最強コンビのヒロアカ憑依転生 英雄ルート (天導 優)
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原作開始前
プロローグ


転生者2人のプロフィールは最後の方に書きます。


原作開始の10年前

勝己side

俺の名前は爆豪勝己。

ただしそれは俺がこの世界に転生した時につけられた名前だ。

転生前の名前は今となっては思い出せない。

しかし、この世界は気に入っている。

この世界の8割の人間は4歳までになんらかの特殊能力である“個性”が発現するらしい。

この事は俺たち2人をこの世界に憑依転生させた神様が言ってたな。

俺たちの個性は消せないし、奪われもしないって。

ちなみに俺の個性は“超越”。

鍛えれば鍛える程強くなる、努力型の能力だ。

例えるなら1キロのダンベルを持ち上げるのがやっとなのに持ち上げる。すると次の日には簡単に持ち上げれるようになる。

この“個性”に目覚めたその日から俺はトレーニングを重ねてきた。

その為か近所の同年代の友達どころか、大人以上の身体能力を手に入れている。

けど、俺はいまだにトレーニングを続けている。

このままではこの世界のナンバー1ヒーローのオールマイトに勝てないと思うからだ。

だから、俺は努力を続ける。

俺が、いや違う。

俺たちが史上最強のヒーローコンビになるために。


出久side

僕の名前は緑谷出久。

正確に言えば緑谷出久というキャラに所謂憑依転生ってやつをした転生者だ。

僕はヒロアカという作品は知っている。

しかし、原作とは違うことがある。

それは僕が憑依転生した緑谷出久は本来はなんの個性も持たない“無個性”だったのに、僕は個性を手にしているし、僕の友人が憑依転生したかっちゃんこと、爆豪勝己の個性は爆破だったはず。

それはおそらく、僕たち2人がこの世界に憑依転生したというイレギュラーがあったからだろう。

そうそう、言い忘れていたが僕の個性は“再現”という名前の個性だ。

名前だけ聞くと将来出会うだろう先輩と同じ名前だが、出来ることは大きく違う。

この能力は僕が知っている限りの漫画やアニメや小説、ゲームや特撮番組なんかに登場する能力や技を使えるというコピー能力のようなものだ。

ただし欠点も存在する。それはオリジナルを越えられないということだ。

例えばとある漫画のキャラの力と技術力が2の技を使ってたとする。

これを力と技術力1の僕が使ったとしても本家と同じだけの技を同じ威力で使えるけど、たとえ僕が力と技術力が3になっても本家と同じ威力にしかならない。

僕はなんとかこの弱点を克服しようとした結果、2つ以上の能力を組み合わせる事にした。

結果論としては上手くいったが、新たな弱点が出来てしまった。

この弱点もなんとか早く克服しないといけないな。

僕が、僕たちが史上最高のヒーローコンビになるために。


名前    爆豪勝己

“個性”   超越

誕生日   4月20日

血液型   A型

性格    負けず嫌いの努力家

好きなもの 辛いもの 熱いもの 賑やかな場所

嫌いなもの 甘いもの 冷たいもの 静かな場所

この作品の主人公の1人。

原作とは違い他人の悪口を言わないが、結果論だけしか見ない人間は嫌う。

原作通り出久の事はデクと呼んでいるが、意味合いは違い、能力や技が多数あることからデラックスな奴を略してデクと呼んでいる。

また、出久の事を最強のパートナーと認めている。

原作と違いオールマイトよりエンデヴァーのファン。

憑依転生者のモデルは作者の友人の1人+仮面ライダービルドの万丈龍我+仮面ライダーWの左翔太郎。


名前    緑谷出久

“個性”   再現

誕生日   7月15日

血液型   O型

性格    冷静沈着な天才形

好きなもの 甘いもの 冷たいもの 静かな場所

嫌いなもの 辛いもの 熱いもの 賑やかな場所

この作品の主人公の1人。

原作と違いブツブツモードにはならないが脳内で瞬時に分析する程の持ち主。

爆豪の事を原作通りかっちゃんと呼んでいる。

誰よりもかっちゃんが努力をしている事を両親以外で知っている。

また、原作よりも知能指数が高い。

爆豪の事を最善の相棒と思っている。

原作通りオールマイトのファン。

憑依転生者のモデルは作者+仮面ライダービルド桐生戦兎+仮面ライダーWのフィリップ。




「最高最善の力を継ぐ者」を書いている者ですが、アイディアが浮かんだので書いてみました。
亀更新になるかもしれませんが、こちらもお願いします。


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第1話

出久side

僕が“再現”の個性を手にいれて3ヶ月。

僕はこの個性で再現出来るのは自分が認識しているだけしか使えないのは勿体無い考えだと思うようになっていた。

そこである能力を再現する事にした。

その能力の名前は“地球(ほし)の本棚”*1である。

だけど最初は失敗してしまった。理由としてはこの世界の事や記憶などは閲覧出来たが、前世の事は一切見つからなかった。

これでは駄目だと思い、つい最近手にした他の能力と合わせる事にした。

合わせる事にしたのは“地球(ほし)の本棚”+“バベルの図書館”*2+“逢魔降臨暦”*3という3つだ。

結果として纏められたのは“地球の本棚”の検索能力+“バベルの図書館”に存在する本の用にこの世界及び、平行世界全ての過去から現在までにおける事全て+“逢魔降臨暦”が410ページという厚さになった事だ。

ちなみに内容は存在する全言語(アニメ等に存在する架空文字も含む)で書かれている。

しかし僕は“あらゆる文字を読む程度の能力”*4を用いて読んでいる。

ちなみに僕はこの能力を勝手に“全平行世界書(コスモライブラリー)”と呼んでいる。

ただし、2つ以上の能力を同時に使うので欠点として激しい睡魔に襲われてしまう。

これは他の能力を組み合わせた際にも起こる現象だ。

軽ければ1時間未満だが、酷い時は1日以上寝込む事もある程だ。

そんなある日、僕はかっちゃんにあることを聞かれた。

「なあ、◯◯◯◯◯◯がどこに居るか分かるか?」

僕の持っている“全平行世界書(コスモライブラリー)”に載ってない情報は無いのでかっちゃんには笑顔で「勿論分かるよ」と返しておいた。


勝己side

俺の個性“超越”が発現して早半年たった頃俺たち2人は秘密基地を作り、そこのトレーニングルームで特訓していた。

秘密基地の土地の予算諸々はデクが“再現”した強運キャラのステータスを使って宝くじを当てたり、頭脳を生かしたクイズの懸賞品などで補っている。

そのデクだが、周囲には個性の無い人間である“無個性”と誤魔化している。

理由を聞くと、悪い人たちがデクの個性を利用して悪い事に使用するかも知れないし、それの目的の為に周りの人間にも危害が及ぶかもということで敢えて隠している。

デクが本当は個性を持っている事を知っているのは俺たち以外ではお互いの両親しか知らない。

勿体無い考えだが仕方ない。

そんなある日、俺は自分がどれだけ強くなったか気になったのでデクに質問をしてみた。

「なあ、◯◯◯◯◯◯がどこに居るか分かるか?」

するとデクは笑顔をこちらに向け「勿論分かるよ」と言った。

数日後、俺はその人物に挑戦状を叩きつけてみることにした。

*1
仮面ライダーWに出てくる能力

*2
ホルヘ・ルイス・ボルヘスの短編小説であり、またそれに登場する架空の図書館

*3
仮面ライダージオウに登場するアイテム

*4
東方projectの本居小鈴の能力



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第2話

勝己side

今、俺たち2人は数日前にデクに調べてもらった情報を元に電車で移動している。

運賃に関してはデクが出すつもりだったが、俺のお袋が出してくれた。

俺たちが年齢以上にしっかりとした性格だと知るとお袋は完全に放任主義な子育てをするようになった。

とはいえ、俺たち(主に俺だけだが)悪いことをしたらちゃんと叱ってくれるためネグレクト(育児放棄)ではない。

ただ、俺の親父やデクのお袋さんは相変わらずあわあわしていたが、お袋の「子供の方がしっかりしてる」と言ってくれたのでそれで少しは大人しくしてくれた。

俺たちが向かう場所は同じ県内にあるとはいえ、時間がかかる為、俺は断続的にイメトレをして暇潰しをしている。

ちなみにデクは俺のとなりで寝ている。

さっきまでは彼奴がコスモライブラリーと呼んでる本を読んでいたがいつの間にか寝てしまったようだ。

コスモライブラリーの中身を俺も見せてもらった事があるが見てすぐにギブアップしてしまった。

イラスト等は多少あったが、書いてある文字だか記号だか分からないものが羅列していたからだ。

例えば表紙に【繝斐き繝√Η繧ヲ】と書かれた時に中身を見たが前世では有名だった某キャラクターのイラストが書かれているのは分かったが、字は全く読めなかった。

「次は◯◯駅、◯◯駅です」

俺たちの降りる駅に着いてもデクは起きそうもないので俺がおんぶして降りる事にした。

勿論コスモライブラリーも忘れずに。

そして駅から出て、それからデクを起こしてから歩いて数十分、俺たちの秘密基地に比べて小さな日本家屋の前に来ていた。

そして俺は家に向かって一言。

「たのもー」と叫んだ。


??side

その日も俺は糞親父、エンデヴァーと特訓をしていた。

親父がナンバー1ヒーローであるオールマイトを越えれないから俺に越えさせようという考えの元でだ。

その為、母さんや俺たち兄弟にはいい迷惑でしかない。

今日もいつも通りの毎日かと思ったらいつもと違う事があった。

俺は今日という日は生涯覚えていると思える出来事に遭遇した。


エンデヴァーside

俺は今日も息子である焦凍と特訓をしていた。

すると家の門の方から「たのもー」と言う声が聞こえてきた。

戸を開けるとそこには子供にしては筋肉のある薄い金髪の子供と分厚い本を抱えた緑色の髪をした子供がいた。

年齢的に焦凍と同じくらいだろうか。

「なんのようだ?。サインならやらんぞ」

「そんなんじゃあねぇ。俺と勝負しろ」

俺と勝負だと。馬鹿馬鹿しい。

「子供の戯れ言に付き合う暇は無い。大人しく帰れ」

そう言って俺は門を閉じようとした。

だが、門を閉める事は出来なかった。

薄い金髪の子供が門に手をかけ、止めていたからだ。

「逃げんのかよ、ナンバー2ヒーロー」

ビキッという音ともに門に罅が入っていた。

「子供に負けんのが悔しいのか?」

ビキビキッと先程より大きな音を立て更に大きな罅が入る。

子供にしては大した力だ。

「良いだろう、相手をしてやる。ただし手加減はせんぞ」

「上等だ」

そして俺たちは家の中にあるトレーニングルームへ向かった。


焦凍side

突然始まった親父と俺と同年代くらいの男の子の勝負が俺たちの目の前で行われようとしていた。

「なあ、お前。止めなくて良いのかよ」

俺は親父と勝負する事になった子と一緒に来た分厚い本を抱えた子に聞いてみた。

「うん、かっちゃんが勝つ確率は92%だからね。そういえば、自己紹介がまだだったね。僕は緑谷出久、そして彼の名前は爆豪勝己って名前なんだ。よろしくね」

「あ、ああ。俺は轟焦凍。よろしく」

話してみると緑谷と爆豪は俺と同い年みたいだ。

俺たち2人が話している間に軽く準備運動が済んだのか、2人は勝負を始めていた。

けど俺はその光景を見て驚いてしまった。

なぜなら親父は、エンデヴァーは、オールマイトにランキングで負けてるとはいえ、長いことナンバー2ヒーローをやってる。

そんな親父が押されていることに。


エンデヴァーside

こんなバカな事があるだろうか。

俺は、加減無しに殴りかかった。

しかしその一撃は簡単に片手で防がれてしまい、その子供の一撃を前腕に受けていた。

子供の一撃だと甘くみていたが軽く罅が入ったような痛みが走った。

恐らく本当に罅が入っていたのだろう。

そこからは一方的だった。

まるで小さなオールマイトを相手をしているかのような感覚を感じていた。

個性の“ヘルフレイム”を用いても拳圧の一撃で掻き消されてしまう。

俺はこんなところでと思っていると後ろから焦凍の声が聞こえてきた。

「何やってんだよ、クソ親父。親父はナンバー2のヒーローなんだろ。だったらその実力ってやつを見せてくれよ」

その言葉を聞いて俺は思い出していた。

俺も嘗ては純粋にヒーローを、オールマイトを目指していた。

しかしいつの間にかオールマイトを越えれないと気づいてしまった。

周りからもオールマイトに勝てない永遠のナンバー2と言われ、母校の校訓も嫌いになっていた。

そうだ、ヒーローとは自分の為に活動しては駄目だ。

常に自分を応援してくれる者たち(ファン)の為に、自分を待っていてくれる人たち(家族)のために。

「焦凍、俺を見ていてくれ」

「見てるぞ、親父」

大事な事を思い出したからだろうか。

先程までとは比べ物にならない程の力が沸いてくる。

「爆豪勝己と言ったな。お前はその年代にしては最強クラスだろう。だから俺も全力で応えよう。プロミネンスバーン」


出久side

「やっと最後の最後で全力を見せてきたな」

かっちゃんがエンデヴァーの攻撃を受けながらそう呟いていた。

しかし、その一撃を受けて、かっちゃんは火傷こそしてはいないが倒れてしまった。

恐らく脱水症状だろう。

僕はかっちゃんに水分補給をさせてから暫くしてから帰路につくことにした。

帰りがけにエンデヴァーに「大切な事を思い出させてくれて、ありがとう」と言われてしまった。

そして帰りの電車の中でかっちゃんに尋ねられた。

「お前、エンデヴァーに何かしたか?」

「さて、どうだろうね」

僕がそう言うと軽く溜め息を吐き、かっちゃんは。

「お前がそう言うなら、深く言及はしねぇよ」

全くかっちゃんは鋭い。

僕は轟君の応援を受けたエンデヴァーの目付きが変わったタイミングでタルカジャ*1を掛けた。

それにしても今日は良い日になった。

かっちゃんは憧れの人との勝負することができた。

そして僕としては原作を改編できるかどうかの実験を試すことができた。まさに一石二鳥な1日だった。

そう想いながら僕は自宅へと帰った。

*1
真・女神転生に出てくる魔法



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第3話

出久side

かっちゃんがエンデヴァーに挑んでから数ヶ月。

よっぽど気に入られたのかここ最近は休日には呼び出されて特訓に通わされている。

まあ、かっちゃんもエンデヴァーのファンだし、喜んで通っている。

僕はというと秘密基地で自分の“個性”で何が出来るのかの確認や秘密基地の増築などを行っている。

そして僕は自分の“個性”をいくつかの型に分かれている事に気付いた。

まずは、発動型。

これは例えるならドラクエの呪文やポケモンの技が当てはまる。

MP等の概念がないこの世界では何発も連続で使用できるし、他作品同士の技も合わせる事で威力を上げる事も可能だ。

ただし欠点として合体技にしなくてもある程度使用すると激しい睡魔に襲われる。

次は、召喚型。

これは例えるなら遊戯王やサモンナイトなんかで主人公たちがモンスターなんかを召喚しているのを思い出し、他の作品のキャラも召喚出来ないか試したところ、成功した事で出来るようになった能力だ。

また、同時に複数召喚する事も可能で聴覚と視覚を共有する事も可能だ。

ただ欠点として呼び出された者たちは、僕の指示に従う(テレパシーの様なものでも可能)意思はあるが、考える知識や、27種類ある感情全てが存在しないのである。

また、僕が意識を失うか眠ってしまうと呼び出された者たちは消えてしまう。

それに僕の力量以上、もしくは複数召喚していた場合体力の消耗というか脳への負担も激しい。

その為、僕が現在同時に召喚するのはせいぜい同時召喚で3体(例えるならマリオのクリボー)で強力なのを1体(例えるならマリオのクッパ)だと1分が限界だ。

続いて、能力型。

これはONE PIECEの悪魔の実のような特殊能力を身に付ける能力だ。

能力の応用でその場の状況によって自由に発動できるし、デメリット効果無しで使用も可能だ。

例えばゴムゴムの実のように体がゴムのようになり、尚且つ泳げなくなるというデメリットを受けないといった事も可能だ。

この能力も合わせる事も可能だが、やっぱり欠点として能力をしている時に少しずつだが体力を消耗してしまう。

多分拒絶反応に近いものだと僕は考えている。

それに複数の能力を身に付けている際に解除する時は他の能力も一緒に解除されてしまう。

また、深夜0時で自動的に解除されてしまう。

そして一番のデメリットとして能力解除の際に使っていた分だけの負荷が1度にやって来ることだ。

その為以前この能力を使った際に1週間(幼稚園は長期休暇中だった)は寝てしまった。

次からは今までの能力の派生型と云える能力だ。

設置型。

発動型の派生型で予め文字通り設置しておき、指定した出来事(相手が触れるなど)が起こると自動で予め設置しておいた発動型なら魔法などを発動し、召喚型なら予め指示しておいた事をしてくれる。

欠点としては設置している間、体力を大幅に消耗してしまう。

また、僕が意識を失っても僕が解除しない限りそこに発動(発動型のみ)されるまで残り続けてしまう(地雷のような感じ)。

続いて憑依型。

この能力は召喚型の派生で呼び出した者たちに五感どころか身体その物を同化させる能力だ。

当然憑依出来るのは1体だけだが僕自身の身体能力を向上させる事(逆に下がる事も)ができる。

欠点として発動型の技や能力型の能力などはその呼び出した者ができる事しか出来なくなる。

また、憑依できる時間は長いもので22分前後、短いもので30秒くらいだ。

また、解除した際に自分の実力以上の者に憑依した場合、激しい筋肉痛になってしまう。

次も召喚型の派生で装着型。

これは武器や鎧兜などを呼び出す(また、発動型に必要なアイテム等も含む)能力だ。

更に大きさ(比重基準で重さも)も調整可能で、時間経過で消えることもなく、更に僕自身の負担もない。

その為、仲間に装着してもらう事も可能だ。

その応用で武器やアイテムの素材も呼び出し可能だ。

欠点としては呼び出した僕でも消すことができず、敵に奪われた場合など、こちらが不利になってしまう事だ。

最後に、付与型。

これは能力型の派生で僕以外の人に能力を付与させることができる。

勿論その人が持っていた“個性”が消えるわけではなく、文字通り付与させることができる。

相性にもよるが、相性が良ければ1時間くらいは使える。

逆に相性が悪ければ1秒と持たない。

欠点としては付与する相手の体に僕の体が触れていなければ使用できない。

以上が僕の個性の分別だ。

やれる事は多いのだけど欠点もある。

その為、トレーニングも兼ねて僕は今日も秘密基地の増築などを行っている。



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原作開始
第4話


勝己side

俺がエンデヴァーに弟子入りしてから10年という月日が流れた。

未だにエンデヴァーはオールマイトを越えれないが、昔ほど息子に当たらなくなっていた。

後は轟の奴が俺たちとの特訓中に左目に火傷をした。

痣は残ったものの、視力に問題はなく日常生活を送るには心配ないようだ。

デクの奴に相談すると「それは防げなかったか」とか言ってたので原作となった世界でも同じような出来事が存在したんだろうな。

ちなみに俺は最近、肉体トレーニング以外に習い事を始めている。

基本的に武術だけだが、空手や柔道のようなものだけではなく、剣道や弓道などの武器を使ったものまで様々である。

ちなみにお袋に「武道を極めるのは良いけど、学業を疎かにしないように」と釘を刺されたのでデクに勉強を教わったりもしている。

まあ、デクの頭の良さは俺が恐ろしいほど知っている。

7歳の頃だっただろうか。

デクの知識に興味を持った俺たちの担任教師が世界中の難関校と呼ばれる大学の卒業試験の問題を持ってきた際、規定時間内に全部解いてしまったからだ。

更にその知識を持って学習塾を潰して回る(暇潰し)なんて事をしたため、つけられた二つ名が、《大学キラー》、《塾潰し》だ。

また、デクも俺が通っている習い事をさせてみたが、“個性”を使わなければ体力などは俺と比べ下の下の為、すぐに倒れてしまう。

それでも、少しでも体力をつけようと頑張っているみたいだ。

でも、俺の10分の1走って息切れするって体力が無いのにも程があると思うのだが?。

ちなみにデクの“個性”を知る人はちょっとだけ増えた。

エンデヴァーとその家族である轟一家と、俺たちの通う中学の担任教師と校長だ。

担任たちも最初は驚いていたが、生徒を守るのも学校の勤めとして黙認を認めてくれた。

そして、ある日の帰りのホームルームで担任が教壇に立つと中学3年生には必然とよべることを語った。

「一応進路希望の紙を配るけど、皆ヒーロー科志望だよね」

その言葉を聞き、俺たちのクラスメートたちが一斉に自分たちの“個性”をアピールするかのように使用して見せる。

指を伸ばす奴や全ての歯が犬歯になっている事をアピールする奴。

色んな奴がいるが担任が「皆良い“個性”だけど、校内で“個性”の無断使用はご法度だぞ」と言うと皆大人しくなった。

「それと進路希望の提出期限は特に決めないが、早めに頼むぞ」

そういうと担任は教室を出ていった。

ただ、教室を出る前に俺にだけ分かるように会議室に来いと合図をしていた。


「爆豪君、実は君に雄英高校からの推薦入試の話が着ていてね」

校長は徐に封筒を渡してきた。

「それでどうだね。受けてみる気はあるかい?」

どうするかって?。

答えはもう決まっている。

俺はその封筒をシュレッダーにかけてやった。

「な、なんて事を」

今年赴任したばかりの教頭があわあわしているが校長は冷静に俺に話しかけてきた。

「理由を聞いても、良いかね?」

「当たり前だ。俺はデクと、緑谷と一緒に一般入試を受ける。アイツは俺の相棒で、俺はアイツの友達だ。それでどちらかが落ちるときは一緒にヒーロー科の入学を止めて別の科に入る。それだけだ!」

「た、たったそれだけの理由で推薦を断るんですか?。あの“無個性”の生徒の為だけに」

相変わらず教頭があわあわしているが校長はというと。

「その言葉を待っていた。もし受けるなんて言っていたら私が推薦用紙を処分していた。これからも精進したまえ、爆豪君」

「はい、それでは失礼します」

俺はそう言うと会議室を後にした。


校長side

「本当によろしかったのですか?。折角の雄英高校からの推薦を断って」

教頭が私に話しかけてきたが私の意見は変わらない。

「何か不満でもあるのかね?」

「当たり前です。この中学校の歴史を調べてみましたがヒーロー科制度が始まって初めての推薦じゃないですか。なのにそれを断るなんて」

「本人が拒否しているのに、勝手に話を進めるのは滑稽ではないかね。それに君はこの地域にまだ馴染めていないようだから言っておくがね、あの2人は最高にして最善の最大最強の相棒なんだよ」

それだけ言ってもあわあわしている教頭を後に私も会議室を出た。



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第5話

??視点

真っ暗な背景の中、突如スポットライトで照らされる黒服にサングラスをかけた緑色でクセのある髪の毛をした少年。

「えー、皆さまはヒーローとはどの様なものとお考えでしょうか?。国語辞典によると敬慕の的となる人物、と掲載されています。また、このヒーロー飽和社会に於いては、災害に合った人を救助したり、人々を安全な場所にまで避難させたり、時には人々を困らせる(ヴィラン)を撃退したりする人たちの事を指しますね。どれも素晴らしい活躍なのですが、共通するのは人々の希望になっているという事でしょうか。しかし、今回登場する多くのヒーローたちはと言うと、おっと少し喋りすぎてしまうところでした。それでは本編スタートです」

スポットライトが消え再び真っ暗になる。


出久side

僕はかっちゃんが会議室に呼び出された後、図書室に向かった。

勿論本を読むためだ。

なんで“全平行世界書”を使わないのかって?。

答えは簡単な理由で検索しただけで調べたい事は調べれるけど、今日みたいに短い時間の時は図書室の方が沢山調べれるし睡魔も襲ってこない。

昔は1つの事を検索したら10分と経たない内に睡魔に襲われてたけど、今なら1時間位なら耐えられる。

ただ、大量に調べるとやっぱり睡魔に襲われるけど。

僕がしばらく本を読んでいると。

「デク、帰るぞ」

かっちゃんが僕に話しかけてきた。

「ただ、その前にこの本を片付けないとな」

自分でも気づかない内に図書室の本を全部読んでしまったらしい。

ちなみにこの速読術は“再現”ではなく前世の時から持ってた僕の特技だ。

ちなみに200ページ位なら10秒くらいで読めてしまうため、前世では本の出費が痛かった。

ようやく片付け終わって僕たちは商店街によって帰ることにした。

僕たちの秘密基地では一応家畜なんかも育ててるし、僕の“個性”で召喚した素材で家電なんかも作れたりするけど、貯金を使わないとすぐに貯金の限界が来たので新しい口座を作ってくれって手紙が来るんだよね。

もう何個(下手すれば3桁)口座を作ったかな。

それと僕は少し気になった事をかっちゃんに聞いてみた。

「そうだ、かっちゃん。制御装置は順調」

「悪くはねぇ。ただ、最近は抑えが効きにくくなってるからまた新調してくれ」

「了解」

制御装置ってのは僕が“再現”を利用して作った道具の1つだ。

筋トレを“個性”が現れてから1日も休まずに続けてきたかっちゃんの肉体はもの凄い筋肉をしている。

それはもう、日常生活を簡単に出来ないくらいに。

それを聞いた僕が作ってあげたという訳だ。

見た目はトリコに出てきたトミーロッドがつけているものに似ているけど、押さえる力は何倍も強力だ。

「おう出久に勝己、今朝仕入れた桜エビがあるんだが、どうだ」

「勝己君、良いお肉が入ったからメンチカツを作ってみたの。後でいいから買っていってね」

「デクお兄ちゃん、今朝ね、田舎のお祖母ちゃんから大根が届いたんだ。良かったら買ってね」

僕たちが商店街につくと、僕たちと顔馴染みの商店街に店を出してる人たちに声をかけられる。

僕たちが色々と見て回っているとその平穏な空気を乱すような出来事が発生する。

「邪魔だ、退けぇ」

「た、助けてぇ」

ゲル状の(ヴィラン)とそれに取り込まれた幼稚園位の男の子が姿を現した。

遠くから男の子の母親らしき声も聞こえてくる。

それに男の子の個性は“炎を操る個性”らしくゲル状の(ヴィラン)にそれを利用されているみたいだった。

となりを見るとかっちゃんはすぐに電話をしていた。


勝己side

敵の出現したタイミングで俺はあるところに電話をしていた。

相手は3コール以内に出てきた。

「こちら、エンデヴァー。爆豪、どうかしたか?」

「目の前でゲル状の(ヴィラン)が“炎を操る個性”の子供を人質を取って暴れてる。どうする?」

「周りに管轄のヒーローはいないのか?」

俺が周りを見渡すと、ヒーローはいるが。

「僕が今の状況をエンデヴァーの事務所のパソコンにリアルタイムで動画を転送するよ」

デクがいつも持ち歩いてるスマホを使って周りの防犯カメラの映像をエンデヴァーの事務所に送信していた。

そして、ヒーローたちの声がこれだ。

「私、二車線以上じゃなきゃムリ~」

「炎系は我の苦手とするところ…!。今回は他に譲ってやろう」

「そりゃサンキュー。消化で手一杯だよ!。消防車まだ?。状況どーなってんの!?」

「ベトベトで掴めねえし、良い“個性”の人質(こども)が抵抗してもがいてる。二重で手ェ出し辛え状況!!」

その間にも苦しむ人質にされた子供。

「ダメだ!。これを解決出来んのは今この場にいねえぞ!!」

「誰か有利な“個性”が来るのを待つしかねえ!!」

「それまで被害をおさえよう。何!、すぐに誰か来るさ。あの子には悪いがもう少し耐えてもらおう」

なんなんだ、その態度は。

それでもお前たちはヒーローなのか?。

俺の中の何かが切れそうになった時、エンデヴァーから連絡が入った。

「爆豪勝己、そして緑谷出久。お前たちに指令する。今すぐに人質にされた子供を救助し、周りの人たちを避難しつつ(ヴィラン)を撃退せよ。今回は特別に個性の使用を許可する」

「待ってたぜ、その言葉!!」

デクを見ると頷いていた。

そして俺たち2人はすぐに駆け出し、そして。

「かっちゃん」

デクの指示のもと、ゲル状(ヴィラン)の顔に俺が軽く衝撃を与え、その隙をついてデクが人質の子供を救助していた。

そして辺りを見渡すゲル状(ヴィラン)

次の瞬間、俺たちの言葉が重なる。

「もう大丈夫だよ。なぜかって?」

「クソ(ヴィラン)、どこを見てやがる!」

()たちを見ろ(が来た)


出久side

()たちが来た(を見ろ)

僕たちの行動に商店街の人たちから歓声がおこる。

「だったら、お前たちのどちらかを取り込んでやる」

そんな事を言う(ヴィラン)だけど、もう遅い。

「相手が掴めないのなら、凍らせてしまえば良い」

今回使う能力は双弓ハーリット*1+プリキュア・サファイア・アロー*2+プリキュア・ビューティブリザード・アロー*3の3つを合わせて使ってみた。

まず放っておいた水の矢に相手が触れた瞬間に氷の矢が着弾して凍り始める。

「ま、まさか」

慌てふためく(ヴィラン)にかっちゃんが殴りかかる。

「や、止め、ろ」

次の瞬間にはゲル状の(ヴィラン)は砕かれていた。

呆気にとられているヒーローをよそに僕たちが(ヴィラン)の欠片を集めた頃、警察が駆けつけてくれた。

僕たちが警察にそれを渡して帰ろうとするとヒーローたちが文句を言ってきた。

「何を考えてるんだ」

「君たちはまだ学生でしょ」

「君たちが危険を冒す必要は全くなかったんだ」

等と騒ぎ立てていたが僕たち2人は無視していた。

むしろ、この場にいるヒーローたちは気づいて無いのだろうか。

辺りを包む冷たい視線は僕とかっちゃんにではなく、あなたたちヒーローに向けられてるものだと。

そして、僕たちが再び帰路につくとある人物に遭遇した。


??side

私は私が追っていたヘドロ(ヴィラン)を倒した2人の少年を見かけ、話しかけていた。

「君たちがあの(ヴィラン)を撃退したのかね」

「そうだけど、誰だよおっさん」

「ハハハ、何を隠そう私は」

私が力を入れ。

「オールマイトだ」

しかし。

「かっちゃん、自販機にペットボトルが置きっぱなしになってるよ。パラコート連続毒殺事件*4を思い出すね」

「ああ、あれか。懐かしいな」

「え、無視。軽く傷つくんだけど」

「だっておじさんがオールマイトってのは気づいてたし」

「え、マジで」

私は思わず驚いていしまった。

「数年位前にオールマイトと出会った時と同じ匂いしてたし」

「ちゃんと風呂には入ってるんだけどなぁ。どんな匂いなんだ?」

「呼吸器官が半壊してて胃袋のない人の匂い」

「ブハ」

私は思わず血を吐いてしまった。

「大丈夫ですか?。これを飲みますか?。さっき自販機に残ってたやつですけど」

「いや、遠慮しておくよ。それよりパラコート連続毒殺事件知ってるって君たち年幾つよ?」

その後私は一旦咳払いをして落ち着くと彼らに相談を持ちかけることにした。

「君たちのどちらかに、私の力を受け継いでほしい」


角丸校長

本名  角丸破利

誕生日 10月5日(もうすぐ定年)

血液型 AB型

“個性” 嘘を見抜く能力

性格  生徒の事を第一に考える人望溢れる人

好きなもの 和菓子 日本茶 教え子たちの笑顔

嫌いなもの 食べ物に好き嫌いはない 人を見下す人

見た目は美味しんぼの角丸副総理。

地元出身で出久や勝己の事も知っていたし何か嘘をついている事も気付いていたが深く言及せずにいた。

また、生徒たちの写真を撮るのが好きでイベントの際には率先してカメラマンになる。

また、卒業生からの人望もあり、今でも訪ねて来る卒業生もいる。

ちなみに今まで出会った生徒の顔と“個性”と名前を全員暗記している。


亜内教頭

本名 亜内毛操

誕生日 4月14日(40代後半)

血液型 AB型

“個性” 頭髪を操る(長さは伸びない)

好きなもの 金 名誉 名声

嫌いなもの 貧乏 罵声

見た目は逆転シリーズに登場する亜内検事。

あちらと違い独身(妖精)。

常に自分の名誉や出世の事を考えている、人として最低な人。

噂では教頭試験の合格は金で買っのではたと生徒たちに言われている。

髪の毛を自在に操れるが、現在の髪型はおばけのQ太郎と一緒。

ちなみに頭皮マッサージなどもしているが効果は全くない。

同窓会にも一度も呼ばれたことはない。

同窓会に呼ばれなかった理由を知ったのは部屋を貸すタイプの居酒屋で1人呑みをしている際に隣が五月蝿いので文句を言いに行ったら、自分以外の同級生(全員既婚)が集まっていたから。

ちなみに誰も名前を覚えておらず、顔も忘れられていた。

さらに卒業校に残っている卒業アルバムはピンポイントで彼の名前のところだけシミに食われ写真は紛失していた。

そのショックで今のヘアスタイルになる。

*1
七つの大罪 ゴウセルの神器

*2
プリキュア5Go5Goのキュアアクアの必殺技

*3
スマイル!プリキュアのキュアビューティーの必殺技

*4
1985年4月30日から11月17日の間に日本各地で発生した、パラコートを用いた無差別毒殺事件。全て未解決。




書きたいこと書いてたら4000字越えてました。


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第6話

勝己side

俺たち2人がナンバー1ヒーローであるオールマイトに出会って3ヶ月。

あれからデクはオールマイトと体力向上の為の特訓をしている。

教えるのは下手くそだが、確実にデクの基礎体力は少しずつだが上昇している。

それとあの時、俺たちに向かって文句を言っていたヒーローたちだけど、デクがエンデヴァーに送っていた動画からヒーロー協会に言っていた事がバレて大目玉をくらい、1年の減給(9割カット)を食らったそうだ。

俺たちもエンデヴァーの指示の元とはいえ“個性”を使った事への説教を少し受けたが、商店街の人たちの声や俺たちが救助行動をしたからかは不明だがお咎め無しと、更に表彰状まで貰ってしまった。

それから変わった事といえば、デクが女の子を保護したことだろう。

アルビノを思わせる容姿と角の生えた女の子。名前を壊理(エリ)というらしい。

特訓の内の1つとして探索能力を強化している際に泣いてるエリを発見し保護に至った。

最初は死穢八斎會(しえはっさいかい)という所にいて、親だという人物がやって来たが、デクに嘘だと見破られ、挑みにかかるもあっさりやられていた。

デクによると一応原作の敵キャラの1人なのだがあまりにも弱すぎるため、ため息を吐かれていた。

更に死穢八斎會の地下からエリを虐待していた事実が明らかになり、芋づる式に全員がお縄についていた。

最初エリはヒーロー協会に保護される予定だったが、思いの外、デクに懐いてしまった為、現在はデクが面倒を見ている。

ちなみにデクが面倒を見れない時などは俺が面倒を見ているが大概恐がられてしまう。

デクによると「顔が恐いんだよ」とか言ってたけど、これは生まれつきだ!。

そして更に3ヶ月後、デクの基礎体力は大幅に上昇していた。

それにともない筋肉も多少はついてきた。

それでも年代平均に比べればやや劣るが、“個性”で出きること(特に時間制限など)は大幅アップしたらしい。

ただ、反動で眠くなるのは相変わらずだが。

そして、今日俺たち2人はオールマイト監修のもとで試合を行うことになった。

場所はデクとオールマイトが日夜特訓している、多古場海浜公園。

「2人とも、準備はいいね!」

俺とデクが頷き、近くの鳥が飛び立つと同時に俺たちは試合を開始した。

俺が殴りかかると、デクはあっさり避けながら空中浮遊*1をしていた。

そのまま、「アイスドアース*2!」とか叫びながら氷の塊を飛ばして来た。

俺はすぐにそれを避けると砂浜を思いっきり1発殴った。

途端に巻きおこる砂の壁。

その一撃の威力にオールマイトも驚いていた。

「今の一撃、私と同レベル。さらに爆豪少年は確か力を制御する道具を身に付けている。それなら全力なら私を越える力を持っているということか」

そんなことを言っている間に俺はデクの後ろに回り込み、再び殴りかかるが。

「まだ、1日に数回しか使えない取って置きの技、見せてあげるね。“全反撃(フルカウンター)*3

俺の攻撃を何倍にもして跳ね返しやがった。

俺は無事だったため、試合を続けようとしたが、デクが反動で寝てしまった為、お開きとなった。

*1
東方project 博麗霊夢の空を飛ぶ程度の能力

*2
MÄRという漫画に登場する氷の魔法

*3
七つの大罪のエスタロッサの魔力



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雄英高校入学編
第7話


出久side

僕たちがオールマイトに出会って早いもので11ヵ月が経とうとしていた。

憧れのヒーローに指導してもらったからか、僕の体は以前と見違えるほど筋肉と体力をつけていた。

まあ、全力のかっちゃんには劣るけど。

ちなみに僕たち2人は雄英高校の前に来ている。

そう、今日は何を隠そう、雄英高校の一般入試(実技)の日なのだから。

原作漫画を読んだ時も思ったがとてつもなく大きいと思ってしまった。

そんな僕の腕をエリちゃんが小さな両手で抱きついて不安そうな顔で周りをキョロキョロしている。

可愛いなぁと思いながら記録に残すためスマホのカメラ機能で写真を撮っていると後ろからかっちゃんがやって来た。

「早く行くぞ」

「うん、今いくよ」

僕はエリちゃんをおんぶすると僕とかっちゃんは試験会場へ向かった。


「今日は俺のライブにようこそー!!!。エヴィバディセイヘイ!!!」

あまりにも大きな声にエリちゃんがビクッと怯え僕の方に向いて抱き付いてきたので優しく頭を撫でてあげた。

「なぁ、デク。あのおっさん誰だ?」

「プレゼント・マイクってヒーローだよ。本名は山田ひざし。この雄英高校の卒業生で“個性”はあの大声。産声で両親と産婦人科の先生の鼓膜を破ったって話だよ」

「へぇ」

かっちゃんが僕に質問してきたので答えてあげたが、かっちゃんの中ではどうでもいいらしい。

「入試要項通りリスナーにはこの後!、10分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!!。持ち込みは自由!。プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!!」

プレゼント・マイクの言葉を聞きながらかっちゃんは受験票を見ていた。

「同校同士で協力させねぇってことか。受験番号連番なのに会場違うし」

「そうみたいだね。僕はC会場だけど、かっちゃんは?」

「俺はAだ」

「演習場には“仮想(ヴィラン)”を()()・多数配置してあり、それぞれの『攻略難易度』応じてポイントを設けてある。各々なりの個性で“仮想(ヴィラン)”を行動不能にし、ポイントを稼ぐのが君達(リスナー)の目的だ!!。もちろん他人への攻撃等、アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?」

そこまでプレゼント・マイクが言うと1人の受験生が挙手していた。

「質問よろしいでしょうか!?」

するとその受験生は立ち上がり。

「プリントには()()(ヴィラン)が記載されています。誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき恥態!!。我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!!」

そして僕たちの方を見て。

「ついでにそこの君達。先程からボソボソと…気が散る!!。それに小さな女の子まで連れ込むとは、物見遊山のつもりなら即刻雄英から去りたまえ!」

へえ、言ってくれるじゃん。

原作のデクなら落ち込んでたんだけど、僕は違うからね。

エリちゃんの事も悪く言われたので僕は反撃することにした。

隣でかっちゃんがやれやれって顔をしてるけど。

「ねぇ、ひょっとしてそれは脅しのつもりで言ってるのかな。もしそういうつもりで言ってるのなら問題発言になるんじゃないの。()()()()()()、インゲニウムの弟さんの飯田天哉君」

僕の言葉に会場にざわめきが起こる。

「先程の質問だけど、プリントよく見てご覧よ。ちゃんとギミック用で0ポイントって書いてあるじゃない」

すると他の受験生たちも。

「確かに書いてある」「なら、あのプロの弟はなんで質問したんだ」なんて話をしだした。

彼の顔は真っ赤になってプルプル震えていたが僕は言葉を続けた。

「それと、物見遊山ねぇ。つまりそれは主席合格でも狙ってる?。でも残念だったね。主席合格は僕が貰うから」

するとかっちゃんも立ち上がり。

「デク、そこは違うだろ。そこは僕ではなく僕たちと表現するべきところだろ」

すると周りからは「ツッコムのはそこじゃねぇ」って感じの声が聞こえた気がした。

「ま、まぁとにかく四種目の“仮想(ヴィラン)”についてはさっきの受験生の言った通りだ。それじゃあ各自試験会場に向かってくれよな」

その後模擬市街地演習会場に来たけど、飯田君の姿は見えなかった。

おそらく原作とは違って会場が違うんだろうな。

僕は試験開始前に早速“魔界の凝視虫(イビルフライデー)*1を放った。

これで索敵は大丈夫だ。

昔なら2~3体が精一杯だったけど、今なら2万体は容易い。

「エリちゃん、しっかり掴まってね」

「うん」

そう言って少し頬を赤く染めながら僕の首に手を回して抱きつくエリちゃん。

「ハイ、スタート」

その言葉を聞いて僕はエリちゃんを抱っこして走りだした。

*1
魔人探偵脳噛ネウロに出てくる魔界777ツ能力(どうぐ)の1つ



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第8話

勝己side

「ハイ、スタート」

それを合図に俺は駆け出した。

周りの連中は、きょとんとしているが俺は止まらない。

「排j」

目の前に“仮想(ヴィラン)”が現れたので殴って破壊する。

「どうしたあ!?。実戦じゃカウントなんざねえんだよ!!。走れ走れぇ!!。賽は投げられてんぞ!!?。既に行動してる2人に早く追いつけ!!」

今2人って言ってたな。きっともう1人はデクだと俺は直感で感じていた。

そして、放送を聞いてから走りだした他の受験生連中だが、悪いな。

殆どの“仮想(ヴィラン)”は俺が倒しちまってる。

デクやエンデヴァー、ついでにオールマイトとの特訓で俺の個性“超越”は筋肉だけに関しているだけではないということに俺は気付いてしまった。

それは五感等も鍛えられるということ。

例えば味覚は敏感(さすがにどこかのお嬢様のようにニシローランドゴリラと混浴してるような味とはいかないが)にはなったが、偏食にはならずにすんだ。

他にも痛覚は殆ど無いが触覚は1nm(ナノメートル)の凹凸でも感じる程になっていた。

ただし、これらの感覚は常時発動しているわけではなく、俺が体の一部に神経を集中することで使えるようになる。

全身でする事は出来ることには出来るが、俺自身がゾーンみたいな状態にならないと使用できない。

ちなみに“仮想(ヴィラン)”をいち早く察知出来るのは目に力を集中し、一時的に視力(両目とも11.0)を上げているからだ。

おまけに動体視力も上げているから僅かな動きを見きれる。

「おい、こっちには居なかったぞ」

「こっちは既に破壊されてた」

他の受験生が騒ぎ立てる中ソイツは突然と姿を現した。

ギミック用の0ポイント“仮想(ヴィラン)”が。

しかし、ソイツは俺が思っていたよりも巨大で、とてもギミック用とは思えなかった。

「なんだよ、アレ!?」

「勝てるわけがない…」

「もうおしまいだ…」

そう言って逃げ出す他の受験生連中。

俺も他の連中と一緒に避難しようとしたが、俺は気付いた。

その“仮想(ヴィラン)”が現れた衝撃で壊れたビルの瓦礫に足を挟まれて逃げ出せない受験生がいることに。

「おい、大丈夫か?」

俺は駆け寄るとその受験生の足の上の瓦礫を取り除いてやった。

「ありがとう。でも、早く逃げないと。ほら、君も」

その受験生も俺に一緒に避難するように言ってきたが俺は“仮想(ヴィラン)”の方を向いていた。

「なんで、逃げないの?」

その言葉に俺は答える。

「俺は逃げない。目の前に敵が現れたなら」

俺は全力で“仮想(ヴィラン)”を殴った。

そしてピシピシっと亀裂が入り。

「叩き倒すまでだ」

次の瞬間0ポイント“仮想(ヴィラン)”は崩壊した。


同時刻 出久side

「エリちゃん、大丈夫」

「うん」

試験開始の合図を受けると同時に駆け出した僕は両腕の細胞を変化*1させて触手状態(左右それぞれ5本ずつ)*2にして、尚且つエリちゃんに負荷がかからないように速度を上げた。

ちなみに今は“再現”を使って時速24,500km*3で走っている。

そして片っ端から“仮想(ヴィラン)”を分解している。

それだけではアレなので種類ごとに分別及びに錆び取り等もしておいた。

「なんか“仮想(ヴィラン)”が凄いことに!!」

「こんなの有りなのか!?」

「でも、行動不能にしてるから有りなんじゃ?」

他の人たちは驚いてるけど、今の僕ならこれくらい余裕で出来てしまう。

そうこうしている間に原作でも出てきた、巨大な“仮想(ヴィラン)”であるエグゼキューターが姿を現した。

「何処に居たんだ、アレは」

「とにかく逃げろ」

周りの受験生達はそう言って逃げていた。

「デクお兄ちゃんは逃げないの?」

エリちゃんにそう言われた僕はエリちゃんの頭を撫でながら返答してあげた。

「逃げないよ。ヒーローが逃げたら、誰が戦うの?」

触手となった両腕8本をゴムゴムの実*4の能力を“再現”してエグゼキューターも分解及び錆び取りをしておいた。

そこで終了を告げる放送がされたので僕は“再現”を解除した。

*1
魔人探偵脳噛ネウロに出てくる怪盗Xi(サイ)の能力

*2
暗殺教室の殺せんせーの腕

*3
暗殺教室の殺せんせーの速度

*4
ONE PIECEの主人公ルフィの能力




今回は自分の好きなゲームのキャラの台詞と友達の家で読んだ漫画のキャラの台詞をアレンジして入れてみました。


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第9話

勝己side

俺たちは試験を終え、帰りの電車を待っていた。

ちなみにエリはデクに抱っこされ眠っている。

俺はデクに自販機で買ったペットボトル飲料水を渡した後、気になる事を聞いてみることにした。

「なぁ、デク。俺たちの声を周りに聞こえなくすることは可能か?」

「できるよ。やろうか?」

「頼む」

そういうと、デクが「(カーム)*1」と叫ぶと俺たち2人(正確にいえばデクに抱かれているエリも含む3人)を透明な壁か膜のようなものが俺たちを包み込んだ。

「これで僕たちの声は聞こえないし、僕たちの声以外の音も聞こえなくなったでしょ」

確かにさっきまで騒がしかった駅のホームの音は聞こえなくなっていた。

それを確認すると俺はデクに質問をした。

「デク、お前が今日怒ったのは、エリの事をあのメガネが悪く言ったからだろ。違うか?」

「なんのことかな?」

そんなことを言ってもデクは笑顔を崩さないが俺は続ける。

「だってエリはそっくりじゃねぇか。お前の前世(むかし)の恋人に」

途端に顔を赤くなり飲んでいたジュースを吹き出しかけるデク。

「と、とにかくこの話は終わり。もうすぐ電車が来るし」

そう言って能力を解除した。

俺も深くは言及せずに、電車に乗り込む。

そしてその日の夕飯の後、デクが夕飯の片付け(俺たちは小学校を卒業してからは秘密基地で生活している)をしている間に俺はエリにも聞いてみることにした。

「なぁ」

「な、何?」

相変わらず、俺には懐かないな。いや、反応してくる辺り少しは慣れたのか?。

いや、今はそれより。

「デクの事を、どう思う」

「えっと、デクお兄ちゃんの事は、かっこよくて、優しくて、えっとえっと」

顔を真っ赤にして慌てふためくエリ。

それを見ながら俺はただ、お揃いだなと思ってしまった。

その後、デクがエリと風呂に入っている間、俺は自室でスポーツ飲料を飲みながら一言。

「俺も彼女、欲しいな」

そう呟いていた。


出久side

僕は風呂上がりにエリちゃんの髪を乾かしながら駅でかっちゃんに言われた事を気にしていた。

確かにエリちゃんは僕の前世の僕の彼女に似ている。

髪とか目とか、似ていないところを探すのが大変なくらいだ。

ただ、僕の恋人だった彼女は僕より少しだけ年上だった。

エリちゃんに彼女を合わせる訳ではないけど、今の僕からしたらエリちゃんに手を出すわけにはいかない。

「どうしたの?」

「何でもないよ」

そう、今の僕はエリちゃんよりも10歳も歳上なんだから。

「そろそろ寝ようか、エリちゃん。おやすみ」

「おやすみなさい」

その後僕はいつも通りエリちゃんと一緒のベットに入り抱っこして目蓋を閉ざした。

だけどその日の夜は少しだけ眠れなかった。


壊理side

今日私は寝る前に勝己お兄ちゃんに言われた事を気にしていた。

勝己お兄ちゃんにも言ったけど、デクお兄ちゃんはかっこよくて、優しくて、そして近くにいたら胸の辺りが締め付けられるような不思議な感じ。

デクお兄ちゃんが読んでくれた絵本のお姫様なんかが王子様にしている気持ちに近いかも知れないけど、私にはまだよく解らない。

でも、こうやってデクお兄ちゃんに抱きつくとすごく落ち着く。

この気持ちの正体はなんなのかな。

もう少し私が大人になったら解るのかな?。


時間は遡り雄英高校 職員side

「今年は有能な受験生はいるかな」

受験生に試験内容を説明していたプレゼント・マイクこと山田ひざしが試験会場の映像を見ながらそんなことを語っていた。

それに答えるかのように鼠で校長の根津校長が口を開く。

「限られた時間と広大な敷地…。そこからあぶり出されるのさ。状況をいち早く把握する為の、情報力。遅れて登場じゃ話にならない、機動力。どんな状況でも冷静でいられるか、判断力。そして純然たる戦闘力……。市井の平和を守る為の()()能力が、(ポイント)数という形でね」

「今年は群を抜いてる生徒が2人もいるわね」

女教師の香山がそんなことを言っていた。

「いやー、まだわからんよ。真価が問われるのは…、これからさ!!」

すると校長はYARUKISWITCHと刻まれているスイッチを押していた。

するとビルの形で隠蔽していたエグゼキューターが起動した。

圧倒的脅威。それを目の前にした人間の行動は正直さ………」

多数の受験生が逃げている中、群を抜いてる2人は逃げる素振りを見せていなかった。

「あの2人逃げないのかしら。腰が抜けてるってわけでもなさそうだけど」

次の瞬間、A会場の薄い金髪の少年はエグゼキューターを破壊し、C会場の女の子を抱っこしていた緑色の髪をした少年はエグゼキューターをパーツ事に分解し錆び取りまでしていた。

それを見た校長は一言。

「とにかくこの2人は別のクラスで、良いよね…」

『異議なし』

その日、職員たちの意見は一致していた。

*1
ONE PIECEのナギナギの実の能力及び技



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第10話

根津side

「校長、これはどういう事ですか?」

私の元にクラス名簿を持った相澤くんがやって来た。

「なんでこの2人が俺のクラスで一緒になってるんです」

「そんなの私が聞きたいさ。でもそうなってしまうんだよ」

私が相澤くんに緑谷くんと爆豪くんの名簿とAとBと刻まれた印鑑、そして朱肉を渡す。

不思議に思いながらも印鑑をそれぞれに押していた相澤くんの顔に僅かながら驚きの表情が浮かんでいる。

「校長、これはいったいなんなんでしょうか?」

爆豪くんの名簿にA、緑谷くんの名簿にBの印鑑を押した筈なのに、両方ともAの朱印になっていた。

他の紙に押した時はちゃんと押せていた。

「それなら、パソコンで」

と言ってパソコンで名簿を速攻で作り印刷するがそこにはやはり、クラス分けの欄にはやはり2人ともAと印刷されていた。

「こういうことですか」

私は黙って頷くことしか出来なかった。

「しかしこうなると、うちのクラスだけパワーバランスが崩れるのでは?」

「まあそこは、Plus(プルス)Ultra(ウルトラ)の精神で乗り越えてもらおう」

「もう自棄になってません」

その後、私は渇いた笑いしか出来なかった。


出久side

試験から1週間後、僕たちの元に雄英高校から合否通知を伝えるための手紙が届いた。

中にはホログラムを再生する装置が入っていた。

早速装置を起動すると。

「私が投影された!!!」

オールマイトが写し出された。

「君たち2人の住所が一緒だから君たちの中学の担任に聞いてみたよ。そしたら君たちは共同生活しているみたいじゃないか。なので2人の結果を一緒に伝えようと思ったわけさ。

それよりまずは私が投影された理由を話しておこう。実は今年から私が雄英高校に勤める事になったからさ。

さて、審査の結果だけど2人とも筆記は満点。そして実技試験だけど、なんと君たちは他の受験生たちを何もさせる事なく全ての“仮想(ヴィラン)”を行動不能にしてしまった為、なんと歴代トップの940(ポイント)

さらに我々雄英が見ていたもう1つの基礎能力。その名も救助活動(レスキュー)(ポイント)。その結果は爆豪少年は試験の最後に瓦礫のせいで逃げれなかった受験生を助けた&0Pの“仮想(ヴィラン)”を撃退した事によって救助活動(レスキュー)(ポイント)で60(ポイント)追加。緑谷少年は終始抱っこしていた少女に傷を1つも付ける事なくクリアした事により同じく救助活動(レスキュー)(ポイント)を60(ポイント)追加。命を賭してきれい事を実践した君たちに言おう。主席合格だってさ。来いよ、少年たち!。雄英が君たちのヒーローアカデミアだ!」

僕たち2人は早速両親に電話したが受かって当然のような反応をされた。



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第11話

4月某日 出久side

今日は雄英高校の入学式の日。

僕とかっちゃんの両親は現在海外で生活している。

本当は入学式に合わせて帰国する予定だったみたいだけど、仕事などの関係で帰れなくなった。

その為雄英高校に向かう際に角丸(元)校長が車を出してくれる事になった。

なぜ角丸(元)校長に(元)がついてるのか説明すると、今年の3月で定年退職なされたからだ。

これからは子供夫婦と小さいながらも喫茶店を経営していくそうだ。

その喫茶店が雄英高校に近いため、行きの車を出してくれたらしい。

車を降りた時に頑張れと声を掛けてもらった。

そして僕たちは去り行く車にお辞儀をして3人で教室に向かった。


勝己side

今日は雄英高校の入学式だが、デクの話だと俺たちは入学式に参加しないらしい。

「ところでデク。俺たちって同じクラスなんだよな?」

「そうだけど、どうかした?」

「いや、俺たち2人って入試のツートップなんだよな?。このままだとクラスのパワーバランスが壊れるんじゃないか?」

「確かにそうかも知れないけど、先生たちも何か考えがあるんじゃない?」

「そういうもんなのかね。お、教室はここだな」

俺たちが教室に入ると、そこには。

「き、君たちは!?」

入試の時のメガネがいた。

「ま、よろしく」

俺はそう言うと自分の席を見つけ座った。

デクもメガネを睨み付けた後、俺の後ろの席についていた。

ちなみにエリの事は既に学校側に話してあるのでデクの椅子の隣に小さいながらも席を用意してもらっている。

ただ、今は足を広げたデクの膝の間に座っている。

暫く待つと続々とクラスメートたちが集まってきた。

その中に見知った顔が有ったので軽く挨拶をしておいた。

最後に茶髪で丸い顔をした女子が入ってきた。

だが、俺とデクは見逃さなかった。

その背後に無精髭を生やし、寝袋に身を包んだ男が寝転んでいる事に。

そんなことに気づくはずもなく騒ぐのを止めないクラスメート。

いや、轟は気づいたのか廊下の方を見ていた。

すると突然その男が口を開いた。

「お友達ごっこをしたいなら他所へ行け。ここは…」

ゼリー飲料を一気に飲み込み。

「ヒーロー科だぞ」

そのまま起き上がりに教室に入ってくると寝袋から抜け出し自己紹介を始める。

「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは、合理性に欠くね。担任の相澤消太だ。よろしくね」

え、こいつが担任なのか?。

(そうだよ。この人が担任のイレイザーヘッドだよ)

デクのやつ、直接脳内に話しかけてきやがった。

「早速だが体操着(コレ)着てグラウンドに出ろ」


相澤side

「個性把握…テストォ!?」

俺がテスト宣言すると多くの生徒たちは悲鳴をあげていた。

悲鳴をあげなくとも驚きを隠せない生徒も何人かいる。

「入学式は!?。ガイダンスは!?」

麗日が俺に質問をぶつけてきた。

「ヒーローになるならそんな悠長な行事、出る時間ないよ」

「……!?」

「雄英は“自由”な校風が売り文句。そしてそれは“先生側”もまた然り」

「……?」

俺の説明に毎年の生徒と同じように頭に疑問符を浮かべる生徒たち。

「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈、中学の頃からやってるだろ?"個性"禁止の体力テスト。国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けている。合理的じゃない。まあ文部科学省の怠慢だよ。飯田、中学の時の50m走何秒だった?」

「7秒ぐらいだったと思います」

俺の質問に飯田が答える。

「なら、個性を使って全力でやってみろ」

「分かりました」

結果は水を得た魚のように3秒04という記録だった。

「まず、自分の『最大限』を知る。それが、ヒーローの素地を形成する合理的手段」

俺はそう言いながら飯田の記録を見せる。

それを見た生徒たちの反応も毎年見るのと変わらない。

「なんだこれ!!、すげー()()()()

「3秒04ってマジかよ」

「“個性”思いっきり使えるんだ!!。さすがヒーロー科!!」

「………面白そう…か」

俺がそう呟いた時。

「今、面白そうなんて言った奴、今すぐ普通科に行ったらどうなんだ」

爆豪の奴が口を開き、その後すぐに緑谷も口を開き。

「そうだね。僕たちは遊ぶためにヒーロー科にきたわけじゃないしね」

2人の言葉に「なんだよ、その言い方!!」なんて文句を口にしてる奴もいるが俺は思わず笑ってしまった。

「どうやら、お前たち2人は合理的な様だ。それと、ヒーローになる為の3年間。そんな腹積もりで過ごす気でいるのか、お前ら。よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」

その発言を聞き一気に青ざめる多くの生徒たちを他所にこの2人はというと。

「なら、上に立てば問題無しって事だな!」

「久しぶりに勝負しようか?、かっちゃん」

「負けねぇぞ、デク」

合理的なのか、単純に馬鹿なのかこんな状況を楽しんでやがる。

「生徒の如何は、先生の“自由”。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」



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第12話

出久side

「最下位除籍って…!。入学初日ですよ!?。いや初日じゃなくても…理不尽すぎる!!」

相澤先生の発言を聞き、麗日さんが原作通り反論していた。

「自然災害…大事故…身勝手な(ヴィラン)たち。いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽にまみれてる。そういう理不尽(ピンチ)を覆していくのがヒーロー。放課後マックで談笑したかったならお生憎。これから三年間、雄英は君たちに苦難を与え続ける。更に向こうへ、Plus Ultraさ。全力で乗り越えて来い」

その一言にみんな緊張したのかゴクリと唾を飲む音が聞こえる。

「さて、デモンストレーションは終わり。こっからが本番だ。それと爆豪。身に付けてる制御装置は今後ヒーロー科として行動する時は外しておけ」

その一言を聞いてみんなビックリした表情をかっちゃんに向けていた。

そして制御装置を外したかっちゃんを見て更に驚いていた。

先程までとはまるで外見というか絵面というかそういうのが違うからだ。

一言で済ませるなら北斗の拳のケンシロウみたいな外見だからね。


立ち幅跳び

バルバルーン*1に憑依して記録は無限だった。

ちなみにかっちゃんはワンピースの月歩みたいな事をして無限。

 

50㍍走

僕の能力は今現在3つまで合わせる事ができる。

更に能力を上げる発動形は1段階上げるだけで倍に増える事が分かっている。

それなら殺せんせー*2の速度+こうそくいどう*3+ピオラ*4

その結果はマッハ320なので当然測定不能。

ちなみにかっちゃんは余裕の顔で並走してた。

 

握力

バイキルト*5+ビルドアップ*6を使って握力計を2つ壊してしまった。

八百万さんと障子くん(近くにいた峰田くんと瀬呂くんも)が驚いていた。

ちなみにかっちゃんも壊していたので2人して相澤先生に「初日から学校の備品を4つも壊すな」と言われてしまった。

 

反復横飛び

50㍍走と同じ方法をとった結果残像が見えるほどのスピードでやってしまった。

少なくとも腰に着けた計測器は壊れていた。

ちなみにかっちゃんも同じ結果に終わっていた。

 

上体起こし

かっちゃんに足を押さえてもらってクロックアップ*7でやった結果、4,444回と不気味な数になってしまった。

っていうより、かっちゃんが数えられたのが凄かった。

ちなみにかっちゃんは5桁になろうという時に相澤先生から次があるからその辺で止めとけと言われたので測定不能。

 

長座体前屈

これは体が筋肉の塊であるかっちゃんは無理かなと思ったら蛙吸さんに負けない記録をつけていた。

ちなみに僕はゴムゴムの実の能力を使い無限だった。

 

ハンドボール投げ

麗日さんが自分の“個性”無重力を使い無限を出していた。

ちなみにかっちゃんは思いっきり投げたので大気圏を突破して宇宙に到達してリアル無重力で無限という記録を出してしいた。

そして僕は短い間に数多くの“再現”をして疲れていたのもあってハンドボールを軽く投げ目測3メートルくらいの所で落ちそうになる。

上鳴くんが「ショボっ」と叫んでいたが、記録が無限と言われみんな(かっちゃんと僕の近くにいたエリちゃん、ついでに轟くんを除く)が驚いていた。

だけどタネが分かればこんな簡単な事はない。

ボールを念働力*8で地面に落ちないようにしていただけだ。

 

持久走

僕は相澤先生の許可を得て軽く仮眠をとることにした。

測定が終わってからかっちゃんに起こしてもらった後、なぜか峰田くんと上鳴くんが「くぅー」と叫びながら泣いていたけど、何かあったのかな。

かっちゃんに聞いても「無自覚か!?」と驚かれてしまった。

僕はいつも通り、エリちゃんに膝枕してもらっただけなのに。


「んじゃ、パパっと結果発表。トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括開示する」

結果はかっちゃんが1位で僕が2位になったこと以外は原作通りだった。

峰田くんが「おいらが、最下位!?」と落ち込んでいた。

「ちなみに除籍はウソな。君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

『……はーーーーーー!?』

そりゃみんな驚くよね。

「あんなのウソに決まってるじゃない…。ちょっと考えればわかりますわ…」

八百万さんがそう言っていたので僕は相澤先生に返答することにした。

「先生、その言葉がウソですね」

「え!?」

八百万さんが僕たちに驚いた顔をこちらに向けてきた。

「先生の事を調べさせてもらいました」

僕は“全平行世界書”を開きながら語る。

「先生は去年の1年生…1クラス全員在籍処分にしているじゃないですか」

すると先生はニヤリと笑うと。

「今年は見込み0の生徒はいなかった。それだけだ。それと教室にカリキュラム等の書類があるから目ぇ通しとけ」

そう言うと先生は去っていった。


初日終了 下校時間

僕とエリちゃんとかっちゃんが帰ろうとしていると飯田くんが話しかけてきた。

「相澤先生には驚かされてしまったよ。それとそちらの少女のことも兄に聞いた。君たちがヒーロー協会から保護を任されている子供だったのだな。知らなかったとはいえ、失礼した」

頭を下げてきた。

「別に良いよ。気ににしないで、でも」

僕は素早く飯田くんに足4の字固めを仕掛ける。

「手を出したら、許さないよ」

飯田くんは首を縦に激しく降りながら地面を叩いていた。

それを見ていたかっちゃんがエリちゃんの目と耳を押さえながら。

「デク、人がしちゃいけないような笑顔してるぞ」

とか言ってきた。

なので、飯田くんを解放してあげることにした。

するとそこに麗日さんがやって来た。

「そこの皆さーん駅まで?。待って-!」

「君は∞女子」

「麗日お茶子です!。えっと飯田天哉くんに」

「俺は爆豪勝己だ」

「僕は緑谷出久。こっちはエリちゃん」

「よろしくね。でも、緑谷くんって出久って名前なんだ。爆豪くんがデクって呼んでたし」

「別称か。しかし木偶ってのは酷いんじゃないのか?」

「その木偶じゃねぇーよ。()ラッ()スを略してデクって呼んでるだけだ」

「成る程。しかし緑谷くんの“個性”はなんなんだ」

僕は飯田くんと麗日さんに説明をしてあげた。

最初は2人とも驚いていた。

でもなんとか2人は納得してくれたみたいだ。

「じゃあ、私もデクくんって呼んで良い」

「別に良いよ」

そんな事を話ながら、僕たちは帰宅した。

*1
ぞくぞくヒーローズに登場するブライトヒーローの一人。

*2
暗殺教室の担任にして暗殺対象

*3
ポケモンの技 すばやさを二段階アップする

*4
ドラクエの呪文 DQJ3の判定で素早さを二段階上げる

*5
ドラクエの呪文 DQJ3の判定で攻撃力を二段階上げる

*6
ポケモンの技 自分の『こうげき』『ぼうぎょ』ランクを1段階ずつ上げる。

*7
仮面ライダーカブトに登場する能力

*8
絶対可憐チルドレンの明石薫をはじめとした超能力者の能力の1つ




今回、誤字報告をいただいたのですが、コミックを確認したところちゃんと除籍処分と書かれていたため、誤字ではないと思い元に戻させていただきました。

これからも誤字脱字がありましたら教えてください。


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第13話

勝己side

雄英高校は普通の高校とは違うところがある。

「んじゃ次の英文のうち、間違っているのは?」

プロヒーローが普通の授業も行っている事だ。

「おらエヴィバディヘンズアップ。盛り上がれ」

ちなみに英語はプレゼント・マイクなのだが、普通だな。

「関係詞の場所が違うから、4番だと思う」

デクのとなりに座ってるエリが答えると。

「正解だ、リトルガール。俺に何か質問があるならしてみ」

プレゼント・マイク、それは悪手だと思うぞ。

何故なら。

「えっと、それなら。Qual è il tuo vero nome?」

『へ?』

プレゼント・マイクどころかクラスの大半が頭に大量の?マークを浮かばせていた。

「هل تفهم كلماتي؟」

普段からデクが色んな事を教えてるからエリの奴頭が良くなりすぎてんだよな。

エリから顔を離さないように後退りしながら教室のドアに向かうプレゼント・マイク。

ちょうどそのタイミングでチャイムがなった。

「とりあえず、俺の授業はここまで」

そう言うと逃げるように教室を去っていった。

そして休み時間にはクラスメート全員から質問攻めを受けることになったエリだが、デクに教わったと聞くなりデクが話題の中心になっていた。

ちなみに「Qual è il tuo vero nome?」はイタリア語で「あなたの実名はなんですか?」だ。

ちなみに俺が理解できているのはデクがエリに教えている際に近くにいて、偶々覚えたにすぎない。

この時ばかりは聞き流し学習は凄いと思ってしまった。

そして昼は大食堂で一流の料理を作るプロヒーローであるランチラッシュの料理を安価で頂ける、のだが。

「デクお兄ちゃんの作った料理の方が美味しい」

エリの一言によりデクVSランチラッシュの料理勝負が始まっていた。

結果は火を見るより明らかで。

勝者(ウィナー)、緑谷出久」

いつの間にか審判をしていたミッドナイト先生が勝利宣言をしていた。

まあ、“再現”を利用してるのは分かったけどな。

少なくともサンジ*1、幸平城一郎*2、フローゼ*3の誰かの料理スキルでも使ったんだろうな。

俺は食べ終わったデクの手作り弁当*4をしまいながらそんな事を考えていた。

そして午後からの授業は、ヒーロー科の待ちに詫びた授業、ヒーロー基礎学!!。

「わーたーしーがー!!、普通にドアから来た!!!」

オールマイトが教室に入って来てクラスが大騒ぎになっていた。

ちなみにエリは今、保健室でお昼寝中だ。

「ヒーロー基礎学!。ヒーローの素地をつくる為、様々な訓練を行う科目だ。早速だが今日はコレ!!。戦闘訓練!!!」

battleと書かれたカードを見せながら宣言するオールマイト。

「そしてそいつに伴って…こちら!!!」

オールマイトがリモコンを押すと俺たちの近くの壁が一部動き、ロッカーのようなものが出てきた。

その中に1から20の数字が入った袋が入っていた。

「入学前に送ってもらった「個性届け」と「要望」に沿ってあつらえた…戦闘服(コスチューム)!!!」

書いてある数字は出席番号なんだろうな。

俺も17と書かれた袋を手に取る。

「着替えたら順次、グラウンドβに集まるんだ!!」

『はーい!!!』

「格好から入るってのも大切な事だぜ、少年少女。自覚するのだ!!!。今日から自分は…ヒーローなんだと!!。さあ!!、始めようか。有精卵共!!」

*1
皆さんご存知、ONE PIECEの登場キャラ、黒足のサンジ

*2
食戟のソーマの主人公、創真の父親で修羅と呼ばれた料理人

*3
トリコの登場キャラで、神の料理人と呼ばれた料理人

*4
銀魂に出てきた日輪が晴太に作っていた弁当をイメージしてください。



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第14話

出久side

被服控除。

入学前に『個性届』『身体情報』を提出すると、学校専属のサポート会社がコスチュームを用意してくれる素敵なシステムだ!。

『要望』を添付することで便利で最新鋭のコスチュームが手に入る。

そんな中かっちゃんのコスチュームを見て切島くんが。

「なんだ、その漢らしさ全開なコスチューム」

「デクが作ったんだが、似合ってねぇか?」

「むしろ逆に似合いすぎてるよな」

上鳴くんが引きながら言っていた。

そう、かっちゃんのコスチュームは僕が作ったものだ。

かっちゃんの個性が原作と違うように、コスチュームも違う。

見た目だけなら、金剛力士像みたいな格好だ。

「デクくん、コスチューム間に合わんかったの?」

麗日さんが僕のコスチュームを見てそんな事を言ってきた。

「こう見えて防弾防刃に耐寒耐熱性も充実してるんだ。ちなみに自分で作った」

僕のコスチュームはパッと見私服だから仕方ないよね。

「麗日さんは何て言うか」

「あ、うん。要望ちゃんと書けばよかったよ…。パツパツスーツんなった」

それを見た峰田くんが「ヒーロー科最高」なんて言ってた。

「先生!、ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか?」

僕のとなりにいた飯田くんがオールマイトに質問をしていた。

「いいや!、もう2歩先に踏み込む!。屋内での対人戦闘訓練さ!!。(ヴィラン)退治は主に屋外で見られるが、統計で言えば屋内の方が凶悪(ヴィラン)出現率は高いんだ」

みんなの唾を飲む音が聞こえる。

「監禁、軟禁、裏商売。このヒーロー飽和社会。真に賢しい(ヴィラン)は、屋内(やみ)にひそむ!!。君らにはこれから、『(ヴィラン)組』と『ヒーロー組』に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう」

その言葉にクラスメート全員に衝撃がはしる。

「基礎訓練もなしに?」

「その基礎を知るための実践さ!」

蛙みたいな格好をした生徒の蛙吹さんの質問にオールマイトが答えていた。

「ただし、今度はブッ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだ」

原作でもあった通り、みんなが思い思いの事を言い、オールマイトが聖徳太子とか言ってた。

「いいかい!?。状況設定は『(ヴィラン)』がアジトに『核兵器』を隠していて、『ヒーロー』はそれを処理しようとしている。『ヒーロー』は制限時間内に『(ヴィラン)』を捕まえるか、『核兵器』を回収する事。『(ヴィラン)』は制限時間まで『核兵器』を守るか、『ヒーロー』を捕まえること。コンビ及び対戦相手は、くじだ」

「適当なのですか!?」

「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップする事が多いんだ。これはその予行練習みたいなものだね」

飯田くんの意見にオールマイトが答えていた。

「先を見据えた計らい…失礼致しました」

で、くじを引いたのだが。

A 飯田 瀬呂

B 口田 障子

C 轟 八百万

D 切島 芦戸

E 峰田 上鳴

F 葉隠 蛙吹

G 常闇 青山

H 砂藤 耳郎

I 麗日 尾白

J 爆豪 緑谷

という原作とは違う組み合わせになり、僕とかっちゃんがコンビになってしまった。

「なんか、パワーバランスが偏ったチームができちゃったけど、始めようか。細かいルールとしては、(ヴィラン)チームが先に入ってセッティングを!。5分後にヒーローチームが潜入でスタートする。他の皆はモニターで観察するぞ!」

で、結果は。

A((ヴィラン))対I(ヒーロー)は瀬呂くんの“個性”が飯田くんの足を引っ張り、殆ど自滅という結果に。

D(ヒーロー)対F((ヴィラン))は切島くんが「(おとこ)が女に手を出すとか」言ってるうちに確保されていたがその隙をついて芦戸さんが核を回収して勝利。

B(ヒーロー)対H((ヴィラン))は障子くんが内部を調べようと耳を複製し内部の予想を使用した際に耳郎さんの“イヤホンジャック”から爆音を流され、怯んでる隙に慌てふためいている口田くん共々砂藤くんに確保されていた。

C(ヒーロー)対G((ヴィラン))はさすが推薦組というか、コンビネーションプレイが凄かった。

更に常闇くんと青山くんの“個性”が常闇くんの黒影と相性が悪かったってのもあるだろうな。

そして、遂に僕たちの出番だ。

僕たちが(ヴィラン)で上鳴くんたちがヒーローだ。

さあ、始めようか。



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第15話

電気side

俺たち2人の対戦相手は、入試試験と昨日やった相澤先生の個性把握テストでトップになった2人が相手だ。

正直に言って勝てる気がしない。

けどやるしかない。

2人が入って5分後、俺たちがビルに入ると。

「なんだ、コレ」

ビルの内部が殆ど光る赤い塗料で塗られていた。

ただ、壁や窓だけは黒い色で塗られている。

俺たちが驚いていると階段の方から勢いよく駆け下りる音が聞こえてきた。

そして、「まずは1人、確保」と言いながら爆豪が峰田を襲っていた。

俺はその隙に階段に向かっていた。

少なくとも爆豪が上から来たって事は核は上の部屋にあると思ったからだ。

2階に上がる時、壁の方を見たが踊り場の方まで真っ黒に塗られ、階数表示まで黒く塗られている。

そして2階も同じように色が塗られていた。

全ての部屋を確認して3階へ向かう。

どうやら爆豪はまだ俺を追ってきていないみたいだ。

3階と4階も同じ様な感じだったが5階にたどり着いた時、俺は違和感を覚えていた。

このビルは5階だったのに、なぜ上に続く階段があるんだ。

俺は上が気になり上の階へ足を進める。

するとそこにはやはり上へ続く階段が続いていた。

少し休んで峰田に連絡したが返事はない。

爆豪に捕まったか、隠れていて連絡をとれない状態なのかは分からない。

俺は更に上へと足を向かわせる。

だが、何階も昇ろうが上へと続く階段は続いていた。

もう5分くらいはたっただろうかと思い、腕時計を見てみるが、まだ3分しかたっていなかった。

その後も俺は5階上がる毎に腕時計を確認して進むことにした。

それを繰り返し、3桁を越えたあたりだろうか、オールマイトから「そこまで、タイムアップにより敵チームのWIN」の声を聞いたとたんに俺はその場に崩れたように座っていた。

その後俺は年甲斐もなくオールマイトにおんぶされ、上からやって来た緑谷と合流し外へと出た。

後日、俺の足が筋肉痛になったのは言うまでもない。


出久side

うーん、少しやり過ぎたかな。

僕は今回クロウカード*1のループ*2と透視能力*3を使った。

慣れてきたのか、2つまでなら意識を保てるようになっていた。

ちなみにかっちゃんにはこの事を事前に話してあるので上鳴くんを追ったりはしていなかった。

峰田くんを捕まえた後は1階の1室で待機していたみたいだし。

かっちゃんの着替えも終わり、教室に入ると皆が思い思いに話していたが、僕とかっちゃん(制御装置付き)に気づくと皆して僕たち2人に色々と質問をしてきた。

それに答える度に皆して驚いていた。

例えばかっちゃんがエンデヴァーの弟子と聞いた時に轟くんが「本当だ。下手すれば親父よりずっと強いと思うぞ」なんて言ったりもした。

他にも僕の個性を知った時に芦戸さんが「才能マンじゃん」なんて言ったりもしたけど、八百万さんが「いえ、才能だけではありませんわ。それだけ膨大な能力を自由自在に使い分けれるということは、それなりに努力したという事ではないでしょうか」と賛同してくれた。

そのまま帰りのホームルームを挟んでも皆まだ喋り足りないみたいなので、僕たちは場所を変えて話すことを提案した

なので僕たちは喫茶店【Antico e moderno oriente e occidente】(イタリア語で古今東西)で話をすることにした。

ここは門丸(元)校長が経営している喫茶店だ。

喫茶店と言っても門丸(現)店長の方針でサンドイッチのような物から、カツ丼等と言った丼物、更には海外の高級料理等も扱っている。

ちなみに僕とかっちゃんはこの店で週に1度アルバイトもさせてもらっている。

ちなみに時給900円×10時間(休憩時間2時間)+交通費+3食つき(更に10時と15時におやつも出る)とそれなりに貰ってたりする。

その後、駅で各自別れてそれぞれ帰路についた。

*1
カードキャプターさくらに登場するカード

*2
クロウカードの1種。アニメオリジナルカード

*3
超能力漫画などによくある能力



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U.S.J編
第16話


勝己side

オールマイトの授業の次の日。

俺たちが登校していると雄英高校の前に沢山の人だかりができていた。

「なんだ、アレは?」

「マスゴミの人達だね。多分オールマイトの取材に来たんじゃない?」

「厄介な連中って事か。どうするんだよ」

「隙間はあるみたいだからそこを通らせてもらおう」

「いや、普通にそこで質問攻めにされるだろう」

俺がそう言うとデクはニヤリと笑い…。

「僕の“個性”を使うんだよ」

そう言うと右手でエリの手を繋ぎつつ左掌を上に向け。

「魔界777ツ能力(どうぐ)無気力な幻灯機(イビルブラインド)*1

その言葉と同時に六芒星のような物が俺たちに向かって降りてきた。

「周囲10mの僕たちの存在の解像度を下げる能力だよ。存在の解像度というと難しく聞こえるけど、端的にいうと異常に目立たなくなる能力なんだ。その証拠にほら」

デクが一番後ろにいたマスコミの目の前で手を振っても気づかれてない。

俺たちはこの能力を利用して校舎に入った。

そして、教室に入ると…。

「俺、インタビューされちまったよ」

「俺もだよ。緊張したな~」

等と盛り上がってた。

「オッス、仲良し3人組(トリオ)。お前らインタビューになんて答えたんだ?」

確かこいつは、上鳴だったか。

「デクの“個性”を使って無視してきた」

「あー、勿体ない。テレビデビューしてプロに近づく1歩だったのに」

ピンク色の肌をした生徒で確か名前を芦戸、だったか。

芦戸がそう言って来たが。

「それはどうだろうね。良くて多分オールマイトに関しての取材部分だけ使われて、顔にモザイクかけて機械音声にされるか、悪ければ言ってた内容をキャスターが都合の良いように改悪されたものが使われるかのどっちかだと思うよ」

デクの一言に引くクラスメートたち。

まあ、デクの発言もある意味正論だからな。

そんな事を話していると相澤が教室に入ってきた。

「朝のHR(ホームルーム)を始めるぞ。席につけ」

その言葉で全員が席につくと。

「さて、昨日の戦闘訓練お疲れ。Vと成績見させてもらった。さて、HR(ホームルーム)の本題…。急で悪いが今日は君らに、学級委員を決めてもらう」

『学校ぽいの来たー』

クラスメートが騒いでいた。

だが全員が騒いでる訳ではなく、騒いでいない奴もいる。

鳥みたいな顔をした常闇。

推薦組で入学した轟と八百万。

そして、俺たち3人組。

ちなみに誰が学級委員になるかは飯田の発言で投票制になったのだが。

 

爆豪 10票

緑谷 10票

峰田 01票

 

「何でだー!?」

俺の後ろの席の峰田が騒いでいた。

「自分の欲望丸出しの人にはいれたくないんじゃない」

デクがそう言うと。

「そこじゃあねぇよ。この組は20人なのに合計数が21票になってんだよ」

「あ、私が入れた」

エリがそう言うと。

「なんでだよ。お前はクラスメートじゃ」

そこまで峰田が言った時、俺は脳裏に前世の頃見た動画で黒地に白い文字で死亡と書かれた服を着た女の子が「立ちました」っていう声を聞いた気がした。

「エリちゃんが、なんだって?」

「痛い、痛いって。ギブギブ」

俺は改めて投票結果を見て。

「ってことは、俺とデクで委員長をやれって事か」

ちなみにデクは峰田に4の字固めをやっていた。

「そう言うことになりますわね」

八百万がそう言った後、俺は黒板の前に立つと。

「じゃあ、今日から俺とデクの2人で学級委員をやらせてもらう」

皆が拍手するなかただ1人。

「その前に、おいらを助けてくれ」

峰田が叫んでいたがクラス一同に自業自得と言われ放置されていた。

ちなみに峰田が解放されたのは1時限が始まる少し前だった。


昼休み

「ところで学級委員って何をやれば良いんだ?」

「それはだな…」

俺はデクの手作り弁当を食べながら飯田から学級委員の仕事内容を教わっていた。

ちなみにデクはというと…。

「麻婆豆腐3人前とカツ丼2人前。それからウフアラネージュできたよ」

ランチラッシュがデクに敗北し《しばらくの間、料理修行の旅に出てきます。探さないでください》と書き置きを残して居なくなってしまったので代わりに厨房に入ってる。

しかもこれが生徒に人気で今では作ってほしい料理の名前を書いた生徒たちが長蛇の列を作る程である。

その為食べ終わった生徒たちが《ただいま30分待ち》と書かれたプラカードを持って立っているほどだ。

ちなみにエリはというと。

「…むぅ」

ちょっと不機嫌そうな顔をしていた。

「どうしたの、エリちゃん」

麗日が話しかけると。

「なんかデクお兄ちゃんが、他の女の人たちと話してると思うと」

そしてその言葉を聞き1年A組の女子たちはニッコリと微笑みながらエリを見ていた(葉隠だけは透明だから分からねぇけど服の皺からエリの方を向いてるのはわかった)。

そんな中、突然警報が鳴り出した。

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは屋外に避難してください』

急な事にパニクる生徒たち。

なんとか先輩に聞けた話によると校舎内に何者かが侵入したことと、3年間で初めてらしい。

「デク、何か分かるか」

俺がデクに相談すると。

「報道陣だね。そっちの方は僕がなんとかするからかっちゃんは飯田くんと麗日さんに指示をお願い」

俺はすぐにデクの言いたい事を理解しすぐに2人に指示を出した。

「麗日、飯田を浮かせろ。飯田は浮いたらすぐに入り口の所まで飛べ」

「「了解」」

2人はすぐに行動に移ってくれた。

ちなみにエリは俺が保護していた。


出久side

僕が校門の前に見に来ると。

「オールマイト出してくださいよ!!。いるんでしょう!?」

「非番だっての!!」

「一言コメント頂けたら帰りますよ」

「一言録ったら二言欲しがるのがあんたらだ」

マスコミ、いやマスゴミもここまで来るとただの暴動だね。

僕はマスゴミ連中の顔を“全平行世界書”で検索することにした。

色々な能力で“全平行世界書”を強化できないか実験していたところ大きく分けて3つの特殊な力を得ることに成功した。

その1つが僕が見た事(覚えていることが条件)があるモノ(生物、非生物問わず)を画像で検索し、名前や特徴。

更にはそれが生物なら、その生物が持つ過去の経歴等も分かるようになった。

さすがに未来までは読めないが。

僕は一番手前にいたマスゴミの名前を調べ。

「鱒子美可」

「え、なんで私の名前を!?」

僕に突然名前を呼ばれ、驚く鱒子記者を他所に僕は続ける。

「誕生日は93年4月25日。血液型はB型。家族構成は」

僕が彼女のプロフィールや知られたくない過去の話を持ち出すと彼女は顔を真っ赤にして。

「そ、それ以上は名誉毀損で」

そんな事を言うので僕も反撃する。

「何を言ってるんです。人のプライベートを知ろうとするからこんなことになるんですよ。それとこんな言葉を知ってますか。深淵をのぞく時深淵もまたこちらをのぞいているのだ。意味は、よくお分かりですね」

次の瞬間彼女はその場から逃げ去っていった。

記者の1人が「情けない奴。個人情報をしっかり隠しておかないから」等と言っているけどこの進化を遂げた“全平行世界書”の前では無力なんだけどね。

「当然、貴方の事も知っていますよ。女性週刊誌の記者の五味陽太さん」

「な、なんで俺の名前を」

「調べはついてるんで。貴方、親のコネ入社でしょ。勿論他の記者の皆さんも調べはついてるんで、これ以上続けるなら、ね?」

すると報道陣たちは蜘蛛の子を散らすよう全員が逃げていった。

その後、プレゼント・マイク先生に怒らせると怖いタイプだななんて言われてしまった。

後日談になるがこの場にいた報道陣たちは全員が退職して自室に閉じ籠っているそうだ。

*1
魔人探偵脳噛ネウロに登場する能力の1つ



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第17話

先週、先々週と投稿できずにすみませんでした。


マスゴミ襲来事件の日の夜 出久side

僕たちは今、僕の“再現”を利用して試作したアイテムの性能を試していた。

「こいつは、思ったよりもきついな」

あのかっちゃんが肩で息をする程の反動だ。

「コレでも、コン…ピューターの…計算結果だけで言えば出力は0.01%だからね」

僕自信も激しい睡魔に襲われ、油断すれば寝てしまいそうになる。

「お兄ちゃんたち、大丈夫?」

エリちゃんが僕たちを心配して戦闘訓練用の部屋に入ってきた。

「少し休憩を挟まれてはいかがでしょうか?」

一緒に入ってきた女性にも言われてしまった。

ちなみに彼女はエリちゃんの護衛のために作ったロボット、No.1641-398だ。

見た目はメイド服に銀髪ヘアーで横髪を伸ばしたショートカットでその横髪を三つ編みにした女性形のロボット。

だけど、戦闘能力はかなり高い。

「じゃあ、1時間ほど休むか」

「そう…だね…。僕も、ちょっと仮眠を取るよ」

そう言うと僕は寝ることにした。


勝己side

俺はデクの新しい発明品を眺めながら途方にくれていた。

この発明品は俺とデクのシンクロ率がものをいう発明品だ。

いくら幼馴染みと言っても、俺たちは基本的に正反対なタイプだ。

その正反対な所が巧くいかない原因だというのは俺にも分かる。

何かしら共通点があれば、力を発揮できるのに。

「あの、お願いがあります」

気付くと俺の側に1641-398が来ていた。

「何かようか?」

「相談があります。くれぐれも、ムチャは止めてください」

「それは難しい相談だな。男ってのはムチャする生き物だからな」

「お願いします。何かあればお嬢様が悲しみますので。この屋敷には私を含め沢山のロボや生物たちが居ますが、人間はお嬢様と御主人様と貴方の3人しか居ないのです。私たちは確かに親代わりにはなれるでしょうが、人の温もりを与えることは出来ないので」

デクが埋め込んだAIとはいえ、ここまで感情を持つものなのか?。

でもまあ、ロボットとはいえ女性の頼みだ。

「分かった。約束してやるよ」

「そう言っていただき、感謝致します。さて、1時間経ちましたので御主人様を起こして参りますね」

そう言ってデクを起こしてきたので、俺たちは特訓を再開した。

だが、巧くいかずその日は止めにした。


マスゴミ襲来事件から数日後 出久side

「今日のヒーロー基礎学だが…、俺とオールマイト、そしてもう1人の3人体制で見ることになった」

この言い方からして今日がUSJの日かな?。

「ハーイ、なにするんですか!?」

「災害水難、なんでもござれ。人命救助訓練だ!!」

やっぱりね。

その後、コスチュームの着用は各自で判断で構わないと言われたが、全員がコスチュームに着替えていた。

だけど、原作と大きく違うのは。

「デクお兄ちゃん、楽しみだね」

「そうだね」

この場にエリちゃんがいることだろう。

本当だったらリカバリーガール先生に預かって貰おうと思ったんだけど、エリちゃんが僕たちのヒーロー活動をしてるところを見たいと言った為に連れてきた。

そしてバスに乗って移動中。

「私思ったことを何でも言っちゃうの、緑谷ちゃん」

「何?。蛙吸さん?」

「梅雨ちゃんと呼んで。貴方の“個性”で私たちの“個性”も再現できるのよね」

「うん、出来るよ」

「そういや、前にそんな話をしたよな」

切島君がそう言ってきた。

「でもそれって結局は俺たちの真似っこって事だろ」

上鳴君がそう言うと。

「でもその二番煎じに負けてたじゃん」

「俺はまだ成長途中だし、プロヒーローなら」

耳郎さんにそう言われ、慌てて否定する上鳴君だけど。

「イヤ、プロでも敵わないだろうな。デクは複数の技を連携技(コンボ)で使いこなせる。そうすれば“単発の個性”よりも“複数の個性”を使いこなすデクの方が何倍も強ぇ」

かっちゃんがフォローしてくれた。

「確かにそうかも知れねぇけど、そう簡単に2つ以上の個性なんて使いこなせるのか?」

瀬呂君が聞き返すと今度は轟くんが。

「まあ、簡単じゃないだろうな。俺も親父と母さんの2つの個性を合わせ持ってるけど、2つ同時に使いこなすのは難しい。簡単に言うなら両手で違う字を書いてるようなもんだ。例えば右手で三、左手で川って漢字を同時に書けるか?」

「ゆっくりとなら書けますけど、急には無理ですわね」

八百万さんが返答していた。

「そういうことだ。小出しなら俺でも出来る。けど最大出力で尚且つコントロールするのは俺でも難しい」

「まあ、そうだよね。最大出力でコントロールするっていうと驫と鸞をそれぞれ書けって言ってるもんだからね」

「でも緑谷さんは同時に3つまで使いこなせるんですよね。相当努力をなさられたのでは」

「まあね」

僕がそう言うと。

「やっぱり派手で強いとなると緑谷だよな。逆に単純で強いといえば爆豪だけどな」

切島君ががそう言うとかっちゃんはふんと鼻息を出すと。

「俺のは鍛練が物をいう個性だからな。鍛えれば鍛える程強くなる。その成果並のトレーニング器具じゃ足りなくなってきたけどな」

そんな話をしていると。

「お前ら、もう着くぞ。私語もその辺にしとけよ…」

『ハイ!!』

相澤先生の言葉に僕たちは気を引き締め直した。


壊理side

「うわー、何ここ!?」

私は今、無理を言ってデクお兄ちゃんたちの授業を見せてもらいに来ていた。

でも着いた所は遊園地みたいな所だった。

「USJかよ」

赤いトゲトゲした髪の毛の人がそんな事を言ってた。

「水難事故、土砂災害、火事、etc.。あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も…ウソの()災害や()事故ルーム()

宇宙飛行士みたいな格好をした人が解説してくれた。

デクお兄ちゃんによると13号って名前で災害救助でめざましい活躍をしている紳士的なヒーローらしい。

後、デクお兄ちゃんの隣に立っているお茶子さんは13号先生のファンらしい。

……なんかデクお兄ちゃんとの距離が近い気がする。

なんか胸の辺りが変な感じがするので、デクお兄ちゃんとお茶子さんの少し空いた隙間からデクお兄ちゃんに抱きつく事にした。

すると今度はさっきの感じは無くなったけど、心臓の音が激しくなった気がする。

「どうしたの?、エリちゃん」

心配したデクお兄ちゃんが顔を近づけて話しかけてくれたけど、さっきよりも音が大きくなった気がする。

なんで??。


勝己side

デクがエリを心配している様子を暖かい目でいた13号がはっとしたような顔をして演説を始めた。

「えー、始める前に、お小言を一つ二つ、三つ」

どんどん増えるな…。

「皆さん、ご存知だとは思いますが、僕の“個性”は“ブラックホール”。どんなものでも吸い込んで、チリにしてしまいます」

「その“個性”で、どんな災害からも人を救い上げるんですよね」

デクがそう言うと。

「ええ…。しかし、簡単に人を殺せる力です。皆さんの知るヒーローの中にもそういう“個性”がいるでしょう」

エンデヴァーの“ヘルフレイム”なんかもそうだ。

「超人社会は“個性”の使用を資格制にし、厳しく規制することで、一見成り立っているようには見えます。しかし、一歩間違えば、容易に人を殺せる“いきすぎた個性”を個々が持っていることを忘れないで下さい。相澤さんの体力テストで自身の力が秘めてる可能性。オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。この授業では、心機一転。人命の為に“個性”をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は、人を傷つける為にあるのではない。助ける為にあるのだと、心得て帰って下さいな」

長いな。

「以上、ご清聴ありがとうございました」

13号が言い終わった直後。

「一塊になって動くな。13号、生徒を守れ」

命を救える訓練時間に俺たちの前に現れた。

「なんだアリャ。また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」

「動くな、あれは(ヴィラン)だ」

プロが、何と戦っているのか。

「13号に、イレイザーヘッドですか。先日頂いた教師側のカリキュラムでは、オールマイトがここにいるはずなのですが」

「やはり先日のはクソ共の仕業だったか」

「どこだよ。せっかくこんなに大衆引きつれてきたのにさ。オールマイト、平和の象徴、いないなんて」

何と向き合っているのか。

「子供を殺せば、来るのかな」

それは途方もない、悪意。



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第18話

長いこと待たせてすみませんでした。
誤字脱字がないかなどのチェックや、仕事が忙しくなかなか更新できませんでした。


勝己side

(ヴィラン)ン。バカだろ!?」

「ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」

切島や瀬呂が騒いでるがそんな中冷静に八百万が。

「先生、浸入者用のセンサーは!」

「もちろんありますが…!」

13号がそう答えるが。

「現れたのはここだけか学校全体か…。何にせよセンサーが反応しねぇなら、向こうにそういうこと出来る“個性”がいるってことだな」

轟の奴が冷静に分析していた。

「校舎と離れた隔離された空間。そこに少人数が入る時間割…。バカだけど、アホじゃない。これは、何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だよ」

でも、一番冷静だったのは俺の幼馴染み(デク)だった。

「13号避難開始!。学校に電話試せ!。センサーの対策も頭にある(ヴィラン)だ。電波系の“個性”が妨害してる可能性もある。上鳴、お前も“個性”で連絡試せ」

そう言うと相澤は1人で敵連中に向かっていった。

そんな中俺たちが避難しようとしていると。

「させませんよ」

俺たちの前に黒い霧のようなモノが発生していた。

「初めまして。我々は(ヴィラン)連合。僭越ながら…この度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは、平和の象徴、オールマイトに、息絶えて頂きたいと思ってのことでして」

なん、だと。

「本来ならば、ここにオールマイトがいらっしゃるハズ。ですが、何か変更があったのでしょうか?。まあ、それとは関係なく、私の役目はこれ」

そこまで奴が言った時、俺の隣にいた切島が奴を攻撃していた。

「その前に俺たちにやられることは考えてなかったか!?」

俺は慌てて止めようとしたが間に合わなかった。

「危ない危ない。そう…生徒といえど優秀な金の卵。散らして、嬲り殺す」

次の瞬間、奴の体から視界を遮る程の黒い霧が現れ俺たちを包み混んでいた。


次の瞬間、俺と切島は建物が崩壊してるような所にいた。

「ここは、何処だ?」

「多分、倒壊ゾーンだろうな」

切島の質問に俺は周りを確認していた。

「俺の攻撃、奴に通用してなかった」

「当たり前だ。お前の“個性”も俺と似たようなタイプだから言っておくが、接近戦タイプは視野が狭くなる。だから近づく前に周りを確認しろ」

「わ、悪い」

「まあ、お前のおかげで気づけた事もあるが、それは後回しだ。構えろ」

「どうした?」

「敵に囲まれてる」

「な!?」

俺がそう言うと隠れていた敵連中が姿を現した。

「ち、不意打ちを狙ったが簡単にはいかねぇか」

「どうする、爆豪」

「俺がこいつらを倒す。だからお前は俺の闘いを見て、覚えろ」

「あ、ああ」

俺はそう言うと奴らに向かって行った。


鋭児郎side

それはまるで、無双ゲームのようだった。

爆豪の戦闘力の高さは知っていたつもりだった。

けれど、それは生徒だけの中ではと思っていた。

(ヴィラン)が攻撃しようとすれば攻撃を回避して反撃をする。

俺も闘いに加わろうとしたが、かえって自分が足手纏いになりそうでできなかった。

そんな中残った(ヴィラン)の1人が爆豪に静かに近より襲いかかろうとしていた。

「ば」

俺が声をかけようとしたがそれよりも早く爆豪が裏拳を決めていた。

「これで全員だな」

「す、凄ぇ」

俺にはそれしか言えなかった。

「急いで戻るぞ。仲間のピンチだからな」

そう言うと爆豪は走り出した。

俺も爆豪に合わせて走る。

幸いにも爆豪が俺に速度を合わせてくれてるおかげで道中の(ヴィラン)を撃退してくれた。

それはそうと、俺は気になることを聞いてみることにした。

「なあ、爆豪。俺の攻撃で気づけた事って」

「ああ、それはだな」


時は少し遡り出久side

僕は今、蛙吹さんと峰田くんと一緒に水難ゾーンに飛ばされ、船内に避難している。

「どうする、緑谷。おいら達囲まれてるぞ!」

敵にビビっている峰田くんが僕の右腕に捕まりながら僕に話しかけてきた。

「大丈夫。僕には策がある」

「ケロ?、それってすぐに実行できるのかしら」

「勿論。峰田くん、もぎもぎを1つ、敵に向かって投げてくれる?。後、着水後に爆発するぞとか言ってくれる?」

「はぁ、おいらの“もぎもぎ”にそんな効果は無いって!」

「良いから。僕に任せておいて」

僕がそう言うと峰田くんはしぶしぶ了承してくれた。

そして。

「爆発するぞ!」

『は……?』

その場にいた峰田くんの“もぎもぎ”を避けた敵連中が素っ頓狂な声を出した次の瞬間、爆発する“もぎもぎ”。

敵からは爆煙で見えないだろうが、峰田くんや蛙吹さんも驚いていた。

「ほら、峰田くん、もう一発」

峰田くんは黙ったまま頷き、そして先程と同じく“もぎもぎ”を投げ着水と同時に峰田くんの「爆発するぞ」の声と共に爆発する“もぎもぎ”。

すると敵の1人が。

「なるほど、そういうことか」

「なんか分かったのか?」

「さっきから着水してからあのチビのガキが「爆発するぞ」って言ってから爆発を起こしてる。つまり」

「その隙をつけば爆発することはねぇって事だな」

それで意を決したのか接近してくる(ヴィラン)連中。

それにビビって峰田くんは慌てて大量に“もぎもぎ”を投げる。

ここまでは全部、僕の()()()()だ。

なので今度は着水する前に爆発させる。

するとどうなるかは、明らかだ。

「おい、話が違うぞ!」

「どうなってやがる?」

「俺だって知らねぇよ!!」

「おまけにくっつくぞ!」

「さっきくっついたヤツの爆発、最初のヤツより威力が増してたぞ!?」

慌ててパニック状態になった(ヴィラン)連中が仲間割れを起こしだした。

その場から逃げようにも前に後ろ、さらには横にも上にも“もぎもぎ”が溢れている。

逃れようとすればするほど絡む蜘蛛の糸のように最終的に(ヴィラン)連中と“もぎもぎ”が全部くっついていた。

「どうすんだよ、コレ!?」

「まだ死にたくねぇよ」

慌てる(ヴィラン)達に僕は話しかける。

「整いました。貴方達のコレからとかけまして、水道工事で大活躍とときます」

「その心は」

峰田くんがそう言い。

「皆さんご一緒に、『どっかーん』」

次の瞬間、激しい光と音を立てる“もぎもぎ”。

「デクっちです」

「緑谷ちゃん。それ古いわよ」

呆れた様子で蛙吹さんがツッコミをいれてくれた。

そんなことより(ヴィラン)は誰1人死んでいない。

仕掛けは至ってシンプルだ。

最初の方に投げていた“もぎもぎ”には僕が召喚した、小型の“ばくだんいわ”*1をくっつけておいて、後は峰田くんの言葉に合わせて“メガンテ”*2を指示していただけだ。

ちなみに敵連中にくっついた“もぎもぎ”には僕が改良した“小型のこけおどし手なげ弾”*3がくっついている為、網膜や鼓膜にダメージはあるだろうけど、そこまではダメージはないだろう。

「早くセントラル広場まで戻ろう。皆が心配だ」

僕がそう言うと2人とも頷いてくれたので僕たちはセントラル広場に向かって走り出した。


お茶子side

私たちは今、危機的な状況に陥っていた。

最初は優勢に戦ってた相澤先生やけど、全身に手の用な物を着けた(ヴィラン)と全身真っ黒で脳が剥き出しになった怪物が相手をしだしてからは劣勢になっていた。

一応私たちの“個性”でサポートして飯田君をUSJの外に救助を求める為に送り出すことには成功した。

けど、同時に失敗もしてしまった。

それはエリちゃんだ。

その時にエリちゃんも一緒に飯田君と一緒に外に行ってもらえてたら良かったかもしれない。

今、エリちゃんは怯えた表情で私に抱きついてきている。

「ゲームオーバーだな。オールマイトも来ないし、連れてきた連中も役に立たないし、帰るか」

え、何を言ってるの?。

オールマイトを殺しに着たのに、あっさり帰るなんて。

「けどもその前に、平和の象徴としての矜持を少しでもへし折って帰ろう。脳無、あの白い髪のガキを殺せ」

白い髪って、エリちゃんの事!?。

咄嗟に私は、私たちはエリちゃんを包む体勢をとった。

「大丈夫。うちらが守ってあげるから」

けど、脳無と呼ばれる怪物の攻撃が私たちに届く事はなかった。

何故なら、私たちのクラスメートのツートップの1人が助けに来てくれたから。

「待たせたな」

『爆豪(くん)』

私たちがそう叫ぶと。

「そんな大きな声出さなくても、俺の名前は覚えてるよ。さてと、こんな雑魚には勿体ないが、新装備確かめてみるか」

そう言うと爆豪くんは赤いバックルの用な物を腰に当てた。

するとベルトが爆豪くんの腰に巻き付いていた。

「半分力貸せよ、相棒」

するとバックルらしき部分に緑色のUSBメモリの用な物が差し込まれていた。

爆豪くんは紫色でJと書かれたUSBメモリのスイッチを押すと。

「ジョーカー」

そんな電子音声が鳴りそれをさっきのとは別の部分に挿す。

そして爆豪くんが「変身」と叫ぶと。

「サイクロン ジョーカー」

そんな音声と共に爆豪くんの周りに突風が巻き起こる。

その直後、爆豪くんの姿は右半分が緑で左半分が黒い、白いスカーフを纏った姿に変わっていた。

*1
ドラゴンクエストシリーズに登場するモンスター

*2
ドラゴンクエストに登場する呪文。早い話が自爆

*3
ドラえもんの秘密道具の1つで、要は強力な閃光弾



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第19話

勝己side

「半分力貸せよ、相棒」

俺がそう言うと。

《悪魔と相乗りする勇気、あるかな?》

デクの声が俺の脳に響いてきた。

それと同時に緑色のUSBメモリのような物、ガイアメモリが俺のバックルに転送されてきた。

俺はそのメモリを差し込む。

「ジョーカー」

俺も紫のガイアメモリを差し込む。

その後に俺たちは2人揃って叫ぶのは俺たち2人が珍しく唯一共感できて好きだった、2人で1人のあのヒーローの言葉。

「《変身!》」

俺がバックルの部分を広げると「サイクロン」「ジョーカー」の音と共に俺の姿はそのヒーローの姿に変わっていた。

「なんだよ、お前は。それがお前の“個性”か?」

全身に手を着けたようなリーダー格の用な男が喋るが俺は無視して黒い奴をぶん殴る。

「無視かよ。でもまぁいい。そいつは対オールマイトを想定してるんだ。その程度の攻撃は吸収すんだよ」

するとむくりと起き上がる化け物。

「厄介だな。どうする、デク?」

俺がデクに聞くと。

《冷静になりなよ、かっちゃん。無効じゃなくて吸収なんだよ》

俺の脳裏に1つの考えが浮かぶ。

「なる程な。理解したぜ」

俺はその化物に激しい連続攻撃を浴びせる。

「無駄だって言ってるだろ。何度攻撃しようと」

「お前、自分で言ったよな。衝撃吸収って。無効じゃなく吸収なら、限界が有るんじゃないのか!」

その言葉の後、ブッ飛ばされ土煙を当てて倒れる化物。

「なにやってんだ脳無。さっきのガキを人質に取れ」

さっきの連続攻撃で多少ダメージが入ったのか土煙の中をゆっくりと脳無と呼ばれた怪物が立ち上がる。

やがてエリを見つけたのか走り出す。

俺は右側のメモリを別の物と変える。

その暫く後に脳無は土煙の中に浮かび上がった腕の影を掴む。

「人質取をるのかよ。汚ねえ野郎だ」

「ほざいてろ。俺たちは(ヴィラン)。勝つためなら手段は選ばないんだよ」

「確かにな。だが、お前が掴んでるのは、お前が狙ってた子の手じゃねぇ。それは俺の右腕だ」

土煙が晴れるとそこに合ったのは俺の右半身が黄色になり、そこから伸びた俺の腕を掴んだ脳無の姿だった。

俺はそのまま右腕で脳無を縛り上げ、放り投げた。

《かっちゃん、そこは「俺」ではなく、「俺たちの腕」……じゃないかな?》

「ああ、そうだったな。デク」

《じゃあ、そろそろ決めようか》

「そうだな」

俺は黄色のメモリを緑のメモリに戻し、そこから更に紫のメモリを腰の挿入口に差し込む。

「ジョーカー。マキシマムドライブ」

そんな声と共に突風が吹き荒れ、俺の身体は宙に浮かび上がる。

そして俺たちの「《ジョーカーエクストリーム》」の声と共に俺の身体は2つに別れ、脳無と呼ばれた怪物に2連撃の攻撃を浴びせる。

そしてそのままUSJの外の方に吹っ飛ばされていった。

「は、はあぁ!?。対オールマイト用に作った脳無が何であんなガキに」

「落ち着いてください。死柄木弔。脳無がやられた以上ここに」

黒い霧に包まれた奴がそこまで言った時、死柄木弔とか叫ばれてる奴の腕に銃弾が撃ち込まれていた。

「ごめんよ皆、遅くなったね。すぐに動ける者をかき集めて来た」

そこには。

「1ーA、飯田天哉。ただいま戻りました!!!」

教師達が勢揃いし。

「さぁ、第2ラウンドといこうか」

No.1ヒーロー、オールマイトの姿が合った。

「脳無が使えない以上、こちらが不利です。退きますよ、死柄木弔」

「ち、覚えてやがれ」

そのまま、奴らは去っていった。

だが。

「残るは、お前だけだ!」

俺に向かって計12発の弾丸が飛んでくるが、あまりにも遅いので、全部掴んでおいた。

「全く、生徒に向かって発砲ってなに考えてんだか」

その言葉と共に俺が変身解除すると。

『な!?』

ビックリする先生方。

「彼の“個性”は超越って聞いてたけど、あんなことも出来るの?」

とか叫ばれた。

そしてその後、俺に向かって発砲したスナイプに謝られた。


弔side

くそ、くそ、くそ。

イラつきが止まらない。

「手酷くやられたようだね、弔」

「話が違うぞ、先生」

「違わないよ。ただ見通しが甘かったね」

「うむ…なめすぎたな。(ヴィラン)連合なんちうチープな団体名で良かったわい。ところで、ワシと先生の共作“脳無”は?。回収していないのかい?」

「蹴り飛ばされました。正確な位置座標を把握出来なければ、いくらワープとはいえ探せないのです。そのような時間は取れなかった」

「せっかくオールマイト並みのパワーにしたのに…。まあ…仕方ないか…。残念」

「やはり、オールマイト相手では無理だったと?」

先生たちの疑問に俺は答える。

「いや、オールマイトは脳無の相手をしてない。対オールマイト用に作った脳無を倒したのはガキの1人だ」

「なる程。それはどんな子だったんだい?」

「金髪のガキだった。それに少なくともオールマイト以上のパワーを持ってた。名前は確か…」

「爆豪と呼ばれていました」

俺の言葉の後に黒霧が言葉を続ける。

「…………へえ」

「アイツさえ居なければ結果は違ったかもしれない。ガキがっ…、ガキ…!」

「悔やんでも仕方ない!。今回だって決して無駄ではなかったハズだ」

「精鋭を集めよう!。じっくり時間をかけて!」

「我々は自由に動けない」

「だから君のような“シンボル”が必要なんだ。死柄木弔!!、次こそ君という恐怖を世に知らしめろ!」


お茶子side

「18…19…20。重症の先生を除いて生徒は全員無事か」

駆けつけてくれた警察の人が私らの安否を確認してくれた。

「とりあえず生徒らは教室へ戻ってもらおう。すぐ事情聴取ってわけにもいかんだろう」

「刑事さん、相澤先生は」

そんな中、梅雨ちゃんが相澤先生の事を心配して刑事さんに聞いていた。

《両腕粉砕骨折、顔面骨折。幸い脳系の負傷は見受けられません。ただ、眼窩低骨折が起きており、眼に何かしらの後遺症が残る可能性もあります》

刑事さんがスマホをスピーカーモードにして状況を教えてくれた。

その後、鬼のような顔をした刑事さんがやって来た。

「塚内警部!、ここより約400m先の雑木林で(ヴィラン)と思われる人物を確保したとの連絡が!」

「様子は?」

「外傷はなし!。無抵抗でおとなしいのですが、呼びかけにも一切応じず、口がきけないのではと」

そんな会話の後、刑事さんたちは念のために校内を捜索するとの事だったので私たちは教室に向かった。


その後、教室に戻った私たちは雑談をしていた。

ちなみにエリちゃんは保健室に自分の荷物を取りに行っている。

「それにしても爆豪、大活躍だったらしいじゃん」

上鳴くんがそんな事を言ってた。

「けど、緑谷が急に「僕の身体をよろしく」って言って気を失った時はビックリしたぜ。いつの間にかベルトを巻いてたし」

「なんだよ。緑谷の奴、気絶してたのかよ!」

そんな会話の中で私は気になった事を聞いてみることにした。

「爆豪くん、1つ気になったんだけど。爆豪くんの変身した姿からデクくんの声がしたのはどういう事なの?」

「半分力貸せよとかも言ってたよな」

砂藤くんも気になったのかその事を聞いていた。

すると爆豪くんとデクくんは教えてくれた。

「このバックルを装着すると俺たち2人は意識を共有する事が出来る」

「見てる光景や、感情なんかをね。やって見せようか。かっちゃん」

「そうだな、見てもらった方が早いか」

そう言うと爆豪くんは腰にバックルを当て、ベルトが形成されると目隠しをする。

「じゃあ、八百万さん、適当にトランプを数枚作ってくれる。スートや数字も適当で良いから」

「解りましたわ」

直ぐに八百万さんは両腕からトランプを作り出していた。

爆豪くんは目隠しをしたまま背中を八百万さんに向け、デクくんは八百万さんの方を見ている。

「右腕からクローバーの3、ハートの6、左腕からダイヤのAとスペードのK」

「当たってる。マジかよ」

「更にこのメモリを差し込む事で、僕の意識は完全に同化して、あの姿に変身できる用になる」

「欠点としては俺の力は半分以下になるし、デクの能力も断片的にしか使えない」

爆豪くんは目隠しを外しながら補足をしてくれた。

「って事は緑谷は気絶してなくて、爆豪と一緒に闘ってたって事!?」

上鳴くんはその事を聞いて再度驚いていた。

そしてその後、校長先生がエリちゃんを連れてきて相澤先生の代わりに帰りのホームルームを行い、解散になった。

帰り際にエリちゃんに「ごめんなさい」って言われたけど、なんだったのかな?。

翌日は臨時休校になり、そして休み明け。

「みんな、おはよう。席についてる?」

デクくんがそう言い、皆が十人十色の返事をする中、全身包帯まみれの相澤先生がやって来た。

「先生、無事たったのですね」

飯田くんはそんな事を言ってるけど、無事言うんかなぁ、アレ…。

「俺の安否はどうでも良い。何よりまだ、戦いは終わってねぇ」

『!?』

その言葉が私たちに戦慄を走らせる。

「雄英体育祭が迫ってる!」

『クソ学校っぽいの来たあああ!!』

その一言にクラスメートの多くがホッとしてた。



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体育祭編
第20話


壊理side

『クソ学校っぽいの来たあああ!!』

周りの人たちが大きな声を出して騒いでいた。

「待って待って!、(ヴィラン)に侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか!?」

お茶子お姉ちゃんがそう言うと先生が。

「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す…って考えらしい。警備は例年の5倍に強化するそうだ。何より雄英(ウチ)の体育祭は…最大の()()()()(ヴィラン)ごときで中止していい催しじゃねえ」

私は去年、デクお兄ちゃんたちとテレビで見た雄英体育祭を思い出していた。

それにデクお兄ちゃんたちが出場するんだと思うと私までワクワクしてきた。

なんでも百お姉ちゃんや電気お兄ちゃんの話によると雄英体育祭はプロのヒーローの人達もスカウト目的で見ているみたい。

そして資格を修得して卒業後にプロの事務所にサイドキック(相棒)入りが普通みたい。

でも響香お姉ちゃんの話によると独立しそびれて万年サイドキックって人も多いそうだ。

デクお兄ちゃんと勝己お兄ちゃんは問題ないと思う。

というよりはサイドキック入りせずに2人で事務所を立ち上げそう。

「年に1回…、計3回だけのチャンス。ヒーローを志すなら絶対に外せないイベントだ!」


昼休み 厨房

「あんなことはあったけど…なんだかんだテンション上がるなオイ!。活躍して目立ちゃプロへのどでけぇ1歩を踏み出せる」

「切島くん、口より手と足を動かして」

「悪い、緑谷!」

今、私たちは厨房に入ってお手伝いをしている。

始めはデクお兄ちゃんが1人で料理を作ってたけど、手が足りなくなって今では1-A(デクお兄ちゃんのクラス)全員と私で手伝ってる。

主に料理を作るのはデクお兄ちゃんと勝己お兄ちゃん、それから梅雨お姉ちゃんと力道お兄ちゃん。

料理を運ぶのは天哉お兄ちゃんや猿尾お兄ちゃん、踏陰お兄ちゃんがやってる。

百お姉ちゃんと焦凍お兄ちゃんは注文を取ってくる担当だ。

他の人たちは主に盛り付けや皿洗いなんかをしてる。

私もデクお兄ちゃんに作ってもらった服*1を着て注文を取ったり、料理を運んだりしてる。

ただ、その度に携帯で写真撮影をされそうになるんだけど、その人たちは突然汗を掻いて携帯を納めて食事を始める。

そして、他のクラスや学年の人たちが食事を終えてから私たちは食事を始める。


お茶子side

「お金…!?」

「お金が欲しいからヒーローに!」

「究極的に言えば」

私は今、クラスの皆にヒーローになりたい理由を食堂で語っていた。

「なんかごめんね、不純で。飯田くんとか立派な動機なのに、私恥ずかしい」

「何故?。生活の為に目標を掲げる事の何が立派じゃないんだ」

飯田くんはそう言って励ましてくれる。

「ウチ、建設会社やってるんだけど、全っ然仕事なくてスカンピンなの。こういうのあんま人に言わん方が良いんだけど…」

「なるほどな、麗日の“個性”なら許可取ればコストかかんねぇな」

爆豪くんが賛同してくれたけど。

「でしょ!?。だから私も昔父に言ったんだよ。そしたら『ウチに就職する!?』『うん!!、大きくなったら父ちゃんと母ちゃんのお手伝いする!』『気持ちは嬉しいけどなお茶子』『親としてはお茶子が夢叶えてくれる方が何倍も嬉しいわ』『したら、お茶子にハワイに連れてってもらえるしなー!』なんてやり取りがあったんだ。だから私は絶対ヒーローになって、お金稼いで、父ちゃん母ちゃんに楽させたげるんだ」

私はデクくんの作ってくれた磯辺焼きを食べながら語る。

すると。

「麗日くん!、ブラボー!!」

「素晴らしい考えですわ!」

「誰かの為に頑張るってのは良いことだと思うぜ」

「それが親なら、尚更な」

クラスの皆が応援してくれた。

「そういえば、皆まだ残ってるの?。普段なら食べ終わったら解散するのに?」

厨房の整理を終えたデクくんが戻ってきてこう言うが早いか、私たちはデクくんと爆豪くんに頭を下げる。

これはもう皆で決めていたこと。

「俺たちを鍛えてほしい」

切島くんが代表して言ってくれた。

「悔しいけど、雄英の授業やUSJの(ヴィラン)侵入の時、俺たちは弱いって思い知らされた。けど、お前たち2人は群を抜いて強かった。だから頼む。俺たちも鍛えてくれ」

「頭、上げてよ」

デクくんにそう言われ、頭を上げる私たち。

「最初に言っておくが、俺たちのトレーニングは雄英(ここ)以上にハードだ。それでも着いてこれるか?」

爆豪くんの言葉に誰かの、もしくは全員の唾を飲み込む音が聞こえる。

それは私にも当然分かっている。

雄英高校ヒーロー科の授業は物凄くハードで汗だくになる事もある。

でも爆豪くんとデクくんは汗1つかく事なくやり遂げている。

それは雄英以上に厳しい特訓をしているという事だ。

けど、私たちは決めたんだ。

「それでもいい」

「私たちは覚悟のうえでそれを頼んでるの」

「だから「お願いします」」

「分かったよ。それじゃ放課後に僕たちの秘密基地で特訓しようか」

デクくんのその言葉にクラス一同が大喜びだった。

*1
エプロンドレス



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第21話

出久side

雄英高校体育祭の話を聞いた日の放課後、僕たち1ーAは僕とかっちゃんの秘密基地で特訓をすることになったんだけど。

「出れねーじゃん!。何しに来たんだよ」

峰田くんの言う通り、僕たちのクラスの前に大勢の生徒が集まっていた。

「敵情視察だろうな。(ヴィラン)の襲撃を耐え抜いた連中だから体育祭の前に見とこうって所だろ」

かっちゃんがそう言うと。

「どんなもんかと見に来たが、ずいぶん偉そうだなぁ。ヒーロー科は皆、こんななのかい?」

そんな事を言いながら奥の方から1人の生徒がやって来た。

「こういうの見ちゃうとちょっと、幻滅するなぁ。普通科とか他の科って、ヒーロー科落ちたから入ったって奴、けっこういるんだ。知ってた?、体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆も、また然りらしいよ。敵情視察?。少なくとも普通科は、調子にのってっと、足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー、宣戦布告しに来たつもり」

その言葉の後…。

「隣のB組のモンだけどよぅ!!。(ヴィラン)と戦ったつうから話聞こうと思ってたんだがよぅっ!。エラく調子づいちゃってんなオイ!!。本番で恥ずかしい事んなっぞ!!」

「クスッ」

「ハハッ」

その言葉に僕もかっちゃんも思わず笑ってしまった。

「何が可笑しいんだ?」

普通科の代表として発言して来た生徒の心躁くんがイラッとした顔で僕たちを見てくるので言い返すことにした。

「宣戦布告に」

「調子づいてるねぇ」

「つまりそれは」

「僕たちに」

「「勝つ算段が有るから言ってるんだよなぁ(ねぇ)?」」

僕とかっちゃんが軽く、それこそ0.01%の殺気を込めて彼らの方に半歩近づくと次の瞬間、その場にへたり込む他クラスの人たち。

中には失禁してしまった人も何人かいる。

「どうしたの?。足元ごっそり掬うんだよね?」

僕がそう言って彼らにまた僕とかっちゃんが半歩近づくと蜘蛛の子を散らすように他クラスの人たちは解散した。

「さて、行くか」

かっちゃんがそう言って教室を出ようとしたけど、口田くんと峰田くんが気絶していたので、その2人はかっちゃんが肩に担いで僕たちの秘密基地に連れて行くことにした。


お茶子side

雄英高校からバスで40分の所にある山の前に私たちは来ていた。

ちなみに梅雨ちゃんは一旦自宅に帰ってから妹と弟を連れてきていた。

ちなみにその2人はさっきまでエリちゃんとお話していたけど、疲れたのか今は爆豪くんにおんぶされて3人仲良く寝ている。

そしてデクくんたちの秘密基地を見た私たちの感想はというと。

「ここが、緑谷さんたちの秘密基地、なのですか?」

八百万さんがデクくんたちの秘密基地という場所を見てそう言っていた。

一足早く完成したであろう門には『vallée・vert氏 別荘建築予定地』と書かれ、内部には重機等が至る所に置いてあり、その中心に建っているコテージのような建物にはブルーシートが掛けられている。

「勝手に入って良いのかよ?。ここって私有地じゃないのか!?」

気絶から目覚めた峰田くんが叫んでいた。

「あのさ、僭越ながら聞くんだけど。vallée・vertって誰?」

申し訳ないけど私は八百万さんに聞いてみた。

「世界中のあらゆる企業の51%以上の株を持っているとされる、正体不明の世界一の大株主です。もし、彼が株投資を止めたら世界恐慌が起こるなんて言われています。ちなみに私のお父様の会社の株も75%がvallée・vertさんです」

そう言えばあんまり覚えてないけど、父ちゃんのお得意先の1人にいたような。

「だったら尚更怒られる前になんとかしないと」

上鳴くんが慌てていると。

「何言ってんだ。ここが俺たちの秘密基地だっての」

爆豪くんがそう説明するけど、私たちの頭の中は昆がらっていた。

Je vois(なるほど)

「そういう事でしたか」

青山くんと八百万さんは理解したみたい。

「日本語に直訳するとvertは緑、valléeには谷って意味があるのさ☆」

「ってことは、この大きな土地丸ごとデクくん家ってこと!?」

思わず私は叫んでしまったけど、他の皆も驚いていた。

「他にも秘密基地の入り口は有るんだけど、ここが一番雄英高校に近いからね」

「言っておくが、デクの親の物じゃなくて、デク個人が買った土地だからな」

爆豪くんの発言に驚かせられながらも私たちは門を潜ると、バチバチッと静電気のような感じに合った後目の前を見ると辺り一面銀色のオーロラのような物に囲まれた場所にいた*1

地面もオーロラのような物に覆われていて私たちが歩いている場所はまるで硬質ガラスの上を歩いてるような感じな不思議な場所だった。

そして目の前には見るからに巨大な、それこそお城のような建物*2が建っていた。

そしてデクくんと爆豪くんが口を開く。

「「さあ、特訓を始めようか!」」

*1
ディケイドに出てくるオーロラカーテンのような場所

*2
まおゆう まどろみの女魔法使いに出てくる外なる図書館のような外見



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第22話

大変長くお待たせしてすいませんでした。
仕事疲れでなかなか更新する機会がありませんでした。
こんな作者の作品ですが本年もよろしくお願いします。


天哉side

緑谷くんたちの秘密基地と呼ばれる場所はなんというか、不思議な場所だった。

そして、爆豪くんが玄関の扉を開くとそこには。

「お帰りなさいませ、ご主人様」

「いらっしゃいませ、お客様」

沢山のメイドさんや執事さんたちがいた。

それこそ100人はいるのではないかという数だ。

「私の家より凄いですわ」

八百万くんがそんな事を言っていた。

確か八百万くんの家も相当な金持ちだった筈だが、それ以上とは…。

「なんだよ、緑谷。こんなに沢山のメイドを連れてよぉ!」

「羨ましいじゃねぇかぁ!」

そんな事を言いながらメイドの1人に抱きつく峰田くんと上鳴くん。

「止めないか!。失礼だろう!」

俺は2人に注意した。

しかし2人は不思議な表情をしていた。

「なぁ、峰田。このメイドさんの皮膚、固くねえか」

「確かに」

皮膚が、固い?。

どういう事か解らないでいると緑谷くんが口を開く。

「それはそうだよ。この家で働いてるメイドや執事は僕が作ったロボットだからね」

「「マジで!?」」

クラス全員が驚いていた。

緑谷くんは天才だと思っていたが、まさかここまでとは僕も思わなかった。

「それじゃあトレーニングを始める前にそれぞれの課題を教えるよ。まずはそれを克服することが第1の課題だね」

そう言うと緑谷くんに案内され、僕たちは応接間のような場所に案内された。


2時間後 出久side

「つ、疲れた~」

僕は一旦皆を居間に集め、3つのグループに分けた。

1つ目はかっちゃんと組み手方式で鍛えるグループ。

ここには芦戸さん、尾白くん、切島くん、障子くん、常闇くん。

2つ目は主に自主トレをするグループ。

ここには、青山くん、蛙吹さん、飯田くん、麗日さん、上鳴くん、口田くん、耳郎さん、瀬呂くん、轟くん、

峰田くん。

そして最後に僕と一緒に知識を増やして戦いに応用するグループ。

ここには砂藤くん、葉隠さん、八百万さん。

「それにしても、すごい量の本だな!」

「ホントですわね。天井どころか反対側の壁まで見えないなんて」

「いったい何冊の本が有るの!?」

砂藤くんの言葉に八百万さんと葉隠さんが同意していた。

そもそも僕たちの秘密基地は僕が再現した“空間を操る能力”*1を応用して作った為に見た目の何倍も広かったりする。

それとこの秘密基地と外の時間の流れ方が違うって説明した時も驚かれた。

この秘密基地での1年は外では1日しか経たないし*2、外に出れば寿命なんかはリセットされる*3というご都合主義つきである。

自分の“個性”で作っておきながら良く分からない建物ができたものである。

そして、外の世界で2週間後の雄英体育祭当日の1-Aの控え室。

「なんやろな。デクくんや爆豪くんに鍛えてもらう前は優勝は無理だと思ってたけど」

「今はベスト3には入れるって気がしてるぜ」

皆の雰囲気が変わっていた。

あの峰田くんでさえ、臆病風が吹かなくなっていた。

「お前ら、肩を組め」

制御装置を着けたかっちゃんの言葉に僕たちは円陣を組む。(峰田くんは背が届かないので僕とかっちゃんの脛に立っている)

「俺たちは誰だ!!」

『王者1-A!!』

「優勝するのはどこの組だ!!」

『1-A!!』

「誰より汗を流したのは!!」

『1-A!!』

「誰より涙を流したのは!」

『1-A!!』

「誰よりヒーローに成りたがってる奴が集まったクラスは」

『1―A!!』

かっちゃんの言葉に僕やクラスの皆が言葉で応える。

「戦う準備は出来ているか!!」

『おおお!!』

「我がクラスの誇りを胸に目指すは1―Aの独断決勝トーナメント。行くぞ!!」

『おおおおおおお!!!』

そして僕たちは入場ゲートに向かって歩きだした。

*1
東方Projectの十六夜咲夜の能力

*2
ドラゴンボールの精神と時の部屋

*3
リリReカスタマイズ モデラーも異世界では錬金術師のリリ・リル・エイリアルの能力



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第23話

どうでも良い話をさせてください。
今日は作者の誕生日です。
ただ、それだけです。
それでは本編どうぞ。


壊理side

「雄英体育祭!!。ヒーローの卵たちが、我こそはとしのぎを削る年に1度の大バトル!!」

遂に始まった優英体育祭。

私は今、デクお兄ちゃんたちの先生である相澤先生(包帯グルグル)と、大きな声が特徴のマイク先生と一緒にいる。

「どうせてめーらアレだろ、こいつらだろ!?。(ヴィラン)の襲撃を受けたにも拘わらず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!、ヒーロー科!!、1年!!、A組だろおぉ!?」

その言葉と同時にデクお兄ちゃんたちが入場してくる。

私が見ているのに気づいたのかデクお兄ちゃんが手を振ってくれたので私も振り返すと笑ってくれた。

「B組に続いて普通科C・D・E組…!!。サポート科F・G・H組も来たぞー。そして経営科…」

その後にも沢山の人たちが出てきた。

「選手宣誓!!爆豪勝己、緑谷出久」

その後に黒髪の女の先生にデクお兄ちゃんたちが壇上に呼ばれていた。

そして右側にデクお兄ちゃん、左側に勝己お兄ちゃんが立ち、デクお兄ちゃんは左手を、勝己お兄ちゃんは右手を人差し指を立て空を指して。

「宣誓、俺たち1-Aは決勝トーナメントを独占するという未来を掴んでる。そしてこれからも掴み続ける」

勝己お兄ちゃんの言葉に他のクラスの人たちは文句あるのかブーブー言ってた。

「そして、プロヒーローの皆さん、僕たちのヴィジョン、見逃さないでくださいね。ついて来れるなら、ね」

デクお兄ちゃんはプロヒーローにたいしてそんなことを言っていた。


お茶子side

周りの他クラスの人たちやプロヒーローの人たちが「どんだけ自信過剰だよ」なんて言ってるけど、今の私たちにはそよ風程度にも感じていない。

雄英高校に入学した頃の私だったらきっとおどおどしていたかもしれないけど、デクくんや爆豪くんの特訓の後だからか、そんな風に感じていた。

「さーて、それじゃあ早速第1種目行きましょう。所謂予選よ。毎年多くの者が涙を飲むわ(ティアドリンク)!!。さて運命の第1種黙目!!今年は……コレ!!!」

スクリーンに障害物競走と表示される。

「計11クラスでの総当たりレースよ!。コースはこのスタジアムの外周約4km!。我が校は自由さが売り文句!。ウフフフ…。コースさえ守れば()()()()()()構わないわ!。さあさあ、位置につきまくりなさい…」

私たちがスタートラインに着くと入り口のランプが1つ消え、私たちがスタートの用意を構えると2つ目のランプが消えた。

そして3つ目のランプが消えると同時に「スタート」ミッドナイト先生の声がすると同時に私たちの後ろから一陣の風、いや2つ感じたから二陣の風かな?。

それが吹いた。


壊理side

「さーて実況してくぜ!。解説アーユーレディ!?、ミイラマン!!」

「無理矢理呼んだんだろが」

相澤先生がマイク先生を睨み付けながらそんな風に返していた。

「さて1位になるのは誰なのか?。誰だと思う、イレイザー!!」

マイク先生の言葉に相澤先生は「もう決まってる」と言っていた。

「誰だ?」

「緑谷か、爆豪だな」

「なんだ、お前って自分のクラスを贔屓にするような奴じゃないよな?」

コレが漫画とかだったらマイク先生の頭に大量の?マークが浮いてたんだろうな。

「そう思うならゴールの方を見てみろ」

疑問に思ったのかマイク先生はゴールを見る。

他のヒーローの人たちもゴールを見て驚いている。

すると其処にはデクお兄ちゃんと靴や体操服から煙を出している勝己お兄ちゃんががいた。

そしてその後に次々とデクお兄ちゃんのクラスの人たちが集まっていた。

そしてデクお兄ちゃんのクラスの人たちが集まるのはスタートの合図を聞いてから1分も経たないうちに集まっていた。



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第24話

一佳side

「アレに、どうやったら勝てるの?」

雄英高校体育祭の1次予選の1-Aの実力を見た私の最初の感想だった。

私も最初、宣誓で爆豪はともかく緑谷が言ったことはハッタリかなんかだと思っていた。

けど障害物競走の結果を見て私は絶望していた。

私も武術を嗜んでいるから解る。

それに中学の頃に通っていた、“個性”を自由に使える道場にいた師範に言われた言葉を思い出していた。

「一佳。お前は確かに強いが、かつてこの道場に1週間程通った爆豪という少年には遠く及ばない」

そう言われ、私は爆豪について調べた。

結果としてはとんでもない経歴を持っていた。

格闘技はもちろんあらゆる武道の流派に弟子入りし、各流派の技や戦闘スタイルを合わせ独自の新たな武術を身に付け、それだけではなく様々なスポーツを会得した男だった。

そんなある日、私は両親と一緒に総合格闘技の試合で爆豪とプロで3年連続チャンピオンの試合を見に行った事があった。

そこにいた私や私の両親も含む観客たちはチャンピオンが勝つと思っていたが、爆豪はあっさり勝利を納めていた。

最初は違法薬物を疑われていたが、検査の結果、むしろチャンピオンの方がやっていたことが判明し、世間を賑わせてしまった。

そんなことを目撃した私は更に修行を重ねた。

そして雄英高校で爆豪を見た時は嬉しいと同時に絶望も感じていた。

「貴女は決して彼には勝てない」

誰かにそう言われた気がして私は辺りを見渡したけど、誰もいなかった。

きっとそれは私自身の心の声だったのかも知れない。

そして順位が発表されたけど、1位から20位は1-Aが独占してた。

「あはは、こんなのインチキに決まってるじゃないか。現にA組は体に機械を着けてるし、それのおかげなんじゃないの?」

私のとなりにいたクラスメートの物間がそんな発言をすると観戦していたプロのヒーローたちもざわつき始めていた。

すると緑谷が解説役である相澤先生に「相澤先生、制御装置を外しても構いませんか?」と質問していた。

「ブラドと校長と話し合ってハンデのつもりで着けさせたが、B組の連中が外せと言ってきたんだ。それにプロのヒーローたちも言ってるし、外してやれ」

「ハンデ?。そんなの必要ないってwww」

すると緑谷は笑ってる物間を無視してポケットに入れていたスマホの用な物を弄ると、爆豪以外のA組の着けていた両腕両足に1つずつ装着されていた機械が地面に土埃を上げて落下する。

この光景にはプロのヒーローたちも驚きだったようで「どれだけ重たいんだよ!」なんて驚いていた。

私も1つだけ持ち上げようとすると。

「止めておいた方が良いと思うぜ。それ1つで50kgはあるから」

腕の形が独特な形をしたA組の生徒が私に忠告してきた。

「そんなのデマに」

そう言って持ち上げようとしていた物間だけど、一向に持ち上がらない。

それどころか顔がどんどん赤くなっていく。

「そんな、バカな」

さすがの物間もこれには驚いていた。

他のクラスや先ほど文句を言っていたヒーローたちも顔が青ざめている。

そんな中爆豪の機械が外されると、土埃を上げるどころか地面に埋まっていた。

これには全員口を開けてビックリしていた。

「まあ、爆豪のはマンモス3頭分の重さがあるらしいからな」

それってどれくらいなんだろうか*1

少なくとも私には真似出来そうになかった。

そしてそこには押さえ付けられていた筋肉を解放し、身長が2メートル後半、もしくは3メートルはあるんじゃないかと思える体躯となった爆豪がいた。

勿論、そんなハンデを無くしたA組に私たちは第2次予選の騎馬戦(1-Aはクラスだけで騎馬を組んでいた)に勝てるわけもなく、決勝トーナメントは爆豪と緑谷の宣言通りに1-Aで埋め尽くされていた。

騎馬戦の後に物間が「このまま終わらせないよ」とか言っていたのが気になったが、私たちは会場を後にした。

*1
だいたい15㌧。4つ着けていたから60㌧




今回騎馬戦は割愛させてもらいました。
少なくとも作者に強くなりすぎた1-Aメンバーの騎馬戦を書ける実力はなかったです。
少なくともチーム及び、立ち位置は決めていましたが、それでも書くのは無理でした。


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第25話

今回は物間ファンの人はごめんなさい。
物間アンチの回です。

2月14日(月)
トーナメントの組み合わせを変更しました。


消太(イレイザー・ヘッド)side

昼休憩終了の後、それは起こった。

「最終種目発表の前に予選落ちの皆へ朗報だ!。あくまで体育祭!。ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!」

となりのマイクが五月蝿いが、学生時代からの流れなのでその辺は余程の事がない限りスルーするようにしている。

そっちの方が合理的だからだ。

しかし、それはこの俺でも想像できない事が起こった。

「本場アメリカからチアリーダーも呼んで一層盛り上げ…。ん、アリャ?」

「なーにやってんだ……?」

「どーした1-B、物間寧人!?」

カチューシャにどこぞのセーラー服を着て団長と書かれた腕章を着けた物間がそこにはいた。


時間は少し遡り、お茶子side

「もしかして1-Aはなんの用意もしてないのかい。それとも、午後はどのクラスも応援合戦しないといけないの知らなかったのかい」

私たちが教室でお弁当(デクくん手作り。しかも中身が全員違う)を待っていると、確か1-Bの生徒の物間くんがそんな事を言ってきていた。

「今から用意しても泥縄だろうけど、頑張りなよ」

そんな事を言いながら去っていた。

「どうしましょう。今から用意しても間に合いそうにありませんし」

八百万さんがそんな事を言っていると。

「あれ、皆。どうしたの?」

エリちゃんをお手洗いに連れていっていたデクくんとクラス全員+エリちゃんの弁当を持った爆豪くんが帰ってきた。

私がさっき合ったことを話すと。

「それはおかしいね。相澤先生ならまずはクラス委員の僕たちにいうはずでしょ。そっちの方が合理的だし」

デクくんがそう言うとデクくんに抱っこされたエリちゃんも頷いていた。

ちなみにエリちゃんのお弁当はモーレツ!プリユア10!のキャラ弁だった。

「確かにそう言われてみれば、相澤先生ならそうするよな」

砂藤くんの言葉に皆が納得していた。

「僕、ちょっとお手洗いに行ってくるね。麗日さん、エリちゃんをよろしく」

そう言ってデク君は教室を出ていった。

「あれ?」

その時私は不自然な事に気づいていた。

「どうかしたのかしら?」

梅雨ちゃんが私に話しかけてきたので「デクくんの眼ってあんなんやったけ?。なんか華みたいな模様が入ってたんやけど?」

「緑谷の事だから、何らかの“再現”をしたんじゃないのか?」

プロヒーロー、ミルコが表紙の雑誌を見ていた上鳴くんにそう言われ、私は納得していた。

そうしてお弁当を食べ終え、昼休憩が終了し、会場に戻ってきた私たちが見た光景は驚きの物だった。

そこには歌に合わせてキレキレのダンスをする女装した物間くんがいたからだ。

「あれ、何?」

私の発言に私たちのクラスどころか他のクラス全員やプロヒーローは勿論、テレビ局やマスコミもが唖然としまっていた。

歌が終わると物間くんは今度は別の音楽を流すとまるで女性のような歩き方をするとテレビ局のカメラの前に立つと。

「あんたも好きねぇ。ちょっとだけよ」

とか言いながらスカートをたくし上げていた。

「誰かあいつを引っ込めろ…」

相澤先生の低い声が会場に静かに、しかし会場中に響く。

慌てた1-Bの生徒の手によって回収されるまで物間くんはカメラというカメラの前でそんな事をしていた。

そして回収された物間くんは下着を着用していなかったらしい…。

そんなハプニングがありながらも午後は残すところ決勝トーナメントだけになっていた。

そして組み合わせが発表され決勝トーナメントが開始された。


爆豪━┓        ┏━━緑谷

蛙吸┓┣━━┓    ┏┫┏━青山

  ┣┛  ┃    ┃┗┫ 

麗日┛   ┣ ┓ ┏┫ ┗━上鳴

芦戸┓   ┃ ┃ ┃┃ ┏━切島

  ┣━━━┛ ┃ ┃┗━┫

障子┛     ┃ ┃  ┗━葉隠

        ┣━┫ 

尾白┓     ┃ ┃  ┏━甲田

  ┣━━━┓ ┃ ┃ ┏┫

瀬呂┛   ┃ ┃ ┃ ┃┗━耳郎

峰田┓   ┣━┛ ┗━┫ ┏砂藤

  ┣ ┓ ┃     ┃┏┫ 

常闇┛ ┣━┛     ┗┫┗飯田

八百万━┛        ┗━轟

 




今回、デクが使った能力は何か解りましたか。
作中にヒントは隠してあります。
付け加えるなら自分の事を名前で言っちゃう巨乳のくノ一です。


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第26話

前回のトーナメント表を変更しました。



出久side

遂に始まった決勝トーナメント。

シードに選ばれた僕とかっちゃんは観客席から観戦していた。

「なあ、デク。さっきの奴に何かしただろ?」

1人で地球儀をナゾナゾみたいに解き明かしたら皆と何処へでも行けそうな歌と躍りをして、その後、前世では有名(?)だった1発ネタをやった物間くんを指してかっちゃんが僕に話しかけてきた。

「うん、ちょっとした催眠術だよ。今頃は多分寝てるんじゃないかな?」

僕は華眼*1を既に解除してるけど、既に催眠にかかっている物間くんは最後に暗示をかけた《振替休日明けの朝まで眠る》という催眠術は解けないだろう。

そんな話をしていると。

「色々やってきましたが!!、結局これだぜガチンコ勝負。頼れるのは己のみ!。ヒーローでなくとも、そんな場面ばっかりだ!。わかるよな!!。心、技、体に知恵知識!!。総動員して駆け上がれ」

実況のプレゼント・マイク先生の声に会場が大きく盛り上がる。

「最初の試合はポーカーフェイスガール、蛙吸梅雨。対するは感情が常に発露してる、麗日お茶子。全く正反対の二人の対決だ」

「デクはどっちが勝つと思う?」

かっちゃんに聞かれ、僕は簡単に答える。

「この勝負、麗日さんが有利だね」

僕の予想通り、蛙の“個性”持つ蛙吸さんが蛙の特徴である長い舌で捕らえようとしていたけど、麗日さんはそれを素早く避け、そのスピードのまま、蛙吸さんに触れて無重力状態にしたかと思うと、そのまま場外に叩き出していた。

続く第2試合、芦戸さんと障子くんの試合。

「これは障子の方が不利だな」

かっちゃんの言葉に僕も頷く。

芦戸さんの“個性”は体から溶解液を出す“個性”だ。

それに比べて障子くんの“個性”は体から生えた触手の先端に自身の身体を複製する事ができる。

“個性”の相性で完全に不利だ。

「俺もまだ障子の奴に遠距離攻撃の仕形を教えてないからな」

確かにそれができるのが1番だけど、今のところ1―Aでもあの攻撃はかっちゃんしかできないよ。

僕もできなくはないけど、連発は流石に出来ない。

結果、芦戸さんが勝利を納めていた。

次の第3試合、尾白くんVS瀬呂くんの試合。

最初は尾白くんが得意な近接格闘技(多分空手かな?)の拳で責めていたけど、瀬呂くんがそれを簡単に続けさせるわけもなく、瀬呂くんの“個性”のテープで両腕を封じていた。

これから瀬呂くんの逆転が始まるかと思いきや、尾白くんの回し蹴りならぬ、回し尻尾で場外に吹っ飛ばされて負けていた。

そして原作とは違う流れとはいえ、ドンマイコールされていた。

そして常闇くんと峰田くんの戦い。

最初から常闇くんの動きを封じるために“もぎもぎ”を投げつける峯田くんだったけど、黒影(ダークシャドウ)の動きまでは封じるため事ができず、KO負けしていた。


焦凍side

俺は決勝トーナメントを入場ゲート入り口の所で観戦していた。

「3日会わざれば刮目してみよというが、強くなったようだな、焦凍」

そこに親父(エンデヴァー)がやってきた。

「緑谷たちのおかげだな。親父は警備の方は大丈夫なのか?」

俺は昔ほど親父の事を毛嫌いしなくなった。

ただ、夏兄はいまだに苦手な所も多いらしい。

「それならサイドキックの2人に任せてきた。ここに来たのは職場体験目的だよ。しかし、1つの事務所から2票までしか入れられんのは勿体ないと思える程に強いクラスだな」

「職場体験?。なんだそれは」

聞き慣れない事を聞いたので親父に聞いてみた。

雄英体育祭(コレ)が終われば嫌でも知ることになる」

だがそれだけでここに親父が来るのは間違っている気がする俺はそれも聞いてみることにした。

「本当にそれだけか?」

「隠しても仕方ないか。1つはお前への激励と、この間の(ヴィラン)襲撃の事を当事者であるお前からも聞いてみたいと思ってな」

「そういう事かよ。ありがとな、親父」

「息子の晴れ舞台だからな。当然だ」

それなら小学校の時とかの授業参観にもと思ったが、仕事柄仕方なかったと思うことにした。

家庭訪問の時はなんとか休みを取ってたみたいだが、急遽出動指令が来て母さんが代わりに何回かやってたのを覚えている。

「それと(ヴィラン)襲撃事件の話だが、俺も詳しい事は知らない」

「そうか。それは残念だ」

「だけど敢えて言うなら、奴らはオールマイトの命を狙ってた」

「それは新情報だな。だが、有象無象の連中にオールマイトが負けるとは思わんがな」

「ああ、話を聞く限りだけど、なにやら対オールマイト用の何かがあったらしい。爆豪と緑谷が撃退したみたいだけどな」

「そうか。後であの2人にも聞いてみるか」

試合に目を戻すと飯田が砂藤に勝利していた。

そして親父はその場を後にした。

俺に「勝ち残れよ」と一言だけ残して。

*1
閃乱カグラの登場キャラクターの雲雀の能力




爆豪━┓       ┏緑谷
   ┣━┓    ┏┫
麗日━┛ ┃    ┃┗上鳴
     ┣┓  ┏┫
芦戸━┓ ┃┃  ┃┃┏葉隠
   ┣━┛┃  ┃┗┫
尾白━┛  ┣━━┫ ┗耳郎
      ┃  ┃
常闇━┓  ┃  ┃ ┏飯田
   ┣━━┛  ┗━┫
八百万┛       ┗轟


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第27話

人使side

俺は1ーAだけで行われている決勝トーナメントのその激しい戦いを見て呆然としまっていた。

「なんだよ、あれは!?」

一緒に観戦していた普通科の仲間がそういうことを呟いていたが、納得できる。

俺たちは2週間前に1―Aに宣戦布告しに行った。

俺たちだって凄いと証明するために。

だけど俺たちは緑谷と爆豪と呼ばれていた2人にビビってしまった。

人は目標となる障害を壁に例えるが、この二人は壁なんて呼べるものではないと思ってしまった。

例えるなら巨大なゴーレムだろうか。

例え足にしがみついて登ろうとしても振り落とされる。

助走を付けて飛び乗ろうとしても叩き落とされる。

そんな光景が頭をよぎってしまう。

でも特別なのはあの2人だけで、他のメンバーは推薦組の2人を除けば楽だと思っていた。

けど、あれから()()()だぞ。

どんなトレーニングをしたっていうんだよ。

小柄な大仏のような髪をした生徒は2週間前は俺たちと同じように立っていられなかった。

だが、この決勝トーナメントで闘っている時に感じる雰囲気はあの時の爆豪たちには及ばないものの、それなりの気迫を持っていた。

俺にはどうすれば勝てるか思いつかなかった。

ただ、体は鍛えてみようと決意を固める事にした。


お茶子side

私は今、1年生の中では双璧の片方と思える爆豪くんと勝負していた。

訓練をしている時も思ったけど、爆豪くんはやっぱり凄かった。

まるで大木の様な腕から繰り出される一撃はセメントス先生が作ったステージを破壊する程の威力だ。

今の私は躱すだけで精一杯だ。

だけど、私は爆豪くんが破壊する度に破壊されたステージの欠片に触れておいた。

そして、ある程度それが貯まった頃に私はそれを解除した。

「爆豪くん、覚悟!」

そう、私の指が触れればその物質は無重力状態になる。

後は爆豪くんのパワーで発生した衝撃波で浮かび上がる。

そうしてある程度貯まった所でそれを解除すれば、爆豪くんは上空からの攻撃に気付くだろうけど、更に私は追い討ちをかける為に接近するけど、次の瞬間には爆豪くんの裏拳で吹き飛ばされ場外敗けをしてしまった。


出久side

かっちゃんと麗日さんの勝負の結果がついた瞬間、会場中から罵声が飛び交う。

《嘗めプ》だの《遊んでたのか》等の声を聞いた直後、相澤先生がとなりのプレゼント・マイクからマイクを取り上げ、会場に語り掛ける。

「今、遊んでるつったのプロか?、何年目だ?。シラフで言ってんならもう見る意味ねぇから帰れ。帰って転職サイトでも見てろ。今の一撃で爆豪が麗日を場外に出してなけりゃ、麗日は今頃瓦礫の下だ。そんな事も解らないのか…」

相澤先生の一言に会場が一気に静かになるが、関係ない。

1つの事に集中するのは悪いことじゃない。

只それでも大局を見失ったヒーローたちに問題があるだけだ。

次の試合は尾白くんと芦戸さんの試合は尾白くんが芦戸さんの酸に苦戦をしいられていた。

近づけば酸で触れる事が出来ず、距離を取れば攻撃が届かないばかりか芦戸さんは酸を飛ばして攻撃してくる。

結果、芦戸さんの酸の遠距離攻撃を躱したのは良いけど、その際に場外に出てしまい、尾白くんは敗北してしまった。

次の試合も見たかったけど、その次が僕の番なので控え室に向かうことにした。


勝己side

俺が試合を終え、控え室に戻ろうとしていると、そこに。

「久しぶりだな、爆豪」

エンデヴァー(師匠)…」

そこには、俺の師匠、エンデヴァーがいた。

「お前に話がある」

師匠がそう言ったので、俺たちは1―Aの控え室に向かった。

すると其処にはデクが先に来ていた。

「お前も久しぶりだな、緑谷」

師匠がそう言って椅子に座ったので俺たちも椅子に座る。

そして、エンデヴァーが語り出す。

「話と言うのは他でもない。お前たちが戦った脳無とやらについて教えろ」

俺がデクを見ると頷いていて語り始めた。

「くれぐれも他言無用でお願いします」

「解った」

俺がそう言うと師匠も黙って頷いていた。

「結論から言えば、アイツはとんでもない化け物でした。オールマイト並のパワーと、“衝撃吸収”という個性も持っていました。だけど、それだけではなかった」

「どういう事だ?」

「オールマイトの長年の知り合いである警察官の塚内さん同伴してもらい調べたところ“再生能力”まで備わっている事が解りました」

「それはつまり、焦凍のように俺の“炎”と冷の“氷”を受け継いだ個性だったという事か?」

師匠がそう言うとデクは難しい顔をしていた。

「僕も最初はそう思っていました。だけどアイツの細胞を調べた結果、少なくとも4人分のDNAが発見されました」

「!?」

デクの言葉にさすがの師匠も絶句していた。

「即ちアイツの正体は、複数の人間同士を組み合わせた合成獣(キメラ)という事です」

「とんでもない化け物だな…」

「それにアイツを連れてきた男はこうも言っていました。対オールマイト用なんだと」

「それはつまり、対エンデヴァー()用の奴までいるかもしれない、という事か?」

「ええ、おそらくは。他のヒーロー対策もされているかも知れませんが」

「しかしそうなると、奴らの目的は一体?」

「おそらく、“個性特異点”における終末理論の証明かもしれませんね」

「しかしそれは随分と未来の話だな。しかしそんなことはあり得ると思うか?」

師匠がそう言った時、校内放送がかかった。

「1―A、緑谷くん、ステージまでお願いします」

「それじゃ、僕行ってきますね。それと僕は“個性特異点”は存在しないって考えですから」

そう言うとデクは試合会場に向かった。

「皮肉なものだな。“個性特異点”を否定している反面、もっとも近い所にいるのが緑谷なのだからな」

師匠はそんな事を呟いていた。




爆豪┓       ┏緑谷
  ┣┓     ┏┫
芦戸┛┣━━┓ ┏┫┗上鳴
八百万┛  ┃┏┫ ┏葉隠
      ┃┃┗━┫
      ┗┫  ┗耳郎
       ┃  ┏飯田
       ┗━━┫
          ┗轟


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第28話

電気side

俺は今、雄英高校の1年の中で四天王と呼ばれている1人、緑谷と対面している。

緑谷たちの特訓を受けた今だから解るが、勝てる要素が見当たらねぇ。

けど、やるからには覚悟を決めるぜ。

マイク先生の「開始」の声と同時に俺は緑谷に接近戦を試みる。

すると緑谷も俺の方に構え、「ジケルド」と叫び光る球体を俺にぶつけてきた。

次の瞬間、俺の体が光りだしたが、緑谷がそんな単純な攻撃をしてくるとは思えない。

次の瞬間、ミッドナイト先生の持っていたとマイクが俺に向かって飛んできた。

俺が何かしでかした為に投げつけられたとも考えたが、ミッドナイト先生にそんな事をするメリットがない、そう思っていると周りからガタガタと音がするので周りを見渡すとテレビ局のカメラが震えだしていた。

次の瞬間カメラが俺に向かって飛んできたので両手を広げ“放電”を使い壊す。

俺は爆豪との特訓である程度の距離(最大2m)までなら帯電した電気を飛ばせるようになった。

それでも細かいパーツが俺の体にくっついてしまった。

その瞬間、緑谷は俺に接近して攻撃仕掛けて来たので今度は全身を纏うように“放電”をする。

この方法で“放電”すると飛ばせないが電圧を上げる事が可能だったりする。

攻撃の瞬間、緑谷は寸止めの辺りで攻撃を止めていた。

「危ない危ない。そのまま攻撃してたら、感電してたよ」

さすが緑谷としか思えなかった。

「だから、僕も電撃を纏った攻撃をするね。憑依」

次の瞬間、緑谷の体は白煙に包まれる

そして憑依ってのはたしかそれは緑谷が様々なゲームなんかのキャラに文字通り、憑依するはずだ。

一応、プロヒーローにも為れるはずだけど、いったい誰に?。

そう考えてる内に白煙が晴れてきた。

そしてそこに居たのは。

「雲雀、舞い忍びます」

ピンクの髪とジャージに紺色のブルマを穿いた女子が居た。

「なんだ、ありゃ!?」

他の科の言葉もそうだが、会場に居た多くの男性プロヒーローが注目していた。

一方女性ヒーローはそんな男性たちに白い目をしていた。

俺も緑谷にこんな能力が有るって知っていなかったら、きっと興奮していたと思う。

それにしても、何がとかは言わないが、デカイ。

「それじゃビリビリするよ」

おっと、試合に集中しないと。

緑谷(憑依した雲雀)が足踏みをすると体に電撃を纏い俺を攻撃を仕掛けてくる。

1つ1つの攻撃は軽いが連打の速さでいえば彼方が上だ。

「攻撃が、軽いな!」

「わわっ!?」

ただし、その軽さを利用して俺は場外に投げ出す事に成功した…筈だった。

そこには目付きの悪い直立歩行をしたピンクの兎が片手で持ち上げ、耐えていた。

「あれって有りなのか?」

マイク先生の言葉に審判のミッドナイト先生は。

「場外に体が付いていないのでセーフ」

有りらしい。

次の瞬間、その兎が緑谷を投げ、黄色い雲に乗ったかと思うと緑谷も一緒にその雲に乗り。

「忍兎でブーン」

会場に戻ると同時に俺に突進攻撃を仕掛けてきた。

「上鳴くん、場外。緑谷くん?の勝ち!」

そのまま俺は逆に場外に押し飛ばされ、負けてしまった。

その瞬間、緑谷は元の姿に戻っていた。

次の瞬間、数多くの男性人が残念そうな顔をしていた。


出久side

僕は上鳴くんとの勝負の後、控え室に戻らずに葉隠さんと耳郎さんの戦いを見物していた。

葉隠さんは裸になることで透明化をフルに発揮し耳郞さんを翻弄するつもりだったのだろうけど、音に敏感な耳郎さんは足音などで場所を察知して反撃していた。

結果、耳郞さんが勝ち残った。

次の対戦試合である飯田くんと轟くんとの試合は原作と殆ど一緒だった。

違いとしては飯田くんが接近戦を仕掛けようとした時に出したのが、氷ではなく炎を出して足止めし、そこから飯田くんの足にあるマフラーに氷塊を作って隙を作ったくらいだ。

次の試合に勝てば準決勝。

かっちゃんと戦うためには後、2回。

耳郞さんも轟くんも強敵だけど、負けるわけにはいかない。

そう思いつつ、僕はやる気を高めていた。




爆豪┓   ┏緑谷 
  ┣┓ ┏┫ 
芦戸┛┣━┫┗耳郞
八百万┛ ┗━━轟
       


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第29話

前回やろうとしてやらなかった事。
雲雀(緑谷)の命懸け。
だってやったらR-15もしくはR-18タグを着けないといけないと思ったので。


壊理side

私は今、デクお兄ちゃんの控え室の前に来ている。

試合前の大事な時間だってのは私にも分かっている。

でも、どうしてもお兄ちゃんに会いたくなってやって来ちゃった。

私がそっとドアを開けて、部屋の中を見ると椅子ではなく床に足を組んでその上に同じように手を組んでるデクお兄ちゃんの姿が会った。

確か座禅っていう修行方法だったと思う。

邪魔をしたら悪いと思って私が去ろうとすると。

「どうしたの、エリちゃん?」

私の気配に気づいていたのか分からないけど、デクお兄ちゃんに声をかけられた私はデクお兄ちゃんの控え室に入ることにした。

私が椅子に座るとデクお兄ちゃんはコップにりんごジュースを入れて持ってきてくれた。

「それで、どうしたの?」

そう言われて私はデクお兄ちゃんの用意してくれたりんごジュースを1口飲んで。

「デクお兄ちゃんに直接応援したくなって」

「そっか。ありがとうね」

そう言って私の頭を優しく撫でてくれた。

ちょうど1年くらい前だったと思う。

私が怖い想いをしている時に助けに来てくれたのがデクお兄ちゃんだった。

今思えばデクお兄ちゃんが戦ってる姿はとても怖かった。

だけど同時に、かっこいいって思ってしまった。

1人で20や30、もしかしたら100人近い相手にデクお兄ちゃんが戦ってる姿は、凄かった。

その時私はデクお兄ちゃんに「何でここに来たの?」なんて聞いてた。

するとデクお兄ちゃんは。

「君の助けを求める声が聞こえたからだよ。さあ、行こうか?」

そう言って私に手を伸ばしてくれたデクお兄ちゃんはとてもかっこよかった。

その後に私を連れ戻そうとした人たちもデクお兄ちゃんによって倒されて、今ではタルタロスって刑務所にいるらしい。

あの日から、デクお兄ちゃんは私にとっての最高のヒーローなの。

そう想いながらりんごジュースを飲んでいると。

「緑谷くん、試合会場までお願いします」

そんな放送が聞こえてきたので、私たちは手を繋いで控え室を出ることにした。

私たちが控え室を出るとそこには勝己お兄ちゃんがいた。

「俺は勝ち残ったぜ。お前も、覚悟を決めろよ」

するとデクお兄ちゃんは「そうだね。僕も決めてくるよ」って言って私と握っていない手の方の力を込めていた。

勝己お兄ちゃんが私たちから離れるとデクお兄ちゃんは私に目線を合わせる形でしゃがむと「僕、体育祭が終わったらエリちゃんに言いたいことがあるんだ」

そう言われて私の胸は苦しいのになんだかその答えが早く聞きたくなるのを感じた。

そのまま入場方向に向かっているデクお兄ちゃんに私は「頑張って」って声をかける。

するとデクお兄ちゃんは私に振り返らずに右腕を伸ばして親指を立てていた。


出久side

「さあ、残す試合も後わずか!!。次の対戦はその心音で俺たちのハートも響かせる!!。耳郞響香!!!。対するは千の能力に万の技!!。組み合わせは億通り!?。緑谷出久」

プレゼントマイクの声に会場が大いに盛り上がる。

「行くよ、緑谷」

僕に叫ぶ耳郞さんに僕も「全力でかかって来なよ」と言い返す。ミッドナイト先生の「準準決勝第2戦、始め」の声と同時に耳郞さんは“イヤホンジャック”を試合会場に突き刺すとその心音で試合会場を崩壊させてきた。

確かに僕と直接闘わなくても、試合会場を崩壊させれば場外で勝てるからね。

それなら、僕も“歌”で対抗しようかな。

そして僕は八百万さんの“個性”を“再現”しマイクを作り出し、握る。

そして僕はかっちゃんやエリちゃん以外に聞かせたことの無い歌声を披露することにした。


壊理side

私が客席でお茶子お姉ちゃんたちとデクお兄ちゃんの試合を眺めていると、デクお兄ちゃんがいつの間にか手にマイクを持っていた。

その姿を見てワクワクしてきた。

だって私、デクお兄ちゃんの歌が好きだから。

するとお茶子お姉ちゃんに「デク君って歌上手いの?」って聞かれたから私は「心に響くの」って言っておいた。

そしてデクお兄ちゃんがマイクに手を口を近づけ「静けさが~」と歌い出す。


とある喫茶店side

「な、なんだこの音楽は黒霧」

「は、早くチャンネルを変えなくては」

??side

「ドクター、早くチャンネルを変えるんだ」

「だ、ダメじゃ。リモコンが反応せん」

ウルグアイから東に約1000キロメートル離れた大西洋の上の漁船

que es esta musica(この音楽は何ですか)

no sé.(分からん。)Pero,mis oídos se están volviendo locos(だが、耳がおかしくなる)


エリside

デクお兄ちゃんが歌い終えると、お茶子お姉ちゃんや、周りにいた沢山のヒーローたちも寝ちゃってた。

響香お姉ちゃんも寝ちゃってたので、そのままデクお兄ちゃん の決勝が決まっていた。

でも私は聞き足りないのでデクお兄ちゃんにアンコールをすると周りにいた人たちが急に起き上がって「勘弁して」とか叫んでた。

皆ぐっすり眠ってたから良い曲だと思うんだけどな。




  ┏緑谷
爆豪┫
  ┗轟


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第30話

エンデヴァーside

先程の準決勝、不覚にも俺は気を失っていた。

まさか緑谷の歌がここまで酷いとは思わなかった。

気を取り戻してスマホを見ると時間はそんなに経過していなかったが、緊急ニュース速報が入っていた。

確かめてみると世界各国で不快な音波が聞かれたというニュースだ。

おそらく、いや確実にこの原因は緑谷だろう。

このニュースによると日本全国でテレビが壊れ、それを視聴していた視聴者の多くが病院に運ばれたらしい。

あくまで命に別状がないのが救いだな。

他の国の方では冬眠していた熊が目覚めたや、草木が枯れた。

また、水面に気を失った魚たちが浮かび上がったとのニュースもあるがおそらくこれらはデマだろう。

イヤ、デマであってほしいと俺は思っていた。

しかも本人は満足したような顔をしているところを見ると、自分が音痴だと気づいてないタイプか。

さて、続いては緑谷と焦凍の対決か。

昔あの2人で組み手をさせたことは有ったが今の実力はどれ程のものか楽しみだな。

「緑谷少年の次の対戦相手は君の息子か」

俺がそんな事を考えているとオールマイトがやって来ていた。

「君はどちらが勝つと思っている」

「俺としては焦凍に勝ってもらいたいが、難しいだろうな」

俺はそう答えるしかできなかった。


焦凍side

俺の準決勝の相手は緑谷だった。

緑谷と爆豪は幼い頃からの知り合いだ。

どんな戦闘スタイルかは良く理解しているが、理解しているだけこの2人はとんでもなく強いって分かる。

けど、俺だってNo.2ヒーローの息子っていう意地がある。

簡単に負ける気はない。

そして、俺たちが戦闘態勢をとるとミッドナイト先生が「準決勝第2試合を始める前に一言、言っておくわ。緑谷くん、歌うのは禁止ね」

確かに緑谷の歌は酷かったからな。

「後、エリちゃん。そんな残念そうな顔しないで。緑谷くんからの視線が痛い、というか怖いから」

緑谷の方を見ると顔は笑ってるが、なんというかどす黒いオーラのような物を出していた。

俺は昔これに似た何かを見たことがある。

それはエンデヴァー(親父)と夕方に特訓としてランニングをしていた時だ。

姉ちゃんが同じ小学校(職場)に勤めている男の人が姉ちゃんに話しかけられている時に親父がしてた表情によく似ていた。


勝己side

遂に始まったデクと轟の対決。

この戦いで勝った方が俺と戦うことになる。

試合が始まると同時に轟の奴はいきなり試合会場を凍らせる攻撃を仕掛けるが、デクも負けずに同レベルの炎を放出し防いでいた。

それを見ていたプロヒーロー(教師も含む)や他の科の生徒たちは驚いていたが、一緒に特訓していた俺たちにとっては普通の事だったから驚くほどの事でもない。

試合会場は水蒸気に包まれたが轟の奴は影からデクの場所を見つけたのか、そこに向かって氷の塊を打ち込んでいた。

だが、それは悪手だ。

その攻撃に反応してデクも負けじと反撃をしていた。

そういった攻防が繰り広げられているうちに水蒸気も晴れてきた。

それと同時に轟の奴は右手で巨大な氷の爪を作るとデクに向かって振り下ろすが、それよりも早くデクが轟の奴に接近していた。

そしてそのまま、炎を纏ったデクのパンチを受けて場外に跳ばされ、敗北宣言を受けていた。

その後、更に20分の休憩時間の後に決勝戦を行うという宣言をミッドナイトが言っていた。




爆豪━緑谷


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第31話

勝己side

「さあ、長かった雄英体育祭も残すところ1試合。決勝トーナメント決勝(ファイナル)だ!!」

プレゼント・マイクの声に会場全体が大いに盛り上がっている。

「まずは、漲る筋肉(パワー)体力(タフネス)で勝ち上がってきた力の男。1年A組、爆豪勝己!!」

その言葉を聞きながら入場すると同時に俺は左手を高く上げる。

「続いては、様々な戦略(タクティス)技術(テクニック)で勝ち上がってきた技の男。1年A組、緑谷出久!!」

その言葉を聞き、まるでショーの始まりの前のマジシャンのような登場をするデク。

「しかもこの2人、幼稚園前から高校までずっと同級生の幼馴染みだ!!」

その言葉を聞き更に会場は盛り上がる。

「さあ勝つのは技の緑谷か、力の爆豪か。決勝戦、開始ィィィ」

その一言を聞くと同時に俺はデクに向かって攻撃を放つが軽く躱して右手の掌を俺に向けると。

「いくよ、かっちゃん。ザケル」

青い電撃を放ってきた。


出久side

僕はかっちゃんにザケル*1を打つもかっちゃんはそれに耐えていた。

やっぱり、一筋縄じゃいかないか。

そうしてるとかっちゃんはジャブの用に連続で攻撃してきた。

だけどかっちゃんのジャブは普通の人が使うジャブと違いそれなりに威力が高い。

さすがにこれをノーダメージで攻略するのは難しいね。

でも、攻略できない訳じゃない。

僕はかっちゃんに接近して。

「ナイフ*2

かっちゃんの右肘を攻撃するとかっちゃんの右の前腕が切り落とされる。

僕も7発程かっちゃんのジャブを受けてだいぶダメージを受けてしまった。

会場からはどよめきが起こる。

「グロ過ぎるだろ。これが全国放送されて大丈夫なのか!?」

「いや、全国放送はされてないだろうな。緑谷のせいでテレビカメラが壊れたからな」

先生たちの言葉を無視するようにかっちゃんは落ちた自分の右の前腕を持ち上げると自分の右肘に押し付けると。

「よし、繋がったな」

と言いつつ右掌を閉じたり開いたりしていた。

これを見ていたプロヒーローたちも驚いていたが、かっちゃんの個性を知っていれば何て事はない。

かっちゃんの“超越”した細胞の再生能力によってくっついた程度の事だから。

そして僕も髪の一部を掴んで引っ張ると全身の皮がゆで卵を綺麗に剥けた時の用に剥ける。

完全再生(パーフェクト・リバース)*3

その光景を見たプロヒーローたちが騒いでいた。

「お互いダメージ無しかよ」

いや、ダメージ無しって訳でもない。

かっちゃんの方は体はくっついてもくっついた部位は暫くは1/10程度の力しか出せないし、流れた血液が体内戻る訳でもないので血液も再生するのに時間がかかる。

いずれかっちゃんはこの弱点を克服しそうだけど。

そして僕の完全再生(パーフェクト・リバース)も傷なんかのダメージは回復するが、スタミナまで回復するわけじゃない。

「ハンデのある勝負に勝ってもつまらないからな。次、いくぞ」

僕の回復を待っていた後、左ストレートパンチを繰り出してきた。

さっきまでのジャブと違い、1発でフィールドにかっちゃんの拳の後が残るほどの威力だ。

なら、僕もパンチで立ち向かうまでだ。

次の瞬間僕の腕は黒鉄のような色に変わる。

打舞流叛魔(ダブルハンマー)*4

僕の技とかっちゃんのストレートパンチがぶつかり合う。

お互いに後ずさりしてしまう。

「緑谷の奴はテクニックタイプだって言ってたのに、パワーは互角かよ」

会場からは騒がれているけれど、互角ではない。

かっちゃんはまだ、必殺技を1度も使っていないんだから。

でも、僕はそれでもワクワクしていた。


勝己side

俺は今、物凄く楽しんでいた。

やっぱり俺を心から楽しませてくれる戦いをしでかすのは何時だってデクだ。

俺が努力に努力を重ねて鍛えぬいた筋肉に自身が持つ知恵と能力を組み合わせた技で越えてくる。

俺は雄英体育祭の決勝ということ等関係なく、この状況を楽しんでいた。

さあ、デク。

次はどんな技を見せてくれるんだ。

するとデクは右腕を5本の触手に変えると。

「ザケル」

それぞれの触手の先端から再び電撃を放ってきた。

だが、先ほどの威力と比べて大差ない。

デクもそれに気づいているのか。

「やっぱり威力が落ちるね。それなら」

と言って触手を周りに展開すると。

「ザケルガ」

先ほどの技よりも強力な一撃を撃ってきたが、大したことはない。

「それなら」

と言って触手を自分の腕を元に戻して。

「ザケル、ザケル、ザケル、ザケルガ、ザケル、ザケル、ザケルガー!」

怒涛の電撃を放ってきた。

さすがの俺もこの攻撃もダメージは大したことはないが、このまま押されるとまずいと思ったが不意に攻撃が止まった。

気になりデクを見ると。

「スウゥー」

(ヤロウ、息継ぎしてやがる)

そして。

「ザケル、ザケルガ、ザケル、ザケルガ、ザケル、ザケル、ザケルガ、ザケルガー!」

再びの電撃攻撃を再開してきやがった。

攻撃が止まったので接近を試みるとデクは。

「ゴブッ、ゴブッ」

何か召喚した水のような物を飲んでいた。

そして当然のように。

「ザケル、ザケルガ、ザケル、ザケルガ、ザケル、ザケルガ、ザケルガ、テオザケル」

そして俺はステージの端まで追い込まれていた。

接近していなかったら俺は間違いなく場外に落ちて負けていた。

でもこうなったら仕方ない。

デクにも見せたことのない、俺の必殺技を披露するしかない。

*1
金色のガッシュに登場する一番弱い電撃の呪文

*2
トリコに出てくる技

*3
コロッケ!に登場する必殺技でダメージを回復する技

*4
金剛番長に登場する必殺技。



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第32話

出久side

僕が前世で読んだ漫画の一部を“再現”した怒涛の電撃攻撃をを受けてもかっちゃんは平気そうな顔をしていた。

それどころか、まるで何か奥の手でもあるのかのような表情をしている。

するとかっちゃんは。

「はあぁぁー」

と言って気合いを入れるとかっちゃんの身体の筋肉が膨張を始めた。

パンプアップに似てるけど、これはまるで抑えていた力を解放するかに感じた。

そして完全に力を解放したかっちゃんは先ほどまでとは雰囲気が違っていた。

「待たせたな、デク。これが俺の今の状態で出せる100%の姿だ」

見た目は違うけど、体も更に巨大化してまるで幽遊白書の戸愚呂弟みたいだ。

確かに人間は本来2%までの力しか出せないって話だけど、かっちゃんは直感だけで全力の力を解放したみたいだ。

「いくぞ、デク」

次の瞬間僕に向かってストレートパンチを繰り出してきた。

けど、さっきまでのパンチとは明らかに威力が違う。

とっさに“てっぺき”*1を3回重ね掛けを使い、更に両腕をクロスしてガードしたけど、場外に飛ばされてしまった。

幸い地面に落ちる直前に以前にも使用した“空を飛ぶ程度の能力”を使ったおかげで敗北にはならなかったけど、両腕の骨は砕けてしまった。

全くどれただけのパワーを出してるんだろうか。

ただ、両腕が使えないので“じこさいせい”*2を使い両腕を回復させつつもフィールド上空にに戻る。

するとかっちゃんは跳躍して僕の足を掴んだかと思うとフィールドに目掛けて投げつけようとしてきた。

僕は咄嗟に。

「ベタン」*3

を使い、逆にかっちゃんを地面に落とす。

僕も技の範囲内にいるが、“空を飛ぶ程度の能力”のおかげで被害は受けずにすんだ。

かっちゃんは高重力の場所でも修行をしているとはいえ、これは効いたかなと思ったけど、平気そうな顔をして立ち上がってきた。

防御力も格段に上がってるみたいだし、油断できないね。

それなら、量を増やすしかないね。

「多重影分身の術*4

フィールドを覆い尽くす程の数に増えた僕の分身がかっちゃんに向かっていく。

それをかっちゃんは裏拳で撃退するけど、その際に隙が出来たので僕は見逃さずに攻撃に入る。

「千鳥*5

かっちゃんの右脇に攻撃が決まるもかっちゃんの左腕が反撃に入る。

だけどそれも計算の内だ。

なぜならそれも分身で、本物の僕は。

「ゴムゴムの戦斧(おの)*6

上空から踵落としを仕掛けるけど。

「甘い!」

片手で簡単に防がれてしまった。

それどころかそのまま引き寄せられてストレートパンチを食らってしまった。

何とかフィールド外に突き落とされる前に何とか止まることができた。

だけど、なんとなく分かってきたことがある。

それは今のかっちゃんは素早く動くことができないということだ。

可能性に賭けるとすれば勝機があるとすればそこしかない。

だけど膨張した筋肉がそれを補ってる感じだ。

だったら僕も取って置きの手を使うしかない。

使うと僕の脳にも負担が多いけど、迷ってる暇は無い。

*1
ポケモンの防御力を上げる技

*2
ポケモンの回復技

*3
ドラゴンクエストに登場する重力を発生させる呪文

*4
NARUTOに登場するナルトが得意とする忍術

*5
NARUTOに登場するサスケが使用する忍術

*6
ONE PIECEのルフィの技



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第33話

百side

爆豪さんと激戦を繰り広げていた緑谷さんですが、急に雰囲気が変わりました。

爆豪さんが攻撃を繰り出すもまるでどうすれば攻撃を回避できるのか。

それとは逆にどうすれば攻撃を当てられらるのか等、まるで答えが分かっているかのような行動をしています。

「スゲーな緑谷の奴。まるで爆豪の攻撃がどこから来るのか読んでるみたいだぜ」

私と同じ事を考えていたのか上鳴さんがそんなことを言っておられました。

「でもあんな能力を“再現”できるなら何で最初から使わなかったのかな?」

芦戸さんも気になったのかそんなことを言っておられます。

それにもしかしたらアレは。

「もしかしたら緑谷さんはあの能力を使わなかったのではなく、使おうとしなかっただけなのではないでしょうか?」

「え、それってどういう事?」

麗日さんが私に質問を返してこられたので私も知っている限りの事を話すことにしました。

「あの能力の名前は、おそらく“アンサー・トーカー”と呼ばれる能力かと」

「知ってるのか?、八百万」

「ええ、轟さん。緑谷さんたちの秘密基地に有った書物によると別名“答えを出す者”と呼ばれる能力でありとあらゆる答えを導き出す能力らしいです」

「それってどんな答えでも出せんのか?。たとえは例えば難関大学の答えとか?」

「それは勿論ですが未だに解読されていない未知の文字でも解読できたり、未だに答えが証明されていない数学の答えも導き出せる能力なんです。その応用で戦闘に持ち込めばあの様に相手からの攻撃を回避し、相手に攻撃を当てるという答えを出すことも可能なんです」

「だったら何で尚更最初から使わなかったんだ?」

「その答えは簡単ですわ。脳への負担が大きいからですわ」

「でもよ、緑谷はそれを調整して脳への負担を減らせば良いだけじゃねぇか」

「そういう事は恐らくは出来ないかと思うんです。緑谷さんは沢山の“個性”や“技”を再現すると眠ってしまいますよね。おそらく脳が身体に着いていけずに機能を停止した結果、眠ってしまうんだと思います」

「ってことは今の爆豪の実力はそれを使う程の相手って事か。やっぱりあの2人は俺たちとはレベルというか次元が違いすぎるぜ!」

切島さんの言う通り、この勝負はこの2人が決勝戦まで残ったからあり得たことですわ。

もし、他の方々が当たっていたら一瞬で決着が着いていたかもしれません。


出久side

やっぱりかっちゃんはすごい。

せっかく答えを出す者(アンサー・トーカー)*1を使って出した答えもその答えを出す者(アンサー・トーカー)を使い続けないと分からない程の隙を使わないといけない。

それに今日だけで充分“再現”を使っている分、既に激しい睡魔が襲ってきてる。

使える“再現”はもうそんなに多くはない。

もう身体や脳を休ませてやれなんて本能が訴えている気がしている。

だけど、ここで倒れる訳にはいかない。

この決勝戦までに戦ってきた強敵(とも)の為にも。

そして何よりも。

「頑張って、デクお兄ちゃん!!」

僕の事を必死に応援してくれてるエリちゃんの為にも負けるわけには、いかないんだ!!。

「これで決めるよ、かっちゃん!」

「かかってこい、デク!」

かっちゃんの渾身の一撃を左手で受け止める。

次の瞬間、左腕全体に骨が砕ける痛みが走るけど、すかさず麗日さんの“無重力”を“再現”してかっちゃんを宙に浮かせる。

「これは、麗日の“個性”か!?」

さすがのかっちゃんも無重力状態には敵わなかったみたいだ。

そもそもかっちゃんのやる格闘技は地面や壁など、衝撃を吸収してくれるものが必要だ。

だけど、無重力状態では吸収してくれるものがなくなる。

すかさず僕はかっちゃんに接近して。

「バイキルト+ギガインパクト*2+」

顎を目掛けて。

「昇龍拳*3

を繰り出すけどかっちゃんも負けじと僕にストレートパンチを繰り出す。

だけど無理に筋肉を増強した反動か今は元の体型に戻っていた。

次の瞬間にはかっちゃんの顎に当たり、僕自信もかっちゃんの攻撃を受け…。

*1
金色のガッシュに登場する特殊能力

*2
ポケモンの技

*3
ストリートファイターシリーズに登場する必殺技



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第34話

オールマイトside

緑谷少年と爆豪少年との決勝戦。

それは凄まじいという他ないレベルの激闘だった。

最初はセメントスがステージの修復をしようと必死になっていたけれど、追い付いてかなかった。

そのため今は既にミッドナイトと共に避難している。

「もし、私たちが敵対してぶつかったとしたらこんな事になっていたのかな?」

私は思わず近くにいたエンデヴァーに聞いていた。

「おそらく、俺たちがぶつかったとしても、お前がヒーローならこんな被害が出る前に俺を倒していたと思う。逆にお前が敵だったら俺は倒されて、殺されていたかもしれん」

エンデヴァーの言葉に私も頷く事しか出来なかった。

そうこうしてる間に、緑谷少年は爆豪少年を宙に浮かせてからの一撃を叩き込むも爆豪少年も負けじと一撃を放つ。

そのまま2人は地面に激しく叩きつけられ、土煙がフィールドを覆い尽くす。

土煙が晴れるとそこには2人が倒れ伏していた。

「雄英高校体育祭決勝戦、まさかの引き分けか!?」

そんな放送がかかる中、爆豪少年がフラフラしながらも立ち上がっていた。

「引き分けじゃ…ねぇ…よ」

「爆豪立ち上がったー!!。よってこの勝負」

「俺の、負けだ」

「「「えー!?」」」

会場中から驚きの声があがるが、爆豪少年の言い分は。

「俺が立っているこの場所は壊れているが、場外に当たる場所だ。だから、俺の負けだ」

そう言うと緑谷少年を肩に担いで会場を後にしていた。

そしてセメントスくんがセメントを加工して表彰台を作っていると。

「ようやく1年生の方も終わったのかい」

「校長、なぜここに?」

3年生の会場にいる筈の校長がその場に居られた。

「2年生、3年生の方は既に閉会式を済ませたよ。1年生の試合が長引いてるから見に来たのさ。それとエンデヴァーに頼みたいことがあってね」


勝己side

俺たち4人は今、表彰台に立ちメダル授与を待っていた。

ちなみにデクの奴は表彰台のてっぺんで今にも眠りそうな状態になっている。

「緑谷、大丈夫か?」

ちなみに轟は氷を作り出してデクの首筋などを冷やしている。

八百万曰くこういう所を冷やすと眠気覚ましになるらしい。

「それではこれより、表彰式に移ります。メダル授与よ。今年メダルを授与するのはもちろんこの人!!」

「私が、メダルを持ってk「我らがヒーロー、オールマイトォ!!」」

おい、打ち合わせぐらいちゃんとしとけよ…。

カブってんじゃねぇか…。

「えーと、気を取り直してもうもう1人。No.2ヒーローにして本日3位の轟くんの父親。エンデヴァー!!」

「今回ばかりは俺でなく、焦凍(息子)を見ろぉー」

師匠までメダル授与しに来たのか!。

観客席からも「今年の1年は良いなぁ。トップ2人にメダル授与してもらえてんだから」なんて声が聞こえてくる。

「さあ、授与の時間よ。まずは轟くんから」

「よく頑張ったな、焦凍」

「悪かったな親父。俺は1位になれなかった」

「そんなのは俺も同じだ。俺も1位の壁を乗り越えられた事はない。だが、這い上がればいい。負けたことがあるというのがいつか大きな財産になるだろうからな」

「ああ」

「続いては八百万さん」

「八百万少女、おめでとう」

「ありがとうございます、オールマイト。ですが私はまだまだ爆豪さんに届きませんでしたわ。これが男女の差というやつでしょうか」

「いや、君は充分に強い。ただ“個性”に頼りすぎているところがある。これからはそっちの方面を鍛えれば君も強くなれる」

「ありがとうございます」

「続いては爆豪くん」

やっと俺の番か。

「頑張ったな爆豪。雄英高校1年とプロヒーローという違いはあれど、俺とお前は同じ2位という立場だ。今度は1位を目指せ」

「言われなくてもそのつもりだ。そしていつか俺たちがプロになった時はアンタらを超えてトップに立ってみせる」

すると師匠はニヤリと笑うと。

「その時を楽しみに待っているぞ」

そう言っていた。

そして。

「最後に緑谷くん」

「優勝おめでとう、緑谷少年」

「あり…が…とう…ござ…い…ます」

俺はフラフラと揺れるデクの体を支えてやる。

「君はこれから注目の的になるだろう。だが、プレッシャーに負けることなく頑張りたまえ」

「わ…かり…ま…した」

「っていうか緑谷くん、大丈夫?」

そしてオールマイトがデクの首に金メダルをかけると。

「さァ、今回は彼らだった!!。しかし皆さん!、この場の誰にもここに立つ可能性はあった!!。ご覧いただいた通りだ!。競い!、高め合い!、更にこの先へと登っていくその姿!!。次代のヒーローは確実に芽を伸ばしている。てな感じで最後に一言!!」

強敵と書いて“とも”と読む。

好敵手と書いて“ライバル”と読む。

「皆さんご唱和ください!!、せーの」

「「「「「「「「「プルス」」」」」」」」」

「おつかれさまでした!!」

「……。そこはプルスウルトラだろう、オールマイト」

「ああいや…。疲れたろうなと思って……」

オールマイトが師匠にツッコミを入れられてなんとも閉まらない終わりだった。


場所は変わりAntico e moderno oriente e occidente店内

「皆、グラスは持ったな。それじゃ緑谷の優勝と爆豪の準優勝を祝って、乾杯」

「「「乾ぱーい」」」

体育祭が終わった後、俺たちは角丸店長のお店で打ち上げをやっていた。

上鳴の音頭で皆コップを掲げる。

中身はお茶だったり、ジュースだったり様々だ。

「けど、全員集まれなかったのは残念だったね」

「飯田はお兄さんが(ヴィラン)に襲われたんだろ。そりゃしたかないって」

そう、飯田の奴は兄であるインゲニウムが(ヴィラン)に襲われたって事で早めに帰っていった。

「それより、爆豪。緑谷は大丈夫なのか?」

「ああ、脳を酷使した事による睡眠症状だからなんともないと思う。まあ、一応エリを看病に向かわせてる」

「そっか。それなら大丈夫かな」

デクの奴は今は離れにある従業員用の仮眠室で寝ている。

角丸店長も今日は泊まって良いって言ってくれたのでお言葉に甘えてデクを休ませてもらっている。

切島にはああ言ったが、大丈夫か?。


エリside

デクお兄ちゃんはこのお店に来た時からずっと寝てる。

普段なら眠くてもご飯の時間になったら起きて一緒に食べてくれるのに、今日は起きてくれなかった。

店長さんや勝己お兄ちゃんは疲れてるからだって言ってた。

どうしたら早く起きてくれるのかな。

私は1つの考えを思いついて実行することにした。

それはキスをすることだ。

デクお兄ちゃんに読んでもらう絵本の寝たきりだったり呪いをかけられたりしてる人はキスをすることで目を覚ましてる。

少し恥ずかしいけど、デクお兄ちゃんなら、良いよね。

そう思い、私は仰向けで寝ているデクお兄ちゃんの胸に乗ってキスをしようとすると。

「あれ、エリちゃん。どうしたの?」

私はビックリしてデクお兄ちゃんから落ちそうになるけど、片手で支えてくれた。

「もしかして、心配かけちゃったかな?」

デクお兄ちゃんがそう言うと私はデクお兄ちゃんに抱きついて泣いてしまった。

「心配かけてごめんね、エリちゃん」

そう言いながら私の頭を撫でてくれた。

「そういえば僕、エリちゃんに言いたい事があるんだ」

なんだろうと思っていると。

「エリちゃん。僕と付き合ってくれるかな?」

私の頭の中にたくさんの?マークが浮かんでくる。

「簡単に言うと、将来僕と結婚してほしいって事かな」

「それって絵本の王子様とお姫様みたいな?」

私が質問をすると。

「そうだね。でも、エリちゃんが結婚できる頃には僕はおじさんって年齢になってるけど、良いかな?」

デクお兄ちゃんの説明を聞いて私は納得した。

そしてその答えは…。



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第35話

今回の話は体育祭後の次の日です。


出久side

昨日僕はエリちゃんに告白した。

結果は今までは普通に繋いでいた手をお互いの指を絡ませる形になったということで察してほしい。

僕がエリちゃんと秘密基地に向かっていると。

「よお、緑谷」

「あれ、心躁くん。どうしたの?」

「ああ、それはだな。まずは優勝おめでとうとそれともう1つ。俺のサポートアイテムを作ってほしいんだ」

「えっと」

僕が戸惑っていると。

「確かに予選敗退した俺にヒーロー科への編入は難しいかも知れない。でも、昔からの夢を簡単には諦められないんだ!。パワーローダー先生に頼んだらどうかって言われてな。ダメか?」

心躁くん…。

「分かったよ。ついて来て」

そして僕は心躁くんを連れて秘密基地に着くと。

「デク、お帰り。で、そいつは誰だ」

「え?」

心躁くんは宣戦布告したのに顔を覚えられていないのが意外だったのかも。

「体育祭前に宣戦布告してきた心躁くんだよ。それに心躁くんも大丈夫だって。かっちゃんってバカだから覚えてなかっただけだから」

僕がそう言うと。

「誰がバカだ。筋肉をつけろ」

「中学1年の1学期中間の時、1桁だったのに?。かっちゃんが得意なのって一夜漬けタイプの勉強法でしょ。雄英の入学試験もそれの応用だもんね」

「ぐぬぬ」

かっちゃんの顔が凄いことになってるけど僕は無視して研究室に向かう。

「まあ、紅茶でも飲んで待っててよ。No.96-422、彼に紅茶とお菓子を提供してあげて」

御意(イエス)ご主人様(マイロード)

そう言うと僕は研究室に入る。


人使side

俺は今、緑谷の自宅と思われる所に来ている。

確かにヒーローに憧れたからといってサポートアイテムを身に付けるのは早い気がするが、パワーローダー先生を含むサポート科に相談したところ。

「緑谷くんを頼りなさい…」

「私たちの発明品なんて、彼にとっては時代遅れなんですよ…」

なんて落ち込んでいたが、緑谷の奴は何をしでかしたんだ?。

「たしか、心躁だったか?。デクの奴が迷惑かけたりしてないよな」

「ああ、大丈夫だ。今回も俺から頼んで発明を頼んだわけだし」

そこで俺は気になった事を聞いてみることにした。

「それと3つ程聞きたいことがあるんだけど、良いか?」

「俺に答えられる事ならなんでも聞いてくれ」

「じゃあ、1つ目にこのエリって呼ばれてる子だけど、緑谷の妹かなんかなのか?」

まあ、顔立ちは似てるとおもうが。

「そういや言ってなかったな。エリはさ、デク…いや緑谷がヒーロー公安委員会から保護を任されてるん子なんだよ」

爆豪が話してくれたけど、今の俺には重すぎる話だった。

ヒーローの責任ってのは、こんなにも重たいものなのか。

「他にも聞きたいことがあるんだろ。次はなんだ?」

そう言われ、俺は次の質問をする。

「お前たち3人ってここで共同生活してるわけだろ。エリはともかく、お前らの両親ってどうしてるんだ?」

「俺の両親も、緑谷の両親も海外で働いてるよ。年に数回しか帰ってこれない時もあれば全く帰ってこれない時もある」

「寂しくはないのか?」

「もう慣れっ子だよ。緑谷はガキの頃から父親不在は多かったし、俺に至っては親が忙しくてよく緑谷のお袋さんにお世話になったもんだ」

「……」

「その緑谷のお袋さんも緑谷が中学に入ってからは緑谷の親父さんの手伝いをするために海外に行っちまったけどな」

「じゃあ、最後の質問を良いか?」

「なんだ?」

「緑谷の奴はサポート科で何かしでかしたのか?」

「それはたぶん、体育祭の事が原因だろうな」


回想 決勝戦前

「爆豪さん、是非私の可愛いベイビーを使ってほしくって。いかがですか」

「私からも頼むよ。発目は言い出したら聞かなくてね」

「これは」

「バックジェットですね。これは背中に背負うことで空を飛べるという」

「中古品か」

「いえ、違います。それは私が昨日完成させた」

(わり)い。デクが昔同じ物を作ってたから、中古品かと思ったよ」

「え…!?」

「ちなみに昔って言ってもつい最近だよね…」

「いや、デクが4歳の頃だから10年くらい前だな」

「「…!?」」」

回想終了


再び心躁side

「って事が合ったんだよ」

緑谷も緑谷だけど、問題は爆豪の方だったか。

そんな話をしていると緑谷が部屋に入ってきた…のだが。

「すごいでしょ、最高でしょ、天才でしょ」

緑谷は妙なハイテンションになっていた。

「一旦落ち着け」

「あい」

そんな緑谷を爆豪がかかと落としで沈静化させていた。

「それで、手にしているのか俺のサポートアイテムなのか?」

「そうだよ。その名もマスクチェンジャー」

どこぞの子育て用の猫型ロボットのような声真似(そんなに似てない)を見せてきたのは大きな唇のようなものが口についてるマスクだった。

普通のマスクと違うところはマスクの横(頬に当たる部分)に右側に赤い丸、左側に緑色の三角のスイッチが着いてる事だ。

「着けてみてよ」

俺がそれを着けると同時に赤い丸のスイッチを押してきた。

「どうかな着け心地は。悪くないかな?。呼吸しづらくない?」

俺が答えようとすると今度は緑色の三角のスイッチを押してきた。

その後に俺は。

「あ、ああ。大じょ」

と言った所で両手で口を塞いでしまった。

今の声は…。

「デクお兄ちゃんの声だ!?」

エリって呼ばれてる子の通り、今のは紛れもなく緑谷の声だった。

「これが僕の開発したマスクチェンジャー。凄いでしょ」

「ああ、すげえよ」

俺はマスクを外してそう言った。

「機能は2つ。赤い丸のスイッチで相手の声から声紋のパターンを解析して録音。緑の三角のスイッチを押すとその声から使用者の声紋と合わせてその録音した人の声を再現する機能だよ」

「けっこう便利だな」

爆豪の言う通り、これはすごい発明品だと思う。

「次に欠点を説明するね。まず1つは同時に喋られたりしたら同時には録音できなくなる。その場合はその場にいた全員が同時に喋っているような音声になっちゃう。2つ目に1度に1つの音声しか録音できない。例えばAって呼ばれてる人の声を予め録音した人の声がある時にBと呼ばれてる人の声を録音するとAって人の声は消されちゃう。そしてこれが1番の問題点なんだけど、最低でも相手の声を5秒間録音しないと再生出来ないんだ。以上がマスクチェンジャーの機能だよ。理解してくれた?」

「ああ、ありがとうな。急に頼んだのにこんなにも凄いもの作ってくれてよ」

「別に気にしないで。またなんかあったら相談に来てよ」

俺はそう言うと、外まで見送りに来てくれた緑谷たちにお礼を言って帰路についた。



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職場体験編
第36話


勝己side

俺は昨日、心操が帰った後にデクからエリと正式に付き合いだしたと言われた。

突然言われたので流石に俺でも驚いてしまった。

その反面やっとかと納得する俺もいたのは事実だ。

そして俺が夕飯を作っている際にデクは親にテレビ電話で彼女ができたと報告をしていた。

親父さんは寝ていたみたいだが、お袋さんは起きていたらしく、電話越しに「出久はしっかりしてるように見えるけど、抜けてるところもあるからフォローしてあげてね」って会話が聞こえてきた。

そんで今日はデクとエリは2人でお出掛けらしい。

「へえ、デートかよ」

俺がそう言ってからかってやるが。

「そんなんじゃないって」

って照れながらも否定してるが、手はしっかり恋人繋ぎをしている。

そしてそのまま2人で出掛けていった。


出久side

僕は今、エリちゃんと2人でお出掛けをしている。

「ねえ、デクお兄ちゃん。これってデートじゃないの?」

エリちゃんが僕に向かって話しかけてきた。

「デートをしても良いけど、その前に行っておきたい所があってね」

僕がそう言うとエリちゃんは首を縦に降ってくれた。

僕が目的地に到着すると。

「ここって、病院?」

「そうだよ。ここに会いたい人がいてね」

僕が受付で手筈を整えてとある病室の前に立ちノックをすると中から「どうぞ」の声を聞き中に入ると1人の老人がこちらを見てビックリしていた。

そして、エリちゃんもまたビックリした顔をしている。

そこにいたのは…。

「おじい、ちゃん…」

「壊理、なのか?」

今は無き死穢八斎會で組長と呼ばれていた男性。

エリちゃんのお爺さんだ。


壊理の祖父side

儂はつい先日まで眠っていた。

というのも実の息子当然に可愛がっていた治崎の手にかかってしまったからだ。

そして、先日眼を覚ました時に介護をしてくれていた看護婦に聞いた話では今はもう儂が継いできた死穢八斎會はもう存在しないと聞かされてしまった。

なんでも治崎が儂の孫娘を利用してとんでもないことをやらかそうとしていたらしいが、どこからか噂を聞きつけたのか1人の少年が孫娘を助け、治崎の野望を阻止してくれたそうだ。

そして、その少年が目の前にいるこの少年だという。

「治崎の事に関しては感謝しておる。しかし、それだけではないのだろう?」

儂がそう言うとその少年はその場で膝を折り、三つ指を着くと。

「緑谷出久と言います!。孫娘さんを、僕にください!!」

……。

流石に儂もビックリして思考が停止仕掛けてしまった。

しかし。

「緑谷よ」

「はい!」

「歳はいくつだ?」

「今年の7月で16になります!」

壊理よりも10歳近くも離れているのか。

死穢八斎會の組を潰すくらいだ。

実力はたいしたもんだが他はどうかと思い聞いてみる。

「お前は賢いのか?」

「様々な特許を取ってます!。また数学オリンピックで9年連続優勝してます!」

「資産は?」

「詳しいことは解りませんが少なくとも数十億はあるかと!」

確か16と言った筈たったが、どうやって稼いでいるのだろうか?。

まあ、後で調べておくとしよう。

「最後の質問をする。儂の眼を見て答えよ!」

「はい!!」

そう言うと緑谷は頭を上げる。

「壊理が結婚できる年齢までに後10年は掛かる。その間他所の女に現を抜かすことはないと誓えるか!?」

「勿論です!!」

儂は緑谷の眼を見る。

嘘偽りの無い眼をしていた。

先に眼を閉じたのは儂の方じゃった。

儂は一息吐くと。

「壊理もそれでいいのか?」

壊理に聞くと力強く首を縦に降って。

「うん、私も大好きだから!」

そして儂はまた一息吐き。

「孫娘を、壊理をよろしくな」

「はい!!」

そして2人は儂にお辞儀をして病室を後にしていった。

「本当に宜しかったんですか?」

「ああ、構わん。あの少年の眼はとても清んだ眼をしていた。あの少年なら孫娘も幸せになれると信じているよ」

儂らの会話を聞いていた看護婦に聞かれたのでそう答えた。

あの少年の眼は儂が幼き頃遊んだどのビー玉よりも透き通っていた。

儂の可愛い孫娘を頼むぞ、緑谷出久。



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第37話

出久side

雄英高校体育祭後の振替休日開けは生憎の雨だった。

通学路では道行く人たちが体育祭の話ばかりしている。

僕と耳郎さん以降はどうなったのかは放送されなかった為に雄英高校のホームページに載せられた。

僕が注目を集めるとエリちゃんも危ないので既に“邪悪な透過光(イビル・ストロボ)*1を再現して浴びている。

彼氏としては彼女を守るのは当然だ。

ちなみにかっちゃんは日直という理由で朝早くに家を出た。

そんな雨の中でも飯田くんはレインコートを着て走ってきた。

原作通りならお兄さんであるインゲニウムがヒーロー殺しにやられている筈だ。

休憩時間に飯田くんに話をしてみようと思い、僕たちも教室に向かった。

僕とエリちゃんが教室に着くと。

「よお、爆豪から聞いたぜ。お前ら2人が付き合いだしたって」

切島くんにそう言われエリちゃんは顔を真っ赤にして横を向いてしまった。

たぶん僕も顔が同じ様に赤くなっていると思う。

「え、それってロリ……」

峰田くんが何かを言いかけたけど、蛙吹さんに舌で叩かれていた。

飯田くんは飯田くんで。

「学生なら学業に…」なんて言ってたけど、芦戸さんに「最近だと幼稚園からカップルになる人もいるよ」なんて言われてビックリしていた。

それにエリちゃんも女子生徒に「良かったわね」とか言われて満更でもなさそうな顔をしている。

そんな雑談をしているとチャイムと同時に相澤先生が教室に入ってきた。

それと同時に全員同時に素早く自分の席に着く。

よく見ると包帯が取られていた。

「相澤先生、包帯取れたのね。良かったわ」

蛙吹さんが安心したのかそんな一言を言っていた。

「婆さんの処置が大袈裟なんだよ。んなもんより今日の“ヒーロー情報学”、ちょっと特別だぞ」

相澤先生の一言で教室に緊張が走るけど、僕にはなんとなく次の展開が分かった。

「「コードネーム」ヒーロー名の考案だ」

「胸ふくらむヤツきたああああ!!」

原作通り多くの生徒が騒ぎだしていた。

「というのも先日話した「プロからのドラフト指名」に関係してくる。指名が本格化するのは経験を積み、即戦力として判断される2、3年から…。つまり今回来た“指名”は将来性に対する“興味”に近い。卒業までに興味が削がれたら一方的にキャンセルなんてことはよくある」

「大人は勝手だ!」

そう言いながら峰田くんが机を叩いていた。

「本来ならテレビ中継で全国のヒーローが見て票を入れるんだが、どっかの誰かのせいで放送出来なくなったからな」

うーん、やっぱり物間くんにあの芸をさせたのは不味かったかな。

「それで雄英のホームページに結果を提示して集まった結果がこれだ」

相棒先生がそう言うと黒板に投票結果が表示される。

爆豪  4015

緑谷  3016

轟   2009

八百万 1080

耳郞  960

芦戸  943

葉隠  826

上鳴  760

麗日  749

尾白  689

その他 420

「あれ、1位と2位が逆転してね?」

競呂くんがそう言うと。

「これは俺の見解だが、緑谷はその気になればなんでも出来る。それが原因じゃないかと俺は考えている。なんでも出来る=自分達の見せ場が減るって考えだろうな」

相澤先生の言葉にみんなが納得したように頷いていた。

「まあこれも踏まえ…いわゆる職場体験ってのに行ってもらう。お前らは一足先に経験してしまったが、プロの活動を実際に体験して、より実りある訓練をしようってこった」

「それでヒーロー名か!」

「俄然楽しみになってきたァ!」

「まァ仮ではあるが、適当なもんは…」

「付けたら地獄を見ちゃうよ!!。この時の名が世に認知されそのままプロ名になってる人多いからね!!」

「「「ミッドナイト!!」」」

クラスの皆が盛り上がり、相澤先生が静かに対応しているとミッドナイト先生が教室に入ってきた。

「まあ、そういうことだ。その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう。将来、自分がどうなるのか。名を付けることでイメージが固まり、そこに近づいてく。それが「名は体を表す」って事だ。“オールマイト”とかな」

相澤先生がそう言うとミッドナイトがホワイトボードを後ろに回す用に渡してきた。

そして15分後。

「じゃ、そろそろ出来た人から発表してね!」

そう言われ、真っ先に立ち上がったのは青山くんだった。

「行くよ。輝きヒーロー“I Can not stop twinkling.(キラキラが止められないよ☆)”」

原作で読んだ時も思ったけど、英語なのか、フランス語なのハッキリさせた方が良いんじゃないかな。

その後も皆が原作通りの名前を付けていく。

轟くんなんて原作と違う人生を歩んでる筈だけどやっぱりヒーローネームはショートだった。

「デク、先に言っても良いか?」

「別に良いけど」

「それじゃ、爆豪くん」

「じゃあ、俺のヒーローネームはZEROだ」

「…由来を聞いても良いかしら?」

「俺の“個性”は体を鍛えたりする事で発動する“個性”だ。体を鍛えたりするのは太古の昔から人間に必要だった要素だ。それに俺は目の前に現れた敵は全部ぶっ倒す。その辺の意味を考えて0、ZEROにした」

「なかなかに重いわね」

「重くて上等。これぐらい背負えなくて何がヒーローだ」

成る程、かっちゃんらしい名前だ。

ただ、原作と違ってちゃんと採用されてた。

「次は僕、行きます」

「じゃあ緑谷くん」

「はい、僕のヒーローネームはXです。理由は僕の“個性”は他の人たちの“個性”や技を“再現”して組み合わせる事で全く別の技に変化させる事も出来る未知の可能性を秘めてるからです。だから未知を現すXでエックスです」

「成る程。緑谷くんらしい名前ね。さて残るは飯田くんだけだけど…」

その後飯田くんも原作と同じく天哉にしてた。

*1
魔人探偵脳噛ネウロに登場する能力



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第38話

勝己side

ヒーローネームを決めた放課後、俺たちはいつのまにか通例になってしまった俺たちの秘密基地での特訓をしていた。

しかしそんな中、飯田の調子がいつもに比べて悪いことに気づいた。

「なあ、兄貴が心配ならここに居ないで病院に行った方が良いんじゃないか?」

そんな様子に切島たちも気付いたのか声をかけていた。

「ありがとう。だけど俺が行ったところで役に立てるわけでもないからな」

「そんなことねぇって。なぁ爆豪」

「ああ、そうだな。家族が近くに居てくれるだけで励みになると思うぞ」

俺がそう言うと飯田の奴は急に地面を叩いて。

「違う。兄さんはもう、ヒーローとして活躍できないんだ!!」

その言葉に俺たちは驚きを隠せないでいた。

「意識を取り戻す事には成功した。だけど、足の感覚がないそうだ。医者にもブラックジャック並みの腕がないと治せないと言われてしまった」

「だったらそういった医者に頼めば」

上鳴がそう言うと。

「何を言ってるんだ!。ブラックジャックなんて漫画のキャラでしかないじゃないか!。そんな人が現実に居るわけないじゃないか!!」

「うっ」

そんな事を言われて上鳴はばつが悪そうな顔をしていた。

しかし。

「あの、飯田さん。ブラックジャックに近い手術が出来そうな人、私たちの身近にいませんか?」

八百万がそう言うと。

「そんな人がいる…わ…け…」

飯田は否定しようとしたが、その場にいた1名を除く全員が気づいた。

ブラックジャックに近い医者ではなくとも、それを“再現”出来る人物がいることに。

そして俺たちは一斉にそれが出来る人物。

即ちデクを見る。

「え、どうしたの?」

次の瞬間、飯田はデクに詰め寄り。

「緑谷くん、頼む。兄さんの、インゲニウの足を治してくれ」

「う、うん。見るだけ見てみるね」

そう言ってデクは飯田の兄の見舞いに向かって行った。


病院 天哉side

僕が緑谷くんを兄さんの病室に案内すると。

「天哉、また見舞いに来てくれたんだな。それにそこにいるのは」

「僕の友人の」

「緑谷くんか。久しぶりだね」

「お久しぶりです、インゲニウム。それともここでは天晴さんって呼んだ方が良いですか?」

驚いたことに兄さんは既に緑谷くんの事を知っていた。

「緑谷くん、兄さんと知り合いなのか?」

「エリちゃん関連で色々とお世話になったんだ。それで、足の事ですけど、見せてもらいますね」

兄さんの足を観察している緑谷くん。

「治せないことはない。けど、環境が良くないから転院させてもらおう。飯田くん、悪いけど院長さんにこの案内状を持って行ってくれる」

「解った」

受け取った案内状には医者の名前の所にGrünes Talと書かれていた。

どんな人物かは知らないが、前にニュースで聞いたことがある名前だ。

それに僕は切島くんにブラックジャックみたいな医者なんていないと言ったか、あれは嘘だ。

そういった事が出来る医者を知っていた。

その人物というのがGrünes Talという医者だ。

メディア嫌いで映像や画像を一切残さないうえにものすごい法外な医療費を請求するがめつい無免許の医者だと。

最低でもその国のお金で100万は請求するらしい。

だがしかし、腕は確かでその人物が立ち会った手術の成功率は100%という噂だ。

しかし、緑谷くんはなぜその用な人物と連絡が取れたのか解らないが僕は兄さんが治るならとこの病院の院長に案内状を見せることにした。

最初は院長先生も驚いていたが、兄さんの転院続きは簡単に終わった。

そして正式な転院と手術は明日の夕方に行われる事に決まった。


時間は遡り同日の朝 違う病院 ブラドキングside

俺は朝早くから自分が受け持つ生徒の1人の見舞いに来ている。

物間寧人、それがその生徒の名前だ。

3日前の雄英体育祭で突如奇行に走った後、気絶するように気を失っていた。

リカバリーガールによると眠っているだけのようで怪我の治療などは必要ないそうだ。

暫くすると俺の受け持つクラスの生徒たちが集まってきた。

「先生、物間は?」

拳道が心配して俺に話しかけてくるが、俺は首を横に降ることしかできなかった。

「これもA組の仕業じゃ」

生徒の1人のがそう言うが断言はできない。

体育祭の騎馬戦の後、A組の控え室に向かって行ったのは確かだが、その後のパフォーマンスをしている時には誰も物間に近づいていない。

こればかりは物間が起きてから直接聞くしかないだろう。

そして俺たちが登校しようとした時。

「あはは」

声をした方を見ると物間が目を覚まして大笑いしていた。

「皆どうしてここに居るのかな?。もしかして雄英体育祭で優勝した僕を迎えに来てくれたとか?」

全員が呆れるなか、拳道が物間に近づくと。

「アンタ、ここが何処だか分かってるの?」

「宍田のお金で借りた高級ホテルの一室じゃ」

拳道は再びため息を吐くと。

「ここは病院だよ。アンタ2日近くも寝てたんだから」

すると物間はまた大笑いした後。

「そんな訳ないって。ちゃんと記憶もあるんだよ。A組の生徒たちがパフォーマンスで奇妙な事をしたせいで担任のイレイザーヘッドに飽きられて、僕たちB組の方がヒーローに相応しいってことで決勝トーナメントをやったじゃないか」

どうやら物間は都合の良い夢を見ていたようだ。

そこで俺は物間に現実を教えてやることにした。

「良いか、物間。奇妙な事をしたのはお前だ。そして決勝トーナメントはA組の生徒が行ったんだ。奇妙な事をした後、気を失ったお前は知らないだろうがな」

「へ?。しょ、証拠は?」

物間が間の抜けたような声で質問を返してきた。

「残念ながら証拠は無いな。決勝トーナメントはカメラが壊れてしまったからな。だが、ここにいる全員が証言できることだ」

「う、嘘だ。こんなの夢だ」

物間が両手をわなわなと震わせていた。

追い討ちをかけるようで悪いがこれも現実なので言うしかない。

「これは本来学校で話そうと思っていたことだが、ここにクラス全員が集まってるから言うことにする」

その言葉にいた生徒全員が息を飲む。

「本来体育祭の後はヒーロー名を決めて、各ヒーローの元に出向き、職場体験をするのが予定だった。だが今回B組は1票も得ることが出来なかった」

「それじゃどうするノコ?」

「本来なら指名が無くとも40名居る指名が無くとも受け入れをしてくれてるヒーローたちが居るんだが、今回の物間の行動が原因でB組の生徒は来ないでくれと言っているヒーローが少なくない」

「え、それじゃあ?」

生徒の1人が不安そうな声を出すが。

「安心しろ。1名だけだが受け入れをしてくれてるヒーローが居たから全員でそのヒーローの元に行ってもらう」

全員が安心したような顔をしていた。

「それで、そのヒーローの名前は?」

「ああ、坊主ヒーロー、念仏だ」

その一言に全員が黙る。

勿論生徒の考えていることは分かる。

きっと全員が、「誰だよ。そのヒーロー」っといたところだろうが、俺も詳しくは知らないのでこれ以上は何も言えなかった。



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第39話

天哉side

「緑谷くんに教えて貰った住所が正しければここか」

僕と兄さん、そして母さんは今、昨日緑谷くんから教えて貰ったGrünes Tal先生がいると言われている医院(?)の前に来ているのだが、そこには今にも倒壊しそうな廃屋があるだけだった。

「本当にここなの?」

「とにかく入ってみよう」

母さんの疑問も最もだが、今日手術をしてもらう兄さんの言葉通り中に入るとそこには既に手術着に着替えたお医者様がいた。

僕が声をかけようとすると。

「やあ、待ってたよ」

「緑谷くん!?。何でここに!!」

「何でって、ここは僕が経営する医院だからだけど?」

……。

驚きのあまりに意識が一瞬飛んでしまった。

僕はここがGrünes Tal医師が経営する病院と紹介された筈だ。

なのに緑谷くんが経営!?。

どういうことか頭を悩ませていると隣で兄さんが笑いだしていた。

「良いか、天哉。Grünes Talのはドイツ語で“緑の谷”って意味がある」

()()

それを聞いて僕の頭の中で理解した。

詰まる所Grünes Tal医師は緑谷くんということだ。

「じゃあ、早いところ手術(オペ)を始めるね」

そう言うと緑谷くんは兄さんを連れて手術室に入っていった。

それと同時に手術中と書かれた蛍光灯が点灯する。

「天哉。あの友達に任せて大丈夫だったの?」

母さんが不安そうな顔をして話しかけてきた。

僕も緑谷くんの事を詳しく知らなければ母さんと同じように思っていただろう。

「大丈夫。緑谷くんなら」

そして5分もしない内に緑谷くんは手術室から出てきた。

「緑谷くん、兄さんは!」

僕が緑谷くんに聞くと親指を立てて。

「大丈夫、手術は成功だよ。明後日から現場復帰できるよ」

兄さんを見ると麻酔で眠っているが、足の傷などは完全に治っていた。

「緑谷くん、治療費の事だが」

僕がそう言うと。

「それなら、3000万円ね」

その言葉に母さんは驚いていたが…。

「払ってみせるさ。一生かかっても」

すると緑谷くんは笑うと。

「それを聞きたかった」

きっと緑谷くんは本当は3000万なんて要求するつもりはないのだろうな。

きっとそれに見合った活躍をしろとかそういうことだろう。

そして2日後の職場研修の日。

「行くぞ天哉、イヤ、Ⅱ世。着いてこい」

「すぐに追い付く。イヤ追い越してみせる」

僕は兄さんの元で職場研修をしていた。


一佳side

私たちは今、職場研修の為に念仏という名前のヒーローの事務所と思われる場所に来たのだけど。

「どうみても寺だよね」

そこに在ったのは寺だった。

私たちが呆然としていると門がゆっくりと開き、背丈だけなら爆豪よりも背の高い紫色の袈裟を着た男性が立っていた。

「雄英高校1年B組の皆さんですね。お待ちしておりました。こちらへ」

するとその男性が石段を登り始めたので私たちも後を追って登り始める。

私は格闘技の経験があるからある程度は着いて行けるが他のクラスメートたちはもう既に何人かは息が切れている。

「どうしました?。まだ半分も登っていませんよ」

そんな一言を言われ、黒色は何か思い付いたのかその男性の影に入ろうとしていた。

しかし失敗していた。

「無駄ですよ。この先に登るための山道には不思議な磁場が発生していましてね、異形型以外の個性を封じてしまうんですよ」

用はずるは出来ないって事ね。

そして登り初めて5時間後、私たちはようやく境内に辿り着けた。

するとそこには頭を丸め、袈裟を着た大勢の人たち(少なくとも200人はいる)が念仏を唱えていた。

「この人たち全員サイドキックなのか?」

泡瀬の言葉を否定するように男性は横に首を降り言葉を続ける。

「ここにいる殆どの者は死穢八斎會の組員だった者たちですよ。そして、本殿で座禅を組んでおられる方こそ、坊主ヒーロー、念仏さんです」

あの人が、プロヒーロー念仏。

座禅を組んで座っているだけなのに、立っていられない程の威圧感を私は感じていた。



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第40話

優雅side

僕は今、緑谷くんにおすすめしてもらったヒーローの事務所の前に来ている。

緑谷くんの話だとここのヒーローは僕と似た“個性”と経歴の持ち主らしい。

別名、鋼の錬筋術師。

それに緑谷くんはきっと僕の秘密を知っている筈だ。

そうでなければ経歴なんて使わない筈だしね。

だけどここであの人に対抗する手段も身に付けておいた方が良いかな。

そして、中に入ると。

「待ってたわよ。本来なら坊やみたいな線の細い子は好みじゃないんだけど、特別よ」

そこにいたのは変な格好をしたオカマがいた。

緑谷くん、僕は本当にここで強くなれるん…だよね。


梅雨side

「それじゃ今日から1週間よろしくね」

「こちらこそよろしくお願いします」

私が研修先に選んだプロヒーローは何でも夫婦でやっているみたいね。

「それにしても不思議な縁もあったもんだ」

「そうね。まさか緑谷くんや爆豪くんの同級生が来てくれるなんてな」

しかも緑谷ちゃんや爆豪ちゃんと知り合いみたいね。

あの2人、どういう交遊関係があるのかしら?。

帰ったら聞いてみようかしら?


天哉side

「兄さん、足は大丈夫なの?」

「天哉は心配性だな。そんなに心配しなくても大丈夫だ。むしろ前より調子が良いくらいだ」

僕は今、兄さんと一緒にパトロールをしている。

ちなみに緑谷くんにはお目付け役も頼まれている。

足の感覚は戻したとはいえ、まだ全力で動かすとまた悪化するかも知れないから2から3割の出力に押さえてくれと言われた。

それとヒーローネームはインゲニウムⅡ世に変更した。

やっぱり僕にとっては最高のヒーローである兄さんの名を継ぎたかったらというのもある。

だが、兄さんはまだまだ現役で頑張っているので2代目ということでⅡ世の名を着けさせてもらった。

「行くぞ、天哉」

「待ってくれ兄さん」

ただ、今は兄さんと一緒に行動できる。

それが何よりの幸せだ。

今頃他の皆もきっと頑張っているのだろうな。


一佳side

「死穢、八斎會?」

私がここまで案内してくれた男性に話しかけると。

「簡単に説明するとヤクザですよ」

ヤクザ…。

確かヒーローという職業が登場してから少しずつ姿を消していった犯罪組織だ。

「じゃあ、この寺は刑務所か何かなのか?」

物間がそう言うと。

「否。ここにいる者たちは皆、死穢八斎會の若頭に脅迫されていたところを助け出された者たちです。その感謝の気持ちを忘れない為にここに来られたのです。ささ、念仏様にご挨拶を」

『よろしくお願いします』

私たちが挨拶をすると。

「あの世は年中無休なり。よくぞ来られた、雄英高校1年B組の生徒たちよ。それとこの寺は素足で行動するのが原則。制吒迦、履き物を預かってあげなさい」

すると私たちをここまで案内してくれた男性、制吒迦さんが岡持ちのような物を持ってきてくれたので私たちは靴と靴下を脱ぎ、預ける。

「履き物は研修が終わり、帰る際にお返ししますので。それでは部屋に案内しましょう」

そう言われ、物間が真っ先に本殿に足を踏み入れると。

「いっ!?」

物間が踏んだ床板が先程まではなんともなかった筈なのに尖った針のようになっていた。

「そうそう、言い忘れていましたが、この寺で感謝以外の雑念を感じると寺そのものが攻撃してくるのでご注意を」

初めに言ってほしかったけど、もしかしたら最初から言うつもりはなかったのかもしれない。

きっと痛みを知らなければ私たちの成長しないとの考えからだろう。

こんな時なら真っ先に飛び込むであろう鉄哲も飛び込まないのは参道で個性が使えなかったから本堂でもと思っているんだろうか。

何とか寺の攻撃に耐えながら通路を歩いていると不思議な仏像を見かけた。

だけど、その仏像に見覚えがあった。

「緑谷」

黒色の言う通り、それは緑谷に良く似ていた。

只、顔は阿修羅像のように3つあり、腕は千手観音のように背中にもたくさんの腕があり、そして足は4本足で尚且つ右足だけの物が前後左右に向くように着いて直立しいた。

「おや、緑谷さんをご存じで?」

私たちの先頭を歩いていた制吒迦さんが私たちに話しかけてきた。

「緑谷さんは我々にとって感謝するべき対象なのです。彼はこの寺を設計して建築してくださった、素晴らしい方なのです。勿論この寺に使われている木材も緑谷さんが発見し、品種改良したそうです。ちなみにこの仏像は念仏様の友人である“粘りヒーロー・粘着”様という方が作られたそうです」

緑谷って本当に何者なんだろう。

もうヒーローじゃなくても普通に稼げる職業にはつけると思ったのは、私だけじゃない筈だ。

「さあ、あなた方は此方の部屋で寝起きしてください。1人1部屋となっております」

「狭っ!!」

早速文句を言う物間だけど、本当に狭いと思った。

私たちが案内された部屋は窓無しの2畳間だったからだ。

「ここは寝るか、お経を唱える為だけの部屋ですからちなみに起床は4時となっておりますので」

こうして私たちの職場体験は始まったのだった。



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第41話

皆さん、新年明けましておめでとうございます。
本年も不定期更新ながら続けていこうと思っています。
それでは本編をお楽しみください。


出久side

「この場所で合ってるね」

僕は今、原作のデクと同じようにグラントリノの事務所に来ている。

ちなみにエリちゃんは義祖父さんに預かってもらっている。

義祖父さんも久しぶりに孫と水入らずで楽しむと言ってくださったので嬉しい限りだ。

そして僕がここに来たのも原作通りオールマイトに頼まれたからだ。


出久 回想side

「グラントリノですか?」

「そう。君なら自分の“個性”の応用品で知っていると思うが、私の師匠の友人の方だ。私はその人に君を職場体験に来させるように言われてね。行ってくれるかい?」

「分かりました」

「くれぐれも失礼の無いように。それとついでなんだが」

「分かってます。オールマイトがいかに素晴らしいかアピールしておきますね」

「助かるよ」

回想終了


右手に荷物を持ち、事務所の扉を開くと原作通りグラントリノが倒れていた。

しばらく様子を見ていると。

「おい、小僧。何で助けようとせんかった」

「生きていられるのは分かっていたので。たぶんですけど、ソーセージを切った物にケチャップをかけたのを温めようとして転倒したってところでしょうか?」

「成る程、なかなか観察力があるな。ところで小僧、名前は?」

「緑谷出久。ヒーローネームはエックスです」

「なかなか良い名前じゃないか」

「それとこれはお土産です。老舗堂の鯛焼きです」

「ありがたい。甘いのは好きでね。俊典から聞いたのか?」

「いえ、自分で調べました。調べるのは得意なので」

「そうか。だがまずは先にお前の実力を改めて見せてもらおうか」

「分かりました。行きますね」

そう言って僕は戦闘の構えを見せる。


グラントリノside

俺が実力を見ようとした小僧が戦闘の構えを見せる。

一見すると隙だらけだが、逆にどんな攻撃にも対する反撃が出きるような構えだ。

そこでまずは“ジェット”で勢いを着けて攻撃をしかける。

すると緑谷は片手で攻撃を受け止めていた。

よく見ると緑谷の手に薄い巻き貝のような物を持っていた。

「反撃、行きますよ」

緑谷が受け止めていた貝の様なものを俺に押し付けた瞬間、俺は後方に吹き飛ばされていた。

そこまで勢いのあった一撃ではなかった筈だが?。

「打撃とは違う。インパクト!!」

ならばと空中戦をしかけるが緑谷も宙に浮いてきた。

体育祭を見た時も思ったが、コイツも複数の“個性”を扱えるのか。

脳裏にあの男の影がちらつくが、あの男とは違い悪い気は感じられない。

例えるならあの男はまるで暗黒の宇宙に存在する巨大なブラックホールだが、緑谷は正反対の何もない真っ白な空間に浮かぶ何も記入されていないノート。

俊典が弟子にしたのはそういう雰囲気を感じ取ったからか?。

「攻撃してこないなら、今度は此方から行かせてもらいます」

すると緑谷は息を吸い込むと、高速で突進してきた。

これは、俺と同じ“ジェット”と志村の“浮遊”…。

「SMASH!」

そして、俊典が志村たちから引き継いだ“ワン・フォー・オール”。

大した有精卵だ。

だが、その拳が俺に届く前に小僧は減速し倒れてしまった。

俺が近寄ってみると寝息を立ててやがった。

そういや俊典も言ってたな。

複数の能力や技を同時に“再現”するとスタミナ切れで眠くなるとか。

コイツの課題はまずはそこだな。


勝己side

「良く来たな、爆豪勝己。しかしなんだその髪型は?」

俺が師匠にオススメだと言われたNo.4ヒーロー、ベストジーニストの事務所に行くと開口一番にそんな事を言われた。

「八ニ分け作ろうとして失敗した」

俺は新幹線に乗って移動している最中に髪をセットしようとしたが、髪がベトベトになるだけでうまくいかなかった。

「まあ、努力は認めるよ。それと君への課題だがまずは千羽鶴でも折ってもらおう」

「無理だな!」

「イヤ、そういう課題だからな。後はなんで強気なんだ?」

「俺はセミしか折れねぇ!」

「……。因みに爆豪、1つ聞きたいんだが。小学校の時千羽鶴を折る時はどうしてた?」

「先生たちには「途中まで折って後は他のお友達に頼もうか」なんて言われたが」

「…取り敢えず折り方をメモしておくから、不恰好でも良いから折ってくれ…。それともう1つ。千羽鶴を折っている間はお前が日課にしている筋トレは禁止だ」

「は!?」

「強くなりたいんだろ。コレをこなせばお前はもっと強くなれるぞ」

「分かった。言われた通りにしてやるよ」

「分かれば良い。それとお前はヒーローネームは?」

「今更かよ。ZEROだ」

「なかなかに格好いいな。5日間宜しくな」

「ああ、こちらこそ」

しかしなんだ。

折り紙やってるだけで強くなれんのか?。

疑問は残るがやるって決めた以上やるしかないか。



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第42話

壊理side

私は今、おじいちゃんと一緒に昔私たちが住んでいた場所に来ている。

ただ、家事態はデクお兄ちゃんが私を助ける為に壊してしまったので、今ではデクお兄ちゃんが新しく建てた家になってる。

その事をおじいちゃんに話すと。

「壊理、1つ確認なんだが。出久は本当にヒーローを目指してるのか?」

「うん、そうだよ」

「もし仮にヒーローに成れなかったとしてもコレは有能すぎるだろ!」

因みにこの家を作った木の名前はアダムって言うらしい。

図鑑とかで読んだけど出てこなかったんだけど、凄い木なのかな?。

家を作るのもデクお兄ちゃんが両手をパンと音を立てて木に触れたとたんに激しい光と音がして、気がついたら完成していた。

デクお兄ちゃんに言わせれば木の性質を理解して分解して再構築したらしい。

言ってることは難しいけど、デクお兄ちゃんが凄いってのは分かった。

それとこの家は今はおじいちゃん以外はおじいちゃんの部下って人が住んでる。

そもそも私を実験台にしてた人を慕ってたのは10人にも満たなくて、他の人たちは怖がらせて言うことを聞かせてたみたい。

私とデクお兄ちゃんとおじいちゃんで揃って会った時は全員が土下座ってのをしながら「親父、そしてお嬢。治崎の奴に脅されたとはいえお嬢にとんでもないことをしてしまい、すいませんでした!!」って謝ってきた。

それが原因なのかおじいちゃんはその事を問題にせず受け止めたらしい。

それとデクお兄ちゃんを見てビックリしてたけど、おじいちゃんが私と付き合ってるって話したらもっとビックリして「これからは若頭と呼ばせてください」って言われてデクお兄ちゃんも少し困ってた。

それにしてもデクお兄ちゃん。

今頃何してるんだろうな…。


出久side 研修2日目の午前9時37分

複数の能力を同時に“再現”したまま生活をする特訓をしていた。

今でも少しを気を抜くと眠くなりそうだがその度にグラントリノがドロップキック等の攻撃をして目を覚まさせてくれている。

今は“浮遊”と“ジェット”を“再現”して引ったくり犯グループの(ヴィラン)を追っている。

「小僧。どうやってあの(ヴィラン)を捕まえる?」

僕は考え、そして実行する。

「浮遊+ジェット+“巨大化”+“ウルシ鎖牢”!」

一気に大量の敵を捕らえたその後は、警察の人に引き取ってもらった。

「ようやく安定して同時に4つまで使えるようになったじゃねぇか」

「そう…です…ね」

「寝るな!!」

「グフォ!?」

グラントリノに鳩尾を殴られ、僕は意識を取り戻す。

「師匠が師匠なら弟子も弟子だな。やれる事は正反対なのに、指導が面倒な所は一致しやがって」

「すいません」

「午後から同時に5つ使う特訓をさせるからそのつもりでな」

「分かりました」

僕はフラフラになりながらも特訓を続けている。

グラントリノに体育祭の時はもっと沢山技を使ってたから使える筈だって言われたからだ。

あの時はエリちゃんが見ていたから脳内ドーパミンでも出てたのかな?。

皆も頑張ってるだろうし、僕も頑張らないとね。


勝己side 研修2日目の正午過ぎ

俺は不恰好ながらも鶴を500近く折っていた。

「調子はどうだ?、ZERO」

「どうもこうもねぇよ。しばら体大きくを動かしてねぇから体が鈍ってそうだ」

「そう思うならZERO、付いてこい」

そう言われ俺はベストジーニストの運転する車で人が住んでいないような高原に連れてこられた。

「ここで良いな。ZERO、軽くパンチを打ってみろ」

「そんな事、急に言われてもな。アンタの所に来てから1回もトレーニングしてねぇからパンチの威力なんて落ちてるに決まって…」

俺は何気に軽くパンチを1発打ったつもりだったが、今まで全力で打っていたパンチより威力が上だという気配を感じていた。

「改めて聞こう。ZERO、気分はどうだ?」

「アンタの所に来てから1回も筋トレはしてないのに、どういう事だ!?」

「簡潔に言えば超回復というやつだ」

「なんだ、それ?」

「お前でも分かるような言い方をすれば、体を休ませるのもトレーニングの1つということだ。お前は自分でも気づかない間に筋肉にストレスと疲労を与えていた。だがこの2日で体を休ませる事で元気を取り戻し今まで以上の威力を出せたんだ」

「これが、超回復」

「この方法で特訓を続けてればお前は今よりも強くなれる!!」

「ああ、続けてやるよ。そして次こそデクに勝ってみせる」

俺は決意を新たに、この特訓を続けることにした。



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第43話

職場体験最終日 勝己side

俺は特訓と超回復を繰り返す事で今まで以上に大きな成果を得ていた。

その結果ベストジーニストとパトロールを頼まれた際に包帯を纏い、ナイフを複数所持している怪しい男を捕まえ(その際に抵抗されたので首から下の骨を砕いてしまったが)、警察に連れていった事もあった。

「強くなったな、ZERO。お前はならないだろうが、一応伝えておく。慢心だけはするなよ。慢心はお前を弱くするぞ」

「分かっている。ここに来て良かったと思ってる」

握手はしない。

下手をすれば俺がベストジーニストの手の骨を砕きかねない。

なので、軽く会釈をしてその場を後にする。

「私がお前に教えることはまだある。お前がまだ強くなりたいと思うならまた訪ねておいで」

俺はそれに答えるように背中を向けたまま右手を挙げて応える。

それにしても早くデクに会って組手をしたいぜ。


出久side

「どうだX。眠気は無いな?」

「はい。安定して“再現”を60回近くつかっても眠気はまだ感じないですね。“同時再現”も10個までなら安定して使えるようになりましたから」

「そうだな。それは良かった」

「1週間、ありがとうございました!!」

「礼を言われるまでもないさ。こっちもお前が作った料理は最高だった。おっと、1つ聞き忘れるところだった」

「何ですか?」

「俊典の奴はちゃんと教師をやってるか?」

「オールマイトですか。遅刻は当たり前ですし、カンペ見ながら授業したりしてますよ」

「そうか。俺の知り合いも雄英にいるし、俊典の顔を見る序でに今度顔を出しに行くか」

「じゃあ、お茶菓子を用意して待ってますね」

「そこまでしなくて良いさ。それとこれからも鍛練を忘れるなよ」

「はい、ありがとうございました!」

さあ、早く帰ってエリちゃんに会いたいな。

研修中はエリちゃんと1時間しか電話が出来なかったからな。

早く帰ってエリちゃんを抱き締めたいよ。


電気side

「帰って来たぜ、雄英高校」

俺がそう叫ぶと。

「遅かったな、上鳴」

空から峰田が降ってきてそんな事を、言っていた。

ん、空から?。

「お前、空を飛んでなかったか?」

「ああ、これはオイラが研修先で身に付けた特訓の成果だぜ。それよりも皆U(ウソの)S(災害や)J(事故ルーム)に集まってるぜ」

「救助訓練でもしてるのか?」

「イヤ、爆豪が緑谷を連れて特訓してるらしい」

俺と峰田はそがU(ウソの)S(災害や)J(事故ルーム)に着くとそこには俺と峰田以外の1ーAの爆豪を除くクラスメート+エリちゃんがいた。

そしてその爆豪の幼馴染みの緑谷は大量の食事(軽く100人前以上)を用意していた。

「なあ、爆豪は?」

俺が緑谷に聞くと。

「ちゃんといるよ。あそこにね」

緑谷が俺たちに示したのは渦潮の方だった。

「大丈夫かしら?」

梅雨ちゃんがそんな言葉を発した途端に以前とは比べ物にならない筋肉の鎧と海パンを穿いた爆豪が水面へと飛び出してきた。

「いつからこうしてるんだよ!?」

切島の質問に緑谷は。

「ざっと1時間くらい。渦潮の速度は20km/h前後だね」

「俺たちも強くなったつもりでいたけどよ、爆豪はそれを更に上をいくってのかよ!」

「もうオールマイトを越えてるんじゃね」

俺と峰田がそんな話をしていると爆豪が水面から地上に飛び上がる。

「久しぶりだな、お前ら」

「あ、ああ」

クラスメートの殆どがビビってる。

これを見てビビらない方がおかしい。

今の爆豪の身長は今までの倍以上にでかくなっていた。

「お疲れ様、かっちゃん。食事の用意はすんでるけど、どうする?」

「勿論、食うさ」

まともに話しかけてるのは緑谷くらいだ。

「いただきます」

そう言うと、爆豪の奴は食事を始めた。

その食事の光景は驚きでしかなかった。

緑谷が用意していた料理がどんどん減っていく。

勿論、緑谷も追加で料理を並べているが、それでも爆豪が食べる速度の方が僅かだが早い。

そして食べ方も豪快だった。

鰹節の塊をそのまま噛み付き、そして噛み砕いていた。

その姿はもう人間ではなく、化け物(モンスター)としか言えなかった。

「アイツが敵でなくて良かった」

誰かの言葉にその場にいた全員が納得していた。



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授業参観編
第44話


大変遅くなってすみません。
仕事の都合でなかなか更新できませんでした。
今回からしばらくは雄英白書に書かれていた内容です。
自分なりにアレンジを加えて書いていこうと思っています。


出久side

僕は今、かっちゃんと組み手を行っている。

ベストジーニストの元で超再生を身に付けたかっちゃんのジャブは体育祭の時よりも早く、それでいて威力は体育祭のストレートパンチを越える威力だ。

勿論、僕もグラントリノの元で特訓したのでそう簡単に掠りはしない。

職場体験から帰ってきた上鳴くんたちがかっちゃんの体が倍以上にでかくなってるなんて騒いでたけど、そんなことはない。

確かに筋肉の増量により大きくなっているが、そこまで大きくなった訳じゃない。

確かに身長195cmを越えてるから同年代から見たら確かに大きいかも知れないけど…。

たぶん皆がかっちゃんが大きく見えたのは体育祭でやったみたいに筋肉のリミッターを解除してたからだろうし、もしくはかっちゃんがそれだけ強くなったって事のどっちかだろうな。

1時間ほど組み手をやった後、かっちゃんはプロテインを、僕はリンゴジュースを飲み休憩していた。

「そういえば、かっちゃん。かっちゃんはおばさんたちに学校からのプリント見せたの?」

「ああ、授業参観のお知らせだろ。って事はお前の彼女を両親に初めて直接会わせるわけだな」

「うん、電話で話したことはあったけどね」

ちなみに僕は既にお母さんに連絡済みだ。


引子side

「フフ、久しぶりの日本も悪くはないわね」

私は今、故郷の国の地に足を着けている。

つい先日まで夫の仕事の手伝いで世界各国を飛び回っていたので日本に帰ってくるのは4年ぶりくらいかしら。

息子の授業参観なんて小学生の時以来だから少しワクワクするわね。

そう思っていると夫から電話がかかってきた。

「ええ、今ちょうど日本に着いたところよ。勿論楽しみよ。それに出久の彼女にも直接初めて会うわけだしね。え、それは勿論聞くつもりだから安心して。それのせいで貴方の仕事が手に付かなくなってるのは知ってるから。それじゃ出久が予約を取ってくれたホテルにチェックインするから一旦切るわね」

出久が帰国する私の為に予約を取ってくれたホテル、ロイヤルアベニューホテル。

普段なら1番お安い部屋でも1泊500万はするが出久が予約を取ってくれたのは1番高いVIPルームの部屋で2000万はする部屋だ。

普段なら予約しても10年待ちな部屋だが、このホテルのオーナーが息子なので特別に予約を入れてくれたみたい。

まだ未成年の息子が親の私たちより稼いでるのは複雑な心境だけど、今回は堪能させてもらおうかしら。

そう思いながら私はホテルにチェックインするために受付へと向かった。


焦凍side

俺は今、姉ちゃんとお母さんのお見舞いに来ている。

お母さんは昔から体が良くなかったのもあるが季節の変わり目ということで貧血で倒れた。

ちなみに夏兄は大学の講義の帰りに、親父は朝一で面会を済ませてそのまま事務所に向かったみたいだ。

一応親父は帰りにも寄るみたいな話はしていた。

俺たちが病室に入ると。

「あら2人とも。今日は2人で来てくれたのね。ありがとう」

「今日は俺が休みだから」

俺はそう言うと病室に備え付けの小型冷蔵庫から牛さんヨーグルトを取り出すとそれを飲む。

昔、爆豪や緑谷と一緒に親父との特訓を一段落するとお母さんが持ってきてくれた思い出深い飲み物だ。

「それと焦凍が持ってきてくれたこれだけどね。冬美が行ってくれるみたい」

お母さんが授業参観のプリントを見せながら言ってきた。

「姉ちゃんが?。仕事は?」

「大丈夫よ、ちゃんと休みはもらってるから。それと焦凍の授業参観をビデオ撮影したいんだけど、大丈夫かしら?」

その一言を聞いて俺は思わず吹き出しそうになるがなんとか耐えた。

「小学校の運動会じゃねえんだぞ」

「え、ダメなの?。最近じゃ、小学校の授業参観、ビデオ回す親御さん多いんだけど」

「え、ダメなの……?」

俺が高校生と小学生を一緒にするなと言う前にお母さんがシュンと曇らせてしまった。

「いや、学校に聞いてみねえとわからない…」

俺がそう言うと。

「そうよね。担任はえーっと……相澤先生だったわよね?」

「あぁ……」

そんな会話をしながら昼食間近まで話して俺たちはお母さんの病室を後にした。



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第45話

壊理side

私は今、デクお兄ちゃんと遊園地に来ている。

お姉ちゃんたちは「いっぱい甘えてきたら」って言われたけど、どういう事なんだろ。

それと今の私の格好は黒いワンピースで白い文字で死亡って書いてある服を着ている。

本当はTシャツらしいけど、小柄な私が着たらワンピースになっちゃった。

デクお兄ちゃんの服装は青いジーパンと白い半袖のTシャツで胸にはhappy lifeって文字が書かれていた。

鋭児郞お兄ちゃんに「緑谷、流石にそれはダサいと思うぜ。もっと腕にシルバー巻くとかしたらどうだ」とか言われてた。

でもデクお兄ちゃんは断ってた。

「行こうか、エリちゃん」

「うん!」

初めてのデートだから私は少しドキドキしている。


出久side

僕は今、エリちゃんと遊園地にデートに来ている。

エリちゃんは可愛いから誘拐もされかねないので念のために舎弟である元死穢八斎會のメンバーに見張りを頼んでいる。

勿論普段の格好だと怪しまれるので色々変装はしてもらっている。

それでも、エリちゃんとこの遊園地に来たのには理由がある。

何故なら今はこの遊園地でカップルイベントが行われている。

賞品として1年間無料のパスポートが貰えるけど、僕にとっては副賞どころか参加賞のような物なので別に要らないけど、エリちゃんと楽しめそうだから参加してみた。

ちなみに結構参加者がいるみたいだ。

僕たちみたいな身長差や歳の差カップルは勿論、夫婦や兄妹で参加したり、中には同性カップルもいたりした。

ルールとしてはスタンプラリー形式で色々と回るみたいだ。

最初に僕たちが挑戦したのはお化け屋敷の中をお互いの小指に結んだ糸が切れないように歩くものだった。

エリちゃんは初めてのお化け屋敷が怖いのか僕にしがみついていた。

僕たちは切れずにゴールできたけど、後ろからやって来たカップルの男性が糸が切れた状態で走り去って行くのを見たけど、あのカップルは別れるんだろうなって思った。

その後、メリーゴーランドでお姫様抱っこをしてあげたりしながら色々と見て回っているとお昼も近くなったので遊園地内にあるカフェのテラス席で昼御飯を済ませることにした。

サイドメニューとエリちゃんの好きなリンゴジュースを頼んでテーブルクロスのついた円形のテーブルにエリちゃんと向かい合って座って待っていると注文したメニューが届いた。

ちなみに頼んだメニューはエリちゃんはELTサンドイッチで僕はフィッシュバーガー。

それにフライドポテトとフライドチキンも頼んだ。

それと頼んだリンゴジュースだけど。

「デクお兄ちゃん。これって…」

僕が頼んだリンゴジュースは大きめのグラスに注がれていて、そこには2本のハートの形をしたストローが入れられていた。

「エリちゃん、どうしたの?」

恥ずかしそうに顔を赤くしてモジモジしてるエリちゃん。

「恥ずかしいの?。それとも」

僕はリンゴジュースを少し口に含むとエリちゃんを抱き寄せて口づけをしてエリちゃんの唇の隙間から流し込んであげる。

次の瞬間にはエリちゃん以外の人たちも顔を赤くしていた。


壊理side

私が恥ずかしがっているとデクお兄ちゃんはキスして私にリンゴジュースを飲ませてきた。

嬉しいけど、物凄く恥ずかしいよ。

さっきから心臓が凄い音がしてる。

「じゃ、食べようか」

「う、うん」

私は自分が座ってた椅子に座り直して食べていると。

「誰かその男を捕まえてくれ!。ひったくりだ!!」

そんな声が聞こえてきた。

それと同時に男の人がこっちに向かって手を伸ばして走ってきていた。

「はぁー」

そんな中デクお兄ちゃんはため息を吐くと。

私たちのテーブルに使われていたテーブルクロスを料理1つ落とさずに引き抜くとその男の人に向かって投げつけて右腕から百お姉ちゃんの“創造”を“再現”したのか縄を作り出して縛っていた。

その後しばらくして警察の人が来てその男の人を捕まえていった。

でもやっぱり、デクお兄ちゃんはカッコいいって思った。


出久side

ひったくりの男はそのまま警察に連れて行かれていた。

その男はお化け屋敷で会ったあの男だった。

動機は何でも女に降られた腹いせで、僕たちの方にやって来たのはエリちゃんを人質にしようとしたらしい。

それに僕が捕まえなくても、あっちこっちにいる舎弟メンバーが捕まえていたと思う。

ちなみに舎弟メンバー全員には僕が“再現”した終わらない鉄砲*1を持たせている。

それよりも問題はエリちゃんだ。

「エリちゃん、怖くなかった?」

「ううん。デクお兄ちゃんが守ってくれるって分かってたから」

「そっか。信用してくれてありがとうね。そろそろ帰ろうか?」

本当はジェットコースターとかにも乗りたかったけど、身長制限があるものは偶々昨日隕石が落ちて整備のために乗れなかった。

だけどエリちゃんは首を横に降って。

「最後にあれ乗りたい」

エリちゃんが指差す先には観覧車が有った。

「それじゃ、最後に観覧車に乗って帰ろうか」

僕がそう言うとエリちゃんは嬉しそうに首を縦に降っていた。

警察の事情聴取に付き合っていたせいで辺りは大分暗くなっていたけど、観覧車に乗って外の夜景を楽しむことにした。

「わー、綺麗」

エリちゃんは興奮していた。

そして僕は。

「そうだね。でもエリちゃんの方が綺麗だよ」

僕はエリちゃんを僕の方に向けて、両手を恋人繋ぎをした後、エリちゃんを床に押し倒すようにキスをした。

昼間程ではないけどエリちゃんは顔を赤くしていたけど嬉しそうな顔をしていた。

そして観覧車を降りた僕たちは家に帰った。

*1
昔のアニメ 週刊ストーリーランドに登場した道具



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第46話

お久しぶりです。
4月ってどうして眠くなるんでしようか?。
その為更新できずに5月になってしまいました。
とにかく授業参観編はこれで終わりです。


お茶子side

今日は優英に入って初の授業参観日ということでクラスメートたちはざわついてる。

「おはよう、デクくん。今日は授業参観だけど、誰が来るの?」

「お母さんだよ。そっちは?」

「うちのところは父ちゃんやね」

ちなみにエリちゃんだけど例によって保健室に預かってもらっているらしい。

そして話をしていると予鈴が鳴ったので私たちは席に着くけれど相澤先生はやって来ない。

「遅刻かしら」

梅雨ちゃんがそう言うけど、何かおかしい気がする。

「見本であるはずの教師が遅刻とは……。これは雄英高校を揺るがす、由々しき事態だぞ、みんな!!」

飯田くんが立ち上がって腕を機関車のように回している。

「まー、相澤先生だって、先生である前に人間なんだし。たまにはそういうこともあるんじゃね」

瀬呂くんがそう言うけど。

「しかし、瀬呂くん!。我々が目指すヒーローとは一刻を争うものだろう!?。(たす)けを求める人にとっては命をかけた時間……。1秒といえど遅刻は大罪だ!」

飯田くんがヒートアップしながらそう語っていた。

けどショートホームルームを終えるチャイムが鳴り終わっているのに相澤先生は勿論、そろそろ誰かの保護者が来てもいい時間なのにその保護者も誰も来ていない。

「僕、少し様子を見てくるよ」

デクくんがそう言って席を立ったその時全員の携帯が鳴った。

私は早速着信を確認すると相澤先生からメッセージが届いていた。

内容は《今すぐ模擬市街地に来い》とだけ書いてあった。

なんで模擬市街地かは疑問に思ったが、私たちは早速模擬市街地に向かった。


早速模擬市街地に到着した私たちだけど、そこに相澤先生の姿はなく、私たちは探すことにした。

「……。なんか匂う」

障子くんがそう言うと。

「オ、オイラじゃねえぞ」

「違う。これはガソリンの匂いだ」

「どっかで交通事故とかの演習でもやったんじゃねえの?」

上鳴くんがそう言った後、悲鳴の様なものが聞こえてきた。

しかもその悲鳴が止まない内に別の人たちの叫び声も聞こえる。

慌てて声のする方に行ってみると。

そこは空き地が広がっていた。

本来、そこにあったはずのビルは倒壊したらしく、瓦礫が脇に無残に寄せられてた。

ビルの建っていた所には半径数10メートルはありそうな大きな穴があった。

そしてその穴の中央に丸かじりして残されたリンゴの芯の様な場所の上にサイコロのような檻。

そしてその穴の中にはガソリンが

そして檻の中からの悲鳴が意味のある声に変わっていく。

「焦凍……っ」

「っ……」

「天哉……!」

「母さん……!」

「お茶子ー!!」

「父ちゃん!?」

檻の中には私たちの保護者たちが囚われていた。

私たちが助けようと穴の淵に近づくとツンとした匂いがした。

穴の中を確かめると深さは8から9メートルはあって底にはガソリンが浮かんでいた。

「なんだよ、これっ?。なんで親があんなとこ」

「つーか相澤先生は!?」

その時、機械的な声が聞こえてきた。

「アイザワセンセイハ、イマゴロネムッテルヨ。クライツチノナカデ」

機械で無機質な声に変えられてるけど、明らかに敵意が籠ってる。

私たちは咄嗟に身構える。

「暗い土の中って……」

「相澤先生、やられちゃったってこと……?」

「ウソだろ!。なんかの冗談だろ!?。もうエイプリルフールは過ぎてんだぞ!。つーか、お前誰だよ!?。姿を見せろ!」「サワグナ。ジョウダンダトオモイタイナラ、オモエバイイ。ダガ、ヒトジチガイルコトヲワスレルナ」

「人質…」

突然の事で頭が回らなくなってる。

そんな中デクくんはというと…。

「人質の中からエリちゃんの匂いがしてる」

『え!?』

デクくんの言葉にビックリする私たちだけど、デクくんは言葉を続ける。

「だけど、檻の中からする匂いは22種類する」

え、それってつまり。

「キヅクヤツガイタネ。ソノトオリ、ボクハココニイル」

保護者たちの後ろから潜んでいた黒い影が姿を表した。

フード付きの黒いマントに 黒いフルマスクをつけた人物。

周りの保護者たちは檻の隅に逃げる。

異常事態に飯田君が犯人の隙を見て携帯で連絡をしようとしていたけど、男が言う。

「サキニイッテオクガ、ガイブヘモ、ガッコウヘモレンラクハデキナイノデアシカラズ。アァ、モチロン、ソコノデンキクンノ“コセイ”デモムダダ。ニゲテ、ソトニタスケヲモトメニイクノモキンシダ。ニゲタラ、ソノセイトノホゴシャヲスグニシマツスル」

その時、父ちゃんが格子を掴んでガチャガチャと揺らして叫んでる。

「あかん!、檻が頑丈でどうにもできひんわー!!」

周りの大人たちもみんなに助けを求めてる。

その間にも男の声が響いてくる。

「ボクハ、ユウエイニオチタ。ユウエイニハイッテ、ヒーローニナルノガ、ボクノスベテダッタノニ」

「あのさぁ。その話長くなりそう?」

それを破るかのようにデクくんがダルそうに訪ねている。

「ナニヲ!?。コッチニハヒトジチガ」

「ああ、それなら助ける算段は出来てるから。かっちゃん、後はよろしく」

よく見ると近くにあったビルの瓦礫は無くなっており、変わりに檻の周りにあった穴はコンクリートで塞がれていた。

そして、爆豪くんは檻に近づくと檻の壁に指を突き刺したかと思うと指を動かし壁に穴を開けると。

「こんなもんかな」

『えーーーーーーーー!?』

これには私たちも保護者*1もあの男も予想外だったのか全員が驚いていた。

そんな中、檻の中からエリちゃんが飛び出してきた。

デクくんの予想通り、エリちゃんも囚われていたらしい。

そしてそのままデクくんに抱きついて泣いていた。

「エリちゃん、大丈夫だった。()()()にお母さんも」

いや、お母さんをついで扱いってとか思ってしまった。

「ええ、お母さんもついでに大丈夫よ」

緑色のロングヘアーの女性、たぶんデクくんのお母さんなんだと思うけれどもその人も冷静だった。

「とりあえず授業はここまでだな」

そしてなぜかビルの影から相澤先生が姿を現す。

「……は?」

私たちは思わず変な声が出てしまった。


相澤先生の話を纏めるとドッキリってやつだったらしい。

でも、エリちゃんに演技しろって言っても難しいだろうから黙って寝ているところを連れてきたらしい。

「身近な家族の大切さは口で言ってもわからない。失くしそうになって初めて気づくことができるんだ。今回はそれを実感してほしかった。いいか、人を救けるには力、技術、知識、そして判断力が不可欠だ。しかし判断力は感情に左右される。お前たちが将来ヒーローになれたとして、自分の大切な家族が危険な目にあっていてもヘンに取り乱さず、(たす)ける事ができるかそれを学ぶための授業だったんだよ。親への感謝の手紙は改めて家族の事を考えさせるためだ。ではこれにて今日の授業は終了だ」

相澤先生がそう言った後。

「あの、アレの後始末はどうするんですの?」

「アレ?」

そう、私たちは気づいていた。

私たちの後ろで笑顔だけど、物凄い怒っている、デクくんの事を。

漫画的な表現をすると背中にゴゴゴゴゴッ!て雰囲気を出してる。

「み、緑谷落ち着け。エリちゃんを巻き込んだのは悪かったと思ってるから!」

なんやろ。

今のデクくんの後ろには金色の髪に赤い眼。

7色の宝石みたいな羽をした女の子の姿が見える。

林檎(しんぞう)蜂蜜(けつえき)赤色(くれない)金色(ピンク)を混ぜたなら」

歌を歌いながら相澤先生に近づくデクくんはホラーでしかなかった。

そしてそのままデクくんが手のひらを握るとグシャっとという音が相澤先生から聞こえたと思うと倒れてしまっていた。

それに満足したのかデクくんはスッキリした顔をしたいた。

そしてデクくんのお母さんはデクくんに近づいて言葉を交わしていた。


引子side

私は息子の授業参観を終え、夫と待ち合わせているアメリカで夫の到着を待っている。

それにしてもエリちゃん、テレビ電話で会うより可愛かったわ。

それに夫に聞かれた「孫はまだか」の返事も聞けたし。

さすがに気が早いわよね。

出久はまだ15歳だものね。

そう思っていると夫が乗っているはずの飛行機が到着する時間帯なので夫を迎えに行くことにする。

授業参観の話をお土産にして。

*1
爆豪と緑谷の親を除く




この作品の主人公たちがヒーローではなく敵としての道を選んでたらという小説も書き始めました。
R-18なので18歳以上で現実と物語の区別つく方は読んでみてください。
一応URLを貼っておきます。
https://syosetu.org/novel/314547/


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期末試験編
第47話


久しぶりの英雄ルート編の更新です。
久しぶりに書いたら長くなりました。


出久side

授業参観の翌日、かっちゃんは峰田くんと上鳴くんに質問責めされていた。

「おい、爆豪。ネタはあがってんだぞ」

「何で雑誌モデルのMITSUKIが親しく話してたんだよ」

それを見た麗日さんには…。

「ねぇ、あれってどういう状況?」

なんて聞かれてしまった。

というのも2人の話している通り、昨日の授業参観でかっちゃんが世界的ファッションモデルのMITSUKIと親しげに話していたことが原因らしい。

「もしかしてお前の姉ちゃんかなんかなのか?。だったら紹介してくれ」

「俺は一人っ子だ」

「じゃあ、従姉か?。それでも良いから紹介してくれよ~」

残念ながらMITSUKIはかっちゃんのお姉さんでも従姉でもない。

「MITSUKIは、俺のお袋だ!」

そうMITSUKIはかっちゃんのお母さんである光己さんなのだ。

その言葉を聞いて信じられなかったのか2人は膝から崩れ落ちていた。

ファッションモデルの寿命が5年、長くても10年という世界で今後も活躍できるなんて言われてる程だからね。

ちなみに肌年齢だけど未だに10代前半らしい。

ちなみにかっちゃんのお父さんである勝さんはそんなMITSUKIの専属ファッションデザイナーだったりする。

そんな事を思っていると朝のホームルームを告げる予鈴が鳴ったのでみんな慌てて自分の席に着く。

だけど教室に入ってきたのは相澤先生ではなく校長先生だった。

「相澤くんは全治1ヶ月半の治療が必要になったから私が代わりに来たのさ。原因は緑谷くんにあるのだけど」

校長先生がそう言うとエリちゃん以外の皆が納得したような顔をしながら僕の方を見てきた。

「今回は緑谷くんの行動は不問にすることになったのさ。と言うのもエリくんは緑谷くんがヒーロー公安委員から直々に護衛を頼まれている存在というのもあるけど、雄英高校はプロのヒーローが教師として勤めている場所。そんなヒーローが保護対象に手を出した事が問題なのさ」

その一言を聞いて皆がホッとしていた。


一方その頃のオールマイト

「NO.1ヒーローである貴様が保護対象にされとる少女を怖がらせるとは何事だ」

「し、しかしですね。これは頼まれたからであって」

グラントリノに正座されて軽く3時間の説教タイムに突入中なのであった。


「それとこれが本題なんだけど、そろそろ夏休みが近づいているけど、君たちが30日間休める道理は無いのさ」

その言葉を聞いて皆が今度はざわつき出す。

「夏休みに林間合宿をやるのさ」

その一言に皆は。

「知ってたよ!。やったー!」

なんてはしゃいでいた。

普段は冷静な飯田くんも「カレーだな」なんて喜んでいた。

「ただし、その前の期末テストで赤点になった生徒は学校で補習授業なのさ」

そう言うと校長先生は教室を出ていった。

そして校長先生が教室を出ると。

「全く勉強してねー!!。体育祭やら職場体験や授業参観で全く勉強してねー!!」

上鳴くんがそう言って悲鳴をあげていた。

「あっはっはっは」

そのとなりで芦戸さんは笑っていた。

「中間はまあ、入学したてで範囲狭いし特に苦労はなかったんだけどな」

「行事が重なったのもあるけどやっぱ、期末は中間と違って」

「演習試験もあるのが辛えとこだよな」

そう言いながら峰田くんは余裕そうな顔をしていた。

それでも何だかんだで皆林間合宿には行きたいみたいなので何時もの如く僕たちの秘密基地で勉強合宿を開くことが決定した。

ちなみに中間テストのクラスの順位は

21位 上鳴電気

20位 芦戸三奈

19位 青山優雅

18位 瀬呂範太

17位 葉隠透

16位 切島鋭児郎

15位 常闇踏陰

14位 麗日お茶子

13位 砂藤力道

12位 口田甲司

11位 障子目蔵

10位 爆豪勝己

 9位 峰田実

 8位 尾白猿夫

 7位 耳郎響香

 6位 蛙吹梅雨

 5位 轟焦凍

 4位 飯田天哉

 3位 壊理(他のクラスには非公開)

 1位 八百万百

 1位 緑谷出久

といった具合だ。

ちなみにエリちゃんが入ってる理由だけど、中間試験の間は例のごとくリカバリーガールに預かってもらっていたんだけど、エリちゃんが「お兄ちゃんたちがやってるのをやってみたい」なんてワガママ言ってやらせてもらったらしい。

それもエリちゃんと同年代の物ではなく、僕たちと同じものを。

それを知った多くのクラスメートの皆が「6歳の子に負けた」と落ち込んでいた。

かっちゃんがあの順位なのも一夜漬け有ったからこそでそれがなければ間違いなく最下位だったと思う。

「それにしても実技ってなにやるんだろうな?」

そんな瀬呂くんの質問に僕は。

「調べたけどなんでもロボとの実戦らしいよ。でも、そう簡単にいくかな?」

「どういう事だい、緑谷くん?」

「だって最近は(ヴィラン)の動きが活発じゃない。U(嘘の)S(災害や)J(事故)ルームの襲撃やヒーロー殺しが有ったわけだし、雄英高校が、イヤ公安が黙ってないと思う」

「つまり」

「先生たちプロヒーローと戦闘って可能性もゼロじゃない」

その言葉にかっちゃんと切島くんは喜んでたけど、大半は驚いていた。

そして、2週間後の演習試験当日。

「君たちの事だから既に情報を集めていると思うけど、改めて発表するのさ。これから君たちは2人1組(チームアップ)を組んで戦ってもらうのさ。組み合わせはこちらで決めさせてもらったよ」

校長先生の言葉に皆がごくりと唾を呑む。

「まず、最初のチームは轟くんと、八百万くん。対戦相手は」

「俺だ。全力でかかってこい」

「親父が相手か」

「エンデヴァーさんが」

早速原作と変わってきてるね。

他の組み合わせは。

校長VS芦戸・上鳴

13号VS青山・麗日

プレゼント・マイクVS口田・耳郞

エクトプラズムVS蛙吸・常闇

ミッドナイトVS瀬呂・峰田

スナイプVS葉隠・障子

セメントスVS砂藤・切島

パワーローダーVS飯田・尾白

そして、オールマイトVS爆豪・緑谷

となった。

エンデヴァーが呼ばれた理由は相澤先生がまだ復帰できないからだ。

さあ、試験の始まりだ。



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第48話

オールマイトside

試験会場に向かうことになったわけだが…。

「君たち、そんなに仲悪くないよね。何で離れて座ってるの?」

爆豪少年は私の後ろの席に座り、緑谷少年は1番後ろの席で横になっている、というよりは眠っている。

「あいつ、寝相悪いんだよ。エリを抱っこして寝てる時はある程度大人しいが。あ、今バスの壁の一部が凹んだ」

緑谷少年の睡眠は“個性”による影響もあるから多少は眠ることを許されているが、彼らの試験場に着くまでにこのバスが持つかどうか怪しくなってきたよ。

そもそもこの2人を選んだのは相澤くんなんだけどその理由として。

『あの2人は組ませると底無しの強さを発揮します。なのでオールマイトさんにはあの2人の出来る限りの限界を引き出させてほしいですね』

なんて言われたからなんだよね。

「着くまでに暇だし、しりとりでもする?」

「それよりはデクの寝相の心配をした方が良いと思うけどな。今度は床が凹んだぞ」

「いっそのことシートベルトで縛るとか」

「もう試したぞ」

そう言って爆豪少年は私に布の様なものを見せてくる。

「これは?」

「このバスのシートベルトだった物の1部だ」

「…このバス、ちゃんと試験会場まで持つかな…?」

「ちゃんと着いても帰りのバスは別のを頼んだ方が良いかもな…」

私たちの不安も乗せてバスは試験会場に向かうのだった。


勝己side

なんとか試験会場に着いた俺とオールマイトは生きてることの喜びを感じていた。

デクだけはよく寝たって顔をしているのがムカつくが。

ちなみにバスは廃車で出しても問題ないくらいに壊れていた。

窓ガラスは割れ、壁や床、天井の所々に穴が空き、ガソリンも漏れている。

誰が信じれるだろうか。

このバス、俺たちが乗るまでは新品当然だったんだぜ。

「さて、着を取り直して試験の内容だけど、制限時間は30分。君たちには《このハンドカフスを私に掛ける》か、もしくは《どちらか1人がこのステージから脱出》だ」

「戦闘訓練と似てますね」

「逃げても良いのか?」

俺たちの質問にオールマイトは。

「ああ、何しろ戦闘訓練とは訳が違うからね。君たちの相手はNO.1ヒーローであるこの私だよ。今回は私を(ヴィラン)そのものだと考えてほしい。会敵したとしても、そこで戦いに勝てるならそれで良いよ。でも、実力差が大きすぎる場合は、逃げて応援を呼んだ方が良い事もあるくらいだ」

「つまり、戦って勝つか、逃げて勝つかの二択」

「そう!、君らの判断力が試される!。けど、こんなルール逃げの1択じゃね!?って思ちゃいますよね。そこで私たちサポート科に、こんなの作ってもらいました!!。超圧縮おーもーりー!!」

するとデクが俺の肩を叩き後ろを振り向くよう指示を出す。

「あれ、ドラえもんの真似かな?。似てないけど」

「黙ってようぜ、本人は似せてるつもりなんだろうし。ぶっちゃけるならお前の方がまだ似てると思う」

「あの、君たち。ヒソヒソ話ならもう少し声を小さくしてやってくれる。丸聞こえなんだけど。後、地味に傷付くから。それと話続けても良いかな」

「別に構いませんよ。エセえもん」

「エセえもん!?。ごほん、まぁ話を続けよう。体重の約半分の重量を装着する!。ハンデってやつさ。古典だが動き辛いし、体力は削られる」

「戦闘を視野に入れる為なら、ナメてんのか」

「どうかな!」


出久side

説明の後、僕とかっちゃんは試験開始ポイントである中央へ向かっていた。

「俺がやりたいこと、解ってるだろ。デク」

「もちろんだよ、かっちゃん」

そんな会話をしてると、リカバリーガールの放送が聞こえてくる。

「皆、位置着いたね。それじゃあ今から、雄英高校1年の期末試験を始めるよ。レディイイー、ゴォ!!」

「行くぜ、出久」

かっちゃんが僕の名を本名で呼ぶ時は本気で行く時のみ。それなら。

「当然だね、勝己」

僕も名前で呼ぶしかない。

すると早速オールマイトがやって来た。

「正面突破かい、お2人さん」

勝己の顔面が掴むけどそれでも勝己はジャブを繰り出す。

「フツー顔を掴まれたら、反射的に引き剥がそうとするものなんだがね」

だけど、勝己の攻撃を耐え、地面に叩きつける。

だけど勝己が僅かだけでも時間を稼いでくれたお陰で、合体“再現”ができる。

「雷の呼吸、壱ノ型。霹靂一閃*1+千鳥」

僕の攻撃では最速の1つの攻撃だ。

これならと行ける思ったけど簡単に防がれてしまった。


オールマイトside

緑谷少年の攻撃、確かに速かったが直線上なので見切るのは容易かった。

そのままヒット&ウェイ戦法で私から距離を取るが、その先には攻撃を仕掛けようとする爆豪少年が。

作戦ミスかとも考えたが、緑谷少年と爆豪少年がそんな些細なミスをする筈がない。

そう思った瞬間、緑谷少年は体を丸め、爆豪少年がそんな緑谷少年を砲丸投げのように放る。

「食らえ、俺たちの合体技。滅帝王(メテオ)修蠹雷弓(ストライク)

「くっ!?」

この私に両手でガードさせるとは凄い威力だ。

緑谷少年は慣性の法則で爆豪少年の方に戻り、彼はもう一度同じ様に投げてくる。

「この私に同じ技が2度通用するとでも」

「同じじゃねぇよ」

ん、これは緑谷少年が、横に回転している。

「「滅帝王(メテオ)怒雷刃(ドライバー)」」

そうか、横に回転することで威力を。

再び私から離れる緑谷少年だが、彼の手には私がしていた超圧縮重りがあった。

爆豪少年がそれを受け取ると同時に破壊し、自分の筋肉制御装置も外す。

「こんなもん抜きで、本気でやりましょうや」

「手加減してるオールマイトに勝っても、嬉しくないんで」

全く君らときたら1年と3ヶ月前に(始めて)会った時から何も変わってない。

常に上を目指し続けている。

さあ、試験の第2ラウンドと行こうか!!。

*1
鬼滅の刃に登場する技



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第49話

出久side

やっぱり、本気のオールマイトは気迫が違う。

でも、僕も勝己も負ける気は微塵もない。

「おらぁ」

勝己がストレートパンチを繰り出すが。

「この程度かい。蚊が止まったのかと思ったよ」

「この程度の訳ねぇ、だろ」

「千鳥+霹靂」

僕の攻撃を止めようと勝己を止めてる反対の手を伸ばして来るが。

「一閃・六連」

疑似デビルバットゴーストって所かな。

死角からの一撃だけど。

「少し、痺れたかな」

殆ど効いてない感じかな。

『切島・砂藤組、クリア』

あの2人は原作ではクリアできてなかったけど、僕たちと特訓の成果もあってクリアできたようだ。

「隙だらけだぞ、緑谷少年!」

おっと、危ない。

咄嗟に避けたけど、少しかすった。

「デイン*1+ジオ*2+サンダー*3

流石に雷の初級魔法を3つ束ねただけとはいえ、多少は。

「効かないよ」

効いてない感じか…。

でもそれは本当の狙いじゃない。

召喚(コール)。立ち上がれ、そして殲滅せよ。僕の分身。ブラスター・ブレード&ブラスター・ダーク*4

「「Yes.Master」」

2人の騎士をオールマイトに闘わせる。

敵わないだろうけど、少しは時間を稼いでくれる。

僕は勝己に近寄ると。

付与(エンチャント)、ラウザルク*5

勝己の体が金色に輝きだす。

そして僕は。

憑依(ライド)。マジェスティ・ロードブラスター*6。光よ影よ我に力を」

2体のブラスターを吸収し攻撃を仕掛ける。


勝己side

俺たちがここまでやってるのに、勝てる気が全くしねぇ。

だからって諦めるような俺たちじゃねぇ。

そんな時にまた放送がかかってきた。

『轟・八百万組クリア』

これでクリアしてないのは、俺たちだけかよ。

「出久、俺たちがオールマイトに勝てる可能性はあるか」

俺の問いに出久は。

「1つだけあるよ。でも、勝己に思いっきり負担がかかるかもよ。それでも良いなら」

「やってやるよ」

するとテレパシーを再現したのか、それで俺に指示を出してくる。

「千鳥+霹靂一閃+でんこうせっか+しんそく+レシブロバースト」

猛スピードでオールマイトに接近する出久。

「たいしたスピード攻撃だけど、効かないよ」

ガードしたオールマイトがそう宣言する。

だが、オールマイト。

そのガードがアンタの敗因だ。

「こ、これは」

次の瞬間体が浮かびだすオールマイト。

「まさか、体育祭の時の」

そう、決勝戦で俺を浮かせたのと同じ方法、麗日の無重力だ。

俺はそのままオールマイトを上空に投げ、俺も同じ高さまで飛び上がる。

そして、オールマイトを逆さまにして足を掴む。

「この技は、もしや!」

何かに気づいたオールマイトだがもう遅い。

「無重力解除、からのベタン」

「うおぉーー」

握力×体重×落下速度=破壊力ってな!!。

「爆豪刃星(バスター)!!」

技を決めると同時にハンドカフスを掛ける。

「爆豪・緑谷組クリア。それと同時にタイムアップ!!。期末試験、これにて終了だよ」

なんとかギリギリ勝てたな。

「なかなかやるじゃないか、君たち」

「余裕そうだな?」

「これでもNo.1ヒーローだからね。まだ本気は押さえておくさ」

「いや、俺が気にしてるのはどうやって帰るかだ」

「あ!?」

そう、俺たちが乗ってきたバスは廃車寸前だ。

それと試験終了と同時に気が抜けたのかデクの奴は眠そうにしている。

………。

その後、なんとか俺たちは校長が手配してくれたバスで戻ったが、そのバスもデクの寝相で廃車になった。

試験結果発表の日。

なんとか実技演習は全員がクリアできたようなので後は発表を待つだけだ。

そして予鈴と共に久しぶりの相沢先生が教室に入ってきた。

「お前ら、久し振りだな。早速だが期末試験の結果だが、全員が合格なので林間合宿は全員で行ける」

その言葉でクラスは大盛り上がりだった。

「だがな、芦戸、上鳴、それから爆豪はもうちょっとは筆記頑張れ。特に爆豪は1点低かったら赤点だったからな」

そんなことを言われたが俺たちは全員で林間合宿に行ける事が嬉しかった。

*1
ドラクエの雷の魔法

*2
女神転生の雷の魔法

*3
ファイナルファンタジーの雷の魔法

*4
共にヴァンガードに登場するユニット(モンスター)

*5
金色のガッシュに登場する呪文 一時的に身体能力が強化される

*6
ブラスター・ブレードたちと同じくヴァンガードに登場するユニット



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劇場版 2人の英雄
第50話


今回からは2人の英雄編ですが、作者は映画を直接見ていません。
小説版を参考に書いていきます。


勝己side

俺たちは今、I・アイランドという島に向かってる。

というのもオールマイトの知人からの招待らしい。

このチケットで2名まで行けるらしく、最初はデクを誘うつもりだったらしいが、デクは雄英体育祭で優勝したことで商品としてチケットを貰っており、エリと一緒に使っている。

その為、オールマイトは俺も一緒に行かないかと誘ってくれたわけだ。

俺も特に用事が無かったので二つ返事で誘ってもらった。

「わぁー、見えてきた」

外を眺めていたエリが興奮してはしゃいでいる。

『大変長らくお待たせしました。当機はまもなくI・アイランドへの着陸態勢に入ります』

そのアナウンスを聞き、俺はヒーローコスチューム(ただそれだけだとまずいので上着にジャージを着る)に着替える。


出久side

僕たちが空港に着くとコンパニオンたちが歓迎してくれるがオールマイト見ると。

「I-エキスポへようこそ……ってオールマイト!?」

「君は、雄英体育祭準優勝の爆豪くん!!」

オールマイトとかっちゃんはあっという間に囲まれてしまった。

ちなみに僕は“明鏡止水”*1を“再現”してエリちゃんを連れて人集りを回避した。

そしてなんとかオールマイトとかっちゃんがエアポートから出てくる。

「思わぬところで時間を取られてしまった。約束の時間に遅れてしまうところだったよ」

「「約束?」」

僕とかっちゃんの声が重なる。

「ああ。久しぶりに古くからの親友と再開したいと思ったからなんだ。悪いが3人とも少しつき合ってもらえるかい

?」

「構いませんよ」

「俺もだ」

エリちゃんも首を縦に降っている。

そんなことを話して歩いていると。

「おじさまー!」

ホッピングのような物に乗った金髪に眼鏡をかけた女の人がこっちに近づいてきた。

そしてその勢いのままオールマイトに飛び付いていた。

「マイトおじさま!」

「OH、メリッサ。久しぶりだね」

「お久しぶりです! 来てくださって嬉しい!」

「こちらこそ招待ありがとう! しかし見違えたな。もうすっかり大人の女性だ」

「17歳になりました。昔と違って重いでしょ?」

「なんのなんの! HAHAHA!」

なんていうか、久しぶりに会う親戚のおじさんと姪っ子みたいなやり取りだね。

「それで、デイヴはどこに」

「フフ、研究室にいるわ。長年やってた研究が一段落して、それでお祝いとサプライズを兼ねてマイトおじさまをこの島に招待したの」

悪戯好きな子供みたいにウィンクするメリッサさんにオールマイトも了承したかのような笑顔をしていた。

「そう言うことか。ちなみに今回、デイヴはどんな研究を」

「それが、守秘義務があるからって私にも教えてくれないの」

「科学者も大変だな。ああ、そうだ。君たちに紹介するよ。彼女は私の親友の娘で」

「メリッサ・シールドです。はじめまして」

自己紹介されたので僕も返すように挨拶をする。

「こちらこそはじめまして。雄英高校1年の緑谷出久です」

「え、緑谷出久って100個以上の特許の発明してるっていうあの緑谷出久!?」

メリッサさんはそう言いながら僕に近づいてきた。

となりを見るとエリちゃんはほっぺたを真っ赤にして膨らましていた。

「緑谷壊理です」

「あ、もしかして緑谷くんのいも」

「妻だもん。将来の」

あーもう、可愛いよ。

声を大にして僕の将来の花嫁さんですって叫びたいよ~。

ちなみにメリッサさんは近づいてきた時よりも早く退いていった。

それにしてもさっきからかっちゃんが静かなので見てみると石になったかのように固まっていた。

なので僕が叩くとハッとしたような顔をして。

「同じく雄英高校1年の爆豪勝己だ」

ようやく自己紹介していた。

もしかしてこの反応って…。

「雄英高校。じゃあ、マイトおじさまの」

「生徒です」

「未来のヒーロー候補生さ」

「へぇー。どんな“個性”を持ってるの?」

「俺の個性は“超越”って言って鍛えれば鍛えるほど強くなる個性だ」

「全力で殴られると私でも数秒ほどだが手足が痺れてしまうよ」

「おじさま以上のパワーなのね。それで緑谷くんの“個性”は?」

「僕の個性はこれかな」

僕が指をぐにゃぐにゃ動かすと。

「パパと同じ“ぐにゃぐにゃ指”の個性なの!?」

「そうとも言えるかもね。僕の個性は“再現”って言って色んな事ができるんだ。空を飛んだり、物を引き寄せたりその他色々ね」

「すごい“個性”ね」

「ただ、使いすぎると眠くなってしまう欠点があるけどね」

僕たちはそんな話をしながらメリッサさんのお父さんでオールマイトの親友であるデヴィットさんの研究室に向かった。

*1
ぬらりひょんの孫に出てくる技



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第51話

出久side

僕たちが案内されたデヴィット博士の研究室は研究所と言ってもよさそうに広かった。

「デヴィット博士、こちらの片付けも終わりました。たまにはお嬢さんとランチでも行ってきてはいかがですか?。I・エキスポ中はアカデミーも休校ですし」

デヴィット博士の助手らしき人がそう言うと。

「それが自主的に研究してるんだよ」

デヴィットが苦笑すると。

「だってパパの娘ですもの。似ちゃったのね」

「メリッサ」

メリッサさんが肩をくすめて笑いながらデヴィット博士に近づくと助手の人が「こんにちは、メリッサさん」と挨拶をしている。

「こんにちは、サムさん。いつも研究に明け暮れるパパの面倒を見てくれてありがとう」

どうやらあの助手さんの名前はサムさんというらしい。

「それより、どうしてここに?」

「私ね、パパの研究が一段落したお祝いに、ある人に招待状を贈ったの」

「ある人?」

「パパの大好きな人よ」

その言葉と共にオールマイトが研究室に入る。

「私がぁぁぁ、再開の感動に震えながら来た!!」

「トシ、オールマイト……!?」

「ほ、本物!?」

久しぶりの再開にハグしあう2人だけど、この匂いと音は…。

「どう、驚いた?」

メリッサさんが用意していたお祝いだと理解したデヴィット博士は。

「ああ、驚いたとも…」

「お互い、メリッサに感謝だな。しかし、何年ぶりだ?」

「やめてくれ、お互い考えたくないだろ。年齢(とし)の事は」

「HAHAHA、同感だ。…会えて嬉しいよ、デイヴ」

「私もだ、オールマイト」

そしてお互いにこつんと拳をぶつけ合う。

そしてオールマイトは入り口に立つ僕たちの方を見て。

「君たちに紹介しよう。私の親友、デヴィット・シールドだ。アメリカ時代の私の相棒だよ」

僕は手を伸ばしデヴィット博士と握手する。

「デヴィット博士の事はよく知っています。オールマイトのコスチュームの開発者ですよね」

「君は緑谷出久くんだね。史上最年少のノーベル個性賞受賞者の」

デヴィット博士も僕の事を知っていたようだ。

「ええ、お会いできて光栄です」

「緑谷少年は天才だと思っていたが、まさかそこまでとは!」

「逆にトシは知らなかったのか?。あれはたしか12か13年前、当時4歳だった彼が太陽光バッテリーを内装して自動車以上の速度で走るスケボーを開発したんだよ」

まあ、前世で見てたアニメの発明品だけどね。

「他にも声を変えられる蝶ネクタイだとか、キック力を電気と磁力で足のツボを刺激して上げる発明品とかね」

あはは…。

「それでそちらの2人は?」

「自己紹介が遅れました。緑谷出久の幼馴染みで同級生の爆豪勝己といいます」

「緑谷壊理です」

「緑谷ということは君は緑谷くんのい」

「妻みたいよ。将来の」

メリッサさんが少し呆れながらもエリちゃんについて説明してくれた。

「あはは、よろしく。オールマイトとの久しぶりの再開だすまないが、積もる話をさせてくれないか」

「わかりました」

「メリッサ、ミドリヤくんたちにI・エキスポを案内してあげなさい。サム、君ももう休んでくれ」

そうして僕たちはその場を後にした。


勝己side

俺たちは今、メリッサの案内でパビリオンを見ていた。

「大都市にあるような施設はひととおり揃ってるわ。できないのは旅行くらいね」

「なるほど、守秘義務があるからですね」

「ええ、そう言うこと」

しかし、なんだ。

さっきから俺の心臓がバクバク言ってるんだが、病気かもしれねぇから後でデクに看てもらうか。

そんな時、俺たちの前に巨大な影が通りかかった。

「カイジュウ・ヒーローゴジロね。スポンサードしてる企業から招待されたのね」

しかし、エリには怖かったのかデクにしがみついていた。

「大丈夫だよ、エリちゃん。怖い(ヴィラン)なんてお兄ちゃんが退治してあげるから勝己お兄ちゃんといてね」

エリが俺の足に抱きつくが早いかデクは…。

「きらめきホップ」

ゴジロの顎に強烈なアッパーカットを決め、一旦地面に降り立ち。

「さわやかステップ」

ゴジロの背中に強烈な蹴りを食らわし、空高く打ち上げたかと思いきや本人はまた、地面に降り立ち。

「はればれジャンプ」

打ち上げられたゴジロと同じ高さまで達すると。

「ヒーローの出番です」

強烈な腹パンを決め、ゴジロはI・アイランドの外へと吹っ飛ばされていた。

「エリちゃん、怖い(ヴィラン)はいなくなったよ」

「えっと、ミドリヤくん。私の話を聞いてた?。彼、あれでもヒーローなのよ」

メリッサが慌てて弁解するが。

「え?。エリちゃんが怖がったから(ヴィラン)でしょ」

うん、メリッサは悪くないな。

デクの思考回路がおかしいだけだよな。

俺は一応ゴジロが飛んで行った方向に十字を切って手を合わせておいた。



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第52話

投稿が遅くなってすみません。
仕事柄やれクリスマスだの、やれ年末年始の準備等で忙しくてなかなか更新できませんでした。



オールマイトside

「トシ、この数値は」

私は今まで黙っていた私の“個性”について話した。

「今まで黙っていてすまなかった。君やメリッサを巻き込むわけには」

「頭を上げてくれ、トシ。君の立場を考えれば分からなくもない」

「デイヴ…」

「だとしたら、私の発明品は。すまないが1人にしてくれないか」

「あ、ああ。分かった」

そう言って私はその部屋を後にした。

だが私は後にこの部屋にもう少し一緒にいれば良かったと後悔することになるのだが、この時はまだ気付いていなかった。


お茶子side

私たち雄英高校1年A組女子一同は、八百万さんに誘われてI・アイランドにやって来た。

「八百万さん、誘ってくれてありがとう」

「いえ、気にしないでください。元々は私と両親が誘われていたのですが、父も母も忙しくて行けないから学友を誘ってはと言われましたので」

「でも、本当に誘ってくれてありがとうね。ヤオモモ」

そんな話をしながら歩いてると周りがなんだか空を見上げながら騒いでることにに気づいた。

「What is that?」

「bird? ,plane?」

「No, it's not!」

私たちも空を見上げると。

「This is Gojiro, the monster hero! !」

怪獣ヒーローのゴジロが空を飛んでいた。

「なんで!?」

私を含めたその場に居た全員は驚いてしまった。

「たぶん、私の見間違いじゃなければだけど、緑谷ちゃんが跳び上がってゴジロを殴ってるように見えたのだけど…」

いや、まさかね…。

「いや、ウチの耳にも緑谷の「ヒーローの出番です」なんて声が聞こえてきたんだけど」

「でも、緑谷がゴジロを殴ってブッ飛ばす理由なんて」

芦戸さんがデクくんをフォローしようとしたけど。

「恐らくですが、緑谷さんって基本的にエリさんと一緒に居ますよね」

八百万さんの言葉に私たちは頷く。

「きっと、ゴジロさんがエリさんに近づく→エリさんが怖がる→緑谷さんがエリさんを怖がらせたとしてゴジロに怒る→その結果今の現状と言ったところでは無いでしょうか」

「そんな事………充分にあり得るかも」

私たちはデクくんをフォローしようとした。

したけど、デクくんなら120%やってもおかしくない。

私たちはとりあえず怪獣ヒーローゴジロが飛ばされていった方向に謝罪の意味を込めてお辞儀をしてゴジロが飛ばされてきた方向へ向かって行くとやっぱりエリちゃんをおんぶしたデクくんを含む何時もの3人と金髪眼鏡の女性がいた。

「やっぱりあれは、緑谷だったんだ」

「怪獣ヒーローゴジロもエリちゃんに近づかなければ大丈夫だったかもしれないのに」

私がそう言うとデクくんは笑顔で私に近づき私の両肩に両手を置くと。

「エリちゃんを怖がらせたんだから(ヴィラン)だよ」

「へ!?」

「エリちゃんを怖がらせたんだから(ヴィラン)だよ」

2度言った!?。

「あー、うん。エリちゃん怖かったんやね」

「うん…。でもデクお兄ちゃんが倒してくれたから。プリユアみたいだった」

「そうなんだ。それとそちらの女性は」

「私の名前はメリッサ・シールドよ。あなた達はミドリヤくん達のクラスメートかしら」

それから私たちは簡単な自己紹介を済ませ、パリビオンの中を色々と案内して貰った。

発明品を発表しているコーナーでは。

「ここにある発明品の2%はパパのアイディアが元に作られているのよ」

「残りの98%は?」

「1%は他の発明家の人だけど、その他はミドリヤくんの発明品ね」

(うん、知ってた)

とその場に居たA組メンバーは納得していると突然パリビオンの一角から突然巨大な氷塊と火柱が上がるのが見えた。

私たちがそこに行くと。

「君たちも来ていたのか」

「やはり俺たちは引かれ会う宿命にあるのかもな」

「奇遇だな」

飯田くんに常闇くん、それから切島くんと轟くんが居た。


切島side

「なあ、これやってみないか?。スッゲー面白いぞ」

「ヴィラン・アタックね。どれだけ素早く仮想(ヴィラン)を早く倒せるか競うの」

俺がそう言うと爆豪たちと一緒に居た金髪眼鏡の女性がそう言っていた。

自己紹介によるとオールマイトの親友の娘さんらしい。

「そういえばタイムの方はどうなの?」

「ああ、俺が3分15秒、常闇が3分5秒で飯田が2分3秒で轟が1分35秒ってところだな」

「へー、雄英の生徒だけあって皆優秀なのね」

まあ、ここまで好タイムを出せるのは爆豪や緑谷の特訓のお陰もあるんだけどな。

俺がそう思っていると。

「天下の雄英生徒と言っても所詮生徒なんてそんなものさ。本物の速さってやつを見せてやるよ」

忍者みたいな格好をした男がそんな事を言っていた。

「彼は、音速ヒーローソニックか!?。スピードだけならインゲニウム(兄さん)以上と言われる程のヒーローだ」

そして結果は……29秒!?。

「大人げないぞ、ソニック。しかし、タイムは最高記録を抜かしたぁー!!」

「覚えておくと良い。近い将来No.1になるヒーローの名を」

嫌みたらしい奴だが、実力は確かだと思っていると。

「むー」

という声が聞こえたので声の方のした方を見るとエリちゃんがほっぺを膨らませて緑谷の頭の上に顔を乗っけていた。

「1番はデクお兄ちゃんだもん。あんな変な格好の人よりも上だもん」

それを聞いた緑谷は。

「もう、エリちゃんは可愛いなあ。まあ、本当の事だけどさ」

それを聞いてキレたのか、音速のソニックは緑谷に対して。

「じゃあ、俺よりも好タイムを出してみろ」

なんて挑発していた。

「良いよ。誰にも出せないタイムを見せてあげるよ」

緑谷がスタート地点に立ち、司会が開始のアナウンスを告げる。

「ヴィラン・アタック。レディー、ゴー」

あ…ありのまま、今、起こった事を話すぜ。

ゴーの声と共に緑谷が掌を握るとステージがあっという間に破壊されていた。

俺も何をしたのか分からなかった。

頭がどうにかなりそうだった。

催眠術だとか、超スピードとか、そんなチャチなもんじゃ断じてねえ。

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。

因みに記録は0分00秒だった。


その頃のイレイザー・ヘッド(相澤)はというと。

「どうしたの相澤くん。全身鳥肌だらけよ。それに床に水溜まりができる程汗をかくなんて大丈夫?。新手の夏風邪かしら!?」

「分かりません。でも寒気と震えが止まりません」

「ちょっと待ってて。リカバリーガールを呼んでくるから!!」




今回はここまでにしておきます。
それでは皆さん、よいお年を。


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第53話

ニンジャ0号さん、使わないかもしれませんと言った言葉ですけど、今回使わせていただきました。


勝己side

「な、何が起きたんだ~?。一瞬の内に仮想(ヴィラン)どころか、会場が破壊されてしまった。タイムはまさかの0分00秒。宣言通りに誰も越えれない記録を繰り出した~」

司会のおっさんが沈黙の続いていた会場に大きな声でアナウンスをすると会場も大いに盛り上がっていた。

「嘘、だろ。この俺が」

デクに負けた忍者みたいな格好をした奴は膝から崩れ落ちていた。

そして「嘘だ、嘘だ、嘘だ」と呟き出していた。

「デクお兄ちゃん、スゴーい」

エリの奴は感動したのか目をキラキラさせながらデクを見ていた。

「ありがとね。エリちゃん」

デクはそう言ってエリの頭を撫でていた。

「ねえ、あのドームみたいなのは?」

「そうね、行ってみましょうか。あれもパビリオンの1つよ」

俺たちがそのドームに向かおうとすると。

「お前が居なければ、俺が1位なんだぁー」

さっきの忍者みたいな奴がデクを背後から襲おうとしたが。

「ねえ、そのまま攻撃してたらエリちゃんにも当たってたよね」

ソイツの後ろにデクが回り込んで頭を掴んでいた。

「そ、そんなにそのガキが大切かよ」

「当たり前だよ。僕のかわいい彼女だからね」

「このロリコン変態野郎が!!。離しやがれ」

「失礼だな…純愛だよ。それとすぐに離してあげるよ」

そしてデクは手を離し、ソイツの足が地面に着く前に背中に蹴りを入れるとまるで水切りのようにソイツは海へ飛んで行った。

「さあ、行こうか」

哀れな奴だったな。

デクに関わらなければもう少しヒーローとして活動できたのかもしれないのにな。

そして俺たちは当初の目的通り、ドームに向かう事にした。


「ここって何の施設なんですか?」

麗日が質問すると。

「ここは色んな国のアーティストとかを招待したりして歌や躍りを披露してもらうための設備なの。それ以外にも、研究員がストレス発散の為に歌ったりもしてるわね?。今はパビリオンを開いてるからいつも以上に人が多いけど」

ちなみに今はのど自慢的な催しが開かれていた。

舞台の方を見ていると。

青山の奴が舞台に立ち歌っていた。

…何気に上手かったな。

「やあ、君たちも来てたんだね」

「尾白も来てたんだな」

「ああ。くじ引きで4名行きのチケットが当たってね。それで青山くんと僕、それから障子くんと口田くんと来てたんだ。それより君たちはどうして?」

俺が説明すると。

「なるほど。でもすぐにここから逃げた方が良くないかな?」

「え、どうして?」

メリッサの疑問を打ち消すように司会のアナウンスが流れる。

「続きましても飛び入り参加。可愛い彼女にこの歌を届けます。飛び入りNo.129番、緑谷出久さんです」

次の瞬間、その場にいた俺たち雄英高校1年A組(エリは除く)は青ざめ、一気に出口を目指したが人が増えていた為になかなか辿り着けず、遂にデクが歌い出してしまった。

「天高く、羽ばたいて、最上よりも高く」

次の瞬間、会場は阿鼻叫喚と化していた。

「Le mie orecchie impazziscono」

「beeil dich zum Ausgang」

「la serrure électronique est cassée」

「有人幫忙」

世界中の人がパニックになっていた。




今回は短いですがここまでです。
最近は眠くて仕方ないのでしばらくは短めの内容で投稿するかもしれませんが、楽しんでもらえるように頑張ります。


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第54話

響香side

「うう、まだ頭がくらくらする」

緑谷の歌はドーム内に響き渡り、その場にいた半数以上、というよりは9割はI・アイランド内の病院に搬送された。

案の定エリちゃんは大喜びをしていた。

「恋は盲目なんて言葉がありますが、エリさんの場合は難聴なのかもしれませんね」

ヤオモモの言葉にウチら雄英高校1年A組女子一同は納得していた。

「とりあえずどこかで一息入れたいね」

麗日がそう言うとメリッサさんが。

「それならこの先にカフェがあるの。そこに行きましょう」

との事なのでそのカフェに向かう。

そして注文を終え、ウチらはガールズトークで盛り上がっている。

日本とアメリカというファッションや文化の違いがあると言えど、そこは女子同士話が弾む。

ちなみにエリちゃんも今は緑谷から離れて梅雨ちゃんに抱っこされウチらと一緒に楽しんでいる。

で、そんな緑谷はウチらにナンパしようとする輩に自分の注文したアイスココアに入っていた小さな氷の欠片をぶつけて撃退している。

多分だけど、ナンパしようと声をかけてきた男連中はウチらやメリッサさんが目的でエリちゃんは狙われていないと思う。

ナンパされるには幼すぎるし。

ただ、その氷が壁や床、道路を凹ませるってどんな威力で飛ばしてんの!?。

「お待たせしました」

と言って商品を持って来たのは。

「上鳴!?。それに峰田に瀬呂もどうしてここに?」

「ああ、エキスポの間だけ臨時バイト募集してたから応募したんだよ」

「休み時間にエキスポ見学できるし、給料貰えるし」

「何より来場した女の子と出会いがあるかもしれないしな」

そう言った峰田だが、急に上鳴と落ち込んでいた。

「と思っていた時期もありました」

なんでも客足が途絶えず、それに比例して休憩する暇も減ったらしい。

そういう事なのでエキスポは見学できないし、女の子に声をかける暇さえ無かったらしい。

店の奥の方から砂藤が顔を出して3人を呼んでいた。

「おーい。次の注文の品ができたから取りに来てくれ」

ちなみに砂藤はカフェを手伝う約束をしていたお菓子職人と知り合いで、そのお菓子職人が夏風邪で行けなくなったので代わりに手伝いに来たようだ。

何気に雄英高校1年A組が全員集合していた。

「やはり俺たちは導かれし者たちなのかもしれないな」

常闇がそう呟くとエリちゃんは「ドラクエ?」とか言っていた。

「それならミドリヤくんがピサロでエリちゃんがロザリーかな」

メリッサさんがそんな事を言っていたけど、多分それだと緑谷が進化の秘宝を使わなくても緑谷を除くウチらの1年A組のパーティーは全員がレベル99で最強装備を装備してても勝てる未来が全く見えてこない。

ちなみにエリちゃんは「ピサロよりもデクお兄ちゃんの方が格好いいもん」とかふてくされていた。

そんな中「本日は18時で閉園になります。ご来園ありがとうございました」のアナウンスが流れた。

その言葉を聞いて、その場でカフェでバイトをしていた4人はカフェの入り口に座り込んだ。

「プレオープンでこの忙しさ」

「明日から、どうなっちまうんだ」

「やめろ、考えたくない!」

そんな中メリッサさんはそんな4人に近づいてチケットを見せていた。

「良かったらこれどうぞ。レセプションパーティーのチケット」

その言葉を聞いて「俺たちの労働は報われた」と涙を流して喜んでいた。

「あ、でも3枚しかないのよ」

メリッサさんの言葉に砂藤が。

「俺は大丈夫です。知り合いから貰ったのがあるんで」

なんとか全員が参加できることが分かり、一先ずその場は後にして18字30分にパーティー会場のあるセントラルタワーの7番ロビーに集合しようということで一時解散となった。



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第55話

お茶子side

私らは今、メリッサさんの部屋にお邪魔してパーティー用のドレスに着替えている。

「ねえ、これってこうであってる?」

「うーん、少し派手だったかな」

等とワイワイ盛り上がりながら着替えていた。

そんな中エリちゃんは。

「デクお兄ちゃん。可愛いって言ってくれるかな?」

うん、デクくんならエリちゃんがどんな格好をしていても可愛いって言ってくれると思うよ。

ただ、純白のフリルたっぷりのスカートに腰に結ばれたリボン。

そして白いストッキングとエリちゃんの足にぴったりの白い靴と純白の手袋。

極めつけは髪につけたティアラとベール。

『完全にウェディングドレスだ!?』

私らの声にエリちゃんは一瞬ビックリしてたけど。

「変かな?。デクお兄ちゃんに作ってもらったんだけど」

うん、似合ってるけどもデクくんの才能凄すぎへん。

「じゃあ、メイクをしてあげようか?」

メリッサさん、ナイスフォロー。

「ううん。メイクもデクお兄ちゃんにやってもらう」

「でも、ミドリヤくんは男の子だし」

メリッサさんがそう言うのを横に八百万さんがメリッサさんの部屋に置かれていたファッション雑誌をパラパラめくり1枚のページを開き。

「失礼ですが、このページに載っている女性をメイクされた方をご存じで?」

そのページには今、アメリカは愚か世界でも有名な女優のユニ・バースが載っていた。

「素顔は知らないけど、有名な人よね。美人女優のメイクからホラー映画に出てくるモンスターのメイクをすることで有名なメイクアップアーティストで、G・V・エスケイプ氏」

「そのG・V・エスケイプ氏が緑谷さんなんです」

「………。ごめんなさい、一瞬意識が何処かへ飛んでいってたわ」

うん、でもその気持ちも分からなくはない。

デクくんがやってる副業の事を知った時もウチらも同じ考えだったし。

だから、1時間あれば貯金の預金が数兆とか数京とかの早さで貯金が増えていくんよな。

「つまりミドリヤくんって歌以外は何でもできるの?」

「イヤ、緑谷が再現できるのは“個性”みたいな特殊能力だけじゃなくて、歌の才能や声なんかも再現できるんだよね。だからその気になれば○山○治の声で月島き○りの恋☆かなを歌ったりできたりするんだよね。エリちゃんには「デクお兄ちゃんの声じゃない」って不評だけど」

「……。ねえ、ミドリヤくんって何者?」

『不可能を可能にする人?』

それしか言えなかった。


私たちが着替え終わって待ち合わせ場所に行くと男子はもう待っていた。

みんな正装を着てるけど爆豪くんだけはデクくんが作った制御装置を正装の下に着てるんだろうけどきつそうだった。

「エリちゃん、良く似合ってるよ」

「えへへ」

デクくんに誉められてエリちゃんは嬉しそうに笑っている。

「みんな似合ってるけどよ、なんか耳郞のはなんか馬子にも衣裳ってヤツだよな」

「女の殺し屋みてー」

そう言った上鳴くんと瀬呂くんは耳郞さんにお仕置きされてた。

馬子にも衣裳って褒め言葉じゃないよ。

「それじゃ皆、行きましょうか。会場はこっちよ」

「あ、ああ」

メリッサさんの言葉に何時もらしくない爆豪くんが答え、会場に向かおうとすると突然アナウンスが放送される。

『I・アイランド管理システムよりお知らせします。警備システムにより、I・エキスポエリアに爆発物が仕掛けられたという情報を入手。現時刻をもって厳重警戒モードに移行します。また、主要施設は警備システムによって強制的に封鎖されます』

「マジかよ、電話もネットも使えない」

瀬呂くんの言葉に驚く私たちに更に放送が続けられる。

『今から10分後以降の外出者は、警告なく身柄を拘束されます。くれぐれも外出は控えてください』

そのアナウンスを聞いて私たちは話し合いをしていた。

「ねえ、大丈夫かな?」

私の質問にメリッサさんが。

「大丈夫よ。会場にはマイトおじさまを含め沢山のヒーローがいるもの」

だけど私は、私たちは似たような状況を体験している。

「なあ、この状況ヤバくないか?」

峰田くんの言う通りだ。

オールマイトたちが動けないのはひょっして人質を取られてたりするのかも。

「やっぱり動ける俺たちでどうにかするべきなんじゃ?」

切島くんの意見に飯田くんが。

「僕たちは学生なんだ。プロヒーローの援助を待つべきだ」

その事で意見が分かれるけど、私たちは最終的に委員長のデクくんに意見を聞いてみるべきだと思った。

「そうだね。僕たちはヒーロー免許を持っていないから戦うべきではないのかもしれない」

「だったら」

「だけどね、それは日本の決まりでしかない。メリッサさん、I・アイランドの国籍は」

「え!?。色んな国の人たちがいるけど、特に国籍とかは無かったはずよ」

「つまりそういうことだよ。第一通話もメールもできない状態で外から助けが来る確率はゼロに近いだろうね、それに」

デクくんはエリちゃんを抱きしめていた。

「ねえ、パーティー、無くなっちゃったの…」

「子供から楽しみを奪うなんて許されないんだよ、何人たりともね」

その時のデクくんの顔は、誰よりも優しく、そして怖かった。

 



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