異世界上位存在チャット (あたらんて)
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【悲報】精霊ワイ、人類から忘れられてた


サブタイがスレタイ?です。


1:もえるんるん

最近貢ぎ物来ていないことに気付く

神殿の祭壇を確認しに行く

何か廃墟になってた

 

 

2:女神

 

 

3:魔界最強

ちゃんと見返り与えてたか?対価がないのに金かけて信仰するマゾは中々いないぞ

 

 

4:もえるんるん

>>3

言われてみたら最近加護与えるの忘れてたかもしれない

 

 

5:まりりん

最近(数百年)

どうせこんなんが真相

 

 

6:エッッッ

これだから精霊種は

時間感覚が上位存在の中でも違い過ぎる

 

 

7:ブレスぶっぱマン

言うほど数百年何もなくても忘れるか?

 

 

8:まりりん

>>7

1年前に交わした契約を寝ててすっぽかした竜は黙ってろ殺すぞ

 

 

9:もえるんるん

辛辣で草

 

 

10:魔界最強

昔のこと過ぎてみんな忘れてるけどこいつの寝坊のせいでまりりんの国滅びたからな

恨むの当たり前だろ

 

 

11:女神

そうだぞ謝れよ寝坊カス

 

 

12:ブレスぶっぱマン

ごめん。流石に悪かったと思ってる

 

 

13:まりりん

>>12

誰が許すか殺すぞ住所教えろテメエ

 

 

14:エッッッ

ガチギレで草

 

 

15:もえるんるん

どっちが勝つか賭けようぜ

ブレス野郎に100万ゴールド

 

 

16:耳13km

マーリンに賭けるやつ誰もいないだろ

 

 

17:エッッッ

いや~(竜種は)キツいッス

 

 

18:魔界最強

流石に人間と竜種じゃ差がありすぎる

 

 

19:封印中

かぁ~w世界の狭間で封印中なのに信仰ビンビン来て困るわぁ~www

何も見返り与えられないのになぁ~wwwwww

 

 

20:女神

>>19

死ね

 

 

21:魔界最強

>>19

信仰してます!!!!

復活したら見返りください!!!!!!!!

 

 

22:エッッッ

二人とも反応早くて草

 

 

23:耳13km

その割には内容正反対過ぎて草

 

 

24:もえるんるん

>>17

お前どうやってそんな信仰確保してんの?

 

 

25:まりりん

コイツより女神に聞くべきでは…?

 

 

26:封印中

世界破壊してたら勝手に信仰されてた

 

 

27:女神

世界創造してたら勝手に信仰されてた

 

 

28:もえるんるん

>>26>>27

レベル違い過ぎて草

 

 

29:エッッッ

多分参考にするやつ間違ってるよ

 

 

30:女神

>>26

封印されてたの間違いだろ死ね

 

 

31:ブレスぶっぱマン

流石に我もちょっと引くレベルの格の差がこの2柱にはある

 

 

32:封印中

>>30

は?お前が死ねよ

あと封印したのお前の力じゃねーから。そこ勘違いすんなよ

 

 

33:耳13km

世界中からドン引きされるような力持ってる俺たちからもドン引きされるような格の二人

 

 

34:女神

>>32

てめぇブチ殺すぞ今すぐ顕現しろ

……あっ、封印で身動きとれないかwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

 

 

35:エッッッ

喧嘩すんなよ

 

 

36:封印中

>>34

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

 

 

37:もえるんるん

何でこの二人こんな仲悪いんだっけ?

 

 

38:まりりん

(絶句)

 

 

39:耳13km

創世神話嫁

 

 

40:エッッッ

こいつ精霊の癖に人間界の成り立ち知らんのか?

 

 

41:魔界最強

創造神VS破壊神様

創造神勝利

破壊神様封印←今ココ

 

 

42:もえるんるん

ほーん。じゃあ神殿にそれっぽい壁画描いとく

人間の学者大喜びだろ。俺も参拝者増えるしwin-winだわ

 

 

43:ブレスぶっぱマン

大迷惑の間違いだろ

 

 

44:まりりん

微妙に関係ないとも言い切れない存在がそういうことするのやめろ

 

 

45:女神

多分人間たち封印のこと知らないと思うからやめて欲しい

不安にさせたくないから伝えてないんだワ

 

 

46:耳13km

実は俺も世界の狭間に封印されてることはさっき知った

 

 

47:魔界最強

お前が知らなかっただけ定期

王家にはどの種族も伝わってるはずだぞ

 

 

48:封印中

>>45

きっっっっっっっっっしょ

まだ下位存在に欲情してんの?

 

 

49:もえるんるん

あ、ごめん。もう描いちゃった

しかも結構良い出来だから消したくない

 

 

50:女神

は?

 

 

51:エッッッ

何か精霊が創造主に逆らってて草

画像うp

 

 

52:耳13km

>>47

え、マジ?俺一応国王のはずなんだけど

 

 

53:封印中

自分の眷属もマトモに従えられない創造カスwwwwwwww

 

 

54:もえるんるん

ほい

【画像】

(二つの人影が争い、一つが檻のようなものへ入れられているような様子を描いた画)

 

 

55:まりりん

割とそれっぽい

しかもさっき描かれたのにめっちゃ昔に描かれたみたいな感じ出してる

 

 

56:ブレスぶっぱマン

結構上手くて草

マジで人間たち騙されるだろコレ

 

 

57:もえるんるん

描き終わった後に存在を劣化させる炎を吹きかけたらそれっぽくなった

俺も登場させたいのでもうちょっと描き足そうと思う

 

 

58:女神

おい

 

 

59:魔界最強

歴史改竄で草

 

 

60:エッッッ

この時代って世界どんな感じだったの?

 

 

61:ブレスぶっぱマン

世界がまだ形作られてない。当然人間もいない。魔族もいない。精霊すらいない。我はいた。

 

 

62:耳13km

そりゃ竜種は創造神に作られた存在じゃないんだから世界とか関係ないでしょ

 

 

63:女神

世界作ろうとする度にどっかのバカが壊してきた時代

 

 

64:封印中

そうしねーとバランスが保てないんだから当たり前だろボケ

 

 

65:もえるんるん

描けた!

俺だけだと寂しいから水のと土のと風のも登場させといた

【画像】

(戦う人影の下で、4つの小さな人影が踊っている)

 

 

66:女神

おい

 

 

67:魔界最強

踊ってて草

本当に眷属か?

 

 

68:エッッッ

お前らも戦えよ

 

 

69:もえるんるん

あっ。何か人間来た

 

 

70:女神

は?

 

 

71:耳13km

 

 

72:もえるんるん

めっちゃ俺の描いた絵画見てる!めっちゃ考察してる!

学者隊っぽい。こりゃ人間界の歴史変わるな!

 

 

73:エッッッ

 

 

74:魔界最強

こうして歴史は捻じ曲げられていくのか……。

 

 

75:まりりん

普通に頭おかしいだろ

 

 

76:女神

お前権能剥奪するからな

 

 

 

 

 


 

 

 

「なんと! これは歴史的快挙だ! かつて精霊を祀っていた神殿の噂などアテにしていなかったが、こんなものを発見できるとは……。これだから現地調査には夢がある。

 この2つの争っている存在は創造神と破壊神でまず間違いないだろう。しかし、こちらの4つの存在は……?」

「創造神に付き従う四つの存在と言えば、やはり四大精霊でしょう。それより気になるのは、破壊神の行方です。創世神話では戦いの後のことは詳細に語られませんでしたが、これを見るに……封印、されている……?」

 

 炎の精霊を祀っていたという伝承のある神殿を探し、遺跡探検にやって来た学者隊。

 彼らがそこで見つけたものは、壁に描かれた創世神話の一場面であった。

 

 歴史を変え得る奇跡のような発見に探検隊は沸きあがる。彼らにとって、新事実の発見とは財宝に全く劣らぬ価値を持つのだ。

 

 しかし、探検隊の中にはあまりその喜びを共感できない人間がいた。

 彼女の名はエリス。精霊の神殿の調査ということでギルドより派遣された精霊術師である。

 

 エルフの身でもない彼女が精霊術師となるには数多の苦難を乗り越えてきたことは想像に難くない。事実、精霊言語を習得するために彼女は人生の大半を費やしてきた。

 

 そんな血を吐くような努力をしてきた自分が連れてこられた目的である精霊をそっちのけで皆は壁画の解読に夢中になっているのだ。彼女からすれば余り面白くないというのも仕方ないだろう。

 エリスは探検隊の隊長に一声告げて一人で内部の探索を進めることにした。

 

「高位精霊がいるとか四大精霊がいるとかって話だったけど、流石にそうはいかないよね。

 下位精霊にでも出会えたら御の字、ってとこかな」

 

 迷子にならないようマッピングをしつつ、着実に遺跡の奥へと歩を進めていく。

 少なくともこの時点の彼女は何も異変を感じてはいなかった。

 

 しかし、とある広い空間が見えた辺りで急に足が止まる。

 

「……え? 何これ、足が、前に、進まな…………!」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 それはまるで、体がこの先の空間へ進むのを拒否しているようであった。

 

(ヤバい! この先に絶対ヤバい奴がいる! 進んじゃいけない! 私一人で敵うような相手じゃない!)

 

 人間の魂が本能的に「敵わない」と察するような存在。

 それは少なくとも下位精霊なんてものではなく、いわゆる「上位存在」と言われる者たちであった。

 

 そんな「彼ら」のことを知識としては知らずとも、本能で察したエリス。

 すぐさま体を翻し、仲間たちと共に逃げ帰ろうと走り出す。

 

 しかし先ほど彼女の動きを止めた「ライン」は、既に動き始めていた。

 

「あ……」

 

 終わった、それが彼女の思考の全てであった。

 既に自身の体は「ライン」の向こう側にあり、体はこの先の上位存在に屈服して脳の指令を受け付けない。

 

 絶望。後悔。恐怖。憤怒。

 様々な感情が彼女の体を動かそうとするも、全くの効果を見せない。

 

 やがて、魂が圧迫される力が強くなっていくのに伴って上位存在との距離が近づいていくのを理解する。

 走馬灯は既に三周し最早生存はとうの昔に諦めた彼女であったが、その半生を費やして鍛え上げられた耳と脳は気絶する瞬間、確かに聞こえてきた精霊言語を聞き逃さなかった。

 

ちょ、マジ権能剥奪だけは困るんですけど。ん? 何か人間いんじゃん。ヤバー! 久々過ぎて接し方覚えてないんですけどー!! とりあえず加護与えとけば喜ぶよね? 五百年振りくらいだし、最上級のでもあげちゃおっかな!

 

 




登場人物紹介

・もえるんるん
昔はめっちゃ崇められてたらしい。
3人の同僚がいるが、ダントツで問題児。

・女神
もえるんるんの上司。
今もめっちゃ崇められてるらしい。

・魔界最強
上位存在チャットの中では若い方なので割りと常識は人間のそれに近い。
封印中のことを信仰している。

・まりりん
かつて滅びた島国の重要ポジだったらしい。
元人間なので、価値観は上位存在チャットの中では一番マトモ。
ブレスぶっぱマンと昔なんかあったらしい。

・エッッッ
そんなに若くもないし老けてもない(上位存在基準)
魔界最強とは家が近いらしい(上位存在基準)

・ブレスぶっぱマン
上位存在の中でもめっちゃ年寄り。
かつてとある島国の王と契約を交わしたが、10年くらい昼寝してたらなんかその国が滅びてた。
まりりんにはちょっと負い目があって頭が上がらない。

・耳13km
かなり偉いらしい。
年は老けているが、創世前から生きてるような連中と比べれば全然赤子。

・封印中
とりあえず女神がいたら喧嘩を売りにくる。
女神・ブレスぶっぱマンと並んで上位存在の中でもトップクラスに長生き。


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【急募】竜種を殺す方法

1:まりりん

あのクソ寝坊竜を殺したい

 

 

2:ブレスぶっぱマン

いやホントごめん

 

 

3:もえるんるん

本人が真っ先にレスしてて草

 

 

4:女神

自分でも悪いと思ってんのな

 

 

5:ブレスぶっぱマン

言い訳すると、誰か起こしに来てくれたら起きてた

 

 

6:まりりん

>>5

殺すぞ

そんな余裕があるような状況じゃない未来が視えてたからテメエと契約したんだよ

 

 

7:魔界最強

ガチギレで草

 

 

8:エッッッ

そもそもあれどういう契約だったんだっけ?

 

 

9:まりりん

>>8

クソ竜の失われた秘宝をわざわざ五年くらいかけてウチの騎士が見つけてきたから、それを対価に結んだ三度まで国の危機に助けに来てくれるっていう契約

結べた時はウッキウキだったわクソッタレ

 

 

10:耳13km

いや草

 

 

11:もえるんるん

ええ…ガチクズやん

 

 

12:魔界最強

三度まで助ける(一度目があるとは言ってない)

 

 

13:輸血求む

そもそもどうやってマーリンの国って滅びたんだっけ

異民族の侵略?

 

 

14:女神

>>13

表向きにはそう

実際は当時まだ協定を結んでなかった魔界の侵略があったから

 

 

15:まりりん

マジであいつら殺す

てか殺した

 

 

16:魔界最強

言っとくけど俺じゃないからな

確か先々代とかの時代だったと思う

 

 

17:エッッッ

私も何も関係してないから

 

 

18:もえるんるん

魔界と全面戦争してた時代が懐かしい

 

 

19:耳13km

傲慢か強欲が魔王になると大体ロクなことにならないからな

今が割と異常

 

 

20:エッッッ

正直担当する大罪って本人の資質にあんま関係ないと思う

 

 

21:輸血求む

>>20

コイツが言うと説得力ある

 

 

22:ブレスぶっぱマン

エッッッの担当大罪ってなんだっけ

 

 

23:エッッッ

色欲

 

 

24:魔界最強

>>23

ほんとに謎

 

 

25:耳13km

>>23

色欲っぽいことなんかしてますか…?

 

 

26:エッッッ

彼氏募集中です♡

 

 

27:まりりん

物理的に滅ぼした国の数言ってみろ

 

 

28:エッッッ

>>27

じゅうよん

 

 

29:魔界最強

サバ読むな

20はやってる

 

 

30:エッッッ

すいません

亜人の国入れたら四十いきます

 

 

31:まりりん

色欲の力で滅ぼした国の数は?

 

 

32:エッッッ

>>31

ぜろ……

 

 

33:女神

ほんとにこいつが色欲で大丈夫なのか魔界は

ハニトラとか出来んの?

 

 

34:エッッッ

ハートキャッチは得意です!

 

 

35:もえるんるん

ハートキャッチ(物理)

 

 

36:耳13km

マジで脳筋だなコイツ

ホントにサキュバスか?

 

 

37:ブレスぶっぱマン

担当大罪ってどうやって決まんの

 

 

38:魔界最強

当時の就任者を殺せば次代になれる

だから本人の資質はほんとに関係ない

 

 

39:輸血求む

魔界最強の担当大罪ってなんだっけ

 

 

40:まりりん

>>39

傲慢と強欲と怠惰と嫉妬と憤怒の兼任

だから今代大罪は3人しかいない

 

 

41:女神

絶対おかしいだろ

 

 

42:封印中

竜種を滅ぼすのは少し骨が折れるな

奴らを倒す上で一番の問題は存在強度が圧倒的に違うことだ

俺なら気にせず滅せられるが、普通はまず攻撃が通らない

ただ幸い、竜に対する特効性を付与された武器は世界にいくつかある

グラムとかバルムンクとかはその代表格だな

あの辺なら祖竜に通じるかはともかく、成体のドラゴン如きなら掠るだけで致命傷になる

 

 

43:耳13km

このスレで初めてスレタイに適したレスを見た

 

 

44:もえるんるん

めっちゃマジメに答えてくれるじゃん

 

 

45:まりりん

なるほど

ドラゴンスレイヤー集めるか

 

 

46:輸血求む

竜の血って旨いの?

 

 

47:ブレスぶっぱマン

>>46

旨くないからお前は参戦してくんな

てか自分の血飲めばわかるだろ

 

 

48:耳13km

>>46

別に活動再開するのは構わんけど俺の国には来るなよ

指名手配してあっからな

 

 

49:エッッッ

指名手配は草

 

 

50:耳13km

>>49

お前もしてあるからな

なんなら賞金お前の方が高いぞ

 

 

51:エッッッ

え?

 

 

52:魔界最強

あんだけ国滅ぼしてたら当たり前だろ

誰も自分の国を更地にされたくないわ

 

 

53:女神

てか賞金出してない国の方が珍しい

お前殺すだけで世界一の富豪になれんじゃね

 

 

54:エッッッ

先代色欲は人間たちに大歓迎されてたのに…

 

 

55:もえるんるん

色欲だと思ってたら死鬼夜苦だったもんな

kissの代わりにkillしてくるやつの相手なんて誰もしたくないわ

 

 

56:輸血求む

それと比べてただ血を吸うだけの無害な俺

 

 

57:ブレスぶっぱマン

>>56

????????

常識知らずの我でも言ってることおかしいってわかるぞ

 

 

58:まりりん

大災害が何を言ってるんですかね

 

 

59:女神

次暴れたら教会動かすからなお前

 

 

60:封印中

>>59

勇者を出せばいいじゃん

アイツなら吸血鬼如きワンパンでしょ(笑)

 

 

61:女神

>>60

死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね

 

 

62:エッッッ

あー

破壊神様が煽るから

 

 

63:もえるんるん

コイツ勇者の話題になると早口になるよな

 

 

64:耳13km

>>63

お前ホントに眷属か…?

 

 

65:ブレスぶっぱマン

女神のいるところで勇者の話は禁句だというのに

……で、結局我は許された?

 

 

66:まりりん

>>65

なワケねえだろ殺すぞテメエ

 

 

67:魔界最強

勇者に依頼すれば?

アイツならワンチャンいけそうな感じあるでしょ

 

 

68:ブレスぶっぱマン

ちょっとそれは我も怖いのでやめて欲しい

 

 

69:まりりん

なるほど

アリか…?

 

 

70:ブレスぶっぱマン

おい

 

 

 

 

 


 

 

 

「フフフ……! そうね、勇者がいたわ! あの子なら大概なんでも出来そうな感じはあるし、意外と良い案じゃない?」

 

 とある宮殿の最上階、一人の()()が名案を閃いたと笑い、喜びにクルクルと回り始める。

 しかし両の手に持つ魔杖は130cm強ほどの小柄な体に似つかわしくないほどに大きく、少女はその重さに耐えきれず尻餅をついてしまう。

 

「い、いったた……こ、これもあの竜のせいね! 本当に許せないわ。今すぐ滅ぼしてやる!」

 

 誰もその醜態を目にする者はいなかったというのに誤魔化すように赤面しながら声を張る少女。

 どうもとある竜に恨みを抱いているようだ。見たところ十にも満たない少女のようだが、一体どんな出来事があったというのだろうか。余り明るい事情でないことは想像に難くない。

 

「となれば人間界に行く準備を始めなきゃだけど……最近の情勢ってどうなってるのかしら。亜人が支配してて人間種は迫害対象とかないわよね?」

 

 不安げに人間界への恐れを呟く少女は、その大きな杖を全身を使ってえいやと振る。

 すると先ほどまで綺麗な銀髪に覆われていた少女の頭部に、2つのピンと主張する猫耳が生えているではないか。更には下半身を見てみると、スカートの下から尻尾が見え隠れしている。

 

「うーん……でも逆に、亜人が迫害対象だったら困るのよね。あと同族内での迫害とかもあるし……てか昔はこの髪と眼で実際迫害されてたし……」

 

 そう言う彼女の髪は腰上まで届くほどの美しい銀髪。目の方は右が青で左が赤という、いわゆるオッドアイと呼ばれるものであった。

 

「……まあ、いっか! 変なことしてくる奴らがいたら、全員ぶっ飛ばせばいいじゃない!」

 

 先ほどまで悩んでいたのが嘘のように明るい声を出して思考を放棄する少女。

 それで先の話は終わったらしく、既に服を選んで外出の準備を始めている。

 

「最初は勇者の居場所を掴むところからよね。まずは知り合いのところを辿っていこうかしら。もえるんるん……炎の精霊なんかどうせ暇してるだろうし。よし、ひとまずの目的地は決まったわ!」

 

 杖を振れば光が宙に地図を描き始める。それを少し見れば、彼女は行き先を決めたようで再度杖を振って光の地図を消し去った。

 

 準備は万端と言わんばかりに胸を張る少女。

 ところが荷物は手に持った杖が一本のみ。鞄の一つすら持たないその姿は、旅に慣れていないものですらも引き留めるだろう。

 

 しかし、彼女はこれで十分だといった態度。そしてそれを証明するかのように、彼女は異次元の魔法を繰り出す。

 パチンと指を鳴らすと同時、少女の目の前の空間に穴が空く。真っ暗で中も覗けないそれは俗に、ワームホールと呼ばれるものであった。

 

「それじゃあ人間界に行きましょう。旅なんて何百年振りかしら! まずは知り合いたちに挨拶して、それから勇者の情報を集めて……やる事が多過ぎるわ!」

 

 旅への期待で目を輝かせる少女。その様子は幼い外見に非常に見合ったものであったが、発せられる言葉はどうにも違和感を感じさせる。

 

 やがて、これからの楽しみに胸を膨らませながらワームホールへ少女が飛び込むと、少女がそれまでいた城は支柱を失ったかのように崩れ始める。

 

 しかし彼女がいた世界に他の生命は存在しない。故に、誰もその宮殿の終焉に気づくことはなく――また、その事実は彼女の異常性を象徴するに十分であった。




登場人物紹介

・まりりん
銀髪オッドアイロリ。ポンコツなので本人は気づいていないが、彼女が人間界に出るというのはそれだけで人間たちにとっては大異常。
本名を出せばその瞬間に国を挙げての大騒ぎになるか、あるいは全く相手にされない。

・ブレスぶっぱマン
クソ寝坊竜。
上位存在の中でもかなり強いため、少なくとも元人間のまりりん如きには負けない。

・もえるんるん
相変わらず上司のことを舐めてる精霊。
権能剥奪はセルフ焼き土下座して何とか許してもらった。

・女神
セルフ焼き土下座とかいう一発芸でちょっと笑ってしまったため仕方なく許した。

・魔界最強
今の魔界では逆らうやつはそんなにいないらしい。

・エッッッ
脳筋サキュバス。大規模魔法ブッパと格闘戦が大好き。
サンドバッグにされる人間たちの国からしたらたまったものではない。

・耳13km
もともと長命である同族の中でも長生きなので、王としてはたまに優秀な面もある。
しかし基本ポンコツなので、周りからの評価は燃料切れ直前のチャッカマンみたいな感じ。

・輸血求む
処女の血が大好き。
ちょっと竜種の血をひいてるらしい。

・封印中
女神を発狂させられて満足してる。


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