もう一つの逆襲のシャア~Zは宇宙を駆ける~ (parui)
しおりを挟む

一話【戦争の道具】

MSも人も、


「アムロ大尉!」

「カミーユ、どうした?」

 

リ·ガズィのコックピットの中で、作業を行っているアムロ大尉に声を掛ける。

 

「サイコフレームの研究はどうなんですか?」

「あぁ、順調ではないな。元になるものがあるとはいえ·········」

「元ってジオンの誰かが横流ししてきたという噂の?」

「ん、あぁ·····恐らくはな」

 

サイコフレームの技術の基礎は、ジオンからの横流しだという噂がある。

誰かがでっち上げた適当な噂だと思っていたが、

時がたつごとにその信憑性は高くなっていった。

誰も知らないのだ。

この情報が誰から手に入れたのか。

「火のないところに煙はたたぬ」という諺もあるが、それは本当かもしれない。

 

「しかし、あのシャアが反乱を起こすなんて···········」

「カミーユにとっては········クワトロ·バジーナだったか」

「やめてください、僕にとっての認識は既にシャア·アズナブルです」

「あぁ、悪かった」

 

アムロ大尉は冗談で言ったのだろうが、正直そう言われるのはかなり嫌だ。

もうあいつはクワトロ·バジーナではない。

俺の知っているクワトロ·バジーナは俺が殴ったときに壊れ、

最後の戦いの時に死んだんだ。

今、ジオンを統括しているのはあくまで、シャア·アズナブルだ。

 

「ではアムロ大尉、失礼します」

「後でな」

「はい」

 

笑顔で手を振りながら別れを告げるアムロ大尉の元を離れ、

自分の機体のところに行く。

 

ZガンダムMk-V。

俺がもう一度設計に関わった、Z計画の派生一つ。

基本的な見た目はZとあまり変わらず、

機動性に重きを置き、サイコミュを含む性能を全体的にパワーアップした機体。

現在、ロンド·ベルでトップの性能を誇っている。

しかし、アムロ大尉のνガンダムがもう少しで完成するらしいので、

ナンバー2になるのは時間の問題だ。

 

遠くから眺めていると、横から声が掛けられる。

 

「カミーユさん············」

「ハサウェイじゃないか、なにかあったのか?」

「いや、なにもないんです。偶然見掛けたから·········」

「あぁ、そうか」

 

俺に声を掛けたのは彼、ハサウェイ·ノアだ。

クェスとかいう一人の女の子のために乗艦した子供。

ふとフォウのことを思い出し、キリと胸が痛む。

 

「ZガンダムMk-V·······すごいですね」

「そうでもないさ、直ぐに追い抜かれるよ」

「何にです?」

「νガンダムにさ」

「νガンダムって···········?」

「············戦争の道具さ」

「········?」

 

νガンダムを戦争の道具と称するカミーユ。

しかし、彼は知っていた。

自身もまた、戦争の道具であることに。




戦争の道具さ。




長くは続かないと思います。
フィフス·ルナはもうドーンですしおすし。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。