マスメディア部と語りたい (ぴろ。)
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第一話 マスメディア部を語りたい
僕の名前は秋月 蓮。秀知院学園、高等部の1年生です。
マスメディア部に所属して、友達もできて、順風満帆な生活を…送れていないんです。
『かぐや様は告らせたい』の公式スピンオフである『かぐや様を語りたい』を読んでいる方…お察しの通りです。
とりあえず、原作を読んでいない人のために色々と説明しますね。
マスメディア部の先輩として、注目すべきなのは3人。
1人目は朝日雫先輩。マスメディア部の部長で、すごくカッコいい先輩なんです!ちなみに作者はこれ書いてる時に名前を初めて知ったそうです。でも名前覚えてた人って少ない気がするんですよね…。まぁ、続けます。
そして2人目…いや、残りは同時に説明することにします。
えっと、名前は…「あ!秋月くん!!!」
「っ…紀先輩、どうかしましたか!?」
「緊急事態なんです…か、会長がかぐや様に壁ドンして、それでかぐや様は少し顔を赤らめながらも満更ではない表情で会長の事を見つめて…上目遣いまでしながら『私…会長なら、いいですよ…?』って!それを聞いた会長はかぐや様を愛おしそうな目で見つめながら、あぁ………」
「はい、今日も絶好調ですね先輩。きっとそれは妄想なので、味噌汁でも飲んで落ち着いてください。」
…この人は紀かれん先輩。この学園の生徒会長である白銀先輩と、副会長である四宮かぐや先輩のカップリングを日々妄想しているやばい人です。
ちなみに、最近現実と妄想の区別が付かなくなってきたらしいので、そろそろ病院に連れて行こうかと迷っているところです。
そんな先輩を宥めて部室に連れて行き、ドアを開けるとそこには…
「あ、秋月くん。ちょうどよかった、今かぐや様へ送る千羽鶴を折っている所だから手伝ってもらえないかな?」
「もうツッコむ所が多すぎるんですけど…とりあえず部室で千羽鶴を折るのはやめて下さい、怖いので。それと四宮先輩に送るって…千羽鶴なんてどうやって渡すんですか?第一、先輩は四宮先輩の前だと緊張しすぎて失神するじゃないですか…」
「あぁ、その点なら心配しないで。手紙と一緒に生徒会室のドアにかけておくつもりだから。それと、手紙も書いたから一回読んでみてくれない?あんまり長いと重いって思われちゃいそうだから、40枚程度に抑えたんだけど…」
「名前も書かずに千羽鶴置くって…もう不審者確定ですよ。それに手紙40枚は重いなんて話じゃないです。物理的にも精神的にもキャパオーバーです。引っかけるドアノブ壊れますよ?」
この人が巨瀬エリカ先輩。四宮先輩を愛して…いや崇拝してる、と言った方が正しいですかね。とにかくヤバい人です。
この先輩の行動には時折狂気を感じますし、先程も言った通り四宮先輩の前だと緊張しすぎて失神してしまうため、全てを匿名でやろうとするんです。正直本当に怖いです。
…とまぁ、ある程度僕の状況は分かってもらえたでしょうか。
この小説は、ヤバい先輩2人に囲まれた僕がツッコミを行いながら、なんとか自我を保っていくというストーリーになっています。
僕は僕なりに頑張って生きるので…よかったら苦労人である僕の頑張りを見ていってくれたら嬉しいです。
それではまた、次回のお話で。さようなら。
こんにちは、るーとと申します。
もう小説を書くつもりはなかったのですが、かぐや様の最新刊を読んで書きたい欲がすごくなってしまったので書いてしまいました。
適度なペースで連載していこうと思いますので、よろしくお願いします。
もう一つ、本編に絡めたお話も書こうかと悩んでいるので、書くことになったらまたお知らせします。
それでは。感想等、お待ちしています。
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第二話 石上優&生徒会と語りたい
「はい、それではそのペアでプレゼンを行ってもらうので。来週までに資料を作っておくように…」
とまぁそんな訳でプレゼンをする事になりました。ただ、肝心のペアが…
「…僕なんかがペアで嫌ですよね。3日後までに資料は僕が全部まとめてくるので、後はお願いします…。」
「ちょ、ちょっと待って!せっかくペアになったんだし、一緒に作業やろうよ!それに、僕は君のこと嫌ってたりしないよ…?」
「…ありがとうございます。ただ、やっぱり作業は僕が…」
「大丈夫だって!ほら、とりあえず2人で話せる所行こ?」
「ぁ…分かりました。」
この人は石上優くん。僕のクラスメイトで、多分皆知ってるだろうけどかなり悪い噂が流れていて…皆から無視されたりいじめられたりしている。
話した事はそんなにないけれど昔から彼の事を知っている僕からすると…彼はそんな事をするようには思えなくて。
何かの間違いだったらいいなぁと思いながら今日まで話す機会が無かった。だから今日は少しでも彼と話せたらいいな…
「マスメディア部の部室でもいいかな?今日誰もいないから…」
「マスメディア部ですか…!?あ、いやまぁ大丈夫ですけど…」
「…どうかした?やけに慌ててるけど…もしかして、うちの先輩達の噂とか知っちゃってる感じかな…?」
「知ってるというか…会って話したというか…」
「あー、なるほどね…名前とか分かったりする?」
「ナマモノ…いや、何でもないです。えっと…すみません、名前を覚えてない…というか聞いてない気もするんですけど…とりあえずヤバめな人でした。」
「ナマ…?まぁとりあえずあの2人のどっちかなんだろうなぁ…ごめんね、迷惑を…多大な迷惑を…」
「いやいや大丈夫ですって!僕もある程度楽しんで読んでるので!」
「読んでる…?」
「いや何でもないです。忘れてください。この事を言ってしまうと抹殺されてしまうので。」
「抹殺…!?と、とりあえず聞かなかった事にしておくよ、うん!」
物騒なワードが聞こえたり色々したけど、とりあえず被害者仲間と言うことで石上くんとは仲良くなる事ができました。
そうしてプレゼンも無事に終わったある日のこと…。
「あ、生徒会来たこと無かったっすよね?一回行ってみますか?」
「え、いいの…!?じゃあお言葉に甘えようかな!」
先輩たち程ではないにしても、僕にとっても会長たちは憧れ。
この学園の生徒として、一度は話しておきたい…!
というのは建前で、本当はあの2人が先輩たちの言うような恋愛脳なのかどうかを確かめたい…!
これでも僕はマスメディア部…生徒会の秘密、暴いてやる…!!
「ようこそ生徒会室へ。秋月くん…だったかな。石上から話は聞いている。仲良くしてくれてありがとうな。」
「いえいえ、僕も好きで彼と仲良くしてるので!」
…などと話をしながらも、秋月蓮は会長の恋愛事情について聞き出すタイミングを見計らっていた。
白銀はその事に気付かず話していたが、1人だけ秋月のしぐさに違和感を抱いている人間がいた…。
(マスメディア部の人が来ると言っていたから警戒はしていたけれど…話をあまり長引かせないような展開の仕方…会長の機嫌を伺うような目線…そして何より、ポケットの中に隠している小さいメモ帳とペン…
間違いない、この人は何かを探りに来ている…
会長のプライベート?いやでも私の事も数回チラ見してきている…一体何が狙いで…?)
「すみません会長。僕、今日用事あるので帰ります。」
「おぉそうか。気をつけて帰れよ、石上。」
…石上くんが帰った。流石に彼の前で聞き出す訳にはいかなかったから丁度いい。そろそろ仕掛けるか…
(っ、ポケットからペンを出した…!何をするつもりか知らないけど、させないわ…!)
「会長、そろそろ…「会長って好きな人とかいたりするんですか?」
(ええぇぇ!?す、好きな人ですって!?やっぱりこの人、会長のプライベートを…でも気になるわね…会長の事が好きと言うわけでは勿論無いけど、答えを聞いておく価値はあるわね…!)
「す、好きな人…!?いや、それは…」
会長と副会長が同時に慌て始めた…。
これはやっぱり仮説は正しい感じか?でも一応もう少し問い詰めよう…
「どうかしましたか?急にあたふたしだして…もしかして好きな人いるんですか?」
「いや、それはだな…(四宮!頼む、話題を逸らしてくれ!さっきから俺がアイコンタクトしてるのに…早く気付いてくれ…!)」
「(会長ったら、私に助け船を出してくださいとでも言わんばかりにこっちを見て…でもこれはチャンス。この機に乗じて会長に好きな人がいるか聞き出させてもらうわ…!) 私も気になりますね、会長の好きな人。石上くんと仲良くしてくれている子と言うことですし、質問に答えてあげたらどうですか?」
「ほう…そんな事を言って四宮が聞きたがっているんじゃないのか?今は俺と秋月くんの2人で話している所だ。わざわざ四宮が入ってくる必要など無かったと思うが?」
「聞きたがっている…というのは好きな人がいる、というふうに聞こえるのですが?1vs2です。大人しく白状したらどうですか?」
えぇ…なんか2人でバトり始めたんだけど…もしかして仲悪いのか…いやでもそんな事はないはず…そもそも…
「こんにちはー!あれ、秋月くん?どうしてここにいるんですかー?」
「ふ、藤原、先輩…!?」
「はい、藤原先輩ですよー。それで、ここで何してるんですか?あー、分かった!この間の続きしに来てくれたんですね!ですけどごめんなさい…今、手錠とカラーコーン持ってなくて…」
「いえ、お構いなく…ぼ、僕用事思い出したので帰ります!会長、また今度お話しましょうね、それでは!」
「お、おう… なぁ藤原、手錠とカラーコーンがいる遊びって一体なんだ…?彼、すごい怯えた表情で帰っていった気がするんだが…」
「怯えてました?気のせいじゃないですか?ちなみに遊びの名前は……」
(っ………惜しかった…もう少しで会長の好きな人を聞き出せたというのに…でも、なんで少しだけ安心してるのかしら、私…?)
「あ、秋月くん聞いてください!会長とかぐや様が…ん?どうかしました?」
「たすけて…藤原先輩、カラーコーン、暗闇、ぁ、あぁぁっ……」
「だ、大丈夫ですか!?エリカ、今すぐ部室に連れて行きましょう!!」
本日の勝敗:秋月の敗北(トラウマを思い出してしまったため)
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第三話 早坂愛を追い詰めたい
普段は飄々とした表情をしてばかりの彼女が酷く怯え、そして酷く困惑した表情をしている事に若干の面白さを感じてしまうのは記者としての本能なのだろうか。
「どこで、それを…」
「経緯は色々ありますが…貴女と四宮先輩の会話を聞いた、というのが決定打ですね。秘密があるなら誰かに聞かれるリスクを考えて行動するべきですよ…まぁ、張らせてもらっていたので気を付けても仕方なかったですけどね。」
悔しそうな表情でこちらを見つめる彼女に本題を告げる。
「この秘密を守るには一つだけ条件があります。それは…………」
早坂愛は油断していた。いや、完璧な仕事をしているからこそ穴に気がつかなかったのである。
「早坂先輩、ですよね。今日の放課後、校舎裏に来てもらえませんか?」
そう話しかけてきたのはマスメディア部の1年生。
彼の能力は未知数だが所詮この学校のマスメディア部の部員…それにマスメディア部とある程度の関わりがある身としてはこれを無視するわけにはいかなかったのである。
「なんか嫌な予感…単なる告白ならいいけど。」
秋月の要求を承諾した後、早坂は少しの危機感を覚えていた。
「自信に満ち溢れた表情、話す間もずっと手に持ったままだったメモ帳とペン…いや、まさかね…」
自分の仕事は完璧で、正体がバレる筈はない。そう思いながら校舎裏に行くと、そこには待ち構えるように秋月が立っていたのだった。
「来てくれてありがとうございます、早坂先輩?」
「別にいいよ!でもウチ、今日バイトだから手短に済ませてくれると嬉しいな!」
「プロ意識…尊敬しますよ、早坂さん。まぁ…四宮家に仕えているのですから、当然ですかね?」
微笑みながら彼にそう告げられた瞬間、すっと全身から熱が冷めていくのを感じた。
自分の正体がバレた。しかも何の関わりもない年下の男に。
目の前に立つ彼が、突然恐ろしいものに見えてきて、頭が真っ白になる。
そうして場面は冒頭へと戻る……。
「先輩たちの事、許してくださいっ!!!」
「ぁ…え?」
想像していた物とは全く違う角度の要求を、それも頭を下げながら言われてつい素っ頓狂な声をあげてしまう。
「いや、その…ですね?ある時、早坂さんが四宮先輩に仕えてるんじゃないかってエリカ先輩に言われて…それを調査しているうちにどんどん証拠を見つけちゃったんです…。一応先輩には誤解だと伝えておきましたが。」
「………なるほど。それで、先輩を許せというのは?」
「その…早坂先輩って先輩達の「かぐや様ファンクラブ」みたいなのに参加してる…もしくは参加させられてる…じゃないですか?
純粋な記者精神で調査したのは良いものの…早坂さんがかぐや様の側近となると、かなり我慢して参加してたんだろうなぁと思いまして…
それと、最初脅すような口調になったのはすみませんでした。その、自分の情報で相手を追い詰める…っていうの憧れてて…」
事情を聞き、彼が優しくてよかったと心から思った。
あれほどの情報、ダシにすれば私に何だって要求出来たというのに…
「君、私に変な命令しようとか思わなかったわけ?あの情報を出されたら、私はセックスくらいは我慢できたよ?」
「せっ…!?す、するわけないじゃないですか!?第一、そういうのは好き合ってる2人がやるもので、それに…」
顔を赤くしながらわたわたする彼を見て少し可愛いと思いながらも、とりあえずは現状に特に変化が無いことを安心する。
「君の先輩たちを許すのはもちろんok。ただ、私すごいビビったから…私を怯えさせたお詫びとして、相談相手になったりたまに利用させてもらったりしてもいいよね?」
「あ、そうですよね、すみませんでした…はい、それくらいなら大丈夫ですよ!」
「チョロ…ま、とりあえずそういうことでよろしく。くれぐれも私の事はバラさないでね、可愛い探偵くん?」
「か、かわ…!? それに、探偵じゃなくて記者です!早坂先輩ー!?」
本日の勝敗:秋月の敗北(揶揄われた上、定義の曖昧な『利用』にokしてしまったため)
※秋月×早坂の恋愛ルートは無いです。
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