変なキモい人形に憑依したんだがwwwwww (雫お嬢様)
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本編
【悲報】変なキモい人形に憑依したんだがwwwwww
多分続きません。
1:名無しの特異菌感染者
たすけて
2:名無しの特異菌感染者
憑依した?
3:名無しの特異菌感染者
どういうことだよ
4:名無しの特異菌感染者
マンガやアニメじゃあるまいし
5:名無しの特異菌感染者
夢でもみたんじゃねーの?
6:名無しの特異菌感染者
夢だったらどれほど良かったか
7:名無しの特異菌感染者
強めの幻覚かな?
8:名無しの特異菌感染者
クスリでもキメていらっしゃる?
9:名無しの特異菌感染者
断じてクスリはやってない
10:名無しの特異菌感染者
とりあえずイッチは分かりやすいようにコテハンつけてくれない?
11:名無しの特異菌感染者
もし幻覚や作り話でも面白ければ相談に乗ってやるよ
12:名無しの特異菌感染者
俺も
どうせ暇だったし
13:名無しの特異菌感染者
たとえ釣りでも面白ければ良いんだ上等だルルォ!?
14:アンジー
ありがとう・・・・・・それしか言う言葉が見つからない
15:名無しの特異菌感染者
イッチもしかして結構参ってる感じ?
16:アンジー
正直大分キツかったけど、ここでオマエラと話せたから大分楽になったわ
サンキューな
17:名無しの特異菌感染者
いいってことよ
18:名無しの特異菌感染者
それより、早くこれまでの経緯を話してくれよ
19:名無しの特異菌感染者
コテハンからしてイッチは女性?
20:アンジー
>>19
いや、男だよ
憑依した人形の持ち主がアタシのことをそう呼ぶんだ
多分この人形の名前じゃないかな
21:名無しの特異菌感染者
アタシ?
22:名無しの特異菌感染者
男なのにアタシか
変わった一人称だな
23:名無しの特異菌感染者
最近はそういうデリケートな問題に敏感な世の中になってるからなぁ
24:名無しの特異菌感染者
あー、すまん
貶してるとかそういうわけじゃないんだ
25:アンジー
いや、大丈夫
最近は頭の中やこういう書き込む時にも一人称や口調が乱れることがあるんだよ
・・・・・・ごめん、やっぱ大丈夫じゃないかも
26:名無しの特異菌感染者
草
いや草枯れるわ
27:名無しの特異菌感染者
マジかよ、病院に行った方が
って、今は人形に憑依してるんだったな
28:名無しの特異菌感染者
思ったよりヤバくて草
浸食されてるじゃん
29:アンジー
まあ今のところは大丈夫よ
それで、これまでの経緯だけど、特に変な出来事はなかったんだよなぁ
精々交通事故に遭って死ぬほどの大怪我を負ったくらい?多分そのまま死んだんだろうな
30:名無しの特異菌感染者
ファッ!?ウーン・・・・・・(失神)
31:名無しの特異菌感染者
うせやろ?
32:名無しの特異菌感染者
成仏してクレメンス・・・・・・
33:名無しの特異菌感染者
こわい
34:名無しの特異菌感染者
死んで魂が抜けて、たまたまその人形の中に入っちゃったってこと?
35:アンジー
そうだろうな
死んだと思った直後、何かの映像が見えたんだよ
黒髪の女の子に抱き上げられたり、一緒に遊んでる感じの
多分、この人形の記憶なんだと思う
36:名無しの特異菌感染者
人形の記憶か
37:名無しの特異菌感染者
物に記憶が宿るって昔から言われてたしな
38:名無しの特異菌感染者
・・・・・・あれ?イッチって今は人形なんでしょ?
どうやってここに書き込んでるの?
39:名無しの特異菌感染者
あっ
40:名無しの特異菌感染者
言われてみればそうだよ!どういうこと!?
41:アンジー
それを今から説明するよ
42:名無しの特異菌感染者
分かるように説明しろ
43:アンジー
その前に簡単なスペック書くわ
そっちの方が分かりやすいだろ?
アタシに感謝しろよ!
44:名無しの特異菌感染者
いきなり態度がでかくなって草
45:名無しの特異菌感染者
浸食度が上昇している
46:アンジー
アンジー(アタシ)
人形。多分ビスクドールってやつ。ウェディングドレスを着ている。
見た目がキモい。後で画像上げる。
ドナ
人形の持ち主。極度の対人恐怖症でアタシを介して他人と会話する。黒髪美人。
両親を亡くしており、数年前に養子縁組した。
47:名無しの特異菌感染者
分かりやすい説明+114514点
48:名無しの特異菌感染者
アンジーイッチのご主人様は対人恐怖症か
49:名無しの特異菌感染者
友達少なそう(小並感)
50:アンジー
友達少ないどころか多分アタシ以外皆無だぞ
51:名無しの特異菌感染者
草
52:名無しの特異菌感染者
結構容赦なく言ってて草
53:アンジー
で、昨日のことなんだけど、ドナの新しい『お母様』がなんか変な研究しててさ
研究の成果・・・・・・『カドゥ』って言ってたっけな、そいつを持ってきたんだよ
出来損ないの胎児みたいなキモい見た目しててさ・・・・・・なんと、そいつをドナの右目に埋め込んじまったんだ!
54:名無しの特異菌感染者
ファッ!?
55:名無しの特異菌感染者
えっ、何それは・・・・・・(ドン引き)
56:名無しの特異菌感染者
大丈夫だったのか!?
57:アンジー
記憶越しとは言え、長年一緒に居た大切なご主人様を実験材料にしやがった『お母様』にアタシはブチ切れる5秒前だったんだが、ドナは特に問題は無いようだった
代わりに顔の右側が酷いことになっちまったが
58:名無しの特異菌感染者
それは辛いな・・・・・・
59:名無しの特異菌感染者
年頃の女性にそれはキツいわ・・・・・・
60:アンジー
本人は「もともと幼い頃から顔に傷があったから、あまり気にしなくても良いわ」とか言ってたけどな
で、本題はここからなんだが
61:名無しの特異菌感染者
まだ本題じゃなかったのか(困惑)
62:アンジー
どうやらそのカドゥとかいうのはある特殊な菌を使って超常の現象を起こすらしい
それを与えられたドナは『植物を操る能力』が発現したんだ
63:名無しの特異菌感染者
超能力!?
64:名無しの特異菌感染者
一気にファンタジーやSFじみてきたな
65:アンジー
その後ドナは自分のカドゥをアタシに株分けしたんだよ
そうしたらアタシも自分の意思で自由に動き回れるようになったってわけ
66:名無しの特異菌感染者
株分け・・・・・・そんなこともできるのか
67:名無しの特異菌感染者
なるほど、だからスレに書き込みできるんだな
68:アンジー
ちなみにこれアタシな
【ウェディングドレスを着た変わった顔のビスクドールの画像】
69:名無しの特異菌感染者
キッッッッッッッモ
70:名無しの特異菌感染者
ヴォエ!
71:名無しの特異菌感染者
深夜にヤバい物を見せるな
72:名無しの特異菌感染者
夢に出そう
73:名無しの特異菌感染者
想像以上に不気味で草
74:名無しの特異菌感染者
ガチ呪いの人形じゃん
75:名無しの特異菌感染者
成仏してクレメンス・・・・・・
76:アンジー
テメエラ好き放題言いやがって!アタシは一応由緒正しい人形なんだぞ!
77:名無しの特異菌感染者
でもスレタイを見る限り、イッチもキモいって思ってるんでしょ?
78:アンジー
まあね!
79:名無しの特異菌感染者
草
80:名無しの特異菌感染者
草
81:名無しの特異菌感染者
草
82:名無しの特異菌感染者
草
83:名無しの特異菌感染者
自分で言うのか(困惑)
84:アンジー
まあ事実だし・・・・・・
85:名無しの特異菌感染者
正直に言っても良い?
抱けるわ
86:名無しの特異菌感染者
は?
87:名無しの特異菌感染者
ひぇっ
88:名無しの特異菌感染者
やだ怖い・・・・・・やめてください・・・・・・
89:名無しの特異菌感染者
『本物』の恐怖を感じた
90:名無しの特異菌感染者
(ドン引き)
91:アンジー
な、何言ってんだテメエ!アタシの顔よりキモいぞ!変態!
92:85
ありがとうございます!!!
93:名無しの特異菌感染者
うわっ
94:名無しの特異菌感染者
これはもう駄目みたいですね・・・・・・
95:名無しの特異菌感染者
あーもう滅茶苦茶だよ
■
602:アンジー
『お母様』が余所様の赤ん坊を誘拐してきやがった
どうすれば良いと思う?
603:名無しの特異菌感染者
は?
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それから
勘違いするなよ!アタシは自分が書きたいものを書いてるだけだからな!
「うおおおおおおおおお!凄い!かっこいい!なあハイゼンベルク!もっと見せてくれよ!」
「はははははは!分かってるじゃねえか!ならもっと見せてやるよ!」
「な、なあ・・・・・・おれ、もっとママに好きになってもらいたいんだ・・・・・・何か、いい考えはないかな・・・・・・?」
「まずオマエは身嗜みを整えろ。なんで頭に骨を巻き付けてるんだよ。酔っ払いのサラリーマンか何かか?」
「まあ、なんて汚らしい人形なんでしょう。立ち去りなさい。ここは貴方のような『物』が来て良い場所ではなくてよ?」
「うるさい!デカい態度と図体しやがって!おっぱいで顔が見えないんだよ!」
「なあ『お母様』・・・・・・アンタいったい何が目的なんだ?」
「人形如きが我が意を汲もうと言うのか?身の程をわきまえろ」
「その人形如きに疑問を持たれるアンタが悪い。『家族』なら、もっと大切にするべきだと思うよ?」
「ほっほっほ・・・・・・アンジー様。貴方自身をお売りになるつもりはありませんかな?ビスクドールは人気がありましてな。さぞや高く売れるでしょう」
「それ得するのオマエだけじゃね????アタシにメリット無くね?????」
「・・・・・・アンジー。愛してるわ」
「いきなり何言ってるんだ?・・・・・・アタシも愛してるよ。これで満足?」
「・・・・・・うん」
■
・・・・・・んん・・・・・・
・・・・・・あー、なんだっけ、これ?・・・・・・走馬灯ってやつ?
ってことはあれか?アタシ、やられちまったのか・・・・・・
アタシとドナは隠れていた部屋の床に仰向けで倒れていた。ドナはもう既に事切れている。アイツ、身体能力は一般人並だからなぁ。あの化け物じみたイーサンには敵わない。すぐに傷が塞がるし、アイツ実は人間じゃないのでは・・・・・・?アタシは訝しんだ。
「はぁ、はぁ・・・・・・ようやく終わったか・・・・・・?」
「・・・・・・ああ、やられたよ。イーサン・ウィンターズ」
「!!・・・・・・お前、まだ動けるのか!?」
そう言ってイーサンはアタシに銃を向ける。どうやら武器を奪われたのは幻覚だったと気付いたみたいだな。
「おっと!勘違いするなよ!アタシはもう動くのは口だけさ・・・・・・ドナがやられちまったからな。もちろん幻覚じゃないよ」
これは本当だ。もう指一本動かせない。まあ、本来ならそれが普通なんだけど。
というか、イーサン怖すぎだろ。きっちり幻覚に囚われてる筈なのに正確に追いかけてきて殴りかかってくるとか。大体「お前も『家族』だ」ってなんだよ。アンタの家族はローズだろ。
「・・・・・・まあ、仕方ないか。他人の娘を誘拐して妙な儀式に使おうとしてるこっちが100%悪いんだからな・・・・・・」
「・・・・・・お前・・・・・・」
「とっとと行けよ。可愛いローズちゃんが待ってるよ?」
「・・・・・・そうさせてもらおう」
「おっと。家族写真を忘れないようにな」
「?・・・・・・ああ」
イーサンが結晶化したドナから鍵を取り出して部屋から出て行く。アタシにそれを止める術は無いし、止める理由も無い。
・・・・・・そろそろ意識が薄れてきた・・・・・・もう限界か・・・・・・
まあ、いろいろあったが・・・・・・なかなか良い人生、いや、人形生・・・・・・だったんじゃあないか・・・・・・?
「クックック・・・・・・じゃあな、イーサン・・・・・・ローズに・・・・・・よろ、しく・・・・・・」
・・・・・・ああ、もう、なにも、みえなく・・・・・・
『ローズをずっと守ってあげてね』
『救えなかったらタダじゃおかないからな!』
ドナ&アンジー
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アンジーとデューク
追記:『クロスオーバー』タグを追加しました。
クックック・・・・・・馬鹿な人間ども・・・・・・このアタシがいつまでも従順に従ってやってるとでも思っていたのか?
見せてやるよ・・・・・・このアタシの真の力をなァ!
「愚かな人類へ、アタシからのささやかなプレゼントだ」
《オムニフォース!》
《伝説の聖剣と、選ばれし本が交わる時、偉大な力を解き放つ!》
「変身!」
「・・・・・・フッ。決まった・・・・・・」
・・・・・・かっこいい〜!やっぱりライダーは最高だわ。渋いオジサマの電子音声とかマジで痺れるぜ!しかも悪役のライダーってのが良い!へへ・・・・・・そうだな・・・・・・次はあの変身ポーズを・・・・・・
「・・・・・・アンジー?何をしているの?」
「ファッ!?」
「1人きりで、ポーズをとって・・・・・・それに、『Henshin』って・・・・・・?」
「・・・・・・ち、違う・・・・・・」
「え?」
「これは違うんだあああああああああーーッ!!」
「ア、アンジー!?」
■
「・・・・・・それで、こちらへ逃げ出してきたというわけですかな?」
「ああ、そうだよ・・・・・・クソッ、まさかドナに見られてたなんて・・・・・・アタシとしたことが、一生の不覚だ・・・・・・」
「ほっほっほ・・・・・・若気の至り、というやつですな。そもそも貴女方はカドゥを株分けしているのですから、お互いの行動を知覚できると思うのですが(名推理)」
「オイちょっと待てそんなの聞いてねえぞ!?アタシのプライバシーは何処に行ったんだよ!?」
「(元から人形にプライバシーなんて)ないです」
「ぐわあああああああああ!!!」
「では、気を取り直して、何か買っていきますか?お安くしておきますよ」
「オマエ人形からも金をとるのか(困惑)」
「ええ、もちろんですとも。こちらも商売でしてね」
「・・・・・・仕方ないなぁ。どれどれ・・・・・・おっ!『ウルフスベイン』じゃん!これ欲しい!いくらなんだ・・・・・・たっか!?高いぞ!」
「強力なリボルバー銃ですからな。彫刻の美しさも相まって美術品としての価値もございます・・・・・・しかしながら、失礼を承知で申し上げますと、アンジー様には少々大きすぎるかと」
「良いんだよ!オマエの言うとおり彫刻が綺麗だし飾るだけでも買う価値はある!というかアタシ、武器がショーテルくらいしか無いんだけど!?遠距離攻撃できねえじゃねえか!もし人狼に襲われたらどうするんだ!」
「ならば逃げればよろしいでしょう。貴方様は人形故に非力ですからな。所謂雑魚です」
「『正論は時に人を傷つける』って言うけど、人形にも当てはまるんだよ?言葉の刃が鋭すぎるだろ」
「・・・・・・ん?これはノートPCか?」
「おや、よくご存じで。仰るとおり、これはノートパソコンです。インターネットに接続できる他、いくつかのゲームアプリがインストールされております」
「ゲームか!魅力的だな。このコンパクトサイズのPCならアタシでも使えそうだし・・・・・・」
「いかがです?」
「うーん・・・・・・だけどコイツを買うとウルフスベインが遠のく・・・・・・多弾倉シリンダー・・・・・・ロングバレル・・・・・・うぐぐぐ・・・・・・」
「存分にお悩みください。商品は逃げませんぞ。今のところは、ですが」
「クソ、足元見やがって・・・・・・・・・・・・分かった!買うよ!このノートPCを買う!」
「お買い上げありがとうございます。良き日を!」
「ああ、そうさせてもらうよ!その銃とパーツ、取り置きしといてくれよな!絶対買うから!」
■
「あ、お帰りなさい。アンジー・・・・・・何をしているの?」
「ああ、ただいま。ドナ。今は『混沌のサーペント』をぶっ殺しに行くところだ」
「?????」
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配信者アンジーちゃん
ある日、アタシはベネヴィエント邸の自室にて、一人きりで喋っていた。
「ヨウ!視聴者の人間ども!ビスクドール系ユウチュウバーのアンジー様だ!今日は初めての生配信をやっていくぞ!そもそも今日が初めての動画なんだけどな!」
もちろん本当に独り言を言っているワケじゃない。以前デュークから購入したPCや機材を使って動画投稿サイトで配信をしているのだ。
『ファッ!?』『なんだこの人形!?』『クッソ不気味で草』『アンジー姉貴お前生きとったんかいワレェ!』『うおおおアンジー姉貴久しぶり!』『例のスレ以来か』『有名人?』『人というか人形』『そもそもどうして人形が宙に浮いてるんですかね・・・・・・?』
PCの画面に視聴者のコメントが次々と流れる。アタシは動体視力にものをいわせてそれらを読み取り返事をしていく。
「どうしてアタシが人形なのにひとりでに動いてるのかって?そりゃあ、アタシが伝説の超ビスクドールだからに決まってんだろ!・・・・・・まあ真面目な話すると、アタシは呪いの人形みたいなモンなんだよ。魂とか、魔法とか、超能力とか、そういうので動いてるワケ」
『自分で呪いの人形って言うのか(困惑)』『草』『自我があるのか』『どうせ誰かが動かしてるんだろ』『でも糸とかそれっぽい装置無くね?』『そもそも動きが滑らか過ぎる』『手や口の動きが自然過ぎるわ』『アンジー姉貴ちょっとカメラから離れてダンスでも踊ってくれへん?』『アンジー姉貴のダンス講座』
「んあ?ダンス?別に良いよ!ほら、見とけよ見とけよ~?」
そう言ってアタシはカメラから離れてダンスを踊り始める。もちろん相手はいないからエアダンスみたいなモンだが。ドミトレスク三姉妹に社交ダンスを習っておいて良かったぜ。
『うせやろ?』『やば』『ダンスの動きがプロのそれなんだが』『社交ダンス?』『思った以上に上手くて草』『どうなってるんだ!?』『本当にひとりでに動いてる・・・・・・』『これヤバくね?』『俺、今凄く感動してる』『現代ファンタジーかな?』
掴みは上々だな。ぶっちゃけ上手く配信できるか不安だったが、この分だと大丈夫そうだ。
「さて、視聴者の人間どもにアタシの凄さが分かって貰えたようで嬉しいよ。それでだ・・・・・・今日はこれから何する?まだ何も予定決めてないんだよね。ははは!」
『草』『草』『草』『予定何も立ててないのかよ!』『いきなりグダグダになって草』『何わろとんねん』『あのさぁ・・・・・・(呆れ)』
「まあ、今日は初めての動画だし、自己紹介と雑談くらいでいいか。じゃ、改めて自己紹介だ。アタシのスペックを特別に公開してやるヨォ!」
『やったぜ。』『やったぜ。』『やったわ。』『雑談了解~』『良いゾ~これ』
「アタシの名前はアンジー。ビスクドールだ。趣味は銃の手入れと機械いじり。アタシの持ち主・・・・・・ご主人様は女性。アタシが住んでる所はド田舎の寒村だから娯楽が少なくてね。ヒマだったから配信を始めたんだ。」
『なるほどなぁ』『アンジー姉貴の持ち主は女性か』『ウェディングドレス着てる人形の持ち主が男性だったら怖いわ』『言われてみればそうか』『想像して草生えた』『嫁(人形)』『銃!?』『もしかしてアンジー姉貴の住んでるのって外国?』
「ん?・・・・・・ああ、そうか。日本には銃刀法があったか。そうだ。アタシが住んでるのは銃を持ち歩ける国だよ。しかも田舎だからね。時々畑を『獣』が荒らしに来るんだよ。だから護身用に持ち歩いてる」
『はえ~』『その銃見せてもらうことって出来る?』
「良いよ。ほら、これだ」
『おおおおおお』『本物の銃だ』『格好いい』『リボルバーか。いいセンスだ』『レリーフが凄い』『観賞用かな?』『当然のように宙に浮いてて草』『ウェディングドレスとリボルバーのミスマッチ感が逆に良い』
「アタシの身体じゃ撃てないからね。念動力で引き金を引くんだ。それと観賞用じゃないぞ。ちゃんとフルカスタムの超絶強いアタシの相棒さ」
『アンジーちゃんはツブヤイターとかやってないの?』
「ツブヤイター?そういえばやってないなぁ。配信終わったらアカウント作っとくわ。オマエら、ちゃんとフォローしといてくれよ?」
『フォローします!』『当たり前だよなぁ?』『そうだよ(便乗)』『仕方ないからフォローしといてやる』
「サンキューな!オマエら!それじゃ、あとの時間は適当に雑談でもするかぁ!」
■
【人形】人形系ユウチュウバー『アンジー』について語るスレ【本物】
56:名無しの特異菌感染者
初回から飛ばしてたなぁ
57:名無しの特異菌感染者
そうか?自己紹介と雑談って無難だと思うんだけど
58:名無しの特異菌感染者
そもそもアンジー姉貴の存在自体が無難から最も遠い件
59:名無しの特異菌感染者
確かにそうだわ
60:名無しの特異菌感染者
よく考えたらそうだったな
61:名無しの特異菌感染者
いつの間にか染まってたわ
62:名無しの特異菌感染者
話題性抜群ってレベルじゃねーぞ!
63:名無しの特異菌感染者
実際凄い勢いで伸びてたもんなぁ
64:名無しの特異菌感染者
本人(本人形?)はあんまりチャンネル登録者数とか興味なさそうだったけどな
65:名無しの特異菌感染者
暇つぶしって明言してたし
66:名無しの特異菌感染者
よっぽど娯楽がないんだろうなぁ
67:名無しの特異菌感染者
少なくともビスクドールが配信始める程度には
68:名無しの特異菌感染者
アンジー姉貴余裕で推せるわ
69:名無しの特異菌感染者
俺も一発でファンになった
何というか、トークが良いよね
70:名無しの特異菌感染者
分かる
乱暴な口調だけど、所々で視聴者を気遣ってくれてるところがグッと来たわ
71:名無しの特異菌感染者
ネットスラングを巧みに使いこなすし、流行りに敏感なのかな
72:名無しの特異菌感染者
あの不気味な顔も愛嬌があって面白いし
73:名無しの特異菌感染者
見た目がガチ目の呪いの人形だけどな
74:名無しの特異菌感染者
>>73
そこがいいんじゃないか
75:名無しの特異菌感染者
念動力とか銃も凄かったな
76:名無しの特異菌感染者
モデルガン好きにはたまらないわ
77:名無しの特異菌感染者
あの見た目と服装で機械いじりが趣味なんだろ?
ギャップ萌えって感じだ
78:名無しの特異菌感染者
すこ
79:名無しの特異菌感染者
これからも見るわ
80:名無しの特異菌感染者
光の速さでチャンネル登録した
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アンジーとドミトレスク
「あら?また来たの?本当に懲りない人形だこと。何度来ても同じだというのに・・・・・・」
「うるさい!デカ女!今日こそ決着をつけてやる・・・・・・!覚悟しろ!」
■
「《覇王龍ズァーク》でダイレクトアタックよ!」
「ぐわああああああああ!!!」
「あっ、またアンジーが負けてるわよ」
「これで何度目だったかしら?」
「さあ・・・・・・?数えてないから分からないわ」
ば、馬鹿な・・・・・・!?アタシの《ギミック・パペット》デッキが、いともたやすく・・・・・・!?
ズァーク自体も強いが、周りの《覇王眷竜》どもがウザすぎる・・・・・・やはり特殊勝利を狙うしかないのか・・・・・・?
「ほほほほ・・・・・・では約束通り、貴方には今日一日我がドミトレスク家のメイドとして働いてもらうわ」
「クッ・・・・・・ああ。分かったよ。約束は守るさ」
そう。アタシは今日このドミトレスクの城に勤めるメイドの一員になる約束をしていたのだ。なんでそんな約束しちまったんだろ・・・・・・
いつものウェディングドレスを脱ぎ、ドナお手製のヴィクトリアンメイド服に着替えたアタシは早速指示を請う。こういうのは手早く終わらせるに限る。
「それで?アタシはいったい何をすれば良いんだ?」
「そうね・・・・・・貴方は小さいし空を飛べるでしょう?なら、メイドの手が届かないような小さな隙間や高い場所の掃除をしてもらおうかしら」
「あいよ、了解」
意外とまともな指示だな・・・・・・って言ったら流石に失礼か。まあコイツはミランダの統治が始まる前はこの村の領主だったらしいし、そうそう下手な教導はしないだろう。メイド達からも慕われてるみたいだし。
そんなわけでアタシは城内を文字通り飛び回り、他のメイド達と助け合いながら仕事をこなすのだった。
時折オルチーナや三姉妹が見回りに来て、メイド達に駄目だししたりするが、それは彼女達の事を想っているからこそなのだろう。ただ叱るのではなく、必ず改善点を挙げてメイドの成長を促している。それらが巡り巡って自分達の利益になると知っているからだ。・・・・・・ダニエラはただ楽しんでいるだけかも知れないが。
そうしてアタシは小さい体躯と機動力を駆使して城中を掃除していく。こうして見ると細かいところには結構ゴミが溜まってるもんだな。
時折出会うメイド達が困っていたら手助けをする。仕事仲間だから、というのもあるが、お互いにスムーズに仕事ができればその分楽が出来るからな。わざわざ苦しむ必要はない。キチンと仕事をこなしさえすれば、楽にしても良いのだ。ここは(血を吸われること以外は)ホワイトな職場だな。
「ああ、ご主人様!私は粗相をしてしまいました・・・・・・どうかこの卑しいメイドに罰を与えてくださいませ♡」
「ご主人様!どうか私めの血をお吸いになって♡」
「ご主人様~♡」
「アンジーちゃん・・・・・・可愛い・・・・・・ふふへへ・・・・・・♡」
なんだコイツら!?クソッ!こんな所に居られるか!アタシは(ベイラの)部屋に戻らせてもらう!
■
「《ホープ・ザ・ライトニング》で《シリアルキラー》を攻撃!これで終わりよ!」
「ぐわああああああああ!!!」
「きゃー!カサンドラ強い!」
「えげつないコンボ使うわね・・・・・・」
「貴方達!遊んでないで手伝って頂戴!城主の私にだけ働かせるつもり!?」
「「「はーい」」」
畜生・・・・・・今日は散々な一日だったぜ・・・・・・もう二度とメイドなんてやらないからな!!!
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アンジーとモロー
ある晴れた日、アタシは湖の畔でモローと釣りをしていた。
モローはその外見に似合わず、手先がとても器用だ。オルチーナやハイゼンベルク曰く、モローの作る海鮮料理は絶品とのこと。アタシは食べられないから、ひたすら写真を撮ってツブヤイターに投稿して飯テロをかましているのだが。
「・・・・・・釣りは良いよなぁ」
「ん?突然どうしたのモロー?」
「いや、おれさ、こうやって釣りをしていると、落ち着くって言うか・・・・・・心が穏やかになるんだ」
「あー、分かるかも。なんか、のんびりした時間を過ごせるって言うか・・・・・・時間を贅沢に使ってる感じがするよね」
『時間の無駄遣い』って言われればそれまでだが、人生にはこういう何も考えずにのんびりした時間を過ごすことも必要だと思う。アタシは人形だけど、魂は人間なのだ。アタシにも必要な時間だ。決してドミトレスク城でメイドとして働いたことの反動ではない・・・・・・筈だ。
そうして2人でボーッとしていると、モローの釣り竿が小刻みに揺れていることに気付いた。
「なあ、モロー!オマエの竿に何か掛かってないか?」
「え?あっ!本当だ!」
「逃がさないようにしろよ!」
「う、うん!・・・・・・んん、ぐぐぐ・・・・・・お、重いよ、これ!」
どうやら苦戦しているらしい。よほどの大物か、あるいは地球でも釣ってしまったのか。長時間粘ってようやく来た獲物だ。どのみち手伝う以外にないよなぁ!?
「アタシも手伝うよ!そら、行くぞ!」
「うん!」
そうして2人で釣り竿を力一杯引く。思ったより抵抗が激しい。この動き、岩肌に引っかかってるわけじゃなさそうだ。生きている獲物だ!アタシ達は更に力を込めて・・・・・・
遂に力比べに勝った!大きな水音を立てて、獲物が水面から飛び出した!
「ギョギョギョギャギャギャアアア!!!」
「うおわああああああああ!?」
「ひええええええええええ!?」
針に引っかかって水面から飛び出した獲物はただの魚ではなかった。言い表すなら『人の形をしたグロテスクな魚』だ。首にだぶついた皮のようなものがある。あれはエラだろうか?
「な、なんだよアレは!?」
「し、知らないよぉ!あっ、ひょっとしたらおれの親戚かも・・・・・・」
「落ち着けモロー!記憶を捏造するな!」
ソイツは陸に上がると腕をだらりと垂れ下げて、左右にだらしなくゆらゆらと揺れながらこちらに歩いて来る!アタシは即座に菌根ネットワークに接続し、ミランダに連絡を取る。
「ミランダ!助けてくれ!」
『アンジーか?いったいどうしたと言うのだ。騒々しい』
「湖でモローと釣りしてたら変な半魚人が釣れたんだよ!アンタの実験動物じゃないのか!?」
『?・・・・・・いや、私は知らないぞ。見間違いではないのか?』
「今まさにアタシ達の方に歩いて来てるところだよ!どうすれば良い!?」
『邪魔なら殺してしまえば良かろう。私は忙しいから切るぞ』
「あっオイ!ミランダ!ちょっと待っ・・・・・・切りやがったあのババア!」
あの鴉ババアもう許さねえからな〜?(憤怒)
って、そんなことしている内に奴が近づいて来てる!
「アンジー!ど、どうしよう!?」
「クソ!仕方ない!モロー!奴に酸弾を浴びせろ!外皮が脆くなったらアタシがマグナム弾をぶち込む!」
「わ、分かった!」
モローの吐き出した強酸の塊が半魚人にクリーンヒットする。避ける素振りを見せなかった。よほど防御に自信があるのかと思ったが、もがいているところを見るとそうでもないのか?
「グギギ・・・・・・ニンゲン・・・・・・ヨクモ!」
「英語!?コイツ喋れるのかよ!」
「と言うか、おれたちを見て人間って言うんだ・・・・・・(困惑)」
「ニンゲン、イケニエニシテヤル!」
「うるさい!これでも喰らえ!」
すかさずマグナム弾を撃つ!フルカスタムのリボルバーだ!そのまま脳味噌ぶち撒けな!
「グギャアアアアアアア!!!」
「やったか!?」
「それ、フラグってやつじゃなかった?」
ソイツはアタシ達の攻撃を受けて倒れた。頭を破壊されてそのまま死んだようだ。マジで怖かった。
■
その後のことはよく覚えていない。
ハイゼンベルクに半魚人の死体を引き渡した後、あの悍ましい怪物が残っていないかモロー(水棲形態)と一緒に湖をしらみ潰しに探し回った。だが何も見つからず、その時の精神疲労で家に帰るとすぐにベッドに飛び込んで寝てしまった。
今でもあれは夢だったんじゃないかと思う時がある。だが死体が残っている以上、あれは現実で起きたことなのだ。
アタシはそれ以降、未知の存在に警戒するようになり、同時に力を欲することにも繋がった。ドナや村の仲間達を守るには、やはり力が必要なのだと。
I need more power.
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アンジーとデューク その2
ねえ、ちょっと聞いてくれる?
皆もう忘れてるかも知れないけど、アタシって元は人間の男だったんだよ。
交通事故で死んで、この人形の身体に転生してさ。めでたく超絶プリティビスクドール『アンジー』ちゃんになったってワケ。
ちなみにこの事を知ってるのはドナとオマエだけだよ。ミランダとかに知られると面倒だから秘密にしといてくれよな!
それで、身体は人形でも魂は人間だから『人間性』が宿ってるし、性的嗜好も男のままなんだ。変わったのは口調くらいじゃないか?
つまり何が言いたいのかというと・・・・・・
め っ ち ゃ ム ラ ム ラ す る
・・・・・・あっオイ!ちょっと待って!扉を閉めようとするな!大事な話なんだよ!
さっきも言ったけど、アタシが元人間の男だったってことはドナも知ってるんだ。知ってる上で、あんなに無防備な姿をアタシに晒すんだよ!
おかしくないか!?風呂上がりで上気したエッチな肌をこれでもかと見せつけてくるし!寝るときだっていつも抱きしめられてる!アイツ、ああ見えて結構スタイル良いんだよ!脱いだら凄いの!性欲を持て余すわ!
「どうすれば良いと思う!?デューク!」
「もう押し倒してしまえばよろしいのでは?」
「なんで!?」
コイツ人が真面目に相談しているのに!
「いえ、真面目な意見ですぞ?貴方様のお話を聞く限り、どう考えてもドナ様は貴方様を誘っていらっしゃいます。いやはや、同じ男として羨ましい限りですなぁwwww」
「オマエ笑いを堪え切れてないぞ??????」
「おほん!まあともかく、元男として女性に恥をかかせるのは本意ではありますまい。ドナ様の想いに応えて差し上げるべきだと愚考いたします」
「・・・・・・でも、アタシ女性型の人形だしなぁ・・・・・・」
「そこはまあ、下世話な話ですが、テクニックで補うしかないかと」
「マジかよ・・・・・・」
ハードルが高すぎる・・・・・・せめてアタシが生身の身体なら良かったのに・・・・・・
「・・・・・・ですが、方法がないわけではございません」
「えっ!?なんとかできるの!?」
「貴方様が真にそれを望むのであれば。しかし、それはある種の禁忌です・・・・・・『人化の術』と言います。文字通り、人外の存在が人に化けるための術です」
「昔話とかでよくあるヤツ?妖怪や神が人の姿で下界に降りてくる感じの・・・・・・」
「ええ。仰るとおりです」
「でもどうして禁忌なの?便利そうな術だと思うんだけど・・・・・・」
「一時的なものとは言え、わざわざ人外キャラを人に変えるのですぞ?男の娘キャラを女性として描くが如き暴挙ではありませんか(※個人の意見です)」
「うーん・・・・・・確かに、ソイツの持ち味を損なう危険性があるな・・・・・・」
くっ・・・・・・だが、やはり諦めきれない!
「・・・・・・決めたよ、デューク。やっぱり、アタシは人化の術を習得したい!」
「・・・・・・左様ですか。であれば、私から言うことは何もございません。ただ、貴方様の成功をお祈りするだけでございます」
「ありがとうデューク!それで、どうすれば人化の術を習得できるの!?」
「私は存じかねます」
「《逢魔時王必殺撃》ッッッ!!!」
「ほっほっほ。私の脂肪の前には貴方様のライダーキックは通用致しません。貴方様もよくご存じの筈」
思いっきり跳び蹴りしたらデュークの腹に跳ね返された。コイツ、護身完了してやがる・・・・・・!
「なんで知らないの!?あそこまで説明しておいて!」
「なんで、と仰いましても・・・・・・私は全知全能の神ではありませんので。貴方様自身が見つけ出す他はありませんぞ?」
「畜生・・・・・・ああ分かった!見つけ出してやるよ!そしてドナといちゃいちゃックスするんだ!!」
「影ながら応援しております。ワインを飲みながら」
「この野郎・・・・・・」
■
「・・・・・・ところでデューク」
「なんでございましょう?」
「こうやって友達と馬鹿話するの、滅茶苦茶楽しいな」
「・・・・・・貴方様は私を友人と仰ってくださるのですか?」
「?当たり前だろ?」
「・・・・・・左様ですか・・・・・・ありがとうございます。アンジー様」
「?????」
【新説】デューク=某猫型ロボット説
「デュークえも~ん!道具出して~!」
「仕方がありませんなぁ。アンジー様は」
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異世界編
Mission 01 - Devil Hunter
・・・・・・ん・・・・・・んぅ・・・・・・?
なんだ・・・・・・?地面が揺れてる・・・・・・?
アタシ、どうしちまったんだ?昨日は何してたっけ・・・・・・?
確か昨日は・・・・・・ドナとネットサーフィンして、ハイゼンベルクとゾルダートの改造をして、モローと釣りをして、ドミトレスクの三姉妹とトランプで遊んで・・・・・・
それからどうしたんだっけ?もしかして寝落ちしちまったのか?クソ、負け越してたのに。これじゃあデカ女に馬鹿にされちまう。「やはり私の娘達の方が優秀なようね(ドヤ顔)」とか言うに決まってる!
「うおっ!?」
その時、地面が大きく揺れてアタシは思わず声を出してしまった。そして気付く。ここは村じゃない。車の中だ!アタシは走行している車の中に居るんだ!
「ん?・・・・・・なあ、おい。『ニコ』。お前、なんでこんな気色悪い人形を車に乗せてんだ?」
「はぁ?おいおい『ネロ』。私がお人形遊びをする歳にでも見えるってのか?そんなモン乗せてるわけ・・・・・・うわっ!?なんだこれ?本当に気色悪いじゃないか!こんなもの知らないぞ!?」
知らない男と女の声だ。まさかとは思うが、誘拐か?人形のアタシを?いや違うわ。よく考えたら窃盗か。アタシ人形だし。というかコイツラ、さっきから黙って聞いてればアタシのことを散々に言いやがって!・・・・・・ちょっと脅かしてやるか?
「オイ!さっきから黙って聞いてれば、可愛いお人形ちゃんに何てこと言いやがる!」
「「ッ!?」」
アタシが突然大声を出して目の前に移動してやると、車を運転している女の方は一瞬ハンドルを放しかけたがなんとか持ち直したようだ。だが男の方はビビるどころかアタシに向けて瞬時に銃を向けやがった!
奇妙な銃だった。6連装リボルバーだが、なんと銃口が2つ付いていやがる!トリガーの近くに青い薔薇の彫刻が掘られている、美しい銃だ。マジでかっこいい。
「・・・・・・人形が動いて喋ってやがる・・・・・・お前『悪魔』か?」
「ハァ?こんな可愛らしいアタシが悪魔なワケないだろ!いい加減にしろ!」
「・・・・・・悪魔特有の嫌な匂いはしねえ。じゃあお前は何なんだ?」
「アタシは見ての通りのビスクドールだ!オマエラがアタシを誘拐したんじゃないのか?」
「しねえよ!お前みたいなキモい奴!」
「なんだとコラ!腕無し野郎のくせに!」
そう。この男には片腕が無かった。断面には機械の接続部みたいなものが付いている。ハイゼンベルクが似たような物を作ってたのを見たことがある。義手を付けるためか?
アタシと男が言い争っていると、運転していた女がこちらに向かって叫ぶ。
「おいネロ!呪いの人形とお喋りするのは後だ!来るぞ!」
いったい何が来るんだ?そう思ったアタシが正面を向くと、道路の先に何かが見える。
そこには沢山のデカい虫がいた。アリやカマキリを巨大戯画化したような姿の青白い虫だ。どう見ても人狼じゃない。
「うわっ!?何だあれキモっ!アタシの顔面よりキモいぞ!」
「お前自覚してんじゃねぇか!」
そう言いながら男は何故か車内にあるレコードプレーヤーで音楽を再生し始めた。コイツ何やってんの????
「おい、ニコ?」
「分かってるよ、突っ込む!」
「は?」
思わず呆けた声を出したアタシは悪くない。この女、あの虫どもを避けるどころか轢き殺してやると言わんばかりにスピードを上げて突っ込みやがった!
当然の如く車は衝撃で宙に浮く。その最中、あの男は窓から外へ飛び出し、片腕であるにも関わらず驚異的なスピードと精密さで次々と虫を撃ち殺していく。なんだアイツは!?本当に人間なのか!?
重力に従って車が落下すると同時に男が車内へと戻ると、周囲の虫は全滅していた。呆然としているアタシに男は言う。
「俺はネロ。こっちはニコ。デビルハンターとガンスミスだ。・・・・・・で?お前は?」
「・・・・・・アンジー」
アタシ、これからどうなっちまうんだ・・・・・・?
■
「ナア、オイ。『V』ちゃんよぉ」
「・・・・・・何だ?」
「・・・・・・この女、誰?」
「知るわけがないだろう」
「グルルル・・・・・・」
「・・・・・・ぇ・・・・・・ぁ・・・・・・うぅ・・・・・・(こ、怖い・・・・・・ここ何処?アンジー助けて・・・・・・)」
Devil May Cry 『V』illage
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王たちに玉座なし
最近、アンジーが時折村からいなくなることがある。ミランダ様に相談したけど、あの御方でも追跡できないみたい。
何処に行っているのかしら・・・・・・?
心配だわ・・・・・・無事に帰ってきてくれると良いのだけれど・・・・・・
アタシの目の前で『灰の審判者、グンダ』が膝を着く。審判者としての永い責務を終えた『英雄』はそのまま朽ち果て、光となって消えていった。
前回までのあらすじ。目覚めたら見知らぬ墓場にいたので脱出したら謎の大男とガチバトルすることになった。以上。
いやどういうことだよ!?まるで意味が分かんねえぞ!?
どう見ても村とは違う墓場にイカれた亡者達、結晶の生えたクッソデカいトカゲ、極めつけは分厚い鎧に身を包んだ斧槍を持った大男!なんだこれ!?また異世界なのか!?この前魔界で悪魔退治したばっかじゃねえか!
しかもドナとのつながりが切れてやがる。アタシ1人で放り出されちまったってワケだ。クソが。
こっちの武器は幻影短剣(ショーテルより取り回しが良いからこっちに変えた)とウルフスベイン(念動力で浮かせて撃つ。何故か弾数が無限になった)だけだ。ダンテとバージルに戦い方を習っておいて本当に良かった。
しかし、天はアタシを見捨てていなかった。同行者がいたのだ。
「ふぅ・・・・・・終わったか」
「どうやらそうみたいだね・・・・・・あー疲れた。アタシは人形だから疲労はしないけど精神が疲れた!」
アタシの隣で数打ちのロングソードを鞘に収めているのは、背中に盾を背負った全身鎧の騎士だ。涙を流しているような変わった意匠の兜の、見たことが無いタイプの鎧だ。やっぱ異世界なだけあるな。
コイツはアタシが墓場で目覚めた直後、鐘の音が鳴り響いたと思ったら近くにあった石の棺桶から起き上がってきた奴だ。鎧姿のまま棺桶にぶち込まれるとかコイツ以前は何やってたんだ?
「あのグンダの斧槍でオマエの首がぶっ飛んだ時はマジで焦ったんだからな!」
「すまない。油断していたわけではないのだが、間合いを見誤ったようだ」
そう。コイツはアタシの目の前で一度死んでいる。斧槍の横薙ぎをもろに喰らって首と胴体が泣き別れしたのだ。しかもその直後、死体が煙のように消えちまった。
混乱するアタシに猛攻を加えるグンダ。アタシが必死になって弾丸と幻影短剣を乱射していると、なんとアタシ達が戦ってる広場の入り口から死んだ筈のアイツが走ってくるではないか!アタシは恐怖した。
話を聞くと、どうやらコイツは『火の無い灰』と呼ばれる不死の存在らしい。不死と言っても死なないわけではなく、死んでも『篝火』の側で復活できるのだとか。『何度でも死ねる』ってことだ。
「不死ねぇ。ミランダよりヤバいじゃないか。死ねないってのはある意味悲惨かも知れないが、非力なアタシにとっては羨ましいよ」
「・・・・・・?貴公も火の無い灰ではないのか?」
「そんなわけねえだろ!どう見たらアタシとオマエが同じ種族に見えるんだよ!?」
「そうなのか?貴公から強大なソウルを感じるから、てっきり不死なのかと・・・・・・」
「え?」
アタシの中にソウルが?
・・・・・・いや、確かにアタシの中には人間の魂が入ってるが、この騎士が言う『ソウル』はまた別の意味を持つものなのかもしれない。
「・・・・・・まあ、いいや。それで、これからどうする?」
「ふむ・・・・・・先程こちらへ向かう途中に、遠くの方に石造りの建物が見えた。まずはそこを目指すとしよう」
「あいよ。了解」
そんな感じでグダグダ喋りながら進む。ここから、アタシ達の『はじまりの火』と『薪の王』達を巡る長い旅が始まるのだった。
・・・・・・とりあえず、あのクソ犬どもは絶滅させる。絶対にだ。
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ネビル・ロングボトムと花嫁の人形
「ね、ねえ。このコンパートメントは開いてる?他は何処もいっぱいで・・・・・・」
「・・・・・・ぁ・・・・・・はぃ・・・・・・」
「・・・・・・?ご、ごめん。よく聞こえなかった。もう一度言ってくれないかな?」
「入ってきても良いって言ってんだろ!このタコ!」
「うわぁっ!?に、人形が喋った!?」
■
気がつくと、アタシとドナは汽車の中で揺られていた。そしてドナはロリになっていた。
・・・・・・いやどういう事だよ!?なんでアタシ達は汽車に乗ってるんだ!?なんでドナの体が縮んでるんだ!?
2人でひとしきり混乱したあと側に置いてあったデカいトランクに気がつき、見てみるとそこには「ドナ・ベネヴィエント」の文字が。中を検めると、そこには意味不明な物品が大量に詰め込まれていた。本や羽ペン、インクはまだ分かる。でもこの木の棒とかトカゲの干物とか良く分からない豆とかは何に使うんだ?こういうのはミランダの専門だろ。
「ふぅん・・・・・・魔法学校ねぇ・・・・・・」
トランクの奥から引っ張り出した手紙によれば、アタシ達はこれから『ホグワーツ魔法魔術学校』という全寮制の学校へ行って、魔法を学ぶらしい。非科学的だ、なんて一瞬思ったが、よく考えたら村の連中は皆魔法なんてものともしない奴らばかりだった。というかアタシがその筆頭みたいなもんだ。何せ完全な人外だし。
その時だ。アタシ達が居るコンパートメントの扉がノックされた。そっちを見ると、おどおどした小太りの少年がいた。トランクを携えているところを見るとコイツもホグワーツとやらの生徒なのだろうか。
ソイツは他のコンパートメントがいっぱいだったからここに入れて欲しいと言った。ドナは許可したんだが、如何せん対人恐怖症だ。声が小さすぎて聞こえなかったのだろう。聞き返してきやがったから少し脅かしてやった。ちょいと大人げなかったか?
「び、びっくりしたぁ・・・・・・」
「ははは!悪かったよ。コイツ、対人恐怖症だからさ。人の前だと上手く話せなくなっちまうんだ。だからアタシみたいなのが居るワケなんだが」
「そ、そうなんだ・・・・・・あっ、僕ネビル。『ネビル・ロングボトム』。えっと、君達は?」
「ぁ・・・・・・ドナ・・・・・・です・・・・・・」
「コイツはドナ・ベネヴィエント。アタシはアンジーだ。よろしく!」
「う、うん。よろしくね」
どうやらネビルは魔法族・・・・・・魔法使いの家系らしく、幼少の頃から魔法に囲まれて育ったという。これ幸いとアタシ達は情報収集に勤しんだ。魔法界というのは魔法を使えない普通の人間・・・・・・『マグル』から隠れて存在していて、知れば知るほど奥が深い。相当古くからあるものらしいな。
そうこうしている内にコンパートメントの扉が開かれる。車内販売だ。山ほどの菓子がワゴンに詰まれている。アタシ達は慌ててトランクの中を漁り金が入っているであろう袋を引っ張り出す。危ない危ない・・・・・・所持金の確認を忘れてたぜ。
「坊ちゃんにお嬢ちゃん、それに可愛らしいお人形さん。車内販売よ。何かいかが?」
「あ、えっと・・・・・・それじゃあ、『カエルチョコレート』と『百味ビーンズ』をください」
「アタシ達にも同じ奴を頼む!・・・・・・それとネビル、勘定を頼んでいい?アタシ達、魔法界の通貨をよく知らないんだ。」
「う、うん。分かった」
「・・・・・・はい。お代は確かにいただいたわ。ありがとうねぇ」
「サンキューな!」
そうして、アタシ達は魔法の菓子を楽しんだ。まあアタシは食べられないんだが、チョコレートのオマケのカードを貰えたから満足だ。
「2人は魔法族じゃないの?」
「・・・・・・ぅん」
「ああ。そうだよ」
「・・・・・・動く人形なのに?」
「アタシ達にも事情ってもんがあるんだよ・・・・・・うおおおおお!?なんだこのチョコ!?動くぞ!?」
「だってカエルだし・・・・・・あっ!オマケのカードがついてるんだよ。アンジー、食べられないでしょ?これあげるよ」
「あ、ああ。サンキュー・・・・・・こっちも動いてるゥ!?」
「あわわわ・・・・・・(お、落ち着かなきゃ・・・・・・そうだわ!このビーンズを食べて、リラックス・・・・・・)う゛っ!!!」
「ドナああああああ!!?」
「あっ・・・・・・生ゴミ味が当たったんだね・・・・・・」
「なんだそりゃふざけてんのか!?」
「(瀕死)」
・・・・・・やっぱり楽しめてないかもしれない。先が思いやられるぜ・・・・・・
ロリドナという概念
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Warframe『Angie』
最初に感じたのは『寒さ』だった。
滅茶苦茶寒い。まるで冷凍庫の中にいるみたいだ。寝ぼけて冷凍庫に入って寝てしまったのか?だとしたらアタシはとんだマヌケだ。
アタシは身動きを取ろうとして気付く。誰かがいる。アタシを腕で抱え込んでいる。
ドナではあり得ない、太く逞しい腕と分厚い胸板。男のものだ。アタシと同様に冷たく、そして金属質の身体。ロボットか何かか?
どうにかしてこの腕から抜け出せないかと悪戦苦闘していると、何処からか声が聞こえる。無機質な女の声だ。
『テンノよ、目を覚ますのです』
「誰だよ(ピネガキ)」
アタシが思わず聞き返すと、声の主は随分動揺したようだった。『テンノ』っていうのがこの男の名前だとすれば、アタシが一緒にいる事が想定外だったのかも知れない。男に話しかけたと思ったら女の声が返ってきたらそりゃ驚くわな。
『・・・・・・貴方は誰ですか?何故テンノと同じ冷凍睡眠装置の中に居るのです?』
「アタシの名前はアンジー。ビスクドールだ。どうしてここにいるのかはアタシにも分からない。気付いたらここでこの男に抱えられてたんだよ」
というかこの女、今『冷凍睡眠』って言った?コールドスリープ?
『ビスクドール・・・・・・遙か昔、ヨーロッパのブルジョア階級の貴婦人・令嬢たちの間で流行した人形、ですか』
「遙か昔?・・・・・・説明してよ。ここが何処で、アンタが何者で、どうしてこの男を冷凍睡眠から目覚めさせようとしているのか。あいにく、今のアタシにはアンタとこの男に頼るしかないんだよ。貧弱なお人形ちゃんだからね」
『・・・・・・分かりました。ですが今は悠長に説明している時間はありません。まずはテンノと共にそこから脱出してください。危機が迫っています』
そう言うと、この棺桶のようなカプセル・・・・・・冷凍睡眠装置の蓋が開き、アタシ達は外へ投げ出される。
アタシは念動力で自分を浮かせ、パワードスーツらしきものを纏った男は目覚めた直後だからか受け身が取れず床に叩きつけられる。かわいそう(小並感)
『私の名前は『Lotus』。よろしくお願いします。Angie。テンノ』
「よろしくな。それで、そこのアンタは?大丈夫?」
「・・・・・・・・・・・・」
『どうやら、長きにわたる冷凍睡眠の影響で話すことが出来ないようですね』
「・・・・・・なら仕方ないか。じゃあ、アンタのことはなんて呼べば良い?」
『彼の纏う外骨格『Warframe』は『EXCALIBUR』タイプのようですね』
「なら、EXCALIBURって呼ばせてもらうか」
「・・・・・・・・・・・・!」
ソイツ・・・・・・EXCALIBURは膝を着いたまま頷いた。
どうやら危機が迫っているらしいし早速行動開始だ、と思っていたら、アタシ達がいる大きな部屋の出入り口が開き、銃で武装した変な奴らがぞろぞろと入ってきた。
奇妙な体躯の集団だった。ずんぐりむっくりとした機械的な装甲を纏っているが、下半身がやたらと細い。これマジ?上半身に比べて下半身が貧弱過ぎるだろ・・・・・・
兵士だろうか?その集団の1人が、リーダーであろうサイボーグっぽい老人に報告する。
「『Captain Vor』!テンノを発見しました!」
「見れば分かるわ。愚か者」
そう言った老人・・・・・・Captain Vorは懐から妙な機械を取り出してこっちへ歩いてくる。今はEXCALIBURが動けない。コイツに何かするつもりなのか?アタシはとりあえずその怪しい機械を破壊することにした。アタシのソウルから愛銃を取り出して撃つ。
「ぐっ!?・・・・・・アスカリスが!?貴様、なんということを!」
「いや、あからさまに怪しいだろ。壊してくださいって言ってるようなものじゃないか」
『よくやりました。Angie。あれは洗脳装置です。彼はテンノを洗脳し、そして秘宝として双子の女帝に献上するつもりだったのでしょう』
「危ねえ!?そういうのはもっと早く言ってくれよLotus!」
「おのれ・・・・・・Lotusがいるのか。者ども!こやつらを始末しろ!」
「チッ!判断が早いな!」
アイツ、洗脳できないと見るや即行でアタシ達を始末しにかかってきた。兵士達は一斉にこっちに銃を向ける。ヤバいぞ、数が多すぎる・・・・・・!
「Lotus!どうすれば良い!?」
『Warframe:EXCALIBURのアビリティを使います。テンノ。集中してください。貴方ならできます』
そう言うとEXCALIBURは俯き、胸に手を当てる。すると、アイツの手が光り輝き、とてつもない力を秘めた光の剣が現れた。
次の瞬間、EXCALIBURは目にも留まらぬ速さで兵士達の間を駆け抜け、相手の装甲もろとも切り刻んでいく。
数分もしないうちに敵が全滅した。Captain Vorはいつの間にか撤退したようだ。
「凄いじゃない!」
「(親指を上に向ける)」
『道は開かれました。テンノ。Angie。この施設の出口にオービターのライセット・・・・・・宇宙艇が2機あります。そこを目指してください』
「ああ、了解!・・・・・・・・・・・・今『宇宙艇』って言った?」
『ええ。言いました』
「・・・・・・今、西暦何年?」
『現在の暦は西暦を採用していませんが、西暦に換算すると、今は8751年です』
「ファッ!?」
うっそだろお前!?西暦8751年!?クッソ遠い未来じゃねーか!
この時、アタシは自身の持つ知識が何の役にも立たないことを悟った。
「マジで頼りにしてるからな・・・・・・!2人とも!」
「・・・・・・?」
『分かりました』
こうして、命からがら施設および施設のあった地球を脱出したアタシ達。
ここからアタシ達の宇宙を股にかけた冒険が始まるのだった。
・・・・・・これ、ちゃんと村に帰れるんだろうな?
西暦は適当です。
地球の冷戦時代から数千・数百年(あるいはそれ以上)経っているので、これくらいかな?というふわふわした理由で書きました。
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2053年:新宿
『チカラをやろう』
『おまえの・・・・・・と引き換え・・・・・・守るチカラを・・・・・・』
「・・・・・・・・・・・・んぅ・・・・・・?」
■
ドナと一緒に寝たと思ったら日本の新宿らしき場所に居た件。
はいはい異世界異世界。流石に目覚めたら違う世界に居ることももう慣れた。
どうして異世界だと分かったかって?周りの建物が何処も崩れてるからだよ。日本語が書かれた看板が散乱している。まるで大地震に見舞われたみたいだ。
アタシは昨夜も配信してたが、日本で大災害が起こったなんてニュースは聞いてない。流石にアタシが眠ってる間の数時間でここまで広範囲が崩壊することはあり得ないはずだ。ここは平行世界か何かか?
遠くの高層ビル群の隙間から東京タワーが見える。アタシの生前の記憶にあるものと同じ『赤』の塔だ。
「というか、さっきの渋いオジサマの声は何だったんだ?幻聴かな・・・・・・」
確かチカラがどうとか言ってたけど・・・・・・
とりあえずこのあたりを探索しようと周囲を見渡すと、アタシの足元に1冊の本が落ちていることに気付いた。
奇妙な本だ。『拾い上げて』パラパラとページをめくってみる。黒の分厚い表紙、黒のページ、白の見たことのない文字。表紙や背表紙に銀の装飾が施されている。これは顔だろうか?
「それにしてもブサイクな顔の装飾だなぁ。アタシの方が何倍も可愛いよ」
『・・・・・・見つけた』
「は?」
アタシが確認できたのはそこまでだった。
持っていた本が光り輝き、アタシを光が飲み込む。思わず目を瞑るとさっきの声が聞こえる。
『貴方は選ばれたのです。『王』よ』
「!?・・・・・・オマエは誰だ?何がどうなってる!?」
『我が名は『黒の書』。貴方が、この世界を救済へと導く王となる御方か』
「いや、まったく身に覚えがないんだが・・・・・・」
何なんだコイツ・・・・・・?いや、黒の『書』だって?もしかしてこの本が喋っているのか!?
『何、そう驚かれますな。王よ。人間の言葉を扱うことなど、我にとっては容易いこと』
「・・・・・・まあ、よく考えたらアタシも無機物だし、そう珍しいことでもないのか・・・・・・?」
『貴方は奇妙な御方だ。人間の魂が人形に宿っているとは』
「!・・・・・・分かるのか?」
『ええ。ですが器は関係ありません。魂が人間のものであれば、我の起動条件を満たすことが出来ますので』
「そもそもオマエは何者なんだ?目的は?」
『その前に、貴方のお姿を確認した方がよろしいかと』
「え?」
いつの間にか光は収まっていた。慌てて近くにあった割れたカーブミラーで自分の姿を確認すると、そこには『人間』が立っていた。
常に濡れそぼっているかのように艶やかな黒い髪、熱を感じさせない灰色の肌、黒い眼球と黄金に輝く瞳。人形の時と同じ太陽と月の顔。人間離れした、それでいて途方も無く美しい姿だ。
これがアタシ・・・・・・?
「な、何が起こって・・・・・・!?」
『『ゲシュタルト』でございます。人の魂が器から抜け出し具現化した存在です。ですが、貴方の場合は分離ではなく変化のようだ。今までになかった事例です』
「???????」
どういうことだ・・・・・・!?器・・・・・・肉体と魂が分離した存在だって?
だが、アタシは通常の人間とは違うから分離するんじゃなく、人形の身体が変化してこの姿になった・・・・・・ってことか?
だが、何のために魂と身体を分離する?それにアイツ・・・・・・黒の書が言ってた『この世界を救済へと導く王』の意味もよく分からない。この世界に何が起こってるんだ?
『それを説明するには、些か時間を必要とします。まずは・・・・・・ムッ!?』
「え!?何!?」
話を聞こうとすると、突然黒の書がうろたえ始めた。いったいどうしたんだ?次から次へと問題が起こりすぎだろ。展開が早すぎてついていけない。
『まさか・・・・・・!?もう1人、適合者が・・・・・・?』
「適合者?」
『我に触れた人間は魂と肉体が分離しますが、『資格』がなければ正気を失い化け物と成り果てるのです』
「クッソ危険な書物じゃねーか!!」
ちょっと待って!それじゃ、アタシもその資格がなかったら化け物になってたの!?ふざけてんのかこのクソ紙!
ん、あ、あれ・・・・・・?何だ・・・・・・?急に、意識が・・・・・・
『!?王よ!どうされたのです!・・・・・・こ、これは・・・・・・?』
だめだ・・・・・・なにも・・・・・・みえなく・・・・・・
■
「・・・・・・ンジー?アンジー?もう朝よ」
「・・・・・・・・・・・・んぅ・・・・・・?」
気が付くと、アタシはドナのベッドの中にいた。部屋の窓から朝日が差し込んでくる。
・・・・・・まさか、さっきまでの出来事は夢?
「なぁんだ。良かった。アタシはまた厄介事に巻き込まれたのかと・・・・・・」
「また変な夢でも見たの?・・・・・・あら?アンジー、胸に何かついてるわよ」
「え?」
アタシは自分の胸を確認する。相変わらず貧乳(人形なので成長しないのは当然)だが、確かに胸元に何かついている。これは、まるで顔のような・・・・・・?
「・・・・・・ま、まさか・・・・・・?」
『お目覚めですか。王よ』
「ほわあああああああああああ!?!?」
うわあああああああああ!アタシの胸に黒の書がくっついてるうううううううう!!
『どうやら貴方と融合してしまったようです。それにしても驚きました。まさか貴方が異世界の住人だったとは。『竜』の研究で多元世界の存在が立証されていましたが、まさか我自身がそれを体験することになろうとは・・・・・・』
「いや何でそんなに平然としてるんだよ!?」
『我々がいた世界には貴方の他にもう1人、王の存在が確認されました。後のことはその方に任せましょう。それよりも、この世界の調査が先決です。書物となった我とて、流石に気分が高揚します』
「つまりずっとアタシについてまわるって事じゃねえか!」
「・・・・・・ええと、アンジーの新しいお友達、かしら・・・・・・?」
嘘だろ・・・・・・?アタシのプライバシーは!?
「・・・・・・良し!とりあえず、アタシ達が分離する方法を探すぞ!一時的でも良い!アタシのプライバシーを取り戻すんだ!」
『分かりました。ではそのように』
「よく分からないけど、頑張って!アンジー!」
こうして、アタシに奇妙な相棒ができた。これから一緒に数々の修羅場をくぐり抜けることになるのだが、その時のアタシ達には知る由も無かったのだ。
「よろしくな!『クロ』!」
『黒の書とお呼びください』
アンジーは『ゲシュタルト化』を習得した!
『黒の書』が仲間になった!
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