研修で様々な事を学んで下さい、もう暫くしたら1人来ますので、一ヶ月その者に教えてもらって下さい」

 

 

「…分かりました」

 

ヒルダは部屋から出て行こうとすると、「ああ、今日はお茶の淹れ方を教わって下さい」それだけ言い部屋を後にした。

 

 

 

「…………俺がお茶……」

 

考えるだけで憂鬱だ。

 

 

◇◆◇◆

 

「サラ、サラは居ますか?」

 

休憩中に突如上品な貴婦人がメイドの待合室に入ってきた、姿を確認すると女官長のヒルダ夫人のようだ。

 

「サラ、探しましたよ」

 

どうしたのだろう、まさかなにか私が粗相を?

 

「女官長?如何なさいましたか?」

 

しかし、女官長の顔は険しく無いので怒っているとかではなさそうだ。

 

「サラ、貴女にお願いがあります、今日から少しの間一人の研修を頼みたいのですが、どうでしょうか?」

 

 

「?研修ですか、私でよろしいのですか?」

 

普通研修といったら女官長や私なんかよりもベテランの方がするはずなんだけどなー。

 

「はい、申し訳ないですが、都合が良い者が居なくて」

 

ということは、代わりとはいえやっと一人前に見られたのかな、だったら

 

「分かりました!私でよろしければ!是非ともやらせてください!」

 

 

「そ…そうですか…ではお願いします、えー名前はレイと言い、貴女と同じ22歳です、準備が出来たら二階の突き当たりの部屋まで行って下さい」

 

 

「(ヘェー"レイ"ちゃんか、可愛い名前だな、いや絶対可愛い!

仲良くなれるかな、友達になったら休みの日にお茶したり甘い物を食べに行ったり、楽しみだな〜)」

 

 

「………それではお願いしますね」

 

 

ヒルダは部屋から出て行き、自分の仕事に戻ろうとした。

 

 

「……あっ、男で護衛兼執事と言うのを言い忘れてましたね、……まあ….大丈夫でしょう」

 

 

◇◆◇◆

 

はやる気持ちを抑え、指定した部屋まで私は行った

 

「ふふふ、ここか」

 

部屋をノックし、扉を開け中を確認し、レイちゃんという女の子を期待していると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故か全身ムキムキの筋肉質の黒いスーツを着、サングラスを掛けている男性がいた。

 

 

 

 

 

「あ…あの…レイちゃんという人を知りませんか?」

 

 

 

こ、怖いーーーーーーーーーーーーーーめっちゃ怖いよこの人、威圧感が半端ない、凄い険しい表情なんだけど!?

 

 

「………レイとは俺の事だが」

 

 

…………………………えーーーーーーー男性!?女の子じゃなくて、

 

「あの、男性ですよね………ひぃ!」

 

凄い睨んでる、サングラス越しだけど分かる、見てわかんねえのかってオーラを発しているよ、怖いよ、あの目はもう何人も殺しているような目だ。

 

 

「………男だが」

 

 

あ…ああ、私の思い描いていたのと違う、これ頼まれたのではなくて、押し付けられたんだ。

 

 

「?大丈夫か、顔色が良くないが」

 

 

「…大丈夫です……すこし目眩がしただけですから」

 

 

仕方がない、気持ち切り替えて頑張ろう!

 

 

「そ、それではまず基本的なお茶の淹れかた…から、とりあえず私が淹れますね」

 

 

う〜やっぱ怖いよ

 

 

…………

「これが基本的なお茶淹れかたです…………召し上がってください」

 

 

「………頂こう」

 

 

……なにこの空間、この人本当に無口だし、終始息苦しいよ。

 

 

「……美味いな」

 

 

あっすこし微笑んだ、……悪い人じゃないのかな……

 

 

 

「で、では貴方も淹れてみてください、私が後ろから教えますので」

 

 

その後も何事もなく普通に教えて、二時間位が過ぎた。

 

 

「ふう、それではそろそろ休憩しますか」

 

 

「……分かった……………」

 

「…………………」

 

 

どうしよう、会話が続かない、なにか話題を………あっ。

 

 

「レイさんって、何人家族なんですか?」

 

 

「……今は四人家族で妹が1人いる」

 

 

今は?昔は?

 

 

「今はってどういう事ですか?」

 

 

あれ、顔が凄い険しい、もしかして地雷踏んだの私!

 

 

「…昔も四人家族だったが、両親を野盗に殺され、妹を誘拐された事があった」

 

 

 

!?両親を殺された、妹さんも誘拐された!?

 

 

「それは!?…………いえ不躾でしたね、すいません興味本意で聞く事ではありませんね」

 

 

 

「……気にするな、それで今はロレントで養子の扱いになっているのだ」

 

 

……この人の闇は恐らく私なんかが踏み入れていいものではないのだろう。

 

そのことを気にし、落ち込んでいると、頭を優しく撫でられた。

 

 

「…えっ!」

 

 

「だから気にするな、それに今は父親がいて母親が…妹もいる、今は幸せなんだ…俺の方こそすまん、こんな話をしてしまって」

 

 

…私は今まで男性に免疫がなく、初めてあった時も怖いと思うばかりで、この人の本質を知ることなんてできなかった、この人本当に無口で怖いけど、けど凄く優しいひとなんだなと分かった。

 

 

「あ、ありがとうございます……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

できればもう少し〜」ボソボソ

 

 

 

「ん、何か言ったか?」

 

 

 

 

「!いえ、なんでもありません!!」

 

 

「そうか」

 

 

 

そう言い、撫でるのをやめてしまった。

 

 

 

「ぁぁ、」

 

 

「ん?」

 

話題を変えなければ!

 

「いえ、……それよりレイさんグランセン城の事をよく知りませんよね!では一通り回りましょう、うんそうしましょう!」

 

 

 

「…………?分かった」

 

首を傾げて不思議そうな顔顔をして、多分変な女だなーとか思われたんだろうな。

 

はぁ〜。

 

 

お城の中を回っている時も、先輩や後輩のメイドさんが二度見したり、中には隠れたりした子もいたけど、免疫ない子が多いからね〜、男性の中でも怖いレイさんなら隠れるのも無理はないか、私も初めて見たら隠れる、いや逃げるだろうし。

 

 

レイは物珍しそうに辺りを見回していた。

 

 

 

「サウザーやラオウ達が見たらなんというか……」

 

 

「何か言いました?」

 

 

「いや、何でもない」

 

 

どこにいるかは知らないが、何処ぞの聖帝と拳王のことを思い出していた。

 

 

「(こんな所が元の世界にあれば、モヒカンが来て、「ヒャッハー」だとか言いながら攻めて来るだろうな)」

 

微笑むレイを不思議そうに、サラは首を傾げて見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




✳︎サラはオリキャラです
この先レイがフラグを立てまくる予感が半端ありません


文書がうまく書けません、誰かアドバイスを下さい。


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南斗の軌跡14話 どの時代にも愚かな者は存在する!!

不定期更新ですいません

あとサブタイトルが思いつかない(泣)
できるだけ北斗の拳に近づきたいのですが…


 

 

二日目、カーテンから差し込み、眩しく光る朝日を浴び予定時間より早く起き園庭に出て、習慣である鍛錬を行うことにした。

 

日がよく差すなか園庭を見回すと、誰一人も居ないので、上半身裸になり、元の世界でよく履いていたような膝当てのついた青のズボン一枚になった。

 

 

…始めるか。

 

 

いつも通り型から入り、動きなどを確認していると視線を感じた、視線の先を見てみると、昨日から世話になっているサラが見惚れているような顔をしてそこにいた。

 

 

「サラか、どうした?」

 

サラは見惚れているような顔から元の顔になり。

 

「あっ、レイさん朝食の準備が出来ましたので部屋まで迎えに行ったのですがいなくて、探してみたらここにいまして、少し見学していました…とりあえず上着を着て下さい」

 

 

とりあえず上を着て部屋に戻り仕事着に着替える事にした。

 

使用人の食堂にいくとすでに人は少なく、カチャカチャと食器を片付けているメイドが数人目立つ程度であった。

 

 

案内され食事を取ろうとすると、目の前にサラが座った。

 

 

「?まだ取っていなかったのか?」

 

「はい、レイさんを探していましたので」

 

 

すまない事をしたな、わざわざ時間を潰してまで俺の面倒を見てもらって。

 

「…すまない、時間を取らせて」

 

レイは済まなそうに頭を下げた。

 

「いえ大丈夫ですよ、それに良い物も見れましたから、…なんというかああいうの鍛錬ですか?拳法かなにかの、なんというか…綺麗でした」

 

 

物珍しそうに見てはいたが、そこまで見惚れるようなものなのだろうか、ユダも美しいと言ってはいたが。

 

 

「…そうか」

 

「毎朝あんな事をしているのですか?」

 

「んっ、まあほぼ毎日だな」

 

 

サラは関心したように首を縦に振っていたが、思い出したように止めた。

 

 

「あっでも庭園で上半身裸になるのはやめて下さいね、女官長に怒られますからね」

 

「……分かった」

 

とりあえず食事を終えて食堂を後にし、部屋に戻り基本的な事を教えようと部屋に戻ることにした。

 

午前中に簡単なシーツの畳み方などを指導し、昼に入る前に園庭に出て休憩でもしないかと言われたので、二人で出ることにした。

 

太陽が丁度真上に来ていて、陽気な日差しが心地よく、春の暖かさを存分に楽しむ事ができる。

 

 

「んっーー風が気持ちがいいですね」

 

 

背を伸ばし風を受けながらレイの方向にサラは向いた。

 

 

しかしレイは全く違う方向を向いていた。

 

 

「どうかしましたか?」

 

 

首を傾げて聞いてみると

 

 

「いや、あそこにリシャールと…あの男達は誰だ?」

 

リシャール中佐?とあれは……フィリップさんとデュナン公爵!?

 

 

 

「…………………」

 

 

 

「…………………」

 

 

 

園庭の木陰がある椅子に太ったい男が豪快に笑いながら頷き、リシャールも微笑みながらそれに続き会話をしているなか、初老の黒服の男は終始不安そうな表情であった。

 

 

「フィリップさんとデュナン公爵!?」

 

 

「デュナン公爵?」

 

確か、王位継承順第1位に位置する次期国王候補の1人だったか、その男がなぜリシャールと会談を?

 

「レイさん、ここから離れましょう、私あの人のそばにはいたくありませんので」

 

サラはいつもの人懐こい顔から若干であるが嫌悪感を顔に出していた。

 

 

「…分かった」

 

離れようとすると少し遅かったようで、どうやらリシャールがこちらに気がついたようで、こちらに向かってきた。

 

 

「おや、レイ君じゃないか、どうしてここに?」

 

 

レイを見つけ友人に会ったような笑顔になり、こちらに向かってきた。

 

 

「…久しぶり……でもないか、リシャール」

 

「ああ、…それとこの前はお疲れ様」

 

 

少し表情を暗くしたが、すぐに元に戻り握手を求めてきた。

 

レイはとりあえず握手を受け取り、挨拶を交わした。

 

 

「それよりレイ君、なぜ君がここに?」

 

「…女王陛下の依頼?というか、姫の護衛兼任の執事になった、それで今は研修中だ」

 

 

リシャールは驚きながらも微笑み肩を叩いてきた。

 

 

「そうか、確かに君以上の護衛なんて中々いないだろうな、いいじゃないか、これから道は違うが共に国に尽くして行く同士として私は嬉しいよ」

 

満開の笑みになり叩くのをやめた…………しかし、その笑みには良くないものをレイは少し感じる事ができた。

 

 

「……そうか」

 

 

リシャールと話していると、離れた場所にいたはずのデュナンがこちらに向かってきた、呑んでいたのか少し顔が赤く足元が定まっていなかった。

 

 

「リシャールよ、一体この者は誰なんだ?一人は唯のメイドのようだが?」

 

 

続きながら黒服の執事?らしき老人も付いてきた。

 

 

「失礼閣下、私の友人のレイという者です、この度新しく姫殿下の執事に就任したとの事であります」

 

 

「ふむそうか、私は次期国王のデュナン公爵じゃ、光栄に思え中々私に名前を覚えてもらう機会などないぞ」

 

 

偉そうに笑いながら紹介してきた。

 

「私は閣下の教育係をしております、執事のフィリップと申します」

 

 

黒服のフィリップという執事は腰を低くして丁寧に挨拶をしてきた。

 

 

「それでは閣下、私はこのあとレイトン要塞に用事がありますので、失礼させて頂きます」

 

リシャールはそれだけ言い残し、園庭を後にした。

 

俺らも部屋に戻ろうとしようとすると、「まて」とデュナンに止められた。

 

 

「お前ではなく、そこのメイドよ……ふむ、あまり見ないが……うむ、その方名はなんと申す?」

 

 

「…サラと申します」

 

 

デュナンはなにか納得した表情になった、サラはレイの服を掴み、後ろに下がった。

 

 

 

「サラか、どうじゃお主、私の専属のメイドにならんか?それなら今夜にでも」

 

 

この豚、サラに夜伽をしろと!?

睨みつけ、威圧しようとすると

 

 

「殿下!?…白昼堂々と色欲に溺れるなど言語道断!言葉を慎んで下さい!!」

 

先ほどとはうって変わり憤怒とまではいかないが、表情を強張らせフィリップは叱咤した。

 

 

「ふんっ、冗談だ冗談、…行くぞフィリップ!」

 

不満そうな顔をしデュナンは後にした。

 

 

再び元の腰の低い姿に戻り、額に汗をかきながら、フィリップはこちらを向いて謝罪してきた。

 

 

「申し訳ございません、レイさんサラさん、閣下には私からよく言っておきますので」

 

 

元から低い腰がさらに低く感じる位まで低くなり、深く頭を下げた。

 

 

「遅いぞフィリップ!早く来んか!」

 

 

フィリップは再びデュナン下に歩き始めてこちらを後にした。

 

 

二人がいなくなり、この場はなんとも言えない空気になってしまった、気持ちの良い日差しすら鬱陶しく感じる位まで胸糞が悪い。

 

 

「……………」

 

あんな男が次期国王だと、……だとしたらこの国は終わりだな。

 

 

「行くぞ、サラ」

 

しかし、サラは服を掴んだまま離そうとはしなかった。

 

 

「ごめんレイさん……もう少しこのままで居させてください…」

 

 

目に涙を浮かべながら、サラは強くレイの服ではなく、腕にしがみ付いてきた。

 

 

…無理もないのか?俺はよく分からんが、年頃の娘に対しあんな風に言い寄られては。

…なぜサラがデュナンを毛嫌いしているのがよくわかった。

 

昼過ぎの風が心地よく吹く中、無言の二人を…サラの涙を流すように吹いてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(…それにしても、あのリシャールの表情といい、少し聞こえたが…………クーデターがどうとか、……少し警戒しておくに越した事はないか)」

 

 

 

 




✳︎グランセルがグランセンになっていましたが、すいません素で間違えて覚えていました、修正しておきます。

レイの聴力ですが、ケンシロウが2km先のヒソヒソ話が聞こえる位なのでこれ位なら聴こえるだろうと思います。


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南斗の軌跡閑話 レイの休日!!

今回は…なんというか、ありきたりというか、レイとサラが若干崩壊しています、話も…すいませんありきたりで。


 

 

研修が始まり一週間が経とうとしていた。

 

 

俺の周りで大きく変わった事が二つほどある。

 

一つ目が城で働いているメイドが俺を見ても怯えなくなった事だ。

最初は怖いといい、隠れたり挨拶をしても返さずに逃げてしまう者がほとんどだったが、最近ではサラの助言のお陰で挨拶位はしっかりと返してくれるようになった。

しかし遠くでヒソヒソと話していて、そっちを向くと頬を赤らめて下を向いてしまうが何故だ?遠すぎて聞こえないが、ケンなら聞こえるのだが一体何を話しているのだろうか?

 

もう一つはサラが俺の事をさん付けで呼ぶのをやめ、タメ語に変わった事だった、元々敬語で話されるのはむず痒く何より年が同じなのに話されては少し頂けなかったので、それを話すと快く理解してくれたようで、会話に少し敷居が無くなったような気がする。

 

そんな俺は今、城の前でサラを待っていた、いつも道理の仕事着でも拳法着でもなく、戦争前に着ていたライダースのようなジャケットを着て待っていた。

 

サラが休日にグランセルを周りたいと言い出し、無理やり連れて行かれる形になったのだが…………遅いな。

 

 

すると門からいつものメイド服ではなく、フリフリの服を着たサラが出てきた。

 

 

「ごめんね遅くなって」

 

「まあいい、それより何処に行くんだ?」

 

「んーー特に決めてないよ、レイがあまりグランセルの事を知らないっていうから適当に回るから」

 

「…そうか」

 

しかしサラの私服……何というか少々……

 

私服について失礼な事を考えていると、察したようにサラは頬を膨らませ少々不機嫌になった。

 

 

「ぶぅー、レイ私の私服を見て子供っぽいと思ったのでしょう!?ふんーだ、いいもん子供っぽくても」

 

……何故分かったのだろか?

 

 

「いーんだもん、可愛いから、レイ"可愛いは正義"なんだよ!可愛いならなんでも許されるんだよ!……レイも名前は可愛いのにちっとも可愛くないんだから!」

 

 

「そ…そうか……いやいいと思うぞ俺は……」

 

 

「ふーん……ならいいや!」

 

……やはり女は分からん。

 

 

「まあいいや、早く行こ!」

 

 

不機嫌だったのが何処かに飛んで行き笑いながら前に出てきた。

 

 

 

「(……………………女の心がわりはおそろしいの………)」

 

 

どこぞのKINGと同じ事を思ってしまっていた。

 

 

大通りは休日と言うのもあり、多くの人々で賑わっていた、しかし中でもこの二人は注目が集まっていた。

 

方や長くウェーブが掛かった栗色の髪をした幼さが残る大きなリボンを付けた美女と言うよりも美少女が似合う女の子で、

方や体格がよくライダースがよく似合い、長い黒の髪を持ちワイルドな男前で美しいとも言える男が二人揃い街中を歩いているのだ、一目に着くだろう、おそらく普通の知らない一般人が見れば美男美女のカップルにしか見えなかった。

 

 

とりあえず、サラが東の行きたという場所に最初に行くことになった、どこだと思い付いて行っていると、アイスクリームを売っている移動式の売店であった。

 

とりあえず二人はそれぞれ買い、近くのベンチに腰をかけた。

 

 

「ふう、…最初新しい子がレイって言うから絶対に可愛子で休みの日に美味しい物を食べに行ったり可愛いぬいぐるみを見に行ったりだとか考えていたんだけどねー…はあ」

 

 

こいつ、だから最初男かって確認してきたのか。

 

 

「…悪いな男で」

 

少し皮肉で返してみたが、全く効いていないようだった。

 

 

「別にいいよ、私が勝手に妄想していただけだから、それにこれから可愛いを教えていくからね!覚悟してね」

 

 

 

…………目眩がしてきた。

 

 

 

その後はひたすら可愛いとは何かをサラは熱弁して、俺はただ「そ、そうか…」とだけ返して行った。

 

 

「…………でね、そのアネラスちゃんが可愛いのなんのってね、この前もお揃いのリボンを買ったんだけど………話きいてる?」

 

少し不満そうに、顔を膨らませきた。

 

 

「あっ、ああ」

 

 

「ふぅーんまあいいや、処でレイの友達ってどんな人がいるの?」

 

 

友達…か、即座に浮かんだのがケンとシュウだけだった…………よくよく考えると俺って少ないんだな…友達。

 

 

「友達…か、親友と言えるならば二人いる、一人は盲目だが心眼で全て見えて五感が半端なく良いやつだ、もう一人は2km先の声も聞こえ、猟犬並みの嗅覚を持ち56分くらい息を止められ、放たれた矢も止まって見える位の動体視力を持つ男だ」

 

 

数少ない親友と呼べる宿敵の事を話すと、サラは口を開けてポカーンとしていた。

 

 

「…なにそれこわい、最初の人は百歩譲ってまだ分かるけど、二人目は何者!?人間やめてるでしょ!」

 

 

人間やめてるか……そんなに凄いか?確かに凄いとは思うが、そこまでなのか?

 

 

「そうか?二人とも一ヶ月は飲まず食わずで生活できて、岩盤だろうが鋼鉄だろうが、引き裂いたり貫いたりしたりできるが、ちゃんとした人間だぞ」

 

 

サラは頭を抑え、唸っていた。

 

「……どこにそんな人が存在するのよ……」

 

 

「…俺の故郷はそんな奴らばかりだぞ、10m位の大男がいたり、燐を纏い相手を焼いたり、拳だけで水脈を開けたりできる奴らがいるが、そいつらも人間だ」

 

 

 

「………絶対にレイの故郷には行きたくないわね」

 

サラは終始自分の中の常識と葛藤していた。

 

食べ終わり、サラも治りエーデル百貨店に行くことになった。

一目散にぬいぐるみが売り場に行き、再びサラは葛藤していた。

 

 

「かあいいよ〜♡このクマさん欲しいな〜、こっちのネコさんも〜う〜」

 

 

……楽しそうで何よりだ。

 

 

今の俺の姿をケンやユダ達が見たら何と言うか………女に振り回されアイスを食べて、ぬいぐるみの前で女を待つ姿を見たら。

ケンやトキ、シュウならまだしも、ユダやサウザー、シンが見たら「腑抜けたか!?」だとか言ってきそうだな……マミヤやアイリにも見せられん…。

 

 

「ねえレイ!どっちがいい?」

 

 

サラは両手にクマとネコのぬいぐるみを持ち、訪ねてきた。

 

 

「………………分からん」

 

 

素っ気なくかえすと、再び頬を膨らまし、「ぶうー」と唸ってきた。

 

 

「レイ!女の子のお買い物で分からないだとかどっちでもいいだとかは絶対に言っちゃいけないんだよ!!」

 

 

「……すまない」

 

「まあいいや、両方買おうっと♫」

 

…なら何故聞いたのだ?

 

 

「あっ、レイ確か妹さんがいるんだよね!買ってプレゼントしたら?」

 

 

エステルにか、………果たしてあいつがぬいぐるみだとかを欲しがるか?……釣竿だとかスニーカーだとかの方が喜びそうだが…。

 

「いやいい、それよりも欲しがるような物があるからな」

 

 

サラは「ふぅーん」とだけいい、ぬいぐるみを持ち会計に行った。

 

その後は一通り回り、最後に俺が行きたい場所は?と言われたので、時間もよかったので中央区にある居酒屋に行く事になった。

 

 

ブレイザーギルドの前に、王都ということもあり野蛮そうな客もいなく、静かに夕食と酒を味わうことができそうだ。

 

サラは休日を有意義に使えて満足していた、俺もたまにはいいのかも知れないなこう言うのも。

 

 

 

「かんぱーい♫」「…………」

 

 

サラは度数の弱い果実酒を頼み、俺は割と強めのウイスキーを頼んだ。

 

 

「ぷはー、美味しいなこのお酒!レイは何飲んでるの?」

 

 

サラは俺が飲んでいたグラスを手に取り一口飲んで見たが、……すぐむせた。

 

 

「無理無理無理!?何これ?まずいよ」

 

 

そこまでまずいか?結構好きなんだが。

 

 

「もう少し大きくなれば分かるさ…」

 

 

「あっ、また子供扱いして ぶう〜同い年なのに〜」

 

 

今日何度目だろう、頬を膨らませるのは。

 

 

一時間位酒と料理に舌鼓を唸らせていると、乱雑にドアが空き数人の男達が入っていた。

 

 

 

 

「おい!親父酒だ!」

 

一人太った大男が声をかけると人数分の酒が即座に運ばれて、王都に似つかない下品な会話と品性の欠片もない笑い声を上げ、その姿を見て俺ら以外の客がそそくさと会計を済ませて店を後にした。

 

 

「(どこの世界にもモヒカンみたいな奴らはいるんだな…)」

 

 

すると、一人の男が此方を向き、口笛を鳴らしながら向かってきた。

 

 

「よーねえちゃん、俺らと飲まない?その男ほっといてさー、奢っちゃうよ」

 

 

ありがちというかベタというかそんな会話に少し目眩がした。

 

 

「大丈夫です、貴方達と飲むなんかよりも、ずっと楽しいですから!」

 

 

「なんだと!このアマ!!」

 

 

男が机を蹴り上げ、威嚇してきてゾロゾロと他の男も此方に向かってきた、しかし店主は見ていないふりをし、視線を合わせないようにしていた。

 

 

サラはビクつき俺の後ろに下がり隠れるように服を掴んでいた。

 

 

…しかたがあるまい。

 

 

「……悪いが元の席に戻ってくれ、食事中なのでな」

 

そう言うと、一人の大男が前に出てきて、俺の目の前まで顔を近づけてきた。

 

 

「悪いな色男、舐められて黙っているほどお人好しじゃねえんだよこっちは!」

 

「…………」

 

 

「なんだ、黙りか?なら金置いてとっと「臭い息を吹きかけるな豚」なっ!?」

 

 

レイの一言で大男は激怒し持っていたナイフを懐から出し、構えた。

 

 

「いいねー色男君〜殺したくなったよ、死ね!!」

 

 

ナイフを振りかざし、俺に向かって来たが

 

 

 

俺は持っていたナイフと男の服を切り裂き、後ろに突き飛ばした。

 

 

「ぶひ!」

 

 

……まるで豚だな。

 

 

 

「豚は豚小屋に行け、服なんか着るな………他の奴らはどうした?」

 

 

残っている雑魚共を睨みつけると、蛇に睨まれた蛙のように動かず、足を震わしていた。

 

 

 

「覚えてろよ!」

 

 

…………なんと言うか……ありきたりな台詞しか言えんのか?

 

 

豚共のおかげで興醒めし、会計だけ済ませて店を後にした。

店主からスカッとしたと言われ少しだけ負けてもらうことができたようだった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

グランセル城に戻る時に少しサラに説教することにした。

 

 

「サラ、ああいう輩に無理に挑発するな、今日は俺がいたからよかったが……」

 

 

 

しかしサラは自信がありそうな顔であった。

 

 

「だから、レイがいたからだよ今日は、普段だったらあんな怖い人がいたらすぐ逃げるもん、それにレイより怖い人なんて中々いないから大丈夫!」

 

 

 

 

「………………」

 

 

何も言えなかった、信頼されて嬉しいのと、世間知らずというか………はあ。

 

 

こうして長い休日が過ぎようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ありきたりな文で作者も目眩がしてきました、すいません。



途中アネラスが出てきましたが、のちのちその話も書いていきます!


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南斗の軌跡 15話 再び!クローゼとレイ!宿命が呼び寄せた運命!!

研修が始まり一ヶ月が経とうとしていた、ヒルダ夫人によれば陛下と姫殿下はこの一ヶ月間共和国に赴いていて、顔を合わせる事がなかったそうであった。

そして明日帰ってくるそうで、今日で研修が終わろうとしていた。

 

ヒルダ夫人に呼ばれ、図書館に俺とサラとヒルダ夫人の三人が揃っていた。

 

 

「レイ、研修お疲れ様でした、今日を持ちまして研修を終え、明日から姫殿下の護衛兼執事の方を務めるよう頑張って下さい」

 

 

「…はい、分かりました」

 

 

「サラもご苦労様です、今日から新しい場で勤めて下さい」

 

 

 

「……はい、ありがとうございます」

 

 

しかし、サラの表情は優れないようであった。

 

 

「(……折角レイと仲良くなれたのに、仕事場は別々……か)」

 

 

 

 

 

 

「サラ、貴女は今日より姫殿下の専属のメイドですので、くれぐれも失礼のないように」

 

 

「……………えっ!?ヒルダ夫人、………」

 

 

 

えっ、…………姫殿下専属!?

 

 

 

「あの…………えー大変失礼ですが、専属とは?」

 

 

 

ヒルダは呆れたような顔になり、目を細めた。

 

 

 

「…貴女、人事移動の張り紙を見てないのですか?一ヶ月前から今日をもって姫殿下専属と書いてあるはずですが、………他にいなかった事もありますが、そのためにレイの研修を頼んでみたようなものだったのですが…ハア〜」

 

 

呆れて溜息しかでなかったようであった。

 

 

「申し訳ございません!研修の事で頭がいっぱいで確認することができませんでした!」

 

 

…………休日にでも確認できたのでは?………そういえば休日は殆ど俺といたな…………

 

 

ヒルダには申し訳なかったが、無駄なことを言い、自分にも飛び火が来るのは御免だったので、黙っておく事にした。

 

 

 

「……分かりました、とにかく明日から誠心誠意心を込めてしっかりと働いて下さい、レイ貴方も…期待していますよ」

 

 

「分かりました」

 

 

………………………

しばらくして、サラは見る見る内に顔が青ざめてきたようであった。

 

「………あれ、すごい出世だけど、かなり責任重くない?」

 

 

………今更……過ぎだ。

 

 

 

◇◆◇◆

 

翌朝昼頃にどうやら到着したらしく、迎えを任されたので赴くことになった。

 

門の前で待っていると、何人もの親衛隊員に囲まれた女王陛下を確認することができたが、姫殿下らしき姿を確認する事はできなかった

 

「(……確かエステル位の年の子だと聞いていたが、……見当たらんな)」

 

 

すると陛下はレイに気がついたようで、向かってきた。

 

 

「お久しぶりですレイさん、研修お疲れ様でした、それと…サラさん今日からよろしくお願いします」

 

「お疲れ様です陛下、分かりました務まるかどうか分かりませんが、…頑張ります」

 

 

マニュアルどうりというか、月並みの答えだったが、挨拶をした、一方サラはまだ緊張を隠せていなかったようであった。

 

 

「レイさん、申し訳ありませんが、少し二人で話をしたいので、これからよろしいでしょうか?」

 

 

二人で……姫殿下の事であろうか?

 

「…分かりました、お願いします」

 

 

陛下の部屋に通され、文字通り二人きりで話をすることになった。

 

 

「お掛け下さいレイさん、今お茶を淹れますので」

 

 

「…いえ、私が淹れますので陛下はどうかお座りになってお待ち下さい」

 

 

そういうと、「分かりました」とだけ言い研修で習ったとうりお茶を淹れた。

 

 

「どうぞ、アールグレイですがよろしかったでしょうか?」

 

 

「はい、ありがとうございます…それでは頂きますね」

 

 

…この一ヶ月で感覚が麻痺したというか、陛下と二人でお茶など一般的にあり得ないことでも、普通に対応できるような感覚になってしまった。

 

 

「美味しいですね、レイさん」

 

 

「…ありがとうございます」

 

 

ティーカップを置き、陛下は真剣な表情になり話した。

 

 

「おそらく、気になったと思われますがクローディア…私の孫がいないと、もう少しすれば来ますので少々お待ち下さい………それと、お願いがあるのですが……」

 

 

再び紅茶に手をつけながら一旦会話をやめた。

 

 

「……お願いですか、一体どのような事でしょうか…」

 

 

「…クローディアと過ごす間、執事ではなく、出来るだけ兄のような存在で過ごして頂けないでしょうか?、クラウディアの事は妹のように対応して頂けると嬉しいです」

 

………一国の姫殿下に対し兄のようにだと?!

 

 

「一体何故でしょうか…………」

 

 

「はい、実は孫は………」

 

 

話を聞くと、姫殿下の親である皇太子は事故で亡くなり、姫殿下は兄弟はいなく、親戚なども年の近い人は居らず、友人もずっと城の中で生きて来たのでいなく、もう一人教育係の子がいるのだが、仕事があり中々毎日は一緒に居られなく、一人寂しい思いをしていて、そんな中兄のような対等に接してくれるような人を探していたとの事であった。

 

 

「しかし……分かりました、務まるかどうか分かりませんが、善処してみます」

 

 

親は亡くなり、兄弟も友人もいない……か、同情が無いと言えば嘘になるが、それ以上に…俺に近い物を感じる事ができた。

 

 

「そうですか!ありがとうございます」

 

 

暫く談笑をしていると、コンコンと扉が鳴り、一人の少女が入ってきた。

 

 

「失礼しますお祖母様………!レイさん!?」

 

名前を呼ばれ少女の方を見てみると、…数年前に一度助けた、少女の姿がそこにあった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

今日から新しい専属のメイドさんと、執事の人が私に着くことになった、ユリアさんもいるのだが、仕事で中々来れなくこれからはこの二人が毎日お世話をしてくれるとの事になった。

 

 

お城に戻る前に、大通りを歩いていると、家族連れや友達どうしで歩いている人達が、よく目に止まった。

 

 

「ねえ、お兄ちゃん!?」

 

「はは、なんだよ!」

 

その会話や仕草を見て、私は凄く恥ずかしいが、嫉妬してしまった。

 

「…兄弟…か……」

 

 

「?、姫殿下どうなさいましたか?」

 

 

「いえ、なんでもありません!」

 

ユリアさんは不思議そうに、私の顔を見てきたが、出来るだけ悟られないよう、笑ながら返した。

 

友達、家族、兄弟……私は王家に生まれ今までお父様、お母様が亡くなり、私は例えようのない孤独感に押し付けられていた、また同年代の子達が外で遊ぶのを遠目から見ていて、虚しくも思ってしまった。

お祖母様、ユリアさんも仕事が忙しく、中々構ってもらえなく、部屋で一人泣くことすらあった。

 

「(どんな人なのだろうか?)」

 

 

今まで専属のメイドさんや執事さんはいたのだが、私が敬語をやめて対等に話して下さいと言っても、恐れ多いですと言われ、ユリアさんですら少し他人行儀な処が少しある。

 

「(どうか、仲良くなれますように)」

 

願わくは、姫殿下としてではなく、一人の少女として見て欲しい、そのような人に巡り会えますように。

 

お城に戻り、お祖母様の部屋まで行くようにと言われ、扉をノックし開けるとそこには

 

 

 

 

「失礼しますお祖母様………!レイさん!?」

 

 

 

 

かつて私を救い暖かい手を差し伸べてくれた人の姿がそこにあった。

 

 

 

 




レイの敬語が何故か知りませんがむず痒いほと似合わないと思っている作者です、本来敬語は普通に話せるのですが、…とにかく似合わないですね、むず痒いですが、少々我慢の方をよろしくお願いします。


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南斗の軌跡 16話 雛鳥よ大空を知る時がきた!!

遅くなりました!すいません


 

 

「…お久しぶりです、レイさん」

 

クローゼは目に少しの涙を浮かべて笑っていた、しかしその涙は心細く泣いていた涙と違い、確かな暖かさが確認できた。

 

 

「クローゼ…か、久しいなあの日以来か、まさかお前さんが姫殿下とはな…」

 

 

ポーカーフェースを装っているが、レイ自身も驚いていた。

 

 

それを見ながら、陛下も見守るように微笑んでいた。

 

 

「まあ、まさかクローディアの事を知っているとは思っていませんでした…これも縁なのでしょうか…」

 

クローゼを見ている陛下の姿は、一国の女王ではなく唯、慈しみ育ててきた孫を見ている祖母の姿であった。

 

 

「せっかくですから、クローディアに今日は貴方が旅して来た話を話してあげて下さい、この子中々お城から外に出る事がありませんので、少しでも…レイさんよろしくお願いします」

 

 

◇◆◇◆

 

陛下の部屋から出て、城内の一室に通され、今までの事を話す事になった、途中何故偽名を使っていたのかを聞いてみると、王族ゆえ悟られないよう愛称であるクローゼと名乗るようにしているとの事である。

しかし、愛称のクローゼを気に入っているので、これからもクローゼと呼んで欲しいと言われたので、そうする事にした。

 

 

「それにしても、こうしてまたお会いする事ができるなんて、これもエイドスのお導きなのでしょうか…」

 

 

「……………」

 

 

クローゼは年相応に目をキラキラさせながら、俺の事を見ていた。

 

中で待機していただろうサラはお茶を淹れてクローゼに「座って下さい」と言われ、恐縮しながらも用意されていた椅子に腰掛けた。

 

 

「ではレイさん、お願いします!」

 

………一体どこから話したものか

 

 

陛下に言われた通り、元の世界の事は一切話さず少しはぐらかしながら、18の頃つまりこの世界に来て旅をしながらリベール各地の事をクローゼに話した。

 

最初は戦争の復興支援をしながら旅をしてきた事や様々な町や村を周りながらそこで問題になっているような事柄などを解決してきた事などを、今までの軌跡を話した。

 

クローゼはレイの話がどれもこれも城の中では味わえないような新鮮な話に感動しつつ、その場にいたかのように頭の中で風景を描いていた。

 

「…まあ、こんなところだ」

 

話終わるとすでに外は暗くなっており、グランセルの街中を導力機のランプが光、幻想的な光が街を照らしていた。

 

席を外していたサラが入室し食事の時間だとクローゼを呼びに来た。

 

 

「はい分かりました、レイさんまたお話を聞かせて下さい!」

 

満足そうに微笑んできた。

 

 

「…機会があるならな」

 

 

「はい!分かりました!」

 

 

クローゼは出て行き部屋にはレイだけとなった。

 

 

 

 

 

「エイドス………か」

 

 

 

 

二日目

 

午前はクローゼは勉学という事もあり、午前中は仕事も無く図書館に向かった。

 

城内にある図書館は一般的な図書館より小さいものであるが、その分貴重な本もあり、退屈はしなかった。

一応職員?…執事であるために貸し出しなどは問題なく、暇がある時は出来るだけ本を読む事になっていた。

 

 

「……………」

 

元の世界では本など読む事など無かったが、この世界にきてから時間がある時はしばしば本を読む事がある、その中で空の女神エイドスの事柄がよく出てきている事があるのだが、どの書物にも一通り一般常識程度や神話などありがたい事しか書いては無かった、他の都市の本など探ってみても同じような事しか書いてなく、素晴らしくありがたいと思うとしか無いように出来ていた。

 

 

「やはりか…」

 

「(いくらなんでもおかしすぎる、元の世界であったように神話でも、神が間違っているだとか捻くれた解釈が書いてある本などが絶対にある筈だが、これらはまるで意図的に消され、"この世界はエイドスにより守られている"と言い、否定為るのは許さないと言っているようなものではないのか!?

教団のような集団はともかく、何故一般的に否定する事を許さないのか?)」

 

考えても仕方がなく、読んでいた本を元の場所に戻し、時計を見てみるといい時間であったので図書館を後にし、クローゼの下に向かった。

 

昼食を食べ終わり、午後は教育係の軍人による武道の指導との事で、俺もそばで見守る事になっていた。

 

園庭に着くと親衛隊の軍服を着た短髪の女がいた。

 

 

「殿下、お疲れ様です、それと…」

 

「レイだ」

 

「そうですか、私は殿下の教育係を勤めていますユリアと申します」

 

綺麗なお辞儀であった。

 

 

「そうか、…別に敬語じゃなくていい、同じ位の年だからな」

 

 

「…そうか、申し訳ない」

 

軽く紹介を済ませると、早速鍛錬を行うと言って、一体一の試合形式で行うことになった。

 

…どうやら二人の武器は細身のレイピアか、…それにしても型の綺麗な流派だな、剣術など余り精通していないが、俺の目にも綺麗に見える。

 

暫く時間が経つと、休憩のようで二人とも手を休めたようだ。

 

 

「ふう、少し休憩にしましょう」

 

「はい、ありがとうございます」

 

俺は用意して置いたタオルと飲料水を二人に渡した。

 

 

「すまない…」

 

何か聞きたい事があるのだろうか、ユリアは俺の事を観察するように見ていた。

 

 

「…どうかしたか?」

 

「いやすまない、…レイ君はカシウスさんの息子だと聞いたのだが、…武器は一体なんだ?」

 

「…拳法だ」

 

驚いた顔になり目を見開いていた。

 

「なんと!いやそうか、道理で筋肉の付き方が違うと思っていたが…まさか拳法だとはな」

 

 

大方親父の息子だから剣術か棒術かと思っていたのだろう。

 

「ああ、すまない別に拳法が悪いとかではなくて、昔カシウスさんに剣術を習っていてな息子さんなら剣術をと思っていたのだが、拳法を習っていたという事に驚いただけだ」

 

親父、どこまで顔が広いんだ。

 

その後も日が暮れるまで行われ、クローゼは疲労困憊を隠せなかった。

 

「はあはあ、ユリアさんありがとうございました」

 

 

それと同時にクローゼは地面に倒れこんだ、無理もないこの年の子がやるレベルではなかった程の鍛錬だ。

 

 

「殿下…お疲れ様です」

 

一方ユリアもそれなりに疲れているようであった。

 

 

「しかし、殿下の今日の気迫…」

 

「いつもここまでするのか?」

 

「いや、普段と比べても今日は異常だ、まあ嬉しい誤算ではあるがな」

 

なるほど、何故か今日は異常であったのか。

 

クローゼを抱え部屋に戻ろうとした、部屋の前に着くと目を覚ましたようで微笑んできた。

 

 

「レイさん、私は強いですか?」

 

「…正直年にしてはかなり強いな、将来が楽しみだ」

 

今これ程ならば十年したらどうなるか?…楽しみだ。

 

クローゼは安堵したように再び微笑んだ。

 

「私は貴方を見て強くなりたいと思いました、私にも誰かを守れるくらい強くなりたいと…」

 

「……いや、俺ですらまだ弱い、上には上が居るものだ」

 

「そうですか…世界は広いですね」

 

「ああ、広いさ」

 

「いつか見てみたいです、レイさんのように自分の足で…」

 

再び深い眠りについたようだが、その顔は満足したように微笑みながら眠っていた。

 



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南斗の軌跡 17話 義星と漆黒の少年!!運命が動き出す!!

連投失礼します、もうあと少しで本編に突入できそうです!!


 

 

少し時間が経ち、俺は一週間程の休暇を貰いロレントに帰省する事にした、土産に釣公師団で買った釣竿を持ち、グランセルからロレント行きの定期便に乗りグランセルを後にした。

 

 

「ただいま」

 

「レイ兄お帰り! ようやく私の元に帰って来てくれたのね!」

 

 

「…そんな言葉誰に教わった」

 

 

「シェラ姉!!」

 

 

シェラ姉?………シェラザードか………あいつは。

 

 

「お帰りなさい、レイ」

 

「ただいま…母さん」

 

ややダイナマイトなエステルの発言は置いとき、とりあえず帰って来た事に対しては喜んでくれた。

土産の釣りざおを見てエステルはとにかく喜び明日早速使おうと言っていた。

 

「あとこれ、母さん」

 

俺は今日まで仕事で貯めてきた金のほぼ全てを渡した。

 

 

「あらなに?…………レイ!こんなには受け取れないわ!」

 

「そう言われても使い道が無いからな、これから毎月送るよ、エステルに何か買ってやってくれ」

 

そう言われても引き下がらなく、結局毎月二割程で俺は妥協した。

 

「ふぅようやく着いたか、今帰ったぞ」

 

しばらくすると親父が帰ってきたようだが、手に持っている布は一体何だ?

 

「お帰りお父さん!」

 

「おう、ただいまエステル レナ、レイも帰って来たか、それよりもエステル今日はお前にお土産があるんだが」

 

「えっ、ほんと!?ストレガーのシューズ?それとも釣りざお?あっ釣りざおならレイ兄が買ってきてくれたよ!」

 

「なんで、ここで服とかアクセサリーという発想がないんだうちの娘は…。」

 

「それより親父、その布は一体何だ?」

 

 

「これはだな…」

 

 

持っていた布をめくると

 

 

「男の子!?」

 

どうやら眠っているようだが、黒の髪を持つエステルやクローゼ位の男の子だった。

 

それには俺もエステルも母さんですら驚いた。

 

「前からエステルは弟がほしいと言っていただろう。」

 

「お父さん…。」

 

「なんだエステル?」

 

「この子は、隠し子なの?お母さんを裏切ったの?」

 

「なんでそういう方向に持っていくんだ?」

 

「…シェラザードの影響らしい」

 

「全く、あの耳年増め。」

 

「それよりもあなた、この子はどうしたのですか?」

 

 

「それよりこの子を休ませたい、……レイ、部屋を借りてもいいか?」

 

 

「ああ、大丈夫だ」

 

 

親父から受け取り俺の部屋に連れて行き怪我してないか調べたが、細かい傷は目立つものの命に別条はなく、疲れて眠っているようだった。

 

「親父、一体何が?」

 

 

「ああ、…何処から説明したものか」

 

すると男の子が目を覚ましたようであった。

 

「うっ、ううここは?…………!!あなたは何を考えているんですか?あんな状況でなんで僕を助けて…」

 

「どうやら目を覚ましたようだな」

 

目を覚ましたようだが、とても友好的な表情ではなさそうだ。

 

「怪我人は黙ってなさい!」

 

エステルのドロップキックが綺麗に決まり、少年は情けない声を上げ落ち着いたようだ。

 

「怪我してるんだからおとなしくしてなさい!」

 

 

「なにを言ってるんだ。けが人にこんなことするほうが…」

 

「言い訳しないの」

 

その一言により、少年は静かになった。

 

「それよりあなたの名前は?あたしはエステルよ」

 

 

「……………」

 

 

「な ま え は !」

 

 

「…ヨシュア」

 

エステルの気迫により、無理やり聞き出した。

 

 

「…そうか、とりあえず今日はゆっくり休め、また朝に来る」

 

 

扉を閉めて部屋を後にした。

 

しばらくし、エステルが寝た頃に親父と母さんの三人が集まり事を聞いた、なんでも任務中に助けたのだが

 

「実はな、任務中に助けたのだが行く当てがないそうで養子として迎え入れようとな、レナ、レイ賛成してくれるか?」

 

 

「私は大丈夫ですよ、エステルにも弟が出来たみたいで嬉しそうでしたし」

 

 

「俺自身も養子だ、否定することはできぬ」

 

 

「そうか、ありがとう」

 

しかし気になる、あの琥珀のような目まるで昔の俺の目と瓜二つだ、飢えた狼の頃の俺の目だ。

 

母さんが寝静まった頃、一人で居間にいた親父に聞いてみた。

 

 

「親父、いくつか聞きたい事があるのだが」

 

「…レイ、あの子の事か?」

 

 

「ああ、あの子は一体!?」

 

 

「実はな、最初あの子に襲われたのだよ」

 

 

あの子供に!?

 

 

「まあ、とりあえず気絶させたのだが、その後すぐに仲間らしき者達が来て、あの子ごと攻撃してきたのだが」

 

あの子ごと!?…チッ、悪党の考えそうな事だ、大方口封じだろう、下衆が。

 

 

「まあ、撃退したのだが逃げられてな」

 

「それで今に至るか…」

 

 

…余りに似ているな、俺の襲撃事件と。

 

「その中に拳法使いは?」

 

 

「いなかったよ、どれも対した事はなかった、精々準遊撃士クラスだお前の言っていた逆立った黒髪の男もいなかった」

 

「そうか…」

 

だが、あの子が黒髪の拳法と知り合いかもしれない可能性は低くはなさそうだ。

 

 

「レイ、無理に聞くなよ」

 

 

「…心配するな、無理やり子供を痛めつけ聞き出すような下衆ではない、話してくれなかったらそれでいい、自分で探すだけだ」

 

それに、仲間から裏切られ身寄りのなく、深い事情がある少年を俺は見過ごす事はできなかった。

 

 

こうしてブライト家に黒髪の少年が家族になった。

 

 

 

 

 

 



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南斗の軌跡 18話 ヨシュアよ!その目に明日を見たか!!

 

 

姉さん、僕は…

…僕は、もう……

 

「…ここは」

 

目を覚ますと見慣れない景色であった、確かカシウス・ブライトを襲撃し失敗して……そうだ!家に連れてかれてそこにはレイ・ブライトも!?

 

すると扉が空く音がし、カシウス・ブライトの息子であるレイ・ブライトが部屋に入ってきた。

 

 

「目を覚ましたか、…どうやら熱は下がったみたいだな」

 

「………」

 

「確かヨシュアと言ったな、俺はレイだ」

 

「…そうですか」

 

「聞きたい事がある、南斗聖拳使いの男を知らないか?」

 

「…知りません、知っていたとしても話しません」

 

 

「…そうか、ならいい」

 

部屋を出ようとすると

 

 

「待って下さい、なぜ追求しないのですか!?」

 

「…別に話したくなったら話せばいい、あとで朝食を持ってくる」

 

それだけ言い残し扉を閉めた。

 

「くっ、揃いも揃ってお人好しか!?」

 

まだ痛む足を叩いた。

 

◇◆◇◆

 

うなされていたが……大丈夫だろうか…

「…姉さん…か」

 

 

◇◆◇◆

 

今日はカシウス・ブライトは仕事に出かけ、妻であるレナ・ブライトは何処かに出かけたようだ。

 

しかし、娘であるエステルとレイに監視されるように、庭にある川まで連れてかれ釣りをすることになった。

 

「はあ〜、レイ兄この釣りざお軽くて使いやすいね!」

 

 

「そうか、喜んでもらえて何よりだ」

 

「………」

 

レーヴェ、今頃何をしているのだろうか…

 

◇◆◇◆

 

もしかしたらこの少年を追跡して来ると思っていたが、…どうやら来ないのか?

いや、それとも時期を見ているのか?

 

ヨシュアとエステルの護衛を兼ねて共にいるのだが、どうやら杞憂かもしれないな、まだ安心はできないのだが。

しばらくの間親父と相談し、俺と親父で交互に監視もと言い護衛する事にしたのだが、昨日からそれらしい動きもなく、ヨシュアは静かにしていた。

用無しと判断されたのか?

それならばそれに越したことはない、ヨシュアには悪いがそれならば普通に生活させられる事ができる。

 

「レイ兄!かかった!」

 

 

「ん、分かった」

 

願わくばこの時間が続くといい。

 

◇◆◇◆

 

ん〜なんか元気がないなヨシュア…

 

 

 

「…どうした?何か言いたそうな顔だが?」

 

 

「…別にありません、しいて言えばお人好しだと…」

 

 

「フッ、そうかもな」

 

「…………」

 

 

「とりあえず怪我が治るまでは嫌でもいてもらうぞ」

 

 

「…分かりました、一つだけ僕は何か言ってましたか?」

 

「…さあな」

 

「そう、ですか…」

 

「ねえ、ヨシュアも一緒に遊ぼうよ」

 

 

「………?」

 

「あ、でもヨシュアは足を怪我してるからまだ走れないかぁ…」

 

「…………」

 

「遊びたいなら一人かそこの人と遊べばいい、僕には近づかない方が良い、…ここもすぐに危険になるだろうから」

 

顔を反対に向けてエステルを拒絶した。

 

「へっ……」

 

「手当には感謝しているよ、世話になったね」

 

「…………駄目だよそんな顔しちゃ」

 

「ぇ………………」

 

予想外の答えが返ってきたようで、少々間抜けな声が出たようだ。

 

「元気がないときは好きな事をするのが一番だよ!…ちょっと待ってて!レイ兄ちょっと出かけてくるね!」

 

「…あまり遠くに行くなよ」

 

「うん!」

 

エステルは沢から離れ森の方へ向かって走って行った。

 

 

二人きりなり、おそらくヨシュアが考えてあるだろうと思う事を口にした

 

「…追手のことか?」

 

 

「!?………ここが見つかるまで2.3日だと思いますよ…」

 

「フッ、俺と親父を相手にできる程のか?」

 

 

「……………」

 

再び下を向き何か考えているように俯いた。

 

 

「ヨシュア〜!」

 

「ほらこれあげるから元気出しなさい!」

 

エステルはダンゴムシを差し出した。

 

「(………意味が分からない…)」

 

しかしヨシュアの表情は動く事はなかった。

 

「ね、かわいいでしょ?」

 

 

エステル…少し無理がないか…

 

 

「…いらないよ、それともう近寄るな」

 

明らかな拒絶だった、しかし

 

 

「むう、この虫は好きじゃなかったか」

 

エステルはダンゴムシを気に入らないだけだと解釈した。

 

「…いや、そうじゃなくて……」

 

「そうか、それならこれは!?オニヤンマ!」

 

掛けていたケースからエステルの顔位まであるトンボをだした。

 

「…だから、いらないって…」

 

 

「ならこれ、絶対これなら気に入るよ!、マルガオオトカゲ!」

 

しかしとうとう、目も合わせてくれなくなってしまった。

 

「…あのさ、僕は虫がどうこうって意味じゃなくて…」

 

「くうううう…………どんなのがいいの?」

 

「………虫はいらない」

 

 

「ガーン!!」

 

地面に手を付いて本気で落ち込んでしまったようだ、しかし再び立ち上がり

 

「…よし、待ってろ」

 

再び森の方へ向かって走って行った。

 

 

「なんなんだあの子は……虫が好きなのか?」

 

「励ましてやっているんだエステルらしく」

 

「…そうですか」

 

その後も何度か持ってきたが、心は動く事はなかった。

 

◇◆◇◆

 

その後釣りをしようと言い出し、再び釣りを再開し始め、ご飯を頑張って釣ると言い出した。

 

 

「むう、小さい、これはおとーさんのだな、あのふりょーオヤジどーせ遊び歩いてるんだし、当然よね!」

 

…不憫だな親父

 

「!えっ………」

 

ヨシュアは何か驚いたようだ、もしかして親父の事か?…基本的に家ではこうだぞ。

 

そんな事もあり、一日が過ぎようとしていた。

 

5日後

 

どうやら追手は来ないようか?杞憂ならそれに越したことはないのだが…ん、外を見てみるとヨシュアとエステルがじゃれあっているようだ、………まあ大丈夫か。

 

その晩玄関からヨシュアが親父と話しているところを目撃した、すると部屋に戻っていった。

 

…何をしたいか。

 

◇◆◇◆

 

 

二週間が経過しようとしていた、休みをわざわざ伸ばしてもらい撃退に備えたのだが、…どうやら大丈夫そうだな。

 

明後日俺も仕事に戻らなくてはならないのだが………

 

昨日はヨシュアと何処かに遊びに行き、今日はエステル一人で何処かに出かけたようであった。

 

部屋に戻るとヨシュアの姿はなく、代わりに手紙が置いてあった。

一言「お世話になりましたと」

 

あのバカ!?

 

俺はすぐさま家を飛び出し探しに森の方へ行ってみたが心配は必要なかった。

 

そこに居たのはエステルと微笑んでいたヨシュアがいた。

 

 

「………」

 

俺はそれを見て、部屋に置いてある手紙を破り捨て二人が帰って来るのを待っていた。

 

こうしてヨシュアは本当の意味で家族になった、エステルと言う太陽を見つけて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




原作では数週間ヨシュアは怪我をしていましたが、都合上二週間とさせて頂きました、すいません


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南斗の軌跡 閑話 レイの休日!!Part2

毎回遅くなり申し訳ございません


 

 

サラに休日は空けとけと言われ、再び俺は門の前に立っていた。

 

今日はユリアが一日中付きっ切りでクローゼの面倒を見ることになり、俺とサラは休暇を貰い、サラと待ち合わせしているのだが……………如何せん遅い。

 

「(ん、来たか………横にいるのは誰だ?)」

 

 

横にはエステルと同い年だろうと思われる少女がいた。

 

「ごめんねレイ遅くなって、この子迎えに行ってたら遅くなっちゃって、てへ!」

 

 

サラは満面の笑みで自分が可愛いと思うポーズを取った。

その姿はまさしく………いややめよう、これで同い年…か。

 

「………………」

 

…何も言う事はない、そんな視線を送り空を眺めた、………今日はいい天気だ。

 

「待って!レイ!!分かった分かったから!!」

 

 

……一体何を分かったのだろう、しかしながら横にいる少女はまるで可愛いものを見た時のサラのようにうっとりしていた。

 

「あ〜可愛いよ〜サラちゃん、お持ち帰りしたい!」

 

…………なんと言うか…憂鬱だ。

 

 

 

 

 

サラに紹介してもらったが、この娘が話によく出てきたアネラスと言う弟子みたいな娘で、文字通りサラの影響で"可愛い物には目がない"とのことであった。

 

「そうか、俺はレイだ…」

 

「あっ!はいよろしくお願いします」

 

元気良く明るく天真爛漫という言葉が良く似合う、そんな印象であった。

 

 

なんでもボースに住んでいるのだが、家族で旅行するついでに仲の良いサラと一緒に街を周りたいと言う事で両親に許しを貰い夕方まで遊ぶ事になったそうだ。

元々面識があり、迎えに行くついでに挨拶を済ませてから来たため、遅くなったそうだ。

 

…ならしかたあるまい

 

 

「それでアネラスちゃん最初に何処に行きたい?」

 

「可愛い物が売ってある所に連れてって!」

 

……俺いらなくないか?

 

仕方なくついて行きサラご用達のエーデル百貨店のぬいぐるみ広場に行くことになり、再び俺はなんとも言えない状況に置かれる事になった。

 

「可愛いよ〜サラちゃんこっちのクマさんどう?」

 

 

「むむ!中々お目が高いですな〜、しかし!このウサギさんの可愛さは殺人級ですぞ!」

 

「あ〜♡」

 

…サラ、お前どうした?キャラ変わり過ぎだろ……いやそれが素か、それと周りの視線が……

 

 

想像してほしい、可愛いぬいぐるみが置かれている売り場で180cmを超え100kgもある、かつて大悪党のツラとも呼ばれた事もある男が柱に寄っ掛かり腕を組んで立っているのだ、結論誰も怖くて近づけなく売り場には二人の楽しそうな少女と一人の大男のみとなっており、遠目からヒソヒソと怖いだとか話す声がレイの心を蝕んでいた。

 

……そんなに怖いか…俺

 

 

サラとアネラスは満足そうに会計を済ませてようやくこの場から立ち去る事が出来そうだと思っていたが、移動し今度は小物を見に行くと言い出した。

 

…………どの世界でも女の買い物は長いな

 

ようやく買い物を終え、エーデル百貨店を出て、近くにあるサラと以前行ったアイスクリームが売ってある売店まで行き、レイは三人分のアイスを買い近くのベンチに腰掛ける事になった。

 

 

「ありがとうレイ〜!」

 

「あっ、ありがとうございますレイさん、頂きます!」

 

 

アイスを食べながら二人は戦利品を自慢し終え、話の矛先が俺とサラにに向けられた。

 

 

「そういえばサラちゃん、レイさんって彼氏なの?」

 

 

「ぶっ!?」

 

「なっ!?………それは「違うよ!アネラスちゃん!」…」

 

食い気味にサラが否定するとアネラスは首を傾げて

 

「え〜でもサラちゃんがレイさんの事を話しているt「違うから!ち が う!」そっ、そう…」

 

不満そうな顔になり

 

「まあ、そう言う事にしておくよ〜」

 

サラの顔は真っ赤になり効果音がつくものなら(ぷしゅ〜)とも着いていそうな状態になっていた。

 

 

日が傾き始めた頃、サラがようやく収まりこの場を離れようとすると、下品な男が前に現れた、この前居酒屋で会ったチンピラのリーダーのようだ。

 

 

「ようやく見つけたぜ〜色男君よ、この前は世話になったな!全裸になって巡回していた兵士に見つかってえらい目に合ったんだ、この落とし前どう付けてくれるんだ!」

 

威嚇するように懐からナイフを取り出した。

 

 

サラは前の事もあり、そこまで怯えていなかったが、アネラスは怯えてレイの服を掴んで後ろに隠れるように下がった。

 

「…お前バカなのか?こんな所でナイフなんか取り出して…すぐに兵士が来るぞ、それにこの前も同じ状況で突っかかり跪いたと言うのに…」

 

「黙れ!!外野はどうでもいいからてめーだけは殺してやる!!」

 

周りはいきなりチンピラが刃物を出したと言う事もあり、蜂の巣をつついたように逃げて行った。

 

 

「死ねー!!」

 

「フッ、ならばもう一度」

 

手にナイフを持ち走って向かって来た男に対し、レイは唯腕を振るった、すると今度はナイフや衣服だけでは無く髪迄も綺麗に切り刻まれ、すぐさま跪き蹴りを食らわせると、「なっ!?なぜ………」とだけ言い残し目の前で気を失ってしまい、そこには見るも無残な姿変わり果てていた。

 

「俺の動きは人間では捕らえる事は出来ん!覚えておけ!!」

 

 

その後兵士に男を突き出し礼を受け、アネラスをホテルまで送ることにした。

 

アネラスは先ほどからレイの手を握り歩いていた。

 

無理も無いか…

 

 

「すまない…巻き込んでしまって…」

 

 

「いえ!大丈夫です……確かに少し怖かったですけどレイさんが倒してくれましたし…それにかっこよかったです!」

 

「…そうか、すまない」

 

移動しながら会話していたのだが、トラウマにならなそうで何よりだ。

 

 

ホテルに着くと、アネラスの両親に感謝され別れ去ろうと、こちらに向かい

 

「サラちゃん遅いと私が奪っちゃうからね〜」

 

大声で俺達の方へ向かい叫んだ。

 

「なっ!バカ!!」

 

再びサラはうつむき顔を真っ赤にした。

 

「いっ、行こうレイ///」

 

「…あっ、ああ」

 

二人はその場を後にした。

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

その後ボースに帰ったアネラスは

 

 

「お爺ちゃん!剣を教えて!!」

 

 

「なっなんじゃアネラスや!?」

 

祖父であるユン・カーファイに剣術の指導をお願いしていた。

 

「(私もレイさんのように強くなりたい!そしていつか…)」

 




またまたフラグを立てましたねこの旗男!

でもエステル達が16の頃にはレイは………考えるのを辞めましょう。


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南斗の軌跡19話 クローゼ!お前の涙は俺の拳で受け止めてやる!!

 

しとしとと雨が降り出した王都グランセルの街のシンボル、グランセル城に一つの悲報が届いた。

 

 

《マーシア孤児院の運営者のジョセフ氏が事故死》

 

 

ルーアン市近隣にて孤児院の運営をし、クローゼが戦災を逃れマーシア孤児院で保護された時に世話になったジョセフという運営者が、ルーアン市での事故で死亡すると言う事が起こり、朝一番で手紙が届きクローゼは目を通しその場でうずくまり泣き崩れてしまった。

 

しばらく泣いていたあと、目を赤くしながらもなんとか落ち着いたようだが、すぐに疲れて眠ってしまったようであった、目の下に涙の跡を残して、陛下と相談しすぐさまルーアンのマーシア孤児院の方に向かうことが決まった。

 

翌日、ユリアは都合が合わずレイとサラはクローゼを引き連れルーアン行きの定期船に乗り込み、グランセルを後にした。

 

 

「…ジョセフさん…………」

 

 

「姫殿下……」

 

クローゼの変わり果てしまった姿にサラはいたたまれない表情になりながらも終始心配していた。

 

どうやら昨日から食事を取っておらず、目は赤く腫れて隈ができていた。

 

「…………」

 

レイは何も言葉を発する事は無かった。

 

 

◇◆◇◆

 

ルーアンに到着し、マーシア孤児院にすぐさま向かうと以前会った事のある女性、テレサが暗い部屋に椅子に覇気がなく座っていた。

 

「………クローゼ?…」

 

「……テレサ先生!?」

 

変わり果てしまったテレサに少し驚き別人だと思っていたようであったが、すぐさまテレサだと確認し駆け寄り抱きつき、大声で泣き崩れた。

 

テレサはそっと抱き寄せ、包み込むように強く抱き、クローゼを宥めた。

 

「テレサ先生……ジョセフさんが…………」

 

「クローゼ…泣なさい今は……」

 

テレサ本人も泣きたいはずだが、必死に涙を堪えてただひたすら抱きしめていた。

 

◇◆◇◆

 

ルーアン市の礼拝堂の横にある墓地に来ていた、テレサに教えてもらい指定された場所まで行ってみると、そこに一つの真新しい花に囲まれてた石碑があった。

 

その石碑の前にしゃがみ込みクローゼは丁寧に花束を添えた。

 

「ジョセフさん……」

 

 

既に涙は枯れてしまったようで、泣きそうにはなっているが、一滴も零れることはなかった。

 

それに続きサラとレイも、持っていた花束を供え、静かに手を合わせた。

 

 

「「……………………」」

 

 

ただ安らかに眠って頂きたい、それだけを思いながら。

 

夕日が傾くまで、クローゼは手を合わせ祈り続けていた、二人はただ見守る事しか出来なかった。

 

◇◆◇◆

 

夜、様子を見に行く為ホテルのクローゼとサラの部屋に行って見たが、俯き覇気が全くない状態で、呆然としていた。

 

一度部屋を出てサラに聞いたが、全く食事を取らずホテルに到着してからずっとこの状態であるという。

 

 

「…そうか」

 

「レイ、………どうしたらいいのかしら………余りにも姫殿下が………」

 

サラ自身も心配し、どうしていいか分からない状態であった。

 

「…済まないがしばらくクローゼと二人で話がしたい、席を外してくれないか?」

 

「…分かったわ、お願い…」

 

サラは少し考え、レイに託した様で、ロビーへと降りて行った。

 

「…さてどうしたものか………」

 

部屋のベッドに座っているクローゼの横に座った。

 

「レイさん………」

 

「クローゼ…今は無理はするな…」

 

「大丈夫ですよ、もう大分落ち着いてきましたから」

 

 

心配させまいと笑顔になるも、から元気だろう、無理もない気丈なようでもまだ子ども……。

 

「クローゼ…」

 

 

「…レイさん、すいません分かりますよね…………知ってると思いますが私は両親を生まれてすぐに亡くしています、裕福な親戚に引き取られてなに不自由なく育てられました」

 

 

「………そうだったな」

 

「ええ、そして数年前の百日戦役の時に…親戚の人とはぐれてしまって……テレサ先生とジョセフさんに保護されました、少しの間でしたけど、私は二人のおかげで家族を…お父様とお母様を知ることができました、…まだ何も返す事が出来なかったのに…」

 

「……そうか」

 

その話からどれだけ大切な人を亡くしたのかよくわかった、実の父親のように慕っていた人を亡くしたのだ。

 

「…クローゼ、少し俺の昔話をしよう」

 

「?」

 

「俺の実の両親も殺されて亡くなっているのだ」

 

「!?」

 

「…俺も様々な死に立ち会って来た、師父、俺を慕ってくれた妹弟子、一夜の安らぎを与えてくれた女、そして最大の宿敵、それ以外でも…」

 

 

「そんな…」

 

「だが亡くなって逝った霊……魂は俺の中で俺が生きている限り生き続けている、立ち止まる事はあったが俺は死んでいった者達と共にこれからも生きていくと誓った………それが残された人間にできる最大の恩の返し方だ、一緒に生きていく事が………」

 

自分自身死ぬ運命にも関わらず、生きている、ならば俺は命ある限り彼らの魂と共に生きていくそう誓ったのだ…。

 

「お前も両親、そして恩師の魂と共に生きていけ、それが最大の恩の返し方だ…」

 

「レイさん………」

 

 

クローゼはレイの胸の中に飛び込み再び泣き出した、枯れた筈の涙が再び頬を濡らした、しかしその涙は暖かく心地が良い涙であった、レイはただ何も言わずクローゼを優しく抱きしめた、今のレイの表情は慈母星の如く穏やかな慈しむ表情であった。

 

 

……………

「…昨日から何も食べていないのだろう、………これを」

 

レイが懐から出し、クローゼに手渡したのはチョコレートだった。

 

「はい!…頂きます」

 

今までとは迄と違い、元気が気持ち入ったようで、レイから渡されたチョコレートを口にした。

 

「ああ…」

 

こうして、クローゼは深い悲しみから立ち直る事ができ、改めて生きていく事を誓った、

 

…………

 

 

これで良かったのだろうか……ケン、マミヤ………

 

遠い元の世界の者達の事を思い出していた、確かにあの時に南斗六星拳のレイは死んだ、俺の魂は彼らの中で生きているのだろうか………

 

 

 

 

 

しかし、レイ自身は知らないが確かに生きているのであった、最愛の女マミヤは死兆星の呪縛から解放され、宿敵ケンシロウの中でも生き続け、その悲しみを背負い奥義を習得する事ができた、

アイリ、リン、バット、彼らの中でもレイは今だに生き続けて行ったのであった。

 

 

…一緒に生きて行こう…………

 




なんか独自解釈ですいません、毎回ですが……



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南斗の軌跡20話 大地に咲くか愛の花! 永遠に変わらない愛情!!

毎回遅くてすいません
それではどうぞ!


 

 

 

 

…眼の前に広がる大海原、永遠に見ていても飽きなくなり心が洗われる、そのような気持ちになる、そんな感想が似合う共和国のとある岬に来ていた。

 

そんな岬の先端に目立つ石碑が置かれており多くの名前がそこに書かれていた、

また岬を囲うようにして大量の花が植えられており、心を癒すかのような香りがして来た。

 

誰が管理してあるだろうと思えるくらい綺麗に磨かれており、石碑の周りを花束やぬいぐるみ、はたや結婚指輪だろうと思える指輪まで綺麗に揃えてあるが、周辺には民家は存在せず、人の気配すら無かった、

 

 

そのような場所にレイ、クローゼ、ユリア、そして女王陛下の四人で花束を持ち立っていた。

 

共和国の首都から遠く離れ、辺境迄とはいかないが精々写真が好きな人間しか訪れないような岬に何故来ていたかというと、ここにクローゼの両親と多くの犠牲者が眠っており、供養の為に建てられた石碑がここにあるために、遠くリベールから離れここまで来ていたのだ。

 

厳密には更に先の海上ではあるが、ここは陸の先端の中でも一番近く、海原一面を見通せるため、ここに石碑が置かれる事になり、毎年墓参りと同時にここまで参拝しに来ている事になっていた。

 

 

そして事故当日から少し開けた位に来るため参拝する人間は居る筈もなく、貸し切りの状態で参拝できる事になっている。

 

護衛に就任してから一年が経った、陛下からどうか共に来てくれないかと言われ、陛下、クローゼ、そしてユリアも護衛にここまで来ていたのであった。

 

ユリアに聞くとこの場所には、毎年ユリアを含めた三人のみでここまで来ていたのだが、今年は俺も含まれていたのであった。

 

…それにしても綺麗だ。

 

最初に陛下は持ってきた花束を添え、全てを慈しむ様な顔つきに変わり手を合わせて祈り初めた。

 

 

クローゼが花束を添え、それに続くようにして、ユリアとレイも花束を添えた。

 

「(どうか、安らかに眠って下さい…)」

 

暫くし、そろそろ帰ろうとすると、一人の老人が此方に向かって来るのが見えてきた、手に水の入った桶を持ち、年に似合わずシャキッと歩いている、皺が目立つが顔つきは精悍である、そんな印象であった。

 

 

「こんにちわ」

 

 

帽子を取り、笑顔で挨拶してくれたのだが、いったいこの老人は…誰なのだ?

 

 

「始めまして…えーと」

 

 

「失礼、私はここいら周辺を管理しているポンセと言う者ですよ、…まあ勝手にしているだけですがね」

 

すると綺麗に磨かれているのはこの男性が磨いているのか。

 

 

「そうでしたか…ありがとうございます、遺族の者として心より感謝を致します、ありがとうございます」

 

「いえ、……私もそのエテルナ号に乗っていた兄の遺族でもありますので…気にしないで下さい」

 

その顔は悲しく何かを思い出させてしまったような表情であった。

 

 

「そうでしたか…失礼しました」

 

 

「いえ、…とんでもありません」

 

話を聞くと、このポンセと言う老人はエテルナ号に乗っていた船員の兄で、元々離れた場所に住んでいたのだが、事故により唯一の身寄りである兄を亡くし、この近くに住むことを決め定期的に掃除に来るようにしているとのことであった。

 

 

「そうでしたか…そうだ!これに見覚えはありませんか?」

 

ポンセがポケットから出した物は少し錆び付いたロケットのような物であった。

 

「ここにいると遺留品が稀に流れ着いたり生存している人に渡されたりとしているのですが、そして大体は遺族の方に返しているのですが…これだけは持ち主と遺族の方が分からず仕舞いで…見覚えはありませんか?」

 

 

それを確認すると、陛下の顔つきは変わり驚愕といった表情であった。

 

「こ…これは!?」

 

 

「…生存者に兄の親友である船員の一人がいましてね、なんでも沈む直前に足を怪我した男性に渡されて娘に渡してくれと言われたそうです…」

 

 

「そのお方は…」

 

 

「残念ながら去年亡くなりました」

 

 

「そうでしたか…そのお方から何か聞いていませんでしたか?」

 

「…ここで話すのもなんですから、私の家に来て下さい、対したおもてなしは出来ないですが」

 

陛下はただ一言分かりましたとだけ言いポンセの後を追い、それに続き俺らも行くこととなった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

岬から離れた町に近い森の中にポンセの住むらしき一軒家が見えてきた、道から離れた場所にあるゆえ気がつかなかったのだろう。

 

家の中に招かれ、銀色の綺麗なマグカップにお茶を淹れてそれを出してポンセは知っている限りの事を語った。

 

 

「…私も聞いた限りの事ですが、沈没し海水が船内部に入り始めた頃、私の船長、兄や親友である船員が避難誘導していたのですが、如何せんパニック状態になっており、とても良い状況とは言えないものらしかったです、そんな中二人の夫婦が周りを宥めて場を沈めて兄達と共に避難誘導に買って出たそうです」

 

一息付き、自分で淹れたお茶をすすった。

 

「その夫婦の旦那さんは、とにかく的確に子供や老人を優先し、奥さんは残った乗客を必死に宥めて落ち着かせていたそうです……いやはやその時ばかりは船長を初めとする船員も感服していたそうですよ、圧倒的なカリスマ性があり、誰もが指示に従ったそうです…」

 

「なんと…」

 

「しかし、高波が兄達を襲いまして、旦那さんが船の帆に足を挟まれたそうで…奥さんと私の兄、船長はその時に既にいなくなってしまったようです………」

 

下を向き、何かを思うかのようになったが続けた。

 

 

「そして、兄の親友は旦那さんからこれを託されたそうです」

 

再びロケットを出して、陛下に丁寧に渡した。

 

「旦那さんは、『もう、私は助からないだろう…どうか私の代わりに娘に渡して下さい…』と、その後再び高波に襲われたそうですが、奇跡的に親友は救助隊により助けられたそうです……おそらくその時に旦那さんは……」

 

「そうですか……拝見してもよろしいでしょうか…」

 

ポンセはただ静かに頷いた。

 

 

「!、やはりそうでしたか…」

 

ロケットの中には綺麗な状態のままの写真が入っており、慈しむような顔で我が子を抱える母と、それを見守るように写っている父の写真が中に存在した。

 

 

「お祖母様…それでは」

 

「ええ、貴女の両親ですよ…」

 

陛下とクローゼの目に一筋の涙が光、ポンセの目にも涙が見えた。

 

「そうでしたか…兄の親友は生前勇敢な人達だったと言っていました、そのロケットを渡せなかったことだけが無念そうでしたが、なんとか形は違いましたが、渡せてよかったです」

 

託された人物は違えど渡せたことを喜ぶポンセ、そして実の子 両親の最後を知る事ができ、それを誇りに思う母、そしてこんなにも愛されていた事を知る事が出来た娘。

 

この場にもしかしたら空の女神が舞い降りたのかもしれんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひっそりと岬を囲う花、ポンセが鎮魂の為に植えた物であり、それは唯の偶然であるがクローゼの両親が好きな花であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

センニチコウ 花言葉

 

変わらない愛情

 




感想などありましたらお願いします!


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南斗の軌跡 閑話 伝承者の成り損ないの末路!!

今回はジャギ様のターンです!


…………………

 

「このおれの怒りだ!!」

 

ケンシロウの拳がジャギの顔面に突き刺さり、後ろに突き飛ばされ壁であったもの、柱であったものごとジャギは叩きつけられ最後のカウントダウンが始まろうとしていた。

 

「あと数秒で貴様の肉体は地上から消え失せる…終わりだ!!」

 

 

 

 

 

「終わりだと バカめぇ〜 これが貴様の地獄行きの旅のはじまりだあ!!」

 

徐々に体の崩壊が始まろうとしていた、そして

ボゴオッ!!

 

 

唯の肉塊に変わり果てた姿のみがこの世に残る事となってしまった。

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

…………俺はいつ、ドコで間違えた……。アンナ…………親父………

 

 

 

………親父、あんたの思い通りになってるぜ、………ケンシロウは………大層感激だろ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因果応報………よくできた言葉である。

 

 

 

 

最愛の女を亡くし、仇を取ったが虚しくも無意味で終わってしまい、そして伝承者の資格を義理の弟に奪われ返り討ちに遭い顔に酷い、いや醜い傷を負わされた、

性格は捻じ曲がり、その後はただひたすら弟を憎み弟の名前を名乗り考え付く限りの悪事を働いてきたものであったのだが、現実は残酷にもその弟により存在をこの世から消されてしまった。

 

 

彼もまた世紀末の時代の被害者なのかも知れない。

 

しかし、………因果応報であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが!!

 

 

 

 

 

………ん、死んだはずだが…………何故意識が…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうか………ここが地獄か…………

 

目を開けて地獄の光景でも拝んで見ようと見てみると、あたり一面が木々で覆われている森の様な光景が目に飛び込み、地獄とはかけ離れているような景色であった。

 

「ん?地獄ってのはこんなにもぬるいとこなのか?」

 

第一印象は戦争前の世界での北斗の寺院の裏の森に近いような、景色であった。

 

 

「……いや、違うな………しかし」

 

とりあえず自分自身の五体を確認して見ることにした、ケンシロウにより肉塊に変わり果てた姿は跡形もなく、元の姿に戻っており何より顔のボルトすら一切なくなっており醜く腫れた姿は跡形も無くなっており、元のケンシロウにやられる前の姿に戻っていた。

 

「…一体どうなってやがる………」

 

 

地獄ではない事が分かり、とりあえず辺り周辺を探索し歩いていると、開けた場所に出ることが出来た、見渡しのいい場所で遠くまで見渡す事が出来、辺りを見渡すと近くに村があることが確認できたが、行くのは無理そうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その村は既に野盗らしき団体により制圧されており、逃げゆく人々は次々と殺されていった。

 

 

 

「あん………何だぁ、あの野盗共は?何処の勢力だ?」

 

 

「(拳王軍か?聖帝軍か?いや……そもそもまずここは俺のいた世界なのか?)」

 

 

その事を考えていると、二人の女子供が村から出て避難していると思われる所が見えた。

 

 

「ん、………逃げられんのか?………どうでもいいが、それより、…………何故俺もあんな事して楽しかったんだ?」

 

 

客観的に見てみるとこんなにも違うものなのか?自分は更に救い様のない悪事を行ってきたものだが………

っと、どうやら逃げ切れなかったようだな、野盗に回り込まれてら。

 

 

 

幾分か死んだせいで憑き物が落ちているのか?

 

女はガキを抱え走り逃げていたが、とうとう追いつかれたようで…いやありゃ待ち伏せ臭えな、真っ青になってふるえてら、ガキは……よくわかんね〜な。

 

 

おっと男が女にのしかかって……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おい、嫌なもん思い出させやがって。

 

アンナの最後の姿が、瞬時に脳内にフラッシュバックされてきた。

 

ただ、次の瞬間にガキの放った銃弾が男の体を撃ち抜いたが、逆上した男は持ってきた刃物でガキを殺そうとしたようだが、女が庇い刃物は女を突き刺さようであった。

 

 

そこから一瞬記憶が無くなり、気がつくとその男が目の前に現れてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

………くそ!ちくしょう…いてー、殺してやる…殺してやる!このガキ!!

 

女を犯そうとしたがガキに邪魔されて、撃たれたせいで糞いてえ!

 

 

「…殺してやる、覚悟しろよ……ん?」

 

ガサガサと藪を進む音がし、振り向くと奇抜な棘の鎧を着た男がそこに突っ立っていた。

 

「てめぇ、なんだ?」

 

「おい、てめえ嫌なもん思い出させやがってやがって……」

 

なんだこいつ?村の生き残りか?……まあいいこいつも殺してやる!

 

 

「まあいいてめ「北斗千手殺!」」

 

そこから男の意識は無くなった。

 

 

…………

 

「クソッ、…胸糞ワリィ」

 

すると体力の足音が聞こえてきたが、こいつの仲間か?

 

黒装束の数人の男共がジャギを囲うようにして銃を構えて現れた。

 

 

「貴様!何者だ!?」

 

 

「あんっ?」

 

 

マスクのせいで表情は分からないが、おおよそ仲間がやられて相当苛立っているようだな…まぁイイ。

 

 

「答えろ!貴様「おいお前ら、…俺の名を言ってみろ!」…はあ?」

 

 

「(おおよそ頭がトチ狂った馬鹿なのだろう、気にすることなどない!?)」

 

「しるか、貴様らなんぞ!!」

 

 

一人の男がそう言うと、棘の鎧を着た男は不気味に笑い

 

 

「そうかお前ぇら死にたいのか…」

 

腰を落とし、手のひらを相手に向けて手を前に突き出し、構えた!

 

 

「北斗羅漢撃!」

 

猟兵達は構えの意味は分からなかったのだが、何かを察して銃を構えたのだが………全てが遅かった。

 

 

「速い突きがかわせるかーっ!」

 

 

体ごと相手に向かい目にも止まらない突きで、幾らか丈夫に鍛えてある猟兵とはいえ、次々と命は消えていった。

 

 

「俺の名は……ジャギ様だ……ッてもう聞こえてねえか…」

 

 

真っ赤な血に染まりジャギは不敵に笑った。

 

 

 

 




感想などお待ちしております!


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南斗の軌跡 閑話 北斗神拳伝承者の!?

前回猟兵が赤の鎧を着ているとの表現がありましたが、正しくは黒装束でした…訂正させて頂きました、すいません


 

………………

 

燃え盛る村から傷だらけの、満身創痍…そんな言葉が似合う一人の銀の髪をしている青年が全身に汗をかき今にも倒れそうになりながらも全力で走り、幼馴染とその弟の跡を追っていた。

 

「ッ…カリン、ヨシュア……」

 

村から走り出してすぐに遠目ではあるが、二人の姿を見つける事が出来たのは幸運であった、しかし見知らぬ黒髪の男と共に黒装束の男共に囲まれていて万事休すと言ったところであろう、悲鳴を上げる足に鞭を打つように走り向かって行ったが、様子がおかしい、すると黒髪の男は何かの構えをとり

 

「北斗羅漢撃!!」

 

技の名前らしきものを叫び猟兵に向かい、目にも止まらない速さで次々と薙ぎ倒して行った。

 

「なっ!?」

 

一体この男は何者だ?暗くてよく分からないが……とにかく…急がなくては。

 

………………………

 

 

目の前まで駆け抜けて目を開けて見て見れば、一番最初に目に付いたのはヨシュアを抱きしめ、血に塗れた幼馴染の姿であった。

 

「カ……カリン……」

 

そっと近づき、肩の辺りを撫でるとおびただしい血が手に付いているのが分かる、肩から背中を引き裂かれながらもヨシュアを抱きしめている手だけは強く暖かい。

 

「……レーヴェ」

 

「もういい、…喋るな」

 

既にカリンの命は、今にも燃え尽きそうに弱く、数分前の元気な姿は無かった、まだ辛うじて息が残っている、…その程度だ。

 

レーヴェは涙を流しながらもカリンを抱きかかえたが、なぜかカリンは穏やかで満ち足りた表情を浮かべていた。

 

そしてハーモニーをヨシュアに託し

 

 

「…ヨシュアのこと……お願い…」

 

それだけ言い残し、そして……静かに逝ってしまった。

 

「うっ………」

 

涙を流してながら、変わり果てた姿の幼馴染…いや恋人を強く抱きしめた。

 

だが、今はヨシュアを……カリンから託された……唯一の……

 

 

カリンの亡骸をそっと手から離し、ヨシュアの方を見てみると……カリン同様に変わり果てたヨシュアの姿がそこにあった。

 

「ヨ…ヨシュア……」

 

目が虚ろになっており、表情は全くと言っていい程生気が無かった。

 

 

とにかく此処を離れなくては

 

「…貴方は黒装束の男共と関係がなさそうですね……共にとりあえず移動しませんか?」

 

黒髪の男は少し考えたあと「いいだろう…」と言い、レーヴェの後ろについて来た。

 

 

◇◆◇◆

 

ハーメル村から離れた深い森の中、すぐそばにカリンの亡骸をそっと置き、ヨシュアをそのそばで寝かせレーヴェは黒髪の男に語りかけた。

 

 

「……ありがとうございます…貴方がいなければおそらくヨシュアは……」

 

人呼吸置き、ジャギは

 

「……けっ、たまたまあいつらが気に入らねぇから形上は助けたが、…それだけだ、それより…此処は何処なんだ?」

 

 

「?…リベールとの国境付近にあるハーメル村の近くですが…存じないですか?」

 

 

 

 

(……嘘は言ってないようだな、って事は…………やはり元の世界ではないか、まあそうだと思ってはいたが…)

 

レーヴェの目を見た限り嘘は言ってない事がよく分かる、まず嘘をつくメリットがなさすぎる

 

 

緑が生い茂る森、見たことも無いような銃、そして聞いたこともないリベールとの国境付近のハーメル村…疑惑が確信に変わった瞬間だった。

 

「…それであなたは何故こんな所に?」

 

 

…さてどう答えるか、…気がついたら異世界でした………莫迦か……

 

 

「…知らねぇな、気がついたらそこにいてそれで黒坊主共が村を襲っているのをしばらく見物していて、…」

 

次の瞬間、対峙していたレーヴェは表情を変え、ジャギの顔面に拳を突きはなったが、ジャギは顔色一つ変えずに片手でレーヴェの拳を受け止めた。

 

 

「おい、…なんのつもりだ?」

 

「あなたは…何故あなたは最初から助けてくれなかったのですか!?

意図も簡単にあいつらをなぎ倒す力がありながらも…しばらく見物していた!…ふざけないで下さい!!それだけの力があれば……答えて下さい!!」

 

俺にもそんな力があったなら、村みんなを、両親を、…カリンを……

 

 

だが、期待していた答えは返って来ることは無かった。

 

 

「あっ?……おめぇ、なにを勘違いしている!…助けた"形"になっただけだと言ったはずだ、まさか俺が正義の味方に見えてたのか?…………だとしたらお笑いだな、フフフッ…」

 

 

レーヴェの拳を振り払い、ジャギはほくそ笑むようにして笑っていた。

 

 

「なっ!?」

 

「フッ、まぁいい、俺はなぁ奴らすら霞むぐらいの…外道だ!、運が悪かったな、現れたのが俺でな」

 

それだけ言い残し、ジャギは立ち上がり森の中へと向かって行った。

 

 

「…最後に、あなたは何者なんですか?」

 

 

力なく、元の場所から聞こえてきたが、ジャギは振り返らずに立ち止まり

 

 

「ジャギ………北斗神拳伝承者の………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

搾りカスだ」

 

 

 

かつてあれほどのコンプレックスはもはやジャギの中には既に無かった。

 

 

 

それだけ言い残し、ジャギは深い森の中へと消えていった。

 

 

 

 

「……………」

 

 

残されたレーヴェはただ涙を流して、地面に拳を殴りつけた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

少し離れた森の中、眼鏡をかけた男が不気味に声を殺して笑っていた。

 

 

 

「くくくっ、嬉しい誤算とはこの事をいうのかね……ジャギか、素晴らしい…」

 

 

それだけ言うと、元からいなかったかのようにして一瞬にして消えた。

 




お疲れ様です!


まず一言……どうしてこうなった!?


なんか初めとジャギのイメージが全然違くなってて……


反省もしていますし、後悔もしています…

これからどうしよう……


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南斗の軌跡 閑話 かつて復讐に燃えた男!その目に時代を見たか!!

更新遅くなりましてすいません


 

 

 

「うっ、今日も暑ちぃな…」

 

 

…あれから二年位経ったのだろうか、しみじみと似合わない事を言いながらも日課である方稽古に励む前に井戸まで水を汲みに行っていた。

 

たまたま野盗共が住み着いていたボロい山小屋だったが"お話"をしたら快く譲ってくれたのであれから二年程この場所で過ごしていた。

 

水が無限にあり、食料に関しても何ら困る事がなく、前の世界とは比べものにならない位贅沢はできて無いが平和な毎日を送っていた。

 

 

 

 

 

…しかし、俺には合わないな。

 

あの腐り切った荒野の世界、俺はその世界で残虐非道の毎日を繰り広げていた、ケンシロウに悪名を着せるために関係のない者まで殺してきたのだが…

 

 

 

「…まあいい」

 

考えるのをやめて井戸まで再び向かい始めた。

 

 

「ん?」

 

 

 

井戸まで着くと人の気配を感じ振り向いてみると、一人の男が此方に向かって来るのがよくわかる。

 

…こんな山の奥に向かって来るのは、野盗共か物好きな奴、そしてもう一人

 

 

「…またてめーか……ワイスマン」

 

 

度々仲間にならないか?と勧誘に来るこの胡散臭い男位なものだ。

 

 

「フフフ…そう言わないでくれないかジャギよ」

 

癖なのか、眼鏡を指で上げながら胡散臭そうに話しかけてくる

 

 

「…何の用だ?」

 

 

「なに落ち着きたまえ、今日は土産がある」

 

何処から出したのか知らないが、手にはボトルに入ったある酒が握られていた。

 

 

「…いいだろう」

 

 

…………

 

小屋に着きジャギはグラスを用意して、ワイスマンが持ってきた酒を注いだ、…中身はダークラムか?

 

注ぎ終わり、ジャギはそれを一気に飲み干した。

 

その様子を見てワイスマンは胡散臭い顔から、驚いたような顔つきに変わっていた。

 

 

「驚いた、…まずは毒味をしろとでも君なら言いそうだが」

 

 

再び顔つきには元に戻り、にやけながらワイスマンもグラスに手をつけた。

 

「…毒味もなにも、てめぇは少なくとも俺に利用価値があると考えてやがる、それを殺すなんて莫迦な真似はしねぇ、…それだけだ」

 

「ふむ、なるほど…では殺さないまでも睡眠薬だとかはどうかね…」

 

 

「…それもねぇな、拉致るならもっと効率が良く大人数で来るべきだが

、周りに誰一人として気配を感じられねぇ、…少なくとも1人で来てる筈だ、ならその可能性はねぇ、それだけだ」

 

再び空になったグラスにジャギは酒を注いだ。

 

「クク…なるほど」

 

 

「で、何の用だ?」

 

十中八九間違いないだろうが、

 

 

「ジャギよ、私たちの仲間にならないか?」

 

…案の定それか。

 

 

「…くどいようだが、俺は誰の指図も受けるつもりはねぇ、帰りな」

 

 

…俺も甘くなったものだ、以前ならば殺していた筈だが…

 

「ふむ、…ではジャギ、君は何を求のかね?」

 

 

「…求?」

 

「金か?地位か?」

 

 

金 地位だと…

 

 

「…一言いってやる、そんなもんは犬にでも食わせてやれ」

 

 

その答えを聞き、ワイスマンの表情は更に怪しくなり不気味さを物語るかのように口元を緩めて笑始めた。

 

 

「ククク、ならば……力、何者にも屈さない強靭な力、言わば《超人》!…いかがかね?」

 

 

「……………」

 

 

狂気すら孕ませている言葉にジャギですら言葉を失ってしまった。

 

 

超人…その一言は胡散臭いを通り越してもはや呆れるだろうだが、…間違いなく嘘は言っていない

 

 

「何故そこまで俺にこだわる?」

 

 

いつの間にかに飲み干したグラスに再び注ぎながら、それを一気に飲み干し、狂気に…禍々しく理由を述べた。

 

 

「私は見てみたいのだよ、圧倒的な力、超人を!…力があり、君のような内に秘める狂気の持ち主を、ずっと探していた、…見てみたい、ジャギ 君は私の理想像そのものだ、故に君にとにかく拘った、…納得してくれたかね…」

 

 

……こんな提案に乗るなんざ正気の沙汰じゃありえねぇな、何よりもその顔が証明してらぁ、…だが面白い!

 

「…いいだろう、てめぇのその馬鹿げた提案に乗って木偶になってやろう!…だが、勘違いするな、俺は俺の意思で動く、何でも思い道理にとは思うなよ」

 

 

「ふむ構わない、それにしても面白くなりそうだ」

 

 

今一度狂気を孕んだ笑い声は小屋全体に響き渡り、ワイスマンの不気味さを増幅させていた。

 

 

「おい、それでこれから旗揚げする組織なんだ、…名前は?」

 

 

 

その瞬間、全ての歯車が再び狂いだし、世界は混沌へと向かい始めた

 

 

「身喰らう蛇《ウロボロス》だ、ようこそ…ジャギ」

 

 

 

 




…だあ終わった!

すいません、テスト期間で更新が遅れました

予定ではあと1話かもしくは2話でFC本編に突入できそうです!


…ここまで長くなるとは思わなかったな…


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南斗の軌跡 21話 また会う日まで!今一つの幕が下がる!!

更新遅いと言うか不定期と言うか…とにかくすいません

ではどうぞ!


 

 

レイが護衛に付いて四年の月日が流れていた

 

春が終わり、夏に向けて日差しが強くなりつつある日ひとつの決断を心に決めていた。

 

辞職して再び旅に出よう。

 

 

初めは一年程で辞職しようとしていたのだがなかなかどうして、居心地が良く辞める機会がなかったのだが、先日クローゼがジェニス王立学園に編入する事が決定し、いい機会という事もあり、俺は辞職する事を決め、再び旅に出ることを考えていた。

 

一番初めに立場上上司のヒルダ婦人に挨拶に行くことになった。

 

「女長官、お世話になりました…」

 

「前々から話は聞いていましたが、そうですか…貴方がいなくなると寂しくなりますね…」

 

「これお返しします」

 

しっかりと畳まれた今日まで着ていたスーツをヒルダに渡したのだが、それを受け取らず、笑顔で答えた。

 

「レイ、これは貴方が持っていて下さい、サイズが大きすぎて貴方にしか合ませんので、あっても仕方がありません」

 

「しかし…分かりました」

 

 

「ふふ、いつでも戻って来れますねこれなら」

 

「…はい」

 

互いに微笑み合い俺は部屋を後にした。

 

 

次に一番世話になったであろうサラに別れを告げに行ったのだが、半ベソをかかれてタジタジになってしまったのだが、なんとか分かってくれたようだ……

 

「今まで世話になった…サラ」

 

 

「うん…ありがとう……レイ」

 

 

挨拶を済ませて、レイは今日まで使っていた部屋の扉を閉めて、部屋を後にした。

 

 

 

部屋に1人取り残されたサラは

 

 

 

 

「…さよなら、私の初恋の人……」

 

 

サラの目から一筋の涙が零れ落ちた。

 

 

 

最後に陛下と今日まで護衛兼養育係を勤めていまクローゼに最後の挨拶をするべく二人の下へと向かって行った。

 

 

 

「陛下、クローゼ、今日までお世話になりました」

 

 

陛下とクローゼに向けられたお辞儀は今までとはまた違い特別な思いが込められていた。

 

 

「お疲れ様でしたレイさん、無理を言って今日まで孫のお世話をして頂いて、この数年間の時間は何事にも変えられない日々だったと思います、ありがとうございました、そして何よりもクローディア…そして私自身も大きく成長出来たと思います」

 

 

陛下は席を立ち、レイの目の前まで行き深く頭を下げた。

 

 

「…レイさん、今日までありがとうございました…」

 

 

強がっているのが良く分かるまでクローゼの表情が曇っていた。

 

「…ありがとうございました陛下、…クローゼ、それではそろそろ行かせて頂きます」

 

 

レイはもう一つお辞儀をし、来た道を戻り部屋を後にした。

 

 

 

………………

 

 

数分経過し、部屋に取り残されたクローゼは溢れそうな涙を拭い、何かを決めたような顔つきに変わり、レイの後を追っかけるようにして、部屋を飛び出た。

 

 

◇◆◇◆

 

一度今まで寝泊まりしていた部屋に戻り、荷造りの最終確認をしていた、…と言っても殆ど荷物も無く、メイドの女中の子や、サラから貰った選別を鞄に詰め込み一度ロレントの自宅へと帰る準備をしていた。

 

 

「…好きです……か」

 

 

選別に混じり、手紙などが入っているのだが……

 

 

 

嬉しいのだが、複雑だ。

 

 

微笑みながら準備を終え、部屋から出ようとした丁度その時、扉が開き誰が入って来たようだ。

 

粗く、何かを急ぐかのように開かれた扉の方を見てみると、クローゼが何かを決めたかのような顔つきで少し息を切らし、扉の前に佇んでいた。

 

 

 

「クローゼか、どうした?」

 

 

「…レイさん、何故辞めてしまうのですか?」

 

 

辞めてしまうかか…

 

 

「…最初はクローゼ、お前さんの為に働きだしたのだが、…もう俺は必要ではない、精神的にも肉体的にも強くなった、そう思い俺は去る事を決めた」

 

 

 

その言葉を聞き、ますますクローゼの表情は一段と曇り始めた。

 

 

「…私はまだ強くありません」

 

 

「……」

 

二人の間に沈黙が生まれていた。

 

 

 

「…では、何故クローゼよ、ジェニス王立学園に編入する事を決めたのだ?」

 

 

あの、城内の中から中々外出すらしたことが無いクローゼが全寮制の学校に通うと聞いた時は、本当に嬉しく思った。

 

それこそあれだけの箱入り娘が成長した、いい証になるだろう。

 

 

 

少し返答に困り考えていたものの、答えは立派な物であった。

 

 

 

「…最初はお祖母様から言われた一言から始まりました、レイさんは知っていると思いますが、…王位を継いで欲しいと、そのために一国民として、様々な事を…勉学だけでなく人々 多くの友人とそれこそ城内では学べない事を…違う視点から」

 

 

…そこまで話が回っていたのか。

 

 

「…正直私は王位を継ぐなど…まだよくわかりません」

 

 

冷静に考えれば当たり前の事である、クローゼはまだ15歳 幾らかしっかりしていようが…しかし、レイから見ればまだ子供…葛藤の一つや二つは幾らでもあるだろう。

 

 

「ですが、私は自分の足で自分の道を歩いてみたい!、もっと広い視野を持ちたい!、そう思いました、まだお祖母様に答えは出せませんが、何時迄もお祖母様、ユリアさん、そしてレイさんに頼り切りでは行けないと、自分の人生を切り開けないと思い、ジェニスに行くことを決めました。」

 

 

 

雛鳥めが少しは大きくなったようだな…か、フッ少しは師父の気持ちが分かった気がする。

 

 

形は違えど、少しは己の師父であるロフウの気持ちを理解出来、クローゼの成長を心より嬉しく思う事が出来た事が……何よりも今までの事が報われただろう。

 

 

レイの胸の中は感無量、この言葉以外当てはまらない位まで満たされていた。

 

 

 

「そうか、ならば俺はもう…「いえ」?」

 

 

少し食い気味にクローゼが割り込んできた。

 

 

「私はまだ、貴方が必要です!…ですから、せめて無事学園を卒業して、レイさんも旅を終えた時、…私の答えを出すためにも共に居て下さい…」

 

 

…答えを出す為にか、そこまで俺は…俺は大それた人間では無いというのだが…

 

 

「…考えておく…しかし、俺も見てみたくなった、行く末を…お前の未来を…」

 

 

この時は予想もつかなかっただろう、こんなにも早く再開し、そして答えが導き出されるとは…そして。

 

 

こうして、波乱に満ちた護衛生活は幕を下ろした、しかしこれからの生活が始まる序章に過ぎないと思ってはいないレイであった。

 




あと一話でやっと本編に突入出来そうです!


…予定よりも長くなったな…


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南斗の軌跡 22話 不穏な足音が聞こえる!レイよお前はどうする!!

どーもー、この前友人とバーベキューしていて酔っ払って川で転び足の指にひびが入った作者です。


✳︎作者は20を超えています。


それではどうぞ!


 

 

辺り一面が夕焼けに染まった頃、ロレント上空から一つの定期船が降りてきた。

 

 

乗り場から観光を終えただろう家族連れ、契約を取れて一安心している商人、様々な人々がいる中レイの姿を確認することができた。

 

 

 

「ふう、変わらないな…ここは」

 

 

四年間休暇を貰う度にロレントに帰省し、同じ道を歩き家まで帰っているのだが、多少の変わり用はあるものの殆ど変わりなく時間が緩やかに過ぎ、古き良き街並みが目に映る。

 

 

「…しかし」

 

 

街は変わらずとも、人々は変わっていくものであろうか、

 

ギルドの受付嬢はアイナという女になり、子供の人数が気持ち増えた気がする。

 

 

そんな事を考える辺りレイ自身も年をとったのだろう、この世界に来て九年 年齢は既に28を迎えていた。

 

 

 

九年前、突如世紀末の世界で命を燃やし、この世界に来て最初に訪れた街ロレントこそ…今や故郷になりつつあると、想像出来ただろうか?

…通い慣れた空港から自宅へ向かう道をその事を考えながら、歩く足取りはいささか軽かった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

しばらく森の中を進むと家が見えてきた、この九年間レイ自信が家族になり、ヨシュアという弟が出来ても、家自身は変わりなく暖かく家族を迎えてくれる…そんな感じが身に沁みる。

 

「ただいま…」

 

 

「あら!レイ、おかえりなさい…」

 

 

母さんは変わらずに、俺の帰りを笑顔で迎えてくれた。

 

「エステルとヨシュアは?」

 

 

「二人なら今頃シェラちゃんにたっぷりと扱かれていると思うわよ」

 

ふふふと笑いながらも夕食の準備をしながら答えてくれた。

 

「あっ、レイ 今日シェラちゃんとアイナさんが家に来るって、もしレイに会ったらよろしくだって!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なに!?

 

 

あの二人か………今日は休める気がせんな。

 

 

「分かった…」

 

 

その言葉を聞いただけでレイの体に重圧が一気にのしかかってきた。

 

 

3年前、シェラとは過去にイザコザはあったものの和解し、呑むまでの仲になったものの……あいつには勝てる気がせん、そして酒癖の悪さ……呑む事自体が拷問だ、さらにシェラの比ではないアイナまで………憂鬱だ。

 

 

 

あの二人に飲み比べで勝てる者など……存在するのだろうか?

 

 

少し時間が経つと玄関が勢い良く飽き、エステルとヨシュアの姿が目に入ってきた。

 

 

「たっだいま〜、お母さんお腹減った…………レイ兄!!おっかえり〜」

 

「ただいま母さん、それとレイ兄さん、今日帰ってきたのですね」

 

この数年間でヨシュアも大分落ち着き、笑顔を見せるようになるまでに表情が豊かになり、俺を兄と慕ってくれている。

 

 

「いや、俺も今帰って来た所だ……エステル、シェラとアイナは?」

 

「ん!、なんでも今日レイ兄が帰って来るって父さんから聞いて買い出しに行ってから来るって!」

 

 

 

買い出しに…か、まずいな

 

 

 

嫌な予感しかせん

 

 

 

 

その後手に持ちきれない程のボトルを笑顔で持ってきて、ひたすら空いた俺のグラスに酒を注ぎ、ヨシュアに絡み笑顔で呑むのを催促するし、抱きつくなどの姿は………………まさに悪魔だな。

 

 

 

 

「ほ〜らレイ、グラス空いてるわよ♡」

 

 

 

「…勘弁してくれ、これ何杯目だ」

 

 

 

「あっ、シェラ私もお願い!」

 

 

「ほら、アイナみたいなか弱い女の子が次のボトルに行こうとしてるのに、あんたそれでも男?」

 

 

 

…訂正だ、悪魔よりも悪魔らしい。

 

 

そして親父、まさか逃げたか?

親父がいれば被害がこんなにもないはずだが…

 

 

過去、ラオウと対峙し戦った時ですらここまでの酷い疲労感は感じなかっただろう…

 

 

…意味は違うが。

 

 

しばらく付き合い吞んでいると満足したようで、「まあ勘弁してあげるわ」といいお開きになり、二人とも居間に横になり、いつの間にか眠ってしまっていた。

 

 

「…静かにしていれば二人ともいい女なのだがな」

 

 

そっと、寝ている二人に掛け布団を掛けて外の空気を吸いに部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…バカ」

 

 

そっとシェラザードは寝返りレイが出て行った反対側を向き直した。

 

 

◇◆◇◆

 

 

「ふう…久しぶりに今日は酔い潰れなかったな」

 

 

今までに何度か酔いつぶれ、幾度となく気がつくと朝を迎えていたことか、

 

「ん!」

 

 

足音が街へと向かう道からして来たと思い振り向くと、親父が帰って来たようだ。

 

 

 

「おう、レイか」

 

 

「親父、まさか俺を生贄に使ったか?」

 

 

「!」

 

 

レイの一言で親父の目が泳ぎ、少し動揺し始めた。

 

 

「さ、さてな…それよりレイ!お前はすぐにここを出発するのか?」

 

 

 

…話をすり替えるの下手すぎだ。

まあいいか

 

 

「ああ、少ししたらまた旅に出る」

 

 

「ふむ…レイ、少し待って貰えないだろうか?」

 

 

「…どういう事だ?」

 

 

先ほど迄とは違い、親父の顔は真剣そのものであり、何か事情があるのだろうか…

 

 

「うむ…実はな、このところ各地 それも軍絡みで不穏な動きが見られるのだが、そして前にお前が言っていたリシャールの言動…もしかすると、いや間違いなくこのリベールを揺るがす大きな事件が起こる、その時に私は他国にいていないかもしれん」

 

 

「ふむ…」

 

 

確かに親父程の遊撃士だ、他国に数日程滞在するなど、頻繁にある事だからな。

 

 

「その時に、もしリベールを脅かす何かが起こるとしたら…もしエステル ヨシュア レナが…」

 

 

「…………」

 

 

「だから頼む!その時に、私と共に守ってくれ…レイ、お前の母を、兄妹を…いや私達の家族を」

 

 

頭を下げて必死に説得してきた。

 

無理も無い、一度親父は失い掛けているのだ。

 

 

 

答えは決まった。

 

 

「頭を上げてくれ親父、分かった」

 

 

 

「そうか!…頼んだ」

 

 

しかし、それまで何をしているか…

 

 

「それでだレイよ一つ頼みがあるのだが」

 

 

◇◆◇◆

 

翌朝エステルとヨシュアはいつもどうり指定された時間にギルド迄行きドアを元気良く開けた。

 

 

 

「おっはよーシェラ姉!アイナさん!」

 

 

「エステル強いよ、おはようございますシェラ姉さんアイナさん」

 

 

すると目の前にはいつもどうりシェラとアイナの姿が見えたのだが、何時もはいないレイの姿まで確認できた。

 

「あれ?レイ兄どうしたの?」

 

「…実は今日からシェラと親父は仕事でしばらく離れるそうでな、代わりに俺が鍛えてやってくれと親父から言われてな」

 

 

昨日の夜、親父からしばらくの間二人を鍛えてくれと、遊撃士の『協力員』という立場で二人を鍛える事になった。

 

 

「えっ!?レイ兄が…な〜んだ、それなら家で言ってくれればいいのに〜」

 

 

「まあ、きにするな」

 

 

 

そしてこの期間で、出来るだけこれからに備え、二人を強くしたいという思いもある。

 

 

 

「ふふふ、でもいっつもシェラ姉のスパルタな訓練に着いて行ってるからね〜、レイ兄着いて行けるの〜?」

 

 

 

「……………」

 

 

 

…訂正だ、こいつらに井の中の蛙と言う事も教えてやるか。

 

 

 

「あの鬼教官のシェラ姉に敵わないまでも鍛えてねレイ兄」

 

 

ヨシュアとシェラは俺の纏う何かを察したようでエステルを止めに掛かろうとするものの足が動かないようで、冷や汗をかきながらただただ佇んでいた。

 

 

 

「…いいだろう、望みを叶えてやろう」

 

 

察したようで、シェラはただ手を合わせて聞こえないように、「御愁傷様」と言っていた。

 

 

…さてなにから始めるか。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

一ヶ月後、仕事から帰ってきたシェラザードに泣きながら「シェラ姉って本当に優しかったんだね」とシェラザードのありがたさをよく知ったエステルとヨシュアの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 




「レイ…あなた何をしたの?」


「ん、なに俺が過去に受けていた鍛錬をしてやっただけさ、

あ〜

大体俺が12歳位の時のな」


「…あの二人とあんたと一緒にしないでよ」


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FC編
南斗の軌跡 23話 時は流れ…ついに伝説は幕を開けた!!


だあ!やっと原作にはいる事ができました!

それではどうぞ!


 

 

リベール王国 地方都市ロレント

 

百日戦没から十年、町のシンボルである時計台も数年前に復興作業で新しく建て替えられた、

こののどかな田舎町の中元気な声が響いている。

 

 

「こら!待ちなさいアリル!」

 

 

一人の元気な娘が一匹の子猫を追っていた。

栗色の髪をツインテールにし、自分の身長よりも長い棒を背負いながらも、その身のこなし方は見事なものであった。

 

 

「エステル」

 

 

その後ろからついてきている黒髪で琥珀色の目を持つ弟ヨシュアは少々振り回されながらもエステルの後をしっかりと着いていった。

 

 

「ふう〜やっと捕まえた!」

 

 

子猫は行き止まりに突き当たってしまい、観念したのかエステルに抵抗せずに、抱きかかえられた。

 

 

「見てヨシュア!捕まえたよ」

 

 

「うん お疲れ様、それじゃ依頼主の下に行こうか」

 

 

優しく子猫を抱きかかえ、エステルは依頼主の女性に渡すと、女性は喜びながら感謝をしていた。

 

 

「ふう、それじゃあエステル、ギルドに戻ろうか」

 

 

『遊撃士《ブレイサー》』リベールの平和と民間人の安全を守る為に働く戦闘の専門家だが、実際には戦闘だけでなく、こう言った民間人からの依頼も少なくは無い、一見花がありそうだが、実際には地味な仕事も多いいが、二人はなんとも言えない充実感に満たされていた。

 

 

 

この一年で二人の成長は著しく伸びただろう、シェラザードとレイによるマンツーマンで訓練は二人文字通り体だけでなく、心も随分と養われ、準遊撃士の試験も楽々と突破できた。

 

 

そのことを鍛えてもらったシェラとレイに褒められ、エステルなど涙腺が崩壊し、一気に解放されて心の底から感謝したそうだ。

 

 

ギルドの扉を開けてアイナに報告しようとすると困った様子で、二人が報告する前に口を開いた。

 

 

 

 

 

「二人とも、落ち着いて聞いてちょうだい、…ルックとパットがね、今朝から行方不明らしいの」

 

!!

 

ルックとパットはロレントに住む子供で、ヨシュアには懐いているが、よくエステルにつっかかったりしているやんちゃ盛りな悪ガキである

 

 

「今ご家族から遊撃士協会に連絡があったの、二人とも昼にも家に帰ってきてないんですって…」

 

 

一筋の冷たい汗がエステルの頬を走った。

 

「それで、協会も情報を集めたのだけど…二人とも北の郊外の『翡翠の塔』に行ったらしいのよ」

 

「なっ!!」

 

ロレントの郊外にある翡翠の塔、そこは魔獣の住処になっており、大人でも寄らないような危険な場所に…

 

 

「でも今カシウスさんも他の遊撃士も出払ってて、せめてレイがいれば「何を言ってんのよアイナさん!」?」

 

 

エステルは胸を張り、拳を前に突き出した

 

「ここにいるじゃない! あたしたちが二人を連れ戻してくるわ!!」

 

 

「エステル!でも」

 

 

アイナが止めようとしたがヨシュアが前に出て

 

 

「アイナさん!皆の帰りを待っている時間はないと思います」

 

 

ヨシュアの一言で落ち着きを取り戻し、アイナは真剣な表情に移り変わった。

 

 

「準遊撃士エステル ヨシュア 直ちに子供達の保護に向かいます!」

 

 

アイナは表情を曇らせながらも、時間はない事を悟り、覚悟を決めたようであった。

 

 

「…分かりました、二人とも気をつけてね」

 

 

二人は頷き、北の翡翠の塔に向かい走り出した。

 

 

………………

 

 

翡翠の塔、シェラ姉やレイ兄にはまだ近寄ることも許されない場所ではあるものの緊急事態だ、正直不安が無いかと言われると嘘になる。

…だけど、私達は遊撃士だ!

 

 

しばらく走ると、翡翠色の高い塔が見えてきた

 

 

「ヨシュア!此処が」

 

 

「うんそうだね、気を引き締めて行こう」

 

 

双方頷き塔の扉を開けて中に入って行った。

 

 

 

……………………

 

 

塔に入ると今にも消えそうな声が聞こえてきた。

 

 

「暗いよ…怖いよ」 「そんなに怖がるなよ〜!…まだ最初の階じゃないか」

 

二人の無事にとりあえず安堵し、エステルは声を張り上げた。

 

「ルック!パット!居るなら返事しなさい!!」

 

塔全体に響き渡るように声を張り上げたが、反応は無かった。

 

 

「あ、あんにゃろうども〜!あたしを無視するつもり!?」

 

 

「行こうエステル、とにかく奥に進もう」

 

 

二人で階段を登り二階に進むと叫び声が聞こえてきた。

 

「うわわわわっ!?」

 

「助けてぇぇっっ!」

 

階段を登ったすぐそばに二人の姿を確認することが出来たのだが、二人を今にも魔獣が襲おうとしている最中であった。

 

 

「!!いけない!?」

 

 

エステルは有無言わず一目散に魔獣へと突貫し突き進んで行った。

 

 

「エステル!?…仕方が無い、ったく、鉄砲娘め…」

 

 

こうなっては作戦もくそもないが今は一刻を争う、仕方が無くヨシュアもエステルの後ろに続いた。

 

 

「うりゃあああっ!!」

 

エステルが敵陣に突っ込んだおかげで、注目は二人の方に向かい、二人目掛けて魔獣が襲い始めた。

 

 

魔獣は飛び猫と言われており、ロレントによくいる魔獣で準遊撃士の二人には敵にはならなかった。

 

それを二人は難なくさばいて行き殲滅し終えた。

 

 

「楽勝、楽勝!」

 

 

楽観的に喜んでいるエステルとは対照的に、ヨシュアは深いため息をついていた。

 

 

「楽勝、じゃないだろ?ロクに状況確認をしないできないでいきなり突入するなんて…」

 

 

「まーまーうまくいたからいいじゃん」

 

再びヨシュアはため息をついた。

 

 

 

「お、終わったの?」

 

 

「すっげえええっ!?エステルって強いんだな!オンナのくせにやるじゃんか!」

 

 

魔獣がいなくなり二人の子供は無事に安堵し2人に近づき、はしゃいでいた。

 

「このおばか!」

 

 

はしゃいでいる二人にエステルの一喝が入ったゲンコツがルックと言われると少年の脳天に突き刺さった。

 

 

「いってぇ、何すんだよー!」

 

「全くあんたはもう、乗り気じゃないパットまでこんな所に連れてきたりして」

 

 

その言葉により、ルックはバツが悪そうに下を向き、逃げようとしたが、すぐにエステルに捕まりエステルに羽交い締めにされ、ジタバタしていたのだが。

 

 

「エステル後ろ!」

 

「へっ?」

 

間抜けな声を上げ、後ろを向くと新たな魔獣が目の前まで接近していた。

 

「やば…」

 

「…っちぃ!」

 

ヨシュアが再び武器を出し、魔獣の前まで接近しようとすると、

 

 

「ひゃう!!」

 

一瞬にして、疾風の如く階段を登り目にも止まらぬ速さで魔獣は切り刻まれた。

 

エステルは状況を掴めずに、ただ呆然としていた。

 

 

「へっ?」

 

 

「よかった、来てくれたんですね…レイ兄さん」

 

 

その場にいた四人が目を見開き魔獣がいた場所を見てみると、黒の長い髪を持つ、エステルとヨシュアの兄が立っていた。

 

 

「ふう、…まだまだ甘いなエステル、見えざる脅威に備えるため常に感覚は済ませておく、それが遊撃士の心得じゃなかったのか?」

 

 

「レ、レイ兄!?どうしてここに?」

 

 

「なに、アイナからな話を聞いて遊撃士ではないが、親父や他の遊撃士の代わりに見てきてくれと頼まれてな……まあ及第点だな、フッ、詰めは甘いが」

 

 

「うう、面目ないです…」

 

 

 

「助かりましたレイ兄さん、すいません僕が付いていながら」

 

 

「なに、まだまだお前らは伸びる…精進すればそれでいい………と、親父なら言うだろう、俺から見ればまだまだだけどな」

 

 

「はい!」

 

 

ヨシュアはレイの言葉を受け取り、元気よく返事を返した。

 

「それじゃ帰るぞ、…坊主ども、歩けるよな」

 

 

先程までエステル達に付きっ切りだった二人は一目散にレイの元にも走り「かっこいい」や「エステルよりも強い」だとか懐いていた。

 

 

 

「…二人とも、最初に助けに来た二人に礼を言うのが先ではないのか?」

 

二人は声をそろえ「うっ……」と言いながらもちゃんとお礼を言っていた、やんちゃではあるが素直なんだろ。

 

 

帰り道、エステルは若干納得がいかないようであった。

 

「うー、助けてくれたのはありがたいけど、……何で美味しい所は持って行っちゃうのよ〜、レイ兄

 

 

納得いかない!」

 

 

「はは、それは仕方が無いよ、あのレイ兄さんだからね、……それともまたあの頃のように兄さんに稽古をつけてもらう?納得いかないなら兄さんに対抗できる位まで……」

 

 

ヨシュアも自分で言ってて、顔色が少し悪くなってきたようであった。

 

 

「……うん、やめようヨシュア、………あの頃には全体に戻りたくないから、…今日は納得する」

 

 

二人揃って少し震え始めた、…………余程戻りたくないのだろう

 

 

街に着くと、報告を済ませて二人は家に向かう帰路を歩いている所だった。

 

 

「ねえヨシュア、あたし…遊撃士に向いてるかなぁ?」

 

 

 

「…………まあ父さん、レイ兄さん譲りの武術の腕前もそれなりのレベルになったと思うけど、困っている人を放っておけないお節介な性格にも合ってるし、…もしかして塔での出来事を気にしてる?」

 

 

「うん、納得はいかなかったけどレイ兄がいなかったらもしかしたら…こんな調子でやっていけるのかなって…」

 

 

エステルの表情は徐々に曇り始めてしまった。

 

 

 

「…………何、らしくない事を言ってるのかな」

 

 

「へっ?」

 

 

「今日の失敗は明日取り返せばいいじゃないか、先の事を考えて尻込みするなんて君らしくない、ずっと憧れていた仕事だろ?この程度でへこたれてどうするのさ」

 

 

 

「ヨシュア…」

 

 

エステルは笑顔になり、決めたようにヨシュアの目を見て立ち直った。

 

 

 

「そうだね、こんなのあたしらしくないよね!」

 

 

「そうだよ、それにレイ兄さんもこれから精進すればいいって、エステルは何も考えずに笑っていた方が自然だよ」

 

 

「って、どういう意味よ!

全く一言多いんだから……まあいいや、早く帰ろう!レイ兄や母さんや父さんがいるだろうから!」

 

 

「そうだね」

 

 

 

 

 

 

 

「フッ…」

 

このことを二人は教訓にできただろう、レイは遠目から見ていたが二人を見守っていた。

 

 

 

「……もしかしたらと思っていたが、どうやらいい方向に成長しそうだ」

 

 

二人を追うようにしてレイも家へと帰路についていた。



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南斗の軌跡24話 狂い始めた歯車!動き出したらもう止まらない!!

本当に更新が遅くなりましてすいません!

プライベートでそれどころではなくなりまして一ヶ月程空けてしまいました


✳︎主に就職活動で遅くなりました
本当にすみません





 

 

ブライト家には一つの家訓があった

 

 

家訓というか暗黙の了解ではあるが、家族が全員揃う日は全員で食卓を囲むという一つのルールみたいなものが存在していた。

 

以前迄レイはリベール中を旅してなおかつ一年前までは王都で生活し、ロレントにいる日など数えるほどしかなかった。

 

更には父カシウス・ブライトもリベールを股に掛ける遊撃士だ、ロレントに毎日いるわけでは無い、それこそ一ヶ月開けるまで…

 

 

故に家族が全員揃うなどという日はある時は続いてあるが、ない時も続いてあるような状態であった。

 

 

 

夜、家族全員で食卓を囲む…平凡な事かも知れないが、幸せな事である。

 

いや平凡だからこそ、その有り難みを一日一日を大切にしなければいけない…

 

 

◇◆◇◆

 

 

翌朝、カシウスの見送りにはブライト一家の全員とシェラザードが見送りに来ていた。

 

 

 

 

「さて…………そろそろ時間だ。

エステル、あまり無茶をしてヨシュアやレイ達の手を焼かせるんじゃないぞ。」

 

「もう、耳タコだってば〜

父さんも無理しちゃだめよ?もう若く無いんだらね」

 

 

「フン、まだまだ若いもんにはまけられんさ!…なあ"レイ"」

 

 

「……そうだな」

 

 

(まさかまだ負けたことを気にしているのか?)

 

 

やたらとレイの部分が強調されていたが…気のせいだろう。

 

 

 

「シェラザード、お前にも急な仕事を押し付けて済まんな」

 

 

「いえ、気にしないで下さい。先生の代わりが務まるかどうか心配ですが」

 

 

 

「謙遜するな銀閃の…レイ、レナ、二人を頼むぞ」

 

 

「…あぁ」

 

 

「はい!あなたも気をつけて下さいね」

 

 

和やかに会話をしているとアナウンスが流れてきた。

 

ピンポーン

『王都行き定期飛行船、《リンデ号》まもなく離陸します。ご利用の方はお急ぎください。』

 

 

「おっといかんいかん…そうだ」

 

 

親父が急に真面目な顔つきに変わりレイの耳元により、レイ以外に聞こえない位まで声を落とし、話しかけてきた。

 

 

 

「…レイ、もし私もしくはリベールに何かしらの事があったならば私の机の二段目を開け………」

 

 

「……………分かった」

 

ただレイは静かに頷いた。

 

 

カシウスは一つ頷き、元の表情に戻り飛行船に移動した。

 

 

 

「父さん、行ってらっしゃい。こっちの事は心配いらないから」

 

 

 

「どこかに行くか知らないけどお土産期待してるからね!ちょっと洒落た小物とか♡」

 

 

 

「こらこら。遊びに行くんじゃないぞ。…まあ財布に余裕があったら考えてやらんこともないがな…それでは2人とも元気でな、レナ シェラザード レイ、頼んだぞ」

 

 

やがて飛行船のエンジンが掛かったようで、徐々に空中へと上昇していきやがて雲の彼方へと見えなくなっていった。

 

 

「そう言えばレイ兄?父さんに何て言われたの?」

 

 

 

…さて、どうしたものか?

 

 

 

 

「ん、なに……」

 

エステルにだけ聞こえるように、耳元で囁いた。

 

 

 

「親父が隠している秘蔵のブランデー《スタインローゼ》を飲んでもいいとだ…母さんやシェラに内緒でな」

 

 

 

「スタインローゼですって!!」

 

シェラがいきなり声を張り上げてレイの目の前まで接近してきた。

 

 

 

 

…聞こえてたのか

 

 

 

「レイ!何年物なのよ!?」

 

 

「………確か20年物だ…」

 

 

「20年!?……ふふふ、レイ勿論一人では飲まないわよね……」

 

 

 

済まんな親父……

 

 

レイは唯頷く事しか出来なかった。

あれはもう、捕食者の目であったと後日語った。

 

 

 

 

 

 

「あぁ、平和だな……」

 

 

 

 

その時はまだ予想もしていなかっただろう、食卓を囲めるのが当分先になることを。

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

翌日、エステル ヨシュア シェラが真っ青な顔色に変わり果て依頼から家に帰ってきての、エステルの一言で全てが狂い始めてしまった。

 

 

 

 

「と…父さんが、父さんの乗っていた飛行船が行方不明に……」

 



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南斗の軌跡25話 死闘への序幕!全ての始まりからの羽ばたけ!!

 

 

 

突然の出来事であった…エステルから発せられたたった一言により、言葉を失い辺りは静寂に包まれた。

 

意味が解らず聞くと、どうやらボース上空で親父が乗っていた飛行船が消息が不明になってしまった……これは何の冗談だ。

 

ただ母親が料理していた鍋の《グツグツ》と言う音のみあるだけで、誰一人として、言葉がでてこなかった。

 

誰も信用しない………いや出来ないと言った方が正解か。

 

 

 

そんな悪い冗談みたいな事を信用できる筈がなく、本来ならばあり得ないが…エステルは冗談半分でもこんなにも巫山戯た事は言わない、…何よりも三人の顔つきが証明されていた。

 

 

それはレイも例外ではなかった。

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

「…ヨシュア、シェラ、………飯の準備が出来た……」

 

 

あの後、母さんは寝込んでしまいエステルも部屋に篭ってしまった、仕方がなく残りの味付け盛り付けなどを俺がやり、食事の準備が完了した

…誰一人として手を付けようとはしないが。

 

 

「…有難う御座います兄さん、…エステルと母さんは?」

 

 

「エステルは分からんが母さんは大分落ち着いたようだ…」

 

 

「そう…流石にあの元気娘も今回ばかりは堪えたみたいね」

 

 

 

「…無理、ないですよ。

何だかんだ言って仲のいい父娘ですから」

 

 

「そうね…」

 

 

人数が三人も少ない食卓は心細く、通夜の様に静かであった。

 

 

「…兄さん、シェラさんはどう思いますか?今回の件、事故なのか事件なのか…」

 

 

「…正直、なんとも言えない。

先生は一流の遊撃士よ、こと危機管理に関しては桁外れの能力を持っている。事故だろうが事件だろうがその場に先生がいるんだったらすぐに解決されているはずだわ。

だけど実際、定期船は先生ごと行方不明になった……」

 

「まさにあり得ない事が起こったか……シェラ、二人と母さんを頼む俺は少し…「ああ〜お腹すいた〜」

んっ?」

 

何かと思い階段の方を向くと、背伸びをしながらテーブルに向かってくる元気なエステルがいた。

 

「はっ…?」

 

 

「エステル…あなた大丈夫なの?」

 

 

三人は先ほどまでの半べそだったエステルとは違い、普段の姿であるエステルに対して困惑していた。

 

 

 

「もーダメダメお腹すいて倒れる寸前だよ。うわ、美味しそう!これレイ兄が作ったの?」

 

 

「あっ…あぁ母さんが途中まで作っていたからな…仕上げをしただけだが…」

 

 

「いっただきまーす!」

 

 

エステルは目の前にあるスープグラタンを一口食べて頬を緩ませていた。

 

 

「美味しい!レイ兄、いい仕事してるね!」

 

 

「あぁ、それよりエステル…何をしていた?部屋に篭っていたが…」

 

 

「んー?ああ、替えのパジャマを探していたの。奥にしまったお気に入りがなかなか見つからなくてさ〜。

 

 

「…何故だ?」

 

 

「それと旅行用具一式、どれだけかかるか分からないし備えあれば憂いなしってやつよ」

 

 

「エステル、まさか先生の消息を確かめにボースへ行くつもり?」

 

 

「モチのロンよ、あの悪運の強い父さんに何かあったとは思えないけど…」

 

…なんというか、いい意味で期待を裏切られたな。

 

 

レイはその場で微笑みながら妹の心の強さを改めて実感する事が出来た。

 

 

夕食を食べ終え、エステルとヨシュアは先に寝床に着いたようで、俺も準備を始めた。

 

(…親父が言っていた机の二段目……一体どういう事だ…)

 

 

先日親父から何かあったら開けと言われ、言葉道理に開いてみると…一枚の名刺と住所が書かれた紙が入っていた。

 

 

…行かなければわからんか

 

 

定期飛行船は運行を見合わせており、俺は住所道理王都へと歩きで向かうことを決めた。

 

 

 

月が傾き真上に来た頃、準備を終えて家を出る前にシェラに母さんの事を頼みに行こうとすると、二階から階段を降りようとする二つの足跡が聞こえてきた。

 

 

「レイ…何処に行くの?」

 

 

母さんが心なしか弱く尋ねてきた。

 

 

「…少しな」

 

 

「…それはカシウスさんの事ですか?」

 

 

「…そうだ」

 

母さんは何かを決めたようにして、レイの目の前まで近づき、手を取った。

 

 

「レイ…お願いします。だけど貴方も……気をつけて」

 

 

「あぁ、…シェラ母さん達を頼む」

 

 

シェラザードはただ静かに頷いた。

 

 

……………………

 

 

王都まで走って5日位か……仕方ない。

 

 

定期飛行船が運行を見合わせている中、いつ再び元のダイアルに戻るか分からない今、王都まで自分の足で行くしかないが、行かなければならない。

 

 

 

「…後は頼むぞエステル ヨシュア」

 

 

一度家を向き、すぐさま王都へ向けて走り出した。

 

 

◇◆◇◆

 

 

翌日、エステルとヨシュア シェラザードはロレントの遊撃士協会に赴き、シェラが手続をしている間に、二人は時計台に来ていた。

 

最上階に二人は登り心地よい風を受けていた。

 

 

「エステル、そういえばどうしてここに?ここは普段近寄ろうとしないのに」

 

 

エステルは景色を見渡していたのを辞め、ヨシュアの方へと振り向いた。

 

 

 

「うん別に近寄りたがらないって訳ではないんだけど………ここは特別な場所でいつか最後に此処に来たくて、とっておこうと思ってね。

…ここは私にとってのスタート地点だから」

 

 

「? どういうことだい?」

 

 

再びエステルは振り向きロレントの町並みを見渡した。

 

「十年前、百日戦没の時。もしかしたら私とお母さんは此処で死んでいたかもしれないの…」

 

 

「!?」

 

「あの日、私とお母さんは避難していて、その時にね…この時計台が崩壊した時に瓦礫に巻き込まれそうになって……」

 

 

エステルはあの日の事が今でも目に焼き付いていた。

 

 

「その時に初めて会ったレイ兄に助けて貰ったの。全く関係の無い赤の他人の私たちを…」

 

 

 

「…………………」

 

 

 

「その後も、避難してる最中に帝国兵に囲まれた時も、…お母さんが目を隠して私に見せないようにしていたけれど…少しだけ見てた。

自分だけでも逃げればいいものを私たちを守りながら帝国兵を薙ぎ倒していく姿を………なんて言ったらいいかな、…天下無双?疾風迅雷?…そんなものじゃなかった…」

 

 

「…そんな事が」

 

 

「…やっていた事は褒められた物では無いと言う事は分かっている、理由はどうであろうとも殺生だから…でも私もそうなりたいと思ったの。

あの日私達親子を救ってくれたレイ兄のように………だからここは何かを決めた時に最後に来ようと決めていたの」

 

 

「…そうだったのか」

 

 

ヨシュアはその場を経験していなかったが、エステルの意思 覚悟を改めて認識した。

 

 

「ヨシュア…またここに帰って来よう、また五人で食卓を囲もう!」

 

 

「あぁ、そうだね」

 

 

まだまだ頼りないが、エステルとヨシュアの金の翼と銀の意思は少しだけ輝き始めた瞬間であった。

 




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南斗の軌跡26話 罪深き結社ども!その名は身食らう蛇《ウロボロス》!

遅くなりまして申し訳ありません…もう一つの執筆とプライベートが忙しく遅くなりました。




 

 

 

「さて…"5日"も掛かってしまったか、…まぁ過去を振り返っても仕方あるまい…」

 

 

王都グランセルへと続く道であるキルシェ通りをレイは駆け足で颯爽と掛けて抜けていた。

定期船が運行を見合わせており、いつ再開するのかが分からなかった数日前、現状歩いて行くしか無いのだが…時間が掛かり過ぎてしまったな。

 

リベールは山々に囲まれ、移動手段としては定期船がベストであり、動力車など大地を駆け回る乗り物は適さず、故に徒歩が現状ベターであるが、…いかんせん時間が掛かり過ぎた、聞いた話だが今日には定期船のダイアルが戻り、ボース上空以外の経路が再び元に戻るそうだ、…つまり現状ロレントから王都行きの定期船は再開しているという事、悪い言い方をすればただ疲れを溜めていただけであった。

 

「まぁ、チケット代が浮いたと考えればいいか……大した額では無いが」

 

早とちりとは言え自分の感が頼りにならない事に少し呆れながらも楽観的に考え、足を早めた。

 

 

レイからしてみれば時間が掛かり過ぎとは言っているが、ロレントから王都まで5日と言う常識外れな事をエステルやヨシュアは知ったらどうなる事になるのだろうか?……

 

 

◇◆◇◆

 

「さて…この辺りなんだが…ここか」

 

王都の西地区、新聞社が近くにある一軒の雑貨屋、名刺の通りの住所で間違えが無ければここなんだが…どう言う事だ?

 

店内を見渡しての第一印象は……唯の雑貨屋だな、店自体は新しく立ったばかりだろうか外見は綺麗だが、中は少々汚く掃除をほっぽらかしているようだ。

 

「ん、らっしゃい…あんたここら辺じゃ見ねえ顔だな。何を探してるんだ?ウチには無いものが多いいが取り寄せることも可能だぜ」

 

奥から出て来たのは、無精髭が目立ちヨレヨレのシャツを着たフランクな男であった。

 

「親父の…カシウス・ブライトの紹介で来たものだが…」

 

一言言うと男の目つきが変わった。

 

「…へぇ、あんたが…まあいい、中に入りな」

 

 

男は店を閉め、レイを店の奥へと案内した。

 

 

◇◆◇◆

 

 

中は更に汚く、そこら中にゴミや食べかけのカップ麺の容器が散乱していた。

 

「っと、汚くて悪いな…ほれ」

 

 

そう言いながら所々欠けているマグカップにコーヒを淹れてレイの前に置いた。

 

「…頂こう」

 

酸味、苦味などバラバラなお世辞にも美味いとも言えない…いや美味いか不味いかも分からないようなコーヒであった。

 

 

「あんたも思うだろう?インスタントってのは偉大だ、何せ湯を注ぐだけで出来るもんなんて誰が想像出来た?コーヒ叱りラーメン叱り紅茶だって…っと城で勤めていたあんたには邪道か…」

 

 

「気にするな…飲めればそれでいい…それであんたは何者なんだ?親父が頼りにしろと言っていたが…」

 

 

「あっ?…旦那から何も聞かされて無かったのかよ…」

 

 

頭を乱雑に掻き男もコーヒを一口飲み喋り始めた。

 

「俺は昔カシウスの旦那に軍にいた時に世話になったローズって者なんだが…まあ、今はしがらない雑貨屋の店長兼、情報屋さんだ…」

 

 

「情報屋?」

 

「おうよ、一見さん御断りのな、旦那はここの常連だ」

 

 

情報屋か…故に親父はここを紹介したのか。

確かに困った時に一番最初に役立つのは情報だ、俺にはそんな伝は無いからな。

 

しなしなになったタバコにローズと呼ばれる男は火をつけふかし、話し続けた。

 

「あんたの事も聞いているよ旦那から、息子のレイ・ブライトだろ?この前まで城で勤めてて、っの前は旅をしていただとか…んでもって何でも旦那よりも強いなしいな……化けもんかよ」

 

「…ほっとけ」

 

はははと笑いながら手を叩き少しすると真剣な眼差しでレイに話しかけてきた。

 

 

「んでだ、あんたの知りたい事はこれだろ?今旦那は行方不明って事になっているが…旦那は無事だ、ここに一度来るはずだったが、予定を変更し独自のルートで帝国に入ったそうだ、定期船が行方不明になった後に連絡を受けたから間違いない」

 

 

「…そうか、しかし一体何故だ?」

 

「ほう、あんま驚かねえようだな…」

 

ひとまず安心する事が出来た、元より親父なら問題無いと思っていたが…しかし何故帝国に?

 

 

「…今、メディアに規制が掛かり渡っていない情報だが………帝国の遊撃士協会はほぼ壊滅状態らしい」

 

 

「!?」

 

 

帝国の遊撃士協会が壊滅状態だと!?

 

 

「…悪いがよくまだ情報が入ってこないが。とある結社が一枚噛んでいるらしい…」

 

 

「…結社だと?」

 

 

「ああ、…あんたも名前位聞いたことがあるだろ…身食らう蛇《ウロボロス》だ!」

 

 

「!!」

 

身食らう蛇《ウロボロス》ほぼ都市伝説のような存在であるが、名前なら精通している者なら誰しも一度は聞いたことがあるビッグネームだ。

 

 

「故に旦那は誰にも悟られる事なく帝国に入国し、事件解決に手を焼いているそうだ、まぁまさかあんなイレギュラーに遭遇するとは微塵も考えていなかったらしいがな」

 

 

ローズはニヒルに笑い、コーヒを口にした。

 

「とまぁ、そんな事より、旦那からあんたに伝えなきゃいけない事があるんだが…軍には気をつけろ、何でも結社と関わりがある…んでもって何か企んでるらしいから代わりに頼むって伝言を預かってる、微力ながら俺も情報が入り次第遊撃士協会でいいか?連絡する」

 

「…分かった、済まないが頼む」

 

そう言いながら残っていた冷めたコーヒを一気に口の中に放り込んだ。

 

 

 

◇◆◇◆

 

「済まないな、見送りまで」

 

店を出るとローズは迎えるため共に店の外まで見送りに来てくれた。

 

「なに、これからあんたも常連になりそうだからな…今回は旦那からせしめるが次からは貰うぞ、…安心しろこんな所だ」

 

 

そう言いながらローズは10本全ての指を開いた。

 

 

「…10万か、いいだろう」

 

「頼むぜ、そうしなきゃ俺は飯にありつけねんだよ、ったく百貨店のせいで客はこっちに来ねえからな…副業も中々信頼出来る奴もいねえしな」

 

 

……それよりも、掃除をしたらどうなんだ?少しでも綺麗にすれば…と言いたかったが、藪蛇になりそうで口には出さなかった。

 

 

「そう言えばあんたは軍に居たと言っていたが…どうしてこんな所で雑貨屋など…軍に居れば安定した生活が出来たと思うが…」

 

「ああ?」

 

面倒くさそうにローズは頭を掻いた

 

 

「こんな所で悪かったな…《好奇心は猫を殺す》って奴だ、知り過ぎたんだよ色んな事をな、ただのペーペーがな」

 

「…そういう事か」

 

 

「まっ、今の生活に不自由なんざねぇよ、趣味でやってるようなもんだからな副業なんて、かっこいいだろ?表は雑貨屋のオヤジで裏は情報屋なんてよ!」

 

 

「そうか…」

 

 

後にしようと店に背を向けると、ローズが「っと、待ちな」呼び止めレイが足を止めた。

 

 

「…何でもあんたの妹と弟がボースで事件を解決し、ルーアンに向かっているらしい…何にも無けりゃルーアンに向かってみるのもいいかもな」

 

「…そうか、済まないな」

 

 

「別に、構わねえよ。……気をつけろ、余りにもきな臭さ過ぎる」

 

 

「…忠告痛み入る」

 

 

レイはその場を後にした。

 

 

◇◆◇◆

 

 

レイを見送りに店へとローズは戻ろうとしようとしたが、その場から一切動かなかった。

 

 

 

「…居るんだろう、…リシャール」

 

 

誰も居ない筈の建物の物陰に話しかけると、軍服を着た金髪の男…リシャールが出てきた。

 

 

「…気が付いて居たのですね」

 

 

「ああ、…あと彼奴も気が付いて居たと思うぜ」

 

 

「そうですか……それと何故私が居るか分かりますか?」

 

 

「…ああ、遅い位だと思ったぜ」

 

「そうですか…すいません、ボースで一悶着ありまして遅くなってしまいました。…では申し訳ありませんが貴方を拘束させて頂きます、貴方は少し厄介でしてね…"アレックス・ローズ元中佐"安心して下さい、少しの間ですから、それと衣食住には困りませんよ」

 

 

「へいへい、そりゃ感動的だ俺的には不満しか残らねえが…」

 

満足そうにリシャールは頷き懐から手錠を出した。

 

 

「…あの鼻垂れが今やペーペーだった俺よりも上だとはな…分からねえもんだな」

 

 

「ご謙遜を、貴方がペーペーでしたら軍の九割はペーペー以下ですよ」

 

 

「はん、…店の掃除くらいしておけよ、税金の無駄遣いしてる位なら少し位還元してもバチは当たらねえだろ?」

 

「…分かりました、ハウスキーパーを雇って置きますよ」

 

 

抵抗せず、ローズは甘んじてリシャールに手錠を掛けられた。

 

 

「(…済まねえなレイ。どうやら無理そうだ)」

 

心残りを残して。

 

「では行きましょうか、ローズ中佐」

 

 

「…"元"だ、今はしがらない雑貨屋のオヤジで十分だ」

 

 

「ふふ、そうですか」

 

ローズの後ろを歩き満足そうに歩いているリシャールに向かってローズは一言添えた。

 

「ただ気をつけた方がいいぞ、"リベールの水鳥"…彼奴は太い奴だ、少し話したが彼奴は凄え奴だな」

 

 

「…ご忠告どうも」

 

リシャールは満足そうな顔から一転、影が差し込み真剣な表情に変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オリキャラのアレックス・ローズやポンセは気が付いた人が居るかも知れませんが、歴代のベイスターズの助っ人外人の名前を文字って作成させて頂いています、

…大丈夫かな………


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