坂柳さんと比企谷君の独裁政治 (掛川 翔)
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プロローグ
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よろしくお願いします!
「青春とは嘘であり悪である。青春を謳歌せし者たちは常に自己と周囲を欺き、自らの取り巻く環境のすべてを肯定的にとらえる。
彼らは青春の二文字の前ならば、どんな解釈も………青春を楽しむ愚か者ども、砕け散れ。」
***
高度育成学校。希望する進学先に100%応えるという日本屈指の名門校。すごく胡散臭いが。
そんな名門校に俺は今日から入学するらしい。
「お兄ちゃん!三年間元気でね!途中で帰ってきたら小町容赦しないから!」
小町は何言ってんだ?3年間会えなくなるわけじゃないのに」
「え?お兄ちゃん学校の説明書読んでないの!?許可なく学校の敷地から出られないんだよ?」
そう、この高度育成学校は学校の敷地内の寮での生活を義務付け、外部との連絡を一切遮断される。
たとえ肉親だろうと連絡を取ることはできない。
焦りまくって今説明書読んだんですけどね!
えーなにそれ監獄じゃないですかヤダー
ってことは小町と三年間会えないわけ??
「学校行きたくない……」
「もう、何言ってるのお兄ちゃん。折角あんな有名な高度育成学校にお兄ちゃんが進学するって聞いて、とっても嬉しかったんだよ?
私だってお兄ちゃんに会えないのも寂しいけどさ、3年後帰ってきて、立派なお兄ちゃん見せてよ。わかった?」
「お、おう」
兄としてそこまで言われちゃ、なんかしっかりするしかないな、うん。
まあ3年すればかえって来れるし、いつまでもこうしてるわけにはいかないよな。
はぁ。。。
「ほら、さっさとご飯食べよ?せっかくお兄ちゃんの入学式だからって今日はちゃんと豪華にしたのに冷めちゃうじゃん。」
「いつもありがとな、小町。」
「もう、そんなこと言わないの!いい妹の役目だもん!
あ、今の小町的にポイント高い!」
「それさえなければかわいい妹だったのにな。
あ、今の八幡的にポイントたっかーい」
「今のこそ小町的にポイント低いよ!まったく。
ほら、さっさと行く!もうあんま時間ないよ?」
「やっば遅刻する!行ってくるわ」
「あ、ちょっと待って!お兄ちゃんこっち向いて!」
「ん?」
振り返った瞬間に、頬に何か柔らかいものが当たって、優しく抱きしめられる。
「いきなりお兄ちゃんが行っちゃうってなって、寂しくなっちゃった。わかってたのにね、ごめんね。」
小町も寂しいって思ってくれてたんだな…かなりうれしい。慰めるように優しく頭をなでて、そのまま抱き返す。恥ずかしいけど。
「ありがとね、お兄ちゃん。無事に小町のとこに帰ってきてね、お兄ちゃん。」
「分かってるって。行ってきます、小町」
「行ってらっしゃい、お兄ちゃん」
やっば遅刻する!初日から遅刻とかウケる
いや、ウケないけど。
***
とりあえず何とかバスには乗れた、はああぶねぇ。
運動とかなんもしてねえから体力ないし鍛えようかな…
それにしてもなかなかにカオスな絵図だな。白い髪に金髪に赤髪に。これだけ見ると名門校に見えないな。ギャルとヤンキーの集まりみたい。
あ、なんかよくわかんないヤンキーが杖ついてる白いの転ばせた。
しかも無視して後ろのほうの席どっかり座ったし。なかなかにやばい性格してんな、あいつ。
「大丈夫か?立てる?とりあえず杖はとってきたけど。」
「ありがとうございます。すいません、手を貸してもらえますか?」
「おう、分かった。」
「あらためてありがとうございます。」
「気にするな。別に俺が気になるからやっただけでお前のためにやったんじゃないぞ。」
「ひねくれて居るのですね。まあ今はそれでいいでしょう。
それと、お前ではありません。」
「だって俺お前の名前知らないもん。」
「またお前っていいましたね。」
「分ったから睨むな睨むな。」
「まあいいです。私は坂柳有栖です。其れで貴方は?」
「比企谷八幡。」
「なら八幡君とお呼びしますね。私のことは有栖と呼んでください。」
「わかった、坂柳。」
「分ってないじゃないですか。呼んでくれないと今この場で泣き叫びますよ」
「分りました呼ばせていただきます」
普通初対面の奴脅すか?こいつ実はやばいやつなのでは?
「今何か変なことでも考えましたね?」
「かんがえてない、考えてないから。」
「そうですか、まあならいいですけど」
『次は平塚~平塚に止まります』
「あ!ヒッキーサイテー!!ちっちゃい女の子に手を出して何するつもり?」
「さすがロリコン谷くんね。」
そう言って雪ノ下と由比ヶ浜は無理やり坂柳の体を引き寄せた
俺は悟った。また面倒なことが起きそうだなと。
てかなんでいるんだよ由比ヶ浜…
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信頼…?
「手を出すも何もしてないんだが。というか、バスの中なんだから静かにしてくれない?」
「じゃあなんでこの子の手を取ってたし!絶対変なことしよーとしてたじゃん!ほんとサイテー!キモイ!」
「こないだのことといい、本当に貴方は最低な人間なのね。こんな人の言うこと聞く必要なんて無いわ。」
「あの…」
「そこのちっさい子は私のとこにいる!煩くしないの!」
「あの人の近くに居たらあなたまで腐ってしまうわ。一緒に行きましょう。もう学校にも着いたことだし。」
***学校 掲示板前***
はあ、朝からほんと散々な目にあったな。そもそも、なんであいつらがここに居るんだよ…。雪ノ下なら兎も角由比ヶ浜なんて何したら合格するんだ…。ほんとに憂鬱だ、まったく。
アイツらと同じクラスにはなりませんように…
そうお祈りしながら右から目を動かしていく。
どうやらあいつらはDクラスのようだ。
とりあえず俺の名前はない…良かった。
アイツらと同じクラスで高校生活とか地獄中の地獄だからな。
「八幡さん…なんなんですか、あの人達は…。勝手に八幡さんに襲われそうになってるとか訳の分からないこと言い出したり、けたたましく叫んだり挙句の果てに私の事ちっちゃい子ですよ。こんなに不愉快な気分になったのは久しぶりです…。朝から災難な目にあいました…。」
「ごめんな…ある意味俺のせいだし。あいつらに恨まれてるんだよな…昔というか、中学の頃に色々あってな。」
「いえいえ、八幡さんが謝ることでは無いですよ。むしろ私は八幡さんに助けられた身なので。なんとなくですが、その恨まれ事も八幡さんではなくあの人たちが悪いのでしょうね…。」
「まあ、どっちも悪い気もするけど。元はと言えばあいつらが悪いとは思うけどな。」
「どんな事があったのか、教えてくれませんか?せっかく同じクラスになるのですし、親交を深めておきたいと思いまして。」
「流石にまだ嫌だな。色々あったし…」
「教えてくれないなら今度こそこの人に痴漢されたって泣き叫びますよ?」
「はい分かりましたさせていただきます。」
「ふふ、さすがはいいおも…お友達ですね。」
心の声漏れてるんだけど?今聞き間違えじゃなければこのお嬢様おもちゃって言おうとしなかった?
それから奉仕部のことから嘘告白のことまでありとあらゆることを坂柳に話した。嘘ついたら殺すってオーラ出てて怖かったんですもんヤダー
「ほんと…いやほんと馬鹿なんですか由比ヶ浜さんと雪ノ下さんは…。そもそも勝手に告白の手伝いをさせる依頼とか受けたり、成功させる依頼だと勘違いしたり。そんなの出来るわけないでしょう…相反する2つの依頼を完璧にこなしてる時点で八幡くんがすごいことをしてるのにも気づかずに…。確かに気分的なもので言ったら分かりますけど、それにしたってあまりに酷いですね…。それにしても八幡くんは随分と優秀なのですね。」
「そんなことないと思うけど…まあ、なんだ。ありがとう。ほんとに」
なんかこの件で初めて褒められた気がするというか…色んな人に否定されてばっかりだったから、急に褒められて心が軽くなったっていうか。
俺ってこんなに弱かったっけな…。なんか認めてくれたのが嬉しくて、泣きそう。
「どういたしまして。八幡くんの支えになれたみたいでよかったです」
と、そのまま優しく頭を撫でられる。
すっごい恥ずかしいけどなんか今だけはこうされてたい気分だな。
***
「ふふ、落ち着きましたか?そろそろ行きましょうか。」
「ああ、ありがとな。」
心が軽くなった気がする。久しぶりに俺は人を信じてみてもいいのかもしれない…。まあ、まだ分からないが。
それにしても…この異常な監視カメラの数…一体なんだ…不穏な匂いがする。やっぱりこの学園…何かあるかもしれないな。
由比ヶ浜の入学と言い、おびただしい数の監視カメラと言い。
こんな駄文読んでくれてありがとうございます。
比企谷らしくない、有栖らしくないと思われた方、申し訳ないです!!
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命題1 私達の"王"は坂柳有栖である
違和感
***教室***
とりあえず着いたところで、有栖の発案により自己紹介をすることになった…やめてくれないかな。いやほんとまじで。
あ、ちなみに俺の席は有栖の隣だ。
なんで【さ】と【ひ】で隣なの??
いやまあ、近くにいる方がいいけど。
「とりあえず私からですね。坂柳有栖です。先天性心疾患を患っておりまして、杖を着いて生活をしています。これから迷惑をかけたら申し訳ないです。良ければ仲良くしてくれると嬉しいです。何か質問などはありますか?」
「はいはーい!朝一緒にいた人と付き合ってるんですか?」
「え…///別にそんなことないですよ?今日あったばかりですし。
彼はそうですね…大切なお友達です。」
「ふーん?ありがとう!」
「いえいえ、どういたしまして。」
「では次は自分から。葛城航平だ。持病の関係でスキンヘッドだから特徴的かもしれないが、自分に自信を持って生きてるつもりだ。よろしく頼む。」
***
うわ…もう俺の番だし…はぁ。
「えー…比企谷八幡です。好きなことはゲームとか。一応、高校入ったら体鍛えようとか思ってます。よろしくお願いします」
ふぅ…やっと終わった…乗り切った。
マジで疲れるな…ほんと。
「有栖は流石だな。俺にはこういうの向いてないかもしれない。」
「あら、八幡さんのも立派でしたよ?」
「そうか?ありがとう。というか、やっぱ今年もぼっちなんだろな…」
「あら、そんなことないですよ?私が居ますからね。」
俺じゃなかったらこんなこと言われたら好きになってそうだな。
いやまあ、中学の折本とかそこら辺ので絶対俺はすることないだろうけど。思い出したら辛くなってきた…。
「大丈夫ですか?八幡さん。また辛そうな顔してますけど。」
そう言いつつ、さらりと有栖に頭をポンポンと撫でられる…
いや、ね?嫌なわけじゃないけどここ教室な訳で。新学期早々撫でられるとか恥ずかしすぎて死ねるんだが。
「大丈夫だから、うん。もうやめて?」
「あら、お気に召さなかったですか?ごめんなさい…」
ああしょぼんとしちゃった…罪悪感すごいなコレ。
「いや、そんなことないから、ごめんって。」
「ふふ、焦ってる八幡さんもなかなか可愛いものがありますね?
そんなことで傷ついたりしませんから、安心してくださいね?」
いや、本気で焦ったじゃん…。
泣かれたらほんとに困る…あれは昔小学生の頃、近寄っただけで目を見て泣かれ比企谷くんが○○のこと泣かせたーって…辛い過去を思い出した…。
「分かっててやってたのかよ…まったく。」
「ふふ…先生も来たことですし、一旦やめましょうか。」
「えー新入生諸君。私はAクラスを担当することになった真嶋 智也だ」
それから真島先生は主にパンフレットにあることを一通り口で説明した。
「今から配る端末は、個人の学生証の役割もはたしている。それを使えば、敷地内にあるすべての施設を利用したり、売店などで商品を購入することが出来るようになっている。ただし、ポイントを消費することになるので注意が必要だ。この学校においてこのポイントで買えないものはない。学校の敷地内にあるものなら、購入可能だ」
ふーん…なんでも買えるか。その時点でやはりこの学校はなにか他のところと異質なものを感じるな。普通だったらわざわざなんでも買えるなんていいかたしなくても、他の言い方をする筈だ。しかも真島先生は手元の紙を見ている。なのだとしたら 、1年生全体で共有されている可能性が高いだろうな。
「施設内では機械にこの学生証を通すか、提示することで使用可能だ。ポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっている。お前たち全員、平等に10万ポイントが既に支給されているはずだ。なお、1ポイントにつき1円の価値がある。それ以上の説明は不要だろう」
やはりガヤガヤと驚くような声もする…それにしては少ない気もするが。皆この違和感に気づいているのか?
「ポイントの支給額の大きさに驚いているみたいだな。この学校は実力で生徒を測る。入学することが出来たお前らにはその時点でそれだけの価値がある、ということだ。ポイントは支給された時点で完全にお前らの物だ。遠慮なく好きに使え。後、卒業時に現金化はできないので、取っておいてもあまり意味はないぞ。だが、無理やりカツアゲするような真似だけはするなよ。学校はいじめに対して敏感だからな」
1ヶ月に10万円ね…明らかにおかしいだろ、これ。
高校生のお小遣いにしては高すぎるし、そもそもこのクラスに30〜40人居る。30×4クラス×3学年で3600万円となる訳で。流石に数字に弱い俺でも明らかに異常な数値なのは理解できる。
後、おそらく聞き間違えじゃなければこの先生は毎月1日に自動的に振り込まれると言った筈だ。そう、毎月10万円では無いのもここから読み取れるだろう。
「なにか質問がある生徒は後で職員室に来るように。」
これはさすがに行くしかないだろ。不審な点が多過ぎる。
「八幡さんは今の説明聞いてどう思いました?」
「さすがに怪しすぎるだろ…あれは。
むしろ気づかせるためにやっているのか?」
「やはり八幡さんも気づきましたね。試すような事をしてごめんなさい。」
「それくらい気にしなくていいけど。そういえば、先生が実力で図るって言ったよな」
「はい、言いましたね。それがどうかしました?」
「さっきのピンク髪の、由比ヶ浜ってやついただろ?有栖にちびっ子って言った方の。」
「はい、居ましたね。」
「あいつ、中学の時に30点以上の点数取ったことがない位の馬鹿なんだよ。俺も数学じゃ人のこと言えないけど。学力だけで決めるとしたら、あいつに払われる金はあるのか?」
「30点を超えたことない…随分とまた悲惨な成績をしているのですね…。とりあえず八幡君は私と一緒に放課後数学の勉強をしましょう。それにしても興味深いですね…流石の洞察力です。
学力だけではこの学校の言う"実力"では無いのかもしれないですね…。」
「まあ、いずれにしてもとりあえず先生の所行くか。」
「そうしましょうか。」
有栖の口調はあまりアニメに出てこないから難しい…
とりあえず色々調べながらやってます。
真島先生の所を平塚先生にしようか5分くらい考えてました!w
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懐疑
***職員室***
「失礼します、1年A組の比企谷八幡です。」
「失礼します、同じく1年A組の坂柳有栖です。」
「はーい!A組ってことは真島くんを探しに来たのかな?
ごめんね〜、今あの人少しだけ外に出てるから、私と話して待ってよ〜!あ、私は星乃宮千恵っていって、保険医してます♪
いちおー隣のBクラスの担任してるんだ!気軽に知恵ちゃんって読んでね」
いや、誰が呼べるんだよ…。てかなんかすごい人来たな。なんというか、本当に先生って感じがしないな…なんかギャルみたいだし。てか絶望的に俺が苦手なタイプだわ…。とりあえずBクラスにならなくてよかったわ。
「あ、先生らしくないって顔したー。のんのん!これでも立派なせんせーなんだぞー?」
「そこら辺にしとけ、星乃宮。目に余る…。お前らも済まなかったな、ここで座って待っててくれ。」
「「分かりました…」」
「ねーさえちゃんいいじゃーん!」 「さっさと仕事に戻れ」
星乃宮先生が引きずられてった…なんか、うん。こんな大人にはなりたくないな…。てかのんのんとかもう誰も使ってないだろ…
「なんだかとても愉快な先生でしたね。」
「ほんと、だな。先生ってより生徒のが近い気がする…。」
「確かに、そうかもしれませんね。」
***
「すまない、待たせたようだな。比企谷に坂柳。
それで、質問とはなんだ?」
「3つほど質問がありまして、参りました。
まず1つ目ですが、毎月1日に必ずしも10万円が貰える訳では無い、ですよね?」
「ほう?初日でそこまで頭が回るとはなかなかに優秀なようだな。さすがAクラスの生徒だ。質問に答えるなら、そうだとしか言えないな。必ずしも10万円ではないと約束しよう。」
「ありがとうございます。次に2つ目ですが、この学園では生徒を実力で図るとおっしゃりましたよね?その実力というのを具体的に開示することは出来ますか?全員が現在の実力で10万円もの価値があるとは思えません。」
「その質問に関しては、学園の規則により答えることは出来ないな。すまない。」
「いえいえ、お気にならさず。では最後に。希望する人を退学にする権利は、いくらで買うことが出来ますか?」
なんだ?その質問は…。随分と好戦的…いや、まるで退学にさせたいような言い方だな。そこまで恨みを持っている人がいるのだろうか。
「2000万ptだな。ちなみに言うと過去にこの額を貯めきった生徒は居ない。」
「ありがとうございました。」
「では俺…いや僕からもひとついいですか?」
「もちろん、構わないよ。」
「先生は先程さすがAクラスの生徒だと、仰りましたよね。
この学園は、恐らくA〜Dクラスを基準に能力順で分けられて居たりするのではないですか?」
そう言うと、職員室にいる先生が一斉に振り返って俺の方に注目するように見入る…いや、やめて?なんかまずいこと言った?
星乃宮先生とか目をギラギラさせながらこっちみてるんだけど、何事?
「比企谷、そこまでのことを初日で見抜いた人間は初めてだ。とても鋭い洞察力を持っているんだな。賞賛しよう。質問の答えだが、正解だ。」
問題は、そうだったとしてこれからどうなるのか、だよな。
わざわざ能力順で振り分けたのには必ず理由があるはず…。
しかし、その理由がわかる気がしない…。
「ありがとうございます…。失礼します。」
「真島…比企谷といい坂柳といい、今年のAクラスは随分人材に恵まれたようだな。」
「ねー、初日からあそこまで推理してくるんだもん。焦っちゃったよ。あの子…本当に興味深いかも…よく見るとカッコよかったし…」
「知恵はうちの生徒に何する気だ…。それにしても、ここまで早く見抜いてきたのは今年が初めてだな。末恐ろしい…。」
***
「八幡くん、さすがですね。A〜Dで実力順に分けられている…私は気づきませんでした…。」
「なんか恥ずかしいな…。まあ、ありがと。有栖も充分だと思うぞ。なかなかにあそこまで気づけるものじゃない。というか、なんで退学にする権利、なんか聞いたんだ?」
「今後のため?ですかね。今は秘密です…♡」と、唇に手をつんっと
いや、すごいドキドキするんだけど…。可愛いし。俺ってこんなにチョロかったっけ?並の男なら勘違いしてるぞ…。てか顔赤くしてるし。恥ずかしいならやるなよ、全く。
「そうそう、八幡くん。後で私のお部屋に来てくれませんか?」
何するつもり???いや、胸がマドマギする…あ違うそれ魔法少女だ。
「と、というかいきなり今日あったばっかの男を部屋に連れ込んでいいのかよ…俺が襲ったりすると思ってないの?ばかなの?」
「馬鹿ではありません!私は八幡さんのことを信頼してるので。
それに、私の事襲う気なんですか?八幡さんは」
「そんなことないに決まってるだろ?」
「なら問題ないですよね♪」
初日から俺は女の家に行くらしい…何事?
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降雪
「八幡さん、お部屋に行く前に、お買い物に着いてきてくれませんか?日用品など色々買うものがあるのですが、生憎この足ですから…。」
「それくらいのことなら構わないぞ。まあ俺も買わなきゃいけないものとかあるしな。」
「ふふ、そうですね。それに、行ってみないと分からないこともありますから。」
***
「ねえ八幡さん…あの方…怪しくありませんか?どうも万引きを企んでいるような。ちょっとした賭けをしませんか?あの方…おそらくうちのクラスの神室さんですよね。神室さんが、万引きをするか、しないか。」
有栖はもうクラスメイトの名前覚えたのかよ…。見てもパッと来なかったな。これがコミュニケーション能力の違いなの?
「そうだな…あそこまで念入りに動いてるならやりそうだとも思うけどな…。てか初日から万引きって凄いやつだな…。」
「確かに、そうですね。それにしても、10万円を貰った当日にそんな事をする程ですから、何かしら事情なりあるのかもしれませんね…。
まだ初日ですから、イジメなどは考えにくいですが、癖になっているんですかね。ちなみに私はまだ下見だとおもいますけどね。」
「やけに具体的だな。なんか理由でもあるのか?」
「そうですね…彼女もAクラスの生徒であるなら、かなり優秀な部類に入るのでしょう。そして、この学校の優秀という概念の中には勉強面ではなく別の指標が存在すると考えられます。そしてその中には少なくとも人格なりを問う基準もあると考えられますから、現在に続くような犯罪をする人間が入学、それもAクラス入りする確率はかなり低いかと。これまでにバレてない可能性が高いという事は、綿密に作戦を組むでしょうし、初日から大胆に動くとは思えないので、下見だと予想しました。」
おう…すごいな…こんな一瞬でそこまで気が回るのか…。
随分頭の回転がいいんだな…。
「本当に下見だけで終わったな。」
「でしょう?私の勝ちです。ちなみに罰は私の言うことを今日はずっと聞くことです。分かりましたね?」
満面の笑みでイキイキというのやめよう?
マジで何する気なんですか???
「とりあえず神室さんの後を追いましょうか。ちょっとばかり彼女に用があるのです。」
「おう、わかった。」
***
「神室さん、ちょっといいですか?」
「なに?私今からやる事あるから忙しいんだけど。」
「先程コンビニで万引きしようとしてましたよね?」
「は?いきなりそんなの言わないでよ。だいたい証拠かなんかあるわけ?」
「端末に動画を録画しましたけど、それを見せればいいですかね?」
有栖いつの間に動画なんてとってたんだ…?
「はぁ、認めるから。学園に言うつもりなの?」
「そうですねぇ…」
言い淀むと神室がビクビクしてる。
これ、反応見て有栖楽しんでない?
「そうしてもいいですけど、今回は言わないでおきますね。その代わりに、私の言うことを聞いてください。ちょっとしたお願いでいいですし?お金払えとかは言わないですから。」
「学園に言われるよりマシだからいい…か。」
「少しばかり御手洗に行ってきますね。」
「ねえ…あんたもなんか脅されて坂柳と一緒に居んの?」
ちょっと目付き鋭くて怖いっす…比企谷くん泣いちゃう。泣かないけど。
「いや、そんなことはないぞ。いやまあ今日だけはお前と同じ状態だけどな。」
「何したのさ…それこそ」
「お前が万引きするか万引きしないかで賭けてた。」
「いやほんとに何してるのさ…まったく。
裏でそんな賭け事行われてたの…。」
「ああ。それに、坂柳が見事な考察して的中させてた…。びっくりするくらい理由が出てくるものだから焦ったけどな。」
「そうなのね。」
***
「まあとりあえず、そのまま解散しましょうか。では明日からよろしくお願いしますね、真澄さん。」
「はいはい、わかりました。」
***有栖の部屋***
「八幡さんをお部屋に呼んだ理由は2つあります。まず1つ目なんですけど…、お恥ずかしながら、荷物を開けるのを手伝って欲しいんです…。重いものもありますから、どうにも自分で配置するのには苦労がかかりまして…。」
「何だ、そんなことくらい手伝うぞ。とりあえず、どれからやる?」
「とりあえず適当なのを開けてもらって、場所を聞いてくれれば大丈夫ですよ。これでも荷物は絞った方ですので。」
じゃあ…とりあえずこの箱にするか…。
………そのダンボールに入っていたのはピンク色だった……
ピンク色のパンツ…
いきなりすぎて思考停止してた…うん、俺は何も見てない。どこかのよくトラブってるハーレム王並のラッキースケベだった気がする。
「八幡さん…///私も悪かったですけど…確かに忘れてましたけど…恥ずかしい…です。とりあえずこのダンボールをお願いします…。」
「お、おう。わかった…なんだ、その。すまん」
「いえいえこちらこそ…お見苦しいものを…」
別にお見苦しいものじゃないけどな…」
「急に何言ってるんですか///!?もう!!!早く終わらせてください!!!」
なんだか焦ってる有栖を見るのはちょっぴり可愛くて楽しいな、と思った。
八幡は無意識のうちに期待して、"彼女"に重ねかけていた。
自分の持った希望を、正しさを。
自分の求めていた、暖かい居場所を。
既に失ってしまった、あの空間を。
お気に入り登録や評価ありがとうございます!
良ければぜひお願いします。
なにか不満点などもあったら気軽に書いてくれると嬉しいです。なるべく改善します!
追記6/10加筆しました
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炎
「やっと終わりましたね…なんだかどっと疲れました…。」
「そうだな…てか…色々とごめんな…その。」
やばい、なんかその話していたら記憶が戻ってきて…いかんいかん…
忘れよう…
「もう…掘り返さないでください…。私も思い出して恥ずかしくなるので…。」
「お、おう。とりあえず紅茶でも入れるか?」
ごめん…有栖。せめてもの罪滅ぼしだ。
「あ…はい。すいません、お願いします。」
「ん、分かった。もうひとつのお話は紅茶飲みながらでも大丈夫か?」
「はい。全然大丈夫ですよ。」
それにしても、よく考えたら色々と急すぎるよな…。
朝から有栖とか変わってきたけど、中学の頃と変わらない位とても濃い時間に感じる。朝はあんなに行きたくなかったのに、なんだかんだ楽しいって思えてきたかも。いやまあ、会えるなら早く小町とも会いたいけど。
「ほら、出来たぞ。」
黒を基調とした机にコースターを置き、マグカップを2つ程載せる。
改めて見ると、とても美しいというか、神秘的なように感じるな。まあ、有栖の雰囲気もあるけど。白い髪に部屋全体に象られた白い部屋に、家具は基本的に黒で統一されていて、よく似合っている。
というか、部屋づくりのセンスが凄い…。俺の寮と比べれば一目瞭然である。
「ありがとうございます…。さて、そろそろ2つ目のお話をしましょうか。」
そういう彼女の表情はとても凛々しくて、その目の中には炎がやどっていた。俺の目には、とてもかっこよく映った。惹き付けられるように、目を合わせた。
「コンビニ前で、赤髪の少年が喧嘩したのを、覚えていますか?
その時に先輩方はどうせ地獄を見るんだからなと言っていました。
1年のDクラスだということを口実に。」
さて、俺の脳もちゃんとしないとな。
Dクラス"だから"地獄を見るという解釈でいいだろうな、その言い方だと。
「その裏に何があるのかを探っているのか?」
「いいえ、それなら検討は着いています。恐らく、この学校では他のクラスは敵になるでしょう…。八幡さんはこの学校の謳っている希望の進学先に100%進むことが出来るという事に、明らかにおかしいと思いませんか?」
「そうだな。由比ヶ浜が好きな就職先に行ってみろ、迷惑をかけるのは自明のことだ。それなのにそのような人間が入学できて卒業できるなら学園の品位が落ちるだろうしな。」
「そうですね、あの方が迷惑をかけない未来が見えません…。
本意に戻りますね。そこで私が思いついたのは、サバイバルゲームです。学園としては、最も優秀な人達を送りたい。その各方面で活躍すればこの学校の品位は上がるでしょう。そして、私たちのような優秀と思われているAクラスの人材と、そうでは無い方々で分けられているのではないかと。真島先生が言っていた"実力"が高い人達が、希望の就職先につけるように篩にかけていると考えています。そして、その実力が高い所がこのAクラスで、Aクラスの人達のみが希望の就職先に進める、という考察をしています。」
正直、凄いの一言しか出ない。やっぱこいつ天才だろ…。たったこれだけの、限られた情報の中からこれだけの考察を引き出すんだからな。
「一つだけ疑問なんだが、その"実力"を明確に現すものってなんだろうな。それがないとどちらが上と決められないと思うんだが。」
「そうですね…確かにその視点は抜けてました…。まだまだですね…」
「まあ、まだ初日だからな。所で、有栖が言いたかったのはそれだけなのか?」
「いいえ、どちらかと言うと、ここからが本題です。
八幡さん、良ければ私と一緒にクラスを動かして欲しいんです。
動かすと言っても、守るつもりはさらさらないですが。
私がクイーンで、貴方はキング。他の人達に私達の影すら踏ませずに、私は他の人たちを踏み潰したい。」
「別にいいけど、有栖はなんのために動かしたいんだ?
なんのためにそこまでして、下の人達を潰そうとする」
「そうですね…。どうしても見せつけたい人が3人いるから、ですかね。恨んでいる人達と、作られた天才さん、ですね。私や貴方のような天才には作られた紛い物の天才では絶対に勝てない…と。」
ちゃんと潰したいだけじゃない、そこには明確に燃えたぎる意思の強さがはっきりと見えた。
この子に着いてみたいと思った。過去に縋るんではなく、流されるのでもなく、明確に自分から着いていきたいと。
これは過去への執着でもなく、未来への計算でもない。
自分の抱いていた理想や未来。
過去に求めていた、正しさの追求。
自分に諦めて、雪ノ下に憧れていた正しさ。
俺は今から、それを取り返したい。
いや、取り返すんじゃない、作り上げる。
有栖とならできるような、そんな錯覚を感じた。
だからこそ。
「そうか…。俺が天才なんて言われたことないけどな。まあ、その話は乗った。なんだ…改めてよろしくな。俺も、したいことがあるから。」
「そうですか、随分と頼もしいですね。
よろしくお願いしますね、八幡くん。」
「おう、任せとけ。」
半分タイトル回収!
ここからですね。
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探検
あー…疲れた。
なんか今日だけで色々ありすぎだろ…。
いやまあ、有栖とあえて良かったと思う部分もかなりあるけどさ。
俺もちゃんと目指すというか、したいことももう一度できるからな。
それにしても有栖の部屋を見た後だと俺の部屋は質素に見えるな…。
壁紙だけでも変えたら少しは洒落てくんのかな。
…いや、俺には無理か。というかそもそも家具買ってる余裕はないし。
そーえば、よく考えるとお金を稼ぐ方法ってあんのかな。
バイトとか、賭け事とかあってもおかしくないんじゃないか?
Sシステムのお金はポイントだから、賭博もセーフなはず。
とりあえず街を見てみるのもありかもな…あとマッ缶欲しい。
マッ缶のためだけじゃないんだからね!
***
さて、とりあえず外に来てみたけれど…それにしても大きすぎだろ、この学園…。
敷地内だけでどんだけあるんだよ。カラオケにカフェにダーツに。しかも塾とかクラブチームとかまであったぞ…。どうなってんだまじで…。
学園にクラブチームってのも中々だし、塾まであるのか。
最早大抵の事はできるだろな…迷いそうだけど。
ちなみにマッ缶がまだ見つからない。生活に関わるからやめて欲しい…。あの暴力的な甘みがないとやってけない。
これからもっと苦い人生になるんだから、コーヒーもちゃんと甘くないとな…。
後はついでに学校の校舎内にでも行ってみよう。ちなみに目的は3つある。監視カメラの位置把握、施設の把握、マッ缶だ。
***
探検(?)をしていて気づいたんだが、この学園何故か旧校舎"だけ"監視カメラがない。まるで何かをやれと言っているような。
やはり、証拠集めようにボイスレコーダーとか買っておくべきかもな。
こればっかりは仕方ない。
後、とても興味深い部活を見つけた。遊戯部だって。
賭け試合のチェスやオセロなどをやっているらしい。学園の掲示板でも募集していたしな。
有栖の趣味はチェスだったはずだし、明日行ってみよう。
それにしても、マッ缶がない…
自分で作ることにするか…。
てことでやって来ました八幡くんのドキドキ☆お料理コーナー
…何してんだ。
とりあえず砂糖と練乳をマッ缶の分量通りに入れるとして、それにコーヒーを適量足せば完成ー。
うん、やっぱ美味しい。美味しいけど、本物のマッ缶には及ばないな。
ああ、マッ缶が恋しい…。
そういえば、もし本当にクラス同士で争うことになったのだとすると、雪ノ下や由比ヶ浜とも当たることになるんだよな…。
なんだかんだ、大切な奴らではあるから少し心が痛むな…。
由比ヶ浜も今でこそあんな関係になってしまったけど、もう一度仲良くできたりはしないもんか…まあ無理なんだろな…。
恨まれてるから。
色々とミスってしまってすいません。
次の話との繋ぎに近いので今日は短いです。
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金策
***部活動説明会***
サッカー部やら野球部やらの陽キャ系部活も終わって、すっかり静かになってきたな。それにしても、遊戯部はまだだろうか。色々と詳細が気になるものでな。
「なあ、そういえば聞いてなかったが有栖はボードゲーム強いのか?」
「そうですね、とりあえず誰にでも負けない自信位はありますね。八幡さんも遊戯部に行ったあとにやってみます?全力でお相手しますよ。」
「強いのか、それなら安心だな。まあ俺も強い部類ではあるだろうし、多分負けないだろうな。とりあえずどれくらいまで稼ぐつもりなんだ?」
「そうですね…相手の方の賭けにもよりますが.、40〜50万円ほどになったら嬉しいですね。遊戯部の方は案外多くいるそうですし。」
「なら俺もそれくらい目標にやってくか…。」
ちなみに最後の方まで聞いたが遊戯部の説明はなかった。多方隠しのようなものなんだろう。何せやってることは賭博だからな。
終わった瞬間…いや、生徒会長が登壇した瞬間に空気が張り裂けるような重いものになった。今まで楽しくお喋りしていた生徒も口を固く止めて生徒会長の目を見ている。
一体なんなんだ…この圧力は。これが真のトップに立つ奴の空気感なのだなと、俺は肌で感じた。俺もこのレベルまで昇華しないといけない。
「生徒会長の堀北学です。生徒会は、中途半端な立候補を望まない。生徒会は絶対的な権力を持つ以上、それを扱うことの出来る人間にのみが生徒会になることが出来る。以上だ。」
この学校の生徒会の権力は常軌を逸している。
姑息なことを言うなら、自分達のクラスに生徒会長を置いておくのがベストだろう。いくら公平にしようとしても、やはり自分が可愛いく思う人が大半だ。自分を捨ててまで他人の利益を考えられる人間のが少ない。いやまあ、本物だったら知らんけど。
「八幡さんはもし生徒会の勧誘が来たら、どうされるおつもりですか?」
「まあ、有栖が入るなら入るかもな。それより今はクラスのことを考えていたいって言う考えの方が強いがな。
クラスと言うより、自分のことだな。どうしたら強くなれるのか。」
「あら、今のままでもお強いですよ?なんて言うまでもないですね。
生徒会長さんの出す次元まで私も含めてなりたいものですから。
貴方は黒で私は白。どちらもないとつまらないですから。」
「俺は黒で有栖は白ね…部屋の色もそうしてみようかな。有栖と対の色みたいな。」
「なんかいいですね、それは。少しだけ憧れてしまいます。」
「まあ考えておくよ。有栖みたいにオシャレな部屋に出来たらいいしな。」
「そうですね…。家具代の為にも、沢山稼ぎましょう。」
***遊戯部***
「失礼します。今日賭けを申し込んだ比企谷と坂柳です」
「おう、いらっしゃい。俺は釘田って言うもんだ。よろしくな。」
「よろしくお願いします、先輩。僕達は競技はなんでもいいですかろ、先輩達の得意なものでいいですよ。」
「随分強気だねぇー。まあ、そもそも2日目でこの部に対決挑んでくる時点で強気だとは思ったけどね。」
「まあそこは、色々事情があるので。とりあえずチェスしよっか。掛け金はそうだね、5万円くらいで。」
「じゃあ坂柳さんは私と一緒にオセロしよっか。私も5万掛け〜!」
ちなみに先輩たちはそんなに強くなかったから、かなりお金の回収率がいい。俺が8万円を合計掛けてリターンが76万円。現在81万。有栖は12万円合計でかけて、リターンが104万円。
いや、さすがに熱くなったからって先輩達お金とかしすぎじゃない??
と思ったら、毎年新入生からまきあげてるとの事。
まあ、普通の人よりは強かっただろうしな。運が悪かっただけで。
「意外とお金が集まりましたね。流石にここまでとは思ってなかったです…。」
「俺もだな…。そういえば、昨日監視カメラの位置を纏めたんだが、要るか?」
「ええ…ありがとうございます。後明日、私の目的に着いてくれそうな人…私のグループとでも呼びましょうか。今後の作戦会議も含めて明日お食事をするので、八幡さんも来てくださいね、絶対。」
「そんな念押しされなくてもわかるって。了解。」
「わかってくれればいいです。とりあえず、また明日。」
小さく手を振ってる、可愛い。でも手振るとバランス崩しそうで怖いよな。
「ん。じゃあな。」
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第1回作戦会議
さて、いよいよほんとに放課後になって、坂柳メンバーズとの顔合わせが始まる…あと少しで。いや、坂柳メンバーズってダサいな…センスがねぇ。いやー、それにしても、逃げたい。超逃げたい。
伝わるか分からないけど超逃げたの嫌なことからって感じ。
いやまあ、それは置いておいて。コミュ障すぎて怖い…。
いや、坂柳だったからたまたま仲良くなれたかもしれないけど、こんな目が腐ったやつって恨まれそうだし…あー怖。
「やっと見つけました、八幡さん。来ないものですから心配していたのですよ…って、なんで青い顔になってるんですか?」
「いやだって、陰キャコミュ障すぎて怖いんだもん。」
いや、おれがもんとか言ってるのキモくて草…笑えねぇな。
「だめ……ですか?八幡さんともっと長くいたいな、なんて思っちゃって…。」
下から覗き込むように目を合わせて話してくる…いや可愛いなおい。てかそんな頼み方されたら断れない。ずるだと思います。
どこかのゴルシちゃん保護法に引っかかるレベル、意味わかんないけど。
「お、おう。わ、分かったから。」
「ふふ、八幡さんもちょろいですね…」
あ、耳まで真っ赤になってる…。
「恥ずかしいならやるなよ…全く。」
「半分は本心ですからね。それより、さっさと行きましょう。きっと中で待たせていることでしょうし。」
***
「おまたせしました、皆さん。これから親睦会…いや、そうですね、第1回作戦会議とでも言っておきましょう。改めて、第1回作戦会議を始めます。よろしくお願いします。とりあえず自己紹介から行きましょうか。」
「誰もやらないなら俺からやらせてもらう。鬼頭 隼だ。身体能力なら負けない自信はある。よろしく頼む。」
いや、うん。いかつい。俺の目が比にならない位いかついと思う。てかなんでこんな見た目で印象薄いんだ…ステルスヒッキーの使い手か?
なんかとりあえず、安心した。
「じゃあ次は俺かな。橋本正義です。いちおー、鬼頭と仲良くしてまーす。よろしく〜」
The陽キャって感じ。ちゃんとイケメンだし。
「神室真澄…坂柳に連れてこられた。よろしく。」
「じゃあ次は俺か…。比企谷八幡です。よろしく」
「では最後になりますが改めて。坂柳有栖です。まあ私の事は知っているでしょうからいいとして、今後の事ですね。詳しくはまたあとで話しますが、私の考えだとクラス戦のようなモデルです。そして大事なのが、ポイントがかかっている事。1番優秀な人物が集められるAクラスから順にポイントが高いと予想されます。まずはそこまで大丈夫でしょうか?」
うん、みんなうなづいてる。やっぱりAクラスなだけあってみんなちゃんと頭がいいんだろうな。
「次にですが、まず私達…正確には私と八幡さんですね。私達の目的は、まずAクラスに残り続けること。そして、B以下のクラスを叩きのめすこと…。まずは特にDクラスですかね。私と八幡さんが、リーダーに立ってクラスを指揮して行きたいのです。それを支持してくれる方は残ってくださると、幸いです。」
「皆様残るんですね…。誰か一人くらいは、行ってしまうかと。」
「だって坂柳すごい優秀だしな。見てればわかるわ。それに、坂柳が認めるくらいなんだから、比企谷も相当優秀なんだろ?なら俺は賛成だ。」
なんか認めてくれたわ。いや、全員いなくなるんじゃね?とか思ったから焦ったけど。
「そうですか、ありがとうございます。改めまして、よろしくお願いします。それで今後の方針なのですが、まずこの1ヶ月の間になるべく他クラスと接点を持ってください。今の期間位しか、仲良くできる期間は無いですし、恩情を売りつけましょう。感情で結果が狂うこともありますし。次にですが、葛城さんのことを探ってください。彼も同じようにリーダーの座を争うことになるかもしれません…。恐らくですが、私とは考えが合わないと思うので。私からはこれくらいですかね。なにか八幡さんはありますか?」
「んー、そうだな。今は有栖の言ったことだけで大丈夫じゃないか?強いて言うなら、ボイスレコーダーやカメラを常備することをおすすめするって事くらいだな。何があるか分からないだろうから、証拠集めは大事だ。」
「確かに、その考えには至りませんでした…。私も後で買いに行くとします…。とりあえず第1回作戦会議は終わりにしますね。ありがとうございました。」
はぁ…疲れたぁ…帰ってマッ缶飲んでねよ…。ほんとにマジで疲れた。てかこうして見ると改めて高校生に見えないな。銀髪に金髪にとんでもなく厳つい風貌した男にと…めちゃくちゃだわほんと。千葉にはいないよ?こんなの。全く…
「八幡さん、お疲れ様でした。良ければ一緒にレコーダーを買いに行きませんか?」
「おう、分かった。一旦少しだけ部屋に帰ってからでもいいか?」
「ええ。全然いいですよ。それでは、4時30分にまたここで会いましょう。」
「おう、分かった。」
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薄汚れた本物
「おまたせしました、八幡くん。準備に手間取ってしまって少し遅れてしまって…。」
「いーや、別にそれくらい気にしなくていいからな。」
ちなみになんで一緒にいるのかって言うと、ここ一週間のうちになんだかんだ学校に行くことが多くなって、自然に待ち合わせすることになった。ぼっち卒業かもしれない…いやまあ実質有栖だけだからまだぼっちだな。
「あっ!まだおちびちゃんヒッキーと一緒にいたの!?
騙されてるからやめなよ!ヒッキーがやらかしたこと聞いてないの?」
「何も騙されてないですし、修学旅行の一件の話なら聞きましたよ。好き好んで私は八幡さんと居ます。それになにか文句でも?」
「部外者には彼の卑劣さなんて分からないわよ、由比ヶ浜さん。彼女も愚かだけれどね。あんな男に引っかかるなんて。放っておきましよう。」
「へぇー…あんな男ですか…よくも私の大切な人をあんな男ですませましたね…。それに由比ヶ浜さんでしたっけ…またチビですとか、挙句の果てには騙されてるですか…。八幡さん、決めました。
私、来月になったらあの二人を集中的に潰しにかかります…。退学にならないギリギリくらいを攻めて、ずっといじめ続けます。」
「お、おう。わかった。」
「八幡さんがあんな扱いをされるのは間違ってます。私怨も入ってますが。」
***
「ごめんね、ちょっといい?比企谷くんを探してるんだけど、今どこにいるかわかる〜?」
「比企谷くんならさっきそこで…あ、いた。」
「わかった!ありがとう〜」
「比企谷くんだよね?私Dクラスの櫛田桔梗って言います。良かったら連絡先交換したいなっておもったんだけど…。」
はあ…週明けの朝そうそう、めんどくさいことに巻き込まれそうだ…。
「はあ、とりあえず、ほい。」
「普通携帯ごと投げて渡す?危険だよー?」
あざとい、めちゃくちゃあざとい。例えるなら強化版一色劣化版陽乃さんって感じ。
「へいへい。あとその仮面外せ。あざとい、反吐がでる…」
「随分いきなりじゃん…ちょっとこっち来てよ」
人気のない道路に呼び寄せられる。
一体何が始まるんですか!?いやまあ、脅されるんだろうけど。それさSPみたいなのにボコられるとか?いやまあいっか。
そうえば、なんかSPぽい体格の奴がいた気がするな…。
人気のない通路に呼び寄せると、無理矢理手を胸に押し当ててきた。
ええ?なにやってんの?こいつビッチなの?ビチガハマじゃなくてビチダ?マジで何がしたいんだこいつ…
「これであんたの指紋、私の胸にべーっとり着いたから。
誰かに話したら……殺す」
いやまあ、録音してるので訴えられることも殺されることもないんですけどね。まあ素直に従っておこう。
「わかったから…どこかで息抜きしろよ。仮面つけてるとその内お前まで壊れるから。じゃあな」
「あんたなんかに言われたくないんだけど。守らなかったら潰すから。それじゃ。」
こえーーー…まじ怖かった。チビりそう。てかなに?キレたあーしさんくらい険悪な雰囲気出してたけど。それより凄いか。殺意がビンビンだった。
まあ、何はともあれこれであいつの弱みは握れたな。人脈は太いだろうし、おおいに活用する道はありそうだ。有栖がDを叩く時に利用させて貰おう。
昨日は私情で投稿が止まってしまい申し訳ないです…。明日からも頑張ります。
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水着
さて、この学校も入学してはや半月程。なかなかにクラスごとに違いが見えてきた。まずDクラス、地獄でしないな。仮面女は兎も角として、授業中は私語内職当たり前の無法地帯。まあここら辺は先生が注意しないからってのもあるけど。由比ヶ浜とかが楽しそうだったな、流石。というか葉山もいるなんて聞いてない早く帰りたい。
次にCクラス。怖い、なにこれって感じ。いやまじで。
なんか龍園とか言うやつとが独裁してる。らなみに唯一の例外は椎名。
ちなみにこないだ友達になった…いやまあ友達?なのか。話したことがあるくらいだな。アガサ・クリスティとかの本の話で盛り上がった。まともに話が出来て感動したかもしれない。だって暴力の支配下のクラスだよ?怖いのなんの。
その次Bクラス。天使がいた。というか戸塚が居た。いやまあ実際に戸塚がいる訳じゃないんだけど、戸塚みたいな女の子がいた。
あーゆー女の子が近くにいたらいいのにな…いや、勘違いするからダメだ。中学の頃の悲劇を忘れるな…。
Aクラスは、坂柳派と葛城派にぱっくり割れたって感じ。
葛城自身は悪くないが側近の…なんだっけあいつ…戸塚だ。
戸塚は戸塚でも可愛くなくて優しくもなくて無能な方。
あの子には付け入る余地がある。と言うか余地しかない。
Aクラス版由比ヶ浜レベルだと思う。いやまあ、そこまで不利益ではないけど。とにかく葛城につけ入るなら戸塚を攻略すれば何とかなるだろうなっていう感想。
え?今どこにいるかって?今はプールにいます。
遊びに行ったとかじゃなくて授業だけどな。
それにしても、凄いのなんの。鬼頭とか橋本とか筋肉がやばい。何したらそうなるの…まじで。
「八幡も筋肉つけたらもう少しかっこよくなるんじゃね?今度一緒にジムでも行ってみる?」
「お、おう…お前らほんと筋肉凄いな」
「毎日鍛えてるからな。筋肉は使い続けないと行けないし。」
「そうだよな、というか八幡は部活とかしないのか?いつも有栖といるけど。」
「今はあんまり考えてないな…というか、ぶっちゃけよく分からん。」
「部活で運動しないと体力つかないからな…尚更比企谷は鍛えるべきだぞ。」
「おう…考えてみる。」
「というか、八幡に聞きたいことあったんだけどさ〜、八幡って有栖と付き合ってんの?ほんと仲良いよな。」
「毎日一緒に来てるしな。というか、付き合ってなかった方が驚きだが。」
「いや、付き合ってないからな?というかそういう雰囲気にもなってない…だって俺だし。」
「ふーん、そうなんだー。八幡は有栖のこと好きなの?」
「どうだろうな、まだ分からない。ただ恋愛には苦い思い出があるからな、暫くはないと思う。」
「何があったか聞きたくもあるけど…聞かないでおいた方がいいだろうな。」
「いやまあ、別にいいけど。聞きたければ話すぞ?」
「なら聞くー」
てか今更だけど、橋本と仲良くできてるのが奇跡かもしれない。
去年の俺に聞かせたら絶対信じないぜ?
「そこは空気読んで聞かないところじゃなかったのか…まあいいが。」
「あれは中学の頃なんだがな………」
長かったので割愛した。後悔はしていない。
とりあえず折本のことから、奉仕部のことまでは話した。
「八幡…すごい人生歩んでんだな。というか、八幡悪いことしてないのに責められるのは可哀想すぎない?行動力も凄いしな。」
「そうだな…誰かのために自分を犠牲にするとは、分かっていてもできることじゃないからな。素直に凄いと思う。」
「ありがとう。おかげで今度こそちゃんと吹っ切れそう。有栖も含め、お前らには感謝だわ。」
ちなみに、この後みんなで水泳対決したりした。
いやまあ、俺が勝てるわけないんだけど、4着でしたと。
ちなみに先生がバカンスに連れてってやるとか言うのをさも確定的に話すんだから、かなり疑問だった。バカンス…何するつもりだ。
2日に1回ペースで行きます!
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テスト
「はい、注目。今日は小テストを全教科で実施させてもらう。いきなりのことで悪いが、成績には影響しないからな。まあ、影響しないからと言って不真面目に受けていい訳では無いから、しっかりやるように。
それではまず英語からだな、開始。」
簡単すぎないか?この問題。とても超名門校とやらがだす問題じゃない。こんなの中学生だってできる位だし。
横目でテストの問題を解きながらこのテストの意味について考える。第1、なんだ?全教科でテストをする時点で元から決まっていた確率が高い。だが、告知はされていない。告知されていないのにも関わらず成績には影響しない。じゃあ一体何に影響するんだ?このテストは。
そう説いていると、急に難しい問題にぶち当たる。…マジで何これ。文章をよく読めば辛うじてギリギリ分かるくらいだが、今までの問題と明らかにレベルが違う。大学入試レベルか、それ以上だと思う。
じゃあ果たしてこの最後の3問だけ難しくした意味は?
なにか意味が無いと明らかにこのテストの作り方はおかしいだろう。成績には影響しない、事前に学力を測ると言ってもそれほど学力は重視していない。どころか、それ以外の実力を測ると言っている。
考えているうちに英語が終わった。そうして5教科終わったけれども…いや、数学だけ全然わかんねぇ…。
全部に共通してたのが、それ以前は簡単な問題で、最後の3問はレベルが違うほどの難問だったということ。そして、このテストが何か意味を持って作られていること。死ぬほど考えたけど、なんの意味なのかは分からない。予習復習にしては、難易度の突飛が激しすぎるし、復習としても不適だろうから。強いて言うなら、テストの答えを買うことくらいだったな。ただ、学校側がそんなことを推薦するのはあまりに不自然だし考えない事にした。きっと買えなくはないだろうな。
「なあ、有栖。話があるんだが、ちょっといいか?
今日の小テストに関してだ。」
「ええ、分かりました。行先は八幡くんのお部屋でいいですね?」
「おう、分かった。有栖はテストどんな感じだったんだ?」
「そうですね、とりあえず全部解けましたかね。」
「おう、凄いな…最後の3問とかはすごい難しかっただろ?」
「そうですね、高校生にしては難しかったと思いますが、これくらいなら大丈夫です。」
「流石だな…有栖。ちなみに聞きたかったことは、小テストの意味についてだ。」
「成程、もう少し煮詰めてみますね。それでは、八幡くん。」
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Pr.)
「1ヶ月が経つ前に、聞いて欲しいことがあります。この学校のシステムと、異常性についてです。まずは、今年の4月に皆様に配布された、10万円という金額についてです。皆様は、10万円が毎月の様に配布されたら、この学校でいくら払うことになるか計算しましたでしょうか、10万円×4クラス×30人×3学年=3600万円。この学校の運営費以外に、私たちに3600万円が給付されるという事態に異常性を感じてくれると思います。そして、先生の説明をしっかり聞いてれば、自ずと疑問点が生まれてきます。先生は、来月に10万円を配布する事は言っていないのです。また、先生は実力で測るということを仰って居ました。所謂この"実力"によって計られると推測出来ます。次に、この動画を見てください。」
そう言うと有栖はホワイトボードにとあるDクラスの生徒が喧嘩している動画を映し出し、流した。
これあれだな、神室を捕まえた時の副産物…。神室が案の定苦い顔してる。
「喧嘩している内容が聞こえましたでしょうか、彼らは"Dクラスであるから地獄を見る"という趣旨の発言をしています。この時点で、個人ではなく団体でポイントが配布されると考えられました。
次に、実力で測ると言っていましたが、その"実力"の内容についてです。Dクラスなどを見ればわかると思うのですが、彼らはお世辞にも真っ当に授業を受けているとも言えませんし、態度が粗暴であったり学力が低かったりと、問題を抱えている生徒もかなり多くいます。それなのにも関わらず、私達のクラスとの差が出来ている要因こそが、この実力にあるのではと考えました。これは八幡さんから教えてもらったのですが、中学時代に30点よりも高い点数を取ったことないと言われる程に成績が芳しくなく、一方で社交性に富んでいる生徒が入学している事から、私は学力だけではなく、社交性やはたまた運動能力なんかも含めて入試が行われていたと考えます。また、やはり実力にもそれは影響していて、学力だけではないと考えました。」
「さて、次に参ります。この学校は希望の進学や就職を100パーセント叶えるという事を謳っていますよね。これって、明らかに不自然だとは思わないですか?Dクラスのような荒れた生徒達が全員更生したと言われても不自然です。更生していないのだとしたら、少なからずこの学園の悪口などを聞くことでしょうが、一切無いのです。そう言う悪評が。つまり、希望に進学している人達は、少なくとも真っ当な人間であることがわかります。また、DクラスからAクラスの人達を客観的に見た事はありますか?私は見ました。それはまあ、酷い違いでしたよ。
まずDクラスは、授業中は授業にならないほど私語が煩く、低俗な方々達が多かったです。次にCクラスは、不良の様な人間が多く、龍園さんという生徒が独裁体制を既に築いています。その次にBクラスは、一ノ瀬さんや神崎くんらが中心となって、クラスが纏まっている感じです。綺麗にA〜Dでクラスの雰囲気がバラけたと思いませんか?
そして、最大のヒントが真嶋先生の発言です。とある質問をしに行った際に、"さすが"Aクラスの生徒だなと言いました。もう一度動画を思い出すと、"さすが"であるAクラスに対して"地獄"を見るDクラス。ここからはほとんど推察に近くなりますが、AクラスからDクラスの順で実力順に分けられているのだと考えています。
そして、進学などの条件はAクラスのみに与えられると。」
そう言い終えると、ザワザワとざわめきが起こる。有栖の事をチラチラとみたりなど、反応は様々だ。
「最後に本題なのですが、もし私の言っていることがあっているのならば、私と八幡さんをこのクラスのリーダーにしてください。それでは。わざわざ長く聞いていただき、ありがとうございました。」
「坂柳さん、1個いい?坂柳さんがリーダーになるのはわかるんだけど、比企谷君もなの?私よく分からないんだけど。」
「はい、八幡さんもです。この考えは八幡さんと共同で考えたものですし、八幡さんが居なければ気づかない部分だってあったのですよ?彼も同じような疑問を持っていましたし、彼はとても優秀ですよ。」
「そっか、わざわざありがとうございます。」
「いえいえ、これくらい造作もないことですよ。」
反応は上々。まあ、こんだけ手が打ってあればまずリーダーになれない、なんてことは無いだろうな。…1人だけこっちを睨んでるヤツがいるけど。戸塚だったっけ。めちゃくちゃ睨んでる。やばいくらい。
「お疲れ様、有栖。とても綺麗ってか、なんだ?かっこよかったぞ。」
「ちょっとだけ嬉しいですけど、乙女にそのほめ方はあまりよろしくありませんよ?かわいいと言ってくれた方が嬉しいですしね、なんて。
ありがとうございます、相棒さん」
なんだか、照れるな。相棒って。信頼されてるというか、なんというか。心に来るし、嬉しいものがある…。俺も信頼してるしたよりにしてるぞ…なんてな。
題名が拘りの塊ですw
証明の時につける、アレです。
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(Q.E.D)
「皆さんおはようございます。朝のホームルームを始めようと思います。さて、この紙筒について疑問に思っている方も多いでしょうが、少しだけお待ちください。
まず、Sシステムについての概要を説明しようと思います…と言おうと思ったんですけどね、坂柳さんが昨日発言してくれたことが当たっていますね。入学早々的確に質問をしてきたので、度肝を抜かれました。過去に例を見ない速さでしたからね。とりあえずクラスポイントを提示しておきます。」
張り出されたポスターを見ると、こう提示されていた。
Aクラス:970pt
Bクラス:650pt
Cクラス:480pt
Dクラス:0pt
いや…0て…いやまじで何してんだ…。由比ヶ浜とかは兎も角、雪ノ下や葉山の様に真面目に授業を受けている人間も居ただろうに。
まじで一体何が起きてるんだ…。
「どうだろうか、過去のAクラスと比較しても随一で君らは優秀です。一方でDクラスは0ptと悲惨なことになっていますが…。
今後とも気を抜かないように頼む。決してAクラスが偉く、Dクラスが屑などという訳では無いからな。…Aクラスを鼻にかけて驕り昂っているものがいると風の噂で聞いたからな…。」
「そしてもう1つ、小テストの結果だ。うちのクラスにはいないが、赤点が1つでもあれば退学になるからな、覚悟しておけ。」
やべぇ…数学やべぇ…。とりあえず有栖に教わろっかな。
それにしても、やはり妙だな。成績以外に関係のあるテストに、赤点なら即退学になるほどの厳しさ。なんの暗示だろうか。例えば、答えが決まっている…とか?
「とりあえず説明は以上だ。何か質問があるものは職員室で承る。」
「先生ー、まだポイント払われてないですよ?不具合ですか〜?」
名前は覚えてないけど…なんだっけ、うん。忘れたけど、誰かが言った。
「おっと、その件について忘れていたな。現在CクラスとDクラスの間で問題が発生している。その対処のために一時的に1年生のポイント供給がストップしているという訳だ。あとは特にないか?ないのなら坂柳に任せるが。」
「分かりました…。一応、目標というか指針を示しておきましょう。私達の目的は、Aクラスを守ることではありません。もちろん卒業時にはAクラスでいるつもりです。私達はAクラスを守るのではなく、徹底的に他のクラスを叩き潰すつもりでいます。無論、これは私の嗜好も入っていますが。守るだけでは、この学校で生きていけると思いませんから。2年生や3年生のクラスを見ると、大分私たちより生徒の数が少なかったです。きっと彼らは、退学になったのでしょう。
異様に厳しい学校だからこそ、私たちは下との差を付けなければならない、と思っています。
取り敢えず、私と八幡さんがリーダーであることに賛成…いや、反対である方は挙手して頂けるとありがたいです…。」
1人2人と手を挙げたか、だいぶ疎らだな…。体の大きなハゲ生徒…葛城だったか。そこら辺の連中は反対の様だな。
それにしても、賛成ではなく反対を手を挙げさせる当たり、なかなか攻めたことをしたな。
「正直、君の読みは素晴らしく思う。一方で、私達が攻めるメリットがあまり感じることが出来ない。私はこのAクラスの座を守り、攻める隙があれば攻める位でもいいんじゃないかと思った次第だ。生憎君に賛成出来そうになくてな。」
「そうですか、葛城さん。後でゆっくりとお話し合いをしましょう…。とりあえず私についてくれる方と、葛城さんにつかれる方で1度お話し合いをしましょう。もしそれでも分かり合うことが出来なければ、その時は私たちと葛城さん、どちらが優れたリーダーであるか、勝負しましょう。もちろん見るのはCPです。良いですか?」
「その件については了解した。坂柳と比企谷と話がしたい。今日の放課後にカフェテリアに来て貰えないだろうか。」
「了解しました。八幡さんもつれていきますね。」
いや、いきなり俺の名前呼ばれて焦ったわ。有栖は革新派で葛城は保守派といった所だろうか。…絶対昔だったら葛城の方に行ってたな、めんどくさかったし。ちなみに小テストは90点だった。
***
「有栖、折り入って頼みがある。俺に数学を教えてくれないか?お恥ずかしながら、数学だけは苦手でな…。」
「わかりました。今夜からみっちりとやりましょうね。今夜から八幡さんの家に伺います。八幡さんを退学にさせる気なんてさらさらないですし、居てもらわないととても寂しいので。」
「そこまで言われたらやらない訳にはいかないだろ…ありがとうな、有栖。」…さすがは俺の相棒…そして、リーダーである。
青春とは悪であり嘘であると言ったな。
もし、愚かでない青春が有るのならば。
それは今のようなことを言うのではないか。決して、愚かでもなく、無駄でもない。学ぶことがある。どころか学ぶことや考えることがまだまだある。青春を楽しむ賢者達よ、謳歌せよ。
何となく、今週UA数?みたいなソートの仕方で検索してみたんですよ、小説を探していて。
よう実原作で絞り込みしていたんですが、この小説が1番上に出てきてとんでもなく焦ってスマホを落としそうになった作者です(((
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密約
CP→クラスポイント
です!
時は流れて放課後。ハゲマッチョくん事、葛城との話し合いである。
出来れば仲違いは避けたいな。直感的にはCクラスがとても怖いからな。統率の取れるという意味ではBクラスに軍配が上がるが、彼らは任意ではなく独裁体制。つまり、俺らのめざしている形に近い物だ。
「わざわざ時間取らせて悪いな、葛城。もうそろそろ有栖も帰ってくると思うぞ。」
「ああ。クラスのためであるからな、それ位は気にすることない。
正直言うと、リーダーとしての素質は坂柳が抜きん出ている。予測力と言い、実行力といいな。自分なりに考えてみたが、保守的な考え方であることは変わらないが、リーダーとしての座は坂柳が適当だと思っている。」
「そうか、ありがとな。まあ、なんだ。やりすぎだと思った時だけ止めてくれればいいんじゃないか?」
「そうかもしれないな。自分にはこの戦争中のリーダーは勤まらないだろう。あの場では反対してしまったが、改めて考えるとそう思う。俺ができることを全うしていくつもりだからな。比企谷も、よろしく頼む。」
「ああ。」
「あらあら、私が席を外している間に随分と盛り上がったようですね。まずは、協力感謝します。葛城くんは控えめに言っても、非常に優秀な能力を持っていることは、私も把握していますから。貴方がこちら側に来ていただけるのであれば、とても嬉しい限りです。いえ、少し思うことはありますがね。」
「おお、そうか。これからのためだ、俺に足りない部分があったら言ってくれ。」
「そうですね、思ったのは2つ、あなたの周りのことと、使命感が大きすぎることですね。周りのことと言うか、あなたがいちばん懇意にしている戸塚君の事ですかね。彼自身、葛城くんに心酔気味なところと、Aクラスを鼻にかけて少々迷惑をかけているところをお昼休みに拝見しました。このような性格では、Aクラスを攻めるときに格好の的になってしまいますから、矯正が必要ですね。もし矯正できなければ、退学になるのもやむなしと言った所でしょうか。
次に、葛城くん自身の性格についてです。これは、良いところとも言えるのですが、上の立場になればなるほど、慎重になりすぎてしまう傾向を感じました。注意深いのは良い一方で、やはりどうしても保守的で、攻めに転じることに弱いと見えます。私が1番貴方がリーダーになるのに足りないと思う部分です。」
「いきなり聞いたのにありがとう。最後に比企谷に聞きたいことがある。」
「俺か。なんだ?」
「比企谷は、今回の件CPの問題についてどう思っているんだ?介入する気か?」
「俺個人としては介入する気だが。まずは龍園に契約を持ちかける。Dクラスの須藤から暴行をされたと証言を吐くこと。あともうひとつ考えているのは、PPを使った裁判となった時の買収だな。あれから賭け事やらで300万ほど儲けたから、それを使う。見返りとしてPPを5000程一人あたり徴集すれば充分じゃないか?」
「さすがに現段階では無理があるんじゃないですかね、その作戦は。」
「まあ、そうだろうな。龍園自体頭が切れることはわかっているから、そう甘くいくとは思わないが。利益を優先するなら、Dクラスに加勢する事だが、見返りがあまり美味しいとは言えなさそうだしな。場合によっては介入することも無いだろうし。
この件以外で使うのなら、先程の戸塚の性格を利用して須藤を煽り、協力者を雇って殴られた事自体を動画に保存しておく、とかな。」
「随分と先まで考えているのだな。」
「そうですね、最後の戸塚くんを利用する作戦はかなりありだと思います…。Dクラスにどんどん負債を押し付けていって、破滅に導くのも悪くありませんね。…私怨もあるので、Dクラスには早めに潰れてもらいたい所です。」
「ならやって見るか?いきなりだが。」
「そうですね。主に対象は由比ヶ浜さんとかどうでしょうか?
須藤くんはもう孤立に近い状況でしょうし、クラスをさらに分断させるためにも他の子を狙った方がいいかと。」
「そうだな。葛城、後で戸塚を呼んでくれ。取り敢えずはこのメンバーでまた会おう。その時に説明するつもりだ。時期は龍園の一件が片付いた後くらいで頼む。」
「了解した。」
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密使
「戸塚君を呼び出す前に、1つ迷っていることがありまして、聞いてもらってもよろしいでしょうか。」
「おう、それくらいなら問題ないぞ。」
「どのようにして、Dクラスを潰すか、ですわ。」
「なんでDクラスなんだ?こういっては失礼だが、まだかなり差はあるだろうに。BでもCでもなくD等とは、なにか理由でもあるのか?」
「そうですね…Dクラスには優秀な人材が多すぎます。
Bクラスは一ノ瀬さんに神崎くん。Cクラスには龍園くんに、椎名さん。それに比べてDクラスには、綾小路君と高円寺くんの協調性は無いが、有能である2人組に加えて、統率力のある櫛田さんに平田くん。明らかに警戒人物が多いですから、ポイントをマイナスに出来るならいち早くにでも削っておきたい対象です。」
「綾小路…?そんなやつ見た事もないし目立った様子も見えなかったが…。それだけ凄いやつだったのか?」
「お世辞にも隠すのが上手とは言えませんが、彼の才能は常軌を逸しています。私も負ける気はありませんが。そのためにどんどんと削っていくつもりです。」
「へぇ、なるほどな。戸塚の件は分かったとして、二の矢三の矢は考えているのか?」
「そうですね…今考えているのは、Dクラスにスパイを送り込んで、クラスを分断させたり、中間試験の点数を無理やり下げたり、等ですね。」
「学力の低い生徒を筆頭に提げて行く方式ですね。由比ヶ浜さんは退学させては行けませんが。」
「由比ヶ浜は上手くウィークポイントとして利用するということか。」
「ええ、一生嬲り続けてあげますわ。」
おう…いやまじ怖いな。
しかもDクラス中に恨まれることになるだろうし、こりゃ本当に生きていくのが大変そう。お得意のコミュ力も役に立たないだろうしね。
「そう言えばスパイの件なんだが、アテならあるぞ。ちなみに櫛田だ。」
「あら、意外ですね。一体どんな繋がりで?」
「さすがにそれは秘密だが。まあ、有り体に言うと弱みを握らせてもらった。」
「なるほどな。ちなみにもうすぐ弥彦が着くそうだ。
」
「なんでふたりがリーダーヅラしてるんだ!葛城さんに呼び出されてきてみれば!葛城さん、こいつらに葛城さんの凄さとかを教えこんであげればいいんですよね!葛城さんの何処がいいのか!」
「落ち着け、弥彦。リーダーはこの2人に任せた。これは俺だっての希望だ。そして弥彦にはして貰いたい仕事がある。それを頼めないか?」
「葛城さんが認めたなら仕方ないですね!葛城さんの命令とあらば弥彦受けさせていただきます!」
「ありがとう、戸塚。それで内容なんだが、由比ヶ浜…このピンク髪のアホだな。あいつを好きなだけ煽ってこい。そして、感情的になった所で煽れば完了だ。なるべく誇張を少なく事実を話して貰えたら助かる。例えば、不良品のDクラス、とかな。」
「分かった…殴られるのは嫌だが、所詮女だしな。今から行ってくる。」
「いや、くれぐれもたまたまを装ってくれ。じゃあな。」
「分かった。決してお前らの命令に従ってる訳じゃないからな!葛城さんのためだからな!あんた達のためじゃないんだかんな!」
…いや、ツンデレ?
投稿遅れて申し訳ないです
あと、16話のサブタイトルがなかったのも重ねてお詫び致します…。
現役高校生でして、テスト勉強が忙しかったんです((言い訳))
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癒しのひととき
side 龍園
勝手に訴えをとりさげやがって。もっとちゃんと監視カメラの情報を回しとくべきだったかもしれないな。しかし、どうもAクラスの動きが随分と激しいように感じる。葛城とかいうふにゃけたやつが積極的に行動を起こすとは思えないし、坂柳一派だろうが。にしても、Aクラスに勝つのは余裕だ。特に次の特別試験なんかはな。
俺は入学して2週間ほど、上の学年に忍び込んで情報を集め、ポイントの変動履歴を確認した。その結果分かったことは、特別試験が夏休み前のタイミングには行われることは確定している。坂柳のやっかいな頭脳以外に恐れるべき人物は居ないからな。だし抜くのも容易いだろう。
B、Dなんか仲良しごっこしてるゴミだ。問題はいかにAを潰すか、これに限る。…金田と椎名でも呼んで、考えるか。どっちにしろ、俺だけでやれることには限界がある。
side 八幡
「八幡くん、どうやらDクラスとCクラスの問題が終わったらしいです。この後に回収予定なんだとか。後、ひとつ気づいたことなんですが、いいですか?」
「ああ。どうしたんだ?」
「戸塚さんの作戦の被害者に私がなることが出来れば、かなり美味しく潰せるのでは無いですか?見てのとおり私は足が悪いですし、そういう生徒を狙ったとなればさらに処分は重くなるかと。」
…それは正直…賛成できない…。
さすがに危険すぎるだろうしな。今後の生活に危害を及ぼしたらどうするつもりだ。
「さすがに無謀だ。大体、重い怪我になったらどうするつもりだ。」
しかし、その方が利益は大きく…」
「ふざけんな。アホか。もう少し自分の体を大切にしてくれ。そんなの利益とか関係ない。感情論かもしれないが、リーダーが大怪我した方がもっとチャンス失うぞ。」
「…すいません、流石に感情的になりすぎました…。
その、他の人と同じになれないというか、私が特別だからみたいなのが嫌で、他の人より優秀になれるようにも努力してきたつもりなんです。もちろんそんな意図がないのはわかってます。それでもなんか、悔しく感じてしまって…。」
「ごめんな。俺も言葉キツくなっちまった。
それに、有栖の言うこともわかるから。大丈夫だぞ、有栖は他の人より凄い優秀だし、お前のできることはよく分かってる。あんまり無理して頑張りすぎるなよ。色々考えてくれてありがとう。」
「あっ…手…///ありがとう…ございます…。」
「んあっ…ごめんな…。」
「いいえ…むしろなんだか、とっても撫でられるのが心地よかったです…。良かったら、もう一度撫でていただきたい位で…。」
「んぇ…するか…?」
「お願い…します…///」
1時間程撫で続けたのだった…めちゃくちゃ癒された…。
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