仮面ライダーダークディケイド ~ダークライダーの世界~ (アカリマシン)
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プロローグ

冷たい空間…ただそこに一人だけ、ずっと立ち尽くしている影が1つ。

この少年は久野 終夜。何処かも分からないこの空間でたった一人で立っているのだ。

 

「ここは…何処なんだ…。」

 

記憶もなければ、ここが何処かも分からない。突風のような風が突如吹き…目を閉じる。

目を開けてみると…そこには、大量の怪人達が潜んでいた。

終夜の腰には、四角形の真っ黒なバックルがあり…そのドライバーを見ていると、不思議なことに使い方が勝手に分かるのだ。

ドライバーを開き、本型の『ライドブッカー』からカードを一枚引き抜く。

 

「変身!」

 

【KAMENRIDE DRAKDECADE!】

 

ドライバーに挿入して閉じると、彼の体を真っ黒な鎧が包み込む。灰色の影が幾つも重なっていき、それがやがて人の形を成していく。

プレートが顔に何枚も突き刺さり、目がブルー色に怪しく光る。

仮面ライダーダークディケイド…闇に生きる戦士達の力を持つ者の名である。

 

Dディケイドは、ライドブッカーを剣モードへとチェンジさせると襲ってきた怪人達をなぎ倒していく。

しかし、うじゃうじゃと沸いてくる怪人に対してDディケイドはライドブッカーからカードを一枚引き抜いて、ドライバーに挿入する。

 

【ATTACKRIDE SLASH!】

 

ライドブッカーの刀身が灰色に光ると、怪人達を連続で斬っていく。

最後にその場で一回転し、回りに集まっていた怪人達を凪払うように撃破する。

そしてDディケイドは、ライドブッカーから再びカードを一枚引き抜くとドライバーに挿入する。

 

【ATTACKRIDE BRAST!】

 

今度はライドブッカーを銃モードに持ち変えて、奥から現れた怪人を連続で撃ち抜いていく。

銃口が分身しているお陰なのか、どんどん怪人達の数が減っていく。最後の怪人を撃ち抜いた瞬間……変身が解けてしまった。

 

「……なんだ、これ…!」

 

このドライバーをまるで今まで使ってきたかのように…。馴れているかのような手つきと動作…。自分は一体…何者なんだ…?

そんな疑問を持っていると、後ろから拍手が送られる。振り向いてみると…そこに居たのは、一人の男性であった。

 

「流石だね~…君がダークディケイドライバーの持ち主って訳か。」

 

ダークディケイドライバー…恐らくはこの四角形のアイテムの事を言っているのだろうけど…。

 

 

「君の名前は?」

 

「……久野 終夜です。」

 

「じゃあ、終夜。君は記憶を失っている…だけど君には是非やって貰いたいことがある。」

 

男性が指を鳴らすと、冷たく暗い空間はなくなり…代わりに建物の中に居た。

建物の中は妙に暖かい。

 

「ダークディケイドライバーの持ち主は、世界を旅して貰う。

そのドライバーの力は、今は失っている状況なんだよ。だから君にはその力を取り戻すために旅をして貰うことになる。

もし断るのなら、ここから追い出して路頭に迷わせるけどね?」

 

終夜に考える時間は与えないようだ…。これは了承するしかないだろう。

最初から逃げ道なんてなかった気もするが……。

 

「わかった…。不本意ですけど、協力します…。」

 

「ありがとうね。それじゃあ、行きますか。最初の世界に。」

 

そう言って彼が部屋の壁に額縁を飾る。その瞬間、絵が浮かび上がっていく。

その絵には、黒いコウモリが月に照らされた闇の空を羽ばたいている絵であった。

 

 

 

 

 

 




次回の、仮面ライダーダークディケイドは…

『俺はこの世界のキングである!』

『ダークキバの世界…』

『君が回って貰う世界は、19もあるからね。』

「次回 俺の名はキング!」


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仮面ライダーダークキバの世界
第一楽章♪ 俺の名はキング!


「絵が、変わった…!?」

 

絵が変わったことに驚く終夜。しかし、男は変わった所は絵だけではないと言う。

 

「ここは…全くの別世界。所謂、並行世界の1つ。」

 

「並行…世界…?」

 

男が言うには、この世界は並行世界の1つであるのだと言う。そんな話は信じられない…と言うのが常識なのだが、実際に移動している。

実は先程、外を見たのだが…暗い空間などではなかったのではなく、明るい空が広がっていた。

 

「ここって何処なんだ…」

 

「ここは、ダークキバの世界だよ。」

 

「ダークキバの世界…」

 

ライドブッカーからカードが勝手に飛び出し、俺の手に収まる。そのカードは灰色の影が写されてるのだが…。

それがダークキバのカードだと分かるのは、そう時間はかからない。

 

「……」

 

「君の記憶が戻るとは限らないけど。」

 

 

最後にそう付け加えて、男はコーヒーを入れて飲み始める。終夜にとっては記憶を取り戻すことが先決かも知れないが…もしそれを優先した場合、ダークディケイドの力を取り戻すことが出来ずにここから追い出されるだろう。

 

「……取りあえずさ、調査してくる。そのダークキバについては調査していけば分かるかもしれないから…」

 

「それともう1つ。君に回って貰う世界は19もあるからね。」

 

……なんか変な言葉を聞いた気がするが、特に気にすることはなく外にでて調査を始めることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『マシンダークディケイダー』に乗り、この世界を少しだけ見てみることにした。

この世界がどんなところかは知らないが、人間がたくさん居ることくらいはわかった。

 

「(う~ん…どうしようかな。ダークキバを知ってますか?って言ってら頭可笑しい人って思われるよな…。)」

 

 

バカ正直に聞くわけにはいかないので、どう質問しようか迷っていると…後ろからやって来た誰かにぶつかってしまう。

 

「す、すいません……!」

 

後ろを振り向いてみると終夜は驚愕した。そのぶつかってきた人…いや、()()()()()のような装飾が目立つ男がいたのだ。

その男は俺を見つけるとニヤリと笑う。

 

「若い人間か…。お前のライフエナジーをいただく!」

 

するとその男は、人のライフエナジーを狙う怪物であるファンガイアへと変化した。

その姿はイノシシを模した姿をしていた。

 

ビーストクラスのウォートホッグファンガイアが、終夜目掛けて突進してくる。

終夜はウォートホッグファンガイアの突進攻撃を乗り越える形でかわし、ダークディケイドライバーを腰に装着し、カードを一枚引き抜く。

 

「変身」

 

【KAMENRIDE DARKDECADE!】

 

Dディケイドに変身すると、ライドブッカー・剣モードを装備する。ウォートホッグファンガイアは、雄叫びを上げると再び突進してくる。

Dディケイドは突進攻撃を受け止めようとしたが、そのパワーに敵わず吹き飛ばされてしまう。

 

「うぁっ!」

 

壁に激突したDディケイドは、痛みに耐えてなんとか立ち上がる。ライドブッカー・剣モードを構え直すが…ウォートホッグファンガイアはまるで自身のパワーを見せつけるかのような戦いをしてくる。

 

「俺がキングとなり、新しいファンガイアの王となる!その為の、礎となれ!」

 

【ATTACKRIDE SLASH!】

 

しかし、ドライバーに挿入していたカードの力でライドブッカーの刀身が分身し、ウォートホッグファンガイアを連続で斬りつけていく。

少しだけながら、ダメージを与えていた。

 

「ぐうぅ!貴様…!」

 

ライドブッカーからカードを一枚引き抜き、ドライバーに挿入する。

 

 

【FINALATTACKRIDE DA DA DA DARKDECADE!】

 

 

黄色いカード型のエネルギーがDディケイドの目の前に並ぶと、そのエネルギーを潜っていってウォートホッグファンガイアまで辿り着くと、ライドブッカー・剣モードで切り裂く。

必殺技『ディメンションスラッシュ』を受けたウォートホッグファンガイアは欠片となって散った。

 

 

「はぁ…はぁ…何だよ、あれ…」

 

「お前…ファンガイアを倒したのか…!」

 

声を掛けられ振り向くと、そこに居たのは一人の男性であった。

 

 

「あんたは…」

 

「俺の名はキングだ!何でファンガイアを倒せるんだ!答えろ!」

 

「えっ…えっと…」

 

終夜には何で相手が怒っているのかが分からなかった。あのファンガイアと言う怪物の仲間なのか…考えていても答えはでてこない。

だが男性は痺れを切らし、手を空中に掲げる。その瞬間…黒い蝙蝠のような生き物がキングの回りを旋回する。

 

「答えないのなら、力づくでも聞き出してやる!こい、蝙蝠モドキ!」

 

『やれやれ…だが良いだろう。喜べ、絶滅タイムだ!ガブリッ!』

 

 

その黒い蝙蝠は、キングの手を噛む。キングのからだの中に魔皇力が流れだし、体には先程のファンガイアと同じようなガラス細工のようなものが浮き出てくる。

腰には、止まり木のようなベルトが巻かれており…蝙蝠を逆さまにしてセットする。

 

「変身!」

 

キングの体に、王の鎧が現れる。ファンガイアの王の象徴とも呼べるその鎧は…終夜だけではなく、他の人間をも魅了していた。

 

「あれってキングじゃん!」

 

「嘘だろ!なんで王がいるんだ!?」

 

そしてその姿は、終夜の探しているものでもあった。

 

「(仮面ライダー…ダークキバ!)」

 

「行くぞ!」

 

仮面ライダーダークキバ…この世界の仮面ライダーの名である。

 




次回の仮面ライダーダークディケイドは

『お前は何者だ!』

『こいつは、ファンガイアの王でありながら人間を守るために自信の種族を裏切った奴だからな。』


「次回 裏切り者の王」


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衝撃♪ 裏切り者の王

Dディケイドとダークキバとの戦いは接戦……とは、言い難い状態であった。

その問題点としては固い装甲にあった。パンチや蹴りなどでは、ダークキバの高い防御力になす術もなく追いやられるDディケイド。

 

「ハッ!」

 

「ぐっ!」

 

更には本人の戦闘能力が相まって、先程のファンガイアとの戦闘でダメージがあるのも理由の1つだが、それ以上に戦闘経験が乏しい終夜では、キングには及ばない。

 

「さあ答えて貰うぞ…!その力の事を…!」

 

「喋るわけには…いかない!」

 

「そうか…!ならば、今ここでその鎧を破壊させて貰う!」

 

野次馬達からの声が回りから聞こえる。ライドブッカーでどれだけ斬ろうとしても、撃っても…全くダメージが入ってる様子が見当たらない。

そんな状態では、とてもDディケイドが勝てると言うイメージが思い付かない。

 

『…キング、そろそろ決めろ。』

 

「言われなくても分かっている!」

 

 

そう言うと、黒い蝙蝠にウェイクアップフエッスルを噛ませて吹かせる。

 

『ウェイクアップⅡ!』

 

ダークキバの後ろに自身のライダーズクレクトが浮かび上がると、そのエネルギーが右足にたまる。

そしてジャンプしたと同時に、右足を突き出して蹴りを放つ。

 

「…!」

 

「ハアァァ!」

 

Dディケイド蹴りが当たる直前…一人の女性が割り込んできた。その女性に蹴りを当てるわけにもいかず、不発に終わらせた。

 

「マヤ…!」

 

「キング、あなたはまた勝手に王の鎧を使ったのですか…!」

 

「そ、それは…」

 

そして女性は変身を解いた終夜に頭を下げた。

 

 

「申し訳ありません。私の名はマヤと申します。この度は、キングがご迷惑をお掛けしました…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャッスルドラン……そこは、ダークキバが住む根城。そこで、キングとマヤと終夜が椅子に座り込んでいた。

 

 

「俺の名前はキングだ。さっきはお前の力をファンガイアが作り出した新たな兵器だと勘違いをしていたんだ。

…すまなかった!」

 

そう言って土下座するキング。終夜は慌てて頭を上げるようにお願いしたのだが…

 

「頭を上げてください!王様が土下座なんてみっともないですよ!」

 

「しかし…!」

 

「頭を上げなさい。あなたが王である以上、醜態を去らさないで。」

 

「!…す、すまない、マヤ…」

 

そんな会話をしていると、黒い蝙蝠が飛んで来た。キングをダークキバへと変身させた蝙蝠で間違いはなかった。

 

『俺様はキバットバット2世だ。宜しく頼む。』

 

「俺は久野 終夜っていいます。宜しくお願いします。」

 

 

それぞれの自己紹介を終えた後、早速本題に入ることにした。

 

「その君の力…ファンガイアが作ったものじゃなければいったい、何なんだい?」

 

「えっと……信じて貰えないかもしれないですが、話しますね。」

 

そして、俺はダークディケイドライバーについて知る限りの事を話した。信じて貰えないかもしれないが、それでも嘘をつくよりかは、はるかにマシだ。

話終えた後、キングは腕組みをして暫く考えていたが…

 

「分かった。お前の話を信じよう。」

 

「本当ですか!?」

 

「あぁ、お前が嘘をついてるとも思えないからな。」

 

マヤはため息を吐いていたが、別に不満があるわけではないので特に言及はしなかった。

だが、終夜は気になっていたことがあった。それは…キング自身についてである。

 

「あの…キングさん。あなたは……」

 

するとその質問に答えたのは、キング本人ではなく2世であった。

しかもそれは、終夜には驚くべき内容であった。

 

 

『こいつはファンガイアの王だがな…こいつは、人間を守るために自ら自分の種族を裏切った奴だからな。』

 

 

「ファンガイアの…王様…」

 

「……あぁ。」

 

キングはファンガイアの王様であった。しかし、何故人間に味方をするようになったのか…。

しかしそれを言うと、今度は恥ずかしくなったのかキングは全く話してくれなかった。




次回の仮面ライダーダークディケイドは

『裏切り者の王は…ここで終わる』

『何故…こいつが復活したんだ!?』

『キングとイレギュラーよ。激しく、そして華麗な勝負を始めましょう?』

「次回 新たなライダー」


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レディ♪ 新たなライダー

キング達と話してから終夜は、男が待っている家へと帰っていった。

そして家の中に入ると、男が食事を作って待っていた。

 

「やぁ、情報は集め終わったかい?」

 

「……それどころか、ダークキバ本人に会った。」

 

「!…それは朗報だね。」

 

男は驚きはしたが、直ぐにいつもの調子に戻り夕飯を食べることにした。

夕飯を食べている最中…終夜はダークキバの事について話し始めた。

 

「仮面ライダーダークキバ…ファンガイアの王であり、人間に加担して自分の種族を裏切った男か…中々面白いじゃないか。」

 

「……」

 

「おや?何か不満かい?」

 

「……いや、あの人は王様なんですよね?だったら…自分の国民に考えを話せば分かってくれる人が居るんじゃないですか?」

 

ファンガイアとは言え、人間と分かり合える者が居るのではないか?

キングだって、人間の女性と一緒に暮らしてる。だからキングと同じような者が出てくるかもしれないと踏んだ…しかし

 

「それは無理だと思うな。」

 

しかし帰ってきたのはそんな言葉だった。当然、疑問を浮かべた。何故、そんな事が分かるように言えるのかを。

反論をしようともしたが……次の言葉が続いた。

 

「もし、キングと同じ意思を持っていたら?そんな考えは甘えだよ。

単純に言えば、もしも、もしもそうだったとしても、人間にとってはファンガイアは恐れるべき怪物だし、ファンガイアにとっては人間は家畜のような存在なんだ。

ま、要は彼らには絶対に埋めることの出来ない溝が存在するんだよ。」

 

 

その言葉で完全に黙ってしまった。種族間の価値観…それを出されては何も言い出すことは出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夜……アゲハ蝶を彷彿とさせるスワローテイルファンガイアとライオンファンガイアが棺の前に立っていた。

さらにその奥から現れたのは、カマキリを彷彿とさせるマンティスファンガイアが現れる。

 

「遂に…この時が来ましたね。」

 

「さっさとこいつを復活させようか。」

 

そう言うと、ライオンファンガイアが棺を開ける。その中にはガラス片が詰められていた。

その瞬間…ライオンファンガイアのライフエナジーが突如としてそのガラス片に吸い込まれ、ライオンファンガイアは死んだ。

 

 

「なっ!?」

 

「ビショップよ。あなたも糧となってもらいます。」

 

マンティスファンガイアが自分の特物である鎌を振りかざして、スワローテイルファンガイアを攻撃し始める。

何とか逃げようと抵抗するも、投げられた鎌が刺さり死亡、ライフエナジーがガラス片に吸い込まれた。

そしてガラス片が光だしたと同時に、それは段々と異形の存在であるファンガイアへと変化していく。

 

その姿は、オオサンショウオを彷彿とさせるギガマンダファンガイアへとその姿を変えた。

このファンガイアは、元・ファンガイアの王であったが今のキングとの決闘に敗れずっと眠り続けていたのだが、マンティスの手により復活を果たしたのだ。

 

「キングは…ここで終わる。」

 

マンティスファンガイアは、静かにそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝…キングと再び出会った俺は、この世界の町並みを教えてもらえることになった。

 

「お前はこの町を知らなさそうだからな。俺が教えよう。」

 

見学をしながら、キングについて考える。ファンガイアと人間の間には深い溝がある……。彼は、この現状を一体どう思ってるのだろうか……。

 

少し疲れて休憩している最中、俺は何となく聞いてみた。何故、自分の種族を裏切ってまで人間の味方をしようと思ったのかを。

すると、彼はこう答えた。

 

「俺は人間が好きだ。だからこそ、ファンガイアと一緒に共存してほしい。

単純な我が儘なのかも知れんが、俺はいつか人間とファンガイアが対等な立場となって平和に共存できる世界を作りたいんだ。」

 

……この人はやっぱり凄いんだ。王としてだけではなく、二つの種族の事をキチンと考えている。

だけどやっぱり…こういう人から裏切りを受けた者達のことを考えてみると…。

 

「あの…」

 

言葉を続けようとしたその時、キングが不意に立ち上がった。その目先にいるのは、先程復活したギガマンダファンガイアだ。

そしてキングの表情は……驚きの表情であった。

 

「何故…お前が復活しているんだ!?」

 

「私が復活させたのです。」

 

続いて現れたのは、スーツ姿の女性だ。だがその女性を見たキングは顔を歪ませる。

 

「貴様が…!」

 

「今のキングは人間を支配するのに相応しくはありません。故に、彼を復活させたのです。」

 

ギガマンダファンガイアに手を添える女性。どうやら、ファンガイアの方に自我は無いように思える。

そんな事を考えていると、女性は口笛を吹くと白い機械生命体の『サガーク』が現れる。

 

「サガークよ、私に力を。」

 

「%♯♯〒#」

 

終夜には、サガークの言っている意味が分からないがそんな事はお構いなしにサガークベルトとして腰に巻く。

そしてジャコーダと呼ばれる道具をサガークベルトに差し込むと、その姿は見たことのないライダーへと変身したのだ。

 

「それは……」

 

「キングとイレギュラーよ。激しく、そして華麗な勝負を始めましょう?」




次回の仮面ライダーダークディケイドは

『終わりですよ、キングよ。』

『人間の為に戦うことの何が悪い!』

『お前、この俺の力を使うか?』

次回「奪われた王の鎧」


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デッドファイト♪奪われた王の鎧

女性が変身したライダー…仮面ライダーサガはジャコーダを鞭のように振るう。

キングと終夜はそれぞれ攻撃をかわし、キングは2世を自分の手に噛ませて、終夜はダークディケイドライバーを腰に装着してカードを一枚挿入する。

 

「「変身!」」

 

【KAMENRIDE DARKDECADE!】

 

Dディケイドはサガへ、ダークキバはギガマンダファンガイアへと向かっていく。

 

 

サガが、ジャコーダを使って簡単にはDディケイドを近づかせないように攻撃をする。

鞭のようにしなるジャコーダに苦戦しながらも、何とか近づいていきライドブッカー・ソードモードで斬りかかる。

が、先程まで鞭のように使っていたジャコーダが急に刺突剣へと早変わりし、ライドブッカーの斬撃を受け止めた。

 

「!?」

 

「攻撃があれだけだと?」

 

目にも止まらぬ高速の突き技がDディケイドに炸裂。カードを取り出せる暇もなく、ガードに徹するしかない。

だが、それも直ぐに崩され空中に投げ出されるかのように飛ばされてしまい地面に落下。

 

「ぐあっ!」

 

「終夜!」

 

ダークキバは、ギガマンダファンガイアとの戦闘中であったが終夜の方に振り向いてしまう。

しかし、それがまずかった。ギガマンダファンガイアは口から爆発する光弾を近距離で放ってきたのだ。いくら防御力が高いダークキバでも、まともに喰らえば無事では済むわけがなく…大ダメージを受けて終夜の元に転がってきた。

 

「案外呆気ないものでしたが、終わりですよ、王よ。」

 

そう言って二人に向けてジャコーダを向けるサガ。すると、サガは不満のようなものを愚痴り始めた。

 

「何故、王は人間と言う家畜に愛情を持ち始めたのか理由が掴めませんね。

我々にとっては食料でしかない筈なのに…。愚かでしょうがない。」

 

それは、今のキングへの不満であった。自分達ではなく人間に味方をしたキングへの失望と疑問。

彼女もまた、キングに裏切られたと言っても過言ではなかった。

それに対してキングは…

 

「人間を愛して何が悪い!俺は、ファンガイアの中で暮らすのが息苦しかったんだ。

だから、自由に暮らす人間に興味を引かれた…それだけだ!」

 

「違いますね。あなたは、愚かな人間に恋をした。」

 

キングの反論は、サガの一言で封じられた。人間への恋…それはファンガイアにとっては禁忌とも呼ばれる行為。

ファンガイアは人間を見下しているが、逆に力をつけられたらいつか反撃されてしまうのではないか?と言う思いもあるのだ。

だから、ファンガイアが人間に恋をすること、ファンガイアが人間の進化を手伝ってしまうのではないか?

彼らの持つその思いから、人間に恋をしたファンガイアは処刑対象となるのだ。勿論、キングも例外ではない。

 

 

 

「確か、マヤと言いましたか。ではあの女性を我々で殺してあげます。

そうすれば、王も考えが変わるでしょう。ま、あなたも処刑対象になりますが…ね!」

 

ジャコーダを鞭のようにしならせると、ダークキバのベルトから2世を弾き飛ばす。

そして、鞭で絡めとると2世を鷲掴みにする。

 

『貴様…!離せ!』

 

「2世!」

 

「あなたからこの鎧は没収し、再び王の元へと戻るのです。」

 

そう言うと、2世にギガマンダファンガイアの体を無理矢理噛ませる。

魔皇力を流し込んで現れたベルトに装着すると、ギガマンダファンガイアはダークキバへと姿を変えた。

 

「俺の鎧が…!」

 

「そんな…!」

 

「さて、あなた達には眠ってて貰います。それでは…死になさい!」

 

再びジャコーダが二人に襲いかかる。しかし、Dディケイドはライドブッカーから既に一枚のカードを取り出しており、それをドライバーに挿入する。

 

【ATTACKRIDE INVISIBLE!】

 

回避技…インビジブルの効果で、キングを連れて回避。それによって攻撃をかわすことに成功した。

サガは少し舌打ちしたが、マヤがいるであろうキャッスルドランへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「離せ!早く行かなければ…マヤが!」

 

「駄目ですよ!ダークキバに変身できないあなたが言っても殺されるだけです!」

 

インビジブルで男の元へと避難したのだが、キングが行くと言って仕方がないのだ。

男は特に止めるつもりはないらしい。

 

「鎧がないからなんだ!俺は、マヤを助けなきゃならないんだ!」

 

「まずは作戦を立ててからです!そうじゃなきゃ「それじゃあ遅いんだ!」!」

 

キングの大声で止まってしまう終夜。声を荒げたキングは、尚も言葉を続ける。

 

「俺は…初めてマヤにであった時、初めて恋をしたんだ。今まで、どんなにファンガイアの女を見てもなびかなかったのに…。

俺にとって、マヤはかけがえのない俺の大切なパートナーなんだ。」

 

 

それだけ言うと、今度こそ出ていってしまった。終夜は止めることが出来ずに、ただ見ていることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガッ!」

 

キングは一人でキャッスルドランに乗り込んで居たのだが、其処に待っていたのは…かつてキングが倒した筈の2体のファンガイアであった。

ハサミ虫を彷彿とさせるイヤーヴィッグファンガイアと、ワタリガニを彷彿とさせるクラブファンガイアの2体だ。恐らく、マンティスファンガイアの能力で復活したのだろう。

 

「俺の…俺の邪魔をするなーーー!!」

 

イヤーヴィッグファンガイアに付けられた切り傷、クラブファンガイアのハサミによる殴打によって付けられた痣。

もう既にキングの体はボロボロであった。しかし、愛する者の為に戦う彼の姿を見ていた者が、その戦いに割り込んできたのだ。

 

 

『お前、ボロボロじゃないか。そんな姿で何をしてるんだ?』

 

「誰だ…お前は。」

 

『俺はレイキバット。あのくそったれなキングの為に作られたロボットさ。』

 

レイキバット…彼は、マンティスファンガイアが一度王のためにキバット属に似せて作られたのだが、王を気に入らなかったのか、自分から離反した自由奔放な機械蝙蝠だ。

 

『その愛する者への愛情。激しく、華麗な思いに俺は心を打たれたのさ。

お前、この俺の力を使うか?』

 

「……あぁ。俺はマヤを早く救いたい!こんなところで足止めされてる暇はない!」

 

『なら使えばいい!行こうか、華麗に激しく!このフィールドで舞おう!』

 

そう言うと、キングの体にベルトが巻かれる。そしてレイキバットを掴んでベルトに装着する。

 

「変身!」

 

キングの体に冷気が渦巻き、やがて包み込んでいく。そして冷気が晴れるとそこにいたのはキングではない。

全体的に白色で、まるでイエティのような風貌をしている姿である。

これが、仮面ライダーレイの姿である。

 

 

「今行くぞ、マヤ!」

 

 




次回、仮面ライダーダークディケイドは

『マヤを返せぇぇ!』

『何故!何故こんな下等な人間を愛するんだ!』

『この人はファンガイアも人間も愛してる!だからこそ、大切なものを守り通そうとするんだ!』

次回「愛する者へ捧げるラブソング」


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最終楽曲♪愛する者へ捧げるラブソング

終夜は、キングの事が心配になりマシンダークディケイダーを走らせて、急いでキャッスルドランに向かった。

だが、警備が居ないことに不審に思った終夜はキャッスルドランにバイクで突撃。

中に強引に侵入した後、バイクから降りて奥へと進んで行くと……そこには、二体のファンガイアの氷像であった。

 

「……なんだこれ。」

 

気になった終夜が氷像に触れた瞬間、それは粉々に砕け散ったのだ。

行きなりのことに驚きを隠せない終夜だったが…奥から雄叫びのような叫び声が響いた。

 

「キングさん…!」

 

その声がキングの物だと分かった瞬間、終夜は急いでダークディケイドに変身してキングの元へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて…最後に言い残すことはありませんか?」

 

十字架に張り付けにされた状態のマヤに対してそう告げたサガ。

しかしマヤは表情を崩さない。

 

「……特に言うことがあれば、キングが心配なだけですよ。」

 

「安心しなさい。直ぐにキングもあなたの元へと送って差し上げます。」

 

もうこれ以上話すことはないといった形で、ジャコーダを刺突剣で貫こうとした瞬間…何者かの怒号が響いた。

 

 

「マヤを返せぇぇ!」

 

奥から出てきたのは仮面ライダーレイであった。 しかもその変身者がキングであると直ぐに気づく。

 

「キング…いや、鐘石 王我。まさか、本当にここまで来るとはね。

しかも、サガークと違って劣化品のレイキバットを使っているとは…」

 

『ふん。お前らよりもマシだと思っただけさ。』

 

その会話は長くは続かない。ダークキバがいち早くレイに攻撃を仕掛けてきたからだ。

レイはパワーがある。そのパワーを使って、飛びかかってきたダークキバを逆に投げ飛ばした。

 

「うおぉぉ!」

 

「!」

 

投げ飛ばされたダークキバは、また直ぐに立ち上がるがレイは既にウェイクアップフエッスルをレイキバットに吹かせていた。

 

『ウェイクアップ!』

 

両腕のカテナと呼ばれる鎖が解き放たれ、“ギガント・クロー”と呼ばれる巨大な爪が現れる。

冷気でダークキバの足元を凍らせて、動きを封じる。そしてその爪で、ダークキバ本体に攻撃を直接当てる。

必殺技である『ブリザードクロー・エクスキュージョン』が炸裂し、ダークキバから2世が離れると同時にギガマンダファンガイアはガラス片として散っていった。

 

「ハァ…ハァ…」

 

何とか倒した瞬間、サガがジャコーダで突き攻撃を放ってくる。

突然の攻撃に対処できずに喰らってしまい、吹っ飛ばされ壁に激突。そしてレイキバットが離れてしまった。

 

「くそ…!」

 

「残念ですよ。あなたがファンガイアを裏切らなければ、こんなことにはならなかった……」

 

サガがジャコーダを心臓目掛けて突き刺そうとしたその時……

 

 

【ATTACKRIDE BRAST!】

 

 

光弾がサガの体に命中。サガはいきなりの攻撃を請けて、倒れてしまう。

その攻撃をしたのは、紛れもないDディケイドだ.

 

 

「大丈夫ですかキングさん!」

 

「終夜……あぁ、助かったよ。」

 

Dディケイドが助けに来たことに少しだけ安堵。サガが怯んでいる隙に、Dディケイドはマヤを助け出した。

 

「王我!」

 

「マヤ!」

 

二人は抱き締めあった。因みに王我と名前で呼んだのはこれが始めてでもある。

それを見て、良く思わない者…それはやはりサガである。

 

「いい加減にしろーーー!!」

 

サガの怒号に再び警戒するDディケイドと王我。サガは、怒りのあまり言葉を発し続ける。

 

 

「何故だ…何故下等な人間を愛するんだ!ファンガイアにとって人間は家畜でしかない!

なのに何故貴様は人間等に恋をしたんだ!」

 

「……俺は、ファンガイアも人間も愛している。だからこそ、俺は二つの種族が共存する未来を作りたい。

それに、マヤは俺にとって初めて心を動かされた女性でもあるからだ。」

 

サガの怒号にゆっくりとした口調で答える王我。だが、それでもサガの怒りは収まらない。

 

「下らない!そんなのは幻想に過ぎない!ファンガイアを愛することが出来ない貴様は最早王ではない!「それは違う!」!」

 

「この人はファンガイアも人間も愛している!だからこそ、大切なものを守り通そうとするんだ!」

 

終夜はサガにそう返した。……しかし、これが切っ掛けでサガの神経を更に逆撫でしてしまう。

 

 

「ならば…ならば何故ぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

サガの怒りは既に最高潮にまで達している。これでは話を聞くことすらままならない。

 

「マンティス…お前のその怒りを、俺は受け止める。王として、同じファンガイアとして!

2世!こい!」

 

『良かろう。さあ、絶滅タイムだ!ガブリ!』

 

「変身!」

 

王我はダークキバに変身し、Dディケイドの横へと並ぶ。闇の皇帝と闇の戦士……。

二人は一斉ににサガへと向かっていく。

 

 

「はぁっ!」

 

Dディケイドは、ライドブッカー・ソードモードでサガを攻撃する。刺突剣で受け止められるも、ジャコーダを弾いてサガに足蹴りを喰らわせる。

後ろへ数歩下がった所へ、ダークキバの追撃が入る。格闘戦術により繰り出される攻撃にサガは押されていた。

 

「グウゥゥゥゥ!!」

 

「ハアァァァ…!」

 

ダークキバは空中に飛び、サガの顔面目掛けてボレーキックを繰り出す。

直撃したサガは空に投げ出され、さらに鞭と化したジャコーダに足をからめとられてしまう。

ジャコーダを使っているのは、Dディケイドであった。どうやら、先程拾ったらしい。

 

 

「ハアァァッ!」

 

「ガアァァァァ!!」

 

 

Dディケイドは、身動きが出来ないサガにライドブッカー・ガンモードで連続射出。

地に落ちたサガ。しかし……

 

 

「ウガアァァァ!!」

 

既に満身創痍の筈のサガが立ち上がる。最早、執念で立っていると言っても過言ではない。

これ以上はまずいと感じたダークキバは、ウェイクアップフエッスルを取り出して2世に吹かせる。

Dディケイドも、カードを一枚取り出してドライバーに挿入する。

 

『ウェイクアップⅠ!』

 

【FINALATTACKRIDE DA DA DA DARKDECADE!】

 

二人は必殺技を同時に発動させると、空を飛ぶ。夜空となった世界でDディケイドはカード型のエネルギーを潜っていき、ダークキバは空からのライダーキックをサガに喰らわせる。

二人の必殺技を同時に喰らったサガは耐えられる筈もなく、爆発した。

 

 

「グアァ!…アァ…何故ぇ…何故……あの時…救って…くれなかっ…た…。」

 

死ぬ間際…マンティスファンガイアの悲しき声が発せられた。

だが、その言葉は届いたのかはしらない。ダークキバは…マンティスの残骸を仮面の奥でどんな表情で見ていたのか……それは誰にも分からない。

 

「マンティス…すまない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや?彼らには会いに行かないのかい?」

 

「……いや、もうこの世界を離れるんですよね?だったら会いに行かない方がいいですよ…。」

 

いや、嘘だ。終夜は別れの言葉を告げて行こうとはしたのだ。だが、王我は何かを事を考えていた為に会いに行くことは避けただけなのだ。最後のマンティスファンガイアの声。あれは、終夜に届いていた。

あの時、返した言葉に激怒したマンティスを見た終夜は一瞬だけであったが振るえたのだ。

 

「(自分の放った言葉に怒りを燃やしていた…。あのファンガイアにとって、自分の言葉は…)」

 

「さてと……次の世界に行ってみようか?」

 

そんな終夜の考えを知っているのか、はたまた知らないのかは分からないがいつもの調子で男は額縁に触れる。

すると、先程まで描かれていた絵は消えており…代わりに、クローバーのトランプの回りに蜘蛛の糸が張り巡らされている様子が描かれていた。

 

「さぁて、次の世界に案内しよう。まだまだ旅は始まったばかりだよ。」

 




次回の仮面ライダーダークディケイドは

『この世界のライダーは、二人しか居ないようだね?』

『貴様…一体何者だ?』

次回「次なる世界」


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仮面ライダーレンゲルの世界
次なる世界


「次の世界……」

 

終夜と男は次の世界へとやって来た。ここがどんな世界なのか…終夜にはそれが分からない。

だからいつも通りに調査に向かおうとした時……男は、こんな言葉を口に出した。

 

「この世界には…ライダーが二人しかいないみたいだね。」

 

その言葉に思わず反応する終夜。どう言うことかを問い詰めたい所だが……今は調査の方が大事なのでそれは後にすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……また都合よくライダーが現れたりしないのかなぁ…。」

 

そんな愚痴を漏らす終夜。かれこれ数時間は探し回ってるが、情報は何一つ集まらない。

終夜は一息つくために、公園のベンチに座る。俺はライドブッカーからカードを三枚取り出す。

ダークキバ、サガ、レイの三枚だ。あの世界ではこの三人のライダーの力を入手したが…サガを見るたびにマンティスの言葉が脳裏にちらつく。

 

「……あのファンガイアには、一体どんな過去があったって言うんだ……。」

 

俺は暫くして、三枚をライドブッカーに再び戻して捜索を続けることにした。

そして人気の少ない廃工場辺りに近づいた時、そこで戦闘をしているかのような音を聞き付ける。

駆けつけてみると……

 

「うわぁ!」

 

其処には、ピンチになっているライダーの姿があった。そのライダーと対峙している怪人はクラゲの祖であるジェリーフィッシュアンデッドと、ツタ植物の祖であるプラントアンデッドの姿があった。

 

「(まずい!)変身!」

 

【KAMENRIDE DARKDECADE!】

 

終夜がDディケイドとなり、ライドブッカー・ガンモードに変えて、光弾を発射して2体のアンデットを怯ませる。

 

「大丈夫か!?」

 

「あ、あなたは…」

 

プラントアンデッドがツルを伸ばしてDディケイドの腕を絡めとると、ジェリーフィッシュアンデッドが触手を伸ばしてDディケイドの動きを封じる。

 

「しまっ!…ぐあぁぁぁぁぁ!!」

 

その瞬間、Dディケイドの体全体に電流が走った。倒れたDディケイドに迫ってくる2体のアンデッド。

Dディケイドは痺れる体を何とか動かして、ライドブッカーからカードを一枚取り出して、ドライバーに挿入する。

 

【KAMENRIDE REY!】

 

DディケイドはDDレイへと姿を変える。プラントアンデッドが伸ばしてきたツルを掴んでこちらに引き寄せる。

 

「!」

 

「でりゃあぁ!」

 

 

プラントアンデッドを引き寄せて、パンチを一発喰らわせると同時に吹き飛ばす。

さらに、冷気を吹き掛けて凍らせる。凍っている隙に、ジェリーフィッシュアンデッドの相手をしようと振り向いた瞬間…其処に居たのは、あのライダーであった。

 

「……なんだ、あれ。」

 

だが、何処か違っているようにも見えた。なんと言うか……やけに戦い方が荒い気がするのだ。

初めて会ったにも関わらずなんでこんなことを思うのか…分からない。

 

このライダーの名は仮面ライダーレンゲル。レンゲルは、ジェリーフィッシュアンデッドを醒杖レンゲルラウザーを振り回して攻撃していく。

当然の変わりように驚いているが、そんな事は無視してレンゲルはラウズカードと呼ばれる物を一枚取り出して、レンゲルラウザーにラウズする。

 

【SCREW!】

 

ラウズしたのは、クラブスートのカテゴリー3に属するスクリューモールのラウズカードだ。

モールスクリューの効果で、強力なスクリューパンチを放ってジェリーフィッシュアンデッドを遠くに吹き飛ばすと、今度は二枚のラウズカードを取り出してレンゲルラウザーにラウズする。

 

【BITE!BLIZZARD!ブリザードクラッシュ!】

 

ラウズしたのは、カテゴリー5のバイトコブラ、カテゴリー6のブリザードポーラのラウズカードだ。レンゲルが空高くジャンプすると、足先から冷気を発射。冷気で凍らせると、両足で頭部を挟み込むように放つ両足キック『ブリザードクラッシュ』を発動させる。

 

ジェリーフィッシュアンデッドは避けられずに喰らってしまい、地面に倒れ伏す。

レンゲルは、ブランクのラウズカードを投げつけてジェリーフィッシュアンデッドを封印した。

 

「……って、そうだ。あいつは…!」

 

 

 

凍らせていたプラントアンデッドの氷が既に溶けており、自由の身になっていた。

DDレイは倒そうとライドブッカーを構えたその時。

 

【FLOAT!DRILL!TORNADO!スピニングダンス!】

 

「ハアァァァァ!」

 

突然音声が聞こえたかと思えば、空中から回転キックをプラントアンデッドに喰らわせた存在が現れる。

そしてプラントアンデッドを封印したと同時に、こちらに振り向くと……カマキリをモチーフにしているようなライダーが其処にいた。

 

 

「貴様…何者だ?」

 

「そっちこそ…」

 

両方が睨みあっていると……突然、レンゲルが倒れた。それと同時に変身が内助されると…まだ幼さが残る顔つきをした男性が現れたのだ。

 

カマキリライダーは直ぐに去っていったが、男性を残すわけにもいかず…連れて帰ることにした。

 




次回の仮面ライダーダークディケイドは

『僕は…自分を見失うのが怖いんです…。』

『お前みたいな奴がこの先、アンデットとの戦いで生き残れるとは思わない。』

『一つ言っておくけど…ダークディケイドも万能じゃないんだよ?』

次回「臆病者の♣️」


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臆病者の♣️

気絶していた青年をベッドに寝かせて、様子を見ることにする。とは言え、起きるまで何か出来るわけでもないので…終夜は男にずっと聞きたかったことを聞き出すことにした。

 

「……この世界には二人しかライダーがいないってどう言うことだよ。」

 

「今さら言う必要性、あるかな?」

 

「とぼけるな。」

 

「まあそうだね。一言で言えば、この世界に良くないことが起こり始めている影響かな?」

 

良くない影響…更に問い詰めようとしたその時、青年が目を覚ました。

 

「……ここ、は…」

 

「!…大丈夫か!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうこざいます。僕の名前は、蜘蛛石 ムツキです。」

 

青年の名前は蜘蛛石 ムツキと言うらしい。彼は仮面ライダーレンゲルの適合者で、ボーダーと呼ばれる会社の研究員だったらしい。

だが、この世界の怪人であるアンデットの襲撃事件が起こり…ボーダーと言う組織は壊滅し、51体のアンデットが解放されてしまった。

其処で、ライダーシステム一号とライダーシステム二号の適合者が選ばれたのだが…その戦いの中、その二人は命を落としてしまったそうだ。

 

 

「僕は、レンゲルとして戦っていたんですが…もう嫌なんです。戦うのは…」

 

「……え?」

 

突然の弱気発現。それに驚いた終夜は理由を聞いてみる。

 

「僕は…自分を失うのが怖いんです…。」

 

「自分を失う…。」

 

「僕のレンゲルバックルには、スパイダーアンデットって奴がいるんですが…変身して戦っていると、あいつに体が乗っ取られてしまうんです…。」

 

 

そんな事があるのかと思えてしまう。だが、男は特に驚いているような様子がないので知っていたようだ。

ムツキは、手当てのお礼を言った後、出ていった。残った二人は暫く黙っていたが。

 

 

「…知ってたなら、対処法ぐらい教えても良かったんじゃないのか…?」

 

「教えてどうする?そもそも、あれは彼の問題だ。僕や君が口出しすることじゃないんだよ。」

 

そう言うと男はカップを持ってキッチンに引っ込んだ。終夜は、ダークディケイドライバーを手に取って見つめる。

この力があればムツキの助けになるかもしれないと思ったが、それは直ぐに止められた。

 

「一つ言っておくけど…ダークディケイドの力もそんなに万能じゃないんだよ…。」

 

男のその一言。ダークディケイドの力が万能じゃないなんて事はないと思う。

ダークディケイドは、他のライダー達の力を使える特徴を持っている。これを持ちながら、万能じゃないとはどう言うことなのか……意味が分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムツキが黙ったまま道を歩いていると、彼の目の前にある人物が現れた。

目付きがとても鋭い青年、翔谷 ハジメである。彼もまたアンデットを狩っているライダーの一人なのだが…一匹狼で、だれにも懐かない。

特に、ムツキの事を邪険に思っている。

 

 

「ハ…ハジメさん…」

 

「……相変わらずなよなよしているな貴様は。」

 

何度か面識がある二人だが、ハジメは相変わらずムツキを睨んでおり、それにビクビクしているのがムツキと…全く変わっていない。

 

「お前みたいな弱虫がまだ生き残ってるなんてな。とっくにアンデッドに精神を乗っ取られているかと思ってたが…ふん。」

 

「!」

 

ムツキの頭の中には、ハジメに前に言われた言葉を思い出していた。

 

『お前みたいな奴がこの先、アンデットとの戦いで生き残れるとは思わない。』

 

この言葉が、今のムツキにはかなり重い言葉となっていた。

 

「アンデッドの封印をお前に邪魔されると面倒だ。ここで潰しておくか。変身。」

 

ハジメはカリスラウザーを出現させると、♥️のカテゴリーAのチェンジマンティスをスキャンさせる。

 

 

【Change】

 

黒いカマキリをモチーフとしたライダー…『仮面ライダーカリス』へと変身して、醒弓カリスアローを装備して構える。

 

「お前も構えろ…!」

 

「……!」

 

ムツキも、レンゲルバックルを取り出して♣️のカテゴリーAのチェンジスパイダーをバックルに挿入し、腰に装着してバックルを操作。

 

「変身…!」

 

 

【open up】

 

 

オリハルコンエレメントを通り、仮面ライダーレンゲルへと変身したムツキ。

醒杖レンゲルラウザーを構えてカリスを見据える。

 

 

「さぁ、殺るか…!」

 

「…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、それを見ている影が一つ。その影は…二人のライダーのぶつかり合いをじっと見ていた。




次回の仮面ライダーダークディケイドは

『弱い癖によく頑張るな?諦めて俺にその体を明け渡せ。』

『何だ…このアンデッドは!?』

『また…僕のせいで…』

次回「♥️VS♣️」


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♥️VS♣️

「ハァッ…!」

 

「……!」

 

カリスとレンゲルがぶつかり合う。カリスアローの遠距離攻撃をレンゲルラウザーを用いながら対処する。

カリス自身は何も遠距離攻撃しか出来ないわけではなく、当然近距離攻撃も可能だ。

 

「でやぁ!」

 

「フン!」

 

レンゲルラウザーが振り下ろされるも、カリスはカリスアローで受け止め弾き返し、その隙にラウズカードを一枚取り出してラウズする。

 

【BIO!】

 

ラウズしたのは、♥️のカテゴリー7のバイオプラント。カリスが倒したプラントアンデッドの力である。

その効果で、触手を伸ばしてレンゲルを捕縛し動きを封じる。

 

「くっ!」

 

「はっ!」

 

身動きが取れなくなったレンゲルに対して、カリスアローで斬りまくる。

動けないが為にダメージを許してしまうレンゲルだが、何とか拘束を自力で解いてカリスを蹴飛ばして、ラウズカードを一枚取り出してラウズする。

 

【RUSH!】

 

♣️のカテゴリー4のラッシュライノスをラウズしたレンゲルは、強力な突進攻撃を放つ。

カリスは落ち着いた様子のまま、ラウズカードを一枚取り出してカリスアローにラウズする。

 

【REFLECTO!】

 

♥️のカテゴリー8のリフレクトモスの効果で、カリスの回りにバリアが発生。レンゲルが構わず突っ込んだ瞬間…

 

「!…うわぁぁぁぁ!!」

 

ラッシュライノスの攻撃が反射され、逆にレンゲルが吹っ飛んでしまった。

どんな攻撃を仕掛けようともカリスに捌かれる。レンゲルが諦めかけた時、脳内に声が響く。

 

『弱い癖に良く頑張るな?諦めて俺にその体を明け渡せ。』

 

その声の主はスパイダーアンデット。♣️のカテゴリーAのアンデットだ。

レンゲルはその声に必死に抗う。

 

「嫌だ…!絶対に、渡さない…!」

 

『お前みたいな弱い奴が、この先の戦いには生き残ることも出来やしない。

もういい加減に諦めろ。』

 

「うるさい!黙れ!」

 

そんな様子をみたカリスはトドメを刺そうとラウズカードを取り出そうとした瞬間……一つの影がレンゲルとカリスを吹き飛ばした。

驚いたレンゲルとカリスがその影の正体を見ると…

 

「何だ…あのアンデッドは!?」

 

カリスの言うとおり確かにアンデッドなのだが、何かが可笑しい。見た目は様々なアンデッドをくっつけたかのような姿をしており、かなり不気味である。

 

「邪魔…するなよ…!」

 

レンゲルはそのアンデッドに向かってレンゲルラウザーを振り下ろした瞬間、レンゲルの体が宙を浮き地面に叩きつけられた。

 

「ガハッ!」

 

今の一瞬で何が起きたか分からないレンゲル。その時、カリスがカリスアローでアンデッドを攻撃したが、そのアンデットには効いている様子がない。

 

 

「ジョーカー…」

 

そのアンデッドがそう言葉を発した瞬間、カリスに炎の拳が飛んで来る。

 

「ぐあぁぁぁ!」

 

避けきれずに攻撃を受けたカリスは大きく吹っ飛ばされ、レンゲルと同じく地面を転がる。

痛む体を何とか起き上がらせようと足を踏ん張らせるも、立ち上がる前にアンデッドが近づいた時、なんとカリスを体に取り込もうとしているではないか。

 

「!…あいつは、あの時の…!」

 

レンゲルは思い出した。あのアンデットの正体を。あれはかつてボーダーが作った複合型アンデット…その名もキメラアンデッドである。

 

「やめろー!」

 

レンゲルがアンデットに向かって攻撃を放つも直ぐに受け止められ、投げられる。

そして電撃を手から放ち、レンゲルにダメージを与える。

 

「ぐわぁぁ!」

 

再び地面に転がるレンゲル。何とかして倒す方法を見いだそうと考えていると、奥から拍手の音が聞こえてきた。

そして奥から現れたのは…

 

「やあ、久しぶりだね。ムツキ君。」

 

「……赤石、所長…!?」

 

それはムツキの上司であり、キメラアンデットを作成した張本人である赤石と言う男であった。

 

「本当なら折角の再開を祝いたい所なんだが…君から早くリモートのラウズカードを奪わなきゃならないんだ。早く渡してくれないか?」

 

「!」

 

その瞬間、レンゲルには分かった。赤石はリモートのラウズカードを使って何かを企んでいるのだと。

そのカードだけは絶対に渡せないと首を横に振る。

 

「そうか。ならば、殺してでも奪い取るよ。」

 

赤石はそう言うと、キメラアンデッドにリモートのカードを奪うように命令をして何処かに消え去る。

 

「また…僕のせいで…」

 

レンゲルは自分を責めていた。彼は過去にも、キメラアンデッドから人を守れなかった経緯がある。

それにより、カリスが傷ついたのは自分のせいであると責め立てた。

そして、彼の意識は…すっと闇に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キメラアンデッドの攻撃を受け止めたレンゲルだが、その意識はムツキの物ではない。

 

 

「ようやくか…。まあいい、存分に暴れてやろうとするか。」

 

それは、封印されている筈のスパイダーアンデッドの物であった。

スパイダーアンデッドは、ムツキの意識と交代して面に出てきたのだ。

 

「!?」

 

「キメラアンデッドって言ったか?取り敢えず始めようか…戦いをな!」




次回の仮面ライダーダークディケイドは

『これで私の研究はもうすぐ完成するんだ!』

『赤石所長…もうあなたは人の道から外れた化け物だ!』

『ダークディケイド…お前は生きているだけでも罪なんだ…!』

次回「人とアンデッド」


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人とアンデット

レンゲル(スパイダーアンデッド)VSキメラアンデットの戦いは、レンゲルが優位に進めていた。

キメラアンデッドは、突進攻撃や電撃攻撃などを駆使して攻撃してくるが…レンゲルはその攻撃を冷静に対処しながらキメラアンデッドに近づいていく。

 

「おいおいどうした…そんなんでこの俺を倒せるのか…よ!」

 

キメラアンデッドに向かってレンゲルは右フックを叩き込んで後退させると、レンゲルラウザーの突き攻撃でさらに距離をとる。

レンゲルは仮面に隠れて見えないが、余裕そうな態度を取っている。

 

「おいおい、どうした?その程度か?」

 

キメラアンデッドを挑発しながら、攻撃を一発一発叩き込んでいく。キメラアンデッドもこのままでは不味いと感じたのか、一旦引く。

だがそれを逃すレンゲルではない。

 

「逃がすか。」

 

レンゲルは動きを止めようとラウズカードを取り出した瞬間、突然体が崩れるかのように倒れる。

ムツキの体力に限界が来ていたのだ。

 

「チッ…」

 

変身が解かれ、ムツキが現れる。しかし気絶しているようで意識が無いみたいだ。

キメラアンデットは、ムツキの体を蹴ってリモートのラウズカードを奪うと去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「漸く手に入れることが出来たぞ…!リモートのカードが!」

 

赤石は歓喜していた。ずっと手に入れたかったラウズカードが何せ自分の手元に渡ったのだから。

その赤石の後ろには、キメラアンデッドとカリスの変身者であるハジメがいた。

ハジメは、両手を鎖のような物で壁に繋がれていた。

 

 

「赤石所長…何故、あなたが…」

 

「ハジメ君。君は本当に素晴らしい逸材だったよ…だが、今日で君の役目は終わりだ。

これで私の研究はもう少しで完成するんだ!」

 

狂気を含んだような顔で上を見上げる。ハジメは、一度だけだが、赤石の元で働いたことがあるのだが…最早、最初に見たような優しい人間ではない。

 

「赤石所長…もうあなたは人の道を外れた化け物だ!」

 

「黙れ!お前には分からんだろう!私の素晴らしさが!これで私は更なる力を手に入れることが出来るのだ!」

 

すると突然、赤石の体がノイズに包まれると…其処にいたのは赤石ではなく、パラドクス・ロイミュードであった。

ロイミュードは本来、この世界には居ない筈の怪人である。

 

「!」

 

「これで私は更なる力を手に入れる。そして、奴に復讐してやるのだ…!」

 

そう言うと、赤石の姿へと戻る。ハジメは何とか拘束から脱出しようとするがうまく行かない。

 

「止めておけ。それは、私が作り出した強固な鎖だ。君には絶対に解けん。

キメラアンデッド、そいつを喰らっておけ。」

 

そう言うと、赤石は再び研究を進めることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、終夜は居なくなったムツキを探している最中…一人の女性と出会った…のだが、こちらを睨み付けている。

 

 

「誰だ…。」

 

「私のことなどどうでも良い。ダークディケイド…お前は生きているだけでも罪なんだ…!」

 

女性がそう言った瞬間、終夜の目の前にオーロラカーテンが現れると同時に二人のライダーが呼び出された。

仮面ライダーサソードと仮面ライダーマッハの二人は武器を持ち、終夜を見据える。

 

 

「仮面ライダー!?」

 

「お前の罪…それをゆっくりと自覚しながら、死んでいけ…!」

 

女性がそう言うと、オーロラカーテンで消えていく。それと同時にサソードがマッハが構えだした。

終夜も、ダークディケイドライバーを腰に装着しライドブッカーから一枚カードを取り出して挿入する。

 

【KAMENRIDE DARKDECADE!】

 

Dディケイドに変身し、ライドブッカー・ソードモードを装備して二人のライダーを相手に迎え撃つ姿勢をとる。

 

「こい…!」

 

そう言うと、サソードとマッハはDディケイドに同時に襲い掛かってきた。




次回の仮面ライダーダークディケイドは

『もうこの世界に用はない。』

『それでも僕は、お前には絶対に負けない…!』

『少々、面倒なことになったね…』

次回「勇気を持って」


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勇気を持って

非ログイン勢でも感想を書き込めるように設定しました。
後、巡る世界を19に変更しました。


マッハとサソード…二人のライダーが同時に襲いかかってくる。全く戦い方が違うライダーの戦いに苦戦するDディケイド。

サソードのサソードヤイバーと、Dディケイドのライドブッカー・ソードモードとぶつかり合う。

 

 

「(っ…う!)」

 

後ろからマッハが、ゼンリンシューターで打撃攻撃を繰り出してくる。

Dディケイドは、サソードを蹴って距離を取るとライドブッカー・ガンモードでマッハをゼロ距離発射。

Dディケイドは、ライドブッカーからカードを一枚取り出してドライバーに挿入。

 

【ATTACKRIDE BRAST!】

 

ライドブッカー・ガンモードの銃口から放たれる光弾が発射される。

しかし今度は、サソードがマッハの前に立ってガードする。

二人のライダーのコンビに苦戦を強いられるDディケイドだが、ライドブッカーからカードを一枚取り出してドライバーに挿入する。

 

【KAMENRIDE DARKKIVA!】

 

Dディケイドは、DDダークキバへとフォームチェンジ。マッハとサソード…二人のライダーのスペックを凌駕する力を誇るDDダークキバだが、少しだけ足元がふらついた気がした。

 

「…気のせいか…?」

 

 

しかしそんな事は露知らず。マッハとサソードが目の前から消えた……と思いきや、真横から急に攻撃をされる。

 

「消えっ…!」

 

言葉は続かず、絶え間なく攻撃を繰り出される。DDダークキバの装甲がいくら固かろうと、絶え間なく攻撃され続ければこちらの身が持たない。

何とかして隙を作りたいDDダークキバは、防戦一方となっている。

 

【ATTACKRIDE JACORDA!】

 

 

だが、DDダークキバは直ぐにカードをドライバーに挿入する。挿入したカードは、ジャコーダと呼ばれるサガの武器である。

なぜダークキバの姿で使えるのかは謎だが……今のこの状況で、この武器はとてもありがたいことであった。

ジャコーダを鞭のようにしならせ、DDダークキバの回りを旋回していたマッハとサソードの動きを止めて、カードを一枚ドライバーに挿入する。

 

【FINALATTACKRIDE DA DA DA DARKKIVA!】

 

ダークキバの紋章が現れ、DDダークキバはその紋章をマッハに当てて動きを封じると、サソードをジャコーダで捉えてマッハと共に紋章に叩きつけた。

紋章に動きを止められている間にも、どうやらダメージが入っていたのかマッハが殆んど動けない状況になっていた。サソードがよろよろになりながらも立ち上がり、サソードヤイバーを構えた瞬間…突然、両者の動きがスローとなった。

 

「な…何だ…!?」

 

何故、急に動きが遅くなったのか…これは、ある怪人の仕業なのだが…DDダークキバは知るよしもない。

直ぐにその現象は解除されたのだが、マッハとサソードはいつの間にか消えていた。

 

 

 

「……もうこの世界には用はない。」

 

 

ダークディケイドに怒りを覚えている女性はそう言うと、オーロラカーテンを呼び出してレンゲルの世界から出ていった。

次こそは仕留めると誓って…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ…!」

 

その頃、気絶していたムツキは意識を取り戻した。キメラアンデッドの後を直ぐに追おうと立ち上がった瞬間…足がふらついて倒れてしまった。

先程の戦いで疲れが出ているのか、直ぐには動けない…しかし、それでも立ち上がろうとする理由があった。

 

「(あいつは…僕が倒す…倒さなきゃ行けないんだ…!)」

 

一度だけではなく、二度もキメラアンデッドに負けてしまったムツキ。

そしてその度に、スパイダーアンデッドが語り掛けてくる。

 

『またか。勝ちたいならさっさと譲れ、お前の体を。』

 

「僕は確かに弱いけど…でも!」

 

『?』

 

「それでも僕は…お前には絶対に負けない…!」

 

『そうかよ…なら、目の前にいる奴を何とかしてみな。』

 

スパイダーアンデッドにそう言われ、前を向くと…あのキメラアンデッドが再び現れた。

だが、その手には見たこともないバックルが握られていた。キメラアンデッドがそのバックルを巻き付けて、操作する。

 

「ヘン…シン…」

 

 

【open up】

 

オリハルコンエレメントを通り、現れたのは新世代ライダーと呼ばれるライダーの一人…仮面ライダーグレイブである。

赤石…いや、パラドクス・ロイミュードは旧世代と呼ばれるライダー達の戦闘データやレンゲルから奪ったリモートのラウズカードのデータを元に作り上げた最高傑作。

それ故に、キメラアンデッドで実験をしようとしていた。

 

「何だよあれ…!」

 

『俺に渡すか?あれは…お前には勝てない。』

 

「未知の相手でも、こいつを倒す…。僕は…勇気を持って、こいつを…!」

 

レンゲルのバックルを腰に巻き付けたムツキはドライバーを操作する。

 

【open up】

 

まだ、動かしきれない体を何とか動かしてグレイブを見据える。そしてレンゲルは…グレイブを倒すために体に鞭を撃つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男は、少しながらの焦りを感じていた。それは…ロイミュードの事である。

本来、この世界の怪人ではない筈だが…この世界に存在しているのは何故か。

 

「少々、面倒な事になったね…」

 

このままでは、ダークディケイドの力を集めることに支障をきたしてしまうかもしれない。

そもそもの問題は、誰が連れてきたのか。ロイミュード自体には、世界を越える力はない筈なのだから。

 

「……この世界からは早めに退散しておきたいだけどね。」

 

男はそんな言葉を漏らすと、コーヒーをぐいっと飲んだ。




次回のダークディケイドは

『乗り越えて見せる…僕だけの力で!』

『力が…消えた!?』

『さあ、早く次の世界へと旅立とうか。』

次回「進化する♣️」


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進化する♣️

グレイブVSレンゲル…その戦いは熾烈を極めていた。相手は次世代の仮面ライダーとは言え、変身しているのはアンデッドだ。

動きさえ読めれば何とか行ける。だが、相手は様々なアンデッドを取り込んでおり、やはり一筋縄では行かない。

 

「(やっぱり強い…でも!)」

 

レンゲルラウザーを振り、グレイブを攻撃していくもグレイブラウザーで全て防がれる。

足払いをされ、倒れるも両足で挟み込んで投げ飛ばす。

 

 

「フッ!ハッ!」

 

レンゲルの怒涛の攻撃をガードしきることは出来ずに、幾つか攻撃を受けるもグレイブはグレイブラウザーでレンゲルを斬りつける。

しかも、グレイブラウザーの刃の切れ味が強化されていることによってレンゲルの装甲は削れたかのように斬られていた。追い詰められたレンゲル…だがそこに、Dディケイドが割って入る。

 

「デヤァッ!」

 

ライドブッカー・ソードモードの斬撃は、切れ味の増したグレイブラウザーで受けきられるも蹴りまでは防げず。

グレイブは後ろへと転がっていく。

 

「ムツキさん!大丈夫ですか!?」

 

「あ…ありがとうございます…。」

 

Dディケイドの加勢は確かに嬉しいと感じたレンゲルだが、敢えて待ったを掛けた。

 

「でも、あなたは下がってて下さい。」

 

「っ!…何でですか!?」

 

「あいつは、僕だけの力で倒したいんです。」

 

これはただの我が儘だ。レンゲルにもそんな事は分かっている…だが、こいつを倒せなければ強くはなれない。

こいつのせいで泣いている人は沢山居た。だからこそ、強くなりたいのだと、皆を守りたいのだと…彼はそう思っている。

 

「でも…」

 

「お願いします。」

 

「っ…分かりました。でも、アシストぐらいはしても良いですよね?」

 

「はい、お願いします!」

 

 

そう言うとレンゲルは再びグレイブに突進する。グレイブラウザーの斬撃が迫るなか、レンゲルは何を思ったのか…自分の得物であるレンゲルラウザーを投げつける。

グレイブには当たらず、頬を掠めた程度で終わり、隙だらけとなったレンゲルに攻撃が通る……ことはなく。

むしろ、それが狙いであった。

 

「ウオオオオオオォォ!!」

 

レンゲルが力の限り叫び、グレイブに掴み掛かる。そしてグレイブの顔面に思いっきりパンチを叩き込む。

更に吹っ飛んだグレイブは、立ち上がるとグレイブラウザーを振り回すかのように向かってきた。

だがそこで、Dディケイドのライドブッカー・ガンモードでの追撃が入る。

 

そして、ブラストのカードを挿入しようとした瞬間…強制変身解除となった。

突然の変身解除に戸惑う終夜。

 

「力が…消えた!?」

 

だが、アシストと言う面はこなせていた。そして戦いは…レンゲルの圧勝とまでは行かないが、ほぼレンゲルの勝利が確実となっていた。

 

「乗り越えて見せる…僕だけの力で!」

 

そう言ったレンゲルは投げたレンゲルラウザーを回収し、ラウズカードを三枚取り出すとラウザーに読み込ませる。

 

【RUSH!BLISSARD!PIOSN!ブリザードベノム!】

 

♣️のカテゴリー4、カテゴリー6、カテゴリー8のラッシュとブリザードとポイズンのラウズカードを読み込ませることで、レンゲルラウザーから冷気を噴出。

グレイブを凍り付けにした後、毒を帯びたらレンゲルラウザーの一撃を叩き込んだ。

必殺技『ブリザードベノム』を受けたグレイブは、大きく爆発した。その瞬間…取り込まれていたハジメが飛び出してきた。

レンゲルはハジメを見て驚き、直ぐに駆け寄っていった。

 

こうして、レンゲルの世界での戦いは幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございます。」

 

後日、ムツキが一緒に戦ってくれたお礼をしにやって来た。それと、グレイブラウザーとグレイブバックルも一緒に渡してきた。

 

「これって…」

 

「はい。あの人に持ってきてくれって言われたので…それでは。」

 

そう言うと、ムツキは出ていった。終夜はムツキが見えなくなるまで見送った後…男を問いただした。

 

「……どういうことですか。」

 

「君のためだよ。ダークディケイドライバーが使えなくなったでしょ?」

 

男の一言に驚いた終夜。ダークディケイドライバーが使えなくなるなんて、一体何処で知ったのか…。

だが、そんな事を気にしてる場合ではない。

 

「何で使えなくなるって言わなかったんですか!」

 

「言うの忘れちゃった☆」

 

テヘッみたいなことをされて若干イラついたが、それでも理由を問いただす。

 

「簡単なことだよ。君は、ダークディケイドの変身が無制限に行えると思ってたのかい?

それは甘いよ。カードにはライダーの力が宿っているのは知ってるよね?」

 

「それは分かってますよ…。」

 

「でもね?ダークディケイドは変身したライダーによっては、パワーの消費が激しい部類もあるんだ。

君の場合は、ダークキバを使ったことだね。その前にはレイも使った。」

 

つまり、この男の言いたいことは……

 

「変身するライダーによってはパワーが違うから、下手に使うと戦いの最中でも変身が解除されてピンチに陥るってこと?」

 

「その通り!理解が早くて助かるよ。」

 

男はそう言って、絵に触れる。すると次の絵が現れる。

 

その絵は、巨大な風車を中心にUSBメモリのような物が舞っており…そのメモリの中心にはEのイニシャルが入ったメモリが描かれていた。

 

「さあ、早く次の世界へと旅立とうか。」




次回の仮面ライダーダークディケイドは…

『私、伊藤 舞って言います!助けてくれてありがとうございました!』

『この世界にやって来たんだ…。』

『俺か?俺の名は…死神だ。』

次回「Dの来訪/死神の名」


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仮面ライダーエターナルの世界
Dの来訪/死神の名


「寒いのか暑いのか…よく分かんない世界に来ちゃったな…。」

 

終夜が外に出ると、太陽が日差しを送りつけているにも関わらず風のお陰かあまり熱くは感じない。

だからと言って、寒いわけではなく……よく分からないような気温である。

 

「(でもまさか…ダークディケイドライバーが使えなくなるなんて…)」

 

レンゲルの世界で明かされた衝撃の事実。と言うか、そんな大事なことを何でもっと早く言ってくれなかったのか。

ダークディケイドライバーを見ると、真っ黒だったドライバーは灰色にくすんでいた。

変わりに、グレイブバックルを持ち歩いている。何かあった時はこれで戦うためだ。

 

「て言うか…あの人もいい加減だよな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやはや…まさか、ダークディケイドライバーが使えない状況下でこの世界か~。

この世界の怪人はちょっと面倒なんだよね…いや、面倒臭さで言ったらまだマシか。」

 

「……どう言うことですか。てか、この世界って…」

 

「おっと。今回からは自分でこの世界のライダーをしらべてくれよ。正直に言うと今、超絶面倒なことになってるからその事について少し調べておきたいんだよ。」

 

「別に良いけど……何ですか、調べたいことって。」

 

「内緒だよ。さ、早く行った行った。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、詳しいことは教えてくれずに駆り出されたので若干ふて腐れぎみである。

暫く歩いていると、黒服の男性を目撃する。しかも高そうなショーケースを持って…

 

「(…ん?)」

 

だが、その男は急に立ち止まると…別方向からハゲ男が現れる。

何やら商売をしているようだが…。

 

 

「これでわたしは、本当に超人になれるのか!?」

 

「超人ではなく、神に等しき力を手に入れることが出来ますよ。」

 

……何だか、とんでもなく胡散臭い話をしており終夜はそこで聞くのを止めて去ろうとした時…

 

「離してください!」

 

声が聞こえてきた。再び前を向くと、そこにいたのは綺麗な女性でありいかにもヤバそうな雰囲気であった。

ハゲ男の手には、USBメモリが握られていた。

 

【T-REX!】

 

起動音が鳴ったかと思えば、そのメモリを自分の体に差し込んだ。するとそのハゲ男はティラノサウルスのような頭部が特徴的な怪人…T-レックス・ドーパントへと変貌した。

 

「こ…これは…!何と言う道具だ…とても便利な力じゃないか!

これを買おう!」

 

「では、その力をまずはこの者で試してみますか?」

 

「あぁ!是非、そうしよう!」

 

そう言ってT-レックス・ドーパントは女性を見ると近づいていく。怯えて逃げ出そうとするも、震えて立てずにいた。

そして大口を開け、女性を食べようとした時……終夜が飛び出してT-レックス・ドーパントに飛び蹴りをかました。

突然の不意打ちに驚いて倒れ込んだ事を確認して、女性を後ろに隠すようにして守る体制を取る。

 

「……え?」

 

「隠れてて下さい。」

 

「貴様ぁ…邪魔をする気か!ならば…そこの女よりも先に、お前を喰ってやる!」

 

「そう簡単に食べられないよ。」

 

終夜は、グレイブバックルを取り出してチェンジケルベロス(黄)のラウズカードを装填して腰に巻きつけて、バックルを操作する。

 

「変身!」

 

【open up】

 

 

オリハルコンエレメントを潜り抜けると、仮面ライダーグレイブへと変身する。

グレイブは、グレイブラウザーを持ってT-レックス・ドーパントを見る。

 

「まさか…!お前が噂の死神か!」

 

「死神…?」

 

「糞ッ!」

 

死神と言う単語が気になったが、構わずT-レックス・ドーパントが突っ込んでくる。グレイブは受け止めると、受け流すかのように投げる。

右フックを繰り出してダメージを与えるグレイブだが?T-レックス・ドーパントはグレイブに右腕に噛み付いた。

 

「!……ぐううぅぅう!」

 

「このまま…噛み千切ってやる!」

 

 

このままでは不味い…そう思ったグレイブは、グレイブラウザーを叩きつけるかのようにして使ってT-レックス・ドーパントを引き剥がす。

 

「ぐはぁ!」

 

「お返しだ!」

 

【MIGHTY!】

 

グレイブラウザーにラウズすると、刀身の鋭さが強化されてT-レックス・ドーパントを斬る。

目立たないが、胴体に当たったらしく…かなり大きく吹っ飛んでいった。

 

「畜生…!」

 

T-レックス・ドーパントは悪態をついて立ち上がった瞬間……

 

【UNICORN!MAXIMUMDRIVE!】

 

突然の後ろからの攻撃で、T-レックス・ドーパントは爆発し変身していたハゲ男は目に黒い隈を作ったまま倒れ込んだ。

黒いマントをたなびかせた、謎の戦士…。

 

「あんたは…」

 

「俺か?俺の名は…死神だ。」

 

その戦士は、直ぐに去っていった。グレイブは変身を解いて直ぐに女性へと近付く。

 

「大丈夫ですか?」

 

「は…はい。あの……」

 

「…?」

 

「私、伊藤 舞って言います!助けてくれてありがとうございました!」

 

「僕は、久野 終夜です。」

 

まずは詳しい話を聞こうと考えた終夜は、自分達の拠点へと案内することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この世界にやって来たんだ…。」

 

大きな風車に佇む一人の少年は、そんな独り言を呟いた。そんな少年は背中に剣、腰に銃を携えていた。そして一枚のカード……。

 

「何をしに来たのかは分からないけど、あんまり邪魔だけはしないでほしいかな?まぁ、邪魔をされたとしても僕の敵じゃ無いけどね。」

 

少年はそう言って、オーロラカーテンを呼び出すと消えていった。

 

 




次回の仮面ライダーダークディケイドは

『酷く濁ってるな、この町は』

『ガイアメモリ…?』

『やあ、この世界の仮面ライダー。』

次回「Dの来訪/濁った町」


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Dの来訪/濁った町

「濁ってるな、この町は。」

 

町のカフェで男はそう言う。コーヒーをスプーンでかき混ぜながら、空を見る。

清々しい程の青空…だが、この町の裏側の顔は醜く、そしてどす黒い。

 

「酷いもんだな。空は青く、空気は澄んでいる。それでもこの町は真っ黒だ。」

 

男はため息を吐きながらコーヒーを啜る。その男の元に、少年が現れて男の前に座る。

 

「やあ、この世界の仮面ライダー。」

 

「……ガキはこんなところにくるんじゃねぇよ。つか、お前は「二道 克己」!」

 

「実はお話があって、あなたに会いに来ました。」

 

「……どういうことだ。」

 

「ガイアメモリ…それを僕にくれませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伊藤 舞を助けた終夜は、自分達の拠点で話を聞いていると…彼女の口からある言葉が出てきた。

 

「ガイアメモリ…?」

 

「はい。終夜さんも見ましたよね?あのメモリを…。」

 

思い出してみると、確かにあのハゲ男が使ってた。あれがガイアメモリだったのか…。

 

「…でも何で舞さんがそれを?」

 

「私、お父さんの手伝いで探偵をやっていたんです。その仕事中にガイアメモリ関連の事に巻き込まれてしまって…」

 

そう言うと、舞はポケットから何かの欠片を見せる。それはガイアメモリの欠片だった。

どうやら、舞さんのお父さんはガイアメモリを所持していたようだ。てことは…舞さんのお父さんも怪人…。

 

「お父さんは仮面ライダーをやってたんです。本当は他言無用何ですけど…終夜さんも仮面ライダーでしたし、多分大丈夫ですよね!」

 

そんなに自信満々に言われても困る。と言うか、幾ら仮面ライダーグレイブを見たからって、そんな簡単に信用して良いのかな…?

そんな事を言ったらキングもあれだけど…。

 

「今、君のお父さんは…」

 

「!…その、今は…」

 

これ以上は触れてはいけない問題だと気づいて慌てて謝罪する。かなり気まずい雰囲気になってしまったので、舞にゆっくりするように言った後…急いで外に出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(僕の馬鹿…何てこと聞いたんだ…。)」

 

町を歩きながらさっきのことについて深く反省する。触れてはいけない領域と言うものがあるのだ。

だがそれを知らず知らずの内に踏んでしまった…。

 

「(そう言えば、舞さんのお父さんって仮面ライダーだったのか…。)」

 

舞の言葉から放たれた仮面ライダーと言う言葉。もし、この世界が舞の父親の世界だとすれば…力を取り戻すのは絶望的である。

死者とどう会えばいいのか…。

 

「死者と対話出来るライダー…いや流石にいるわけないか…。」

 

完全に詰みと言うやつである。たが、そんな考えを吹き飛ばしてしまう程の出来事が目の前で起こっていた。

…それは、二人の仮面ライダーが激突していたからであった。

 

一人は、ドーパントを倒したあのライダー。そしてもう一人は…見たこともない謎のライダー。

2人はナイフと剣をぶつけ合っていた。

 

「え…これ、どういう状況何だ…?でも、取りあえずあの白いライダーを助けないと!何か押されてるっぽいし…!」

 

そう言うと終夜はグレイブバックルを装着して腰に巻き付けるとバックルを操作する。

 

「変身!」

 

【open up】

 

オリハルコンエレメントを潜り抜けてグレイブへと変身して、二人の戦いへと割って入る。

 

「ハァ!」

 

「「!」」

 

二人の間にグレイブラウザーでの攻撃を入れて間に入る。何とか止めようと説得をするつもりなのだ。

 

「止めてください!それ以上戦う理由は無いでしょう!」

 

「誰だ?お前は。」

 

「久野 終夜。そして…仮面ライダーです。」

 

だが、後ろから不意打ちの如く攻撃を仕掛ける謎のライダー。

グレイブには当たるも、白いライダーはマントで防ぐ。

 

「邪魔しないで貰えるかな?用があるのは、そこの仮面ライダーエターナルの方何だよ。」

 

「エター…ナル…?」

 

「そう言えば、いきなり戦闘になったがお前も誰だ?こっちの名前を知ってるのならお前の名も教えなければ不公平と言うものだろ?」

 

エターナルと言う言葉に疑問を覚えるも、エターナルはそんな事を気にすることなく謎のライダーに名を教えろと言い放つ。

謎のライダーはわざとらしく考える動作を取るが…直ぐにその動作を止める。

 

「そうだね。じゃあ、僕の事を教えるよ。僕は新島 一弥…又の名を、仮面ライダーディオーラだよ。」

 

「仮面ライダーディオーラ…?」

 

「邪魔が入っちゃったから、今日はこの辺にしておこうかな。でも、何の収穫も無しってのは嫌だから君の実力も見ておこうか。」

 

ディオーラは、銃型のディオーライバーに二枚のカードを挿入すると引き金をグレイブとエターナルに向かって引く。

 

【KAMENRIDE RYUGEN!】

 

【KAMENRIDE BRAVE!】

 

銃口から放たれる二つの光の玉が人型へと変化していく。一つは、ブドウの鎧を纏った仮面ライダー龍玄。そしてもう一つは、水色の鎧を纏い、RPGの勇者を彷彿とさせる仮面ライダーブレイブが姿を現した。

そして、ブレイブはグレイブへ。龍玄はエターナルの元へと走っていく。

 

「それじゃあ頑張ってくれよ、じゃあね。」

 

 

ディオーラはオーロラカーテンを呼び出して消えていった。

 

 




次回の仮面ライダーダークディケイドは

「この世界に用事でもあるのか?」

「見つけましたよ、ゾンビ兵士。」

「別の世界の…怪人!?」

次回「Pの襲来/怪人大混戦」


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Pの襲来/怪人大混戦

グレイブはブレイブと対峙する。剣と剣を交えながら戦うが、グレイブは剣の扱い方が良いわけでない。ましてや相手は自分よりもいくつも上手な相手ではあるようだ。

 

「っ…!」

 

ガシャコンブレード・炎剣モードで攻めていくブレイブに対してグレイブには一枚のラウズカードしかない。

いや、あるにはあるのだが…殆んどがブランクだ。

 

【コ・チーン!】

 

すると、ガシャコンブレード・氷剣モードへと変更して地面を凍らせてグレイブの足を凍りつかせる。

当然、動けなくなったグレイブは逃れようともがく。

 

「しまっ…!」

 

そしてブレイブはグレイブの行動などに異にも返さず、氷を纏わせた刀身を振り上げる。

グレイブは、ブレイブが何かをしてくることに気づくもこのままではやられてしまう…が、そこからエターナルが割り込んでくる。

 

「デヤァ!」

 

「!?!?」

 

ブレイブは飛んできた龍玄にぶつかり、一緒に後ろに後退させられる。グレイブはエターナルを見つめるも、直ぐに正気に戻り、グレイブラウザーで氷を割った。

 

「あ、あの…」

 

「ぼさぼさするなよ。」

 

エターナルは一言だけそう言ってブレイブと龍玄にエターナルエッジと呼ばれるナイフ型の武器を振るう。

剣とナイフではリーチの差があると思うが、エターナルの自身のスペックが高いのか、そんな事を気にする事もせずにブレイブにダメージを与える。龍玄のブドウ龍砲から発射される紫色の光弾は、エターナルローブと呼ばれるマントでガードした後、ガイアメモリを取り出してマキシマムスロットにセットする。

 

【TRIGGER!MAXIMUMDRIVE!】

 

「フンッ!」

 

エターナルが使用したのは、銃撃の記憶が内包されているトリガーメモリ。エターナルエッジの刀身から繰り出される青色の光弾が発射されて、ブレイブと龍玄にダメージを与えると同時に近づいてエターナルエッジで斬り裂く。

その瞬間に二人のライダーがエネルギー体となって散っていった。

 

「消えた…!?」

 

「おい。そこのお前。」

 

エターナルが変身を解いてこちらに近づいてきた。どうやら、中年の男のようだ。

 

「お前の正体を聞いてなかったな…お前、何者だ?」

 

「えっと…」

 

終夜は変身を解いたが逆に困り果ててしまう。この場で説明をしても怪しまれる。なので、終夜が取る行動は……

 

「説明しますから!取り敢えず、場所を変えましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、連れてきたと。君はバカなのかい?」

 

「ひ…酷い…。」

 

「………」

 

今この場にいるのは、男と終夜と克己の二人だ。名前は素直に教えてくれた。

だが名前以外の事は当たり前だが教えてはくれず、エターナルとは何なのか…それは、この世界の仮面ライダーなのかどうかと言う情報ではないので、意外と苦戦していた。

 

「(情報を教えてくれないかなって思ってたけど、そう言うわけには行かないんだよね…。)」

 

こちらを睨み付けながらお茶を飲む克己。ズズッと言う音だけが響く。

中々に気まずい雰囲気の中…終夜は舞が居ないことに気づく。

 

「(あれ?そう言えば舞さんは?)」

 

「おい。」

 

「は、はい!」

 

克己の言葉で意識を克己へと戻した終夜は改めて目的を聞かれることとなる。

 

「お前らの話がホントのことだとして……この世界に一体何のようだ?」

 

「この世界の仮面ライダーの力を貰いにきたのさ。」

 

終夜ではなく、代わりに男が答える。だがその答え方が悪かった。

 

「……断る。お前達のようなよく分からない連中に渡す力じゃないんでな。」

 

「いやあの…貰うって言っても…」

 

これ以上話すことはない。そのような顔を立てると、茶を飲み干して出ていってしまった。

終夜も慌てて追い掛ける。そして男は、何も言わずにそそくさと片付けに入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

克己を追い掛けていき何とか引き留める。だが、話をすることはないとの一点張り。

ここまで警戒されるのは流石に傷つく。

 

 

「見つけましたよ、ゾンビ兵士。」

 

その時、赤石が現れた。赤石もといパラドクス・ロイミュードはガイアメモリをちらつかせながら、ゾンビ兵士と発言していた。

 

「お前…何者だ?」

 

「私の事なんて別に良いだろう?君の持ってるガイアメモリを全ていただこう。」

 

赤石はパラドクス・ロイミュードへ変貌する。そして突然、パラドクス・ロイミュード以外の全ての生物の時間がスローと化した。

終夜にとってはこの現象は二度目だ。一度、レンゲルの世界で経験していた現象。

克己と終夜は知らないが、この現象は重加速、通称どんよりと呼ばれており…ロイミュードが持っている特徴みたいな物である。

 

パラドクス・ロイミュードが二人に攻撃を仕掛けようとした瞬間……黒い服を全身に纏った軍団…ショッカー戦闘員が突如として出現した。

それだけではなく、1体の影が現れる。その影はやはりと言うか怪人であった。

 

「ここは何処なのだ!?わたしは総司令の命を受け、日本きちがい作戦を実行しようとした筈…む?あれはライダーか!

ならば作戦は変更、ライダー抹殺作戦へと変更する!」

 

その名はアポロガイスト。彼は、GOD機関とよばれる組織に属しており、仮面ライダーXと死闘を繰り広げた怪人であった。

アポロガイストはショッカー軍団を見て驚いてはいたが特に気にするようすもなく、克己と終夜…そしてパラドクス・ロイミュードへと向かってくる。

 

「な…何だあの軍団は!?」

 

パラドクス・ロイミュードにも心当たりはないらしく、動揺から重加速を解いてしまった。

 

「(別の世界の…怪人!?)」

 

「何故だか分からんが、珍妙な連中がやってきたようだな。だがどちらにせよ、奴らは倒さなくちゃならないみたいだな。」

 

「!…そうですね…。」

 

あの怪人…なんか滅茶苦茶とち狂った事を言っていた気もしていたが、どっちにしても向かってくるならば倒さなくてはならない。

丁度、ダークディケイドライバーのエネルギーも復活したようでライドブッカーからカードを一枚取り出してドライバーに挿入する。

克己も、エターナルメモリを掲げて起動させると、ロストドライバーと呼ばれるドライバーに装填し、スロット部分を傾ける。

 

「変身!」

 

「変身」

 

【KAMENRIDE DARKDECADE!】

 

【ETERNAL!】

 

それぞれ、仮面ライダーDディケイドと仮面ライダーエターナルに変身し、怪人軍団へと向かっていった。

 

 

 




次回の仮面ライダーダークディケイドは

「何なんだよこいつら!」

「このわたしが手に入れた新たな力を思い知れ!」

「俺は不死身だからな。お前を倒すことくらいは造作もない!」

次回「Pの襲来/イレギュラーの進撃」


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Pの襲来/イレギュラーの進撃

「何なんだよこいつら!」

 

Dディケイドはあまりの数の多さに愚痴を吐く。事実、黒タイツ集団は減るどころか更に増えている気がしてならない。

 

【ATTACKRIDE BRAST!】

 

ブラストのカードで攻撃するも奥からドンドン沸いて出てくる。この光景に近視感を覚えるも頭を振って、その考えを振り払う。

 

「(どうすればいいんだ…無闇矢鱈に他のライダーの力を使おうとすればダークディケイドライバーのエネルギーは直ぐに底を尽きる。

何かあるか、こいつらの数を上手く減らせるような方法は…!)」

 

と、その瞬間…黒タイツ集団の中にいた一人が突然地面に沈む姿を目撃。そしてそれはやはり怪人であった。

亀を彷彿とさせるその怪人の名前はテストゥード・オケアヌスと言うアンノウンであり、当然ながらこの世界の怪人ではない。

 

「ウウゥゥゥ…!」

 

まるで地面に潜るかのように沈んでいくと地中を進んでいく。そして次々と黒タイツ集団を沈ませていく。一瞬だけ味方かと思ったが、急にDディケイドへと標的を変更したのを見て味方ではないと断定することになる。

ライドブッカー・ガンモードで銃撃を行うも、地中を猛スピードで迫ってくるテストゥード・オケアヌスに一発も当たらない。

テストゥード・オケアヌスがDディケイドを引きずり込もうとした瞬間…何処からともなくマシンダークディケイダーが現れてDディケイドを回収。Dディケイドはダークディケイダーを走らせて、エターナルの救援に向かおうとした時……

 

「キャアァァァ!」

 

「!」

 

何と、伊藤舞が黒タイツ集団…ショッカー戦闘員に襲われていたのだ。

 

「不味い!」

 

Dディケイドはアクセルを踏み込んでショッカー戦闘員を全員弾き飛ばす。

 

「イーッ!?」

 

「え…貴方は…」

 

「掴まって!」

 

舞を後ろに乗せた後、テストゥード・オケアヌスからの追跡を逃れるためにダークディケイダーを走らせる。

しかし、このまま逃げ続けてもどのみち掴まってしまう。

そして舞の両腕の力が強まる。彼女だって怖いのだ…だからこそ、早くあの怪人を倒して舞を安全な場所まで移動させなければならない。

その時…ライドブッカーから一枚のカードが飛び出してきた。

 

「これって…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は私のお父さんの命日。だから、この風都に立てられてるお墓にお参りに行った帰り道…全身黒タイツ集団に襲われた。

逃げようとしたけど…恐怖で腰が抜けてしまった。

 

「嫌…だれか…」

 

お父さん…助けて…!私の祈りが届いたのか分からないけど、あの金色の仮面ライダーとはまた違った仮面ライダーが助けに来てくれた。

 

「え…貴方は…」

 

「掴まって!」

 

私は急いでその仮面ライダーの後ろに乗る。彼もまた別の化け物に追いかけられていた。

私は怖くて無意識に掴む力を強めていた。すると、聞いたこともない電子音声が流れてきた。それは…私をとても安心させるかのような姿をしていた。

 

「お父…さん…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【KAMENRIDE SKULL!】

 

【ATTACKRIDE SKULLMAGNUM!】

 

変身したのは骨のようなライダー…DDスカルだ。だが、このライダーのカードは終夜には見覚えがなかった。

今はダークディケイドの力は殆んど失われているのにも関わらず、何故スカルと言う仮面ライダーのカードが出てきたのか。だが今は、追跡してくる怪人をどう倒すかを考える方が先である。

 

「ガアァァァァァッ!」

 

雄叫びにも勝る方向を上げて向かってくるテストゥード・オケアヌス。先程呼び出したスカルマグナムと言う武器で射撃を行う。

今までの攻撃は避けられてはいるが、接近戦は間違いなくテストゥード・オケアヌスのスピードや能力、ダークディケイドの持っている力やデメリットを考えれば、怪人の方が有利だと判断した。

レイやダークキバで無理矢理突破しても良いとは思うが、それではエネルギーの消費が激しくなってしまう。その点、スカルはエネルギーの消費が少なく感じるのだ。

 

「舞さん、しっかり掴まってて!」

 

「は、はい!」

 

マシンダークディケイダーのハンドルを握ってトップスピードで走らせる。彼女を一刻も早く安全な場所に移動させるためにも…そして、今戦っているであろうエターナルの手助けに行くためにも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様ぁ!邪魔をするな!」

 

「黙れ!貴様こそ邪魔をするな!」

 

一方、エターナルの方にも動きがあった。パラドクス・ロイミュードとアポロガイストがケンカを始めたのだ。

そもそも違う世界の出身同士な上に目的も何もかもが違う二人には息を合わせると言う行為を行う考え事態を持ち合わせているわけもない。

そして二人は気づけなかった。この行為事態が隙を晒すだけだと。

 

【LUNA!MAXIMUMDRIVE!】

 

エターナルが使用したのは幻想の記憶が内包されているルナメモリ。その能力により、エターナルは二人に分身しアポロガイストとパラドクス・ロイミュード両者にダメージを与える。

 

「ぐわぁ!おのれ!」

 

直ぐに体勢を立て直したアポロガイストは、手に持っていた銃・アポロショットを放つ。

かなりの近距離での銃撃だったため、終わりかと思われた…が、それは杞憂であった。

 

「ハアッ!」

 

「何!?ぐっ!?」

 

銃撃を近距離で受けたにも関わらず、自分に向かってくるエターナルを見て不気味に思うアポロガイストだが…そう思う先よりもアポロガイストカッターと呼ばれる盾でガード。

 

「何故だ!?何故貴様は生きている!」

 

「それはお前自身で調べればいいだろう。だがその必要はない、何故なら…お前はここで倒れるんだからな!」

 

「何故そう言いきれる!」

 

「俺は不死身だからな!貴様を倒すことくらいは造作もない!」

 

エターナルがアポロガイストに追撃を入れようとした瞬間、パラドクスロイミュードがどんよりを発動させてアポロガイストとエターナルに攻撃する。

後ろへと吹っ飛んだ二人に対して、無視されたことにかなり怒っている。

 

「貴様らぁ!わたしを忘れるとは許さんぞぉ!」

 

別に忘れていたわけではなく、エターナルはアポロガイストの次に倒そうとしていたのだが…。しかしその考えは、パラドクスロイミュードがガイアメモリを起動させたことで変わる。

 

「このわたしが手に入れた新たな力を思い知れ!」

 

【GATE!】

 

パラドクス・ロイミュードはゲートメモリを胸の真ん中に刺すと、その姿をまた別の異形へと変化させる。

その姿は、両腕と顔がドアをイメージさせるかのような姿をしている。

 

「……ガイアメモリか。」

 

「これはわたし自ら開発したメモリ。さあ!この力で貴様を葬ってやろう!」

 

パラドクス・ロイミュード改めゲート・ドーパントはアポロガイストとエターナルへと向かっていく。

イレギュラーを向かえた戦いは…まだ終わらない。




次回の仮面ライダーダークディケイドは

「これで終わりだぁ!ゾンビ兵士ぃ!」

「こんなところで終われるかぁ!」

「僕達なら、きっと倒せますよ…多分。」

次回「Eの力/この町の仮面ライダー」


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Eの力/この町の仮面ライダー

「ハァっ!」

 

マシンダークディケイダーを走らせ続け、丁度良い物陰を見つける。追ってきたテストゥード・オケアヌスを牽制しつつ、舞を物陰に隠れさせて…DDスカルはテストゥード・オケアヌスに向かってスカルマグナムでの銃撃を放つ。

地面に潜っていたテストゥード・オケアヌスも流石にしびれを切らしたのか飛び出してきた。

 

「グオオオオォォォォ!」

 

その雄叫びは空気をぴりつかせる。そしてDDスカルを押さえつけようと飛び掛かるも、腹部に近距離射撃を受け、倒れる……が、その程度でやられる程弱くはない。

DDスカルは蹴りやパンチなどを繰り出すも、甲羅に弾き返されてしまう。

このアンノウンの甲羅はかなり頑丈らしく、パンチや蹴り程度の攻撃ではびくともしないようだ。

このスカルと言うライダーは決して弱くはない……だが、それでもテストゥード・オケアヌスを相手取るにはいささかの火力不足は否めない。

 

「(なら…!)」

 

ライドブッカーから一枚のカードを取り出して、ドライバーに挿入する。

 

【FINALATTACKRIDE S S S SKULL!】

 

DDスカルの胸元に髑髏型のエネルギーが現れるのと同時に浮かび上がっていく。

そして髑髏型のエネルギーを蹴り飛ばしてテストゥード・オケアヌスを倒そうと試みる。が、甲羅によって弾き返される。

 

「っ……!」

 

必殺技を弾き返されてしまった事に驚くが、テストゥード・オケアヌスは地中に潜りながら迫ってくる。

しかもかなりの近距離だ。これは避けきれないと判断したDDスカルは、スカルマグナムの引き金を引いて少しでも距離を離そうとして光弾を放った瞬間……テストゥード・オケアヌスはオーロラカーテンによって何処かへと消えていった。

 

「!?」

 

DDスカルは突然消えたことに動揺していた。怪人の能力かと思われていたが…残っていた筈の黒タイツ集団も居なくなって居たことに気付き、本当に消えてしまったのかと考えていた。

 

「(あの怪人…一体何処に…)」

 

 

少しの不安が残るも、物陰に隠れさせていた舞の元に向かう。

 

「一応、怪人達は何処かに行きましたけど…あいつらがまたいつ襲ってくるのか分かりませんから…ここから離れてください。」

 

「は…はい…。」

 

舞はここから走って離れていく。そしてDDスカルは今も戦っているエターナルの元へ、急いでマシンダークディケイダーを走らせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テストゥード・オケアヌスやショッカー戦闘員が消えた…ならば当然、アポロガイストもオーロラカーテンに飲み込まれて消えていった。

しかしそんな事は気にならない程に、戦いは激化していた。

 

エターナルは高い戦闘能力や様々なメモリを使い分けて戦う戦術を持っているが…それ以上に厄介なのがゲート・ドーパントの能力だ。

エターナルの攻撃が全て吸収される上に、何処かにドアを作って吸収した攻撃を跳ね返すなどの驚きの戦い方を展開しているのだ。下手な重加速よりもよっぽど面倒な能力である。

 

「ふはははは!どうだゾンビ兵士!これが俺の新しい力だ!貴様如きの力では手も足も出ないだろう!」

 

「面倒な力だな…。(さて、どうするか…)」

 

こんな状況でもエターナルは冷静であった。ゲート・ドーパントの力は確かに厄介ではあるが、対処の使用がない訳ではない。

しかしと言うか、やはり一人では限界がある。メモリを使う隙を何とか作るしか倒す道はない。

 

「これで…!」

 

と、そこでDDスカルの横槍が入る。ドアを作って入ろうとしたゲート・ドーパントを妨害したことにより、エターナルがメモリを使う事が出来る。

 

【VIOLENCE!MAXIMUMDRIVE!】

 

エターナルが使用したのは暴力の記憶を内包したバイオレンスメモリ。その効果により、エターナルの腕力が強化される。

その強化された腕力を振りかざして、ゲート・ドーパントに向かってラリアットを使ってぶっ飛ばした。

DDスカルはいつの間にかDディケイドに戻っており、エターナルの隣に立つ。

 

「俺はお前を信用はしない……が、あれに勝てるか?」

 

「僕達なら、きっと倒せますよ…多分。」

 

かなりふわふわした回答にエターナルは仮面の中で苦笑すると、エターナルエッジを構える。

信用はしないが協力する…。きっとそんな事を言っているのだろう。

 

「行くぞ。」

 

「はい!」

 

 

Dディケイドとエターナルは同時に走り出す。ゲート・ドーパントはドアを作ってその中に入る。

だがエターナルは分かっていた。

 

「おい。」

 

「え、何ですか…?」

 

「俺が奴を探知する。そしたらお前は奴を攻撃しろ。」

 

【KYE!MAXIMUMDRIVE!】

 

エターナルが使ったのは鍵の記憶を内包したキーメモリ。その効果は、施錠したりと鍵のような力を持っているがそれだけではない。

キーと言う言葉は、重要の意味合いも持つためにゲート・ドーパントが次に出てくる場所を察知することが出来るのだ。

 

「……!後ろか!」

 

Dディケイドはすかさずライドブッカーから一枚のカードを取り出して、ドライバーに挿入する。

 

【KAMENRIDE RENGEL!】

 

【ATTACKRIDE RENGELROUSER!】

 

【ATTACKRIDE POISON!】

 

DディケイドはDDレンゲルへと姿を変えて、更に二枚のカードを挿入した。呼び出したレンゲルラウザーにポイズンスコーピオンのラウズカードの力がレンゲルラウザーに付与される。

そして飛び出してきたゲート・ドーパントに向けて毒を注入する。

 

「ハァっ!」

 

「ぐうぅぅぅ!」

 

相手は機械生命体ロイミュード…当然、毒なんか効く筈もないがそれでも少しだけでもダメージを与える事には成功した。ゲート・ドーパントに対しての即座な判断力はDディケイドがエターナルを見習わないと行けない点だ。

 

「ふざけるなよゾンビ兵士ぃ!この俺の力がお前のような奴にぃ!」

 

「ふん、ギミックさえ分かればそいつでも分かるようなもんだ。」

 

其処からはエターナルとDDレンゲルの独壇場だ。DDレンゲルの動きに合わせてくれるエターナルに対して、DDレンゲルの邪魔にならない程度に戦う。

 

「死ねぇ!ゾンビ兵士ぃ!」

 

「こんなところで死ねるかぁ!」

 

エターナルは自身のメモリ…エターナルメモリをエターナルエッジに装填する。

 

【ETERNAL!MAXIMUMDRIVE!】

 

エターナルレクイエム…この力でゲート・ドーパントのゲートメモリの力は永久的に機能を停止。そして空中へ飛び上がり、ボレーキックで蹴撃を直撃させる。

ゲート・ドーパントは大きく吹っ飛び、パラドクス・ロイミュードへと姿を戻した。

 

「これで、終わりだな。」

 

エターナルが近付いていった瞬間…パラドクス・ロイミュードが重加速を発生させる。

だがこれは逃げの一手…これ以上は戦えないと考えた故の判断なのだろう。

 

「くそ…こんなところでわたしは死ねないんだ…!奴に復讐を果たすその時まで…!」

 

悪あがきなのかは分からないがパラドクス・ロイミュードの前にオーロラカーテンが現れて包み込むように飲み込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやはや凄いね。エターナルのみならず、スカルのカードまで入手するとは驚きだよ。」

 

男は終夜をそう称賛する。しかし、終夜には気になっていたことがあった。

 

「……なんで舞さんがここに?」

 

そう、伊藤 舞が何故か自分達の拠点に居たのだ。理由を聞けば何故か男が答えた。

 

「彼女自身が所望したのさ…自分が着いていきたいって。」

 

「え?」

 

終夜は舞を見つめる。舞は終夜を見つめ直すと話し始めた。

 

「マインドさんから聞いたんです。終夜君が記憶喪失だって…だから決めたんです。

私も探偵の端くれ…困った人を助けるのも探偵の仕事だって!」

 

終夜は舞に直ぐに危険だからやめた方がいいと言ったが舞も譲らない。結局、終夜の方が折れて動向することとなった。

 

「てか、マインドって誰?」

 

「自分の事だよ?」

 

男の名前がマインドだと言うことが改めてわかった所で、マインドが絵に触れる。

すると、その絵は15個の目玉のようなアイテムが回りに散らばっており、その中心には大きな目の紋章が浮かび上がっているかのような絵が描かれていた。




次回の仮面ライダーダークディケイドは

「なんでしょうか、これ。」

「君は幽霊を信じるかい?」

「君達!わたしの兄上を見かけたか!?」

次回「騒々!兄を探す者!」


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仮面ライダーダークゴーストの世界
騒々!兄を探す者!


雨が降りしきる夜…そこに一人の人物がいた。その人物は、黒いフード付きのパーカーを被っており顔のシルエットが悪霊のような顔をしている。

そしてそれを遠くから見ていたのは一弥だ。

 

「この世界の仮面ライダー…か。やれやれ、死人がこの世界になんの未練があって残ってるのかは知らないけども、僕の邪魔だけはしないで欲しいね。」

 

そう言って銃型のディオーライバーに一枚のカードを挿入して、引き金を引く。

 

【ATTACKRIDE INVISIBLE!】

 

インビジブルのアタックライドカードを使った一弥は、その場から透明になるかのように消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが次の世界何ですね!」

 

「まあ、そうみたいですね…。」

 

舞がはしゃいでいる横で昨日、マインドから聞いた話が忘れられない終夜は少し眠たくなっていた。しかしこうも暖かい陽気を浴びていれば嫌でも眠くなってしまう。

 

『君は幽霊を信じるかい?』

 

断じて信じている訳ではないが夜にあんな話を聞かされたら嫌でも考えてしまう。

 

「あれ?何でしょうか、これ。」

 

舞が不思議がって拾ったのは目玉のようなアイテム。しかもそれは、あの絵に描いてあった15個の目玉と同じような気がしていた。

 

「これってマインドさんに見せた方が良いんですか?」

 

「う~ん……どうだろ?」

 

 

こう言うのもあれだが流石に自分もこの目玉がこの世界に関係することかもしれないと言うのは分かっているのだ…いるのだが、そのライダーの名前が分かっていないのだ。

 

「(この世界の仮面ライダーが一体何なのか…それが分かんなきゃこっちだって何も出来ないし、探せない。)」

 

とは言え、見る限りであれば物凄く平和である。公園で遊んでいる子供達やそれを見守ったりしている親子。

それを見ていると終夜は、自分にも家族が居るのかな…と、そんな事をふと考える。

それを見た舞は、終夜の意識を自分の方へと向けさせる。

 

「と、取り敢えず!この世界の情報を集めよ!そうしたら自然と出てくるよ!」

 

「………そうですね。じゃあ、探しに行きましょうか。」

 

終夜と舞は二人でこの世界の情報を探しに出掛けた。だがその一方で……その二人を見ていた一人の男の影…。

 

「ダークディケイドライバー、あれは俺の物だ…!必ずこの俺が手に入れてやる…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舞と終夜はこの世界を散策すると共に、仮面ライダーの情報を探し続けているが……

 

「駄目…全っ然見当たらない。」

 

「闇雲に探すのはやっぱりきついんですかね…。」

 

何も見つからない…仮面ライダーのかの字も見つからない。

それに色々回ったのか少し疲れが溜まっている。だがその前に……グウゥゥゥと、舞のお腹が食べ物を寄越せと言うサイレンを流す。

舞は直ぐにお腹を押さえて恥ずかしさで頬を赤らめていた。

 

「ご、ごめん!…お腹、空いちゃってて…」

 

「あぁ~…そう言えばもうお昼なんですね。」

 

 

時計を見れば時間がお昼を回っていた。そう言えば何だか自分もお腹が空いてきた感じがしてきた……。

 

 

「じゃあ、何処かでお昼にしますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美味しい~!このたこ焼き凄く美味しいですよ!」

 

「うん。確かに、凄く美味しい…。」

 

お昼は公園で売られていたたこ焼きを食べた。その際に、店主のお婆ちゃんにカップルかい?と言われたけど直ぐに違いますと訂正した。

俺は記憶喪失だし……こんな俺がカップルの相手とか嫌でしょうに…。

 

だけどたこ焼きの暖かさが自分の暗い気持ちを消してくれる。何だかとても幸せになれる味なのだ。

食べ終わった後、再び調査を開始しようと立ち上がった時声を掛けられる。

 

「君達!わたしの兄上を見かけたか!?」

 

「え…いや、見てないですけど…」

 

声を掛けてきたのは若そうな青年なのだが何だか焦っている様子だった。

しかしこの青年の兄なんて見たことはないし、そもそもこの青年の事も良く知らない。

 

「あの…あなたは?」

 

「わたしの名前はアランだ。しかし、兄上がここにも居ないとは…何処に行かれてしまったんだ。」

 

しかしそんな事はつかの間…。平和と言うのは直ぐに終わるもので…。

 

「!…くっ、眼魔…!」

 

「え?」

 

アランが見た先には、眼魔と呼ばれる怪人が現れた。だが終夜にはそれが全く見えてない。

普通の人には見えない敵…しかし、それが分かってない終夜にとってはアランが一体何を言っているのか分からない。

 

「お前達…まさか、わたしを倒しに来たのか。」

 

『そのまさかですよ、アラン様。』

 

『さあ、お覚悟を!』

 

「っ…やむ終えないか…!」

 

アランは、メガウルオウダーを左腕に装着してネクロムゴーストアイコンを起動させてメガウルオウダーに装填する。

 

【ローディング!】

 

「変身」

 

飛び出してきたのは黒とクリアグリーンのパーカー。メガウルオウダーを操作すると、そのパーカーがアランの上から被さる。

アランの姿は生身から鎧を纏った姿へと変わる。

 

 

【テンガン!ネクロム!メガウルオウド!クラッシュ・ザ・インベーダー!】

 

その姿は、仮面ライダーネクロムへと変身を遂げた。そして目の前の眼魔…刀眼魔と斧眼魔に立ち向かっていく。

目の前に変身している仮面ライダー…だがしかし、終夜には何も見えていないのだ。

 

「アランさんが…きえた!?」




次回の仮面ライダーダークディケイドは

「なんで見えないんだ…!」

「ゴーストアイコンは僕が貰うよ。」

「ダークディケイド…ここがお前の墓場になるんだ…!」

次回「驚愕!見えぬ敵!」


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驚愕!見えぬ敵!

ネクロムは斧眼魔と刀眼魔に向かってパンチや蹴りなどの打撃攻撃を繰り出す。

だが2体の眼魔から繰り出される斬撃に苦戦する。ネクロムは一つのゴーストアイコンを取り出してメガウルオウダーに装填する。

 

【ローディング!】

 

現れたのは深緑色のゴーストパーカー。それは、背中に二本のペン先のような物を装備している。

メガウルオウダーを操作することで、ネクロムはフォームチェンジをする。

 

【テンガン!グリム!メガウルオウド!ファイティングペン!】

 

それは、グリムと呼ばれる英雄の力。ペン先型のニブショルダーを2体の眼魔に向けて放つ。

 

『ぬおぉ!?』

 

『ぐうぅ!!』

 

怒涛の連撃に耐えきれず、刀眼魔は吹っ飛ばされる。斧眼魔は何とか耐えたが限界を向かえていた。

ネクロムは、メガウルオウダーを操作して必殺技を発動する。

 

【デストロイ!ダイテンガン!グリム!オメガウルオウド!】

 

ニブショルダーの連撃の雨が刀眼魔に降り注ぐ。そして刀眼魔の防御体勢を崩して、串刺しにするかのように撃破した。

 

『くっ!己…!』

 

斧眼魔は捨て台詞を吐いて逃げていった。ネクロムは追うのを諦めて、変身を解いた。

そして終夜と舞に近づいていく。

 

「君達、大丈夫か!?」

 

「あの…急に見えなくなったんですが…あれは何でなんですか?」

 

「(何か、あの目玉みたいなアイテムを使おうとした瞬間に消えていたような…)」

 

「あ、あぁ…それは…」

 

舞の質問にしどろもどろになるアラン。しかし、そんな三人の前に一弥が現れた。

当然、手にはディオードライバーが握られている。

 

「やあ、ダークディケイド君。それに舞ちゃん…だったかな?」

 

「あなたは…?」

 

「あ、そっか…君が知らないのは無理ないか。まあでも、ダークディケイド君なら知ってるよね?」

 

「……確か、エターナルと戦ってた…」

 

終夜が自分の記憶を掘り起こしてみれば、確かに居た。仮面ライダーエターナルと戦っていたあの仮面ライダーだ。

見た時は一瞬分からなかったが…名前と声で思い出したのだ。

 

「さてと、じゃあネクロム君。君の持ってるゴーストアイコンを頂こうかな?」

 

突然、アランの事を呼んだ一弥は堂々と泥棒宣言をするとディオードライバーにカードを挿入する。

 

【KAMENRIDE DIORA!】

 

仮面ライダーディオーラへと変身すると、ディオードライバーから光弾を発射する。

アランは、終夜と舞をしゃがませて避けるとネクロムアイコンを取り出そうとした…が、そこで終夜に止められる。

 

「あなたは下がってて下さい。」

 

ダークディケイドライバーを腰に装着して、ライドブッカーからカードを一枚取り出してドライバーに挿入する。

 

「変身!」

 

【KAMENRIDE DARKDECADE!】

 

Dディケイドに変身し、ディオーラへと駆け出していく。ディオーラは面倒な感じを醸し出しながらDディケイドの攻撃を避けていく。

体を翻し、ディオーラはディオーソードを取り出すとカードを一枚取り出した。

 

「君に見えないことがどれだけ面倒なのか、体験させてあげるよ。」

 

【ORARIDE GHOST!】

 

ディオーソードの刀身から仮面ライダーゴーストのオーラが現れ、それがディオーラへと重なると…姿が完全に見えなくなってしまった。

 

「え!?姿が!」

 

『どうだい?姿が見えない敵に、君は対処できるかな?』

 

ディオーラは透明となりDディケイドに攻撃を加えていく。ディオーソードとガンガンセイバーの二刀流でどんどんダメージが増えていく。

 

「(なんで見えないんだ…!)」

 

今のDディケイドにはディオーラの姿が全く見えていない。これには流石にお手上げか…そう思った瞬間に

 

「左だ!」

 

「!…デヤァ!」

 

『!…おっと。』

 

左に向かってライドブッカーを振ると、当たりはしなかったが其処からディオーラの声が聞こえたのだ。

Dディケイドは、その声の主である方向へと向くと…舞がいた。しかし何処か違う様子で…

 

『成る程、そう言うことかい。しょうがないから、ここは一度撤退しようかな。』

 

ディオーラは気配を完全に消して消えていった。しかし、そんな事が気にならない程に終夜は困惑していた。

目の前に居るのは、舞であって舞ではないのだから。

 

「舞さん!どうしたんですか!?」

 

「落ち着いてくれ。まずは何処か話せる場所を用意してくれないか?そこで話そう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わたしの名前はダヴィンチだ。今はこの子の体を借りているんだよ。」

 

「……ダヴィンチって、なんですか?」

 

「君、記憶を失ってるからって失礼すぎない?モナ・リザで有名……って、言っても分かんないよね。」

 

マインドからのツッコミが入るが、ダヴィンチと言う人はわりと有名らしい。しかし、どうしてそんな人が舞さんの中に……。

 

「この子が拾ったのはわたしのアイコンなんだ。其処にいる、アラン君が使っているのと同じ物だと覚えておいた方がいい。」

 

「ダヴィンチアイコンは、兄上だけじゃない……わたしのもう一人の兄が求めているものでもある。

先の眼魔達も、その手先だ。」

 

この人達の言いたいことがさっぱり分からない…だけど、この世界の仮面ライダーの情報を入手することが出きる筈だ。

 

「あの、アランさん!あなたのお兄さんは、仮面ライダーですか…?」

 

「……何故それを?」

 

アランは、自分の兄が仮面ライダーであることを何故知っているのか驚いていた。終夜は、自分が仮面ライダーの力を取り戻す訳を話すと……

 

「…………分かった。君もまた仮面ライダーだと分かったんだから、協力をしよう。えっと…」

 

「終夜です。」

 

「そうか、宜しく頼むよ終夜。」

 

終夜達は協力者を見つけることが出来た。明日からアランさんのお兄さんを探す。

総意は決まり、明日の万全の状態をキープするために今日は休むことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダークディケイド…ここがお前の墓場になるんだ…!」

 

レンゲルの世界で終夜を襲った女性はオーロラカーテンを出しながら息を荒立てていた。

理由は単純明快…ディオーラと言う不穏分子が現れたからだ。

 

「(ディオーラ…邪魔をするなら…!)」

 

そんな事を考えていると、仮面ライダースナイプと仮面ライダーベルデが現れた。

 

「…今回はこいつらか。」

 

女性はオーロラカーテンを閉じるとスナイプとベルデにダークディケイドを探すように命令を出して、自分は何処かに去っていった。

 




次回の仮面ライダーダークディケイドは

「ダークディケイドライバーは、俺が手に入れる!」

「さあ、始めようか。争奪戦を。」

「あれが…!」

次回「激闘!争奪戦勃発!」


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激闘!争奪戦勃発!

終夜、アランの二人はアランの兄を探すために捜索を開始する。ダウィンチアイコンをアランが所持する事で、敵をおびき寄せられる。

最初は終夜もこの作戦を拒んだが、アイコンを使えるアランが持った方が戦力になると言うマインドの言葉で、終夜は黙り込んでしまった。

しかしこれは事実であり、この世界の眼魔と言う怪人はアランにしか見えない。それ故に、いくらダークディケイドと云えとも見えない敵が相手ではどうしようもなく、正に今のままでは役立たずも良いところである。

 

「……」

 

「大丈夫か?」

 

「あ…いえ、大丈夫です…。」

 

正直、自分がこの世界にいる意味はあるのかと思い始めてきた。この世界の仮面ライダーの力を手に入れてさようならなんて…あまりにも失礼だ。

自分は力を貸して貰う側だと言うのに…。

 

「…何か悩みがあるのなら聞くよ?」

 

そんな自分にアランさんは声をかけてくれる。この人は凄く優しい人で、強い正義感を持っている仮面ライダーなんだと…改めて思い知った。

 

「すいません…僕は、分からないんです。この世界に来た意味が…。」

 

「この世界に来た意味?」

 

「僕は眼魔と言う怪人の姿が見えないんです。僕は戦力にならなくて、アランさんだけに戦わせてしまう…。

それが何より嫌なんです。」

 

この世界に来て何にも出来ないのは嫌だ。その考えで、何か手伝えることがないか…。

それを聞いたアランは、終夜にこう言った。

 

「実を言えば…わたしも過去に似たような経験があるんだ。」

 

「……え?」

 

「わたしは眼魔世界の戦士として育てられた。でも、わたしの兄上はそれ以上に強くて、助けられることが多かったんだ。」

 

だが、アランは兄に助けられてばかりで自分は足手まといなのでは無いかと…そんな風に思っていたらしい。

そんな中で、兄にある言葉をかけられた。

 

「『孤独と言うのは弱さでもあり、武器でもある。』わたしはこの言葉に感銘を受けた。

その後、わたしはがむしゃらに己を鍛え上げて強くなったんだよ。」

 

アランは兄に追い付きたいと言う一心で、がむしゃらに鍛え上げて強くなっていき…次第には兄を一人だけで戦わせない程には強くなっていた。

 

「終夜…今は焦らなくて良い。君には、君の役目がある筈だから。」

 

「アランさん……」

 

だが、アランは何者かの気配に気付き立ち上がる。その様子を見た終夜も立ち上がる。

しかしその敵?が見えないので、また眼魔かと思ったが…そうでは無く、一人の男であった。

 

「レバル兄さん…!」

 

「久し振りだな、アラン。早速で悪いが…ダウィンチアイコンを渡して貰おうか?」

 

「……残念だが、レバル兄さんには渡せない。」

 

【ステンバーイ!】

 

ネクロムアイコンを起動させ、メガウルオウダーに装填し操作する。

 

「変身。」

 

【ネクロム!オメガウルオウド!クラッシュ・ザ・インベーダー!】

 

ネクロムへと変身したアラン。しかし、そんなアランを目の前にしても余裕を崩さないレバル。

 

「ふ、一度もお前は俺に勝ったことがなかったな?いいだろう…もう一度、お前には徹底的に敗北と言うものを叩き込んでやろう。」

 

そう言って取り出したのは、13個のアイコン。それを自分自身の体へと取り込んだ。そしてレバルの姿は…醜悪な化け物へと変化を遂げた。

13個のアイコンの力を一つに纏めたような…その姿は、何処かキメラアンデットを彷彿とさせるような、そんな姿をしている。

 

「レバル兄さん…もうわたしはあの時よりも強くなっているんだ。そう簡単にはやられない!」

 

ネクロムが、レバルとの戦いを始めた頃…終夜の方に新たな敵が送られてきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「仮面ライダー…!?」

 

「ダークディケイドのドライバーを渡せ。」

 

終夜の目の前に現れたのは、まるで蝙蝠のような…機械的な鎧を纏ったナイトローグと呼ばれる戦士である。

こいつは厳密に言えば、仮面ライダーではなく疑似ライダーなのだが終夜には分かる筈はない。

ナイトローグがトランスチームガンでの銃撃を仕掛けてくる。終夜は何とかかわし、ダークディケイドライバーを腰に装着し、ライドブッカーからカードを一枚取り出して、挿入する。

 

【KAMENRIDE DARKDECADE!】

 

Dディケイドへと変身した終夜はナイトローグと対峙する……が、そこに現れたのはディオーラだ。

ディオーラはディオーソードを構えて、Dディケイドとナイトローグの元へと現れる。当然狙いは、ゴーストアイコンだ。

 

「やあ、楽しそうな事をしてるね?僕も混ぜてくれよ。」

 

「こそ泥風情が…!邪魔をするな!」

 

「ディオーラ!?また来たんですか!?」

 

「さあ、争奪戦の開始だ。」

 

DディケイドVSディオーラVSナイトローグ…また別の形で戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれが…!」

 

一方、ある青年がアイコンを見つけていた。ようやく探し物が見つかった。

これでようやく帰れると思っていたが…ここで懐かしいようで、とても憎らしい気持ちにさせる気配を感じ取った。

 

「アラン…そして、レバル…!」

 

青年は向かう。手に一つのアイコンを握りしめて。




次回の仮面ライダーダークディケイドは

「ダヴィンチアイコンを渡して貰おうか!」

「久しぶりだな、レバル。」

「この世界の…仮面ライダー…。」

次回「集結!この世界の仮面ライダー!」


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終結!この世界の仮面ライダー!

今回から後書きに次回予告を書くのは止めます。はっきり言って書きづらいんですよ…。


「どうしたアラン。その程度か。」

 

「くっ……」

 

レバルVSネクロム…その戦いはネクロムのボロ負けと言っても過言ではないほどに差が出ていた。

レバル怪人態は13個の英雄アイコンを取り込んでいる為に様々な攻撃を仕掛けてくる。キメラアンデッドと特性は似ているものの、意識がある分厄介である。

 

「ハァッ!」

 

「ほう?まだまだ接近戦をすると?良いだろう。」

 

二刀流での剣撃、電撃を使った拳、重力を利用する攻撃…英雄の力を模した攻撃によりネクロムが追い詰められていく。

このままではやられてしまう…しかし、ネクロムも戦い続けてきた戦士。直ぐに薄橙色のアイコンをメガウルオウダーに装填し、メガウルオウダーを操作する。

 

【テンガン!サンゾウ!メガウルオウド!サイユウロード!】

 

ネクロムの姿は西遊記の三蔵を彷彿とさせる姿と変化する。マスク部分には冠のような物が付いており、右肩に真っ赤な孫悟空、左肩に黄色の猪八戒、背中には緑の沙悟浄とお供の顔のレリーフがある。

 

ネクロムサンゾウ魂へと姿を変えて背中に装備した後光のような武器ゴコウリンを取り外して、レバル怪人態を攻撃する。二人の攻防戦はまだまだ続いていく。

 

「アラン!ダヴィンチアイコンを渡して貰おうか!」

 

「レバル兄さんには渡せない!絶対にだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これを避けてごらんよ。」

 

【ATTACKRIDE BRAST!】

 

ディオーラから繰り出されるブラストの光弾が空中から地上へと流れるように落ちてくる。

Dディケイドとナイトローグはその回避に専念する。

 

「え、ちょっと!?」

 

「チッ…!」

 

Dディケイドには分からなかった。ディオーラが何故、こちらまで攻撃してくるのか…。ディオーラ自身、エターナルの世界で仮面ライダーエターナルのメモリを奪おうと襲いかかっていた。

故に、自分の目的のためなら誰かが迷惑を被ることになっても関係ないのだ。

 

「どうしたんだい?」

 

「どうしたじゃ無いですよ!何で僕にまで…!」

 

「君と僕は仲間じゃないからね。理由なんてそんなもんだよ。」

 

ナイトローグがDディケイドとディオーラを攻撃しようとした瞬間に、仮面ライダースナイプと仮面ライダーベルデが邪魔をするかのように乱入してくる。

 

「なんだこいつらは…!?」

 

ナイトローグが仮面越しにディオーラを睨み付けるがディオーラ自身も驚いており、ディオーラの手先ではないことは明白であった。

しかしスナイプとベルデにはそんな事はお構い無し。Dディケイドとディオーラを見つけては直ぐにナイトローグを捨てて襲ってくる。

 

【HOLDVENT!】

 

ベルデは右大腿部にあるバイオバイザーにカードを読み込ませることで、ヨーヨー型の武器バイオワインダーを召喚する。

バイオワインダーの変則的な攻撃がDディケイドを苦しめる。

 

「これだったら…これで!」

 

ライドブッカーから一枚のカードを取り出してドライバーへと挿入する。

 

【ATTACKRIDE ILLSION!】

 

Dディケイドは三人に分身しベルデを取り囲む。バイオワインダーの攻撃が飛んで来るも、二人の分身がそれを受け止めて、本体のDディケイドがライドブッカーでベルデを切りつける。

ベルデは攻撃を受けて後ろに後退する。が、今度はスナイプのバンバンマグナムの銃撃が飛んでくる。

 

「うっ…!」

 

腕を交差させてガードする。決して忘れていたわけではないが、ナイトローグがトランスチームガンを持って接近してくる。

そして0距離での発射に耐えきれずに吹っ飛ばされたDディケイドのドライバーはその拍子に外れてしまい、終夜は生身を晒すことになってしまう。

 

「うっ…しまった…!」

 

「これでダークディケイドの力は俺の物に…!」

 

ナイトローグがダークディケイドライバーに手を伸ばした時、電子音声が聞こえた。

 

【ORARIDE W!】

 

「…ぬぐぅ!?」

 

ディオーラは仮面ライダーWの力を纏って強力な竜巻を発生させて、ナイトローグとベルデとスナイプを巻き込んで空中に飛ばすと、ディオードライバーに一枚のカードを挿入する。

 

【FINALATTACKRIDE DI DI DI DIORA!】

 

ディオードライバーの銃口から巨大な竜巻のエネルギー弾が発射される。ナイトローグは、ベルデとスナイプを盾にしてダメージを軽減させようと試みるが…その威力は、二人を貫いてナイトローグにも大きなダメージを与えた。

 

「ぐあぁぁぁ!」

 

ナイトローグが吹き飛んで地面に激突。その足元には、ベルデとスナイプのライダーカードが転がっていた。

 

「おのれ…!」

 

ナイトローグは変身が解かれなかったが足元がふらついたまま、その場から離脱した。

ディオーラは戦いが終わると直ぐ様去ろうとしたが…何を思ったのか、カードを一枚取り出して終夜に渡した。

 

「……え?」

 

「それをあげるよ。そのライダーカードなら、幽霊も見えるようになるからね。

ダヴィンチアイコンは今回は諦めるしかないようだしね…ま、それよりも良いものがあるから良いけど…。」

 

終夜に手渡したのはゼロスペクターと言う仮面ライダーのカード。それを手にしたら、何とレバル怪人態と対峙している仮面ライダーを見つけることが出来た。

 

「あれが…この世界の仮面ライダー…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネクロムはねじ伏せられていた。レバル怪人態の圧倒的強さに敗北するしかなかった。

だがトドメは何故か刺されない。理由は簡単で、レバル怪人態の前には別の仮面ライダーが対峙しているのだ。

 

「久し振りだな…レバル。」

 

「あぁ、久し振りじゃあないか…ダークゴースト!」

 

ダークゴースト…それが、この世界の仮面ライダーである。ダークゴーストはガンガンセイバーを持って、レバル怪人態に突きつける。

 

「ここでお前を倒す。必ずな…!」

 

ダークゴーストVSレバル怪人態との戦いが始まった。たった一人、怪しげな考えを持ちながら……




ダークディケイドの設定を活動報告に書きました。随時更新していく予定です。


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侵入!眼魔世界!

この作品を見て下さっている読者様に謝ります。

前回の後書きにあまりにも失礼すぎた事を書いて申し訳ありません。
次回予告のような物を止めたのには理由がありまして…主な理由が内容など決めて書いていても…あまり意味が無いかなと…。
自分は後書きとかにあまり書かないような人間なので、慣れない事をして疲れた…と言うのが理由です。
なので、後書きには何も書かない…それか、何か書くか…この二択を現在決めかねて居ますので…決まればお知らせします。


「ハァ!」

 

ダークゴーストは、格闘術でレバル怪人態を攻撃していく。レバル怪人態も、弓矢を撃ち、時にハンマーを使って攻撃するもゆらりゆらりとかわされていく。

 

「ふざけた真似を…!」

 

「行くぞ…一休!」

 

ダークゴーストが英雄アイコンを1つ取り出すと、ゴーストドライバーに装填。そのドライバーからパーカーが出現し、ダークゴーストへと被さる。

 

【カイガン!一休! 迫るピンチ!冴えるトンチ!】

 

 

「そのアイコンは…!」

 

「お前に教える義理はない!」

 

ダークゴーストは一休魂へとフォームチェンジし、胡座を組む。そのまま、まるで念力でも使ったかのように浮かび上がると…レバル怪人態へと虎を呼び出して攻撃する。

 

「ぬあっ!?」

 

虎に噛み付かれボロボロとこぼれ落ちる体。その体から、数個の英雄アイコンが地に落ちる。

それに気づいたダークゴーストは、レバル怪人態を蹴り飛ばして直ぐに回収する。

 

「ノブナガ、ヒミコ、フーディーニ…レバル、お前は自分の体の中にアイコンを取り込んだのか。」

 

「…そうだ。俺はお前が憎くてしょうがなかったんだ…。その力は、本来なら俺が手にする力だった筈なのに…!」

 

そう言いながらゴーストドライバーを指差すレバル。元々は、ダークゴーストになるのはレバルだった筈なのだが…ある事故が起きて、今現在はダークゴーストに変身している青年がそうなのだ。

 

「ふざけるなよ…!貴様さえ居なければ!この俺がダークゴーストの力を手に入れることが出来たんだ!アレン!」

 

アレン…ダークゴーストは、その話をただ黙って聞いていた。仮面の奥で密かに目を瞑り…そしてレバルへとガンガンセイバーを向ける。

 

「悪いがそれでも…お前を見過ごすわけにはいかん。お前を倒し、この現実世界も眼魔世界も守る。」

 

「やはり気にくわん…!貴様は本当に気に食わん!!!!」

 

レバルは怒りを爆発させて襲いかかる。ダークゴーストも、レバルを掴んでの取っ組み合いになる。

ダークゴーストは何とかアイコンのチェンジの隙を伺っているのだが、レバルの猛攻から何とか作らなければならない事実に冷や汗をかく。

 

「貴様はいつもそうだ!そうやって偽善を装っていなければ、自分を見失ってしまうような弱い存在の癖に!」

 

「当たり前だ…!私も死んでから気づいたのだ。心と言うものは、こんなにも脆いものなのだと…。

だが、これが私だ!偽善を貫く事も、自分を見失うことも…この全てが私なんだ!」

 

そう言い放ってレバル怪人態に向かってガンガンセイバーによる一太刀を放って、よろけさせ、再び次のアイコンを装填する。

 

【カイガン!ナポレオン! 起こせ革命!それが宿命!】

 

晴れやかな軍服を纏ったようなそれはナポレオンと呼ばれる英雄アイコンを使用した姿。

ダークゴーストナポレオン魂の姿へとフォームチェンジしたダークゴーストは、ドライバーのレバーを操作する。

 

【ダイカイガン!ナポレオン!オメガドライブ!】

 

ダークゴーストが飛び上がり、光を纏った右足で蹴りを放つ。対抗するレバル怪人態は取り込んだアイコンの力を一斉に使って、ダークゴーストの蹴りをガード。

両者の激しいぶつかり合いがおき、ダークゴーストが押し始めた。

 

「ハアァァァァァ!」

 

「ぬ、グオォォォォォ!!」

 

しかしその瞬間、アランからダヴィンチアイコンが離れたかと思うと…レバル怪人態の中へと自ら入っていく。

するとレバル怪人態の体が光だして衝撃波でダークゴーストが吹っ飛んでしまう。

その光が収まり、中から出てきたのは……6つの腕を持った怪人だった。

 

「何!?」

 

「ダ…ダヴィンチ…!?」

 

それはダヴィンチであった。だが今のその姿は、正に怪人と言えるような風貌で、目玉の姿からはとても想像できない。

 

「感謝しますよ。お陰で立派な体が手に入りました…!これにより、世界を思い通りに出来ます。」

 

そう言ったダヴィンチは6つの腕から光を呼び出して空中にとどめると、一気に爆発させる。

爆風により、後ろへと吹き飛んだアランと終夜。その光は…一つの大きな穴となった。

 

「これより、眼魔世界を破壊します。それでは皆さん…ごきげんよう。」

 

「!…逃がさん!」

 

ダヴィンチの後を追い掛けるようにダークゴーストがその穴へと飛び込んでいく。

 

「兄さん!」

 

「っ!アランさん!」

 

アラン、そして終夜も続けざまに入っていき…やがて其処には誰も居なくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……う…!」

 

目を覚ました終夜は痛む体に鞭を打って何とか起き上がって見ると、其処には衝撃の光景が写し出されていた。

 

「なっ…何これ…!?」

 

其処には黒い塔のような建物が建てられ、辺り一面が荒廃した世界であった。




次回は、眼魔世界に突入です。


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戦闘!別世界の怪人!

…まるで生きてる者の気配がしない。そんな世界、眼魔世界へと足を踏み入れてしまった終夜。

民家のような物は何一つとしてなく、黒い塔のようなものがそびえ立つだけであった。

 

「(ここ…一体何処なんだろ…)」

 

外の世界へと舞を置いていってしまい心配しながらも、アランやそのお兄さんも探さなければならない。

終夜は意を決して黒い塔の中へと突入していくことにした。だが、ダークディケイドライバーの色が少し薄くなっているところを見ると、エネルギー切れが近くなっているらしい。

 

「(少しの間はダークディケイドになれないのか…。)」

 

流石に連戦で使ってしまえばどうなるかは目に見えている。ディオーラから貰ったゼロスペクターと言うライダーのカードもいつの間にか消えていた。

何処かで落としてしまったのだろうか?…だが今は、アランとダークゴーストを探すのが先だと決めて黒い塔へと足を進める。

ここからはグレイブで進まなければならないために、多少の融通が効かなくなるのは我慢しなければならない。

 

「(あの眼魔って怪人が見当たらないけど…ただ単純に見てないだけ…なのかな…?)」

 

見えないだけであそこまで厄介な相手はここまでで見たことがない。ディオーラの戦いで身に染みて分かっている終夜からすれば、気を引き締めなければならない。

覚悟を決めた終夜は、単身で乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終夜が踏み込んだ先には石で作られた内装がお出迎えしてくれた。この先に行けばアラン達が居るのではないかと…そう思い、進んでいく。

 

「(アランさんとダークゴーストの人…無事だと良いけど…)」

 

が、ここで終夜はあるミスを犯した。この眼魔の世界に来るのは、同然ながら初めてだ。

この塔に入るのだって当たり前だが初めて…つまり道が分からないのだ。

 

「(どうしよう…道が分からない…。)」

 

終夜は当然ながら道に迷ってしまいうろうろしていると…怪しい光が漏れだしている場所を発見する。

誰もいないかと思ってそこに入ると…一番真っ先に眼に入ったのは、一つのアイコンとドライバーであった。

 

「これって…」

 

そのアイコンを手に取った瞬間、ドライバーまで腰に纏わりついた。

 

「えっ?ちょっと!?」

 

混乱する終夜だが、直ぐに意識を音のする方へ持っていかれる。

音が響く場所なのか、打撃音が鳴りやまない。終夜は急いでその方向へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてまた、ダークゴーストの変身者であるアレンを追っていたアランもネクロムに変身して怪人と戦っていた。

 

「トオッ!」

 

「うわっ!」

 

その対峙している怪人はバッタのような風貌をしているが、人の形をしているせいか不気味に感じてしまう。

バッタヤミーと呼ばれる怪人は、縦横無尽に飛び回り攻撃を加えていく。しかもそれだけではなく……

 

「ハアッ!」

 

「ぐあぁ!」

 

ハチ女がレイピアを使用して追撃を加えていく。何処からともなく現れた別の世界の怪人達は、ネクロムを追い詰めていく。

 

「悪い奴は…許さない。」

 

「覚悟しろ、ライダー!」

 

再びハチ女がレイピアを構えてネクロムに攻撃をしようとした時に、終夜が飛び出してハチ女に蹴りを与えて後ろへと転がす。

上手く着地した終夜は、ネクロムへと駆け寄る。

 

「大丈夫ですかアランさん!」

 

「終夜…!?何故ここに…」

 

「す、すいません…でも心配でつい…」

 

再開したのもつかの間、バッタヤミーとハチ女がそれぞれ構えだす。終夜はアイコンを取り出してドライバーに装填する。

 

【アーイ!バッチリミロー!バッチリミロー!】

 

「…変身!」

 

【カイガン!スペクター! レディゴー!カクゴー!ドキドキゴースト!】

 

終夜が変身したのはダークディケイドでもグレイブでもない…その姿はゼロスペクター。

仮面ライダーゼロスペクターへ変身したことに驚いているのはらネクロムであった。

 

「終夜…それは一体…」

 

「分かりません…。でも、これなら眼魔が見えるようになるので僕も戦える筈です!

…まあ、相手は眼魔では無いみたいですけどね…。」

 

おしゃべりをしている暇はないとでも言うようにバッタヤミーとハチ女が動き出した。それに合わせるかのように、ゼロスペクターとネクロムも動き出す。

この眼魔世界に置ける戦闘が開始された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで私がお留守番なんですか!」

 

「だって君は戦えないんでしょ?大人しくしてた方が身のためだと思うよ?」

 

「だとしても私は探偵の…お父さんの娘です!終夜君の馬鹿!帰ったらお説教です!」

 

「(あらら…ドンマイ、終夜。)」

 

留守番させられた舞は終夜が帰ってきたらお説教をしてやると心に誓った。そして、内心で終夜に同情するマインドであった。



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いざ!新たな世界!

蜂女がレイピアを振って攻撃を仕掛ける。蜂女の持つレイピアには毒が仕込まれており、どんな鋼鉄であろうと貫いてしまう貫通力を誇っている。

 

「ハァッ!」

 

目視でようやく見切れるスピードで繰り出されるレイピアを避けながらも、攻撃の隙を伺うゼロスペクターだが…隙が見当たらない。

相手はかのショッカーが作った改造人間を怪人化させた物。Dディケイドであるならば、様々なカードで対抗し得るが…

 

「(あぁもう!拳しかないのが凄く焦れったい!)」

 

ゼロスペクターは武器を持たずに戦う戦士。拳だけで戦う経験が少ない終夜にとっては、今の蜂女の相手はかなりやりにくいであろう。

しかも、こっちの動きが鈍ってきたせいか段々とレイピアが当たり始めてきた。このままでは貫かれてしまう。

 

「うりゃぁあ!」

 

「なにっ!?」

 

ここで何と、ゼロスペクターがそのまま真っ直ぐ突っ込んでいき蹴りを浴びせたのだ。これには蜂女もビックリしたのかガードが間に合わずそのまま喰らって後退していく。

 

「(今だっ!)」

 

ゼロスペクターがドライバーのレバーを引いて操作。低空飛行で体勢をそのままに、蜂女に連続キックを叩き込む。

 

【ダイカイガン!スペクター!オメガドライブ!】

 

紫色のエネルギーが足に纏われ連続でキックを叩き込まれた蜂女。彼女は、その必殺技の連撃で爆発し倒された。

そしてもう一つの戦いも佳境を迎えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ!」

 

「くっ!」

 

バッタヤミーが縦横無尽に飛び回り、ネクロムへと攻撃を与えていく。バッタの特性を備えたヤミー故に驚異的なジャンプ力を与える足から繰り出されるキックは、侮れない威力。

アイコンを使う隙が見つからないネクロムだったが……仮面の奥で、突如として目を瞑る。

 

「トオッ!」

 

「…!そこか!」

 

【デストロイ!ダイテンガン!ネクロム!オメガウルオウド!】

 

エメラルド色のエネルギーがネクロムの拳に収束されていき、上から蹴りを喰らわせようと降りてきたバッタヤミーに向かって拳を突き上げた。

逃げ場の無い上空に向かって放たれたエネルギー弾がバッタヤミーに直撃し、敢えなく爆発し倒された。辺りにはセルメダルと呼ばれる銀色のメダルが溢れ落ちていた。

 

 

「アランさん!」

 

「終夜…」

 

二人がお互いの無事を確認したと同時に奥から音が聞こえてきた。ゼロスペクターとネクロムがその音のする方へ向かってみると、其処ではダヴィンチ眼魔とダークゴーストが戦っていた。

二人はダークゴーストへと向かっていき、その前に立つ。

 

「アラン…。それと君は…」

 

「えっと…「兄上、終夜は…わたしの友です。」!」

 

「そうか、アランの友か…。ならば、奴を倒すために力を貸して欲しい。」

 

「分かりました。」

 

直ぐにその場の状況を整理してダークゴースト、ゼロスペクター、ネクロムの三人のライダーがダヴィンチ眼魔を相手に構えの姿勢を取る。

 

「私に挑むとは愚か。神に逆らうとはどう言うことかをその身を持って知ると良い。」

 

「この世界に神は要らん!わたしが戻ってきたのは、この世界を良くするためだ!

貴様の好きなようにはさせんぞ。」

 

両者の睨み合いから始まった。先に動いたのは、ダヴィンチ眼魔だ。

ダヴィンチ眼魔が走り出したと同時に三人が駆け出す。ダークゴーストのガンガンセイバーの攻撃をスルリとかわして、打撃を喰らわせて追い撃ちをかけようとする。

しかし、其処でネクロムのガンガンキャッチャーのハンド部分が開かれ、ダヴィンチ眼魔を掴んだかと思うとゼロスペクターの飛び蹴りがヒット。ダークゴーストはこちら側に飛んできたダヴィンチ眼魔をすれ違い様に切り裂く。

 

「ぬぅっ!」

 

その切り裂き攻撃に一瞬だけ怯んだ隙は見逃さず、三人はさらに連撃を加える。どれだけ相手が強くとも、数の暴力で攻めた方が強いに決まっている。

三人ライダーの蹴りを同時に浴びたダヴィンチ眼魔は、たまらず、憑依主が取り込んでいた英雄アイコンの力を使おうとしたが反発されてしまい、力が使えなかった。

 

「そ…そんなバカな…!」

 

「これで終わりだ!」

 

【ダイカイガン!ダークライダー!オメガドライブ!】

 

【ダイカイガン!スペクター!オメガドライブ!】

 

【デストロイ!ダイテンガン!ネクロム!オメガウルオウド!】

 

三人が一斉に飛び上がりダヴィンチ眼魔に必殺キックを喰らわせる。それを耐えようとダヴィンチ眼魔は自身の力を出し惜しみせずに使い、ぶつかり合う。

だが、ダメージが溜まっているダヴィンチ眼魔とは力の差が出来ており…打ち消せる程の力は既に無くなっていた。

 

 

「「「ハアァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」」」

 

三ライダー渾身の必殺技のキックを受けたダヴィンチ眼魔は爆発し、ダヴィンチアイコンは粉々に砕け散った。

取り込まれていたアイコンも辺りに散らばっている。こうして、眼魔世界での戦いは終わりを告げたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聞いてるんですか!終夜さん!」

 

「ご、ごめんなさい…」

 

が、終夜が帰ってくると同時に舞の説教が始まった。終夜は正座のままでただ謝っていた。何故なら…舞から吹き出しているオーラ的な何かが見えるからだ。

 

「やれやれ…女の子って怖いね…。」

 

マインドが額縁を見るとそれは別の絵に変わっていた。そこに描かれていたのは、桜が舞う道にポツンと一人佇んでおり…集落のような場所から背を向けた一人の鬼がいた。

 

「この世界かぁ…中々に面倒なことになりそうだなぁ。」

 

マインドの呟きは…誰にも聞こえていなかった。



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仮面ライダー歌舞鬼の世界
鬼の噂


「(あれ?ここ…何処なんだろ…?)」

 

終夜は気がつけば暗い空間にいた。ダークディケイドライバーに選ばれた時と似たような空間に。

だが、あの時襲ってきた怪人の大群はおらず…代わりに居たのは…

 

「ダーク…ディケイド…?」

 

自分自身が変身するダークディケイドだ。姿はそのままで、付けてるドライバーだってダークディケイドライバーと同じ色と形をしている。

言葉は一切話さず…ただ、こちらを見ているばかりだ。そのまま見つめていたが…終夜は今度こそ目が覚めた。

 

「……夢か。」

 

いつもの通りに目覚めてマインドの作った朝食を食べる。今回からは舞も加わっており、三人でテーブルを囲んでいる。

 

「…そう言えば、絵が変わってるんですね。」

 

舞が目玉焼きを口に入れて飲み込むと同時に喋る。マインドは軽く「そうだね。」とだけ言った。

マインド自身は別にどの世界だろうと問題はないらしい。

ダークディケイドライバーはあの後、何とか見つかって事なきを得たが…あの蝙蝠男はドライバーを狙っていた。

謎の女性に蝙蝠男…あれらは、何者だろうか。

 

「終夜、それらも考えなきゃ行けないけどさ、ディオーラって仮面ライダーも忘れてないよね?」

 

「それは分かってますよ…。」

 

それにあのディオーラって仮面ライダーは何が目的なのかが分かっていない。色々な事が重なりすぎているが今は何も考えずに行こうと思う。

考えすぎなのも良くないし…。

 

「さて、今度からは私も一緒に行きますからね!」

 

「分かってますって…。」

 

あの説教はかなり効いたのか、舞の言うことを大人しく聞く終夜。

しかし次なる世界の仮面ライダーは絵柄を見てもかなり前の時代っぽい感じがする。

 

「(でも何だろう……。)」

 

今、自分が感じているこのざわざわは何なのか…それは分からない。舞さんと一緒に外に出た僕達を待っていたのは、大きな木が立ち並ぶ道であった。

 

「え?今度は…森なんですか?」

 

「森って言うか…山っぽいですね。」

 

この山のような場所でどんなライダーに会えるのか…。何だか会えなさそうな気もするけど…。

動かないことには何も始まらない。この世界の季節は春なのか、桜が満開だ。

 

「(そう言えば…季節とか気にしたことなかったな。)」

 

山を下っていくとそこに一つの山小屋があった。二人がその山小屋へ入ろうと扉に手を掛けた時…

 

「誰だ!」

 

男の声が後ろから聞こえ振り向くと、そこには猟銃を持ってこちらへと構えている一人の男性がいた。

終夜と舞は、手を上げて敵意が無いことを示す。

 

「あの…僕達は決して…」

 

「俺はてめぇらを信用できねぇんだ…!さっさと失せろ!」

 

その言葉と共に銃声を鳴らす。終夜と舞はビックリしてそのまま逃げてしまった。

二人を追い返した男…真澄 花堂は、そのまま小屋へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な…何だったんですか、あれ…。」

 

「分かりません…けど、暫くは近づかない方が良いですね…。」

 

終夜と舞はビックリしてそのまま山を降りていった。降りた先には、まだまだ道が続いているが少し開けた場所に来ていたのだ。

だが何より…銃をもって此方に撃とうとしてきたのでかなりの危険人物だと判断していたので、逃げて正解なのだろう。

 

「(これじゃあ仮面ライダーを探すどころの話じゃないよ…。)」

 

仮面ライダーを探す前に死んでしまうのは御免だ。今回は舞さんが居るから、危ない目に会わせたくないし。

小道を歩いていると集落を見つける。ここで聞き込みをしようと思い、舞と一緒に集落へと入るが…何だか空気が…。

 

「もし、そこの旅の人。」

 

そんな中、自分達に話しかけてきた一人の老人に何故こんな空間になっているのかと話を聞こうと思い訪ねてみた。

 

「あの…皆さんはなんでこんなにも…」

 

「鬼が我々に牙を剥いたのじゃ。」

 

「その話…詳しく聞かせてくれませんか?」

 

終夜と舞は老人に話を聞くために、老人の家と上がっていくことにした。



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妖の怪

5ヶ月ぶりに投稿したけど普通に遅すぎる。


老人に案内されたのは小屋のような家。そこで、話を聞くことにした。鬼とはどういうことなのか…

 

「すいません、鬼と言うのは一体…」

 

「元々、わしらは鬼に守られていたのじゃ。魔化魍と呼ばれる妖怪からの。」

 

この世界の怪人って妖怪なのか…。終夜が出会って来たのは妖怪と言うよりも、化け物に近しい感じだったし何よりも人々が怪人の存在を認知してる事自体珍しかった。

 

「じゃが、わしらはその力がいつかこちらに向くのではないかと恐れ、鬼達を追い出してしまったんじゃ。

追い出せばどうなるかなんぞ、分かっていた筈なのにのぉ…。魔化魎への対策が出来なかったわしらではどうすることも出来んかった。

そしてわしらを倒しに、追い出された鬼達が復讐を果たしに来たこともあった。」

 

話を聞いて思っていたがこれは人間が招いた結果…つまりは自己責任だ。自業自得と言えばそれまでだが、老人から話を聞いても鬼側に非があるのかと疑問に思い始める。

 

「中でも…あの男の憎しみは秤知れぬ…。」

 

終夜がその男について聞こうとした時、村に不気味な声が響き渡る。その声を聞いた老人達は顔を真っ青にして震え出す。

終夜はその声の主を確かめようと老人の家を出ようとしたが、老人に止められてしまう。結局終夜は老人と舞と一緒に待つことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声の主は山を進む。そいつは小屋を被り、長い足を動かして村へと進んでいく。その傍らには男性と女性が見守るかのような様子で声の主を見ている。

 

「土蜘蛛…やっぱりてめぇらか。」

 

そんな者達に目の前に現れたのは緑と赤の配色…それがまるで歌舞伎の役者を思わせる仮面の男、ではなく鬼だ。

名を歌舞鬼。本来鬼は人々を守ってくれる存在だが、その鬼からは人を守る心が微塵も感じられない。

 

「俺は人間共を二度と信じねぇ。だがな…てめぇらが生きてる事が俺は気に食わねぇ!

だから殺す。完膚なきまでに!この世に存在できなくなるまでなぁ!」

 

歌舞鬼は持参している刀を持ち、土蜘蛛と呼ばれる怪物へ向かっていく。巨大な体を持つ土蜘蛛は小屋を破り、その本性を見せていく。

姿は正に巨大な蜘蛛そのものだが、その力は蜘蛛とはまた別物。歌舞鬼は土蜘蛛の攻撃を避けつつ、足を斬り付けていく。しかしその足はかなり頑丈で、鬼の腕力を持ってしても傷しかつけられない。

 

「頑丈なだけのデカブツがぁ!」

 

歌舞鬼が叫び、土蜘蛛を斬る。やっと足を一本斬り捨てられたかと思ったが、突然二体の怪物が割り込みに入ってきた。

 

「っ!?」

 

その怪物はまるで虫のような見た目をしており深い緑色の体を持った…ワームと呼ばれる怪人だ。

コイツらは本来ならば別の世界にいる怪人だが、数ヵ月前から歌舞鬼の世界に現れ始めている。当然、その存在も鬼達から危険視されている。

更にもう一体は、二対の棍棒を背中に携えた鬼の姿をした魔化魍のような怪人…アナザー響鬼だ。

 

「(何がどうなってやがる…!夏でもねぇのに奴らが強くなってる上に、良く分からねぇ怪物も来やがる…!)」

 

ワームとアナザー響鬼が歌舞鬼に襲い掛かろうと走り出した。どちらも迎え撃とうと構えたが、それは銃撃により妨害される。

その銃撃はディオーラ…ではなく、武士のような姿をした仮面ライダー、鎧武であった。

 

歌舞鬼は混乱する。次々と自分の知らない事が起こりすぎて、頭がくらくらしてきそうなくらいに混乱している。

だが今はその頭もフル活動させなければ、止められない。

 

「(良く分からねぇが、どっちにしてもやることに変わりはねぇんだ…!

土蜘蛛は必ずやってやる!)」

 

再び、狙いを土蜘蛛へと定めた歌舞鬼は走り出す。全ては…魔化魍を倒すために。



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浮上の疑

いつものごとく短め。長く書けるようになりたい。


土蜘蛛の足を切り飛ばした歌舞鬼が体に飛び乗って滅多刺しにする。しかし、やたらと頑丈な土蜘蛛の体に歌舞鬼は苛立ちを募らせていく。

 

「(こいつの体はここまで固くねぇ!なのに何で倒れねぇんだ!)」

 

土蜘蛛の童子と姫が唸り声を上げながら歌舞鬼に飛び付こうとジャンプするも…ワームとアナザー響鬼を相手にしていた鎧武に邪魔されてしまう。

 

「邪魔をするな!」

 

怒った童子が鎧武に襲い掛かろうとしたが無双セイバーの鍔部分から光弾が発射され打ち落とされる。対して姫は、鎧武に対して慎重になっていた。

得体の知れない存在…何よりも、鬼とはまた違う存在に警戒を示していた。が、次の瞬間に鎧武が姫に対して動き出していた。

 

【ソイヤッ!オレンジスカッシュ!】

 

鳴らされる電子音声に危険を感じた姫が逃げようと足に力を込めるが…もう遅い。橙々丸と無双セイバーの二振りが姫の体を三等分…所謂輪切りにしてしまった。

姫がやられたことにより、より怒りを爆発させた童子が防御なぞかなぐり捨てたかのように突っ込んでくる…が

 

「おらぁっ!」

 

「……!」

 

何と、土蜘蛛を倒し終えた歌舞鬼が持っていた武器で童子の後ろから一刺し。心臓を直接狙った一撃によって、童子は呆気なく絶命した。

鎧武はそれを見届けたかと思えば、それは幻のように消えてしまった。回りにいた筈の怪人もいつの間にか…すっかり消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダークディケイドは何処に消えた…!」

 

「お忙しい所悪いけど返して貰おうかな?」

 

オーロラカーテンを出現させ怪人を送り出していた女性。その女性に対して声をかけるのは、ディオーラ本人だ。

 

「…!チッ!」

 

「ふぅ…少なくても、僕のカードは返して貰った。君が勝手に使うのは我慢ならないんだよね。」

 

ディオーラの手元には数枚のカード。それは、スナイプやサソードのライダーカードであり…いずれも終夜が戦ったライダーであった。

 

「君には君の武器があるだろ?それを使って戦ったらどうだい?」

 

「貴様は一々癪に触る男だ…!」

 

苛立ちを覚えながらも女性がオーロラカーテンを出現させて帰ろうとした時…不意に、女性の口から言葉が発せられた。

 

「そう言えば、あの鎧武は貴様の差し金か?まさか貴様が他のライダーを助けるように…」

 

「は?僕は鎧武なんて召喚してない。と言うか、ライダーを召喚した覚えもない。」

 

「……何?」

 

何と、あの鎧武はディオーラの召喚したものではないと言う。ならば一体誰が……。

女性は疑問に思いながらもこの世界を後にした。

 

 

 

 

 

「どうやら、この世界でも歪みは発生しているらしいな。……今は様子見だけに止めておくか。」

 

此方を見ていた男には気づかずに…。



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