弦巻こころの兄が秀知院学園に通って過ごす話(完結) (春はる)
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設定集
キャラ・世界観設定(ネタバレあり)その1



キャラや世界観などの設定です。何か変更や追加があれば更新します。

設定集を3つに分けました。こちらはその1つ目です。



 

弦巻 優心(つるまき ゆうしん)

 

8月8日生まれ 身長164㎝ AB型 

 

高校2年生➡️高校3年生 クラスはA組

 

弦巻家長男 こころの兄 

 

将来は、弦巻家と弦巻グループの『当主兼社長《代理》』に、継ぐ事になっている。

 

ただ、四宮家や四条家などの関わりがない、もしくは少ない家からは、優心が『当主兼社長』になると思われている。

 

一人称は「俺」パーティーなどでは「私」と言う。

 

親の事は「お父様」「お母様」と呼んでいる。

 

髪型は、黒と金の二つの色が混ざった短髪になっている。髪の色は父と母の二人譲り。

 

黒の瞳をしており、瞳の色は父譲り。

 

優心は、自分の事をどこにでもいる感じの容姿と思っているが、クラスの皆などからイケメンの部類の容姿と思われている。

 

真面目で優しい性格で、所々純粋な所がある。だが、家族や弦巻家に仕えてる人(執事とメイド、黒服の人と料理人)や、大切大事と認めた友人に危害などを加える人間には容赦ない。

 

意識的に声を低くして、恐怖を煽るような喋り方をする時がある。

 

しかし、たまに無意識に声のトーンなどが低くなる時があり、意図的ではなくても稀に相手を怖がらせてしまう事もある。

 

優心の容赦しない所や声の件などの、いわば優心がキレた所を見た秀知院VIP枠の生徒達の間では、『弦巻優心を怒らせるな』という共通認識になっている。

 

その様に言われてる・思われてる事は、優心は知らない。

 

 

妹とは違い考えてから行動する。

 

性格はどちらかと言うと(強いて言うなら)、母の心美に似ていると言われている。

 

合気道と逮捕術(警察や自衛隊が採用してるもの)を組み合わせた、独自の体術・護身術を取得している。

 

その実力は、柔道と合気道の有段者であるかぐやよりも強い。

 

 

妹のこころの事は、家族として好き。シスコン

 

たまに、こころが学校に持っていく弁当を作ってあげたりしている。

 

 

中学までは家の近くの学校に通っていた。小学校は共学、中学校は男子校に通っていた。

 

しかし、高校は家の近くに共学や男子校がなかったので、前から気になっていた事と中学の担任に薦められたのもあり、秀知院学園高等部に編入学をした。

 

 

秀知院までは電車で通学している。

 

 

高等部から編入学をしたため混院になっているが、影響力と権力、財力が大きい家柄のため、必然的に家柄ヒエラルキーでは上の方になっている。

 

家の都合上、学校内に弦巻家主催のパーティーなどで会った人達が秀知院にいるため、編入学で混院でもすぐに馴染めた。

 

その上、純院混院や家柄などの肩書き問わず、誰にでも普通に接したり相談を受けたりしながら過ごしているので、男女学年問わず慕われている。

 

 

真面目で常識人で恋愛の知識もあるが、相談を受けたりと相手を笑顔にしたいと動いてるので、自分の気持ち(特に恋愛)に疎かったり、自分の評価や評判は気にしていない。

 

気持ちに関して自覚すると恥ずかしくなる。

 

 

白銀とは入学時に仲良くなった。

 

前会長に生徒会役員に任命を受けていたが断った。

 

白銀が会長になった時に、庶務として生徒会にスカウトされたので生徒会庶務に就いている。

 

事務作業や備品の管理、学校の行事(イベント)の設営や片付けなどの人手がいる作業でのまとめと指示役や人手の確保などをしているため、石上同様で居なくなると困る人材。

 

学校での成績順位は、常に1位か2位に入っている。その為かぐやにはテスト前からテスト後、1位を取ると白銀から睨まれる日がしばらく続く。

 

スポーツなどの運動(体育系)の成績も上位に入る程の実力を有しているが、部活には所属していない。

 

休日は友達と遊んだり、ライブを見たりなどしているが、家の近所の公園で子供と遊んで過ごす事が一番多い。

 

そして、たまに子供を家まで送り届ける事がある為、子供達の親から感謝されている。

 

商店街の羽沢珈琲店には、中学の時から通っている。アフターグロウの皆とは、中学の時に出会った。

 

やまぶきベーカリーでは、りみとモカと同じくチョココロネを大量に買って食べるほど大好き。

 

その為、休日に三人が揃うとチョココロネは開店と同時に全て無くなる。その光景を見た他のお客さんから、"チョココロネ三兄妹"と呼ばれている。

 

他のお客さんが食べれなくなるため、沙綾から「チョココロネを三人で全部買うのは日曜日だけで、それ以外は一人二個まで。破ったらチョココロネ禁止」と言われている。

 

それが嫌なため、優心とりみとモカは、しっかりその言いつけを守ってる。

 

 

黒服の華の事は、出会ってしばらくの間(小学一年から小学六年)お姉様と呼んでいた時期がある

 

 

妹のこころやそのバンド関係の友達、公園で遊ぶ子供たちや学校内の周りの人に頼られたりする。

 

ただ、その一方で人に甘えたくなる時があり、その時に母の心美もしくは黒服の華さんに甘える時がある。

 

 

黒服の人(SP)が常に三人(男性二人女性一人)付いている。優心が卒業する日まで有効の立ち入り許可証を発行してもらっているため学校の敷地内と校舎内に出入り自由

 

 

 

 

弦巻(つるまき) こころ

 

8月8日生まれ 身長155㎝ B型 高校1年生➡️高校2年生

 

弦巻家の長女 優心の妹

 

将来は、弦巻家と弦巻グループの『当主兼社長』に、継ぐ事になっている。

 

一人称は「あたし」

 

優心の事は「お兄様」

 

親の事は「お父様」「お母様」と呼んでいる。

 

金髪と金の瞳をしている。

 

金髪と金の瞳は母の心美譲りで、見た目も母譲りのため凄く似ている。

 

バンドリガルパと同じ設定(性格や行動)で変更は特になし。

 

自由奔放で天真爛漫で好奇心旺盛で、純粋でポジティブな性格で、天才。

 

相手が隠している事や本質を見抜くことなど観察力といった人を見る目はしっかりある。基本的に思い付きで行動する。

 

性格はどちらかと言うと(強いて言うなら)、父の誠心に似ていると言われている。

 

兄の優心の事は、小さい時から一緒に行動していていつもやりたい事に付き合ってくれたりなどしてくれるので、大好きと思っている。いわゆるブラコンの為、優心に甘えたり抱きついたりと、スキンシップをする事が多い。

 

黒服の人(SP)が常に三人(全員女性)付いている。

 

 

 

 

 

 

独自設定

 

 

弦巻兄妹の親

 

父の名前は、弦巻 誠心(つるまき せいしん)

 

弦巻家当主であり弦巻グループ社長でもある

黒髪と黒の瞳

 

弦巻家の一人息子で、妻の心海とは幼馴染み。

 

 

 

母の名前は、弦巻 心美(つるまき ここみ) 

 

誠心の秘書をしている。

 

金髪と金の瞳

 

一般の家出身で一人娘。夫の誠心とは幼馴染み。

 

高校時代は、お嬢様学校の月ノ森女子学園に通っていた。

お嬢様学校に通っていたので、周りからは相当の家柄の出身と思われているが、一般庶民の家出身の一人娘。尚且つ、月ノ森には外部入学。(倉田ましろと同じ)

 

 

 

父と母の二人とも年齢は40代。

 

 

 

優心とこころの性格などは両親譲り

 

両親とも優しい性格。

 

仕事に関しては相手の意図を会話で読み取ったり洞察力や観察力などで見抜いて、受け入れたり容赦なく切り捨てたりとするなど、将来を見越して接したりする性格でもある。(こころが人の隠してる性格や本質を見抜いたりと、しっかり人を見ている所がある為)

 

二人とも仕事が忙しい為に、あまり家にいることが少ないが、電話で優心とこころとやり取りしたり、母の心美がたまに休日の時に家に帰ったりしている。

 

両親とも、優心とこころの二人がやりたい事などは全て協力・応援している。

 

 

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弦巻 心子(つるまき しんこ)

 

弦巻家の現当主兼社長、弦巻誠心の母で、優心とこころの祖母。つまり、先代の弦巻家当主兼社長。優心が二歳でこころが一歳の時に亡くなったので、故人。

 

 

弦巻心子と四宮雁庵は同い年。

 

 

 

弦巻 健(つるまき けん)

 

心子の旦那で、生前は心子の秘書をしていた。一般の家出身で弦巻家に婿入り。

 

優心とこころの祖父で、二人が生まれる前に亡くなったので故人。

 

 

弦巻心子と弦巻健は、学生時代に出会って、恋愛結婚をした。

 

二人は同級生で、通っていた学校はお金持ち学校ではなく、公立で共学の学校だった。

 

ちなみに心子が健に一目惚れして、猛アプローチをして、恋人同士になり最終的にゴールインする。

 

 

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初代当主兼社長(女性)

 

 

弦巻家初代当主兼社長は明治時代末期から大正初期を生きていて、"男だから"とか"女だから"を嫌っていた女性。

 

まず自分がトップの会社を起業して、自分の会社から男女の片方に偏る至上主義じゃないのを目指し、最終的に真に男女平等を目指す。

 

そんな考えは、当時からすれば女性だからとかの話以前に異端な考え方だった為に、近所ではあまり良くは思われていなかった。

 

初代の旦那は、副社長として妻である初代と会社を支えた

 

 

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優心の護衛に付いている女性の黒服の人

 

名前 (はな)  年齢28歳

 

優心の護衛をしている黒服の3人(男性2人女性1人)の、女性の黒服さんでリーダーを務めている。

 

優心が幼少時から護衛しており、優心とこころの事を弟と妹のように思っている。

 

優心が6歳の時に、弦巻家の近くでボロボロ状態になっていた当時17歳の華を、親と出掛けてた優心が見かけた際に親に"助けてあげて欲しい"と言ったことで、弦巻家の使用人として拾われた。

 

そして華の希望により優心の護衛(黒服の人)になった過去を持つ。

 

優心の母・弦巻心美には、"優心が寂しがってたり甘えたがってたら構ってあげて"と頼まれている。

 

優心に、学校など家の外では黒服さんと呼ばれており、家の中では華さんと名前で呼ばれている。

 

 

ボロボロ状態になっていた理由は、四宮青龍派閥に誘拐され青龍から襲われそうになり、命からがら逃げ出したため。

 

そして逃げ出してたどり着いた場所は、弦巻家だった為に優心達に助けられた。

 

華の家族は、青龍派閥により事故死に見せかけられる様に殺された。

 

 

 

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黒服の人

 

 

名前 (さつき)  年齢17歳

 

 

優心と同い年の黒服の女性。

 

使用人(黒服)として雇われてから、弦巻兄妹の両親の元で護衛の研修などを、先輩の黒服の人に教えてもらった。

 

19話と20話の間の夜(夜中に近い時間帯)頃に家に戻ってきたので、現在は弦巻家で仕事をしている。

 

家に戻ってきたのは、一年と三ヶ月ぶりに戻ってきた。四月から雇われ、優心が二年になった七月に帰ってきたので一年三ヶ月の間は、研修をしていた。

 

第37話で、愛の護衛に就いた。

 

 

中学時代から、親の愛情を受けなくなり荒れてしまい家出をした不良だった。

 

家出をして家に帰れない皐は、公園で過ごしていた。その荒れてる時に、こころに話しかけられた。

 

最初はドスのきいた声でこころに叫んだりしていたが、こころに笑顔じゃない事、さみしがってる事などの図星を言われた。

 

一緒に楽しいこと探しに誘われ、初めて自分を怖がらず話しかけて、自分を見てくれるこころに興味を持ち仲良くなっていった。

 

仲良くなったこころに家出の事などを言った際に、こころに「家に帰れないんだったら皐もうちに住めばいい」と言われて、弦巻兄弟の両親にお願いをして使用人として雇ってくれることになった。

 

雇う条件として、中学はしっかりトップクラスの成績を残し卒業することを言われたので、必死に勉学をして卒業も出来た。

 

卒業後は黒服として雇われた。

 

 

 

こころの事は実の妹のように思っており、優心の事は親友と思っている。

 

優心とは、中学の勉強をする時に仲良くなった。

 

 

 

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弦巻家の使用人について

 

 

メイド長

 

執事長

 

黒服班長

 

料理長

 

 

上記四人が各使用人達のトップを務めている。その下にもチームリーダーも任命されている使用人もいる。

 

毎週月曜日に全体の朝礼を行い、一週間の予定を確認をしたり、情報を共有をする。

 

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メイド長 

 

弦巻家に仕えているメイド達のまとめ役。

 

 

当主である弦巻誠心が子供の頃から弦巻家に仕えている。

 

現当主兼社長である弦巻誠心の母親であり、優心とこころの祖母である先代の当主兼社長の弦巻 心子(つるまき しんこ)の代から仕えている。

 

現当主の弦巻誠心が退く時に、自分もやめると決めている弦巻家一筋のメイド。

 

 

新人メイドの教育係も多少携わっているが、基本的に他のメイドに教育係を任命している為に、教育係として指導することは少ない。

 

愛の件については、当主の誠心から頼まれたので、教育係を担当している。

 

 

普段は口調は丁寧だが、たまに口が悪くなる時がある。

 

 

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執事長 

 

 

弦巻家に仕えている執事達のまとめ役。

 

 

上記のメイド長と同じで、先代当主兼社長だった誠心の母弦巻心子の時から仕えている。

 

 

 

メイドと執事の仕事

 

配属された新人のメイドと執事の教育をする。

 

優心やこころの部屋などの各部屋や廊下などといった弦巻家内部の清掃。

 

優心とこころの二人が食事の際に、料理の配膳をする。

 

 

メイドと執事は、基本的に上記の仕事を担当をしている。

 

 

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黒服・弦巻家担当班班長(黒服班長)

 

 

弦巻家に仕えていて、弦巻誠心・心美の護衛をしている黒服以外で、現在家にいる黒服達のまとめ役。

 

 

家にいる黒服達の仕事内容

 

 

弦巻家の庭の手入れ(庭師としての仕事)や、家の警備・車の運転も担当している。

 

優心とこころの護衛についても、専任の黒服が担当している。が、黒服の休暇もあるため、ローテーションを組んで護衛の任についている。(かぐやが優心の護衛で同じ人ばかり見かけたのは、仕事担当の日と重なった為)

 

ローテーションでその日の護衛担当の黒服が、優心とこころの起床時に二人を起こしに行く。

 

ある程度の身の回りでの世話を担当と、二人の護衛などの二つが主な任務。

 

上記に加え、二人のお願いの対応もしている。

 

黒服として配属された新人の教育など。

 

こころの友達の、ハロハピやポピパなどのバンド仲間達や、優心の友達の生徒会メンバーや彼女の愛達などが弦巻家に行く際のメイド達への報連相もしている。

 

 

 

弦巻家に客人は基本的に来ない。来るとすれば、優心とこころの友人のみ。だが、誠心や心美が家にいる場合に、二人に会いに客人が来ることがある。

 

 

客人の応対はメイド長・執事長・黒服班長のトップ三人、そして三人から許可されたメイド・執事・黒服が、客人の応対をしている。

 

 

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料理長

 

 

家で働く料理人達の長。

 

元々、パティシエとして働いていた。

 

腕前は、パティシエ関係の大会で必ずトップ3に入る程の実力。

 

パティシエだけではなく、料理の腕前も一級品。

 

料理店で働いていた際に弦巻家からスカウトされた。

 

 

 

弦巻家で働く料理人達は、家に来る優心とこころの友人達の好き嫌いからアレルギーなどを考慮して料理を作っている。アレルギー等などの情報は黒服から報告を受けている。

 

他にも誠心や心美に対しての、客人のアレルギー等などの情報も把握している。

 

料理に関してはどのような状況にも対応可能。こころの突拍子ない事も当然対応できる。

 

食材は、商店街のお店・銀河青果店や八百屋・北沢精肉店と提携して調達したり、直接農家・牧場・漁業関係などにも交渉し取り寄せしたりしている。

 

 

調達は料理人達が担当している。

 

 

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弦巻家に仕えてるメイド・執事・黒服の何人かは、四宮家などの名家で働いていた人達。

 

失敗のなすりつけをされたりなど、いろんな理不尽な理由で解雇された人達が、弦巻家で雇われて使用人として働いている。

 

その人達は、弦巻家の仕事にやりがいを感じており、仕事もプライベートも充実した生活を送っている。

 

 

料理人に関しても、料理店からスカウトされた人もいるが、何人かは自分のお店を持てずこき使わされるままの、料理人見習いだった人達もスカウトされている。

 

料理人も、他の使用人や何より優心やこころ、二人の友人から、下心なく純粋に美味しいと言われる事が至上の喜びと感じている。

 

今や料理人達は、自分のお店を持つことよりも、弦巻家の皆やその友人、家の客人達に美味しいものを提供する事を目標に頑張っている。

 

 

 

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新川 鋼(しんかわ こう)(旧・男友達A)

 

身長は170㎝

 

家族構成は、父と母と鋼の三人家族。

一人称は「俺」

 

優心の事は、名字の弦巻と呼ぶ。

 

父が音楽、CDショップの店長をしており、鋼はそのお店でバイトをしている。その影響で音楽に詳しく、昔の曲から最新の曲をよく聞いており、幅広いジャンルに詳しい。

 

他にも、ハロハピやポピパ達のガールズバンドの事の音楽にも詳しい。

 

 

 

 

 

古川 樹(ふるかわ いつき)(旧・男友達B)

 

身長は167㎝

 

家族構成は、父・母・樹の三人家族。

 

家が、ケーキ屋(古川屋)をやっている。

 

一人称は「僕」

 

優心の事は、名前の優心と呼ぶ。

 

 

お店は結構な人気店の為、平日の放課後や休日によくお店の手伝いをしている。

 

家の手伝いで接客をしているが、休日にはケーキ作りもパティシエの父に教わって作ったりしているので、休日には鋼が作ったケーキが店頭に並んでいる。意外と樹が作ったケーキも人気。

 

古川屋には店内飲食が出来るスペースも完備している。

 

因みに描写はしてなく話にも出してないですが(はぐみと優心の会話で少し料理の話はしてますが……)、第29話と第30話の、優心とこころの誕生日パーティーに出ている料理の中にはケーキも出ています。

 

そのケーキを出したのは、樹の家でケーキ屋でもある古川屋が作ったケーキです。弦巻誠心と心美が、優心とこころのために、古川屋に誕生日ケーキの製作をお願いをした。

 

 

新川鋼と古川樹の二人は、中学時代には新旧コンビと呼ばれていた。

 

 

 

相川 楓(あいかわ かえで)

 

北高の一年生➡️二年生 159㎝

 

人懐っこく素直、活発な性格。それでいて、常に有言実行を心掛けており、実際に言ったことは全て実現するほどの行動派でもある。

 

 

優心と樹と鋼の三人は、中学時代の親友兼先輩だが、それ以上に三人の事をお兄ちゃんと思っている。ただし三人の事は先輩と呼んでいる

 

優心達三人とは一歳年下の高校一年生。

 

優心の事を「ゆー先輩」

 

樹の事を「いー先輩」

 

鋼の事を「こー先輩」

という独特な呼び方で呼んでいる。

 

三人の事は誰よりも慕っていた。(現在も慕っている)

 

中学一年の終業式から数日後の春休み中に、親の仕事の都合で、北海道へ転校した。

 

見た目は男の娘。

 

こころが女の子だと信じて疑わない程で、中学の男子校の入学時に在校生から最初は女子だと間違えられたりした。

 

その見た目の為、入学してから転校するまでの在籍中の間、何回か先輩・同級生問わず告白された。

 

優心と悟と楓の三人の事を、先輩であり兄と思っている。

 

三人からは弟として思われている。身長は三人の中で一番低い優心よりも少し低め。

 

 

在籍中で優心と悟と楓の三人とは一番仲が良かった。

 

こころとは同い年でお互いに活発な為に波長も合ってるので、凄く仲がいい。

 

こころの事は「こころちゃん」と呼んでいる。

 

 

高一の二学期が始まってる時に上京してきた。学校近くのアパートで一人暮らしをしている。

 

本当は高校入学前の春休みに上京したかったが、心配性の母親が引き留めようとしてきた。

 

楓がその心配性の母親を説得するのに時間がかかり、二学期の途中に東京へ上京と転校をしてきた。

 

 

 

上京と北高に転校をした日から数日後に、交流会という名の合コンに誘われた。そこで優心に久しぶりに会った。

 

両親とも優しい性格だが、母親が心配性で過保護気味。

 

優心と樹と鋼の三人とは連絡先は交換していない。交換していない理由は、楓がスマホを持っていなかったから。

 

三人から連絡先を教えることもしなかった。教えなかったのは、単純に教えるのを忘れただけ。

 

楓が、スマホを持ってなかったのは、過保護気味の心配性の母親が、ネットで息子の楓が何かに巻き込まれるのを心配した為に、どうしても持たせたがらなかったからのが理由。

 

スマホを持った時期は、父親の仕事の転勤で北海道へ引っ越した後だった。

 

北海道の中でも札幌や函館などの都会ではなく、地方の方に引っ越した。その為、スマホを持ってないと比較的不便な状況になってしまった為に、買ってもらった。

 

優心がその気になれば、調査して引っ越し先の家の連絡先を知ったり、親同士の繋がりで連絡先を知っている心美に聞いたりすれば連絡が出来たが、それはしなかった。

 

そういったことをしなかった理由は、楓が引っ越す時に高校入学する時期に上京すると、それまでは連絡するのは無しという約束した為。

 

三人は楓の有言実行を信じてるから、ずっと約束を守ってる。

 

 

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~独自設定~

 

 

北高

 

 

秀知院学園の近くにある公立の共学校。

 

 

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秀知院学園(しゅうちいんがくえん)

 

幼稚園から大学まである一貫校

 

高校から優心が通ってる学校

 

 

花咲川女子学園(はなさきがわじょしがくえん)花女(はなじょ)

 

私立の中高一貫の女子校で、こころが通っている学校。

 

 

ポピパの全員。

 

ギターボーカル・戸山 香澄(とまや かすみ)

 

ギター・花園(はなぞの) たえ

 

ベース・牛込(うしごめ) りみ

 

キーボード・市ヶ谷 有咲(いちがや ありさ)

 

ドラム・山吹 沙綾(やまぶき さあや)

 

 

パスパレ 

 

ボーカル・丸山 彩(まるやま あや)

 

ベース・白鷺 千聖(しらさぎ ちさと)

 

キーボード・若宮(わかみや) イヴ

 

 

ロゼリア

 

ギター・氷川 紗夜(ひかわ さよ)(日菜の姉)

 

キーボード・白金 燐子(しろがね りんこ)

 

 

ハロハピ 

 

ボーカル・弦巻(つるまき) こころ、

 

ベース・北沢(きたざわ) はぐみ

 

ドラム・松原 花音(まつばら かのん)

 

DJ・奥沢 美咲(おくさわ みさき)(ミッシェル)

 

 

上記のメンバー達が、花咲川に通っている。

 

 

 

羽丘女子学園(はねおかじょしがくえん)

 

私立の中高一貫の女子校。

 

 

アフターグロウの全員。

 

ギターボーカル・美竹 蘭(みたけ らん)

 

ギター・青葉(あおば) モカ

 

ベース・上原(うえはら) ひまり

 

キーボード・羽沢(はざわ) つぐみ

 

ドラム・宇田川 巴(うだがわ ともえ)(あこの姉)

 

 

パスパレ 

 

ギター・氷川 日菜(ひかわ ひな)(紗夜の妹)

 

ドラム・大和 麻弥(やまと まや)

 

 

ロゼリア 

 

ボーカル・湊 友希那(みなと ゆきな)

 

ベース・今井(いまい) リサ

 

ドラム・宇田川(うだがわ) あこ(巴の妹)

 

 

ハロハピ

 

ギター・瀬田 薫(せた かおる)

 

 

上記のメンバー達が、羽丘に通っている。

 

 

 

月ノ森女子学園(つきのもりじょしがくえん)

 

創立100年の由緒ある名門お嬢様校。

 

弦巻兄妹の母《弦巻心美》が通っていた学校。

 

 

 

 

 

白雪学園(しらゆきがくえん)

 

幼稚園から大学まである超難関のお嬢様校。

 

佐藤ますき(マスキング)が通っている。

 

 

 

 

 

月ノ森女子学園と白雪学園、秀知院学園は、共学と女子校の違いがあるが、ライバル関係になっている。……が、最近は、秀知院学園のモラルの低下や学校のブランドの低下などが出ているので、月ノ森と白雪に入学する女子が多い。

(他にも花咲川や羽丘に入学している人も少数だがいる)

 

 

その為、秀知院学園の女子の割合が目立つほどではないが減少傾向になっている。

 



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キャラ・世界観設定(ネタバレあり)その2


設定集を分けました。こちらはその2です。

こちらに載ってない主人公の設定などは、設定その1に載っています。




 

~弦巻家~

 

(ガルパと同じ設定)

 

 

家が宮殿並みの大きさ

(バンドリガルパのハロハピストーリーで宮殿みたい、学校よりも大きいとも言っているシーンがある)

 

こころ専用の豪華客船スマイル号がある。

 

こころの誕生日パーティーに大臣などがくる。

 

ジェット機で空港について街に出ると、街の人が旗を振ってマーチングバンドが歓迎のセレモニーを受けたりする(ガルパのこころの衣装のカードエピソードに出てきた内容)など。

 

 

 

独自設定、解釈

 

弦巻家は、グローバル(多国籍)企業の「弦巻グループ」という名前で世界各国に知られていて、"世界を笑顔に"がモットーの有名で超が付くほどの大企業。

 

誕生日などのパーティーに国の大臣などが来たり、海外の空港でマーチングバンドの歓迎セレモニーを受けてるなどある為、弦巻家は日本のみならず世界各国で最も影響力があり権力も持っている。

 

その為、他の名家富豪から「弦巻家を敵に回す事は、世界を敵に回す」と言われている。

 

 

優心とこころの誕生日パーティーや弦巻家主催のパーティーに、いろんな国のトップや大臣などの政府関係者が来る。

 

妹のこころ専用の豪華客船(スマイル号)があるように、優心専用の豪華客船(ハッピー号)がある。

 

黒服の人は、女性だけではなく男性の黒服もいる設定(ガルパでは女性の描写しかなかった為)

 

 

弦巻家、弦巻グループの始まりは、小さい貿易商社で社員の構成は、社長の初代と副社長に後に夫となる男性と、幹部に自分の考えに共感してくれた男女数人。

 

社員は会社の規模に必要な人数を募集して働きに来た人達だ。

 

創業時は特に食品や飲み物、日用品を取り扱う事にして、工業や産業系の取引は極端に少ない輸出入の取引をしていた。

 

当時から品質などの基準を他の企業よりも徹底的に厳しい。

 

 

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独自設定

 

 

~弦巻グループの子会社情報~

 

 

第23話で、ますきと優心の会話に登場した事務所は、ロゼリア3章に出てきて、ロゼリアをスカウトした音楽事務所。

 

弦巻グループの子会社の一つ。

 

業界では大手で有名な事務所。メジャーで活躍している実力のあるバンドや歌手達が数多く所属している。

 

事務所として利益を出す事を大切にしているが、アーティストとそのファンを第一にしている為、利益を出すことは二の次にしている。

 

"ファンや世界を笑顔にするのはアーティスト達"という考え方の為、アーティストにプラスになる事は協力を惜しまない。

 

そして、アーティストと共にファンが満足して笑顔になるものを提供する事、"音楽で世界を笑顔にする"事を事務所の方針にしている。

 

"音楽で世界を笑顔にする"は、弦巻グループのモットーの"世界を笑顔に"を事務所用に変えたもの。

 

晴海は社員(スタッフ)で、今はますきの担当している。

優心と、スタッフである晴海とは知り合い。

 

優心と出会った理由は、晴海がサークルやギャラクシーなどのライブハウスでバンドの演奏を見に来ていた際に、ロゼリアやポピパなどのバンドメンバーと話をしてる優心を見かけ、声をかけたのがきっかけ。

 

 

佐藤ますきは、この事務所のスタジオミュージシャンと、ドラムのサポート(ヘルプ)の仕事をしている。

 

ドラムの練習場所は、家にあるギャラクシーで基本練習をしているが、たまに事務所のスタジオでも練習をしている。

 

ますきの父親がやっていたバンドのデスギャラクシーも、この事務所所属だった。

 

 

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パスパレが所属している芸能事務所

 

 

ますき情報では、第23話時点で弦巻グループが買収するような話が出ていたが、第35話で弦巻グループが買収したので、弦巻グループの子会社になった。

 

 

元々、四宮グループの子会社だった。

 

四宮グループの社員が、事務所の社長に就任していた。

 

一部のスタッフが、所属アーティスト達の評判を落とす事しかしない。

 

事務所の利益の為に、所属アーティスト達の事よりもビジネスの利益の事を優先する。

 

アーティストの考え、意見や意思は確認しない。したとしてもあまり参考しない。

 

そういった事があったので、所属している歌手やバンド、俳優や女優などを、守りたい・どうにかしたかった事務所の社員達が、弦巻グループに内部告発をしていた。

 

その情報を元に、調査をして結果を確認した弦巻グループが買収に踏み切った。

 

早坂愛の使用人関係で、四宮雁庵と会っていた弦巻誠心が事務所の買収の話を持ち出して、弦巻グループの子会社になった。

 

 

弦巻グループが買収をしたので、その様な事はなくなった。

 

 

第23話前後に事務所から内部告発が来ており、その内容の裏取りや事務所の実態などを、弦巻家の黒服が調査を指示した。

 

他にも、弦巻グループの各芸能及び音楽事務所にも、同じ芸能・音楽業界だからこそ出来る調査や、その芸能事務所について知っている情報などの、提供をお願いしていた。

 

ますきが話を聞いたのは、弦巻グループ本社から音楽事務所が情報提供を求められた時に、事務所の社長達の話が聞こえてた為。

 

そして、優心が話を知らなかったのは、調査中で情報が確定していなかった事と、話がまとまってなかったので、優心には知らせなかったというのが理由。

 

 

裏取りなどの調査結果が出たのは、愛の使用人の話を優心から聞いた後だった。

 

そして弦巻誠心はその結果などを元に、使用人の件と事務所買収の話を、二つ同時進行で四宮雁庵と話を詰めていた。

 

そして本小説第35話で買収という事になり、優心に連絡をした。

 

 

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~国・独自設定あり~

 

第27話に出てきた国は、ハロハピ3章に出てきたヨーロッパにある小さな国《ハピネール王国》

 

 

ハピネール王国

 

 

バンドストーリーのハロハピ3章に出てきた時は、建国千年だった。本小説の第27話では、ハロハピ3章から一年前なので、建国999年ということになってます。

 

王様の母親が日本出身のため、日本とは縁が深い。

 

ただ、四宮家の影響は全くもって受けていない。理由として弦巻家との縁があり交流をしているため。

 

日本と縁があるためか、国王様と王女様、衛兵などお城にいる人達は日本語が喋れる。

 

 

建国時に、空から星の雨(流星群)が注いだと言われている。

 

そして、天からの贈り物でこの国に様々なもの《友達を思う気持ち》《誰かの幸せを願う心》《未来を夢見る気持ち》などといったものをもたらしたと言われ、ハピネール王国は優しい国になったという言い伝えがある。

 

 

 

~人物~

 

 

ニッコリウス14世

 

ハピネール王国の国王。

 

 

優心とこころの父親である弦巻誠心に凄くお世話になった。

 

 

コロッケが大好きで、お忍びで街にコロッケを買いに行くなど、お茶目な所もある王様。

 

優心とこころの誕生日パーティーに、二人が小さい頃から毎年参加している。

 

 

 

ニコリーナ姫

 

 

ハピネール王国の王女。

 

小さい頃は病弱だった為、部屋に籠っていた。

 

病気が治り元気になっても、外に出たことがなかったので外に出るのを怖がっていた。

 

そんな時に、父親の誠心と一緒に来た優心と出会い仲良くなった。

 

その際に、優心に手を引かれて外に出ることになり、優心と一緒に街を巡ってる時に、街に住む同年代の子達と仲良くなった。

 

優心の事は、優しいお兄さんと思っている。

 

優心と会う事や、学校などの日本での出来事などの話を聞く事が、楽しみの一つになっている。他にも、優心の妹であるこころの話をよく聞くので、こころに会ってみたいと思っている。

 

 

ただ、優心が夏休みや冬休みといった長期休みに国に遊びに来てくれるのが嬉しいと思いつつも、長期休みしか会えないので寂しさを覚えている。

 

 

 

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独自設定

 

 

~弦巻家と他の家との関係性~

 

 

 

弦巻家と四宮家との関係

 

 

 

弦巻家と四宮家は、考えや会社の方針などの違いから、お互いに関わらない……無干渉の関係になっている。

 

何かあれば当主同士で話をする。本小説だと、早坂愛を四宮の使用人から弦巻の使用人にする為と、パスパレが所属する事務所の買収の話をしたみたいな感じ。

 

 

ただ四宮家の跡取り問題が発生してから、派閥の一つである黄光派閥が弦巻グループの会社にちょっかいを出し始めた。

 

それを受けて、弦巻家は独自の調査を開始。

 

結果として、黄光が他派閥が自分達により手を出せないようにする事、何よりトップになった際に弦巻家より力を持つ為に、何かしらの情報を掴もうと手を出している事が判明した。

 

その為、弦巻家本家(弦巻グループ本社)の当主兼社長の弦巻誠心とグループ各社(支社と子会社)の社長は、警戒及びグループの会社全てとその内部での情報共有や縦と横の連携を強化している。

 

それに加え、弦巻家は交流のある"世界を笑顔に"に共感してくれている国の政府関係者からも四宮家関係の情報共有をしている。

 

そして四宮家の動きの監視もしている。

 

 

 

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弦巻家と四条家との関係

 

 

 

両家は関わりを持っていない。交流からビジネスの取引などの繋がりは皆無。

 

 

 

過去に四条家が四宮の恨みの為だけに、ビジネスや交流などの交渉をしていた事があった。

 

その際に代々弦巻家が掲げている"世界を笑顔に"を否定するような事を、交渉中にことある事に言っていたので、弦巻家の逆鱗に触れてしまった為。

 

元々弦巻家は、四条家が四宮家から離脱した人達で、四宮に恨みがある事は知っていた。

 

けれど、それを抜きにして単純に同じグローバル企業という事で、協力が出来るビジネスがあるのではないかと考えていた。その為、四条グループの業務・ビジネス関係を調査していた。

 

その時に、四条家からの交渉の話が来たので話し合いをした。数回、話を重ねていくと四条家が四宮の恨みだけで動いている事が、相手と直接会い会話などして分かったので、弦巻家当主の弦巻誠心は断った。

 

その際に四条家が"世界を笑顔に"の事を言い始めた為に、最終的に交渉は頓挫した。

 

("世界を笑顔に"を否定していたのは交渉に来ていた人間のみ。他の人間は口にしていないだけで思ってる人もいるし、一切そんな事は思っていない人も当然いる)

 

四条家内部では、交渉を提案・実行した人達は《四条家の恥》と言われてる。

 

 

この後に、四条家当主と話す機会があり恨みだけで動いている事が、言葉の節々から伝わったので見切りをつけた。その為、両家の関係は破綻したのでお互いに関わりを持つことはない。

 

 

 

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弦巻家と藤原家との関係

 

 

 

両家の関係は良好。家族共々仲がいい。

 

 

 

弦巻兄妹の父である誠心と、藤原三姉妹の父である大地は昔からの友人関係。

 

しかも父の誠心・大地の二人の前の世代、優心達の世代から見て祖父母や曾祖父母の世代から仲がよかったので、そこからずっと交友関係が続いている。

 

 

 

藤原家は"世界を笑顔に"に共感しており、お互いに手を組んでいる。並びに昔から交友関係・各世代が友人関係である。

 

だからと言って、ビジネス関係の事についてはお互いに妥協せずに話してる。一切、忖度などせずにお互いに対等に接し腹を割って意見を言い合って、協力出来る所は協力をする事で仕事をしている。

 

そうする事で"世界を良くなる"と両家は考えている。

 

 

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第29話・第30話の、優心・こころの誕生日パーティーに、招待され来ている人

(かぐや様側・独自設定あり)

 

 

 

 

子安つばめの父親

 

 

つばめの父親は、世界的バーテンダー兼大手飲食会社エリアマネージャー。

 

世界的バーテンダーなので、パーティー会場でバーカウンターを設置をして、そこで招待された人達にカクテルやお酒などを振る舞って貰う為に弦巻誠心から招待されている。

 

優心とこころが小さい頃から毎年招待されている。

 

子安つばめは、優心が高1(去年)の時から招待されている。去年、呼ばれた際にこころと凄く仲良くなった。

 

こころから会いたいと言われると、つばめは他の用事を放り出してまで、こころに会うことを優先しようとするほど、仲良くなっている。

 

 

毎年呼ばれるため、弦巻家とは親交がある。

 

 

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柏木渚の、祖父と父親。

 

 

渚の祖父は、経団連理事。

 

渚の父親は、大手造船会社会長。

 

 

経団連理事である祖父は、毎年呼ばれている。誕生日パーティーに来ている政治家や企業関係者達と同じ様に、過去に弦巻家(弦巻グループ)にお世話になった人や、現在お世話になっている人達の一人。

 

 

父の造船会社の会長も招待された。

 

優心とこころの二人専用の豪華客船、スマイル号とハッピー号を造船してもらった事があり、弦巻誠心がお礼として招待したことがきっかけで、毎年呼ばれている。

 

その為、柏木家も弦巻家と親交がある。

 

 

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火ノ口三鈴の父親

 

 

三鈴の父親は、広告代理店代表

 

弦巻グループの子会社の商品の広告に携わっている。なのでビジネス関係で弦巻グループと関わりがある。

 

 

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駿河すばるの父親

 

 

すばるの父は、某有名IT会社社長。

 

IT関係の事業で、共同でビジネス展開をしているのがある為、社長である父が招待されてる。

 

 

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巨瀬エリカの父親

 

 

エリカの父親は、大手味噌メーカー社長

 

弦巻グループの多くの飲食店に味噌を卸している。ビジネス関係がある為、社長である父が呼ばれてる。

 

 

 

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第29話・第30話の、優心・こころの誕生日パーティーに、招待され来ている人

(バンドリ側・独自設定あり)

 

 

 

桐ヶ谷透子(モルフォニカ)の祖母。

 

 

桐ヶ谷呉服屋の店主兼当主である、透子の祖母を招待している。

 

呉服屋と共同で商品展開をしていたり、弦巻家がよく呉服屋の商品を買って利用をしたりとしている為、昔からの付き合い。

 

その為、家同士で親交がある。

 

 

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二葉つくし(モルフォニカ)の父親。

 

 

つくしの父親は、家が飲食店を数多く経営する会社の社長。(子安つばめの実家とは、また別の会社。対立はしていない)

 

弦巻グループの飲食店との合同事業を展開していたりと、ビジネス関係を築いている。なので社長である父親が招待されてる。

 

 

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美竹蘭(アフターグロウ)の父親。

 

 

美竹家の当主である蘭パパも、優心とこころの誕生日パーティーに、毎年招待されている。

 

100年以上続く華道の家元。弦巻兄妹の母、心海が学生時代に美竹家の華道を習っていた。今でも習ったりしている。

 

そして、息子の優心も華道を習うことになり、美竹流を習った過去がある。

 

現在でも、たまに教えて貰うことがある。なので、親同士と、蘭とこころと優心の子供同士も交流がある。その為、家同士も親交がある。

 

こころは習っていないので、蘭パパや蘭に会っていないため、高校生で初めて蘭と会って、美竹家の事を知った。

 

 

優心は、蘭パパに華道を習っていたので、美竹家が華道の家元なのは知っていた。

 

ただ蘭の事は、蘭パパから一人娘がいる事は聞いていたが、中学時代まで会ったことがなかった。

 

中学時代に、羽沢珈琲店の常連になる程に通った時に、つぐみに幼馴染みを紹介された時に初めて会った。

 

 

かぐやと愛は、美竹家の華道の事は知っている。ただ、かぐやが華道を習う事になった際、最初は蘭パパにお願いをする予定だった。

 

しかし、その時には優心が蘭パパから教わっており無理だったので、他の華道家の人から教わっていた。

 



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キャラ・世界観設定(ネタバレあり)その3


設定集を分けました。こちらはその3です。

ここでは、設定その1に書いていたキャラ達の名前の呼び方、はぐみのあだ名や、新しく書いた呼び方などをまとめました。


 

 

~キャラの呼び方~

 

 

 

ハロハピメンバーの、生徒会メンバーと眞妃と愛達の、名前の呼び方。

 

 

 

こころの呼び方。

 

かぐや達、全員の事を下の名前で呼び捨て。

 

 

ーーーーーーーーー 

 

 

はぐみの呼び方。

 

 

四宮かぐや→かぐちゃん

 

白銀御幸→ゆきくん先輩

 

藤原千花→千花ちゃん

 

石上優→優くん

 

四条眞妃→まきちゃん先輩

 

白銀圭→けーちゃん

 

早坂愛→愛ちゃん先輩

 

と、はぐみは呼んでいる

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

美咲の呼び方。

 

 

四宮かぐや→四宮先輩

 

白銀御幸→白銀先輩

 

藤原千花→藤原先輩

 

四条眞妃→四条先輩

 

早坂愛→愛先輩

 

石上優→石上くん

 

白銀圭→圭さん

 

と、美咲は呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

花音の呼び方。

 

四宮かぐや→かぐやちゃん

 

白銀御幸→御幸くん

 

藤原千花→千花ちゃん

 

四条眞妃→眞妃ちゃん

 

早坂愛→愛ちゃん

 

石上優→優くん

 

白銀圭→圭ちゃん

 

と、花音は呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

瀬田薫の呼び方。

 

こころと同じく、下の名前での呼び捨て。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

生徒会メンバーと愛と眞妃の、ハロハピメンバー達の呼び方。

 

 

~四宮かぐやの場合~

 

 

弦巻こころ→こころさん

 

北沢はぐみ→はぐみさん

 

瀬田薫→瀬田さん

 

奥沢美咲→奥沢さん

 

松原花音→松原さん

 

と、かぐやは呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~会長(白銀御幸)の場合~

 

 

弦巻こころ→こころ

 

北沢はぐみ→北沢

 

瀬田薫→瀬田

 

奥沢美咲→奥沢

 

松原花音→松原

 

と、会長は呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

藤原千花の場合

 

 

弦巻こころ→こころちゃん

 

北沢はぐみ→はぐみちゃん

 

瀬田薫→薫さん

 

奥沢美咲→美咲ちゃん

 

松原花音→花音ちゃん

 

と、千花は呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~石上優の場合~

 

 

弦巻こころ→こころさん

 

北沢はぐみ→はぐみさん

 

瀬田薫→瀬田先輩

 

奥沢美咲→奥沢さん

 

松原花音→松原先輩

 

と、石上は呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~四条眞妃の場合~

 

 

弦巻こころ→こころ

 

北沢はぐみ→はぐみ

 

瀬田薫→瀬田さん

 

奥沢美咲→奥沢さん

 

松原花音→松原さん

 

と、眞妃は呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~早坂愛の場合~

 

 

弦巻こころ→こころ

 

北沢はぐみ→はぐみ

 

瀬田薫→薫

 

奥沢美咲→美咲

 

松原花音→花音

 

と、愛は呼んでいる。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~バンドリキャラ達の弦巻優心の呼び方~

 

 

ハロハピの場合

 

こころ→お兄様

 

はぐみ→ゆーくん

 

薫→優心

 

花音→優心くん

 

美咲→優心さん

 

と、ハロハピメンバーは呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ポピパの場合~

 

 

香澄→優心先輩

 

おたえ→優心先輩

 

りみ→優心先輩

 

沙綾→優心先輩

 

有咲→優心先輩

 

と、ポピパメンバーは呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー 

 

 

~アフターグロウの場合~

 

 

蘭→優心さん

 

モカ→優心くん

 

ひまり→優心さん

 

つぐみ→優心さん

 

巴→優心さん

 

と、アフターグロウメンバーは呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ロゼリアの場合~

 

 

友希那→優心

 

紗夜→優心さん

 

リサ→優心

 

燐子→優心さん

 

あこ→優兄

 

と、ロゼリアメンバーは呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~パスパレの場合~

 

彩→優心くん

 

日菜→優心くん

 

千聖→優心くん

 

イヴ→ユウシンさん(優心さん)

 

麻弥→優心さん

 

と、パスパレメンバーは呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~バンドリキャラの、早坂愛の呼び方~

 

 

 

~ハロハピの場合~

 

こころ→愛

 

はぐみ→愛ちゃん先輩

 

薫→愛

 

花音→愛ちゃん

 

美咲→愛先輩

 

と、ハロハピメンバーは呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ポピパの場合~

 

 

香澄→愛先輩

 

おたえ→愛先輩

 

りみ→愛先輩

 

沙綾→愛先輩

 

有咲→愛先輩

 

と、ポピパメンバーは呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~アフターグロウの場合~

 

 

蘭→愛先輩

 

モカ→愛先輩

 

ひまり→愛先輩

 

つぐみ→愛先輩

 

巴→愛先輩

 

と、アフターグロウメンバーは呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ロゼリアの場合~

 

 

友希那→愛

 

紗夜→愛さん

 

リサ→愛

 

燐子→早坂さん

 

あこ→愛さん

 

と、ロゼリアメンバーは呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~パスパレの場合~

 

彩→愛ちゃん

 

日菜→愛ちゃん

 

千聖→愛ちゃん

 

イヴ→アイさん(愛さん)

 

麻弥→愛さん

 

と、パスパレメンバーは呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

かぐや様側キャラ達の、弦巻優心の呼び方。

 

 

~生徒会メンバー~

 

四宮かぐや➡️弦巻くん

 

会長(白銀御幸)➡️弦巻

 

石上優➡️弦巻先輩

 

藤原千花➡️優心くん

 

伊井野ミコ➡️弦巻先輩

 

ーーーーーーーーー

 

~二年生組~

 

 

早坂愛➡️優心くん

 

四条眞妃➡️優心

 

田沼翼➡️優心

 

柏木渚➡️弦巻くん

 

紀かれん➡️優心さん

 

巨瀬エリカ➡️弦巻くん

 

駿河すばる➡️弦巻くん

 

火ノ口三鈴➡️弦巻くん

 

 

ーーーーーーーーー

 

~三年生組~

 

朝日雫➡️弦巻くん

 

子安つばめ➡️優心くん

 

ーーーーーーーーー

 

~一年生・中学生組~

 

 

大仏こばち➡️弦巻先輩

 

白銀圭➡️弦巻先輩

 

藤原萌葉➡️優心くん

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

弦巻優心の、かぐや達の呼び方。

 

 

~生徒会メンバー~

 

 

四宮かぐや➡️かぐやさん

 

会長(白銀御幸)➡️会長もしくは白銀

 

石上優➡️石上

 

藤原千花➡️千花

 

伊井野ミコ➡️ミコ

 

ーーーーーーーーー

 

~二年生組~

 

 

早坂愛➡️愛

 

四条眞妃➡️眞妃

 

田沼翼➡️翼

 

柏木渚➡️柏木さん

 

紀かれん➡️かれん

 

巨瀬エリカ➡️エリカ

 

龍珠桃➡️龍珠

 

駿河すばる➡️すばる

 

火ノ口三鈴➡️三鈴

 

ーーーーーーーーー

 

 

~三年生組~

 

 

朝日雫➡️朝日先輩

 

子安つばめ➡️つばめ先輩

 

ーーーーーーーーー

 

 

~一年生・中学生組~

 

 

大仏こばち➡️大仏

 

白銀圭➡️圭

 

藤原萌葉➡️萌葉

 

 

と、優心は秀知院のメンバー達の名前を呼んでいる

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

弦巻優心の、バンドリキャラ達の呼び方。

 

 

ハロハピ

 

 

弦巻こころ→こころ

 

北沢はぐみ→はぐみ

 

瀬田薫→薫さん

 

松原花音→花音さん

 

奥沢美咲→美咲

 

 

ーーーーーーーーー

 

ポピパ

 

戸山香澄→香澄

 

花園たえ→おたえ

 

牛込りみ→りみ

 

山吹沙綾→沙綾

 

市ヶ谷有咲→有咲

 

ーーーーーーーーー

 

アフターグロウ

 

美竹蘭→蘭

 

青葉モカ→モカ

 

上原ひまり→ひまり

 

羽沢つぐみ→つぐみちゃん

 

宇田川巴→巴

 

ーーーーーーーーー

 

ロゼリア

 

湊友希那→友希那

 

今井リサ→リサ

 

氷川紗夜→紗夜

 

白金燐子→燐子

 

宇田川あこ→あこ

 

ーーーーーーーーー

 

パスパレ

 

丸山彩→彩

 

白鷺千聖→千聖さん

 

氷川日菜→日菜

 

若宮イヴ→イヴちゃん

 

大和麻弥→麻弥

 

と、優心は、バンドリメンバー達の名前を呼んでいる。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

グリグリメンバーの優心の呼び方。

 

 

牛込ゆり→弦巻くん

 

鰐部七菜→弦巻くん

 

鵜沢リィ→優心

 

二十騎ひなこ→優心くん

 

ーーーーーーーーー

 

グリグリメンバーの早坂愛の呼び方。

 

牛込ゆり→早坂さん

 

鰐部七菜→早坂さん

 

鵜沢リィ→愛

 

二十騎ひなこ→愛ちゃん

 

ーーーーーーーーー

 

優心のグリグリメンバーの呼び方。

 

牛込ゆり➡️ゆりさん

 

鰐部七菜➡️鰐部先輩

 

鵜沢リィ➡️鵜沢先輩

 

二十騎ひなこ➡️ひなこさん

 

ーーーーーーーーー

 

早坂愛のグリグリメンバーの呼び方

 

牛込ゆり➡️ゆりさん

 

鰐部七菜➡️鰐部さん

 

鵜沢リィ➡️リィさん

 

二十騎ひなこ➡️ひなこさん

 





本編にはまだ書いていない呼び方も、ここに書いています。

ただ、本編に書いてある呼び方で、ここの設定に書いてある呼び方が違う場合があるかもしれません。

優心と愛に関しては、名字呼びと名前呼びなどが混同してますが、あえてそうしてます。

こちらでも本編をチェックはしますが、見逃すかもしれません。

ここに書いている呼び方が正式なので、本編の呼び方の間違いに気が付いた人が居ましたら、作者宛にメッセージなどを送って貰えたら嬉しいです。

その都度、修正します。


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本編
第1話



本編です。



 

 

~優心視点~

 

 

~昼休み~

 

 

ある日の昼休み。

 

 

私立秀知院学園の生徒会室で、俺……弦巻 優心(つるまき ゆうしん)は書記の藤原千花と会話をしていた。

 

二人で、会話をしていると扉の開く音が耳に届いた。扉の方を見てみると、会長の白銀御幸と副会長の四宮かぐやの二人が入ってきた所だった。

 

そして俺に気づいた会長が声を掛けてきた。

 

会長「話し声が聞こえると思っていたが、弦巻と藤原の二人だったんだな」

 

かぐや「二人で何の話をしていたんですか?」

 

優心「俺の妹の話ですよ。千花が最近の様子を聞いてきたので答えていた所です。あ、名前はこころって言います」

 

かぐや「妹さん……ですか?藤原さんは、弦巻くんの妹さんと会ったことがあるのですか?」

 

千花「もちろんですよ~。私が小さい時にこころちゃん達の誕生日パーティーにお父様が連れて行ってくれて、その時に優心くんとこころちゃんに会って仲良くなったんです」

 

会長「そこから毎年行ってたのか?」

 

千花「それから毎年、誕生日パーティーで会っていたんですが、去年は参加出来なかったので話を聞いてました。あ、因みに兄妹揃って同じ誕生日なんですよ」

 

かぐや「なるほど……」

 

千花の説明に会長とかぐやさんは、納得していた。それを横目に見ながら、こころの話を続けた。

 

優心「まぁ最近、こころはバンドを始めてそのメンバーと一緒にいることが多いからね」

 

千花「へ~、こころちゃんがバンド……、えっ何それ、初めて聞きましたけど!?」

 

優心「うん、今言ったから。てか、後で詳しく教えるから落ち着いて」

 

びっくりしている千花を落ち着かせていると、かぐやさんから声が掛かった。

 

かぐや「あの弦巻くん、私はその妹さんに会ったことがないのですが、妹さんはどんな子なんですか?」

 

優心(あぁそうか、かぐやさんもだけど千花以外の生徒会メンバーは、(うち)主催のパーティーとかには来た事がないから知らないのも当然か)

と、かぐやさんの言葉にそう思いながら、かぐやさん達にこころの事を教えてあげた。

 

優心「えっと……今、妹は高校1年生で、性格は天真爛漫、好奇心旺盛でポジティブな性格ですよ。見た目は……写真を見てもらった方が早いか」

 

俺はスマホを出して、こころの写真をかぐやさんと会長に見せた。

 

かぐや「見た目は、金色の髪で金色の瞳ですか。写真でも天真爛漫さなどが分かるぐらいの笑顔ですね。しかも可愛い……美少女ですね」

 

会長「確かに四宮の言う通りだな。それに聞いた性格だと小さい子がそのまま大きくなった感じか?」

 

優心「あー、そんな感じだよ。それに純粋さと無邪気さとかもある感じだよ」

 

かぐや「それを聞いていると振り回されたりして大変そうに感じますが?」

 

優心「んー、別に大変とかは思った事は無いかな。まぁ振り回される事に慣れてるっていうのもあると思うけど、俺は楽しいと思ってるよ。他の人だったら大変とかきついとか思うかもしれないけど」

 

かぐやさんに妹の事を聞かれたのでスマホを見せながら答えると、二人は"へ~"みたいな顔をしていた。すると落ち着いた千花が会話に復帰してきた。

 

千花「そういえば、今週末までの期限の映画のチケットが二枚当たったんですけが、私は家から禁止されていて行けないので、誰か要りますか?」

 

千花が出したのは恋愛映画のチケットだった。"確か、男女で見ると結ばれるってジンクスがある映画だったよな"と思いながら会長に小声で話しかけた。

 

優心「会長ここでかぐやさんを映画に誘って見に行った方が良いと思う。映画自体、シンプルにいいストーリーって話題だから、見てみて損はないしね。それに映画の感想とか言い合ったりすれば、二人の仲の進展のきっかけになると思うよ

 

会長「なるほど、映画の話題でうまくやるわけか。お前が言うんだったらその通りなんだろう。それに四宮と二人で出掛けるきっかけが無かったからいいかも知れないな。今週末は予定が無いからな。…確か、週末は何も無かったな。……四宮、だったら俺と……」

 

千花「何でも男女で見ると結ばれるジンクスがあるとか」

 

うわ、千花がジンクスの事を言っちゃたから、会長誘うの躊躇ってるし、"ジンクスの事聞いてねーぞ"みたいな事を目で見て来てる。

 

それを言ったら誘わないと思ったから、言わなかったんだけど。……ん?かぐやさん、上目遣いして会長にアピールしてるしなんか演技してる感じがするけど、それより二人の間を取り持った方がいいかな。

 

優心「……二人で行ってきたら良いんじゃないですか?俺は相手いないからさ。それに二人が映画にも詳しいって分かれば、他生徒からの評価も上がると思うよ」

 

俺が行くメリットを言うと、駆け引きをしていた二人は少し考えた後に納得したのか頷いた。

 

かぐや「……言われてみるとそうですね。確かに、こういった機会でないと映画を見に行くというのはないですから、見に行くのもいいでしょう」

 

会長「……まぁ、せっかくチケットがあるなら使わないと勿体ないから行くか。別に他人からの評価はどうでもいいがな」

 

二人は行く事にした様で安心した。二人が映画に行くという事で話が纏まった時に、千花の方は"とっとり鳥の助"というタイトルの映画をなぜか薦めようとしていた。

 

その映画のチケットを、会長とかぐやさんに言おうとした千花の口を押さえて、言わせないようにした。

 

暫くしてから千花の口から手を離し、かぐやさんに声を掛けた。口が開放された千花が会長に俺の文句を言い始めた。

 

優心「そうだ。かぐやさん、映画館って座席指定というものがあるんですよ。意味は分かると思いますが、そういった事は初めてだと思うので、会長と一緒に行動してた方がいいですよ」

 

かぐやさんに座席指定の事を教えると、一言呟いてから俺に近づいてきて小声で話しかけてきた。

 

かぐや「座席指定……。弦巻くん、それって自分で席を選んでそれ以外の席には座れないという事ですよね。もし会長と私が一緒に選べば隣同士で座れる、という事ですか?

 

優心「そういう事です。会長と隣同士で座れるかはかぐやさん次第だと思うから、頑張ってくださいね。………じゃあ会長、俺教室に戻るね~」

 

会長「ああ」

 

千花「あっ!優心くん、ちょっと待ってくださいよ~」

 

かぐやさんと話をしてから会長に教室に戻ることを伝えて生徒会を出て教室に向かった。

 

千花「ちょっと優心くん、いきなり口を塞がないでくださいよ。びっくりしたじゃないですか!それに、かぐやさんと何を話してたんですか?」

 

後ろを付いてきた千花が、口を塞がれたことに対して文句を言って来たので教室まで歩きながら会話をする。

 

優心「いや、会長達が恋愛映画を見に行く事にしたから、別の映画の話は話題に出さない方が良いかなって思ったからだよ。それと、かぐやさんとは座席指定の事を話してたんだよ」

 

千花「そうですか。じゃあ、"とっとり鳥の助"のチケットは、代わりに優心くんがもらってくれますか?捨てたら勿体無いですから」

 

優心「……そういえば、前に子供が見たがってるって話を黒服さんが言ってたな……。黒服さんに渡したいから貰って良い?」

 

千花「良いですよ。優心くん優しいですね、黒服の人に渡してあげるなんて。はいこれがチケットです」

 

優心「ん、ありがと。…………はいこれ、期限は今週末らしいからそれまでに行って楽しんできてって、本人に伝えといて」

 

黒服「分かりました。しかし、なぜ優心様本人がお渡ししないのですか?それに家にはシアタールームがありますので、映画館に行かなくても見れますが?」

 

優心「まぁ、俺から渡すと遠慮して受け取ってくれないかもしれないからね。それに、チケットがあるのに使わないのは勿体無いから、映画館に行って見てもらった方が良いかなと思ったんだ」

 

黒服「なるほど。では本人に渡しておきますね」

 

千花「それで優心くん、こころちゃんのバンドの事をちゃんと教えてくださいよ」

 

黒服さんに渡した後、千花が妹のバンドの事を聞いてきたのでその事を話をしながら教室に入った。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~放課後・生徒会室~

 

放課後になり、生徒会室に入ると会長から話し掛けられた。

 

会長「なぁ、弦巻。あのさ、昼の事なんだが四宮が上目遣いしてきた時に弦巻は反応が薄かった感じがしたんだが、なんかこう、ドキッと来なかったのか?」

 

優心「あ~、だってさ、妹のこころの方が可愛いもん。かぐやさんのあれも可愛かったけど、なんか演技?とか裏がある?って感じがしてさ」

 

会長「え、そうなのか?で、でも仮に裏があっても、あれは誰でもドキッとはすると思うが、本当に無かったのか?」

 

優心「そうだよ。こころは、"ありがとう"や"好き"とかのお礼や好意を純粋にストレートに言う子で小さい時から一緒にいるから、相手のそういうのが感覚だけど何となく分かるんだ」

 

聞かれた事に答えていると、"そ、そうか"と会長が答えた。その後、俺は生徒会の仕事をしてから家に帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして家の門の所に着いた時に、執事とメイドさん達が出迎えてくれた。玄関に向かってる最中に執事の一人に声を掛けた。

 

優心「ねぇ、家の前にタクシーが停まってるのを見たけど、お客様が来てるの?」

 

執事「千花様がお越しになってます。今はお部屋でこころ様とお話しておられます」

 

優心「え、千花が来てるの?」

 

執事「ええ、いらしてますよ」

 

家にお客様が来ているのかと執事に聞くと、千花が来ていると教えてくれた。

 

執事から話を聞いた俺は、華さんに声をかけた。

 

優心「華さん、千花から話聞いてた?」

 

黒服(華)「はい、クラスのHR(ホームルーム)が始まるまでの間にお聞きしました」

 

優心「どんな事を言ってたの?」

 

黒服(華)「優心様がこころ様の話をした際に、どうしても会いたくなったそうなので、家に遊びに行くと仰ってました。その際、優心様には内緒にして欲しいとお願いされましたので、報告しませんでした」

 

優心「そっか。あと、待ってくれてるタクシーの人に帰りの送迎の断りを伝えてくれる?」

 

黒服(華)「伝えてますよ。それとお車の準備も進めています」

 

話を聞くと、千花が来ていると教えてくれたので、送迎の車の事をお願いして、こころの部屋に向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

優心「こころ、入るよ」

 

こころ「あっお兄様、お帰り!」

 

優心「うん。ただいま、こころ。……それで千花、こころに会いにきたんだって?」

 

部屋に入るとこころが抱きついてきたので、受け止めて頭撫でながら千花に声をかけた。

 

千花「そうですよ。昼休みに話をしたので、どうしても会いたくなったので来ちゃいました」

 

優心「でも、何で家にくるのを俺に内緒にしたんだ?」

 

千花「だって優心くんに言うと、こころちゃんに教えちゃうから言わなかったんですよ」

 

優心「こころには秘密してとか言ってくれれば言わなかったよ」

 

千花「それでもですよ。それに、こころちゃんに久しぶりに会うから、びっくりさせて会った方が楽しそうでしょう」

 

優心「それは確かにそうだね」

 

千花の言葉に納得しつつ、一つ質問をした。

 

優心「そういえば、黒服さんに家に行くって言った時に、車で送る事を提案されたと思うけど、何でタクシーで来たんだ?」

 

千花「それは、単純に優心くんの家の車って慣れなくて落ち着かないので」

 

優心「そういうことか。でも帰りの時ぐらいは車で送るようにお願いしてるから、帰りは我慢してもらっても大丈夫?」

 

千花「優心くんが言うなら我慢するけど、だったら家の前に待ってくれてるタクシーに伝えないと……」

 

優心「あぁ、それだったら大丈夫だよ。黒服さんが伝えてくれてるから」

 

千花「そうなんですか?ありがとう」

 

千花の言葉を聞いてから、俺はこころに声をかけた。

 

優心「こころ、千花が来たときびっくりした?」

 

こころ「ええ、本当にびっくりしたわ!だって学校から家に帰って過ごしてたら、お兄様じゃなくて千花が来たんだもの!」

 

千花「びっくりしたでしょ~。こころちゃんがバンドをやってるって優心くんから聞いて、楽しそうな話が聞きたくて来たんだ」

 

こころ「バンドの事ね!お兄様から聞いてるって事は知ってると思うけど、バンドの名前は"ハロー・ハッピーワールド"って言うの!」

 

こころがそう切り出して、千花と話を始めた。

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

こころと話を暫くしてから、帰宅する時間になった千花を家の門の前まで見送った。家の中に戻ろうとした時に、スマホに着信を示す音が鳴り手に取る。

 

優心「もしもし、どうしたの?早坂」

 

 





台詞の前の名前で、黒服(華)と()に書いてあるのはその黒服さんの名前です。黒服のみの場合は優心を護衛している男性の黒服さんです。

(華)と書いてる場合は、華が話しており、()がない場合は華以外の黒服さんが話してます。


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第2話


第2話です

原作のかぐやと会長の映画の件は土曜日に行ったという事にしてます。今回の話はその次の日の話です。



 

 

~優心視点~

 

 

~日曜日~

 

 

会長とかぐやさんの二人が、映画を見た日の翌日。

 

朝10時半に待ち合わせをした俺は、早坂と目的地に向かって歩いていた。

 

千花が家に来た金曜日の放課後に、早坂から遊びの誘いがあり午前中は予定が無かった為、行くことにした。

 

目的地は、バッティングセンターと教えてくれた。

 

優心「早坂が遊びに誘ってくるのは初めてだよね」

 

早坂「前からかぐや様に休暇をお願いしてて、それが今日1日は休暇という事で許可を貰ったんです。ただ、一人で過ごすのは、味気ないから庶務くんを誘ったんですよ」

 

優心「今日、早坂は純粋に休暇らしいけど、去年みたいに俺や弦巻家の調査の為とかじゃなくて良かったよ。あの時、早坂が黒服さんと話してるのを見てびっくりしたよ」

 

早坂「去年の九月に、かぐや様と庶務くんの二人が生徒会で関わる事になったので、調査したのが理由です。でも、調査をしてすぐに黒服に見つかって、素性がバレた時は大変だったよ」

 

優心「でもその時は早坂のフォローしたし、最終的にかぐやさんが信用できる人間だって認めてくれて、それで仲良く出来てるから良かったよ」

 

早坂「まぁフォローしてくれて助かったし、私は調査の件から庶務くんと話す機会などが多かったので、信用出来る人なのが分かってたので、かぐや様もって思ってました」

 

早坂の言葉に俺は"そっか"と呟いくと、早坂は"あっ"と声をあげた。

 

早坂「そういえば、あの時の庶務くんって公園で子供と遊んでいたけど、今でも子供と遊んでるの?」

 

優心「まぁ、いつもじゃないけど、今も休日は遊んでる事が多いかな」

 

早坂「へぇ~、じゃあ今日は午前中だけ遊べるって言ったのは?」

 

優心「うん。今日は、午後公園で遊ぶ約束してるから」

 

話をしていると、バッティングセンターに着いたので中に入った。早坂にここにした理由を聞いてみた。

 

優心「で?今日は何でここにしたの?」

 

早坂「えっと、最近というか、かぐや様って会長の事で色々頼んできたり、無理難題の事を言ってきたりするのでストレスや不満が溜まってるから発散しようと思って」

 

優心「なるほどね。今日はどうする?バッティングセンターだし、二人いるのに普通にやるだけだとつまんないと思うから、打った本数で負けた方に罰ゲームありとかにする?」

 

早坂「そうだね。せっかくだしそうするとして、罰は何か奢るとかにします?」

 

バッティングセンターで二人でやることになったが、普通にやるだけでは味気ないので罰ゲームありの勝負をする事にした。罰は何しようか考えた。

 

優心「(どうしようかな?鋼と樹とした時はファーストフードで奢る事になったけど、ここは飲み物でいいか)じゃあ、そこの自販機で飲み物を奢るでいい?」

 

早坂「それでいいよ。それじゃ始めますか」

 

飲み物を奢る事に決めてから、順番に打ち始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

優心「はい」

 

早坂「ん、ありがとう」

 

勝負した結果は、俺の方が一本少なかったので負けてしまったので、欲しい飲み物を選んでもらって早坂に渡して建物の中にあるベンチに座って話を始めた。

 

優心「いや~、まさかあんなに打つとは思わなかったけど」

 

早坂「それはこっちの台詞ですよ。庶務くんがあんなに打つとは思ってないし、しかも打った本数の内の三本はホームランだったし、前にやってたりしてたんですか?」

 

優心「中学の時、男友達と行ったり一人で行ったりしてたからね。最近もたまに行ってやったりしてるからさ。(最近は家にソフトボール専用バッティングセンターが出来て、一つのレーンを野球用にしてもらってそこでやってるけど…)」

 

早坂「なるほど、書記ちゃんから漫画やゲーム、ここや映画とかの娯楽系は禁止されてないから羨ましいと言ってたのを聞いてて、本当なのかって疑ってましたけど本当ですね」

 

優心「お父様もお母様も、俺と妹がやりたい事とかは協力というか応援をしてくれるから、禁止された事とかはないな。それで、早坂はこのあとどうする?今の時間はお昼近くだし、どこかでご飯食べに行く?」

 

早坂「そ、そうなんだ…。えっとお昼は外で食べるつもりだけど、庶務くんは午後は公園で遊ぶんですよね?」

 

優心「うん。だから家近くの商店街の珈琲店で軽めにして公園に行こうと思ってるけど、折角だし早坂も一緒に公園に行って子供と遊ぶ?」

 

早坂「……まぁせっかくの休みだし庶務くんがこっちの予定に付き合ってくれたから行こうかな」

 

黒服(華)「優心様、お車の準備が出来てます。早坂様もどうぞ」

 

優心「ありがとう、黒服さん」

 

ベンチで勝負の結果の話をしてから、お昼や午後の事に関して早坂に質問をした。

 

午後は俺の予定に付き合ってくれるみたいなので、話してる間に車を用意してくれた黒服さんにお礼を言って車に乗った。

 

早坂は車の中を見てびっくりしていた。車で商店街近くまで向かってもらった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~商店街~

 

 

商店街に着いた俺達は、羽沢珈琲店の店内に入った。

 

イヴ「あっ、ユウシンさん。いらっしゃいませ!」

 

優心「あれ?今日、イヴちゃんバイトの日なんだ」

 

イヴ「そうなんです。ユウシンさんがいつも座ってる席がちょうど空いているのでそちらにどうぞ」

 

中に入ると、少し前に話題になって最近再スタートをしたパスパレの若宮イヴちゃんが対応してくれた。

 

珈琲店に寄るといつも使ってる窓際の二人席に座り、俺はすぐ注文をして、早坂も一考してから注文をした。

 

その後に早坂が声を掛けてきた。

 

早坂「ちょっと、あの人若宮イヴだよね?元モデルで今はパスパレのキーボードをやってる人が何でここにいるんですか?というか知り合いなんですか?」

 

優心「あー、イヴちゃんはここでバイトしてるんだよ。で、俺は中学の時からここに通ってて常連みたいな感じだからイヴちゃんがバイトを始めた時も俺居たし。でも早坂もやっぱり知ってるんだ」

 

早坂「常連さんだったから親しくなったって感じですか。知ってる理由はファッション誌で良く見てたし、少し前の事をニュースで見たのが知ってる理由の一つですよ」

 

優心「バンドのメンバーになった今でも、たまにモデルの仕事も多少あるみたいらしいけどね」

と話してると注文したメニューをイヴちゃんが持ってきてくれた。

 

優心「ありがとう。そういえばつぐみちゃんは見てないけど、今日は練習とかでいない感じ?」

 

イヴ「はい、そうなんです。今日はツグミさんはバンド練習でいないので、私が頑張ってやってますよ」

 

優心「そっか、無理しないでね」

と言うと"分かってます"と返事を貰ってから、早坂と話ながら食べ始めた。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

~公園~

 

商店街の羽沢珈琲店で軽食を食べた俺達は、今は公園に着いたので俺が公園にいる子に声を掛けた。

 

優心「皆ー、来たよー」

 

女の子B「あっ、お兄ちゃんやっと来たー」

 

声を掛けると子供達が一斉に駆け寄って、男の子達の何人かは突進してきた。

 

優心「おっと」

 

女の子A「ねぇゆーしんくん、こころちゃんはー?今日はいないの?」

 

純「なー、兄ちゃん、この姉ちゃんは誰?」

 

優心「今日、こころは用事で来れなくなったんだ。で、午前中、俺とこのお姉ちゃんと遊んでたから、来てもらおうと思って一緒に来たんだ。だからこのお姉ちゃんも遊んでくれるよ」

 

皆に早坂の事を説明した。説明すると子供達は遊んでくれると知って嬉しそうにしていた。と考えていると早坂の方から声が聞こえた。

 

女の子A「おねーちゃん、こっちであそぼー‼」

 

早坂「ちょっ、引っ張んなくても行くから。待って」

 

隣を見ると、一人の女の子が手を引っ張って連れて行く所だった。

 

早坂は苦笑いしながら付いていって、遊び始めていた。そういう俺も男の子達から手を引っ張られて、何で遊ぶかという話をした。

 

優心「今日は何して遊ぶ?先週遊んだときは鬼ごっこだっけ?」

 

純「そうだよ」

 

男の子A「今日はサッカーしよー」

 

優心「俺はいいけど、皆もサッカーでもいい?」

 

男の子B「いいよー」

 

優心「じゃあ、喧嘩しないように皆でじゃんけんして最初に蹴る人決めて」

 

男の子達「「はーい」」

 

サッカーをする事になり、皆にボールを蹴る人を決めてもらってから遊び始めた。

 

途中、砂場で遊んでた子にお城が出来た事を聞いて、砂場に行くと立派に出来ていたのでビックリした。

 

その子に素直に褒めてあげてからサッカーの方に戻った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

サッカーをしてから、俺はベンチに座って休んでいた。しばらくサッカーをしていたが、疲れてきたので皆に休憩を提案をして休んでいた。

 

すると山吹ベーカリーの息子の純が話しかけてきた。

 

純「なー、兄ちゃん。あの姉ちゃんと恋人なの?」

 

優心「違う」

 

早坂を彼女なのかと言ってきた純の頭に"ペシッ"と弱めのチョップをした。

 

純「イタ。…でもだってさ、兄ちゃんがこころちゃん以外の女を連れてくるなんて無かったじゃん」

 

優心「今日は午前中遊んでたから一緒に来たんだよ。てか、女とか言い方どこで覚えた~?」

 

純「ほっへ、ひっはんないでー」

 

質問してきた子に答えた後に、"女"と言った純の頬っぺたを引っ張った。

 

手を離すと、文句を言って逃げ始めた。

 

純「ほっぺを引っ張る兄ちゃんに教えるもんか。聞いてみたかったら捕まえてみろー」

 

優心「お~、兄ちゃんに挑戦するか。すぐ捕まえるからな」

 

純を捕まえようと走り始める。

 

女の子A「ゆーしんくーん❗わたしもおにごっこやるー」

 

途中から鬼ごっこと思った子達が集まり自然と遊びに変わっていった。

 

ちなみに親が見てたドラマで覚えたと言っていた。

 

ーーーーー

 

ーーーー

 

ーーー

 

ーー

 

 

男の子A「お兄ちゃんバイバイ。お姉ちゃんもー」

 

優心「またね」

 

俺は一声を掛けて、早坂は無言だったけど手を振っていた。

 

俺は自販機で買ってたペットボトルの飲み物を、早坂に渡して近くのベンチに座った。

 

優心「早坂、午後は俺の用事に付き合ってもらってありがとう」

 

早坂「午前中はこっちに付き合ってくれたからだよ。砂場で遊んだ時は皆から質問攻めされたから大変だったけど楽しかったですよ。ただ、鬼ごっこの時は疲れたよ」

 

優心「そうだったんだ。でも皆いい子で素直だったしょ?」

 

早坂「確かにいい子だったね。かぐや様とは大違いだよ。会長とかぐや様も、あんな感じに素直になればいいんですけど」

 

優心「確かにね。でもいきなり素直になったらビックリすると思うけど」

 

早坂「確かにそうですね」

 

優心「…まぁ、取り敢えず帰ることにしようか。早坂は車で送ってもらう事にするから」

 

早坂「いや、車は大丈夫ですよ。タクシーとかで……」

 

黒服(華)「お車の準備は出来てますので、早坂様も遠慮はしなくてもよろしいですよ」

 

優心「黒服さん、俺は徒歩で帰るから」

 

黒服(華)「分かっておりますよ、優心様」

 

俺は、徒歩で帰ることを伝え、早坂は車に乗るのを断ろうとしていたがしぶしぶといった感じで納得して帰ることになった。

 



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第3話


第2話の早坂視点です。1話の優心の電話の所からの話です。


※一回削除して少し話を書き直した三話です



 

 

~早坂視点~

 

 

~放課後・四宮別邸~

 

 

かぐや「そういえば早坂、前から休暇が欲しいと言ってましたよね」

 

かぐや様の部屋で、明日の会長と映画を出掛ける事について、かぐや様と話をしていた時に私の休暇について話をしてきた。

 

早坂「え、はい。そうですけど、それが何か?」

 

かぐや「明後日の日曜日は休暇、1日だけですけど休みでいいですよ」

 

話をしていると、いきなり明後日は休暇ということを言われた。

 

確かに前から休暇がほしいと言ってはいたが、いきなりだったので理由をかぐや様に聞いてみた。

 

早坂「かぐや様、休暇を貰えるのは嬉しいですが、理由を聞いてもいいですか?」

 

かぐや「理由は、前から早坂が言っていた事と、弦巻くんの護衛の人に言われたからよ」

 

理由を聞いてみると、理由の1つに何故か庶務くんの護衛の人の事が出てきた。

 

早坂「かぐや様、私が言ったからは分かりますけど、なぜ庶務くんの護衛の事も出てくるんですか?」

 

かぐや「えっと、それは……」

 

かぐや様から聞いた話を要約するとこうだ。

 

前に書記ちゃんから弦巻家には執事やメイド、黒服の人達がすごい人数がいる事や家の凄さなどを聞かされていたらしい。

 

しかし庶務くんの護衛をしてる人は何度見かけても同じ人なので、それを疑問に思ったので質問をしたらしい。その時に私の話になったと教えてくれた。

 

かぐや「早坂の話はいきなりだったけれど、主人に仕えてる人間に言われると説得力があるし、なにより弦巻家の人間に言われると何も言い返せないわ。そういう訳だから休暇という事です」

 

話を聞いた私は、黒服の人が私の仕事に関して言ってきた理由を考えた。

 

考えてみるとすぐに思いあたる事があった。かぐや様に言ってはないが、去年から別邸を出てから学校内の範囲で視線を感じる事があり、調査しても分からなかった。

 

早坂(…視線の正体は多分黒服の人で庶務くんの調査をした事で私を監視していた為、仕事の事を知られた感じかな)

 

かぐや様の話を聞いた私は自分の中で納得がいく結論を出してから、かぐや様に声をかけた。

 

早坂「確かに弦巻家に仕える人に言われると説得力がありますからね。とりあえず明日はありがたく休ませて貰いますね」

 

かぐや様との会話を終わらせて部屋を出てから、明後日の休暇の予定を少し考えた。考えてからすぐに庶務くんに電話をした。

 

優心『もしもし、どうしたの?早坂』

 

早坂「庶務くん、いきなりで悪いですけど明後日は空いてますか?」

 

優心『明後日?えっと明後日は…、午前中だったら予定がないから空いてるけど?』

 

早坂「でしたら、その日遊びに行きませんか?」

 

優心『構わないよ。じゃあどこで遊ぶとかある?』

 

早坂「まだ何も決まってないので、私が決めとくので集合場所と時間が決まったらあとでメールしますね」

 

庶務くんと約束をしてから電話を切った。

 

早坂(あれ?何で私…庶務くんを誘ったんだろ?……多分、かぐや様との話で名前が出たから誘ってしまっただけだと思う)

 

すぐに庶務くんに電話をした事に疑問を抱いた。そして、すぐに断ろうかと考えが出てきた。

 

早坂(断るのは……やめとこう。誘ってすぐにさっきのは無しと連絡したら、黒服により一層目をつけられて仕事に支障が出そうだ。取り敢えず明後日の事を考えよう)

 

断るという考えが出たが、彼の黒服から監視されて仕事に支障が出るかもしれないという考えに至った為、そのまま明後日の場所などを決める為に考えた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~日曜日~

 

 

朝、待ち合わせに選んだ場所の映画館近くに着くと庶務くんが先に来ていた。

 

ただ、庶務くんは時間を守る人なのは接していて分かってるので、先に来ている事にはあまり驚かなかった。

 

早坂「おはようございます」

 

優心「ん。早坂、おはよう」

 

早坂「じゃあ行きますか。場所はバッティングセンターです」

 

優心「バッティングセンターね。了解」

 

庶務くんに目的地を伝えて行く事にした。

 

向かってる最中に庶務くんから話しかけられたが、昨晩の電話を受けた時に"遊びを口実に調査をする"と思ったらしい。

 

去年の事に私は"こっちが驚いてしかも大変だった"などと少し言い返しながら話をしていた。そこで公園の事で思い出した事を聞いてみた。

 

早坂「そういえば、去年公園で子供と遊んでたけど今も遊んでるんですか?」

 

優心「休日はいつも遊んでる事は多いかな」

 

早坂「じゃあ今日の午前中が空いてると言ったのは?」

 

優心「うん。今日の午後は遊ぶ約束してるから」

 

私が庶務くんと接点を持ったのは、庶務くんの身辺調査をしていた時に私が黒服の人に見つかってしまった時だった。

 

そうこうしている内にバッティングセンターに着いて、庶務くんの質問に答えると、飲み物を奢る罰ゲームありの勝負をする事になった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

結果は、1本差だったが私の勝ちだった。

 

庶務くんに、前もやったことがあるのかと聞いてみると、中学の時に友達と行ってたらしい。

 

この時に、書記ちゃんが言ってたことが本当だったと理解した。

 

私は書記ちゃんの言ってた事を聞いてみると、"自分のやりたい事とかは、応援や協力をしてくれるから禁止された事はない"と答えられた。

 

早坂(禁止された事ないって好きな事とか興味持った事を出来るって羨ましいな……。でも、弦巻家って四宮家より大きいはずなのに家によって全然違うんだ…)

 

羨ましいなと思っていると、お昼と午後の事の話になり話した結果、庶務くんと昼を食べて午後公園で遊ぶ話になった。

 

その為、昼食を食べる為に商店街まで車に乗せて貰う事になったが、車の中を見ると驚いてしまった。

 

早坂「…え……何で車の中に洗面台や大型テレビとかがあるの⁉」

 

優心「そりゃビックリするよね」

 

早坂「初めて見たら驚きますよ。どんな家の自家用車に、少なくとも洗面台は絶対にないよ」

 

車の中を見てビックリしている私を見て、庶務くんは苦笑いしていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

商店街に着き珈琲店に入った時に、芸能人の若宮イヴがいる事に驚いたので、席に案内され注文をしてから質問をしてみた。

 

優心「イヴちゃんはここでバイトをしてるんだよ。それよりやっぱり知ってるんだ、イヴちゃんの事」

 

質問をして答えてもらった際に、彼女の事で質問されたので知ってる理由を話したりした。

 

それと庶務くんはここの常連という話も聞いていると、注文したメニューが来たので受け取った。

 

一口珈琲を飲むと意外と美味しかった。

 

商店街の珈琲店で食事をするのは無いのであまり期待して無かったが、ここは美味しい。あと注文したサンドイッチも美味しかった。

 

早坂「ん、珈琲美味しい。……あと料理も」

 

優心「お、本当?良かった、早坂の口に合って」

 

早坂「特に珈琲が結構美味しいよ。庶務くんが通うのも分かるかも知れない」

 

優心「でしょ。良かった、共感してくれる人が増えて」

 

庶務くんに美味しい事を教えると、庶務くんはここを気に入ってくれる人が増えるのが嬉しいみたいで喜んでいた。

 

ふと、庶務くんと若宮イヴとの会話で出てきたつぐみという名前が気になっていたので、庶務くんに聞いてみる事にした。

 

早坂「そういえば、会話に出てたつぐみっていう子と知り合いなんですか?」

 

優心「つぐみちゃんは、ここの一人娘で、歳は俺と早坂とは1つ下だから今は高1だね。それで中学の時からここ通ってるから仲いいよ」

 

早坂「……なんか庶務くんって学校外の友達って女子が多いように感じるけど?」

 

優心「多分女子の方が多いね。イヴちゃん経由でパスパレのメンバー全員と、つぐみちゃんの幼馴染みやその幼馴染み経由で知り合った子や、妹のバンドメンバーとか友達だけど全員女子だから」

 

早坂「その皆って、バンドをやってるんですか?」

 

優心「うん、全員バンドをやってるね。それにガールズバンドが流行ってるから、この辺りはバンドや楽器をやってる人が多く居ると思うよ」

 

私は"へー"と思いながら聞いていた。

 

スマホで少し調べてみると、確かにバンドや楽器をやってる人が多くて特にこの辺ではガールズバンドが流行ってるらしい。

 

調べていたら庶務くんから、"今度早坂に休暇あってライブの日が合えば見に行く?"と言われたので、"まぁもし予定が合えばですけど"と返した。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~公園~

 

 

お昼を食べてから公園に向かい、着いた時に庶務くんが声を掛けると何人かの子供は突進をしていた。

 

庶務くんは突進を受け止めつつ、皆の質問に答えながら私の事を説明をしていた。

 

私が遊んでくれると分かると、女の子にいきなり手を引かれて着いた場所は砂場で、そこには他にも何人か女の子がいた。

 

早坂「砂場で何作ってるの?」

 

女の子B「お城を作ってるの!前に作ったときにうまく出来なくて、そしたら優心くんに水を付けて砂を固めたらうまく作れるかもって教えてもらったから、それでやってるの」

 

早坂「へー、そっか。じゃあ私も手伝うよ」

 

一緒に砂場でお城を作っていると、私の手を掴んで引っ張ってきた女の子から話しかけられた。

 

女の子A「ね、おねーちゃん。なまえはなんて言うの?」

 

早坂「名前は、愛。早坂愛だよ」

 

女の子A「じゃあ、あいちゃんって呼んでもいい?」

 

早坂「え、あ、愛ちゃん?」

 

女の子A「うん。……もしかしてだめだった?」

 

早坂「だ、駄目じゃないよ。ただ、呼ばれたことがなかったからびっくりしただけだから、呼んで大丈夫だよ」

 

女の子A「ほんと?よかった」

 

話をしていると名前を聞かれたので教えると、いきなり下の名前で呼ばれたのでびっくりしてしまった。

 

びっくりした所を見た子がシュンとした感じで、"駄目?"と聞いてきたので慌てて大丈夫な事を伝えた。伝えると喜んでくれたので良かった。

 

女の子B「ねー、お姉ちゃん。手が止まってるよー」

 

違う子から、手が止まってる事を言われたので手を動かし始めると、他の子から好きな物などの質問をされてタジタジになってしまった。

 

けど、皆との遊びに純粋に楽しんでいた。

 

砂場で遊んでると、お城が出来た。すると女の子が庶務くんに出来た事を伝えに行って、連れてきて伝えていた。

 

それを見た庶務くんは、話ながら褒めていた。褒められた女の子は喜んで他の物を作り始めた。

 

庶務くんの方を見てみると、鬼ごっこをやり始めていた。

 

女の子A「あ、おにごっこやってる。ゆーしんくーん❗わたしもおにごっこやるー」

 

一人の子が鬼ごっこに参加し始め、私は他の子に手を引っ張られて参加することになった。

 

周りの皆が全力でやってたから、私も自然と全力で走り回ってしまい、かぐや様の近衛としての仕事と同等に疲れてしまった。

 

庶務くんは慣れてるのか疲れてなさそうだった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

夕方になり、皆は家に帰り私は貰ったお茶を飲みながら、庶務くんと遊んだ子達はいい子で素直だったという話になった。

 

この中で、かぐや様達も素直になればいいのにという話をしていた。

 

早坂(……皆帰る時に庶務くんに色々話しかけてたし、その親の人達もお礼を言ってたりしてた。学校内でもそうだけど、庶務くんって外でも色んな人に慕われてるんだ。子供達からは優しいお兄さんって思われてる感じかな…)

 

子供が帰る時の風景を思い出してると、帰りの話になり家にタクシーで帰ると伝えようとしたら、車で送ると言われた。

 

私は断ろうとしたが、断りきれずに送ってもらう事になったので、別邸まで送ってもらった。

 





続きの話はまだ完成してなく書けてないので、これからは不定期更新になります。


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第4話

 

 

~優心視点~

 

 

早坂と遊びに行った日から、しばらく経った(その間にも会長達の事で、早坂と話したり協力したりしていた)そんなある日の昼休み。

 

俺は生徒会室にいると、会長と田沼翼の二人が入ってきた。

 

生徒会室に他生徒が来たため、俺はお茶を入れて翼の前に出した。それと自分の分と会長の分も入れて机の上に置いた。

 

翼「優心、わざわざありがとう」

 

優心「気にしなくていいよ。俺がいる時に生徒会室に生徒が来たらいつも出してるから。それで翼は何の用でここに来たんだ?しかも会長と一緒だし」

 

翼「会長に恋愛相談をしにきたんだ」

 

優心「恋愛相談?(え、会長にするの?)」

 

翼「そうだよ。だって会長は恋愛の百戦錬磨だから相談するにはあってるでしょう」

 

優心(あー、なんか勘違いしてるな~)

 

会長「あのさ俺より弦巻に相談した方がいいんじゃないのか?確か、弦巻は恋愛相談とか色々と相談を受けてるから、俺じゃなくてもいいと思うんだが」

 

翼「確かに、優心は皆から凄く相談を受けてるから頼りになるけど、僕は会長に相談をしたいんです。あっ、でも優心から意見も聞きたいかな。」

 

優心「……ここは会長が相談を受けてあげた方がいいですよ。会長を見てる眼差しが期待してる感じですし。……つーか、俺は"おまけ"みたいなことを言うなよ、翼ー」

 

翼「ごめんって、文句言わないでよー」

 

翼は会長に相談をしに来たと言ってきて、俺の事はついでに意見を聞くみたいな感じで言ってきたので、少し文句を言っといた。

 

会長「それで相談というのは?」

 

会長が相談内容を聞き始めたので、俺は隣でお茶を飲みながら二人の話に耳を傾けた。

 

翼「クラスに柏木さんという子がいるんですけど、彼女に告白をしたいんです」

 

優心「ゴホッゴホッ❗」

 

会長・翼「ちょっ、弦巻(優心)、大丈夫⁉」

 

優心「だ、大丈夫大丈夫。ちょっと気管に飲み物が入っただけだから。(マジか…翼って眞妃じゃなくて柏木さんの事が好きなのか……)」

 

翼は、柏木さんに告白をしたいらしいがどう告白をしたらいいか分からないので相談に来たとのこと。

 

会長「それでその彼女と接点はあるのか?」

 

翼「バレンタインデーにチョコを貰いました」

 

会長「どんなチョコだ?」

 

翼は柏木さんとの接点にバレンタインデーでチョコを貰ったらしい。会長はどんなのか聞くと"市販のチョコです。三粒貰いました。これって義理ですかね?"と言ってきた。

 

会長「……間違いなく惚れてるな」

 

優心「いや、惚れてはないと思うけど⁉取り敢えずバレンタインデーだからクラスの皆にあげよう、みたいな感じだと思うよ」

 

会長「いいや、惚れているさ。女性は素直じゃない生き物なんだ。義理に見えるチョコでも本命。……逆に本命ってやつだ」

 

翼「逆に本命……!」

 

優心「本命じゃないと思うよー。本命とか義理関係なくあげたと思うぞー、俺は」

 

翼「でも彼女は意識してないと思います」

 

優心「おーい…話聞いてないね」

 

チョコの話から柏木さん本人の話になった。チョコを貰ったけど本人からは意識されてないと言い始めた。

 

この間は彼女いるかどうかを聞かれたが、他の女子三人にその話をされたらしい。

 

優心(うん、その三人の女子、かれん達仲良し四人組だ。てか、かれんは翼の好きな人を聞かずに生徒会に向かわせたっぽいな。かれんの頭の中じゃ翼→眞妃の構図になってるんだろうな。多分いつか二人から何かしら言われそう)

 

会長「……間違いなくモテ期きてるな。何でそんなに女を疑う!女だって同じ人間だ。さっきの話の状況は分かりやすくするとこうだ!」

 

翼の話を聞いた会長は、その出来事を会長なりに説明し始めてた。

 

翼「そんなバカな、彼女達から一人だけを選ばなくちゃいけないなんて……!」

 

優心「二人とも馬鹿でしょ。というより、翼は柏木さんの事が好きって言ってたじゃん!何で誰かを選ぶと言ってるの!?」

 

翼「でも、優心。僕のせいで皆の仲にヒビが入ったりしない?」

 

優心「それは多分ない。それだけは言える!言っとくけど翼が言ってた女子達と、俺はよく話したりしてるから知ってるけどそれで仲が悪くなる事はない」

 

会長「いや、それは分からないぞ」

 

翼「え、じゃあどうすれば……!?」

 

俺が翼にあの女子四人組の仲にヒビが入ることがないと言ったあとに、会長が口を挟んできてそんなことはないと言ってきた。

 

優心「…ねー、何で俺の意見否定するの?さすがにそれは傷つくよ。それに俺の意見は無視ですか……」

と言ってもどんどん話は進んでいき、果てには会長は壁ダァンというのを教えていた。

 

優心(それって壁ドンなんだけどな……。何で二人して知らないのかな。ていうかあのまま俺の意見聞いてくる事がなかったな……。ん?あれはかぐやさん?)

 

二人の話を聞いていた時に、かぐやさんが扉の所で聞き耳を立ててるのを見つけたが、翼が言った一言が耳についた。

 

翼「さすが、あの四宮さんと落としただけありますね」

 

会長・優心「「ん?」」

 

会長「いや、四宮とは付き合ってないぞ」

 

優心「うん。会長はかぐやさんとは付き合ってないよ」

 

翼「そうなんですか?」

 

会長「逆に嫌われてるんじゃないかと思ってるんだが」

 

翼「え、そうなんですか?……でも会長自身はどう思ってるんですか?」

 

会長「まぁ、正直言って癪な所があるな。金持ちや天才の部分とか……」

 

優心「か、会長、扉の方見てください。かぐやさんがいるんで、言葉には気を付けてください

 

かぐやさんの事を聞かれた会長は、かぐやさんを怒らせる言葉を言い始めたので、急いでかぐやさんが扉の所にいる事を教えた。

 

するとびっくりした顔になり、すぐに言い直した。

 

会長「でも、可愛いよ。実際美人だしそれで頭良いって完璧だろ。四宮は最高だよ。(アブねー‼弦巻が教えてくれなかったらヤバかったぞ)……とりあえず変なことをせずに、告白しなくちゃ始まんないぞ」

 

翼「分かりました。僕頑張ってみます」

 

会長が翼に色々言って、翼が部屋から出ていった。俺は、お茶を入れたカップを片付け始めた時に、会長は俺に話しかけてきた。

 

会長「弦巻、いつから四宮がいたことに気づいたんだ?」

 

優心「会長が壁ダァンとかを教えたぐらいの時に気づいたけど、かぐやさんは多分最初からいたと思うけど」

 

会長「そ、そうか。でも今回は助かったからありがとう」

 

優心「…別に俺は教えたぐらいだけど。じゃあ教室に戻りますね」

 

教室に戻る事を伝え、廊下を出ると、かぐやさんが扉の影で凄く笑顔になっていた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

放課後になり、いつも通りに空き教室で早坂と俺は、かぐやさんと会長の恋愛の事の件での情報共有や、他にも愚痴を言いあったりしていた。

 

それで、今回は生徒会室での翼の恋愛相談で起きた会長とかぐやさん関係の事を、早坂と話をしていた。

 

早坂「だから、教室に戻ってきた庶務くんの顔が少し落ち込んでいたんですね」

 

優心「うん。さすがにあれは無いわ。翼からはおまけみたいに言われるし、会長は俺の意見を間違いみたいに言ってきたし、翼は俺に聞いた癖に話を聞いてくれなかったもん……」

 

早坂「……庶務くんって、たまに可愛らしいいじけ方をする時がありますよね」

 

優心「…そりゃ、そういうのはあるよ。てか俺の話は置いといて、かぐやさんは何か言ってた?」

 

早坂「授業の休み時間の度に、あぁ言ってくれたとかあんな風に思ってくれたみたいな事を言ってましたね。それと庶務くんも見たように凄く笑顔になって、ずっとご機嫌になってたくらいですね」

 

優心「そりゃ好きな人から言われたら、ご機嫌になるよね」

 

早坂「でも、かぐや様は好きだって認めようとしないから面倒くさいですけど」

 

"確かに"と話してると、俺のスマホが鳴った。早坂に一言声をかけて電話の画面を見た。見てみるとこころだったのですぐに出た。

 

優心「もしもし、どうしたの?」

 

こころ『お兄様にお願いしたい事があるの!』

 

一声目でこころがお願いがあると言ってきたので"どんなお願い?"と聞いた。

 

こころ『前にお兄様に話したはぐみのお友達、あかりの事でお願いなの。入院してるあかりが、全然笑顔じゃないってはぐみから聞いたから、ハロハピの皆で病院でライブして笑顔にしてあげたいの!!』

 

優心「病院でライブか、いいと思うよ。あかり以外の子達も笑顔になると思うよ」

 

こころ『そうでしょ!!それでやろうとしたらね、キグルミの人が病院の許可?を取る必要があるって言って、その時は出来なかったの。キグルミの人が、お兄様に許可を取るのを手伝ってほしいって言ってたから、あたしが代わりに電話をしたの』

 

話を聞いた俺は、"分かった"と答えて電話を切った。キグルミの人と言われてた奥沢美咲に電話した。

 

美咲と話を進めると、今から一緒に病院へ行って許可を貰う事になったので電話を切った。

 

早坂「さっきの電話は妹ちゃんですか?病院でライブの話っぽかったですけど」

 

優心「そうだよ。病院に入院している子のためにやりたいって。それでバンドメンバーの子が許可取りに俺も一緒に来てほしいって頼んで来たから、行くことにした」

 

早坂「それが、妹ちゃんの電話のあとにしたやつですよね」

 

優心「うん。で、早い方がいいから、今から行ってくる」

 

黒服(華)「優心様、こちら鞄です。生徒会の方々には報告済みでお車も準備出来ております」

 

優心「じゃあ今日はこれで帰るね」

 

早坂「じゃあまた」

 

挨拶して俺は教室を出た。

 



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第5話

 

 

~優心視点~

 

 

病院の許可を貰いに行った日から、翌日の朝

 

優心「だからかぐやさんは居なくて、早坂しかいなかったんだ」

 

早坂「そういうことだよ」

 

朝、HR(ホームルーム)が始まるまでの時間に空き教室で早坂と話をしていた。

 

空き教室で話をしている理由は、朝に俺がクラスにいる時に、早坂だけ教室に入ってきてかぐやさんは入ってくる気配がなくて、早坂にスマホでメッセージを送り質問をした。

 

そこで空き教室で話す事になったので、移動して話をしてる所だ。

 

優心「でも、エンジンルームに猫が入ったとかはニュースで見たりするけど、実際に話を聞いた事はないからビックリした」

 

早坂「…そういえば、書記ちゃんが庶務くんは電車通学だって言ってましたね。だからその出来事にあったことは無いんですよね」

 

優心「そうだよ。千花からは電車通学に対して凄く心配してくるけど、お父様とお母様は心配どころか電車通学に賛成してたよ。経験になるって言ってた」

 

早坂は俺の電車通学の経緯を聞くと、苦笑いしながら"すごいなー"と言っていた。

 

早坂「そういえば、昨日の病院の件はどうなったんてすか?」

 

優心「あぁ、すぐに許可を貰ったよ。バンドの事を知ってたみたいで、小児科の子や入院してる子達も喜んでくれるって言って、許可を出してくれた」

 

早坂「先生は、何で知ってたんですか?」

 

優心「えっと、病院の件の前に、商店街や公園とかいろんな所で路上ライブをしてたから、それで子供達から伝わってたみたい。それで、いつかライブをして貰いたいと思ってた所に話がきたから、すぐ承諾してくれたんだ」

 

早坂「へ~。…聞いてなかったけど、妹ちゃんのバンド名はなんて言うんですか?」

 

優心「ハロー・ハッピーワールドって名前だよ。世界を笑顔にするために結成したバンドで、"人を笑顔にする為にはまず自分達が笑顔になって話しかけないと"って言ってた。こころは人の笑顔を見るの大好きな子だから」

 

早坂「ハロー・ハッピーワールド……直訳すると"こんにちは幸せ世界"ですね」

 

"そうだね"と返事をしたぐらいで予鈴がなったので、教室に戻る事になった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~昼休み~

 

 

かれん「神は存在したのです。優心さん」

 

優心「うん。会長×かぐやの事だね、かれんがそれを言う時は」

 

昼休み、廊下でかれんにいきなり神とかと言われ、すぐに会長×かぐやの事だと分かった。

 

優心「それで今日はどうしたの?」

 

かれん「あれは見間違いかも知れませんが、朝にお二人が自転車を二人乗りしている所を見たんです。だから、神は存在したのですよ!出なければあんな神シチュ……神に感謝です」

 

優心「かれん、一つ言うけどそれは本当の出来事だよ」

 

かれん「本当ですか!?本当ならばなぜ優心さんが知っているのですか!?いえ、優心さんは生徒会庶務ですし、知っていて当然ですわね」

 

優心「まぁ、会長本人からは聞いたからね。自転車の後ろに乗せてきたって」

 

かれん「流石は会長ですわ~。ちょっとノートに書き溜めたくなったので失礼します」

 

朝の会長達の事を聞かれ本当の事だと教えてたら、すぐに走り去っていった為に俺は立ち尽くしていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~早坂視点~

 

 

今日朝に学校に着くとかぐや様は居なかった。かぐや様は歩きで行くことにした為、まだ学校には来ていないみたいだ。

 

ただ、居ないことに心配するが学校内では関係をバレてはいけないため、かぐや様の事を聞かない方がいいので、教室で過ごしていた。

 

スマホをいじってると、教室にいた庶務くんから連絡が来た。内容を見るとかぐや様の事を聞いてきたので、いつもの空き教室で話すと返事をして空き教室まで向かった。

 

早坂(そういえば、昨日の病院の件って許可を貰えたのかな?でも庶務くんだったら、すぐに許可を貰ってそうな気がする。庶務くんって、いい人で頼れるから大丈夫だと思うけど)

 

早坂(…って何ですぐに庶務くんの印象を考えてるんだろ!?……でも去年から関わってるけど、今日までかぐや様と会長の件で空き教室で話すことがあるけど、前に遊んだ時から一緒にいて楽しいし安心するけど)

 

そんな事を考えていると、空き教室に着いたので庶務くんが来るのを待った。

 

数分後に庶務くんが来たので、いつも使用してる送迎用の車に猫が入り込んだ事や、それでかぐや様が歩きで来ることを教えた。

 

教えると、車のそういうのはあったことはないと言っていた。

 

それを聞いて、庶務くんは電車通学と書記ちゃんから聞いた事を思い出した。

 

その事を言うとお父さん達からは勉強になるからと、乗るのを賛成されたらしい。

 

早坂「(何か庶務くんって羨ましいな。親とも仲が良いしやりたい事も出来るし。でも出来る事を言っても全然嫌みに聞こえないのが不思議なんだよね)そうだ、昨日の病院はどうなったの?」

 

私は、やりたい事を出来る庶務くんを羨ましいなと思いながら、昨日の事を聞いてみた。

 

聞いてみると、病院の人がバンドを知っていたみたいで、すぐに許可を貰ったと聞いた。

 

それとバンドの名前も聞き、ハロー・ハッピーワールドと言うらしい。何でも妹ちゃんは笑顔を見るのが好きで世界を笑顔にする為にバンドを結成したと聞いた。

 

早坂「直訳すると"こんにちは、幸せ世界"ですね」

と言った私は、少し内心で色々と思っていた。

 

早坂(絶対に……世界を笑顔に出来るはずがないのに、弦巻兄妹…いや弦巻家は出来ると信じてる。でも実際庶務くんは周りの人を笑顔にしたりしてる。皆が第二のつばめ先輩と言ってたけど、確かにその通りですね)

 

バンドの事や考え事などしていると予鈴がなったので、教室に戻る事になった。

 

早坂(でも思い出してみたら、去年から話したりしていると、私も演技じゃない自然の笑顔にいることが多いし学校の皆が言うように一緒にいて楽しいと思ってる自分が確かにいる)

 

教室に戻る間、庶務くんに対する自分の気持ちを考えながら歩いていた。

 

漫画などといった創作物だと、このまま恋愛に発展したりするが、私に限ってそんな事はないとその考えを排除して考えていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ある日の生徒会室~

 

 

今日、生徒会室で会長と話してるとかぐやさんが下駄箱にラブレターが入ってたと言ってきた。

 

千花がかぐやさんに質問を始めた。

 

千花「何が書いてあったんですか?」

 

かぐや「情熱的な事が書かれてましたが、要約すると食事のお誘いですね」

 

千花「えー!じゃあデートのお誘いですね」

 

俺は会長の小声が聞こえた。

 

会長「四宮にラブレター……馬鹿な男もいたもんだ

 

優心「かぐやさんは人気だから。しかも今のかぐやさんは、去年の氷のかぐやと違うし性格が丸くなってるから、好意を抱いてる男子がラブレターを出すのもありだと思うけど

 

会長「それでも無いだろう。俺と比べて他の男はしゃべる雑草程度にしか思われてるだろ。だから四宮がそんな誘いに……

 

千花「それでかぐやさんはデートに行くんですか?」

 

かぐや「勿論です」

 

会長と話してると千花がかぐやさんに行くかどうかを聞くと勿論行くとはっきり言った。

 

まぁ、会長に止めてもらおうと、わざと言ってるんだろうけど会長がシャーペンを折った音に俺はビックリした。

 

そんなに驚くんだったら止めようよと思うけど、二人ともプライドが高いしな。

 

かぐやさんは、ラブレターの差出人は勇気を出して誘ってくれてるからそれに答えないと、と言って会長に煽りに煽って言ってる。

 

会長「それだけはならない。どうにか四宮を止めなければ……!でもどうすれば

 

優心「会長が止めればいいじゃん。それが無理なら俺が止めるけど

 

会長「それだけは駄目だ!俺が止めると四宮の事が好きだと告白してるような物だ。だからと言ってお前が止めるのも駄目だ。お前が止めるとお前に好意を向けるかもしれない。それだけは阻止しなくては

 

優心(俺が止めるの駄目で、その理由に好意が俺に向くかもって、確実に会長の嫉妬じゃん。確実に好きですって言ってるもんだよ。てかかぐやさんが俺に好意を向けるのは絶対無いけど)

 

会長と話をしていると、千花は"本当に行くのか"と聞いており"本当です"とかぐやさんは答えていた。俺と話してた会長が、かぐやさんに口を開いた。

 

会長「生徒会長として不純異性交遊は推奨出来ないぞ」

 

かぐや「ただ、食事に行くだけですから不純異性交遊は大袈裟ですよ」

 

会長「それは教師が決めることだ。場合によっては停学などもあり得る」

 

優心「食事で不純異性交遊だったら、完全に俺は停学処分になってるよ。外で千花とご飯食べに行った事があるから」

 

かぐや「あら、弦巻くんもそう言っていますし、処分されてないのをみると処分になることは無いでしょう」

 

会長「弦巻!余計な事を言うな。忘れた頃に空気を読まない発言をやめてくれ!

 

かぐや「しかし、それが真実の恋ならば仮に停学などの処分が下されようとも受け入れるつもりです」

 

会長「馬鹿な事を!!」

 

かぐや「バカじゃありません」

 

俺が一言も関わってるとはいえヒートアップしすぎだな……。と思ってると会長が立ち上がって今までより大きな声を出した。

 

会長「だったら!俺が四宮に告白を……したら仮に相手の男を忘れるのか」

 

かぐや「か、可能性はあります……」

 

優心(あ、かぐやさん可能性あるって言ったら会長に色々言われるのに)

 

会長「ほぉ~、他の男に言い寄られた程度で忘れる恋が、真実の恋な筈がない」

 

そう思ってると、会長が揚げ足をとり形勢逆転になり会長が攻め始めた。でもかぐやさんは鞄を持って行こうとした。すると今まで黙って見てた千花がかぐやさんを止めた。

この日は結局千花のアプローチにかぐやさんが負けてラブレターの件は終わった。

 

優心「会長、あのまま告白してたら付き合えてたと思うよ

 

会長「四宮から告白させないといけない。俺から告白なんてあり得ない

 

優心(……プライドが高すぎるのもいやだな)

 

とにかく、千花が止めて会長たちは何も出来ずに終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~早坂視点~

 

 

早坂「かぐや様、例えばですけど真実の恋に落ちた時も告白を待ちますか?それとも自分から告白しますか?」

 

私は四宮別邸のかぐや様の部屋で、生徒会室てあったラブレターの件で告白は自分からするか、相手からされるのを待つか聞いた。

 

かぐや「そんな時がきたら自分から行くに……。今はどうだっていいでしょ!!」

 

聞かれたかぐや様は恥ずかしくなったのか、顔が赤くなり私に物を投げてきたので避けた。

 

かぐや「そう言う早坂は好きな人はいないの!?好きな人が出来たり、居たりしたら、告白は待つか自分からするかは決めてるの!?」

 

早坂「わ、私ですか?(好きな人は……)」

 

かぐや様が私にも好きな人と告白はするか待つかどうかを聞いてきた。

 

私は、まず"好きな人は"と考えた。その時に、庶務くんの顔が頭に浮かんだ。

 

早坂(え!?いやいや何で庶務くんの顔が出てくるの!?庶務くんはただの仲がいい友達だから違う……、けど何だろう、違うと思うと少し嫌な気持ちになる。でも友達か異性のどっちでの好きなのかな…?)

 

かぐや「えっと、早坂?少し顔が赤いけれど、もしかして好きな人がいるのかしら?」

 

早坂「いえ、何でもないです!えっと取り敢えず私の答えは保留にさせてください。業務に戻るので失礼します」

 

かぐや様に声を掛けられたが、すぐに業務に戻り自分の気持ちを誤魔化すように、今日の残りの業務をこなした。

 



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第6話


展開的に急な感じがしますが、その辺は暖かい目で見てください。楽しんでくれたら幸いです。



 

 

~優心視点~

 

 

かぐやさんのラブレターの件の翌日。

 

俺は、昼休みに教室でクラスメートの男友達二人とお昼を食べてた。

 

鋼「弦巻と一緒に教室で食べるの久しぶりだよな」

 

樹「確かに、優心が生徒会に所属してから全く昼は一緒に食べなかったし」

 

優心「そうだよね。ほとんど生徒会室に行って過ごしてる事が多いから」

 

この二人と昼休みに教室で過ごすのは久しぶりだった。

 

この二人は、男子校の中学からの友達だ。

 

最初、秀知院の高等部に編入学したのは俺だけだと思っていたから、この二人も編入学してたのを知った時は、驚いた。

 

知ったのは入学時のクラス分けの時だ。

 

それで俺が生徒会庶務になるまでは昼は一緒に過ごす事が多かった。(たまに会長になる前の、白銀と過ごす事もあったけど)

 

樹「そういやさ、最近気になってたんだけど優心と早坂が一緒にいるのよく見かけるけど、二人ってあんなに仲良かったっけ?」

 

鋼「あ~、俺も気になってた。二人が話してるのは去年から見たりしてたけど、最近は特に距離が近いような気がする」

 

ふと二人が、俺と早坂が話してる事に対して、質問してきた。何でも俺と早坂の二人の距離感が近いと言ってきたので、少しこっちも質問した。

 

優心「俺は、そこまで気にした事はないけど、そんなに距離が近く感じる?」

 

鋼「うん。去年や最近までは、少し話をする程度のクラスメート同士的な感じがしてた。でも少し前から話してる所を見る事が多くなったし、話してる二人が凄く楽しそうな顔をしてるから、俺からしてみれば付き合ってるの?と思うぐらいだぞ」

 

樹「それ言えてるわ。A組内では二人は付き合ってるって噂になってる。…それぐらい二人が一緒にいるが多いって訳だ」

 

距離が近く見えてる理由を聞くと、クラスの中では俺と早坂が付き合ってるという噂になっているみたいで驚いた。

 

優心「…へ?…何で、そんな風になってるの⁉」

 

鋼「落ち着けって。とりあえずクラス内だけの話題だよ。早坂にも学校全体にも広まってないし皆は広めるつもりもない。広まってない理由として弦巻には黒服の人がいるからだと思うけどね」

 

優心「…まぁ、早坂にも迷惑なるから広まってないのは助かるけどさ、何でA組の中でそんな話題になってるの?」

 

樹「単純だよ。誰とでも比較的仲良くしてる優心が、誰がどう見ても早坂と凄く仲がいいときたら話題になるよ。しかも優心には浮いた話がないから余計に噂になってるんだよ」

 

話を聞いていると、何か凄いことになっていていたので開いた口が塞がらなかった。

 

鋼「で、さっきの話はあくまで噂だけど、それで実際問題付き合ってるのか?」

 

それで実際に付き合ってるのか聞かれた。まぁ付き合ってないのでその事を伝えた。

 

優心「いや付き合ってないよ」

 

鋼「ケッ❗何だ、付き合ってないのかよ。期待して損した。応援しようと思ってたのによ」

 

優心「毎度態度変わりすぎだよ。この態度急変男」

 

樹「じゃあ、好きなのか?」

 

早坂の事を好きなのかと聞かれた。

 

早坂とは、去年俺の調査をしてたから知り合った。

 

そこから話をするようになって、途中からかぐやさん達の事で協力するから一緒にいる事が多いけど、よく分からないんだよな。

 

優心「うーん…よく分からない。……でも早坂と一緒にいて楽しいよ。他の友達とも楽しいけど、早坂と話してる時が自然体に入れる感じがする。自分の事や妹の事とかも話してるし、気が付くと早坂の顔が頭に出てくる時があるんだよね」

 

鋼「…そうなのか?」

と、俺が言った事にそう聞いてきたから、"うん"と答えた。

 

すると二人で小声で話始めた。結構小さい声で話してるから、全然聞こえない……。

 

鋼「これって、早坂の事を異性として好きって事、気づいてない感じだよな

 

樹「だね。優心って恋愛相談とか受けたりしてるけど、自分の恋だけは疎い所がある。自分の事より相手の事を優先してるから自分の事は気にしてないから、自覚はしてないよ。無意識に好きになってる感じだと思う。自覚した後は大丈夫だと思うよ。恥ずかしさで顔真っ赤にすると思うけど

 

鋼「って事は、質問して自覚させてやればいいって事か

 

樹「そういうこと

 

鋼「オッケー。……よし弦巻、ちょっと質問するけどいいか?」

 

やっと小声で話すのをやめたと思ったら、質問すると言ってきた。でも断る理由がないから"いいよ"と答えた。

 

鋼「弦巻って、早坂と一緒にいる時に楽しいって言ったけど、早坂が他の男子生徒とずっと話してて、自分以上に仲がいい所を想像してみて」

 

そう言われて想像してみた。………何かやだ。

 

優心「何かやだ。俺も話したい」

 

鋼「(…即答)じゃあ、もう一つ。早坂が付き合いました。弦巻は素直におめでとうと言えるか?」

 

優心「(…誰かと付き合った。…素直に言えないしすごくモヤモヤするし)いや言えない。それに凄くモヤモヤするよ」

 

樹「って事は、優心は早坂の事を好きって事だよ。モヤモヤも嫌な気持ちも嫉妬だから、優心は早坂と付き合いたいと思ってるんじゃないかな」

 

優心「(俺が早坂の事が好き……!?……で、でも確かに言われてみればそうかも。恋愛の相談を聞いたりした時によく聞いた。って事は自覚なしに皆や、特に会長とかぐやさんに色々言ってたの、俺って!?ラブレターの時の会長の嫉妬は気付いてたのに俺は自覚してない。めっちゃ恥ずかしいじゃん!)……恥ずかしいよー。帰りたい…見ないで」

 

早坂の事が好きだと自覚してから凄く恥ずかしくなり、机に突っ伏した。

 

鋼「出た。恥ずかしくなったら同じ言葉しか出てこない状態」

 

樹「あはは……。僕達は見慣れてるけど、クラスの皆は初めて見るから驚いてるけどね」

 

クラスメートA「なー弦巻ってどうしたんだ?」

 

クラスメートB「弦巻くん、どうしたの?調子悪いの?」

 

優心「見ないで…、恥ずかしいからー」

 

鋼「あー、たまにこうなるんだよ。でもしばらくしたら元に戻るから、普通に接してあげてやってくれ」

 

クラスメートA・B「「分かった」」

 

優心「……んー、はぁー、まだ恥ずかしいけど、落ち着いた」

 

鋼「あと少しで授業が始まるから準備始めろよ」

 

それを言われ時間を見るとその通りだったので"了解"と答え準備を始めた。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

放課後になり、生徒会室に向かおうとした時にズボンのポケットに入ってるスマホが震えた。

 

画面を見るとこころからメッセージで、内容を読んでみると、今週の休みにサークルでライブをする事になったから家に帰ったらチケットを渡すという内容だった。

 

俺はそれに"分かった"と返事を返した。

 

ポケットにスマホを入れようとしたら、またスマホが震えた。

 

今度は美咲からのメッセージだった。

 

その内容を見るとこころと同じライブの事だったが、ただ違うのはライブをする経緯も書かれていた事だった。

 

何でも"クラスの子がライブとかを見ないで、こころやバンドの事を色々言っていたから"ライブをするから見に来て"と言って、やる事になったとの事。

 

それでこころの事や許可取りなど手伝って貰ってる事からという事で一枚取り置きしとくと連絡がきた。

 

美咲は、色々文句とか言ったりしてるけどこころの事を思ってくれてる。それに他のハロハピメンバーも、こころと仲良くしてくれるから兄として嬉しいな。

 

優心「取り敢えず、チケットが合計二枚になるから、誰か一人を誘って行こう。(誰と行きたいかと考えると…早坂と行きたいかな…)」

 

チケットが二枚なので誰か一人を誘おうと、少し考えるとすぐに早坂と行きたいと思った。

 

昼に好きって自覚してから、早坂と遊びに行きたいとか話したいとか凄く考えるようになっちゃったな。

 

何より付き合いたいなっていうのも考えるようになったし。いつの間にか好きになってたって感じだろうけど。

 

優心(そういえば、前に遊びに行った時にライブの話をしたし、早坂の予定を聞いて早坂が行けそうだったら行こう。ダメなら鋼か樹のどっちかを誘おう)

 

俺は早坂を誘って行く事にして、今何処に居るか連絡して返事の内容を見てから場所に向かった。

 

 

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~早坂視点~

 

 

昼休み、A組でクラスメートと話していると、普段接してる二人が声をかけてきた。火ノ内三鈴と駿河すばるだ。

 

すばる「ねー、最近早坂って弦巻くんと一緒にいる事多いよね。弦巻くんの事好きなの?」

 

早坂「へ……⁉」

 

三鈴「あ、その反応だと図星だ。いつから好きなの?」

 

早坂「……やっぱりそういう感じなのかな~」

 

二人に庶務くんの事が好きなのか聞かれた。聞かれた時の反応で図星だと言われ、私は"やっぱりそうなのかな"と呟いた。

 

すばる「ということは、弦巻くん事が好きなんだ」

 

三鈴「それで、いつから好きだったの?いやこの場合は意識してたの方が正しいか…。で、いつから?」

 

早坂「え、えっと、庶務くんとは去年から話したりしてたけど、確か前に遊びに行った日から庶務くんと話していく内に、一緒にいて楽しいし何か安心するし、別の友達(かぐや様だけど)に好きな人を聞かれた時に庶務くんの顔が出てきたりしたかな」

 

三鈴「それだけ、色々あったのに言われるまで気付かないなんてさすがにないよ」

 

すばる「確かにね。でも自分で、弦巻くんの事が好きって気付いたのは良かったけど、でも弦巻くんと付き合いたいんだったら、早く告白した方がいいよ」

 

早坂「え?(一応、彼の事は前に調査した事があるしかぐや様とかで話したりしてるから、庶務くんの人気とか知ってるけどわざわざ言ってくるのはどういうことだろう…)」

 

すばる「弦巻くんって、今まで告白されてないのが不思議な位人気なんだよ。護衛の人がいるからってのがあると思うけど、いつ告白されるか分からないよ」

 

早坂「そ、そうなんだ…(告白はされたいって気持ちはあるけど、庶務くんが他の女子と付き合うと一緒にいる時間が少なくなったり話す機会が無くなるかも知れない。それは嫌だよ…)」

 

話を聞いた私は、庶務くんが誰かと付き合った所を想像して凄く嫉妬してしまった。

 

でも庶務くんと付き合いたいけど告白するにしても勇気がいるな……。と思ってると、ドン!と音が聞こえたので聞こえた方を見ると、庶務くんが机に突っ伏していた。

 

"え、どうしたんだろう?"と、思ってしまった。けど、庶務くんと仲がいい男子二人は、見慣れてるのかあまり気にしていなかった。

 

すばる「うわ、頭痛そう…」

 

三鈴「確かに」

 

痛そうだなと思ってると、予鈴がなったので次の準備を始めた。

 

 

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放課後になり、今日はかぐや様から会長のついての事は何も言われてないので、帰宅時間になるまで空き教室で時間を潰していた。

 

しばらく空き教室にいると、スマホにメッセージが来たので見てみると庶務くんだった。

 

内容は聞きたい事があるので今いる場所を教えてという事だった。私はいつもの空き教室にいると送った。

 

"聞きたい事は何だろう"と思いながらしばらく待ってると、庶務くんが入ってきた。

 

何の用なのか聞くと、今週の休日にライブに行かないかと聞かれた。

 

理由を聞くと、妹ちゃんとバンドメンバーの子の二人からライブを見に来てと言われ、チケットが二枚になったので真っ先に私を誘ったらしい。

 

誘おうと思った理由は、前に遊びに行った時にライブの話をしたからどうかなと思ったとの事。

 

それを聞いて、私は(昼に自覚したけど)好きな人に一番に誘われたのが嬉しかった。

 

優心「だからどうかな?」

 

早坂「私は行ってみたい。休みはかぐや様に聞いてみるけど多分オッケーを貰えると思うよ。前に黒服の人が休みの事を言ってくれたから、私がお願いすれば一日ぐらいはくれると思うから」

 

優心「じゃあ待ち合わせ場所とかは、早坂の休みが分かってから決めよう」

 

"分かった"と返事をした後、庶務くんはそのまま生徒会室に向かった。

 

後で休みの件を確認しないといけないが、今から楽しみで仕方ない気持ちでいっぱいだった。

 



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第7話


第六話の話の続きで、放課後に優心と早坂が家に帰った後の話と、ライブに行く前日の夜の話も書いてます。読みにくいかもしれません。
宜しくお願いします。


 

早坂とライブの事を聞いた後、俺は生徒会室に向かい仕事をしてから、すぐに家に帰った。

 

優心「ただいま~」

 

こころ「お兄様、お帰り!はい❗これ、ライブのチケット、渡しとくわね」

 

優心「ありがとう、こころ。楽しみしとくからね」

 

こころ「ええ❗ライブでお兄様も美咲が笑顔にしたい人も、他の皆も笑顔にするから楽しみにしといてね」

 

優心「うん」

 

家に帰ると、こころが俺の所に来て、ライブのチケットを渡してくれた。"楽しみにしてる"と伝え部屋に戻った。

その後の夜に早坂から連絡が来た。見てみるとかぐやさんから休みを貰えたからライブに行けると書かれていた。見ていると早坂から電話がきた。

 

優心「もしもし、休みは貰えたんだ」

 

早坂『貰えたよ。だから楽しみにしてますよ。初めてライブを見るんで』

 

優心「やっぱり、四宮家に仕えてると行けない感じ?」

 

早坂『そうですね。そもそも使用人…特にかぐや様専属の私が何処かに出掛けること自体、無理な感じなんです。なので、庶務くんが誘ってくれなかったら行けてないですね』

 

優心「楽しみにしててよ。ハロハピは、ほんとに自然と笑顔になれるバンドだから。他のバンドも二つ出るみたいだからそれも楽しみにしてて。あ、あとライブハウスの名前、サークルって名前だよ」

 

早坂『分かったよ。じゃあどこで待ち合わせします?』

 

優心「どうしようかな…」

 

早坂『なんでしたら、サークルの場所を教えてくれればそこまで一人で行きますけど』

 

優心「(早坂にこっち来て貰ってもいいけど、でも一緒に行きたいし)……いや、サークル近くに駅があるんだけどそこで待ち合わせでもいい?」

 

早坂『私が目的地まで行かなくても良いですか?』

 

優心「うん。早坂とサークルまでは一緒に行きたいから駅に集合っていうのが理由だけどいい?」

 

早坂『……分かりました。ライブは何時からですか?』

 

優心「ライブは、午後からだからお昼位に向こうに着いといた方がいいし、お昼はサークルの横にカフェテリアがあるからそこで取ろうかなって思ってるよ」

 

早坂『じゃあ外で食べたり、案内してくれたりとしてくれるのなら十時半位に駅に待ち合わせで良いですか?』

 

優心「そうだね。それで集合って事でよろしく」

 

待ち合わせ場所と時間を決めて、あと駅の名前を伝えてから電話を切った。……本当に楽しみだ。

 

 

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~ライブを見に行く前日の夜~

 

晩御飯を食べ終わってからのんびりとこころの部屋で、こころと話してると部屋の扉が開いた。誰だろうと思っていると、顔を出してきたのはお母様だった。

 

両親とも忙しくて、家にいる事が少ない。だけどお父様の秘書をしているお母様はその忙しい時間の中、たまにだけど休日になると帰ってきてくれる。

 

心美「二人とも、ただいま」

 

こころ「お母様❗」

 

お母様の顔を見たこころは、すぐにお母様の所に行った。お母様に話したい事がいっぱいあるこころは、笑顔で話していた。その後眠くなったのか、ウトウトとなり始めたこころに声をかけた。それを見たお母様は、こころの頭を撫でてから廊下に出ていった。

 

優心「こころ、おいで。寝るんだったらちゃんとベットに入ってから寝てね」

 

こころ「うん…。お兄様、お休みなさい」

 

優心「うん、お休み」

 

ベットに入ったこころが"お休み"と言ってきたので、俺はこころの頭を撫でて"お休み"と声をかけた。

 

俺はこころが眠ったのを確認してから、部屋を出て廊下にいるお母様に声を掛けた。

 

優心「お母様、お帰りなさい」

 

心美「ただいま。寂しくなかったかしら?」

 

優心「こころがいたし、学校でも生徒会の皆とかいたし華さんもいるから大丈夫だったよ。…いやでも、やっぱり寂しいって感じる時はあったかな……」

というと、お母様は頭を撫でてくれた。

 

そしてお母様が撫でるのをやめると休日の予定を聞いてきた。

 

心美「華から聞いたけど、ライブを見に行くらしいわね」

 

優心「そうだよ。さっきこころが話してたハロハピのライブを見に行くんだよ。あと二つのバンドも出るけど、こころとハロハピのメンバーからチケットを貰ったから友達と行くよ」

 

心美「ふふ、それは楽しみね。でも友達じゃなくて好きな人と行く、でしょう?」

 

"好きな人"と言われビックリした。そういえば華さんから聞いたって事は、俺の好きな人も知ってる…って事だよね?

 

優心「お母様、もしかして…俺の好きな人が誰なのかも知ってる?」

 

心美「えぇ、勿論よ。早坂さんの娘の愛ちゃんでしょう?一回だけ、愛ちゃんが専属の近衛になる前に会った事があるわ」

 

優心「そ、そっか、知ってるんだ。…早坂に会った事があるって事は、かぐやさんとは会ったことはあるの?」

 

心美「会った事は無いわ。でも一回会ってみたいわよ、優心の友達だからね」

 

優心「俺とこころの誕生日パーティーに呼んでもいいんだったら会えると思うよ」

 

心美「そうね、その時に招待してあげなさい。それまで会うの楽しみにしとくわ。じゃあ遅いからもう寝なさい」

 

優心「うん。お休み、お母様」

 

お母様にお休みと言って部屋に向かい、ベットに寝た。

 

 

 

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~早坂視点~

 

 

 

優心に電話をかける少し前。

 

私は今週の休日に休暇を貰う為に、かぐや様の部屋に向かった。ノックをして返事を貰ったので中に入った。

 

早坂「かぐや様にお願いしたい事があるんですが」

 

かぐや「早坂がお願いを言ってくるのは初めてだけど、聞いてみないと分からないから内容を教えてくれない?」

 

早坂「今週の休みに、休暇を一日だけ欲しいんです」

 

かぐや「休暇?何でまた休暇が欲しいの?」

 

早坂「今日の放課後に、庶務くんからライブに誘われたんです」

 

かぐや「ライブ?確か、バンドや歌手がステージで曲を披露する事をライブって言ったりするのよね。それで弦巻くんに誘われたのは何でかしら?」

 

早坂「かぐや様は、前に庶務くんの妹の話を聞いたと言ってましたよね。その妹ちゃんがリーダーをやってるバンドがライブをするんです。それでライブチケットを二枚貰ったからと誘われたんです」

 

かぐや「それで行きたいから休暇が欲しいと言うわけね。……今週は特に予定はなかったわよね?」

 

今週中の平日と休日に客人が来る予定、本邸に行く事や学校内の行事自体は何もないので、"何もないです"と答えた。

 

その辺の予定は使用人として全て把握済みだ。

 

かぐや「だったら休暇でいいわよ。…ただ、一つ聞きたいから聞くけど、早坂って弦巻くんの事が好きなの?」

 

早坂「え⁉ど、どうしてそんな事を…?」

 

かぐや様に休暇を貰ったので一安心だと思ったらいきなり庶務くんの事が好きなのかと聞かれた。

 

かぐや「ラブレターの事で、早坂に好きな人がいるかと聞いた時に顔を真っ赤にしてたから、いるんじゃないかと思ってたのよ。しかも弦巻くんと一緒にいる時の早坂って素の感じだから、好きな人は彼じゃないかなと思ったのよ。その反応だとどうやらその通りみたいね」

 

早坂「……そうですよ。庶務くんの事好きですよ」

と答えると、どこが好きか、いつ好きになったのか色々聞いてきて、私は答えるのが恥ずかしかったのですぐに部屋を出た。

 

取り敢えずかぐや様の部屋から離れて庶務くんに休暇を貰った事をメールで送った。…あ、でも待ち合わせとかを決めるんだったら、電話の方が早く決められるから電話にしよう。そう思い電話を掛けた。

 

優心『休み貰えたんだね』

 

早坂「貰えましたよ。ライブ楽しみにしてますよ」

 

優心『やっぱり、四宮家に仕えてると行けない感じ?』

 

楽しみにしていると伝えると、四宮に仕えてると行けないのかと聞いてきた。

 

早坂「そうですね。そもそも使用人…特にかぐや様専属の私が何処かに出掛けること自体あり得ない感じなんです。なので庶務くんが誘ってくれなかったら行けてないですね」

 

優心『楽しみにしててよ。ハロハピは、ほんとに自然と笑顔になれるバンドだから。他のバンドも二つ出るみたいだからそれも楽しみにしてて。あ、あとライブハウスの名前、サークルって名前だよ』

 

庶務くんが自信満々に言ってきたので、楽しみがより増えた。サークルって名前なんだ。

 

早坂「分かったよ。じゃあどこで待ち合わせします?」

 

優心『どうしようかな…』 

 

早坂「…なんでしたら、サークルの場所を教えてくれれば、そこまで一人で行きますけど」

 

どこで待ち合わせるか聞くと悩んでる感じだったので、"場所を教えてくれたら私が目的地まで行くよ"と答えたが、目的地近くの駅で待ち合わせだと言われた。

 

早坂「私が目的地まで行かなくても良いですか?」

 

優心『うん。早坂とサークルまで一緒に行きたいから駅に集合っていうのが理由だけどいい?』

 

"目的地まで行かなくていいのか"と聞くと、庶務くんは私と一緒に行きたいと言ってきた。

 

嬉しいと思いながら、取り敢えず話を切り替えて時間も決めとこう。

 

早坂「……分かりました。ライブは何時からですか?」

 

優心『ライブは、午後からだからお昼位に向こうに着いといた方がいいし、お昼はサークルの横にカフェテリアがあるからそこで取ろうかなって思ってるよ』

 

時間を聞くと、ライブは午後らしくサークルの横のフェテリアでお昼を食べてから、見るみたいだ。

でも、ライブハウスってイメージ的には暗いというかあまり人が近寄らない感じのイメージがあるけど、カフェテリアがあるなんて凄いな…。

 

早坂「じゃあ外で食べたり、案内してくれたりとしてくれるのなら十時半位に駅に待ち合わせで良いですか?」

 

優心『そうだね。それぐらいで集合って事でよろしく』

 

"分かった"と返事をしてから電話を切った。

 

 

 

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ライブを見に行く日の前日

 

 

明日の準備を終えた時に、私はふと思い出したことがあった。そういえば、庶務くんがハロハピ以外であと二つバンドが出るって言ってた。

 

早坂(ライブハウスの出演とかで検索したら出てくるのかな…?)

と思った私は、見に行くライブハウスのサークルのサイトを検索して調べてみた。

 

早坂(えっと、あ…あった。妹ちゃんのハロハピと、他の二つは……一つはPoppin’Party(ポッピンパーティー)でポピパって呼ばれてるバンド。もう一つはAfterglow(アフターグロウ)で略称が載ってないから無いのかな…。でもサイトに載ってる写真の皆の凄く笑顔で楽しそうだし写ってるお客さんも笑顔だ)

 

名前を調べてサイトに載ってる写真を見た私は、庶務くんから聞いた時よりも、より明日が待ち遠しく思いながらベットに入った。

 



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第8話


ここでライブの話になりますが、ライブ自体見に行ったことがないので描写が描けなかったので、期待はしないでください。

あとここで都合が良すぎる(ご都合主義)と思う人がいるかもしれませんが、それでも読んでくれたら嬉しいです。



 

 

~ライブ当日~

 

~優心視点~

 

 

俺は待ち合わせで決めた駅で早坂を待っていた。すると早坂が来た。

 

早坂「庶務くん」

 

優心「お、来た。じゃあ行こっか!」

 

早坂「あ、はい。(庶務くん、すごいウキウキしてる)」

 

早坂が来たのでライブハウス、サークルに向かった。

 

歩いて向かっていると、早坂から話しかけられた。

 

早坂「庶務くん、今日のライブに出るバンドでハロハピ以外の二つのバンドの事を知りたいんですけど聞いても良いですか?」

 

優心「バンドの事ね。いいよ、俺が知ってる事は教えるよ」

 

話してきた事はライブに出るハロハピ以外の二つのバンドの事を聞きたいと事だった。

 

今日はハロハピ以外だとポピパとアフグロが出演するってサークルのサイトに載ってた。この二つは知ってるから知ってることは教えると伝えた。

 

早坂「昨日の夜にサークルのサイトで出演バンドを見たんですけど、どんな曲を演奏するのかなって思ったんです」

 

優心「本当は聞くまで楽しみにしてほしいけど……、まずポピパ。ポピパは元気が出るというかポップな感じの明るい曲が多いかな。アフグロ…あ、アフターグロウはロック調で爽快感がある感じの曲が多いって感じだね」

 

早坂「へー、それでハロハピは笑顔になれる曲が多いって言ってたね。ほんと特色が違うから楽しみになってきた」

 

優心「そうでしょー。だから楽しいし見るまで楽しみなんだよね。それにその時々のライブの雰囲気があるから、何回見ても楽しめるしね」

 

早坂「なるほど」

と話してると、サークルに着いた。

 

 

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ライブハウスのサークルに着き、隣にあるカフェテリアで軽く昼を食べてからサークルの中に入った。

 

そして受付にいるまりなさんに声を掛けた。

 

優心「まりなさん」

 

まりな「あ、優心くんいらっしゃい。こころちゃんから聞いたけどライブ見に来たんだね」

 

優心「そうですよ。こころからチケットを貰ったんですけど、美咲から一枚を取り置きしてるって言われたんですけどあります?」

 

取り置きがあるか聞くと"ちょっと待ってて"と言われて待ってるとすぐに声がかかった。

 

まりな「うん。ちゃんと美咲ちゃんが優心くんの分で取り置きしてるね。じゃあこの一枚をその隣にいる女の子のチケットとして使えばいいのかな?」

 

優心「あ、うん。それでお願いします」

と答えると、"分かった"と答えてくれた。

 

その後、まりなさんが俺の持ってるチケットは楽屋に行けるチケットらしく、"皆がいる楽屋に行けるよ"とまりなさんが教えてくれた。

 

その後にまりなさんは早坂と話を始めた。

 

あと少しで開場時間になるので、楽屋に行くのはライブ終わった後に行くことにして、早坂達が話終わるまで中にあるベンチに座って、スマホを弄って時間を潰した。

 

しばらくすると、まりなさんから"そろそろ時間だよ"と言われたので、早坂の手を掴んで中に入っていった。

 

 

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~早坂視点~

 

 

ライブ当日になり集合場所に向かうと、庶務くんの姿を見つけたので声を掛けた。

 

そのままライブハウスに向かったが、向かう時の庶務くんの声がウキウキしてる声色だった。

 

向かってる間に、妹ちゃんのバンドのハロハピ以外の二つのバンドの事を聞いた。

 

聞いてみると、当然だけどそれぞれに特色があって聞くだけで楽しみになってきた。でも、アフターグロウってアフグロって言うんだ……。

 

サークルに着いて、カフェテリアでご飯を食べてから中に入った。入ってみると内装は凄くきれいだった。

 

暗いイメージがあったけど、今はこんな感じになってるんだ。と思ってると、庶務くんはチケットの事で話していて話終わると、まりなさんと言われてた女性が話しかけてきた。

 

まりな「私は月島まりなだよ。よろしくね。あ、私の事はまりなでいいからね」

 

早坂「あ、はい。私は早坂愛です。宜しくお願いします」

 

まりな「愛ちゃんね。聞きたいんだけど、愛ちゃんは優心くんの彼女?」

 

早坂「彼女じゃないです」

 

まりな「あ、じゃあ好きなんでしょ?二人見たときに、そんな感じがしたけどどうなの?」

 

話しかけられ、自己紹介をお互いした後に庶務くんの彼女かと聞かれた。彼女ではないので"違う"と答えると、すぐに好きなのかと聞かれた。

 

私と庶務くんを見た時にそんな風に見えたと言われたが、実際に図星だったので"そうです"と答えると、柔らかな笑顔で"そっか"と言っていた。

 

まりな「優心くんと接してたら、好きになるのは分かる気がするな~」

 

早坂「それは…、まりなさんも好きって聞こえますけど…」

 

まりな「あぁ、勘違いしないでね。優心くんの事が好きになる子の気持ちが分かるってだけだから。……そうだ、ハロハピのライブの事で一つ教えるけど、演奏をやる前に掛け声があるんだ」

 

早坂「掛け声ですか?ライブが始まる前に、お客さんも言ったりするって事ですか?」

 

まりな「うん、そうだよ。掛け声はね、ハッピー・ラッキー・スマイル・イエーイなんだ。曲の前とかのMCで言ったりするから、この掛け声を覚えておいてね」

 

早坂「分かりました。覚えときます」

 

まりな「よろしくね。……もうそろそろだね。優心くん時間だよ」

 

優心「了解です。早坂、こっち来て」

 

まりなさんに呼ばれた庶務くんがこっちに来て手を握ってきた。

 

早坂(え⁉手、手を繋いじゃったけど、でも庶務くんの手、意外と大きい)

 

いきなり手を握られたのでビックリしていると、離されてしまった。

 

いきなりだったので庶務くんの顔を見てみると赤くなっていた。と考えてるとライブが始まった。

 

 

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~優心視点~

 

 

俺は早坂と中に入り手を離した。……って離した?あ、俺って早坂と手を繋いじゃった!?いきなり繋いだら嫌われるよな。

 

でも早坂の手って何か柔らかった……って、なに考えてるんだろ。と思ってるとライブが始まった。

 

ライブはまずポピパからのスタートだった。

 

 

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ポピパとアフターグロウが終わって、ハロハピの順番になった。そしてステージにこころ達が出てきた。

 

こころ「皆、ハロー❗」

 

観客・優心「ハロー」

 

早坂(いきなりだったから、ハローは言えなかったけど、ここで掛け声を言う感じかな?)

 

こころ「もーと大きな声で、ハッピー‼」

 

客達・優心「ラッキー❗」

 

早坂「ラ、ラッキー❗」

 

こころ「スマイルー」

 

客達・優心「イエーイ❗」

 

早坂「イエーイ❗(ポピパとアフグロのライブ中でも思ったけど、やっぱり叫ぶの結構気持ちいい。それに皆と一緒になって盛り上がるの凄く楽しい❗)」

 

俺は、早坂の顔をふと見ていると純粋に楽しんでくれてるみたいだから誘って良かった。

 

こころ「じゃあ、まず一曲目、《えがおのオーケストラ》」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

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ライブが終わり、受付の所まで戻ってきた。が、終わった後に楽屋に行こうとしたが、人が多かったのでこころに外で待ってるとメッセージを送った。

 

今は早坂と二人で、カフェテリアでのんびり話してた。

 

優心「今日はどうだった?」

 

早坂「凄い楽しかったです!ライブってあんなに盛り上がっちゃうんですね」

 

早坂に今日の感想を聞くと、満面の笑顔で楽しかったと言ってくれた。

 

優心「そっか、良かった。ちなみにあの三バンドの中でどれが好きだった?」

 

早坂「(うーん。どれも良かったから選ぶのが難しいけど…)強いて言うなら、アフターグロウかな。曲調とかも歌詞も等身大だから好きかな。勿論ポピパもハロハピも元気になるし、笑顔になったりする曲が多くて聞いてて楽しかったよ。本当は選ぶのが難しかったけど」

 

優心「アフグロは、バンド歴が一番長いからね。全員幼馴染みで中学の時に結成してるから、あの五人で過ごしてるいつも通りを歌詞にしてるから響くんだと思うよ」

 

早坂「そっか。でもまた行きたくなったよ。…そうだ、妹ちゃんを見て思ったんですけど、何処かで見たことがある姿なんですけど」

 

優心「あぁ、それはお母様の事だよ。こころってお母様と似てるから。……これ、お母様と撮った写真だよ。昔、早坂と会ったことがあるってお母様が言ってた」

 

早坂「あ!この人ですよ。庶務くんのお母さんだったんだ。だから妹ちゃんの事を見たことがあるって思ったんですね」

と早坂と話してると、サークルの入り口から大きな声が聞こえてきた。

 

こころ「お兄様ー!!」

 

見てみると、こころが声を出して走ってきたので、俺は受け止める体制になってこころを受け止めた。

 

優心「おー、よっと。こころ、お疲れ様。今日のライブ良かったよ」

 

こころ「本当!笑顔になったかしら?」

 

優心「笑顔になったよ」

 

花音「こころちゃーん。いきなり走らないで。……あ、優心くん、見に来てくれたんですか?」

 

はぐみ「あ、ゆーくんだー!ねぇ今日のはぐみ、どうだった?」

 

薫「まさかここで、こころのお兄さんに会えるなんて儚い…」

 

美咲「本当に疲れた。あ、優心さんチケット分かったんですね、良かったです」

 

俺がこころと話してるとハロハピのメンバーが集まって来て一斉に話しかけてきた。

 

優心「花音さん、勿論見に来ましたよ。いつもこころの相手ありがとうございます。はぐみは、今日のベースも良くて元気いっぱいで良かったよ。薫さんはいつも通りかっこいいし儚いね。美咲、チケットの取り置きありがとう」

 

俺はそれぞれに言われたことに対して答えていった。その後ポピパやアフグロの皆も集まり話した。

 

早坂の事も話題になって、早坂も皆と話して仲良くなったみたいだった。

 

その後帰ることになり、バンドの皆と別れた。こころはハロハビの皆と行動するみたいだから、俺は早坂と駅まで帰ることになった。

 

駅に向かおうとした時に、早坂に腕を捕まれたので、振り向くと早坂から衝撃の事を言われた。

 

早坂「あの、私庶務くんの事が、好き…です。付き合ってください」

 

優心「……え?俺の事好き…。あ、あのえっとそれって本当に?…いやこんな時に…嘘を言うわけないか」

 

早坂「そうですよ。こんな時には嘘、冗談を言うわけないじゃないですか。本当に庶務くん…いや優心くんの事が好きなんです。一緒にいて自然と好きになったと思いますけど、優心くんといると楽しいし安心するんです。何よりさっきも皆といる所を見ると、私の前からいなくなっちゃんじゃないかと思っちゃったんです」

 

俺は早坂に告白された。……そうか、俺も早坂の事が好きだったけど、早坂も俺の事が好きだったんだ。

 

俺は両思いだって気付いて凄く嬉しかった。…それに早坂が勇気を出して言ってきたから、俺もちゃんと言わないといけないな。

 

優心「実は、俺もさ、早坂の事が好きなんだ。理由も早坂と同じで一緒にいると楽しいし、それに一緒にいたいって思うようになってるし」

 

早坂「……本当に?本当の本当に⁉じゃあこれから恋人同士ってことだよね」

 

"うん"と答えると早坂が抱きついてきた。そのまま目が合って何か変な雰囲気になりファーストキスをした。

 

優心「スゲー恥ずかしい…。しかもこんな外でファーストキスをしたから恥ずかしい。でも早坂、いや、愛これからよろしく」

 

愛「うん。確かに外でキスって恥ずかしいね。……優心くん、こちらこそこれから宜しく」

 

愛と付き合うことがなった俺は、駅まで向かう道中、手を繋ぎながら学校でどうしようかと話してた。

 

優心「愛、恋人になったけど、かぐやさんや会長とか学校の友達とかの皆に付き合った事は言わない方が良いのかな?」

 

愛「うーん。言わない方がいいと思うよ。確か優心くんって浮いた話がなかったから、彼女が出来たって話題が出たら、いくら黒服の人がいても流石に騒ぐと思うよ。そうなると暫くはかぐや様達のサポートが出来なくなっちゃうし、何より一緒に話したり出来なくなると思うから」

 

優心「そう言われば確かにそうだね。今まで気にしたことは無かったけど考えてみれば、話題になるから一緒に会長達の事とか普通に話したりするのが難しくなるかも知れないね。現に会長達が二人でいるだけで話題になってるし話しづらそうにしてるから」

 

愛「そういう事だよ。あ、でもかぐや様と会長には言っといた方がいいかも。優心くんは会長とは一年の時からの友達でしょ。私はかぐや様の近衛もあるけど、私が優心くんの事が好きなの、知っちゃったから教えとかないといけないから」

 

優心「じゃあ、その二人だけに言って学校ではいつも通りに過ごす感じでいい?」

 

愛「そうだね。それでいいと思うよ。いつも一緒に話したりしてるから、それに二人だったら周りに言うことは無いからね」

 

と、話してると駅に着いた。

 

優心「じゃあ、また学校で」

 

愛「うん。またね」

 

一言別れを言ってお互いに家に帰った。

 

 

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~早坂視点~

 

ライブが終わり、今は外のカフェテリアでのんびり庶務くんと話をしていた。

 

庶務くんから三バンドの中で良かったバンドなどを話した。曲を聞いてまた聞きたくなった事を伝えた。

 

ライブで妹ちゃんを見て思ったことがあったので、小さい頃に会った人に似ているから聞いてみた。すると庶務くんのお母さんの事だと分かった。

 

写真を見せてもらうと、小さい時に見た人と一緒だったので、弦巻兄妹の親と分かったのでスッキリした。

 

そんな感じで話してると大きな声が聞こえたので、声をした方を見てみると妹ちゃんだった。

 

庶務くんに思いっきり抱きついて話をし始め、その後にハロハピのメンバーが庶務くんに集まり話を始めた。

 

その後にポピパとアフターグロウのメンバーも集まってきた。

 

早坂(女子が多いの聞いてたけど、実際に見ると納得できないな。それに庶務くんといっぱい話せていいな。何か庶務くんが離れていく感じがする)

 

私は、庶務くんがバンドの皆と話してる所を見て嫉妬をしてると、メンバーの一人が話しかけてきた。

 

ひまり「あの、もしかして優心さんの知り合いですか?」

 

早坂「…あ、まぁそんな感じかな」

 

つぐみ「そうなんですね。見た感じイヴちゃんみたいにハーフの感じがしますけど……」

 

早坂「私はクオーターだよ」

 

つぐみ「あ、そうなんですね」

 

こんな感じに一人から話しかけられどんどん他の人たちから話しかけられ、話に盛り上がっていった。

 

思ってた以上に学校にいる生徒とは違って、身分とかで判断しないからだと思うけど話しやすい。

 

中にはツンデレみたいに素直になれないだけの子だったり、妹ちゃんみたいに純粋すぎる子もいた。

 

何だか嫉妬してた自分が恥ずかしく感じる。

 

でも皆が仲が良くて会話に入りづらいと思ってると話題を振ってくれたりして話しやすかったし、いつの間にか仲良くなっていた。

 

皆で話してると、それぞれ帰ることになり解散になった。

庶務くんが駅に向かおうとした時に、反射的に腕を掴んだ。…あ、ど、どうしよう。ここで告白しようかな。

 

でも恥ずかしいけど、多分ここでしなかったら本当に庶務くんと話す機会が無くなって離れそうな気がする。

 

バンドの皆は狙ってる訳ではないけど、学校の女子は分からないし、離れていく事は庶務くんに限って無いと思うけど、本人じゃないから分からない。

 

そう思うと、自然と口が動いた。

 

早坂「あの、私庶務くんの事が、好き…です。付き合ってください」

 

私が告白すると当然だけど、庶務くんが驚いていた。それを聞いた庶務くんは、"本当に?"と聞いてきてこんな時に嘘を言うわけ無いと言った。

 

庶務…優心くんがこんなに照れてると言うことは、告白された事が無いってクラスの人が言ってたのが合ってたって事かな。

 

しばらくすると、優心くんが口を開いた。

 

優心「実は、俺もさ、早坂の事が好きなんだ。理由も早坂と同じで一緒にいると楽しいし、一緒にいたいって思うようになってるし」

 

聞いてみると優心くんも私の事が好きと言ってくれた。…てことは、両思いだったんだ。……そうなんだ。本当に恋人って事だよね。

 

早坂「…本当に?恋人同士って事だよね」

 

"うん"と言われ、嬉しくなり抱きついてしまったがしっかり受け止めてくれてた。

 

ふと目が合うと、流れでキスをしてしまった。優心くんは顔を真っ赤にしながら恥ずかしいと言って、私も恥ずかしくて真っ赤になってると思う。

 

その後、優心くんが学校で付き合った事は伝えた方がいいかどうかと聞いてきた。

 

 

…うーん、自慢はしたい気持ちがあるし、優心くんが他の女子と話すと嫉妬しちゃうかも知れない。

 

けど、浮いた話が無い優心くんに彼女が出来たって分かると、話す機会がもっと無くなっちゃうかも知れないから言わない方がいいかな。という事を思った私は、言わない方がいいと伝えた。

 

その後、話で会長とかぐや様には伝える事にした。

 

話してると駅に着いたので、"またね"と言って電車に乗った。

 

 

 

電車に乗ってると、忘れかけてたやりたくもない事を思い出してしまった。

 

愛(そうだ、別邸に帰ったらかぐや様に今日の事を聞いて黄光様に報告しないといけないだった。……そんな事をしたくないのに…優心くんに言えば助けてくれるのかな…。こんな家の問題に、優心くんに迷惑を掛けたくない。でも…言えば助けてくれるっていう信頼というか安心感がある。……話だけでも言える時に優心くんに話そう…。どうするかはその後だ)

 

したくもない黄光様に連絡する事を思い出してしまい、罪悪感が出てきたが、すぐに彼氏になったばかりの優心くんに助けてほしいと思ってしまった。

 

最初は家の問題に巻き込みたくないと思ったが、今まで接してた事で優心くんの性格を知ってたので、必ず助けてくれる信頼があった。

 

それに、一緒にいて安心するから話だけでもする事にした。

 

話すのは、出来るだけ人がいない方がいいから、時と場所を考えてから言った方がいいと考えた。

 

相談するまでは、報告しないといけないが、相談するまでの我慢だ。と思いながら、別邸に帰った。

 





こころの掛け声は、バンドリのアニメ二期の十三話のポピパの主催ライブでこころがやった掛け声のものです、


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第9話

 

愛と付き合う事になったライブの日(土曜日)から一日跨いだ月曜日。

 

愛「庶務くん」

 

朝、校門を通ると後ろから名前を呼ばれたので振り向くと、愛だった。

 

優心「おはよう、あ…早坂。かぐやさんは?」

 

愛「おはよう。……私は校門から少し離れた場所で降りて、校門前で四宮さんが降りるから、一緒には行かないよ。先に教室に着いてると思うよ」

 

優心「なるほど」

 

愛「うん。あ、昨日の夜に電話で話した通り、今みたいにお互いに庶務くん、早坂って呼ぶってことでいこうね。空き教室とか周りに人がいない時に下の名前で呼ぶって事で。会長と四宮さん以外は知られたら色々大変だと思うから」

 

ライブの日に彼女になった早坂愛に"おはよう"と声をかけた。

 

ライブの帰りに、学校では恋人になった事を皆に言わない事になった。

 

その日の夜に愛から電話がかかってきて、下の名前で呼んでるとバレるかも知れないため、お互いの呼び方も付き合う前みたいに、いつも通りという事にもなった。

 

優心「分かった。でも千花はやっぱダメな感じ?」

 

愛「あまり言いたくないかな。だって書記ちゃん、行動読めないから、言いふらしそうで怖いんだよね。庶務くんは言いたいの?」

 

優心「うーん。言いたいというより言っといた方がいい感じがする。早坂の言う通り千花って行動読めない所があるけど、会長達に言って千花に言ってないって事になると、それこそ色々言って周りに伝わっちゃうかも知れないから。昼休みにでも俺から千花に言っとくよ」

 

愛「庶務くんがそう言うならそれでいいよ」

 

優心「そうだ。早坂は、こころと仲良くなれそう?」

 

俺は、ふと愛に妹と仲良く出来るか聞いてみた。

 

こころは、バンドを始めてからハロハピや他バンドのメンバー達と友達になった。

 

でも高校入学までは色々振り回されたり、やることがおかしいとかで友達っていうのがいなかったんだよね。だから愛は仲良くというかこころに付き合ってくれるのか気になったんだ。

 

愛「(こころちゃん……あ、呼び捨てでいいって言ってたっけ)えっとこころとは、仲良く出来ると思うよ」

 

優心「ほんと?」

 

愛「ほんとだよ。好奇心旺盛で振り回されたりしたりと大変そうなのは、あの時のメンバーを見て分かったけど、一緒にいて楽しそうだった。それに話してみて仲良くしてみたいって思ったよ。でも振り回されると大変だと思うけど」

 

優心「そっか、そう言ってくれると嬉しいよ」

 

話してると、教室に着いたので中に入った。いつも通りに自分の机に行き、荷物を置いて授業の準備を始めた。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

昼休みになり、生徒会室にいた。

 

千花「会長、この本は何ですか?」

 

会長「教育上よろしくない本だから処分しとけと頼まれた」

 

千花「この本がよろしくない本ですか?……乱れっ!この本は駄目です!!」

 

会長が校長に渡された処分する本を、千花が見始めるといきなり大きな声を出した。それで落とした本をかぐやさんが取り、本の中身を見て声に出して言ってくれた。

 

かぐや「どれどれ……高校生までに初体験を経験したのは34%ですか」

 

千花「そんな訳ないです!!嘘です!そんなにしてるハズありません!!」

 

優心「こういうアンケートって多分読んでる人だけが答えてるからその答えだと思うし、それに読んでも答えない人もいると思うよ」

 

千花「優心くんもそう思いますよね!」

 

会長「俺も多くないと思うぞ」

 

優心・千花「「ですよね~」」

 

俺がそう多くないと言うと、会長と千花も読んでる人が答えてるだけと思ったみたいで三人で共感していた。

 

かぐや「そうですか?これぐらいは適切な割合だと思いますよ。むしろ少ないと思っていますけど」

 

三人「「「!?」」」

 

三人で共感していたが、かぐやさんが言った一言に言葉を失った。千花が"経験したことがあるのか"?と、かぐやさんに聞くと即答で"だいぶ前に"と答えた。

 

かぐやさんが経験したことがあると聞いた瞬間、俺と千花は"えぇぇ"と叫び、会長は電話帳を見て現実逃避的になっていた。

 

かぐや「高校生になれば普通は経験済みでは。……案外皆さんは愛を受けずに育ったんですね」

 

千花「私も早く彼氏とか作った方がいいのかな。でも絶対お父様が許してくれないと思いますし」

 

会長「馬鹿馬鹿しい」

 

優心(あ、かぐやさん、ニヤリと笑った。なんか企んでるかな……)

 

かぐや「あら会長は彼女はいないんですか?」

 

会長「……そうだな、"今は"居ないな。……そういう弦巻はどうだ?」

 

かぐや「そういえば、弦巻くんは彼女が出来たと聞きましたけど」

 

かぐやさんがニヤリと笑って会長と話をしたから、そのまま話が進むと思ったけど、会長が俺に振ってきた。

 

それを聞いたかぐやさんが彼女が出来たことを聞いたと言ってきた。……土曜に愛から直接聞いてるはずなのに、あたかも今日、噂みたいのを聞きました感で言ってきたな。

 

千花「…え、えぇぇぇ!優心くんに、か、彼女が!!いつ出来たんですか!?教えてくださいよ!何で教えてくれないんですか!?」

 

優心「ちょっ…。お……教えるから…ゆら…揺らさないで…」

 

彼女が出来たことに驚いた千花が、俺を前後に揺らしてきた。揺らされながら何とか"教える"と言うと、やっと千花が離してくれた。

 

会長を見ると口を開いて固まっていたがすぐに立ち直った。

 

優心「取り敢えず、会長と千花には昼休みに言うつもりだったんですよ。かぐやさんは何となく話は聞いてるみたいですけど、俺の彼女は早坂ですよ」

 

千花「早坂さんですか?何か意外…」

 

優心「意外って何だよ。意外って」

 

千花「だって!優心くんがギャルカースト上位で、格好いい感じの女子の早坂さんと付き合うなんて思ってなかったんです!」

 

優心「千花、落ち着いてよ。愛とは同じクラスだし、よく話してたんだよ。それに遊びに行ったりして一緒にいる内に好きになったって感じだよ。てか、誰と付き合うと思ってたの?」

 

千花「…それはえっと…イタッ‼そんな強く叩かないでください。何で叩くんですか⁉」

 

優心「考えてなかったら叩いた。それだけ」

 

愛と付き合ったと言うと、千花が意外と言ってきたので理由を聞くと、単に俺が付き合うとは思ってなかっただけらしい。

 

千花に誰と付き合うと思ってたかと聞くと、何も考えてなかったみたいだったから、頭を叩いといた。千花とこんなやり取りをしていると会長から声がかかった。

 

会長「それで弦巻はいつ付き合ったんだ?」

 

優心「一昨日の土曜ですよ。妹がリーダーやってるバンドのライブを見に行った日の帰りですね」

 

会長「じゃあ、どっちから告白したんだ。(俺が一番気になってる事だ。弦巻だと自分から告白しそうな感じがするが)」

 

優心「告白ですか?告白は、愛からされました。俺はその後に自分の気持ちを言いました。出掛けた日の前から、愛の事が好きになってたんですけど、告白されて両思いって気付いたんです。スッゴい嬉しいですね、好きな人と付き合えるって。昨日とか夜に電話で話をしたんですけどそれだけでも幸せですね」

 

会長「そ、そうか。付き合えて良かったな」

 

会長・かぐや((最後の方、惚気になってる……))

 

優心「あ、三人にお願いがあるんですけど、俺が付き合ったことは、会長とかぐやさん、千花の三人だけの秘密にしといてください。他のクラスの人や友達には言わないでください」

 

と言うと、当然だけど"何で?"と聞いてきたので、愛と話した内容を三人に伝えた。すると三人は納得した顔で二つ返事で承諾してくれた。

 

その後、かぐやさんがさっきの本の件で話始めた。

 

かぐや「取り敢えず、弦巻くんは付き合った時に経験したんですね」

 

千花「そ、そうなんですか!?優心くん!」

 

優心「はぁ!?いやいや、付き合ったけど経験してないよ!」

 

会長「そ、そうだよな。真面目な弦巻が付き合った日の内にやるわけ無いよな?」

 

優心「そうだよ!そこまで飢えてないよ!」

 

かぐやさんにいきなりそんなことを言われ、千花と会長達とその事を話してると、かぐやさんは会長にも言い始めた。

 

かぐや「それに、会長には妹がいるのでガンガンしてるのかと思いました。弦巻くんは彼女としてないとすると妹としてるから、彼女としてないんですか?」

 

かぐやさんが言った言葉を聞いて会長と俺は一瞬言葉を失った。

 

会長・優心「「そんな事あるわけないぞ(よ)!」」

 

優心「てか何で、愛としてないから妹としてるって、考え方になるの!?」

 

会長「弦巻の言う通りだ!妹とそんなことをするわけないぞ!!」

 

かぐや「はぁ、極度に人と付き合いを恐れる現代社会の闇ですね…。藤原さんもペスとしてるでしょう」

 

会長・優心「してるの!?」

 

千花「してるわけ無いじゃないですか!私を巻き込まないでください!!優心くんも何で信じてるんですか!?いくらなんでも、私がそんな事をするわけ無いって知ってますよね!?」

 

かぐやさんが言ったことで、カオスな状態になってると、いつの間にか冷静になってた会長が、かぐやさんに質問を投げかけた。

 

会長「……四宮、一応聞くが初体験って何の事が知ってるか?」

と質問をすると、"キスの事でしょう"と答えた。

 

それに対して会長が教えようとすると、代わりに千花が代わりに教えた。

 

かぐやさんは顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。………そりゃ恥ずかしいよね、キスだと思って話してて実際は違うって分かると。

 

その後、教室に戻ることになり会長と二人で廊下を歩いてると、会長に質問をされた。

 

会長「弦巻は、早坂と付き合った時にキスはしたのか?」

 

優心「…うん。お互いに自分の気持ちを言った後にしたよ。ファーストキスだったしそれに外だったから恥ずかしかったけど」

 

会長「そうか」

 

優心「会長も、かぐやさんと付き合えるように頑張ってね。相手から告白させるにしても自分で告白するにしても、付き合えたらすごく嬉しい気持ちになるし、一緒にいたいとか守りたいとかそんな気持ちが出てくるから」

 

会長「…おう」

 

教室近くになった。会長とはクラスが違うため廊下で別れて、クラスに戻った。

 

 



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第10話


一回投稿していたんですが、前に投稿してた話の最後の方の早坂の話の部分だけ無くしただけなので、それ以外はそのままです。

少し次の話というか、今後の話に上手く繋げるのが出来なさそうだったので(頑張れば出来なくもないけど考えてる展開にならなそうだったので)、投稿し直しました。



 

初体験の勘違いをしたかぐやさんの件から、少し日が経ったある日の放課後。

 

フランスにある姉妹校との交流会が"来週ある"と、校長からいきなり言われた。

 

その為、生徒会室で皆と役割を決めていた。

 

優心「来週の月曜日が交流会だから、日曜日に設営をやる感じですよね」

 

会長「そうだな、設営は指示役が必要だから、弦巻にお願いしてもいいか?」

 

優心「構わないですよ。元々俺は学校行事のまとめ役をしてるから。……設営をやる皆は、交流会に参加する有志の生徒ですよね。皆に設営の話は通ってますか?」

 

会長「一応、俺たちに話を伝えに来たときに、参加する他生徒に伝えるように教師に言った、と校長が言ってたから伝わってるはずだ」

 

優心「了解。今、学校内にいる参加する人だけでも声をかけてきますよ。日曜の設営とやる仕事について話しときたいんで。終わったらそのまま帰りますね」

 

会長「分かった」

 

交流会の設営のまとめ役になった(いつもの役割だが)俺は、会長に参加する皆に話をして、そのまま帰ることを伝え生徒会室を出た。

 

ーーーーーーーーーー

 

その後交流会に参加する皆と話をした。参加する全員いたから、全員に伝え終わった。スムーズに話が進んで早く終わった俺は帰る支度をして校舎内を歩いていた。廊下を歩きながら外を見ると、愛が何かをしてるのを見かけたので、愛の所に向かった。

 

愛の所に向かい、周りに人が居ないのを確認してから声をかけた。

 

優心「愛、なにやってるの?……それって逆さてるてる坊主?」

 

声をかけると、愛も最初周りを見てから返事をしてきた。

 

愛「優心くん。これはかぐや様が頼んできたんだよ。いきなり作って言ってきたから」

 

優心「そうなんだ。じゃあ俺も作るの付き合うよ」

 

愛「え、いいの?生徒会は?」

 

優心「大丈夫だよ。俺の今日の仕事は終わったんだ。後は日曜に設営するからその時の指示役としての仕事をするだけだよ」

 

愛「姉妹校との交流会の事?日曜日に会場の設営するんだ…。大変そうだけど、優心くんが指示するだったらすぐ終わりそうだよね」

 

優心「でも、1日しかないからギリギリになりそうだけど、任されたから1日で終わらせないといけないけど頑張るよ」

 

愛「うん。頑張ってね」

 

優心「じゃあ、こっちは逆さてるてる坊主を作るのを頑張るか」

 

愛「そうだね。かぐや様のためだし

 

エリカ「今、かぐや様って言った!?」

 

愛と交流会の事を話してその後に逆さてるてる坊主を作ろうとした時に、愛が小声で"かぐや様"と呟いたらいきなりエリカが来た。

さっきの愛の小声の"かぐや様"が聞こえるって、いくらかぐや信者としても異常な感じがする。それに愛も嫌そうな顔してるし。

 

優心「…エリカ」

 

エリカ「あ、弦巻くん。なんで早坂さんと一緒にいるの?」

 

優心「早坂がここで何かしてたから様子を見にきたって感じだよ」

 

エリカ「そう。それで、早坂さんさっきかぐや様って言ったよね。もしかして弦巻くんを護衛してる人みたいな、かぐや様のSPだったりして。………って妄想してるんでしょう!」

 

早坂の事について言ってきたエリカは一人で妄想をし始めた。すると愛から質問をされた。

 

愛「庶務くん、巨瀬さんってバカなの?

 

優心「うーん……普段は違う…と思う。ただ、エリカってかぐや信者なんだよ。それでよく妄想したりして自分の世界に入ったりして人の話とか聞かない事が多いから、こうなったエリカは単純な感じだからバカと言えばバカなのかな…

 

愛「そ、そうなんだ……。じゃあ下手に私と四宮さんの関係に関して警戒しなくてもいいの?

 

優心「うん。ただエリカと、あとかれんの二人の妄想って異常で、妄想なのに話を聞いたかのように本当の事を言い当ててる事が多いから、それを聞いて今後話す時は動揺しないようにね

 

愛「わかった

と話してるとまた一人やってきた。

 

かれん「早坂さんがいるなんて珍しいですね」

 

エリカ「かれん!早坂さん、かぐや様のファンみたいですよ!」

 

かれん「あら、早坂さんとかぐや様とは正反対な性格のため意外ですね」

 

エリカ「持ってない物に憧れてるってやつだよ」

 

愛「違うって!」

 

優心「エリカとかれん、早坂の話を聞いてあげてよ」

 

二人だけで盛り上がってるエリカ達に、一声を掛けると話すのをやめた。

 

かれん「でも優心さん、早坂さんがかぐや様のファンと聞くと当然びっくりしますよ」

 

優心「だから早坂はファンじゃないんだって。単なるエリカの聞き間違いで勘違いだよ」

 

かれん「でもどうなんですか?早坂さん」

 

早坂「(実際は、様づけで呼んだし近衛だから巨瀬さんが言った護衛は合ってるけど、バレない方がいいし優心くんがフォローしてくれたから)……庶務くんの言った通り巨瀬ちんの勘違いだよ」

 

かれん「え、そうなんですか。本当にエリカの勘違いなんですね…」

 

エリカ「でも本当に早坂さん、かぐや様って言ったわよ❗かぐや様の名前を私が聞き間違いするわけ無いでしょう!」

 

愛が違うと言ったのでエリカはグチグチ文句を言っていたが、愛はそれを無視してかれんに質問をした。

 

愛「そいや紀ちんって、四宮さんを見ては何かメモしてるよね。何書いてるの?」

 

かれん「あ、い…いや何でもないですよ……。そ、それより私の事よりお二人に前から聞きたいことがあったんです」

 

愛(チッ)

 

愛に質問をされてあたふたしたかれんは俺達に聞きたいことがあると言って話を変えてきたが、取り敢えず話を聞いた。

 

優心「露骨に話を変えたね。…で、何か聞きたいの?」

 

かれん「お二人はお付き合いされてるんですか?前に二人を見かけたときより、親密になってるようですし一緒にいる所を去年から見ることが多いので」

 

かれんが聞いてきたのは、俺と愛の関係だった。でも学校の皆には秘密にすると愛と約束しているので、"それは無い"と答えた。

 

かれん「本当ですか?誰にも言わないので教えてくださいよ」

 

優心「教えるも何も違うからね。前に遊びに行ったからそこで前より仲良くなっただけだよ(実際はそこで付き合ったけど)。つばめ先輩みたいな感じと同じだよ。別に不思議じゃないよ」

 

かれん「そうですか。本人達が言うんですから、お付き合いはされてないんですね」

と、聞かれたので"うん"と答えた。

 

かれん「そうだ、優心さんに相談したいとかいうメッセージが私達の所に来てるので、優心さんの都合がいい時にでも部室に来てくださいね」

 

優心「分かった。行ける時に行くよ」

 

返事を聞いたかれんは、エリカと一緒にマスメディア部の部室に戻ると言って戻っていった。二人が見えなくなると愛が話しかけてきた。

 

愛「はぁ~、優心くんのお陰でバレなかったから良かった。でもよく慣れてるね、あの二人のテンションに」

 

優心「まぁ、かれんが少し言ってたけど相談を受けたりしてると、二人に手伝ってもらったりとかしてるから関わるんだよね」

 

愛「確かにあの二人と一緒にいるの見かけたりしたけど、それが理由だったんだね」

 

話してると帰る時間になったので帰る事になった。愛はかぐやさんと帰るため別れた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

その日の夜、自分の部屋で愛と電話で話をしていた。

 

愛『…で、かぐや様が中々メールをしなくて、電話をすればって言って、やっとしてくれたんだよね』

 

優心「それで、電話をしたら会長のお父様が電話に出て、本人に代わったと思ったらお風呂に入りながら電話をし始めたって事ね」

 

愛『そうそう。かぐや様にその事を言ったら顔を真っ赤にしてたけどね』

 

優心「まぁ、真っ赤にするよ。電話で分かってるのに他の人、愛から言われたらより一層恥ずかしがるよ」

 

愛『まぁ、確かにね』

と話をしていたが、そろそろ時間が遅くなってきた。

 

優心「そろそろ時間だし電話切るね」

 

愛「うん。また来週ね」

 

と、言いお互いにまた月曜日にと言って切った。

 

 

 



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第11話


『』で話してる時は、フランス語で話してる時です。



 

 

~優心~

 

 

月曜日、交流会の日になった。が、結局の所予想以上に準備に手間取ってしまったが、何とか準備を終わらせた。

 

校長が労いの言葉を掛けてきたが、会長がそれに対して"今度は直前に言わないでください"と言い返していた。

 

それを受け流した校長は、"楽しんできなさい"と言ってきたので会場に入った。

 

会長とかぐやさんは二人で話を始めたので、俺は二人とは少し離れた所に向かった。向かうとフランス校の生徒に話しかけられた。

 

生徒A『あの今回、お招き頂きありがとうございます』

 

優心『こちらこそ、わざわざ来ていただきありがとうございます。私は生徒会庶務をしています、弦巻優心です。よろしくお願いします』

 

生徒A『弦巻…、という事は、弦巻グループのご子息ですか?』

 

優心『え、はい。そうですけど』

 

生徒A『わぁ!お会いできて光栄です。私、弦巻グループ関連企業が出している雑貨商品のファンなんです』

 

優心『そうなんですか。わざわざ買ってくれてるのはありがたいです。お父様に伝えておきますよ』

 

生徒A『はい!よろしくお願いします。でもまさか日本の姉妹校に弦巻グループのご子息が通ってるとは思いもしませんでした。秀知院には幼稚園から通っていたのですか?』

 

優心『いえ、高等部から通っています。中学まで公立の学校に通っていました』

 

生徒A『高等部からという事は元々興味があったんですか?』

 

優心『そうですね。確かに元々興味があって、それに加え中学の担任の先生にも進められたので編入学しました』

 

生徒A『なるほど。自分の意思で入学したということですね』

 

"はい"と話してると、会長が声を掛けてきた。

 

会長「弦巻、ちょっといいか」

 

優心「?ちょっと待って『すみません、少し離れます。交流会楽しんでください』」

 

生徒A『はい。ありがとうございます』

 

フランス校の生徒に一言言ってから会長に振り返った。

 

優心「どうしたの?」

 

会長「いや、四宮と藤原がフランス語が喋れてるから居づらくなったんだ。それで弦巻の所に来たんだが、まさか弦巻も喋れてたんだな」

 

優心「昨日勉強しただけだよ」

 

会長「……昨日、勉強しただけであんなに話せたのか」

 

優心「うん。フランス語に詳しい黒服さんに教えて貰ったんだ」

 

会長「……そういえば、弦巻も天才だったな。しかも見よう見まねですぐ出来る天才でもあるんだったな。…フランス語は勉強をしたと言ってたが、普通に話せる外国語があるのか?」

 

優心「まともに話せる外国語は英語だけだよ。お母様から世界共通言語が英語だから覚えておきなさいって言われてたからね」

 

会長「なるほど。確かに英語は共通言語だから覚えといて損はないしな。だとすると弦巻の妹も英語とかの外国語は喋れるのか?」

 

優心「こころはあまり喋れないよ。授業で習うぐらいの英単語とかそういった感じだったと思う」

 

会長「じゃあ、海外行ったりした時はどうしてるんだ?」

 

優心「基本俺と一緒にいたりしてるから、こころが話したい時は俺が通訳する感じだよ。でもこころは言葉が分からなくても笑顔で仲良くなっちゃうから通訳はそこまでしたことはないけど。でもこころもちゃんと勉強すればすぐ話せると思うよ。こころも俺と同じ天才だからさ」

 

会長「ふーん。その事は弦巻のお母様とかは何も言ってないのか?」

 

優心「お母様達は何も言ってないよ。こころは人の笑顔を見るのが好きで世界を笑顔にしたいって思ってるんだ。それで"笑顔があれば言葉が分からなくても仲良くできる"って事も思ってて、お母様達はその考えを尊重してるよ。しかもその通りに仲良くなってるからそこがすごい所なんだけどね。屈託のない笑顔だから、裏表が多い所で過ごす事がある世界の要人達もこころとは自然体で過ごせてるし仲が良いよ」

 

会長「それは本当にすごいな」

 

会長と話してると、フランス校の女子生徒が会長に声をかけてきた。俺と話してた生徒とは別の女子生徒だった。

 

するといきなり罵倒し始めた。

 

会長はフランス語が分からないから、何言っているか分かってない顔をしてるけど、言葉が分かる俺は聞きたくない内容だった。てか、罵倒し始めたと思ったら人格否定し始めたし、友達にこんな風に言われてるのを見過ごせるほど心は広くない。

 

その為、俺は会長とフランス校の生徒の間に立った。

 

優心『初めまして、庶務をしている弦巻優心です。先程から日本校の生徒会長に色々と言ってますけど、まず貴方のお名前を聞いても良いですか?』

 

ベツィー『…フランス校生徒会副会長をしているベルトワーズ・ベツィーです』

 

優心『ベツィーさんですね。さてと先程から白銀会長に色々と言ってましたけど、あれって喧嘩を売ってます?』

 

ベツィー『それは……』

 

優心『会長に言ったことは、貴方の意思…本心で言ったんですか?それとも誰かにお願いされて言ったんですか?……もし自分の意思で言ったのであれば貴方をフランス校に通えないようにします。何なら……家族全員どこかに飛ばしますよ』

と、俺が笑顔でこう言うとすぐに走り出して校長の方に走り出して校長と何か話していた。

 

優心(なるほど、校長が絡んでるのか。だったら校長と少し話さないと。さっきのベツィーさんには悪いことしたかな。校長から何か指示受けたから言ってた事になるのか?まぁ、会長に言ったあれが本心かどうかは置いといて言い過ぎたから謝っておかないといけないな)

 

そんな事を考えてると校長と目があったので、俺は"ニコッ"とした。それを見た校長は何か怖がってた。

 

すると会長が話しかけてきた。

 

会長「弦巻。さっきの人となに喋ってたんだ?」

 

優心「んー、別に世間話だよ」

 

会長「でもさっき怖がってる顔で物凄い勢いで走って行ったけど」

 

優心「何か日本の怖い話、幽霊とかの話をしたら走り出しちゃった。多分怖い話は苦手だから逃げ出しちゃったんじゃない」

 

会長「……そうなのか?そんな感じじゃない気がしたが…」

 

俺は会長の言葉に"そうだよ"と返事をして、残りの時間は交流会を楽しんだ。

 

その間にベツィーさんに謝っといたが、会話をしている間、ビクビクしていたのでやり過ぎたなと思ってしまった。

 

ベツィーさんと話をした後に、三年の朝日先輩に話し掛けられた。

 

朝日「弦巻くん少しいいかしら?」

 

優心「朝日先輩どうしたんですか?先輩が会場にいるの珍しいですね」

 

朝日「マスメディア部の部員が交流会の取材に来ているんだけどね、頼んでない二人がいるの」

 

優心「あ、かれんとエリカですね。多分かぐやさんと会長がいるから取材したくて来たってやつですね」

 

朝日「そうなのよね。弦巻くんに声を掛ける前に少しチラッて見たら四宮さん達の事で盛り上がってたのよ。私が声をかけると"取材をしたい"って押しきられると思うのよ。だけど頼んでない事を任せるわけにはいかないでしょう。どうしようか悩んでるんだけど、もし弦巻くんが私の立場だったらどうする?」

 

優心「そうですね。……先輩、あの二人ってフランス語話せるんでしたっけ?」

 

朝日「いや、話せないわ。だから話せる部員にお願いしてたのよ」

 

優心「じゃあ、フランス校の生徒の取材をお願いすればいいんですよ。そうすれば取材したいっていう二人の要望に答えられますよ。取材対象は違いますけど」

 

朝日「なるほどね。その案使わせて貰うわ。ありがとう」

 

優心「どういたしまして」

 

朝日先輩からかれん達の事で相談されたので、それに答えた。

 

先輩は俺が言った案を使うと言って、会場の扉の所に向かっていった。

 

見てみると先輩が二人と話してて、二人は一瞬嬉しそうな顔をしたあとに残念そうな顔になったので俺の案を二人に言ったんだなって分かった。

 

 

少し見てから参加してる生徒の人達と話を始めた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして交流会が終わったので、俺はまず校長の所に向かった。

 

優心「校長、少し話しても良いですか?……逃げないでくださいよ。生徒が話があると言ってるんですから」

 

校長に声をかけると逃げようとしたので腕を掴んで逃げないようにすると、校長が口を開いた。

 

校長「弦巻くん…何の用ですカ?」

 

優心「そんなにビクビクしないでください。聞きたいことがあるんですよ。言わなくても分かってると思いますが、交流会中のベツィーさんの事です。会長に色々と言ってましたが、あれは校長がお願いしたんですか?」

 

校長「…えぇ、そうでス。私がお願いしましタ」

 

俺が、ベツィーさんの事で聞くと校長がお願いしたらしい。そのお願いした理由を聞くと、白銀に"学校を任せられるか"などの素質があるか試したとの事。

 

優心「でしたら、俺に何かしら教えてくださいよ。説明がないと、無関係の人間を飛ばす可能性があったんですからね。いくら友人を侮辱されたとしても、本人の意思でしたのではない以上は、俺はそんな事はしないようにしてるんですよ」

 

校長「それはすまなかったネ。もしまた試すような事があったら弦巻くンには説明をすることにしますヨ」

 

優心「頼みますよ。俺も間違い起こしたくないですから」

 

校長を話をして、会場に戻るとかぐやさんから話しかけられた。

 

話を聞くと、会長とベツィーの話してた内容の事を聞いてきたので隠すよりは話してた方が良いかなと思い、あの時の内容と俺がその生徒と話した内容とかを話した。

 

すると、かぐやさんの顔が怒った顔になったが、俺が対処してくれたことにお礼を言ってきた。

 

かぐや「弦巻くんありがとうございます。……でも流石に、家族全員を飛ばすという言葉はどんな人でも怖いですよ」

 

優心「ずっと怖がってたから申し訳ないなと思ったよ」

 

かぐや「でも、容赦なく言うからVIP枠の生徒の皆さんが弦巻くんを怒らせるなと言われてるんですよ」

 

優心「あの時はあいつの意思で俺の妹の事を言ってきたのが悪いから今回とは違うから」

 

かぐやさんが言った言葉に言い返して片付けに戻った。

 

その後、家に帰った後に愛と電話で交流会の出来事を話をしていた。

 

その他の話もしながら過ごしてから電話を切りベットに入った。





こころの外国語については、ガルパのストーリーで南の島の別荘の話(その花音のカードエピソード)で、こころが島の子供と仲が良い時に花音に言葉は分からないと言ってたシーンがあったので、ここでは喋れないという事にしています。


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第12話

 

交流会が終わり少したった日。

 

制服が夏服になって、やっと冬服から解放されたと思いながら、俺は教室で昼休みを過ごしていた。

 

すると、かれんがいきなり教室に来て腕を引っ張られた。その状態で歩いていると、マスメディア部の部室に着いた。

 

部室に入るとエリカはいなかったが、取り敢えず椅子に座るとかれんが口を開いた。

 

かれん「優心さん、何で私が部室に連れてきたか分かりますか?」

 

優心「……交流会の取材の事?」

 

かれんが俺を呼んだ理由を聞いてきたので答えると、バンッ!!と、机を叩いて大声で話し始めた。

 

かれん「その通りです!部長から取材の許可を貰えたと思ったらフランス校の生徒の取材だったんですよ!それで理由を聞いたら優心さんに相談して、その通りにしたって部長が言ったんです!」

 

優心「うん」

 

かれん「"うん"……じゃないですよ!何で部長に、そんな事を言ったんですか!?」

 

優心「朝日先輩に、"弦巻くんだったらどうする"って質問してきたし、それに部長はかれん達に頼んでないのに、会場にいたからどうしようか悩んでたんだよ。俺はそれに答えただけだよ」

 

かれん「だったら、私とエリカにかぐや様と会長の取材出来るように、進言してくださいよ。何でフランス校の生徒の取材に向かわせる事を言ったんですか?」

 

優心「だって二人、かぐやさん達の前じゃ喋るの無理じゃない?それに普通に話せても色々と妄想すると思うから、フランス校の生徒のいる場所ではかぐやさん達の取材はやめといた方がいいかなって思ったんだ。だったらフランス校の取材させれば良いんじゃないかなって思ったのが理由だよ」

 

かれん「……反論できないです。確かにかぐや様や会長と話すのは難しいです。でも、それでもやりたかったんですよ!」

 

また大声を出して話をしてきたので落ち着かせた。

 

かれんが落ち着いてから違うことを聞いた。

 

優心「そういえば、前に俺に相談したいってメッセージがきてたって言ってたけど、あれってどんなの?」

 

かれん「えっ、あぁえっとですね、恋愛相談みたいですよ。藤原さんに告白したいけど、どう告白したらいいかを藤原さんと仲がいい優心さんに聞きたいみたいですよ」

 

優心「それ、送ってきた人は誰?」

 

かれん「それが匿名希望でして、しかもこのまま返信で返してほしいと書いてますけど」

 

優心「…じゃあ、パソコン貸して。返事するから」

 

前にかれんが言っていた相談の事を聞くと、千花に告白したいという相談らしい。そのメッセージを送ってきた人は匿名みたいなのでメッセージで返事を送った。

 

かれん「何て送ったんですか?」

 

優心「ストレートに告白をする。ただそれだけ送った」

 

かれん「それだけですか?」

 

優心「そうだよ。その方がいいかなと思ったんだ。でも振られるのは目に見えてるけどね」

 

かれん「何で止めないんですか?」

 

優心「止めないよ。振られるにしても好意の気持ちは伝えたほうがいいから。まぁあと匿名で相談してきてる人が、付き合えるとは思ってないのもあるけど」

 

かれん「なるほど。後半の方の、ここに匿名で相談してる人が付き合えるとは私も思ってませんけどね」

 

相談の件も話をしてると、予鈴がなったので教室に戻った。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

放課後になり、生徒会室で会長達と話していた。

 

会長「まず、先の交流会はお疲れ様」

 

会長が"お疲れ"と言ってきたのでこっちも"お疲れ"と返した。

 

会長「で、今日は事後処理をしようと思ったが、石上がしてくれた。その為、やることが無くなったから解散にしようと思う」

 

優心「石上って、事務処理とかのデータ処理系が優秀だからね」

 

会長「確かに優秀だよ。いなくなったら生徒会が困るからな。まぁ、とりあえず今日は終わりということで」

 

会長がそう言うと、千花がかぐやさんに声をかけていた。

 

千花「じゃあ、かぐやさんはお迎えの車を呼ばないとですね」

 

かぐや「それが送迎の車のタイヤがパンクしたみたいで、歩きで帰らなくちゃいけないんです」

 

優心(パンク?何で送迎の車が?……教室に愛がいれば聞いてみようかな)

 

かぐやさんの車の話を聞いて不思議に思い、愛に会ったら聞こうと思った。

 

優心「じゃあ、俺は帰るんでまた明日」

 

俺は帰ることを伝えて、先に生徒会室から出て教室に向かった。A組に入ると愛が帰る準備をしていた。

 

時間が時間なので、教室には他生徒は誰もいないので下の名前を呼び、この時間に帰る準備をしてるのか聞いてみた。

 

優心「愛がこの時間で帰る準備してるの珍しいね。いつもだったらかぐやさんが帰る時には準備が終わってて、すぐ帰れるように待機してるのに」

 

愛「今日、かぐや様は会長と相合傘で帰るつもりみたいだから、放課後は自由にしていいって言われたんだ。…逆さてるてる坊主は、相合傘のために私に作らせてたみたいだよ。前に、優心くんにも手伝って貰ったやつ」

 

優心「あれって今日のためだったんだ……。ここまで準備に掛けるんだったら、告白した方が早いような気がするけど。…送迎の車のタイヤがパンクしたって言ってたけど、あれも相合傘の為?」

 

愛「告白は本人に言っても意味ないよ。送迎の車もかぐや様がやってたよ」

 

優心「パンクさせるって凄いな…。……愛、この後時間があるんだったら、寄り道というか何処か行かない?愛の行きたい場所で」

 

愛「行きたい場所か……。だったら、優心くんと初めて遊んだ時に寄った羽沢珈琲店に行きたい。あそこの珈琲気に入ったからまた飲みたい」

 

帰る準備をしていた愛は、かぐやさんが今日の放課後は自由にしていいと言われたらしい。それを聞いた俺は寄り道を提案をした。すると羽沢珈琲店に行きたいと言ってきた。

 

優心「分かった。でも雨すごいから車で行くことになるけど良い?」

 

愛「いいけど、優心くんいつもは電車通学だよね?車の準備とか、待機とかもしてないんじゃないの?」

 

黒服(華)「優心様、お車の準備出来てます。愛様もどうぞ」

 

優心「ほら、大丈夫だよ。黒服さんが準備してくれてるから」

 

愛「う、うん。そ、そうなんだね(弦巻家の使用人は凄すぎる…。車は何処かで待機してたって事…だよね)」

 

優心「愛、どうしたの?……行かないの?」

 

愛「あ、うん。行くよ」

 

愛に声をかけて車の所に向かった。校門の近くだと帰宅中の生徒が何人かいるので、車に乗るときだけ別々の場所で乗り、商店街に向かってもらった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~車の中~

 

愛「優心くん。昼休みに紀さんに手を引かれて何処かに連れて行かれてたけど、どこ行ってたの?」

 

車の中で、愛に話しかけられたと思ったら昼休みの事を聞かれた。かれんに連れていかれたのを見られてたみたいだ。まぁ同じクラスだから当たり前だけど。

 

優心「マスメディア部の部室だよ。この前の交流会の事で聞きたいことがあったみたいで、それに答えただけだよ」

 

愛「何を聞かれたの?」

 

部室に行ったというと、話の内容の事も聞かれた。隠すような事は無いので、かれんと話した内容(かぐやさん達の取材の事など)を伝えた。

 

愛「そっか、良かった」

 

優心「…もしかして嫉妬してたの?」

 

愛「…恋人同士を隠してるから仕方ないけど、やっぱり彼氏が手を引かれて何処かに行くと嫉妬するよ……」

 

優心「それはごめん」

 

頭を撫でて嫉妬させた事を謝った。

 

愛「ん…。謝るんだったら、また今度頭撫でて。他の女子と話すの良いけどやっぱり嫉妬しちゃうと思うから、二人で一緒にいる時とかに撫でて」

 

優心「え、それで良いの?てか撫でて大丈夫だった?」

 

愛「うん、それでいい。それと何か優心くんの撫で方が気持ちいいし落ち着くから大丈夫だよ」

 

優心「分かったよ」

 

そう返事をした。

 

ーーーーーーーーー

 

 

~商店街・羽沢珈琲店~

 

 

商店街に着いたので、珈琲店に入った。

 

つぐみ「いらっしゃいませー。あっ!優心さんこんにちわ。それと愛先輩もいらっしゃいませ」

 

優心「こんにちわ、つぐみちゃん。今日二人だよ」

 

愛「どうも。つぐみ」

 

つぐみ「はい!じゃあお席に案内しますね❗」

 

お店に入ると、つぐみちゃんが応対してくれたので挨拶して席を案内してもらった。

 

席に案内してもらい注文をして、しばらくして注文したのがきた。

 

愛「……やっぱりここの珈琲美味しい」

 

つぐみ「本当ですか!ありがとうございます。そう言ってくれると嬉しいです」

 

優心「つぐみちゃん、前に愛と二人でここの近くの公園に遊びに行った時に来たんだけど、その時に気に入ったんだよ。それでまた飲みたいって思ってたから連れてきた感じだよ」

 

つぐみ「そうなんですね。また飲みたいって言ってくれると本当に嬉しいですよ。コーヒーを淹れてるお父さんも喜びます」

 

優心「マスターにも伝えといて」

 

俺がそう言うと"はい❗"と、いい笑顔で返事してくれた。

 

客「すみませーん」

 

つぐみ「はーい、今伺いまーす。じゃあ失礼します」

 

愛「つぐみ、元気いっぱいだよね」

 

優心「それにがんばり屋さんだよ。…しばらくここで過ごす?」

 

愛「そうする。かぐや様の事で、別邸や学校じゃゆっくりする事が中々ないし、のんびりしたいからもう少し過ごすよ」

 

"分かった"と答え、珈琲店でのんびりと過ごした。

当然だがお店で過ごしてると、バンドの子達が来たりするので来た子達と愛と一緒に話したりしていた。

 

 

しばらく過ごしてから帰ることになったが、帰る前に向かいのやまぶきベーカリーに寄って、おすすめのパンとかを教えた。その後黒服さんに車で愛を別邸まで送るようにお願いして俺は家に帰った。

 





次回の話は、今回書いた放課後の早坂視点の話を一話書いて投稿するつもりです。


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第13話


十二話の早坂視点です。


 

~早坂視点~

 

 

昼休み教室でいつもの二人と話していると、いきなり教室のドアが大きい音で開いたので、ドアの方を見ると紀さんだった。

 

入って来たと思うと優心くんの手を引っ張って行ってしまった。

 

三鈴「弦巻くん、今度は紀さんに連れていかれちゃった」

 

すばる「てか、最近弦巻くんって紀さんといるの多くない?」

 

三鈴「言われてみればそうだよね。何でだろう?早坂は何か知ってる?」

 

愛「前に聞いたことあるけど、庶務くんって色んな人から相談受けてるでしょう。その時にマスメディア部に手伝って貰ったりしてるから、行動するのが多いって言ってたよ」

 

三鈴「なるほどね~」

 

愛(でも、手を引かれる状態でもやっぱり嫌だな~。……あれも相談とかの話なのかな?嫉妬してるし少し不安になってきたから放課後にでも優心くんに聞いてみようかな)

 

優心くんに嫉妬をしながら、昼休みを過ごした。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

放課後になり、今日はかぐや様から自由にしていいと言われたので帰る準備をしながらどうしようかと悩んでいた。

 

愛(自由にしていいって言われたのに、このまま帰るのはさすがに無いからほんとどうしよう…。優心くんに声かけようかな)

 

何をしようか考えていると、ガラッ❗と扉の音が聞こえたので音のした方を見ると優心くんだった。

 

その為昼休みの事を聞こうとしたけど、優心くんは私がここで帰る準備をしていることに驚いていた。

 

優心くんにその事を聞かれたので答えると、私の行きたい場所でどこか寄り道しないかと聞かれた。

 

愛(んー、私の行きたい場所か。あ、珈琲店にまた行きたいって思ってたんだった。かぐや様といると中々行けないからこの時ぐらいじゃないと行けないし)

 

聞かれた私は前に行った商店街の羽沢珈琲店に行きたいと言うと、雨が凄いため車で行く事になった。

 

愛(あれ?でも確か優心くんは電車通学だったはず。車はないはずだと思うけど)

 

優心くんに車の事を聞くと、黒服の人が出てきて準備が出来てると言ってきた。

 

愛(何処かに車を待機させていたってこと?でも一体何処に?この辺りはあまり駐車場は無いし、停めてたとしても優心くんが言ったそばから、すぐに対応が出来るとは思えないのに……)

 

優心「愛、行かないの?」

 

愛「あ、行くよ」

 

考えてると優心くんに呼ばれたのですぐ考え事をやめて車の所に一緒に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

~車の中~

 

二回目だけど弦巻家の車は慣れないと思いながら、優心くんに聞きたいことを聞いた。

 

愛「昼休み、紀さんに引っ張られてどこに行ったの?」

 

私が聞いたのは昼休みの事だ。

 

昼休みに教室にいると、紀さんが扉を開けて入ってきたと思うとすぐに優心くんを連れていってしまったので、何処に行ったのか気になってしまったのだ。

 

簡単に言えば嫉妬だった。周りに付き合ってることを隠してるから手を繋ぐことが簡単に出来ないから、手を引かれてた所を見て嫉妬してしまったので聞いたんだ。

 

何処に行ったか聞くと、マスメディア部の部室に行ってたらしい。

 

何でもかぐや様の取材をしたかったのに、フランス校の生徒の取材をすることになったことに対しての事を、話をするために優心くんを部室に連れていかれたみたいだった。

 

それを聞いた私はホッとした。ホッとしてると優心くんから"嫉妬してたの?"と聞いてきたので"仕方ないとは言えしてた"と答えた。

 

すると優心くんが頭を撫でながら謝ってきた。

 

愛「(優心くんの撫で方優しい……何か安心する。ママの撫でか方とは違うし、また撫でて欲しい感じがする)謝るんだったらまた撫でて」

 

私がそう言うと"撫でても大丈夫か?"と聞いてきたので"大丈夫"と答えると優心くんは"分かった"と返事をしてくれた。

 

愛「優心くんって撫で方優しい。撫でるの慣れてる感じがするんだけどこころに撫でてあげてるの?」

 

優心「そうだよ。ライブ見に行った時にこころが俺に抱きついてきてたでしょ。抱きついてくる時に撫でてあげることが多いんだ。それに小さい時からそうだったよ」

 

愛「妹に撫でてあげてるから優しいし安心する撫で方なんだね」

 

優心「そうかな?」

 

愛「そうだよ」

 

と商店街に着くまで優心くんと話をした。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

~商店街・羽沢珈琲店~

 

 

商店街に着いてお店に入ると、アフターグロウのキーボードをやってるつぐみが応対してくれた。前にライブを見に行った時につぐみとメンバーのひまりに声を掛けてきてくれてから仲良くなったんだ。

 

つぐみの案内で席について注文してコーヒーがきてから優心くんから"しばらくここで過ごす?"と聞かれたので"そうする"と答えた。

 

しばらく過ごしてると、お店の入り口から聞き覚えの声が聞こえてきた。

 

ひまり「つぐー」

 

つぐみ「ひまりちゃんいらっしゃい。他の皆は?」

 

ひまり「もう少しで来ると思うよ。って優心さんと愛先輩がいる!」

 

入り口を見てみると仲良くなったひまりだった。ひまりは私達を見るとすぐに近づいてきた。

 

ひまり「ねー、つぐ。テーブルくっ付けてもいい?」

 

つぐみ「うん。これからお客さんも少なくなるから、くっ付けて大丈夫だよ。……皆が来たら私もそっちに行くから」

 

ひまり「分かったー」

 

私達の所に来たひまりはつぐみに許可を貰ってからテーブルをくっつけていた。その間に他のメンバーがきて、つぐみは皆が注文したのを持ってきて席に座った。

 

モカ「まさか愛先輩がいるとは思いませんでしたな~。優心くんは休日に見かけたりするからいつもの光景だけど~。……そうだ~優心くん~……」

 

優心「モカ、何?」

 

ひまり「愛先輩もしかして、デートですか~?」

 

ひまりがニヤニヤとしながら私に聞いてきた。

私はデートなのかな?と思って優心くんの方を見るとモカとやまぶきベーカリー?のパンの話をしていた。話をしていたが優心くんの制服の袖を摘まんで引っ張った。

 

優心「どうしたの?

 

愛「ひまりに今日の事デートなのか聞かれたんだけどデートって答えてもいい?

 

優心「勿論。放課後デートだよ。まぁ俺がデートってはっきり言ってなかったってのもあるけど

 

愛「分かった。……うん。デートだよ」

 

私がそう言うとひまり達はビックリした顔をしていた。

 

愛「どうしたの?」

 

ひまり「え、だって耳に近づいて小声で何か話してたから…」

 

巴「それに二人の距離感がライブ見に来てくれた時より近いような気がしたんですけど」

 

蘭「…二人って付き合ってるんですか?」

 

蘭に単刀直入に聞かれたから答えようとしたら優心くんが答えてくれた。

 

優心「うん、そうだよ。愛と付き合ってるよ」

 

愛「ちょっ…いきなり頭撫でないでよ」

 

優心「学校じゃ付き合ってる事をクラスの皆に伝えてないから出来ないし、二人きり以外だとこういう時ぐらいじゃないと撫でれないからさ」

 

愛「うぅ~」

 

モカ「おぉ~、中々のイチャイチャカップルですな~」

 

つぐみ「……うん。見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうね…」

 

ひまり「うん。そうだね」

 

その後も皆と話をしてからお店を出た。

 

お店を出ると優心くんがおすすめしたいお店があると言って案内してくれた。付いていくと羽沢珈琲店の向かいにあるやまぶきベーカリーだった。

 

愛「ここってさっきモカと優心くんが話してたパン屋さん?」

 

優心「そうだよ。ここのパンは凄く美味しいから愛に食べて欲しかったんだ」

 

優心くんがそう言いながらお店の中に入っていった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~やまぶきベーカリー・店内~

 

 

 

中に入ると、沙綾がいた。

 

愛(そういえば、名字も山吹だったしパン屋をやってるって言ってたっけ…)

と考えながら、好きなパンとかを聞いてみた。

 

愛「優心くんの好きなのとかおすすめのパンってどれ?」

 

優心「チョココロネだよ」

 

沙綾「優心先輩はチョココロネが大好きなんですよ~」

 

愛「へ~。……あれ?今日は無いけど」

 

沙綾「それは優心先輩の他に二人チョココロネが大好きな人が買っちゃったんで無いんですよ」

 

優心「りみとモカの二人だよ」

 

愛「あの二人が?」

 

沙綾「そうなんですよ。りみもモカもチョココロネ大量に買うからね。他のお客さんにチョココロネ三兄妹ってあだ名で言われてましたよね、優心先輩」

 

優心「結構恥ずかしいから言わないでよ、沙綾」

 

沙綾「それぐらい買ってるから言われてるんですよ」

 

愛「あだ名が付けられるほど好きなんだ……」

 

優心「だって美味しいから仕方ないじゃん。……それより愛は食べたいパンとかある?」

 

愛「えっと、話聞いてチョココロネが気になったけど無いみたいだし、他のパンでおすすめある?」

 

優心「同じ菓子パン系だったらメロンパンかな。クッキー生地のサクサクとパン生地のふわふわが凄くバランスがいいんだよね。他のパン屋よりここの方が俺は好きだし」

 

優心くんにパンの事を聞いたらメロンパンを言ってきたので買うことにした。

 

愛「そうなんだ。じゃあメロンパンを買おうかな…」

 

沙綾「ありがとうございます♪」

 

私は優心くんが言ってたメロンパンを買った。買った後お店を出た。

 

優心「じゃあそろそろ帰るか」

 

愛「そうだね。ちょうどいい時間だしね」

 

帰ることになり、また車で送ってもらうことになったので車に乗った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

車に乗り目的地に着いたので降りたので、運転をしてくれてた黒服さんに聞きたいことを聞いた。

 

愛「(運転も専属の人じゃなくて黒服の人なんだ…)あの、優心くんに車で行くって聞いた時に気になったんですけど、優心くんは電車通学ですよね?車って用意していたんですか?」

 

黒服「勿論用意しておりました。電車が止まる場合もありますし、今回のように豪雨になる事もあるので常に準備しております」

 

愛「…凄いですね。そこまでしてるんですね」

 

黒服「えぇ。優心様やこころ様の願い…要望を叶えるためです」

 

愛「最近の例だと何の要望をこたえたんですか?」

 

黒服「そうですね……。最近ですとこころ様の話になりますが、学校からのお帰りに山へと寄り道…行きたいと仰ったので自家用のヘリを手配しまして対応しました」

 

愛「え?」

 

例を聞いたら開いた口が塞がらなかった。……内容を聞いた時一瞬なに言ってるのか分からなかった。内容を理解して分かったのは弦巻家に仕える人達は盲従な所があるってことだけだった。……取り敢えず質問に答えてくれたのでお礼を言って家に入った。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

仕事を済ましてからかぐや様の部屋で会長との出来事を話をしていると私の話になった。

 

かぐや「そういえば、今日は自由にしてていいって言ったけど早坂はどうしてたの?」

 

愛「優心くんと一緒に、優心くんの家の近所にある商店街の珈琲店に行ってました」

 

かぐや「珈琲店?そのお店って弦巻グループがやってるお店?」

 

愛「いえ、優心くんとこころの友達の家ですよ。チェーン店じゃなくて自営業でやってるお店です。でもコーヒーも食べ物も美味しかったので、また行けて良かったです。優心くんが中学の時から通ってるみたいですけど、通う気持ちも分かるほど美味しかったです」

 

かぐや「早坂や弦巻くんがそう言うから、少し気になるわね…」

 

愛「じゃあ、今度優心くんに話しときましょうか?優心くんに言えば、喜んで連れて行ってくれますよ」

 

かぐや「じゃあ、いつか弦巻くんに言ってみましょうか。私から聞ける時に聞くから早坂からは言わなくても大丈夫よ」

 

愛「分かりました」

 

かぐや様と話をして、自室に戻った。

 

愛(疲れた~。あ、そうだ。折角買ったメロンパン食べよう。………あ、美味しい)

 

かぐや様とな話し相手や、仕事をして疲れたので自室でやまぶきベーカリーで買ったメロンパンを食べた。食べてみると美味しかった。

 

愛(優心くんが言う通り美味しい。他のお客さんも沢山来てたから、美味しいのは当たり前か。でも優心くん色んなお店知ってる感じだし、優心くんとまた出掛けたら楽しい場所とか美味しいお店とか行けるってことだよね。優心くんと付き合えてよかった)

 

優心くんと付き合えて良かったと思いながらメロンパンを食べた。

 

その後優心くんにパンの感想を電話で話したりして、ベットに入り寝た。

 



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第14話


やっと書けました。

小説前半は秀知院での話。後半はバンドリガルパの話です。



 

~優心視点~

 

 

愛と放課後デートをした翌日の放課後。俺は生徒会室でかぐやさんといた。

 

優心「かぐやさん、この間言ってた書類の1枚見つかりましたよ」

 

かぐや「ありがとうございます。どこにありました?」

 

優心「棚にあるファイルに挟まってましたよ。あのファイル、千花が整理してたやつなんで多分間違えた感じですね」

 

かぐや「そうですか。藤原さんそういう所がありますしね。まぁ見つかってよかったです」

 

かぐやさんと話していると、生徒会室の扉が開いた。入ってきたのは仕事モードの愛だった。

 

愛「かぐや様、お帰りの時間です」

 

かぐや「……早坂、生徒会室に来ないでって言ってるでしょう」

 

愛「かぐや様と優心くん以外の生徒会メンバーはお帰りなのは確認済みです。それに優心くんの黒服の人にも協力して貰ってますので、ここに人が来ることはないですよ」

 

かぐや「そうだとしても万が一があるでしょう」

 

優心「かぐやさん、黒服さんが関わってる以上は大丈夫だよ」

 

かぐや「それでもですよ。……それより早坂最近気が緩んでるんじゃ無いの?その服装どうにかならないの?」

 

愛「学校ではこの格好で過ごして主従関係がバレないようにしてるんですよ。多少校則の穴をついてますが」

 

かぐや「でも弦巻くんと付き合ってるのですから、本当にどうにかならないの?」

 

愛「学校の中だけですよ。この間の休みに会った時はこの格好はしてないですよ。それにクラスの人には付き合ってることは話してないので、皆から何か言われることはないので問題ないですよ」

 

優心「そうそう。生徒会のメンバーにしか話してないよ」

 

かぐや「二人がそう言うのでしたらいいですが。……しかしそれで校則の多少の穴…ね」

 

愛「かぐや様が固すぎるんですよ。見た目だけの女性にチャンスを取られたくないでしょう。それに優心くんの友達の女子たちは可愛いし性格も良いので、もし会長が優心くんの女友達に会って取られたらどうしますか?(実際香澄たちはいい子だからそんな事は無いと思うけど)」

 

優心(ズバズバ言うな~)

 

しばらく、愛のズバズバ言うのを見ているとネイルの事をかぐやさんに話し始めた。

 

かぐや「それをすれば会長……じゃなくて弦巻くんとか他の男子も振り向くの?」

 

愛「よくそのボロの出し方でやってこれましたね」

 

優心(確かに)

と共感した。

 

愛「それより優心くんの名前出さないでください。私の彼氏なんですし、何よりかぐや様がネイルをしたぐらいで振り向くと思わないでください」

 

かぐや「さっき言ってることと違わない⁉️」

 

愛「私が言ってるのは、優心くんが振り向かないって事だけですよ。他の男子だったら…(いや男子受けはあまりしないって雑誌で見たから振り向くのは無いかな。でもおしゃれはさせたい)……とりあえず教えますので帰りましょう」

 

かぐや「教えてくれるの?でもいきなり何で?」

 

愛「いいから。……優心くんじゃあまた明日ね」

 

優心「う、うん。また明日…」

 

かぐやさんに話してると思ったらいきなり黙ったので、どうしたのかと思ったがすぐ家に帰っていったので俺も帰る支度して家に帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~翌日・昼休み~

 

 

翌日の昼休みに学校の中庭でベンチに座り過ごしてるとスマホがなったので出た。

 

優心「もしもし」

 

皐『あ、優心様。久しぶり』

 

優心「久しぶり、(さつき)。そっちから電話をしてくるって事は一段落したってこと?」

 

皐『そうそう。やっと旦那様と奥様の護衛の仕事の研修が一段落したよ。って言ってもまだあるけどね』

 

優心「そっか、でもご苦労様。大変だった?」

 

皐『大変だよ。教えてくれる先輩の黒服の人厳しいよ。でもちゃんと私の事を見てくれてるっていうのが分かるから頑張れるよ。……まだあるけど、早くこころ様に会いたいしナデナデしたいよ~』

 

優心「まぁ会ったら撫でてあげてよ。……いつぐらいに家に戻るのかはお父様から聞いてるの?」

 

皐『えっと、旦那様からは7月中とか言ってたからそれぐらいだと思う』

 

優心「分かった。帰ってくるの楽しみにしとく」

 

皐『うん。じゃあ戻るよ』

 

優心「うん」

 

電話を切ると、いつの間にか隣に愛がいた。

 

優心「あ…早坂、いつの間にいたの?」

 

愛「いや少し前にきたよ。庶務くんを見かけたからここに来たんだけど電話してたみたいだから終わるまで待ってた」

 

優心「なるほど」

 

愛「それで誰と電話してたの?」

 

優心「黒服の人だよ。俺と同い年の女子」

 

愛「え?同い年…の黒服の人?」

 

優心「そう。中卒で使用人として雇われたんだ。それでお父様達の所で護衛の研修してて一段落したから電話をして来た感じだよ」

 

愛「優心くんと同い年で中卒だと去年の4月から黒服になったって事だよね?」

 

優心「そういうこと。去年からだから1年と少しはお父様達の所にいるね。たまに電話してきてくれてたけど、最近は無かったんだよね」

 

愛「そうなんだ。その子は、グループ会社の偉い人の子供だったりする子なの?」

 

優心「ううん。全然違うよ。そもそも関係者の子供だからとかは関係ないよ。……本当は勝手に言うの駄目なんだけど、中学の時は不良だったんだ」

 

愛「え、そうなの?でも何で不良だった人が黒服に?」

 

優心「色々訳ありだよ。その辺は勝手に喋らない方がいいかなって思ってるから言えないよ」

 

愛「そっか。でも同い年で黒服の人は気になるな~。会ってみたいかも……」

 

優心「一応、7月中に家に戻るみたいだから戻ってきたら教えるよ」

 

愛「よろしく」

 

愛と暫く話してると、かれんとエリカが話しかけてきた。二人は、愛のネイルの事で話をしに来たみたいだった。二人は校内新聞でネイルの事を取り上げるみたいで聞きに来たとの事。

 

愛は内容を聞いて凄く慌てて内容変更をさせようとしていたので、俺もフォローをしつつ最終的にかぐやさんがネイルをしている事を出して何とか出来た。

 

それで時間が過ぎ予鈴がなったので教室に戻った。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~放課後~

 

生徒会室にいると、かぐやさんがソワソワしながら会長近くにいた。

 

優心(かぐやさん、会長に気づいて欲しくてアピールしてるな……。会長は、ん~……。何となく気づいてる感じかな。まぁ会長の目の高さに爪を持ってきてるから気づいて当たり前か)

 

かぐやさんが千花と優の二人には気付かれないように会長にネイルをアピールしていた。

 

優心(でも、全然気づいてないふりしてるな~)

 

でも会長は気づいてないふりをしていたので、ただ時間が過ぎていった。

 

 

そして下校時間になったので帰る支度をして校門の所に向かうと、会長がかぐやさんになにか言ってる所だった。

 

会長「四宮……そのつ……つ、爪……何でない」

 

かぐや「え!もう何て言おうとしてたのよ」

 

会長は褒めようとしてたが言えずに帰っていき、かぐやさんは会長が何を言おうとしてたのか分からずじまいだった。俺は二人に声をかけた。

 

愛「あ、庶務くんお疲れ」

 

優心「うん。早坂もお疲れ。」

 

かぐや「弦巻くん、会長は何を言おうとしてたか分かる?」

 

優心「(分かるけど教えない方がいいと思うから)ごめん、分からないかな」

 

愛「私も分からないですし帰りましょうか」

 

かぐや「えぇ~……分からないからモヤモヤしますよ。何で二人して分からないってあるのよ……」

 

かぐやさんがそう言ってきたが、それに苦笑いしながら家に帰った。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~翌日・土曜~

 

 

翌日の休日、俺はお母様と一緒にこころが通ってる花女にいた。いる理由は今日は花女の体育祭なのでこころから来てと頼まれた為だ。

 

お母様も昨日の夜に帰ってきた。二人で見に行くとこころに伝えると、凄く喜んでくれた。

 

朝、学校に向かい見やすい場所を探して、見つけた場所で始まるまで待っていた。

 

待っていると、横から声をかけられたので、声がした方を見ると沙綾のお母様の千紘さんだった。後ろに沙綾の弟の純と妹の沙南の二人もいた。

 

純「兄ちゃんも来てたんだ!」

 

沙南「お兄ちゃん、久しぶりー!」

 

純と沙南の二人は俺を見るなり抱き付いてきた。お母様と千紘さんは二人で話をしていた。

 

優心「二人とも来てたんだね。沙南は久しぶり」

 

沙南「うん!また今度公園で一緒に遊ぼ!」

 

純「あ、沙南ずるい。じゃあ俺も遊ぶ!」

 

優心「分かった分かった。また今度ね」

と元気いっぱいの二人と話を少しすると、そろそろ始まるとアナウンスが聞こえた。

 

アナウンスから少しして花女の体育祭が始まった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

競技が始まり時間が経ち、今はお昼になった。ぞろぞろ生徒は友達と集まってお昼を食べる人、家族のところで食べる人で分かれ始めた。

 

学校が違う薫さん以外のハロハピメンバーは、こころに連れられ俺とお母様の所に来た。

 

そのハロハピメンバーと他バンドメンバーも一緒に来たので結構な大所帯になってしまったが皆で持ってきた弁当を分けあって食べることになった。

 

今はそれぞれご飯を食べながら話をしていた。

 

彩「あ、優心くん。こないだのテレビ見た?」

 

そうしてると彩が声をかけてきた。出演したテレビの時の事を聞いてきたので答えた。

 

優心「うん。こないだ出てたテレビ見たよ」

 

彩「どうだった?」

 

優心「また途中で噛んじゃってたよね(笑)」

 

彩「もう!笑わないでよ~」

 

優心「だって仕方ないじゃん。大事な場面、告知の時に噛んじゃうんだから。でもそこが彩らしいけど」

 

彩「私も気を付けてるんだけど」

 

噛んでしまった所を言おうとした時に、少し笑いながら言っちゃったので反論されたが、そこが彩らしいと言っといたけど、本人は納得してない感じだったが。

 

千聖「もう優心くん、彩ちゃんをあまりいじめないでくれる?」

 

すると千聖さんが話に入ってきた。

 

優心「いじめてるつもりはないよ。千聖さん」

 

千聖「そうだったらいいけど。……そういえば最近秀知院ではどうなの?」

 

彩「秀知院?……え?優心くん偏差値77のお金持ち学校に通ってるの!?」

 

優心「あれ、彩にも教えてなかったっけ?」

 

彩「……あれ?」

 

千聖「彩ちゃん……前に教えて貰ったわよ」

 

彩「え……えぇぇーー!」

 

その後、彩にもう一度教えて、最近の出来事で交流会の事などを話した。

 

話してる途中にこころが"お兄様ー"と叫んでこっちにきて少しハチャメチャになりかけてしまった。

 

ーーーーーーーーー

 

お昼が終わり、午後の競技を見た。

 

最後にリレーでこころや香澄などの皆がはぐみとなにか話してたが、リレーが始まったがアンカーのはぐみが凄く速く走って一位でゴールして体育祭が終わった。

 

 

帰りはお母様はそのまま仕事に戻っていったので、俺はこころと一緒に帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~弦巻母・心美視点~

 

 

お昼、こころのお友達……バンドの仲間と一緒にお昼食べている。こころと優心から話は聞いているから初めて会った気はしないわね。

 

美咲「それにしてもこころのお母さん、本当にこころと似てるよね。こころが落ち着いた大人になった感じがする」

 

花音「美咲ちゃん、そうだね。美人で大人の女性って感じだよね」

 

私が一人で皆を見ていると、バンドの子の二人が私の話を始めたので声をかけた。

 

心美「確かハロハピの美咲ちゃんと花音ちゃんよね。いつもこころと一緒にいてくれてありがとうね」

 

美咲「うぇ!いやまぁ何と言うか……成り行きで一緒にいることになったって言うか……」

 

花音「そ、そんなお礼を言うなら私の方と言うか……こころちゃんには感謝してるので…。こころちゃんから…勇気を貰ったので…」

 

私がそう言うと、美咲ちゃんは正面からお礼を言われるのに慣れてないのか照れていて、花音ちゃんはお礼を言ってきた。

 

心美(美咲ちゃんは…素直になりきれてない感じの子なのは優心の言う通りね。成り行きって言いながら一緒にいてくれてるから…確かにいい子ね。花音ちゃんはこころから良い影響受けてる感じね)

 

私は二人を見てそう思ってから、一つお願いをした。

 

心美「まぁ、こころと一緒にいると大変かも知れないけど、バンド五人で仲良くしてくれると嬉しいわ」

 

そう言うと二人は頷いてくれた。

 

こころ「お母様はなに言ってるのかしら?ハロハピは六人よ。あとミッシェルもいるの!ほんとはお母様に会って欲しかったけど学校の体育祭に行けないって言われちゃったの…」

 

美咲「ちょっ!こ、こころ、それは……」

 

花音ちゃんと美咲ちゃんの二人にお願いを言った後、いつの間にか私のそばに来ていたこころが、ミッシェルの事を伝えてきた。

 

そしてこころの言葉に美咲ちゃんが狼狽えてる感じでこころに声をかけていた。私はその二人の様子を見ながら、こころの言ったことに答えてあげた。

 

心美「ふふ、そうだったわ。六人いるって言ってたわよね。会うの楽しみにしとくわ」

 

こころ「えぇ楽しみにしてて❗……そうだ!お兄様ー」

 

そう言ってこころは優心の方に行った。"……本当あの子は優心の事が好きね~"と思ってると美咲ちゃんが声をかけてきた。

 

美咲「あ、あの~、心美さん?ミッシェルの事なんですけど……」

 

心美「大丈夫よ。ミッシェルはキグルミで、実際は美咲ちゃんなのは優心から話を聞いて知ってるから、安心して良いわよ」

 

美咲「そ、そうですか…、分かってくれる人がいて良かった~」

 

花音「美咲ちゃん……良かったね」

 

心美(こころはハロハピの全員の事も好きみたいだけど、特に美咲ちゃんの事が好きみたいね。話を聞いてると美咲ちゃんの話が多いし好きなのが凄く分かる。美咲ちゃんは優心の言う通り将来こころの秘書になりそうね。他のメンバーもこころ達を支える大事な人達になるわね)

 

私はそう思いながらお昼は他のバンドの子達とも話をしながら過ごした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

体育祭が終わった後は、優心とこころの二人の頭を撫でて秘書の仕事の方に戻った。

 



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第15話


1日に二話目の投稿です。

小説の初めと最後の方は秀知院での話で、小説の真ん中辺りはバンドリキャラが出ます。

前回の十四話と同様、この話も両作品のキャラが出てきます。よろしくお願いします。



 

~休み明けの月曜日~

 

 

放課後で生徒会室で過ごしていた。

 

かぐや「そういえば皆さんは勉強はどうですか?」

と、かぐやさんが話しかけてきた。かぐやさんが勉強の事で聞いてきたのは、あと少しで期末テストがあるからだ。

 

優心「大丈夫だよ。ちゃんとやってるし、問題は千花だけどね」

 

千花「ちょっと、私だってちゃんと勉強をしてますからね」

 

優心「てか、かぐやさん。俺の事そんな風に睨み付けるように見ないでくださいよ」

 

かぐや「弦巻くんは何を言ってるのかしら?私がそんな風に見るわけないでしょう。(次こそ弦巻くんより上に……最低でも二位にならないと、弦巻くんより上に行けない。そして会長も抜ければ)」

 

優心(本当、テストの事になると睨まれるのは慣れないな。順位がかぐやさんより上だから仕方ないといえば仕方ないけど……)

 

会長(四宮はいつも弦巻より1つ下の三位だからテストの時期になるとあんな風になるんだよな。そういう俺も前回弦巻に負けて二位になってしまったから今回こそは一位ににならないと)

 

優心「(今日は生徒会でやることないしさっさと帰ろうかな)会長今日はもう帰りますね」

 

会長「あ、あぁ分かった。またな」

 

会長達に声をかけてから早めに家に帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

早めに学校を出たのでいつもより早く家に着くと、玄関にこころの靴以外に四人分の靴があったので、メイドさんにこころのいる場所を聞いた。

 

優心「メイドさん、こころってどこにいる?」

 

メイド「こころ様は応接室でご友人様と一緒にいらっしゃいますよ」

 

優心「ありがとう」

 

お礼を言って応接室に向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

応接室に着いたので中に入ると、こころの他に美咲と香澄と有咲とリサの四人がいた。

 

美咲「あ、優心さんお邪魔してます」

 

優心「美咲、いらっしゃい」

 

美咲「どうも…「お兄様ーお帰りー‼️」…はぁ~」

 

優心「ただいま、こころ。今日は何しての?」

 

こころ「美咲と曲を作ってたの❗次も笑顔になれるような曲を!」

 

美咲「大体私が作ってますけどね。てか、ほんと…こころって優心さんに抱きつくよね」

 

こころ「だってお兄様の事が好きなんだもの。あ、勿論美咲の事も大好きよ」

 

美咲「また……!そうやってそういう事を言うんだから……」

 

いきなりこころに言われた美咲は照れて顔を逸らしていた。

 

リサ「優心ヤッホー。お邪魔してるよ。こころってお兄ちゃんっ子だったんだね」

 

美咲の照れた顔を見てるとリサが話しかけてきた。

 

優心「まぁ、いつも一緒に過ごしてたからだと思うよ」

 

リサ「妹ってやっぱり姉とか兄の事を好きになるんだね。あこも日菜もそうだし」

 

優心「あぁ~、確かにあの二人も紗夜と巴の事好きだよね。あと沙綾の所の純と沙南もお姉ちゃんの事好きだしね」

 

リサ「あぁ~、言われてみればそうだね。」

 

美咲「他の人の兄弟姉妹の話よく知ってるな……」

 

優心「まぁ、本人達と良く話すからね」

 

リサと話して美咲の言葉に返事をしながら、気になったことをリサに聞いてみた。

 

優心「そういえばリサが家に来るなんて珍しいね」

 

リサ「まぁ確かに初めて来たからね。実はアタシさ、友希那…ロゼリアの為に作詞を勉強しようと思ったんだ。それで他のバンドに作り方を聞いて回ってたんだ。それで最後にこころにどんな風に作ってるか聞きに来てたんだ」

 

何でも友希那の為にリサは作詞をするために、各バンドの作詞を作ってる人に聞きに来てたらしい。それで最後にこころに聞きに来たと言うことだった。

 

優心「なるほど、それで家に来てたんだ。どうだった?参考になった?」

 

リサ「一応なったよ。でもこころの作り方はビックリしたけどね~」

 

香澄「本当ですよね、リサ先輩。こころんらしいかったけど」

 

有咲「しかもあれを理解して作れる奥沢さんが凄いし、初めてそれを見たリサ先輩も理解できるのも凄いけどな…」

 

優心「へぇ~」

と、感心してるとリサが質問をして来た。

 

 

リサ「そうだ、優心に一つ聞きたい事があるんだ。あこが言ってたんだけど、優心って彼女出来たの?」

 

聞いてきたことは俺の彼女の話だった。リサはあこから聞いたと言っていた。

 

優心「あぁ~、アフターグロウには話してたから、あこは巴から聞いたってことかな…」

 

リサ「うん。巴から聞いたって、あこが言ってたよ」

 

リサと話してると、香澄が話に飛び付いてきた。

 

香澄「優心先輩、彼女出来たんですか⁉️前会った時は言ってなかったよ!…あ、もしかして愛先輩ですか⁉️」

 

有咲「ちょっ、香澄!そんなに質問責めにするなって。一気に答えられないだろ」

 

香澄「え~、有咲は気にならないの?優心先輩に彼女だよ」

 

有咲「いや、まぁ、気になると言えば気になるけど、そんな風に質問責めにするなって言ってるんだよ❗」

 

優心「まぁ有咲と香澄、落ち着いて。一個づつ答えていくから。……まぁ、まず相手は香澄の言う通り、愛だよ。それで付き合ったのは、ポピパとアフターグロウとハロハピのライブの時、香澄達が初めて愛と会った日の帰りの時に付き合ったんだよ」

 

そう言うと香澄は"おぉ~"と言っており、リサは"へぇ~"といった感じで聞いていて有咲は驚いており、こころは美咲に"かのじょって何?"と聞いて美咲はそれに答えていた感じだった。

 

有咲「あの~…優心先輩から、その…こ、告白…をしたんですか?」

 

有咲が顔を赤くしながら告白の事を聞いてきた。

 

優心「ううん、愛からしてきたよ。その後に俺も自分の気持ちを言ったけどね」

 

有咲「まじか、すげ~。自分から告白って……考えると恥ずかしいのに……私だったら無理かな……」

 

香澄「え、有咲好きな人いるの?私はいやだよ、有咲が他の人と付き合うなんて!有咲は私のだよ~」

 

有咲「いや好きな人は居ねぇから!もし自分だったらって考えただけだし❗てか抱きついてくるなー!それに香澄のになったつもりはねぇし❗」

 

香澄「え!有咲、私の事…嫌いなの?」

 

有咲「い、いや、別に…き…嫌いとは言ってないし。むしろ……す、好き…というか……。てかいきなり何を言わせるんだよ!」

 

香澄「有咲、自分から言ってきたじゃん」

 

リサ「あはは、二人は仲がいいね」

と話してると、香澄と有咲がそろそろ帰らなくちゃいけなくなったので帰ると言ってきた。その為、俺は見送ってからこころ達がいる部屋に戻った。

 

その後さっきの彼女の話の続きになった。

 

リサ「ねぇ、さっきの愛って子の写真とか無いの?」

 

写真を見せて欲しいと頼まれたので、ライブを見に行った時に皆で撮った写真を見せた、

 

優心「まぁあるよ。ほらこのサイドテールしてる子が愛だよ」

 

リサ「おぉ~可愛いね」

 

優心「でしょ~」

 

リサ「ねぇ、優心。アタシその子に会いたいんだけど会えないかな?」

 

こころ「ん、お兄様、愛と会うの?だったらあたしも愛と会いたいわ❗」

 

優心「こころも?本人に聞いてみないと分からないけど」

 

リサ「じゃあ聞いてみて」

 

 

リサが会いたいと言うと皆も同じように言ってきたので、電話をかけた。

 

ーーーーーーーーー

 

優心「あ、愛。今大丈夫?」

 

愛『うん。大丈夫だけど電話してきてどうしたの?』

 

優心「今、家にこころと美咲とね、ロゼリアってバンドの今井リサって子がいるんだけど、その皆が愛に会いたいって。それでもし会っても大丈夫なら、いつ会うか決めようかなって思って電話したんだ」

 

愛『ん~、会うとしたらやっぱり休みの日になるかな……。平日だとかぐや様の予定があったりするから。皆と会うと話とかが盛り上がると思うし。……ちょっと待ってて確認してくるから』

 

優心「分かった」

 

暫く待ってると声がした。

 

愛『えっとね、7月初めの休みだったら会えるけど』

 

優心「皆に聞いてみる。……7月初めの休みだったら会えるみたいだけど、どう?」

 

リサ「ん~…。その時はバンド練習なんだよね~。……あ、練習を見に来てくれるんだったら会えるかな?ねぇバンド練習見に来るか聞いてみて」

 

優心「分かった。……愛、ロゼリアのバンド練習見に来る?」

 

愛『行ってみたい気持ちはあるよ。ロゼリアってバンドの人達とは会ったことないし、どんな曲やるか分からないから見てみたいけど、見に行って他のメンバーは大丈夫なの?』

 

優心「ちょっと待ってて。……本人は会いたい、行ってみたいって言ってるけど、他のメンバーは大丈夫なのか心配してるんだけどどう?」

 

リサ「大丈夫だよ。優心とその知り合いって聞けば友希那と紗夜は許可してくれるよ。二人とも優心の事信頼してるから」

 

優心「じゃあ大丈夫って事ね。待ち合わせとかはどうする?」

 

リサと待ち合わせ場所などを話し合って決めて、愛にその事を伝えた。それで返事を聞いてから、電話を切った。

 

リサ「愛って子は忙しいの?」

 

優心「まぁバイトをしてるから中々時間が無いからね(流石に四宮家の使用人してるって言えないけど……)」

 

リサ「まぁ会えるってことになったからよかった」

 

話が終わるとリサがこころに作詞の事を教えて貰ったからクッキーを作ってくれた。その日はクッキーを食べて終わった。

 

因みにクッキーは美味しかった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

家でリサと話をした日から少し日が経って、期末テストの当日。本番で、テストを受けた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして順位発表の日。

 

 

       ーーーーーーーーー

 

          順位表

 

     一位 白銀御幸 四九二点

 

 

     二位 弦巻優心 四九〇点

 

 

     三位 四宮かぐや 四八七点

 

       ーーーーーーーーー

 

 

 

 

順位表を見に行くと、俺は二位だった。

 

優心「おー、二位か。今回は会長とは二点差か。何処かで間違えちゃったか」

 

かぐや「流石ですね。弦巻くん今回も二位以上を維持してますね」

 

優心「でも今回は惜しかったな~」

 

かぐや「悔しそうですね」

 

優心「まぁ悔しいかな……。でもまぁ二位以上を維持できてるからよしとしよう。会長は一位って流石だね」

 

会長「まぁ運もあるし次は判らん。(よし!弦巻より上にいったし四宮にも負けてないから良かった❗)」

 

優心「まぁ教室に戻りますね」

 

そう言って教室に戻った。

 

愛「庶務くん今回は二位なんだね」

 

優心「うん。今回は会長に負けちゃったけどね」

 

愛「それでも二位以上を維持してるからすごいと思うよ」

 

優心「そう?」

 

愛とテストの話を教室で少ししてから、その後帰るために校門前まで愛はロゼリア事を聞いてきた。

 

愛「ねぇ、ロゼリアってどんな曲をするの?」

 

優心「格好良くて迫力のある曲が多いよ。しかも一人一人の演奏技術が高いから、より一層曲に引き込まれる魅力があるかな」 

 

愛「へぇ~。そんなに凄いの?」

 

優心「本当に凄いよ。プロから声が掛かるほどの実力を持つバンドだから」

 

愛「優心くんがそう言うんだから楽しみにしとく。初めてライブ行った時も期待以上だったからね」

 

優心「うん。楽しみにしといて」

 

ロゼリアの話をしていると、校門の所に着いたのでお互いに別れて家に帰った。

 



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第16話

 

千花「目の前にある動物の檻があります。その中に猫が何匹いますか?」

 

放課後に生徒会室にいると千花がいきなり言ってきた。

 

会長「……なんだ?その抽象的な質問は」

 

会長が千花に聞くと、"心理テストですよ"って言って会長と俺に聞いてきた。

 

まず会長が九匹と答えていた。次に俺が聞かれたので答えた。

 

千花「優心くんはどうです?」

 

優心「俺は二匹かな」

 

千花「なるほど、二匹ですか。実はこれで欲しい子供の数を表してるんです」

 

猫の数で子供の数が分かるテストらしい。

 

優心(当たってる……)

 

千花「会長は九人ですか。すごい子沢山ですね~」

 

千花がそう言うと、会長は驚いた顔で"当たってる"と言っていた。何でも野球チームが作れるぐらいほしいと思ってたと言っていた。

 

優心(会長……九人ってすごいな……)

と、思ってると、千花が俺にも聞いてきた。

 

千花「優心くんはどうでしたか?」

 

優心「うん。当たってるよ」

 

千花「ほんとですか?じゃあ何で二人欲しいか理由聞いてもいいですか?」

 

優心「俺自身こころがいて楽しいから、兄弟姉妹いた方が寂しい思いしないかなって思ったんだ」

 

千花「へぇ~。じゃあ次のやりましょう。暗闇の中歩いてると、後ろから肩を叩かれました。叩いた人は誰ですか?」

 

猫の心理テストの理由を言った後に、次の質問を言ってきた。質問の内容の、暗闇で後ろから方を叩いた人を想像した。想像したらこころと愛が出てきた。

 

優心「(こころは家族でいることが多かったから当たり前かな。愛は彼女だし学校で一緒にいることが多いしな……。)俺は、こころと愛が出てきた」

 

千花「優心くんはやっぱりこころちゃんと彼女の早坂さんが出てくるですね」

 

千花がそう言った後に、かぐやさんが千花の名前を出して千花は嬉しいそうな顔をして喜んでいた。

 

優心(会長を見ながら考えてる感じだったから本当は会長の事を言わないようにしたんだろうけど。でもかぐやさんが千花の名前を出したのも嘘じゃないと思うけど)

と、思ってると、石上が答えた。

 

石上「ぼ、僕は四宮先輩……でした」

 

かぐや(え?わ、私⁉️)

 

優心「(よくかぐやさんに睨まれるとか色々相談してくるからな。俺にかぐやさん関係で話してくるからそれで出てきたのかな……)」 

 

石上のかぐやさんが出てきた理由を考えてると、黙っていた会長が質問に答えた。

 

会長「……うちの妹かな……」

 

会長は妹と答えた。

 

優心(会長の妹って……白銀圭って名前だったかな。相談してきた中等部の子が真面目で男女から人気って言ってたし会長から一回だけ名前だけ聞いたことがある)

 

俺は、会長の妹の名前を思い出しながら、かぐやさんと千花の顔を見ると、凄く微妙な……"なにこいつ"みたいな感じだった。

 

それを見た俺は、"何の答えなんだろ"と思ってると千花が答えを言ってきた。

 

千花「これは好きな人が分かるんです」

 

質問の答えは好きな人が分かる質問らしい。

 

優心(確かに愛の事好きだしな。まぁ好きだから付き合ったんだし。それに、こころの事も家族として好きだから出てきて当たり前か)

 

愛とこころが出てきたことに自分で納得していると千花が会長に"会長はシスコン、つまんない答え"と言い放ったが、"シスコン"と言われた会長は俺の事を言ってきた。

 

会長「はいはいシスコンですよ。でもそれを言ったら弦巻もシスコンってこともなるだろ。付き合ってる彼女の早坂も出てるけど妹の事も言ってるんだから」

 

千花「確かに優心くんもシスコンとなりますけど、こころちゃんが妹だったらシスコンになると思いますよ。私もこころちゃんの事好きですし」

 

かぐや「藤原さん、そうなんですか?」

 

千花「そうなんですよ。こころちゃんには人を引き付ける……好きになるような不思議な魅力あるので、シスコンになるのは分かります。だから、優心くんのシスコンは気持ち悪くありません」

 

会長「ちょっと酷くないか!何で弦巻だけ……」

 

会長が言ったことに千花が反論しかぐやさんが少し会話に入りながら三人だけで話し始めた。俺はそれを見ていると、石上から声をかけられた。

 

石上「弦巻先輩……家に帰ります」

 

優心「あ、うん。分かった、気をつけてね」

 

石上「はい。……あ、一つ聞いていいですか?」

 

石上が帰ると言ってきたので、"分かった"と答えたが、帰る前に質問したいと言ってきたので"何?"と聞いた。

 

石上「さっきの話の事で。早坂先輩と付き合ってるんですか?」

 

優心「うん。付き合ってるよ。交流会があった日の少し前から」

と答えると、"その日までいなかったの意外"と言われた。それに苦笑いしていると、そのまま石上は帰っていった。

 

石上と話し終わると、三人の方も話が終わったみたいだった。すると千花はパソコンから心理テストを出すと言ってきた。

 

聞いてみた内容は、"一面の花畑にいて持ち主に好きなだけ花を持って帰っていいと言われたので、どれぐらい持って帰るか"という内容だった。

 

優心(好きなだけ……でも、せっかく育ててたの持って帰るのもな~)

 

千花「優心くんはどうですか」

 

俺が考えてる間に、皆は言ってたみたいなので俺も答えた。

 

優心「俺は持って帰らないかな」

 

千花「え?なんで?」

 

優心「いや、だってその人が頑張って育てた花だよ。しかも花畑だし、なんだったら花畑のままでみんなに見て貰った方が笑顔になるから、その方がいいなって思ったんだ」

 

会長「弦巻らしい考えだな……」

 

千花「そうですね」

 

俺が答えてた。するとふとかぐやさんが答えを見ているのかパソコンの所にいた。

 

千花もそれを見かけたので、答えは何だったのか聞いていた。かぐやさんによると花の大好き度だと言っていたが、その事に納得出来てない千花は、かぐやさんにグチグチと言いながら騒いでいた。

 

そして帰る時間になったので、家に帰るために生徒会室を出た。

 

家に帰ると華さんから、花の心理テストの正しい答えを教えてくれた。聞くと"想い人に対する愛の大きさ"らしい。

 

それを聞いた俺は恥ずかしくなった。

 

優心(俺、花畑のままで皆に見てもらうって言った。"花畑のまま"って言っちゃったよ。それって凄い大きさになるじゃん!……だから華さんも教えてくれた時に、少し顔を赤くしてたんだ……)

 

自分の部屋で枕に顔を押し付けながら、晩御飯の時間になるまで恥ずかしがっていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~かぐや視点~

 

三人が話してる間に私は答えを見ようとパソコンの所に向かった。

 

かぐや(今のうちに答えを……)

 

答えを見ると、"想い人に対する愛の大きさ"と書いてあった。

 

かぐや(え……。愛の大きさに……会長は"トラックに詰めれるほど詰める"って言ってたから……。そ、そんなに!?)

 

私は会長の愛の大きさに驚いてしまったし、顔が赤くなるのが分かるほど恥ずかしさを感じた。

 

これは藤原さんに見られてはいけないと思い、必死に頭を回転させてると、ふと弦巻くんの言った事を思い出した。

 

かぐや(あ、で、でも弦巻くんは持って帰らないと言っていた。でも実際は皆に見て貰う方がいいから花畑のままでって言っていた。そうすると花畑全部を持って帰ると言ってるようなもの。つまり早坂に対する弦巻くんの気持ちは花畑規模。……会長の考えより大きいって事!?)

 

会長の答えに恥ずかしかったが、弦巻くんの答えに恥ずかしさが無くなり驚きの気持ちの方が強くなってしまった。

 

千花「かぐやさん、答えはなんでした?」

 

かぐや「(これは隠さないと)……花の好き度でしたよ」

 

千花「えぇ~納得できないですよ~」

 

藤原さんはそう言ってきたが、そのまま言わずにいた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~早坂視点~

 

 

~四宮別邸~

 

 

私はかぐや様の部屋で心理テストの事を聞いていた。

 

優心くんが、なんて答えたのかが凄く気になっているので、優心くんが言ったことをかぐや様に聞いた。

 

愛「かぐや様、優心くんは心理テストは何て答えたんですか?」

 

かぐや「弦巻くん?確か猫の数の心理テストは二匹って言ってたわね。それで藤原さんから解説を聞いた時に、当たってるって言ってたわよ」

 

愛「なるほど(子供の数が分かるテストだから、二人欲しいって事だよね。こころがいるからかな……)」

 

かぐや「それに一人だと寂しいから、兄弟姉妹いた方がいいってことも言ってたわね…」

 

愛「(やっぱり)優心くんには妹がいるからだと思いますよ。こころが妹だから、一人の事を想像をしたら寂しいと思ったから言ったんだと思います」

 

かぐや「確かに、そのような事を言っていたわね」

 

愛「(子供二人欲しいんだ。でも確かに弦巻兄妹見てると楽しそうだから……)……それで他の答えはどうだったんですか?」

 

かぐや「暗闇で肩を叩かれたっていう内容の答えは、妹さんと早坂の名前を出してましたよ」

 

愛「私も出たんだ……。良かった」

 

かぐや「早坂、凄く嬉しそうね」

 

愛「それはもちろん嬉しいですよ。付き合ってますから」

 

かぐや「妹さんが出てきたのは驚かないの?」

 

愛「こころが出てきたのは驚かないですよ。二人は凄く仲がいいですから、出てくると思いますから」

 

かぐや「藤原さんが、弦巻くんの事をシスコンと言っていたけれど、早坂は嫌じゃないの?」

 

愛「うーん……嫌じゃないですね。こころを見てると自然にそうなると思いますから」

 

かぐや「そう。……でも、花畑の花の内容のはちょっと……」

 

猫と暗闇の事まで聞いたが、最後に書記ちゃんがパソコンから出した心理テストの花畑の事になると、話しづらそうになった。

 

愛「話しづらそうですけど、どうしたんですか?」

 

かぐや「答えが花の持って帰る量が想い人に対しての愛の大きさって言ったでしょう。それで弦巻くんの答えが予想以上で……」

 

聞いてみると、"予想以上"と言ったのが不思議に思い純粋にどういう事か聞いていた。

 

愛「どういう事?」

 

かぐや「えぇ。まず"持って帰らない"って言ったのよ」

 

愛「え?(持って帰らないってどういう事?何で?)」

 

かぐや「早坂、まだ続きがあるから。理由を聞いたら、"持ち主が頑張って育てたのを持って帰るより花畑のままで皆に見て貰った方がいい"って言ったのよ。"その方が笑顔になるから"って。だから答えとしては花畑全部になるでしょう」

 

愛(花畑全部……。うぅ~……)

 

話を聞くと、花畑全部とも捉えられる事を言ったらしい。それを聞いた私は凄く恥ずかしくなり、かぐや様のベットに座り枕を自分の顔に押し付け、暫くの間はそうしていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

やっと落ち着いてきたので顔を上げた。

 

かぐや「早坂、大丈夫?」

 

愛「まだ少し恥ずかしい……ような感じはありますけど、一応大丈夫です。もう仕事に戻りますので失礼します」

 

かぐや「え、えぇ分かったわ。(早坂凄く赤くなってたわね。それはそうよね、彼氏がそんな風に言ってたのを聞くと)」

 

かぐや様から返事を聞いてから部屋を出た。

 

愛(優心くんがそんな風に思ってくれてたと分かると凄く嬉しい。けど……また恥ずかしくなってきた)

 

部屋を出た私は思い出して嬉しいと思ったが、また恥ずかしくなってきたので思い出さないように残りの仕事に集中した。

 

それで一日は終わった。

 



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第17話


やっと書けました。

中々書くのが進みませんでした。

今回は早坂と優心がロゼリアと会う話です。



 

~心理テストをした週の休みの日~

 

~土曜日~

 

愛と会う事をリサと約束した日で、ロゼリアの練習を見る日になった。約束した時に、こころと美咲もいて二人も会いたいと言っていたが、今日は予定があったので来ていない。

 

今はサークルの横のカフェテリアで愛と一緒にリサ達ロゼリアの皆を待っていた。

 

愛「もうすぐだよね」

 

優心「うん。カフェテリアで待ち合わせだしあと少しで来ると思うよ」

 

愛「楽しみなんだよね~。ロゼリアの演奏見たこともメンバーに会ったことも無いから」

 

優心「ライブ行った時は、ロゼリアは出てなかったからね」

と話してると、後ろから"ドン!"と衝撃がきて、それと同時に声がかかった。

 

あこ「優兄(ゆうにい)だー!リサ姉が言った通りに優兄が来てた!」

 

リサ「ね♪言った通りでしょ」

 

声がした方へ向くと、あことリサだった。二人の後ろに友希那と紗夜と燐子がついてきていた。

 

優心「あこ、いきなり後ろからはやめてって言ってるじゃん」

 

あこ「あ、ごめん。でもリサ姉が言ってたのが本当だったし、優兄に久しぶりに会ったんだもん。おねーちゃんと会ってたりしてるみたいだけど、あことは会えてないんだもん」

 

優心「ごめんごめん」

 

少し拗ねながら文句を言ったあこに謝ると、紗夜が話し掛けてきた。……俺と少し話したあこは愛に声をかけていた。

 

紗夜「優心さん、会う度に宇田川さんがすみません」

 

優心「紗夜、大丈夫だよ。巴に比べてあこに会う機会が少ないから仕方ないよ」

 

紗夜「そうですか」

 

紗夜にそう言って友希那に声をかけた。

 

優心「友希那、今日はありがとう。彼女も連れてきていいって言ってくれて」

 

友希那「別にいいわよ。リサが連れてくる人が優心だし、その彼女だったら問題ないと思っただけよ。それ以外の他の人だったらリサに話を聞いた時に断ったわ」

 

優心「そう。そう言ってくれると助かる」

 

リサ「それで優心、あこと話してる女子が愛って子だよね?」

 

優心「そうだよ。……愛、今いい?」

 

俺がそう答えて、あこと話してた愛を呼ぶと、愛がまず自己紹介を始めた。

 

愛「あ、私は早坂愛です。隣にいる優心くんの彼女です。今日は優心くんに誘われたので来ました」

 

愛が自己紹介をしてから、あこ以外のロゼリアの皆も自己紹介をしていった。友希那が声をかけてきた。

 

友希那「そろそろ予約した時間だから行くわよ」

 

一言言ってから向かったので後ろを付いていった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~サークル内~

 

まりな「あ、皆いらっしゃい」

 

紗夜「話した通り優心さん達も入ります」

 

まりな「うん。スタジオは奥の方だからね」

 

友希那「ありがとうございます」

 

サークルに入るとまりなさんに挨拶してスタジオに入った。途中、愛がまりなさんと少し話していたが、すぐにスタジオにきた。そしてロゼリアの皆と俺は準備をすぐに始めた。そうしてると愛が話しかけてきた。

 

愛「ねぇ、私もなにか手伝えるの無い?」

 

そう聞かれたので俺はお願いしたいことを言って手伝ってもらった。

 

それで準備が終わったので練習だけどロゼリアの演奏を聞き始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

サークルでロゼリアのバンド練習を、愛と一緒に見ていた。

 

友希那「ふぅ…。…大体こんな感じかしら」

 

リサ「愛、どうだった?」

 

愛「そうですね……。優心くんが言う通り、格好いい曲が多くて迫力もあって凄かったです。曲に引き込まれました」

 

リサ「そう言ってくれて嬉しいよ~。友希那、良かったね」

 

友希那「確かにそう言ってくれると嬉しいわ」

 

紗夜「そうですね。優心さんは今の聞いてどうでした?」

 

優心「いつも通りに格好いいし迫力あって良かったよ。でもあこが少し走ってた感じはしたかな。もしかして緊張してた?」

 

あこ「そりゃそうだよ~。練習を見に来る人は優兄だったり他のバンドの人だったら大丈夫だけど、一緒に来た人がおねーちゃんから聞いてた優兄の彼女なんて緊張するよ。しかも美人さんなんだもーん」

 

優心「プロじゃないからそう緊張しなくても大丈夫だよ。それにこれで緊張したら本番がもっと緊張しちゃうよ」

 

あこ「う!頑張ります~…」

 

優心「頑張ってね。あとリサも曲の間奏の所で少し間違えたのかな?少し音が違ったような気がしたけど」

 

リサ「さすが優心だよね。確かに一ヶ所間違えちゃったんだよね。次は気を付けないと」

 

友希那「優心がいてくれると助かるわね。ちゃんと誰が間違ったかとかを教えてくれるから。本当だったらマネージャーみたいな事をして欲しいけれど」

 

紗夜「湊さんの言う通りですね。技術向上に繋がりますから居てくれると助かります」

 

優心「そう言ってくれると嬉しいけど、気持ちだけ受け取っとくよ」

 

燐子「優心さん、秀知院に通ってますし、生徒会にも所属してるので帰りが遅いことが多いんですよね。学校でこころちゃんが言ってたので」

 

優心「うん。だから無理かな…。これで練習は終わり?」

 

友希那「えぇ、時間もそろそろ終わりに近いから片付けましょうか」

 

そう言って、俺と愛も片付けを手伝いサークルを出た。出るとあこが提案してきた。

 

あこ「もうお昼だし、何処かファミレスに行きましょうよ。優兄も良いでしょう?」

 

優心「うん、いいよ」

 

あこ「愛さんは?」

 

愛「うん、行く」

 

あこからファミレスに行くことを提案されたので、断る理由はないので行くことにした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~昼・ファミレス~

 

 

ファミレスに着き、7人で座れるように席を合わせてもらってから席に座って注文をした。

 

注文したメニューが届いて、食べ始めると、あことリサは愛と話…というより質問責めに近い感じで話をしており、それに友希那も巻き込まれていた。

 

俺は紗夜と燐子に聞かれた生徒会メンバーの事を話ながらご飯を食べていた。

 

紗夜「四宮というと、あの四宮グループの関係者ですか?」

 

優心「そうだよ。というよりは、四宮グループのお嬢様だよ」

 

燐子「す、凄い…ですね。やっぱり秀知院って」

 

紗夜「そうですね」

 

今はかぐやさんの話をして、二人は四宮家の人だと知って(当たり前だが)驚いていた。

 

優心「まぁ、書記は藤原千花って名前の女子で……」

 

俺は次に書記の千花の話をしようとしたら、燐子が反応した。

 

燐子「…藤原…千花」

 

紗夜「白金さん?どうしました?」

 

燐子「ちょっと聞いたことのある……名前だったので」

 

優心「何処かで会ったりした事があるの?」

 

燐子「小さい頃……私がビアノのコンクールに出た時に…名前とその人を見た気がするんです。その時は…緊張しててしっかりとは覚えてないですが」

 

俺がそう聞くと、ピアノのコンクールで名前を見たことがあると言ってきた。

 

優心「あぁ……多分その記憶は合ってると思うよ。千花もピアノやってたから」

 

紗夜「やってた…?過去形ですね?」

 

優心「今は趣味程度弾いてるみたいだけど、小さい頃はコンクールに結構出てたみたいだよ。周りからは天才ピアニストって言われてたみたいだけど」

 

燐子「あ、多分…その人です。確か…そう言われてたと思います……。…あ、それに私あの時に話し掛けられたと思います」

 

紗夜「名前や相手を見ただけではなく、話し掛けられたんですか?」

 

燐子「あの時緊張してたのではっきりと覚えてないので、何とも言えないですけど……」

 

そう言ってきたので、俺は気になったので千花に連絡しようと思った。

 

優心「ちょっと、千花に連絡して聞いてみようか?」

 

燐子「え?」

 

紗夜「優心さん、いきなりは確認はどうかと…」

 

燐子は驚いた顔をして紗夜が小言を言ってきた。

 

優心「でも、曖昧にするよりははっきりしてた方がスッキリしない?」

 

紗夜「それは…そうですけど。……白金さんはどうですか?」

 

燐子「気になりますし…お願いしてもいいですか?」

 

燐子にそう返事をして愛にも一言声をかけてから、お店の外に出てから千花に電話をかけた。

 

千花『優心くんどうしたんですか?いきなり電話してくるなんて』

 

優心「一つだけ確認したいことがあって電話かけたんだ」

 

千花『確認したいことですか?何です?』

 

燐子の事やピアノのコンクールに出てたことを伝え、"白金燐子"の名前に聞き覚えや見覚えないか聞いてみた。伝えると静かになった。しばらく待ってると千花から声がした。

 

千花『優心くん、その人の特徴……髪型とか性格とかを教えてください』

 

千花が燐子の特徴を聞いてきたので、それを教えるとまた静かになった。

 

千花『……あっ❗』

 

静かになったと思ったら今度は大きな声をあげた。

 

優心「思い出したの?」

 

千花『はい。黒髪のロングヘアーの大人しい子が、確かいましたよ。その時に凄く緊張してる感じでした。それで緊張してそうだったので話し掛けたんですけど、余計緊張しちゃったので、それからは話しかけませんでしたけど』

 

優心「そっか。教えてくれてありがと」

 

千花『いえいえ、どういたしまして~』

 

千花にお礼を伝えた。その後に電話を切って、皆の所に戻った。

 

愛「あ、帰ってきた。優心くんお帰り」

 

優心「うん、ただいま」

 

愛から"お帰り"と言われたので"ただいま"と返した。そのまま燐子に千花の事を伝えた。

 

優心「それで千花に聞いてみたら燐子の言う通りだったよ」

と、燐子に千花が言っていたこと……話し掛けた理由とかを教えた。

 

燐子「そう…だったんですか。でもはっきり分かって良かったです」

 

紗夜「白金さん、良かったですね」

 

愛「でも書記ちゃんと同じコンクールに出てたの凄いよね。…でもロゼリアでキーボードを務めるぐらいだから当たり前かな…」

 

燐子「そ…そんなことはないですよ。私でも…難しいと思う時もありますよ。…その……コンクールの時も緊張して…しまって、上手くいきませんでしたし…」

 

愛「でも、純粋に凄いと思う。練習を頑張ってるからあんな凄い演奏できるんだから凄いよ」

 

燐子「あ、ありがとう…ございます、早坂さん」

と、愛と燐子が話してをしていた。

 

その後解散となったので帰ることになった。愛は電車で帰ると言ってきたので、自然と手を繋ぎながら俺は愛を駅まで一緒に向かった。

 

ロゼリアの皆の事を聞いたりとしていると、駅に着いた。

 

優心「じゃあ明後日、学校で」

 

愛「うん。また明後日」

と、挨拶して愛がホームに行くまでを見送ってから家に帰った。

 

家まで歩いてる間、俺は気になったことを考えていた。

 

優心(駅に着いた時、愛の顔が一瞬曇ったのが気になる。前に遊びに行った時もあったし、何か悩みがあるのかな……。愛ってなんでもない風に演技するのが上手いし、ほんの一瞬だから本当に悩んでるのか分からないんだよな)

 

俺は愛が見せた一瞬の曇った顔を思い出しながら、家まで歩いていた。

 

優心(でも本当に悩んでて相談してきたら力になってあげよう。相談して来なくても、またあの曇った顔を一瞬見せたら俺から聞いてみよう)

と、そう結論付ける頃に家に着いたので、"ただいまー"と声をかけて、家に入った。

 



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第18話


連続投稿です。17話の早坂視点です。


 

~早坂視点~

 

~土曜日~

 

今日はロゼリアの人達と会う約束の日で、今は優心くんとカフェテリアでロゼリアの皆が来るまで飲み物を飲みながら待っている。

 

待っている間、優心くんと話していると優心くんの背中に何かがぶつかったのが見えた。よく見てみると人だった。しかも自分より年下らしき紫色の髪をツインテールしている女子だった。

 

優心「ちょっとあこ、後ろからやめてって言ってるでしょ」

 

会う度にやられて慣れているのか、優心くんは慌てたり痛がってる感じはなかった。

 

紗夜「優心さん、毎回会う度に宇田川さんがすみません」

 

宇田川と呼ばれてたツインテールの子の次にギターケースを持った水色の髪をした女子が優心くんと話し始めた。

 

愛(……ん?宇田川って……確か、アフターグロウにいるドラムの巴も同じ名字だったよね……)

と、考えてるとツインテールの子が私に話し掛けてきた。

 

あこ「あのあの、優兄の彼女さんだよね!」

 

愛「う、うん。そうだよ」

 

あこ「やっぱりおねーちゃんから聞いた通り、美人さんだー」

 

愛「え、あ…ありがとう」

 

こころと同じように純粋に美人だと言ってきたので、少したじろぎながらお礼を言った。

 

あこ「あ、まず自己紹介しないと。あこは宇田川あこって言うんだ。よろしく。あこの事はあこって呼んでね」

 

愛「わ、分かった。私は早坂愛だよ、よろしく。……気になったんだけど……」

と、巴の事を聞こうとした時に、優心くんが私の事を言ってきたので、優心くんの方を向いた。向くと、皆が私の方を見てたので、自己紹介をした。

 

愛「私は早坂愛です。優心くんの彼女で、今日は優心くんに誘われてきました。よろしくお願いします」

 

友希那「よろしく。……私は湊友希那よ。ロゼリアではボーカルをしているわ」

 

紗夜「氷川紗夜です。ギターをしています」

 

燐子「私は……白金燐子です。……キーボードを…しています」

 

リサ「私はベースをしてる、今井リサだよ。好きな食べ物は筑前煮で、趣味は編み物だよ。今日は来てくれてありがとう。……私の事はリサでいいからね」

 

愛「皆、よろしく」

 

一人一人自己紹介をしてもらったら、そろそろ練習時間だそうで、サークルの中に入ることになった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~サークル内~

 

まりな「皆いらっしゃい」

 

中に入るとまりなさんが対応してくれたので、通りすぎる時にまりなさんに話し掛けられた。

 

まりな「あ、愛ちゃん。今日はロゼリアの練習見るって聞いたよ。曲とか色々と驚くと思うけど楽しんでね。皆いい子達だから」

 

愛「あ、はい。優心くんから聞いてるので楽しみにしてます」

 

まりな「そう、それなら良かった」

 

まりなさんに聞かれたことに答えて、笑顔で返事をもらってから優心くんの後ろを追いかけた。

 

ーーーーーーーーー

 

~スタジオ内~

 

スタジオに入ると皆が各々準備を始めたので、優心くんに何か手伝えることはないか聞いて手伝った。それを終わると、湊さんがこれから始めると言ってきたので練習の邪魔にならない所に座り、練習……ロゼリアの曲を聞いた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

曲が…練習が終わった。

 

友希那「ふぅ~……こんなものかしら」

 

私は圧倒されていた。曲の完成度やメンバーの技術とかが凄まじいかった。

 

愛(これは優心くんの言う通り、業界から……プロから注目されたり声がかかったりするのは当たり前だ。それぐらいの凄さだった。しかも曲も格好よくて引き込まれた)

と、驚いていると、リサが声をかけてきた。

 

リサ「ねぇ、どうだった?」

 

演奏の曲の感想を聞いてきたので、純粋に凄かったことや曲に引き込まれたこと、メンバーの技術など驚いたことなどを話した。

 

リサ「ほんと!ありがとう。そう言ってくれると嬉しいよ。良かったね、友希那」

 

友希那「えぇ、確かにそう言ってくれると嬉しいわ、ありがとう」

 

リサに感想を言うと、湊さんにもリサが伝え、湊さんが控えめな笑顔でお礼を言ってくれた。

 

その後は優心くんが、あこやリサに間違ったことなどを教えて、友希那と紗夜にマネージャーになって欲しいと言っていた。

 

愛(優心くんは凄いな~。ロゼリアの演奏の事の間違いとか気付くのもそれで頼られてるのも凄い)

と、優心くん達が話してると、そろそろスタジオが練習で使える時間が終わる頃なので片付けをすることになった。

 

その為、私も片付けを手伝ってサークルを出た。

 

外に出ると、あこからお昼の時間帯なので"ファミレスに行こう"と言ってきた。

 

あこが私にも聞いてきた。

 

愛(ファミレスか。聞いた事はあるけど、行ったことはないから行ってみるのもいいかも)

と、思ったので、"行く"と答えた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ファミレス~

 

ファミレスに入ると、お昼時なので多少混んでいたが少し待つぐらいですぐ案内された。

 

私達は7人だったので、席をくっつけて貰って席に座った。座ってから皆で頼む料理を言っていたが、私はメニュー表をみて、おすすめと書かれたのを頼むことにした。

 

注文したものがきた時に、リサが質問してきた。

 

リサ「ねぇねぇ、優心のどこが好きになったの?」

 

愛「え、えっと…」

 

あこ「あ、それあこも気になる。優兄のどこが好きになったの?」

 

二人からされた質問に"え~…"と、声を出しながら狼狽えてしまった。いきなりその質問をされると思わなかった。

 

愛「え、えっと…気付いたら好きになってたんだ。でも一緒にいると安心するし、楽しいと思ってたりして気付いたら好きになってた感じかな」

 

あこ「おぉ~、何かすごい」

 

リサ「それで、告白はどっちから?優心からか、愛からどっち?」

 

好きな理由を答えると、リサが告白の事を聞いてきた。

聞かれた私は、顔を赤くなってると自覚するほど恥ずかしくなったが答えた。

 

愛「それは……私からした…よ」

 

リサ「おぉ~、愛からしたんだ。やるじゃん♪」

 

そう答えると、リサは興奮した感じで"おぉ~"と言ってきたが私は恥ずかしかった。

 

友希那「ちょっとリサ、愛の顔が真っ赤にしているわよ。あまり恥ずかしがらせない方がいいんじゃないかしら?」

 

リサ「え~、だってさ気にならない?私達の身近の人で恋人が出来たのって優心だよ。アタシは、優心の彼女がどんな人か気になったんだけど、友希那は気にならないの?」

 

友希那「わ、私は別に…」

 

リサ「そんなこと言って~、実は気になってるんじゃないの~?」

 

湊さんがリサに声をかけると二人で話を始めたので、私はあこに声をかけた。

 

愛「ねぇ、あこ。あの二人の関係ってどんなの?」

 

あこ「リサ姉と友希那さん?あの二人は幼馴染みだよ」

 

愛「へぇ~、幼馴染みなんだ。…そうだ、あこに聞きたいことがあるんだけど」

 

あこ「ん、何?」

 

愛「あこって巴って子と姉妹だったりする?」

 

リサと湊さんが話してる間に、私はあこに巴の事を聞いた。

 

あこ「うん、おねーちゃんだよ。世界一かっこいいおねーちゃんなの!」

 

私が巴の事を聞くと、いきなり饒舌になったのか凄く話を始めた。

 

愛「世界一かっこいいの?」

 

あこ「うん❗あこがドラム始めたのも、おねーちゃんがやってたからなんだ。ドラムをやってるおねーちゃんは凄く格好いいから、おねーちゃんみたいになりたいと思ったんだ❗」

 

愛「そういうのいいね」

 

あこ「うん。世界で一番上手いドラマーはおねーちゃんで、世界で二番目に上手いドラマーはあこなの!だからね、かっこいいバンドのロゼリアで、おねーちゃんみたいなかっこいいドラマーになるんだ‼️」

 

愛「そっか。あこ、かっこいいね」

 

あこ「本当⁉️あこ、かっこいい?」

 

愛「うん」

 

あこがお姉ちゃんである巴の事が好きなのも、ドラムの事などを聞いていると、純粋にあこの事をかっこいいと思った。

 

あこと話してると、湊さんと話してたリサが話に戻ってきた。

 

リサ「あこって、お姉ちゃんの事が好きなの凄い伝わったでしょ」

 

愛「うん。こころみたいだったよ」

 

リサ「あ、こころに会ってたんだね。こころも優心の事好きだよね」

 

愛「そうだね」

 

リサ「そうだ。あのさファッションに興味ある?」

 

愛「うん。一応、服とかに気を遣ってるし学校でネイルとかしてるよ」

 

リサ「じゃあこのコーディネートとかどうかな?」

 

愛「えっと…」

と、リサとファッションとかの話をした。

 

しばらく盛り上がって話してると、優心くんが外で電話をしてくると言って外に出ていった。

 

気になったので、優心くんと話してた氷川さん達に優心くんが電話をしに行った理由を聞いてみた。

 

紗夜「白金さんの事で、確認したい事があって電話をしに行ったんです」

 

話を聞くと、燐子が小さい頃に出たピアノのコンクールで、書記ちゃんの名前や本人を見た事と、声をかけられたという記憶があるらしいので、優心くんはそれを確認するために書記ちゃんに電話をするために行ったとの事。

 

愛「燐子凄いよね、ピアノのコンクールで書記ちゃんと同じコンクールに出てたなんて」

 

紗夜・燐子「「書記ちゃん?」」

 

愛「あ、えっと生徒会の書記だからそう呼んでるんだ」

 

燐子「あ…そうなんですね…」

と、話してると優心くんが戻ってきたので、"お帰り"と声をかけた。その後、燐子と氷川さんに書記ちゃんから聞いたコンクールの出来事を二人に教えていた。私は隣でその話を聞いてから、燐子に声をかけた。

 

愛「でも書記ちゃんと同じコンクールに出てたの凄いよね。…でもロゼリアでキーボードを務めるぐらいだから当たり前かな…」

 

燐子「そ…そんなことはないですよ。私でも…難しいと思う時もありますよ。…その……コンクールの時も緊張して…しまって、上手くいきませんでしたし…」

 

愛「でも、純粋に凄いと思う。練習を頑張ってるからあんな凄い演奏できるんだから凄いよ」

 

燐子「あ、ありがとう…ございます、早坂さん」

と、話をした。

 

そして帰ることになったのでファミレスを出て解散と言うことになった。皆が帰っていくのを見てから優心くんに声をかけた。

 

愛「優心くん、今日は電車で帰るよ」

 

優心「え、でも別邸まで車で送って貰うようにお願いするけど」

 

愛「ううん。今日はお願い」

とお願いをした。優心くんは仕方なくといった感じで納得してくれた。

それで優心くんと私は手を繋ぎながら駅まで向かった。

 

向かってる間にロゼリアのメンバーの事を聞かれたので答えていたら駅に着いた。

 

愛「リサは話しやすかったよ。服の事とか共通の話題もあったし、あこもこころみたいに人懐っこい性格で素直だったからすぐ仲良くなれたよ」

 

愛「それに、湊さんと氷川さんは、クールで厳しい感じはあったけど根はいい人なのは話してて分かったし、燐子も控えめな性格だったけど、仲良くなれたから良かったよ」

 

優心「そっか、良かった」

 

私がメンバーの事を伝えると満面の笑みで嬉しそうにしていた。そうこうしている内に駅に近づいて来た。

 

愛(……また黄光様に連絡しなくちゃいけない……。皆みたいにそんなの気にしないで過ごしたいのに……)

と、考えてると駅に着いたので、辛くなって泣きそうな曇った顔が、優心くんにバレないようにすぐ笑顔になって"また明後日で"と言って駅のホームに向かった。

 

ホームに着き、来た電車に乗り席に座った。

 

愛(また今日も黄光様に連絡をしなくちゃいけない。優心くんと過ごしたり今日みたいにバンドの皆と会って話したりしてると忘れられるのに…)

と、私は色々と考えていた。

 

愛(…多分優心くんの彼女になってバンドの皆と会って楽しい出来事が増えたから嫌なことも忘れられたんだ。……優心くんに、前に相談しようと思ってたけど中々相談出来なかった。けど、もう耐えるの無理だよ…。もう来週中に相談しよう……)

と思いながら、別邸近くの駅に着くまで電車で揺られていた。

 



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第19話


遅くなりました。第19話です。



 

愛とロゼリアの練習を見に行った土曜日から、二日経った月曜日の放課後。

 

今日は外は豪雨で雷までなるほど酷い状態だった。

 

ピシャァァ‼️

 

千花「キャ⁉️か、雷が落ちましたよ‼️」

 

生徒会室には優以外のメンバー、俺と会長とかぐやさんと千花の四人でいたが雷が落ちたので、雷が無理な千花が悲鳴をあげた。

 

優心「近くに落ちたね、さっきの雷」

 

かぐや「確かに大きかったですね」

 

雷が大きかった事を話してると、また雷が鳴ったので千花が悲鳴をあげた。

 

千花「優心くん!耳を押さえてください。聞きたくないので…!」

 

優心「はぁ…分かったよ」

 

雷の音を聞きたくない千花は、俺に"耳を押さえてほしい"と頼んできたので、呆れながら押さえてあげた。

 

そのままの状態でいると、華さんが声をかけてきた。

 

黒服(華)「優心様、お車の準備出来てます」

 

優心「あ、うん」

 

千花「あ、迎えのタクシーが来たみたいです」

と、同じタイミングで千花が言ってきたので、帰りの車の準備が出来てる俺も帰ろうと思い会長達に声をかけた。

 

優心「会長、俺も千花をタクシーの所まで送ったら車で帰るからね」

 

会長「あぁ、分かった。気を付けろよ」

 

優心「分かってるよ」

 

 

そう返事をして千花の耳を押さえながら、一階の下駄箱がある玄関口まで向かった。近くになると千花が声をあげた。

 

千花「優心くん、ここまででいいです。また明日!」

 

優心「え……う、うん」

 

千花がそう言ってタクシーの所まで行ってしまったので、"うん"としか返事が出来なかった。

 

優心(とにかく、俺も帰ろう)

と、自分の靴を取るために置いてる下駄箱に向かったら、後ろから声をかけられたので、後ろを見るとカッパを着た愛だった。

 

優心「愛…どうしたの?」

 

愛「優心くんにお願いがあるんだけど」

 

優心「お願い?どんなの?」

 

お願いがあると言われたので聞いてみると、"今日は車で帰るの?"と聞かれた。今日は外が豪雨なので車で帰るので、"車で帰るよ"と返事をしながら頷いた。

 

愛「だったら、校門近くで車を停めといて欲しいんだけどいい?」

 

優心「それは構わないけど、もしかしてかぐやさん関係の事?」

 

俺がそう聞くと、愛は頷いて説明をしてくれた。

 

愛「うん。今日、雨すごいでしょ?だからかぐや様が会長の事で何か言うかもしれないんだ。この雨だから車に乗せて家まで送るだとか言ってきそうで……」

 

優心「そうなると愛が乗れないかもしれないから、車で送って貰うかもしれないって訳か」

 

愛「うん。ごめんね」

 

かぐやさんの行動で、愛が四宮の車で帰れない可能性があるからということで、車を校門前で待機して欲しいお願いだった。

 

優心「別に大丈夫だよ。かぐやさんだったらあり得る話だし、何より彼女のお願いだし」

 

愛「ありがと……。あ、優心くんは車で乗って待ってていいよ。こっちがお願いしてるし、私はカッパ着てるからいいけど、優心くんは傘だから風が吹くと濡れちゃうと思うから」

 

俺が"分かった"と返事をすると、愛が"あ、もう一つ"と言ってきた。

 

愛「かぐや様の事だから、確実に失敗するかもしれないから、お願いしたの無駄になるかもしれない。もしそうなったらその時はごめんね」

 

優心「……俺もかぐやさんの手伝いしてるでしょ。だからかぐやさんの行動の結果とかは大体予想できてるから、愛が謝る必要はないよ」

 

愛「ん……」

 

そう言っていた愛に謝る必要ないと頭を撫でながら俺はそう言った。

 

優心「取り敢えず車で待ってるから、無しになったら連絡して」

 

そう言って車の方に向かった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

~弦巻家・車内~

 

俺はしばらく校門前に止まってる車の中にいた。

 

今日の車は、洗面台やテレビが付いてる車やリムジンではなく、四宮家などの他の金持ちとかが使ってる車だ。

 

車の中で運転席にいる華さんと話してると、愛からメッセージがきた。

見てみると、俺と愛が話してた通り会長を車に乗せて一緒に帰る作戦を企ててたらしいが、それが無駄になったので四宮の車で帰ることになったとのメッセージだった。その事に返事をしてから、華さんに家まで運転をお願いした。

 

車が動き出してからしばらくして、運転している華さんから声がかかった。

 

黒服(華)「優心様、愛様と帰れなくて寂しいんですか?」

 

優心「まぁ…うん…」

 

黒服(華)「……本当に、優心様は小さい頃から変わらないですね」

 

優心「?……変わらない?」

 

黒服(華)「えぇ、今回は愛様が相手ですが……、優心様が誰かと帰れなくて寂しがる所が変わってないな……と、思いましたので。今は無いですけど、優心様は寂しかったり甘えたくなると、昔から奥様や私にベッタリでしたよね」

 

優心「ちょ……は、華さん!いきなりそんなこと言わないでよ!恥ずかしいから」

 

いきなり華さんが、俺がお母様とかに甘えていたと言ってきたので、恥ずかしくなり反論してしまった。

 

優心「それに何でいきなりその事を言ってきたの!」

 

黒服(華)「最近は甘えてきたり寂しがってる所を、見る事が無くなってたので……。しかし、今日は目に見えて寂しがっている所を久しぶりに見たものですから、昔を思い出して懐かしくなったんです」

 

優心「懐かしくなったって…華さん、お母様みたいなことを言ってるけど…」

 

黒服(華)「ふふ……私は優心様の事を弟みたいだと思ってますよ。小さい頃はお姉様と呼んでくれてたのが懐かしいです。優心様も姉みたいに思ってたから呼んでいたんですよね」

 

優心「……まぁそれはそうだけど……」

と、俺は恥ずかしいと思いながら華さんと、俺が小さい頃の話をしていた。しばらくその話をしていると家に着いたので、その話はお開きになった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~翌日・火曜日の朝~

 

朝に学校に向かってる間に愛からメッセージがきた。

内容は、かぐやさんが熱を出し休むことになり、愛も看病をしなくちゃいけないので休むということだった。

 

"放課後お見舞い行こうか"と連絡すると"うん"と返事が来たので、"分かった、放課後行くね"と送っといた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~放課後~

 

 

 

放課後になり俺は生徒会室に向かった。中に入ると会長と千花と優の三人が、トランプで神経衰弱をやっていた。

 

優心「何で神経衰弱してるの?」

 

千花「これでかぐやさんのお見舞いに行く人を決めているんですよ」

 

何でもかぐやさんのお見舞いに行く人を決めるためにしているらしい。

 

俺は愛との約束で行くことになってるので、三人の様子を眺めていた。

 

結果は会長の勝ちだった。千花はイカサマをして負けて一人で早々と帰っていった。

 

帰っていた千花を眺めてると、会長から話し掛けられた。

 

会長「なぁ弦巻。四宮の家まで一緒に付いてきてくれないか?」

 

優心「あ、いいよ。俺もお見舞い行くつもりだったし一緒に行こう。(愛から来てくれって頼まれてるし)」

 

会長「本当か!」

 

"うん"と返事をして、お見舞いに行くために帰る支度をした。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~四宮別邸~

 

生徒会室の出来事が終わってから、すぐに別邸に向かった俺と会長。向かう途中でゼリーなどお見舞い品を買って、今は別邸の門の前まできた。

 

会長「ここが四宮別邸か…。ニュースで知ってたけど実際に見てみると凄いな」

 

会長は別邸の大きさに驚いていた。

 

優心「驚くのはいいけど、取り敢えずインターホンを押そうよ」

 

会長「そ、そうだな」

 

会長がインターホンを押すと、入るように言われた。愛の声だったから、お客様の相手も愛がしてるってことなのかな。と思ってると会長が話しかけてきた。

 

会長「弦巻はここの建物の大きさに驚かないのか?」

 

優心「驚かないよ。うちの家だって大きいから」

 

会長「……なんか、弦巻に共感を求めるのがおかしい気がしてきたな」

 

優心「気づくの遅くない?」

 

会長「いやいやお前って金持ちだけど、趣味がライブ見に行くとか公園で子供と遊ぶとかだし、他だと漫画やゲームにも詳しいし、どっちかと言うと金持ちより庶民的じゃん。だから金持ちだって忘れて聞いちゃうんだって」

 

優心「そんなもんかな?」

と話してると玄関近くになり、愛がハーサカというメイドに変装した状態で出迎えて自己紹介をしてきた。

俺は、前に愛から場所や相手によって色々と変装をしている事、変装している種類(メイドなど)を教えてもらっていたので、見た瞬間に分かった。

見ていると、会長が大きな声で俺に声を掛けてきた。

 

会長「弦巻、メイドがいるんだけど!」

 

優心「そりゃいるでしょ。俺の家にもいるんだから、こういった場所にいるのは当然だと思うけど」

 

会長「…それもそうか」

 

優心「取り敢えず、かぐやさんの部屋に案内してもらおうよ。ハーサカさんお願いしてもいい?」

 

愛(ハーサカ)「かしこまりました。こちらです」

 

かぐやさんの部屋に案内してもらおうとすると、会長がいきなり"代わりにお見舞いの品を渡したいといてくれ"と言ってきた。

 

愛「いきなりへたるなよ

 

優心「何でここまで来てやめるとか言えるのかな。お見舞いしないのは駄目だと思うよ。行くって言ったの会長だよ」

 

取り敢えず会長に一言を言って、かぐやさんの部屋に案内してもらい部屋の中に入った。

 

部屋に入ると、見事なまでに散らかっていた。愛が声をかけると、かぐやさんは"花火を探してる"と言っていたが、愛は素早くベットにかぐやさんを向かわせた。

 

愛(ハーサカ)「ベットに戻ってください。…それよりもお客様がお見舞いに来てくれてまよ」

 

お見舞いの人が来てると聞いたかぐやさんは、会長と俺を見ると大きな声を出した。

 

かぐや「あ!かいちょうと、つるまきくんだ‼️何で家にいるの⁉️家に泊まるの⁉️」

 

会長「泊まんないよ‼️」

 

優心「(熱を出して幼児退行になってる感じなのかな…)俺と会長も泊まらないよ。今日はかぐやさんのお見舞いに来たんだよ」

 

かぐや「私のお見舞い?」

 

優心「うん。かぐやさんが学校休んだから心配で家まで来たんだ。一番心配してたのは会長だよ」

 

かぐや「ほんと?」

 

会長「ま…まぁ心配はしたな」

 

かぐや「つるまきくんも?」

 

優心「それは勿論だよ。だから家まで来たんだよ」

 

かぐや「そっか。ねぇ、つるまきくん。ほんをよんでほしいだけどいい?……はやさかが、よんでくれないの」

 

愛(ハーサカ)「⁉️」

 

かぐやさんと話してると、愛の名前がいきなり出てきた。それに愛が驚き、そういう俺も内心凄く驚いた。

 

会長「ん?早坂……?何で早坂の名前が出てくるんだ。弦巻何か知ってるのか?」

 

愛の名前を聞いた会長が俺に聞いてきたので、咄嗟に"愛が四宮の使用人でかぐやさんの近衛"だと、バレないように嘘を言った。

 

優心「…俺経由で、かぐやさんと愛が仲良くなったんだよ。まぁ、あまり学校で一緒にいる所は見ることは無いと思うけど」

 

会長「なるほど。早坂って、生徒会庶務の弦巻の彼女だし、四宮とも同じクラスだから弦巻経由で仲良くなっておかしくないな。けど何で、今…名前が出てきたんだ?」

 

優心「多分、俺と会長が来る前にお見舞いに来てたんだと思うよ。でも今のかぐやさんの状態だと、愛に本を呼んでもらった記憶は怪しい感じだけどね……」

 

会長「なるほどな」

と、会長に説明した後にかぐやさんに声をかけた。

 

優心「かぐやさん、今は本を読んであげれないから、ゆっくり寝た方がいいよ」

 

かぐや「ん~、…わかった…」

 

かぐやさんがそう返事をすると愛が声を掛けてきた。

 

愛「私はそろそろ仕事に戻ります。白銀様はかぐや様のお相手をお願いします。弦巻様は私と少し来てもらってもよろしいですか?」

 

優心「あ、はい。分かりました」

 

愛にそう言われたので、先に廊下を出た。愛は、廊下に出る前に会長に色々と言ってから廊下に出てきた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

廊下に出ると、愛が口を開いた。

 

愛「…優心くん、来てくれてありがとう。それとさっきのかぐや様が私の名前を言った時の、会長への対処をしてくれてありがとう」

 

優心「どういたしまして。咄嗟に嘘を言ったけどあれで大丈夫だったかな…」

 

愛「多分大丈夫だと思う。むしろ十分だと思うよ。私は優心くんの彼女だから、生徒会所属の彼氏経由で仲良くなるのはあり得る話だからバレないと思う」

 

優心「そっか。まぁ何とかやり過ごせたから良かったよ」

 

愛「ありがとう。…でも、あの状態のかぐや様と普通に話せるの凄いよね。やっぱり公園で子供達と遊んでるから慣れてるって事だよね」

 

優心「まぁ、それが経験になってる感じだね。愛もご苦労様」

と、廊下で愛としばらく話をしていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

愛「あの……さ、優心くん」

 

しばらく話してると、愛が少し神妙な曇ったような顔になって声をかけてきた。

 

優心「ん?愛、どうしたの?」

 

愛「優心くんに相談したいことがあるんだけど」

 

優心「(相談……、もしかして悩み……)相談?何?」

 

愛「ここでは出来ないかな。あまり人に聞かれたくないから、人がいない所か聞かれても大丈夫な所」

 

優心「(ここで言えない事、人に聞かれたくないだと相当な悩みの可能性があるな……。)……じゃあ家にくる?うちだったら聞かれても他の家の人間に漏れないよ」

 

愛「うん。でも今日は、かぐや様があんな風になってるから、無理だから明日相談する……」

 

優心「分かった。その時にね」

 

愛「ん……」

 

そう言って俺は、不安そうな顔をしていた愛の頭を撫でてあげた。

 

しばらくそのままでいると、いきなりかぐやさんの部屋のドアが開き会長が走りながら飛び出して行った。

 

俺は"何だろう"と思ったが、時間が遅いので家に帰る事を伝えた。

 

優心「愛、そろそろ帰るね」

 

愛「あ、うん。明日、放課後に相談するから……

 

優心「うん。明日うちに一緒に行くって事で

 

愛とそう約束してから、四宮別邸を出て車で家に帰った。

 

 



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第20話


遅くなってしまいました。第20話です。

話の途中でそう簡単にいくか?と思われる方もいるかもしれませんが、暖かい目で呼んでくだされば幸いです。

では、本編へどうぞ。



 

 

~優心視点~

 

 

会長と一緒に、熱を出したかぐやさんのお見舞いに行った日の翌日、水曜日の朝。

 

優心「…体がだるい……。もしかして…かぐやさんのが移ったのかな…?」

 

俺は目を覚めたから起きようとすると、体がだるくて起き上がるのもしんどく感じた。

 

その為、ベットに寝たままで"かぐやさんのが移ったのかな"と、頭があまり回らない状態で考えてると、家の廊下から足音が聞こえてきた。

 

こころ「お兄様ー、おはようー‼って、あら?お兄様どうしたの?布団から出て無くて、しかも顔が赤いわよ?」

 

優心「おー、こころ…おはよう。ちょっと華さんを…呼んできてくれる…?体がだるくて…動くのもちょっとしんどいから」

 

部屋に入ってきたのは、やはりこころだった。いつも朝食を食べる部屋に行く時に、必ず俺の部屋に来てくれるのだ。

 

俺は、少し体を起こして、こころに"華さんを呼んで来て欲しい"とお願いした。

 

こころ「分かったわ、華を呼べば良いのね。呼んでくるから待ってて」

 

こころが部屋を出ていくのを見送ってから、体を起こしてた状態から寝転ぼうとした。その直後、部屋のドアが大きな音でまた開いた。

 

その音で少しびっくりしてしまったが、華さんを連れてきたこころが思いっきりドアを開けたみたいだった。それにしても早いな。……いや家だから当たり前か。

 

黒服(華)「優心様、まず体温を測ってください」

 

体温計で測ってみると、熱は38.5度だった。

 

当然だが高熱の為、学校を休む事にしたので、華さんに学校に連絡してもらい、"心配だから"と言って休もうとするこころに学校に行くように説得してから、生徒会メンバーと愛に休む事を連絡をした。

 

その後、家の料理人さんがお粥を作ってくれてたので、それを食べてから寝ようとベットにもぐった。

 

優心(愛に悪い事したな…。今日、愛から相談を受けるはずだったに……。昨日の感じ的に結構な悩みぽかった…けど……)

 

愛の相談の事を考えていると、次第に瞼が重くなって、いつの間にか俺は寝ていた。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

小さい頃の懐かしい夢を見た。

 

 

 

優心「お母様ー、僕も出来たよ」

 

心美「優心も出来たのね。こころと一緒で凄く上手よ」

 

別荘がある山の開けた場所で、こころと一緒に花かんむりを作っていた。それで作れたのでお母様に見せると頭を撫でて褒めてくれた。

 

優心「えへへ。こころも僕も作るの上手いんだから」

 

こころ「おかあさまー!あたしも頭なでて」

 

心美「はいはい」

 

お母様は優しい眼差しで撫でてくれた。

 

こころ「おにいさま、こんどはあっちであそぼ!」

 

優心「あ、うん。ちょっと待って、こころー」

 

いきなり走っていったこころを追いかけた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

小さい頃の夢でこころを追いかけた所で目が覚めた。目を開けると、私服姿の愛が俺の頭を撫でていた。

 

優心「ん…愛?何で、愛が家に?」

 

愛「優心くんの事が心配だから来たんだよ。今日の朝に連絡来てびっくりしたんだから」

 

優心「それはごめん。…でも、何で頭を撫でてるの?」

 

愛が頭を撫でていることに驚きながら、何で家にいるか聞くと、俺が休んだことに驚いたと言っていた。

 

その事を謝ってから、何で頭を撫でてるのか聞いてみた。

 

愛「優心くんの寝顔が、最初苦しそうだったから撫でてたんだ。そしたら穏やかな寝顔になったから撫でるのやめようと思ったけど、まだ撫でたかったから撫でてたの。…もしかして嫌だった?」

 

優心「ううん、嫌じゃないよ。撫でられてたから…凄い懐かしい夢見てたんだ…」

 

愛「夢?」

 

愛に、寝てる間に見てた夢の内容を教えた。

 

愛「家族で出掛けててお母さんに頭撫でられる夢か……。何かそういうのいいね」

 

優心「うん。…まぁ今はお母様達は忙しいから、中々出掛けるの難しいけどね」

 

少し話をして、熱をもう一度測った。測ると37.5℃だったので少し安心した。そこで、ふと時間が気になったので時間を聞いた。

 

優心「そういえば、今何時?」

 

愛「お昼の12時だよ」

 

優心「12時…学校はどうしたの?」

 

愛「学校は休んだよ。さっきも言ったけど心配だったんだ。かぐや様に許可もらって学校に連絡して休ませてもらったんだ」

 

優心「そっか、来てくれてありがとう」

 

愛に時間を聞くと、お昼の12時だったので"学校はどうしたの"と聞くと、わざわざ休んで来てくれたみたいだった。その事にお礼を言った。

 

愛「うん、どういたしまして。……お昼はまだだよね。お粥作ろうと思ってるけど食べれる?」

 

優心「大丈夫だよ。熱も下がってたし、体の調子も朝よりはマシになったから食べれるよ。キッチンは…華さんに案内してもらった方がいいかな……」

 

愛と話をしてると、部屋の扉が開いたのて扉の方を見た。

 

黒服(皐)「優心様、熱出たって聞いたけど大丈夫?」

 

優心「あれ?皐だ。…一応熱は下がって、体の調子も朝より良くなったよ。…で、皐はいつ帰ってきたの?」

 

黒服(皐)「昨日の夜、優心様とこころ様が寝た頃に戻ってきたんだ」

 

優心「そうなんだ」

 

部屋に入ってきたのは、黒服で同い年の皐だった。熱を出した俺の心配して"大丈夫?"か聞いてきたので、"朝よりは大丈夫"だと返事をして、いつ帰ってきたのか聞いた。

 

聞くと、昨日の夜…俺とこころが寝た頃に帰ってきたらしい。電話で言った通り7月中に帰ってきた。

 

皐と話してると愛が声をかけてきた。

 

愛「あ、あの…優心くんこの人は誰?服装を見れば黒服の人と分かるけど」

 

優心「ほら、前に言った人だよ。名前は皐で、俺と同い年の子だよ。まぁ…皐が先の誕生日だから一足先の17歳」

 

愛「あ、この人が……」

 

黒服(皐)「前に話したの?優心様」

 

優心「うん。皐が電話かけてきた時に、少しだけ説明したんだ」

 

黒服(皐)「なるほど、そういうことね。……私は皐です。奥様から話は聞いています。優心様の彼女の早坂愛さんですね。よろしくです」

 

愛「あ、はい。よろしくお願いします」

 

優心「皐、愛をキッチンの所に案内してほしいんだけどお願いしてもいい?」

 

黒服(皐)「あ、はい。こちらです」

 

皐と愛の二人は、キッチンに向かった。しばらくしてお粥を作ってきた愛が戻ってきた。愛が作ってくれたお粥は美味しかった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

お粥を食べ終わった俺は、昨日愛が相談があると言っていたので、相談の内容を聞いた。

 

 

優心「それで昨日言ってた相談は何?」

 

愛「あ、うん。まず私は、四宮家長男の黄光様の指示で、かぐや様の行動とかを一挙一動報告するために近衛としてかぐや様に送り込まれたんだ。スパイみたいな感じかな」

 

優心「……そうなの?」

 

愛「うん。……でも本当はやりたくなかった…!でも私と私の家が四宮家で生き残るには、黄光様に取り入る他なくて…言われた通りにするしかなかった……」

 

そこで愛は口を閉じた。予想以上の相談の内容だったが俺は、愛に小さい頃からやらせてる事にイラついた。

 

けど、それ以上に"一瞬"とはいえ曇った顔を見ても聞こうとしなかった自分にイラついた。…と思っていると、愛がもう一度、口を開いた。

 

愛「…今までかぐや様に対する罪悪感で、心がつぶれそうだったんだけど我慢をしてた!」

 

優心「……」

 

愛「けど優心くんの彼女になって、ハロハピとかのバンドの皆と仲良くなった。優心くんと、純粋に頑張るバンドの皆と仲良くなる度に……日を重ねる毎に…罪悪感が大きく…なっていった…!…もう辛いよ……優心くん……助けて……!」

 

愛は"助けて"と言った後に、抱きついてきて大声で泣いた。俺は、愛の背中を擦りながら泣き止むまで、しばらくそのままでいた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

しばらく経って泣き止んだ愛に、一言謝った。

 

優心「愛、ごめん」

 

愛「え…?何で…優心くんが謝るの?」

 

優心「愛のその悩みに気付いてあげられなかったから。…いや、本当は何となく気付いてはいたんだけど」

 

愛「気付いてた?」

 

優心「愛と遊びに行った時や一緒に帰った時とかに、たまに曇った顔を一瞬見たことがあったんだ。"悩みがあるのかな…"とか思ってたんだけど、でも一瞬だったから本当かどうか分からなかったから聞けなかったんだ。だからごめん」

 

愛「……謝らなくてもいいよ……。私だって助けて欲しかったのに、今まで黙ってたんだから」

 

そう言われたが、聞かなかったは事実だったのでまた謝ったが、その後も繰り返しに"自分が悪い"と言い合うのが続いてしまった。

 

優心「じゃあ、どっちも悪いって事で手を打つ?」

 

愛「…うん」

 

愛にそう言って返事を貰ってから、俺が気になったことを質問した。

 

優心「聞きたいけど、四宮の使用人を辞めた後は、何かやりたいとか考えてるの?」

 

愛「…辞めたら、自由になれるから、折角だし世界を見て回りたいかなって思ってたけど、それは優心くんといれば叶えられそうだけどね。取り敢えず、優心くんやバンドメンバーの皆や学校の皆と、やりたい事をの探そうかなって思ってるよ」

 

優心「そっか。それは追々、見つけていくって事でいくとして…、じゃあかぐやさんとの関係の事は?」

 

愛「……主従とか関係なく友達として仲良くしたい。一緒に学校に登校したり、人の目を気にせずに一緒に教室とかで過ごしたいと思ってるよ。あとクラスの皆とも友達として仲良くなりたい」

 

そう聞いた俺は、愛の希望を叶えるためにどうしようかと考えた。

 

優心(愛のその希望を叶えたいけど、愛が四宮から抜けると、かぐやさんの情報を持ってるから四宮内部から狙われる可能性が高い)

 

愛「……優心くん?」

 

優心(それに"四宮家は跡取り問題が起きてる"とお父様が前に言ってたから、跡取りの三兄弟の全員か誰かが狙うのは確実だと思うから、守るためにはどうしよう……)

 

愛に四宮の使用人を辞めた後と、かぐやさんとの関係の事を聞いた。情報を持ってる愛が狙われるかもしれないので、守る方法を考えた。

 

 

しばらく考えてると、ふと思い付いた事が一つあった。

 

 

優心「愛、弦巻家の使用人にならない?」

 

愛「……え?どういう意味……?」

 

俺がそう言うと、愛は驚いていた。

 

…まぁ…何の話もしてないのに、いきなりそう言われたら驚くだろうな。と、思いつつ驚く事を予想してたので、愛に訳を話した。

 

優心「愛が四宮の使用人を辞めたら、多分四宮兄弟の各派閥から狙われる可能性が高い。理由はかぐやさんの情報を持ってるから、情報を引き出す為に拉致されるかもしれない」

 

愛「それは……確かにそうかも…。それに今は四宮家は跡取り問題で各兄弟派閥は情報が必要だから、かぐや様の腹心の私から情報を得ようと狙ってくるって事はあり得るね…。……だから弦巻家の使用人って言ったの?」

 

優心「そう。"弦巻家の人間"ということになれば、狙われる可能性は無くなるとは言えないけど、格段に低くなると思ったんだ。そうすればかぐやさんと友人関係に、学校の他の人と仲良くなれると思うんだ。愛はどうしたい?」

 

愛「……そうなったら安全になるし、私も狙われるのが少なくなれば安心するし、かぐや様とも友達になれると思う。でも優心くんのお父さんたちは許可してくれるの?」

 

優心「まぁ承諾してくれると思うけど、電話で聞いてみる」

 

そう言ってベット近くに置いてたスマホを取ってお父様に電話を掛けた。

 

誠心『どうした、優心から電話をしてくるの珍しいな』

 

優心「ちょっと、お父様にお願いしたいことあって電話したんだ。言ってもいい?」

 

誠心『構わないが、どうした?』

 

返事を聞いてから、愛の事を説明した。俺の考えも含めて話した。言い終わってしばらく待ってるとお父様から声が掛かった。

 

誠心『あぁ、いいぞ。ただ、雁庵と早坂の両親たちに話を通すのと、その他諸々の処理に時間が掛かるから、正式に決まるのは夏休み明けになる。それまでは待っててもらうがいいか?』

 

優心「うん。俺は問題ないよ」

 

誠心『ただ、四宮の令嬢には優心達からちゃんと説明しとけよ」

 

優心「分かってるよ。けど……それでも心配はあるけど」

 

誠心『……雁庵は別として、優心が心配してるのは四宮三兄弟の事だろう。あいつらを黙らせるために雁庵に話をして黙らせてもらう。だからまぁ、夏休み明けまで時間がかかる。……と言っても次期当主の優心の彼女に、手を出しにくいだろうから大丈夫だ』

 

優心「お父様がそう言うなら……。でも出来るだけ可能性を考えてた方がいいでしょ?」

 

誠心『確かにな。でもまぁ、少なくとも優心が彼女の為に動くまでに成長するのは父としては嬉しいけどな』

と、成長を褒めてきたので少し照れてしまったが、すぐ一つだけ反論した。

 

優心「……でも、次期は俺じゃなくてこころだからね」

 

誠心『それは分かってるよ。ただ、四宮は優心の事を次期当主と思っているんだ。それだけは覚えておけ。代理だとバレても、うちの代理は一部を除いて、当主とほぼ同じ権限を持っている。だから四宮は手が出しにくいが、それでも彼女に手を出してきたら、それを上手く使え』

 

優心「分かった。まぁ今日はありがとう。お父様」

 

誠心『息子の為だしな。その前に彼女と変わってくれないか?今のを私からも説明しといた方がいいだろう?』

 

"そうだね"と答え、愛に説明してスマホを渡した。

 

 

 

 

電話を受け取った愛は挨拶をしてから話を始めていた。

 

愛「あ、あの早坂愛です」

 

電話をしている間、俺は暫く待っていた。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

愛「い、いえ、自分の方が迷惑をかけてしまってます……。でも一緒に居てくれますし、楽しいです……」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

愛「本当ですか?……でも、元々四宮の人間なのにそう簡単に決めてもいいんですか?」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

愛「えっと、決まるまでは構わないです。私の為に動いてくれるだけでもありがたいので」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

愛「……確かにマ……母は雁庵様の付き人をしてますし、自分からも話を通してた方がいいですね」

 

 

愛「そ…そうですね……。でも、優心くんに隣に居てもらうようお願いして話します」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

愛「あの、黄光様に情報流すのはやめても大丈夫でしょうか?」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

愛「ありがとうございます」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

愛の電話の返事を聞きながら終わるまで待っていた。気になる返事もあったけど、しばらく電話をしてた愛が通話を終えたみたいでスマホを返してきた。

 

愛は、俺にスマホを返しながらお願いを言ってきた。

 

愛「優心くん、スマホありがとう。…それでお願い…なんだけど、かぐや様に私がやっていた事を伝えたいんだけど……一緒に来てくれる?」

 

優心「勿論。俺も弦巻の使用人についても説明をしなくちゃいけないから、一緒にかぐやさんに説明しよう」

 

愛がお願いしてきたのは、かぐやさんに自分のやっていた事(黄光に情報流してた事など)を伝える時に、俺と一緒にいてほしいと言ってきたので、"勿論"と返事をした。

 

愛「それと、夏休み明けまでは四宮の使用人のままで……、って事を言われた。それには、私自身問題ない事を伝えたけど、黄光様とかが関係してるのかな?」

 

優心「そうだと思う。弦巻の使用人になる前に手荒な事をする可能性が高いから、多少少なくするのが目的だと思う。別邸に居ればかぐやさんと行動をすることが基本だし、学校にいると手を出すのが難しいからね」

 

愛「なるほど、確かに……」

と愛は呟いていた。……が、取り敢えず、愛の相談から始まった話は、お父様と話をしてから一旦は落ち着いた。

 

今まで話してて気にしてなかった時間と外を見てみると、夕方になっていた。

 

優心「もう夕方になってる」

 

愛「あ、本当だ」

と、話してると、ドタドタと足音が聞こえてきた。近づいてくると、部屋の扉が"ドンッ!"と大きな音をたてて開いた。

 

愛「ッ!?」

 

優心「あ、やっぱり、こころだった。お帰りこころ」

 

扉を開けたのは、予想した通りこころだった。愛は大きな音にビックリしていたが、俺はこころにお帰りと声をかけた。部屋に入ってきたこころは、すぐ俺の所に来た。

 

こころ「ただいま!お兄様、熱は下がった?」

 

優心「大丈夫だよ。ちゃんと熱下がったし、体も調子いいから。心配してくれてありがとう、こころ」

 

こころ「そう?なら良かったわ。……あら?愛がいるわね。何でいるのかしら?」

 

愛「優心くんのお見舞いに来たんだ。私も優心くんの事が心配だったから」

 

こころ「そうなのね!お兄様、今日学校でね……」

と、俺に学校であった事を話してくれた。その話題に愛も加わって三人でしばらく話をしたが、ふと時間を見ると、19時近くになっていた。その為、愛に時間の事を伝えた。

 

愛「え、あ、ほんとだ。もうこんな時間か。じゃあそろそろ帰るよ」

 

優心「じゃあ車で送ってもらうようにするよ」

 

愛に時間の事を伝えると、帰る事を伝えてきたので車の準備をしてもらおうと、華さんを呼びに行こうとした時にこころが口を開いた。

 

こころ「愛はもう帰るの?」

 

愛「あ、うん。まだ話したりしたいけど、流石に家に帰らないと……」

 

こころ「だったら、うちに泊まったらいいわ。そうしたらご飯の時や寝るまでの間、話したり出来るでしょ」

 

愛・優心「「え?」」

と、いきなりこころがそう言ってきた。

 

それを聞いた愛は驚くのは当然だったが、こころのお願いに慣れている俺も驚いてしまった。

 





今回は、愛が自分のやっていた事を優心に伝え助けを求めた話でした。

そして次回は、この話の早坂視点の話を投稿します。


その後……その次に、こころが愛に弦巻家に泊まる事を伝えた事に対する続きの話を投稿します。


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第21話


前回の20話の早坂視点です。

今回は、長くなっています(9400文字ちょっとです)。

では本編をどうぞ



 

~早坂視点~

 

 

今日の朝。いつも通りら別邸で朝にする必要がある使用人の仕事をしていた。

 

愛(今日の放課後に優心くんに相談しないと……)

と、考えながら使用人の仕事をしているとスマホが震えた。即座に確認すると、優心くんからのメッセージだったので、内容を見た。

 

愛「え?」

 

内容を見てみると、"熱が出たため学校を休む"という内容だった。

 

愛「優心くんが熱出すなんて……。…昨日のかぐや様の熱が移ったのかな……」

 

心配していると、制服に着替えを済ませたかぐや様に、声をかけられた。

 

かぐや「今日は弦巻くん休みみたいね。…早坂、もしお見舞いに行きたいのあれば、今日は学校も仕事も、休んでも良いわよ」

 

愛「い、良いんですか?……いやでも……」

 

かぐや様にそう言われ行きたいと思ったが、朝の使用人の仕事が残ってる為、断ろうとした。

 

かぐや「別に問題ないわよ。弦巻くんと付き合ってるのだから。なにより早坂、凄く心配してる顔をしているわよ。多分使用人の仕事や学校の方も、集中出来そうに無さそうよ」

 

愛(確かに凄く心配はしてる。…けど)

 

かぐや「で、早坂はお見舞いに行きたいの?行きたくないの?」

 

愛「(そう言う聞き方はずるいですよ……)……行きたいです。……なので今日は休ませてもらいます」

 

二択の状態で質問された私は"行きたいと"答え、休むことにした。学校には熱が出て(仮病だが)休む事を伝えた。

 

その後、弦巻家に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

流石に家の場所は分からないので、優心くんに家の場所を聞くためにメッセージを送ったが、返信は来なかった。

 

愛(返事が来ないってことは寝てることかな?まぁ、当たり前だよね。流石に熱が出てる状態だし、かぐや様みたいにならなくても、体がだるくなって寝てしまうから)

と、考えながら、まず商店街の所まで来た。

 

歩いてると、ハロハピのはぐみとポピパの沙綾の二人と会った。

 

沙綾「あれ、愛先輩?」

 

はぐみ「あ、本当だ。愛ちゃん先輩だ。おはよー」

 

愛「沙綾、はぐみ、おはよう」

 

沙綾「おはようございます。…あの愛先輩、今日は平日ですよね?秀知院は休み…とかじゃないと思うんですけど、何でここに……?」

 

愛「朝、優心くんから今日熱が出たから休むって連絡がきて心配したから、お見舞いに行きたくてここまで来たんだ」

 

はぐみ「え、ゆーくん熱出たの!?それって大丈夫なの!?」

 

愛「それは、メッセージの返事が来てないから分からないんだ」

 

沙綾「それは心配ですね。………でもそれ愛先輩、サボりになりません?」

 

愛「…うん、サボりになるね。でもどうしても心配なんだ。優心くんの家には黒服の人がいるから、看病をしてくれるのは分かるんだけど、どうしても心配になったから仮病を使っちゃった…」

 

はぐみ「でも、ちゃんと学校に行かなくちゃダメだよ」

 

愛「それは…そうなんだけど…」

 

沙綾「確かに、彼氏の優心先輩か熱が出たというのは、心配するのは分かりますよ。私も家族や香澄達が、熱を出したりしたら心配しますから。まぁ優心先輩に、心配してたって伝えてください」

 

はぐみ「はぐみも心配してたって、ゆーくんに伝えてね!愛ちゃん先輩」

 

愛「あ、うん。伝えとくね」

 

沙綾「じゃあ、そろそろ学校に向かいますね」

 

はぐみ「愛ちゃん先輩、バイバイー」

と、少し話をして二人は学校に向かった。

 

愛(あ、優心くんの家の場所を聞くの忘れてた。取り敢えず、八百屋や青果店とかで果物とか買った時に、場所を教えてもらえばいいか。……商店街だったらあるはずだよね?)

 

そう思い、周りを見渡してみると銀河青果店を見つけた。なので私はそこに向かい、リンゴなどお見舞いに持っていく果物を選んで買った。

 

商品を買った後に、店主に優心くんの家の場所を聞いた。

 

愛「あの、すみません。優心……弦巻家って何処にあるか分かりますか?」

 

店主「ん、優心…弦巻?…優心がどうかしたのか?」

 

愛「ん?優心くんとお知り合いですか?」

 

店主「まぁな。この青果店の地下に、俺がオーナーやってるギャラクシーって名前のライブハウスがあるんだ。それでライブを見にきてくれたり、うちの娘のますきと仲良くしてもらってる」

 

愛「だから知り合いなんですね。…それで優心くんが熱を出してしまって、今日休むって連絡が来たんです。それで心配で、お見舞いに行こうと思ったんです」

 

店主「あいつが熱を出すなんて珍しいな。……弦巻家はここら一帯で一番大きいと有名な豪邸だから、あっちに向かえばすぐ分かる。同じ塀が長く続くようになったらそれが優心の家の敷地だ」

 

愛「分かりました、ありがとうございます」

 

お礼を言って、家に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

商店街からしばらく歩いていると、長く続く塀が見えてきた。その横の歩道をそのまま歩いていた。

 

愛(長い…。確かにあの店主の言う通りだ)

と、思いながらしばらく歩いていると、やっと弦巻家に着いた。…ただ…着いたのだが……。

 

愛(ここ一帯で大きい豪邸って店主は言っていたけど……、どう見ても宮殿並みに大きさだ……。車も凄かったけど、家は家で規模が違う。四宮本邸や別邸も大きいのに……)

と、家の大きさに驚いてしまった。

 

愛(あ、まずインターホン押さないと)

 

驚いてしまったが、すぐに冷静になってインターホンを押した。

 

執事〖はい〗

と、男性の声が聞こえた。

 

愛「(男性の声だから執事かな?)…あの、弦巻優心くんのお見舞いに来た、早坂愛です」

 

執事〖早坂愛様ですね。どうぞお入りください〗

 

優心くんのお見舞いに来た事と自分の名前を言うと、そう返答があり門が開いた。中に入り玄関先に向かって歩いてると、前から黒服の人が来た。

 

黒服(華)「愛様、お荷物お持ちします」

 

愛「え、あ、ありがとうございます。……声的に…優心くんの護衛をしている黒服の女性ですか?」

 

荷物を持ってくれた黒服の人にお礼を言いつつ、"優心くんの護衛をしてる女性の人か"と聞いてみた。

 

黒服(華)「はい、そうです。…まだ名前を名乗ってなかったですね。…私は華と申します」

 

愛「華さんですか。よろしくお願いします」

 

家の中に入り優心くんの部屋まで案内してもらった。部屋に入ると、優心くんはベットで熟睡していた。

 

優心くんの部屋は色々置いてあった。ゲーム機や漫画などがあり、アクションなど色んなジャンルが置いてあったが、特に驚いたのは少女漫画の一作品があったことだ。

 

愛(タイトルは…今日はあまくちで?……変な名前。……他には何かあるのかな?……ミッシェルのぬいぐるみもあるし公園で遊んでる子供との写真や、バンドメンバーとの写真もある)

 

他にも見ていると、気になった写真を見つけた。

 

愛(これは…ポピパの皆と一人の女性と一緒に写ってる写真。ライブハウス…スペース…)

 

写真を見ていると部屋に華さんが入ってきた。私が持ってた写真を見た華さんが教えてくれた。

 

黒服(華)「これは、ライブハウスのスペースが閉店するということでしたので、優心様の希望で撮った写真ですよ」

 

愛「…この写ってる女性は誰です?」

 

黒服(華)「スペースのオーナーの都築詩船(つづきしふね)様です。優心様と詩船様はよくお話ししてましたし、今でもお会いになってます」

と、聞いた私は優心くんの人脈というか知り合いの多さに驚いた。

 

 

私はしばらく華さんと話をしていた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

話をしていた華さんは、仕事に戻っていったので、私一人で部屋で過ごしていた。ふと優心くんの顔を見ると少し苦しそうだった。それを見た私は、無意識に頭を撫でていた。

 

優心「ん…、お母様……こころ……」

 

少し撫でてると、穏やかな顔になって小さく寝言を言っていた。

 

愛(なんか優心くんの頭を撫でるのもいいかも。……落ち着いたから撫でるのやめてもいいけど、まだ撫でたいからこのままでいよう)

と、思ったので、しばらく頭を撫でていた。そのままでいると、優心くんが目を覚ました、

 

優心「ん…愛?何で、愛が家に?」

 

目を覚ました優心くんがそう聞いてきたのでお見舞いに来たことを伝えた。

 

愛「優心くんの事が心配だから来たんだよ。今日の朝に連絡来てびっくりしたんだから」

と、教えると優心くんは謝って撫でてる理由を聞いてきた。

 

愛(別に謝らせるつもりで、言った訳じゃないのに)

と思いながら、撫でてる理由を教えつつ"嫌なのか"と聞いてみた。

 

愛「優心くんの寝顔が、最初苦しそうだったから撫でてたんだ。そしたら穏やかな寝顔になったから撫でるのやめようと思ったけど、まだ撫でたかったから撫でてたの。…もしかして嫌だった?」

 

優心「ううん、嫌じゃないよ。撫でられてたから…凄い懐かしい夢見てたんだ…」

 

愛「夢?」

 

撫でられるのは、嫌じゃないと言ってくれたので安心したが、夢を見たと言ってきたので、夢の内容を聞いた。

 

愛「家族で出掛けててお母さんに頭撫でられる夢か……。何かそういうのいいね」

 

聞いてみると、優心くんとこころが、弦巻家の別荘があるの山の麓に家族と出掛けてた夢を見たらしい。

 

優心「うん。…まぁ今はお母様達は忙しいから、中々出掛けるの難しいけどね」

 

愛(そうなんだ。少し寂しそう……)

 

寂しそうな顔を気になったが、優心くんに熱を測ってもらった。測ると37.5℃で、"朝より下がった"と伝えてくれたと同時に、今の時間を聞かれたので教えてあげた。

 

愛「お昼の12時だよ」

 

優心「12時…学校はどうしたの?」

 

愛「学校は休んだよ。さっきも言ったけど心配だったんだ。かぐや様に許可もらって学校に連絡して休ませてもらったんだ」

 

時間を教えると学校の事を聞かれたので、休んでお見舞いに来たことを教えた。伝えるとお礼を言われたので、それに返事をしてからお昼の事を聞いた。

 

愛「うん、どういたしまして。……お昼はまだだよね。お粥作ろうと思ってるけど食べれる?」

 

優心「大丈夫だよ。熱も下がってたし、体の調子も朝よりはマシになったから食べれるよ。キッチンは…華さんに案内してもらった方がいいかな……」

と、優心くんがそう言っていると、"ガチャ"と部屋のドアが開いた音がした。

 

黒服(皐)「優心様、熱出たって聞いたけど大丈夫?」

 

ドアの方を見ると、そう言いながら華さんじゃない黒服さんが部屋に入ってきた。そのまま二人は話を始めた。

 

愛(話を聞いてると皐って名前だよね。皐って確か…前に教えてくれた同い年の黒服さんの事だったよね……)

と、思った私は確認の為に優心くんに質問した。

 

愛「あ、あの…優心くんこの人は誰?服装を見れば黒服の人と分かるけど」

 

優心「前に言った同い年の黒服の皐だよ」

 

聞いてみると、私が思ってた通りだった。

 

皐さんは優心くんに質問をして少し話をしてから私に声をかけてきた。

 

黒服(皐)「私は皐です。奥様から話は聞いています。優心様の彼女の早坂愛さんですね。よろしくです」

 

愛「あ、はい。よろしくお願いします」

 

皐さんに挨拶をされたので私も挨拶をした。その後、皐さんからキッチンまで案内してもらう事になった私は、隣を歩いてる皐さんに質問した。

 

愛「あの、優心くんから不良だったと、聞きましたけど……。どういう経緯で弦巻家の使用人になったんですか?」

 

黒服(皐)「簡単に言うと、こころ様に声を掛けてもらったんです。で、旦那様からの条件をクリアして、今に至る感じです」

 

愛「こころから……。その、条件というのは?」

 

黒服(皐)「……優心様の彼女さんですから、時間がある時にでも詳しく説明しますよ。……と、ここがキッチンになります」

 

愛「あ、ありがとうございます」

 

話してる途中でキッチンに着いた。皐さんの事はいつか話してくれるそうなので、今は優心くんにお粥を作ることを優先した。

 

 

 

お粥を作り終えて、部屋で優心くんに食べてもらうと、美味しいと言ってくれたのが嬉しかった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

優心「それで昨日言ってた相談は何?」

 

お粥を食べてもらったあと、お皿を片付けてから優心くんに相談の事を聞かれたので、私は話し始めた。

 

愛「あ、うん。まず私は、四宮家長男の黄光様の指示で、かぐや様の行動とかを一挙一動報告するために、近衛としてかぐや様に送り込まれたんだ。スパイみたいな感じかな。でも……本当はやりたくなかった…!でも私と私の家が四宮家で生き残るには、黄光様に取り入る他なくて…言われた通りにするしかなかった……」

 

話していく内に、下を向いていった。優心くんは黙ったままだったので、一旦区切りを付けて優心くんの顔を"チラッ"て見ると、何か怒ってるような顔だった。…が、続きの話を進めた。

 

愛「…今までかぐや様に対する罪悪感で、心がつぶれそうだったんだけど我慢をしてた!けど優心くんの彼女になって、ハロハピとかのバンドの皆と仲良くなった。優心くんと、純粋に頑張るバンドの皆と仲良くなる度に……日を重ねる毎に…罪悪感が大きく…なっていった…!…もう……辛いよ……優心くん……助けて……!」

 

私は話していく内に、辛くなっていった。

 

そして話の最後には堪えきれずに、優心くんに抱きついて大声で泣いてしまった。でも優心くんは私の背中を擦りながら泣き止むまでしばらくそのままでいてくれた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

優心「愛、ごめん」

 

愛「え…?何で…優心くんが謝るの?」

 

しばらく泣いて、やっと落ち着いた私に優心くんが謝ってきた。何で謝ってきたのかが分からなかったので、何で謝ったかを聞いた。

 

優心「愛のその悩みに気付いてあげられなかったから。…いや、本当は何となく気付いてはいたんだけど」

 

愛「気付いてた?」

 

優心「愛と遊びに行った時や一緒に帰った時とかに、たまに曇った顔を一瞬見たことがあったんだ。"悩みがあるのかな…"とか思ってたんだけど、でも一瞬だったから本当かどうか分からなかったから聞けなかったんだ。だからごめん」

と、優心くんに言われた。

 

 

愛「……謝らなくてもいいよ……。私だって助けて欲しかったのに、今まで黙ってたんだから」

 

優心くんは、自分のせいだと言っていたが、私も黙ってたのが悪いってことを伝えた。でもその後もお互いに謝り続ける事になったが…。

 

優心「じゃあ、どっちも悪いって事で手を打つ?」

と、優心くんからそう言われたので私は"うん"と返事をした。

 

優心「聞きたいけど、四宮の使用人を辞めた後は、何かやりたいとか考えてるの?」

 

返事をした後に、優心くんから使用人をやめたあとの事……、今後の事を聞かれたので、自分の考えてる事と思ってる事を伝えた。

 

愛「…辞めたら、自由になれるから、折角だし世界を見て回りたいかなって思ってたけど、それは優心くんといれば叶えられそうだけどね。…まぁ、優心くんやバンドメンバーの皆、学校の皆とかとやりたい事をのんびり探そうかなって思ってるよ」

 

優心「そっか。それは追々、見つけていくって事でいくとして…、じゃあかぐやさんとの関係の事は?」

 

愛「……主従とか関係なく友達として仲良くしたい。一緒に学校に登校したり、人の目を気にしないで教室とかで話したりして過ごしたいと思ってるし、あと他のクラスの人達とも友達として仲良くなりたいと思ってるよ」

 

かぐや様との関係の事も聞かれたのでそれも答えると、優心くんはしばらく黙ってしまった。

 

愛(優心くん、いきなり黙ったままになったけどどうしたんだろ?)

 

いきなり静かになった事に疑問に思いながらもしばらく待ってると、優心くんが口を開いた。

 

優心「愛、弦巻家の使用人にならない?」

 

愛「……え?どういう意味……?」

 

優心くんが言ってきた意味が分からなかった。その為、返事が遅れてしまったが、"何で?"という質問をした。

 

優心「愛が四宮の使用人を辞めたら、多分四宮兄弟の各派閥から狙われる可能性が高い。理由はかぐやさんの情報を持ってるから、情報を引き出す為に拉致されるかもしれない」

 

優心くんが言ってきた事は、確かにあり得ることだった。それに"確かに"と返事をしつつ、だから"弦巻家の事を言ったのか"と質問した。

 

優心「そう。"弦巻家の人間"ということになれば、狙われる可能性は無くなるとは言えないけど、格段に低くなると思ったんだ。そうすればかぐやさんと友人関係に、学校の他の人と仲良くなれると思うんだ。愛はどうしたい?」

 

愛「……そうなったら安全になるし、私も狙われるのが少なくなれば安心するし、かぐや様とも友達になれると思う。でも優心くんのお父さんたちは許可してくれるの?」

 

話を聞いて、かぐや様と友達になれると思うことを伝えたが、優心くんの親が使用人の事を許可してくれるのかと思ったのでそれを聞いた。

 

優心「まぁ承諾してくれると思うけど、電話で聞いてみる」

と、電話をすると言って優心くんは電話を始めた。しばらく電話をしている優心くんの言葉を聞きながら待っていた。

 

優心「……次期は俺じゃなくて、こころだからね」

 

待ってる間、ふとその言葉が気になった。

 

愛(じき?…次期って事?漢字からして…次期当主か社長って想像できる…。てことは、こころが当主とかになって、優心くんはならないってことなのかな?)

と、次期という言葉から、考え込んでいると優心くんから声を掛けられた。

 

私は"どうしたの?"と優心くんに聞くと、弦巻家当主の弦巻誠心さんが、使用人について説明してくれると言われた。

 

私は驚きつつスマホを受け取った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

優心くんのお父様と話をすることになったので、優心くんから渡されたスマホに耳をあてて、自分の名前を言った。

 

愛「あ、あの早坂愛です」

 

誠心『優心の父の誠心だ。いつも優心が世話になってるね。迷惑はかけてないかい?』

 

愛「い、いえ、自分の方が迷惑をかけてしまってます……。でも一緒に居てくれますし、楽しいです……」

 

誠心『そうか、そう言ってくれると親としても助かるよ。……まぁ、息子の話はここまでにして、本題に入ろうか』

 

愛「は、はい」

 

誠心『さっきの優心からの電話で、話を聞いているよ。私と妻の心美は反対はしないから、優心が言っていた通り君を……下の名前で呼ばせてもらうが、愛を弦巻家の使用人にするのは賛成だ』

 

愛「本当ですか?……でも、元々四宮の人間なのにそう簡単に決めてもいいんですか?」

 

誠心『調査などで君は信用できる人と判断した。他にも色々あるが、今はそれが理由じゃ駄目か?』

と、言われた私は何も言えなかった。静かになっていると、誠心さんから声が掛かった。

 

誠心『……取り敢えず、弦巻家の使用人についてだが、雁庵と君の親と話をするのと、その他諸々の処理に時間が掛かってしまう。だから、正式に決まるのは夏休み明けになってしまうが、構わないか?』

 

愛「あ、はい。えっと決まるまでは構わないです。私の為に動いてくれるだけでもありがたいですから」

 

本題である使用人の話の説明を受けた。話を聞くと処理などで全て終わるのは夏休み明けと説明を受けた。その事を確認をされたが、私は動いてくれるのがありがたかったので、大丈夫な事を伝えた。

 

誠心『そうか。あと一つ言っとくことがあるが、君の両親には私からも話をするが、自分からも話しといた方がいいだろう』

 

愛「……確かにマ……母は雁庵様の付き人をしてますし、自分からも話を通してた方がいいですね」

 

誠心『まぁあとは、言いづらいと思うが……四宮の令嬢にも伝えといた方がいいぞ』

 

使用人の事について、ママには誠心さんからも伝えてくれるみたいだが、そしてかぐや様には自分から伝えとくようにと言われた。

 

愛「そ…そうですね……。でも、優心くんに隣に居てもらうようお願いして話します」

 

かぐや様に伝えづらいが、優心くんと一緒に伝える事を言うと、"そうか"と一言呟いていた。

 

そう呟いた誠心さんに、私からも一つ聞いておきたい事を聞いた。

 

愛「黄光様に情報流すのをやめても、手を出されないでしょうか?」

 

誠心『それはしなくても大丈夫と言える。……確かに流すのをやめた途端に狙われるかも…と、心配するのは当然だと思う。ただ、その辺りはこちらで手を打つから心配するな』

 

愛(雁庵様と違って、本当にどうにかしてくれると信じれる。声色からそうするっていうことが伝わるからかな…)

 

弦巻家当主からハッキリと、"心配するな"と言われると安心した事に不思議に思っていた。

 

誠心『正式に決まる夏休み明けまでは、四宮の使用人としていてもらう事になるが、構わないか?』

と、最後に誠心さんから確認された私は大丈夫なことを伝えた。

 

愛「はい。それで大丈夫です」

 

誠心『じゃあ話は終わりだ』

 

愛「ありがとうございます」

と、私はお礼を言って通話を切ってスマホを優心くんに返した。

 

愛「優心くん、スマホありがとう。…それでお願い…なんだけど、かぐや様に私がやっていた事を伝えたいんだけど……一緒に来てくれる?」

 

優心「勿論。俺も弦巻の使用人についても説明をしなくちゃいけないから、一緒にかぐやさんに説明しよう」

 

優心くんに、私がやってた事をかぐや様に伝える際にいてほしいとお願いすると、快く快諾してくれた。

 

その次に最後に言われた"決まるまで四宮の使用人のまま"という事と、"黄光様などが関係してるのかな"と、私が言うと優心くんが答えてくれた。

 

優心「そうだと思う。弦巻の使用人になる前に手荒な事をする可能性が高いから、多少少なくするのが目的だと思う。別邸に居ればかぐやさんと行動をすることが基本だし、学校にいると手を出すのが難しいからね」

 

愛「なるほど、確かに……。(……優心くんの言うことは理解は出来るが、でも…四宮のままでも大丈夫なら弦巻家の使用人になる必要は無いはず……)」

 

優心くんに答えてくれた四宮の使用人の事を考えていると、優心くんが"もう夕方"と呟いたので、私も外を見て見ると夕方だった。

 

愛「あ、本当だ」

と、思っているとドタドタと足音が聞こえてきた。近づいてくると、部屋の扉が"ドンッ!"と大きな音をたてて開いた。

 

愛「ッ!?」

 

優心「あ、やっぱり、こころだった。お帰りこころ」

 

扉を開けたのはこころだった。入ってきたこころは、私に気付かずに優心くんの隣まで近づき熱の事を聞いていた。

優心くんが大丈夫だと答えると、こころが私に気が付き質問してきた。

 

こころ「あら、愛がいるわね。何で家にいるのかしら?」

 

愛「優心くんのお見舞いに来たんだ。私も優心くんの事が心配だったから」

 

家にいる事を聞かれたのでお見舞いに来た事を伝えた。

 

こころ「そうなのね!お兄様、今日学校でね……」

と、笑顔で返事をしてから優心くんに学校であったことを話し始めた。

 

その話題に私も加わって三人でしばらく話をした。こころは、いつも笑顔で楽しそうに話すので聞いてるこっちも楽しくなる。

 

三人でしばらく話してると、優心くんが時間の事を言われたので、時間を見てみると19時近くだった。

 

愛「え、あ、ほんとだ。もうこんな時間。じゃあそろそろ帰るよ」

 

優心「じゃあ車で送ってもらうようにするよ」

 

そろそろ帰ることを優心くんに伝えると、車で送ってくれると言ってくれたので、帰る支度を始めた。

 

こころ「愛はもう帰るの?」

 

愛「あ、うん。まだ話したりしたいけど、流石に家に帰らないと……」

 

帰る支度をしていると、こころに"帰るの?"と聞かれたので、帰ることを伝えた。

 

するとこころは私がビックリすることを言ってきた。

 

こころ「だったら、うちに泊まったらいいわ。そうしたらご飯の時や寝るまでの間、話したり出来るでしょ」

 

愛・優心「「え?」」

 

泊まることを提案してきた事だった。優心くんを見てみると、驚いている感じだった。

 

私はどう返事をしようかと悩むのに、しばらく黙ってしまっていた。

 





今回、バンドリのバンドの一つである、ラスのメンバーのマスキング(佐藤ますき)のお父さん…銀河青果店の店主兼ライブハウスギャラクシーのオーナーを出しました。

アニメでは一言も喋ってないですし、ラスのコミックでは喋っているシーンがあるんですが、特徴を捉えてない喋り方かもしれません。この口調などは違うんじゃないかと思うかも知れないですが、そこはご了承ください。

あと、ライブハウス、スペースのオーナーの名前だけ登場させました。本人は自然に出せる様な話で出したいなと思ってるので、待っててもらえたらありがたいです

次回は、前回の後書きで書いた通り。こころの言った家にお泊まりに関する話を、書いて投稿予定です。


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第22話


前回の21話の続きで、愛がこころに泊まりの誘いを受けた後の話です。



 

こころが、いきなり家に泊まればいいと言ったので、俺と愛は驚いてしまった。

 

愛「それは、確かにそうだけど、いきなり泊まると家の人達が困ったりしない?」

と、愛はこころにそう言った。

 

こころ「それは大丈夫よ!だって執事もメイドさんも黒服の人も、皆優しいから!……愛は、泊まるのは嫌なのかしら?私は愛とお泊まりしてみたいの!今まで家に友達が泊まりに来たこと無いから憧れてたの!」

 

愛「……」

 

こころからそう言われた愛は、考え込み始めた。暫く待ってると、俺に声をかけてきた。

 

愛「優心くん、かぐや様に泊まってもいいか、確認の連絡していい?」

 

優心「うん。連絡していいよ」

 

愛「それと、使用人の事はいつ話すことにする?」

 

優心「話すんだったら早い方がいいと思う。遅くなればなるほど話しづらくなるから」

 

愛「じゃあ……明日の放課後……に、話すでもいいかな……?優心くんは明日大丈夫?」

 

優心「うん、大丈夫だよ。話す場所は……、いつも愛と話すのに使ってた空き教室でするでいい?」

 

愛「……あそこで?……まぁあそこは人が基本は来ないけど、そこで話すなら、警戒しといた方がいいよね」

 

優心「だね。あとで華さんと話しとくね」

 

愛「分かった。電話してくる。その後に、空き教室を提案したか理由を教えてね」

 

愛が、そう言ってきたので頷いた。頷いたのを見た愛は、部屋から廊下に出ていった。

 

愛が戻ってくるまで、俺はしばらく待った。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

~早坂視点~

 

 

 

こころ「だったら家に泊まればいいのよ。そうすれば、ご飯食べてる時も話したり出来るでしょ!」

 

笑顔のこころに、そう言われた私は驚きを隠せなかった。確かに私が"もう少し話したい"と言ったから、こころがそう言ってくるのは分かるし、その提案には納得は出来た。…が、私はこころに質問した。

 

愛「それは、確かにそうだけど、いきなり泊まると家の人達が困ったりしない?」

 

私は、こころに弦巻家の人の事を聞いた。私がいきなり泊まると、弦巻家の使用人達に迷惑にならないかと心配した。

別邸でも、予定に無い急な来客があると、私や他の使用人達は困る。だからこころに質問をした。

 

こころ「それは大丈夫よ!だって執事もメイドさんも黒服の人も、皆優しいから!……愛は、泊まるのは嫌なのかしら?私は愛とお泊まりしてみたいの!今まで家に友達が泊まりに来たこと無いから憧れてたの!」

 

私の言葉に、こころは目を輝かせてそう言ってきた。その上でこころは、私と"お泊まりしたい"と"憧れてた"とキラキラな笑顔でそう言ってきた。

 

愛(こころのお願いって断りづらい……。憧れてたとかを笑顔で言われたら断るの無理な感じがする。……それに、今はかぐや様に顔を会わせづらいし、色々と優心くんに聞きたい事もある。……かぐや様に電話して、泊まってもいいか聞いてみよう)

 

私はそう思ってかぐや様に"泊まってもいいか"確認する為、電話をする事にした。優心くんに電話をする事を伝え、部屋から出て、廊下で電話をした。

 

愛「かぐや様、少し聞きたいことがあるのですが…」

 

かぐや『もしかして、弦巻くんの家に泊まる…、泊まりたいってお願いかしら?』

 

私が聞こうとした事を、かぐや様にいきなり言われた。その事に"え?"と返してしまった。

 

かぐや『何を驚いているのよ。だって、早坂は弦巻くんのお見舞いに行ってる上に、この時間に早坂は帰って来ていない。そして電話をしてきた。帰ってる事を伝えるなら、メールだけでも済むはずよ。だから早坂が言う事は、予想できるわ』

 

愛「かぐや様の言う通りですけど、弦巻くんの家に泊まってもいいですか?」

 

かぐや『この時間から帰ってきても、中途半端になってしまうと思うから、泊まっていいわよ。ただし、明日からしっかり仕事をしてもらうから』

 

愛「あ、はい。……ただ、明日の放課後に大事な話があります。なので放課後に、時間を作ってもらってもよろしいですか?」

 

かぐや『明日の放課後に大事な話?今、話せない事なの?』

 

愛「はい。直接言わないといけないことなので。それと優心くんと一緒に、かぐや様に話をしますので」

 

かぐや『弦巻くんと……?……分かったわ。放課後ね』

 

愛「はい」

と、返事をしてから優心くんの部屋に戻った。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~優心視点~

 

 

 

しばらく経つと、愛が電話を終えた。

 

愛「かぐや様から、許可をもらったから今日は泊まるね」

 

優心「分かった。服とか必要な物があると思うから、その辺は華さんや皐に頼んだ方がいいかな」

 

そう言った俺は、ベットから降り、部屋から顔を出して近くにいたメイドさんに声をかけた。

 

優心「ねぇ、メイドさん」

 

メイド「優心様、どうかされました?」

 

優心「華さんと皐の二人が何処にいるか分かる?」

 

メイド「この時間帯のお二人でしたら……。自室にいらっしゃると思いますが、私がお呼びしますので少々お待ちください。」

 

優心「いや、いいよ。自分で呼びに行くよ」

 

メイド「優心様は、先ほどまで大切なお話をされてたと聞いております。特に優心様は体調を崩されてましたし、今は病み上がりなのですから少しのんびりと過ごしておいてください」

 

優心「…うん…分かった。お願い」

 

メイド「はい♪では呼んできますので少々お待ちください」

 

愛「(メイドさん、頼られて嬉しそうだったな……)……そうだ、優心くん。聞きたい事があるんだけど、今聞いてもいい?」

 

優心「あ、うん。何?」

 

メイドさんに華さんと皐の事をお願いすると、"愛に聞きたい事がある"と言われた。俺は内容を聞こうとしたが、"コンコン"とノックをされた。

 

優心「あ、愛ごめん。入っていいよー」

 

黒服(華)「失礼します。優心様、用事があると聞きましたが」

 

ノックをしたのは華さんだったので、愛の服についてお願いした。

 

 

 

服をお願いしたあと、晩御飯を三人でご飯を食べた。

 

さっきまでのこころや愛とのやり取りの間に、ご飯の準備が出来ていたみたいだった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ご飯を食べ終わったあと、こころの部屋で三人で話をした。

 

こころ「それでね、学校の帰り道に音が聞こえたから、音がする方に向かったら、巴が太鼓を叩いてたの!」

 

優心「あ、あったな。お祭り当日にこころと香澄と美咲が、和太鼓叩いたやつだ。それに凄く雨が降ってた時のお祭り」

 

こころ「そうなの!」

 

愛「雨だったのにやったの?」

 

優心「うん、やってたよ。まぁお祭り自体が、昔に晴天祈願が目的でやってたお祭りだったらしいけど」

 

愛「へ~」

 

こころ「だから、あたしたちが晴れるようにするって言って和太鼓を叩いたの!そうしたら少しずつ晴れていったの!」

 

こころがそう言うと、愛は驚いた顔をしながら俺の方を向いてきた。それで"本当…?"と聞いてきたので、俺は頷いた。

 

優心「実際に晴れたから、皆でお祭りを屋台を見て回ったらしいよ。楽しかったんだよね、こころ」

 

こころ「ええ!楽しかったわ❗金魚すくいも射的も、綿菓子も初めて食べたけど美味しかったわ」

 

愛は、こころの感想を微笑みながら聞いていた。しばらくするとこころが眠そうにしていたので、寝るように言って寝てもらった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

こころが寝たのを確認してから部屋を出て、愛と一緒に愛が寝るお客様用の部屋に向かい、そこで愛が聞きたい事を質問した。

 

優心「愛、聞きたい事って?」

 

愛「誠心さんが言ってた事なんだけど、私が弦巻家の使用人に正式に決まるまで、四宮のままになったでしょ。それで黄光様達…兄弟達に狙われにくくするのが理由じゃないかって優心くん言ったでしょ」

 

優心「うん、言ったね」

 

愛「それだったら、わざわざ"弦巻家の使用人になる必要は無いんじゃないか"…と、私は思ったんだ。確かに弦巻家の使用人になれば狙われる事は少なくなるのは当然だと思うよ。でも何でなのか気になって」

 

優心「それだと、各派閥の息の掛かった人を別邸に向かわせて、監視させると思うんだ。それで愛の行動を監視して狙いやすい所を割り出す事をするはずなんだ」

 

愛「…それで、一瞬の隙をついて私を拉致してから、脅して聞き出すって訳ね」

 

優心「そう。それでかぐやさんとの関係も壊すつもりだと思うよ。そうなればかぐやさんと友人関係になる事は無理だと思う。狙いにくい弦巻家の使用人にさせる事にしたんだ」

 

愛「なるほど……。あ、そういえば、"弦巻家を敵に回す事は、世界を敵に回す"って言われてたよね」

 

優心「うん。だから手出ししにくいんだ。まぁそれでも、そんなの関係なく手を出してくるかもしれないけどね」

 

愛「なるほど。教えてくれてありがとう」

 

優心「どういたしまして。…他にも聞きたい事はある?」

 

愛「えっと、優心くんが電話してる時の事なんだけど、"次期はこころだよ"って言ってたけど当主とかの事だよね?」

 

使用人について愛に説明をしたあとに、他に聞きたいことがあるか聞いてみた。

すると、跡取りの事を聞いてきた。俺とお父様の電話の時に、俺が言った一言が気になったかららしい。

 

優心「そうだよ。こころが次期当主兼社長だよ」

 

愛「優心くんは継がないの?」

 

優心「俺は、代理になるつもり。次期当主兼社長"代理"だよ」

 

愛「でも何でこころが……?」

 

優心「こころだから…、だよ」

 

愛「こころだから……?」

 

優心「"世界を笑顔に"……。それを出来るのは、こころだけだから。こころは、何でも出来ると信じて疑わないんだ」

 

愛「あぁ、確かに、さっきのお祭りの話もそうだったね」

 

優心「うん。それに壁を作らず屈託のない笑顔で誰でも話すし、裏表が多い所で過ごす事がある世界の要人達もこころとは自然体で過ごせてるし仲が良いよ。だから、こころなら実現してくれると思わせてくれるんだ」

 

愛「凄いね……。でも確かにこころって、自由奔放で行動が読めない所があるけど、人を惹き付けて夢を見させてくれる感じだよね。自然と出来るんじゃないかって思えてくるしね」

 

優心「そういうこと。カリスマがあるから」

と、こころが次の跡取りの理由を話すと、愛は驚きながらも、こころが次期当主なのを納得をしてくれた。

 

愛「あ、最後に一つ。かぐや様に私の使用人の事を伝える時に、何で空き教室で話すことにしたの?」

 

跡取りの事を説明したあとに、愛の事を話す際に空き教室で話す理由を聞かれた。

 

優心「簡単だよ。放課後家で話す時、こころが家にいるかもしれないからだよ」

 

愛「……あぁ~。家に着いた頃に、かぐや様と初めて会うこころが家にいたら、かぐや様に色々質問するかもって事ね。それで使用人の事が話せなくなるから、空き教室にしたんだ」

 

俺がこころの名前を出すと、愛はすぐ答えを出して納得してくれた。愛が納得してくれた所で、俺は眠くなってきて、あくびが出た。

 

愛「優心くん、眠くなってきたの?」

 

優心「……うん。そろそろ寝る事にするから、部屋に戻るね」

 

愛「うん。……優心くん、おやすみ」

 

優心「おやすみ」

 

"おやすみ"と言ってから部屋に戻り、眠りに就いた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

~早坂視点~

 

 

こころが寝たあと私が泊まる部屋まで案内してくれた。案内された部屋に入ると、優心くんやこころの部屋と同じような部屋だったので驚いた。

 

優心「愛、聞きたい事って?」

 

驚いてると優心くんに話を促されたので、ベットに腰かけて話を始めた。

 

愛「(ベット、ふかふかなんだけど……。いやいや話さないと)……えっと誠心さんが言ってた事なんだけど、私が弦巻家の使用人に正式に決まるまで、四宮のままになったでしょ。それで黄光様達…兄弟達に狙われにくくするのが理由じゃないかって優心くん言ったでしょ」

 

優心「うん、言ったね」

 

そう返事が来たので、私は"四宮のままでもいいんじゃないか"と聞いた。

 

優心「それだと、各派閥の息の掛かった人を、別邸に向かわせて監視させると思うんだ。それで愛の行動を監視して狙いやすい所を割り出す事をすると思う」

 

愛「それで隙をついて、私を拉致し脅して聞き出すって事になる訳ね」

 

優心くんの説明に私が答えると、優心くんは頷きながらまた説明してくれた。

 

優心「そう。それでかぐやさんとの関係も、壊すつもりだと思うよ。そうなればかぐやさんと友人関係になる事は、無理だと思う。だから弦巻家の使用人にさせる事にしたんだ」

 

話を聞いて"なるほど"と呟きながら、聞いた情報を頭の中で整理していると、思い出した事があった。

 

愛「あ、そういえば、"弦巻家を敵に回す事は、世界を敵に回す"って言われてたよね」

 

優心「うん。だから手出しがしにくいんだ。まぁそれでもそんなの関係なく手を出してくるかもしれないけどね」

 

愛「なるほど。教えてくれてありがとう」

 

弦巻家が周りから何て言われてるかを思い出してから、優心くんの説明に納得が出来た。なので優心くんにお礼を言った。

 

優心「どういたしまして。……他にも聞きたい事はある?」

 

愛「えっと、優心くんが電話してる時の事なんだけど、"次期はこころだよ"って言ってたけど当主とかの事だよね?」

 

納得した事を伝えると、他に聞きたいことがあるか聞かれたので、跡取りの事を聞いた。

 

優心「そうだよ。こころが次期当主兼社長だよ」

 

愛「優心くんは継がないの?」

 

優心「俺は、代理になるつもり。次期当主兼社長"代理"だよ」

 

愛「でも何でこころが……?」

 

優心「こころだから…、だよ」

 

愛「こころだから……?」

 

そう言われた私は優心くんの言った事を、オウム返しで聞き返した。

 

優心「"世界を笑顔に"……。それを出来るのは、こころだけだから。こころは、何でも出来ると信じて疑わないんだ」

 

こころの性格に、和太鼓の話を思い出しながら納得している事を伝えると、優心くんは頷きながら話を続けてくれた。

 

優心「うん。それに壁を作らず屈託のない笑顔で誰でも話すし、裏表が多い所で過ごす事がある世界の要人達もこころとは自然体で過ごせてるし仲が良いよ。だから、こころなら実現してくれると思わせてくれるんだ」

 

次に聞いた優心くんの説明に、私は驚いてしまった。世界の要人と仲良しって……凄すぎる。

 

愛「(それは)……凄いね……。でも確かに、こころって自由奔放で行動が読めない所があるけど、人を惹き付けて夢を見させてくれる感じだよね。出来ると思わせてくれるというか」

 

優心「そういうこと。カリスマがあるから」

 

私は、"カリスマという言葉だけで片付けていいのかな……"と、思いながら最後に一つ聞いた。

 

愛「あ、最後に一つ。かぐや様に私の使用人の事を伝える時に、何で空き教室で話すことにしたの?」

 

優心「簡単だよ。放課後に家で話す時、こころが家にいるかもしれないからだよ」

 

愛「……あぁ~。家に着いた頃に、かぐや様と初めて会うこころが家にいたら、かぐや様に色々質問するかもって事ね。それで使用人の事が話せなくなるから空き教室にしたんだ」

 

こころの名前を聞いて、私がそう答えると、優心くんは頷いてくれた。納得してると優心くんがあくびをしていた。

 

愛「優心くん、眠くなってきたの?」

 

優心「……うん。そろそろ寝る事にするから、部屋に戻るね」

 

"眠くなったの?"と聞くと、頷いて"寝る"と言ってきたので、"おやすみ"と伝えた。

 

愛「うん。……優心くん、おやすみ」

 

優心「おやすみ」

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

優心くんが部屋から出ていってから、ベットに入った。

 

愛(でも本当に意外だったな。こころが次期当主で、優心くんは継がないのは。でもどっちがトップでも、"世界を笑顔に"する事は出来ると信じれるのが凄い所だけど…)

 

そう考えていると、眠気が襲ってきた。

 

愛(眠くなってきた。ベット気持ちよすぎる…)

 

寝そうになりながら、優心くんに案内された部屋のベットが、ふかふかしてて気持ちいいと思いながら、私はいつの間にか寝てしまっていた。

 





今回は、早坂が家に泊まることを決めて、優心と早坂が色々と話をした回でした。

次回は朝一緒に学校に登校する話を書こうかと思います。かぐやに話をするのは、その次になると思います。


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第23話


今回の話は、優心と早坂が、弦巻家から学校に向かう話からスタートです。

では、本編をどうぞ



 

~翌日~

 

 

翌日の朝。

 

 

朝起きた時に、熱を測ると平熱に戻り調子が良くなったので学校に行くことにした。

 

そして今は、愛と一緒に駅に向かっていた。商店街を通っていると、後ろから話しかけられた。

 

ますき「お、優心さん。おはようっす」

 

優心「ん?ますき、おはよう」

 

ますき「優心さん隣にいる女子は……?」

 

優心「俺の彼女だよ」

 

ますき「へ~、彼女……。か、彼女!?」

 

ますきから愛の事を聞かれた俺は"彼女"と答えた。それを聞いたますきは驚いた顔を見せた

 

優心「うんうん。ますきの驚く顔、見れて良かったよ」

 

ますき「確かに驚きましたけど、まぁ優心さんが嘘を言うわけ無いっすからね。疑うことはないですけど……」

 

ますきと話してると、愛がますきに質問を投げ掛けた。

 

愛「あの、銀河青果店の娘だよね?」

 

ますき「え、そうっすけど、何で知ってるんですか?」

 

愛「昨日、そこで果物を買って、優心くんの家の場所を聞いた時に、店主の人が言ってたんだ。"優心くんがますきと仲良くしてくれてる"って……」

 

ますき「あぁ、親父が言ってたんですね。……佐藤ますきです。高校一年です」

 

愛「早坂愛です。高校二年です。よろしく」

 

二人はお互いに自己紹介をした後に、愛は俺とますきが出会った時の事を聞き始めた。

 

愛「優心くんと出会ったのは、いつぐらいなの?」

 

ますき「確か去年だったはず……。優心さん、そうっすよね?」

 

優心「うん、そのぐらいだったよ。……確か、俺が男友達と一緒にギャラクシーに、ライブを見に行った時だったはず。それでライブが終わってライブハウスを出た後に、ハウス内に落とし物しちゃって拾いに戻った時に会ったんだよね」

 

ますき「そうですね。その時私は、ライブの片付けをしていて拾ったんすよ。それで優心さんが取りに来た時に会った感じっすね」

 

愛「そうなんだ」

 

俺とますきが出会った時の話を聞いた愛は、ますきに"楽器をやってるの?"と質問を始めた。

 

聞かれたますきは、ドラムを始めた理由や父親のバンドの事を少し話していた。話してるのを聞いていると、ますき自身の話になった。

 

愛「……じゃあ、ますきもバンドとか組んでるの?」

 

ますき「いや今は、事務所所属のスタジオミュージシャンで、あといろんなバンドのサポートに入ってるっす。ドラムのサポートですよ」

 

愛「あ、そうなんだ。サポートも事務所の仕事なの?」

 

ますき「そうですよ。まぁ、中学の時に色々あったんですけど、その時に親父に"ドラムの仕事を紹介してくれ"って、お願いしたんです。で、紹介されたのがさっき言った、今の事務所の仕事っすね」

 

愛「へ~」

 

ますき「……でもまさか、その事務所が弦巻グループの会社とは思わなかったですけど……。それに、親父がやってたバンドが所属してたって事も驚きましたけど」

 

愛「え、そうなの?優心くん」

 

優心「うん、そうだよ。デスギャラクシーが所属してたのは初めて知ったけど、事務所自体はグループの子会社だよ」

 

愛に聞かれた事を教えてあげてから、ますきに一つ質問した。

 

優心「……それで、ますき。まだバンド見つからない感じ?」

 

ますき「そうっすね。晴海さんとか事務所の人達は私の実力認めてくれてるし、今のままで良いって言ってくれてます。狂犬とか言われてるけど事務所の人と優心さんが言ってくれたように、今は誘われるまで実力をつけときます」

 

優心「それでいいと思うよ。まず実力が無くなったら、より一層誘われなくなると思うから。それに必ず誘ってくれる人はいるって思わないとね」

 

ますき「っす!……そうだ、優心さん。パスパレの事務所が弦巻グループに買収される様な話を、こないだ私が事務所にいた時に晴海さんや事務所の社長が話してたのを、チラッて聞こえたんですけど、何か知ってます?

 

バンドの事を聞いた後に、ますきに小声でいきなりそう言われた。ただ、その話はお父様からは何も聞いてない為、俺は"知らない"と答えた。

 

優心「それは知らないよ。俺、グループの会社の事は詳しくは知らないけど、俺の友達が関係してる話だったら、お父様は必ず教えてくれるけど…

 

ますき「そうっすか。じゃあ私の聞き間違いってことっすかね……

 

優心「まぁ確実にそうだって言えないけど。本当かもしれないし違うかも知れないから、何とも言えないけどね

 

ますき「ですね

 

ますきとドラムの事や聞かれた事を話した後、愛がますきが着ている制服の事を話題にあげた。

 

愛「その制服って……もしかして白雪学園のだよね?」

 

ますき「あ、はい。私、白雪学園に通ってますよ」

 

ドラムの話から、ますきの通ってる学校の事で二人は盛り上がって、話し始めた。俺は聞かれた時ぐらいに加わる程度で、殆ど聞いていた。

 

しばらく歩いていると、駅に向かう道との別れ道に差し掛かったので、愛に声をかけた。

 

優心「愛、こっちに行くよ」

 

愛「あ、うん」

 

ますき「じゃあ優心さん、またギャラクシーに来てくださいよ」

 

優心「りょーかい」

 

ますき「愛さんもっすよ」

 

愛「うん」

 

ますきから言われたギャラクシーの誘いに返事をしてから駅に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

~早坂視点~

 

 

昨日、弦巻家で優心くんに私の事を相談をして、そのまま家に泊まった。

 

そして今は、朝で優心くんと一緒に駅に向かってる。商店街を歩いてると、後ろから優心くんの名前を言われたので、呼ばれた当の本人と私は声をした方を見た。見てみると、金髪の肩ぐらいまで伸ばしてる制服姿の女子だった。

 

二人は知り合いみたいで仲良さそうに話してたが、私は優心くんが言ってた"ますき"って名前に聞き覚えがあった。

 

愛(ますきって、昨日果物とか買った青果店の店主が言ってた娘の名前だったはず)

と、思った私は二人の会話の間に入って、優心くんと話してる女子に質問をした。

 

愛「あの、銀河青果店の娘だよね?」

 

ますき「そうっすけど、何で知ってるんですか?」

 

私が質問すると、当然知ってる理由を聞かれたから、"銀河青果店で買い物した際に店主から聞いた"と答えた。

 

ますき「親父が言ってたんすね……。佐藤ますきです、高校一年です」

 

愛「(一つ下だったんだ)……早坂愛です。高校二年です、よろしく」

 

私が聞かれた事に答えると、自己紹介されたので私もしてから質問をした。

 

愛「優心くんと出会ったのは、いつぐらいなの?」

 

ますき「確か去年だったはず……。優心さん、そうっすよね?」

 

優心「うん、そのぐらいだったよ。……確か、俺が男友達と一緒にギャラクシーに、ライブを見に行った時だったはず。それでライブが終わってライブハウスを出た後に、ハウス内に落とし物しちゃって拾いに戻った時に会ったんだよね」

 

ますき「そうですね。その時私は、ライブの片付けをしていて拾ったんすよ。それで優心さんが取りに来た時に会った感じっすね」

 

優心くんと会った時の事を聞くと、去年優心くんがギャラクシーにライブを見に行って際に出会ったと、教えてくれた。教えてくれた事に、私は"そうなんだ"と呟きながら、ますきに楽器をやってるのか聞いてみた。青果店の地下にライブハウスがあるから、楽器やってたりするのか気になったからだ。

 

愛「……ますきは、何か楽器はやってるの?」

 

ますき「親父に憧れてドラムをやってるっす」

 

愛「へ~、ドラムやってるんだ。……店主さんもドラムやってたんだ」

 

ますき「昔、デスギャラクシーっていう名前のバンドを組んでてやってたんです。それで憧れてやり始めたって事っす」

 

楽器の事を聞くと、店主に憧れてドラムをやってる事を教えてくれた。元々、店主はバンドを組んでいてそれを見て憧れたと言ってた。

 

愛「デスギャラクシーってすごい名前……」

 

ただ、バンド名がすごいかったので、"すごい名前"と言ってしまったが、ますきは気にしてない感じだった。

 

愛「……じゃあ、ますきもバンドとか組んでるの?」

 

ますき「いや今は、事務所所属のスタジオミュージシャンと、色んなバンドのドラムのサポートとかをやってるっす」

 

父親がバンドを組んでたとなると、ますきもバンドを組んでるのか気になったので聞いてみると、バンドはやってなくて、事務所所属でそこの仕事をしてると言ってきた。

 

愛「あ、そうなんだ。サポートも事務所の仕事なの?」

 

ますき「そうですよ。やり始めた理由は色々あるんすけど、中学の時に親父に"ドラムの仕事を紹介してくれ"って、お願いしたんです。で、紹介されたのがさっき言った、今の事務所の仕事っすね」

 

愛「へ~」

 

ますき「でもまさか、その事務所が弦巻グループの会社とは思わなかったですけど……。それに、親父がやってたバンドが所属してたって事も驚きましたけど」

と、ますきがそう言ってきたので驚いたので、優心くんに聞いてみた。

 

愛「え、そうなの?優心くん」

 

優心「うん、そうだよ。デスギャラクシーが所属してたのは初めて知ったけど、事務所自体はグループの子会社だよ」

 

優心くんは私にそう答えてくれた。

 

優心「……それで、ますき。まだバンド見つからない感じ?」

 

後に、ますきと二人で話を始めた。バンドの事での話みたいで、二人にしか分からない感じの内容だった。ただ、途中で小声で話してたのは気になったが……、二人が話が終わるまでしばらく待っていた。

 

愛(そういえばますきの制服って、白雪学園…の制服だよね……。超難関って言われてる所の……)

と、待ってる間にますきの着ている制服を見て思ったので、二人が話を終わったのを待ってから、制服の事を聞いてみた。

 

愛「その制服って……もしかして白雪学園のだよね?」

 

ますき「あ、はい。白雪学園に通ってますよ」

 

愛「白雪学園は、超難関のお嬢様学校だよね!?制服はネットで見たことがあるぐらいだから、直接見たの初めてだよ」

 

ますき「知り合いとかに、入学してる人はいないですか?」

 

愛「うん、居ないんだ。……それで学校はどんな感じ?」

 

ますき「まぁ、まず校風とか厳しいっすね」

 

愛「厳しいんだ。秀知院だと髪の色を変えたり軽いネイルしたりしても大丈夫だったりするけど」

 

ますき「それは…、白雪だったら完全にアウトっすね。ライブの事を、演奏会と言わないと大変なんすよね……。ヘルプで入ったバンドでライブをする事になった際に、口が滑って"ライブ"って言ったら厳しい目で見られましたし」

 

愛「そ、そうなんだ……」

 

苦笑いしながら白雪学園の校風の事を聞いていた。その後も話をしていると、優心くんから声をかけられた。

 

優心「愛、駅はこっちだから、こっちに行くよ」

 

駅方向とますきの学校へ向かう道がここから違うみたいなので、声をかけてきた。

 

愛「あ、うん」

 

ますき「じゃあ優心さん、またギャラクシーに来てくださいよ」

 

優心「りょーかい」

 

ますき「愛さんもっすよ」

 

愛「うん」

 

優心くんと駅に向かおうとした時に、ますきからそう言われたので返事をしてから、優心くんと一緒に駅に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~優心視点~

 

 

~学校・昼休み~

 

 

朝、学校に着き午前の授業を受けて昼休みになった。

 

 

昼休みに生徒会室にいた俺は、華さんと放課後の事を話をしながら、生徒会室から教室に向かっていた。

 

黒服(華)「昨日、愛様と話していた通り、放課後に空き教室で話をするということは、変わらないって事ですね?」

 

優心「うん。基本的に人は来ないと思うけど、念のため何かしらの方法で、人が通れないようにしてくれる?」

 

黒服(華)「分かってますよ」

 

優心「ありがと……。放課後の準備よろしくね」

 

黒服(華)「了解しました」

 

華さんと放課後の事を話し終わり、廊下の曲がり角に眞妃が居るのを見つけたので、声をかけた。

 

優心「……何やってるの?眞妃」

 

眞妃「ひゃ!?ゆ、優心!何でここにいるのよ!」

 

俺が声をかけると眞妃は驚きながら、ここにいる理由を聞いてきたので答えた。

 

優心「俺は生徒会室から教室に戻る所だよ。その途中で眞妃を見かけたから声をかけたけど、眞妃こそ廊下の角で何やってたの?」

 

眞妃「何でもないわよ」

 

俺は眞妃からの質問に答えた後に、眞妃にも"何してたのか"と聞いてみたが、"何でもない"と即答されてしまった。

 

眞妃「それより優心に言いたい事があるのよ!」

 

優心「……え、何?」

 

眞妃が、そう言ってきたので聞いてみた。

 

眞妃「翼くんの事よ!何で渚に告白して、何で付き合う事になったのよ!優心、何でなの!」

 

眞妃が言ってきたのは、翼の事だった。翼が柏木さんと付き合ったことに対しての文句だった。

 

優心「それを俺に言われても……」

 

眞妃「前に言ったわよね!翼くんに告白するのを手伝いなさいって!」

 

優心「そうだけど、手伝っても眞妃が告白する心の準備が出来てないとか言って、告白できてなかったじゃん」

 

眞妃「うっ!……そ、それは……。でもそれは……」

 

俺は、自分の思ったことを伝えると、眞妃がショックを受けた顔をしてしまった。俺はこれ以上言うのをやめようと思ったけど、眞妃が愚痴を言い始めてしまって、昼休みが終わる予鈴が鳴るまで聞かされ続けた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

予鈴が鳴り、眞妃とは別のクラスだが教室の方まで一緒に向かってる間に、俺は眞妃に伝えた。

 

優心「はぁ……、もし、愚痴とか言いたくなったら生徒会室か、俺がいる教室のどっちかに来て俺に言っていいから」

 

眞妃「……その時はよろしくね」

 

 

優心(ほんと、こんな風に素直にお願いしてくるのを見ると、告白の時にその素直さが出れば良かったのに)

と、眞妃から返事をもらった俺はそう思った。そこで教室に着いたので、眞妃と別れて教室に入った。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~放課後~

 

 

ホームルームが終わって放課後になった。教室からクラスメートが少なくなって人に声が聞かれにくくなった時に、かぐやさんから話しかけられた。

 

かぐや「弦巻くん、早坂から大事な話がある聞いているのだけど、どこで話をするの?」

 

優心「空き教室で話すつもりだよ。」

 

かぐや「空き教室で……」

 

優心「うん。それでかぐやさんは空き教室の場所は知らないと思うから、黒服さんに案内してもらうよ」

 

かぐやさんから、愛の話の件で話す場所を聞かれたので、場所は空き教室の事を伝え、黒服さんに案内をして貰うことにした。

 

かぐや「分かったわ。ただ、その話は長いの?」

 

優心「長くなると思うよ。だから帰りの荷物を持ってもらってた方がいいと思う。生徒会の皆には俺から伝えとくから」

 

かぐや「そう。だったらお願いするわね」

 

黒服「では、四宮様こちらです」

 

俺の話を聞き終わったかぐやさんは、荷物をまとめてから黒服さんの後ろを付いていく感じで教室を出ていった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

黒服さんとかぐやさんが教室を出ていったのを見てから、俺は愛に声をかけた。

 

優心「早坂、俺は空き教室に行く前に生徒会室に行くけど、早坂はどうする?」

 

愛「ここで待っとくよ。それで一緒に教室に行こう」

 

俺は"分かった"と返事をしてから、自分の荷物を持って生徒会室に向かった。

 

生徒会室に向かい、会長に"俺とかぐやさんは用事で放課後の仕事が出来ない"事を伝えた。

 

そして教室に戻った俺は、愛と一緒に空き教室に向かっていた。向かってる間は俺と愛の間には会話はなかった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

教室に入ると、かぐやさんは窓際辺りの席に座って待っていたが、俺と愛が入ってきたのを見てから立ち上がって近くに来た。

 

かぐや「それで、大事な話は何?」

 

その言葉を聞いた愛は俺の方を見てきたので、俺は頷いた。頷いたのを見た愛は、深呼吸をしてからかぐやさんに伝えた。

 

愛「かぐや様、私は四宮家の使用人とかぐや様専属の近衛を辞任をします。正式に夏休み明けに辞任なので、それまではそのままですが……。それに加え、夏休み明けからは弦巻家の使用人という事になります」

 

かぐや「……え……?」

 

愛「……それと私は……、黄光様にかぐや様の情報を流してました」

 

かぐや「……!?」

 

愛から使用人をやめる事を言われたかぐやさんは、多少反応していたが、情報の流してた事を言われたかぐやさんは、目を見開いて開いた口が塞がらない状態で、立ち尽くしてしまった。

 





今回は、ますきを登場させました。ますきの口調が違うと思う方もいると思います。バンドリアニメとガルパのストーリーを見返して書きましたが、この喋り方で合ってるか分かりません。

違ってたらこの小説のますきは、この口調と思ってくだされば幸いです。ただ、ますきを今後出す場合も極力原作と同じ口調を書けるように頑張って書きたいと思います。

そして本小説の現時期のますきは、アニメ二期で登場してラスに加入したりする一年前なので、ラスなどの話は一切無いです。なのでラスのメンバーなどは現時点で基本出てきません。何らかでキャラ(チュチュやパレオなど)個人を出すとかはあるかもしれませんが、あまり期待しないでください。

登場するとすれば、本小説の時間が進んで優心達が進級した秀知院高等部の3年生になった時期の話にでも出すと思います。その為出るのは先なので、ラスファンの方には申し訳ないです。

現時点でラスはまだ無いので、ますきは事務所所属という設定にしています。ますきの中学の話は、ラスの公式コミックでの事を参考にしています。あくまでドラムの仕事ということだけを参考にしています。

今回の第23話に出てきた事務所は、ロゼリアのバンドストーリー3章に出てきた音楽事務所です。晴海も3章に出てきた事務所の人です。

この小説での、事務所の立ち位置など詳しい設定については、本小説の目次に記載されてる、サブタイトルの「キャラ・世界観設定(ネタバレあり)その2」に、情報を載せてますので、そちらをご覧ください。


次回は、早坂がかぐやに使用人の事、そして黄光へと情報を流していた事を伝える話を書いて投稿予定です。


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第24話


第24話です。

今回は、前半は早坂がかぐやに黄光に情報を流していた事などを話します。

後半は、翌日朝の学校の様子を書いています。



 

~早坂視点~

 

空き教室に入り、かぐや様から"大事な話は何"と聞かれた私は、優心くんの方を見た。優心くんが頷いたのを見た私は深呼吸してから、専属の近衛と家の使用人の辞任、弦巻家の使用人の事、そして黄光様に情報を流していた事を、かぐや様に伝えた。

 

その二つを伝えると、かぐや様は目を見開いて立ち尽くしていた。しばらく待ってると、かぐや様が絞り出すように声を出した。

 

かぐや「……それは確かなの?早坂……!」

 

愛「……はい、事実です」

 

かぐや「……」

 

私が、"事実です"と言うと黙った状態になった。黙ったままになってたかぐや様は優心くんの方を向き口を開いた。

 

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

~優心視点~

 

 

 

かぐや「……。弦巻くんは、知っていたの……?早坂が四宮家から弦巻家の使用人になる事と、何よりお兄様に情報を流していた事は……!」

 

愛から説明を受け静かになってたかぐやさんが、俺に語尾を強めにしながら聞いてきた。

 

優心「情報を流してた事については、昨日愛から聞いて知ったよ。使用人の事は、知ってるも何も"俺"が愛に提案したんだよ」

 

かぐや「それは……どういう事……?」

 

優心「順を追って、説明をするよ」

 

俺はそう言ってから、順に説明を始めた。

 

元々、昨日の放課後に愛から相談をされる予定だったが、俺が学校を休んだ。

 

それで、愛がお見舞いに来た時に相談をされて、その相談内容が今回の話だった事と、情報を流していたのを聞いた。

 

それをきいた俺は、愛を守るために弦巻家の使用人の提案をした事など、昨日愛と話した事をかぐやさんに話した。

 

かぐや「使用人の事は、弦巻くんのお父様……弦巻家当主は知ってますよね……?」

 

優心「当然だよ。愛と話した後にお父様に電話で伝えたから。夏休み明けに正式にうちの使用人になる……と、言ってた。その事は愛も知ってるよ、お父様が俺の代わりに説明してくれたから」

 

かぐや「そう。話は分かったわ……」

と、呟いたかぐやさんはまた愛の方を向いた。

 

 

 

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~早坂視点~

 

 

 

優心くんと、少し話してたかぐや様は私の方を向いて、こう言ってきた。

 

かぐや「早坂。……あなたは私を裏切り続けてたって事よね。…私が、そういったのは許せないのは知ってる上で。お兄様に情報を流していた事に対して、何か言い訳はないの?」

 

愛「言い訳はないです。事実なので……。ただ……」

 

かぐや「ただ……、何?」

 

私はかぐや様に言い訳はないと伝えた。ただ、自分の気持ちは……本心は伝えたいと思い、口を開いた。

 

愛「ただ……、近づいた理由が、情報を流すためとはいえ、かぐや様と一緒に過ごしていた時は楽しかったです。楽しいと思う度に、私はかぐや様と主従関係じゃなくて友達になりたいと思った!友達として学校に一緒に登校したり、学校内で一目を気にせず話したりしたい!……そういうことをずっと思ってました」

 

私はかぐや様にそう伝え、"でも"と一言呟いてからかぐや様に言った。

 

愛「でも……、私はかぐや様を10年裏切り続けた。…私がしたことが許されることじゃないですし、それが叶わないと分かってても、どうしても自分の気持ちを伝えたかったから……」

 

かぐや「確かに、早坂がしたことを許せないわ……。でも、弦巻くんの話や、そして何より早坂の本当の気持ちを聞いて、"初めて人の事を許したい"と思った」

 

愛(……え?"許したいと思った"……?)

 

私が自分の気持ちを伝えると、かぐや様が言った言葉に困惑してしまった。困惑しているとかぐや様が涙を流し始めた。

 

かぐや「……早坂、今まで気づいてあげられなくてごめんね。10年間辛かったわよね……」

 

かぐや様が泣きながらそう言ってきたのを見て、私も我慢していたものが我慢できずに泣いてしまった。

 

愛「……本当に辛かったですよ……。本当の事を…言えば、かぐや様に……嫌われると思って毎日辛くて、でもどうしても言えなかった……。今日だって、優心くんが隣に居てくれててもどうしても怖かった……!」

 

私はそう言いながら、かぐや様に本音を言い合った。

 

 

 

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~優心視点~

 

 

二人が泣きながら、本音を伝えあってるのをずっと見守っていた。

 

二人が泣き止んだ後もしばらく話をしていた。そして二人は名前で呼び合うことになり、主従関係の間柄から正真正銘に友人同士になった。

 

優心「愛、良かったね」

 

愛「うん!かぐやと友達になって良かった!」

 

かぐや「私も、愛さんとは前から友人同士になりたいと思ってましたから、叶って良かったです」

 

二人が嬉しそうにしてると俺も嬉しかった。二人は俺がそう質問した後も、話足りないのかしばらく話をしていた。だけど時間が下校時間に近づいてきたので、二人に時間の事を伝えた。

 

優心「そろそろ下校時間だから帰ろうか」

と、俺はそう言って帰ることにした。三人で廊下を歩いてると、愛が質問してきた。

 

愛「少し思ったんだけど……、明日、いきなりかぐやと普通に話したりすると、皆驚くよね?」

 

優心「その辺は大丈夫でしょ。俺経由で仲良くなったとか言えば皆納得すると思うから」

 

俺がそう言うとかぐやさんと愛は納得した。

 

校門まで一緒に向かい、そこからかぐやさんと愛は四宮家の車で帰り、俺は電車で帰った。

 

 

 

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~優心視点~

 

 

~翌日~

 

 

朝、学校に着き教室に向かっていた。自分のクラスに近づくと、教室の中が騒がしかった。

 

三鈴「ねぇ!早坂、どういう事!?教室から外を見た時に四宮さんと仲良く……というか、楽しそうに話しながら一緒に歩いてたけど何で!?」

 

すばる「本当だよ!四宮さんも教えてください!」

 

何で騒がしいか疑問に思いながら教室に入ると、かぐやさんと愛がすばるや三鈴や他のクラスメートから、お互いの仲の事を質問されていた。

 

愛「そ、それは庶務くん経由で…」

 

かぐや「み、皆さん、ちょっと落ち着いてください。愛さんの言う通りで……、昨日の放課後に弦巻くん経由で仲良くなったんですよ」

 

女子A「あぁ~、弦巻くん経由だったら、仲良くなったのは納得だね」

と、皆が納得していた。

 

その後も愛は皆と話をしていた。そして愛がすばると三鈴を下の名前で呼び合う事になったり、あまり話してなかった他の女子達とも色々と話をしていた。

 

教室に入った俺は、そんなクラスの様子を見ながら自分の席に向かった。すると、クラスの男子一人が俺を見てきて他の皆に言った。

 

男子A「早坂と四宮さんの関係は分かったから良いとして、次は早坂と弦巻が付き合った経緯を聞こうぜ。ちょうど早坂の彼氏が教室に来たし」

 

優心・愛「「……え?」」

 

男子一人が最後に言った一言に驚き、愛と"え?"という言葉が重なってしまった。

 

優心「え、知ってるの?」

と、俺が驚いてそう呟くと男友達が言ってきた。

 

鋼「逆に隠せてたと思ってたの?」

 

優心「いつから知ってたの!?」

 

鋼「いつからって……、フランス校との交流会の少し前の二人が逆さてるてる坊主を作ってた日ぐらいから。それを俺や他のA組の見てたやつもいるし」

 

樹「うん。それに別の日にクラスの人が、下の名前で呼びあってる所を聞いた人もいたよ。それでA組内で二人が確実に付き合ってるって認識になったよ」

 

鋼「まぁそれを知らないクラスの人も、交流会の前後の二人の雰囲気で確実に付き合ってるって思ってたらしいぞ」

 

話を聞くと結構前から知ってたことを教えてくれた。ただ、実は付き合ってる事を知られてたのを聞いた俺は恥ずかしくなった。

 

樹「じゃあ、"早坂のどこが好きになったか"……、"告白したのはどっちか"、聞かせて貰うよ」

 

恥ずかしくなってると、男友達がそう言ってきたので逃げようとしたが、クラスの男子達が出口を塞いでいたので逃げれなかった。

 

ただ、言わないように黙秘を続け、予鈴がなって先生が入ってきたので、話さずに済んだ。

 

 

だけど、午前の授業が全部終わりお昼になった時に、男子達に捕まり話すことになってしまったので、告白の事や付き合ってたのを隠してた理由などを全てを話した。

 

昼はそれで時間が過ぎていって、そして放課後になった。

 

 

 

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~早坂視点~

 

 

 

朝、私はかぐやと校門から一緒に登校していた。かぐやとは友達になったけど、使用人の事だけは知られないように、車を降りる時だけ別々に降りて校門から一緒に教室に向かっていた。

 

教室に着き中に入ると、いつも話をしていた二人……駿河すばると、火ノ口三鈴がかぐやとの関係を聞いてきた。

 

三鈴「ねぇ!早坂、どういう事!?教室から外を見た時に四宮さんと仲良く……というか、楽しそうに話しながら一緒に登校したけど何で!?」

 

すばる「本当だよ!四宮さんも教えてください!」

 

愛「そ、それは庶務くん経由で…」

 

かぐや「ちょっと落ち着いてください。愛さんの言う通りで……、昨日の放課後に弦巻くん経由で仲良くなったんですよ」

 

女子A「あぁ~、弦巻くん経由だったら、仲良くなったのは納得だね」

 

"優心くん経由で"と伝えると、他のクラスメートも含めて納得してくれた。その後にすばる達にクラスの皆ともっと仲良くなりたい事を伝えた。

 

それを伝えると、駿河と火ノ口の二人の事を下の名前で呼び合う事になった。あまり話してなかった他の女子達とは、趣味とか好きなものとかを話をした。

 

そう言うことなどを話してると、一人のクラスメートの男子が衝撃の事を言ってきた。

 

男子A「早坂と四宮さんの関係は分かったから良いとして、次は早坂と弦巻が付き合った経緯を聞こうぜ。ちょうど早坂の彼氏が教室に来たし」

 

優心・愛「「……え?」」

 

その男子は、ついさっき教室に入ってきた優心くんの事を私の彼氏と言ってきた。

 

付き合った事を知ってる口ぶりだったので、恋人同士なのを知ってる感じだった。

 

それに驚いた私は優心くんと口を揃えて驚いてしまった。

 

優心くんの方は、特に仲が良い男友達やクラスの男子に知ってる理由を聞き始めてた。

 

そういう私も、すばると三鈴を含むクラスの女子達に聞いた。

 

愛「えっと……何で知ってるの?」

 

すばる「まぁ、交流会の前後ぐらいからかな」

 

三鈴「うん、それぐらいだよ。確実に付き合ってるって皆が思ったのは」

 

愛「確実に……って、どういう事?」

 

女子B「前からね、A組内で二人が付き合ってるって噂になってたんだ。それですばるが言ってた時期に、皆が気づいた感じだよ」

 

それを聞いた私は恥ずかしかった。隠してたつもりだったのに……バレていたのが恥ずかしかった。

 

女子A「それで告白はどっちから?どこの場所で?」

 

告白の事を聞かれた私は言いたく無かったから、"やだ"と伝えた。

 

愛「やだ。恥ずかしいし、言いたくない」

と、伝えて逃げようして教室のドアの方を向くと、優心くんを男子達が通れないようにしていた。

 

それを見て一瞬動きを止めてしまい、その瞬間に腕を捕まれた。

 

すばる「駄目。愛、ちゃんと教えてもらうよ」

 

すばるのその一言を言って、クラスの女子達もその言葉に頷いていた。それを見た私は逃げれないと思い、洗いざらい話した。

 

告白したのは自分からで、優心くんとライブハウスに行った時に告白した事を話した。

 

話してる間の私は恥ずかしすぎて、自分でも分かるぐらい顔が真っ赤になってる事を自覚していた。

 

話し終わると同時に予鈴がなり、先生が入ってきた。先生に顔を真っ赤にしてる事を心配されたが、"大丈夫です"と伝えた。

 

 

朝に優心くんと付き合った事の説明で、昼はクラスの女子達と話をした。それだけで時間が過ぎていって、そして放課後になった。

 





次回は、この話の放課後の話を書いて投稿予定です。


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第25話


明けましておめでとうございます。

年明けの新年1発目の投稿作品は、「弦巻こころの兄」の第25話です。

投稿予約で、0時に投稿させてもらいました。

それでは本編をどうぞ



 

 

~優心視点~

 

 

~放課後~

 

 

A組の男子達の質問責めされた朝と昼、そして授業が全て終わり放課後になった。

 

愛「私、髪を切って肩ぐらいの長さにしようと思ってるんだ」

 

優心「そうなの?何で?」

 

放課後になり、俺は生徒会室に向かう為教室を出て歩いていた。

 

教室を出る時に、途中まで愛と一緒に向かう事になったので一緒に歩いてると、愛が"髪を切る"と言ってきたので理由を聞いてみた。

 

愛「かぐやとの主従関係、黄光様に情報を流してた時の自分から変わったから、心機一転って意味で髪を短くしようと思ったんだ」

 

優心「そうか。愛がそう決めたんだったら、俺は何も言わないよ。……それに髪が短いのも似合って可愛いと思うから見てみたいのもあるし」

 

愛「そ、そう……そっか……。うん、じゃあ切ることにするね」

 

愛の言葉に俺は頷いて、廊下の曲がり角に差し掛かった時に、すばると三鈴の二人に会った。

 

すばる「あ、愛。一緒に帰ろう」

 

三鈴「いやいや、彼氏の弦巻くんがいるから無理でしょ」

 

愛「大丈夫だよ。優心くんは今日は生徒会室に行くから」

 

すばる「弦巻くんいいの?」

 

優心「うん。俺は生徒会室に行くから、俺が帰るまでずっと待ってもらう事になると思うんだ。だから三人で帰っていいよ」

 

三鈴「オッケー。じゃあ愛、帰ろう。それと寄り道しよう」

 

愛「うん。……優心くんまた明日ね」

 

優心「うん。また明日」

 

愛にそう言ってから生徒会室に向かった。

 

 

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生徒会室に着き、中でしばらく過ごしているとノックされて、扉が開いた。

 

「失礼いたします」

 

入って来たのは一人の女子生徒だった。

 

かぐや「あら、可愛いお客さん」

 

優心(中等部の女子。……見た感じ、多分会長の妹だよね。容姿的に、前に相談にきた中等部の子が言ってた事と一緒だし)

と、思った俺は確認の為に、聞いてみた。

 

優心「……もしかして、白銀会長の妹さんですか?」

 

圭「え、はい。そうです。高等部の会長の妹で、中等部生徒会の会計をしている白銀圭です」

 

優心「高等部生徒会の庶務をしてる弦巻優心です」

 

圭「よろしくお願いします。……あの、何で私の事が分かったんですか?」

 

お互いに自己紹介をした後に、"何で自分の事が分かったのか?"と、聞いてきたので答えた。

 

優心「前に相談に来た中等部の子が言ってたんだ。真面目で男女関係なく人気があるとか聞いた。それと外見の事も聞いてたから、見た瞬間にそうかなって思ったんだ」

 

圭「そうなんですね。私も、弦巻先輩の事は他の中等部の人から聞いてますよ。中等部でも弦巻先輩の事人気なのでどんな人か気になってました。なので一回会ってみたいと思ってたので、会えて良かったです」

 

優心「それはどうも。白銀さんは今日はどんな用件?」

 

圭「あ、私の事は下の名前で呼んで構いませんよ。おにい……白銀会長もいますから。……それで会長に用事できたのですが、いらっしゃいますか?」

 

優心「分かった。……今、会長は部活連に出てるからまだ戻らないと思うけど、しばらく待ってみる?」

 

圭「あ、はい。少し待ってみます」

 

優心「じゃあ、圭は座って待ってていいよ。今、飲み物出すけど何がいい?紅茶とコーヒーなら出せるよ」

 

圭「あ、じゃあコーヒーでお願いします」

 

優心「オッケー」

 

圭と話をした後に俺はコーヒーを淹れ始めた。コーヒーを淹れている間に、かぐやさんが圭と話を始めてそれに石上が話に入っていったりとしていた。

 

その様子を見ていると、千花が入ってきて"こんにち殺法"とか言う良く分からない挨拶を二人でしていた。二人は仲良く話をしていた。二人が話をしている間にコーヒーを淹れ終わったので、圭の前にコーヒーと、念のためミルクと砂糖も置いてあげた。

 

コーヒーを置いた後は、熱で出して学校を休んでしまった日の出来なかった仕事をしながら、皆の様子を俺は見ていた。

 

しばらくして圭が戻ることになったので、生徒会室の扉まで見送った。その時に圭に一つ質問した。

 

優心「圭は、千花と知り合いなの?」 

 

圭「中等部にいる千花姉の妹と友達で、そこから知り合って仲良くなりました」

 

優心「あぁ……萌葉と知り合いなんだ。あの子独特でしょ」

 

圭「まぁちょっと独特ですね。……先輩も知り合いなんですか?」

 

優心「まぁね。小さい頃から千花と知り合いだったから、千花経由で知り合ったんだ」

 

俺がそう言うと、圭を"へぇ~"と言っていた。そんな話を少ししてから、圭を見送った。

 

そこからしばらくしてから、その日は解散となった。

 

 

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~早坂視点~

 

 

~翌日~

 

 

教室に入ると、すばると三鈴以外の女子が私の髪がバッサリと肩ぐらいまで髪の長さになってる事に驚いていた。

 

女子A「ねぇ、何で髪切ったの?」

 

女子B「もしかして、弦巻くんと別れたの!?」

 

愛「違うから!優心くんとは別れてないの!前から髪切りたいなって思ってたから昨日の放課後に切りに行ったの」

 

すばる「確か、帰り道に言ってたんだけど、弦巻くんに短い髪も似合って可愛いと思うって言われたんだよね。だから切りに行きたいって」

 

クラスの女子に説明してると、すばるがそう言ってきた。

 

愛「それ言わないで。恥ずかしいんだから」

 

三鈴「でも実際、それが切りに行く理由になったんでしょ?」

 

愛「まぁ……、それが理由だよ(心機一転って事もあるけど、優心くんの言葉で行くと決めたのもあるし)」

 

すばると三鈴の言い分に肯定すると、クラスの女子達は納得してくれた。

 

そうしてると女子の一人が、いつの間にか登校していた優心くんを私の前に連れてきた。

 

優心「えっと、愛その髪型似合ってるよ、それに可愛い」

 

連れてきたと思うと、優心くんがいきなりそう褒めてきたから恥ずかしくなった。

 

愛「……あ、ありがとう(ほんと、優心くんは下心なしに純粋に褒めてくるから嬉しいんだけど、恥ずかしさが勝っちゃうよ……)」

 

ホームルームが始まるまでの間、褒められて照れてる事を女子達にからかわれて続けてしまった。

 

 

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~優心視点~

 

 

朝、学校に登校して教室に入ると、女子達が髪を切った愛の事で盛り上がっていた。

 

それを眺めながら、自分の席に行くと男友達が話しかけてきた。

 

鋼「なぁ、弦巻は早坂が髪切ったの知ってた?」

 

優心「うん。昨日の放課後に"切ろうと思ってる"って言われたんだ。それで短い髪でも似合うと思うって言ったよ」

 

樹「なるほどね。……まぁ確かに似合ってるよね」

 

優心「うん。やっぱり予想した通り、似合ってて可愛いな……」

と、俺が呟くと愛と話をしていた女子の一人が俺の方に来た。

 

女子C「弦巻くん、早坂の髪どう思う?」

 

優心「似合ってて可愛いよ」

 

女子に聞かれたことにそう答えた

 

女子C「じゃあそれ伝えてあげようよ」

と、言ってきて腕を引っ張って愛の前まで連れてこられた。

 

優心「えっと、愛その髪型似合ってるよ。それに可愛い」

 

愛「……あ、ありがとう」

 

俺がそう言うと、愛は顔を赤くしながらお礼を言ってきた。そのあと愛はクラスメート達からからかわれていた。

 

 

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愛が髪を切った事で女子達が騒がしかった出来事があった日から生徒総会を経て、夏休みに入る前日になった。

 

今日は愛と帰る約束をしたが、今日も今日とて生徒会室に行くので、愛には教室で待ってもらうことになった。約束した後に俺は生徒会室に向かった。

 

 

~夏休み前日の生徒会室~

 

 

会長「生徒総会、お疲れ様!」

 

千花「そして明日から夏休みだー!」

 

会長は書類をばらまきながら、千花は腕を上げながらが大声で叫んだ。その後に会長は書類を拾いながら、かぐやさんに夏休みの予定を聞いていた。

 

聞かれたかぐやさんは、"出掛けるとしても少し買い物に行くぐらい"と言っていた。会長がかぐやさんに予定を聞いた後に俺にも聞いてきた。

 

会長「弦巻は、どこか出掛けたりするのか?」

 

優心「俺?俺は……夏休みの中盤ぐらいに別荘がある南の島に家族と行くよ。それとハピネール王国にも行こうかなって、俺は思ってる。それ以外は特に予定は無いよ」

 

俺が夏休みの予定を言うと、かぐやさんが声をかけてきた。

 

かぐや「確かハピネール王国は、ヨーロッパの小国でしたよね?」

 

優心「うん。夏休みとかの長期休みには必ず行ってるから、楽しみなんだ♪」

 

会長「なるほどな。……弦巻はそれ以外の予定は、特に決まってない感じなんだな」

 

優心「うん。だから皆でどこかに遊びに行きたいとは思ってるよ。(それに愛とも遊びに行きたいしな~)」

 

俺がそう言うと、会長とかぐやさんは"確かに"と呟きながら、千花の名前を言っていた。

 

優心(何で二人とも、千花の名前を言ったんだろう?何か考えがあって言ったんだろうけど……)

と、思って三人を見ていたが、千花のいろんな発言に会長の顔がコロコロ変わっていた。

 

それに、かぐやさんから覇気が感じなかったりしていたが、石上が一言呟いて会長がそれに答えた。

 

会長「じゃあ夏祭りに行こう。たこ焼きぐらいは奢ろう」

 

"夏祭り"という言葉に、千花が食い付いたけど、俺が夏祭りの日にちを会長に聞いた。

 

優心「会長、その夏休みは日にちはいつです?」

 

会長「確か、8月20日だったぞ。予定を開けておかないとな」

 

優心「分かった、予定開けとくよ。……そうだ、かぐやさん、俺さ夏祭りで愛と一緒に回りたいんだけど、愛も夏祭りに来てもらっても大丈夫?

 

かぐや「別に大丈夫ですよ。愛さんは弦巻くんの彼女なんですから

 

優心「そう、ありがとう

 

かぐや「恋人同士なのですから、私に確認しなくても……

 

優心「そうなんだけど。ほら、まだ四宮の使用人のままだから、一応確認しとこうと思って

 

俺が説明すると、かぐやさんが"なるほど"と言って、納得してくれた。

 

かぐやさんと話し終わって会長達の方を見ると、千花が泣きながら石上に対して色々と文句を言って、生徒会室から出ていった。色々言われた石上が帰ろうとしていた。

 

会長「いや、今回は石上が正しい」

 

帰ろうとしていた石上に会長がそう言ってたのを、俺とかぐやさんは不思議に思いながら見ていた。

 

 

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生徒会室から出た俺は教室に戻った。教室から校門まで愛と一緒に夏休みの予定を話ながら、下駄箱の方に向かっていた。

 

愛「じゃあ、優心くんは出掛ける予定は、ハピネール王国と別荘がある南の島に行くぐらいなんだ。あと生徒会メンバーと夏祭りに行く感じなんだね」

 

優心「うん。愛も来る?俺は一緒に行きたいって思ってるんだけど。別荘もハピネール王国も、夏祭りも」

 

愛「私も行きたいよ。別荘もハピネール王国も気になるから」

 

優心「じゃあ、行く日とかは今日の夜にメッセージで送るよ。一応、うちのプライベートジェットで行くからね」

 

愛「分かった。……それと夏祭りの日にちは……?」

 

優心「8月20日だよ。その日は生徒会の皆と見に行く感じだからね。その時に二人で屋台見て回ったりしようよ」

 

愛「うん♪楽しみだな~」

 

約束をすると愛は嬉しそうな笑顔になっていた。それを見て俺も自然と笑顔になった。笑顔を見てると、一つ思い出したのがあったので、愛に声をかけた。

 

優心「あ、あと夏休みに、また家に泊まる話になるかも知れないんだ」

 

愛「もしかしなくても、こころが言いそう的な感じかな?」

 

優心「うん。この前、愛が泊まった日の時に、こころが楽しかったって言ってたんだ。それで、また愛に泊まって欲しいって言ってたから。……それに俺も泊まって欲しいなって思ってるよ」

 

愛「……そっか、うん。その話になったら連絡して。その時に泊まれそうだったら泊まるから」

 

優心「うん。分かった」

 

夏休みの予定を決め終わる頃に、校門に着いたので愛と別れて家に帰った。

 





次回は夏休みの話を書いていこうと思います。(今の時期と違いますが)

今回から、早坂の髪は、原作の修学旅行後の髪型になりました。

今年もよろしくお願いします


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第26話


遅くなりましたが第26話です。

今回から作中の時系列は夏休みに入りました。この26話は夏休み初日の話です。

では、本編をどうぞ。



 

~優心視点~

 

 

夏休み初日の朝。

 

 

俺は、今日の午後に子供と遊ぶ約束してるので、公園で遊ぶ道具を入れた荷物を片手に持ちながら、開店前のやまぶきベーカリーにモカとりみの二人と並んでた。

 

そんな中で、りみが初耳の事を言ってきた。

 

りみ「あの、優心先輩。イチゴチョコバージョンのチョココロネが出たの知ってますか?」

 

優心「え?知らないけど……。イチゴ味のチョココロネって聞くだけで、凄く美味しそうなんだけど……!っていつ出てたの!?」

 

モカ「昨日ですよ~。あたしは放課後に買いに行ったらあったので~、その時に買いました~。すご~く美味しかったですよ~」

 

りみ「私は昨日、学校で沙綾ちゃんから教えてもらいました。それで蔵練の時に、沙綾ちゃんが持ってきてくれたので食べました。モカちゃんの言う通り、め~っちゃ美味しかった!」

 

優心「…二人ともいいな~。聞いたら早く食べたくなってきた……」

 

モカはドヤ顔で、りみは目を輝かせながら"凄く美味しい"と言ってくるので、凄く食べたくて仕方なくなってしまった。"早く食べたい"と思いながら開店するのを待っていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして開店したのでお店に入った。

 

沙綾「いらっしゃいませ~。……お、チョココロネ三兄妹だ」

 

沙綾の挨拶を聞いた後に、イチゴチョコのチョココロネの事を聞いた。

 

優心「沙綾、イチゴチョコのチョココロネってどこにある……!?」

 

沙綾「え、えっとですね……、いつものチョココロネの隣にありますよ」

 

沙綾から場所を聞いてから、トングとトレイを取っていつものとイチゴ味のをチョココロネを、りみとモカで平等にトレイにのせていった。

 

沙綾「……やっぱり、三人が揃うと凄いな……」

と、沙綾の苦笑いしながらの言葉が聞こえたが、気にしなかった。

 

モカとりみ、そして俺はチョココロネだけをトレイにのせてレジで会計を済まして、お店を出た。

 

 

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お店を出た俺はベーカリーの前で二人と別れた。

 

俺は2種類のチョココロネが買えて満足しながら、この後どうするか考えていた。

 

優心(どこかで、のんびりチョココロネを食べてもいいし……。愛もチョココロネを食べたがってたから連絡して会って、チョココロネをあげるのもいいけどどうしよう……)

 

午後まで"どうしよう…"と悩んでいると、スマホが震えた。画面を見てみると、かぐやさんからの電話だったので出てみた。

 

優心「(かぐやさんから……?)もしもし、かぐやさんどうしたの?」

 

かぐや『弦巻くんにお願いしたいことがあるのよ』

 

優心「お願い?」

 

かぐや『えぇ。前に愛さんから羽沢珈琲店のコーヒーが美味しいって聞いたの。それで、私もそのお店に今日にでも行ってみたいのだけどいいかしら?』

 

優心「……今日だったら、午後は用事があるから今からでもいい?」

 

かぐや『それでも構わないですよ』

 

優心「じゃあ、黒服さんにお願いして車を別邸に向かわせるから、その車に乗って来てよ。あと、愛も来て欲しいから一緒に連れてきて」

 

かぐや『分かったわ』

 

かぐやさんと話を終えて、電話を切った。

 

優心「黒服さん。とりあえず、俺はお店の中で席取っとくから、二人が来たら案内してあげて。……まぁ、愛がいるから大丈夫と思うけど」

 

黒服(華)「分かりました」

 

華さんにお願いしてから、羽沢珈琲店の店内に入った。

 

つぐみ「いらっしゃいませー。あ、優心さん。いつもの二人席でいいですか?」

 

優心「今日はあと二人来るから、四人で座れるテーブル席でお願いしていい?」

 

つぐみ「あ、分かりました」

 

お店に入ると、つぐみちゃんにいつもの席に案内の確認をされたが、四人席の案内をお願いした。

 

席に案内されたあとにつぐみちゃんに店内でチョココロネを食べても大丈夫か聞いてみた。

 

つぐみ「もしかして愛先輩の分もあって、食べて貰いたい感じですか?」

 

優心「うん。ここのコーヒー飲みながら食べて欲しいな~って思って。俺も食べたいし」

 

つぐみ「今、お客さんは少ないし大丈夫だと思いますけど、お父さんに聞いてみますね」

 

優心「よろしく」

 

つぐみちゃんに確認をお願いして、しばらく待つとつぐみちゃんが戻ってきた。

 

つぐみ「優心さん、オッケーだそうです」

 

優心「ありがとう、つぐみちゃん。……マスターもありがとー」

 

つぐみちゃんとマスターにお礼を言ってコーヒーを注文をして愛とかぐやさんの二人を待った。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~早坂視点~

 

 

~かぐやが優心に電話をかける少し前~

 

 

かぐや「前に愛さんが言ってた羽沢珈琲店に行きたいの。だから弦巻くんに連絡して欲しいのだけれど」

 

朝、いつも通りに使用人としての仕事をしていると、かぐやから"話がある"と言われ部屋に呼ばれた。部屋に入り話を聞くと、"優心くんに連絡して欲しい"と言われた。

 

愛「それぐらい、自分で連絡したらどうです?」

 

かぐや「私がいきなり羽沢珈琲店の事を言うと、私が知ってる事に驚かれるかもしれないじゃない」

 

愛「はぁ……。別に私から聞いたと言えばいいだけでしょ。それに前に言ったと思うけど、優心くんだったら喜んで案内をしてくれると思うし」

 

かぐや「……そう」

と、かぐやが呟いてから携帯を出して電話をかけはじめたから、電話が終わるまで待っていた。

 

ーーーーーーーーー

 

しばらくして電話を終えたかぐやは、私にも来るようにと言ってきた。

 

かぐや「弦巻くんから、午後は用事があるから今からだったら来てもいいと言われたわ。車を別邸までまわしてくれるそうよ。あと愛さんにも来て欲しいと言っていたから、迎えの車が来た時に一緒に行きましょう」

 

愛「分かった。(優心くん、午後は子供と遊ぶんだろうな……。私も遊びたいから後で聞いてみよう……)」

 

かぐやから言われた事に返事をして、他の使用人に弦巻家の迎えの車が来る事を伝え、来たら報告するようにお願いして残りの仕事を始めた。

 

 

 

しばらくして車が来た事を教えて貰ったので、かぐやと一緒に車に乗り商店街に向かってもらった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~優心視点~

 

 

 

二人が来るまで、とりあえずコーヒーを飲みチョココロネを食べながら待っていた。

 

待ってると、お店の扉が開いた音がしたので見てみると、愛とかぐやさんだった。

 

つぐみ「あ、愛先輩。いらっしゃいませ」

 

愛「優心くんと待ち合わせしてるんだけど、どの席にいる?」

 

つぐみ「えっとですね……。あの窓際の四人席にですよ」

 

愛「ありがとう、つぐみ」

 

 

二人は、つぐみちゃんに俺がいる席を教えてもらってから席に来た。

 

愛「優心くん、おまたせ」

 

優心「そんなに待ってないから大丈夫だよ」

 

愛の言葉に返事をした後に二人は席に着いた。そのすぐにつぐみちゃんが注文を取りにきて、二人はすぐに注文を済ませた。

 

二人の注文したのが来るまで、俺は愛に声をかけた。

 

優心「そうだ。愛に渡したいのがあるんだ」

 

愛「渡したいもの?」

 

優心「チョココロネだよ」

と、言ってやまぶきベーカリーの紙袋からチョココロネを渡した。勿論イチゴチョコバージョンのチョココロネも渡した。

 

愛「前に行った時に売り切れてたやつだ。でも何でチョコの色が違うの?」

 

優心「片方は普通のチョコなんだけど、色が違うチョコはイチゴなんだ。俺は二人が来るまでの間に食べたんだけど、イチゴ味のも凄く美味しかったよ」

 

愛「そうなんだ。じゃあ私もコーヒー飲みながら食べる。……って、ここで食べても大丈夫なの?」

 

優心「うん。マスターに許可もらってるから、大丈夫だよ。……あと、かぐやさんにもあげる。美味しいから絶対食べてよ……!」

 

かぐや「え、えぇ……分かったわ……」

 

俺が強くそう言ったからか、少し引きぎみで返事をされた。

 

その後に、かぐやさん達二人分のコーヒーが来たので、二人は、チョココロネを食べながらコーヒーを飲み始めた。

 

愛「確かに、チョココロネ凄く美味しいね。優心くんとりみとモカの三人が大量に買うの分かるよ。前食べたメロンパンも美味しかったけど、チョココロネはそれ以上に美味しい……!」

 

かぐや「……確かにここのコーヒー美味しいですね。それにこのパンも美味しいです」

 

二人が、"パンとコーヒーを美味しい"と言って来たので嬉しく思った。

 

かぐや「……そういえば、午後は用事があると言ってましたけど、大事な用事なんですか?」

 

嬉しく思ってると、かぐやさんが午後の用事の事を聞いてきた。

 

優心「公園で子供と遊ぶ約束してるんだ」

 

かぐや「子供と……ですか?」

 

優心「うん。いつも休日に遊んでるんだ。それで夏休みになったし、俺が海外に行ったり会長達やバンドの皆との約束が無い時は遊ぶことにしたんだ」

 

愛「ねぇ私もまた皆と遊びたいから、行ってもいい?」

 

優心「勿論。かぐやさん、愛も連れて行ってもいい?」

 

かぐや「それは問題はないけど……、私も付いていってもいいかしら?」

 

子供と遊ぶ事を伝えると、愛も行きたいと言って来たので大丈夫な事を伝えかぐやさんに連れていいか聞くと、かぐやさんも付いてきていいか聞いてきた。

 

優心「いいけど、どうして?」

 

かぐや「ここのコーヒーや料理だけを食べに来ただけだと勿体ないので、一緒に行こうかと思っただけですよ」

 

かぐやさんに理由を聞くとそう言ってきた。特に断る理由がないので、俺は承諾して公園に向かうことになった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

羽沢珈琲店から出た俺は、一旦やまぶきベーカリーに顔を出して純と沙南がいるか千紘さんに声をかけた。

 

声をかけると、二人は"もう向かった"と言われたので、愛達三人で公園に向かった。

 

向かってる最中に、愛から純と沙南の事を聞かれた。聞かれた俺は、"二人は沙綾の妹と弟という事"と、"こころが通ってる花女の体育祭で遊ぶ約束した事"と、"二人が家に居れば一緒に行こうと思った事"を教えた。

 

愛に説明し終わると、かぐやさんから声をかけられた。

 

かぐや「あの、弦巻くん」

 

優心「ん、何?」

 

かぐや「公園に着いた後の事ですけど、私は弦巻くんと愛さんが子供と遊んでいる所を見るだけで十分なので、公園のベンチで眺めときます」

 

かぐやさんからそう言われた俺と隣で聞いていた愛は不思議に思ったが、本人がそう言ったので特に理由を聞かずに頷いた。

 

 

向かってる最中、商店街の人達……お店の人や常連客から声をかけられ話したりしながら公園に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~公園~

 

 

 

公園に着いたので、皆が集まってる所に向かった。純と沙南もちゃんといたので安心した。

 

女の子A「あ!あいちゃんだ!ひさしぶりー」

 

愛「うん。久しぶり」

 

女の子B「あ、本当だ。お姉ちゃんだ」

 

沙南「お姉ちゃんと遊んだことあるの?」

 

女の子B「うん。前に一回だけお兄ちゃんと一緒に来たことがあったんだ。でも隣にいるお姉ちゃんは初めて会った」

 

沙南「そうなんだ~」

 

女の子達は愛とかぐやさんの事を話していた。

 

純「なぁ、兄ちゃん。今日は何する?」

 

男の子A「前は鬼ごっこだったけど」

 

男の子B「ねぇ、お兄ちゃんが持ってる鞄の中は何入ってるの?」

 

優心「鞄の中?えっとね「ゆーしんくん!」……?」

 

女の子A「ゆーしんくん❗あたし、やりたいことがあります!」

 

俺は、男の子から鞄の中の事を聞いてきたので教えようとしたら、女の子が遊びたい事を提案してきたので聞いてみた。

 

優心「お、何をやりたいの?」

 

女の子A「みずふうせんであそびたいです!なげたりしてあそびたい!」

 

沙南「あ、それ楽しそう。お兄ちゃん、それやりたい」

 

純「兄ちゃん、水風船で遊びたい!」

 

女の子が水風船の提案してきた。女の子が提案すると他の皆もやりたいと言ってきた。

 

優心「……そう言うかもって思って一応水風船を持ってきたよ!あとはこの風船に水をいれたりして準備が出来たらすぐ遊べるよ。あと濡れてもすぐ拭けるようにタオルを持ってきたからね」

 

俺はそう言って、持ってた鞄から皆のお目当ての物を出した。

 

女の子A「やったー!ありがと、ゆーしんくん❗」

 

優心「じゃあルール言っとこうか。投げる時は顔に当てない事。顔に当たると危ないからこれだけは絶対約束してよ」

と、提案した女の子の喜ぶ姿を見ながら、約束を一つを言った。それを聞いた皆は、頷きながら"分かったー"と返事をしてくれた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

返事を聞いてから、皆で風船に水を入れていく準備を始めた。そして、水をいれた風船を近くに置いていった。

 

バシャッ‼️

 

優心「冷たっ⁉️」

 

しばらく準備をしていたら、いきなり背中に何かを投げられて冷たかった。後ろを見てみると、男の子の一人から水風船を投げたのが分かった。

 

優心「まさか準備してる時にやってくるとは思わなかったけど、やったからには俺も返さないとね」

 

最後の水風船の準備が終わり、俺はそう言いながら水風船を片手に持ちながら皆の方を向いた。

 

男の子A「わー、皆逃げるぞー」

 

男の子B「逃げながらお兄ちゃんに投げるぞー!」

 

純「おぉー!」

 

そこから水風船で遊び始めた。子供達から集中砲火されはじめた。しかも愛も俺に投げる方に加勢したので、公園の中を走り回りながら俺も応戦した。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

優心「わっ!?危なかった~……わぷっ!?」

 

しばらく遊んでいて水風船を投げられたので避けたが、顔に当たってしまった。

 

優心「顔に当てるのはダメって言ったでしょー!」

 

純「当たっちゃっただけだよー❗」

 

俺は、そんなことを言いながら遊びを続けた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~かぐや視点~

 

 

 

公園では、子供達と愛さんそして弦巻くんが水風船で遊びはじめた。

 

黒服(華)「かぐや様は、遊びに参加しないのですか?」

 

公園まで一緒に来た私は遊びに参加せずに公園のベンチに座りながら弦巻くん達を眺めていた。眺めていると、弦巻くんの護衛をしている女性に話しかけられた。

 

かぐや「えぇ、遊びたくてここまで来た訳じゃありません。ただ、愛さんが行きたいと即答していたので、子供達と遊んでいる様子はどんな感じなのか気になっただけですから」

 

黒服(華)「そうですか……」

 

黒服の問いに答えながら私はふと弦巻くんの方を見た。

 

優心「わっ!?危なかった~……わぷっ!?」

 

見ていると弦巻くんは自分に投げられた水風船を避けた後に顔に当てられていた。その様子を黒服の人は、微笑んで見つめていた。

 

かぐや「あの……えっと」

 

話を聞こうと声をかけたが、名前を聞いてなくてどう呼ぶか悩んでしまった。

 

黒服(華)「まだ名乗ってなかったですね。私は華と申します」

 

かぐや「わざわざありがとうございます。……それで華さんに聞きたいのですが、弦巻くんはいつからここで子供達と遊ぶ様になったんですが?」

 

黒服(華)「中学に入学して少ししてからですね。最初はこころ様が遊んでましたが、こころ様と公園に一緒に向かった際に優心様も遊ぶようになりました」

 

かぐや「妹さんがきっかけなんですね」

 

黒服(華)「えぇ、こころ様がきっかけで子供達と仲良くなり、お親御さんから商店街の事を聞いて羽沢珈琲店に通いはじめるなどして、商店街の皆様とも仲良くなっていきました」

 

かぐや「確かに公園に着くまでの間、話しかけられたりと慕われてましたね。……まぁ、弦巻くんの性格だと当たり前と思いますけど」

 

黒服(華)「えぇ。……優心様の性格や笑顔のお陰で私は何度助けられたか……

 

かぐや「それはどういう……」

 

黒服(華)「いえ、こちらの話ですのでお気になさらず」

 

華さんの言葉に不思議に思ったが、深くは聞かない方がいいと思った私は深くは聞かなかった。

 

かぐや「あの、前に愛さんから聞いたんですが、弦巻家に洗面台や大型テレビなどがついている車があると聞きましたけど、本当なんですか?今日はその車ではなく名家富豪や、私が送迎に使用してる運転手含め四人で乗れる車でしたけど」

 

黒服(華)「はい、本当ですよ。自家用車のためにお客様用では無いんですが、今日使用した車が足りなくなった場合に使う事がありますよ」

 

かぐや「なるほど……」

と、私は呟いたあとは、しばらく世間話をしていた。

 

ーーーーーーーーー

 

しばらく話をしていると弦巻くんの声が響いた。

 

 

優心「じゃあ、そろそろ帰る時間だから、割れた水風船のゴミを集めてー!それで集めたら俺に持ってきてー」

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~優心視点~

 

 

夕方になり皆が帰る時間に近づいた時に、俺は皆に声をかけた。

 

優心「じゃあ、そろそろ帰る時間だから、割れた水風船のゴミを集めてー!それで集めたら俺に持ってきてー」

と、俺が皆に伝えると、"はーい"と返事が返ってきて、風船の割れたのを集めはじめたので俺も集めた。

 

しばらくすると集め終わったみたいで、皆が俺の所まで来た。

 

皆から割れた風船のゴミを貰った。そして水風船で頭や体が濡れてるので、愛に手伝ってもらいながら皆の髪などをタオルで拭いてあげた。

 

その後に、今日は夏で暑いのと動き回ったから、自販機で欲しい飲み物を買ってあげた。

 

優心「家に帰ったら必ずお風呂に入ってね。シャワーだけだと、夏でも風邪を引いちゃうかも知れないから、必ずお風呂にはいること。約束できる?」

 

男の子A「分かった!」

 

女の子A「あたしもわかった!」

 

男の子B「じゃあお兄ちゃん!僕帰るよ、またね!」

 

皆にそう伝えてると、一人の男の子が帰ることを伝えてきた。

 

優心「分かった。じゃあ気を付けて帰ってね」

 

"うん!"と元気に返事をしながら、家に帰っていった。その後から皆が帰りはじめたのでしばらく見送ってると、女の子に話かれられた。

 

女の子A「ねぇねぇ!ゆーしんくん」

 

優心「ん?」

 

後ろから女の子に話しかけられたので、後ろを見てみるとその子の母親が荷物を持ちながら立っていた。

 

母親A「あの、いつもうちの子と遊んでくださるお礼です」

と、言いながら紙袋を渡されそうになった。

 

優心「え、いやいや俺も皆と遊ぶのが好きなので、そんなお礼をされるほどじゃないですよ」

 

母親A「優心くん、それとこころちゃんに対してのお礼なんで、受け取って欲しいです。それと娘と一緒に作ったお菓子なんです」

 

一回断ったが、わざわざ親子でお菓子を作ってくれたので、俺は言葉に甘える事にしてお菓子を貰うことにした。

 

優心「……じゃあ言葉に甘えます。ありがとうございます。……ありがとう、お菓子は何作ったの?」

 

母親にお礼を言って、しゃがんで女の子にもお礼を言った。その後に何のお菓子か聞いた。

 

女の子A「えっとね、ママとクッキーつくったの!」

 

母親A「この子がクッキーの型抜きをしてくれたんです。凄く悩んでましたよ。"ゆーしんくんはどれがいいかな?"とか、"こころちゃんはこれがいい"とか悩んで選んでました」

 

優心「そっかそっか、ありがとう。家に帰ったら食べるね。また遊ぶ時に感想言うよ」

 

そう言われた俺は嬉しくて、女の子にお礼をもう一回言いながら頭を撫でてあげた。

 

女の子A「えへへ♪……またね、ゆーしんくん!あいちゃんもー!」

 

優心「バイバイ」

 

愛「またね」

 

母親は軽く会釈してから、女の子と手つなぎながら帰っていった。

 

かぐや「商店街の人達だけじゃなくて、子供達やその親からも慕われているのね」

 

優心「公園で遊んでたり、家まで送ってあげたりしてたら自然とね……。商店街の人達とは話してたりしてたからだと思うけど。……まぁ皆が笑顔になってくれて笑顔で過ごせれば、俺は充分なんだ」

 

かぐや「それだと"世界を笑顔に"が出来ないのでは?」

 

優心「俺の家族や黒服さん達や、知り合いや友達……、まぁ子供達などの身近の人達が笑顔になれば、そこから笑顔が広がって世界が笑顔になるって俺は思ってるんだ」

 

愛「笑顔の連鎖って事?」

 

優心「うん。笑顔が連鎖していって、世界が笑顔になるって俺は信じてるよ」

 

かぐや「そうなんですね……」

と、かぐやさんのと愛からの質問に答えてかぐやさんの返事を聞いた後に、愛の方を向いた。

 

優心「愛、昨日の夜に送ったメッセージ……、来週にハピネール王国に行くって事なんだけど大丈夫そう?」

 

愛「うん、大丈夫だよ。かぐやもオッケーしてくれたし、親も二つ返事でオッケーしてくれたから」

 

優心「そっか。かぐやさん、ありがとう」

 

かぐや「せっかくの恋人同士の旅行だから、楽しんできてほしかったからよ」

 

愛「そっか」

 

愛にハピネールに行く事の確認をして、許可をくれたかぐやさんにお礼を言った。

 

愛「あと日本に帰ってきた後に、弦巻家に泊まるって話も大丈夫だから」

 

優心「分かった」

 

愛とハピネール王国に行く話と、家で泊まる日の約束をしてから、今日は解散という事になったので二人を別邸に車で送ってもらい、俺は家に帰った。

 





次回は、優心と早坂の二人でハピネール王国に行く話を書きます。




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第27話


やっと書けました。第27話です。

今回は、優心と早坂がハピネール王国に旅行をしに来ました。

ただ、一泊二日ということにしてますので、次の話で日本に帰ります。

それに加え、旅行と言いましたがハピネール王国の情報が少なかったのでうまく書けなかったです。なので、旅行感などは少ないと感じたり、そんなの無いと思うかもしれませんので、期待しないでください。

あと後半は強引な感じなので、ご了承ください。

では本編です。



 

~優心視点~

 

 

夏休み初日の出来事から少し経った日。

 

 

 

俺は愛と一緒に、ハピネール王国に行くために空港に来ていた。

 

そして今は、プライベートジェット機に乗り込みしばらく乗っていた。

 

俺は愛と話ながら乗っていると、ようやくハピネールの空港に着いた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~ハピネール王国~

 

 

 

空港からハピネール王国の中心地の街に着いた俺は、愛の手を取りニッコリおじさんがいるお城に向かった。

 

愛「優心くん、どこに行くの?」

 

優心「ニッコリおじさんに挨拶しに会いに行くから」

 

愛「ニッコリおじさん?……ていうか、なんで王国のお城に向かってるの!?」

 

優心「いいからいいから」

 

俺はそう言いながら、お城に向かった。そしてお城の門の所にいる衛兵さんに声をかけた。

 

優心「衛兵さーん、久しぶりー!」

 

衛兵A「優心くん、お久しぶりですね。今年もいらしてくれたのですね」

 

優心「そりゃ勿論だよ。それでニッコリおじさんに挨拶をしたいんだけど、話は通ってる?一応、俺と愛がハピネールに来る何日か前に、お父様が連絡をしてくれてるはずなんだけど……」

 

衛兵B「それは大丈夫ですよ。しっかりと話を伺ってますので、お通りください」

 

優心「ありがと、衛兵さん」

 

衛兵さんにお礼を言ってお城に中に入った。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~城内~

 

 

城内に入った俺は愛の手を引っ張り続けながら、進んでいた。

 

愛「ね……ねぇ、優心くん?まさかだと思うけど、そのニッコリおじさんって……」

 

優心「うん。そのまさか、ハピネール王国の国王だよ」

 

俺がそう言うと愛は口が塞がらない状態になっていた。

 

そんな愛を引っ張りながらしばらく歩いてると、ニッコリおじさんがいる部屋の前まで着いた。

 

部屋の前に着いたので扉の前にいる衛兵さんに声をかけた。

 

優心「衛兵さん。久しぶり」

 

衛兵C「優心くんお久しぶりです。もうすぐ部屋から出てくると思うから、少し待っててね」

 

優心「分かった」

 

しばらく待ってると、部屋の扉が開いた。

 

優心「ニッコリおじさん、久しぶり!」

 

国王「優心くん、久しぶりだね。……そして、君が優心くんの彼女だね。余はニッコリユウス14世だ」

 

愛「は、はい。は、早坂愛です。よろしくお願いします……」

 

ニッコリおじさんと話し始めた愛は終始固くなってる状態で話をしていた。

 

二人話が一区切りついた頃に、俺はニッコリおじさんに一つ聞きたいことを聞いた。

 

優心「ねぇ、ニコリーナはお城にいる?ここに来るまで会わなかったけど……」

 

国王「今は仲良くなった同年代の子達に会いに街に行っておる。だから街に行けば会えると思うぞ」

 

優心「そっか、分かった」

 

ニッコリおじさんに、ニコリーナの場所を聞いてから愛と街に向かおうとしたら、ニッコリおじさんに呼び止められた。

 

国王「お父上からはホテルに泊まると聞いておるが、本当に城の部屋に泊まらなくてもよいのか?」

 

優心「うん。いつもお城の部屋に泊まってるし、何より愛と二人での旅行だからホテルの方がいいかなって思って、ホテルにしたから大丈夫だよ」

 

国王「そうか。じゃあホテルの名前を聞いていいか?」

 

優心「え、うん、いいけど……。えっと……」

 

泊まる場所を話すと、いきなり泊まるホテルの名前を聞かれたので、名前を教えた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ニッコリおじさんに挨拶を済ませて、泊まるホテルの名前を教えてからお城を出た。俺と愛は荷物を置くためにまずホテルに向かった。

 

ホテルまで愛と話ながら向かった。

 

そしてホテルに着いて、受付の人に予約してる俺の名前を言って案内してもらった。ただ、案内してもらった部屋は、このホテルの最上級であるスイートルームだったので、俺は驚いて開いた口が塞がらなかった。

 

愛「優心くん?どうしたの?」

 

優心「えっと、俺は二人で泊まれる普通のよくある部屋を予約してたんだけど、なぜかスイートルームになってたから。……あ、ニッコリおじさんが変更させたんだ。多分……」

 

愛「……そういえば、優心くんに泊まる場所を聞いてたね。あの後、私達がホテルに着くまでの間に、ホテルの人に連絡してたって考えれば納得できる……よね」

 

優心「……そうだね。まぁ、とりあえず荷物置いて観光する?お昼は外で食べればいいし夜はホテルのご飯だから時間がたっぷりあるから」

 

愛「うん。そうしよう」

 

部屋に荷物を置いて観光しに街に出た。街に出て歩いてると、愛にニコリーナの事を聞かれたりしたので答えたりしていた。

 

答えながらしばらく歩いてると、愛が一つのお店の事を聞いてきた。

 

愛「優心くん、あのお店は?」

 

優心「あれは、アクセサリーショップだよ。この国しかないアクセサリーが置いてあったりするよ。行ってみる?」

 

愛「うん、行ってみる」

 

そう言ってお店の中に入り、店内を見て回って商品の事を話したりしてた。

 

お店を出た後は、色々と愛が気になったお店に寄ったりしながら街を歩いて広場に着いた時に、目の前に見慣れたドレスを着てる人を見かけた。

 

優心「もしかして、ニコリーナかも。おーい……!」

 

ニコリーナ「?……優心さんもういらしてたんですね。予定より早いですね」

 

優心「うん。予定より早く着いちゃったから」

 

ニコリーナ「お父様には会いましたか?」

 

優心「うん、会って挨拶したよ。それで泊まるホテルに行って荷物を置いたから、今は観光をしてた所だよ」

 

ニコリーナ「そうなんですね。……それでお隣の女性の方は……?」

 

優心「早坂愛、俺の彼女だよ」

 

ニコリーナ「あ、彼女さんなのですね。……初めまして、ハピネール王国の王女、ニコリーナと申します」

 

愛「は、はい。早坂愛です。よろしくお願いします」

 

ニコリーナ「愛さんですね。よろしくお願いします。……話す時は敬語ではなくても大丈夫ですよ。私は優心さんより年下ですから」

 

愛「わ、分かったよ」

 

友人A『ニコリーナ姫、この人は?』

 

ニコリーナ『日本の方で、私の友人ですよ』

 

友人B『そうなんだ。……こっちの言葉は分かりますか?』

と、ニコリーナの友達から話しかけられたので返事をして話をした。

 

愛はニコリーナと話をしていた。

 

 

しばらく談笑してから、ニコリーナとその友人達と別れて俺と愛はホテルに向かった。向かってると愛がニコリーナがハロハピの花音にそっくりだったことを言ってきた。

 

愛「ニコリーナ、花音にそっくりだったね。私見た瞬間に驚いたよ。瓜二つだったし」

 

優心「俺は先にニコリーナに会ってたから、花音に初めて会った時はビックリしたよ」

 

愛「あ、やっぱり優心くんも驚いたんだ。そうだよね~」

といった話や他に何の話をしたのかなどを聞きながら、しばらく歩いてるとホテルに着いたので、部屋に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ホテルに着き、晩御飯を食べて愛のあとにお風呂に入った。

 

そのあとに寝ることにしたのでベットに入ろうとした時に愛が近づいてきた。

 

優心「ん、愛?どうし……!」

 

愛が片手に小さい箱を持ちながら近づいてきたので、その事を聞こうとしたら、キスをされてしまった。

 

近づいてきた愛にキスをされた後、いきなり襲われてしまった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~早坂視点~

 

 

 

今日の朝、空港で弦巻家所有のプライベートジェット機に乗った。

 

しばらくしてハピネール王国の空港に着き、そして街の中心部まで向かった。

 

街に着くと、いきなり優心くんは私の手を引いて来たので、どこに向かってるのか聞いてみた。

 

愛「優心くん、どこに行くの?」

 

優心「ニッコリおじさんに挨拶しに会いに行くから」

 

愛「ニッコリおじさん?……ていうか、なんで王国のお城に向かってるの!?」

 

優心「いいからいいから」

 

向かってる場所を聞くと、ニッコリおじさん"という人に会いに行くと言われた。

 

どんな人か気になったが向かってる方を見ると、お城に向かってる事に気付いた。その事を聞くと"いいから"と言われ教えてくれなかった。

 

 

そうしてると城の門にいる衛兵と優心くんが話を始めた。その様子を眺めてると、城の中に入ることになったので手を引かれながら優心くんと歩いていた。

 

愛(……ニッコリおじさんって、もしかしなくても王様だよね……。お城に入ってまで挨拶しに行くって言ってたから、そうとしか考えられない)

と、思った私は優心くんに思いきって聞いてみた。

 

愛「ね……ねぇ、優心くん?まさかだと思うけど、そのニッコリおじさんって……」

 

優心「うん。そのまさか、ハピネール王国の国王だよ」

という言葉を聞いて、私はすぐ反応が出来なかった。驚きすぎると言葉が出ないのは、完全にこの事だった。

 

愛(今まで四宮家の使用人になって過ごしてきたけど、こんな驚くことはなかった)

と思ってると、ある部屋の前に着いた。その前にいる衛兵と優心くんが少しだけ話をしてしばらくすると部屋の扉が開いた。

 

部屋から出てきた国王に挨拶された。

 

国王「そんな固くならなくてもいいよ。リラックスして欲しい」

 

愛「そう言われましても……流石に王様の前でリラックスは難しいですよ……。一応学校にも王子の人はいますけど、国のトップの人と会うなんてないですから」

 

国王「……まぁ確かにそうだな……。でも優心くんに彼女が出来るのは嬉しい事だ。優心くんのお父上も喜んでいたからな」

 

愛「優心くんのお父さんとは、昔からの知り合いなんですね。……それに日本語を流暢に喋れるんですね……」

 

国王「あぁ、優心くんのお父上には我が国は随分お世話になっておってのぉ。……それで余の母は日本の生まれでな、ハピネール王国は日本と縁が深いのだよ」

 

愛「なるほど……」

 

国王「それに城にいる者は、日本語に明るい者ばかりだから、話しかけても大丈夫じゃよ」

 

愛「分かりました」

と、王様と話が一区切りついた頃に、優心くんが王様と話を始めた。

 

 

二人の話が終わった後に、ホテルに向かう事になった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ホテルに向かってる最中に、私は優心くんに聞きたい事を聞いた。

 

愛「ねぇ、優心くん。王様は優心くんのお父さんにお世話になってたから知り合いって言ってたけど、優心くんはいつから知り合ったの?」

 

優心「えっと、小さい頃だよ」

 

愛「小さい頃から?」

 

優心「うん。俺とこころの誕生日パーティーに毎年来てくれてるんだ。そのパーティーで仲良くなったんだ」

 

愛「へぇ~……、って事はこころとも仲良しなんだよね?」

 

優心「うん、こころも仲良しだよ。前にニッコリおじさんの事を友達って言ってたよ。まぁ俺もその気持ちは分かるけどね」

 

愛「……」

 

優心くんに王様との関係を聞いたが、もう凄すぎる事しか分からなかった。

 

愛「あと、ニコリーナって誰?いや聞かなくても分かるけど……」

 

優心「ニッコリおじさんの娘で、ハピネール王国のお姫様だよ」

 

愛「だよね……」

 

王様との関係を聞いた後に、城で二人が話をしてる時に出てきたニコリーナという名前を聞いた。どういう人かは予想は出来ていて、聞いてみて実際その通りだった。ただ、王国に着いてから驚くことがありすぎて、もう驚かなくなっていた。

 

そう思ってるとホテルに着いたので、部屋まで案内してもらった。案内された部屋がスイートルームだった。部屋に着いた時に優心くんは驚いた顔をしていたので、優心くんに"どうしたの?"と聞いた。

 

優心「えっと、俺は二人で泊まれる普通のよくある部屋を予約してたんだけど、なぜかスイートルームになってたから。……あ、ニッコリおじさんが変更させたんだ。多分……」

 

愛「……そういえば、優心くんに泊まる場所を聞いてたね。あの後、私達がホテルに着くまでの間に、ホテルの人に連絡してたって考えれば納得できる……ね」

と言った後に、優心くんから"観光する?"と聞かれたので、"そうしよう"と答えて、街に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

街に出てしばらく歩いて、私が気になったお店……アクセサリーショップに寄った。店内を見ていると、一つのアクセサリーが気になった。

 

 

愛「これ、流れ星?が三つ付いてるヘヤアクセ?」

 

優心「そうだよ、正確には流星群を表してるみたいだよ」

 

愛「流星群を?」

 

優心「ハピネール王国が建国した時に星が降り注いだって言われてるから、それをモチーフに作られたんじゃないかな」

 

愛「へぇ~。この国って、今は建国何年なの?」

 

優心「来年で建国千年って言ってたから、今年は999年って事になるよ」

 

愛「…凄いね……。星のアクセサリーは色々と見たことがあったけど、こういうの見たことがないな……。色とかも可愛いからこれ買おう……」

 

流星群を表したヘアアクセを買った。まぁ優心くんに買ってもらったって言った方が正確だけど。買い物を済ませお店から出て他のお店を回って歩いて、広場に着いた時に優心くんが大きな声を出した。

 

優心「もしかして、ニコリーナかも。おーい……!」

 

ニコリーナ「?……優心さんもういらしてたんですね。予定より早いですね」

 

愛「え?(花音と凄くそっくり……)」

 

優心くんは、ドレスを着た子はニコリーナの名前の子と話をしていた。少し前にお姫様と聞いてたから、どんなお姫様か気になったが、外見を見て驚いた。ハロハピの花音と瓜二つの姿だった。

 

ニコリーナ「あ、彼女さんなのですね。……初めまして、ハピネール王国の王女、ニコリーナと申します」

 

愛「は、はい。早坂愛です。よろしくお願いします」

 

ニコリーナ「愛さんですね。よろしくお願いします。……話す時は、敬語ではなくても大丈夫ですよ。私は優心さんより年下ですから」

 

愛「わ、分かったよ」

 

私は自己紹介した後に、ニコリーナと優心くんが出会ったきっかけを聞いていた。

 

愛「ニコリーナと優心くんはどうやって知り合ったの?」

 

ニコリーナ「優心さんとは、お城でお会いしたんです。今は大丈夫なんですが、私は昔から体が弱かったんです。それでずっとお城から出れなかったんです」

 

愛「治った頃に優心くんに出会った感じなの?」

 

ニコリーナ「はい、お父様の誠心さんと小学生だった優心さんが、ハピネールに来た際にお城で出会いました」

 

愛「優心くんは昔からあんな感じだった?笑顔のために行動してくれたりした?」

 

ニコリーナ「そうですね。その頃の私は外に一度も出てなかったので、外に出る勇気がなかったんです。その時に優心さんが、"笑顔じゃないから笑顔にしたい。だから一緒に外に出よう"と、言ってくれたんです。一緒に街に出て楽しかったですし同年代の子と友達になれました。なので優心さんには感謝しかないです」

 

愛「そっか。私も優心くんには助けられたから、感謝の気持ちは分かるよ」

 

ニコリーナ「愛さんもなんですね」

と、私はニコリーナから二人が出会った話を聞いた。その時に広場の銅像が目についたから、ニコリーナに聞いてみた。

 

愛「ねぇ、あの広場の銅像は?」

 

ニコリーナ「あれは建国の像ですよ。約千年前にこの国が生まれた時に、空から星の雨が注いだという言い伝えがあるんです」

 

愛「ちょっと前に、優心くんと王国の建国話になったんだけど、建国時に流星群が降り注いだって言ってたよ」

 

 

ニコリーナ「はい、優心さんの言う通りです。それでその天からの贈り物でこの国に様々なものをもたらした、と言われているんです。……友達を思う気持ち、誰かの幸せを願う心、未来を夢見る気持ち……そういった贈り物のおかげで、ハピネール王国は優しい国になったそうです」

 

ニコリーナの国の歴史を聞いた私は、ニコリーナが言った"優しい国"という言葉に納得した。

 

愛「そんな歴史があるんだ。凄く素敵だと思う。……確かに街の人達、優しかったよ。お店を回ってた時に、他のお客さんと話す機会があったんだけど優しくしてくれたよ」

 

ニコリーナ「そう言ってくれるとありがたいです。……自分の国が褒められるの嬉しいです」

と、ニコリーナとの話をして皆と別れて、私と優心くんはホテルに戻ることにした。

 

ホテルに戻ってる間、私はニコリーナと花音とそっくりだった事とそれに驚いた事を話した。優心くんも、花音と初めて会った時は驚いたと言っていた。

 

 

他にも、ニコリーナと優心くんが出会った頃の話や国の建国の時の歴史などの話をしたと優心くんに教えた。

 

そういった話をしながらしばらく歩いてると、ホテルに着いたから、部屋に向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

観光から戻ってしばらく部屋でゆっくり過ごしてから、優心くんと一緒に晩御飯を食べに行って部屋に戻り、私が先にお風呂に入った。

 

 

お風呂から上がり優心くんが入ってる間に、自分の鞄の中を見てると小さい箱を見つけた。

 

愛「この箱はなんだろう……!?何でコンd……!(今ここで大声を出さない方がいい。でも何でこんなのが入ってるの!?私は鞄に入れた記憶も持ってた記憶も、一切ないんだけど!……ん?メモがある)」

 

何でこんな物が入ってるのか考えていると、メモがあったので見てみると、ママからのメモだった。

 

奈央《二人だけの旅行だから、しそうな気がしたから入れといたわよ》

という一文のみ書かれていて、私は固まってしまった。それに加え見つけた時から恥ずかしくて顔が熱かったのに、このメモのせいでより一層熱くなった。

 

愛(今日は驚くことがたくさんあったのに、何で一日の最後の最後にこんな爆弾が落ちてくるわけ……。なにより何で、娘の鞄に入れるのか意味分からないんだけど……)

 

そんなことを思いながら、とりあえずそれを鞄にしまった。

 

鞄にしまったのはいいが、優心くんがお風呂から上がって自分達が寝るまでの間は、あれを見てからモヤモヤが収まらなかった。なので、私は自然と優心くんに近づき、キスをして自分から行為をした。

 





今回、優心と早坂は神っちゃいました。後半はどうしても神らせたかったので、強引にしてしまいました。強引すぎると思われたら申し訳ございません。

今回、出てきたハピネール王国はハロハピ3章に出てきた国です。国の建国や建国からの年月などの設定はバンドリで出てきた設定と基本的に同じです。一応本小説の国の立ち位置などは、目次の《キャラ・世界観設定(ネタバレありに)その2》書いていますので、ご覧ください。(追加などするかもしれません)

次回は、前半少しだけハピネールの事を書いて、日本に帰ってからの話を書こうと思います。


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第28話


第28話です。

前半は、ハピネール王国に泊まり夜が明けた朝からの話です。

後半は弦巻家での話です

では本編をどうぞ。



 

~優心視点~

 

~朝~

 

翌日の朝、時間は7時すぎ。

 

 

目を覚めると愛と目があった。愛の顔を見て、昨日の夜にヤったのを思い出したが、とりあえず時間を見た後に愛に声をかけた。

 

優心「えっと、おはよう」

 

愛「うん。……おはよう」

 

優心「……えっと、いつ起きてたの?」

 

愛「……優心くんが起きるちょっと前だよ。」

 

優心「そっか……。そろそろご飯食べに行く?もうホテルの食事処は開いてると思うから」

 

愛「そうだね」

 

 

愛とそう話をして、ベットから出て服を着替えて、朝食を食べに向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

食事を取って、ホテルの部屋で少しのんびりしてから帰る準備をした。

 

準備が終わった後に、チェックアウトしてお城に向かった。日本に帰る事をニッコリおじさんとニコリーナに挨拶をしとくためだ。

 

 

 

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~城・城内~

 

 

城内に来た俺と愛は、二人と話をした。

 

 

俺は、ニコリーナに会う度に話してる学校の出来事やこころのバンドの事とかを話した。いつも楽しそうに話を聞くニコリーナに、俺は嬉しく思いながら話をした。

 

その後に、ニッコリおじさんと話をしてから帰ることを伝えて、愛と一緒にお城を出た。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

二人と話をしてお城から空港に向かっていた。すると、愛が昨日寄ったアクセサリーショップに"また寄りたい"と言ってきたので寄ることにした。ただ、愛から"外で待ってて"と言われたので外で待っていた。

 

しばらく待ってると、愛が手にお店の紙袋を持ってお店から出てきた。

 

優心「何を買ったの?」

 

愛「秘密」

 

優心「え~、教えてよ」

 

愛「秘密だから教えられませーん」

 

空港に向かいながら、愛に何を買ったか聞いたけど、笑顔で"秘密"と言われてしまった。教えてくれない感じだったから仕方なく聞くのを諦めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

そして空港に着いた。

 

空港にいた黒服さんに声をかけて、プライベートジェット機に乗った。

 

 

 

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~早坂視点~

 

 

 

朝、目が覚めた。とりあえず時間を見ると朝7時だったが、優心くんを見るとまだ寝ていた。私が先に目が覚めたらしい……と、思っていると優心くんと目が合った。目が覚めたっぽい。

 

優心「えっと、おはよう」

 

愛「うん。……おはよう」

 

優心「……えっと、いつ起きてたの?」

 

愛「……優心くんが起きるちょっと前だよ」

 

お互いに"おはよう"と言った後に、"いつ起きてたのか"と聞かれたから、それに答えた。

 

優心「そっか……。そろそろご飯食べに行く?もうホテルの食事処は開いてると思うから」

 

愛「そうだね」

 

優心くんから聞かれた事を答えてから、朝食を食べに行くことになり、私服に着替えて食事処に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

二人で朝食を取った後は、ホテルの部屋で少しのんびりしてから帰る準備をした。

 

今日で日本に帰るので、その事を王様とニコリーナに伝えるのと挨拶するためにお城に行くと優心くんが教えてくれた。その為、自分の荷物を持ってお城に向かった。

 

 

 

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そしてお城に着いて王様とニコリーナの二人と話をした。

 

 

優心くんはニコリーナと最近の学校の出来事や妹のバンドの事とかを話していたので、私は王様と話をしていた。その後に私もニコリーナと会話して、最後に優心くんは帰ることを伝えて、一緒にお城を出た。

 

 

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お城を出てから空港に向かってた時に、昨日寄ったアクセサリーショップが見えてきた。

 

愛(あ、そういえば数日後が優心くんの誕生日だったから、プレゼントを買った方がいいかも。昨日、ヘアアクセを買ってくれたお礼も兼ねた誕生日プレゼント)

と、ふと優心くんの誕生日の事を思い出してそう思った私はお店に寄ろうと思い優心くんに声をかけた。

 

愛「ねぇ優心くん、今あのお店に寄ってもいい?」

 

優心「うん、寄っても大丈夫だよ」

 

優心くんに大丈夫と言われたのでお店に向かった。ただ、優心くんには秘密にしたいから、優心くんにはお店の外で待っててもらう事にした。

 

 

 

お店に入った私はアクセサリーを探していた。

 

愛(ん~……。折角だしペアで付けれるアクセサリーとかを買いたいな……。でも、ネックレス系みたいな自分に身に付けるやつだと、風紀委員がよりめんどくさくなるし……)

と思いながら店の中を回っていた。

 

 

愛(ハートはちょっと恥ずかしいし、服とかに合わせづらいし……。どうしよう。……あ、これいいかも……!)

 

色々と見ていると、星の形のペアストラップを見つけた。

 

愛「(これだったら鞄とかスマホケースとかに付けれるから良いかも)……うん、これにしよう」

 

ペアストラップを買った私はお店を出た。

 

優心「何を買ったの?」

 

お店から出た後に、優心くんと空港に向かってるとそう聞かれた。

 

愛「秘密」

 

優心「え~、教えてよ」

 

愛「秘密だから教えられませーん」

 

空港に向かいながら、何を買ったか聞かれたけど笑顔で"秘密"と言った。そう言うと、優心くんは諦めてくれた。

 

愛(折角の誕生日プレゼントだから、優心くんには楽しみにしてもらっとこう)

と、思いながら空港まで優心くんと向かった。

 

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

 

~優心視点~

 

 

 

 

~弦巻家~

 

 

 

夕方に日本に着き、そのまま弦巻家に直行した。

 

 

優心「ただいまー」

 

愛「お邪魔します」

 

家に着いた時に、声をかけるとメイドさんが出迎えてくれた。

 

メイド「優心様、愛様、お帰りなさいませ。……愛様も優心様と同様"ただいま"と言って宜しいですよ」

と、出迎えてくれたメイドさんから、そう言われた愛は"え?"といった顔になって、どういう意味か聞いていた。

 

二人が話している間、こころを見かけなかった。二人が話を終えた後に、メイドさんにこころの事を聞いた。

 

優心「こころは見てないけど、今日はどこか出掛けてるの?」

 

メイド「こころ様は、ハローハッピーワールドの皆様とお出掛けになってます。……ですが、少し前に護衛の黒服から、"こころ様が家に帰っている"という連絡がありましたので、もうすぐ帰ってくると思います」

 

優心「そうなんだ。教えてくれてありがと」

 

俺がお礼を言った後に、愛に泊まる部屋に向かっていった。メイドさんは俺に一礼してから愛の後ろを追いかける形で行ってしまった。

 

それを見た俺は、荷物を自分の部屋に持って行き部屋に入った後に、荷物を整理した。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

しばらくしていると、こころも帰ってきた。その後すぐに晩御飯の準備が出来たみたいなので、晩御飯を皆で食べた。

 

 

ご飯を食べてる時は、三人で盛り上がりながら話をしていた。こころは、ハピネール王国での話を目をキラキラさせながら聞いていた。

 

ご飯を食べた後は、愛とこころがお風呂に先に入っていった。その後二人がお風呂から上がり、俺の部屋に来て上がったことを教えてくれたので、俺もお風呂に入った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

お風呂からあがった俺は、部屋で過ごしていた。そうしてると夜遅い時間になったので寝ることにした。でも寝る前にトイレに行こうと思い、部屋を出ると廊下で愛と会った。

 

優心「こんな時間まで起きてたんだ」

 

愛「うん。皐と話をしてたんだ。中学の時の……不良だった頃の話を聞いてたんだ。前に時間がある時に話すって言ってくれてたから。」

 

優心「そうなんだ」

 

愛「じゃあ、そろそろ寝るね。おやすみ」

 

優心「うん。おやすみ」

 

起きてた理由を聞いて、愛から"おやすみ"と言われたので俺も"おやすみ"と言って、トイレに行き部屋に戻りベットに入った。

 

ちなみに、こころはお風呂に入ってより一層眠くなったみたいで、先に部屋に戻って寝たと教えてくれた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

翌日になり朝食をこころと愛と三人で食べた後に、愛を家の門の所まで見送った。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

その数日後。

 

8月8日、俺とこころの誕生日の日になった。

 

 

 

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~早坂視点~

 

 

 

優心「ただいまー」

 

愛「お邪魔します」

 

家に着いた時に、声をかけるとメイドさんが出迎えてくれた。

 

メイド「優心様、愛様、お帰りなさいませ。……愛様も優心様と同様"ただいま"と言って宜しいですよ」

 

愛「え?それはどういう事ですか?」

 

メイド「愛様は優心様の彼女です。私も他の使用人も愛様の事を、弦巻家の一員……家族と思っております。なので愛様にもその一言を言って欲しいと思い、失礼ながらも申し上げました」

 

メイドのその言葉を聞いて、何も言えなかった。その状態でいると、メイドの人がまた口を開いた。

 

メイド「ですので、今後また家にいらっしゃる場合は、一回だけでも宜しいので言ってくださいね」

 

愛「……善処、します」

 

私はそう言って家に入り、前に泊まった部屋に荷物を置きに行った。部屋に着くと、部屋の内装に違和感を感じた。感じているとノックされたので返事をすると、さっき玄関で話をしたメイドさんが入ってきた。

 

メイド「愛様、部屋の事で説明をさせてもらっても宜しいでしょうか?」

 

愛「それは大丈夫です。……けど私、部屋に入った時に部屋の内装に少し違和感を感じたんです。その事と関係してますか?」

 

メイド「はい、仰る通りです。……元々、このお部屋はお客様用として使用しているのですが、それを愛様専用にしている最中なのです」

 

愛「私専用の部屋……ですか?」

 

メイド「はい。夏休み明けには、弦巻家の使用人という事ですので、自室を作る必要があるのです。その為、まずはお部屋に飾っていた絵画を、撤去させてもらいました。愛様が感じた違和感は、絵画が無くなったので感じたものだと思いますよ」

 

愛「なるほど」

 

私が感じた違和感についてメイドさんが教えてくれた。尚且つ、この部屋を私専用の部屋にしている事について、理由も含めしっかり説明してくれたので、私は"なるほど"と思いながら聞いていた。

 

メイド「もし、他にも不必要なものがあれば、私や他の使用人の方々にお申し付けください」

と、メイドさんが言った事に頷いた。頷いた後に付け足すようにメイドさんが一言だけ言ってきた。

 

メイド「自分の好きなものを持ってきて、自分好みの部屋になさってくださいね」

 

愛「好きなものを持ってきて、いいんですか?」

 

メイド「勿論です。私なんて動物のぬいぐるみを集めるのが好きなので、自室にはぬいぐるみが沢山ありますよ」

 

愛「そうなんだ……。取り敢えず分かりました」

 

メイドさんの部屋事情を聞いて反応に困ったが、"分かりました"と伝えた。伝えるとメイドさんは部屋から出ていき、荷物を置いてしばらく部屋で過ごした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

部屋で過ごしていると、こころが帰ってきた。そのタイミングに晩御飯が出来たとの事をメイドさんから伝えられた。その為、晩御飯を三人で食べてから、こころと一緒にお風呂に入った。お風呂から上がり廊下に出ると、黒服の皐とばったり会った。

 

皐と会った時に、こころはお風呂に入ってより一層眠くなったみたいで、寝るために"おやすみ"と言って部屋に戻っていった。

 

廊下で残った私と黒服の皐は、皐の自室で前に教えると言ってくれたこころと出会った不良だった中学時代の話を聞いた。

 

愛「えっと、いつ家を出て不良になったの?」

 

黒服(皐)「中学に入学して二ヶ月経った6月終わりぐらいに家を出たんです。その時にはもう荒れちゃってましたけど」

 

愛「どうしてそうなっちゃったの?」

 

黒服(皐)「私に妹がいたんですけど、よくある話ですよ。下の子の方が可愛いってやつです。うちの場合は、私が中学生の時に起きたってことですね。妹とは5歳差で、妹が小学一・二年生の時ぐらいには、相手にされなかったですよ。それで荒れに荒れちゃって家出した感じです」

 

愛「そうなんだ……。家出した後に、こころに出会ったの?」

 

黒服(皐)「はい。家出して数日した頃に、こころ様に会いました。最初は変なやつとか思ってたんですけどね。ドスのきいた声とか聞いても、関係なしに話しかけてきたんです」

 

愛「こころらしいね」

 

黒服(皐)「そうですね。こころ様に接していたある日、こころ様に自分の事を聞かれたんです。最初は言うのを躊躇したんですけど、話をしたんです。話すと"うちに住めばいい"って言ってくれたのは嬉しかった……。中学入学してから、自分の事を見てくれる人はいなかったから」

 

愛「優心くんも?」

 

黒服(皐)「もちろん。特に優心様は、いきなり家に来た私の事は何も聞いてこなかったですよ。それで聞いてこない理由を聞くと、"こころが連れてきた人だから信用できるから"って言ってましたね」

 

その話を、私は黙って聞いていた。

 

黒服(皐)「私は優心様に"そんな簡単に信用してもいいのか"って聞いたんです。そうしたら、"根っから悪いやつだったら、こころに会った時に何かしらの悪さしているはず"という事と、"黒服さんが動いてないし、こころに何も起きてない時点で信用できる"って言って信じてくれましたよ」

 

皐からの話で、優心くんとこころは人のために躊躇い無く動けるのも信用できるのもすごいと思った。すごいと思ってると、皐が誠心さんから言われた条件を教えてくれた。

 

黒服(皐)「こころ様に言われた後に、旦那様達にお願いしたんです。そしたら使用人として雇うことにしてくれて家に住んでいいと言ってくれました。ただ中学の成績をトップクラスになり、それを維持してしっかり卒業しろという条件を言われました」

 

愛「結構厳しいよね?」

 

黒服(皐)「まぁ、厳しかったですね。でも優心様が勉強を教えてくれたんで大丈夫だったんです。それで、学校も卒業できて今に至るって事ですよ」

 

愛「そうなんだ……」

と、皐の過去を聞き終わった。

 

時間を見ると、もう夜遅かったので寝ることになった。皐の自室から出て廊下を歩いてると優心くんには会った。その時に少し話をしてから"おやすみ"と言って、泊まる部屋に行きベットにもぐった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

翌日、朝食を頂いた後に別邸に戻った。

 

 

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優心くんとの旅行から、数日経ったある日。

 

 

今日は8月8日……、優心くんとこころの誕生日だ。ハピネール王国に行く前から招待状が届いており、私もかぐやも参加する事を返事をしていた。

 

 

そうこうしてる内に、弦巻家の車が来たのでかぐやと私が乗り込み、そして車は出発した。

 





所々雑なところがあったかもしれません。

今回の後半は優心と同い歳の黒服である皐の過去を少し書きました。


次回は、優心とこころの誕生日の話を書きます。


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第29話


第29話です。

今回は、優心とこころの誕生日パーティーの話です。ただ、優心とこころの二人の登場は少ないです。

では本編をどうぞ



 

~8月8日~

 

 

~愛視点~

 

 

私は、弦巻家のテレビなどが付いた車に、会長とその妹の白銀圭、かぐやと会計くんと一緒に乗っている。

 

乗ってる理由として、今日は8月8日で優心くんとこころの誕生日。そして、その二人の誕生日パーティーが、弦巻グループが経営しているホテルのパーティー専用フロアで開催されるからだ。

 

実はこの車に乗る皆は、優心くんと私が旅行に行く数日前に優心くんから招待状が届いていた。そして出席する旨を返事をしているので、今に至る感じだ。

 

そして今は、テレビなどが着いてる車の事を話してるのを聞いていた。

 

石上「会長……、この車凄すぎません?テレビとか付いてますし……」

 

会長「あ、あぁ……。しかも洗面台まで付いてるしな。……それに四宮も驚いてるし」

 

かぐや「この車は、自家用車と彼の護衛の方から聞いてましたけど、初めて見ました。確かに凄いですね」

 

会長「自家用車なのか……。早坂は落ち着いているけど、最初は驚いた……よな?」

 

かぐや達の会話を聞いてると、会長から聞かれたので答えた。

 

愛「もちろん最初は驚いたけど、この車以上に驚くことがあったんで、私はもう慣れましたよ……。こないだ、優心くんとハピネール王国に行った際は、もう自分の驚く基準が狂いましたし」

 

会長「そ、そうか……。一応聞くが……王国では何があったんだ?」

 

愛「王国の王様とお姫様に会いました。それに加え、優心くんは二人と友達と言ってましたよ。その事とかに驚きすぎて、今はよほどの事がない限りは驚かないですね。」

 

ハピネールの事も聞かれたので答えると、車に乗ってた四人は驚いていた。その様子を見て"やっぱり驚くよね"と思いながら、気になってた事をかぐや以外の三人に聞いた。

 

愛「それで白銀兄妹と会計くんは、何で私服なの?」

 

会長「あぁ、それは俺達はスーツとかドレスを持ってなくてな。けど、弦巻からの招待状には会場にレンタルの正装……スーツとドレスがあるからそれを着てくれって書かれてたんだ」

 

石上「それに、自分の名前と弦巻先輩の友人って事を受付の人に言ってくれれば、無料になる様にお願いしてる。だから、お金は気にしないでって事も書かれてたんです」

 

愛「へ~……、無料で貸すってすごいけど……」

 

圭「私はまだ怖いですよ……。パーティーが終わった数日後に請求がくるんじゃないかって」

 

かぐや「流石に、招待状にそう書いておいて請求するなんて、弦巻くんはしないと思いますよ」

 

圭「……まぁ、確かにそうですよね」

と私たちが皆で話していると、車が減速して止まった。

 

そしてドアが開き、着いたことを伝えられた。外に出て運転をしていた黒服の人の後ろを皆で付いていき、ホテルの中に入っていった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

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~パーティー会場~

 

 

 

~会長視点~

 

 

俺達はホテル受付で、弦巻から個々人に届いた招待状を見せて、俺と圭と石上は正装の事を聞いた。

 

聞くと、パーティー会場がある階で対応していると言われたので、取り敢えず向かった。

 

会場がある階に向かいもう一度正装の事を言うと、俺と石上はスーツを圭はドレスを借りれたのでそれに着替えた。

 

 

着替え終わった後に会場に入ると、もう大勢の人達が集まっていた。

 

会長「招待されて来たのはいいが、周りの人達が……凄すぎる……」

と、周りを見てそう呟いてしまった。

 

かぐや「えぇ……。何人かは会った事のある人はいますが、殆どの方々は全く会ったことがありませんよ」

 

石上「四宮先輩でも会ったことがない人がいるって、相当ですね……」

 

かぐや「本当に、弦巻家がどれだけ凄いか見せつけられてしまいます……」

 

会長「確かにな。テレビで良く見る芸能関係者やプロのスポーツ選手に政治家、たまにニュースで見る企業の社長から実業家の人達ばかりだからな……」

 

かぐや「本当にすごいです……」

 

眞妃「あら、おば様に生徒会メンバー達じゃない」

 

四宮の台詞に共感したり内心驚いたりしながら、四宮と石上の二人と話していると、四条が話しかけてきた。

 

会長(四条も招待されてたのか……。まぁ当たり前か)

と、思ってると圭から声をかけられた。

 

圭「おにい……、この会場のテーブルに置かれてる料理の数々、見た感じ高価なものばかりだよ……」

 

会長「そうなのか……?」

 

圭「さっきメイドさんらしき人とかに、料理名とか聞いたから確かだよ」

 

石上「そうみたいっすよ」

と、石上も会話に入ってきて、三人で料理の話をしていた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~かぐや視点~

 

 

 

眞妃「あら、おば様に生徒会メンバー達じゃない」

 

折角、会長とも会話出来ていたのに……。まさか四条眞妃も呼ばれているとは。

 

かぐや「(でも弦巻くんと仲がいい事は知っていたから、もしかしたらと思っていたけれど)……眞妃さん。貴方も呼ばれていたのね」

 

眞妃「優心からの招待状が届いたから、来たわけよ」

 

かぐや「貴方のご両親などは来ているのかしら?」

 

眞妃「いいえ、招待されたのは私と帝だけよ。ただ、弟だけは部活の合宿と重なってるから来てないわ。だから今日来たのは私だけよ」

 

それを聞いて安心はした。四条家は四宮に恨みを持っているので、ここにいると険悪なムードになり折角の友人の誕生日に水を差すことになる。それは避けたかったので良かったわ。

 

かぐや「…そうですか。でも、眞妃さんの弟が参加してない理由について、弦巻くんは知ってるの?」

 

眞妃「その辺りは大丈夫よ。優心本人から、部活を最優先にするようにって釘を刺されてるのよ。だから参加できない時は、参加してないわ。優心は、部活での出来事とか聞くのを楽しみにしてるしね」

 

かぐや「なるほど。弦巻くんがそう言っていたとなれば、私は気にしませんけど。でもなぜ、眞妃さん達は招待されているのに、ご両親は招待されていないのですか?」

 

眞妃さんの弟である帝さんが来ていない理由を聞いた際に、なぜそもそも親だけが招待されていないのか聞いてみた。居ないのは、こちらとしてもありがたいけど……。

 

眞妃「それを言ったらおば様もでしょう」

 

かぐや「私の所は当然よ。四宮家と弦巻家は、お互いの事で何かあれば話をするけれど、それ以外は無干渉に近い関係性なのよ。しかも、最近の弦巻家は四宮家を常に警戒して監視をしているらしいから、呼ばれないわ。……それでそちらは?」

 

聞くと、質問に質問で返されたので私は答えた上でもう一度質問をした。

 

眞妃「……おば様は、四条家が何を目標に大きくなったかは知っているでしょう」

 

かぐや「……四宮家に復讐する為だけで、今の規模になったということでしょう。……それが関係しているのかしら?」

 

眞妃「ええ、まず弦巻家と四条家は同じグローバル企業。けど、弦巻家とはビジネスとかの取引も親同士の交流も、一切していないわ。だって弦巻家の逆鱗に触れたんだから」

 

かぐや「そう……なのですか……?(逆鱗に触れたというのはどういう事?そんな話、私は一切聞いたことがない)」

 

四条家の規模に関することに聞かれて答える。すると"弦巻家に逆鱗に触れた"と言われ、どういう意味か分からなかった。

 

眞妃「えぇ、そうよ。四条家の一部は、四宮家の復讐のためだけに"世界を笑顔に"がモットーの弦巻家に交渉をして利用しようとしたのよ。しかも弦巻の"世界を笑顔に"を、否定するような言い方もしてたみたいよ」

 

かぐや「その話は初めて聞きましたよ」

 

眞妃「だって結局失敗して隠してるからね。交渉関係の事が、他の家に知られれば四条家の名にどんな傷がつくか分からないからね。だから、弦巻家とは最初から関わっていない立場を振る舞っているんだから」

 

かぐや(確かに交渉した理由などが知られれば、家と会社の評価にどんな影響が出るか分からないですからね)

と、眞妃さんからの説明に"なるほど"と納得した。

 

眞妃「まぁ、優心とその妹の誕生日パーティーに、こんな話はしない方がいいわね」

と、そう言われたので"そうですね"と答えた。

 

眞妃「それでおば様も優心から招待されて来たのよね」

 

かぐや「えぇ、愛さんも一緒にね」

 

すると私も招待されていた事を触れてきたので、愛さんも一緒に招待された事を伝えた。

 

眞妃「かぐやのお付きの人も招待されたのね。意外ね」

 

かぐや「まぁ愛さんは弦巻くんの彼女ですし、何より夏休み明けから弦巻家の使用人という事になってますから、当然だと思いますよ」

 

眞妃「へぇ~、優心の……はぁ?優心の彼女?弦巻家の使用人?それ、どういう意味よ!?てか優心といつから付き合ってたのよ!?」

 

愛さんの事……弦巻くんと恋人同士や使用人の事について伝えると、眞妃さんは私が今まで見たことがないぐらいに驚いて質問をしてきた。

 

千花「それはなんと!交流会の前ぐらいからなんですよ!」

 

かぐや・愛「……藤原(書記)さん(ちゃん)!?」

 

眞妃さんの質問に愛さんが答えようとした時、気がついた時には藤原さんが答えていた。私と愛さんは藤原さんが出てきた事に驚いてしまった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~早坂視点~

 

 

私は会場に入ってしばらくかぐやや眞妃様が二人で話をしているのを近くで見ていた。その途中で私と優心くんの話題になった時に、書記ちゃんが会話に入ってきて驚いた。眞妃様の質問は、書記ちゃんが代わりにしていた。

 

ちなみに、書記ちゃんの方は家族全員が招待されていたらしく、皆で来たとの事。

 

書記ちゃんの説明に、私が訂正したりして話をしていると、会場のドアが開いて優心くんとこころが入ってきた。

 

優心「あ、今日は来てくれてありがとう」

と、優心くんは私や生徒会メンバーとかの皆にそう言ってきた。私たちが返事をする前にこころと一緒に会場のステージのような所に行ってしまった。

 

会長「何か、いつもより凄く格好よくなってるな……」

 

かぐや「えぇ。服に着せられてることも無いですし、妹さんも見せてもらった写真よりも、可愛いですしどこか綺麗さもありましたね」

 

愛「確かに。優心くんは格好いいし、こころはドレスを着ると大人っぽくなってる……」

 

千花「はは……、早坂さん、二人にメロメロじゃないですか……」

 

書記ちゃんにそう言われて"ハッ!"となって顔が熱くなった。皆に弄られたくなかったので、顔をそらした。案の定、その事を言われた。

 

しばらくしていると、優心くん達の父親の挨拶が始まったが、私はあの人が誠心さんなんだと思いながら、聞いていた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~優心視点~

 

 

俺はスーツにこころは赤のドレスを着て、会場に入るのを待っていた。待ってる理由は、招待客の方々が全員来ているか確認してると華さんに教えてもらっていた。

 

お父様とお母様にも服装のチェックしてもらって、こころと一緒に会場に入った。

 

会場に入ってすぐに愛達がいた。

 

優心「あ、今日は来てくれてありがとう」

と、咄嗟に一言しか言えなかった。その一言を愛達に言ってから、入り口から反対の壁側にあるステージに設置されてる椅子に、こころと俺は座った。

 

 

 

ここの席からは皆の顔が良く見える。パーティーが始まるまでの時間帯だが、皆が笑顔で話をしていた。

 

こころ「お兄様、皆いい笑顔ね!」

 

優心「うん。今回も笑顔になったから良かったよ」

 

こころの言う通りだった。それにここは必然的に皆の笑顔が見れる事になるので、ここの席が好きだった。

 

こころ「この後にお父様の挨拶なのよね。その後に、お兄様のお友達に会わせてね。会ってみたいから!」

 

優心「うん、もちろん」

 

こころ「あの入り口の近くにいる皆がそうなの?」

と、こころは指を指して聞いてきた。

 

優心「うん。あそこにいるのが友達だよ。……こころの方はハロハピの皆を呼んだんだっけ?」

 

こころ「もちろんよ!だから皆にも会ってね、お兄様!」

 

黒服「これより誕生日パーティーを開催します。まず弦巻家当主の弦巻誠心様からの挨拶です」

と、こころと話をしていると黒服さんがマイクを持って喋り、お父様が話を始めた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~会長視点~

 

 

弦巻の父親である誠心さんの挨拶が終わりしばらくすると、誠心さんと女性の方がやってきた。

 

誠心「優心とこころの父、弦巻誠心だ。よろしく」

 

心美「母の弦巻心美よ。よろしくね」

 

相手側から自己紹介をされ、女性の方は弦巻の母親だと分かった。

 

会長「私、学校で生徒会長をしている白銀御幸です。よろしくお願いします」

 

俺も自己紹介をすると、誠心さんが対応してくれた。心美さんは四宮達の方と話をしていた。

 

誠心「君が白銀くんか。一年の時から息子と仲良くしてると聞いてるよ。息子と友達になってくれてありがとう」

 

会長「いえいえ、私も彼と仲良くなって良かったと思ってます」

 

誠心「そうか。……君も優心と同じで外部入学した子だと聞いているし、今後とも息子と仲良くしてくれるか?」

 

会長「言われなくても当然ですよ」

 

誠心「そうか、そう言ってくれると嬉しいよ……。で、君が石上優くんだね」

 

俺と話を終えると、誠心さんは石上と話を始めた。俺はその会話を隣で聞いていた。

 

二人の話を聞いていると、石上が弦巻グループにスカウトされていた。

 

何でも、弦巻から石上が事務仕事や会計関係などの情報系のエキスパートという事を、聞いていたらしい。今は情報社会のため、そういう人材を募集しているとの事。将来、仕事を悩んだ時はうちの企業に面接を受けるか、優心に声をかけてみてくれと言われていた。

 

言われた石上はあたふたしていた。そんな石上に声をかけて、俺も話に混ざった。

 

 

 

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~愛視点~

 

 

 

誠心さんの挨拶が終わり、私はしばらく生徒会メンバー達と話をしていた。

 

優心くんとこころは会場に来ている人達と話をしていた。

 

しばらくして男女二人組が近づいてきたので、男性の方は誠心さんだった。だから隣にいる女性の方は、前に写真を見せてもらっていたのもあるが、すぐに優心くんのお母さんだと分かった。

 

二人が私たちの近くに来た際に自己紹介をされた。その後に心美さんから話しかけられた。

 

心美「愛ちゃん、久しぶり。……って言っても、私の事は覚えてるかしら?」

 

愛「一応、前に優心くんとライブを見に行った時にはっきりと思い出しました。それまでははっきりとは覚えてはなかったですが」

 

覚えているか聞かれたので、ライブを見に行った時に思い出した事を伝えた。

 

心美「それは仕方ないわよ。一回しか会ってないものだから、あまり覚えてなくても不思議じゃないわ」

 

愛「一回だけだとそうですよね」

 

心美「そうね。でも小さい頃から可愛かった子だったから、やっぱり美人さんになるわね」

 

愛「あ、ありがとうございます……」

 

心美「こんな子が、優心の彼女になってくれるなんて私は嬉しいわ。付き合ってくれてありがとうね」

 

少し会話をした後に、心美さんがそう言いながら頭を撫でてきた。少し驚いたが優心くんと似た感じの撫で方だったので嫌じゃなかった。

 

しばらくして撫でるのをやめた心美さんはかぐやに声をかけて話を始めたのを私は静かに見ていた。

 

心美「それで貴方がかぐやちゃん。さっきも言ったけど、優心達の母の弦巻心美です。よろしくね」

 

かぐや「初めまして。秀知院学園では副会長をしています、四宮かぐやです」

 

心美「そんな固い挨拶と敬語は無しで、もっと砕けた感じで話していいわよ」

 

かぐや「当主の奥様と会ってますので、そう簡単には……」

 

心美「そう……。いつか砕けた感じで話せる時があったら話してね」

 

かぐや「分かりました」

 

心美「それでかぐやちゃん。優心と友達になってくれてありがとうね。優心は貴方に迷惑かけてないかしら?」

 

かぐや「いえ、色々と助けてもらってます。生徒会では彼がいてくれたお陰で助かったことが何度もありましたので」

 

心美「そう。華の言う通り、優心はちゃんと頑張っているのね。それを聞けて嬉しいわ」

 

千花「心美さん、こんにち殺法!」

 

かぐやと心美さんが話していると、書記ちゃんがいきなり"こんにち殺法"とポーズ付きで心美さんに声をかけた。それを見たかぐやは"何をしてるのよ!"と叫んでいた。私は心美さんを見てみた。

 

心美「ふふ……、こんにち殺法返し……です」

と、控えめにポーズはして書記ちゃんに笑顔で返事をしていた。

 

心美「千花ちゃん、こころと会う時にやってあげてね。あの子喜ぶから」

 

千花「はい、もちろんです!」

 

かぐや・愛「「あの!」」

と、かぐやと私は同時に声をかけた。私はかぐやに譲り、かぐやはさっきの書記ちゃんの事を挨拶をやった理由を聞いていた。そして帰ってきた答えは"やった方が笑顔になるから"と言われた。

 

私は大人っぽい心美さんでもやりたいと思ったのかな?と、思いながら話に入った。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

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~優心視点~

 

 

お父様の挨拶が終わった後に、俺は来てくれたお客様達に挨拶をしてまわっている。

 

今はプロのスポーツ選手達が集まるの所に着いた所だ。着くとまずバスケの選手から、"おめでとう"と言われた。

 

バ)選手A「誕生日おめでとう」

 

優心「ありがとうございます。…この間の試合見ました。お互いに抜いては抜かされての接戦の熱い試合でした!最後の最後に、スリーポイントが決まって勝ったのが凄かったです!」

 

バ)選手B「ありがとな、見てくれて。次もいい試合するから応援よろしくな」

 

優心「はい!」

 

"おめでとう"と言われた後に、前に見た試合の感想を伝えた。伝えると笑顔になって"次も応援よろしく"と言われたから、元気よく返事をした。

 

 

 

その後も、他の競技の人達と話をしていった。それでソフトボールの選手の二人と会って話してる時に、思い出したことがあった。なのでソフトの選手に一つお願いした。

 

優心「あの、一つお願いしてもいいですか?」

 

ソ)選手A「どんな事?」

 

優心「妹がボーカルしているバンドで、ベースをしている子がいるんです。その子が地元のソフトボールチームでソフトをしているんです」

 

ソ)選手B「あ、その子に会ってほしいってこと?」

 

優心「そうなんです。その子、二人の大ファンなので。会ってもらっても大丈夫ですか?」

 

ソ)選手A「勿論!……で、その子はどんな子なの?」

 

優心「あそこに集まってる子達が、バンドのメンバーなんです。で、オレンジ色をした髪の女の子です。あとで声をかけて、お二人の所へ行くように伝えとくので、待っててください」

と伝えると、頷いてくれた。その後も少し話してから他とお客様の所に向かった。

 

 

 

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舞台の監督さんや演出家さんなど、芸能関係者の人達と話をした。

 

舞台での演出などを話してる時にとか、知り合いに演劇やってて実力がある人はいるかと聞かれた。聞かれた時に、薫さんの事を教えた。

 

監督「その薫って子の実力はどのぐらいなんだ?」

 

優心「台本を読めば、どんな役でも降ろすことが出来るって言われてますよ」

と言うと、監督さんは"なるほど"と呟いていた。けどすぐに補足で一つ伝えた。

 

優心「けど、部室で一人で黙々と練習してると聞きました。勿論、それはプロだと当たり前ですけど、ちゃんと練習を重ねてもいますよ。基本をしっかりとしていますよ」

 

俺がそう伝え終わると、ファッション系からの人から質問された。

 

それにも答えていくと、"会ってみたい"と言われたので会場に来ている事を伝え、自分から薫さんに声をかけておくと伝えた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

こころ「お兄様!」

 

監督さん達との話が終わった後は、海外の政治家の人と話をした。

 

そして今は、日本の政治家さん達と話をしていた。すると、こころが大きな声を出して背中に抱きついてきた

 

優心「あ、こころ。どうしたの?」

 

こころ「ハロハピの皆が会いたいって言ってたから、皆のところに行きましょ!」

 

優心「分かったよ。でも、その前に挨拶しないといけないでしょ」

 

こころ「あ、そうだったわ!今日はパーティーに来てくれてありがとう!」

 

こころが笑顔でお礼を言うと、政治家の人が笑顔になった。

 

政治家A「こちらこそ、お呼びいただきありがとうございます。お嬢様もお元気そうで何よりです。より一層、お母上に似て美人に尚且つ可愛くなりましたね」

 

こころ「そう?ありがとう!……お兄様早く行きましょ❗」

 

優心「引っ張らなくても行くから落ち着いてよ、こころ……」

 

こころ「だって早く会って欲しかったんだもの」

 

こころはムスッとした顔でそう言ってきたので、頭を撫でてなだめた。その後に、政治家の皆に会釈してからハロハピの皆のところに向かった。

 

大地「本当に仲がいい兄妹だね」

 

政治家A「えぇ、微笑ましいです。私の息子と娘もあんな風に仲が良ければいいのですけどね」

 

政治家B「お子さんは、あまり仲が良くないんですか?」

 

政治家A「あぁ、二人とも頑固過ぎてお互いに譲らないので、喧嘩をしてしまうんですよ。なので、あのお二人みたいに仲が良くなればいいのに、って思ってしまうんです」

 

大地「しっかり者の優心くんに、おてんば娘のこころちゃんだからこその関係なんだろうね。こころちゃんの方も、驚く行動するけれど、兄の優心くんやバンドの友達たちの提案を聞いたり言うことを聞いたりと聞き分けもしっかりあるからかもしれないね」

 

政治家C「明るく元気いっぱいの即行動ができるお嬢様に、しっかり者でサポートに徹する優心様。その二人がいると、弦巻家も世界も安泰ですね」

 

政治家B「あぁ、そうだな」

 

政治家A「もし、弦巻家や、あの二人本人や友人が何かあった際は助けましょう。もちろん助けを求められた場合はですけどね。……弦巻家にはいつも助けられてばかりで、恩を返しきれていないですから」  

 

政治家B「ええ。しかし、これからの将来は、優心様とこころお嬢様もいますから、ますます恩を貰ってしまいますけどね」

 

政治家C「確かにそうですね」

 

そんな政治家さん達の会話が後ろから聞こえたが、気にせずにハロハピの皆とかぐやさん達がいる方へ向かった。

 





台詞の前に名前を書いてますが、選手との話の時に書いていた、バ)とはバスケ選手、ソ)はソフトボール選手です。

サブタイトルの「キャラ・世界観設定(ネタバレあり)その2」に、弦巻家と四宮家、四条家、藤原家の関係……、家の関係性を大雑把かと思われるかもしれませんが、書きました。それで参考にしていただければありがたいです。今後追加で書くと思いますので、読んでくだされば幸いです。

今回は1話に纏まらなかったので、次回も誕生日パーティーの話です。次回は優心とこころをもっと出せると思います。


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第30話


第30話です。やっと書き終わりました。

今話も含め、最近書いててキャラ口調がこれで合ってるのか、分からなくなってきました。
全部同じような口調になってるかもしれないですが、読んでくれたら幸いです。前から内心では文章力や表現力などの文才がないと思ってましたが、ここ最近は凄くそう思ってきました。

まぁ、そんな話は置いといて、前回の終わり所はこころが優心を呼びに来た所で終わりました。が、今話はこころが優心を呼ぶ前のシーンで、愛視点から話が始まります。

では、本編をどうぞ!



 

~愛視点~

 

こころ「あーいー!」

 

優心くんの両親、誠心さんと心海さんと話を終えた頃に、私の名前を呼ぶこころの大きい声が聞こえた。声をした方を見てみると、こころとハロハピの皆も一緒にいた。

 

愛「(他の人との話は終わったんだ……)こころー、ここだよ」

 

こころ「あ、そこにいたのね!愛!」

 

はぐみ「愛ちゃん先輩だー!来てたんだ~。愛ちゃん先輩もゆーくん達に呼ばれたの?」

 

こころとはぐみは純粋無垢の笑顔で私の所に走ってきた。薫も"儚い"と言いながら小走りで来て、美咲は"走っちゃ駄目"と言って花音はそれを見て苦笑いしていた。

 

愛(こうして見ると、こころとはぐみと薫が三人娘で、美咲と花音が親に見えてきた……)

 

そんなことを考えながら、はぐみが聞いてきたことに答えた。

 

愛「うん、優心くんから招待状が来たからね。こころ、誕生日おめでとう。そのドレス似合ってるよ」

 

こころ「あら、ありがとう♪……そういう愛も、そのドレスすごーく似合ってるわよ」

と、こころが満面の笑みで言ってくれたので、"ありがとう"と伝えた。

 

はぐみ「ねぇねぇ、愛ちゃん先輩。はぐみも似合ってる?」

 

愛「うん。はぐみも似合ってるよ」

 

はぐみ「え、ほんと!?……えへへ、ありがと!はぐみ、こんな綺麗なドレス着たことが無かったから、着れてよかったよ」

 

はぐみに、ドレスが似合っていたので褒めてあげると、嬉しそうに笑顔になった。その笑顔を見れただけで、私は嬉しかった。

 

愛(笑顔が見れて嬉しいって、相当優心くん達に影響受けてるな~。私……)

 

千花「こころちゃん、おめでとう。こんにち殺法」

 

こころ「こんにち殺法返しよ!……千花も来てくれてありがと!」

と、書記ちゃんがこころに"こんにち殺法"の挨拶をしていた。その後に、こころが私に声をかけてきた。

 

こころ「愛!ここにいるお兄様のお友達を教えて!」

 

愛「うん。まずは……」

 

こころが、かぐや達の事を聞いてきたから教えてあげた後、皆はお互いに自己紹介をした。その時、美咲と花音はかぐやと眞妃の名前を聞いて驚いていた。

 

こころ「かぐやと御幸、圭と優、眞妃ね。……あたしは弦巻こころよ!あたしの事は、こころでいいわよ!」

 

かぐや「えぇ、よろしくお願いします。こころさん」

 

会長「あぁ、よろしく。こころ」

 

自己紹介が終わった後に、はぐみがかぐや達にあだ名をつけ始めていた。私がその様子を眺めていると、美咲が私に話しかけてきた。

 

美咲「愛先輩。四宮先輩と四条先輩って、財閥とグローバル企業のお嬢様でいいんですよね?」

 

愛「そうだよ」

 

美咲「流石、秀知院……。優心さんとも仲いいのも凄いですね……」

 

愛「あれ?あまり驚いてない?」

 

美咲「多少は驚いてますよ。でも、こころと優心さんがいるじゃないですか。それで慣れてるのもあると思いますけど……」

 

愛「あぁ、なるほどね。確かに弦巻家の方が凄いもんね」

 

美咲「そうなんですよ。まぁ、さっきはぐみが四宮先輩達を、あだ名で呼んだ事の方が驚きましたけどね……」

 

愛「かぐやをかぐちゃん、眞妃様をまきちゃん先輩とかで呼んでたもんね」

 

美咲「こころの呼び捨てもですけど、二人の行動はたまに心臓に悪いですよ」

 

愛「こころとはぐみは純粋無垢とかの性格だから、呼ばれてる方は嫌な気持ちとかは無いと思うから大丈夫だよ。かぐやもその辺は分かるから」

 

美咲「まぁ、四宮先輩達は迷惑そうにはしてないですから、安心はしてますよ」

と、美咲と話をしてると、こころが声をかけてきた。

 

こころ「美咲!あたし、はぐみ達がお兄様に会いたいって言ったから、お兄様を呼んでくるわね!」

 

美咲「あー、うん。確かに、まだ優心さんには会ってないしね。遠目で見たぐらいだし、呼んできていいんじゃない?」

 

こころ「じゃあ、呼んでくるわね」

と、こころは美咲にそう言って走って言ってしまった。私は、ふと優心くんを見てみたが、優心くんは政治家と話をしてる感じだった。

 

愛「優心くん、話をしてるみたいだけど、邪魔しても大丈夫なのかな?」

 

美咲「多分大丈夫です。あの二人ですよ。人望で何となると思いますし」

 

二人でそんな話をしてると、美咲の言う通りにこころが優心くんを連れてきた。

 

こころに連れられてきた優心くんは、美咲と話を始めた。途中で、ハロハピの皆が"おめでとう"と伝えたりしていた。

 

私は、しばらく待ってはぐみと薫と話を終えた、優心くんに近づいた。

 

その時に、かぐやと会長も優心くんの所に来たので、四人で話をした。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~かぐや視点~

 

 

愛さんの名前を呼びながら、弦巻くんの妹さんと、その友達が私達の所に来た。

 

こころ「あたしは弦巻こころよ!あたしの事は、こころでいいわよ!」

 

かぐや「えぇ、よろしくお願いします。こころさん」

 

会長「あぁ、よろしく。こころ」

 

そこで皆さんと自己紹介をしました。自己紹介を終えた時に、オレンジ髪のはぐみという子が小さい声で何かを呟いていた。

 

声をかけようとした時に、はぐみさんが私の顔を見て言ってきた。

 

はぐみ「かぐちゃん!」

 

かぐや「か、かぐちゃん……?」

 

はぐみ「かぐやさんのあだ名だよ!他の人達のあだ名も考えたんだ!……えっとね……」

と言って、会長達に自分が考えたあだ名を言い始めた。

 

かぐや(初めてあだ名で呼ばれた……)

と思っていると、こころさんが声をかけてきた。

 

こころ「ねぇ、かぐや。どうしたの?いきなり黙っちゃったけど」

 

かぐや「い、いえ。何でもないですよ。……弦巻くんから聞きましたけど、バンドをしているんですよね」

 

こころ「そうなの!名前はハローハッピーワールドって言うのよ。世界を笑顔にって意味よ!」

 

かぐや「ハローハッピーワールド……ですか」

 

こころ「えぇ!誰かを笑顔にするのに、まず自分が笑顔になって話しかけないとって事よ!"ハロー!"ってね」

 

かぐや「(確かに)……笑顔じゃない人から、笑顔にって言われたとしても、笑顔にはならないですね」

 

私の言った言葉に、笑顔で"そうなのよ!"と言って大きく頷いていた。

 

かぐや「……けど、"世界を笑顔に"なんて出来ない、といった事を周りの人から言われたりしなかったんですか?」

 

こころ「そうね……。確か美咲がそう言ってた気がするわね」

 

かぐや「奥沢さんが?」

 

こころ「えぇ。でもあたしね、その時に"何でやってもないのに出来ないと思うの?"って、美咲に言ったの!」

 

こころさんの言葉を聞いて私は驚いた。こころさんは驚いた私を気にせずに、話を続けていた。

 

こころ「出来るはずないとか皆は言ったりするけれど、そんな事を言ったら笑顔に出来るかもしれないでしょ!って美咲に言ったのよ。……でも、何で皆は出来ないとか言うのかしらね」

と、言ったこころさんは、会長達の方に行って話を始めた。

 

かぐや(さっきこころさんの言葉……、去年の現生徒会が発足した際に、弦巻くんから似た言葉を聞いた。その時は、聞き流して気にも留めてなかったけれど、それをまた聞くとは思わなかった)

と、こころさんを見ながら、そう思ってしまった。

 

 

 

だから、弦巻くんもだが、こころさんに人が集まるんだろう。

 

世の中、紛争だったり富豪界隈の汚いのがある中で、こういった信じたものを迷いなく突き進み、不純物が無い思いがある人だからこそ、人が集まるんだろう。

 

だからパーティーに来てる人達や、弦巻家の身近な人から果ては世界の国の人達も、弦巻家の"世界を笑顔に"という考えに共感するんだ。といった事を私は一人で思っていた。

 

 

かぐや「(こんな考え、私らしくないですね。でも……)世界を笑顔に……。弦巻家、そして弦巻くんとこころさんの二人だったら、本当に出来そうな気がしますね……」

 

花音「かぐやちゃんも、そう思ったんだ」

 

こころさんが会長達の所に行ってから一人言を呟くと、後ろから声を掛けられた。

 

後ろを振り向くと、松原さんだった。

 

花音「こころちゃんと優心くんの笑顔にしたいって思いは、凄いまっすぐなんだよね」

 

かぐや「そうですね」

 

花音「それに、こころちゃんはまっすぐでお日様みたいにキラキラしてる子だって、私は思ってるんです」

 

松原さんは、そう言ってきた。

 

かぐや「確かに眩しいぐらいの笑顔で、皆を笑顔にしたいって言ってました。(本当に四宮家とは大違いで、人を簡単に信じられない私には、眩しすぎるぐらいの笑顔と考えだ。でもそうなれば良いなと思ってる自分もいる)」

 

私はそう思いながら、こころさんを見ていた。

 

少し見てから松原さんに一つ質問をした。

 

かぐや「松原さん。こころさんを太陽と表現してましたが、弦巻くんはどうなんでしょう?」

 

花音「優心くんは……月みたいな感じかな……。静かに見守ってくれてるし、主張とかは少ないですけど言う時は言ってサポートをたまにしてくれますから。こころちゃんが光で、優心くんは影みたいな感じだと、私は思ってるよ」

 

かぐや(確かに、学校でも周りを自分から引っ張るよりサポートをしている感じですし……)

と、松原さんの言葉に一人で納得した。

 

すると、こころさんが弦巻くんを連れてくると言って、弦巻くんの所に行ってしまった。

 

松原さんと苦笑いして待っていると、弦巻くんが来たので話をする為に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~優心視点~

 

 

 

こころに手を引かれ、ハロハピの皆とかぐやさん達がいる所に向かっていた。

 

皆が集まってる所に着いた。

 

こころ「美咲!お兄様を連れてきたわ!」

 

美咲「あ~、はいはい。優心さん誕生日おめでとうございます」

 

優心「美咲、ありがとう」

 

こころの言うことに美咲は軽く流しつつ、俺に"誕生日おめでとう"と言われた。俺は"ありがとう"と言いつつ、他の皆の様子を見てみた。ハロハピメンバーと会長達のメンバーの皆は仲良く話をしていた。

 

優心「皆、もう仲良くなったんだ」

 

美咲「あ、はい。お互いに自己紹介もしましたよ。四宮先輩と四条先輩の名字を聞いた時は、多少は驚きましたけどね」

 

優心「だろうね。四大財閥の一つ四宮グループと、グローバル企業の四条グループのお嬢様だからね。でも驚いたの多少だったんだ」

 

美咲「愛先輩に話しましたけど、流石に優心さんとこころに会ってますからね。ある意味慣れてますから、そこまでじゃなかったです」

 

優心「そっか……。ちなみにかぐやさん達と会ったのは、こころがきっかけ?」

 

美咲「そうですよ。こころが会いたが「そうよ、お兄様!」って、……また話してる途中に……」

 

美咲と話をして、かぐやさん達と会ったきっかけを美咲から聞いてる最中に、それを遮ってこころが会話に入っ来た。俺は横で愚痴ってる美咲を見て苦笑いしながら、こころの話を聞いた。

 

こころ「私が美咲達を連れて、愛達に会いに行ったのよ。お兄様、挨拶が多くて中々来ないし、あたしは会うのを待ちきれなかったのよ……!」

 

優心「待ちきれずに、皆とかぐやさん達と会って話をして、その後に政治家さん達と話をしてる俺を呼びに来たんだ」

 

こころ「そうよ。その時は、美咲達とお兄様はまだ会ってなかったし、美咲達も会いたがってたから」

 

こころが話し終わるとはぐみが声をかけてきた。

 

はぐみ「ゆーくん、誕生日おめでとう!ここの料理美味しいね!」

 

優心「ありがとう、はぐみ。他にも美味しい食べ物多いから食べてってね」

 

その後も、花音さんと薫さんにも"おめでとう"と言ってくれた。お礼を言った後に、はぐみと薫さんにソフト選手の事と、舞台監督とかの芸能関係の人の事を教えた。

 

優心「はぐみと薫さんに言っときたい事があるんだ」

 

はぐみ「なーに?ゆーくん」

 

薫「言っておきたい事はなんだい?」

 

優心「まず、はぐみからで、あそこにスポーツ選手がいるでしょ。そこにソフトボールの選手が来てて、しかもはぐみの大ファンの二人もいるから、会いに行っていいよ」

 

はぐみ「え、ホントに!?ゆーくん、会ってもいいの!?」

 

優心「俺がお願いしたら、オッケーしてくれたから大丈夫だよ」

 

はぐみ「やったー!じゃあ、はぐみ行ってくる!」

と言って、猛スピードで向かっていった。はぐみが猛スピードで向かったから、選手は凄く驚いていた。その様子を見てから薫さんに声をかけた。

 

優心「それで、薫さん」

 

薫「もしかして、私もはぐみと同じような事かな?」

 

優心「うん、そうだよ。あそこに舞台監督がいるんだけど、薫さんに会ってみたいって言ってたから、薫さん会いに行ってよ」

 

薫さんにも同じように教えた。

 

薫「あの人は……国内外で有名な監督じゃないか!?そんな人が、私に会いたいと言ったのかい……!?」

 

優心「うん。あと、ファッション関係の人も会いたいと言ってたよ」

 

薫「そうか。……じゃあ行ってくるよ」

 

薫さんも監督の方に向かった。

 

二人が離れてた時に、こころと話をしていたかぐやさん、あと会長と愛の二人も俺の所に来た。千花と圭、石上と眞妃は、こころ達と話をしていた。

 

優心「そういえば、こころと初めて会ったと思うけど、どうだった?」

 

かぐや「そうですね……。前に弦巻くんが言った通り、小さい子供が高校生になった女の子でしたね」

 

優心「やっぱり、そう思うよね~「けど」……?」

 

かぐや「あの子を中心に人が集まるのも分かりましたよ。弦巻くん、そして弦巻家と同じように"世界を笑顔に"するという芯がブレないで突き進んでいるから、人が集まるんでしょうね」

 

会長「前に、藤原がこころが人を惹き付ける、好きになるような魅力があると言ってたが、確かにその通りだった。そういったカリスマ性があるのが、話してて分かったしな」

 

優心「そっか。思った以上にいい評価で良かった。兄としても嬉しいし、また会った時も相手になってあげてね」

 

俺がそう言うと二人は頷いてくれた。

 

二人が頷いた後に、かぐやさんが質問してきた。

 

かぐや「弦巻くん。他にも招待している知り合いの方はいらっしゃるんですか?」

 

優心「秀知院の人だったら、つばめ先輩とそのお父様。エリカとすばると三鈴の所の、会社の社長であるお父様。あと、柏木さんの父と祖父の二人も招待されてるよ」

 

愛「柏木さんの所って、祖父が経団連の理事でお父さんが大手造船会社、柏木造船の会長だっけ?」

 

優心「そうだよ。おじい様の方は、前にお父様にお世話になった事があったんだって。それで柏木さんのお父様の方は、俺とこころの自分専用の豪華客船を作ってくれたから、前にお礼として招待してから毎年来てくれてるよ」

 

愛「へぇ~」

 

会長「なるほど。……ん?弦巻、ちょっと待て。自分専用の豪華客船って言ったか?」

 

優心「うん、言ったよ。俺とこころは個人所有の船を持ってるんだ」

 

会長「はぁ!?」

 

かぐや「!」

 

船の事を言うと会長とかぐやさんの二人が驚いていた。愛は驚くことに慣れているみたいで驚いてなかった。

 

愛「その船って2隻とも同じ形の船なの?」

 

優心「そうだよ。……黒服さん」

 

愛に船の形を聞かれた事に答えて、華さんを呼んで船の写真を見せた。

 

優心「この船の方は、こころの船で名前はスマイル号で、こっちの写真の船は、俺の船で名前はハッピー号だよ」

 

愛「凄い大きいね……。船の名前も二人らしい名前なんだ」

 

会長「この船は使ってるのか?」

 

優心「俺はあまり使わないよ。だから、グループの旅行会社に船のツアーに使用してもらってるよ。こころの方は船に乗りたいってたまに言うから、あまり会社の方には使ってないよ」

 

愛「そうなの?」

 

優心「うん。でも定期的な検査もしなくちゃいけないから、交互に旅行プランに船を使ってもらってるよ。今は片方は動かして、もう片方は港とかに停泊させてる感じだね」

 

俺がそう言うと、皆は"へぇ……"と言っていた。驚いていた会長とかぐやさんは、俺が説明している間に落ち着いていた。

 

かぐや「それで、秀知院の知り合い以外だと他にはどのような方が?」

と、船の説明が終わった時に、かぐやさんは俺に聞いてきた。

 

優心「他だと、桐ヶ谷呉服屋の店主兼当主の方や、つばめ先輩の家とは別の飲食関係の会社を経営している二葉さんとかだね。あ、あと蘭のお父様も来てるんだった」

 

愛「蘭のお父さんが?……あ、そういえば蘭の家って100年以上続く華道の家元だったよね」

 

優心「そうだよ。お母様も習ってたし、俺も小さい頃に美竹家の華道を習ってたんだ。今もたまに習ったりしてるけど」

 

かぐや「(美竹家……)なるほど。だから、私が華道を習うことになった際に、断られたんですね」

 

優心「かぐやさんの方も習おうとしてたの?」

 

かぐや「はい。小さい頃に、美竹さんにお願いをしたらしいですが、教える人が別にいるからと断られてしまったと聞きましたよ」

 

優心「そうなんだ」

と、他の招待客の事について話してると、こころが声をかけてきた。

 

こころ「お兄様!あたし、今から演奏をするわ」

 

優心「今から?」

 

こころ「えぇ!千花がバンド演奏を見たいって言ってて、圭や優、眞妃も気になるって言ってたから見せたいの!」

 

優心「そっか。……うん、やっていいよ。他のお客様も喜んでくれると思うからね」

 

こころ「じゃあ美咲達に声をかけてくるわ!」

 

俺の返事を聞いたこころはハロハピメンバーに声をかけにいった。

 

優心「黒服さん、ミッシェルの用意出来てる?」

 

黒服「勿論です。すでに奥沢様にお渡ししています」

 

優心「そう。じゃあ、ライブのサポートをお願いしてもいい?」

 

黒服「分かりました」

 

黒服さんと会話をした。

 

かぐや「ライブですか?」

 

優心「うん。やるらしいから見ててね。絶対楽しいから」

 

愛「優心くんの言う通りで楽しいし、笑顔になれるから」

 

かぐや「それは楽しみですね」

 

会長「確かに、二人がそう言うならそうだろうな」

と、会長達と話してると、ライブの準備が終わったみたいだ。

 

そして、すぐにライブが始まったので皆で見始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ライブ終了後~

 

 

こころ「んーー!やっぱりライブは楽しいわ!皆、どうだったかしら?」

 

演奏が終わって、こころ達ハロハピメンバーが戻ってきた。その時にこころは愛達にライブの感想を聞いて、皆は各々感想を言っていた。

 

かぐやさん達も笑顔で聞いていたので良かった。

 

愛「やっぱりハロハピの曲は笑顔になるね」

 

優心「何度聞いても笑顔になるし、楽しい気持ちにもなるしね」

 

オーナー「優心」

 

こころ達と皆が感想を言っているのを見ながら、愛と話してると名前を呼ばれた。声がした方を見ると、スペースオーナーの都筑詩船さんだった。

 

優心「あ、オーナー。来てくれたんですね」

 

オーナー「まぁ、招待されたからね」

 

こころ「あら。詩船じゃない!久しぶりね!」

 

オーナー「久しぶりだね。さっきの演奏は勿論やりきっただろうね?」

 

こころ「当たり前よ!思いっきりやりきらないと、聞いてくれてる皆に失礼じゃない。だから今のライブもやりきったわ!」

 

オーナー「そうかい……。それで優心の隣にいる子は誰だい?」

 

優心「俺の彼女です」

 

愛「早坂愛です」

 

オーナー「そう、彼女か。私は都筑詩船だよ、よろしく。私の事は好きに呼びな」

 

愛「都筑さんと呼びますね。……都筑さんは、確かスペースのオーナーさんですよね」

 

優心「愛、知ってたの?」

 

愛「優心くんのお見舞いに行った時に、黒服さんに教えてもらったよ」

 

それを聞いた俺は"そうなんだ"と呟いた。

 

オーナー「そうだよ。ただ、もうスペースは閉めたけどね。……じゃあ、私は優心の親に会いに行くから、失礼するよ」

と、オーナーは離れていった。

 

その後に、ニッコリおじさんが来たので、話をして皆が王様に会って驚いたりしていた。

 

こころにハロハピのライブが良かったと言ってくれていた。ただ、その時に来年の建国千年の時に演奏をしてもらおうかなと呟いていたが、深くは聞かなかった。

 

 

その後も少し話をしていた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

そして、誕生日パーティーの終わる時間が近づいた時に、愛から、アクセサリーとかが入れられていることが多い箱を渡された。

 

優心「これは?」

 

愛「誕生日プレゼントだよ」

 

優心「開けてもいい?」

 

愛「うん」

 

開けてみると、星形のストラップが一つ入っていた。そのストラップは星が二つ付いており、その内一つは星の半分が無かった。この事を聞くと教えてくれた。

 

愛「これ、星形のペアストラップの片方なんだ。優心くんの誕生日に、プレゼントとしてペアアクセサリーをあげようと思ってハピネールのお店で買ったんだ」

 

優心「あの時、秘密って言ったのはこの誕生日プレゼントだったから?」

 

愛「うん。だから秘密だったんだ」

 

優心「そっか。……これのもう片方は愛が持ってるの?」

 

愛「うん、これだよ。それで半分になってる所を私と優心くんのを合わせるとちゃんと星になるって事だよ。……それでどうかな?」

 

優心「凄く嬉しい。ありがと、愛!」

 

俺は凄く嬉しくて、愛に抱きついてお礼を言ってしまった。その時に愛が照れてしまったのですぐに離れた。

 

けど、他の招待したお客様と、会長達とハロハピメンバーから微笑ましい顔で見られてしまったので、愛は余計に照れてしまった。だから、次は気を付けようと思った。

 

勿論、皆からもプレゼントを貰った時も嬉しかった。こころの方もプレゼントを貰って笑顔になっていた。

 

そして、俺とこころの誕生日パーティーは終わった。

 





スペース・オーナーの都筑詩船を登場させました。ただ、少し雑になってしまいましたが……。あと書いてて誕生日パーティー感が無いなと思ってしまった……。

ちなみに、千花のこんにち殺法の挨拶については、こころと母の心海は知っているけど、優心は知りません。


とりあえず、今回で誕生日の話は終わりです。


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第31話


第31話です。

今回は、夏休みに入ってから半月が過ぎた話で、バンドリのイベントストーリー、「ハッピーサマーバケーション」を題材にしてます。

前回より文字数は少ないので、物足りないとか思うかもしれません。

では、本編をどうぞ。



 

俺とこころの誕生日からしばらく日が経ち、もう夏休みに入ってから半月が過ぎた。

 

一応、その間にも愛と出掛けたりしていた。例えば誕生日の後に、愛とこころと一緒に南の島に行ったりしていた。そんな感じで過ごしていた時の今日に、俺は電話をしていた。

 

会長『弦巻は、どうすればいいと思う?』

 

優心「別に素直に"遊びに行こう"とか、"何してる?"みたいな感じの事を、メールとか電話とかすればいいだけでしょ」

 

会長『しかし、俺からしたら負けなんだよ』

 

優心「負けって……。そんな事をしてると、他の人に取られちゃうと思うよ」

 

その電話の相手は会長だか、俺は外で電話をしていた。なぜ外で電話をしているのかと言うと、今日はこころと一緒にショッピングモールに出掛ける日だった。

 

それで、家を出てこころと手を繋ぎながらしばらく歩いてると、会長から電話が掛かってきたって訳だ。

 

そして、歩きながら電話に出て会長から言われたのは、"かぐやさんを遊びに誘いたいけど、どう誘えばいいか"という内容だった。それに対する返事がさっきの言葉だ。そんな事を言っても、素直にならない態度だったけど。

 

優心(久しぶりのこころと二人での、お出かけだったんだけど……)

 

会長「それにメールを送ろうとしても、書いては消しての繰り返しなんだよ。……もう、初恋か!って感じなんだ……!」

 

優心「初恋じゃん。……てか、そろそろ電話を切ってもいい?今日はこころと出掛けてるんだけど……」

と、会長の言葉にツッコミを入れてから、今の俺の状況を教えてあげた。

 

会長『あ、それは悪かった。……てか、今日は早坂とは一緒じゃないんだな……』

 

優心「しばらく予定があるから、遊んだりするの無理なんだって。だから、しばらくは愛とは出掛けない感じだね」

 

会長『なるほど。じゃあ電話切るわ』

と、電話を切ってスマホをしまった。夏休みに入ってから、愛とは結構な頻度で出掛けたりしていた。 

 

夏休み初日や、誕生日前後にハピネールに行ったり南の島に行ったりした。けど、その間に別邸での仕事が他の使用人が捌ききれない程になったみたいなので、しばらく出掛けたりするのは無しになった。最後に出掛けたのは、南の島に行ったぐらいだ。

 

そんな事を考えてると、こころから声をかけられた。

 

こころ「お兄様、ショッピングモールに着いたわよ!」

 

優心「あ、ほんとだ」

 

俺が考え事をしている間に、ショッピングモールに着いていた。俺はこころに行きたいお店を聞いた。

 

優心「じゃあ、こころはどこに行きたい?」

 

こころ「そうね、まず雑貨屋に行きたいわ!」

 

優心「じゃあ行こっか」

 

こころから"雑貨屋に行きたい"と言ってきたから、まず雑貨屋に向かった。

 

こころと二人でショッピングモールまで来た理由は、しばらく愛との予定が無くなった事、最近こころと二人で出掛けてなかったからだ。

その為、俺が"二人で出掛けよう"と誘ったら、こころは嬉しそうに"ショッピングモールに行きたい"と言ったからだ。

 

こころ「お兄様、早くー!」

 

優心「はいはい」

と、手を引っ張って急かしてくるこころにそんな返事をして一緒に雑貨屋に寄った。

 

 

その後も、色々と回っていると、目の前に見慣れた人を見つけた。

 

優心「リサ達だ」

 

こころ「あら、本当だわ!リサー」

 

目の前にいたのは、リサと燐子とあこの三人だった。こころも気が付いて、リサの名前を大きな声で呼んだ。大きな声だったから、当然リサ達三人もこっちに気が付いた。

 

リサ「こころと優心じゃん。兄妹でお出かけ?」

 

こころ「そうよ!久しぶりに二人でお出かけしてたのよ!そしたらリサ達を見つけたの!」

 

リサ「そっか。二人は、ほんと仲がいいね~。手まで繋いじゃって」

 

こころ「そうよ。前からお兄様と出掛ける時は、必ず手を繋いでるのよ!」

と、リサに言われた事にこころがそう話していた。

 

あこ「優兄とこころだー」

 

燐子「ど、どうも」

 

リサとこころの二人が話をしているのを見ていると、あこと燐子も話に混ざってきたので、何をしてたのか聞いてみた。

 

優心「三人はここで何してたの?」

 

リサ「さっきまで、このお店で水着を選んで買ったんだよ。ひまりから海に遊びに行こうって誘われたから、水着を見てたんだ」

 

優心「なるほどね」

 

リサの説明に納得してるとあこから提案された。

 

あこ「そうだ!優兄達も一緒に行こうよ」

 

リサ「お、それいいね。優心達も来たら、もっと楽しめると思うしね。……それで、二人どうする?」

 

こころ「あたしは、行きたいわ!」

 

優心「しばらく予定はないし、俺も行くよ」

 

あことリサに海に誘われて、こころは即答で"行く"と答えた。そういう俺もしばらくは予定が無いため行くことを伝えた。

 

リサ「じゃあ、ひまりに連絡しとくね。……そういえば二人は水着持ってるの?」

 

優心「俺は去年買ったのがあるから大丈夫だよ。こころは?」

 

こころ「あたしは新しいの買いたいわ!折角、水着を売ってるお店の目の前にいるんだもの!」

 

優心「リサ、こころに似合う水着を選んであげて。お金は俺が持つから」

 

リサ「オッケー♪こころは美少女だから、とびっきり似合うの選んであげよう。……どれがいいかな……。あれもいいし……、いや……

 

優心「(こころが、着せ替え人形になりそうな気がするけど)……リサ、ほどほどによろしく」

 

リサ「大丈夫だよ。そこまで着せ替え人形にはしないつもりだから」

という、リサの言葉に苦笑いしつつ、リサに"とりあえずよろしく"と言っといた。

 

こころに水着分の金額を渡してお店に見送った。水着分のお金は俺の自腹だったが、華さん達……黒服さんが動こうとしてたけど、俺が制止させた。妹のための買い物だしね。

 

 

買い物が済むまでは、お店の外でスマホを弄りながら時間を潰した。

 

水着の買い物が済んだ時に、リサから愛の事を聞かれたが、愛はしばらく予定があって遊べない事を伝えた。あこ達は少し残念がってた。

 

 

その後は、皆でショッピングモールを回ってから解散になった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

そして、遊ぶ日になった。

 

 

駅で待ち合わせしていたので、電車に乗って皆と海に向かった。

 

 

電車の中で愛の話になった際に、遊びに来れない愛のために、遊んでる様子を写真を撮って送ることになった。愛に"送っても大丈夫か"と確認したら、"大丈夫"と返事がきた。その事を教えると、どんどん写真を撮って送ろうという事になった。

 

そんな話をしていると、海の近くの最寄り駅に着いたので、電車を降りて海に向かった。

 

 

海に着いた後は、パラソルなどの準備を始めた。それで全て終わった後に華さん達に荷物の番をお願いして、水着に着替える為に更衣室に向かった。

 

 

水着に着替え終わって再び集合をした。集まった後、ひまりが気合いの入った感じに"蘭達が羨むぐらい楽しむ"と言って、漫画とかだと"ゴゴゴ……"というのが後ろに付くぐらいになってた。

 

こころ「お兄様、海まで競争しましょ!」

 

優心「こころ、いきなり走っちゃだめだよ。準備体操をしないと」

 

こころ「む~……。だって早く遊びたいもん」

 

優心「でも、怪我したらもっと遊ぶ時間がなくなるし、遊べなくなっちゃうよ」

と、頬っぺたを膨らませて拗ねたこころにそう言うと、素直にしてくれた。

 

準備体操を終えると、あこと一緒に猛スピードで走っていってしまったが、リサとひまりはその二人の後ろを追いかけた。

 

優心「ねぇ、燐子に一つお願いしたいんだけどいい?」

 

燐子「は、はい。……電車の中で言ってた…遊んでる様子の写真を撮ってほしいって、お願いですよね?……遊びに来れなかった愛さんの為の……」

 

優心「うん。気が向いたらでいいからさ」

 

燐子「は、はい……」

 

俺は燐子にお願いしてから、皆の所に向かった。

 

こころ「お兄様!」

 

バシャッ‼️

 

優心「……!?」

 

皆の所に着くと、海の水を顔に思いっきりかけられた。俺は"うげ……"となったが、すぐにこころに水をかけ返した。そこから五人の水のかけ合いになったりした……。

 

あこ「ひーちゃん、これでもくらえー!」

 

こころ「あたしもひまりにかけるわ!」

 

ひまり「ちょっ!二人して水をかけ……わぁっ!?」

 

中には、あことこころの二人がひまりに攻撃したり、それを見てると今度は俺やリサも標的になってやり返したりと凄く楽しめた。

 

そんな感じで遊んでると、お腹が空いてきたので時間を見るとお昼の時間だった。なので昼食を取るために近くの海の家に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~海の家~

 

 

彩「いらっしゃいませー!」

 

海の家まで行くと彩が居た。

 

彩がいることに驚いていることを聞くと、コラボイベントをしているこの海の家で一日店長としての仕事でいると教えてくれた。

 

こころ「コラボイベント?や一日店長ってどういうものなの?」

と、こころが聞いてきたので教えてあげてると、お店の中から彩の名前を呼びながら店員さんが出てきた。

 

店員「彩ちゃん!またホール手伝ってもらってもいい?」

 

彩「勿論です」

 

店員「ありがとう、助かるよ。……この子達は知り合い?」

 

彩「はい。私の友達で、遊びにきてくれました」

 

店員「ごめん!皆もお店を手伝ってくれない?」

 

彩と話をしていた店員さんが、俺たちの方を向いてきて"手伝ってほしい"と言ってきた。店員さんの言葉にいち早く反応したのはこころだった。

 

こころ「えぇ!手伝うわ。困ってるから、お願いしてきたのよね?」

 

こころの言葉に、店員さんが頷きながら色々と説明してくれた。

 

店員「NFOってゲームのコラボカフェなんだけど、まぁそのお陰で繁盛してるんだ。けど、繁盛してる分人手が足りてないんだ。そんなに難しくないし、お礼もするから」

という、店員さんのお願いを見た俺は手伝うことにした。

 

優心「俺、手伝いますよ。店員さんが困ってお願いしてきてるし……」

 

リサ「確かにね。アタシも手伝いますよ」

 

あこ「あこもやります!」

 

ひまり「私もホールなら出来ますので、やりますよ」

と、あことひまりも手伝うと店員さんに言っていた。

 

ただ、人前が苦手な燐子は少し悩んでいたが、勇気を振り絞って手伝うと言ったので、お店の中に入った。

俺は店員さんからメニュー表をもらった。

 

リサ「じゃあ誰がどこをやるかだけど……、優心お願い!」

と、俺がメニュー表を見ていると、リサがそう言ってきた。

 

優心「俺が決めるの?」

 

リサ「優心ってこういう役割を決めるの意外と上手いし、生徒会でも役割とか決めてるって、愛から聞いてたしね」

 

優心「愛から?」

 

リサ「うん。初めて会って連絡先交換してから良くやり取りしてたんだよ。その時に聞いたんだ。だから、優心に決めてもらった方が絶対いいと思ったんだ」

 

優心「……了解。とりあえず、彩とひまりの二人はホールで確定だね。彩は頼まれてたし、ひまりもホールなら出来るって言ってたから、お願い」

 

彩・ひまり「はい!」

 

彩とひまりにホールをお願いすると、二人は元気良く返事をしてきた。二人の返事を聞いてから、あことこころの方を見た。

 

優心「次はあことこころだけど、二人もホールね。あこは元気で明るいし、NFOをやってるからメニューの名前だったり、商品の説明も出来ると思うからお願い」

 

あこ「分かった❗」

 

優心「こころも、あこと同じで元気で明るく笑顔がいいから接客に向いてる。だから、こころもホールね」

 

こころ「えぇ、分かったわ❗」

 

俺が二人に言うと、彩達と同様に元気良く返事をしてくれた。

 

優心「彩。こころは接客経験は一切無いからやり方を教えてあげて。こころ、接客だったりメニューの取り方とかは、店員さんや彩の説明してくれたやり方でやってね」

 

彩・こころ「分かった(わ)」

 

俺は彩にもそう言ってから、リサと燐子の二人の方を向いた。

 

優心「リサと燐子の二人と、あと俺は厨房……料理を作る方ね。リサは元々料理をしてるし、俺はたまーにこころのお弁当を作ってあげてるから、多少は料理は出来るからね」

 

リサ「りょーかい♪」

 

燐子「わ、私も料理の方ですか?」

 

優心「うん。あこにも言ったけど、お店のメニューはNFOのアイテムとかの名前が使われてるんだ。だから、NFOに詳しい燐子がいた方が助かると思ったからだよ。それに燐子の性格の事を考えても、こっちの方がいいかなって」

 

燐子「は、はい。分かりました……!」

 

俺がそう言うと燐子は力強く頷きながら、返事をしてくれた。

 

リサ「じゃあ彩とあこ、こころとひまりの四人がホールで接客。アタシと優心、燐子が中で料理作りを担当ってことで行こう!おー!」

 

五人「おー!」

 

燐子「お、おー……!」

 

リサの言葉で、持ち場に向かった。

 





今回、1話で収まりきらなかったので、次回も続きの内容です。


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第32話


前回の続きの話です。今回も前回より文字数が少ないです。前回より約1000文字ちょっと少ない為、物足りないと思いますが、ご了承してもらえると助かります。

そして、小説の最後は少し日が進んでます。

では、本編をどうぞ。



 

~優心視点~

 

海に遊びに来て、海の家……お店でお昼を食べに来た時にお店の手伝いをする事になった。

 

そして、俺が皆の手伝いの割り振りする事になったので、皆にそれぞれ担当をお願いした。伝え終わると皆が持ち場に向かって行った。

 

俺も向かおうと思ったが、その前にこころに声をかけた。

 

優心「あ、こころ。ちょっと来て」

 

こころ「お兄様、何かしら?」

 

優心「髪を纏めてあげるから、背中向けて」

 

俺は背中を向けてくれたこころの髪を一つに纏めて、ポニーテールにしてあげた。

 

髪を纏めた理由は、こころは活発に動くから長い髪が料理に掛かるかもしれないからだ。

 

優心「よし、オッケー。頑張っておいで」

 

こころ「ありがと!お兄様」

 

髪を纏めたこころが満面の笑みでお礼を言って、接客を始めた。

 

優心(問題なさそうだ)

と、しばらくこころの接客とかを見て安心した。

 

安心した俺はお店の手伝いを始めた。

 

さっきメニューを見た時に、メニュー名を覚えたので他の店員さんやホールの彩達のオーダーを取った料理を作り始めた。

 

リサ「焼きそば、一つ出来たからよろしくー」

 

彩「はーい。凄いね……」

 

しばらく作っている途中で、リサと彩が話をしていたが、俺は気にせずに料理をしていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ある程度作っていった時に注文表を見ると食べ物よりドリンクの注文の方が多かった。

 

優心「リサ、燐子の方を手伝ってあげて。コラボドリンクの注文が多いみたいだから」

 

リサ「りょーかい」

と、リサが返事をしてから、燐子の方に行った。

 

リサにそう言った後の俺は、海の家のスタッフさんと注文されたメニューを作り始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~リサ視点~

 

 

優心と一緒に料理を作っていていた。燐子はドリンクの方を担当している。

 

リサ「焼きそば、一つ出来たからよろしくー」

 

今作っているのが出来たから彩に渡した。

 

彩「はーい。凄いね……リサちゃん。料理作るの手際いいし、上手だね」

 

リサ「料理は慣れてるからね。でも優心の方が凄いよ」

 

彩「それって、どういう意味?って、凄い……!」

 

彩に言われた事に返事をしつつ、優心の方が凄いからそう言ってあげた。言われた彩が優心の方を見ると、"凄い"と呟いた。

 

そう、優心は凄い。何が凄いかと言うと……今、優心は焼きそばなどの火を使う料理で、一人で手際よく作っている。……作っているが、優心は3~4品の商品を同時に作っている。

 

しかも、全て違う料理だから調理時間が違って、大変なはずなのに……。それに、お店の店員さんに作り方を少し教えてもらっただけで、あの動きだから店員さんも驚いていた。

 

リサ「ね。凄いでしょ」

 

彩「うん、凄い……。でもこっちもこころちゃんが凄いけど……」

と、彩に優心の事を言った後に、こころの方も凄いと言ってきたから、店内の方を見てみた。

 

こころ「はい、料理を持ってきたわ!凄く美味しいわよ!」

 

客「すみませーん」

 

こころ「今、行くわねー」

 

店内で接客をしているこころを見てみると、オーダーを取るのが早かったり、お客さんに料理を持っていくのが凄く早かった。

 

早く運んでも全くこぼしたりせずに、お客さんの所まで運んでいた。お客さんにため口で話しているが、お客さんは嫌そうにせずに、笑顔だった。

 

リサ「……なんか凄いね……」

 

彩「うん。オーダーだったり料理を運んだりした時に、早く移動するけど料理をこぼしたりしてないし、他のお客さんに当たってないんだよね……。それにため口で話してるけど、こころちゃんの笑顔を見た人は怒ってない感じなんだよ」

 

リサ「そうなんだ……」

 

彩と二人で少し話をしてから、アタシは料理作りに戻った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

しばらく作っていると優心から声をかけられた。

 

優心「リサ、燐子の方を手伝ってあげて。コラボドリンクの注文が多いみたいだから」

と言ってきたから、オーダーを見てみると確かにドリンクの注文が多かった。

 

リサ「りょーかい♪」

と、返事をした後に燐子のところに向かい、燐子に手伝いに来たことを伝えた。

 

リサ「燐子、ドリンクの方を手伝うね」

 

燐子「あ、ありがとう…ございます」

 

リサ「で、何々……えっと、ドリアンのなみだ?でいいのこれ?」

 

アタシは燐子のお礼を聞きながら、オーダに書かれているドリンク名を、メニュー表を見ながら確認をした。

 

確認したけどよく分からない名前だったから、アタシはちょっと困惑した。

 

燐子「ドリアードの涙です。この緑の色をしたドリンクで、この写真がそうですね」

 

リサ「これ?」

 

燐子「はい、それです。ドリアートの涙はNFOでは回復アイテムなんです。ドリンクの名前とかが商品名になっているんです」

 

困惑していたアタシに、ドリンクの名前で燐子が教えてくれた。その説明は聞いて凄く頼りになった。

 

 

リサ「燐子、スッゴく頼りになるよ!他のも教えてくれる?」

 

燐子「私で…良ければ」

 

リサ「じゃあ、どんどん作ってこう!」

と、アタシが言って作っていった。

 

作っている間、燐子が凄く凝っていたので、アタシも触発されて燐子の説明を聞きながら作っていった。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

 

~優心視点~

 

 

そして、夕方お店を閉める時間になったので、手伝いが全部終わった。

 

リサ「んーーー!疲れたー」

 

彩「確かにね~。疲れたよ」

 

こころ「お兄様、あたし楽しかったわ!」

 

優心「うん、俺も楽しかったよ」

 

ひまり「何で優心さん達二人は、元気なんだろ……」

 

あこ「りんりん、疲れたよ……」

 

燐子「お疲れ様、あこちゃん」

 

皆がそれぞれ違うことを言っていると、手伝いをお願いしてきた店員さんがやってきた。

 

 

店員「皆、ありがとう。凄く助かったよ。それでお礼なんだけど、好きなだけ食べてって」

と言って見せてきたのは、料理が沢山置いてある机だった。

 

ひまり「これ、食べていいんですか!?」

 

店員「勿論。皆が頑張って手伝ってくれたお礼だから!」

 

皆「ありがとうございます!」

 

彩「そうだ、皆ちょっと来て」

 

皆でお礼を言った後に、彩が"来て"と皆に言ってきたので付いていった。彩が案内してくれたのは、店内じゃなくてテラス的な所で、きれいな夕日が見れる場所だった。

 

優心「良い景色だ……」

 

あこ「わぁ、凄い」

と、他の皆も同じ感じだった。俺は景色を撮って、そろそろご飯を食べようとなった時に、ひまりが物凄い勢いでご飯の写真を撮っていた。

 

あこ「ひーちゃん。写真よりも早く食べようよー」

 

ひまり「ごめんね。もう大丈夫だから、食べようっか!」

 

皆「いただきます!」

 

ひまりがもう大丈夫といったので、"皆でいただきます"してから食べ始めた。

 

皆で食べてる間に、燐子が店員さんに何か貰って嬉しそうにしていた。

 

ーーーーーーーーー

 

 

しばらくしてご飯を食べ終わった。その時にひまりが皆で写真を撮ろうと言ってきた。

 

あこ「ひーちゃん、また写真撮るの~……」

 

ひまり「いいじゃん。皆の思い出だし」

 

ひまりの一言で皆と写真を撮り、家に帰ることになった。

 

 

 

皆で電車に乗って座席に座って降りる駅まで話をしていた。

 

話をしていたが、俺は眠くなりリサに少し寝ると伝え寝ることにした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして、体を揺らされて起こしてもらったので、駅に降りてこころと家に帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~リサ視点~

 

 

ご飯を食べて皆と集合写真を取ってから、帰ることになった。

 

 

そして今は電車に乗っていた。電車に乗って少ししてからひまりとあこが寝てしまった。そこから優心からも"寝る"と言われた。

 

アタシが返事をする前に優心は寝てしまった。

 

リサ「寝るの早いな~……」

と言いながら、肩を合わせて寝ている優心とこころの写真を撮り、愛に送った。

 

燐子「そう……ですね。それにしても……本当にこころちゃんと優心さん、仲がいいですね。お互いに肩を寄せあって寝るなんて」

 

リサ「ね。本当にこころと仲良しだよね」

 

燐子「ですね。あこちゃんも……お姉さんの巴さんと、仲がいい…ですし」

 

リサ「ホントだよね。……日菜もそうだけど、妹って本当にお姉ちゃんとかお兄ちゃんの事を、好きになるようになってるのかな?」

 

燐子「多分、そうだと…思いますよ。……私には妹や弟がいないので、分からないです……けど」

 

アタシと燐子は、降りる駅まで帰りの電車の中で妹の話をして過ごしていた。

 

 

駅に着く少し前に寝てる皆を起こして、駅に降りた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~愛視点~

 

 

私は朝から四宮別邸で仕事をしていた。大変できついが、今日は燐子や優心くん達から遊んでる様子の写真を送ってきてくれる。

送ってきてくれてる写真で、皆の様子とか笑顔とかを見て元気を貰えるので、それで頑張っている所だ。

 

 

 

そして、今は夕方になった。こころ達の写真を見ながらといえ、私的には"やっと夕方か……"という感じだった。まだまだ頑張らなくちゃいけないと、体に鞭を打って動こうとした時に、スマホが震えた。スマホを見てみると、自然と笑みが出てしまった。

 

愛「本当に仲がいい兄妹。微笑ましいな……。よし頑張ろう!」

 

リサから送られてきた写真は、帰りの電車の中なのだろう。

 

送られてきたのは、電車の車窓に写る夕焼けをバックに、優心くんとこころの二人がお互いの肩に寄せあって寝ている、微笑ましい二人の写真だった。

 

こんな微笑ましい写真を見たら、あと一押し頑張ろうという気持ちになったので、残りの仕事を始めた。

 

 

 

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~優心視点~

 

皆と遊びに行ってから、しばらく日が経ち、家で過ごしてたある日。

 

俺はこころの部屋で、こころと話をしていた。

 

その話してた時にスマホが震えたので、画面を見てみるとお父様からの電話だった。

 



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第33話


今回は、四宮本邸(本家)で優心と四宮当主の四宮厳庵が会ってます。

本編は、愛視点からスタートですが、前回の終わりに優心と父・誠心が電話をしてた部分も書いてます。

では、本編をどうぞ。



 

 

~愛視点~

 

優心くんやリサ達が海に行って写真を送ってくれた日から、私は弦巻家に自分の荷物を持っていったり、優心くん達と会ったりしながら過ごしていた。

 

 

そんなある日、私とかぐやは四宮本邸に居た。

 

 

今日、かぐやは書記ちゃん達と遊びに行く事になっていたが、そんなこと関係なしに呼ばれたのだ。

 

そして今はかぐやと一緒に部屋の中で座っていた。……が、雁庵様が部屋の前を通った際に、かぐやが声をかけたけど、一言だけで済ましたので少し腹が立っていた。

 

愛「くそ爺

と小さい声で呟いた時に、本邸にいる使用人達の驚いているような声が聞こえて来たので耳を澄ましてみた。

 

使用人A「どういうことだ。なぜ弦巻家の人間が来てるんだ?」

 

使用人B「理由は分かりませんが、"当主様が呼んだ"と他の方が仰っておりましたよ」

 

使用人C「そうだとしても、なぜ弦巻の人間を呼ぶことにしたんでしょう?」

 

愛「……かぐや、客人として弦巻家の方が来たみたいだよ」

 

かぐや「そうみたいですね。相手は……弦巻くんのお父様が来たということでしょうか?」

 

愛「そうだと思うよ。雁庵様が呼んだという話が聞こえたから」

と、かぐや様と話をしていると、部屋の入り口から学校で聞き慣れた声が聞こえた。

 

優心「あっ、ここに居たんだ。愛とかぐやさん」

 

部屋の入口を見ると優心くんだった。それを見た私とかぐやは驚いた。

 

愛「え、優心くん?なんでここに……?」 

 

かぐや「何故ここにいるんですか?」

 

優心「えっと、それは……」

 

私とかぐやが優心くんに、ここにいる理由を聞くと教えてくれた。

 

 

 

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~優心視点~

 

 

~回想・四宮本邸に行く前日~

 

 

リサ達と海に遊びに行った日から、俺は愛が別邸から自分の荷物を、弦巻家の部屋に運ぶのを手伝ったりとしながら、過ごしていた。

 

そんな日の俺は、こころの部屋でこころと話をしながら過ごしていた。

 

すると、近くに置いてたスマホにお父様から電話が掛かってきた。

 

優心「お父様、どうしたの?電話してくるの珍しいけど?」

 

誠心「優心に、至急に確認……というより、お願いしたい事があるんだ」

 

優心「お願い?」

 

誠心「あぁ。いきなりだが、明日予定がなければ京都にある四宮家……四宮本邸に行ってきてほしいんだ」

 

お父様から電話が掛かってきたので、用件を聞くと"四宮本邸に行ってきてほしい"と頼んできた。

 

優心「何で四宮本邸に俺が行く事に?」

と、俺が行く事になった理由を聞いた。

 

誠心「四宮厳庵が本邸で集まりがあるから、私と優心に来てほしいと、今日の朝に連絡が来たんだ。ただ、私は仕事が忙しくて予定を会わせるのは難しいから、断ったんだ。優心の事は確認しないと分かないから、保留にしてもらったんだ」

 

優心「でも、なんで俺も呼んできたの?厳庵さんは……」

 

誠心「優心を呼んだ理由として、早坂愛の使用人の件で提案者の優心からも話を聞いておきたいと言っていた」

 

優心「あぁ、なるほど。だから、俺にお願いしてきたんだ」

 

誠心「そういうことだ。それと、厳庵も優心に話したい事があるから呼んだのもある」

 

優心「話したいこと?俺に?」

 

誠心「あぁ。……詳しいことは本人から聞いてくれ。私は厳庵の話は知っているから、あとは優心の判断に任せる」

 

優心「?……とりあえず、分かった。明日は、特にこれっていう予定はないから行くよ」

 

誠心「よろしくな」

 

お父様の言葉に不思議に思いながら、行く事をお父様に伝えて電話を切った。

 

優心(厳庵さんの話も、お父様の言葉もどう意味なんだろう?まぁ明日聞けば分かるか…。それにしても、明日はかぐやさんが千花達と出掛ける予定って愛が言ってたけど、厳庵さんはその事は聞いてないのかな?)

 

そんな事を考えていると、こころが話し掛けてきた。

 

こころ「お兄様、明日どこかに出掛けるのかしら?」

 

優心「あ、うん。そうだよ。お父様から急遽京都に行って欲しいって、お願いされたから明日は出掛けるよ」

 

こころ「京都⁉あたしも行きたいわ❗」

 

優心「んー、俺もこころと行きたいけど、一人で行く必要があるから我慢してね」

 

こころ「でも、あたしも行きたいわ……」

 

電話の事を聞いてきたこころに電話の内容を教えると、予想した通り、"あたしも京都に行きたい"と言ってきた。なので、一緒に行くのが無理な為に我慢をお願いしたが、それでもこころはほっぺを膨らませながら、"行きたい"と言ってきた。

 

優心「我慢してもらう代わりなんだけど、明後日学校の友達と夏祭りに行くけど、こころ来る?」

 

こころ「行きたいわ❗お兄様の友達というと、御幸やかぐや達の事よね?」

 

優心「そうだよ」

 

こころ「それじゃあ楽しみにしとくわ。…早く明後日にならないかしら~♪」

 

その代わりに、明後日生徒会の皆と行く夏祭りに誘うと、承諾してくれた。それに笑顔になってくれたから良かった。

 

千花達にこころも夏祭りに行く事を、メッセージを送った。

 

メッセージを送った後は、夏祭りを楽しみにしているこころの頭を撫でてあげながら、こころが眠くなるまで話を続けた。

 

 

 

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~現在~

 

 

優心「と、まぁ……厳庵さんから呼ばれたお父様の代理として来た訳だよ」

 

俺がここに居ることに聞いてきた二人に、家まで来た経緯を話した。父の代理で来たことを伝えた。

 

かぐや「そういうことだったんですね。でもなぜ私達の所に来たんですか?」

 

優心「いやだってさ、お父様が呼ばれた理由に、四宮家で集まりあるという事だったから、かぐやさんと愛がいるだろうと思ったんだ。それで聞いてみたら案内してくれた訳だよ」

 

愛「なるほど。でも昨日、優心くんからのメッセージでは、今日ここに来ることは書いてなかったけど……」

 

優心「まぁ、四宮本邸に来ても実際に会えるか分からなかったから、教えなかったんだ。……けど、案内してもらえたから良かったけど」

 

愛「それが理由だったんだ。……そういえば、夏祭りにこころも来るんだよね」

 

優心「そうだよ」

 

愛「じゃあ、三人で回ろうよ」

 

優心「分かった。あとでこころに伝えとくよ」

 

かぐや「弦巻くん。昨日連絡が来た時、愛さんは凄く喜んでたんですよ」

 

優心「へぇー」

 

愛「それ言ったら、かぐやだって喜んでたじゃん」

 

かぐや「愛さん!」

 

優心「そっか……。家に帰ったら、二人が喜んでた事も教えとくね」

 

かぐやさんと愛の二人と夏祭りの事で約束したり話していると、四宮家の使用人に声を掛けられた。

 

使用人「お話し中、失礼します。優心様、そろそろお時間ですので、こちらへ来ていただいても宜しいでしょうか?」

 

優心「分かりました。……じゃあまた明日ね~」

と、二人に言ってから使用人の後を付いていった。

 

 

 

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部屋に案内された俺は部屋にある対面の席に座った。部屋には四宮の使用人や執事などが数人居たけど、雁庵さんは全員を部屋の外に移動させてから、俺に話し掛けてきた。

 

雁庵「一年ぶりか?優心」

 

優心「えぇ、去年の私と妹の誕生日パーティー以来ですね。今日、私が来ましたけど、仕事が忙しいお父様に前日連絡したのは、失礼だと思いますよ」

 

雁庵「それは悪かったな」

 

優心「……それより、使用人達を部屋の外に出させてましたけど、私の方の護衛…黒服三人はこのままで?」

 

厳庵「あぁ、そのままでかまわん」

 

優心「分かりました。……あの、かぐやさん達も急遽呼んだんですか?」

 

厳庵「あぁ、急遽呼んだが……それがどうかしたのか?」

 

優心「今日、かぐやさんは友達と遊びに行く予定だったんですよ。本人を呼ぶ際に、予定などは聞いてないんですか?」

 

雁庵「…それは聞いてない」

 

優心「聞いてなくても、厳庵さんからかぐやさんや近衛の早坂愛、別邸の使用人などに確認をすれば良かったんじゃないんですか?」

 

厳庵「……かぐやにどう接すればいいか分からんのだ。それに、今まで冷たく厳しく……ましてや、相手などしていなかった人間達に簡単に聞けるわけがない」

 

優心「……確かに、かぐやさんに廊下での冷たい返事などをしていたのを見るとそんな感じですね。かぐやさんも余計に言いづらいんだと思いますし……」

 

雁庵「見ておったのか。ただ、それでは駄目なのは分かっておるが、そう簡単にいかんのだ」

 

優心「そんな事を言っては、いつまでも二人の仲の溝はそのまま……それ以上に開くだけですよ」

と、俺が言うと厳庵さんは黙ってしまった。

 

それからお互いにしばらく黙ったままになってしまった。……厳庵さんが何も言わない感じだったので、俺は愛の事について話を切り出した。

 

優心「……はぁ。とりあえず本題に入りますが、私を呼んだのは、愛……早坂愛の事で呼んだんですよね?」

 

厳庵「あぁ。使用人の異動については、問題なく進んでおる。ただ、誠心から聞いてはいるが、お前からもしっかり聞こうと思ってな」

 

優心「お父様から、話を聞いているのなら分かっていると思いますが、四宮三兄弟の人達が愛を襲うかもしれないからですよ。かぐや陣営の情報を得るためにです」

 

厳庵「確かにそうだな。わしや誠心が黙らせたとしても、黄光は今より力を持つために……青龍は黄光の為に行動するかもしれない。(雲鷹の場合も、わしや誠心の話を聞いても、立場が低い為に狙う可能性はあり得るな……)」

 

優心「……そういうことです。自分の彼女すら笑顔に出来なかったら、世界を笑顔になんか出来ませんしね」

と、俺が言うと厳庵さんは小さく"そうか"と呟いていた。

 

優心「……私から一つお願いがあります」

 

厳庵さんの"そうか"という呟きを聞いた俺は、一つお願いがあると伝えた。

 

厳庵「なんだ?」

 

優心「かぐやさんについてなんですけど、明日生徒会メンバーと夏祭りに行く事になってるんですよ」

 

雁庵「夏祭りか。……それで?」

 

優心「かぐやさんを連れて行っていいですか?」

 

雁庵「わざわざ、その事を聞かなくてもよかろう。わしは"行くな"と言って、止めはしないぞ」

 

優心「"雁庵さんが"ではなく"使用人が"止めると思ったので、私の方で許可を貰うためにお願いしたんです。それで連れていってもいいですか?」

 

雁庵「……断る理由もない。当日、別邸に行って使用人に許可を取っているとでも言えばいいだろう。断られてもお前だったら上手く連れていくだろう?」

 

優心「勿論ですよ。……許可、ありがとうございます」

 

夏祭りに連れていく事を許可をもらい、俺は一安心した。

 

優心「それで、お父様から厳庵さんが私に伝えたいあると聞きましたが、どういった内容ですか?それに加え、去年の私とこころの誕生日パーティーに、招待されていなかった厳庵さんが、来た理由も教えてほしいです」

と、厳庵さんに俺を呼んだ理由などを質問した。

 

 

厳庵「あぁ、まずは……」

 

 

 

 

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厳庵さんからの話を聞いて、その際に渡された物を受け取った。受け取った物は、華さんに預かってもらった。

 

その時に色々話を聞いて、自分で納得してから承諾した。俺は、厳庵さんに頭を下げて部屋を出て、家に帰った。

 

京都から東京まで、ジェット機で移動して家に着いた。

 

家に着いた時に、お父様に電話をかけて厳庵さんの事も含めて四宮本邸の事での話をした。

 

 

今日はそれで一日が終わった。

 




次回は夏祭りの話を投稿します。


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第34話


夏祭りの話です。ただ、夏祭りの描写は少ないので、あまり期待しないでください。

では、本編をどうぞ。



 

~優心視点~

 

 

四宮本邸にお父様の代理で行った日の翌日。

 

 

夕方、俺は生徒会メンバーと花火大会に行く為の準備をしていた。

 

優心「華さん、こんな感じで大丈夫?」

 

黒服(華)「はい、バッチリで似合ってますよ」

 

優心「ありがとう」

 

今は浴衣を着るのを華さんに手伝ってもらった。そして上手く着れたかを確認してもらうと、"似合ってる"と言われてたからお礼を言った。そうしてるとドアが開いた。

 

こころ「お兄様❗あたしも浴衣を着たわ‼どう、似合ってるかしら?」

 

部屋に入ってきたのはこころだった。部屋に来たこころは浴衣を着ているので、俺に浴衣が似合ってるか聞いてきた。

 

優心「お~。似合ってるし、凄く可愛い」

 

こころ「本当⁉ありがとう、お兄様も似合ってるわよ❗」

 

優心「ありがと」

 

似合ってる事を伝えると、こころは笑顔で抱きついてきたので頭を撫でてあげた。そうしてると華さんが声をかけてきた。

 

黒服(華)「ふふ……。優心様、こころ様、お車の準備が出来てます」

 

優心「分かった。じゃあそろそろ行こっか」

 

華さんが車の準備が出来てると教えてくれたから、車の所まで向かい乗った。

 

今日は車で四宮別邸まで行って、かぐやさんと愛を乗せてから待ち合わせの場所に行く事になっている。

 

 

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~四宮別邸~

 

 

別邸に着いたので、こころに一言掛けた。

 

優心「こころは車の中で待ってて」

と、こころに伝えて、こころが頷いたのを見て車から降りた。

 

門にあるインターホンを押して、しばらく待つと昨日四宮本邸で見た執事が出てきた。

 

四)執事「弦巻様ですね。今日は何のご用でしょうか?」

 

優心「夏祭りにかぐやさんと愛の二人と一緒に行く事になってるので、迎えに来たんです。本人達の様子で、分かってると思いますけど」

 

四)執事「はい、存じております。ですが、あの人混みの中にお嬢様が向かえば付き人が見失う可能性がありますので、行かせるのはどうかと思いますが」

 

優心「夏祭りに行く事については、当主である雁庵さんから許可を貰ってます。……けれど、その様子だと話は聞いてないみたいですね」

 

四)執事「そうですね。当主様からは何も聞いておりません。しかし、その様な事を許可をするとも思えません」

 

優心「私自身、直接確認をして許可を貰いましたよ。信用できないのであれば、当主様に確認してみてください」

 

四)執事「……仮にそうだとしましても、どうしても付き人が見失う可能性がある以上は……」

 

俺が許可を取った事を確認するよう言っても、執事は一切動かずに話を続けてきた。

 

優心「一応、近衛の早坂愛も行くので問題はないですよね?」

 

四)執事「しかし、それだと他の方々に主従関係が知られる可能性があります。護衛に関しても一人だけでは、不十分ですし……」

 

優心「護衛の件は、私と妹の護衛の黒服さんを二人ずつ付かせて合計四人護衛させますよ。……二人の関係については、友人同士という事で認知されてますので問題はありませんけど……、それでも駄目ですか?」

 

俺が執事にそう言ったが、執事は聞く耳を持たずに色々と言ってきて確認も何もせずにいた。

 

その執事の様子や言葉を見て聞いてた俺は、冷たい口調になった。

 

優心「……大事なのはかぐやさんの安全ですよね?護衛などの事を、代わりにこちらでやりますと言ってるんです。それに、貴方が四宮家当主の確認無しに独断したと、四宮本家に知られれば立場がどうなるかぐらい……、分かるだろ」

 

 

 

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~弦巻家の車内~

 

 

四宮の執事を何とか説得(黙らせた)をして、何とかかぐやさんと愛を連れて行くことを執事も許可してくれた。そして今は車にかぐやさんと愛の二人を乗せて、他の皆との待ち合わせ場所に向かってる所だ。

 

 

 

かぐやと愛の二人が車に乗った後は、こころとかぐやが二人で話をしていた。

 

愛「優心くん」

 

かぐやさんとこころの様子を見ていると、愛が名前を呼んできた。

 

優心「どうしたの?」

 

愛「えっと、あの執事……本邸の人に何を言って許可を貰ったの?本邸の人は何かと理由を付けて、絶対許可を出そうとしない。なのに、許可してくれたからどうやって許可をもらったのか、気になって……」

 

愛は、執事から許可を取った方法を聞いてきた。別に教えられないような理由はないから答えた。

 

優心「俺が執事を黙らせて許可を出させた感じだよ。……執事は、夏祭りの人混みの中でかぐやさんを見失う可能性があるし、護衛が不足すると言ってたんだ。だから俺とこころの黒服を、二人ずつかぐやさんの護衛に回すとか色々言ったんだ」

 

愛「そうなの?」

 

優心「うん。そう言ったけど、まだ色々と言ってきたから少し黙らせた……。許可してくれたから良かったけど」

 

愛「でもあの人が、厳庵様にその事を伝えたら大変な事になると思うけど……」

 

優心「それは大丈夫だよ。昨日、厳庵さんから許可を貰ってるから、報告しても何も起きないよ」

と、俺がそう言うと、愛は厳庵さんが許可出したことに驚いていた。

 

別邸の事での話を終えた後に、俺は触れてなかった事を愛に言った。

 

優心「……それはそうと、浴衣似合ってるよ」

 

愛「え、う、うん。あ、ありがとう……。そういう優心くんも似合ってる」

 

優心「ありがとう」

 

こころ「ねぇ、愛。あたしはどうかしら?」

 

愛「こころも似合ってるよ」

と、こころも愛に浴衣の事を聞いたりとしていると、目的地に着いたので車から降りた。

 

 

 

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~夏祭り会場~

 

 

待ち合わせ場所に着いたら、千花と石上と会長の三人が集まっていた。車を降りたこころは皆を見た瞬間に走って向かってしまった。

 

優心「俺達が最後だったんだ」

 

愛「そうみたいだね」

 

俺は愛とそう話ながら、皆の元に向かった。こころと千花、会長と石上の二人で話をしていた。

 

俺はそれぞれ話をしている皆に声をかけて、花火が上がるまでは時間があるから、屋台を見て回る事を提案した。

 

会長「それでいいと思うぞ。花火が上がる時の集合場所は、もう決めてきてるからそこで集合だ。一番花火が見える場所を調べたからな」

と、会長が集合場所を指定してきたから、それに俺も皆も承諾した。

 

千花「じゃあ行きましょう!ほら、石上くん行きますよ」

 

石上「ちょっ、藤原先輩……!」

 

会長から集合場所を聞いた千花は、石上を連れて先に行ってしまった。それを横目に俺は、会長とかぐやさんに声をかけた。

 

優心「会長とかぐやさんは、二人で回ってきなよ」

 

会長「四宮と?」

 

優心「うん。俺は、こころと愛の二人と回る約束してるから、必然的に会長達は二人で回ることになるから」

 

かぐや「確かにそうでしたね。会長、二人で回りましょうか」

 

会長「そうだな」

 

二人で回るように提案をして理由も話すと、納得してくれた。

 

その後に、俺とこころの黒服を護衛として二人ずつ付けさせる事も話した。護衛の事を話すと最初は驚いていたが、理由を話すとこちらも納得してくれた。その時に、こっちの事を心配されたが、"大丈夫"と伝えといた。

 

話が纏まった後に、俺も愛とこころに声をかけた。

 

優心「じゃあ、こっちも三人で回ろうか」

 

愛「うん。そうだね」

 

こころ「早く行きましょ❗」

と、こころが俺と愛の真ん中に立って手を握ってきた。真ん中にいるこころに引っ張られる感じで夏祭り会場に入っていった。

 

人が多く屋台が並ぶ道の中で、俺がこころに声をかけた。

 

優心「こころ。最初はどこに行く?」

 

こころ「えっと、そうね……。まず、たこ焼きが食べたいわ!」

 

俺がこころにどこに行くかと聞くと、すぐ近くにあったたこ焼きの屋台を指差して、そう言ってきた。なので、屋台で六個入りのたこ焼きを2つ買って、人が少なめの所で食べた。

 

優心「あ、あっつい……。けど、美味しい……」

 

愛「美味しい……。熱いけど」

 

こころ「和太鼓叩いたお祭りの時にも思ったけれど、家で食べる時よりもお祭りで食べる時の方が美味しく感じるのよね。……何故かしら?」

 

優心「……お祭りって楽しいから、自然とご飯も家で食べるよりも美味しいって感じるからかな?」

 

こころ「そういうものかしら?」

 

優心「そういうものだと思うよ」

と、こころと話をした後に、愛に声をかけた。

 

優心「愛は、次どこ行きたい?」

 

愛「んー、夏祭りに行くこと自体が初めてだから、色々と回ってもいいかな?」

 

優心「うん。こころもそれでいい?」

 

こころ「勿論よ。じゃあ、たこ焼きを食べ終わったら、次は愛の行きたい場所に行きましょ!」

と、こころが言って皆が行きたい屋台に色々と回った。

 

りんご飴や綿菓子を買ってこころが食べた時に、口の回りがベタベタになって拭いてあげたり、射的ではこころが弾5発分全部の商品を取って屋台のおじさんを驚かせたりした。

ほかにも、お面を売ってる屋台で、こころがほしいと言ったお面を買ってあげたりとしながら、三人で屋台を見て回っていた。

 

 

そして、花火が上がる時間に近づいてたので、会長が言っていた場所に向かった。

 

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その場所に着くと、皆も居た。集まった場所は俺達以外誰も居ない場所だった。

 

優心「会長、こんな場所よく調べたよね」

 

会長「まぁな、他にも花火をよく見られる場所はあったんだが、人が多くなるような所ばっかりだったんだ。だから、実際に前もって夏祭り会場にきて、あまり人が居なさそうな所を探していたら、ここを見つけたってわけだ」

 

優心「そんな事してたんだ……」

と、会長と話をした。他の皆も、花火が上がる前まで話をしていた。そうしていると、花火が上がるというアナウンスされて、すぐに花火が上がった。

 

愛「きれい……」

 

優心「花火、きれいだよね。……来年もまた夏祭りに行って、花火見よっか」

 

愛「そうだね。今度は二人で回ろうね」

 

優心「うん」

と、少なめの会話をしながら花火を見ていた。

 

 

そして、花火も終わり帰ることになった。会長はここまで自転車で来てたみたいで、また自転車で帰ると言って帰っていった。

 

かぐやさんと愛、千花と石上の四人は、車で送ることになったから、一緒に弦巻家(うち)の車に乗った。

 

 

そして家まで帰った。

 

 

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~かぐや視点~

 

 

弦巻家の車で夏祭り会場に来た後に、会長と二人で回ることになった。弦巻くん達は先に行ったので、夏祭りの入口付近には私と会長だけとなった。

 

かぐや「しかし、弦巻くんは大丈夫だと言ってましたけど、本当に大丈夫なのでしょうか……。護衛の黒服を、私の方に四人も回してしまって……」

 

弦巻くん達が歩いていった方角を見ながら、私はそう言った。

 

会長「大丈夫だろ。少なくとも二人の黒服が付いているし、弦巻自身強いからな」

 

かぐや「……確かに弦巻くんは、合気道と自衛隊や警察などが採用している逮捕術を組み合わせた、独自の体術を取得してますから強いです。……それでも心配はしますよ」

 

会長「まぁ、俺も全く心配してないと言えば嘘になる。あいつも相当な家柄の息子だしな。……けど、あいつが襲われたとしても、簡単に負けると思うか?」

 

私が心配してた事に会長がそう聞いてきたので、私は想像してから答えた。

 

かぐや「……あまり、想像は出来ませんね。柔道や合気道の有段者の私でも、勝った事は少ないですから」

 

会長「だろ。……それよりも夏祭りを回ろう。四宮は何を見て回りたいとかはあるか?」

 

弦巻くんの話を終えた後に、会長は私に回りたい所を聞いてきた。が、私は夏祭りの事は詳しくはなかったので、会長に任せる事を伝えた。

 

かぐや「いえ、夏祭りに来たこと自体が初めてでよく分からないので、会長に任せます」

 

会長「そうか。……四宮、飯はまだ食べてないだろ?」

 

かぐや「え、えぇ。夕飯を食べる時間よりも早い時間の集合でしたので、食べてませんが……」

 

会長「じゃあ、先に飯を食う事にしよう」

 

任せると、先に食事にするみたいなので、お祭りでどんな食べ物が売っているのか聞いてみることにした。

 

かぐや「お祭りでは、どういった食べ物が売られているんですか?」

 

会長「焼きそばやたこ焼きとか、家で作れるような定番な物から、綿菓子やりんご飴とかお祭りの屋台ぐらいでしか見ないお菓子系のもあるぞ」

 

会長から聞いた食べ物は、基本的に食べたことがないものが多かったので、とりあえず回りながら気になった物を買うという事にした。

 

 

 

しばらく食べたりしながら、射的などの屋台で遊んだりと二人で回りながら過ごしてた。

 

射的をした際に、屋台の方が"また全弾分の景品を取られた"と、苦笑いしていた。

 

その事を詳しく聞いてみると、私たちの前に弦巻くん達が来ていたらしく、こころさんが私と同じ事をしていたと教えてくれた。

 

会長と楽しみながらお祭りを回っていると、花火が上がる時間が近づいたので、集合場所まで向かいました。

 

 

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そして花火が上がり、皆で花火を見た。

 

花火が上がってた間の途中から、来年のお祭りでも会長と回りたいと欲が出てきてしまった。

 

ただ、こちらから誘うのは話は別なので、どうにかして会長から誘わせようと思い、会長の横顔をチラッと見てみた。

 

会長は夢中に花火を見ており、その夢中になってる横顔に私は夢中になって見てしまっていた。

 

そうしてると、花火が終わってしまった。どうにかしたかったが、会長は自転車ですぐ帰ってしまったので、一緒には帰れなかった。

 

会長以外の私達は弦巻家の車で帰るので、車内に乗り込んだ。

 

私は中から景色を見ながら、"皆と……何より会長と二人で夏祭りを回れたのはいい思い出になった"と、嬉しく思いながら別邸まで車に揺られて帰路に着いた。

 





次回は、夏休みの最終日の話を書きます。

その次から二学期の話をスタートさせます。


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第35話


夏休み最終日です。

今回はかぐや様側のキャラ達は登場しません。

では、本編をどうぞ。



 

 

~優心視点~

 

 

生徒会メンバー、こころと愛達と、夏祭りに行った日から少し経ち、もう夏休み最終日になった。

 

その日の午前中、つぐみちゃんのお店である羽沢珈琲店に向かっていた。今日は予定がないのでお店でのんびりしようと思ったからだ。

 

しばらくして羽沢珈琲店に着いた。店内に入るとイヴちゃんが対応してくれた。

 

イヴ「ラッシャイ!ユウシンさん、何にしましょー!」

 

優心「じゃあ……、サーモン一つ」

 

イヴ「はい。サーモン、イッチョー!」

 

優心「という事で、イヴちゃん。いつものセットを一つね」

 

イヴちゃんが、たまにやる注文の聞き方をしてきたので、それに乗ってあげてからいつも頼んでいる商品をお願いした。

 

イヴ「はい、分かりました!いつもの席にも案内しますね」

 

いつも座ってる席に案内してもらって、注文したセットが来るまでのんびりと待った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

しばらく待っていると、つぐみちゃんが運んできてくれた。

 

つぐみ「お待たせしました」

 

優心「ありがとう」

 

つぐみ「優心さん、イヴちゃんの挨拶にいつも付き合ってくれて、ありがとうございます」

と、つぐみちゃんにお礼を言うと、逆にこっちがイヴちゃんの挨拶の事でお礼を言われた。

 

優心「お礼なんていいよ。俺もいつ言ってくるのか、楽しみになってるからさ」

 

つぐみ「でも、優心さんが相手にしてくれてるお陰で、他のお客さんにはしなくなったんです。だからお礼言わないと気が済まなかったんですよ」

 

優心「感謝の気持ちは受け取っておくね」

 

つぐみ「はい!じゃあ、ごゆっくり過ごしてくださいね」

 

優心「うん」

 

つぐみちゃんと少し話した後に、コーヒーを一口飲んだ。

 

それで、ケーキを食べようとした時に、テーブルに置いてたスマホがなった。画面を見るとお父様からの電話だったので出た。

 

優心「お父様、どうしたの?」

 

誠心『優心に、一つ伝えといた方がいい事があって連絡したんだ』

 

優心「伝えたいこと?」

 

誠心『あぁ。優心の友達にパスパレの子達がいるだろう』

 

お父様にいきなりパスパレの事を聞かれたので、少し戸惑いながら"うん"と返事をした。

 

誠心『それで、パスパレが所属している芸能事務所を買収した』

 

優心「(ますきが言ってた事、本当だったんだ)……それって弦巻グループの子会社になった、って事だよね?何でまた?」

 

誠心『あぁ。元々、その事務所は四宮グループの子会社だったんだが、前から事務所の一部の社員とスタッフから、色々な内部告発的な内容が送られてきてたんだ』

 

優心「どんな内容?」

 

誠心『一番多かったのは、一部のスタッフが無能で所属してる歌手などの評判を落とす事しかしない』

 

優心「そうなの?」

 

誠心『あぁ。他にもあるんだが、例えばバンドだと弟・妹分のバンドが結成してそのデビュー曲を先輩の持ち歌を歌わせて新曲を作らないといったことをやる。その結果弟・妹分のバンドが売れて、先輩バンドが解散に追い込ませたりする事があったらしい』

 

優心「それって……!パスパレも……そうなるかもってことだよね!?」

と、お父様の話を聞いて、俺は反射的にそう聞いていた。

 

そのあと、慌てて口を押さえてお店の中を見渡した。すると、顔馴染みで仲が良い常連客の数人が大声を出した俺を不思議そうに見てたので、問題ない事をジェスチャーで伝えて、お父様の話に集中した。

 

誠心『そうだ。いつか、パスパレも同じようになる可能性があったんだ。社長が四宮の関係者だから、一般社員やスタッフ達は意見も中々言えなかったらしいだ。それで、愛の使用人の話をした際に、事務所の話をして買収をしたという事だ』

 

優心「そう、良かった……。じゃあ、当然人事も変えるって事だよね」

 

誠心『そうだ。まず、関わっていた事務所の社長と役員は辞めさせる。各役職の後任を決めた後に、事務所の経営方針や社員達の待遇なども含めて話をする予定だ』

 

優心「でも何で社員の人は、うちに内部告発をしたの?」

 

誠心『社員に話を聞いてみるとな、"自分達じゃ救えないなら、四宮グループ規模の会社に助けて貰おう"という話になったそうだ。そこで名前が挙がったのが弦巻グループだったと、教えてくれたよ』

 

優心「そうなんだ…『それに』……?」

 

誠心『優心の友達だから……っていう理由もあるんだ。仲良くしてくれているから、何とかしてあげたいと思ったんだ。優心にとっても大事な友人だろう?』

 

優心「……うん」

 

誠心『じゃあ、話は終わりだから切るぞ』

 

優心「あ、分かった」

と言って電話を切った。電話を切った後は、ケーキを食べ始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ケーキを堪能してコーヒーを飲んで一息ついてると、お店の扉から俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。

 

晴海「あ、やはりここにいましたか。優心くん」

 

声をした方を見ると、音楽事務所のスタッフの晴海さんだった。

 

優心「晴海さん?」

 

晴海「コーヒーを、一つくださーい」

 

つぐみ「はーい」

 

晴海さんはつぐみちゃんに注文してながら、俺が座ってた席に座ってきたので、質問をした。

 

優心「俺になんか用なんですか?」

 

晴海「そうなんです。優心くんに、聞きたい事があって来たんです」

 

優心「聞きたいこと……ですか?」

 

晴海「はい。いきなりなんですけど、優心くんはロゼリアがスカウトされてデビューするとしたら、いつデビューするのがいいと思いますか?」

 

晴海さんがいきなりロゼリアの事を聞いてきたが、俺は質問に答える為に、しばらく考えてから自分の考えを言った。

 

優心「……来年かな。ロゼリアって実力を持ってる人達が集まってるから、演奏の完成度とか実力はあるけど、まだどこか何か足りない感じがするんです。だから、今はスカウトとか、デビューとかはしない方がいいと思いますけど……」

 

晴海「やっぱり、優心くんもそう思うって事は、その通りってことですね」

と、晴海さんは俺の答えにそう言ってきた。俺は晴海さんの言葉に、"え?"となった。

 

晴海「事務所の社長や、他スタッフも言ってたんです。今は学生らしい事を経験させた方が、将来…今よりも化けると言ってたんです。それで、ロゼリアの事を知っていてメンバーと友人である優心くんからも、意見を聞いてみようていう事になったんです」

 

優心「それで聞いてきたんだ……」

 

晴海「はい、そうなんです。とりあえず、答えてくれてありがとうございます」

 

優心「どういたしまして」

 

つぐみ「お待たせしました」

 

タイミングよくロゼリアの話が終わった時に、つぐみちゃんが晴海さんが注文をしたコーヒーを持ってきた。

 

晴海「あ、ありがとうございます」

 

つぐみ「優心さん。このお客さんと親しく話をしてたみたいですけど、どういった方なんですか?」

と、コーヒーを持ってきたつぐみちゃんが、晴海さんの事で質問をしてきた。

 

優心「晴海さんは、音楽事務所のスタッフさんなんだ」

 

つぐみ「……音楽事務所!?そ、それってどこの事務所ですか!?」

 

優心「お、落ち着いてよ、つぐみちゃん……」

 

俺が音楽事務所と言うと興奮した感じで、晴海さんに聞いていたので落ち着かせようとした。

 

晴海「私がいる事務所は……」

と、俺がつぐみちゃんを落ち着かせようとしてる時に、晴海さんは名刺を出して事務所の名前を教えていた。

 

つぐみ「その事務所って、凄く大きい事務所ですよね!しかも私の好きな歌手が所属してる事務所ですし‼️」

 

晴海「あ、ちなみにその好きな歌手は誰ですか?」

 

つぐみ「え、えっとですね!」

 

事務所の話から、つぐみちゃんの好きな歌手の話で二人だけで盛り上がっていた。つぐみちゃんは歌手が歌ってる曲や、ファンになったきっかけなどを話していた。晴海さんの方は、相打ちをしながら聞き役に徹していた。

 

しばらくして、つぐみちゃんは話し尽くして満足した顔になっていた。

 

つぐみ「あ、私ばかり話しちゃってすみません。好きな歌手で話が盛り上がったの久しぶりだったので……」

 

晴海「いえいえ、こちらこそつぐみさんみたいな方がファンにいて、ありがたいです」

という晴海さんの言葉に、つぐみちゃんは嬉しそうに笑っていた。すると、つぐみちゃんが俺と晴海さんの事で質問してきた。

 

つぐみ「あ、そういえば、お二人はどこで知り合ったんですか?晴海さんは事務所のスタッフさんですし、知り合うなんて中々ないですよね?」

 

優心「晴海さんとは、ライブハウスで会ったんだ」

 

つぐみ「ライブハウスで?」

 

優心「うん。俺がライブハウスでポピパとかのライブを見に行ってて、ポピパやロゼリアの皆と話をしてた時に晴海さんが話しかけてきて知り合ったんだ」

 

つぐみ「へぇ~。……じゃあ、晴海さんは私の事とか知ってる感じですか?」

 

晴海「はい、勿論です。アフターグロウのキーボード、羽沢つぐみさんですよね。アフターグロウは、等身大の曲がメインですが、その中にロックな感じのかっこよさや盛り上がれる曲を歌う、良いバンドだと感じました」

 

つぐみ「あ、ありがとうございます……」

 

晴海「それに優心さんや他のバンドの方から、メンバーは昔からの幼馴染みと聞いて予想していたのですが、ライブのMCで皆さんの仲の良さなどが伝わりましたし、話も楽しかったですよ」

 

つぐみ「は、晴海さん…恥ずかしいので、もう十分ですよ……。……私、仕事に戻りますね……!」

と、晴海さんから褒められて照れていたつぐみは恥ずかしくなり、"仕事も戻る"と言って店の奥に戻ってしまった。

 

晴海「流石に言いすぎましたかね……?」

 

優心「凄く褒められるのが慣れてないだけだと思うので、しばらくしたら大丈夫だと思いますよ。……晴海さん、俺から聞きたい事があるんですけど、聞いてもいいですか?」

 

晴海「はい、なんですか?」

 

優心「ますきの事なんですけど、バンドの事とかはどうなってるんですか?」

 

つぐみちゃんの話をした後に、俺は晴海さんにますきの事を質問した。

 

晴海「ますきさんの事ですか?……やっぱり、"狂犬"という呼び名と音数をアドリブで多く入れるという事で、バンドメンバーへの勧誘という話は無いですね。サポートとして、ドラム演奏の仕事しか出来てない状況ですね」

 

優心「やっぱりそうなんだ……」

 

晴海「でも、あれがますきさんの持ち味なのは事実です。私も事務所もその事は知っているので、そのままでいいと本人に言っています。もし、他事務所や個人からスカウトをされた場合は送り出す予定で、それまではますきさんをサポートをする方針です」

 

優心「見捨てないんだね。他の事務所だったら切り捨てたり、他に取られないようにするのに」

 

晴海「勿論ですよ。いつも、社長が……"所属しているアーティストだけではなく、スタジオミュージシャンを含めたデビューを目指す人達は、デビューが出来るまでサポートするのも事務所の役目"と言ってますから」

 

ますきの事についての事を聞いて晴海さんの答えに安心した。パスパレの事務所みたいな感じじゃ無かったから……。

 

ホッとすると、一つだけ聞きたいことを思い出した。

 

優心「あ、そうだ。もう一つ聞いてもいいですか?」

 

晴海「はい、何でしょう?」

 

優心「パスパレが所属してる芸能事務所が、弦巻グループの子会社になったのは知ってます?」

 

晴海「はい、知ってます。昨日、事務所の朝礼で社長が言ってましたよ。何でも弦巻社長から、お互いに協力しつつ切磋琢磨してくれと連絡が来たみたいです」

 

優心「お父様、そんな事を言ってたんだ……」

 

晴海「はい、そうみたいですよ。それに弦巻社長は、私達の事務所だけじゃなく、他の弦巻グループの各芸能及び音楽事務所の社長達にも、同じ内容を連絡してたみたいですよ」

 

晴海さんの言葉に俺は"へぇ~"と思った。そんな話をした後、晴海さんは自分の分のコーヒー代の会計を済まして事務所に戻りに行った。

 

お店に残った俺は、コーヒーを飲んで会計を済ました。その後は公園に行って子供達と遊んだりしながら、一日を過ごした。

 

 

そして夏休み最終日が終わった。

 




次は出来てないので、投稿するのは先になるかもしれませんので、ご了承ください。


今回のパスパレが所属する芸能事務所の情報は「キャラ・世界観設定(ネタバレあり)その2」に、書いてあります。急ピッチで書いたので修正などするかもしれませんが、参考にしてもらえたら幸いです。


次回からは、二学期の話を書いていきます。


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第36話 


遅くなりましたが、前回の続きです。

今回から新学期が始まります。この第36話は新学期初日の話です。

では本編をどうぞ。



 

~優心視点~

 

 

夏休みが終わり、今日は新学期初日。そして今は始業式などが終わり俺と会長の二人で生徒会室の掃除をしていた。かぐやさん達は、まだ来てはなかった。

 

 

しばらくしてかぐやさんと千花の二人がやってきた。

 

 

入ってきたのはいいけど、かぐやさんは会長の顔を見た瞬間に顔を背けていた。

 

優心(……これって好き避けってやつかな……?)

 

会長は、かぐやさんに顔を背けられた事にショックを受けて落ち込んでいた。それでも会長はかぐやさんに声をかけようとしていたけど、避けられたりしていた。

 

 

しばらくして帰ることになった時に、会長が声をかけてきた。

 

会長「なぁ……弦巻。俺、何か四宮に悪いことしたか?……何もしてないはずなんだが……」

 

優心「してないよ……。……多分さ、単純に好き避けだと思うよ」

 

会長「好き避け?」

 

優心「多分だけどね。……かぐやさんは普通に話をしたいと思ってるけど、何故か意識しちゃって顔をまともに見られないだけだと思う」

と、会長に言うとかぐやさんから嫌われてないと分かると、すぐに嬉しそうにしていた。

 

 

俺は廊下の途中で会長と別れて自分のクラスに向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

生徒会室を出た俺は自分のクラスまで向かった。今日は愛と家まで帰るので、生徒会が終わるまで愛に教室で待ってもらっている。

 

それに、今日から愛は弦巻家に住み込みにという事になるから、一緒に帰ることになっている。周りには弦巻家の住み込みだとかの話はしない約束をしている。理由として、周りから同棲とかでからかわれるからだ。

 

教室に着いたので中に入ると、愛の他にも三鈴とすばるがいた。

 

優心「愛、お待たせ……って、あれ?三鈴とすばるもいたんだ」

 

愛「あ、優心くん」

 

三鈴「居たんだとかの言い方はなんだー。私達は愛の親友だからいるに決まってるでしょう」

 

すばる「そうそう。愛は弦巻くんだけのものじゃないんだから」

 

優心「別に、そういう意味で言ったんじゃないよー」

 

二人から軽い文句を聞き流して、愛に声をかけた。

 

優心「じゃあ、愛帰ろっか」

 

愛「うん。二人ともまた明日ね」

 

すばる「うん、またね~」

 

三鈴「召し使い弦巻くん、しっかり愛姫をエスコートして帰えるように!」

 

優心「はいはい。了解しましたよ、三鈴様」

 

三鈴「うんうん、よろしい!……やっぱり、弦巻くんはノリがいいから話してて楽しいよ」

 

すばる「二人して何やってるのよ……」

 

愛「優心くん、そういうのに乗らなくてもいいから……」

と、三鈴のフリに乗ったりしてから、二人と別れ愛と一緒に家に向かった。

 

 

 

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~愛視点~

 

 

 

優心くんと一緒に弦巻家に話をしながら着いた。

 

 

家に着いた時に、優心くんの護衛をしている黒服の華さんから声をかけられた。優心くんは自分の部屋に戻ると言って、部屋に向かっていった。

 

黒服(華)「愛様、今日から立場上は弦巻家の使用人という事になりますので、メイド長から弦巻家の使用人について説明をされます。お部屋でしばらくお待ちください」

 

愛「あ、分かりました」

 

優心くん自分の荷物を夏休みの時から、準備をしていた自分の部屋に荷物を置いた。

 

荷物を置いて、華さんの言う通りしばらく待っていた。すると、ノックの音がしたので返事をするとメイドさんだった。

 

愛(あ、この人がメイド長って事だね……)

 

メイド長「あなたが早坂愛さんですね。私はメイド長を勤めさせてもらっている者です。よろしくお願いします」

 

愛「は、はい。早坂愛です。よろしくお願いします」

 

メイド長「まず、弦巻家の使用人になった理由は知ってますか?」

と、名前を名乗った後にそう聞かれたので、私は答えた。

 

愛「あ、はい。優心くんが、私が四宮家の辞めると他の派閥から狙われる可能性が高いから、狙われにくくする為……、と教えてくれました」

 

メイド長「その通りです。それに加え使用人という立場になれば、弦巻家に住み込みになります。その為、より一層四宮家がより手を出しづらくなり、守りやすくなるからですよ」

 

愛「確かにそうですね……」

 

メイド長「では、愛さんを守る為といえ、立場上使用人となったので、愛さんにお願いしたい仕事などを伝えます。……が、使用人の仕事というよりは、愛さんには基本的に優心様とこころ様のお二人と、仲良く過ごしていただければいいです」

 

愛「……それだけで宜しいんですか?」

 

メイド長「はい。旦那様と奥様が優心様達と過ごしながら学校生活に力をいれてほしいからと仰られてました。それについては、私も同感です」

 

愛「……学校生活を……ですか?」

 

メイド長「えぇ。使用人の仕事はしようと思えば、いくらでも出来ます。しかし学生生活は今しか出来ませんし、貴方は充実な学生生活を送れてなかったはずです。その為、学生生活を思い切り過ごしてもらいたい……と、旦那様と奥様が仰られてましたよ」

 

メイド長にそう言われた私は、嬉しさとかよりも言い表せない不安を感じた。

 

小さい頃から今まで、かぐやの近衛から四宮家別邸の仕事、他使用人達へや指示などをしてきた。……が、今までしてきたものをしなくてもいいとなると、何故か心配と言うか不安と言うか、本当にそう過ごしていいのかと思ってしまった。

 

そう考えていると、メイド長が口を開いた。

 

メイド長「……と言われても、本当に言われた通りに過ごしていいのかと、思ってしまいますよね。……現に愛さんもその様な気持ちがお顔に出てますし」

 

愛「あ、はい。……そうですね。やっぱり、今までのが染み付いているので、何もする事が無くなると聞くと言い表せない感情が出てきてしまって……」

 

メイド長「そうでしょうね。……一応、四宮家でどのような事をしていたか、教えてもらっても宜しいですか?」

 

メイド長が、別邸で私がしていた仕事を聞いてきた。私は主人のかぐやの近衛をやりながら、かぐやにその日の予定を説明したり、別邸内では他使用人達に指示出しなどのやっていた仕事を全てを説明した。

 

メイド長「なるほど……。四宮家はやる気が無いですね」

 

愛「え?」

 

メイド長「家を綺麗に保つ事は当たり前です。しかし、お客様の対応から仕事・使用人の管理などを、愛さん一人でやっていた。一人でやると必ず限界がきますが、改善をしてない時点で四宮家は怠慢でやる気の無い証拠です。……まぁ、あの四宮に改善を求めるだけ無駄ですけど」

 

メイド長のズバズバ物を言う様子に少し驚いていると、メイド長は咳払いをしてから、説明の続きをしてくれた。

 

メイド長「失礼しました。……その様に、いきなり仕事が無くなると不安などの気持ちになる……と、旦那様も私も予想してました。ですので、休日に仕事をしてもらいますね」

 

愛「休日にですか?」

 

メイド長「はい。基本的には、先ほどの学校生活などの事をしてもらいますが、愛さんが休日にしてもらう仕事は、弦巻家内の清掃のみです」

 

愛「……清掃だけですか?」

 

メイド長「はい、そうですよ。私達メイドや執事が、優心様とこころ様に直接世話をするのであれば、お食事の配膳ぐらいでしょうね。それ以外の身の回りなどのお世話に関しては、担当の黒服がしていますから」

 

愛「はぁ……」

 

メイド長から与えられた仕事が清掃のみと聞いて、別邸よりも少ない事に私は内心驚いてしまった。

 

愛(四宮よりも大きいから、必然的にメイド達の仕事も多くなると思っていたけれど、そんな事はないんだ……。ちょっと拍子抜けな感じはする……)

 

メイド長「他にも仕事はありますが、その殆どは愛さんが学校にいる時間帯にしていますので、愛さんがする仕事は必然的に休日の清掃となります」

 

愛「分かりました」

 

メイド長「あと一つ伝えますが、愛さんにも護衛が一人付きますので、そこの所はご了承下さい」

 

愛「私に護衛?なんで……」

 

メイド長「色々と理由はありますが、あなたが優心様の彼女様だからです。それは将来優心様の奥様になられる方で、弦巻家とって優心様とこころ様の次にお仕えする人物、というのが一番の理由です」

 

護衛が付く事を言われた私は理由を聞くと、メイド長に言われた一言で私は恥ずかしくなった。

 

愛「お、奥様って……!?」

 

メイド長「あら?優心様と将来結婚したくないのですか?」

 

愛「……それは……したいです」

 

メイド長「素直でよろしいです。護衛を担当するのは皐が付きます」

 

愛「皐ですか……。あとで挨拶しといた方がいいですね」

 

メイド長「そうですね。しかし、今日皐は用事でいませんので、明日の朝にでも挨拶を済ましてくださいね」

 

メイド長の言葉に、"はい"と返事をした。

 

メイド長「……では、将来のためにも弦巻家についてや、仕事や使用人の役割など詳しく説明していきますね」

 

愛「あ、はい。お願いします」

 

私に護衛が付く件で話し終わると、メイド長は弦巻家の使用人がしている仕事などの説明をすると言ってきたので、私は聞き始めた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

メイド長から話を聞いたあとは、弦巻家の自分の部屋でベットに腰掛けてゆっくりしながら、弦巻家の使用人の事を考えていた。

 

愛(弦巻家の仕事って凄く分担されてた。……メイドと執事、料理人は家内部の仕事全般にやって、黒服がそれ以外の仕事……優心くん達の身の回りの世話とか、庭師の仕事や警備とか車の運転までのいろいろとしてる……)

 

使用人の仕事の役割分担などに驚いたりした。

 

愛(けどそれ以上に、弦巻家のメイドと執事、黒服の何人かは……四宮家や他の名家などで働いてたと聞いて驚いた)

 

そう、弦巻家の使用人の何人かは、他の家で使用人として働いていたらしい。その人達はスパイとかで潜り込んでいるのではなく、理不尽な理由で解雇され職を失った人達で正規で弦巻家に雇われている使用人だと、メイド長から説明を受けた。

 

私は、メイド長に"その人達がスパイとして弦巻家に潜り込むために、失業者に扮していると考えなかったんですか?"と聞いてみた。そう聞いて帰ってきた答えは、"調査をしてから雇っているので、スパイでもないから情報漏えいもしないしあり得ない"と、メイド長が話していた。

 

解雇の理由のほとんどは、純粋に仕事を頑張っていた所に、仕事の失敗を擦り付けられたりしてクビになったと、私が挨拶をした時に本人から理由を聞かされた。

 

クビになった人達は、当主の誠心さんとその奥さんの心美さん、優心くんやこころ、昔から弦巻家で働いてる使用人達がいい人過ぎて、何で最初からここを選ばなかったんだろうと、思うぐらい好環境と言っていた。

 

愛(……それに、私が元四宮家の使用人だと知っても、逆恨みや八つ当たりで文句を言ってくる事はなかった。むしろ、弦巻家に出会えたからクビにしてくれて感謝している、と言っていた。……弦巻家は、どんな人でも笑顔に出来ちゃうんだな……)

 

そんな事を考えてると足音が聞こえてきて、部屋の扉が開いた。

 

その開いた扉の隙間から部屋を覗いてきたのは、手に荷物を持ったままのこころだった。

 

こころ「黒服の人が言った通り、愛が居たわ!」

 

私と目が合ったこころは、そう言いながらいつも見せてくれてる輝くような笑顔で私の所までやってきた。

 

愛「こころ、学校から帰ってきた所?」

 

こころ「そうよ!」

 

愛「そっか。おかえり、こころ」

 

こころ「ただいま♪」

 

私は、こころと"おかえり""ただいま"のやり取りをしてから、一つ質問した。

 

愛「こころは、私が家にいる事を黒服の人から聞いたの?」

 

こころ「えぇ!帰ってる途中で黒服の人が、今日から愛が家に住むって教えてくれたのよ」

 

愛「それで家に着いた後に、そのままこの部屋まで来たんだね」

 

こころ「そうなのよ」

と、こころと二人で話をしていると、ノックの音が聞こえたので、私は返事をすると入ってきたのは女性の黒服だった。

 

黒服「こころ様、愛様。そろそろ、ご夕飯の準備が出来ます。……が、お先にお風呂へお入りになられますか?特に、こころ様は汗をかいてますので、先にすっきりなされた方が宜しいかと……」

 

愛「こころ、どうする?」

 

こころ「んー……そうね。先にお風呂に入る事にするわ。愛も一緒に入りましょ!」

 

愛「うん」

 

黒服が言ってきた事に私はこころに確認すると、ご飯の前にお風呂に入るとこころが決めて、私を誘ってきたので一緒に入ることにした。

 

その後は一緒にお風呂に入った。そしてお風呂から上がった後は、優心くんを呼びに部屋まで行って、一緒にご飯を食べてたり話をしたりして、一日が終わった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

~優心視点~

 

 

家に着くと、華さんが愛に声をかけ始めた。それを見た俺は、部屋に戻ると一言伝えて部屋に向かった。

 

部屋に入った俺は、机の上に荷物を置いて椅子に座った。荷物を整理しようとした時に、スマホが鳴った。画面を見てみると、電話の相手は雁庵さんだった。一応、夏休みに会った際に、連絡先を交換をしといたのだ。

 

 

電話を出ると、内容は夏休みで話した事について電話をかけてきたと言われた。

 

 

しばらく話を続けた。

 

優心「……雁庵さんとお父様が話をしていた通りで、本物は、お父様が持って偽物はそちらで厳重に保管する、という事でいいと思います。まさか弦巻家が絡んでるとは、黄光様や青龍様、その派閥の人間は思わないでしょう。弦巻家は四宮家と無干渉状態で、その上四宮を監視してますしね」

 

雁庵『それは言えてるな。何かある場合のみ、当主同士で話をすることしかしていないからな』

 

優心「……一応聞きますが、雲鷹様から情報は流れませんよね?」

 

雁庵『あぁ、問題ない。雲鷹は、そう簡単に口は割らない。何より、弦巻家が関わってると情報が漏れても、内部では雲鷹の、外部からは四宮の戯れ言と言われて信用はされんよ』

 

優心「なるほど……」

 

雁庵『……それに情報を流した所で、こちらにメリットは全くない。四宮の名に傷が付く、四条との関係の状態に影響が出る可能性があるという、リスクのみがある。それがあるから、雲鷹だけでなく黄光達も流さないと断言できるのだ』

 

優心「それが分かれば問題はありません。……まぁ、常に警戒はしときますけどね」

と、雁庵さんの言葉にそう返したあと、少し無言の状態があった。しばらくして、雁庵さんから別の話を切り出された。

 

雁庵『……それはそうとして、今日のかぐやはどうだった?』

 

雁庵さんから切り出された話題は、かぐやさんの事だった。

 

優心「夏休み中に会った際に話した通りで、プライドの高さから会長の事を好きだとは認めてないですよ。それと今日は始業式でしたので、特にこれという事は無いですよ」

 

雁庵『そうか……』

 

優心「……雁庵さん。いい加減、娘のかぐやさんと直接でも電話でもどちらでもいいので、話をしたらどうですか?」

 

雁庵『……』

 

俺がかぐやさんと"直接話したらどうだ"と言うと雁庵さんは黙ってしまった。その様子に内心ため息をつきながら、雁庵さんに問いかけた。

 

優心「色々と思う所はあると思います。今回の件も含んでますが、何より雁庵さん自身がかぐやさんとの仲を何とかしたいと思っているんですよね?」

 

雁庵『それは勿論だ……』

 

優心「それに……、雁庵さんは年齢的にいつ病気に掛かるか分からないですから、早い方がいいです」

 

雁庵『ただ、話すと言っても……、何がいいのか』

 

優心「……最初は、学校の事などの様子を聞けば良いんですよ。他にも、友人の話とか別邸での普段の様子とかを聞けばいいと思います」

 

雁庵『まずは日常の会話から……という事か』

 

優心「えぇ、かぐやさんも身の回りで起きた事とか思い出とかを話したいと思ってるはずですから。私もお父様とお母様と話す時は学校の様子とか話したりしますか」

 

雁庵『誠心も同じようなことを言っていたな。……今夜にでも電話をしてみる事にするか』

 

優心「……最初はかぐやさんに警戒されると思います。かぐやさんは、今まで気にかけてもらってないと思っているはずです。けど、雁庵さんがちゃんと向き合っていけば、必ず二人の関係はなんとかなると思いますから、諦めないで下さい」

 

雁庵『……あぁ』

と返事をした雁庵さんは、電話を切ったので俺も通話を切った。すると二人分の足音が聞こえてきた。

 

こころ「お兄様ー、晩ごはんの準備が出来たって黒服の人が教えてくれたわ!だからはやく食べましょ!」

 

優心「分かった」

 

パジャマ姿のこころと愛の二人が、晩ごはんが出来たことを伝えに来たので、ご飯を食べる部屋まで向かった。

 

優心「二人とも、先にお風呂に入ってたんだね」

 

愛「うん。こころが帰ってきて話をしてる時に、黒服の人がご飯の準備がそろそろ出来るって知らせてくれたんだ。その時に、お風呂の提案もされたんだよ」

 

こころ「あたしが先にお風呂に入るって言ったのよ。それで愛と一緒に入ったの!」

と、こころ嬉しそうに言ってきた。その後、ご飯を食べてる時だったりと、寝るまでの間ずっと三人で話をして一日が終わった。

 

 





弦巻家の使用人について大雑把ですが、「キャラ・世界観設定(ネタバレあり)その1」に書いてあります。書き直したりするかもしれませんが、参考にして下さい。



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第37話


前回の翌日の話です。

最初は愛視点からスタートです。途中からは優心の視点のみです。

では、本編をどうぞ。


 

~翌日~

 

 

~愛視点~

 

 

目が覚めて時間を見てみると、朝五時だった。

 

愛(朝早く起きなくてもいい……。六時から六時半まで寝ててもいいと言われてたけど、やっぱり四宮家のが染み付いてるな……)

 

昨日、メイド長から使用人の事で言われた時に、仕事をするのは休日だけなので、平日は朝早く起きる必要はないと言われたのだ。

 

愛(まぁ、その休日でも"六時に起きればいい"と、メイド長から言われてるけど。……とりあえずシャワーを浴びたい)

 

シャワーを浴びたいと思い廊下に出た私は、誰かいないかと探した。すると、執事長とメイド長が話をしている所を見つけたので、声をかけようと近づいた。

 

メイド長「あら、おはようございます。やはりこの時間に起きてきましたね」

 

愛「おはようございます。……やっぱり五時起きが染み付いているので、目が覚めてしまって」

 

メイド長「そうでしょうね。……して、愛さんはどうされましたか?」

 

愛「少しお風呂に……シャワーだけでも浴びたいんですが、浴びてもいいかという確認をしたくて……。昨日お風呂に入りましたけど、いつも朝にシャワーを浴びて、気持ちとかを切り替えていたので……」

 

メイド長「いつもの習慣というものですね。シャワーを浴びて構いませんよ」

 

愛「じゃあ、浴びてきますね」

 

メイド長「えぇ、明日からは確認はせずに毎日シャワーを浴びてよろしいですからね」

 

愛「あ、はい。分かりました」

 

メイド長「ただ、バスタオルなどが準備は出来ていないので、今日だけは自分で準備なさってください。他の方々にも、朝にシャワーが使えるように伝えておきますので、明日から用意はしなくても大丈夫です」

 

愛「ありがとうございます」

 

私は、メイド長にお礼を言ってお風呂場に向かい、シャワーを浴びた。

 

 

浴びた後は、朝食まで時間があったので自室でのんびりしていた。

 

シャワーを浴びた後に、時間を見ると朝食まで時間があった。時間を見て私は"使用人の仕事をやらないと!"……と思ってしまったが、昨日の夕方にメイド長に使用人の仕事は休日にやるという事を思い出した。なので、私はお風呂場から部屋に戻ることにした。

 

その時に、護衛をしてくれる皐を見かけたので声を掛けようと思ったが、忙しそうにして声をかけれなかった。

 

そして、部屋に着いた私はしばらくのんびりと過ごしていた。

 

愛(そろそろ朝食の時間だし、制服に着替えとこうかな……)

 

のんびりしてると朝食の時間に近づいたので、制服に着替え始めた。

 

着替え終わった頃に、制服姿のこころと優心くんが部屋まで呼びに来たので、一緒にご飯を食べる部屋まで向かい、二人と朝食を取った。

 

 

 

朝食を食べ終わり、学校に行く仕度を済ませた私は、家の玄関前にいた。玄関にいるのは私一人だけだ。

 

こころはハロハピの待ち合わせをしてるらしく、先に行ってしまった。私一人で優心くんを待ってると、黒服の皐が近づいてきて声をかけてきた。

 

黒服(皐)「愛様、メイド長から話を伺ってると思いますが、今日から愛様の護衛を担当する皐です。よろしくお願いします」

 

愛「うん、よろしく。……別に様付けで呼ばなくて、前に会った時に呼んでくれてたみたいに、さん付けでいいよ。それに少し砕けた口調……ため口で喋ってよ。同い年だし、私自身その方が慣れてるから」

 

黒服(皐)「分かりま……分かった。……それより、朝食前の際はすみませんでした。愛さんが声をかけようとしていたのは知ってたんですけど、朝の仕事で手が外せなかったので……」

 

愛「ううん。気にしてないから、謝らなくても大丈夫だよ。それは私も理解してるから」

 

皐と話をしてると、優心くんが玄関前にやってきた。 

 

優心「ごめん、遅くなった」

 

愛「大丈夫だよ。皐と話してたから、時間は気にならなかったよ」

 

優心「そっか。……皐も愛の護衛、よろしくね」

 

黒服(皐)「分かってるよ、優心様。……愛さんは、優心様の彼女さんだからね」

 

優心「うん、頼りにしてる。……愛、一応…外で皐を呼ぶ時は、名前じゃなくて黒服さんとか黒い服の人とかで呼んで」

 

愛「分かった。けど、何で?」

 

優心「外は誰がいるか、分からないからさ」

 

愛「あぁ、そういうことね。名前から黒服さんの素性とかを、調べられてしまうかもしれないって事ね。……うん、そうするよ」

 

優心「よろしく。……じゃあ、学校に行こっか」

 

優心くんの言葉に、"うん"と頷きながら言って、一緒に学校に向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

学校の校門に着いた時に、かぐやに会った。そこから三人で話をしながら教室まで向かった。が、教室に向かう間、かぐやの話で驚いていてしまった。

 

あのくそ爺が、昨日の夜かぐやに電話をして学校の様子とか別邸での様子とかを聞いたらしい。

 

雁庵様は純粋にかぐやと話をする為に、電話をしたみたいだった。

 

最初かぐやは警戒をしていたが、話をしてみて嘘じゃないと分かったと言っていた。が、少ししか話をしなかったらしい。それでもかぐやは少し嬉しそうにしていた。

 

 

その様子を見ながら話をしていると教室に着いたので、クラスの女子と話をしたりしながら、授業の準備を始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして午前の授業が全て終わり、昼休みになった。

 

昼を食べ終わって、すばる達クラスの女子と話してる時に教室のドアが勢いよく開いた。

 

ドアの開く音が凄かったから、私と優心くんどころかクラスに居た皆が、ドアの方を見た。

 

ドアの所に居たのは、紀さんだった。

 

かれん「優心さんと早坂さん!聞きたいことがあるので、マスメディア部に来てもらってもいいですか!?」

と、紀さんは教室に入ると同時に、そう言ってきた。

 

紀さんの言葉に、私と優心くんはお互いに離れていたが、自然と顔を見合わせてしまった。紀さんの様子に私は不思議に思ったが、優心くんの方も不思議そうにしていた。

 

優心くんの様子を見た私は、とりあえず紀さんの所に向かったのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~優心視点~

 

 

朝、家の玄関先で愛と黒服の皐と話をしてから、愛と一緒に学校に向かった。

 

 

学校の校門前に着くとかぐやさんと会った。三人で教室まで行くことになったが、その時にかぐやさんが"昨日の夜にお父様から電話が来た"と、言ってきた。

 

優心(雁庵さん、言った通りに電話したんだ……)

 

俺はそんな事を思いながら、かぐやさんの話に耳を傾けた。

 

かぐや「……いきなり、お父様から電話が掛かってきた時は、びっくりしたし、何か裏があるんじゃないかって、警戒したわ。けど、話をしてそんな事はないのは伝わった」

と、雁庵さんと電話をした昨日の夜に、俺が予想した通りかぐやさんは最初警戒したらしい。

 

それに、"警戒もしたから少ししか話が出来なかった"と教えてくれた。けれど、それを言っているかぐやさんは少し嬉しそうにしていた。

 

 

二人と話をしてると教室に着いたので、男友達に声をかけて話を始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

午前の授業が終わり、昼も食べ終わって昼休みを過ごしていた時に、大きな音がした。音がした方を見るとかれんがいた。

 

優心(さっきの音は、かれんが教室のドアを思いっきり開けた音だったんだ……)

 

かれん「優心さんと早坂さん!聞きたいことがあるので、マスメディア部に来てもらってもいいですか!?」

 

俺が呑気に音の正体を考えてると、かれんは大声で俺と愛の名前と部室に来て欲しい事を言ってきた。

 

名前を呼ばれた俺は、愛と顔を見合わせてしまった。かれんが、俺と愛を呼んだ理由は思い付かなかったので"なんの用だろう?"と思いながら、かれんに声をかけた。

 

優心「いきなり大きな音と、大声出さないでよ……」

 

愛「本当だよ……。びっくりしたじゃん」

 

俺がかれんに文句一つ言うと、いつの間にか隣に来てた愛も共感していた。

 

かれん「そういうのはいいので、部室に来てもらってもいいですか?」

 

俺と愛の文句を聞き流したかれんは、そう聞いてきた。特に、断ること理由がない俺は行く事を承諾し、愛の方も特に問題なかったみたいで行くことを伝えていた。

 

男子A「紀のやつ、二人に何の用だ?」

 

男子B「弦巻と早坂の二人呼んでたから、二人の関係の事じゃないのか?」

 

女子A「そうかもしれないよね……。恋人同士って聞き付けて、色々と聞こうとするかもしれない……」

 

女子B「もしかして、二人から聞いた事を他クラスに言いふらしたり……」

という、クラスメートの言葉が聞こえる中、俺と愛はマスメディア部の部室に向かった。

 

部室に着いて中に入った後に、かれんに促されて椅子に座った。部室内はかれんのみでエリカは居なかったが、気にせずにかれんに質問した。

 

優心「それで、かれんは何を聞きたいの?」

 

かれん「お二人は恋人同士……、付き合っているんですか?」

 

優心「え、うん。付き合ってるよ」

 

かれんから付き合ってるのかと聞いてきたから、その事に肯定すると、かれんが俯いた。……と思ったら、すぐに顔を上げて大きな声を出し始めた。

 

かれん「お二人は、いつからお付き合いしてたんですか!一学期の交流会前に聞いた際は、付き合ってないと言ってましたよね!」

 

優心「う、うん。確かにそう言ったけど……、その時にはもう付き合ってたよ」

と、俺がそう言うと、かれんは一瞬固まって動かなくなったが、すぐ復活してかれんは質問してきた。

 

かれん「じゃ、じゃあ!なぜ、あの時に嘘を言ったんですか!?」

 

優心「何でって言われても……、ね」

と、俺は言いながら愛の方を見た。すると愛が口を開いた。

 

愛「単純に秘密にしたかったんだよ」

 

かれん「何で秘密にしたかったんですか?」

 

愛「だって……私が付き合ってる相手は優心くんだよ。浮いた話がなかった優心くんに、彼女が出来たって知られると話題になるでしょ。それで皆が色々と聞いてくると思って、一緒に過ごす時間が少なくなると思ったし…」

 

かれん「な、なるほど……。早坂さんって意外と乙女だったんですね……。見た目はクールでかっこいい系の女子なのに」

 

愛「……。まぁ、あとは私自身、紀さんと巨瀬さんの二人の事を、あまり信用してなかったのもあるけど……」

 

かれん「それひどいですよ!」

 

愛とかれんのやり取りを見てた俺は、かれんに聞きたい事を聞いた。

 

優心「でも夏休み前には、A組の中では話題になってたけど、その時に何で聞きに来なかったの?」

 

かれん「その時は、ありもしない話だと思っていたからですよ。本人達には違うと言われてましたからね」

 

優心「まぁ、確かに否定したからね」

 

かれん「そうです、否定されましたからね!……だからA組の人が話をしているのを聞いても信じてはなかったです。けど、夏祭りにエリカと眞妃さんのふたり人と行った際に、優心さんと早坂さんと金髪少女の三人で仲良く歩いているの見かけました」

 

優心「その時を見て、恋人同士と確証を得たの?」

 

かれん「そうですよ。前よりも、より一層仲良くなっており、花火を見るまでいる時点でA組の話も信用できて、付き合ってると確信しました」

 

優心「凄い観察力……

 

俺はかれんの言葉にそう呟いてしまった。

 

愛「確かに……。金髪少女の事を、考えから排除したのは何で?」

 

かれん「前に優心さんから、妹さんがいることを聞いていたんです。見た目や性格の事も聞いていたので、あの時に見た瞬間に妹さんだと分かりました」

 

愛「それで、考えから排除したんだ……」

 

かれん「はい。……でも、分かって良かったです。お二人が付き合ってることが……」

 

優心「でも、他の人には言わないでよ。愛が言ってた通り、他のクラスの人達に知られると、一緒に居られる時間が少なくなると思うから。A組の皆は言い触らさないで居てくれて、普通に過ごせてるからね」

 

かれん「勿論です。そんな事はしませんよ(何か言って、眞妃さんみたいな経験したくないですし。本当に……)」

 

俺がそう言うと、ちょうど予鈴が鳴ったので三人で教室に戻った。

 

教室に戻ると、クラスの皆から"かれんとの話はなんだった?"とか質問責めされた。言い触らされないかと心配してるクラスメートもいたけど、皆に大丈夫な事を伝えて落ち着かせた。

 

そうしてると、皆落ち着いてくれたので、次の授業の準備を始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~放課後~

 

昼の出来事から時間が経ち、放課後になった。教室で俺は愛と選択授業の話をしていた。

 

愛「優心くんはどれにするか決めてる?」

 

優心「俺は美術にしようかなって思ってるよ」

 

愛「美術?」

 

優心「うん。去年の前期後期は、音楽と情報を選んでて、今年の前期は書道を選んでたんだ。それで、美術だけやってなかったから、美術にしようと思ったんだ」

 

愛「へぇ~。……じゃあ私も美術にしようかな」

 

優心「愛も美術にするの?」

 

愛「うん。選択授業も一緒にやりたいな~……って思って……。……まぁ、そういう事で美術にするよ」

 

優心「俺も愛と一緒がいいなって、思ってたから良かったよ」

と、俺が言うと愛は照れていた。

 

お互いに記入シートに"美術"と書いた後に、職員室に行って先生に皆より一足先に提出した。その後、俺は生徒会室に向かう為、愛は家に先に帰る為に別れた。

 

 

生徒会室に向かうと、会長とかぐやさんと千花の三人が選択授業の話をしていた。

 

その選択授業の話でも、会長とかぐやさんの駆け引きが行われいた。

 

それを見ていると、千花が話しかけてきた。

 

千花「優心くんは、どれにしたんですか?」

 

優心「俺は美術にしたよ。あと愛も美術にしたよ」

 

かぐや「愛さんも美術にしたんですか?」

 

千花からの質問に愛の事も含めて答えると、かぐやさんが食いついてきた。

 

優心「うん。選択授業も一緒にやりたいって言ってたよ」

 

会長「恋人同士で一緒か……」

 

俺が言ったことを聞いた会長とかぐやさんの二人は、静かになった。多分、どうお互いを誘おうか考えてるんだろうなって思った俺は、三人に提案をした。

 

優心「三人も美術にしない?」

と、俺が言うと千花が真っ先に反応した。

 

千花「優心くん、それですよ!皆、一緒にしましょうよ」

 

優心「それに俺とかぐやさんは、会長と千花とはクラス違う。だから、一緒に授業を受けることがないから、一緒にやってみたいんだけど……」

 

俺がそう言うと、千花はすぐに賛成して会長とかぐやさんは、少しして口を開いた。

 

会長「弦巻がそう言うなら、そうするか」

 

かぐや「そうですね」

 

二人がそう言って美術にしてくれた。

 

優心(見た目はクールぶってるけど、内心では喜んでるんだろうな~)

と思いながら、下校時間まで生徒会の仕事を始めた。

 

ーーーーーーーーー

 

ちなみに、家に帰った後に俺は愛に生徒会の出来事を伝えると、愛はため息を吐いてかぐやと会長の二人に呆れていた。

 




後半の方が少し雑だったかも知れませんが、ご了承していたくれたら幸いです。

次回は出来てないので、遅くなると思います。


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第38話


今回は前回から少し日が進んだ話です。

所々、雑な感じにと思ってしまうかもしれませんが、それでも楽しんで読んでもらえたら幸いです。

では本編をどうぞ。



 

昼休みにしたかれんとの話、放課後に会長達と選択授業の話をした日から、少し日が経った。

 

 

そんな日の放課後に、俺は石上と一緒に生徒会室にいた。

 

仕事をしてると、会長と翼が一緒に入ってきた。

 

優心(……チャラくなってる。黒髪から明るい色に変わってるしピアスも付けてるし……)

 

翼の姿に俺がそう思ってると、会長も翼の変わりように驚いていたらしく、翼にその事を言い出した。

 

会長「てか、やっぱりお前変わりすぎだろ!」

 

翼「えー、そうですか?そんなに変わってます?」

 

会長「同じクラスだから、流石に初見よりは驚きは少ないが、変わりすぎだと思うぞ」

 

翼「まぁまぁ、とりあえず恋愛相談に乗ってもらってもいいっすか?」

 

会長「まぁ、構わないが……」

と、会長と翼がそんな話をしながら、俺と石上が座るソファーの所に来た。

 

石上「相談なら俺は席を外しましょうか?」

 

翼「いやいや、気にしなくて。むしろ居てていいよ」

 

優心「じゃあ、俺は飲み物出すよ」

 

翼「ありがとう、優心」

 

俺は席を立ち人数分の飲み物の準備を始めた。準備をしている間、俺は三人の会話に耳を傾けていた。

 

話の内容や翼の様子的に、翼は相談というよりも自慢……惚気話みたいの感じで話を進めていた。

 

会長と石上が小声で話をしながら、何度か翼に質問したりしていた。けど、その途中で何度も彼女の柏木さんとの自慢話になるので、会長と石上はトイレットペーパーを使って、首を絞めようとする行動をしていた。

 

その様子を見ながら、飲み物を入れ終わったから三人の前に出した。

 

俺が皆の前に飲み物を出し終わると、翼が夏休みでの出来事を聞いてきた。最初、会長に聞いていた後に俺にも聞いてきた。

 

翼「優心の方はどう過ごしたの?……いつも通りの過ごし方?」

 

優心「そうだね。いつも通り公園で子供と遊んだり、妹や知り合いと出掛けたり、別荘に行ったりしたよ」

 

翼「やっぱりそっか~」

 

聞かれたことに答えると同時に扉が開いた。やってきたのは、柏木さんだった。

 

何でも、かぐやさんに用事があって生徒会室に来たみたいだった。

 

優心「柏木さん。かぐやさんは、まだ来てないよ」

 

柏木「あ、そうなんだ。弦巻くんは、かぐやさんがいつぐらいに来るか、分かる?」

 

優心「多分、もうすぐで来ると思うよ」

 

柏木「そう、分かった。少しここで待ってもいい?」

 

会長「弦巻、ちょっといいか」

 

優心「え?会長、なに?」

 

柏木さんに聞かれた事に、俺は"大丈夫"と答えようとした時に、会長に腕を引かれ生徒会室の外に連れていかれた。

 

石上「僕ら、ちょっと生徒会室を空けるんで、掛けて待っててください」

という、石上の声も聞こえたが、何で翼たちを二人っきりにさせたのか、分からなかった。

 

会長に理由を聞いてみると、あの二人が神ってるかどうか確認したいから二人っきりにさせたと、説明された。それを聞いた俺は、内心どこか呆れてしまった。

 

会長と石上が中を見ていると、かぐやさんと千花と愛がやってきた。かぐやさんと千花は会長達の話に混ざり、俺と愛はその話題に入らなかった。

 

優心「愛も、ここに来るの珍しいね」

 

愛「かぐやと話をしてたら、書記ちゃんと会って連れてこられたんだ」

 

優心「そうなんだ」

 

愛「うん。……それで、会長達は何してるの?」

 

愛にここに来た理由を聞いた後に、愛から扉の前での会長達の行動を聞かれた。俺は、会長に説明された事を愛にそのまま伝えてあげると、それを聞いた愛も呆れていた。

 

愛「じゃあ、二人で先帰ろうよ。この人達、ほっといてさ」

 

優心「いや、翼とかに出したコップの片付けが、終わってないんだ」

 

愛「そういうのは、会長達にやらせればいいの。優心くんは、巻き添えを食らったんだから。……ほら、帰ろうよ」

 

俺は愛に腕を引かれて教室に戻り、荷物をもって家に帰った。帰る途中に片付けをお願いするメッセージを送っといた。

 

電車に乗ってしばらくした時に返事が来た。内容は、勝手にいなくなった事の愚痴とかが書かれていたが、片付けはしっかりしとくと返事が来た。

 

その内容を見た俺はスマホをポケットにしまい、愛と話をしながら家へと帰った。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

翼の恋愛相談という名の自慢話・惚気話から、さらに日が経った。

 

今日は9月9日……、会長の誕生日。

 

俺は、学校に着いた時に、会長に誕生日プレゼントを渡しといた。

 

そして今は、昼休みに生徒会室で俺と愛、かぐやさんの三人がいた。

 

生徒会室にいるのは、かぐやさんが誕生日に会長に渡すケーキを見てほしいと、言ってきたからだ。で、それを見たんだけど……、もうウェディングケーキだった。

 

愛「前までこんなアホじゃなかったのに」

 

優心「……うん。愛と同意見かな……」

 

かぐや「アホ!?しかも弦巻くんまで同意見って言うなんて……!」

 

愛「はぁ……まぁ、渡したいなら渡したらどうですか?」

 

かぐや「なによ……。その言い方……」

と、二人軽口を叩きながら話を始めた。その様子を俺は隣で眺めていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして、そんなこんなで放課後になり、俺と愛は生徒会室の外に待機して、扉の隙間から中の様子を確認していた。

 

二人して中を見ていると、いきなりかぐやさんがケーキを見て慌て始めた。

 

愛「かぐや、やっとケーキの大きさに気が付いた感じだ」

 

優心「そんな感じっぽいね」

 

かぐやさんの様子を見て、"どうするかな"って思っていると、かぐやさんは会長にはかぐやさんがショートケーキサイズに切って渡していた。ケーキの後にプレゼントも渡して即座に廊下に出てきた。

 

廊下に出てきた瞬間にかぐやさんは生徒会室から見えない位置に顔を真っ赤にして座り込んだ。

 

愛「よく頑張りました……」

 

かぐや「……はぁ……」

 

しばらくの間、愛はかぐやさんが落ち着くまで頭を撫でてあげていた。

 

優心(こうしてみると本当に姉妹に見えるな~。……まぁ、小さい頃から過ごしてるとそうなるか……)

 

俺もそんな事を思いながら、二人を眺めていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

かぐや「残りのケーキは弦巻くん達に任せるわ」

 

しばらくして落ち着いたかぐやさんは、俺と愛にそう言って、そそくさと帰っていった。

 

愛「あ、かぐや……!」

 

優心「……逃げたね」

 

愛「……うん」

 

俺と愛は、かぐやさんの行動に呆気に取られてしまった。そうしてると、生徒会室から会長が出てきた。

 

会長「……ん?弦巻に早坂。二人は廊下で何してるんだ?」

 

優心「あー……。ちょうど、生徒会室に用があってさ。愛は一緒に来てくれたんだ」

 

会長「そうか。じゃあ弦巻にお願いがあるんだが……。俺、もう帰るから戸締まりをお願いしたいけどいいか?」

 

優心「うん、分かった。やっとくよ」

 

会長「よろしく」

 

会長のお願いに二つ返事で答えて、生徒会室の中に入った。

 

中に入って、かぐやさんが作ったケーキが置いてある場所の扉を、愛が開けて口を開いた。

 

愛「どうしよう……。この残ったケーキ……」

 

優心「捨てるの駄目だし、家に持って帰って黒服さんとか家の使用人の人達に、食べてもらったとしても全然減らないと思うし……」

 

愛「だよね」

 

ケーキの量が凄いので、どうやって処理しようかと悩んでしまった。食べるにしても量が多いから、俺と愛や家の使用人達だけではまだ人数が足りない感じだった。

 

愛「……香澄達とかにも手伝ってもらう?」

 

優心「……それ、いいかも。食べきれずにケーキを捨てなくて済むし、食べた皆も笑顔になるもんね」

 

愛が言った提案に、すぐに俺は共感した。

 

優心「香澄達には、あとで俺から連絡してみるよ。今日の所は、とりあえず家に持って帰るのが先決だね」

 

愛「確かにそうだね」

 

優心「黒服さん。これ家に持って帰れる?」

 

黒服(華)「はい、大丈夫ですよ」

 

華さんがそう言ってくれたからお願いして、愛と一緒に家へと帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

こころ「お兄様、愛!お帰りなさい!」

 

優心「ただいま、こころ」

 

愛「ただいま」

 

家に帰ると、こころが"おかえり"と言って出迎えてくれたので、俺と愛は"ただいま"と伝えた。するとこころが俺に質問してきた。

 

こころ「お兄様、華と他の黒服の人が大きい荷物を運んでいたのを見たけれど、あれは何かしら?」

 

優心「…あぁ、それは秘密だよ」

 

こころの言った大きい荷物というのが、すぐケーキの事が分かった俺は"秘密"と言って教えなかった。

 

こころ「秘密って気になるわ!お兄様、どうして教えてくれないの?」

 

優心「それは、明日の放課後には分かるからね。明日まで楽しみにしてた方がワクワクするでしょ」

 

こころ「確かに、それはワクワクするわ!じゃあ楽しみに待っとくわね!」

 

優心「うん。じゃあ俺は、キッチンの所に行くから」

 

こころ「分かったわ」

 

愛「分かった。……じゃあ、こころ……晩ごはんまで一緒に部屋で過ごそうか」

 

こころ「そうね♪今日も、愛に話したい事がたくさんあるの!」

 

愛とこころが二人で部屋に行くのを見送ってから、俺は家のキッチンの所に向かい、料理人さんにケーキの切り分けをお願いしにいった。

 

 

キッチンに着いて、料理人さんにちゃんとメイドさんと執事、黒服さんと料理人さん達の全員分を切り分けてもらったけど、それでもまだ意外と多く残っていた…。

 

それに驚きつつ、料理人さんにお礼を言ってから部屋に戻り、香澄達に連絡を取って話をした。

 

しばらく話をしていくと、明日にサークルのラウンジで皆と集まるという話になり、そこでケーキパーティーみたいな事をするという話になった。そういう話に纏まったので、電話を切った。

 

優心「来れない人もいるけど、ある程度の人数が集まるから、なんとかなりそうかな……」

 

愛「なんとかなりそうなの?」

 

優心「ちょ!……いつの間にいたの……!?」

 

俺が独り言を言った時に、隣から愛の声が聞こえた。隣を見ると愛がいたので驚いてしまい、いつ居たのか聞いてしまった。

 

愛「来れない人もいるけど……っていう、最後の一言を優心くんが呟いた時にいたよ。ちゃんとノックしたけど、反応がなかったら、中に勝手に入ったんだ」

 

優心「勝手に入らないでよ……。ビックリするんだから」

 

愛「勝手にって……、やましいことがあるの?」

 

優心「無いけどさ……」

 

愛「やましい事が無いのは知ってる。だって優心くんなんだもん。そういうのはないって信じてるし」

 

優心「信じてくれてありがと。……で、ケーキの事なんだけど、明日の放課後にサークルのラウンジに持っていく事になったよ」

 

愛「ラウンジに集まることになったって事?」

 

優心「うん。皆が集まるならサークルの方が集まりやすいって話になってね。それにラウンジならケーキを食べれたりするからちょうどいいから」

 

愛「まりなさん、よく許可してくれたよね。皆が集まると貸し切りみたいになるのに」

 

優心「まりなさんが許可してくれたのは、ケーキ食べてみたいからだって。最高級の物を使ったケーキなんて、滅多に食べれないからって……」

 

愛「そうなんだ……」

 

優心「そういう事だから、明日はよろしく」

 

最初は談笑してから、愛にケーキの事を伝えた。その後は、晩ごはんを食べる部屋に愛と一緒に向かった。部屋では、こころが椅子に座って待っていた。

 

俺と愛も椅子に座り、皆で"いただきます"と言ってからご飯を食べ始めた。こころの学校での出来事や、バンドや香澄達の様子とかを聞いたりしながらご飯を食べた。

 

 

その後はお風呂も済まして、眠りについた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~翌日・放課後~

 

 

~サークル・ラウンジ~

 

 

放課後になり、俺と愛はサークルのラウンジに着いた。ラウンジ内に入ると、もう皆が集まっていた。

 

今日来てくれたのは、ポピパとアフターグロウとハロハピの全員、ロゼリアからは紗夜とリサとあこの三人が来てくれた。

 

友希那と燐子は用事で、パスパレは学校終わりにレッスンと収録がある為に来れなかった。

 

優心「皆、ごめん。遅くなった」

 

香澄「優心先輩、大丈夫ですよ。皆と話してたし、ケーキを楽しみにしてたから、退屈じゃなかったです」

 

リサ「そうそう。どんなケーキなのかが気になってたからドキドキしてたしね」

 

二人の言葉を聞きながら、華さんに声をかけてケーキを出してもらった。

 

優心「ショートケーキサイズにしているけど、食べてみて」

と言って皆に食べてもらうと、皆は笑顔になり美味しそうに食べてくれた。

 

まりな「スポンジ部分がふわふわで美味しい」

 

つぐみ「それに苺も凄い甘くて美味しい……!」

 

ひまり「だよね!クリームとかも濃厚だし、本当に美味しい~!」

 

こころ「お兄様、このケーキ美味しいわ!昨日言ってた秘密がこれだったのね♪」

 

優心「うん、そうだよ」

と、こころの言葉に答えながら皆の様子を見てみると、皆はお互いに味の感想を言い合って食べてくれていた。

 

しばらくして紗夜が声をかけてきた。

 

紗夜「優心さん、日菜の分のケーキを持って帰ってよろしいですか?」

 

優心「もちろん。むしろ両親の分まで持って帰っていいぐらいだよ!」

 

紗夜の言葉に俺はすぐにオッケーを出した。

 

リサ「じゃあ、アタシも友希那の分で持って帰ろうかな」

 

あこ「あこは、りんりんの分を持って帰ろっと!」

 

紗夜と俺の話を聞いていたリサとあこも持って帰ると言ってくれた。すると他の皆も家族や友達の分としてケーキを持って帰ると言ってくれた。

 

そのおかげで、かぐやが作ったケーキはなんとか全部無くなった。

 

無くなったことにホッとすると、こころの相手をしてくれていた美咲が口を開いた。

 

美咲「優心さん。一つ気になったんですけど、このケーキはどうしたんですか?昨日、いきなり大量のケーキを食べてほしい、もしくは持って帰ってほしいって連絡しましたけど」

 

美咲が聞いてきたのは、ケーキの出所の事だった。聞かれた俺は、答えようとすると愛が変わりに答えてくれた。

 

愛「えっと、それはかぐや……私の友達なんだけど……」

 

昨日の出来事を皆に伝えると、ポカーンとした顔になった。

 

美咲「……四宮先輩、バカなんですか?……あの秀知院に通ってるのに?」

 

美咲の一言に、俺と愛は否定は出来なかったので頷いた。そこから皆に質問責めにされてしまったが、答えられる物は答えた。

 

そうして過ごしていると時間も遅くなってきたので、解散となった。

 

 

俺と愛はこころと一緒に家に帰った。

 





次回は出来てませんので、投稿が遅くなります。


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第39話


前回の続きです。

では、本編をどうぞ。



 

~優心視点~ 

 

かぐやさんが会長の誕生日に、会長の為に作ったケーキをなんとかした日から、しばらく日が経った。

 

残ったケーキを香澄達に食べてもらった日から今日まで色々とあった。

 

例えば、かぐやさんが何回か赤点を取り危ない状態の石上に、勉強を教え何とか赤点回避したり、学校の屋上で月見をして会長とかぐやさんの二人に一悶着が起きた出来事などがあった。

 

愛の方も、弦巻家での生活に慣れてきたみたいで、こないだの休みに使用人の仕事をしていた。別邸より快適と言っていた。

 

 

そんな日々が過ぎた今日。

 

今は、授業とホームルームが終わった所だ。そして今日は生徒会も無いので、俺は家に帰ろうと荷物をまとめていた。その時に、かぐやさんと一緒にいる愛に話しかけられた。

 

愛「優心くん」

 

優心「?どうしたの?」

 

愛「今日は別邸に行くから、一緒には帰れないんだ。だから先に帰ってていいよ」

 

優心「分かった。帰ってくるの遅くなるなら、連絡ちょうだい。黒服さんに伝えるだけでもいいから。そうしたら車で家まで送ってくれると思うから」

 

愛「うん、分かった。……かぐや、別邸行くよ」

と言いながら、かぐやさんの所に向かっていった。

 

俺は愛とかぐやさんと別れて、家に帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

家に帰って、一足先にご飯を食べてお風呂に入った。その後は、部屋でベッドに腰掛けて漫画を読みながらのんびりしてた。

 

しばらくしていると、いきなり"ドンッ"という部屋のドアが思いっきり開いた音がした。

 

ドアの方をみると愛が立っていた。

 

優心「愛、おかえり。……?」

 

俺が"おかえり"と伝えると、無言のまま隣に座ってきた。

 

優心「どうしたの?」

 

愛「……今日、別邸でかぐやと話をしてたんだけどね……」

 

俺が"どうしたの?"と聞くと、愛は話を切り出して別邸でかぐやさんと話をした内容を教えてくれた。

 

なんでも、愛がかぐやさんに会長との間で進展の事を聞いたらしい。いろんなイベントがあったのに何も進展ないが無いことを言うと、かぐやさんに"愛なら会長を落とせるの?"と言われたとの事。

 

話をした時に最初はやらないと言ったけど、最終的にやることになってしまったと教えてくれた。

 

優心「でも、やるつもりは無かったんだよね?」

 

愛「うん。優心くんがいるし、会長の事も恋愛感情は無いから私がやるメリット無いから断ったんだ……。けど、かぐやが優心くんの事をバカにしたから……」

 

優心「俺の事を?」

 

愛「……うん。だって、かぐやが優心くんの事を、女子に弱いダメダメな男子とか、いろいろ言ってきたんだよ!そんな事無いのに!」

 

愛の言葉を聞いた俺は、"売り言葉に買い言葉だな……"と思ってしまった。

 

優心「そっか……。俺のために怒ってくれてありがとう。愛」

と、俺は愛の頭を撫でながら伝えた。

 

俺に撫でられてる愛は、目を細目ながら嬉しそうな顔になっていた。その様子の愛を少し見ながら、俺は口を開いた。

 

優心「けど、相手が会長だけど俺的にはやってほしくないな……。と言っても、かぐやさんに言った手前、愛は退けないんだよね?」

 

愛「あ、うん……。ハッキリと"やる"って言っちゃったから……退くに退けなくなっちゃったんだ……。ごめんね、優心くん……」

 

優心「謝らなくても大丈夫だよ。……会長の事だから、一日では落ちないって言えるけど、どこか不安はあるし俺も近くで見るだけ見てていい?」

 

愛「うん、いいよ。まぁ一応、ハーサカに変装してやるつもりだよ」

 

優心「分かった」

と、愛の言葉に返事をした。

 

この後は、愛は部屋から出ていったのを見た俺は、部屋の電気を消してベッドにもぐったのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~愛視点~

 

 

学校で優心くんと一緒に帰らず、私は四宮別邸にいた。そしてかぐやと話をしていた。

 

かぐや「弦巻家での生活はどう?」

 

愛「問題は全くないよ。むしろ居心地が良すぎるぐらいだね」

 

かぐや「……そんなに居心地がいいの?」

 

愛「うん、そうだよ。使用人の仕事は、休日のみで清掃をメインにしてるしね」

 

かぐや「え?平日とかはやらないの?」

 

かぐやにそう聞かれた私は、弦巻家のメイド長から説明された事……、私は学生生活メインで過ごしていい事や、弦巻家の使用人の仕事の役割とかを色々と伝えた。

 

かぐや「それは……確かに過ごしやすそうね……」

 

愛「そうだよ。仕事のやり方とかは当然違うけど、ちゃんと他の方々が教えてくれるし、皆も仲良くしてくれるしね」

と、私の弦巻家での過ごし方とかを話した。その後に、かぐやに私が抜けた後の別邸の事を聞いてみた。

 

愛「私が抜けた後の別邸はどんな感じ?」

 

かぐや「もう、バタバタよ。中心人物の愛さんが抜けたから、他の使用人は大慌てよ。……弦巻家(そっち)のメイド長が見たら、文句を言うのでしょうね……。まとめる人が居なくなるだけで、こんな風になってしまってるから」

 

愛「多分ね。メイド長……あと執事長もだけど、トップが居なくて慌てるのは使用人としての自覚はない……使用人として向いていないとか、そんな感じの事を言うと思うよ」

 

かぐや「そんなことを言うぐらいなのね……。けど、少し前に、新しい使用人が来たのよ。お父様がここに送らせたみたいで、その人は愛さんみたいに凄く優秀な使用人だったわ。今その人がまとめ役よ」

 

愛「そうなんだ……。でも、雁庵様がわざわざ使用人を?」

 

かぐや「えぇ。その人と話した感じだと、兄様達の息が掛かった人じゃない。お父様の元で働く人で監視とかで送り込まれた人ではなかったわ。……私でも信用できる人でいつも通り過ごしやすいわ」

 

愛「そっか……。それを聞いて安心したよ」

 

使用人の事を聞いて安心した私は、もう一つ聞きたいことをかぐやに聞いた。

 

愛「それで、かぐやは会長との関係は進展あった?」

 

かぐや「!」

 

私が会長の事を聞くと、体をビクッ!と震わせて顔を逸らした。

 

愛「夏休みには夏祭りに行ったり、休み明けには会長の誕生日とか月見とかあったのに、なんで行動してないの?もうすぐ生徒会が解散するのに?」

 

かぐや「じゃあ、何?愛さんだったら会長を落とせるの!?」

 

かぐやからそう言われた私は、少し考えてから答えた。

 

愛「時間を掛ければ、落とせると思うよ」

 

私の言葉にかぐやは食い気味に反応してきた。

 

かぐや「言ったわね!だったらやってみなさいよ!私に掛かればイチコロと言うなら!」

 

愛「イチコロと言ってないし……。それに彼氏の優心くんがいるからやるつもりもないけど」

 

かぐや「一日で落とせるなら、落としてみなさいよ!」

 

愛「いや、一日で落とせるとも言ってないし。それとやるつもり無いって言ってるけど。優心くんの事が好きだから、やりたくないし」

 

かぐや「……弦巻くんは落とせて、会長は落とせないってことなのかしら?」

 

愛「……は?」

と、私はかぐやの言葉を聞いて、そんな言葉が出てしまった。

 

かぐや「それとも、あの弦巻くんを落とせたってことは、弦巻くんは女子に弱いダメダメな男子だったって事ね。本当は弦巻くんは愛さんの事好きじゃないけど、わざわざ付き合ってあげてるだけかもしれないし」

 

かぐやの言葉を聞いた私は、カチンと来た。

 

愛「かぐや、いい加減にして……!優心くんの事をバカにしないで!優心くんはそんな人じゃないし!」

 

かぐや「じゃあ会長のことも落とせるってことよね?」

 

愛「かぐやがそう言うならやるよ……!じゃあ、今日はもう帰る!」

 

私はそう言って、別邸から外に出て門の外まで出た。門の外に出た時に、私の護衛をしてくれてる皐が声をかけてきた。

 

黒服(皐)「愛さん、車か電車のどっちにします?」

 

愛「……車でお願い……」

 

黒服(皐)「分かった」

 

皐が電話をかけてその直後に車が来た。私は車に乗り込んで皐に隣に座って貰った。そして車が出発して少しした直後に、皐に泣きついた。

 

愛「皐、どうしよ……。かぐやに凄い事を啖呵切っちゃったし、優心くんにどう顔向けすればいいかな……」

 

黒服(皐)「ちゃんと説明をすれば、問題はないよ」

 

愛「そうかな……」

 

黒服(皐)「そうだよ。優心様と一番接してて分かってるよね?」

 

愛「うん」

 

黒服(皐)「もしかしたら、手伝ってくれると思うよ」

 

愛「……手伝って貰ったら、本当に会長が落ちそうで怖い。一日で落ちるはずがないと思うけど、手助けがあると分からないから手伝いはいらないかな……」

 

黒服(皐)「とりあえず、優心様にはちゃんと話はしましょう。愛さんから直接伝えてくださいね」

 

愛「……うん」

 

皐の言葉に私は頷いた。

 

しばらくして家に着いた後は、すぐさま優心くんの部屋に向かった。

 

部屋に入って別邸でのかぐやとの話を、優心くんに伝えた。

 

優心くんに伝えると、会長との件の事をオッケーしてくれた。その後も少し話をしてから、優心くんの部屋を出た。

 

出た後は、ご飯を食べてお風呂に入り、ベッドにもぐって寝たのだった。

 

 

 

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そして翌日の夕方に、カフェテリアが併設されてる本屋に私はいた。別邸でしていた変装の一つ……スミシー・A・ハーサカになった。

 

髪を短くしている私は、ウィッグをつけて前の髪の長さにした。そして、その本屋のレジ列に会長が並んでいるのを確認した私は、すぐに会長の後ろに向かい声をかけたのだった。

 

 

 

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~優心視点~

 

 

翌日の放課後になり、俺はかぐやさんと一緒に愛と会長がいる本屋にいた。

 

二人からは見えづらい場所から二人を見ていた。

 

 

愛はうまく表情や仕草を使って、会長を落とそうとしていた。かぐやさんはそれを見るたびに百面相みたいになっていて、それを横目で見て俺は苦笑いしていた。けど……。

 

優心(けど、一応承諾したけどやっぱり見てて気持ちは良くない……)

 

愛達を見ていた俺は、愛が演技の告白して会長が断って終わるまで、ずっと嫉妬しながら見ていた。

 

 

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そして夜になった。

 

 

かぐや「ほら、言った通りで会長は落ちなかったでしょ」

 

愛がウィッグを外している時に、かぐやさんがそう言っていた。

 

愛「別に……、一日で落とせるなんて言ってない

 

かぐや「え?」

 

愛「私、一日で落とせるとは言ってないし!時間をかけたら落とせるって言ったし!多分、1ヶ月あれば落とせたはずだし!」

 

かぐや「あ、愛さん……?」

 

愛「それに本当は、優心くんの事が大好きだからやりたくなかった!なのに、かぐやがやれって言ったのと、優心くんの事をバカにしたのが許せなかったから、仕方なくやっただけなの!」

 

かぐや「ご、ごめんなさい……」

 

愛の言葉に、タジタジになったかぐやさんは謝っていた。小さい子みたいに癇癪を起こしてる愛に近づいた。

 

優心「愛、落ち着いて」

と俺は言いながら、右手で頭を撫でてあげた。俺が撫でている間、愛は俺の空いてる左手を握っていた。

 

しばらくしていると、愛が口を開いた。

 

愛「……大丈夫……落ち着いた……」

と言ってきたので、俺は愛の頭から手を離してかぐやさんの方を向いた。

 

優心「かぐやさん」

 

かぐや「な、なんでしょう。弦巻くん……」

 

俺が声をかけると、何故か声を震わせながら返事をしていた。けど、俺は気にせずに続けた。

 

優心「こっちも、愛が売り言葉に買い言葉みたいになったり、俺もなんだかんだ承諾はしたから、とやかく言える立場じゃないと思うけど……」

 

かぐや「は、はい」

 

優心「いくら会長との件で言われた事に、カチンと頭に来ても愛に挑発しないでね。それに恋人がいる人に、今回の事をやらせるようなのも言わないでくれる?」

 

かぐや「わ、分かりました」

 

優心「じゃあ、帰ろっか」

 

かぐやの返事を聞いた俺はそう言った。俺の言葉に愛とかぐやさんは頷いた。

 

俺がかぐやさんと話をしてる間に、華さんが車の準備をしてくれてたので、俺は愛の手を引いてすぐに車に乗った。

 

かぐやさんを別邸まで送り、俺と愛は車の中でも手を繋いだまま、車が家に着くまで話をしながら帰るのだった。

 

 

 

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~かぐや視点~

 

 

 

かぐや「ご、ごめんなさい……」

 

愛さんと会長とのやり取りで、愛さんが小さい子の癇癪を始めた様に、愛さんが不満を言い始めてしまい、それを見た私は反射的に謝ってしまった。

 

すると、弦巻くんが愛さんの頭を撫でて落ち着かせて、愛さんはずっと弦巻くんの手を握っていた。その光景を見て少し羨ましいと思っていると、弦巻くんが声をかけてきた。

 

優心「かぐやさん」

 

弦巻くんが私の名前を呼んできた声のトーンは、凄く低かったので内心驚いていた。

 

かぐや「な、なんでしょう。弦巻くん……」

 

弦巻くんから低い声で呼んできたからなのか、返事をした際に声が震えていた。

 

かぐや(この私がまさか怖がってる……?兄様達じゃない他の人に……、けど怖いという感情を抱いてる……わね……)

と思いながら、しばらく弦巻くんから今回の件について色々と言っていることを聞いた。

 

弦巻くんが言っている事に、私は反論はしなかった。……いや、反論なんて出来るはずがなかった。

 

弦巻くんの今のトーンは、有無を言わせない声だ。兄様達の、何かを人質にしての脅迫や恐怖政治よりも、恐怖を感じた。弦巻くんのは少しタチが悪いかもしれない。

 

優心「……それに恋人がいる人に、今回の事をやらせるようなのも言わないでくれる?」

 

かぐや「わ、分かりました」

 

優心「じゃあ帰ろっか」

 

そうこうしていると、やっと帰る事になった。そして弦巻家の車に乗せてもらい、別邸まで送ってもらった。

 

かぐや(……VIP枠の皆さんが、前に弦巻くんを怒らせるなと言っていた際に、声の事を言っていた意味が分かりました。先程の声のトーンは聞いた全員が恐怖を感じる様なものだ。多分、天性だと思いますね……さっきの弦巻くんは気づいてはない感じでしたし……)

 

私は車に乗っている間、その様な事を考えた。すると別邸に着いたようなので、弦巻くんにお礼を言い車を降りて別邸内に向かうのだった。

 





次回は、現生徒会の一年間の全活動終了の話を書こうと思います。ただし、完成してませんので、時間はかかるかもしれません。


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第40話


今回は、生徒会全活動終了の話で進みますが、パスパレの白鷺千聖と氷川日菜の二人が少し登場します。

では、本編をどうぞ。



 

~優心視点~

 

 

愛が会長との件から、少し経った日。今日で生徒会の全活動終了の日だ。

 

優心「生徒会、一年間の活動あっという間だったね」

 

かぐや「そうですね」

 

片付けている時に言った俺の一言から始まり、皆が生徒会の出来事の思い出話をしながら片付けを進めた。

 

石上が生徒会室の隠し扉を開けた時はビックリしたけど、きれいに片付けられたので帰ることになった。

 

生徒会室から廊下に出た後、千花が泣いた。そしてその千花の姿にかぐやさんも、もらい泣きしていた。

 

会長「1年間お疲れさま」

 

二人を見た会長がそう呟いた。

 

しばらくして石上が声をかけてきた。

 

石上「どこかで打ち上げしません?」

 

会長「お、それいいな。どこでやる?やっぱりファミレスとかでやるか?」

 

千花「優心くんの家でやりましょうよ。優心くんもそれでいいですか?」

 

打ち上げの話になり、場所を俺の家と千花が提案してきた。

 

優心「(家に愛がいるから、色々言われるかも知れないけど、まぁ大丈夫だろ……。愛にも連絡しとけばいいし)」

と、考えた俺は承諾して、そのあとに校門前で車に乗って家まで向かった。

 

俺は車の中で、愛に生徒会の打ち上げの事と家でやる事をメッセージを送り伝え、その時に華さんに軽く食べれる物の準備をお願いした。その後に愛から"了解"と返事が来たのを見てから、皆の会話に入った。

 

 

 

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~弦巻家~

 

 

家に着いた。そして車から降りた千花以外の皆は口を開いて、呆然となっていた。

 

白銀「前に、家はでかいと聞いていたが、こんなにでかいとは思わなかったぞ……」

 

石上「家じゃなくて、宮殿の間違いなんじゃ……」

 

かぐや「……本当にそうですね。愛さんや藤原さんから大きいと聞いてましたけど、こんなに大きいとは思わなかったです……。それに……門から噴水までの道が遊歩道みたいです」

 

優心「左右の木は全部桜だから、春になったら一面桜で埋め尽くすよ」

 

千花「私も、その時に家に遊びに行ったことありますけど、凄くきれいでしたよ」

 

白銀「へぇ……。一度、見てみたい気がするな……」

 

優心「じゃあ来年、ここでお花見しようよ」

 

かぐや「いいんですか?」

 

優心「うん。今年の四月にこころが同学年のバンド友達とお花見してたから、問題ないよ」

 

白銀「じゃあ、来年の四月にここで花見だな」

 

そんな話をしながら家の中に入った。入ってみると靴の数が多かった。こころと愛が使ってる靴の他に学生靴が二足多かった。その為、玄関近くにいた執事の人に声をかけた。

 

優心「ねぇ、今日は誰が来てるの?」

 

執事「本日は、パステルパレットの白鷺様と氷川様がいらしていますよ。こころ様とご一緒に、こころ様のお部屋でお話しされています」

 

優心「ありがとう」

 

教えてくれた執事にお礼を言った時に、声がした。

 

愛「優心くん、おかえり」

 

優心「ただいま」

 

愛の言葉に"ただいま"と返したが、愛が来たことでかぐやさん以外の皆が驚いていた。

 

白銀「な、何で早坂が弦巻の家にいるんだ!?」

 

千花「しかも、"おかえり""ただいま"って夫婦のやり取りしてましたけど!……それより同棲してたんですか!?」

 

優心「まぁ、色々と訳があるんだけど、とりあえず一緒に住んでるから、同棲してたのは間違いはないけど……」

 

愛「……まぁ、理由は追々話すね」

 

千聖「優心くん、お邪魔してます」

 

愛が弦巻家にいる事に関してお互いに濁してると、いつの間にか近くに来てた学校の鞄を持った千聖さんが、"お邪魔してます"と言ってきたから俺は返事をした。

 

優心「千聖さん、いらっしゃい。……日菜は?」

 

千聖「日菜ちゃんは、こころちゃんとまだ話をしているわ。妹同士にしか分からない話題よ」

 

優心「……兄、姉の好きな所とか、"るんっ"てくる話をしてる感じ?」

 

千聖「えぇ、だから流石に話についていけなくて……」

 

優心「はは……そ、そっか……。それで千聖さんと日菜って、何でうちに来たの?」

 

千聖「私は日菜ちゃんに連れてこられたのよ。今日、私と日菜ちゃんはオフだったのだけど、日菜ちゃんがいきなりこころちゃんの家に遊び行きたいって言ったのよ。私はそれに巻き込まれた感じね」

 

優心「なるほど……「お兄様ー!」」

 

千聖さんの話をしていると、こころが走ってきた。こころは抱きつこうと手を広げていたので、俺も受け止める体制になり受け止めた。

 

優心「ただいま、こころ」

 

こころ「えぇ、おかえり!」

と、抱きついてきたこころとやり取りをした時に、こころが俺から離れて、目の前から少し横にずれた。

 

その行動に不思議に思ってると、廊下から足音がしてきたから目の前を見ると、荷物を持った日菜が走ってきた。

 

日菜「優心くーん、ひさしぶりー!」

 

優心「おっと!……そのまま、愛にバトンタッチ!」

 

そのままスピードを緩めずに走ってきたから、俺はビックリしたがなんとか受け止めつつ自分の体を動かして、勢いのまま愛に日菜を送った。

 

日菜「愛ちゃんに、もう一回抱きつくー」

 

愛「ちょっ!……わっ!」

 

ドン!と音を立てて、日菜に抱きつかれた愛は尻餅ついてしまった。

 

日菜「優心くんもそうだけど、愛ちゃんに抱きつくのも凄く"るんっ♪"てするよ!」

 

愛「もう、日菜。離れてよ……」

 

日菜「え~、折角るんっ♪てするのに~」

 

愛「……紗夜に抱きついた方が、その"るんっ"てやつがもっとすると思うよ」

 

日菜「あ、そっか!家に帰ったら、おねーちゃんに抱きつこ~!」

 

千聖「もう日菜ちゃんったら……。それにしても、まさか優心くんに彼女がいるとは思わなかったわよ」

 

日菜「ね。あたしも凄いビックリしたよ」

 

優心「夏休み前に付き合い始めたんだ」

 

千聖「そうなのね。……後ろにいる人達は学校の友達かしら?」

 

優心「うん。今日、学校の現生徒会の活動が終了だから打ち上げしに家に来たんだ」

と、千聖さんに聞かれた事を教えた。それを聞いた千聖さんは"そろそろ帰るわね"と言って、日菜と一緒に靴を履き始めた。

 

優心「いつでも、家に遊びに来ていいからね」

 

日菜「そうするねー。こころちゃんの家は、結構おもしろかったからまた遊びにいくよ」

 

千聖「私は気が向いたらね」

と、俺の言葉に二人はそう返して、玄関を出て帰っていった。こころと愛の二人は門まで見送りに付いていった。

 

こころ達が玄関を出たのを確認した俺は、皆の方を見た。見てみると、また唖然とした感じになっていた。そうなってる理由が気になったが、とりあえず声をかけて部屋に向かった。

 

 

 

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石上「あの、弦巻先輩。さっきの二人って、パステルパレットの白鷺千聖さんと氷川日菜さんですよね?」

 

打ち上げするのに使う部屋に入ると、石上がそう聞いてきた。俺は椅子に座りながら石上の言葉に俺は頷いた。

 

机の上には、フライドポテトとかの軽く食べれる物があるので、俺と皆はそれを食べながら話を始めた。

 

石上「知り合いなんですか?」

 

優心「うん、友達だよ。パスパレの皆と遊びに行ったりするし、仲がいいよ」

 

石上「芸能人と友達って凄いですね……。どこで知り合ったんですか?家のパーティーとかですか?」

 

石上に、友達だと伝えると"どこで知り合ったのか"と聞いてきたから、教えた。

 

千聖さんと日菜と俺は同い年な事や、こころと千聖さんが同じ学校、日菜は違う学校だけどこころと同じ部活動だから仲がいい事。それにバンド繋がりもあることを伝えた。

 

俺は、キーボードのイヴちゃん……若宮イヴと商店街の羽沢珈琲店で知り合ってそこからメンバーと仲良くなった事などを伝えた。

 

石上「……はぁ~、凄いですね。……知り合ったきっかけも驚きましたけど、氷川さんに抱きつかれてたのを見た時も、驚きましたよ」

 

優心「あれは仕方ないよ。日菜、たまに抱きついてくるから……」

 

かぐや「そうですか?」

 

優心「こころがよく抱きついてくるんだけど、それを日菜が真似して抱きついてきた事があったんだ。それで、るん♪ってきたみたいで、抱きついてくるようになったんだ」

 

俺がそう言うと皆は"へ~"となっていた。その後に白銀が口を開いた。

 

白銀「気になってたんだが、その"るん"っていうのはなんだ?」

と、白銀が"るんっ"という意味を聞いてきた。でも、俺も日菜の"るん"はよく理解してないから、"あんまり分からない"と答えた。

 

俺の言葉に、皆は"え?わからないの?"みたいな顔になっていた。

 

優心「俺の勝手な解釈だけど、皆の感覚で言う所の"楽しい"とか"おもしろい"とかの、ポジティブな感覚の事を言ってるんだと思う」

 

白銀「なるほど……だからあんなに笑顔で楽しそうだったのか……。そういえば早坂にも抱きついてたよな」

 

優心「それは、まぁ……愛に抱きついたのは愛の事を気に入ったって事だね。るんっ♪て言ってたし」

 

千聖さん達との知り合ったきっかけや、日菜の言葉……"るんっ♪"という言葉の説明したりした。一通り説明したあと、白銀が制服の事を言い出した。

 

白銀「それにしても、やっと冬服が脱げたわ」

 

石上「でも来週には衣替えですけどね」

 

白銀「それな!!……はぁ~、それはそうと、会長には二度となりたくないな……。この飾緒(しょくしょ)重すぎなんだよ」

 

かぐや「その飾緒(しょくしょ)は、金で出来ているんですよね。戦時下に秀知院卒業の将校たちが、特殊な工程で作ったらしいですから」

 

白銀「……そりゃ重いわ……。とりあえず、会長はもうやりたくないから、あとは他の優秀な人がやってくれたらいいんだけどな」

 

千花「でもあの激務を見てたら、誰もやりたくない感じですけどね」

と千花が言ったり、白銀が石上に会長に進めて石上が自虐的に否定したりしていた。すると石上が口を開いた。

 

石上「弦巻先輩は?」

 

優心「俺?」

 

白銀「あぁ~、確かにな。弦巻って学校内で慕われてるし、仕事の能力も高いから向いてるな」

 

優心「ん~……、俺はやろうと思わないかな」

 

千花「何でですか?」

 

優心「庶務みたいな仕事の方が俺的に向いてるって思ってるからかな」

 

かぐや「確かに、弦巻くんは率先して人を引っ張っていくよりも、サポートをすることが多いですよね。A組でも学級委員はやらずに、雑務系の仕事をやってますし」

 

石上「へぇ……、なんか意外っすね」

 

この後も会長の話題や、生徒会が終わった今の皆の呼び方などを話したりした。

 

そんなこんなでしばらく話をしていると、時間が遅くなってきたので皆が帰ることになった。なので、華さんに皆を車で送るようにお願いして、愛と一緒に皆を門まで見送った。

 

皆を見送った後から部屋に戻るまでの間、愛に日菜と千聖さんの印象とか、話しててどうだったなどの話をした。

 

日菜が紗夜の双子の妹だと聞いた時は驚いた事、だけど見た目が似てたから、すぐに納得した事を言っていた。あと、こころの抱きつきを真似して、日菜も抱きついてきて驚いたことも話してくれた。

 

千聖さんとは、日菜の行動の事で話をして、そこからすぐに仲良く出来たと教えてくれた。そんな話をしながら部屋に戻るのだった。

 

 

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~翌日・放課後~

 

 

翌日の放課後。白銀にまた生徒会長に立候補したと教えられた。

 

"昨日はあんなに嫌がってたのに"と思ったが、白銀の口ぶりを聞いてると、なんとなく分かってしまった。

 

多分かぐやさんに、何か言われたからだと察してしまった。

 

この時に愛も居たけど、愛も俺と同じような考えになったと、教えてもらったのだった。

 



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第41話


前回より期間が空いてしまいましたが、続きの話です。

急ピッチで仕上げた為に、変になってしまってる部分があると思いますが、それでも読んでくれたら嬉しいです。

では、本編をどうぞ。



 

~優心視点~

 

俺の家で生徒会活動終了の打ち上げをして、白銀がかぐやさんに何かを言われ、また会長に立候補をした日からしばらく経った。

 

そのしばらくの間に色々とあった。

 

例えば、生徒会終了した翌日から生徒会選挙準備期間が始まったが、その間に白銀がかぐやさんに応援演説を頼む時があった。

 

その際に、白銀がかぐやさんに告白するという雰囲気になり、校舎裏の所で何十人の生徒が見るという現象があった。

 

他には、選択授業の美術があった時だ。A組とB組と合同の授業だったが、初日はAとBの出席番号が近い人と似顔絵を書くという授業だった。先生曰く慣れてもらうかつ楽しんでもらう為と言っていた。

 

 

その時に、白銀とかぐやさんがペアになってお互いにヒートアップしあって、似顔絵を書いていた。それで白銀は凄く上手いかぐやさんの似顔絵を書いていて、かぐやさんは何故か白銀のほっぺを変して書いていた。

 

俺は、翼とペアだった。お互いに名字が、た行だし出席番号が近かったからだ。俺と翼は問題なく書いて授業を受けた。

 

愛は千花とペアだったらしく、絵が"うわー"となる感じだと言っていた。家に帰った後に、俺に書いてほしいと言ってきたから、部屋で書いて愛に渡してあげた。受け取ってくれた愛は喜んでくれた。絵は自室に飾ってると言ってた。

 

 

その出来事から、さらに少し経った日でも、白銀の目つきが良くなった。

 

かぐやさんがその白銀に興味がなくなった的な事もあって、その時にかぐやさんが"本物の愛"だとか言ってたみたい。

 

それで愛がかぐやさんに、"例えば好きな人の見た目が変わっても好きでいれる?"と聞かれた時に、即答で""見た目変わっても優心くんの事は好きでいれる"と言ったらしい。

 

それを家で、愛が恥ずかしそうという照れながら教えてくれた時は、俺は凄く嬉しかった。

 

もちろん俺も、"愛の見た目が変わっても好きでいる自信がある"って伝えた。俺がそう伝えると、愛はもっと照れてしまってたけど"ありがとう"と言ってくれた。

 

 

そんな日々が過ぎたある日。

 

 

廊下に生徒会長に立候補した人の生徒会選挙予測速報の結果が張り出されていた。

 

優心「生徒会長の立候補した人って、白銀を入れて三人か……。二人の内、一人は一年生でもう一人は二年生なんだね」

 

千花「本郷 勇人(ほんごう はやと)……ですか?みゆきくん、知ってる人ですか?」

 

白銀「……いや、知らないな。……知らないと思うが、石上は?」

 

石上「いえ、僕も知りませんよ。……弦巻先輩は?」

 

優心「本郷勇人……。2年C組に在籍の男子生徒で、確か甘いものが好きらしいよ。……俺が知ってるのはそれぐらいだよ」

 

白銀「いや、それでも俺らの中じゃ充分知ってる方だぞ。てか、クラスは知ってても不思議じゃないが、好きなものまで知ってるのはなんでだ?」

 

優心「何でって言われても、かれんとか他の皆と話したりしてると、知ったりするからね」

 

白銀「なるほど」

 

千花「それで、一年生の子は……伊井野ミコって子ですね」

 

石上「伊井野ミコ!?」

 

本郷の話の後に、一年生の立候補者の名前を千花が言ったが、その時に石上が驚いてフルネームで名前を叫んでいた。

 

優心「ミコも立候補してたんだ……」

と、俺は呟きながら、知り合いが立候補してたのに内心驚いていた。すると白銀が俺と石上に声をかけてきた。

 

会長「弦巻、石上は知り合いか?」

 

石上「俺は、一方的に知ってるだけですよ」

 

優心「俺は、お父様とお母様がミコの両親と知り合いなんだ。それで、ミコと小さい頃に会ったことがあるんで知ってるって感じだよ」

 

俺は白銀達にそう教えた。伝えた後に中庭でミコがいるのを見かけた。

 

優心「……ちょうど、中庭にいるから行ってみようよ」

と言って、皆で中庭に向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~中庭~

 

 

石上「伊井野」

 

ミコ「何?石上。私に話しかけないで」

 

石上がミコに声をかけると、ミコが嫌そうな顔で反応していた。

 

石上「俺が用があるんじゃないだ。俺はただの顔つなぎだ。用があるのは……」

 

白銀「君が伊井野ミコか」

 

ミコ「……どうも、白銀前会長」

 

白銀にもあまり好感触な反応ではなかったが、俺もミコと大仏に声をかけた。

 

優心「ミコ、大仏」

 

ミコ「あ、弦巻先輩!お疲れ様です!」

 

大仏「どうも、弦巻先輩」

 

ミコは慕ってくれてるから、元気良く反応してくれて、大仏はいつも通りの淡々とした喋り方だった。

 

優心「ミコ、お父様達は元気?」

 

ミコ「はい、元気ですよ。けど、弦巻先輩、両親達と会ってないんですか?」

 

優心「まぁね。お父様が、パーティーとかに声をかけたりしてるらしいんだけど、仕事が忙しいみたいで、来れないみたいなんだ」

 

ミコ「そうなんですね」

と、ミコの言葉を聞いた後に、大仏に声をかけた。

 

優心「大仏、この間の誕生日パーティー何で来なかったの?招待状を大仏個人に出してたし、届いてたと思うけど……。ミコは用事で参加できないって返事が来てたけど、大仏だけそれがなかったし」

 

大仏「出たくなかったので……。あんな芸能や政治関係の人達がいる中には」

 

優心「なら、出席か欠席かの返事ぐらいはしてくれない?準備してる黒服さんとか他の人たちも大変なんだから」

 

大仏「気を付けます……」

 

優心「次は来てくれたら嬉しいけどね。大仏が思うような裏のある人やスキャンダルのある人達とかは来ないよ。……弦巻家(うち)のパーティーには……ね」

 

大仏「行く気になれば行きますよ」

 

優心「まぁ、今はそれでいいよ。……あ、ミコ」

 

ミコ「はい、なんですか?」

 

優心「ミコがやってる学校外の清掃、やる時があればまた声かけてよ」

 

ミコ「いいんですか?」

 

優心「うん。前生徒会に所属してたけど、今年に入ってからは去年より落ち着いてたし、次の生徒会で選ばれても余裕はあると思うから出来ると思う。……まぁ家の用事とか、そういったのが重ならなかったらだけどね」

 

ミコ「分かりました。また声かけますね」

 

優心「うん、よろしく」

と、ミコと話をした。俺との会話が終わったミコは、白銀達と話を始めた。

 

その時に千花がミコに褒め殺しされたりそれに白銀達が反論したりして時間が過ぎていった。

 

因みに、ミコは自分が会長になったら、俺を副会長にすると宣言した時、白銀達は即座に反論せずに納得していた。

 

白銀達は、"弦巻が副会長だったらうまく行く未来しかしない"と、言っていた。千花は書記にすると言われて、"あ~……、私は変わらず書記か~"と、言ってた。

 

そんなこんなで話が終えて、俺達はミコ達と別れて、帰る為に荷物を取りに教室へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

白銀「伊井野の親の仕事って何やってるんだ?弦巻、伊井野の親の事を聞いていたりしてたけど、知り合いなのか?」

 

廊下を歩いてると、白銀からミコの親の仕事を聞かれた。

 

優心「お父様が高等裁判所の裁判官。お母様が国際人道団体に所属してる。で、お母様が所属してる団体は、弦巻家が設立した団体なんだ。それ絡みでミコの親と俺の親が知り合ったんだ」

 

そんな感じの話をしながら、教室に戻って解散となり一日が終わったのだった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~翌日・昼休み~

 

 

~空き教室~

 

 

今、俺はかぐやさんと愛の二人と、空き教室にいる。

 

 

なんで空き教室にいるのかと言うと、昼休みに入りお昼を食べた後、教室で愛と話をしながら過ごしていた。

その時に、かぐやさんが俺の所に来て"空き教室で話をしたい"と言われたからだ。

 

優心「それで話って何?」

 

かぐや「弦巻くん。伊井野さんの親は何をやっているか知ってるかしら?」

 

俺が質問すると、ミコの両親がしている仕事について聞いてきた。

 

優心「うん、知ってるよ。もしかしてそれを聞きたい感じ?」

 

かぐや「その通りよ」

 

優心「けど、その事を他の人には聞かれたくないから、空き教室で話をしたの?」

 

俺がそう聞くと、かぐやさんは頷いた。

 

優心(……選挙関係で揺さぶりを掛けたりしたいからって事かな?けど……)

と思いつつも、教える事にした。

 

ミコから親の仕事について誰かに質問されたら答えても大丈夫だと言われてるから、かぐやさんに教えた。

 

優心「まず、父親が高等裁判所の裁判官で、母親が国際人道団体に所属してるよ」

 

かぐや「そう。それで……「親で脅すの無理だよ」……!」

 

優心「ミコの親は、裏で何か悪さしてるとか無いから、そういうので脅すのは"絶対"に無理だよ」

 

かぐや「"絶対"……っていうのは言いすぎでは?」

 

優心「まぁ、言いすぎかもしれないけど、ミコの両親には言えるよ。だって、俺の親と知り合いの人間だよ」

 

かぐや「でも……」

 

優心「お父様とお母様は、不正などを働く人間だったら、容赦なく切り捨てるよ。それなのに切り捨ててないということは悪さはしていないという事になる」

 

俺の言葉にかぐやさんは、何も言わずに静かに聞いていた。

 

優心「……それに、お父様達は知り合った人間に対して、話したりして人となりを見て、さらには調査したりしてるから確実に言えるよ」

 

かぐや「……そう」

と、かぐやさんは静かにそう呟いた。

 

優心「まぁ、あくまで"親関係で"……だよ。ミコ本人の事で揺さぶればいいんじゃない。上手く出来るかはかぐやさん次第だけど。……じゃあ、俺は教室に戻るよ」

 

俺はそう言って空き教室を出て、愛と一緒に戻った。

 

愛「確かに、誠心さんと心美さんの二人の知り合いって聞くと、伊井野さんの親が悪さをする人なんて思わないね」

 

廊下を歩いてると、愛がそう言ってきた。

 

優心「でしょ。……まぁ、かぐやさんもお父様達の知り合いって聞いて、頭では分かってると思うよ。けど……」

 

愛「白銀くんに勝ってほしい……っていう気持ちが、先行して一時的に忘れてる感じだよね」

 

優心「多分ね。……今日の放課後とかにミコに何かするんじゃない?」

 

愛「うん、絶対するよ」

 

俺は愛の言葉を聞きながら、少し考え事をしていた。

 

優心(……もしかしたら、ミコの後とかにかぐやさんが本郷に脅しに行くかも知れないな……。何かしらのトラウマが刻まれる前に、本郷に忠告しといた方がいいかな……)

 

そんな事を思いながら愛の話に耳を傾けて、教室へと向かった

 

ーーーーーーーーー

 

 

かぐやさんと話をして、愛と話ながら廊下を歩いていた時だった。

 

かれん「優心さん」

と、後ろから名前を呼ばれた。声をした方へ顔を向けると、かれんとエリカの二人だった。

 

優心「愛。先に教室に戻ってて」

と、愛にお願いした。愛は頷いて先に教室に戻っていった。愛が離れたのを見た俺は二人に質問をした。

 

優心「二人してどうしたの?」

 

エリカ「さっき、うちのクラスにいる本郷さんが私達のところに来たんだけど」

 

俺が"どうしたの?"と聞くと、エリカの口から本郷の名前が出てきた。

 

優心(選挙関係の事か……?)

と、本郷の名前を聞いた俺はそう思いながら、続きを促した。

 

かれん「白銀会長の事を聞いてきました。私達を使って白銀会長のあることないことを流すつもりで近づいたと思います」

 

優心「だけど、かれん達は答えなかった」

 

俺がそう言うと二人は頷いた。

 

優心「だから、今度は白銀と仲がいい俺の所に来て聞いてくる可能性があると」

 

かれん「そうです。だから、優心さんに話をしました」

 

優心「ありがと、教えてくれて。……そういえば二人って部室に入れないようにしたって朝日先輩から聞いてたけど、それって本当?」

 

本郷の事を教えてくれた事にお礼を言った後に、朝日先輩が言ってた事を聞いてみた。

 

エリカ「そうです!けど、今は部室に入ってもいいと許可をくれました」

 

優心「そんな力強く言う必要ないけど。……そうか……。二人が白銀の事を言わなかったのは、白銀達を尊敬してるだけじゃなくて、部室には入れなかったからのも一つに理由って事だよね」

 

かれん「……まぁ、そうですね」

 

優心「……やっぱり。とりあえず教えてくれてありがとう。教室に戻るよ」

と言って、自分の教室へと向かった。

 

優心(昼休みに入ってすぐに、俺と話をしてたから微妙かもしれないけど、その後にかぐやさんがかれん達と本郷が話を見てる可能性があるな……)

と思った俺は、放課後にどう動くか考えて結論を出した。

 

優心(とにかく、放課後に本郷と会って話をする。それで、本郷が立候補を降りなければ、本郷の自業自得って事だろうな……)

 

俺が頭の中でそう結論付けた所で教室に着いたので、次の授業の準備を始めたのだった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~放課後~

 

 

放課後になった時に、本郷が教室に入ってきた。

 

本郷「弦巻。少し話がしたいんだが時間はあるか?」

 

優心「一応時間はあるから、大丈夫だよ。……それで話は何?」

 

本郷「廊下で話したい」

 

俺がは白銀の話だと知らないふりをして、"なんの用か"と聞くと"廊下で話したい"と言ってきたから、本郷の言う通りに廊下に出て話を促した。

 

本郷「今回の生徒会選挙予測速報は見たか?」

 

俺は、本郷の言葉に頷いた。

 

本郷「それでだ。今回の白銀の結果に関して、俺は何か裏があると考えたんだ。ただの混院で一般の人間にあそこまで票が集まるとは思えない。何か裏があると俺は思ったんだ」

 

優心「(やっぱり白銀の事か)……それで票を自分の物にする為に、白銀にとって打撃となる情報をくれ。もしくはそういった情報を流せとかの話?」

 

本郷「そうだ。弦巻は彼と仲がいいから、何か知ってるんじゃないかと思ってね」

 

本郷の話を聞いて俺は"やっぱり……"と思いながら、本郷の言葉に反論した。

 

優心「俺が、おいそれと友達の情報を流すと思う?しかもそれが、友達の事を陥れるような事をさ」

 

俺がそう言うと、本郷は何も言わなくなった。

 

優心「最初から分かってたら、聞いてくるな」

 

黙った本郷に俺がそう言うと、本郷はそのまま教室に戻ろうと歩き始めたが、本郷に忠告しようと思い呼び止めた。

 

優心「本郷、一つ言っとく」

 

本郷「?」

 

優心「生徒会長の立候補から降りた方がいいよ」

 

本郷「なんでだ?」

 

俺の言った事に対して、当然だが理由を聞いてきた。

 

俺は、かぐやさんの名前を言わないで上手く話をした。ある程度説明した俺は、"今後、一切の甘いものが飲んだり食べたり出来なくなりたいなら話は別だけど"……と、伝えてから教室に戻り荷物を持った。

 

 

そして、俺は家に帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

因みに俺が本郷と話してる間、かぐやさんはミコと今回の生徒会選挙に関して話をしていた事を、家で愛が教えてくれた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~翌日~

 

翌日になった時に、本郷は立候補から取りやめたと、かれんから聞いた。

 

その日の昼休みに、かぐやさんと愛から何をしたのかと聞かれた俺は"忠告しただけ"と答えて、内容は言わないようにした。

 

答えてくれないと理解した二人は、聞いてくるのを諦めてくれた。

 

ーーーーーーーーー

 

そして、放課後になった時に石上に生徒会室に来てほしいと連絡が来た。それを見た俺は生徒会室に向かった。

 

生徒会室には、白銀とかぐやさん、千花の三人も居た。

 





前書きに書いた通り、急ピッチで書いた為に変になってる部分があると思います。なので、今後少し修正をするかもしれませんのでご了承ください。

次回は出来てませんので、今回同様遅くなってしまうと思います。


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第42話


前回の続きです。

では、本編をどうぞ。



 

~優心視点~

 

 

石上から呼ばれ生徒会室に入ると、いつものメンバーの白銀、かぐやさんと千花がいた。

 

優心「皆も石上に呼ばれたの?」

 

白銀「あぁ、俺も四宮も藤原も石上に呼ばれてな」

 

優心「そうなんだ。……それで話って何?石上」

 

白銀の言葉に答えて石上に、"話は何?"と質問しながら生徒会室のソファーに座り、少し待ってると石上が口を開いた。

 

石上「今回の生徒会選挙は、圧倒的な差で勝ってほしいんです」

 

かぐや「それは私達が負けるかもしれないと言ってるんですか?」

 

石上「いえ、そう意味じゃないです。もっと圧倒的に勝ってほしいんです」

 

優心「どういう事?」

 

石上「……まず、伊井野は初等部の時から生徒会関係に立候補していたんです。けど、あいつはあがり症なので必ず大勢の人の前に立つと、何も話せなくなるんです。まぁ、別にその事はどうこう言うつもりはないですけど、でも一生懸命なやつが笑われるのは嫌なんですよ」

 

そんな事を言ってきた。

 

白銀「つまり、あいつが笑われないで俺たちが勝つっていう事をしてくれ……ということか?」

 

石上「そういうことです」

 

白銀「なるほど。だとすると、そのあがり症をなんとかしない限りは難しいぞ」

 

かぐや「確かに、そこが悩みどころですね」

 

千花「ですね。そう簡単には直せないですし、人目を気にせずに発表をする……みたいな事が、出来れば良いんですけど」

 

優心(人目を気にせずにか。だとすると……)

 

話を聞いた俺と白銀達は悩んだ。が、一つの案を思いついた俺は提案をした。

 

優心「俺から一つ提案していい?」

 

石上「なんですか?」

 

優心「立候補者演説を、アメリカ大統領の候補者達がやってる討論会みたいなのをやればいいと思う。応援演説はそのまま交互のままにしてさ。うまくいけばミコは白銀の顔しか見れないから」

 

白銀「討論会みたいにか」

 

優心「うん。交互だと、その人たちに面と向かって話す状態だからあがり症の人からすれば、緊張するのは当然だと思う」

 

白銀「だから討論会って訳か……。お互いに顔を見合わせる事が多くなるから、自然と周りの目を気にしなくなるって事か……」

 

優心「そういう事だよ」

 

千花「優心くん、それいい案ですよ!それだったら解決します」

 

かぐや「確かにそうですが、色々と問題が出てきますよ。その辺りはどうするんですか?」

と、俺の言った事に千花が"いい案"と言ってきたが、かぐやさんがそう質問してきた。

 

優心「かぐやさんの言う通りで、色々と問題は出るけど俺的に気にしてる問題が二つある」

 

石上「二つですか?」

 

優心「うん。まず、先生達と選挙管理委員会に提案にして、それを通すこと。いくら生徒会選挙で生徒達メインで動くとしても先生の確認無しに変更するのは駄目だ。それとミコにも話をしないといけないしね」

 

俺の言葉に、皆は"確かに"といった感じの表情だった。

 

優心「……まぁ、関係者への話は俺がなんとかするけど、一番問題なのは白銀が負ける可能性が高い」

 

白銀「それはどういう……?」

 

あまり理解してない感じの白銀に、俺は説明をした。

 

優心「あがり症のミコでも周りの目を気にしない状態……、白銀にしか目が行かなくなったりしたら、公約とかの事を自信満々に話すからだよ」

 

かぐや「つまり、公約の内容に対しての理由などの説明を言えるようになる。そうすれば聞いている人達からしてみれば、内容が受け入れられないものでも、説得されてしまうと言うことですか?」

 

かぐやさんが言ってきた事に頷きながら、話を続けた。

 

優心「そういうこと。……内容は通りづらいけど、それが白銀みたいに堂々と言っていれば、人の心が動くもんだよ」

 

白銀「でも、そう簡単には動かないだろ」

 

俺が言った事に白銀がそう言ってきた。白銀のその言葉に俺は"本当にそう思う?"と聞いた。

 

その言葉に白銀は"え?"となっていたが、俺は続けて伝えた。

 

優心「誕生日パーティーの時に、こころと会って色々と理解したでしょ。"世界を笑顔に"、これは一般的に考えれば出来る筈がないと思われてるし、そう思う人が多いのが当たり前。だけど、こころと会って話をした時に出来ると思ったでしょ?」

 

白銀「……確かに思った」

 

優心「こころは信じて疑わないから、皆にも出来ると夢を見させて思わせる。ミコが堂々と話せばこころと同じ感じになると思うはずだよ」

 

石上「それで負ける可能性が高くなると……」

 

優心「うん。それもある……けど、何より白銀ってあまり選挙の準備してないじゃん。今回の事をしなかったら、勝てると思うけど、俺が言ったことをすれば負ける方が高いよ」

 

俺がこころの話や白銀自身の事を言うと、白銀は慌てだしたしまった。

 

その様子に苦笑いしつつ、俺は先生達に話をするために立ち上がって白銀達に声をかけた。

 

優心「じゃあ、俺は先生達に話をしてくるよ」

 

千花「分かりました」

 

石上「すみません。わざわざ俺の話を聞いてしかも先生にまで話をしてくれるなんて……」

 

優心「気にしなくていいよ。大切な後輩の頼みなんだからさ」

と、石上の言葉にそう言って生徒会室を出た。

 

優心(俺が白銀が負けるかもって言った後から、かぐやさんが黙って考え込んでたな……。気になるけど、今は先生達に話を通すのを優先しないと)

 

生徒会室を出た後に、かぐやさんの様子を気にしたが、今やらなくちゃいけない事を頭の中を切り替えて職員室へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

職員室に着いた俺は、生徒会選挙に関わってる先生に生徒会選挙での話……、生徒会で話した内容を伝えた。(白銀達との会話をした事は伝えずに、新しい試みといった感じで伝えた)

 

その時に、ミコ側にも確認を取れてるかと聞かれたので、"まだ取れてない"という事と"先生達の確認からした方がいいと思った"という事を伝えた。

 

すると"ミコに確認してみてくれ"と言われたので、職員室から出てミコのクラスへと向かった。

 

一年のクラスを覗いてみると、ちょうど大仏と一緒に帰り支度している最中だった。

 

その様子を確認した俺は、"ミコ"と名前を呼び選挙の話を伝えた。話を聞いたミコは少し考えてから、承諾してくれた。大仏の方も反対ではないみたいだった。

 

ミコと話を終えた俺は職員室に向かい、ミコの確認が取れた事を伝えた。

 

先生「立候補者の二人が納得してるのなら、別に問題ないな。……とりあえず選挙管理委員会には、明日の朝に私から話しておくから弦巻はもう帰っていいぞ」

 

先生もオッケーを出してくれたので、俺は一安心した。

 

委員会の人には先生が話してくれるみたいなので、お願いして職員室を出た。

 

優心(もう暗くなってる……。まぁ、最終下校時間になってたし、当たり前か……)

と、職員室から下駄箱に向かうまでの廊下を、窓を外を見ながら思った。

 

そして、いつも通り電車で帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~弦巻家~

 

 

家に着き中に入ると、先に家に帰ってた愛が玄関で待ってくれていた。

 

愛「優心くん、おかえり」

 

優心「うん、ただいま」

 

愛に"ただいま"と伝えて、まず自分の部屋に向かった。

 

愛「今日はいつもより遅かったけど、もしかして選挙の事をやってたの?」

 

優心「うん、先生とミコに話をしたりしてた。選挙のやり方を提案してた感じだよ」

 

愛「いつものやり方じゃないの?」

と、愛が聞いてきたから、生徒会室でした白銀達の話の内容を愛に教えた。

 

愛「なるほどね。でも白銀くんが負けない様に、かぐやが色々と裏で動きそう……。石上くんが圧倒的に勝ってほしいって言ってたんだよね?」

 

優心「そうだよね。それに、俺が負ける可能性あるって言ったし、その言葉に白銀が慌ててたからね。あと、俺が提案した時ぐらいから、かぐやさんがなんか考えてる感じだったから」

 

愛「……それだったら余計に動くね」

 

学校での話を話してると、部屋に着いたから荷物を置いて一緒に部屋に入った愛に一つ質問した。

 

優心「こころは?」

 

愛「こころは、部屋で皐と話してるよ。皐とも話したいって言ってたから。あ、それとご飯はまだ食べてないよ。こころが"お兄様と愛と二人と一緒に食べたいからお兄様が帰ってくるまで待ってる"って言ってたから」

 

優心「じゃあ、早くこころを呼びに行かないとね。こころ、"お兄様が遅いからお腹ペコペコだわ!"とか言ってくると思うから(笑)」

 

俺の言葉に愛も少し笑みを浮かべていた。

 

俺と愛は部屋を出てこころを呼びに向かった。

 

優心「こころ、ただいまー」

 

こころ「おかえりなさい!お兄様」

 

皐「優心様、お帰りなさい」

 

優心「うん。今日の仕事はもう終わり?」

 

皐「そうだよ。家に帰ってからの作業も全て終わったからね。それでこころ様と話をしてたんです」

 

俺が皐と話してると、こころが腕を引っ張って来た。

 

こころ「お兄様!あたし、もうお腹ペコペコなのよ!だから、早く晩ごはんを食べましょう!」

 

俺がした予想と同じような言葉を言ったこころに、俺と愛は苦笑いしながら"そうだね"と言って、ご飯を食べる部屋まで向かった。

 

因みに、皐は自室に向かっていった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして、生徒会選挙当日。

 

 

応援演説と立候補者演説の前に、先生が立候補者のやり方が試験的に変えてると伝えていた。……が、皆は隣の生徒と会話をしててあまり話を聞いてなかった。

 

その状態が続いて、応援演説の際も同じだった。

 

大仏の応援演説でもそのままだったが、かぐやさんが出た時も同じだった。だけど、かぐやさんはハウリングをして、一瞬にして皆を黙らせ応援演説をした。

 

 

その後に、応援演説を終わって白銀とミコの二人がステージ上に上がった。

 

白銀が自分の名前など言って、次にミコが言おうとしたがここであがり症が出て話が進まなくなった。

 

しかし、白銀がマイクを使って公約に関しての事を伝えて、最後はマイクを使わずミコに対して何か呟いたのが見えた。

 

その途端に、ミコが"そんなことはありません!"と、大声を出した。

 

ミコ「各高校のブランドイメージのアンケートです。秀知院のブランド力は、年々下降の一途を辿ってます。その下降の原因はいくつかありますが、その中でもモラルの低下が強く印象付いているようです」

 

ミコ「その結果、年々の女子生徒の入学する人数が減っています。その上、共学と女子校との違いがありますが、秀知院のライバル関係にある月ノ森女子学園と白雪学園に、入学や編入、転校をする生徒が多くなっています」

 

白銀によって火を付けられたミコは立て続けに、説明をした。

 

白銀「その二校の評判はどうなんだ?」

 

ミコ「白雪学園と月ノ森女子学園のブランド力が下がったというデータはありません。むしろ、少しずつではありますが年々上がっていますし、生徒側のモラルに関するものも上昇傾向です」

 

ミコの主張がここで止まった。と思ったが、一呼吸を置いてから一言を大きく言い放った。

 

ミコ「こういった事から、私達は世間から"偏差値だけ良いボンボン共"と思われているのです!」

 

ミコが言ったその言葉で生徒達はざわついたが、ひとまずミコの学校関係の話から演説が始まった。

 

そこから、白銀がミコの説明に加わった事によりヒートアップして討論が進んでいった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ヒートアップしてきた二人は、演説の予定が大幅に過ぎても続いていた。その二人の様子は生徒は勿論、先生ですら止めれる雰囲気では無かった。その様子を見ていた先生が俺に声をかけてきた。

 

先生「弦巻。あの二人止めてくれないか?」

 

優心「……あれ、止めないとダメですか?」

 

先生「あぁ。……この後の予定があるから流石に止めないといけないんだが……、私達があの討論に入っていける勇気がなくてな……」

 

優心「……分かりました。(ちょうどミコの説明に一区切りつきそうだし、白銀が言う前に声をかければいいか)」

 

先生の言葉に承諾して、心の中で二人の様子の事を考えながらステージへと向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ステージ上~

 

ミコ「……という事が、私が公約の意味なんです!」

 

白銀「しかし、それだ……「二人とも、そこまででストップだ」……つ、弦巻?」

 

ミコ「弦巻先輩?」

 

俺が声をかけると、二人は不思議そうに俺の方を見てきて、二人を見ていた生徒達も少しざわついていた。

 

優心「今回の生徒会選挙の演説は終了だ。時間が大幅に過ぎてしまってるからね。先生からもその事は了承済だから、二人はもう下に戻っていいよ」

 

俺がそう言うと、二人は頷いてステージを降りていった。それを見た俺は大きめの声で先生に問いかけた。

 

優心「先生。これでいいですか?」

 

先生「あぁ、あとはこっちでするから、弦巻も降りてきてくれ」

と、俺に声をかけた先生がそう言ってきたから、"分かりました"と言ってステージを降りた。

 

そうして選挙演説は終わったのだった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして選挙結果が出た。出たのはいいんだけど、かぐやさんが気絶した。その気絶した理由は白銀とミコの点差が原因が関わってる。

 

 

その点数が『白銀・305』『ミコ・295』で、僅差だった。

 

 

かぐやさんが結果を見た瞬間に、白銀が勝った事にホッとしたのと票の差が僅差だった事での驚きなどで、気絶した感じだと思う。

 

千花がかぐやさんを保健室まで運んでいって、白銀はすごい汗をかいていて、内心焦ってる感じと勝てた事にホッとしてる感じだった。

 

優心「白銀、お疲れ。良かったじゃん、ミコに勝ててさ」

 

白銀「あ、あぁ……。弦巻の言う通りだったな。まさかここまでの僅差になるとは思わなかったし、危なかった」

 

優心「ただ、石上が言った圧倒的に勝ってほしいって要望には程遠い結果だったけどね」

 

白銀「……まぁ、そうだな」

 

愛「優心くん」

 

白銀と話してると、愛が声をかけてきたから、"どうしたの?"と聞くと、"かぐやさんの事が心配だから様子を一緒に見に行きたい"と言ってきた。

 

俺は"分かった"と伝えて、白銀に一言断りいれて保健室に向かった。

 

 

そして保健室に着くと、かぐやさんが起きてた。愛がかぐやさんに声をかけて、そのまま話を始めた。

 

二人の会話の中で選挙管理委員会とかが、かぐやさんの傀儡だとかぐやさんの口から聞こえた時は驚いたりした。

 

そんな話をしていると、愛が話を終えて俺の腕を引っ張り保健室から外へと出た。その時に白銀とすれ違った。それを見て"なるほど"と思った。

 

優心「白銀が来たことに気づいたから出たんだね」

 

愛「そういうこと。……優心くんはこの後どうする?」

 

優心「白銀の任命とかあるだろうから、本人にその事を聞いてから帰るから先に帰ってていいよ」

 

愛「分かった、先に帰ってるね」

 

俺は、愛の言葉に頷いて白銀が保健室から出てくるのをしばらく待った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~保健室前・廊下~

 

 

しばらくして、白銀が出てきた。その時、俺の事を見た白銀が驚いた顔をした。

 

白銀「弦巻、ずっとそこにいたのか?」

 

優心「うん。白銀に生徒会の役職について聞いておきたくて。……それで、今回の生徒会は?」

 

白銀「前回同様、弦巻に庶務をお願いしたい。やってくれるか?」

 

優心「了解。引き受けるよ」

 

白銀「ありがとう。……今回のメンバーも前回と同じ役職で四宮達を任命した。それに加え伊井野を会計監査として生徒会に入ってもらった」

 

優心「そっか、分かった」

 

庶務を引き受けて、メンバーの事も聞いた俺は"分かった"と伝えて、帰ることにした。

 

優心(……よし!)

と、帰ってる間に内心ガッツポースしてしまうぐらい嬉しかった。

 

 

家に帰って愛に庶務の事を言ったら、"良かったね"と愛も喜んでくれて、お互いにハイタッチしたのだった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~翌日・放課後~

 

 

~生徒会室~

 

 

会長「さて、長かった選挙も無事終了!二学期は体育祭に文化祭、修学旅行と行事があって忙しい!気張って行くぞ、新生徒会!」

 

会長の言葉に俺は頷いた。

 

選挙も終わって、会計監査にミコが任命され新生徒会としてスタートしたのだった。

 





最後の方の、かぐやが保健室に行った件。

原作だと、早坂に押されて保健室に行ってましたが、本小説では原作以上に票が僅差だった事と、それでも白銀が勝った事でホッとしたなどの原因で、気絶して倒れたと言うことにしています。

次回の話はまだ完成してませんので、投稿は遅くなると思います。


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第43話


前回から、1ヶ月と少し空きましたがやっと投稿です。

約1ヶ月が空いてしまった割にクオリティは高くないかもしれませんが、楽しんでくれたら幸いです。

そして、設定集の3つ目を作りました。

『キャラ・世界観設定(ネタバレあり)その3』というタイトルです。その2の次話として投稿されています。"その3"の内容は、キャラの呼び方を纏めたものです。


では、本編をどうぞ。



 

 

~優心視点~

 

 

生徒会選挙が終わり、新生徒会が発足してしばらく経った。

 

そんなある休日の午前中。

 

こころはハロハピの皆と出掛けてるが、俺はというと愛と一緒に俺の部屋で過ごしていた。

 

愛「ねぇ、優心くん。前からずっと気になってたんだけど、この少女漫画ってどんな話?」

 

しばらく部屋で過ごしてる時に、部屋の本棚に置いていた"今日はあまくちで"というタイトルの少女漫画の事を、愛が聞いてきた。

 

優心「えっと、主人公が人間不信で拒食症の女の子なんだ。それで、ある日通ってる学校に少しクチの悪い男の子が転校してくるんだ」

 

愛「うん」

 

優心「……その人間不信の子が、少しクチの悪い男の子との恋愛を通して、社交性を取り戻していく話だね」

 

愛「……でも、それって"今日はあまくちで"ってタイトルと合ってなくない?タイトル的に食べ物が関係してそうなのに……」

 

優心「それは読んだ方がいいよ。このまま話すとネタバレしちゃうし」

 

愛「……じゃあ、優心くんはこれを読んでどんな感想抱いたの?」

 

優心「凄く感動したよ。もうこれ以上ないぐらい泣いちゃった」

 

愛「それって言いすぎだと思うけど……」

 

優心「……確かに部屋にある他の漫画も、当然感動したり読んでて面白いよ。だって買うぐらいだからね。でも感動系の漫画の中だと、この漫画は"これ以上ない"って言っても、おかしくない位に感動したもん」

 

愛「……優心くんがそこまで言うから余計に気になってきたから、読むね」

と言ってから、愛は黙々と漫画を読み始めた。

 

ーーーーーーーーー

 

そして、愛が読み始めて少ししてから、愛はボロボロと泣きはじめた。俺はメイドさんにお願いしてタオルを持ってきてもらった。

 

メイドさんからタオルを受け取ってから、愛に渡した。

 

タオルを受け取った愛は、涙を拭きながらの状態でドンドン読み進めていっていた。

 

そして全巻読み終わると、愛はもう一度タオルで涙を拭いて感想を伝えてきた。

 

愛「……はぁ……、優心くんの言う通り、ものすごく泣いた。これは絶対泣いちゃう……良い話だった……」

 

愛は呟くようにそう言って、俺に""今日あま"をどこで知ったの?"と聞いてきた。

 

優心「つぐみちゃんから、教えてもらったんだ」

 

愛「つぐみって少女漫画が好きなの?」

 

優心「よく読むみたいだよ。それで、おすすめの漫画を聞いたら、この漫画を教えてもらったんだ」

 

俺がそう言うと、愛は"へぇ~"と言っていた。

 

愛「……でも、優心くんが少女漫画を読むなんて、意外だったよ」

 

優心「そう?……でも、前から興味はあったよ。珈琲店で、つぐみちゃんと漫画の話をする時があって、その度に面白そうだなって思ってたから、それでおすすめを聞いたんだよね」

 

愛「そうなんだ。じゃあ、つぐみに感謝だね。こんないい漫画教えて貰ったから」

 

優心「だね」

と、しばらく愛と漫画の話をしているとお昼の時間になった。

 

俺と愛はご飯を食べる部屋に向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~昼~

 

 

愛と話をしながらお昼ごはんを食べてると、愛がふと思い出した感じで一つ聞いてきた。

 

愛「そういえば、裏庭にテニスコートとかあるよね?」

 

優心「うん。あるけど、それがどうかしたの?」

 

愛「そのテニスコートの近くにある屋根付きの建物って、なんの建物なの?見た感じだとプールでもなさそうだけど」

 

優心「あ~、あれね。ソフトボール専用のバッティングセンターだよ」

 

愛「へぇ~。……でもなんでソフトボールなの?」

と、愛は驚かずに"へぇー"と言ってから質問してきた。

 

優心「はぐみの誕生日に、こころがプレゼントしたんだよ」

 

愛「はぐみの誕生日プレゼント……。なんでまた?」

 

優心「なんかね、はぐみがこころと話をしてる時に、ソフト専用のバッティングセンターがないって事を言ったみたいなんだ。それで、こころがはぐみの為に黒服さんにお願いして、出来たって訳だよ」

 

愛「なるほど。こころらしいね」

 

優心「でしょ」

といった感じの話をしながらお昼を食べていた。その時にソフトのバッティングをやるって事になった。

 

お昼を食べ終わった後に裏庭のバッティングセンターに向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~弦巻家~

 

 

~ソフトボール専用バッティングセンター~

 

 

愛「こんな感じになんだね。……あれ?あの一番端の方のレーンってソフトとは違う感じがするけど……」

 

建物の中に入ると、愛がそう言ってきた。

 

優心「あそこは、野球用だよ。俺がお願いして一つだけ野球用にして貰ったんだ」

 

愛「野球用って事は、街によくあるバッティングセンターと同じものって事だね」

 

優心「うん、そうだよ」

 

愛「……そういえば、私と優心くんが初めて遊んだ日にバッティングセンターへ行った時に、優心くんが"たまにやってる"って言ってたよね?……もしかして、ここでやってたってこと?」

 

優心「うん、ここでやってたよ。あの時にはもうここが出来てたから」

 

愛「そうなんだ」

 

愛と会話した後は、愛と罰ゲームは無しだけど勝負して遊んだりした。

 

 

その遊んでる途中で、こころがハロハピメンバーを連れて帰ってきたから、一緒に勝負して遊んだ。

 

他にもテニスコートでテニスしたりして一日が終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~翌日・放課後~

 

 

家で愛が"今日あま"を読んで、愛と途中で家に遊びに来たハロハピメンバーと、ソフトボール専用のバッティングセンターやテニスで遊んだ日の翌日。

 

その日の放課後、石上と二人で生徒会室にいると会長が紙袋を持って入ってきた。

 

石上「会長、それってなんですか?」

 

会長「妹が薦めてきた漫画なんだが、これが凄く泣ける話で……」

 

石上「ふーん……。でも、僕は結構読み手なので、大体先が読めるんですよね。泣かせにきてると分かるとシラケちゃうんですよね……」

 

石上の言葉を聞きながら、その石上が手に取った漫画を見てみると、今日あまだった。

 

優心「"今日あま"じゃん」

 

会長「知ってるのか?」

 

優心「うん、全巻持ってるよ。つぐみちゃん……家近くにある商店街の子に教えてもらったんだ」

 

石上「……弦巻先輩も泣きました?」

 

優心「泣いたよ。この漫画は泣かないとおかしいぐらいだから」

 

会長「やっぱりそうだよな……!」

と、俺が泣いた事に対して会長は食い気味でそう言ってきて、俺は少し引いてしまった。

 

優心「う、うん。めっちゃ泣いた」

 

石上「弦巻先輩もそう言うって事は、その通りだと思いますけど……」

と、石上は言ってから読み始めた。

 

読んでる間、石上は"泣かせに来てる"とか"チープだな"とか色々と言っていたけど、その途中でボロボロと涙が出てきていた。

 

石上「……泣かせに来てるって…分かってたんだけど……!」

 

会長「ほら、俺と弦巻の言った通りだろ!」

 

石上「……キラキラな恋をしたくなってきたくなっちゃたー!どっかで出会いないかなー!」

 

石上が泣いた事で会長が大声で"言った通りだろ"と叫び、石上も"恋したくなった"とかを大声で叫んでいた。

 

その石上の言葉に、会長が生徒会メンバーの女子陣、伊井野・かぐやさん・千花の名前を伝えはじめた。

 

そこから二人で話を始めたから、俺はその様子を横目に見ながら、"今日あま"をもう一回1巻から読み始めた。

 

石上「なんか好きになりそうです!こんな消去法みたいな感じじゃなくて、なんかこうこの人じゃなきゃっていう感じで好きになりたいんですよ!」

 

しばらく読んでると石上がそう大声を出してきたから少しびっくりして二人を見た。

 

会長「……じゃあ、弦巻の知り合いとかは?この間、弦巻の家に打ち上げ行った時に、パステルパレットの二人が居ただろ。その二人とかは?」

 

二人を見ると、会長が石上にそう伝えていた。

 

石上「あの二人は芸能人なので、無理ですよ。僕なんか釣り合わないです」

 

優心「……あの二人いい子だし、芸能人の前に一人の女子だよ」

 

石上「でも、僕的に高嶺の花って感じなんですよね。それに、どうしても芸能人だからとか考えちゃって……」

 

優心「ふーん。そういうものなのかな……」

 

会長「じゃあ、弦巻の他の知り合い達を紹介してもらったらどうだ?弦巻兄妹の誕生日パーティーで会ったこころのバンドメンバーとかその友達とかさ。弦巻兄妹の知り合いだし皆いい奴だろうから」

 

石上「……別に弦巻先輩の知り合いで、悪い人がいるって思ってないですよ。ただ、僕が釣り合わないって思ってるだけです」

 

優心「そんな事はないと思うけど」

 

俺がそう言うと、"ガタン!!"と生徒会室の扉が勢いよく開いた。

 

千花「誰ですか!?ここで恋だのなんだのと言っている人は!」

と、叫びながら千花が入ってきた。そのあとにかぐやさんも入ってきた。

 

石上「いや、これの話ですよ」

 

千花「"今日あま"だー!!」

 

石上が"今日あま"のコミックを見せながら、千花の言葉に石上が反応すると、漫画を見た千花がタイトルを大声で叫んだ。

 

千花「表紙を見ただけで涙が出てきた」

 

優心「千花も読んでたの?」

と、俺が千花に聞くと、"単行本はお父様の大地さんに止められてるけど、電子版の方は関係なかったみたいでそっちで読んだ"と、教えてくれた。

 

千花と会長と石上の三人と漫画の話をしていると、静かだったかぐやさんが、"あの……"と口を開いた。

 

かぐや「あの、この漫画って面白いんですか?」

 

そのかぐやさんの言葉に、俺以外の三人が即座に反応して漫画のストーリーとかの解説をし始めた。

 

だけど、しばらく皆からの説明を聞いてたかぐやさんは"そうですか……"と、興味ない感じで呟いた。

 

かぐや「それに皆さん、私を騙そうとしたじゃないですか。……その時、弦巻くんは居なかったので関係ないですけど……」

 

かぐやさんの言葉に俺は"?"となったが、他の皆はその言葉に過敏に反応していた。

 

かぐやさんの言葉を聞いた皆は、どうにかしてかぐやさんに"今日あま"を読ませるかという会話をしていた。

 

そして白熱していき、三人はガムテープで口を塞ぐという意味の分からない行動を取っていた。それでもモゴモゴと口を動かしていた。

 

俺はそんな三人を無視して、かぐやさんに声をかけた。

 

優心「かぐやさん。この漫画は本当にいい話だから読んだ方がいいよ」

 

かぐや「弦巻くんまで、私を騙そうとしてるの?」

 

優心「そんな事はしないよ。それに、この漫画はつぐみちゃんがおすすめしてくれた漫画なんだよ」

 

かぐや「つぐみちゃん……というと、夏休みに行った羽沢珈琲店の娘さんでしたよね?」

 

優心「うん。つぐみちゃんって少女漫画をよく読んでて、俺がおすすめを聞いたら、この漫画を教えてくれたんだ」

 

かぐや「……本当ですか?」

 

優心「本当だよ。俺も、俺の友達も薦めるぐらいだし、それに愛も読んで、いい漫画って言ってたよ」

 

かぐや「……弦巻くんが、そこまで言うなら一回読んでみます」

と、かぐやさんがそう言って、会長が持ってきてた紙袋に手をかけた。

 

かぐや「この紙袋に入ってる漫画は、弦巻くんのですか?」

 

優心「ううん。それは会長が持ってきた漫画だよ。圭に薦められて持ってきたみたい。だから会長に確認取った方がいいよ」

 

そう言って会長達の方を見てみた。

 

見てみると、いつの間にか会長達は静かになっていて、ミコがさすまたを持って、生徒会室に入ってきたという光景が目にした。

 

そんな状況に、俺とかぐやさんは困惑してしまったけど、俺はひとまず勘違いをしていると見て分かるミコに説明をした。

 

かぐやさんの方は、会長達のガムテープを剥がして、皆のテープを剥がし終えると会長に漫画の件を話をしていた。

 

 

そうしていると、一日が終わった。

 

 

因みに、かぐやさんも"今日あま"を読んで号泣したと翌日に教えてくれて、ホームルームや昼休みとかに愛と漫画の感想を語り合っていた。

 



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第44話


今回は、小説は丸山彩は出てきませんが、前半はかぐや様の病院回、中盤は少しだけオリジナル話、後半の方はバンドリのイベントストーリーを題材にして書いています。

後半の方で、グリグリのメンバーを出してますが、口調が違ってると思います。それでも読んでくれたら幸いです。

では本編をどうぞ。



 

~優心視点~

 

 

放課後に、少女漫画の【今日はあまくちで】の話題で盛り上がった日から、数日が経った。

 

その数日の間に、色々とあった。ミコの発案でベルマークを集めたり、翼が柏木さんと喧嘩をして相談しにきたりした。

 

他にも、会長とかぐやさんが体育倉庫で閉じ込められたりする……少年漫画のラブコメでしか見たことない凄い出来事があったりしたらしい。

 

愛から聞いた話だと、二人はキスしそうな雰囲気になったそうだが、ミコが入ってきてそんな雰囲気は無くなり、ミコに色々と言われていたらしい。

 

その話を無理矢理かぐやさんから聞かされたって事も、愛が言っていた。

 

 

そんな日々が過ぎたある日の放課後。

 

今日も、いつも通り放課後に生徒会室で集まっていた時だった。

 

ふと会長が、かぐやさんの髪に付いた糸くずを取ってあげた後の時だった。

 

会長が糸くずを取って少しした時に、かぐやさんが倒れた。

 

優心「黒服さん!」

 

黒服(華)「今、救急車をお呼びしました。他の者が保険医を呼びに行っています」

 

俺が華さんを呼ぶと、救急車をもう呼んでくれてたみたいだった。

 

そして、しばらくして保健の先生が来て見てくれて、そのあとすぐに救急車がやってきた。

 

そのタイミングで愛が俺の所へとやってきた。華さんが皐に即座に連絡してたみたいだった。

 

かぐやさんが救急車に乗せられる時に、愛が心配と言ってかぐやさんの側にいたい事と、俺も一緒に側にいてほしいとも言ってきたから、俺も一緒にいることにした。

 

なので、俺と愛は荷物を持って救急車に乗せてもらい、かぐやさんが向かう病院へと向かった。

 

ーーーーーーーーー

 

そして、今は病院の診察室にいて、先生が来るまで待っていた。少し待つと先生がやってきた。

 

優心「あ、お久しぶりです。田沼先生」

 

田沼「弦巻くん、久しぶり」

 

愛「知り合いなの?」

 

優心「うん。誕生日パーティーによく来てくれるよ。今年は用事で無理だったみたいだけど……。あとは翼の祖父でもあるしね」

 

愛「あ、そうなんだ」

 

田沼「……二人は付き合ってるのかい?」

 

愛と先生の事を少し話してると、田沼先生から"付き合ってるのか"と聞かれた。

 

優心「あ、はい。夏休み前の一学期には付き合いました」

 

田沼「そうか。弦巻くんも恋人が出来たのか……」

 

俺が言ったことに、先生はそう呟いていた。すると、かぐやさんが口を開いた。

 

かぐや「あの……」

 

田沼「あぁ、悪かったね。……四宮さん、まず話を聞かせてください」

と、かぐやさんにそう伝え、かぐやさんから倒れる前の事を聞き始めた。

 

そして話を聞き終えた田沼先生は"なるほど"と呟いた。

 

田沼「四宮さん、慌てずに聞いてください。……今回のは、恋の病だね」

 

優心・愛「「……え?」」

 

俺と愛は、かぐやさんの話を聞いた先生から出てきた言葉に"え?"という言葉しか出てこなかった。かぐやさんに至っては口を開いて固まっていた。

 

かぐや「お医者様でもご冗談を言うのですね」

と、固まっていたかぐやさんが言うと、"冗談ではない"と先生が返した。

 

かぐや「でしたらなんですか!?私は、頭を触られただけで、ドキドキしてしまって倒れてしまったという事ですか!?」

と、かぐやさんが大声を上げて反論をした。

 

田沼「えぇ、話を聞く限りその通りです」

 

かぐやさんの言葉に先生はそう返した。

 

先生の言葉に、かぐやさんはまた言い返して、そこからしばらくは先生とかぐやさんの問答が続いた。

 

俺はふと愛の方を見てみると、愛は顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。

 

優心「話が終わるまで、診察室の外に出て待っとく?

と、愛に聞くと控えめに"うん……"と言って頷いて、制服の袖を掴んできた。

 

優心「先生。俺と愛、診察室の外で話が終わるまで待っとくので出ておきます」

 

かぐや「弦巻くんに愛さん!?なんで、外に行こうとするの!」

 

愛「だって、堂々と恥ずかしい事を言ってるんだもん!ずっと聞かされてるこっちの身にもなってよ!私だってこの病院通ってるのに、もう来れないよ……」

 

俺が言った事にかぐやさんが、そのかぐやさんの言葉に愛が反論した。

 

そして愛は、最終的に手で顔を覆ってしまった。

 

優心「まぁ事実、愛の言う通りでここに居たくない……居づらいのは確かかな」

 

愛と俺の言葉に、かぐやさんは"二人してなんなのよ……"と言っていたが、先生に"もっと詳しく検査をして!"と言い放った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~検査室~

 

 

かぐやさんが言った"検査をして"という言葉で、この病院の先端医療の機械を使って、検査をすることになった。

 

俺と愛は終わるまで待つつもりだったけど、なんか先生や看護師の人達にお願いされて、操作する部屋にいることになった。

 

そして検査結果は、"綺麗な心臓をしている"という事だった。

 

それでも、かぐやさんは頑なに認めずに先生の言ったことに反論していた。

 

愛「……もうやだ」

と、かぐやさんの話を聞いていた愛が、とうとう耐えきれなくなり、顔を俺の胸にうめて抱きついてきた。

 

俺は愛の頭を撫でながら、かぐやさんと先生のやり取りを見守った。

 

二人のやり取りを見ていると、近くにいた看護師さんがこっちを見てきた。

 

看護師「最近、四宮さんの周りで変わった出来事とかはありました?」

と、看護師さんが聞いてきたが、愛は答えられそうになかったので、俺が変わりに答えた。

 

優心「つい最近、かぐやさんがその彼とキス寸前までになったって聞きましたよ。今回のは、多分それが関係してると思います」

 

かぐや「弦巻くん、何を言ってるのよ!?あれは単なる恐怖です」

と、かぐやさんは頑なに認めずに否定を続けていた。

 

そして、四宮別邸にお邪魔した時に、世界的名医の田沼先生をヤブ医者呼ばわりして違う病院に行くと言い出した。

 

愛「これ以上、恥を晒すのはやめてください……!」

 

愛が言った言葉で、ハチャメチャな一日が終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~翌日~

 

~ライブハウス・サークル~

 

 

病院でのかぐやさんの行動に巻き添えを食らった俺と愛は、翌日の休日にライブハウスのサークルに来ていた。

 

 

サークルに来ている理由は単純で、昨日のかぐやさんの事で恥ずかしい思いをライブを見て忘れようということで見にきたわけだ。

 

これは愛が提案してきたので、俺はその案に乗った感じだ。

 

因みに病院も変えるとも言っていた。昨日のかぐやさんの件と、今は弦巻家に住んでて遠くなったからと、理由を教えてくれた。

 

 

そういった感じでサークルに来て、今日やってるライブを見ることにした。

 

サークルのサイトとかは見ずに来たから、ライブをやってるか分からなかったから、まりなさんに聞いてみた。

 

聞いてみると、今日はライブがあると教えてくれた。

 

それで、出演バンドの名前を聞いてると、グリグリも出ることが分かった。

 

それを聞いた俺は即当日券二人分買って愛の手を引いてライブ会場へと向かった。

 

優心「グリグリも出るのラッキーだったよ」

 

愛「そのグリグリってどんなバンドなの?」

と、グリグリの事を知らなくて、グリグリのライブを見た事もない愛が、そう聞いてきた。

 

優心「グリッターグリーンってバンド名で、メンバーの皆は、こころが通ってる花女の生徒で三年生なんだ。それでギターボーカルをしてる人が牛込ゆりって名前の人で、りみのお姉さんだよ」

 

愛「りみにお姉さんが居たんだ……。違うバンドといっても姉妹二人でバンドを組んでやってるなんて凄いね」

 

優心「だよね。曲とかはこれから見るから、説明はしないでおくよ。……グリグリは一番最後に出るけど、楽しみにしててよ」

 

愛「うん。グリグリの出番まで楽しみにしながら、他のバンド演奏も楽しむよ」

 

少し話してると会場に付いたから、ライブが始まるまで待った。

 

グリグリの出番はトリだけど、最初から全部見るつもりだ。

 

そして、ライブが始まった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

~ライブ終了後~

 

 

ライブが終わった。

 

 

愛はすごくいい笑顔になってた。

 

優心「今日はそろそろ帰ろっか」

 

愛「うん!」

 

会場から出て、サークルの受付を通ろうとした時だった。

 

ひなこ「優心くんじゃーん!久しぶり会った気がする!てか、その隣にいる女の子は誰!?凄い可愛いし、その髪型も可愛いぃー」

 

ひなこさんに会った……けど、即座に愛の存在に気付き抱きつき始めた。

 

愛「ちょっ!?や、やめて……そんなに髪とかに触ら、触らないで……!くすぐったい。ゆ、優心くん……!」

 

優心「うん……、ドンマイ、愛」

 

愛「えー、ほんと、やめて……くださいよ……!」

 

二人を見ていると、足音が聞こえた。

 

そっちを見ると、ひなこさん以外の帰り支度が終わってる三人が来たところだった。

 

ゆり「弦巻くん、ライブ見に来てくれたの?」

 

優心「はい。そこで、ひなこさんの餌食にされてる彼女と一緒に見ました」

 

愛の方に指を指しながら、ゆりさんの聞かれた事に答えた。

 

愛の方を見ると、鵜沢先輩がひなこさんの首根っこを掴み愛から引き剥がして、鰐部先輩が愛と話をしていた。

 

ゆり「りみから聞いてたけど、本当に可愛いというか美人な女の子だね。りみ、香澄ちゃんと有咲ちゃんから弦巻くんに彼女ができたって、聞いた時は驚いたみたいだよ」

 

優心「そうなんですか?」

 

ゆり「うん。でも二人ならお似合いだから納得って、言ってたよ」

 

優心「そうなんだ……」

と、ゆりさんに言葉を返したりして、少し話をしてからサークルの外へと出た。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

グリグリの皆とライブハウスサークルを出た時に、巴と紗夜の二人がカフェテリアでいる所を見かけた。その近くにはアフターグロウのメンバーがいた。

 

紗夜「あ、優心さん。……少し話を聞いてもいいですか?」

と、二人がいるのを見かけた時に、紗夜と目があって紗夜に呼ばれた。

 

愛とグリグリの四人に"行ってくる"と伝えて紗夜と巴の所へと向かった。

 

優心「紗夜と巴が一緒にいるの珍しいけど、どうしたの?」

と、俺が言うと、巴が説明してくれた。……なんでも、あこから紗夜が悩んでると聞いて気になってた所に、サークルで紗夜を見かけて声をかけたと、教えてくれた。

 

そこに俺が来たことで、紗夜が俺に声をかけてきたらしい。

 

優心「なるほどね。……それで、紗夜は何かに悩んでるの?」

 

紗夜「日菜の事で……。というよりも憧れと慕ってくれる事に悩んでる、といった感じです……。二人は、苦痛に感じたことはないですか?ずっと憧れと言われ、追い続けられる事が……」

 

俺が聞いたことに紗夜が答えつつ、妹から憧れる・慕われる事についての質問をしてきた。

 

巴「……アタシは純粋に嬉しいです」

と、巴が切り出して話を始めた。しばらく巴が自分の思いを紗夜に伝えた。

 

伝え終わった後は、近くにいたアフターグロウの皆のところに向かっていた。

 

紗夜「優心さんはどうなんですか?こころさんに慕われていてお二人を見かけたりすると、よく抱きつかれたりと凄く仲がいいです。前に学校で、こころさんが優心さんの事が大好きと話していました」

 

優心「俺も巴と同じだよ。こころに慕われるのは凄く嬉しい。うちの場合、お父様とお母様が仕事で居ないことが多いんだ。だから、こころが慕ってくれてるだけでも、寂しさは紛れるんだ」

 

紗夜「そうですか……」

 

優心「……それに巴の言う通り、たった一人の兄妹だしね。……けど兄妹仲で言うと、俺とこころ、巴とあこは特殊だと思うんだ」

 

紗夜「特殊……ですか?」

 

優心「普通、姉妹や兄妹って紗夜と日菜みたいに比べられると思うよ。ましてや、紗夜と日菜みたいな双子だと余計にさ」

 

紗夜「そう……なんですかね……」

 

優心「うん。親から"お兄ちゃんだから~"とか、"お姉ちゃんだから~"って言われてたりすると思う。それで紗夜みたいに、コンプレックスに抱いちゃう人もいると思うよ」

 

紗夜「……」

 

優心「でも、そんな中でもその人達なりに兄弟姉妹に向き合ってる筈だよ。……だから、紗夜も難しいと思うけど、日菜に敬遠になってた気持ちとかを伝えた方が、いいと思うよ」

 

紗夜「自分の気持ちを……」

 

優心「うん。自分の気持ちや思いって伝えなくちゃ、相手に伝わらないよ。例えそれが、実の家族だとしてもね。……でもしっかり伝えることで、お互いに理解しあえるようになると思う」

 

紗夜「……そうですね。少し自分の考えや気持ちを整理してきます。……優心さん。今日は話に付き合ってくださりありがとうございます。失礼しますね」

 

優心「うん、またね」

と言うと紗夜はギターケースを持ってサークルに向かっていった。

 

優心(ギターを弾いたりしながら考えたりするのかな?)

と考えながら、グリグリの皆と話をしている愛の元に向かった。

 

向かうと愛は顔を真っ赤にさせていたから、その事を聞いたら秘密と言われてしまったが、愛と一緒に途中までグリグリと、学校の話とかをしながら家へと帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~愛視点~

 

 

今日は優心くんと一緒にライブを見る為に、ライブハウス・サークルに来ている。

 

来た理由は、昨日の恥ずかしい思いをしたかぐやの件をライブを見て忘れようと思ったからだ。

 

それで優心くんにその事を伝えると、即答でオッケーしてくれたから二人で来たんだ。

 

サークルに着いて、今日のライブに出るバンドを優心くんが確認していた。

 

先輩の知り合いのが結成しているグリグリ……グリッターグリーンって名前のバンドが今日出てるみたいなので、そのバンドの説明をしてくれた。

 

説明を聞きながらライブ会場へと入った。話を聞いて楽しみにしているとライブが始まった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ライブを見終わり、受付のほうへと行くと優心くんの名前を呼ぶ声が聞こえた。

 

声がしたほうへと顔を向けると、見た目はおっとりした感じの人だった。私は"誰だろう"と思ったと同時に、その人にいきなり抱きつかれた。

 

愛「ちょっ!?や、やめて……そんなに髪とかに触ら、触らないで……!くすぐったい。ゆ、優心くん……!」

 

優心「あー……ドンマイ、愛」

 

いきなり抱きつかれたと思うと、いきなり髪とかを触ってきたりした。

 

私は咄嗟に、優心くんに助けを求めたけど"ドンマイ"と言われて、助けてくれなかった。

 

リィ「いい加減、優心の彼女から離れろ……!」

という言葉と同時に、しばらく私に抱きついてきた人がいきなり離れた。

 

見てみると、ベースをやっていた人に掴まれて引っ張られていた。

 

鰐部「ひなこがごめんね。弦巻くんの彼女さん」

と、キーボードをやっているメガネをかけた人にそう言われた。私はそれに対して"助けてくださりありがとうございます"と、伝えといた。

 

お礼を言った後は自己紹介をして少し会話をしてから、サークルの外に出ることになったので、外へと出た。その時にギターボーカルの人とも自己紹介を済ませおいた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

サークルの外に出ると、カフェテリアに紗夜と巴がいるのに気が付いて、その時に優心くんが紗夜に呼ばれて、紗夜と巴の所へ行ってしまった。

 

優心くんが行ったのを見てからグリグリの人達に聞きたいことを聞いた。

 

愛「ゆりさん達と優心くんは、何がきっかけで知り合ったんですか?」

 

ゆり「弦巻くんとはスペースで知り合ったんだよ。……あ、スペースって知ってる?前に閉店しちゃったライブハウスの事なんだけど」

 

愛「行ったことはないですけど、知ってます。あと、都筑さんがオーナーをしていたって事も……」

 

ゆり「あ、オーナーの事も知ってるんだ。オーナーに会ったことはあるの?」

 

愛「優心くんとこころの誕生日パーティーで、都筑さんも来てたのでその時に会いました」

 

ゆり「そっか。……それで、弦巻くんがスペースにお客さんとして来てた時に、知り合ったんだ。他のバンドにも言ってたけど、演奏終わりにわざわざ感想を言いに来てくれたんだ」

 

愛「それで知り合ったんですね」

と、知り合ったきっかけをゆりさんから聞いた。聞き終わると、鰐部さんから声をかけられた。

 

鰐部「ねぇ、こっちからも質問していいかな?」

 

愛「はい、大丈夫です」

 

鰐部「それで、弦巻くんのどこが好きになったの?」

 

リィ「それ、私、気になってた」

 

ゆり「因みに、私も……」

 

ひなこ「私も聞きたーい」

 

鰐部さんが私に聞いてきた事は、私と優心くんの事だった。当然だけど好きになった所を聞いてきた。

 

しかもメンバー全員も聞きたいと言ってきたから、逃げ場はないと悟って答えることにした。

 

愛「……えっとですね……」

と、私は切り出して話を始めた。

 

話してる間、私は恥ずかしかったが、しばらく質問されてそれに答えてまた質問されてまた答えるっていうのを繰り返していた。

 

そうしていると、紗夜達と話が終わったのか優心くんがやってきた。その時に顔が赤い事を指摘してきたから、すぐに秘密と答えといた。

 

その様子を、ゆりさん達がニヤニヤしながら見てきてたから、余計に恥ずかしかった。

 

けど、もう帰ることになったので、途中まで皆と話をしながら帰った。

 

今日は色々とあったけど、昨日のかぐやとのやり取りの気分転換で来て良かったと思いながら、一日が終えた。

 





11月30日に、丸山彩役の前島亜美さんが降板のニュース知ってショックを受けた。しかも活動休止も発表もあった。

その発表を聞いてショックは凄かったけど、今はゆっくり休んでほしいし約六年間お疲れ様ですという気持ちや、また元気な姿で活躍している所を見たいという気持ちで、いっぱいです。

後任の方は選考中らしいですが、約六年間で築きあげてくれたものを引き継ぐ事はプレッシャーを感じると思うけど、引き継いでくれる方には頑張ってほしいです。作者はその方を応援していこうと思います。

さて、次回は体育祭の話です。と言っても、前に書いた誕生日パーティーやハピネール王国へ行った話みたいに体育祭要素は少なめか、ほぼ無いかと思いますのでご了承してください。


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第45話


体育祭の話です。前回の後書きに書いた通り、体育祭の要素などか薄かったり、ほぼ無かったりすると思います。並びに後半が雑な感じると思いますが、ご了承してくださると助かります。

体育祭は土曜日開催という事にしています。

この45話で優心の男友達A・Bと表記していた二人に名前を付けました。

では、本編をどうぞ。


 

 

~優心視点~

 

 

休日にライブを見に行ってから、しばらく経ったある日の今日。

 

今日までに色々と出来事があった。ミコと一緒に学校周辺での清掃をしたり、体育祭の準備を手伝ったりした。

 

それに、ミコから服装のルール違反をしていた愛が、違反しているのが少なくなった事を聞いてきた。

 

聞いてきた理由は、俺が愛とよく一緒にいるから何かを知ってるんじゃないかと思って俺に聞いてきたらしい。

 

それでミコと色々と話をした時に、俺と愛が付き合ってる事を教えることになったからミコに教えると、ミコは凄く驚いていた。

 

この時に、ミコには愛と付き合ってる事を秘密してほしい事とその理由を言っといた。理由とかを聞いたミコは二つ返事で承諾してくれたから良かった。

 

他にも、俺と樹と鋼の三人で、久しぶりに出掛けたりした。

 

樹の家がケーキ店だし、鋼の方はCD店でバイトしてたり、俺も生徒会の仕事したり公園で子供と遊ぶことが多くて、あまり遊びに行く回数が少ない。

 

どちらかというと、二人だけで出掛ける方が多いから三人で出掛けたのは久しぶりだった。

 

本音を言えばもう一人の友達をも誘って出掛けたいけど、今は東京に居ないから遊べない。

 

 

ひとまずそんな感じで日々が過ぎて、今日は体育祭。

 

 

俺がいるクラス、A組は白組になっている。

 

会長と千花のクラスはB組だから赤組になっていて、会長とは赤と白で違う組だ。それが知ったかぐやさんは落ち込んでいた……。

 

今日の体育祭で俺が出る競技は男子全員が出るソーラン節と、100m走、200m走と2年がやる棒引き、最後に選抜リレーに出る。

 

そして今は、100m走に出る人達の待機場所にいる。

 

自分がいる列の順番になってスタートした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして走り終わり、100m走の結果は一位だった。

 

順番の数字が書かれてる旗へ向かった後に、愛がいる方向を見てみた。

 

見てみると目があったから、俺は愛にピースをした。すると愛がピースを返してくれたから嬉しかった。

 

そして席に戻っても大丈夫になったので、愛の居る所に戻った。戻るとかぐやさんの姿が見当たらなかったから、そのことを愛に聞くと会長に会いに行ったと聞いた。

 

かぐやさんがいない訳を聞いて"なるほど"と思ってると、"お兄様ー"とこころの声がした。と思ったら、背中に抱きついてきた。

 

優心「お!こころ、見に来てくれたんだ」

 

こころ「もちろんよ!お兄様の頑張ってる所を見に来たんだもの。さっきは、すごく早くて凄かったわ!あ、それと今日はお母様とお父様と一緒に見に来たの!」

 

優心「そっか、ありがとう。……こころ、もう少し離れた方がいいと思うよ。俺、少し汗をかいてるから臭いだろうし」

 

こころ「そんなことないわ。花のいい匂いがするわよ」

 

優心「……それは洗剤か柔軟剤の匂いだと思うよ。お母様、多分そうだよね?」

 

心美「えぇ、そうよ。メイドと執事にお願いして、私が好きな匂いの柔軟剤を使ってもらってるわ」

 

優心「みたいだよ、こころ」

 

こころ「そうなのね♪」

 

女子A「ちょっと、弦巻くん?その抱きついてる子が妹さんで、隣にいる女性が母親でいいのかな?」

と、こころとお母様と話してると、クラスメートの女子に聞かれた。

 

優心「うん、そうだよ」

 

こころ「あたしは弦巻こころよ!あたしの事はこころって呼んで大丈夫よ!」

 

クラスメートに聞かれたことを答えると、こころが元気よく挨拶した。

 

こころの挨拶を聞いて、近くにいた男子陣は口々に"可愛い"とか呟いていた。女子陣も"可愛い"と呟きながら、すばるがこころに声をかけていた。

 

そしてすばるの言葉に答えたこころは、俺に抱きついてきた。俺は、こころを受け止めて頭を撫でてあげた。

 

いつものように、撫でてあげるとこころは嬉しそうな笑顔になってくれた。

 

こころ「あ、樹と鋼じゃない!」

 

しばらく撫でてあげると、こころが俺の中学からの男友達の樹と鋼の名前を口にして、二人の側まで向かった。

 

俺は、こころと二人が話をしている様子を見ながら、お母様の方を向いた。

 

俺はお母様に話しかける前に、お母様の護衛の黒服さんに"仕事お疲れ様"と伝えてから、お父様の事を聞いた。

 

優心「お母様。お父様って、大地さんとか他の人と話をしてるの?」

 

心美「そうよ。あと、今日は誠心が雁庵さんを連れて来たから、かぐやちゃんと雁庵さんの間を取り持つ為に、優心に会う前に赤組の方へ行ってるわよ」

 

優心「雁庵さん、来たの?」

 

心美「最初は迷ってたみたいだったけどね。けど、誠心が"大事な行事に行かないのはおかしい"とか言って、説得してたわよ」

 

優心「そっか」

 

心美「……あ、そうそう。優心に伝えておきたい事があるの」

 

優心「?」

 

心美「中学の頃に、一歳年下の楓って子がいたでしょ」

 

優心「うん」

 

心美「二学期に入ったこの時期に、上京して北高に転校してきたみたいよ」

 

優心「え……それほんと?」

 

心美「えぇ。楓くん父から、先週にいきなり連絡がきて教えてくれたのよ」

 

お母様の話を聞いた俺は、嬉しかった。中学の時に凄く仲良かった後輩が東京に戻ってきたからだ。

 

心美「来週の休日には、家に挨拶に来るみたいな事を言っていたそうよ。ちょうど学校での友達関係とか家の事とかが落ち着くっていう連絡がきたって、楓くん父が話してたわ。それと……ん?」

 

お母様からの話を聞いてると、お母様が静かになった。

 

心美「こころ、優心に話したいことあるの?」

 

静かになったと思ったら、俺の後ろの方を見ながらこころに声を掛けた。俺は後ろの方へ顔を向けた。

 

こころ「お兄様にお願いしたいことがあって、話してもいいかしら?」

 

優心「あ、うん。お願いってなに?」

 

こころ「あたし、かぐやと千花と御幸と優に会いたいわ!」

 

こころのお願いは、かぐやさん達に会いたいって事だった。

 

そのお願いを聞いた俺は、お母様に"行ってもいい?"と聞いてみた。

 

心美「もちろん行っていいわよ。さっきの話の続きは、夜にでも家で話すわ」

 

優心「うん、分かった」

 

お母様からオッケーをもらった俺は、こころと手を繋いで千花達がいる方へ向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

会長達の方へ行くと、雁庵さんとかぐやさんがお互いにぎこちなさはありつつも、話をしていた。

 

所々、かぐやさんに笑顔が見えて、雁庵さんも話を聞いて少し微笑んでるように見えた。

 

その二人の近くでは、お父様と大地さんと白銀父が話をしているのが見えたが、俺はひとまず石上と話をしている会長に声をかけた。

 

優心「会長、石上」

 

石上「弦巻先輩、それにこころさんも……」

 

会長「お、弦巻くん。こころも来てたのか」

 

優心「家族全員、来てくれたよ」

 

千花「あ、こころちゃん!」

と、こころの名前を呼んでやってきた千花が、こころと話を始めたから俺は手を離して会長と話を続けた。

 

石上は千花とこころの話に付き合っていた。

 

優心「かぐやさん、嬉しそうだね」

 

会長「俺は、元々の二人の仲が知らないが、四宮が喜んでいるなら良かったぞ。……けど今回、四宮の父親に初めて会ったが、結構年が離れてる様に見えたから驚いた」

 

優心「その辺は、訳ありみたいだよ」

 

俺がそう言うと、"そうか……"と呟いて静かになってしまった。

 

優心「……雁庵さんに何か言われた?」

 

会長「……四宮の父がうちの家の事で言ってきた」

 

優心「白銀製薬工場の事か……」

 

会長「あぁ、もし会社を取り戻したいなら協力すると言われたよ。そう言われた時は、驚いて咄嗟に答えられなかったし、すぐに親父と誠心さんと藤原書記の御父様が話をするって事になって、俺との話は終わったが……」

 

優心「……ここだけの話、会長の家の件は、雁庵さんは関与してないからね。四宮の長男が独断でやったみたいだから」

 

会長「そうなのか?」

 

優心「詳しくは知らないから、それしか言えないけどね。……だから、雁庵さんは言い方が上からだけど、助けようとしてるのは事実だから悪く思わないであげてよ。そんな言い方しか出来ない人なんだ」

 

会長「……」

 

優心「まぁ、あとはお父様達、大人の人達に任せておいて、俺らは体育祭を楽しもうよ」

 

俺がそう言うと、会長は"……おう"と答えてくれて、そのあとに体育祭の事を聞いてきた。

 

会長「弦巻が出る競技はあとなんだ?」

 

優心「俺が出るのは、あとは午後の競技だけだよ。200m走と棒引きと選抜リレーだよ」

 

会長「弦巻って100m走も走ってたが、午後も走る競技にでるんだな」

 

優心「そうなんだよね。クラスの皆が、"運動神経がいいから走る競技に出てくれ"って頼んできたんだ。それで100と200と選抜リレーに出ることになった訳だよ。……会長は?」

 

会長「まぁ確かに、弦巻は運動系の成績もいいから当たり前か。……俺はあとは棒引きと対抗リレーの方だな」

 

優心「なるほど。出るのはあと二つなんだね」

と、会長と話をしていると愛が走ってやってきて、しばらくした後にお母様が歩いてきてた。

 

愛は、雁庵さんが来てる事とかぐやさんと仲良く話してる事に驚いてたけど、その二人の元へと行って話に加わった。

 

あとから来たお母様は、お父様達の所へ行って話をしていた。

 

 

そうしているとお昼になった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~愛視点~

 

 

体育祭が始まって、少し経った。

 

今やっている競技は100m走だ。優心くんが出る競技だったから、優心くんの走る番を待ってると、ちょうど優心くんの番になった。

 

スタートの合図で使うピストルが鳴ったと思うと、優心くんは一気に他の走者の差を離していって、あっという間に100mを走りきり一位でゴール。

 

それでゴールして順位が書かれてる所に、優心くんが着いた時に、私は優心くんと目があった(気がするだけかもしれないけど)。

 

目があった気がすると思っていると、優心くんが私にピースしてきた。それを見た私はピースで返しといた。

 

すばる「相変わらずラブラブだね。愛達は」

 

三鈴「うんうん。羨ましい限りだよ」

 

優心くんにピースを返した時に、すばると三鈴がラブラブ・羨ましいと言ってきた。すぐ近くにいたクラスメートの他の女子も頷いていた。

 

愛「いきなりどうしたの?そんな事を言ってきて……」

 

すばる「いや~、単純にそう思っただけだよ。ね、三鈴」

 

三鈴「そうそう。……それにしても弦巻くん走るの早かったよね。圧倒的だったし、あれで運動部に入ってないの不思議だよ」

 

愛「でも、その運動神経がいいから、走りの競技は出るんだよね。優心くんは」

 

すばる「100m走以外の走る競技で弦巻くんが出るやつって、あとは200m走に選抜リレーだよね」

 

愛「そうだね。クラス全員とか男子全員以外の競技だと、200と選抜の二つだね。優心くんが出るのはね」

と、話をしていると優心くんが帰ってきた。

 

優心「戻ったよー」

 

愛「あ、おかえり」

 

優心「うん。……あれ、かぐやさんは?見かけないけど……」

 

優心くんに"お帰り"と伝えると、かぐやの事を聞いてきた。

 

愛「かぐやは会長のところに行ったよ。ほら、優心くんの前に会長が100m走って一位取ったでしょ。それで会いに行った感じだよ」

 

優心「そうなんだ」

 

こころ「お兄様!」

 

かぐやがここにいない理由を、優心くんに伝えるとこころの声がした。……と思ったら、こころが優心くんの背中に抱きついていた。

 

そこからは二人で会話を続けてた。

 

私以外のクラスメートは、こころがいきなり現れてから、少しついていけていない感じだった。

 

けど、一人の女子が勇気を出して声をかけると、こころがいつものキラキラで純粋すぎる満面の笑顔で、自己紹介を始めた。

 

その笑顔に、この場にいたA組の男子全員、女子陣も"可愛い"と言っていた。

 

愛(皆、こころにイチコロされちゃってる)

 

すばる「ねぇねぇ!こころは弦巻くんの事は好きなの?」

 

こころ「えぇ、大好きよ!お兄様は、いつもあたしのしたい事を一緒にしてくれたり、お願いを聞いてくれたりするの。それに、すごく優しくてかっこいいもの!」

 

こころはそう言って優心くんに抱きついて、優心くんは優しい笑みで、こころの頭を撫でていた。

 

すばる「……今の言葉と光景を見て、お兄さんの弦巻くんの事が大好きなのは凄い伝わったし、仲がいいのが凄く分かる……」

 

女子A「確かに……。私は弟がいるけど、こんな風に慕ってくれないから、弦巻くんが羨ましい……!」

 

二人の様子を見た女子が"羨ましい"と言ったり、すばるの言葉にクラスの皆は頷いていた。

 

こころ「あ、鋼と樹じゃない!」

と、優心くんに抱きついていたこころが、優心くんと仲がいい男子二人に気が付いて、二人の名前を呼んでいた。

 

名前を呼んだ後のこころは、優心くんから離れて二人の側まで近付いた。

 

鋼「よ!中学以来ぐらいだな」

 

樹「久しぶり、こころ」

 

こころ「えぇ、久しぶりね。今度一緒に遊びましょう!久しぶりに、お兄様と鋼と樹の三人と遊びたいわ」

 

樹「予定が合えば行きたいね。……そういえば楓ってまだ東京に戻ってきてないんだよね?」

 

鋼「その話は俺らは聞いてないし、弦巻からも何も言ってきてないとなると、まだ帰ってきてないんだろ。でもまぁ、あいつ言った事は破らないし、常に有言実行で行動してたし」

 

こころ「あたしも楓に会いたいわね。それに遊びたいわ」

 

鋼「だな。冬休みとかに五人で出掛けられたら、いいよな」

と、しばらくこころが優心くんの男友達二人と話を始めた。

 

愛(新川くんと古川くんは、中学時代からの優心くんの友達だから、こころと知り合いなのは当たり前か。……楓ってここに居ない別の友達なのかな……?)

 

そんな事を思ってると、クラスの三鈴に声をかけられた。

 

三鈴「弦巻くんとこころって、凄く仲がいいね」

 

愛「ね。小さい頃からあんなに仲がいいらしいよ」

 

すばる「二人の仲が良さを見ると、喧嘩したことないって勝手に思うけど、愛は実際その話は聞いたことある?」

 

愛「ううん、その話はないよ。いつもあんな感じだって。私も優心くんとは喧嘩した事ないし……」

 

すばる「そうなんだ。……てか、ちゃっかり惚気の部分を言ってきたね」

 

すばるの言葉に私は"あ……"となった。そんな私の様子を見たすばると三鈴は、"本当にラブラブな二人"と苦笑いして言っていた。

 

二人のそんな言葉を聞いてると、優心くんとこころが手を繋ぎながら赤組の方へと向かっているのが見えた。

 

愛(会長とかかぐや達に会いに行ったのかな?)

と思いながら二人を見ていると、クラスの男子陣の声が大きめの声が聞こえた。

 

男子A「この裏切り者ー!なんで弦巻の妹とあんなに仲良く話してるんだー!」

 

他男子達「「そうだー!」」

 

男子陣の方を見ると、優心くんの友達の新川くんと古川くんに、こころと仲良く話をしてた事を問いただしていた。女子陣の方は、私弦巻兄妹の仲の良さとかで盛り上がっていた。

 

私は、"男女でこんなに違うんだな……"と思っていると、"愛ちゃん"と心美さんに名前を呼ばれた。

 

愛「心美さん?なんですか?」

 

心美「奈央のことで教えときたい事があってね」

 

愛「ママがどうしたんですか?」

 

心美「午前中はここに来るのは無理みたいのよ。でも、お昼にはちゃんと来れるからね」

 

愛「ほんとですか!?」

 

心美「ふふ、本当よ」

 

私は心美さんの言葉に……ママがお昼からとはいえ、見にきてくれるのが嬉しかった。

 

すばる「ねぇ、愛ってお母さんの事を"ママ"って呼んでるの!?」

 

嬉しがってると、すばるが私が言ったママという単語に食いついてきた。

 

他の皆も話に食いついてきたのを見て、私は内心"しまった"と思ってしまい、"どうしよう"と悩んで、今は逃げることにした。

 

愛「……ちょっと優心くんとこころの所に行ってくる!」

 

私はそう言って、走って向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~弦巻母・心美視点~

 

心美(優心がいるクラスの皆は、華が言う通り仲がいいわね)

と、愛ちゃんが走って優心の所へ向かってから、優心のクラスの皆を見て私はそう思っていた。

 

心美「……皆は本当に仲がいいわね。こういった学校だと色々と確執があったりしそうだけど」

 

男子A「……それは弦巻のお陰ですよ」

 

私が呟いた言葉に、優心の友達に問い詰めていた子の一人が言ってきた。

 

心美「あら、そうなの?」

 

男子A「あ、はい。最初は確執が少なからずありましたけど、弦巻が動いて次第にそういうのが無くなった感じですね」

 

三鈴「確かにそんな感じだよね」

 

すばる「うん。それに何か問題が出たら、いつも解決するために動いてくれるし、クラスの皆のサポートに入ってくれたり支えてくれたりしてるし」

 

女子A「それに笑顔のために頑張ってる姿とか、平等に接する姿とかを見てると、差別だとかをするって考えにならなくなるしね。そもそも、それは駄目な事なんだけどね」

 

男子B「そうそう。自然と純院だとか混院だとか、関係なくなっちゃうよな」

 

女子B「そうだよね。皆で仲良く過ごす方が楽しいって気づかせてくれたって言う感じ?……かな。だから自然と仲がいいクラスになったよね」

 

皆から出てくる優心のいい言葉を聞いて、親として嬉しくなった。

 

心美「そう言ってくれると、親としても凄く嬉しいわね。これからも、優心と仲良くしてくれると嬉しいわ」

 

私がそう言うと、"もちろん"といった感じで頷いてくれたりした。

 

その光景を見た私は、愛ちゃんの後を追いかける形で、優心達の方へ向かった。

 

 

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~愛視点~

 

 

すばる達から逃げて優心くん達の方へ着いた。

 

ただ、着いた時に見た光景に目を疑った。その光景は、雁庵様とかぐやが話をしているからだ。私が目を疑ったのは、雁庵様が学校に来ているという事にだ。

 

前に、かぐやから新学期が始まった日の夜に電話がかかってきたと聞いた事があった。その後も夜に電話をしているとも教えくれてた。

 

私自身は雁庵様の印象は変わってはないが、かぐやが嬉しがってたり、二人の仲が良くなってるのなら別にいいかと思っている。

 

だけど、まさか学校に来るとは予想はしていなかった。

 

かぐや「あ、愛さん」

 

愛「え、えっと……、お久しぶり?ですか……雁庵様」

 

色々と考えてると、私に気づいたかぐやに名前を呼ばれ、咄嗟に変な感じに雁庵様に声をかけてしまった。

 

しかし雁庵様は、特に気にする素振りを見せてこなかった。

 

そのまましばらく話をしていた。話をして分かったことは、雁庵様は意外と娘に甘い感じだと分かった。

 

 

そうして時間が過ぎて、お昼になった。

 





男友達二人の名前は、男友達A➡️新川鋼(しんかわこう)・男友達B➡️古川樹(ふるかわいつき)です。

45話以前に男友達が出てきた話で"男友達A・男友達B"と表記してたり、優心の台詞に男友達と書いてた部分などを鋼・樹に修正しました。(変わってない箇所があったらメッセージなどを送って教えてくれたら幸いです)

設定集その1に、友人二人の名前とキャラ設定などを記載しました。

次回は、この話の続きの体育祭の書きます。


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第46話


前回の続きです。 

前回同様、体育祭要素は少なめ・ほぼ無いです。というよりは確実に無いと思うかもしれません。

それに加え、所々雑になっている部分がありますが、それでも読んでくださればありがたいです。

では、本編をどうぞ。



 

 

~愛視点~

 

 

お昼になり、心美さんが言った通りにママがやってきた。

 

ママは少し私と話した後に、優心くんと話を始めた。その様子を見た私は、その事に"む~"となってしまった。

 

愛(優心くん、ずるい……。ママとしゃべるなんて……)

 

私はそう思いながら、二人が話し終わるのを待っていた。

 

しばらく待ってると、優心くんがママの質問にタジタジになりはじめた。

 

愛(優心くんがタジタジになってるの新鮮だ……)

と見たことがない優心くんの状態を、一人満足していると心美さんが会話に入っていった。

 

心美「……奈央」

 

奈央「……ごめんなさい」

 

会話を見ていると、ママが素直に謝った。そんな光景も見たことがなかったが、ママが私のところへ来たから話したいことを話した。

 

 

ママと夢中になって話をしていると、お昼が終わる時間になった。

 

 

ママの別れ際に、午後の競技も頑張る事を伝えてから、自分達のところへ戻った。

 

その時に、すばる達にママ呼びの事を言われたりする事がありつつも、午後の競技も始まった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~優心視点~

 

 

お昼になった時に、愛のお母様がやってきた。俺は会ったことがなかったから、最初は分からなかった。

 

けど、見た目というか雰囲気とかが愛に似てたから、愛の母親と聞いた時に、"あ、そうなんだ"とすぐに納得した。

 

奈央「君が愛の彼氏ね。私は愛の母、早坂奈央よ。心美の息子の弦巻優心くんよね?」

 

優心「あ、はい。弦巻優心です。えっと奈央さんは、お母様と知り合いなんですか?」

 

奈央「そうよ。愛と君が生まれる前ぐらいに、仕事関係で知り合ったんだよね」

 

優心「そうなんですね」

 

奈央「……それで、愛のどこを好きになったのかしら?」

 

いきなり奈央さんにそう聞かれた。

 

奈央「もしかして、そういうのない感じかしらー?」

 

優心「いや、ありますよ」

 

奈央「そう?じゃあ教えてくれない?……あ、可愛いは駄目よ。可愛いは当たり前なんだからそれ以外の理由でね」

 

優心(えぇ……。可愛い以外に理由はあるけど、それを言うの無しって……)

と、奈央さんの言葉にそう思ってしまったが、ひとまず聞かれた事に返すと、今度は別の事を聞かれていった。

 

その繰り返しのやり取りに"どうしよう"となってると、お母様が会話に入ってきた。

 

心美「奈央、あまり優心をからかうような質問はしないで」

 

奈央「別いいじゃない。からかって減るもんじゃないでしょ」

 

心美「……奈央」

 

奈央「……ごめんなさい」

 

お母様の圧に奈央さんは素直に謝っていた。

 

心美「優心、あまり奈央の質問には真面目に答えなくていいわよ」

 

優心「何で?」

 

心美「さっきみたいに、からかい目的で話するのが多いからよ。……とりあえず分かった?」

 

優心「うん」

 

お母様の言葉に、俺に頷いといた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして時間が過ぎていって、午後の競技の時間になった。

 

皆はそれぞれ競技に参加していって、そういう俺も200m走も出たりした。そして順調に進んでいって、対抗リレーの時間になった。

 

対抗リレーに出る生徒たちがグランドに出て、次の競技に出る人達の待機場所に選抜リレーに出る生徒達(俺もだが)にいた時だった。

 

「石上がアンカー?」

 

「マジ最悪なんだけど」

 

観覧席や保護者席などがすぐ隣にある待機場所で、選抜リレーに出る人達が待っている間に、聞こえてきた言葉だった。

 

そんな言葉が聞こえて、石上がいる方へと見てみた。その見た時の一瞬だけだったが、石上のすぐ近くに大友が居るのと、石上の曇った顔が見えた。

 

 

なぜ、石上が悪く言われているのか、石上の顔が曇ったのかというと、石上が中学三年の時に起こした事件が原因だ。

 

……いや、荻野というクズに石上が悪者扱いにされた事件……と、言った方が正しいか。

 

その事件は、石上の近くにいる大友という女子を巡って起きたんだ。

 

大友という女子は、中学時代に少し浮いていた石上にも、気さくに話しかけていた。そしてその大友には、荻野という彼氏がいた。

 

ある日、その荻野が大友に対し如何わしい事(他の女子にもしていたらしいけど)、そういった事をしようと動いているのに、石上が気がついた。そして石上は荻野に確認する為に接触をした。

 

接触をして話をした時に、荻野自身からやっている事を勧められて、しかも大友の事を物扱いの様に言ってたそうだ。

 

その荻野に石上がキレて、気が付いたら荻野を殴っていた。石上自身は、大友を助けようと動いただけだったが、殴ったのが悪かった。

 

石上が殴った結果、石上は大友のストーカーで、荻野と大友を別れさせようと荻野を殴った……といった内容を荻野に広められてしまい、大友だけではなく学校の皆からも悪者扱いされた。

 

この時に石上は反論したが、荻野を殴ったという事実はあったから誰も聞く耳を持つことなかったらしいが、これは仕方ないと言えば仕方ない部分がある。

 

現実問題、どんな事があろうと暴力沙汰を起こした人の方が悪い……などと、色々と言われるのが当たり前の事だ。

 

その結果、その後の石上は暴力沙汰を起こしたから、停学処分になってしまったんだ。

 

高等部に進級は無理みたいな話が出てたみたいだが、校長が何かしら関わったことで進級は出来たとのこと。

 

ひとまずこれが、石上達の中学在籍に起きた出来事だ。

 

そしてなぜ、俺や会長達がその事を知っているのかというと、石上が高一で、俺と会長、かぐやさんと千花が高二に進級した時にした話だったからだ。

 

生徒会室で、かぐやさんが石上の話をしてきたのがきっかけだ。

 

そこから、石上の為に調査を開始した。

 

その時に俺がしたのは、千花と同じように情報集めをした。千花は石上の件で詳しそうな後輩からの情報集めをして、俺は荻野や大友に近い人間の方から情報を集めた。

 

情報を集め終わったあとは、会長が石上に直接会いに行って話をして、最終的に石上は登校してくるようになった訳だ。

 

まぁ、その調査をしている時に俺の方でも少し問題が起きたが、それは別の話だ。

 

とにかく現在、石上が曇ったような顔をした理由や周りから色々と言われているのは、それが原因だ。

 

心美「あの言葉……」

 

石上の事で考えてると、いきなり俺の隣から声がした。隣を見てみるとお母様だった。

 

心美「あの言葉は、石上くんが悪者にされた件で、周りが言ってる感じかしら?」

と、待機場所の隣にある観覧席に、いつの間にか来ていたお母様が話しかけてきた。

 

俺はチラッとお母様の顔を見てから、お母様が言ってきた事に答えた。

 

優心「その噂で石上の事をよく知らない・知ろうとしない人達とかが、好きかって言ってる感じだと思うよ。……けど、会長が行ったから動かなくて問題ないと思うよ」

 

心美「優心がそう言うなら動かなくてもいいわね」

 

優心「まぁ、動きたくても石上が真実を周りに明かさなくてもいいって言ってきたし、それが本人の希望だから動けないっちゃ動けない感じだけど」

 

お母様と話をしてると、アンカーの石上の所まで第三走者がやってきた時だった。

 

"うるせぇーバーカ"という声が耳に聞こえてきて、その直後石上がバトンを受け取り走り出した。

 

 

石上が頑張って走っていったが、二位になってしまい白組に負けてしまった。

 

けど、石上の周りに赤組のメンバーが集まって何か話をしていて、石上の顔がいい表情になってた。

 

優心(石上の中で、何か吹っ切れたというか変わった感じなのかな?……もしそうなら良かった)

と思っていると、委員会の人達にグランドに入るようにと言われた。

 

俺を含めた選抜リレーのメンバー皆がグランドに入った。

 

しばらくしてリレーがスタートした。俺はアンカーなので少し待ってると第三走者が走り始めた。

 

そして、第三走者が一位のままで近づいてきたので、バトンを受けとり準備を始めた。それでうまくバトンを受け取って、走り始めた。

 

走ってる最中、足が少しもつれそうになった。流石に走る競技ばかり出てたから疲れが出てきたみたいだった。

 

それでも、うしろから走った来る白組の二人に抜かれないように走り続けた。

 

頑張って走り続けて少しして、ゴールをした。

 

リレーの順位は俺は一位だった。

 

他の順位の二位と三位は赤組で、四位はもう一組の白だった。

 

 

 

選抜リレーでの結果を反映して、最終的の結果が出た。

 

 

今回の体育祭で優勝したのは赤組だった。選抜リレーでワンツーで白組がゴールしてたら白組が優勝してたみたいだった。でも、なんだかんだ体育祭は楽しかった。

 

そんなことを思ってると閉会式が始まると放送されたので、校庭に皆が集まり始めたのだった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~帰り道・弦巻家の車の中~

 

体育祭が終わった。

 

帰る時に、樹と鋼の二人に楓の事を伝えた。

 

二学期に入ったこの時期に上京してきた事や、来週の休日に家に会いに来てくれる事を伝えた。

 

その事を聞いた二人は喜んでた。その後も少し話をして楓と会ったあとは、遊べる時に皆で遊ぼうという話になった。

 

二人に伝えた後は、生徒会メンバーに声をかけようと皆の所に向かった。

 

皆の所に着くと、雁庵さんが会長と石上と千花と話をしていた。

 

それを見た俺は気にせずに、会長たちに一声掛けてから、車に乗った。

 

 

そして、今はお母様とお父様とこころの三人と、俺と愛の五人で車に乗って帰っている。

 

車の中ではお父様とお母様は二人で話している。

 

俺とこころと愛は、こころを真ん中にしてその左右に俺と愛が座ってる感じだ。

 

そしてこころは、俺の肩に頭を乗せて寝ている。その状態で、俺は愛と話をしていた。

 

最初は、体育祭の競技の事を話していたけど、途中でこころの話になった。

 

愛「それにしても、こころはぐっすり寝てるね」

 

優心「こころ、はしゃいで楽しんでたからね」

 

愛「やっぱり、違う学校の体育祭だから新鮮だったからなのかな?」

 

優心「だと思うよ」

 

愛「そっか……」

と、愛は呟きながらこころの頭を撫でていた。その最中、愛がいきなり顔を赤くさせたりしたから、その事を聞いたら"秘密"と言われたりとした。

 

 

そんなこんなで、家に着いた。

 

 

家に着いた後は、愛を含めた状態だったけど久しぶりの家族で食べるご飯だった。

 

久しぶりだったから、こころも嬉しそうに食べていて、愛と話をしていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~夜9時頃~

 

 

ご飯を食べ終わってから少しして、夜9時ぐらいになった頃。

 

俺は体育祭で少しした楓の話の続きを聞こうと、お母様の部屋にいた。

 

他の皆……まずこころと愛はもう寝てる。こころは今日一日楽しい事や嬉しい事ばかりだったからだ。

 

他校の体育祭を見たり、晩ごはんの時に久しぶりにお父様とお母様と一緒の家族でのご飯だったりしたからだ。

 

愛の方も似たような感じみたいで、晩ごはんを食べ終わると眠気が襲ってきたらしく、"おやすみ"と言って部屋へと戻っていった。

 

お父様は仕事するために、自室に籠ってる。

 

他の皆はそんな感じだと思いながら、お母様に質問した。

 

優心「それでお母様は、あの後になんて言おうとしたの?」

 

心美「楓くんが上京して一人暮らしを始めたから、何かあったら助けてあげてって事を伝えようとしただけよ。これは、楓くん母からの伝言よ」

 

優心「……それだけなんだ。けど、この時期に上京してくるなんて中途半端な感じはする。二学期が始まってしばらく経つし、大体は夏休みに引っ越してくるとかなのに。それに楓って高校入学する時に、上京する宣言してくれてたけど……」

 

心美「なんでも、お母さんが上京して一人暮らしさせるのを、一年間ずっと反対してみたいよ。全然折れなかったのは、あの子の見た目が関係してるって言ってたわね。ほら、見た目が女の子でしょ?」

 

お母様の言葉に俺は納得した。

 

優心「確かに心配するのは分かるよ。楓は男子だけど、見た目は女子に見える。意外とそういったのが好きな人がいるし、現実にそんな人がいたら悪い人に狙われたら大変だもんね。なにより楓って、こころみたいに人懐っこいし性格も素直だから」

 

心美「だから、ずっと反対してたみたいよ。それで親を説得してたら凄い時間が掛かったって事らしいわ。お父さんの方は心配はしてたみたいだけど、ほぼ即答で賛成はしてたそうよ」

 

優心「そうなんだ」

 

心美「説得した結果、些細な事でも優心や樹くん達に相談したり話をする事を条件で、一人暮らしと上京をOKをもらったそうよ」

 

優心「そんな事があったんだ……」

 

お母様の言葉に俺はそう言いながら、苦笑いした。

 

心美「……まぁ、話はこれぐらいよ。それと、今日の体育祭、格好良かったわよ。100m走から選抜リレーの頑張ってた姿」

と、話し終わったあとにそう言ってくれて、頭を撫でてくれた。

 

優心「……えへへ」

 

心美「ふふ……」

 

俺はしばらくの間、頭を撫でられたままでいた。

 

心美「じゃあ、もう遅いから優心もそろそろ寝なさい」

 

優心「うん。おやすみなさい、お母様」

 

心美「おやすみ」

 

お母様から"おやすみ"と言われた俺は自室に戻った。その途中、お父様の部屋に行ってお父様にも"おやすみなさい"と伝えてから、俺は自分の部屋に戻り、ベッドに入って寝た。

 

 

そうして、一日が終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~愛視点~

 

 

すばる達から色々と言われたり話をしたりしつつ午後の競技に出たり、皆が出てる競技を見たりしていた。

 

優心くんは200m走に出た時は、100m走と同様一位を取っていた。

 

そして今は対抗リレーをしていた。そろそろアンカーが走り出した頃、かぐやに声をかけられ校庭から離れて校門の所へと向かった。

 

そして校門には、会計くんの噂に関わっている大友とその友人がいた。私はかぐやは、大友とその友人達に見つからず声が聞こえる位置にいた。

 

大友「運が良ければ荻野と復縁……と思ったけど、まさか転校してるとは思わなかったよ」

 

大友からそんな声が聞こえた。

 

愛「荻野って転校してたんだね。……もしかしてかぐやがやったの?」

 

かぐや「まさか。……私はそんなひどい事はしないわよ。私よりもずっとひどい事を、エグい事を平気でする人達がいます。私はありのまま事実を彼らに伝えただけです」

 

愛「うーわ……。……すっかり忘れてました。いや記憶から消してたよ。かぐや以外のVIP枠の人達がいたね」

 

私はかぐやの言葉で、秀知院のVIP枠の人達の事を思い出してしまった。

 

かぐや「まぁ、それ以上に弦巻くんの方が酷いですけどね」

 

私がVIP枠の人達の事を思い出してると、かぐやは優心くんの名前を出してきた。

 

愛「?……なんで優心くんが出てくるの?」

 

かぐや「……弦巻くんがVIP枠の皆さんから、何て言われてるか忘れました?」

 

愛「……弦巻優心を怒らせるな……だったっけ?」

 

かぐや「そうですよ。今回の石上くん関係の首謀者の男子生徒を学園から転校させたのは、紛れもなく私と弦巻くん以外のVIP枠の人達です。ただ、その後に弦巻くんが追い討ちでやっているので、そう言われています」

 

愛「優心くんが何したの?」

と、かぐやの言葉に私はそう聞いた。

 

かぐや「例の男子生徒が転校……学園から居なくなった後に、アメリカの日本人街に飛ばされてます。……家族もろともね」

 

愛「……え……それ本当?」

 

かぐや「事実ですよ。しかも、国籍も日本国籍を剥奪してアメリカ国籍に強制的に変更させた後に、日本には二度と来れないようにしたみたいですよ」

 

愛「……」

 

かぐやの言葉に、私は口が開いて塞がらなかった。今までも驚くことはあって慣れてたはずだった。けど、こっちはこっちで次元が違う驚きがあった。

 

かぐや「だから、VIP枠達の中では弦巻くんを怒らせるなという事になったいるんです。……本当に弦巻くんは恐ろしいですよ」

 

愛「……でも、VIP枠の人達もエグい事をしてるから、優心くんの行動を見ても"怒らせるな"とかは、ならないんじゃないの?怖がる理由とかも分からないし……」

 

かぐや「愛さんの言う通り、彼らなら基本的に怖がったり怒らせるな、なんて言いませんよ。……普通ならね」

 

私が疑問に思った事を聞くと、かぐやにそう言われたから"え?"と言ってしまった。

 

かぐや「弦巻くんは行動をしなくとも、声のトーンですら相手を怖がらせるんですよ」

 

愛「声のトーンで?」

 

かぐや「……愛さんは知らないんですか?前に愛さんが会長を落とすだとかの出来事の時に、私が弦巻くんの声のトーンで恐怖を感じたんですよ。しかもその時に、愛さんは隣にいたんですよ」

 

かぐやが言ってきたことに、私は知らない。

 

愛(確かに会長を落とせるかどうかの、出来事はあった。全て終わった後にかぐやに文句言って優心くんに頭を撫でられてた。その時に、優心くんとかぐやが話してたのは知ってるし会話は聞いてたけど、怖さは感じなかった)

 

私は、怖さを感じなかった事とかを教えた。するとかぐやも考え込んでしまった。

 

かぐや(……愛さんが、嘘を言ってるようには感じない。つまり弦巻くんの行動や言動は、弦巻くんがキレた相手のみに発揮するって事?……もしそうなら、愛さんが知らなくて当たり前ね)

 

愛「かぐや?」

 

かぐや「……ひとまず、VIP枠の彼らが怖がったり弦巻くんを怒らせないようにしたのは、荻野に対してやった事に行動の際に、その怒りの矛先が彼等に少し向いたんです」

 

愛「なんで?VIP枠達は関係ないでしょ?」

と、私は聞き返した。話を聞いているとVIP枠の人達は関係ないと思った。

 

かぐや「弦巻くんが荻野に行動した際、私以外のVIP達が居たんです。VIP枠の一人が、弦巻くんに声をかけた時に怒りを向けられてしまったんだそうです」

 

愛「じゃあ、優心くんが意図して怒りを向けた訳じゃないんだ……」

 

かぐや「えぇ、その通りです。その際、弦巻くんの声のトーンが、今までで感じた事がない恐怖を抱いたと仰ってました。"怒りが収まるまで、待てば良かった"と後悔してましたね」

 

愛「……もしかして、あの暴力団組長の娘の龍珠桃も?」

 

かぐや「えぇ。確か……、組内の幹部や構成員よりも怖く感じそうですよ」

 

私はそんな話を聞いて、本当に次元の違うと思ってしまった。けど……。

 

愛「けどなんで、優心くんはそんなに怒ってまで、荻野にそんな事をしたんだろう……?」

 

私が言うと、かぐやは教えてくれた。

 

かぐや「VIP内では、"こころさんの事を言われたから"と言われています。……しかし、これはただの噂として扱われているので、実際は分かりません。私も含めVIP内では、詳しい事を本人に聞いてはいけない事になってます……」

 

愛「……なんで?」

 

かぐや「……下手に聞いて、また怒りを向けられたくないという事で、VIP内では言わない・聞かないという暗黙の了解になってます。皆さんは二度も彼の怒りに触れたくないと仰ってました。……私も同感です」

 

愛「……話を聞いてると、そんな風に思っても仕方ない感じだね」

 

かぐや「えぇ。それに加え、荻野が居なくなり石上くんも救われたという事で、話が一区切りついた。それなのに、またその話をする必要もないですしね。愛さんも特に気にならなければ、聞く必要もないですよ」

 

愛「そうだね。私は詳しく知りたいとかは無いから別に聞こうと思わないな……」

 

かぐやの説明に私は、優心くんから詳しく聞こうとは思わなかった。

 

そうこうしていると、大友が笑顔で帰っていった。

 

かぐや「……真実を教えたらどんな風になるのかしらね?」

 

愛「でも、かぐや……」

 

かぐや「分かってるわよ。石上くんが守りたかったのは、先程の笑顔なのですから」

といった話をした後は、グランドの方へ戻ることにした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

大友の様子をかぐやと一緒に話をしつつ戻った。

 

かぐや「先程の話で、弦巻くんの事を嫌いになりました?」

 

愛「……驚いたりしたけど、嫌いにならなかったよ。……前に弦巻家のメイドさん達が言ってた通りだったな~、って思ったよ」

 

かぐや「どういった事を、言っていたんですか?」

 

愛「優心くんは、家族の誠心さん達と、使用人のメイド・執事・黒服・料理人達、友人達に危害を加える人には容赦しないって言ってた」

 

かぐや「なるほどね。だから嫌いにならなかったって事ですか……」

 

愛「うん」

 

優心くんの話をしているとグランドに着いた。

 

だけど優心くんが出る選抜リレーが、ちょうど終わった所だった。

 

赤組と白組の結果を見てみると、赤組の勝利みたいだった。でも、リレーの結果を見てみると一位の所に優心くんが立っていた。二位と三位は赤組の人で四位は白だった。

 

頑張ってる所は見れなかったけど、優心くんが一位になってたのは嬉しかった。

 

優心くんにその事を伝えたかったけど、閉会式をするという放送がされたので、グランドに全生徒が集まった。

 

そして体育祭が終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~帰り道・弦巻家の車の中~

 

体育祭が終わり、帰り道。

 

今は弦巻家の車に乗って帰ってるところだ。テレビや洗面台とかがある車で帰っている。

 

雁庵様とかぐやは四宮家の車で別邸に帰って、ママは体育祭が終わったあとすぐに仕事に戻っていったから、一緒にはいない。

 

だから今、車に乗ってるのは、誠心さん・心美さんの二人とこころ・優心くんの弦巻家族。そして私が乗ってる。

 

優心「選抜リレーで一位だった」

 

車に乗ってからしばらくした時に、優心くんがそう言ってきた。

 

愛「うん。結果の方しか見れなかったけど、結果見た時は驚いたよ。でも凄いと思ったよ。前から思ってたけどやっぱり走るの早いよね」

 

優心「公園で子供たちと遊んだり、こころと遊んだりしてるかだと、俺は思うよ」

 

愛「やっぱり、それが関係してるんだね」

 

優心「多分ね。けど、流石に疲れたよ。午前中から走りの競技をメインに走ってたからさ」 

 

愛「……ふふ、お疲れ様」

 

優心くんの走りの早さの事を話した後に、私は寝てるこころを見た。

 

愛「それにしても、こころはぐっすり寝てるね」

 

優心「こころ、はしゃいで楽しんでたからね」

 

こころがぐっすり寝てることを言うと、優心くんが"楽しんでた""はしゃいでた"と言ってきた。

 

愛「違う学校の体育祭だから新鮮だったからなのかな?」

 

優心「だと思うよ」

 

優心くんの言葉に"そっか"と呟いた。そして自然とこころの頭を撫でてしまった。

 

愛(こころの髪、やっぱりさらさらしてるな~)

 

しばらく撫でていると、こころが笑顔になった気がした。

 

愛(こうしてると本当に自分の妹に感じちゃうな。……あ、でも優心くんと結婚すれば義理の妹になるんだよね……て、私なに考えてるの!?いきなり……!)

 

そんなことをいきなり考えてしまった私は、自分の頭の中で軽いパニック状態になった。

 

優心「愛、顔が赤いけど大丈夫?何かあった?」

 

愛「だ、大丈夫!何もない、秘密だよ……!」

 

優心くんにそう言って、考えてたことを知られないようにした。その後は、なんとか自分を落ち着かせて、普通に話をしていると、家に着いた。

 

 

家に着いた後は、ご飯を食べることになった。久しぶりの家族全員でご飯を食べてるからか、こころは嬉しそうだった。優心くんも嬉しそうにしていた。

 

私はこころと話をしながら、ご飯を食べていた。

 

 

ご飯を食べ終わると眠気が襲ってきて、あくびが出てしまった。

 

愛「優心くん、眠くなってきたからそろそろ寝るね」

 

優心「うん、おやすみ」

 

愛「おやすみ~」

 

優心くんに"おやすみ"と言って歯磨きとかしてから、部屋に向かった。

 

愛(……今日は疲れたからもあるかも知れないけど、ここ最近、寝る時間が早くなってきたな。四宮家の時は夜中近くまで起きてたけど、ここだと21時近くになると眠たくて仕方ない)

 

そう思いながらベッドに入って、目を閉じるとすぐに寝てしまった。

 





次回は、今回名前だけ出した「楓」というキャラを出します。


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第47話


今回、一人だけ新キャラを出ます。前々回と前回の体育祭で名前だけ出した"楓"というキャラが出ます。

後半は、雑になってしまっている部分がありますが、それでも読んでくれたら嬉しいです。

では、本編をどうぞ。



 

 

体育祭から、数日が経ったある日のこと。

 

 

~愛視点~

 

 

風祭「白銀、カラオケ行かねー?」

 

会長が友人にカラオケに誘われていた。私はかぐやと一緒にその場面を見て話を聞いていた。

 

しばらく話を聞いていた。

 

会長「何時にどこ?」

 

風祭「今日の4時に駅前のカラパラ」

 

愛「かぐや、あれいいの?」

 

かぐや「たまにの休みに、友達と遊ぶのを憚るつもりもないですよ」

 

愛「いや、交流会の事を聞いてるんだけど……」

 

私があの三人が話していた交流会の事を聞くと、"他校とコネクションが出来るからいい"とか、"私は束縛しない"とか言ってきた。

 

愛「(気づいてない感じだ……)多分あれ、合コンだよ。交流会という名の合コンってやつ」

 

かぐや「……絶対止めなきゃじゃない!」

 

私が合コンと言うと、大声で"止めなきゃ"と言ってきた。

 

その後すぐに、かぐや自身が持ってる合コンのイメージを言ってきたから、私はそのイメージを聞いてみたら、訂正とかした方がいいイメージだった。

 

そのイメージを持ってるかぐやに、ちゃんと訂正とか説明した方がいいと思ったが、色々と面倒だと思ったのでかぐやが言ってきた事を肯定しといた。

 

肯定すると、かぐやは"どうしたら……"と悩んでいた。

 

愛「かぐやがお目付け役で行けば?」

 

かぐや「いやよ!あんな性欲の集まりに行くなんて……!なにより私がそういった会に行ったって事が、家にバレたら勘当ものよ」

 

愛(……流石に勘当はないと思う。……けど、体育祭の時に雁庵様とかぐやのやり取りで分かったけど、雁庵様はかなりの親バカだった。だから、かぐやがそういった場所に行ったとなると、色々と心配なり怒られるなりされる筈だと分かる……)

 

かぐや「……私が行かなくてもいいのよね」

 

私がかぐやの言葉で一人納得をしていると、かぐやがそんな事を言いながら私の方を見てきた。

 

愛「……私に行けと?」

 

かぐや「えぇ。……一人が無理なら弦巻くんを連れて行けばいいのよ」

 

愛「優心くんを、そんな場所に行かせたくない」

 

かぐや「でも、弦巻くんも愛さんを一人で行かせたくないと言うかも知れませんよ」

 

愛「……また優心くんに、恋人がいる人に……って感じの事でキレられると思うよ」

 

かぐや「そ、それは……あれです。か、会長の為と説明すれば大丈夫なはずです」

 

私の言葉に、かぐやは怖がりながら"説明すれば大丈夫のはず"と言ってきた。

 

その様子を見た私は内心ため息をついた。

 

愛「(はぁ……そんな怖がるなら言わなければいいのに。けど、かぐやの頼みだし……)分かった……行くよ。優心くんには、私から頼んでお願いするから。それでいい?」

 

私が言った事にかぐやは目を輝かせ笑顔になり、頷いていた。その顔を見てから、私は優心くんに電話をかけた。

 

愛「(まだ、学校内に居ればいいけど。……あ、繋がった)優心くん、まだ学校にいる?」

 

優心『うん。下駄箱にいるけど、どうしたの?』

 

愛「優心くんにお願いしたことがあるんだ。直接話したいから、下駄箱の所で待ってて」

 

優心『分かった』

 

優心くんはまだ学校内にいたので、今いる場所で待ってもらった。

 

下駄箱の所に着いたあと、優心くんに会った。そこで、私は優心くんに、かぐやと話をしていた事を説明をした。

 

最初は"え~"といった反応だったけど、"会長とかぐやさんの為"と言って来てくれる事になった。

 

私は変装して行く事にしたが、優心くんは特に変装はしないで行くらしい。

 

ひとまず、私と優心くんは交流会(合コン)をやる場所のカラパラへ向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~優心視点~

 

 

今日の放課後、学校の下駄箱で愛から話を聞いた時は驚いた。会長が他校との交流会に行くから、その会から会長を連れ出すのを手伝ってほしいと、愛から頼まれたからだ。

 

なんでも、実は合コンだとかぐやさんが知ったから、そんな場所に会長を居させたくないからだそうだ。それで、愛にその場所に行くようにと言われたらしい。

 

最初は"なんで……"と思ったが、俺が断ると愛を一人で行かせる事になる。流石に自分の彼女をそんな場所に一人で行かせたくなかった。

 

それに、会長が絶対に他の女子に目が行かないとは否定は出来なかったし、かぐやさんと会長の二人には付き合ってほしいから、会長をカラオケ店から連れ出すのを手伝うことにした。

 

 

そんなこんなで交流会をやるカラオケ店へ向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~カラオケ店~

 

 

優心「男女ともに、結構な人数がいるんだな……

 

ハーサカ「確かにね……。やっぱりこんな場所に居たくないな……。優心くんがいるからまだマシだけど、今日は来てくれてありがとね

 

優心「まぁ、俺もこういう場所に愛を一人にさせたくないから。なにより彼女の頼みだし

 

ルームに入った俺は、ハーサカモードの愛と小声で一言二言を話していた。

 

少し話をしていると、会長に話しかけられた。

 

会長「お、おい。弦巻がここに来て大丈夫なのか?お前、彼女いるのに……」

 

優心「あ~、うん。ひとまず……うん」

 

会長「歯切れ悪い言い方だな」

と言われた俺は、苦笑いだけしといた。

 

風祭「でも、人数は増えたから良かった。……それにしても白銀。弦巻の隣にいる人なんてめっちゃハードル高くね。スッゲー美人じゃん」

 

そうしてると風祭が会長と話を始めハーサカモードの愛の事について話をしていた。

 

ハーサカ「言えばいいじゃん。昔、こっぴどく振った女だって」

 

愛の言葉を聞いて、"凄い言い方"と思いながら頬をついた。

 

俺は会長達の話に耳を傾けたり、カラオケルーム内を眺めたりしながら、どうやって会長を外に連れ出そうかと考え始めた。

 

 

ーーーーーーー

 

 

しばらく歌も歌わずに、交流会の様子を見ながら過ごしていた。たまに他校の女子から視線を感じたりしたが、話しかけられる事はなかった。

 

そんな感じで過ごしていると、"ねぇ……"と話しかけられた。俺は話しかけてきた人を見るために顔を上げた。

 

優心「ん?(……楓に似てる。……いや似てる人じゃなくて相川 楓(あいかわ かえで)本人か……?)」

 

声をかけてきた人を見るとは、仲の良かった中学の後輩の見た目だったし声も一緒だった。

 

優心「楓……だよね?」

と、少し確認する感じて名前を言ってみた。

 

楓「え……じゃあ、やっぱりゆー先輩だ!」

 

俺が名前を言うと楓は"ゆー先輩だ"と言って、俺の隣に座ってきて抱きついてきた。その行動に俺は確実に"変わってないな~"と思いながら話しかけた。

 

優心「まさかここで会えるなんて思わなかったよ」

 

楓「僕も思わなかったよ。でもゆー先輩の声が聞こえて、"もしかして……"と思って声をかけたんだ!そうしたら本当にゆー先輩だった!」

 

優心「話しかけられて顔を見たら、楓かもって思ったんだ。……それにしても久しぶりだね。お母様から今度挨拶に来るって聞いてたけど……」

 

楓「うん。今度の休みにゆー先輩達のおうちに行って挨拶しようと思ってたんだ!でも、ゆー先輩にはここで会えた!」

 

優心「だね。じゃあ、あとは樹と鋼の二人に会うだけって事か……」

 

楓「うん!……いー先輩とこー先輩は元気?」

 

楓の質問に俺は"二人は元気だよ"と伝えた。この子は中学時代の仲のいい友人で一個下の後輩の相川楓だ。

 

もうちょっと話をしたいと思ったが、会長の事もあるのを思い出した。

 

優心「(これはチャンスかな。……楓と話をしたいから外に出る。そこで会長に声をかけて外に連れ出すって感じでいいか)……他に色々と話をしたいけど、今は少し時間が惜しいから……外に出るか?」

 

楓「外に?……うん、出る」

と、俺が聞いた事に頷いて肯定してくれた。それを見た俺は、会長とハーサカモードの愛に声をかけた。

 

優心「なぁ、ハーサカさんと会長。ここから出ない?」

 

俺がそう言いながら二人の方を見ると、愛が鋭い目で睨まれていた。

 

ハーサカ「……むー……」

 

しかもほっぺを膨らませた状態で、睨んできてた。

 

優心(……ほっぺを膨らませてる愛って可愛いな……。じゃなくて、愛は楓が女の子だと勘違いしてる感じだな。それで、彼氏の俺が自分以外と女子と仲良くしてるのが気に入らないって所かな)

 

俺は、ほっぺを膨らませた愛の事を可愛いと思いつつも、愛のその状態になった経緯を考えて自分なりに結論付けた。けど、二人は無反応だった。

 

優心「……二人とも外に行かないの?」

 

ハーサカ「……そーだね。白銀くん、行きましょう」

 

俺がもう一度言ったら、愛は一言だけ言って、一足先に今いるカラオケルームから出ていった。

 

 

その後を会長が出ていったので、俺も楓と一緒にカラオケルームから出た。

 

ルームからで俺は二人がいる場所へ向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ドリンクバーの前~

 

 

優心「それじゃあ、ここでもう解散にしようと思う」

 

俺は、ドリンクバーの所で待ってくれていた二人にそう伝えた。

 

会長「え?いいのか?そんな事をして……」

 

優心「だって、会長ってあんな場所は居づらかったでしょ?ちょうどいいと思うけど」

 

会長「確かにそれは……そうだな。(隣にいたハーサカさんの言葉で居づらかったし、それ以上に不機嫌になっていくしで余計に居づらかったから、助かったわ)」

 

優心「会長?」

 

会長「あぁ、じゃあ俺は帰るわ」

と会長が言ってきたから俺はまた明日って言って会長を見送った。

 

カラオケのドリンクバー前の廊下から、会長が見えなくなると、ハーサカモードの愛が手を掴んで引っ張ってきた。

 

優心「あ、愛」

 

楓「ゆー先輩、ちょっと待ってよ……」

 

俺は愛に手を引かれて、楓はその後ろを付いてきていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

外に出てカラオケ店から、少し離れた場所に連れてこられた。

 

俺の手を離した愛は、変装の為に付けてたウィッグとかを取り始めた。

 

楓「わぁ、変装してたんだ……」

と、愛の行動を見た楓がそう呟いていた。変装を解いた愛は俺の方を見ながら口を開いた。

 

愛「優心くん!この女の子は誰!」

 

優心「落ち着いて。ちゃんと説明するからさ」

 

愛「じゃあ説明してよ!」

 

優心「まずね、この子は相川楓って名前で、中学時代の一個下の後輩だよ。……で、楓は女子じゃなくて、れっきとした男子……男だよ。見た目は女子だし声も比較的高いから勘違いするけどね」

 

俺が楓の事を説明すると、愛は顔を真っ赤になってしゃがんで丸まってしまった。

 

その状態を見た俺は、"愛"と名前を呼んだりしたが反応しなかった。

 

立ち直ったのは丸くなってからしばらくしてからだった。

 

愛「……えっと、初めまして。優心くんの彼女の早坂愛です」

 

楓「僕は相川 楓(あいかわ かえで)です。僕の事は楓って呼んでください!それと、ゆー先輩と同じ中学校に通ってました!愛先輩、よろしくお願いします!」

 

立ち直ったのは愛に、自己紹介された楓は元気良く自己紹介をした。

 

愛「優心くん、詳しく説明してよ。この子の話は全く聞いた事ないよ。体育祭の時にこころと新川くんと古川くんの三人が"楓"って言ってたのをチラッて聞いたぐらいだし」

 

愛の言ってきた事に、俺は説明を始めた。

 

優心「まず、俺と樹と鋼とは同じ中学の男子校に通ってたんだ。楓は一個下だから後輩で、自分達が中二で楓が中一の時に出会ったんだ」

 

そう説明しつつ、話を続けた。

 

優心「最初は衝撃が凄かった。だって楓の見た目が女子だから、生徒全員が最初女子が入ってきたと勘違いをしたぐらいだし」

 

愛「それは確かに。ついさっき男子って聞いても未だに信じられないもん」

 

優心「だよね。実際、学校の男子達が見た目が女子の楓に告白する人もいたぐらいだよ。……男子校だし、女子と接点が少なかったからってのもあるかもしれないけどね」

 

俺がそう言うと愛は少し引いていたが、質問してきた

 

愛「その優心くん達三人が、楓くんと仲良くなったきっかけってなんなの?」

 

優心「それは単純で、楓がいつものように告白を断ってたら、逆ギレした生徒がいた場面があったんだ。で、その場面に樹達とたまたま出くわして、助けたのがきっかけだよ」

 

楓「その時のゆー先輩達は、凄く格好良かったよ」

 

優心「そこからだよね。楓が慕ってきたのは」

 

楓「うん。あれで、ゆー先輩といー先輩とこー先輩の三人の事を慕わないなんておかしいよ!三人は先輩だけど、お兄ちゃんでもあるんだから」

 

こころみたいな笑顔で話す楓を、愛は微笑みながら見ていた。

 

そこからも楓との関係を説明をした。楓は一学期が終わった後に親の仕事で北海道に転校したこと。

 

その時、楓はまだスマホを持ってなかったから、連絡先を交換をしなかったから連絡を取り合ってなかったなど色々と愛に説明した。

 

説明を終えた後は、家に帰るという話になり、俺と愛は車で帰ることになった。その時に楓も車に乗せて家まで送るという事になった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~弦巻家の車内~

 

 

優心「樹達は今週の休みに会うんだよね?」

 

楓「うん、そうだよ」

 

優心「その時に、うちに来てこころに会う?」

 

楓「うん!そうする!こころちゃんに会うの楽しみにしとく。……あ、僕が家に行く事とかゆー先輩に会った事は秘密にしてて。こころちゃんの事を驚かせたいから」

 

優心「分かったよ」

といった話を楓の家に着くまでの間、しばらく続けた。

 

そんな感じで話をしていると、楓の家に着いたので別れた。この時に連絡先を交換した。

 

楓が車を降りた後は、弦巻家まで出発した。

 

 

出発してしばらくしてから家に帰った。

 

家に着いた後は、すぐさまお風呂に入った。お風呂から上がった後は愛に"おやすみ"と言って部屋に行ってすぐに寝た。

 

 

そんなこんなで今日を終えた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~愛視点~

 

 

優心くんと少し話してから、同じ学校だけど違うクラスの風祭くんが私の事で会長と話を始めた。

 

風祭「何?白銀、知り合いなのか?」

 

会長「……えっと」

 

ハーサカ「言えばいいじゃん。昔、こっぴどくフった女だって」

 

風祭「あ……そういう感じ……?……俺あっちの方に行ってくるよ」

 

私の言葉を聞いた風祭くんは違うところへ行った。

 

ハーサカ(よし。あとは、会長を外に連れ出すだけだ。けど、今日は優心くんもいるから、上手やらないと色々と面倒なことが出てくる。……会長をここに居ずらくさせて外に出せばいいかな)

 

そう考えた私は、会長に声をかけた。

 

ハーサカ「やっぱり気まずいよね、フった女がいる会は」

と言うと、会長は凄く居づらそうにしていた。

 

会長「(まぁ、確かに居づらいし気まずい……)……じゃあ、この場所に来たのって、なんでなんだ……?」

 

ハーサカ「今日は妹に来させられたの。いい加減、失恋から立ち直れって」

 

この後も会長とのやり取りをしていた。しばらくそうしている時だった。

 

「……やっぱりゆー先輩だ!」

という少し大きめの声が隣の方から聞こえてきた。しかも丁度、優心くんがいる場所からだ。

 

優心くんの方を見てみると、一人の女子に抱きつかれていた。

 

ハーサカ(なんで抱きつかれてるのかな……!優心くんは……)

 

会長「あ、あの~ハーサカさん……?」

 

ハーサカ「……なんですか?」

 

会長「(うわ……機嫌悪っ!口調というか言い方が冷たい言い方になってる……)ちょっと俺は違うところに移動しますね」

 

ハーサカ「待って……。私を一人にする気ですか?」

 

会長(どうすればいいんだよ!移動すれば止められて、でも機嫌が悪いからそばに居づらいし!)

 

私は、どうにか会長を他の人のところに行かせず、帰らそうと行動した。

 

その間も私の隣にいる優心くんは楓っていう名前の女子と仲良く話をしていた。

 

ハーサカ(新川くん達が言ってた楓って子が、女子だったとは……。分かってたけど自分の中にある嫉妬がヤバいほどになってる)

 

そんなことを思いながら会長を押さえつつ、優心くんを睨み付けている時だった。

 

優心「なぁ、ハーサカさんと会長。ここから出ない?」

と、話しかけてきた。私は、そのなんでもない感で話しかけてきた優心くんの言葉にすぐ反応しなかった。すぐに反応するのはなんか嫌だった。

 

優心「……二人とも外に行かないの?」

 

ハーサカ「……そーだね。白銀くん、外に行きましょう」

 

私は、会長に声をかけてカラオケルームから出てドリンクバーの場所で優心くんを待った。優心くんが来るまでの間、私と会長は話をせず私はスマホでかぐやに会長を連れ出せたことをメールで伝えといた。

 

スマホをしまうと、優心くんと楓って子がやってきた。

 

優心「それじゃあ、ここでもう解散にしようと思う」

 

やってくるなり優心くんはそう言ってきた。そしてその言葉に会長がいち早く反応して優心くんと少し会話をしていた。

 

会長は話を終えるとそのまま帰っていった。私は、会長が見えなくなったのを確認した後に、優心くんの手を掴んで引っ張って外に向かった。

 

この時に優心くんに名前を呼ばれたが、無視しといた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

外に出た私は、人目につきにくい場所に向かってその場所に着いた後は変装を解いた。

 

楓「わぁ、変装してたんだ……」

 

愛「優心くん!この女の子は誰!」

 

楓って子の言葉を聞き流しつつ、私は優心くんにそう問いただした。

 

優心「まずね、この子は相川楓って名前で、中学時代の一個下の後輩だよ。……で、楓は女子じゃなくて、れっきとした男子……男だよ。見た目は女子だし声も比較的高いから勘違いするけどね」

 

優心くんに問いただすと、説明をしてくれた。……けど、優心くんの隣にいる子が男子という事を理解するまで、数秒固まってしまった。理解した直後、私は恥ずかしくなりしゃがんで顔を隠した。

 

愛(だ、男子なの!?え、見た目は完全女子だよ……!声も高いし……!という事は、私は男子に嫉妬してたってこと!?凄い恥ずかしいことをしてるじゃん、私って!でもでも、こんなのどんな人でも女子だって勘違いするよ)

 

私はしゃがんでから、しばらくはそんなことを頭の中で考えていた。

 

 

私は、やっと落ち着いた頃に立ち上がって、お互いに自己紹介をした。

 

そのあとに優心くんから楓の事や関係の事とかの話を聞いた。

 

 

その話を聞くだけで、優心くんと新川くんと古川くんの三人と楓の仲の良さが分かった。

 

それに加え、楓はこころを彷彿させる子だった。

 

そうこうしている内に帰る事になったので、楓の家経由で車で帰ることになった。車に乗っている間の優心くん達は、二人だけで話が盛り上がっていた。

 

楓の家に着いた時に、楓と優心くんが連絡先を交換してたから私も楓と交換しといた。

 

その後は、車が発進した。

 

しばらくして家に着いた。家に着くと優心くんはすぐにお風呂に入りに行き、お風呂から上がった後は"おやすみ"と言って部屋に行きすぐに寝てしまった。

 

愛(今日は色々と疲れたんだろうな~……)

と思いながら、私もお風呂に入ったりと寝る支度を始めて、ベッドに入った。

 

 

そうして一日を終えた。

 





相川楓のキャラ設定などは、「キャラ・世界観設定(ネタバレあり)その1」に載せてます。(今後修正したりするかもしれません)

新川鋼と古川樹の設定の次に載せてますのでご覧ください。この第47話よりは詳しく載せていますので、見てくれてら幸いです。(あまり詳しくないと思う方もいるかもしれません……)


次の話が出来てないので、次回の投稿が遅くなると思います。


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第48話


新年明けましておめでとうございます。

年明け、2023年元旦での投稿です。

前回の後書きに、遅くなるかもと書きましたが、なんとか一週間で出来上がりました。しかし、前回より文字数が減っているので、読み足りないと思われるかもしれません。

それと今回は、愛の視点のみで話が進みます。優心は後半に少ししか出てきません。

上記の文字数や視点の事がありますが、この第48話を楽しんで読んでくれたら嬉しいです。

では本編をどうぞ。



 

 

~愛視点・放課後~

 

 

交流会(合コン)の出来事から、休日を挟んだ。

 

その休日に楓がやってきてこころと楽しそうに話をしていた。その途中、こころが"ハロハピメンバーに会わせる"と言って、二人で出掛けに行っていた。

 

そんな事があった日が過ぎた今日。

 

私はかぐやに連れられて生徒会室にいた。

 

生徒会室にいる理由は、単純に話し相手になってほしいからだと言われたからだ。

 

それで、生徒会室に二人で向かうとミコがいたので、かぐやとミコの二人と会話をしていた。

 

因みに、会計監査の伊井野ミコの事を、"ミコ"と呼んでいるのには理由がある。

 

それは、体育祭前に優心くんと付き合ってる事で話し掛けられた時があって、その時に話が弾んで下の名前で呼び会う程に、仲が良くなったからだ。

 

そんな感じで、仲が良くなったミコとかぐやの三人で話をしている時だった。

 

かぐや「前から気になっていたんですが、その星形?のペアアクセサリーは、いつ買ったんですか?」

 

ミコ「星は星でも、流れ星を表現してる感じのアクセサリーですね?珍しい感じがしますけど……」

という事を、二人からいきなりそんなことを言われた。私はアクセを取って説明をした。

 

愛「これは、夏休みにハピネール王国で優心くんに買ってもらったんだ」

 

かぐや「あ、ハピネール王国で買った物なんですね」

 

ミコ「ハピネール王国って、来年で建国千年になるヨーロッパの小国ですよね?」

 

愛「うん、そうだよ。……で、このアクセサリーは3本の流れ星を表してる物なんだよ。ハピネールの建国の出来事をモチーフにした物だと思うって、優心くんが言ってたよ」

 

ミコ「建国の話が関係してるんですか?」

 

私はミコの質問に対して、ニコリーナから受けた説明を話してあげた。

 

ミコ「へぇ~。ハピネール王国の建国って、そんな素敵な話なんですね。しかも、流れ星が降り注いだってのも凄いですし、それを天の贈り物って言い伝えられてるのも、いいですね」

 

愛「だよね」

 

かぐや「その建国の説明をしてくださった方は、どういった方なんですか?」

 

愛「名前はニコリーナで、ハピネール王国のお姫様だよ。いわば、王国の王女様だね」

 

かぐや・ミコ「「……え?」」

 

私の言葉を聞いた二人は、固まってしまった。

 

かぐや「そ、そういえば、弦巻くんとこころさんは王様とお姫様と友達だって言っていましたね。それで、弦巻くん経由で会って、話を聞いたって事ですよね……!」

 

愛「うん。かぐやの言う通り、王国に行った時に優心くん経由で二人に会ったんだ」

 

私の言葉に、かぐやはすぐに受け入れて納得していたが、ミコは全然驚きを隠せてなかった。

 

愛「ミコ?」

 

ミコ「や、やっぱり弦巻先輩は凄いです……」

という言葉を、固まってたミコはなんとか呟いていた。

 

その様子のミコを見て私は少し苦笑いをしたが、復活したミコがハピネール王国での出来事を聞いてきたから、教えてあげた。

 

そうしてミコに話をしていた時に、生徒会室の扉が開く音がした。

 

かぐや「あら、柏木さんじゃないですか」

 

生徒会室に入ってきたのは柏木さんだった。柏木さんはかぐやの言葉に反応はせずに、目の前のソファに座ってきた。

 

かぐや「あの柏木さん?どうかしたのですか?」

 

柏木「彼に浮気されたんです!」

 

もう一度かぐやが柏木さんに声をかけると、涙を浮かべて大声でそう叫んできた。

 

かぐや・ミコ「「浮気!?」」

 

愛「……田沼くんが……ですか?」

 

柏木「その通りです!」

 

愛「いつどこで?何をしてたの?」

 

柏木「少し前に廊下で、私の友達の眞妃と話をしていたんです。しかも凄く仲良く話をしていたんですよ!……これって浮気ですよね!?」

 

愛「はぁ?」

 

ミコ「え?」

 

私とミコは柏木さんの言葉を聞いて、そんな言葉が出てしまった。

 

ミコ「流石に、それで浮気はないと思いますけど……。愛先輩も浮気だって思いませんよね?」

 

愛「まぁ、流石にそれで浮気だと思わないよ」

 

柏木「私、こんな事をされたの初めてなので、どうするか迷ってるんです」

 

ミコと"浮気なのか?"といった感じの事を話してると、柏木さんが"迷ってる"と言ってきた。

 

かぐや「何を迷っているんですか?」

 

柏木「どっちをやるか……と」

 

ミコ「怖っ……!」

 

愛(……私も嫉妬する方だけど、柏木さんは私以上に嫉妬深くて重い人なんだ……)

 

ミコ「……流石に、四宮先輩もこれは浮気だと思わないですよね?」

 

かぐや「いや、これは浮気でしょう」

 

ミコの問いかけに、かぐやは"浮気"だと言っていた。

 

そこから、かぐやと柏木さんの二人で話を進めていって、ミコがその話にツッコミを入れたりしていた。

 

柏木「……だから彼を信じて、探偵を雇って調べることにしました」

 

ミコ「信じれてない!?」

 

柏木「何を言ってるの?信じてるからこそ調べるんだよ」

 

かぐや「そうですよ。それに身辺調査は勇気いるのよ?」

 

二人の圧に、ミコは"私がおかしいの……?"と呟きながら押されていた。

 

柏木「そうしたら昨日、雑貨店に行って仲良く商品を見ていたりしていたんですよ」

 

柏木さんは調査結果を話してきた。そして、雑貨店の他にカラオケに行っていた事も分かって、三人はカラオケの件でも"浮気かどうか"と話を続けていた。

 

私はその話を相槌を打ちながら聞いていた。

 

しばらくその状態が続いていたが、やっと話が落ち着いてきたから私は柏木さん達の会話に話に入った。

 

愛「……二人とも、ちょっと落ち着いてよ」

 

柏木「……でもそんな事があって落ち着いていられないよ」

 

愛「……心情的にそうかもしれないけど、ひとまず私の話を聞いて」

と、私が言うと静かにしてくれた。

 

愛「……少し話を戻すけど、私はミコの言う通りだと思う。私も柏木さんは田沼くんの事を信じてないと思ったよ」

 

私が言った事に柏木さんよりかぐやが反応してきた。

 

かぐや「じゃあ愛さんは、弦巻くんの事を信じてるわけですか?」

 

愛「信じてるよ。……何?かぐやは、私が優心くんの事を信じてないと思ってたの?今まで、私と優心くんの関係見てたのに?」

 

かぐや「別にそうは言ってないですよ。けれど、愛さんも彼氏の弦巻くんが、自分以外の女子と仲良く話をしていたら、浮気だと思うでしょ?」

 

愛「それは「ちょっと待って……!」……何?柏木さん」

 

かぐやの言葉に答えようとしたら、柏木さんが会話に割り込んできた。その柏木さんに"何?"と聞いた。

 

柏木「早坂さんって、弦巻くんと付き合ってるの!?いつからなの!?」

 

愛「あ……。(柏木さんが知らなかったの忘れてた。A組だとイチャイチャ出来るから安心してたから……)」

 

柏木「早坂さん?」

 

愛「(周りに言わないように釘を刺しとけば言っても大丈夫だよね)……えっと、一学期に付き合ったよ。フランス校との交流会の前からね」

 

柏木「……結構前から付き合ってたんだね」

 

愛「そうだよ。それより他の皆には、絶対言わないでくださいよ。優心くんに彼女がいるって学校中に知られたら、絶対話題になって学校で一緒にいる時間がなくなるから!」

 

私は強めにそう言うと、柏木さんは"は、はい!"と言いながら頷いてくれた。それを見て、私は話を戻した。

 

愛「……とにかく話を戻すけど、さっき言った通りで私は話をしただけで浮気だと思わないよ。それで浮気だと言うならば優心くんはずっと浮気してることになるもん」

 

柏木「……早坂さんは、嫉妬とかしないんですか?」

 

愛「嫉妬は当然するよ。それは当たり前じゃん。……けど、私は優心くんの事は信じてるから、探偵なんて雇うとかしないよ」

 

かぐや「……でも、自分の心が許せないじゃない。そんな事をされたら……」

 

愛「……そりゃ……私だって、信じてても嫉妬して不安になったりするよ。でもそう言う時は必ず本人に話を聞くよ。優心くんは必ず説明してくれるって、私は信じてるから」

 

私がそう言うと二人は静かになってしまった。けど、私は話を続けた。

 

愛「それに、何より話したぐらいで浮気だと言うなら、田沼くんもずっと浮気するって事になるよ」

と、静かになった二人にそう伝えると、二人は驚いた顔になった。

 

ミコ「愛先輩、それってどう言うことですか?」

 

愛「だって、学校に通ってる以上は、行事とかで嫌でもクラスの女子と話すことは必要になるでしょ。しかも、学校を卒業後に就職して働いたら、必ず異性と話す事になるよね」

 

ミコ「確かにそうですね。秀知院は共学で、企業も基本的には異性はいますし……」

 

愛「うん。……柏木さん。田沼くんって病院長の息子なんだよね?」

 

柏木「そうだけど……」

 

愛「例えば田沼くんが、卒業後に医者として働いたとするよ。病院には男性もいるけど、必ず女性患者もいるし女性看護師もいる。だから女性と話す事も多くなるから、常に浮気してるってなる」

 

ミコ「……しかも、病院だと出来るだけ患者との仲も、ある程度良くないといけない。それに入院患者の方とは期間が長いと、それなりに仲良くなりますね」

 

愛「その通り。だから、話をしただけで浮気だと決めつけるのは、早いと思うよ」

 

私が話している間、柏木さんはずっと静かになったままだった。かぐやも何も言ってこなくなっていた。

 

愛「柏木さん。人それぞれの考えだったり価値観があるから私の考えが正しい訳じゃないよ。けど、田沼くんの事を信じてると言うなら、本人に話を直接聞いてみたら?」

 

私がそう伝えると、"分かりました"と言ってきた。

 

柏木「……本人に直接聞きます」

 

柏木さんはそう言って生徒会室から出て言った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~生徒会室前~

 

 

生徒会室前で、柏木さんと田沼くんの二人をかぐやとミコと私で見ていた。勿論二人に見えにくい影で見ている、

 

そうしていたら、優心くん達の残りの生徒会メンバーがやってきた。

 

かぐやとミコは、会長と書記ちゃんと会計くんに説明をしていたので、私は隣に来た優心くんに事の次第を話した。

 

説明を聞いた優心くんは納得して二人の様子を見たので、私も同じように二人を見た。

 

柏木「この間、眞妃と仲良く話してたよね。それに二人で雑貨店とかに行ってたよね?あれはどういう事なの?」

 

生徒会室前で、柏木さんが田沼くんに問いただしていた。

 

柏木さんに問い詰められてる田沼くんは、少し言いづらそうにしつつも一言二言と話をしていた。

 

二人はしばらく話をしていたが、田沼くんがいきなり動き出して柏木さんの後ろに回った。

 

翼「付き合って半年記念のプレゼント」

と言って、田沼くんはハート型のネックレスを付けてプレゼントをした。

 

愛「あ~……ハートのネックレスか~……」

 

それを見た私は自然とそう呟いた。すると優心くんが反応してきた。

 

優心「ハートって、確か結構ファッションに合わせづらかったり、人によってはあまり好まれてないんだよね?」

 

愛「う、うん。そうだけど、よく知ってるね」

 

優心「リサとか黒服さんが言ってた。こころのコーデしてくれるのって華さん達だし、家以外だとリサが詳しかったりするから。それにリサ以外の皆もファッションセンスいいから、その皆から聞くのもあるけど」

 

愛「あ、なるほど。確かに華さん達も、リサや香澄達も着てる服装は可愛いしセンスいいから、話を聞いてて当たり前だね……」

と、優心くんの説明を聞いて納得した。

 

優心くんの説明に納得しながら二人の様子を見ると、柏木さんは嬉しそうにしていた。けど、いきなり田沼くんに抱きついた。

 

それを見た私は、反射的に優心くんの目を手で塞いで見えないようにした。そして案の定、キスを始めた。しかもアレなキスだった。

 

私は皐に居そうな場所に目を向けた。するとすぐに皐が私の側に来てくれた。

 

愛「皐。優心くんの耳を塞いで

と私が言うとすぐに耳を塞いでくれた。というよりも、耳栓をしてくれた。

 

その直後、会長達が柏木さん達のキスについて話をしていた。

 

私は、皐と優心くんの黒服の華さんに協力してもらいながら、目と耳を塞いだ状態の優心くんを連れて、柏木さん達が見えない場所まで向かった。

 

離れた場所に着いた後に、私は目から手を離して皐が耳から耳栓を外して優心くんを解放した。

 

解放された優心くんは、私に目と耳を塞いだ理由を聞いてきたけど、私はどうにか誤魔化して話を逸らした。

 

なんとか話を逸らして、荷物を持って優心くんと家に帰るために学校を出た。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~帰り道~

 

 

愛「優心くん。今度の休みにこころと優心くんと私の三人で、公園で子供達と遊ばない?」

 

優心「それいいかも。三人で子供達と遊んだことないから、皆も喜ぶだろうし」

 

愛「でしょ」

 

優心「じゃあ、俺から子供達とかそのご両親にも話をしとくよ」

 

愛「うん、よろしくね。私はこころに話をしとくよ」

 

私は、優心くんがあの二人の話題に触れない為に、帰り道は休日の予定の話を優心くんとした。

 

そういった話をしていると、やっと家に着いた。

 

家に着いた後の、優心くんは気にしなくなったみたいだったから安心した。

 

こうして、柏木さんとの出来事やその事を逸らすために優心くんと話をして遊ぶ約束をしたりといった、凄く濃い一日が終わった。

 





次回の話は、出来てないので遅くなるかもしれません。


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第49話


今回は、石上とつばめ先輩の関わりと、二学期の期末試験のエピソードを題材にしています。

本編をどうぞ。



 

 

~優心視点~

 

 

愛に目と耳を防がれた翼と柏木さんの件があった日から、しばらく経った。

 

二人の日の翌日に眞妃が会長と石上の二人と一緒に来て、眞妃の文句とか話を聞いたりした。

 

また別の日には、学校のパンフレットの為に写真を撮ると校長から言われて写真を撮ったりした。その時にかぐやさんの携帯が壊れてしまった事があった。

 

でもその次の日に、愛がかぐやさんと一緒にスマホを買いに行って、改めて連絡先を交換して写真を送ってあげたり、皆で写真を撮ったりした日々があった。

 

他にも、休日にこころと愛の二人と公園に遊びに行った。公園に着くと、子供達はすぐにこころに駆け寄って喜んでいた。その様子を見た愛はこころの人気ぶりに驚いていたけど、皆と遊んだ。

 

 

そういった濃い日々が過ぎたある日の今日。

 

 

生徒会室に、俺はかぐやさんと石上の三人と、翼と柏木さんの二人もいる。

 

そして、ついさっきその二人が生徒会室から出ていった所だ。

 

石上「死ね死ねビーム!」

 

翼達……生徒会室の扉の方を向かって、石上がそんなことを大声でしかもいきなり言ったのでビックリした。

 

かぐや「なんですか?死ね死ねビームって……」

 

石上「食らったカップルは別れるんです」

 

かぐや「あ、良かった。死の要素は無いんですね……」

 

優心「それより、いきなり大声を出さないでよ。ビックリしたじゃん……」

 

石上「……それはすみません」

と、話してると"ガチャ"と扉が開いた。

 

つばめ「文化祭の書類を持ってきたよ」

 

生徒会室にやってきたのは、つばめ先輩だった。

 

石上「つばめ先輩!?ど、どうしたんですか!」

 

つばめ先輩がやってきた事に、石上が顔を赤くさせながら驚いていた。

 

つばめ「だから、文化祭の書類を持ってきたんだよ」

 

かぐや「文化祭の書類ですね」

 

つばめ「うん。今回の文化祭で私達がするのはね~……」

と、かぐやさんとつばめ先輩の二人は、書類に書いてある内容を話し始めた。

 

つばめ先輩がかぐやさんとしばらく話をして、話が終わった時だった。

 

つばめ「優くんに、媚売っとこ!」

という事を言って石上に抱きついていた。石上はつばめ先輩のその行動にさらに顔を赤くしていた。

 

優心(石上がつばめ先輩の事を好きなのが、まる分かりだ)

と思いながら、石上とつばめ先輩の様子を見ていると、石上から離れたつばめ先輩が俺に声をかけてきた。

 

つばめ「優心くん、こころちゃんに会いたい」

 

優心「いきなりですね……」

 

つばめ「優心くんとこころちゃんの誕生日パーティーから、会ってないもん」

 

優心「とりあえず、こころに予定を聞いてから連絡しますね。……会うとしたら、冬休みとかの方がいいと思いますけど……」

 

つばめ「分かった!予定が分かったら教えて!こころちゃんに会うためだったら、他の予定より優先するから!」

 

優心「流石にそれは他の予定を優先してくださいよ」

 

つばめ「じゃあ私は戻るから、よろしくね!」

と言って、つばめ先輩は生徒会室から出ていった。

 

つばめ先輩が居なくなったのを見て内心ため息をつきながら、石上に声をかけた。

 

優心「ねぇ、石上」

 

石上「……なんですか?弦巻先輩」

 

優心「つばめ先輩の事、好きでしょ?」

 

石上「……そんな訳ないですよ」

 

優心「でも、好きじゃなくちゃあんな反応はしないと思うよ」

 

かぐや「弦巻くんの言う通りですね。抱きつかれた瞬間の石上くんの反応が物語ってます。……それに先輩に熱を上げる男子生徒が多いみたいですよ」

 

石上「死ね死ねビーム」

 

かぐやさんの言葉に石上は自分に向かって翼達にやっていた事をやり始めた。それを見たかぐやさんが必死に止めに入った。勿論、俺もだ。

 

二人で止めに入って、少しして石上が落ち着いた。その様子を見た俺とかぐやさんは石上から離れると、かぐやさんが口を開いた。

 

かぐや「ほら、弦巻くんが言った通りじゃないですか。好きではなかったら先程の行動はしませんよ」

 

かぐやさんにそう言われた石上は、なにも答えなくなってしまったが、かぐやさんは気にせずに質問をした。

 

かぐや「先輩を好きになったきっかけは?」

 

石上「……僕が応援団に入った時は、先輩は無理してると思ってたんです。けど、実はそうじゃなくて素で優しい性格なのが分かって……それで……」

 

かぐや「あらあら」

 

石上「でも、僕みたいな人が付き合うとかは無理ですよ。四宮先輩がさっき言ってた様に、つばめ先輩は人気ですし、何より絶対彼氏が居ると思いますし」

 

優心「彼氏はいないって、つばめ先輩は言ってたよ。だから、告白するチャンスはあるよ」

 

石上「そうでも僕みたいな人間なんか釣り合わないですよ……」

 

かぐや「……石上くん。どんな手を使ってでも子安つばめを手に入れなさい」

と、石上の言葉を聞いたかぐやさんが石上に言い放った。

 

かぐやさんの言葉を聞いた石上は、"先輩とは釣り合わない"といった否定的な、自虐的な事を言っており、それにかぐやさんが反論していた。

 

かぐや「確かに、告白してフラれるかもしれない……や、関係が壊れるかもといったその気持ちはわかるわ。でもね、"告白しなきゃどこまでもズルズルいくだけよ?"」

 

優心(……かぐやさんの最後の言葉……。絶対、自分の事も含めて言ってるよね……)

 

石上「一応、成功率が高い告白とかは考えてるんですよ」

 

かぐやさんの言葉に石上はそう言ってきた。

 

優心(成功率が高い告白……?)

と、不思議に思いながら石上が言った告白の方法を聞いてみた。

 

聞いてみると、つばめ先輩の机の上に毎日違う花を置くらしい。それでその花の名前の一文字目を縦に読むと『アイシテル』になると教えてくれた。……教えてくれたけど……。

 

かぐや「え、気色悪い……」

 

優心「俺もかぐやさんに同意する。……流石にそれはちょっと……ね」

 

石上「え!?……じゃ、じゃあこれはどうですか!」

 

俺とかぐやさんの言葉を聞いた石上は、別の告白の仕方を言ってきた。そのもう一つの告白は、一緒に自分のアルバムを見て、最後のページに告白の言葉を書いた紙を挟んで告白するというものだった。

 

かぐや「だから気持ち悪いって言ってるでしょ!」

と、石上の説明を聞いたかぐやさんが大声でそう叫んだ。

 

優心「それも無しかなー……」

 

石上は目に見えて落ち込んでいた。

 

優心「……変に告白の仕方を考えて告白するより、ストレートに告白した方がいいんじゃないかな……」

 

石上「……ストレートにですか?」

 

優心「俺はそう思うよ。……それにつばめ先輩に釣り合わないって思うなら釣り合える男子になればいいと思う」

 

かぐや「弦巻くんの言う通りですよ。相応しい、良い男を目指した方がいいと思います」

 

石上「相応しい……良い男の定義ってなんですか?……それより四宮先輩が思う良い男はどんな人なんですか?」

 

俺とかぐやさんの言葉を聞いていた石上は、かぐやさんに質問をした。

 

かぐやさんは石上の質問に答えていたが、俺はかぐやさんの答えを聞いていると会長に当てはまってる感じの答えだった。

 

石上・優心「「会長みたいな人?」」

 

かぐやさんの答えを聞いた俺と石上はハモって、"会長?"と聞いてしまった。するとかぐやさんは狼狽えながら、なんとか答えきっていた。

 

石上「なるほど……」

 

かぐや「……ひ、ひとまず、今度の期末試験で順位を上位50位を目標に目指しなさい。勉強は、前回と同様に私が教えます」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~帰り道~

 

 

かぐやさんが勉強を教えると石上に伝えた後は、解散となった。

 

愛「生徒会室でそんな事があったんだ」

 

優心「うん。かぐやさんが自分の試験勉強をしながら、石上に試験勉強を教えるんだって」

 

解散となった後、俺は愛と生徒会室での出来事を話ながら一緒に帰っていた。

 

愛「会計くんが子安先輩の事を好きだったんだ」

 

優心「まぁ、つばめ先輩は男子人気が凄いから、石上が好きになるのは分かるけど……痛っ!」

 

話をしてると、いきなり愛に耳を引っ張られた。

 

優心「何するの……愛」

 

愛「別に……優心くんも好きになるんだな~って、思っただけ」

 

優心「……愛以外の人を、loveの意味で好きになる事はないから安心してよ。愛以上に可愛い女子なんていないし、愛は俺にとって大事な彼女だよ」

と言って、愛の頭を撫でてあげた。

 

愛「……ん。なら許す……」

 

しばらく撫でてると、愛は照れながらも許してくれた。

 

優心「ありがと。……そういえばなんだけど、愛って試験とかのテストの結果っていつも114位だったよね?」

 

愛にお礼を言った後に、期末試験の事を切り出した。

 

愛「うん、そうだよ。まぁ、かぐやの近衛で目立たないように、赤点にならなくて上位に行きすぎない位置にしてたんだ」

 

優心「今回は、そういうのを気にせずに上位に狙う?」

 

愛「そうだね。もう四宮の使用人じゃないし、上位狙おうかなって思ってるよ。かぐやの近衛の時は目立ってはいけなかったけど、もう気にしなくてもよくなったからね」

 

優心「そっか」

 

愛「だから自分の出せる実力でテストをやろうと思ってる。その状態でやれば、少なくとも上位50位の中には確実に入ると思うよ」

 

優心「……試験勉強、一緒にやる?」

 

愛「やる。だって順位も優心くんと近い方がいいもん。せめて、上位10位以内には入りたいなって思ってるよ。けどいきなりは無理だから、今回は40前半に入るのが目標だよ」

 

優心「じゃあ家に帰ったら勉強会しよっか」

 

愛「うん」

 

家に着くまでの間は愛と期末試験の話とか、いろんな話をしながら帰った。

 

家に着いた後は、こころに晩ごはんの時間になった事を教えてくれるまで勉強を二人でやっていた。

 

晩ごはんを食べた後はお風呂に入り、愛とこころの二人とのんびり過ごして、一日を終えた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

生徒会室の石上とつばめ先輩での出来事や、愛との勉強会からの翌日。

 

生徒会室にいると、会長が、"今日からしばらく生徒会も試験休みを取る"と言ってきた。

 

会長に理由を聞くと皆のためだとかを答えて来たけど、どこか自分の為にが一番に聞こえた。

 

"なんとなくそう感じた"という曖昧な感覚だったから、"絶対そうだ"とは言えないけど……。

 

かぐやさんやミコからもそういうのを感じたけど、気付いてないふりをしといた。

 

優心(今日も家に帰ったら愛と勉強会しよう)

と、会長達の様子を気にせずに、俺そう考えた。

 

そうこうしていると、解散となった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~弦巻家・勉強部屋(応接室)~

 

 

家に帰った後は、愛と勉強をしていた。

 

愛「ねぇ」

 

勉強してると、声をかけられた。

 

優心「ん?」

 

愛「ふと気になったんだけど、こころって花女での成績ってどうなの?テストとかの順位とか……」

 

優心「あぁ、こころはなんだかんだで成績はいいよ。テスト……試験の順位も、多分トップ10には入ってたはずだよ」

 

愛「優心くん同様に、こころも凄いね」

 

優心「でもこころは、世界を笑顔にしたくて行動してるから、あまり成績の事は気にしてないけどね」

 

愛「そっか。確かにこころと話をしてても成績の事は気にしてなかった。というよりも興味なさそうだったね」

 

優心「ほんと、そんな感じだよ」

 

愛とそんな会話をしながら試験勉強を続けた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

今日の勉強会をしてから少しして期末試験当日。

 

特に緊張せずに期末試験を受けた。愛もいつも通りに試験を受けたと言っていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして、期末試験の結果発表の日。

 

 

張り出されてる上位50位を見てみると、今回の結果は俺の順位は1位だった。2位は会長で3位はかぐやさんだった。

 

そして、今まさに少し離れている会長に睨まれてる。

 

俺が結果を見る前には睨んできてたから、なんとなく結果は分かってたんだ。そして案の定、俺が1位だったわけだ。

 

ただ、俺は会長には気付いてないふりをして、隣に来た愛に話しかけた。

 

優心「愛はどうだった?」

 

愛「私は43位だった。すばると三鈴に驚かれて質問責めにあったよ。優心くんに教えてもらったって言っちゃったから、次の中間やら期末とかのテストの時に勉強教えてって頼まれるかも」

 

優心「あ、そうなんだ……」

 

すばる「弦巻くん!」

 

愛「……と言った側から来たし……」

 

優心「噂をすればってやつだね」

 

すばるの声がした方へ顔を向けた。すばるの隣には三鈴も一緒いた。

 

優心「どうしたの?」

 

すばる「今度の試験の時は勉強教えて!」

 

俺は愛の顔をチラッて見た。愛は頷いた。

 

優心「分かった。今度の試験の時は、俺と愛とすばると三鈴の四人で勉強会しよっか」

 

すばる「言ったね!約束だよ」

 

優心「うん、約束」

 

三鈴「弦巻くん、ごめんね~。愛もね」

 

優心「大丈夫。大人数でやる勉強会って楽しいから」

 

愛「私も問題ないから大丈夫だよ」

 

三鈴「そう言ってもらえると助かるよ~。すばる、結果見た瞬間に悔しがってたもん。上位50位に入らなかったからね」

 

すばる「そう言う三鈴だって、入ってなかったでしょ」

 

三鈴「そうだけどさ~」

といった感じの話したりしながら、その後の時間が過ぎていった。

 

その時に、なんとなくかぐやさんの悔しがる声が聞こえたけど、気にしないで愛達と話をした。

 

 

そうして一日が終わった。

 





こころと、愛の親友の駿河すばると三鈴の成績は、独自設定です。

原作とは違うかもしれませんが、本小説での独自設定ですので、そういうものだと思ってくれたら幸いです。

次回は、三者面談の内容の話を投稿予定です。


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第50話


三者面談の内容です。

今回は、キャラ達の視点や、その場の状況といった小説の描写が頻繁に変わるので、読みづらくて分かりづらいと感じてしまうかもしれません。

それでも最後まで読んでくれたら幸いです。

では、本編をどうぞ。



 

 

期末試験から数日が経った夜。

 

 

~優心視点~

 

 

~弦巻家・優心の部屋~

 

 

晩ごはんを食べ終わって自屋でゆっくりしていた時にお父様から電話が掛かってきた。

 

お父様は、雁庵さん達と進めてる事についての話で電話をしてきたみたいだった。

 

しばらくその事について話を進めていた。そして話を終えると、かぐやさんの進路に事やその時の雁庵さんの様子についても教えてくれた。

 

優心「かぐやさんって、外部進学なんだ」

 

誠心『あぁ、話をして言いなりなどを気にせずに本心で話してくれと雁庵が言うと、大学に行きたい事・そしてゆくゆくは家を継ぎたいとも言ってくれたそうだよ』

 

優心「そうなんだ」

 

誠心『あぁ、彼女の思い描く将来のプランは大学に進学し、そこでさらに勉学をしてから四宮家を継ぐということになるな』

 

優心「なるほどね。じゃあ俺と似た感じだ」

 

誠心『そういう事になるな。優心も大学に進学してから代理とはいえ、家を継いでくれるから嬉しい限りだよ。ありがとう』

 

お父様にそう言われて嬉しかった。そうしてるとお父様からまた声をかけられた。

 

誠心『……あとは優心達、生徒会の子達の将来が現実になるように準備を進めていかないとな』

 

優心「そうだね。何かあったらまた教えて」

 

誠心『その時には連絡する。しばらくはこっちで進めていく』

 

優心「分かった。……じゃあおやすみなさい」

と言ってから電話を切った。

 

 

そして、ベッドに入った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

優心と父・誠心が電話をした日から、数日後。

 

 

~三者面談当日~

 

 

~生徒会室~

 

 

~会長視点~

 

 

石上「会長。今日は、藤原先輩と四宮先輩と弦巻先輩はいないんですか?」

 

生徒会室で文化祭関係の仕事をしていると、いつの間にか生徒会室に来ていた石上が、弦巻たちの事を聞いてきた。

 

会長「今日は三者面談があるんだ。だから三人はここには居ないし来ないぞ。……まぁ、俺もそうなんだけど、最後の方だから、文化祭の事務作業を少しでもやろうと思って寄った感じだな」

 

石上「三者面談。……僕、将来の事は無いんですよね」

 

三者面談の事を伝えると、夢はないと言ってきた。

 

会長「そうなのか?何かやりたい事とかは無いのか?」

 

石上「家は、兄が継ぐ予定なので、僕の場合はニートになるか社長になるかのどっちかですね」

 

会長「贅沢な悩みだな」

という事を、俺が質問した事の石上が答えに反射的に言ってしまった。

 

反射的に言った時に思い出したことが一つあったので、それを聞いてみた。

 

会長「……そういえば、弦巻の誕生日の時に父親から弦巻グループへスカウトされてただろ?グループの会社に入ろうとか思わないのか?」

 

……そう。石上は弦巻グループにスカウトされたんだ。しかもスカウトした張本人は、弦巻家と弦巻グループの当主兼社長である弦巻の父親だ。

 

トップ直々にスカウトされたもんだから、石上はしばらくあたふたしていたが、最終的に"考えときます"と言っていた。

 

しばらく石上は黙っていたが口を開いた。

 

石上「……それも迷ってはいますね。魅力的な誘いでしたし」

 

ミコ「いやいや、石上が弦巻グループに誘われたって……嘘でしょ」

 

石上「それがマジなんだよ」

 

会長「石上がスカウトされていたのを目の前で見てたから、スカウトされていたのは本当だぞ」

 

ミコ「会長が言うなら信じますけど……」

 

話の途中で、石上がスカウトされた事を信じてなかった伊井野は、渋々だが信じてくれた。

 

ミコ「前に会った時にも思ったんですけど、弦巻先輩のご両親っていい人ですよね~」

 

石上「確かに。僕みたいな見た目が根暗で幸の無いような人間に優しかったし。……何より、あのパーティーに招待されてた人達、全員いい人ですよね」

 

会長「あれだろう。類は友を呼ぶみたいに、弦巻に関わる人達は、自然といい人が集まるんだろう」

 

そんな感じで、石上達と話をしてしばらく過ごしていたが、時間を確認のために時計を見た。

 

会長「……と、そろそろ時間だから、俺は面談に行くとするよ」

 

石上「あ、はい」

 

ミコ「分かりました」

 

俺は石上と伊井野にそう伝え、教室へ向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

会長と石上とミコの三人が、生徒会室で話をしていた頃。

 

 

~優心視点~

 

 

お父様と電話をした日から数日後。

 

 

今日は三者面談があるので、廊下の方でお母様とお父様が来るのを待っていた。

 

待ってると、千花のお父様の大地さんがB組の前に来たのが見えたから、挨拶をするためにB組の方へ向かった。

 

優心「大地さん、お久しぶりです」

 

大地「優心くん、久しぶり」

 

優心「誕生日パーティーの後は中々会えませんでしたけど、お仕事大変だったんですか?」

 

大地「まぁ、少し忙しかったよ。……それより、千花は君とこころちゃんには迷惑をかけてないだろうか?」

 

優心「それは大丈夫ですよ。こころとも仲良くしてもらってますし」

 

大地「それならよかったよ」

 

心美「優心」

 

大地さんと話してると、後ろからお母様から声をかけられた。

 

心美「お待たせ」

 

優心「お母様。……あれ、お父様は?」

 

心美「他の方々と話してるから後で来るわ。……大地さん、誕生日パーティー以来ですからお久しぶりですね。お元気そうでなりよりです」

 

大地「心美さんもお元気そうで。優心くんには千花がお世話になってます」

 

心美「こちらこそ、千花ちゃんには優心とこころの二人にも仲良くしてもらってますよ」

 

優心「ん…」

 

大地さんとお母様が話を始めて、俺とこころの名前を言った時にお母様が頭を撫でてきた。

 

少ししてから、お母様と大地さんが話を終えたから自分のクラスのA組へ向かった。

 

愛「あ、優心くん」

 

A組の教室前に戻ると、愛と奈央さん、かぐやさんと雁庵さんが居て、奈央さんと話をしていた愛が俺に気付いて名前を呼んできた。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

~朝~

 

 

~ホームルーム前・空き教室~

 

 

~愛視点~

 

 

今日は三者面談がある。

 

そんな日の朝、教室に着くとかぐやに空き教室で話をしたいと言われた。

 

空き教室に着いて話を聞くと、三者面談が今日あるから当たり前だけど進路についての話だったから、かぐやの話を聞いた。

 

愛「かぐやは外部進学するんだ」

 

かぐや「えぇ。……毎日、夜にしているお父様との電話で三者面談が近づいてきたから、進路の話になったのよ」

 

愛「その時に外部進学するって伝えたんだね」

 

かぐや「はい。けど、その時にお父様たちの言う通りにするって、言おうとしたの。でもお父様が本心で話して欲しいと言ってきた」

 

雁庵様が言ったという"本心を言ってほしい"という言葉に、私は驚きつつもかぐやに話を促した。

 

かぐや「そう言われて、私は自分が考えている事を伝えたの。どこの大学に行くかはまだ決めていないけれど、秀知院以外の外部に進学したいってね。そして最終的には、家を継ぎたい事も伝えたわ」

 

愛「そうなんだ。……って、家を継ぐの!?」

 

かぐや「そうよ」

 

かぐやの"家を継ぎたい"の言葉に驚いたが、私の驚きなどを気にせずに、"そうよ"という一言だけで済まされてしまった。

 

愛「……そ、それで雁庵様には、なんて言われたの?」

 

一言だけで済まされてしまった私は、気を取り直してそう聞いてみた。

 

かぐや「大学は、しっかりと自分の判断で考えて行きたいと思った所に行きなさいとお父様に言ってくれたわ」

 

愛「そっか。……でも、家を継ぐって事は?他の三兄弟の事もあるし、特に長男が問題でしょ?大学の事も、目指す所によっては邪魔される可能性はあるよ」

 

かぐや「私もその事を心配して聞こうとしたわ。けどお父様は、今は気にしないでくれ・時期がきたら教える、家を継ぐ事は周りには言わないようにと。話すとしても、早坂の娘だけだと言われたわ」

 

愛「……それは、なんか裏がある感じだね」

 

かぐやの説明に私はそう呟いて、かぐやはその呟きに頷いて口を開いた。

 

かぐや「確実に何かがあるわよ。……まぁ、家の事については置いといて、ひとまず進路は外部進学で大学に行くと決めたって事よ」

 

愛「なるほどね」

 

かぐや「愛さんは、進路はどうしたいか決めました?」

 

かぐやの進路の事を聞いた後に、かぐやから私の進路について聞いてきた。

 

愛「私は優心くんと同じ大学に行くつもり」

と、かぐやの問いに答えたら"予想通り"と言われた。

 

愛「予想的中したんだ?」

 

かぐや「まぁ、二人は本当にラブラブカップルです。それに、愛さんは弦巻くんと一緒にいる事が多いですから、大学も一緒の所を受けたいと思っていそうだったので……」

 

愛「……まぁ、その通りだけどね」

 

かぐや「他にも理由がありそうね」

 

愛「優心くんって、経営学が強い大学に進学希望なんだ」

 

かぐや「それはつまり……弦巻くんと結婚して会社などの経営に関する事を携わる事が出てくるから、その将来のためにって事ですか?」

 

愛「……うん、そういう事」

 

かぐや「そういう理由も良いと思いますよ」

 

そんな話をしていると、予鈴が鳴ったのでホームルームに間に合うように急いで、A組に戻った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~愛視点~

 

 

~三者面談の時間・放課後~

 

 

放課後になり、ママが来るまでかぐやと一緒に話をしながら待っていた。

 

奈央「愛」

 

しばらくして、ママがやってきた。隣には雁庵様も一緒に来ていた。

 

かぐや「あ、お父様」

と言ったかぐやは、雁庵様とそのまま話を始めた。そういう私も、ママと話を始めた。

 

愛「そういえば、パパは?」

 

奈央「正人は、どうしても外せない仕事をしているの。雁庵様直々の仕事よ」

 

愛「そうなんだ……」

と、パパの事を聞いてそう呟くと、ママは頭を撫でてくれた。

 

愛「……ねぇ、今日は晩ごはん一緒に食べれる?」

 

奈央「勿論。今日は休みをもらっているから、一緒に食べれるわよ」

 

頭を撫でられながら、晩ごはんを一緒に食べれるのか聞くと、"食べれる"と答えてくれた。

 

愛「じゃあ、帰りに焼き肉かお寿司食べたい!」

 

奈央「私はふぐ刺しが食べたいわ」

 

愛「えー……」

 

ママもママで食べたいものがあるから、意見が割れてどうしようとなってると、優心くんと心美さんの二人が教室前に来たのが見えた。

 

愛「あ、優心くん」

 

心美「奈央、どうしたの?」

 

奈央「晩ご飯をどうしようかって、愛と話になってたのよ」

 

心美「それなら、うちでご飯を食べない?」

 

奈央「いいの?」

 

心美「いいわよ。今日は休みを貰ってるんでしょ?だったらどこでご飯を食べても構わないじゃない。家だったら愛ちゃんが食べたいものや、奈央が食べたいものも用意できるわよ」

 

心美さんの提案に、私も賛成してママに"そうしよう"と言った。ママは少し考えてから、承諾してくれた。

 

心美「あと、かぐやちゃんも食べに来るでしょ?」

 

かぐや「わ、私も?……私も行っていいんですか?」

 

心美「優心の大事な友達だから、当たり前じゃない。それに優心が友達だと認めて仲良くしてる子は、私にとって自分の子供みたいなものだしね」

 

奈央「心美はいつもその言葉を言ってるわね。前にも、弦巻家が運営してる児童養護施設の子供達にも同じこと言ってたわよね?自分の子供みたいって……」

 

心美「おかしい事かしら?けど、私がそう思ってるのだからいいじゃない。……それでかぐやちゃんはどうする?」

 

かぐや「折角の誘いですし行きたいですが……」

 

心美さんの誘いに、かぐやは雁庵様を見ながら迷っていた。

 

心美「雁庵さん、かぐやちゃんを連れていってよろしいですか?というよりも連れていきますので、文句言わないでくださいね。というより言わせませんので」

 

雁庵「かぐや、行ってきなさい」

 

かぐや「い、行っていいの……?」

 

雁庵「あぁ」

 

心美さんが雁庵様に強引な物言いをして、許可を出させていた。

 

けど、かぐやは嬉しそうにしていたから、心美さんの強引な言動は気にしないでおいた。

 

その後の雁庵様は誠心さんと、心美さんはかぐやさんと優心くんと話をしていた。

 

私はその様子を見ながらママに声をかけた。

 

愛「ママ。心美さんって雁庵様に怯えてないんだね」

 

奈央「愛は、心美の事を弦巻家で過ごしてて聞いたりしてないの?」

 

愛「うん。心美さんって、仕事で家にいることが少ないし家に帰って来たとしても、優心くんとこころと話をしてることが多いから」

 

奈央「そういう事ね。……心美はね、一般の家出身よ。生まれながらの、富豪名家界隈の人間じゃないわ」

 

愛「え、そうなの?」

 

奈央「そうよ。確か、誠心さんとは幼馴染みだそうよ」

 

愛「誠心さんと幼馴染みなんだ……」

 

奈央「えぇ。……まぁ取り敢えず一般の家出身だし、心美自身強気な部分があるから」

 

愛「だから雁庵様にも全然臆してないんだ……」

 

奈央「そういうことよ」

 

心美「奈央。勝手に人の事は言わないようにね。いつ誰が聞いてるのか分からないから」

 

奈央「ごめんなさい」

 

ママと心美さんの話をして少しすると、ママがすぐに謝っていた。

 

愛(体育祭の時もだったけど、ママが即答で謝った。なんでだろう……)

と、二人の光景を見てそう思ってしまった。

 

すると教室にいる担任から、優心くんの名前が呼ばれていた。

 

どうやら話している内に、優心くんの番になったみたいで、先生に呼ばれた弦巻親子は教室に入っていった。

 

教室へ入っていったのを見てから、ママに声をかけた。

 

愛「ママ。体育祭の時もそうだったけど、心美さんにすぐに謝ってたのは、なんで?」

 

奈央「圧が凄いし、変に怒らせたくないからよ……」

と、ママは私の言葉に冷や汗をかきながら、一言だけ呟いた。

 

ママの言葉に、私は苦笑いしか出来なかった。

 

愛「(……って事は、優心くんの怒ると怖いっていう所は、心美さん似って事?)じゃあ、優心くんは心美さん似って事だよね」

 

奈央「……前にそう言ってたわね。誠心さんは今じゃ落ち着いているけれど、学生時代とかは今のこころちゃんとほぼ同じぐらいの性格だったそうで、心美の方は昔から変わってないって聞いたわね」

 

愛「そうなんだ……」

 

奈央「だから性格がどっちに似ているのかって話になった際に、強いて言うならば優心くんは心美似で、こころちゃんは誠心さん似と聞いたわよ」

 

ママの言葉を聞いて”へえー”となった。そうなってると優心くんが出てきた。三者面談が終わったみたいだった。

 

その後に、私とママの番になり、その次にかぐやの番だった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~優心視点~

 

 

~二年A組・教室~

 

 

かぐやさんとお母様と話をしていると、担任の先生に呼ばれたので、教室に入った。

 

 

担任「弦巻くんは外部進学希望だったね」

と、席に座ると先生がそう言ってきた。

 

優心「あ、はい。そうです」

 

担任「うん。じゃあ進学するとして、大学はどこに行きたいか決めてるかい?」

 

優心「経営学が強い大学に行きたいと思ってます」

 

担任「なるほど、経営学か……。ということは、将来的には当主・社長として家を継ぐ感じなのかな…?」

 

優心「あ、継がないです」

 

先生に行きたい大学の事を聞かれて答えると、家の跡取りの話になったからそれにも答えた。

 

そして俺の答えに、先生はびっくりしていた。

 

担任「え……、継がないの?」

 

優心「……いや、正確に言えば俺は当主兼社長"代理"に、就くつもりなんです。当主と社長を継ぐのは妹のこころですよ」

 

担任「でも私からしてみれば、弦巻くんでも継げるほどの能力や人望などがあると思っているんだが、妹さんが継ぐのか」

 

優心「はい。妹の方が俺よりカリスマがありますし、妹が当主と社長になれば本当に世界を笑顔に出来ると思うんです。俺はその支え……いわばサポートをしたいと思ってるんで」

 

担任「なるほど。それで代理に就くという事か。それで代理とはいえ、家や会社の経営には必然的に携わるから経営学が強い大学に行きたいと……」

 

優心「そういう事です」

 

担任「……本人はこう言ってますが、ご両親はどう思っておられますか?」

 

俺の話を聞いた先生は、お父様とお母様に話を聞き始めた。少しして話が終わり三者面談が終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

俺の後に愛が三者面談を受けていた。

 

それで、愛も俺と同じ経営学の強い大学に進学すると先生に話したそうだ。

 

この事に、先生は驚いてはいなかったみたいだ。

 

俺と愛が付き合ってる事は知っていたそうで、"なんとなくそうだろうと思ってた"と言われたみたいで、少し恥ずかしかったと話してくれた。

 

愛が俺と同じ大学に行く事は知っている。

 

知ってる理由は、期末試験が終わった日から三者面談の日まで間に、愛本人から聞いたからだ。

 

愛なりに将来の為に色々と考えた結果、俺と同じ大学に行く事にしたという事も教えてくれたんだ。俺も一緒の大学に行けるから嬉しかった。

 

そしてかぐやさんは(前にお父様が話してた通り)、外部進学に行く事に決めたと教えてくれた。因みに、雁庵さんとかぐやさんを見て、先生は二人の結構な歳の差を多少驚いていたらしい。

 

それで雁庵さんは三者面談が終わると、かぐやさんと話を少ししてから一足先に本邸へと帰っていった。

 

会長の進路の話は聞いてない。一応、聞こうとしたけど、三者面談を終えてすぐに親と一緒に真っ先に帰ってしまったから、聞けなかった。

 

ただ、教室……いや校長室から出てきたから、校長と三者面談をしてたのは見て分かった。

 

そして、その時に会長も会長のお父様も真剣な顔つきをしてたから、会長なりの大きな決断をしたのは感じから、話しかけなかった。

 

優心(何かあるって事だな。……けど、今はあまり聞かない方がいいような気がするし、聞くのをやめとこう)

 

心美「優心ー?帰るわよ~」

 

優心「あ、今行くー」

 

会長の事で考え事をしているとお母様に呼ばれたので、返事をしてすぐに向かった。

 

お母様の元へ向かった後は、俺と愛とお母様とお父様で、弦巻家へ帰った。

 

勿論、家で食事をするという事を三者面談が始まる前に約束をしたから、奈央さんとかぐやさんの二人も一緒に乗ったんだ。

 

車に乗ってる時に、愛と奈央さんが食べたい食べ物をお父様が聞いて家に連絡をしていた。

 

車の中で色々と食べたい物を言ってたけど、最終的にふぐ刺しとお寿司だった。

 

家に着いた後は、すぐにご飯を食べる部屋にご飯を食べることになったので、ご飯を食べる部屋へ皆で向かった。

 

因みに華さんや皐、お父様達の護衛をしていた黒服さんは自室や戻ったり自分の仕事をしに行った。

 

部屋に向かってる間にこころが口を開いた。

 

こころ「奈央とかぐやが来たのね」

 

優心「そうだよ。一緒にご飯を食べることになったんだ」

 

こころ「皆でご飯を食べるの楽しいものね♪」

と、部屋に着くまでの少しの間は、こころと話をした。

 

そうしてると、部屋に着いた。

 

テーブルの上には、奈央さんと愛の希望のお寿司とふぐ刺し、他におかずになる食べ物も準備されていた。

 

皆で席に座ってご飯を食べ始めた。俺はこころと愛とかぐやさんの三人と、奈央さんはお父様とお母様の二人と話をしながらご飯を食べてた。

 

その途中で、皐がお母様と奈央さんの二人と話をしていた。

 

お母様に声をかけると、皐が愛の護衛をしている事を伝えて、それで皐が奈央さんに挨拶をしたと教えてくれた。

 

体育祭の時は、奈央さんと護衛とかの話などをしていなかったそうなので、この際に話をしたという事も教えてくれた。

 

 

その後も、皆と楽しくご飯を食べて過ごした。

 

 

そしてこの日、奈央さんはうちに泊まりかぐやさんは別邸に帰った。

 

こうして、三者面談があった一日が終わった。

 




 
愛がパパ呼びの理由は、単純に母親の早坂奈央をママ呼びなので、父親もパパ呼びだろうと思ったからです。

それに加えて、奈央が言った「正人(まさと)」は、愛の父親の名前です。

原作に『早坂正人(はやさかまさと)』と、父親と名前が少しだけ出てましたので、名前だけ出しました。(一応、この第50話は三者面談の話なので)

次回からは、文化祭関連の話を書いて投稿していこうと思います。


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第51話


今回は、原作のエピソードも少なからず題材している部分がありますが、内容の殆どがオリジナルの話になっています。

後半の話は、優心とこころと樹と鋼が、北高の文化祭に行く話を書いています。

ただ、人によってはその部分の内容が薄いと思うかもしれませんが、それでも楽しんで読んでくれたら嬉しいです。 

では、本編をどうぞ。



 

 

三者面談があった日の翌日。

 

 

~優心視点~

 

 

午後の授業ので文化祭でやる出し物を、決めることになった。

 

いろんな案が出たんだけど、すぐに出し物が決まってしまった。

 

担任「じゃあ、A組はコスプレ喫茶で決定だ」

 

何をやることになったというと、先生が言ったコスプレ喫茶をやることになった。

 

その後にも話が進んでいって授業が終わり、ホームルームになった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~放課後~

 

 

ホームルームが終わり放課後になった。

 

放課後になるとかぐやさんはすぐに教室から出ていった。他のクラスメートも部活での文化祭の話とか、そんな文化祭関連で急いでるのか足早に教室から出ていた。

 

その光景を横目に見ながら、クラスの女子達と愛が集まって話をしている所に向かった。

 

女子達の所に向かったのは訳がある。

 

午後の授業で、文化祭の出し物がコスプレ喫茶になったんだけど、早々に出し物が決まった為に時間が余ってしまったんだ。

 

それで、残った時間で決めれる事を決めようと話になり、コスプレして接客する人員とかを決める事になった。……なったのはいいんだけど、その時に俺は拒否権なしで全員の意見一致での即決で出ることに決まってしまったんだ。

 

だから、教室に残っていた女子陣に即決で決めた理由を聞きに向かったというわけだ。

 

女子B「……ん?どうしたの、弦巻くん」

と、俺に気付いた女子が声をかけてきたので、聞きたい事を聞いた。

 

優心「コスプレ喫茶の事なんだけど……俺が接客する事が、なんで即決で決まったのかなって思って……」

 

女子C「あ~それはね、弦巻くんって見た目も良いし性格もいい。絶対女性客をゲットできる筈だからね!」

と、クラスの女子の一人が即答してきた。

 

即答だったから、"即答……"と呟いていると他の女子も会話に入ってきた。

 

女子B「そうそう。お店系に決まった時は必ず弦巻くんを接客をやってもらうって、三者面談の後で女子達だけで決めてたんだ。ほら、弦巻くんってイケメンだしね」

 

優心「……俺って、どこにでもいる感じの見た目だと思うけど」

 

女子C「……いやいやそんな事ないよ~。"イケメン"か"イケメンじゃない"の二択だと、迷わずイケメンの枠に入るんだよ、弦巻くんは!」

 

その他の女子陣も同じような事を言ったり頷いていた。クラスに残っていた男子陣の数人も頷いてはいたけど。

 

優心「はぁ……、まぁ別に出ること自体は嫌じゃないし、接客するの楽しそうだからいいけど」

と、俺が言うと皆喜んでいた。

 

女子B「あ、あと女子だけで話をした時に、愛から許可は貰ったから心配しないでね」

 

優心「?……愛の許可ってどういう事?」

 

愛の許可と言ってきたが意味が分からなくて、聞き返した。

 

女子B「えっとね、まず弦巻くんと愛は恋人同士でしょ?」

 

優心「うん。そうだけど……」

 

女子B「彼女の愛が知らない所で、彼氏である弦巻くんを客引き要因で使って、女性客を釣る行為するのはダメだと思ったんだ」

 

女子C「そうそう。その客引きを文化祭本番の時にやって、弦巻くんがその客と仲良くなってしまったら……」

 

女子B「そうしたら、ラブラブカップルの二人が別れちゃうかもしれない。それに加えて、愛は嫉妬モンスターになってしまってクラスの出し物に影響が出ちゃうからね」

 

優心「たから、許可をもらったって事?」

 

女子B「そういう事だよ。伝えておけば何も知らないよりはいいと思うからね。それでも嫉妬はすると思うから二人のクラス担当の時間はピッタリ同じにするつもりだから、安心してお互いの事を気にしてあげれるよ」

 

優心「……愛、いいの?」

 

クラスの女子に話を聞いた後に、静かにして隣にいた愛に確認した。

 

愛「うん。何も知らないよりはいいし、何より優心くんのコスプレした姿を一番近くで見てみたいって思ったから許可したんだよ」

 

愛の言葉に"えぇ……"と言ってしまったが、また聞きたいことを聞いた。

 

優心「でも女子がメインで接客するんでしょ?だったら、俺とか他の男子とか接客はやらなくてもいいんじゃない?」

 

女子B「確かにね~。女子だけで接客して男性客に来てもらうのも良かったんだけど、折角の文化祭で喫茶をやるし男子の数人に参加してもらって女性客もほしいって思ったんだ」

 

女子C「そうそう。弦巻くんとか他の男子達にも、接客向きの男子がいるから使わない手はないよね。まぁ、実際はこの子が折れてくれたから、男子にも接客をしてもらえる事になったんだ」

 

女子A「ちょっと、いきなり抱きつかないでよ。……って、私の何処が折れたって言うのよ……!」

 

女子C「えぇ~、だって最初は女子だけにしようって言ってたじゃん」

 

女子B「……この子は頑固でね、最初の内は女子だけにしようって言ってて、男子にもやらせようとはならなかったんだ。けど愛の説得で折れてくれたんだ」

 

優心「そ、そうなんだ……」

 

クラスの女子の一人が、接客は女子だけでやらせるつもりだったらしい。……が、愛の説得で男子にも接客をさせる事になったらしい。

 

愛が説得した理由は、さっきの"俺のコスプレを見たい"っていう理由なんだろうと思った。

 

ただ、その女子達のやり取りを見て、男子が接客をする事に関して変更はしなさそうだった。

 

優心「……まぁ、理由とかが分かったから良かったし、愛もオッケーを出してるから、とやかく言わないよ」

 

俺も承諾してから、生徒会室に行くために荷物を持って教室の扉の方へ向かった。

 

女子C「……確か、一個下の弟くんも頑固なんだよねー。姉弟って似るんだね~」

 

女子A「もー、そんな話はいいから~。……本当、体育祭の時に、弦巻くんとこころちゃんの二人を見て羨ましいと思ったんだよね~。あんな風に慕ってくれないから……」

 

女子B「そういえば、確かに体育祭の時に言ってたもんね。弦巻くん兄妹を見て、"あんな風に慕ってくれないから羨ましい"って……」

 

女子C「でも慕われないのは仕方ないでんじゃない?あなたも頑固だしその弟くんも頑固らしいし、中々仲良くなるの無理じゃない?」

 

女子A「何をー!」

 

女子C「わぁー」

 

愛「もう二人とも何やってのー」

 

すばる「確かにそうだよ~」

 

三鈴「愛とすばるの言う通りだね」

という、愛や他の女子達の仲が良くて楽しそうなじゃれている会話が、教室から出る時に聞こえてきて少し笑みが出た。

 

俺は、そんな女子達の声を聞いて"愛が皆と仲良くなって良かったな"と思いながら、生徒会室へ向かった。

 

そして、生徒会室に着いて、生徒会室に入ろうと中を見た時に、猫耳をつけてメイド服らしき格好をしたかぐやさんと会長が何故か倒れていた。

 

その二人の近くにいる石上は慌てている……という、光景が広がっていた。

 

何がどうなって、そんな状態になったのか分からない光景を見た俺は、生徒会室に入らない事にした。

 

俺は何も見てないと思いながら、扉をそっと閉めて帰ることにした。

 

会長には、メッセージで"生徒会室に寄らずに帰る"と送っといた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~翌日~

 

 

~昼休み・教室~

 

 

昼休みになった。

 

 

その昼休みの教室で、俺は教室で樹と鋼と過ごしいて、愛の方はすばると三鈴と一緒に過ごしている。

 

樹達と話をしながら過ごしている時に、一つ思い出した事を樹と鋼に質問した。

 

優心「そういえば、楓から今週末に北高で文化祭やるから来てほしいって連絡がきたんだけど、二人に連絡はきた?」

 

俺はそう聞くと、二人は頷いて"連絡来たよ"と教えてくれた。

 

優心「それてわ、俺はこころと一緒に行くつもりなんだけど、二人も行く?」

 

樹「僕も鋼も行くよ。折角のお誘いだし別の学校の文化祭なんて絶対に楽しいはずだからね」

 

鋼「確か、あいつのクラスはA組でお化け屋敷をやるって連絡がきてたよな」

 

樹「お化け屋敷って、定番だよね~。学園物の漫画とかアニメとかの文化祭にも必ずお化け屋敷が出てくるし、現実でも何処かのクラスは必ずやるもんね」

 

樹の言葉に頷きながら、スマホを出した。

 

優心「じゃあ、楓に行くことを伝えとくよ」

と言ってメッセージを送ろうとしたら、鋼が声を掛けてきた。

 

鋼「なぁ、弦巻は早坂は誘わねーのか?」

 

優心「愛を?……楓から連絡来た時に、愛にも聞いたんだけど、行かないって断られちゃったんだよね」

 

樹「そうなんだ。もう断られてるんだったら仕方ないね」

 

優心「うん。ひとまず行くって連絡しとくよ」

と、樹達の質問に答えてから、楓にメッセージを送っておいた。

 

その後は予鈴が鳴るまで、樹達と話をして過ごした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

昼休みから時間が過ぎて、放課後になった。

 

生徒会室に入ると、会長がかぐやさんに北高の文化祭に誘っていた。

 

その様子を見ながら、文化祭関係の仕事をやり始めた。

 

仕事をやりながら会長達の様子を見ていたが、会長の誘いにかぐやさんは自然の流れで断っていた。

 

その事に会長がショックを受けて、かぐやさんは実質的にデートに誘われたという事に気付いて、慌てているのが分かる動きをしていた。

 

 

そんな光景を見た俺は苦笑いしている時に、かぐやさんが助けてほしいといった感じの顔で俺の方を見てきたが、俺は肩を竦めただけにして、手助けはしないでおいた。

 

そうしてる内に生徒会の活動が終わったので、教室まで戻って生徒会が終わるまで待ってくれていた愛に、声をかけて帰ろうとした。

 

帰ろうとした時に、いつの間にか教室に来ていたかぐやさんが愛に泣きついていた。

 

泣きつかれた愛は、少しだけかぐやさんから話を聞いていたが、ストップさせて別邸で聞くと言っていた。

 

愛「優心くん。かぐやの話が凄く長くなりそうだから、別邸に行くことにするよ。話が終わった後の時間によるけど、もしかしたらそのまま別邸に泊まるかも……」

 

優心「分かった。もし泊まる事になったら、その時に連絡して」

と言うと、愛は頷いてかぐやと教室を出ていった。

 

二人が出ていったのを見てから、俺も教室から出て家に帰った。

 

その日の夜に、別邸に泊まると愛から連絡が来た。その事に、返事をしてから寝た。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

その翌日の学校の昼休み。

 

 

俺は教室で、昨夜に別邸でかぐやさんとした話を愛から聞いていた。

 

話をした時に、かぐやさんに"会長が勇気を出して誘ってきたから、今度はかぐやが誘うべき"と伝えたらしく、その言葉に俺は"確かに"と思って愛の話を聞いていた。

 

しばらく愛の話を聞いていると、午後の授業前の予鈴が鳴ったので、自分の席に戻って次の授業の準備を始めた。

 

 

そして、放課後になった。

 

生徒会室に行くと、ちょうどかぐやさんが会長にアプローチをしようとしていた。

 

見ていると、あと一歩で誘えそうな感じだった。"そのまま行け"と思ってると、生徒会室の扉が開いてミコが来て今の状況に場違いな事を言ってしまった。そしてその後も千花と石上も来てしまった。

 

そうこうしている内に、千花が言った一言で誘えなくなってしまうという結末だった。

 

 

俺は、そんな光景を見て苦笑いしか出来なかった。それで、俺は帰り際に愛に生徒会室の出来事を伝えたが、愛も愛で苦笑いしながら"そ、そっかー……"と言っていた。

 

そんな出来事があった一日は終わった。

 

 

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~数日後~

 

 

~北高・文化祭当日~

 

 

生徒会室で、会長とかぐやさんの北高の文化祭についてのやり取りがあった日から、数日が経った。

 

 

今日は北高の文化祭がある日だ。

 

俺は樹と鋼とこころの三人と、楓が通ってる北高の文化祭に来た。

 

愛にも声をかけたけど断られてたから、一緒には来ていない。

 

愛が断った時に"優心くん達は中学からの知り合いだしその皆だけで楽しんだ方がいい。だから私は行かない"と言われたからだ。

 

こころ「お兄様、樹、鋼。早く行きましょう!早く楓に会いたいわ」

 

優心「分かった分かった」

 

こころに手を引かれながら付いていって、北高の校門を通った。その後ろから樹と鋼も付いてきている。

 

鋼「楓のクラスは定番のお化け屋敷だけど、どんな感じになってるか、気になるよな」

 

樹「定番だから、普通より面白させて楽しませてくれたらいいよね~」

 

優心「だね」

 

こころ「絶対に楽しいわよ!」

 

そんな感じの話をしながら、楓のクラスに向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~一年A組・お化け屋敷~

 

 

~入り口・受付前~

 

 

楓「あ、ゆー先輩とこころちゃん!あと、いー先輩、こー先輩も本当に来てくれたんだね」

 

A組に着くと、楓が教室前にいて俺たちに気がついて声を掛けてきた。

 

鋼「行くって返事してただろう」

 

樹「楓は、信じてなかったの?」

 

楓の言った言葉に、二人はからかう言い方で言い返すと楓は慌て始めた。

 

楓「そ、そんなことはないよ~!ただ、来てくれたから……その事を口から出ただけだよ……」

 

鋼「冗談だから、そんな慌てんなって」

と、鋼が言うと楓はホッとしていた。

 

樹「楓は店番してるの?」

 

楓「うん。しばらくは受付担当なんだ」

 

優心「へぇ~」

 

こころ「ねぇ、早くお化け屋敷の中に入りましょう!」

と、俺の隣でワクワクでウズウズしていたこころがそう言ってきた。

 

優心「そうだね。楓、入ってもいい?」

 

楓「はい!一人100円でーす」

と言ってきたから、人数分の金額を払ってから中に入った。

 

二人組になって入ってほしいと楓に言われたから、俺とこころの二人と樹と鋼の二人で分かれてから、中に入った。

 

 

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~一年A組・お化け屋敷~

 

 

~出口の扉前~

 

 

こころ「凄く楽しかったわ!」

 

お化け屋敷から出てからの、第一声はこころだった。

 

こころは楽しそうでいい笑顔で、感想を言っていた。

 

優心「確かにね。それに、予想以上に本格的でビックリした」

 

鋼「確かに、思ってた以上に怖かったわ。めちゃくちゃお化けとかのメイクが凝ってたもんな」

 

樹「本当にその通りだったよ」

 

皆で感想を言っていると、受付にいた楓が近づいてきた。

 

楓「ねえ、皆。他の所を案内したいから一緒に回ろう!」

 

優心「いいの?受付は……」

 

楓「あとはやってくれるって言ってくれた。その代わりに午後一番の受付を担当してほしいって頼まれたけど、取り敢えず今から皆を案内するから」

 

楓の提案に俺達は承諾して、案内してもらう事になった。

 

 

楓の後ろを付いていく形で校内をを回り始めた。

 

 

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しばらく楓を含めた五人で文化祭を回って楽しんでいると、会長と石上に会った。

 

会長「ん?……弦巻に、こころ。それに新川と古川も来てたのか……」

 

鋼「こいつに来てほしいって、頼まれてな」

 

会長の言葉に、鋼が楓の頭に手を置きながらそう伝えていた。

 

会長「その子は……前に見たことがあるな……」

と、楓を見てそう言った会長に、俺が声をかけて交流会(合コン)の時にいた子だと教えた。

 

それに、俺と樹と鋼の中学時代の後輩で、1個下の後輩という事と、見た目は女の子だけど男子だという事も教えた。

 

楓が男子だと聞いた会長と石上は驚いていたが、少しして二人は落ち着いた。

 

会長「なるほど。知り合いだったから、あの時に弦巻と仲良く話をしていたのか……」

 

優心「そういうことだよ」

 

石上「あの……その相川くんの事は分かったんですけど、あとの二人の事も知りたいんですけど。会長と弦巻先輩の知り合いとしか分からなくて」

 

楓の事を紹介を終えると、石上が樹と鋼の事を聞いてきたから、教えてあげた。

 

優心「この二人は、さっきも少し話したけど俺の中学時代の友達。こっちは新川鋼でもう一人が古川樹だよ。中学の時は、二人合わせて新旧コンビなんて呼ばれてた」

 

俺の説明の後に、樹も鋼も自己紹介もして石上と仲良くなった。

 

楓「あ、じゃあ白銀先輩も石上くんも一緒に皆で文化祭を回りましょう!僕が案内しますから!ゆー先輩、いいよね!」

 

優心「俺はいいと思うよ。他の皆は?」

と楓の提案に俺は了承して、樹達……皆に確認を取ると問題ない様で頷いてくれた。

 

優心「じゃあ……楓、案内よろしく」

 

楓「うん!出発進行~!」

という、掛け声と共に楓か歩き始めたから、その後ろを皆で付いていく形で歩いた。

 

こころは楓と話をしながら歩いていた。

 

皆で回ってる最中に、大きい綿菓子が50円で買えて驚いたり、会長と石上が楓のクラスのお化け屋敷に行って出口で二人の反応を楽しんだりして過ごした。

 

午後も、行ってない出し物に行ったりして過ごした。

 

 

こうして、楽しい一日が終わった。

 





次回は、秀知院の文化祭(奉心祭)の準備期間の話を書いて投稿します。


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第52話


文化祭(奉心祭)の準備期間の話です。

では、本編をどうぞ。


 

優心がこころと樹と鋼の三人と、北高の文化祭に行った日から時間が過ぎていって、文化祭準備期間になった。

 

 

~優心視点~

 

 

今日は準備期間になってから、数日が経ったある日。

 

数日経って学校全体で文化祭の準備が着々と進んでいたが、つばめ先輩……文化祭実行委員会から生徒会から手伝いがほしいという要請がきた。

 

会長「明日にヘルプで来てほしいと、子安先輩が言ってきた」

 

優心「石上とミコだけの二人でも足りないの?」

 

会長「足りない訳じゃないみたいだが、弦巻は子安先輩の指名だ」

 

優心「指名ですか?」

 

会長「先輩曰く、委員会で話を進める時にどうしてもなぁなぁで進んで決まらない場合があるから、流れをズバッ!と止めたり、強引に指示や結論を出せる人が一人は欲しいと言ってきたからな」

 

会長の言葉に、俺は断らずに手伝いに行くことにした。

 

石上は面倒だと思って行くのを渋ってたけど、かぐやさんからつばめ先輩が文実の委員長だと聞いた瞬間に、"行きます!"と言ったから最終的に三人で行く事になった。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

~翌日・放課後~

 

 

~文化祭実行委員会・委員会室~

 

 

つばめ「それじゃあ、みんなアゲていくよー!ウェーイ!!」

 

「「ウェーイ!」」

 

俺とミコ以外の石上を含めた委員の皆がつばめ先輩と一緒に盛り上がっていた。

 

ミコ「弦巻先輩……私、このテンションに付いていけないです……」

 

優心「……無理して付いていかくてもいいと思うよ。他のメンバーが盛り上がってるし」

 

つばめ「それでは文化祭会議の方を始めます!まず前回お願いしてた、文化祭のスローガン案を持って来た人はいますか?」

 

ミコと話していると、つばめ先輩が委員会の会議を進行を始めた。

 

最初はスローガンの事についてに話すみたいで、案を持ってきた人達がどんどん発表していた。

 

ミコ「皆さん、悪ふざけしないで、真面目にやってください!」

と、スローガンの発表を聞いていたミコが机を叩きながら、そう叫んだ。

 

麗「じゃあ伊井野はいい案を持ってきてるの?」

 

ミコ「そ、それは……」

 

麗に聞き返されたミコは、あがり症が直ってないみたいで、周りの人の目線が気になっていた。

 

その間も麗からは色々と言われている。石上とつばめ先輩の方を見てみると二人で話をしてたから、助け船を出すことにした。

 

優心「つばめ先輩、スローガンについては最後に決めることにした方がいいと思いますよ。今決めると、ただただインパクトだけの良く分からない変なスローガンになると思うので」

 

つばめ「確かに今の所、純粋な感じのはないもんね。皆、もっと純粋にさ、私達がやりたい文化祭をそのまま言葉にしてみようよ!」

 

委員「つばめ先輩と弦巻先輩がそう言うならばそうですね」

という、文実の委員の一人がそう言うと、皆も頷いて理解してくれた。

 

その様子を、見たつばめ先輩は文実にきている質問に答えるという時間になった。

 

そこでは、価格設定の事と食材についての質問がきていて、文実の担当が答えて石上が補足するというやり取りをしていた。

 

まぁ、石上の補足で改善できるという話になり、次の質問になった。

 

つばめ「これが最後だね。……えっと、キャンプファイヤーの実施を望む」

 

ミコ「キャンプファイヤーやりましょう❗」

 

最後の内容をつばめ先輩が言うと、いち早く反応したのはミコだった。

 

ただ、ミコが"やりましょう"と言ったが、皆は乗り気じゃなかった。

 

委員「それは難しいと思いますよ。それこそ生徒会選挙の際に伊井野さんが言ってた事ですよ。条例も厳しくなり火災対策や治安の問題などで、自治体の許可が降りなくなったと」

 

優心(確かに難しい。……けど)

 

ミコ「それは、説得すれば」

 

麗「理想論を語るのはいいけど、それをやるのは誰なの?人手不足だから、伊井野達も駆り出されてるのに」

 

優心「……説得をやるのは、ミコでしょ」

 

ミコ「え?」

 

優心「説得に関しては、ここにいるメンバーだと風紀委員のミコかやるのがいい。これまでの風紀活動で地域住民から信用されてるから説得はできる。あと俺もサポートとして行くから」

 

麗「……弦巻先輩もですか?」

 

優心「うん。俺もミコの手伝いをしてるからね。その時に町内会長はじめ町内会の方々や、町内会の奥様方達と仲良くなってる。顔馴染みだから説得はしやすい」

 

委員「……なるほど」

 

優心「それに理想論を語って実行しようとする人間は、いた方がいいよ。皆が皆、一緒だったらつまんない文化祭になるからね」

 

俺がそう言うと、皆は黙ってしまった。

 

つばめ「じゃあキャンプファイヤーに関しては二人に任せるという事で。……優心くん、他にやっといた方がいいことがあったら言ってくれるかな」

 

優心「あ、はい。まず、価格設定と食材の件について。……石上と経理担当と安全管理担当の二人は、教師と一緒に話をして再検討をするように。そして最終的に文実と各クラスに決定事項を通達するように」

 

俺の言葉に、石上と担当の男子が返事をしてきた。

 

優心「そして、スローガンについては残りのメンバーで決めてほしい。……俺が言いたいのは、これだけです。つばめ先輩」

 

つばめ「分かった。じゃあ、それぞれ作業を進めて」

 

俺の言葉の後につばめ先輩も指示を出して、皆が動き出した。

 

優心「つばめ先輩。俺とミコは説得しに行きますね」

 

つばめ「うん。よろしくね」

 

優心「はい。……ミコ、行くぞー」

 

ミコ「あ、はい」

 

俺はミコと一緒に町内会の関係者に会うために、町内会が使っている建物まで向かった。

 

その時に何故か、麗がついてきたのは気になったけど、今は気にせずにいた。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

町内会に理解をしてもらい、次は学校周辺の住民に周知……説明をする事になった。

 

それは俺と麗とミコの三人でしていた。因みに麗もキャンプファイヤーをやりたかったみたいで、自分から説得しに俺達に付いてきたと言っていた。

 

 

そんなこんなで、近隣住民に説明を進めていた。

 

 

「よろしくお願いします!」

と、また一軒終わると、麗がミコに振り向いた。

 

麗「あと何件?」

 

ミコ「マンション含めたら32……」

 

麗「うわ、キッツ~……」

 

二人の会話を聞いていると、スマホにメッセージの着信があった。咄嗟に画面を見るとメッセージの差出人の相手はかれんだった。

 

かれん【今、エリカと各部の取材をしています。次に天文部の取材をしたいんですが、龍珠さんが怖いので抑えの役割をしてほしいです。すぐに屋上に来てください!!】

 

かれんのメッセージに呆れつつも、向かおうと思った。

 

ここで行かないでいると、かれんの態度が面倒になるからだ。

 

その為に、麗とミコに至急で他に頼まれた事が出来たからそっちに言ってくると伝えた。

 

二人は承諾して、"残りの住民への周知をやっておく"と自信満々に言ってくれたから、"よろしく"と伝えて屋上へ向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~屋上~

 

 

かれん「遅いですよ、優心さん!」

 

優心「いきなり呼んでおいて文句言わないでよ」

 

かれんの言葉にそう返しつつ龍珠の側に近づいた

 

優心「よっ!龍珠」

 

龍珠「……弦巻。なんの用だ?」

 

優心「俺は用はないけど、後ろにいるこの二人が用があるんだ」

と、かれんとエリカに指を指しながら、龍珠に教えた。

 

かれん「取材をしてもよろしいですか?」

 

龍珠「取材?お断りだ」

 

かれん「せめて、文化祭で何をするかだけでも……」

 

龍珠「決めてねぇし考えんのもダルい」

 

エリカ「か、かれん……!なんで龍珠さんを取材するの?この人の親は、ヤクザなんだから殺されるかも……」

 

かれん「だってヤクザの娘だよ。いいネタになるかと思って」

 

龍珠「聞えてんぞ、コラ。既にモロクソ失礼だし、それに親がヤクザだからって私が人を殺すわけないだろ!!……ブッ殺すぞ!」

 

かれん・エリカ「「どっち!?」」

 

優心「こら」

と、言って龍珠の頭にチョップをした。

 

龍珠「イテッ……なにすんだよ……」

 

優心「二人を怖がらせたら、駄目」

 

龍珠「こいつらが勝手に怖がってるだけだろうが」

 

優心「確かにそうだけど、それでもだよ。それが分かってる上で、さらに怖がらせてどうすんのさ」

 

俺はそう言って、両手をグーにして龍珠のこめかみ辺りをグリグリとした。

 

龍珠「痛い痛い!!!!」

 

俺は龍珠と関わってると、かれん達は俺達の方には目をくれずに会長と話をしていた。

 

優心(会長近くにいたんだ……)

と思いながら、頭から手を離してあげた。

 

龍珠「……ほんっと……いてーな……。頭がジンジンする……」

 

優心「ねぇ、龍珠。会長が作ってるあれって何?」

と、痛がる龍珠に会長の作ってるものを聞いてみた。龍珠は俺に睨み付けながらだけど教えてくれた。

 

龍珠「……あれは、歴代の会長達が毎年ゲリラ的に作ってるハリボテみたいなやつだよ。……私が知ってんのはそれぐらいだ」

 

優心「ふーん。……じゃあ、俺はやってた作業に戻るよ」

 

龍珠「私に言うなよ。あいつらに言え」

 

優心「龍珠が、俺の代わりにかれん達に伝えといてよ。他の仕事に戻ったって……。じゃーね」

と、龍珠に伝言をお願いして校内に戻る階段へ向かった。

 

会長「男らしくいく」

 

階段を降りる時に、ふと会長のそんな言葉が聞こえてきた。

 

優心(……男らしく……。何かしらの覚悟を決めたって事なのかな?……それが告白とかするって事なら嬉しいけど……)

 

会長の言葉にそう思いながら、ミコと麗の元に戻って残ってる仕事を手伝った。

 

 

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屋上でのかれんとエリカ、龍珠と会長たちとやり取りをしてから更に数日が過ぎた。

 

今日はA組でクラスの女子達に着せ替え人形にされていた。

 

女子A「うん。弦巻くんは執事姿が似合うね♪」

 

優心「……そう?」

 

女子C「愛は~?」

 

愛「うん。……似合ってるよ」

 

優心「そっか、ありがとう」

 

俺が着せ替え人形にされてた理由は、文化祭開催が近づいた頃に、俺だけまだ衣装を決めてなかったからだ。

 

衣装の採寸とかは結構前からやっていたから、あとはどの衣装を着るかという事だった。

 

それで、クラスの皆……特に愛を中心とした女子陣が、俺に似合いそうな数種類の衣装を俺に着させて、最終的に選ぶという話になっていた。

 

愛「じゃあ、優心くんは執事の衣装で決定ね」

 

そして今、愛の一言で俺が文化祭に着る衣装は執事の服になった。

 

俺が着る衣装が決まった後は、出し物……コスプレ喫茶の最終確認をしてから、帰ることになった。

 

俺と愛は一緒に帰ろうとしたが、その時にかぐやさんに声をかけられた。

 

かぐや「愛さん、弦巻くん。この後の予定はありますか?」

と、かぐやさんに聞かれたので、"予定ない"と伝えた。

 

俺と愛に予定がないと分かったかぐやさんは、"二人に別邸に来てほしい"と言ってきた。まぁ、予定がないし断る理由がないので、行くことを承諾した。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~四宮家・別邸~

 

 

かぐや「二人とも、こういう柄のハンカチをどこかで探してきて欲しいの!明日までに!!」

 

別邸に着いてかぐやさんの部屋に入ると、いきなりハンカチを探してくれと言いながらハンカチの絵を見せてきた。

 

自分で書いたであろうそのハンカチの絵はかぐやさん自身が書いたみたいで、絵の側に説明文も書かれていた。

 

俺と愛はその絵を見てみたが、思った以上に凄い要求が書かれていた。

 

愛「要求がエグい」

 

優心「確かに……。かぐやさん、それを探すのは難しいと思うよ。水玉のハンカチで、水玉の柄の一つだけハートっていうハンカチないと思うよ。仮にあるにしても、明日までに探すのは難しいよ」

 

愛「そうだよ。もう夕方……というより、ほとんど夜だもん。これは業者に発注して作った方が早いと思うよ」

 

かぐや「それじゃあ、当日に間に合わないわよ!」

 

俺と愛の言葉に、そう叫んできた。俺の隣ではかぐやさんの言葉に、愛が少し考え込んでいた。

 

愛「これってもしかして奉心伝説のこと?文化祭……奉心祭でハートの形の物を送ると、永遠の愛がどうとかの……」

 

優心「そういうのあるんだ……」

 

愛「私もすばる達が話してたのを聞いた程度だから、詳しい事は知らないんだけどね」

 

愛が言った奉心伝説の事を聞いて、そういうのがあるのに驚いた。

 

愛「でもこれって、告白するって言ってるもんだけど」

 

優心「……かぐやさん会長が好きって事を認めるってこと?」

 

かぐや「えぇ、好きよ。会長の事が……」

と、顔を赤くさせながら、かぐやさんが会長の事を好きだと認めた。

 

その言葉を聞いた俺と愛は顔を見合わせた。

 

愛「やっと、かぐやが好きだって認めくれたよ。優心くん!」

 

優心「やったね、愛!いや~長かったね。認めてくれるまで……」

 

かぐや「あの!お二人は何故……奉心祭の、伝説の事を教えてくれなかったんですか?」

 

愛と喜んでると、かぐやさんがそう言ってきた。

 

優心「……そう言われても……ね」

 

愛「うん……。だって去年の時の私は、彼氏どころか好きな相手がいなかったし、そもそも四宮の使用人で恋愛どころじゃなかったもん。だから、興味という気にしてなかったよ」

 

優心「俺の場合は、恋愛相談はされたりしてたけど、俺自身にはそういうの縁がなかったから、そういうの気にしてなかったね」

 

愛「優心くんもそうなんだ」

 

優心「うん。それに今、愛と付き合ってるから、そもそもそんなの必要ないもんね」

 

愛「確かにね。付き合ってるから余計にそういうのは必要ないよね」

 

かぐや「……もういいです。二人はもう帰っていいですよ」

と、かぐやさんが言ってきた。

 

愛「あ、うん。……帰るけど、告白をするならストレートに告白をしてね。変にプライドを優先すると必ず後悔するからね。あと、必ず手伝うから言ってよ」

 

優心「俺も手伝うよ。だから、告白をする時は本当に後悔しないでね」

と、かぐやさんに伝えてから、俺と愛は家に帰った。

 

 

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~弦巻家・優心の部屋~

 

四宮別邸から家に帰った俺と愛は、すぐに晩御飯を済ませお風呂も入った。

 

お互いに寝る準備は済ませたので、俺と愛は自分の部屋で過ごしていた。

 

愛は自室に行く時に"すぐに寝る"と言ってたから、もう寝てると思うけど……と思いながら、俺も部屋に戻って寝ようとした。……が、スマホに着信があった。画面を見ると会長からの電話だった。

 

優心「どうしたの、会長?」

 

会長『……いや、弦巻に先に伝えときたいことがあってな』

 

優心「伝えたいこと?」

と聞き返すと、会長は少し深呼吸してから教えてきた。

 

会長『俺、スタンフォード大学に行くつもりなんだ。それで、合格通知表が届いて合格した。飛び級でスタンフォードに入学する』

 

優心「スタンフォードに行くんだね。それだと来年の今ごろはアメリカにいる事になるね」

と、そこまで驚かなかった俺は、会長にそう言った。

 

会長『そ、そうなるが、弦巻……なんか落ち着いてるな。もっとショックを受けるとか、動揺するとかを予想してたんだけど』

 

優心「三者面談の時に、会長が今まで以上の真剣な顔をしてたし、ただならぬ雰囲気を出してたから、大きい決断したのかなって思ってたんだ」

 

会長『……だから、そんなに驚かなかったってことか?』

 

優心「うん。それに永遠の別れって事じゃないし、会いに行こうと思えばいつでも行けるし」

 

会長『そうか……』

という、会長の一言で少し無言の状態が続いたが、一つ質問をした。

 

優心「さっき、先に俺に話すって言ってたけど、俺の次に話そうと思ってる人は誰なの?」

 

会長『あ、あぁ。四宮に話すつもりだ。それでだな……俺、文化祭で四宮に告白をするつもりだ。それで、四宮とスタンフォードに来てほしいと伝えるつもりだ』

 

優心「……マ、マジ?」

 

会長『お、おう。マジでそのつもりだが……』

 

俺は大学の事よりも、かぐやさんの事についての会長の言葉の方に驚きを隠せなかった。

 

優心(マジか~……。かぐやさんも告白するつもりだから、とうとう結ばれるか……。こりゃ成功するな)

と、驚きながらも、成功間違いなしと思ってしまった。

 

会長『弦巻は成功すると思うか?』

と、会長が聞いてきた。

 

多分、不安になってるからそんなことを聞いてきたんだと思うが、お互いに同じ心境になっているから大丈夫なはずだ。

 

優心「(ここは背中を押さないと)……会長。自信を持って自分の気持ちに正直になってかぐやさんに気持ちを伝えて。絶対に大丈夫。成功するよ」

 

会長『ほ、本当か……弦巻』

 

優心「うん。……会長、ここだけの話をするよ。他の人には言わないでね」

 

会長『……あぁ』

 

優心「かぐやさんの進路は、大学は決めてないけど外部進学をするつもりだよ。それに、雁庵さん……かぐやさんの父親も後押ししてくれてるから、大学の方も大丈夫なはずだよ」

 

俺がそう伝えると、会長の息を飲む音が聞こえた。しばらく会長は黙ったままだったが、"よし"と呟いてから俺に言ってきた。

 

会長『弦巻と話をして決心が出来た。しっかりと自分の気持ちを伝えるよ』

と言ってきたから、俺は応援しといた。

 

会長『因みになんだが、なんで弦巻は四宮の進路の事を知ってるんだ?』

 

優心「一応、かぐやさんとは同じクラスだし、三者面談が終わった後にかぐやさんに教えてもらったんだ。(実際はお父様から聞いたけど……)」

 

会長『なるほど、そういうことか。……取り敢えず、今日はありがとう』

 

優心「うん。当日頑張ってね」

と、会長に伝えてから電話を切った。

 

 

電話を切った後の、俺はベッドに潜って、目蓋を閉じて寝た。

 

 





次回は文化祭当日の話を書いて投稿予定です。


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第53話


今回は文化祭1日目の話です。

では、本編をどうぞ。



 

~文化祭当日~ 

 

 

~優心視点~

 

 

準備期間が過ぎて、文化祭当日になった。

 

 

当日になった今日も早朝から文化祭の飾りつけだったりと準備をするので、電車ではなく車で愛と一緒に学校に来た。

 

学校に着いた後に、愛はクラスの方へ向かっていったが、俺は文実の準備の為に、つばめ先輩達の文実メンバーのところへと向かった。

 

 

しばらくの間、集まった場所で作業をしていた。

 

作業中にミコや石上達と話をしていたが、その時に団長と大仏が付き合ってるという事が判明して驚いたりした。

 

その事にミコと石上が追求して、大仏が説明するということもありつつも作業が進んでいった。

 

しばらく文実の準備をしていた俺は時間を確認した。時間的に、クラスの方に行っといた方がいい感じだったから、つばめ先輩に声をかけた。

 

優心「つばめ先輩、クラスの方に行ってきます」

 

つばめ「うん。そのままクラスの方に居てていいからね。それで文化祭始まったら見回りの方をよろしくね」

 

優心「はい、分かりました」

 

つばめ先輩に返事をして教室に向かった。

 

 

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~二年A組~

 

 

A組の教室に着いた俺は、中に入った。

 

女子A「かぐや様、凄く似合ってます!」

と、教室に入ると女子の一人がかぐやさんにそう言っていた。

 

かぐやさんは、給仕服を着ていた。

 

優心(……かぐやさんって黒髪だし、和風系の衣装は似合うのは確かだね)

 

すばる「愛も、凄い似合ってるよ。そのメイド服」

 

三鈴「それにキャラも凄く作り込んできてるね」

 

愛「優心くんの家にメイド達がいるから、教えてもらったんだ」

 

愛達のそんな会話が聞こえてきた。すると、愛の言葉を聞いたすばるが大声を出した。

 

すばる「そうなの!?」

 

愛「う、うん」

 

すばる「弦巻くん、ほんと!?」

と、俺の方に来てそう聞いてきたから答えた。

 

優心「うん。メイドさん居るよ。あと黒服さんと、執事も料理人さんもいるよ」

 

三鈴「人数は多いの?」

 

優心「どうだろう……?他の家と比べたりした事もそもそも気にしたこと無いから実際は分からないけど」

 

愛「多いよ。かぐやの家に行くことがあるんだけど、そこよりも多かったね」

 

愛の言葉にすばる達のクラスメートの皆は驚いていた。……といった事がありつつも、時間が過ぎていって、文化祭の始まる時間になった。

 

つばめ「それでは、秀知院文化祭……"奉心祭"のスタートです!!」

 

時間になると、学校中のスピーカーから文化祭実行委員会の委員長であるつばめ先輩が、文化祭スタート宣言がされた。

 

 

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奉心祭が始まってから、ある程度時間が過ぎた。

 

俺は執事姿で左腕……二の腕辺りに"見回り中"という腕章を付けて、右手にはクラスの出し物の宣伝の小さめのプラを持って見回りをしていた。

 

宣伝のプラカードを持ってる理由は、愛やクラスの女子達に見回りついでに宣伝もしといてと頼まれたんだ。

 

愛の頼みだし、何より女子達の圧に断りきれずに引き受けてしまった。

 

そんなこんなでしばらく見回り続けて、校舎の一階を回っている時に"すみません"と声をかけられた。

 

男性A「そのコスプレ喫茶をやってる二年A組って、どう行けばいいんですか?」

と、男性に聞いてきたので、道筋を教えた。

 

優心「……といった感じで行けば、A組に着きます」

 

男性A「ありがとうございます」

 

男性はお礼を言って教室に向かっていった。歩いていくのを少し見てから、俺は校庭の方へ向かった。

 

 

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~校庭~

 

 

校庭に出て、運動部の出し物の並んでいる所を歩き回っていた。

 

子供A「わーい」

 

子供B「待てー」

 

子供達が楽しそうに走ってきた。

 

優心「他の人がいっぱいいるから、ぶつからないように気をつけてね~」

と、子供が通りすぎる瞬間に、俺は立ち止まってそう伝えた。

 

子供A・B「はーい」

 

優心(凄く楽しいんだろうな~。ここは運動部の出し物ばかりだから、思いっきり体を動かせるし)

と、二人は笑顔で返事をしたのを見てそう思った。

 

それでまた歩きだそうとしたら、服の袖を引っ張られる感覚があった。

 

袖の部分を見ると、男の子が涙目の状態で袖を引っ張っていた。

 

俺はしゃがんで男の子の目線に合わせて、話しかけた。

 

優心「どうしたの?」

 

男の子「ママとパパ……いない」

 

優心「はぐれちゃったんだね」

と俺が聞くと、男の子が無言のまま頷いた。

 

優心「じゃあ、お兄ちゃんも一緒にママとパパを探してあげるよ」

 

男の子「……ほんと?」

 

優心「うん。ママとパパとはぐれる前に一緒にいた場所は覚えてる?」

 

男の子「うん。……えっと、ボールをまとに当てるのをやったよ。9まいのやつ」

 

教えてくれた内容を聞いて、即座に野球部の出し物だと分かった。

 

優心「そっか」

と言って、立ち上がって周りを見渡してみた。

 

優心(おっ!ちょうど、キョロキョロしてる男女の大人がいる。もしかしたらあの二人がこの子の親かな?周りとの身長の差で、お互いに見つけられない状態だ)

 

周りを見渡すと、すぐにこの男の子の親らしき人を見つけた。

 

俺は男の子と手を繋いで、その二人の大人に近づいて声をかけて話をすると、男の子と両親だった。

 

父親「本当に、ありがとうございます」

と、父親からお礼を言われ、母親からは頭を下げられた。

 

男の子「おにいちゃん。ありがとう」

 

優心「ちゃんと手を繋いではぐれないようにしてね」

と、男の子の頭を撫でながらそう伝えた。

 

男の子は俺の言葉に頷いで両親と手を繋いだ。そして三人は他の出し物の所へと向かっていった。

 

親子三人を見送った俺は時間を確認した。すると、クラスのシフトに近づいていたので、A組へと急ぎ足で向かった。

 

 

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~2年A組・コスプレ喫茶~

 

 

校庭から教室に着いた俺は接客をやろうと準備を始めた。……けど、俺は接客をやらずにA組の入り口の前でかぐやさんと一緒にプラカードを持って立っている。

 

クラスの女子に、しばらくは客寄せとして立っといてくれと言われたんだ。

 

俺が見回りの時にお客さんがA組に来てたらしいけど、もっと来てほしいという事だそうなので、男性客呼びかぐやさんと女性客呼びの俺でが立つことになっていた。

 

 

お互いに喋らずに無口のまま、入り口に立ってからそれなりに時間が経った頃に、教室から声がした。

 

女子A「弦巻くん、かぐや様。中が忙しくなってきたから、接客の方をしてもらってもいい?」

 

どうやら接客をしてほしいという事だった。

 

優心「分かったー」

 

かぐや「分かりました」

 

クラスメートの声に返事をしてから、教室に入って接客の準備をした。

 

準備を終えるとすぐにお客さんに呼ばれたので、そのお客さんの所へ向かった。

 

向かうと中年の男性だった。ただ、凄くインパクトが残る感じの人だ。

 

初見に少し個性の強さに内心驚いたけど気にする事をやめて、注文を取ることにした。

 

J鈴木「女子じゃないんだね」

 

サンちゃん「ほう。男子の店員さんか……」

 

優心「……お客様がご希望でしたら、女子店員に交代いたしますが……」

 

J鈴木「いやそう言う訳じゃないよ」

 

サンちゃん「女子の子達が多かったから不思議に思っただけだ」

 

優心「そういう事でしたか……。……では、ご注文をお伺いします」

 

サンちゃん「珈琲を」

 

J鈴木「同じものを」

 

優心「畏まりました」

 

注文を取り珈琲を入れる準備を始めた。

 

珈琲を入れる準備をしていると、細身の男性が凄く珈琲に詳しかった。宮内庁御用達だとか国賓に出されてる珈琲豆だという事を、もう一人の男性の人に話していた。

 

その会話を聞きながら、珈琲を入れ終わりお客様の前に出した。

 

お客様は一口飲んで口角を上げて俺の方を見てきた。

 

サンちゃん「旨い。入れ方も良かった」

と、褒めてきたのでお礼を伝えた。少しして二人は飲み終わると、会計して帰っていった。

 

楓「ゆー先輩、来たよ~」

 

個性的な中年男性を見送った後すぐに楓がやってきた。隣には友達らしき男子が一人がいた。

 

優心「いらっしゃいませ、楓。……隣にいるのは友達?」 

 

楓「うん!転校してすぐに仲良くなった同じクラスの友達だよ。北高の文化祭の時は、お化け役をしてからゆー先輩達は会った事はないから、今日が初めて会ったよね?」

 

優心「そうだね。……話をする前に席に案内するよ」

と、入り口前で話をするのは流石に邪魔になるので、ひとまず席に案内することにした。

 

さっきの珈琲に詳しい人と小太りの男性客二人組が座ってた席に案内をして注文を受けた。

 

二人は珈琲を注文したので、俺の二人の目の前で珈琲を入れながら話を切り出した。

 

優心「……弦巻優心です。楓とは仲良くしてくれてありがとう」

 

俺は楓の友達にそう伝えた。

 

男友達「あ、いえ、こっちも楓が仲良くしてくれてるから……。えっと、よろしくお願いします」

と、少しタジタジになりながら、俺の言葉にそう返してくれた。

 

そんな出だしから始まった会話が、ある程度進んで珈琲を入れ終わると、少し大きめの声が聞こえた。

 

女子A「あー!なんで来てんの!?」

 

男友達「何でって友達と来てんの!まさか姉ちゃんのクラスとは思わなかったよ!」

 

まさかのクラスの女子の弟が楓の友達だった。二人は少し言い合っていたから、制止した。

 

優心「二人ともストップ。……他のお客様の邪魔になるから、取り敢えず接客に戻って」

 

女子A「後で覚えときなさいよ……!」

 

男友達「べー」

と、二人はそんな感じのやり取りをしていた。頑固だということを前に教室で女子達が言ってたの本当だったんだなと思いながら、入れ終わった珈琲を楓とその友達の前に置いてあげた。

 

その後、飲み終わった二人は会計をして他の出し物の所へと言ってしまった。うちのクラスから出る時に姉弟の二人は、いがみ合ってる感じだった。

 

そんなこんながありながら、クラスの仕事を進めていった。

 

 

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俺が入るコスプレ喫茶のシフトをしっかり担当した後は、自由時間になった。

 

その為、俺と愛は文化祭デートをすることにしたら。

 

愛「優心くん、まずどこに行く?」

 

優心「まだご飯を食べれてないから、食べ物屋を先に回ろうと思ってるんだけど、いい?」

 

愛「うん。私もお腹空いてるし、行こっか」

 

お昼のシフトに入っていた俺と愛は、ひとまずご飯を食べることにした。

 

 

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中庭にある食べ物の出し物でお昼を食べた。

 

 

お昼を食べ終わった後は、また校内に戻りいろんな出し物を見て回った。

 

優心「ここ、ミコのクラスだ」

 

一年生のクラスがある階に着いた時に、ミコのクラスが目に入った。

 

愛「ここは……お化け屋敷?」

 

優心「うん。確か、A組とB組の合同の出し物で、音響で怖がってもらうお化け屋敷って聞いたよ」

 

愛「普通のお化け屋敷とは違うね。……ちょっと気になるし、入ってみない?」

と、愛が提案してきた。……確かに音を使ってるの珍しい気がするし、俺も入ることにした。

 

優心「……俺も気になるから、入ってみようか」

 

愛「うん」

 

二人でお化け屋敷に入った。

 

 

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~おばけ屋敷・終了後~

 

 

教室から出ると、愛は腕にしがみついていた。

 

一年のA組とB組が合同でやっているお化け屋敷でロッカーに隠れてアイマスクとヘッドホンをして音が出てきた時から、腕に抱きついてきたんだ。

 

相当怖かったみたいで、少し涙目だった。"確かに怖いと感じるな"と思いつつ、愛に声をかけた。

 

優心「このまま抱きついたままで良いからね」

 

俺がそう言いつつ頭を撫でてあげると、愛は"うん"と頷いていた。

 

お化け屋敷の後は、愛に腕に抱きつかれたままで、色々と回った。

 

しばらく回ってると、愛が声をかけてきた。

 

愛「ねぇ、ここは占いやってるって。しかも相性占いのも出来るみたいだよ」

と言ってきたから、占いをやってる教室を見てみた。

 

優心(……阿天坊(あてんぼう)先輩がやってるやつじゃん)

 

愛「優心くん?」

 

優心「……愛、ここは辞めて他の所に行こう」

と言いながら、愛の手を引いて歩きだそうとしたけど、愛は歩かずにいた。

 

愛「なんで、別の所に行くの?私、ここに寄りたいんだけど……駄目かな……」

 

優心「……ここって、阿天坊先輩が占いをやってるんだよ。その阿天坊先輩ってカップルを見るといじりたくて仕方ない人なんだよ」

 

愛「そうなの?」

 

優心「うん。……占いしてもらった人が聞いてて恥ずかしい事ばかり言うって、俺に教えてくれた」

 

俺の言葉を聞いた愛は即座に"移動しよう"と言って俺の手を引っ張り始めた。……と、その時だった。

 

阿天坊「廊下でずっと話し声が聞こえると思っていたら、会長達以上にいじりたかった二人組じゃない。浮いた話がなかった弦巻くんに、そんな弦巻くんの彼女になった早坂愛ちゃんのお二人さん」

 

優心「げっ……」

 

阿天坊「露骨に嫌そうな顔をしないでくれる?弦巻くん」

と言って、すぐに俺と愛の手を掴んだ阿天坊先輩は引っ張ってきた。

 

俺と愛はすぐに抵抗できずに、そのまま教室に入って対面で座ってしまった。

 

 

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その後は、お互いに自分で分かる程、顔を真っ赤にして教室を出た。

 

取り敢えず落ち着きたいと思った俺と愛は、中庭に向かった。向かう途中で温かい飲み物だけ買っといた。

 

中庭に着いた後は、ベンチに座った。

 

ベンチに座った後は、飲み物を飲んでのんびりと過ごした。

 

しばらく過ごしていた時に、愛が口を開いた。

 

愛「……優心くんは、明日の予定は?」

と、愛が二日目の予定を聞いてきたから、すぐに教えた。

 

優心「明日はこころとお母様が来るから、午前中こころ達と回る予定だよ。その後はお昼のシフトに入って、それが終わった後は見回りする感じだね」

 

愛「そうなんだ」

 

優心「愛の方は?」

 

愛「私はすばると三鈴と一緒に回る予定だよ。今日は、すばると三鈴以外のクラスの友達と回ったからね。それで、クラスのシフトが終わった後の午後は、特に予定は無いよ」

 

優心「奈央さんは来てないんだっけ?」

 

愛「うん。ママは今日もだけど明日も仕事で来れないって連絡きてたから、二日間も来ないよ……」

 

奈央さんの事を聞くと、愛は少し拗ねた感じで答えてきたから、俺は愛の頭を撫でながら話を続けた。

 

優心「……じゃあさ、明日の午後にこころ達と一緒に回ってくれない?」

 

愛「そうだね。……じゃあ午前中はすばる達と回って、午後はこころと心美さんの二人と回ることにするよ」

 

愛とそんな話をしながらのんびりと過ごした。

 

 

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文化祭が終わり、生徒会で皆で集まっていた。

 

そこでかぐやさんが会長にたこ焼きを食べさせようと必死になっていた。

 

かぐやさんが手に持ってるたこ焼きは、6個の内、一個のたこ焼きに入ってるタコの形がハート型というロシアンルーレット要素が入ってるものだった。

 

そのたこ焼きを巡ってのやり取りが生徒会室で起きて賑やかだった。

 

でも結局、かぐやさんの失敗っぽい感じで終わっていた。

 

そんな感じで、生徒会室が盛り上がり解散となった時に、会長が”付いてきてほしい”と言ってきたら、会長に付いていってると屋上に着いた。

 

屋上には、龍珠もいた。

 

会長は、俺と龍珠の顔を見て"頼みたい事がある"と前置きしてから、頼みの内容を言ってきた。それはハートの風船全てを集めてほしいという事だった。

 

龍珠「なんで、私がやらないといけないんだよ!やらねーぞ!そんな頼みだったら、弦巻の黒服を使えばいいだろ」

 

会長「恩知らずだな……龍珠は」

 

龍珠「……弦巻!手伝え!」

と、俺の腕を掴んで引っ張ってきたから、龍珠のスピードに合わせて歩いた。

 

そこからはハート型の風船を集めていって、しばらくして風船を集め終わった。

 

屋上で会長に集めた風船を渡してから、俺が"何に使うの?"と聞いたけど、教えてくれなかった。

 

龍珠「教えねーくせに集めさせたのかよ」

 

優心「まぁまぁ、会長にも何か考えがあるんだよ」

 

龍珠「はぁ~。……弦巻、帰る」

 

優心「はいはい。……家まで送ろうか?」

 

龍珠「……頼む」

と、頭をかきながら言ってきた龍珠の言葉に俺は返事をして、会長に帰ることを伝え龍珠と一緒に屋上を後にした。

 

屋上を後にした俺は、龍珠と一緒に車に乗って帰った。

 

まず龍珠の家に経由して、龍珠を降ろしてから、自分の家まで帰った。因みに、愛には先に帰ってもらってたんだ。

 

愛とこころは先に寝てたから、俺も家に着いた後すぐに自室に向かって部屋着に着替えてベッドにもぐった。ベッドにもぐった瞬間に、すぐに眠気が襲ってきて意識を手放した。

 

 

こうして、文化祭一日目が終わった。

 

 





次の話は、文化祭二日目の話を書いて投稿予定です。


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第54話


文化祭二日目の話です。

ては、本編をどうぞ。



 

 

文化祭(奉心祭)二日目の朝

 

 

~優心視点~

 

 

朝、愛と一緒に車で学校に向かった。

 

昨日の風船集めでまだ眠気があったので、車の中で寝ていた。

 

学校に着くと愛に起こしてもらって、学校内に入ったが騒がしかった。

 

エリカ「どうしたの、かれん!?」

 

かれん「学校中にあったハートの風船が全部無くなってます!」

 

優心(そりゃあ気付くよね。昨日至る所にあった風船が無くなると……)

と、俺はそんな事を思いながら、愛と下駄箱まで向かった。

 

下駄箱に着くと、愛はすばる達と話を始めたから、一足先に教室に向かった。

 

その途中の校舎の廊下で龍珠に会ったが、凄く眠そうにしていた。

 

優心「龍珠、おはよう」

 

龍珠「……んあ、あぁ……おはよう。……弦巻は、なんでそんなに眠そうじゃないんだよ……」

 

優心「昨日の帰りと今日の登校は、車で送ってもらったから、その車の中で寝てた」

 

龍珠「相変わらず、ずるいな……」

 

そんな感じで教室まで話ながら歩いた。

 

 

龍珠とはクラスが違うので途中で別れた。その後で、ミコに会ったので少し話をした。

 

話し終えて教室へと向かった。

 

教室に着いた後は、衣装(執事服)に着替えて準備を始めた。

 

教室の調整も完璧に終わった頃に、二日目スタートの宣言された。

 

 

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奉心祭二日目がスタートした後の俺は、校門前まで移動してお母様とこころが来るのを待っていた。

 

今日の予定は午前中にこころとお母様の二人と回って、お昼にコスプレ喫茶のシフトに入って、午後は見回りをして最後は後夜祭に参加するといった感じだ。

 

こころ「お兄様!」

 

心美「優心」

 

今日の予定を頭の中で確認している内に、お母様とこころが来て名前を呼ばれた。

 

こころは左腕に抱きついてきたから、右手で頭を撫でてるとお母様が執事姿の事を言ってきた。

 

心美「やっぱり優心の執事姿は似合ってるわね」

 

こころ「初めてお兄様が執事の服を着てるのを見たけど、あたしも似合ってると思うわ」

 

お母様は俺の頭を撫できて、こころは腕に抱きついたまま、似合ってると言ってくれた。

 

優心「そう?……えへへ、ありがとう。……ん?」

と、似合ってると言われて嬉しくなった俺は二人にお礼を言った。けど、ふと気になったことがあった。

 

優心「……ねぇ、お母様。さっき、"やっぱり"って言ってたけど、どういう意味?確か、昨日の一日目は来てなかったよね?」

 

こころ「そういえば、お母様はそう言ったわね。あたしは初めて見たけれど……」

 

心美「あぁ、それはね華から写真を見せてもらったのよ。文化祭の準備に着たのよね?その時に華が写真を撮って、私のスマホに送ってくれたのよ」

 

優心「そうなの!?」

 

心美「そうよ」

 

優心「黒服さーん!」

 

黒服(華)「はい」

 

優心「写真撮ったんだったら言ってよ!お母様に送るんだったら、こっそり撮るんじゃなくてちゃんと撮ってほしかったのに!」

 

俺は華さんを呼んで文句を伝えた。

 

黒服(華)「しかし、写真写りは良いものを奥様と旦那様に送ったので、問題ないですよ」

 

優心「そういう問題じゃないし……。どんな写真か確認したかったし、お母様に送るんだったらそういうのしっかりしたかった。……って、お父様にも送ったの!?」

 

黒服(華)「はい。撮った写真は旦那様と奥様のスマホに送りました。……でも、次にそういった事があれば、優心様に確認します。だから許してほしいです」

 

華さんはそう言って頭を撫でてきた。

 

優心「……ちゃんと、写真写りがいいのを送ったんだよね……?」

 

黒服(華)「勿論です」

 

優心「なら、許す。……って、別に元々怒ってないし……」

と、俺が言うと華さんは少し微笑んでから撫でるのをやめてお母様に一礼してから、見えない所へ隠れた。

 

心美「じゃあ、優心。そろそろ案内してくれるかしら?」

 

こころ「あたし、気になってるものがあるの!」

と、お母様とこころがそう言ってきたから、まずこころが気になった所から行く事になった。

 

その為、こころと手を繋いでお母様は少し後ろからついてくる形で、校門から近い出し物から回ることにした。

 

 

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しばらくお母様とこころの二人と回って今は校内を見て回っている。すると、キラッキラッな笑顔でこころが俺の方を見てきた。

 

こころ「お兄様!あたし、次はここに入りたいわ!」

 

指を指しながら"入りたい"と言ってきたのは、昨日愛と一緒に入ったミコのお化け屋敷だった。

 

優心「ここ?」

 

こころ「楓の学校の文化祭でお化け屋敷に入ったでしょ?だから違う学校のお化け屋敷も気になったの!」

 

優心「そっか。じゃあ一緒に入ろう」

 

心美「私は廊下で待っとくわね」

 

優心「うん、分かった」

 

お母様の言葉に返事をしてから、お化け屋敷に入った。

 

ミコ「あ、弦巻先輩とこころちゃん。……今日はこころちゃんと来たんですね」

 

優心「うん。そうなんだけど……入り口のこれは何?」

 

ミコの言葉に返事をしつつ、お化け屋敷の入り口にある男性と女性が分かれるルートの指示を示したものを聞いた。

 

昨日は男女二人でも楽しめた筈だったが、今回は分かれなくちゃいけない状況になっていた。

 

ミコ「こ、これには訳があってですね」

とミコは切り出して、訳を話してくれた。

 

どうやら昨日、俺と愛が体験した後に翼と柏木さんの二人もお化け屋敷に来たらしいが、その時にロッカーで演出のアイマスクやヘッドホンをせずにキスをしていた。

 

それで、その様子を見たミコや麗達の判断で男女一緒にしない事に決めたと教えてくれた。

 

その事を聞いた後に、翼と柏木さんの事は省いて別々で体験する事だけを、こころに教えてあげた。

 

こころ「それって、お兄様と一緒に体験できないってことなの?」

 

俺の話を聞いたこころは、少し落ち込み気味にミコにそう聞いていた。(こころ自身は、落ち込んでるという自覚はないだろうけど)

 

ミコ「そういう事になりますね」

 

こころ「どうしても駄目なの?」

 

ミコ「そ、そうですよ。こころちゃん」

 

こころ「折角、楽しみにしてたのに駄目だなんて……。お兄様と一緒にここのお化け屋敷の体験したかったのに」

と言うこころの様子を見たミコは、ため息をついた。

 

ミコ「はぁ……。こころちゃんにそんな顔をされたら、絶対ダメって言えないじゃないですか……」

 

こころ「?」

 

ミコ「弦巻先輩達だけ、特別に二人で体験していいですよ」

と、ミコがまさかのオッケーを出してきた。

 

優心「え?いいの?」

 

ミコ「はい。こころちゃんの顔を見たら、本当に罪悪感が凄くて心苦しいですから。……こころちゃん、弦巻先輩と一緒に体験していいですよ」

 

こころ「……お兄様と一緒でいいの!?」

 

こころの言葉にミコは頷いて、大仏が案内してくれた。

 

ロッカーの部分まで向かう間、大仏のお化け屋敷での話の内容を聞いていたこころは、ワクワクが止まらない感じだった。

 

そしてロッカーの部分で、アイマスクとヘッドホンをして音響の部分も、こころと一緒に体験した。

 

 

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~廊下~

 

 

お化け屋敷を体験して、廊下に出た俺とこころはお母様に声をかけた。

 

優心「お母様、おまたせ」

 

こころ「お母様、凄く楽しかったわ!」

 

心美「ふふ……良かったわ」

 

こころ「……お兄様、今度はあっちに行きましょう!」

と、こころが繋いでいる手を引っ張ってきたので、俺は引っ張られながらついていった。

 

お母様とこころとしばらくの間、学校内わ回ってるとA組のコスプレ喫茶の俺が入るシフトの時間が近づいてきたから、向かうことにした。

 

お母様とこころもお店についていくと言ったので、A組まで案内した。

 

 

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~二年A組・コスプレ喫茶~

 

 

教室に戻ると、廊下にはお客さんは並んでなくて、教室のドアは開けっ放しではなく閉められていた。それでドアには【貸しきり中】と書かれた紙が張ってあった。

 

そのタイミングで愛もやってきて、俺と同じようにドアに張ってある貸し切りという言葉を見て不思議に思っていたから、お互いに理由を知るため教室に一緒に入る事にした。

 

お母様とこころに"ちょっと待ってて"と、声をかけてから教室に入った。

 

教室の中はお客さんが少なかった。いや、一人しかいなかった。

 

その一人に対応しているのは、かぐやさんで相手しているお客さんは、雁庵さんだった。

 

愛とクラスの女子は、教室の隅っこに集まって雑談をしていた。

 

俺はその皆に声をかけた。

 

優心「ねぇ、この状況ってなに?」

 

女子A「あ、弦巻くん。これはね……」

と、今の教室の状況を教えてくれた。

 

まず、かぐやさんが午前中に父親の雁庵さんと学校を案内していたそうだ。それでかぐやさんのクラス……A組のコスプレ喫茶に雁庵さんを連れてきたらしい。

 

ただ、その時に雁庵さんの雰囲気というかなんかで、他のお客さんが来なくなってしまったから、その際に貸し切りにしちゃえという事で、この状況になったと教えてくれた。

 

その為、クラスの皆は暇をしていたらしい。

 

当の本人達、かぐやさんと雁庵さんは楽しそうに談笑していた。

 

俺はその様子を見てから、女子達にこころとお母様を入れてもいいか確認をすると、"入れても大丈夫"と言ってくれた。

 

俺はドアを少し開けて廊下で待ってる二人に声をかけて中に入ってもらった。

 

二人が教室に入ると、お母様が教室に雁庵さんがいることに気が付いた。

 

心美「あら……。雁庵さん来ていたんですね」

 

雁庵「……ん?あぁ……誠心の妻か……」

 

心美「弦巻心美です。いい加減に覚えておいてくださいよ」

 

お母様と雁庵さんがお互いに一言ぐらいだけ会話をした後に、俺は二人を近くの席に座らせて注文を取った。

 

そのタイミングで雁庵さんは帰っていったので、クラスの女子達がコスプレ喫茶を貸し切り状態から通常状態に戻して、お客さんを入れ始めた。

 

お客さんが入ってすぐに騒がしい状態に戻った。愛は他のお客さんの相手をしていたが、俺はお母様とこころの二人に対応した。

 

こころは、ソフトドリンクでお母様は珈琲だったので、まずこころのソフトドリンクを用意をして、その後にお母様の珈琲を入れた。

 

俺が入れた珈琲を飲んだお母様は、"美味しい"と言ってくれたから嬉しいと思いつつ、少し疑問に思った事を考えていた。

 

優心(……そういえば、雁庵さん帰る時に歩き方が変だったな……。杖をつきながら歩いてたのは前からだったけど、今日の歩き方は気になる……)

 

心美「……優心は、雁庵さんの歩き方に気が付いた?」

 

雁庵さんの歩き方の事を考えてると、周りには聞こえない程で俺に聞こえる程度の小声で、そう聞いてきた。

 

優心「うん、気になったよ」

 

心美「……今ここでは話しづらいし、それに数日中には誠心から連絡が来ると思うから、その時に詳しく聞きなさい」

 

優心「……うん。(今、お父様達が進めてる事に関わってる感じがする)」

 

心美「……ひとまず、今は余計な事を考えずに文化祭を楽しみなさい」

 

優心「うん、そうする」

 

お母様の言葉に俺は頷きながら返事をした。

 

こころ「お兄様。飲み物のおかわりを頂戴!」

 

優心「あ、ちょっと待っててね」

 

お母様の言葉に返事をした後に、こころがおかわりが欲しいと言ってきたかは入れにいった。

 

 

その後も、コスプレ喫茶の仕事に励んだ。

 

 

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~午後~

 

 

午後になり、お母様とこころは愛と一緒に回り始めた。

 

俺はというと、昨日の一日目の午前中と同じく執事姿で見回り兼プラカードを持ってのクラスの宣伝をしていた。

 

その時に校舎裏から声が聞こえてきたから、校舎裏に行ってみた。

 

校舎裏に着くと、ミコがナンパされていた。

 

優心(そういえばミコも午後は見回りするって、朝廊下で会った時に言ってたな)

と思いながら、ミコの方を見ると、ナンパされているミコが二人に付いていきそうな感じになっていた。

 

優心「すみません。そういうのやらないでほしいんですけど~」

 

ミコがついていかないように、男性二人にそう声をかけた。

 

男性A「あ?誰?」

 

優心「秀知院の生徒で、生徒会と文実として見回りしてる者です。……ほら」

と言って、見回り中という腕章を見せた。

 

その時にいつの間にか石上が来ててミコの頭を叩いていた。あと、麗もいて頭を叩かれたミコが麗に泣きついていた。

 

男性A「……マジか」

 

腕章を見て男性が一言呟いた。俺の言葉に少なからず、生徒会の人間にナンパをしていた事がバレたことに男性二人は動揺していた。

 

優心「なんか変な感じにさせたお詫びと言っちゃあれですが、うちのクラス……二年A組のコスプレ喫茶に来てみますか?おすすめですよ」

と、動揺している二人に、俺はそう言ってA組のコスプレ喫茶の宣伝目的のプラカードを見せた。

 

男性B「コスプレ喫茶……」

 

俺の言葉に、二人はキョトンとしていた。二人の反応は来たことがなさそうな感じだった。一度でも来てたら、何かしらの反応する筈だが、"なにそれ"みたいな反応だった。

 

優心「(でも一応確認しとこう)……あ、確認なんですが、お二人は二年A組のコスプレ喫茶は寄った事はありますか?」

 

男性A「いや、無い」

 

男性B「俺も無い」

 

それを聞いて安心した俺は、来てもらえるように説明をした。

 

優心「それなら、来てほしいです。あの子並みかそれ以上の可愛い子がいて、何よりコスプレしてますのでより一層可愛くなってますよ。可愛い女子と話をしたいのであれば、来て損はないと思います」

 

ミコを引き合いにそう伝えると、二人は"マジ……?"と言っていた。

 

優心「まぁ、人によって可愛さの感じ方は違うと思うので絶対とは言えませんし、それに飲み物の値段は少し高めです。それでも行ってみて本当に損はない筈です。充分に満足する筈ですよ」

 

俺がそう言い切ると、男性二人は"行く"と言ってくれたので、案内することにした。

 

優心「では、案内するので付いてきてください。あ、店内はナンパなどは勿論禁止ですからね。もし、それをしたら追い出されますからね。出待ちとかもですよ」

 

俺はA組に着くまでの間、そんなことを伝えたりした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~石上視点~

 

 

伊井野が、校舎裏でナンパをされているのを見かけた。

 

その場に行くと弦巻先輩がいて、ナンパをしていた男性二人に腕章を見せていた。僕はひとまず伊井野の頭を叩いといた。

 

ミコ「麗ちゃん。石上に叩かれた!」

 

麗「その痛みは覚えておこうね」

 

石上「……」

と、伊井野と小野寺の会話を聞き流しながら弦巻先輩の方を見てみると、クラスの出し物の宣伝をしていた。

 

弦巻先輩は、伊井野をナンパしていた男二人を言葉巧みにクラスに来させる様に仕向けていた。

 

石上(ああいうのを見ると、弦巻先輩って詐欺師としてやっていけるじゃないかと思ってしまう。……でもまぁ、弦巻先輩のクラスを一回だけ見たから、嘘を言ってないのは確かだけど)

 

そんな事を考えてると、伊井野が叩き返してきた。僕はひとまず受け入れておいて弦巻先輩がクラスへと向かうまでの間、弦巻先輩の行動を見ていた。

 

 

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~優心視点~

 

 

~後夜祭~

 

 

空が暗くなり、そろそろ後夜祭が始まる時間に近づいてきた。

 

因みにお母様とこころはもう家に帰った。華さんから話を聞いたのと、お母様から連絡がきた。

 

まぁ、ひとまず後夜祭が始まる時間が見回りを終える時間だ。そう思いながら、校舎を歩いていると怪盗の姿になった会長と会った。

 

会長の姿に、俺は怪盗ハロハッピーみたいだなと思いながら、会長に話を聞くとかぐやさんに告白をするのに、後夜祭を利用すると言ってきた。

 

その話を聞いた俺は、"頑張れ"と一言だけ伝えた。俺の一言を聞いた会長は頷いて屋上へと向かっていった。

 

 

会長の姿が見えなくなった後に、ふと校舎から外を見てみると、かぐやさんがキャンプファイヤーの火をつけるというパフォーマンスをしていた。

 

そろそろ後夜祭が始まる時間なので、見回りの腕章を外して校庭へ向かった。

 

校庭に出ると、空から紙が降り注いでいてその紙を見てみると”文化祭を頂く”という文字だけだった。

 

紙の文字を見ていると、千花とかぐやさんとすれ違ったが、俺は気にせずに愛と約束した校庭で人が少なめの場所に向かった。

 

その場所に向かったが、愛はいなかった。しばらく待っていると、愛が慌ててやってきた。

 

遅くなった訳を愛が話してくれたから、それを聞くとかぐやさんと話をしていたとのこと。

 

その話っていうのが、会長がスタンフォード大学に行くことを聞いた事などらしい。

 

そこで会長が海外に行く前に思いを伝えようという事を、愛がかぐやさんに伝えたりしていたら遅くなってしまったらしい。

 

雁庵さんの歩き方に関しては、愛からは何も言ってこないので、話をしなかった。

 

俺は、愛の事だから違和感に気が付いてはいると思うが、お母様に何か言われて言ってこないと結論付けて、文化祭の話を続けた。

 

しばらく文化祭での出来事の事を話していると、周りが騒がしくなった。

 

周りは空を見ていたので、俺と愛も皆に釣られるように空を見てみると、ハート型の風船が舞い上がっていた。

 

愛「あれって、今日の朝に学校中から無くなったハートの風船だね」

 

優心「うん。……なるほど……あの風船は、ああいう事に使うためだったんだ」

 

愛「どういう意味?」

 

俺の言った言葉に疑問を持った愛に質問されたので、昨日の文化祭が終わった後の夕方から夜にかけて、会長に頼まれて風船を集めていた事を伝えた。

 

愛「じゃあ、昨日一緒に帰れなかったり帰りが遅かったのって風船が理由だったんだ。朝、車で寝てたのも……」

 

優心「うん、そういう事だよ。……会長もロマンチックな事をするよね」

 

愛「確かに……」

といった事を、色々と話をしたり周りがダンス……踊っていたから、俺も愛と一緒に楽しんだりした。

 

 

そうしていると、後夜祭が終わる時間になったので、帰ることにした。

 

 

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ー黒服(皐)視点ー

 

 

優心様と愛さんが通う秀知院学園の文化祭……奉心祭の、後夜祭が始まった。

 

優心様と愛さんが校庭で会って話をしているタイミングで、校舎の屋上から風船が大量に舞い上がりました。

 

どうやら白銀様が準備をしていたものを、いまここでスタートされたという事が即座に私達黒服も理解した。……と言っても、私達は愛さんと優心様から特に言われてないので、いつも通りにお二人の護衛を影からする事に務めている。

 

護衛をしつつも舞い上がる風船を見ていると、ふと思ったことがあった。

 

黒服(皐)「ああいうの……なんかいいですよね」

 

黒服(華)「……告白される話の事を言っているのであれば、私はこの凝った演出よりもストレートに告白されたいと思ってますよ」

 

黒服(皐)「それって優心様が関係してますか?」

 

黒服(華)「それは当たり前ですよ。優心様とこころ様はストレートに気持ちを伝えてくださるので、自然とそう思っている自分がいます」

 

黒服(皐)「……文化祭準備期間から思っていたんですけど、最近凄く彼氏がほしいな~って思っちゃいました」

 

黒服(華)「私は欲しいとは思わないです。旦那様達、弦巻家は当然ですけど、私は優心様の側にいて支えていられれば何も要らないですね」

 

黒服(皐)「凄い忠誠心ですね……。まぁ、私もそういうのはありますけど」

 

黒服(華)「……でも仮に彼氏を作るとしても、相手に求めるものが多かったり、要求が高くて付き合うのは無理な気がします。あなたもそんな事になりそうな気がしますけど?」

 

黒服(皐)「……確かに、私も優心様やこころ様と同じかそれ以上の性格とかを求めそうです」

 

黒服(華)「ふふ……でも、もしあなたが恋人が欲しいのであれば協力はしますよ。あなたも、優心様とこころ様と愛様の三人と同様に、青春を謳歌する歳なんですから」

 

黒服(皐)「そんな事を言われたら凄く欲しくなっちゃうじゃないですか~」

 

黒服「お二人さん。優心様と愛様が移動されました」

 

黒服(華)「そうですね。我々も移動しましょう」

 

私は華先輩の言葉に私は頷いて、行動を開始した。

 

 

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~優心視点~

 

 

 

後夜祭が終わり、本格的に片付けるのは別の日にやるので、今日は簡単な片付けをやるだけだ。

 

そうして簡単な片付けが終わったので、車で帰った。

 

車の中で、文化祭の話で盛り上がった。

 

家に着いてからもしばらくは話をしていたが、眠くなったので寝ることになったから、お互いに部屋に戻った。

 

 

こうして、二日間あった奉心祭が幕を閉じた。

 





次回はまだ出来ていないので、投稿が遅くなってしまいますが、投稿まで待ってくれると幸いです。


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第55話


今回のお話は、前半にクリスマスでの話で、後半は正月の話です。

前半は、ガルパのストーリー「HAPPYpoppinXmas」を題材に、ライブが終わった後に弦巻家でクリスマスパーティーをしている話を書いています。

後半の正月の話は、「新春波乱のおみくじニューイヤー」を題材にしています。

ただ、前半にクリスマスの話はクリスマス要素はありませんし、所々雑になってしまっている部分もありますが、それでも楽しんで読んでくれたら嬉しいです。

では、本編をどうぞ。



 

 

~クリスマス~

 

 

~優心視点~

 

 

二日間あった奉心祭が終わって日が経ち、今日はクリスマスになった。

 

奉心祭からクリスマスの今日までに、色々とあった。

 

まず奉心祭が終わった後に、会長からかぐやさん関係の事で報告を受けた。

 

まず会長は告白よりも、かぐやさんに"大学についてこい!"と言って了承してくれたと言ってきた。それでキスをされたということも……。

 

だけど会長から、"肝心の……"好き"という告白はお互いにしていないから正式に付き合ったかどうかと言われると分からない"と言ってきた。

 

それに関しては少し呆れた所があったけど、会長がかぐやさんに大学に一緒に行きたい事とかを言えたと聞いた時は良かったと思った。

 

かぐやさんの方はというと、奉心祭が終わって少ししてから雁庵さんに大学はスタンフォードに行く事を伝えたとのこと。

 

雁庵さんは、それを快く賛成して応援までしてくれたと嬉しそうに話をしていた。

 

だけど、そこから少ししてから、千花曰くかぐやちゃんと呼ばれる状態になったり、氷かぐやと呼ばれていた頃の性格になったりした。

 

そして会長も倒れて、田沼先生に恋の病と言われて会長が溜め込んでいたものを、先生に話すということもあったりした。

 

そういった事があったが最終的に解決して、今日のクリスマスになったんだ。

 

そしてら今の時間は夕方だ。

 

今は何をしているのかというと、自分の家である弦巻家でポピパやアフターグロウなどのバンドメンバー達が集まってパーティーをしている。

 

来たメンバーは、全員……こころ率いるハロハピは勿論だが、ポピパとアフターグロウとパスパレとロゼリアの全員。それにグリグリとチスパのメンバーも全員来てくれた。

 

グリグリとチスパのメンバーは、家に来てくれた時に家の大きさに口を開いて驚いていた。

 

皆は口を揃えて、"大きい事は聞いてたけど、ここまで大きいとは思わなかった"と言っていたが、ひとまず家のパーティーをする部屋に集まり、クリスマスパーティーが始まったんだ。

 

なぜ今、ポピパを始めとする各バンドの皆が家に来て、パーティーをしているのかというと、お昼ぐらいにポピパがクリスマスライブをしたんだ。

 

そのライブに俺と愛は見に行ったんだけど、そこには他のバンドの皆も見に来ていたんだ。

 

それでライブ終わりに皆で話をしていると、中々全員で集まることがない皆がいるという事で、こころがクリスマスパーティーを、うち……弦巻家でしようと提案してきたんだ。

 

 

こころが提案すると、香澄やはぐみなどのこころと波長があうメンバーが賛同していったので、トントン拍子で話が進んで今に至るわけだ。……で、現在は各々自由にうちの料理人達が作ってくれた料理を皆が食べてたり、ポピパのクリスマスライブの感想を言い合ったりと盛り上がっていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

しばらくパーティーを楽しんでいる時に、ポケットに入れていたスマホが震えた。

 

画面を見るとお父様からの電話だった。俺は部屋から出て少し離れた場所で電話に出た。

 

優心「どうしたの?お父様」

 

誠心『少し伝えておきたい事があるんだが……今は家にいるのか?』

 

優心「うん。ポピパとかのバンド友達の皆とクリスマスパーティーしてるよ。お昼ぐらいにポピパのクリスマスライブやったから、そのままの流れでうちでパーティーすることになったんだ」

 

誠心『そうか。……今は廊下で話している感じでいいか?』

 

優心「そうだよ。……どこかの部屋の方がいい?」

 

誠心『あぁ。念のため、愛にもバレない方がいい』

 

優心「分かった」

 

お父様の言葉に返事をしてから、自室じゃない別の部屋に入った。

 

優心「部屋に入ったよ。……それで伝えたい事って?」

 

誠心『まず、学校の奉心祭があった際に、雁庵に会っただろ』

 

優心「うん、会ったよ。……その時、雁庵さんが帰る所を見たんだけど、歩き方に違和感を感じたよ。……もしかして、その事?」

 

誠心『あぁ。実はな、三者面談と文化祭の間に倒れたんだ』

 

優心「……え?……だ、だから歩き方が変な感じになってたんだ」

 

誠心『あぁ。……それでだ。雁庵は今回倒れた際に、もう危ないと言われたらしくて、もしかしたら次も倒れる可能性が高いわけだ』

 

優心「……それはつまり、お父様達と進めている件に影響が出るかもしれない……って事だよね?」

 

誠心『一応、数日中に話が纏まるから影響が出ることは無いから、大丈夫だ』

 

優心「そっか。……じゃあ俺はその纏まった話を、あとで聞けば大丈夫ってことだね」

 

誠心『そういうことだ。……ただ今の内に現時点で纏まってる事を簡単に説明しておく』

 

 

ーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーー

 

 

誠心『……と、いうことだ』

 

優心「なるほどね……」

 

誠心『詳しい事は、出来るだけ早く伝えるつもりだ。……雲鷹が伝えるようにお願いをする』

 

優心「そうなの?」

 

誠心『あぁ。……まだ二人は会っていないだろう。それもあって、二人で話した方がいいと思ったんだ』

 

優心「分かった」

 

誠心『とりあえず伝えときたい事はそれだけだから、こころ達とのパーティーを楽しみなさい』

 

優心「うん」

と、お父様の言葉に返事をして通話を切った。

 

スマホをポケットにいれてから、パーティーをしてる部屋へ戻った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

部屋に戻ると、香澄が近づいてきた。

 

香澄「あ、優心先輩!聞いてくださいよー。有咲が褒めてきたんですよ!今日のクリスマスライブの演奏のことで」

 

有咲「香澄ー、優心先輩にそんな事を言うなって!」

 

二人のやり取りに少し笑みが出つつも口を開いた。

 

優心「確かに、ポピパの演奏は良かったよ。有咲の言う通り香澄はいつも元気いっぱいとか楽しんでライブしてるのが伝わってくるから、有咲がそう言うのは凄く分かるよ」

 

香澄「ですよね!ほら、有咲。優心先輩も褒めてくれたよ」

 

有咲「あまり、香澄を甘やかすなよ……」

 

優心「でも、演奏が良かったのは確かだよ。それはちゃんと伝えないとでしょ?」

 

有咲「……まぁ、それは確かにそうだけど……」

 

優心「それに有咲も演奏良かったよ。それにステージ上にいた有咲も楽しそうな笑顔だった」

 

有咲「い、いきなりそんな事を言ってくるなよ……!」

 

香澄「もしかして有咲照れてる?」

 

有咲「照れてねー!!」

 

愛「……私も照れてるようにしか見れないよ……有咲」

 

香澄「愛先輩!やっぱりそうですよね」

 

愛「うん。……優心くんの言う通り、良かったよ。香澄の演奏もだけど、有咲の演奏もね」

 

有咲「二人して褒めないでくださいよ!!」

と、顔を真っ赤にしながらそう言ってきた有咲は、沙綾やりみ達がいる場所へ行ってしまった。

 

その様子に俺と愛は苦笑いしたが、他のバンド……アフターグロウやロゼリア達が集まってる所へ行って、皆の会話に混ざった。

 

 

皆と話をしたりと色々と盛り上がってると、もう解散に時間になったので、パーティーは終わりとなった。

 

 

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クリスマスから日が経ち、正月になった。

 

 

~1月1日・正月~

 

 

~優心視点~

 

 

クリスマスから日が経ち正月になった。

 

俺は愛とこころと美咲の三人と一緒に神社に来ている。

 

それであと一人がまだ来てないので、神社の鳥居前でもう一人来るのを待っていた。

 

その相手はつばめ先輩だ。

 

文化祭前にこころに会いたいと言ってきた時があり、こころと話をして、俺がつばめ先輩に連絡する形で会う日時を確認しあっていたが、中々話が纏まらなかったんだ。

 

纏まらないまま、文化祭に突入して時間が過ぎていったんだ。時間がある時に連絡を少し取ったりしてて最終的に話が纏まったのは、冬休みになってクリスマスが過ぎた後だった。

 

それで会うと決まった日が、正月だったと言うわけだ。そんな事を考えてると美咲から声をかけられた。

 

美咲「優心さん。ここで誰を待ってるんですか?」

 

優心「子安つばめって人だよ。秀知院の先輩だよ。こころと仲良しで今日会う約束してたんだ」

 

美咲「そうなんですね。……けど、こころと仲良しって聞くだけで、ブッ飛んでるイメージがあるんですけど……」

 

優心「そんな事はないよ。けど、こころみたいに裏表のない性格してていつも笑顔なんだよね。それでいて面倒見が良くて誰に対してもフランクに接してる人格者だよ」

 

美咲「へぇ~、性格が似てるから仲がいいんですね。……その性格だと学校では人気の女子なんですか?」

 

優心「うん。確か、学園のマドンナとか、三年の白鳥とか言われてるね」

 

美咲「……マドンナは分かりますけど、なんで白鳥?」

 

優心「先輩、入ってる部活が新体操だから」

 

美咲「あ、なるほど」

 

つばめ「あ、こころちゃーん」

 

つばめ先輩の事を話していると、その本人がこころの名前を呼びながらやってきて、こころと話を始めた。

 

つばめ先輩も振袖を着ていたので、こころとお互いの振袖が似合ってると言い合っている。

 

美咲「あの人が先輩ですか……」

と、美咲がこころと話している先輩を見ながらそう聞いてきたから、"うん、そうだよ"と答えた。

 

俺が美咲の言葉に答えたと同時に、つばめ先輩がやってきた。

 

つばめ「……あなたは、確か優心くんとこころちゃんが言ってた奥沢美咲ちゃん?」

 

美咲「あ、はい。その奥沢美咲です」

 

つばめ「確か……学校も学年もクラスも全部一緒なんだよね?」

 

美咲「その事も聞いてたんですね」

と、二人が少し話を始めたので一区切りつくまで待った。

 

 

しばらくしてから、鳥居をくぐって境内に入った。

 

美咲「それにしても、四人は気合が入ってますね。こころと愛先輩とつばめ先輩は振袖で、優心さんは着物を着てくるなんて」

 

少し歩いていると、美咲が今日の服装についてそう言ってきた。

 

美咲の言う通り、つばめ先輩と愛とこころも振袖を着て俺も着物を着ている。

 

美咲は普通の私服だった。

 

こころ「お正月に神社へ行く時は、必ず振袖を着てるわよ」

 

美咲「そうなの?」

 

こころ「そうよ。……ね、お兄様♪」

 

優心「うん。俺とこころは小さい時から神社に着て行ってるから当たり前になってるんだよね」

 

美咲「毎年正月に神社に行ってるって事?」

 

優心「そういうこと」

 

つばめ「私はこころちゃんが着るって、優心くんから聞いたから着てきたんだ」

 

美咲「つばめ先輩は、こころ基準なんですね……」

 

つばめ「そうだよ」

 

優心「……つばめ先輩って、こころの誘いを受けると他の予定なんか放ったらかしにしてまで来ようとするぐらいだよ」

 

美咲「そ、そうなんですね……。愛先輩は?」

 

つばめ先輩の行動を聞いた美咲は、少し引いてる感じで返事をしてから、愛に質問をした。

 

愛「私は、家でこころと心美さん達に勧められて、二人の圧に断りきれなかったんだ」

 

美咲「へ~。心美さんとこころの二人に……ん?家で二人に?愛先輩って、今……弦巻家にいるんですか?」

 

愛「うん。……まぁ、いるっていうより、夏休み明けから弦巻家に住んでるよ」

 

美咲「……住んでるんですか!?」

 

愛「うん、そうだよ」

 

こころ「愛ー、つばめー」

 

美咲が愛の言葉に驚いて聞き返して、愛が美咲の言葉に肯定をすると、いつの間にか先に進んでいたこころが愛とつばめ先輩の名前を呼んできた。

 

こころに呼ばれた二人は、こころの元へ向かっていったので、俺の近くにいるのは美咲だけになった。

 

美咲「優心さん。……愛先輩は肯定してましたけど、本当に住んでるんですか?」

 

優心「本当に住んでるよ。……けど美咲って、愛が家に住んでるの知らなかったっけ?」

 

美咲「知らないです。……いや、こころが言っていたのを聞いてたと思う。……けど、半信半疑だったから気にしてなかったしあまり覚えてなかったかも」

 

優心「なるほど……。でも休みの日とかで、ハロハピの皆がハロハピ会議とかで家に来たりした時に、見かけたりしなかったの?」

 

美咲「見かけたりしてましたけど、単純に遊びに来てたのかな~とか、泊まりに来てたのかな~って、思ってたので」

 

優心「そっか……他の皆は?」

 

美咲「…花音さんも私と同じで半信半疑な所はあると思うけど、薫さんとはぐみは信じてるかも」

 

優心「なるほどね……」

 

あこ「優兄だー!」

 

燐子「あ、あこ……ちゃん……!ちょっと……待って……!」

 

美咲と話をしていると、あこと燐子声が聞こえて声をした方を見ると、あこと燐子がいた。

 

神社にいる時点で分かってるけど、二人に話を聞くと二人も初詣に来てたみたいだったので、一緒に回ることにした。

 

燐子に"他に誰かいますか?"と聞かれたから、こころと愛と俺の学校の先輩もいることを伝えた。

 

 

しばらく美咲と燐子とあこの三人と話をしていると、すぐ近くで騒がしくなったから騒がしい場所を見てみると、こころがバク転をしてた。

 

こころの周りには人が集まり、こころの動きを見た人たちが、"おぉー"と歓声を上げていた。

 

それを見た美咲がすぐにこころの所へ向かった。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

ー愛視点ー

 

 

こころに呼ばれた私とつばめ先輩はこころ話をしていた。

 

しばらく話してると、こころが”ちょっと見ててね”と言ってから、バク転とかをやり始めた。

 

つばめ「おー!こころちゃん、小さい時から会ってたから知ってるけど、何回見てもすごいよねー」

 

愛「本当に小さい頃から会ってるんですね、つばめ先輩は」

 

つばめ「うん。弦巻兄妹の誕生日パーティーにお父さんに連れていってもらった時があったんだ。そこでね、仲良くなったんだよね~」

 

愛「優心くんから話を聞いてたりしますけど、やっぱり小さい頃からこころはあんな感じで運動神経は良かったんですか?」

 

私は今バク転をしているこころに指を指しながら、つばめ先輩に聞いてみると、つばめ先輩は何度も頷いてきた。

 

 

そのあともつばめ先輩と話をしていると、美咲がやってきたが、私とつばめ先輩の事も目もくれずに、こころの所へ行って声をかけていた。

 

こころ「あら、美咲!」

 

美咲「こころ。折角の振袖が汚れるからやめなって」

 

こころ「……もうちょっとやっていたかったけど、美咲がそう言うならやめとくわ」

 

美咲「すぐにやめるならやらなければいいじゃん……って、こころに言っても意味ないか~」

 

美咲の言葉に、こころは少し考えてからやっていたバク転を終わらせて、その光景を見た美咲が小声で一言を言っていた。

 

二人はそのまま話を始めていた。

 

その様子を見ていると優心くんがやってきた。

 

優心くんの隣に燐子とあこもいた。つばめ先輩が二人の事を質問してたから、優心くんが説明をしていた。

 

それに加えて、燐子とあこの二人も初詣に来てた事と、美咲と話をしていた途中で会ったという事も教えてくれた。

 

優心くんが二人の事を私達に教えた後に、つばめ先輩が私と優心くんに声をかけてきた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ー優心視点ー

 

 

美咲がこころの元へ行った後に、俺は愛とつばめ先輩の二人の近くに向かった。

 

二人に側に着くと、つばめ先輩は燐子とあこの事を聞いてきたので、二人の事を教えて、さっき美咲と話をしていた時に会ったことなどを伝えた。

 

当の本人達……燐子とあこは、こころと美咲の会話に入っていっていた。

 

つばめ「……皆、仲がいいんだね」

と、こころと美咲と燐子とあこの四人が会話をしている所を見ていたつばめ先輩が、そう言ってきた。

 

優心「確かに、こころと皆は仲が凄くいいですよ。けど、その中でも美咲との仲がいいんですよ」

 

つばめ「そうなの?」

 

優心「はい。確か、ハロウィンの時に家の近くの商店街でハロウィンイベントがあったんですけど、その時にこころは美咲と回る誘いをしてましたし」

 

愛「確かにそうだったね。その時に私と優心くんもいたけど、こころは私達の事を気にせずに美咲と回るって言ってたね」

 

つばめ「なんでだろう……?」

 

優心「美咲の事が好きなんだと思いますよ。……多分恋愛の意味で」

 

つばめ「……え?」

 

優心「他の皆は友達として好きとかそんな感じだと思います。けど、こころの美咲との関係をずっと見てたら、どう見ても恋愛として、美咲の事が好きだと思うんですよね」

 

つばめ「……そうなの?」

 

優心「……本人は気づいてないですけどね。それに美咲も口ではなんだかんだ言ってますけど、こころに誘われたり振り回されたりしても嬉しがってるから、お互いに意識はしてると思います」

 

俺の言葉につばめ先輩は"へぇ……"と言っていた時に、"すみませーん"と声をかけられた。

 

声をした方を見てみると、イヴちゃんと麻弥の二人だった。

 

イヴ「あ、ココロさんとユウシンさん。それにミサキさんとアイさんとリンコさんとアコさんもいます。……けど、隣にいる人は誰でしょう?」

 

麻弥「多分、優心さんと愛さんの学校での知り合いだと思いますよ。私達の知り合いに居ない方なので……」

 

イヴ「なるほど!」

 

二人はそんな会話をしながらやってきて、傍まで来たイヴちゃんが”ユウシンさん!”と言ってきた。

 

イヴ「そちらの方は、誰ですか?」

と、イヴちゃんはつばめ先輩を見ながら、俺に質問してきた。

 

優心「俺の学校の先輩だよ」

 

麻弥「先輩というと高校三年生なんですね。……あ、ジブンは大和麻弥と言います。よろしくです」

と、麻弥が最初に自己紹介をしてから、イヴちゃんとつばめ先輩の順番にしていた。

 

話を聞くと、イヴちゃん達は仕事で神社に来ているらしい。

 

そんな話をしていると、こころが"皆で回ろう"と言ってきた。

 

愛「でも、二人は仕事だし回れないんじゃ……」

 

麻弥「せっかく、皆さんに会えましたし、一緒に回りたいので、スタッフさんにちょっと聞いてきますね」

と、こころの提案を聞いた麻弥がスタッフに聞きにいった。

 

少し待っていると戻ってきたので、"どうだった?"と聞くと"オッケー"と教えてくれた。

 

 

そこから大所帯だけど、皆で回ることになった。

 

 

皆とおみくじを引いたりしながら、しばらく回っていたら色々と出来事があった。

 

イヴちゃんが巾着袋を、麻弥がコンタクトレンズを落としてしまったりした。

 

それを聞いたこころは、宝さがしと言って行動を始めた。

 

その様子を見て"いつも通りだな~"と思いながらこころの行動に付き合っていると、二人が落としたものが見つかってしかも二人は笑顔になった。

 

宝探し中の間に、餅つきとかやったりしてから皆も楽しんでいた。

 

 

ひとまず、イヴちゃんが落とした巾着袋や麻弥がしていて落としてしまったコンタクトレンズなどが最終的に見つかったので、神社での無くした物探し(探検)が終えた。

 

そのあとは、初詣をしっかりやってきておみくじも引いて一日が終わった。

 

 





次回は、新学期が始まっての藤原千花の丸刈りドッキリやかぐやの誕生日サプライズと愛してるゲームをやっている話を書く予定です。

ただ、まだ話が出来てないので投稿が遅くなりますので、待ってくれたら幸いです。



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第56話 


お待たせしました。前回の続きです。

今回は前回の後書き通りです。新学期がスタートしての話です。

前回より、3000文字と少しと文字数が少なくなっているので、短くなっています。その為に、読み足りないなどと思うかもしれません。

それでも楽しんでくれたら嬉しいです。

では、本編をどうぞ。



 

 

~優心視点~

 

 

~冬休み明け・新学期~

 

 

~放課後~

 

 

クリスマスや正月での出来事から日が経ち、もう新学期が始まった。

 

そんな新学期初日に、いつも通りに愛と一緒に学校へと向かって、いつも通りに授業を受けて放課後になった。

 

 

授業とホームルームが終わった後、生徒会室に向かおうと教室から出たら、会長がA組のドア前で待っていた。

 

優心「会長、教室前でどうしたの?」

 

会長「あぁ、弦巻に伝えたいことがあってな」

と、俺が聞いたことに対して、会長はそう言ってきたので、一緒に生徒会室に向かいながら話を聞くという事になった。

 

会長の伝えたい事を聞くと、なんとかぐやさんと付き合ったと言ってきた。

 

優心「……会長、本当にかぐやさんと付き合ったの!?」

 

会長「つ、弦巻!声、でかい!」

 

優心「あ、ごめん。……でも、本当に?」

と、少し声量を落として聞くと、会長はものすごい勢いで首を縦に振っていた。

 

優心「でも、付き合えてよかったよ。付き合うまでに凄く時間がかかったけど」

 

会長「あ~まぁ……そうだな……」

 

会長とそんな会話をしていると、生徒会室に着いたので、中に入った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~生徒会室~

 

 

生徒会室に入ると、千花が丸刈りになっていた。その事に驚いたがすぐに被り物だと気付いた。

 

優心「ん?……それって被り物だよね?」

 

千花「……なんで分かっちゃうんですか!?」

 

優心「だって、丸刈りにしたにしても、周りに落ちてる髪の量が少なすぎるし、千花の髪の長さじゃないから」

 

俺がそう言うと、千花はショックを受けた顔をしていた。

 

会長「……確かにその通りだな。最初マジで、藤原が丸刈りしたと思ったぞ」

 

千花「そんな事をするわけないですよ」

 

会長「いや藤原ならやりかねない……」

 

千花「ひどいですね!」

 

そんなやり取りをしている二人を少し眺めてから、千花に質問した。

 

優心「ねぇ、何で丸刈りの被り物してるの?」

 

千花「かぐやさんの誕生日サプライズですよ」

 

俺と会長は千花の言葉が、意味が分からなかった。かぐやさんにドッキリを仕掛けたいと教えてくれたけど、それが何故丸刈りになるのかは分からなかった。

 

困惑していると生徒会室の扉が開いて、入ってきたのは石上だった。

 

石上がやってきた瞬間に、千花が会長の腕に抱きついて”実は付き合ってる”と発言した。その事に驚いてると石上は一刀両断してから、いつもの様に千花に正論をぶつけていた。

 

 

しばらくして、二人のやり取りが落ち着いた所にまたもや扉が開き、今度はミコがやってきた。

 

すると千花は俺の腕を掴み、"実は最近優心くんと私付き合った"と、ドッキリだとしても俺と愛の関係を知ってる人からすればあり得なくておかしな事を言い出した。

 

そんな事を聞いたミコは一瞬だけ動きが止まってから、口を開いた。

 

ミコ「藤原先輩、最低です」

 

千花「……え?」

 

ミコ「あんなに仲がよくて凄く理想的なカップルの弦巻先輩と愛先輩を別れさせたんですね。……あの二人が自分から別れるなんてあり得ないので、絶対そうです!」

 

千花「え、え……えっと、ミコちゃん」

 

ミコ「藤原先輩が弦巻先輩と付き合いたから、二人の仲を切り裂いたんですね」

 

千花「ミコちゃん!こ、これはドッキリだから」

と、ミコの言葉に千花は慌てながら、話を聞いていた会長が持ってたドッキリと書かれている看板というかプラカードを見せた。

 

ミコ「あ、なんだ。ドッキリなんですね。それなら早く言ってくださいよ~」

と、ミコはドッキリだと分かった瞬間に笑顔になった。

 

その笑顔を見た千花は、俺と会長と石上の近くに来て小声で話しかけてきた。

 

千花「あれはヤバイです。危うく私が悪者になる所でした」

 

石上「いや、ほぼ悪者になってません?さっきのどう考えても藤原先輩の自業自得ですよね。彼女がいる弦巻先輩に対してあんな事を言ったんですから」

 

石上の言葉に俺と会長は頷いた。

 

千花「三人とも酷いですね」

 

会長「でも、石上が言った通りだと思うぞ」

 

優心「まさか、俺も利用されるとは思わなかったし、出来ればそんな内容のドッキリはしないで欲しいかな」

 

千花「二人も黙ってもらってもいいですか」

と言い合ってると、かぐやさんが入ってきた。かぐやさんの姿を見た千花がまたもや口を開いた。

 

千花「あ、かぐやさん。会長が付き合ったって知ってますか!」

 

その言葉に会長は冷や汗を流していた。

 

優心(千花のメンタルすごいな。めげずにドッキリ仕掛けるなんて……)

 

そんな事を思ってると、かぐやさんが"知っています"と言いながら、会長の側に近づいていった。

 

かぐや「ええ、勿論知ってますよ?私がこの人の彼女です。私と会長、冬休みからお付き合いしています」

 

かぐやさんはそう堂々と言った。

 

その為、会長から付き合ってる事を聞いて知っていた俺以外の皆が驚いていた。千花は他の皆以上に驚いていた。

 

かぐや「……なんて、ドッキリですよ。生徒会室に入ってから見えていました。こういったのをやる場合はしっかり隠してからやってください」

 

かぐやさんはそう言って、千花は逆ドッキリを仕掛けられた状態になっていた。逆ドッキリを仕掛けられた事に対して、俺に色々言ってきた。

 

千花の言葉を聞き流しながら、かぐやさんと会長は二人の方を見てみると二人だけで話をしていた。

 

優心(まぁ、二人がいい雰囲気になってるし、かぐやさんも会長も嬉しそうにしてるから、逆ドッキリは良かったのかな?)

と思いながら、ずっと続いている千花の文句を聞き流していた。

 

 

そうして、一日が終わった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~翌日・放課後~

 

 

~優心視点~

 

今日もいつも通りに生徒会室にいる時に、千花が俺も含め生徒会メンバーを見渡してから口を開いた。

 

 

千花「最近、私に対する皆さんの対応が酷いです」

 

会長「……そんな事ないと言いたい所だけど、丸刈りとかの件があるから、擁護できないな……」

と、千花の言葉に会長が答えて、千花は会長の言葉に大声を出した。

 

千花「そうやっていい人ぶるですよね!」

 

石上「いや、会長の言う通りでしょ。昨日も弦巻先輩の事も利用してたんですし」

 

かぐや「石上くん。弦巻くんの事とはどういった事なんですか?」

 

石上の言葉にかぐやさんが反応して、石上に質問していた。

 

石上はかぐやさんに昨日起きたドッキリで、千花の俺を使ったドッキリの内容を伝えていた。

 

かぐや「藤原さん。流石に恋人がいると生徒会メンバーに公言している人を使うのは、どうかと思いますよ。ましてや、付き合っていると言うのは流石に……」

 

かぐやさんの言葉に千花は何も言えない状態になっていたが、かぐやさんは気にせずにまだ言い続けた。

 

かぐや「それに、もしその時に入ってきたのが伊井野さんではなく、愛さんだったらどうするんですか?……愛さん、嫉妬深いですから、ドッキリでしたなんて通用しなさそうですし」

 

かぐやさんの言葉での攻撃に、千花は涙目になり掛けていた。その様子を見たかぐやさんはため息をついて、色々と言うのをやめた。

 

その直後、会長に話しかけられて二人で話を始めてしまった。

 

会長「早坂って嫉妬深いのか?」

 

かぐや「そうですよ。教室でも他のクラスの女子生徒と話をしているのを愛さんが見ると、むくれている事が多いです」

 

会長「へぇ~。なんか意外だな。早坂はクールな感じだから恋愛の事でもクールだと思っていたが」

といった感じで、二人が愛の事で話を始めた所を見た千花が、俺の方を見てきた。

 

優心「……俺は、ノーコメントで」

 

石上「弦巻先輩でもフォロー出来ないんですから、諦めてください。藤原先輩」

 

ミコ「私はまだ尊敬はしてますよ」

 

千花「……まだ?」

 

ミコの言葉を聞いた千花が、一旦俺達を見渡してから口を開いた。

 

千花「……そんな態度をとる皆さんに罰ゲームです!……愛してるゲームをしましょう!」

 

千花が言った言葉に各々反応して、千花はゲームの説明をした。

 

石上「それやる必要あります?」

 

説明を受けた石上がそう言ったり、会長達も乗り気じゃなかった。そういう俺もやる気がないから"やりたくない"と伝えた。

 

千花「これは強制です!強制ですので例え恋人がいる人でもやる必要があります!」

 

俺の言葉を聞いた千花がそう言ってきた。

 

石上「藤原先輩、弦巻先輩達の話を忘れました?……また、ラブラブカップルの弦巻先輩と早坂先輩の仲を裂こうとしてるんですか?」

 

千花「そういうわけじゃありません!……ありませんが、やらせないと私が納得しないので、強制的にやらせるんですよ!」

 

千花のその言葉に皆は呆れつつも、渋々やる事になったので、やったけど、意外と石上は言われたら結構照れていた。

 

俺は、言われても特には照れなかった。千花に照れない事について文句言ってきたが、俺は"愛に言われた方が照れるかも"と内心思いながら聞き流してた。

 

会長はかぐやさんに言われたら照れていたけど、それ以外は照れていなかった。

 

何故か泣いてた時もあったけど、なんだかんだで時間が過ぎていって下校時間になったので、解散となった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

解散後は、教室で待ってくれていた愛と一緒に帰ることになった。

 

その駅までの帰り道で、今日の生徒会室での出来事の事を話すと、愛が少しだけ頬を赤くしながら"大好き"と言ってきた。

 

その言葉を聞いて俺は、照れるのもあったけど嬉しさの方が大きかった。

 

俺も"愛の事、大好きだよ"と言って手を繋いだ。

 

愛「……優心くん、ずるい」

 

優心「え?何が?」

 

愛「だって言いながら、手を繋いでくるんだもん。これだと私が照れるに決まってるじゃん」

 

優心「俺も、愛に言われた時に照れたよ。それに凄く嬉しかった」

 

俺がそう言うと、愛は無言になって早歩きになり手を引っ張ってきた。

 

お互いに無言の状態で、駅に着いて電車に乗り家まで帰った。

 

家に帰るまでお互い無言のままだったけど、嫌な居心地はなくて、手を繋いでるのも相まって居心地は凄く良かった。

 

 

こうして今日一日は終えた。

 





次回も完成してませんので、遅くなるかもしれません。

ただ、何を書くかなどの構想はあるので、出来るだけ早く投稿できるように頑張って書こうと思います。

投稿まで待ってくれたら嬉しいです。


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第57話


今回は、前半は団長のドルオタ関連の話を書いています。後半は、修学旅行の一日目の話を書いています。

では、本編をどうぞ。



 

 

~放課後~

 

 

~優心視点~

 

 

千花の丸刈りや愛してるゲームなどの件から、数日が経ったある日。

 

そんなある日の放課後に、俺は団長が生活している秀知院学園の寮にある団長の部屋に、お邪魔していた。

 

なぜ学校の寮に来ているのかというと、今日の昼休みに二年A組に団長が放課後に俺に聞きたいことがあると言ってきたからだ。

 

それで、どこで話をするのかという事になった際に、団長が生活している学校の寮、団長の部屋で話すことになったんだ。

 

そう言った経緯で部屋にお邪魔したわけなんだけどと思いながら、俺は部屋を見渡してみた。

 

棚にはパスパレの販売されてるCDや、メンバー自身のぬいぐるみが置かれていたり、壁にはパスパレの全員がのっているポスターや個々人のポスターなどが貼られていた。

 

優心(団長ってパスパレファンなんだ……。始めて知った。)

と、パスパレグッズが所狭しと置かれているのを見て、団長がパスパレファンだった事を知った。

 

まぁ、部屋に入った瞬間にパスパレグッズが目に入ってたからファンなんだろうと思ったけど、こうしてまじまじと見てみると凄いなと思ってしまった。

 

そう思いつつも、ひとまず団長に話がなんなのか聞こうと思い、団長に顔を向けた。

 

優心「それで、団長。話って「弦巻はパスパレの人と知り合いなのか!?」……え?」

 

俺が話を切り出すと、俺の言葉を遮って団長はパスパレの事を聞いてきた。

 

団長「いや、だからな」

 

優心「あ、団長の言葉はちゃんと聞こえてます。……えっと、パスパレメンバーと知り合いなのかという質問ですよね?」

 

団長は俺の言葉に頷いていた。

 

優心「えっと、そもそもなんで俺にパスパレメンバーと知り合いかどうか聞いてきたんですか?」

 

団長「あぁ……それは石上から聞いたんだ」

 

優心「石上からですか?」

 

団長「少し前に石上がいい男になりたいので、どうすればいいか聞いてきたんだ。そのでな、筋トレを勧めたんだがその際に弦巻がパスパレメンバーと知り合いと教えてくれたわけなんだ」

 

優心「(石上が筋トレをやり始めたのは、団長が切っ掛けか)……なるほど。石上がこの部屋にあるパスパレグッズを見たから教えてあげた感じですね」

 

俺がそう言うと団長は頷いてくれた。

 

優心「……ひとまず、結論から言うとパスパレの皆とは知り合いです。……というより、友達ですよ。たまにですけど、遊んだりしてますし」

 

団長「ということは、連絡先も知ってるという事だよな?」

 

優心「まぁ、そうですね。それがなにか?」

 

団長「それなら弦巻にお願いがしたい。……パスパレメンバーと直接会いたいから、会わせほしい」

 

団長はそうお願いしてきた。俺はどうしようかと一瞬悩んだが、ひとまずパスパレの皆に連絡して"会ってもいいか"と"会えるとしていつの日がいいか"といった感じの事を聞くことにした。

 

優心「本人達に確認の連絡してきますね。もしダメだったら普通にライブとかイベントとかに行って会ってくださいよ」

 

俺がそう言うと、団長は首が痛くなるんじゃないかと心配するほど縦に振っていた。

 

その様子を見てから、千聖さんに連絡を取った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

しばらく確認の連絡して、最終的に会っても大丈夫という事になった。

 

今度の土日はメンバー全員が、パスパレとしての活動やレッスン、個人の活動もない完全なオフだから、そこならオッケーという事を千聖さんから教えてくれた。

 

優心「団長、今度の土日なら会えるみたいですけど、予定が入ってたりしますか?」

 

団長「いや、そこは何も用事とかはない」

 

優心「わかりました」

と、団長に確認をしてから千聖さんと待ち合わせ場所などを決めて連絡は終わった。スマホをしまって団長に向き直った。

 

優心「……えーと、今度の土曜日に会うことをオッケーしてくれましたよ」

 

団長「……マジか……?」

と実感無い感じで団長は呟いていたが、俺が団長の呟きに頷くと実感したのか凄く喜んでいた。

 

少しして落ち着いた団長に待ち合わせ場所などを伝えた。その後も少し話をしてから今日の話は終えた。

 

因みに、団長は彩のファンだと教えてくれた。

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして、土曜日当日。

 

駅で待っていると、団長が来てその後すぐにパスパレ全員がやってきた。

 

団長は皆の反応を見た瞬間に、歓喜していた。その様子に、千聖さんは少し引き気味、日菜は面白がっててイヴちゃんは団長の筋肉を見てブシドーに繋げていた。

 

麻弥と彩はそんな様子に苦笑いしつつも、団長に話しかけていた。その時に団長が彩のファンだと、彩本人に伝えて彩が嬉しそうにしていた。少し嬉し泣きもしていたけど。

 

そんな会話の中で俺も仲裁に入りつつも参加して、皆で遊ぶ事にした。

 

 

そして時間が経ち夕方になって解散となった。

 

団長は俺にお礼を何度も言ってきた。お礼を言う姿を見て喜んでもらえてよかったと思った。

 

 

そんな事があった一日は終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーー

 

 

~弦巻家・優心の部屋~

 

 

団長の件から少し日が経ったある日。

 

自分の部屋で修学旅行の準備をしている時だった。スマホに着信があり画面を確認すると、お父様からの電話だった。

 

電話に出て用件を聞くと、修学旅行二日目に四宮雲鷹に会ってほしいという事だった。

 

華さんから修学旅行先が京都だと聞いて、その京都には四宮本邸がある為に、修学旅行二日目の自由行動の際に会った方が都合が良いということになった。

 

俺はお父様の話に"了解"と返事して、四宮雲鷹と会う場所などをお父様から聞いた後は電話を切った。

 

お父様からの通話の後は、修学旅行の準備を続けた。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

~数日後~

 

 

~修学旅行一日目~

 

 

~優心視点~

 

 

お父様からの電話があった日から数日が経ち、今日は修学旅行だ。

 

 

そして今回の修学旅行の目的地は京都だ。

 

 

前年通りだと海外だったが、今回は生徒のリクエストが多い場所という決め方をして、京都になったんだ。……で、今は新幹線に乗り京都へ向かってる最中なんだけど、違う車両に乗ってるB組の方から千花が叫ぶ声が聞こえていた。

 

俺が聞こえたのは、"海外が良かったー!"という言葉だった。

 

すばる「さっきの声、藤原さんだよね」

 

愛「うん。書記ちゃんだね」

と、座席に座っていたすばると愛がそう言った。

 

今、新幹線の座席は一つを進行方向とは反対の向きにして、四人が座れるボックス席みたいにしている。で、その席には俺と愛とすばると三鈴の四人で座ってる。

 

修学旅行の班のメンバーは、愛とすばると三鈴の三人と一緒だ。だから、この三人と座席に座ってるというわけだ。

 

三鈴「藤原さん、なんで海外が良かったって言ったんだろう?」

 

優心「その辺は、千花の自業自得だから気にしなくていいよ」

 

三鈴「そう?」

 

優心「うん」

 

そういった会話をしつつも、京都駅につくまでの間、トランプをしたりして新幹線に乗っていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~京都~

 

 

京都駅に着いた。

 

そこからは班行動として動くので、愛達と一緒に京都の有名観光名所を回った。

 

金閣寺や東本願寺など、その他色々と班行動で行くと決めていた場所を回っていった。

 

そして今は夕方の渡月橋にいる。

 

ホテルに行くまでの僅かな夕方の時間に、見にきたんだけど、そんな時間に見にきた理由は夕暮れの渡月橋の風景を写真を撮りたいと、女子三人の希望があった為だ。

 

優心「……良い景色だね」

 

すばる「でしょー!これを生で見たかったんだよ!」

 

俺の言った言葉にすばるがそう言って、三鈴と愛が頷いていた。

 

各自スマホで風景を撮り、その次に四人で集合写真を撮った。

 

写真を撮り終わり時間を確認すると、そろそろホテルに行った方がいい時間になったので、ホテルへと向かうことにした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ホテル~

 

 

ホテルに着いた後は、それぞれ部屋へ向かった。

 

俺が泊まる部屋に入ると鋼と樹などのA組の男子数人が集まっていたので、そこで荷物を置いてしばらく話をしていた。

 

そうしてると、俺の班がお風呂に入る時間になった。それに、鋼と樹と他二名の男子の班もお風呂に入る時間になった。なので、一緒に風呂場に向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~男湯・女湯入口~

 

 

お風呂から上がると、ちょうど男湯と女湯の入口付近に会長と翼と豊崎三郎と風祭豪のB組メンバー四人がいた。

 

すると、豊崎が"こっちにこい"と言ってきたので、鋼達A組メンバーに"また部屋で"と言って別れて、四人の近くに移動した。

 

優心「……えっと、四人は何してるの?」

 

四人の側に移動した後に、そう聞くと風祭が教えてくれた。

 

話を聞くと、風呂上がりの濡れた髪こ女子達を見る為に集まったと言ってきた。"風呂場を覗くとかじゃなくて良かった"と内心思いつつも、どんな所がいいのか分からなかった。

 

優心「そんなに、濡れた髪の女子っていいの?」

 

豊崎・風祭「「風呂上がりの濡れた髪がいいんだよ!」」

 

豊崎「それに、エロいだろ」

 

優心「……そんな風に思ったことがないからな……」

 

そんな話をしていると、柏木さんと眞妃の二人が出てきて翼が"よくない場所"と言って二人と一緒に別の場所へ言ってしまった。

 

その後に、千花が出てきて豊崎達が何故か真顔になったり、かれんとエリカが出てきてかぐやさんに関する事を言って、豊崎達二人が盛り上がると会長が釘を刺すといった感じが続いた。

 

その後には、かぐやさんが出てきて会長と話をしていた。二人が少し話をして、かぐやさんが足早に女湯の方へと戻っていった。

 

豪「お、次も来たぞ……!」

 

かぐやさんが、風呂場へ戻っていったと同時に風祭がそう声をあげたので、女湯の入口の方を見てみると愛がやってきた。

 

愛「あ、優心くん。どうしたの?」

 

優心「このメンバーと話に付き合ってたんだ」

 

愛「そうなんだ。って優心くん、髪の毛がちゃんと拭けてない部分があるよ」

 

優心「え、ほんと?」

 

愛「うん。後ろのここら辺が特にだよ」

 

髪が濡れてると言われて教えてくれた場所を触ると、確かに濡れてた。

 

優心「ほんとだ」

 

愛「でしょ。部屋にあるドライヤーで乾かしてあげるから部屋に行こ」

 

優心「もう一回拭けばいいだけだから、ドライヤーまで使わなくてもいいと思うけど」

 

愛「私が髪を拭いて、ドライヤーかけてあげたいんだ。ダメ?」

 

優心「愛の提案だしお願いしてもいい?」 

 

愛「うん!」

 

優心「あ、俺が終わったら愛の髪もドライヤーをかけてあげるよ」

 

愛「え、ほんと!?じゃあ早く部屋に行こう!」

 

愛と話をしてお互いの髪をドライヤーで乾かしあうという事になり、愛に手を引かれながら部屋へ向かった。

 

愛が泊まる部屋には、A組の男女数人が集まっていて、夕食の時間までトランプで遊んでいる所だった。

 

皆が遊んでいる近くで、俺と愛がドライヤーを使って髪を乾かしあっている事には、皆は驚かずにいた

 

お互いにドライヤーをかけ終わった後、のんびりしていると夕食の時間になった。

 

 

夕食後は、それぞれ泊まる部屋へ戻り就寝した。

 

 

そうして修学旅行の一日目が終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~会長視点~

 

 

修学旅行の一日目で泊まるホテルで豊崎と風祭に付き合わされて、女湯の入口付近に俺はいた。

 

付き合わされた部分もあるが、俺自身も内心で見てみたい気持ちもある。

 

そんな気持ちがありつつ、豊崎と風祭の話に付き合っていると、弦巻が男湯から出てきて豊崎達に捕まってしまった。

 

そこから女子達が出てきて、四宮が出てきた際に"自分はこんなに独占欲が強かったのか"と、自分に疑問を持ったりしていると、早坂が出てきた。

 

すると、早坂と弦巻が二人で話を始めて端から見るとイチャついている様にしか見えない会話だった。

 

その光景に豊崎達が驚愕している感じだった。そうしている内に、二人は部屋へと戻っていった。

 

会長(あの二人、隠す気ないだろ。もうバレても良いぐらいに思ってるだろ……)

と思いながら、二人が歩いていった方角を俺は見ていた。

 

そうしていると、二人が見えなくなった辺りで、風祭が俺に声をかけてきた。

 

風祭「……白銀。さっきの光景はどういう意味か分かるか?」

と聞いてきたから、二人が付き合っている事を教えようか迷った。

 

会長(どうしようか。でも、あそこまでイチャついていると素人目でも分かる光景を見せつけていたし、ここで変に隠すよりは教えてた方がいいか……。弦巻達にはあとで謝っとこう)

 

隠すより話してた方が良いだろうと思った俺は、弦巻と早坂の二人は一学期の時から付き合っていると教えた。

 

風祭「あの裏切り者がー!あいつ、恋愛関係に縁がないと思ってたから、俺らと仲間だと思っていたのによ!」

と、俺の話を聞いた風祭が大声で叫んだので、"大声出すな!"と注意して落ち着かせた。

 

すると今度は、大声ではないが豊崎がブツブツと言い出してきた。

 

豊崎「待てよ。弦巻って交流会に来てたよな?それって大丈夫なのか?」

 

会長「その辺は大丈夫だと思うぞ。今の所、二人の仲は問題ないしな」

 

豊崎の言葉に俺が答えた後も、風祭は納得できないのかグチグチと言っていた。

 

風祭を落ち着かせていると時間が過ぎていき、自分達が風呂に入る時間となった。俺たちは慌ててお風呂用具などを部屋に取りに行ってお風呂に入った。

 

風呂上がりの時には風祭は落ち着いていたので、安心して夕食も取って一日が終わった。

 





次回は修学旅行二日目の話を投稿します。……が、まだ完成してませんので遅くなるかもしれません。


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第58話


修学旅行二日目の話です。

今回は、優心と雲鷹が会って話をしているのがメインですので、修学旅行の描写はほとんどありません。

では、本編をどうぞ。



 

 

~修学旅行・二日目~

 

 

~優心視点~

 

 

今日は修学旅行二日目だ。

 

二日目は自由行動なので、皆は各々別の班や別クラスの人達と行動をしていた。

 

そういう俺は、一人で行動をして今はバスに乗っている。

 

なぜ一人で行動しているかというと、クリスマスの時にお父様からの電話で、今日はかぐやさんの兄である四宮雲鷹と会う様に言われたのが理由だ。

 

それに、かぐやさんや愛、会長などの生徒会メンバー達などには、聞かれちゃダメなのも一人で行く理由の一つだ。

 

その為、ホテルで朝食を食べている時に愛から今日も一緒に回ろうと誘われた際に、愛にお父様のお願いがあるから、お昼まではどうしても一人で行動しなくちゃいけない事を伝えている。

 

その時に落ち込んだ顔をしちゃったけど、午後は一緒に回れるから回ろうと約束しといた。

 

 

そんな事がありつつも、皆と別れた後に四宮雲鷹と話をする場所へと向かおうとした。……が、その時に、華さんから念のためとインカムを渡された。

 

インカムを渡された俺は耳に付けてから、目的地に行くのにまず使うバス停まで向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

バスに乗り目的地の最寄りのバス停に着き、バスから降りてしばらく歩いている時だった。

 

後ろから誰かにつけられているのに気が付いた。

 

優心(ホテルから出てバスに乗るまでの間は、つけられていると感じなかった。……つまり、バスを降りてからって事か……)

 

いつからつけられているのかを考えていると、耳に付けていたインカムから、華さんの声が聞こえた。

 

黒服(華)『優心様。数人が後を付けてきてますが、どういたしますか?』

 

俺は歩くスピードを少しあげながら、ついてきている人達がどういった人間か、どう対処するかを考えてから、華さんの言葉に答えた。

 

優心『……多分、四宮雲鷹が仕向けた人達だと思う。……俺を試すつもりなんじゃないかな。こんな所でやられる奴かやられない奴かって』

 

俺がそう言うと華さんは静かになった。少ししてから華さんが口を開いた。

 

黒服(華)『……今、確認しましたら、他の四宮の人間が仕向けた人達ではないようです。雲鷹様の関係者で間違いないようですので、その試しにのりますか?』

 

優心『そうだね。こんな街中で対処するのはマズイから、そこの路地裏に入って対処する。黒服さん達は俺の所にいない人達を、各々取り押さえてて』

 

黒服(華)『了解』

 

黒服(男)二人『『了解』』

 

俺の言った言葉に華さんと、あと二人の男性黒服さんが返事をしてくれた。

 

黒服さん達の返事を聞いた後に、すぐにお店近くの路地裏へと移動して後ろを確認した。

 

後ろを確認すると、俺の後を追って路地裏に入ってきたのを確認できた。

 

優心(……この辺でいいかな。他の人達に気づかれにくい場所だし)

と、他の人達……通行人が気が付かない場所に着いた瞬間に、俺はすぐに後ろを向いて立ち止まった。

 

俺の行動を見た相手は、押さえつけようと腕を伸ばしてきたので、俺はその腕を躱しつつ掴んで相手の体を地面に押さえつけた。

 

優心「……四宮雲鷹様の関係者・近衛・側近といった方ですよね?」

 

天野「……えぇ、その通りですよ」

 

俺の問いかけに女性が答えた瞬間に後ろから気配を感じた。俺は即座に女性から手を放して少し距離をとった。

 

そこには、別の人が立っており今度は二人がかりで俺を押さえつけようとやってきたので、二人から避けながら動いた。

 

動いていると、二人が俺の前後に移動してきた。俺は前にいて腕を伸ばしていた女性から避けてからその女性の腕を掴んだ。

 

その瞬間に俺はもう一人の位置を確認し腕を掴んだ女性を思いっきり引っ張り、俺の後ろから走ってきていたもう一人と正面衝突をさせた。

 

思いっきり勢いをつけてぶつけてやったので、二人は結構な衝撃を受けた筈だ。

 

優心(……例え、試す行為だった場合でも、こういう時は慈悲はいらない)

と俺は思いつつも、二人がまだ立ち上がろうとしたので二人と向き合った。

 

雲鷹「そこまでだ」

と、俺が二人に向き合った時に、そういう男性の声が聞こえた。

 

その男性の声が聞こえた瞬間に、俺が戦っていた二人は即座に男性の側に移動した。そして華さん達も俺の側にやってきた。

 

俺はその光景を見て、男性が四宮雲鷹だと理解したが、一応確認をすることにした。

 

優心「……四宮雲鷹様で……よろしいですか?」

 

雲鷹「あぁ、その通りだ。俺が雲鷹、四宮雲鷹だ。そっちも弦巻優心で間違いないな?」

 

優心「はい、弦巻優心です。よろしくお願いします」

と、少し警戒しつつ名前を告げた。

 

雲鷹「そう警戒すんな。もうやんねーよ。お前の強さは分かったしな。さっさと店の中に入って話をするぞ」

 

優心「了解です」

と、雲鷹様の言葉に俺は返事をして、先に歩き出した雲鷹様のあとをインカムを外し鞄に入れながら追いかけ、隣を歩き始めた。

 

少しして俺は隣にいる雲鷹に声をかけた。

 

優心「先程のは、やはり私を試すために仕掛けていたんですね」

 

雲鷹「……気付いていたのか」

 

優心「まぁ、四宮の人間が人を簡単に信じるとは思っていなかったので……。何より、いくらお父様や雁庵様から話を聞いていても、会った事もない人を信用しないだろうとも思ってましたよ」

 

雲鷹「……流石は弦巻家の息子だな」

 

そういった事を話ながら歩いていると、話をするお店に着いた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~料理屋~

 

 

雲鷹「……ここは弦巻グループ傘下の料理屋か」

 

優心「そうですけど、それがどうかしたんですか?」

 

雲鷹「……ここなら話は漏れないな……と、思っただけだ」

 

優心「まぁ、特にここは話が漏れない事で有名ですから。防音仕様の個室もありますし、実際に会合とかで使われたりしてますしね」

 

雲鷹「……確か、弦巻家・グループの関係者しか入れないんだったよな。このお店は」

 

優心「ええ。入店する場合は身分証から所属している会社や、家に関する事まで確認されます。それにより弦巻関係以外の人の場合は、どの様な事をしても入れません」

 

雲鷹「俺の場合は、お前の許可ということで入れたという事か」

 

優心「そうです」

といった事を、話していると個室に案内された。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~店内・個室(防音仕様)~

 

席に着いた後に、注文をして品が届いてから話を始めた。

 

優心「今日はお父様と雁庵様が進めていた話が完全に纏まった事に対しての確認ですよね?私も完全に纏まった話では無いですが、基本的な部分は全て把握してます」

 

雲鷹「……なら、今回の最終目的はかぐやを四宮家・四宮グループのトップにして、四宮家・四宮グループの体制を変える目的なのは頭に入ってるな?」

 

優心「当然です。その為に四条家が四宮家を潰す動きに関しても止めないということも」

 

雲鷹「親父が倒れて動けなくなった場合の動きも、頭に入ってるな」

 

優心「勿論。……そうなった場合、四条家がそこを突く様に四宮の悪行をマスコミなどに流して四宮を潰す動きを十中八九取る」

 

雲鷹「あぁ。そして四宮の株価は下がり四条グループがTOBをするはずだ」

 

優心「株価に関しては必要経費だとして、TOBに関してはお父様が対処するための計画を実行中などなど、全て頭に入ってますよ」

 

俺がそう言うと雲鷹が"よし"と呟いていた。

 

雲鷹「まぁ基本的には、俺らが動いてどうこうするのは全てその計画が始まってからだ。それまで普通に生活をしとくだけでいい」

 

優心「そうですね。問題が発生して表面化、かぐや様に何かあるまでは、やることはないですし」

 

俺の言葉に雲鷹は頷き料理を一口食べていた。俺も一口飲み物を飲んでいると、雲鷹はまた口を開いた。

 

雲鷹「……確かクリスマス辺りに電話で内容を聞いたんだよな?今回の事を」

 

優心「はい。完全に纏まるまでの内容ですけど」

 

雲鷹「その纏まってなかった内容っていうのがかぐやの事だ。特に大学や彼氏とかの事だな」

 

優心「どういった内容なんですか?」

 

雲鷹「……まず大兄貴の事だ。四条との騒動や親父の件についてが大きくなれば、かぐやを手元に置いて自分の都合のいい相手と結婚させて落ち着かせようとする」

 

優心「つまりそれをどうするかという事ですね?」

 

雲鷹「その通りだ。……じゃあ纏まった事を話すぞ」

 

俺は雲鷹の言葉に"はい"と返事をしてから、雲鷹の言葉を聞いた。

 

 

雲鷹から聞いた内容はこうだ。

 

雁庵さんが倒れる倒れない以前に、黄光が動くとしたら、かぐやさんの大学の件だ。

 

黄光がかぐやさんを呼び出し遠回しに、出願を取り下げるよう脅しをかけるのが、目に見えて予想が出来る。

 

その為、正月に雁庵さんがかぐやさんに黄光からそう脅された場合は、黄光の言いなりになって出願を取り下げた振りをするという形で、話が纏まったとのこと。

  

優心「なるほど。言いなりになる演技をかぐやさんがする訳ですね。けど実際は、出願は取り下げてない」

 

雲鷹「あぁ。……念のために大学側にお前の父親が口裏合わせをお願いをしたそうだ。その為に大学側に確認や脅しなどされても問題ない」

 

優心「それなら安心ですね」

 

雲鷹「……あとこれも伝えとくぞ。かぐやと親父が大学の件以外の話もしていたが、他言無用の様で内容は分からないし、それが吉と出るか凶と出るかも不明だ。それだけは覚えとけ」

 

雲鷹がそう言ってきたので頷いてから、俺も口を開いた。

 

優心「……あとは彼氏などの身の回りについてですけど」

 

大学の事について聞いた後は、かぐやさんの身の回りの事を聞いた。

 

雲鷹「その件は、こちらからは何もしないという事になったそうだ」

 

優心「……それは、どういう事ですか?」

 

雲鷹「親父曰く、今回の騒動の件が発生した場合に、うまく立ち回れるか試すらしい。立ち回れなければかぐやの彼氏に相応しくないだそうだ」

 

優心「……まぁ、そこは大丈夫だと思いますけどね。会長は頭のキレがいいですし」

 

雲鷹「そいつに加え、他の人間も友人を助けられないようじゃ、友人を名乗る資格ないそうだ。親父は全員試すつもりらしいぜ」

 

優心「……雁庵様自身が試すと決めたと思うので、私は特に言いませんよ」

 

俺ここで一旦区切って一口飲み物を飲んでから続きを伝えた。

 

優心「けど、生徒会メンバーや友人達は、四宮家が思っているほど腐ってませんし、かぐやさんを見捨てる様な人間ではないの確かですよ。……これだけは言い切れますので」

 

俺がそう言い放つと、雲鷹は鼻で笑って飲み物を口に運んだ。

 

そこからは無言になり、お互いに運ばれてきた料理を食べ進めた。

 

大体食べ終わる頃に雲鷹が喋り始めた。

 

雲鷹「長々話したが、最終目標はかぐやを四宮家・四宮グループのトップにして、四宮の体制を変える目的なのは忘れるなよ」

 

優心「忘れませんよ。流石に今の四宮家体制はもう続かないのは素人目で見ても分かるので、変わらなくちゃいけないですし」

 

雲鷹「あぁ、今の時代に合ってないのは確実だ。今のままの四宮で跡継ぎが継いだとしても、結局の所は自滅だからな」

 

優心「その為に一回ここで旧体制を潰して、雲鷹様が代理でトップになり、かぐや様が継げる時期になった際にかぐや様がトップになり、新生四宮家・四宮グループとして生まれ変わらせる」

 

俺がそう言うと、雲鷹は"それさえ分かってればいい"と言ってきた。

 

お互いに確認し終わった後に、席を立ってレジの方へ向かった。

 

雲鷹「……あぁ、それともう一つ伝えとく」

と、レジ近くに来た時に雲鷹がそう言ってきたから、"なんですか?"と聞いた。

 

雲鷹「親父の事だ。生徒会の連中だけじゃなくお前の事も試している人間の一人の筈だ。かぐやを助け出す際には、お前もやりたいようにやれ。俺も好きなようにやる」

 

優心「……分かりました。かぐや様救出の際は私の判断で好きなように作戦を立ててやりますよ」

 

雲鷹の言葉に、俺がそう言うと、雲鷹は"うまい具合にフォローしてやる"と呟いて、今日のお昼を全て奢ってくれた。

 

奢ってくれた事にお礼を言ってお店を出た。

 

 

お店から出た後は、一緒にいる所を見られないようにする為にすぐに別れた。

 

雲鷹と別れた後の俺は愛に"どこにいる?"とメッセージを送って、返事が来るのを待った。少ししてから返事が来て、そこに書かれていた場所に向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

愛がいる場所に着くと、そこには愛とすばると三鈴の三人と鋼達の班がいた。

 

皆の所に近づいて声をかけると、三鈴が声をかけてきた。

 

三鈴「やっと来たよ」

 

そんな事を三鈴が言ってきたから"ん?"となってしまった。すると、すばるが教えてくれた。

 

すばる「弦巻くんがいなかったから、愛がずっとつまんなそうにしてたんだよ。私達が側にいるのに、私達と回るのは楽しくないみたいだったから」

 

愛「そんなことないよ!」

 

すばるが言った事に愛が否定をして、皆はその否定を聞き流しながら弄り始めた。

 

俺はその光景を見て苦笑いしながら、愛に声をかけた。

 

優心「愛。午後は俺も回るから皆と楽しみながら観光しよ」

と、俺が愛に伝えると、"うん……"と返事をしてくれた。

 

鋼「じゃあ早く行こうぜ。早めに行かないといけない場所もあるんだからな」

 

三鈴「よし、レッツゴー!」

 

鋼と三鈴の二人の掛け声と共に観光を始めた。

 

 

こうして皆と観光し楽しんでホテルに戻り、修学旅行二日目が終わった。

 



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第59話


前半は、前回の修学旅行の続きを書いていますが、ほぼダイジェストです。ダイジェストと言えるかどうかも怪しいぐらいの短さです。

その後は、かぐやとつばめ先輩と大仏が石上関係の事を話しているシーン、その次はバレンタインの話です。

今回の話は、約9500文字という長い話になりましたが、そのほとんどはバレンタインの話です。

それだけお知らせしときます。

では、本編をどうぞ。



 

 

~優心視点~

 

 

二日目に雲鷹と会って話をした翌日の三日目。

 

今日は俺と愛、かぐやさんと会長の二人と観光する事になった。

 

因みに、同じ班のすばると三鈴は、樹と鋼の二人と行動すると言っていた。

 

 

そこからは、二日目みたいな雲鷹に会いに行った為に愛達と回らない時間があったなどはなく、純粋に修学旅行を楽しんだ。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

観光など色々して。三泊四日の修学旅行が終わる事になった。

 

皆それぞれ家へと帰り、俺と愛も家に帰った。

 

家に着いた後、衣類などの荷物は全部メイドさん達にお願いして、俺と愛は寝る準備をした。お風呂に入ってパジャマに着替えて就寝した。

 

こうして修学旅行が終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

二年生が修学旅行から学校へ帰ってきて、かぐやや大仏達のカップル論争などの出来事が過ぎたある日。

 

 

~生徒会室~

 

 

~かぐや視点~

 

 

つばめ「今度、大友ちゃんと会う事にした。優くんに対する誤解を解きたいから」

 

石上くんの件でつばめ先輩に呼ばれた私と大仏さん。私達につばめ先輩が大友に会う事などを言ってきた。

 

かぐや「……ですが、それでは」

 

つばめ「分かってるよ。大友ちゃんに全て、ありのまま伝えたら優くんの努力が無駄になる。それは避けなきゃだよね」

 

かぐや「では、どうするつもりですか?」

 

私が言いたかった事を理解していたつばめ先輩に、私はそう聞いていた。

 

つばめ「ちゃんと作戦を考えてるよ」

と前置きをしてから、つばめ先輩自身が考えてきた作戦に耳を傾けた。

 

その作戦は私好みだったので、乗ることにした。

 

そんな作戦を思い付ついたつばめ先輩に、"意外"などと言ったりしながらしばらくして話をしていたが、私は一つだけ気になっていた事を質問した。

 

かぐや「……そういえば、その作戦は最終的にVIP枠の生徒などにも話を当然しますよね?」

 

つばめ「そうだよ。流石に三人だけじゃ無理があるし、手広くするにはいろんな人に協力してもらった方がいいし」

 

かぐや「では、弦巻くんにも伝えるんですか?」

 

つばめ「うん。VIP枠や他の人達と通話で話をする時に、弦巻くんに参加して貰って、その時に伝えるよ。弦巻くんには通話をする日の少し前に声をかけるけど」

 

つばめ先輩の言葉を聞いた私は、一つだけ確認をする形で質問した。

 

かぐや「……つまりそれは、暗黙の了解を破るということですよね?」

 

私がそう聞くと、つばめ先輩は一瞬だけ黙ったが、すぐに答えてきた。

 

つばめ「……そうだね。……けど、今回の話題に触れても弦巻くんは怒らないよ。ハッキリとそう言えるからこそ、暗黙の了解を破る事にしたんだ」

 

かぐや「……私も、彼が怒らないという事に関しては否定はしませんよ。一年以上、同じ生徒会として活動して彼の人となりは知ってますから」

 

私は一旦、ここで一息着いてから、つばめ先輩に伝えておきたい事を伝えた。

 

かぐや「ただ、他の皆さんには、彼が参加するという事を伝えてた方がいいと思いますよ。あの件から今日まで、"その話題に触れるな"という認識になってますから」

 

つばめ「だね。……多分、あの時は皆が過剰に反応してたから暗黙の了解になってただけだと思う。だから、今なら大丈夫って事とかを事前に話しておくよ」

 

かぐや「お願いしますね。……それと、皆さんとの通話の際に、弦巻くんにあの時の事を私が聞いてみますよ」

 

つばめ「それって、大丈夫なのかな?やっぱり心のどこかで不安があるんだけど……」

 

かぐや「不安になるのは分かりますよ。私も暗黙の了解を守ってましたしね。けれど、この際に聞いてハッキリとさせましょう」

 

つばめ「かぐやちゃんが不安とか言うなんて珍しいね」

 

かぐや「私も別件ですけど、彼の怒りに触れてしまって彼の怖さを知ってしまったので……」

 

私がそう言うと、つばめ先輩は苦笑いしつつも"そっか……"と、呟いていた。

 

大体話し終わると大仏さんが弦巻くんの事で聴いてきたが、"その時が来たら分かる"とだけ伝えた。

 

その後は解散となった。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

かぐやとつばめと大仏が話をした日から、しばらく経ったある日。

 

 

~愛視点~

 

 

私は廊下ですばると三鈴と話していた。

 

優心くんはA組にやってきたB組の豊崎くんと風祭くんに捕まって、B組に連れていかれてしまった。

 

B組の前を通った時に教室内をチラッと見たら、なんか凄く質問責めにされてたから"大丈夫かな?"とは、心配はしてる。

 

そんな事を思ってると、三鈴が何か思い出したかのように"あっ!"と言ったから私は耳を傾けた。

 

三鈴「そういえば、もうすぐバレンタインだよね。愛はやっぱり弦巻くんにあげるよね?」

 

三鈴が言ってきたのは、バレンタインの事だった。そして当然の如く、優心くんの事にも触れてきたので三鈴の質問にも答えた。

 

愛「うん。手作りしてあげるつもり」

 

私がそう言うと、二人は"おぉー"と言ってきた。

 

愛「そんな反応はしないでよ。何気に恥ずかしく感じるから」

 

三鈴「普段の愛はクールだからそんな照れてる所は見ないからもっと見たいんだもん」

 

すばる「うんうん」

 

愛「はいはい。……それで二人は?チョコ、誰にあげるとかあるの?」

 

二人の言葉を聞き流して、私は二人にチョコのことを聞いた。

 

三鈴「上手い具合に話を逸らしたね。……えっと、私たちはクラスの女子に友チョコあげるよ」

 

すばる「あとは、男子にもあげる」

 

愛「男子に……って、クラスの男子に?友チョコ的なチョコ?」

 

二人の答えに私がそう聞き返すと、二人は首を横にふった。

 

三鈴「古川くんと新川くんにあげるんだ」

 

すばる「私が新川くんにあげて、三鈴が古川くんにあげるんだよ」

 

愛「あの二人に?……友チョコ?」

と、私が聞くとすばるが"本命"と言ってきた。

 

愛「……それはすばると三鈴が二人の事が好き、意識してるって意味だよね?」

 

すばる「うん。私は新川くんに、三鈴が古川くんの事が好きなんだよね」

 

ここに来て友達二人の新事実を聞いて驚いてしまった。

 

愛「初めて知ったんだけど……。因みにいつから?」

 

すばる「修学旅行の自由行動の時にだよ」

 

愛「まさかのつい最近!?ってか、修学旅行の時もそのあとの学校生活でも、そんな雰囲気は感じなかったけど!?」

 

私がそう言うと、二人からは"そりゃそうてしょ"と言われて、私は"え?"と聞き返してしまった。

 

すばる「だって、愛と弦巻くん達のイチャつき雰囲気とか、普段も仲良し甘々カップルの自分達の世界が凄すぎるからだよ」

 

三鈴「そうそう。二人の世界が異常だから、私達の雰囲気なんか消されちゃう状態になってるんだよ」

 

愛「……あ、そう……」

 

私は二人の答えにそうしか答えられなかった。

 

すばる「あ、そうだ。愛がチョコを手作りするんだったら、一緒に作ろうよ。私達も手作りするつもりだからさ」

 

愛「確かに、それいいかも。三人で作ろう。……じゃあ誰の家で作る?」

 

三人でバレンタインチョコを手作りする事になったから、私は何処で作るか二人に質問した。

 

三鈴「愛の家で作るのは?愛って今でもほとんど自分の家の事とかの話や、遊びに行かせてくれないじゃん。一回ぐらい行ってみたいなと思うんだけど」

 

すばる「あ、確かに。私もそう思う」

 

二人からはそう言われた私は、どうしようかと考えてしまった。

 

愛(二人に話さないのは、かぐやの使用人の事もあるけど、なにより優心くんと同棲してるから余計に話をするのが恥ずかしいんだよね……)

 

すばる「愛?」

 

愛「(でも、二人にはちゃんと色々話してた方がいいよね)

と思った私は、すばると三鈴に今だに話せずにいた大きな出来事を話すことした。

 

つまり、四宮の使用人だった事や、優心くんの家……弦巻家に住んでいる事だ。

 

愛「えっと、その前に教えておきたい事が何個かあるんだけど……」

 

すばる「ん?どうしたの、いきなり改まって……」

 

愛「まず一つ目。私は今、優心くんの家に住んでいます。つまり同棲しています」

 

私がそう言うと沈黙が流れて、少ししてから二人が"えぇーー!?"と大声で叫んだ。

 

私はその二人をなんとか押さえて、二人の質問に答えたりしつつ、色々と教えていった。

 

 

まず、優心くんの家に住むことになったきっかけのそもそもの理由を話した。

 

小さい頃から、四宮家の使用人をやっていた事、かぐやの近衛だった事を理由も含めてを話した。そこから優心くんの家に住む事になったのかという話と理由も話をした。

 

私が、話し終わるとまたもや沈黙だったが、すばるがいきなり私の手を掴んできた。

 

すばる「教えてくれてありがとう!色々と腑に落ちたよ」

 

愛「え?」

と、すばるの言葉に、私はそんな言葉しか出てこなかった。

 

三鈴「だって弦巻くんと付き合う前とか、付き合ってからの愛とは、なんか壁みたいのがあるって感じてたんだよね」

 

すばる「でもそういうのが無くなったのも感じてて、なんでそう感じるのか分からなかったんだよね」

 

三鈴「でも今の話を聞いて理解したんだ。……だから、話してくれてありがとう……愛」

 

三鈴は笑顔でそう言って、すばるも頷いていた。そんな事を言われた私は嬉しかった。

 

私が嬉しがってると、三鈴がまた口を開いた。

 

三鈴「……で、結局は誰の家でチョコ作るの?」

 

愛「……えっと私の家というか、優心くん家でいい?キッチン回りの調理器具とかお菓子作りの器具が軒並み揃ってるから作り易いと思う。プロが使う物ばかりだしね」

 

すばる「じゃあ、そうしよう。弦巻くんの家は前から気になってたんだよね、私と三鈴は。だから行けるのはちょうどいいよ」

 

愛「そっか。けど、明日以降でいい?お互いに作りたいチョコの形を決めたり材料を調達したりしようよ。元々私は今日材料を買いに行こうとしてたし」

 

私のそんな提案を聞いた二人は頷いてくれたので、今日は解散となった。

 

 

私は二人と別れて教室に荷物を取りに行って、教室に入った。中ではかぐやが帰る支度をしていた。

 

愛「かぐや、もう帰る?」

 

かぐや「ええ、帰るわよ」

 

愛「じゃあかぐやのウチに行っていい?」

 

かぐや「構わないけれど、今日は弦巻くんと帰らないの?」

 

愛「優心くんは、豊崎くんと風祭くんに捕まってる。B組でまだ話してからもう少し時間はかかる感じだと思う」

 

かぐや「そう。……じゃあ、先に帰りましょうか」

 

愛「だね」

と言って、私はかぐやと一緒にかぐやのウチに向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~四宮別邸~

 

 

~愛視点~

 

別邸に着いてかぐやの部屋でベッドに腰掛けた後に、かぐやとしばらく話をしているとかぐやが質問してきた。

 

かぐや「愛さんはどんな用で来たの?わざわざ世間話するだけではないでしょ」

 

愛「そうだね。もうすぐバレンタインでしょ?だから、会長に友チョコあげてもいいか、彼女のかぐやに確認しようと思ってね。……で、あげてもいい?」

 

かぐや「……弦巻くんにもあげるんですよね?」

 

愛「そうだよ」

と、私が答えると、かぐやはため息をついてから"オッケー"してくれた。

 

愛「あ、そうだ。私さ、優心くんに手作りチョコをあげるんだけど、かぐやも一緒に作らない?」

 

かぐや「……でも去年の出来事がありますし……」

 

かぐやの言葉に私は自己防衛で忘れていた記憶を思い出した。

 

私は、忘れてた記憶を思い出しつつも、なんとか一緒に作ろうと誘ってみる事にした。

 

愛「あ、あぁ……でも、あれはあんなチョコが出来るレシピを渡してきた人が悪いわけだから。私は市販というかちゃんとしたレシピで作るから問題ないよ」

 

かぐや「でも……」

 

愛「それに優心くん家で作るんだ。だから、心配な事があるなら、弦巻家の料理人でパティシエとして働いていた人もいるから、その人に教わったらいいし」

 

私がそう言うと、かぐやは静かになりしばらく考え込んだ。

 

かぐや「……そうですね。料理人……パティシエの方ならお菓子などの信念なりこだわりがあるから前回のような事はないですよね」

 

愛「うん!」

 

かぐや「じゃあ一緒に作ることにします。……愛さんの他にも一緒に作る人はいるんですか?」

 

私の言葉にかぐやは一緒に作ってくれる事になった。その後に質問してきたからそれに答えた。

 

愛「すばると三鈴だよ。あの二人もチョコを手作りするから一緒に優心くん家で作るよ」

 

私がそう言ってから、色々……チョコの材料などの事についての話をしてから、私は家に帰る事にした。

 

帰り道に、バレンタインのチョコ用の材料を買いながら、帰路に着いた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~数日後・休日~

 

 

~弦巻家~

 

 

すばると三鈴、かぐやとチョコを手作りする事を決めた日から数日が経ち、休日になった。

 

そして私は今、優心くん家である弦巻家の門の前にいた。

 

何故、私が門の前にいるのかというと、すばると三鈴が電車で弦巻家の最寄り駅まで来ることになっていたので、私が駅まで二人を迎えに行って、弦巻家まで案内をしたという訳だ。

 

かぐやは送迎の車で来たので問題はないんだけど、すばると三鈴の方が問題だった。弦巻家を見た瞬間に固まってしまってる。

 

すばる・三鈴「「……」」

といった感じで、口が開いた状態で言葉が出ていない。そんな状態がある程度続いた時だった。

 

三鈴「……いやー弦巻くんの家は凄いね……」

 

やっと三鈴が"凄い"という言葉を言ってすばるが頷いていた。

 

すばる「自分の家も、凄い方だと思ったけど、こっちもこっちで凄すぎる」

 

愛「それぐらいで驚いたら持たないよ」

と、二人に伝えた。

 

私の言葉にかぐやは頷き、二人は"え?"とキョトンとした感じで口から出ていた。

 

そんな反応した二人を無視して"ついてきて"と伝えて、門を開けて敷地内に入って家まで向かった。

 

 

 

家に着いて中に入った私は、玄関付近を掃除をしていたメイドの人に声をかけた。

 

愛「ねぇ、今日って優心くんは家にいる?」

 

メイド「優心様は、こころ様に連れられて公園に遊びに行かれてますよ。朝からお子さん達と遊ぶ約束をしていたそうなので。……お聞きになっていなかったですか?」

 

愛「ううん。本人から聞いてたけど、確認したかっただけだよ。ほら、もうすぐバレンタインだから」

 

メイド「あぁ……なるほど。愛様、手作りすると仰ってましたもんね。……優心様とこころ様がお帰りになっても人を近づかせないようにしておきますね」

 

愛「うん、お願い」

 

メイドさんと少し話をしてから三人にキッチンの所へ案内した。

 

すばる「……なんか家の中まで凄いね。門の所からも凄かったけど。それに……」

 

三鈴「文化祭準備で愛が言ってた通り、執事とメイドと黒服も多いね。……四宮さん家も多いんだっけ?」

 

かぐや「えぇ。私の家も多い方ですね。ここと比べると少ないですけど……」

 

すばる「へぇ~」

 

私の後ろで三人で話をしていた。私は三人の会話に耳を傾けながら、キッチンへ向かっていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~キッチン~

 

 

キッチン内に入り早速チョコを作る……という前に、私の隣ににいる人を紹介した。

 

愛「じゃあ、それぞれチョコを作るけど、分からない事があったら私の隣にいる料理長に聞いて。料理長は凄い人だから分かりやすく教えてくれる筈だよ」

 

料理長「ハードル上げないで欲しいですよ、愛さん」

 

すばる「ねぇ、愛。そんなに凄い人なの?」

 

愛「うん。確か、過去に出場したお菓子系の大会……パティシエ関連の大会は大体はトップ3には入ってるよ。パティシエとしての確かな技術を持ってるよ」

 

私の言葉に、皆は"へぇ~"と言っていた。

 

料理長「そういうのは過去の話なので置いといて、今は優心様とこころ様の二人が帰ってくる前に早く作り始めましょう。遅くなればなる程、完成が遅くなりますから」

 

料理長は、皆の"へぇ~"という言葉を聞き流して、そう言ってきたので、皆は作り始める事にした。

 

 

そこからは黙々とチョコ作りに没頭して、たまに料理長からアドバイスを貰いながら作っていった。

 

 

さらに時間が経って、チョコが完成した。

 

皆のチョコは、それぞれ違うチョコなので被ることはなかったが、うまく作れたことに私も含め皆は安心していた。……特に去年の事があったかぐやは目に見えて安心していた。

 

料理長「では、バレンタイン当日までこちらで預からせていただきますよ。当日までしっかりと冷やしておきますし、当日に黒服が保冷箱を使い、かぐや様達にお渡しします」

 

すばる「家に持ってかえって親に見られたら、絶対誰にあげるかどうか聞かれるから、ここで預かってもらってた方が安心できるので、お願いします」

 

三鈴「私もそんな感じになりそうだから、お願いします。お父さんが絶対言ってきそうだから」

 

料理長の言葉に、二人はお願いしていた。

 

かぐやは少し悩んでいたが、結局は優心くん家のキッチンの冷蔵庫で預かってもらう事にしていた。

 

その後は解散となった。かぐやは車で帰り、私はすばると三鈴を駅まで送った。

 

 

そうして、バレンタイン当日になった。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

~優心視点~

 

 

~2月14日・バレンタイン~

 

 

~朝~

 

 

今日は一人で登校した。愛は先に学校へと向かってしまったんだ。

 

学校ですばると三鈴とかぐやに渡しておきたい物があるからと教えてくれたからだ。

 

そんなこんなで、一人で登校して学校内に入ると男子達がソワソワしているのに気がついた。

 

 

優心(今日って何かあったっけ?……あ、バレンタインか。だから、男子達ソワソワしてるんだ)

と、そんな事を思いながら廊下を歩いて、教室に入った。

 

優心「おはよー」

 

男子A「おーす」

 

挨拶しなから、自分の席に荷物を置いたら、目の前に小さめの箱が視界に入ってきた。顔を上げると愛が渡してきていた。

 

優心「おはよう、愛。……えっと、これは?もしかしなくてもバレンタインチョコ?」

 

俺がそう聞くと頷いてきた。その頷きを見た俺は凄く嬉しかった。去年も皆から貰って嬉しかったけど、今、好きな人……彼女から貰えたのがこれまで以上に一番嬉しかった。

 

俺その事を愛に伝えると、顔を真っ赤にしながら"それなら良かった"と言ってた。

 

愛「……あ、一応、手作りだからね」

 

優心「余計に嬉しくなったよ。ありがとう、愛」

 

愛「……ん」

 

俺は愛の頭を撫でながらお礼を言った。そうしていると予鈴がなったので授業の準備を始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~放課後~

 

 

放課後になり俺は生徒会室に向かおうと教室に出た。教室から出て生徒会室に向かっていると女子生徒がやってきた。

 

後輩A「弦巻先輩、チョコ貰ってください!」

 

後輩B「私のチョコも!」

 

後輩からチョコをもらった。

 

優心「ありがとう。……二人ってどんなチョコが好きなの?」

 

二人からチョコを貰ってお礼を言った後に、どんなチョコが好きか聞いた。

 

後輩A「え?……えっと、私はビターなチョコが好きですけど」

 

後輩B「私は結構甘いチョコが好きですよ」

 

優心「二人とも対照的だね。……ホワイトデーの時にビターなチョコと甘めのチョコのお返しするから、楽しみにしてて」

 

俺がそう言うと、二人は目をキラキラさせながら嬉しそうにしていた。

 

二人と別れた後に生徒会に向かっていると、大仏・眞妃・千花・エリカ・かれん・龍珠の同級生や後輩、先輩からは朝日先輩とつばめ先輩からも貰った。

 

朝日先輩からは、かれん達が迷惑をかけているお詫びとしてくれて、つばめ先輩は友チョコ的な感じでくれた。あとこころの分も預かった。

 

そんな感じでいろんな人から貰いに貰って生徒会室に着く頃には、紙袋三袋になってしまった。

 

その状態で生徒会室に入ると、会長とミコが居て会長の目の前にある机に山盛りぐらいのチョコが乗っていた。

 

優心「会長も沢山貰ったんだね」

 

会長「……弦巻にだけは言われたくねーよ。嫌みじゃないのは知ってるが、他の人には嫌みにしか聞こえねーぞ。それは」

 

会長は俺を見ながらそう言ってきた。

 

ミコ「やっぱり弦巻先輩は凄いですね。あ、私からです」

 

優心「ありがとう、ミコ」

 

ミコから貰ったチョコを紙袋に入れていると、生徒会室の扉が開いた。入ってきたのは石上だった。

 

石上「会長……(凄い貰ってる。って弦巻先輩はそれ以上に貰ってるじゃん。いや、二人が沢山貰うだろうとは予想できてたけどさ……)」

 

生徒会室に入ってきた石上は動かなくなってしまったので、俺はその石上を見て"どうしたんだろう?"と不思議に思ってしまった。

 

なので声をかけようとしたら、会長に外に行こうと言われたので生徒会室から出た。

 

話を聞くとミコが石上にチョコを渡すらしく、人がいない方がいいだろうという事で出たと教えてくれた。

 

会長と話をしながら廊下を歩いていると、愛とかぐやさんがやってきて、愛が会長に友チョコを渡していた。

 

すると愛から"一緒に帰ろう"と言われたので、帰る事にしたので、その場を離れた。

 

教室に荷物をとりに行っている間に、愛から紙袋に入ってるチョコの事を聞かれたので答えると、愛が嫉妬してしまった。

 

そこから家に帰るまでの間、俺は嫉妬してしまった愛の相手をしていた。

 

こうして、バレンタインの日が終わった。

 

 

因みに、家に帰った後にこころが預かっていたハロハピメンバーやポピパからのチョコを、こころから貰った。他のバンドメンバーからは、黒服さん経由や別の日に貰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~愛視点~

 

 

2月14日のバレンタイン当日になった。

 

朝、優心くんより先に家を出て学校に向かった。家で預かってたすばる達が作ったチョコを本人に渡す為だ。

 

学校に着いて教室で三人にチョコを渡してから、しばらくした頃にチラホラとクラスの皆がやってきたが、まだ優心くんは来てない。

 

 

優心「おはよー」

 

もう少し待っていると、優心くんが挨拶しながら、教室へ入ってきた。

 

優心くんが自分の席に荷物を置いたぐらいに、私は優心くんの元へ向かった。

 

そこで、優心くんの視界に入る位置にチョコを見せると、"バレンタインチョコ?"と聞いてきたから、私は頷いた。

 

優心「ありがとう。……愛から貰えるの凄く嬉しい!去年とか皆から貰えたの嬉しかったけど、彼女に貰える方が凄く嬉しいね!」

 

いきなり優心くんがそんな事を言ってきたので、私は自覚できる程、顔を赤くさせてしまった。

 

愛「……あ、一応、手作りだからね」

 

私がそう言うと優心くんが、頭を撫ででき"嬉しい"と言ってくれたので、手作りして良かったと思った。

 

 

私は撫でられながら、すばると三鈴の方をチラッと見てみた。二人もちゃんと渡せたみたいだったので、内心ホッとした。

 

そうしていると予鈴がなったので授業の準備を始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

放課後になり、優心くんは生徒会室に言ってしまった。

 

私はというと、かぐやに話をしにいった。

 

かぐやにチョコの事を聞くと、まだ会長に渡せてなかったみたいだった。

 

それを知った私は、会長にあげる友チョコを持ってかぐやを連れて生徒会室に向かった。

 

生徒会室に近い廊下に差し掛かった頃に、会長と優心くんに会った。

 

私は即座に会長にチョコを渡して、優心くんに帰ろうと言って教室まで荷物を取りに行った。

 

取りに行っている間に優心くんに会って気になっていた紙袋の事を聞いた。

 

当然、バレンタインの事と優心くんが人気な事を知っていれば、その紙袋の中身が全部チョコだと分かるが、聞かずにいられなかった。

 

そして答えはチョコだった。

 

愛(去年、付き合う前のバレンタインの時は紙袋二袋のチョコを貰っていたはず……。でも今年は一袋も増えて合計三袋になってる。……む~)

 

そう自覚すると、もう自分の中の嫉妬を押さえられなくなって無意識にほっぺを膨らませてしまっていた。

 

荷物を持って家に帰る間もその状態が続いてしまい、ずっと優心くんに頭を撫でられたりしながら家まで帰った。

 

今日は、二人で車で帰ったから周りの人に見られる事は無かったから、恥ずかしい思いはしなかった。

 

嫉妬してしまったが、今日は優心くんに喜んでもらえたバレンタインだったと思いながら一日が終わった。

 





次回、遅くなるかもしれませんので、投稿が未定です。出来るだけ急ぎますが、気長に待っていただけたら幸いです。


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第60話


早く完成できたので、投稿します。

今回の前半は会長と石上と眞妃と愛がバッティングセンターに遊ぶ話です。

後半は、三学期学年末試験の話です。

では、本編をどうぞ。



 

 

~優心視点~

 

 

~放課後~

 

 

バレンタインから日が経ったある日の放課後。

 

愛と話ながら一緒に廊下を歩いている時に、廊下の角から会長と石上と眞妃の三人とバッタリ会った。

 

愛「眞妃様、前を見て歩かないと……」

 

眞妃「優心の彼女の早坂じゃない。……おば様のお付は辞めたのよね?」

 

愛「あ、はい。その通りですけど」

 

眞妃「そう」

 

優心「それで、三人はどうしたの?」

 

眞妃と愛が話を終えた辺りで、俺は会長達にそう質問した。

 

会長「俺達は、これから遊びに行く所だ」

と、会長の答えに俺が"そうなんだ"と呟くと、会長が"あ"と声をあげた。

 

会長「折角だし、二人とも遊ばないか?大勢いた方が楽しいだろう」

 

石上「それいいですね。二人ともどうですか?」

 

二人が誘ってきた。眞妃も頷きながら"来ていいわよ"と言ってきたので、俺と愛は行く事にした。

 

優心「行くけど、どこで遊ぶか決めてるの?」

 

会長「それは、まだだ。一応、弦巻達と会うまでに話はしてたんだけどな」

 

行き先は、まだ決まってないみたいで皆は悩んでいたが、愛から声がかかった。

 

愛「まだ決まってないなら、私が行きたい場所に行ってもいい?」

 

会長「どこだ?」

 

愛「学校近くのバッティングセンター」

 

愛はそう一言だけ言って歩き始めたので、俺も皆も愛に付いていった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~バッティングセンター~

 

 

バッティングセンターに着いた後に、愛はバットを持ちながらもうレーンに入ってやる準備をしていた。そんな愛に会長がバッティングセンターにした理由を聞いていた。

 

愛「単純に、久しぶりに学校周辺のバッティングセンターで打ちたかっただけだよ」

 

会長の質問に答えながら、愛はバカスカ打ち始めてた。

 

会長「そうか。……ん?久しぶりに学校周辺のって事は他の場所でやってたのか?それにめちゃくちゃ打ってるし」

 

愛「優心くんの家でやってたよ」

と、愛が言うと会長と隣にいた石上と眞妃が、困惑というか意味が分からない顔をしていた。

 

優心「俺の家の裏庭に、ソフトボール専用のバッティングセンターがあるんだよ。いつもはそこでやってるよ」

 

俺が三人にそう言うと、困惑していた状態から驚いた顔になって俺に色々と質問をしてきた。

 

その為、俺はソフト専用のが裏庭にできた理由や、一つだけ野球用にしてもらってる事などを教えてあげた。

 

俺の説明に会長と石上と眞妃が呆れた感じの顔をしてしまっていた。

 

少しして会長が試しに一つのレーンに入りやりはじめた。だけど、一球も当たらなかった。

 

それに皆は楽しそうに見ながらヤジを飛ばしたりしていた。

 

会長の次に石上がやったが、石上も打てずに会長にヤジを飛ばされてた。

 

俺はそんな二人に打つ時のアドバイスをしていたが、いつの間にか眞妃が一つのレーンに入っているのに気が付いた。

 

会長と石上も、俺と同じように眞妃の方に目を向けた。

 

眞妃「私、やってみるわね」

 

レーンに入っていた眞妃はドンドン打ちはじめた。

 

石上「……え?めちゃくちゃ打つじゃないですか……。経験者?」

 

眞妃「初心者よ。バットを持ったのも今日が初めてよ。ただ求められる技術はシンプルだから、経験の組み合わせでいけるわ」

 

石上は、眞妃が初球から打てている事と本人からの言葉にも驚いていた。

 

石上「意外……」

 

愛「意外じゃないよ。この学園でかぐやと比肩できる唯一の人物で、家柄とかも対等だよ。だから、二人がよく普通にフランクに接してるのが、少し不思議なんだよね」

 

愛の話を聞いた石上と会長は小言で何か粒いていたが、眞妃が二人に話しかけて会話をしていた。ただ、その後に二人は遠い目をしていた。

 

遠い目をしていた二人の内、石上が"ん?"と言いながら俺の顔を見てきた。

 

石上「早坂先輩。弦巻先輩はどうなんですか?」

 

愛「あぁ……優心くんは、別格だよ。比肩同士のかぐやと眞妃様の上の存在だね。何をやらせても二人より上の結果を出すから」

 

愛の説明に石上は納得していた。

 

そこからは、愛が折角皆と来ているから、チーム分けをして勝負しようと提案した。それに眞妃が乗っかり負けた方がジュースを奢る罰ゲームありの勝負になった。

 

"人数が五人だからどうする?"と会長が言ってきた時、愛がまたもや提案してくれた。

 

それは2対2対1で対決するという提案だった。

 

愛「それで、ペアの私達は一回ずつ打っての合計で、優心くんは二回打っての合計で、勝ち負けを決めるとかはどう?」

 

優心「俺はそれでいいよ。凄く楽しそうだから、俺一人対とペア二組でやろうよ」

 

俺がそう言うと、会長と石上は"一人勝負になる弦巻が賛成するなら"と言って賛成してくれた。

 

眞妃「私に勝負を挑むということは、それなりの覚悟があるのよね?」

 

愛「え、えっと……」

 

眞妃「負けた方は相応のペナルティを負う。そういう事でいいのよね?」

 

優心「……要するに、負けた人は罰ゲームの勝負がしたいってこと?」

 

眞妃「……そうよ!負けたらジュース奢るっていうのはどうかしら!?」

 

俺の言葉に一瞬だけ黙ったが、そう言ってきた。

 

会長・石上「「かわいいかよ」」

と、眞妃に対して二人同時に言っていた。

 

愛「……じゃあ、負けたらジュースを奢るってことでやろう。……で、とりあえずペアを決めよう」

 

愛はそのやり取りを無視して、四人でペアを決めはじめて、愛と会長ペア、石上と眞妃ペアになった。

 

優心「ペアも決まった事だし、勝負しよう」

と、俺が声をかけると皆は頷いてくれた。まず、愛と会長ペアから始まった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~勝負終了後~

 

 

勝負が終わり、結果は一位は俺で、二位は愛と会長ペア、三位は眞妃と石上ペアだった。

 

眞妃と石上から奢ってもらったジュースを飲みながら、とあるレーンを見ていた。そこでは、石上と会長の二人だけでまた勝負をしていたからだ。

 

優心「会長、さっきより凄く上手くなってる。ドンドンボールがバットに当たるようになってる」

 

会長「だよな!……前はちょっと苦手意識があったが、こうも打てるようになると、気持ちいいな。ストレス発散というか気分爽快になる」

 

会長は笑いながら楽しそうに打っていた。次に石上の順番になったが、石上も来てすぐの時よりも打てていたので、楽しそうにしていた。

 

そんな時に、愛が眞妃と距離が縮んだ感じになっていて、仲良く話をしていた。

 

 

そうしていると、眞妃から牛丼を食べて帰ろうという事になったので、古野家で食べに行った。

 

 

店内で食べている間に、眞妃が翼と柏木さんに対する愚痴を言いながら牛丼を食べていた。

 

内容は、直近の出来事であるバレンタインでのチョコに対しての愚痴だった。

 

その愚痴は特に俺に向けて言っていたので、俺は相槌をうちつながら、牛丼を食べ続けた。

 

 

この後は解散となり、一日が終わった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~愛視点~

 

 

優心くんと話ながら廊下を歩いていると、眞妃様と会長と会計くんとバッタリ出くわした、

 

その時に会長から遊びに誘われた。その際に遊ぶ場所が決まってないと言ってきたから、私が行きたい場所を提案してその場所へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~バッティングセンター~

 

 

バッティングセンターに着いてから、会長から質問され答えたりとしながら、罰ゲームありの勝負をする事になった。

 

 

ペアなどを決めて勝負をして、最終的に一位は優心くんで、二位は私と会長のペアで三位は会計くんと眞妃様ペアという結果となった。

 

 

勝負が終わって、目の前で優心くんと会長と会計くんがまたバッティングしている間、私は施設内のベンチに座りながら三人を眺めていた。

 

そんな時に、いきなり顔に冷たいものが当たった。

 

眞妃「流石ね。早坂愛」

 

愛「眞妃様……ありがとうございます」

 

顔に当たった冷たいものは、眞妃様が買ってきたジュースだった。

 

眞妃「いい加減、その様付けで呼ぶのを辞めてくれないかしら?」

 

愛「え……」

 

眞妃「……私は、認めた相手を下の名前で呼ぶことにしているから、貴女の事を愛と呼ぶ。だから、貴女は私の事を何て呼ぶか私の目を見て決めて」

 

そう言われた私は少し考えてから口を開いた。

 

愛「マキさんで」

と言うと、マキさんは微笑んでいた。

 

愛「……マキさんは、優心くんとはいつからの知り合いなの?」

 

眞妃「小学生の頃に、彼とこころの誕生日パーティーに行った時が初めてよ。まぁその時は親も一緒だったけど、翌年のパーティーから私と弟だけに個人宛の招待状が届いたわ」

 

愛「そうなの?」

 

眞妃「去年のパーティーでかぐやと話した件が、その時だったのよ」

 

愛「家同士でのビジネス関係の交渉の件が、初めて行ったパーティーの後と翌年のパーティーの間に起きたってこと?」

 

私が小声で聞くと、マキさんは頷きながら"そうよ"と言っていた。

 

眞妃「で、私の親は弦巻のパーティーに行くなと言ってきたけど、彼の親が家同士などの争いに子供は関係ないとかを言って、私の親を有無も言わせずに黙らせたらしいのよ」

 

愛「そこからは、マキさんと弟は毎年行ってる感じなんだ」

 

眞妃「えぇ。優心から私と弟に個人宛に招待状が届くからね」

 

この後もマキさんと話をしていた。しばらく話をしていると、マキさんは立ち上がった。

 

眞妃「……お腹すいたから牛丼を食べて帰ろう」

 

愛(庶民が言いそうな事を言ってる。……いや、優心くんもお金持ちっぽくない感じだから、私は違和感は感じないな……)

 

私はそんなことを思いながら、皆の後を付いていった。

 

 

牛丼屋で、マキさんは優心くんに愚痴を言っていた。内容を聞いていると、"かぐやみたいだな"とかを思っていた。

 

 

こうして、マキさんともちゃんと友達になって、皆と楽しんだ一日が終わってしまった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~優心視点~

 

 

会長達とバッティングセンターで遊んだ日から、しばらく経ったある日。

 

そのしばらくの間に、生徒会室で会長が引っ越すという話題で一悶着があったり、パスパレでの事務所での出来事があって最終的に新曲の"もう一度ルミナス"が生まれたりと、いろんな事があった。

 

パスパレの件をお父様から聞いた時に、事務所は親会社が変わっても、そうそうスタッフ達の意識が変わらないんだな……と思ってしまった。

 

まぁ色々とあったが、とうとう三学期学年末試験が近づいてきた。

 

そんな試験が近づいてきた今日は、愛とすばると三鈴の三人と、俺の家で勉強会をする事になった。

 

三鈴「じゃあ、弦巻くんの家にレッツゴー!」

 

ホームルームが終わった教室で帰る支度をしていると、すばるがそう叫んで俺の元にやってきた。すばるの後ろには愛と三鈴もいた。

 

すばる「弦巻くん、ごめんね~」

 

優心「別に問題ないから大丈夫だよ。……今日は車で帰ろうか」

 

すばる「今日は車なの?」

 

優心「うん。別に電車でも良いんだけど、車の方が電車よりは早く家に着くんだ。だから、勉強をやる時間が長くなるしね」

 

俺はそう言って教室を出て、三人と一緒に校門まで向かった。

 

校門に停まっている車に乗ったが、車に乗るとすばると三鈴が驚いていた。

 

驚いていた理由は簡単で、乗った車はテレビとかタンスや洗面台がある車だからだ。乗った事もなかったり、こんな車があると知らない人なら驚いて当然だ。

 

二人が驚きながら質問してくるのに、相手しているといつの間にか家に着いていた。

 

車から降りた俺達は、家の中へと入った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~弦巻家・勉強部屋(応接室)~

 

 

家に入った後に向かった場所は、勉強部屋として使う応接室だ。

 

三鈴「この部屋って、絶対に勉強部屋じゃないよね?」

と、部屋に入ると、三鈴がそう言ってきた。

 

優心「まぁ、そうだね。ここは応接室だよ。試験が近い時は勉強部屋として、ここで愛と一緒に勉強してるよ」

 

すばる「でも、応接室を占領してていいの?お客さんとか来たら使うんじゃ……」

 

優心「それは大丈夫だよ。会社に何個も会議室とかがあるように、ここ以外にも何個か応接室があるから」

 

すばる「あ、なるほど」

 

愛「そろそろ勉強しない?」

と、愛が言ってきたから、勉強道具を出して勉強を始めた。

 

 

そこから試験当日まで、お互いに勉強を教えあったりした。

 

その日々の間にポピパ達の出来事に関わったりしたが、愛達と家で勉強を続けた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~結果~

 

 

試験勉強をして本番を受けた。そして、今日は結果が貼り出される日だ。

 

張り出されているのを見てみると、俺は1位だった。その次に同率2位でかぐやさんと眞妃だった。

 

かぐや「1位は弦巻くんで、2位は私ですか……」

 

眞妃「私と同率だけどね」

 

かぐや「そうね」

 

眞妃「それにしても、御幸が一気に順位を落として12位とはね」

 

俺の隣にいた眞妃の言う通り、会長は12位だった。

 

優心「会長が12位になるなんてどうしたの?」

 

会長「来年の今頃はアメリカの大学だろ。だからあっちで生活出来るように、語学の勉強に力を入れてるんだ」

 

優心「あぁ、そういうこと……。確かにその方がいいね」

と、俺が言うとそのまま眞妃と話を始めてしまった。

 

優心「かぐやさんも語学の勉強をしてるの?」

 

かぐや「えぇ、してるわよ。私もスタンフォードに行きますし、語学の勉強はしていて損はありませんから」

 

かぐやさんも会長と一緒に語学の勉強をしているそうだが、そこはあの四宮かぐやだ。成績は落としてなかった。

 

愛「優心くん、ちょっといい?」

 

かぐやさんと少し話をしていると愛に呼ばれたから、かぐやさんに一言断ってから愛の元に向かった。

 

愛の元にはすばると三鈴がいて、特にすばると三鈴は凄くいい笑顔だった。

 

優心「二人ともいい笑顔って事は、順位が良かった感じだよね?」

 

三鈴「その通り!」

 

すばる「前回よりもスッゴく良くなったよ」

 

そう喜んでる二人から順位を聞くと、三鈴は30位ですばるは21位、愛は20位だと教えてくれた。

 

 

その後は解散となったが、二人はテンション高めだった。

 

教室へ戻ろうとした時に石上と会ったので、今回の順位を聞いてみた。

 

順位は36位になったそうだ。それを聞いた俺は、石上の頭を撫でて"良く頑張った"と伝えた。

 

石上「男に撫でられても嬉しくないですよ」

 

優心「そう言いながら、嬉しそうにしてるじゃん。あ、つばめ先輩に撫でられた方が良かったか」

 

石上「何を言ってるんですか……」

 

優心「……まぁ、良かったね。あと残るは先輩だね。頑張ってよ」

 

石上「はい」

 

そう会話を少ししてから教室へと戻った。

 

 

こうして、一日終わった。

 





今回の内容にサクッと一言で済ましているバンドリのエピソードは、パスパレとポピパの2章での出来事です。

他のバンド、ロゼリアとアフターグロウとハロハピの2章に関しては優心は関わってないので、本小説内ではもう解決してると思ってください。

次回、遅くなる場合がありますが、今回のように早く投稿出来る場合は投稿します。


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第61話


今回は、かぐや様の原作タイトル『子安つばめは塗り替えたい』の内容を題材してます。

では、本編をどうぞ。



 

 

~弦巻家・優心の部屋~

 

 

~優心視点~

 

 

三学期の試験が終わった。

 

試験の後に石上と千花の誕生日があって、千花と石上にちゃんとプレゼントを渡したりして、しばらく日が過ぎた。

 

そんなある日の今日。

 

俺は自室でパソコンを開いて、オンラインでの通話の準備をしていた。

 

そのオンラインの相手というのは、秀知院VIP枠の面々とそれに準ずる生徒や、つばめ先輩に呼ばれた生徒達だ。

 

石上と千花の誕生日があった日の翌日に、つばめ先輩から今回のオンラインで話をする事を教えてもらったんだ。

 

詳しい内容を聞くと、石上関係の事を話すという事だそうだ。

 

そうこうしていると、準備が出来たので繋げて待機をしといた。

 

画面上には、つばめ先輩以外の何人かがチラホラいて、準備が出来たのか少しずつ映像が増えていった。

 

そして最終的につばめ先輩が入ってきて、かぐやさんと少し話をしていた。

 

かぐやさんとの会話が一区切りついた辺りで、つばめ先輩が静かになった。

 

つばめ「じゃあ、卒業前に一発やらかしましょう」

と、静かになっていたつばめ先輩が、一言目でそう話を切り出した。

 

まず、つばめ先輩は自分の気持ちやこれからやろうとしている事を伝えていた。

 

つばめ先輩が、積極的に孤立した者と関係を築こうとする人間。

 

ひとりぼっちをなくそうとする人間だと、つばめ先輩が言った歯の浮くような理想論を本気で言っている事は皆は知っている。

 

俺も知っているし、なんなら俺はつばめ先輩の理想論に協力をしている。

 

そう思いながらも、つばめ先輩が話していた事を聞いて、つばめ先輩が一区切り付いた時に、龍珠が"一番難しい"と呟いた。

 

そこから龍珠が話を始めて、少ししてかぐやさんが話に割って入った。

 

かぐや「真実なんて、必要ありません。……話を本筋に戻していただきます」

と、かぐやさんが言って、話を整理する形で学園内で流れている噂を皆に伝えていた。

 

かぐや「しかし実際は、荻野が自分の非行を秘匿する為に流布した嘘。その荻野は、怪しげな斡旋業に手を染めていました」

 

優心「……それが広まれば大友にも風評被害が出てしまうわけ?」

 

かぐや「そうです。荻野自身や荻野の家族はアメリカにいますから、彼からの報復の心配はないです」

 

龍珠「ただ、誤解を解くと大友に、噂を残せば石上に被害が出る。デッドロック状態だな」

 

かぐやさんからの説明を聞いた龍珠が、そう言うとかぐやさんがつばめ先輩に話を振った。

 

つばめ先輩には、デッドロック状態を打破する術があるそうだ。

 

かぐやさんに話を振られたつばめ先輩から出てきた言葉は、"嘘で嘘を上書きする"という事だった。

 

その嘘を上書きするという内容は、"荻野がした事は浮気程度"で、"石上がそれを咎めた所に悪い噂を流されて大友の為に泥を被った"という、こっちに都合のいい嘘を流す事だった。

 

 

つばめ先輩の案を聞いた皆は各々考えを話したり、つばめ先輩と話をしたりしていた。その途中で龍珠が泣いたのを見て珍しいなと思った。

 

小島「まぁ、ごねそうな龍珠が賛同なら概ね反対する奴もいないだろう」

と、小島が話を切り出して、各々協力したい人が協力するという話に纏まった。

 

かぐや「一応、チャット欄にプロパガンダの内容と萩野の浮気証拠画像をリンクを貼っておきますので好きにご活用ください」

 

「どうやってそんなん入手した……」

 

かぐや「弦巻くんからですよ。……正確には弦巻くんの黒服からですけど」

 

龍珠「弦巻の黒服、やベーだろ……。そんな情報を持ってるのが」

 

優心「弦巻家(うち)の人間を舐めちゃ困るよ……龍珠」

 

龍珠「別に舐めてはねーよ。……それよりこの中に、あいつを転校に追いやったやつがいるだろう。誰だ?」

 

そう聞かれた皆の中で何人かが笑っていた。

 

龍珠「オーバーキルじゃねえだろうな」

 

かぐや「そうでしょうね」

と、龍珠の言葉にかぐやさんは、少し微笑みながらそう答えていた。……が、微笑んでた途端に、かぐやさんの顔が真面目になった。

 

かぐや「……その荻野の転校関連で一つ質問というか聞きたい事があります」

 

「聞きたいこと?それってどんな内容ですか?」

と、かぐやさんの言葉に今回の件に参加していた一人がそう聞き返した。

 

その事にかぐやさんが口を開こうとした時に、俺の部屋のドアが開いた。

 

そのドアが開く音に皆が静かになり、その代わりに入ってきた人の声が響いた。

 

こころ「お兄様ー!黒服の人が晩御飯の準備が出来たって言ってたから一緒に部屋に行きましょう」

 

入ってきたのは、こころだった。そして、俺に晩御飯を出来たことを伝えてきてくれた。

 

こころ「あ、もしかして入らない方がよかったかしら?」

 

俺がまだパソコンを使っているのを見たこころが、そう質問してきたから"大丈夫だよ"と伝えた。

 

俺の言葉を聞いたこころは笑顔で"なら良かったわ"と言って、パソコンを覗いてきた。

 

こころ「あ、つばめにかぐやじゃない!久しぶりね♪」

 

つばめ「こころちゃん、久しぶり!今日もいい笑顔ね」

 

こころ「あら、ありがとう。つばめもいい笑顔よ」

 

つばめ「ふふ、ありがと」

 

かぐや「こころさん、久しぶりですね。今日も元気ですね」

 

こころ「えぇ、あたしはいつも元気よ!」

 

かぐや「ふふ……」

 

つばめ先輩とかぐやさんの二人と、少し話をしたこころが俺を見てきた。

 

こころ「お兄様、この他の人達も知り合いなの?」

 

優心「うん、そうだよ。今日は学校の事で皆と話をしてたんだよ」

 

こころ「そうなのね!……ねぇ、あたしお腹ペコペコなの。だから早く晩御飯食べましょう!」

 

優心「そうだね。でも、あと一つだけ話したい事があるんだ。だから先に部屋へ行っててくれる?」

 

こころ「……む」

 

俺がそう言うとこころはほっぺを膨らましてしまった。それを見て少し拗ねたこころを見て可愛いと思いながら、一つ質問した。

 

優心「……こころって、春休みは予定は空いてる?」

 

こころ「春休み?……ん~、空いてる日はあるわよ。皆、友達だったり家族とお出掛けしたりする日もあるみたいだったから」

 

優心「じゃあ、ハロハピの皆と遊んだりする予定が無い時に、二人で一緒に出掛けよう。こころの行きたい場所にね」

 

こころ「ほんと!?」

 

俺が"うん"と頷くと、こころはすぐに行きたい場所を言ってきた。

 

こころ「じゃあ、スマイル遊園地に行きたいわ!お兄様と二人では行ってないし、ジェットコースターとか色々と乗りたいわ!それに、遊園地の社長さんもお兄様に会いたがってから、行きましょ!」

 

優心「うん。約束」

 

そう言って俺は小指を出して、こころと指切りをした。

 

優心「もう少しだけ我慢しててね」

 

こころ「分かったわ。でも早くしてね」

 

上目遣いで言ってきたこころの頭を撫でてながら頷くと、笑顔でこころは部屋を出ていった。

 

小島「先輩は、妹と仲がいいんですね」

 

朝日「やっぱりこころちゃんを見ると、自然と笑顔になってしまうわね」

 

つばめ「うんうん」

 

かぐや「確かにそうですね。裏表がないですからね。全て本心で接してきますし」

 

龍珠「私にも臆せず接してくるしな」

 

優心「それが、こころだからね」

 

つばめ「そうだよね」

 

優心「こころの話はこれぐらいにして、話を戻すけど……かぐやさん。聞きたい事があるって言ってたけど、どんな内容?それと誰に対して?」

 

俺はこころの話を切り上げてから、かぐやさんが言った聞きたい事をかぐやさんに質問した。

 

かぐや「……弦巻くんに、聞きたいことがあります」

 

どうやら、かぐやさんは俺に聞きたい事があるそうだ。

 

優心「俺に?どんなこと?」

 

俺は不思議に思いながら、聞きたい事の内容を質問をした。

 

かぐや「……荻野をアメリカへと飛ばした理由とキレた理由です」

 

VIP達「……!」

 

かぐやさんがしてきた質問に、VIP枠の生徒達が息を飲んだのを感じた。……感じたが、俺は気にせずにかぐやさんの質問に答えることにした。

 

優心「飛ばした事と怒った理由ね。……ここで聞いてくるって事は、かぐやさんは"これが関与してる"っていうものがあると確信しているんでしょ?」

 

俺がそう聞くと、かぐやさんは頷いた。

 

かぐや「えぇ。というのも、VIP内である噂があるんです」

 

優心「噂?」

 

かぐや「荻野に、こころさんの事を言われたからという噂です。……つまり、荻野の斡旋業にこころさんが巻き込まれそうになったからではないか……と、私は思ってます」

 

かぐやさんが言った言葉を聞いた俺は、"この噂は間違ってないな"と思いながら、口を開いた。

 

優心「……大体、その通りだね」

 

かぐや「大体と言うと?」

 

優心「あいつが言ったのは、こころだけじゃない。……かぐやさん。つぐみちゃんは覚えてるでしょう?羽沢珈琲店の子」

 

かぐや「えぇ、覚えてますが……」

 

優心「その子と……その子が所属してるバンドメンバーもあいつは狙ってたんだよ」

 

俺が言った事に、かぐやは目を見開いた。

 

小島「弦巻先輩。俺達にも分かるようにお願いします」

 

かぐやさんが驚いていると、小島がそう言ってきたので今回の話に参加している皆に説明を始めた。

 

優心「去年の進級した頃のこと。つまり、去年の4月で俺やかぐやさんなどが高二になった時に、石上の事を前生徒会で調査した。これは皆は知ってるよね?」

 

俺がそう聞くと、皆は頷いたのを見てから話の続きをした。

 

前生徒会でも書記だった千花が、後輩にそれとなく聞く形の情報集めをした。そして俺も情報収集をしたが、その相手というのが、荻野と大友などの中心人物達の近い人間に情報収集した事を、皆に伝えた。

 

優心「……で、集めた情報は会長達に伝えたんだ。その時は特に問題はなかった」

 

つばめ「"その時は"って事は、かぐやちゃん達に集めた情報を伝えた後に問題が起きたってこと?」

と、つばめ先輩が聞いてきたので俺は頷いてから、口を開いた。

 

優心「かぐやさんがVIPの皆に伝えてから、荻野が転校するまでの間に、問題が起きたんだよ」

 

かぐや「……それが、こころさんやつぐみさん達の話という訳ですか」

 

優心「そういう事だよ」

 

小島「先輩。そのつぐみという子とは、どういった関係ですか?」

 

かぐやと話していると、小島がそう聞いてきたので教えてあげた。

 

家の近くに商店街がある事と、つぐみちゃんはその商店街で経営している珈琲店の一人娘であること。その子はバンドを組んでいる事や、その子達とは友達だという事などを教えてあげた。

 

小島「なるほど。……しかしそれだと何故、先輩の妹やその人達の事を荻野は知っていたのか?という話になりますね。その人達と荻野とは接点がない筈ですよね?」

 

優心「小島の言う通り、荻野本人はこころ達とは接点はないよ。それと俺とこころ達の関係も知らなかったよ、でもあいつがこころ達を知った方法は、斡旋業だ」

 

小島の言葉に俺はそう伝えた。俺の言葉に小島は"斡旋業が?"と呟いていた。

 

優心「うん。昔なら話は別だろうけど、今はインターネットが普及している。つまり、斡旋業でも何をするにしてもネットやSNSでやるのが主流だ」

 

かぐや「という事は、荻野はネットで他に斡旋業をやっていた人達から、こころさん達を知ったという訳ですね」

 

優心「そういうこと。俺が住んでる辺りに荻野と繋がってた奴がいた訳で、そいつが可愛い子を見つけたとかで情報を流してたって事だね」

 

小島やかぐやさんとの会話に、皆は一様に"なるほど"とか"そういう理由か"と呟いていた。

 

つばめ「それでこころちゃん達の事を言われたのが、転校する前ってこと?」

 

優心「そうです。……あいつ、どんな神経してるのか分からないですけど、あの時石上から情報が漏れないか怯えてたくせに、俺に接触して来たんですよね」

 

かぐや「そうなんですか?」

 

優心「ほら、俺が荻野と大友に近い人間から情報を集めてたでしょ?だから接触してきたと思うんだ。その時はうまく話を逸らしたから内容とかは話してはないけど……」

 

小島「弦巻先輩との会話で問題ないと安心した荻野が、石上に話をした時のように弦巻先輩に妹さん達の事を言ってきたという事ですね」

 

優心「それでキレたんだよね。俺の妹どころかつぐみちゃん達の事まで言ってきたから。……で、その時に小島達がやってきてたんだよね。あれは驚いたよ、皆が来たから」

 

俺がそう言うと、皆は苦笑いしていた。

 

朝日「そう呑気に言わないでくれるかな、弦巻くん。あの時、本当に怖かったのよ。それで私達の中で弦巻くんを怒らせるなって話になったわけだし」

 

優心「そんな風に言われてたんですか?初めて知った……」

 

朝日先輩の言葉に返した俺の言葉を聞いた皆は、なんとも言えない顔をしていた。

 

優心「……で、皆が荻野を転校させたって事なんだけど、転校した荻野を黒服さんにお願いして、しばらく監視させてたんだ」

 

つばめ「その時に、アメリカに飛ばす程の事をしてたの?」

 

優心「そう。あいつは、転校しても斡旋業を続けていたんだ。こころとつぐみちゃん達は、俺の知り合いだったから標的を変えてたけど……」

 

かぐや「もしかしなくても、その変わった標的も弦巻くんの知り合いや友達だった……という事ですか?」

 

優心「うん。荻野と、荻野の仲間が次に目を付けたのは、つぐみちゃん達以外の商店街の子だ。その子達は、俺と妹の友達だったり妹のバンドメンバーの子でもある」

 

俺がそう言うと、何人かは"マジか"と呟いていた。

 

朝日「それはもう自業自得とか運がないとかを、言うしかないわね」

 

優心「まぁあの辺りは、白雪や月ノ森の名門から花咲川と羽丘といった私立で中高一貫の女子校がある。その為、必然的に可愛い子が多く、男女比的に女子女性の割合が高いからね」

 

龍珠「それなら、あいつやその仲間からすれば格好の場所ってことか」

 

俺の説明に、龍珠がそう言ってきた。

 

優心「そうだよ。それでアメリカに荻野とその家族、荻野に関わった人も全員探しだして、飛ばしたんだ。あとは皆が認識している通りだよ」

 

俺がそう言うと、静かになってしまってしまい、龍珠が"やっぱ、弦巻はヤバイに尽きるな"と呟き皆が頷いていた。

 

優心「……まぁ、これが全てだよ」

 

かぐや「弦巻くん、ありがとうございます」

 

優心「聞かれたから教えただけだから」

と、かぐやさんのお礼にそう答えてから、"つばめ先輩"と声をかけた。

 

つばめ「ん、何?弦巻くん」

 

優心「ひとまず、石上の噂の件に話を戻しますけど、噂の上書きについては各々の判断でいいですね?」

 

俺がそう聞くと、つばめ先輩は頷いて"よろしく"と言ったのを最後に、今回のオンラインでの通話が終了した。

 

時間を見てみると、意外と時間が経ってしまっていたので、急ぎ足でご飯を食べる部屋に向かった。

 

部屋に入って、待ってくれていたこころと一緒にいる愛にちゃんと謝ってから晩御飯を食べて一日が終わった。

 

 

翌日の学校で俺はつばめ先輩達と話した内容を、俺と仲がいい後輩達にそれとなく伝えた。

 

そこから日が経つと、石上に対する雰囲気が変わったのを感じたので、うまく噂の上書きが出来た事に一安心した。

 

 

噂の上書きがうまく出来てから日が経って、3月10日。つまり、つばめ先輩達三年生の卒業式当日になった。

 





次回は、話が完成していないので遅くなります。

最近は、遅くなると書いてても一週間で投稿できてましたが、次回は無理かもしれませんので、気長に待ってくれたら幸いです。



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第62話


書けましたので、投稿です。

では、本編をどうぞ。



 

 

~優心視点~

 

 

つばめ先輩やVIP枠など生徒達と石上の噂の件から日が経ち、今日はもう三年生の卒業式だ。

 

そして今は卒業式が終わった後で、校舎の玄関付近や校門前・校内のそれぞれの教室や部室前などで在校生と卒業生達が話をしている。

 

そういう俺も先輩達と話している。今はミコと大仏が所属していた風紀委員会で委員長を務めていた先輩と話をしている。

 

優心「先輩、卒業おめでとうございます」

 

先輩「ありがとう、弦巻くん。たまにだったが、今まで風紀委員会の手伝いをしてくれてありがとう」

 

優心「風紀委員長に頼まれたとなればやりますよ」

 

先輩「元だけれどね」

 

団長「弦巻ー」

 

先輩と話してると、団長に名前を呼ばれたので、先輩にもう一度"卒業おめでとうございます"と伝えてから、団長の所へ向かった。

 

そこから、団長やつばめ先輩、阿天坊先輩や朝日先輩達と話をしていった。

 

その途中、龍珠や他の人達と一緒にいる会長が、俺に前会長のいる場所を聞いてきた。

 

俺は華さんに聞いてみた。すると生徒会室にいる事を教えてくれたので、会長達に教えてあげた。

 

"ありがとう"と会長達はすぐに生徒会室に向かっていった。

 

会長達の姿が見えなくなった後の俺は、他の卒業生達と先話をした。

 

ーーーーーーーーー

 

 

しばらくした時に、会長が近づいてきた。

 

会長「弦巻。前会長が話をしたいって言ってたから、会いに行ってこいよ」

 

優心「?……分かった」

 

会長から、前会長に呼ばれている事を聞いた俺は何故呼ばれているのかと不思議に思いながらも、会長に返事をしてから生徒会室に向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~生徒会室~

 

生徒会室に入り、外を眺めていた前会長に声をかけた。

 

優心「前会長」

 

前会長「来ましたね、弦巻くん」

 

優心「話を聞きにきました。けどその前に……卒業おめでとうございます」

と、俺が前会長に伝えると"どうも"だけ呟いていた。

 

優心「で、話したい事があると現会長から聞きましたけど……」

 

前会長「白銀くん達に、私の場所を教えた理由を聞きたくてね」

 

優心「あぁ、その事ですか。別に大層な事ではないよ。白銀達に前会長の場所を聞かれたからですよ」

 

前会長「それだけですか?」

 

優心「そうです。……でも強いて言うならば……せめて当時の生徒会メンバー達ぐらいには会って話はした方がいい……と、思ったのもありましたね」

 

俺が言った言葉に、前会長は少し微笑みながら"そうか"と呟いたが、すぐに黙ってしまった。

 

優心「前会長?」

 

前会長「君は白銀くんが会長になれると、確信してたのかい?」

 

前会長は、白銀の事を言ってきた。俺と白銀が一年の時に……入学して間もない時に、前会長と俺が話した内容の事を質問してきた。

 

前会長「君が入学して私が生徒会に勧誘した際に、白銀くんが会長になったら入る、そして彼なら会長になれるはずだと言っていた。君はなれると確信してたのかい?」

 

優心(それが本当の話したい事だろうな)

 

俺はそんな事を思いつつも、前会長の質問にしっかり答えることにした。

 

優心「……本当になれるとは思ってなかったです。ただ、何かきっかけがあれば、会長を目指すだろうとは思いましたよ」

 

前会長「そうかい?」

 

優心「はい。白銀は結構自分の中に燻ってるものがある感じでした。この学校内だと、案外そういうのが晴らせると言えば生徒会ぐらいかなと思ったので」

 

前会長「……なるほど。それが聞けて良かったよ。それじゃあ私はこれで帰るよ」

 

そう言ってきた前会長に"はい"と返事をした。そして前会長が生徒会室を出ていったのを確認してから、俺も生徒会室を出た。

 

 

その後は学校内にまだ残ってる先輩達と話をして、一日が終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~春休み・午前~

 

 

~かぐや視点~

 

 

春休みに入ってからの数日。

 

 

今日は会長と二人で話をする為に、建物の部屋に二人でいた。

 

今は会長と建物内にいる理由は、昨日、前々から約束をしていた会長の家にお邪魔をして、そのまま泊まらせてもらった。

 

そして翌日である今日に、私は会長に話があると言って、今いる建物に来たわけだ。

 

会長「それで、話したい事があると言っていたが、どんな事だ?」

と、会長が言ってきたので、意を決して伝えたい事を伝える事にした。

 

かぐや「少し前に、私の兄様である四宮家長男の四宮黄光に、大学の出願を取り下げるように脅しをかけられました」

 

会長「……え?それって……」

 

かぐや「実際は出願は取り下げてないです。取り下げたフリをしました。言うなれば言いなりになったふりをしている感じですね」

 

会長「……出願は取り下げてないのは分かったが、なんで兄がそんな事を言ってきたんだ?」

 

会長の言葉に、私は四宮家の体制について話をした。男性中心や封建制度などなどを話していった。

 

話し終えると会長は黙ったままだったが、少しして口を開いた。

 

会長「……未だにそんなことがあるんだな……。男性中心というのが」

 

かぐや「普通にありますよ。男が中心で世の中を回さないと気が済まない……封建制度、旧時代の人間で昭和の遺物のような男です。四宮の長男は」

 

会長「……それって大丈夫なのか?出願を取り下げたのが嘘だとバレればなにされるか分からないぞ」

 

かぐや「バレる事は無いと思います。お父様と誠心さんが対処をしてますから。ただ、それでも私が本邸に連れ戻される事は確実だと思います」

 

会長「え?」

 

かぐや「……兄様は、どうにかしてでも私を手駒にするはずです。その為には、私を自分の側に居させて自分に都合がいい相手と結婚させる筈です」

 

会長「……誠心さんや四宮の父親の名前を出してるから、何かあるんだろう?四宮が話した事と何か関係あるのか?」

 

かぐや「……それは言えません。詳しい事は言えませんが、一つお願いがあります。私が本邸に連れ戻されて、学校に居なくなったら、皆と一緒に私を助けに来てください」

 

私がそう言うと会長は黙ってしまったが、少しして"分かった"と言ってくれた。……この後も少し話をしてから解散となって、会長は帰っていった。

 

かぐや(会長には全て話しておきたかったけど、どこから話が漏れるか分からないから詳しい事を言えなかった……)

 

少し罪悪感を感じたり、会長に素直に、自分の気持ちをさらけ出して助けを求めたかったという気持ちになってしまった。……が、私はすぐにスマホを出して、弦巻くんに電話をかけた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~午後~

 

 

~優心視点~

 

 

三年生達の卒業式から日が経ち、春休みになった。

 

卒業式から春休みの間に、石上が失恋の影響でおかしくなってしまって大変だった。まぁ、それはなんとかなったので話を置いとく。

 

そして春休みに入り数日が経ったある日の午後。

 

俺はかぐやさんに話があると連絡を受けてたので、かぐやさんから来てほしい建物へと車で向かっていた。

 

しばらくして建物に着いた。建物の入り口前にはかぐやさんが待っていた。

 

優心(この建物……、弦巻家(うち)の建物だな。なんでわざわざここに呼んだんだろう。……ここに呼んだ時点で大事な話の可能性はある……)

と思いつつも、おれば"かぐやさん"と名前を読んで声をかけた。

 

かぐや「弦巻くん、いきなり呼んでしまってすみません」

 

優心「いいよ。今日は何も予定はなかったからさ」

 

かぐや「それなら良かったです」

 

少し話してから、かぐやさんが歩き始めたので付いていった。

 

俺は後ろを付いていく形から、かぐやさんの隣を歩く事にした。

 

するとかぐやさんからの声をかけられた。

 

かぐや「弦巻くんは、春休みに入ってから今日までにどこかに出掛けました?」

と、春休みでの出来事を聞いてきたので、行った場所を教えた。

 

優心「近所を出掛けた以外だと、こころとスマイル遊園地に行ったよ」

 

かぐや「スマイル遊園地……。そういえば、つばめ先輩達との会議でこころさんと遊びに行く約束してましたね」

 

優心「そうそう。春休みに入ってからの初日に行ったよ」

 

かぐや「こころさん、凄く楽しみしてましたもんね。……他にも出掛けました?」

と、スマイル遊園地の話をした後にも聞かれたので、"他には……"と呟きながら思い出すことにした。

 

優心(他だと孤児院……いや90年代に法改正されて、今の呼称は児童養護施設だったよな。別の場所だと、弦巻家(うち)が運営してる児童養護施設に行ったぐらいかな)

 

そう思い出した俺は、かぐやさんに弦巻家運営の児童養護施設に行った事を伝えた。

 

かぐや「児童養護施設……ですか?」

 

優心「うん。お母様が施設の様子を見に行く……いわば視察みたいな感じかな。施設の職員さんとか不正してないかとか子供達の様子だったり見に行くことを抜き打ちでしてるんだ」

 

かぐや「弦巻くんもたまに付いていく感じですか?」

と、俺の言葉にかぐやさんはそう質問してきた。

 

優心「うん。……たまにだから、子供達に久しぶりに会ったよ。前に小さかった子がもう大きくなってかっこよくなってたり美人になってたりしてたよ。他の子達も元気があった」

 

かぐや「皆は笑顔でした?」

 

優心「凄くいい笑顔だった。……それで、かぐやさんの方はどうだったの?春休みの出来事は?」

 

俺は自分の春休みの出来事を話した後に、かぐやさんの出来事を質問した。

 

話を聞くと、かぐやさんは会長が新しい家に引っ越す前に今住んでいる家へ行ったらしい。

 

しかもそれは昨日の出来事でそのまま家に泊まったらしく、今日は会長の家からここまで来たと教えてくれた。

 

優心「会長とデートしなくて良かったの?」

 

かぐや「そうしたいのは山々なんですが、それよりも弦巻くんに確認したい事があったので、会長に断りを入れてきたので問題ないです」

 

そんな話をしていると、かぐやさんが部屋に入ったので俺も中に入った。

 

入った部屋は、こじんまりしていた。隠れて人と話すのに比較的に使われてそうな部屋だった。

 

優心「……かぐやさん。話したい事って?」

と、部屋の様子を見てから、そう訪ねてかぐやさんの言葉を待った。

 

かぐや「単刀直入に聞きます。弦巻くんは、お父様とお兄様……雲鷹と誠心さん達が進めている私の家督に関しての話に関わっているんですよね?」

 

かぐやさんが言った本題の事を聞くと、俺は少し目を見開いてしまった。

 

優心「……雁庵さんから聞いたの?」

 

俺は話を逸らすかどうか考えたが、変に嘘を言って話を逸らすよりも素直に話をした方がいいと考えて、そう聞いた。

 

かぐや「えぇ、正月に話を聞きました。大学の出願についての話をした際に、教えてもらいました」

 

優心「……どこまで知ってる?」

と、俺が質問すると、修学旅行で雲鷹と俺が話していた内容を雁庵さんから聞いたらしい。

 

かぐやさんと雁庵さんの内容は、雲鷹が言っていた他言無用の奴だと俺は理解した。

 

優心「……家を継ぐ事は、周りには言ってないよね?」

 

かぐや「三者面談の時に愛さんには話しただけで、他は話してないわ。勿論、会長にも話してないわ。お父様から他言するなという事と、言うにしても愛さんだけにしとくようにと言われたわ」

 

優心「なら大丈夫だね。話を聞いたかぐやさんなら分かってると思うけど、黄光派閥に青龍派閥にかぐやさんが家を継ぐと知られると進めてる計画が頓挫してしまう」

 

俺は一旦ここで区切ってから、続きを伝えた。

 

優心「計画が頓挫したら、かぐやさんを助けようにも助けられなくなるし、会長たちにも被害が出るからなんだ」

 

かぐや「それは確かにそうですね」

 

優心「雁庵さんが愛に話してもいいと言った理由は、単純にそこから周りに漏れないのと、早坂家の人に伝えても問題ないからだね」

 

俺の言葉にかぐやさんはいきなり首を傾げて、質問して来た。

 

かぐや「でも兄様は、早坂家は自分の持ち駒だと言ってましたが……」

 

優心「それは、そう思い込まされているんだよ。実際の早坂家は雁庵さんの直属だよ。雁庵さんが黄光・青龍両陣営を調べるために黄光の付き人をさせてるだけだよ」

 

かぐや「……それを勘違いをして、兄様は自分の物だと言い張ってる訳ですか?」

 

優心「そういうこと。……ただその結果、愛とかぐやさんに辛い思いさせてしまう結果になっちゃったけどね」

 

かぐや「……そこは弦巻くんのせいではないので、気にしないでください。最終的に、弦巻くんが愛さんを助けてくれたんですから、私は感謝してますよ」

 

かぐやさんは俺にそう言ってくれた。

 

優心「そう言って貰えると助かるよ」

 

かぐや「けど、今回の計画にお兄様の四宮雲鷹が関わってるとは思いもしなかったです。まさか、私をトップにする計画には絶対に関わる人間ではないと思っていたので」

 

優心「それは俺も思ったよ。愛を弦巻家の使用人にさせた時は敵だと思ってたけど、夏休みの間に雁庵さんからの話で考えが変わったよ」

 

かぐや「そこは否定しません。私も正月にお父様から話を聞いて驚きましたよ」

 

かぐやさんと雲鷹について少しだけ話をしてから、俺は話を変えた。

 

優心「話を変えるけど、何故その話を今……俺にしてきたのか教えてもらってもいい?」

 

かぐや「それは、私も弦巻くんに協力したいので、話をしました」

 

優心「協力?」

 

かぐや「えぇ。お父様が会長や藤原さん達を試す事に加え、お父様達が計画している事は兄様……四宮黄光・青龍派閥の人達にバレてはいけない。そうですよね?」

 

かぐやさんがそう聞いてきたので、俺は頷いてから口を開いた。

 

優心「さっきも言ったけど、話がバレると計画が頓挫する。その為に物事が起きるまでは、特には動かないということになった」

 

かぐや「そうならない様に、私も協力をしたいんです」

 

優心「何故?」

 

かぐや「ただただ言いなりのふりをして、そのまま事が収まるまでいるのは自分の中では許せないのですし、何より弦巻くんが動いているのに、私だけなにもしないのは嫌ですので」

 

俺は"そっか"と呟いてから、かぐやさんに伝えた。

 

優心「ひとまず、今回の作戦は事が起きないと話が始まらない。だから、それまでいつも通り過ごす。動くのはかぐやさんが連れ戻された後なのは頭に入ってるよね?」

 

かぐや「はい。お父様から聞いた内容は全て頭に入ってますので問題ないです」

 

かぐやさんの言葉に俺は頷いてから話を続けた。

 

優心「とは言っても、言いなりになったフリ以外で、かぐやさんがするとすれば一回ぐらいは黄光に反抗するぐらいでいいかな」

 

かぐや「反抗ですか?」

 

優心「うん。何もかも演技とはいえ、人形のように言いなりになりすぎてると、怪しまれやすい。そうしているのに何か裏があるんじゃないかと思われる可能性がある」

 

かぐや「……そこで、一度でも私が反論・反抗をすればその可能性が低くなる」

 

優心「うん。ただ、その時に黄光から心が折れる程の我慢ならない事を言われると思うから、それだけは覚悟しといてよ」

 

かぐや「会長の事とかですかね?」

 

優心「あぁ。会長の会社を潰したのは黄光だから、その事を言うと思うよ。相手とって一番効く言葉をね」

 

俺がそう言うとかぐやさんは少し顔をひきつらせてしまったが、頷いてはくれた。

 

優心「まあ、そういう事だからよろしくね。かぐやさん」

 

かぐや「分かりました」

 

優心「あ、そうそう。会長には今回の件で何か話した?」

 

かぐや「今日の午前中に、ここで話をしましたよ」

 

優心「え、そうなの?」

 

かぐや「はい。詳しい内容は話していないですが、話せる範囲では話しました。特に出願についてと、家内部の体制についてですね」

 

優心「それ以外は?」

 

かぐや「最終的に私がトップになる計画については話してません」

 

優心「なら、大丈夫かな」

 

かぐや「意味深な言い方になったので、会長は助けるために動くと思います。それに私が本邸に連れ戻された際には、皆と助けに来てくださいとは伝えました」

 

優心「会長に助けにきてって伝えてるのなら、俺もやりやすいか。助ける方法はその時に案を出せばいいだろうし」

 

そう呟いてから、また俺は口を開いた。

 

優心「かぐやさんに、二つお願いがある」

と、言ってかぐやさんにお願いを伝えた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

俺はかぐやさんにお願いを伝えた後にも少しだけ話をしてから解散ということになった。

 

 

建物から出た時にかぐやさんに声をかけた。

 

優心「話を変えるけど、かぐやさんって趣味ってあるの?」

 

かぐや「趣味ですか?」

 

優心「うん。ほら、かぐやさんって今までそういうのには無縁だったでしょ?だから、一つぐらい何か趣味って言える物があってもいいんじゃないかなって思ったんだ」

 

俺がそう言うとかぐやさんは、考え込んでしまった。少ししてかぐやさんが口を開いた。

 

かぐや「……最近、カメラを使って写真を撮ってみようかなとは思ってますね」

 

優心「写真?」

 

かぐや「はい。前までは、写真のどこが良いのかは分かりませんでしたが、生徒会メンバーと写真を撮る機会が多かったじゃないですか」

 

優心「そうだね。比較的、撮るのが多かったね」

 

かぐや「それがきっかけで春休みに入る前ぐらいから、スマホで写真を撮ることがあるんです。……でも、今は少し一眼レフが気になってます」

 

優心「一眼レフ?なんで……」

 

かぐや「前に、一眼レフで風景や人物を撮っている方を見かけたのと、カメラを使ってみたいと思ったのが理由ですね」

 

優心「いいと思うよ。かぐやさんが自分から決めたことだから、やってみると良いよ」

 

かぐやさんは俺の言葉に頷いた。この後も少し話をしてから、かぐやさんとは別れて俺は家へ帰った。

 

 

こうして一日が終わった。

 

 





次回は、新学年である優心達三年生編を書いていこうと思います。

まず次の話はクラス分けと四条帝が転校してきて、帝と会長達が関わる辺りの話を書くつもりです。

どれぐらいで完成して投稿できるかは分からないので、気ながら待ってくれたら幸いです。


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第63話


今回は4000文字と少しなので、前回よりは短めです。

この話から新学年……3年生編が始まりますので、よろしくお願いします。

では、本編をどうぞ。



 

 

~新年度・新学年~

 

 

~優心視点~

 

 

春休みにかぐやさんと会って二人で話をした日から時間が経ち、もう新年度になり……俺や会長達は三年生になった。

 

 

愛はかぐやさんと学校に行くということで、先に学校に行っているから、俺は一人で学校に向かってる。

 

 

そして学校に着いて、貼り出されてるクラス表を見てから、教室に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~愛視点~

 

 

今日から新学年。

 

私は優心くんより先に家を出た。そしてまず別邸に向かってから、かぐやと一緒に学校へと向かった。

 

その途中でかぐやが、神社に寄ると言ってきた。神社に行く理由を聞くと、前から神社に行って祈願していたみたいだけど、それでも心配だから、今日もしたと言っていた。

 

愛(心配しすぎ。……いや、私も優心くんと一緒のクラスになれるかどうか心配だし、私も祈願しとこうかな)

と思った私は、神社に着いた後にかぐやと一緒に祈願した。

 

かぐやと一緒に祈願を済まして神社を後にした。

 

そして学校に着いて、貼り出されているクラス表を確認した。

 

確認してみると、私はA組でかぐやと一緒で、何より優心くんも同じクラスだった。

 

愛(外部進学のクラスは2つだったから、一緒になれるかどうか心配したけど、優心くんと同じだったのは嬉しい。かぐやとも一緒なのも嬉しいけど……)

 

私は内心で喜びながら、会長達の名前も確認してからかぐやの方を見てみた。

 

愛「かぐや、何してるの?」

と、かぐやを見た私がそう質問してしまった。そんな事を聞いてしまったのは、かぐやの行動がおかしかったからだ。

 

だってクラス表に対して、背を向けていたからだ。

 

かぐや「だって、もし一緒のクラスじゃなかったら、嫌じゃない。だから見たくても見れないわよ」

 

愛「でも、見ないと自分のクラスも分からないよ」

 

かぐや「でも見たら、会長と同じクラスか違うクラスなのかが、分かっちゃうじゃない!」

 

愛「……ひとまず、私とかぐやと優心くんは三年A組で、同じクラスだったよ。だから、かぐや一人って事はないから安心して」

 

かぐや「それなら、まず安心ね。……で、会長はどうなの?」

 

愛「(ちょっと意地悪してみよう)……早くクラスに行こう、かぐや」

と言いながら、かぐやの手を引っ張った。

 

かぐや「……なんで教えてくれないのよ」

 

愛「だって友達は意地悪するものでしょ?」

 

かぐやの言葉にそう返しながら、クラスへと向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~三年A組・教室~

 

 

教室へ入ると、扉近くに柏木さんがいて、かぐやと話を始めた。

 

他にも紀さんと巨瀬さんもいた。

 

愛「あの仲良し組も一緒だったんだ」

と、呟くと背中から抱きつかれた。

 

三鈴「私らも一緒だよ!」

 

抱きついてきたのは三鈴だった。すばるも私の右腕に抱きついていた。

 

愛「二人も一緒なんだ」

 

すばる「私達の名前は確認しなかったの?」

 

愛「……優心くんの名前を真っ先に探してたから、二人の名前を確認するの忘れちゃった」

 

三鈴「酷くない?」

 

愛「ごめんって」

 

すばる「まぁそれはいいとして、その肝心の弦巻くんは?一緒に来てないの?」

 

三鈴達と少し話をした後に、すばるが優心くんの事を聞いてきた。

 

愛「一緒には来てないよ。今日は、かぐやと一緒に学校に来たから、優心くんより先に家を出たんだ」

 

すばる「そうなんだ。……って、言ってる側から弦巻くんが入ってきた」

 

すばるがそう言ってきたから、教室の扉の方を見た。

 

教室の入り口に優心くんとサッカー部エースの渡部神童の姿だった。

 

入り口付近にいる何人かは、渡部くんがいることに歓声らしき声を出していた。

 

たまに優心くんがいる事に対しても同様だったけど、私はその光景は気にせずにすばる達に質問した。

 

愛「あの二人って仲良かったっけ?」

 

すばる「特段、仲が良いかは知らないけど、面識は一年の時からあるっぽいよ」

 

三鈴「確か……一年の時に、渡部くんがサッカー部の練習に付き合ってもらってたらしいよ。弦巻くんが生徒会に入ってからは頼まなくなったみたいだけど」

 

愛「優心くん、サッカー部の練習に付き合ってたんだ……。って、二人はよく知ってるね。あの二人の関係に」

 

三鈴「私は、前にサッカー部のマネージャーから聞いてたから。すばるは?」

 

すばる「私は……2年の時にD組の子が話してるのを聞いた程度だよ」

 

私はその話に"へぇ~"と言いながら、優心くんを見ていていると、優心くんが手を振ってきたので振り返した。

 

私が手を振り返すのを見た優心くんは、そのまま同じクラスになっていた新川くんと古川くんの元まで向かって、二人と話を始めた。

 

すばる「そうやってすぐに弦巻くんとイチャイチャしようとする」

 

愛「イチャつこうとしてないよ。……私の事より二人はどうなの?春休みに新川くんと古川くんと出掛けたりしたの?」

 

三鈴「うん、したよ。私は古川くんの家に行ったよ。ケーキ屋だから食べに行ったんだけど、凄く美味しかったよ」

 

愛「へぇ~」

と私は言いながら、二人の春休みでの出来事を聞いていった。

 

しばらくして、予鈴がなったので席に座り担任を待った。

 

 

少しして担任がきて出席などが終わった後に、転校生がいると言い、一人の男子が入ってきた。

 

大林「自己紹介、頼む」

 

帝「四条帝です。そこにいる四条眞妃の双子の弟です」

 

愛(……なんで四条の跡取りが?)

と、こんな時期にマキさんの弟がやってきた事に、疑問を持ってしまった。……が、ひとまず誰に詳しい事は聞ける時に聞こうと思い、疑問を頭の隅に追いやった。

 

そして休み時間になり、私は優心くんの元へ向かって、話をして過ごした。

 

 

そのまま時間が経っていった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~優心視点~

 

 

教室へ向かう途中に後ろから声をかけられた。

 

神童「優心」

 

優心「ん?……あ、神童」

 

声をかけてきたのは、渡部神童だった。一年の時に、神童からサッカー部の練習に付き合ってほしいと、頼まれたのが切っ掛けで面識を持ったんだ。

 

優心「なんか久しぶりに会ったような気がする」

 

神童「だと思うぞ。……一年にサッカー部の練習以来だな」

 

優心「そっか~。それに2年になって、俺はAで神童がDと、クラスが一気に離れたから余計に話す機会が無くなった感じだよね」

 

……そう。俺が生徒会に入ってからは、生徒会が忙しいからか俺に気を遣って頼んでくることは無くなった。

 

それに加え、2年になってから俺がA組で神童がD組になり、教室がより離れたのも相まって余計に話すことが無くなったんだ。

 

優心「神童のクラスは?」

と、クラスを聞くと、俺と同じ三年A組だそうだ。その事に対して話したりしながら歩いていると、A組に着いたので教室へ入った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~三年A組・教室~

 

 

神童「……おう、皆待たせた」

 

元D組男子「おぉ~神童!元D組のリーダーが来たぞ。こりゃ勝ち確だな」

 

元D組女子「それに弦巻くんもいるから、余計に揺るがないわよ」

 

優心「流石、D組のリーダー。人望凄いね」

 

神童「お前もだろ」

 

優心「リーダーじゃないけどね~」

 

教室に入った直後のクラスの反応の事で、俺は神童と軽く会話したが、その時に愛を見かけたから手を振った。

 

すると愛も振ってくれたから内心嬉しく思いながら、鋼と樹を見つけたので、二人の元へ向かった。

 

優心「今回も二人と一緒だね」

 

鋼「だな。高校は三年間一緒とはスゲーわ」

 

樹「中学の時は、三人一緒ってのは全く無かったけど、三年間一緒は案外嬉しいよね」

 

そんな感じの話をしていると、予鈴が鳴ったので席についた。

 

そしてホームルームが始まり、先生からの話の後に転校生がやってきた。

 

優心「帝?」

 

帝「そこにいる四条眞妃の弟の四条帝です」

 

転校生は、帝だった。本人からは何の話も聞いてなかったから驚いた。

 

ひとまず俺はしばらく様子を見ることにした。

 

 

休み時間になった時に、愛がやってきた。

 

愛「まさか、マキさんの弟が転校してくるなんて思わなかったよ。優心くんは知ってた?」

 

優心「ううん。俺も知らなかった。帝から何も連絡来てなかった」

と、俺が言うと"そっか"と愛は呟いてから少し黙ってしまった。

 

愛「……ねぇ、何かありそうじゃない?こんなタイミングで転校してくるなんて裏がありそうな気がするよ。……優心くんにも話をしてないのも関係してしてそう」

 

静かになっていた愛からそんなことを言われた。その事を聞いた俺は少し考えてから口を開いた。

 

優心「……確かに何かありそうだよね。でも今は分かんないし、追々俺が調べてみるよ」

 

俺がそう言うと愛は頷いてくれた。

 

優心("何か"っていうのは、多分かぐやさん関係だろうけど、今は本当に特に分かんないから様子見だな)

 

そんな事を思いながら、帝は会長と話をしている所を愛と二人で眺めていた。二人は話している途中で険悪な雰囲気になってたけど、いつの間にか仲良くなっていた。

 

 

そうして時間が経っていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~放課後~

 

 

~会長視点~

 

 

四条帝と話をした後の俺は、放課後の屋上に一人で春休みに四宮から言われたことを思い出していた。

 

会長(春休み……うちに泊まった四宮から"助けて欲しい"と言われた時は驚いた)

 

そう……四宮からいきなり大学の出願についてや四宮家の内部の事などを言われた。

 

四宮から話を聞いて、色々とこっちから詳しい事を聞きたい事もあったが、話せない事もあると言われ教えてくれなかった内容もあった。

 

会長(けれど、あの四宮がわざわざ俺にあんな話をするという事は、相当勇気が必要だっただろう。それに、あの四宮が助けを求めるのは、流石に異常な事だ)

 

そう考えた俺は、次にどうすればいいかを考える事にした。

 

会長(助けるにしても、夏休みに入ったら、俺と四宮はスタンフォードの外国人向けの事前セミナーに合流……行かなくてはならない)

 

つまり3年生の一学期が、普通に学校生活を送れる最後の学期になるという事だ。

 

会長(連れ去られた後からセミナーまでに、四宮を助けなければならないという事だ。その為に俺は四宮を助けるが、俺一人では限界が来る)

 

"限界が来て結局助けられませんでした"では、話にならない。

 

それに今の俺の手には多くのカードがあるはずだから、それを全て使い、四宮を助ける為にやらないといけない事がある。

 

会長(生徒会メンバー達と協力をする事だ。その中で弦巻に一番最初に声をかけて、話を通して計画を立てよう。話すタイミング的には色々と動き出してからの方がいいな)

 

俺はそう決意して、今日の仕事をするために生徒会室へ向かった。

 





次回も、投稿までに時間がかかると思います。

その為、気長に待っていただけたら嬉しいです。


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第64話


前回の続きです。

前半は生徒会メンバーと愛達と、弦巻家でお花見をしている話です。うまく書けてないので期待しないでください。

後半の方は、猫に関する話で、オリジナル要素や話も混ざってます。

では、本編をどうぞ。



 

 

帝が転校してきた日から、数日経った休日。

 

 

~優心視点~

 

 

今日は休日で、生徒会メンバーたちが俺の家に集まっていた。

 

集まっている理由は、花見をするためだ。

 

去年の生徒会終了した時に、花見をする約束をしてたからだ。ただ、詳しい日程とかは春休みに入った時に決めたんだ。

 

春休み中は生徒会メンバー全員とは何かと都合がつかなかったので、今日になったんだ。

 

皆は去年の生徒会解散した時に家に来てたけど、まだ家まで行けるか不安という事を聞いてたので、近くの駅で待ち合わせした。

 

それで、家に着いて敷地内に入ったら皆は口を開けっぱなしにしていた。お花見をする噴水近くのちょっとした広場まで歩いてると、スマホが震えたので見てみた。

 

確認してみるとこころからのメッセージでその内容を見た後にすぐに返事をしといた。

 

噴水近くのちょっとした広場に着くと、会長が口を開いた。

 

会長「……凄いな。よくテレビで紹介される様な桜の名所にも負けないほどの絶景じゃないか」

 

かぐや「そうですね。空一面が桜色……ピンク色で染まっていると、言っても過言でないですね」

 

家の敷地内の桜を見て、会長とかぐやさんの言葉にミコと石上が頷いたりと、皆が各々反応していた。千花と愛は二人で話をしていた。

 

因みに、こころは他のハロハピメンバー、ポピパ・ロゼリア・アフターグロウ・パスパレの皆と桜が見頃を向かえてる公園でお花見をしている。

 

月ノ森女子学園の一年生だけでバンドを組んだモルフォニカっていうバンドの子達が来ていた事と、その皆と仲良くなると書かれていた。

 

まぁ、そんなこんなでひとまず皆の様子を見ていると、華さん達……家にいる黒服さん達がお花見の準備を終えていた。

 

優心「華さん、黒服さん。準備ありがとう」

 

黒服(華)「優心様と愛様、ご友人の為ですから」

 

俺が言ったお礼に、華さんはそう答え他の黒服さんも華さんの言葉に頷いていた。

 

優心「でも、ありがとう。後で料理人にもお礼言わないと……」

 

黒服(華)「喜ぶと思いますよ」

 

優心「うん。……皆ー、準備できたからお花見始めよー」

 

華さんと少し会話した後に会長達にそう声をかけて、弦巻家でやるお花見がスタートした。

 

 

しばらく料理を食べながら、会長と石上がはっちゃけたりしてミコが文句言ったりとワイワイ楽しんだ。

 

そうして過ごしてると、会長の近くにいたかぐやさんがおもむろに自分の鞄から、ケースみたいな物に入れられている何かを取り出していた。

 

優心「ねぇ、かぐやさん。その鞄から取り出したのって何?」

 

かぐや「これですか?……これはですね、カメラですよ。休みに弦巻くんに写真やカメラの事を話してましたよね?」

 

優心「確かに話してたね。もしかしてあの後とかに、そのカメラを買ったの?」

 

かぐや「はい。お父様から派遣されて、私の付き人をしてくれている使用人が、様々なカメラに詳しい人なんです。その人に説明してもらってこのカメラを買いました」

 

かぐやさんは、そう説明しながらケースからカメラを取り出した。

 

その買ったというカメラは、春休みにかぐやさんが言っていた一眼レフだった。

 

かぐや「人の写真を撮りたくて、今日まで撮ったりしてたんですが、中々難しいですね。それで、今日はお花見という事で風景を撮ってみようと思って持ってきたんです」

 

そう言ったかぐやさんは、カメラを構えて写真撮り始めた。だけど、やはりあまり上手くは撮れてない感じだった。

 

優心「ねぇ、華さん」

 

黒服(華)「なんでしょう?」

 

優心「執事の中で、写真撮るのが趣味でカメラに詳しい人いたよね?」

 

黒服(華)「いますね。呼んできます」

 

優心「うん。かぐやさんにコツとか教えてほしいって俺が言ってたって伝えて」

 

黒服(華)「分かりました」

 

華さんにそうお願いして華さんは離れていったが、少ししてすぐに執事が来た。

 

華さんに話しかけられたかぐやさんは少しびっくりしてたけど、話を理解したかぐやさんはすぐさまその執事から教わりながら写真を撮っていた。

 

そんなこんなで他の皆もお花見を楽しんで過ごしていると、時間があっという間に過ぎていき夕方になった。

 

お花見をお開きする時に、かぐやさんが持っていた一眼レフで桜をバックに皆で写真を撮った。

 

 

そして楽しかったお花見をお開きして、一日が終わった。

 

 

因みに皆で撮った写真は数日後の学校でかぐやさんから渡された。いい写真だった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

弦巻家で、愛と生徒会メンバー達とお花見をした日から、少し日が経ったある日。

 

 

~三年A組・教室~

 

 

~愛視点~

 

 

書記ちゃんが、自分の席で頭を抱えて悩んでいた。私とかぐやは書記ちゃんの側までいって、声をかけた。

 

書記ちゃんから何を悩んでいるのか聞いてみると、大学進学したら一人暮らしをしたいみたいで、その時にペットも飼いたいそうだ。

 

その時に、家族が書記ちゃんより変人だと聞いた時は耳を疑った。

 

愛「書記ちゃんより変人なの?……一家で常軌を逸してるの?」

 

千花「家族のことは悪く言っても良いですが、私のことは悪く言わないでください!」

 

愛「その言葉もどうかと思うけど……、それでペットをどうしようかって事だよね?」

 

千花「そうなんですよね~」

と言いながら、書記ちゃんは犬か猫のどっちにしようと悩んでいると言ってきた。

 

自分の中で考えている事を色々と言ってきた。

 

話を聞く限り、大学生活の忙しいだろうから現実的に考えて猫の方が良いんじゃないかと、書記ちゃんは考えているらしい。

 

そう言う話を聞いていると、書記ちゃんが私達の方を見てきた。

 

千花「お二人はどっち派ですか?」

 

愛・かぐや「「犬」」

 

千花「二人は犬なんですか?」

 

愛「厳密に言うと、単純に猫が嫌いなの。だからどっちかと言えば犬の方がいいってことだよ」

 

私の隣では、かぐやが頷きながら"その通り"と言っていた。

 

かぐや「猫って身勝手で自己中心的で……」

 

愛「愛想がない癖に臆病で」

 

かぐや「そんな猫をわざわざ買おうなんて人の気が知りません。だから飼うとしたら犬の方がいいでしょうね」

 

千花「じゃあ犬にしよっと!」

 

私とかぐやの言葉を書記ちゃんは、即決で犬に決めていた。

 

愛「本当に悩んでたの?」

という言葉が咄嗟に出てしまったが、書記ちゃんには聞こえてなかったみたいだった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

~翌日・放課後~

 

 

~優心視点~

 

 

今日の生徒会室では、阿部さんが飼っている猫、胡麻の助の事で話題になった。

 

そんな出来事が過ぎた帰り道に、愛と一緒に帰っていた。

 

優心「そういえばかぐやさんから聞いたんだけど、愛って猫が嫌いなの?」

 

愛「そうだけど、優心くんは好きなの?」

 

優心「好きだよ。というか、動物は全部好きだね。こころもだけど、会った動物達って懐いてきて可愛いもん」

 

愛「……あ~確かに二人ならあり得る」

 

優心「でもなんで猫が嫌いになったの?」

 

愛「小さい頃に引っ掻かれて怪我しちゃったんだよね。そこから嫌いになった。……なんで引っ掻かれちゃったんだろう……」

 

愛の言葉を聞いた俺は少し猫の行動を考えてから、愛に質問をした。

 

優心「……その時の愛って猫に撫でようとした?」

 

愛「んー……多分そうだと思う。立ったまま手を伸ばして頭を撫でようとした気がする」

 

優心「じゃあそれが原因かもね」

 

愛「それがって……撫で方が問題だったの?」

と、俺が言った事に愛がそう聞いてきたから、頷きながら説明を続けた。

 

優心「猫を上から手を出して撫でるのは駄目なんだ。上からだと猫は押さえつけられるとか攻撃されると思って、怖がったり反撃しちゃうんだ」

 

愛「そうなの?」

 

優心「うん。それに、単純に警戒心が強い猫を撫でようとしたのも原因かもしれないけどね。……まぁ、色々な事が重なってそうなった感じだと思うよ」

 

俺の説明に愛は黙って、何かを考えている感じだった。少しして愛が口を開いた。

 

愛「……飼い猫でも?」

 

優心「そうだね。野良猫・飼い猫関係なく上から撫でるのは基本的にはしない方がいいと思う。人懐っこい子でもそういうのはあるらしいし」

 

愛「そっか……。猫がっていうより私が原因だったんだ」

と、愛が呟いたのを見た俺は、愛に声をかけた。

 

優心「ねぇ、愛。今週の休日は予定は何かある?」

 

愛「今週の休みは、特に予定はないよ」

 

優心「じゃあ、遊びに行こうよ」

 

愛「遊びに行くのはいいけど、どこに行くの?」

 

優心「猫カフェ」

 

愛の言葉に俺はそう答えた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~休日・猫カフェ~

 

 

~愛視点~

 

 

学校の帰り道に猫の話をしていた時に、いきなり休みの予定を聞かれた。

 

それに答えると猫カフェに行く事になって、行く理由を聞くと、”猫を好きになって欲しい”とだけ言われた。

 

私は”そう簡単に好きになるかな……”と思ってしまった。そんな事を思いながら時間が過ぎて、猫カフェに行く日になった。

 

 

その猫カフェは最近出来たらしく、電車に乗っていくらしい。

 

そして猫カフェに着いて優心くんが先に店内に入って、私がそのあとに入った。

 

店内に入り、優心くんが席に座ると五匹の猫がすぐさま優心くんに近づいて、優心くんが揉みくちゃにされ始めた。中には優心くんの顔を嘗めている猫も居た。

 

優心「わっ!もう、くすぐったいよ。皆、いきなり来すぎだよー」

 

他にも数組のお客さんが来てて、そのお客さんが撫でていた猫までもが含まれていたが、猫とじゃれあってる優心くんを微笑んで見ていた。

 

店員「彼氏さん凄いですね。五匹の猫ちゃんが一人の人に懐いてるのは見たこと無いですよ」

 

優心くんを見ていると、飲み物を持ってきてくれた店員さんが私にそう言ってきた。

 

愛「そうなんですか?」

 

店員「はい。猫カフェの猫は人馴れしていますけど、エサを使ってとかをしない状態で、一人のお客様の元に行くのはないですね」

 

愛「はぁ……」

 

店員「特にあの二匹……黒猫のクロと白猫のシロはそこまで人に興味示さなくて、お店に何度か通っているお客さんにやっと懐くぐらいなんです。なのに、初めて来店したお客様に懐くことはなかったので驚いてます」

 

たった一人の店員さんの早口の言葉に口を挟む事は出来ずに引きながら、"そうなんですね……"と言ってしまった。

 

店員「あ、すみません。見たことのない光景に興奮してしまいまして」

 

愛「いえ……大丈夫です。でもそんなになんですね。あの優心くんの状態は……」

 

店員「はい」

 

そんな話をしていたら、私の元にも優心くんの所にいた黒猫のクロがやってきた。その時に店員さんに色々聞きながら猫に撫でてみた。

 

すると、クロはゴロゴロと鳴いて気持ち良さそうにしていた。

 

愛「可愛い……」

 

店員「そうでしょー。猫は最強なんですよ!」

 

私の呟いた"可愛い"という言葉に、店員さんはそう言って猫の魅力を力説し始めた。

 

愛(前まで猫嫌いだったのに、こんな姿の猫を見たり懐かれると好きになる。というよりもう好きになっちゃった)

 

店員さんの力説に軽い感じで相討ちをしつつ聞き流した。

 

しばらくして店員さんは語るのに満足したのか、他のお客さんの相手をしに行ったので、私はクロや他に近づいてきた猫と触れ合いながら過ごした。

 

優心くんは相変わらずお店にいるいろんな猫に揉みくちゃにされていた。

 

そうして過ごしている時だった。

 

「あれ?愛じゃん」

と、声をかけられた。声をした方へ顔を向けると、お店の入り口にリサがいて、その隣には友希那もいた。

 

愛「リサに友希那もこのお店の猫に会いに来たの?」

 

リサ「そうだよー。……まぁ、実際は友希那の付き添いだよ」

 

愛「あー……、友希那は猫が好きだもんね」

 

私の言葉を聞いた友希那が目を見開いて、私に声をかけてきた。

 

友希那「な、なんで、私が猫好きって事を知ってるのよ?」

 

愛「リサに教えてもらったんだよ。よく連絡を取り合ってて、その時にね」

 

私の答えに友希那はリサを睨み付けて、リサの方は気にせずに私に質問してきた。

 

リサ「で、隣にいる数匹の猫に揉みくちゃにされてるのって優心だよね?」

 

愛「うん。お店に入って席に座った瞬間に、この状態になったよ」

 

リサ「そうなんだ。……優心ー」

 

優心「ん、あれ?リサに友希那じゃん。二人いつの間にいたの?……ん!シロ、いきなり顔嘗めないでー」

 

リサ「ははは……。ついさっき来た所だよ。友希那がこの猫カフェに行きたいって前に言ってたから来たんだ」

 

優心「そうなんだ。……わー、他の皆もいきなり飛び付かないでー」

 

友希那「優心ばかり猫が行くなんてずるいわ」

 

優心「そう言われても猫が来るから、仕方ないじゃん」

 

友希那は優心くんと話を始めて、猫と触れ合い始めた。

 

その光景を見ながら側に来た猫を撫でていると、リサが猫と触れ合いながら私に声をかけてきた。

 

リサ「今度さ、ロゼリアで主催ライブする事になったんだ」

 

愛「主催ライブ?」

 

リサ「うん、主催ライブ。ライブの企画からステージのライブ演出、他の出演バンドに出演依頼やチケットとかを、全て自分達でやるライブの事なんだ」

 

愛「それ、大変だよね?」

 

私の言葉にリサは"まぁね"と言いながら、大変さも楽しんでいる顔をしていた。

 

リサ「まぁそれでね、まだ準備してる最中だからあれだけど、愛と優心の二人に見に来てほしいな~って思ってるんだ」

 

愛「いいの?」

 

リサ「うん。友希那達も来てほしいと思ってるからね」

 

愛「分かった。優心くんには、後で私から伝えとくよ」

 

リサ「よろしく。……チケットは、追々連絡するからよろしく」

 

リサの言葉に私は頷いた。時間的にそろそろ入店時に指定した時間コースが経つ頃合いだったので、優心くんに声をかけた。

 

友希那とリサに帰る事を伝えて、お店を出た。

 

家に帰ってる最中に優心くんから声をかけられた。

 

優心「猫、どうだった?」

 

愛「……すごい可愛かったし、好きになった……」

 

優心「なら良かった」

 

私が言った事に、優心くんは嬉しそうに笑って歩いていた。

 

その様子を見て私は少し笑みを浮かべてから、リサが言っていたライブの事を伝える事にした。

 

愛「さっきの猫カフェでリサが言ってたんだけど、ロゼリアが主催ライブをやるんだって。それで、私と優心くんに来てほしいって言ってきたよ」

 

優心「そうなの?いつやるの?」

 

愛「詳しい事はまだ決まってないらしいよ。でも行くよね?私は行く気満々だけど」

 

優心「勿論、行くに決まってるよ。……連絡はリサから愛に行く感じ?」

 

愛「多分ね。連絡来たら伝えるよ」

 

優心「うん、お願い」

 

ロゼリアの主催ライブの事を伝えた後も、優心くんと話をしながら家に帰った。

 

 

そうして一日が終わった。

 





次回も遅くなると思います。


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第65話


遅くなりましたが、続きです。

では、本編をどうぞ。



 

愛と猫カフェに行った日から、少し時間が経ったある日。

 

 

~放課後~

 

 

~優心視点~

 

 

いつも通り、教室で過ごしてる時だった。

 

いつの間にか、帝と翼の二人と教室から居なくなっていた会長が戻ってきた。

 

会長「弦巻、少しいいか?」

と、会長から声をかけられたから、"どうしたの?"と聞くと付いて来てほしいと言ってきた。

 

その事に不思議に思いながらも、会長の後を付いていくと、屋上と校舎を繋ぐ出口がある階段の踊り場に着いた。

 

そこには、帝と翼の二人もいた。

 

優心「……えっと、俺をそれでここに連れてきた理由って何?」

 

会長「弦巻は大きい胸と小さい胸どっちがいい?」

 

優心「……教室戻る」

 

帝・会長「「ちょっ、待て!」」

 

会長の言葉を聞いた俺は教室に戻ろうとしたが、帝と会長が俺の腕にしがみついて動きを止めてきた。

 

翼は近くで笑顔で様子を見てきていたけど、俺はそんな翼を無視して会長と帝に反論した。

 

優心「何で、胸の話をしなきゃいけないの!」

 

会長「弦巻!答えるだけでいいから!頼む」

 

優心「理由になってないよ!」

 

帝「良いから答えてくれ!」

 

優心「二人して俺の質問に答えてないよね!?」

 

俺がそう言っても二人は詳しい事を教えてくれなかった。

 

会長「頼む!答えてくれ!」

 

優心「だから、やだ!そもそも、そんな事を俺に聞くために連れてきたの!?」

 

会長「そうだ!それに、大真面目に話してるんだ」

 

優心「俺は、大真面目じゃないと思う!」

 

そう言いつつ、会長と話をする度に俺は"無理!"とか"いやだ!"言ったけど、全然退いてくれなかった。

 

その様子を見た俺は諦める事にして、会長達の質問の答えを少し考えてから、口を開いた。

 

優心「……誰にも言わない?特に愛にバレたら絶対嫌われると思うもん……」

 

会長「普通に女子には言えないから早坂にも言わない。……てか、弦巻って人からの評価や評判とか、気にしてなかったろ。なんで。早坂から評価を特に気にしてるんだ」

 

優心「……だって嫌じゃん。こんなしょうもない事で愛に嫌われたら……」

 

帝・会長(……なんか、嫌われたくないと思ってる優心を見るの初めて……。しかも何気に男なのに恥ずかし方が可愛いんだけど……)

 

会長「もちろん秘密にするから!」

 

優心「……本当に嫌だけど……言う」

 

会長「うん。どっちだ?」

 

優心「……俺、どっちかじゃなくて、彼女の……愛の胸がいい……」

 

三人「「……へ?」」

 

優心「もう教室戻る!」

 

帝「待ってくれ!」

 

会長達の質問に答えたが、恥ずかしくなって早く教室へ戻ろうとした。すると帝に動きを止められた。

 

優心「もう!今度は何!?」

 

帝「さっきスルーしてたけど、優心って早坂と付き合ってたのか!?」

 

帝の言葉に俺は内心"え?"となった。

 

優心「……帝、知らなかったっけ?」

 

俺がそう聞くと、帝は頷きながら"知らねーよ!"と言っていた。

 

優心「眞妃から聞いてなかったの?」

 

帝「いや、姉貴からなにも聞いてねーよ。……え、姉貴は知ってるのか?」

 

優心「うん」

 

俺がそう言うと、帝がショックを受けた顔をしていた。

 

帝(マジか……。胸の話も彼女の方がいいって、完全にそういう事をしてるって事じゃん)

 

俺は落ち込んでる帝を無視して会長に声をかけた。

 

優心「ねぇ、会長」

 

会長「どうした?」

 

優心「もう教室に戻ってもいい?」

 

会長「まぁ……聞きたい事は聞けたし、弦巻はもう戻っていいぞ。俺らはもう少しここで話をしとこうと思うし」

 

会長の言葉に"分かった"と返事をして、教室へと向かった。ただ、その戻ろうとした時に、階段から足音が遠ざかる様な音が聞こえたけど、気にしないでいた。

 

 

教室に戻った後は愛と一緒に家へ帰った。

 

その帰り道に、愛から会長に呼ばれた事を聞かれた時は上手く話を逸らして話をしなかった。……けど、珍しくしつこく聞いてきたから、結局のところ俺は折れて話した。

 

その時に、会長達の会話を話さなかった理由で、嫌われるかもと思って話したくなかった事を伝えた。

 

すると愛は"それはありえない。嫌いにならないよ"と言いながら頭を撫でてくれたので、俺は嬉しかった。

 

 

そんなこんなで一日が終わった。

 

 

因みに、今日の出来事から二日後の放課後、会長と帝と翼の三人の叫び声が聞こえた。

 

その叫び声に俺は、ボーイズトークの時みたいなバカ騒ぎ的なやつと俺は思って気にせず、その日も愛と一緒に帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~翌日・放課後~

 

 

~愛視点~

 

 

私とかぐや、眞妃と柏木さんの四人で集まっている。……というのも、かぐやが話したい事があると言ってきて集まったのが、私も含めたこの四人だ。

 

集まって、お茶会をマキさんが先に口を開いた。

 

眞妃「あら……この紅茶美味しいわね。ニルギリ?」

 

愛「ええ。マキさんはインドがお好きだと聞いて」

 

眞妃「ふーん。気が利くわね。……しかし、この四人でお茶会は、思えば珍しい面子ね。それぞれ絡みはあるけど、渚と愛はお初?」

 

柏木「ううん。結構、話したりしてたよ。今年は同じクラスだし」

 

愛「それに去年とかは相談しに生徒会室にきて、私とも話をしたりしたしね」

 

私と柏木さんの言葉にマキさんは"ふーん"となっていた。

 

眞妃「まぁ、人間関係にリセットがない所が一貫校の良いで所であり悪い所でもある。言ってしまえば小さい箱庭ね。秀知院は」

 

愛「でも、そんな箱庭にも風穴が開きますよ。不自然な時期の転校生とか……」

 

眞妃「……帝の事かしら?別に珍しくないでしょ?」

 

愛「小さい頃からの知り合いの優心くんですら、知らない時点で何かありますよ。それ以上に、今は四宮・四条両家の抗争が始まろうとしてる。だから無関係とは言えない」

 

私の言葉にマキさんは黙ってしまった。

 

眞妃「首は突っ込まない方が良いわよ。あなたに、四宮の後ろ楯は無いんだから」

 

愛「その代わりに、四宮以上の力を持つ弦巻の後ろ楯はありますよ」

 

眞妃「……そうだったわね。でもあなたは四宮から離れた訳だから、関係無い話じゃない?」

 

愛「……四宮だからとかは関係無いとかじゃない。友達を助けて守って、心の底からの笑顔を見たいしさせたい。そう思うのは当たり前でしょ?」

 

眞妃「完全に弦巻家の思想に染まってるわね。……まぁ、いいわ。そんな友情に免じて教えてあげるわ」

 

マキさんはそう言って一呼吸置いた。

 

そして……『四宮家と四条家の抗争はもう始まってる』と呟いてから、詳しいことを教えてくれた。

 

派閥の人間や会社の買収、会社の重要ポストや大量解雇の人事関係などなどの、マキさんが知っている詳しい話を聞いた。

 

他にも、弟の帝は元々親の意向もあって転校を受け入れたという表向きの理由で転校してきた形だそうだ。

 

実際は四条家内でも一枚岩ではなく、弟の帝を上手くコントロールして事を運ぼうとしている人もいるそうだ。

 

眞妃「帝は立ち回りや政治は上手いから利もなく大人の従う訳がない。だから、仲が良い友達の元を離れた上に優心にも伝えないで優知院に来たのには、絶対理由がある」

 

愛「なるほど……」

 

眞妃「おそらく愛の勘繰りは正しいわ。絶対、裏で何か張ってるわ。何かは分からないけどね」

 

マキさんがそう言った後すぐに、柏木さんが口を開いた。

 

柏木「けど、結局大人の戦争に子供が割って入る余地なんて無いよ。それが例え帝くんだとしてもね。……結局子供はどうせ見てることしか出来ない」

 

柏木さんの言葉に私は否定は出来なかった。確かに子供だけでは出来ることは限られている。

 

愛(でも優心くん家を味方に付けてなら介入が出来る。だけど……)

 

眞妃「……子供の私達の中で介入が出来るとしたら、優心ぐらいだろうね。まぁ、そうは言っても無理だと思うけど」

 

柏木「そうね。動くとしたら弦巻家だと思う。けど、今回の件は弦巻家は完全に関係ないから、出てこないんじゃないかな」

 

私が思っていた事を二人が口に出していた。

 

この二人の言う通りで、今回の騒動を弦巻家なら介入出来るし騒動を鎮静化もしくは無かった事にすら出来ると思う。

 

だから柏木さんの言う通り、弦巻家は関係無いから介入はないと思う。

 

愛(ただ、かぐやとかに何かあったら、優心くんが動いて最終的に弦巻家も介入しそうな気がするな……)

 

そう考えてるとマキさんから声をかけられた。

 

眞妃「……愛、どうかした?」

 

愛「今回の騒動で、かぐややマキさんとかが巻き込まれたりすると、優心くんが動いて最終的に弦巻家も介入しそうと思って……」

 

かぐや(……)

 

眞妃「それは言えてるわね……」

 

柏木「確かにあり得るね」

 

私の言葉に二人は納得しつつ少し静かになった。

 

愛(さっき、私の言葉にかぐやがなんとなく反応した……。弦巻家や優心くんの事で、私達が知らない何かを知ってるのかな……?)

 

そう思った私は、かぐやにその事を聞こうとした時だった。

 

眞妃「……まぁ、優心関係の事は置いといて、さっきから黙ってる貴女からは何もないの?この会を主催したのは貴女でしょ?本題は何?」

 

私がかぐやに聞こうとする前にマキさんが質問をしたので、聞こうとしてのを頭の隅に追いやった。

 

そして、かぐやのマキさんに対する質問の答えを待った。

 

しばらくして、かぐやが口を開いたがその一言はいきなり、セッ……の事だった。

 

それを聞いた眞妃さんが、かぐやに問い詰めていたが、本人は恥ずかしがって説明しようとしなかった。

 

だから、私が男子四人、会長・翼・帝・優心くんの

四人がボーイズトークをしていたのを聞いてしまったことを話した。

 

そのかぐや達三人で話をしている中で私は、色々と聞かれたことや補足したりして、話をしていた。

 

すると眞妃さんが私に聞いてきた。

 

眞妃「それで愛の彼氏、優心はどうだったのよ?」

 

愛「優心くんの答えは教えません。(それ以上に会長達に何か罰を与えたくて仕方ないんだけど)」

 

かぐや「確か……愛さんの胸が良いって言ってたわね」

 

私は言わないで言おうとしたら、かぐやが勝手に二人に教えてしまった。

 

愛「ちょ!かぐや、なに勝手に言ってるの!?」

 

かぐや「だって私や眞妃さん達の事を話したのに、自分の彼氏だけ言わないのはちょっと虫が良すぎると思っただけよ」

 

渚「早坂さん。よかったですね」

 

愛「あ、うん。……じゃなくて、優心くんの為に教えないでおこうと思ったのに……。なんでかぐやは教えちゃうかな……」

 

私の言葉に、柏木さんとマキさんの二人が"どういうこと?"と聞いてきた。

 

愛「優心くん、そのボーイズトークで無理矢理答えさせられた感じらしいんだ。最初は"嫌だ"とか言ってたど、会長達が引き下がってくれなかったみたい」

 

眞妃「それで?」

 

愛「私に聞かれたら嫌われるかもって思ったみたいで言いたくなかったけど、私達……特に私には話さない条件で渋々教えたって優心くんから聞いたよ」

 

柏木「それは確かに彼の為に教えたくないって思うね」

 

眞妃「でもそれを優心から聞くのも、大変だったんじゃない?その嫌われたくない相手の愛が、自分にそう聞いて来たら恥ずかしいというか嫌がってなかった?」

 

愛「まぁ……確かに、あまりいい顔というか嫌われるかもって不安な顔をして言ってたよ。まぁ、その時に"そんな事は無い"って伝えてあげた」

 

二人は私の言葉に"そうだよね……"と言っていた。

 

かぐやはと言うと、一言"ごめんなさい"と謝ってきたので許してあげた。

 

愛「あっ、そうだ。マキさんと柏木さんに聞きたいんだけど、帝くんと田沼くんって嫌いな物とかされて嫌な事ってある?」

 

柏木「なんでそんな事を聞くの?」

 

愛「ボーイズトークの件で、優心くんに無理矢理聞いたから会長達になにか嫌がらせをしようと思ってね。会長は虫が嫌なのは知ってるけど、二人は知らないから」

 

眞妃「あぁ……そういうこと。てか、愛は何気にえげつないわね。そんな事をするなんて」

 

愛「だってあの三人は、彼氏の優心くんに嫌な思いさせたんだよ。何もしないのは私的に嫌だったから、連帯責任として三人にしようと思ったんだ」

 

そんな私の言葉に三人は一旦静かになってしまったけど、柏木さんとマキさんは田沼くんと帝くんの苦手なものとかを教えてくれた。 

 

その後の話は、かぐやが言い出したボーイズトークでの内容の続きをしていき、時間が過ぎて一日が終わった。

 

因みに、翌日の放課後に会長・田沼くん・帝くんの三人に、嫌がることの仕掛けをしといた。

 

その後、優心くんと家へ帰るために、一緒に校舎を出た。その時に叫ぶ声が響いた。

 

けど、優心くんは気にしなかったから、お互いに聞こえた叫び声以外の学校であった事を話をしながら帰路に着いた。

 

 





次回も遅くなるかもしれませんが、よろしくお願いします。


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第66話


前回の後書きで遅くなると書きましたが、早く書きあがったので前回から一週間で投稿ができました。

今回は、バンドリアニメ第二期の第二話のロゼリアの主催ライブの話です。

ただし、ライブシーンは書いていません。ライブ前やライブ後などの部分を書いています。

そして最後の方にチュチュを登場させてますが、原作の口調が上手く書けなかったので、全然違う口調になっていると思いますので、ご了承ください。

では、本編をどうぞ。



 

 

~休日~

 

 

~優心視点~

 

 

会長達とボーイズトークをした日から、しばらく日が経ち休日になった。

 

今日の休日までのしばらくの間に色々とあった。

 

例えば、かぐやさんと会長が生徒会メンバーである石上とミコと千花に付き合ってる事を伝えて、千花がギャアギャアと叫ぶという出来事があった。

 

その後には、石上経由で校長からフランス校からの預かり物を受け取り、内容を確認をした。その内容は交流会の件での事だった。

 

なんでも前回はこちら側が主催したということで、今年は去年のお返しにフランス校が主催で交流会を開くのと、催し内容がダンスパーティーという内容だった。

 

その時に会長と千花が暗い顔をしていた。

 

会長は運動音痴なのは知っているから、暗い顔をするのは分かるが、でもなんで千花が暗い顔をするのかは分からなかった。

 

俺はそれに不思議に思いながらも、すぐに考えるのをやめて"ダンスパーティーに愛を誘おう"と思い、愛にすぐにスマホを出してメッセージを送った。

 

そしてすぐに返事がきて"OK"と返事がきたから、内心嬉しかった。

 

そんな日の帰り道に、リサから愛に主催ライブの件……、日時やチケット、ライブをやる会場などについての連絡がきたんだ。

 

 

そして今日の休日にロゼリアの主催ライブがあるので、愛と一緒にライブハウスへと向かっていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

愛と一緒にライブハウスへと向かっている間、今回の主催ライブの事で話をしていた。

 

ロゼリアがメインだけど、他のバンドも出るのでそのバンドの演奏も楽しみだ。

 

しかも今回はポピパも出演するとリサからのメッセージに書かれていたので、ポピパの演奏も凄く楽しみだ。

 

そして、今はライブハウスに向かっている。

 

愛「楽しみだよね。まさかポピパも出るとは思わなかったよ」

 

優心「確かに。他のバンドも出るのは知ってたけど、俺もポピパが出るとは思わなかったよ」

 

そんな感じで話をしていると、ライブハウスに着いた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ライブハウスに入った。チケットは取り置きをしてくれてるみたいなので、俺と愛は自分の名前を受付に告げた。

 

受付の準備が終わった後はライブ会場に入り、ライブが始まるまで待っている時だった。

 

「弦巻先輩?」

と、後ろから名前を呼ばれたので後ろを見ると、香澄の妹の明日香だった。

 

隣にはメガネをかけた女子がいたので、"友達かな?"と思いながらも、先に明日香に声をかけた。

 

優心「あっちゃんだ。もしかして香澄に誘われたの?」

 

明日香「あっちゃんって呼ばないでください……!」

 

優心「え~いいじゃん。香澄も呼んでるんだからー」

 

明日香「駄目です!」

 

優心「香澄は"あっちゃんって呼んでいいよー"って、言ってたんだよー」

 

明日香「その呼ばれる本人が駄目って言ってるんですー」

と、顔を赤くしながら文句を言ってくる明日香に、そう言われた俺は"分かった分かった"と伝えた。

 

ちょっとした掛け合いが一区切りついた時に、愛に服を引っ張られた。

 

愛「ねぇ、この二人とは知り合いなの?」

 

優心「メガネをしてる子は知らないけど、隣にいる明日香って子は一歳年下で香澄の妹だよ」

 

愛「そうなの?……でも言われてみれば、確かに雰囲気とかが香澄に似てる」

 

優心「性格は違うけどね。明日香はしっかり者で真面目な性格だよ」

 

愛「そうなんだ」

 

俺は愛に聞かれた事を答えてから、メガネの子と話をしていた明日香に"隣の子は誰?"と質問した。

 

明日香「同じクラスで、友達の朝日六花です」

 

六花「朝日六花です!」

 

優心「弦巻優心です。よろしく、六花」

 

六花「は、はい……!」

 

明日香「それで弦巻先輩の隣にいる人も、教えて欲しいですけど」

 

明日香からメガネをかけた子を紹介してもらって、お互いに自己紹介を終えると当然だけど愛の事を聞かれた。

 

優心「えっと、俺と同じ学校で、彼女の早坂愛だよ」

 

愛「早坂愛です」

 

明日香「お姉ちゃんが言ってた弦巻先輩の彼女って、この人だったんだ」

 

優心「香澄から聞いてたんだ」

 

明日香「まぁ……はい。自分の事みたいに自慢してきたので、実際会ってそこまで驚かなかったですよ」

 

明日香の言葉に"そっか"と言ったのと同時に、愛と話してた六花から話しかけられた。明日香は愛と話を始めているのを横目に見ながら、六花との会話をした。

 

六花からの話は当然、今日のライブの事だった。六花は特にポピパファンらしく、スペースの閉店ライブのポピパの演奏を見てファンになったそうだ。

 

しかもわざわざ岐阜からそのスペースのライブを見にきたと、それで今はバンドをするために岐阜から上京して、羽丘に入学した事も教えてくれた。

 

俺も自分の事、秀知院に通ってる事とかこころの事を聞かれて答えたりした。

 

そうしてると、ステージの照明が明るくなり音楽が鳴り始めたので話すのをやめて、ステージを見る事に集中した。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~明日香視点~

 

 

六花と一緒にロゼリアがやる主催ライブを見にライブハウスへと向かっていた。

 

明日香「六花、大丈夫?」

 

六花「ま、まさか人混みに流されるなんて……。けど、もう大丈夫だよ、明日香ちゃん」

 

ライブハウスに近くなった辺りで六花が人混みに流されたので心配して声をかけると、"大丈夫"と返してくれた。

 

そうこうしている内に、ライブハウスに着いたので受付で一悶着があったけど、お姉ちゃんが取り置きしてくれてるチケットで会場内に入った。

 

中に入ると、入り口近くにいるお客さんに見覚えがあった。

 

明日香「(あの人は……)弦巻先輩?」

 

優心「あっちゃんだ。もしかして香澄に誘われたの?」

 

私がそう名前を呼ぶと、確かに弦巻先輩だった。けど、弦巻先輩の第一声が"あっちゃん"だった。

 

いきなりお姉ちゃんが呼んでくる呼び方で、私を呼んできたから、弦巻先輩にやめてもらうように強く言っといた。

 

その問答が落ち着くと、六花から話しかけられた。

 

六花「明日香ちゃん。仲良さそうだけど、どんな人なの?」

 

明日香「隣の女性は分からないけど、私と話をしてた人は二個上の先輩で弦巻優心さん。ハロハピのボーカルをしてるこころ先輩のお兄さんだよ」

 

六花「え、そうなの!?」

 

明日香「うん。因みにあの秀知院に通ってるよ」

 

六花「えっ!あの幼稚園から大学まである学校に!?……前に言ってた明日香ちゃんがいい大学行きたいって言ってたけど、もしかして秀知院の大学に行きたいの?」

 

六花にそう聞かれたけど、すぐに否定した。

 

明日香「それはないよ。弦巻先輩からはやめてた方がいいって言われてる。私的には慶鵬女子大学か四ツ葉女子大学のどっちかにしようと思ってるから」

 

六花「あ、そうなんだ。そこでも凄いと思うけど……」

 

六花の質問に答えた辺りで、弦巻先輩から六花の事を聞かれたので教えて、その代わりに隣にいる女性の事を質問した。

 

話を聞くと、お姉ちゃんから自分に恋人が出来たかの様なテンションで聞かされた彼女さんだった。

 

その事を伝えたりして話をした。

 

それで一区切りついた辺りで六花が弦巻先輩に話しかけたので、私は早坂先輩に話しかけた。

 

しばらく話をしていると、ライブが始まったの話を終えてライブに集中した。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ライブ中・ポピパ終了後直後~

 

 

~優心視点~

 

 

六花「ポピパさんの演奏、いい演奏やった~」

 

俺の隣にいた六花がそう呟いていた。ライブ前にも語ってた通りに、相当な……筋金入りのポピパファンという事を理解した。

 

そんな事を考えつつも、俺は愛達三人に声をかけた。

 

優心「三人とも。あっちの壁側に移動しよう」

 

明日香「なんでですか?」

 

優心「次はロゼリア。つまりロゼリアのファンが一気に入ってきて余裕を持ってライブ見るのがキツくなるから」

 

そう説明をして壁側に移動したタイミングで、ゾロソロとロゼリアファンが入ってきた。

 

六花「凄い人の量……!」

 

ファンの人数に六花と明日香は驚いているのを見てから、ステージの方へ目を向けた。

 

その瞬間に、ロゼリアが登場し観客の歓声が響いた。

 

観客が静かになってからメンバー紹介に入って、最後にリサが友希那を紹介をした。

 

友希那「BLACKSHOUT」

 

リサからのメンバー紹介を受けた友希那は一礼してから、曲名だけを伝え、演奏が始まった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ライブ終了後~

 

 

~ライブハウス入り口前~

 

 

~優心視点~

 

 

ライブが終わり、愛と明日香と六花の三人とライブハウスの入り口前でポピパが出てくるのを待っていた。

 

しばらくして、ポピパが出てきて六花がすぐにそばまで言って感想を言っていた。

 

その光景を見ていると、ポピパの後ろの方にライブ衣装を着ている友希那がいるのを見かけた。

 

優心「愛。あそこにいる友希那の所に言ってくる」

 

愛「うん、分かった。私は香澄達と話しとくね」

 

愛の言葉を聞いてから、俺は友希那の所に向かった。

 

優心「友希那、お疲れ。ライブ良かったよ」

 

友希那「それなら良かったわ。今日の演奏に問題とかあったかしら?」

 

「あなたが湊友希那さん?」

 

友希那にライブの感想を一言を言って、演奏とかの問題点とかを聞かれたので答えようとした時に、友希那を呼ぶ声がして声がした。

 

その為、声をした方を向くと、中々見ない形をしたヘッドホンをしている女子がいた。

 

友希那「誰?……優心はこの人知ってるかしら?」

 

優心「いや、俺も知らない」

 

友希那「……そう」

 

友希那に知らない事を伝えてから、目の前の子の制服を見てみた。

 

優心(着ている制服はセロシア。あの学校はインターナショナルスクールの女子校だから、この子は帰国子女って事かな……)」

 

俺がそんな事を考えてると、相手が名乗ってきた。

 

チュチュ「私、プロデューサーのチュチュと申します」

 

優心(プロデューサーなんだ。……ロゼリアをスカウトしに来たとかかな?まぁ、決めるのは友希那だけど、断るだろうな)

 

友希那の事だから断るだろうと思いながら二人の話を聞いてると、案の定チュチュはロゼリアをプロデュースする為にスカウトしてきたと話し始めた。

 

そしてチュチュの話を聞いた友希那はすぐに断っていた。

 

チュチュ「なぜ!?」

 

友希那「私達は自分達の力で頂点に行く。だから、プロデューサーは必要ない。……優心、私は楽屋に戻るわ」

 

友希那はそう言って、俺が頷いたのを見てから楽屋へと戻って言った。

 

チュチュ「~~~!!なんなのよ!……はぁ」

 

友希那が居なくなってから、目の前にいたチュチュが叫んだが、すぐにため息をついていた。

 

チュチュ「……それよりあなたは?ロゼリアのマネージャー?」

 

優心「違うよ。仲がいい友達。……あ、自己紹介してなかったよね。俺は弦巻優心です」

 

チュチュ「さっき言った通り、プロデューサーのチュチュよ。……マネージャーでは無いなら、あなたに頼んでも意味ないわ。また友希那に言うしかないわね」

 

優心「……自分でメンバーを集めてバンド結成したらいいんじゃない?」

 

俺がそう言うと、チュチュは"え?"という声をキョトンとした感じで出していた。

 

優心「そうすれば自分の音楽を奏でられると思うし、チュチュも楽器演奏するとか演奏が無理でもDJするとかでもいいと思うよ」

 

チュチュ「……」

 

俺の言葉にチュチュは少し考えこんだ。

 

チュチュ「まぁ、候補の一つとして覚えておくわ」

 

そう言って帰っていくチュチュに俺は一つだけ伝えた。

 

優心「……今の友希那は……ロゼリアはプロデュースとかは受けないのも覚えておいてよ。チュチュ」

 

その言葉に一瞬動きを止めたが、そのまま帰っていった。

 

 

チュチュの後ろ姿が見えなくなったのを確認してから、愛の方へ戻った。

 

愛の元に戻ると、ポピパは居なかった。一足先に帰ったと愛は教えてくれた。

 

六花と明日香は俺と愛の四人で帰ろうと思ってたみたいで、待ってくれてたみたいなので、お礼を伝えた。

 

お礼を言った後は駅まで向かった。

 

愛「友希那の後に話をしてた人は誰なの?」

 

歩き始めた辺りで愛からそう聞かれたので、プロデューサーの人でロゼリアをプロデュースしたいから友希那に声をかけてきた事を教えた。

 

他にもその時に話した事を愛に教えてあげた。

 

愛「そんな話をしてたんだ。……チュチュって名前、芸名とういうか活動名的なものだよね」

 

優心「多分ね」

 

六花「優心先輩!」

 

愛と話をしていると、六花が声をかけてきた。

 

優心「ん?」

 

六花「やっぱりポピパさんの演奏良かったですよね!」

 

優心「うん。ポピパらしくて良かった」

 

明日香「私はロゼリアが良かったです」

 

愛「私はどっちも良かったって思った」

 

六花「愛先輩は一つに選べない感じですか?」

 

愛「そうかも」

 

家に着くまでの道で、皆と今日のライブの感想を言い合いながら歩いた。

 

因みに、休日にロゼリアのバンド練習を見に行った時に主催ライブでの演奏についての気になった事や感想をロゼリアの皆に伝えた。





優心はチュチュとは初対面です。

ただ、チュチュの母親で世界的バイオリニストの珠手美羽(たまでみう)と知り合いです。

優心がチュチュの母親と知り合いの理由は、数回程度、誠心と心美が弦巻家でプライベートで会っている際に出会ったからです。

その際にチュチュとは出会ってませんので、今回の出来事で初対面という事です。


次回の投稿は遅くなるかもしれません。


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第67話


今回も前回から一週間で投稿が出来ました。

ただ、急ピッチで仕上げた部分もある為、あとで修正をする可能性があります。それに加え、今回の文字数は前回より1000文字ぐらい少ない4000文字代です。

その為、クオリティが低く感じたりするかもしれませんので、その部分はご了承ください。

では、本編をどうぞ。



 

 

ロゼリアの主催ライブから、数日が過ぎたある日の放課後。

 

 

~優心視点~

 

 

~放課後~

 

 

今日もいつも通り学校が終わり、愛と一緒に家に帰った時だった。

 

玄関口に、こころ以外の花女の靴が1つがあった。

 

愛「花女の靴が、一つ多いね」

 

優心「うん。……今日は誰が来てるんだろう……?」

 

愛とそう話していると、玄関に来たメイドさんが声をかけてきた。

 

メイド「優心様、愛様、お帰りなさいませ」

 

優心「ただいま」

 

愛「ただいま。今日は誰が来てるの?」

 

メイド「少し前に、こころ様とハロハピの皆様がハロハピ会議をしておりました。今は奥沢様以外の皆さんがお帰りになっていますので、奥沢様だけがいるだけです」

 

優心「なんで美咲だけ皆と帰らなかったの?」

 

メイド「それが、奥沢様が優心様と愛様にお伝えしたい事があるそうなので、二人が帰ってくるまで待っていたという事です。今はこころ様と一緒に応接室におられます」

 

優心「分かった。教えてくれてありがとう」

 

メイドさんの伝言を聞いてお礼を言った後に、応接室に向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~応接室~

 

 

美咲「あ、優心さんと愛先輩」

 

応接室に入ると、美咲がそう言ってきた。俺の隣にいる愛は、こころと話をしていた。

 

優心「ついさっき帰ってきたんだけど、その時にメイドさんから、美咲が俺に伝えたいことって聞いたけど……」

 

美咲「えっとですね」

と、美咲は切り出して俺に伝えたいことを教えてくれた。

 

その内容は、こころが香澄達……ポピパの皆を笑顔にするライブをしたいと言ってきたそうだ。

 

それで、ハロハピ会議でどんなライブにするかという話をして決めて、皆が帰った後にもこころと話もして色々と決まったと教えてくれた。

 

美咲「それで決まったのはいいんですけど、ライブを実現にするには、気球と船が必要なんですよ。流石に船とかを普通の女子高生が準備とかは出来ません」

 

優心「確かにそうだね。……って事は、俺にその準備とかをして欲しいってこと?」

 

美咲「いや、それは黒服の人にお願いしてるので大丈夫です。単純に、お二人も船に乗ってライブを見て欲しいだけです」

 

優心「それだけ?」

 

美咲「こころの事なので、優心さんと愛先輩にも見て欲しいって思ってる筈です。まぁ、戸山さん達がメインなので、気球のライブの方を見てもらう事になると思いますけど……」

 

優心「分かった。まぁ、船の屋上デッキとかでのんびりと待っとくよ」

 

美咲「はい」

 

美咲とそう話をして部屋に戻ろうとした時に、一つ質問した。

 

優心「そういえば、気球とか船でライブの他にも何かやるとかある?」

 

美咲「いや、何もそういうのは決まってないですけど……」

 

優心「じゃあさ、気球のライブ終わりに打ち上げ花火をやったら、さらに笑顔になりそうじゃない?」

 

美咲「……え?」

 

俺の言葉に美咲は驚いた顔をした。そんな美咲を無視して華さんに声をかけた。

 

優心「華さん。ライブ準備してる黒服さんに、打ち上げ花火の準備もお願いして。打ち上げる場所とかその周辺の説明や周知は俺も一緒にやるから」

 

黒服(華)「分かりました」

 

優心「こころ」

 

華さんの次にこころに声をかけた。その時に愛にも説明した。

 

花火の話を聞いたこころは目を輝かせて、"やりましょう!"と言ってくれた。愛も楽しそうにしてくれた。

 

美咲「はぁ~……」

 

後ろから美咲のため息が聞こえてきたが、俺は気にせずに部屋から出て、別の応接室で華さんら黒服の人達と話を始めた。

 

そうして一日が終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

美咲から話をした日から、翌日の夜。

 

 

~優心視点~

 

 

~夜・ライブ当日~

 

 

美咲と話をした翌日の今日、スマイル号の船内で今まさに、船の中でハロハピがポピパの為のライブというか演出をしていた。

 

俺と愛はというとスマイル号の屋上デッキで、のんびりしながら話をしていた。

 

愛「優心くんとこころの誕生日パーティーで写真を見せてもらってたけど、実際にスマイル号を見てみると本当に大きいね」

 

優心「そうでしょ」

 

愛「うん。優心くんの船のハッピー号もこれと同じ大きさなんだよね?」

 

優心「そうだよ。このスマイル号と同じ形だからね」

 

愛「本当に凄いな……。あ、そういえば、ライブの最後にさ花火を打ち上げるって事にしたみたいだけど、周辺の街の人達にはどんな理由で伝えたの?」

 

優心「それは単純に花火大会をするという告知をしたんだ。今の時期でも花火大会している場所もあるからね」

 

愛「そうなんだ」

 

しばらく愛とそんな話をしていると、屋上デッキに出る為の階段から足音が聞こえてきた。

 

香澄「あれ?優心先輩と愛先輩だ~!みんなー、優心先輩と愛先輩がいるよー!」

 

姿を表したのは香澄で、俺と愛の姿を見た香澄は他の皆にそう叫んだ。香澄の後ろからは他の四人のポピパメンバーも上がってきた。

 

沙綾「あ、本当だ」

 

おたえ「おー、香澄の言う通りだ~」

 

有咲「なんでいるんだ?」

 

りみ「なんでだろう……」

 

香澄の言葉を聞いて信じてなさそうな顔をしていたけど、実際に俺と愛を見た皆は、すぐに各々の反応をしていた。

 

そんな皆に俺は、"美咲から見て欲しい"と頼まれたという事を説明した。

 

説明を聞いた皆は、"そうなんだ……"といった感じの顔をしていた。 

 

そうしてると、香澄が"皆、あれ!"と大声を出しながら、街の方を指を指した。街から、ミッシェルの形をした気球が出てきた。

 

優心「ミッシェルの形をしてたんだ……」

 

香澄「優心先輩達は知らなかったんですか?」

 

愛「こころとか黒服さん達に聞いても教えてくれなかったんだ。船と気球でライブをやるとしか聞いてないから詳しく知らないんだ」

 

有咲「二人も詳しく聞いてないんですか……」

 

優心「まぁね」

 

そんな話をしながら気球の方を見続けていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

しばらく見ていると、有咲が口を開いた。

 

有咲「なぁ……なんか飛んでね?」

 

有咲の言葉によく見ると何かが飛んでる……いや、落ちているように見えた。

 

香澄「すごーい!!飛んでるよ!」

 

俺の隣で香澄が目を輝かせて叫んでたが、頑張ってよく見ると、こころとミッシェルだった。

 

愛「こころ、やっぱり凄い」

 

しばらく様子を見てると、ミッシェルの足の裏からジェット噴射されて、こころを抱き抱えて空を飛び始めた。

 

優心「ミッシェル、いつの間にあんな機能ついてたの……?」

 

黒服(華)「少し前です。ミッシェルがジェット噴射でジャンプをする機能を応用して、飛行できるようにしました」

 

俺の呟きに隣で華さんが教えてくれたが、その直後にミッシェル&こころが船の横を飛んでいった。

 

そして花火が打ち上がり、しばらくして花火が打ち終わった辺りでミッシェルとこころが屋上デッキに降りてきた。

 

 

二人の元に香澄達が駆け寄って話をしていた。

 

そんな会話の中で、ミッシェルは緊張から解放されたのか倒れこんで、気球からパラシュートで降りてきた花音さん達に駆け寄られたりしていた。

 

さらに高所恐怖症の薫さんも倒れて、りみと二人して演劇みたいな状態な感じで心配されていた。

 

そんな感じが続いたがある程度落ち着いた時に、こころが俺と愛のところにやってきた。

 

こころ「お兄様、愛!今日のライブは、どうだったかしら?」

 

優心「良かったよ」

 

愛「びっくりな事もあったりして、楽しかった」

と、俺と愛がそう言うと、こころは笑顔になって嬉しそうだった。

 

そうこうしていると、スマイル号は港に着いたので今日は解散となった。

 

ポピパとこころ達ハロハピと、俺と愛は同じ車に乗ってそれぞれの家へと寄りながら帰った。

 

 

こうして、濃い出来事があった一日を終えた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

豪華客船スマイル号を使い、ポピパの為に開催されたハロハピのライブがあった日から、翌日の夜。

 

 

~優心視点~

 

 

~優心の部屋~

 

 

部屋で過ごしてると、スマホが震えて画面を確認するとお父様からのメッセージが来た通知だった。

 

内容を確認すると雁庵さんが倒れて入院したという事と、お父様が明日の夜に家へ帰ってくるというメッセージだった。

 

優心(雁庵さん、とうとう倒れちゃったんだ。……そろそろ物事が大きく動き出すだろうな)

 

お父様からのメッセージを見ながらそう考えてると、またスマホから着信音が鳴った。

 

今度は雲鷹さんの電話のようだったので、すぐに電話に出た。

 

優心「どうも」

 

雲鷹『おう。親父が倒れたって事は知ってるか?』

 

優心「はい。ついさっきお父様からその内容のメッセージが届いたんで、知ってます」

 

雲鷹『ならいい。それでだ……大兄貴が動きを見せた』

 

優心「動きましたか……」

 

雲鷹『あぁ。監視していた早坂の人間によると、今日の昼頃に大兄貴が親父に、自分に有利になる遺書にサインさせた』

 

優心「その遺書はどこに?」

 

雲鷹『親父が、役所に提出して公正遺言書として弁護士に預けるって事を伝えて親父が大兄貴から預かった。で、今は早坂正人が持っていて保管場所に向かっている』

 

優心「じゃあ、こっちが持っている雁庵さんが書いた本当の遺書は、公正遺言書として提出するで構わないですね?」

 

雲鷹『そうだ。親父付きの弁護士と弦巻家の弁護士は、弦巻家が代わりに提出する事に関しては了承済みだ』

 

優心「明日の夜にお父様が帰ってくるので、お父様に渡しておきますよ」

 

雲鷹『分かった』

 

優心「因みに、その遺書はあの名夜竹さんと密会に使われていた秘密の場所に厳重に保管する感じですか?」

 

雲鷹『そうだ。……あとは自由に動け』

 

優心「了解」

と、俺が言った瞬間に、向こうから通話は切れた。

 

通話が切れた後の俺は、ベッドに入り眠りについた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

お父様からのメッセージと、雲鷹からの電話があった日の翌日。

 

その日の夜にメッセージの通りお父様が帰ってきてくれたから、俺の部屋で雁庵さんの遺書を渡した。

 

後日、お父様から雁庵さんの遺書を公正遺言書として正式に提出したと教えてくれた。

 

こうして、遺書のやり取りは落ち着いて事が動くのを待つだけとなったので、それまではいつも通り過ごす事になった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

優心が父の誠心に雁庵さんの遺書を渡した日から、少し日が経ったある日の放課後。

 

 

~優心視点~

 

 

~放課後・生徒会室~

 

 

今日は、会長達の生徒会メンバーと愛と一緒に生徒会室で過ごしていた。

 

皆と話をしたりしていたが、千花だけは無表情で無言の状態だった。

 

その千花を見て不思議に思って、声をかけようとした時に千花が口を開いた。

 

それは衝撃の言葉だった。

 

千花「もーですね。私、彼氏を作ろうと思うんです」

 

その千花のたった一言に、俺と愛と生徒会メンバー全員が驚いてしまったのだった。

 






次回は、今回最後に書いた部分の続きである藤原千花の彼氏宣言の内容と、その他の話も書いて投稿します。

次回は遅くなる可能性があります。

ただ、前回や今回みたいに一週間で投稿できたら投稿しますが、一週間以上遅くなる前提で気長に待ってくれたら幸いです。


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第68話


前回の続きで、藤原千花の彼氏を作る宣言をした話です。

今回は、その内容のみです。

では、本編をどうぞ。



 

 

~優心視点~

 

 

~放課後・生徒会室~

 

 

千花がいきなり言った"彼氏を作る宣言"に、皆が驚いた。

 

そして皆が驚いている中で、石上が戸惑いながら"え?いきなりどうしたんですか?"と質問をすると、千花は怒鳴りながら答えてきた。

 

千花「どうもこうもないですよ!最近は右見ても左見ても色恋色恋!私だけ取り残されてるみたいじゃないですか!」

 

愛「ずっと黙ってると思ってたら、そんなことを考えてたんだ……」

 

千花の言葉に、愛がそう呟いた。

 

千花「そんなことって、どういう意味ですか!彼氏いる人は偉そうですよね」

 

愛「そんなマウントを取るつもりで言ったんじゃ無いんだけどな……」

 

優心「千花。一旦、落ち着いて話してくれない?」

 

千花「あ、はい。分かりました」

 

かぐや(また弦巻くんの声が、怖い状態になってましたね)

 

俺が声をかけると千花は素直に返事をしてきて、俺の方を見てたかぐやさんが千花の方を見て口を開いた。

 

かぐや「……ひとまず彼氏が欲しいと言っても、どんな方がタイプなのか分からないです。なので、藤原さんはどんな方がタイプなのか教えてください」

 

千花「とりあえずはコレですよね」

 

かぐやさんの質問に、千花は即答でお金マークを作りながら答えていた。

 

優心「とりあえずでお金って、どうかと思うけど」

 

石上「確かに。……とりあえずがそれって最悪な感じっすね」

 

千花「二人は黙っててください」

と、俺と石上に千花は言ってきた。

 

その千花の言葉に、かぐやさんはすぐさま"高収入の男は浮気をしやすい"などと、愛が言っていたと反論した。

 

かぐやさんの答えに、千花は愛に突っかかって言い合っていたが、かぐやさんが間に入り、一言だけ言葉を発してだまらせてた。

 

かぐや「……それで、藤原さんはどんな方がタイプなんですか?」

と、もう一度タイプを聞かれた千花は少し考えてから、"かぐやさんみたいな人"と答えていた。

 

今度の千花の答えに会長が反応して、"かぐやをやらんぞ"とノロケて千花がまたあーだこーだと文句を言っていた。

 

ミコ「急に彼氏とか言い出したのって四宮先輩に彼氏が出来たからなのかも。藤原先輩って四宮先輩を彼氏役にしてた節があるから」

 

石上「あー……同性相手に彼女ムーブして周囲に女子力をアピールする人が居るよな」

 

ミコ「日本も同性婚出来るから同性同士のカップルがいるけど、好きじゃない同姓からされたり異性が好きな人からしてみれば良い気してない筈なので、やめてた方がいいですよ」

 

千花「人聞きの悪いことを言わないでくださいよ!」

 

あーだこーだ言っていた千花に石上とミコが、鋭い感じの言葉を言って千花を追い詰めていた。

 

そうしていると、石上とミコの言葉に反論した千花が静かになった。

 

静かになってから少しした辺りで千花が"寂しい"と言ってきた。皆と話題を共有したいのに、そういったのがないのが疎外感を感じていたそうだ。

 

石上「そういう事なら真面目に話を聞きますか」

 

会長「だな」

 

千花の言葉を聞いた二人はそう言って、その言葉を聞いた千花は俺の方を見てきた。

 

優心「まぁ俺も、話を聞くだけならいくらでも聞くよ」

 

千花「優心くんはいつもだけど、会長も石上くんもなんだかんだ優しいんだから。そんな三人が私は大好きですよ」

 

千花がそう言うと女子三人は静かになったが、俺は気にせずに千花に一つ伝えた。

 

優心「俺が一番大好きなのは、愛とこころだから。あ、でも両親も黒服さんもメイドさんも執事も料理人さんの皆も大好きだし」

 

千花「結局、皆が好きってやつですよね」

 

優心「そうだよ。でもさっき言った通り一番は愛とこころだから、そこは譲れないよ」

 

俺がそう言うと愛が腕に抱きついてきたから、頭を撫でた。

 

千花「……またそうやってイチャつく。会長とかぐやさん以上ですよ、この二人は……」

 

会長「……藤原、ちゃんと教えてくれないか?相手のタイプのことを……」

 

千花「あ、はい」

 

会長の質問に、千花は答え始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~愛視点~

 

 

かぐやからタイプを聞かれた書記ちゃんは、"これですね"と言って手をお金マークにしていた。

 

かぐや「高収入な男ほど、浮気するわよ。収入が低くても真面目な人と付き合った方がいいって、愛さんが言ってたわよ」

 

千花「流石早坂さん。しっかりした考えだ。……ん?でも早坂さんの彼氏は優心くんですよね。優心くんの家は異常な程の金持ちですよ。言ってる事と矛盾してません?」

 

かぐやに言われた事に対して、私を見ながら"矛盾"と言ってきた。

 

愛「そりゃ言った内容が違うかもしれないけど、優心くんは浮気する人じゃないでしょ?だから、好きになったんたから!」

 

千花「でも、偉そうにかぐやさんに言っておきながら、矛盾していることをしてる時点でどうかと思いますよ!」

 

愛「書記ちゃんは、優心くんの事を浮気するようなヒドイ男と思ってるの?」

 

千花「そんな事は思ってないですよ。単純に言ってる事と、現実での行動が違う事を言ってるだけです」

 

愛「私が前に言った事に当てはまらない人だっているんだよ。優心くんみたいな人とか!」

 

かぐや「二人とも落ち着いてください!」

 

書記ちゃんと言い合ってると、かぐやが一言だけ強めに言葉を発してきたから、私と書記ちゃんは黙ってしまった。

 

かぐや「……それで、藤原さんはどんな方がタイプなんですか?」

と、質問された書記ちゃんの答えは、"かぐやみたいな人"と答えていた。

 

ただ、その答えに会計くんとミコの二人から色々と言われて、その二人の言葉に落ち込んだ状態の上に呟く感じで、"寂しい"と言っていた。

 

その書記ちゃんの様子に、会長達男子三人が真面目に話を聞くという事になったけど、その時に書記ちゃんが三人に"大好き"と言い放った。

 

愛(友達として好きという事だと思う。けど、書記ちゃんのその言い方が、ラブとしての好きって感じに聞こえたから、凄く嫌な気持ちなんだけど……)

 

書記ちゃんの言葉を聞いた私は、そんな事を思いながら男子三人と書記ちゃんの様子を見ていた。

 

……けど、唐突に優心くんが、"一番は愛とこころだから、そこは譲れないよ"と言ってきて、それを聞いた私は凄く嬉しくなり、反射的に優心くんの腕に抱きついた。

 

すると、優心くんは頭を撫でてくれた。

 

会長「……藤原、ちゃんと教えてくれないか?相手のタイプのことを……」

 

優心くんの腕に抱きついて頭を撫でてもらってると、会長が再度どんなタイプが好きなのか質問をしたので、優心くんから離れて書記ちゃんの答えに耳を傾けた。

 

努力家、優しい人、頭が良い人、犬派だから犬っぽい人、お兄ちゃんに憧れてたから兄っぽい人。

 

それがゲーム好きな人、小気味良いツッコミくれる人、サッカー好き、駄目な時は駄目って言ってくれる人。

 

書記ちゃんが色々と答えていた内容をまとめると、大体こんな感じだった。

 

愛(優心くんに、殆ど当てはまる)

 

私の彼氏の優心くんに当てはまっていた。

 

優しいのは前からそうだったし、努力家は、優心くんは天才だけどいつも頑張ってる所があるからそういう意味では当てはまるし、頭の良さも当てはまる。

 

犬っぽい所は、ボーイズトークの件で頭を撫でてあげた時とか、弦巻夫妻……特に心美さんとか帰ってきた時なんかは、優心くんは嬉しそうにしてた所は犬みたいだったかな。

 

まぁ、目に見えてこころの方が喜んでるから、端から見るとそんなに喜んでなさそうに見えるけど、私から見たら尻尾を振ってる犬みたいに見えた。

 

それで兄っぽいのは、妹にこころがいる。なによりあことかが優兄って言って慕ってるから、これも考え方によって当てはまる。

 

ゲームも優心くんの部屋にあって、たまに優心くん自身や私とこころとも遊んでるし、サッカー好きの部分は優心くんは運動全般が好きだから、大雑把に言えば当てはまるはず。

 

ツッコミとかは書記ちゃんに言ったりしてるし、駄目っていう部分もこころとかに言ってあげてたりしてるから、当たってる。

 

私はしばらく書記ちゃんが言った相手のタイプを、一つずつ優心くんに当てはめて考えてていた。

 

愛(待って。優心くんに当てはまり過ぎてる。……書記ちゃん、私の彼氏狙ってる?)

 

そんな考えが出てきたが、その考えを思えば思うほど不安になってきたから、もう一度優心くんに腕に抱きついといた。

 

千花「早坂さん、なんでまた優心くんに抱きついてるんですか?」

 

愛「だって書記ちゃんがさっき言ってたタイプが、殆ど優心くんに当てはまってる。だから、狙ってるんじゃないかと思ったから」

 

石上「あ~、確かにそれは言えてますね」

 

会長「他にもいると思うが、聞いてた俺もとっさに弦巻を思い浮かべたぞ」

 

千花「そんな事しませんよ!何よりもそもそも狙ってないですから!」

 

愛「なに?優心くんには、狙うほどの魅力ないって言いたいの?」

 

千花「そうは言ってないですよ!!早坂さん、めんどくさい人ですね!」

 

愛「好きな人とか彼氏が出来たら、そう思うよ」

 

私がそう言うと、かぐやは頷いていた。ミコはなんとも言えない表情をしつつも頷いていた。

 

千花「もう、皆ヒドイですよ!優心くん以外でそういう人いないですか!」

 

書記ちゃんのその一言で、皆が静かになって考え始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~優心視点~

 

 

千花「もう、皆ヒドイですよ!優心くん以外でそういう人いないですか!」

 

千花の言葉で皆が考え始めた。

 

会長「帝は?」

 

皆が考えていると、会長が帝の名前を出してきた。

 

石上「あのツンデレ先輩の弟さんでしたっけ?」

 

会長「あぁ」

 

優心「確かに、帝は千花が言ってたタイプに色々と当てはまる……」

 

会長「藤原、四条帝は?」

 

千花「そうですね……。確かに「駄目です」……かぐやさん?」

 

会長に帝はどうかと聞かれた千花が考え始めた時に、かぐやさんが大きめの声を出した。

 

かぐや「私が認めた人以外許しませんから」

 

かぐやさんは、どうやら千花を帝と付き合わせるのは嫌みたいだった。

 

優心(純粋に友達の千花を心配してるのもあるだろうと思うけど、四条と四宮関係の仲とかも関係してるかも)

 

かぐやの言葉を聞いた千花は笑顔で"かぐやさん大好きです"と言って、かぐやさんに抱きついていた。

 

かぐや「今週中に藤原さんに相応しい男性をリストアップしときますね」

 

千花「え?」

 

かぐやさんに"大好き"と言いながら抱きついて、"愛に性別は関係ないんです"と言った直後に、かぐやさんに言われた言葉に千花は固まった。

 

千花「いや私は、あの……」

 

かぐや「私が必ず素敵な彼氏を見つけてあげるわ」

 

千花は必死にかぐやさんに何か伝えようとしているが、かぐやさんの有無を言わさない感じに圧倒されて言葉が出てきてない感じだった。

 

その様子を見ていると、かぐやさんが俺の方を見てきた。

 

かぐや「あ、もし性別を問わないのであれば、女性を紹介してもらうのはどうでしょう?弦巻くんには女友達がいますからね。弦巻くん、紹介できる人はいますか?」

 

かぐやさんの言葉を聞いた俺は、取り敢えずバンドメンバー達を思い浮かべた。その間、千花はずっと引きついた顔になっていた。

 

優心「……お金関係は除外されてる状態の千花のタイプに、バンドの子達の中を当てはめるとパッと思い付くのは一人かな」

 

かぐや「どんな方ですか?」

 

そう聞いてきたかぐやさんと耳を傾けている皆に、"勿論、他にも当てはまるバンドの子はいると思うけど……"と前置きしてから、名前を教えた。

 

優心「……氷川紗夜って名前の女子がいいかなって思う」

 

石上「氷川って名字どこかで聞いたような……」

 

紗夜の名前を言った時に、石上がそう呟いていたから、俺は紗夜の事を教えた。

 

優心「紗夜は、パスパレの氷川日菜の双子の姉だよ。だから聞き覚えがあったんだと思うよ」

 

石上「え?あの人、双子の姉がいたんですか?」

 

優心「そうだよ。それで、これが紗夜の写真」

 

石上「……確かに双子って言うだけあって似てますね」

 

会長「確かに、似てるな……」

 

優心「うん。それで日菜は姉大好きっ子だから、パスパレの番組とかで、紗夜の……姉の大好きな所とかを結構語ってるよ。今度、パスパレの番組見てみて」

 

石上「あ、分かりました」

 

会長「それで、本題の藤原のタイプに当てはまってるのか?」

 

石上の会長からタイプの事を聞かれたから、一つずつ教えた。

 

優心「……紗夜の性格は、真面目でストイックなんだ。だから努力家と言える。その結果、頭もいいね。それでいて色々と言いつつも付き合ってあげたりしてるから優しいよ」

 

俺がそう言うと、皆は"なるほど"といった感じだった。

 

優心「それに、さっき言ったけど、双子の妹に日菜がいる。だから兄と姉の違いがあるけど、千花の兄っぽいという部分は当てはまると思うよ」

 

かぐや「なるほど。趣味などのフィーリング部分はどうですか?」

 

優心「ゲームはNFOっていうのやってるし、サッカー好きかは分からないけど運動神経はいいよ。初めてのスポーツでも経験者よりも上手いから運動系も問題ない」

 

愛「そういえば、紗夜って学校で風紀委員してるよね」

 

会長「という事は、駄目な所はしっかり言ってくるって事か……」

 

優心「そういうこと」

と、俺が言い終わると、かぐやさんがずっと固まった顔をしていた千花に、顔を向けて一言だけ言った。

 

かぐや「だそうですよ。藤原さん、どうですか?」

 

千花「やっぱり大丈夫です!しばらく独り身でいきますので!」

 

かぐやさんの笑顔での言葉に千花は大声で、一人でいいと叫んで生徒会室から出ていった。

 

 

その光景に皆で苦笑いしてしまったが、千花の彼氏作る宣言した出来事は千花が居なくなった事で話が終わった。

 

 

そして、千花が居なくなったので、今日の生徒会は解散となり、愛と一緒に帰った。

 





"紗夜以外にもいるよ"と思うかもしれませんが、今回は紗夜ぐらいしか思い付かなかったので、紗夜の名前を出しました。

それと、本小説の作中世界の日本では、同性婚が出来ることになっています。

次回も、遅くなるかもしれません。


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第69話


今回は、かぐや様の方のキャラは登場しません。バンドリ側の方のエピソードを軸に書いています。

そして、バンドリアニメ第二期の朝日六花加入前のラスメンバー、レイヤとパレオの二人、そしてますきとチュチュ、マイゴのキャラである要楽奈(かなめらーな)も登場させてます。

ただ、口調などについてあまり期待をしないでください。

今回、9000文字代になりました。

では、本編をどうぞ。



 

 

~優心視点~

 

 

生徒会室で千花の彼氏が欲しい宣言で、話が盛り上がった日から翌日。

 

 

今日は休日で、こころは花女と羽丘の合同でやる文化祭での出し物で使う物を買うために、愛と一緒に出掛けている。

 

その為、二人は家にいない。

 

 

俺は一人で今日の休みをどう過ごそうか悩んでいた。

 

 

そうしていると、着信音が鳴った。

 

画面を見ると、ますきからの電話だった。

 

優心「ますき、そっちから電話してくるの珍しいけど……」

 

ますき『優心さん、今から会えませんか?』

 

優心「……まぁ、今日は予定は無いから会えるけど、いきなりどうしたの?」

 

ますき『色々とあるんでちゃんと説明しますけど、まず私バンド組めました』

 

いきなり電話をしてきたますきの最初の言葉を不思議に思いつつも答えて、電話をしてきた理由を聞くとバンドを組めたことを言われた。

 

優心「え、それほんと!?やったじゃん!念願のバンドを組めて!」

 

ますき『……そうっすね』

 

俺の言葉に、ますきは少し照れてそうな感じの返事をしていた。

 

ますき『それでですね。今、ギター以外の私を含めた全員が、集まっているんです』

 

優心「ギターは居ないの?」

 

ますき『ギターが出来る人はまだメンバーに居ないです』

 

優心「そっか。それで、今は音合わせだとか練習とかで集まってる感じなの?」

 

ますき『はい。それで練習が終わった時に、優心さんにバンドを組んだ事を教えてないって事を思い出したんです。それでメッセージを送ろうとした時に、無意識に名前が口から出てたみたいで……』

 

優心「俺の名前を聞いた皆が気になって呼んでほしいって頼んできたから、俺に電話をしてきたって事?」

 

ますき『そうですね』

 

優心「分かった。どこに行けばいい?」

 

俺がそう聞いて、ますきから聞いた場所へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ますき視点~

 

 

チュチュ「これで最強のバンドが爆誕する!」

 

スタジオの外でチュチュがそう叫んでいた。

 

マスキング(それ、昨日も叫んでたし、"ロゼリア待ってなさい"とかも言ってたな……)

 

そんな事を思いつつも、練習を終えた私はスタジオから出て水分補給をした。

 

マスキング(そういえば、優心さんにバンド組んだことを伝えてねーな)

 

そう思った私はカバンからスマホを出してメッセージ画面を開いた。

 

マスキング「……単純にバンドを組んだって一言だけを、優心さんに送ればいいか……」

 

パレオ「マッスーさん、優心さんって誰ですか?」

 

マスキング「……え?」

 

レイヤ「ますき、口から言葉出てたよ」

 

マスキング「マジか?」

 

パレオ「はい」

 

無意識に口から出ていた事に驚いた。

 

パレオ「それで、その優心さんって人はどんな方なんですか?」

 

マスキング「別の学校に通ってる一つ年上の先輩で男子だ」

 

パレオ「という事は、三年生という事ですね」

 

レイヤ「……確か、その人ってますきが前からいつもバンドを組めるのを応援してくれてるとか、自分が慕ってる人の一人って言ってた人だよね」

 

マスキング「何勝手に言ったんだよ。レイヤ」

 

パレオ「今、会ってみたいです」

 

マスキング「はぁ?」

 

いきなり会ってみたいと言ってきたパレオに何言ってんだって感じに声が出てしまった。

 

パレオ「だって気になるじゃないですか。マッスーさんがそこまで言う人ですから。会うなら早い方がいいと思いますし」

 

レイヤ「確かに私も気になるよ」

 

ますき「いやいや、優心さんにも予定あるだろうから、今会うのは無理だろ」

 

パレオ「それは、聞いてみないと分からないじゃないですか~」

 

隣で聞いているレイヤも頷いている。そんな二人を見て、諦めさせるのは無理そうだと思った私は諦めて電話を掛ける事にした。

 

マスキング「はぁ~。電話して聞いてみるけど、期待すんなよ」

 

私はそう言って優心さんに電話をかけ、繋がった。

 

その結果、優心さんは予定は何もなかったからここに来ることになったから、その事を伝えた。

 

パレオ「じゃあ、どんな人か分かりますね!」

 

レイヤ「私も気になってから、会うのは楽しみだよ」

 

優心さんが来ることを伝えると、二人は上機嫌なトーンで楽しみにしている感じだった。

 

チュチュ「ちょっとあなた達!さっきから何を騒いでるのよ!」

 

二人に伝えた後に、私がスタジオから出てからずっと画面を見ながら、曲の作業をしていたチュチュが声をあげた。

 

パレオ「チュチュ様、これからマッスーさんの知り合いがやってくるんです」

 

チュチュ「はぁ?マスキングの知り合い?どんな奴なのよ」

 

マスキング「弦巻優心さん。優心さんが高一で私が中三の時に会った人っす」

 

私が名前を言うと、チュチュが固まった。

 

チュチュ「ちょ、マスキング!弦巻優心と知り合いだったの!?」

 

固まったと思ったら、いきなりチュチュが大声を出した。

 

マスキング「いきなり大声を出すなよ。つーか、優心さんの事、知ってんの?」

 

チュチュ「湊友希那に初めて声をかけた時に、居たのよ!」

 

チュチュの話を詳しく聞くと、どうやら私達をスカウトする前に、ロゼリアをプロデュースしようと考えていたらしい。

 

それで、ロゼリアの主催ライブがあった日のライブ終わりに、リーダーの湊友希那に声をかけた時に、優心さんが隣に居たそうだ。

 

マスキング「それで知ってるわけか」

と、チュチュの話を聞いてそう返事をした時に、私たちがいる高層マンション最上階の部屋のインターホンが鳴った。

 

パレオ「マッスーさん。あの人がその優心さんでよろしいんですか?」

 

パレオが画面を見ながら聞いてきたから、私も確認の為に画面を見ると優心さんが映っていた。

 

マスキング「あぁ。あの人だから、入れてやってくれ」

 

パレオ「分かり……「あ、パレオ」なんですか?」

 

マスキング「優心さんに護衛をしている黒服が三人いるんだ。流石に三人がここに入ると圧があると思うから一人だけ入れてやってくれ」

 

パレオ「護衛が三人いるってすごい人ですね……。それよりも、初対面の私がいきなり護衛の方の事を言うと、なんで知っているのか疑問を抱くと思いますけど……」

 

マスキング「……それもそうか。私が出て伝えるよ」

 

パレオにそう言って、私が出た。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

部屋まで案内をした。

 

優心さんが部屋に入るなり、パレオとレイヤ……特にパレオが優心さんに近づいた。

 

パレオ「私、バレオと申します。いきなりで申し訳ないですが、マッスーさんと出会ったきっかけをお聞きしてもよろしいですか!」

 

パレオが優心さんに近づいたと途端に、質問を投げ掛けた。

 

優心さんは驚きつつも、質問に答えていた。それを皮切りに、レイヤも加わり二人から質問責めを始めた。

 

その質問責めをしている光景を見て、私とチュチュは蚊帳の外と化していた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~優心視点~

 

 

ますきから言われた住所に向かうと、そこはタワマンだっだ。その最上階がますきが組んだバンドの人がいるそうだ。

 

しかも、ここに来るまでの間に晴海さんから電話が来た。ますきがバンドを組んだ事と、スカウトしてきたのはチュチュという事を教えてくれた。

 

晴美さんとの電話を終えた後に、華さんがチュチュは珠手美羽(たまで みう)さんの娘と教えてくれた。

 

優心(てか、あの人に娘がいたんだ。お父様達は何も言ってなかったけどな……。まぁ、いいや。部屋番号を押して話そう)

 

対応してくれたのは、ますきだった。

 

 

部屋まで案内されて部屋の中に入ると、色とりどりの髪色をした子に駆け寄ってきた。

 

パレオと名乗ったその子は、ますきと出会ったきっかけを質問してきたので、いきなりの質問だったから驚いたけど答えた。

 

そこからレイヤって子も話に加わってきた。

 

通っている学校……秀知院の事や、護衛が付いている理由や護衛繋がりで自分の家である弦巻家の事などを話すことになった。

 

それ以外にも妹の事や、妹がバンドをやってる事なども話をしていった。

 

あと、皆がニックネームで呼ばれているのも教えてくれた。ますきは、マスキングと呼ばれているそうだ。

 

ただ、俺はますきと呼ぶのに慣れてるから、前と同じでますきと呼ぶことにする。

 

チュチュからは今作っている曲を聞かせてもらったが、凄くかっこよくて、ライブで披露すればファンも声をあげて盛り上がれるような曲だった。

 

そんなこんなで時間が過ぎていって、お昼の時間になっていた。

 

パレオ「あ、もうお昼ですね。昼食にしましょう!優心さんも食べていってください」

 

パレオにそう言われた俺は、特に断る理由がなかったから食べる事にした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

お昼をご馳走になった。昼食に出てきた料理は美味しかった。

 

お昼を食べ終わった俺は家に帰ることにした。

 

チュチュ「優心」

 

帰ろうと玄関に移動した時に、チュチュに名前を呼ばれた。

 

ますきとパレオとレイヤは居なくて、玄関先でチュチュと二人になっていた。

 

チュチュ「あなたの言う通り、メンバー集めたわ。まだギターは居ないけれど……」

 

優心「あの主催ライブの時以外にも、ロゼリアに声をかけたの?」

 

チュチュ「えぇ。あの後にもスカウトしたわ。だけど、ダメだったから、メンバーを集めることにしたの。……私の誘いを断ったロゼリアをぶっ潰す為に!」

 

チュチュの最後の言葉に、"ん?"となった。

 

優心「ロゼリアをぶっ潰す?」

 

チュチュ「その通りよ。私が作った最強の音楽でロゼリアに勝って私の誘いを受けなかった事を後悔させてやるのよ」

 

優心(……ロゼリア結成した頃の友希那みたい。父親を捨てた事務所やイベントとかに見返すって言う所が……。やり返す事しか頭に無い感じだ)

 

チュチュの言葉を聞いて、俺はそう思っていた。

 

優心(……チュチュもどこかで躓いたらロゼリアと同じようにメンバー間で問題が起きてバンドがバラバラになる道筋をいきそうな気がする)

 

チュチュ「ちょっと、急に黙ってどうしたのよ?」

 

優心「なんでもない。……いや、一つ忠告しとく」

 

チュチュ「なによ」

 

優心「その復讐というか仕返しの為にやってたら途中で問題が起きてバンドがバラバラになると思うよ」

 

チュチュ「そんな事なるわけ無いじゃない。私がプロデュースしているバンドよ!」

 

優心「俺が知ってるバンドの一つで仕返しをするつもりでリーダーが結成したバンドがバラバラになりかけた事があったんだ。今は解決してそういうのは殆ど無いけど」

 

"ロゼリアの事だけど"と声に出さずに内心にそう思いながらチュチュに教えた。

 

チュチュ「それは、リーダーにまとめる力が無かったからよ。私ならそんな事になる事は無いわ」

 

優心「……まぁ、忠告はしたからね」

 

チュチュ「ご忠告ありがとう」

 

優心「じゃあ帰るよ。……ますきー!バンド、頑張って。応援してるから」

 

ますき「うっす!」

 

名前を呼んで、顔を出したますきにそう言って返事を聞いてから、俺は玄関を出て外へ出た。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

優心(チュチュ心配だな。根はいい子なのは話をしてわかってるんだけど、やり方やら自信過剰の所とかが危うい感じ。でも忠告はしたし、ますきやレイヤ、パレオの三人がいるからなんとかするだろう)

 

タワマンから出た俺は俺はそう考えてから、午後はどうしようかと悩んだが、何か甘いものを食べたいと思ったので、樹の実家の古川屋(ケーキ屋)へ向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~古川屋~

 

 

樹「あ、優心いらっしゃい」

 

お店に入ると、接客をしていた樹が出迎えた。

 

優心「今日、店内で食べるよ」

 

樹「分かりました。……それで、どれ食べる?」

 

優心「最近のおすすめとかはある?」

 

樹「最近は抹茶を使ったケーキ全般だね。お父さんが抹茶を使ったケーキを作るのに凝ってるから、抹茶系がおすすめなんだ」

 

俺はショーウインドウを見てみると、確かに他のケーキに負けない程の抹茶系のケーキもたくさん並んでいた。

 

優心「じゃあ、抹茶のケーキとロールケーキ一つずつとコーヒーもください」

 

樹「分かりました」

 

俺は樹に注文と会計して商品を受け取ってテーブル席に座った。

 

俺は、先にロールケーキから食べはじめた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

「抹茶ケーキ……」

 

ロールケーキを食べ終わってコーヒーを一口飲んで、抹茶ショートケーキを食べようとした時に、隣から一言呟いた声がした。

 

その声に気になった俺は声をした方を見てみると、オーナーと俺よりは年下の女子がいた。

 

優心「オーナーと、誰……ですか?」

 

オーナー「私の孫だよ。名前は、楽奈(らーな)だ」

 

優心「あ、なるほど……って、孫!?初めて聞きましたけど……!」

 

オーナー「あぁ、言ってなかったからね。それに優心がスペースに来る時は楽奈が来ない時だったからね。知らなくて当然さ」

 

優心「そうなんですね……。それより、楽奈でいいんだよね?」

と、オーナーと話をした後にずっと抹茶ショートケーキを見ていた楽奈って子にそう聞くと"うん"と頷いたから、"抹茶好きなの?"と質問した。

 

楽奈「好き。さっきはロールケーキ食べたいけど、もっとケーキを食べたい」

 

優心「……じゃあ、これあげようか?」

 

楽奈「いいの?」

 

優心「うん」

 

楽奈「じゃあ食べる」

 

俺は楽奈に抹茶ケーキをあげた。すると、一口二口笑顔で食べたが、すぐに俺に顔を向けてきた。

 

楽奈「……名前」

 

優心「ん?」

 

楽奈「名前、何?」

 

優心「優心。弦巻優心だよ」

 

楽奈「分かった」

 

名前を聞かれて教えると、一言だけ返事を返してまた黙々と残りのケーキを食べはじめた。

 

優心「オーナー。楽奈が俺の方のケーキ見ながら食べたいって言った時、なんで止めなかったんです?」

 

オーナー「優心なら大丈夫だろうと思ってね。優心以外だったら止めたよ」

 

優心「そうですか……。まぁ、こんな風に美味しそうに食べてるのを見るとあげて良かったなって思いますけど」

 

オーナーとの少ない会話をしている間に、楽奈はケーキを食べ終わっていた。

 

楽奈「満足」

 

優心「それなら良かった」

 

楽奈「スペース知ってるの?おばあちゃんの事も知ってた」

と、ケーキを食べて満足していた楽奈が質問してきた。

 

優心「うん、知ってるよ。よく、スペースに行ってたりしてたから」

 

楽奈「じゃあ、ライブやるの?」

 

優心「ううん。俺はお客さんとしてライブを見てただけだから、バンドはやってない。だからライブもやらないよ」

 

楽奈「ふーん」

 

俺の答えを聞いた楽奈は、興味を無くしたような感じになっていたが、そんな楽奈に俺は質問した。

 

優心「楽奈は、楽器とかバンドやってるの?」

 

楽奈「ライブハウスとかいろんな所で、ギターを好きな時に弾いてる。けど、バンドは一度もやってない。つまんねー人ばかりで、おもしれー人とかが居ない」

 

優心「そうなんだ。(おもしれー、つまんねーでの判断は独特だけど、自分の気に入った人が見つかってないからバンドを組んでないって事だね)」

 

オーナー「今の言葉の意味は分かったかい?」

 

優心「楽奈の言いたい事は、なんとなくは分かりますよ」

 

オーナー「そうかい。他の人なら聞き返したりすらからね」

 

優心「そうなんですね」

 

俺は、オーナーに聞かれた事を答えてから、楽奈に声をかけた。

 

優心「楽奈」

 

楽奈「?」

 

優心「今はおもしれー人が居なくても、いろんな所でギター弾いてたらおもしれー人とバンド出来る日が来ると思う。だから、そのままギターを弾きたい時に弾いてたらいいよ」

 

楽奈「ん、分かった。……おばあちゃん、帰る。話もケーキも満足したから」

 

オーナー「あぁ」

と、楽奈の言葉にそう返事をして、楽奈の分とオーナー自身のお皿やコップが乗ったトレイを返却口へと持っていった。

 

楽奈「じゃあね」

 

優心「うん。じゃあね、楽奈」

 

楽奈「ん」

と、言った楽奈はオーナーの側へと行き、二人はお店を出ていった。

 

出ていったのを見てから俺は残ってる自分のコーヒーを飲みきってから、返却口にトレイを持っていってお店を出た。

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

チュチュ宅に行ったのと、オーナーとその孫の楽奈と会って話をした日から少し経ち、ある平日の放課後。

 

 

~優心視点~

 

 

今日も授業が終わったので、家に帰っていた。愛は三鈴とすばるの二人と遊びに、何処かに寄り道しに行ったので俺は一人で帰っている。

 

いつも通りに家の最寄り駅に着いて、商店街……山吹ベーカリーの前を通りかかった時だった。

 

沙綾「優心先輩」

 

ちょうど、山吹ベーカリーの入り口から顔を出している沙綾から名前を呼ばれた。

 

手招きされたのでそのままお店の中に入ると、そのまま沙綾の部屋まで案内された。

 

部屋に案内された俺は、沙綾に質問した。

 

優心「部屋まで俺を連れてくるって、聞かれたくないような悩みでもあるの?」

 

沙綾「……分かります?」

 

優心「まぁね。だって、新作パンの話とか世間話、バンドの出来事とかなら、下のお店や有咲の家の蔵で話せばいいから」

 

沙綾「そうですね……」

 

優心「それと、チスパやポピパ結成の時にしてた表情をしてたよ。だからバンドの事で何か不安とか心配な事があるじゃないかなって思ったよ」

 

俺がそう言うと、沙綾が一旦顔を下に向けてから俺の方を向いてきた。

 

沙綾「おたえが、他のバンドのサポートギターをするみたいなんです」

 

優心「それって大丈夫なの?ここ最近、こころから文化祭準備の様子とか聞いてるけど、その話の中で文化祭当日にポピパが結成1周年ライブやるって聞いたけど……」

 

沙綾「こころ、香澄から聞いたのかな……。確かに、こころの言う通りライブやる予定です。ただ、文化祭準備とか色々とあって中々時間が合わないんですよね」

 

優心「去年、有咲が勉強とバンドの両立出来る事を担任に認めさせる為にテスト最終日にライブやるって言って無理してた時とかに、バンドがバラバラになるかもっていう不安な気持ちがある感じ?」

 

沙綾「……はい」

 

俺の言葉を聞いた沙綾は、不安な顔をしながら返事をしてきた。

 

優心「そのおたえがサポートするって事は、香澄達はオッケーしてるの?」

 

沙綾「あ、はい。おたえがギター演奏とかの成長するのに必要って言って、それを聞いた香澄達がオッケーしました」

 

優心「そっか。……確かに、おたえの言う通り成長するのに他のサポートに入って実力を上げるのは分かる」

 

沙綾「……優心先輩」

と俺の名前を言いながら、沙綾はちょっと暗い顔になった

 

優心「でも、すれ違いが起きて何かがあったらと不安になる沙綾の気持ちも分かる。だから、何か力になりたいんだけど……」

 

沙綾「けど?」

 

優心「俺は文化祭準備には関われない。と言って、文化祭当日は秀知院でフランス校との交流会っていう行事があって見に行けないから、力になれないんだよね」

 

俺がそう言うと沙綾は、さらに落ち込んだ顔になった。

 

その沙綾の様子を見た俺は、何か手助けが出来る様な案を少し考えてから、沙綾に声をかけた。

 

優心「……沙綾。俺が手助けできない代わりなんだけど、文化祭当日に何かあったらこころの黒服さんに助けを求めてよ。力になるように伝えておくから」

 

沙綾「黒服さんに?」

 

優心「うん。去年、うちでこころ達とお花見した時にこころが言ってたでしょ。困った時は黒服さんに頼めば、力になってくれるとか何とかしてくれるってさ」

 

沙綾「あ~、確かに言ってましたね」

 

優心「何が起きるかはその時になってみないと分からないと思うけど、その状況に合わせて黒服さんが助けになってくれると思うから」

 

黒服さんの事を伝えると、不安な顔をしていたのが和らいだ。

 

沙綾「分かりました。……でも、その黒服さんに声を掛けるのはどうすれば……。こころの護衛も姿が見れないしどこに居るか分からないし……」

 

優心「あ、じゃあ、一応こころの黒服さんの連絡先を教えとくよ。……華さん」

 

黒服(華)「こちらです。電話番号、メールアドレス、メッセージアプリのIDです。こころ様の護衛をしている黒服三人の内、リーダーを務めている黒服の連絡先です」

 

沙綾「いつの間に居たの……!?って、この連絡先に連絡すれば、こころの黒服の人に繋がるんですか?」

 

黒服(華)「はい。こころ様の黒服には話を通しておきますので、遠慮なくご相談や助けなどのご連絡をしてください」

 

沙綾「ありがとうございます。……優心先輩もいきなりの相談に乗ってくれてありがとうございます」

 

優心「気にしなくてもいいよ。文化祭準備や本番とか頑張ってね」

 

沙綾「はい!」

 

相談を終えたあと、部屋から出た俺はお店でパンを買うことにした。

 

優心「華さん。もうしていると思うけど、こころの護衛以外の黒服さんにも情報共有をしっかりして、スムーズに手助けできるようにしとくように」

 

黒服(華)「かしこまりました」

 

華さんにそうお願いしながら、愛とこころの分のパンを選んで、レジに向かった。

 

沙綾に会計をしてもらっている時に、沙綾がこころの事で話しかけてきた。

 

沙綾「そういえば、こころが落ち込んでましたよ。優心先輩が文化祭に来られないことに」

 

優心「あぁ……。確かに家でも"どうしても来れないの?"って聞かれたよ。でもさっき言ったけど文化祭当日に、交流会があるからどうしても行けないんだよね」

 

沙綾「その交流会って、必ず参加しないといけないんですか?」

 

優心「参加したくない人はしてないよ。ただ、俺は生徒会一員で尚且つ役員の庶務だから、フランス校が主催の交流会とはいえ参加しといた方がいいから」

 

沙綾「大変ですね」

 

優心「まぁね。……あ、でも、お母様が文化祭当日にこころのクラスの出し物に行くから、こころの姿を写真に撮ってもらう予定なんだ」

 

沙綾「あ、母親が来てくれる事に凄く喜んでましたよ。怖くないお化けの喫茶店っていう感じの出し物ですけど」

 

優心「こころらしい案だよね」

 

沙綾「ですね。……はい、商品です。ありがとうございました」

 

優心「ありがとう。また、来るね」

と、パンが入ったレジ袋を受け取ってお店を出た。

 

彩「あれ、優心くん。パン買ってたの?」

 

千聖「結構な量を買ってるわね」

 

お店を出ると、彩と千聖さんに出会った。俺が買った量を見て千聖さんが驚いていたから、愛とこころの分を買ったと教えてあげた。

 

彩「ねぇ、その愛ちゃんって優心くんの彼女さんだよね!千聖ちゃんと日菜ちゃんから聞いたけど」

と、彩が聞いてきて肯定すると、どんな子なのかや出会ったきっかけとかを聞かれた。

 

それに答えていったら、あっという間に時間が過ぎていった。

 

その為、二人と別れて家に帰った時には、愛より遅くなってしまった。

 

愛から、"先に帰ってたはずなのに遅くなったのは何で?"と聞かれたから、沙綾の相談に乗った事と、彩と千聖さんと話をした事で遅くなったと説明した。

 

俺の説明に愛は納得してくれたので、こころと一緒に三人で、山吹ベーカリーで買ったパンを含めた晩御飯を一緒に食べた。

 

 

こうして一日が終わった。

 

 





楽奈はバンドリアニメ、It’s MyGO!!!!!の第11話と第12話でオーナーの孫と確定したので、オーナーと一緒に出掛けている描写を書きました。

あと、楽奈の過去については、あまり明らかになっていないので、この第69話の「バンドを一度も組んでいない」という楽奈の発言は、作者の勝手な妄想で書きました。

樹の実家のケーキ屋は、店内で食べれるスペースがあります。

今後、スマホゲームのガルパや、It’s MyGO!!!!!以降のバンドリアニメ作品などで楽奈の過去が明らかになると思います。

その際、原作のバンドリ作品にて明かされた内容と本小説と矛盾が出るはずなので、この第69話での「一度もバンドを組んでない」という楽奈の発言などは、本小説での独自設定だと思ってください。

この第69話の彩と千聖さんを登場させた最後の部分は、この復帰のニュースを見て突発的に書き足した物です。

彩は本編に1話ぐらいしか登場させてなかったのと、あみた復帰記念という事で登場させようと思ったからです。

丸山彩役の前島亜美さんが活動復帰と丸山彩役に続投するとニュースを昨日の朝見て驚きました。その後にお帰りなさいという気持ちとまた丸山彩な声をしてくれるのは嬉しかったという気持ちが出てきました。

次こそは、無理をしないで活動してほしいです。

長々と後書きを書きましたが、次回の内容は秀知院のフランス校主催の交流会関連の話を書いて投稿する予定です。

因みに、かぐや様の単行本24巻収録のフランス校主催の交流会当日と、バンドリアニメ第二期の花女と羽丘の合同文化祭当日は、同じ日に開催という事にしています。

投稿頻度については、期待しないで待っててください。


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第70話


お待たせしました。

本編をどうぞ。



 

 

優心が沙綾から相談を受けた日から、数日後のある日。

 

 

~放課後~

 

 

~会長視点~

 

 

会長「明日は、交流会だな」

 

かぐや「えぇ、そうですね」

 

会長「今回の交流会は俺達が準備をしなくても大丈夫だし、気が楽だな」

 

かぐや「前回は校長が伝達をギリギリに伝えてきたので大変でしたからね」

 

会長「今回はどっしりと構えられるな」

と、余裕を持ちながらかぐやに言って、生徒会室へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~生徒会室~

 

 

会長(そう思っていたのに、なぜフランス校の人がいるんだ……)

 

かぐやと分かれて生徒会室に一人で向かうと、フランス校の生徒一人がソファーに座っていた。

 

会長「……確か、ベツィーだよな?フランス校の」

 

ベツィー「はい。今、だいひょう。あなたと同じ」

 

会長「て事は、こっちで言う所の生徒会長ってことか……」

 

ベツィー「そうです。せいとかいちょうです」

 

会長「日本語、喋れる様になったんだな」

 

ベツィー「べんきょうしたから」

 

俺の言葉に答えたベツィーが、いきなりキョロキョロとし始めた。

 

その様子に不思議に思っていると、恐る恐るといった感じで、声をかけてきた。

 

ベツィー「きょう、つるまきいない?」

 

会長「え?あぁ……今は居ないが、しばらくしたら来るんじゃないか」

 

ベツィー「……え?」

 

俺の答えた言葉に、震え始めた。

 

会長(そういえば、弦巻ってベツィーと話した時に、ベツィーが異常な程に怖がってたな。弦巻は日本の怖い話をしたとか言っていたが、この感じはそうじゃないな……)

 

そう思った俺は、質問する事にした。

 

会長「……なんで弦巻を怖がっているんだ?」

 

ベツィー「怖いことを言われた。私も他の家族全員もフランスに住めないようにされる所だった。生きて帰れないと思った」

 

会長「……弦巻、そんな感じの事を言ってたのか……。でもすぐに謝ってただろ。俺はフランス語は殆ど喋れないから内容は分かんなかったが……」

 

ベツィー「許してる。でも怖い。頭は分かってる」

 

会長「恐怖が凄くて、頭では許してたりもう解決してると分かってるけど、意図なく反射的に怖がってしまうってやつか」

 

ベツィー「でも、しのみやファミリーとは違って、つるまきファミリーの人達は、いい人。ただ、怒ると怖い」

 

会長「優しい人程、怒るとヤバイって聞くけど、そういうタイプか。……でも確かに、弦巻自身や両親を見ると完全にそんな感じなのは分かるな。(こころはそんな感じではないな……)」

 

俺の言った言葉に、ベツィーは頷いていた。

 

会話「……ただ、四宮ファミリーと違うって、かぐやの家ってどう伝わってるんだ?」

 

ベツィー「しのみやファミリーは、マフィア。簡単に人を殺す」

 

会長「そんな風に伝わってるんだな」

 

ベツィーと話をしていると、生徒会室のドアが開く音がした。ドアの方に顔を向けると弦巻が来た所だった。

 

ベツィー「ヒィ!」

 

優心「もう怖がんないでよ。……って言っても、自業自得だから仕方ないか……」

 

弦巻を見た瞬間にベツィーは怖がり、弦巻は"自業自得か"と言っていた。

 

ベツィー「スミマセン。大丈夫デス」

 

優心「……そう」

 

しかも、弦巻は少し落ち込んでいる感じだった。

 

会長「それより、ベツィー。交流会の準備は上手くいってるのか?」

 

ベツィー「全部最悪」

 

優心「わー」

 

会長「全部、最悪かよ!」

と俺が叫んだ後に、ベツィーが色々と言ってきたからそれを聞くと、要するに日本の言葉が難しすぎるだそうだ。

 

ベツィー「だから、手伝って欲しい。あなたに」

と、俺の顔を見ながら言ってきた。

 

会長「手伝いなら、弦巻の方が良いと思うが……」

 

ベツィー「そ、それは……」

 

また怖がった。そして俺の隣にいる弦巻はベツィーの反応を見て"あー"という声を出していた。

 

会長「……弦巻、今日は帰ってた方が良いと思うぞ。話すたびに、傷つくと思う」

 

優心「……そうする」

 

俺の言葉を聞いた弦巻は小さく呟くように返事をして生徒会室を出ていった。

 

ベツィー「悪いことした」

 

会長「いや、まぁ今回のは仕方ないだろうから、気にしなくていいと思う」

 

ベツィーの言葉にそう伝えてから、交流会準備の話に戻した。

 

会長「それで、準備は全然終わってないんだっけ?」

 

ベツィー「さっき言った日本の言葉が難しい!話が通じない、伝わらない」

 

会長「仮に伝わっても、上手く進まない状態でもあるな」

 

頷くベツィーを見て、俺は"はぁ~"と自然と長いため息を出てしまった。

 

会長「たく。校長、手伝ってやれよ」

 

ベツィー「校長、いい人!生徒、子供みたい!」

 

校長の事を言うと、ベツィーは叫んできた。

 

会長「子供みたい?あぁ……子供みたいに思ってるって事か……。だったら、なおさら俺達が準備した時だって早く伝えくれても良かったのに」

 

ベツィー「あなた、試されてた。試練?というやつ」

 

そのベツィーの言葉を聞いた俺は"ん?"となった。

 

会長「なんで?」

 

ベツィー「知らない」

 

"知らない"と言ったトーンは純粋に知らないという感じだった。そのトーンでの返事を聞いた俺は深く聞こうとするのをやめた。 

 

会長「……とりあえず交流会の件だが、当日手伝う」

 

ベツィー「いいの!?」

 

会長「手伝わないと、交流会が上手くいかなくて、弦巻は苦手であまり手伝ってほしくないんだろう?」

 

俺がそう聞くと、ベツィーは頷いた。

 

会長「だから、手伝う」

と伝えると、ベツィーはお礼を言ってそのまま生徒会室を出ていった。

 

生徒会室に残った俺は、校長に聞きたいことを聞くために探すことにした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

生徒会室を出て、しばらく校内や敷地内を歩いて探し回っていると、やっと見つけた。

 

会長「校長」

 

校長「白銀くんじゃないデスカ」

 

会長「聞きたい事があるんですけど……」

と切り出してから、俺を試した理由を聞いた。

 

しらばっかれたから、もう一回問いただすと、校長は一瞬静かになってから、俺が"学校を背負う会長として相応しいのか"という事を試したと教えてくれた。

 

会長「学校を背負うと言っても、たかが生徒会長でしょう?」

 

俺がそう言うと校長は、"そんなんじゃありません"と言ってきた。

 

それに加え、"この学園には特殊な環境に居る子が多い"事や"大人は権力に弱い"などと言ってきた。

 

会長「……大人は信用するなと言いたいんですか?」

 

校長「いざという時に内側から問題を解決できる人間が必要なんです」

 

会長「それなら、俺じゃなくても弦巻や他の生徒会メンバーでも良いと思うが……」

 

俺が言った言葉に校長が静かになり、少ししてから口を開いた。

 

校長「学校の理事長は四宮黄光。……かくやさんのお兄さんデス」

 

会長「かぐやの兄……」

 

校長「えぇ。この学園は四宮家の掌の上なんです。他にも警察や裁判所なども四宮の権力は存在しますが、学校ほどではありません」

 

校長の言葉に俺は"ん?"となったが、校長はすぐに説明をしてきた。

 

校長「弦巻家の権力も警察などがあります。つまり弦巻家が存在してるだけで、四宮家は手を出しにくいんです」

 

会長「それは、抑止力になってるということか?」

 

校長「そうです。ただ、この学校にはそういった抑止力はありません。せいぜい弦巻くんの親しい友人関係には手を出しづらい程度でしょう」

 

会長「それは、生徒会メンバーとA組の皆ぐらいって事ですか?」

 

校長「えぇ。……ただ、世の中は貴方が思っているよりも不条理です。弦巻くんが居たとしても、関係ないと問答無用で権力などを振りかざします」

 

校長の言葉にその通りだと思った。……事実の通り、企業関係のニュースを見ていると分かるが、権力を振りかざして証拠隠滅などをしているのをよく聞く。

 

校長「そんな時、四宮かぐやを守れるのは誰でしょう?……それは会長としてこの学校を背負ってきた貴方です」

 

会長「……弦巻でもいいと思うが?」

 

校長「まぁ、確かに彼でもいいでしょう。しかし今の彼には頼めないのですよ。やる事があるらしく手が回らないと言われてしまいました。(彼の父親からですが……)」

 

校長の発言が気になったが、ここで切り込むと話が逸れそうだと思った俺は、聞かないで話を進めることにした。

 

会長「……だから俺を試した……って事でいいか?」

 

校長「はい。そして、強い人間関係は、権力に対するカウンターにもなる。世の中は結局、情で回っているんです。これから四宮かぐやを巡って大きな騒動が起きます」

 

そして校長は、俺が会長として弦巻以上に持っている信頼・尊敬・人間関係の全てを使って四宮かぐやを守ってほしいと、頭を下げてきた。

 

会長「……どうしてそこまで四宮を?」

と言った俺の言葉に、校長はスヌーピーの"人生は配られたカードで勝負するしかない"という言葉を俺に言ってきた。

 

校長「ですが、君達はまだどんなカードが配られているかも分かってないない。自分を知っていっている状態です」

 

会長「……」

 

校長「大人の言いなりになるのは、カードを全てめくってからにするべきです。それまではどんな手を使ってでも子供達を守る。これが私の教育ですよ」

 

校長はそう言ってから、そのままポケ○ンGOをやりに別の場所へと行ってしまった。

 

会長(将来、ああいう人を恩人と呼ぶことになるんだろうな。……頼りになる弦巻も、カードを配られている最中なのか……?そんな風には思えないけどな……)

 

校長が見えなくなった後にそんなことを考えてから、俺は生徒会室へ戻り少しだけ事務作業をして、家へ帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

優心が生徒会室を退出し、会長がベツィーと交流会での話と、校長に問いただしていた頃。

 

 

~校舎玄関~

 

 

~優心視点~

 

 

優心「はぁ……」

 

黒服(華)「……ため息ついても仕方ないですよ。自業自得なんですから」

 

生徒会室での出来事でため息をついたら、華さんにそう言われた。

 

優心「分かってるよー。……それより、車は?」

 

黒服(華)「用意してますよ」

 

今日は華さんに聞きたいことがあるから、電車ではなく車で帰ることにしている。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~車内~

 

 

優心「それで、帝が秀知院に転校してきた理由は分かった?」

と、俺は帝が転校してきた理由を聞いた。

 

三年に進級して新年度が始まった初日、帝が学校に転校してきた。

 

その時に、愛が帝が転校してきたのには何かあると言ってきたが、俺自身は帝からは何も聞いていなかったから、何も分からなかった。

 

だから、初日の放課後に華さんに調査をお願いをしていたんだ。

 

黒服(華)「分かりましたよ。まず、優心様の予想通り、四宮・四条両家の争いからかぐや様を守る為でした。その方法が、帝様がかぐや様と結婚するという事でした」

 

華さんの言葉に"結婚ね……"と呟きながら、少し考えて口を開いた。

 

優心「……政略結婚的なやつだよね?騒動を落ち着かせるためにする感じの……旧時代の家同士の結婚ってやつ」

 

黒服(華)「はい、その認識で間違いはないかと……」

 

優心「……結婚をする事で争いを止めるという前提があるけど、帝からすれば状況を利用している部分があるね」

 

黒服(華)「と言いますと?」

 

優心「帝はかぐやさんの事が好きだから、あいつからすれば騒動も止められて、好きな人と結婚できるし、かぐやさんを守れる。一石二鳥……一石三鳥的な感じだと思うよ」

 

俺がそう言うと、華さんは"あ~"と納得しているような声を出していた。

 

優心「……でも、最終手段だと思うけどね」

 

黒服(華)「そうですね。帝様も"白銀様がかぐや様を助けられればそれでいい"といった事を仰ってたそうですよ」

 

優心「まぁ、帝が来た理由が分かったからいいか……」

 

黒服(華)「帝様の行動はそのままにしときますか?」

と、華さんが聞いてきたから俺は頷いた。

 

優心「そうだね。帝の行動については俺らは関与しないようにしとこう。万が一、変に関わって黄光達に伝わったら大変だからね」

 

黒服(華)「そうですね。事実、帝様は黄光と青龍と接触して話を進めようと動き始めてます」

 

優心「尚更、関与しないで、帝には帝のやり方で動いてもらっとこう。あと、こっちは帝の行動は知らないフリをしていよう」

 

黒服(華)「分かりました。それにあり得ないと思いますが、今回の作戦が失敗の可能性もありますから、保険という作戦にしときましょうね」

 

優心「ただ、お父様達には伝えた方がいい」

 

黒服(華)「では、私から旦那様に伝えておきますよ。雁庵様達には旦那様が伝えると思います」

 

華さんの言葉に俺は頷き、帝の話を終えた。

 

そのあとは、家に着くまで華さんと話をして車の中で過ごした。

 





次回は交流会当日の話を投稿します。

ただ、今回のように期間が空くと思いますが、待ってくれたら幸いです。


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第71話


今回は、秀知院フランス校主催の交流会の話です。

土曜日に開催されているという設定にしていますし、同時にバンドリアニメ二期での文化祭も同じ日に開催されているという事にしています。

そして、この第71話の後半は翌日の日曜日で、そちらはかぐや様原作の「かぐや様は踊りたい」の終わり部分である会長の語りを参考にしました。

その後半部分は優心視点のオリジナル要素多めの話になってます。

では、本編をどうぞ。



 

生徒会室で会長がベツィーと校長がの二人と、先に帰った優心が車の中で黒服の華と話をした日から、翌日。

 

 

~土曜日~

 

 

~フランス校主催交流会・当日~

 

 

~優心視点~

 

 

今日はその交流会の当日だ。

 

ベツィーさんの話してた通り準備が全然間に合ってないというのは、事実だった。

 

昨日の生徒会室で、会長が手伝う事にしたみたいだった。

 

俺も手伝いたかったけど、ベツィーさんが怖がってたし嫌がってたから手伝うことはしなかった。

 

結局、会長が指示を出すことになった。

 

そして、交流会当日の今日は交流会が始まってからずっと指示を出していた。

 

その間のかぐやさんは、眞妃とダンスをしていた。そういう俺も愛とダンスをしている。

 

しばらく踊ってから、一息つく辺りで休憩って形でダンスをやめた。愛と少し離れた途端にかぐやさんが俺の方にきた。

 

かぐや「弦巻くん、私と踊りませんか?」

 

手を差し出しながら、躍りの誘いをしてきた。

 

優心「なぜ?」

 

かぐや『話をしておきたくて……』

と、世界中の広くで使われている標準的なフランス語ではなく、訛りというか方言が強めのフランス語で話してきた。

 

優心『それは四宮・四条関連のこと?』

 

かぐや『はい』

 

俺が聞いた事に、かぐやさんは頷きながら返事をした。

 

優心(内容が内容なだけに、この交流会に参加しているフランス校と日本校の生徒に伝わらない発音で声をかけたって事か……)

 

自分の中で結論付けてから、話を聞くことにした。

 

優心『分かった。……ただ、彼女の愛が嫉妬して機嫌を損ねるから、愛のご機嫌取りを手伝ってよ』

 

かぐや『それは勿論ですよ。愛さんがいる中で人の彼氏と踊るわけですからね。あ、でもこちらもお願いがあります』

 

優心『?』

 

かぐや『私の彼氏である会長も嫉妬をして機嫌を損ねるかもしれません。ですので、私の方もご機嫌を取るのを手伝ってくださいね』

 

優心『了解』

と、かぐやさんの言葉に返事をしてから、差し出してきた手を取った。

 

そして踊り始めて、少ししてから俺から話を切り出した。

 

優心『それで、話というのは?』

 

かぐや『お父様が倒れた事は、当然知ってますよね?』

 

優心『勿論。お父様と雲鷹から連絡が来たからね。……その辺で四宮家で何か動きがあったの?』

 

かぐや『はい。私の近衛をしてくれているお父様が寄越した人が本邸に呼び戻されました。恐らく兄様が、私や別邸での情報を聞き出す為だと思います』

 

優心『それぐらいしか考えられないな……』

 

俺がそう呟くと、かぐやさんが"それと……"と言ってきた。

 

かぐや『その付き人が本邸の人間達の目を盗んでメッセージを送ってきました。その内容が、交流会が終わった頃に、私を迎えに黒服がくるというものです』

 

優心『じゃあ本格的に黄光が動き出してて、四条もいつでも動ける状態になっているってことか……』

 

かぐや『はい。兄様が私を拘束するタイミングがこの交流会後だった訳ですね』

 

かぐやさんの言葉に、"なるほど"と呟いてから一つ質問した。

 

優心『因みに、こっちの作戦は黄光達にはバレてないよね?』

 

かぐや『付き人に確認した所、それは全く問題はないそうです。何一つ話題になってないそうです』

 

優心『それはそれで、怪しい感じだけど……』

 

かぐや『でも、本当に本邸ではそのような状態だそうですよ。今回、作戦に関わった人達の情報統制や情報共有などの成果とも仰ってました』

 

優心『……まぁ、それなら安心だよ』

 

かぐや『実際に、兄様が違和感を感じて調査をしようと動いたりはしてたそうですが、何も成果を得られてないみたいですよ』

 

優心『だから、話題になってないって事なんだ』

 

俺の言葉にかぐやさんは頷いていた。

 

かぐや『それと、一つ確認したい事があります』

 

優心『なに?』

 

かぐや『春休みに二つお願いを私にしてきましたよね?その一つの本邸で兄様や陣営の関係者がお父様の偽物の遺書を探し始めたら、両親が使っていた部屋へ行くお願いがありましたよね?』

 

かぐやさんの言葉に、俺は頷いた。

 

かぐや『その話をされた時は、まだ偽の遺書自体は何もなかった状態でした。が、兄様が必ず自分が優遇になる遺言書にサインをさせるのは分かっていたので、すぐ承諾しました』

 

優心『それで?』

と俺が聞くと、かぐやさんは一呼吸おいてから聞いてきた。

 

かぐや『なぜ、兄様がサインさせた遺書を厳重に密会部屋に保管を?正式に書いた物は公正遺言書として弁護士に渡し役所に受理された筈ですよね?』

 

優心『確かに隠す理由はないよ。ただ、雁庵さんが黄光がどう動くか見ておきたかったかららしいよ。今まで跡取りは黄光だったからね』

 

かぐや『どう動くかですか?』

 

優心『そう。今でも自分が跡取りだと思っているから、今回の騒動になったら何がなんでも動く』

 

かぐや『兄様の事を知っていれば誰でも分かる程、当然な事ですね』

 

優心『その際、自分がサインさせた遺言状が弁護士に預けられてなくて何処かに保管されていると知ったらどう動くかを見たいんだってさ』

 

かぐや『だから保管していて、私は動きがあった際に密会に使われていた部屋に行く話になってたんですね』

 

かぐやさんの言葉に、俺は頷いた。

 

かぐや『実は遺言書が隠されていたという事を、どうやって本人に伝えるかは決まっているんですか?』

 

優心『その辺の話は聞いてないけど、何か考えがあると思うよ』

 

俺の言葉に、"そうですか"とかぐやさんは呟いたが、俺も一つだけ話を聞きたいことがあるので聞くことにした。

 

優心『そういえば、眞妃と踊っている最中に何か大事な話をしている感じだったけど、あれも家問題のこと?』

 

かぐや『あれは四条家は私を受け入れる体制があるというお話でしたね。詰まる所、私が四条帝のお嫁に行って私を四宮家から解放し守るという事でしょうね』

 

その話を聞いて.、"眞妃は帝から聞いたのかな……"と内心思った。

 

かぐや『あまり驚かないんですね』

 

優心『まぁ、華さんに帝が転校してきた理由を調べてもらって、昨日の放課後に知ったからね』

 

かぐや『(華さん、弦巻くんの護衛の黒服ね。去年、公園で話をした人)……あの人に調査をしてくれたのね』

 

優心『そうだよ。まぁ、その件は最終手段の作戦という認識でいいと思うよ。今の作戦が頓挫した時の最後の手段ね』

 

俺がそう言うと、かぐやさんは"分かってます"と言いながら頷いてきた。

 

優心『あと、もう一つのお願いの実行もよろしくね』

 

かぐや『はい。春休みの二つ目のお願いである連れ去られた後に会長に別れること、学校を辞める事を告げるという事ですね』

 

優心『うん。会長なら普通に彼女のかぐやさんが連れ去られても助けに行くよ。でも、別れを告げられたら更に助けようとする気持ちに火がつくからね』

 

かぐや『それについては、未だに納得はしてませんからね』

 

優心『分かってる。でも、黄光達は別れさせようとするよ。だって自分の有利になる相手と結婚させるはずだからね』

 

かぐや『……まぁ、そうでしょうね。兄様に言われた際にうだうだと言い返すと、今回の作戦に支障が出ますからね。それに弦巻くんの事は信用信頼してます』

 

優心『うん』

 

かぐや『ですので、辛いですが連れ去られた後に話を切り出します』

 

優心『……よろしく、かぐやさん』

 

俺の言葉に、かぐやさんは"はい"と返事をして会長と愛の方をチラッと見てから、俺に言ってきた。

 

かぐや『踊るのは終わりにしましょうか……。会長と愛さんが険しい顔になっていたので、ここからはお互いに二人を宥めるのを頑張りましょうか』

 

かぐやさんにそう言われた俺は、会長と愛の方を見ると確かに険しい顔になっていた。

 

優心『そうだね』

 

二人の様子を見た俺はそう返事をしてダンスを終えた。

 

ダンスを終えると、会長と愛が俺とかぐやさんの元に近づいてきた。

 

俺とかぐやさんは機嫌の悪い二人を宥めて、すぐになんとか機嫌が直った。そのお陰か、最後のダンスタイムまでに機嫌が直ったので、最後に踊って交流会が終了した。

 

 

交流会が終わって今日は解散しようとなった時に、かぐやさんの言う通り、四宮の黒服がかぐやさんを連れ戻しに来た。

 

そして、四宮の黒服達と一緒に車に乗って行った。

 

俺はその光景を、"やっと動き出した"と思いながら見ていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー 

 

 

~翌日・日曜日~

 

 

~弦巻家・自室~

 

 

交流会の翌日の日曜日。

 

こころはハロハピの皆と出掛けてて、愛もすばると三鈴と遊びに出掛けている為、家には居ない。

 

そんな中、俺は自室にあるテレビでニュース番組を見ていた。

 

その内容は"四宮一族の帝国、崩壊の狼煙"という見出しが出ている四宮家の事がニュースがされていた。

 

その番組を見ていると、スマホから着信音が鳴った。

 

画面を見ると、雲鷹からだった。

 

優心「……はい」

 

雲鷹『よう。……少し頼みがある』

 

優心『なんですか?』

 

雲鷹『明日、放課後に白銀御幸と接触するつもりなんだが、その時に他の生徒会の人間に見られないようにしてほしい』

 

優心「そっちの人間を使って近づけさせないようにするのは?」

 

雲鷹『今の四宮の状態だと、下手に人間を使おうとするのは無理だな。マスコミやら大兄貴達に嗅ぎ付けれる可能性がある』

 

優心「そうですね、分かりました。こっちの黒服さんに話をしておきます」

 

雲鷹『頼む』

 

優心「それにしても会長には何を話すんです?」

 

雲鷹『今の四宮家の様子と、白銀に護衛を付ける事を話すんだ』

 

雲鷹が言ってきた事に、俺はすぐに何故そのような事をするのかを理解した。

 

優心「あぁ……なるほど。今の計画は生徒会メンバーに被害が出ない前提での話。それが一人でも誘拐でもされれば計画に変更が出る」

 

雲鷹『そして標的になるのは、かぐやの彼氏である白銀だ。かぐやは言いなりのフリをしているが、弱点である白銀が誘拐でもされれば、フリでもなく確実に屈する』

 

優心「そうなれば、計画が悪い方へと行く可能性があるから、護衛を付けさせるって事ですね」

 

雲鷹は"あぁ"と答えた。

 

優心「その護衛は誰が?」

 

雲鷹『かぐやの付き人だ。お前もかぐや本人から話は聞いているだろ。近衛だった早坂が辞めた後任だ』

 

優心「……昨日の交流会前に連れ戻された付き人ですよね?」

 

雲鷹『その付き人だ。お前の言う通り、昨日の交流会前に本邸に呼び戻されてたが、親父の一声で別邸に戻された。そいつが一番優秀な人材だからな』

 

優心「分かりました。……あ、一つ気になったんですけど、会長とは会ったことないですよね?会長からしてみれば知らない相手から声をかけられたら警戒しますよ」

 

雲鷹『……それもそうか。顔繋ぎとして動いてくれ』

 

優心「……了解です。二人が会う所を見られないようにするなら、俺が仲介して動いた方が良さそうですから、顔繋ぎとして会長に声をかけます。その時に連絡しますね」

 

雲鷹『あぁ、頼むぞ』

 

優心「了解」

と、雲鷹の言葉に返事をしてから、通話を切った。

 

通話を切ったスマホを机に置いた時に、コンコンとノック音がした。

 

優心「はーい」

 

黒服(華)「優心様、ポピパの皆様が優心様に会いにいらっしゃいましたが……」

 

優心「え?なんでポピパの皆が……」

 

黒服(華)「昨日の文化祭の件かと……」

 

優心「あ、そっか。沙綾に手助けの提案したもんね。いつも使ってる応接室に通して」

 

黒服(華)「分かりました」

 

華さんにそう伝えてから、俺も部屋を出て応接室に向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~応接室~

 

 

部屋に入ると、ポピパの皆は椅子に座って待っていた。

 

沙綾「あ、優心先輩」

 

優心「沙綾、昨日の文化祭の話をしに来た……でいいのかな?」

 

沙綾「そうです。流石は優心先輩、分かってますね」

 

優心「黒服さんにそうじゃないかって言われただけだよ」

と、沙綾の言葉に少し笑いながら答えてから、また質問をした。

 

優心「じゃあ話は文化祭として、ポピパ全員で来た理由は?」

 

俺がそう聞くと、ポピパの皆が立ち上がって俺に頭を下げてきた。

 

おたえ「優心先輩、文化祭の時はすみませんでした」

 

優心「……え?」

 

おたえ「沙綾から聞きました。沙綾は文化祭前に、優心先輩に相談してて、何かあったら黒服の人に相談してってアドバイスをしてくれたって……」

 

優心「確かに相談を受けてそう言ったけど、文化祭当日に何があったの?」

と、俺が言うと沙綾が文化祭の時の様子を教えてくれた。

 

文化祭のライブの時に、おたえがサポートに入ったバンド……"RAISE A SUILEN"という名前らしい。バンドの詳しい話を聞くとあのチュチュの結成していたバンドだった。

 

"確かにますきが、ギターはまだ居ないって言ってたな"と、思い出したが、ひとまず話を聞いた。

 

そのRASのライブが文化祭と重なった上に、アンコールで何曲か曲を披露したらしいが、その結果、文化祭に間に合うかどうか分からない状態になったとのこと。

 

その為、沙綾が黒服さんにお願いして車で迎えに行ってもらって、しかもその時の学校内では、ポピパの友達であるバンドの皆や後輩の六花とかが時間を稼いでくれていた。

 

その結果、一曲しか演奏が出来なかったが、なんとか五人で演奏が出来たと、沙綾が教えてくれた。

 

優心「完全に間に合わなかった訳じゃなくて良かったね、おたえ」

 

おたえ「はい。でも、沙綾達ポピパやロゼリアとかの皆にも迷惑をかけてしまいました。優心先輩にも、迷惑をかけたので、謝罪をしに来ました」

 

優心「そっか。もう、メンバーに心配かけないように。沙綾とはすごく心配してたからね。今後、サポートをどうするかは分からないけど、ちゃんと自分で解決してね」

 

おたえ「……はい」

 

俺の言葉におたえが返事をしたあと、沙綾が明日からの平日の放課後にロゼリアやパスパレなど時間を稼ぐのに動いてくれたバンドの皆に話をしに行くと教えてくれた。

 

沙綾「じゃあ私達は帰りますね」

 

優心「うん、じゃあね」

 

沙綾「はい。じゃ……「あ……」ん?どうしたんですか?」

 

優心「……俺、しばらく相談とかに乗れないと思うから、何かあったら黒服さんに相談しててよ」

 

俺の言った言葉に皆は少し不思議そうな顔をしたが、有咲が何か思い出したかのような感じの顔になって、質問してきた。

 

有咲「……もしかして、ニュースになってる四宮グループの事ですか?優心先輩」

 

有咲の言葉に俺は驚いた。

 

優心「よく分かったね」

 

有咲「まぁ、一応は。去年に憐子先輩や紗夜先輩から、優心先輩は四宮の令嬢と友人だって事を聞いた事があったので……」

 

りみ「有咲ちゃん、そうなの?」

と、りみが有咲に聞いて有咲は頷いていた。

 

他の皆も多少なりとも驚いてはいた。

 

優心「(愛と一緒にロゼリアと会って話した時か……)そうだね。……だから学校というか生徒会として色々と動かなくちゃいけなくなりそうだからね」

 

沙綾「分かりました。もしまた相談する時があれば、こころの黒服の人に相談します」

 

優心「よろしくね」

と言うと、皆は頷いてくれた。

 

ポピパはその後、帰るみたいだから俺は玄関で見送ってから自室に戻った。

 

そうして、一日が終わった。

 





次回は、交流会後のかぐや様原作では最終章と書かれていた部分に突入します。

投稿に時間がかかるかもしれませんが、楽しんで読んでもらえるように頑張りますので、よろしくお願いします。


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第72話


完成しましたで投稿です。

では、本編をどうぞ。



 

 

~週明け・月曜日~

 

 

~朝・HR前の教室~

 

 

~優心視点~

 

 

今日もいつも通り愛と一緒に登校した。

 

 

この時に今日の放課後、帰るのが遅くなる事を愛に伝えた。

 

理由を聞かれたが、四宮に関わる関わる事だからバレない方がいい事と、知られるにしても今じゃない方がいいから教えなかった。

 

それに会長と用事と言ったら言ったで、会長に聞きに行く可能性がある。だから変に言うよりも答えない方がいいと思ったのも理由の一つだ。

 

愛は当然教えてくれなかった事に納得は出来ずに、"教えて"と言ってきたけど、俺があとで必ず教える事を伝えると渋々納得してくれた。

 

愛に納得してもらった時に、ちょうど教室に着いた。

 

教室に入ると、愛はすばると三鈴の所へ行ったので、俺は会長へと声をかけた。

 

優心「会長、ちょっと話したい事があるんだけど、大丈夫?」

 

会長「ん?大丈夫だが……」

 

会長の答えを聞いた俺は、空き教室へ向かった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

~空き教室~

 

 

優心「今日の放課後、生徒会の活動が終わった後に会長に会ってほしい人がいるんだ」

 

会長「俺に?それは誰だ?」

 

優心「四宮雲鷹。……四宮家の三男で四宮かぐやの兄だよ」

と伝えると、会長は少し固まったが、すぐに質問してきた。

 

会長「……なんで四宮の兄が俺に会おうとしてる?」

 

優心「かぐやさんと四宮家の件で、伝えたい事があるんだって。ただ、会長とは会った事はないから俺が顔繋ぎで会わせるという事だよ」

 

会長「……弦巻はその雲鷹っていう兄と、どうやって知り合ったんだ」

 

優心「お父様経由で。……それで会ってくれる?」

 

会長「……かぐやの事と四宮家の事を、教えてくれるんだよな?」

 

優心「俺が顔繋ぎで会わせるんだ。ちゃんとかぐやさん関係の事とかを話してくれるよ」

 

会長「……分かった。会うことにするがその代わり、弦巻も近くにいろ。四宮家の兄は信用は出来ないからな」

 

優心「分かった。……そろそろ予鈴が鳴る時間だし、教室に戻ろっか」

 

俺はそう言って会長と教室へと戻った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~放課後・生徒会室~

 

 

放課後になり生徒会室に向かうと、本邸に連れ戻されたかぐやさん以外の生徒会メンバーの、会長と石上、千花とミコの四人が来ていた。

 

そして、その四人は生徒会室に備え付けられているテレビでニュースを見ており、その内容は四宮グループの事だった。

 

石上「あ、どうも。弦巻先輩」

 

優心「うん。……四宮グループのニュース見てるんだね」

 

石上「そうですね。交流会後に四宮先輩が黒服に連れていかれたと思った矢先に、こんなニュースですから」

 

石上はそう言いながら画面をまた見たから、俺も追うようにニュースを見た。テロップには"幹部21人逮捕"という文字が出ていた。

 

その上で、名前も公表されていたから俺は耳を傾けていると、隣で千花が口を開いた。

 

千花「なんだか派手にやってますね」

 

会長「四宮の幹部が逮捕って……四宮の親とかも?」

 

ミコ「それはないと思いますよ。ニュースに四宮先輩の名前はありませんでした」

 

優心「ミコの言う通りだよ、会長。かぐやさんの親はグループ全体のトップ。言わば大物中の大物だ。そんな大物の逮捕ならこのニュース以上の騒ぎになってるよ」

 

会長「それもそうか。四宮の父親が逮捕されたなら結構な騒ぎになるか……」

 

俺の言葉に会長は納得した。

 

ミコ「実際にニュースに出てる名前は、大体四宮家に雇われてる社長さんとかそういうの……」

 

千花「汚い実務を全部任されていた所謂トカゲのしっぽ切りですね」

 

会長「しっぽが社長ってのも対した話だよな」

 

優心(名前を見てみると、全員がバリバリ四宮家の息がかかってる人間だな)

 

ミコと千花と会長の言葉に耳を傾けながら、俺はニュース画面を見ながらそんな事を考えていた。

 

すると石上が口を開いた。

 

石上「株価が落ちたタイミングで四条グループがTOB。タイミングが良い……って訳じゃないんでしょうけど」

 

千花「まー、四条さんちと四宮さんちは昔から仲悪いですからね」

 

優心「四条家は、四宮家の恨みで大きくなった会社だからね」

 

石上「恨みがきっかけで会社が大きくなったんですね……」

 

優心「そうだよ。(そういえばこの騒動の四条家について、俺は話をしてないな……。まぁ、でもお父様達は何か考えてる筈だから、俺は四宮家の方に集中しよう)」

 

石上の言葉に"そうだよ"と答えながら、少し四条家の事を考えて一人で納得をしていると、千花が口を開いた。

 

千花「それにしても怖かったですよね。黒服の人達」

 

ミコ「パーティー終わってすぐですもんね。……弦巻先輩の黒服の人達とは大違いです」

 

会長「確かに違ったよな。家によってあんだけ違うとは思わなかった」

 

石上「しかもあの後、羽田に行ってプライベートジェットに乗って大阪まで飛んだらしいですよ。金持ちは金の使い方が違いますね」

 

千花「プライベートジェットじゃなくて、ビジネスジェットって言うんですよ」

 

石上が言ったジェットの事で、千花が説明をして石上とミコと会長は、ジェット機関連に掛かる金額に驚いていた。

 

その後に石上が、"俺達が助ける事なんて出来ない"と呟いて、ミコに突っ掛かれてていたが、石上がミコにこう返した。

 

石上「大人で解決できない事を一介の高校生が介入出来る筈がないだろ」

 

優心(……まぁ、石上の言う通りだな。俺は、お父様達の立てた作戦に乗っかってるからあれだけど、乗ってなかった石上達と変わらないし)

 

石上の言葉にミコは何も言い返せず静かになり、俺もそんな事を考えていた。

 

千花と会長も静かになっていたが、何か考えているようだった。

 

その為、生徒会室は無言になり、そのまま時間が過ぎていき今日の活動は終了した。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

生徒会室から出た後、雲鷹が待っている校門前へと向かった。

 

少し歩いていると会長から声をかけられた。

 

会長「……四宮雲鷹ってどんな奴なんだ?」

 

優心「恐怖政治とかはしているけど、長男と次男と比べると全然善人側だよ。と言っても周りから見れば悪人側の人間だよ。あいつがやった事とかは許せないようなものだけどね」

 

会長「善人寄りの悪人の認識でいいか?」

 

優心「そんな認識でいいよ」

 

会長「分かった」

と、会長は言ってから静かになった。

 

お互いに黙ったままで、校門へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして校門前に出た時に、歩道にあるガードレールに腰かけてたばこを吸って待っていた雲鷹に声をかけた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~会長視点~

 

 

朝、ホームルーム前に空き教室で、四宮雲鷹という四宮の兄に会ってほしいと言われたので、少し考えてから弦巻も近くに居る事を条件に会う事をした。

 

そして放課後になり、生徒会の活動を終えて生徒会室から出た後、俺は弦巻を付いていく形で、雲鷹とか言う奴の所まで案内してもらっていた。

 

弦巻と歩いている間に四宮雲鷹の事について話を聞いていたが、すぐに会話が終わりお互いに黙ったままになっていた。

 

だが、俺はそのお互いに静かになった今の間に、少し考え始めた。

 

会長(……交流会後から色々と怪しいな。四宮が連れ去られた時は平然としていた。いや起こる事を分かっていた様だった)

 

そう……交流会後に四宮が連れ去られた際に、弦巻以外の皆は驚いていたが弦巻だけはそこまで驚いてなくて、むしろ連れ去られる事が分かっていた感じだったんだ。

 

それに交流会中は嫉妬してて気にもしてなかったが、弦巻と四宮が踊っていた時に、二人はフランス語で話をしていた。

 

ただ、そのフランス語が世界で広く使われている標準的なものでは無かった。

 

日本で言うところの方言みたいに一部にしか使われてないようなフランス語だったんだ。

 

交流会が終わった今、あの時に何か聞かれなくない話をしていた……という事だと考えられる。

 

そして四宮が連れ戻された日から二日後に、いきなり四宮の兄である四宮雲鷹と会ってほしいと、弦巻が言ってきた。

 

会長(弦巻は何を考えている?……今回の四宮家と四条家の件だろうけど、情報がないと言ってもおかしくない状況だ。……今は考えるよりも、雲鷹って奴と会って話をする方がいいか)

 

自分の中で考えをまとめていると、下駄箱に着き靴を履き変えて、校門前に行くと一人の男がいた。

 

そして弦巻が声をかけたので、その男が四宮雲鷹だと理解した。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~優心視点~

 

 

校門前で待っていた雲鷹に声をかけた。

 

優心「雲鷹さん、連れてきましたよ」

 

会長「……あんたが雲鷹でいいんだな?」

 

雲鷹「あぁ。とりあえず、車に乗れ。会ってる所を見られると面倒だ」

と、雲鷹は言って運転席に乗り込んだ。

 

会長はというと、雲鷹に警戒しているから中々乗ろうとはしなかったので、俺は助手席のドアを開けて会長を無理矢理乗せた。

 

助手席に会長を乗せた後、俺は後ろの席に乗り込んで雲鷹に声をかけた。

 

優心「……とりあえず出してください」

 

車が動き出して、しばらくしたら雲鷹が声をかけてきた。

 

雲鷹「さっきの言い方、タクシーの運転手に言うような感じだったぞ」

 

優心「案外間違ってないじゃないですかね」

 

雲鷹「ふん。……少し腹は減ってるからファーストフードに寄るぞ。弦巻と白銀、いいよな?」

 

優心「いいですよ」

 

会長「え、え……?」

 

困惑する会長に特に説明をせずにそのまま車は進み続けた。

 

ーーーーーーーーー

 

そして、ファーストフード店でドライブスルーで買ったセットやらのバーガーを、河川敷で食べている時に、雲鷹が会長に声をかけた。

 

雲鷹「お前、妹のかぐやと付き合ってるんだよな」

 

会長「……」

 

雲鷹「黙秘しても調べはついているから、意味がないぞ。……それで学校ではうまくやってたのか?」

 

雲鷹の最後の言葉に会長は少し驚いた顔をしていたが、会長がスマホで撮った生徒会メンバー全員の写真とかを見せていった。

 

雲鷹「別人だな。(ただ新生四宮家には今のかぐやの方が、最終的にトップになるのは間違いないだろうな……)」

 

写真を見た雲鷹がスマホを返した後に、"車に乗れ。会わせたい奴が居る"と会長に言っていた。

 

会長は助手席に乗ったので、俺は雲鷹に小声で声をかけた

 

優心「……病院に行くんですか?」

 

雲鷹「あぁ。親父に会わせてから説明した方があいつも分かりやすいだろ」

 

優心「そうですね」

と、雲鷹の言葉にそう言ってから後部座席に乗った。

 

そして病院へと車が向かい始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

病院に着き病室に入ると、経鼻カニューレが繋がられている雁庵さんがいた。

 

雲鷹が会長に四宮家の総帥である事と雲鷹やかぐやさん達の父親と教えた。

 

その事に会長は少なからず驚きながら、雲鷹が言った言葉を小さめの声で復唱していた。

 

けど、俺は別の事で驚いていた。それは雁庵さんの容態の事だった。そして今、雲鷹がベッド脇にある丸イスに座って雁庵さんに声をかけると、名前を黄光と間違えていた。

 

優心(……倒れたとは聞いてたけど、ここまでになっていたとは……。それに体の状態は元より認知症にもなってる感じだな……)

と、驚きながらも、頭では冷静に今の雁庵さんの容態について考えていた。

 

そうしていると、雲鷹は病室から出て行ったので後ろをついていく形で、会長と病室を出た。

 

 

雲鷹に付いていく形で、たどり着いた場所は病院の屋上だった。

 

 

そして雲鷹は会長に淡々と話を始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~会長視点~

 

 

病室から屋上に移動した後に、雲鷹が四宮グループの事を話してきた。

 

まず四宮グループは、組織拡大のためなら手段を択ばず逆らうものは叩き潰して、忠実なものには充分過ぎる蜜を吸わせるといったやり方で大きくなり、雁庵のカリスマ性でまとまっていたそうだ。

 

しかし秋に一回倒れ、つい最近になってまた倒れた雁庵は、持って数週間という状態になってしまった。

 

そこを四条グループは見逃さなずに動いた為に、四宮家離反組の株放出からの敵対的TOBをして上で、クリーンな財界を望む政治家と手を組み、四宮の不正を告発された。

 

雲鷹「……といった形で、今ニュースになっている状態になっているんだ。ここまでは理解できたか?」

 

長々と説明されたが、まぁ何気に分かりやすく説明してきたのですぐに理解はできた。

 

会長「四宮家の現状は理解できた。……気になったが、四条家と手を組んだ政治家は、なんで弦巻家とは手を組まなかったんだ?クリーンな状態を目指すなら弦巻家の方がいいと思うが……」

 

雲鷹「そんなのは簡単だ。クリーンだとかを言ってるが、そいつらも裏で汚職しているからだ。弦巻家にバレるのは困るようなものだ」

 

会長「そういう奴らばかりじゃないのは、弦巻の誕生日パーティーで分かってはいるが、政治家は口先だけのが多いな」

 

俺の言葉に"そりゃそうだ"と雲鷹が呟いたが、すぐに"それでだ"と言って、話を続けてきた。

 

雲鷹「……親父が亡くなれば、後を継ぐのは長男の黄光って奴が濃厚だ」

 

会長「長男が?」

 

雲鷹「あぁ」

 

優心(会長には、まだ計画の事とかは話さない感じだな。まぁ今は、家とかぐやさんの事以外の事を話すとややこしくなりそうだから、その方がありがたい)

 

雲鷹が跡継ぎの事を言った瞬間に、弦巻が一人納得している風に頷いているのが視界に入ったが、今はそれよりも跡継ぎの事を聞こう。

 

会長「他の兄弟の人は?」

 

俺が質問をすると、次男の青龍って奴は長男の腰巾着で跡継ぎの器ではないそうで、雲鷹自身は継妻の子で立場は低いから無理だと言われた。

 

会長(漫画やらアニメやらの話だけだと思っていたが……、実際にそういう話を聞いたのは初めだ)

 

雲鷹「それとかぐやは妾の子だ」

 

会長「!?」

 

俺が驚いていると、雲鷹はかぐやの母親は祇園で夜職をしていた清水名夜竹(しみずなよたけ)という女性という事と、雁庵が60か70の時に生まれた子供がかぐやだとを言ってきた。

 

そして名夜竹はかぐやを産んですぐ、心臓病で亡くなったという事も説明してきた。

 

雲鷹「かぐやが妾の子だから、当時の四宮家内部でどう接すればいいか分からない状態になっていた。そしたら、親父はかぐやを似た境遇の俺に預けてきたんだ」

 

会長「……」

 

雲鷹「それで、帝王学やらの四宮の教育を叩き込んだ。他の奴に預けていれば、もっとマトモな人間に育っていたと思うぞ」

 

雲鷹はそう言った後に、"恨むなら俺を恨むんだな"と言ってきたが、話を聞いた俺は、雲鷹は四宮の事を"四宮の人間と自分の妹"としてかぐやを育てたと、話を聞いてそう思った。

 

俺がそう思った事と恨まないと伝えると、雲鷹はかぐやと同じ様な反応になったから、なんか兄妹だな……と感じてしまった。

 

雲鷹「とにかくだ。四条との争いで価値が高まるものがあるんだが、それが血族だ。そしてかぐやの価値は良い悪い関係なく高まる。……つまりどうなるか分かるか?」

 

会長「……跡継ぎの長男はかぐやを利用しようとする?」

 

雲鷹「あぁ。でもかぐやは言いなりになる筈がない」

 

俺はその言葉に内心"その通りだな"と思い、頷いた。

 

雲鷹「ただ、完全に言いなりにさせる方法が一つある。それはかぐやの弱点を突くことだ。……その弱点はお前だ。お前が誘拐されるなり、何かされればかぐやは確実に屈する」

 

会長「そんな誘拐とかそんな事されるはずは……」

と、すぐにあり得ないと思い、"そんな筈はない"と言おうとしている最中に弦巻の顔が目に入った。

 

弦巻の顔は冗談じゃないと言っている様な顔をしていた。

 

会長「……マジか?」

 

弦巻「マジだよ」

 

即答で答えてきた弦巻に驚いていると、雲鷹が口を開いてきた。

 

雲鷹「ただ、それは俺達にとって不利益になんだよ。だから、お前に事情を話した上で護衛を付けることにした」

 

会長「(俺達?言い方的に弦巻のことも含んでる感じに聞こえる)……護衛?」

 

"護衛?"と呟くと、屋上の入り口から一人の黒服の女性が出てきた。

 

話を聞くと、かぐやの近衛をしていた人物でかぐや自身も信用している相手だと言ってきた。

 

学校内はセキュリティが高いので護衛の必要性が少ないが、学校外……登下校時や自宅で過ごしている最中に問題が起きる可能性が高い。

 

その為、家に住む事と登下校時に行動する事になった。弦巻の父親の誠心さんが親父に連絡してくれているそうなので、親父も護衛の話は知っていると教えられた。

 

護衛の話が終わると、もう話す事はないという事で雲鷹はそそくさと帰っていった。

 

優心「じゃあ、俺達も帰る事にしよっか」

 

会長「待て、弦巻。……色々と聞きたいことがある」

 

優心「……今"は"答えられないよ」

 

会長「それは、かぐやを助ける為の過程、もしくは救出後に色々と話してくれる……という認識でいいか?」

 

弦巻が言った言葉に俺がそう聞くと、弦巻はすこし考えてる感じで黙ったままになったが、すぐに真剣な顔つきで俺を見ながら頷いた。

 

その弦巻を見た俺は"分かった"と伝え、解散となった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~優心視点~

 

 

雲鷹との話を終えた後に、会長に声をかけた。

 

優心「じゃあ、俺達も帰る事にしよっか」

 

会長「待て、弦巻。……色々と聞きたいことがある」

と、会長がそう質問してきた。

 

その言葉に俺はピタッと動きを止めてしまったが、すぐに会長の顔を見て言葉を返した。

 

優心「……今"は"答えられないよ」

 

会長「それは、かぐやを助ける為の過程、もしくは救出後に色々と話してくれる……という認識でいいか?」

 

優心(愛に話さなかったが、現時点では話しはしないで、かぐやさんが会長に別れやらを切り出した後の方がいい)

 

俺は会長の言葉を聞いた後にそう考えた。

 

他にも、"それにかぐやさんなら、その時かその後ぐらいに+αで何かやると思うから、それを踏まえた上で話をして動きたい"という事も思っていた。

 

その為、俺は会長の言葉に承諾だという事を伝える為に、しっかりと頷いた。

 

俺の頷きを見た会長は、"分かった"と言ってくれたので、内心ホッとした。

 

そのあとはお互いに家に帰った。

 

家で愛は俺が帰ってくるまで起きてて待っててくれていた。

 

朝に話をしたからがあると思うけど、詳しく話しは聞いてこなかったから、俺からしたら凄く安心した。

 

 

そんなこんなで、一日が終えた。

 

 






次回も、少し空いてしまうかもしれません。それでも待ってくれたら幸いです。


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第73話


約1ヶ月ぶりの投稿と遅くなりましたが、話が出来たので投稿です。

では、本編をどうぞ。



 

 

 

~数日後・朝~

 

 

~優心視点~

 

 

会長を雲鷹に会わせた日から数日、そしてかぐやさんが居なくなってから一週間が経った。

 

今日も愛と登校しているが、校門前に着いた時に、記者が声をかけてきた。

 

記者「Webニュースの者ですが、ここに通っている四宮財閥のご令嬢についてお聞きしたいのですが……」

 

優心「取材については校長が窓口を開いてるので、そこでお願いします」

 

記者「お答えできないと言われたので、ここにいるんです。お答えしてもらえません?」

 

優心「無理ですよ」

 

愛「あの、本当に学校側に取材をしてください」

 

そう言って横切ろうとすると、前を遮ってきた。

 

記者「そんな事は言わずに、お答えしてくださいよ」

 

愛(何、こいつ?)

 

優心(黒服さん達に対処して貰った方がいいかな)

と、俺がそう思った時に、隣から"あら?"と声が聞こえた。

 

かれん「優心さんに早坂さん。どうかされました?」

 

愛「紀さんと巨瀬さん」

 

愛が二人の名前を読んだ途端に、記者が二人の元へ近づいた。

 

記者「四宮財閥のご令嬢について少しお話をうかがいたいんですけど」

 

エリカ「まずは彼女の尊き光聖なる声眩い美しさかは語らねばなりません。彼女は私たちの女神救世主であらせられます」

 

かれん「すいません。取材関連は校長が窓口を設けていますので。……お二人も一緒に来てください」

 

エリカの発言に記者が面食らっている内に、学校に入った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~教室~

 

 

教室で荷物を置いた後に、俺は"黒服さん"と呟いた。

 

黒服(華)「はい」

 

優心「……さっきの記者の対処お願い。あのやり方だと他の生徒にもやると思うから」

 

黒服(華)「対処しております」

 

優心「ありがと」

 

華さんにお礼を言って、華さんが離れた辺りで愛とかれんとエリカがやってきた。

 

かれん「先程の記者に対してお願いされたんですか?」

 

優心「したけど、もう対処をしてくれてたみたいだけどね」

 

かれん「流石は弦巻家の黒服……仕事が早いですね」

 

エリカ「それにしても、二人は記者に困ってた様に見えたけど、どうしたの?」

 

優心「簡単に言うと、かぐやさんの事を聞かれて断ったんだけど、しつこく聞いてきて……」

 

愛「だから、取材は学校側にしてと言って通り過ぎようとしたら、前に回り込んで遮ってきたんだ。そしたら二人がやってきたって事だよ」

 

かれん「お二人にもかぐや様の情報を聞き出そうとしてたわけですか?」

 

かれんの言葉に頷くと、エリカと一緒に苛立ちを見せた。

 

エリカ「かぐや様の情報を軽々しく引き出そうとして」

 

かれん「ある事ない事、言うつもりですのよ!」

 

二人「マスゴミめ!!」

 

愛「マスメディア部所属の二人が、そんな事を言っていいの?それに紀さんは大手出版社の社長令嬢なのに……」

 

かれん「実家が出版社だとから関係ありません!かぐや様の情報を聞き出そうとしている時点で、マスゴミだとそう言ってもいいんです!」

 

かれんの言葉に苦笑いしてしまった。

 

かれん「早坂さんと優心さんはメディアが取材しても使えない内容ってなんだと思います?」

 

苦笑いしていると、真面目な顔をしたかれんがそう聞いてきた。

 

かれんの言葉にすぐに答えたのは愛だった。

 

早坂「嘘の情報とかネタにならない話とか……?」

 

かれん「いえ、違います。優心さんは分かりますか?」

 

優心「……世に出せない発言?いわゆる、ヤバい人の発言?」

 

かれん「優心さんの言う通りで、ヤバい人のヤバい発言ですわ」

 

愛「……エリカが記者に言った言葉だね。あの宗教みたいな言い方の奴」

 

エリカ「早坂さん、ひどい言いぐさだね。私は、ただかぐや様の魅力を語ろうとしただけよ」

 

優心「けど、それがあったからさっき助かったんだけどね」

 

かれん「でも優心さんや早坂さんも、エリカみたいにヤバい人の発言をすれば良かったんじゃないんですか?」

 

その言葉に俺と愛は動きを止めた。

 

優心「え、嫌だよ」

 

愛「そもそも、そういうの無理だし」

 

かれん「ですよね」

 

そんな感じで、かれん達と話をしていると予鈴が鳴ったので、自分の席に戻って授業の準備を始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~放課後~

 

 

放課後になり、今日の愛はすばる達と帰るらしく、一足先に教室から出て居なくなった。

 

俺は荷物を持って生徒会室へ行こうと教室を出たが、その時に千花に声をかけられた。

 

千花「優心くん」

 

優心「千花、どうしたの?」

 

千花「お願いがあります」

 

千花に、どうしたのかと聞くとお願いがあると言ってきたから、"どんなこと?"と聞いた。

 

千花「大事な話なので、出来るだけ他の人に聞かれない方がいいんですけど……」

と、千花が言ったから俺は"付いてきて"と千花に言って、空き教室へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~空き教室~

 

 

千花「かぐやさんを助けたいので、協力してもらってもいいですか?」

 

空き教室に入って早々に、千花がそう言ってきた。

 

優心「……協力?」

 

千花「はい。大事な友達のかぐやさんを連れ去られたままにされたくありませんし、何より大人達の勝手な道具扱いされるのも許せません。だから、助けたいんです」

 

優心(……千花は千花で独自に動き始めたって事か)

 

千花「優心くん?」

 

優心「協力と言っても、まず千花は何をするの?」

 

千花「まず情報を集めます。かぐやさんを助けに行くにしても、四宮家内部の情報などをないと、作戦も立てられませんし、生徒会の皆とも協力出来ませんから」

 

優心「四宮家の情報と言っても、どれくらい集められるの?」

 

千花「私の方は、おじいちゃんに聞いたりと協力してくれればある程度の四宮家の情報は集められます。ですけど、足りない分が出ると思うので、そこは弦巻家から教えてくれれば……」

 

優心「なるほどね」

 

千花「……ただ一つ問題があって、かぐやさんをどうやって外へ誘い出すかです。いくら四宮家内部情報を知っても、警備システムとかがあれば救出は難しいです」

 

優心「……それはそうだね。(その辺りは愛に話せば対処可能で、かぐやさん自身に話を伝える方法は……帝に頼めばいけるはず)」

 

千花の話で俺はそう考えた。……けど、千花に協力するとして、最終的にかぐやさんをトップにするという事を話した方が良いのかと思った。

 

優心(……でも、かぐやさんと会長の二人が動き出す前に、こっちはこっちで救出する準備はしてた方がいい。だから、千花にこっちの話をしても問題ない)

 

普段はトラブルメーカー的な千花だけど、真剣という重要な出来事の時は、頼りになるし信用できる。

 

優心(……千花の話に乗って協力しよう。その過程でこっちの話をする事にして、警備システム系は愛に頼もう)

 

千花「優心くーん?」

 

優心(警備システム系は、雲鷹に頼む事も出来ると思うけど、本人は本邸にいるから監視されてる可能性があるし、タイミングが合わない場合があるから期待は出来ない)

 

千花「……優心くん?」

 

優心(愛に頼む時に色々と聞かれるだろうから、その時に話をすればいいか。それと愛自身の事も本人に許可を取ってからだけど、千花に愛自身の事を話そう)

 

千花「ずっと黙ったままで、どうしたです?」

 

優心「……千花の情報集め、手伝うよ」

 

千花「え、いいんですか?」

と、俺の言葉にキョトンとした顔で、そう呟くように言ってきた。

 

優心「え、何……その反応」

 

千花「だって、ずっと黙ったままになってたから、もしかしたら駄目なのかと思いまして……」

 

優心「それはごめん」

 

俺が謝ると、"仕方ないですね"と呟きながら話を進めた。

 

千花「それで、情報集めてまとめたとして、本邸の警備やらはどうするかですけど……」

 

優心「その警備やらの事はアテがあるから、俺に一旦任せてくれない?」

 

千花「アテがあるんですか?」

 

優心「……まぁ、一応。話を通して手伝ってくれるか確認するから」

 

千花「分かりました。話がまとまったら、私に声をかけてください。出来るだけ早くでお願いしますよ、優心くん」

 

"了解"と返事をしてから教室を出て、生徒会室に向かった。

 

生徒会室で作業をやってから家へ帰ったが、家へ帰っている途中で後ろから視線を感じた。

 

後ろを確認しても人は居なかったから歩き出すと、スマホが震えた。

 

画面を見ると、華さんからの電話だったから、その電話に出た。

 

黒服(華)『優心様。先ほど優心様が後ろを見た件ですが……』

 

どうやら、俺が感じた視線についての事だった。

 

優心「あれってなんなの?」

 

黒服(華)『調査会社の人間が調査しているみたいです』

 

優心「……探偵みたいの?」

 

黒服(華)『はい。それと、優心様だけではなく、優心様以外の生徒会メンバーと愛様など、かぐや様と親しい人間の調査もしているようです』

 

優心「だとすると、四宮家関係かな……」

 

黒服(華)『確実にそうだと思いますが、正確な事は今日中に色々と調べてあげておきます』

 

優心「分かった。調べ終わったら、すぐに教えて」

 

華さんの言葉にそう答えてから、通話を切った。

 

優心(あとは、家に帰ったら千花が言っていた警備系の事を愛に頼むか……)

と、華さんとの電話をした後に、そんな事を考えながら家へと帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~弦巻家・優心の部屋~

 

 

俺が家に着くと、先に愛が帰っていたから、俺は"話がある"と愛に伝えて部屋に来てもらった。

 

愛「話って何?」

 

優心「単刀直入に聞くけど、愛は四宮本邸の警備システムとかどうにか出来る?」

 

愛「え?……まぁ基本的に、四宮家別邸で使用人をしてたけど本邸にいる事もあったから、四宮家の警備システムを一瞬ぐらいは誤作動させるとか出来るよ」

 

愛の言葉を聞いて、まず一安心した。こっちが警備システムに干渉出来るのが確定したから、上手くかぐやさんを外に出す事が出来る。

 

そう考えてると、愛が"ねぇ"と声を掛けてきた。

 

愛「なんでそんな事を聞くの?」

と、至極真っ当な質問を愛がしてきた。

 

その質問に俺は、放課後に千花と話をした内容を伝えた。

 

千花が、かぐやさんを助ける為に四宮家の情報を集めようとしている事を教えた。

 

それに加え、情報を集めた後に生徒会メンバーでかぐやさんを助ける際に、外に連れ出す時に四宮家に警備システムがあったら助ける事が難しいという事を伝えた。

 

愛「だから、さっき優心くんが四宮家の使用人だった私に、警備システムの事を聞いたって事なんだね」

 

優心「そういうこと。それで、すぐにって訳じゃないけどかぐやさんを救出する時に四宮本邸近くまで行って貰う事になると思うけど、大丈夫?」

 

愛「大丈夫。友達を……かぐやを助ける為だからね」

 

愛の言葉に、俺は頷いて"その時はお願い"と伝えて、愛は"分かった"と返事をしてくれた。

 

優心「千花に、警備システムの件を解決したって伝えるんだけど、愛がなんとか出来るって言うけどいい?」

 

愛「別にいいけど、どうしたの?」

 

優心「いや……千花の事だから、なんで愛が四宮家の警備システムをどうにか出来るのかを、質問責めしてくると思うんだ」

 

愛「あ~、そういう事ね。変に隠すと話が進まなくなるから、私が四宮の使用人だった事とかを話した方がいいって感じ?」

 

俺が頷くと、愛は静かになって考え始めた。

 

少しして愛が口を開いた。

 

愛「……書記ちゃんに話すよ。確かに色々と質問責めされると思うから」

 

優心「じゃあ、明日の放課後にでもいい?」

 

愛「うん、明日の放課後でいいよ」

 

優心「分かった。千花にメッセージ送っとくよ」

と、愛に言ってメッセージを送る為にスマホを操作をしていると、"あ、そうだ"と愛が呟いた。

 

愛「優心くん。今日の帰り、視線感じた?」

 

優心「感じたよ。その言い方は、愛もだよね?」

 

愛「すばる達と別れたあと、一人で家に帰ってる時に視線を感じて、しかも後を付けられてる感じだったね」

 

優心「そっか。……一応、その時に華さんが調査会社の人間って事を教えてもらったよ。詳しい事は、調べてから教えるってさ」

 

愛「やっぱりそうなんだね。皐も同じことを言ってたよ。華さん達と情報共有をして詳しい事は後でって事をね」

 

優心「対処とかは、俺が後で華さん達と話をしとく。それで、話がまとまったら教えるよ」

 

愛「うん、よろしくね」

 

愛からしてきた話は、帰りに感じた視線についてだったから、お互いに少し話をして話し終えた後は、愛は自分の部屋に戻っていった。

 

愛が居なくなってから少しした時にノックされた。

 

返事をすると、華さんが入ってきた。

 

黒服(華)「優心様、調査会社の件で報告です」

 

優心「どうだった?」

 

黒服(華)「四宮黄光が差し向けた人間でした」

 

華さんの報告で、あの探偵の依頼主は黄光だという事を教えてくれた。

 

優心「だとすると、下手に対処しない方がいいね」

 

黒服(華)「と言うと?」

 

優心「対処してたら警戒でもされたら、こっちの作戦に影響が出るかもしれない。それに別の差し向けた人間が容赦せずに手を出してくるかもしれない」

 

黒服(華)「確かにその可能性が高いので、否定は出来ないですね」

 

優心「……一応確認だけど、俺や愛達には手を出してくる事はないよね?」

 

黒服(華)「そうですね。黄光の部下などであれば手を出すでしょうが、調査会社は外部で尚且つ優心様達の調査のみの依頼だそうなので、手を出してくる事はないですよ」

 

華さんの言葉を聞いた俺は、"分かった"と呟いてから、華さんに指示を出しといた。

 

優心「じゃあ、その調査の人間はそのままにして、俺らの調査以外で変な動きをしない様に監視をお願い。他の黒服さんとの情報共有もするように」

 

黒服(華)「分かりました」

 

優心「あ、それとお父様には、もう報告はしてるよね?」

 

黒服(華)「それは勿論です。旦那様も優心様と同じ事を仰ってましたよ」

 

優心「そうなんだ。じゃあ愛には俺から話しとくよ。それと、他の黒服さんに石上とミコと千花達三人の護衛をさせといて」

 

黒服(華)「分かりました。護衛については、班長と話をして三人にすぐ護衛をつけさせておきます」

 

優心「よろしく」

と言うと、華さんは頷いてから部屋を出た。

 

華さんが部屋を出たのを確認してから、俺も自室を出て愛の部屋に向かった。

 

部屋には、愛が居てくれてたから、華さんから聞いた報告を愛に教えた。

 

調査会社の人間には、特に対処せずにいる事を愛は承諾してくれたから、話を終えた。

 

話を終えると同時に、こころが帰ってきたから、晩ごはんの時間まで話をして過ごした。

 

 

そうして一日が終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~翌日~

 

 

翌日になり、学校に着くと会長に声をかけられた。そして、会長が屋上へ向かって歩き始めたから、俺は着いていった。

 

 

屋上に着くと、会長が口を開いた。

 

会長「弦巻。昨日の放課後……誰かにつけられたか?」

 

優心「あ、うん。視線を感じたよ。それで、華……黒服さんが調査会社の人間が付いてきているって事を教えてもらったよ」

 

会長「やっぱりそうなのか」

 

優心「その言い方で聞いてくるって事は、会長も調査会社の人間につけられていた感じだね」

 

会長「あぁ。昨日、家に帰った後に護衛をしてくれている四宮の黒服に教えてもらった。あと石上達……生徒会メンバー達の調査をしてた事も聞いた」

 

会長から話を聞くと、調査会社の人間の事を言われた。昨日、華さんが言った通り会長にも調査をしていたみたいだ。

 

会長「弦巻は、調査会社の人間に対処するのか?」

 

優心「いや、何もしない方がいいと思って、黒服さんに調査会社の人間達を監視をお願いしたよ。今の人間は、あくまでも調査だけだから、手を出す事はないから」

 

会長「対処しないままにするのか?」

 

優心「うん。調査会社の依頼者は、四宮黄光らしいよ。だから、今の調査会社を対処したとして、次に差し向ける人間に手を出すように指示するかもしれないからね」

 

会長「……なるほど。確かにかぐやと雲鷹から聞いた長男の情報とかで考えると、下手な事はしない方がいいのは確かだな」

 

優心「そういうこと。……と言っても、絶対じゃないから、ミコと石上と千花の三人に、うちの黒服さんに護衛をするようにお願いした」

 

会長「三人には伝えるのか?……いや、伝えると余計に不安になるな……」

 

優心「うん。だから三人には伝えるつもりはないよ。黒服さんに監視お願いしてるから、余程な事は起きないと思う」

 

俺がそう言うと、会長は"分かった"と言って話を終えた。

 

すると、ちょうど予鈴がなったので教室へと戻った。

 

 





次回の話も今回のように投稿期間があくかもしれませんが、頑張って投稿しようと思います。


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第74話


お待たせしました。前回の続きです。

本編をどうぞ。



 

 

~放課後~

 

 

~優心視点~

 

 

朝、学校の屋上で会長と調査会社の人間についての話をしてから時間が経ち、放課後になった。

 

放課後になると、俺は愛と一緒に千花の元へ行き、空き教室で千花に四宮家の警備システム関連の話をした。

 

その際に千花は、なんで愛が四宮家の警備に一瞬とはいえ手を出せるのかという当然な疑問に思って、質問をしてきた。

 

千花の質問に、愛の事を教えると千花は納得してくれた。

 

納得している千花に、愛が四宮家の知っている内部情報をまとめた物を渡していた。

 

愛に話を聞くと、昨日の内に愛自身が知ってる情報……特に四宮本邸の見取り図と各派閥の情報をまとめといたそうだ。

 

それに千花は凄く喜んで、愛にお礼を言ってから手持ちの情報を見始めた。

 

しばらくして、千花は俺に声をかけてきた。

 

千花「優心くん。明日の放課後に時間をください。情報はこれで大丈夫ですので、どうやって助けるかを話しましょう」

 

優心「了解。愛も一緒に参加するよね?」

 

愛「勿論。かぐやの為だから」

 

愛の言葉に俺は頷いた後は、解散となった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

帰りの道中に俺は、かぐやさん救出の件の事を考えて歩いていた。

 

優心(助けの話をする時に、お父様達が進めていた作戦を千花達に話すか。……帝に話そうと思ったけど、やめておいた方がいいかも)

 

帝は、会長がかぐやさんと付き合っているのを知っているから、会長が助けに動くのは理解している。

 

だから、帝は自分自身が進めている救出作戦を最終手段として認識している。

 

だとすると、多少なりとも俺達の方に手助け……かぐやさんが外に出るきっかけぐらい作ると思うから、帝には騒動についての話はしなくてもいい。

 

……そう思ったけど、念のための対策もしといた方がいいな。

 

優心(……千花達と話を終えた後にも雲鷹に話をしとこう。本邸のシステムに異常発生後に、かぐやさんが外へ出ていこうとしてなかったら、さりげなく誘導してもらおう)

 

そんな事を考えながら、愛と一緒に家へと帰った。

 

 

そして一日を終えた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~翌日・放課後~

 

 

~空き教室~

 

 

翌日、授業が終わり放課後になったので、俺は千花と愛の二人と空き教室にいた。

 

千花「それじゃあ、かぐやさんをどうやって助けるかの話をしましょう」

 

愛「……助けたとしてもその後のかぐやを守る方法も考えなくちゃいけない。助けたから、"はい、終わり"じゃ駄目だよ」

 

千花「そうですね。それも含めて考えなくちゃいけません」

 

優心「その助けた後の事で話したい事があるんだけど、少しいい?」

と、二人が話を始めたのを見た俺は、二人の会話に割り込んで伝えたい。

 

千花「どうしたんです?」

 

愛「うん、どうしたの?」

 

優心「かぐやさんを助けた後の事で二人に伝えたい事があるんだ。凄く大事なこと」

 

俺がそう言うと、すぐさま二人は"教えて"と言ってきた。

 

その二人を見た俺は、雁庵さんとお父様が進めていたかぐやさんを最終的に四宮家トップにする話を始めた。

 

修学旅行で曇鷹と話をしていた内容やお父様達と話をしていた内容など、事細かに伝えた。

 

俺も夏休みからずっと協力していた事や曇鷹とかぐやさんも知っていて、かぐやさんが当主に継げる時期になるまでは曇鷹が当主になる事も教えた。

 

それに、雁庵さんと曇鷹もかぐやさんがトップになる事を承諾して、遺言書にも四宮かぐやをトップにする事などを書いてあり、それを公正遺言書として役所で受理された事などを教えた。

 

俺が話し終わると、しばらく二人は黙ったままになったが、千花が口を開いた。

 

千花「……さっきの話で言ってましたけど、本当に四宮黄光と四宮青龍派閥の人間は知らないんですね?」

 

優心「勿論知らないよ。……四宮家で知ってるのは、まず発案者の一人である雁庵さん、曇鷹とかぐやさんだけ。弦巻家はお父様にお母様、俺の三人だけだよ」

 

千花「という事は、私達がすべき事はかぐやさんを外に連れ出して助けることだけですね」

 

千花の言葉に俺は頷いた。すると愛が声をかけてきた。

 

愛「……それは私も含めた生徒会メンバーやそれ以外の人達は知らないんだよね……?」

 

優心「うん、さっき言った人達だけが知ってるから、他の人は知らない」

 

愛「なんで教えてくれなかったの?」

 

優心「……まぁ、修学旅行の前までは完全に話がまとまってはなかったのが理由だね。まとまってからも、時期がくるまでは話さない方がいいと思って」

 

愛「いつどこで、誰に伝わるか分からなかったから?」

 

優心「まぁね」

 

愛「私にも言わなかった理由もそれなの?」

 

優心「うん。俺が愛に教えて、愛が他の生徒会メンバーに教えるとか、その逆もしかり。その教える過程で聞かれる場合があった。現に調査の人間がいるしね」

 

俺がそう言うと、愛が黙ってしまったが少しして"分かった"と渋々納得してくれた。

 

千花「私に護衛を付けたのは、それが理由だったんですね」

 

優心「あ、気づいてた?」

 

千花「そりゃ気づきますよ。……私の話は置いといて、かぐやさんを助け出す方法を話しましょうよ」

 

千花が護衛に気がついていたのを驚いたが、すぐにかぐやさんを助け出す話になったけど、愛が"待って"と言ってきた。

 

愛「話す前に一つ確認したい。……優心くん、四宮曇鷹は本当に協力してるんだよね?」

 

優心「本当だよ。じゃなきゃ、この話は無かった事になってるし、俺がここで話をしてないよ」

 

愛「……分かった。優心くんを信じるよ」

 

優心「ありがと、愛。……じゃあ気を取り直して、話をしようか」

 

愛の言葉に俺はお礼を言ってから、そう切り出して二人が頷いたのを見てから話をした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

まず、会長と石上とミコの三人は今ここには居ないし話をしていないが、その三人を含めた生徒会メンバーと愛で、かぐやさんを助け出すという前提で話を進めた(当然だけど)。

 

優心「まず、愛は当然だけど四宮本邸近くまで行ってもらう事になるよ。警備システムをどうにか出来るのは愛だけだから」

 

愛「分かってる」

 

優心「で、本邸に近付くと四宮の使用人……黄光、青龍派閥の人間が追ってくると思うから、気をつけてね」

 

千花「なんでです?弦巻家が情報統制をしてる筈ですよね?」

と、俺の言葉に千花が質問してきた。

 

優心「いくら情報統制をしてたとしても、四宮の本拠地がある京都に行けば、四宮家の監視の目があると思うよ」

 

千花「あ~、なるほどです。……そうなると、長男か次男のどっちかが来たりしそうですね?」

 

千花の言葉に、俺は"多分、次男の方が来ると思う"と答えた。

 

愛「なんでそう思うの?」

 

優心「……黄光は家の事と、かぐやさんの事でどうにかしたいと考えてる筈だから、動かないと思う。次男は黄光の腰巾着と言われている」

 

愛「……長男が対処している部分以外を次男がしているってこと……」

 

愛の言葉に俺が頷いた。すると千花が声をかけてきた。

 

千花「じゃあ、私も早坂さんと一緒に行動をさせてください」

 

優心「どうして?」

 

千花「次男は女癖が悪く、問題が起きると常に金で揉み消してます。その女性問題で追い込みます。その方法は当日までに準備をしときますよ」

 

優心「分かった。……あとは、かぐやさん救出メンバーは、俺と会長と石上にミコになるか……」

 

俺がそう呟くと、千花が"その事で一つ提案がある"と言ってきたから、どんな内容か聞いた。

 

千花「まず、皆が各々連絡するより、共有できるアプリを使って連絡を取った方がいいと思うので、そのまとめ役をミコちゃんにやってもらうのは?」

 

千花の提案に、やれるものは全部はやった方がいいと思った俺は、二つ返事でオッケーを出した。

 

優心「じゃあ、かぐやさん本人を救出は男性陣でやるって事にして、より詳しい事は皆で話すって事で」

 

俺がそう言うと二人は頷いてくれたので、話は終了した。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

家に着いた後に、自室で俺は曇鷹にかぐやさんの本邸の外に連れ出しの誘導についてのメッセージを送った。

 

少ししたら曇鷹から"分かった"と一言だけの返事がきた。

 

その返事を見てから、愛とこころの所に行き晩ごはんまでの時間を潰した。

 

こうして一日が終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

優心と千花と愛の三人が話をした日から、少しだけ時間が経ったある日。

 

 

~放課後・生徒会室~

 

 

~石上視点~

 

 

四宮先輩が居なくなってから半月、伊井野がストーカー被害まがいにあって少し日が経ったある日。

 

会長「四宮が居なくなってから、半月以上が経ったか……」

 

僕と伊井野が座っている生徒会室のソファーのすぐ近くに、会長が空を眺めながらそう呟いていた。

 

すると、いきなり着信音が響いた。どうやら会長のスマホに電話があったみたいだ。

 

会長「……!(四宮から電話!)」

 

会長が明るい顔になり、慌てて生徒会室から出ていった。

 

ミコ「あの電話って、もしかしなくても四宮先輩なのかな?」

 

石上「多分そうだと思う。会長の反応……特に表情を見ると嬉しそうにしてたから」

 

ミコ「やっぱりそうだよね」

 

伊井野はそう言って少し黙ったが、"あのさ"と声をかけてきた。

 

ミコ「……会長と四宮先輩って別れちゃうのかな……」

 

伊井野の発言に咄嗟に"いきなりどうした?"と言った。

 

ミコ「だって、四宮先輩って半月以上も学校に来てないんだよ。そうなると、二人の関係も上手くいかない感じがして……」

 

伊井野の言葉に僕は少し考えた。

 

石上(……半月以上、学校に来てない。あの四宮先輩が自分の意思で学校に来ないなんてありえない気がする。……だとすると家がそうさせてる?黒服の人間が連れ戻してたし)

 

伊井野「石上?」

 

石上「……もしかして、四宮家は二人を別れさせるのが目的かも知れないよな……」

 

伊井野「なんで、そんな考えになるわけ?」

 

石上「いやだってさ、昔からある家って古い考えっていうかそういったのがあるというか……。それに交流会後の黒服も有無を言わせずに連れていってたからさ」

 

俺がそう言うと、伊井野が黙ってしまった。

 

石上「……こういうのに詳しそうな人に聞いた方がいいかもな。さっきのは僕の勝手な想像だから」

 

伊井野「誰に聞くの?」

 

石上「パッと思い付くのは弦巻先輩や藤原先輩だけど、あまり生徒会室に来てないし、会っても忙しそうにしてるからその二人以外だな」

 

伊井野「……じゃあ柏木先輩は?生徒会メンバー以外で私達とよく話してた相手だから、聞きやすいと思うよ」

 

石上「じゃあ柏木先輩に聞くか」

と、僕が言うと伊井野はスマホを取り出して操作を始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

伊井野が柏木先輩の連絡先を知ってたから、"聞きたい事がある"と連絡して柏木先輩に生徒会室に来てもらった。

 

柏木「それで聞きたい事って?」

と、柏木先輩が聞いてきたので、四宮先輩の事を聞いた。

 

四宮先輩が半月以上も学校に来てない。

 

でも、四宮先輩が自分の意思で学校に来ないなんてあり得ない筈だから四宮家が関係してるんじゃないか……、二人を別れさせようとしてるんじゃないかと思っている事を伝えた。

 

その上で、実際はどうなのかと質問してした。

 

柏木「そうだね……、四宮家はかぐやさんを別れさせようとしてるのは間違いないよ。……家が決めた相手と結婚させる為にね」

 

柏木先輩の言葉に、伊井野と顔を見合わせてしまった。

 

石上「……ほ、本当にそんな感じなんですか?家が決めた相手と結婚するってことが……」

 

柏木「本当よ。ああいった家はおじいちゃん世代が強くてね。資本力が強い相手との結婚とか、皇族と親族になって箔をつけたいとかね」

 

ミコ「……」

 

柏木「女の人を社交界の道具としか考えてないのよ。おじいちゃん世代達はそれが正しいと思ってるから。……男性中心の封建制は根強いよ」

 

石上「四宮先輩も……」

 

柏木「その認識で間違いはないと思う。……私だって翼が病院長の息子じゃなかったら、付き合ってなかった」

 

柏木先輩の説明と本音らしき独白に、僕と伊井野は何も言えなかった。

 

そのまま皆で黙ったままになってると、柏木先輩が口を開いた。

 

柏木「話は終わりみたいだし、私は教室に戻るね」

と、言ってきたから"分かりました"と言おうと思ったけど、一つだけ聞きたい事が出来たから質問をした。

 

石上「あの、弦巻先輩の家はどうなんですか?前に弦巻先輩の誕生日パーティーや家に遊びに行った際に、そんな事は無さそうに見えましたけど……」

 

柏木「弦巻家?……なんで弦巻家の事を聞くの?」

 

僕の言った事に、本当に"なんで?"という感じで聞いてきた。

 

石上「柏木先輩が言った家同士の結婚っていうものに、弦巻先輩が無縁な感じでしたし、実際はどうなのかと思いまして」

 

柏木「そういう事ね。確かに弦巻家はそういう家同士での結婚というのはしてないの。現に弦巻くんと早坂さんは惹かれあって付き合ったから、家は関係ない」

 

ミコ「なんで弦巻家は、古い考えじゃないんですか?」

 

柏木「元々、弦巻家の初代当主兼社長は女性で、"男だから"とか"女だから"を嫌ってた人。だから、自分がトップの会社を興して、男女の片方に偏る至上主義じゃないのを目指した」

 

石上「……それで、四宮家や他の名家が持つ古い考えを持たない、今の弦巻家になったって事ですか?」

と聞くと、柏木先輩は頷いた。

 

柏木「そう、だから男女関係なく交互にトップになり、現在は弦巻くんの父親がトップになってるって訳だよ」

 

柏木先輩の説明を聞いて、伊井野も質問も始めた。

 

ミコ「他の家が弦巻家みたいな考えになったら、どうなると思いますか?」

 

柏木「どうもならないと思うよ。今までのイメージがついてるからどんなに足掻いても、弦巻家の地位になることはあり得ないよ」

 

ミコ「そうなんですか?」

 

柏木「弦巻家はコツコツとそういったものを築き上げて今の地位になったの」

 

石上「問題起きると会社とか弦巻家の信頼とか信用とかは落ちますよね?」

 

柏木「それは落ちないと言えるわよ。弦巻家は問題が起きても必ず調査して即座に対応するし、一般人に影響が出た場合は謝罪やその時の状況による対応もしている」

 

ミコ「即座に動くってこと……?」

 

柏木「うん。だから、弦巻家の信用を落とすなんてあり得ないよ。むしろ逆、落とそうとする方が落ちるわよ」

 

柏木先輩は淡々と説明してくれた。

 

柏木「それも永遠と続くよ。優心くんとこころちゃんがいるし、その二人か片方が結婚して子供が生まれるとして、その子供も絶対弦巻家の考えを持つ子になるはずだからね」

 

その言葉に、"確かに"と僕は思った。

 

柏木「じゃあ、今度こそ教室に戻るね」

という、柏木先輩に頷いた。

 

そして生徒会室から柏木先輩が出ていって、しばらくはお互いに黙ったままになった。

 

石上「……そんな事、無いよな。あの四宮かぐやだよ。家の連中に丸め込まれるなんて……。弦巻先輩の状態になっててほしいよな……」

と、僕が一言だけ言っていたから、お互いに静かになってしまった。

 

ミコ「……ねぇ、石上。さっきの話で気になったんだけど、柏木先輩って何で弦巻家初代の事に詳しかったんだろう……」

 

石上「言われてみれば何でだろう。……別の日に他の人に聞いてみるか……」

と、簡単に話をした後に、生徒会室から出て、家へと帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~夜~

 

 

~弦巻家・優心の部屋~

 

 

晩ごはんを食べ終わりお風呂も入り終わった俺は自室で過ごしていた。

 

そんな中、曇鷹からメッセージが届いたので、内容を確認した。

 

その内容が"かぐやが別れを告げた"事と"かぐやが兄貴の青龍に白銀にお金を渡す事を頼んで、青龍が白銀と接触した"という事だった。

 

優心(別れたというのは作戦通りだけど、お金を渡すとは思わなかった)

と内心で思いながら、どれくらいの金額が会長に渡されたのかを曇鷹にメッセージを送った。

 

するとすぐに返事のメッセージが来た。

 

内容を見ると、驚愕した。飲み物を飲んでたら吹き出してたかも知れなかった。

 

まず会長の手に渡った金額は10億円。

 

最初は、一千万円だったらしいが、会長が四宮雁庵の遺産から、相続されるのが1%だったらいくらなのかなどを言って、最終的に青龍に10億円を要求したらしい。

 

しかも、青龍のポケットマネーとのこと。

 

俺が驚愕した部分は、金額よりもその要求の仕方になんだけど、でもまぁ……流石は四宮かぐやの彼氏で生徒会長の白銀御幸だ。

 

優心(……会長が助けに動くとしたら、明日とかかな。受け取ったお金を使って助ける感じかも……。それにしても青龍から10億を取ったのは良かった)

 

青龍のポケットマネーはまだあると思うけど、いきなりの10億という出費は痛い筈だから、今後の騒動をポケットマネーを使って黙らせたり証拠隠滅をさせる行動を、ある程度は制限できる。

 

優心(まぁ、会長がどう動くのかは明日以降になってみないと分からないし、今日はもう寝ようかな……)

と思って、俺はベッドに入ろうとした時に、またスマホが震えた。

 

画面を見ると今度は会長からのメッセージだった。

 

メッセージ内容は、明日の放課後に四宮の事で話したい事があるから、生徒会室に集まってほしいだった。

 

優心(生徒会メンバー全員で助け出す方法を決める時に、四宮家の情報を言うと、集めた方法を聞かれるかもな。千花と愛にその辺りの事をどうするか話し合うか)

 

メッセージを読み終わって内心でそう考えてると、廊下から足音が聞こえて、ドアからノック音がした。

 

愛「優心くん、起きてる?」

 

優心「起きてるよ」

 

愛「入っていい?」

 

優心「うん、いいよ」

 

愛の言葉に答えて愛が入ってきたけど、入ってくるなりスマホ画面を見せてきた。その画面には、会長からのメッセージ画面だった。

 

愛の方にも、同じような文面であるかぐやさんについて話したい事が書かれていた。

 

愛「優心くんに会長からメッセージは届いた?」

 

画面を見せてきたままで、そう聞いてきたから、連絡が来たことを押してながらスマホを見せた。

 

愛「かぐやを助けるためになのかな?」

 

スマホを見た愛は、呟くように言ってきた。

 

優心「多分……いや、確実にそうだよ」

 

愛「……だよね」

 

優心「愛、一つ決めておきたい事がある」

 

愛「どんなこと?」

 

優心「千花も含めて三人で決めたい事だから、千花に連絡するから待ってて」

と、愛に言ってから千花に電話を掛けた。

 

少しして千花が出たからスピーカにして、千花に説明をしてから決めたいことを話をした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

しばらくして決め終わったので、通話を切り寝ることにした。

 

そうして一日を追えた。

 





会長とかぐやさんの電話のシーンは、本小説でも原作と殆ど一緒の内容なのでカットしました。

次回も、早く投稿が出来ればしますが、今回同様に期間が開くかもしれません。

待ってくれたら幸いです。


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第75話


お待たせしました。一週間で投稿が出来ました。

今回、内容の中に弦巻家の成り立ちなどの話をしてるシーンがあり、当然、歴史について触れてる部分があります。

会社の起業云々や経営云々についてや、歴史に詳しい方などが見ると、実際は違うという箇所があると思います。

ですが、違う箇所があった場合、その部分は本小説ではこういう歴史で、初代の会社だと思ってくれたら幸いです。

第75話は、そういったご都合主義や強引な部分の設定や話があると感じるかもしれませんが、ご了承してくれたら助かります。

では、本編をどうぞ。



 

 

~優心視点~

 

 

~翌日・放課後~

 

 

~生徒会室~

 

 

放課後になったので、千花と愛の三人と生徒会室へ向かっていた。

 

生徒会室の扉を開けると、会長と石上とミコの三人が集まって話をしていた。

 

石上「会長は何かないんですか?」

 

会長「……出来れば使いたくないカードだ。……四宮かぐやの名誉を貶める事になる」

 

生徒会室に入ると、会長がそう言っていた。……どうやら、三人でかぐやさんを救出する為の、案を出しあっていた感じだった。

 

その三人に千花が近付いた。

 

千花「もっと簡単な方法ありますよ。かぐやさんを四宮家のトップに据えちゃえばいいんです」

 

会長「三人、来たのか。……でも、四宮って確か四宮家では……」

 

千花「そうです。跡継ぎとしては継承権4位ですし、年齢的にもトップになるのは無理です。ただかぐやさんを守ってくれる人が総帥になれば問題ないです」

 

千花はそう言ってから、俺の方を見てきたので頷いた。

 

なぜ千花が俺を見てきたかと言うと、昨日の夜に会長からメッセージが届いた後に、愛と千花の二人と話をして決めた事があるからだ。

 

それは、愛が四宮の使用人をしていた事と、かぐやさんをトップにするという作戦を話すという事だ。

 

愛の事については、四宮家内部の情報を話した際に、その情報の出所を聞かれる可能性があるから、その時に教えると決めた。

 

で、現在はかぐやさんをトップにするという話になっているので、俺と曇鷹を含めた雁庵さんとお父様達で進めていた作戦について話す。

 

会長「……弦巻には案があるのか?藤原が言った事について」

 

会長が、俺にそう聞いてきたから頷いた。

 

優心「さっき千花が言った事なんだけど……」

と、切り出してから夏休みから秘密裏に進んでいた作戦について説明をした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

説明を終えると、三人は開いた口が塞がらないといった感じの驚いた顔をしていた。

 

石上「じゃあ、交流会後に四宮先輩が本邸に連れ戻されたという事を知ってたんですか?」

 

優心「うん。かぐやさん本人から"交流会後に連れ戻されると思う"と教えてくれたからね」

 

会長「……俺達に言わなかったのは、情報を漏れさせないようにするためか?」

 

優心「……そうだね。別に話しても良かったかもしれないけど、何があるか分からないからこんなタイミングになった感じだね」

 

会長「そうか……。じゃあ特に何も聞かないし文句は言わないが、一つ確認したい。……昨日、四宮が俺に別れたいと言ってきて、次男が金を持ってきた。これは弦巻が関わってるか?」

 

優心「かぐやさんが会長と別れの事を言った事については、俺が提案した。ただ、お金に関しては一切関わってない。これだけは言える」

 

会長「何でそんな事を提案した?」

 

優心「曇鷹やかぐやさんから聞いたと思うけど、あの汚い事をする四宮黄光の事だ。かぐやさんの心を折る様な事を言って無理やり別れさせると思ったんだ」

 

会長「なら、前もって別れてもらってた方が四宮的にもショックが大きくなりすぎないようにした。……っていう意味で理解していいか?」

 

優心「うん。ただ、かぐやさんがその別れる云々をやった際に、+αで何かやるかもとは思ってたんだけど、まさかお金とは思わなかったよ。あれは全くの予想外ではあった」

 

会長「……まぁ、そのお陰というか軍資金を手に出来たから良かった部分はある」

 

俺の説明に理解してくれた会長がそう言ったので、軍資金の金額に俺は触れた

 

優心「その軍資金は10億でしょ?ある意味、その金額を奪って正解だよ」

 

会長「そうなのか?」

 

優心「そりゃあ、お金はまだあると思うけど、青龍からしてみれば一晩で一気に10億は無くなったって事になる。だから、痛い出費の筈だよ」

 

会長「(確かに本人は節制しないとと言っていたな)……話は分かった。とりあえず四宮の救出の話を続けよう」

 

会長と会話を終えると、石上とミコは驚いている状態から落ち着いていた。

 

会長(てか、曇鷹と会った日に弦巻に色々と聞きたいと言ったが、ついさっきの説明で聞きたい事が解消されてしまった)

 

優心「会長?」

 

会長「あぁ……なんでもない。……四宮が救出した後の安全というか行動とかは、弦巻の説明で大丈夫だと分かったが、その長男達や家から連れ出す方法を決めなくちゃいけない」

 

石上「四宮家本邸の内部とかが、分かればいいんですけど……」

 

千花「そこは私が知ってますよ」

と、千花は会長と石上の言葉に、そう返して机の上に千花と愛が集めた情報をまとめた書類などを置いた。

 

千花「資産情報や、四宮家の間取り図と警備配置、どことどこが仲いいかの利害関係。そしてちょっとした秘密情報などなどです」

 

ミコ「凄いですね。藤原先輩」

 

千花「ふふ……私は将来総理大臣になる人ですよ。これくらい余裕のよっちゃんです」

 

ミコに言われた言葉に、千花は嬉しそうにしながら返したが、皆からは苦笑いされていた。

 

会長「それでもここまでの情報は……」

 

千花「会長の言う通り、元々、私が集めた情報がありますけど、足りない分があったんです。その分は弦巻家に協力してもらうつもりでしたけど、早坂さんから提供してくれたました」

 

会長「早坂が?」

と、会長は愛の方を見た。

 

そのタイミングで俺が前に出て、三人でもう一つ話すと決めていた愛が四宮家の使用人だった事やかぐやさんの近衛だった事を伝えた。

 

愛「だから、四宮家の情報を知ってたの」

と、最後に愛が情報の出所を話した。

 

石上「さっきの弦巻先輩の夏休みから進んでた四宮先輩をトップにする話の方が驚きすぎて、あんまり驚かないですね」

 

ミコ「確かに。それに校則違反してた理由が、四宮家の使用人だとバレない様にする為だとと聞くと、"なるほど"って思いました」

 

会長「そうだな。今さらそんな話を聞いてもそれほど驚かないだろうな。……それに、そのお陰で四宮家の情報を知れたから良かった」

 

三人から言われた言葉に、愛は気恥ずかしそうにしていた。すると、会長が"あ、そうだ"と声を出して千花の方を見た。

 

会長「藤原は早坂から情報を聞く前に、弦巻家から足りない分の情報を聞こうとしてたと言ってたが、つまり弦巻家は四宮家内部の事を知ってると言うことか?」

 

千花「そうです。弦巻家は四宮家の内部情報を知ってますよ」

 

会長「なぜ知ってるんだ?」

 

会長の言葉に俺が答えた。

 

優心「お父様から聞いた事なんだけど、うちと四宮家は、考えや会社の方針などの違いから、お互いに関わらない……無干渉の関係で、何かあれば当主同士で話をする状態だったんだ」

 

石上「何かあればって、例えばどんな事です?」

 

優心「直近だと……、まずパスパレが所属している芸能事務所は分かる?」

 

石上「まぁ、一応は。団長がパスパレファンだったのと、メンバーの人と会った後に調べたので、なんとなくは」

 

会長「俺も事務所の名前は分かる程度だが……」

 

ミコ「私もアイドル繋がりで、なんとなく態度ですけど……」

 

三人が各々の反応をしたのを見てから説明を続けた。

 

優心「その事務所は元々四宮グループの子会社だったんだけど、弦巻グループが買収して子会社にしたんだ」

 

会長「そうなのか?」

と、聞いてきたので、俺は頷いた。

 

会長「……確かに他のグループから買収となると、社長やらが話にをしないといけない部分があるから、そういった話はするってことか……」

 

優心「そういう事だよ。……で、話は戻すけど、ある時に四宮家で跡取り問題が発生した。すると派閥の一つである黄光派閥が、弦巻グループの会社にちょっかいを出し始めた」

 

会長の言葉に肯定してから話を戻して、説明を始めた。

 

優心「それを受けてお父様が調査をさせたんだ。すると黄光が他派閥が自分に手を出せない為なのと、トップになった際に弦巻家より力を持つ為だったのが分かった」

 

ここで一旦、言葉を切って続けて説明をした。

 

優心「それで、お父様が本社と子会社や傘下の会社を含めたグループ各社に、内部での情報共有といった縦と横の連携を強化して、警戒も当然してる」

 

優心「それに、うちと交流のある国の政府関係者からも四宮家関係の情報共有をして、その上で四宮家の動きの監視もしてる」

 

説明を終えると、会長が質問をしてきた。

 

会長「内部情報を知っている理由は分かったが、今度聞きたいのは、四宮……かぐやをトップにするという話自体は、いつからあった?」

 

石上「確かに、弦巻先輩は夏休みに四宮本邸で四宮先輩の父親の雁庵さん?って人から、初めてその話を聞いたんですよね。遺言書の事なども……」

 

会長の質問とそれに乗っかって石上も質問してきたから、俺は去年の夏休みに雁庵さんから聞いた内容を思い出してから、二人の質問に答えた。

 

優心「石上の言う通りで、俺は夏休みに話を聞いたよ」

 

会長「そうなのか……「でも」……でも、どうした?」

 

優心「ただ、今回の出来事で雁庵さんの後任に曇鷹を挟んで四宮かぐやを最終的にトップにするという話自体は、跡取りの前に出てたらしいよ」

 

石上「跡取り前ってどれくらいなんすか?」

 

優心「おばあ様……俺とこころの祖母で、現当主兼社長の弦巻誠心の母で先代当主兼社長だった弦巻心子から話が出てたって、雁庵さんが言ってたんだ」

 

会長「弦巻の祖母から話が出てたのか!?」

 

優心「みたいだよ。なんでも、おばあ様と雁庵さんは歳が同じで知り合いで、しかもおばあ様は先見の明が凄かったって聞いたよ」

 

会長「どんな風に?」

 

優心「周りから超能力で未来を見てると言われたって。……まぁ、流石に実際に見てた訳じゃないから、今回の出来事に似た事を予想してたってさ。これはお父様に確認したら実際そうだったって言ってたから確実だよ」

 

会長「それは凄いが……、その時は今回みたいに話を詰めたりはしてなかったんだろう?」

 

優心「雁庵さんは頭の片隅に留める程度に聞き流してらしい。でも片隅に留めてた理由は、あり得ないと思う反面、先見の明で出た言葉に否定は出来なかった」

 

愛「それで、跡取り問題が発生する前ぐらいから、その心子さんが言っていた事が起き始めたから、誠心さんと話を始めたということ?」

 

俺の言葉に愛がそう聞いてきたから頷いた。

 

優心「曇鷹に、基本的な経営のノウハウなどを短期間に教え込んだ事と、四宮家を立て直せるやり方などは曇鷹さん本人に任せるって事を夏休みの時に教えてくれたよ」

 

その言葉にまたもや皆は目を見開き、口も塞がらない程に驚いていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

また驚いた皆が落ち着いてから、話を進めていった。その途中で、眞妃がやってきて救出作戦に一枚噛ませてほしいと言ってきた。 

 

その理由とかを聞いたり、石上とのやり取りも起きたりしたが、位置情報共有アプリなどの件やらの話もなんとかまとまった。

 

すると、石上が"弦巻家の事で聞きたい事がある"と言ってきた。

 

話を聞くと、どうやら昨日の放課後に柏木さんから、四宮家などの富豪名家達が祖父世代の前から当たり前だと思われていた古い考え……家同士の結婚どうこうの話を聞いたらしい。

 

その話の後に、俺の家である弦巻家は、無縁そうに思えたそうなので、実際どうなのかと思って聞いたとのこと。

 

ミコ「そしたら、柏木先輩が弦巻家の初代当主の事から教えくれたんです。私達が気になったその初代当主の事を、なんで柏木先輩は知ってたのかって事です」

 

石上「弦巻先輩だったら自分の家だから知ってて当たり前ですし、話をしてきても特に疑問は持ちません。でも、他の家の人間が、詳しく知ってたのが謎だったので」

 

優心「そういうこと……」

 

二人が聞いてきたのは、初代当主の事だった。

 

初代当主の事とか家の成り立ち的な事は、お父様から聞いたりしてたから知ってるけど、柏木さんが詳しく知っている事自体は俺は知らなかった。

 

優心「……ごめん。柏木さんが初代の事を詳しく知ってる理由は、俺は分からない」

と、俺が言うと二人は"そうですか……"と呟いていたと同時に、千花が声を出してきた。

 

千花「それなら、私が分かりますよ」

という千花の言葉に、周りで聞いていた俺も含めた皆が驚いた。

 

会長「なんで藤原が知ってるんだ?」

 

千花「えっとですね。……結論から言うと、初代当主の異端さと経営手腕、そして会社としての立ち振舞いの恐怖などが富豪名家に伝わったからです」

 

会長「どういう事だ?」

 

千花「……色々と説明するには、まず初代当主の事について話した方がいいので、そこから話します」

 

千花がそう切り出して説明を始めた。

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~石上視点~

 

 

千花「……色々と説明するには、まず初代当主の事について話した方がいいので、そこから話します」

と、藤原先輩は言ってから、初代当主について話し始めた。

 

その内容の殆どは柏木先輩から聞いた内容だったが、初めて知った事もあった。

 

まず、初代当主は明治時代末期から大正初期を生きた人物だったのは、初めて知った。

 

明治時代は男性中心の封建制度になっていて、その日本社会が嫌だった。といっても、男性中心の制度が無くなって、その逆の女性中心になるのも嫌と感じる人だった。

 

その為、最終的に真に男女平等を目指すようになったと、藤原先輩が言っていた。

 

ただそんな考えは、当時からすれば女性だからとかの話以前に異端な考え方だった為に、近所ではあまり良くは思われていなかったとのこと。

 

そういった考えを持った初代当主は、自分の考えを実現する為に考え付いたのは、会社を立ち上げる……今で言うと起業する事だった。

 

そして弦巻家、弦巻グループの始まりとなる起業した会社は、明治時代末期に小さい貿易商社だった。

 

起業した会社の社員の構成は、社長の初代と副社長に後に夫となる男性と、幹部に自分の考えに共感してくれた男女数人。あとの社員は会社の規模に必要な人数を募集して働きに来た人達だった。

 

藤原先輩が言った弦巻家の始まりの業種と創業した年号を聞いて驚いた。

 

驚いている間にも、藤原先輩が説明を続けていたから、しっかりと耳を傾けた。

 

創業時は特に食品や飲み物、日用品を取り扱う事にして、工業や産業系の取引は極端に少ない輸出入の取引で、品質などの基準を他の企業よりも徹底的に厳しいものにしたそうだ。

 

他の貿易商社が、日本の近代化の為に必要な材料などを取り扱っており、食品系を扱う会社が少なかった。

 

近代化で食文化なども豊かになるから需要が伸びると予想したからが扱ったのが理由だった。

 

案の定、予想した通りになった。

 

その結果、会社は黒字化に成功かつ大きくなり、月日が少し経つと日本の食を支える重要な会社になった。

 

そして会社が安定した為に、扱ってた食品系、産業系とその上兵器等に使われる物以外で需要があり、日本や外国で足りてない物を中心に扱うようにしたので、さらに会社が大きくなった。

 

そこから時が進み、初代が有名になったきっかけが第一次世界大戦だった。

 

その当時……兵器やらが必要だが食材と日用品も必要になった。

 

そこで日本政府が食品などを貿易で取り扱う弦巻家に、軍と国に優先的に回してほしいと言ってきたそうだ。

 

それを初代が断った。

 

食品は、国内外問わず政治家軍人だけではなく国民全員に必要。

 

国や軍は自分達で販売されてるお店に買いに行けと言い放ったが、医薬品や包帯、その他の治療器具などは回してもいいと言ったそうだ。

 

ただ、薬などに対しても条件を突きつけた。

 

当時お店で売られている定価の値段、又は病院などが購入する際の医薬品や包帯などの定価の値段に輸入コストを加算した値段で、購入するなら買っていいという条件を政府に伝えた。

 

当然、政府は反発したが、初代は優先するという事は、他の皆に平等に行き渡らない事になるし、自分が目指す目標にならない可能性があった。

 

それに会社としても初代としても批判や風評被害が出る。

 

条件が飲めないのであれば一切国や軍に回さない。

 

その上、もし今後食品系もお店などから定価で買ってなければ、すべて自分の会社が貿易で輸出入している商品全てを、一切日本政府と軍には回さないという事も宣言をした。

 

そういった事を誓約書も書かせて約束させた。

 

この出来事で、初代の行動が他の貿易商社や他の業種の、当時の最大手の会社達に広まり敵にしない方がいいとなった。

 

それに公平に取引するから、不正をしようものなら取引がなくなる為に不正が少なくなったり、問題が起きてもすぐに対処をする為に動いていた。

 

その行動の結果、不平等な取引をされていた他の業種や国とかに恩恵が出て、弦巻家の評価が上がり地位も上がっていった。

 

初代と婿としてきた旦那が亡くなった後も、初代の考えを受け継いでいたお子さんが跡継ぎとして会社を継いだ。

 

その過程で、初代の極まった考えである"世界を笑顔に"というのをモットーで、幅広く色々と手掛けてる今の弦巻家、弦巻グループになっていた。

 

この時には、他の富豪名家と同様にある程度権力も持ってはいた。

 

千花「ここからも色々とあり、今の権力も財力もある弦巻家になったんです。……柏木さんが初代を知っていたのも、当時の人から家に伝って教えられていたという訳です」

 

愛「……今の弦巻家って敵に回すなって言われているのは、元を辿れば初代の行動があったからってこと?」

 

千花「そうです。……かぐやさんもこの事は知ってると思いますよ。四条さんも知ってますよね?」

 

早坂先輩が質問して藤原先輩が答えて、そのまま眞妃先輩に聞いていた。

 

眞妃「そりゃ知ってるわよ。富豪名家で知らないとなると、エセ富豪名家か、最近急成長してるとか言われてる会社ぐらいでしょうね」

 

千花「そうだと思います」

 

四条(……だから、うちの人間で弦巻家の逆鱗に触れた人間は、内部から四条家の恥って言われてて、お父様も似たような事をしたから、恥呼ばわりされてしまってるけど)

 

石上「へぇ~。……藤原先輩、教えてくれてありがとうございます。納得できました」

 

ミコ「私も知れたので良かったです」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~優心時点~

 

 

千花の初代の説明に、俺も"へぇ~"となっていた。

 

石上とミコが千花にお礼を伝えると、会長が千花に質問した。

 

会長「……富豪名家が知ってるなら、なぜ四宮黄光は弦巻グループの会社に手を出そうとしたんだ?いくら自分の為という目的があったとしても……」

 

眞妃「リスクが負ってでも、跡継ぎ問題で力を付けたかっただけよ。リスクが出ても、すぐに取り返せる程の力や情報が弦巻家にあるからね」

 

千花が答える代わりに、眞妃が答えた。

 

会長「……けど、弦巻の話では情報を取れなかったということか」

 

優心「そういう事だね。……まぁ自業自得でしょ」

 

俺がそう言い放つと、会長が咳払いをした。

 

会長「とにかく、石上と伊井野の質問とその答えが分かった事だし、本題に戻るぞ」

という言葉に皆は頷いた。

 

会長「敵は財閥。四宮家の一部を含めた弦巻家達の作戦があるにしても、秀知院生徒会過去最大の仕事になるだろう」

 

会長の言葉に千花が位置情報共有アプリ”と”通話アプリ”のインストールが出来てるかの確認、石上はワイヤレスヘッドホン等のバッテリー残量に気をつけるよう注意喚起をした。

 

そして、伊井野はその情報のまとめなどをする為に、各メンバーにこまめに報告するように言った。

 

三人の言葉に、各々大丈夫なことを伝え、会長の"始めるぞ"という一言で、皆が動き出した。

 





次回は、京都へ行き四宮かぐやを救出する話を書きます。

1話ぐらいで、長くても2話ぐらいの短さで書き終わるかも知れませんが、それでも次回を待ってくれたら幸いです。


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第76話


明けましておめでとうございます。

新年、元旦に前回の続きの話を投稿です。

本当なら昨日(去年)の2023年12月31日、日曜日の0時投稿でもよかったんですけど、過去二回と元旦に投稿していたので、今回も新年の2024年1月1日に投稿という同じ様にしました。

今回は、生徒会メンバーと愛が京都へと行き、かぐやさんを救出する話です。

一話では収まらなかったので、次回も今回の続きになります。

では、本編をどうぞ。



 

 

~優心視点~

 

 

会長の"始めるぞ"という言葉に皆が動きだしたが、誰よりも早かったのは千花と愛だった。

 

千花「私と早坂さんは、タクシーで京都に行きますね。早坂さん、早く行きましょう」

 

愛「分かった。優心くん、また後でね」

 

優心「うん」

 

愛の言葉に頷きながら返事をすると、千花と愛は生徒会室を出た。

 

二人が居なくなったのを見てから、俺は石上と会長に声をかけた。

 

優心「……じゃあ会長と石上、俺達も京都へ行くよ」

 

石上「はい」

 

俺は石上に声をかけた。

 

会長「分かった。藤原達とは別行動だな」

 

優心「うん。……雁庵さんが密会で使ってた建物に、先に行って待っとく。本邸は二人に任せとけばいいし、黄光が密会部屋に来させるのは、大人組がやってくれる筈だからね」

 

会長「じゃあ、伊井野。あとの情報のまとめ頼むぞ」

 

ミコ「任せてください!」

と元気な返事を聞いてから、三人で生徒会室を出た。

 

 

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~学校・校門前~

 

 

校門前に先に呼んでたタクシーに三人で乗り込み、京都までお願いした。

 

優心「タクシー代、会長の軍資金から出してよ」

 

会長「え?」

 

優心「いや、別にこっちが出すのも別にいいんだけど、かぐやさんと結婚するなら軍資金以上の金額を動かす事になるから、慣れてた方がいいよ」

 

石上「あぁ……確かに弦巻先輩の言う通りっすね」

 

会長「……そうだな、分かった」

 

そこから京都へ着くまで、会話は少なめだった。

 

 

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~病院・病室~

 

 

~雲鷹視点~

 

 

弦巻優心達が動き出したのを確認をして、親父の病室へと入り声をかけた。

 

雲鷹「親父」

 

雁庵「……雲鷹か」

 

今日は、どうやら調子がいいらしい。

 

雲鷹「今日は大丈夫なんだな」

 

雁庵「あぁ……それでどうした?」

 

雲鷹「……あいつらが動き出した」

 

雁庵「そうか。……"01300101"だ。本邸の俺の部屋にある金庫の解除番号。俺の遺書を取り出して提出してこい」

 

雲鷹「……分かった。(亡くなった名夜竹とかぐやの誕生日を解除番号にしてたのか……)」

 

親父の言葉を聞いた後は、病院の駐車場まで行き車に乗りこんだ。

 

雲鷹(大兄貴の事だ。さっきの話を盗聴をしてただろうから、今頃は大慌てだろうな)

 

内心、大兄貴の慌てぶりを想像しおかしく思いながら、京都へ車を走らせた。

 

 

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~黄光視点~

 

 

黄光「親父の部屋を探しまくれ!この部屋の何処かに金庫がある筈だから、畳も全て剥がしまくれ!」

 

 

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探してから時間が経ったが、いくら探しても金庫がない。

 

黄光「どこにも、金庫が無いじゃねーか!」

 

黒服「黄光様。確か、雁庵様が名夜竹様と密会をしていたお部屋か山の何処かにあるという噂を聞いた事があります。もしかしたら、金庫はそこにあるんで?」

 

黄光「(弁護士に預けてたって話だっただろうに!)……このクソ広い山の中を探し回れと言うことかよ。……おい、早坂はいるか!?」

 

正人「はい、なんでしょうか?」

 

黄光「長年、親父の秘書を務めたお前なら親父が使ってた密会部屋はしってるだろ。その場所を教えろ!」

 

正人「確かに知ってますが、教えられませんよ」

 

こいつ、俺の部下の癖に何を言ってやがる……。

 

正人「この際、言っても問題はないのではっきり申しますが、私共……早坂家の主人はずっと雁庵様です。貴方の下に付いてたのは、雁庵様の"指示"だったからです」

 

黄光「なに?(親父の指示だぁ?)」

 

黒服「黄光様。何処かのトイレで火災が……」

 

黄光「そんなのはお前達でどうにかしてろ!」

 

黒服「そ、それが、そのタイミングでかぐや様が本邸から抜け出しました」

 

部下の一人であるこいつから、かぐやが抜け出したと言ってきやがった。

 

黄光(次から次へと色々と面倒が起きやがる。……いや、待てよ。このタイミングでかぐやが抜け出したとなると何処かへ向かう為の可能性が高い。後を追いかけた方がいい)

 

黒服「どうしますか、黄光様」

 

黄光「今すぐかぐやの後を追うぞ」

 

俺は、即座に部屋から出てかぐやを追いかけた。

 

 

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早坂愛がシステムを異常を起こさせる30分と少し前。

 

 

~四宮本邸・とある部屋~

 

 

~かぐや視点~

 

 

私は本邸内の騒ぎを耳にしていた。

 

特に兄様とその回りの付き人達の声が多くなってきた。

 

かぐや(遺書を探している様な声が聞こえる。つまり、弦巻くんが言った通り動き出したって事ね。あとは、どのタイミングで部屋を出るかだけど……)

 

帝「姫」

 

私が部屋を出る方法を考えていると、帝さんの声がした。

 

かぐや「(帝さん?)……どうしてここに?」

 

帝「今、姫を助ける為に御幸が動いてる。……それに、ついさっき知ったけど、あの優心も助けに動いてるよ」

 

かぐや「……それは知ってますよ。皆が助けに来ることはね」

 

帝「え、そうなの?」

 

かぐや「そうですよ。……で、貴方の用件を言ってほしいわ」

 

帝「まぁ、まず僕がここにいる理由だね。噂は聞いただろう?君と僕の縁談で和平の柱にするって話。その打ち合わせをするって体で潜り込んだんだ。姉から助けになってくれって」

 

かぐや「そうね。連れ戻されてからこの部屋にいる間に、本邸の人間がその様な事を言っていたのは知っているわよ」

 

私の言葉に、帝さんは"そうか"と呟いた。

 

帝「御行たちのプランは詳しくは知らないが、彼らか僕の救出プランのどっちかを決めてほしい。僕を選んでくれるなら、ここから君を連れ出して幸せにすると約束する。御行たちもどうにかする。苦労はかけない」

 

かぐや「まるで、白馬の王子様みたいね。どうしてそこまで?」

 

帝「何でだと思う?」

 

初めて会った時から、変わってないのね。

 

かぐや「……てっきり忘れてるものだと思っていたわよ」

 

帝「……君が願うことは、全て叶えてみせるよ」

と言いながら、帝さんは襖を開けて私に手を差し伸べてきた。

 

けど、私はその手を取らなかった。その訳は簡単だ。

 

かぐや「ごめんなさい。私の願いを叶えることができるのは、一人しかいないの」

 

帝「……そうか、やっぱりこうなるか。……じゃあ、本題の伝えたい事を伝えとく。30分後ぐらいに早坂愛が騒ぎを起こす筈だ。警備の手薄になる裏口から脱出してくれ」

 

かぐや「なんでそんな事が……?」

 

帝「今ここにも僕の付き人がいるからね。教えてもらったよ。……それまでは月でも眺めていればいいよ」

 

帝さんはそう言って離れて居なくなった。

 

かぐや(30分後に動きある。短い時間なら感覚でどうにか出来るけど、30分は流石に誤差が出る。……月を見ろ……ね)

 

帝さんが言った事にやり方を思い付いた私は、即座に実行した。

 

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~30分後~

 

 

かぐや「30分」

 

「トイレで火災を関知しました」

という機械音声が聞こえたと思うと、本邸内の人間が慌てた形で移動を始めた。

 

足音が聞こえなくなったのを確認した私は、即座に部屋から出て裏口に向かった。

 

そして、帝さんが言う通り警備が薄くなった裏口から本邸を抜け出した。

 

かぐや(……脱出は完了。あとは、弦巻くんが言った通り密会部屋に行って金庫を開けましょうか)

 

本邸から出た私は、出来るだけ急いで向かった。

 

 

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~愛視点~

 

 

京都に着いて、出来るだけ見つからないように、大通りではなく路地などの人が少ない場所を通りながら本邸へと向かっていた。……が、本邸の黒服に見つかってしまった。

 

どうしようかと悩んでいると、ママも出てきた。と、思うと、ママを含めた早坂家の皆がが他の四宮の使用人達を倒し始めた。

 

愛(そうだった。私の家の本当の主人は雁庵だと、優心くんが言ってた。……ここで黒服に攻撃を始めたのは正体を隠す必要がないからだ)

 

 

そんな事を考えつつも私は、今の内に本邸近くに行く為に書記ちゃんの手を取って走った。

 

その直後、私の背後に一人がやってきたので私が即座に武器を出そうとした。

 

「ガハッ!」

 

ボキッ!

 

すると、いつ出てきたか分からなかったが、私の護衛をしている皐が出てきて、私が対処しようとした黒服を押さえつけた上で容赦なく片足を折り、首筋を衝撃を与えて気絶させていた。

 

いくら私でも、相手を封じる際に容赦なく足を折るとかをした事がない。

 

現にママ達、早坂家の皆も四宮本邸の黒服の動きを封じる際に、物理的に体を損傷させて動けなくさせるのはしてない。

 

その光景を見た私……いや、その場にいた私達は相手側の仲間達も含めて、驚いていた。

 

愛「……あ、あのさ、気絶をさせれるなら、足は折らなくてもいいと思うけど……」

 

千花「私もそう思いますけど……」

 

黒服(皐)「旦那様と奥様のご指示です。愛さん達に手を出す人間には容赦をするな・死ぬ一歩手前までなら手荒な真似を何してもいいという許可を貰ってましたから、大丈夫ですよ」

 

皐はそう言いながら立ち上がって、"さて"と呟いてから私達を襲ってきた四宮家の黒服達に声をかけはじめた。

 

黒服(皐)「それでは他にもこうなりたい方がいるのであれば来てください。同じ……いやこれ以上をさせていただきます」

 

皐はそう言いながら、私の方をチラッと目配りしてきた。"ここは任せて"といった感じだった。どうやら皐は残りの黒服をここに釘付けにするつもりなのが分かった。

 

愛「……私達は行くから、ここは任せるよ」

と言うと、皐が頷いたので書記ちゃんと一緒に本邸へと急いだ。

 

 

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坂道になったから、スケボーを使って坂道を滑っていた。

 

スケボーはママからすれ違いざまに渡された物だ。

 

千花「……早坂さん!後ろから追いかけてきてます!」

 

愛(皐の所に居なかった黒服達かも。……面倒くさいな……)

 

青龍「はい。ここではスケボーはしないでね」

 

書記ちゃんの言葉にそう思ってると、目の前に四宮家次男の四宮青龍が現れた。

 

千花「……優心くんの言う通りですね」

 

愛「だね。……じゃあ、ここは書記ちゃんに任せるよ」

 

書記ちゃんと小声で話して、ここを書記ちゃんに任せて私は一人でガードレールを飛び降りて本邸に向かった。

 

 

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~千花視点~

 

 

青龍「お前は、藤原家の人間だよな。なんでこんな所にいる」

 

千花「かぐやさんを助けにきました」

 

青龍「ガキが大人の騒動に入ってくるな」

 

千花「嫌ですね。かぐやさんの望んでいない結婚をさせる訳にいきません」

 

青龍「結婚してガキ作って家族のためにメシ作んのが女の幸せだ。男に養われてる分際で能書き垂れるな」

 

古い価値観の上に女性軽視の発言。

 

千花「そんなだからモテないんですよ」

と、私が言うと"そんな事はない"と淡々と言ってきた。

 

千花「それはそうでしょうね。夜にはお金目当ての女性は山ほどいるから、それでモテていると勘違いしてる。……でも、貴方がバカにした女ってのは怖い生き物なんです」

 

青龍「あ?」

 

私は今日の為に集めていた女性とのトラブル……子供出来たのに逃げられたなどなどの、ひどい事をされた女性達の証言を伝えた。

 

千花「それに何より色々と話を聞くと、女性がナンパされて断ったらいきなり襲われたとか襲われる寸前に逃げたという人も多数いましたよ」

 

青龍は私が言っている事に冷や汗をかいていた。

 

千花(でも、襲われそうになった人の中に、優心くんの黒服の華さんがいるとは思いもよらなかった。命からがら服とかがボロボロになりながらも、なんとか逃げたと聞いた)

 

優心くんの護衛をしている黒服三人の内の一人である華さんは、優心くんが6歳ぐらいの時に弦巻家の黒服になったとしか聞いてない。……が、そのきっかけがこの人間が関わってるとは思わなかったです。

 

千花「アフターケアができないどころか性暴力すらするなら、女遊びなんてするべきじゃないです」

 

私がそう言ってから、青龍が被る甚大な影響について半ば脅しをかけた。

 

まぁ、当然ですけど、相手は動じないし週刊紙やらに流しても権力で揉み消せばいいと言ってきた。その上、自身の黒服に私を捕まえるように指示を出しました。

 

私は自分に近づいてくるその黒服や他の服を着ている使用人の中の二人を確認してから、私は大声を出した。

 

千花「きゃーやめてー……なんてね。ミコちゃん聞こえました?」

 

青龍「はぁ?」

 

私は髪を耳に掛けて、右耳につけてたハンズフリーのイヤホンを見せた。

 

千花「今時はこんな風に連絡が取れるんですよ。それにこれまでの会話は録音済みですよ」

 

今の時代、出版やテレビだけがスキャンダルを扱っているだけじゃない。”暴露系ユーチューバー”がいる時代でそこでもスキャンダルが暴露されている。

 

私はそう説明しながら自分のスマホを見せて暴露系のユーチューブのチャンネルを見せた。

 

千花「今時、週刊誌やテレビ系ぐらいだけ対応しておけば問題ないは、甘すぎますよ。まぁ、古い考えのオジサンならこういうのは知らなくても、当然ですけどね」

 

青龍はどんどん冷や汗をかいて、どうするか考えている顔をしていた。

 

千花「……と言っても、ユーチューバーには情報は流さないですよ」

 

青龍は、ホッと一息つく。……が、その瞬間にガチャと音がした。

 

その音の正体は、私服を着た男性二人の内の一人が青龍の両手首に手錠をかけた音だった。

 

千花「何を安心していたんですか?」

 

青龍「いや、この手錠はなんだ!お前、情報は流さないと言っていたじゃねえか!」

 

千花「そうですね。でも私は、ユーチューバー"には"流さないと言いました。でも警察に情報を流していましたよ」

 

青龍「なっ!?」

 

千花「私がではなく、女性……特に性暴力を受けた、受けそうになった方々が、警察に被害届を出し、それが受理された。そして私とミコちゃんが証拠として音声などを提出しました」

 

青龍「ふざけんな!……それとお前!逮捕してどうなっても知らねえぞ!」

 

私服警官A「言っときますが、私に脅迫しても意味ありませんよ。逮捕状……令状が出ていますので、私はその通りに行動しているだけですよ」

 

警官そう言うと、青龍の周りにいた使用人が警官に近づこうとした時に、もう一人の警官が言葉を発した。

 

私服警官B「もし、逮捕の邪魔をすれば公務執行妨害として逮捕をいたしますので、下手に動かない方がいいですよ」

 

千花「それに、四宮家は助けませんよ。貴方は、もう四宮家の人間ではないですので」

 

青龍「どういう事だ!」

 

千花「それは、とある場所に分かりますよ。そのまま付いてきてください」

 

優心くんの言った場所へ警官二人と手錠をかけられた青龍と一緒に移動した。

 





前書きにも書きましたが、次回も今回の続きです。

次で続きを書きますが、出来るだけ短く書くつもりです。理由としては、長くなればなるほど、無駄にダラダラなる内容になるからです。

なので、書きたい内容や要点を絞って書いて投稿します。

次回の話が完成してますので、来週の日曜日、1月7日の0時に投稿します。


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第77話


前回の続きです。

今回で、かぐやさん救出の話が終わりです。

では、本編をどうぞ。



 

 

~かぐや視点~

 

 

密会が行われていた建物に入り、金庫の目の前に着いた。

 

あらかじめ聞いていた解除番号を入力し金庫を開けて、中にポツンと置かれている遺言書を取り出した。

 

かぐや(あとは、お兄様にこの遺言書は無効で全く価値がない物だと説明して、皆で帰れれば終わりですね)

と考えながら、遺言書を持ち建物の外へ出ると、ちょうどお兄様がやってきた。

 

黄光「やっぱりな。お前を追いかければ何かあると思ったんだ。さんざんコケにしてくれて……俺を誰だと思ってる!この四宮家の家長だぞ!」

 

かぐや「(はぁ……)まだ、家長ではないですよね。それに家長にはなれないですよ」

 

黄光「子供は大人の言う事を黙って聞け!いちいち口答えをせずにもっと女らしくせんか!」

 

かぐや「男性中心主義の家長制……、まさかお兄様は家督を継げると思っているんですか?」

 

黄光「何を言っているんだ、お前は。……全く話が通じん」

 

かぐや「話が通じないのはどっちですか。……そんな事だからいつまでも弦巻家に負けてるんですよ」

 

黄光「てめぇ……。もういい!とっととそれを渡せ!」

 

お兄様は怒鳴りながら私に手を伸ばしてきたが、私に届かなかった。

 

弦巻くんが私の前に出て、お兄様の手を掴んで止めていた。そして石上くんと……何より会長が隣に来てくれた。

 

かぐや「弦巻くんと石上くん。それに会長。……遅いですよ」

 

優心「ちょっと渋滞にハマっちゃって、遅くなった。千花と愛達より少しだけあとに出ただけで違うとは思わなかった」

 

黄光「……お前らは……」

 

弦巻くん達三人の姿を見たお兄様はそう呟いていた。

 

ーーーーーーーーー

 

~優心視点~

 

 

会長と石上の二人と京都の四宮本邸近くに着き、そこから、山に入り密会部屋へと急ぎ足で向かった。

 

遺言書が隠されている建物へ近づいた時に、手に遺言書を持ったかぐやさんと、黄光が話をしているのが目に入った。

 

すると、かぐやさんに手を伸ばしたから、俺は黄光の手を掴み、下に移動させた。

 

かぐや「弦巻くんと石上くん。それに会長。……遅いですよ」

 

優心「ちょっと渋滞にハマっちゃって、遅くなった。千花と愛達より少しだけあとに出ただけで違うとは思わなかった」

 

かぐやさんの言葉にそう答えると、愛と千花もやってきた。二人の後方に手錠をかけられた青龍もいた。

 

黄光「ガキが何人か増えた所で変わりはねぇよ。こっちには……「ホントか?」……雲鷹」

 

雲鷹が、黄光の後ろからやってきて、黄光と話を始めた。

 

雲鷹「道路は弦巻家の黒服と白銀が雇った人間が封してるから、応援は来ない。それに青龍の兄貴は逮捕されたから、もう終わり。そして、早坂家は牙を剥いてきた」

 

黄光は雲鷹に睨み付けていた。

 

黄光「雲鷹……お前はそっちに付いてたのか」

 

雲鷹「あぁ、こいつら側には付いてる。けどな、そもそも最初からアニキ側に付いてねぇんだよ。……アニキがこの家の帝王になるなんて、まっぴら御免だしな」

 

"なによりな……"と小さく呟いてから、黄光に続けていった。

 

雲鷹「親父の後を継ぐって言っても、その屋台骨は親父のカリスマで成り立ってた。けど、あんたにはそれがない。つまりな器じゃないんだ。もう終わりなんだよ、古い時代の四宮はな」

 

雲鷹の言葉を聞いた黄光はその場に座り込んだ。

 

黄光「お前らは何が目的なんだ。この状況を虎視眈々と狙ってたわけか?」

 

雲鷹「俺らは何もしてねーよ。今回の騒動になるように仕向けたのは、親父とコイツの家である弦巻家だ」

と雲鷹は言いながら、俺に指を指してきた。黄光は目を見開いて俺を見てきた。

 

黄光「……お前、弦巻家の人間なのか」

 

優心「弦巻家、長男の弦巻優心です」

 

黄光「弦巻家の跡取りか……。それよりも、この雲鷹が言った事を説明してもらおうか。親父と弦巻家が仕向けたって事はどういう事だ」

 

優心(お父様の言う通り、俺を次期当主だと勘違いしてるけど、その事はあとで否定すればいいか。今は説明するのが先だ)

という事を考えてから"説明しますね"と言って、四宮かぐやをトップにさせる計画についてを黄光に始めた。

 

 

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黄光「ふざけんじゃねぇよ……」

 

説明を聞いた黄光は、全部諦めた様な感じに呟いていた。

 

黄光「おい、弦巻。親父が書いていた遺言書の中身はどんな内容だ?」

 

優心「一応、その遺言書のコピーを持ってますので、見せましょうか?」

 

黄光「……あぁ」

 

俺は黄光にコピーの遺言書を手渡して見せた。その遺言書を黄光とかぐやさんと手錠をさせられてる青龍が見始めた。

 

 

まず四宮雁庵が遺言書を書いたのは、去年の七月一日に書かれていた。

 

つまり、俺が夏休みに四宮本邸へ行く前に書かれた物だったんだ。

 

そして、肝心の遺言書の内容だが、まず遺産は四宮青龍以外の三人で話し合いで決める。

 

青龍については絶縁。

 

そしてすべての家督は四宮かぐやへ譲るが、四宮かぐやが大学卒業後に、かぐや自身のタイミングで家督に継ぐ。

 

それまでの間は、四宮雲鷹が代理として継ぎ四宮黄光がその補佐をするという内容。

 

黄光「かぐやが家督を継げるまでの間、雲鷹が繋ぎとして継ぎ、俺が補佐させる……」

 

優心「そうですね」

 

夏休みに俺に遺言書を渡してきた時に、雁庵さんは雲鷹は黄光がトップになるのを納得しない事も反対しているのも知っていた。

 

ならば、雲鷹を短い期間になるが、繋ぎとして一時的にトップにさせると決めた。そして基本的な経営ノウハウを叩き込んだが、それでも心配があったので黄光を補佐をしてもらう事も決めた。

 

黄光はやり方は自分と一緒で汚いやり口などがあるが、どうであれ経営については熟知している。

 

だから、四宮家とグループの企業が傾く事も少なくなるだろうと考えた為に、その事を遺言書に書いたと、夏休みに教えてくれた。

 

それと青龍に関して、今後女癖の悪さや金の浪費などを無視してたら、それこそこの先の四宮の評判が悪くなる。

 

その上で、四宮家の人間にしたままで、注意やら何かしらの事をしても、結局は意味がない。だったら四宮の人間じゃないことにすればいいと結論を出した事も教えた。

 

その内容を伝えると、青龍がキレていたが、黄光が黙らせていた。

 

黄光「……四宮グループは、企業数4000で社員数は90万が軽くいるんだよ。今回の騒動のせいで必ず傾く部分が出てくる。そうなると、数えきれない程の従業員が職を失い首を吊る事になるぞ」

 

優心「それもお父様と雁庵様は見越して行動をしてましたよ。今回の騒動で失業者が出るのは明らか出したので、弦巻グループ各社と子会社が失業者の受け入れ準備をしていた」

 

黄光「……それは四条グループの一般社員も同様に、受け入れていたのか?」

 

優心「はい。……しかし、四宮・四条の息のかかった人以外で、当然受け入れられない人達も多数出ています。その方々には再就職するまでの間は、弦巻家が補償なりのサポートをしています」

 

黄光「雲鷹と俺、そしてかぐやが立て直したら、そいつらを再就職させて働いてもらうって事か……」

 

優心「そうです。それに加えて、それまでに弦巻家が行った補償なりのサポートで発生した金銭等は四宮家に補償してもらう事になってます」

 

黄光「四条家には……」

 

優心「勿論、四条家にもそれ相応な請求する為にお父様が四条家と話をしに行きます。当然の事ですよ。片方ばかりに負担を強いるなんてバカな真似しないですよ」

 

俺がそう言うと、黄光が黙ったままになった。

 

かぐや(弦巻くん……また口調が怖い状態になってます。……黄光、雲鷹の二人お兄様が圧倒されている)

 

優心「ただ、お父様が話をするのはあくまでも社員達の動向などの件のみです。"元々の四宮・四条両家の問題については両家で折り合いをつけろ"、だそうです。これは私のお父様からの伝言です」

 

すると、かぐやさんが黄光の目の前に出て声をかけた。

 

かぐや「お兄様。……お兄様は私が女だからと理由と、お兄様自身が人を信用できないのは知ってますが、今回の四条家との騒動終息を私に任せてくれませんか?」

 

黄光「……どうにか出来るのか?」

 

かぐや「……私の事を信用できないと思うので、信用させる為に行動をするんです。それに四条家に関してはどうにかして見せます」

 

黄光「……分かった。やってみろよ」

 

かぐやさんとの話も一区切りついた後に、黄光と雲鷹にむけて口を開いた。

 

優心「失業者のサポートのより詳しい事は、後日お父様が話をする為に四宮家と四条家に足を運ぶそうなので、その際に聞いて話をまとめてください」

 

俺がそう言うと、黄光と雲鷹は頷いた。

 

俺が話した事は全部、京都に着くまで乗っていタクシーでお父様から送られてきたメッセージに書かれていた内容だ。

 

それを俺がお父様の代わりに伝えて、そして話もまとまったという事で解散となった。

 

まず、会長とかぐやさんは二人で話を始めたので、それぞれ家へ帰る事になった。

 

黒服(華)「優心様、お車の準備が出来てます」

 

優心「ありがとう」

 

華さんにお礼を言うと、青龍が華さんの方に顔を向けた。

 

優心(さっきの一言で気づいたのか?)

と思うと、案の定そうだったみたいで華さんに確認する形で声をかけ始めた。

 

青龍「お前……その声、10年前ぐらい時の女か。確か、井島華だったよな」

 

黒服(華)「……あの時は命からがらなんとか逃げましたけど、私を襲おうとした。しかも私の実家の料理屋も潰し、大好きだった両親も弟も事故死に見えるように殺したクソ人間が、私に話しかけないでくれますか……!」

 

華さんは語尾を強めて言い返してた。

 

青龍「てめぇ……」

 

黒服(華)「優心様、さっさと帰りましょう。こんな人間とは話したくないので、他の生徒会の方々も早く乗ってください」

 

華さんは青龍に言い返した後に、ミコ以外のこの場にいる生徒会メンバーと愛に車に早く乗るように言いながら、押し込む形で形で車に乗せた。

 

華さんがその行動をしている間に、俺は私服警官の二人に目配りした。

 

俺の目配りを見た警官は青龍を今いる場所近くに止めていたパトカーに乗せて、警察署に連行していった。

 

その様子と、会長達が車に乗ったのを確認してから、雲鷹に声をかけた。

 

優心「雲鷹様、この後の事はよろしくお願いします」

 

雲鷹「……あぁ」

と、返事を聞いて黄光にも声をかけた。

 

優心「黄光様。教えときますが、俺は弦巻家の当主兼社長代理として就任します。次期当主兼社長は私の妹ですので、覚えといてください」

 

黄光「はぁ?……おい!」

 

俺は黄光の返事を無視して、車に乗り込んだ。

 

 

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車が発進してからしばらくした時に、愛が俺に声をかけてきた。

 

愛「……優心くん。華さんが言ってた事はどういうこと?」

 

石上「そうですね。黒服の人が感情剥き出しで言うなんて相当ですよ」

 

優心「今じゃなくて、別の日の放課後にでも話すよ。華さんは運転してここに居ない。だから、話すなら本人の補足も入れながらの説明した方がいいから……」

 

愛「……そうだね。じゃあまたあとで教えて」

 

優心「うん」

 

そこから各々の家へ着いて、別れの挨拶程度の会話をする以外は静かに車に乗っていた。

 

その中で俺のスマホに雲鷹からメッセージが届いた。内容は、車に乗る前に俺が黄光に伝えた弦巻家の跡取りの事についてだ。

 

"黄光かしつこく質問してくる"という内容だったが、雲鷹に"どうにかしといて"とだけ返事をしてポッケにスマホをしまって、家に着くまで車に揺られてながら外を眺めた。

 

 

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~後日・学校~

 

 

~放課後・生徒会室~

 

 

放課後になり俺と愛が生徒会室に入った。

 

千花「やっと、日常が戻ってきましたね」

 

生徒会室にはかぐやさん以外の皆が揃っていて、俺と愛も含めて千花が皆に言う感じでそう言ってきた。

 

千花の言う通り、日常が戻ってきた感じだ。

 

そして問題の四宮家・四条家の家同士の騒動自体は、かぐやさんが実際に四条家に話をしに行き、なんとか出来たとのこと。

 

その際に、眞妃と帝がかぐやさんの手助けしたとお父様からの聞いた。

 

あともう一つの問題のお父様が進めていたサポートの件については、四条家の当主兼社長……つまりは眞妃と帝のお父様に話をした。

 

その際に、四条家は聞く耳を持とうとしなかった……いや、自分達は悪くない風に言ってたそうで、お父様がそれに対し静かにぶちギレた。

 

ぶちギレたお父様の行動により、結果的に四条家は弦巻家に従う事になった。

 

ただ、帝と眞妃のお父様と側近レベルの親族が悪くない風に言った結果、そうは思ってない幹部にいる四条家親族の人達から評判が悪くなり立場的に悪くなってると、帝と眞妃から聞いた。

 

それでも、跡継ぎ候補の帝と眞妃がまだ学生で、代理の社長を立てる余裕がない状態。

 

そんな中で二人の父親である当主兼社長が居なくなると、四条家が立ち行かなくなるので、立場とかはそのままで何も起きてないそうだ。

 

そんなこんなで、今回の騒動が解決してようやく日常が戻った。

 

そういう事を頭の中であの出来事を整理していると、生徒会室の扉が開いた。

 

入ってきたのは、かぐやさんだった。

 

千花「かぐやさーん。もう大丈夫なんですか?」

 

かぐや「えぇ、なんとかなりましたので、もう大丈夫です」

と、かぐやさんがそう言うと皆が話しかけていった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

皆が、かぐやさんとの話が一区切りがついた時に、愛が俺に声をかけてきた。

 

愛「それで、優心くん。華さんの事を教えて」

 

愛が言った言葉に気になった皆が俺を見てきた。

 

優心「元々、別の日に話すって言ったし、説明するよ。華さん、いいよね?」

 

黒服(華)「はい、大丈夫です」

 

華さんに声をかけて、許可をもらってから皆に説明する感じで話を始めた。





次回は、優心の護衛を務めている黒服の華さんの話を書きますが、まだ執筆途中で話は出来上がってませんので、投稿が遅くなるかもしれません。

早めに出来れば早く投稿します。


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第78話


前回の続きで、黒服の華についての触れている話です。

この一話で華の話がまとまっています。

では、本編をどうぞ。



 

 

~優心視点~

 

 

俺は華さんの話を始めた。

 

優心「まず、華さんと初めて出会った時の事なんだけど、愛には俺が熱を出した時に言った夢の話の時なんだ」

 

愛「あ、小さい頃に家族全員で山の麓にある別荘に行ったって話?」

 

会長「そうなのか?」

 

優心「うん。その時は、俺が6歳でこころが5歳だった。それで、その帰り道に弦巻家の塀の所を服とかがボロボロになりながら歩いてたんだ」

 

愛「は、華さん、そうなんですか……?」

 

愛の問いかけに、華さんは頷いて自分から話を始めた。

 

まず、華さんのフルネームは井島華で、実家は料理屋。

 

その料理屋は、料理の味も見た目も評判もよく、専門店にも引けを取らないぐらい美味しいお菓子も充実しているお店。

 

両親は幼馴染みで二人とも料理もお菓子も凄く作るのが上手い人だった。そして俺と同い年の弟も居た。

 

そんな家族で過ごしていたある日のこと。

 

黒服(華)「私が高校から帰ってる時に、いわば誘拐されてしまったんです」

 

会長「……それが青龍派閥の人間だった?」

 

黒服(華)「そうです。連れて行かれた場所であのクソ人間がいたんです。……それで襲われそうになったんですけど、なんとか抵抗して逃げ出したって訳です」

 

石上「それで逃げ出した先が、ちょうど弦巻家だった」

 

黒服(華)「そうです。だから、優心様達があの時に家に帰ってきて無かったらどうなってたかって事ですね」

 

愛「確かに……」

 

黒服(華)「助けてもらってから、両親と弟達の事を話して確認してもらったら、実家でもあるお店が無くなって家族全員が事故死に見せかけた状態で殺されてました」

 

かぐや「……それはあの青龍がやったって事ですか?」

 

黒服(華)「そうですよ。私が抵抗して逃げて私を探している傍らで、まず両親に金で黙らせようと両親に金を渡そうとした。しかし両親は頑なに断り、警察に被害届を出すことをしていた」

 

優心「それを聞いた青龍は一旦引き下がったけど、ご両親が警察署に行く最中で衝突事故、弟さんは家の火事が原因で死亡した」

 

俺と華さんの説明に皆は口が塞がらない状態になっていた。

 

優心「まぁ、当然お父様達が被害届を出したりと行動してたけど、警察や検察の人間の一部が勝手に四宮家に忖度して青龍は不起訴になったし、青龍は金で出版やらの方面に金で黙らせてたよ」

 

かぐや「それは四宮家が介入してたんですか?」

 

優心「ううん。青龍が一人で全て金で黙らせてたらしい。家自体や雁庵さん、黄光と雲鷹さんは介入はしてない。つまりは、警察検察一部の勝手な忖度と青龍が金で黙らせたという事だよ」

 

俺の言葉に、皆は許せない感じになっていた。

 

優心「さっき言った事は、うちで調査済みだから全て事実だよ」

 

かぐや「事実ですか……。あの、弦巻くん。その時にお父様は何かしなかったんですか?」

 

優心「……雁庵さんが警察と検察に言ったらしいけど、"四宮家が今さら何を言っているの?"みたいな感じで、動いてくれなかったそうだよ。今までの四宮家のやり方のせいで結果は変わらなかったってさ」

 

かぐや「……そうですか……」

と、かぐやさんが一言呟くと生徒会室は静かになったが、華さんが口を開いた。

 

黒服(華)「そこから当然ですけど、私は荒れに荒れまくってましたし、泣いてましたね。けど、優心様とこころ様が変に同情しないで普段通りに笑顔にしてくれようとしてくれました」

 

かぐや「前に、公園で弦巻くんの性格と笑顔に救われたって言ってたのは、その事だったんですね」

 

黒服(華)「はい。それに、こころ様の"泣きたい時はいっぱい泣いて"と言われました」

 

かぐや「そうなんですね」

 

黒服(華)「えぇ。それに何より優心様が、"華ちゃんが今いっぱい泣いて悲しんだ分、絶対に笑顔になれて幸せになれる"って言ってくれた時は嬉しかったですね」

 

華さんが皆に確かに俺が言った言葉を皆に言ったから、俺は驚いた。

 

優心「皆にそれを言わないでよ!恥ずかしいよ!てか、覚えてたの!?」

 

黒服(華)「覚えてるに決まってるじゃないですか。その後にも色々と笑顔にしようと行動してくれたり、弟がいるのを知った途端に"お姉様"って呼んできたり……」

 

優心「もうダメ!言っちゃダメ!」

と、俺は咄嗟にそう言いながらソファーから立ち上がって口を塞ごうとしたら、華さんは俺が立ち上がる前に俺の所に来て俺の動きを止めて頭を撫でてきた。

 

黒服(華)「……あの時は、本当に優心様には助けてもらえたんですよ。これだけはどんな事があっても変わりません。だからこそ私がどんな事になっても優心様を支えるつもりですよ」

 

優心「……そんな死ぬような事は絶対に言わないって、約束したよね。俺は弦巻家の使用人は全員家族だって思ってるから、そんな事を言うのは絶対に許さない」

 

黒服(華)「ふふ、ごめんなさい」

と言いながら、華さんはずっと頭を撫でてくれた。

 

優心「~~♪♪」

 

しばらく頭を撫でてもらってると、皆がいる事を思い出して華さんから離れて皆を見た。

 

皆はニヤニヤとして見てたから、俺は凄く恥ずかしくなった。

 

優心「もう華さんの話は終わり!俺はもう帰るよ!」

 

愛「あ、待って。私も一緒に帰るよ。華さん、車の用意は出来てます?」

 

黒服(華)「恐らくは。……どうです?」

 

黒服(皐)「準備万端です」

 

華さんと皐の言葉を聞いた俺は、すぐに鞄を取りに教室へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~愛視点~

 

 

優心くんの護衛をしている華さんの事を色々と聞いて、口が塞がらなかった。

 

だって、あの青龍が華さんだけじゃなくて家族にまで手を出していたから……。

 

すると、かぐやが声をかけて少し話をした後に、華さんが優心くんを見ながら話してきた。

 

黒服(華)「えぇ。それに何より優心様が、"今いっぱい華ちゃんが泣いて悲しんだ分、絶対に笑顔になれて幸せになれる"って言ってくれた時は嬉しかったですね」

 

華さんがそう言うと、優心くんが恥ずかしそうにしてたけど、その後も優心くんが恥ずかしそうにしているのを気にせずに話し続けていた。

 

でも、優心くんは流石に恥ずかしさが限界にきたのか、華さんの口を塞ごうとした。

 

けど、華さんは優心くんが口を塞ぎに来る前に、優心くんをうまく動きを止めて頭を撫で始めた。

 

この時に二人で話をしていて、優心くんは母親の心美さんよりも華さんに撫でられてる方が嬉しそうにしていた。

 

愛(初めて見た。こんな状態の優心くんを……)

と思ってると、かぐやたちに声をかけられて質問されたから答えながら優心くんを見ていた。

 

少しして、優心くんは"ハッ!"ってなる感じで私達の方を見てきた。どうやら私たちがいるのを忘れてて、今さっき思い出した感じの様子だった。

 

私達に見られてた事に恥ずかしくなった優心くんは"帰る"と言ったから、私も帰ることにした。

 

華さんに車の準備が出来ているか聞くと、皐に確認してて皐が準備が出来ている事を教えてくれた。

 

すると優心くんは一足先に教室に荷物を取りに行っちゃったから、私も急いであとを追いかけた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

その後、優心くんは車の中でも恥ずかしそうにしていたけど、家に着く頃には落ち着いていた。

 

そして晩御飯を食べ終わり優心くんが自室に戻った後に、私はメイドや執事や黒服の人達に優心くんと華さんの仲の良さを聞いてみた。

 

聞いてみると、小さい頃は今日の生徒会室での出来事みたいに頭を撫でられるのは何度かあったそうだ。

 

優心くんとこころの二人が小さい頃から、両親は仕事でいない事が多かった。

 

それで、こころはちょくちょく黒服の人達にお願いを言ったりしてたけど、優心くんはどっちかと言うと我慢をする方だった。

 

華さんが自分から優心くんの護衛を希望したのも相まって、心美さんが華さんに優心くんの事を構ってあげてってお願いをしていたと聞いた。

 

だから華さんは護衛の黒服としてもプライベートとしても長くいる時間があった為に、あんな感じの仲の良さだったりがあったそうだ。

 

愛(まぁ、姉弟の様に育った……私とかぐやみたいな感じかも)

 

そう結論つけた私は自分の部屋に戻りベッドに入ろうとした時に、部屋のドアをノックされた。

 

返事をすると、優心くんが部屋に入ってきた。

 

話を聞くと、明日の休みにポピパが主催ライブするという事と、優心くんにも見にきてほしいと沙綾から連絡が来たそうだ。

 

それで、優心くんは私も一緒に見に行きたいと思って声をかけてきたと教えてくれた。

 

愛「そのライブって、ポピパ以外だと誰が出るの?」

 

優心「えっと、ロゼリアとハロハピとアフターグロウとパスバレだよ」

 

愛「凄く楽しそうじゃん。私も見に行くよ!」

 

優心「じゃあ、沙綾にチケット二枚を取り置きのお願いしとくよ」

 

愛「うん、よろしく。……あ、ライブハウスはどこなの?」

 

優心「ギャラクシーだよ。ますきの実家の所だよ」

 

愛「分かった」

と返事をすると優心くんは部屋から出たから、私は部屋の電気を消した。

 

ベッドに入って、"楽しみだな"って思いながら眠りについた。

 

 

こうして一日を終えた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~かぐや視点~

 

 

弦巻くんの護衛をしている黒服の華さんの話を聞いた。

 

私と会長が二人で話している傍らで、黒服の華さんが感情剥き出しで青龍に憎悪を向けていた事を、車の中で愛さんから教えてもらった。

 

そして今日の放課後で詳しい事を教えてもらったが、驚くと怒りの感情しか出てこなかった。

 

うちの人間が汚い事をしているのは承知していたが、弦巻家の人間にまで被害が出てたとは思わなかった。

 

そんな感情を抱きながら話を聞いていた時に、華さんが弦巻くんから言われて嬉しかった言葉を私達に言ってきた辺りで雰囲気が変わった。

 

弦巻くんが凄く恥ずかしがり最終的に頭を撫でられると、私達の事を忘れた感じでそのまま二人で会話を始めた。

 

かぐや「愛さん。弦巻くんは家でも、ああいった感じなんですか?」

 

愛「ううん。あんな感じの優心くんは、初めて見たよ。母親の心美さんよりも嬉しそうにしてる……」

 

石上「……でも、微笑ましい感じですね。姉弟みたいな感じで……」

 

愛「そうだね」

 

少し話をしていると、弦巻くんが思い出した感じで私達を見てきた。

 

そして私達に見られていたと分かると、華さんに言われていた事よりも恥ずかしくなった様で、愛さんと家に帰ってしまった。

 

 

その様子に、生徒会室に残ってる皆は呆気に取られてしまっていたが、会長が口を開いた。

 

会長「……でも、あれだな。弦巻の黒服の事が分かったし、弦巻の意外な一面を見られたから良かったって感じだな」

 

ミコ「そうですね」

 

石上「でも、主人と使用人ってあそこまで仲が良くなることってあるんですかね?……四宮先輩どうなんですか?」

 

石上くんが、主人と使用人の関係について聞いてきた。

 

かぐや「そういうのは、ほとんど無いと思いますよ。四宮家と四条家は異常な所がありますが、それを無しにしても他の富豪名家でも、あの二人程の関係はない筈です」

 

会長「四宮と早坂は?」

 

かぐや「私と愛さんは、姉妹の様に育ちましたし仲は良い方だと思いますが、弦巻くんの方と比べると全然だと思います。それに、弦巻くんは使用人は家族と言ってました。その時点で違いすぎますよ」

 

私がそう言うと、皆は"はぁ……"と言った感じになっていた。

 

かぐや「……今日は、そろそろ帰りましょうか。時間も最終下校時間に近づいてきてますしね」

 

会長「……本当だな。じゃあ今日は解散だ。今日は金曜だし、また来週だ」

 

会長の一言で皆は生徒会室から出ていった。

 

私も帰りの準備をして家へ帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~優心視点~

 

 

生徒会室で華さんの事を話して、家へ帰った。

 

晩御飯を食べて部屋でゆっくりしていると、スマホから着信音が鳴ったから、画面を見ると沙綾からの電話だった。

 

電話に出て用件を聞くと、明日の休みに主催ライブをギャラクシーでやる事を教えてくれた。

 

おたえがサポートギターの件もチュチュ達となんとか話がまとまって復活したポピパを見てほしいと、沙綾と他のポピパの皆が思ったらしく、俺に連絡したと教えてくれた。

 

他の出演するバンドは、ロゼリアとハロハピとアフターグロウとパスパレだそうだ。

 

優心(こころ、ポピパの主催ライブの事は言ってなかったけどな。……かぐやさんの件であまりこころに構ってあげられなかったし、教えてくれるタイミングが無かっただけかも)

 

沙綾『優心先輩?……それで、来てくれますか?』

 

優心「あ、うん、行くよ。けど、愛にもちょっと声をかけて良い?行くなら愛と一緒に行きたいから、愛も行くかどうか確認取ってくる。また、あとでかけ直すよ」

 

沙綾『分かりました』

 

電話を切った俺は、"愛も行きたいって言うだろうな"と思いながら、愛の部屋に行きポピパの主催ライブの事を話した。

 

話をすると、やはり行きたいと言ったので、ライブハウスの場所とかを伝えてから部屋から出て自室に戻った。

 

自室に戻った後に沙綾に連絡をして、チケットを二枚取り置きしてもらった。

 

 

通話を切ったあと、俺はベッドに入り寝ることにした。

 

 

こうして、濃い一日が終わった。

 





今回で、華さんの話は終了になります。

次回以降は、かぐや様側の方とバンドリ側(アニメ&ガルパ)の両作品にある日常系エピソードなどを、メインに書いていきます。

そして、ひとまず次回の第79話に関しては、バンドリアニメ二期最終回の、ポピパがやる主催ライブを優心と愛が見に行く話を書いて投稿します。

そうは言っても、書くとしたらライブ前やライブ終わりでの会話メインで、ライブシーンなどはカットすると思うので、あまり期待しないで待っててください。

それに加え、投稿まで時間が掛かってしばらく待ってもらうかと思いますが、待ってくれたら嬉しいです。


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第79話


前回から一週間で投稿が出来ました。

今回、前半部分は前回の後書きで書いた通りライブシーンがない状態で、尚且つライブが始まる前後の話がメインになっているポピパの主催ライブの話です。

後半部分は、オリジナルな話を入れつつ、白銀がスタンフォードに飛び級するのでアメリカに行く当日までの話を書きました。

本小説では、四宮かぐやもスタンフォードに行くので白銀御幸と四宮かぐやがアメリカに行く話になっているので、かぐやが遅刻するという展開はないので、空港での見送りの部分は凄く短くなっています。

その辺りは、目を瞑って楽しんで呼んでくれたら嬉しいです。

では、本編をどうぞ。



 

 

~翌日・休日~

 

 

~優心視点~

 

 

華さんの話をした日の翌日。

 

 

愛「どんなライブになるんだろうね」

 

優心「まぁ、ポピパが主催するライブだから、楽しくていいライブになると思うよ」

 

俺と愛は、今日のライブの事を話ながら主催ライブが行われるライブハウスのギャラクシーへと向かっていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

家から話ながらしばらく歩いてると、ギャラクシーが見えてきた。

 

入り口前にますきとレイヤが話してるのが見えた。

 

優心「ますきー!」

 

ますき「ん?……優心さんと愛さん、ライブ見にきたんすか?」

 

優心「うん。昨日の夜に沙綾から、主催ライブをやるから見にきて欲しいって連絡がきたんだ」

 

ますき「いきなりの電話だったんすね」

 

優心「そうだけど、こっちの方で起きてた問題やらが片付いた後の誘いだったから、タイミングは良かったけどね」

 

この後も少しだけますきと話をして、レイヤと話をしていた愛に声をかけてギャラクシーに入った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~愛視点~

 

銀河青果店兼ライブハウスギャラクシーが見えてきた時に、お店の前でますきがもう一人の女子……女性?と話をしているのが見えた。

 

優心「ますきー!」

と、優心くんが名前を叫んで、ますきと二人で話を始めてしまった。

 

私は、ますきと一緒にいた女性?に声をかけた。

 

愛「あの、ますきの知り合いですか?」

 

レイヤ「あ、はい。和奏レイです。ますきと優心さんからはレイヤって呼ばれてます。……17歳で高校二年です」

 

私の問いかけに名前を教えてくれたけど、年齢と学年を聞いた時に、"ん?"ってなった。

 

愛「……え、年下?」

と、すぐに自分より一つ年下なのを理解して、私は自然とポツリと呟いていた。

 

レイヤ「あ、やっぱり……。身長が高いので、よく間違えられるんですよね……」

 

愛「ご、ごめん」

 

レイヤ「あ、いや、謝らなくても大丈夫です。それで、名前を聞いても……」

 

愛「えっと、私は早坂愛で高校三年です。それと、今そこでますきと話をしている優心くんの彼女です」

 

私も自己紹介すると、レイヤは"あぁ……"という声が出ていた。

 

レイヤ「前に優心さんとますきが言ってた彼女さんだったんですね」

 

どうやら、私の事をなんとなくは聞いてたみたいだった。

 

愛「それで、レイヤもポピパのライブを見にきた感じ?」

 

レイヤ「あ、はい。花ちゃん……花園たえちゃんからチケットをもらったんです。私、花ちゃんとお馴染みで……」

 

愛「え、そうなの?」

 

レイヤ「はい」

 

意外な繋がりがあるんだと思いながら、まだ話をしている時だった。

 

優心「愛、そろそろギャラクシーに入ろっか」

 

愛「うん、分かった」

 

レイヤ「じゃあ私も行きます」

 

優心「レイヤも見にきたの?」

 

レイヤ「花ちゃんにチケットを貰ったんです」

 

優心「あ、おたえと幼馴染みって言ってたよね」

 

レイヤ「はい」

と、会話をする二人の後ろをついていく形で、ギャラクシーの中に入った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ギャラクシー・店内~

 

 

~優心視点~

 

 

受付で、取り置きしてもらってた俺と愛のチケットを確認してもらって、ギャラクシーの中に入ると結構お客さんがいた。

 

その中を見渡していると、音響機材の所に六花がいて忙しそうにしていた。

 

美子「あ、優心くん。久しぶりだね~」

 

六花の様子を見ていたら、ギャラクシーの店長をしている能々美子(ののよしこ)さんに声をかけられた。

 

優心「美子さん、お久しぶりです」

 

美子「本当だよ。最近は来てなかったけど、何かあったの?」

 

優心「まぁ、色々と……」

 

美子「そっか~。なら仕方ないけど、次はもっと来てね~」

 

優心「出来る限りはそうしますよ」

と伝えると、美子さんは"仕事に戻るね"と言って六花の所へと移動した。

 

美子さんがいなくなったら、愛が美子さんの事を聞いてきた。

 

愛「あの人ってどんな人なの?」

 

優心「ここのギャラクシーの店長さんだよ。何回かギャラクシーに来てるから仲良くなったんだ」

 

愛「へぇ~」

 

愛の質問に答えると、ライブが始まる状態になったのでステージを見た。

 

ーーーーーーーーー

 

 

一番最初は、ポピパでステージに上がり曲を披露し始めた。

 

始めて聞く曲だった。

 

六花「この曲は最後じゃ……」

と、六花の慌ててる声が一瞬聞こえたが、気にせずにポピパのその曲に耳を傾けた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

ポピパの始めて聞いた曲からも、順番にハロハピとパスパレ、アフターグロウにロゼリアといった順番で曲を演奏していった。

 

そのライブの一曲目は始めて聞く曲ばっかりで、その上演奏される度に六花が嘆くというかパニクってる声が聞こえていた。

 

何回も六花のそんな声が聞こえると、バンドの皆がセトリ無視の上に一曲目を新曲披露をしていたを理解した。

 

そして、アンコールになりポピパがまた登場して、キズナミュージックを歌い始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ライブ終了後~ 

 

 

~ギャラクシー前~

 

 

ライブが終わり、ポピパ達バンドの皆が出てくるまでギャラクシーの入り口前で愛と話ながら待っていた。

 

しばらく待ってると香澄達がギャラクシーから出てきた、

 

香澄「あ、優心先輩と愛先輩だ。……優心先輩、もしかして待ってたんですか?」

 

優心「そうだよ。今日のライブの感想を言おうと思って待ってたんだ」

 

香澄「そうなんですね!」

 

隣にいる愛は、リサと話をしていた。

 

こころ「お兄様ー!」

 

香澄の言葉に答えてると、こころが俺に抱きついてきたので受け止めながら、声をかけた。

 

優心「こころ、ライブお疲れ様。笑顔になれたいいライブだったよ」

 

こころ「それなら良かったわ」

 

蘭「そろそろ帰りません?ずっとここで話すのは流石にどうかと」

と、蘭が言ってきたので歩きながら話をした。

 

内容の殆どは今日のセトリの順番だった。

 

トップのポピパは純粋に間違えたそうだけど、その後の皆はポピパが新曲をやった事に感化された感じで自分達もとなったそうだ。

 

その結果、六花達スタッフが大変になった。

 

優心「だから、所々で六花の大変そうな声が聞こえてたわけだよ」

 

愛「確かに私も聞こえてたよ」

 

六花「え、本当ですか!?」

 

優心「うん」

と頷くと、六花は恥ずかしそうにしていた。

 

そんな感じで、各々で好きなように話をしている時だった。

 

目の前にパレオとチュチュがやってきて、チュチュが俯きながらギリギリ聞こえる声で感想らしき事を言っていた。

と思ったら、いきなり顔を上げてこっちを見てきた。

 

チュチュ「次はブッ潰してやるから待ってなさい!!」

と、大声で叫んでパレオと一緒に居なくなった。

 

その光景に皆はポカーンといった感じになってしまった。

 

愛「さっきのなんだったんだろう……」

 

優心「さぁ……。まぁ、あんま気にせずに帰ろっか」

 

友希那「そうね」

と、俺の言葉に友希那が一言だけ返事をして皆は頷いたので、皆と解散となり家へと帰った。

 

そして一日が終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~数日後~

 

 

~昼休み・校長室~

 

 

~優心視点~

 

 

ポピパの主催ライブを見に行った日から数日が経って、会長とかぐやさんがアメリカに行くまでにあと三日になった。

 

そんな今日の昼休みに、俺は校長に呼ばれ校長室に来ていた。

 

ただ校長室には、校長だけではなく白銀とかぐやさんの二人もいたが、俺は二人を見て呼ばれた理由がなんとなく分かった。

 

優心(……二人がスタンフォードに行くと、現生徒会の会長と副会長の席が空席になるから、その辺りの話だろうな)

と思いながらも、俺は校長に質問した。

 

優心「……校長。俺を呼んだ理由と二人がいる理由を教えてください」

 

校長「弦巻くんなら分かってると思いますが、結論から言うと現生徒会の活動が終了する秋までの間、生徒会長になってくれませんカ?」

 

優心「やっぱりそういうやつですか。……そこの二人がスタンフォードへ飛び級で行く為、会長と副会長が空席になる。だから、会長職を俺にして欲しいって事ですね」

 

白銀とかぐやさんを見ながら、俺はそう言った。

 

校長「その通りです。一応この事は白銀くんが弦巻くんを推薦したんですよ。"会長として動けるのは弦巻しかいない"と、言ってました」

 

優心「そうなの?」

と、校長の言葉を聞いた後に、白銀にそう聞くと頷いてきた。

 

白銀「知ってると思うが、生徒会長は忙しい。別に弦巻じゃなくても、能力的に石上でも伊井野でも問題はない。ただ、あの二人は次の生徒会で活躍をしてもらいたいんだ」

 

優心「……それで、残った選択肢の俺と千花で考えた場合、俺にした」

 

会長「そうだ。藤原もなんだかんだで能力がある方だからいいと思うんだが、弦巻と比べるとどうしても……な」

と、会長はそう問いかける口調でかぐやさんに顔を向けた。

 

かぐや「本当、そうなんですよね。弦巻くんは能力が高く、全学年から慕われる程の人望もある。弦巻くんはトップに立つ器の人間ですので、私も白銀会長の意見に賛成しました」

 

かぐやさんの言葉の後に、校長が"どうですか?"と聞いてきた。

 

優心(別に断る理由はない。それに家の跡継ぎも代理に継ぐ訳で、こころの代わりにトップとして動く場合もあるから、これも経験って事になる)

 

白銀とかぐやさんの言葉を聞いた俺は、そう考えをまとめて、三人に結論を伝えた。

 

優心「会長職を受けるよ」

 

俺が答えると二人は安心した感じだったが、一つ質問した。

 

優心「……けど、副会長はどうする?二人は……特にかぐやさんに聞くけど、誰に副会長をして欲しいとかの要望はある?」

 

かぐや「そうですね。……出来れば、愛さんにして欲しいと思ってます」

 

優心「なんでまた……」

 

かぐや「弦巻くんのサポートするなら、突拍子な事をする可能性がある藤原さんよりも、能力もあってしっかりと仕事をする愛さんの方がいいと思ったからです」

 

かぐやさんの言葉に、納会長もかぐやさんの隣で頷いているのを見て苦笑いしつつも俺も納得していると、"なによりも"と言葉を続けてきた。

 

かぐや「……弦巻くんも彼女と生徒会の仕事をやりたいでしょう?」

 

そんな言葉に一瞬キョトンとしてしまったが、すぐに俺は頷きながら答えた。

 

優心「そうだね。かぐやさんの言う通り、やりたいよ」

 

俺の言葉にかぐやさんは笑顔で、"ですよね"と答えていた。

 

 

そんなこんなで、俺が繋ぎというか代理という形で会長になる事をオッケーを出して、副会長の件は俺とかぐやさんで愛に話すという事になった。

 

その為、この場は解散となり三人でA組に戻った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~放課後~

 

 

放課後になり、愛に生徒会副会長の事を話した。

 

当然、最初の反応は驚いていたけど、最終的に友達のかぐやさんに頼まれた事と、俺と生徒会の仕事が出来るという理由で引き受けてくれた。

 

残りの生徒会メンバーの千花と石上と伊井野の三人に伝える為に生徒会室に向かった。

 

だけど、向かっている途中の廊下で眞妃がいてかぐやさんと話し始め、最終的にかぐやさんがマウントを取る形で惚気話をするという出来事があった。

 

その上、石上達生徒会メンバー達に聞かれて引かれてしまうし、眞妃は泣き出すという状態になってしまった。

 

この時に、かぐやさんに助けを求める感じで俺と愛の方を見てきたけど、流石にフォローは出来なかったから、何も言わなかった。

 

まぁ、この出来事のせいで皆に話をするのは無理になったので、今日は解散となった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~翌日・放課後~

 

 

~生徒会室~

 

 

翌日の放課後に、俺と愛は生徒会室にいた。

 

ここで、ようやく俺と愛が現生徒会の活動が終了するまでの間、白銀とかぐやさんの代わりとして会長と副会長になる事を伝えた。

 

石上とミコは特に反論やらはなくて納得してくれたけど、千花は"なんで!?"って言ってきた。

 

優心「いや、白銀が俺に会長職を頼んできて、愛を副会長に希望したのはかぐやさんだよ。俺と愛はそれを承諾しただけだよ」

 

千花「なんでですか!?」

と、俺の言葉を聞いた千花は白金とかぐやさんに大声で聞いた。

 

白銀「本当は、石上と伊井野でも良かったんだが、二人には期待してるから、次の生徒会で活躍をしてほしいと思って今回の件では除外したんだ」

 

かぐや「私も、二人が生徒会として学校を引っ張ってほしいと思っているんです」

 

二人の言葉と期待されてると事に石上とミコは嬉しそうにしていた。

 

白銀「それに、今から生徒会の活動終了までの期間って中途半端だろ。中途半端な時期に変わると色々と無駄な負担が出たりするもんだ」

 

かぐや「そういう中途半端な時期だけなら、同じ三年の生徒会メンバーにお願いした方がいいと思ったのも理由の一つです」

 

その言葉に、石上は"なるほど"と呟いていた。

 

白銀「そうなると、藤原と弦巻をどっちにするかという話なる訳だが、どう考えても断然弦巻だろ」

 

かぐや「私もその意見だったので、弦巻くんを会長になってもらう事に賛成しました。藤原さんって、ほら……たまにですけど突発的な事をするので……」

 

千花「ひどいですよ、かぐやさん!」

 

かぐやさんの言葉に、グサッときたのか涙目になっていた。

 

ミコ「藤原先輩に悪いですけど、それなら弦巻先輩にお願いするのは同感です」

 

石上「僕も同感ですよ」

 

かぐやさんに続き、二人にも言われた千花は項垂れてしまった。

 

そうしてると生徒会室の扉が開いて、白銀の妹の圭が入ってきた。

 

圭も混じって話をしていたが、そこでも一悶着があったが時間が過ぎていき、騒がしい日常が終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

アメリカに行く前日の夜。

 

 

~白銀視点~

 

 

昼休みや放課後で学校にいる間に、皆が明日アメリカに行く俺とかぐやに別れというか積もる話をした。

 

この時、弦巻からは"頑張れ"みたいな事だけを言われた。

 

弦巻がそれだけを言った理由は、"会おうと思えばいつでもいくらでも会いに行けるから"と言っていた。

 

その言葉を聞いた時に、俺は"弦巻は金持ちだったな"と思い出して"確かに弦巻ならそうだな"と言葉を返しといた。

 

皆との話をしてから時間が過ぎていき、もう"夜"と呼ばれる時間帯になった。

 

そんな時間に、俺は一人で河川敷にいるんたが、なぜ夜に居るかというと、四宮雲鷹に会うためだ。

 

学校から帰る際に、弦巻から"雲鷹が会いたがってる"と言われたからだ。

 

この時に、弦巻から"俺もいた方がいいか?"と聞かれたが、俺自身も青龍から受け取った10億について話したかったし、"一人で大丈夫だ"と伝えたから一人で居る訳だ。

 

しばらく待ってると、足音が近づいてくるのが聞こえたから顔を向けると、四宮雲鷹だった。

 

 

そこから話をしていく中で10億の件についても触れたが、最終的に、雲鷹がどうにかするという事になったので、俺の心残りが解決した。

 

 

そうして話を終えた俺と雲鷹は家へと帰ったので、一日を終えた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

白銀御幸と四宮かぐやが、アメリカへ出発する当日。

 

 

~空港~

 

 

~優心視点~

 

 

今日は白銀とかぐやさんがアメリカに行く日だ。

 

 

搭乗窓口の近くで時間なるまで、愛はかぐやさんと話していて、他の皆も混ざって話をしていた。

 

俺は話が途切れた瞬間に白銀に声をかけた。

 

優心「昨日も言ったけど、スタンフォードで頑張ってよ」

 

白銀「あぁ。……向こうに着いて落ち着いたら連絡する」

 

優心「オッケー。夏休みやら冬休みとかの長期休みになったら遊びに行くよ」

 

声をかけたけど、白銀とはこんな簡単な会話で済ませた。

 

その後にかぐやさんと少し話すと、飛行機の搭乗時間になったので、二人が乗り飛行機が離陸して見えなくなるまで空港にいた。

 

飛行機が見えなくなった後は、それぞれ家へ帰った。

 





次回、今回の様に早く投稿できるかは分からないですが、待ってくれたら嬉しいです。


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第80話


なんとか一週間で完成しました。

では、本編をどうぞ。



 

 

~優心視点~

 

 

白銀御幸と四宮かぐやがアメリカに行ってから、数日が過ぎた。

 

その数日の間に、めんどくさい事が起きた。

 

現生徒会の活動終了するまでの間、俺が会長をする事と愛が副会長になる事を、かれんとエリカが聞きつけてマスメディアの力を使って大々的に発表したんだ。

 

中途半端な短い期間だから大事が起きずにあまり目立たずに出来ると思ってたのに、大々的に発表した為に相談をする人がたくさん生徒会室にやってきた。

 

その内容は色々とあったが特に多かったのは、恋愛相談だった。

 

なんでも俺と愛に相談したら、うまくいきそうという事になっているみたいで、あまり生徒会の仕事が出来なかった。

 

そこからも少し時間が過ぎていった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~夏休み前日~

 

 

~生徒会室~

 

 

相談を受けながら、なんとか生徒会の仕事をしていると時間が過ぎていき、もう夏休みになる前日になった。

 

千花「明日から夏休みですね」

 

ミコ「皆と遊びたいですよね。……旅行とか行ったりして」

と、千花が言った事にミコがそう言ってきた。

 

千花「いいですね!私は旅行、大好きです!」

 

ミコ「ですよね。旅行、最高ですよね!」

 

千花「私も明日から二週間程、カンボジアに行きますよ!」

 

千花の言葉に、ミコが何故か驚いた顔になり何故か慌て始めた。

 

ミコ「じゃあ二週間後!その辺りならどうですか!?」

 

優心「あ、その辺りは……というか、夏休み自体に皆と旅行をするのは、俺と愛が無理だ」

 

ミコ「……え?」

 

愛「ちょうどその時に優心くんと二人でハピネール王国に、また旅行に行くんだ。それに、その後にも近所の子供達と遊んだりバンドの皆と出掛けたりするよ」

 

優心「それに、鋼とすばると三鈴とも息抜きで出掛けたりするしね」

 

ミコ「……もー!」

と、俺と愛の言葉に少し静かになってたミコが叫んだ。

 

ミコ「藤原先輩もそんなに遊んでいいんですか!?今年受験で外部進学組じゃないんですか!?」

 

ミコの言葉に千花は震えながら答えており、その様子に愛と一緒に苦笑いしていると、ミコが俺と愛の方を見てきた。

 

ミコ「弦巻先輩と早坂先輩もですよ!二人も外部進学で経営学が凄く強い難関の大学に行くんですよね!?」 

 

優心「……それはそうだね」

 

ミコの勢いよく言ってくる雰囲気にビックリしながら一言だけ答えた。

 

ミコ「なら、ハピネール王国に旅行だったり、子供と遊んだりしてる暇ないですよね!?」

 

愛「……でも、模試ではA判定が出てて、担任からも問題ないとお墨付きを貰ってるから大丈夫だよ。それに……」

 

優心「鋼、すばると三鈴の三人も模試判定は良いけど、その三人と夏休みにもちゃんと勉強する約束もしてるから、遊びばっかりの予定じゃないよ」

 

ミコ「ん~~!!!」

 

俺と愛の言葉にミコは凄く悔しそうにしていたので、俺は愛と顔を見合わせた。

 

愛「ミコって皆と旅行したいって事なのかな?」

 

優心「多分そんな感じだよね。……時間とか日程とかずらしたりすれば行けそうかな……」

 

愛「そうすれば多分、行けると思うけど……」

と、ミコに聞こえないぐらいの声で話をした後に、俺はミコに声をかけた。

 

優心「でも、どうしても旅行したいって言うなら時間やら日程を作ろうか?」

 

ミコ「!」

 

石上「……でも旅行は良いですよね。もし行くなら楽しんできな」

 

ミコ「……え」

 

俺の言葉に嬉しそうな顔をしたと思うと、石上の言葉に驚きの顔になった。

 

愛「会計くんは、行かないの?」

 

石上「僕、夏休みにスイスへホームステイで行くんですよ。語学留学的な奴で……」

 

石上の言葉に"へぇ~"となってると、ミコが石上に色々と言い始めた。

 

その状態が続いて、時間が過ぎていき、下校時間になった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

下校時間になり生徒会室を出た。

 

ミコは不満な顔をしながら石上を見てて、愛がミコの相手をしていた。その様子を見ていると石上が俺に話しかけてきた。

 

石上「弦巻先輩。古川先輩って大学に行かないんですか?」

 

優心「え、いきなりどうしたの?」

 

石上「いや、さっき夏休みの予定の話で、弦巻先輩が誰々と勉強するとかって言ってたじゃないですか。その時に、古川先輩だけの名前を言ってなかったので……」

 

優心「あぁ……それは樹が高校卒業後に、海外のパティシエの所に修行しに行くから、大学に行かないんだ」

 

石上「海外のパティシエに修行ですか?」

 

優心「うん。そもそも樹の家が古川屋って名前のケーキ屋なんだ。で、樹は家を継ぐつもりなんだけど、本人はもっとケーキ作りの腕前を上げたいって言ってて……」

 

石上「それで、海外に修行に行くと……」

 

優心「うん。樹のお父様の知り合いで海外で活躍してて評価が高い人がいるらしくて、樹がお願いしたんだ。そしたら許可をもらったから、行く事になったって訳だよ」

 

石上「だから大学進学はしないって事なんですね」

 

優心「そういうこと」

と話してると、石上とミコとは別れて場所になったから、"またね"と声をかけて、愛と家へと帰った。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

~夏休み~

 

 

夏休みに入り数日が経った時に、家に帰ってきていたお父様から、雁庵さんが亡くなったと教えられた。

 

葬儀やらの事を聞くと、8月に葬儀をやるとのこと。

 

8月にやる理由としては、スタンフォードに入学する為にアメリカに行ったかぐやさんが、8月に生活の準備やらがある程度は落ち着く為に何日かは帰ってこれるからとのこと。

 

弦巻家から、お父様とお母様が出席するとの事だった。

 

他の家も出席するのは当主の人達だけみたいなので、俺は参加はしなくていいと言われたから、"分かった"と返事をした。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

~8月~

 

 

こころと愛の二人とハピネール王国に旅行や、公園で子供達と遊んだり、鋼とすばると三鈴の三人と勉強したりしながら過ごしていると、時間が過ぎて8月になった。

 

そして今日は学校に来ている。

 

生徒会室で眞妃がまだというかもうすぐスイスへ行く石上と一緒に話をした。眞妃の話は翼を含んだ恋愛話だった。

 

その話に付き合った後に教室に戻って少し過ごていると、柏木さんがやってきた。

 

柏木「弦巻くん。……話したいことがあるんだけど、今いい?」

 

優心「うん、大丈夫だけど……」

 

柏木「じゃあ屋上に来てくれない?」

 

柏木さんの言葉に不思議に思いながらも、"分かった"と返事をして柏木さんの後をついていく形で屋上へ向かった。

 

この時、愛もいてついてこようとしてたけど、"もしかしたら何かの相談かもしれないから"と言ってやめてもらった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~屋上~

 

 

柏木「弦巻くんは知ってたの?眞妃が翼くんの事が好きなのを……」

 

屋上に着くなり、柏木さんがそう聞いてきた。

 

優心「柏木さんこそ、その事をいつ知ったの?」

 

柏木「今日よ。生徒会室に入ろうとしたら、眞妃ちゃんが翼くんの事が好きだという事を聞いたの」

 

優心「そう。……まぁ知ってたよ。俺が秀知院に入学して少しした時に眞妃と話したんだけど、その時に知ったよ」

 

柏木「なんで教えてくれなかったの?」

 

優心「……教える必要がなかっただけだよ」

 

柏木さんの言葉に俺がそう言うと、柏木さんから"は?"と声が出ていた。

 

優心「俺自身、翼が柏木さんの事を好きだって事を知っても、眞妃の一途に翼を好きなのを見て純粋に応援したくなったからだよ」

 

柏木「……」

 

優心「まぁ……あとは、軽々しく誰が誰の事を好きらしいよなんて言わない方がいいから。そういう事をすると変に話や人間関係が拗れたりするから言わなかったよ」

 

柏木「……そう」

 

俺の言葉に、柏木さんはそう呟いてから黙ったままになった。

 

優心「……それで、眞妃が翼の事が好きだと知って柏木さんはどうするの?」

 

柏木「私は……」

と呟いてから考え始めたが、俺には何も言わずに屋上から教室へ戻っていった。

 

 

その後、柏木さんと翼が別れたという噂が流れた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

噂が流れてからの翌日、生徒会室にいると翼がやってきた。

 

そして、別れたという噂が噂ではなく本当の事だったらしく、翼曰く柏木さんから別れ話を切り出されたとの事だった。

 

優心(……生徒会室に行く前の廊下で二人が話してるのを見かけたし、十中八九その話だろうから話に介入しない方がいいな。二人の問題だし……)

 

俺はそう思って、翼の話を聞いていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そしてまた日を跨いだある日の放課後に、生徒会室に眞妃が泣きながら入ってきた。

 

お茶を出して話を聞くと、翼と柏木さんが寄りを戻したそうだけど、柏木さんが妊娠三ヶ月だという事が分かったそうだ。

 

それを聞いて、眞妃がショックを受けた為に生徒会室に逃げてきたとの事だった。

 

その眞妃の様子を見て、"眞妃は大変だな"と思いながらも愚痴を聞いた。

 

こうして、柏木さん達の騒動は解決した。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~数日~

 

 

柏木さん達の騒動から数日後。

 

今日は、愛と出掛けていてその帰り道に樹の家である古川屋に行った時だった。

 

楽奈「ゆーしん」

 

お店の前に楽奈がいて、俺を見るなり名前を呼んできた。

 

優心「あれ、楽奈。どうしたの?」

 

楽奈「……これとこれ食べたい」

 

俺が"どうしたの?"と聞くと、楽奈は店頭に貼られている商品写真の抹茶ロールケーキと抹茶タルトを指差しながら、"食べたい"と言ってきた。

 

優心「今日はオーナーと一緒じゃないの?」

 

楽奈「おばあちゃん、今日は予定があって一緒にいない」

 

優心「そっか。……その二つ奢ってあげるよ。俺と彼女一緒に、ここのケーキを食べに来たからさ」

 

俺がそう言うと楽奈は嬉しそうな笑顔になり、俺の手を引いてきた。

 

愛「ねぇ、その子って前に言ってたオーナーの孫だよね?」

と、お店に入り列に並ぶと、俺の隣にいる愛がそう聞いてきた。

 

優心「うん、そうだよ」

と答えてから、注文も済ませて席に座った。

 

因みに俺はチョコレートケーキで、愛はイチゴのショートケーキを注文した。

 

席に座ってすぐに楽奈は美味しそうに食べ始めたから、俺と愛も食べ始めた。

 

俺は少し食べてから、楽奈に声をかけた。

 

優心「楽奈」

 

楽奈「ん?」

 

優心「おもしれー人は見つけた?」

と聞くと、ロールケーキを食べてる楽奈は"居ない"と答えた。

 

楽奈「全然、おもしれー女は居ない。つまんねー女ばっかり」

 

優心「そっか」

という俺の言葉に楽奈は"うん"と答えると、愛の方を見ていた。

 

楽奈「……そういえば、隣の人は誰?」

 

優心「俺の彼女だよ」

 

楽奈「……名前は?」

 

愛「早坂愛だよ」

 

楽奈「……楽奈」

 

愛「よろしく」

 

楽奈「ん」

と、自己紹介というか名前を教えあったと思ったら、楽奈はあんまり興味ないような感じで答えてからすぐにケーキを食べるのに戻った。

 

愛「なんか、猫みたいな感じだね」

 

そんな素っ気ない返事を見た愛は、そう呟いていた。

 

優心「……そうだね」

と愛の言葉に答えてから、残りのケーキを食べた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ケーキを食べ終わると、楽奈が口を開いた。

 

 

楽奈「ゆーしん、もう帰る。満足したから」

 

優心「じゃあ、お店から出ようか」

と、楽奈の言葉にそう言ってからお店を出た。

 

お店から出ると、楽奈は"バイバイ"と言ってどこかに行ってしまった。

 

愛「……行っちゃったね」

 

優心「うん。……本当に猫みたいだよ」

 

愛「だね。そういえば、楽奈って何年生なの?」

 

優心「中学二年だよ。ギターは凄く上手いって、この間、久しぶりにオーナーに会った時に、オーナーが教えてくれた」

 

愛「へぇ~」

 

優心「じゃあ、俺らも帰ろっか」

 

愛「そうだね、帰ろう」

 

楽奈の事を少し話してから帰ることにした俺と愛はお店から出て家へ帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~弦巻家~

 

 

古川屋で愛と楽奈の二人とケーキを食べてから、家へ帰った。

 

家に入ると、メイドさんが声をかけてきた。

 

メイド「優心様、愛様。かぐや様が、いらしてます」

 

愛「かぐやが、来てるの?」

 

メイド「はい。応接室に案内してお待ちになってます」

 

優心「教えてくれてありがとう。すぐ応接室に行くよ」

と、教えてくれたメイドさんにそう言ってから、応接室にへ向かった。

 

優心(確かお父様の話だと、8月に雁庵さんの葬儀があってかぐやさんが帰ってくるって言ってた。そんな中で、うちに来てくれた感じかな)

 

愛「かぐや、雁庵さんの葬儀で8月に一旦帰国してくるって言ってたよね」

 

優心「そうだね。それで、弦巻家に寄ったんじゃない?」

 

愛「そうだよね」

と呟く愛は、嬉しそうにしていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~応接室~

 

 

愛「かぐや」

 

かぐや「愛さん。弦巻くんもこの間ぶりですね」

 

優心「そうだね。……今日は会いに来てくれた感じだよね?」

 

かぐやさんにそう聞くと、頷いてきた。

 

かぐや「そうですよ。明日にはアメリカに戻りますので、その前に皆に会っておこうと思ってたんです」

 

愛「そうなんだ。じゃあミコや書記ちゃん、会計くん達には、もう会ったの?」

 

かぐや「えぇ。それに眞妃にも会いましたよ」

 

そういった事から、色々と話を始めた。

 

石上が語学留学的な形でスイスへホームステイしに行く事や、柏木さん達の一悶着などを話した。

 

優心「そういえば、アメリカに行って少ししたら一時的にだけど日本に戻ってきちゃった感じだけど、アメリカでの生活は慣れそう?」

と、アメリカの生活について質問した。

 

かぐや「まぁ、なんとかなりますね。御幸もいますから」

 

愛「かぐや、ちゃん付けで呼ぶのやめて、普通に呼ぶことにしたの?」

 

かぐや「向こうじゃ、ファーストネームで呼ぶのが当たり前ですし、恋人だという事を主張もしたいのもありますから、恥ずかしがってる暇は無いので呼ぶことにしました」

 

愛「そっか」

 

優心「じゃあ、向こうでの白銀との同棲生活も大丈夫そうな感じ?」

 

そう、かぐやさんと白銀はアメリカで部屋を借りて同棲をしている。住んでいる部屋の家賃などは、白銀が青龍から奪った10億から出しているそうだ。

 

まぁ、余程の事はないと思うけど、もし何かあれば雲鷹達がサポートできる様にしていると、雲鷹から聞いた。

 

だから、確認のために質問をしたんだ。

 

かぐや「大丈夫ですよ。問題なく生活は出来る感じですし、大学近くの場所に部屋を借りてます。それに、愛さんの後任である女性の黒服も護衛としていますからね」

 

愛「そうなの?」

 

かぐや「はい。お兄様達も何かあればサポートをすると言ってましたから、問題はない筈ですよ」

 

愛「ならいいけどね」

と、愛はあまり雲鷹達の事をまだ信用はしてないようだったから、"でもそれは仕方ないな"と思ってると、かぐやさんが声をかけてきた。

 

かぐや「……そろそろ、いい時間なので私は帰りますね」

 

優心「分かった。玄関まで見送るよ」

 

かぐやさんの言葉にそう伝えて、玄関まで向かった。

 

二人でかぐやさんを見送って、見えなくなってから家の中に戻った。

 

愛「かぐやに会えて良かったよ」

 

優心「向こうでもうまく行きそうみたいだから良かったよね」

 

愛「うん」

 

晩御飯の時間まで、愛と話して過ごしていると、出掛けていたこころも帰ってきた。

 

 

そのタイミングで晩御飯の時間になったので、ご飯を食べながらこころ達と会話を楽しんだ。

 

 

こうして一日が終わった。

 





今回、かぐや様原作で夏休み前日の生徒会室でかぐやさんが白銀と話したくてテレビ電話みたいに皆と話してました。

ですが、本小説ではかぐやも白銀とアメリカに行っているという独自の展開になってますので、それをやる必要がないのでその描写はありません。

次回は、ミコの生徒会選挙とバンドリアニメ三期の第一話の書いて投稿します。

ただ、バンドリアニメ三期の出来事で、優心達が三期の中心となるラスの不穏和音に介入だったり、その回りのロゼリア達のBanG Dream!大会には、殆ど介入はしないというか出来ないです。

ですので、話自体は飛ばしながら書いて物語を進めようと思っています。

飛ばしながら書く為に、次回に執筆して投稿予定のミコの生徒会選挙及び三期一話の、次に書く内容はラス・ロゼリア対決前後の話を予定にしています。

その辺りをご容赦してくれたら幸いです。

さらに、次回も一週間で投稿できるように頑張りますが、無理かもしれないですので、待っててくれたら嬉しいです。


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第81話


一週間で投稿できました。

ただ、前回より文字数が約2000文字も少なくて短い上に、内容についてもクオリティーが低いです。それでも読んでくれたら幸いです。

では、本編をどうぞ。



 

 

~二学期~

 

 

~優心視点~

 

 

8月にかぐやさんと会ってから時間が過ぎていき、夏休みが終わって二学期になった。

 

かぐやさんと会った後の夏休みでは、こころ経由でモルフォニカというバンドの皆に会ったりしたり、美咲の祖母の家へハロハピの皆と愛達とお邪魔したりと過ごしたりした。

 

そんな夏休みが過ぎて二学期になり、現生徒会の活動が終了するまで、生徒会の仕事をしながら学校生活を過ごしていた。

 

そんな日々を過ごしていき、現生徒会の活動終了になった。

 

短い間だったけど、意外と疲れた。……というのも、相談にくる生徒が多く、生徒会の仕事よりも相談を受ける方が大変だったと思いながら、伸びをしていると愛が声をかけてきた。

 

愛「優心くん、お疲れ様」

 

優心「愛もね。副会長、お疲れ様。……二人もお疲れ様」

と、愛と石上とミコにも伝えた。

 

ミコ「お疲れ様です」

 

石上「お疲れです。……弦巻先輩、打ち上げしません?」

 

優心「あ~、そうだね。打ち上げしよっか」

 

愛「どこでする?」

 

優心「去年と一緒で、うちでやろうよ。皆にはお金も掛かんないからね」

 

石上の提案に乗って、うちで打ち上げをする事になった。

 

 

弦巻家に着いて、打ち上げをやり始め、こころも途中で参加して皆で楽しんだ。

 

 

こうして生徒会活動が終了して、一日を終えた。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

生徒会活動が終了してから少ししてから、秀知院次期生徒会選挙が始まった。

 

立候補者は、中野金仁って生徒とテーブルゲーム部の原こずえ、そしてミコが立候補していた。

 

そんな中でも生徒会室で白銀とかぐやさん、そして今日はTG部に行って居ない千花を除く、いつものメンバーと一緒に過ごしていると、大仏がやってきた。

 

 

話を聞くと、ミコから応援演説を頼まれたとのこと。

 

だけと、前に口論というか喧嘩をした事もあって本当に自分がやってもいいのかという不安があるらしい。

 

その事を相談をしに来たと言っていたが、石上が大仏の言葉に考えた後に相談内容に体しての答えを言っていた。

 

 

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~生徒会長選挙当日~

 

 

そして選挙当日になった。

 

大仏は石上の言葉を聞いて、ミコの応援演説をする事になったそうだ。

 

今は中野金仁の応援演説が終わり、大仏がミコの応援演説中だ。

 

演説の内容はいい感じのものだったけど、気になるのがあった。

 

千花がこずえの隣に立っていた事だ。

 

まぁ、見れば分かるけどどう考えても、こずえの応援演説なのは間違いないのは分かる。

 

優心(でも、こずえが生徒会長選挙に出るの面白い)

 

そんなことを思ってると、大仏の応援演説が終わって千花の応援演説が始まったけど、"まぁ……うん"といった感じの内容だった。

 

そのあとは、立候補者の演説が始まった。

 

中野金仁って子は無難な感じだったが、ミコのはいい演説だった(身内贔屓も入ってる部分もあったけど……)。

 

一番の問題のこずえに関しては、一言だけ言って終わった。

 

そんなこんなで、最終的にミコが561票を獲得して生徒会長に決まった事で、生徒会長選挙は終了した。

 

 

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~翌日・放課後~

 

 

選挙終了してから翌日。

 

今日もいつも通り授業が終わり愛と一緒に帰っていた。

 

家の門が見えてきた時に、門の目の前にますきとパレオの二人がいるのが見えた。

 

優心(あれ?なんで二人が家まで来てるんだろう……)

と、二人を見て疑問に思っていると、愛から声をかけられた。

 

愛「ねぇ、優心くん。あれってますきだよね?」

 

優心「うん」

 

愛「ますきと一緒にいる子は……」

 

優心「パレオって子だよ。パレオって呼び名は、チュチュからニックネームで付けられたらしいよ」

 

愛「前に優心くんがますきに呼ばれてチュチュの家に行った時に初めて会ったって教えてくれた子だよね?」

 

優心「そうだよ」

と、愛と話ながら門に近づくと、ますきがこっちに気が付いた。

 

ますき「ちょうど良かった。インターホンを押す所でした」

 

優心「ちょうど良かったって、何か用でもあった?」

 

ますき「二人に渡したいのがあって……」

と、ますきが言うとチケットらしき物を持ちながら、ますきの前に出てきた。

 

パレオ「優心さん。お久しぶりです。……お隣の方は、優心さんの彼女さんでよろしいですか?」

 

愛「あ、うん。そうだけど……」

 

パレオ「私、パレオと申します。マッスーさんから話は聞いています」

 

愛「あ、そうなんだ……」

 

パレオ「それでですね……お二人にこのチケットを渡しにきました」

 

俺と愛はパレオが渡してきたチケットを受け取って、チケットに書かれている文字を見てみた。

 

優心「……10月7日の月曜日にするレイズアスイレンのライブのチケット?」

 

パレオ「はい。そのライブにお二人を招待をしに来ました」

 

優心「なんで招待を?普通に取り置きでもいいと思うけど……」

 

パレオ「それはマッスーさんとチュチュ様の提案なんです」

 

優心「そうなの?」

 

ますきに聞くと頷いて、話をしてくれた。

 

まず、ますきがラスのライブを見れていない俺と愛に、ライブを見てほしくて普通にライブのチケットを取り置きをして、俺に連絡をしようとしてたらしい。

 

その事を知ったチュチュが、今日パレオから貰った招待チケットを渡す様にとますきに言ってきたそうだ。

 

なぜ、チュチュがそんな事を言ったかというと、俺がチュチュに言った忠告が起きない事を証明する為だと言ってたとのこと。

 

ますき「……優心さん、前に会った時に何かしらの忠告をしたんですか?」

 

優心「……うん、したわ」

 

ますき「マジっすか。……多分ですけど、チュチュはこの先にやるライブに呼ぶと思いますよ」

 

優心「まぁ、それは仕方ないかな。俺が言ったことだからさ。取り敢えず、このライブは見に行くよ。愛もいいよね?」

 

愛「うん。どんなライブなのかは気になるから」

 

パレオ「では、見に来るという事をチュチュ様にお伝えしときますね」

 

優心「よろしくね。……あ、でも、今後のライブとかは、用事とかが重ならなかったら行くでいい?」

 

ますき「それぐらいは構わないと思うっすよ」

 

パレオ「はい、それぐらいはチュチュ様は許してくれると思います」

 

優心「じゃあ、チュチュにそう伝えてて」

と伝えると、二人は"はい"と返事をしてくれた。

 

返事をした二人は帰っていったので、俺と愛も家の中へと入った。

 

 

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~10月7日~

 

 

~ライブ当日~

 

 

パレオとますきから聞いたラスのライブ当日になった。

 

二人から貰ったチケットでライブハウスのdudに入ると、受付周辺のロビーに、リサと友希那、香澄と有咲、おたえと六花の六人が話していたのを見た。

 

リサ「あれ?優心と愛じゃん。二人ともライブ見に来たの?」

 

優心「そうだけど、リサ達もラスのライブを見に来たの?」

 

リサ「うん、そうだよ。……まぁ、実際はチュチュから招待されたんだ。最初は見るつもりはなかったけど、気になってさ。ロゼリアの皆で来たんだ」

 

香澄「私達、ポピパも招待されたんです」

 

六花「私も……」

 

話を聞くと皆、チュチュから招待されたと言っていた。

 

愛「皆も招待なの?……私達もチュチュから招待されたんだよ」

 

リサ「え、そうなの?」

 

愛「うん、そうだけど……」

 

友希那「どういう事なの……」

と、友希那が呟きと同時にステージ観客席部分に入れるようになったので、俺と愛と六花、ロゼリアとポピパの皆で2階の観客席に移動した。

 

 

移動して少し待つと、ライブが始まった。

 

 

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~ライブ終了後~

 

 

リサ「うわ~まじか。これは凄いわ」

 

優心(ますき、凄くのびのびとドラム演奏してたな)

 

愛「迫力、凄いね」

 

優心「演奏力も迫力もライブ演出も、見せ方を良く分かってるライブだったね」

 

他の皆も話をしていると、ステージ上のライトが点灯しますきがソロでドラム演奏を始めた。

 

あこ「キングー、イエーイ!」

と、あこが叫んでいるのを横目に見ながら、ますきの演奏に目を戻して演奏を見ていると、今度はチュチュが登場してきた。

 

チュチュが出てくると歓声が上がったが、本人は歓声を落ち着かせていた。

 

チュチュ「ここで発表があるわ。……私達、レイズアスイレンはBanG Dream!チャレンジに参加するわ!そこで、ロゼリアとポピパをぶっ潰す!」

 

香澄「……え」

 

友希那「……」

 

優心(何がなんでも、そうしたいって事か……。ポピパもって、前にポピパの主催ライブ後に叫んでた言葉は、ポピパにも言ってたって感じか……)

 

チュチュ「その為に、ロッカ・アサヒ。貴方をスカウトする」

 

六花「……え!」

 

いきなりのチュチュの発言に、六花は驚いて固まってしまった。

 

六花「ごめんなさい!」

と、少しして復帰した六花が腕をバツにして返事をした。

 

六花に断られたチュチュは、"え……"といった感じの表情をしていた。

 

そのあと、チュチュは"そう"と呟いてから、"今日のライブは終わり"と宣言して見に来た人達を帰らせ始めたので、俺達も帰ることにした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~dud前~

 

 

ますき「優心さん」

 

ライブハウスから出て、それぞれ家に帰ろうとしたら、いつの間にライブハウスから出てたますきに名前を呼ばれた。

 

優心「ますき、どうしたの?」

 

ますき「この間、招待しに会った時に今後のライブの日に用事がなければ行くとかの話をチュチュにしときました」

 

優心「どうだった?」

 

ますき「取り敢えず、オッケーしてくれましたよ」

 

優心「そっか、ありがとう。教えてくれて」

 

ますき「いえ……じゃあ中に戻ります」

 

お礼を言うと、ますきはライブハウスに戻っていった。

 

中に戻ったのを見てから、皆と帰った。

 

こうして一日を終えた。

 





前回の後書きで書いた通り飛ばしながら書くので、次回はアニメ6話で描かれていたロゼリアとラスの対決辺りの話を書いて投稿予定です。


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第82話


完成したので投稿します。

前半は、ラスとロゼリアの対決の話で、後半は温泉回の話です。

ですが、両方の描写についてはあまり期待はしないでください。

そして、終わり方が雑な感じになってしまっていますが、それでも呼んでくれたら幸いです。

では、本編をどうぞ。



 

 

~放課後~

 

 

~優心視点~

 

 

ラスのライブを見に行った日から、時間が経ったある日の放課後。

 

愛はすばる達と放課後に行きたい場所があるみたいで、荷物を持って教室を出ていった。

 

俺は愛達を見送った後に帰り支度を始めたが、少ししてスマホが震えた。

 

スマホを出して、画面を見ると動画の通知が来ていた。

 

普通ならすぐに開いてみようとしないが、その通知にレイズアスイレンの文字が出ていたので、すぐに画面を開いた。

 

画面を開くと、チュチュが住んでいるマンションで尚且つ曲関係の作業をする為に使っている椅子に座っている状態のチュチュの動画が出てきた。

 

すると、チュチュはバンド名と名前を言ってから、話を始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

その後、チュチュの話が終わると動画も終わった。どうやら、もう一度見れないし動画も残らない形になってる。

 

それで、チュチュの言った内容は、凄く簡単にまとめると、今やっているBanG Dream!チャレンジの最中にラスがロゼリアと対決……いわば対バンをするという事だった。

 

優心(なんか凄い事になったな……)

と、チュチュの動画を見てそう思ってると、またスマホが震えたので、画面を見てみるとチュチュからのメッセージだった。

 

メッセージを見ると、今回のロゼリアとするライブを招待するという内容だった。

 

優心(チケット二枚を取り置きしているっていうのも書かれてる。……まぁ、愛に連絡して確認するか。と言っても、愛なら行くって言うと思うけど)

と、そう思いながら、愛に連絡をするとすぐに"行きたい"と返事がきた。

 

愛の返事を見た俺はチュチュにライブに行く事という内容をメッセージで送ってスマホをポッケにしまった。

 

優心(今日は愛や鋼達とも一緒じゃないし、どっかに寄り道しようかな。……羽沢珈琲店に行こっかな)

と思いながら、帰り支度を済ませて教室を出た。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~商店街~

 

 

商店街に着いて、羽沢珈琲店に向かおうとした時に紗夜と会った。

 

紗夜「あ、優心さん」

 

優心「あれ?紗夜が一人なんて珍しい気がする。ここ最近というか、ほぼ毎日FWF……今だとオーバーザフューチャーライブとBanG Dream!チャレンジに向けて、練習をしてるんじゃなかったの?」

 

紗夜「……そうですけど、途中で抜けました」

 

優心「……あそこで話を聞こうか?」

と、紗夜の答えを聞いて立ち話よりゆっくり話した方がいいと思った俺は、羽沢珈琲店を指差しながらそう言うと、紗夜は頷いたので、店内に入った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~羽沢珈琲店・店内~

 

 

二人席に座り注文も済ませ、注文した商品も全部きてから、紗夜に声をかけた。

 

優心「それでどうしたの?練習を途中で抜け出したなんて……」

 

紗夜「優心さんは、ラスのチュチュの動画は見ました?」

 

優心「うん、見たよ。チュチュがロゼリアと対決するって大々的に言った動画だよね。まぁ、なんか凄く煽る感じの言い方だったけど、それが関係してるの?」

 

紗夜「……湊さんが、何故レイズアスイレンと直接対決を承諾したのかが気になったんです。そもそもオーバーザフューチャーライブに向けての大事な時期に、この大会も対バンも受ける必要はなかった筈です」

 

優心「……で、理由を友希那に聞いても教えてはくれなかった感じでしょ」

 

紗夜「まぁ、そうですね。今井さんは何か理由があると言ってました。湊さん自身、最初はチュチュと昔の自分が似てると仰ってましたけど……」

 

紗夜の言葉を聞いてから、少し考えてから答えた。

 

優心「……なんだかんだ言っても今は、友希那を信じればいいんじゃない?」

 

俺がそう言うと、紗夜は"え"と口から出てた。

 

優心「別にさ、前みたいに友希那は昔のロゼリアに戻るとは言ってないよね?」

 

紗夜「はい」

 

優心「対決の提案を受けた理由は、昔の自分に似てるのもあったかも知れないけど、勝っても負けても何か得られる物とかがあると思ったから受けたと、俺は思うよ」

 

俺の言葉を聞いた紗夜は静かになった。

 

優心「だから、今は友希那の事を信じて、理由は対バンの後にでも聞けばいいよ」

 

紗夜「……分かりました。そうします。……ありがとうございました、話を聞いてくれて……」

 

優心「別にいいよ。……それにさ、そうやって意見を言い合えるのはバンドの成長に繋がる筈だから、その辺りは変わんないでね」

 

紗夜「そうですね。湊さんが最後に決めるにしても、色々と言わないと不満だけが溜まりますもんね」

 

紗夜の言葉をに頷いた後に、席を立ち上がった。

 

紗夜「優心さん、ここの料金は私が払います」

 

優心「え、いや悪いよ」

 

紗夜「いえ、相談に乗ってもらった相談料という事で払います」

 

優心「……そういう事なら、言葉に甘えるよ。ありがとう、紗夜」

 

紗夜にお礼を言って、お互いにお店から出た後は家へと帰った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ライブ当日~

 

 

紗夜と話をした日から日が経ち、ライブ当日になった。

 

dudの中に入ると、大きな掲示板らしき物が置いてあった。

 

そこに近づくとポピパの皆と明日香がいた。

 

優心「皆も来てたんだね」

 

香澄「あ、はい!優心先輩、愛先輩も来たんですね!」

 

優心「チュチュからチケット二枚取り置きしてるってメッセージがきて、折角だし愛と来たんだ」

 

香澄「そうなんですね」

と、香澄の返事を聞いた後に、明日香に声をかけた。

 

優心「あっちゃんも、あこと六花から誘われたの?」

 

明日香「あっちゃんって呼ばないでください!……誘われてきたよりも自分で来たいと思って来ました。二人ともチケットを取り置きしてくれましたけど」

 

明日香の言葉に俺は"そっか"と呟いてから、ロゼリアとラスに分かれてシールが貼られている掲示板らしき板を見た。

 

優心「このシールが貼られている板は……」

 

愛「なんかラスとロゼリアのどっちかに貼るらしいよ。目当てに来た方に貼るみたいで、シールの数が多い方が一番手に演奏をするんだって」

 

優心「そういうので演奏の順番を決めるのか。(目当ての方か……)」

 

愛「私は、ロゼリアにシールを貼ろうかなって思ってるよ。チュチュからチケットを取り置きしてもらったとはいえ、目当てを決めるとなるとロゼリアになるから」

 

優心「……俺もロゼリアの方に貼ろうかな。ラスの方も気になるけど、俺もどっちかと言うとロゼリアだし」

 

愛とそう話してから、ロゼリアの方にシールを貼った。その時に応援のコメントがいっぱい書いてあったから、俺も書いといた。

 

おたえ「どっちに貼る?」

 

香澄「ん~~、真ん中?」

 

蘭「駄目でしょ」

 

そのタイミングでアフターグロウの皆もやってきて、どっちに貼るか悩み始めた。

 

優心「巴はロゼリアに貼るでしょ」

 

巴「それはもちろん。……アタシは、あこの頑張る所を見に来てるのもあるからな」

 

優心「だと思ったよ」

 

蘭「優心さんは、どっちに貼ったんですか?」

 

優心「ロゼリアだよ」

と答えて、理由を話した。

 

そこから皆も貼り終えたのでライブステージの方へと向かった。

 

しばらく待ってると、演奏準備が終わったのかステージにライトが点灯した。

 

そして先に出てきたのは、ラスですぐに演奏が始まった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ライブ終了後~

 

ラスとロゼリアの演奏と、勝敗を決める為に見に来た人達の投票も終わり、結果が出るまで待つことになった。

 

そして、しばらく待ってるとステージ上に六花以外のラスメンバーとロゼリアのメンバー全員が出てきた。

 

ステージにある液晶で結果が発表されて、その結果はラスの勝ちだった。

 

ラスが勝ったという事でチュチュが少し喋った後にラスコールをさせていたが、その姿は凄く無理やりしている感があった。

 

優心(ラスが勝負に勝ったしライブ自体も問題はなかった。ただ、どうもメンバー達と同じ方向を向いてない感じがする。チュチュだけが暴走をしてる感じ……)

 

無理やり感もあったし、同じメンバーであるますきとレイヤとの空気感というか雰囲気が違っていた。

 

優心(バンドが……メンバー達が、バラバラにならないといいけど)

 

ライブが終わった後、そう思いながら家へと帰った。

 

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ロゼリアとラスのライブから、少しだけ日が経ったある日の放課後。

 

 

~放課後~

 

 

~秀知院校門前~

 

今日もいつも通りに愛と帰ろうとした時に、スマホに電話が掛かってきた。

 

 

画面を見ると、こころからの電話だったから出てみると、"商店街に来て"と言われてそのまま切られた。

 

不思議に思いつつも愛と一緒に向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~商店街~

 

 

商店街についた俺と愛は、こころを探して歩いていた。

 

少しして、ポピパとロゼリアとアフターグロウとハロハピの全員と、ラスのますきとレイヤと六花達が、高速バスが止まっている場所にいるのを見つけた。

 

なので、近くにいたつぐみちゃんに声をかけた。

 

優心「ねぇ、つぐみちゃん。この集まりは……」

 

つぐみ「優心先輩に愛先輩も来たくれたんですか?」

 

優心「あ、詳しい事は聞いてないから分からないんだ。こころからここに来てっていう電話が来ただけだから、詳しい事を聞きたいんだ」

 

つぐみ「こころちゃんらしいですね。えっと説明するとですね……」

と、つぐみちゃんは説明してくれた。

 

そもそも、今日は長老さん三人と商店街組合の人達が高速バスで温泉に行く筈だったけど、その皆がぎっくり腰というか腰をやったそうで温泉に行けなくなったそうだ。

 

だけど、キャンセルが出来ないから代わりに人を集めて行ってほしいと、親から電話が掛かってきたので人数を集めるためにバンドメンバーに声をかけたとのこと。

 

優心「だから、俺と愛にもこころから電話が掛かってきたってことか……」

 

愛「優心くん、私は行きたいけど」

 

優心「……まぁ、男一人ってのもちょっとあれだけど、折角ここに来たから行こっか」

 

つぐみ「二人も行くという事でオッケーですか?」

と聞いてきたので頷いた。つぐみちゃんは俺と愛が頷いたのを見てから、皆の方を見た。

 

つぐみ「皆さーん、点呼お願いしまーす」

と、皆に声をかけてそれぞれの人数を確認を始めた。

 

ラスはチュチュとパレオ以外の三人だったが、ラス以外のバンドは全員来ていた。

 

ますき「それじゃあ行くかー!」

 

ますきの一声で皆は"おー"と叫んだ。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~温泉宿~

 

 

目的地の温泉宿に着くと、皆は順番にぞろぞろと中に入っていったが、俺も中に入ろうとした時に団体客の名前が書いてある所にふと目が行った。

 

見てみるとパスパレの名前があった。

 

優心「……パスパレも来てるんだ」

 

愛「本当だ。……仕事で来てるのかな?」

 

優心「もしかしたらそうかもね」

 

香澄「あ、パスパレの名前がある!」

 

おたえ「本当だー」

 

パスパレの名前がある事を愛と話をしていると、香澄とおたえもやってきた。

 

おたえ「彩先輩達に会えるかも」

 

香澄「確かに!」

 

優心「多分、仕事で来てると思うけど、もし仕事が終わってから一緒に話をしたり温泉に入れるんじゃない?」

 

香澄「そうですね!」

と、香澄達と少し話をした後に温泉宿の中に入った

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

各バンド毎に部屋は分かれる事になっていたが、俺と愛はひとまず三人だけだったラスのメンバーと同じ部屋という事になった。

 

その部屋に荷物を置いてから、温泉に一人で入りに行った。愛はハロハピの所に行って美咲と温泉に入る事になったとメッセージがきた。

 

そんなこんなで温泉に入浴して温まったから少し涼もうと思い涼める場所に探すと、景色が見れるベンチがあったから、そこに座った。

 

リサ「あれ?優心じゃん。そこで何してるの?」

 

少しすると、リサがやってきた

 

優心「俺は温泉から上がってここで涼んでた。リサは?」

 

リサ「そっか。……アタシはブラブラしてた感じかな。友希那と紗夜は温泉に入りに行ったし、あこと燐子は部屋でクロスワードを始めたからさ」

 

優心「あぁ、なるほど。……ここに座っていいよ」

 

リサの言葉を聞いた後に、隣に座るように促すとリサは隣に座った。

 

リサ「そういえば、愛は?一緒じゃないの?」

 

優心「愛は美咲と温泉に入りに行ったから、一緒じゃない」

 

リサ「なるほどね~」

と、リサと話をしていると、レイヤがやってきて三人で話をした。

 

有咲「和奏レイ……!」

 

しばらく三人で話していると、有咲がいつの間にか来てて、レイヤの名前を呼んでいた。

 

レイヤ「あ、星のシールの子だよね」

 

有咲「ちょっ……なんでその事を!?」

 

優心「……星のシール?」

 

リサ「星のシールって?」

 

星のシールという言葉に不思議に思ってると、レイヤが説明をしてくれた。

 

なんでも小さい頃に通ってミュージックスクールで演奏が上手に出来た子が貰えるシールらしい。

 

レイヤ「それで誰よりも貰ってたのを見てたからよく覚えてる」

 

有咲「や、やめろよ!」

 

リサ「有咲、やるじゃん!」

 

優心「へぇ、凄い。確かにバンドでの演奏、凄く上手だよね」

 

レイヤ「同い年の中で一番上手かったよね。それに発表会で聴いたあの曲も覚えてるよ」

 

有咲「やめてくれーー!」

と、レイヤの褒めの言葉を聞いた有咲はそう叫びながら走って、どっかに行ってしまった。

 

レイヤ「どうしたんだろ……」

 

優心「有咲、褒められるの慣れてないから、恥ずかしくて逃げた感じだと思うよ」

 

レイヤ「あ、そうだったんですね」

 

この後も、少し話をした後は、二人と分かれて愛と合流して他の皆の所へ向かって話をした。

 

 

そんな感じで過ごして一日が終わった。

 





次回も話を飛ばして、武道館ライブの話を書いて投稿予定です。 


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第83話


今回はアニメ三期最終回の武道館ライブの話と、劇場版ぽっぴんどりーむの本当に始めの部分で描かれていた武道館ライブ終了後の打ち上げ的なエピソードを書いています。

いつもと同じになりますが、ライブシーンなどは期待しないでください。

では、本編をどうぞ。


 

 

~優心視点~

 

 

温泉宿に行った日からあっという間に時間が過ぎた。

 

BanG Dream!チャレンジの結果が出て、決勝はポピパとロゼリアとラスの3バンドがやる事になった。

 

決勝の場所は武道館だ。

 

開場時間に間に合う様に愛と行くと、沙綾の家族の山吹家の皆を見つけた。

 

純「あ、兄ちゃんだー!」

 

沙南「ほんとだー。お兄ちゃんとお姉ちゃん!」

 

山吹家の皆を見つけると同時に、純と沙南が叫びながらやってきて、純は俺に沙南は愛に抱きついてきた。

 

二人の頭を撫でてあげてると、二人と沙綾の両親の千紘さんと亘史が近くにきた。

 

千紘「あら、優心くんもきてたのね」

 

亘史「お、優心も見に来たのかい?」

 

優心「千紘さん、亘史さん。……そうなんですよ。武道館でのライブで、知り合いの皆が出るから必ず見ないとって思って」

 

千紘「そっか。……それで隣にいる沙南が抱きついてる子は……?」

 

優心「あ、俺の彼女で、早坂愛っていいます」

 

千紘さんの質問に俺が答えると、千紘さんは愛に声をかけて話を始めた。

 

その後に武道館の観客席に入れるようになったので、観客席に向かった。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

~武道館・観客席~

 

 

観客席に行く途中に、デスギャラクシーのメンバーだったますきの父親とラーメン銀河の店主をしている女性と、宇崎空さんを見つけた。

 

俺は、山吹家の皆を観客席に先に行ってもらってから、愛と一緒に三人の所へ向かった。

 

店主「お、優坊(ゆうぼう)も来てたのか」

 

優心「あ、はい」

 

三人に近づくと、ラーメン銀河の店主から先に声をかけられた。

 

俺は、店主から優坊と呼ばれている。

 

初めて会った時は坊っちゃんなんて呼んできてたから、流石にそれは嫌だったから呼び方を変えてとお願いすると、優坊と呼び方に落ち着いたんだ。

 

でも、ますきの父親と宙さんは普通に"優心"と呼んでくれてる。

 

そんな事を考えながら、店主とますきの父親の二人に愛の事についても聞かれつつ、色々と話をして一区切りついた時に、宙さんから声をかけられた。

 

宙「優心。年明けにグアムで開催するチャリティーフェスのSave the Dreamに来るか?」

 

優心「あ、はい。行く予定ですよ。うち……弦巻家もそのフェスに関わっていますし、関係者や出演者の方々には挨拶をしに行かないといけませんから」

 

宙「……それと、あごあしまくらはどうする?」

 

優心「それは、今回もいつも通り弦巻家の自費で賄うので、俺とかに使う分の金額はフェスの運営費やらチャリティーの活動やらに回してください」

 

宙「分かった。そういう事で話を進めておく」

 

優心「あ、あと、今回はお父様の代わりに俺が行く事になったので、その事も関係者の方々に伝えてもらえますか?」

 

宙「珍しいな。大体は父親の誠心だけか、二人で来たりしてたのにな」

 

優心「将来、代理とはいえトップを継ぐので、経験として出来る物を今から少しずつやってもらうと言われたんで」

 

宙「そうか。じゃあその事も含めて伝えておく」

 

優心「お願いします」

 

宙さんにお願いしてから、自分の所の観客席に愛と向かった。

 

観客席の所に行くと、有咲の祖母とおたえの母親もいたので挨拶もしつつ話をした。

 

他にも愛とグアムのフェスについて話をした。愛も来るかどうかの話などをしばらく話をしていると、ライブが始まる事が知らされた。

 

一番最初に演奏をするのはポピパで、二番目はラス、三番目はロゼリアの順番だった。

 

演奏の順番を確認していると、ポピパの皆が武道館の中心にあるステージで掛け声を掛け合っているのが聞こえた。

 

そその声が聞こえて俺と愛も含めた観客の皆もやった。

 

そしてポピパからのライブが始まった。

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

~3バンド演奏終了後~

 

 

ポピパから始まり、ラスとロゼリアも演奏をやり終えて決勝での結果が発表されるのを待っていた。

 

愛「ポピパとラスも凄かったけど、ロゼリアが凄かったね。演奏の所もステージ上にろうそくを持ちながら行く所とかロゼリアの世界観が出てたよね」

 

優心「だね。……それにポピパの曲とかも……」

と、三バンドの演奏や曲などの感想を言い合ってると、結果が出たそうなので、ステージを見た。

 

ちょうど三バンド全員がステージ上に出ていて、少しして一人の女性がステージに向かっているのが見えた。

 

優心「……あれはオーナー?」

 

愛「オーナーだね。今回の大会に関わってた感じなのかもね」

 

オーナーがいた事について一言二言ぐらいを話をすると、オーナーが結果を発表した。

 

グランプリはロゼリア。

 

ステージ上ではロゼリアが喜んでて、ラスとポピパ……特にラスは落ち込んでる感じに見えた。

 

けど、オーナーは続けて発表をしたので聞いてみると、パフォーマンス賞はレイズアスイレンで、ベストバンド賞はポピパという事が発表された。

 

オーナー「皆、いいライブだった」

 

優心「……オーナーらしいな」

と、結果を聞いた俺は小さく呟いて、ステージ上で喜んでる皆を眺めてた。

 

そしてオーナーがステージから降りると、ギターとベースのメンバーは自分の楽器を持ち、ドラムとキーボードは一つだけ出てきたのが見えた。

 

愛「もう一曲する感じだね、優心くん」

 

優心「そうだね。……新曲かもね」

 

香澄「もう一曲、聞いてください」

と、愛と一言だけ会話をすると、香澄がそう言って来たからすぐに耳を傾けた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

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~ライブ終了後~

 

 

愛「最後の曲、凄く良かった!」

 

優心「本当にね!あの曲、好きかも」

 

愛「それ私も分かる。皆、それぞれ歌った曲も良かったけど、3バンド全員で歌った最後の曲が一番好きかもしれない」

 

二人で感想を言ってると、近くを歩いていた純と沙南が話しかけてきた。

 

純「なぁ、兄ちゃん。ポピパ良かったよ」

 

優心「確かにね。沙綾も楽しそうに演奏してたしね」

 

沙南「お姉ちゃんもライブ良かったよね」

 

愛「ポピパの曲とかも良かったと私も思ったよ」

 

そんな感じで、千紘さん亘史さんとも感想を言い合いながら武道館の外に出た。

 

 

外に出ると、スマホが震えたから画面を見ると、香澄からのメッセージだった。

 

内容を見ると、この後ギャラクシーで打ち上げをやるからギャラクシーへ先に言ってて欲しいという事だった。

 

今回のポピパとロゼリアとラスだけではなく、ハロハピとパスパレとアフターグロウも参加する事も書かれていた。

 

そのメッセージを見た俺は愛に伝えて行くか確認をした。愛は即答で"行く"と答えたから、香澄に行く事を伝えた。

 

 

千紘さん達の山吹家の皆と武道館前で分かれて、俺と愛はギャラクシーへ向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ライブハウス・ギャラクシー~

 

 

ギャラクシーに着いて中に入ると、ギャラクシー店長の美子さんが打ち上げの準備をしていた。

 

美子「あれ、優心くん?どうしたの?」

 

優心「ポピパの香澄からこの打ち上げに誘われたんです。それで先に行っててと連絡があって、ギャラクシーに来ました」

 

美子「あ、そうなんだ。それなら、打ち上げの準備を手伝ってくれない?皆が来るまでに終わらせたいから、いい?」

 

優心「勿論、手伝いますよ」

 

二つ返事で打ち上げの準備を愛と一緒に手伝った。

 

その最中に愛の事を聞かれて、彼女だと教えると美子さんは驚いてたが、俺に彼女が出来た事に喜んでいた。

 

そうこうしている内に準備が終わり、少し待っていると皆がやってきて打ち上げが始まって、それぞれ話を始めた。

 

こころ「お兄様!」

 

優心「こころ、今日の幼稚園でのライブどうだった?」

 

こころ「皆を笑顔に出来たから、ライブは大成功よ!」

 

優心「流石、こころだね」

と、俺はこころと話を始めた。

 

しばらくここりと話をして、こころが他の所に行くとチュチュがやってきた。

 

チュチュ「……あなたの忠告通りだったわ」

 

優心「と言う事は、ラスはバラバラになりかけたって認識でいい?」

 

チュチュ「……そうよ」

 

優心「でもさ、バラバラになりかけたけど、皆がなんとか繋ぎ止めてくれたから、今バンドを続けられてメンバーがいる」

 

チュチュ「そうね。それに私一人で突っ走って周りを見てなかった……」

 

優心「別にリーダーが突っ走るのが全部が全部悪い訳じゃないよ。ハロハピとポピパがいい例だと思う。……せめて皆が同じ方向を向いてれば、バンドが出来れば何があってもなんとかなると思うから頑張ってね」

 

俺がそう言うと、チュチュは友希那の方へ行ったから、俺はポピパが集まってる方へ向かった。

 

レイヤ「あごあしまくらは、出してくれるって話だったよね」

 

香澄「あご……あし?」

 

優心「あごは食事代、あしは交通費でまくらは宿泊費の事だよ」

 

レイヤの言葉にピンと来ていなかった香澄達ポピパに意味を教えてあげながら、レイヤ達の会話に参加した。俺の説明に有咲が"業界用語で説明すんなよ……"と愚痴ってた。

 

皆が話してた内容はグアムのチャリティーチャリティーフェスのSave the Dreamについて話をしていたそうだ。

 

チュチュ「ロゼリアは出ないの!?」

と、チュチュの声が響いてから、ここに集まってる6バンド全員がグアムのチャリティーフェスとロゼリアがFWF関係のライブについての話になった。

 

ロゼリアはフェスが開催される日がFWF関係のライブが重なっており、フェスに出れない為に辞退をするという事にしたと、友希那が言っていた。

 

チュチュは蘭に少し煽られてはいたが出る事にしているそうで、残りのポピパはまだ決めてないという事だった。

 

優心「ポピパも宙さんから出て欲しいって頼まれたの?」

 

沙綾「そうなんです。私達ポピパとラスとロゼリアに声が掛かりました。……それで出るかどうかを話してた所なんです」

 

優心「それでどうするの?」

と、俺が聞くと、ポピパの皆は一言二言を話をして行く事を決めて、"行く"と宣言した。

 

俺は"そっか"と呟いた後に愛に声をかけた。

 

優心「愛は、どうする?ロゼリアの方のライブを見るか、俺と一緒にチャリティーフェスの方に行くかどうする?」

 

愛「……ん~、やっぱりロゼリアのライブ行きたいかな。……ずっと一途に一つの大会に向けて頑張ってたロゼリアの姿を見てみたいから」

 

優心「オッケー。じゃあ俺はグアムに行くってことで」

と、愛と確認をすると、香澄が誰よりも早く話に食いついてきた。

 

香澄「優心先輩!優心先輩もグアムのフェスに来るんですか?」

と、香澄を筆頭に皆が凄く気になると言わんばかりに見てきたから、色々と説明をいた。

 

そもそも、グアムで開催されるチャリティーフェスのSave the Dreamには、弦巻家が関わっている事とそのフェスには必ず弦巻家の人が行って関係者や出演者の人達と会っている事を教えた。

 

そして、今回は俺がお父様から頼まれて弦巻家代表みたいな形で行くという事も教えた。

 

愛はその事も知っていたが、愛は愛でロゼリアのライブの事も気になっていたの、ついさっきどうするかの確認をしたという事も皆に伝えた。

 

その事に皆は"へぇ~"となっていた。

 

りみ「それじゃあ、優心先輩は舞台袖とかで会うかもしれないって事ですか?」

 

優心「そういうことになるかもね。でも本番の演奏もちゃんと見るからね」

 

香澄「じゃあ頑張ってる所を見ててくださいね!」

 

優心「うん。応援してるよ」

 

 

そんな感じで話をしていると時間が過ぎていき、凄く濃かった一日が終わった。

 





次回はぽっぴんどりーむの話を書いてもいいんですが、1話丸々を劇場版の内容を書ける程の技量もないです。

それに、そもそも優心がガッツリ物語が介入する程の展開はないので、映画はほぼ原作のままなので書く必要はないと判断したので書きません。

その為、次回は一気に話を飛ばし、秀知院学園卒業式の前後の話を書くつもりです。

ただし次回が最終回ではなく、次回を入れてあと3話か4話ぐらいは続きますので、もうしばらくお付き合いしてくれたら嬉しいです。


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第84話


今回は、秀知院学園の卒業式前後の話です。

では、本編をどうぞ。



 

 

~三学期~

 

 

~卒業式数日前~

 

 

~優心視点~

 

 

去年の12月のポピパとラスとロゼリアの武道館ライブ、今年の1月にグアムであった音楽イベントでのポピパとラスとモルフォニカのライブ。

 

あと、冬休み中には愛と出掛けたり、樹と鋼とすばると三鈴達とも遊びに行ったりした。

 

そんな感じで冬休みが過ぎて三学期になった。

 

三学期になり学校に行くと、鋼とすばるが、樹と三鈴が恋人になった事を教えてくれので、"おめでとう"と祝ったりした

 

そこから、バレンタインやらの出来事などが過ぎていき、卒業式が近づいてきた。

 

俺は今日、学校中を駆け回っていた。卒業式まで数日ある間に、当日までに準備をしておきたい事があったからだ。

 

校長と全教職員に説明をする為に動き回って、校長含めて高等部の教員達に話を通し許可をもらった俺は、かれんとエリカを探した。

 

教室には居なかったから、マスメディア部の部室へ向かった。

 

 

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~マスメディア部・部室~

 

 

優心「かれん、いるー?」

 

そう言って部室に入ると、"居ますよ"と言いながら俺の近くに来てくれたがエリカが居ない事に気付いた。

 

優心「エリカは?」

 

かれん「エリカは眞妃さんと渚さんの所にいますので、今は居ないですけど、呼んだ方がいいですか?」

 

優心「いや、呼ばなくていいよ。今はとにかく伝えておきたいことがあるから、かれんに話すよ」

 

かれん「伝えたい事……ですか?」

 

優心「うん。数日後に卒業式があるでしょ。その当日に、白銀とかぐやさんがこっそりと学校にくるっていうサプライズをするらしいんだ」

 

かれん「それは本当ですか!?」 

 

俺が言った言葉に、顔を近づけながら凄く食いついてきたから、俺は一歩下がってから話を続けた。

 

優心「うん、華さん情報だから確実だよ」

 

かれん「確かにそれなら確実な情報ですね。ただ、優心さんが二人が来るという事を言う為だけに部室に来ないと思いますので、何かをお願いをしに来たという事ですか?」

 

優心「その通りだよ。卒業式当日に逆サプライズをしようと思ってるんだ」

 

かれん「と言うと?」

 

優心「二人はスタンフォードに入学した。しかも飛び級だから、秀知院をいわば中退という形で居なくなったから高校の卒業という祝いを受けてないという事になってる」

 

かれん「なるほど。卒業式にやってくる二人を祝ってあげるということですね」

 

かれんの言葉に俺は頷いた。

 

優心「この事は校長と高等部の全教員から許可をもらったから、あとは高等部の全生徒に協力してもらおうと思ってるんだ。だけど……」

 

かれん「人数が多いから、優心さんが一人で進めるのには限度があるから、マスメディア部にも協力をして欲しいという事ですね」

 

優心「そういう事だよ。で、マスメディア部には校内新聞やらのマスメディアの力を使って高等部の生徒に知らせて欲しいんだ。俺が提案している事とか諸々をね」

 

俺がそうお願いすると、"分かりました!!"と元気よく返事をしてきた。

 

かれん「エリカには私から伝えておきます!二人で情報を流して白銀会長とかぐや様には伝わらないように忠告もしときますよ!」

 

優心「よろしくね。俺は千花達と当日までに準備をしとくから」

と伝えると、部室から出ていった。

 

優心(エリカの所に行ったのかな……。まぁ、あとは千花達に話をして準備を始めるか)

 

そう思った俺も、マスメディア部の部室から出て千花達が集まってるであろう生徒会室に向かった。

 

そして、千花達にも話をし準備を進めていき卒業式当日になった。

 

 

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~卒業式当日~

 

 

~会長視点~

 

 

かぐやと一緒に学校の校門前で二人で待っていた。

 

白銀「あれだな。卒業式が終わるまで時間が掛かるから結構待つ感じだよな」

 

かぐや「そうですね。……サプライズとして来た訳ですけど、秀知院を中退という形になってます。ですので、学校側からすれば部外者なので、敷地内には入れませんしね」

 

白銀「でも、ここで皆で待ってるのも悪くないよな」

 

かぐや「それはそうですね」

と、かぐやと話をしていると、目の前に車が止まった。

 

白銀父「二人ともそれでいいのか?後悔してないのか?」

 

白銀「……」

 

白銀父「お前らも卒業を経験したかったんじゃないのか?」

 

白銀「……そうは言っても、学校内に入るのは無理だと思うぞ。警備員やらが先生やらか見回りしているしな」

と車でやってきた親父の言葉にそう返すと、親父は何も答えずにいきなり制服を渡してきた。

 

白銀「なんで制服を渡してきたんだ?しかも、かぐやの女子生徒の制服も」

 

白銀父「かぐやちゃんの制服は、四宮別邸の使用人に持ってきてもらった。……とにかくいいから、着替えて卒業式を見に行ってこい」

 

親父の言葉に隣にいたかぐやと一緒に驚いた。が、折角制服を持ってきて受け取ったからには見ておいた方がいいだろうと、お互いに決めて学校内に入った。

 

教師や警備員やらがいるので隠れながら、着替える場所へと向かった。更衣室でお互いに制服に着替えて、私服は制服が入っていた袋に入れた。

 

私服が入った袋を教室に置くことにした俺とかぐやは、校舎内を久し振り見て回りながら、飛び級する前に通っていたクラスへと向かった。

 

教室に着き、荷物を置いた。

 

白銀「……よし。あとは、こっそりと移動しつつ体育館に行くか」

 

かぐや「えぇ、行きましょう」

と、かぐやの返事を聞いて動こうとした時だった。

 

大林「おい、白銀と四宮」

 

かぐや「!」

 

白銀「大林先生……!」

 

大林「……二人とも体育館に来い」

 

担任の大林先生に見つかったが、一言だけそう言って歩き出したので俺はかぐやと顔を見合わせたが、とりあえず付いていく事にした。

 

 

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~体育館~

 

 

先生のお陰で、こっそりと移動する事なく体育館に着いた。

 

白銀「……先生、いいんですか?俺ら、勝手に学校内にいるのに」

 

大林「別にいいよ。……生徒会長と副会長として頑張ってた二人を問答無用で学校に入れさせないとか追い返す程、教師達の頭は固くない」

 

その言葉の後に"見てみろ"と言ってきたので、俺とかぐやは体育館の横扉から中を覗いて見ると、ちょうど弦巻が卒業証書を受ける順番になっていた。

 

校長から卒業証書を受け取った弦巻に拍手をしていると、弦巻が俺らの方を見てきて卒業証書を見せるように掲げてきた。

 

その事に驚いている間に、弦巻は体育館のステージから降りていた。

 

 

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~優心視点~

 

 

卒業式が始まり、卒業証書授与の時間になった

 

俺の順番になり、体育館のステージに上がって卒業証書を受け取ったタイミングで校長が小声で声をかけてきた。

 

校長「弦巻くん。そこの横扉に白銀くんと四宮さんがいますよ」

と言ってきたので、俺はまずチラッと二人がいるのを確認してから、振り返って卒業証書を見せる形で掲げた。

 

すると二人は驚いていて、そんな二人の反応を見て面白いと思いながら、ステージから降りて自分の席へと戻った。

 

 

そこから時間が過ぎていき、卒業式が終了した。

 

 

卒業式が終了した後は、教室に戻り担任の簡単な話だったがそれが終わると、俺は皆に最終確認のお願いと確認が終わり次第、俺に連絡をするようにお願いした。

 

皆にお願いしてから、俺は白銀とかぐやさんに会いに行った。

 

優心(卒業式が終わる少し前に二人は生徒会室に向かった。そしてそのまま生徒会室にいるという事を華さんから教えてもらったから、生徒会室に急いで向かおう)

 

そう思いながら急いで生徒会室へと向かった。

 

 

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~生徒会室~

 

 

生徒会室に入ると、白銀とかぐやさんの二人が話しながらいた。

 

優心「白銀、かぐやさん」

 

白銀「弦巻、久しぶりだな」

 

優心「さっき体育館で見たけどね」

 

かぐや「そうでしたね。……でもあれは驚きました。まさか私達に気付くとは思わなかったので」

 

優心「あれは校長が気付いたんだよ。あの位置だと校長が一番最初に気付くからね」

 

白銀「……確かにそうだな」

 

そこから少し生徒会での思い出話になったが、その時にスマホが震えたので画面を見てみた。

 

画面には、"準備完了"というメッセージが表示されていた。

 

優心「……二人とも、そろそろ帰ろっか。……あ、この後さ生徒会メンバーと愛の皆で打ち上げするんだけど、二人も来るでしょ?」

 

俺がそう言うと、二人は頷いてくれた。

 

優心(校舎玄関前で千花達が来た時にやれば問題ないな)

と、頭の中で自分の行動の確認をしながら、校舎玄関前まで移動した。

 

 

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~優心視点~

 

 

~卒業式後・校舎玄関前~

 

 

玄関前に移動して、千花達がくるまで話をしながら時間を潰していたが、千花達が来た時に白銀とかぐやさんが皆に"おめでとう"と言ってきた。

 

優心「白銀とかぐやさんもね」

 

白銀「……俺とかぐやは中退だろ」

と言う白銀と頷くかぐやさんを見て、俺は二人に一つ聞いた。

 

優心「……二人はさ、皆と一緒に卒業式に出たかった?」

 

白銀「でも「白銀……」弦巻?」

 

優心「中退どうこうの話じゃない。二人が卒業式に"出たかった"か"出たくなかった"かのどっちなのかを聞いている。二択を本音で答えて」

 

俺はもう一度そう聞くと、二人は"出たかった"と答えたので、その言葉を聞いた俺は卒業生として付けてもらった花を取って皆に声をかけた。

 

優心「皆、いくよ!」

 

全員「白銀会長、四宮副会長、卒業おめでとうー!」

 

三年達は花を高々と投げて、在校生達は屋上から"おめでとう"という段幕を下ろしながらや校舎から"おめでとう"と言っていた。

 

かくいう俺も二人に"おめでとう"と伝えた。

 

白銀とかぐやさんは皆の行動に驚いていた感じだったけど、祝ってくれた事を実感したのか涙が出ていた。

 

優心「二人とも、嬉しくて泣いてる?」

 

かぐや「……当然です。こんな事をされたのは初めてですし、凄く嬉しいに決まってますよ」

 

白銀「かぐやの言う通りだ」

 

二人がそう言って嬉しがっていたのを知って、成功したなと安心した。

 

優心「でも、二人は本当に慕われるよ。……俺が今回の事を皆にお願いして、こんな形で二人を祝う事が出来たんだから」

 

白銀「何を言ってる。こんな事を皆にお願いして実行できたのはお前の人徳だろ」

 

優心「そんな事ないよ。俺が慕われてるだけじゃこんな事は出来なかったよ。だって祝う相手が慕ってない人なら無理だった。つまり、皆が協力してくれたのは二人だったからだよ」

 

俺がそう言うと二人は一段と嬉しそうにしていたが、そのタイミングで、二枚の卒業証書を持った校長がやってきて、二人に渡した。

 

石上「じゃあ打ち上げに行きましょう。良いお店を予約してるんで」

 

石上の言葉に白銀とかぐやさんは頷いてくれたので、俺と愛と生徒会メンバーで歩き出した。

 

白銀「グッバイ秀知院」

 

学校の敷地内から出てから白銀が立ち止まり、校舎を見上げたそう叫んだのを見てから、皆でどこかに旅行に行こうとかなどの話や思い出話をしながら、お店まで向かった。

 





前回の後書きでも書きましたが、今回で最終回ではないです。

最終回でも良かったんですが、卒業した後の話を書いてから最終回にしようと思ったので、まだ続きます。

残り3話で最終回になりますので、残り3話も読んでくれたら幸いです。


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第85話


今回は、大学一年になった優心と愛の話です。

前半は二人が大学で昼を食べているシーンですが、後半は優心と愛がバンドリアニメのマイゴの12話でやっていたライブを見に行って、ライブ終わりにマイゴのメンバーと少しだけ会って話をする内容です。

では、本編をどうぞ。



 

 

~優心視点~

 

 

大学に入学してから時間が過ぎて、だんだん暑くなってきて半袖で過ごす時期になった。

 

今日も大学で講義を受けて昼になった。愛と同じ講義を受けているので、待ち合わせとかする必要なく一緒に学食へと向かった。

 

優心「愛はどれ食べる?」

 

愛「今日も日替わり定食にする。優心くんは?」

 

優心「俺は……カレーにする」

と、お互いに食べる物を言ってから食券を買った。

 

学食……食堂内の調理員に食券を渡して、メニューを受け取って席を探したが、当然だけど昼という事もあって結構な人数の人がいて席があまり空いてない。

 

どうしようかと悩んでいる時だった。

 

弘輝「あ、弦巻に早坂。ここに二つ空いてるからここ座れ」

 

瑠花「愛はこっち座って」

 

席に座っていた男女二人組が、声を自分の隣が空いてる事を教えてくれたから、二人に"ありがとう"とお礼を言った。

 

この二人は大学に入ってから初めて出来た友達で、男子は弘輝(こうき)で女子は瑠花(るか)という名前だ。

 

この二人の恋人同士らしいけど、学部は違ってて弘輝の方は医学部で瑠花の方は法学部だそうだ。

 

学部が違う二人と出会ったのは単純に今日と似た出来事が大学入学して数日にあったからだ。

 

その時は今日とは逆で俺と愛が声をかけたんだけど、今回と同様に同じく混んでる学食で二人と会ったんだ。

 

まぁ、それは置いといて、二人から教えてくれた空いてる席に座って、昼を食べはじめた。

 

愛は瑠花と話をしているのを見ていると、弘輝が話しかけてきた。

 

弘輝「そういや、弦巻。お前と早坂は午後の講義はあるのか?」

 

優心「ううん。午後はもう何もないよ。だから、どうしようか悩んでる」

 

弘輝「そっか。……でさ、いつ見ても二人って本当に仲がいいカップルだよな」

 

優心「そりゃ、高校の時から付き合ってるからね」

 

弘輝「俺らが大学に入学してから3ヶ月ぐらい経ったが、弦巻と早坂の二人をまとめた呼び名があるんだが、知ってるか?」

 

弘輝の言葉に高校から付き合ってるという事を伝えると、呼び名を知ってるかと聞かれたから、俺は"知らない"と答えた。

 

弘輝「大学随一の成績優秀者同士のラブラブカップルだよ」

 

優心「そう言われてるの?」

 

弘輝「あぁ。最初は俺ら一年組が言い始めてから、そこから二年、三年、四年と上級生達にも、伝わったって感じだな」

 

優心「なんかそのまんまみたいな言葉だよね。なんの捻りもない感じ……」

 

弘輝「俺だってそう思ったんだから、言ってやんなよ」

 

優心「……それもそっか」

といった会話をしながらご飯を食べていった。

 

そして、昼を済ました後は、弘輝と瑠花は午後の講義があるみたいなので二人と別れて、愛と午後はどうしようかの話をしていた。

 

そんな時に、俺のスマホから着信音が流れたから画面を見た。

 

オーナーからの電話だったから出て話を聞くと、楽奈がバンドを組んだ事とそして居場所を見つけたと言った事と、そしてそのバンドが今日の午後にRiNGというライブハウスでライブをするという事を、教えてくれた。

 

ライブをやる時間は夕方らしいので、余裕で間に合うので慌てる事がなくて良かったと思いながら、オーナーに行く事を伝えた。

 

チケットはオーナーが代わりに買っておいてくれたみたいだったから、ライブハウスでオーナーと会ってチケットを貰い代金をオーナーに払うという事で話がまとまったので、通話を切った。

 

オーナーとの話を愛にも伝えて、寄り道をしてからRiNGへと向かった。

 

 

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~ライブハウス・RiNG~

 

 

~優心視点~

 

 

オーナーから連絡が来た後に、寄り道として古川屋に寄ってから、ライブハウス・RiNGに着いた。

 

建物内に入ると、真次 凛々子(まつぎ りりこ)さんが受付にいるのを見かけた。

 

優心「凛々子さん。お久しぶりです」

 

凛々子「ん?あ、優心くんじゃない。スペース以来だから久しぶりだけど、結構経つよね」

 

優心「そうですね。……けど、凛々子さんがここにいるって事は、ここの店員として働いてるって認識でいいんですか?」

 

凛々子「実はね、私ここの店長なのよ」

 

優心「え、初耳……」

 

凛々子「そりゃ、言ってないからね。……まぁ、そもそもスペース閉店してからは会うことがなかったし、このRiNGも今年に出来たばかりっていうのもあるからね」

 

優心「そうですね」

と、凛々子さんの言葉に俺がそう呟くと、凛々子さんは愛の方を見た。

 

凛々子「で、この子はもしかしなくても優心くんの彼女さんかしら?」

 

優心「あ、そうですね。俺の彼女です」

 

愛「早坂愛です。優心くんと同い年の大学一年です」

 

凛々子「よろしくね。オーナーやまりなちゃんから彼女がいる事とか聞いていたけど、確かに見た目が良い子だね。性格は優心くんが選んだ子だから問題ないだろうしね」

 

優心「愛は可愛いし性格も良いですよ」

 

愛「優心くん、躊躇無く人前で言わないでよ。恥ずかしいんだから」

 

凛々子さんの言葉に肯定すると、愛が話に入ってきた。

 

優心「でも事実だからさ」

と言いながら、愛の頭をポンポンとした。

 

愛「うぅ~高校の時からだけど全然慣れないな……」

 

凛々子「仲が良い事で……。それで二人はライブ見に来たのかな?」

 

愛と少し話をしていると、凛々子さんがRiNGに来た理由を聞いてきたので、オーナーから誘われた事とかを伝えた。

 

凛々子「じゃあオーナーが来るまで待っとくって事だね」

 

優心「はい。……あ、あとライブの後に楽奈と会う事って出来ます?」

 

凛々子「どうして?」

 

優心「楽奈に差し入れを持ってきてるんです。バンドを組めたっていうお祝いに持ってきてて、あとそのバンドメンバーの子達にも持っているんですけど……」

 

俺がそう言うと、凛々子さんが少し悩んでから答えてくれた。

 

凛々子「本当は駄目だけど、優心くんとその彼女なら問題起こさないだろうし差し入れも問題ないだろうから、会ってもいいよ。楽奈ちゃんとメンバーの子達には、私から伝えておくよ」

 

優心「ありがとうございます」

 

凛々子「だけど、少し話をしてもいいけど差し入れを渡したら早めに帰ってね。他のお客さんがとかに見られて"ずるい"とかその他にも色々と言われると大変だから」

 

優心「分かりました」

と、凛々子さんに言うとRiNGにカフェがある事を教えてくれたので、そこでオーナーが来るまで待つ事にした。

 

カフェにいたら、香澄と沙綾がいて少し驚いたが、"バイトするって言ってたな"と思い出して、RiNGだったんだと思ったりしながら時間を潰した。

 

 

しばらくしてオーナーが来たので、チケットを受け取って代金を渡した。

 

そして、ライブが始まる時間が近くなったので観客席へ移動した。

 

ステージ近くに行くと、六花と明日香とあこがいたから、愛も含めて五人で話をして時間を潰していた。

 

そしてライブかスタートした。

 

ライブを見ていると、アフターグロウも出てきたのに驚いたが、相変わらずの最高のいつも通りの演奏をしていて格好良かった。

 

アフターグロウの次が楽奈が加入したバンドだ。しばらく待つと、転換時間が終わった様でステージのライトがつきライブが始まった。

 

 

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~ライブ終了後~

 

 

~RiNG内・カフェ~

 

 

ライブが終わったので、楽奈達が来るのをカフェで待っていた。

 

しばらく待ってると入り口が開く音がしたが、それと同時に声が掛かった。

 

楽奈「ゆーしん、あい」

 

一番最初に来たのは、楽奈で目を輝かせながら名前を呼んできた。

 

楽奈「ライブ、頑張った。差し入れ……あるって聞いた」

と言ってきた楽奈を見て、"楽奈らしいな"と思いながら華さんに預かっててもらってた楽奈用のケーキを出した。

 

優心「はい、これ。タルト生地まで抹茶になった新しい抹茶タルト一つと、抹茶のショートケーキ一つを持ってきたよ」

 

商品名と数を言って渡すと、楽奈は噛み締めるようにしながら笑顔で食べ始めた。

 

その様子を見て俺も愛も笑顔になってると、カフェの入り口が開く音がした。

 

立希「野良猫、一人で行くなって……えっ……」

 

愛音「あれ、リッキーどうしたの?立ち止まって……」

 

そよ「入り口でいきなり止まんないでよ」

 

燈「皆どうしたの?」

 

まず入ってきたのは、ドラムの子でその次にもう一人のギターの子、三人目にベースの子が来て最後にボーカルの子だった。

 

立希「もしかして、真次さんが言ってた弦巻さんと早坂さんですか?」

 

優心「あ、うん。俺は弦巻優心。大学一年です」

 

愛「私は、早坂愛です。優心くんと同じで大学一年です」

 

俺と愛が自己紹介すると、楽奈以外の皆が自己紹介してくれた。

 

皆の自己紹介を聞いた後に、皆に持ってきていた差し入れを出した。

 

優心「これ、皆の分の差し入れのケーキ。全部イチゴのショートケーキなのは許してね。皆の好みは分からなかったから、無難な物にしたけど」

 

立希「流石に、わる「ありがとうございます!」……ちょ、愛音!」

 

愛音「え~、いいじゃん。折角、差し入れで持ってきてくれたんだよ。貰わないと勿体ないじゃん。リッキーは食べ物を粗末にするんだ~」

 

立希「べ、別にそうは言ってないだろ!」

 

燈「ありがとう……ございます」

 

そよ「ありがとうございます」

 

立希と愛音が言い合いを始めた横で、燈とそよがお礼を言ってきた。

 

優心「じゃあ俺と愛はそろそろ帰るよ」

 

愛音「え、もう帰るんですか?」

と、立希と言い合ってた愛音が俺の言葉に即座に反応した。

 

優心「うん。元々、差し入れを持ってきただけだし、凛々子さんにも差し入れを渡したら早めに帰ってって言われてるしね」

 

俺が言った言葉に、皆は"そうなんだ……"といった感じになっていた。

 

優心「今日のライブ、凄く良かったよ」

 

愛音「あ、ありがとうございます♪」

 

そよ「……衣装はどうでした?」

 

優心「衣装も良かったよ。斬新だったけど似合ってたよ」

 

そよ「……」

 

ライブの感想を言って、そよに聞かれて衣装の事の感想も言ったタイミングで、楽奈が裾を引っ張ってきた。

 

楽奈「……ゆーしん、あい、満足。美味しかった」

 

優心「また食べたくなったら連絡してね」

 

楽奈「スマホの操作、分からない」

 

優心「じゃあオーナーに連絡お願いしていいよ。それで会った時に、スマホの使い方を教えてあげるから」

 

楽奈「ん。……じゃあまたね」

 

愛「またね」

と、愛は言いながら楽奈の頭を撫でてあげていた。

 

優心「じゃあ皆もじゃあね」

という事を、皆に言ってから俺も楽奈の頭を撫でてから、家へと帰った。

 

 

こうして一日が終わった。

 

 

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~愛音視点~

 

 

愛音「凄い二人だったね、優心先輩と愛先輩って」

 

私は帰っていった先輩二人が見えなくなってから、そう言った。

 

燈「楽奈ちゃんが懐いてたもんね」

 

楽奈「あの二人、いい人。……二人とも好き」

 

愛音「言い切るね。……それにしても弦巻って名字……どっかで聞いた気がするんだよね~」

 

そよ「弦巻グループの事じゃない?名字が一緒だし」

 

愛音「そよりん、それだよ!」

 

立希「うるさ……。山吹先輩と戸山先輩もそう言ってたから間違いないと思う。それに確か……弦巻さんには護衛の黒服が三人いるって言ってたかな」

 

愛音「凄ッ……!」

 

そよ「……もう弦巻さんの話は置いといて、今日やったライブの話をしましょう」

 

私が驚いてると、そよりんがそう言ったきたから私は返事をしてからショートケーキを食べはじめた。

 

そしてリッキーの話を始めたから食べながら聞いて、皆と今日のライブの感想を言い合った。

 

こうして正式なバンド名が決まって新曲とかも成功したライブを終えた今日一日が終わった。

 





前半に出来た男女二人は、この話だけに出るキャラなのでもう登場させる事はないので、名前と学部以外は特に設定は考えていません。

次回の内容も時間を飛ばした内容を書いて投稿します。

次はかぐや様原作の28巻に収録されている「早坂愛の最終回」を題材にした内容になります。

あと2話で終わりになりますが、最終回まで完成しましたので、今日の3月10日に全て投稿させていただきます。

まず、次の話は本日3月10日の8時に投稿します。


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第86話


今回は、かぐや様原作の第28巻に収録されてる「早坂愛の最終回」を題材にしています。

内容に関しては、居酒屋らしきお店で皆が集まっている所は変わりませんが、話している内容や設定などは違います。

それでも楽しんでくれたら幸いです。

では、本編をどうぞ。



 

 

~12月~

 

 

~優心視点~

 

 

楽奈が加入したバンドが出たライブを見た日から、楽奈にスマホ操作を教えてあげたり、講義や行事などを満喫していった大学生活の日々が過ぎていって、俺と愛は問題なく大学を卒業した。

 

その数日後にスタンフォードを卒業したかぐやさん達も帰国してきていたが、この時はお互いに会える状況ではなかったので、"おかえり"と連絡だけしといた。

 

さて俺はというと、4月に認可保育所が設置されている弦巻グループ本社で新卒として採用され就職をして働いてる。

 

いくらお父様の息子で当主兼社長代理になる事が決まっているとしても、いきなりトップになると何かしらの不満が出るのは間違いない。 

 

その為、数年間は社員の皆に実力やら能力があるのを認めて貰うという事になった為に、ちゃんと正規で就職して働いている。

 

愛も本社に就職して皆から認めて貰えるように仕事をしているが、状況に合わせた勤務時間で働いている

 

何故、愛の勤務時間が状況に合わせているのかというと、俺と愛の間に二人の子供がいるからだ。

 

大学在学中に愛と結婚をして、4年生の時に7月に1人目が生まれて、その一年後である就職した年の7月に2人目が生まれた。

 

勿論、俺も育児や家事などをしているし、その上で家にいるメイドさんや執事の皆も手伝ってくれている。

 

手伝って貰いつつも、愛は出来るだけ自分の手で育てたいと言ったので、勤務時間は状況に合わせた働き方になっているんだ。

 

 

そんなこんなで12月になった現在。

 

今日は金曜日の夜。

 

今夜は居酒屋に集まることになった。前々から会おうという話になっていたが、俺と愛と御幸とかぐやさん、千花の五人が時間が合わなかったんだ。

 

理由は色々とある。

 

まず、御幸とかぐやに関しては、帰国した後の日本の生活が落ち着くまでに時間が掛かった。

 

その訳が二人は俺と愛同様に大学在学中に結婚をして、大学四年の時に一人の子供が誕生したという事と、御幸の父親が社長をしていた白銀製薬工場を、御幸自身が社長として立て直していたからだ。

 

御幸達の方は、10月に入った頃に工場に関しての事とプライベートの方も落ち着いていたんだけど、今度は千花の方が時間が合わなかったんだ。

 

千花は母親と同じ外交官になったんだけど、仕事が多忙なのと、政治家である父親の大地さんの手伝いもしていたから、余計に予定が合わなかったんだ。

 

まあ、俺と愛の方も二人目の子供が生まれてたから、一応もう少し後に会う事をお願いしたのもあったから、時期がずれていき、12月になったわけだ。

 

長々な説明をしてしまったが、その説明が終わったタイミングで華さんが運転してくれてる車が居酒屋近くに止まったので、車から降りた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~居酒屋~

 

 

居酒屋に入ると、石上一人がいた。先に来ていたみたいで、先に始めていた。

 

優心「石上、久しぶり」

 

石上「優心先輩、あっちゃんも久しぶりです。……その二人ですか?お子さんは……」

 

優心「うん。愛が抱っこしてる子が生後五ヶ月の男の子で名前は咲心(みこと)で、俺が抱っこしてる子は一歳五ヶ月の女の子で優愛(ゆあ)だよ」

 

石上「本当に可愛いですね、二人とも」

 

愛「でしょ~」

 

石上「本当にそうですよ。……で、二人は飲み物はどうします?」

と石上が聞いてきたから、"ウーロン茶二つ"と言うと石上が代わりに店員さんに注文してくれた。

 

石上「やっぱり子供がまだ小さいから、お酒は飲まない感じですか?」

 

優心「まだ二人とも小さいからね。車は、黒服さんが運転してくれるから飲酒運転の心配はないけど、石上の言うとおりで優愛と咲心がいるからね」

 

石上と軽く言葉を交わしながら、俺と愛は石上と対面になる位置の座敷の席に座りお互いに抱っこをやめて子供を足の上に座らせた。

 

すると、優愛が腕を石上の方に伸ばしながら"やー"と言って、咲心も真似する感じで"あー"と言っていた。

 

優愛の言った感じだと、友達とかに"よっ!"みたいな感じの挨拶の言い方だった。

 

優心「優愛、咲心、挨拶したのか。偉いな」

と言いながら、二人の頭を撫でてあげてると、嬉しそうに笑顔になったら、

 

石上「優愛ちゃんと咲心くんって、人見知りみたいのしないんですね」

 

優心「そうだね。家でも黒服さんと料理人、執事とメイドさん達にすぐ懐いてたね。特に黒服さんは黒スーツにサングラスの見た目だから、優愛と咲心ぐらいの子が見たら泣きそうなのに泣かなかったしね」

 

俺がそう説明すると石上が"へぇ~"と言って、このタイミングでウーロン茶がきたので受け取った。

 

一口ウーロン茶を飲んだタイミングで、石上が"あ"と声を出した

 

石上「子供繋がりなんですけど、田沼夫妻は凄かったですよね」

 

優心「あー、そーふぁーね」

 

優愛「パー」

 

石上の言った翼と渚がヤバイという言葉に"そうだね"と言おうとしたら、優愛が俺の頬っぺたを引っ張ってきた。

 

愛「優愛ー、パパの頬っぺた引っ張らないのー」

 

優愛「マー」

 

愛にそう言われた優愛は手を離してくれた。

 

石上「仲いいっすね。……それで渚さん、子供を抱えながらよく大学卒業しましたね。ただ、その時にお子さんの名前を聞いた時に流石に引きましたね」

 

愛「そうだよね。こっちは、自分の名前とかから取ってつけたけど、漢字は違うけど息子に真喜(まき)っていう親友と同じ名前をつけたのは、流石にね……」

 

二人の言葉に俺は頷いた。

 

田沼夫妻が付けた子供の名前の話の流れで、眞妃の話になりしてから、ミコの話になったがミコはミコで凄いことになってるそうだ。

 

優「今頃、サークルを後輩を潰して笑ってますよ。あいつ酒の飲み方が最悪なんですよ」

 

優心「そうなの?」

 

石上「それはもう……。だってミコがいる飲み会に耐えかねて、サークルを抜ける男が後を絶たないらしいですからね」

 

優心「うわ……」

 

愛「真面目な人程、反動が凄いからね」

 

優「僕も何度ミコに付き合わせられたか……」

とめんどくさそうな感じに石上は言っていたが、なんだかんだミコと飲むのは嫌そうではなかった。

 

優心「てか、ミコは大学卒業したら大手の弁護士事務所に入るんだよね?在学中にそんな風なのは大丈夫なの?」

 

優「そこは大丈夫だと思いますよ。ミコはその辺りの事を自覚してて、卒業後はお酒は控えるって言ってましたから」

 

愛「優も彼氏としてセーブさせてあげなよ。卒業後は二人で同棲して生活するんでしょう?それな結婚もする予定なんだから、気をつけさせた方が良いと思うよ」

 

優「家だと飲みそうですけど、なんとか抑えておきます」

 

その後も話をしていき、石上自身の話になったが石上が卒業後は弦巻グループのゲーム会社に就職が決まっているそうだ。

 

あとは、残りの日数で単位を大学をしっかり卒業出来るように頑張るそうだ。

 

優自身の話に一区切りついた頃に、御幸とかぐやさんががやってきた。

 

愛「かぐや、それに御幸くん、久しぶり」

 

優心「二人とも久しぶり」

 

御幸「久しぶりだな。……二人とも、子供連れてきたのか」

 

優心「まぁね。子供二人ともお父様とお母様とこころ、使用人の人達に懐いてるから、誰かに面倒見てもらおうと思ったんだけど、優愛が"やーや"と言ったから、連れてきたんだ」

 

愛「私が抱っこしてる子、咲心も離れたがらなかったからね」

 

優愛「やー」

 

咲心「あうあー」

 

俺と愛の言葉に、優愛と咲心は石上にしたように腕を上げて挨拶をしていた。

 

優心「二人の方の子供……輝幸(てるゆき)くんだっけ?今日は、連れてきてないの?」

 

俺が優愛と咲心を頭を撫でながらそう聞くと、二人は席に座って飲み物を注文してから教えてくれた。

 

御幸「輝幸は、圭に預けてきた。輝幸、今日は圭と一緒に居たいみたいで、優愛ちゃんみたいに圭から離れようとしたら"やや"って言ったから、連れてきてないんだ」

 

優心「そうなんだね。……そうだ。御幸、製薬工場の経営はどう?」

 

御幸「良い方だぞ。……今後、数年の間に安定した軌道に乗れそうだ。そうなったら、会社の副社長をしてくれている圭に社長を譲るつもりだ」

 

優心「その後は四宮家、四宮グループの方に?」

 

御幸「あぁ。かぐやがその辺りで四宮トップの当主とグループ総帥……いわば社長に就任するつもりだ。俺も同じタイミングでナンバー2として就任をする」

 

愛「じゃあ、かぐやって輝幸くんの育児や家事とか以外だと何やってるの?」

 

かぐや「家事やら以外だと、四宮グループ本社で働いてます。私自身がお兄様達にお願いして、他社員の方々に認めて貰うために一社員として働いてます。勤務時間は状況で違いますがね」

 

愛「へぇ~。……御幸くんの方はその頃には会社を建て直して業績を安定させた社長という肩書きが付くだろうし、認めて貰えそうだから大丈夫そうだね」

 

愛の言葉に、御幸は"そうだといいがな"と苦笑いしながら言っていた。

 

優心「かぐやさんは俺と同じ状態だね」

 

かぐや「というと、優心さんも本社で認めてもらうために働いているという事ですか?」

 

優心「うん。代理になるとはいえ能力……実力があると認めてもらう為に、数年間かは働くことになってるからね。愛も認めてもらう為に、状況による勤務時間だけど本社で働いてるよ」

 

かぐや「そうなんですね」

 

御幸達の近況とかを聞き終わった頃に、"お待たせしました~"という声が聞こえた。

 

ミコ「遅くなってしまいました~。サークルの追い出し会で長引いちゃいました~」

 

千花「私とミコちゃんが最後だったんですね」

 

もう出来上がってるミコと仕事終わりに直接やってきたスーツ姿の千花がやってきた。

 

二人は席に座ると注文をした。

 

千花「チューハイ一つ下さい」

 

ミコ「十四代の本丸のボトル一つでおちょこを人数分をください!あと、ホルモン盛り合わせも!」

 

優「うわぁ……もう出来上がってんじゃん、この酒カス……」

 

ミコ「その言いぐさは何よ、優~。これぐらい慣れなさいよね。私達、卒業後は同棲もして結婚もするって約束したんだから~」

 

優「酒くさ。……まぁ、今日はもう出来上がってるし止められそうにないから止めないけど、出来るだけでかい声を出すなよ。弦巻夫妻のお子さんも来てるんだからさ」

 

優の言葉を聞いたミコが俺と愛の方に顔を向けてきて、優愛と咲心を見るや否や、"可愛いー"と叫んで近づいてきた。

 

ただ、ミコのその行動に優愛と咲心が泣いてしまった。二人が泣いたのを見たミコが固まってしまったが、その隙に優と千花がミコを遠ざけてくれた。

 

愛「よしよし。咲心、大丈夫大丈夫」

 

優愛「優愛、怖かったな。もう怖いのはないから大丈夫だよ」

 

俺と愛はそう言って優愛と咲心をあやして、少ししてから二人は泣き止んでくれた。そして、泣くのにエネルギーを使ったのか二人とも寝てしまった。

 

あやしている間に、ミコは優とかぐやさんと千花の三人に色々と言われていて、酒の酔いも飛んでしまっている状態になっていた。

 

優心「三人とも、そろそろ終わりにしてあげて。優愛達泣き止んでくれて、寝たからさ」

 

愛「そうそう。それに、やっと皆が集まったから、全員で乾杯しようよ」

 

三人にそう言うと、ミコに言うのをやめてミコは"ごめんなさい"と小声で謝って来たが、そもそも起こってない事を伝えつつも許してあげた。

 

 

そして、ミコと千花が頼んだ飲み物がきたので、手に飲み物を持った。

 

優心「じゃあ、乾杯」

 

皆「かんぱーい」

 

全員で乾杯をしてから、子供がいる俺と愛、圭に子供を預けてる四宮夫妻がお店に居られるまでの時間、皆との食事と会話を楽しんだ。

 

 

こうして一日が終わった。

 

 





次回は最終回です。

時間を飛ばした状態での内容になっています。

最終回は、本日3月10日の10時に投稿予定です。


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最終回


最終回(第87話)です。

では、本編をどうぞ。



 

 

~4年後~

 

 

~優心視点~

 

 

御幸達と居酒屋で食事をした日から、4年経過した。

 

俺と愛、御幸とかぐやさん、27歳、優とミコは26歳になっていた。

 

そして、優愛は5歳で咲心は4歳になり四宮夫妻の輝幸くんは優愛と同じ年なので5歳になったそうだ。

 

居酒屋で久しぶりに会って飲み食いして話が盛り上がったあの日から4年も経てば色々と環境が変わる。

 

まず弦巻家・弦巻グループの当主兼社長がお父様の弦巻誠心から代わり、こころが当主兼社長に就任して俺も当主兼社長代理に就任し愛も俺の秘書をしてくれれている。

 

他にも、こころと美咲が結婚をした。同性同士だけど、この日本では同性婚関係の法律は成立されているから、二人は迷いなく結婚したわけだ。その為、こころの秘書に美咲になってくれた。

 

そしてかぐやさんと御幸の二人はというと、かぐやさんが四宮家と四宮グループの当主と社長(総帥)に就任した。

 

4年前は御幸の白銀製薬工場の社長だったが、今は圭に社長を譲ってかぐやさんの補佐をするために、四宮家・四宮グループのナンバー2として活躍している。

 

御幸から白銀製薬工場の社長に任された圭は、"敏腕社長"と

言われる程の手腕で製薬工場を上手く経営しているそうだ。

 

ミコと優は、大学卒業した年の3月中に同棲を始めて、同年4月からミコは大手弁護士事務所、優は弦巻グループのゲーム会社で働きだした。

 

そして、ミコが独立をして軌道に乗り依頼者からも評価がもらえている事務所になり、優も仕事を任されるようになって安定して生活が出来るようになった。

 

そのタイミングの今年初めに、二人は結婚した。

 

千花の方も外交官としての仕事も多忙すぎる事が無くなり、程よい忙しさになったプライベートに余裕が生まれたそうだ。

 

余裕が生まれた結果、近々気になる男性とデートをするとかう事になったと少し前に教えてもらった。

 

 

そんな風に色々と皆が変わっていった日々のある日。

 

今日、俺は公園に来ている。

 

俺一人で公園に来た訳ではなく、愛と優愛と咲心の三人と、こころと美咲の二人と公園に来ていた。いわば弦巻家の家族皆で来ている。

 

お父様とお母様は用事で来れなかったから、性格には家族全員ではないけどね……。

 

しかし弦巻家の皆だけではなく、他にも公園に来るメンバーがいるんだ。

 

それが四宮夫妻とその息子の輝幸くん、優とミコの石上夫婦と、千花がやってくる。

 

なんで皆と集まるのかというと、4年前と同じ様にお昼に皆の記念会をやろうという話になったからだ。

 

かぐやさんと御幸の四宮家での就任や、俺やこころの弦巻家での就任などなどの記念会だ。

 

午前中は公園で優愛と咲心と輝幸くんを遊んでもらって仲良くなってもらって、そのままお昼で記念会……という流れになっている。

 

それで今の公園には皆達はまだ来てなくて、俺達が一番早く公園に着いたみたいだった。

 

なので皆が来るまで、優愛と咲心と公園で遊びながら待っていた。

 

しばらく待ってると千花達が見えてきた。

 

皆の姿が見えてきた時に、優愛が袖を引っ張って質問してきた。

 

優愛「ねぇ、あのひとたちが、おとーさまとおかーさまのおともだちなの?」

 

咲心「なのー?」

 

優愛の質問のあとに咲心も、優愛の言葉の語尾を真似て聞いてきた。

 

優心「うん、そうだよ」

 

二人の問いかけに答えてると、皆がやってきたから、ふたりに自己紹介をさせた。

 

愛「ほら、二人とも。自己紹介して」

 

優愛・咲心「はーい」

 

優愛「あたしは、つるまきゆあです!よろしくです!」

 

咲心「ぼくは、つるまきみこと!よろしく!」

 

愛の言葉に二人は元気よく自己紹介をした。

 

4年前にも皆は会ってるけど、成長したこの姿は初めてだし話せるようになったから、自己紹介をさせて皆と仲良くなってもらおうと思ったんだ。

 

優愛と咲心の後に千花達も自己紹介をしていたが、千花がしゃがんで優愛に抱きついた。

 

千花「優愛ちゃん可愛すぎー」

 

優愛「わわっ!……ちかもかわいいよー」

 

咲心「ねぇねぇ、ちかちゃん。ぼくは?」

 

千花「咲心くんも可愛いしかっこいいよー!」

 

咲心「やったー!おねーさま、ぼくもほめてもらった!」

 

優愛「やったね!」

 

二人の自己紹介で心を奪われた千花は二人の事をそう褒めて、褒められた優愛と咲心は二人でハイタッチして喜んでた。

 

千花「二人とも本当に可愛すぎる!優心くん、愛さん!この二人連れて帰ってもいいですか!?」

 

優心「いや、駄目に決まってるじゃん」

 

愛「優心くんの言う通りで、連れて帰るのはダメだよ」

 

千花「えぇ……。じゃあ、二人と遊ぶのは?」

 

優愛「おかーさま、おとーさま。あたし、ちかと遊びたいよー!」

 

咲心「ぼくもぼくも!」

 

千花の質問の後に、優愛と咲心も"遊びたい"と言ってきた。

 

優心「遊んでいいよ」

 

愛「うん。遊ぶのはオッケーだから、行っておいで」

 

優愛「やった!ちか、遊ぼ!ほら、みこともいくよ!」

 

咲心「うん!」

 

千花「ありがとう、二人とも!」

 

優心「ただし、連れて帰んないでよ」

 

俺の言葉を聞いた優愛と咲心は手を繋ぎながら広場に向かい、千花も俺と愛にお礼を言ってから優愛達の所に向かった。

 

優愛の護衛である女性三人組の黒服、咲心の護衛である男女混合三人組の黒服も、影でこっそりと微笑みながら見守ってくれていた。

 

御幸「輝幸も遊んできていいぞ」

 

輝幸「いいの?」

 

御幸「あぁ」

 

かぐや「お友達になるチャンスですよ。仲良くなって遊んできて」

 

輝幸「……うん!パパ、ママ、あそんでくる!

 

御幸達の子供の輝幸くんも、優愛達と合流して遊び始めた。

 

輝幸くんは見た感じだと自分から一歩を踏み出すのが苦手というか踏み出しづらい所が少しあるっぽい。

 

中々踏み出す事が出来てなかった部分は、御幸とかぐやさんと似ちゃってる感じだな。

 

でも、優愛と咲心は無意識にその辺が分かってるのか、自分から話しかけてもう仲良くなっていたし、千花も丁度いい距離感で三人と付き合っていた。

 

それに優愛と咲心は、公園にいる他の子供達とも話しかけて遊び始めていた。

 

こころ「優愛と咲心、それに御幸とかぐやの子供も仲良くなって楽しそうに遊んでるわね!お兄様」

 

優心「だね。小さい頃の俺とこころみたいな感じだよ」

と、俺はこころと話をしながら、久しぶりに頭を撫でた。

 

こころ「……もう……お兄様、恥ずかしいわ」

 

美咲「そう言いながら、こころ嬉しそうじゃん。ね、優心兄さん。愛姉さん」

 

愛「美咲の言う通りだね」

 

こころ「美咲にお義姉様まで……」

 

四人でしばらく話してると、優愛と咲心が走ってやってきた。

 

優愛「こころちゃん、ずるーい。おとーさま、おかーさま、あたしもなでてー」

 

咲心「ぼくもー」

 

優心「分かった分かった」

 

愛「ふふ」

 

二人を撫でてると、御幸がかぐやさんと輝幸くんを連れて俺達の方にやってきた。

 

優心「初めまして」

と、しゃがんで輝幸くんの目線と同じ高さになって声をかけたが、すると輝幸くんは御幸の後ろに隠れてしまった。

 

愛「優心くん。隠れられちゃったね」

 

優心「ありゃ……。恥ずかしがり屋の部分もあるのかな?」

 

かぐや「そうですね。その部分がありますけど、初めてあった人に対してだけなので、今だけです。2回目以降にあった人と、話をしたり仲良くできるいい子です」

 

優心「そっか」

と、俺が呟くと御幸の後ろに隠れてた輝幸くんが前に出てきた。

 

輝幸「……はじめまして……」

 

こころ「ねぇ、お名前教えてくれる?」

 

輝幸「てるゆき……しのみやてるゆきです」

と、挨拶と名前を輝幸くんが言ってくれた。その様子に御幸とかぐやさんは頭を撫でてあげてた。

 

その様子を見ながら優愛と咲心の方を見ると、ミコと優に話しをしていた。

 

でも、ミコは4年前泣かれた事を気にしているのか、あたふたしながら話をしていて、優がフォローしていた。

 

優愛「ねぇ、ミコ。なんでそんなに目を見て話をしてくれないの~?」

 

咲心「ミコちゃん、なんでー?」

 

ミコ「そ、それは……」

 

優「あー、ミコはちょっと子供と話すのが苦手なんだよ」

 

優愛「そーなんだー。じゃあ、あたしとみことといっぱい話そーよ。そしたら話せるよー」

 

咲心「そーしよー」

 

ミコ「え、二人とも凄くいい子で優しい……」

と、ミコが呟いたと思ったら、二人に抱きついて、いきなり抱きつかれた優愛と咲心は驚きながらも笑顔になっていいた。

 

優「相変わらず、ミコはチョロいな……」

 

御幸「まぁそう言ってやんなって」

 

優心「はは……。そろそろいい時間だしお昼食べにお店に行こう」

 

優と御幸の言葉に苦笑いしたが、時計を見るといい時間だったから、"お店に行こう"と伝えた。

 

大所帯なので車に乗りお店へ向かった。

 

 

 

そしてお店に着いて記念会を始めて、しばらく皆と楽しんだ。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~記念会終了後~

 

 

~弦巻家車内~

 

 

記念会が終わり、皆に"またな"と伝えて解散となった。

 

 

それぞれが帰るのを見た後に、俺も愛と優愛と咲心、こころと美咲の皆と車に乗った。

 

しばらく車に揺られていると着信音が鳴ったので画面を出てみると、蘭だった。

 

優心「……蘭、どうかした?」

 

蘭『あ、優心さん。あの今度の休みは予定空いてますか?』

 

優心「ちょっと待て。……愛、今週の休日って空いてる?」

 

愛「今週は、何も予定は入ってないよ」

 

優心「ん。……蘭。今度の休みは何もないよ。なにか用事あるの?」

 

蘭からの電話で用事を聞くと、休日の予定の有無を聞かれたから愛に確認して予定がない事を確認してから蘭に予定がない事を伝えた。

 

その上で用事があるのかを確認をした。

 

蘭『あ、はい。実は娘の桜が、優愛ちゃんと咲心くんに会いたいって言ってきたので、会えるかどうか確認をしたくて電話をしたんです』 

 

優心「なるほど」

 

実は蘭も結婚をしてて、咲心と同じ年の娘さんがいるんだ。

 

その子は桜という名前の女の子で、うちの子二人と仲がいいんだ。

 

優心「予定は無いから会えるよ。場所はいつも通りつぐみちゃんの家?」

 

蘭『はい、つぐみの家でいいですよ。つぐみからオッケーを貰ってるので』

 

優心「了解。時間は午前でいいね?」

 

蘭『時間も午前でいいですよ。また休みに』

 

優心「うん」

と、言って電話を切った。

 

優心「咲心、優愛。桜ちゃんが会いたいって言ってたから、今週の休みに桜ちゃんに会う約束したよ」

 

優愛「ほんと!?」

 

優心「うん」

 

咲心「さくらちゃんに会えるの!?」

 

優心「うん、そうだよ」

 

咲心「おねーさま、やったね!」

 

優愛「そうだね!」

 

話を聞いた二人は凄く喜んでくれて、二人は桜ちゃんと会ったら何で遊ぶかを話していた。

 

その様子を見ていると、家へ着いた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~夜~

 

 

~弦巻家~

 

 

昼間に帰ってきてから時間が過ぎて、晩御飯の時間になったので、俺と愛、優愛と咲心、こころと美咲、お父様とお母様の合計8人で晩御飯を食べた。

 

優愛「でね、ちかとあそんでたら、こうえんにいたひとと、なかよくなったんだ!ね、みこと」

 

咲心「うん!ともだちになったんだ!」

 

優愛と咲心は公園での出来事を、お父様とお母様(優愛達からしたら祖父母)に話をしながら、食事をしていた。

 

 

俺と愛とこころと美咲は会話に入って、皆と家族団らんの時間を過ごした。

 

こうして、楽しくて濃い出来事だった一日が終わった。

 





今回で2年9ヶ月ぐらい続いた「弦巻こころの兄が秀知院学園に通う話」は、完結です。

この最終回は、人によってはどうなのかと思うかもしれませんが、この終わり方は決めてた部分があるのでどうしてもこの終わり方で終わらせたかったので、この内容で最終回にしました。

最後に、本日3月10日の10時30分に、この最終回時点でのキャラの設定などをまとめた設定集を投稿予定ですので、それも見てくれたら幸いです。

では、本小説の最後までお付き合いしてくださり、ありがとうございました。


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最終回の設定


タイトルと本編の最終回の後書きに書いた通り、本編最終回時点の設定集です。

キャラによっては一言、一文だけだったり、独自設定満載になっております。

今後、追加などするかもしれませんが、ここに記載している情報が基本になります。

それに内容によっては納得できないものもあると思いますが、その辺り目をつぶっていただいてくれたら幸いです。



 

 

弦巻優心

 

 

弦巻家・弦巻グループの当主兼社長代理。

 

 

大学卒業後は家事や育児などを手伝いながらも、弦巻グループ本社グループ社員に実力を見せて認めてもらう為に働いた。

 

そして、最終回にて、弦巻家(弦巻グループ)の当主兼社長代理に就任した。

 

 

大学在籍中に早坂愛と結婚をする。学生結婚。

 

 

 

 

弦巻愛(旧姓・早坂)

 

優心の秘書として働いてる。

 

大学四年生から子供の育児などをしながらも、勉学を励み大学卒業をした。

 

卒業後は、引き続き優心と一緒に育児や家事などをやりながら、弦巻グループ本社で状況に合わせた勤務時間で、グループ社員に認めて貰うために働いた。

 

そして、最終回にて優心の秘書として活躍している。

 

 

大学在籍中に弦巻優心と結婚をする。学生結婚。その為、名字が『早坂』から『弦巻』になった。

 

 

 

 

優心と愛の子供。

 

 

弦巻姉弟

 

 

姉が優愛 弟が咲心

 

 

二人とも7月1日生まれ。

 

 

 

二人とも叔母にあたるこころと、美咲とは凄く仲良し。

 

 

 

弦巻 優愛(つるまき ゆあ)

 

 

弦巻家の長女。優心と愛の娘で、二人の名前から取った。

 

咲心の姉。最終回時点で、5歳。

 

弦巻家(弦巻グループ)の、次期当主兼社長。

 

 

こころと同じ純粋無垢で好奇心旺盛の性格もありながら、優心と愛みたいに冷静に行動したり、真面目で優しい性格の部分もある。

 

初対面の相手でも、自分から声をかけて仲良くなれる性格。

 

弦巻家の人達の良いとこ取りをしたような性格。笑顔を見るのが大好き。

 

弟の咲心が大好きで、一緒に行動することが多い。 

 

美竹蘭の娘、美竹桜と仲が良い。

 

黒服の皐の息子、椿と仲が良い。本人達はまだ自覚はないが端から見ると、椿と優愛は両思いに見える。

 

 

弦巻 咲心(つるまき みこと)

 

 

優愛の弟。最終回時点で4歳。

 

 

こころ(心)と美咲の名前を取って付けられた。

 

人懐っこく好奇心旺盛な性格。笑顔を見るのが大好き。

 

姉と同様に、初対面の相手でも自分から声をかけて仲良くできる性格。

 

姉の優愛の事が大好きな為、優愛の後ろを付いていったり、優愛の真似をする事が多い。

 

 

美竹蘭の娘、美竹桜と仲が良い。本人達はまだ自覚はないが端から見ると、桜と咲心は両思いに見える。

 

黒服の皐の息子、椿と仲が良い。

 

ーーーーーーーーー

 

 

弦巻こころ

 

 

弦巻家・弦巻グループの当主兼社長。

 

 

高校卒業後は、美咲と同じ大学に通って在学中に美咲と付き合った。

 

大学卒業後は、優心と同じく本社(違う部署)で働いており、当主兼社長に就任する二年前に美咲と結婚をした。

 

そして、最終回にて弦巻家・弦巻グループ当主兼社長に就任した。

 

 

 

弦巻美咲(旧姓・奥沢)

 

こころの秘書として働いてる。

 

 

高校三年の二学期にこころの事が恋愛の意味で好きだと自覚した。

 

この頃のこころはまだ恋愛やらの感情は知らない為に、少しずつそう言った感情を教えてあげた。

 

そうやってこころと一緒にいる事で、一生一緒にいたいと思うようになったので、こころと同じ大学に行く事を決意。

 

そして、大学進学してから家を継ぐこころの秘書になる事と、プライベートでこころと結婚する事も決意した。

 

大学卒業してから二年後に結婚し、最終回にてこころの秘書にもなったので、仕事とプライベートでも一緒にいられる様になった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

黒服

 

 

最終回の、優心が大人になり結婚をし子供二人いる親になった時代になっても独身を貫いている。

 

優心から、自身がやりたいようにやって欲しいと思われているが、華自身がやりたい事は助けられた時から変わらずの、優心の為に頑張りたいという事だけである。

 

その事に、優心は呆れつつもそうやって慕ってくれてるのは嬉しいと思っているので受け入れている。

 

 

 

黒服

 

 

最終回でも愛の護衛は変わらずしているが、結婚をして一人息子がいる。

 

優心と愛の二人が大学在学中に、皐と同じ年の男性で弦巻家に新しく料理人として採用されて人物で、その人と接している内に皐の方が相手の事を好きになった。

 

そこから皐は猛アタックをして恋人同士になり優心達と同時期に結婚もして子供も授かった。

 

自身の経験から、一人息子の椿を厳しくもしながらも物凄く可愛がっている。

 

息子の名前は、椿。

 

椿は弦巻姉弟とは、仲が良い。

本人達はまだ自覚はないが端から見ると、椿と優愛は両思いに見える。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

藤原千花

 

 

外交官になった。

 

外交官として働きつつも、父で政治家の藤原大地に秘書の代わりとしても働いている。

 

 

気になる相手がおり、近々デートをする予定。

 

 

 

 

石上優

 

 

卒業後は、弦巻グループのゲーム会社に就職。

 

玩具メーカーが実家の為、玩具の方での知識や今まで遊んできた家庭用と携帯ゲームの知識などと、パソコン関係などの仕事能力を評価されている。

 

その結果、ゲーム機やゲームソフト開発部門で働いており、最終回にて大きな仕事もちょくちょく任される様になった。

 

 

 

石上ミコ(旧姓・伊井野)

 

弁護士になっている。

 

 

石上と結婚した。

 

 

大学在学中に司法試験に合格し、卒業後は大手弁護士事務所で働いた。

 

そして、最終回の少し前から独立して個人の法律事務所を立ち上げ、活躍している。

 

親身に寄り添い助けるのを信条としているので、弁護士として事務所としても評判も評価も高い。

 

仕事モードではチョロさは全く無くなるが、オフの時は、相変わらずチョロさが健在。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

四宮御幸(旧姓・白銀)

 

四宮家・四宮グループの当主代理・副社長。

 

 

四宮家に婿入りした形で、かぐやと結婚。その為、名字が白銀から四宮に変わる。

 

大学卒業後に、白銀家の会社だった白銀製薬工場を取り戻した。

 

軌道に乗るまでの間は、社長に就任した。

 

軌道に乗り安定した後は、妹の圭に社長の座を譲り、最終回にて、四宮グループでナンバー2としてかぐやの補佐をしつつ活躍している。(生徒会とは逆の立場となった)

 

 

 

 

四宮かぐや

 

 

四宮家・四宮グループの当主兼社長(総帥)。

 

大学在籍中に結婚し、母親になった。

 

大学卒業後は日本へ帰国して、帰国後は自身の実力を認めてもらう為に、グループ本社で状況に合わせた勤務時間で働いた。

 

そして、最終回にて、四宮家・四宮グループの当主兼社長(総帥)就任した。

 

 

 

 

四宮 輝幸(しのみや てるゆき)

 

 

御幸とかぐやの息子

 

 

白銀御幸の『幸』と、四宮かぐやの「かぐや」を漢字にして、その輝夜の『輝』を取って組み合わせた名前を付けた。

 

四宮家(四宮グループ)の、次期当主兼社長。

 

最終回では、5歳。

 

かぐやと同じく万能型の天才であるが、御幸の様に努力もする性格をしている。

 

初対面の相手には、かぐやか御幸の後ろに隠れたり、自分から声をかけに行くのは苦手な恥ずかしがり屋な一面がある。

 

ただ、一度でも会って話した事がある相手なら問題なく声をかけれたり、話せる。

 

 

 

白銀圭

 

 

白銀製薬工場の敏腕社長として活躍している。

 

製薬業界では新参の立ち位置の会社だったが、先代社長の御幸と、圭の手腕により、業界大手の仲間入りを果たしている。

 

結婚願望はあるが、今の所は結婚の予定はない。それ以前に彼氏もいない。

 

その理由は、兄の御幸と義姉のかぐやの二人が圭に悪い男が近寄らないようにしている為に、男性との接点が少なくなってしまっている。

 

その上、二人と会うたびにお見合い相手を薦められてくるこで、最近はそれが悩みの種になっている。

 

 

甥っ子の輝幸にはメロメロ。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

四条帝

 

 

四条家・四条グループの当主兼社長。

 

大学に進学し、卒業後に当主兼社長に就任をした。

 

就任後、弦巻家・弦巻グループと四宮家・四宮グループと両家との関係……ビジネスとプライベートなどを良好にした。

 

大学卒業後に彼女が出来て、近々、結婚予定。

 

 

 

 

四条眞妃

 

 

四条グループの証券会社に就職をして、弟の帝が家督を継いだ時に、副社長と当主代理というナンバー2に就任した。

 

大学卒業後に彼氏が出来て、近々、結婚予定。

 

 

 

 

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新川鋼と駿河すばる

 

 

高校三年の冬休みに付き合った。

 

大学卒業後に、二人は結婚。

 

 

駿河すばるは実家であるIT関係の会社の社長に就任。

 

 

新川鋼は、すばるに指名される形で、副社長に就任した。

 

 

 

 

 

古川樹と火ノ口三鈴

 

 

高校三年の冬休みに付き合った。

 

大学卒業後に、二人は結婚。

 

 

 

火ノ口三鈴も実家の会社である広告代理店の社長に就任。

 

社長業の傍ら、樹が着いた古川屋の接客をしている。

 

 

 

古川樹は、実家の古川屋を継いでいるが定休日には三鈴のサポートをしたりしている。

 

 

 

 

相川楓

 

 

こころのバンドのハロハピなどのライブを見て音楽関係に興味を持ち、ライブハウスの社員になって働いている。

 

 

 

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ハロハピ

 

メンバー達は、それぞれ職に就いて働いているが、バンドも続けている。

 

バンドはプロとしてデビューはしていないが、時間が合う時などに練習をしてライブをしている為、知る日とぞ知る人気バンドとしても最終回時点の今も活躍をしている。

 

 

 

 

 

北沢はぐみ

 

 

高校卒業後、大学は行かず実家の北沢精肉店で働き始めた。

 

そして最終回時点で、家を継いで経営出来る程に成長した。

 

 

 

 

瀬田薫

 

 

大学在学中に舞台デビューをし、卒業後には少ないがテレビなどにも出演している。

 

その為、千聖と共演する事もある。

 

 

 

 

松原花音

 

 

大学卒業後、弦巻家が運営している児童養護施設の職員となった。

 

ハロハピなどのバンドを通して経験した事を教えたいと思った為、職員になった経緯がある。

 

 

 

 

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~ポピパ~

 

 

メンバー達は、それぞれ職に就いて働いているが、バンドも続けている。

 

バンドはプロとしてデビューはしていないが、時間が合う時などに練習をしてライブをしている為、知る日とぞ知る人気バンドとしても最終回時点の今も活躍をしている。

 

 

 

戸山香澄

 

高校卒業後は、有咲と同じ大学に進学。

 

大学卒業後は、有咲と結婚をして有咲の家で一緒に暮らしている。

 

有咲の実家の質屋「流星堂」も、有咲と一緒に経営している。

 

 

 

牛込りみ

 

高校卒業後は大学進学をした。

 

そして大学卒業後は、弦巻グループの映画関係の会社に就職をした。

 

ホラー映画が好きという事で、ホラー映画制作の際にメンバーに選ばれるなど活躍中。

 

 

 

 

花園たえ

 

 

高校卒業後は江戸川楽器店に就職し、レイと結婚して一緒に生活している。

 

 

 

 

山吹沙綾

 

 

家の山吹ベーカリーを継ぐ。

 

彼氏募集中。

 

 

 

 

市ヶ谷有咲

 

香澄と一緒に大学に進学をした。

 

そして、卒業後は香澄と結婚して、自分の家で一緒に暮らしながら質屋「流星堂」を継いでいる。

 

 

 

 

 

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アフターグロウ

 

 

メンバー達は、それぞれ職に就いて働いているが、バンドも続けている。

 

バンドはプロとしてデビューはしていないが、時間が合う時などに練習をしてライブをしている為、知る日とぞ知る人気バンドとしても最終回時点の今も活躍をしている。

 

 

 

 

美竹蘭

 

 

100年以上続く華道の家元、美竹家の当主。

 

 

高校卒業後は大学進学せずに、華道をメインに活動していた。

 

そして最終回にて100年以上続く華道の家元である美竹家を継いで、当主となる。

 

高校卒業後から最終回の間に、お見合いをして華道家としての顔を持ちつつもバンドをしている自分を認めて受け入れてくれる相手と出会う。

 

その人と結婚をし一人娘の桜を授かる。

 

 

 

 

美竹 尊(みたけ たける)

 

蘭とはお見合いで出会い結婚した。婿として蘭と結婚し美竹家の息子になる。

 

 

 

美竹 桜(みたけ さくら)

 

蘭と尊の娘で、美竹家の次期当主。

 

華道も音楽が凄く好きで、両親の事も好き。

 

 

弦巻姉弟とは仲が良いが、咲心とは特に仲良し。

 

 

 

 

青葉モカ

 

 

大学に進学して卒業後は、デザイナーとして働いている。

 

最近、デザイナー仲間の一人にパン好きがおり意気投合して、休みの日にパン屋巡りをしている。

 

 

 

上原ひまり

 

デザート好きが高じて、コンビニ本社の商品開発のデザート部門で働いている。

 

会社の同僚に気になる人がいる模様。

 

 

 

 

羽沢つぐみ

 

 

実家である羽沢珈琲店を継いでいる。

 

現在、付き合っている彼氏がおり同棲している。

 

一緒に協力をしながら珈琲店を営んでいる。

 

近々結婚予定。

 

 

 

宇田川巴

 

 

役所の地域課で働いており、休日には商店街の和太鼓チームで活動したり商店街組合の手伝いもしている。

 

和太鼓チームに一目惚れした人がいて、現在その人に猛アタック中。

 

 

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パスパレ

 

最終回の時点で、結成十周年。

 

ただ、その結成十周年の年に解散をした。

 

 

パスパレ最後のライブである解散ライブは二回行われた。

 

一回目は、ファンの為にドームで行われライブビューイングも実施された。

 

二回目は、同じくバンド活動をしてきたポピパ・ロゼリア・アフターグロウ・ハロハピ・ラス・モルフォニカや、他にもチスパやグリグリの皆、そして優心と愛の為にライブをやった。

 

 

 

丸山彩

 

パスパレ解散後は、個人の歌手として活躍しつつもバラエティーや、千聖に鍛えられたお陰でドラマにも出演している。

 

白鷺千聖と結婚し、一緒に生活している。

 

 

 

 

氷川日菜

 

パスパレ解散後は、色々と興味を持った事をやっている為に、テレビでは見ない日はない程、テレビで活動している。

 

他にも音楽番組で姉の紗夜と一緒にギター演奏をしたりもしている。

 

姉の紗夜とは同居している。ただ、姉の紗夜は結婚しているが、紗夜と一緒に居られれば、紗夜が結構してようがしてまいが関係ない持論を持っている。

 

ただ実際は紗夜の目の前で駄々をこねただけ。

 

この事に、紗夜は呆れながらも受け入れており、紗夜の旦那も賑やかになるなら一緒に住んでもいいと構わないと許可をくれたので一緒に暮らしている。

 

 

 

白鷺千聖

 

パスパレ解散後は女優業メインに戻ったが、アイドルバンドをやっていたという事で、音楽番組関係にも出ることもしばしばある。

 

薫と一緒に舞台やドラマなどでも共演することもある。

 

 

丸山彩と結婚し、一緒に暮らしている。

 

 

 

 

大和麻弥

 

 

パスパレ解散後は、事務所に所属している他バンドのドラム講師として活躍中。

 

メディア露出に関しては、テレビなどの出演は程々で事務所公式のネットの動画配信で、国内外で活躍している数多のバンドや歌手達が使っている機材を紹介する動画で活動をしている。

 

 

 

若宮イヴ

 

 

パスパレ解散後、モデル業に復帰しつつもテレビ出演でも活躍している。

 

テレビだとバラエティーにも出演している他に、日本の歴史を扱った番組にも出演している。

 

 

 

 

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ロゼリア

 

バンドとしては、バンドリ3章にて登場した音楽事務所に所属してプロとして活動している。

 

 

 

 

湊友希那

 

 

プロになり音楽活動を積極的にしているが、猫好きという事が業界に伝わった事で、テレビや動画配信サービスの動物関係の番組にも出演している。

 

猫好きが業界に広まったのはメンバーの誰かが広めたと思っているが、自身が隠しきれていない事を未だに自覚していない。

 

大学卒業後にリサと結婚した。

 

 

 

 

今井リサ

 

 

リサはファッションや化粧品関係に詳しい為に、プロのバンドとして活動しつつも、ファッションや化粧関係の雑誌でモデルをしたり番組に出たりとしている。

 

友希那と結婚した。

 

 

 

 

氷川紗夜

 

 

プロとして活動をしている他にも、テレビ番組に出演をしている。

 

番組出演の割合的に、昼間にやっている情報番組でのコメンテーターが殆どであるが、自身の考えを的確に伝えているので、お茶の間に人気がある。

 

 

大学卒業後に所属事務所の男性社員と結婚をして一緒に暮らしている。

 

 

最初の内は二人で暮らしていたが、日菜が紗夜と暮らしたいと駄々をこねた為に、日菜も入れての暮らしになった。

 

駄々をこねた事は、日菜本人は無理やり否定しているが、紗夜は呆れながらも受け入れており、旦那の方も許可を出したので暮らしている。

 

 

 

 

 

白金燐子

 

 

最終回時点で、内気な性格はほぼ改善されたが、初対面の相手には未だに自分から話しかけたりするのは苦手。

 

ロゼリアの衣装を作っているという事で、服関係の仕事もしている。

 

あこと一緒にゲーム配信をしている。

 

 

あこと結婚した。

 

 

 

 

宇田川あこ

 

 

最終回時点では、中二病は卒業したが、ファンの人たちに頼まれればやる。

 

プロとして活動しながら燐子と一緒にゲーム配信をしている。

 

 

 

燐子と結婚した。

 

 

 

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レイズアスイレン

 

ロゼリアと同じ事務所に所属して、プロとして活動をしている。

 

プロデューサーは変わらずチュチュ。

 

オフの日はメンバーの六花が番台している旭湯に皆で行く程、メンバー同士の仲は良好。

 

 

 

和奏レイ(レイヤ)

 

 

プロとして安定して生活が出来た時におたえに告白。

 

ポピパのおたえと結婚し、一緒に生活している。

 

 

 

 

朝日六花(ロック)

 

 

プロとして活動しながらも、旭湯で番台をしている。 

 

 

旭湯で番台をしている日や、ラスの全員で旭湯に入った日からしばらくは客足が増える事に複雑な気持ちになっている。

 

 

 

佐藤ますき(マスキング)

 

プロとしてデビューした時に、所属になった事務所がソロでいた時の事務所だったから、内心驚いていた。

 

 

 

 

 

鳰原 令王那(パレオ)

 

ラスのキーボード

 

 

最終回時点で、チュチュと一緒に生活をしている。

 

結婚はしていないが近々したいと思っており、自分からプロポーズをする為に、チュチュ以外のラスメンバーに協力してもらって計画を立案中。

 

 

珠手 ちゆ(チュチュ)

 

 

プロのバンドになっても変わらずDJとプロデューサーとして活動中。

 

最終回時点で、パレオと一緒に生活をしている。結婚はしていないが近々したいと思っている。

 

プロデューサー活動を認めてくれた事務所に感謝している。

 

 

 

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モルフォニカ

 

 

メンバー達は、それぞれ職に就いて働いているが、バンドも続けている。

 

バンドはプロとしてデビューはしていないが、時間が合う時や休みの日に練習やライブをしている為、知る人ぞ知る人気バンドとしても最終回時点の今も活躍をしている。

 

 

倉田ましろ

 

 

月ノ森を卒業後は、バンドをやりたいと決意した、ライブハウスサークルに就職をした。

 

 

 

 

桐ヶ谷透子

 

月ノ森を卒業後は、実家である呉服屋を継いだ。

 

 

 

 

広町七深

 

月ノ森を卒業後は、メンバーのお陰で、自分の絵に自身を持つようになり、画家として活躍する様になった。

 

 

 

 

 

二葉つくし

 

 

月ノ森を卒業後は、実家の会社を継いだ。

 

 

 

 

八潮瑠唯

 

 

月ノ森を卒業後は、大手企業に就職して生活している。

 

 



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