私、魔女さんに拾われました。 (バスタオル)
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魔女さん編
第1話 魔女さんと私


私の名前はリール。

ある魔女さんの家で暮らしています。

ですが、元々この家に住んでた訳ではありません。

魔女さんが言うには私は森で寝てたらしい。

心配になった魔女さんは私を保護してくれました。

その時魔女さんは私を優しくだっこしました。

私からすれば大人はみんな同じだと思ってたけど、魔女さんだけ違った。

普通の人とは全然違う…なんだろう…雰囲気?

その時の私はとにかく生きるためならと考えてたので魔女さんの提案を受け入れました。

それからの魔女さんは私を温かく迎え入れ、今に至ります。

あ、ちなみにこのリールって名前も魔女さんが付けてくれました。

名前の意味は分からないけど少し気に入ってます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「リール!起きなさーい!朝ですよー!」

 

あ、魔女さんが呼んでますね。そろそろ行かないと。

 

???「リール!起きてるのー?」

 

バタバタバタ!

ギィィィィィ…バタン!

 

 

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ドタドタドタ!

私は走って魔女さんのいるところに行った。

 

リール「おはようございます!」

魔女さん「おはようリール。さ、顔洗ってらっしゃい。朝ごはんできてますよ」

リール「はい!」

 

私は洗面所に行った。

ジャー!バシャバシャ!

私は顔を洗った。

 

リール「ふぅ…さっぱりした。さて…」

 

顔を洗った私は魔女さんがいる部屋に向かった。

 

 

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リール「洗ってきました!」

魔女さん「じゃあ食べましょうか」

リール「はい!」

 

私は自分の椅子に座る。

 

リール「いただきます!」

魔女さん「はい。どうぞ」

 

そして私は出された朝食を食べた。

 

リール「ふぅ…ご馳走様でした」

魔女さん「はい。お粗末様」

 

カチャカチャ

私はお皿を片付けた。

コトッ

私はお皿を洗うためにお皿を置いた。

キュッ…ジャー!

私は蛇口を捻り、水を出してお皿を洗った。

ジャー!キュッ…

お皿を洗い終わった私は水を止め、手についた水を拭いた。

 

リール「魔女さん!今からお掃除してきますね」

魔女さん「はい。分かりました」

 

トコトコトコ

私はお掃除をするために外に出た。

 

 

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ブチッ!ブチッ!

私は今、庭の草むしりをしています。

この家の庭は草が多く、昨日も草むしりしたのにまた生えてきてます。

魔女さんが言うには魔力?があるからだそうです。

何言ってるか分からないけど、とにかく生えているので掃除します。

ブチッ!ブチッ!

…ほんとに多いです。

疲れます…。

 

リール「ふぅ…よしっ次は…」

 

草むしりが終わると今度は掃き掃除になります。

サッ…サッ…

先程取った草とその辺の落ち葉とかも一緒に掃除します。

サッ…サッ…

掃除する量は多いけど、その分綺麗になった時はとても気持ちがいいです。

なので私は多くてもやります。

サッ…サッ…

ある程度集まったらこれを袋に詰めてあとは捨てるだけです。

ガサガサ…

私は集めた落ち葉とかを袋に詰めて、袋の口を閉めた。

 

リール「よいしょっと…」

 

私はその袋を持って家の後ろに向かった。

 

 

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リール「よっこいしょっ」

 

ドサッ…

私は袋を置いた。

 

リール「えーっと…これかな」

 

私は家の壁についてる何かに手を触れた。

すると、袋の下に綺麗な円のようなものが出てきた。

魔女さんに聞くと、これは魔法陣というものらしいです。

魔女さんが作ったそうです。

ボッ!

すると、その袋が急に燃え始めた。

どうやら物を燃やすものらしいです。

目の前に火があるのに不思議なことに人がこれに触れても燃えないそうです。

魔女さんが燃やさないようにしたそうです。

便利で安全でいいと思っています。

シュゥゥゥゥゥゥゥ…

すると、さっきまであった袋が無くなってました。

これで朝の掃除は終わりです。

ザッザッザッ…

私は玄関の方へ行きました。

 

 

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玄関についた私はさっきまで自分が掃除したところを見た。さっきとは見違えるほどに綺麗になっていて気持ちが良かったです。でも、明日にはまた草が生えているので、また掃除しないといけません。毎日これの繰り返しですね。

 

リール「よしっ!今日も完璧!」

 

私は気持ちが良いまま家に入りました。

 

リール「お掃除してきましたー!」

魔女さん「あらリール。お疲れ様。ありがとう」

リール「いえいえ!」

魔女さん「はいこれ」

 

コトッ

魔女さんは私に飲み物を出してくれた。

 

リール「ありがとうございます!」

 

私はそれを飲む。

 

リール「っはぁ!」

 

私はそれを一気に飲み干した。

とても美味しかった。

 

リール「じゃあ私は部屋に行きます!」

魔女さん「分かりました。また用があったら呼びますね」

リール「はい!」

 

トコトコトコ

私はそのまま自室へ戻りました。

 

 

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ギィィィィィ…バタン

朝のお掃除が終わったら少し休んで勉強します。勉強はもちろん魔法についてです。魔女さん曰く、「魔法は覚えてて損は無いです。きっとあなたの助けになりますよ」だそうです。なので私は頑張って勉強しています。

 

リール「…さて、勉強しようかな」

 

少し休んだ私は勉強を始めます。

 

リール「えーっと…魔法の基本は空気中のマナを操ることです」

 

この世界には「マナ」と呼ばれる魔法の素となるものがあるそうです。

魔女さんはこれがあることで魔法が使えるそうです。

 

リール「えーっと…両掌を向かい合わせて目を閉じて集中する…」

 

私は魔女さんに貰った本に書かれている事をやってみた。

でも、何も変わらなかった。

 

リール「うーん…なんでだろ…」

 

パラパラパラ…

私は本をめくる。この本には色々なことが書いてあった。火や水、氷とか色々な魔法について書かれてあった。他にも魔法の基礎や応用、魔法の段階などが書かれていて初心者の人にも優しい本だった。

 

リール「うーん…」

 

私は本の通りにやってもできなかったので魔女さんに聞くことにした。

 

 

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リール「魔女さん魔女さん」

魔女さん「はい。何ですか?」

リール「これなんですが…」

 

そう言って私はさっきのページを開いた。

 

リール「この本の通りにやってもこうならないんですが、どうやったらいいんですか?」

魔女さん「マナを集める方法ですね。それなら…」

 

私は魔女さんにその方法を教わった。

 

魔女さん「と、こうすればいいですよ」

リール「ありがとうございます!」

魔女さん「リール」

リール「はい。何ですか?」

魔女さん「マナもあなたと同じで意志を持って生きています。私のように魔法を使う人たちはマナの力を分けてもらって魔法を使っています。なので、魔法を使うにはマナとの信頼関係が必要なのです。まずは実際にマナと触れ合ってみましょうか」

リール「はい!」

 

すると魔女さんは掌を上に向けた。

少ししたら緑色の光りが集まってきた。

 

リール「綺麗…」

魔女さん「これがマナです。普通なら見えないんですが、集めることで大きくなり、次第に目に見えるようになります」

リール「そうなんですね」

魔女さん「マナはこの空気中に存在します。今もあなたの周りにいますよ」

リール「そうなんですか?」

魔女さん「はい。いますよ」

リール「でも全然見えません」

魔女さん「マナは小さいので見えませんよ」

リール「あ、そうでした…」

魔女さん「さ、リール。触ってみますか?」

リール「!」

 

私が魔女さんと話している間にマナは大きくなり、ボール程の大きさになっていた。

 

リール「え、えっと…どうすれば…」

魔女さん「掌を上に向けてください」

リール「はい」

 

私は言われるがまま掌を上に向けた。

 

魔女さん「リールはそのままいてください」

 

すると魔女さんは集めたマナを私の掌に乗せた。

 

魔女さん「さ、どうですか?」

リール「魔女さん…これってどうすれば…」

魔女さん「あ、1度触れたら大丈夫なので、触ってみてください」

 

そう言われた私は右手でマナを触ってみた。

フワフワ…フワフワ…

マナはとてもフワフワしていて触り心地が良かった。

 

リール「すごいフワフワしてますね」

魔女さん「マナは普段空気中にいるのでとても軽いんですよ。それにマナは魔力を持つ人に引き寄せられる性質を持つので、掌を上に向けるだけで集まってくるんです」

リール「へぇ!」

魔女さん「リールも魔法が使えるようになったらこのくらい簡単にできますよ」

リール「分かりました!あ、魔女さん」

魔女さん「はい。何でしょうか」

リール「これはどうすればいいんですか?」

魔女さん「あ、掌を下に向けてください」

 

そう言われたので私は掌を下に向けた。

すると…

フワフワ…フワフワ…

集まったマナは私の手から離れて消えていった。

 

リール「あ、消えた」

魔女さん「魔力は掌から出ているんですよ。他にも目とか体から出てくる人もいます」

リール「へぇ!そうなんですね!」

魔女さん「私の場合、掌から出てくるので掌を上に向ければ集まってきます。人によっては掌を上に向けなくてもマナが寄ってくることがあります」

リール「何故掌を下に向けたらマナが消えちゃうんですか?」

魔女さん「空気中といっても地面に近いくらいの低い所にはいないんですよ。マナはとても軽いので常に人の頭よりも高いところにいます。なので掌を上に向けると寄ってきて、掌を下に向けると離れちゃうんです」

リール「手の甲からは魔力は出ないんですか?」

魔女さん「はい。出ませんよ。魔法は人に掌を見せて使います。手の甲を見せて魔法を使う人はいません。もし手の甲を見せて魔法を使ってしまったら自分に魔法を使うことになるので危ないんです」

リール「へぇ!そうなんですね!」

魔女さん「なのでリールも気をつけてくださいね」

リール「はい!」

 

こうして私は不思議な魔女さんに色々教えてもらいながら魔法を勉強しました。




〜物語メモ〜

ここでは物語で出てきた情報を書きます。
書くのは新しい情報だけです。



リール
この物語の主人公。
魔女さんに拾われて一緒に暮らしている。
今は魔法の勉強中。



魔女さん
リールを保護した人物。
魔法の扱いに長けている女性。


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第2話 魔女さんと私の適性魔法

私の名前はリール。

ある魔女さんと一緒に暮らしています。

今日は私の魔法の適性を見るということで外にいます。

いつも一人で勉強してたので魔女さんから直々に魔法を教えてもらうのは初めてです。

今まで魔女さんに教わったのはマナを集める方法だけで実践できる魔法は1度も習っていません。

なのでちょっと楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女さん「さぁリール。ここでやってみましょうか」

 

私たちは広い高原に来ています。

 

リール「はい!」

 

そこは辺りに家や人は無く、魔法を使うには最適の場所だった。

 

魔女さん「ちょっと待ってくださいね」

 

すると魔女さんはブツブツと何か言ってから手を上にあげた。

 

魔女さん「結界」

 

パキパキパキ…

すると魔女さんの手に出てきた小さな玉が急激に大きくなり、次第に私たちの周りを覆った。

 

リール「魔女さん。これは?」

魔女さん「これは結界と言って敵から自分や他人を守るために使われる魔法です」

リール「え、でも周りには誰もいませんよ?」

魔女さん「使い方としては確かに人を守るための魔法ですが、今回は私たちが魔法を使うので被害を大きくしないようにするために使っています。この中なら魔法を使っても外界には被害は出ません。もちろん結界を解除すれば全て元通りになりますよ」

リール「へぇ!」

魔女さん「では、早速始めていきましょうか」

リール「はい!」

 

そして、私の魔法の勉強が始まった。

 

 

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魔女さん「じゃあまずは氷の魔法を使ってみましょうか」

リール「はい!」

魔女さん「氷の魔法は属性魔法の中で最も簡単な魔法です。なので私たちのように魔法を使う人たちの中で氷の魔法を使う人はたくさんいます。なのでまずは氷の魔法を習得していきましょう」

リール「はい!」

魔女さん「じゃあまず最初に、魔法を使うには何が必要だったか覚えていますか?」

リール「マナです!」

魔女さん「そう!正解です!ではマナを集めるにはどうすればいいですか?」

リール「えっと…こうやって掌を上に向けて…」

 

私は以前魔女さんから習った方法でマナを集めた。

すると、私の掌に魔女さんほどでは無いけどマナが集まってきた。

 

リール「こ、こうやります!」

魔女さん「はい。上出来ですね。じゃあ次は氷の魔法の事を話しましょうか」

リール「はい!」

魔女さん「あ、マナは手放しても大丈夫ですよ」

リール「あ、はい」

 

私はマナを手放すため、掌を下に向けた。

すると、マナはすぐに私の掌から離れていった。

 

魔女さん「さて、氷の魔法ですが、この魔法は他の属性魔法と違ってその場にあるものから作り出すことで魔法が成り立ちます」

リール「その場にあるもの?」

魔女さん「はい。例えば火の魔法ではマナを集めてからマナを火に変えて魔法として使います。ですが氷の魔法はマナを使わずに空気中の水を使います」

リール「空気中の…水?」

魔女さん「はい。氷の魔法だけマナを使わないんです。なのでマナを集めることができなくても氷の魔法を使う人はたくさんいます。だから氷の魔法を使う人が多いんですよ」

リール「でも空気中には水なんてありませんよ?」

魔女さん「いいえありますよ。ただ微量ですから私たちはそれを感じることが出来ないんですよ。私も感じられません」

リール「え…魔女さんでも?」

魔女さん「はい」

リール「うーん…それを使って氷…」

魔女さん「やり方は簡単ですよ。まずこうやって手を前に出してください」

リール「はい」

 

私は魔女さんの言う通りに手を前に出した。

 

魔女さん「この時掌は自分の方に向けちゃダメですよ」

リール「自分に魔法が返ってくるんですよね!」

魔女さん「その通りです」

リール「やった!」

魔女さん「さ、次に進みましょうか」

リール「はい!」

魔女さん「手を出したらこの掌の中心に意識を向けてください」

リール「意識を…」

 

私は言われた通りに意識を掌の中心に向けた。

 

魔女さん「あとは自分の手が凍るようなイメージを持ってください」

リール「手…手が凍るイメージ…」

 

私は自分の手が凍ってカチカチになるイメージを持った。

 

リール「!」

 

すると、私の手が急に冷たくなった。

 

魔女さん「リール。もう目を開けてもいいですよ」

リール「!」

 

私が目を開けると掌に氷ができていた。

 

魔女さん「これが氷の魔法です。マナを使わないので簡単にできますよ」

リール「で…できた…」

魔女さん「初めてなのにできたのはすごいですよリール。良かったです」

リール「魔女さん…」

魔女さん「はい。何でしょうか」

リール「この次はどうすれば…」

魔女さん「あ、じゃあ1番簡単なものを教えましょうか」

リール「はい!」

魔女さん「やることは単純です。掌にできた氷を勢いよく地面に叩きつけてください」

リール「え!?叩きつける!?」

魔女さん「はい。投げつけてもいいんですが、それだと危ないので掌についた氷を地面に押し付けてください」

リール「わ、分かりました…」

 

私は言われた通りに氷を地面に勢いよく押し付けた。

パキパキパキパキ!

するとその氷は辺りに広がって周囲を凍らせた。

 

リール「わ、わわわ!」

魔女さん「成功ですね。素晴らしいです」

リール「魔女さん…これは…」

魔女さん「氷の魔法は主に相手の動きを止めたり、周囲を凍らせたりする魔法です。やり方は多彩で簡単なものから難しいものまであります。なので今回は簡単なものを教えました」

リール「な、なるほど…でも魔女さん」

魔女さん「はい。何でしょうか」

リール「足…凍っちゃって動けません…」

魔女さん「え?あ…あらあら…」

 

私は初めて魔法を使ったのでまだ制御ができてませんでした。

そのため辺りだけでなく、自分の足まで凍らせてしまいました。

 

魔女さん「あらあら…ふふふ。まぁ初めてなのでこういう事もありますよ。ちょっと待ってくださいね」

 

それを見た魔女さんは私の足に向かって掌を向けた。

その後何かブツブツと言った。

すると魔女さんの手に火が出てきた。

 

魔女さん「リール。動いちゃダメですよ」

リール「え…えっと魔女さん…もしかして…私を…」

魔女さん「大丈夫ですよ。リールを燃やしたりなんかしません」

リール「あ、良かったです…」

魔女さん「さ、いきますよ」

 

ボッ!

すると魔女さんの手から離れた火は私の足元に落ちた。

 

シュゥゥゥゥゥゥゥ…

その火は私の足についた氷を溶かしていった。

しばらくそのままでいると次第に足についた氷が全部溶けて動けるようになった。

 

リール「はぁ…良かったぁ…」

魔女さん「足が凍っちゃったけど無事に魔法を使うことが出来ましたね」

リール「はい…」

魔女さん「どうしましたか?」

リール「いえ…魔女さんがいなかったら私どうなってたんだろって思いました」

魔女さん「…リールは私と同じですね」

リール「私が魔女さんと?」

魔女さん「はい。私も初めて氷の魔法を習った時はリールのようになりましたよ。ただリールと違って私は氷漬けになりましたが…」

リール「こ…氷漬け…」

魔女さん「はい。リールはまだ魔力が小さいので足が凍ったくらいで済みましたが、私は魔力が大きかったので氷漬けになっちゃったんです。近くにお師匠様がいなかったら私はずっと氷漬けでしたよ」

リール「そ、その後は…」

魔女さん「その後はお師匠様が火の魔法を使って私を出してくれましたよ」

リール「ほっ…良かったです…」

魔女さん「まぁそういう事で最初は誰でも上手くいかないので落ち込む必要は無いですよ」

リール「はい。分かりました」

魔女さん「じゃあ一通り魔法を使ってみましょうか」

リール「はい!」

 

それから私は魔女さんに他の属性魔法を教わりました。

 

 

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1つ目:火属性魔法

 

魔女さん「じゃあまず最初に火の魔法を使ってみましょうか」

リール「はい!」

魔女さん「あ、その前に。属性魔法は火、水、氷、風、雷、土、光、闇、無の九つあります」

リール「無?無ってなんですか?」

魔女さん「無属性魔法の事ですよ。誰にでも等しく効果がある魔法です」

リール「どういうものが無属性魔法なんですか?」

魔女さん「そうですね…例えば回復魔法ですね。回復は誰にでも等しく効果があるので分類としては無属性魔法に含まれます」

リール「なるほど!」

魔女さん「他には味方を強くする魔法も無属性魔法ですね」

リール「味方を強くする?」

魔女さん「そうです。例えば防御力を上げる魔法を使えばその人の防御力が上がるので、やられる確率は下がります」

リール「あ、確かに」

魔女さん「攻撃力を上げれば魔法の強さが上がるので大きなダメージが期待できます」

リール「ふむふむ」

魔女さん「他にも自分の魔力を誰かに分け与えることもできますよ」

リール「おぉ!」

魔女さん「まぁ、どの魔法が使えるのかは適正があるのでそれを知っていくのが今回の授業ですね」

リール「適正が無かったらどうなるんですか?」

魔女さん「そうですね。適正が無かったら適正がある人と比べて魔法が弱くなったり、その魔法自体が使えなかったりしますね」

リール「魔女さんはどの魔法が使えますか?」

魔女さん「私ですか?私は全ての魔法を使うことができますよ」

リール「え!!魔女さん全部使えるんですか!?」

魔女さん「はい。使えますよ」

リール「おぉ…」

魔女さん「でも適正は人それぞれです。使えない魔法があっても落ち込んじゃダメですよ」

リール「はい!」

魔女さん「じゃあ始めましょうか」

リール「はい!」

魔女さん「火の魔法は物を燃やしたりさっきみたいに氷を溶かしたりできます。魔力の強さで火の効果が上がるので、その人の魔力の量も見ることができます」

リール「おぉ!」

魔女さん「やり方は簡単です。さっきのように掌を前に出してから掌の中心に意識を向けて、あとは火をイメージすれば…」

 

ボッ!

 

リール「!」

 

すると、魔女さんの手に火が出てきた。

 

魔女さん「と、こんな感じに火を出すことができますよ」

リール「おぉ!」

魔女さん「あとはこれを飛ばすだけです」

リール「どうやって飛ばすんですか?」

魔女さん「投げるのもひとつの手段としてありますが、投げるとどこに飛ぶか分からないので今回はマナを使って飛ばしますね」

リール「はい!」

魔女さん「マナを使えば思い通りの場所へ飛ばすことができます。やり方としては、まずマナを集めます」

リール「ふむふむ…」

魔女さん「集まったマナにどこに飛ばすかを指示します」

リール「ふむふむ…」

魔女さん「あとは魔力を送ればマナが飛ばしてくれます。こんな風に…」

 

ドン!ヒュゥゥゥゥ!ドーン!

魔女さんの手にあった火が一直線に飛んで結界に当たった。

 

魔女さん「こうすれば安全に正確に飛ばせますよ」

リール「おぉ!」

魔女さん「リールもやってみますか?」

リール「はい!」

 

私はさっき魔女さんがやったようにやってみた。

 

魔女さん「あとはマナを集めて…」

リール「ぐぬぬ…」

 

私はなんとかマナを集めた。

 

魔女さん「あとは頭の中でマナに指示して魔力を送るだけです」

 

私は言われた通りにやってみた。

ポスッ…シュゥゥゥゥゥゥゥ…シュポッ…

 

リール「え…」

 

するとその火は消えてしまった。

 

魔女さん「あら、ということはリールは火属性の魔法に適性が無いってことですね」

リール「ぐぬぬ…」

魔女さん「じゃあ次いってみましょうか」

リール「やります!」

 

 

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2つ目:水属性魔法

 

魔女さん「水属性魔法は火属性魔法の効果を消したり、自ら水を作り出すことで水に強い体を得ることができます。やり方は火属性魔法と同じです。手を出してイメージしてください」

リール「…」

 

私はさっきと同じようにやってみた。

すると、手が濡れたような感触があった。

 

魔女さん「じゃああとはマナを集めて…」

 

パチッ!

 

リール「!」

 

私がマナを集めようとした時、私の掌にあった水が弾けて無くなった。

 

魔女さん「あら、水属性の魔法にも適性が無いようですね」

リール「うぅ…」

魔女さん「落ち込まないでリール。この世界の人は何かしらの適性を持っています。適性を持ってない人はこの世には存在しませんよ」

リール「…はい」

 

 

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3つ目:風属性魔法

 

魔女さん「じゃあ今度は風属性魔法を使ってみましょうか」

リール「はい…」

魔女さん「風属性魔法は風を操ることで空を飛ぶことができますよ。他にも強い風で一部の属性魔法を弾くことができます。やり方は同じなのでやってみてください」

リール「分かりました」

 

私はさっきと同じようにやってみた。

ヒュゥゥゥゥ…

すると風が吹き、私の掌に集まってきた。

 

魔女さん「じゃあマナを集めてみましょうか」

リール「はい…」

 

私はなんとかマナを集めた。

 

リール (ほっ…できた…)

魔女さん「あとはそれを飛ばしてみましょうか」

リール「はい!」

 

ヒュゥ…

 

リール「!」

 

すると、私の掌から風が消えた。

 

リール「え…」

魔女さん「うーん…風属性も適性じゃないですね」

リール「魔女さん…私…本当に適性があるんでしょうか…」

魔女さん「属性魔法はあと2つありますよ。なのであと2回やってみましょう」

リール「…はい」

 

 

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4つ目:雷属性魔法

 

魔女さん「じゃあ次は雷属性魔法です。雷属性魔法は属性魔法の中で最も弾道速度が速い魔法です。相手が結界を展開していなければ必ずと言ってもいいほど魔法を当てることができます。ですがこれは静電気みたいにピリピリするので気をつけてくださいね」

リール「はい」

 

私はさっきと同じようにやってみた。

ピリピリ…

すると手がピリピリし始めた。

 

リール「どうでしょうか」

魔女さん「いいですよ。あとはマナを集めてみましょう」

リール「はい」

 

私はマナを集めた。

ジジジ…ジジジ…

すると、さっきよりも痺れが強くなった。

 

魔女さん「上手くいってますね。じゃあそれを飛ばしてみましょう」

リール「はい!」

 

ジジジ…バリバリバリ!

 

リール「!?」

 

するとその雷がいきなり暴れだした。

 

魔女さん「!!」

リール「あわわわわ!」

魔女さん「はぁっ!」

 

ジジジ…シュゥゥゥゥゥゥゥ…

魔女さんが何かした途端、雷が消えて無くなった。

 

魔女さん「リール。大丈夫ですか?」

リール「は、はい…」

魔女さん「うーん…雷属性魔法にも適性が無いみたいですね」

リール「うぅ…」

魔女さん「大丈夫です。まだあとひとつありますよ」

リール「はい…」

 

 

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5つ目:土属性魔法

 

魔女さん「最後に土属性魔法ですね。土属性魔法は地面を味方につけることができます。魔法を使って相手の魔法を防ぐことができるので、結界が使えなくても大丈夫なんですよ」

リール「なるほど…」

魔女さん「じゃあやってみましょうか」

リール「はい」

 

私はいつもの通り同じようにやって見た。

すると、自分の手に土がつくような感触があった。

 

魔女さん「いいですね。じゃあマナを集めてみましょう」

リール「…」

 

私はマナを集めてみた。

 

魔女さん「いいですね。じゃあ飛ばしてみましょうか」

リール「ふんっ!」

 

私はマナを使って飛ばしてみた。

でも…

ガラガラガラ…

 

リール「!」

魔女さん「!!」

 

私の掌にあった土が崩れて落ちてしまった。

 

リール「え…」

 

私は今まで5つの属性魔法を使ってみた。

でも、全て使えなかった。

魔女さんは絶対どれかの魔法に適性があるって言ってた。

私って…魔法が使えないのかな。

リールがそんな事を思っている中、魔女さんはあることを考えていた。

 

魔女さん (火、水、風、雷、土…全て使えなかった…これってまさか…いや…こんな事って…)

 

魔女さんは何を思ったのか、リールに話しかけた。

 

魔女さん「リール」

リール「はい。何ですか?」

魔女さん「ひとつ…試してもいいですか?」

リール「何をですか?」

魔女さん「さっき属性魔法は九つあるって言ったの覚えてますか?」

リール「はい。覚えてます」

魔女さん「実はさっきの5つは基本属性魔法に分類される魔法なんです。氷と無属性魔法は誰でも使えるので無しにして残りの2つ…光と闇の属性魔法があります」

リール「…」

魔女さん「これは特殊属性魔法と言われていて使う人はごく僅か…稀にいるかいないかくらいなんです」

リール「…」

魔女さん「それで、光もしくは闇属性魔法を使う人にはある共通点があるんです。それは…"5つの基本属性魔法が使えない"という事なんです」

リール「!!」

魔女さん「リールは5つの基本属性魔法が使えませんでした。光、闇属性魔法を使う人と同じなんです」

リール「それって…」

魔女さん「はい。もしかしたらリールの適性は光か闇属性魔法なのではないかと思います」

リール「!」

魔女さん「私も身近で光、闇属性魔法の特徴を持つ人を見るのは久しぶりです。やってみませんか?」

リール「やります!」

魔女さん「じゃあ早速やりましょう!」

リール「はい!」

 

私は急にやる気が出てきた。

 

リール (光か闇…特殊な属性魔法…ふふっ…どっちかな♪)

 

 

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6つ目:光属性魔法

 

魔女さん「光属性魔法は特殊属性魔法に分類されます。特徴としては先程言ったように基本属性魔法が使えません。それに加え、同じ特殊属性魔法である闇属性魔法も使えません。なので、使えるのは光属性魔法だけなんです」

リール「無属性魔法と氷属性魔法は使えますか?」

魔女さん「あ、それは問題ないです。無属性魔法と氷属性魔法は基本属性魔法には含まれないので光属性魔法や闇属性魔法に適正がある人でも使えますよ」

リール「ほっ…良かったです…」

魔女さん「光属性魔法は闇属性魔法を払い除ける効果を持ちます。おまけに闇属性魔法を除いた全ての属性魔法に対して耐性を持ちます」

リール「おぉ!」

魔女さん「これは相手の魔法を軽減できる効果なんですが、これは無属性魔法にも適応されます」

リール「どういう事ですか?」

魔女さん「さっきの回復魔法の話で言うと、他の人は全回復する位の回復量でも光属性魔法に適正を持つ人はその半分くらいしか回復しないんですよ」

リール「?」

魔女さん「もっと分かりやすく言うと、体力が100ある人が2人います。その内1人は光属性魔法に適正がある人です。この2人の体力が0で100まで回復させるとします」

リール「ふむふむ」

魔女さん「その内1人は当然100まで回復しますが、光属性魔法に適正がある人は50までしか回復しません。このように光属性魔法に適正がある人はあらゆる効果が半減してしまうデメリットがあります」

リール「な、なるほど…」

魔女さん「なので光属性魔法に適正がある人を100まで回復させるには200回復させるくらいの回復量が無いとダメってことです」

リール「でも他の火や水の魔法に対してもダメージは半分になるんですよね?」

魔女さん「はい。そうなりますよ」

リール「おぉ…」

魔女さん「やってみますか?」

リール「やります!」

魔女さん「なら先程と同じように掌を前に出して光を集めるイメージをしてください」

リール「はい!」

 

私は他の魔法同様掌を前に出してイメージしてみた。

 

魔女さん「リール。目を開けてみて」

 

リール「!!」

 

すると、私の掌に黄色い光の玉があった。

 

リール「すごい!出た!」

魔女さん「まだですよ。ちゃんと飛ばせないと」

リール「あ、そうだった…」

 

私はマナを集めた。

そして、マナに光の玉を飛ばすよう指示した。

すると…

ビュン!ドーン!

掌にあった光の玉が凄まじい速さで飛び、結界の壁に当たった。

 

リール「魔女さん!できました!飛びました!」

魔女さん「おめでとうリール!やりましたね」

リール「やったぁぁぁぁぁ!」

魔女さん「光属性魔法に適性があったようですね。良かったです」

リール「魔女さん!私!光属性魔法に適正があるんですよね!?」

魔女さん「はい。ありますよ」

リール「やったぁぁぁぁぁ!」

魔女さん「ふふっ…嬉しいのね」

リール「あ、そうだ魔女さん」

魔女さん「なんですか?」

リール「光属性魔法に適性がある人は他の魔法は使えないんですよね?」

魔女さん「はい。使えないですね」

リール「じゃあどうすれば?」

魔女さん「光属性や闇属性魔法に適正を持つ人はその属性を極限まで高めることができるので結果的にはそれでいいんですよ」

リール「じゃあ闇属性魔法に適性がある人はどうなるんですか?」

魔女さん「闇属性魔法に適性がある人は魔法の威力や効果を跳ね上げる特性を持ちます」

リール「光属性魔法とは逆ってことですか?」

魔女さん「そうですね。光属性魔法に適正がある人は魔法によるダメージを半減できますが、回復量も半減してしまいます」

魔女さん「逆に闇属性魔法は回復量が他の属性魔法よりも倍になりますが、受けるダメージも倍になります」

リール「へぇ!」

魔女さん「一長一短ですね。おまけにこの2つの特殊属性魔法は他の属性に対して等しくダメージを与えます」

リール「等しく?」

魔女さん「はい。例えば、火属性魔法に適正のある人がいます」

リール「はい」

魔女さん「そして、水属性、風属性、光属性魔法に適性のある人がいます」

リール「はい」

魔女さん「当然相手が火属性なので水属性が有効になります。その逆で風属性は不利な属性になります」

リール「はい」

魔女さん「火属性魔法に適正がある人にダメージを与えた時、水属性魔法ダメージを100だとすれば風属性魔法ダメージは50になります。約半分ですね」

リール「はい」

魔女さん「ここで光属性魔法ダメージを与えるとダメージは75になります」

リール「ふむふむ」

魔女さん「このように光属性魔法は不利属性がない代わりにダメージは全て等しくなります。なので、火属性に対しては水属性の方が強いですが、風属性よりかは強いです」

リール「なるほど!」

魔女さん「そしてその逆も同じです」

リール「逆?」

魔女さん「はい。光属性魔法に適性がある人には闇属性魔法しか有効打はありません。他の属性魔法は半減するので」

リール「あーなるほど」

魔女さん「闇属性も同じで光属性魔法しか有効打がありません。他の属性は少し減ります」

リール「え、でも闇属性魔法に適性がある人はダメージが倍になるって…」

魔女さん「そうです。100の威力の魔法を光属性、闇属性魔法に適正がある人に与えればその効果は半減されて50になります」

リール「ふむふむ」

魔女さん「ですが、50になるのは光属性魔法に適性がある人だけで、闇属性魔法に適性がある人は75くらいのダメージになるんです」

リール「あ、光属性と闇属性魔法に適性がある人を比べて闇属性魔法に適性がある人の方が倍のダメージを受けますよってことですか?」

魔女さん「そうですそういう事です」

リール「なるほど!」

魔女さん「でも闇属性魔法に適性がある人の魔法は全てダメージが倍になってるので気をつけてくださいね」

リール「はい!」

魔女さん「さて、リールの適性魔法が分かったところで帰りましょうか」

リール「はい!」

 

そして私と魔女さんは家に帰ることにしました。




〜物語メモ〜


属性魔法
この世界には火、水、氷、風、雷、土、光、闇、無の九つの属性魔法が存在します。
この内、氷属性と無属性は誰でも使うことができます。
残りの7つの属性に関しては適性を持つ人にしか扱うことができません。
そのため、ひとつひとつ魔法を試してどの魔法に適性があるのかを知らなければなりません。
属性魔法は「基本属性魔法」と「特殊属性魔法」に分けられます。
基本属性魔法は火、水、風、雷、土属性魔法の5つ。
特殊属性魔法は光、闇属性魔法の2つ。
基本属性魔法に適性がある人は自分の適性魔法を使うことができるが、その属性の弱点属性の魔法は使うことができません。
おまけにそれ以外の属性魔法は弱くなります。

例)火属性魔法に適性がある人
→火属性魔法を使うことができる
→水属性魔法を使うことができない
→他の基本属性魔法(風、雷、土)はそれぞれ適性を持つ人と比べると威力や効果が弱くなる

↑このようになります

以下に各属性魔法の特徴を挙げます。


火属性魔法
物を燃やしたり、氷属性の魔法を無力化することができる。
ただし、水属性魔法に対して弱くなる。
その代わり、太陽が出ていれば火属性魔法の効果が上がる。
風属性魔法に対して高い効果を発揮できる。

火属性魔法に適性がある人
使える属性魔法→火
使えない属性魔法→水
弱くなる属性魔法→風、雷、土

水属性魔法
自ら水を作り出すことで水に強い体を得ることができる。
おまけに火属性魔法の効果を打ち消すことができる。
加えて、水を操ることで思い通りのことができる。
ただし、雷属性魔法には弱くなる。
火属性魔法に対して高い効果を発揮できる。

水属性魔法に適性がある人
使える属性魔法→水
使えない属性魔法→雷
弱くなる属性魔法→火、風、土

風属性魔法
風を操ることで空を飛ぶことができる。
強い風属性魔法であれば一部の属性魔法を弾くことができる。
ただし、火属性魔法に弱い。
土属性魔法に対して高い効果を発揮できる。

風属性魔法に適性がある人
使える属性魔法→風
使えない属性魔法→火
弱くなる属性魔法→水、雷、土

雷属性魔法
5つの基本属性魔法の中で最も弾道速度が速い魔法。
雷属性魔法を見てから結界を展開すると遅い。
水属性魔法に対して高い効果を発揮できる。
ただし、土属性魔法に対して弱くなる。

雷属性魔法に適性がある人
使える属性魔法→雷
使えない属性魔法→土
弱くなる属性魔法→火、水、風

土属性魔法
地面全てを味方につけることができる。
結界が使えなくても敵の攻撃を防ぐことができる。
ただし、風属性魔法に対して弱くなる。
雷属性魔法に対して高い効果を発揮できる。

土属性魔法に適性がある人
使える属性魔法→土
使えない属性魔法→風
弱くなる属性魔法→火、水、雷

光属性魔法
特殊属性魔法に分類される属性魔法。
上記の5つの属性魔法が使えなくなる。
ただし、全ての属性魔法ダメージや効果を半減する効果を持つ。
闇属性魔法に対して高い効果を発揮できる。

光属性魔法に適性がある人
使える属性魔法→光
使えない属性魔法→火、水、風、雷、土、闇

闇属性魔法
特殊属性魔法に分類される属性魔法。
5つの基本属性魔法が使えなくなる。
属性魔法の威力や効果を跳ね上げる効果を持つ。
ただし、受けるダメージも増える。
光属性魔法に対して高い効果を発揮できる。

闇属性魔法に適性がある人
使える属性魔法→闇
使えない属性魔法→火、水、風、雷、土、光


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第3話 魔女さんとおつかい

私の名前はリール。

ある魔女さんと一緒に暮らしています。

先日、魔法の適性を調べた結果、私は光属性魔法に適性があるそうです。

何やら属性ダメージを半減させるそうです。

強そうですね。

でもその代わりに回復も半減するらしいです。

悲しいですね。

おまけに基本属性魔法が使えないそうです。

なので私は頑張って光属性魔法を極めようと思います。

今日は魔女さんがある物を受け取りに行って欲しいという事でおつかいに行くことになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女さん「リール!どこにいるんですか?リール!」

 

朝、掃除を終えて勉強していた私を呼ぶ声が聞こえた。

 

魔女さん「いないのですかー?リール!」

リール「はーい!ここにいますよー!」

 

私は聞こえるように返事をした。

ガチャ…

すると、部屋の扉が開いた。

 

魔女さん「ここにいましたか。実はリールに頼みたいことがあるのです」

リール「頼みたいこと…ですか?」

魔女さん「はい。実はおつかいに行ってきて欲しいのです」

リール「おつかい?」

魔女さん「はい。実は知り合いにあなたの箒と杖を依頼していたんです」

リール「杖!?」

魔女さん「はい。杖があれば正確に魔法を使うことができるのです。箒は移動手段ですね」

リール「行きます!行きます!」

魔女さん「ありがとうリール。私はある人の依頼で少し家を空けます。すぐに戻ってきますが、予約の時間が重なって箒と杖を取りに行けなくなったんです」

リール「あ、だから私に」

魔女さん「はい。そうなんです。ほんとは私が行くべきですが、依頼人の様態が良くないらしいので…」

リール「病気…ですか?」

魔女さん「はい。毒を含んだらしくてそれを治すよう言われているんです」

リール「分かりました!行ってきます!」

魔女さん「お願いします。リール」

リール「はい!」

魔女さん「あ、リール!」

リール「はい。何ですか?」

魔女さん「杖と箒の店は行けばわかるけど"メリー"って人に聞けば2つ揃えてくれますよ」

リール「メリーさんですね!分かりました!行ってきます!」

魔女さん「はい。行ってらっしゃい」

 

タッタッタッ

ガチャ!

ギィィィィィ…バタン!

そしてリールは杖と箒を取りに行った。

 

魔女さん「さて…私もそろそろ…」

 

ガチャ…

ギィィィィィ…バタン

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

リール (ふんふんふふふん!ふんふんふふふん!箒!杖!ふふふん!)

 

私はとても気分が良かった。箒と杖、この2つは魔法を使う上で欠かせないものだと思っていたからだ。本には杖を使う人が多かった。でも私は杖を持っていなかった。魔女さんに聞こうと思ったけどなんか気が引けたからやめた。でも!今日は自分の杖が貰える!しかも箒付き!ワクワクが止まらない!早く箒に乗ってみたい!私はそう思いながら街へ出かけた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…スペルビア

 

魔女さんの家から結構な距離を歩くと大きな町があった。私はここがどこなのか分からないけど、魔女さんのメモにはこの街だという印があった。とりあえず聞き込みをしながらメリーさんって人を探してみる。

 

リール「あ、あの…」

町人「はい。なんですか?」

リール「ここにメリーさんって人いませんか?」

町人「メリー?知らないな」

リール「そうですか。ありがとうございます」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

リール「あの…すみません」

町人2「はい。どうしましたか?」

リール「メリーさんってどこにいるか知りませんか?」

町人2「あ、メリーさんならこの先を行って2つ目の角を右に曲がって真っ直ぐ進むと"メリー魔法店"って名前のお店がありますよ。メリーさんはそこの店主をしてますよ」

リール「ありがとうございます!」

町人2「はーい」

 

運が良かった。まさか2人目でメリーさんの手がかりが見つかるとは!私は言われた通り、2つ目の角を右に曲がって"メリー魔法店"という名前のお店へ向かった。

 

 

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場所…メリー魔法店

 

リール「こ…ここかな…」

 

私は店の看板を見る。確かにメリー魔法店って書いてある。恐らくここで間違いないと思う。とりあえず入ってみよう。

ギィィィィィ…カランカラン!

私が店のドアを開けると鈴が鳴った。

 

リール「!」

 

私はその音に驚いた。

 

リール「あ、なんだ…鈴か…」

メリー「はーい。いらっしゃいませ〜」

 

その音に反応したのか、奥から人が現れた。

 

メリー「何かお探しですか?」

リール「あ、あの…」

メリー「?」

リール「こ、ここに…メリーさんって人…いませんか?」

メリー「あ、メリーは私のことですよ」

リール「!」

 

なんと、奥から出てきた人が魔女さんの言っていたメリーさんって人だった。

 

リール「あ、あの!」

メリー「?」

リール「ま、魔女さんに言われて杖と箒を取りに来ました!」

メリー「!」

 

メリーさんはその言葉に少し驚いていた。その後、私を見て近づいてきた。

 

メリー「あ、じゃああなたがリールさん?」

リール「!」

 

メリーさんはまだ名乗ってもいない私の名前を知っていた。

 

リール「え、あ、はい」

メリー「待ってましたよ!ささ!こちらへどうぞ〜」

リール「え、あの…」

 

私はメリーさんに手を取られて店の奥へ行った。

 

メリー「ちょっとここで待っててね」

リール「あ、はい」

 

スタスタスタ

するとメリーさんはさらに奥の部屋へ向かった。

 

リール「うわぁ…いっぱいある…」

 

私が案内された部屋にはたくさんの魔法道具があった。本でしか見た事なかったから知ってるものは少ないけど、これから知っていくって考えるとちょっとワクワクする。私は部屋中を見て回る。すると、この部屋には数だけでなく、種類もたくさんあった。杖や箒はもちろん他には何かの粉?だったり丸い水晶だったり本だったりととにかく凄い量と種類だった。

 

メリー「リールさん。こちらがあなたの箒と杖ですよ」

 

私が部屋を見て回っているとメリーさんが箒と杖を持ってきた。

 

リール「うわ…箒って案外大きいんですね」

メリー「はい。人を乗せるので少し大きい設計になっているんですよ」

リール「へぇ…」

メリー「そしてこれが杖ですね」

リール「!」

 

メリーさんが長方形の箱から取り出したのは私のものと思われる杖だった。

 

メリー「さ、どうぞ」

リール「え、あ、はい」

 

私は本物の杖を初めて見たため、少し手が震えていた。

 

メリー「…緊張されてますか?」

リール「へ!?わ、分かりますか!?」

メリー「はい。手が震えてますよ」

リール「あ…」

 

私は息を吹きかけてなんとか震えを止めた。

 

メリー「さ、どうぞ」

リール「はい」

 

私はメリーさんから杖を受け取った。

 

リール「!」

 

すると、周囲にいたマナが一斉に杖の先に集まってきた。

 

メリー「!!」

リール「わわわ!」

 

マナはどんどん集まり、どんどん膨張していった。やがて、マナの膨張が止まった。

 

リール「ひ、ひえぇ…びっくりしたぁ…」

メリー「え、あなた…」

リール「?」

 

メリーさんは驚いた表情を浮かべていた。

 

メリー「す…凄い!凄いよリールさん!」

リール「へ?」

メリー「私も久しぶりに見ましたよ!こんなに一気にマナが集まるなんて!」

リール「え…えっと…」

メリー「流石あの人の弟子ですね!凄いです!」

リール「え、あの…全然分からないんですが…」

メリー「あ、勝手に盛り上がっちゃってごめんなさい。興奮しちゃいました…」

リール「は、はぁ…」

メリー「実は杖って持つだけで周囲に魔力を分散させるんですよ。なので近くにいるマナはすぐに引き寄せられるんですよ。集める量は魔力の大きさに比例します。リールさんの魔力は結構大きいので集まるマナも比例して多くなるんですよ」

リール「へ、へぇ…」

メリー「ちなみにリールさんは適性魔法は何ですか?」

リール「えっと…魔女さんが言うには光属性魔法に適性があるそうです」

メリー「あーなるほど!どうりで魔力が大きかったんですね!」

リール「そ、そうなんですか?」

メリー「はい!闇属性と光属性魔法に適性がある人は基本属性魔法に適性を持つ人よりも大きな魔力を所持してないとなれないんですよ!」

リール「大きな魔力を所持してないとなれない?どういう事ですか?」

メリー「基本属性魔法と特殊属性魔法はその人の持つ魔力の大きさによって適性が変わるんですよ。普通の魔力の大きさであれば基本属性魔法のうちの1つからで、さらに大きい魔力を持っていれば光属性魔法に適性があるとされています」

リール「闇属性はどうなんですか?」

メリー「闇属性は九つの属性の中で最も魔力が必要な魔法です。なので、光属性魔法よりも大きな魔力を所持していないと適性になれないんですよ」

リール「へぇ!」

メリー「あ、でも光属性魔法に適性がある人は普通の人よりも大きな魔力を持ってるので十分ですよ」

リール「なるほど!あ、メリーさん」

メリー「はい。何ですか?」

リール「この杖の先についたマナはどうすればいいですか?」

メリー「あ、それなら杖から手を離せばマナは離れますよ」

リール「あ、じゃあこの杖はその箱に…」

メリー「あ、はい。分かりました」

 

そして私はメリーさんに杖を渡した。するとさっきまで杖の先についていたマナたちが一斉に離れていった。

 

リール「あ、あれ…メリーさん。マナたちが」

メリー「あ、ひとつ言い忘れてました。杖って持ち主が使わないと本来の力を発揮できません。この杖はリールさんの杖なのでリールさんが持てばすごい力を発揮できます。ですが、この杖の持ち主でない私がこの杖を持つとこの杖の効果は得られないので魔力がない状態と変わらないんですよ。だからマナが離れたんです」

リール「へぇ!」

メリー「なので誰かに取られてもその人は魔法を使えないのでざまぁみろですね」

リール「あはは…そうですね」

 

ガチャ…

すると突然、部屋のドアが開いた。

 

魔女さん「メリー。リールがここに…」

リール「魔女さん!」

メリー「あ、来てるよ。そこに」

魔女さん「あ、良かったです。さ、帰りましょうかリール」

リール「はい!」

 

杖と箒を見せてもらった私はそれらを受け取った。

 

リール「メリーさん!今日はありがとうございました!」

メリー「いえいえ!またいつでも来てくださいね!」

リール「はい!」

魔女さん「それじゃあまたよろしくね。メリー」

メリー「うん!任せて!」

魔女さん「さ、行きましょうかリール」

リール「はい!」

 

そして私は魔女さんと家に帰るのだった。




〜物語メモ〜


スペルビア
魔法が発達している街。
リールと魔女さんはスペルビアから少し遠いところに住んでいる。
ここには魔法学校があり、この街に生まれた子は大体この学校に通っている。



メリー魔法店
スペルビアにある魔法店。
魔法関係の道具は全て揃っており、この店に行けば大体のものは揃う。
店主のメリーは魔法道具の扱いに長けており、今まで修理や生産を1人でこなしていた。



属性魔法の適正
属性魔法はその人が持つ魔力の大きさで適正が変わる。
基本属性魔法に必要な魔力は一般人でも持ってるくらいの大きさなので案外基本属性魔法の適正を持つ人が多い。
光属性魔法は基本属性魔法よりも大きな魔力を必要とし、闇属性魔法はさらに大きな魔力を必要とする。



各属性魔法に必要な魔力の大きさランキング
1位.闇属性魔法 (大きな魔力が必要)
2位.光属性魔法
3位.土属性魔法
4位.雷属性魔法
5位.風属性魔法
6位.水属性魔法
7位.火属性魔法
8位.無属性魔法
9位.氷属性魔法 (魔力が必要ない)


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第4話 魔女さんと杖と箒の練習

私の名前はリール。

ある魔女さんと一緒に暮らしています。

今日は頂いた箒に乗る練習ということで外にいます。

場所は適性魔法を確かめたあの場所です。

箒に乗るなんて魔法使いっぽくてワクワクしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女さん「さぁリール。今から箒に乗る練習をしますよ」

リール「はい!」

魔女さん「箒に乗る前にひとつ注意点があります」

リール「?」

魔女さん「箒はマナの力を借りて浮かせるだけです。その人本人が浮かせるわけではありません。なので、マナの供給を怠れば当然箒から落ちますので、箒に乗る時は集中してくださいね」

リール「はい!」

魔女さん「じゃあリール。杖は持っていますか?」

リール「はい!持ってきてます!」

 

私はメリーさんから頂いた杖を取り出した。

すると、周囲にいたマナたちが集まってきた。

 

リール「わわわ!」

魔女さん「マナの量はいいですね。じゃあ乗るコツを教えますね」

リール「はい!」

魔女さん「まず箒を水平に持ってください」

リール「こ、こうですか?」

 

私は魔女さんに言われた通りに箒を持った。

 

魔女さん「さて、あとは杖の先についたマナを箒に近づけてください」

リール「はい」

 

私は杖の先についているマナを箒に近づけた。

すると、杖の先についていたマナが箒に移った。

 

リール「おぉ」

魔女さん「箒も杖と同じで触れることで魔力が周囲に散らばります。なので近くのマナはその箒にくっつくんですよ」

リール「へぇ!」

魔女さん「あとは簡単です。杖を戻して箒に乗るだけです」

リール「え、杖を戻すんですか?」

魔女さん「はい。杖を持っていると箒を支えているマナが杖にくっついちゃう可能性があるんです。そうなると箒の支えが無くなるので落っこちちゃうんですよ」

リール「あー!なるほど!」

魔女さん「さ、杖を戻して箒に乗ってみましょう」

リール「はい!」

 

私は杖を戻して箒に乗った。

 

リール「乗りました!」

魔女さん「初めてなのに上手ですねリール」

リール「えへへ…」

魔女さん「さ、あとは箒に触れて思い通りのことをしてみましょう」

リール「はい!…え?思い通りの?」

魔女さん「はい。箒を握ることでリールの考えがマナに伝わるようになっています。なので飛びたい時は頭の中で飛べと思えばそれでいいです。どこかに行きたい時は目的地を思い浮かべるとそこへ行くことができますよ」

リール「その目的地に行く道中の操作はどうすれば…」

魔女さん「それは曲がりたい方向へ体を倒せば曲がれますよ。左に曲がりたい時は左へ、右に曲がりたい時は右へ。もっと高い所へ行きたいなら箒の先端を持ち上げれば上昇しますし箒の先端を下げれば下降することもできますよ」

リール「へぇ!」

魔女さん「やってみますか?」

リール「はい!」

 

私はとりあえず周囲をグルグル飛び回るよう思い浮かべた。

フワフワ…

 

リール「!」

 

箒が私の思ったルートを飛び始めた。

 

リール「おぉ!凄い!」

魔女さん (…よく飛べてるようですね)

リール「あっははは!凄いすごい!気持ちいい!」

 

私は魔女さんの周りをずっと飛び続けた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

しばらく飛んだ私は魔女さんの所へ降りた。

スタッ…

 

リール「魔女さん!私飛べました!」

魔女さん「リールは覚えが早くて凄いですね」

リール「いやぁ…えへへ…」

魔女さん「しばらくは箒の操作に慣れるようにしましょうか」

リール「はい!」

魔女さん「さて、あとは…」

 

すると魔女さんは何か紙を取りだした。

 

リール「魔女さん。これは?」

魔女さん「リールが習うべきことを書いているんです。さっき箒に乗れるようになったのであとは…」

 

その紙にはびっしりと文字が書いてあった。

魔女さんは箒について書かれたところに印を書いた。

 

魔女さん「あとは杖を使っての魔法だけですね」

リール「杖を使っての魔法…ですか」

魔女さん「はい。杖を持つといつもより使われる魔力が多くなります。そうなると当然強い魔法を使うことができるんですが、勝手を知らないと大きな事故に繋がります」

リール「…」ゴクリ

魔女さん「魔法は使う魔力の量で強さや種類が変わります。それをより使いやすくするために杖が作られました」

リール「おぉ…」

魔女さん「なので手で魔力を使うよりも強い魔法が使えるようになります」

リール「ふむふむ」

魔女さん「杖と手では使われる魔力が全然違います。なので手で使ってた魔力のまま杖を使うと魔法がいつもより大きくなります。これが事故に繋がるんです」

リール「なるほど…」

魔女さん「なので杖を持って魔法を使う時はいつもより小さい魔力で魔法を使ってください」

リール「はい!」

魔女さん「では早速始めていきましょうか」

リール「はい!」

魔女さん「ではまずは杖を出してください」

 

私は懐から杖を取り出した。

 

魔女さん「じゃあ始めていきますね。まずは周囲を明るく照らす魔法を使ってみましょう。やり方は簡単です。杖を持ってマナに命令しながら振るだけです」

リール「え、それだけなんですか?」

魔女さん「はい。それだけです」

リール「ちなみに魔力はどれくらい必要なんでしょうか」

魔女さん「杖の先にくっついてる分でも十分な程ですよ」

リール「分かりました!」

 

私は杖を体の前に出した。

 

リール (周囲を明るく…)

 

ヒュッ!

私はそう思いながら杖を振った。

シュゥゥゥゥゥ!

すると、杖の先が光り輝いた。

 

リール「おぉ!明るい!」

魔女さん「上出来ですね。これは暗い時に使う魔法なのでこんな明るい時には使わないようにしてくださいね」

リール「はい!」

魔女さん「じゃあ次いきましょう」

リール「あ、あの魔女さん!」

魔女さん「はい。何ですか?」

リール「魔法を解くにはどうすれば?」

魔女さん「あー魔力の遮断をすれば魔法は止まりますよ。やり方は簡単。魔力を止めればいいんです」

リール「ど、どうやって…ですか?」

魔女さん「杖を振れば魔法は解かれますよ」

リール「杖を振る?」

 

私はとりあえず杖を振ってみた。

すると杖の先にあった光が消えていった。

 

リール「おぉ…」

魔女さん「さ、次にいきましょうか」

リール「はい!」

 

こうして少しの時間、魔女さんに魔法を教わりながら杖の使い方に慣れていくことになった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

魔女さん「じゃあ次は魔法を飛ばしてみましょう。私たちは自分の魔法を相手に飛ばすことで攻撃することができます」

リール「魔法攻撃ですね!」

魔女さん「そうです。魔法を相手に当てることで自分の身を守ることもできますよ。やってみましょう」

リール「はい!」

魔女さん「じゃあまずは杖の先を前に向けてください」

リール「はい!」

 

私は杖の先を前に向けた。

 

魔女さん「あとは…」

 

ヒュッ

魔女さんは私の隣に立って同じように杖を構えた。

 

魔女さん「見ててくださいねリール」

リール「はい!」

魔女さん「魔法で攻撃する時もイメージが大事です。人の考えてる技をマナが模して魔法となるのです。なので、例えば…」

 

ヒュッ…ぽわ〜ん

魔女さんが杖を振ると杖の先に光の玉が出てきた。

 

魔女さん「今私は杖の先にあるこれを思い浮かべました。なのでこうして杖の先に同じものが出てきました。この様に人の考えてるものがそっくりそのまま現れます。リールもやってみますか?」

リール「は、はい!」

 

私は魔女さんがやったようにやってみた。

 

リール (魔女さんと同じもの…同じもの…)

 

ぽわ〜ん

すると、杖の先に魔女さんと同じ光の玉が出てきた。

 

リール「できた!やった!」

魔女さん「素晴らしいですよリール」

リール「えへへ…」

魔女さん「ではこれを飛ばしてみましょうか」

リール「はい!」

魔女さん「見ててくださいね。魔法を飛ばす時はこうやって…」

 

魔女さんは杖を構えてから下から上へ杖を振った。

すると、杖の先にあった光の玉が前方へ飛んでいった。

 

魔女さん「魔法の撃つ姿勢はなんでもいいです。さっき私がやったのはそれっぽく見せるためなのです。魔法の撃ち方は手でやった時と同じです。マナに命令して魔力を与えれば魔法を飛ばせますよ」

リール「分かりました!」

 

私は魔女さんの言われた通りにやってみた。

 

リール (まずは前に飛ばす…)

 

シュッ!ドーーン!

すると、杖の先についていた光の玉が一直線に飛んでいった。

 

リール「あ、できた…」

魔女さん「魔力のコントロールもできてますね。さすがですよリール」

リール「あ、ありがとうございます!」

魔女さん「ここまでできたら大丈夫そうですね」

リール「えへへ…」

魔女さん「ではリール。今日習ったので箒に乗って帰りましょうか」

リール「はい!…あ、魔女さん」

魔女さん「なんですか?」

リール「魔女さんは箒に乗らなくてもいいんですか?」

魔女さん「私は風属性の魔法を使って飛ぶので大丈夫ですよ」

リール「あ、そうなんですね…では…」

 

私は魔女さんに習ったように箒に乗ってみた。

 

リール「うわっとと…」

 

少しバランスを崩したけど何とか乗れた。

 

魔女さん「バランスは慣れればいいですが、それまでの行為がちゃんとできてるので上出来ですよ」

リール「ありがとうございます!」

魔女さん「さて、じゃあ帰りましょうか」

リール「はい!」

 

そして私と魔女さんは空を飛んで一緒に帰ったのだった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

その夜…

 

リール (明るく照らす…)

 

ぽわ〜ん

私は今日習った辺りを明るく照らす魔法を使っていた。

 

リール「うわぁ…綺麗…」

 

その光は決して眩しくなく、優しい光を放っていた。

 

魔女さん「!」

 

魔女さんは外が明るいのに気づいた。

魔女さんが窓から外を見るとリールが魔法を使って明るくしていた。

 

魔女さん「ふふっ…あの子ったら…ちゃんとできてて偉いですよ。リール」

 

そして魔女さんは部屋へ戻った。

 

リール「次は魔法を撃つ練習!」

 

私は杖を前に向けた。

 

リール (あの玉を思い出して…)

 

シュゥゥゥゥゥ…

すると、あの時の玉が出現した。

 

リール「あ、できた…あとはこれを…」

 

私は杖の先を空に向けて魔法を撃った。

その魔法は空高く飛び、少ししてから消えた。

 

リール (できた…魔女さんがいなくてもできた…)

 

私はこの時、達成感を感じた。

 

リール (これからもっとたくさんの魔法が使えたらいいなぁ…)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…魔女さんの部屋

 

ギィィィィィ…

部屋のドアが開いた。

 

魔女さん「…」

 

魔女さんは机の中からある手紙を取り出した。

パサパサ…

魔女さんはその手紙を開封し、内容を読んだ。

 

魔女さん「…」

 

魔女さんは物憂げな表情を浮かべた。

 

魔女さん「…短い時間でしたね。もっと一緒にいれたらいいのですが…あんな所に行かせたくないですね」

 

パサ…

魔女さんはその手紙を置いた。

 

魔女さん「…リールはどう思うのでしょうか。私といたいって思ってくれるでしょうか…それともこの手紙に書いてあることを承諾するのでしょうか…」

 

魔女さんは窓の外を見た。

 

リール「はぁっ!」

 

リールは魔法を撃つ練習をしていた。

 

魔女さん「…」

 

それを見た魔女さんは先程よりも暗い表情になった。

 

魔女さん「…離れたくないですね。会ってまだ日が浅いです。できればもう少し一緒に暮らしたいですね」

リール「はぁっ!やぁっ!」

 

リールはどんどん魔法を撃っていた。

 

魔女さん「…誰にも取られたくないですね。…でも、あの子のことを考えたらやはりこれを承諾するしかないのでしょうか…」

 

魔女さんは再度手紙を読んだ。

 

魔女さん「一体誰が見ていたのでしょうか。あの子を拾ったことはメリー以外誰にも言ってないはずですが…」

 

カサカサ…スッ…

魔女さんはその手紙を戻し、机の中に入れた。

 

魔女さん「リール…私はあなたの味方です。何かあったら私を頼ってくださいね」

魔女さん「…ね、リール」




〜物語メモ〜



魔法を使う上で重要になる物。
杖を持てば手で魔法を撃つよりも簡単に魔法をコントロールできる。
少量の魔力で多彩な魔法を撃つことができる。
魔法の質はこれを持つ持たないで雲泥の差。




移動手段に使われるもの。
風属性魔法に適正がある人は魔法を使って空を飛べるが、その他の属性魔法に適正を持つ人は箒がないと空を飛ぶことができない。



魔法
魔法は自分の思った通りのものが反映される。
そのため、想像力がとても重要。
物を浮かせたり物を作ったり…使い方は様々。
属性魔法では自分の思った魔法に各属性が付与される形になる。
なので、同じ魔法でも各属性によって効果が変わってくる。


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第5話 魔女さんと手紙

私の名前はリール。

ある魔女さんと一緒に暮らしています。

昨日は魔女さんに箒や杖の使い方を学びました。

自分にとってはいい体験だったと思います。

そして今日は魔女さんの顔色が少し悪いように見えました。

何かあったのかな?

私を呼び出した魔女さんは悲しい顔でその訳を話し始めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女さん「リール。今日は大事なお話があります」

リール「大事なお話ですか?」

魔女さん「はい。あなたの今後に関わる大事なお話です」

リール「…」

 

私は魔女さんの真剣な顔を見てとても大事な話だと悟った。

 

魔女さん「とりあえずそこに座ってください」

リール「はい」

 

私は魔女さんの向かいの椅子に座った。

 

リール「あの…魔女さん」

魔女さん「リール」

リール「はい」

魔女さん「あなたはこの先色々な魔法を学びたいと思っていますか?」

リール「はい。もちろんです」

魔女さん「その魔法はどのように使うつもりですか?」

リール「えっと…まぁ自分の生活を便利にしたり…ですかね」

魔女さん「そうですか」

リール「?」

魔女さん「その魔法を人を殺めたり傷つけたり…そのように使う予定は無いんですね?」

リール「え…そんな事には使いませんよ…」

魔女さん「…」

 

スーッ…

魔女さんは二つ折りにされた紙を出した。

 

リール「魔女さん…これは?」

魔女さん「…ある学校の入学希望の手紙です」

リール「入学希望の手紙?」

魔女さん「はい」

リール「見てもいいですか?」

魔女さん「いいですよ」

 

カサカサ…

私はその手紙を読んだ。

 

リール「エレナ学院 入学希望届?」

魔女さん「はい。そうです」

リール「魔女さん。エレナ学院って何ですか?」

魔女さん「数々の魔法使いを育成している学校です」

リール「ふむふむ…」

魔女さん「そこへ行けばここで習うよりも遥かに多くの魔法を学ぶことができます」

リール「おぉ…」

魔女さん「その学校は寮生活なのでここからの通いではなくなります」

リール「え?そうなんですか?」

魔女さん「はい。学校と寮が一緒になっている建物なので常にあちらにいることになります」

リール「それって…魔女さんとは離ればなれってことですか?」

魔女さん「…はい。そういう事になります」

リール「え…」

 

私は魔女さんと一緒に暮らせないことをここで知った。

 

魔女さん「色んな魔法を学びたいリールのことを考えたらこの学校に入学するべきなんですが、私はリールと離れるのは少し気が引けます」

リール「…」

魔女さん「リールはこの学校に入学したいと思いますか?」

リール「わ…私は…」

 

私はここで迷った。確かに私は色々な魔法を学びたいと言った。この学校に行けばそれが叶う。でも、私を保護してくれた上に魔法も教えてくれた魔女さんと離ればなれになるのは嫌だった。私自身、魔女さんと一緒に暮らしたいと思ってる。もっと魔女さんから色々学びたいと思ってる。でもそれだと限界がある。魔女さんは私をこの学校に通わせることで私の願いを叶えようとしている。でも魔女さん自身も私と同じで離れるのは嫌って言ってた。魔女さんとの生活を取るか、自分の願いを取るか。答えはもう…決まっていた。

 

リール「…嫌です」

魔女さん「!」

リール「魔女さんと離れるのは嫌です」

魔女さん「リール…」

リール「確かに私は色々な魔法を学びたいと言いました。ですが、全ての魔法を学びたいとは言っていません」

魔女さん「!」

リール「私は少しの魔法が使えたらそれでいいです。さっきも言いました。私は魔法が使えたら自分の生活を便利にしたいと。人を傷つけたりするために魔法を学んでいる訳では無いです」

魔女さん「…」

リール「それに、色々な魔法というのは魔女さんが教える魔法で十分だと思っています」

魔女さん「!」

リール「学校に行ってまで…魔女さんと離れてまで魔法を学びたいとは思いません」

魔女さん「…リール」

リール「私はまだまだ魔女さんに魔法を教わりたいです。なのでこの学校には行きません」

魔女さん「リール…ありがとう」

リール「え、あ、はい」

魔女さん「じゃあこれは無しという事にしますね」

リール「はい!」

 

魔女さんはその手紙を手に取った。

 

魔女さん「じゃあこれはもう必要ないので燃やしましょうか」

 

ボッ!

すると、魔女さんはその手紙を燃やし始めた。

 

チリチリ…チリチリ…

その手紙は完全に焼失した。

 

魔女さん「さて、これで綺麗に無くなりましたね」

リール「あ、あはは…」

魔女さん「あ、ひとつ言い忘れてたことがあります」

リール「なんですか?」

魔女さん「リールはこれから外には出ないでくださいね」

リール「…え?外出禁止って事ですか?」

魔女さん「はい」

リール「な…何故ですか?私…何かしましたか?」

魔女さん「いいえ。そういうことではないんです」

リール「え、じゃあ…」

魔女さん「…外出禁止にするのは、私と同じ目に遭ってほしくないからです」

リール「魔女さんと…同じ目に?」

魔女さん「はい」

リール「それは…どういう事でしょうか」

魔女さん「リール。覚えておいてください」

リール「は、はい…」

魔女さん「あの人たちは危険です。自分の国を発展させるために魔法使いを輩出しています。そのためには手段を選びません。常に自分たちの最善の策を取ります」

リール「え、でも、その国が発展するのはいい事なのではないでしょうか?」

魔女さん「ここで言う発展というのは他の国を蹴落とすという意味です」

リール「け、蹴落とす…」

魔女さん「はい。そして蹴落とすというのは…戦争ということです」

リール「え…」

魔女さん「つまりその国は自分たちの国を発展させて他の国を滅ぼすつもりでいるのです」

リール「で、でも…」

魔女さん「その国が悪いわけではないのです。問題はその国のお偉いさんです。その人たちは自分たちが上であることを維持するために他を落とすことを選ぶ人たちです」

リール「でもそれってその人たち自身は低いままって事ですよね?」

魔女さん「そうです。ただ地位が高いだけの無能です」

リール「ま、魔女さんって結構言うんですね」

魔女さん「当然ですよ。あの人には恨みしかありませんから」

リール「…」

 

その時の魔女さんの顔は酷く怒っている様子だった。あんな顔の魔女さんを見たのは初めてだった。魔女さんの身に一体何があったのだろうか。それを聞きたかったけど、聞ける雰囲気じゃなかったから聞くのをやめた。

 

魔女さん「…リール」

リール「はい」

魔女さん「…私があなたに外出禁止を言ったのは…」

リール「!」

魔女さん「…攫われる可能性があるからです」

リール「さ、攫われる!?」

魔女さん「はい」

リール「え…何でですか…」

魔女さん「…先程言いましたが、その国のお偉いさんは自分たちの国が発展すればいいと思っています。その過程は考えません。つまりその人を攫ってまで自分たちの国を強くしようとしています」

リール「え…」

魔女さん「あの手紙が来たって事は私たちの場所が特定されているということです」

リール「じゃあ…」

魔女さん「はい。リールが外に出たらその人たちに攫われる可能性があります」

リール「ひぇっ…」

魔女さん「私はリールを守るために外出禁止と言いました」

リール「わ、分かりました」

魔女さん「…ごめんなさいね。折角魔法を教えられると思っていたのですが…」

リール「い、いいですよ!勉強は家の中でも出来ますし!」

魔女さん「…そうですか」

リール「…」

 

その時の魔女さんの顔は酷く暗い様子だった。

 

魔女さん「…リール」

リール「は、はい」

魔女さん「明日、私はある場所に行かないといけません」

リール「え…」

魔女さん「1日家を空けることになります」

リール「え…」

魔女さん「リール。明日は絶対に外に出ないでください。家の中にいてください」

リール「は、はい…」

魔女さん「外の掃除はしなくてもいいです。この周囲に結界を展開しておきます。何かあったらこれを…」

リール「?」

 

すると魔女さんはポケットからあるものを出した。

 

リール「こ、これは…」

魔女さん「危険を知らせるためのものです。何かあったらそれにマナを近づけてください。あとはマナが勝手にやってくれます」

リール「マナを近づけたらどうなるんですか?」

魔女さん「マナがそれに反応して私のところに危険を知らせてくれます。危険を察知したら私は直ちにリールの所へ向かいます」

リール「だ…大丈夫でしょうか…」

魔女さん「分かりません。ですが昨日、メリーにこの事を伝えました。なので明日はメリーが来てくれます。何かあったらメリーを頼ってください。最終手段としてそれを使ってください」

リール「わ、分かりました…」

 

そして私は魔女さんから白い結晶の様なものを受け取った。

 

魔女さん「それは首から下げることができますよ」

リール「え」

魔女さん「私が着けてあげますね」

 

すると魔女さんは私の首に白い結晶を着けてくれた。

 

魔女さん「あら、結構似合いますね」

リール「え、そうですか?」

魔女さん「はい。お似合いですよ」

リール「えへへ…ありがとうございます」

魔女さん「それではリール。明日、1日だけお願いしますね」

リール「はい。分かりました」

 

そしてその日は大事をとって1日家の中で過ごすことにした。




〜物語メモ〜


エレナ学院
魔法の町 スペルビアにある大きな学校。
そこでは色々な魔法を学ぶことができ、数多くの魔法使いを育成している。
スペルビアに生まれた子供たちは大体この学校に通っている。


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第6話 魔女さんとレヴィ学院長

私の名前はリール。

ある魔女さんと一緒に暮らしています。

何やらエレナ学院から手紙が来たそうで、魔女さんはその手紙の事を良く思ってませんでした。

何やら緊迫とした様子…何か思い出とかあるのかな…

魔女さんに言われた通り、今日一日は家で過ごそうと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…エレナ学院 学院長室

 

???「レヴィ学院長」

レヴィ「ん、何かな」

???「先日お送りしたお手紙の件ですが」

レヴィ「あーあの手紙ね。どうだった?」

???「その手紙は…焼失しました」

レヴィ「!」

 

レヴィは驚きの表情を浮かべた。

 

レヴィ「消失した?消えたの?」

???「あ、そうではなく燃やされたのです」

レヴィ「燃やされた?あの手紙が?」

???「はい。今は跡形も無いです」

レヴィ「ふーん…なるほどね」

???「如何いたしますか?」

レヴィ「うーん…あの人の事だからねぇ…怒らせるとこの国が消えかねん」

???「き、消える…ですがこの国には学院長や魔法使い、他にもこの学院の生徒がいます。流石に消えるというのは」

レヴィ「いいや。簡単に消えるよ」

???「!」

レヴィ「ねぇラーフ。君はこのお話を知ってるかな? "狂った魔女がある国を滅ぼした" お話」

ラーフ「!?」

レヴィ「…その反応じゃあこのお話は知らなさそうだね」

ラーフ「はい…不勉強ですみません」

レヴィ「いや、いいんだ。これは今の人たちには聞かされてないお話だよ」

ラーフ「と、言いますと…」

レヴィ「…このお話はね、"無かったことにされた" んだよ」

ラーフ「な、無かったことに…?」

レヴィ「そうだよ」

ラーフ「なぜ…無かったことに?」

レヴィ「そりゃあ…あの魔女に滅ぼされた国はね………」

ラーフ「!?」

 

ラーフはそれを聞いて驚いていた。

 

レヴィ「まぁ驚くのも無理はないよ」

ラーフ「そんな…」

レヴィ「だからあの魔女には誰も手を出せない。手を出せば自分が消えてしまうからだ」

ラーフ「そうなんですか…あの魔女にそんな過去が…」

レヴィ「だからラーフ。あの魔女には変なことしちゃダメだよ。何されるか分からないからね」

ラーフ「はい…ですが」

レヴィ「?」

ラーフ「レヴィ学院長はあの魔女が保護しているあの子が欲しいと言ってたじゃないですか。こんな軽く手放してもいいんですか?」

レヴィ「うん。いいよ」

ラーフ「!?」

レヴィ「正直言うとあの子をうちの学院に通わせられたら最高だろうね。あの子、すごい魔女になるよ。あの魔女とあの子が魔法の適性を見ているところを偶然見かけてね。その時あの子は光の属性魔法を使っていたんだ」

ラーフ「!?」

レヴィ「光の属性魔法に適性がある人は少ない。今この世にいる魔法使いや魔女を全員集めても数えられるほどだろうね」

ラーフ「そうですか」

レヴィ「うん。あの子はその数えられるほどの中の1人だ。私はあの子に色々魔法を教えてあげたいと思った。あの子がなぜ魔法を使えるのかは分からないけど"同じ光属性魔法に適性を持つ人"としてあの子の成長を見てみたいんだ」

ラーフ「なるほど…そうでしたか」

レヴィ「でもあの手紙を燃やされたということはこの学院には入らないということと同意義」

ラーフ「…」

レヴィ「惜しいなぁ…あの子はきっといい魔女になれると思ってたんだけどなぁ…」

ラーフ「レヴィ学院長…」

レヴィ「…」

ラーフ「わ、私があの子をここへ連れてきたらどうなさいますか?」

レヴィ「え?」

ラーフ「レヴィ学院長はあの子をこの学院に入れたい。私は学院長の願いを叶えてあげたい。なら、私があの子を連れてきます」

レヴィ「何言って…」

ラーフ「私があの子を連れてくれば私の願いは叶いますし学院長の願いも叶うかもしれません。なので私が」

レヴィ「ダメ」

ラーフ「な、何故ですか…」

レヴィ「…さっきも言ったけどあの魔女を本気で怒らせたらこの国は消えちゃうよ」

ラーフ「!」

レヴィ「あの人はね、昔は優しい人だったよ。一緒に暮らしてたから分かる。でもある時、その優しさはどこかへ消えてしまった」

ラーフ「…」

レヴィ「あの日…あの魔女がある国に攫われたあの日…あの魔女は昔のあの人じゃなくなった」

ラーフ「さ…攫われた…」

レヴィ「…あの日から実に2年。あの魔女は私たちのところに帰ってきた」

ラーフ「!」

レヴィ「その時の私はとても喜んでいた。2年前に突然消えた姉に似た存在のあの魔女にまた会えたからだ。でも…師匠とあの魔女は違った」

ラーフ「…」

レヴィ「あの魔女の顔は泣いていた。その顔を見て私も泣いたよ。私はその時、寂しかったんだろう。やっと会えたから泣いてるんだろうって思ったよ。でも…実際には違っていた」

ラーフ「…」

レヴィ「あの時何故泣いていたのか…その理由は次の師匠の言葉で悟った」

ラーフ「次の…言葉…」

レヴィ「その時師匠はあの魔女に向かってこう言った」

レヴィ「 "何人殺した?" と」

ラーフ「!?」

レヴィ「私は何言ってるのかさっぱりだったけど今になってその言葉の重みが分かったよ」

ラーフ「…」

レヴィ「あの時あの魔女が泣いていたのは、会えて嬉しかった…とか、寂しかった…とかではなかった。あの魔女が泣いていたのは人を殺したからだとそれからしばらくして分かった」

ラーフ「…」

レヴィ「あの時の師匠の顔も覚えてる。すごく怒っていた。見たことないほどに怒っていた」

ラーフ「…」

レヴィ「あの魔女が帰ってきてから翌日、私はある記事を見た」

ラーフ「ある記事…」

レヴィ「うん。その記事は "狂った魔女がある国を滅ぼした" という内容だった」

ラーフ「!!」

レヴィ「それを見た当時の私はその記事に載っている写真にあの魔女が写っているのを見つけた」

ラーフ「…」

レヴィ「その事を師匠やあの魔女に伝えに行ったんだけど、そこにはもう…あの魔女の姿はなかった」

ラーフ「!」

レヴィ「外には師匠がいたけど師匠は何も口を聞いてくれなかった」

ラーフ「…」

レヴィ「それからあの魔女の部屋に入った私は机の上にあったある手紙を見つけた。私に宛てた手紙だった」

ラーフ「手紙…」

レヴィ「その手紙は "あなたの元を離れるのを許してください" という内容だった」

ラーフ「…」

レヴィ「私はその手紙を読んで全てを知った。何故あの魔女が攫われ、国がひとつ滅び、私の前から姿を消したのか」

ラーフ「…」

レヴィ「そして、あの事件を起こしたあの魔女は当時の記事を読んだ人からこう呼ばれた」

レヴィ「 "狂気の魔女" …とね」

ラーフ「!?」

レヴィ「流石にこの名前は君でも知ってるかな」

ラーフ「狂気の魔女って…実在したんですか…」

レヴィ「あぁ。実在の人物さ」

ラーフ「なんと…」

レヴィ「…あれからあの魔女の姿を見ることはなかった。もう会えないと思っていた。でも、最近その姿を見かけた。嬉しくなった私はあの魔女に手紙を送った。けど燃やされちゃった…」

ラーフ「…」

レヴィ「長く会えなかったあの魔女に会えた。それだけでもう十分」

ラーフ「…そうですか」

レヴィ「だからラーフ。あの魔女には何もしないで。またあの日を思い出させるかもしれない。そうなったら最後。今度は何するか分からないからね」

ラーフ「わ…分かりました…」

レヴィ「…あの魔女の家に行きます」

ラーフ「え!?」

レヴィ「行くのは私だけです。ラーフはここにいてください」

ラーフ「で、ですが…あの狂気の魔女のところに」

レヴィ「ラーフ」

ラーフ「は、はい…」

レヴィ「あの人をその名で呼ばないでください。あの人は私の姉であり、憧れであり、尊敬する人です。そのような人を狂気と呼ばれるのは悲しいです」

ラーフ「は、はい…すみませんでした」

レヴィ「ラーフはこの話を聞いたから今後はその名は伏せておいてください」

ラーフ「あの…レヴィ学院長」

レヴィ「なんですか?」

ラーフ「私は今後二度と言いませんが、この話を聞く前にその名を口にした人はいたと思います。そして今後も誰かがその名を口にすると思います。そうなったらどうしますか?」

レヴィ「…我慢しますよ」

ラーフ「!」

レヴィ「この話は元々無かったことにされたお話です。ラーフも知らない程でしたから。この話を知っている人はもう少ないです。知らない人はその名の重さを知らないのでその名を口にします。なので仕方ないのです。ここで私が何かすればそれこそ問題になります。なのでそうなってしまったら我慢します」

ラーフ「そう…ですか…」

レヴィ「大丈夫ですよ。この話を知ってる人がその名を出さないだけで私は気持ちが軽くなります。今はそれだけでいいです」

ラーフ「…分かりました」

レヴィ「…明日、私はあの魔女の家に行きます。ラーフはここにいてください。私がいない間、この学院を頼みますよ」

ラーフ「はい。お任せ下さい」

 

コツコツコツ

レヴィは学院長室を出た。

 

ラーフ「…レヴィ学院長…今までそんなお辛い人生を…ここは私がしっかりしてレヴィ学院長の支えにならなければ!」

 

そしてラーフも学院長室を出た。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

ー翌日ー

 

場所…魔女さんの家

 

魔女さん「それではリール。今日一日は家で過ごしてくださいね」

リール「はい!」

 

コンコン

家のドアがノックされた。

 

メリー「来たわよ〜」

魔女さん「あ、メリーが来たようね」

 

ガチャ

魔女さんは家のドアを開けた。

 

魔女さん「来てくれてありがとうメリー」

メリー「いいよいいよ。今日一日リールちゃんといたらいいんだよね?」

魔女さん「えぇ。それでいいわ。あと来客の接待もお願いしたいの。いいかしら」

メリー「任せて」

魔女さん「ありがとう。それじゃあお願いね」

メリー「えぇ」

魔女さん「リール。明日戻ってくるわね」

リール「はい!分かりました!」

魔女さん「何かあったらメリーに聞いてみて」

リール「はい!」

魔女さん「それじゃあメリー。お願いね」

メリー「分かったわ。いってらっしゃい」

魔女さん「えぇ」

 

そして魔女さんはどこかへ出かけてしまった。

 

メリー「じゃあリールちゃん!今日は私に任せてね!」

リール「は、はい。よろしくお願いします」

メリー「じゃあまずは朝ごはんね!私料理得意だから期待しててね!」

リール「は、はい!」

メリー「あとは魔法の勉強で分からないことがあったら聞いてね!」

リール「は、はい!」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

魔女さん (リール。少しの間離れるけどごめんね。この事態に収集をつけるにはあの人の力が必要なの…私がやったらまた…)

 

魔女さんは家の方へ振り返った。

 

魔女さん (あなたは絶対に失いたくないの。もう二度と…私の前から大事な人が消えちゃうのは嫌なの。だから少しだけ…少しだけ我慢してね…リール)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院

 

レヴィ「じゃあ行ってくるよ」

ラーフ「はい。行ってらっしゃいませ」

 

コツコツコツ

レヴィは魔女さんの家に向かって歩き出した。

 

ラーフ「レヴィ学院長!」

レヴィ「はい。何ですか?」

ラーフ「あの…ほんとに私はお供しなくてもよろしいのですか?何かあったら」

レヴィ「大丈夫ですよ」

ラーフ「!」

レヴィ「私は1人で大丈夫です。なのでラーフはこの学校を頼みますね」

ラーフ「…はい」

レヴィ「それでは行ってきますね」

ラーフ「はい…」

 

コツコツコツ

レヴィはまた歩き始めた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…魔女さんの家

 

メリー「どうリールちゃん!美味しい?」

リール「お、美味しい…」

メリー「よかったぁー!あ、食べたらお皿はここに置いておいてね」

リール「はい」

メリー「じゃあ私はあれを…」

リール「?」

 

するとメリーさんは袋から何か取りだした。

 

リール「メリーさん。それは何ですか?」

メリー「あーこれはマナを集めて入れておくビンだよ」

リール「ビン?」

メリー「そうそう。マナって魔力のあるところに集まるのは知ってるかな?」

リール「はい」

メリー「でも魔力が無くなるとマナは離れちゃって魔法が使えなくなっちゃう…それを解決するのがこれ!このビンがあればマナをストックすることができて尚且つ魔法も使うことができる!」

リール「え…」

メリー「どう?リールちゃん!」

リール「あの…」

メリー「?」

リール「もし魔力が無くなったとして…マナを持っていても結局魔法は使えないのではないのでしょうか…」

メリー「…あ!!」

リール「なのでマナをビンから取り出しても離れちゃうんじゃ…」

メリー「うわぁぁぁぁぁん!そうだったぁぁぁぁぁ!」

リール「!」

 

リールはメリーが突然大きな声を出したため驚いた。

 

メリー「私はなんて馬鹿なことを!馬鹿なことを!」

メリー「いや…ならここで魔力をストックするようなものを作れば…」

リール (メ、メリーさん…凄いなぁ…)

メリー「ありがとうリールちゃん!これでまた新しいものが作れそうだよ!」

リール「い、いえ…」

 

コンコン

すると突然ドアがノックされた。

 

リール「!」

メリー「リールちゃん。ちょっとここに隠れてて」

リール「は、はい」

 

そう言われて私はソファの陰に隠れた。

ガチャ

メリーさんがドアを開けた。

 

メリー「はい。どちら様ですか?」

レヴィ「おや、ここはあの魔女の家ではないのですか?」

メリー「!」

リール「!」

 

魔女さんの家に来たのは男の人だった。

 

レヴィ「おかしいですね。あなたはメリー魔法店の…」

メリー「はい。私がメリーです」

レヴィ「何故あなたがここに?」

メリー「ここは私の友人の家で今は留守を頼まれています」

レヴィ「おや、ということはあの魔女さんは今はいないのですか?」

メリー「はい。いません」

レヴィ「どこへ行ったかは?」

メリー「聞かされていません」

レヴィ「そうですか…困りましたね」

メリー「?」

レヴィ「ところでメリーさん」

メリー「何でしょうか」

レヴィ「ここにある女の子がいませんか?」

メリー「!」

リール「!」

レヴィ「光属性魔法に適性がある子が」

リール (私の事だ…)

メリー「すみません。そんな子は知りません」

レヴィ「そうですか…この家に入っていくのを見かけたのですが、見間違いだったのでしょうか」

メリー「分かりません」

レヴィ「もしかしてあの魔女さんと一緒にどこかへ出かけたのですか?」

メリー「分かりません」

レヴィ「うーん…困りましたね…」

メリー「あの、仮にその子がいたとしてどうするおつもりですか?」

レヴィ「あの子を是非私の学院に通わせたいのです」

リール「!」

メリー「それは何故ですか?」

レヴィ「光属性魔法に適性がある人はとても少ないです。なのでその少ない人材をより良い魔法使いに育て上げたいのです。今日はそのお話のために来ました」

メリー「そうですか。でもあの魔女さんはいません。明日には戻ると言っていたので明日にお願いできませんか?」

レヴィ「そうですか。分かりました」

レヴィ「では、そこにいるあなたはどうですか?」

リール「!」

メリー「!」

 

リールは突然言われて驚いた。

 

レヴィ「この扉を開けてからずっとそのソファの向こうから私と同じ魔力を感じていました。あの魔女さんと一緒にいた子と同じ魔力ですね。まさか…あなたがその子供ですか?」

リール (どうしよう…出るべきかな…でも、メリーさんが…)

メリー「あの…」

レヴィ「?」

メリー「誰に言ったんですか?ここには私1人しかいませんが」

レヴィ「1人?ここには2人いませんか?」

メリー「!」

レヴィ「1人はあなた。もう1人は…感じたことのない気配」

リール (!)

レヴィ「しかも私と同じ魔力…いえ、それ以上ですね」

 

レヴィはそのソファをじっと見た。

 

レヴィ「そこにいるのではないですか?出てきてください」

リール「…」

 

そう言われて私はソファから顔を出した。

 

リール「あ、あの…」

レヴィ「やっぱり…いたんじゃないですか」

メリー「リールちゃん…」

リール「何か…御用でしょうか」

レヴィ「お話があります。とりあえず家に…」

 

そう言いながらレヴィは家の中に入ろうとした。

バッ!

 

レヴィ「!」

 

リールは魔女さんから貰った結晶を握ってレヴィに見せた。

 

レヴィ「何ですか?それは」

リール「これは魔女さんから貰ったものです…これを使えば魔女さんが飛んで来てくれます…私に何かあったら使うようにと言われました」

レヴィ「なんと…」

リール「それ以上近づいたらこれを使います…」

レヴィ「…分かりました」

リール「!」

レヴィ「では今日はこれで帰ります」

リール「!」

レヴィ「明日、またここに来ます。その時はお話させてください。あなたの魔女さんとも」

リール「え、あの…」

レヴィ「それでは…」

 

レヴィはそのまま魔女さんの家を出た。

 

メリー「リールちゃん…大丈夫?」

リール「は、はい…大丈夫です…」

リール「あの…メリーさん」

メリー「何?」

リール「あの人は…誰ですか?」

メリー「…あの人は、スペルビアにあるエレナ学院の学院長だよ」

リール「そう…ですか…」

 

私はこの時、すごく怖く感じた。

その日は学院長以外の来客はなかったけど、とても疲れた1日だった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院

 

ラーフ「お帰りなさいませ。レヴィ学院長」

レヴィ「ラーフ」

ラーフ「はい。何でしょうか」

レヴィ「明日、また魔女さんの家に行きます」

ラーフ「!」

レヴィ「今日はどこかへ出かけてるそうです」

ラーフ「そうですか。分かりました」

レヴィ「あと…」

ラーフ「?」

レヴィ「今後は私一人で魔女さんの家に行きます」

ラーフ「?」

ラーフ「それは存じていますが」

レヴィ「…今日、護衛の人がついてきてましたね」

ラーフ「!」

レヴィ「光属性魔法を使う人は共通して周囲の探知能力を持っています。私はあの時、周囲から人の気配を感じ取りました」

ラーフ「!」

レヴィ「ラーフ。あなたが行かせたんですよね?」

ラーフ「…はい」

レヴィ「何故ですか?大丈夫と言ったじゃありませんか」

ラーフ「ですが、やはり心配になります…せめて護衛の人たちを」

レヴィ「大丈夫です」

ラーフ「…」

レヴィ「明日は私一人で行きます。護衛の人も必要ありません」

ラーフ「…分かりました」

レヴィ (…あの時、あの子は怯えていた。私に向けた怯えではなかった。恐らく周囲の人間の気配を感じたのだろう。ずっと目がキョロキョロと動いていた。周囲を警戒していたのだろう…。怖かっただろうな…。次は私一人で…そうすればいくらか心を開いてくれるだろうか…)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…???

 

???「…久しぶりですね」

魔女さん「はい。お久しぶりです」

???「何十年ぶりでしょうか。君の姿を見るのは」

魔女さん「…そうですね」

???「それで、私に会いに来たのは何か理由があったからですよね?」

魔女さん「…はい」

???「話してみなさい。弟子の話を聞くのも私の役目ですから」

魔女さん「はい。実は…エレナ学院から入学希望届という手紙を受け取りました」

???「!?」




〜物語メモ〜


レヴィ学院長
エレナ学院の学院長。
魔女さんを姉と慕っている人物。
魔女さんとリールが外で魔法を使っているのを目撃した。
一人称は私。



ラーフ
レヴィ学院長の補佐をしている人物。
レヴィ学院長がいない間の学院の管理を任されている人物。
レヴィ学院長からの信頼は厚い。
一人称は私。


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第7話 魔女さんと過去

私の名前はリール。

ある魔女さんと一緒に暮らしています。

手紙の一件から何故かエレナ学院の学院長さんが家に来ました。

魔女さんの事を知ってる様子でした。

メリーさんの事も知ってるようでした。

明日また来るそうです。

でも、できればあんなに大勢で来て欲しくないなと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女さん「実は、エレナ学院から入学希望届という手紙を受け取りました」

???「!?」

 

その人はとても驚いていた。

 

魔女さん「驚くのも無理はないです」

???「…なぜ今になって」

魔女さん「ひとつ…お話があります。少し前に会ったある女の子とのお話です」

 

 

ー回想ー

 

ザッザッザッ

私は私情のため、ある場所に出かけていました。内容は言えませんが、危険なものではありません。私があの子に会ったのは、その用事が終わって帰宅している時でした。

 

魔女さん「ふぅ…これでようやく新しい材料が手に入りますね」

 

ザッザッザッ

私は暗い森の中を歩いていました。

 

魔女さん「!」

 

すると、ある木の下で横たわっている女の子がいました。私はその女の子に駆け寄り、意識があるかを確認しました。

 

魔女さん「ねぇあなた…こんな所で何してるの?」

???「…」

 

その女の子は気を失っているのか、返事がありませんでした。

 

魔女さん「返事がない…気を失ってるのかしら…」

 

暗い森の危険さは十分承知しているので私はその女の子を保護し、家に向かいました。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…魔女さんの家

 

ガチャ…

私は一人暮らしのため、家の扉を開けてくれる人は存在せず、私は女の子を抱えながら扉を開け、家に入りました。

 

魔女さん「えっと…ソファは…」

 

私は家に着いたと同時にその女の子をソファに寝かせました。

 

???「…」

 

その女の子は気を失ってるのか未だに起きない。

 

魔女さん「なんであの森の中に…」

 

私はその疑問を抱えつつ疲れていたため、そのまま眠ってしまった。そしてその翌日、私は陽の光が目に当たり、目を覚ましました。

 

魔女さん「あれ…私…眠ってしまったのかしら…」

 

昨日の記憶がぼんやりと頭の中に残っている。

 

魔女さん「あ…あの子…」

 

私は昨日の女の子を思い出し、ソファに目をやりました。その女の子はまだ起きていませんでした。

 

魔女さん「まだ…気を失ってるのでしょうか」

 

そして私はある魔法を使ってその女の子の生命反応を確認しました。すると、ただスリープ状態になっているだけで外傷などはなく、健康だった。

 

魔女さん (一体この子に…何があったのでしょうか…)

 

私がそう考えていると女の子から声がしました。

 

???「ん…んん…」

魔女さん「!」

 

私は耳がいいので聞き間違いだとは思いませんでした。

 

???「ん…」

 

私はその女の子の近くに行き、起きるのを待ちました。すると、その女の子はすぐに起きました。

 

???「あ…あ…」

 

その女の子は起きて早々声を発しました。言葉ではなく単語でしたが、ハッキリと声を出しました。

 

魔女さん「ねぇあなた…大丈夫?」

???「?」

 

私が話しかけると私の存在に気づいたのかその女の子は私の方を見ました。

 

???「えっと…あなた…は…」

魔女さん「私はこの家に住んでいる人です。あなたが森で倒れていたので連れてきました」

???「森…そうですか…」

 

その女の子は自分の身に起こったことを覚えておらず、私の家を物珍しく見渡しました。

 

???「ここは…」

魔女さん「私の家ですよ」

???「そうですか…あなたは?」

魔女さん「!」

 

その女の子はさっきと同じ質問をしました。

 

魔女さん「私はこの家に住んでいる人ですよ」

???「…そうですか。それで、ここは…」

 

その子はまた同じ質問をしました。

 

魔女さん (記憶の定着ができていない…何かのショックを受けたのでしょうか…)

 

コツン

私はその子の頭に自分のおでこを当てた。

 

???「!」

 

その子は少し驚いていた。

それを見て私はその子の頭の状況を読み取った。

 

魔女さん「…」

 

ですが、何も異常はありませんでした。頭に損傷があるわけでも何かの魔法を受けたわけでもありませんでした。記憶の定着ができていない原因は分かりませんでしたが、とりあえずこの子の名前を聞きました。

 

魔女さん「ねぇあなた…名前は?」

???「…知らない」

 

当然の答えでした。

 

魔女さん「じゃあ私があなたに名前をつけてもいいですか?」

???「…うん」

魔女さん「そうですねぇ…じゃあリールで」

リール「リー…ル…」

魔女さん「そうです。リールです」

リール「…」

 

その女の子は小さく頷きました。

 

魔女さん「リール。あなたを歓迎します。あなたは私の弟子です」

リール「?」

 

そして私はその女の子にリールと名付け、その子と一緒に暮らしました。

 

ー回想終了ー

 

 

魔女さん「…と、言うことです」

???「なるほど。それから今に至るまで時が流れて、今は言葉も話せる子になったんですね」

魔女さん「はい」

???「微笑ましい限りです。是非一度会ってみたいものですね」

魔女さん「いつか来てくださればその時に…」

???「分かりました。いつかあなたの家に行きましょう」

魔女さん「はい」

???「それで、そのエレナ学院には入学するのですか?」

魔女さん「…決めかねています」

???「…無理もないですね」

魔女さん「はい。あの子のことを思えば入学させるべきでしょうが、私はあの子に私と同じようになって欲しくないのです。ですが、私が教えるのにも限界があります。あそこへ通えばリールはもっと魔法を学ぶことができます」

???「…そうですね。かつて最高峰と言われたエレナ学院ですもの。入学させられればその子はもっと先へ進めると思います。ですが…」

魔女さん「…はい」

???「…あなたの事もありますね」

魔女さん「…」

???「…私があなたの話を聞く限り、あなたにとってその子はとても大事な子なんですね」

魔女さん「はい」

???「…故にあなたのようになって欲しくない…と」

魔女さん「…はい」

???「…私もそう思いますよ」

魔女さん「!」

???「私もあなたに教えていた時代にはあなたと同じことを考えていましたよ。あなたとレヴィをあの学院に入学させるかどうか…悩んだ結果、私はあなたたち2人を入学させず、私の手で育てました」

魔女さん「!」

???「私はその選択をした後悔はありませんでした。私がその選択をしたおかげであなたたちとの時間を取る事ができました。私は満足でした」

 

するとその人の顔は一瞬にして暗くなった。

 

???「…ですが、その選択をしたせいであなたを失う結果になりました」

魔女さん「…」

???「本来あの町に生まれた子供はあの学校に通うのが決まりです。もちろんあなたとレヴィはあの町の子供じゃないので通う意味はありません。ですが、あの時の学院長が言うには私たちが住んでいたあの場所はその国の領土となっていたそうです。ですから、あなたたちもあの町の子供としてカウントされ、その決まりを破ったとされた私の元からあなたが連れ去られることとなりました」

魔女さん「…」

???「私はあなたを失ったショックで悲しくなりましたよ。私の大事なあなたを連れ去ったあの学校を粉微塵に破壊しようかとも思いました。ですが、そうするとあなたとレヴィに何らかの制限がつくと思ったのでやめました。それから2年、ある事件とともにあなたが私たちの元に帰ってきた」

魔女さん「…」

???「それが、"狂った魔女がある国を滅ぼした" という事件だった」

魔女さん「…」

???「私はもう…その悲しみを繰り返してほしくないです。あなたの言った通り、その子はあなたのようになって欲しくないですし、あなたは私のようになって欲しくない」

魔女さん「分かりました。でしたら…」

???「ですが…その願いも届かないものですね」

 

その人は私の発言を遮ってまで言葉を放った。

 

魔女さん「どういう…事でしょうか…」

???「…悪い知らせです。最近、ある噂を耳にするようになりました」

魔女さん「…噂」

???「はい。それは、"ある国と共に滅びた魔女が蘇った" というものです」

魔女さん「!」

???「あなたならよく知っているでしょう?」

魔女さん「…私が…殺した人…」

???「…そうです。その人がどこかの国で蘇ったと…そういう噂を耳にしました。ですが、あくまで噂です。詳細はよく分かりません」

魔女さん「あの人…」

???「そうなるとあなたのところに行くのは必然です。あなたがあの子を守りたいのであればエレナ学院に通わせることをオススメします」

魔女さん「…リール」

 

私はここで迷った。かつて私が殺した魔女が蘇った。その魔女は恐らく私のところに来るでしょう。そうなるとリールが危険な目に遭います。ですが、あそこに通わせれば私と同じようになってしまう。リールの危険を回避するために学院に通わせ、私と同じ道を歩ませるか、それとも危険を承知で私と一緒に暮らし、あの魔女と敵対するか。私は…選択できなかった。

 

魔女さん「…お師匠様」

???「なんですか?」

魔女さん「…あの子に…決めさせてもよろしいでしょうか」

???「…いいんじゃないでしょうか?」

魔女さん「!」

???「今のあなたには迷いが見えます。あの子の意見を聞いて決めるのもいいと思いますよ」

魔女さん「分かり…ました」

 

そして私は家に帰ってこの事をリールに話そうと思った。

 

魔女さん「あ、そろそろ時間ですね」

???「あ、そうですか。短かったですね」

魔女さん「ですね。それでは私はこれで」

???「待ってください」

魔女さん「?」

???「あなたは…その子をどうしたいのですか?」

魔女さん「…あの子には…元気に育って欲しいと思っています」

 

コツコツコツ

そして私はお師匠様の元を離れました。

 

???「…悲しい思い出ですね。あなたの隠せない罪…拭いきれない血…取り返せない過去。あなたはもう…十分辛い人生を送りましたよ」

???「…リーナ」

 

その後、お師匠様の元を離れた私は家に帰りました。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…魔女さんの家

 

ガチャ

家の扉が開いた。

 

魔女さん「ただいま帰りましたよ。リール」

リール「おかえりなさい!」

 

ギュッ…

リールは魔女さんに抱きついた。

 

メリー「おかえり」

魔女さん「ありがとうメリー。今日一日」

メリー「いやぁ構わないよ。リールちゃんのおかげでまた新しい魔法道具が完成しそうだし」

魔女さん「そうなんですか?」

メリー「そうよ。リールちゃんの助言がなかったらまた失敗するところだったよ」

魔女さん「そう。リール。良かったですね」

リール「はい!」

魔女さん「今日はどうでしたか?」

メリー「…今日はエレナ学院の学院長が来たよ」

魔女さん「!」

メリー「明日また来るって言ってたよ。今度はあなたとリールちゃんと一緒に話がしたいそうだよ」

魔女さん「…思ったより行動が早いですね」

メリー「そうかな。でも手紙が届いた日から結構経ったよ」

魔女さん「…そうですね。分かりました。明日は用事は無いので私が迎えます」

メリー「分かった」

魔女さん「あ、そうだ。お夕飯作りますけど食べますか?」

メリー「いやいいよ。頭に残ってるうちに完成させたいしね」

魔女さん「そうですか。分かりました」

メリー「それじゃあね」

魔女さん「はい。それではまた」

メリー「リールちゃん!今日はありがと!リールちゃんのおかげで新しい魔法道具が作れるよ!」

リール「いいえ…そんな…」

メリー「完成したら持ってくるね!」

リール「は、はい!」

メリー「じゃあね」

 

ガチャ…バタン

そしてメリーは家に帰っていった。

 

魔女さん「それじゃあお夕飯作りましょうか。リール」

リール「はい!」

 

そして私はお夕飯を食べ、いつものように過ごし就寝した。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

ー翌日ー

 

場所…エレナ学院

 

レヴィ「それじゃあ行ってくるね」

ラーフ「はい。行ってらっしゃいませ」

レヴィ「今日は私一人で行くから。ラーフは学院の管理お願いね」

ラーフ「はい。お任せ下さい」

 

コツコツコツ

レヴィは魔女さんの家に向かった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…魔女さんの家

 

魔女さん (エレナ学院長…何しに来るのでしょうか)

リール「おはようございます…」

魔女さん「あらリール。おはようございます」

リール「魔女さん…今日は…」

魔女さん「えぇ。大丈夫ですよ。私がいますので」

 

ギュッ…

 

魔女さん「!」

 

するといきなりリールが抱きついてきた。

 

魔女さん「リール?」

リール「魔女さん…今日一日だけ…魔女さんの隣にいてもいいですか?」

魔女さん「!」

 

リールの手は震えていた。

 

魔女さん「…」

 

スッ…

私はリールの手に自分の手を乗せた。

 

リール「!」

魔女さん「えぇ。構いませんよ」

リール「…良かったです」

 

すると…

コンコン

 

リール「!」

 

ドアがノックされたと同時にリールはビクッと震えた。

 

魔女さん (…何かあったのでしょうか)

魔女さん「…リール」

リール「はい」

魔女さん「私の後ろにいてくださいね」

リール「…はい」

 

そして私とリールはドアへ向かった。

ガチャ…

私がドアを開けると、そこには見覚えのある顔があった。

 

レヴィ「…魔女さん…ですね」

魔女さん「…」

 

魔女さんはその人の顔を見ていた。

 

魔女さん「…レヴィなのね」

レヴィ「…はい」

魔女さん「…何の用ですか」

レヴィ「実は、話したいことがあります」

魔女さん「…入って」

レヴィ「お邪魔します」

 

コツコツコツ

そしてレヴィは魔女さんの家に入った。

 

魔女さん「…それで、話って何?」

レヴィ「その子を学院に通わせたい…という話です」

魔女さん「…」

リール「!」

 

魔女さんは目の前の男の人を睨んでいた。

 

魔女さん「…何故ですか?」

レヴィ「この子は才ある魔法使いです。これから色々な魔法を学べば更によい魔法使いになれると思っているからです」

魔女さん「それはあなたの主観的意見であってそうなるとは限りません」

レヴィ「ですがこのまま才ある子を手放すと大きな損失になりますよ」

魔女さん「損失とはなんですか?」

レヴィ「…国を維持するための力です」

魔女さん「この子は物じゃありません。人を物のように扱うなら通わせません」

レヴィ「いいえ違います!」

魔女さん「違わないでしょう。さっきあなたが言ったじゃないですか」

レヴィ「…ひとつ、話があります」

魔女さん「…なんですか」

レヴィ「最近、ある噂を耳にしました」

魔女さん「!」

レヴィ「かつて存在した魔女がある国で蘇ったと」

魔女さん「…何故あなたがそれを」

レヴィ「私はこれでも学院長です。重要な情報は全て聞きます」

魔女さん「…ということは復活したのは本当なんですね?」

レヴィ「…恐らく。だからこの子を私の学院で保護しようと思っています」

魔女さん「…その話、お師匠様からも聞かされました」

レヴィ「!」

魔女さん「お師匠様は学院に通わせるべきだと言いました。この子の安全を考えればですが」

レヴィ「じゃあ」

魔女さん「ですが、それだと私と同じ目に遭います。私はあの悲劇を繰り返したくないです」

レヴィ「大丈夫です。今は私が学院長となって動いています。姉さんのようにはさせません」

魔女さん「…あなたがエレナ学院の学院長…ですか」

レヴィ「…はい」

魔女さん「リール」

リール「なんですか?」

魔女さん「リールはどうしたい?ここで魔法を学びたい?それとも学院に通って魔法を学びたい?」

リール「えっと…私は…」

 

リールは少し考えた。

 

リール「私は…魔女さんに…魔法を教わりたいです…」

魔女さん「…だそうです」

レヴィ「そうですか…それは残念です」

魔女「どうしますか?」

レヴィ「…ここは大人しくそれに従います。ですが、ひとつ言ってもいいですか?」

魔女さん「…何でしょうか」

レヴィ「私はあなた方の味方です。なのでいつでも頼ってください。お願いします」

魔女さん「…分かりました」

レヴィ「…それでは、私はこれで失礼します」

魔女さん「はい」

 

コツコツコツ

ガチャ…バタン

レヴィはその場をあとにした。

 

魔女さん「…リール」

リール「はい」

魔女さん「あなたは私が守ります。何かあったらそれを使ってくださいね」

リール「…はい」




〜物語メモ〜


??? (魔女さんのお師匠様)
彼女は魔女さんとレヴィ学院長のお師匠様。
魔法は現在の魔女さんよりも遥かに上で魔女さんはお師匠様のことを慕っている。
魔女さんとレヴィ学院長の過去を知る人物で今はひっそりと暮らしている。


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第8話 魔女さんと別れと決断

ここでちょっとお知らせです。

今話で「私、魔女さんに拾われました。ー魔女さん編ー」が完結します。

でも、この物語が終わる訳ではありません。

新しい章になるだけです。

これからも「私、魔女さんに拾われました。」は投稿していきますので、読んでいただけたら幸いです。

お知らせは以上です。


私の名前はリール。

ある魔女さんと一緒に暮らしています。

昨日はエレナ学院の学院長さんが家に来ました。

私をエレナ学院に入学させるというお話でした。

魔女さんは入学させるのを反対していました。

学院長さんは何も言わずにそれに従ってくれました。

それよりも気がかりなのは噂のこと。

学院長さんが言ってた噂って何だろう…

今日は魔女さんにその事について聞こうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リール「あの…魔女さん」

魔女さん「はい。何ですか?」

リール「ひとつ…聞いてもいいですか?」

魔女さん「はい。いいですよ」

リール「…昨日学院長さんが言ってた噂って…何ですか?」

魔女さん「!」

 

魔女さんはその事を聞かれて私の方を見た。

 

魔女さん「…気になりますか?」

リール「!」

 

魔女さんは一瞬だけ顔を曇らせた。

 

リール「…はい」

 

私がそう言うと魔女さんは話し始めました。

 

魔女さん「…ある魔女のお話です。昔、ある町に存在した魔女がある人物によってこの世を去りました。その魔女は当時の魔女や魔法使いの中でトップレベルの実力を持っていました。彼女はその力で敵国を焼き払い、他国を寄せつけないほどの強国に育て上げました」

リール「…」ゴクリ

魔女さん「その人は表では人に優しい頼られる人でした」

リール「表…」

魔女さん「はい。彼女は表向きは民を想う人でしたが、裏では他国を滅ぼし、自国を発展させようとする人でした」

リール「…」

魔女さん「リール」

リール「はい」

魔女さん「昨日の学院長さんが言った言葉を覚えていますか?」

リール「…?」

魔女さん「国を維持するための力」

リール「!」

魔女さん「そうです。当時強かったあの魔女と同じことを言っているのです」

リール「た、確かに…」

魔女さん「私はリールを物のように扱って欲しくないと思い、入学を拒否しました」

リール「そうですか…」

魔女さん「ですがリール。これから先、もしかするとあの学校に通ってもらうことになるかもしれません」

リール「!」

魔女さん「さっきまで話したその魔女には私も関わっています」

リール「え、魔女さんも…」

魔女さん「はい」

リール「なぜ…」

魔女さん「…それは言えません。ですが、これだけは言えます。その魔女は必ず私のところに来ます」

リール「!」

魔女さん「彼女は恐らく、当時関わった人たちを殺すつもりでしょう」

リール「え…殺すって…」

魔女さん「はい。彼女は遥か昔にこの世を去りました。ですが、最近どこかの国で蘇ったそうです」

リール「え…」

魔女さん「人の蘇生は重罪です。それに伴う代償も大きいでしょう。恐らく、その魔女を蘇らせた人は亡くなったでしょう」

リール「え…そうなんですか…」

魔女さん「はい。人の蘇生はこの世の理に反しますから。肉体を失うのは必然です」

リール「そんな…」

魔女さん「この世に蘇ったその魔女がいつここに来るか分かりません。なのでリール」

リール「はい」

魔女さん「…これからは属性魔法をここで習い、その他の魔法はエレナ学院で習ってください」

リール「え…なんでですか…」

魔女さん「…私は、リールが光属性魔法を覚えたらこの場を去ります」

リール「え…」

魔女さん「…」

リール「な…なんでですか…そんな…」

魔女さん「…分かってください。あなたを守るためです。関わりを持たないあなたが怪我をするところは見たくないです。もしあなたが怪我をしたらまた私は…」

リール「…」

魔女さん「…いえ、なんでもありません。とにかく、これからは光属性魔法に力を入れていきます」

 

ギュッ…

 

魔女さん「!」

 

リールは魔女さんに抱きついていた。

 

リール「…嫌です」

魔女さん「!」

リール「魔女さんと離れるのは…嫌です」

魔女さん「…」

リール「魔女さんは私のたった1人の家族です…そんな人を私は…」

魔女さん「リール」

リール「…」

魔女さん「…ありがとう。でも大丈夫。あなたが大きく育つまで見届けますから。あなたを残してなんか逝きませんから」

リール「…」

 

リールは魔女さんに抱きついたまま涙を流していた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

それから色々あった。光属性魔法は特殊属性魔法に属されているため、並の魔法とは少し違う。扱いも難しく、慣れるのにもやっとだった。でも、魔女さんはずっと私に魔法を教えてくれた。自分の知識を私に継がせるかのように。

 

それから約1年が経過した。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

魔女さん「リール。随分大きくなりましたね」

リール「そうですか?」

魔女さん「はい。私の鼻くらいにまで大きくなりましたよ」

リール「えへへ〜」

魔女さん「さて、光属性魔法はこれで全部習いましたね」

リール「そうですね」

魔女さん「…どうしましたか?」

リール「…いえ、覚えてますよね。魔女さん。去年ここで言った言葉」

魔女さん「…」

リール「ねぇ魔女さん」

魔女さん「?」

リール「あなたは本当に…ここを離れるのですか?」

魔女さん「…はい」

リール「具体的にどれくらいですか?」

魔女さん「…あの魔女をどうにかするまでです。いつまでかかるかは分かりません」

リール「…そう…ですか…」

魔女さん「リール」

リール「?」

魔女さん「あなたなら大丈夫ですよ。私がいますから」

リール「…はい」

 

ガチャ…

突然家のドアが開いた。

 

メリー「やぁリールちゃん!久しぶり!」

リール「メリーさん」

メリー「大きくなったね!」

リール「ありがとうございます」

魔女さん「メリー。あれは持ってきた?」

メリー「大丈夫。持ってきたよ」

リール「持ってきたって何をですか?」

メリー「ん?入学届だよ」

リール「入学届?」

魔女さん「そうです。あなたはこれからエレナ学院に通ってもらいます。ここの管理はメリーに任せますので大丈夫ですよ」

リール「…そう…でしたね。忘れてました」

魔女さん「…」

リール「魔女さんと一緒に暮らせないとなると寂しくなりますね」

メリー「…」

魔女さん「リール。あなたは今いくつ?」

リール「えっと…17です」

魔女さん「なら大丈夫ですね。リールはもう大人の女性です」

リール「…」

魔女さん「あなたはもう、何者にも負けない強い女性です。私が保証します」

リール「ありがとうございます」

魔女さん「私とまた一緒に暮らしたいならもっと魔法を学んで強くなってください。そしてまた、私の前に現れてください」

リール「…はい」

魔女さん「じゃあメリー。あとはお願いね。レヴィには言ってあるから」

メリー「分かったわ」

魔女さん「リール。出発は明日です。今日は一日ずっといましょうね」

リール「…はい」

 

そして私は、その日ずっと魔女さんと一緒に時間を過ごしました。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

ー翌日ー

 

魔女さん「おはよう。リール」

リール「…おはようございます。魔女さん」

魔女さん「…寂しいですか?」

リール「…はい」

魔女さん「リール。私は少し離れるだけです。あなたと一生会えない訳ではありませんよ」

リール「…ですが」

魔女さん「あなたは何者にも負けない強い女性です。大丈夫ですよ」

リール「…はい」

 

ガチャ…

家のドアが開いた。

 

メリー「やぁ、2人とも」

リール「メリーさん…」

メリー「リールちゃん。これからはエレナ学院にある寮で生活することになるけど大丈夫?」

リール「…」

 

リールは何も言わなかった。

 

魔女さん「…」

メリー「…大丈夫じゃないみたいだね」

リール「…」コクッ

 

リールは小さく頷いた。

 

リール「魔女さんと離れたくないです」

魔女さん「リール…」

メリー「…私もそう思う」

リール「!」

メリー「でも友人の頼みだからね。聞き入れるしかなかったよ」

リール「…」

メリー「リールちゃん。2人で魔女さんを見送ろ?」

リール「…」

 

リールの目に涙が溢れていた。

 

リール「私は…私は…」

 

リールは震えていた。

ギュッ…

 

リール「!」

 

魔女さんはリールを抱きしめた。

 

魔女さん「私もリールと離れたくないです。できるならこれからも一緒に時間を過ごしたいです。でもごめんなさい。あなたを守るためなんです」

リール「…知ってます。なのでもう…わがままは言いません…」

魔女さん「リール…」

リール「魔女さん」

魔女さん「何ですか?」

リール「最後に…強く抱きしめてください。魔女さんを忘れないように強く…」

魔女さん「…」

 

ギュゥゥゥゥゥ…

魔女さんはギュッと強く抱きしめた。

 

魔女さん「リール。強く…強く生きてください。生きていればいつかは会えます。なので、次に会う時までに私よりもすごい魔女になっててくださいね」

リール「…はい」

魔女さん「リール」

リール「…はい」

魔女さん「私はあなたの事を愛していますよ」

リール「…私も、魔女さんを愛してますよ…」

 

しばらく抱き合った後、リールは準備をし始めた。

 

メリー「…いいのかい?あんな悲しくなるようなこと言って」

魔女さん「いいんです。リールは強い子ですから」

メリー「…せめてあの子があなたよりもすごい魔女になるまで見届けてあげてほしいけど」

魔女さん「…それは、次に会う時です。弟子の成長が見られないのは心苦しいですが、ここで我慢しないとリールが怪我をします。そうなったら私は…あの時みたいに…」

メリー「…」

魔女さん「ごめんなさいね。こんな話」

メリー「いいよ。あんたの過去を知ってる人はそう多くない。真実を知る人は少ない方がいいよ」

魔女さん「…そう」

リール「メリーさん。準備できました」

メリー「そっか。じゃあ2人で魔女さんを見送ろっか」

リール「はい」

 

3人は外に出た。

 

魔女さん「それではメリー。この家の管理をお願いしますね」

メリー「任せて」

魔女さん「リール」

リール「はい」

魔女さん「…元気でね。私よりもすごい魔女になってみんなを助けてあげて」

リール「…はい」

魔女さん「…それでは行きますね」

メリー「行ってらっしゃい」

リール「…」

魔女さん「…」

 

魔女さんはリールからのいってらっしゃいを待ったが、リールは何も言わなかった。

 

ヒュッ…ヒュッ…ポンッ!

魔女さんは杖を振り、箒を出した。

 

魔女さん「よいしょっと」

 

魔女さんは箒に乗った。

 

リール「魔女さん!」

魔女さん「!」

 

タッタッタッ!

リールは魔女さんの所まで走った。

 

スッ…

それを見た魔女さんは箒から降りた。

 

ギュッ!

リールは魔女さんに抱きついた。

 

リール「魔女さん…私をここまで育ててくれて…ありがとうございました」

魔女さん「リール…私の方こそ。ありがとうございました。弟子の成長が見られないのは残念ですが、あなたが成長した姿を見てみたいです。次に私に会うまでに私よりもすごい魔女になってくださいね。約束です」

リール「はい…約束です…」

 

リールと魔女さんは小指を絡ませた。

 

魔女さん「…さ、それでは行きますね」

リール「はい…行ってらっしゃい…」

 

その後、箒に乗った魔女さんはどこか遠くへ飛んでいった。

 

メリー「…行っちゃったね。リールちゃん」

リール「…はい」

メリー「リールちゃんは魔女さんに言われた通り、すごい魔女さんにならないとね」

リール「…はい。私、次に魔女さんに会うまでに魔女さんよりもすごい魔女さんになります。魔女さんに負けないくらいの魔女さんになります」

メリー「その意気だよ。リールちゃん」

リール (魔女さん。私、頑張ります。魔女さんに習ったこと…忘れません!私はいつか…魔女さんに負けないくらいの魔女さんになります!応援しててくださいね。魔女さん)

メリー「…さ、行こっか」

リール「はい!」

 

こうして私は、魔女さんとの別れを告げ、スペルビアにあるエレナ学院に転入生として入学することとなりました。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

これにて

「私、魔女さんに拾われました。ー魔女さん編ー」

が終わりました。

 

次回からは

「私、魔女さんに拾われました。ーエレナ学院編ー」

です。

 

次回からも読んで頂けたらと思います。




〜物語メモ〜


リールの年齢
リールと魔女さんが初めて会った時のリールの年齢は16。
それから1年が経って17となりました。
なので魔女さんとリールは1年と半年一緒に暮らしました。


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エレナ学院編
第9話 リールとエレナ学院


私の名前はリール。

ある魔女さんと一緒に暮らしていました。

魔女さんは今、家にいません。

ある人物が蘇ったと…それだけ言って魔女さんは遠くへ行きました。

1人になった私はこれからエレナ学院に通うことになります。

私の知らない魔法を学べるのは嬉しいのですが…

…嬉しいはずなのですが…何故でしょうか…

寂しさだけが…込み上げてきます。

嬉しさよりも何かがポッカリと無くなった喪失感の方が大きいです。

でも私は魔女さんと約束しました。

魔女さんよりもすごい魔女さんになると。

これからいつまで魔女さんと離れ離れになるのかは知りませんが、次会う時までにすごい魔女さんになって魔女さんを驚かせようと思っています。

…だから今は我慢します。

…次に会えるその時まで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…エレナ学院 (学院長室)

 

レヴィ「やぁ、リールさん」

リール「…」

 

私は今、エレナ学院の学院長室にいます。

 

レヴィ「事情は全部聞いたよ」

リール「…そうですか」

レヴィ「辛いだろうけど、頑張って魔法を覚えて魔女さんをビックリさせてみない?」

リール「…」

レヴィ「…君ならできるよ。リールさん」

リール「…そうですか」

ラーフ「…」

レヴィ「…不安ですか?」

リール「…いえ、不安ではないです」

レヴィ「じゃあどうしてそんな顔を?」

リール「…なんでもないです。私の教室はどこですか?」

レヴィ「…もう少し休んでもいいんですよ?」

リール「…いえ、魔女さんとの約束があるので」

レヴィ「…そっか。ラーフ」

ラーフ「はい」

レヴィ「リールさんを教室に案内してください」

ラーフ「…分かりました」

 

ラーフとリールは学院長室を出た。

 

レヴィ「…よっぽど尊敬できる人だったんですね。あの魔女さんは」

メリー「…えぇ。そうでしょうね」

レヴィ「…メリーさん」

メリー「はい」

レヴィ「あの家は…どうするおつもりですか?」

メリー「…私が管理します。親友の頼み事なので」

レヴィ「その頼み事…私も引き受けてもいいですか?」

メリー「どういう事ですか?」

レヴィ「私はあの人と同じ時を過ごしました。あの人が残したあの子を守るのが、弟としての責務だと思っています。そして、あの人が残したもうひとつのあの子の居場所…あの家を守るのも私の責務だと思っています。メリーさん」

メリー「…」

レヴィ「私にも…あの家を守らせてください」

メリー「!」

レヴィ「私は…あの魔女さんが残したものを失いたくない。何がなんでも残したいと思っています。なので」

メリー「あの…何故そこまでするんですか?」

レヴィ「…世間の魔女さんの評価は全くと言っていいほど良くありません。あの魔女さんの本当の姿を知るのはあなたを含め、ごく少数でしょう。私もその少数のうちの一人です。あの人の残したものを悪い評価とともに失うのは気が引けます。私は、あの魔女さんの力になりたいです。お願いしますメリーさん。私にもあの家を守らせてください」

 

レヴィ学院長はメリーに頭を下げた。

 

メリー「頭をあげてください学院長さん」

レヴィ「…」

メリー「あなたの気持ちは十分伝わりました」

レヴィ「では…」

メリー「はい。私が魔女さんから頼まれたこと…手伝ってください」

レヴィ「喜んで!」

メリー「ただし、条件があります」

レヴィ「な、何でしょうか」

メリー「私は家の中の管理をします。なのであなたは家の外…つまり、外敵からあの家を守ってください。あの家に一切の傷がつかないよう結界を展開してください」

レヴィ「分かりました。私の持つ知識の中で最も防御力の高い結界を展開します」

メリー「ありがとうございます」

 

スッ…

メリーは立ち上がった。

 

メリー「…それでは私は魔女さんとの約束を果たします」

レヴィ「分かりました。私も仕事が終わり次第あの家に行って結界を展開します」

メリー「分かりました。それでは…」

 

そしてメリーも学院長室を出た。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院 (廊下)

 

ラーフ「リール様。あなたは今回、転入ということですので2学年の教室になります」

リール「2学年…それはどういったものを学ぶクラスですか」

ラーフ「この学校では1学年で魔法の基礎を、2学年ではその実技を、3学年では遠征を行います。今は学年が変わって数日ですのでまだ2学年の人たちは魔法の実技をしていません。実技をする前の講習をしているくらいですね」

リール「そうですか」

ラーフ「なのでリール様でも追いつけると思いますよ」

リール「…」

 

そしてリールとラーフは教室に着いた。

 

ラーフ「ここがリール様の教室になります。ちょっと待っててくださいね」

 

そう言うとラーフはその扉をノックした。

コンコンコン

すると、中から人が出てきた。

 

担任「あ、ラーフ先生。どうされましたか?」

ラーフ「先日話した子が今日から転入することになりました。まだ始まってすぐなので大丈夫だとは思いますが、どうでしょうか?」

担任「あー大丈夫ですよ!今はちょろっと話した程度なので!あ、じゃあみんなに言ってきましょうか?」

ラーフ「はい。お願いします」

 

するとその人は部屋に戻った。

 

リール「あの…あの人は…」

ラーフ「あの人はジーヴル先生です。あなたの担任の先生ですよ」

リール「ジーヴル…先生」

ラーフ「あの人は魔法の実技を担当している先生なので、分からないことはあの人に聞いてみてくださいね」

リール「…分かりました」

 

ガラッ

すると、扉が開いた。

 

ジーヴル先生「さ、えっと…」

リール「リールです」

ジーヴル先生「じゃあリールさん。みんなが待っていますよ。どうぞ」

リール「…」

 

リールはここでラーフを見た。

 

ラーフ「…大丈夫ですよ。あなたならできますよ」

リール「…」

 

私は不安に思いながらその教室に足を踏み入れた。

 

ラーフ (頑張ってくださいね。リール様)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…教室

 

教室に入った私は教卓の前まで歩く。

 

男子「うわっ…めっちゃ可愛いじゃん」

女子「綺麗な髪〜」

女子「可愛い…」

男子「おいあいつめっちゃ可愛いな!」

男子「おうよ。女子最高」

女子「ちょっとそこ!何言ってるの!」

男子「おっとと…つい心の声が漏れちまった」

ジーヴル先生「よぉしみんなー!この子がさっき言った転入してきた子だ。名前はリールさんだ。みんな仲良くしてくれよ!」

男子「いい名前だな!」

男子「顔可愛い上に名前も可愛いのかよ!」

男子「俺あの子狙おっかな」

男子「バッカてめぇ!俺のもんだ!」

女子「あなたたちうるさいわよ!」

男子「全く委員長のやつ…」

女子「でもあの子ほんとに可愛いよね〜」

女子「だよね〜」

女子「髪もサラサラしてるし〜」

ジーヴル先生「じゃあリールさん。なにか一言ありますか?」

リール「えっと…リールです。よろしくお願いします」

男子たち「うおおおおおおおお!」

男子「先生!席は!席はどこにしますか!なんなら俺の隣にでも」

ジーヴル先生「いや、席はあっち。周りは男子より女子の方がいいだろ?」

男子「えー!」

男子「先生!そりゃねぇよ!」

ジーヴル先生「やかましい!お前らの近くに置いたらどうなるか分かったもんじゃねぇよ!」

男子「先生!俺なんもしねぇよ!」

ジーヴル先生「とにかく!リールさんはあっちの女の子が多い方の席に座ってもらう!いいな?」

男子「ぶー!先生のケチー!」

ジーヴル先生「さ、リールさん。あちらの席があなたの席ですよ」

リール「は、はい…分かりました」

 

リールは指定された席に行った。

 

スッ…

リールはその席に座った。

 

女子「あ、あの…」

リール「!」

女子「よ、よろしく…お願いします…」

リール「はい。よろしくお願いしますね」

女子「…///」

 

私の隣の子はいかにも物静かな子でした。

女の私を相手にしてもこの感じ…恐らくそうなんだろうと、その時思いました。

 

リール「あの…お名前教えて頂けませんか?」

女子「えっと…アンナと言います…」

リール「アンナさんですね。これからよろしくお願いしますね」

アンナ「はい…」

ジーヴル先生「さて、リールさんが入ってきたところで授業再開するぞー」

男子「えー!」

ジーヴル先生「はいそこ!嫌とか思わない!まだ始まったばかりだぞー?」

男子「うぇー…」

 

そして、授業が始まった。

 

リール「あ、教科書…」

アンナ「あ、あの…これ使って…」

 

するとアンナが教科書を見せてくれた。

 

リール「あ、ありがとう」

アンナ「い、いえ…」

 

それから私はアンナに教科書を見せてもらいながら授業を受けました。

 

ジーヴル先生「じゃあみんなに質問な。基本属性魔法と特殊属性魔法の中でマナを必要としない属性魔法はなんだー?」

リール (あ、これ…魔女さんから習ったやつだ…)

アンナ「えーっと…えーっと…」

リール「!」

 

私は、隣で悩んでいるアンナに気がついた。

 

アンナ「えーっと…なんだっけー…」

ジーヴル先生「分かるやついるかー?」

 

誰も手を挙げなかった。

 

ジーヴル先生「うーんじゃあ…アンナ!」

アンナ「は、はい!」

リール (なんと運が悪い…こんな時に限って当ててくるんですね)

ジーヴル先生「マナを必要としない属性は?」

アンナ「えーっと…えーっと…」

男子「なんだ?答えないのか?」ヒソヒソ

リール「!」

 

私は端っこでヒソヒソと話している男子の声を聞いた。

 

男子「仕方ねぇよな。あいつ頭悪いし」ヒソヒソ

男子「結局ギリギリで1学年突破したしな」ヒソヒソ

リール「…」

 

私はその時、魔女さんの言葉を思い出した。

 

魔女さん (私よりもすごい魔女になってみんなを助けてあげて)

リール「…」

 

それを思い出したと同時に私の口が勝手に動いた。

 

リール「アンナ。アンナ」ヒソヒソ

アンナ「?」

リール「氷属性魔法ですよ」ヒソヒソ

アンナ (こ、氷属性魔法…)

ジーヴル先生「どうだ?分かるか?」

アンナ「あ、え、えっと…氷属性魔法…です…」

ジーヴル先生「正解だ!」

男子「!?」

ジーヴル先生「そう!氷属性魔法だけ例外だ!氷属性魔法は空気中の水分を使って…」

 

スッ…

アンナはホッとしたのかゆっくり座った。

 

リール「やりましたねアンナ」ヒソヒソ

アンナ「ありがとうリールちゃん…」ヒソヒソ

リール「リールでいいですよ」ヒソヒソ

アンナ「ありがとう…リール…」ヒソヒソ

リール「どういたしまして」ヒソヒソ

ジーヴル先生「だからみんなは氷属性魔法だけ一律して使うことができるんだ!」

男子「先生〜」

ジーヴル先生「ん?なんだ?」

男子「氷属性魔法以外はどうなるんですか?」

ジーヴル先生「その他の属性魔法は各属性魔法に適性がある人しか使うことができないんだ。この世界には基本属性魔法、特殊属性魔法、無属性魔法の3つが存在する。この内無属性魔法と基本属性魔法の氷属性魔法は誰にでも使える魔法だ。その他は人によって使える魔法が違うから注意な」

男子「それってどうやって適性って分かるんですか?」

ジーヴル先生「それは次の講義で全員分の適性魔法を見ようと思っている。これからはみんなの持つ適性魔法によって違う授業内容になるからな。2学年の最初のイベントは各々の適性魔法の見極めだ」

男子「よっしゃー!やっと魔法使いらしいことができるぜ!」

男子「この時を待ってた!」

男子「俺火属性魔法がいい!」

男子「俺は雷だ!」

女子「はぁ…全く男子は…」

リール「ねぇアンナ」

アンナ「な、なに?」

リール「この学院の人たちって自分の適性魔法を知るのはこの学年からなんですか?」

アンナ「うん。そうだよ。1学年は魔法の基礎を学ぶから実技が入る2学年の最初にみんなの適性魔法を調べるんだよ」

リール「へぇーそうなんですね」

アンナ「楽しみだね」

リール「そうですね。ちなみにアンナはどの属性魔法がいいんですか?」

アンナ「えっと私は…水…かな…」

リール「いいですね」

アンナ「リールは?」

リール「私ですか?私は…うーん…何でもいいかなぁ…」

 

私はここで自分の適性魔法を伏せておくことにした。

 

アンナ「そっかぁ…楽しみだね」

リール「えぇ。そうね」

ジーヴル先生「お前ら想像を膨らますのはいいけど自分の想像通りの属性魔法が使えるとは限らないからな」

男子「分かってるぜ先生!期待してるぜ!」

 

すると、学院内でチャイムらしき音が鳴った。

 

ジーヴル先生「お、もう時間か。じゃあ次回は適性魔法を見るからな。一応ここで待っててくれ」

生徒「はーい!」

ジーヴル先生「それじゃあ解散!」

 

そしてその日の授業は終了した。

 

アンナ「ね、ねぇリールちゃん…」

リール「ん?」

アンナ「あの…一緒に寮に…」

男子「なーなーリールちゃん!」

 

アンナが何か言ったみたいだけど、男子のせいで全く聞こえなかった。

 

男子「これからどこか行かね?俺いいとこ知ってるんだよねー!」

男子「な、お前ずるいぞ!俺が連れてくんだ!」

男子「なにをー!」

女子「あなたたち!リールさんが困ってるでしょ!やめなさい!」

男子「な、委員長!」

 

男子たちを一声で止めたその人は身長が私よりも少し高く、目が鋭かった。

 

女子「あなたたちは早く帰って勉強しなさい!」

男子「ちっ…リールちゃん!またいつか一緒に行こうね!」

男子「その時は俺が連れてくよ!」

男子「バッカ俺が連れてくんだよ!」

男子「何を!」

女子「早く帰りなさい!」

男子「うぉー!委員長が怒ったー!」

 

すると男子たちは教室を出ていった。

 

女子「はぁ…全く。…大丈夫ですか?リールさん」

リール「え、えっと…はい…」

女子「私はこのクラスの委員長 スカーレットと言います。以後、お見知り置きを」

リール「は、はい…」

スカーレット「それでは…」

 

すると、スカーレットと言う名の委員長さんが教室を出ました。

 

リール「…あ」

 

私はここでアンナの存在に気づきました。

 

リール「あ、アンナ…大丈夫ですか?」

アンナ「は、はい…」

 

アンナは男子たちに押されて尻もちを着いていた。

 

アンナ「いたた…」

リール「立てますか?」

アンナ「はい…大丈夫です…」

 

アンナはゆっくりではあるが立ち上がった。

 

アンナ「あ、あの…リール…」

リール「?」

アンナ「一緒に寮に行きませんか?」

リール「あ、いいですよ」

アンナ「やった!じゃあ行こ!」

 

アンナは私の手を引いて寮に連れてってくれました。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…寮 (アンナの部屋)

 

アンナ「さ、どうぞ」

リール「お、お邪魔します…」

 

そこには綺麗に整頓されていた空間があった。

 

リール「綺麗ですね」

アンナ「え!そうですか?」

リール「はい。綺麗に整頓されています」

アンナ「そ、そうですか…嬉しいです…」

リール「!」

 

私はここでアンナの部屋に2つベッドがあることに気づいた。

 

リール「ねぇアンナ」

アンナ「はい。何ですか?」

リール「ここベッドが2つありますが、この寮は2人でひとつの空間なんですか?」

アンナ「あ、そうなの!でも私は1人でこの部屋を使ってるんです!」

リール「他にいないんですか?」

アンナ「はい!このクラスは奇数なので1人余るんです!」

リール「…」

アンナ「でもリールが入ってきたので偶数です!」

リール「そう…ですか…」

 

コンコンコン

突然、部屋のドアがノックされた。

 

アンナ「だ、誰だろ…」

 

アンナはドアを開けに行った。

 

ガチャ…

ドアを開けるとそこにはラーフさんがいた。

 

アンナ「あ、ラーフ先生」

ラーフ「こんばんはアンナさん。実はあなたにお話したいことが…ってリールさん」

リール「あ、はい」

ラーフ「丁度いいです。アンナさん」

アンナ「はい」

ラーフ「これからあなたのルームメイトはリールさんになります。この部屋はお二人でお使いください」

アンナ「え…」

リール「え…」

アンナ「ええええええ!」

リール「ええええええ!」

 

なんとアンナのルームメイトは私だった。

悪い気はしなかったので私はその話を承諾し、アンナはとても喜んでいた。

 

ラーフ「荷物は部屋に置いてあるので」

リール「あ、分かりました。ありがとうございます」

ラーフ「それではまた…」

 

ガチャ…

ラーフはドアを閉めてその場をあとにした。

 

アンナ「…」

リール「…」

アンナ「ま、まさかリールが私のルームメイトなんて…」

リール「あはは…驚きましたよ…」

アンナ「こ、これからよろしくお願いします!」

リール「私の方こそ、よろしくお願いしますね」

 

エレナ学院1日目 まさかの隣の子が私のルームメイトだった。

気弱なのか声も小さく打たれ弱いけど私はそんな彼女が少し好きなのでこのお話は快諾できた。

これから色々あると思うけどいい学院生活を送れそうです。

 

リール (魔女さん…私…頑張りますから)




〜物語メモ〜


ジーヴル先生
2学年担当の先生。
主に実技の授業を担当している。
生徒からは人気の先生だ。



アンナ
リールの隣の席の女の子。
1学年の時の成績は一番下でギリギリ1学年を突破できたほど。
気弱で声も小さく、他人と慣れるのに時間がかかる。
だが、リールだけは早くに打ち解けることができた。



スカーレット
リールのクラスの委員長。
目が鋭いため睨んでいるとよく言われる。
実際は睨んでないので誤解を与えることが多い。


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第10話 リールと適性魔法検査

私の名前はリール。

エレナ学院に通っています。

昨日、この学院に転入しました。

ここは個性的な人たちが多く、退屈しなさそうでした。

そして、私の隣の席でありルームメイトであるアンナが私の最初のお友達です。

1学年の頃は成績が良くなかったらしいのですが、いい子だと思っています。

あと、今日は適性魔法の検査があるそうです。

私は自分の適性魔法を知っていますが、一応知らないふりをしようと思っています。

あとは、みんながどんな適性魔法を持っているのか楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…教室

 

ジーヴル先生「よーし今日は適性魔法を調べるぞー」

男子「っしゃあ!」

男子「早くやろうぜ先生!」

ジーヴル先生「まぁ待て男子諸君。色々気持ちが先走るのは分かるがちゃんと話を聞いてからだ」

男子「ブー!」

ジーヴル先生「それでだ。今から適性魔法検査をするにあたって注意事項がある。それは、魔法を人に向けないことだ」

男子「魔法を人に向けない?」

ジーヴル先生「そうだ。これから実際検査する時は魔法が出る。その魔法は無害ではない。実害のあるものだ。だから人に当たれば当然怪我をする。だから魔法の検査は一人ずつ行う」

アンナ「こ、怖いね…」

リール「大丈夫ですよ。アンナ」

アンナ「…うん」

ジーヴル先生「もし人にぶつけた場合、この学校では罰則扱いになるから注意な。分かったか?」

男子「分かったぜ先生!」

男子「早くやろうぜ!」

ジーヴル先生「お前らほんとに分かってんのか…」

男子「大丈夫だぜ!」

ジーヴル先生「はぁ…じゃあ学籍番号順にな」

男子「しゃおあらぁ!」

ジーヴル先生「やかましいぞ〜」

アンナ「わ、私…魔法使えるかな…」

リール「大丈夫ですよアンナ。魔法はこの世界では必ず1つ持ってるものですよ」

アンナ「そうなの?」

リール「はい」

アンナ「よく知ってるねリール」

リール「え!?…えーっと…誰かがそう言ってたので…」

アンナ「そうなんだ」

ジーヴル先生「じゃあ最初はアンナさん。さぁ、前に来てくれ」

アンナ「は、はい!」

 

呼ばれたアンナは立ち上がった。

 

男子「アンナは無理だろ」ヒソヒソ

男子「あいつ鈍臭いからな」ヒソヒソ

男子「おまけに学力もない。終わってんじゃん」ヒソヒソ

リール「…」

 

リールはその声をずっと聞いていた。

 

リール (アンナ…あなたなら大丈夫ですよ)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

ジーヴル先生「さ、これを持って」

アンナ「これは…」

ジーヴル先生「適性魔法を見るためのものだよ」

 

アンナはジーヴル先生からある結晶を受け取った。

 

リール (あ、あれは魔女さんも使ってた…)

 

そう。その結晶は魔女さんがリールの適性魔法を見るために使ってたものと同じものだった。

 

ジーヴル先生「これを使って火を出してみて」

アンナ「え!?火!?」

ジーヴル先生「あ、ほんとに出せって訳じゃないぞ?イメージをしてって事だよ」

アンナ「あ、なんだ…よかった…」

ジーヴル先生「さ、やってごらん」

アンナ「…」

 

アンナは火を出すイメージを持った。

すると周囲のマナがその結晶に集まり、やがて火となった。

 

アンナ「わ、わわわ…」

ジーヴル先生「じゃあそれを撃ってみて」

アンナ「撃つ?」

ジーヴル先生「それを飛ばしてみて。イメージで」

アンナ「は、はい…」

 

アンナは言われた通りにやってみた。

すると…

 

ポンッ!

結晶についていた火の玉が前方に飛んだ。

 

ジーヴル先生「ふむ…」

 

シュッ…

だがその火の玉は消えてしまった。

 

アンナ「あ…」

ジーヴル先生「あら、適性じゃなかったみたいだね」

アンナ「は、はい…」

ジーヴル先生「あ、気を落とさなくてもいいぞ。適性魔法によっては使えない魔法が存在するからな」

アンナ「はい…」

男子「なんだあれ。あれが魔法か?」

男子「弱すぎ」

男子「頭悪いと魔法も弱くなるんだな」

男子「傑作だな」

リール「…」

ジーヴル先生「おーいそこにいる男子。魔法に適性があるのは人それぞれだぞ。物によっては使えない魔法があったり弱くなる魔法も存在する。お前らも一緒だぞ?」

アンナ「…///」

ジーヴル先生「さぁアンナさん。次はこれだ」

アンナ「はい」

 

ジーヴル先生はアンナに青色の結晶を渡した。

 

ジーヴル先生「やり方は簡単だ。さっきは火をイメージしたけど今度は水をイメージしてみてくれ」

アンナ「は、はい…」

 

アンナは言われた通りにやってみた。

すると、その結晶の先に水玉が出てきた。

 

ジーヴル先生「じゃあそれを撃ってみてくれ」

アンナ「は、はい…」

 

アンナはさっきやったようにやってみた。

すると…

 

シュッ!ヒュゥゥゥゥゥゥ…ドン!

その水玉は勢いよく飛んで壁に設置された結界に当たった。

 

アンナ「ひぇぇぇぇ…」

ジーヴル先生「うん。いい魔法だ。じゃああとはその結晶にマナを集めてみてくれ」

アンナ「はい…」

 

アンナはその結晶にマナを集めてみた。

周囲のマナはそれに反応して集まった。

 

アンナ「これでいいでしょうか」

ジーヴル先生「あぁ。あとは…」

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

すると、その結晶が光り始めた。

 

ジーヴル先生「おぉ!アンナさん!君の適性魔法は水だ!」

アンナ「え…私が…水…」

男子「はぁ?あいつ魔法使えてんじゃねぇか」

男子「あんなやつがか?」

リール (良かったですね。アンナ)

ジーヴル先生「えっと水属性なら…これだな」

 

ジーヴル先生は黄色の結晶を渡した。

 

アンナ「これは…」

ジーヴル先生「それは雷属性魔法の結晶だ。水属性魔法に適性がある人は雷属性魔法が使えないんだ。もしこれで雷属性が使えなかったらアンナは水属性魔法に適性があるということになる。さ、やってみて」

アンナ「は、はい…」

 

アンナは雷属性魔法の結晶を持ってマナを集めてみた。

だが…マナは集まらなかった。

 

アンナ「あれ…マナが集まらない…」

ジーヴル先生「よしっ。アンナさんの適性魔法は水属性魔法だな。良かったねアンナさん!」

アンナ「は、はい!」

ジーヴル先生「とまぁこんな感じで適性魔法を見ていくぞ!みんなはどんな属性魔法に適性があるかな?先生楽しみだぞ!」

男子「しゃおらぁ!」

男子「俺は全属性だ!」

ジーヴル先生「全属性は有り得ないぞー」

リール (え、ありえない?でも魔女さんは全属性の魔法が使えるって…)

アンナ「やったよリール!」

リール「え、アンナ」

アンナ「私水属性魔法だって!」

リール「あ、あぁ。良かったですねアンナ」

アンナ「うん!」

ジーヴル先生「じゃあ順番に来てくれー」

男子「おー!」

 

それから学籍番号順に適性魔法検査が行われた。

適正魔法は色々あった。

火、水、雷などこの教室の人たちは色々な属性魔法に適性があった。

でも…光属性魔法に適性がある人はいなかった。

そんなこんなで最後に私の番になった。

私の番になるまで何回かの授業間があって何時間もかかった。

やっとこの時かと…その時思った。

 

ジーヴル先生「さ、リールさん。君が最後だよ」

リール「はい」

 

リールは前に出た。

 

ジーヴル先生「さ、最初は火属性魔法だ」

リール「はい」

ジーヴル先生「じゃあ火をイメージして…」

 

プシュ…

リールは先生が言う前に魔法を使っていた。

そして、当然ながら火属性魔法は使えなかった。

 

ジーヴル先生「あ、ダメだったみたいだね」

男子「なんだ。あいつも魔法が使えないのか?」ヒソヒソ

男子「転入生とか言ってたからな」ヒソヒソ

男子「調子乗ってるからこうなるんだよな」ヒソヒソ

リール「…」

 

リールはその声を全部聞いていた。

 

ジーヴル先生「えーっと…火属性魔法が使えないとなると…風属性魔法の…」

リール「先生」

ジーヴル先生「ん?なんだ?」

リール「風属性魔法は結構です」

男子「!」

ジーヴル先生「なんでだ?」

リール「見ててください」

 

そう言ってリールは光属性魔法の結晶を取った。

 

ジーヴル先生「あ、待って。その結晶は光属性魔法の結晶であって雷属性魔法の結晶じゃ…」

 

キィン!ドゴォォォォォォン!

 

男子「!?」

ジーヴル先生「!?」

女子「!?」

 

ピキピキ…パリン!

リールはその結晶を持って光属性魔法を使った。

すると結界は粉々に壊れてしまった。

 

リール「はい。どうぞ」

ジーヴル先生「え…え?ひ、光属性魔法…な、なんで」

リール「あ、言い忘れてました。私、光属性魔法に適性があるんです。なので他の魔法は使えません。決して魔法が使えない訳じゃないんです」

ジーヴル先生「お、おう…」

男子「な…なんだあいつ…」ヒソヒソ

男子「光属性魔法だと!?」ヒソヒソ

男子「何かの間違いに決まってる!」ヒソヒソ

リール「あとそこの人たち」

男子「!」

リール「人を貶すのは程々にした方がいいですよ?私のように力を隠してる人もいるので」

男子「っ…」

 

そう言うとリールは自分の席に戻った。

 

リール「はぁ…全く」

アンナ「リール凄い!光属性魔法に適性があるなんて!」

リール「え、えぇ…まぁ…」

アンナ「正直水属性魔法がいいなって思ってたけど光属性魔法でもいい!」

リール「は、はぁ…」

アンナ「光属性魔法について色々教えてね!リール!」

リール「は、はい…分かりました…」

ジーヴル先生「さぁて全員終わったな。最後のリールさんのは驚いたがみんな色々な属性魔法を持ってて先生面白かったぞ」

男子「先生どうよ!俺の火属性魔法は!」

ジーヴル先生「はいはい。それはまた実技の授業で見せてくれ」

男子「分かった!俺の炎で先生を燃やしてやるぜ!」

ジーヴル先生「はっははは!できるもんならやってみな!」

 

すると、5度目のチャイムが鳴った。

今日は適性魔法を見る検査だけで授業はありませんでした。

授業は明日から。

頑張っていい魔女さんを目指そうと思います。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

レヴィ「流石あの魔女さんのお弟子さんですね」

ラーフ「学院長」

レヴィ「はい」

ラーフ「私も初めて拝見しましたが、あの魔法の威力は凄まじいものです。あれはこの学院を壊しかねな…」

レヴィ「ラーフ」

ラーフ「は、はい…」

レヴィ「大丈夫です。私がなんとかしますので」

ラーフ「…はい」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

魔法の適性検査が終わったリールはクラスの女の子たちに囲まれていた。

 

女子「凄いねリールちゃん!光属性魔法に適性があるなんて!」

女子「そうそう!」

女子「私初めて見た!光属性魔法!」

リール「は、はぁ…」

女子「リールちゃんってここに来る前ってどこの学校に通ってたの!?」

女子「あ、私もそれ気になってたの!」

リール「い、いえ…学校には通ってないです」

女子「え!?じゃあどうやって光属性魔法を!?」

リール「私のお師匠様に教わりました」

女子「お師匠様?名前はなんて言うの?」

リール「えーっと名前は…」

 

リールはここで疑問に思った。

 

リール (あれ…魔女さんの名前って…なんなんだろう…)

 

リールは今まで魔女さんの事を「魔女さん」としか呼ばなかった。

リールは今まで魔女さんの名前を一度たりとも聞いたことがなかった。

 

リール (メリーさんも魔女さんって呼んでた…魔女さんって…)

女子「リールちゃん?」

リール「へ?何ですか?」

女子「だからお師匠様の名前って何?」

リール「え、えーっと…」

スカーレット「あなたたち。もう授業は終わったわよ。早く帰りなさい」

女子「えー」

女子「もっとリールちゃんのお話聞きたいのに…」

スカーレット「なら明日聞きなさい。明日なら時間あるでしょ?」

女子「うーん…分かった…」

女子「じゃあリールちゃん!明日またお話聞かせてね!」

リール「あ、はい」

女子「それじゃあね!」

 

するとリールを囲んでいた女子たちが帰っていった。

 

リール「…ふぅ」

スカーレット「大人気ね。リールさん」

リール「えぇ…まぁ…」

スカーレット「まぁみんな光属性魔法に適性がある人を見慣れてないのよ。許してあげて」

リール「いや、まぁ…さっきの空間はその…悪くなかったなぁって思ってます…」

スカーレット「そう」

リール「あ、ねぇスカーレットさん」

スカーレット「…スカーレットでいいわよ。同じクラスなんだし」

リール「じゃあスカーレット。あなたは光属性魔法に適性がある人は見慣れてるの?」

スカーレット「見慣れてるって言うか一度見たことあるのよ。光属性魔法を使ってる人を」

リール「誰!?」

スカーレット「…分からないわ」

リール「え?」

スカーレット「顔は分からなかった。もちろん名前も。分かってるのはその人が光属性魔法を使ったことだけ。他のことは分からなかった」

リール「そうなんだ…」

スカーレット「でもその人のおかげで私は魔女を目指すようになった。あの時の私にとってその人はまさに光だったの。だから今度は私が誰かの光になろうって決めたの」

リール「いいね。その考え。ちなみにスカーレットの属性魔法は?」

スカーレット「私?私は雷よ」

リール「雷かぁ〜じゃあスカーレットはその雷で人を助けてあげてね」

スカーレット「えぇ!もちろんよ!あの人みたいになってみせるわ!」

リール「応援してるよ。スカーレット」

スカーレット「あなたもね!リールさん!」

リール「えぇ。任せて」

アンナ「あ、あのー…」

リール「?」

スカーレット「?」

 

声がした方を見るとアンナが机の角から顔を出していた。

 

スカーレット「あらアンナさん。どうしたんですか?」

アンナ「いえその…私もお二人のようになりたいな…って…」

スカーレット「なりましょう!」

アンナ「!」

スカーレット「私たち3人で力を合わせていい魔女になりましょう!」

アンナ「は、はい!」

スカーレット「リールさんも!」

リール「うん。分かったよ。任せて」

 

こうして適正魔法を知れたアンナとスカーレットはリールと3人でいい魔女を目指すよう誓ったのだった。




〜物語メモ〜


アンナの適性魔法
アンナの適性魔法は水属性魔法。
アンナの希望通りの属性魔法でアンナは喜んでいた。

スカーレットの適性魔法
スカーレットの適性魔法は雷属性魔法。
本人は光属性魔法を希望してたが、見事に外れてしまった。
一度は落ち込んだスカーレットだが、リールが光属性魔法を見せたことでリールにあの時の魔女さんと似ている部分を見つけ、雷属性魔法であの時助けてくれた魔女さんのようになろうと決めたのだった。

学院での適性検査
学院では火、水、風、雷、土、光、闇の順で検査する。
各属性魔法を使っていき、多少でも使えるなら次の属性魔法へと移る。
もし、より魔法として使えていたり、使えない魔法が出てきた場合、その属性魔法に対する属性魔法を使ってその人の属性魔法を特定する。
アンナの場合、水属性魔法を使うことが出来ていたため、水属性魔法に対する雷属性魔法を使わせた。
その結果、アンナは雷属性魔法を使えなかったため、アンナの適性魔法は水属性魔法となった。
スカーレットに関しては雷属性魔法を使うことが出来ていたため、雷属性魔法に対する土属性魔法を使わせた。
その結果、スカーレットは土属性魔法を使えなかったため、スカーレットの適性魔法は雷属性魔法となった。


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第11話 リールと箒

ここでちょっとお知らせです。

最近、リアルが忙しく、投稿頻度も落ちています。

リアルが落ち着けば戻ると思いますが、それまでは投稿頻度は少ないままになります。

頑張ったら週一くらいです。

はい。お知らせは以上です。






私の名前はリール。

エレナ学院に通っています。

昨日適性魔法を見てもらい、知ってましたが光属性魔法に適性がありました。

光属性魔法に適性がある人は少ないらしく、物珍しい目で見られました。

スカーレットは昔、光属性魔法を見たと言ってましたが、その魔法を使ったのが誰なのかが分からなかったそうです。

見つかるといいですね。

さて、今日は実技の前の講義だそうです。

先生が言うには魔法は危ないから事前学習が大事だそうです。

魔女さんに教わった私からすれば必要なのか分かりませんが、一応聞くことにします。

そういえば魔女さんは今頃何してるんだろ…

早く戻ってきて欲しいな…

もっと魔女さんと一緒にいたいな…

もっと魔法を教わりたいな…

もっと魔女さんのそばにいたいな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…教室

 

ジーヴル先生「と、言うわけで始めるぞー」

男子「えー…」

ジーヴル先生「なんだ?嫌なのか?なら実技はできないな」

男子「えー!」

ジーヴル先生「魔法を使いたいならちゃんと聞けよ?聞かないとほんとに魔法は使えないからな」

男子「ぶー」

ジーヴル先生「さ、始めるぞ。まずは魔法使い、魔女になる際に必要になるものだ。必要なものは主に2つ。杖と箒だ」

男子「きたぁ!」

男子「早くしてくれ先生!」

ジーヴル先生「分かった分かった。じゃあまず箒からだ。箒は移動手段に使われる。これに乗ることが出来ればもちろん歩かなくても移動できるから移動時間を短縮することができるぞ」

男子「おぉ!」

ジーヴル先生「種類は一種類だけだ。皆同じ箒を持つことになる」

男子「先生も同じ?」

ジーヴル先生「あぁ。先生もみんなの先輩もみんな同じ箒だ。だが、その人自身が使う魔法によって少し変わってくる。元は同じだが、魔法によって箒はどんなものにでも変えることができる」

男子「食べ物とか?」

ジーヴル先生「いや、物理的に変える訳じゃなくてだな…つまりはその箒の性質だ」

男子「性質?性格みたいなもの?」

ジーヴル先生「それで通じるならそれでいいよ。例えば雷属性魔法に適性がある人の箒は他の箒よりも速く飛行することが出来る。他にも水属性魔法に適性がある人の箒は水中でも水の抵抗を受けずに飛ぶことが出来る。本来箒は水に浸かれば機動性が大幅に下がるが、水属性魔法に適性がある人が乗ればその影響を受けなくなる。このように、持つ属性魔法によって性質が変わるのが箒の面白いところだ」

男子「先生ー!」

ジーヴル先生「ん?なんだ?」

男子「他の属性も全部教えてくれよー!」

ジーヴル先生「他の属性?性質のことか?」

男子「そうそう!」

ジーヴル先生「分かった。まずは火属性だ」

男子「いぇあ!」

ジーヴル先生「火属性魔法に適性がある人の箒は他の火から身を守ることができる。他の火と言うのは例えば火事とかだ。自分の持つ火以外の火は全て遮断される。そのため、火属性魔法に適性がある人の箒は燃やそうとしても意味が無いんだ。他の属性魔法の箒は燃えちゃうけど。他にも飛行時に火を使うことで速く飛ぶことが出来る」

男子「おぉ!」

ジーヴル先生「次は水属性魔法だ。さっき言ったから軽めに説明するぞ。水属性魔法に適性がある人の箒は水の抵抗を受けなくなる。その代わり、水の中を飛行しても空を飛行しても速度は変わらない。一定の速度でしか飛ぶことができないんだ。でも、他の箒とは違って本来水に浸かることで腐敗するものが腐敗しなくなる。長所があれば短所もある。箒とはそういうものだ」

男子「なるほどな」

ジーヴル先生「次は風属性魔法だ。風属性魔法に適性がある人の箒は風の抵抗を受けなくなる。そのため、嵐の中飛んでも全く影響を受けずに飛行ができる。おまけに風を操ることで飛行速度を上げることができる。ただ、一つ難点なのが、風属性魔法に適性がある人の箒は飛行中、全く風の影響を受けないが、それは自分の周りに風の層を作ることで無理やり風を押しのけているからなんだ。これは自分以外のものに影響する。例えば木に向かって飛行した時、その人が木に接触する前に風の層が木に接触するため、その風の層が木を跳ね除けてしまい、木は倒れてしまう。これが人間相手なら、その人は切り傷を負うことになる」

男子「ひぇー…」

ジーヴル先生「まぁ、人との距離を置いて飛行すれば何も問題は無いんだけどね」

男子「おぉ…」

ジーヴル先生「さ、次は雷属性魔法だ。雷属性魔法もさっき言ったから軽めに説明するぞ。雷属性魔法に適性がある人の箒は雷を纏うことができ、それによって飛行速度を格段に上げることができる。これはどの属性魔法よりも速く、短い距離ならすぐに目的地につけるだろう。ただし、例外はあるがな。他にも飛行中に周囲から電気を集めることで、半永久的に飛行が可能だ」

男子「おぉ!」

ジーヴル先生「ただし、雷属性魔法にも難点がある。それは、その箒自体に雷や電気が纏う形になってるから飛行後も電気を纏ってて触るとピリッと静電気が発生した時みたいな感覚が起こる。雷属性魔法に適性がある人が触れれば問題ないが、他の属性魔法に適性がある人が触れるとそうなってしまう。しかも飛行中に纏った電気の量が多いと飛行後に纏う電気の量も多くなって下手したら触った人が感電死する可能性がある」

男子「ひえぇ…」

ジーヴル先生「だから雷属性魔法に適性がある人の箒には絶縁体のものが巻かれていることが多いんだ」

男子「先生〜」

ジーヴル先生「ん?」

男子「俺の知り合いに雷属性魔法に適性がある人がいるんですが、その人の箒に黒い何かが巻かれてたんですが、それが絶縁体のものですか?」

ジーヴル先生「そう。正解。色はあとで選べるけど、その子はきっと黒を選んだんだろうね」

男子「なるほど。ありがとうございます」

ジーヴル先生「はいよ。じゃあ最後に土属性魔法だ。土属性魔法に適性がある人の箒は地中を走っている地脈を感じ取ることができる。これを感じることで目的地までの道のりを示してくれたり、不祥事にはその地脈が自分を助けてくれる。まさに大地と一心同体みたいな感じだな」

男子「他の能力ってないんですか?」

ジーヴル先生「土属性魔法は5つの属性魔法の中でもシンプルさに特化した属性魔法だからね。その効果もシンプルなものが多い。故にごちゃごちゃとした効果がある訳でもなく、箒にもそれが表れる。効果は一つだけ。地脈を感じることができる。これだけだ。ただし、その地脈をどうするのかは本人次第。シンプル故に汎用性が1番高いのが特徴だな」

男子「どんなことができるんですか?」

ジーヴル先生「んー先生の知り合いにも土属性魔法に適性がある人がいて、その人は地脈を纏うことで防御力などのステータスを上昇させてたな。地脈は土属性魔法に適性がある人にしか見えないし反応もしない。故に土属性魔法に適性がある人だけが地脈を操ることができる。その地脈をどうするかは本人次第。纏えば地脈の効果でステータスの上昇が確認される。他にも大地を操ったり下手したら地震も起こせるよ」

男子「えぇ!?地震!?」

ジーヴル先生「そう。地震。地脈を操るんだから当然だよ」

男子「土属性魔法ってすげぇな…」

男子「確かに…大地全てを味方につけてる感じだよね…」

男子「そうそう…」

ジーヴル先生「ま、その代わり、飛行速度は他の属性魔法よりも遅くなるんだけどね。大地を操るが故に飛行に関しては一歩劣る。ここが土属性魔法の面白いところだな」

男子「良かった。ここで飛行速度も他の属性と同じならほんとにチートだったかもな」

男子「確かに。地震起こせるし飛べるしで…」

ジーヴル先生「さて、これまで各属性の箒について話したけど、これは先生が今まで会ってきた人たちがそうしていたってだけで、自分の箒をどうするかは君たち次第だよ。自分に合った世界に一つだけの箒を君たちで作り上げてくれ」

男子「っしゃあ!」

ジーヴル先生「さて、次に杖についてなんだが…」

 

キーンコーンカーンコーン

ここで、授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。

 

ジーヴル先生「おっと…じゃあ一旦ここで終わろうかな。次は杖について話すからな」

生徒「はーい!」

ジーヴル先生「じゃあ各自休憩を取ってくれ」

 

トコトコトコ

スーッ…スーッ…

ジーヴル先生は部屋を出た。

 

アンナ「ねぇリール」

リール「ん?」

アンナ「リールって確か、光属性魔法だったよね?」

リール「え、はい。そうですよ」

アンナ「さっき先生が土属性魔法のところで最後って言ってたけど光属性魔法に適性がある人の箒ってどんなものなのかな」

リール「あぁそういうことですか。光属性魔法に適性がある人の箒って雷属性魔法に適性がある人よりも速い速度で飛ぶことができるんですよ」

アンナ「へぇ!」

リール「それに、耐久性にも優れていて中々壊れないそうですよ」

アンナ「へぇ!なんで知ってるの?」

リール「え、なんでって…そりゃあ私、自分の箒持ってるので…」

アンナ「え!?リールって自分の箒持ってるの!?」

リール「え、はい。え?みんなは持ってないんですか?」

アンナ「持ってないよ?箒もこの学年から持つことになるんだよ」

リール「へぇ…」

リール (意外。箒すら持ってないなんて…魔女さんのところで魔法を教わってた時は結構早めに箒に乗る練習してたんだけどなぁ…)

アンナ「もしかしてリールって杖も持ってたりするの?」

リール「はい。ありますよ」

 

ガサゴソ…

リールは服の下に刺してある杖を取り出した。

 

リール「はい。これです」

 

コトッ

リールは自分の杖を机に置いた。

 

アンナ「へぇ!これが杖なんだ!見てもいい?」

リール「はい。どうぞ」

 

アンナはリールの杖を手に取ってじっくり見た。

 

アンナ「綺麗な形…」

リール「これは魔女さ…私のお師匠様が私にくれた杖なんです。魔法の制御に必須なものだそうですよ」

アンナ「へぇ!」

リール「ちなみに箒も今ここにありますが見ますか?」

アンナ「見たい!」

リール「分かりました」

 

スッ…

リールは席を立ち、アンナの前に出た。

 

リール「見ててくださいね」

 

そう言ってリールは手を前に出した。

 

リール「…」

 

シュゥゥゥゥゥ…ポンッ!

リールは周囲のマナを集め、箒を出現させた。

 

アンナ「おぉ!」

リール「とまぁ、こんな感じですね」

アンナ「すごい!リールって箒も出せるんだ!」

リール「はい。普段は邪魔になったりするのでマナを使って保管してるんです」

アンナ「へぇ!私にも後で教えて!」

リール「いいですよ」

アンナ「やったぁ!」

リール「ふふっ」

スカーレット「あら、これは誰の箒なの?」

アンナ「あ、スカーレットさん」

スカーレット「スカーレットでいいわよ?」

アンナ「じゃ、じゃあ…スカーレット…」

スカーレット「…なんかむず痒いわね…」

アンナ「ま、まだ慣れてないから…」

スカーレット「そ、そうね…。ところで、何してるの?」

アンナ「あ!リールが杖を持ってるって言うから見せてもらってたの!あと箒も!」

スカーレット「杖と箒?」

アンナ「ほら!これがリールの杖だよ!」

スカーレット「触ってもいいの?」

リール「いいですよ」

スカーレット「…」

 

スカーレットは恐る恐るリールの杖を手に取った。

 

スカーレット「あ、意外…杖って触っても何も起こらないんだ…」

リール「なんで?」

スカーレット「さっき先生が雷属性魔法に適性がある人の箒は触ると危険だって言ってたでしょ?だから杖もそうなんじゃないかって思って…」

リール「大丈夫ですよ。それに私、光属性魔法に適性があるから」

スカーレット「あ、そうだったわね。…それにしても」

 

スカーレットはリールの杖を見た。

 

スカーレット「綺麗ね…杖ってこんなに形が整ってるのね」

リール「らしいよ」

スカーレット「…これはここに来る前に買ったの?」

リール「ううん。これはお師匠様が私にくれた杖なんです。なのでどこで買ったのか、そもそも売ってたものなのか分からないんです」

スカーレット「凄いね。リールのお師匠さんって…こんな綺麗な形の杖があるなんて…」

リール「?」

リール「みんな同じような杖じゃないんですか?」

スカーレット「持つ属性と人によって形は千差万別。私も本で見たことあるわ。でも…この形の杖は初めて。見たことない…」

リール「そうなんですか?」

スカーレット「えぇ…私はこの世界にある全ての杖を記した本を持ってるの。そこには杖の形と使用者の名前が刻まれていて私はいつもそれを読んでた。だから分かるわ。この杖は初めて見る形の杖だって…」

リール「ほぉ…」

アンナ「リールって凄いね…光属性魔法に適性があって初めて見る杖を持ってておまけに箒も持ってるなんて…」

スカーレット「あ、そうよ。箒も見せてもらえないかしら?」

リール「えぇ。構いませんよ」

 

スタスタスタ

スカーレットは箒をじっくり見た。

 

スカーレット「この箒もすごい…全てが均一になってる…」

リール「均一?どういう事?」

スカーレット「杖と箒って人の手で作られるの。だからその杖や箒の形状が多少ズレてたりするの。でもそれはじっくり見ないと分からないし分かるくらいにズレていたら作り直すの。でもこの箒は凄いわ…真っ直ぐに伸びてるし損傷もない…おまけに乗りやすく設計されてる…」

アンナ「スカーレット…は箒にも詳しいの?」

スカーレット「えぇ…私のお父さんが箒を作る仕事をしてるの。だからある程度分かるわ。それに、箒に関する本も持ってるし」

アンナ「す、すごい…」

スカーレット「この箒ほんとすごいわね。何一つズレていない。新品同様の箒…ねぇリール。この箒っていつから使ってるの?」

リール「えっと…お師匠様から貰った時からだから…1年と半年くらい…かな」

スカーレット「1年半使ってて全く衰えが感じられないなんて…こんなことあるのね…」

リール「どういうこと?」

スカーレット「箒って定期的に検査しないとダメなの。壊れてたりするところがあるかもしれないからね。壊れていたら直して壊れてなければそのまま使う。そうすることで安全に飛行ができるの。見たところ定期検査も受けてないみたいね?」

リール「え、うん。初めて聞いた…」

スカーレット「1年半も使ってて定期検査も受けてないのにこの綺麗さ…ほんとに凄いわねこの箒…」

リール「て、照れますね…」

スカーレット「リールのお師匠さんってどんな人?」

リール「え、うーん…実はよく分からないんです」

スカーレット「え?よく分からない?」

リール「はい」

スカーレット「ずっと一緒にいても?」

リール「はい。分かってるのはお師匠様は全属性の魔法を使うことくらいで…」

スカーレット「全属性!?」

アンナ「え!?リールのお師匠様って全属性の魔法を使えるの!?」

リール「…?」

 

リールは2人が驚いた表情を浮かべてるのを見て疑問に思った。

 

リール「え、どうしたの?」

スカーレット「どうしたのって…聞いてリール…普通は全属性の魔法を使うことってできないのよ?」

リール「え?そうなの?」

スカーレット「えぇ。使えるのは適性がある属性魔法のみ。ましてや全属性なんて…」

アンナ「私も初めて…全属性の魔法を使える人がいるなんて…」

リール (おかしいですね…魔女さんは使えるのに…)

スカーレット「リール…あなた…」

リール「?」

スカーレット「一体何者?箒が全く劣化してないしおまけに均一に作られている…全くズレもない…それにこの杖も…全てが均一に作られている…形も初めて見た…」

リール「何者って言われても…」

スカーレット「これ…お父さんが見たら驚くわ。こっちの杖も叔父さんに見せたら驚くと思う…」

アンナ「叔父さんって?」

スカーレット「あ、私のお父さんの弟さんが杖を作る仕事をしてるの。時々仕事を見に行くことがあるの」

アンナ「スカーレットも十分すごい気が…」

 

キーンコーンカーンコーン

3人で話しているとチャイムが鳴った。

 

アンナ「あ、チャイムが鳴ったね。授業が始まっちゃう」

スカーレット「あ、そ、そうね。ね、リール」

リール「はい」

スカーレット「今日授業が終わったら家に来て!お父さんに見てもらいたい!」

リール「え、ま、まぁ…いいですけど…」

スカーレット「やった…あと色々話も聞かせて!リールのお師匠さんの事も!」

リール「え、えぇ…ってあれ?ここに通ってる間って家に帰れるの?」

スカーレット「え、うん。帰れるよ?」

リール「じゃあなんでみんな寮で生活してるの?」

スカーレット「あーそれは家から通うと時間がかかるからよ。この学校って結界で守られてるから簡単には入れないの。だから一度ここを出ると次に入ってくる時少し厄介になるの。でも、大丈夫。魔法陣を使えばすぐ家に着くし簡単に学校に入ることもできるわ」

リール「そうなんだ」

ジーヴル先生「よぉしみんな席につけ〜授業始めるぞ〜」

スカーレット「こ、この事は内緒にしておいて。アンナもいい?」

アンナ「分かった」

スカーレット「それじゃあまたあとでね」

 

スタスタスタ

スカーレットは自分の席に戻った。

 

リールも自分の杖と箒を戻し、席に着いた。




〜物語メモ〜



箒は一種類しかないが、その人の持つ属性魔法や性格で箒は色々変化する。
主な変化は各属性に準じたものでその属性魔法の利点を採用している。
火属性魔法なら火に強くなり、水属性魔法なら水に強くなる。
このように箒によって様々な形に変わる。
形と言っても変わるのはその箒の性質のみ。


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第12話 リールとスカーレットの父と叔父さん

私の名前はリール。

エレナ学院に通っています。

前回は私の持つ杖と箒を友達のアンナとスカーレットに見せました。

2人ともこの箒と杖を褒めていました。

私からすると普通の物だと思ったんですが、2人から見れば違うそうです。

今日は学校が終わったら3人でスカーレットのお父さんのところに行くつもりです。

スカーレットが私の箒と杖をお父さんに見せたいそうです。

そして、スカーレットの家に行った私はある写真を目にします。

見慣れた人物の写真。

私は写真に写るその人についてスカーレットのお父さんに聞こうと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジーヴル先生「さて、次は杖についてだ。これは魔法使いや魔女になる上で1番必要になるものだ」

 

ジーヴル先生は懐から自分の杖を出した。

 

ジーヴル先生「これが先生の杖だ」

男子「おぉ!」

ジーヴル先生「今までみんなはまともに魔法を使ったことないだろう?使ったとしても手でやったと思う。でも、これからは自分の杖を持って魔法を使っていきましょう」

男子「先生。杖って貰えるんですか?」

ジーヴル先生「あーそれに関しては自分で買ったんじゃないか?2学年になる前に」

男子「あ、あの予約してたやつ?」

ジーヴル先生「あーそうそう」

男子「あれっていつ届くんですか?」

ジーヴル先生「それは分からないな。でも届き次第こちらに運ばれるそうだ」

男子「早く魔法使いてぇー」

男子「だよな!」

ジーヴル先生「あ、それに関してひとつ話があるぞ」

男子「?」

ジーヴル先生「この学校では、実技以外の魔法の使用は禁止されているからな」

男子「え!?」

女子「え!?」

男子「なんでですか!」

女子「折角魔法が使えると思ってたのに…」

ジーヴル先生「一応理由はある。みんなはこの学校に結界が展開されているのは知ってるだろ?」

男子「あーあの綺麗なやつね」

ジーヴル先生「あぁ。だが、あれは最近まで無かったものなんだ」

女子「無かったもの?」

ジーヴル先生「そうだ。この学校の学校長さんが最近結界を展開されてな。何故かは仰らなかったが解決するまで続くそうだ。それに伴って普段は魔法が使えていたが、今では禁止となった」

女子「魔法を使うと何かあるんですか?」

ジーヴル先生「分からない。だが、あの方がお決めになったことだからな。みんなも注意してくれ。この学校にいる間…いや、この結界が解除されるまでは学校内で魔法を使わないでくれ。実技の時は使っても構わないからな」

生徒「はーい」

リール (…恐らく魔女さんが言ってたこと…()()()()()()()…その人に気づかれないようにする為なんだ…)

ジーヴル先生「さて、杖について続きを話すぞ。杖っていうのはな…」

 

その後、授業はいつも通り進行した。

リールは結界を展開している理由についてずっと引っかかっていた。

そして、魔女さんとその蘇った人がどういう関係なのかを今日ずっと考えていた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

スカーレット「リール…リール!ねぇ!リール!」

リール「!」

 

私はスカーレットに名前を呼ばれていることに気づいた。

 

リール「え…なんですか…」

スカーレット「何って…もう授業は終わったわよ?」

リール「え、授業って…」

 

私は周りを見渡した。

この教室にいたのは私とスカーレットとアンナの3人だけだった。

 

リール「あれ、みんなは?」

スカーレット「みんなはとっくに帰ったわよ。どうしたのよ。何回も呼んだのに全然返事しないなんて」

リール「…」

アンナ「リール?」

リール「へ…」

アンナ「大丈夫?」

リール「え、うん」

スカーレット「じゃあこの後どうする?」

リール「え、この後って?」

スカーレット「何言ってるのよ。私の家に行くって言ってたじゃない」

リール「あ、あの話…」

スカーレット「あなた…ほんとに大丈夫?」

リール「え、はい」

アンナ「疲れたの?」

リール「え、ううん。なんでもないよ」

スカーレット「明日は休みだから今日私の家に泊まっていきなさい。お父さんには私から言っておくから」

リール「え、大丈夫なの?」

スカーレット「えぇ。大丈夫よ」

アンナ「色々と準備しないと」

スカーレット「そうね。準備が出来たら私の部屋に来て。その時に家に行きましょう」

リール「わ、分かった」

スカーレット「じゃ、なるべく早くね」

 

スタスタスタ

スカーレットはそのまま教室を出た。

 

アンナ「リール…大丈夫?」

リール「え、うん。大丈夫だよ。さ、私たちも準備しないと」

アンナ「そうだね!じゃあ行こ!」

 

そして私とアンナは部屋に戻って泊まる準備をした。

幸い明日は休みだそうでじっくり休息を取ろうと思いました。

そして、準備を終えた私とアンナはスカーレットの部屋に来ていた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…スカーレットの部屋

 

コンコン

私は部屋のドアをノックする。

 

スカーレット「いいわよ。入って」

 

そう言われたので私たちは部屋に入っていった。

 

スカーレット「良かったわ。帰る準備は出来てるわよ」

リール「結構綺麗ですね」

スカーレット「当たり前じゃない!」

 

スカーレットは褒められて嬉しかったのか、笑顔になった。

でも実際に部屋はきれかった。

 

スカーレット「さ、ここよ」

 

私たちはその部屋のさらに奥に入っていった。

 

リール「おぉ…」

アンナ「!」

 

そこには緑色の魔法陣が展開されていた。

 

スカーレット「これが転移魔法。通称テレポーテーションね」

アンナ「初めて見た…」

リール (魔女さんのと少し違う…)

スカーレット「リール?」

リール「ねぇスカーレット」

スカーレット「何?」

リール「これって何故緑色なんですか?」

スカーレット「え、何故?」

リール「はい。私も同じものを少し前に見ました。でも、それとこれは少し違って見えます。色も当然違いますしこの魔法陣に書かれている文字も…」

アンナ「?」

スカーレット「何故って言われても…これが基本よ?」

リール「え?」

スカーレット「これが本来使われる転移魔法よ。色もこれ。書かれている文字もこれよ」

リール「そうなの?」

スカーレット「そうよ」

アンナ「うん…私も教科書で見たよ。これが基本の転移魔法だって書いてあったよ」

リール (…?)

 

私はここでまたひとつ違いを見た。

魔女さんの使う魔法とみんなが使う魔法…

そしてさらに魔女さんへの疑問が増えた。

 

スカーレット「さ、そんなことより行きましょ。ここに立って」

 

私はスカーレットに言われた通りに立った。

 

スカーレット「さ、行くわよ」

 

コンコン

スカーレットは足のつま先を使ってコンコンと音を立てた。

 

シュゥゥゥゥゥ…

 

リール「!」

アンナ「!」

 

すると、私たちの周囲に緑色の小さな光が漂い、私たちに付着した。

 

リール「?」

 

するとその瞬間、場所が変わった。

さっきまでスカーレットの部屋にいたはずなのに一瞬で辺りの風景が変わった。

周囲には木造の壁。

目の前にはドアがある。

 

スカーレット「さ、ここは地下室だから上に行くわよ」

 

私とアンナはスカーレットに案内されて地下室から出た。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…スカーレット家の廊下

 

アンナ「わ…すごい…」

 

地下室から出た私たちはスカーレットの家が結構お金持ちだとこの時悟った。

 

リール「す、すごいね…スカーレット」

スカーレット「そう?」

リール「うん…廊下がこんなに広いなんて…」

スカーレット「私はこれが普通だと思ってたわよ。あなたもそうでしょ?」

リール「?」

スカーレット「魔法。私たちからすればあなたはすごいけど、あなたからすれば普通だと思ってたんじゃない?」

リール「あ、確かに」

スカーレット「それと同じよ」

リール「…なるほど」

スカーレット「さ、お父さんの部屋はこっちよ。ついてきて」

リール「うん」

スカーレット「あ、その前に…」

リール「?」

 

スカーレットは立ち止まって手を叩いた。

スッ!

 

リール「!?」

アンナ「!?」

 

すると、上から人が降ってきた。

 

???「…お呼びでしょうか」

スカーレット「私とこの2人の荷物を私の部屋に運んでもらってもいいかしら。ちょっとお父さんにお話があるの」

???「…かしこまりました」

 

スッ!スッ!

 

リール「!」

アンナ「!」

 

さらに上から2人降りてきた。

 

???「…それではお荷物を」

リール「あ、はい」

アンナ「よろしくお願いします」

???「…それではお気をつけて」

 

スッ…

するとその3人は姿を消した。

 

リール「スカーレット…さっきの人は?」

スカーレット「私の付き人。まぁボディガードみたいなものよ」

リール「女性がボディガード?」

スカーレット「あら、女性のボディガードって珍しくないわよ?」

リール「へ、へぇ…」

スカーレット「さ、行きましょう。お父さんにあなたとアンナの事を紹介したいの!」

 

スタスタスタ

そして私とアンナとスカーレットはスカーレットのお父さんがいる部屋に向かったのだった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…スカーレット父の部屋

 

コンコン

スカーレットはノックする。

 

???「はい」

スカーレット「お父さん。私よ」

???「スカーレットかい?入っていいよ」

 

ガチャ…

スカーレットはドアを開けて入った。

 

???「やぁスカーレット」

スカーレット「ただいま」

???「今日はどうしたんだい?」

スカーレット「今日は私の友達を…って叔父さん!?」

???「やぁスカーレットちゃん。久しぶりだね」

スカーレット「ちょうど良かった!叔父さんにも見てもらいたいの!」

???「見てもらいたい?」

スカーレット「リール!アンナ!入って!」

 

私たちはスカーレットに呼ばれたので部屋に入った。

 

リール「お、お邪魔します…」

アンナ「お邪魔します」

???「やぁ。君たちは?」

リール「私はリールと言います」

アンナ「わ、私はア、アンナと言います」

スカーレット「私の友達なの!」

???「そうかいそうかい。じゃあ私たちも自己紹介を」

 

ガタッ

スカーレットの父と叔父さんは立ち上がった。

 

ジン「私はジン。スカーレットの父です。この国でみなさんが使う箒を作っています」

リール「あ、よろしくお願いします」

アンナ「よろしくお願いします」

ジン「そしてこっちが私の弟の…」

マーク「マークと言います。私は杖を作っています」

スカーレット「今日はお父さんと叔父さんにある物を見てもらいたいの!」

ジン「ある物ってなんだい?」

スカーレット「リール!箒を出して!」

リール「あ、うん」

 

シュゥゥゥゥゥ…ポンッ!

リールは箒を出した。

 

ジン「箒だね」

スカーレット「そう!この箒すごいの!お父さん見て!叔父さんも!」

 

ジンとマークはリールのところに行った。

 

ジン「…見てもいいかい?」

リール「あ、はい。いいですよ」

 

ジンはリールから箒を受け取った。

 

ジン「…」

 

ジンはあらゆる方向から箒を見た。

 

ジン「…綺麗だ」

スカーレット「でしょ!すごい綺麗でしょ!」

ジン「あぁ。これはすごい。真っ直ぐに伸びている。おまけに損傷がない。魔力も通っているし魔力の漏洩も無い。これは私でも作るのが難しいね」

スカーレット「やっぱりすごいよね!」

ジン「あぁ。恐らくこの先もこんな綺麗な箒を見ることは無いだろう…えっとリールさん…でしたっけ」

リール「はい」

ジン「ここまで綺麗に作られた箒はこの箒を除いてこの世界にはひとつとして存在しない。記念に写真を撮ってもいいかな?」

リール「あ、はい。構いませんよ」

ジン「ありがとうございます」

 

するとジンは引き出しからカメラを取りだし、箒を色んな方向から撮った。

 

スカーレット「あ、そうだ!今度は叔父さん!」

マーク「え、なんだい?」

スカーレット「リール!次は杖を!」

リール「あ、分かりました」

 

スッ…

リールは杖を取り出した。

 

リール「はい」

マーク「おぉ…」

スカーレット「この杖もすごいの!叔父さんに貰ったあの本に書かれてなかった杖なの!私も初めて見た!」

マーク「…ちょっと見せてもらってもいいかい?」

リール「はい」

 

マークはリールから杖を受け取った。

 

マーク「!」

 

マークはリールの杖に触れた瞬間、何かを感じた。

 

マーク「この杖…凄まじい魔力を持っている」

スカーレット「魔力?」

マーク「そう。杖って本来は魔力を持たないんだ。持ち主の魔力を外界に放出するのが杖の役目だからね。でもこの杖は違う…触ってすぐ分かった。この杖は魔力を所持している…それもとてつもない魔力を…」

スカーレット「そうなの?」

マーク「あぁ。これはすごい。さっきの箒にも驚いたけどこの杖もすごい…ここまで綺麗に魔力を所持して尚この形を保っているなんて…」

スカーレット「え、どういう事なの?」

マーク「杖は魔力を所持できないんだ。所持するとちょっとの弾みで杖が壊れるからね。でもこの杖はここまで凄まじい魔力を持ってても壊れてない。ヒビも見られない。そしてこの均一な形…シンプルな形だがそれがこの杖が壊れない理由なのかもしれない」

リール「…?」

アンナ「…?」

マーク「あ、や、すまないね。杖を作ってるとこういう時色々言葉が出ちゃうんだ」

リール「あ、いえ、大丈夫ですよ」

マーク「リールさん。ひとつ聞きたいことがあります」

リール「はい。なんですか?」

マーク「…この杖はどこで誰が作ったものですか?」

リール「え」

マーク「私を含め、杖を作ってる人はこのような杖を見るのは初めてだと思います。実際、このような杖は存在しませんから。なので、私の知らない杖職人の方がいるのであれば、私はその人に作り方を学びたいと…そう思います」

リール「え…っと…」

ジン「私も同じだよ」

リール「!」

ジン「このような箒は全然見ない。私もこの箒を作った人を知りたい。そして、その作り方を学びたい」

リール「え…っと…その…」

ジン「?」

マーク「?」

リール「実はそれ…ある人から貰ったものなんです…」

ジン「あ、そうなんですか」

マーク「ということはその人に聞けば分かるのでは」

スカーレット「その杖と箒はリールのお師匠さんがリールに渡したそうなの」

ジン「お師匠さん?」

マーク「魔法のかい?」

スカーレット「そう。リールってすごいの!私たちは学校で勉強してるけどリールは今まで学校に行かずにエレナ学院に転入してきたの!しかも魔法の事を知っていてリールの適性魔法もすごかったの!」

マーク「適性魔法…」

ジン「差し支えなければ教えて貰えませんか?」

リール「えっと…光属性魔法…です」

ジン「!?」

マーク「!?」

 

2人は驚いていた。

 

スカーレット「ね!すごいでしょ!」

ジン「これは驚いた…」

マーク「あぁ…この世界に光属性魔法に適性がある人がまだ存在していたなんて…」

リール「え、それってどういう…」

マーク「ジン。確か君の部屋に…あ、あれだよ」

ジン「?」

 

マークはある物を指さした。

 

ジン「あ、あれね」

 

ジンはそれを取りに行った。

 

ジン「はい。リールさん」

 

リールはそれを受け取った。

 

リール「これは…写真?」

ジン「そうです。私とマークとその仲間の集合写真です」

リール「何故これを?」

ジン「その写真の真ん中からひとつ左にいる女の人…分かるかな?」

リール「はい。分かります」

ジン「その人がこの世界で最後の光属性魔法の適性を持つ人だったんだ」

リール「!」

マーク「懐かしいな」

ジン「あぁ」

リール「え…光属性魔法って存在しなかったんですか?」

ジン「あぁ。君が光属性魔法の適性を持つまではね」

リール (え…でも魔女さんは全属性って…)

マーク「その人はね、光属性魔法とは相反する人柄の持ち主でね。いつも一人でいようとしてたんだ。その集合写真も無理を言って一緒に写ってもらったんだ」

ジン「でもその人はある時にはみんなを守るように立ち回った」

リール「ある時?」

ジン「はい。今は存在してないけど、私たちが学生だった頃にこの世界に突然ドレインと呼ばれる魔物が出現した」

リール「ドレイン…」

ジン「ドレインは人の命を吸い取り我がものとする魔物でね。私たちは己が命を吸い取られないようにするために魔法を行使しました。ですが、日が経つにつれてドレインは数を増やし、我々は数を減らしていった」

リール「…」

ジン「それが何日も続き、私たちは全滅寸前まで追い込まれた。数多くの同胞を失い、数多くの人の命が奪われた。生き残ったのはその写真に写っている12人だけ。それ以外の私たちの同胞は全員亡くなった。亡骸も残さずにね」

リール「全世界の人たちが亡くなったんですか?」

ジン「他の国は分からない。でも、この国で生き残ったのはこの12人だけ。あとは壊れた建物や何かが燃えた匂いだけが残った」

リール「そう…ですか…」

マーク「…なぜ私たちの同胞が亡くなったのか。それはそのドレインの性質に問題があったからなんだ」

リール「問題?」

マーク「ドレインに有効な手段はひとつだけ。何か分かるかい?」

リール「…分かりません」

マーク「…光属性魔法なんだ」

リール「!」

マーク「真ん中のひとつ左にいるその人は光属性魔法を使うことができた。だから生き残ることができた。私たちはその人に守ってもらったから生き残った。守ってもらえなかった人たちは無惨に散っていった」

ジン「まぁ一人で国中の人間を守れというのは難しい話なんだ。それに、光属性魔法を使えたのは当時その人だけだった」

リール「!」

ジン「だからいくら国中の人を守っても誰もドレインに対して有効な手段が無いから守っても意味が無い。ただドレインの攻撃を受けるだけだといつまで経っても終わらないと考えた。そこでその人は守る人を限局して自分が前線で戦うことを決断した。その結果、そこに写っている12人を残して他の人たちを失うことになった」

マーク「…」

リール「そう…ですか…」

ジン「だから君をあの時のあの人と重ねてしまった。でもこれだけは言える。君は…あの時のあの人そっくりだ」

リール「そうなんですか?」

ジン「あぁ」

マーク「その目元や声、あとはその目の色。あの人と全く同じだ」

ジン「…君ならいい魔女さんになれると思うよ」

マーク「私もそう思います」

リール「ありがとうございます」

ジン「スカーレット。この人たちは今日ここに泊まるんだよね?」

スカーレット「え、うん。そうだよ」

ジン「リールさん」

リール「はい」

リール「あなたにもうひとつだけお話があります。マークともこの話はしています。なので次はリールさんと2人だけでお話したいのです。夕食を終え、お風呂に入ったらまたここに来てください。そのお話と当時その人が持っていた()()()をお渡しします。これから先、きっとあなたのお力になりますよ」

リール「はい。分かりました」

ジン「さ、みんな今日はスカーレットのお部屋で睡眠をとってくださいね。ベッドに関しては3人で川の字で寝られるほどに大きなベッドをご用意していますので」

スカーレット「ありがとうお父さん」

リール「ありがとうございます」

アンナ「ありがとうございます」

ジン「さ、リールさん。箒、ありがとうございました」

マーク「あ、私も杖、ありがとうございました」

リール「はい。お役に立てたなら光栄です」

ジン「さ、恐らく荷物は部屋にあるのでみなさんは自由に過ごしてくださいね」

スカーレット「分かったわ」

アンナ「はい」

 

そして3人はジンの部屋を出ようとした。

だが、リールだけ動かなかった。

 

ジン「リールさん?」

リール「あの…」

ジン「?」

リール「今晩、私からもお話があります。これは、マークさんにも聞いて欲しいお話です」

マーク「私にもかい?」

リール「はい。私をここまで育ててくれたお師匠様…いえ、魔女さんのお話です」

マーク「分かりました」

ジン「是非ともお聞かせください。ですが、今は休息をとってください。お話はその後で」

リール「はい」

 

そしてスカーレット、アンナ、リールはジンの部屋を出た。

 

ジン「…世は巡り…か」

マーク「あぁ。こんな事もあるもんだね」

ジン「久しく会った気分になったよ」

マーク「奇遇だね。俺もだよ」

ジン「…あの人は今頃、何をしているのだろうか」

マーク「…昔と変わらず、元気でいるだろうか」

ジン「この願いが叶うなら…」

マーク「…また会ってみたいものだ」

ジン (リノ…)

マーク (リノ…)




〜物語メモ〜


ジン (スカーレットの父)
ジンは箒を作る仕事をしている。
彼の作る箒は性能が良く、親しまれている。
今は一人娘にスカーレットがいて、奥さんもいる。
かつて存在した最後の光属性魔法の適正を持つ人と接点を持っている。



マーク (スカーレットの父の弟)
マークは杖を作る仕事をしている。
杖の事なら彼に聞けば大抵解決する。
一応彼にも家内や子供はいる。
そして、ジンと同じく最後の光属性魔法の適正を持つ人と接点があった。


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第13話 リールと刻運命の粉

私の名前はリール。

今スカーレットの家にお邪魔しています。

スカーレットのお父さんや叔父さんに箒と杖を見せるとお二人はすごい褒めてくれました。

そして何やらスカーレットのお父さんからお話があるそうです。

私も魔女さんの事でお話したいことがあるのでマークさんにもお話を聞いてもらおうと思っています。

そして、今日は初めてのお泊まりなので少し楽しみです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私とスカーレットとアンナはスカーレットの部屋にいます。

スカーレットの部屋はとても広く、ベッドもとても広いです。

スカーレットのお父さんが言うには3人で川の字で寝られるほどだそうです。

お金持ちってすごいなぁ…

 

スカーレット「さ、荷物はここに置いて今は…6時ね。ということはもうそろそろ夕食ね」

アンナ「す、すごいね…リール」

リール「だ、だね…」

スカーレット「どうしたのよ2人とも」

アンナ「いや、あの…こんな広いお部屋…まだ慣れてなくて…」

スカーレット「じゃあ私の部屋で慣れるといいわ。怖かったら一緒に寝てあげるから」

アンナ「よ、よろしくお願いします…」

 

そうして話していると…

 

???「お嬢様」

リール「!?」

 

リールの真横に荷物を持っていった人が現れた。

 

スカーレット「何?」

???「お食事の用意ができたそうですよ」

スカーレット「そう。分かったわ。ありがとう」

???「…では」

 

シュッ…

その人は一瞬にして姿を消した。

 

リール「はぁ…びっくりしたぁ…」

スカーレット「仕方ないわ。私も最初は慣れなかったわ。でもやっぱ慣れてくるものね」

アンナ「さっきの人ってボディガードって言ってたけど…」

スカーレット「まぁ私の監視役ってところよ。何かあったらすぐに駆けつけてくれる頼りになる人たちよ」

アンナ (す、すごいなぁ…スカーレットは…)

スカーレット「さ、行きましょ!案内するわ!」

 

私とスカーレットとアンナはリビングに向かった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…リビング

 

スカーレット「ここでいつも食べてるの。席は3人並んで食べるわね」

リール「こ、ここも広い…」

アンナ「すごいねリール」

リール「えぇ…そうですね…」

???「さ、御三方の席はこちらに」

 

するとまたしても現れた。

相変わらず神出鬼没だなと思いました。

私たちが席に着くと色んな人がこの部屋に入ってきた。

どうやら一緒に食べるらしいです。

なので量もすごいです。

食べられるかなぁ…

 

???「それではどうぞ」

全員「頂きます」

 

みんなが目の前の料理を食べ始めた。

なので私も頂くことにしました。

 

リール「あ、美味しい…」

スカーレット「でしょ?」

アンナ「ほんと…初めて食べた」

スカーレット「ここのシェフは腕がいいからね。信用してもいいわよ」

 

食事の時間は進む。

その間、色々な話が飛び交う。

近況報告や魔法、杖や箒など…あ、あと昔話も

聞いてて面白く、私は興味が湧きました。

 

???「そういえばジン」

ジン「なんだい?」

???「君の箒はどうだい?何か新しいものはできそうか?」

ジン「そうだなぁ…今のところはまだかな」

???「そうかそうか!だがまぁ、ジンの作る箒は質がいいからなぁ…俺も愛用させてもらってるよ!」

ジン「嬉しいこと言ってくれるね」

???「あら、私もよ?あの箒全然壊れないの!作ってる人が良いからかねぇ?」

ジン「お褒めの言葉、ありがとうございます」

???「そういえはマークさん。あなたの杖もどうですか?」

マーク「そうですね。私は最近ある杖を見かけましてね。それがまたすごい杖でして」

リール「!」

リール (私の杖だ)

???「ほう。どういったものですか?」

マーク「あれは夢なので分かりませんが、唯一分かったことと言えば触っただけで他と全然違うということですね」

???「違う?それはどういうところがですか?」

マーク「私が夢で見たその杖は先の闇を照らす明るい杖。それは何者にも染まらない白い光だった。その杖を触った時、その杖には魔力が込められていた。本来持つはずの無い魔力をその杖は持っていた。私は今、その杖を作ろうと考えています」

???「神秘的な話ね」

???「でも夢なんだろ?」

???「夢があっていいですね!」

???「だから夢の話だと言ってるのに…」

???「あ、そうでしたね」

マーク「でも今の私には作るのは不可能ですね」

???「ほぉ…君でもか」

マーク「えぇ。あの杖はすごいです。私が一生かけても作れないでしょうね」

???「そんなに…」

マーク「えぇ。でもまぁ、夢ができて良かったです。これでより一層精進できますね」

???「研究熱心ですね」

マーク「いえ、それ程でも」

???「君ら2人はいつもお互いを高めあってるからな。良い兄弟だ」

ジン「ありがとうございます」

???「そういえば昔…」

スカーレット「いつもこんな感じなんだ。みんなが集まると決まって近況報告だったり昔話だったりで」

リール「いいですね。私は静かな食事よりこのように会話がある食事の方が好きですよ」

アンナ「わ、私も」

スカーレット「そう。気に障らなくて良かったわ」

 

その後、食事は続いた。

私たちはお腹がいっぱいになって大満足!

ご飯の後は少し時間を置いてからお風呂になるらしいです。

スカーレット曰く、浴場も広いんだとか…

この家は広いところが多くて迷いそうです。

でも、たくさんの人が家に入れるなら、私もそんな家に住みたいなと…そう思いました。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…浴場

 

スカーレット「さ、入りましょ」

リール「は、はい…」

 

私たちは今、浴場にいます。

そこは、私が想像してたよりも遥かに広いです。

 

リール「うわぁ…すごい…」

スカーレット「さ、髪や体はここで洗うわよ」

 

私たちは湯に浸かる前に体を綺麗にした。

ザバァン

私たちは湯に浸かった。

 

リール「っはぁ…」

 

温度はちょうど良かったです。

熱すぎず、ぬる過ぎず。

 

アンナ「あぁ…気持ちいい…」

 

アンナも気に入ったようです。

 

スカーレット「お風呂に上がったら私の部屋で映画見ましょうか。勿論3人で」

リール「あ、でも私は」

スカーレット「分かってるわよ。だから3人集まったら見るの。明日は休みだから今日はゆっくりできるわよ」

リール「うん!」

アンナ「映画?スカーレットの部屋にテレビってあったっけ?」

スカーレット「勿論あるわよ!私の部屋はもうひとつあるの!」

アンナ「ひえぇ…」

リール「つくづくあなたの家の事情が目に浮かびます…それに…その体も…」

スカーレット「?」

 

スカーレットは2人と比べてスタイルが良かった。

胸は大きく、お腹は細く、足もスラーっとしてる。

私は…

リールは自分の胸を触った。

 

リール (うっ…発育の暴力…)

 

リールはスタイルのいいスカーレットを羨ましがった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

数分後…

 

アンナ「気持ちよかったねリール」

リール「え、あ、はい」

アンナ「どうかしたの?」

リール「え、いや…なんでもないです…」

 

リールはアンナの体を見た。

アンナはスカーレットと比べてスタイルがいい訳じゃないが、リールよりかは胸があった。

 

リール「くっ…」

 

リールは自分より胸の大きな2人を妬ましい目で見た。

 

リール (いつか胸を小さくする魔法を作ってみせます…)

 

そう心の中で思ったリールだった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…ジンの部屋

 

あれから少し時間が経った。

私はジンさんの部屋に来ています。

 

ジン「じゃあ話そうかな」

リール「はい」

ジン「これは私の友人の話です。彼女は私と同い年の女性で唯一光属性魔法に適性を持っていた人物です。彼女は一人でいることが多く、私たちが言わないと一緒に行動しませんでした。これに関してはあの時お話しましたね」

リール「はい」

ジン「私たちは仲間との楽しい時間を過ごしていました。ですが、その時間が続くことはありませんでした」

リール「…」

ジン「突如として現れたドレインという生き物。あいつらによって私たちは生きる希望を失いました。彼らはより魔力を持つ者に吸い寄せられる性質を持ち、数多くの魔法使いや魔女がそいつらに食われてしまった…もちろんその人たちだけでなく、国中の人たちも全て」

リール「…」

ジン「被害の大きさを考え、私の友人はあることを決断しました。それは…」

ジン「"刻を戻して無かったことにしよう"」

ジン「と、いうことでした」

リール「と、刻を…戻す…」

ジン「はい。刻を戻し、過去を変えることはこの世界の理に反します。ですが、彼女にとってそれよりも失った人の方が大事だったのでしょう。彼女は迷いなくその力に手を伸ばしました」

リール「じゃあ…時間が…」

ジン「…はい。私たちの記憶はそのままで周りの時間だけが元に戻りました」

リール「そんな事…」

ジン「光属性魔法なら可能です」

リール「!」

ジン「光属性魔法は神からの恩寵なのです。対する闇属性魔法は悪魔からの恩寵…互いに効果を持つこの2つはそれ以降、特殊属性魔法として分類されました」

リール「でもなぜ…刻を戻せるんですか…」

ジン「…力を与えた神の中に時間を司る神がいたからです」

リール「時間を…司る…」

ジン「はい。その神の力を得ることで時間を戻したり飛ばしたりできます。あの時彼女がやった刻を戻す魔法…あれを使うことができます」

リール「使うとどうなるのですか…」

ジン「先程言いましたが、使用者以外の時間だけが変わります。私たちは何も変化しません。そして、戻した時間は二度と元には戻せません。飛ばした時間も同様です」

リール「でもなぜそのお話を…」

ジン「…あなたが光属性魔法を使う人だからです」

リール「!」

ジン「あの人と同じ光属性魔法…同じ過ちを繰り返さないために私はあなたにこのお話をしました」

リール「そうですか…え、過ち?」

ジン「…」

リール「過ち…ってなんですか…」

ジン「…時間を戻した彼女を待っていたのは…」

ジン「"生きても死んでもない時間"です」

リール「生きても死んでもない時間…不老不死という事ですか?」

ジン「いえ、 不老不死ではないです。ですが死んでいません。そして、生きてもいません」

リール「え…どういう…」

ジン「混乱するのも無理はありません。今の私たちでも分からないのですから」

リール「そ、そうですか…」

ジン「それである物をあなたに…」

 

ジンは引き出しからある物を取り出した。

 

ジン「…これです」

マーク「…」

 

コトッ

ジンは取り出したものを机に置いた。

 

リール「これは…粉?」

ジン「はい。刻運命(ときさだめ)(こな)です」

リール「刻…運命?」

ジン「…これは私の友人が時間を戻す際に使ったものです。これに魔力を込め、刻運命を発動することで時間を戻したり飛ばしたりできます」

リール「でも…何故これを私に…」

ジン「…この粉は光属性魔法にしか反応しないからです」

リール「でも…」

ジン「…彼女がこれを残す時、ある言葉も一緒に残しました」

リール「…?」

ジン「"私と同じ光属性魔法を使う人にこれを渡して。そして、私が成し得なかったことを私の代わりにやってほしい"と」

リール「成し得なかったこと…」

ジン「それに関しては分かりません。彼女はそう言葉を残してこの世から隔絶されました」

リール「…」

ジン「でもあなたならこれを正しく使い、彼女が成し得なかったことをやり遂げるはずです」

リール「…これって使い道はそれだけですか?」

ジン「…分からないのです。それを作り出し、使ったのは彼女だけ。それを知るのは彼女だけなのです。光属性魔法に適性がない私たちにはどうすることも…」

リール「…これ、手に取っても良いですか?」

ジン「あ、あぁ。どうぞ」

 

リールは刻運命の粉を手に取った。

ピッ

 

リール「!」

 

リールがそれを手に取った瞬間、頭の中にある映像が流れた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

???「こうするしかない。これ以上の被害は看過できない」

リール (被害?看過?…ここは一体…)

???「みんな聞いて」

ジン「なんだい?」

マーク「何か策でも思いついた!?」

???「…いいえ。有力な策は思いつきません」

マーク「そんな…」

???「しかし、この状況を打破できる策はあります」

マーク「お!じゃあ教えてくれ!」

???「…無かったことにしましょう」

マーク「…え?」

???「…」

ジン「どういう事?」

???「…そのままの意味。今起きてるこれを無かったことにしましょう」

???「でもそんなこと無理くね?」

???「そうだよ。もうたくさんの人が死んだ。仲間もみんな。それを無かったことにするって」

???「…できます」

???「じゃあ教えて。何するつもりなの」

???「…」

 

コトッ

???は刻運命の粉を机に置いた。

 

???「何?これ」

???「粉?」

???「…そう。これは刻運命の粉」

ジン「刻運命?」

???「そう。私が作ったもの。これを使えば時間を容易に操ることが出来る」

???「時間を!?」

マーク「まさか…それを使って時間を巻き戻すんじゃ…」

???「…そう。その通り」

???「待て!時間を戻しても起こる事象は変わらない!ただこれが起こる前まで時間を戻しても結局俺たちの仲間は死ぬことになる!」

???「…だから無かったことにするのよ」

???「何…言ってんだよ…」

???「分からない?無かったことにするのよ。これは元から起こらなかったという事にするのよ」

???「分からない。ちゃんと教えて」

???「この世界を書き換えるの。ドレインはいなかった。みんな仲良く暮らしていた。誰一人死ぬことなんてなかったって」

???「それって…どうなるの」

???「もちろんドレインは消えるよ。()()()()()()()

ジン「…含みのある言い方だね」

???「うん。そういう風に言ったから」

マーク「ドレインはどうなるんだ。この世界から消えたドレインは…」

???「さぁ、分からない。どこの世界に現れるのか。もしくは二度と現れないのか」

???「それは勝手すぎないか?」

???「…?」

???「この世界に現れたドレインを別の世界のやつに擦り付けるってことだろ?そんなの…身勝手だと思わないのか?」

???「…じゃあ聞くね。あなたは今までドレインに対して有効な攻撃ができなかった。できるのは私だけ。あなたはどうしたの?」

???「…!」

???「ドレインの始末を全て私に擦り付けてなかった?」

???「っ…」

???「あなたが先にやったのになぜ私が色々と言われないとダメなの?しかも自分のことを棚に上げて。ねぇ?なんで?」

???「…」

???「身勝手?言葉は選んだ方がいいよ。私しかドレインを倒せないの。私一人だけが。でも私一人だと限界があるの。現にここにいる12人以外の人間はみんな死んじゃった。分かる?私一人だと限界があるの。あなた私が限界なの知ってた?私は顔にも出さなかったけどしんどかったの。でもあなたはそんな私を働かせてたよね?ドレインを倒させてたよね?ねぇ?」

???「くっ…」

ジン「待って」

???「うるさい。ジンは黙ってて。他のみんなも。今私はこの人と話してるの。次会話を邪魔したら…どうなるんだろうね」

ジン「…」

???「で、どうなの。あなたは気づいてたの?」

???「…」

 

その人は何も言えなかった。

 

???「何も言えないよね。当然だよね。あなたは特に私に色々命令してたもんね。ねぇ、人って面白いの。今まで便利だったものが動かなくなると急にしおらしくなるの。腫れ物を扱うように優しくなるの。何故かわかる?」

???「…」

???「答えは簡単。動いてる時はその大事さを知らないの。失ってからいかに自分が今の状況で生きていたのかを痛感するの。自分が今の生活をできているのは私が動けていたからなの。でもこんな感じに私が急に動かなくなった。ドレインに対して唯一有効な攻撃ができる私が」

???「…」

???「そうなると焦るよね。当然だよね。あなたはドレインに対して全く効果のない攻撃しかできないからね。私がいなかったらあなたは今頃死んでるよ?ねぇ分かる?理解できる?今あなたが生きてるのは私のおかげだよ?そんな私に身勝手だろって…あなた何様なの?何も出来ないのに上から目線で言葉を発するのはやめてくれない?私の気持ちひとつであなたの生死は決まるの。分かる?」

???「…」

???「で、何か言うことないの?」

???「…すまない」

???「…随分乾いた謝罪だね。生かしてもらってる自覚を持った方がいいよ」

???「…すみませんでした」

???「分かればいいの」

???「…」

ジン「話は済んだかい?」

???「えぇ。もういいわ。それで、私の意見に賛成な人…いる?」

 

???がそう言うとみんなが手を挙げた。

 

???「そ。良かった。これでみんなが仲良く生きていけるよ」

マーク「ねぇ、待って…」

???「何?」

マーク「君は…君はどうなるの…」

???「私?…そうだね。離れたところから君たちを見ていることにしようかな」

マーク「!?」

???「待って!それってまさか…」

???「うん。まぁ、当然だよね」

???「やだ!絶対やだ!」

???「何言ってるの?君も賛成したよね?今更変えるの?」

???「だって…あなたも一緒に…」

???「いいの。私は元々ひとりが良かったし」

???「でも…」

???「もう決まったことだよ。私の意見を通して。これ以上ここの誰かがドレインに殺されるのを見ると今度こそ私は暴れると思う。ドレインだけじゃなくこの世界を破壊すると思う」

???「!!」

???「…私はこの世界の核を知っている。その核を叩けばこの世界が壊れることも知っている。でもあなたたちはそれを知らない。あなたたちの中で誰か一人でも死んだら私は核を叩きに行くの。死ぬ時はみんな一緒。生きるなら私を置いてみんなで生きて」

???「…」

ジン「…分かった。君の意見を通そう」

???「ジン!」

ジン「…彼女は色々な決断をして今この場に立っている。実際、私たちは彼女がいないと何も出来なかった。彼女のおかげで私たちが生きていけた。でも彼女は私たちと生きていく中で苦しんでいた。彼女が自分なりに楽になれるという提案をしているのなら。彼女のおかげで生きていけた私たちがその意見を受け入れてあげるのが筋じゃないかな」

マーク「…」

???「…いいよ。私もそう思うから」

???「…ありがとう。2人とも」

???「…分かった…私も…」

???「ありがとう」

マーク「なぁ…」

???「何?」

マーク「その意見…受け入れるけどその代わり、ひとつだけ頼めないかな」

???「…何を?」

マーク「…君が生きていた証を…僕たちに残してくれないかな」

???「生きていた…証…」

マーク「うん」

???「…常に一人でいた私。あなたたちとあまり関わらなかった私に何を残せと。私の生きた証を…あなたたちに残してどうするの?」

マーク「あなたへの感謝を忘れないようにしたい」

???「!」

マーク「今まで一人でいたあなたを意味のある人生にした僕たちを…そしてこれから先、あなたの意味のある行動を伝えていきたい。だからお願い。あなたのことを忘れたくないんだ」

???「…何もしてない私をあなたたちの心に残せるなら…それもまたいいですね」

 

???は首から下げた結晶を12個に分けた。

 

???「…みなさん。これを」

 

みんなはそれを受け取った。

 

???「それを持っていてください。何かあったら私が助けます。これでいいですか?マーク」

マーク「…あぁ。ありがとう」

???「あ、それともうひとつ…皆さんに伝えたいことがあります」

ジン「ん?なんだい?」

???「…もし、私の娘があなたたちを訪れたら…色々助けてあげてください。私の一人娘を…」

ジン「…あぁ。分かったよ」

???「ありがとう…ちなみに私の娘の名前は…」

 

ジジジ…

 

リール (!?)

 

突然、リールの周りに黒い煙が出てきた。

 

リール (な、なにこれ…)

 

コォォォォォォ…

その黒い煙はリールを包み込んだ。

 

リール (な、やめて!離して!)

 

シュゥゥゥゥゥ…

 

リール (やめて!離して!やめ…)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

ジン「リールさん!リールさん!リールさん!」

リール「…」

 

リールはいつの間にか眠っていた。

 

リール「あれ…私…」

ジン「良かった。急に倒れたから心配したよ」

リール「え、倒れたって…」

マーク「何があったの?」

リール「わ、分かりません…」

ジン「…じゃあ今日はこの辺で終わりましょうか」

リール「え…」

ジン「リールさんもお疲れのようですし。リールさんのお話は明日聞かせてください」

リール「あ、はい…」

 

リールは立ち上がってドアに向かった。

 

リール「それでは…」

ジン「はい。お休みなさい」

 

パタン

リールはドアを閉め、スカーレットの部屋に向かった。

 

マーク「…やっぱりあの子だったんだね」

ジン「あぁ。まさかこんなに早く見つかるなんてね」

マーク「今頃リノは喜んでるかな」

ジン「さぁ、どうだろうね」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…スカーレットの部屋

 

ガチャ…

リールはドアを開けて入った。

 

スカーレット「あ、話終わったの?」

リール「え、あ、はい。終わりましたよ」

アンナ「…どうしたの?リール」

リール「ううん。なんでもないですよ」

スカーレット「じゃあ気分を変えて映画でも見ましょうか」

リール「うん。そうだね」

 

その後、スカーレットとアンナとリールは映画を見てから一緒に寝たのだった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…???

 

ジン「ねぇリノ。やっと君の娘さんに会えたよ。あれからすごい時間が経ったね」

???「…」

マーク「君が残したあの子を君が僕たちを守ってくれたように僕たちにも守らせて」

???「…」

ジン「…それじゃあねリノ」

マーク「ずっと僕たちを見守ってて」

???「…」




〜物語メモ〜


刻運命の粉
魔力を込めて使う粉。
魔道具の中で唯一マナを使わない物で、使えば時間を戻したり飛ばしたりできる。
過去に一度だけ、最後の光属性魔法の人が使用した。


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第14話 リールと魔法の練習

私の名前はリール。

今スカーレットの家にいます。

昨日はスカーレットのお父さんに刻運命の粉というものを渡されました。

曰く光属性魔法に反応するものらしいです。

綺麗な粉なので首から下げていようと思います。

さて、今回は魔法の練習をしようとスカーレットが言ってきてくれました。

魔法を習って以来の初めての戦闘実習になるのでワクワクです。

上手くできるかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー翌日ー

 

ジン「やぁリールさん。おはようございます」

リール「あ、おはようございます」

ジン「気分はどうだい?」

リール「あ、大丈夫ですよ」

ジン「そっか。それは良かった。ところで、君の話なんだが」

リール「?」

 

リールは首を傾げた。

 

ジン「あれ?忘れたんですか?リールさん私たちにお話があるって言ってませんでした?」

リール「あ、そうですあります!今日の夜でもいいですか?」

ジン「あぁ。マークにもそう言っておこう」

リール「ありがとうございます」

スカーレット「リール!」

リール「?」

スカーレット「あなたここにいたのね」

アンナ「おはようリール」

 

スカーレットとアンナが来た。

 

リール「2人ともおはようございます」

スカーレット「何話してたの?」

ジン「今晩お話することについてだよ」

スカーレット「あれ?もう話は終わったんじゃないの?」

リール「あ、私の話がまだ終わってないんです」

スカーレット「あ、なるほどね」

アンナ「大事な話?」

リール「そうですね。大事な話ですね」

ジン「さ、お話はまた後で。朝食ができてるから昨日の部屋に行ってくださいね」

スカーレット「分かったわ。お父さん」

 

スカーレットとアンナ、リールは昨日夕食を食べた部屋に向かった。

 

ジン「…」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

朝食もみんなそろって食べる。

当然、量も多く、リールは食べられるか心配だった。

でも、ご飯が美味しかったのか、すぐに手が伸びた。

それを見たスカーレットも負けじと朝食を食べた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

リール「うっ…お腹いっぱい…」

スカーレット「あんなに食べるからよ。全く」

アンナ「すごい食べてたねリール」

リール「美味しいのが悪いんです」

スカーレット「どんな言い訳よ…」

アンナ「あ、そうだ。この後どうする?」

スカーレット「あ、じゃあ魔法の練習しない?」

アンナ「え、魔法って使っても良かったっけ?」

スカーレット「学校ではダメなのよ。ここなら地下室があるからそこで魔法も使えるわよ」

アンナ「地下室って私たちがここに来たあの部屋?」

スカーレット「あ、また違う部屋よ。お父さんや叔父さんも使ってた部屋なの」

アンナ「へぇー!」

スカーレット「さ、行くわよリール」

リール「う、うん…」

 

スカーレットとアンナ、リールは地下室に向かった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…地下室

 

スカーレット「さ、ここがさっき言った部屋よ」

リール「おぉ…」

 

その部屋は周囲が白い壁に覆われていて部屋の中心には何やら緑色の玉が浮いていた。

 

リール「スカーレット。これはなんですか?」

スカーレット「あーこれは魔玉(まぎょく)といってそれを使って各属性魔法の練習をするの。見てて」

 

ピッ…ピピピ…

スカーレットがそれに触れた時、その玉は光り出した。

 

ピピピ…ピピ…

設定が終わったのか、スカーレットがこっちに来た。

 

スカーレット「2人ともそこから動いちゃダメよ」

リール「?」

アンナ「?」

魔玉「それでは、魔法の練習を開始します」

リール「おぉ」

アンナ「喋った…」

魔玉「雷属性魔法が確認されました。敵を配置します」

 

シュゥゥゥゥゥ…

すると、地面から二体の敵が現れた。

現れたのは、水属性魔法と土属性魔法の人形だった。

 

リール「す、すごい…」

スカーレット「私の適性魔法は雷属性魔法だから雷属性魔法が有効な水属性魔法の敵と雷属性魔法の弱点である土属性魔法の敵を召喚したの。倒すのは水属性魔法の敵だけ。土属性魔法の敵は水属性魔法の敵を守りながら私に攻撃してくるの」

アンナ「あ、それで魔法の練習をするんだ」

スカーレット「そう。お父さんから使い方は聞いてるからいつでも使えるの」

リール「す、すごいですね…スカーレット」

スカーレット「ふふっ…でも見てて。私はもっとすごいから」

魔玉「戦闘を開始します」

 

魔玉がそう言うと魔玉自身は消え、取り残された水属性魔法と土属性魔法の敵が杖を構えた。

 

スカーレット「さ、これで戦闘開始よ」

ドール(水)「…」

ドール(土)「…」

 

相手は様子をうかがっていた。

 

スカーレット「こういう時は私から攻撃してもいいし、相手が攻撃した時はその隙をつくの」

 

両者、相手の行動を待っていた。

 

スカーレット (あっちは全然動かない…なら…)

スカーレット「はぁっ!」

 

ジジジ…バリバリバリ!

スカーレットは雷属性魔法を使用した。

 

スカーレット「落雷(ダリサダ)!」

 

ゴロゴロゴロ…ジジジ…

スカーレットは魔法で雷を発生させた。

 

ドール(土)「…地脈(オッドレイ)

 

ゴゴゴ…

それを見たドール(土)はドール(水)を守るため、地脈を使って防御を図った。

 

スカーレット「はぁっ!」

 

ドゴォォォォン!

スカーレットが発生させた雷はドール(水)に向けて放たれた。

 

バキ…バキバキ…

土の防御壁にヒビが入った。

 

アンナ「やった!ヒビが入った!」

 

シュゥゥゥゥゥ…

だが、スカーレットの落雷ではせいぜいヒビを入れるくらいがやっとだった。

 

ガコン!

ドール(土)は防御壁を解いた。

 

ドール(土)「…大岩石(ロック・オック)

 

ドール(土)は先程の防御壁の欠片を使って攻撃した。

 

スカーレット「!」

 

ドゴン!ドゴン!ドゴン!

スカーレットはそれに気づき、ドール(土)の攻撃を回避した。

 

スカーレット (流石土属性魔法ね…私の魔法が通らないのも無理はないわね)

アンナ「スカーレット!」

スカーレット「!」

 

スカーレットは考え事をしていて前方を見ていなかった。

アンナが声をかけたがスカーレットの反応が遅れたため、スカーレットは前方から飛んでくる岩石を避けられなかった。

そのままスカーレットは相手の魔法に被弾した。

 

スカーレット「くっ…」

アンナ「スカーレット…大丈夫?」

スカーレット「大丈夫よ」

ドール(土)「…大地裂(グランド・ブレス)

 

ドゴォォォォン!

 

スカーレット「!?」

 

ドール(土)が魔法を唱えた瞬間、スカーレットの足場以外全て破壊されてしまった。

 

スカーレット (な…身動きが…)

ドール(水)「…水遅縛(デリス)

 

ヒュッ…パシッパシッ!

 

スカーレット「!?」

 

スカーレットが困惑している隙にドール(水)がスカーレットを拘束した。

 

スカーレット (な…しまっ…)

ドール(土)「…赫石(レドオク)

 

ゴゴゴゴゴ…

スカーレットの頭上が赤く光った。

そして数秒後、赤い隕石がスカーレット目掛けて降ってきた。

 

スカーレット (な!?)

 

スカーレットはなんとか拘束を解こうとした。

 

リール「スカーレット!」

アンナ「スカーレット!」

 

リールとアンナがスカーレットを呼ぶ。

 

スカーレット (こんなんじゃ…リールにいいとこ見せられない!)

 

スカーレットは雷属性魔法をドール(水)が作った拘束に向けて放った。

 

スカーレット「放電(マギダラ)!」

 

ジジジ…バリバリバリ!

スカーレットが放った雷属性魔法はドール(水)が作った拘束を伝ってドール(水)の元へ向かった。

バリバリバリバリバリ!

 

ドール(水)「アァァァァァ!」

 

スカーレットが放った雷属性魔法が見事ドール(水)に当たった。

 

シュゥゥゥゥゥ…

するとドール(水)は形を崩して消えた。

 

スカーレット「はぁ…はぁ…」

ドール(土)「…」

 

すると、先程降ってきていた赤い隕石も同時に消え、ドール(土)は動かなくなった。

 

魔玉「クリアを確認。部屋を戻します」

 

シュゥゥゥゥゥ…

すると、先程壊れた床や壁が一瞬にして直った。

 

魔玉「見事クリアです。お疲れ様でした」

スカーレット「…ふぅ」

 

スカーレットはリールたちの元へ向かった。

 

スカーレット「…とまぁ…こんな感じね」

リール「スカーレット…あなた…ほんとすごいですね…」

スカーレット「と、当然よ…」

アンナ「でも…あんな魔法見たことないよ…」

スカーレット「これはお父さんたちが昔使ってた物なの。だからその当時使われた魔法があの魔玉に保存されてるの」

リール「あ、だから知らない魔法ばっかりだったんですね」

スカーレット「そ、その通り」

リール「でもちょっとレベル高すぎないですか?」

スカーレット「私たちは初めてだからね。仕方ないわ」

リール「そうですね」

スカーレット「じゃあ次はアンナ。やってみる?」

アンナ「え!?わ、私も!?」

スカーレット「そりゃあね。練習だから。これができればみんなと差をつけることができるよ」

アンナ「!」

 

アンナはその言葉に反応した。

 

アンナ「…やるよ。やってみる」

スカーレット「よしっ!じゃあ来て。やり方説明するから」

アンナ「うん!」

リール (…すごい。一瞬で目の色が変わった)

 

スカーレットはアンナに設定の仕方を教えた。

すると、魔玉が話し始めた。

 

魔玉「水属性魔法が確認されました。敵を配置します」

 

シュゥゥゥゥゥ…

すると、さっきと同じように二体の敵が現れた。

現れたのは、火属性魔法と雷属性魔法の人形だった。

 

スカーレット「アンナ!アンナが倒すのは火属性魔法の敵だけよ!雷属性魔法を避けつつ火属性魔法の敵を倒して!」

アンナ「わ、分かった!」

魔玉「戦闘を開始します」

 

すると、火属性魔法と雷属性魔法の人形が杖を構え、魔玉は消えてしまった。

 

アンナ (先手必勝!)

 

タッタッタッ!

アンナは敵の周囲を走り始めた。

人形たちもそれに伴って配置と向きを変える。

 

アンナ「はぁっ!」

 

ビュン!ビュン!ビュン!

アンナは水の弾を作り出し、それを敵に向けた。

 

ドール(雷)「…雷玉(サンダラ)

 

ドンドンドン!

アンナの魔法とドール(雷)の魔法がぶつかり合う。

 

アンナ「…なら」

 

ザッ!

アンナは走るのをやめ、手のひらを人形に向けた。

 

アンナ「水波動(ウォーター・ルーン)!」

 

ドォォォォォン!

アンナは手のひらから水の波動を放った。

 

ドール(雷)「…磁力(マグネット)

 

ビリビリビリ!

ドール(雷)は強力な磁場を生み出した。

 

アンナ「!」

 

すると、アンナの放った魔法がそれに吸い寄せられた。

 

スカーレット「なるほど…ああいう雷属性魔法もあるのね。勉強になるわ」

アンナ「くっ…なら…」

 

アンナは手のひらを上に向けた。

 

アンナ「(レイン)!」

ドール(雷)「…」

 

すると、この部屋の戦闘エリアに水属性魔法が降り注いだ。

 

ドール(雷)「…?」

 

ドール(雷)は何をしているのか全く分からずにいた。

だが、すぐにそれに気づいた。

 

ポタポタ…ポタポタ…

シュゥゥゥゥゥ…

 

ドール(雷)「!!」

 

ドール(雷)がドール(火)を見た時、ドール(火)は雨の影響でダメージを負っていた。

ドール(雷)はそれに気が付かなかった。

 

ドール(雷)「…雷砲(サンダー・キャノン)

 

ドール(雷)はアンナの放った魔法を防ぐ手段が無いため、一か八かの勝負に出た。

 

ジジジ…ゴゴゴゴゴ…

ドール(雷)の魔法が徐々に膨れ上がっていく。

 

アンナ (来た)

 

アンナはそれを待ってたかのように次の魔法を使った。

 

アンナ「爆ぜる雫(ドロ・ノヴァ)!」

ドール(火)「!」

ドール(雷)「!」

 

すると突然雨が止んだ。

ドール(雷)は好機だと思い、攻撃しようとした。

 

…だが

 

パァァァァァン!

後方で大きな音が鳴った。

 

ドール(雷)「!」

 

ドール(雷)はその音に気づいて振り返った。

だが、もう遅かった。

そこには深手を負ったドール(火)が倒れていた。

 

ドール(雷)「!」

 

この部屋の壁には人形と挑戦者の体力が表示されている。

ドール(火)の体力は0になっていた。

ドール(雷)はそのまま動かなくなった。

 

魔玉「クリアを確認。部屋を戻します」

 

シュゥゥゥゥゥ…

すると先程と同じように部屋が戻った。

 

魔玉「見事クリアです。お疲れ様でした」

アンナ「ひえぇぇ…か、勝ったぁ…」

スカーレット「やったじゃないアンナ。いい試合を見せてもらったわ」

アンナ「い、いやぁ…それ程でも…」

リール「凄いですよアンナ!」

アンナ「リール…」

スカーレット「さ、最後はリールね」

リール「分かりました!」

アンナ「頑張ってねリール!」

リール「はい!」

 

最後はリールの番。

スカーレットはリールにやり方を説明した。

そして、設定が終わった。

 

魔玉「光属性魔法を確認。敵を配置します」

 

シュッ!

出てきたのはドール(闇)だった。

 

リール「!」

スカーレット「!」

アンナ「!」

 

三人は驚いた。

配置された敵はたった一体。

他の2人は二体配置されたのにリールの時だけ一体だった。

 

魔玉「戦闘を開始します」

 

そして戦闘は開始された。

 

スカーレット「リール!とにかくそいつをやっつけて!」

リール「わ、分かりました」

 

リールとドール(闇)は杖を構えた。

 

ドール(闇)「…暗闇(ダーク)

 

すると、辺りが真っ暗になった。

 

リール (な…何も見えない…)

スカーレット「リール!負けないで!」

リール (声は聞こえる…でも…姿が…)

 

ドゴォン!

 

リール「!?」

 

リールは突然来た攻撃に対処できなかった。

 

リール (な、何…今の…)

 

シュゥゥゥゥゥ…ドゴォン!

 

リール 「ぐっ…」

 

リールはまた被弾した。

 

リール (相手の位置が把握できない…しかも向こうはこっちが見えてる…どうすれば…)

 

ドゴォンドゴォン!

 

リール「がっ…」

 

リールは次々に被弾する。

普通の魔法なら問題ないが、光属性魔法に唯一有効な闇属性魔法を受けているため、ダメージも相当なもの。

リールの体力はどんどん削られていく。

 

リール (こ、このままじゃ…)

 

ドゴォン!

 

リール「がっ…」

 

リールの体力が半分を切った。

 

リール (このままじゃ…)

 

リールは咄嗟に杖を向け、魔法を使った。

 

リール「閃光(フラッシュ)!」

 

シュゥゥゥゥゥ!

すると一瞬にして真っ暗な状態が解除された。

それと同時にドール(闇)は突然の光に目を眩ませた。

 

リール「今度は私の番です!」

 

リールは再度杖を構えた。

 

魔女さん (光属性魔法の最大の利点はその速さ。魔法を放てばすぐに効果が出ますよ)

リール (光属性魔法の最大の利点は…速さ…誰にも目視できないなら魔法も使えないはず!)

リール「光速(オーバースピード)!」

 

すると、黄色い光がリールを包み込んだ。

 

リール (これなら!)

 

ビュン!ビュン!ビュン!

リールは戦闘エリアを物凄い速さで駆け巡る。

 

スカーレット「す、すごい…」

アンナ「全然見えない…」

リール「はぁっ!」

 

ビュン!ビュン!ビュン!

リールはアンナがさっきやってたように走りながら魔法を放った。

 

ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!

ドール(闇)は先程のリールの魔法の影響で動けないでいた。

そのため、リールの魔法を全て受けてしまった。

 

ドール(闇)「…」

 

ドール(闇)はその攻撃で目が覚めた。

 

リール「はぁっ!」

 

ビュン!ビュン!ビュン!

リールはさっきと同じ魔法を使った。

 

ドール(闇)「…闇渦(ブラックホール)

 

ドール(闇)が魔法を使った。

すると、戦闘エリアの中心に渦ができた。

 

スカーレット「なにあの魔法…」

アンナ「初めて見た…」

リール「…」

 

リールはその魔法を見て更に攻撃を重ねた。

 

リール「はぁっ!」

 

ビュン!ビュン!ビュン!

ギュォォォォォォ!

 

リール「!」

 

だが、その魔法はドール(闇)に当たらず吸い寄せられた。

 

リール (…なら)

 

リールはドール(闇)の背後に周り、杖を構えた。

 

リール 「光玉(ライダラ)!」

 

キィン…ドゴォォォォン!

リールの魔法はドール(闇)に直撃した。

 

リール「…ふぅ」

アンナ「やったよリール!」

スカーレット「すごいわねほんと…」

リール (良かった…なんとか勝て…)

 

ドゴォォォォン!

リールが一息ついた途端、リールは闇属性魔法に被弾した。

 

リール「ぐっ…」

スカーレット「リール!」

アンナ「リール!」

 

リールは起き上がり、壁に表示されている体力を見た。

 

リール「!」

 

ドール(闇)の体力はまだ尽きていなかった。

リールは体勢を立て直そうと立ち上がった。

だが、そこにはドール(闇)はいなかった。

 

ドール(闇)「…久しぶりに見た。光属性魔法」

リール「!」

 

キィン…ドゴォォォォン!

ドール(闇)はリールの背後至近距離から闇属性魔法を放った。

その威力はとても強く、半分近くあったリールの体力は0になった。

 

リール「がっ…」

 

ドサッ…

リールは体力が0になり、その場に倒れた。

 

スカーレット「リール!」

アンナ「リール!」

 

2人はリールの所に駆け寄った。

 

スカーレット「リール!しっかりして!リール!」

リール「…あれ、スカーレット…」

スカーレット「よかった…意識はあるみたいね」

リール「あれ…私…負けたんですか…」

スカーレット「…そうね。負けちゃったわね」

リール「…そうですか」

 

リールはこの時ある事を考えていた。

 

ドール(闇) (…久しぶりに見た。光属性魔法)

 

リールはその言葉が少し引っかかっていた。

 

リール (久しぶりに見た…あれは一体…)

アンナ「リール!大丈夫!?」

リール「だ、大丈夫ですよ…」

アンナ「よかった…ほんとに…」

 

シュゥゥゥゥゥ…

ドール(闇)が消えていった。

 

魔玉「クリアの確認ができませんでした。部屋を戻します」

 

シュゥゥゥゥゥ…

すると、部屋は元に戻った。

 

魔玉「クリアの確認がありませんでした。もう一度挑戦しますか?」

スカーレット「どうする?リール」

リール「えっと…今回は負けでいいです…」

スカーレット「分かったわ。再戦はなし」

魔玉「再挑戦の拒否を確認。お疲れ様でした。これにて設定した3グループ全てが終了しました。魔力瓶で魔力の補給を忘れずにお願いします」

 

ガシャン!

すると、魔力瓶×3がスカーレットとリール、アンナに与えられた。

 

アンナ「これは?」

スカーレット「これは魔力瓶って言って消費した魔力を回復させるものよ。設定したグループ全てが終わると魔玉がこれを渡してくれるの。体力の回復もできるから絶対飲んでおいてね」

アンナ「わ、分かった」

スカーレット「ほらリールも。飲める?」

リール「はい…飲めます…」

 

ゴクッ…ゴクッ…ゴクッ…

リールたちは魔力瓶を飲んだ。

すると、リールたちの魔力と体力が一瞬で回復した。

 

リール「わ、すごい…あんなに傷があったのに…」

スカーレット「ね、すごいでしょ」

アンナ「あ、ほんとだ…無くなった魔力も元に戻ってる…」

スカーレット「ここはいつでも使えるから気になったら使ってみて。やり方は教えた通りだから」

リール「ありがとうスカーレット」

スカーレット「べ、別にお礼なんていいわよ」

アンナ「ありがとう。スカーレット」

スカーレット「だからお礼なんて…」

 

その後リールたちはその地下室を出た。

リールはずっとあの言葉に引っかかっていた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

???「…ほんと、久しぶりね」




〜物語メモ〜


魔法
この世界の魔法は様々。
これといって決まった魔法は無いため、自分で魔法を作って名付けることも出来る。
今回、魔玉が配置したドールたちの魔法はかつてドレインから生き残った12人の魔法使いや魔女たちが使用していた魔法の一部。



ここからは今話で出てきた魔法を紹介します。(長いです)


雷属性魔法:落雷(ダリサダ)
スカーレットが使った魔法。
頭上に雷雲を発生させ、雷を落とす魔法。
これは教科書にも書いてある程度の魔法だが、この魔法の発生を阻止するには発動者に攻撃する他はない。



土属性魔法:地脈(オッドレイ)
ドール(土)が使った魔法。
土属性魔法に適正がある人は戦闘開始時に必ず使う魔法。
この魔法を使うことで地脈を操ることができ、地震などを起こすことができる。



土属性魔法:大岩石(ロック・オック)
ドール(土)が使った魔法。
周囲の岩石もしくは魔法で作り出した岩石を操り、相手に飛ばす魔法。
これは使った魔力に応じて飛ばす岩石の数が増える。
威力の増減は無い。



土属性魔法:大地裂(グランド・ブレス)
ドール(土)が使った魔法。
周囲の地面を割り、足場を減らす魔法。
これは唯一大地を味方につけることができる土属性魔法に適正がある人にしか使えない。
ただし、空を飛ぶ相手には効果がない。



水属性魔法:水遅縛(デリス)
ドール(水)が使った魔法。
相手を拘束する魔法。
ただし、自分と相手を固定するため、自分の足元も水で繋がっている。
今回スカーレットが勝ったのはスカーレットが放電する事でドール(水)の足元まで雷属性魔法が届いたから。



土属性魔法:赫石(レドオク)
ドール(土)が使った魔法。
頭上から岩石を落とす魔法。
その岩石は赫く光り、風属性魔法以外を受け付けなくなる。



雷属性魔法:放電(マギダラ)
スカーレットが使った魔法。
自分の体から雷を発生させ、周囲に雷を放散させる魔法。
範囲は普通くらいだが、今回は水を伝ったため、有効打となった。



雷属性魔法:雷玉(サンダラ)
ドール(雷)が使った魔法。
雷の玉を作り出し、それを相手にぶつける魔法。
玉全てが雷属性魔法で覆われているため、相殺するにはそれ以上の威力で押し切らなければならない。



水属性魔法:水波動(ウォーター・ルーン)
アンナが使った魔法。
手のひらから相手に向かって放水する魔法。
一直線に飛ぶため避けるのは容易。
当たればダメージとともに、後方へ押し出される。



雷属性魔法:磁力(マグネット)
ドール(雷)が使った魔法。
使用すれば対象を引き寄せることができる。
この力はとても強いため、ほとんどのものはこれに吸い寄せられる。



水属性魔法:雨(レイン)
アンナが使った魔法。
周囲に雨を降らせる魔法。
ただし、普通の雨とは違って降ってくるものは全て水属性魔法。
なので、火属性魔法に適正がある人は雨を受けるとダメージを負うことになる。



雷属性魔法:雷砲(サンダー・キャノン)
ドール(雷)が使った魔法。
雷を溜めて相手に放つレーザー型の魔法。
放てば凄まじい威力となるが、今回はアンナの爆ぜる雫(ドロ・ノヴァ)で放つ前に負けとなった。



水属性魔法:爆ぜる雫(ドロ・ノヴァ)
アンナが使った魔法。
水を集めて破裂させる魔法。
本来は水を集めるところから始まるが、今回は先に雨(レイン)を発動していたため、その過程を飛ばして使用できた。



闇属性魔法:暗闇(ダーク)
ドール(闇)が使った魔法。
使えば周囲を真っ暗な状態にすることができる。
もちろん使用者は相手の場所が分かる。



光属性魔法:閃光(フラッシュ)
リールが使った魔法。
使えば相手の目を眩ませることができる。
一定時間動きを止める魔法だが、闇属性魔法に適正がある人に対しては効果が絶大。
これは魔女さんと魔法の練習をしている時に魔女さんから教わったもの。



光属性魔法:光速(オーバースピード)
リールが使った魔法。
使えば自分のスピードを格段に上昇させることができる。



闇属性魔法:闇渦(ブラックホール)
ドール(闇)が使った魔法。
使えば自分を中心に大きな渦が展開される。
展開されてる間、あらゆる魔法は使用者に届く前にブラックホールによって吸い取られる。



光属性魔法:光玉(ライダラ)
リールが使った魔法。
光を玉として放つ魔法。
これも魔女さんから教わった魔法のひとつ。


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第15話 リールと小さな紙

私の名前はリール。

今スカーレットの家にいます。

先程魔法の練習として実戦をしてみましたが、見事に負けました。

アンナもスカーレットも凄く、魔法も初めて見るものばかりでした。

今回は私だけ負けましたが、次は絶対勝とうと思います。

…それとひとつ気になったことがあります。

あの時の言葉。

「久しぶりに見た。光属性魔法」

あの言葉は一体どういう意味なんでしょうか。

今はその事で頭がいっぱいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法の練習をしたリールたちはその後、3人で一緒に過ごした。

スカーレットの家には書物がたくさんある部屋が存在する。

そこには基本属性魔法や特殊属性魔法、氷属性魔法や無属性魔法について色々書かれてあった。

3人はその部屋で書物を漁っていた。

 

スカーレット「ここは色々な本が保管されてる部屋よ」

リール「おぉ…」

アンナ「すごいね…」

スカーレット「お父さんや叔父さんが集めたものもあれば私のお母さんや叔母さんが集めたものも保管されてるの。ここには全属性の魔法についての本があるから自分の属性魔法の本を見てみるのもいいわよ」

リール「どこにあるんですか?」

スカーレット「こっちよ」

 

スカーレットはリールとアンナを目的の書物の場所へ案内した。

 

スカーレット「ここね。火属性…水属性…これはアンナのね」

アンナ「あ、ありがとう」

スカーレット「氷属性…風属性…雷属性…これは私ね。あとは土属性…光属性…あ、これがリールのね」

リール「あ、ありがとうございます」

 

3人は自分の属性魔法の本を読み始めた。

 

アンナ「わ、すごい…私の知らないことがたくさん載ってる…」

スカーレット「私が地下室で使った魔法はここに載ってる魔法なの」

リール「あ、そうだったんですね」

スカーレット「えぇ。杖を持った時にちゃんと使えるように勉強してたの」

リール「なるほど。それはいい考えですね」

スカーレット「そういえばアンナも魔法を使ってたけど、アンナもこのような本を読んだことが?」

アンナ「あ、いえ…その…」

スカーレット「?」

リール「?」

アンナ「あれは…小さい頃から私が…その…」

スカーレット「小さい頃から?」

アンナ「…ちょっと…こんな魔法を使ってみたいなって思って…その…考えてたものなんです…」

リール「アンナが小さい頃から温めてたものだったんですね」

アンナ「えっと…うん…」

スカーレット「なるほどそうだったのね」

アンナ「は、恥ずかしい…」

リール「恥ずかしがることないですよ。この世界には決まった魔法がないと私のお師匠様も言っていたので。お師匠様も自分で考えた魔法を使ってましたし」

アンナ「え!そうなの?」

リール「はい。使ってましたよ。なので恥ずかしがることないですよ」

アンナ「そ、そっか…リールのお師匠様も…なんだか嬉しいな…」

スカーレット「そういえばリール」

リール「なんですか?」

スカーレット「リールのお師匠様って全属性の魔法を使ってたって言ってたよね」

リール「あ、はい」

スカーレット「実際どうだった?強かったの?」

リール「えっと…戦ったことないので…」

スカーレット「あ、そっか…」

リール「あ、でもエレナ学院の学院長さんは魔女さんの事知ってるようでしたよ」

スカーレット「え!そうなの?」

リール「はい。魔女さんって言ってましたよ」

スカーレット「…え?」

リール「え?」

スカーレット「えっと…名前は?」

リール「あ、そういえば…」

 

エレナ学院長であるレヴィも魔女さんのことは「魔女さん」と呼んでいた。

1番関わりがありそうなあの人でさえ魔女さんの名前は告げなかった。

リールはそのことに対して疑問があった。

何故魔女さんの名前を言わなかったのか。

リールの疑問がまたひとつ増えた。

 

スカーレット「…リール?リール?」

リール「へ?」

スカーレット「どうしたのよ」

リール「あ、えーっと…考え事してました」

スカーレット「あ、そうなのね」

リール「はい」

アンナ「ねぇスカーレット」

スカーレット「何?」

アンナ「この本に書かれている魔法って誰が使っていた魔法なの?」

スカーレット「あーえっと…お父さんと叔父さんを含めた12人の魔法使いのうちの一人よ」

アンナ「えっと…誰?」

スカーレット「名前はお父さんに聞かないと分からないわ」

アンナ「そっか…」

リール「!」

 

光属性魔法の本を呼んでいたリールはあるものを目にした。

それは、あるページに挟まれてあった小さな紙だった。

 

リール「ねぇスカーレット。この小さい紙はなんですか?」

スカーレット「え?紙?」

 

スカーレットはリールが見せてきた紙を見た。

 

スカーレット「あ、この紙ね。実は私も分からないの」

リール「え、分からないんですか?」

スカーレット「えぇ。一応お父さんたちにも聞いたんだけど誰も分からなかったの」

リール「そうですか…」

 

その紙にはある文字が書かれてあった。

その文字は現代の文字ではなく、どこか不思議な形の文字だった。

当然スカーレットやリールたちが読める訳でもなかった。

 

リール (魔女さんなら…何か分かったのかな…)

 

リールがそう思っていると、その小さな紙に書かれた文字が形を変えていった。

 

リール (!)

 

リールはその一部始終をずっと見ていた。

文字はどんどん形を変えていき、やがてリールでも読める文字になった。

 

私はリノ。

あなたと同じ光属性魔法に適性を持つ人です。

この文字が読めるあなたにだけある事を伝えます。

 

リール (リノ?ある事?なんの話でしょうか…)

 

現在この世界にはドレインという他者を取り込み強くなる魔物が存在します。

今は表に出てきていませんが、ある場所に私が保管しています。

そこは、辺り一面暗い "深淵" と呼ばれる場所です。

あなたが光属性魔法に適性があるのならその場所に出向き、ドレインを全て浄化してください。

 

リール(浄化?深淵?ドレイン?)

 

それはかつて私が成し得なかったこと。

光属性魔法は唯一ドレインに対抗できる魔法です。

私はその力を使ってドレインを退けましたが、私一人ではどうにもなりませんでした。

そこで私はある事を考えました。

それは、私自身を使ってドレインを封印することです。

ですが、先程記述したように私一人では限界があります。

なので、これを読んでるあなたにお願いがあります。

私一人ではドレインの進行は止められません。

あなたがドレインを浄化して下さい。

光属性魔法に適性があるあなただけが頼りです。

お願いします。

 

ここで文字は変化を止めた。

この間、紙に書かれた文字は絶えず変化していた。

少ない文字でここまでの文字を残すようにしたのだ。

 

リール (ど、どういう事でしょうか…)

 

リールはずっと紙を見ていた。

 

スカーレット「リール?」

アンナ「リール?」

リール「え、何ですか?」

スカーレット「どうしたのよ。そんなに固まっちゃって」

リール「え、あ、これです」

 

リールはスカーレットとアンナに小さな紙を見せた。

 

スカーレット「あーさっきのやつね」

アンナ「何?これ」

スカーレット「なんかの文字なんだろうけど分からないの」

リール「?」

 

リールはここで疑問に思った。

さっきリールはこの文字を読めていた。

最初は読めなかったが、形を変えることでその内容を知ることが出来た。

リールでも読める文字なのにスカーレットたちには読めなかった。

 

リール「え、この文字読めないんですか?」

アンナ「えーっと…うん。分からないね」

リール「!」

 

リールがその紙に視線を落とすと、紙に書かれた文字は最初に見た不思議な形の文字に戻っていた。

 

リール「あれ…戻ってる…」

アンナ「…?」

スカーレット「なんて書かれてあったの?」

リール「えっと…なんだっけ…」

アンナ「忘れたの?」

リール「え、あ、はい…」

スカーレット「そう。ならいいわ」

 

ほんとはリールは覚えていた。

だが、2人に話す前にジンやマークに話そうと思ったため、知らないふりをした。

 

リール「ねぇスカーレット」

スカーレット「何?」

リール「この紙…ちょっと貰ってもいい?」

スカーレット「えぇいいわよ。どうせ読めないし」

リール「ありがとう」

 

リールはその紙をそっとポケットに入れた。

 

スカーレット「さ、そろそろ出ましょうか」

アンナ「そうだね」

スカーレット「リール!リール!」

リール「え、あ、はい」

スカーレット「本貸して」

リール「あ、はい」

 

リールは光属性魔法の本をスカーレットに渡した。

 

アンナ「どうしたの?リール。ずっと上の空だよ?」

リール「えっと…ちょっと色々と知りたいことがありまして…その事を考えてました」

アンナ「そうなんだ。リールは勉強熱心だね」

リール「あはは…そうですね…」

スカーレット「さ、出るわよ2人とも」

アンナ「はーい」

リール「あ、はい」

 

3人はその部屋から出た。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

数時間後…

 

あれから数時間が経って夜となった。

今日はジンさんとマークさんに魔女さんについてお話します。

なので私はジンさんの部屋に来ています。

 

ジン「それで、話とは何でしょうか」

リール「…私のお師匠様…えっと…ある魔女さんの事でお話があるんです」

ジン「ある魔女の話…」

リール「はい。私はここに来る前にある魔女さんのところに住んでいました。ここから少し離れた場所に家があり、私はその魔女さんのおかげで生きることができました」

ジン「ほう。それは良かったですね」

リール「はい。そこで、ジンさんとマークさんは私の魔女さんについてなにかご存知ないですか?」

ジン「え?その魔女さんについて?」

リール「はい」

マーク「えーっとリールさん」

リール「はい」

マーク「もうちょっと情報ないかな?流石に情報量が少なすぎますね」

リール「あ、えっと…魔女さんは全属性の魔法を使うことができます」

ジン「え!?」

マーク「全属性!?」

リール「…はい」

ジン「マーク。君は今まで全属性の魔法を使うことができる人を見た?」

マーク「え、いや…1人も…」

リール「え…そうなんですか?」

ジン「え、えぇ。本来全属性の魔法を使うことってできないんですよ」

リール「え、でも魔女さんが…」

マーク「その魔女さんは今どこに?」

リール「それが…用事ができたらしくてどこかに行ってます。その間、私はエレナ学院に通うことになりました」

マーク「そうですか…」

ジン「残念ですね」

リール「はい…できれば一緒にいたかったのですが…」

マーク「あ、そういえばリールさんが持ってる杖や箒は確か…その魔女さんから貰ったものですよね?」

リール「あ、はい。そうです」

マーク「全属性の魔法を使えてあの綺麗な杖と箒を所持している人…」

ジン「そんな人は見た事がないので探すとなれば難しいですね」

マーク「でも逆に言えばこの特徴を持つ人はその人だけだから逆に見つけやすいかも」

ジン「…確かに」

マーク「リールさん」

リール「はい」

マーク「君の家に行くことはできますか?」

リール「あーえっと…できるかどうかはメリーさんに聞いてください」

ジン「メリーさんってあの魔法店の?」

リール「あ、そうです」

マーク「分かりました。聞いてみようジン」

ジン「そうだね。聞いてみようか」

マーク「あぁ」

ジン「それでリールさん」

リール「あ、はい」

ジン「他にお話はありますか?」

リール「あ、じゃあ1つ。いや、2つ…3つ…」

ジン「あはは…話せる分だけでいいですよ」

リール「あ、じゃあ…ジンさんとマークさんってドレインと呼ばれる魔物から生き残ったんですよね?」

ジン「はい。そうですね」

マーク「他にも仲間はいたけどね」

リール「そうそれです」

ジン「?」

マーク「?」

リール「他の人について教えてください。…特にリノという人に」

ジン「!」

マーク「!」

リール「…」

ジン「…どうして…その名前を…」

リール「…これです」

 

リールはポケットに入れた小さな紙を取り出した。

 

マーク「これは?」

ジン「これは…スカーレットが私に見せに来た…」

リール「そうです。その紙です」

ジン「でもどうしてこの紙を」

リール「これは今日のお昼にスカーレットたちと一緒に本が沢山ある部屋に行った時に見つけました」

ジン「あーあの部屋ですね」

リール「はい。光属性魔法の本の中にそれが挟まってました」

ジン「…」

マーク「ジン。なんだいこれは」

ジン「…実は私にも分からないんだ」

マーク「え?」

ジン「この文字はこの世界にある文字じゃない。だから読めないんだ」

マーク「な、なるほど…」

リール「私はリノ。あなたと同じ光属性魔法に適性がある人です」

ジン「!」

マーク「!」

 

リールはその紙に書かれていた文を読んだ。

 

ジン「リールさん…これ…読めるんですか?」

リール「…はい」

ジン「なんと…」

リール「そこに書いてあるリノとは誰のことですか?教えてください」

マーク「…ジン」

ジン「…分かりました。この紙は返しておきますね」

リール「はい」

ジン「…リールさん。あなたにだけお見せします」

リール「見せる?」

 

シュゥゥゥゥゥ…

すると突然リールは白い光に包まれた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…???

 

リール「!!」

 

リールはある場所にいた。

そこは光がなく、薄暗い場所だった。

 

ジン「リールさん。こっちです」

 

リールはジンとマークにある場所に連れていかれた。

やがてある場所に着いた。

そこはある一室になっていて中には何も無いように見えたが、しっかりみると部屋の中心に何かあった。

 

リール「!!」

 

リールはそれを見た時、驚いた。

 

リール「ジンさん…これって…」

???「…」

ジン「…これが、君が言っていたリノという人物だよ」

リール「!!」

 

リールの目の前にいたその人は鎖に繋がれていた。

力なくぐったりしているその人は女性で、どこかリールに似ている部分があった。

 

マーク「彼女はドレインから私たちを守るために動いてくれた。だが、その途中でドレインに取り込まれてしまい、本来の彼女がこの世から消えてしまった」

リール「え…消えたって…」

マーク「ここにある彼女は彼女ではない。正確に言えば彼女を取り込んだドレインだ。彼女を取り込んだドレインは彼女の力を使い、私たちを襲った。だから私たちは二度と暴れないよう鎖で繋ぐことにした」

リール (え…でも…リノって人は今…)

ジン「…彼女が生きていたら私たちは離別することはなかったんだろうな…」

リール「ど、どういう事ですか…」

ジン「彼女を取り込んだドレインを倒すのは容易ではなかった。私たちではドレインに有効な攻撃ができなかったからです。途方に暮れていた私たちを救ったのは、名も告げなかったある魔女…」

リール「!」

ジン「彼女がいなかったら私たちは死んでいただろうね」

リール「その魔女って…」

マーク「その魔女さんとリノを取り込んだドレインが戦った。両者凄まじい力を発揮し、互いを傷つけた。だが、それに留まることはなく、被害は国全体に広がった。一日…いや、一夜にしてこの国は全焼した」

リール「!」

ジン「あれから数年。私たちは力を使ってこの国を建て直した。その際、この国に残ったのは私とマークの2人だけ。残りの9人はどこかへ行ってしまった」

リール「なぜ…離れたんですか…」

ジン「…リノという抑止力を失くした私たちはドレインに対して恐怖を覚えました。他の人たちはその恐怖からこの国を出たのでしょう」

マーク「私たちは残されたリノの身体を保管するためにこの国に残りました」

リール「そう…ですか…」

ジン「さ、この続きは私の部屋でしましょう」

 

3人はその部屋をあとにした。

 

???「…」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…ジンの部屋

 

ジン「あれから数年、私たちは1度も仲間にあったことがありません」

マーク「今どこで何をしているのか、生きているのか…それとも死んでいるのか…それすらも分からない」

ジン「またいつか会いたい。あの悲劇を生き残った仲間を今一度、この目で見たいな」

マーク「…あぁ。だな」

リール「…」

ジン「さ、暗い話は終わりにしようか。リールさん。他になにかお話はありますか?」

リール「あ、いえ、大丈夫です」

ジン「そうですか。分かりました。なにか聞きたいことがあったらいつでも聞きに来てくださいね。待ってますから」

リール「はい」

 

そしてリールはその部屋を出た。

 

マーク「…リノ…か」

ジン「どうしたんだい?マーク」

マーク「いや、なんでもないよ」

ジン「…そうかい」

 

その後リールはスカーレットたちのところに行き、2日目の休みを終えたのだった。




〜物語メモ〜


リノ
かつてドレインと戦った女性。
光属性魔法に適正を持ち、ドレインから仲間を救った人物。
だが、彼女はドレインに取り込まれ、その生涯を終えた。


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第16話 リールと無属性魔法

私の名前はリール。

昨日までスカーレットの家にいて今は学校にある自室にいます。

スカーレットの家に行くことで、私は様々なことを知れたと思います。

光属性魔法に関すること、ドレインのこと…そして、リノという人の存在。

私はスカーレットに頼んである小さな紙を貰いました。

その紙は最初全く読めなかったけど見ていると文字が変化して私でも読めるようになりました。

でもスカーレットやアンナは読めませんでした。

…もしかすると、私だけしか読めないのでしょうか。

少し気になりました。

さて、今日は先生が無属性魔法について教えてくれるそうです。

無属性魔法は魔女さんにも教わらなかったのでちょっと楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…教室

 

ジーヴル先生「さて、今日は無属性魔法について話をするぞ〜」

生徒「はーい」

ジーヴル先生「無属性魔法は読んで字のごとく何ものにも属さない魔法の事だ。分かりやすくいえば回復魔法。これは基本属性魔法や特殊属性魔法には属さない魔法だ。他にも移動魔法や強化魔法も無属性魔法に含まれるぞ」

男子「先生〜」

ジーヴル先生「ん?なんだ?」

男子「それってみんな使えるんですよね?」

ジーヴル先生「ん?まぁ、習えば使えると思うぞ」

男子「やったぜ」

ジーヴル先生「まぁ今回は回復魔法だけ覚えてもらう。他の魔法はまた今度だ」

男子「えー…」

ジーヴル先生「おーいそこ。文句言うなよ〜」

男子「ぶー…」

ジーヴル先生「と言っても回復魔法は体力の回復、あとは魔力の回復の2つがある。その中でも持続的に回復するものと一気に回復させる魔法がある。何使うかはみんな次第だけど、これを覚えておくといざとなった時に便利だぞ」

アンナ「リールは無属性魔法って使えるの?」

リール「いえ、無属性魔法だけは教わらなかったので」

アンナ「あ、そうなんだ」

リール「なので少し楽しみです」

アンナ「だね!」

ジーヴル先生「まずは体力の持続回復だ。これは回復力はそこまで無いが、半永久的に体力が回復する魔法だ。これを使えばいちいち回復魔法をかけずに済むようになる」

男子「でも回復力は弱いんですよね?」

ジーヴル先生「あぁ。確かに弱いが、1度かければそれ以降はかけなくてもいいくらいだ」

男子「ふーん」

ジーヴル先生「次は普通の体力回復魔法だ。これは発動者の魔力の強さによって回復量が変わる。魔力が強ければ回復量も多くなり、逆に魔力が弱ければ回復量も少なくなる。普通の回復魔法と持続的に回復する魔法の違いはここだ。普通の回復魔法は魔力に影響される。だが、持続的に回復する魔法は魔力に影響されない。つまり、魔力が強かろうが弱かろうが回復量は変わらないんだ」

男子「へぇ〜」

ジーヴル先生「だから魔力が強い人は普通の回復魔法を使って、魔力が弱い人は持続的な回復魔法を使うようになっている」

男子「あーなるほどなぁ」

ジーヴル先生「これが体力の回復魔法だ。次に魔力の回復魔法だ」

アンナ「リールは回復魔法どっち使う?」

リール「そうですね。私は普通の回復魔法ですかね」

アンナ「だよね。リールは魔力が強いからやっぱりそっちの方がいいよね」

リール「はい。ですね」

ジーヴル先生「魔力の回復は体力の回復とは違って自分の魔力を誰かに分け与えるという魔法だ。使えば当然使用者の魔力は減り、受けた人は魔力が上昇する。これに関しては1種類しかない。おまけに魔力の影響も受けないんだ」

女子「ということは分け与える魔力の量は自分で決められるんですか?」

ジーヴル先生「そうだ。分け与える量は魔力による変動ではなく、使用者のさじ加減だな」

女子「分かりました」

ジーヴル先生「このように、無属性魔法の回復魔法は色々なところで応用されている。それに、回復魔法はある属性魔法に適性がある人が使うと更に効果を上げることが出来るぞ」

男子「なんの属性魔法ですか?」

ジーヴル先生「水属性魔法だ」

男子「えー?水属性魔法?」

アンナ「!」

ジーヴル先生「そうだ。水属性魔法は本来、相手に癒しの力を与える属性魔法なんだ。その属性に適性を持つ人が回復魔法を使えば、さらに効果を跳ね上げることができる」

男子「先生ー!風属性魔法はー?」

ジーヴル先生「風属性魔法は残念ながら効果は等倍だ」

男子「えー…」

ジーヴル先生「お、まだ時間があるな。じゃあ今度は移動魔法についてだ。これは俗に言うワープと呼ばれる魔法だ」

リール「ワープってスカーレットが使ってた魔法ですよね」

アンナ「あ、そうそう。その魔法だよ」

ジーヴル先生「ワープとは、移動手段の中で最も目的地に着くのが速い魔法なんだ。なんせ一瞬でその場に着くんだからな」

男子「先生!それはどの属性魔法がいいんですか?」

ジーヴル先生「あーこれに関しては属性による効果は期待できないぞ」

男子「えー…」

ジーヴル先生「いや誰でも使えばワープできるし、ワープの効果を上げるって言っても何を上げるんだ?」

男子「確かに…」

ジーヴル先生「だからどの属性も効果は等倍だ」

男子「ぶー…」

ジーヴル先生「無属性魔法はどの属性にも属さない魔法だから汎用性が高い。物体浮遊魔法もそのひとつだ。このようにみんなそれぞれ持つ属性魔法と氷属性魔法、無属性魔法を使ってこれから生きていくことになる。その過程で魔法の改良、最適化をすることで更に魔法の幅が広がるぞ」

男子「おー!」

ジーヴル先生「さ、授業はここまでだな。時間的にもいいくらいだし終わるか」

男子「よっしゃー!」

ジーヴル先生「こらそこ。喜ぶんじゃないぞ」

男子「すんませーん」

ジーヴル先生「さ、授業は終わりだ。解散!」

 

そしてみんな順々に教室を出た。

 

アンナ「どうだった?リール」

リール「興味深い話ばっかりでしたよ。もっと知りたいとも思いましたし」

アンナ「おぉ…すごいねリール。勉強熱心だね」

リール「い、いえ…それほどでも…」

 

2人で話していると教室のドアが開いた。

 

ラーフ「失礼します」

アンナ「!」

リール「!」

 

入ってきたのはレヴィ学院長のそばにいる人だった。

 

ラーフ「こちらにリールさんはいらっしゃいますか?」

リール「あ、はい。ここにいます」

ラーフ「…レヴィ学院長がお呼びです。学院長室においでください」

リール「あ、はい。分かりました」

 

リールはラーフのところに行き、学院長室に向かった。

 

スカーレット「ねぇアンナ」

アンナ「何?」

スカーレット「何かあったの?」

アンナ「え、うーん…分からない…」

スカーレット「…そう」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…学院長室

 

コンコンコン

ラーフはドアをノックした。

 

ラーフ「学院長。ラーフです」

レヴィ「あ、入ってもいいよ」

ラーフ「…失礼します」

 

ギィィィィィィ…

ラーフはドアを開けて入っていった。

リールもそれについて行った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

レヴィ「やぁリールさん。入学ぶりですね」

リール「はい。お久しぶりです学院長」

レヴィ「あ、ここでは私のことは学院長じゃなくても大丈夫ですよ」

リール「…?」

リール「じゃあどのように呼べばいいのでしょうか?」

レヴィ「んー…気兼ねなくレヴィでいいよ」

リール「分かりました。じゃあレヴィさんで」

レヴィ「それでいいよ」

リール「それで、何か御用ですか?」

レヴィ「…何時間か前にメリーさんが私にある報告をしてきました」

リール「報告?」

レヴィ「はい。ある男性2人が魔女さんの家に行きたいと…そう言われたそうです」

リール「!」

レヴィ「…あの家を守っている私からすれば、私とメリーさん以外の人物があの家に近づくのはあまり良い気はしないのです。そこで、あなたに相談があります」

リール「…」

レヴィ「…あなたならどうしますか?」

リール「!」

レヴィ「私は正直断るつもりです。メリーさんは判断ができないために私に知らせてくれました。ですが、私とメリーさんもあの家の者ではないので私とメリーさんには決定権がありません。そこで、魔女さんがいない今、あなたがあの家の所有権 兼 決定権を所持しています。なので、最後にあなたの判断を仰ぎたいのです」

リール「…」

レヴィ「…どうされますか?」

リール「えっと…その男性2人って…」

レヴィ「箒専門店のジンさんと杖専門店のマークさんです」

リール「!」

 

リールの予想は的中した。

 

レヴィ「…面識があるのですか?」

リール「…はい。一度会ったことがあります」

レヴィ「…そうですか。それで、どうしますか?」

リール「えっと…ジンさんとマークさんは何故あの家に行きたいのかという理由は仰られましたか?」

レヴィ「私は聞いてないね。恐らくメリーさんも」

リール「…そうですか」

レヴィ「…」

リール「じゃあ目的を開示していただいてからメリーさんもしくはレヴィさんが監視している状況であるなら大丈夫です」

レヴィ「目的の開示と監視があればいいんですね?」

リール「はい。その目的が分かれば私に伝えて欲しいです。私が良いと思ったらレヴィさんかメリーさんが監視役としてジンさんとマークさんと一緒にいてくれるなら大丈夫です」

レヴィ「…分かりました。ではそのようにメリーさんに言っておきます。後日メリーさんのところに伺うとお二人が言っていたのでその時に伝えるように言っておきますね」

リール「はい」

レヴィ「あ、それと」

リール「?」

レヴィ「目的が分かり次第あなたに伝えます。後日また呼び出しますのでその時にまたこの部屋に来てください」

リール「はい。分かりました」

レヴィ「ラーフ」

ラーフ「はい」

レヴィ「リールさんを部屋まで送ってあげて」

ラーフ「…分かりました」

リール「…失礼します」

レヴィ「はい」

 

ギィィィィィィ…バタン

リールとラーフは部屋を出た。

 

レヴィ「…目的の開示と監視ね。分かりました。…ですが、そう簡単には近づけさせませんよ」

レヴィ「…轟雷(ごうらい)の使徒 サルメア。巌土(がんど)の使徒 ファラン」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…リールとアンナの部屋

 

ラーフ「それではリールさん。私はこれで」

リール「あ、はい。ありがとうございます」

ラーフ「後日また伺いますのでその時は」

リール「はい。分かりました。それでは」

ラーフ「はい」

 

ギィィィィィィ…バタン

リールは部屋の扉を閉めた。

 

ラーフ「…」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

アンナ「あ、リール!」

リール「アンナ。帰ってたの?」

アンナ「うん。でもどうしたの?」

リール「あー…ちょっとね」

アンナ「?」

 

リールは一応この件については伏せることにした。

 

リール「また後日呼び出されるみたいだからまたその時も一緒に帰れないかもしれないけどいい?」

アンナ「うん!いいよ!」

リール「ありがとう。アンナ」




〜物語メモ〜


魔女さんの家
現在、家の主である魔女さんは用事のため家を空けている。
そのため、現在の家の主はリールとなっている。
だが、リールはエレナ学院にいるため、その間はメリーさんとレヴィ学院長が家の管理をしている。


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第17話 リールと模擬試合(スカーレット編)

私の名前はリール。

今はエレナ学院にいます。

前回は無属性魔法について勉強しました。

ある程度の魔法は魔女さんに教わってるので聞いたことのある魔法ばっかりでしたが、興味深かったです。

私は光属性魔法に適性があるので回復はちょっと難しいですが、頑張って練習します!

さて、今日は何やら面白いイベントが始まるそうです。

先生の顔が笑顔なのできっと面白いんだろうなと思っています!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日…

 

ジーヴル先生「よぉーしみんなー!席につけー!」

 

ジーヴル先生は大きな箱を持ってきた。

 

男子「先生〜その大きな箱は何ですか?」

ジーヴル先生「今から説明するからちょっと待ってくれ〜い」

男子「はいよ〜」

リール (友達かな?)

 

ジーヴル先生は大きな箱を1つと小さな箱を1つ教卓の上に置いた。

 

ジーヴル先生「じゃあ説明するぞ〜。これはな、みんなが2学年になってから注文していた杖だ。これから実技の授業が入ってくるからその時に使うためにな」

男子「キタァァァァァ!」

ジーヴル先生「おーいそこー。うるさいぞー」

男子「先生!早く配ってくれよ!」

ジーヴル先生「あーダメだ」

男子「え!?なんで!?」

ジーヴル先生「杖はその人に合わせて作られているからだ。属性魔法が違う人の杖を使っても魔法は発動しないからな。ここは慎重にならないといけない」

男子「えー…」

ジーヴル先生「今から名前呼ぶから呼ばれたら来てくれ。出席番号関係ないから呼ばれるまでは来るなよ」

全員「はーい」

 

するとジーヴル先生は一人一人生徒の名前を呼んでいった。

その間、スカーレットやアンナも呼ばれ、全員が杖を持つことになった。

当然、リールの名前は呼ばれなかった。

 

ジーヴル先生「よしっ。これで全員分だな」

男子「え?」

ジーヴル先生「え?」

女子「先生ー!リールさんの杖は無いんですか?」

ジーヴル先生「え?無いも何もリールさんは杖持ってますよね?」

リール「!」

女子「え?どういう事?」

女子「最初から持ってたってこと?」

女子「そういえば適性魔法を見る時も手つきが慣れていたような…」

ジーヴル先生「学院長からは杖の注文はいらないと聞いていたので発注しなかったんですが、リールさんは杖持ってませんか?」

リール「あ、いえ。持ってます」

 

そう言ってリールは杖を取り出した。

 

女子「わ、ほんとだ…」

男子「自分の杖?」

リール「はい。そうです」

女子「綺麗な形だね」

リール「ありがとうございます」

ジーヴル先生「よしっ。リールさんも杖を持っている事だし、みんなにはもう1つ話がある」

 

ジーヴル先生は黒板に文字を書き始めた。

 

リール (模…擬…試…合…模擬試合!?)

 

そう。

ジーヴル先生が書いたのは模擬試合という文字だった。

 

ジーヴル先生「さて、もう1つの話…それは、模擬試合についてだ」

男子「模擬試合!?」

男子「戦えるのか!?」

ジーヴル先生「そう。杖を持った生徒の最初のイベント。それが模擬試合だ」

女子「それって魔法の試合なんですか?」

ジーヴル先生「そうだ。各々の適性魔法を使って相手と対戦するというものだ」

アンナ「ねぇリール」ヒソヒソ

リール「なんですか?」ヒソヒソ

アンナ「なんか、スカーレットの家でやった気がするんだけど」ヒソヒソ

リール「奇遇ですね。私もそう思ってました」ヒソヒソ

スカーレット「…」

ジーヴル先生「今から細かい説明するからしっかり聞いとけよ」

全員「はーい」

 

するとジーヴル先生は模擬試合の詳細を説明し始めた。

 

 

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詳細を聞いて分かったこと

 

1.使う魔法は自分の適正魔法のみ

(氷属性魔法、無属性魔法の使用は禁止)

2.勝敗は相手の降参あるいは戦闘不能のみ

3.試合形式は 1VS1

4.属性魔法の有利、不利は関係ない

(戦う相手や属性魔法はランダム)

5.生徒同士での戦闘

6.不正は魔法以外の攻撃、適正魔法以外の魔法攻撃のみ

 

 

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リール (意外にルールが多いですね)

ジーヴル先生「とまぁ詳細はここまでだ。なにか質問あるやつはいるか?」

女子「先生。それはいつ始まりますか?」

ジーヴル先生「1週間後だ。その間、宿題や授業は全て杖の慣れの時間になる」

男子「じゃあ授業は無いわけだ!」

ジーヴル先生「そうだな」

男子「しゃあ!」

ジーヴル先生「あ、それともう1つ。この模擬試合で仮に負けたとしても成績が落ちるとかは無いから安心してくれ。この模擬試合は魔法と杖の慣れのために行うものだからな」

男子「勝ったぜ!」

ジーヴル先生「傷を負っても先生方が回復させてくれるからみんなは思う存分戦ってくれ」

女子「先生。場所はどこでやるんですか?」

ジーヴル先生「場所はあそこだ。第1魔法戦闘室だ」

女子「それってこの校舎の隣にあるあれですか?」

ジーヴル先生「そう。そこが第1魔法戦闘室だ。だがまぁ、模擬試合を始める前に一旦ここに来てもらうからそこから先生がみんなを連れていくよ」

女子「分かりました」

ジーヴル先生「他に質問あるやついるかー?」

 

誰も手を挙げなかった。

 

ジーヴル先生「よしっ。じゃあこれで終わりな。各々しっかり魔法と杖の練習をしておくこと。分かったか?」

全員「はーい!」

ジーヴル先生「じゃあ解散!」

男子「よぉーし!早速練習行くぞ!」

男子「任せろ!けちょんけちょんにしてやるぜ!」

男子「俺も行くぜ!」

ジーヴル先生「おーい!魔法は校舎内では使うなよー!禁止だからなー!使うなら第1魔法戦闘室に行けよー!」

男子「分かったぜ先生!」

男子「行くぞお前ら!目的地は第1魔法戦闘室だ!」

男子「ラジャー!」

男子「ラジャー!」

 

タッタッタッタッタッ!

元気のいい男子たちはそのまま第1魔法戦闘室に向かった。

 

リール (この際練習するのもありですね)

アンナ「あの、リール…」

リール「どうしましたか?」

アンナ「一緒に練習しない?」

リール「構いませんよ」

スカーレット「私も参加するわ」

リール「あ、スカーレット」

スカーレット「ようやく振り切って来れたわ」

リール「振り切る?」

スカーレット「そう。みんな私と練習したがってたけど私はリールたちとがいいの。だから振り切ってきたの」

リール「そっか…ありがとう」

スカーレット「いいわよ。それよりも私たちも早く練習しましょ!」

アンナ「はい!よろしくお願いします!」

 

それからリールたちも練習をし始めた。

 

 

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リール (光の使い方…そのまま一直線に飛ばすのもありですね。弾道速度はどの属性魔法よりも速い。そこを活かさないと…)

アンナ「ねぇ2人とも」

スカーレット「何?」

リール「何ですか?」

アンナ「水って触ると濡れるよね?」

スカーレット「そ、そうね」

リール「まぁ、当然ですよね」

アンナ「でも掴むことってできるかな」

スカーレット「掴むこと…ね」

アンナ「うん」

リール「少しは掴めるかと思いますが、全部は無理ですね」

アンナ「だよね!良かった!」

リール「何かするの?」

アンナ「えっと…うん」

リール「どんな事をするんですか?」

アンナ「えっと…内緒!」

スカーレット「教えてくれないの?」

アンナ「うん!その時のお楽しみ!」

リール「分かりました。楽しみにしておきますね」

 

 

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それからリールたちは1週間、自分の属性魔法について勉強、実技、思考を繰り返した。

 

 

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そして模擬試合当日…

 

ジーヴル先生「よぉしみんな。ちゃんと練習してきたか?」

男子「バッチリだぜ先生!」

男子「早くやろうぜ!」

ジーヴル先生「まぁ待て。先走る気持ちは分かるが準備があるからな」

男子「準備?」

ジーヴル先生「そう。魔力が外に漏れないように結界を展開しているところだ。もう少ししたら行くぞ」

男子「先生!」

ジーヴル先生「ん?なんだ?」

男子「対戦相手はいつ分かるんですか?」

ジーヴル先生「あーじゃあ今やっとくか。どうせ待たなきゃだし」

男子「しゃあ!誰でもかかってこいや!」

アンナ「ねぇリール」

リール「なんですか?」

アンナ「頑張ろうね」

リール「…はい」

 

そして対戦相手が順々に発表された。

リールは7戦目、アンナは5戦目、スカーレットは2戦目だった。

 

アンナ「良かった…リールやスカーレットが相手じゃなかった」

リール「3人の中ではスカーレットが1番早いですね」

アンナ「その次は私で最後はリールだね」

リール「ですね」

ジーヴル先生「さて、発表も終わったことだし行こうか」

男子「しゃあ!行くぜ!」

 

 

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対戦相手

 

2戦目 スカーレットVSサラン(男)

 

5戦目 アンナVSエル(女)

 

7戦目 リールVSオード(男)

 

 

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場所…第1魔法戦闘室

 

ジーヴル先生「さぁて、1戦目と2戦目の人はここに残ってくれ。残りの人はこの上に観客席があるからそこに行くように。座る場所はどこでもいいぞ」

男子「よし!俺は1番見えるところに座るぜ!」

男子「何!?俺が座るぜ!」

ジーヴル先生 (相変わらず元気だな。あいつらは)

リール「スカーレット!」

スカーレット「!」

リール「…頑張って!」

スカーレット「…任せて」

 

リールとアンナも観客席に向かった。

 

スカーレット (こんな所で負けてられないわ。いつかあなたと対等に戦えるくらいに強くなるの。見ててリール、アンナ。勝ってみせるから)

ジーヴル先生「さ、1戦目と2戦目のメンバーはそれぞれこっちとあっちに扉があるからそこで待機していてくれ。どちらの扉に待機するかはここに書いてあるから見るように」

 

スカーレットはそこに書かれている内容を見た。

 

スカーレット (…私は右ね)

 

 

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戦闘準備が整い、1戦目が開始された。

1戦目の様子は2戦目の人たち含め、全員見ることができるようになっている。

1戦目の組み合わせは土属性魔法と火属性魔法だった。

両者1歩も引かず、各々の属性魔法を相手にぶつけた。

地脈を操る土属性魔法と炎を操る火属性魔法では、地脈によるバフがある土属性魔法の方が少し強かった。

火属性魔法の人が弱いと言うより、土属性魔法を使ってる人が地脈のバフを使いこなせていたため、この勝負は土属性魔法の人の勝利だった。

そして、スカーレットの順番が来た。

 

ジーヴル先生「さて、第2戦目。2人とも舞台に上がってきて」

 

ギィィィィィィ…

扉が開き、スカーレットとその対戦相手が舞台に上がった。

 

リール「スカーレット!頑張って!」

アンナ「スカーレットなら行けるよ!」

スカーレット「…」

サラン「…」

 

スカーレットの対戦相手はサランという男子生徒だった。

彼は物静かで割と知的な人物だった。

 

スカーレット「…」

サラン「まさか君と戦うことになるなんてね。委員長」

スカーレット「!」

サラン「手加減はなしだよ。僕はここで負けたくないからね」

スカーレット「…私だってこんな所であなたに負けたくないわ」

サラン「…さて、やろうか」

ジーヴル先生「戦闘開始!」

 

ジーヴル先生が開始の合図を出した。

 

スカーレット「放電(マギダラ)!」

 

ジジジ…バリバリバリ!

スカーレットは電気を纏った。

 

サラン「雷…か…」

スカーレット「そうよ。さ、あなたも魔法を使ってみたらどう?」

サラン「…そうさせてもらうよ」

 

サランは魔法を使った。

 

スカーレット「!」

サラン「…」

 

サランが使う魔法は水属性魔法だった。

 

スカーレット「あなた…水属性魔法の適性者なのね」

サラン「そうだよ」

リール「雷属性魔法のスカーレットに対し、あの人は水属性魔法…相性的にはスカーレットが上だけど…」

アンナ「私と同じ属性魔法なんだ…あの人…」

スカーレット「手加減はなし…そう言ったわよね?忘れてないわよね?」

サラン「大丈夫。忘れてないよ」

スカーレット「じゃあ…さっさと終わらせましょうか」

サラン「…できるものなら」

 

ドゴォン!

スカーレットは雷で作った玉を飛ばした。

 

サラン「はっ!」

 

サランも負けじと水で作った玉を飛ばす。

 

スカーレット「その程度の魔法で…」

 

ビュン!ビュン!ビュン!

スカーレットは高速で攻撃を回避した。

 

スカーレット「私に当てられるとでも?」

 

ゴロゴロゴロ…

 

サラン「!」

 

スカーレットは舞台を黒い雲で覆った。

その黒い雲は雷を纏っていた。

 

サラン「まさか…」

スカーレット「踊雷針(サンダー・カーニバル)!」

 

ゴロゴロゴロ…ピカッ!ドゴォォォォン!

スカーレットが唱えた魔法が発動し、舞台全体を攻撃した。

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ……

辺りに煙が立ち込める。

 

スカーレット「…!!」

サラン「…」

リール「!」

アンナ「!」

 

サランは無傷だった。

 

スカーレット「な、なぜ…」

サラン「…電気が水を伝うのは誰でも知っていること。じゃあなぜ水属性魔法が雷属性魔法に弱いとされているのか。理由はそこにある。だから僕は考えた。どうやって不利属性を克服しようかと」

スカーレット「…」

サラン「そこで考えた。魔法を使ってる時は杖から魔力が送られているため、常に杖から水が出ている。故に電気が体を伝い、ダメージを負う。なら、杖から切り離せばいいと…そう考えたんだ」

スカーレット「!!」

 

スカーレットはサランの頭上に板状に形作られた水を見た。

そして、その板状の水から1本水が伸びていることもわかった。

 

サラン「…こうすることで頭上からの攻撃を防ぎ、雷属性魔法であるならその電気を外へ流すことができる。無傷で済むんだ」

スカーレット「くっ…」

サラン「僕は不利属性のことを考えた。君は僕の適性魔法が水だと知ってから勝ちを確信したでしょ」

スカーレット「!!」

サラン「そこが僕の勝ち筋。現にほら、足元見てないから気づいてないでしょ?」

スカーレット「!!」

 

スカーレットの足には水の塊がくっついていた。

 

スカーレット「何よこれ」

 

スカーレットは足を動かそうとするが、全く動かなかった。

 

サラン「水ってね。軽く見られがちだけど、集まれば凄まじい力と重さを得ることができる。だから君の足は動かない」

スカーレット「くっ…」

 

スカーレットはサランに杖を向けた。

 

スカーレット「雷玉(サンダラ)!」

 

ドンドンドン!

スカーレットは雷玉を飛ばした。

 

サラン「無駄だよ。さっきの話聞いてた?」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ…

サランは水の壁と電気を逃がすための通路を作った。

 

ジジジ!

スカーレットの雷はその通路を通ったため、サランに直撃しなかった。

 

スカーレット「くっ…」

サラン「どう?勝ち目…ある?」

スカーレット「…」

 

スカーレットは考えを巡らせていた。

 

リール「スカーレット!」

スカーレット「!」

サラン「?」

リール「負けないで!勝って!」

スカーレット「リール…」

サラン「リールさんですか…あの人の魔法も凄いですよね。光属性魔法だなんて。興味深い」

スカーレット「当たり前じゃない。リールは凄いのよ。私よりも遥かにね!」

 

スカーレットはサランに杖を向けた。

 

スカーレット「雷砲(サンダー・キャノン)!」

 

ジジジ…ドゴォォォォン!

スカーレットの杖から雷のレーザーが放たれた。

 

サラン「な…」

 

サランは間一髪でその攻撃を避けた。

 

スタッ…ジジジ…

 

サラン「?」

 

サランは足元に違和感があったため、足元を見た。

 

サラン「!?」

スカーレット「…かかったわね。地雷(コーディ)!」

 

ジジジ…バリバリバリ!

足元にあったそれは勢いよく弾け、周囲に雷を放散した。

 

サラン「ぐあっ…がああああああ!」

 

サランはその攻撃をまともに受けてしまった。

 

ピチョン!

するとスカーレットの足元にあった水の塊が消えた。

 

スカーレット「ふぅ…これでやっと動けるようになったわ」

サラン「ぐっ…やるね」

スカーレット「生憎、私たちは先に戦闘を経験してるのよ。あれに比べたらマシだわ」

サラン「だったら!」

 

サランは杖を上に向けた。

 

サラン「落つる刃(アメノミハシラ)!」

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ!

 

スカーレット「!?」

 

すると、天井から水の刃が降り注いだ。

 

スカーレット「くっ!」

 

スカーレットは杖を構えた。

だが、雷属性魔法には防御系の魔法は存在しなかった。

 

スカーレット「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

ドン!ドン!ドン!

スカーレットは雷玉を撃って水の刃と相殺させた。

だが、雷玉を撃つ度に魔力を消費しているスカーレットに対し、アメノミハシラの魔力分しか消費していないサランだと圧倒的にサランの方が有利だった。

 

スカーレット「ぐっ…はぁぁぁぁぁぁ!」

 

スカーレットの魔力が無くなりかけていた。

 

サラン「まだまだ続くよ。さぁ、どうする?」

 

スカーレットは考えていた。

雷玉だと一発ずつ撃つ上に一発分の魔力がどんどん消費されていく。

ここで一気に周囲を攻撃できる魔法を考えたが、この攻撃を掻い潜って別の魔法を撃つのはリスクがあった。

そしてアメノミハシラは攻撃をやめない。

 

スカーレット「こうなったら…」

サラン「お、何かするのかい?」

スカーレット「雷砲(サンダー・キャノン)!」

 

キィン!ドゴォォォォン!

スカーレットは落つる刃(アメノミハシラ)ではなく、サランに攻撃した。

 

サラン「な!」

 

ドゴォォォォン!

サランはその魔法に被弾した。

それと同時に落つる刃(アメノミハシラ)は解除された。

 

スカーレット「ふぅ…ようやく収まったわね」

サラン「…やるね委員長」

スカーレット「それはどうも」

 

シュッシュッシュッ…

 

スカーレット「!」

 

サランの足元に渦が5つ出現した。

 

サラン「さぁ…出ておいで水龍(ルーディン)

 

ドバァン!

その渦から水で作られた龍が5体出てきた。

 

サラン「はぁっ!」

 

サランはそれを操り、スカーレットにぶつけた。

 

スカーレット「ぐあっ…がっ…」

 

スカーレットはそれに被弾する。

 

スカーレット「ぐっ…」

 

スカーレットの体力は限界だった。

 

スカーレット「はぁ…はぁ…」

サラン「まだまだ!」

 

サランは更に攻撃を重ねた。

 

スカーレット「ぐっ…」

リール「スカーレット!」

アンナ「スカーレット!」

 

スカーレットはよろめいていた。

スカーレットの体力は0になりかけだった。

 

スカーレット (このままじゃ…負ける…このままじゃ…リールに勝てない…)

スカーレット「くっ!」

 

スカーレットは体勢を立て直した。

 

スカーレット「…」

 

スカーレットはサランをじっと見つめる。

 

サラン「…もう最後かい?」

スカーレット (最後の一撃…これにかける!)

 

 

ー回想ー

 

スカーレット「お父さん」

ジン「なんだいスカーレット」

スカーレット「お父さんも雷属性魔法に適性があったよね」

ジン「うん。あるよ」

スカーレット「ならお父さんのとっておきの魔法を教えて」

ジン「お父さんのとっておき?」

スカーレット「うん。来週魔法の模擬試合があるの。私はまだまだだから負けるかもしれない。だから教えてお父さん。負けそうになった時、それを覆すことが出来るとっておきの魔法を」

ジン「…いいよ。でも、ちゃんと使いこなせる?使いこなせなかったら自分にダメージが来るけど」

スカーレット「それでも使いこなせたら逆転できるのね?」

ジン「あぁ。確実にできるよ」

スカーレット「分かったわ。練習するから教えてお父さん」

ジン「…あぁ」

 

ー回想終了ー

 

 

スカーレット (お父さん。お父さんのとっておきの魔法…ここで使わせてもらうね)

 

ジジジ…

スカーレットの周囲に磁場が発生した。

 

サラン「!」

 

サランは異変に気づいた。

 

バリバリバリバリバリ!

スカーレットの体に再度電気が走った。

 

フワフワ…フワフワ…

するとスカーレットは宙に浮き始めた。

 

サラン「な…浮いた!?」

リール「凄いスカーレット!」

アンナ「初めて見た…」

スカーレット「…」

 

スッ…

スカーレットは第1魔法戦闘室の天井の中央まで浮き、杖を上に向けた。

 

ジジジ…ゴロゴロゴロ…

すると、スカーレットの杖に雷が集まり始めた。

 

サラン「!!」

 

サランは危機感を覚え、5体の水龍を集めた。

 

サラン「はぁっ!」

 

サランは集めた水龍たちをスカーレットに向けて飛ばした。

 

スカーレット「…」

 

スッ…

スカーレットは杖を下に向けて魔法を放った。

 

スカーレット「…インドラの矢(サディエライト・アーツ)

 

キィン!ドォォォォォン!

すると、スカーレットの杖に集まった雷が舞台に向かって真っ逆さまに落ちていった。

その速度は速く、水龍(ルーディン)たちがそれを止めようとしたが、スカーレットが唱えた魔法は水龍たちの体を貫通した。

そしてスカーレットが唱えた魔法は舞台に落ち、瞬く間に周囲に影響を及ぼした。

…スカーレットを含め。

 

ドゴォォォォン!

 

サラン「がぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

その魔法は円状に広がり、サランは大ダメージを受けた。

 

ジジジ…バリバリバリ!

 

スカーレット「うっ…くっ…」

 

スカーレットもまた、自傷ダメージを負ってしまった。

 

スカーレット「…」

 

スカーレットは魔力を消費し切ってしまい、おまけに体力も0となった。

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ!

力を失ったスカーレットはそのまま舞台に落ちていった。

 

リール「スカーレット!」

アンナ「スカーレット!」

ジーヴル先生「!!」

 

スカーレットはピクリとも動かず、そのまま重力に従い、落ちていった。

観客席にいる生徒やジーヴル先生ではスカーレットを受け止めるには間に合わない。

みんなが何かしらの行動を起こした次の瞬間…

 

???「…全く…無茶をしますね。委員長」

 

ザバァァァン!

突然舞台中央から水が噴き出し、スカーレットを包み込んだ。

 

ポヨンポヨン…

スカーレットを包んだ水はスカーレットの落下の衝撃を吸収し、地面に落ちた。

 

サラン「…ふぅ」

 

サランが最後の力を振り絞ってスカーレットを助けたのだった。

 

パチン!

するとスカーレットを包んでいた水が破裂し、スカーレットは舞台に横になった。

 

リール「スカーレット!」

 

リールとアンナがスカーレットのところに向かった。

 

リール「スカーレット!スカーレット!」

 

スカーレットは少しだけ目を開けた。

 

リール「良かった…気がついた…」

スカーレット「…リール」

ジーヴル先生「この試合、サランの勝利!」

男子「うぉぉぉぉ!」

女子「凄かったね今の試合!」

女子「だよね!不利属性に勝ったサランくんも凄いけど最後の委員長の攻撃も凄かったよね!」

女子「だよね!」

スカーレット「…負けちゃった」

リール「スカーレット…」

スカーレット「もう少し…頑張ったら良かったなぁ…」

リール「十分ですよ。よく頑張りました」

スカーレット「…」

サラン「委員長」

リール「!」

スカーレット「!」

アンナ「!」

 

サランが立ち上がってスカーレットのところに来ていた。

 

スカーレット「…何?」

サラン「…やっぱり委員長はすごいよ。いい試合だった」

スカーレット「…そう。ありがとう…」

 

こうしてスカーレットVSサランの試合はサランの勝利で終わった。




〜物語メモ〜


第1魔法戦闘室
これは校舎の隣にある建物の名前で、俗に言う体育館みたいなところ。
魔法の戦闘は基本ここで行われる。
少し前まで校舎でも魔法の使用は許可されていたが、最近になって魔法の使用が禁止された。

模擬試合
2学年最初のイベント。
互いの属性魔法を使って試合をする。
勝ち負けによる成績の昇降は無い。

サラン
スカーレットの対戦相手の男子。
いつも物静かでやかましい男子とは正反対の人物。
授業は真面目に聞くほど。
今回スカーレットが相手だと知ってから模擬試合が始まるまでに雷属性魔法に対する対策をずっと考え、実践していた。


新しく出てきた魔法

水属性魔法:落つる刃(アメノミハシラ)
サランが使った魔法。
使えば頭上から水の刃が降ってくる広範囲魔法。
魔力の消費はアメノミハシラ発動分のみのため、魔力の消費が少ない。
おまけに任意で解除するまで延々と続く。

水属性魔法:水龍(ルーディン)
サランが使った魔法。
足元に5つの渦を出現させ、そこから水で作った龍を出し、相手にぶつける魔法。
ただの水ではなく、龍の形をしているため、攻撃範囲が少し広い。
おまけに操作が可能。

雷属性魔法:踊雷針 (サンダー・カーニバル)
スカーレットが使った魔法。
雷雲を作り、地面に向かって雷を落とす魔法。
地面に落ちた雷は地面を跳ね、周囲に走る。
これもアメノミハシラ同様、魔力の消費はサンダー・カーニバル発動分のみ。

雷属性魔法:地雷 (コーディ)
スカーレットが使った魔法。
本来サンダー・カーニバルは地面を跳ねた後に跡形もなく消えてしまうが、地雷を使うことでその場に留まり、相手がそれを踏むまで存在し続けることができる。
踏めば雷が周囲に放散し、近くに地雷があれば更に連鎖して雷を放散する。

雷属性魔法:インドラの矢(サディエライト・アーツ)
スカーレットが使った魔法。
この魔法は元々スカーレットのお父さんであるジンが作った魔法。
空を飛び、雷を集めたあと、その雷を地面に落とす魔法。
地面に落ちた雷は瞬く間に周囲に広がり、範囲内にいる人は大ダメージを受ける。
破壊力は抜群だが、失敗すれば自分への大ダメージとなる。
ジンはこの魔法の制御に1ヶ月近くかかった。


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第18話 リールと模擬試合(アンナ編)

ここでちょっとお知らせです。


最近、投稿できてませんでしたが、理由としては実習があったからです。

ネット環境がない場所での実習でしたので、投稿まで時間がかかりました。

今は実習は終わっていますが、それでもまだ忙しいので投稿頻度は少ないです。


お知らせは以上です。


私の名前はリール。

今エレナ学院の隣にある第1魔法戦闘室にいます。

私たちは模擬試合という2学年になった人たちの最初のイベントらしいそれに参加しています。

1VS1で行うものらしく、互いに魔法をぶつけて勝敗を決めるそうです。

前回はスカーレットが出場しました。

結果は敗北でしたが、それでもスカーレットはよく頑張ったなと思っています。

次はアンナの番です。

アンナは一週間前に何やら策を練っていたらしく、今回はそれが見れたらいいなと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サランとスカーレットの試合が終わった。

試合はサランの勝利となり、3戦目が開始された。

3戦目は火属性VS土属性。

両者作った魔法や覚えた魔法を惜しげも無く使った。

試合時間は少し長かったが、勝負は着いた。

決め手は火属性魔法の使用による熱だった。

土属性魔法を使って自身を土で覆い、ダメージを無効化したが、火属性の熱は防ぐことができず、熱に耐えられなくなった。

集中力が切れた時、土属性魔法が効果を失い、そのまま火属性魔法を受けてしまった。

そして、3戦目は火属性魔法の勝利となった。

続いて4戦目。

4戦目は風属性魔法と雷属性魔法だった。

この試合も少し時間が長く、互いが互いの魔法を受けて共倒れという結果となった。

そして続くは5戦目。

アンナVSエル(女)の試合が始まろうとしていた。

 

リール「アンナ!」

アンナ「!」

リール「…頑張って!」

アンナ「…うん!見てて!」

 

アンナはステージに上がった。

 

エル「…」

アンナ「…」

ジーヴル先生「両者杖を構えて!」

 

アンナとエルは杖を構えた。

 

ジーヴル先生「始め!」

 

ジーヴル先生の合図が出た。

 

エル「…あなた」

アンナ「…なんですか」

エル「…あなたも水属性魔法なのね」

アンナ「…はい」

エル「ならここで負ける訳にはいかないわ」

アンナ「わ、私だって…バカにされるのはもう嫌…だからここで勝ってみんなを驚かせるの」

エル「…そう。できるといいわね」

 

話し終えるとエルは魔法を使った。

 

エル「水玉(ウォダラ)!」

 

ビュン!

すると丸い形の水が一直線にアンナに飛んできた。

 

アンナ「!」

 

アンナはそれを避け、エルに杖を向けた。

 

アンナ「水波動(ウォーター・ルーン)!」

 

ドバァァァァァ!

アンナは水属性のレーザーを放った。

 

エル「はっ!」

 

エルもその魔法を避け、次の魔法を使った。

 

エル「水柱(エルメス)!」

 

ドバァン!ドバァン!ドバァン!

魔法を唱えた途端、地面からいくつかの水の柱が形成された。

 

アンナ「!!」

 

アンナはいきなり出てきたものに驚いていた。

 

エル「ぼーっとしてたらやられるわよ!」

 

ドン!ドン!ドン!

 

アンナ「ぐっ…」

 

アンナはエルの魔法を受けた。

 

エル「まだまだ!」

 

エルは続けて魔法を放つ。

 

エル「棘水(ディナ)!」

 

するとエルの周りに水で形成された棘が展開された。

 

エル「伝水(ノル)!」

 

するとエルの周りに展開された棘が舞台全体に広がった。

 

アンナ「痛っ!」

 

アンナはその棘のダメージを負ってしまった。

 

アンナ「これは…」

エル「水で作った棘よ。痛いでしょ?」

アンナ「…っ」

 

アンナは杖を構えて魔法を使った。

 

アンナ「(レイン)!」

 

すると舞台全体に雨が降り注いだ。

 

エル「なによ…これ…」

 

エルはアンナの放った魔法をよく分かっていなかった。

 

アンナ「これで…大丈夫…」

 

ビュン!

 

エル「!?」

 

そこにいたアンナは一瞬にして消えた。

エルはアンナを完全に見失った。

 

エル「ど、どこにいるのよ…」

 

アンナはこの時もずっと舞台を走り回っている。

エルにはそれが見えていなかった。

 

エル「このままじゃ埒が明かない…」

アンナ (そろそろ…)

 

アンナは水柱(エルメス)を避け、エルに近づいた。

 

アンナ「爆ぜる雫(ドロ・ノヴァ)!」

エル「!?」

 

ドゴォォン!

エルは突然聞こえたアンナの声に驚いた。

それと同時にエルはアンナの魔法に被弾した。

 

アンナ「…」

 

アンナはエルが被弾している隙にその場から離脱した。

 

エル「…や、やるじゃない…あなた…」

アンナ「!!」

 

アンナは被弾して尚そこに立っているエルに驚いていた。

 

エル「かけといてよかったわ…かけてなかったらやられてたわね」

アンナ「な…なんで…」

エル「水避け(ミズノハゴロモ)。私が考えた魔法。相手の魔法を受け流すの。この試合が始まってすぐに使ったわ」

アンナ「でもそんな素振りは…」

エル「当たり前よ。見せたらバレるじゃない」

アンナ「そんな…」

 

爆ぜる雫(ドロ・ノヴァ)はアンナが考えた魔法の中で唯一相手にダメージを与えることが出来る魔法。

その魔法が効かないとなるとアンナには攻撃手段が無かった。

 

エル「さ、次はこっちの番ね」

アンナ「!」

 

エルは杖を下に向けた。

 

エル「棘水・突(ディナ・リーン)!」

 

ヒュッヒュッヒュッ!

グサッ!

 

アンナ「!?」

 

エルが魔法を使った途端、地面に展開されていた棘水(ディナ)が突然アンナに向かって伸びてきた。

アンナはそれに対応できず、そのまま被弾した。

 

エル「どう?棘水(ディナ)はただ設置するだけじゃないの。相手に当てることもできるのよ」

アンナ「…っ」

リール (アンナ…)

 

リールはアンナを見守る。

 

アンナ「(レイン)!」

 

アンナは魔法を使った。

 

エル「…またそれね。悪いけど対処法は思いついてるの」

 

アンナは雨の効果で身体能力が上がった。

アンナはそのままさっきと同じように舞台を駆け回った。

 

だが…

 

グイッ!

 

アンナ「!?」

 

舞台を駆け回っているアンナの足を誰かが掴んだ。

アンナは足元を確認した。

 

アンナ「こ、これって…」

 

アンナの足元には何やらドロドロとしたものがある。

 

エル「あら、気づいた?」

アンナ「!」

エル「そう。それは私が考えた魔法。名付けて水取り(トラップ)。水属性魔法の適性者にしか効果は無いけど、今なら効果抜群よね」

 

アンナはドロドロとしたものから足を剥がそうとした。

だがあまりにも強く、足を剥がすことができなかった。

 

エル「ダメよ。それは水属性魔法を使う人専用のトラップなの。その人の魔力が全て吸い取られるまで離さないわよ」

アンナ「…っ!」

 

するとアンナの魔力が吸われ始めた。

 

エル「さ、あなたはいつになったら抜けられるのかしら?」

アンナ「くっ…」

エル「ちなみにこの魔法を他の人に試したら、その人は魔力を全て吸い取られたわ」

 

アンナは必死に脱出しようとした。

 

エル「あ、ちなみになんだけど、ひとついいこと教えてあげる」

アンナ「?」

エル「あなたが魔力を吸い取られてる間、私はじっとしてないから」

アンナ「!!」

 

するとエルは杖を構えた。

 

エル「じゃ、頑張って耐えてね」

 

エルは魔法を使った。

 

エル「機関水(マシンガン・ウォーター)

 

ババババババババ!

するとエルの杖から無数の水玉が放たれた。

 

ドドドドドドドド!

 

アンナ「がっ…ぐっ…」

 

アンナはそれに被弾する。

 

ババババババババ!

エルはお構い無しに魔法を放ち続ける。

 

エル「さ、早くしないと負けちゃうよ?」

 

現在アンナは水取り(トラップ)によって魔力を吸い取られ、エルの機関水(マシンガン・ウォーター)によって体力を削られている。

 

リール「アンナ!」

アンナ (あ…リール…)

 

リールは必死にアンナに言葉をかける。

だが、その声はアンナに届いていなかった。

 

アンナ (リール…なんて言ってるんだろ…全然聞こえない…)

エル「あっはははは!さぁ!早く負けなさい!」

アンナ (どうしよう…どんどん意識が…)

 

アンナは魔力を吸い取られてる影響でどんどん意識が落ちていく。

 

アンナ (このままじゃ…負けちゃう…でも、何も出来ない…どうすれば…)

エル「さぁ!これで最後よ!」

 

エルは魔法を使った。

 

エル「波動砲(ウォーター・バーン)!」

 

するとエルは杖をアンナに向けて魔法を放った。

 

アンナ (ごめんねリール…負けちゃった…)

??? (アンナ…アンナ…)

アンナ (!!)

 

どこからか声がする。

今まで何度も聞いた、ある人の声。

 

??? (大丈夫。あなたなら知ってるはずよ。教えたじゃない)

アンナ「!!」

 

意識が薄れゆく中、アンナはある事を思い出した。

 

??? (そう、それ。私が教えたとっておきの魔法。相手に触れさせないチートギリギリの魔法。あなたなら大丈夫。だから使って。きっと今のあなたの役に立つわ)

アンナ (…お母さん…)

 

アンナは杖を構えた。

 

アンナ「…(ルーメス)

 

ドゴォォォォォン!

エルの放った波動砲(ウォーター・バーン)が直撃した。

 

エル「やったぁ!これで私の勝ちね!」

 

エルは勝利を確信した。

身動き取れず、魔力も吸われ、体力も奪われた相手に大ダメージを与える魔法を放ったからだ。

 

エル「さぁて、あの子はどうなってるかしら?」

 

エルはアンナを見た。

だが、そこにアンナはいなかった。

 

エル「?」

 

不思議に思ったエルは壁に設置されている掲示板を見た。

 

エル「!!」

 

すると、アンナの体力が波動砲(ウォーター・バーン)を放った時と全く変わっていなかった。

エルは寒気がした。

 

アンナ「流石お母さん…この魔法…ほんとに凄い…」

エル「!!」

 

アンナの声はエルの背後から聞こえた。

エルはすぐに離れた。

 

アンナ「あぁ…可哀想…」

エル「あ、あなた!ど、どうやって抜け出したのよ!この魔法は誰も抜け出せない魔法だったのよ!なのに!」

アンナ「…知らないよ。でも…」

エル「!!」

 

アンナの目は水色に光っていた。

 

アンナ「もう二度と…あなたの魔法は受け付けない。もう二度と…被弾しない」

 

エルはアンナの変貌っぷりに驚いていた。

 

エル「あなた…」

アンナ「さぁ…負ける覚悟はできた?」

 

アンナはエルに圧をかける。

 

エル「私があなたに負けるわけないでしょ!」

 

エルは魔法を使った。

 

エル「水玉(ウォダラ)!」

 

ドォン!

エルの放った水玉(ウォダラ)は一段と速く飛んだ。

 

…だが

 

スゥゥ…ドゴォン!

水玉はアンナの体を貫通して壁に当たった。

 

エル「え…なんで…」

アンナ「言ったでしょ…もう二度と…あなたの魔法は受け付けないって」

エル「!!」

 

エルは恐怖のあまり魔法を立て続けに放った。

 

エル「波動砲(ウォーター・バーン)機関水(マシンガン・ウォーター)!」

 

ババババババババ!

キィン!ドゴォォォォォン!

エルの魔法は全てアンナに向けて放たれた。

 

スゥゥ…スゥゥ…ドゴォン!ドゴォン!

だが、その魔法は全てアンナに当たらなかった。

 

エル「なんで!なんで!なんで!」

 

エルは魔法を続ける。

だが、エルの魔法はアンナに一度も当てられなかった。

 

そして…

 

エル「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥ…

エルの魔法が途切れた。

 

エル「な…なんで…っ!」

 

エルの魔力が底をついていたのだった。

 

エル「なんで!なんで!なんで!」

 

エルは何度も魔法を放とうとしたが、魔力が尽きているため、魔法が使えなかった。

 

アンナ「…分かった?」

エル「!!」ビクッ!

 

エルはアンナの声に体を震わせた。

 

アンナ「あなたの魔法は私に届かないの。こんなに魔法を使ったら魔力が尽きるのも分かるでしょ?」

エル「あ、あんた…全然喋らない陰キャのくせに!」

アンナ「それは過去の私。今の私と一緒にしないで。私は変わったの」

エル「あ、あんたみたいなやつ全然怖くないから!全然!」

アンナ「そう…なら…」

エル「!!」ビクッ!

 

アンナは杖を構えた。

エルはそれに対して体を震わせた。

 

アンナ「…もう終わらせましょ」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥ!

 

エル「!!」

 

アンナが魔力を込めた途端、物凄い水が杖に集まった。

 

エル「ちょ!あんた!そんな魔法放ってどうするのよ!」

アンナ「…」

エル「…っ!いい加減にしなさいよ!魔力が切れたの分からないの!?」

アンナ「…」

 

アンナはじっとエルを見つめる。

 

エル「くっ…私があんたなんかに負けるはずがないわ!」

アンナ「…」

エル「こんなの無意味!その魔法を撃つだけ無駄!だから今すぐやめなさい!」

アンナ「…」

 

アンナはエルに杖を向けた。

 

エル「聞いてるの!?やめなさいって!」

アンナ「爆ぜる(ドロ)…」

エル「ひっ…」ビクッ!

 

アンナが魔法を唱えた瞬間、エルはビクついた。

 

アンナ「(ノヴァ)

 

シュゥゥゥゥゥゥゥ!ビュン!

するとアンナの杖から爆ぜる雫(ドロ・ノヴァ)が放たれた。

 

エル「だからやめなさいってぇぇぇぇぇぇ!」

 

ドゴォォォォォン!

その爆発は今まで見た中で最も大きな爆発だった。

 

エル「がっ…あ…」

 

まともに魔法を受けたエルの体力は魔力と共に0となった。

 

バタン!

エルはそのまま倒れた。

 

ジーヴル先生「決着!勝者!アンナ!」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥ…

アンナは(ルーメス)を解いた。

 

アンナ「…ふぅ」

男子「うぉぉぉぉぉぉ!」

アンナ「!?」ビクッ!

 

アンナは突然聞こえた大きな声に驚いた。

 

男子「やるなぁ!アンナのやつ!」

男子「ほんとだぜ!前までは落ちこぼれだったのによ!」

男子「さっきの魔法はなんだ!?初めて見たぞ!」

男子「しかも水なのに火属性魔法っぽいことになってたし!」

男子「それな!爆発してたしな!」

男子「てかあいつの魔法が全然効いてなかったけどなんだあれ!?」

男子「全部当たってるはずなのに全部壁に当たってたよな!?」

男子「しかも避けた様子もなかったし!」

男子「すげぇよアンナ!」

男子「やるなぁ!」

アンナ「あ、えっと…」

リール「アンナ!」

アンナ「リール!」

 

ギュッ!

リールはアンナを抱きしめた。

 

リール「凄いよアンナ!あんな魔法初めて見た!」

アンナ「えへへ…ありがとうリール」

リール「驚いちゃった!あの子の魔法が全然当たってなかったから!」

アンナ「あ、あの魔法はお母さんから教わったんだ。お母さんのとっておきの魔法なの」

リール「へぇ!あとで聞かせて!」

アンナ「うん!次はリールだね!頑張って!」

リール「うん!見てて!」

 

模擬試合 第5戦 アンナVSエル

勝者 アンナ




〜物語メモ〜

新しく出てきた魔法

水属性魔法:水玉(ウォダラ)
エルが使った魔法。
水で作った玉を相手にぶつける魔法。

水属性魔法:水柱(エルメス)
エルが使った魔法。
地面から水の柱を作り出し、相手の視界を狭める。
同時に攻撃手段として使うことも可能。

水属性魔法:棘水(ディナ)
エルが使った魔法。
周囲に水で作った棘を配置することができる。
スカーレットの魔法で言うところの地雷と同じ原理。

水属性魔法:伝水(ノル)
エルが使った魔法。
棘水と一緒に使うことで棘水の範囲を広げることができる。

水属性魔法:水避け(ミズノハゴロモ)
エルが使った魔法。
使えば相手の攻撃を受け流すことが出来る魔法。
ただし、水属性魔法にしか効果がない。

水属性魔法:棘水・突(ディナ・リーン)
エルが使った魔法。
棘水から派生する魔法で地面に設置した棘水を伸ばすことで相手にダメージを与える魔法。
当たれば体に刺さるため、痛みを伴う。

水属性魔法:水取り(トラップ)
エルが使った魔法。
水属性魔法の適正者の身動きを取れないようにする魔法。
この魔法も水属性魔法の適性者にしか効果がない。

水属性魔法:機関水(マシンガン・ウォーター)
エルが使った魔法。
使えば杖の先端から無数の水弾が放たれる。
弾数が多く、弾道速度も速いため、避けるのは難しい。

水属性魔法:波動砲(ウォーター・バーン)
エルが使った魔法。
アンナが使う水波動 (ウォーター・ルーン)と同じ水属性のレーザー型の魔法。
使えば一直線に飛んでいく。

水属性魔法:霞(ルーメス)
アンナが使った魔法。
使えば相手の攻撃を一切受け付けなくなる。
元々アンナの母が考案した魔法で今回はその魔法とアンナの考えを織り交ぜて作られた混合型の魔法。
アンナの母はこの魔法を考案した際、「チートね」と声を漏らした。


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第19話 リールと模擬試合(リール編)

ここでちょっとお知らせです。

過去に投稿したお話の中で、魔法を使うシーンがあったんですが、その魔法の名前を変更しました。
全部できてるかは分かりませんが、分かり次第、順々に直していくつもりです。

お知らせは以上です。


私の名前はリール。

今、第1魔法戦闘室にいます。

ここでは魔法を使った試合を行っています。

今まで見てきた試合はどれも見応えがありました。

初めて見る魔法がたくさんあってワクワクしています。

これまでスカーレットとアンナの試合が終わりました。

今度は私の番です。

スカーレットは負けちゃったけどアンナは勝ったので、このまま私も勝ちたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンナの試合が終わって次々と試合が進行していった。

勝ち負けの試合もあったが、引き分けもあった。

そして第7戦目。

リールの番となった。

相手はオードという男子生徒だ。

彼は火属性魔法に適性があるため、主に火属性魔法を使うことになる。

さて、試合結果はどうなるのか。

 

ジーヴル先生「さぁ、次の試合だ!オードとリール!舞台に出てきてくれ!」

 

そしてオードとリールは舞台に上がった。

 

男子「オード!やっちまえ!」

男子「お前の魔法なら勝てるぞ!」

オード「…」

リール「…」

 

2人ともじっと相手を見ている。

 

オード (いや…勝てないだろ…リールさんは確か光属性魔法…闇属性魔法なら勝てるが果たして…)

アンナ「リール!」

スカーレット「リール!」

リール「!」

アンナ「頑張って!」

スカーレット「負けないで!」

リール「…」

 

リールはアンナとスカーレットの方を見続けていた。

 

オード「リールさん」

リール「!」

オード「…負けませんから」

リール「…はい。分かりました」

オード (うぉぉぉぉ!言っちまった言っちまったぁぁぁ!やべぇ!ガチで殺されるぞ俺!父さん母さん今までありがとう!)

男子「オード!負けるなよ!」

オード「…」

ジーヴル先生「試合開始!」

 

先生が合図をするとオードとリールは杖を構えた。

 

オード「火玉(ファイダラ)!」

 

オードは火玉(ファイダラ)をリールに向けて飛ばした。

 

リール「!」

 

リールはそれを見てなんとか回避した。

 

リール (早速飛ばしてくるんですね…)

オード「これならどうだ!」

 

オードは杖を上に向け、杖先から火玉(ファイダラ)を複数飛ばした。

 

リール「?」

 

リールは上に打ち上がった火玉(ファイダラ)を見ていた。

 

リール (な、何してるんでしょうか…)

オード「降りてきな!」

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ!

すると嫌な音を立てて先程の火玉(ファイダラ)が落ちてきた。

 

リール「な!」

 

リールはすぐさま魔法に移った。

 

リール「光速(オーバー・スピード)!」

 

シュゥゥゥ…

リールは黄色い光に包まれた。

 

リール (これで…)

 

ビュンビュンビュン!

リールは魔法を使って身体能力を上げ、火玉(ファイダラ)を避けた。

 

オード「な…速い…」

リール「これで…」

 

リールは杖先をオードに向けた。

 

リール「閃光(フラッシュ)!」

 

シュゥゥゥ!

 

オード「!?」

 

リールは魔法を使って目眩しを行った。

 

オード「ま、眩しっ!」

 

オードは閃光(フラッシュ)の影響を受けてしまった。

 

リール「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

ビュンビュンビュン!

リールは光玉(ライダラ)を飛ばした。

ドカンドカンドカン!

 

オード「ぐあっ…」

 

オードは目眩しと光玉(ライダラ)を受けた。

 

リール (まだまだ…)

 

ビュンビュンビュン!

リールは更に光玉(ライダラ)を飛ばす。

 

オード「くっ…」

 

オードは杖を下に向けた。

 

オード「炎流(ファイアロード)!」

 

ゴォォォォォォォ!

オードが魔法を唱えると、杖先から炎が出てきて炎が天井に向かって噴き出し、光玉(ライダラ)の軌道を変えた。

 

リール「!?」

 

ドゴォンドゴォンドゴォン!

天井に当たった光玉(ライダラ)は爆発した。

 

リール (ずっと目を閉じているのに…凄いですね…)

 

現在オードは閃光(フラッシュ)の影響で目を閉じながら戦っている。

 

リール (ですが…こんなところでは手を抜きませんよ)

 

リールは杖を構えた。

 

リール (私が編み出した魔法…受けてみてください)

 

リールが魔力を高めると周囲に存在するマナが近寄ってきた。

 

オード (!)

 

オードはマナの流れを感じ取った。

 

オード (マナが1ヶ所に集まっている…そこにいるのか…リールさん)

リール (さて…そろそろいきましょうか)

 

マナを集め終えたリールは魔法を放つ準備をした。

 

オード「火だるま(フレイム)!」

リール「!」

 

リールが魔法を放つ前にオードが魔法を使った。

オードの体は火に包まれ、次の瞬間、オードはマナが集まった方向へ一直線に突進した。

 

ボボボッ…ドォォォォォン!

 

リール「!?」

 

その速度は凄まじく、リールは反応できなかった。

 

リール (しまっ…)

 

ドゴォォォォォン!

リールは火だるま(フレイム)に被弾した。

 

スタッ!

オードは綺麗に着地した。

 

オード「あー…やっと目が見えるようになった…」

 

オードは閃光(フラッシュ)による影響から開放された。

リールが火だるま(フレイム)に被弾してからその場に煙が立ち込める。

 

リール「けほっ…けほっ…」

 

リールは煙が立ちこめる中、立ち上がって戻ってきた。

 

オード (さすが…あれを受けて立ってられるなんてな…あれ結構強い魔法だったんだけどなぁ…)

 

ザッザッザッ…

リールは元の位置に戻った。

 

リール「驚きましたよ」

オード「!」

リール「まさか目を閉じたまま突進してくるなんて…」

オード「…」

リール「でも…」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ!

リールの魔力が上昇した。

 

オード「!?」

 

オードは魔力の膨れ具合に驚いていた。

 

オード (なんだ…この魔力…)

リール「私の方が…強かったみたいですね」

オード「!!」

 

オードはリールの背後にあるマナの集合体を目にした。

 

オード (あれはマズイ!)

 

オードはすぐさま次の魔法に取りかかった。

 

オード「核爆発(デューリ)!」

 

キィィィィィィィン…ドゴォォォォォン!

するとリールの足元が急に爆発した。

辺りに煙が立ち込める。

 

オード 「…」

 

オードはその煙をじっと見ていた。

 

リール「…先程言いましたが、聞こえませんでしたか?」

オード「!?」

 

リールはオードの魔法を受けてなおその場に立っていた。

 

リール「私の適性魔法は光属性魔法。光属性魔法には特殊な効果があります。それは…各属性魔法の半減です」

オード「!」

リール「なのでいくら私に属性魔法を放っても全て半分のダメージとなります。さっきから被弾しましたが、それでもまだピンピンしています」

オード「くっ…」

 

オードはリールを睨んでいた。

 

リール (睨んでる…こわっ…)

オード「なら…まだまだやるぜ!」

 

オードは杖を構えた。

 

オード「火玉(ファイダラ)!」

 

ビュンビュンビュン!

オードは火玉(ファイダラ)を多数放った。

 

リール (半減するって言ったのに…)

 

ドゴォンドゴォンドゴォン!

リールは火玉(ファイダラ)に被弾した。

 

オード (…これでもだめか)

 

リールは魔法を受けても倒れる様子がなかった。

 

リール「…もう終わりですか?」

オード「!」

 

リールは攻守交代と言わんばかりにそう言った。

 

リール「もし終わりならこの私が…」

オード「まだまだぁ!」

 

オードは続けて火玉(ファイダラ)を放った。

 

ドゴォンドゴォンドゴォン!

リールは咄嗟の事だったため、被弾してしまった。

 

リール「…」

 

だが、リールはその場に立っていた。

 

オード (…くっ…正直勝てる気しねぇよ…)

リール「…もう終わりですか?」

オード「!」

リール「…もう少しあるかと思ったんですが…」

オード「くっ…」

リール「さて、じゃあ次は私の番ですね」

オード「な!」

 

リールはそう言いながら背後にあるマナの集合体を杖に集めた。

 

リール「この魔法は初めて使いますね。魔女さんに教わったこの魔法。受け取ってください」

 

リールは杖を上に向けた。

 

リール「天の光(リレミト)!」

 

シュゥゥゥ…

すると舞台全体に天の光(リレミト)が展開された。

 

オード「?」

 

オードはリールが放った魔法をじっと見ていた。

 

オード (何かしたのか?)

 

オードはその魔法の効果を知らないため、ただただじっと見ているだけだった。

 

???「…見つけた。そこにいたのね」

リール「よそ見してたら危ないですよ!」

 

リールが杖を構えた。

 

リール「天の鎖(エルキドゥ)!」

 

ジャラララララガシャン!

 

オード「!?」

 

リールが魔法を放った途端、地面に魔法陣が展開され、出てきた鎖がオードを拘束した。

 

オード「くそっ…何だこの鎖は…」

リール「これは相手を拘束する魔法です。光属性魔法の適性者は一律して移動速度が普通の人の比じゃありません。ですがその中でも自身のスピードについていけない人がいたそうです。この魔法はそれを解消するためのものらしいです」

オード「この魔法を使ったところで自分の速度を制御したことにはならないだろう」

リール「ふふっ…正解です」

オード「!」

リール「ただ敵を拘束するだけで自分の速度をコントロールできましたかと言われて 「はい」と答える人はいませんよ」

オード「なら」

リール「ですが…」

オード「…」

リール「拘束してしまえば自分は動かなくてもいいと…そのような考えからこの魔法は生まれたそうですよ」

オード「…さっきからその話し方…この魔法…君の考えた魔法じゃないんだね」

リール「はい。ある書物から学んだ魔法です」

オード「…書物…ね」

リール「まぁ私の場合はこんな魔法使わなくても自分の速度をコントロールできてるので」

オード「…」

リール「…さて、そろそろ終わりにしますか?それとももう少し続けますか?」

オード「…」

リール「…」

オード「…敗者に選ぶ権利はないだろ」

リール「…正解です」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ…

するとリールの体が光り始めた。

 

リール「じゃあ…ここで終わりにしましょうか」

 

リールはオードに杖を向けた。

 

リール「私と当たったのは運が悪かったですね」

オード「…だな」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ!

リールの杖に光が集まってきた。

 

リール「…」

オード「…」

男子「オード!」

オード「!」

男子「負けんじゃねぇ!お前ならいける!勝てるぞ!」

男子「そうだ!お前ならやれる!そんな鎖引きちぎってしまえ!」

オード (無茶言うなよ…)

男子「お前はこんな負け方悔しくないのか!俺は絶対悔しいぞ!」

オード (んな事言ってもどうすればええねん)

リール「…何もしないんですか?」

オード「…あぁ。勝ち目が無い」

リール「…潔いですね」

オード「…負け戦に勝ちの道筋を作れない自分の恥だ」

リール「…そうですか」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ!

光はさらに大きくなる。

 

リール「では…」

男子「オード!」

オード「…」

 

ガコン!

 

リール「!!」

オード「?」

男子「!」

スカーレット「!」

アンナ「!」

 

妙な音とともに天井に穴が空いた。

 

リール「な…なに…」

オード「…おい。やらないのか…」

 

オードは何が起こったのかよく分かっていなかった。

 

???「…ごきげんよう」

リール「!」

 

すると空いた天井の穴から一人の女性が降りてきた。

 

オード「な…なんだ…この気配…」

 

オードは鎖に繋がれながらも気配を感じた。

 

リール「…」

 

リールや他の生徒たちは何も言わずにただじっとその女性を見ていた。

 

スタッ

その女性は舞台に降り立った。

 

???「…」

 

その女性は辺りを見渡す。

 

リール (何この人…すごい魔力…魔女さん…あるいはそれ以上…)

???「あら…少し目立ちすぎましたか?」

リール「…」

???「まぁいいでしょう。ようやく特定できたんですから。このまま持ち帰らせていただきますね」

 

クルッ…コツコツコツ

その人は振り向いてリールの方へ歩き出した。

 

ザッ…

そしてリールの目の前で止まった。

 

リール「!」

???「…あなた、ある人の魔力にそっくりですね」

リール (ある人の魔力…もしかして…魔女さん…)

???「久しぶりですね。あの時感じた魔力とは少し違いますが、それでも一致率は93%。最初に感じた時はあの人かな?って思いましたよ」

リール「…あなたは誰ですか」

???「あ、そっか。私とあなたは初めてお会いしますね。分かりました。私の名前は」

???「…エレナと申します」

リール「エレ…ナ…」

ジーヴル先生「エ、エレナ…だと…」

男子「先生!エレナって誰のことですか?」

ジーヴル先生「…」

男子「先生!」

 

ジーヴル先生はエレナと名乗る女性を睨んでいた。

そう。恨みを持っているかのように。

 

エレナ「さて、私は名乗りました。あなたのお名前はなんて言うんですか?」

リール「わ、私は…リー…」

エレナ (ふふっ…)

ジーヴル先生「待て!答えるな!」

リール「!!」

 

リールが答えようとした時、ジーヴル先生が大声で止めた。

リールはそれに驚いて言葉を止めた。

 

エレナ「…」

リール「せ、先生…」

ジーヴル先生「絶対に答えるな!今すぐそこから逃げろ!早く!」

リール「で、でも…逃げろって言われても…」

ジーヴル先生「どこでもいいから!とにかくここを離れてくれ!」

リール「は、はい!」

 

リールはオードにかけた天の鎖(エルキドゥ)を解いてそこから走って逃げた。

 

男子「せ、先生…」

ジーヴル先生「ここにいる全員に警告!この人に自分の名前を明かすな!明かしたら最後、こっちに戻って来れなくなると思え!いいな!」

 

ジーヴル先生は大声で警告した。

 

ジーヴル先生「出席番号3番!舞台から降りてその人から離れろ!早く!」

オード「は、はい!」

 

オードは舞台から降りてその場をあとにした。

 

ジーヴル先生「残りの生徒も非常用の扉から脱出!今すぐ教室に向かえ!」

男子「せ、先生…」

ジーヴル先生「早く!」

男子「おいみんな!行くぞ!」

女子「先生!」

ジーヴル先生「早く行け!」

女子「…はい!」

 

そして残りの生徒も移動し始めた。

 

ジーヴル先生 (なぜ…この人が…今ここに…)

 

ジーヴル先生は生徒の声も聞かないほどに焦っていた。

 

エレナ「…何のつもりですか?」

ジーヴル先生「何のつもりって…ただ逃がしただけだよ」

エレナ「…なぜ?」

ジーヴル先生「お前…自分が過去に何したか覚えてないのか…」

エレナ「…」

 

エレナはずっとジーヴル先生を見ていた。

 

ジーヴル先生「ここでみんなを死なせるわけにはいかない。先生として、ここを守る」

エレナ「…御大層ですね」

 

ビュン!

 

ジーヴル先生「!!」

 

エレナはその場から移動し、第1魔法戦闘室から出ようとした生徒に向かった。

 

エレナ「さっきの子を持って帰れたら良かったんですが、もう誰でもいいです。1人でも持って帰れたらそれでいいです」

 

ビュン!

 

アンナ「え…」

 

エレナはアンナの目の前に現れた。

 

エレナ「あなた…面白い魔力を持ってますね。ぜひ私に…」

ジーヴル先生「(プレス)!」

 

ブォォン!

ジーヴル先生がエレナに向かって魔法を使った。

 

ギギギ…ギギギギギ…

エレナはその圧に押し潰されようとしていた。

 

ジーヴル先生「早く逃げろ!」

アンナ「は、はい!」

スカーレット「アンナ!早く!」

アンナ「はい!」

エレナ「そう。あなた…アンナって言うのね」

アンナ「!」ドクン

 

アンナは突然心臓が握り潰されるような感覚に襲われた。

 

アンナ「ぐっ…あぁ…」

スカーレット「アンナ!」

 

スカーレットはアンナに声をかける。

 

スカーレット「アンナ!どうしたのよ!アンナ!」

ジーヴル先生「名前を言うな!」

スカーレット「!!」

 

スカーレットはこの時、自分がアンナの名前を呼んでいることに気づいた。

 

スカーレット「しまっ…」

ジーヴル先生「早く行け!ここは先生が止めるから!」

スカーレット「は、はい!…立てる?」

アンナ「…うん。立てる…」

スカーレット「ごめん…私のせいで…」

アンナ「大…丈夫…」

 

スカーレットとアンナはゆっくりではあるが、その場から離れた。

 

エレナ「…可哀想に」

ジーヴル先生「お前…」

 

ギギギギギ!

ジーヴル先生はさらに圧を強くした。

 

エレナ「…」

ジーヴル先生「もう二度と…生徒に触れさせない!」

エレナ「…守れなかったね。生徒を」

ジーヴル先生「くっ…」

 

ギギギギギ!

ジーヴル先生はさらに圧を強くした。

 

エレナ「いいの?そんなに魔力を使って」

ジーヴル先生「お前には関係ない!」

エレナ「関係ありますよ。魔力が無くなったら誰がさっきの人たちを守るんですか?」

エレナ「ジーヴル先生…」

 

ズシャッ!

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…教室

 

男子「はぁ…はぁ…」

男子「やっと教室に…ついた…」

女子「みんないる!?大丈夫!?」

女子「スカーレットとアンナがいない!」

女子「リールさんも!」

男子「オードもだ!」

女子「オードとリールさんは別で逃げてるから大丈夫。でも、アンナと委員長が…」

 

みんなが教室にずっといると…

 

ガラッ!

教室の扉が開いた。

 

スカーレット「みんな…アンナをお願い…」

女子「委員長!」

男子「委員長!」

 

するとみんなはアンナとスカーレットのところに集まった。

 

女子「委員長!アンナはどうしたの!?」

スカーレット「…私のせいでさっきの人に名前を知られちゃった…」

全員「!?」

 

その場の全員が声を出さなかった。

 

スカーレット「私は今からさっきの人をやっつけてくる…アンナがこんなに苦しんでるのは自分のせい…その落とし前はつけないと…」

男子「でも!先生はここにいろって!」

スカーレット「それでも!」

ラーフ「おや、みなさん。どうかされましたか?」

男子「!!」

女子「!!」

 

するとそこにレヴィ学院長と一緒にいるラーフがいた。

 

ラーフ「随分とお疲れですね。魔法の実技でしたか?」

女子「先生!」

ラーフ「はい。何ですか?」

女子「あの…第1魔法戦闘室に変な人がいます!」

ラーフ「変な人?」

女子「はい!」

男子「突然天井に穴が空いてそこから女性が降りてきたんですよ!」

ラーフ「人…天井…穴…?」

女子「はい!」

ラーフ「その人の名前か特徴は知っていますか?」

女子「ジーヴル先生がその人に名前を明かすなって言ってました!」

ラーフ「名前を明かすな…って…まさか…いや…しかし…」

 

ラーフは嫌な予感がした。

 

男子「その女性はエレナって名前の人でした!」

ラーフ「エ…エレナ!?」

 

ラーフの嫌な予感が的中した。

 

ラーフ「な、なぜ…あの人が…ここに…」

女子「先生!エレナって誰のことですか!」

ラーフ「…」

女子「先生!」

ラーフ「…彼女は…」

ラーフ「ここ、エレナ学院の最初の学院長だった人です。そして、この国を破壊の道へ導いた人でもあります」

女子「え…」

男子「え…」




〜物語メモ〜

登場した魔法

火属性魔法:火玉(ファイダラ)
オードが使った魔法。
火の玉を作り出し、それを相手に放つ魔法。

火属性魔法:炎流(ファイアロード)
オードが使った魔法。
炎を操り、敵の飛び道具の軌道を変える魔法。
水と土属性魔法の軌道を変えることはできないが、それ以外の魔法の軌道を変えることができる。

火属性魔法:火だるま(フレイム)
オードが使った魔法。
自身を炎で包み、相手に突進する魔法。
魔法の部分は炎を纏うところだけで、突進するのは物理攻撃となる。

火属性魔法:核爆発(デューリ)
オードが使った魔法。
相手の足元に魔法陣を展開し、爆発を起こす魔法。
だだの爆発とは桁違いのダメージとなる。
ただし、リールは光属性魔法の適性者のため、ダメージが半減する。

光属性魔法:天の光(リレミト)
リールが使った魔法。
使えば辺りに光が差し込む。
これは自覚症状が無いまま徐々に相手の体力を削る魔法。
使うには大量の魔力とマナが必要になる。

光属性魔法:天の鎖(エルキドゥ)
リールが使った魔法。
使えば相手の周囲に魔法陣が展開され、相手を拘束する魔法。
攻撃力ははいが、相手を拘束するため、魔法を当てやすくなる。

土属性魔法:圧(プレス)
ジーヴル先生が使った魔法。
地面に磁場を発生させて相手を圧空間に閉じ込める魔法。
魔力の量によって圧の強さが変化する。


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第20話 リールと魔女さんの行方

私の名前はリール。

今は第1魔法戦闘室から離れたところにいます。

突如現れた女性から逃げろとジーヴル先生に言われたからです。

まだ学校の敷地内にいますが、結局どこに行ったらいいのか分かりません。

みんなはどうなったんだろうと…今は心配です。

あ、ちなみになんですが、私の対戦相手だったオード君は私の隣にいます。

逃げていたところに鉢合わせたので2人で身を隠すことにしました。

いつまでこのままいないといけないのか…不安で仕方ありません。

アンナとスカーレット…2人はどうなったのでしょうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キィン!ドゴォォォォォン!

 

ジーヴル先生「ぐっ…」

エレナ「…まだ立つんですか。案外タフなんですね?ジーヴル先生?」

ジーヴル先生「へっ…それだけが取り柄なんでね…」

エレナ「…確かあなたには魔法の戦闘に関することを教えるよう私が命じましたね。今もされてるんですか?」

ジーヴル先生「えぇ…お陰様で」

エレナ「そうですか。それは良かったです」

ジーヴル先生「…なぜ…今になって戻ってきたんですか…元学院長…」

エレナ「…元学院長とは言い方がなってませんね?」

ジーヴル先生「…」

エレナ「…実は、ある人からある情報を入手したのです」

ジーヴル先生「ある人…」

エレナ「はい。私と同じ属性魔法の適性者である…リーナという人物です」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院 校庭

 

リール「まだ…誰もいない…」

オード「どうするんだリール。このままだと」

リール「大丈夫です。光属性魔法に適性がある人は周囲の人間を察知する能力があります」

オード「さ、察知…」

リール「はい。私は誰かがここを通ればその人が誰なのかが分かります」

オード「すげぇ…」

リール「…私もこの能力があることは知りませんでしたよ」

オード「え…」

リール「…学院長さんに教えていただいたのです。こういう特殊な能力があるよって」

オード「そういえばリールは突然この学院に転入してきたよな。しかも2学年に」

リール「はい」

オード「この学院は歳に関係なく魔法の勉強をしている。だからクラスに歳の離れた人がいるのは珍しくない」

リール「…」

オード「転入してきた人はリール以外にもたくさんいる。その人たちは一律して1学年からだ。でもリールだけ違った」

リール「…」

オード「…それは何故?」

リール「……そうですね。私がここに来たのはある人が家を空けているからです」

オード「ある人?」

リール「はい。私はここに来る前はある人の家に住まわせてもらっていました。その人は私がその家に住まわせてもらってる間、私に魔法を教えてくれました。私のお師匠様なんです」

オード「リールの…お師匠様…」

リール「はい。その人はとても知的で優しくて私を最後まで見てくれていました。……ですが、その人はある事情で家を空けることになったのです」

オード「それで…ここに?」

リール「…はい。私が元いた家にいると危険だと言われたので、ここの学院長さんが私をこの学院に転入させました」

オード「…」

リール「何故2学年からなのかは知りません。ですが、魔女さんは学院長さんに私を守るよう頼んでいたそうなんです」

オード「なに…誰かに追われてるの?」

リール「分かりません。ですが、魔女さんは危険だと…それだけ言って家を空けました。その後私はこの学院に転入しました」

オード「その魔女さんって人がリールのお師匠様?」

リール「はい。そうです」

オード「名前は?」

リール「…分かりません」

オード「…え?」

リール「…私はその人と1年半一緒に暮らしました…ですが、魔女さんの名前を知る機会はありませんでした」

オード「一度も?」

リール「はい。一度も」

オード「…すごいな…」

リール「…」

オード「リールが光属性魔法なのはなにか理由があるのか?」

リール「…分かりません」

オード「…そうか」

レヴィ「光属性魔法というのは相反する闇属性魔法の抑止力として働くのですよ」

オード&リール「!?」

 

オードとリールの2人で話しているところにいきなりレヴィ学院長が現れた。

 

オード「が、学院長…」

リール「闇属性魔法の抑止力って…どういう事ですか?」

レヴィ「リールさん。あなたの適性魔法である光属性魔法…この属性魔法の特性は知ってますか?」

リール「えっと…他の属性魔法の威力を半減させる…」

レヴィ「そうですね。ですが厳密には半減させるのではなく相手が放った魔法の半分の威力しか受けないだけなんです」

オード「…?」

レヴィ「相手が10の威力で放った魔法は光属性魔法の適性者には5の威力しか伝わらないんです」

オード「残りの5の威力はどこにいくんですか?」

レヴィ「どこにもいきませんよ」

オード「?」

レヴィ「実際には10の威力は受けていますが、()()()()5の威力しか伝わらないだけです」

オード「じゃあ10の威力を与えるにはこちらが20の威力でぶつけないとダメということですか?」

レヴィ「そういうことです」

オード「だからあの時全然倒れなかったのか…」

リール「あ、あはは…」

レヴィ「ではその反対…闇属性魔法の特性は知ってますか?」

リール「えっと…他の属性魔法を倍の威力で受けてしまう…ということでしょうか」

レヴィ「正解です。では、光属性魔法に有効な属性魔法は何ですか?」

リール「や、闇属性魔法でしょうか」

レヴィ「正解です。では闇属性魔法に有効な属性魔法は何ですか?」

リール「ひ、光属性魔法…」

レヴィ「正解です。このように、光属性魔法と闇属性魔法は互いに有効であるが故に互いを抑制する力として働きます」

オード「え、光属性魔法って闇属性魔法しか意味ないんですか?」

レヴィ「はい。そうです」

オード「じゃ、じゃあ…この模擬試合って…最初からリールの優勝になるんじゃ…」

レヴィ「あ、有効とは言いましたけど全く受けないわけではないんですよ」

オード「でも倒すには2倍の威力で魔法を使わないといけないんですよね?」

レヴィ「はい」

オード「でもそんな威力の魔法を放つほど魔力がある訳じゃないし…」

レヴィ「そうですね。学生の間はそこまで大きな魔法を放つほどの魔力を持っていません」

オード「ということは俺たちがリールに勝つことって…」

レヴィ「はい。ほぼ不可能ですね」

オード「な…」ドヨ〜ン

 

オードはそれを聞いて落ち込んだ。

 

レヴィ「さて、話を戻しましょうか」

リール「あ、はい」

レヴィ「光属性魔法と闇属性魔法は互いに抑止力として働きます。そしてリールさんはその内の光属性魔法に適性がありました」

リール「はい」

レヴィ「ですが本来、光属性魔法は闇属性魔法がいないと成り立たない魔法なんですよ」

リール「え?」

レヴィ「光属性魔法が存在できるのは闇属性魔法が存在しているからです。その逆も然り」

リール「ど、どういう事でしょうか」

レヴィ「…光属性魔法の適性者の数だけ闇属性魔法の適性者がいるということです」

リール「でも…今まで闇属性魔法を使った人なんて…あ!」

レヴィ「…分かりましたか?」

リール「ま…魔女さん…魔女さんは…全属性の魔法を使うことが出来る…」

レヴィ「…正解です」

リール「…」

レヴィ「あの方はあなたの持つ光属性魔法の相反する力を持つ闇属性魔法を使うことができます」

リール「そう…だったんだ…」

レヴィ「ちなみにひとついいことを教えてあげます」

リール「?」

レヴィ「その人の適性魔法を決めるのはあなたの体ではなく、それを実行する上で近くにいる人に有効な属性魔法が適性として選ばれます」

オード「じゃあ光属性魔法に適性があるリールの近くには闇属性魔法を使う人がいたってことですか?」

レヴィ「はい。それが魔女さんですね」

リール「な…なるほど…」

レヴィ「さて、私はそろそろ行きましょうか」

リール「あ、あの!」

レヴィ「はい」

リール「魔女さんは…魔女さんは今…何処にいるんですか?」

レヴィ「………さぁ、どこにいるんでしょうね」

 

スタスタスタ

レヴィ学院長はその場を去った。

 

オード「リール?」

リール「魔女さん…」

 

リールの目から涙が出ていた。

 

オード「…」

 

ギュッ…

オードはリールの手を握った。

 

オード「俺がいてやるから、泣きたきゃ泣け」

リール「うぅ…」

 

リールは少しの間、そこで泣いた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…第1魔法戦闘室

 

エレナ「さてジーヴル先生?もう限界なんじゃないですか?」

ジーヴル先生「はぁ…はぁ…」

 

ジーヴル先生はずっと魔法を使っていたため、魔力が尽きかけていた。

 

エレナ「…あなたは持久力だけ無いんですから無理しない方がいいですよ?」

ジーヴル先生「だが…あなたをここから逃がせば生徒たちに被害が出る…」

エレナ「…そもそもの話、なぜ私があの子たちに攻撃すると思ったんですか?」

ジーヴル先生「…あなたは…過去に何百人もの人間を殺しました…今回も同じようなことになるかもしれないと…そう踏んだだけです」

エレナ「面白いですね」

ジーヴル先生「はぁ…はぁ…」

エレナ「じゃあ………そうしましょうか」

ジーヴル先生「!!」

 

ジジジ…ゴゴゴゴゴゴゴ…

 

ジーヴル先生「な…」

 

エレナは膨大な魔力を使った。

 

エレナ「ではまずは、あなたを倒すところから始めましょうか」

ジーヴル先生「そんなこと…」

ラーフ「全てを凍てつかせる冷気(コキュートス)!」

 

キィン!ガキン!ガキン!ガキン!

突然地面から氷が出現した。

 

ジーヴル先生「!?」

エレナ「…」

ラーフ「ジーヴル先生!大丈夫ですか!?」

ジーヴル先生「ラ、ラーフ先生…どうしてここに…」

ラーフ「生徒からの助けを聞いて来ました」

ジーヴル先生 (あの子たち…)

エレナ「あら、新しい人がいますね」

ラーフ (あの人がエレナ…エレナ学院創設者…)

エレナ「私はエレナといいます。以後、お見知り置きを」

ラーフ「…」

エレナ「あら、あなたは名乗らないのですか?」

ラーフ「…」

 

ラーフは一向に口を開こうとしなかった。

 

エレナ「…失礼な人ですね?ジーヴル先生」

ジーヴル先生「へっ…当たり前でしょ…」

エレナ「挨拶が出来ない人が当たり前だなんて…この学校も落ちぶれましたね?先生」

ラーフ「ジーヴル先生。ここは私が…」

ジーヴル先生「大丈夫です…先生は生徒たちを守ってください」

ラーフ「ですが…」

ジーヴル先生「大丈夫です」

ラーフ「…分かりました。ですが、ここで何もしないで帰るつもりはありません」

ジーヴル先生「え…」

 

ザッ…

ラーフはエレナを見た。

 

ラーフ「…せめて、ここにいる人を倒してからにしますね」

ジーヴル先生「ま、待って!」

ラーフ「氷塊(アイスブロック)!」

 

ガキン!ガキン!ガキン!

ラーフは次々と氷塊(アイスブロック)を出現させ、エレナに向けて放った。

 

エレナ「氷属性魔法ですか。意外ですね」

 

ジジジ…ゴゴゴゴゴゴゴ…

エレナは魔力を使った。

 

エレナ「爆淵(バルザ)

 

キィン!ドゴォォン!

すると、ラーフが放った氷塊(アイスブロック)が粉々に砕けた。

 

ラーフ「な…」

エレナ「ここの先生は適性魔法について教えないんですか?例えば……相手に対する有効な属性魔法とか」

ジーヴル先生「ラーフ先生!あの人は闇属性魔法を使います!なので氷属性魔法よりも光属性魔法の方が…」

エレナ「遅いですよ」

 

パチン

エレナは指を鳴らした。

 

ブゥン!

すると、ジーヴル先生とラーフの足元に魔法陣が展開された。

 

ジーヴル先生「な…」

ラーフ「なんだこれは…」

エレナ「さようなら」

 

エレナは魔法を使った。

 

エレナ「奈落(アヴァドン)

 

ギュォォォォォォ!

 

ジーヴル先生「な!?」

ラーフ「なに!?」

 

するとジーヴル先生とラーフはその魔法陣に吸い込まれていった。

 

ヒュゥゥゥゥゥ…

辺りには何も残らなかった。

 

エレナ「さ、2人片付いたので探しに行きましょうか。"最後の光属性魔法の適性者"を」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…???

 

???「久しぶりに出てきたね。何年ぶりだろうか」

???「なぜあいつが出てきた…消えたはずだろう?」

???「そうですね。消えたはずでした」

???「どうして…」

???「だが消したのはあいつだ」

???「あいつ…あぁ…あの人のことですか」

???「そう。あの時あの女を消したあいつ」

???「あの時なんて呼ばれてましたっけ?」

???「狂気の魔女だね」

???「あーそうそう!そんな感じだったね」

???「てかそもそも今の状況マズくないか?」

???「あぁ。非常にマズイ」

???「計画が台無しになる…」

???「何十年もかかってようやく遂行できるくらいにまでいったんだ。ここで計画破綻は絶対ゴメンだぜ」

???「あぁ。分かっている。だからこれからは慎重にならないといけない。みんな、各自やることやって気づかれないようにしよう」

???「だな」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院 校庭

 

リール「ねぇオード君」

オード「な、なんだよ…」

リール「そろそろ手…離して?」

オード「あ、わりぃ!」

 

オードは慌てて手を離した。

 

リール「…」

オード「…なんか気になることでもあんのか?」

リール「…うん。魔女さんのこと」

オード「お前のお師匠様だったな」

リール「うん…魔女さん…今どこにいるんだろって…」

オード「学院長も知らなそうだったな」

リール「うん…魔女さん…」

オード「…」

 

オードはどういう言葉をかけようか考えていた。

 

オード「なぁリール」

リール「?」

オード「…俺がそばにいてやっからよ…その…なんかあったら言えよ」

リール「え、どうしたの…急に」

オード「…人が落ち込んでるのを見るのは苦手なんだ。笑って欲しい」

リール「!」

オード「…」

リール「…うん。また何かあったら言うね」

オード「あぁ」

リール「あ、そうだ。誰か来てないか見張らないと!」

エレナ「おや?」

リール&オード「!!」

 

突然背後から声が聞こえた。

 

エレナ「こんなところにいたなんてね?」

 

そこにいたのはエレナだった。

 

リール「あ、あなたは…」

 

ザッ!

 

リール「!」

 

オードがリールの前に立った。

 

エレナ「あなた…なに?」

オード「リール!今すぐここから離れろ!」

リール「え…」

オード「早く!」

リール「えっと…ごめん!」

 

タッタッタッ!

リールはオードに言われた通りその場から逃げた。

 

オード「…」

エレナ「あら?正義のヒーローかしら?」

オード「…いいや、違うね」

エレナ「?」

オード「正義の魔法使いさ!」

 

オードは杖を構えた。

 

オード「覚悟しな!俺が倒してやらぁ!」

エレナ「…勇敢ね〜」

オード「火玉(ファイダラ)ー!」

 

エレナ「…ふふっ」

 

キィン!ドゴォォン!

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院 廊下

 

レヴィ「ラーフ!ラーフ!どこにいるんですか?ラーフ!ラーフ!」

 

レヴィ学院長はラーフを探していた。

 

女子「レヴィ学院長!」

レヴィ「!」

 

レヴィ学院長はある生徒に呼ばれた。

 

レヴィ「はい。なんですか?」

女子「あの…この子を治してくれませんか!」

レヴィ「!!」

 

その生徒が指さしたのはアンナだった。

 

レヴィ「こ、これって…」

女子「この子が体調を悪くしてから少し時間が経って変な模様が出てきたんです!」

 

アンナの顔には妙な黒い線があった。

 

レヴィ「この模様…まさか…」

 

レヴィ学院長はひとつの仮説を立てて生徒に質問した。

 

レヴィ「この子は誰かに攻撃されたのかい?」

女子「委員長が言うには攻撃されたそうなんです!」

レヴィ「誰に攻撃されたんだい?」

女子「変な女の人です!」

レヴィ「変な女の人?」

女子「はい!エレナという名前の人です!」

レヴィ「!?」

 

レヴィ学院長はエレナという名前に反応した。

 

男子「実は少し前にラーフ先生にも同じ話をしたんです!そしたらラーフ先生は第1魔法戦闘室に向かいました!」

レヴィ「ラーフ…」

女子「レヴィ学院長!この子を治してください!」

レヴィ「あ、あぁ。任せて」

 

ポワァン…

レヴィ学院長の手から黄色い光りが落ちてアンナの体の中に入った。

 

スゥ…

すると、アンナの顔にあった妙な黒い線は消えていった。

 

レヴィ「さ、これで大丈夫だよ」

女子「ありがとうございます!」

レヴィ「それで、委員長はいるかい?」

女子「実は委員長もエレナという人を倒すと言って部屋を出ました!」

レヴィ「な…」

 

レヴィ学院長は嫌な予感がした。

 

レヴィ「みなさんはこの教室から出ないでください!私が何とかします!」

生徒たち「はい!」

レヴィ「じゃあ私は行きますね!」

リール「先生ー!」

レヴィ「!」

 

声のした方を見ると、リールが廊下を走っていた。

 

女子「リールちゃんだ!」

女子「リールちゃーん!」

男子「リール!」

 

タッタッタッ!ザザッ!

リールはレヴィ学院長の前で止まった。

 

リール「先生!助けてください!」

レヴィ「何があったんですか!」

リール「オード君がある女性から私を逃がそうと盾になってくれたんですが私たちじゃどうにもならないとジーヴル先生が言っていたので先生に言いに来ました!」

レヴィ「分かりました。今すぐ行きます。リールさんはこの教室に残ってください。では」

 

ヒュゥゥゥゥゥ!

レヴィ学院長は空を飛んだ。

 

リール「オード君…」

女子「リールちゃん!アンナちゃんが!」

リール「!」

 

リールはアンナのところに行った。

 

リール「アンナ!アンナ!しっかりして!アンナ!」

アンナ「…」

 

アンナは返事をしなかった。

 

リール「なんで…アンナが…」

女子「委員長があの人の前でアンナの名前を言っちゃったらしいの…」

リール「!!」

女子「だからアンナはこんな状態に…」

男子「さっきまでは顔に黒い線があったけど、レヴィ学院長に取ってもらったんだ」

リール「アンナ…」

 

リールはこの時、あることに気づいた。

 

リール「そ、そういえばスカーレットは!?スカーレットはどこ!?」

女子「…委員長もこの部屋を出たよ…あの人を倒しに行くって言って」

リール「!!」

 

ダッ!

 

女子「リールちゃん!」

 

リールはすぐに教室を出てスカーレットを探しに行った。




〜物語メモ〜


登場した魔法

氷属性魔法:全てを凍てつかせる冷気(コキュートス)
ラーフが使った魔法。
周囲を一瞬で凍らせる魔法。
耐性がない人は一瞬で身動きが取れなくなる。
おまけに体温も一瞬で下がるので活動性が下がる。

氷属性魔法:氷塊(アイスブロック)
ラーフが使った魔法。
使えば頭上から氷塊が落ちてくる。

?属性魔法:爆淵(バルザ)
エレナが使った魔法。
対象物を爆破させる魔法。
発動から攻撃までの時間が短いため、魔法を聞いてから避けるのは困難。

?属性魔法:奈落(アヴァドン)
エレナが使った魔法。
魔法陣の上にいる人を魔法陣内に引きずり込む魔法。
引きずり込まれると脱出は困難となる。
ちなみにこの魔法は相手の攻撃魔法も引きずり込むことができる。


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第21話 リールと誰かの記憶

私の名前はリール。

今スカーレットを探しています。

オード君が私の身代わりになってくれたおかげで私はレヴィ学院長に事を知らせることが出来ました。

レヴィ学院長はすぐに飛んで向かってくれました。

私はその時、アンナの異変を知り、アンナの安否を確認したあとスカーレットを探しに行くことになりました。

ですがスカーレットは全然見つかりません。

今箒に乗って探しているので早く見つかると思ってたんですが…

その他にオード君も心配です。

今レヴィ学院長が向かってくれているので大丈夫だとは思いますが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレナ「…さて、まだやりますか?正義の魔法使いさん?」

オード「ぐっ…」

 

オードはエレナと戦闘していたが、一方的にやられていた。

 

オード (こいつ…魔力が強い…しかも魔法の威力も…)

エレナ「あなた」

オード「!」

エレナ「…この程度の魔力で私と戦うことを選ぶなんてね」

オード「へっ…女の子が怖がってたんだ…守るのが男の仕事だろ…」

エレナ「…私も女ですよ?なのにあなたは手を上げるんですか?」

オード「怖がらせてたのはお前だろ…」

エレナ「…そうですね。ですが、私も女ですよ?」

オード「…」

エレナ「それにあなた、ジーヴル先生から逃げろと言われていませんでしたか?大丈夫なんですか?私と対峙して」

オード「守るためだ…仕方ないだろ」

エレナ「ふぅーん。でも守るあなたがこのザマじゃねぇ?」

オード「くっ…」

エレナ「あ、ちなみになんですが、私はあなたを倒したあとこの学校を破壊しますのでそのつもりで」

オード「!!」

エレナ「あなたが守ると決めたあの子を生かしたいなら私を倒してみなさい」

オード「…言われずとも」

 

ヒュッ!

オードは杖を構えた。

 

エレナ「さ、やりましょうか。あなたがボロボロになる様を見せてくださいね」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院 廊下

 

タッタッタッ

私は走っていた。アンナを苦しめたのは私。この落とし前はちゃんとつけないと…

 

キィン!ドゴォォン!

 

スカーレット「!!」

 

近くで大きな音が鳴った。

 

スカーレット「あそこね」

 

タッタッタッ

 

私は音が鳴った方へ走った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院 校庭

 

キィン!ドゴォォン!

 

スカーレット「!!」

 

私がそこに着くと、ある男子生徒と私が探していた人が戦っていた。

 

スカーレット「見つけた」

 

タッタッタッ

私はその女性のところに向かった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院 校庭

 

キィン!ドゴォォン!

 

オード「ぐぁっ…」

 

ドサッ…

オードは傷を負い、その場に倒れた。

 

オード「ぐっ…いてぇ…」

 

ザッザッザッ

 

オード「!」

 

エレナはオードの目の前に立った。

 

エレナ「あらあら。無様ねぇ」

オード「…」

エレナ「このままだと私がこの学校を破壊しちゃいますよ?いいんですか?」

オード「ぐっ…」

 

オードはゆっくり立ち上がった。

 

オード「はぁ…はぁ…」

エレナ「はい。よくできました。じゃあさようなら」

 

ブゥン!ドシーン!

 

オード「がああああああ!」

 

オードが立ち上がった瞬間、凄まじい圧力がオードを襲った。

疲れきっていたオードは抗うことができずにそのまま地面に叩きつけられた。

 

エレナ「あらあら。可哀想に」

 

ジジジ…バリバリバリ!

エレナは魔力を使った。

 

エレナ「さ、今すぐ楽にしてあげるわね。正義の魔法使いさん」

 

ゴゴゴゴゴゴゴ!

エレナの魔力はどんどん膨れ上がる。

 

エレナ「さような…」

スカーレット「雷玉(サンダラ)!」

 

ドン!ドン!ドン!

エレナが魔法を使おうとした時、スカーレットの魔法が命中した。

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

するとエレナの魔法が解除された。

 

エレナ「…?」

 

エレナは辺りを見渡す。

 

スカーレット「やっと見つけたわ…」

エレナ「!」

 

するとエレナの背後にスカーレットが立っていた。

 

スカーレット「よくもアンナを…」

エレナ「アンナ…あぁ、あの子の事ね」

スカーレット「私があなたを倒してやる…」

エレナ「…あなた、この人が見えないの?」

 

エレナはオードを指さした。

 

スカーレット「!!」

 

スカーレットはその時、オードが傷だらけで倒れているのを視認した。

 

エレナ「あなた、この人と同じ目に遭いたいの?」

スカーレット「…あなた」

エレナ「…?」

スカーレット「私のクラスメイトに…」

エレナ「…」

スカーレット「何やってるのよ!」

 

ジジジ…バリバリバリ!

スカーレットの体に電気が走る。

 

エレナ「…さっきの魔法といいその纏ってるものといい…あなたは雷属性魔法に適性があるのですね」

スカーレット「そんなの関係ないわ!今すぐあなたを倒してやる!」

エレナ「…できるものならどうぞ。ちなみに、私はあんな泥人形とは訳が違うわよ」

スカーレット「泥人形って何よ!」

エレナ「あら、ジンに教わらなかったのですか?私が作った自律戦闘型魔法泥人形のこと」

スカーレット「…」

エレナ「確かあの人の名前はジン・スカーレットじゃありませんでしたか?」

スカーレット (お父さんの名前だ…)

エレナ「あなたがスカーレットと呼ばれていたのであの人の娘さんなのかなと思ったのですが」

スカーレット「…」

エレナ「…知りませんか?」

スカーレット「…知らないわよ」

エレナ「そうですか。ならどうでもいいです。あなたも痛い目を見たいなら戦ってあげますよ」

スカーレット「痛い目見るのはあなたの方よ!」

 

スッ

スカーレットは杖を構えた。

 

スカーレット「放電(マギダラ)!」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院 廊下

 

リール「スカーレット…どこにいるんでしょうか…」

 

リールは箒に乗ってずっと学院中を飛び回っていた。

 

リール「!!」

 

すると、1学年の教室に着いた。

 

リール「…」

 

リールは屈んで教室の中を覗いた。

すると何人か教室にいた。

 

リール「スカーレットはいない…ですね」

 

リールはスカーレットがいないことを確認すると立ち上がって箒に乗った。

 

女子「あの…」

リール「!!」

 

するとリールの背後から1学年の女子生徒が声をかけてきた。

 

女子「何か御用ですか?」

 

その子はとても静かそうな子だった。

 

リール「あ、いえ、なんでもありませんよ」

女子「そうですか。分かりました」

リール「それでは…」

 

リールが移動しようとした時…

 

女子「あ、あの!」

リール「!」

 

リールは突然止められたので驚いた。

 

リール「はい。なんですか?」

 

リールは振り返ってそう聞き返した。

 

女子「あの…先輩…ですよね…」

リール「あーえっと…学年的にはそうですが、厳密にはあなたと変わりありませんよ」

女子「え、それってどういう…」

リール「すみません!私急いでいるので!」

 

リールはその場をあとにした。

 

女子「学年的にはそうだけど、厳密には私と変わりない…どういう事なんだろ…」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院 廊下

 

リール「ふぅ…さて、スカーレットを探さないと…」

 

ヒュゥゥゥゥゥ!

リールは箒の移動速度を上げた。

 

リール (スカーレット…スカーレット…)

 

リールはスカーレットを見落とさないようしっかり確認した。

 

リール「どこにもいない…どこ行ったんだろ…」

 

しばらく飛んでいると前から人影が見えた。

 

リール (あ!見つけた!)

 

ヒュゥゥゥゥゥ!

リールは一目散にその人影に向かった。

 

 

リール「やっと見つけましたよスカーレッ…ト…」

エレナ「あら?」

リール「!!」

 

そこにいたのは第1魔法戦闘室にいた女性だった。

 

エレナ「あら、あなたあの時の」

リール「なんで…ここに…」

エレナ「さぁ?なんででしょうね?」

リール「あの子は…オード君は…」

エレナ「あぁ。あの男の子はオードって言うのね」

リール「!!」

 

リールはついオードの名前を言ってしまった。

 

エレナ「あの子なら今怪我してますよ」

リール「!!」

エレナ「正義の魔法使いだって言ってあなたを逃がすために奮戦してましたよ」

リール「そんな…じゃあ…」

エレナ「はい。あなたの思っている通りですよ」

リール「!」

 

リールは嫌な予感がした。

 

エレナ「あ、そうそう。そういえばあの場に来たのはあの男の子だけじゃないのよ」

リール「!」

エレナ「雷属性魔法を使う…」

リール (え…それって…)

エレナ「女の子も来てたんですよ」

リール「!!」

 

リールは一瞬でスカーレットだと悟った。

 

エレナ「あの子もオードという男の子と一緒に寝てますよ。ボロボロになってね」

リール「…」

 

リールはスカーレットとオードがやられたことを確信した。

 

エレナ「さて、本来の目的を果たしましょうか」

 

コツコツコツ

エレナはリールに近づく。

 

リール「近づかないでください!」

エレナ「!」

リール「私の友人を傷つけて…許さない」

エレナ「…先に手を出したのはそちらですよ。返り討ちにあうのは仕方ないことです」

リール「私が…」

エレナ「?」

リール「私が…やっつけてやる!」

 

リールは箒から降りて杖を出した。

 

エレナ「…全く、ここの生徒は血の気が多いですね。みんな私を倒す倒すって…怖いですね」

リール「…」

エレナ「そんなにいいなら私があなたを立てなくしてあげます」

 

エレナは手を出した。

 

リール (あの人…杖を使わない…杖を使わなかったら魔法の制御ができないはず…)

エレナ「無名(ディエン)。それが私の持つ特別な力ですよ」

リール「ディ…ディエン…」

エレナ「簡単な話ですよ。名を持たない者。それが私です」

リール「…でも、名乗りました」

エレナ「…ということは私が誰なのか…あなたは知っているんですか?」

リール「…エレナ」

エレナ「!」

 

エレナは名を当てられて驚いていた。

 

エレナ「これは驚きました。私とあなたは今日が初対面のはず…なのに…ねぇ?」

リール「…」

エレナ「あなた…あの人にそっくりですね。かつて私と対極の位置にいたあの人。今は存在してるか分かりませんが」

リール (あの人…)

エレナ「さ、話は終わりです。消えてください」

 

バッ!

エレナはリールに掌を向けた。

 

エレナ「魔弾(ブラック・ベルト)

 

バンバンバン!

すると掌から多数の弾型の魔法が放たれた。

 

リール「光速(オーバー・スピード)!」

 

ビュンビュンビュン!

リールはエレナの攻撃を避ける。

 

エレナ「!!」

 

エレナはリールの魔法を見て驚いていた。

 

エレナ「まさか、こんな早く見つかるなんてね。なんて幸運なのかしら」

 

ビュンビュンビュン!

リールはエレナの魔法を避け続ける。

 

リール (なんとか隙をついて…)

 

リールはエレナの隙を伺っていた。

 

リール (ここだ!)

 

ビュン!

リールは一瞬にしてエレナの懐に入った。

 

リール「閃光(フラッシュ)!」

 

シュゥゥゥゥゥゥ!

すると瞬く間に魔法が発動した。

 

エレナ「!?」

 

エレナは突然の光に目を眩ませた。

 

エレナ「この魔法…やっぱり…」

リール「天の鎖(エルキドゥ)!」

 

キリキリキリ…ガシャン!

リールはエレナを拘束した。

 

エレナ (この魔法…あの時受けた魔法に似ている…)

リール「光玉(ライダラ)!」

 

ドン!ドン!ドン!

リールは拘束されたエレナを攻撃する。

 

エレナ (ダメージが大きい…やっぱりこの子が光属性魔法の適性者なのね)

リール「はあああああ!」

 

リールは続けて攻撃する。

 

エレナ (なら、持ち帰るならこの子ね)

 

ガシャン!ガシャン!ガシャン!…バキッ!

 

リール「!?」

 

エレナは天の鎖(エルキドゥ)を引きちぎった。

 

エレナ「さ、邪魔な拘束も解けたし、あなたを回収するだけね」

リール「私を回収って…どういう…」

エレナ「そのままの意味よ。私の目的は光属性魔法の適性者を回収すること」

リール「でもオード君とスカーレットを傷つけた!」

エレナ「傷つけたのは私だけど本来何もしてこなかったら手を出すこともしなかったわ」

リール「…」

エレナ「怪我したのはそっちのせいよ」

リール「なら…私が…スカーレットの仇をとる!」

 

ジジジ…ゴゴゴゴゴゴゴ!

 

リール (あの本に乗ってた魔法…一度も試したことないけどやってみるしかない!)

 

シュゥゥゥゥゥゥ!

リールに光が集まる。

 

エレナ (この魔法…まさか!)

リール「光爆(エレノア)!!」

 

キィン!バゴォォン!

リールが魔法を使った瞬間、エレナの周囲が爆発した。

 

エレナ「くっ…やっぱりあの魔法ね…」

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

エレナの体から煙が出ていた。

 

エレナ「二度と見ることないって思ってたけど…まさかこんなところで見ることになるなんてね…」

リール「はぁ…はぁ…」

 

リールの魔力は大幅に削られた。

 

リール (こんなんじゃ…いつまで経っても終わらない…)

エレナ「…あなた」

リール「!」

エレナ「まさか…いや…しかし…」

 

リールはよく分かっていなかった。

 

リール (まさか…今が好機じゃ…)

 

ヒュッ!

リールは杖を構えた。

 

リール「光玉(ライダラ)!!」

 

ヒュゥゥゥゥゥ!

リールの魔法がエレナに向かって一直線に飛ぶ。

 

エレナ「…まぁいいわ。回収すれば私の勝ちだもの」

 

ギュォォォォォォ!

 

リール「!?」

 

突然リールの魔法が魔法陣に吸い寄せられた。

 

リール「な…なんで…」

エレナ「私の属性魔法は闇」

リール「!!」

エレナ「あなたと対峙する力なのよ」

リール「や…闇…」

 

 

ー回想ー

 

レヴィ「光属性魔法の適性者の数だけ闇属性魔法の適性者が存在するということです」

 

ー回想終了ー

 

 

リール (こんなところに闇属性魔法の適性者…)

エレナ「私の目的のために光属性魔法が必要なのですよ」

リール「目的…」

エレナ「そう!私の目的はあの憎い…憎い…憎いあの人たちを倒すこと!1人は消え、1人は死んだ!あと1人…あの人だけ倒せない…私の力だけじゃあの人を倒すことができない!そこで考えたの。光属性魔法を得ることで完全な禍異者(マガイモノ)になればあの人を葬ることができるの!私の願いが叶うの!そして最近、この学校に光属性魔法を使う人がいると聞いたの。私はその時、封印していた鎖を引きちぎりこの場に現れた。…光属性魔法の適性者を回収するためにね」

リール「…」

エレナ「どう?私の計画に賛同する気は…」

リール「嫌です!」

エレナ「…」

リール「話を聞いてる限り私は全く関係ないじゃないですか!」

エレナ「…え?」

リール「その憎い人たちも3人のうち2人は倒して残り1人倒せないなんて…そんなの自分の力不足じゃないですか!」

エレナ「…」ピクッ

 

エレナはある言葉に反応した。

 

リール「あなたの計画に賛同?そんなのするわけないじゃないですか!やりたいなら自分の力でやって下さい!私の友達に手を出さないでください!」

エレナ「…」

 

リールはハッキリと言った。

 

エレナ「…そう。分かったわ」

 

ジジジ…ゴゴゴゴゴゴゴ…

 

リール「!」

エレナ「あなた…ほんとにあの人そっくりねぇ。ほんと…娘かと思うくらいに…」

リール「あの人って誰のことですか!」

エレナ「…あら、あなた…最愛の人の事も忘れたんですか?」

リール「最愛の…人…」

 

リールはこの時、魔女さんを思い浮かべた。

 

エレナ「そう。あなたそっくりの最愛の人…分からない?」

リール「…」

 

リールは答えなかった。

 

エレナ「可哀想ねぇ。"母親"の顔すら知らないなんてねぇ」

リール「!!」

 

すると突然、リールの頭の中に誰かの記憶が流れ込んだ。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

ー回想ー

 

???「ごめんね…レナ…あなたを巻き込みたくないの…」

リール (え…なにこれ…知らない人…)

???「ごめんね…あなたを捨てる私を許して…」

リール (捨てる…?誰を…?)

???「ごめんね…ほんとにごめんね…」

リール (この人…ずっと謝ってる…)

???「おーい!早く行くぞー!」

 

遠くから男性が呼びかける。

 

???「分かりました。すぐ行きます」

リール (誰だろ…あの人…見覚えが…ある…)

??? (レナ…強く生きて…優しい誰かに…拾ってもらってね…)

 

タッタッタッ

???はその場をあとにした。

 

リール (誰なんだろ…あの人…)

 

 

ー回想ー

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

レヴィ「…ル!リー…リール!リール!」

リール「…」

 

リールはゆっくりと目を覚ました。

 

レヴィ「リール!しっかりして!」

リール「あれ…学院長…」

レヴィ「良かった…目が覚めて」

リール「あ…あれ…私…」

 

リールは廊下で眠っていた。

 

リール「あれ…ここ…は…」

レヴィ「廊下ですよ。リールさんずっと倒れてたんですが、覚えてますか?」

リール「倒れた…え…なんで…」

レヴィ「…」

 

レヴィ学院長は黙ったままだった。

 

レヴィ「リールさん。あなた…あの人と何を話したんですか」

リール「え…何を話したって…」

 

リールは必死に思い出す。だが、何も思い出せない。

 

リール「すみません…分かりません…」

レヴィ「あぁ…やっぱり…」

リール「学院長は…何故ここに…」

レヴィ「あの人がリールさんに攻撃していたので止めたんですよ」

リール「あの人…え…誰のことですか…」

レヴィ「…」

 

レヴィ学院長は何も言わなかった。

 

レヴィ「リールさん」

リール「…?」

レヴィ「アンナさんとスカーレットさん、オード君は無事ですよ」

リール「…あ、はい。そうですか…」

レヴィ (反応が薄い…まぁさっきまで眠っていたので仕方ないといえば仕方ありませんが…)

リール「学院長…」

レヴィ「はい。なんですか?」

リール「ここ…どうしたんですか?」

 

リールは廊下を指さした。廊下は所々壊れていたり、天井も一部破壊されていた。

 

レヴィ「…私とあの人が戦った跡ですよ」

リール「あの人…」

レヴィ「はい。凄まじい力でしたよ。周囲への被害は尋常じゃありませんでした」

リール「あの人っていう人は…どうなったんですか…」

レヴィ「…追い出しましたよ。もう大丈夫です」

リール「あ、そうなんですね」

レヴィ「さ、リールさんも傷が深いですから保健室で休みましょうか」

リール「あ、自分で行きますね」

レヴィ「大丈夫ですか?」

リール「はい。大丈夫です。それでは」

 

するとリールは箒を出して保健室まで飛んでいった。

 

レヴィ「…」

 

レヴィ学院長はリールの背中を見ていた。

 

レヴィ (良かった…あの子は大丈夫そうだ。でもあの子は…もう…)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

ー数分前ー

 

エレナ「可哀想ねぇ。"母親"の顔すら知らないなんてねぇ」

リール「!!」

 

リールは異変に気づいた。

 

リール「ぐっ…がぁぁ…」

 

リールは苦しんでいた。

 

エレナ「あらあら…言っちゃった…」

リール「ぐっ…」

エレナ「()()()()()()()()()の事を思い出させちゃったかしら?」

リール「あぁぁ…がっ…」

エレナ「でもいいわぁ…この感じ…なんかゾクゾクするわねぇ…」

レヴィ「天光の槍(ホーリー・ランス)!」

 

キィン!ドゴォォン!ドゴォォン!ドゴォォン!

レヴィの魔法はエレナに当たらなかった。

 

エレナ「…あら?また誰か来たのかしら?」

レヴィ「私の生徒に何しているんですか。あなた」

エレナ「…?」

 

レヴィ学院長は怒っていた。

 

エレナ「あなた…誰?」

レヴィ「…教えません」

エレナ「名乗らない人もいるのねぇ」

レヴィ「当然ですよ」

エレナ「あら、その言葉…ある人と同じ言葉ねぇ」

レヴィ「…」

エレナ「確か、ラーフ先生だったかしら?」

レヴィ「!!」

エレナ「あの人意外だったわねぇ。氷属性魔法の適性者だなんて」

レヴィ「なるほど。ラーフはあなたがやったんですか」

エレナ「えぇそうよ。邪魔になったからね」

レヴィ「そうですか。なら…」

 

ヒュゥゥゥゥゥ…

レヴィ学院長に光が集まってきた。

 

レヴィ「私にとってあなたは邪魔者なので…今すぐ始末しますね」

エレナ「あらそう。でも残念。私はもう帰るの」

レヴィ「!!」

エレナ「目的は果たせなそうだしね」

レヴィ「目的…」

エレナ「えぇそうよ。この子を回収するっていう目的」

レヴィ「!!」

エレナ「でも無理なのよ」

レヴィ「…」

エレナ「あ、ちなみにあなたが来たからじゃないわ。あなた程度なら捻り潰せるくらいだし」

レヴィ「…」

エレナ「…もっと別の理由」

レヴィ「…」

エレナ「これを持たせたのはあなたかしら?」

レヴィ「…これって言われても分からないですね」

エレナ「…刻運命(ときさだめ)(こな)ですよ」

レヴィ「え…と…刻運命の粉…って…」

エレナ「これがあるせいでこの子に触れられない。だから回収できない」

レヴィ「…」

エレナ「正直これが無かったら私の勝ちなのに…あと一歩だったのに…惜しいわねぇ…さて」

レヴィ「!」

エレナ「ここで戦いますか?それとも私を逃がしますか?」

レヴィ「な…何言って」

エレナ「私を逃がせばあなたとその子、そしてこの学院全てに何もしないで帰ってあげる。でももし戦うと言うならばそれらを破壊してまで本気であなたを殺します」

レヴィ「…」

エレナ「さ、どうしますか?」

レヴィ「…」

 

レヴィ学院長は考えた。

 

レヴィ「…帰ってください」

エレナ「…賢明な判断ですよ学院長さん。それでは」

 

ヒュッ!

エレナはその場から姿を消した。

 

レヴィ「エレナ元学院長…なぜあの人が…」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…平原

 

エレナ「あーあ…せっかくあそこまで行けたのに…最後の最後であんなものが見つかるなんてね…」

 

エレナは空を見上げた。

 

エレナ「正直、刻運命の粉が無かったら私の計画は成功だったのに…」

 

エレナは自分の手を見た。

 

エレナ「リノ。あなたのせいですか。あの刻運命の粉…あなたが作った物でしょう?まさかまだ存在していたなんてね。驚きだわ。さて、この先どうしましょうか。またあれを復活させてあの子を回収しましょうか」

 

エレナはどこかへ歩き始めた。

 

エレナ「刻運命の粉…あれを身につけているとその人との時間がズレてしまい、その人に触れることができなくなるもの。光属性魔法に反応し、効果を発揮する。実際にはその人は目の前にいるけど、刻運命の粉がある限り私があの子に触れることはできない。なら…別の方法で刻運命の粉を破壊してあの子を回収しましょうか…そうですねぇ…ドレインを使うのもありですね…ふふふっ…楽しみだわ…」




〜物語メモ〜

自律戦闘型魔法泥人形
これはスカーレットの家にある泥人形のことで、以前スカーレットとアンナ、リールが魔法の練習に使ったもの。

登場した魔法

闇属性魔法:魔弾(ブラック・ベルト)
エレナが使った魔法。
他の属性でいう雷玉や水玉、光玉みたいなもの。
魔法で作った弾を飛ばす。

光属性魔法:光爆(エレノア)
リールが使った魔法。
使えば対象者を中心に爆発を起こす魔法。
当然爆発するので周囲への被害も出る。

天光の槍(ホーリー・ランス)
レヴィ学院長が使った魔法。
光で槍を作り、相手に飛ばす魔法。
槍の数は使う魔力によって異なる。


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第22話 リールとラミエ先生

私の名前はリール。

エレナ学院に通っています。

先日、エレナという名前の女性が学院に来ました。

彼女はすごい魔力を持ってる人で、魔法の威力も凄まじかったと聞きます。

それにスカーレットとオード君が大怪我をしたと…そう聞きました。

アンナも重症だそうです。

私の友達がみんな怪我をしました。

対する私はただ寝ていただけ…

あの人は私を回収すると言っていました。

つまりスカーレットやアンナ、オード君が怪我をしたのは私がここにいたから…

私…ここにいなければよかった…ここにいなかったら3人は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…保健室

 

リール「…」

 

私は今、保健室にいます。スカーレットとアンナ、オード君が怪我をしたと聞いたからです。何もできない私はただただ見守るだけ…保健室の先生は安静にしていたらすぐに起きると言っていました。…今は回復を待つばかりです。回復魔法が使えたらどれほど良かったでしょうか…回復魔法を使えない自分が情けないです…悔しいです…もっと魔女さんに教わればよかったと…今になって悔やまれます…

 

リール (…みんな)

 

ガラッ

すると、保健室の扉が開いた。

 

???「あら、まだいたの?私が見ておくのに」

 

保健室に入ってきたこの人はラミエ先生。保健室の先生で回復魔法に特化した魔女さんです。ラミエ先生は回復魔法を知り尽くしているので、ラミエ先生に治せない病気や怪我は無いそうです。

 

リール「…はい」

ラミエ先生「…」

 

ラミエ先生はリールの顔を見た。

 

ラミエ先生「…やっぱり気になるの?」

リール「…はい」

ラミエ先生「私がいるから大丈夫よ。私がいればどんな病もイチコロよ」

リール「…」

ラミエ先生「そういえばあなた。回復魔法は習ってる?」

リール「!」

ラミエ先生「回復魔法ってね、覚えてないとこの先必ず損するの。ここの生徒は回復魔法よりも属性魔法の方に力を入れるから一向に回復魔法を勉強しない。だから怪我をした時に真っ先に保健室(ここ)に来るのよ」

リール「…そうですか」

ラミエ先生「あなたはどう?習った?」

リール「…習ってません」

ラミエ先生「…そう。分かったわ」

 

スッ…スタスタスタ

ラミエ先生はその場から離れようとした。

 

リール「…でも、習おうとは思ってます」

ラミエ先生「!!」

 

ラミエ先生の足が止まった。

 

リール「…先生。私の属性魔法は光属性魔法なんです」

ラミエ先生「!」

 

ラミエ先生はリールを見た。

 

リール「それで、光属性魔法の適性者は魔法を受けるダメージが半分になります。なのでわざわざ回復魔法を覚えてなくても大丈夫なんです…」

ラミエ先生「…なるほどね。だからあなたはそれを持っているのね」

リール「…?」

 

私はラミエ先生が何を言っているのか分からなかった。

 

ラミエ先生「首から下げてるそれのことだよ」

リール「!」

 

私は刻運命(ときさだめ)の粉の事を言っているのに気づいた。

 

リール「これ…ですか?」

ラミエ先生「そうそう」

リール「これって…なにか効果でもあるんですか?」

ラミエ先生「えぇ。あるわ」

リール「どんな効果なんですか?」

ラミエ先生「そうね。一言で言うなら…()()ね」

リール「隔…絶…」

ラミエ先生「そう。私もそれ見たことあるわ。ある人から見せてもらったからね」

リール「あ、そうなんですか」

ラミエ先生「えぇ。それで刻運命(ときさだめ)の粉なんだけど、その粉は持ち主を守り、他者を寄せ付けないようにするものなの」

リール「他者を寄せ付けないように?え、でもスカーレットのお父さんは時間を巻き戻すって…」

ラミエ先生「えぇ。間違いではないわ」

リール「?」

ラミエ先生「さっき言ったわ。隔絶って。つまり、この世界から切り離された状態にあるということ」

リール「具体的には…」

ラミエ先生「本来、刻運命(ときさだめ)の粉は光属性魔法にしか反応しない。なぜならその粉自体が光属性魔法だからなの」

リール「これが…光属性魔法…」

ラミエ先生「そう。その粉は持ち主が光属性魔法の適性者だった場合にその力を引き出すことができる。今のあなたもその状態にあるわ」

リール「え?」

ラミエ先生「リールさん。その粉は絶対に身につけてて。あなたは実感がないと思うけど、今相当な力を出してるわ」

リール「え、そうなんですか?」

ラミエ先生「えぇ。強すぎる力ね…」

リール「わ…分かりました。ずっと身につけてます…」

ラミエ先生「ところで、ジンは何か言ってたかい?」

リール「ジンさんですか?そうですねぇ…特に何も…」

ラミエ先生「そう。分かったわ」

 

スタスタスタ…ギィィィィィ…バタン

ラミエ先生は保健室を出た。

 

リール「アンナ…スカーレット…」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院 廊下

 

コツコツコツ

ラミエ先生は廊下を歩いていた。

 

ラミエ先生 (まさかこんな所であの粉を見るなんて…ジンに何かあったのかしら?)

 

コツコツコツ

ラミエ先生は歩を進める。

 

レヴィ「おや、ラミエ先生」

ラミエ先生「!」

 

すると前方からレヴィ学院長が姿を現した。

 

レヴィ「どうかされましたか?」

ラミエ先生「そうね。少し気になる子がいたわ。不思議な子」

レヴィ「…リールさんの事ですか?」

ラミエ先生「!」

 

ラミエ先生は一発で当てられたため、驚いた。

 

ラミエ先生「…そうね。よく分かったわね」

レヴィ「いやぁ…私自身リールさんは特別な人だと思っていますので」

ラミエ先生「そう」

 

ほんの少しの間、二人の間に沈黙が訪れた。

 

ラミエ先生「ねぇ」

レヴィ「はい」

ラミエ先生「…あの子に持たせてるあの粉…あれあなたが渡したの?」

レヴィ「…それについては私も聞きたいところです」

ラミエ先生「ということはあなたじゃないのね?」

レヴィ「はい」

ラミエ先生「じゃあ一体誰が…」

レヴィ「さぁ…誰なんでしょうか」

ラミエ先生「…私があの子と話した時、あの子の口からジンの名前が出てきた」

レヴィ「!!」

ラミエ先生「私はジンが渡したんじゃないかって思ってる。あなたはどう?」

レヴィ「…可能性はありますね」

ラミエ先生「それともうひとつ」

レヴィ「?」

ラミエ先生「私がいない間、一体何があったの?」

レヴィ「!」

ラミエ先生「学校中に亀裂や破損が見られるわ。誰か攻撃でもしたの?」

レヴィ「…エレナ学院初代学院長…エレナ元学院長がこの学校に来ました」

ラミエ先生「!?」

レヴィ「彼女はラーフとジーヴル先生を奪い、この学校を去りました」

ラミエ先生「なぜ…エレナ学院長が…」

レヴィ「ラミエ先生。"元" 学院長ですよ」

ラミエ先生「そ、そうね…」

レヴィ「彼女の目的はリールさんを回収することだそうです」

ラミエ先生「あ、あの子を?」

レヴィ「はい」

ラミエ先生「でもなぜ…」

レヴィ「それは分かりません。しかし、リールさんは今、あの粉を持っています。故に回収することができなかったそうです」

ラミエ先生「隔絶…」

レヴィ「…はい。そういう事です」

ラミエ先生「そう。だから今保健室に3人ほどいるのね」

レヴィ「恐らく」

ラミエ先生「でもなぜ?あなた結界を展開してなかったのかしら?」

レヴィ「いえ、展開していました。ですが、私の結界を貫通する程の魔力が使われたため、外界に魔力が漏れ出し、エレナ元学院長が来ました」

ラミエ先生「あなたの魔力を上回るほどの魔力…それ相当な魔力じゃない?」

レヴィ「はい。さっきまでその原因を調査していたところ、第1魔法戦闘室であるものを感じ取りました」

ラミエ先生「あるもの?」

レヴィ「はい。あそこから魔女さんの魔力を感じ取りました」

ラミエ先生「魔女さんって?エレナ元学院長のこと?」

レヴィ「…"狂気の魔女"の事です」

ラミエ先生「!?」

 

ラミエ先生は驚いた。

 

ラミエ先生「狂気の魔女って…え…まだ存在していたの?」

レヴィ「…いえ、実際にいたわけではなく、魔力を感じ取ったってだけです」

ラミエ先生「あ、そ、そうね。でも驚いた…まさかその人の名前を聞くことになるなんて…」

レヴィ「…」

ラミエ先生「ねぇ…その人が関わってる…なんて事ないわよね?」

レヴィ「…分かりません」

ラミエ先生「…そう。心配になってきたわね…」

レヴィ「…今は結界も再展開しています。しばらくは大丈夫かと」

ラミエ先生「1学年と3学年の生徒は?」

レヴィ「彼らは大丈夫です。階層が違うので。それに、エレナ元学院長は戦闘時に結界を展開していましたので、上の階や下の階には被害はありません。被害があるのはこの階層だけです」

ラミエ先生「…そう」

レヴィ「リールさんは今保健室に?」

ラミエ先生「えぇ。いると思うわ」

レヴィ「そうですか。では私はこれで」

ラミエ先生「えぇ。分かったわ」

 

スタスタスタ

コツコツコツ

レヴィ学院長とラミエ先生はそれぞれの方向へ歩き出した。

 

ラミエ先生「リーナ…あなた…今度は何する気よ…」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…保健室

 

ガラッ

突然保健室の扉が開いた。

 

レヴィ「リールさんはいますか?」

リール「!」

 

入ってきたのはレヴィ学院長だった。

 

リール「あ、はい。ここにいます」

 

スタスタスタ

レヴィ学院長はリールのところに向かった。

 

レヴィ「リールさん。ひとつ、聞きたいことがあるのですが、よろしいですか?」

リール「はい。いいですよ」

レヴィ「実は先程までなぜエレナ元学院長がこの学校に来たのか…その原因を調査していました」

リール「はい」

レヴィ「その結果、私の結界を貫通する程の魔力が使われたことが分かりました」

リール「…」

レヴィ「私は自分で言うのもなんですが、魔力は大きい方だと思います」

リール「…」

レヴィ「ですが、その時だけ私の結界は意味をなさず、魔力が漏れてしまいました」

リール「…」

レヴィ「この学校で私の魔力を上回るのはこの保健室の先生であるラミエ先生くらいです。その他の人は私に及ぶことはないです。ですがあの時…そんな私の魔力を遥に上回った魔力が使われたことが分かりました」

リール「…」

レヴィ「ラミエ先生かと思われましたが、その時ラミエ先生はある場所にいたのでその可能性はゼロに等しいです。では誰がやったのか」

リール「…」

レヴィ「ここの生徒の中でズバ抜けて大きな魔力を持ち、この学校では誰も持っていない属性魔法を使うことができる人。私はその時…ある人が真っ先に思い浮かびました」

リール「…」

レヴィ「リールさん。あなたですか?」

リール「…」

 

リールは少し考えて発言した。

 

リール「…はい。恐らく私だと思います」

レヴィ「…やっぱりそうでしたか」

リール「私の魔法って…そんなに強いものなんですか?」

レヴィ「いえ。私からすればそこまで危険なものではないです。なので結界を貫通することはないと思います。ですがその時は貫通した。リールさんの使った魔法の中に強い魔力を放つ魔法がありませんでしたか?」

リール「私の使った魔法…確か…」

 

リールはあの時の戦闘で使った魔法をなんとか思い出した。

 

リール「光玉(ライダラ)閃光(フラッシュ)光速(オーバースピード)天の光(リレミト)天の鎖(エルキドゥ)…」

レヴィ (天の光(リレミト)!?)

リール「あとは…」

レヴィ「ちょっと待ってください!」

リール「?」

レヴィ「リールさん今…天の光(リレミト)って…」

リール「はい。言いました」

レヴィ「!!」

 

レヴィ学院長は驚きを隠せなかった。

 

リール「な、何かマズイことでも…」

レヴィ「あ、いえ…天の光(リレミト)は魔女さんが使っていた強力な魔法なので…」

リール「あ、はい。魔女さんに教わりました」

レヴィ (やっぱり…)

リール「この魔法のせいでしょうか…」

レヴィ「えっと、調査していた時に大きな魔力を感じ取ったんですが、その時にあの魔女さんの魔力も感知しました」

リール「!!」

レヴィ「てっきり魔女さんがやったのかと思ってたんですが、魔女さんはある場所にいるため、それも無いだろうと…思っていました」

リール「…」

レヴィ「リールさん。その魔法は魔女さんに教わったんですよね?」

リール「あ、はい。魔女さんに教わりました」

レヴィ「あ、だから魔女さんの魔力も感じられたのか…」

リール「恐らく…」

レヴィ「分かりました。これで解決しました」

リール「そうですか。それは良かったです」

レヴィ「ですがリールさん」

リール「はい」

レヴィ「今回の原因は私の結界を貫通したことにあります。結界は従来のものより遥かに強固に展開しました。ですが、今回みたいなことになる可能性は無きにしも非ずです。ですので、今後一切、第1魔法戦闘室以外の場所での魔法の使用は禁止します」

リール「え…」

レヴィ「私の力不足もありますが、あなたの魔力が私の魔力を上回ってしまった…この結果だけでも十分脅威となります。なので今後一切、あなたが魔法を使うことを禁止します。いいですか?」

リール「それ…破ってしまったら…どうなるんでしょうか…」

レヴィ「…残念ながら、退学処分となります」

リール「…そ、そうですか…」

レヴィ「すみません。私の力不足でこうなってしまって…」

リール「いいんです。私が調子に乗ったのが悪いんです」

レヴィ「…それでは私は行きますね」

リール「…はい」

 

スタスタスタ…ガラッ…

レヴィ学院長は保健室を出た。

 

リール (どうして…こんな目に…)




〜物語メモ〜

ラミエ先生
エレナ学院の保健室の先生。
回復魔法に特化した人で彼女にかかれば怪我や病気は全て治せる。
最近ある場所に出かけていたため、エレナ学院で起こったことを知らない。
ちなみに、回復魔法に特化した人だが、属性魔法が使えないわけではない。
ラミエ先生は風属性魔法の適性者。
かつて風属性魔法を極めようとしたが、ある事がキッカケで回復魔法の道を歩むこととなった。
そのおかげで今はエレナ学院の保健室の先生となっている。
ちなみに、魔力はレヴィ学院長より上。
回復魔法に特化してるが故に持つ魔力も大きい。


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第23話 リールとラミエ先生の過去

ここでちょっとお知らせです。
いつもより行間を狭くしています。
お知らせは以上です。


私の名前はリール。

今保健室にいます。

少し前にエレナという名前の魔女さんが来ました。

今はいませんが、そのせいで私の友達が怪我をしました。

私は何も出来ずにここにいます。

ただそこにいるだけ。

そんな私のところにレヴィ学院長が来ました。

レヴィ学院長は原因を調査してくれてたそうです。

その結果、エレナという人が来たのは私の使った魔法が原因だと分かりました。

その魔力の強さにレヴィ学院長は危険を察知して私に魔法の使用を禁止させました。

魔法使いなのに魔法が使えないなんて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…保健室

 

リール「…」

 

私は今、アンナとスカーレットが起きるのを待っています。もう2日くらい経ちます。オード君も全然起きません。私はずっと後悔しています。こうなった原因は私にあると…そう思っています。

 

リール「…みなさん…ごめんなさい…私のせいで…」

 

ガラッ!

私がそう言葉を零すと誰かが保健室に入ってきた。

 

女子「あ、リールちゃん!こんなところにいたんだ!」

男子「お、ほんとだ!」

リール「…どうされましたか?」

女子「アンナと委員長の様子を見に来たの。で、どう?2人は」

リール「…まだ起きませんよ」

女子「そっか…早く良くなるといいね」

リール「…はい」

男子「オードのやつ…早く起きろよなー。みんな心配してっぞ」

リール「3人は私が見てますのでお二方は教室に戻っても大丈夫ですよ」

女子「そっか。じゃあお願いねリールちゃん」

リール「はい」

 

ガラッ…

するとその人たちは保健室を出た。

 

リール「…」

 

リールは3人を見た。

 

リール (…早く…良くなってください…)

 

それから数時間が経った。

リールはすっかり眠ってしまった。

 

リール「…」

アンナ「ん…」

 

アンナの声が保健室内で響いた。

 

アンナ「…」

 

スッ…

アンナは目を覚ますと、体を起こした。

 

アンナ「あれ…私なんでここに…」

 

アンナは周囲を見渡した。

 

アンナ「!!」

 

するとアンナの傍らにリールの姿があった。

リールは3人を見ているうちに眠くなってそのまま寝てしまったのだった。

 

アンナ (リール…)

 

アンナは近くの台に小さな掛け布団があるのを見つけ、リールに被せた。

 

アンナ「…」

 

ナデナデ…

アンナはリールの頭を撫でた。

 

アンナ (ごめんねリール…心配かけちゃった…)

リール「ん…」

アンナ「!」

 

アンナが頭を撫でると、リールが目を覚ました。

 

リール「…!」

 

リールはアンナが目を覚ましたことに気づいた。

 

リール「アンナ!」

 

ギュッ!

リールはアンナに抱きついた。

 

リール「良かった…本当に…良かった…」

アンナ「リール…」

 

リールの体は震えていた。

 

アンナ「…」

 

ギュッ…

アンナは優しくリールを抱きしめた。

 

アンナ「心配かけてごめんね。リール」

リール「ううん。大丈夫…でも良かった…本当に…」

 

しばらくリールとアンナはそのままの姿勢でいた。リールが泣き止むと、リールはアンナに事の経緯を話した。アンナはその話をただじっと聞いていた。

 

リール「と、いうことがあったんです」

アンナ「そうなんだ…じゃあリールはもう魔法を使っちゃダメなんだね」

リール「ダメって訳じゃないんです。ただ、魔法を使えるのは第1魔法戦闘室だけなんです。ここでは禁止になりました」

アンナ「嫌だなぁ…リールの魔法が見れなくなるの…」

リール「アンナ…」

アンナ「そういえばスカーレットは?」

リール「そこでまだ眠っていますよ」

 

リールはスカーレットを指さした。

 

アンナ「あ、ほんとだね。あれ?もう一人いる…」

リール「あの人はオード君。私と戦った人ですよ」

アンナ「あ、リールの相手だった人?」

リール「そうですあの人です。オード君は私のために必死に戦ってくれたんです。大怪我をしたのでアンナとスカーレットと同じようにここに運ばれたそうなんです」

アンナ「そうなんだ…」

スカーレット「ん…」

リール「!」

アンナ「!」

 

するとスカーレットも目を覚ました。

 

リール「スカーレット!」

スカーレット「え…なに…」

リール「スカーレットー!」

 

ギュッ!

リールはスカーレットに飛び込んだ。

 

スカーレット「うぐっ…もう…一体何よ…」

リール「良かったぁ!スカーレットも目を覚ましたー!」

スカーレット「あぁもう…静かにしてよ…」

リール「あ、ごめん…」

 

スカーレットは体を起こすと、当たりを見渡した。

 

スカーレット「あ、そっか…私…」

 

スカーレットは隣で寝ているオードを見た。

 

スカーレット「…あなたもやられたのね」

リール「スカーレット…大丈夫?」

スカーレット「大丈夫よ。何ともないわ」

リール「良かったぁ…」

スカーレット「あらアンナ。あなたもう起きたのね」

アンナ「うん。スカーレットが起きる少し前にね」

スカーレット「そう。それは良かったわ。ところで、傷の方は大丈夫?」

アンナ「うん。全然痛くないよ」

スカーレット「そう。それは良かったわ」

 

ガチャ…

すると保健室の扉が開いた。

 

ラミエ先生「お、2人も起きてるのね」

リール「先生!」

アンナ「あ、保健室の…」

ラミエ先生「そう。ここの部屋を担当しているラミエよ」

スカーレット「すみません先生。ベッド3つも使っちゃって…」

ラミエ先生「いいのよ。あなたたち以外に傷ついた人は何人もいたけど、あなたたちのように眠るほど傷が深い人はいなかったわ」

スカーレット「そうですか」

ラミエ先生「…起きてないのはその子だけ?」

リール「はい。そうです」

ラミエ先生「そう。分かったわ。あとは私が見ておくからあなたたちは部屋に戻ってもいいわよ」

アンナ「え」

スカーレット「私たちもいいんですか?」

ラミエ先生「えぇ。大丈夫よ。傷もとっくに癒えてるし魔力も戻ってるはずよ」

スカーレット「ありがとうございます」

リール「…私、まだここにいます」

ラミエ先生「?」

アンナ「え、リール?」

リール「…オード君が身を呈して私を守ってくれました。せめてオード君が起きるまで私はここにいます」

アンナ「リール…」

スカーレット「じゃあ私たちは先に戻っててもいい?」

リール「はい。いいですよ」

スカーレット「アンナ。準備しましょ」

アンナ「え、あ、うん」

 

スカーレットとアンナは服を着替えた。

 

スカーレット「じゃあリール。オード君が起きたらちゃんと帰ってきなさいよ」

リール「はい。ありがとうスカーレット」

スカーレット「さ、行きましょアンナ」

アンナ「うん…」

 

ガチャ…

スカーレットとアンナは保健室を出た。

 

リール「…」

ラミエ先生「…あなた、あの人そっくりね」

リール「あの人?って誰ですか?」

ラミエ先生「私の友人よ。今のあなたを見てると昔のあの人を思い出したわ」

リール「そうですか」

ラミエ先生「…私ってね、元々風属性魔法の適性者だったのよ」

リール「!」

ラミエ先生「でも今は普通の人より魔力が弱いから魔法を使っても大したダメージは無いわ」

リール「そうなんですね」

ラミエ先生「…私はね、その友人のために風属性魔法を捨てて回復魔法の道を歩み始めたのよ」

リール「何かあったんですか?」

ラミエ先生「…少し、昔話をしましょうか」

 

するとラミエ先生はリールを近くのソファに座らせ、自分の過去を話し始めた。

 

ラミエ先生「…これは何十年か前の話。ある魔女がひとつの町を滅ぼした事件の事よ」

リール「!」

ラミエ先生「その人は突然この学校に現れた。親もいなさそうで、学校ではずっと独りだった。私は最初、その人に対しての印象は怖い事くらいだったわ。でも日が経つにつれてその人が人前では見せない姿や顔を見る機会が何度かあったの。私はその姿を見るうちにその人のことが気になり始めたの」

リール「怖かったんじゃないんですか?」

ラミエ先生「いいえ。その人が怖く見えたのはその人が私たちに対して警戒していたからだとあとから知ったの。それを聞いてから私はその人と一緒に過ごすことになったわ」

リール「どんな人だったんですか?」

ラミエ先生「慈愛の心に満ちた優しい人。誰かの助けを聞けば率先して動いて感謝され、その度に信頼を得る…そんな人だったわ」

リール「いい人ですね」

ラミエ先生「えぇ。でも時々やり過ぎだと感じることもあったわ」

リール「やりすぎる事?」

ラミエ先生「あの人は人の頼み事を断ることはなかった。だからどんな無理難題を吹っかけられても物怖じしなかった。でも、それがかえって危険だった」

リール「…」

ラミエ先生「あの人はある時、ある頼み事を引き受けたわ。それは、今では存在しない"ある粉"を取ってきて欲しいというものだったの」

リール「!!」

ラミエ先生「私は依頼にあったあの粉がどれほど貴重なものかを知っていたからあの人に行かないよう言ったわ。でも聞かなかった。あの人は心が無いようだった。淡々とその依頼を受け、目的地に足を運んだ」

リール「それで…どうなったんですか…」

ラミエ先生「…依頼は達成されたわ」

リール「!」

ラミエ先生「あの人は依頼にあった粉をちゃんと取ってきた。依頼者はとても喜んでいたわ」

リール「ほっ…それは良かったです」

ラミエ先生「でも、あの人の体はボロボロだったわ」

リール「!」

ラミエ先生「体の至る所に切った跡があったわ。服も体も汚れて…雨でも降ってたからなのか、服は少し湿っていたわ」

リール「…」

ラミエ先生「あの人は依頼を達成した時、足元がふらついていた。立ってる時は常に足が震えていて歩き始めると足の震えと息切れが起きていた」

リール「…」

ラミエ先生「私はあの人のあの姿を見て驚いたわ。あんなにボロボロになったのを見て私は風属性魔法を捨てて回復魔法に専念したわ」

リール「そう…だったんですね」

ラミエ先生「でも回復魔法を勉強し始めながら傷を治していたから傷が治るまで時間がかかったわ。おまけに手遅れだったものはそのまま傷跡として今も体に刻まれているわ」

リール「…」

ラミエ先生「私はこんなボロボロになってまで依頼を受けていたあの人が可哀想で仕方なかった。依頼者は依頼のものが手に入ればそれでいいけど、あの人はその度に体に傷を作ってきた…」

リール「…」

ラミエ先生「大切な自分の体を犠牲にして人の役に立とうとした。その姿が今のあなたと同じように見えた」

リール「先生…」

ラミエ先生「何?」

リール「その人は…今も生きていますか?」

ラミエ先生「!!」

 

リールは泣いていた。

 

ラミエ先生「え、どうしたの?涙なんか流しちゃって」

リール「…私もラミエ先生と同じ気持ちです。可哀想で…」

ラミエ先生「…そう。でも安心して。今も生きてるわよ」

リール「ほんとですか?」

ラミエ先生「えぇ。大丈夫よ」

リール「そうですか…それは良かったです」

ラミエ先生「…」

リール「あの…先生」

ラミエ先生「何?」

リール「その人の名前はなんて言うんですか?」

ラミエ先生「その人の名前?」

リール「はい」

ラミエ先生「…リーナ」

リール「リーナ…」

ラミエ先生「そう。リーナ。それがその人の名前よ」

リール「リーナ…私の名前に似てますね」

ラミエ先生「確かにそうね」

リール「…私もその人のようになりたいなぁ」

ラミエ先生「…」

 

ラミエ先生は何も言わなかった。

 

ラミエ先生「でもねリール」

リール「?」

ラミエ先生「そんな優しかった私の友人は今では別人になってるわ」

リール「別人?」

ラミエ先生「…えぇ。あの優しかったリーナはある事がきっかけで変わり果ててしまったわ」

リール「ど、どんな事が…」

ラミエ先生「…エレナ元学院長」

リール「!」

 

リールはその名に覚えがあった。

 

ラミエ先生「あの人がリーナにある事をしたせいでリーナは本当に心を失ってしまったわ」

リール「本当に…失った?」

ラミエ先生「…リーナが学校に来た時も心を失ってたわ。でも私と一緒にいることでだんだんと自分のことや感情を表に出すようになったの」

リール「…」

ラミエ先生「普通の人と話せるくらいになった時に当時の学院長だったエレナって人がリーナにある事をしたの」

リール「何をしたんですか?」

ラミエ先生「…魔玉解剖」

リール「魔玉…解剖…」

ラミエ先生「えぇ。私たち魔法を使う人たちには一律して心臓に魔玉が存在しているの。私たちはそこから送られる魔力を使ってマナを集めて魔法を使うの」

リール「へぇ…そうなんですね」

ラミエ先生「…リーナの魔玉ってね、他の人とは全然違ってたの」

リール「!」

ラミエ先生「あの人はね、闇属性魔法に適性を持つ人だったの」

リール「!!」

ラミエ先生「当時、闇属性魔法と光属性魔法って希少だったの。稀に現れるくらいにね。…故にその人が持つ魔玉も貴重なものだったわ」

リール「…」

ラミエ先生「闇属性魔法ってね光属性魔法よりも希少な属性魔法なの。だから物珍しかった。リーナは依頼を受けてる時に起こったことを話してくれたわ。こんなことが起きたよ。あんなのがあったよって…楽しそうに話していた…でも、それは表の話だけ。その裏で起こったことは一度も話さなかった」

リール「…」

ラミエ先生「私はある人に聞いただけだから信憑性はあまり無いかもしれないけど…それでも信じたわ」

リール「ど、どういう…」

ラミエ先生「…リーナは…出かける度に誰かに襲われていた」

リール「!!」

ラミエ先生「まぁ…闇属性魔法ってとても希少だからね。それを狙う人もその分多かったらしいの」

リール「…」

ラミエ先生「でもリーナはその人たちに捕まらないよう必死に戦ったそうよ。魔法を使って追い払ったり、倒したり…そんな事があったのに私ですらその話を聞かされなかった」

リール「…」

ラミエ先生「それから何日、何ヶ月、何年…同じようなことが続いたある日…エレナ元学院長はリーナを呼び出した」

リール「…」

ラミエ先生「その内容はさっき話した魔玉解剖の事。リーナはその依頼を受け、エレナ元学院長の指導のもと、他の人たちが魔玉を取り出そうと色々やったそうよ」

リール「…」

ラミエ先生「それからしばらくして…リーナの魔玉が取り出されたそうよ」

リール「え…」

ラミエ先生「でも、その時事件が起きた」

リール「!」

ラミエ先生「学校中の警報が一斉に鳴り始めたわ」

リール「…」

ラミエ先生「当時の私たちは何が起こったのか分からなかったわ。放送も流れず、ただ警報が鳴り響いているだけ…そんな時、ある場所から爆発音が聞こえた」

リール「爆発音…」

ラミエ先生「…えぇ。私たちは爆発音のしたところに行ったわ。そこで分かったの。爆発音が鳴ったのは学院長室…エレナ元学院長の部屋だったの」

リール「!!」

ラミエ先生「他の人たちはただ焼けた部屋しか見ていなかった。でも私は違った。私はリーナの事が心配だった。学院長室に向かったリーナは教室に戻ってこなかったの」

リール「!!」

ラミエ先生「するとまたある場所で爆発音が鳴った。今度は外。みんながその音に反応して外に出ると、学院の3割くらいが消し飛んでいたの」

リール「え…」

ラミエ先生「私も驚いたわ。それをしたのはリーナだったの」

リール「!」

ラミエ先生「私はリーナに攻撃をやめるよう言ったけどリーナは聞かなかった。リーナは何も聞かず、何も言わず、黙々と学院を破壊していったの」

リール「そんな事が…」

ラミエ先生「まぁそれで収まれば良かったんだけどね」

リール「まだ何か…」

ラミエ先生「…学院を破壊し終えたリーナは今度はこの街を破壊し始めたの」

リール「!!」

ラミエ先生「最初は私たちに攻撃が当たらないよう魔法を使ってたけど、途中から問答無用で誰彼構わず攻撃したの」

リール「!!」

ラミエ先生「お陰で私の同期は全員死んじゃったわ」

リール「…」

ラミエ先生「当時の先生たちも友達も全員…リーナに殺されたわ」

リール「憎まなかったんですか?」

ラミエ先生「憎まなかったわ。リーナは街を破壊したけど私だけは守ってくれた」

リール「!!」

ラミエ先生「リーナは心を失ったけど、その心の中には私という存在がまだ残っていた。だからリーナは私に結界を張って守ってくれたの」

リール「なぜ…分かるんですか?」

ラミエ先生「…リーナがそう言ってくれたからよ」

リール「!」

ラミエ先生「この街を破壊したリーナは私に言ったわ。あなただけでも生きてって」

リール「!」

ラミエ先生「その後リーナは力を使い果たして倒れたわ。私は守ってくれたこの命をこの人の為に使おうとその時決めたわ。だから倒れたリーナの傷を治したの」

リール「…」

ラミエ先生「傷が治ったリーナはあとで何故こんなことをしたのか話してくれたわ。それを聞いて怒るに怒れなかった…リーナが今まで受けてきたことを考えたらね」

リール「そう…だったんですね…」

ラミエ先生「だからあなたは私の友達のように誰かを守ったりするのはいいけど、やり過ぎには注意しなさい」

リール「…はい」

オード「…ん」

リール「!」

 

するとオードが目を覚ました。

 

ラミエ先生「あら、起きたみたいね」

オード「いてて…」

リール「オード君!」

 

リールはオードのベッドまで走った。

 

リール「オード君大丈夫!?」

オード「あぁリールか…大丈夫…そっちは?」

リール「オード君のお陰で何ともないですよ。守ってくれてありがとうございました」

オード「い、いや…べ、別に…いい…」

ラミエ先生 (…やっぱりあなたにそっくりね。誰かのために自分を犠牲にするその心…昔のあなたを見ている気分よ。ねぇ…リーナ)

オード「あれ、他のやつは?」

リール「スカーレットとアンナなら先に起きて教室に戻りました!」

オード「リールは?」

リール「オード君が起きるまで待ってたんです」

オード「!!」

 

オードは顔を赤くした。

 

オード「…そうか」

ラミエ先生「さ、起きたなら着替えて教室に戻りなさい」

オード「あ、先生」

ラミエ先生「もう動いても大丈夫よ」

オード「そうですか。分かりました」

リール「着替えはあっちにあるから着替えたら教室に帰りましょう!」

オード「…あぁ。分かった」

 

オードは服を着替えに行った。

 

オード「よしっ…着替え終えたぞ」

リール「じゃあ一緒に教室に行きましょ!」

オード「お、おう…」

リール「ラミエ先生、お世話になりました」

オード「お世話になりました」

ラミエ先生「いいのよ。またいつでも来なさい」

リール「はい!」

 

ガチャ…

そしてリールとオードは保健室を出た。

 

ラミエ先生 (…ごめんなさいリーナ…あなたの事…伝えられなかったわ…)




〜物語メモ〜

魔玉
魔法を使う人たちには魔玉という魔力の元となるものが存在する。
これがある事で魔法を使うことが出来る。
なので当然身体から取り出せば魔法は使えなくなる。

魔玉解剖
エレナ元学院長が行った魔玉を取り出す術式。
これを行うことで魔玉を取り出すことが出来る。
しかし、取り出すことで拒絶反応が出るので、成功率は低い。
おまけに無理に取り出そうとすると魔玉自体が暴走し、無差別に魔法が放たれる。


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第24話 リールとエレナとサフェ

私の名前はリール。

今オード君と一緒に教室に戻っているところです。

さっきラミエ先生の友達のリーナさんのお話を聞きました。

その時のラミエ先生は何だか寂しそうな顔をしていました。

その友達のことが好きだったんだと思います。

でも今も元気でいるそうですので良かったです。

落ち着いたら一度リーナさんに会ってみたいですね。

私によく似た人だそうです。

今度ラミエ先生にお願いしてみようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…???

 

???「で?尻尾巻いて逃げてきたのか?」

エレナ「…」

???「あぁ…なんと弱々しい」

エレナ「…」

???「それでもあの学院の元学院長か?」

エレナ「…」

???「何か言ったらどうだ。エレナ・エミュレット」

エレナ「…」

 

エレナは何も言わなかった。

 

???「沈黙とは…」

???「恥を知れ」

???「私ならもっと上手くできるなぁ」

エレナ「…」

???「ったく。面倒なことになった」

???「元々お前が立案した計画だろうが。それもあろうことかお前が最初にミスするとはな」

エレナ「…」

???「ただ回収するだけなのにねぇ?」

???「…はぁ」

 

ここで口を閉じていたエレナが口を開いた。

 

エレナ「で、ですが…」

???「あ?何か言ったか?」

エレナ「っ…」

 

だがエレナはその人の圧に負けてしまった。それでもエレナは頑張って言葉を出した。

 

エレナ「ですが!私は氷と土の適性者を回収しました!」

???「…」

 

バチバチバチ!

 

エレナ「!?」

 

エレナが言葉を出すと急に電気が走った。エレナはその電気をまともに受けてしまった。

 

エレナ「ぅっ…」

???「で?だからなんだ?それで元を取れたとでも思っているのか?」

エレナ「…」

???「むしろ損失だよねぇ」

???「あぁ」

???「何を誇らしげに物を言っている。ただ氷と土を回収しただけで光の適性者を逃した元を取れたとでも?」

エレナ「…」

???「この子…使えないねぇ」

 

ジジジ…バリバリバリ!

 

エレナ「!!」

 

すると、そのうちの一人がエレナに向かって魔法を放とうとした。

 

???「…よせ」

???「はーい」

 

すると魔法は解かれた。

 

???「チャンスは一度だ」

エレナ「!!」

???「二度もやらん」

エレナ「…」

???「これ以上の損失は看過できん」

???「だよね」

???「舐めたことしやがって」

???「…」

???「さ、次は誰が行くの?」

???「俺が行く。こいつの損失は俺が拭ってやる」

???「ほぉ…お前がそんな事言うとは…珍しいな」

???「いや、ただ見ておきたいだけだ」

???「それ言わなかったらいいのに…」

???「なんか言ったか?あ?」

???「何?」

 

ジジジ…ゴゴゴゴゴゴ…

2人は睨み合う。すると、周囲にマナが集まり始めた。

 

???「…よせ。2人とも」

???「…」

???「…」

???「ここで喧嘩しても仕方ないだろう」

???「…チッ」

???「行くなら早く行け」

???「…あぁ。分かった」

 

スタスタスタ

???は部屋を出た。

 

???「いいの?あいつに行かせて」

???「正直誰が行ってもいい。あいつが行きたいと言ったから行かせただけ」

???「ふぅん。じゃあこの子どうする?」

エレナ「…」

???「何もしない」

???「え?」

エレナ「!」

???「最後のチャンスだ。このチャンスを逃したらどうなるか…」

エレナ「…」

???「分かったな。エレナ・エミュレット」

エレナ「…はい」

 

エレナはその部屋から出て自分の部屋に戻った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナの部屋

 

エレナ「…」

 

ドサッ

エレナはベッドに倒れ込んだ。

 

エレナ「…はぁ」

???「元気ないね。何かあった?」

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

突然聞こえた声とともにある人物が現れた。

 

エレナ「…サフェ」

サフェ「ん?」

 

彼の名はサフェ。エレナと一緒にいる人物であり、エレナの話し相手でもある。

 

エレナ「私…また失敗しちゃった…」

サフェ「…」

エレナ「私…いつになったら成長するんだろ…」

サフェ「…」

 

ポンッ…ナデナデ

 

エレナ「!!」

 

サフェはエレナの頭を撫でた。

 

サフェ「…よく頑張りました」

エレナ「ぅっ…」

 

エレナの目から涙が出てきた。

 

サフェ「エレナはよく頑張ってるよ。ただあの人たちの求めているものが高すぎるだけだよ」

エレナ「でもそれじゃあ…私がそのレベルに達してないってことになるじゃない…」

サフェ「ううん。そうじゃない。あの人たちはあの人たちのレベルで物を言ってるだけ。エレナの事を見ずにね。だからどっちかって言うとあっちがこっちのレベルに合わせてないだけだよ」

エレナ「でも…」

サフェ「それに僕はエレナがこれ以上成長するのは嫌だな」

エレナ「…なんで?」

サフェ「今のエレナの方が良いから」

エレナ「…好きって言ってくれないのね…」

サフェ「…それは言えないよ」

エレナ「…」

サフェ「もう大丈夫?もっと愚痴聞くよ?」

エレナ「…いい」

サフェ「…そっか」

エレナ「でも…もう少しこのままでいさせて…」

サフェ「…うん。分かった」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院

 

リール「ありがとうオード君。オード君のお陰で先生に伝えられました」

オード「いや、いい」

リール「でもそのせいでオード君が…」

オード「気にすんなって。女の子が傷つく方が俺は嫌だしな」

リール「…そうですか」

 

2人は教室に着いた。

 

オード「…2日ぶりかな」

リール「ですね」

 

2人は扉を開け、教室に入った。

 

男子「お!オード!」

女子「リールちゃん!」

 

2人が教室に入るとみんなが一斉に走ってきた。

 

男子「よぉオード!元気そうだな!」

オード「あ、あぁ…まぁな」

男子「リールさんも元気か?」

リール「はい。元気ですよ」

女子「あと2人だけだったの!でも良かったぁ!」

女子「ほんとリールちゃんがいないと寂しいからね!」

リール「あ、あはは…」

男子「よっしオード!こっち来い!色々話をするぞ!」

オード「お、おいおい…」

 

オードは男子生徒に連れていかれた。

 

女子「リールちゃんも行こ!」

リール「あ、あの…」

女子「どうしたの?」

リール「アンナとスカーレットは…」

スカーレット「私ならここよ。リール」

リール「!」

 

するとリールの目の前にスカーレットとアンナが立っていた。

 

スカーレット「オード君…元気になったのね」

リール「スカーレットー!」

 

ギュッ!

リールはスカーレットに抱きついた。

 

スカーレット「ちょ…やめなさいって!」

リール「スカーレット!」

スカーレット「分かったから離れなさいって!」

女子「あっははは!」

アンナ「リール…大丈夫?」

リール「アンナー!」

 

ギュッ!

リールはアンナに抱きついた。

 

アンナ「ひぇぇぇぇぇ…」

リール「アンナも良かったぁ治って!」

アンナ「あ、うん。ありがとう」

男子「で?どうよオード」

オード「ん?」

男子「リールと一緒にいたんだろ?どうだったよ」

オード「…うん。まぁ…ね」

男子「おいおい教えてくれよー!」

オード「うるせー!」

男子「どうだったんだよー!」

オード「こんなとこで言えるかー!」

リール「あはは…みんな自由ですね…」

スカーレット「あ、リール」

リール「はい。何ですか?」

スカーレット「アンナから聞いたの。リールもう魔法使えないのよね?」

リール「あ、使えないってわけじゃなく…」

女子「え!?リールちゃん魔法使えなくなったの!?」

リール「え…っと…」

女子「なんで!?なんで!?」

リール「ちょ…」

男子「リールの魔法強いのにか!?」

女子「魔力が無くなったの?」

リール「えーっと…」

 

リールはレヴィ学院長が言ったことをそのまま話した。

 

リール「使えない訳じゃないんです。ただ魔法が使えるのが第1魔法戦闘室に限定されただけなんです」

女子「ここでは使えないの?」

リール「はい。使えません」

男子「それ、レヴィ学院長が言ったのか?」

リール「はい」

男子「なんだよそれ…」

女子「だよね。今回みたいに誰かが学院に入ってきたら私たちだけじゃ何にもできないよ…」

男子「そういう時こそリールの魔法が必要なのにな!」

女子「そうよ!そうよ!」

リール「みなさん…」

 

ガチャ…

すると教室の扉が開いた。

 

レヴィ「みなさん。全員いますか?」

 

入ってきたのはレヴィ学院長だった。

 

男子「学院長!」

レヴィ「はい。なんですか?」

男子「リールが魔法を使うのを制限したと聞きました!なぜそんな事をするんですか!」

レヴィ「…リールさんの魔力は相当強いものです。私の結界を貫通するほどです。そのような人がポンポンと魔法を放つと敵に見つかってしまうからです」

男子「敵って誰ですか!」

レヴィ「…敵は…敵ですよ。恐ろしいこの街を軽く消し飛ばせるほどの力を持った人たちです」

男子「え…」

女子「この街を軽く消し飛ばせるほど…」

女子「でも!そんな時こそリールちゃんの魔法が必要だと思います!」

レヴィ「…」

男子「そうなった時どうするおつもりですか!」

レヴィ「…そうならない為にリールさんの魔法を制限しました」

男子「あ…」

レヴィ「私は今、エレナという人物が壊した部分を直しているところです。あの人は私を軽く捻り潰せる程の力を持っています。みなさんはそういう人が来られると困ると思います。なので私はあの人たちから身を守るためにリールさんの魔法を制限しました。リールさんの魔法は私が展開している結界を貫通します。リールさんの魔力が外界に漏れたらこの場所はすぐに特定されるでしょう。そうなるとあなたたちに残された道は死しかないのです」

男子「!」

レヴィ「私がこの学院に就いたからにはあなた方を守るのが責務となります。なので多少のルールは守っていただかないと」

男子「…」

女子「…」

リール「…分かってますよ」

女子「!!」

男子「!!」

リール「私自身も思っていました。私の魔法のせいでみんなが巻き込まれるくらいなら魔法なんて必要ないと。なのでそれでも構いませんよ」

レヴィ「…分かりました」

スカーレット「レヴィ学院長」

レヴィ「はい」

スカーレット「それ以外に何か用があるのではないでしょうか」

レヴィ「はい。あります。私がここに来たのはある事を伝えるためです」

男子「ある事…」

レヴィ「はい。このクラスの担任であるジーヴル先生はエレナという人に連れていかれました」

女子「!!」

男子「!!」

レヴィ「私の側近であるラーフも同じです」

スカーレット「じゃあこれからの授業は…」

レヴィ「別の先生にお願いしています」

スカーレット「そうですか」

レヴィ「属性別授業に関しては各先生方が授業をしてくださいます。ジーヴル先生の属性魔法の授業だけ他の先生に任せてあります」

スカーレット「そうですか」

レヴィ「みなさん。ひとつ忠告しておきます。エレナという人物がこの学院に来たことであの人の仲間がこちらに来る可能性があります。そうなっては困るのでみなさんにはより一層属性魔法に力を入れて欲しいのです」

男子「…」

レヴィ「私たち教員はあなた方を守り、敵を追い出すことに集中しますが、それでも全員守りきれる訳では無いです。なので2学年の皆さんは自分たちの身は自分たちで守って欲しいのです」

男子「俺たちだけ自分で守るってことですか!?」

レヴィ「あ、いえ。そういう訳では無いです。もちろん私たちがあなた方を守りますが、守りきれない部分がありますので、そこを自分で守って欲しいのです」

男子「あ、そういうことですか」

レヴィ「はい。こちらとも教員が何人か怪我をしています。なので授業は1週間後になりますので、みなさんはこれから1週間休学となります」

女子「え!?」

レヴィ「その間、ご自宅に帰っていただいても構いませんが、くれぐれもご注意下さい。ご自宅に帰る生徒に関しては私たちの防御を受けることができませんので最初からご自身で守っていただくことになります」

女子「な、なるほど…」

レヴィ「以上になります。それでは1週間後、またこの教室に来てください」

 

ガチャ…

レヴィ学院長は教室を出た。

 

女子「この1週間何しようか」

女子「そうね…何もやることが…」

男子「遊ぼうぜ!」

女子「でも外に出たら先生方に守って貰えない…」

男子「確かにそれもある…」

スカーレット「リール」

リール「はい。何ですか?」

スカーレット「今日はもう休みましょうか」

リール「…」

スカーレット「お互い疲れてるからね」

リール「そうですね。そうしましょう。アンナ」

アンナ「何?」

リール「部屋に戻りましょう」

アンナ「うん」

リール「それでは皆さん。私たちは先に部屋に戻りますね」

 

ガチャ…

リール、アンナ、スカーレットは教室を出て自室に戻った。その後、残りの生徒たちも自室に戻っていったのだった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院近くの上空

 

???「ほう。なるほどな。上手いこと隠してやがる」

???「エレナのやつ…よくこれを見つけたな」

???「魔力を感じ取ったって言ってたな」

???「なるほど…だから特定できたのか」

???「恐らくな…」

???「はぁ…」

???「で、やるのか」

???「あぁ。あの野郎がしくじったからな。俺たちで尻拭いだ」

???「なんで」

???「元より光の適性者を持ち帰らなければならない。それを奴はしなかった」

???「いや、できなかったかもしれんな」

???「だが俺たちで回収すれば俺たちはまたひとつ上がることができる」

???「それはいい話だ」

???「ここであの光の適性者を回収してこの街も破壊だ」

???「おう」




〜物語メモ〜

エレナ・エミュレット
エレナ元学院長のフルネーム。

サフェ
エレナと一緒に行動している人。
エレナの話し相手であり、良きパートナーでもある。
エレナが泣いてたりするとすぐに行動に移す。
大体膝枕で慰めている。


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第25話 リールとマッサージ

私の名前はリール。

今は自室にいます。

昨日、レヴィ学院長が1週間の休学を言いに来ました。

そのため、私たちは1週間授業を受けず、休日を過ごすこととなりました。

理由としては、教員の方々が怪我をされたのとレヴィ学院長が学校の修復に力を使うからだそうです。

休日と言っても教員の方々は学院にいるので質問は出来るそうです。

でもせっかくの休日なので、ゆっくりしようと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…リールとアンナの部屋

 

リール「…はぁ」

アンナ「どうしたの?リール。ため息なんかついちゃって」

リール「いえ…なんだか疲れが溜まっているようです」

アンナ「そ、そうなんだ…」

リール「疲れを取る方法はありませんか?」

アンナ「疲れを取る方法…あ!」

リール「?」

アンナ「私知ってるよ!」

リール「どんなものですか?」

アンナ「やってあげるからリールはそのままうつ伏せで寝てて!」

リール「あ、はい。分かりました」

 

リールはそのまま寝ていた。するとアンナが近づいてきた。

 

さすさす…

 

リール「!!」

 

するとアンナはリールの体に触れ、マッサージをし始めた。

 

リール「え、アンナ?」

アンナ「これ、マッサージって言うの。体の筋肉をほぐすことで緊張が解けてリラックスできるんだよ。ちょうどリール疲れが溜まってるって言ってたからほぐしてあげる」

リール「え、あの、アンナ」

 

モミモミ…モミモミ…

アンナは一生懸命マッサージをした。

 

リール (あ…気持ちいい…)

 

アンナの施術はリールにとってとても気持ちいいものだった。

 

リール「んっ…あっ…」

 

リールは思わず声を漏らした。

 

リール (わ、私…変な声を…!)

アンナ「んっしょ!んっしょ!」

リール「んんっ!んっ…んっ…」

 

リールは声を出すのを我慢した。

 

アンナ「どう?リール。気持ちいい?」

リール「んっ…気持ち…あっ…いいよ…」

アンナ「そっか!良かったぁ!」

 

アンナは嬉しくなって更にマッサージを進めた。

 

アンナ「じゃあ次は足をやるね!」

リール「う、うん…」

リール (ダメ…意識を保たないと…声が出る…)

アンナ「靴下脱がすけど良い?」

リール「は、はい…いいですよ…」

 

アンナはリールの靴下を脱がした。

 

アンナ (あ、肌が白い…しかも綺麗…)

 

さすさす…

アンナはリールの綺麗な足に釘付けだった。

 

リール (アンナ…その触り方…)

アンナ (いいなぁ…綺麗な足…)

 

さすさす…

アンナは更に足に触れてみる。

 

リール (!!)ビクッ!

 

リールは体を震わせた。

 

リール「ア、アンナ!」

アンナ「え、どうしたの?」

 

アンナは急に名前を呼ばれて驚いた。

 

リール「その…マッサージ…お願いします…」

アンナ「!!」

 

この時アンナは正気に戻った。

 

アンナ「あ!ごめん!リールの足綺麗だったから…その…」

リール「あ、ありがとう…ございます…」

アンナ「じゃ、じゃあ続けるね!」

リール「はい…お願いします…」

 

モミモミ…モミモミ…

アンナはリールの足をマッサージし始めた。

 

アンナ「んっしょ!んっしょ!」

リール (あ、よかった…足ならまだ声は出なそう…)

アンナ「ねぇリール」

リール「なんですか?」

アンナ「その…痛くない?」

リール「だ、大丈夫ですよ」

アンナ「そっか。分かった!」

 

モミモミ…モミモミ…

アンナは更にマッサージを進める。

 

リール (あぁ…アンナってマッサージ上手ですね…気持ちいい…眠くなってきました…)

 

ウトウト…ウトウト…

リールは眠そうになっていた。

 

アンナ「リール?」

リール「は、はい!」

 

リールはアンナの呼びかけに過剰に反応した。

 

アンナ「その…大丈夫?」

リール「だ、大丈夫ですよ!」

アンナ「…そう?」

リール「は、はい!」

アンナ「じゃあ続けるね」

リール「お願いします」

 

モミモミ…モミモミ…

アンナは続きをし始めた。

 

リール (あぁ…いい…ずっとマッサージしてて欲しい…)

アンナ (やっぱりリールの足綺麗だなぁ…なにか秘密があるのかな…)

 

モミモミ…モミモミ…

 

リール「んっんんっ…」

 

モミモミ…モミモミ…

 

リール「あ…あっ…」

 

モミモミ…モミモミ…

 

リール「ん〜〜〜〜〜〜…」

 

モミモミ…モミモミ…

 

アンナ「じゃあ次は腕をやるよ。いい?」

リール「っはぁ…はぁ…はぁ…」

アンナ「リール?」

リール「は、はい…なんですか?」

アンナ「次は腕だけどいい?」

リール「は、はい…」

アンナ「じゃあ仰向けで寝てもらえる?」

リール「わ、分かりました…」

 

リールはうつ伏せから仰向けに体位変換した。

 

リール「お、お願いします」

アンナ「うん。任せて」

 

アンナは腕をマッサージし始めた。

 

リール (やっぱり…こっちも気持ちいい…)

アンナ (リールの腕…細いなぁ…)

 

すりすり…すりすり…

アンナはリールの腕をさすり始めた。

 

リール (?)

アンナ「…」

 

アンナは黙々とマッサージをしている。

 

リール (アンナ…真剣だなぁ…)

アンナ「…」

リール (アンナはやっぱり真面目な子なんですね)

 

モミモミ…モミモミ…

 

リール「んっ…」

アンナ「じゃあ反対側の腕やるね」

リール「うん…」

 

アンナは反対側の腕をマッサージし始めた。

 

アンナ「ねぇリール」

リール「はい。なんですか?」

アンナ「リールはどう思う?エレナって人のこと」

リール「あの人のことですか…」

アンナ「うん」

リール「…正直よく分かりません」

アンナ「…」

リール「…あの人はどうやら私の事を回収するつもりだったようです」

アンナ「か、回収…」

リール「でも回収されませんでした」

アンナ「…」

リール「なぜ回収されなかったのかは分かりませんでしたが、今私がここにいるのはレヴィ学院長が守ってくれたからだと思っています」

アンナ「…良かった」

リール「…うん」

アンナ「リールがいないと私、何も出来ないから…」

リール「…アンナなら大丈夫ですよ」

アンナ「!」

リール「アンナは強い子です。私が保証します」

アンナ「ふふっ…ありがとうリール」

リール「…はい」

アンナ「さ、終わったよリール!どう?ほぐれた?」

リール「んっ」

 

リールは体を伸ばしてみた。

 

リール「あ、ほんとですね。確かに体の緊張がほぐれてます。それに少し軽くなったような…」

アンナ「良かった!じゃあ成功だね!」

リール「はい。そうですね」

 

リールは自分の手を見た。

 

リール (不思議…ほんとに緊張が和らぎました…)

アンナ「リール?」

リール「え、はい。何ですか?」

アンナ「今日はどうしたの?ずっと何か考え事してるみたい…」

リール「あーまぁ…そうですね」

アンナ「悩み事?」

リール「うーん…まぁ…そうですね」

アンナ「…話せないこと?」

リール「いえ、そういう訳では…」

アンナ「聞かせて。リール」

リール「え」

アンナ「お母さんが言ってたの。人の悩みは聞いてあげてって」

リール「…そうですか」

アンナ「だから聞かせてリール」

リール「…魔女さんのことです」

アンナ「あ、リールのお師匠様なんだよね」

リール「はい」

アンナ「お師匠様が何かあったの?」

リール「…魔女さんの行方が分からないんです」

アンナ「え…」

リール「出かけたのは最近ですが、それでもいくつか気になる発言があったんです」

アンナ「発言…」

リール「はい。エレナという人が言ってた"最愛の人"と"母親"。レヴィ学院長の"さぁ…どこに行ったんでしょうね"という言葉です」

アンナ「…」

リール「あれから魔女さんからの連絡はありません。なので…無事かどうかも分かりません」

アンナ「大丈夫だよリール!」

リール「…アンナ」

アンナ「リールのお師匠様は強いんでしょ?リールをここまで育ててくれたリールのお師匠様は今も生きてる!私が保証するから!」

リール「アンナ…」

アンナ「それに…リールに何かあったら私が何とかするから…ね?」

リール「…心強いです。ありがとう…アンナ」

アンナ「うん!」

リール (…魔女さん)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…???

 

エレナ「…」

サフェ「じゃあ始めるよ。エレナ」

エレナ「えぇ。お願い」

ジーヴル先生「おい!ここはどこだ!」

エレナ「教えません」

ジーヴル先生「なに!?」

エレナ「教えません。そう言いました」

ジーヴル先生「ならなぜ俺たちを捕まえた!」

エレナ「…私の計画のためです」

ジーヴル先生「計画だと?」

エレナ「はい。計画です」

ジーヴル先生「その計画がどんな物かは知らんが俺たちを捕まえてどうするつもりだ!」

エレナ「…確かめるだけです」

ジーヴル先生「確かめるだと?何をだ!」

エレナ「…結晶です」

ジーヴル先生「結晶だと?」

エレナ「はい。それが私の計画に必要なものです」

ジーヴル先生「結晶ってなんだ!?俺は知らんぞ!」

エレナ「それは私も知りません。なので確認させてもらいますね」

ジーヴル先生「なに!?」

エレナ「サフェ。始めましょう」

サフェ「はい」

 

エレナとサフェは魔法陣を展開した。

 

エレナ「解析(レジスト)

サフェ「透視(コーデル)

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

エレナとサフェはジーヴル先生の体を解析し始めた。

 

ジーヴル先生「クソッ!何してる!やめろ!」

 

ジーヴル先生が言った時にはもう手遅れだった。

 

エレナ「…残念ね」

サフェ「…そうだね」

 

エレナとサフェは解析し終えた。

 

ジーヴル先生「残念って何がだ!」

エレナ「あなたは結晶を持っていなかった」

ジーヴル先生「持ってないだと?」

エレナ「はい。あなたもハズレですね」

ジーヴル先生「あなたも…だと?」

エレナ「はい。あなたの前にもう一人…ある人の体も見させてもらいました」

ジーヴル先生「まさか…ラーフ先生…」

エレナ「正解です。彼もまた、あなたと同じで結晶を持っていませんでした」

ジーヴル先生「…俺たちをどうするつもりだ…このまま殺すのか」

エレナ「いえ、そのまま学院に帰っていただきます」

ジーヴル先生「なんだと?」

エレナ「私が必要なのは結晶だけです。その人の体や結晶を持ってない人には興味無いの」

ジーヴル先生「…その発言…後悔するぞ」

エレナ「別にあなた方が何人いようとも私には関係ありませんので」

ジーヴル先生「…」

エレナ「サフェ。この人とさっきの人を学院に転送して」

サフェ「分かりました」

 

サフェは魔法陣を展開した。

 

サフェ「さ、ここにいてください。離れると学院に戻れなくなるのでじっとしていてください」

 

サフェはラーフも連れてきた。

 

ラーフ「ジーヴル先生!」

ジーヴル先生「ラーフ先生!ご無事でしたか!」

ラーフ「えぇ。ですが…」

エレナ「お話は帰ってからしてください。サフェ。お願い」

サフェ「はい」

 

サフェは2人を魔法陣の上に連れて行き、魔法を唱えた。

 

サフェ「再転送(リポート)

 

シュッ…シュッ…

ラーフとジーヴル先生はエレナ学院に転送された。

 

サフェ「…今回もダメだったね」

エレナ「えぇ。そうね。一体何処にいるのかしら。あの人の結晶を持っている12人の人物は」




〜物語メモ〜

マッサージ
リールはマッサージというものを知らない。
そのため、マッサージを実際に受けて驚いていた。

無属性魔法:解析(レジスト)
エレナが使った魔法。
魔法の残り香と特殊な魔法の本質を見破る魔法。
その他にも暗号を解くのにも使われることがある。

無属性魔法:透視(コーデル)
サフェが使った魔法。
物体の遮断を無視して相手を見る魔法。
使うことであらゆる物体による遮断を無視して物の本質を見ることができる。
解析(レジスト)との違いとして、解析(レジスト)は魔法そのものを見て、透視(コーデル)は物体そのものを見る魔法。

無属性魔法:再転送(リポート)
サフェが使った魔法。
人や物を送り返す時に使われる魔法。
魔法の本質だけ見たら転送(テレポーテーション)とあまり変わらない。
違う点としては、転送(テレポーテーション)は人や物を送るもしくは返す時に使われる。
再転送(リポート)は送り返す時のみに限定される。
つまり、転送(テレポーテーション)を使わないと再転送(リポート)を行うことができない。
再転送(リポート)は送り返す時のみに使う魔法なので、何か物を送る時ではなく、送ったものを返す時にしか効果を発揮しない。
能力だけで見たら転送(テレポーテーション)の劣化版だが、メリットとしては転送(テレポーテーション)とは違って魔力を消費しないという点。


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第26話 リールと甘いもの巡り

私の名前はリール。

今部屋でアンナとスカーレットの3人で話し合いをしています。

今日は3人で甘いものを食べに行こうということでどこに行くかを話しています。

私は甘いものを食べないので味の想像がつきません。

2人がオススメするものを食べに行くので期待できます。

早く食べてみたいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…リールとアンナの部屋

 

アンナ「こことか美味しいよ」

リール「ここはどんなものがあるんですか?」

アンナ「パフェって言って…えーっと…」

リール「?」

アンナ「なんかすごい食べ物なの!」

リール「なんかすごい食べ物なんだ…」ゴクリ

スカーレット「私はこことかオススメよ」

リール「ここは?」

スカーレット「ケーキっていう甘い食べ物があるの。オススメできるわ」

リール「どんな感じですか?」

スカーレット「それは食べてからのお楽しみよ」

リール「むむむ…」

アンナ「じゃあそことここに行こ!私も食べたい!」

スカーレット「そうね。2つ食べましょ」

リール「じゃあ案内お願いしてもいいですか?」

スカーレット「任せなさい」

アンナ「じゃあ行こ!」

リール「はい!」

 

リールとスカーレット、アンナは学校を出て甘いものを食べに行った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…ケーキ屋

 

リール「おぉ…」

スカーレット「ここが私がオススメする店よ」

リール「ここにケーキという食べ物があるんですね!?」

スカーレット「あるわよ」

リール「じゃあ行きましょう!早く食べてみたいです!」

 

3人は店に入った。

 

店員「いらっしゃいませ」

リール「おぉ…いっぱいありますね…」

スカーレット「好きな物注文しなさい」

リール「好きな物って…でも私食べたことないですし…」

アンナ「私、ショートケーキが好き」

リール「ショートケーキ?」

アンナ「ほら、右にある白いケーキだよ」

 

リールはショートケーキを探した。

 

リール「あ!これですか?」

アンナ「そうそう!それそれ!」

リール「へぇ、綺麗な白色ですね!この赤いのはイチゴですか?」

アンナ「そう!」

リール「確かに美味しそうですね…」

スカーレット「私はチョコケーキかしら」

リール「チョコ?」

スカーレット「これよ」

 

リールはスカーレットが指さしたところを見た。

 

リール「この茶色のケーキですか?」

スカーレット「そうよ」

リール「うっ…どちらも美味しそうですね…」

スカーレット「なら2つずつ注文しましょ」

リール「え!?いいんですか!?」

スカーレット「任せなさい。お金はあるから」

リール「ありがとうございます!スカーレット!」

スカーレット「い、いいわよ…別に」

 

スカーレットはショートケーキとチョコケーキを2つずつ注文し、近くの机で食べることにした。

 

リール「おぉ…これがケーキという食べ物ですか…」

 

リールはケーキに目を奪われていた。

 

アンナ「早く食べよ!」

スカーレット「そうね。頂きます」

アンナ「頂きます」

 

スカーレットとアンナはケーキを食べ始めた。

 

リール「わ、私も…頂きます」

 

リールもケーキを食べ始めた。

 

リール「んー!ん!ん!ん!」

 

リールは美味しそうにケーキを食べる。

 

リール「スカーレット!これ美味しいですね!」

スカーレット「当たり前よ。私がオススメするケーキなんだから」

リール「こんな美味しいもの初めてですね!」

スカーレット「そう。それは良かったわね」

 

チョコケーキを食べ終えたリールはショートケーキを食べ始めた。

 

アンナ「は、早いね…リール…」

リール「アンナ!アンナ!」

アンナ「何?」

リール「これも美味しいですね!」

アンナ「良かった…美味しくなかったらどうしようかと思ったよ…」

リール「2人ともこんな美味しいもの食べたことあるなんて羨ましいですね!」

スカーレット「また3人で食べに来ましょ」

リール「はい!」

 

その後3人はケーキを完食した。

 

リール「さぁ!次行きましょ!」

 

リールたちは次にパフェのお店に向かった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…パフェ専門店

 

リール「おぉ!ここも綺麗ですね!」

アンナ「でしょ!私のオススメのお店なの!」

スカーレット「いい雰囲気のお店ね」

アンナ「うん!」

 

3人はパフェを注文しに行った。

 

店員「いらっしゃいませ」

リール「アンナのオススメはありますか?」

アンナ「私はこれとこれかな」

リール「じゃあ私はこっち食べますね」

アンナ「え?」

リール「え?」

アンナ「2つ食べないの?」

リール「え?でもお金が…」

アンナ「私が出すよ?だから大丈夫」

リール「ほんとに…いいんですか?」

アンナ「うん!」

リール「じゃあお言葉に甘えて2ついただきますね」

アンナ「うん!」

 

3人は2つずつ注文した。

 

リール「おぉ…綺麗なお菓子ですね」

アンナ「食べてみて!美味しいから!」

リール「はい!頂きます」

スカーレット「私も頂くわね」

アンナ「うん!」

 

リールとスカーレットはそれぞれ1つ目を食べた。

 

リール「やっぱり美味しいですね!」

スカーレット「ほんと…これを知らなかったのが悔やまれるわ…」

アンナ「えへへ…」

 

1つ目を食べ終えた2人は2つ目を食べ始めた。

 

リール「あぁぁぁぁぁ…美味しい〜〜〜」

アンナ「でしょ!私のオススメのパフェなの!」

リール「アンナはよく来るんですか?」

アンナ「ううん。今は来てないよ。昔は来てたんだけどねぇ」

リール「そうですか」

 

その後3人は話をしながらパフェを楽しんだ。

 

リール「…ふぅ。ご馳走様でした」

アンナ「ご馳走様でした」

スカーレット「ご馳走様でした」

リール「さて、少し休みましょうか」

アンナ「だね」

スカーレット「流石にもう何も食べられないわよ…」

リール「休んだら次どこに行きますか?」

アンナ「私、服見に行きたいな」

スカーレット「あ、私も見に行きたかったわ」

リール「じゃあ休んだら服を見に行きましょう!」

アンナ「うん!」

 

3人は数分休んだ後、近くの服屋に寄った。

 

???「…」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…服屋

 

カランカラン…カランカラン…

 

リール「わぁ…色々ありますね…」

 

リールは店の品揃えに驚いていた。

 

アンナ「綺麗〜」

スカーレット「これならいい服が見つかりそうね」

 

スタスタスタ

スカーレットとアンナは店の奥に入っていった。

 

リール「さぁて私も…」

 

カランカラン…カランカラン…

リールも服を見に行こうと歩き出した時、誰かが店に入ってきた。

 

リール「?」

オード「な、なんだ…リールか」

リール「あれ?オード君?」

 

店に入ってきたのはオードだった。

 

リール「オード君も服見に来たんですか?」

オード「あーまぁ…そんなとこだ。リールもか?」

リール「はい!今アンナとスカーレットの3人で見に来てるんです!」

オード「2人は?」

リール「お店の奥ですよ!あっちの方です」

 

そう言ってリールはアンナとスカーレットが向かった先に指さした。

 

オード「そ、そうか…」

リール「じゃあ私も見てきますのでこれで」

オード「あ!待ってくれリール!」

リール「?」

 

リールは突然名前を呼ばれて立ち止まった。

 

リール「どうかしましたか?」

オード「あ、いや…その…」

リール「…?」

オード「い…一緒に…見て回らないか?」

 

オードは言葉を詰まらせながらも最後まで言った。

 

リール「服を…ですか?」

オード「お、おう…ど、どうだ…」

 

リールは少しだけ間を空けて答えた。

 

リール「はい。構いませんよ」

オード「!」

リール「私もこのお店に入ること自体初めてなので色々と教えていただけると助かります」

オード「お、おう!任せとけ!」

 

そしてオードとリールは2人で服を見て回った。

 

オード「おーい。これリールに似合わねぇか?」

 

オードが服を持ってきた。

 

リール「いいと思いますよ」

オード「そうか!じゃあこっちは?」

リール「う〜ん…私ってオード君から見てどんなイメージですか?」

オード「イメージ?」

リール「はい。イメージがあればそれの通りに服が選べると思うのですが」

オード「イメージ…イメージかぁ…そうだなぁ…」

リール「…」

オード「やっぱり1番は優しさかな」

リール「優しさ…ですか」

オード「あぁ。魔法の模擬戦闘で一度しか関わったことのない俺を最後まで看てくれたのはリールだからな。俺の中ではやっぱり優しさが1番だな」

リール「な、なるほど…」

オード「やっぱりリールにはこっちがいいな。どう?」

リール「そうですねぇ…オード君がいいと思ったのならいいと思いますよ」

オード「そうか!ちょっと待ってな!」

リール「?」

 

オードは服を持ってその場をあとにした。

 

リール (何かあるのでしょうか…見に行きたいですが待てと言われたので離れるわけにもいきません。待ちましょうか)

 

オードは少しして紙袋を持って戻ってきた。

 

オード「すまねぇ。待たせた」

リール「何か買ったんですか?」

オード「あぁ。ほら」

 

ガサッ…

オードは持ってた袋をリールに渡した。

 

リール「え、私にですか?」

オード「あぁ。さっき選んだ服だ。受け取ってくれ」

リール「え、でもお金…」

オード「あ、それは気にすんな。これくらい大丈夫だ」

リール「でも…」

オード「じゃあこれを受け取ってくれ。お代の代わりだ」

 

ガサッ…

オードは紙袋を渡した。

 

リール「は、はぁ…分かりました」

 

ガサッ…

リールはオードから紙袋を受け取った。

 

リール「あ!じゃあこうしましょう!」

オード「?」

リール「今から私がオード君の服を選びます!これでおあいこです!」

オード「リールが…俺の服を?」

リール「はい!」

オード (ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!)

 

オードは心の中で発狂した。

 

リール「どうですか?」

オード「じゃ、じゃあお願いするぜ…」

リール「?」

 

オードは息を切らしていた。

 

リール「大丈夫ですか?」

オード「だ、大丈夫だ!」

リール「じゃあ一緒に見て回りましょう!」

 

ギュッ!

リールはオードの手を取って歩いた。

 

オード (リールが…リールが俺の手を取って歩いて…)

 

オードは叫びそうになった。

 

リール「オード君!こんな服はどうでしょうか?」

オード「もう…最高…」

リール「オード君?」

オード「!」

 

オードは今の時間を噛み締めていたが、我に返った。

 

オード「な、なんだ?」

リール「こんな服はどうですか?」

 

リールは服をオードに見せた。

 

オード (あ、そうだ)

 

オードはある事を思いついた。

 

オード「リールから見て俺はどんなイメージだ?」

リール「!」

 

オードはさっきリールがした質問をそのまま言った。

 

リール「そうですね。勇敢でカッコイイ人だと思いますよ」

オード「かっ…」

リール「だからオード君はこういう服が似合うと思うんですよね。着てみてください!」

オード「カッ…カッコイイ…」

リール「オード君?」

オード「お、おう!どうした?」

リール「ちょっとこの服着てみてください」

オード「服だな!任せろ!」

 

ピシャン!

オードは服を着替えに行った。

 

???「…」

???「…」

 

その様子を見ていたオードの友人2人…

 

???「なぁ…オードのやつ…上手いこといってるみたいだな」

???「おうよ。ほんとは服をプレゼントするだけだったのにな。いつの間にかあの子が選んだ服を試着してるぜ」

???「一緒に来た甲斐があったな」

???「ほんとだぜ」

 

ピシャン!

オードは勢いよく出てきた。

 

オード「ど、どうだリール!」

リール「あ、いいですね!」

オード「ほんとか!?」

リール「はい!」

オード「そ、そうか…照れるな…」

リール「じゃあそれとオード君の好きな服を選びましょうか」

オード「え、でもそれだとお金が…」

リール「"あ、それは気にすんな。これくらい大丈夫だ"」

オード「!!」

 

リールはさっきオードが言った言葉をそのまま伝えた。

 

リール「…さっきオード君はそう言いましたよ。なので気にしないでください」

オード「リ、リール…」

 

オードは言葉に甘えてもうひとつ自分の好きな服を選んだ。

 

リール「オード君が選んだ服は私が選んだ服によく似ていますね」

オード「そ、そうか?」

リール「でも良かったです」

オード「なんでだ?」

リール「もし全く別の種類の服を選んでいたらそっちの方が好きなのかなって思っちゃいましたし」

オード「あ、そうか」

リール「なので良かったです」

オード「…あぁ。俺も良かった」

リール「?」

リール「何故です?」

オード「…リールと好みが似てて嬉しい…」

リール「ふふっ…そうですね」

 

リールとオードは服を会計しに行った。

 

アンナ「あ!スカーレット!スカーレット!」

スカーレット「何?」

アンナ「あれ見て!あれ!」

スカーレット「ん?どうしたのよ」

アンナ「リールが男の人と一緒にいる!」

スカーレット「え!?」

 

スカーレットはアンナが指さした方を見た。

 

スカーレット「ほ…ほんとね…」

アンナ「あの人見たことある!」

スカーレット「あの人は確か…リールと戦ったオードって名前の男子ね」

アンナ「あの二人ってあんなに仲良かったのかな?」

スカーレット「ど、どうなのかしら…気になるわね…」

アンナ「あとでリールに聞いてみよ!」

スカーレット「そ、そうね…」

 

アンナとスカーレットはリールたちを見ていた。

 

リール「そういえばオード君」

オード「ん?なんだ?」

リール「傷の方は痛みますか?」

オード「いいや。もう大丈夫だ」

リール「そうですか…それは良かったです」

オード「リールが看病してくれたからな…」ボソッ

リール「え?」

オード「いや、なんでもない」

リール「あ!そうです!」

オード「ん?」

リール「オード君はパフェとケーキを知っていますか?」

オード「パフェとケーキ?知ってるぞ」

リール「あ、そうなんですね」

オード「ん?どうした?」

リール「実は私、今日までパフェやケーキがどんなものか知らなかったんです」

オード「食べたことなかったのか?」

リール「はい。一度も」

オード「そうか。で、食べたのか?パフェとケーキ」

リール「はい!」

オード「美味かったか?」

リール「はい!とても美味しかったです!」

オード「それは良かった」

リール「はい!」

オード「…それでさリール」

リール「はい。何ですか?」

オード「こ、今度…2人で何か食べに行かないか?」

リール「…え?」

オード「い、いや…まだリールが知らないこの国の食べ物があるんじゃないかって思ってな…これを機に教えようと思ったんだ。どうだ?」

リール「そうですね。まだまだ知らないことがあるかもしれませんね。ではまた今度、時間がある時にお願いしますね」

オード「おう!任せとけ!」

オード (しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!)

 

オードは心の中で発狂した。

 

店員「次の方どうぞ〜」

リール「あ、呼ばれましたよ。行きましょう」

オード「リールとデート…リールとデート…リールとデート…」ボソッ

リール「オード君?」

オード「え?あ、なんだ?」

リール「呼ばれたので行きましょう!」

オード「お、おう!」

 

リールとオードは会計を済ませた。その様子を見ていたオードの友人2人は…

 

???「おい…オードのあの顔見たか?」

???「お、おう…すっげぇ顔してたな…」

???「でもまぁ、リールが何も言わなかったってことは気づいてないってことだよな?」

???「恐らくな…」

???「よしっ。俺たちは先に外に出てようか」

???「そうだな。見つかったらあれだしな」

 

2人は店を出た。

 

リール「今日はありがとうございました。オード君」

オード「お、おう…リールも…帰り道には気をつけろよ…」

リール「お気遣いどうもありがとうございます」

オード「それじゃあな…」

リール「はい!また学校で!」

 

フラフラ…フラフラ…

オードの足はフラフラだった。

 

リール「…?」

 

リールはその様子をずっと見ていた。すると後ろから2人の声がした。

 

アンナ「リール!」

リール「あ!アンナにスカーレット!どうしたんですか?」

スカーレット「リール…あなたオードと仲良かったの?」

リール「え、特に気にしてはいませんでしたが、そう見えましたか?」

アンナ「うん!すっごい仲良しに見えたよ!」

リール「そ、そうですか。な、なんだか照れますね…」

 

その頃オードとその友人2人は…

 

オード「リールと…デート…」

???「おいおいしっかりしてくれよ…」

???「足フラフラじゃねぇか…そんなに嬉しかったのかよ…」

オード「い、いや…そりゃあな…」

???「全く…こんな昼間っから熱いもの見せやがって…」

???「ほんとだぜ。最初は服をプレゼントするんだー!とか言ってたのにいつの間にか服をプレゼントされてるんだもんな」

 

ガサッ…

オードはリールと買った服が入った紙袋をしっかり持った。

 

オード「これ…ずっと大事にするわ」

???「え?」

???「え?」

オード「リールから貰った初めてのプレゼントだ。誰にも汚させないし誰にも渡さない」

???「…あぁ。そうしな」

???「ちゃんと服着てやれよ」

オード「あぁ。当たり前だ」

 

オードは2人に支えられながら帰った。




〜物語メモ〜

甘いもの
リールは甘い食べ物を知らない。
リールが知ってる食べ物は魔女さんと食べたものだけ。
そのため、今いる国の食べ物はリールにとっては初めてのものばかり。

お店
リールが行ったことあるお店は買い出しの時に行ったお店とメリーの魔法店のみ。
飲食店や服屋などには行ったことがない。
なので、この国にある娯楽施設などは一度も利用したことがない。


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第27話 リールと赤雷

私の名前はリール。

今アンナとスカーレットの3人で外にいます。

これからアンナとスカーレットにこの街を案内してもらおうと思っています。

私はエレナ学院にいながらこの街のことはあまり知りません。

1人で出かけられるくらいにはなりたいものです。

なので今日はずっと外にいると思います。

ですがひとつ気がかりなことが…

さっきから私の後ろから視線を感じるんです。

私は光属性魔法の適性者なので周囲の探知能力には長けています。

今のところ悪い人はいませんがどうなるでしょうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…スペルビア王国 街中

 

アンナ「ねぇリール」

リール「何ですか?」

アンナ「リールって箒に乗れるよね?」

リール「はい。乗れますよ」

アンナ「じゃあ乗り方教えて!」

リール「箒の乗り方ですか?」

アンナ「うん!」

スカーレット「あ、私もお願いしたいわ」

リール「え、2人はまだ箒に乗ったことが無いんですか?」

アンナ「うん」

スカーレット「まぁ、箒の授業の前に変な人が来たからね」

リール「あーなるほど…」

アンナ「お願いリール!乗り方教えて!」

リール「いいですよ。2人にはこの街を案内してもらってるので」

アンナ「ありがとう!」

スカーレット「私もこれを機に箒に乗れるようにしないと…」

リール「じゃあ広い場所に行きましょうか」

アンナ「あ!ならこの近くに公園があるよ!」

スカーレット「そうね。あそこなら広いから邪魔にならないわ」

リール「じゃあそこに行きましょうか」

アンナ「うん!」

 

3人は公園に向かった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…公園

 

アンナ「ほら!着いたよ!」

リール「おぉ…」

 

その公園はリールが思っていたよりも広かった。

 

リール「こんなに広い空間があるなんて…」

スカーレット「ここはこの街唯一の広い場所なの。だからこんなに広いの」

リール「へぇそうなんですね」

アンナ「じゃあ始めよ!」

スカーレット「そうね」

リール「その前に2人は疲れてませんか?」

スカーレット「え?」

アンナ「疲れてないよ!」

スカーレット「私も大丈夫よ」

リール「ならやりましょう!」

 

リールとアンナとスカーレットは公園の隅っこに移動した。

 

リール「じゃあまず箒を出してみましょう。やり方は前に教えた通りですよ」

アンナ「…来て」

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

アンナがそう言うと箒が現れた。

 

スカーレット「来なさい」

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

スカーレットもアンナと同じように言うと箒が現れた。

 

リール「上出来ですね!じゃあ箒に乗ってください」

 

アンナとスカーレットは箒に腰掛けた。

 

リール「今2人の周りにはマナがたくさんいます。それを箒に纏わせることで箒を飛ばすことができます」

アンナ「纏わす?どうすれば…」

リール「自分の箒に魔力を送ってください。そうすれば周囲にいるマナがくっつきますので」

 

アンナとスカーレットは言われるがまま魔力を送った。

シュゥゥゥゥゥゥ!

 

アンナ「!!」

スカーレット「!!」

 

すると周囲のマナが一斉に箒にくっついた。

 

アンナ「わ、わわわ!」

スカーレット「す、すごいわね…」

リール「あとはマナに飛ぶよう命令するだけですよ。やってみてください」

アンナ (マナに命令する…飛んで…とか?)

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ…

アンナの箒が浮き始めた。

 

アンナ「え、わ、わわわ!」

 

アンナは突然浮き始めた箒に驚いていた。

 

スカーレット (なるほど…あぁなるのね。なら私も…飛べ。…とかでいいのかしら)

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ…

スカーレットの箒も浮き始めた。

 

スカーレット「わっとと…なるほど…」

リール「2人とも上手ですよ!」

アンナ「リールもおいでよ!一緒に飛ぼ!」

リール「はい!」

 

リールは手を出した。

 

リール (…来てください)

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ…ポンッ!

リールは箒を取り出した。

 

リール (飛べ…)

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ!

リールの箒も宙に浮いた。

 

アンナ「すごいリール!手際いいね!」

リール「まぁ、慣れてますから」

スカーレット「この後はどうするの?」

リール「そうですねぇ、どこか目的地があるならそこに行くよう命令するか、自分で操作しますね」

アンナ「私自由に飛んでみたい!」

スカーレット「私も」

リール「でしたら一緒に飛んでみましょう」

アンナ「どうやるの?」

リール「簡単ですよ。進行方向に箒を傾けるだけです」

アンナ「へぇ!」

 

3人は前に箒を傾けた。

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ

すると箒は前に進んだ。

 

アンナ「すごいすごい!」

スカーレット「えぇ…これはいいわね…」

リール「曲がりたい時は体を倒してください。止まりたい時は箒の先端を持ち上げてくださいね」

アンナ「うん!」

 

3人は箒に乗って色々な所へ飛んだ。

 

オード「な、なるほど…あんな感じになるのか…」

 

その様子を見ていたオード。

 

???「なぁオード…」

オード「ん?」

???「今日も今日とてリールの観察か?」

オード「観察じゃねぇよ!危険が無いよう見守ってるだけだ!」

???「あーはいはい」

オード「てかノーラもしっかり見張ってろよ」

ノーラ「分かってるって…」

???「今日も最後までいるのか?」

オード「当たり前だろ?いつ危険な目に遭うか分かったもんじゃない」

???「まぁ、分からんでもないが…」

ノーラ「まぁディア。ここで俺たちが颯爽と現れてあの3人を守ることができたらカッコイイと思わないか?」

ディア「あー…まぁ、そうだな」

オード「そういうことだ。行くぞ!」

ノーラ「おう!」

 

オードたちはリールたちの後を追う。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…広場

 

アンナ「あ!ここで降りよ!」

リール「はい!」

 

3人は広場に降りた。

 

リール「あれ、ここさっきの場所と似てますね」

スカーレット「えぇ。ここはさっきの公園を小さくした感じよ」

リール「へぇ、そうなんですね」

アンナ「ちょっと一休みしよ!」

 

リール、アンナ、スカーレットは少し休むことにした。

 

リール「どうですか?アンナ、スカーレット」

アンナ&スカーレット「?」

リール「箒に乗った感想は」

アンナ「楽しかった!」

スカーレット「そうね。いい体験だったと思うわ」

アンナ「これで箒の実技は簡単になったよ!」

リール「ですね」

 

その様子を見ていた3つの影…

 

オード「…」

ディア「箒って便利だなオード」

オード「あぁ…無理に走らなくても良さそうだ…」

ノーラ「俺たちはまだ箒に乗る練習してないからなぁ…」

オード「いつかリールに乗り方聞くぞ」

ディア「え?俺たちでやるんじゃないのか?」

オード「俺たちだけだと一向に乗れる気がせんからな。誰かに聞くのが手っ取り早いだろ?」

ノーラ「ごもっとも」

ディア「…だな」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…広場上空

 

???「さて、準備はできたか?ゴーラ」

ゴーラ「当たり前だ。そっちもいけるか?マーモ」

マーモ「あぁ。いけるぜ」

ゴーラ「じゃあ…始めるか…」

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ…ゴゴゴゴゴゴゴ!

ゴーラは魔力を溜めた。

 

ゴーラ「万雷よ…この地に降誕しろ…」

 

ゴゴゴゴゴゴゴ!

ゴーラの魔力が更に増加した。

 

ゴーラ「赤雷(ダイナラ)

 

ピカッ!ドゴォォォォォン!

溜めた魔力が雷となり地面に落ちた。

 

ドゴォォォォォン!

 

リール「!!」

アンナ「!!」

スカーレット「!!」

オード「!!」

ディア「!!」

ノーラ「!!」

 

激しい轟音とともに雷が落ちた。

 

リール「な、何があったんでしょうか…」

アンナ「びっくりしたぁ…」

スカーレット「…」

 

スカーレットは雷が落ちた場所を見た。

 

スカーレット (まさか…これって…)

オード「ぐぁぁ…耳が痛てぇ…」

ディア「いきなりなんだよ…」

ノーラ「こんな天気のいい日に雷だと…」

スカーレット「!」

 

スカーレットは魔力を感じ取った。

 

スカーレット「リール!」

リール「はい!」

スカーレット「これ…雷属性魔法よ!」

リール「え…魔法…」

スカーレット「この感じ…魔力も相当なものだと思うわ…」

リール「じゃあ誰が…」

スカーレット「…」

 

スカーレットは周囲を見渡した。

 

スカーレット (魔法を放った形跡が無い…誰がこんなことを…)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…広場上空

 

ゴーラ「はっ。この程度で騒ぐのかよ」

マーモ「そりゃ騒ぐだろ…今の魔法、ゴーラ自作の魔法だろ?」

ゴーラ「それがどうした」

マーモ「お前の作る魔法はどれも攻撃力が高すぎるんだよ。俺たちでも当たったら致命傷だ」

ゴーラ「そうか」

マーモ「まぁ、そうでなくても驚くだろ普通」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…広場

 

スカーレットは未だに魔力の発信源を特定できない。

 

リール「スカーレット!どこにいるか分かりませんか?」

スカーレット「…分からないわ」

リール「!」

スカーレット「雷属性魔法って特定の電磁を感じることが出来るの。でもそれが感じ取れない…どこから魔法を使ったのかもさっぱり分からない」

リール「じゃあ…」

スカーレット「…せめてあと一回攻撃が来れば分かると思うわ」

アンナ「スカーレット!リール!上を見て!」

 

リールとスカーレットは上を見た。

 

リール「あれは…」

スカーレット「…」

 

そこには2人の人物が見下ろしていた。

 

アンナ「もしかしたらあの人たちかも…」

リール「あの人たち…箒に乗ってないのに空を飛んでます…」

スカーレット「…只者じゃないわね」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…広場上空

 

ゴーラ「お、ようやく気づいたらしいな」

マーモ「あぁ。そうらしいな」

ゴーラ「降りるか」

マーモ「いいのか?近くにもう3人いるけど」

ゴーラ「6人程度なら造作もないわ。まとめて蹴散らしてやる。それで、光属性魔法の適性者はあいつでいいんだな?」

マーモ「あぁ。こいつが反応してるからな」

ゴーラ「なら行くぞ」

マーモ「はいよ」

 

ゴーラとマーモは地上に降りた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…広場

 

アンナ「2人…こっちは3人…」

リール「アンナ!」

アンナ「!」

リール「戦っちゃダメです!先生のところに戻りましょう!」

スカーレット「リール」

リール「何?」

スカーレット「…逃げられないわよ」

リール「え…何で…」

スカーレット「…2人のうちどちらかが雷属性魔法の適性者よ…逃げても追いつかれるわ」

リール「じゃあ…」

スカーレット「ここで戦うしかないわ」

リール「でもここで戦ったら先生の防御が得られない…」

アンナ「うん…でも…」

スカーレット「やるしかない」

リール「で、でも…私…魔法が…」

 

現在リールはレヴィ学院長から魔法の使用を禁止されている。もしこれを破ればリールは退学処分となってしまうため、リールは躊躇っていた。

 

リール「でも…私…」

スカーレット「…降りてきたわ」

 

ゴーラとマーモが降りてきた。

 

ゴーラ「ふん。なんだこの程度でビビってるのか」

マーモ「3人か…」

ゴーラ「いや、6人だ」

リール「!」

 

リールは光属性魔法の特性を発動した。周囲に4人ほど人がいる。

 

リール (まさか…この人たちを攻撃する気じゃ…)

ゴーラ「まずはその後ろにいるやつからだ」

 

ピシッ…ジジジ…

ゴーラは雷を溜め始めた。

 

リール「!」

ゴーラ「まずは一人」

 

バリバリバリ!ビューン!ビリビリビリ!

ゴーラの雷はリールの後ろにいる人に向かって一直線に飛んだ。

 

リール (マズイ!光速(オーバー・スピード)!)

 

ピュン!

リールは光速で移動した。

 

スタッ!

その人の前に着いたリールは急いで結界を展開した。

 

リール「はぁっ!」

 

パキパキパキ…キィィィィン!

リールの結界は攻撃が当たる寸前のところで展開された。

 

ゴーラ「…ほう。さすがに速いな」

マーモ「あぁ。そうだな」

 

ギリギリギリ…

リールはゴーラの雷と対峙している。

 

リール「はぁ…はぁ…はぁ…」

???「あ、あの…」

リール「逃げてください!」

???「は、はい!」

 

タッタッタッ

???は逃げた。

 

ゴーラ「…逃がしたか」

マーモ「まぁいいだろ。あんなやつ」

ゴーラ「そうだな」

リール (このままだと誰かが怪我をします。それを防ぐためには…)

 

ギギギ…ギギギギギ…

結界が軋み始めた。

 

リール (結界が…お願い…耐えて…)

 

ギリギリギリ…パリィィン!

 

リール「!!」

 

リールの結界は完全に破壊された。だがそれと同時にゴーラの雷も消えていた。

 

リール「や、やった…」

ゴーラ「ふん。止められたか」

マーモ「やるな。あいつ」

 

ジリッ…スタスタスタ

リールは一歩ずつゴーラとマーモのところに近づいた。

 

スッ…

リールは杖を取り出した。

 

リール「アンナ。スカーレット」

アンナ「?」

スカーレット「?」

リール「…私たちが戦うしかないのかもしれません」




〜物語メモ〜

初登場人物

ディア
オードの友達。
火属性魔法の適性者。
いつもオードとノーラの3人で一緒にいる。
結構仲良し。

ノーラ
オードの友達。
水属性魔法の適性者。
いつもオードとディアの3人で一緒にいる。
いつもオードの無茶ぶりに振り回されている。

ゴーラ
雷を落とした張本人。
マーモと一緒に行動することが多い。

マーモ
ゴーラと一緒に行動する人物。
突発的に行動するゴーラと相反してしっかり物事を見定めてから行動するタイプ。
ゴーラとは昔から一緒に過ごしてきたため、一番仲がいい。


登場した魔法

赤雷(ダイナラ)
ゴーラが放った魔法。
ゴーラ自作の魔法で雷ではあるが色は赤。
マーモが名付けた。
地面に落ちれば指定の範囲に雷が広がる魔法。
今回はただ落としただけで周囲には広がらなかった。


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第28話 リールと魔女さんの魔法

私の名前はリール。

私は今、アンナとスカーレットの3人で外にいます。

さっきまで箒に乗ってて休憩のためにある広場に降りました。

すると少し時間が経って、急に赤い雷が落ちてきました。

スカーレットが言うには雷属性魔法なんだそうです。

周囲を探しましたが誰もおらず、アンナが空にいた2人の人物を指しました。

そのうち1人が赤い雷を落としたそうです。

私が感じた中では魔女さんの魔力が1番強かったんですが、この赤い雷も相当な魔力でした。

危険だと感じた私は杖を手に取り、あの人たちと戦う決断をしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リール「…私たちが戦うしかないのかもしれません」

アンナ&スカーレット「…」

 

アンナとスカーレットは目を合わせ、リールの意見に賛成することにした。

 

アンナ「うん。そうかもね」

スカーレット「私たちが止めないともっと酷くなるわね」

 

スッ…

アンナとスカーレットも杖を取り出した。

 

ゴーラ「お?殺る気になったか?」

マーモ「そのようだな」

ゴーラ「じゃあ回収するか。あいつを」

マーモ「足引っ張るなよゴーラ」

ゴーラ「へっ…マーモこそ」

リール「…」

 

リールたちは相手の様子を見ている。

 

ゴーラ「…何もしてこないぞ」

マーモ「様子を見てるんだろうね」

ゴーラ「そうか。ならこっちからやってやる」

 

ジジジ…バリバリバリ!

ゴーラは雷を集めた。

 

ゴーラ「雷槌(メディエス)!」

 

ピカッ!ドゴォォォン!

雷は一直線に飛んだ。

 

リール「来るよ!」

アンナ「ここは任せて」

 

ジリッ…

アンナが一歩前に出た。

 

スカーレット「待ってアンナ!水属性じゃ雷属性には…」

アンナ「大丈夫」

スカーレット「!」

 

スカーレットは以前のアンナには無かったものを感じた。

 

スカーレット「アンナ…」

 

ビリビリビリビリ!

雷は一直線に飛んでくる。

 

アンナ (スカーレットに勝ったあの人…あの人は雷属性魔法のスカーレットに水属性で勝った。私はあの時、水の使い方を学んだ。もうこれ以上迷惑かけられない)

 

ビリビリビリ!

雷が迫ってくる。

 

スカーレット「アンナ!」

アンナ (…ここ!)

アンナ「流水(メロア)!」

 

ザバァァァァン!

アンナは水属性魔法で道を作った。

 

ドゴォォォン!ビリビリビリ!

雷はその水に当たり、一瞬にして周囲に広がった。

 

アンナ「ぐっ…」

 

アンナはダメージを受けた。

 

スカーレット「アンナ!」

アンナ (でもこれで…)

 

ビリビリビリ!ビューン!

雷はアンナが作った水の道を伝ってマーモのところに飛んだ。

 

マーモ「な!」

 

ビューン!ドゴォォォン!

 

マーモ「ぐぁぁぁぁぁぁ!」

 

マーモはまともに攻撃を受けてしまった。

 

ゴーラ「マーモ!」

 

シュゥゥゥゥゥゥ…ビリビリ…ビリビリ…

マーモは身体中に電気を帯びてしまった。

 

マーモ「ぐぁっ…体が…」

 

マーモの体はまともに動かなかった。

 

スカーレット「凄いわアンナ!」

アンナ「えへへ…」

リール「すごいですよアンナ!」

アンナ (よかった…リールに褒めてもらえた…)

ゴーラ (チッ…あいつ…水属性魔法なのに雷属性魔法を弾いただと…)

 

ゴーラはアンナを見た。

 

ゴーラ (だが、弾いたあいつももう限界だろ。次の一発で終わらせてやる)

 

ジジジ…ゴゴゴゴゴゴ…

ゴーラは周囲に電気を放散させた。

 

ゴーラ (これなら避けれねぇだろ)

 

ビリビリビリ…フワフワ…フワフワ…

ゴーラが雷を放散させると、周囲の瓦礫や岩石が浮き始めた。

 

ゴーラ「これでどうだ!」

 

ビュン!

ゴーラは浮かせた瓦礫や岩石をアンナに向けて飛ばした。

 

スカーレット「アンナ!」

アンナ「!」

 

アンナはそれに気づかなかった。気づいた時にはもう岩石は目の前にあった。

 

リール「光爆(エレノア)ー!」

 

キィン!バゴォォォォン!パラパラパラパラ…

リールが光属性魔法でその岩石や瓦礫を粉砕した。

 

アンナ「あ…ありがとう…リール」

リール「どういたしまして!」

ゴーラ「チッ…光属性魔法か…マーモ!まだ治らねぇのか!」

マーモ「もう…少し…」

 

マーモの体はまだ麻痺していた。

 

ゴーラ「チッ…」

スカーレット「雷砲(サンダー・キャノン)!」

 

ジジジ…ドゴォォォン!

スカーレットはマーモに向かって雷属性魔法を放った。

 

マーモ「な…」

 

ドゴォォォン!

スカーレットの攻撃は命中した。

 

リール「すごい!すごいですよスカーレット!」

スカーレット「当たり前よ」

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

煙が晴れた。

 

スカーレット「!」

リール「!」

アンナ「!」

 

スカーレットの攻撃は命中していた。だが、命中していたのはマーモではなくゴーラだった。

 

ゴーラ「…いい雷だ」

スカーレット「そんな…」

ゴーラ「お前、雷属性魔法か」

スカーレット「…」

ゴーラ「なら、お前にいいものをくれてやる」

 

ジジジジジジジジジ

ゴーラは力を込めた。

 

ゴーラ「雷属性魔法にはな…こういう使い方もあるんだ」

 

ジジジ…ゴゴゴゴゴゴ!

 

ゴーラ「雷撃(ゴラ・モーア)!」

 

ギュォォォォォ!ドゴォォォン!

ゴーラは雷で作った気弾をスカーレットに向けて放った。

 

スカーレット「な…」

リール「スカーレット!」

スカーレット「インドラの矢(サディエライト・アーツ)!」

 

キィン!バゴォォォォン!

両者の魔法がぶつかる。

 

スカーレット「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

ギュォォォォォ!

 

スカーレット「!」

 

スカーレットは途中で異変に気づいた。

 

スカーレット「ま…魔力が…」

ゴーラ「はっ…ようやく気づいたか」

 

ゴーラが放った雷撃(ゴラ・モーア)はスカーレットのインドラの矢(サディエライト・アーツ)の魔力を吸収していた。

 

ギュォォォォォ!

スカーレットの魔力はどんどん吸収されていく。

 

スカーレット「このままじゃ…」

 

ドゴォォォン!

両者の魔法が力に耐えきれず消滅した。

 

スカーレット「はぁ…はぁ…よかっ…」

 

ビューン!

 

スカーレット「!?」

 

だがゴーラの雷撃(ゴラ・モーア)は消滅していなかった。

 

スカーレット「しまっ…」

リール「スカーレット!」

 

バゴォォォォン!

ゴーラの魔法はスカーレットに命中した。

 

スカーレット「…」

 

ドサッ…

スカーレットは力なくその場に倒れた。

 

リール「スカーレット!」

スカーレット「…」

 

スカーレットはピクリとも動かなかった。

 

リール「スカー…レット…」

 

ビリビリ…ビリビリ…

スカーレットの体には雷が走っていた。

 

ゴーラ「はっはっはっ!」

リール「!」

ゴーラ「バカなやつだ。あれに攻撃するとはな」

リール「…」

ゴーラ「あれは相手の魔力を吸収して攻撃力を上げる魔法だ。雷属性魔法を吸収すればさらに強くなる。この女が雷属性魔法だと分かったからこの魔法が使えた。それを知らなかったこいつはまんまと罠にかかったんだ」

リール「スカーレット…」

ゴーラ「さ、ここで展開しようか。俺の領域を」

 

ヒュッ

ゴーラは杖を高く上げた。

 

ゴーラ「雷の領域(ホライゾン)

 

ジジジ…バリバリバリ!

周囲に雷属性魔法の領域が展開された。

 

アンナ「な…なに…これ…」

ゴーラ「これは俺を強くするための領域。この領域内にいる水属性魔法は持続ダメージを負っていずれ死に至る」

アンナ「え…」

 

ビリビリビリビリ!

アンナがそれを聞いた瞬間、アンナの体に電気が流れた。

 

アンナ「あぁぁぁぁぁぁぁ!」

リール「アンナ!」

アンナ「あぁぁぁぁぁぁぁ!」

ゴーラ「さぁて、お前は何秒持つだろうなぁ」

リール「くっ…」

オード「ちょっと待てーーーい!」

 

ザザッ!

すると近くの物陰からオードとディア、ノーラが姿を現した。

 

オード「今すぐこの領域を閉じろ!クソジジイ!」

ゴーラ「…やっと出てきたのか。さっきからそこで隠れてた腰抜け共が」

リール「オード君!?」

ディア「やるぞオード!」

オード「当たり前だ!女の子を守るのが男の仕事だ!」

ゴーラ「…はぁ?何言ってんだよ」

オード「炎流(ファイアロード)!」

 

ゴォォォォォォォ!

オードの杖から炎が出てきた。

 

ディア「炎化(バーン)!」

 

ゴォォォォォォォ!

ディアの杖から炎が出てきてディアを包み、そのままディアは突進した。

 

ノーラ「渦潮(ロウェナ)!」

 

ザバァァァァン!

ノーラは渦潮を展開した。

 

ゴーラ「火属性が2人と水属性が1人。水属性はどうせ死ぬから残りの2人をどうにかするか」

 

ドゴォォォン!

3人の魔法は直撃した。

 

オード「…どうだ」

ノーラ「…」

 

スタッ

突進していたディアが戻ってきた。

 

オード「どうだディア。手応えはあったか?」

ディア「いや…なかった…」

オード「なに…」

ゴーラ「今この領域がある限り、そこの水属性のやつは時間経過で死ぬ。その前の水属性の女はもう倒れてる。見ておけよ。じきにお前もあぁなる」

ノーラ「…」

ゴーラ「さ、死ぬ覚悟はできたか?ガキが」

オード「へっ…おっさんこそ。俺たちに殺される覚悟はできたか?」

ゴーラ「はっ…ほざけ」

 

ジジジ…ゴゴゴゴゴゴ…

ゴーラは魔力を溜めた。

 

マーモ「すまないゴーラ。今治った」

ゴーラ「そうか。今からこいつらを潰す。お前も手伝えモーア」

モーア「あぁ。任せな」

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ!

モーアの周りに風が発生した。

 

モーア「ゴーラ。相手の属性魔法は」

ゴーラ「1人は水属性魔法だ。残りの2人は火属性魔法だ」

モーア「…俺の弱点属性が2人もいるのか…」

ゴーラ「心配すんな。弱い」

モーア「そうか。ならやってみよう」

 

ビリビリビリ!

ヒュゥゥゥゥゥゥ!

ゴーラとマーモは魔力を溜めている。

 

ディア「いくぞオード!ノーラ!」

オード「おう!」

ノーラ「せめて一撃だけでも」

 

オードたちも魔力を溜めた。

 

オード「核爆発(デューリ)!」

ディア「火柱(メルサガ)!」

ノーラ「水ノ舞(アモール)!」

 

ゴーラ「赤雷(ダイナラ)

マーモ「風ノ陣(ヴィドア)

 

キィン!バゴォォォォン!

5人の魔法は互いに直撃し、爆発した。

 

オード「…ふぅ」

マーモ「斬り風(ザンバ)!」

オード「な!」

 

ズシャシャシャシャ!

オード、ディア、ノーラはマーモの魔法を受けてしまった。

 

オード「ぐぁぁぁぁ!」

ディア「ぐぁっ…」

ノーラ「これは…」

 

3人はマーモの魔法で体の至る所に斬り傷がついた。

 

マーモ「…油断したね」

オード「こいつ…」

ディア「オード…大丈夫か…」

ノーラ「あの人…風属性魔法…だからディアとオードならまだなんとかなる…」

オード「あぁ。いくぞディア」

ディア「あぁ…やるか」

ノーラ (俺はもう…限界だ…)

 

ドサッ…

ノーラはその場に倒れた。

 

オード「ノーラ!」

ゴーラ「ようやく死んだか。さっきの女よりかは長かったな」

マーモ「…だな」

オード「くそぉぉぉぉぉ!」

 

オードは魔法を使った。

 

オード「これでどうだぁぁぁぁぁ!」

マーモ「…遅い」

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ!ズシャシャシャシャ!

 

オード「がぁぁぁぁぁぁ!」

ディア「な…ぐっ…」

 

オードとディアはマーモの魔法を受けてしまった。

 

リール「オード君!」

オード「はぁ…はぁ…」

ゴーラ「まだ立つか」

マーモ「しぶといねぇ」

オード「当たり前…だろうが…女の子が困ってるんだ…盾になるのが男の役目…」

ゴーラ「そうか。ならその盾を壊さないとな」

マーモ「あぁ。そうだな」

オード「はぁ…はぁ…」

マーモ「次で潰してあげる」

 

ヒュォォォォォォ!

マーモは風を集めた。

 

マーモ「風玉(ブレイズ)!」

 

バババババババババ!

マーモは玉型の風属性魔法をオードに向けて放った。

 

ドドドドドドドドド!

 

オード「ぐぁっ…ぐっ…がっ…」

 

オードはリールの前に立ってリールを守った。

 

リール「オード君!」

オード「ぐっ…がっ…」

 

オードは何発も魔法を受けているが、倒れることはなかった。

 

マーモ「いいねぇ。何発まで耐えられるかな」

 

バババババババババ!

マーモは続けて魔法を放つ。

 

ドドドドドドドドド!

オードは負けじと魔法を受ける。

 

リール「オード君…オード君!」

オード「…」

 

ついにはオードは喋らなくなった。

 

バババババ…シュゥゥゥゥゥゥ…

マーモは魔法を止めた。

 

オード「…」

 

オードはリールを守りきった。

 

ゴーラ「はっ。まだ立ってやがる」

オード「…」

マーモ「いや、立ってるけどもう意識は無いよ」

リール「!」

マーモ「ちょっとの風ですぐ倒れるよ」

ゴーラ「ほう。ならやってみろ」

マーモ「あぁ」

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ…

マーモはオードに弱い風を当てた。

 

ドサッ…

するとオードは力なく倒れた。

 

リール「オ…オード…君…」

オード「…」

 

オードは目を開けなかった。

 

リール「オード君…みんな…」

 

今この場で意識を持っているのはリールだけ。アンナ、スカーレット、オード、ディア、ノーラは意識を失っている。

 

リール「くっ…ぅぅぅぅぅぅ…」

ゴーラ「はっ、ほんとに倒れやがった」

マーモ「な、言っただろ?」

リール「…」

マーモ「さ、あとは光属性魔法の適性者を回収するだけだよ」

ゴーラ「はっ、こんな簡単な仕事をエレナのやつは失敗したのか?笑わせるぜ」

マーモ「全くもってその通りだよ」

 

スタスタスタ

ゴーラはリールに近づいた。

 

リール「…」

 

スッ…

リールは立ち上がってゴーラに杖を向け、目を閉じた。

 

ゴーラ「お?来るか?」

リール (魔女さん…力を…貸してください…)

 

ヒュォォォォォォ…

 

ゴーラ「!!」

 

一瞬にして空気が変わった。

 

ゴーラ (なんだ…空気が変わった…)

リール「…」

 

リールは杖を向けたまま止まっている。

 

ゴーラ (…はったりか)

リール (魔女さん…お願いします…私に…私にあの人たちをやっつけるだけの力を…貸してください…)

魔女さん (任せて…リール)

リール (!!)

 

リールは魔女さんの声が聞こえたような気がした。

 

ゴーラ「…誰だお前」

マーモ「!!」

リール「!!」

 

リールが目を開けると目の前に見覚えのある人が立っていた。

 

魔女さん「…」

リール「魔女…さん…」

魔女さん「…」

 

そう。目の前にはリールの師匠である魔女さんが立っていた。

 

ゴーラ「誰だてめぇ」

魔女さん「…」

マーモ「ゴーラ。あの人…相当な魔力を持ってるよ」

ゴーラ「そんなん見りゃ分かるわ」

マーモ (なんなんだこの魔力…今まで感じたことがない…)

魔女さん「…」

リール「魔女…さん…」

ゴーラ「チッ…こんなところで知らねぇやつに作戦の邪魔をされてたまるか」

 

ジジジ…ゴゴゴゴゴゴ!

ゴーラは雷を集めた。

 

ゴーラ「赤雷(ダイナラ)!」

 

キィン!ドゴォォォン!

雷は一直線に魔女さんのところへ飛んだ。

 

リール「魔女さん!危ない!」

魔女さん「…」

 

キィン!バゴォォォォン!

ゴーラの雷は直進していたはずだが魔女さんの目の前で急激に方向を変え、近くの建物に当たった。

 

ゴーラ「な…」

マーモ「!?」

リール「…え」

魔女さん「…」

 

魔女さんはその場から一歩も動いていなかった。

 

ゴーラ「チッ…女のくせに…」

魔女さん「…」

 

スッ…

魔女さんはゴーラに指を向けた。

 

ゴーラ「…?」

 

スゥゥゥゥ…

魔女さんはそのまま指を下に向けた。

 

ゴーラ「…あ?なにかした…」

 

バゴォォォォン!

 

ゴーラ「!?」

マーモ「!?」

 

魔女さんが指を下に向けた瞬間、ゴーラは地面に叩きつけられた。

 

リール「え…」

 

グググググ…

ゴーラは叩きつけられたまま動けないでいた。

 

ゴーラ「こ…んの…なに…しやがっ…」

魔女さん「…」

マーモ「この!ゴーラを離せ!」

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ!

マーモは風を集めた。

 

マーモ「風玉(ブレイズ)!」

 

バババババババババ!

マーモは玉型の風属性魔法を放った。

 

魔女さん「…」

 

ツンツン

魔女さんはマーモに指を向け、2回ほど空気をつついた。

 

ドゴォン!ドゴォン!

 

リール「!!」

 

すると、マーモの体に2つの打撃跡ができた。

 

マーモ「ぐぉっ…」

 

ドサッ…

マーモはその強さに耐えきれず、その場に倒れた。

 

魔女さん「…」

マーモ「なんだ…この力…」

リール「魔女…さん…」

ゴーラ「こ…の…いい加減に…しろ…俺たちが…たった1人に…」

魔女さん「…」

 

ツンツンツンツン

魔女さんはゴーラに指を向け、4回ほど空気をつついた。

 

ドゴォンドゴォンドゴォンドゴォン!

 

ゴーラ「がぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

すると先程と同じようにゴーラに4つ打撃跡ができた。

 

ゴーラ「ぐぁぁぁ…」

魔女さん「…」

 

スッ…

魔女さんはマーモに指を向けた。

 

マーモ「ひっ…」

 

マーモは怯えた。

 

魔女さん「…」

 

魔女さんはマーモに指を向けたまま止まった。

 

マーモ「風玉(ブレイズ)!」

 

バババババババババ!

マーモはその隙をついて魔法を放った。

 

魔女さん「…全属性の暴走(エレメント・ノディア)

 

バゴォォォォン!バゴォォォォン!バゴォォォォン!

バゴォォォォン!バゴォォォォン!バゴォォォォン!

バゴォォォォン!バゴォォォォン!バゴォォォォン!

 

マーモ「がぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

魔女さんが魔法を放った瞬間、マーモを中心に大爆発が起こった。その数は実に9回。火、水、氷、風、雷、土、光、闇、無の9つの属性魔法がマーモを襲う。

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

やがて煙は晴れた。

 

リール「!!」

魔女さん「…」

 

だがもうそこにはマーモはいなかった。

 

リール「い…いなくなってる…」

ゴーラ「マァァァァァモォォォォォォ!」

 

ゴーラは叫んだが、マーモからの返事が返ってくることはなかった。

 

ゴーラ「てめぇ…やりやがったな…」

魔女さん「…」

 

ゴーラは魔女さんに杖を向けた。

 

ゴーラ「死なば諸共…大雷獄(アヴァリヴィア)!」

 

ジジジ…ドゴォォォン!

ゴーラは魔女さんに向けて魔法を放った。

 

魔女さん「…全属性の弾丸(エレメント・ラプソディ)

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

すると、ゴーラを中心にマナが集まり始めた。

 

ゴーラ「な…なんだこいつは!」

魔女さん「…」

ゴーラ「おい!やめろ!今すぐやめろ!」

魔女さん「…」

ゴーラ「おい!聞いてんのか!お…」

 

バババ!バババ!バババ!

ピュン!ピュン!ピュン!

ドカッ!ドカッ!ドカッ!

ズシャッ!ズシャッ!ズシャッ!

ビュン!ビュン!ビュン!

ガンッ!ガンッ!ガンッ!

ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!

バゴォン!バゴォン!バゴォン!

ズシャッ!ドゴォン!バゴォン!

 

ゴーラが叫んでいる途中で火、水、氷、風、雷、土、光、闇、無属性魔法の一斉攻撃が始まった。

 

ゴーラ「がぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

魔女さん「…」

 

その光景は凄まじく、ゴーラだけでなく周りの建物にも被害が出た。

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

やがてその攻撃は止んだ。

 

魔女さん「…」

リール「…」

 

リールはこの時、魔女さんの強さを知った。

 

リール (魔女さん…こ…こんなに強いなんて…)

魔女さん「…」

ゴーラ「ぐぁっ…ぐっ…」

リール「!!」

 

ゴーラはなんとか生き残っていた。

 

ゴーラ「このっ…ゴフッ…ボコスカ…攻撃しやがって…」

 

ゴーラは吐血しながら喋った。

 

リール「まだ…やっつけられないなんて…」

魔女さん「…」

ゴーラ「俺はまだ…負けてない…」

リール「!」

 

リールは自分の手にある杖に気づいた。

 

リール「なら…私が!」

 

ザッ…

リールは一歩前進した。

 

バッ!

だが、魔女さんがそれを止めた。

 

リール「魔女…さん…?」

魔女さん「…」

 

魔女さんはじっとゴーラを見ている。

 

ゴーラ「ゴフッ…くっ…せめて…マーモが…いれば…ゴフッ…」

 

ゴーラの吐血は酷くなっていた。

 

ゴーラ「これは…アラミスの回復が…必要だ…」

 

ゴーラはゆっくり立ち上がった。

 

ゴーラ「てめぇ…覚悟しておけよ…はぁ…はぁ…いつか…殺してやる…」

 

ビューン!

ゴーラはその場から逃げた。

 

リール「魔女さん…」

魔女さん「…」

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

 

リール「!!」

 

リールは魔女さんの体が消えかかっているのに気づいた。

 

リール「魔女さん!体が!」

魔女さん「…」

 

魔女さんは動かなかった。

 

リール「魔女さん!今すぐ魔力を…ちょっと待ってください!」

 

ガサゴソ…ガサゴソ…

リールはバッグの中に入っている魔力の素を取り出そうとした。

 

スッ…

 

リール「!」

 

リールの手に魔女さんの手が触れた。

 

魔女さん「…」

リール「…魔女…さん…?」

魔女さん「リール」

リール「!!」

魔女さん「…あなたなら大丈夫ですよ」

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

その言葉を告げた瞬間、魔女さんの体は消えてしまった。

 

リール「ま…魔女さん…え…魔女さん!…魔女さん!」

 

リールは何度も魔女さんを呼んだ。

でも、魔女さんが返事を返してくれることは無かった。




〜物語メモ〜

初登場魔法

雷属性魔法:雷槌(メディエス)
ゴーラが使った魔法。
雷で作った槌を磁力を使って飛ばす魔法。
普通の雷よりかは速度は落ちるが、当たれば大ダメージ。

水属性魔法:流水(メロア)
アンナが使った魔法。
水を使って道を作ることで弱点である雷属性魔法を受け流すことが出来る魔法。
ただし不完全なため、アンナ自身もダメージを受ける。

雷属性魔法:雷撃(ゴラ・モーア)
ゴーラが使った魔法。
相手の魔力を吸収する玉型の魔法。
魔法同士がぶつかっても雷撃(ゴラ・モーア)が相手の魔法を吸収するため、相手の魔法が貫通してしまう。
おまけに魔力を吸収すれば強くなる。

雷属性魔法:雷の領域(ホライゾン)
ゴーラが使った魔法。
周囲を雷で覆い、自信を強化する+水属性魔法の適正者にダメージを与える魔法。
これは発動者が解除するか、発動者が倒れるまで続く。

火属性魔法:炎化(バーン)
ディアが使った魔法。
自信を炎で包み、相手に突進する魔法。
突進は物理攻撃だが、炎を纏うまでが魔法攻撃となる。

水属性魔法:渦潮(ロウェナ)
ノーラが使った魔法。
渦潮を発生させ、相手にぶつける魔法。
相手に当たるまでに瓦礫などがあれば一緒に巻き込んで攻撃する。

火属性魔法:火柱(メルサガ)
ディアが使った魔法。
火属性レーザー型の魔法。
相手に向かって火を放つ魔法。

水属性魔法:水ノ舞(アモール)
ノーラが使った魔法。
螺旋状に飛ぶ水を放つ魔法。

風属性魔法:風ノ陣(ヴィドア)
マーモが使った魔法。
風を集めて一気に放つ魔法。
風の威力は凄まじく、建物は一瞬で吹き飛ぶくらい。

風属性魔法:斬り風(ザンバ)
マーモが使った魔法。
風属性斬裂型の魔法。
放てば風だけでなく、斬撃もついてくる。
当たれば斬撃ダメージを負う。

風属性魔法:風玉(ブレイズ)
マーモが使った魔法。
風属性玉型の魔法。
放てば玉型の風が相手に向かって飛ぶ。

雷属性魔法:大雷獄(アヴァリヴィア)
ゴーラが使った魔法。
自身の魔力を大幅に消費して放つ魔法。
ゴーラが使う魔法の中でトップの威力を誇る。

全属性魔法:全属性の暴走(エレメント・ノディア)
魔女さんが使った魔法。
火、水、氷、風、雷、土、光、闇、無の9つの属性魔法を暴走させ、大爆発を起こさせる魔法。
魔女さん自身の魔力が高いため、まともに受けると基本、跡形も残らない。
そのため、この魔法を受けたマーモは跡形もなく消えていた。

全属性魔法:全属性の弾丸(エレメント・ラプソディ)
魔女さんが使った魔法。
火、水、氷、風、雷、土、光、闇、無の9つの属性魔法を使って攻撃する魔法。
その際マナを集めることで照準を合わせることができ、放てば当たるまで追いかけ続ける。
魔女さんの魔力が高いため、一発の威力が半端じゃない。
それが9つの属性で何発も放たれるため、ダメージは相当なもの。


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第29話 リールと戦闘後

ここでちょっとお知らせです。

※今回、今までとは違う点がいくつかあります。
①会話文と会話文の行間を無くしています。(いつもは1行空けていました)
②会話文とそれ以外の文の行間を1行にしました。(いつもは2行空けていました)
③場面が切り替わるところに線を引きました。
なのでいつもとは違って見えますので、お気をつけください。

後書きの方でアンケートもありますのでよろしければお願いします。
期限は次回の投稿までとなります。

お知らせは以上です。


私の名前はリール。

今外にいます。

さっき変な人たちが攻撃してきてアンナとスカーレット、オード君、ディア君、ノーラ君が大きな怪我をしました。

5人は今意識を失って倒れています。

私は気を失っていませんが、大きな喪失感に襲われています。

あの時見えた魔女さんの姿、あの時聞こえた魔女さんの声、あの時見た魔女さんの魔法…全てが私の前から消えてしまいました。

私を大事に育ててくれた魔女さんを私は守れませんでした。

私は…自分の力不足を悔やんでいます。

私にもっと力があればアンナたちも守って魔女さんを救えたかもしれないのに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…エレナの部屋

 

魔女さん「…よかった」

エレナ「何が良かったのですか」

魔女さん「…」

エレナ「まさか幻影を作るなんて。やっぱり私を倒しただけありますね」

魔女さん「…」

エレナ「あなたですか?あの子に刻運命(ときさだめ)(こな)を持たせたのは」

魔女さん「…知らないわ」

エレナ「…嘘はつかないほうがいいですよ」

魔女さん「…嘘じゃないわ」

エレナ「まぁ、どちらにせよあと8つ集めるだけですね」

魔女さん「…何をよ」

エレナ「魔力の素ですよ。あなた、持ってるんでしょ?魔核と呼ばれるものを」

魔女さん「…知らないわよ」

エレナ「…まぁ、知らなくてもいいです。こちらで勝手に調べますので」

 

スッ

エレナは立ち上がった。

 

魔女さん「…どこ行くのよ」

エレナ「どこって…少し風に当たりに行くだけです」

魔女さん「あらそう」

エレナ「…変なことは考えない方がいいですよ。あなたはあの時私に負けた。ここから逃げ出そうとすればどうなるか…聡明なあなたなら分かりますよね」

魔女さん「…」

エレナ「それでは…」

 

エレナは部屋から出た。

 

魔女さん (リール…私は大丈夫ですよ。ですが今はあなたの所に分身を送るだけで精一杯です。なんとかしてリールの所に行きたいのですが、今この場を離れると少し厄介なことになります。なのでリール。あなたなら大丈夫です。私がいなくてもあなたには頼もしいお友達がいます。みんなで支え合って下さい。私は大丈夫ですから)

 

 

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場所…広場

 

リール「魔女さん…魔女さぁぁぁぁん!」

 

リールは何度も何度も魔女さんを呼んだ。声が枯れるくらいに。しばらくすると大勢の人たちがリールの声に反応し、リールたちの所にやってきた。全員普通の服装ではなかった。何かの組織かというくらいに独特な服装だった。

 

リール「うっ…うぅっ…」

???「…な」

???「…なんという」

???「これは…」

???「リーダー!この町での怪我人の報告は無いそうです!」

???「…怪我人ならいる…見てみなさい」

???「!?」

 

???はリールたちを見た。

アンナ、スカーレット、オード、ディア、ノーラが大怪我を負って倒れている。リールは軽傷ではあるが怪我人でないとは言えない。

 

???「え…これって…」

???「今すぐ救護を!回復魔法が使える人はこの人たちの怪我を優先に行動しろ!他のメンバーは周囲を散策してこの人たちの他に怪我をしている人がいないか探せ!」

???「はい!」

 

すると何人かが周囲に飛び散った。

 

???「…」

 

???は泣いているリールの所まで歩いた。

 

???「…お嬢さん。大丈夫かい」

リール「うっ…ひぐっ…」

???「…あとは私たちに任せなさい。この人たちは私たちが責任持って治療します」

リール「うぅっ…魔女さん…」

???「?」

 

???はリールが何か言葉を発したのに気づいた。

 

???「お嬢さん。さっき何て言いましたか?」

リール「魔女さんが…魔女さんがぁ…」

???「魔女さん?それはお嬢さんの知り合いかい?」

リール「魔女さんは…私のお師匠様なんです…ひぐっ…魔女さんは…私を守って…それで…」

???「…」

 

???はリールの泣いてる顔を見て慰めようと考えた。

 

???「…お嬢さん。魔女さんはその後どうなったんだい?」

リール「うぅっ…魔女さんは…」

???「うん。魔女さんは?」

リール「魔女さんは…き…消えちゃったんです…」

???「…消えた?」

リール「…はい…消えちゃったんです…ひぐっ…」

???「消えた…」

 

???とリールが話していると後ろから一人の男が走ってきた。

 

???「リーダー!」

???「…なんだ」

???「怪我人を運び終えました!今すぐ回復魔法をかけます!」

???「…あぁ。任せる」

???「はい!」

 

タッタッタッ

するとその人はリールと???から離れていった。

 

???「…お嬢さん。今私の仲間がこの周辺に逃げ遅れている人がいないか探しているところです。もし良かったら、その魔女さんの特徴を教えて頂けませんか。私が全力で探してき…」

リール「もういないんです!」

???「!!」

 

リールは大声でそう言った。???は突然の大声に驚いていた。

 

???「…」

リール「…もう…いないんです…」

 

少しの間、静寂が訪れた。

 

???「…」

リール「もう…ここにはいないんです…もう…」

???「…」

 

???は何と言葉をかけたらいいのか分からなかった。

 

???「…分かりました。これは私たちの責任です。もう少し私たちが早く到着していればあなたが悲しまずに済んだというのに…本当に…申し訳ありませんでした」

リール「…」

 

???は深く土下座をした。リールはその姿を見ずにずっと涙を流している。

 

???「…私たちは周辺で被害に遭った人がいないか探します。あなたはどうされますか」

リール「…1人にさせてください」

???「…分かりました。私の仲間にもそう伝えておきます。本当に…申し訳ありませんでした」

 

スタスタスタ

???は再度謝罪の言葉を述べ、その場を立ち去った。

 

リール「うっ…魔女…さん…うぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

リールは泣きじゃくった。

 

 

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その様子を見ていたひとつの影。

 

???「…やってくれましたね。リールさん。あれほど使わないよう言ったのに。…もうあなたを守ることはできません。あなたにはこの学院を出てってもらいます」

 

 

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その頃、???の人たちがアンナたちの回復に力を注いでいた。

 

???「トトさん!こちらの女の子の回復はもうすぐ終わります!」

トト「分かった!こっちの男の子ももう少しで終わる!」

???「トトさん!こちらの男の子は回復が難しいです!」

トト「分かった!もし手が空いてる人がいたらリグを手伝ってやってくれ!」

???「僕も手伝います!」

???「トトさん!こちらの女性ももう少しかかります!ですが1人でできる範囲です!」

トト「ならその人は君に任せる!何としてでもその子を回復させてやってくれ!」

???「はい!」

???「トトさん!こちらの男の子の回復終わりました!」

トト「分かった!ならリグの回復を手伝ってやってくれ!」

???「はい!」

???「トトさん!こちらの男の子は神経がやられています!」

トト「分かった!棚の上から3つ目の左から3番目の薬品と回復魔法を併用して回復してやってくれ!」

???「はい!」

トト「誰か調合に詳しい人はエリンの調合に手を貸してやってくれ!」

???「私がやります!」

トト「頼む!」

???「はい!」

 

トトという人物が中心となって回復を進めていた。彼はエレナ学院に勤めているラミエ先生の元弟子で、ラミエ先生と同じくある事情で回復魔法の道へと進んだ人物。

 

???「トトさん!こちらの女の子の回復終わりました!」

トト「分かった!リグかエリンの手伝いを頼む!」

???「はい!」

???「トトさん!こちらも女性の治療終わりました!」

トト「分かった!ソノもリグかエリンの手伝いを頼む!」

ソノ「はい!」

トト「よしっ!これでこの男の子も回復できた!あとはその男の子だけだ!」

???「はい!」

 

現時点でアンナ、スカーレット、ディア、ノーラの治療が終わった。あとはオードだけ。

 

トト「な…すごい傷だ…薬品はどうだ!調合終わりそうか!」

ソノ「はい!もう少し!」

エリン「トトさん!もうすぐ終わりますので回復魔法の循環をお願いします!」

トト「分かった!キク!僕と一緒に回復魔法の循環を手伝ってくれ!」

キク「はい!」

 

そうこうしていると薬品が完成した。

 

ソノ「トトさん!できました!」

トト「分かった!こっちに持ってきてくれ!キク!やるぞ!」

キク「はい!」

エリン「それでは…いきます!」

 

シュゥゥゥゥゥゥ!

エリンとソノ、キクの3人で調合した薬品がオードの体に染み渡った。

 

トト「今だ!キク!」

キク「はい!」

 

トトとキクは回復魔法を使って薬品の循環を促した。するとその薬品は瞬く間にオードの体内を駆け巡り、回復を早めた。

 

トト「よしっ!みんなでこの子を回復させるぞ!手を貸してくれ!」

全員「はい!」

 

シュゥゥゥゥゥゥ!

薬品の循環を確認すると、その場にいた全員でオードを回復させた。

 

トト「よしっ!回復が終わった!あとは私がやっておく!みんなご苦労さん!」

???「ふぅ…よかった…」

ソノ「無事に全員回復できてよかったです…」

リグ「みんな手伝ってくれてありがとな」

エリン「いえいえ!助け合うのが私たちですよ!」

キク「そうです!特に私たちは!」

???「だな」

???「今回は治療に時間がかかりましたね」

???「確かに」

ソノ「普通の魔法の傷ならすぐに治るんですが…」

エリン「トトさん…どう思いますか…」

トト「う〜ん…これほどまで深い傷を与えるには相当な魔力が必要になる…普段なら魔法の傷はそこまで深くならない…でもこうなってしまっては…」

???「まさか…"天使"がやったんじゃ…」

全員「!!」

 

その場の全員が凍りついた。

 

トト「…確かに…天使なら不可能ではない…」

???「でも…天使ってあの狂気の魔女が倒したはずじゃ…」

ソノ「生き返ったのかも…」

エリン「可能性は無くないですね…もう数十年も前の話ですから…」

リグ「ということは…また…起こるのか…あれが…」

トト「百穢夜行(ひゃくあいやこう)か…」

???「…」

トト「…上層部にこの事を伝えた方がいいかもしれないね」

リグ「トトさん!お願いします!」

トト「あぁ。言っておこう。さ、この子たちは私が大切に保管するからみんなはエギルの所に行ってて」

全員「はい!」

 

スタスタスタ

トトを残して他のメンバーはエギルという人物の所に向かった。

 

トト「…百穢夜行(ひゃくあいやこう)。二度と起こらないと思っていたけど…本当に起こるのか…また…あれが…」

 

 

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場所…???

 

ゴーラ「くっ…あの野郎…次はただじゃおかねぇ…縛り上げて死ぬまで魔法をくれてやる…」

 

パチッ!

急に明かりがついた。

 

ゴーラ「!!」

 

ゴーラが周囲を見渡すと、ゴーラを囲うように5人ほど人が立っていた。

 

ゴーラ「チッ…なんだよ」

???「なんだよとは失礼だね?ゴーラ」

ゴーラ「…うるせぇ」

???「口の利き方がなってないぞ。ゴミクズが」

ゴーラ「!」

???「…あれほど啖呵切っておいてこのザマかゴーラ」

ゴーラ「…」

???「やはり私が思った通りですね。あなたは負けると思っていましたよ」

ゴーラ「あ?」

???「相手は光属性魔法に適正がある子です。雷属性魔法程度のあなたじゃ敵うはずがないんです」

ゴーラ「なんだと…」

 

ガシッ!

???はゴーラの髪を掴んだ。

 

ゴーラ「痛ぇ!離せてめぇ!」

???「…お前…女を相手に負けたとか恥ずかしくないのか?」

ゴーラ「くっ…」

???「それにマーモはどうした。さっきから姿が見えないが?」

ゴーラ「チッ…マーモは消えた」

???「…消えただと?」

ゴーラ「…知らねぇやつが来てマーモが殺された」

???「へぇ、マーモが殺られるなんてね」

???「これは驚きだ」

???「…それで?お前は尻尾巻いて逃げてきたのか?ゴーラ」

ゴーラ「…」

???「で?誰だったんだ?知らねぇやつって」

ゴーラ「知らねぇやつって言っただろ」

???「じゃあ属性魔法は何だったんだ?」

ゴーラ「…知らねぇ」

???「え?戦ったんだよね?ゴーラ」

ゴーラ「…初めて見た魔法だ。属性魔法なのかも分からん」

???「どうでもいいわ。今のお前はただのゴミクズだ。デカい態度だった割には拍子抜けだったな」

ゴーラ「…」

???「…失敗は二度までだ。エレナにもそう伝えたはずだ」

ゴーラ「くっ…」

???「次は無い。分かったな」

ゴーラ「くっ…」

???「返事をしろ」

ゴーラ「…あぁ」

???「あらら…これでゴーラもエレナと同じになっちゃったね」

???「これからはゴミクズって呼ばないとな」

???「おーいゴミクズ!もう見たくねぇからさっさと立ち去れ!」

ゴーラ「くっ…」

 

スタ…スタ…スタ…

ゴーラはゆっくりではあるがその場を立ち去った。

 

???「…全く。ゴーラもか」

???「でもどうする?もう5人しかいないよ?」

???「でも相手は1人だろ」

???「1人ではあるが、力は1人じゃない」

???「光属性魔法ってのはつくづくチートだと思うぜ」

???「失礼ですね」

???「あ、君の事じゃないから」

???「知ってますよ」

???「おいマモン」

マモン「ん?」

???「お前、地脈を使って隕石落とせないか?」

マモン「地脈を使って?」

???「あぁ」

マモン「まぁ…できなくはないけど…」

???「じゃあやってくれ。落とす場所はゴーラが行った場所だ」

マモン「でもまず地脈を引っ張ってくるところから始まるから時間かかるぞ?」

???「構わん」

マモン「分かった。じゃあやるわ」

???「あぁ」

???「ねぇマギ。どうするの?今の人数じゃエレナとゴーラを入れても7人だよ?あと2人足りないよ」

マギ「…そうだな。あと2人どうするか。風属性魔法と無属性魔法。この2つの属性で強大な魔力を持つやつを見つけないとな」

???「無属性魔法…グラムがいれば解決してたんですが…」

マギ「あいつはもう仲間と思うな。あんな裏切り者。見つけたら殺せ」

???「…はい」

マギ「レット。あの町を凍らせることはできるか?」

レット「…あぁ。できる」

???「どうするの?」

マギ「凍らせるのはマモンが隕石を引っ張ってきてからだ。逃げられないようにして一掃する」

???「なるほど!」

レット「…じゃあ次は俺とマモンが行くのか」

マギ「あぁ。そういう事になる」

???「頑張ってくださいレット」

レット「あぁ。分かった」

マギ「サリエラとラビはここに残れ」

サリエラ「何故でしょうか」

ラビ「何かあるの?」

マギ「サリエラの火属性魔法はあとで役に立つ。ラビの水属性魔法は次の手に取っておく」

ラビ「分かった!」

サリエラ「はい。分かりました」

 

 

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その頃ゴーラは

 

ゴーラ「チッ…マギの野郎…マモンもだ…俺をゴミクズ呼ばわりしやがって…俺だってマーモがいれば勝てたわ。あんな女に負けることも無かったわ」

 

ゴーラは文句を零しながら歩いていた。

 

エレナ「あらゴーラ。随分な姿ですね」

ゴーラ「!」

 

ゴーラの目の前にエレナが立っていた。

 

ゴーラ「…何の用だ」

エレナ「いえ、これといって用はありませんよ。ただ通りかかっただけです」

ゴーラ「…笑いたきゃ笑えよ。お前と同じで失敗してゴミクズ呼ばわりされたこの負け犬の俺を」

 

ゴーラは柄にもなく悲しそうな顔を浮かべた。エレナはそれを見逃さなかった。

 

エレナ「…笑いませんよ」

ゴーラ「…」

エレナ「私はあの人たちと違って人の心を持っています。あの人たちと一緒にしないでください」

ゴーラ「…」

エレナ「私があの人と同じように見えるならあなたは一生誰にも寄り添えませんよ」

 

コツコツコツ

エレナはその場を立ち去った。

 

ゴーラ「…チッ。どいつもこいつも」

 

 

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その頃リールは

 

リール「…」

 

リールはずっとその場に座っていた。魔女さんが消えていったその場所に。魔女さんが戻ってくる訳でもなく、魔女さんの声が聞ける訳でもないのに。

 

エギル「…お嬢さん。気は済みましたか?」

リール「…」

エギル「…ここで倒れていた人たちは無事全員回復が終わったそうです。周囲に逃げ遅れた人もいませんでした。あとはあなただけです」

リール「…」

エギル「…」

 

リールは何も言わなかった。

 

エギル「…あなたが想う魔女さんという方…少し聞かせてくれませんか?」

リール「…」

 

リールは無言だった。

 

エギル (…よっぽど大事な人だったんだね。ここまで言葉を発さなくなるなんて)

リール「…魔女さんは」

エギル「!」

 

リールは突然口を開いた。

 

リール「…魔女さんは…私の命の恩人であり、私のお師匠様です。魔女さんは私をここまで育ててくれました。優しい魔女さん。さっきも変な人たちから私を守ってくれました」

エギル「変な人…」

リール「その人たちはアンナたちを傷つけたあと、私を回収すると言っていました」

エギル「回収…?」

リール「私、前にもある人から回収すると言われました」

エギル「ある人…」

リール「…エレナという人物です」

エギル「!?」

 

エギルはその名を聞いて驚いた。

 

エギル「エレナ…ほんとにそう言ったのかい?」

リール「…嘘ついてどうするんですか」

エギル「…」

リール「実は私、光属性魔法に適正があります」

エギル「!」

リール「私、この世界の属性魔法について知らないことが多すぎます。何故みんな私を回収すると言うのでしょうか。もしその回収が私ではなく光属性魔法であるなら、私はもう魔法なんかいらないです」

エギル「…何故お嬢さんを回収するのか…それについては私にも分かりません。ですが、あなたからは特別な"何か"を感じます。何かは分かりませんが他の人には無いあなただけにあるもの。私は少しだけそう感じました」

リール「…そうですか」

 

ザッザッザッ

リールとエギルの後ろから誰かが来た。

 

エギル「あ、あなたは…ご連絡どうもありがとうございました。怪我をされた方は全員回復が完了しているようです」

???「…そうですか。分かりました」

 

ザッザッザッ

???はリールの前に立った。

 

エギル「…?」

???「リールさん。顔を上げてください」

リール「…!」

 

リールが顔を上げるとそこにはレヴィ学院長が立っていた。

 

リール「レヴィ…学院長…」

レヴィ「リールさん。あなたにお伝えしたいことがあります」




〜物語メモ〜

新登場人物

エギル
リールに話しかけた人物。
組織のリーダー。
土属性魔法の適正者。

トト
救護班のリーダー。
アンナたちを回復させた人たちに指示を出していた人物。
ラミエ先生の元弟子で今は独立してエギルと共に行動している。
ラミエ先生と同じで回復魔法の適正者。

リグ
トトが率いる救護班のメンバー。
水属性魔法の適正者。
回復魔法はトトから学んだ。
トトの右腕的な存在。

エリン
トトが率いる救護班のメンバー。
氷属性魔法の適正者。
薬品についてよく知る人物である為にトトから依頼され、救護班に入った。

ソノ
トトが率いる救護班のメンバー。
風属性魔法の適正者。
エリン程ではないが、ソノも薬品の調合について知識がある。
ソノもエリンと一緒にトトに依頼され、救護班に入った。

キク
トトが率いる救護班のメンバー。
水属性魔法の適正者。
水属性魔法である為に、薬品の循環を任されることが多い。
薬品は体内に入れば効果が出るが、キクが循環を行うことで通常よりも早く回復が進む。

マモン
土属性魔法の適正者。
マギの仲間でゴーラにゴミクズと呼んだ人物。

マギ
?属性魔法の適正者。
ゴーラ、マーモ、エレナ、マモン、レット、サリエラ、ラビをまとめている人物。

レット
氷属性魔法の適正者。
口数が少なく、必要最低限の会話しかしない。

サリエラ
火属性魔法の適正者。
仲間にも敬語で話す人物。

ラビ
水属性魔法の適正者。
少し明るめな人物。

グラム
?属性魔法の適正者。
情報が少ない謎の人物。


新情報

魔女さん
リールの所に現れたのは魔女さん本人ではなく、魔女さんの分身体。
力は魔女さんの半分くらい。
それでもマーモを消すくらいの力を持つので、魔女さん本人が戦うと更に被害が大きかった。

ゴーラ
雷属性魔法の適正者。
マーモと2人でいることで真価を発揮する人物。
しかしマーモは魔女さんによって殺されてしまったため、本来の力の半分しか使えなくなっている。

マーモ
風属性魔法の適正者。
ゴーラと2人でいることで真価を発揮する人物。
しかし魔女さんの魔法をまともに受けてしまい、この世から姿を消した。

百穢夜行(ひゃくあいやこう)
過去に起こった大災害。
この事件で生き残ったのはたった12人のみ。


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第30話 リールと十二使徒

ここでちょっとお知らせです。

前回のアンケートの結果、行間を狭くすることに決定しました。

お知らせは以上です。


私の名前はリール。

今外にいます。

何やら知らない人たちがアンナたちを連れてっちゃいました。

回復が〜とか無事だ〜とか言ってましたが、何も頭に入ってきませんでした。

そんな時、私の目の前にレヴィ学院長がいました。

レヴィ学院長は鋭い目付きで私を見ました。

私、何かしたのかなって思いました。

そんな事を考えているとレヴィ学院長が私に伝えたいことがあるらしいです。

レヴィ学院長の目付きからして良くない予感がしました。

レヴィ学院長はずっと私の目を見ています。

辺りの空気もなにやらピリピリしてきました。

私は初めてレヴィ学院長に対して恐怖感を抱きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…広場

 

???「リールさん。顔を上げてください」

リール「…!」

 

リールが顔を上げるとそこにはレヴィ学院長が立っていた。

 

リール「レヴィ…学院長…」

レヴィ「リールさん。あなたにお伝えしたいことがあります」

リール「私に…伝いたいこと」

レヴィ「…」

エギル「…学院長さん。私、席を外しますね」

レヴィ「…はい。お願いします」

 

スタスタスタ

エギルはその場をあとにした。

 

リール「あ、あの…なにか…」

レヴィ「私、前にリールさんにひとつ禁止させたことがありましたよね?」

リール「は、はい…」

レヴィ「…何か覚えていますか?」

リール「えっと…第1魔法戦闘室以外で…魔法は使わないこと」

レヴィ「…そうです」

リール「…」

レヴィ「なぜ…破ったんですか」

リール「そ、その…」

レヴィ「これを破ったらどうなるか…言ったはずです」

リール「…」

レヴィ「あなたの魔力は強すぎるんです。それこそ私の結界を貫通するほどです」

リール「…すみません」

レヴィ「謝ってももう遅いです」

リール「…」

レヴィ「…現在、ある場所である生き物が見つかりました」

リール「ある…生き物…」

レヴィ「はい。ドレインと呼ばれる生き物です」

リール「!!」

 

リールはドレインと言う名前に覚えがあった。

 

リール (ドレイン…あの紙に書いてた…)

レヴィ「あれは数年前に出現した他者を取り込む生き物です。それが今、ある場所で見つかっているんです」

リール「…」

レヴィ「…以前、学院にエレナという人物が来たの、覚えていますか」

リール「…はい」

レヴィ「あの人は昔、あの学院の学院長をされていた方です。ですがある時、あの人が起こした事件をきっかけにあの人は学院を去りました。…いえ、学院から消えました」

リール「消え…た…」

レヴィ「はい。エレナという人は天使と契約を結び、この世界に調停としてドレインを解き放ちました」

リール「…」

レヴィ「それにより人々は殺され、残ったのは12人のみ。ですがその時、あなたのお師匠様であり、私の姉弟子である魔女さんがエレナという人と戦い、魔女さんはエレナという人を消してしまったんです」

リール「…」

 

リールはレヴィ学院長の話し方に違和感を覚えていた。

 

レヴィ「そして魔女さんは他にもドレインたちを消し去り、ある場所に幽閉しました」

リール「幽閉…」

レヴィ「…"深淵"。そう呼ばれる場所に」

リール「!!」

 

リールはスカーレットの家で見つけた小さな手紙を思い出した。その手紙にも深淵、ドレインという文字があった。

 

レヴィ「世間では他にもドレインを倒したという人がいたそうですが、魔女さんが全て消したそうなんです」

リール「…」

レヴィ「…エレナという人が来た時からもっと警戒しておくべきでした」

リール「警戒…」

レヴィ「…リールさん。あなたの魔法で天使たちが目を覚ましたのです」

リール「て…天使…」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナの部屋

 

エレナ「さて、全て話してください。狂気の魔女さん」

魔女さん「…」

エレナ「…黙っていては話が前に進みませんよ」

魔女さん「…何を聞きたいんですか」

エレナ「そうですねぇ、魔核を持っている12人の人物が誰なのかを教えてください」

魔女さん「知りません」

エレナ「…答えてください」

魔女さん「知りません」

エレナ「なぜ知らないんですか。あなたもそのうちの一人でしょう?」

魔女さん「いいえ。私はあの場にいませんでした」

エレナ「…」

魔女さん「大体、私がドレインを消したんです。何があったかは知りませんが、その魔核の存在も私は知りません」

エレナ「…」

 

エレナはじっと魔女さんを見つめた。

 

エレナ「…なら質問を変えます。リノはどこですか」

魔女さん「!」

 

魔女さんはリノという名前に反応した。

 

エレナ「…教えてください。リノはどこにいるんですか」

魔女さん「…私が知りたいです」

エレナ「これも知らないんですか」

魔女さん「私だって探しています。知ってるなら私が聞きたいくらいです」

エレナ「…なるほど。進展なしですか」

魔女さん「…」

エレナ「…私がやろうとしている計画をお話しましょうか」

魔女さん「!」

エレナ「…私がなぜ魔核を集めているのか。知りたくないですか?」

魔女さん「…そうですね。もし知ることが出来ればリールに危害が出ないようにできそうですから」

エレナ「…リノを取り戻すためです」

魔女さん「!」

エレナ「あなたはなぜ私たちが存在していると思いますか?」

魔女さん「…」

エレナ「この世界を壊すため?人を殺すため?マナを枯渇させるため?……全て違います。私たちがこの世界に存在しているのは、この世界を悪くしているひとつの存在を消し去るためです」

魔女さん「存在…」

エレナ「そう。それが俗に"深淵"と呼ばれるものです」

魔女さん「深…淵…」

エレナ「私たちの事をあなた方は勝手に天使と呼んでいますが、実際には違います。私たちは人の手が作り出したホムンクルス…そう呼ばれる人種です。いえ、人ではありませんね。人形ですね」

魔女さん「…」

エレナ「アレがいつまでもこの世界に残っているといつになってもドレインは完全には消えません。なので私はこっそりと魔核を持つ人物を集めているのです」

魔女さん「なぜ…集めるんですか」

エレナ「…リノ。あの人が死ぬ時に12個に分けたものがあります」

魔女さん「!」

エレナ「それが魔核。それを12個揃えればリノは蘇る。だから私はそれを集める」

魔女さん「集めてリノを復活させたとして、その後どうするんです」

エレナ「…深淵の持つ属性は闇属性。対局の存在である光属性でしか攻撃が通りません。だからリノが必要なのです」

魔女さん「…最初にリノの居場所を聞いたのはなぜ」

エレナ「あなたが何か知ってるか聞いてみただけです。有力な情報があればよかったんですが」

魔女さん「…」

エレナ「さて、私はもう行きますね」

魔女さん「どこに行くんです」

エレナ「どこって…魔核を持っている人を探しに行くんですよ」

魔女さん「!」

エレナ「あなたが知らないなら虱潰しに見ていくしかないので。それでは」

 

ガチャ…バタン

エレナは部屋を出た。

 

魔女さん (ごめんなさいリール。ここを出るのはもう少しかかりそうです…)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…トトの患者保管室

 

トト「うん。全員見事に回復しているね」

 

トトはアンナたちを回復させたあと、特殊な容器の中に保存した。

 

トト「その中にある液体は君たちの体を活性化させるものだからね。もう少しだから」

 

その容器の中には入れた人の細胞を活性化させる特殊な液体が入っている。これを取り込むことで細胞が活性化され、回復が早くなるということ。

 

トト「さて、私はそろそろ」

リグ「トトさん」

 

患者保管室にリグが入ってきた。

 

トト「お、リグ。どうしたんだい?」

リグ「どうですか?回復の方は」

トト「うん。順調だよ」

リグ「それは良かったです」

 

リグの顔は少し険しかった。

 

トト「…それで?どうしたんだい?」

リグ「!」

トト「ほんとはそんな事話に来たんじゃないんでしょ?」

リグ「…えぇ。そうですね」

トト「話してみて」

リグ「…トトさん」

トト「はい」

リグ「トトさんはこの人たちと一緒にいた女の子を見ましたか?」

トト「はい。見ましたよ。あの場で1人だけ意識がありましたから」

リグ「…あの子の持つ属性…知っていますか?」

トト「う〜ん…雷属性の跡があったので雷属性魔法だと思っていたんですが、違いますか?」

リグ「あの子…実は光属性魔法なんです」

トト「!!」

リグ「この子たちは知りませんが、あの子は紛れもなく光属性魔法でした」

トト「…光属性魔法…これで何人目だったかな」

リグ「4人目ですね」

トト「4人…か…」

リグ「光属性魔法が4人いるとなると…」

トト「相反する闇属性魔法も同じく4人存在することになるね」

リグ「一部の人たちは狂気の魔女が今もまだ生きてるんじゃないかと囁かれています」

トト「まぁ、いるだろうね」

リグ「やっぱり…いるんですか」

トト「百穢夜行…数多のドレインが出現してこの街の人間を取り込んだ大災害…」

リグ「まさか…百穢夜行も狂気の魔女が」

トト「あ、それはまた別の人がやった事ですよ」

リグ「あ、なんだ…そうなんですね」

トト「ただ…またアレが起こるとなると今度は全員死ぬ可能性もありますよ」

リグ「!」

トト「百穢夜行を起こしたのはエレナというこの街のエレナ学院の初代学院長だった人です」

リグ「え!エレナが…」

トト「はい。何故百穢夜行を起こしたのか…それは彼女本人しか知りません。ですが、アレが起こるとなると私たちもタダじゃ済みませんね」

リグ「でも…それを防ぐ手はもう…」

トト「ありますよ」

リグ「!」

トト「百穢夜行を防ぐ手段は昔からひとつだけなんですよ」

リグ「それは…」

トト「…光属性魔法をぶつけるという方法です」

リグ「光属性魔法…」

トト「ですが過去に一度、本来なら光属性魔法で百穢夜行を防ぐもしくは収束させるものがたった一度だけイレギュラーな事が起こったのです」

リグ「イレギュラー…」

トト「そう。それが狂気の魔女の事件ですよ」

リグ「え…」

トト「リグはまだ知らないから言っておくね」

リグ「…」

トト「狂気の魔女の属性は闇。あの人は闇属性魔法の適性者なんですよ」

リグ「!!」

トト「本来なら光属性魔法でしか効果がない百穢夜行も彼女の闇属性魔法の手によって収束しました。非常にイレギュラーな事が起こったのです」

リグ「でも…今は狂気の魔女は…」

トト「そうですね。どこにいるかはさっぱりです。ですが、必ずどこかにいますよ。でなきゃ光属性魔法は誕生しませんから」

リグ「…光属性魔法は闇属性魔法が存在する場合のみ誕生する」

トト「そうです。ですが、闇属性魔法1人につき光属性魔法1人なので、リグが言った光属性魔法の子がいるということはどこかで闇属性魔法の適性者が誕生したということ」

リグ「…この先どうなりますかね」

トト「さぁ…どうなるんでしょうね」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…???

 

???「なるほど、そういう事だったんですね」

ジン「えぇ。とてつもない魔力でした」

マーク「私はジンと話し合い、天使が蘇ったのではないかと踏んでいます」

???「まさか…」

???「天使が蘇るのはさすがに…」

???「いや、可能性はある」

ジン「なので今この場にいるみなさんに天使を討伐する依頼を出したいのです」

マーク「天使に敵うのは私たち使徒のみですので」

???「だが…しかし…」

???「やってみましょうよアース」

アース「…」

???「確かに…だが負ける可能性も考えないと」

アース「ジン。マーク。2人は何の天使を見たのだ」

ジン「雷の天使 ゴーラ」

マーク「風の天使 マーモ」

ジン「この2人です」

アース「風と雷…」

???「で、その後どうなったの?」

ジン「…」

マーク「…」

 

ジンとマークは黙った。

 

アース「…ジン?マーク?」

ジン「…その後は…」

マーク「…」

ジン「…狂気の魔女が現れ、風の天使 マーモを消滅させました」

???「!?」

 

その場にいる人全員が戦慄した。

 

アース「きょ…狂気の魔女…」

???「あの人が来たの!?」

ジン「はい」

???「なんてこと…こんな事って…」

???「また…殺されるのか…俺たちの仲間が…」

???「フレア!私たちは強くなったよ!」

フレア「お前も知ってるだろヒュー。あの人の強さを…」

ヒュー「でも…」

アース「まぁ、確かにあの人はとてつもない魔力を持っている。それこそ僕たち使徒を1人で壊滅させられるほどに」

???「…」

アース「ジン。マーク。その天使による被害者は」

ジン「私の娘とその友達がゴーラと戦って負傷しました」

アース「!?」

???「天使と戦ったの!?」

ジン「はい」

???「あの天使相手に…」

ジン「ですが、今私の友人のトトっていう人から全員無事だと報告が入りました。なのでご心配なく」

???「でもジンの娘って今…学生なんじゃ…」

ジン「はい」

アース「学生なのに天使と戦って無事とは…」

ジン「あ、それは一緒にいたリールさんとあとから来た狂気の魔女が追い払ったからです」

アース「リール…あぁ、前に話していた子か」

ヒュー「確か光属性魔法の適性者なんだよね」

???「光属性魔法か…」

???「…」

アース「ジン。マーク。それ以外の被害は」

ジン「無しです」

アース「…そうか」

???「なぁアース。これはそろそろ俺たちも動かねぇとマズいと思うぞ」

アース「そうだね。ここまで被害が出てる。しかも天使や狂気の魔女も確認された。いつ百穢夜行が起こってもおかしくない」

アース「ウレイ!ナヴィア王国に狂気の魔女と天使が確認されたことと百穢夜行の危険を知らせてくれ!」

ウレイ「はい。分かりました」

アース「セレナ!モルドレッド王国に今すぐ結界を強化するよう伝えて!もちろん狂気の魔女の事とかも伝えて」

セレナ「…はい」

アース「ヒューは天空殿に行って各王国の状態と通達をお願い!」

ヒュー「分かった!」

アース「ジンとマークは引き続きスペルビア王国の護衛を頼む!」

ジン「はい」

マーク「任せな」

アース「フレアは大獄門に行って火属性魔法の力を強化しておいて!」

フレア「あぁ」

アース「メロは冥界に行って水属性魔法の強化をお願い!」

メロ「はい」

アース「モールはサージェル王国に戻って地脈の管理をお願い!」

モール「あぁ。分かった」

アース「キファはブエルタ王国に戻ってこの事を伝えて!」

キファ「あぁ」

アース「ミィは大気圏に出て太陽の熱の力を吸収していつでも戦える準備をして!」

ミィ「うん」

アース「みんな!これから起こる百穢夜行に向けてしっかり準備して!」

全員「はい!」

アース「その間で天使たちを見つけたら直ちに倒すこと!難しそうなら仲間を呼んで多人数で戦って!」

全員「はい!」

アース「では解散!」

 

すると使徒と呼ばれる人たちがそれぞれの国や場所に帰っていった。

 

アース「…まさか狂気の魔女が来るなんて」

ジン「アース」

アース「あ、ジン。何?」

ジン「…リールさんの事なんだけど」

アース「どうしたの?」

ジン「…今スペルビア王国にいるんだけど、もうすぐ国を出ることになりそうだよ」

アース「え、どういう事…」

ジン「エレナ学院の学院長がリールさんを学院から追い出してしまったんだ」

アース「え!?」

マーク「魔法を使うのを禁止されていたリールさんは今回、天使が来たこのタイミングで魔法を使ってしまったんだ」

アース「そんな…」

マーク「レヴィ学院長は真面目な顔でリールさんに退学処分を言い渡したそうだ」

アース「そんな…あの子が一人になったら…ジン!マーク!今すぐ他のメンバーにこの事を伝えて!もし自分たちの国にリールさんが出向いたら保護するようにと!」

ジン「うん」

マーク「分かった」

 

スタスタスタ

ジンとマークもその場をあとにした。

 

アース「…リノ。すみません…あなたが託した最後の希望を…粗末に扱ってしまいました…すみません」

 

アースは空を見た。

 

アース「あの子は絶対に殺させません。僕が命にかえても守りきります。なので最後まで見ていてください。リノ」




〜物語メモ〜

※今回は多いです。

新情報

深淵
深淵とは、百穢夜行という大災害で出現したドレインたちを幽閉している場所の名前。ドレインを幽閉していることもあってこの世界を傾かせている存在。

天使
マギ、ラビ、レット、マーモ、ゴーラ、エレナ、サリエラ、マモンたちの事を指す。遥か昔に存在した巨大な魔力を持つ人たちのこと。ただ魔力の存在が大きかったため、長い間封印されていたが、エレナだけはこの世界に残っており、他のメンバーはエレナの魔力によって目覚めた。天使という呼び名はジンたちがそう呼んでいるのが浸透しただけで、エレナたちは自分たちのことをホムンクルスと呼んでいる。

使徒
アース、ウレイ、セレナ、ヒュー、ジン、マーク、フレア、メロ、モール、キファ、ミィたちの事を指す。数年前に起こった大災害、百穢夜行で生存した12人。今は1人欠けているが、いつか12人になる事を願っている。何人かは自国を築いている。

光属性魔法と闇属性魔法
光属性魔法と闇属性魔法は2つとも他の属性魔法とは違い、存在が極端に少ない。理由としては光属性魔法は闇属性魔法が存在しないと誕生しないから。その逆も然り。そのため、光属性魔法の人数=闇属性魔法の人数になってしまう。それでも昔よりかは2〜4人増えている。

百穢夜行
百穢夜行はドレインが大量発生した大災害。ドレインは闇属性魔法で固められているため、効果があるのは光属性魔法のみ。だが、過去に一度、そんな常識を破って闇属性魔法で百穢夜行を壊滅させた人物が存在する。それがのちに狂気の魔女と呼ばれている人物だった。

ナヴィア王国
ウレイが統治している国。この国は非常に綺麗な水が特徴的。
というのもウレイ自身が水属性魔法の適性者であるため、そういう風になった。この国では水が他の国とは違って特殊なものになっており、野菜や穀物、魚介類が美味しい国とも言われている。この国の食材はどれも新鮮なものばかりで、他の国からも人気。

モルドレッド王国
セレナが統治している国。全てが極寒に包まれており、普通の服装だとまず凍え死んでしまうほど。おまけに寒さを感じてから王国までは相当な距離があるため、事前の準備が必須。これは統治しているセレナが氷属性魔法の適性者であるため、このようになってしまった。当然寒さが激しいため、野菜などは特定のものしか作ることができない。そのため、ウレイが統治しているナヴィア王国から取り寄せることが多い。

天空殿
ヒューが住んでいる所。天空殿は雲の上に存在し、ヒューはそこから各国を見ている。天空殿に行けるのは風属性魔法の適性者のみで、天空殿に住んでいる人は全員風属性魔法。ヒューも風属性魔法の適性者であるため、天空殿に住むことができる。天空殿では魔力が満ちており、魔力の枯渇は起こらない。枯渇する前に勝手に回復する。

スペルビア王国
ジンとマークが住んでいる国。エレナ学院が存在する国で、リールも住んでいる街でもある。ここはメリーが作り上げた物が沢山街中にある。どれも便利なものばかりでメリー魔法店はそれなりに儲かっている。毎年エレナ学院に入学する生徒でいっぱいになる。

大獄門
フレアがいる所。俗に言う地獄と呼ばれる場所。その中でも大獄門は地獄にある神殿の前にある門の事でフレアはそこの門番を任されている。フレアは火属性魔法の適正者ということもあって地獄の熱に耐えられる体を持っている。ちなみに、大獄門は火属性魔法の適性者しか通すことはなく、火属性魔法の適正者以外は焼け死んでしまうという。

冥界
メロが統治している場所。そこは死の水と呼ばれるウレイのナヴィア王国とは全く異なる水が存在する場所。冥界は国と言うより場所の名前でその中にメロが住んでいる屋敷が存在する。通るには死の水を渡る必要があり、死の水に触れるとそのまま死へと誘われる。その場合は大獄門ではなく冥界へと引きずられる。メロの屋敷に行くには死の水を渡らないといけないが、水属性魔法の適正者は触れても死ぬことが無い上、水面を歩くことが出来るため、非常に楽。
ただし、他の属性魔法は触れると死に至り、おまけに溺れるようになっている。そのため、水属性魔法の適性者以外はボートを漕いでメロの屋敷に行くしか方法はない。ちなみに、箒を使って飛ぶことも出来なくなっている。これはメロが水属性魔法の適性者だということもあり、水属性魔法だけを歓迎している場所でもある。

サージェル王国
モールが統治している国。この国は地脈が有名な国で地脈によって成り立っている国でもある。この国は唯一地脈を生活に活かしている国で、それによって生活に便利さが生まれる。この国はどの属性魔法も入ることができるが、地脈の恩恵が得られるのは土属性魔法の適性者のみとなっている。これはモールが土属性魔法の適性者だから。

ブエルタ王国
キファが統治している国。そこは他の国よりも標高が高いところに存在しており、常に風が吹いている不思議な国。風の強さは日によって変わるが、風属性魔法の適性者には普段と何も変わらないくらい。他の属性魔法だと箒に乗っていたら飛ばされるくらいの風力と風速を持っている。なのでブエルタ王国に行くには風属性魔法の適性者がいないといけない。風属性魔法の適性者が一人いれば十分だが、一人もいない場合はブエルタ王国に辿り着くことは難しい。ただし、行けない訳では無い。

大気圏
主にミィが拠点としている場所。ミィは天空殿よりも高い位置にいるため、本来なら会うことは無い。ミィが大気圏を拠点としている理由は、ミィの動力源が太陽だから。加えてミィは太陽が動いているのと同じように動いているため、基本その場にいない。常にこの世界をグルグル回っている。これが本来なら会うことは無い理由。


新登場人物

アース
十二使徒のうちの1人。
火属性魔法の適性者。
百穢夜行で生き残った12人のうちの1人で、みんなの先導役。
大体アースの命令で他のメンバーが動いている。

ウレイ
十二使徒のうちの1人。
水属性魔法の適性者。
ナヴィア王国の統治者で、ウレイがいる事でナヴィア王国は潤っている。
ナヴィア王国の周りには水が囲われており、この水もウレイが作り出したもの。

セレナ
十二使徒のうちの1人。
氷属性魔法の適性者。
モルドレッド王国の統治者で全てを凍てつかせる力を持つ。
モルドレッド王国が極寒の地とされているのはセレナの氷属性魔法が原因。

ヒュー
十二使徒のうちの1人。
風属性魔法の適性者。
天空殿に住んでいる人で、天空殿の中では位が高い方。
ただの風属性魔法ではなく、色々とアレンジを加えている。

ジン
十二使徒のうちの1人。
雷属性魔法の適性者。
スカーレットの父親でスペルビア王国で箒を作っている。
マークとは兄弟。

マーク
十二使徒のうちの1人。
土属性魔法の適性者。
ジンと同じくスペルビア王国に住んでおり、主に杖を作る仕事をしている。
マークの作った杖は結構人気。

フレア
十二使徒のうちの1人。
火属性魔法の適性者。
大獄門と呼ばれている場所で門番をやっている。
根は真面目なので、仕事はしっかりとこなす。
ただ火属性魔法でありながらフレアの魔法は全てマグマとなっている。
これは大獄門にいることが原因で変異した。

メロ
十二使徒のうちの1人。
水属性魔法の適性者。
普段は冥界と呼ばれる場所におり、滅多に外には出ない。
ただし、十二使徒たちの会合などにはしっかりと出席する。
屋敷の周囲は死の水に囲われており、水属性魔法の適性者以外は注意しなければならない。
同じ水属性魔法の適性者であるウレイと違うのは、メロの出す水には魔法であれ触れてはならないということ。
触れると命を吸い取られてしまう。
例えるならウレイは生の水。メロは死の水。

モール
十二使徒のうちの1人。
土属性魔法の適性者。
サージェル王国の統治者で、地脈を使うのに長けている。
性格は優しい。

キファ
十二使徒のうちの1人。
風属性魔法の適性者。
ブエルタ王国の統治者で十二使徒と国民と風属性魔法の適性者以外の人物をあまり信用していない。
ブエルタ王国が他の国と比べて標高の高い場所にあるのはそのため。
ブエルタ王国に行くために風属性魔法の適性者が必要なのもそのため。

ミィ
十二使徒のうちの1人。
火属性魔法の適性者。
普段は大気圏にいるため、普通に生活していたらまず会うことは無い。
ミィの動力源は太陽のため、昼は魔力が強く、夜は魔力が弱い。
魔力の強弱を無くすためにミィは常に太陽と同じように動いている。


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第31話 リールとエレナ

ここでちょっとお知らせです。

2月には実習があるため、投稿が極端に減ります。
もしかしたら2月中は1回だけの投稿になるかもしれません。
もしくは2月中は投稿が無いかもしれません。
ご了承ください。

お知らせは以上です。


私の名前はリール。

今レヴィ学院長と話をしています。

私はレヴィ学院長との約束を破ってしまいました。

レヴィ学院長は約束を破った私を学院から追い出すそうです。

私は魔女さんと約束しました。

「魔女さんよりも凄い魔女さんになる」と。

なのに約束を破ってしまいました。

これから私はどうなるのでしょうか。

このまま誰かの家にお邪魔することになるのでしょうか。

…魔女さん。私を…助けてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レヴィ「…リールさん。あなたの魔法で天使たちが目を覚ましたのです」

リール「て…天使…」

レヴィ「はい。天使です」

リール「天使って…なんですか…誰のことですか」

レヴィ「かつて存在した各属性魔法の頂点に立つ存在ですよ」

リール「!」

レヴィ「彼らの魔力は凄まじいものです。私たちでは太刀打ちできません」

リール (え…でも魔女さんは…)

レヴィ「あの人たちが動いているという情報を得ました。あなたが魔法を使ったあの日に」

リール「!」

レヴィ「それから数日が経って現在、先程天使の存在をキャッチしました」

リール「…」

レヴィ「ここにいたのは雷と風の天使ですね」

リール「…はい。雷属性魔法と風属性魔法を使う人でした」

レヴィ「…なるほど。このままでは生徒たちが危ないです」

リール「!」

レヴィ「あの人たちはやると決めたら必ずやります。故にあの人たちが殺すと思えば簡単に人を殺すでしょう」

リール「そんな…私のせいで…」

レヴィ「リールさん」

リール「は…はい…」

レヴィ「…私の結界ではあなたの魔力は防ぎ切れません。ですが、私の最大の防御力を誇る結界があの家に展開されています」

リール「!!」

レヴィ「そこに身を隠してください。あそこなら気配も消えます」

リール「えっと…あの…」

レヴィ「?」

リール「アンナたちは…どうなるんでしょうか…」

レヴィ「全員無事なので目覚め次第考えます」

リール「…分かりました」

レヴィ「では、あなたにはしばらくの休学を」

リール「あの」

 

リールはレヴィ学院長の言葉を遮って話した。

 

レヴィ「…なんですか?」

リール「私がこの場にいなかったら…アンナたちは…傷つかずに済みましたか…」

レヴィ「!」

リール「私のせいで…こうなったんでしょうか…」

レヴィ「…いえ、私の結界が弱いせいですよ」

リール「!」

レヴィ「私はこれまでたくさん勉強してきました。その中で最大の防御力を誇る結界も書物に記載されていました。私はそれを習得し、使えるようになりました」

リール「…」

レヴィ「ですが今回はその次に防御力が高い結界を施しました。それでも攻撃魔法は簡単に弾くほどの結界です。ですが、それですらあなたの魔力を抑えられませんでした。これは異常事態です」

リール「…すみません」

レヴィ「なのであなたは結界を展開しているあの家に隠れていてください。その間にできることをします」

リール「…分かりました。それでアンナたちが傷つかずに済むなら…私は家に戻ります」

レヴィ「…すみません。私の力不足で」

リール「いいえ、元はと言えば私の魔力が高いせいです。私の責任です。それでは…」

 

スッ…スタスタスタ

リールはレヴィ学院長に頭を下げ、その場をあとにした。

 

レヴィ「…」

 

レヴィ学院長はその背中を見ることしかできなかった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

それから数日が経過した。

その間、特に何も起こらなかったが、リールは自分の中から何かが消えたような感じがした。

リールはあの後荷物をまとめ、元の家に戻った。

メリーさんはその家にはおらず、リールが帰ってきた時には家は前のままだった。

リールはその懐かしさに身を置きながら、アンナたちの回復を願った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院 (学院長室)

 

メリー「ふざけないでください!」

 

バン!

机を叩く音が辺りに響く。

 

レヴィ「…」

メリー「リールちゃんがこの学校を出たですって?」

レヴィ「…えぇ。出ましたよ」

メリー「なんでこの学校を出るんですか!あなた学院長なんでしょ!魔女さんと約束したんでしょ!リールちゃんを守るって!なのになんでその約束を放棄してるのよ!」

レヴィ「…みなさんのためです」

メリー「みなさんって何!誰のことを言ってるのよ!」

レヴィ「この学校の生徒たちです」

メリー「この学校の生徒になんでリールちゃんは含まれてないの!!」

 

バン!

メリーは机を叩いた。

 

レヴィ「…」

メリー「あなた!あんなにリールちゃんをこの学校に入学させたいって言ってたのに不都合があったらこの学校を追い出すのね!最低よ!」

レヴィ「…」

メリー「あなたに任せた私が愚かよ!あの家に展開している結界もリールちゃんを陥れようとしてるんでしょ!」

レヴィ「いや、そんな事はしてな」

メリー「信用できないわ!」

 

メリーはレヴィ学院長の言葉を遮った。

 

メリー「ふざけないで!魔女さんとの約束は何だったのよ!いい加減にして!それでも学院長なのあなた!」

レヴィ「…」

メリー「…もういい。もういいわ。あなたには失望しました。あの家にある結界も今すぐ解除してください。もう必要ありません。あなたは金輪際リールちゃんと接触しないでください」

 

トコトコトコ…ガチャ!バタン!

メリーは怒りながら学院長室を出た。

 

レヴィ「…」

 

レヴィ学院長はその背中を見ることしかできなかった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…魔女さんの家

 

リール (あれから数日…アンナたちはどうなったでしょうか…)

 

リールは机の上に置いてあるものを見た。

それは魔女さんに初めて見せた魔法で作った花だった。

 

リール (この花…魔女さんに見せたやつ…懐かしいですね)

 

リールはその花を手に取った。

 

リール (魔女さん…私はどうすればいいのでしょうか…みなさんを守るために魔法を使ったのに追い出されてしまいました…私の行いは…罪と呼べるものなのでしょうか…)

 

ガチャ!

ドアが勢いよく開いた。

 

メリー「リールちゃん!いる!?」

 

入ってきたのはメリーさんだった。

メリーさんは走ってきたのか息を切らしていた。

 

リール「メリー…さん…」

メリー「リールちゃん!」

 

タッタッタッ!

メリーは家に入るとすぐにリールを見つけ、リールの所まで走った。

 

メリー「リールちゃん!」

 

ギュッ!

メリーはリールを抱きしめた。

 

リール「メリー…さん…」

メリー「ごめんね!ごめんね!私があの人に任せたのが悪かったの!ごめんね…リールちゃん…」

リール「メリーさん…大丈夫ですよ」

メリー「…え…?」

リール「私がここにいるとアンナたちは怪我をせずに済みます。ここにいれば誰も巻き込まずに済みます。これでいいとは思いませんか?」

メリー「!!」

 

リールの目は乾いているのか、光が無かった。

 

メリー「違うわ!リールちゃんがいたからアンナちゃんたちは無事なの!」

リール「アンナたちは…無事なんですか?」

メリー「うん!リールちゃんがいたからアンナちゃんたちはみんな無事よ!リールちゃんのお陰よ!」

リール「…そっかぁ…よかった…無事だったんだ…」

 

リールの力はどんどん抜けていった。

 

メリー「リールちゃん!?」

 

メリーはリールの異変に気づいた。

 

メリー「リールちゃん!もしかしてご飯食べてないの!?」

 

リールの腕は前よりも少し細くなっていた。

 

メリー「リールちゃん!」

リール「…」

 

リールは少しずつ目を閉じていった。

 

メリー「待って!リールちゃん!リールちゃん!」

 

メリーは何度もリールを呼んだ。

だが、リールが返事を返すことは無かった。

 

メリー「リール…ちゃん…」

 

メリーはリールが完全に目を閉じると、脱力し始めた。

 

メリー「…くっ…こんなことなら…回復魔法を勉強していれば…」

メリー「!」

 

メリーはある人を思い浮かべた。

それは、かつて風属性魔法の適性者だったが、ある事をきっかけに回復魔法の道へと進んだ人物だ。

 

メリー「あの人に…あの人に連絡しないと!」

 

メリーはリールをベッドに寝かせた。

 

メリー「リールちゃん…待ってて…少しだけ家を空けるわ!」

 

タッタッタッ!

メリーはある場所に向かった。

その間もリールが目を開けることは無かった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院 (保健室)

 

ラミエ先生「…」

 

ラミエ先生は考え事をしていた。

 

ラミエ先生 (まさか天使たちが…ねぇ…ここに来た2人のうち1人は消滅したらしいけど…まさかね…)

 

ラミエ先生は嫌な予感がしていた。

 

ラミエ先生 (天使を倒すには古代兵器並みの威力を持つ魔力をぶつけないといけない。でも今のこの世界にそれほどまでに強い魔力を持つ人物は1人か2人…いや、3人くらいかな。そのうち1人はかつて狂気の魔女と呼ばれて恐れられていた人物。あとは狂気の魔女のお師匠様。そして…リール。この3人だけ。天使を倒せる人物は今のところ3人だけ)

 

トコトコトコ

ラミエ先生は保健室内を歩き始めた。

 

ラミエ先生 (でもあの場にいたのはリールだけ。でもリールは今の段階では魔力を解放する術を知らない。狂気の魔女のお師匠様は身を隠している。…となるとやはり…狂気の魔女。あの人しかいない。あの人が天使を1人消し炭にした)

 

トコトコトコ

ラミエ先生は窓の外を見た。

 

ラミエ先生 (…どこにいるのよリーナ。帰ってきてちょうだい。この世界は動き始めているわ。…誰かが止めないと…誰かが止めないとあの人が喰われるわ。リーナ。お願いだから戻ってきて…)

 

ガチャ!

突然保健室の扉が開いた。

 

ラミエ先生「…?」

メリー「はぁ…はぁ…ラミエ…いる…?」

 

保健室に入ってきたのはメリーだった。

 

ラミエ先生「メリー?どうしたのよ」

メリー「!!」

 

タッタッタッ!

メリーはラミエ先生の声を聞いて一目散に走った。

 

ガシッ!

メリーはこれでもかというくらいに強くラミエ先生の腕を掴んだ。

 

メリー「ラミエ!助けて!リールちゃんが!リールちゃんが!」

ラミエ先生「どうしたのよメリー。ちゃんと伝えて」

メリー「リールちゃんが何日もご飯食べてないの!この学校を追い出されてから1度もご飯食べてないの!何日前に追い出されたのかは分からないけど私があの家に行くまで何も食べてなかったの!」

ラミエ先生「落ち着いて。リールの状態は?」

メリー「眠っちゃってるの!ゆっくりと目を閉じて脱力してたの!お願いラミエ!リールちゃんを助けて!」

ラミエ先生「…」

 

トコトコトコ

ラミエ先生は少し考える仕草をして保健室にある棚に手を伸ばした。

 

ラミエ先生「メリー」

メリー「何!」

ラミエ先生「あなた、何か買ってきて貰えない?リールのために」

メリー「いいわ!何でも買ってくるわ!魔道具でも家でも箒でも!」

ラミエ先生「いえ、買ってくるものは食べ物だけでいいわ」

メリー「何がいいの!」

ラミエ先生「何でもいいわ。病人が食べやすいものを買ってきて」

メリー「じゃあ料理して食べやすくするってのはどう!?」

ラミエ先生「それでもいいわ。とにかく何でもいいわ。肉でも野菜でも飲み物でも。あの子の体に何か栄養を入れないとリールは目を覚まさないわ」

メリー「分かったわ!今すぐ行くからラミエも家に向かって!」

ラミエ先生「…任せて。あなたもお願いね」

メリー「分かったわ!買ったらそのままあの家に向かうから!」

ラミエ先生「分かったわ」

 

タッタッタッ…ガチャ!バタン!

メリーは走って保健室を出た。

 

ラミエ先生 (リール…)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…魔女さんの家

 

リール (…どれくらい経ったのかな。全然体が動かない…目は開けられるけど…)

 

リールはメリーが出ていった後に目を覚ましていた。

 

リール (メリーさん…あれ、いないのかな…)

 

リールはゆっくり体を起こして周囲を見渡した。

 

リール (…私の部屋だ)

 

リールは今いる所が自分の部屋だと認識する。

 

リール (ゆっくりだけど…体は動かせる…)

 

リールはベッドから起きて歩き始めた。

 

リール (メリー…さん…)

 

トンッ…

 

リール「!?」

 

バタッ!

リールは段差につまずいて転んだ。

 

リール (…痛い…痛い…)

 

リールは痛みに耐えていた。

 

リール (なんで…こんなに…)

 

ガチャ…

突然家の扉が開いた。

 

リール (あ…誰か来た…行かないと…)

 

リールはゆっくりではあるが、立ち上がって玄関に向かった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…魔女さんの家 (玄関)

 

リール (誰が来たのかな…)

 

リールは重い足取りで玄関に向かう。

 

ガチャ…

リールはゆっくりと玄関を開けた。

 

リール (…あれ、誰もいない)

 

リールが玄関に来た頃には誰もその場にいなかった。

 

リール (…間違いだったのかな…でも…ドアが開く音聞こえたし…)

 

ギィィィ…バタン…

リールはゆっくりと玄関を閉めた。

 

トコトコトコ…

リールはゆっくりとソファに向かう。

 

ストン

ソファについたリールは力なくその場に座った。

 

ぐぅぅぅ…

リールのお腹が鳴った。

 

リール (お腹…空いた…)

???「あら、随分と魔力が弱いわね。あなた」

リール「…?」

 

リールは声のした方を見た。

そこにはある人物が立っていた。

 

???「そんな姿を見たらあの人が悲しむわよ」

リール「あなたは…」

 

そこにいたのはエレナだった。

 

エレナ「あの時ぶりね。光属性魔法の適性者さん」

リール「…お久しぶりです」

エレナ「…?」

 

エレナはリールの異変に気づいた。

 

エレナ「あなた、体調が良くないの?」

リール「…いえ、体調は…いいと思います…でも…お腹が…」

 

ぐぅぅぅぅ…

リールのお腹が鳴った。

 

エレナ「…何か思い詰めてるようね。私が何か作るからその後に何があったか教えてちょうだい」

リール「…はい」

エレナ「キッチン借りるわね」

リール「…はい」

 

トコトコトコ

エレナはリールのために料理を作った。

 

エレナ「はい。できたわよ。こっちに来られる?」

リール「…すみません…難しいです」

エレナ「ならそのまま座ってなさい。私が食べさせるわ」

 

トコトコトコ

エレナはできた料理を持ってリールのところに向かった。

 

エレナ「さ、食べて。これは魔女や魔法使いのための料理なの。普通の人間には美味しくないものだけど、私たちには美味しく感じるわ。魔力を回復させるためのものよ。はい」

 

エレナが作ったのは今まで見たこと無かったスープのようなものだった。

エレナはスプーンを手に取り、スープをすくってリールの口に持っていった。

 

エレナ「大丈夫よ。毒なんて入れてないわ」

リール「…いただきます」

 

スゥゥゥ…ゴクン…

リールはそのスープを口に含んだ。

 

リール「…凄いですねこれ。体が少しずつ暖かくなってきました」

エレナ「ね、言ったでしょ。体が暖かくなってるってことは魔力が戻ってきている証拠よ。さ、食べて」

 

スゥゥゥ…ゴクン…

リールはそのスープを残さず口に含んだ。

 

エレナ「どう?少しは良くなった?」

リール「!!」

 

リールは自分の体に異変が起こっているのに気づいた。

 

リール「凄い…力が入ります!魔力も元に戻ってます!元気になりました!」

エレナ「そう。それは良かったわ」

リール「ありがとうございます!んんん!元気なのって気持ちいいですね!」

エレナ「…」

 

エレナは喜んでいるリールを見ていた。

 

エレナ (…リノ。あなたの娘さんはとても可愛いですね。言葉も綺麗で魔力も強い。あなたに似てますね)

リール「いっちにっ!さっんしっ!」

 

リールは体操をしていた。

 

エレナ (…こういうところもあなたそっくりですね)

リール「あの!」

エレナ「…?」

リール「助けていただいてありがとうございます!」

エレナ「…いいわよ。別に」

リール「でも凄いですねあの料理!私も教わりたいです!」

エレナ「またいつか教えてあげるわ」

リール「やったぁ!」

 

リールはとても喜んでいた。

 

エレナ「さて、本題に入らせてもらうわよ。光属性魔法の適性者さん」

リール「え?本題?」

 

リールは聞く姿勢に入った。

 

エレナ「あなた、何でここにいるのよ」

リール「!!」

エレナ「私がここに来るってあの魔女に言われてるんじゃないの?あの学院にいたほうがあなたは安全よ。なのになぜ」

リール「あ、私…学院長から休学を言い渡されてまして…この家に隠れるよう言われたんですよ」

エレナ「…」

リール「私のせいでアンナたちが怪我をしちゃいまして…私が離れて暮らせばもう傷つかずに済むんじゃないかって思いましてそれで…」

エレナ「…ここに来たわけね」

リール「…はい」

エレナ「…アンナ…あの子たちね」

リール「…」

エレナ「…どうだった?ゴーラとマーモは」

リール「ゴーラ?マーモ?」

エレナ「え、知らないの?」

リール「は、はい…」

エレナ「あなたがいた街を襲撃した2人の男よ。覚えてない?」

リール「あ、あの雷属性魔法を使う人と風属性魔法を使う人のことですか?」

エレナ「そう。その2人よ。どうだった?強かった?」

リール「はい。強かったです。私たちじゃ歯が立ちませんでした」

エレナ「…そう。でもそのうちの一人は死んだわ」

リール「!!」

エレナ「風属性魔法を使う方ね」

リール「やっぱり…消えてたのは本当だったんですね」

エレナ「えぇ。狂気の魔女…いえ、リーナがマーモを殺したのよ」

リール「!!」

エレナ「凄まじい魔力だったわ。半分程度の力なのにマーモを消し去るなんてね」

リール「魔女さんは…」

エレナ「…?」

リール「魔女さんは…今どこにいるんですか?」

エレナ「…」

リール「知ってるなら会わせて下さい」

エレナ「…知ってるわ。でも会わせてあげられない」

リール「なぜですか…」

エレナ「…私にも目的があるの。その目的が達成されるまでは会わせてあげられない」

リール「目的って…なんですか」

エレナ「…魔核を集める。それが私の目的よ」

リール「ま…魔核…?」




〜物語メモ〜

は、今回は新しい情報は無いので次回ですね。


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第32話 リールとリノの置き手紙

ここでちょっとお知らせです。

現在、「器の欠片 (ロスト・メイン)」というお話を投稿しています。
良ければ読んでみてください。

お知らせは以上です。


私の名前はリール。

今魔女さんの家にいます。

先日レヴィ学院長に休学と言われまして、元いた家に隠れることとなりました。

あとでメリーさんが家に来てすぐに出て行っちゃいました。

その後に私がベッドで寝ていると突然玄関が開いたので様子を見に行くと、そこにはかつて学院を襲ったエレナという人がいました。

ですがその人は私を襲うことはなく、何故か私のために料理を作ってくれました。

しかもその料理はとても美味しく、全然元気じゃなかったはずなのに食べ終わるとすごく元気が出ました。

とても不思議でした。

そしてエレナという人は魔女さんの居場所も知っているそうですが、何故か教えてくれませんでした。

何やら目的があるようです。

その目的が達成できるまで会わせてくれないそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレナ「…私にも目的があるの。その目的が達成されるまでは会わせてあげられない」

リール「目的って…なんですか」

エレナ「…魔核を集める。それが私の目的よ」

リール「ま…魔核…?」

エレナ「そう。この世界に存在する12人の魔女、魔法使いが所持している物よ。ある人の動力源でもある」

リール「ど、動力源…」

エレナ「私はそれを探しているの」

リール「でも探してどうするんですか」

エレナ「…ある人を取り戻したいのよ。私の大事な人」

リール「お父さんかお母さんですか?」

エレナ「いいえ。私の友人」

リール「取り戻すってどこかに捕まってるんですか?」

エレナ「そうね。捕まってるって言うとそうなるしそうでないとも言える。曖昧よ」

リール「そ、そうですか…」

エレナ「今まで色々な人を試したわ。でも全然ダメ。1人も魔核を持ってなかった」

リール「そうですか」

エレナ「でもこれである程度誰が持っているのかは把握出来たわ。あとは回収しに行くだけね」

リール「良かったですね。目的が達成できそうで」

エレナ「でもね、1人だけ絶対回収できない人がいるの」

リール「誰なんですか?」

エレナ「…それは言えないわ」

リール「?」

エレナ「言ったらダメよ。それ以降気にしちゃうからね。でも私は友人のために回収しなくちゃならない。もう時間もないわ」

リール「時間…とは?」

エレナ「…あなた、光属性魔法の適性者よね?」

リール「はい」

エレナ「ならリノの置き手紙を読めるんじゃないかしら」

リール「リノの置き手紙?」

エレナ「あら、知らないの?」

リール「はい。知らないです」

エレナ「あの人が言うには何かの書物に挟んであって、光属性魔法の適性者にしか文字が読めないそうよ」

リール「!!」

 

リールはこの時、スカーレットの家にあった書物から小さな紙が出てきたのを思い出した。

 

リール「それって…もしかして…」

エレナ「…? 何か知ってるの?」

リール「あ、いえ…ですが私の知ってるものがその人の置き手紙なのかが気になります」

エレナ「どんなもの?」

 

カサッ…

リールは小さな紙を出した。

エレナはそのふたつ折りにされた紙を開いた。

 

エレナ「!?」

 

エレナは見てわかるくらいに驚いた顔をしていた。

 

エレナ「こ、これよ!この手紙よ!これがリノの置き手紙よ!」

リール「あ、そうなんですか」

エレナ「あなたここに書いてある文字読める!?」

リール「え、あ、はい。読めます」

エレナ「!!」

 

エレナは大きく目を見開いた。

 

エレナ「ちょ、読んでみて!読んで聞かせて!」

リール「あ、はい」

 

リールはエレナから紙を受け取った。

 

リール「えーっと…。私はリノ。あなたと同じ光属性魔法に適性を持つ者です。この文字が読めるあなたにだけある事を伝えます。現在この世界にはドレインという他者を取り込み強くなる魔物が存在します。今は表に出てきていませんが、ある場所に私が保管しています。そこは、辺り一面暗い "深淵" と呼ばれる場所です。あなたが光属性魔法に適性があるのならその場所に出向き、ドレインを全て浄化してください。それはかつて私が成し得なかったこと。光属性魔法は唯一ドレインに対抗できる魔法です。私はその力を使ってドレインを退けましたが、私一人ではどうにもなりませんでした。そこで私はある事を考えました。それは、私自身を使ってドレインを封印することです。ですが、先程記述したように私一人では限界があります。なので、これを読んでるあなたにお願いがあります。私一人ではドレインの進行は止められません。あなたがドレインを浄化して下さい。光属性魔法に適性があるあなただけが頼りです。お願いします。…ですね」

エレナ「…!?」

 

リールはその手紙に書かれた内容を全て話した。

 

エレナ「ほんとに…読めるのね…」

リール「はい。何の事かはさっぱりですが…」

エレナ「…分かったわ。ドレインがここに到達するまでまだ時間はある。それまでに魔核を12個集めてリノを取り戻せば…」

リール「あの…」

エレナ「?」

リール「その…魔核というものを集めれば、あなたの友人さんは取り戻せるんですか?」

エレナ「えぇ。取り戻せるわ」

リール「じゃあ…」

エレナ「あの人の持つ光属性魔法はね、この世界に存在するドレインという生き物を倒すことが出来るの。さっき言ってたよね」

リール「はい」

エレナ「この世界はね、実は平和じゃないの」

リール「!」

エレナ「今もリノはドレインと戦ってる。リノがドレインを外に出さないようにしている。でも限界はある。だから私がリノの助けになるの」

リール「そうですか」

エレナ「さて、その手紙の内容聞けたし魔核の場所もある程度把握出来た。あとは自分の行動だけね」

リール「が、頑張ってくださいね」

エレナ「あ、教えてくれたお礼に私も教えないとね」

リール「?」

エレナ「私の仲間に土属性魔法の適性者がいるんだけど、その人があの町に隕石落とそうとしてるわよ」

リール「!?」

エレナ「加えて私の仲間の氷属性魔法の適性者が町を氷漬けにするつもよ」

リール「な…なんで…」

エレナ「さぁ?あの人の考えはよく分からないわ」

リール「え、でもなんであなたが仲間の事を教えるんですか?それって裏切りになるんじゃ…」

エレナ「まぁ、最初から仲間でもなんでもないしね。というか死んでくれた方がいいのよ。あいつらは」

リール「…」

エレナ「さて、これからの行動は伝えたわ。どうするかはあなた次第ね」

リール「あの…」

エレナ「?」

リール「助けて…もらえないんでしょうか…」

エレナ「!」

リール「助けてもらえたら嬉しいんですが…」

エレナ「…あのね、私は仮にも敵なのよ。学院だって壊して回ったし。そんな人に助けを求めてどうするのよ」

リール「でも…」

エレナ「…自分の力でどうにかなる気がしない…そう考えてるのね」

リール「…はい」

エレナ「まぁあの2人は強いわ。でも大丈夫よ。あなたがいるんだから」

リール「!」

エレナ「あなたがいればここの人たちは死なないわよ」

リール「いえ、傷つきます」

エレナ「!!」

リール「私が懸念しているのは死ぬことではなく、誰かが傷つくことです」

エレナ「…そう。でもできないわ」

リール「…」

エレナ「私にも立場があるわ。今の立場を無くせばリノを助けられる確率も下がる。だからできない相談よ」

リール「そう…ですか…」

エレナ「…気にしないで。あなたならできるわ」

リール「…」

 

ガチャ!

リールとエレナが話しているとメリーとラミエ先生が入ってきた。

 

メリー「リールちゃん!大丈夫!?」

リール「メリーさん!」

メリー「良かった…元気そ…う…」

ラミエ先生「!」

 

メリーとラミエ先生はエレナの存在に気づいた。

 

メリー「あなた!何でここに!」

エレナ「…さぁね。何でかしら」

メリー「リールちゃんをどうするつもり!」

エレナ「どうもしないわよ。ただお邪魔しに来ただけよ」

メリー「嘘つかないで!」

エレナ「現に今から帰るつもりだったのよ」

メリー「じゃあ帰って!」

エレナ「それじゃあね。光属性魔法の適性者さん」

 

コツコツコツ

エレナは魔女さんの家を出た。

 

メリー「リールちゃん!何もされなかった!?大丈夫!?」

リール「はい。大丈夫ですよ」

メリー「あー良かった!リールちゃんいきなり目を閉じるから死んじゃったかと思ったよ!」

リール「あはは…」

ラミエ先生「!」

 

ラミエ先生はキッチンに置いてあるスープを見つけた。

 

ラミエ先生「…」

 

チョン…ペロッ…

ラミエ先生はそのスープに指を入れて舐めた。

 

ラミエ先生「!?」

ラミエ先生 (こ、これって…どうしてこんなものが…)

 

ラミエ先生はリールを見た。

 

ラミエ先生 (メリーの話ではリールは倒れているはず…でもあんなに元気になってる…まさか本当に…)

 

ラミエ先生はエレナを思い出した。

 

ラミエ先生 (まさか…あの人が作ったの…?これ…)

 

ラミエ先生はリールのところに向かった。

 

ラミエ先生「リール」

リール「あ、はい。何ですか?」

ラミエ先生「あなた…あのスープを飲んだの?」

リール「はい。飲みました」

ラミエ先生「!」

リール「えっと…何かありましたか?」

ラミエ先生「あのスープ…作ったのは誰?」

リール「エレナさんです」

ラミエ先生「!?」

 

ラミエ先生の予想は的中した。

 

ラミエ先生 (どういうこと…エレナは敵じゃないの?)

リール「あの…ラミエ先生?」

 

ラミエ先生は急に考え事をし始めた。

 

ラミエ先生 (でも敵であるリールにあんなもの飲ませる?普通。味方なら分かるけど…敵じゃん…)

リール「えっと…ラミエ先生?」

ラミエ先生 (まさか…敵はエレナじゃなくて他にいる…。エレナ以外の誰かが何かしようとしてるの?)

リール「ラミエ先生!」

ラミエ先生「え、何?」

リール「急にどうしたんですか」

ラミエ先生「あ、いえ、なんでもないわ。とにかく元気そうで良かったわ。食べ物とか買ってきたからしっかり食べなさい」

リール「はい!」

 

ラミエ先生はキッチンに戻って再度スープを見た。

 

ラミエ先生 (…回復魔法が含まれた食べ物…これを作れるのが私以外にいるなんて…エレナ…一体何者なのよ…)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…草原

 

エレナ「…上手く作れて良かったわ。初めてだったけど効果は絶大ね」

 

スタスタスタ

エレナは歩を進める。

 

エレナ「しかし、リノの置き手紙を聞けるなんて、なんて幸運なのかしら。おまけに魔核の場所もある程度予想はついた。さて、回収しに行きましょうか。待っててリノ。もう少し…もう少しだけ待ってて」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院 (学院長室)

 

アンナ「え!?リールがこの学校を出たんですか!?」

レヴィ「はい。出ましたよ」

 

現在、学院長室ではアンナたちがレヴィ学院長と話をしていた。

 

アンナ「なんで学校を出るんですか!」

レヴィ「…」

 

レヴィ学院長は何も言わなかった。

 

スカーレット「学院長。何故リールは学校を出ることになったのでしょうか。理由を教えてください」

レヴィ「…この学院の生徒を守るためですよ」

オード「生徒を守るため…ですか」

レヴィ「はい。リールさんの魔力はとてつもなく強いです。私の結界では抑えきれません」

スカーレット「だからって…」

レヴィ「リールさんの魔力を嗅ぎつけてドレインが出現するかもしれません。なので私の中で1番防御力のある結界を展開しているあの家に隠れてもらってます」

スカーレット「あの家ってなんですか」

レヴィ「おや、あなた方はリールさんのご友人ですので知ってるものかと」

スカーレット「教えてください。リールはどこにいるんですか」

レヴィ「…教えられません」

アンナ「何でですか!」

レヴィ「残念ながら、立場上生徒を守るのが私の仕事です。ですのであなた方はこの学院から出ないようお願いします」

オード「あの。学院長」

レヴィ「ん?何?」

オード「リールはここの生徒じゃないんでしょうか」

レヴィ「!」

オード「なぜリールだけ生徒に含まれないのか、甚だ疑問ですね」

レヴィ「…」

スカーレット「…アンナ」

アンナ「何?スカーレット」

スカーレット「…リールを探しましょう」

アンナ「!」

スカーレット「元よりリールがいないとこの学院は更に酷くなります。今までほぼ無事でいたのはリールがいたからです。リールがいなかったら今頃全員死んでるでしょう」

レヴィ「…」

スカーレット「学院長。私たちはリールを探します。授業もしばらく止まってるのでいいですよね?」

レヴィ「…どうぞお好きに。ただし、この学院から出るとなると私たちの加護は受けられませんので、そのつもりで」

スカーレット「大丈夫です。私たちは生徒ですが、リールに教えてもらったものがあります。それを使って探します」

レヴィ「…あいつらが来たらどうするつもり?」

スカーレット「あいつらとは誰のことでしょうか」

レヴィ「君たちを攻撃した人たちですよ」

スカーレット「…」

レヴィ「君たちは6人もいて1人も倒せなかったんですよ。ましてや6人中5人は瀕死状態。今は回復して動けますが、次また来たらあなた方で身を守ることはできますか?」

スカーレット「6人中5人…残りの1人はリールですよ。リールがいたから大丈夫なんですよ私たち。ここでもしリールがいなかったら全滅でしたよ。経緯はどうあれリールが生きていた。あの人たちが撤退したという事実は変えられません」

レヴィ「では、リールさんを見つけるまでにあいつらが現れたらどうするおつもりで?」

スカーレット「知りませんよそんなこと」

レヴィ「!」

スカーレット「来る前に見つけます。私たちの友達ですので」

 

スタスタスタ…ガチャ…バタン

スカーレットたちは学院長室を出た。

 

レヴィ「…ふぅ」

ラーフ「学院長。いいんですか?」

レヴィ「やぁラーフ。君こそもう大丈夫かい?」

ラーフ「はい。もう動けます」

レヴィ「そうか。それは良かった」

ラーフ「…レヴィ学院長」

レヴィ「あぁ。分かっている。でもこうするしかなくなった。本来ならこの学院で匿うのがいいけど、明らかに被害が大きくなっている。エレナ元学院長も現れた。ドレインもね」

ラーフ「…」

レヴィ「そうなると流石に庇い切れないよ」

ラーフ「ですが…あの子たちが言っていたようにリールさんがいることであの子たちは死なずに済んでいます。最初のエレナ元学院長の襲撃でもリールさんは生き残っていました。その次の天使たちでも怪我なく生き延びた」

レヴィ「…」

ラーフ「リールさんはすごい幸運の持ち主ですよ。手放すのは私も賛成できません」

レヴィ「…あぁ。分かっている。僕が懸念しているのは天使たちの行動。ドレインは弱いからここの生徒たちでも倒せるよ」

ラーフ「なら…」

レヴィ「だけど、そうもいかない」

ラーフ「…」

レヴィ「ドレインはこの世界の人間を喰らう魔物。あれにやられたら人として生きられなくなる。その上ドレインは強くなり、やがて手に負えなくなる。そうなると少し面倒なことになる」

ラーフ「なにが…」

レヴィ「君は、あの天使たちを倒す方法を知ってるかい?」

ラーフ「天使たち…それは魔法を…」

レヴィ「でもね、並の魔法じゃ歯が立たない。天使たちの魔力は恐ろしく高い。だからそれに対抗できるだけの魔力が必要になる」

ラーフ「ではそうすれば…」

レヴィ「でもね、仮に天使たち以上の魔力をぶつけたとしても一発じゃ倒れないんだよ。天使たち以上の魔力を何発もぶつけないといけないの。そんな魔力を持つ人がこの世に何人いると思う?」

ラーフ「わ、分かりません」

レヴィ「3人だよ。たった3人」

ラーフ「さ、3人…」

レヴィ「1人は私のお師匠様。魔女さんのお師匠様でもある」

ラーフ「学院長の…お師匠様…」

レヴィ「そして2人目。2人目は魔女さんだよ」

ラーフ「え、あの人が…」

レヴィ「そう。あの人が。現に風の天使を殺ったのは魔女さんの分身体ですから」

ラーフ「分身体!?」

レヴィ「そう。魔女さんは自分の分身を作ることが出来る」

ラーフ「なんと…」

レヴィ「ラーフ。覚えておいて。分身体ってね、その人の半分の力で生成される。つまり、その分身体は魔女さんの半分程度の力しかないの」

ラーフ「半分程度…ですか」

レヴィ「そう。半分だけ。それなのに風の天使を殺った」

ラーフ「!!」

レヴィ「何が言いたいか分かる?ラーフ」

ラーフ「まさか…その魔女さんの半分程度の魔力が…あの天使たち以上の魔力だと…そう言いたいんですか?」

レヴィ「…そう。そういう事」

ラーフ「!?」

レヴィ「僕、最初に魔女さんが手紙を燃やしたと聞いてラーフに言ったこと覚えてる?」

ラーフ「言葉…」

レヴィ「あの魔女さんを怒らせたらこの国が消えかねないと…そう言いました」

ラーフ「あ、確かに言いました」

レヴィ「魔女さんは半分程度の力で天使を殺せます。なのに本体となったらその2倍です。この国なんて余裕で破壊できます」

ラーフ「そんな…」

レヴィ「過去に起きた事件。狂気の魔女と呼ばれたあの人はその時この国を破壊して回った。故にこの国は一瞬で崩壊し、今は復興が終わっていますが、それでも跡は残っています」

ラーフ「…」

レヴィ「もし今の魔女さんを本気で怒らせたら私だって体の保証はできません。一瞬で破壊されて蒸発するでしょう」

ラーフ「そんな…学院長でさえも…」

レヴィ「はい。あの人は言わば危険人物…ですがそれは魔力に限った話です。あの人は怒りさえしなければ優しい人です。ですが当時は自身の怒りのままに動いたためにこの国は一度滅びました」

ラーフ「…」

レヴィ「今回私がリールさんをあの家に戻したのはリールさんを死なせないためです」

ラーフ「!」

レヴィ「リールさんが死んだとなると、それを聞いた魔女さんはどうなると思いますか?」

ラーフ「お…怒ります…」

レヴィ「そう。怒ったらどうなるのか。その怒りの矛先はどこへ向くのか。簡単な話です。怒りの矛先は私とこの国とリールを殺した本人に向けられます」

ラーフ「そんな!でも学院長は殺してない!」

レヴィ「いえ、私は魔女さんにリールさんを守ると約束しました。魔女さんからすればその約束を破られたとなります。怒るのも当然です」

ラーフ「…」

レヴィ「リールさんは何としてでも守らなければなりません。私があの家に戻したのはあの家に結界を展開しているからです。あの結界はそうそう突破されません。リールさんの魔力も抑えられます」

ラーフ「そう…ですか…」

レヴィ「ラーフ。あなたにも1つお仕事があります」

ラーフ「な…なんでしょうか…」

レヴィ「リールさんを守るのを手伝ってください」

ラーフ「!」

レヴィ「魔女さんを怒らせたら冗談抜きで全員死にます。挙句今どこにいるのかも分かりません。離れたところから攻撃されたら私たちに打つ手はありません。何としてでもリールさんを守らなければなりません」

ラーフ「わ、分かりました」

 

スタスタスタ…ガチャ…バタン

ラーフは学院長室を出た。

 

レヴィ「…」

 

レヴィ学院長は窓の外を見ていた。

 

レヴィ (リールさん。もう少しの辛抱です。もう少しだけそこで待っていてください)




〜物語メモ〜

魔核
この世界に存在する12個の魔力の素。
これは昔、リノと関係があった人のみ所有しているもの。
エレナはその魔核を集めてリノを取り戻そうとしている。

リノの置き手紙
リノの置き手紙とは、リールがスカーレットの家に行った時に光属性魔法の書物に挟まれていた小さな手紙のこと。
その置き手紙は光属性魔法の適性者にしか読めず、スカーレットの父であるジンやスカーレットの叔父であるマークは読めずに諦めていた。
エレナも光属性魔法の適性者ではないため読めなかったが、リノの置き手紙の存在は知っていた。
今回エレナはリールが光属性魔法の適性者だと知っていたため、リノの置き手紙を読ませた。

エレナが作ったスープ
エレナがリールのために作ったスープは普通のスープとは見た目は変わらないが、飲めば魔力等を回復させることができる。
普通の人間には美味しくないが、魔法使いや魔女が飲めば、たちまち元気になる。
だがこの料理を作ることが出来るのは、回復魔法を使える人の中でもラミエ先生を含めて一握り程度。
ラミエ先生はこのスープについてよく知っているため、敵であるエレナが作ったことに驚いていた。

分身体
魔女さんが使っていた魔法の一種。
自分と全くそっくりなもう1人を作り出す魔法。
ただ、自身の半分の魔力を使って生成されるもので、強さはその人の半分程度。
作る本人が弱ければ分身体も弱くなる。
魔女さんの場合は、その半分程度の強さしかない分身体にも関わらず、マーモを余裕で消していた。


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第33話 リールと魔女さんの家

私の名前はリール。

今魔女さんの家にいます。

先程メリーさんとラミエ先生が家に来ました。

その時、入れ替わるようにエレナさんが家を出ました。

エレナさんは敵であるにも関わらず、何故か私に仲間を売りました。

しかもそれはあの町に隕石を落とすというのと町が氷漬けにされるというものでした。

私は不思議に思うのと同時にこの事を伝えようと思っていたんですが、今家を出てもいいのか不安でした。

なのでここは一旦家にいることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…スペルビアの町

 

スカーレット「こんな事ならリールの家聞いとくんだったわね」

アンナ「だね…」

 

スカーレット、アンナ、オード、ディア、ノーラは箒に乗ってリールの家を探していた。

 

オード「おーい委員長!」

スカーレット「?」

オード「こっちには無かったぞ」

ディア「てかそもそもリールの家知ってるやついなかったぞ?」

スカーレット「あぁやっぱり…」

ノーラ「そっちも見つからなかったのか?」

アンナ「はい。見つからないんです」

オード「う〜ん…」

スカーレット「…出ましょう」

ディア「出る?」

ノーラ「…何が?」

スカーレット「この町を出ましょう」

アンナ「…え!?」

オード「この町を出るってお前…」

ディア「出たところで場所が分かんねぇんだぞ…」

ノーラ「途方に暮れるの間違いなしだな」

スカーレット「でも!こうでもしないとリールが見つからないじゃない!この町にはリールの家を知ってる人はいない!リールもどこから来たのか分からないし!だったらそれ覚悟で外に出てもいいと思う!」

ディア「だが…しかし…」

オード「…あぁ。行こう」

ノーラ「オード!」

オード「俺はリールを守るって約束した。リールがどこにいようとも俺はそこへ行く。いなくなったら見つかるまで探し続ける。俺はそう決めた」

ノーラ「オード…」

アンナ「私も行く」

ノーラ「!」

アンナ「私もリールのお友達だから。今まで助けてもらった分を返したい」

ディア「ノーラ」

ノーラ「?」

ディア「…俺たちも行こう」

ノーラ「!」

ディア「俺はこいつらを支持したくなった。ノーラはどうだ?」

ノーラ「…まぁ、同じだが…」

ディア「なら一緒に行こうぜ」

ノーラ「…はぁ、仕方ない。俺も行こう」

スカーレット「よしっ!じゃあ行くわよ!」

全員「おー!」

 

そしてスカーレットたちはスペルビアの町を離れることになった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…魔女さんの家

 

リール「あの…メリーさん」

メリー「何?」

リール「もう…大丈夫ですよ」

メリー「ダーメ!リールちゃんは寝てないと!」

 

リールは今ベッドに押さえつけられていた。

 

リール「で、でも!私もう元気ですので!」

メリー「ダメ!元気なのは気持ちだけかもしれないの!体は悲鳴上げてるかもしれないよ!」

リール「あの…ほんとに大丈夫ですって!」

メリー「ダーメ!」

ラミエ先生「はぁ…全く…静かにしてほしいわね…」

 

ラミエ先生は料理をしていた。

 

リール「大丈夫ですって!ラミエ先生!」

ラミエ先生「…はぁ」

メリー「もう!安静にしてないとダメだよ!」

リール「ラミエ先生!」

メリー (こうなったら…)

リール「ラミエ先…」

 

ハムッ!

 

リール「!?」

 

突然メリーがリールの唇にキスをした。

 

リール「んー!んー!」

メリー「…」

 

メリーは少しの間キスをした。

 

リール「んー!んー!」

メリー「っぷはぁっ!」

リール「ぷはっ!」

メリー「はぁ…はぁ…」

リール「はぁ…はぁ…」

 

2人はずっと呼吸を止めていたため、少し疲れていた。

 

リール「あの…なんで…」

メリー「…リールちゃんが静かにしないからだよ」

リール「!」

メリー「リールちゃんは安静にすること…いい?」

リール「は、はい…」

 

リールは大人しく寝ることにした。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…平原

 

スカーレット「うーん…それらしい家なんて無いわね」

アンナ「だね…」

ディア「てかリールってこの町の出身じゃないのか?」

オード「違う。別のところから来たんだってよ」

ノーラ「へぇ。それは初耳」

ディア「で、どこから?」

スカーレット「それが分かってたらこんなことになってないでしょ?」

ディア「まぁ…そうだよな…」

アンナ「もっと遠くなのかも!」

ノーラ「でもこれ以上遠くなるとリスクあるんじゃないか?」

アンナ「でも…」

オード「…なら俺が行こう」

ディア「え?」

オード「あ、遠くには行かない。でも高く飛べばある程度見渡せると思う」

スカーレット「なるほど。いい考えね」

オード「ちょっと行ってくる」

 

ヒュゥゥゥゥゥ

オードは空高く飛んだ。

 

ディア「…なぁ」

スカーレット「なに?」

ディア「学院長の事…どう思う?」

スカーレット「どうって?」

ディア「…正直言うと俺はリールには休息を取ってもらってもいいと思ってる。だが、この町も最近安全じゃなくなってると思う」

スカーレット「…それで?」

ディア「…なんとか説得できないか?学院長を」

アンナ「説得?」

ディア「そう。なんとかリールをここに残すことができないかってこと」

ノーラ「でもリールは家に帰ってるだけだろ?」

ディア「いや、家じゃなくて寮に戻ってきて欲しいんだ」

ノーラ「なんで?」

ディア「…みんなでいたほうが楽しいだろ」

アンナ「!」

スカーレット「!」

ノーラ「まぁ、確かにそうだな」

ディア「それに、リールがいないと2人が心配してる。そうだろ?」

スカーレット「そうね。すごく心配だわ」

アンナ「うん。心配」

 

ヒュゥゥゥゥゥ

空高く飛んでたオードが帰ってきた。

 

オード「よっと」

スカーレット「とうだった?」

オード「ダメだ。ここら周辺に家は無い」

アンナ「そっか…」

ディア「もう少し遠くを探してみるか?」

ノーラ「あぁ。そうしよう」

オード「そういえば委員長はリールから何か聞いてないのか?」

スカーレット「何も聞いてないわ。アンナは?」

アンナ「私も何も…」

ディア「うーん…これは難しそうだなぁ…」

ノーラ「え?ちょ、あれ!」

 

ノーラは平原を歩いている2つの影を指した。

 

スカーレット「んー…あれって…」

アンナ「ラミエ先生じゃない?あの保健室の」

オード「あ、確かに」

ディア「なんでこんな所に…」

ノーラ「てか急に現れたよな。さっきまでそこにいなかったのに」

スカーレット (…もしかして)

 

ビュン!

スカーレットはラミエ先生とメリーがいるところに向かった。

 

アンナ「スカーレット!」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

数分前

場所…魔女さんの家

 

ラミエ先生「で、キスしたと」

メリー「はい。しましたよ」

ラミエ先生「あなたねぇ…あの人がこんなこと聞いたらどうなると思ってるのよ」

メリー「いいの!」

ラミエ先生「全く…リールが変なことに目覚めなきゃいいけど…」

メリー「ふふん!」

ラミエ先生「リール!ここにご飯置いとくから温めて食べて!」

リール「はーい」

ラミエ先生「他の材料は保存してあるからね!」

リール「はーい」

ラミエ先生「私たちは家を出るけど何かあったらまた言いに来てよ!」

リール「はーい」

 

リールは自分の寝室から返事をした。

 

ラミエ先生「じゃあね」

リール「はーい!ありがとうございまーす!」

ラミエ先生「さ、行くわよメリー」

メリー「リールちゃーん!また来るわねー!」

リール「はーい!」

ラミエ先生「さ、行くわよ」

メリー「うん」

 

ガチャ

ラミエ先生とメリーは魔女さんの家を出た。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

現在

場所…平原

 

メリー「ふん♪ふん♪ふふん♪」

ラミエ先生「随分ご機嫌ね。メリー」

メリー「だってリールちゃん元気だったんだもん!嬉しいよ!」

ラミエ先生「まぁ私のところに来た時は死にそうな顔してたしね」

メリー「だってリールちゃんが倒れたんだし…」

ラミエ先生「良かったわね。元気になって」

メリー「うん!」

スカーレット「先生ー!」

ラミエ先生「!」

メリー「?」

 

突然声が聞こえたのでラミエ先生とメリーは足を止め、周囲を見渡した。

 

スカーレット「先生!」

 

スタッ!

スカーレットは箒から降りた。

 

ラミエ先生「あら、あなたは」

スカーレット「先生!」

ラミエ先生「な、なによ」

スカーレット「先生はリールの家を知ってますか!?」

ラミエ先生「リール?」

スカーレット「はい!」

ラミエ先生「知ってるけどどうしたのよ」

スカーレット「どこにありますか!?」

ラミエ先生「どこって…」

メリー「あなたはなんでリールちゃんの家を探しているの?」

スカーレット「あ、あなたはメリー魔法店の…」

メリー「はい。店長のメリーです」

スカーレット「あ、えっと…リールを探しているんです」

ラミエ先生「探している?何かあったの?」

スカーレット「あ、何かあったわけじゃないんですが、やっぱり戻ってきて欲しいなって思って…」

ラミエ先生「じゃあリールを説得しに来たわけ?」

スカーレット「あ、いえ…」

オード「リールが心配だったからです」

 

スタッ!

オードも箒から降りた。

 

オード「先生。リールの家を知ってますか?」

ラミエ先生「あなたまで…」

オード「俺たちだけじゃないです」

 

オードはこっちに向かってきているアンナ、ディア、ノーラを指さした。

 

ラミエ先生「あの子たちも…」

オード「先生。教えてください。リールの家はどこですか」

ラミエ先生「…」

スカーレット「先生!」

ラミエ先生「…そこにあるわよ」

オード「え?」

 

ラミエ先生は後方を指さした。

 

オード「え?何も無いけど…」

スカーレット「?」

メリー「あ、あの家には結界が展開されているので見えませんよ」

オード「え?見えない…」

ラミエ先生「当然よ。私たちにだって見えてないんだから」

スカーレット「え、見えてないんですか?」

ラミエ先生「えぇ」

オード「じゃあどうして…」

ラミエ先生「魔力を辿っているのよ。あなたたち、何か感じない?」

 

スカーレットたちは魔力を感じ取ろうと集中した。

でも誰も感じ取ることが出来なかった。

 

スカーレット「わ、分からない…」

オード「あぁ…ディア分かるか?」

ディア「いや、なにも」

ノーラ「俺も何も分からん」

アンナ「私も…」

メリー「あはは…」

ラミエ先生「じゃああなたたちには見つけるのは無理だわ」

スカーレット「え…」

ラミエ先生「だってそこに家があるのに見えないんでしょ?だったら探すなんて不可能よ」

アンナ「そんな…」

オード「見えるようになる方法はないんですか?」

ラミエ先生「あるわ」

オード「どうすれば!?」

ラミエ先生「…玄関に触りなさい。触れることができれば大丈夫よ」

オード「よっしゃ!行くぞ!」

スカーレット「あ、待って!」

 

ヒュゥゥゥゥゥ!

オードたちは箒に乗って空を飛んだ。

 

スカーレット「あ、あの…」

ラミエ先生「何?」

スカーレット「あの…手伝ってもらえませんか?」

ラミエ先生「…はぁ」

メリー「いいじゃない。こうしてお友達が来てくれてるならリールちゃんも喜ぶわ」

ラミエ先生「…仕方ないわね。ついてきて」

スカーレット「はい!」

 

スカーレットもリールの家に向かった。




〜物語メモ〜

魔女さんの家
魔女さんの家はレヴィ学院長の結界によって守られているため、視認することができなくなっている。
おまけに結界が割れるまで攻撃されても家に被害はない。
メリーに結界を解除するよう言われたが、レヴィ学院長は結界を解除しなかった。


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第34話 リールとオード

私の名前はリール。

今自分の部屋のベッドにいます。

先程メリーさんに寝かしつけられました。

私自身もう何ともないのにメリーさんは心配性ですね。

ですが、それはそれで大事にされてるなと思っています。

でもどうしましょうか…このまま寝ているわけにもいきませんし…

…そういえば学校はどうなってるんでしょうか。

私がいない間、何か変わったことでもありましたかね。

…早く学校に戻りたいものですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…魔女さんの家 玄関前

 

ラミエ先生「ここよ」

オード「…へ?」

 

ラミエ先生たちは魔女さんの家の前にいた。

 

ラミエ先生「だからここよ」

ディア「え、でも何も無い…」

ラミエ先生「さっき言ったじゃない。見えないって」

アンナ「え、じゃあ家に入ることは…」

ラミエ先生「それはできるわ。安心して」

アンナ「ほっ…」

スカーレット「じゃあ早く入りましょう!」

ラミエ先生「…はいはい」

 

ガチャ…ギィィィィィィィ…

ラミエ先生はドアノブに手をかけ、魔女さんの家に入った。

 

オード「え!?消えたぞ!?」

ノーラ「え、なんで?」

メリー「あの人はドアノブに触ることができたから入れるのよ。それで、こっちから見たらその人は消えたようになっている。でも実際私の目にはただドアを開けて入っていく様子が見えてるわ。私もドアノブに触ったからね」

スカーレット「じゃあ私たちもドアノブに触れば!」

メリー「あ、難しいですよ」

スカーレット「え?」

メリー「私がドアノブに触るので、1人ずつそこに手を置いてください。ではいきますよ」

 

スッ…

メリーは魔女さんの家のドアノブに触れた。

 

メリー「さ、1人ずつここに手を置いて。ここにドアノブがあるから」

スカーレット「じゃ、じゃあ私から!」

 

最初はスカーレットが触る。

 

メリー「ここね」

スカーレット「はい!」

 

スッ…

スカーレットはメリーと同じところに手を置いた。

 

スカーレット「!」

 

スカーレットは何かの感触を感じた。

 

オード「どうした委員長」

アンナ「スカーレット?」

スカーレット「…確かにここにある。ここにドアノブがある!」

メリー「じゃあその状態で上を見上げてみて」

スカーレット「!?」

 

スカーレットの目には、さっきまでそこに無かったはずの家が見えていた。

 

スカーレット「え…なにこれ…」

メリー「これがリールちゃんの家よ」

スカーレット「す…すごい…見えてる!」

オード「つ、次は俺だ!」

アンナ「わ、私も!」

メリー「はいはい」

 

こうしてオードたちも同じようにドアノブに触れた。

 

オード「すげぇ!見える!」

アンナ「わ…ほんとにここにあったんだ…」

ディア「不思議なもんだな」

ノーラ「確かに…」

ラミエ先生「あなたたち、まだ見えてないの?」

メリー「あ、もう大丈夫よ」

ラミエ先生「そ、じゃあ入りなさい」

スカーレットたち「お邪魔します!」

 

スカーレットたちは魔女さんの家に入った。

 

 

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場所…魔女さんの家 リビング

 

スカーレット「こ…ここがリールの…」

アンナ「元々住んでた家…」

オード「なんだ…この空気…」

ディア「あ、オードも何か感じるか?」

オード「あぁ」

ノーラ「俺も感じる。何だか自分の魔力が上がった気分だ」

メリー「そりゃあここは魔女さんの家だからね。外や他の場所よりもマナの純度が高いのよ」

オード「魔女さん?確かリールのお師匠様の…」

メリー「そうよ。あの人の家だからね」

スカーレット「確かリールのお師匠様はすごい人だと言ってたわね…」

アンナ「あ、そうそう!確か箒とか杖とかも他のと全然違ってたよね!」

メリー「!」

スカーレット「あれは確かに一級品よ…あんなの初めて見たわ」

ラミエ先生「リール!部屋にいるんでしょ?降りてきなさい!」

アンナ「え!?リール!?」

スカーレット「リールがここにいるの!?」

ラミエ先生「いるわよ。でなきゃあなたたちをここに連れてくることはなかったわ」

スカーレット「リール!早く降りてきて!」

アンナ「リール!」

 

 

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場所…リールの部屋

 

ラミエ先生「リール!部屋にいるんでしょ?降りてきなさい!」

リール (あれ…ラミエ先生の声…忘れ物なのかな…)

スカーレット「リール!早く起きてきて!」

リール (あれ…スカーレットの声だ…)

アンナ「リール!」

リール (あれ…今度はアンナの…)

 

ガバッ!

リールはその声に反応して飛び起きた。

 

リール「スカーレット…アンナ…」

 

タッタッタッ!

リールはベッドから飛び起きて部屋を出た。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…魔女さんの家 リビング

 

ドタドタドタ!

階段から音が聞こえてきた。

 

ラミエ先生「…来たみたいね」

リール「スカーレット!アンナ!」

スカーレット「リール!」

アンナ「リール!」

 

リールはスカーレットとアンナを見るやいなや2人のところまで走った。

 

リール「スカーレット!アンナ!」

 

ギュッ!

リールはスカーレットとアンナに飛びついた。

 

リール「スカーレット…アンナ…」

スカーレット「良かったわ。あなたが元気で」

アンナ「良かった…ほんとに良かった…」

ラミエ先生「…あなたたちはいいの?」

 

ラミエ先生はオードたちを見ながらそう言った。

 

オード「えっと…」

ディア「俺たちはいいです…」

ラミエ先生「何でよ」

ノーラ「今は委員長とアンナの方がいいと思ったからです」

メリー「とかなんとか言ってぇ。ほんとは君たちも抱きつきたいけど恥ずかしいか相手が女性だから躊躇してるんでしょ?」

オード「!」

ディア「!」

ノーラ「!」

 

3人は図星だった。

 

メリー「あ〜やっぱり〜」

ラミエ先生「全く…そんなんじゃ好きな女の子が誰かに取られちゃうわよ」

オード「うっ…」

ディア「ごもっとも…」

ノーラ「はい…」

メリー「でも仕方ないね。男の子だもん」

オード「そこまで分かってるなら掘り下げないで欲しかったです…」

メリー「あっははは!ごめんね!」

リール「うぅ…スカーレット…アンナ…」

アンナ「あはは…リール泣いちゃってる」

スカーレット「ほんと子どもね…全く」

ラミエ先生「…さて」

スカーレット「!」

ラミエ先生「リール」

リール「…はい。何ですか?」

 

リールは涙を流しながら答えた。

 

ラミエ先生「今からご飯作るわ」

リール「…え?」

ラミエ先生「せっかくここまで来たんだから一緒にご飯食べましょ」

オード「え…いいんですか?先生」

ラミエ先生「いいわよ別に。ただし、変なことはしないように」

オード「しませんよ…」

リール「スカーレットとアンナと一緒にご飯食べてもいいんですか?」

ラミエ先生「いいわよ」

リール「やったぁ!」

 

リールは一瞬で笑顔になった。

 

ラミエ先生「さ、支度しましょうか。メリー」

メリー「何?」

ラミエ先生「手伝って」

メリー「任せて。あ、男子諸君はそのまま座っててね」

オード「は、はい」

ディア「はい」

ノーラ「はい」

リール「スカーレット!アンナ!やった!一緒にご飯食べられますよ!」

スカーレット「はいはい。分かったから」

アンナ「やったねリール!」

オード「…」

 

オードは喜んでいるリールの顔を見た。

 

ディア「オード?どうしたよ」

オード「…何がだ」

ノーラ「ほんとだぜ、お前…顔がニヤけてるぞ?」

 

オードはリールの笑顔を見てニヤけていた。

どうやら抑えてた感情が少し漏れたらしい。

 

オード「な…いや…なんでもない…」

 

オードは恥ずかしさのあまり顔を隠した。

 

ディア「にしてもよかったなオード」ヒソヒソ

オード「え?」ヒソヒソ

ノーラ「リールと同じ屋根の下で寝ることになるんだぜ?」ヒソヒソ

オード「!!」

ディア「ちゃんと体洗っとけよ?」ヒソヒソ

ノーラ「匂いを全部落とすくらいにな」ヒソヒソ

オード「う、うるせぇ!」ヒソヒソ

 

その後、ラミエ先生とメリーが作った夕食をみんなで囲んで食べることにした。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…魔女さんの家 玄関前

 

オード「…」

 

オードは外に出て夜空を見上げていた。

夜空には沢山の星が輝いていており、綺麗だった。

風も少し吹いており、涼しい風がオードの頬を撫でる。

 

オード「…涼しいな。今日は」

リール「オード君?」

オード「!」

 

リールが家から出てきた。

 

オード「リール…部屋に戻らないと2人が心配するぞ」

リール「大丈夫ですよ。ちゃんと言ってきましたから」

オード「…そうか」

リール「…」

 

2人はしばらく空を見上げていた。

 

リール「…あの…オード君」

オード「…なんだ?」

リール「…怪我の方は大丈夫ですか?」

オード「大丈夫だ。みんな治ってる」

リール「そうですか。それは良かったです」

オード「…」

 

2人の間に数分間沈黙が訪れた。

 

オード「…なぁリール」

リール「何ですか?」

オード「…ここが…この家がお前の育った家か?」

リール「はい。私の大事なお師匠様のお家ですよ」

オード「…そうか」

リール「…」

 

またまた数分の沈黙が訪れた。

 

リール「あの…オード君」

オード「なんだ?」

リール「…スカーレットとアンナから聞きました。オード君、私の家を探すために必死になって箒で空を飛んでたそうですね」

オード「!!」

リール「…私、その話を聞いて心が温かくなりました」

オード「…///」

リール「私のためにここまで必死になってくれるのは、魔女さんやスカーレット、アンナ以外にはオード君だけですよ」

オード「そ、そうか…」

リール「…ありがとうございます」

オード「いや、いい。男として当然だ」

リール「ふふっ…オード君は強い人ですね」

オード「強い?」

リール「はい。あの時からずっと思ってましたよ。私とオード君が初めて戦ったあの日から」

オード「あぁ、あの…何だっけ?クラスの連中同士の魔法の戦いの…」

リール「そう。あの日からです」

オード「そ、そうか…それは嬉しいことだな」

リール「あの日、オード君は私を逃がそうとあの人の前に立ってくれました。私を守るように」

オード「…」

リール「その他にも先日ここに来たあの怖い人たちに会った時もオード君は戦ってくれました。理由はなんであれ、人のために率先して動けるオード君は強い男の子ですよ」

オード「…そうか」

リール「私は、そんな強いあなたと友達になれてとても嬉しいですよ」

オード (友達…か…)

 

オードはその言葉に少し引っかかった。

 

オード「…俺は」

リール「?」

オード「リールは…優しい女性だと思ってる」

リール「!」

オード「委員長やアンナのために必死になったり、俺が怪我をした時だって俺が目を覚ますまでずっとそばにいてくれた。今回の件だってみんなの怪我が治ったことを知ってから泣いてただろ」

リール「そ、そうですね…お恥ずかしいところをお見せしてしまいました…」

オード「いや、その涙は優しさの涙だ」

リール「!!」

オード「人を心配し、人を思いやり、人を喜び、人を悲しむ。これは全てリールの優しさから来る行動だ」

リール「…」

オード「俺は、そんな優しいリールの友達になれてとても嬉しいと思ってる」

リール「あ、えと…その…」

オード「?」

リール「嬉しいですね…こうやって直接褒めてくれるのは…少し照れます」

オード「いや、まぁ…」

リール「ありがとうございますオード君。元気出ました」

オード「そ、そうか…」

リール「はい。あなたの言葉が心に響きました。あなたのおかげでまたひとつ、心が温まりましたよ」

オード「そうか。それは良かった」

リール「…」

 

ギュッ…

 

オード「!?」

リール「…どうですか?私の手、暖かいですか?」

 

リールはオードの手を優しく握った。

 

オード「お、おいリール…これは…」

リール「どうですか?」

 

リールはオードの顔を見て質問した。

 

オード「いや、その…」

リール「…」

 

リールはじっとオードの顔を見る。

 

オード「あ…暖かい…です…」

リール「ふふっ…それは良かったです」

 

スタスタスタ

リールはオードの手を離し、玄関に向かった。

 

リール「さ、オード君。ずっと外にいると風邪引きますよ。一緒に家の中で暖まりましょう」

オード「…」

 

オードはリールが握った手を見ていた。

 

リール「オード君?」

オード「え、な、なんだ」

リール「早くお家に入りましょう。風邪引きますよ」

オード「そ、そうだな…風邪…引くかもしれないからな」

リール「はい!」

 

オードとリールは2人で家に戻った。




〜物語メモ〜

オード、ディア、ノーラはリールが部屋から降りてきた時、実はスカーレットとアンナの様にワイワイしたかったが、じっと我慢していた。
理由は、相手がリールだったからなのとラミエ先生とメリーがいたから。
もしラミエ先生とメリーがいなかったら、スカーレットとアンナと一緒にワイワイしていた。
でもラミエ先生とメリーがいたお陰で変なことせずに済んだ。
その点に関しては2人がいて良かったと思っている。


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第35話 リールと無属性魔法の魔導書

ここでちょっとお知らせです。

2月14日から私情であまり投稿できなくなりますので、ご了承ください。

お知らせは以上です。


私の名前はリール。

昨日、スカーレットたちが家に遊びに来てくれました。

みんな怪我も治って元気そうでとても嬉しかったです!

数日ぶりに会ったみんなの顔は何故か新鮮味を帯びていました。

その後はみんなとお話したり、一緒にご飯食べたりしました。

ラミエ先生やメリーさんも一緒にご飯食べて昨日はとても賑やかな晩御飯となりました。

今日はスカーレットたちが私のことを聞きたいそうなんですけど、自分のことを話すのはちょっと恥ずかしいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…リビング

 

アンナ「ねぇリール」

リール「はい。何ですか?」

アンナ「あの…その…」

リール「?」

アンナ「リ…リールの…」

リール「私の何ですか?」

アンナ「あの…リールの部屋…とか生活を…知りたいなって…」

オード「!!」

リール「私の生活…ですか?」

アンナ「うん…」

リール「えっと…何故でしょうか」

アンナ「その…リールって学校に来てから色々凄かったから…その…」

リール「?」

アンナ「どんな部屋でどんな勉強してたのかなって…その…気になって…」

リール「あーなるほど。私の今までの生活が知りたいんですね」

アンナ「うん…あと勉強も…」

リール「いいですよ。お話しましょうか」

オード「!!」

 

オードはその話を聞いていた。

 

リール「そうですねぇ…まず何から話しましょうか」

アンナ「あ、じゃあリールの部屋が見たい…かな」

リール「私の部屋ですか?」

アンナ「うん…」

リール「いいですよ。じゃあ私の部屋行きましょうか」

アンナ「うん!」

スカーレット「あ、じゃあ私も行こうかしら。私も気になるし」

リール「どうぞ!」

 

リール、アンナ、スカーレットはリールの部屋に向かった。

 

オード「リール!」

リール「…? はい。何ですか?」

 

リールは足を止めてオードの方に振り返った。

 

オード「その…」

リール「?」

オード「俺も…行ってもいいか…リールの部屋…」

メリー (お、大胆)

リール「いいですよ」

オード「!!」

リール「オード君も気になると思うので、来ていただいても構いませんよ」

オード (しゃあああああああ!)

 

オードは心の中で叫んだ。

 

ディア (おいおい…)

ノーラ (あからさまに喜んだな…こいつ…)

オード「よしっ!ディア!ノーラ!お前らも行くぞ!」

ディア「え?」

ノーラ「なんで俺たちも…」

オード「俺一人は流石にちょっとな…だから…」

ディア「…はぁ、分かったよ」

ノーラ「ったく…ヘタレなやつ…」

オード「すまねぇ…」

リール「ではみなさんで行きましょうか」

アンナ「うん!」

 

スタスタスタ

6人はリールの部屋に向かった。

 

メリー「…ねぇラミエ」

ラミエ先生「何?」

メリー「ふふっ…」

ラミエ先生「…何よ気持ち悪いわね…」

メリー「いやぁ…青春だな〜って思って」

ラミエ先生「はぁ…あなたって人は…」

メリー「ふふふ…」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…リールの部屋

 

ガチャ…

リールは部屋のドアを開けた。

 

リール「さ、ここが私の部屋ですよ」

アンナ、オード「おおおおお!」

スカーレット「綺麗な部屋ね」

ディア、ノーラ (ここがリールの部屋…)ゴクリ

リール「これが私の机でこれが私のベッドです」

 

リールは先に机とベッドを紹介した。

 

リール「私がここに住んでた時は魔女さんから頂いた魔導書をこの机に広げて勉強していました。ちょうどここに私がその時メモしたノートがあるんですが誰か見ますか?」

アンナ、オード「見る!」

 

アンナとオードが真っ先に手を挙げた。

 

リール「はい。どうぞ」

 

リールはアンナとオードに1冊ずつノートを渡した。

 

リール「そしてこの机の横に窓があります。ここから綺麗な景色が見えますし、昼なら陽の光が、夜なら月明かりが差し込むので私のお気に入りなんです」

スカーレット「この環境…いいわね」

リール「ですよね!ですよね!」

 

リールは共感してくれて嬉しそうだった。

 

リール「あ、それで今この窓は閉まってるんですが、開けると鳥が入ってきて良い保養になりますね」

スカーレット「なるほど…」

リール「そしてベッドのこちら側には本棚があります。今私はこの家に住んでいますので、学校に持っていった分と今までここで勉強していた分の書物が入っています」

スカーレット「す、すごい…こんなにたくさん…」

 

リールの本棚は四段構造になっており、そのうち一段が学校の教科書でもう一段がリールがこれまで勉強してきたノートが置かれている。そしてそれ以外の二段は全て魔女さんの家で勉強するために魔女さんから貰った魔導書である。

 

リール「一段目が学校の教科書とかで、二段目が私のノートで、残りの段は全て魔女さんから頂いた魔導書になります」

スカーレット「ちょっと見せてもらってもいいかしら」

リール「はい。構いませんよ。スカーレットは雷属性魔法に適性があるのでこの書物をどうぞ」

 

スカーレットはリールから雷属性魔法の魔導書を受け取った。

 

スカーレット「ねぇリール」

リール「はい。何ですか?」

スカーレット「この魔導書…少し黄色くなってるのは何でかしら」

 

スカーレットがリールから受け取った魔導書は少し黄色がかっていた。

スカーレットはこの色の魔導書は見たことがないため、管理不足かと思っていた。

 

リール「あ、それは各属性魔法で色が入ってるんですよ」

スカーレット「各属性で…色?」

リール「はい。普通の魔導書だと見分けが難しいので、一目見てこの属性だと分かるように作られているんです」

スカーレット「え、でもこんな色の魔導書見たことないわよ…」

リール「元々魔女さんの魔導書でしたから、魔女さんが手を加えたのかもしれませんね」

スカーレット「あーなるほどね」

 

パラパラ…

スカーレットはリールから受け取った魔導書を読み始めた。

 

リール「ディア君とノーラ君も読んでみますか?」

ディア「え?」

ノーラ「俺たちも?」

リール「はい」

ディア、ノーラ「…」

 

ディアとノーラは互いの顔を見て結論を出した。

 

ディア「…じゃあ頼む」

ノーラ「俺も見たい…かな」

リール「分かりました。お二人はどの属性魔法ですか?」

ディア「俺は火属性魔法だ」

リール「えーっと火属性魔法は…あ!これですね」

 

リールは少し赤みがかった魔導書を取り出した。

 

リール「はい。これが火属性魔法の魔導書になります」

ディア「おぉ…」

 

ディアはリールから魔導書を受け取った。

 

ノーラ「あ、この魔導書も少し赤くなってる。これもさっき言ってたやつ?」

リール「はい。火属性魔法の魔導書は少し赤みがかってるんです」

ノーラ「なるほど…これは分かりやすい…」

リール「ノーラ君の属性魔法は何ですか?」

ノーラ「あ、俺は水属性魔法だ」

リール「分かりました。水属性魔法はこれですね」

 

ノーラはリールから魔導書を受け取った。

 

ノーラ「お、この魔導書は青みがかってる」

リール「ですね」

ノーラ「読んでもいいか?」

リール「はい。どうぞ」

 

パラパラ…

ディアとノーラは受け取った魔導書を読み始めた。

 

リール (あ、本棚整理しないと)

 

リールは本を取り出して空きができたスペースに本を詰めた。

 

リール (これでよし)

スカーレット「ねぇリール」

リール「はい。何ですか?」

スカーレット「この魔法なんだけど…」

 

スカーレットが魔導書を持って指さした。

 

スカーレット「この魔法って誰でも使えるの?」

 

スカーレットが見せてきた魔法は体に電気を纏わせて特定の場所を高速移動する魔法だった。

 

リール「雷属性魔法に適性がある人なら使えますよ」

スカーレット「そ、そうなのね…」

リール「ですが、この魔法は慣れるまで少し時間がかかりますよ。移動するスピードに自分が慣れないといけませんから要練習ですね」

スカーレット「なるほどね。ありがとう」

リール「はい」

アンナ「リールリール!」

リール「はい。何ですか?」

アンナ「これ!これ!」

 

アンナはリールのメモしたノートを見せてきた。

 

アンナ「この水属性魔法のメモってリールが書いたんだよね!?」

リール「はい。そうですよ」

アンナ「凄い字が綺麗だし、考察も的を射てる…私このノートを見て初めて水属性魔法の欠点とかその対処法分かったかも!」

リール「そうですか。力になれて良かったです」

アンナ「あれ…でもリールって光属性魔法の適性だよね?」

リール「はい。そうですよ」

アンナ「でもここに書かれてるものって全部現実味がある気がする…」

リール「現実味?」

オード「あ、俺もそう思う」

アンナ「オード君も?」

オード「あぁ。こんなに細かく魔法の事や弱点とか対処法とかを記せるなんてな…この火属性魔法のやつだってそうだ。俺でも知らないことを具体的に書いてある…これってどういう…」

アンナ「リールって火とか水の魔法って使えないはずだよね?」

リール「はい。使えませんよ」

アンナ「じゃあなんで…」

リール「まぁ、魔女さんは全属性魔法に適性がありますから」

アンナ「…あ!」

 

アンナはここで察した。

 

リール「なので魔女さんが最初から全部魔法を見せてくれたんです。各属性魔法の弱点やその対処法とかも一緒に」

アンナ「なるほど!すごい!」

オード「す…すげぇな…リールのお師匠さんって…」

リール「私の自慢のお師匠様ですよ」

スカーレット「確かにこれなら頭に残るわ…」

アンナ「スカーレット?」

スカーレット「この魔導書…一度見ただけなのにすごく頭に入るの…この魔導書の知識が私の中に吸い込まれていく感じよ…」

 

スカーレットは魔導書を抱いて身体を震わせながらそう言った。

 

ディア「オード…」

オード「ん?」

ディア「俺たちも委員長の意見に同感だ…」

オード「え!?ちょ、え!?どうしたお前ら!」

 

ディアとノーラはスカーレットと同じように魔導書を抱いて体を震わせていた。

 

ディア「この魔導書すげぇよ…バカな俺でもすげぇ頭に入る…もうこれ無しじゃ生きてけねぇよ…」

ノーラ「俺もだオード…俺もこの魔導書見て頭が掻き回されてるぜ…」

オード「ちょ、え!?大丈夫かお前ら!」

リール「すごいですよねその魔導書。私も同じように魔導書を見ただけで頭に入ってきたんですよ。あの時は驚きましたね」

オード (リールも!?)

リール「私はこの魔導書を見て今まで勉強してきましたので、ある程度の知識はありますよ」

スカーレット「なるほど…」

リール「でも分かるのはその魔導書に書かれていることだけですので、それ以外のことはよく分かりません」

アンナ「でもこのノートほんとに凄い…私もこれくらいになれたら…」

リール「アンナならなれますよ。きっと」

アンナ「そ、そうかな…」

スカーレット「ねぇリール」

リール「はい。なんですか?」

スカーレット「この一番下の段にある魔導書って何?」

リール「あ、これ全部無属性魔法の魔導書なんですよ」

スカーレット「え!?これ全部!?」

リール「はい。全部です」

 

リールの本棚は1番上に教科書等が置いており、二段目にリールのノート、三段目に各属性魔法の魔導書、そして一番下(四段目)に無属性魔法の魔導書が置かれている。

それぞれ教科書が9冊、リールのノートが12冊、各属性魔法の魔導書が8冊、無属性魔法の魔導書が9冊が置かれている。

 

スカーレット「え、無属性魔法の魔導書ってこんなにあるの…」

リール「はい。無属性魔法は属性魔法に属さない全ての魔法のことですのでこれくらいになりますよ」

スカーレット「属性魔法に属さない全ての魔法?」

リール「はい。例えばこれは…」

 

リールは一番左の魔導書を手に取った。

その魔導書は各属性魔法の魔導書と同じように少し色が着いていた。

今回リールが手に取った魔導書は薄めの緑色の魔導書だった。

 

リール「この薄い緑色の魔導書は回復魔法の魔導書になります」

スカーレット「回復魔法!?」

リール「はい。この魔導書には全ての回復魔法が記載されています」

スカーレット「す、すごいわね…」

リール「他にもありますよ。例えばこの魔導書は…」

 

リールは回復魔法の魔導書を戻し、次にその隣の薄い銀色の魔導書を手に取った。

 

リール「ほら、この魔導書は少し銀色が入ってるんですよ」

スカーレット「確かに…」

アンナ「どんな魔法なの?」

リール「これはテレポーテーションという移動系の魔法が記載されてる魔導書になります」

スカーレット「い、移動系の魔導書…初めて見た…」

リール「これを読んで勉強すれば箒に乗らなくても魔法さえ使えば一瞬で目的の場所に行くことができますよ」

オード「便利だな」

リール「はい!」

ディア「ほ、他には!他にはどんな魔導書があるんだ!?」

リール「そうですね…例えばこれは…」

 

リールは移動魔法の魔導書を戻し、その隣の薄い紫色の魔導書を手に取った。

 

リール「この魔導書は少し紫色になってますよね。これは毒に関する魔法が記載されてる魔導書なんですよ」

アンナ「毒!?」

リール「はい。毒はどの属性魔法にも属していないので無属性魔法という扱いになります」

オード「初めて聞いたぞ…毒属性魔法なんて…」

ノーラ「俺もだ…」

リール「この魔法は杖が必要ない魔法で唱えたら即座に効果が現れる魔法なんですよ」

アンナ「でも毒は怖い…」

リール「大丈夫ですよアンナ。この魔導書には毒だけでなく、色んな解毒薬の情報も載っていますよ」

アンナ「薬?」

リール「はい」

スカーレット「それは回復魔法の魔導書に無いの?」

リール「あ、回復魔法の魔導書は回復魔法魔法だけで、こちらは実際の薬草とかを調合するための魔導書になります」

オード「あ、じゃあ魔力が切れてもその魔導書の知識があればその場で薬草を作れるって訳だな」

リール「そうですオード君!そういう事です!」

オード「…」

 

オードは勝ち誇ったかのように右腕を掲げ、天を仰いだ。

 

リール「そして次はこれですね」

 

リールは毒属性魔法の魔導書を戻してその隣の深い青色の魔導書を取り出した。

 

リール「これさっきノーラ君に渡した魔導書よりも濃い青色になってますよね」

ノーラ「あ、確かに」

リール「この魔導書はデバフ…つまり、相手の耐性を下げる魔法になります」

オード「相手の耐性?」

リール「はい。本来各属性魔法に適性がある人って決まった属性魔法の効果を薄める特性を持っています。例えばオード君は火属性魔法なので風属性魔法の効果を薄める特性があります。ですが、このデバフの魔導書に書かれている魔法を使うことで、風属性魔法に対する耐性を下げて普段通りのダメージで攻撃できるようにするということです」

オード「なるほど」

スカーレット「便利な魔法ね」

リール「はい!」

アンナ「その隣にある黄色の魔導書って何?」

リール「これですか?これは…」

 

リールはデバフ魔法の魔導書を戻して、その隣にある薄い黄色の魔導書を取り出した。

 

リール「これはさっきの耐性を下げる魔法とは逆の効果を持つバフという魔法が書かれた魔導書になります」

アンナ「バフ?」

リール「はい。この魔導書には自分の魔法に対する耐性を上げる魔法が書かれています。これを使えばアンナなら雷属性魔法を受けてもダメージを抑えられます」

アンナ「へぇ!」

リール「他にもさっきの魔導書にもあるんですが、こっちの魔導書には自身の魔法攻撃力を上昇させたり、箒の飛ぶ速度とかも上昇させる魔法が書かれています。さっきの魔導書には相手の魔法攻撃力を下げる魔法や箒の飛ぶ速度を遅くする魔法が書かれています」

オード「じゃあその魔導書の内容を覚えてたら無敵じゃん!」

リール「そうそう!だからオード君の魔法があまり私に効果がなかったんですよ」

オード「うっ…頭が…」

リール「そして6冊目。これは…」

 

リールはバフ魔法の魔導書を戻し、その隣にある魔導書を手に取った。

 

リール「これは、少し本にヒビが入ってるのが見えますか?」

 

みんなはリールが指さした所を見た。

 

アンナ「確かに…」

スカーレット「ヒビが入ってるわね…」

ディア「壊れてるのか?」

リール「いいえ、違いますよ。これもその魔法の象徴となるものなんですよ」

ノーラ「なんの魔法なんだ?」

リール「これは、あらゆるものを破壊する魔法になります」

ディア「あらゆるものを破壊!?」

リール「はい。破壊します」

 

その場のリール以外の全員が驚いていた。

 

アンナ「え…破壊…」

スカーレット「す…すごい魔法ね…」

リール「はい!この魔導書には物体や実体のないものを破壊する魔法が書かれています。なので、瓶を割ったり、地面を割ったりできますよ!」

オード「す、すげぇな…」

ノーラ「お…おっかねぇ…」

リール「そして次はこれです!」

 

リールは破壊魔法の魔導書を戻し、その隣にある魔導書を手に取った。

 

リール「ほら見てください!この魔導書、全体的に見たら虹色に見えませんか?」

 

リールが手にした魔導書は少し虹色がかかった魔導書だった。

 

リール「この魔導書には幻視…つまり、幻覚を見せる魔法が書かれています」

スカーレット「幻覚…」

リール「はい!」

オード「じゃあこれを使えば相手は幻覚を見てこっちは攻撃し放題になるって訳だな」

リール「そうです!他にも自身の考えている風景を相手に見せて相手の考えてることや行動を制限できます!」

スカーレット「す、すごいわね…」

アンナ「うん…無属性魔法って弱いと思ってたけど…」

ノーラ「こうして聞くと1番強く感じるな…」

ディア「同感だ」

リール「そしてこの隣にある魔導書は…」

 

リールは幻覚魔法の魔導書を戻し、その隣の魔導書を手に取った。

その魔導書は薄いピンク色が入っていた。

 

リール「この魔導書はピンク色が見えると思うんですが、これが相手を支配する魔法が書かれた魔導書になります」

アンナ「相手を支配?」

リール「はい。相手を思い通りに動かすことが出来る魔法です」

オード (リールを…思い通りに…)

 

オードはよからぬ事を考えていた。

 

リール「この魔導書を読めば相手の行動を自分で指示できます!その名の通り、相手を支配しますので!」

アンナ「す、すごい…」

スカーレット「相手を支配ってことは自分を攻撃させることもできるの?」

リール「できますよ」

スカーレット「なるほど…それはすごいわね…」

リール「はい!そしてこれが最後の魔導書ですね」

 

リールは支配魔法の魔導書を戻し、最後の魔導書を取り出した。

 

ジャラッ…

その魔導書は鎖で縛られていた。

 

リール「これが最後の魔導書になりますね」

アンナ「え、鎖で縛られてる…」

オード「分かった!それは相手を縛る魔法だな!それを使えばどんな相手でも拘束できて行動を制限できる魔法だろ!」

リール「違いますよ」

オード「…」ズゥン…

 

オードは答えを外して落ち込んだ。

 

リール「この魔導書には次元を歪ませる魔法が書かれています」

アンナ「次元を歪ませる?」

リール「はい」

スカーレット「初めて聞いたわその魔法…どういった魔法なのかしら」

リール「これは、さっきも言ったように次元を歪ませることができる魔法が書かれた魔導書で、ここに書かれている魔法を使うことで相手の魔法の軌道を逸らせて自分に当たらないようにできます」

アンナ「へぇ!」

スカーレット「それって光属性魔法とか雷属性魔法みたいに速い魔法でも当たらないようにできるの?」

リール「はい。できますよ。空中を飛んで来る魔法全ての次元を歪ませることができます。ただし、空中を飛ばずに直接相手に効果がある魔法は防ぐことができません」

スカーレット「なるほどね…」

リール「ただしただし!」

スカーレット (ただしただし…?)

リール「直接相手に効果がある魔法は防げないと言いましたが!別の方法で防ぐことが可能です!その魔法がこの魔導書に書かれています!」

アンナ「へぇ!」

リール「その魔法を使えば自分の体を幻影状態にしてどんな魔法でも全て透過させることができます!」

オード「透過?」

リール「つまり、どんな魔法も効かなくなるってことです!オード君が言ってた無敵の魔法ですね!」

オード「すげええええええ!」

スカーレット「いやほんとにすごいわね…」

アンナ「確かに…無属性魔法ってこんなにすごいんだ…」

ノーラ「それ以外に無属性魔法って存在するのか?」

リール「一応物体浮遊の魔法とかはありますが、それは教科書とかに全部書かれていますよ。この魔導書にはあくまで実戦で使う魔法のみ書かれています」

ディア「いや、にしてもすげぇな…」

オード「ほんとだぜ…これさえ使えるようになれば俺たち無敵の魔法使いになれるぞ…」

全員「…」ゴクリ…

 

全員生唾を飲んだ。

 

全員「リール!」

リール「は、はい!何ですか!」

 

リールは突然みんなが言い寄ってきて驚いた。

 

スカーレット、アンナ「私たちに魔法教えて!」

オード、ディア、ノーラ「俺たちに魔法教えてくれ!」

リール「え、あ、えと…その…」

 

リールはみんなに迫られて心臓の鼓動が速くなっていた。

 

リール「は、はい…私でよければ…」

全員「いよっしゃあああああ!」

リール「はぁ…はぁ…」

 

リールは初めてのことでドキドキしていた。

 

リール (あぁぁ…びっくりしました…)

 

そしてみんなはリールに魔法を教えてもらうことになった。




〜物語メモ〜

リールの本棚にある無属性魔法の魔導書
リールの本棚には、魔女さんから貰った魔導書が置かれている。
その中で無属性魔法は全部で9つ置いてある。

無属性魔法
回復魔法の魔導書(色は薄い緑色)
あらゆる傷を治す魔法が書かれている魔導書で、魔法の強さによって治せる傷が変わってくる。
当然レベルの高い回復魔法を習得すれば、あらゆる傷を治すことが可能で、レベルが低くてもある程度の傷を癒すことができる。
回復魔法の魔導書を書いたのはラミエ先生。

移動魔法の魔導書(色は銀色)
目的地まで一瞬に移動ができる魔法が書かれている魔導書。
箒がない時に使うことで容易に移動が可能。
その上、箒よりも移動が速く魔力の消費も少ないため、覚えているだけで色々と節約できる。
それでもこの世界の人の移動手段が箒なのは、スカーレットたちと同じように無属性魔法=弱いという概念があり、誰も覚えようとしなかったから。

毒属性魔法の魔導書(色は薄い紫色)
あらゆる毒に関する魔法が書かれている魔導書。
弱いものから強力なものまで全て記載されており、毒の解除方法も一緒に載っている非常に便利な魔導書。
これは属性魔法に分類されてないにも関わらず、名前に属性魔法とついている異例な魔法。
ただし、毒属性魔法は自分以外の人に効果があるため、敵味方関係なしに効果が現れる。

減弱魔法の魔導書(色は濃い青色)
相手の魔法攻撃力を下げたり飛行速度を遅くするなど、相手にとって不都合な効果を与える魔法が書かれている魔導書。
他にも各属性魔法に対する耐性を下げる魔法も記載されており、これと併用することで効率よく相手にダメージを与えられる。
使うことによる代償も無いため、非常に強力な魔法。
これも無属性魔法=弱いという概念があり、誰も手をつけなかったため、存在が薄い魔法。

増強魔法の魔導書(色は薄い黄色)
自身の魔法攻撃力を上げたり飛行速度を速くするなど、自分にとって好都合な効果を与える魔法が書かれている魔導書。
他にも各属性魔法に対する耐性を上げる魔法も記載されており、これと併用することでダメージを軽減することができる。
使うことによる代償も無いため、非常に強力な魔法。
これも無属性魔法=弱いという概念があり、誰も手をつけなかったため、存在が薄い魔法。

破壊魔法の魔導書(色は無いが、ヒビが入っている)
あらゆるものを破壊する魔法が書かれている魔導書。
この魔導書には、物体だけでなく、実体のないものを破壊する魔法も記載されており、どんなものでも簡単に破壊できるようになる。
これは、相手の結界や自身にかかっているデバフ効果も破壊することができ、実質ほぼデバフ効果は意味を成さなくなる。
魔力を込める強さで破壊できる物が変わるのと、相手に直接破壊の効果を与えることができるのが特徴。

幻覚魔法の魔導書(色は虹色)
相手に幻覚を見せることで錯乱や行動制限をかける魔法が書かれている魔導書。
これは毒属性魔法とは違って任意の相手に与えることが可能で、この魔導書を読まないと解除の仕方や対処法も分からない。
一度発動すれば自身で解除するか、相手が解除しない限り効果は続く。
戦闘が終わったとしても解除されるまで幻覚魔法は続く。

支配魔法の魔導書(色はピンク色)
相手を支配し、自分の思い通りの行動をさせることができる魔法が書かれている魔導書。
対処法を知らない限り絶対受けてしまう魔法で、効果は自身で解除するか、相手が魔法を解除するまで続く。
代償は無く、自身を攻撃させるように指示すれば、相手はその指示に従って自身を攻撃し始める。

次元魔法の魔導書(色は無いが、鎖で縛られている)
あらゆる魔法の軌道を逸らせることができる魔法が書かれている魔導書。
相手の魔法攻撃を任意の方向に逸らせることで、ダメージを無効化する。
ただし、相手の魔法を消す訳では無いため、逸れた魔法はどこかに当たる。
おまけに、飛ぶ魔法以外の魔法(例えば毒属性魔法など)は軌道を逸らすことができないが、自身を幻影状態(実体がない状態)にすることで、魔法の効果を回避することができる。
ただし、実体のないものでも破壊することができる破壊魔法に関しては、この幻影状態を破壊することができるため、いくら次元魔法でも破壊魔法だけは防ぐことができない。


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第36話 リールとブエルタ王国の侵入者

私の名前はリール。

今魔女さんの家にいます。

アンナたちが私の部屋や生活を見たいということで、まず私の部屋を紹介しました。

みんなはその時、私の部屋の本棚にある魔導書やノートを見つけてそれを読んでいました。

その中で私が無属性魔法について説明するとみんなの目が一瞬で輝いて私に無属性魔法を教えてと言ってきました。

私自身あそこまで迫られたことがないので驚きと流れで「はい」と答えてしまいました。

でもみんなと同じ魔法を勉強するなんて初めてなのでちょっと楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…リールの部屋

 

リール「じゃ、じゃあ次はこちらに行きましょう」

 

リールたちはリールの部屋を出て隣の部屋に向かった。隣の部屋に着くとリールは部屋のドアを開けて部屋に入った。

 

リール「こちらは私の箒や杖、他にも色々な魔道具を置いている部屋になります」

 

スカーレット「おおおお!」

アンナ「おおおお!」

オード「おおおお!」

 

スカーレット、アンナ、オードは物珍しい目でその部屋を見た。

 

オード「すげぇ!」

アンナ「ほんと…色々ある…」

スカーレット「これ…全部本物だわ…」

リール「そりゃあ偽物なんて置きませんよ…」

アンナ「ねぇリール」

リール「はい。何ですか?」

アンナ「これ何?」

 

アンナは机の上に置いてあるドーム状の置物を指さした。

 

リール「あ、これは天気を見るためのものですよ」

アンナ「天気?」

リール「はい。私がここで魔法の勉強をしてた時に使っていたものです。場所を設定すると、今日、明日、明後日の天気が見れます。私はこれを使って外で魔法を使うか、家の中で魔法を使うかを決めていました」

アンナ「すごい…」

オード「なぁリール!これなんだ?」

 

オードは棒状の物を指さした。

 

リール「あ、これはですね。よっと…これは床に刺すことで…」

 

コンッ!

リールはその棒状のものを部屋の床に突き刺した。

 

ブゥン…ピピピ…

突然、その棒から音が出た。

 

オード「うおっ…なんだ?」

リール「これは言わば辺りを照らすものになります」

 

ピカッ!

するとその棒状のものから凄まじい光が出てきた。

 

オード「うわっ!眩しい!」

リール「まぁ仕方ないです。今これは太陽の光を受けて光っているんです。なので本来よりも強い光を放っているんです」

スカーレット「てことは光の量で調整できるってわけ?」

リール「正解です。これは本来夜に使うものなんですが、その時に月明かりを拾って周囲を照らすんです」

スカーレット「なるほど…」

リール「まぁ時々月が見えなくなる時があるので、そうなるとこの棒も光を失います。その時は私の光属性魔法の出番ですね」

スカーレット「面白い魔道具ね」

リール「はい!」

アンナ「じゃあリール!これ何!?」

 

アンナは棚に置いてある計測器を持ってきた。

 

リール「これは自分の魔力を計測するためのものですよ」

アンナ「魔力が分かるの!?」

リール「はい。魔力が分かれば勝てる戦いか負ける戦いかを見極めることができますよ」

アンナ「やりたい!」

リール「分かりました。ちょっと貸してください」

アンナ「はい」

 

アンナはリールに計測器を渡した。

リールは手際よくその計測器をつけた。

 

リール「はい。これで完了です。あとはこちらに魔力を送れば計測できますよ」

アンナ「魔力を送ればいいの?それだけ?」

リール「はい。ただし全力でやってください。中途半端な魔力だと後々自分が困ることになりますよ」

アンナ「分かった!」

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

アンナは魔力を溜め始めた。

 

リール「…もう大丈夫ですか?」

アンナ「うん…これくらいが限界…」

リール「ではあとはこれにその魔力を送ってください」

アンナ「…うん」

 

ヒュゥゥゥゥ…

アンナは計測器に自分の魔力を送った。

 

ピピピ!ピピピピピピピピピ!

すると計測器が突然音を鳴らして計測し始めた。

 

リール「これでアンナの魔力が分かりますよ」

 

ピピピ!ピピピ!ピピピ!

計測器が計測した結果を見せてきた。

 

リール「アンナの魔力は245ですね」

アンナ「245…?」

リール「はい。こちらがアンナの魔力になります」

アンナ「245って高いの?」

リール「うーん…参考にはならないと思いますが、魔女さんがこれを使った時はエラーを起こして壊れちゃったんですよ」

アンナ「え!?」

リール「多分魔女さんの魔力が強すぎたんだと思います」

アンナ「す、すごい…」

スカーレット「リールの魔力は?」

リール「魔女さんが壊しちゃって計測できなかったんですよ」

スカーレット「あらそう…」

オード「ならみんなでやろうぜ。これなら大体どれくらいの強さか分かるだろうしな」

スカーレット「そうね。私も実際の魔力を知りたかったのよ」

リール「あ、先に言っておきます」

スカーレット「何?」

リール「この計測器は1000までが限界ですので、それ以上いくと壊れちゃいます。ですが手は抜かないでくださいね」

スカーレット「当たり前よ。さ、やりましょう」

 

こうしてスカーレット、オード、ディア、ノーラの魔力計測が始まった。

 

リール「あ、スカーレットの魔力は332ですね」

スカーレット「332?」

リール「ですね」

スカーレット「うーん…」

アンナ「すごいスカーレット!私よりも高い!」

スカーレット「そ、そうね…」

オード「リール!俺は!?俺は!?」

リール「えーっとオード君は…」

 

リールは計測器を見た。

 

リール「あ、オード君は318ですね」

オード「え!?委員長よりも低い!?」

スカーレット「あらそうなの?」

リール「ですね」

オード「くそったれえええええええ!負けたあああ!」

スカーレット「あらあら…まぁまぁ…ふふふ…」

オード「笑うなぁ!」

ディア「リール。俺たちはどうだ?」

リール「えーっと…ディア君は327ですね」

オード「え!?ディアも俺より高いのか!?」

ディア「ふっふっふっ…俺の勝ちだなオード」

オード「がああああああ!」

ノーラ「リール。俺のはどうだ」

リール「あ、えーっと…わ!すごい!ノーラ君の魔力387ですよ!」

オード「なに!?」

ディア「3…387…」

ノーラ「え、じゃあ1番高いのか?俺」

リール「はい!1番高いですよ!」

ノーラ「しゃああああああああ!」

 

ノーラはガッツポーズを取って大いに喜んだ。

 

オード「があああああ!負けたあああああ!」

ノーラ「あっははははは!俺が1位だあああ!」

ディア「ふざけるなあああああ!」

スカーレット「や…やかましいわね…この人たち…」

アンナ「あはは…」

オード「リール!もう1回だ!もう1回やらせてくれ!」

リール「は、はい…どうぞ…」

 

オードはもう一度魔力を計測した。

 

オード「ど…どうだ…リール…はぁ…はぁ…」

 

オードは目一杯魔力を込めた。

 

リール「えーっと…わ!すごい!オード君さっきよりも高くなってますよ!」

オード「ほんとか!?どれくらいだ!!」

リール「322ですね」

オード「え…322…」

ディア「てことはさっきのと比べて4しか上がってないわけだな」

オード「な…」

ノーラ「まぁ気にすんなってオード。これから頑張れば俺を追い越すくらいできるっての」

オード「うるせえええええ!」

 

オードたちは取っ組み合いをし始めた。

 

リール「あはは…」

アンナ「そういえばリールの魔力は?」

リール「え…私の魔力ですか?」

アンナ「うん」

スカーレット「確かに…気になるわね」

リール「うーん…やってみましょうか」

アンナ「やってみて!」

 

リールは計測器に魔力を込めた。

 

ディア「ん?何やってるんだ?」

スカーレット「リールの魔力を見てるのよ」

ディア「リールの?」

スカーレット「そうよ」

ディア「おーいオード!」

オード「あ?なんだよ」

ディア「リールが自分の魔力を計測してるらしいぜ」

オード「なに!?」

ディア「お前も一緒に見ようぜ」

オード「見る!」

 

オードとノーラもリールの魔力を見ようとした。

 

ピピピ!ピピピ!ピピピ!

計測器がリールの魔力を計測し終えた。

 

リール「ふぅ…」

アンナ「結果は?」

リール「えーっと…」

 

オードたちは聞き耳を立てた。

 

リール「エ…エラー…です」

スカーレット「…え?エラー?」

リール「は、はい…」

 

計測器は数字ではなくErという文字だけが表示されていた。

 

オード「え、じゃあ…」

ノーラ「魔力が…1000よりも高い…」

ディア「ってことか?」

リール「そ…そうなりますね…」

アンナ「すごいリール!魔力が1000もあるなんて!!」

リール「え…えーっと…」

オード「すげぇ…」

ノーラ「じゃあリールが1番高いな!」

リール「そ、そうですね…」

ディア「あれ?オード?」

オード「な、なんだよ」

ディア「こんなに差があるんじゃ足でまといになりそうだな」

オード「うるせぇ!俺はこの中で1番になってやるからな!」

ノーラ「いや…リールより上は難しいんじゃないか?」

オード「やってやる!」

リール「頑張って下さい!オード君!」

オード「!!」

 

オードは突然胸が熱くなった。

 

オード (絶対…勝ってみせる!)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…家の裏

 

リール「さて、こちらがいつもゴミを捨てる場所になります」

 

リールが指さしたのは家の壁だった。

 

スカーレット「え?ただの壁よ?」

アンナ「うん。私もそう見える」

リール「あ、普段は見えないんです。でもここにゴミ袋を置くと魔法が作動して燃やしてくれるんです」

スカーレット「へぇ…すごいわね…」

リール「見てみますか?」

スカーレット「え、見せてくれるの?」

リール「はい。大丈夫ですよ」

スカーレット「じゃあ見せてもらえる?」

オード「俺も見たい!火属性魔法なんだろ?なら俺は絶対見るべきだと思うから!」

リール「はい!ではゴミ袋を持ってきますね」

 

そう言ってリールは家からゴミ袋を持ってきた。

 

リール「では見ててくださいね」

 

ガサッ…

リールはゴミ袋をそこに置いた。

 

リール「ここに置くと魔法が作動して…」

 

ボボッ!

突然火属性魔法が発動してゴミ袋が燃え始めた。

 

アンナ「わ